滋賀県議会 2022-08-04
令和 4年 7月定例会議(第3号〜第9号)−08月04日-06号
令和 4年 7月定例会議(第3号〜第9号)−08月04日-06号令和 4年 7月定例会議(第3号〜第9号)
令和4年7月定例会議会議録(第8号)
令和4年8月4日(木曜日)
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議事日程 第6号
令和4年8月4日(木)
午 前 10 時 開 議
第1 議第83号から議第102号まで(令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか19件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 菅 沼 利 紀 2番 桐 田 真 人
3番 井 狩 辰 也 4番 本 田 秀 樹
5番 柴 田 清 行 6番 重 田 剛
7番 清 水 ひ と み 8番 河 井 昭 成
9番 佐 口 佳 恵 10番 小 川 泰 江
11番 黄 野 瀬 明 子 12番 松 本 利 寛
13番 杉 本 敏 隆 14番 田 中 松 太 郎
15番 角 田 航 也 16番 塚 本 茂 樹
17番 山 本 正 18番 大 橋 通 伸
19番 駒 井 千 代 20番 中 村 才 次 郎
21番 白 井 幸 則 22番 村 上 元 庸
23番 桑 野 仁 24番 周 防 清 二
26番 加 藤 誠 一 27番 竹 村 健
28番 目 片 信 悟 29番 有 村 國 俊
30番 岩 佐 弘 明 31番 富 田 博 明
32番 細 江 正 人 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 木 沢 成 人
36番 清 水 鉄 次 37番 大 野 和 三 郎
38番 冨 波 義 明 39番 江 畑 弥 八 郎
40番 成 田 政 隆 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(1名)
25番 海 東 英 和
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
副知事 江 島 宏 治
知事公室長 中 嶋 毅
総合企画部長 東 勝
総務部長 河 瀬 隆 雄
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 高 木 浩 文
健康医療福祉部長 市 川 忠 稔
商工観光労働部長 浅 見 裕 見 子
農政水産部長 宇 野 良 彦
土木交通部長 門 間 俊 幸
会計管理者 辻 本 誠
病院事業庁長 正 木 隆 義
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 吉 田 亮
議事課課長補佐 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(岩佐弘明) これより本日の会議を開きます。
直ちに日程に入ります。
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△議第83号から議第102号まで(令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか19件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(岩佐弘明) 日程第1、議第83号から議第102号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、45番節木三千代議員の発言を許します。
◆45番(節木三千代議員) (登壇、拍手)それでは、あらかじめ通告しております項目に沿って一般質問を行います。
まず、県立大学および
県立高等専門学校について、一問一答で全て知事に伺います。
まず、県立大学の果たしている役割についてお聞きします。
○議長(岩佐弘明) 45番節木三千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
県立大学は、学術の中心として、有為の人材を養成するとともに、開かれた大学として、滋賀県の持続的発展の原動力として寄与することを使命としております。
これを踏まえ、県立大学は、地域に根ざし、地域に学び、地域に貢献する大学として、教育、研究、地域貢献を展開しており、本県の知の拠点としての役割を果たしていると考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)基本理念の中に、滋賀県の持続的発展の原動力として大きく寄与することを使命にしているということも書かれていると思います。
それでは、県議会で日本共産党は繰り返し、県立大学の運営交付金が
基準財政需要額を満たしていないことから増額を求めてきましたが、現状について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
令和4年度当初予算では、今年度の
基準財政需要額の試算額に対して、運営費交付金、こちらは27億9,233万円の占める比率は約81%となり、昨年度の比率より約5ポイント高くなると試算しているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)せめて
基準財政需要額までの運営交付金をと求めてきたんですが、あと何億円を積み増しすれば100%となるのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 令和4年度の当初予算の運営費交付金、こちらはその中から高専分3,600万円を除きますと、27億9,233万円となります。
令和4年度の
基準財政需要額は、現時点での試算でございますが、34億3,993万円でございまして、差額は6億4,760万円となります。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)(資料掲示) この図2の緑のところが、これまでの滋賀県が交付してきた運営交付金の金額です。2008年度がピークで、それからどんどんと減らしてきて、少し最近は伸びているというような状況になります。かつてはもう少し交付金を出していたということが分かると思います。
また、全国で見れば、各公立大学の
基準財政需要額に対する運営交付金の割合で見れば、全国98校中82校、約83.7%が
基準財政需要額の90%以上を交付し、さらに、半数以上が110%以上の交付を受けています。全国的に見ても、県大への滋賀県の運営交付金が少な過ぎるのではないでしょうか。この現状について知事の認識を問います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
基準財政需要額は
普通交付税算定に当たっての基礎となるものでありますが、普通交付税の使途は地方公共団体の自主的な判断に任されており、特定の使途に限定されるものではございません。
県立大学には運営費交付金と
基準財政需要額に乖離はございますが、運営費交付金とは別に、施設、設備整備や授業料等減免などのために必要な経費を支援しているところです。
県といたしましては、厳しい財政状況の中で、大学の教育研究に支障の生じることのないよう、しっかり対応していきたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)
基準財政需要額と滋賀県の運営交付金には乖離があるということで、教育環境に支障がないようにというお話でありましたけれども。
先日、県大の職員さんにお話を聞く機会がありました。財政の厳しさから大変苦慮されているとお聞きをしました。例えば、
県立琵琶湖博物館で
キャンパスメンバーズ制度がありまして、県大では年間約20万円で学生が使用するときに免除であったり減額で学べる環境があったんですが、この20万円すら出せなくなっているという状況をお聞きいたしました。また、授業で使う機材が古くなって今に間に合わない、社会に出たときに学生が使えるような機材が手に入らないということもお聞きをいたしました。
また、後ほどお聞きしますけれども、
県立高等専門学校では寮も作られていますが、県大では、留学生や、また、遠方の学生のための学生寮も、以前は中期計画に掲げられていたことがあったにもかかわらず、作られていないということもお話をされていました。
同規模の類似の県立の広島大学と比べても、少し年代は古くなりますが、この時点でも112.7%、
基準財政需要額に対して交付が行われています。そして、職員のこの非正規と正規の割合を見ましても、県立大学では、契約職員が、いわゆる非正規職員が83人に対して広島大学では47人ということであります。一方、職員は、県大では23人に対して広島大学では48人と、圧倒的に正職員が多くあって、ゆとりのある人員配置ができていることがうかがえるというふうに思います。
最近では、県大では時間外労働が多いことから、2回も労働基準監督署から是正勧告を受けているような状況になっています。こういう状況を見ても、せめて先ほどお答えいただいた6億円余り、せめて
基準財政需要額、運営交付金では出すべきではないかと知事に問います。
◎知事(三日月大造) 今おっしゃったように、
基準財政需要額と措置している運営費交付金との乖離はあるんですけども、先ほどお答えしたように、様々な施設、設備整備や授業料等減免で必要な経費は支出しているということですし、全国的にこの
基準財政需要額に対する運営費交付金の措置率が低いのではないかという、こういう試算もありますけれども、県立大学への措置率はここ数年上昇してきているという、こういうこともございます。
また、県立大学には運営交付金以外に支出している額、今年度予算では約4億円計上しておりますので、今後も必要な支援は行っていきたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)様々な支障が出ていることは先ほど御紹介させていただきました。さらに
基準財政需要額以上を交付することを強く求めるものです。
そこで、県立大学と同じ法人の下で全国で初めて
県立高等専門学校が作られようとしていますが、その事業概要について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 現在検討中の県立高専ではございますが、すべての人と地球を支える技術を磨く学校を目指し、情報技術を基礎といたしまして、機械、電気電子、情報技術、建設の4つの専門分野を設ける予定でございます。
また、学校規模でございますが、1学年120人、5つの学年で600人の定員を予定しており、その場合の施設規模といたしましては、全国類似高専の例から、延べ床面積1万6,000平方メートル程度を想定しているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)設置費用および運営費について伺います。
◎知事(三日月大造) 施設整備費および運営費につきましては、全国の類似高専の平均値等から、施設整備費100億円、運営費については、支出と収入の差額で年間7億円程度の負担を見込んでおります。
なお、運営費につきましては
地方交付税措置があり、実質的な負担は年間3億円程度となる見込みでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)施設整備費は100億円と。3億円の赤字を毎年埋めていくということでありますが、県財政への影響について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 先ほどもお答えいたしましたとおり、施設整備につきましては相応の費用が必要であり、運営費についても授業料だけで賄うことはできず、一定の公費負担は必要だと考えております。これらは将来の滋賀を支える人づくりに必要不可欠な投資であると考えており、県の財政状況等も踏まえながら、しっかりと対応していきたいと考えております。
なお、財政負担を可能な限り抑えるため、今後、構想を具体化する中で、整備手法の工夫や事務部門の効率化による経費縮減、寄附や外部からの研究費などの歳入確保についても積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)2月に示された
財政収支見通しを見ても、追加の対策を行わない場合は、今後、財政調整基金が枯渇する可能性があると、大変厳しくなるというふうに指摘をされております。後年度に100億円は大きな負担になるのではないか、再度、知事にお聞きします。
◎知事(三日月大造) 小さくない額、大きな額でございますが、とはいえ、人づくりに必要な投資としても、皆様方の御理解いただいてのことにはなりますけれども、行っていく必要もあるのではないかと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)大変大きな額です。追加のこの収支見通しの中でも、追加の対策を行わない場合ということで書いていましたが、追加の対策を来年度から示されようとしている、行革で示されようとしていますが、これは県民にしわ寄せがされるということではないんですか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 当然、持続可能な財政状況は厳しい中にあってもつくっていかなければならない、また、守っていかなければならない、こういうことはございますし、何をもってしわ寄せと言うかというのはそれぞれの方の御判断、御評価もあるのかもしれませんけれども、必要な予算は計上しつつ、将来に向けても投資を行っていくということは、これは同時に求められる地方財政運営の柱ではないかなと考えているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)私は、今ある県立の唯一の大学は工学部もあります。さきに述べた県立大学の現状から見ても、ここに本当にあの運営交付金を増やしてしっかりと教育環境を整えること、ここをまずは優先すべきではないかと思います。知事に問います。
◎知事(三日月大造) 運営交付金をお取り上げいただいてお尋ねいただいてるんですけれども、大学全体の運営費の一部として必要経費を計上しておりまして、ここ数年、増額対応してきております。
県といたしましては、県立大学が地域に貢献できる人材の育成や地域課題の解決に向けた研究に取り組むことができるよう、大学にも経営努力していただきながら、運営費交付金をはじめ様々な支援を行ってまいりたいと存じます。
一方、高専は本県の新たな学びの選択肢として必要な教育機関だと考えておりまして、大学と高専を同一の公立大学法人が運営することで、双方の強みを掛け合わせたシナジー効果の創出を図りながら、それぞれの教育環境を整えてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)県立大学の教育環境が整っていないから、現場からそういう声が出ているから、私はこの問題を取り上げました。将来の県の財政負担を見ても、100億円もの
県立高等専門学校は一旦立ち止まることを求めるものですが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 県内には、既に大学、高校等の教育機関がございますが、ここに高専という新たな学びの選択肢が加わることで、次の時代の滋賀を支える子供たちがより自分らしい将来を描くことができ、それぞれの夢の実現や幸せにつながるものと考えております。
また、県内企業からも、これからの時代に必要な価値創造力、専門性、実践力を兼ね備えた高等専門人材を育成する機関として、県立高専に熱い期待をお寄せいただいていることもございます。
このようなことから、県立高専の設置は、厳しい財政状況の中でも、皆さんのお力もいただきながら積極的に取り組むべきものであると考えておりますので、産業界等の御協力もいただき、県民の皆様の御期待に応えられる学校づくりを目指してまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今日は現場の声を届けさせていただきました。しっかりと現場の声に耳を傾けていただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、特別支援学校について、一問一答で知事ならびに教育長にお聞きします。以下、指名するまで教育長に伺います。
この4月から野洲養護学校では教職員の給食が食べられない状況になりました。その状況についてお聞きします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
今年度は、教職員195名のうち20名の方が給食を食べておられる状況でございまして、それ以外の方につきましては、お弁当等を持参いただいているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)非常に分かりにくい答弁をされましたけれども、175人の教員の方の給食が作られていない状況であります。それはなぜでしょうか、教育長に再問いたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
昨年度は教職員190名でございましたが、全員給食を食べておられました。
年度末に調理従事者の退職が判明をいたしまして、調理数を減らす必要があるという判断がなされたため、3月末の職員会議で、4月より教職員全員分の給食を供給できないことを管理職が教職員に説明いたしました。
児童生徒の発達段階を考慮いたしまして、喫食が必要な教職員に優先的に食べていただくことについて了解がされ、各自でお弁当を残りの先生方は持参をいただいているところでございます。
本来、子供と同じ給食を食べ、食材や味を共有し、食育を進めることが望ましいと考えておりますが、現在は昼食時の放送で特別メニューを紹介したり、ランチルームに献立内容を詳しく掲示するなど、食育の機会が損なわれないように学校で工夫をいただいているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)担当課に聞いたところ、もちろん調理員さんが辞められたということもありましたけれども、釜の容量の問題もあるというふうに答えていただきましたが、その点については、教育長、どうですか。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
学校給食におきまして、設備の更新というのは当然必要となってまいります。設備の更新がより効率的な調理につながるケースがあると認識しておりますので、この点につきましてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)設備の更新ではなくて、釜の容量の問題だと言われたんですが、釜の容量が小さいから作れなくなったというのも一つの原因ではないですか。
◎教育長(福永忠克) 先ほど御答弁申し上げましたように、炒め釜を更新することによって容量が増えまして、より効率的に調理につなげることができるという意味で、設備の更新が必要というふうに申し上げたところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)釜の容量も問題だというふうにお聞きをいたしました。改善が求められると思いますが、どのように対応してきたのか、教育長にお聞きします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほどもお答えをいたしましたが、教職員の給食を食べる数が減ったことの理由といたしまして、昨年度末に調理従事者2名が退職をされたこと、また、今年度、児童生徒数の増加もございまして、調理工程上の安全性を考慮した上で給食の提供数を見直し、今年度当初から最大調理数を150食減らす対応をしたということを確認させていただいております。
事前に十分な把握ができていなかったこと、また、調理体制を確保するための配慮も十分ではなかったこと、これは課題であると認識をいたしております。
現在は、児童生徒の発達段階に応じまして、できる限り食に関する指導に支障がないように、必要な教職員を選定して対応しておりまして、新規雇用の調理従事者を含めた管理体制を整えて、順次提供数を増やす予定でございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)実際175人の教員の給食が作られていないというのは、もう支障が生じているわけであります。
先日、野洲養護学校に伺ってお話を聞かせていただきました。大変狭い厨房で、安全に給食を提供するために、本当に現場の皆さんは苦労されておられました。
(資料掲示)調理員の確保ももちろん急がなければなりませんけれども、この3つの釜のうちのこの2つの釜の容量を大きく変えることによって、喫食数を満たすこともできるというふうにおっしゃっておられました。この2つの釜はそれぞれ110リットルですけれども、これを140リットルに替えるスペースはあるので、ここを替えれば何とか、調理員さんの確保も必要ですけれども、喫食数を満たすことができるということもおっしゃっておられました。
これ、すぐに急ぐべきではないでしょうか。この釜はすぐに替えるべきではないでしょうか。教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) 給食設備につきましては、それぞれの学校の厨房等、給食の現場の状況もございますので、今御質問の点につきましては、現場の声をしっかり聞いた上でどういった対応が、給食の安全という面もございますので、その点も含めて考える必要があると認識をいたしております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)私、寄せていただいて、見積りも取ったということで、1つ110万円で2つで220万円ぐらいかかるだろうとおっしゃっておられたので、これ、すぐに対応してもらえるものかなと思っていたんですが、なかなかこの釜1つ買うにも今めどがついていないという状況をお聞きいたしました。これでよいのでしょうか、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、それぞれの給食設備の更新につきましては、現場の声をしっかりと聞いた上で判断をさせていただきたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)せめて1つだけでも更新してほしいとおっしゃっておられるんですが、対応すべきではないですか。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
釜2つ替えるのか、1つ替えるのか、そのことでどれだけの効果があるのか、そして、その緊急性も含めまして、確かに先生方が給食を食べておられないという事態は重く受け止めておりますので、学校現場の声をしっかり聞いて考えてまいります。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)私も何も本会議でこの釜を買えということを何も要求したくないんですよ。これもすぐに対応してもらえるものだと思っていたのに対応されてないということで、取り上げざるを得ないという状況があるということをしっかりと思っていただきたいというふうに思います。
早急に教員全員が給食を食べられるようにすべきと思いますが、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先生方、教職員が児童生徒と同じ給食を食べ、給食指導をすることは、食育の観点から重要であるということは認識をいたしております。
ただ、現状を考えますと、当面は、まず調理従事者の雇用に努め、調理体制を整えつつ提供数を増やしながら、その食育の実施に努めてまいります。
御指摘をいただいております設備の更新につきましても大切だと考えておりますので、現場の声をしっかり聞き、その対応に努めてまいります。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)私、狭い厨房を見せていただいて、本当に根本には大規模化ゆえにこのような問題が起こったのではないかというふうに考えます。
今年度の野洲養護学校の児童生徒数について教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
令和4年5月1日現在、406名でございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)とうとう400人を超えて406名にもなったというふうに思います。
釜を大きくするだけでは解決されないし、台車が入るかどうか分からないということもおっしゃっておられました。そういう点では、もう大規模化を放置せずに、もう分離新設をすぐにでも検討すべきではないですか、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
お取り上げいただきました野洲養護学校につきましては、これまで、児童生徒の増加に対応するために2回の増築を進めてきたところでございます。現時点において授業の実施に支障が生じていることはないと聞いておるところでございます。
また、国が定めております特別支援学校設置基準における校舎および運動場の面積については、現在のところ、その基準を満たしております。
しかしながら、特別支援学校の教育環境については、子供たちの学びの充実を図る上で大変大切なものでございます。
こうしたことから、野洲養護学校をはじめ県内全ての特別支援学校について、それぞれの学校の課題をまずしっかり把握した上で、そして、併せて今後の児童生徒数の推移、今の教室等の状況などをしっかり踏まえて、特別支援学校の教育環境の整備を総合的な観点から検討を進めることが大切であると考えており、そういった検討を始めているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)教育長、もう400人を超えているということなんですよ。総合的な観点からと言われますけれども、もうずっとこの分離新設の問題は、現場からも保護者からも声が出てきた問題です。いつまでもこのまま放置をするんですか、お聞きします。
◎教育長(福永忠克) 先ほども申し上げましたが、野洲養護学校の問題をはじめ、県内には16の特別支援学校がございます。それぞれに抱えている課題もございます。こういったものを全ての学校についてしっかりと把握した上で、総合的に課題を検討を進めて、それぞれの学校についてどういう優先順位でやっていけばいいのか、その点も含めましてしっかりと検討を進めてまいる所存でございます。
決して放っておいていいと思っているわけではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)検討するということですが、そうしましたら、それ、具体的にどのようにそれぞれの学校の問題を把握して、いつそれを計画として示されるのかお聞きします。
◎教育長(福永忠克) お答えをします。
大規模化の課題につきましては、様々な課題があると認識をしております。当然教室の不足、今お取り上げいただきました給食の問題、あるいは、先生方も非常に多くなっておりますので、先生方の働き方の問題、それから、特別支援学校の実態についてずっと見てまいりまして、もう1点気になるところは通学の問題もございます。こういった問題を総合的な観点から考えていくことが大切であると考えております。
今、いつまでに答えを出す、いつまでに計画を示すということを、申し訳ございませんが申し上げられる状況ではございませんので、できる限り早急に検討を進めて、また皆様方にお示しをさせていただきたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)いつまでも放置するわけにはいかないというふうに思いますし、食育という観点から、大きな支障がもう現に出ているということを認識していただきたいと思います。
知事にも伺いたいと思います。野洲養護学校の今回の件を取り上げましたけれども、大規模化を放置してきたことが問題であって、分離新設を検討すべきではないでしょうか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 特別支援学校の教育環境につきましては、学びの充実を図る上で大切であると考えております。
県内全ての特別支援学校の教育環境について、今後の児童生徒数の推移や教室等施設状況などを総合的な観点から検討する必要があるものと考えておりまして、教育委員会での議論を受けて、私も一緒に考えてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今後の児童生徒の推移を見てというのは、この本会議で私、何度も答弁でお聞きをしていました。いつまでこの推移を見てということで先延ばしをするのかということを私は指摘したいと思います。
知事に伺いたいと思います。(資料掲示)この表にありますように、特に高校と特別支援学校の子供1人当たりの教育予算は全国で最低となっています。知事は「子ども、子ども、子ども」と言われますけれども、この表を見ていただいても最低の予算、予算を増やすべきではないですか。
◎知事(三日月大造) すいません、何をもってどういう比較なり序列がなされているのかというのは私もにわかに分かりかねるんですけれども、いずれにしろ、子供たちの学ぶ環境を整えていくということはとても重要だと思いますし、それぞれ課題があるところに対して改善策を講じていくということも、とても重要な責務だと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)この表は、文科省令和3年度地方教育費調査によるランクづけをしたものであります。ここに県の姿勢が現れているというふうに思います。
私、1番になった高知県にも問合せをしました。そしたら、高知県では特別支援学校に通う子供1人当たりの教育費が、これで見ますと2倍あるということになりますけれども、特別支援学校の児童生徒数が多い学校でも142人と、大変小規模校が多い県であるということが分かりました。
そして、教員の数も、高知県では1人の子供に対して教員が0.9人、およそマンツーマンの状況です。それに対して、滋賀県では子供1人当たり0.6人と、教員が半分しかつかないという状況になっています。この原因は、子供の数が増えれば、200人を超えて大規模校になれば教員の配置が定数が減るという、こういう仕組みになっている中で起こっているというふうに思います。
私は、この教育予算を増やすということのその中身は、分離新設をしない限り、いつまでたっても滋賀県は低位のままになってしまうのではないかというふうに思います。
先ほどの1問目で述べましたけれども、高専には100億円、大きな額だと知事のほうも言われました。この100億円あれば、特別支援学校を2つは作ることができるんです。私は税金の使い方、間違ってるのではないかと思うんですが、再度、知事に問います。
◎知事(三日月大造) まず、障害のある子供、個性や特性のある子供たちの特別支援学校、特別支援教育の在り方についても大変重要だと思っておりますので。
ただ、御指摘いただいたように、給食の問題ですとか、また、大規模校をどのようにしていくのか、分離新設を含め検討していかなければならないということは私も申し上げておりますので、生徒数の見極めですとか先生の確保、通学の問題、こういったことも勘案しながら教育委員会で議論検討されることを私も一緒に受け止めて考えていきたい、必要な予算についてはきちんと措置をし、議会にお諮りをしていくということをさせていただきたいと思います。
同時に、高専ですとか高等教育の学びの選択肢を増やし、将来の人材を育てていくということも大変重要な役割だと思いますので、こういったものができるだけ多くの方々に心配なく将来見通していただけるような環境をつくっていくということのために力を注いでいきたいというふうに思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)滋賀県の特別支援教育は本当に私、優れているというふうに思います。そういう期待を込めて多くの保護者の皆さんが特別支援学校を選び、そして、そこで子供たちが発達が保障されるということを本当に期待されて学校に通わせておられるというふうに思います。その期待にしっかりと県や教育委員会が応える、そのことが私は求められているということを述べて、次の質問に行きたいと思います。
県立病院について、一問一答で全て知事に伺います。
さきに行われました知事選挙で県立3病院の経営形態の見直しが大きな争点になりました。日本共産党公認の小西候補は、この県立病院としてさらに充実をするように訴えました。
それで、まず、そこで、県立3病院の果たしている役割について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 県立病院は、全県型医療や高度専門医療など一般の医療機関では対応が難しい医療や県の政策と連動した医療を提供することがその役割であると考えております。
具体的には、総合病院の都道府県がん診療連携拠点病院としての機能や小児保健医療センターの重症心身障害児への包括的医療ケアサービスの提供、精神医療センターの依存症治療や医療観察法病棟の運営などの機能を果たすことだと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)次に、小児保健医療センター、精神医療センターでは、重要な政策医療、不採算医療を担っていますが、その内容について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) いわゆる政策医療、不採算医療といたしまして、小児保健医療センターでは、重度障害児に対する専門的医療ケアや総合的リハビリテーションの提供、アレルギーや発達障害等の専門外来の設置などを行っております。
また、精神医療センターでは、アルコール、ギャンブル、薬物などの依存症治療や中・高生こころの専門外来における思春期精神障害の治療、医療観察法病棟の運営などを行っているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)政策医療でいえば、小児保健医療センターは一般医療機関では対応困難な重度障害児に対するケアをしておられるということでありますし、精神医療センターでも処遇困難事例を中心にしているということで、県立病院ならではの役割を果たしておられると思います。いずれも採算がこれで取れるかというたら、なかなか大変な分野、しかし、県立病院だからこそ、県民の医療ニーズに今応えて頑張っておられるというふうに思います。
なぜ、経営形態の見直しを今検討しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) コロナ禍を契機とした医療ニーズの高まりや医師の働き方改革に伴う人材確保の問題、また、医療の高度化やデジタル化など、病院経営を取り巻く環境は大きく変化し続けております。
こうした中にありまして、今後とも県立病院として県民の皆さんが望む医療を安定的に提供していくためには、医療の充実と経営の安定化の両立を図り、持続可能性を高めていくことが重要であると考えております。
特に、経営の安定化を図るためには、医療従事者の確保や経営効率の向上など、様々な観点からの検討が必要であり、医療形態も含めたよりよい経営の在り方について議論が必要だと判断しているものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)経営の安定ということを重視されますが、さきにお答えいただいたこの政策医療であったり不採算な部分は、経営の安定化とは相反するといいますか、しかしながら、この部分を県立病院が担っているということが本当に大きな役割を果たしているということを、私はむしろ誇るべきことだというふうに思います。
6月末に、県立3病院の独法化は中止をして充実してほしいという県立病院の未来を考える会が発足をいたしました。私もこの会に参加をさせていただいたんですが、その会で保護者の方からこのような声が寄せられました。
「私の娘は29歳です。重症心身障害者で、赤ちゃんのときから今も小児保健医療センターに通っています。」
一部割愛させていただきますが。
「私は和歌山県の出身です。実家のほうへ引っ越しを考えたときに、まず考えたのは娘の病院があるかということでした。残念ながら、専門医がいて緊急に入院できる病院となると医大くらいで、実家から100キロ離れています。小児保健医療センターには、てんかん専門医も10人くらいいてくださいます。毎日小児科だけで4診から5診あります。ふだん基礎疾患にかかっていれば、風邪を引いてもすぐ診てもらえます。発作が続いていて心配だというときも、予約がなくても診てもらえます。
先日、娘が過ごしているケアホームから夜中に電話があり、これは小児保健医療センターへすぐ連れていかないと駄目だなと思い、夜中でしたが病院に電話をしました。当直のドクターと話せて、朝まで様子を見ても大丈夫ということで、朝には大丈夫になっていたので、受診することなく体調は戻ったのですが、いつ状態が変わるか分からない重度の障害の子供たちにとって、こういうときに頼れる病院がどうしても必要なんです。朝まで待てないことだっていっぱいあるんです。
こういうことは県立だからできるのではないかと思います。独法化と聞くと、やはり大津市民病院のことを思い浮かべます。専門医がいなくなったり診療科が減らされたりしたら、障害のある子供たちにとってたちまち命の危険につながります。長年障害児医療に携わってきてくれている看護師さんが辞められたら、安心して入院できません。県立病院の経営形態と言いながら、中身はもう障害児医療に県は責任持ちませんよという宣言に聞こえるのです。お金がかかるからこの子たちのことを切り捨てますよと聞こえるのです。
小児保健医療センターは、障害児と家族にとって命のよりどころです。障害児医療は不採算部門かもしれません。だからこそ、県が責任持って障害児医療をするという姿勢を持ち続けてほしいのです。どんな病気や障害のある子供たちでも、どんな重度の子供でも、その医療を保障してほしいのです。」
知事、この声をどのように受け止められますか。
◎知事(三日月大造) しっかりと受け止めたいと思いますし、そういった方々のために小児保健医療センターがあり、精神医療センターもあるんだと思います。
そういったものが持続可能なものとして、しっかりと運営できるように努めていくということが必要なんだと思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)持続可能というよりも、この県立の病院として残してほしいということをお母さんは言っておられるわけです。独法化をやめて県立の病院として充実をする、この立場に私は知事は立つべきだと、今このような経営形態の見直しをすべきではないというふうに思いますが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 現在、外部有識者の方々に専門的な立場から御議論いただいているところでございますので、この時点で何らかの方針をお示しできる状況にはないんですけれども、県立病院の経営形態を見直すかどうか、どのように見直すのかということについては、県民の皆さんにも大きく関わる問題でございますし、今御紹介いただいた方々を含めて大変御関心を持たれている方々も多いと思いますので、私自身もしっかり考え、慎重に判断していきたいと存じます。
ただ、先ほども申し上げたとおり、今回の検討は、県立病院を将来にわたって維持、発展させていくために行っている、そういう検討でございます。県民の皆さんの命と健康を守る県立病院をよりよくしていきたいという思いは議員と同じであることも御理解をいただければと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)非常に冷たい答弁だと思います。関心を持っているのではなく、心配をされておられる、不安を持っておられるということだと思います。
今、コロナ感染第7波の真っただ中であります。県立病院として、今後また来る新興感染症に対して県民の命を守るために、私はもっと役割を発揮しなければならないと思います。その議論を全くしないまま独法化の検討をしていくこと自体が私は間違っていると思います。再度伺います。
◎知事(三日月大造) 県立の病院として、また、コロナ禍をはじめ様々な感染症対策、そして高度医療、さらには不採算な部門を含む政策医療を担う医療機関として大変重要な役割を担っていただいているということは私も自覚をしておりますし、そういった機能というのは大切にしなければならないんだと思います。
ただ、様々なところに県立病院であるがゆえに持っている不効率な部分があるとするならば、それらをどのように改めていくことができるのか、そういった持続可能性と経営の効率性というものもさらに追求をしていかなければならないんだと思います。それらを両立させる方策なり道筋というものをぜひ今後見いだしていきたいと考えておりますので。
ただ、今御紹介いただいた様々な御不安や御心配をお持ちいただいている方々にも、しっかりと寄り添って答えを見いだしていく必要があるのではないかと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)経営形態の見直しというのは、県からの病院への一般会計の繰り出しを減らすためではないのですか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 必ずしもそういった予算のことだけではなくて、そういう財政のことも含めて、どのような形で持続性というものが確認できるのかという視点で行っているものです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)否定はされませんでした。
次ですけども、県立総合病院の非紹介患者初診加算料改定の必要性について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) すいません。これ、実務的なこと、県立総合病院の運営に係る質問でございますので、お許しいただければ病院事業庁長に答弁を委任したいと存じます。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
お尋ねの非紹介患者初診加算料は、他の医療機関からの紹介なしに受診した患者から、保険適用の初診料とは別に、選定療養の費用として定額、定められた額の自己負担を求めるものです。
一般病床200床以上の地域医療支援病院等にはこの選定療養の料金徴収が義務づけられており、その金額は、国が定める額以上に設定しなければならないとされております。
このたび国において、初期治療を行う地域の医院、診療所と高度で専門的な治療を行う病院の機能分担を推進する観点から選定療養の基準額が引き上げられたことに伴い、今回の改定が必要となったものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)非常にちょっと分かりにくい答弁でしたけれども。
非紹介患者初診料加算料を5,500円から1万1,000円に上げるということが今回出されていると思いますが、これまでの5,500円の徴収をされた患者さんは何人おられるのかお聞きします。
◎知事(三日月大造) こちらも答弁を病院事業庁長に委任したいと存じます。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
令和3年度の医科の非紹介患者初診加算料を算定した件数は、1,095件でございました。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)1,095件ということですが、なぜ直接受診されたのか、概要が分かればお示しください。
◎知事(三日月大造) こちらも病院事業庁長に答弁を委任いたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
来院患者に対する調査を実施していないため、詳細なデータは持ち合わせておりませんが、診療所での受診費用を考慮すると、加算料を払ってもあまり差がないと考えて受診された事例、あるいは、かかりつけ医からの紹介により受診することになると時間や手間がかかるということで、直接受診された事例などがあると聞いております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)近くに開業医さんがおられないとかいうこともあるというふうに思います。
今回の改定は、国の示した7,000円を上回る、滋賀県は5,500円から1万1,000円と2倍に引き上げることを示されていますが、国が示した7,000円よりさらに上回るとしたこの理由についてお聞きします。
◎知事(三日月大造) 病院事業庁長に答弁を委任いたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
県立総合病院は地域医療支援病院の承認を受けており、患者様への効果的な治療や安心と利便性の向上から、地域のかかりつけ医と連携した診療の提供を進めておりますが、他の医療機関からの紹介なしに受診される患者様の多くは、診察や投薬のみといった、地域の診療所等で受診可能なケースです。
こうした状況を改善し、地域でかかりつけ医機能を担っている医療機関との機能分担をより一層推進するために、近隣府県において総合病院と同じような役割を担う医療機関の事例を参考に、改定を行おうとするものでございます。
なお、救急の患者様や公費負担医療の受給対象者、外来受診から継続して入院された患者様などは、この加算料を徴収しないこととしております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)診察や投薬って、診察は大変大事なことだと思いますが、県内の一定の病院を見ていますと7,000円の引上げはされてますけれども、この1万1,000円というのは本当に高額だと思います。その1万1,000円に上げるということは受診抑制につながるのではないですか、再問いたします。
◎知事(三日月大造) 答弁を病院事業庁長に委任いたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
今回の改定の目的としまして、あえて紹介状をお持ちにならない患者様については、できるだけかかりつけ医の受診をお勧めしたいという趣旨のものでございます。
例えば先ほども説明しましたが、救急の患者様であるとか本当に総合病院の受診が必要な方については、この加算料を徴収しないこととしておりますので、こういった医療機関同士の機能分担を進めるために御理解いただければと思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今、国が進める医療機関の再編で、外来受診の抑制ということで、負担増によって受診行動を大きく変えようというのは根底にあるんですが、それにいたしましても、国の7,000円から、さらに滋賀県は総合病院では1万1,000円と、大幅な値上げは絶対に認めるわけにはいきません。今回の引上げをやめるように知事に求めるものですが、見解を伺います。
◎知事(三日月大造) こちらは私のほうでお答えをさせていただきます。
今般の国の制度改正の背景といたしましては、患者にいわゆる大病院志向がある中で、一部の医療機関に外来患者が集中し、患者の待ち時間や勤務医の外来負担等の課題が生じていることが指摘されております。
こうした課題の解決に向けて、かかりつけ医機能の強化ですとか外来機能の明確化、医療機関相互の連携を進めていくことが重要であり、このような観点から必要な改定だと考えております。
今回の改定を通じまして、最前線の地域医療を担うかかりつけ医とのさらなる機能分担を進め、紹介患者に対する医療や救急医療など高度かつ専門的な医療を提供する県立総合病院の役割と責務をしっかりと果たしていくべきものと考えているところでございます。
ただし、先ほども庁長がおっしゃっていたような救急の患者の方々などへの配慮は、しっかりと行っていくべきだと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今回7,000円までは引き上げても病院の収入にはならないんですが、それを1万1,000円まで上げるこの差額の部分は病院の収入になるとお聞きをしています。そこまでして私は受診抑制をしたいのかということを強く主張したいというふうに思います。
続きまして、最後の質問にしたいと思います。
彦根総合スポーツ運動陸上競技場の使用料値上げについて、一問一答で全て
文化スポーツ部長にお聞きします。
彦根総合スポーツ公園陸上競技場の使用料改定の考え方についてお聞きします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) (登壇)お答えいたします。
仮称でございますが、彦根総合スポーツ公園におきまして、新たに第1種陸上競技場と補助の競技場でございます第3種の陸上競技場等を設置することに伴いまして、施設の使用料を定めようとするものでございます。
この中で、第1種の陸上競技場につきましては近隣の第1種陸上競技場との使用料との均衡、また、補助の競技場につきましては県内の陸上競技場との使用料等の均衡を図り、額を設定しているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)従来ありました彦根総合運動場と今回の第1種陸上競技場とのこの使用料の比較について、
文化スポーツ部長にお聞きします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
彦根総合運動場の旧の陸上競技場におきましては、平成29年度に廃止をしておりますが、単純に当時の金額と比較いたしますと、例えば午後1時から5時までの4時間、アマチュアスポーツとして利用する場合という前提に立ちますと、旧の彦根の総合運動場の旧陸上競技場の状況でいうと9,900円、新たに今回申しております彦根総合スポーツ公園の陸上競技場であれば1万6,640円となります。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)もう一回ちょっと確認をしたいんですが、幼稚園とか小学校、中学、義務教育等のこの児童生徒が対象とする場合は、例えば旧の陸上競技場でしたら3,350円ということですが、今度の新しいところでは、これに比べますと、この使用時間にしますと5,640円になる、そして、午後からの使用でしたら、旧でしたら4,950円のところが8,320円になるというふうに理解していますけれども、それでよろしいんでしょうか。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) そのとおりでございます。今おっしゃったとおりのようなイメージでございまして、具体的な金額でいうと今おっしゃったようなイメージになります。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)非常に分かりにくい答弁だったのであえて言いますけれども、どのぐらい値上げになるかといいますと、比べますと1.68倍の値上げになるわけなんです。今回のこれ、使用料の値上げになるわけで、スポーツの振興に逆行するものではないかと思うんです。
私たちは、この彦根の主会場についてはあまりにも華美で大規模で、そのものについては反対をしてきました。この上にさらに利用料の値上げです。見直すべきではないですか。
文化スポーツ部長にお聞きします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) 先ほどもお答え申し上げたとおり、新たに設置しますこの第1種の陸上競技場につきましては近隣の第1種の陸上競技場等の使用料と、また、補助の競技場につきましては県内陸上競技場との使用料との均衡を図って設定したものでございます。
額の設定に当たりましては、彦根の総合運動場の旧の陸上競技場では、例えば4時間単位の使用料であったという使い方だったんですけども、それを1時間単位の使用料とするということで、利用者の皆さんの負担の軽減とか利便性の向上にも配慮しているとこでございます。
併せまして、第3種の補助競技場につきましては、第1種競技場より安価な額というふうにしてしておりまして、利用目的に応じた選択をしていただけるように考えてございます。
今後とも、様々な施設を有する彦根総合スポーツ公園の利用促進を図ることで、本県のスポーツの推進につなげてまいりたいというふうに考えてございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)いろいろ述べられましたけれども、利用料が上がるんです。負担が増えるんです。物価高騰で、県民の暮らし、大変になっています。こんな中でこの値上げは、県民のスポーツ振興にも逆行をするということを言いたいと思います。
レガシーということが今議会でも議論されていますが、私はこの彦根主会場など国体の豪華な施設を作ったことで県債が増えて、そして利用料は上がる。これがレガシーになっていいのかということを主張しまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、45番節木三千代議員の質問を終了いたします。
次に、41番九里学議員の発言を許します。
◆41番(九里学議員) (登壇、拍手)では、知事ならびに教育長に質問をさせていただきたいと思います。
今回この質問をこの本会議場でする動機づけとなったのは、役員をさせていただいています滋賀県ラグビー協会の皇子山のラグビー場での観客席でのある保護者と先生方の一言からでした。「九里さん、ラグビー観戦もええけど、一度、子供を預けている三雲養護学校石部分教室を見に来てもらえんか。どんな環境で子供らが日々暮らしているのか、あなた、県会議員ならしっかり見てよ」と、怒りにも悔しさにも似た表情で涙ながらに訴えてこられたことがきっかけでした。
どうしてもそのお二人の言葉が脳裏から離れず、今から10年前に石部高校の敷地内に、前知事のときでしたが、三雲養護学校石部分教室が開設された当時、私も知肢併置の在り方やノーマライゼーション──健常者と障害者が共に学ぶことの意義をこの県議会で議論させていただき、その後一度も現場に足を運ばず、自宅から僅か5分で行けるその同校を訪ねていなかったことを反省し後悔をしつつ、まずは、現場の意向を確認するために同校を訪ねさせていただきました。
そして、石部高校、三雲養護学校の両校長先生と約2時間半にわたり協議をさせていただき、現場を視察。先月12日にも再訪問をし、授業風景や子供たちの授業、文化祭の様子を見学させていただき、大変立派な校舎にもかかわらず、その劣悪な学習環境に愕然としながらも、今回、行政の皆様方、また、教育委員会の皆様方のお力で、どうかこの子供たち、教育環境の改善は余地はあるということを信じ、問題意識を持って今回の質問をさせていただくことになりました。
石部高校は、平成7年10月、定例県議会において設置決定され、平成8年開校の全日制普通科男女共学の県立高校です。
平成10年当時は各学年6クラスで、第1期卒業生は228名を輩出。以来、平成11年度には7クラスと一時増えましたが、平成17年度には卒業者数が179名と減少をしました。その後、同校は、退学者数が増えたことや入学希望者数が減ったことなどからも、平成19年度から6年間は4クラス、127名、97名、118名、109名、86名、そして100名と卒業者数にばらつきがありました。平成27年度から平成31年度までの5年間は、さらに3クラスに減って、84名、92名、88名、97名、そして99名と卒業生も毎年100名を切ってくる現状となりました。
しかし、令和に入ってからは、学校も落ち着きを取り戻し、退学者も減り、現状3クラスを維持され、卒業生は105名、108名と増加に転じ、一昨年にはキャリア教育優良学校として国の文部科学大臣表彰を受賞されるまでに至りました。
一方、近江学園施設内特殊学級開設を前身とする昭和21年に開設をされました三雲養護学校は、昭和54年、県立石部養護学校から校舎移転により県立三雲養護学校と改称。その後、昭和57年の信楽病院内の入院児対象に信楽の地で教育が始められ、同校に高等部が設置されたことを皮切りに、平成3年には校区が甲賀郡内の知肢併置校となり、平成24年2月県議会、知肢併置特別支援学校における児童生徒増加への対応策の議論を経て、石部高校敷地内に三雲養護学校分教室を作ることが示されたのであります。そして、翌平成25年4月からの併設以降、今年で10年目を迎えることになりました。
この間、生徒数も、平成25年開設時には1学年定員24人3クラスだったのが平成28年度からは1学年32人4クラスと増員となり、開設以来、全生徒数は17人、38人、62人、66人、73人、66人、66人、58人、70人、そして78人と10年間で増加の傾向にあります。現場の先生も、「来年度入学希望の問合せも既に再三あり、3学年合計12クラスで定員いっぱいの96人も見込まれる。しかし、これ以上生徒が増えると教室に代用するスペースもなく、生徒があまりにもかわいそうだ」と頭を抱えておられ、「施設面からも学習指導面からも1学年を定員の以前の24名に戻してほしい」と切実な声も届いています。平成25年当時の分教室開設時の将来的予測見込みと現況数に乖離が見られるのではないか、また、甘さが見られたのではないでしょうか。
両校生徒数の近年の推移から見た現状課題を県教委としてどう把握をされ、今後どう入学希望生徒増に対策を講じていこうとされているのか、教育長にまず伺います。
誰もが相互に人格と個性を尊重し合い、多様性を認め合う共生社会の形成に向け、障害のある生徒が精神的、身体的な能力を可能な限り最大限発揮できるためにも、健常者と共に過ごす、国が求めるインクルーシブ教育システムの構築、障害のある子供とない子供が共に学び合うことで、地域で共に学び生きていくための力を育て、共生社会の形成を目指す本県の特別支援教育ビジョンの考え方には、私自身も大変感銘を受けています。しかし、理想とはあまりにも違う実態がこうして現場で起こっていることも事実なのであります。
今回取り上げました石部分教室では、ノーマライゼーションの理念の下、お互いを尊重し合い、社会で自立できる自信と力を育むことを教育目標の第一義に置かれ、基礎学力定着はもとより、社会人として必要な知識や技術を身につけるための作業学習に重点を置かれています。
具体的には、1年生では、園芸、食物加工、メンテナンスを履修し、働くことの意欲や態度の基礎を学ぶ。2年、3年では、木工、窯業、布加工、食物加工、農業、そして流通、サービスの6つの作業種目から1つを選択、2年、3年合同で実践的に卒業後の就労に対応し得る能力育成を2年間をかけてじっくりと学習をすることで、卒業後も生徒たちが職業的に自立ができるように力を尽くしてくださっています。しかし、現実はどうでしょうか。
(資料掲示)こちらの写真1、2を御覧いただきたいというふうに思います。木工の授業の作業スペースであります。下のこの分教室の教室ですが、こちらは当時の、当時というか、石部高校の元自転車置場を今の分教室の木工授業の教室にされている写真です。
朝夕や曇天時は大変薄暗く、夏は熱風、冬場となると、野球部をはじめ、上の写真ですが、運動部の卒業生が寄附してくれた防寒具を着て、朝の10時から夕方の4時近くまで毎日寒さに震え作業を、木工作業、窯業作業をしなければなりません。
私が再訪したときは、先日の大雨の翌々日でした。コンクリートの下の地面は水浸しになり、先生によると、「雨の翌日は、その授業はまず水かきを一緒にすることから始まるんです」というふうにおっしゃっていました。
また再度訪ねたときは、布加工コースの教室を訪ねさせていただきました。写真の部分です。右側は県立石部高校の教室の現状であります。エアコンが効いた、大変御尽力をいただいて県立高校にはエアコンが入りましたので、石部高校の教室は涼しくて快適なものでありました。
しかし、この左側の三雲養護学校石部分教室は隣の教室なんですね。でも、ここはエアコンもなく、窓を全面開けられ、猛暑日に、先日も私が行ったとき物すごい暑い日やったんですが、汗だくになりながらさをりを一生懸命織っておられる。文化祭のために作品を脇目も振らず黙々と作る生徒の姿がそこにはありました。
さらに、農業、園芸の農福連携、いわゆる作業学習の現場を屋外で見てくださいと。何回も何回も寄せていただいた。ぜひ外もこういうこともあるんですと。大変遠慮はされていたんですが、見させていただくことができました。
授業がない週末や夜間に農場周りにイノシシや鹿などの野生動物が防護柵を破り侵入をされるとのことです。この写真は、せっかく収穫を1年間かけて楽しみに生徒さんと先生が汗水垂らして一緒に作った、食物加工の事業に使用するはずだったサツマイモや葉物野菜、それが全て食い荒らされ、その修繕道具や金網設置予算もないため解決策もなく、毎年こうした堂々巡りの議論を職員室でされているというふうに担当の先生は嘆いておられました。
教育委員会では、平成27年度からカリキュラムマネジメントを図りながら、「はたらきたい」から「はたらく」へ、職業的自立と社会参加を目的とした職業教育と教育課程の充実を事業の具現化をされ、以前からも同校は研究指定校にも認可をされてきています。こうした新しい取組への挑戦は大変私も大切だとは思いますが、それ以前に、先ほども節木議員からもありましたが、今ある環境を直視し、改善、整備することのほうがまず先決ではないかと考えます。
今回、石部分教室の、非常に小さい学校なんですが、現場をつぶさに拝見し、その実態を紹介させていただきましたが、三雲養護学校は非常に老朽化もしています。北のほうの甲良養護学校も老朽化が激しいです。こうした一つ一つの学校の現状、そうしたものが養護学校それぞれにあるということを私は大変懸念をしております。
そこで、まず、石部分教室をはじめ県下養護学校の実態把握を検証、チェックをし、チルドレンファーストを基本に関係者が平場で議論をし合い、劣悪な施設箇所改善のために順次予算化されるべきだと考えますが、教育長の見解を問います。
本県教育委員会では、特別支援学校高等部の生徒を対象に、就労に対する意欲や興味関心を高めるための基礎的な態度や技能を身につけてもらうことを目的に、しがしごと技能検定を年2回実施くださっており、1級から10級まで、態度や技能レベルに応じ生徒たちがスキルアップできるように段階別の授業を行ってくださっています。また、カリキュラムマネジメントを図りながら社会的、職業的自立と社会参加を目指す職業教育の充実を図るべく、近年では職業教育充実事業と称して本格的にスタートし、本年度も積極的に始めようとしていただいています。
しかし、日々の学習環境がこれほど苛酷では、評価票の認定証を授与される検定前後に職業教育のスキルアップに支障を来すのではないかと考えるのです。何よりそれ以前に先生や生徒たちの体、熱中症や血行障害あるいは貧血など、身体に大きな影響を及ぼすことのほうが心配です。
まずは、普通高校と養護学校の施設併用や設備格差の課題を現場目線でしっかりと検証し直し、エアコン設置はもとより、実習棟や作業棟を作るなど、生徒が授業を受ける上で、また、先生方が授業をしていただく上で職場環境改善を求めて最低限の整備を進めるべきだと強く求めたいと思います。
県教育委員会では、高等部就職希望者中、就職実現率90%以上を目標に、昨年度は毎年就職率30%の達成維持をしていきたいとされていますが、平成29年度以降令和2年までは近年の就職率は、全国平均が31.2%、32.3%、23.4%、21.0%なのに、本県は29.6%、27.9%、28.2%、26.0%、全国より低い年も多く見られ、就職実現率も安定して目標の90%に届いていないのが、そうした現状が続いているのは今です。
教育委員会としても、目標達成のためには、生徒の働く意欲を向上させ、働くための基礎となる力を身につけさせることが課題と認識をされていると仄聞をしていますが、まずは、こうした石部分教室と石部高校の両校の垣根を低くし、施設や設備備品、システムの相互間の利用や関わりを可能とするためにも、県教育委員会の特別支援教育課と高校教育課の2課にわたる組織を現場に即して運用できるように、柔軟かつスピード感を持って編成し直してはどうかと私は考えます。それこそが真に隔たりのないパートナー、協働、インクルーシブ教育であり、スチューデントファーストのノーマライゼーション教育の理念実現につながると思うのです。
そこで、就職率向上対策や実態や現場に即した柔軟でしなやかな組織見直しを含めたハード、ソフト両面にわたる現場第一の改善策について教育長の見解を伺います。
今回は、現在、滋賀県南部地域8市から生徒が通われている三雲養護学校石部分教室について、現場を歩き、要望をお聞きし、るる質問をしてきましたが、北部にも同じく知的障害高等部の長浜養護学校伊吹分教室があります。
知事は3期目、健康しがづくりを標榜され、政策集ひとの健康の中で、「生きる力と学ぶ力で“いきいきワクワク、夢のある人生”」をしていくんだと。ひとづくり、笑顔あふれる学校づくりの中で、具体的に、困難を抱える子供たちの支援や特別支援学校の併設の在り方を検討するというふうにされています。また、所信表明でも、「子ども、子ども、子ども」と子供を真ん中にした施策を進めると先般も強い思いを述べられました。
今回、私自身、分教室のように、先ほどの400人以上の野洲の養護も当然大事ですが、こうした小規模ながらも、そこで日々悪戦苦闘をしながら未来の夢や就労に向かって、日々大変困難な環境の中、学んでおられる、励んでおられる生徒さんたちの姿を見、そこに寄り添い、厳しい環境の中でもきめ細やかな指導を工夫を凝らして行ってくださっている現場の先生方の姿に大変頭の下がる思いをしました。「私は仕事やからええけど、子供らに罪はないし、雨風をしのげる屋内で勉強をさせてあげたいんや。それだけや」というふうに自転車置場で説明をしていただきました。生徒のことを本当に思い発せられた先生の言葉だと、今も胸にその言葉が刺さっています。
一人一人の教育的ニーズに応じた多様な学びがある、学びをしなければならないというのは理解できますが、人が学ぶべきせめて学習できる最低限の環境だけは整えてあげたい。そこに予算化をするのは、公助、行政、そして教育委員会の責務だと私は考えるのです。
障害のあるなしに関わらず、たまたま入った学校の大小、大きい小さいに関わらず、等しく十分な教育が受けられるよう、滋賀に本当に学べてよかったと皆が感じられるよう、県のトップとして、知事にはぜひ力を尽くしてくださることを望みます。
本日御紹介をした実態、石部分教室の話ですが、今なお本県の学校現場にこうした実態があることをどう知事は捉え、教育委員会や関係機関と連携をし、環境整備を含めた対処解決に向けどう動いていただけるのか、決意を最後にお伺いし、質問とします。
○議長(岩佐弘明) 41番九里学議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)4点御質問いただきましたけれども、最後に賜りました私への質問からまずお答えをさせていただきます。
環境整備を含めた対処、解決に向けた決意ということでございますが、さきの提案説明で申し上げましたとおり、教育においては、全ての学校で子供一人一人の個性と魅力を高め、笑顔あふれる学校づくりに取り組んでまいりたいと考えており、特に「子ども、子ども、子ども」、子供を全ての施策の中心に据え、子供施策の充実を図ってまいりたいと存じます。
滋賀の教育大綱にも記しておりますとおり、学校は、子供たちが学ぶことの楽しさや人と共感したり議論を交わしたりする充実感を存分に味わうことのできる場であることが大切であると考えます。
特別支援学校の教育環境の改善については、先ほども別の議員からお取り上げいただきましたけれども、継続して取り組むべき課題であると認識しており、今回、視察、調査をいただき、お取り上げいただきました石部分教室につきましても、その中でしっかりと取り組むべきものと認識しているところであります。
障害のある子供と障害のない子供が滋賀で共に学んでよかったと思える環境づくりに取り組むことが大切であると考えておりまして、全ての特別支援学校および高等学校において、よりよく学べる教育環境のため、必要な予算についてしっかりと考えて、また、必要な措置を行ってまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)三雲養護学校石部分教室に関する御質問のうち、私にいただきました3点の御質問に順次お答えを申し上げます。
まず、1点目の両校の生徒数の近年の推移から見た現状と課題、また、対策についてでございますが、三雲養護学校石部分教室につきましては、御質問にもございましたように、ここ2年において入学希望者が増加傾向を示しておりますことから、施設の使用調整等、適切な運営がまずは必要であると認識をいたしております。
石部高校につきましては、少人数による生徒一人一人に応じたきめ細かな学習指導を行い、学習に対する目的意識を持った生徒の育成を図っております。そのため、余裕教室を活用し、習熟度別の授業を執り行っているところでございます。
三雲養護学校石部分教室につきましては、引き続き募集定員を32名を維持していきたいと考えておりまして、分教室で学ぶ子供たちに対してしっかり教育環境を整備することが大切であると考えておりますので、まずは、石部高校と石部分教室の間で施設の使用調整を図ってまいる所存でございます。
2点目の実態把握の検証と施設改善のための予算化についてでございますが、これまでから学校施設の環境整備につきましては、法令に基づきます専門家による定期点検や各学校の修繕計画における優先順位などを踏まえまして、緊急性、必要性の高いものから取り組んできたところでございます。
今後、全ての特別支援学校の施設や設備について課題がないのか改めて実態を把握し、緊急性、必要性を考えながら、施設改修等の対応について早急に取り組んでまいります。
御指摘をいただきました石部分教室の課題につきましても、まずは実態をしっかりと確認し、どのような対応が可能なのか学校とよく協議をし、できることから速やかに取り組んでまいりたいと考えております。
3点目の実態に即した改善策についてお答えを申し上げます。
これまで県教育委員会では、特別支援学校高等部の生徒の就職率、また、就職実現率を目標に掲げまして、教育課程の研究、また、しがしごと検定など、生徒の職業的自立と社会参加を目指した職業教育の充実事業と併せまして、就労アドバイザーの設置やしがしごと応援団への企業登録等就職先の開拓に取り組んでいるところでございます。
また、この就職先の開拓については道半ばであると考えておりますので、今後とも、県内の企業の皆様に障害のある子供たちの就職について、御理解と御協力を得ていきたいと考えております。
石部高校と石部分教室では、ノーマライゼーションの理念を踏まえまして、体育祭や文化祭など学校行事を一緒に実施したり施設設備を共有したりすることで、障害のある生徒と障害のない生徒が互いのよさを認め合いながら共に育つ教育を進めてきたところでございます。
教育委員会事務局内におきましても、学校経営、教科指導、生徒指導、特別支援教育、教職員配置、施設設備など多くの課が関係しておりますので、学校の課題解決に向けたさらなる横の連携の強化、これが重要であると認識をいたしております。
今後は、さらに石部高校と三雲養護学校石部分教室が相互に連携し、お互いの実情を共有し、そして協力できる仕組みを構築いたしますとともに、教育委員会事務局におきましても、校種を超えて併設する各学校現場の状況把握に努めまして、必要な課題につきましては、事務局全体として柔軟かつスピード感を持って協力、連携し、迅速な対応に努めてまいる所存でございます。
◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます。
知事のほうは、必要なとこに必要な予算措置をしていくというふうに言うていただきましたので、今日は石部分教室の話、石部高校の話をしましたが、これは一つのきっかけでして、全体的にぜひ現場の声を見ていただき予算化をお願いしたいなというふうに思います。
教育長に再質問をさせていただきたいというふうに思います。
使用調整という今御答弁があって、それはよく分かるんですが、非常に今回も私が寄せていただいて、なかなか現場の声が県の教育委員会に届かないと、あるいはその現状がなかなか実態に即したものの現状が県の教育委員会と県庁と乖離があるというお言葉もお聞かせを願いました。
ゆえに、先ほど申し上げた教育委員会全体の中で支援課と高等教育課は一体になって全体の事務方として取り組むという大変ありがたいお言葉をいただいたんですが、併せて、現場の学校とこの教育委員会との間のその垣根を低くしていただくことを、これはお願いをさせていただきたいなというふうに思います。
この石部分教室は本来三雲の養護学校やったんですが、これはもう全国的に有名な糸賀一雄さん、社会福祉教育の父として知的障害のあるこの子供たちの福祉の先駆けとして作られた糸賀一雄さんがもともと生涯かけて近江学園、その作業科を前身とするものがこの三雲養護学校なので、その後いろんなところにこの学校はその時々移り住み、そして、生徒さんたちは移動されてきたという歴史的な背景があります。もともとは石部やって、また三雲に行って、信楽に行って、また石部に帰ってというような状況があるのが事実です。
社会で持て余された子供たちの終着駅であってはならないと、学校は、というふうに糸賀さんは言われています。始発駅でなければならないと。そのためには、まず、発達の場を保障する学習ができる最低限の環境整備が大事だというふうに糸賀さんは言われています。
この近江学園を創設の地とする三雲養護学校、どうか滋賀県の福祉や教育、ひいては子供たちの人生にとって生きることが光になると、そのまさにもとだというふうに思いますので、現場にこそ真実はあるということで、ぜひ教育長さんにもそれぞれの養護学校に足を運んでいただけたらなというふうに思いますが、最後に、本日朝からもありましたが、こうした実態を含め、社会福祉、障害者教育の教育委員会のトップとしての教育長の決意をお伺いしたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今、九里議員が取り上げられました「この子らを世の光に」という言葉を残された糸賀一雄先生の思いを、滋賀の教育に携わる者全てがしっかりと受け継ぐことが大切であると考えております。
併せまして、課題はやはり現場にございます。あの会議室であるわけではございませんので、その課題が現場にあるということをしっかり認識し、現場の声をしっかり聞き、それを踏まえて様々な施策を考えていくことが大切であると改めて認識をさせていただきました。
県教育委員会では、やはり子供一人一人の個性、そして魅力を高め、笑顔あふれる学校づくりの取組を今進めさせていただいているところではございます。こうした学校づくりの中で、子供たちの教育環境につきましては、学びの充実を図る上で非常に大切なものの一つであると認識をしております。
こうしたことから、県内全ての県立学校の状況を丁寧に把握した上で、教育委員会事務局内の連携を図り、よりよく学べる教育環境のために、必要な予算の確保につきまして、教育長として全力で取り組んでまいる所存でございます。
◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます。
現場に足を運んで現場にあるということと併せて非常にマインドは感じさせていただきましたが、やはりそこには財政的な裏づけ、教育予算の裏づけも大事だというふうに思いますので、ここはもう一体になってオール県庁で力を注いでいただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、41番九里学議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午前11時45分 休憩
────────────────
午後0時50分 開議
○議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、35番木沢成人議員の発言を許します。
◆35番(木沢成人議員) (登壇、拍手)それでは、早速、通告に従いまして、ガリ版(謄写版)文化の継承と活用について、一問一答方式で知事ならびに教育長に伺います。
いわゆるガリ版──正式には謄写版と言います──は、1894──明治27年、滋賀県蒲生郡岡本村(現滋賀県東近江市蒲生岡本町)出身の堀井新治郎父子──初代、二代目ともに新治郎を名のっています──が、トーマス・エジソン発明の簡易印刷機ミメオグラフを参考に発明、東京都神田区鍛冶町大通三番地(現東京都千代田区鍛冶町二丁目)に謄写堂を創業し、発売した簡易印刷機のことであります。
その仕組みはといいますと、まず、雁皮紙、これはガンピという植物の樹皮を原料とした和紙で、繊維が密で光沢があり、湿気や虫食いに強く、保存性に優れています。これにパラフィンなどを塗ったロウ原紙と呼ばれる原紙をやすりの上に乗せ、鉄筆という先端が鉄でできたペンで文字や絵を描きます。これを専門用語で製版すると言います。この部分は紙のロウが削れ落ちて小さな穴がたくさん空きます。次に、木枠にこの原紙を貼り、原紙の上にインクを塗り、下に印刷用の紙を置いて上からローラーで押さえていくと、穴が空いた部分の文字や絵の部分だけインクが通過し、印刷されるというものであります。
鉄筆で作業する際にやすりとこすれてガリガリと音がすることから、ガリ版やガリ版印刷という愛称で親しまれてきました。機構が非常に簡易な印刷機で、小型のものは手で持ち運ぶこともでき、原紙とインクさえあれば、電力などがなくても印刷が可能であるのが特徴で、その利便性から以降、官庁、大学、商社、新聞、通信社などが率先して使用し、印刷に革命をもたらしました。また、1910──明治43年には、より大量印刷が可能な堀井輪転謄写機(第1号丹胴式)を完成させ、特許を受けました。
事業が拡大するに伴い、堀井父子は改良、工夫を加え、東京を拠点に上海をはじめとする海外への市場を拡大させていきました。初代新治郎名義の発明登録数は60件、2代目新治郎名義は488件に上り、滋賀出身の企業家、発明家として多大なる功績を残しております。
時代が移り、昭和の時代に入りほかの印刷機が普及していく中でも、1970年代まで、文化芸術、学校教育現場など、社会のあらゆる場面でガリ版は身近な印刷機として使われ続けて、政治経済、社会、文化の発展に大いに寄与したところであります。
もともと堀井家は、中世には近江源氏佐々木六角氏の家臣でありましたが、佐々木六角氏没落後に農商に転じたと伝えられ、江戸時代後期には関東で酒、しょうゆの醸造業を営み、近江商人として活躍しました。
さて、父子のうち初代堀井新治郎は、滋賀県職員として県内で茶業や養蚕の指導に当たっていましたが、文書作成の苦労を減らすために、簡便な印刷機の研究に取り組みました。明治という時代の中で、文書通信の技術を向上させることが社会の大きな発展につながるとの信念の下での研究であります。
発明の前年、1893──明治26年、アメリカのシカゴで開催された万国博覧会を視察した新治郎は、ここでエジソンが発明したミメオグラフを見学し、ヒントを得ることになります。このとき以来、世界の発明王エジソンと堀井父子との交流が続いていたとされていますが、これまでその確証となる資料が見つかっておりませんでした。
そのような中、去る6月27日、東近江市は、同市蒲生岡本町に位置する旧堀井家本家を改修利用されておりますガリ版伝承館の蔵の中から、2代目新治郎がエジソンの75歳の誕生日に送った祝辞への礼状と考えられる手紙が見つかったことを公表しました。同館では昨年度より東近江市職員により蔵の収蔵資料などの整理調査が実施されておりますが、昨年10月にエジソンから送られた手紙や新治郎が出した病気のエジソンへの見舞状の控えなど、堀井家とエジソンとの交流を裏づける資料が延べ80万ページ、計4,000点に及ぶ保存資料の中から複数見つかりました。
大正11──1922年2月11日、東京で「エジソン翁第75回誕辰祝賀会」と題し、発明王エジソンの75歳の誕生日を祝う祝賀会が、かの有名な渋沢栄一会長のもと、国際親善事業として盛大に開催されました。二代目堀井新治郎はこの会を発案した帝国発明協会の会員で、その祝賀会に二代目新治郎が参加または賛同して、エジソンに祝辞を送り、その返礼として送られたものと推定をされます。
アメリカより届いた1922年2月16日付の手紙には、「私の誕生日を覚えていてくださり、とてもうれしく思います。お祝いの言葉とお気持ちをありがとうございます」という趣旨の英文がタイプライターで印字され、末尾に手書きでトーマス・アルバ・エジソンの署名があります。同時期にほかの人物に送られていた手紙と内容や実績が酷似していることから、同市は本物であると判断をいたしました。
100年の時を経て両者の交流が明らかとなりましたが、このことは、関西のみならず在京の各種メディアでも取り上げることとなり、国内各地から注目を浴びることとなりました。
市では、早速、ガリ版伝承館での2日間の公開に続き、7月末までは市立蒲生図書館にて、この8月からは同近江商人博物館にて、エジソンからの手紙と関連資料を一般公開しており、私も既に2回観覧をしたところであります。さきに行われました知事選挙の期間中でありますが、知事もガリ版伝承館にて現物を御覧になられました。
そこで、初めに知事に伺います。先ほども述べましたように、県庁にも大変ゆかりが深く、日本の近代化において印刷技術という点において多大なる貢献をしてきた堀井新治郎父子と世界の発明王エジソンとの交流が明らかになったことの今日的意義についてどのようにお考えか、ものづくり県の知事としての視点も踏まえて所感をお伺いいたします。
○議長(岩佐弘明) 35番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
エジソンからの手紙は、世界的発明家との交流がうかがえるものとして、私も大変興味深く実物を拝見させていただきました。
今回の発見により、産業史に名を残す発明によって我が国の印刷技術に革命をもたらした堀井新治郎氏という偉大な先人が、この滋賀の地から生まれて世界で活躍されたということに改めて注目を集めることとなりました。滋賀県職員でいらっしゃったということについても大変誇りに思います。
このことは、ものづくり県である本県の知事として大変誇らしいことであるばかりか、子供たちに夢を与えてくれる大変意義深い発見であったと認識しております。
関連の資料は膨大な数に上ると伺っております。ただ、とてもきれいに丁寧に保管、保存されているということも併せてお伺いいたしました。今後、東近江市による調査が進められれば、これらの学術的価値が確かなものとなり、地域の宝として保存、活用されていくことを大いに期待しているところであります。
県といたしましても、技術的な支援を行うなど連携をして、今回の発見の意義をより高めてまいりたいと存じます。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。
本年、滋賀県も県政150周年を迎えるということもありますので、そういう節目の年の中でこういうニュースが出たというのも大変大きいかなと思いますので、またその関連の中でもまた発信等していただければと思います。
それで、2番目の質問なんですが、トーマス・エジソンといいますと、彼が残した数多くの名言とともに伝記物などでも有名であり、小中学生のみならず多くの日本人が知る外国人の1人ではないでしょうか。100年の時を経て世に出たこの偉大なる発明王の直筆サイン入りの手紙をはじめ、堀井新治郎父子の交流の軌跡、そして彼らが残した業績について展示し、広く県民に鑑賞していただきたいと思います。
県立施設での企画展示を提案しますが、知事の所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) エジソンからの手紙という貴重な資料の滋賀県での発見を、その意義とともに県民の皆さんに知っていただくことは、大いに意味があると考えます。
現在は東近江市内で展示されているとのことでございますが、広く県民の皆さん、また、県外の皆さんにも見ていただくためには、ぜひ県立施設でも展示させていただければと考えているところです。
この蒲生岡本町にあるのもいいなとは思うんですけどね。そちらに行って御覧いただくということもいいなと思うんですけど、ぜひ県立施設でも展示させていただければと思います。
例えば、県立図書館において、エジソンの手紙とともにエジソンの伝記やガリ版に関する資料、また、滋賀県との関わりが分かり、知識や興味が一層広がるような資料など、図書館だからこその強みを生かして展示すれば、子供たちをはじめ多くの方に御覧いただけるのではないかと思います。今後、関係者と調整させていただければと存じます。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)市のほうでは、先ほど申し上げました近江商人博物館に続きまして、市立の湖東図書館、その後は、愛東地区のコミュニティセンターでの展覧が決まってるんですけども、それが終わればまた空いてくるということですので、そのほうも積極的に、本当に県民の皆さんに見ていただきたいという思いが強いので、ぜひとも調整の上、実施のほうをよろしくお願いいたします。
それでは、次の3番目なんですが、ガリ版文化は、広く社会大衆に利用された印刷機という実用面だけではなくて、孔版画芸術、アートの側面でも注目をされるところであります。
大正12──1923年には、草間京平氏が作家の有島武郎氏の資金援助を得て黒船社を設立し、今に続く謄写技術の数々を生み出し、孔版、穴の版画を芸術領域まで高めました。
この草間京平氏の唯一の弟子であった赤羽藤一郎氏に弟子入りし、その拠点である長野県松本市で活動しながらその技術を伝承してきた作家の佐藤勝英氏は、赤羽氏の死後、郷里の熊本県高森町に拠点を移し、黒船工房を名のり、謄写印刷による浮世絵復刻作品の制作に長らく従事されてきましたが、熊本震災の体験を契機として、昨年、ガリ版の聖地である東近江市に移住され、新たな創作活動をスタートされました。
また、隣県の福井県鯖江市では、この3月に残念ながらお亡くなりになった助田篤郎氏が長らく活動をされ、野の花をテーマにした多色刷りの作品が大変人気を博しておりました。
最近では、水口菜津子さん、神崎智子さんなどの若手女性アーティストもガリ版芸術に魅了され、すばらしい作品を発表されるとともに、ガリ版文化の継承に努力をされているところであります。
滋賀県では令和3年3月に美の魅力発信プランを策定されました。同プランでは、そのコンセプトを、「滋賀の美の魅力は、その土地土地にありのままの形で存在し続けている点にあり、『多様性』こそが最大の特徴である」とした上で、「滋賀の美の魅力をいろいろな形で発信し、多様で豊かな美の魅力が、各地域に満ち溢れている滋賀県全体を、あたかも、ひとつの『美術館』のように感じていただけるよう、『美の魅力にあふれる滋賀をみんなの美術館に』」と記されています。
その目的達成のため、同プランでは、県立施設間同士の連携はもとより、県内の美術館、博物館70館で構成される滋賀県博物館協会とも連携し、県内各地から多様な美の魅力を発信するとされていますが、その他の連携施設の一つとして、ガリ版伝承館も位置づけられているところであります。
エジソンからの手紙の発見によってガリ版(謄写版)文化に改めて注目が集まっている中、滋賀の美の魅力の一つとして、先ほど紹介しました作家さんや国内で展示実績のあるほかの美術館などにも協力をいただきながら、謄写版芸術、アートの企画展示をぜひ県立美術館で実施願いたいと思います。
また、その際には、子供たちにも実際に体験できるガリ版アートのワークショップも、リニューアルされた県立美術館の機能を最大限に発揮いただく意味においても実施願いたいと思います。
このことについての知事の所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 美術館の保坂ディレクターとも協議の上、答弁を用意してまいりました。
私も現地でこのガリ版アートをされていらっしゃる熊本から移住された佐藤さんですか、御案内いただいて、アートとしてのガリ版の可能性というものも感じた次第です。
このガリ版をテーマにした展示につきましては、例えば、版画を収集方針の一つに掲げていらっしゃる和歌山県立近代美術館で過去に開催されていたということを承知しております。
美術館の企画展につきましては、ミッションや収集方針を鑑みながら数年先まで見据えて計画するのが通例でありますため、県立美術館においてガリ版をテーマにした企画展を開催することはお約束できないんですけども、館内の多目的スペースを活用した発信などでの連携を検討してまいりたいと存じます。
一方、子供たちにガリ版文化を体験してもらう取組は大変有意義でありまして、子供や親子連れを対象にびわこ文化公園で開催しております体験ワークショップ、「美の糸口 アートにどぼん!」の中での実施など、前向きに取り組んでまいりたいと存じます。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。
今も知事がおっしゃいました佐藤勝英さんの奥様が一緒に移住されてこられたんですけども、その奥様が東近江市の臨時職員として雇用され、さきに述べましたが、伝承館の蔵の整理をされていた中で発見されたということなんですけども、エジソンの手紙を。
もう御夫妻ともに本当にこの謄写版技術に対しての思い入れ、そしてまた堀井家の堀井新治郎氏に対しての思いも非常に強い方ですので、そういう方が滋賀県に移住してここに腰を据えてやっていきたいという決意を述べていただいてますので、ぜひ積極的な連携をよろしくお願いします。
同様に、情報発信という側面では、今回のメディア報道を受けまして、首都圏での情報発信も大切かと思います。
先ほど述べましたように、堀井家が社屋を構えました東京の神田エリアは、ガリ版のこの全盛期には堀井謄写堂以外にも多数のガリ版関係企業等が集積をしていたため、その往時を知る人も多いでしょうし、東京大学や東京藝術大学などガリ版とゆかりのある大学も比較的近接をしております。
実際、今回のエジソンからの手紙が見つかったという報道以前から、ガリ版伝承館には同館を拠点として活動されているガリ版愛好団体、新ガリ版ネットワークが主催されます企画展示等の催しや一般社団法人がもう夢工房が提供する様々なワークショップ体験などを目的として、首都圏から関心のある美術大学生なども訪問をいただいているところであります。
より首都圏の住民がアクセスしやすく、神田の地にも近い日本橋に立地する首都圏情報発信拠点ここ滋賀でガリ版体験ワークショップなども交えた情報発信を提案するものですが、知事の御所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) ここ滋賀では、これまでから、信楽焼をはじめとする本県の伝統的な特産品や文化といった滋賀の魅力を来館される方に体感いただくため、様々な企画催事を実施しております。
特にワークショップは人気の高いコンテンツということだそうでございまして、様々な年齢層に向けた重要な情報発信のツールだと考えております。
こうしたツールを活用し、首都圏においても、ガリ版文化の魅力と価値をしっかりと発信していければと考えております。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)今ほど東京藝大に言及したんですけれども、東京藝大、今、版画を教えておられる先生がお二人いらっしゃいまして、そのうち1人は日本人で、もう1人の方が実はオーストリア出身の方で、オーストリアのウィーンの芸大を出られて、その後、東京藝大で修士号を取られたという方なんですね。
今、ここ滋賀でいいますと、先月ちょうどオーストリアとの交流1周年を記念してということで、大々的にオーストリアフェアをここ滋賀で展開いただいたんですけども、大変盛況であったと青田所長からもお話を伺っています。たまたま近くでワインフェスをオーストリア大使館等の主催でやられていた中で、大使の方がちょうどここ滋賀のほうに訪問いただいたというような報告もいただいているんですけれども。
そういうところで実はこんなつながりがというか、御縁があるのかなとも思った次第なので、今回、江島副知事に、通告していませんけども、担当副知事ということでございますので、またその辺のコラボいただけたらと。
今申し上げた、このオーストリアからの先生、ミヒャエル・シュナイダーさんという方なんですが、実は過去にウエスタンミシガン大学で招聘アーティストとしても活動されたということなんですけどね。
このウエスタンミシガン大学といいますと川島議員の留学先で、ちょうど4年前、50周年の交流のイベントの際に、当時の川島議長の下、私も議員使節団としてミシガン州内を回らせていただいたんですけども、そのときにも、ウエスタンミシガン大学に寄らせていただいたんですけどね。いろんなとこでこういう御縁というか、不思議なものがつながっているんだなということを思いましたので、そういう御縁もぜひ大切にしていただきたいなと。
やっぱり東京藝大あたりとこういうコンテンツがしっかり結びついて、ヨーロッパにも非常にその人脈があられるそういう先生とつながると、一気にヨーロッパであったり海外にまた情報が飛んでいくということになりますので、またそのワークショップなどの展開の中で検討いただけたらと思います。
次、5番目の質問なんですが、今定例会議に上程されております補正予算案には、2025──令和7年に開催される大阪・関西万博において本県が出展する企画展示の関連予算も含まれております。2025年大阪・関西万博のメインテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」とされており、そのコンセプトには、「展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を『共創』co−create)する場」であると記されております。
明治という時代に万博をきっかけとして未来をクリエイトしようと堀井新治郎氏が苦心して発明したガリ版印刷は、社会のあらゆる場面で人と人と結び、時代を創る道具として長らく親しまれてきました。その原点である発明王エジソンと堀井新治郎との交流のあかしが100年の時を経て発見をされました。温故知新の言葉のとおり、未来を語り未来を創る上で、過去を知り過去に学ぶことは極めて大切であると思います。
堀井家所蔵の資料の中には、エジソンからの手紙のほかにも、シカゴ万博訪問時の入場券や記念写真をはじめ、万博関連の貴重な資料の数々も残っております。こうした貴重な歴史資料を滋賀県の企画展示の一つとして活用することを提案しますが、知事の御所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) お取り上げいただいた大阪・関西万博における本県の展示内容につきましては、万博全体のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」等を踏まえながら庁内で方向性を検討しているところであり、担当も新たに指定しましたので、今後、外部有識者の意見等も取り入れながら出展基本計画を策定する予定であります。
本県が誇る琵琶湖をはじめとする数多くの自然、その中で育まれてきた歴史、そして文化等の資産や健康しがの取組をどのように紹介し本県への関心や誘客につなげていくのか、まさに議論、検討しているところでございまして、スペース自体は限られたところでございますので、どのような形で展示、発信するのかということも含めて、御提案の内容についてもその中で検討していければと考えております。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)先ほどミシガン州訪問のことを言及しましたが、シカゴはイリノイ州なんですけどね。イリノイ州でありますけれども、シカゴの町が面しているのがミシガン湖なんですね。ミシガン州の州都はデトロイトですけど、デトロイト自体はミシガン湖に面してなくて、どっちかいうとエリー湖とかが近くなんですけど。そうすると、やっぱりミシガン湖というと結構シカゴというところがいろいろな意味でつながっているというか、そこから、先ほども御縁の話をしましたけど、逆に言うと、そのときからこういう御縁があるのかなと改めて思った次第でもあるので。
そういう意味で、関西で万博が行われるということの中の滋賀県なりの、本県の独自性というか、唯一のコンテンツということの中では大いに活用できるのではないかと思いましたので、また検討のほう、よろしくお願いいたします。
ここから観点を変えまして、教育現場における活用という観点で教育長に伺ってまいります。
現在、滋賀県では、本年3月にこれからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針を策定され、これに基づき、本年度中に(仮称)魅力化プランを策定される予定であります。
基本方針の中では、滋賀県の県立高等学校づくりのコンセプトがうたわれておりますが、これは「多様な生徒一人ひとりが、『滋賀』という地域から学び、社会の一員としての自立を目指す学校づくりを進める」というものであります。
このうち、1、「滋賀」に学ぶの項目では、「滋賀の自然、歴史、文化、人、産業等を教育資源とした学びの充実」が掲げられておりますが、ここに記されました歴史、文化を教育資源とした学びとは一体どのようなものを指すのか、そのことについて教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
滋賀県には、非常に数多くの歴史的建造物、遺跡や無形文化財などがございまして、身近な地域をフィールドにこれらを見学、また、調査することで、探求的な学びを深めることができると考えております。
例えばでございますが、大津にあります膳所公園を題材にいたしまして、なぜ膳所城が廃城となったのかを調べていくことで、日本の近代化、江戸から明治へ、そして西洋化について学びを深めることができると考えております。
また、現在世界遺産登録を目指しておられる彦根城の歴史や価値を学ぶことで、彦根の町並みや街、産業、また、文化について考えることにつながるものと思っております。
このような学びを通しまして、滋賀の自然、歴史、文化、人、産業等の教育資源を活用した滋賀ならではの学びやそれぞれの県立学校でこその学びを地域の皆様と共に推進してまいる所存でございます。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)今の答弁で割と具体に答えていただいたかもしれませんが、次、7番目のこの質問、現状で、今、教育長がおっしゃいました歴史や文化を教育資源とした学びの実践例はどのようなものがあるのか、その具体を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほど少し挙げさせていただいたもの以外に、歴史や文化を教育資源として扱った実践例といたしましては、高島高校では、鎌倉時代から現代までの地図から地域の変容を学び、地域の魅力の再発見に取り組んでいるところでございます。
また、堅田高校では、郷土民謡である淡海節を鑑賞するとともに、堅田に残る文化財を訪ね、地域の歴史や文化についての理解を深めております。
さらに、長浜農業高校では、滋賀の食文化財の一つに選定されております、ふなずしを作り商品として販売するなど、滋賀の歴史や文化を教育資源とした学びが行われているところでございます。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)私が所属する会派さざなみ倶楽部では、昨年度から専門科を有する県立高等学校を中心に、県下の高等学校を訪問調査させていただいております。
このうち、信楽高等学校では、総合学科の教育課程を調査する中で、デザイン系列の取組も調査させていただきました。卒業生の中には、某有名アパレルブランドでデザインを手がけている方もいらっしゃり、大変レベルの高い教育を実践されていることを実感いたしました。
また、同じく美術科を擁する栗東高等学校でも卒業生の活躍に驚くとともに、実習に真摯に取り組む生徒さんの姿勢にも感銘を受けたところであります。
調査の際に担当教諭にガリ版印刷やガリ版伝承館についてお話をしたところ、大変興味を持っていただいたところであります。生徒の中には版画を専門的に取り組んでいる子もいるので、興味関心を持つのではとのお言葉もいただきました。
滋賀県発祥のガリ版文化を次世代に継承していくため、ぜひ美術系専門科の授業でも活用いただきたいと思います。
さきに述べました佐藤勝英氏は、大正期の草間京平氏から続くガリ版多色刷り技法の唯一の伝承者であり、また、一般社団法人がもう夢工房では、これまでのガリ版伝承館でのワークショップに加え、新たに今春から同館に近接する旧岡村本家──この岡村家は三代にわたり堀井謄写堂に勤め重責を担いました──を改修し、フリースペースがりばん楽校──がりばんは平仮名で、楽しい校舎と書きます──をオープンさせ、大人数でのワークショップにも対応されております。いずれの皆様も学校教育でのガリ版の活用は大歓迎で、協力をいただける状況であります。
こうした地域の人的、歴史的資源を活用し、基本方針のコンセプトに合致した滋賀らしい高等学校の美術教育の振興を提案するものですが、教育長の御所見をお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
高校教育の中で、多様な分野の第一線の方々からいろんなお話を聞いたりワークショップをするということは、ある意味、今まで興味を持たなかったものに対して新たな興味を持つこと、そして、第一線で活躍する方から強い刺激を受けることにつながるのではないかと考えております。
こうしたことから、高校生が滋賀の特色ある様々な文化に触れたり、また、体験したりすることは、高い文化意識、また、地域への愛着を育むとともに、新たな物の見方、考え方を獲得して、自らの学びを深め発展させていくことにもつながると期待をしておるところでございます。
高等学校において、先ほど申し上げましたが、多様な分野の第一線で活躍する方に出前授業などに来ていただいたりワークショップを活用するなどして高校生の学びを深めることは、大変有意義なことであると考えているところでございます。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)版画にもいろいろな技法があるんですけれども、今の謄写版での多色刷りのその辺の技術、大正期から続く技術を伝承している方が滋賀県にいらっしゃると。その方しかいらっしゃらないと。こういう状況の中で、今、教育長、第一線の方とおっしゃいましたけども、やっぱり地域のこういう人、人的資源というものを十分活用いただくことは大事だと思います。
県内には成安造形大学もありますし、先ほど申し上げました東京藝術大学なんかともやっぱりつながれる可能性が出てきたということなので、そうすると、県内の美術高校からそういうことを専門的に学んで、その先を見据えてつなげていくというような教育が展開できるのであろうと、可能性があるということだと思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
同様に、幼小中教育での活用も望むところであります。さきの代表質問においても、STEAM教育について言及がありました。従来唱えられておりましたSTEM教育にAが加えられるようになりましたが、このAはアート、文化芸術を表すものであります。ICT化がますます進んでいく未来社会においては、逆説的に人間らしさや人間らしい創造性、表現力が求められるものであり、それゆえ、アート、芸術教育が大切とされております。
滋賀らしいSTEAM教育の実践として、幼小中教育でのガリ版アート(孔版画)の活用について提案するものですが、教育長の御所見をお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今、STEAM教育というのが大きく取り上げられております。特に真ん中にありますA、アートということは、これからの社会において子供たちがしっかりと身につける、また、考えることであるというふうに認識をいたしております。
今回お取り上げいただいておりますガリ版アートの体験学習につきましては、今、ガリ版伝承館において既に東近江市の近隣の小学校で取り組まれているとお聞きをしているところでございます。
これを県内のほかの小中学校でも体験できるということを知ってもらうために、この体験学習、出前授業の情報提供ツールでございます県の学習情報提供システムの「におねっと」、こちらの学校支援メニューをぜひ紹介してまいりたいと考えております。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)「におねっと」のメニュー、いろいろ見させていただきますと、芸術文化のところに新規登録で大津絵体験等の伝統文化の継承というのが載っていたんですけど、これなんかも非常に地域に根差した、いいプログラムだなと思って見させていただきました。
こういうところに今載せていただけるということで、それはそれでありがたいんですけども、この支援メニューの一覧のところのこのテーマ別ということで、防災安全とか科学、理数とかカテゴリーが分かれているんですけど、今までだったらこのカテゴリーでよかったと思うんですが、小中学校の先生がSTEAM教育という視点で何かできないかなと探そうとしたときに、こうするとこのカテゴリーにはまってこないというか、何をしていいのか分からないみたいのがあるので、このテーマ別の選択肢の中に例えばSTEAM教育というような項目、重複することがあってもいいと思うんですけれども、STEAM教育の題材としてはこういうものが使えますよみたいな見せ方もしていただけると、より選択しやすくなると思いますので、ちょっとその辺は改善をお願いしたいんですけど、ちょっと御所見いただけますか。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
ホームページの様々なメニューにつきましては、やっぱり時代とともに変化をしていくことが必要だと感じております。今の教育の現状なり社会の状況に応じてどういう方法にすればいいのか、ちょっとそこは担当課とも相談をしながら考えてまいりたいと思います。
◆35番(木沢成人議員) (登壇)それでは、最後の質問なんですが、副読本として学校現場で活用されております滋賀県中学校教育研究会社会科部会編集の「12歳から学ぶ滋賀県の歴史」は、この2月に改訂新版が発行されたところでありますが、第4章、近代、近江出身の企業家たちの項目で、堀井新治郎親子と謄写版が取り上げられており、先ほど来述べております堀井新治郎父子の功績が記されております。
その中にはもちろんエジソンとの交流についても記載があるんですが、まだその時点では手紙が見つかってなかったということなので、そのことを裏づける資料の掲示というのはその本の中にはございません。
エジソンといえば誰もが知る世界の発明王であり、ぜひ広く滋賀の子供たちにエジソンからの手紙発見のニュースを知っていただきたいと思いますが、教育長の所見をお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
エジソンからの手紙をきっかけといたしまして先人たちの思いを学ぶことは、ふるさと滋賀に誇りと愛着を持ち、自らも地域社会に貢献しようとする心を育むことにつながるものと考えております。
県教育委員会として、県内の子供たち、また、保護者の皆様、地域の皆様に広く知っていただけるようどういったことができるのか、先ほどお取り上げいただいた県立図書館での展示、これを我々としても多くの方に県立図書館に来ていただきたいので、その広報についてもふだんから心がけておりますので、そういったことも含めまして、どのような工夫ができるかしっかりと考えてまいりたいと思います。
◆35番(木沢成人議員) 終わります。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、35番木沢成人議員の質問を終了いたします。
次に、9番佐口佳恵議員の発言を許します。
◆9番(佐口佳恵議員) (登壇、拍手)発言通告に従い、財源としてのファンドレイジングについて、企業版ふるさと納税、遺贈寄附等の活用および活用のための人材育成、手法について質問いたします。
子供の頃、楢山節考、いわゆるうば捨て山の物語を怖い怖いと思いながら読んでいました。年老いた親を切り捨てる、そんな悲しい事柄とは縁がない現代日本に生まれてよかったと思っていたはずでしたのに、2022年の今、ちまたではカンヌ国際映画祭で高い評価を受けた「PLAN75」という映画が話題になっています。もちろん架空の物語ですが、75歳になると死を選べるプラン75という制度に翻弄される人々を描いた衝撃作だそうです。
見る見る目減りする財源、増える公債、上がらない収入、安定しない雇用、ゆえに回復しない消費、経済、人口の急激過ぎる減少、思わず近未来的うば捨て山とでも表現したくなるこの映画をただの作り話だと無邪気に見ることができる人は少ないのではないでしょうか。
人口構造に起因する、2054年まで75歳人口が増える2054年問題が控えています。ここから半世紀ほどの間は、社会保障費の必要額が爆発的に増えると見込まれますので、議員各位の財源確保についての関心は高く、ふるさと納税などの自治体におけるファンドレイジング、そのための専門家活用など、議会や各委員会で党派、会派を超え、重ね重ね質問されています。それらの成果は出ていますでしょうか。
平成30年11月議会における歳入の確保についての質問の中では、現在の滋賀応援寄附の前身となるマザーレイク滋賀応援寄附と当時の琵琶湖博物館リニューアルプロジェクトを比較し、寄附金の充当先が明確であることの重要性や博物館への銘板設置による企業のPR効果などに言及し、寄附者の満足感を高める取組やそれを行えるための県側の志、思い入れといった意識の重要性について言及されていました。
その後、条例改正がなされ、滋賀応援寄附となり、寄附メニューが増え、ふるさとチョイスなど外部のプラットフォームを利用し、目に見えて選びやすくなっています。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた滋賀県がんばる医療・福祉応援寄附などが新設されるなど、様々変化がございますので、現在の状況を改めて確認させてください。
なお、以降の質問で平成28年という年度が何度か出てまいりますが、これは本質問の主題の一つである企業版ふるさと納税が創設された年です。
それでは、度々好事例とされてきた琵琶湖博物館における寄附について、平成28年から令和3年度までの件数と金額の合計、寄附を頂いた際の特典としてどのようなことを行ってきたかを併せて
琵琶湖環境部長に伺います。
次に、滋賀県における企業版ふるさと納税および滋賀応援寄附に対する企業からの寄附について、平成28年度以降の状況、傾向を総合企画部長に伺います。
過去の議事を見ると、琵琶湖博物館のお取組の例でしたら、企業における営業活動的なアプローチ、企業訪問などを行っている様子がうかがわれます。企業版ふるさと納税に関しては、首長がトップセールスを行う事例も紹介されています。ここ数年間の企業版ふるさと納税に関しての企業へのアプローチの状況について、総合企画部長に伺います。
続いて、企業版ふるさと納税を活用している他の自治体の好事例と滋賀県の取組との違いを踏まえ、改善すべき点や参考にできると考える点について、総合企画部長に伺います。
企業版ふるさと納税は、本社など主たる事務所が存在しない自治体への寄附であることなど、一定の要件を満たす必要はありますが、何といっても最大9割の税軽減効果があるというのは企業様にとって大きな魅力です。社会貢献企業としてのPR効果、地方公共団体との新たなパートナーシップの構築、地域資源を生かした新事業展開を税の軽減効果を得ながら行えることが企業版ふるさと納税のメリットとされています。
また、よく滋賀県の弱みとして語られることが多い県内に企業の本社が少ないという点も、企業版ふるさと納税の場面では寄附をしていただきやすいプラス要因となり得ます。本社ではないけれど支社や工場が存在している企業、今は他の都道府県に本社があるけれど滋賀が創業の地である企業など、企業版ふるさと納税のアプローチを行うことで、幅広い企業様から滋賀県に目を向けていただくきっかけとしたり、場合によっては企業誘致のきっかけにさえできたりするかもしれません。
企業版ふるさと納税の活用事例は次々と紹介されています。1つ興味深い事例を挙げさせてください。
昨年、令和3年度に、ヤフー株式会社──Zホールディングスが地方公共団体が行うカーボンニュートラルに向けた地方創生の取組を公募し、企業版ふるさと納税の寄附先として全国10の地方公共団体を選定し、合計で2.7億円の寄附を行われました。このYahoo!JAPAN地域カーボンニュートラル促進プロジェクトは、内閣府の地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰の企業部門を受賞されています。今年度も募集が行われたようですが、既に応募は締め切られています。こうした情報をキャッチし応募できるかも重要です。
ちなみに、令和3年度に寄附を受けた事業を御紹介すると、水素の製造、利活用やCO2固定化の研究を行う北海道三笠市の事業、これに1億円、生ごみ、草木等を100%堆肥化し地域に還元する、また、分別リサイクルにより焼却炉を使用せず廃棄物処理を行うといった鹿児島県大崎町の事業に4,600万円、森林の所有者や境界不明瞭木材利用、森林の伐採、植え替え事業などを含む三重県尾鷲市の「みんなの森」プロジェクトに2,600万円、中小企業のCO2削減を推進する埼玉県の中小企業CO2削減対策見える化支援事業というものにも760万円が支援されています。
そう単純に比較できないことは承知しておりますものの、滋賀県において取り組まれている事業や関心が高い事業と重なるように思います。応募していたのか、応募していたらどうだったのか関心が湧きます。
例えば、現在も2,380万円余の予算を組んでプロポーザルが行われている滋賀県CO2ネットゼロヴィレッジ構想などは、もし諸要件を満たしたなら、または、もしも諸要件を満たすような組立て方ができるのであれば、こうした公募に応募するのにふさわしい事業のようにも思えます。
このようなことは私の半ば妄想のようなものですが、こうしたことをちくちくと考え情報を収集し執着を持って考えていくということは、ファンドレイジングに限らず、寄附の成果を求める上で重要な要素だと思います。この事業に限らず、こうした公募が来年度も継続されていたり、同じような企業の公募の取組があるならば、アンテナを持ち、ぜひチャレンジしていただきたいと願います。
ただ、こうした情報収集も簡単ではありません。先ほど、妄想、ちくちく、執着を持ってといったことを表現しましたが、手間暇がかかります。私も準認定ファンドレイザーの末席に名を連ねておりますが、ファンドレイザーは基本的にこういうことをちくちくと考えることが好きでありますが、資格更新のために一定の勉強をずっと継続し続けています。大会にも出席し、数日間、もしくはオンラインの場合は1か月間にわたって勉強し続けるということもあります。
職員の皆様を責めたいわけではなく逆で、絶対にしなければならない日々の業務をこなしながら、コロナ対応の応援のために日常業務の人員もままならない中で、県庁に本当に実装できるほど研究せよというのはなかなかにむちゃなオーダーだと思っています。
質問させていただく側としても、御答弁で研究する、研究するという形で御答弁をいただくことは大変ありがたいんですが、職員さんが研究しなければとプレッシャーに思われるのではなく、無理が少なく効果的なファンドレイジング導入になってほしいと願うので、専門家活用の話なども複数回見受けられるのだと思います。
やはりここはスタートアップ支援と同じで、専門家や専門機関の支援を得て、その知見を県庁に導入することが必要なのではないか、企業版ふるさと納税の税額控除は今のところ令和6年までの特別措置であることからしても、研究のまま終わってしまうのではないかと危惧しております。
ここで、企業版ふるさと納税に関する専門家、専門機関の活用の有無、内容について、総合企画部長に伺います。
ここで1つだけ滋賀応援寄附の新メニューを提案させてください。今議会でも何度も話題に上がっておりますが、この7月、国連食糧農業機関──FAOにより、琵琶湖システムが世界農業遺産に認定されました。平成30年11月議会においても、農業振興に関する御質問の中で、農業を切り口としたメニューの設定が提案され、今、豊かな棚田を未来に残そうメニューとなっていると仄聞しております。
そのときの議会質問でも御指摘のとおり、農産物は返礼品として親和性がありますし、琵琶湖システムは、農業だけでなく漁業も、また、森、里、湖、これは湖と書いて「うみ」ですが、そういった切り口もあります。暮らしの営み全体が言わば魅力となっています。
琵琶湖システムの営みそのものが重視される点を工夫して、様々な産品はもちろん、滋賀の営みを感じていただけるシガリズムのツーリズムのメニューにもなり得ましょうし、これらのメニューも何もネット上だけではなくても、ここ滋賀での対面アプローチもできます。
例えば、世界農業遺産に選ばれた滋賀びわ湖システム営み体験ツーリズムを販売してみるなどもできると思います。琵琶湖システムに共感いただける企業様に直接アプローチをかけられる企業用のメニューもつくれるのではないでしょうか。
琵琶湖システムがいよいよ世界農業遺産に認定されたこのタイミングで、世界農業遺産に関するふるさと納税のメニューの新設を図ることは、話題としての相乗効果もあると思います。滋賀応援寄附に改めて世界農業遺産のメニューをつくる、世界農業遺産認定を切り口に企業にPRするなどして企業版ふるさと納税を獲得していくことについての御所見を農政水産部長に伺います。
次に、遺言による寄附、いわゆる遺贈寄附について伺います。
初めに滋賀県における遺贈寄附の状況を知りたかったのですが、本県は遺贈寄附の集計はしておらず、統計がないとのことです。人生最後の寄附を頂く、人生最後の思いをお預かりするということですので、今後は把握に努めていただきたいと思います。
なお、少なくとも平成30年の決算特別委員会の会議録によると、平成28年度に教育費として2億8,000万円の遺贈寄附を頂いておりますので、改めて御紹介させていただきます。故人の未来に向けたお志に深く敬意と感謝を表しますとともに、安らかなお眠りをお祈り申し上げます。
2021年版「寄付白書」によると、遺贈寄附についての肯定的な回答した人は、年代を問わず4割を超えているそうです。また、地方自治体には高額寄附の受付手としての役割が期待されるとあります。
遺贈寄附の状況ですが、「遺贈寄附ハンドブック(改訂版第2版)」によると、49歳以上の男女の約2割、つまり5人に1人が相続財産の一部を寄附することに関心があると回答しています。一方で、遺贈寄附の意思がある人のうち、本当に遺言書を作成している人は3.9%にとどまっているとも紹介されています。
実際、地元密着型の金融機関や信託銀行が自治体に遺贈寄附に関して連携協定を結ぶ例も増えているようです。東京都町田市、静岡など基礎自治体が多いですが、都道府県でも近いところで岐阜県が十六銀行と連携協定を結ばれているようです。内容を見ると、法的な意味での遺贈寄附、つまり、厳格な要式行為とされる遺言書を作成して行う遺贈寄附ではなく、遺言書の作成を要せず信託契約を行う遺言代用信託を活用し、金額も200万円程度までといったように上限を定められている例が多いようです。
遺言書を作成する法的意味での遺贈寄附よりは取り組みやすいと思われますので、ぜひ活用を検討していただきたいですが、せっかく地方自治体でございますので、もし多くの皆様に喜んでいただけるよう法的な意味での遺贈寄附にも取り組むなら、どうやって財産を受け付けるかまで考えるなら、特に税制や法律などより専門的な知識を要するでしょう。専門家の知見が必要と思われます。
こうした遺贈寄附を含め、ファンドレイジングに関する専門家、専門機関の活用実績について、総務部長に伺います。
特殊な一例を挙げたわけではありません。南都銀行、大垣共立銀行、名古屋銀行、秋田銀行など、自治体と連携協定を結ぶ例は増えています。そして、十六銀行は、三井住友信託銀行と共同開発した遺言代用信託により、その内容について、高齢化で相続の増加が見込まれる中、顧客の寄附需要に対応するとおっしゃっています。
自治体側を見ても、町田市の遺贈寄附の案内リーフのページで、町田市への遺贈、相続財産の寄附が増えてきていますと記載されています。静岡市に関するネット上の記事でも、静岡市への寄附に関する相談は年々増加していて、2020年度にはふるさと納税とは別に2件、2億5,000万円の寄附があったと記載されています。
遺言書を活用しての本来的な意味での遺贈寄附の受付手の必要性を感じます。僅か数年前と比べても、この遺贈寄附に関しての関心が高まり、寄附がなされる例が増えてきていますが、滋賀県においては、どうも遺贈寄附というと、たまにあるもの、もしくはあまり意識が向けられているという様子がありません。
まずは、寄附を受け付けているということをしっかりと外に出していくということが大事だと思います。というのは、遺贈寄附についてあまり意識がないというのは、滋賀県が窓口がないと、これはある程度鶏が先か卵が先かみたいな話になってしまうんですけれども、受付を行ってその遺贈寄附の効果を感じているということが少ないからだと思います。
ぜひ滋賀県においても遺贈寄附に関する窓口の設置をお願いしたいと思いますが、この窓口の設置についてのお考えを総務部長に伺います。
○議長(岩佐弘明) 佐口議員、もう少しマイクから離れて。すいません。ちょっと雑音が入っていますので。
◆9番(佐口佳恵議員) はい。ありがとうございます。
ファンドレイジングは、積み重ねていく信頼やコミュニケーションの側面がありますので、小さな積み重ねが大事になります。どこまで丁寧にできるのか、寄附者の立場に立って考えていられるか、そういう目線で見たときに、現在既に行われている寄附に関する仕組みについてもいろいろ気になります。
個人のふるさと納税については、ふるさとチョイスといった外部サイトによる視覚的にも鮮やかな写真が使われるなど、選んでいただきやすい形で運営されています。しかし、グーグル検索で「ふるさと納税 滋賀県」で検索しても、そういった寄附先を選びやすいページにはつながっていきません。活字で記載された総合戦略へのリンクが貼られていますが、これでお分かりになるのだろうかと少し心配になります。電話番号は書かれているのですが、電話をしていただけるとは限りません。
例えばですが、企業版ふるさと納税に関しては、JTBが運用している企業版ふるさと納税ふるさとコネクト、略称ふるコネというものがございます。ふるさとチョイスの企業版と思っていただくとイメージが湧きやすいと思いますが、滋賀県内では、サイト上見たところ彦根市だけが利用なさっているようです。こうした見た目にもキャッチーで寄附者から選んでいただきやすい仕組みができていることが望ましいと思います。
このほかにも、例えば個人のふるさと納税に寄附してくださった方に、個人の寄附だと決めつけずに、会社の関係者の方もいらっしゃる可能性がありますから、一行短く、「もし企業の関係者の皆様で税軽減効果がある企業版ふるさと納税を希望する方がいらっしゃいましたらこちらへ」と一言とリンクを貼ることで、企業版ふるさと納税への動線をつくることができます。
こうしたことをトライアンドエラーで10も100も試してみてようやくよい効果が出てくるものですので、基本的にこうした日々の継続的な作業や気づきに関しては、全庁的に学んでいただきたいところではありますが、そうは言っても寄附の効果をまだまだ実感できていないという状況で、課題の多い時代に学ぶことが山積みの中、限られた研修のカリキュラムに入れるというようなことは難しいでしょう。仮に研修に入れてくださったとしても、日進月歩で新たな知見を獲得し続けなければならない要素もあるため、継続的な学びが必要ですし、正直、研修のこま数が足りるとも思えません。
それよりは、同じ財源でファンドレイジングに関心を持つ職員が自ら学んでくださるのを支援するほうが効果的であろうと思います。予算執行や施策を行うに当たり、より高い効果を出すために、ファンドレイジングに関連する部署に配置され、ファンドレイジングについて研さんしたいと思う職員の方々の専門的な知見獲得を後押しする制度が必要だと考えます。現在、職員の職務に関連する技能や知見の獲得の取組に対する助成制度などはあるかについて、総務部長に伺います。
最後になりますが、東京都墨田区のすみだ北斎美術館の事例を御紹介させてください。東京都墨田区の北斎美術館は、美術館建設を決定した後で資材が高騰するなどし、紆余曲折を経た後、建設のための条件として5億円を寄附で集めることが求められたという事例です。
最終的に見事10億円を超える規模で達成なさった事例ですが、この際には、民間企業ですが、ファンドレイジングの専門機関の協力を得て進めておられます。ファンドレイジングは関係性の構築でもありますので、開館後も来館者数に大きくよい方向で影響したとのことです。魅力的なテーマがあることは重要ですが、専門機関の力を借りてこれだけのことができた事例が存在します。
魅力的なテーマという意味でも、北斎の魅力の強さはすばらしいですが、滋賀県においても、戦国大名、とりわけ織田信長や日本有数の文化財の宝庫であること、アール・ブリュットに先進的に取り組んできた歴史、このたびの世界農業遺産に認定された琵琶湖システム、世界遺産登録を目指す彦根城、何より日本一かつ世界に20か所ほどしかない古代湖である琵琶湖など、魅力あふれる地域の財産が多数存在しています。滋賀でも十分北斎美術館のようなファンドレイジングが可能と考えますので、そのためにも、ぜひ専門家、専門機関の活用を行っていただきたいと思います。
過去の御答弁から研究するとの答えを予想いたしますが、研究の内容として一歩進む形、具体的には、専門機関のプレゼンテーションを聞いてみたり専門機関に相談をしてみる機会を設けるなど、具体的な一歩を踏み出すことが重要で、その願いを込めてお伺いしたいと思います。
滋賀県における研究から一歩前に進める形での専門家活用についての知事の見解を伺います。
○議長(岩佐弘明) 9番佐口佳恵議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)ファンドレイジングについて10点の御質問のうち、私に対する1点の質問について、これ、最後に賜りましたけれども、順番で最初に答えさせていただきます。
限られた財源の中で施策や事業を実施するに当たり、歳入確保の取組は重要だと認識しております。これまでも県では、ふるさと納税、クラウドファンディングおよびネーミングライツなどに取り組んできたところです。
こうした取組を通じまして、ファンドレイジングに当たりましては、県の事業の意義を積極的に発信し、理解と共感を得ることが大切であることを実感いたしますとともに、寄附を頂いた方には、その後も引き続き、本県のファンとして滋賀への愛着や関わりを持っていただけることが期待できると捉えております。
ファンドレイジングの考え方の重要性を実感しておりまして、先行自治体における事例研究をはじめ、専門家からの情報収集や意見交換を通じ、県庁全体に考えを浸透させてまいりたいと存じます。ファンドレイジングをはじめとする歳入確保に努め、持続可能な財政基盤の構築に向け、私自身も先頭に立って、専門家の知見もしっかりと活用させていただき、取組を進めてまいりたいと存じます。
◎総合企画部長(東勝) (登壇)ファンドレイジングについての御質問のうち、私にいただきました4点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の企業版ふるさと納税と滋賀応援寄附の状況、傾向についてでございます。
企業版ふるさと納税につきましては、実績、順番に申し上げますが、平成28年度は2件、110万円、平成29年度は13件、約620万円、平成30年度は9件、約1,050万円、令和元年度は9件、680万円、令和2年度につきましては3件、300万円、令和3年度は7件で520万円という状況でございまして、特段の傾向は見られないところでございます。
また、滋賀応援寄附への企業からの寄附につきましては、平成28年度は28件、約1,080万円、平成29年度は84件、約1,220万円、平成30年度は76件、約1,450万円、マザーレイク滋賀応援寄附から滋賀応援寄附に制度変更いたしました令和元年度は96件、約1,660万円、令和2年度は220件で約3億6,980万円、令和3年度は129件、約6,780万円という状況でございまして、一定増加する傾向が認められるところでございます。
ただ、令和2年度の大幅増につきましては、コロナ対策に係る寄附の増加が主な要因でございまして、これを除きますと、令和2年度は80件、約970万円、令和3年度は80件、約940万円という状況になっているところでございます。
次に、2点目の企業版ふるさと納税についての企業へのアプローチ状況についてでございます。
制度創設後、寄附の可能性を探るために、過去に寄附の実績があります県外企業や様々な形で県とのつながりやゆかりのある県外企業など約200社を対象に、関心のある分野や事業について意向調査を実施いたしました。
その結果も踏まえ、関心をお示しいただきました企業や包括的連携協定を締結している企業を中心に訪問を行いまして、税制上の優遇措置をはじめとした制度内容や対象となる施策、事業の内容を御説明した上で、寄附の御協力をお願いしてきたところでございます。
次に、3点目の他の自治体の好事例を踏まえた改善点についてでございます。
企業版ふるさと納税に係る大臣表彰を受賞をされました北海道東川町におきましては、人材育成について強い関心をお持ちの企業に対し、奨学助成や国際教育の推進、起業家支援などにより人材育成と将来の地元回帰を図る人材育成サイクル構築プロジェクトを提案するとともに、企業とのオフィシャルパートナー制度を活用し、まちづくりに共感いただける企業を募られ、寄附を集められたところでございます。
また、同じく大臣表彰を受賞されました茨城県境町は、町の歴史や産物、地の利等のまちの強みをブラッシュアップして宣伝をされ、交流人口の拡大と地域活性化を図る「河岸のまちさかい」、河の岸ですね。「河岸のまちさかい」復興プロジェクトを創設し、町長による企業訪問や様々な媒体による情報発信を積極的に行われ、寄附を集められたと伺っております。
本県におきましても、こうした事例も参考にしながら、企業の関心や思いをしっかりとリサーチいたしまして、共感を得られるような寄附対象事業を提案するなど、制度の一層の活用に向けまして、さらに力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、4点目の企業版ふるさと納税に関する専門家、専門機関の活用事例等についてでございますが、これまで企業版ふるさと納税に特化した形で専門家あるいは専門機関を活用した事例というものはございません。これまで全て県職員のほうで対応をしてきているところでございます。
◎総務部長(河瀬隆雄) (登壇)財源としてのファンドレイジングについて、私にいただきました3点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目、専門家の活用の実績でございますが、これまでに平成28年度に2回、ファンドレイジングの専門家および広告代理店の担当者をお招きして、それからまた、平成29年度に1回、クラウドファンディングの専門事業者を講師にお招きをし、歳入確保に取り組む関係所属の担当者を対象にいたしまして助言をいただいたところでございます。
主な内容は、寄附者が重視する点や企業からの視点、企業へのアプローチ、クラウドファンディングの活用方法等についてでありまして、こうした助言を踏まえまして、実際にクラウドファンディングや企業訪問を実施したところでございます。
次に、2点目の遺贈寄附に関する窓口の設置についてでありますが、本県では現在、遺贈寄附を通常の寄附と区別をして取り扱ってはおらず、また、遺贈寄附についての窓口の設置はいたしておりませんのが現状でございます。
このため、総務部におきまして、他の自治体の取組事例を参考に受入れの仕組みを整えまして、遺贈寄附を検討される方の思いに適切に対応できるように今後してまいりたいというふうに考えております。
次に、3点目の職員の技能や知見獲得に関する助成制度についてでありますが、これは少し幅広に、ファンドレイジングだけに限定をしてということではございませんが、政策研修センターにおきまして、職員の幅広い視野と柔軟な発想による政策立案能力の養成を図ることを目的といたしまして、その時々の行政課題をはじめとする、こういったことに対する解決課題手法等につきまして自主的に調査研究を行う職員のグループ活動に対しまして、講師料や資料代等の助成を行っているところでございます。
また、自治体職員として必要な法務能力の向上を目指す取組を後押しするために、自治体法務検定の受験料を助成しておりますほか、地方自治制度等につきまして理解を深めたい職員に向けまして、自治大学校が運営をされますeラーニングの受講機会を提供するなど、様々な形で職員の自主的な学びを支援する仕組みを用意しているところでございます。
◎
琵琶湖環境部長(高木浩文) (登壇)琵琶湖博物館における寄附の状況についての御質問にお答えいたします。
平成28年度から令和3年度までの琵琶湖博物館への寄附は254件、約8,883万円でございます。特に平成29年度から令和元年度までの3年間は、博物館のリニューアルのため、多くの寄附を頂戴いたしました。
また、寄附を頂いた際には、博物館内の銘板やホームページに企業名等をお知らせいたしますとともに、企業等が実施されます研修会や観察会に協力するなど、博物館のサポーターとして継続して応援していただけるよう努めているところでございます。
◎農政水産部長(宇野良彦) (登壇)私にいただきました世界農業遺産認定を契機とした滋賀応援寄附や企業版ふるさと納税の獲得等についての御質問にお答えをいたします。
これまで、世界農業遺産の取組を応援いただくため、議員御指摘のとおり、滋賀応援寄附のメニューに「目指せ『世界農業遺産』」を設けまして、令和元年度から2か年にわたり御寄附を頂きました。また、平成29年度から企業版ふるさと納税として、世界農業遺産の認定に向けた取組への応援のため、県内企業から御寄附を頂いてきたところでございます。
今回、世界農業遺産として認められた琵琶湖システムを、多様な主体に御参加いただきながらしっかりと未来へ引き継いでいくためにも、ふるさと納税の仕組みを活用して幅広く応援いただくことが重要であると認識をいたしております。
このため、環境こだわり農産物や湖魚などの滋賀の農林水産業の魅力や価値を県内外の方々に広く発信するとともに、個人、企業を問わず、より多くの方々に一層応援していただけるよう、滋賀応援寄附のメニューの設定や企業版ふるさと納税の獲得等について、総合企画部と連携して進めてまいりたいと考えております。
◆9番(佐口佳恵議員) (登壇)ありがとうございました。
なかなかファンドレイジング、すぐに実装するには難しいので、どうしても漠然と研究していただく、前に進めていただくということの御回答になります。それも覚悟の上で、でも、重ね重ねていくことで一歩でも進んでいけばなと思っております。
ただ、1つ、やはり先ほどお答えいただいた中で、eラーニング等でファンドレイジングに特化していないものを研修していただいているというようなお話もあったんですけれども、このファンドレイジングというのも、やはりそのこと自体が感覚として共通していないなと思うんですが、なかなかに専門知識であったり、あと、技術の導入、例えばステップメールであるとか様々な技術導入というのは日々日進月歩で進んでまいりますので、やはりその専門的な知見の導入というのは非常に大事だろうなと思っております。
逆に言えば、もうそれがある程度、予算であったり、コロナの大変さであったり、人員、労力に限りがあってできないということであれば、やはり最初の、スタートアップの応援ではないんですけれども、起業家でいえばスタートアップの支援みたいな形になりますが、県庁内で全部やってしまい切ろうとするのではなくて、ある程度スピード感も要りますし、どんどん進みますので追いつけませんので、例えば外に出していく。企業版ふるさと納税の先進事例だと思っているんですけれども、例えば外に出すというのがまずさらに頑張ってくださってる版だと思うんですが、外部から人材を採用しまして、例えば奈良県の生駒市ではファンドレイザーの経験のある方を採用し、これは社会人採用で期間限定の雇用です。寄附してくださる企業に最適な実施事業案を提案する。つまり、寄附はしたいんだけど、どういうふうにしたらいいのか分からない、何の事業に寄附したらいいか分からないという方にマッチングをするという仕組みを取っておられます。
同じように、奈良県の橿原市でも基金をつくって事業を1本つくる「マイ文化財」プロジェクトというようなプロジェクトがありまして、これは動画で検索していただくと、職員の方がなさっていますが、どうやらお一人がファンドレーサーさんなんじゃないかなと拝見してるんですけれども、手作り感とやる気にあふれるそういった取組もございます。
これは自治体内部に企業版ふるさと納税の仕組みを取り込んでいく人を入れるという考え方なんですけれども、そのマッチングする人が内部で抱えれないという場合には、そもそもそのマッチング自体を外部委託するという例も出てきております。例えば岩手県の大船渡市や埼玉県の志木市においては、基本的に成功報酬型でマッチング自体を外部委託するという企業版ふるさと納税に係るマッチング支援事業に係る公募プロポーザルを行っておられます。成功報酬型ですので予算も小さくできますし、その方々がどういった募集をするか、どういうマッチングをするかということを間近に見ることで、県庁の中にその知見を取り入れるということもできます。
様々申し上げたんですけれども、総合企画部長にお伺いしたいのですが、企業版ふるさと納税や滋賀応援寄附というものに対して、やはり企業様は利益は出ている。でも、検索してみて出てきて、一応電話番号が課の電話番号なるんですけれども、どこに寄附したらいいか分からないというときのその企業の御相談窓口ですね、せめてインターネット上に電話番号と総合戦略を貼っているという状態ではなくて、インターネット上に分かりやすい案内のページを設置してはどうかと思うのですが、この点について総合企画部長にお伺いいたします。
そして、知事にももう1問再問させていただきたいんですが、最近、政府が、この6月ですけれども、デジタル田園都市国家構想基本方針というのを、企業の中で企業版ふるさと納税等の活用を通じて全国にサテライトオフィス等の整備を促し、2024年度末までに全国の地方公共団体1,000団体においてサテライトオフィスの設置を目指すとされています。企業版ふるさと納税を活用して転職なき移住というものを推進していく、地方創生に関するテレワークの推進をするという形で、地方への人材の還流を目指したサテライトオフィス誘致ですね。
これは企業誘致の、もちろん企業版ふるさと納税ですから、県外に本社もしくは主たる事業所がある企業に対して行われますので、企業の今、誘致、滋賀県にどこか事業所を設置していただけるというきっかけにもなり得ますし、例えば今議会で複数の議員から質問がなされている北部振興の中で、関係人口創出というのは非常に大事な視点だとされています。北陸新幹線敦賀駅ができることを生かすということも言われてるんですが、例えば北部の長浜、高島、すばらしい自然がございますよね。米原であれば米原でまた、今までも東の入り口だったわけですけれども、今人材がどんどん欲しいと言われているデータサイエンス学部といった地域との連関もありますし、高専がどこになるかにもよりますが、そういった事業とのタイアップも考えられます。もし滋賀県にサテライトオフィスを建てるという事業がなければむしろ、つくってもいいんじゃないかなというふうに感じてるんですけれども。
こうした制度をちゃんと利用するという上で、事業をつくっていくというのと企業に対するアプローチというのが非常に時間が難しいんですが、こういったアプローチも、もしも滋賀県内にファンドレイジングであるとかそういったことに詳しい人材がいるということであれば、こういったことをちくちくちくちくといろいろなものを制度を並べながら、いろんな県内の事業を並べながらということができていくわけです。
ただ、やはりそこを今の通常の事業をやりながら今の職員さんに研究しろというのは、いかんせん何年間かですが勉強し続けている大先輩方の物すごく勉強を継続されているファンドレイザーさんやお取組を見ていると、なかなか大変だと思います。
ですので、やはりこの研究するというところから、ぜひ今のような国がこういう事業を起こしたということを捉まえて、その捉まえたものを県庁の職員さんと一緒に事業をつくるときに具体的に専門家や専門機関に接触するという発想を持っていただいて、相談をしたり連携を取っていくということを検討していただきたいと思います。
そこで、もう一度、先ほどの御質問をより一層推し進める形で同じような質問になるんですけれども、具体的に専門家、専門機関と接触する機会を設けるということも含めての専門家、専門機関との連携、県庁としてこれからファンドレイジングを具体に一歩進めていく必要に関して、もう一声、知事の御所見を伺えればと思います。
◎知事(三日月大造) もう一声だけでいいですか。大変重要な御指摘をいただいてると思ってお聞きしておりました。
まず、共感を持って、この、何というんでしょうか、寄附の輪、遺贈の輪などを広げていくことの重要性、今そういったことがもっともっとできるようになっているんじゃないのかとていう、そういう時流を捉まえて、そこにチャレンジする、そこに取り組む職員を育成すると同時に、外部にいる専門家の方々をうまく活用しながら、また、連携しながら、そういった分野にきちんと乗り出していくということはとても重要なことだと思います。
したがって、ぜひ、単なる研究だけにとどまらず、また、職員の片手間ということだけではなくて、もっとさらに踏み込んだどういうことができるのかというのを考えていきたいと思います。
また、北部振興というテーマの中で、デジタル田園都市国家構想もうまく活用しながらやれることがあるんじゃないかというのも大変示唆に富む御指摘だったと思いますので、そういった御提案も含めて、さらに検討をしていきたいと思います。
◎総合企画部長(東勝) 私にいただきました再質問についてお答えをいたします。
私にいただきましたのは、企業版ふるさと納税や滋賀応援寄附についての相談窓口、分かりやすく御案内してはどうかという御提案というふうに承らせていただきまして。
確かに私も、より多くの企業の皆様に本県の取組を寄附という形で応援していただくためには、制度の内容、また、対象となる取組ですとかその概要、また、相談窓口、こういったことを分かりやすくお示ししていくということは大変重要なことであるというふうに考えております。
このため、滋賀応援寄附、そして企業版ふるさと納税ともに、制度の内容や連絡先等、より分かりやすく、また、幅広く周知できますように、今後、ホームページの掲載内容等について見直しを行いまして、担当課で随時適切に御相談を受けさせていただけますように考えてまいりたいと存じます。
◆9番(佐口佳恵議員) 終わります。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、9番佐口佳恵議員の質問を終了いたします。
次に、21番白井幸則議員の発言を許します。
◆21番(白井幸則議員) (登壇、拍手)自民党滋賀県議会議員団の白井でございます。
では、発言通告に従って、人権に関する県民意識調査の結果について、分割質問にて全て総合企画部長にお伺いいたします。
人権に関する県民意識調査の結果について、平成13年度、平成18年度、平成23年度、そして前回の平成28年度、この4回の結果を見ると、人権が尊重される社会の実現に向けての考え方について尋ねたところ、「自分も実現に向けて努力をしたい」と答えた人の割合が平成13年度は60.4%、平成18年度は51.7%、平成23年度は47.2%、平成28年度は39.4%と調査を重ねるごとに減少をしていきます。
一方で、「なりゆきにまかせる」や「特に考えていない」と回答した人は、平成13年度は26.2%であったものが、平成28年度には49.3%に増加しています。
また、同和問題の解決に向けての思いについても、平成18年度、平成23年度では「自分のできる限りの努力をしたい」と答えた人が16.3%あったものが、平成28年度では15.1%に減少をしています。
前回までの県民意識調査の結果を見る限り、人権に対する意識や同和問題解決に対する思いが低下、後退しているように思われることから、令和元年の9月議会においてこの問題を取上げさせていただき、昨年度の県民意識調査の結果を注視していました。
そこで、まず、令和3年度人権に関する県民意識調査の結果についてどのように捉えているのかを伺います。
次に、調査の中で法令関係の認知度という項目があります。その中で、部落差別の解消の推進に関する法律は、「知っている」と答えた人は、法務省の全国調査の8.7%に比べ、滋賀県では約4倍の33.6%という結果が出ています。大変啓発活動等がうまくいったことと思います。そのうまくいった要因についてどのように分析されているのかを伺います。
次に、人権が尊重される社会の実現に向けての考え方について、「自分も実現に向けて努力をしたい」と答えた人の割合が39.3%と最も高いのですが、「なりゆきにまかせる」や「誰かしかるべき人が実現すればよい」など他人事のように捉えている人も32.3%もおられます。そのうち、「なりゆきにまかせる」と答えた人の3分の1の人が、「『人権が尊重される社会』がどのようなものかが想像ができず、自分が何をすればよいかがわからないため」とその理由について答えています。こういった声にどのように応えていくのかを伺います。
最後に、今回の人権に関する県民意識調査の結果を踏まえ、県として、人権が尊重される豊かな社会を実現するためにどのように対応していくのかを伺います。
○議長(岩佐弘明) 21番白井幸則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎総合企画部長(東勝) (登壇)人権に関する県民意識調査の結果についての4点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の調査結果をどのように捉えているのかについてでございますが、令和3年度調査では、人権が尊重される豊かな社会の実現について、「自分も実現に向けて努力したい」と回答をされた方の割合は39.3%でございまして、平成28年度調査の39.4%とほぼ同率となっております。
また、同和問題の解決に向けて、「自分のできる限りの努力をしたい」と回答された方の割合についても、令和3年度調査では15.8%と、平成28年度調査の15.1%から僅かではあるが増加している状況にございます。
こうしたことから、平成13年度調査から平成28年度調査まで見られました自分も努力したいという積極的な考え方を持つ方の減少傾向には、一定歯止めがかかったものと受け止めております。
一方で、人権が尊重される豊かな社会の実現について、「なりゆきにまかせる」や「特に考えていない」と回答された方の割合は44.4%ということでございまして、平成28年度調査の49.3%より減少はいたしましたものの、依然として消極的な姿勢の方も一定数おられるということで、今後の課題であると考えているところでございます。
次に、2点目の部落差別の解消の推進に関する法律の認知度が全国調査を上回った要因についてでございます。
平成28年12月の同法施行以降、県におきましては、毎年9月の同和問題啓発強調月間を中心といたしまして、県広報誌「滋賀プラスワン」の啓発記事や啓発冊子、メールマガジン「じんけん通信」など、様々な媒体を活用して法の周知を行ってまいりました。
また、市町や関係機関、団体と連携、協力をしながら、研修会での周知のほか、啓発イベントや街頭啓発におきまして、法制定の経緯や法の趣旨を記載いたしましたメモ帳を配布するなど、積極的な周知を図ってきたところでございます。
県といたしましては、こうした市町、関係機関とも連携をいたしました幅広い継続的な周知、啓発の取組の成果が今回の調査結果に一定現れているものではないかと考えているところでございます。
次に、3点目の「自分が何をすればよいかがわからない」という声への対応でございます。
人権が尊重される社会がどのようなものかが想像できない理由といたしましては、意識調査の結果からも、自分自身が差別や人権侵害を受けた経験が少ないことが1つにあるのではないかと考えているところでございます。
また、社会には多様な人々がいらっしゃいますが、例えばトランスジェンダーの方のように、知らず知らずのうちに人権侵害を受けておられる方が自分の周りにも身近にいらっしゃるということが十分に認識されていないことも要因としてあるのではないかと考えているところでございます。
こうした点を踏まえまして、社会では様々な人権侵害が存在するという事実を具体的な例を挙げて示すとともに、そうした人権侵害は決して他人事ではないということをより多くの県民の皆様に認識いただけるよう、取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
最後に、4点目の人権が尊重される豊かな社会を実現するための県としての対応についてでございます。
今回の調査結果におきましては、人権が尊重される社会の実現に向けて自ら進んで改善していくことに積極的な方が一定数いらっしゃる一方、消極的な方も依然としておられることがうかがえたところでございます。
県といたしましては、誰一人取り残さない人権が尊重される豊かな社会の実現のためには、何より県民一人一人が人権について関心を持ち、様々な人権問題を自らの問題と捉え、日常のあらゆる場面で具体的な行動に結びつけていただけるようにしていくことが重要であると考えております。
そのため、人権は県民誰もが日々の生活の中で深く身近に関わるものであるとの理解が深まり、人権が尊重される豊かな社会づくりに向けて、主体的、積極的に取り組まれる県民のさらなる増加につながりますよう、より効果的な啓発等の取組を市町や関係機関、団体とも連携、協力しながら、粘り強く進めてまいりたいと存じます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
2番目と4番目の項目について再質問したいんですけれども。
本当に私も地元では人権啓発の講師団に入らせてもらって、町懇とかいろんな研修の講師をさせていただく機会もあるんですけども、部落差別の解消に関する法律というのは、研修会とか講演ごととか座談会ごとによく言葉に出させてもらって、みんながそういう努力をしたな、その結果が全国平均の4倍も滋賀県は進むような啓発ができた、これはうまいこといったなと捉えています。
ちょっとそこで気になるところで、同じ意識調査の質問の項目で法令に関する質問についてですが、滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例について、「知っている」と答えられた方は何%おられましたか。まず、2番目のところでお願いします。
◎総合企画部長(東勝) お答えいたします。
滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例の「知っている」という御回答は、全体の9.1%でございました。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
なぜこのようなことを確かめたかといいますと、チームしがさんの代表質問の中で、今江議員の代表質問の中で、知事のほうが、条例に基づく着実な取組のさらなる推進について問われたところ、滋賀県障害者差別のない共生社会づくりについて、昨年度の人権に関する県民意識調査について条例を「知っている」方は42.6%となっておられますと答えられました。
これは厳密に言うと、「知っている」と答えられた方が9.1%、今、総合企画部長が答えられた。そしてもう1つは、「名前は聞いたことがあるが、内容までは知らない」、内容を知らないと言っているこの33.5%を足して42.6%となっているので、総合企画部長としてはどのように捉えておられるのかな。やはり解釈の仕方、分析の仕方によって捉え方が変わると、次、また対策等も変わってきますので、そこを議会の中で共通の認識として、知っておられる方は何%ですかということを改めて問わさせていただいたわけです。
えてして自分に都合のよい受止め方をしてしまいがちですけれども、ここは、部落問題に関する法律については、みんながあれだけ頑張って33%以上認知していただくことができた。ところが、それと同じ比較をするならば、実は3分の1以下、1割に満たない9.1%しかないというふうに私は思っているのですけれども、その辺、もう一度確認をさせてください。
◎総合企画部長(東勝) お答えいたします。
ただいま議員のほうから御指摘ございましたとおり、このアンケート調査につきましては、「知っている」、先ほど御紹介いただきましたように「名前を聞いたことあるが内容までは知らない」「知らない」のこの3つから選んで回答をしていただくようなものとなってございます。
やはり部落差別解消法などのように具体的にその解決に向けて取組を進めていくためには、法制度の内容まで御承知いただくという形まで持っていくということが大変重要であると思っております。そうした意味で、やはり認知度といいますのは、内容まで御存じいただいてるような知っている方、いわゆるこのアンケート調査で「知っている」方がより増加していくような形で取組を進めていくことが重要であるというふうに考えておりまして。
さきの答弁の中で、この内容までは知らない方まで含めて4割程度いるというふうにお答えされたことにつきましては、全体の法の認知度という、法を知っているという意味での趣旨で御答弁させていただいたものというふうに私は認識しております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ちょっと曖昧な表現だったんですけども、やっぱり厳しく現状をしっかりと捉えて分析していただけるようにお願いしたいなと思います。
そして、次に、4番目の項目について、やはり県の取組、しっかりと進めていく、市町と連携しながら進めていくということで、誰一人取り残されないというような言葉もございました。
そして、新たな人権問題というのがまた出てこようかなと思います。そういったことについて、総合企画部長、どのようにお考えになるか、その辺だけ教えてください。
◎総合企画部長(東勝) 新たな人権課題ということでの御質問でございます。
これまでから、社会の状況の変化の中で様々な人権課題が発生してきております。最近の例で申し上げましても、新型コロナウイルス感染症に関する人権侵害、また、ヤングケアラーなどの問題が生じておりますが、今後も新たな差別や人権侵害というものが発生したり顕在化していくことは十分予想されるところでございます。
しかし、どのような状況にありましても、人権侵害は決して許されるものではございません。誰一人取り残されることなく全ての人の人権が尊重される社会を築いていくことが何よりも重要であるというふうに考えているところでございます。
そのため、私たち一人一人が人権についての意識を高め、日々の生活の中で実践を積み重ねていけるように、人権意識をめぐる状況の様々な変化も見極めながら、これからツイッター広告など新たなDXの手法なども取り入れ、対象者を意識したより効果的な人権啓発を推進するなど、人権が尊重される豊かな社会の実現に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)どうもありがとうございます。
今、コロナのことも出ましたけども、新たな人権課題というのもやっぱり顕在化してくる場合があります。これは県民の方の人権意識が後退していって出てくる場合もありますし、みんなの人権意識が高まっていって、今まで気づかずに切り捨ててしまったり排除してしまっていたそういったことに気がついて、人権意識が高まったからこそ気がつくことも課題もあろうと思いますので、そういったあたりもしっかりと見極めていただきながら取り組んでいけたらなと思います。
人権問題というのは、ある意味、ある一面から見ると強い者と弱い者との構図ですし、また、マジョリティーと社会的な少数派マイノリティーの問題でもあるわけですから。民主主義の社会というのは多数決で決まっていくことが多いです。ですから、多数派──マジョリティーにとっては住みやすいまちでもマイノリティーにとっては住みやすいまちとは限らないという、そういった目線を絶えず持っていくことが大切かなと思いますので、そういったあたりで共に頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、次の質問に移ります。
次は、随意契約について、一問一答にて知事公室長と会計管理者に伺います。
本県では、令和3年10月に滋賀県が締結する契約に関する条例を制定し、令和4年4月1日より施行されています。この条例は、県の契約に関し基本理念を定め、県および契約の相手方の責務を明らかにするとともに、県の契約に関する基本的な事項を定めることにより、県の契約に関する制度の公正かつ適正な運用および一定の行政目的の実現に向けた県の契約の活用を図り、もって本県の経済および社会の持続的な発展に寄与することを目的としています。
第6条2項1号では、県の契約に当たっての取組に関する事項が定められており、契約の適正化が図られるよう、契約の過程の透明性の確保の取組、競争の公正性の確保および不正行為の排除の取組を行うとしています。
契約の方式は一般競争入札を原則としていますが、それ以外には指名競争入札や随意契約があります。今回、競争の公正性の確保がされにくいとされる随意契約をテーマとします。
まず、直近年度の随意契約の件数と契約全体に占める割合について、会計管理者に伺います。
◎会計管理者(辻本誠) (登壇)お答えいたします。
毎年度、全ての工事契約、50万円以上の物品購入契約、10万円以上の委託契約を対象として、契約状況実態調査を実施しております。
これを基に令和2年度に締結した契約の状況を見ますと、契約総数5,981件のうち随意契約によるものは3,241件で、契約全体に占める随意契約の割合は54.2%となっております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)では、今、件数を教えていただきましたけども、金額ベースではどうなるんでしょうか、教えてください。
◎会計管理者(辻本誠) 契約ベースで申しますと、令和2年度契約全体が973億7,400万に対しまして、随意契約が249億5,600万ということで、25.6%ということになっております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
249億が随意契約ということですね。
随意契約の中にも、提案を採用した業者に随意の契約するというプロポーザルによる随意契約とか、公募型で見積りを合わせる随意契約、あるいは2者の見積りを取っての随意契約と1者だけによる随意契約というのがあると思うんですけども、この1者だけの随意契約というのはどれぐらいありますか。一者見積りだけの随意契約。
○議長(岩佐弘明) ただいまの質問は件数ですか、金額ですか。
◆21番(白井幸則議員) 件数と金額とお願いします。
◎会計管理者(辻本誠) お答えいたします。
同じく令和2年度の契約状況実態調査の結果によりますと、随意契約3,241件のうち一者見積りによる随意契約は1,917件で、随意契約に占める割合は59.1%となっております。
なお、金額は216億6,900万円でございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)1者だけの見積りというと、なかなか今回の条例でうたっている競争の公正性というのが担保されにくいのかなと思って心配をするんですけれども。金額ベースでいうと、249億のうち216億もの随意契約が実は1者だけの見積りによって契約がなされているということなんだなということですね。
次の質問に移りますが、次に、入札、契約に当たっては、一般競争入札によることが原則と考えますが、県の見解を会計管理者に伺います。
◎会計管理者(辻本誠) お答えいたします。
地方公共団体が行う契約の方法は、公正な競争を促し、透明性や経済性を確保する観点から、一般競争入札が原則と考えております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)では、次に、随意契約が認められるのはどのような場合か、会計管理者に伺います。
◎会計管理者(辻本誠) お答えいたします。
地方自治法施行令第167条の2におきまして、予定価格が一定の金額を超えない場合、契約の選出または目的が競争入札に適しない場合、緊急の場合など、9つの類型が定められております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
それぞれに事情が、理由があって、それに合うものであれば随意契約ということになるということですね。
私は令和元年度に決算特別委員会に出させていただいて、そのときに意見を述べさせてもらった内容になるんですけれども、滋賀県ではびわ湖放送株式会社に対して多くの一者見積りによる随意契約がありましたので、そのときに目に留まりました。
県全域をカバーする唯一の民間テレビ放送局であり所定の経費で番組制作が可能であるためというのが具体的な理由だったのですが、番組制作ということであれば、県内にはほかにも制作会社があるので、適用に当たっての類型の3のイには該当しないのではないですかと質問を当時させていただきました。
その後、担当者からは、県内には5社ほど制作会社はあるようですという報告は受けましたが、以後も同様の理由ということで随意契約は続いています。
びわ湖放送株式会社に対しては、令和3年度も28件、一者見積りの随意契約がありました。そのうち、知事公室が担当するものの中で、今後、一般競争入札への移行を検討できるものがあるか、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(中嶋毅) (登壇)お答えいたします。
昨年度、知事公室におきましては、広報課の「テレビ滋賀プラスワン」や「しらしがテレビ」など、県政情報を県民の皆様にお伝えする番組の制作、広報業務委託等につきまして、びわ湖放送株式会社と随意契約を行ったところでございます。
これらの契約につきまして、一般競争入札等への移行を検討するに当たりましては、例えば番組制作業務を分離するなどの方法が考えられます。また一方で、緊急に情報を発信する必要がある場合に対応が可能かどうか、また、業務全体を見たときの所要経費が増加することはないのかといった懸念もございます。
こうしたことも考慮いたしまして、契約内容を十分精査する必要がございますが、一部業務を切り分けることなどによりまして、今後、競争性のある契約方法を検討できるものもあると考えているところでございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
発注の仕方の工夫によって検討できるものもあるという御返事をいただいたようなところです。
実は知事公室が所管する一者見積りの随意契約というのは、県全体から見るとほんのごく一部にしかすぎないわけです。でも、このごく一部の中に、一者見積りの随意契約を違う競争性のある契約の方法に変えられる可能性のあるものがあるということは、全庁を見渡したときにかなりの数が競争性のある、競争の原理が働くような契約の仕方に変えていくことができる可能性があるというふうなことが推測されますので、ほかの部局もそういったことで見直しをしていただけたらなと思います。
最後になりますけれども、折しも4月1日、本年の4月1日に滋賀県が締結する契約に関する条例が施行され、基本理念では契約の過程の透明性、競争性の公正性の確保などがうたわれています。条例の理念にのっとり入札、契約事務が適切に運用されるよう、細部にわたって点検をする必要があると思いますが、会計管理者の見解を伺います。
◎会計管理者(辻本誠) お答えいたします。
地方自治体の契約は一般競争入札によることを原則としており、随意契約はその例外として認められているものでございます。したがって、その適用につきましては、いたずらに拡大解釈をすることはあってはならないものと認識をしております。
御質問にもございましたとおり、競争の公正性の確保は契約条例の基本理念の基礎となるものであり、一般競争入札が原則とされているという趣旨を職員一人一人が理解し、前例にとらわれることなく随意契約の要件を厳格に適用することもまた、この条例の理念にかなうものと考えております。
このような考え方を実効あるものとするため、引き続き、会計管理局による研修、指導、審査、支援の強化に努めるほか、今後、契約方法等について、より客観的に審査するための仕組みづくりにも取り組んでまいる所存でございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
えてして前例を踏襲してしまいがちになることがあるかも分かりませんけれども、これを機に、一旦立ち止まって今までとは違った目線で点検し、競争の公正性が働くように一手間をかけていただけたらなと思います。
そして、今、審査を強化するというようなこともありましたけれども、やっぱり各所属の各担当職員がしっかりと取り組めるようサポートすることが大事ではないのかなと思うのですけれども。教育長もおっしゃっていましたけども、問題は現場で起こっているというようなことでしたので、現場、後でチェックしてそれがつくれるかというとそうじゃなしに、やっぱりつくり込みの段階で現場で職員がしっかりと取り組めるようなサポートが必要だと思いますけども、その辺についてもう一度お願いします。
◎会計管理者(辻本誠) お答えいたします。
おっしゃるとおり、研修、それから支援をしっかりとやっていきたいと思います。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)よろしくお願いします。
では、次の質問に移ります。
次は、滋賀県立長寿社会福祉センターについて、一問一答にて、これは全て
健康医療福祉部長にお伺いをします。
滋賀県立長寿社会福祉センターは、大津市瀬田地域から草津市にかけて広がる丘陵地、およそ520ヘクタールの区域を対象として開発、整備が進められてきたびわこ文化公園都市の中にある福祉施設です。
びわこ文化公園都市は、昭和57年に策定されたびわこ文化公園都市基本計画に基づき、「芸術、教養の文化クラスター」「福祉の文化クラスター」「生命の学術の文化クラスター」「研究、研修、教養、教育の文化クラスター」「住まいの文化クラスター」と、そして、これらを結ぶ軸として緑の回廊が位置づけられ、順次整備が進められてきました。その結果、区域内には23の施設が立地するに至っています。
また、平成24年には、周辺環境や取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、土地利用の観点から、立地する施設が相互に機能を高め合う機能連携へ主眼をシフトしていくことが必要という考えに立ち、びわこ文化公園都市将来ビジョンを策定し、県内外の人々が交流する場、文化、芸術を創造する場、未来成長へ挑戦する場、歴史と暮らしを紡ぐ場、いのちと健康を支える場の5つの将来像の実現に向け、取組を進めてこられました。
(資料掲示)こちらがびわこ文化公園都市立地関係の全体図になります。
まず、この中の紫色の7番のところに位置をします長寿社会福祉センターは、誰もが生き生きと豊かに暮らせる長寿社会レイカディアを実現していく湖の理想郷づくりとして、レイカディア10カ年プランに基づき、その活動の拠点施設として平成5年8月にオープンしました。介護知識の普及や介護実習など、福祉の現場で働く職員の専門技術研修を行う福祉人材センターおよび高齢者の学習の機会を提供するレイカディア大学などを中心に多くの人が利用し、大きな成果を上げてこられたと思いますが、現状について伺います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。
長寿社会福祉センターは、高齢者の社会参加の推進と地域の担い手の養成を目的とするレイカディア大学をはじめ、福祉現場で働く「滋賀の福祉人」の人材育成、キャリア形成のための各種研修、福祉機器の展示、相談などを中心に幅広く社会福祉に関する事業を展開しておりまして、年間約6万人の方に御利用いただいているところでございます。
このうち、例えばレイカディア大学につきましては、前身の老人大学校を含めまして6,500人以上の卒業生を輩出しておりまして、令和2年度に行いました平成29年以降の卒業生を対象とした調査によりますと、87.9%の方が地域の担い手として環境保全、自治会、サークル福祉などのフィールドで活躍されているところでございます。
また、社会福祉研修センターの各種研修につきましても、年間約3,000人の方が受講し、人材育成や質の高い福祉サービスの提供に寄与しているところでございます。
こうした各種の取組を通じまして、センターの設置目的でございます明るく活力のある長寿社会づくりの推進や高齢者および障害者の自立と社会参加の促進に寄与していると考えているところでございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
この部分は、非常に健康医療福祉部の努力等もあってうまくいってる部分なのかなと思います。
私の身近なところでも、例えば骨髄バンク、滋賀県でいうと滋賀県の骨髄献血の輪を広げる会というのがありまして、今から17年ほど前というのは、骨髄バンクの登録1万人当たりの占める割合等、全国レベルで45番目、下から3番目というところにずっといたんです。それはなぜかというと、実は献血の併行型の登録会ができなかったということが大きかったんですけれども、後ればせながら滋賀県も併行型をやり出して、それでも、40番、38番、そういったところだったんです。
ところが、レイカディア大学で学ばれた方が、自分たちも地域の担い手として何かボランティア活動に参画しなきゃならんということで、骨髄献血の輪の会のほうに入ってこられました。そこからです。骨髄献血の滋賀県の歩みが一気に進み出して、今は全国で10本のトップテンをうかがうそういった位置にまでなってきている。これはまさにレイカディア大学を卒業された方が地域の担い手としてまだ頑張ろうという、そういったところが成果として現れているんだろうな、そんなふうなことを思っています。
そんなすばらしい成果を収めてこられているんですけれども、この施設を将来に向けてどのように活用していこうと思われているのかを伺いたいと思います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
レイカディア大学を中心としたアクティブシニアの学びと活躍を応援する拠点や「滋賀の福祉人」を育成する社会福祉研修センター、県社会福祉協議会をはじめとする福祉関係団体の活動拠点としての役割を果たしながら、人生100年時代の中で、将来にわたり子供から高齢者まで、誰もが生き生きと豊かに暮らせる長寿社会を実現していくための中核施設として、その機能を発揮できるように運営してまいりたいと存じます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)次に、この施設は平成5年8月にオープンしたわけですが、約30年が経過し、周辺の環境、また、時代背景も大きく変わってきました。
(資料掲示)もう一つの資料のほうがレイカディア大学、長寿社会福祉センターの図面で、上のほうがいわゆる山手幹線が通っている道から入り口があるという、こういった施設になるんですけれども、施設の課題についてどのように捉えているのかを伺いたいと思います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
センターは開設から30年近く経過し、老朽化が見られることから、長寿命化計画に基づきまして、順次、屋根や外壁、機械設備等の改修工事を実施しているところでございます。
また、介護保険制度創設以降、関連する研修の実施などによりまして会議室の利用が増加したこともありまして、レイカディア大学の開催と複数の研修が重なる場合など、会議室が不足することがございます。
さらに、センターへの来所についてでございますが、当初から公共交通機関の利用を呼びかけてはおりますが、草津田上インターチェンジの開通や周辺道路の整備により車でのアクセスが飛躍的によくなりましたことから、車での来場が多くなり、駐車場が不足することがあるところでございます。
こうした課題への対応と、センターの機能をさらに発揮、充実していくための方策を様々な角度から検討していく必要があると考えております。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)会議室が重なって足りないぐらい利用者があるというのは非常に結構なことだと思うんです。
(資料掲示)こちらの写真にもあるように、車がいっぱい来ています。もともとはここ、運動場、グラウンドだったんですけれども、もういっぱい車を止めなきゃ駄目だという状態までなっています。
交通の利便性がよくなって、車で行くのは非常に便利なところですで、やがて令和7年には山手幹線がもう開通するようになると、さらに湖南市やら甲賀市のほうからは本当に短時間で来られるいい場所になってきます。
時代背景としても、作った当時はもう高齢になられると、車の運転、控えはるやろなというような思いだったかも分かりませんけれども、この頃は80歳になっても現役のドライバーですし、逆に、足が痛いさかいにもう車で行くみたいな感じで、車のほうがかえって使い勝手もよく短時間で移動できるという、そういったこともあるように思われます。
次の質問です。昨年の令和3年7月に、湖南広域消防局による警防調査を受け、何点かの指摘があったと聞いていますが、その詳細について問います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
昨年7月26日、湖南広域消防局南消防署の警防調査がございました。警防調査は、消防署が緊急時の消防活動に備えまして、あらかじめ建物や消防設備など施設の現場の状況を把握することを目的に実施されているものでございます。
その調査の結果といたしましては、消防署からは、消防法令に違反するような事項はないものの、長寿社会福祉センター敷地内の現況に対して4点の助言をいただいております。
具体的には、1点目は、福祉用具センターの東側および南側に白線で区画された駐車場が増設されており、タンク車等の大型車両が走行できない。
2点目は、敷地内は駐車枠をはみ出しての駐車や駐車スペース以外の駐車があり、緊急時の消防車の通行に支障を来すおそれがある。
3点目は、利用者の退館時間が重なると敷地内道路に渋滞が発生し、緊急時の避難行動や消防車両の進入には問題がある。
4点目は、正面玄関付近で建物直近に枠外の駐車スペース利用が設けられており、緊急時の消防活動障害と考えられるとともに、駐車車両への延焼拡大等の被害が懸念されると助言を受けたところでございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)消防の活動というと、予防と警防。警防というのは実際に消火活動に当たるそれを想定して調査に入るわけで、こちらのところとか、本当は駐車するスペースでないところに止めると車両が通りにくいとか、実際は止める場所ではないところに1列ずっと止まったりすると、車が何とか通れたらよいということではなしに、そこでは消火活動をしないといけませんから、ホースをつないだり、そして、その横を通って隊員が走ってホースをやっていったりとか、そういう車がやっと通れたらそれで済むんだよということでなしに、そこでは活動をせんとあきませんから、そういった観点からの指摘だったと思います。
こういったところも本当は駐車する場所ではないんですけども、車が止めてある。ここからの延焼であったり消火活動の妨げになる。そういった観点でいくと、グラウンドのところに建物の横に1列に並んでいる、ここに何かがあったとき、消火活動ができませんよ、様々なことを指摘されていると思うんですけれども、管理者としてどのように捉えておられるのかを伺います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
消防署からの助言につきましては、センター利用者の安全確保の観点から真摯に受け止めますとともに、可能なことから速やかに改善していく必要があると認識しております。
このため、まず、1点目の福祉用具センター付近の駐車区画、それから、2点目の指定外駐車などにつきましては、敷地内を点検し、大型車両の通行に支障がある箇所は駐車禁止としたところでございます。
また、3点目の敷地内道路の混雑時の対応につきましては、消防署に相談させていただき、現況での対応として、緊急時の避難や消防車両の通行ができるよう、必要に応じ指定管理者の職員が場内を誘導する方針を確認したところでございます。
さらに、4点目の正面玄関付近の駐車も、荷物の搬入、搬出など必要最小限に制限したところでございます。
こうしたことにより、大型車両の通行や消防活動に支障がある状況は改善を図ったところではございますが、今後も指定管理者と協議し、消防署の助言を得ながら、駐車場所の整理や混雑の誘導などの対策に取り組んでまいりたいと存じます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)そもそもの話ですけども、こういった状態になってしまっているということはいつぐらいから認識されていたのですか。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
このたび消防のほうから御指導を賜ったわけですが、消防法令という具体的な違反という御指摘というのではなかったということでございますけれども、徐々に車が増加していることは当然認識しておりまして、本来ですと、玄関のところに車が常時止まっているというのは非常に混雑しているなということは認識しておりました。
混雑時につきましても、会議等が終了時にたくさんの車が一気に出て行くので、非常に危険性もあるなということは認識しておりましたが、何とか誘導等で対応して取り組んできたというのは現状でございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)だから、いつ頃から、何年前ぐらいからそういうことを危険を感じておられたのか、そういうふうになってしまっているなということを感じておられたのかということをもう一度お願いします。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
何年度という認識はございませんが、徐々にやはり増えているという中で感じてきたことでございまして、特に介護保険制度が施行された後、研修が増えたというのは確かにございますので、かなり早い時期からそういったこと認識はございましたが、その数がどんどんやはり増えていく中で、その危険度、安全性ですね、やはり心配な状況というのは高まっていったのではないかという認識でおります。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)私もそうだと思います。だんだんと利用者が増えて、だんだんと車が増えてきて、少しずつ少しずつでも、あるとき気がついたらこんなふうになってしまっていたというようなところまで行ってしまっているのかなと思います。
そして、私が仄聞しているところによると、まだ消防局に対して具体的な対応についての回答ができていないというふうに聞いております。9月のところに1度打合せに来られて、けれども一旦持ち帰りますということで帰られたきり、その以後の連絡がないというふうに仄聞しているのですけども。
速やかな対応が求められると思うんです。具体的な対策の検討状況について伺います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
消防署の助言を踏まえまして消防活動に支障がある状況は改善したものの、敷地内の指定外駐車をなくすことや敷地への車両の出入口が1か所であることに伴う混雑を完全に解消するまでの状況には至ってないところでございます。
このため、まずは、施設利用者に公共交通機関の利用を呼びかけているほか、コロナ禍での行動様式の変化や事業参加者の利便性向上の観点も含め、各種事業でのオンラインの一層の活用に着手しているところでございます。
また、県委託あるいは指定管理の研修事業につきましては、県北部などでの開催といった研修会場の分散化によりまして、参加いただく福祉事業者の負担軽減、利便性の向上に取り組んでいるところでございます。
さらに、駐車場や進入路の新設につきましては、まずは、敷地外を含めました土地利用の可能性や施設周辺の保安林の扱いについて情報収集を進めているところでございます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
駐車場の使い方を工夫するとか指定管理者が工夫するとかいうレベルをもうはるかに超えているかなと思います。
(資料掲示)この写真とかでも皆さんも確認してもらったら分かると思いますけれども、グラウンドも、本来は運動場も駐車場に変わってしまって、そこにもう100台止まっていて、ここは駐車スペースではないですよというとこには50台以上止まっていて、言うたら150台の駐車スペースが足らないということですから、管理者が工夫してというレベルを超えているんじゃないかなと思います。
そして、せっかくこの場所、立地もさらにこれからよくなっていって皆が集いやすい場所になる。それを伸ばしていこうというふうにおっしゃっているのであれば、管理者として今おっしゃった保安林の解除が伴うのかも分かりませんけれども、駐車場を整備するということもしっかりと検討していっていただけたらなと思います。
きちっとした駐車場拡張について時間がかかるのであれば、近隣に暫定的に貸してもらえるところをちょっとお願いして、1年貸してください、例えば2年貸してくださいというような形で暫定的でお借りしながら緊急にできることは対応をして、そして、恒久的な対策をしっかりとやっていくことが大切かなと思います。その辺の考えについて、もう一度
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
駐車場の拡張や出入口の増設が不可欠ではないかということかと思いますけれども、駐車場の拡張や出入口の増設につきましては、施設の利便性や安全性の向上につながるものと考えておりまして、周辺の保安林の扱い、それから、施工上の技術面の課題、必要となる費用などにつきまして、引き続き情報収集を行ってまいりたいと存じます。
一方で、公共交通間の利用やオンラインの活用をさらに進めていくことは、CO2ネットゼロの観点からも必要であると考えておりまして、こうした取組の効果も勘案しながら、福祉の拠点としての機能を十分に発揮できるよう、施設の利便性、安全性の向上の検討を進めてまいりたいと存じます。
◆21番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
ぜひ駐車場の拡張、出入口をもう1か所増やす、そういったことをしっかりと進めていってほしいなと思います。
誰もが生き生きと豊かに暮らせる長寿社会をつくるために、長い年月をかけて取り組んできたレイカディア構想が実を結び、将来に向けてさらに発展しようとするこの施設が県民に安全に安心して利用していただけるよう、管理者の責任を果たされるよう要望をして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、21番白井幸則議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後3時19分 休憩
────────────────
午後3時40分 開議
○議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、18番大橋通伸議員の発言を許します。
◆18番(大橋通伸議員) (登壇、拍手)子ども、子育て政策について、分割質問方式にて、質問の全てを知事に伺います。よろしくお願いします。
今議会の我が会派の代表質問のひとづくりについての項で、子ども、子育て政策に係る質問をいたしました。御答弁を踏まえ、質問いたします。
「子ども、子ども、子ども」と高らかにうたわれた三日月知事に伺います。その中で繰り返し出てくる子どもとともにつくる県政、このフレーズについて伺います。
3期目御就任の記者会見や、今定例会議の御所信で、また、滋賀県子ども・若者基金にも掲載されている子どもとともにつくる県政です。このフレーズにどんな三日月哲学を込めていますか、お尋ねします。
全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、政府の子ども、子育て政策の動向をよく把握しておいでの三日月知事に伺います。
地域少子化対策重点推進交付金の拡充と運用の弾力化、そのための必要な財源の確保に向けての御努力と併せて、子ども・子育て支援制度の完全実施に向けた1兆円超の財源確保に向けての現況を伺います。
子ども、子育て政策の司令塔となるこども家庭庁の設置がこの6月の国会で可決、成立し、来春4月から動き始めます。将来世代まで子育てに希望が持てるようになるか、その行方を注視していきたいと思います。もとより私たちが我が国の将来を見据えて子育ての負担軽減が必要と提起し続けてきたことが、ようやく形になったと喜んでいます。
当初、この新しい庁の名称はこども庁でしたが、伝統的家族観の強い自民党議員から、「子供の育ちは家庭が基盤」という意見が出されて変更となりました。その同じ議員は、行政から独立し、子供の立場、視点から子供施策の実施状況を把握、分析、評価する海外ではスタンダードな子どもコミッショナー制度を、誤った子供中心主義と否定したと仄聞しています。結果、この独立機関、子どもコミッショナー制度の設置が見送られたことはとても遺憾です。
一方、この新しい庁の設置に伴い、厚生労働省の子ども家庭局は廃止されます。同局の婦人保護事業のみが厚労省に残されますが、若い世代の売買春や女性の貧困の深刻さが増す中、対応する人員や予算の確保が気になるところです。女性の健康事業や避妊、妊娠中絶などがこども家庭でくくられ、少子化対策が根底にあるこども家庭庁に移管されることも不安が残ります。親の懲戒権の廃止、無国籍児の救済など課題が多い法務省が、こども家庭庁にどう関わるのかも今のところ見えてきません。
こうしたこども家庭庁設置に係る懸念を、副大臣経験のある知事はどのように受け止められていますか。
さて、地域少子化対策重点推進交付金に加えて、地域子供の未来応援交付金についても伺います。
当初予算規模の拡大、また、対象事業の拡大について、次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、政府にどのように働きかけ、どのような手応えを得ていますか、伺います。
関連して、滋賀県子ども・若者基金の財源確保についても伺います。
我が国の出生数の減少、少子化は歯止めがかからず、日本国の根幹を揺るがしかねません。今の子供をめぐる環境についても、子供の有意な将来が閉ざされてしまいかねない現状に心を痛めています。
子ども、子育て支援の充実は、中長期的に社会保障制度の持続可能性を高めることになることから、未来への投資と言われ続けてきました。にもかかわらず、思うような結果が出てこないことについて、現在進行中の人口減少を見据えた未来へと幸せが続く総合戦略の目標値のさらなる下方修正も視野に入れているのかも含め、御見解を伺います。
湖北に暮らしていてつくづく思うことがあります。結婚をしない、結婚を希望しない若者世代の価値観についてです。農村部に暮らしながら近くの企業に勤めている男性の幾人かは、そこに住む集落、自治会のことより勤務先の事情を優先しています。週末の自由な時間を、集落、自治会の催事や草刈り、排水溝掘りなどの出役に費やされることを疎ましく思っています。それでも、村落共同体の一員として、浮かぬ顔で集落、自治会と関わり続けています。農村部にあって、祖先伝来の田畑を守るという以外に、その土地に暮らす意味を見いだせていないようにも見えます。
結婚したがらない農村部のこうした男性は、今は元気な親との同居で日常生活に困らないことが、先行きの親の介護より優先しているようにも見えます。都市部に比べ、この傾向はより大きいと感じます。このような人たちの意思を肯定するならば、過疎化対策や地域活性化というお題目自体が前時代的となりましょう。
こうした農村部の若い世代の価値観について、北部振興に思いを寄せていただいている知事に思うところを伺います。
先日、秋葉原無差別殺傷事件を起こした死刑囚の刑が執行されました。近くでは、京都アニメーションならびに北新地クリニック放火事件も、今日の日本社会に漂う鬱屈と閉塞感がその背景にあったと考えられます。
大人がそうであるように、孤独、孤立を深めている子もいるでしょう。収束が見えないコロナ禍、ウクライナの惨事、安倍元首相銃撃事件、表情が見て取れないマスクの日々、垂れ流される残忍な映像、むき出しの憎悪、これらが子供たちを萎縮させていないか、子供たちの対人関係に影を落としていないか心配しています。
こうした一連の出来事、事件が子供の体と心に与える影響について、御所見を伺います。
昨年は東京オリンピックでした。その前、58年前、1964年──昭和39年開催の東京オリンピック、私は小学校1年生でした。マラソンの円谷選手に女子バレーの東洋の魔女に、白黒テレビの前に首ったけでした。1969年──昭和44年、アポロ11号月面着陸も息をのんで見入りました。その翌年、1970年は大阪万博でした。私は中学1年生でした。未来が私の前に広がっていました。
時代を比較しても始まりません。しかし、今の子供たちは何に感動し、どんな夢を膨らませているのでしょう。子供は大人になるための準備期間を生きているのではありません。またと来ない子供時代を生きています。このことは昔も今も変わりません。
全国学力調査の結果よりも、今のおとなしい子供が心配です。子供がおとなしくなっているのが心配です。おおらかに自分を表現しない、自分を表現できない子供が増えているようで心配です。海外の大学でも教鞭を執っておられる教授が、「日本の学生が私の講義を遮ることは皆無です」と言っておられたのがその象徴です。親や教職員だけでなく、全ての県民に問うてみたいところです。知事は今どきの子供たちをどう見ておられますか。
話を戻します。保育士のさらなる処遇改善や保育士修学資金貸付金等事業の継続的な実施により、その事業の成果を保育人材の確保につなげていくため、どんなことに力点を置いていますか。昨日の角田県議の質問と実質重なりますが、お願いします。
片や、少子化に加え、コロナ禍による預け控えなどによる保育施設の運営難が報じられています。本県の実態はどうですか。
切れ目なく子育て家庭を支援するため、地域の放課後児童クラブの果たす役割も大きいものがあります。その担い手の確保や待機児童の解消、また、利用料の無償化に向けてどんな問題意識を持ち、どう政府に働きかけてこられましたか。
仕事と子育て両立できる職場環境づくりや支援制度の利用しやすい職場風土の醸成など、企業が担う取組に対する県の役割と実際、そして課題について伺います。
予期せぬ妊娠など不安を抱えた若年妊婦やその家庭等への支援に向けては、どんな課題意識を持ち、どんな対策を打っていますか。
家庭で育児を行う世帯に対する支援制度はどうなっていますか。
制度があっても使えない、使いづらいとされる男性の育児休業取得について伺います。
厚生労働省が先月に発表した2021年雇用均等基本調査によると、男性の育児休業の取得率は前年に比べ1.32ポイント上昇し、13.97%でした。政府は2025年までに30%との目標を掲げていて、程遠い現状にあります。ちなみに、女性の取得率は3.5ポイント上昇し、85.1%でした。取得した期間は、女性の80.2%が10か月以上、男性は5日から2週間未満が26.5%、5日未満が25%でした。
厚労省は、男性の取得率を上げていくため、今年4月、育児休業の促進に取り組む中小企業に対する助成制度を拡充しました。この10月からは、妻の産休期間に夫が取得できる産後パパ育休、男性版産休も始まります。
産み育てやすい職場づくりに向け、男性の育児休業取得について本県としてどのように推進されていますか、伺います。
不妊治療は、今年4月から公的医療保険の適用範囲が体外受精や人工授精にも広がったことを受け、大手生命保険会社は医療保険の手術給付金の支払い対象を拡大しています。そこに新たに胚の培養、凍結保存が加わりました。経済的な理由により不妊治療を諦めることがないようにと、従前の手術のイメージに拘泥せず、社会の要請に応えた大手生命保険会社の姿を喜ばしく思います。
片や、経済的には一歩前進したものの、不妊治療の治療日数に応じた休暇制度および不妊治療と仕事の両立支援に向けた環境整備はまだまだこれからの感があります。知事の御見解を伺います。
産む、産まないに関わって、出生前診断は抑制的になされてきました。命の選別になるからです。後ろめたさを伴いながらも診断を受けようとする心理の背景には、障害や疾患のある子供を差別や偏見にさらされることなく育てられるという社会認識と社会環境が整っていない現状があります。
出生前診断は、妊婦のこうした不安な心理に付け入り、検査する施設は拡大しました。無認定施設の多くは日本医学会の指針に基づかず、精度が十分に検証されていない検査を実施しており、誤った結果を伝えられた人の中には、実際中絶に踏み切ったケースもあるようです。出生前診断について知事の御見解を伺います。
この質問の最後に、養育費の履行確保について伺います。
養育費の重要性に鑑み、離婚前から当事者への周知や相談体制の強化を図るとともに、協議離婚時の養育に係る取決めの義務化や養育費の立替え制度など、国による履行確保の強化に向けて、その具体策を早期に示すことを強く求めます。知事の御見解と、国への働きかけについて問います。
○議長(岩佐弘明) 18番大橋通伸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)子ども、子育て政策について20問御質問いただく予定だったんですけど、1問飛ばされましたかね。御質問いただいた項目について19点お答えをさせていただきます。
まず、1点目の子どもとともにつくる県政についてでございます。
三日月哲学というほどではないんですけれども、近年、子供たちを取り巻く環境は複雑化、多様化してきています。専門的な知識や大人の考えだけでは、判断、決定、進路を誤ってしまうのではないかと感じているところです。
子供たちの健やかな育ちのためには、当事者である子供たちと一緒に、どうしたらいいのか、自分なら何ができるのかを考えて行動することが、様々な問題の解決につながるのではないかと考えておりまして、県政のあらゆる場面に子供たちが参画できる仕組みを進めていかなければならないのではないかという思いを込めたものでございます。
2点目、国の財源確保の現況等についてでございますが、地域少子化対策重点推進交付金は、自治体が行う結婚支援の取組等に活用できるものであり、これまで、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして拡充に向けて提言を行ってまいりました。補助対象の拡大や補助率の引上げが図られたところでございます。
また、子ども・子育て支援新制度に係る1兆円の財源につきましては、既に0.7兆円が確保され、認定こども園等の量的な拡充が図られておりますが、残る0.3兆円がいまだ確保されておらず、1歳児や四、五歳児の職員配置の見直しは実現していないことから、県としても、これまでから累次にわたり要望を重ねているところでございます。
3点目、こども家庭庁についてでございますが、全国知事会では、国における設置の動きに先駆けて、子供政策を一元的に担う組織の創設を求めてきたところであり、こども家庭庁の創設を歓迎しております。
浅はかな私の経験から言っても、一つの行政庁を新設するということは相当難しいことだと思いますので、大きな前進だと捉えております。
議員お示しの様々な懸念は、新たな組織をつくったことで果たして縦割りの問題が解消されるのか、真に子供のための政策が進められるのかという本質を問われているのだと受け止めさせていただきました。継続検討とされた子どもコミッショナーについても、議論の動向を注視しているところであります。
こども家庭庁創設に当たりましては、各省の大臣への勧告権等を有するこども政策担当大臣が置かれるなど、司令塔機能が強化されることになっておりますが、子供を取り巻く様々な課題が各省庁の間で抜け落ちることがないように、自治体の立場からもしっかり確認し、必要に応じて提言をしてまいりたいと存じます。
4点目の地域子供の未来応援交付金でございますが、予算規模や対象事業の拡大につきましては、これまでから全国知事会等を通じて国に要望を行ってまいりました。
その結果、昨年度の補正予算や今年度の当初予算におきまして、困難を抱える子供たちを対象とした居場所づくりや相談窓口の設置、アウトリーチ支援のための人材配置などの事業が新設、拡充され、プロジェクトチームリーダーとしても一定の手応えを感じているところでございます。
今後は、各市町においてこれらの事業にしっかりと取り組まれるよう働きかけるとともに、さらなる制度の充実に向けて、引き続き地域のニーズをお聞きしてまいりたいと存じます。
5点目、子ども・若者基金についてでございますが、毎年計画的に一定額を積み立てていくものではないと考えております。
将来のさらなる積み増しにつきましては、今後の子供を取り巻く状況や国の子供政策拡充の動向、県の財政状況等も踏まえながら考えてまいりたいと存じます。
6点目、目標値修正を含めた見解についてでございますが、国の人口動態統計によりますと、本県の令和3年の合計特殊出生率は1.46となり、前年よりも0.04ポイント低下し、過去5年間でも低下傾向が継続しております。
減少の主な要因といたしましては、未婚率の上昇や晩婚化、晩産化の進行も挙げられ、最近ではコロナ禍で結婚、出産を控える動きの影響も考えられるところでございます。
こうした現状について重く受け止めておりますものの、総合戦略で掲げる合計特殊出生率の目標値1.8というものは、子供を持ちたいと思う国民の希望がかなった場合に到達するとされる国民希望出生率によるものでございまして、県といたしましては、県民の皆さんの希望をかなえられるよう、引き続き、この目標値の下で精いっぱい取組を進めていくべきだと考えております。
7点目、農村部の若い世代の価値観についてでございますが、農山村地域には美しい風景や豊かな自然環境など、私たちに癒やしを与えてくれる多くの魅力がありますものの、少子高齢化や土地持ち非農家の増加等により、そこに住む若者の地域への愛着が薄れてきている面もあるのでしょうか。
一方で、北部地域でも取り組まれているしがのふるさと支え合いプロジェクトを通して、他の地域の多くの若者が農山村の魅力を感じ、それを将来にわたり守り続けたいという思いから様々な集落活動へ参加いただいてもおります。
こうした他の地域の若者、例えば大学生や高校生等と交流することによって、農山村地域の若い世代が改めて自分たちの住んでいる地域の価値に気づき、そこに暮らす魅力を再認識するということもあるのではないかと期待をしております。
また、外に出てみて分かることもあるのではないでしょうか。
8点目、体と心への影響についてでございますが、社会で起こっている重大な事件や出来事、また、昨今のコロナ禍における制限の多い生活などが子供たちにとってストレスとなり、体と心に様々な影響が及んでいると捉えております。
令和2年度の「すまいる・あくしょん」の策定に際しましては、3万人を超える子供たちにアンケートを行ったところ、「生活のリズムが崩れた」「イベントが中止になって残念」といった声がある一方で、「友達の大切さがわかった」「家族が健康でいてほしい」など周りの人を思いやるような声もあり、これら様々な意見に、改めて子供たちの置かれている状況を実感したところであります。
子供たちがどのような環境下にありましても笑顔で過ごすことのできるよう、子供たちの健やかな育ちを支える取組を社会全体で皆さんと協力しながらしっかりと進めていきたいと思います。
9点目、今どきの子供たちをどう見ているのかと大変難しい御質問をいただきました。あまり上から目線でステレオタイプに見るのはどうかと思います。「近頃の子供、特に日本の子供たちは、積極性や主体性、豊かな人間関係を形成する力などが乏しいのではないか」といった声があることは承知をしております。一方で、若い世代は「物質的な豊かさだけではない、多様な価値観を受け入れる柔軟さを持つ」とも言われております。
そもそも子供たちは一人一人異なる個性を持っており、社会の風評をもって今どきの子供と一くくりに捉えるのではなく、一人一人を個々に見詰めることが大切ではないかと考えております。
「子供は大人の社会を映す鏡」と言われます。今の子供たちの生活や言動に問題が仮に生じているとするならば、その原因は我々大人社会にあるとも考えられ、いま一度、我々大人が自らを振り返り省みつつ、社会全体で子供の育ちの環境について考えていく必要があるのではないかと認識しております。
10点目、保育人材確保の力点についてでございますが、まずは、保育を志す人材がしっかりと保育の職に就いていただけることが重要だと考えておりまして、そのために、保育士修学資金の貸付けや保育士のイメージアップのための広報などの取組を実施しております。
また、既に保育の職に就いている方につきましては、やりがいを持って継続して働いていただくことが重要だと考えておりまして、さらなる処遇改善について国に要望いたしますとともに、県としても、ほいく“しが”スマイル♪認定制度により、園が行う働きやすい職場環境づくりの取組を促進しているところであります。
11点目、保育施設の運営難についてでございますが、保育関係団体を通じて、数か所の園から、少子化により利用児童数が減少し、将来の施設運営に不安を抱いているというお声をお聞きしているところであります。
こうしたお声を踏まえ、今後、県としても、待機児童対策協議会において、各地域における今後の保育ニーズの見込みや課題について、まずはその現状を把握してまいりたいと存じます。
12点目、放課後児童クラブに係る課題と政府への働きかけについてでございますが、昨年度行いました放課後児童クラブに関する実態調査では、約6割の施設が支援員の確保に困難を感じていらっしゃる中、約3割の支援員が処遇改善を求めており、支援員の確保とそのための処遇改善が課題だと考えております。
また、昨年5月1日現在の待機児童は、前年より200人減少いたしましたものの、61人の待機児童が生じており、さらなる受皿確保も必要でございます。
さらに、利用料に関しましては、多くのクラブで生活保護世帯やひとり親世帯などへの減免が行われており、一部のクラブでは独自に実施されており、運営を圧迫している実情も確認できます。
こうした現状を踏まえ、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームを通じて、職員の処遇改善や運営費に関する補助の拡充について提言を行ったところであり、また、県独自にも、運営費に関する補助の拡充について国に対して要望を行っているところでございます。
13点目、仕事と育児の両立支援に関する県の役割等についてでございますが、労働者が、働く人たちが仕事と育児を両立させ、その能力を最大限に発揮して働き続けてもらうためには、企業自身がよりよい職場環境を整えることが必要不可欠であり、こうした企業に対して関係法令や支援制度を周知啓発し、機運の醸成を図ることが県としての役割であると認識しております。
このため、「滋賀労働」等の各種広報媒体による企業への周知啓発、経済団体や労働団体、行政などで構成いたします仕事と生活の調和・女性活躍推進会議しがでの意見交換、イクボス宣言企業やワーク・ライフ・バランス推進企業の登録などに取り組んできたところであります。
こうした中、従業員が少ない企業ほど子育てしやすい職場環境を整えることに苦慮していらっしゃるというお声があるほか、企業規模に関わらず、結婚や出産、子育てを理由に離職する女性が多いことから、在宅勤務や短時間勤務制度など多様で柔軟な働き方ができる各種制度の充実をいかに進めていくのかが課題であり、同時に可能性であると認識しているところであります。
14点目はいただきませんでしたので、15点目、不安を抱えた若年妊婦等への支援についてでございますが、予期せぬ妊娠などにより相談できずに悩む若年妊婦等につきましては、妊婦健診未受診での分娩や生まれたその日に虐待死に至る場合がありまして、妊娠期から支援を行う必要があります。
そのため、県では、この8月1日からにんしんSOS滋賀といたしまして、電話やLINE、メールによる相談窓口を開設したところであります。相談には助産師等の専門職に御対応いただいており、ここで把握した支援が必要な若年妊婦等につきましては、市町や関係機関と幅広く連絡調整を行い、継続的な支援につなげていくこととしております。
既に県内の中学校、高校、大学等へ案内カード、リーフレットを配布しておりますほか、今後、ドラッグストア等でも案内するなど積極的な広報活動を行い、誰一人取り残さない適切な支援に努めてまいりたいと存じます。
16点目、家庭で育児を行う世帯に対する支援についてでございますが、地域の身近なところで気軽に親子の交流や子育て相談を行うため、地域子育て支援拠点が県内全ての市町で設置されております。
また、育児疲れによる心理的、身体的負担を軽減するため、乳幼児を保育所等で一時的に預かる一時預かり事業が県内18の市町で実施されているところです。
さらに、保育所等の利用の有無に関わらず、全ての子育て家庭を対象に、早期、夜間等の緊急時に地域の方が児童を預かる子育て救助活動支援事業や、育児に関する悩みについて保健師等が専門的な見地から相談支援を実施する利用者支援事業などが多くの市町で実施されており、様々な観点から家庭での育児に向けた支援が行われているところです。
私も選挙期間中こういった事業を見る機会がございましたけれども、大変ほっとして子供たちも笑顔で参加されている様子などを拝見いたしましたので、とても重要だということを実感いたしました。
17点目、男性の育児休業取得の推進についてでございますが、議員御紹介の国の調査によりますと、男性の育児休業取得率は近年上昇傾向にはありますものの依然として低く、令和3年度の県の労働条件実態調査でも、県内企業の男性の育児休業取得率は13.2%と、国と同様の状況でございます。
また、昨年6月に公表された国の調査におきまして、男性が育休を取得しない理由として、「職場に迷惑をかけたくない」「職場が、男性の育休取得を認めない雰囲気である」が上位2つを占めておりますことから、労働者が希望すれば育休が取得できる環境を整えていくことが重要だと認識しております。
こうした中、国は育児・介護休業法を改正し、妊娠、出産を申し出た労働者に対して育休制度の周知や取得意向の確認を義務づけるなど、男性が育休を取りやすい環境づくりを進めており、県におきましても、法改正の周知啓発や企業を対象としたセミナーの開催等を通じて、男性の育休取得促進に向けた機運醸成に努めているところであります。
さらに、今年3月には、知事である私自身が県庁における男性職員の育児休業100%宣言を行い、県内企業に波及させていくべく、県庁自らが率先的な取組を現在鋭意進めているところであります。
18点目の不妊治療と仕事の両立支援についてでございますが、平成29年度の厚生労働省の調査によりますと、不妊治療をしたことがある、または予定していると回答した人の中で、仕事と両立している、または両立を考えている人の割合は53%にとどまっており、通院の負担等により仕事との両立を諦めている人が一定数存在しているという状況を見ております。
また、令和3年度の県の労働条件実態調査では、有給の不妊治療休暇のある企業は2.9%、不妊治療の通院に利用しやすい時間単位での年次有給休暇を認めている企業は32.9%にとどまっているなど、労働者、働く人たちが安心して治療を受けられる十分な環境には至っていないと認識しております。
このため、県におきましても、滋賀労働局と連携いたしまして、国の助成金制度や今年4月に新たに設置創設された不妊治療と仕事の両立に関する企業の認定制度くるみんプラスを周知するとともに、不妊治療についての理解を深めるため、企業の管理職や人事担当者向けに出前講座を実施しているところです。
今後も、子供を産み育てることを希望する夫婦が勤務条件など外的な要因により治療を諦めたりすることがないよう、取組を進めてまいりたいと存じます。
19点目、出生前診断についてでございます。
国の報告書によりますと、「出生前検査は、胎児の状況を正確に把握し、将来の予測をたて、妊婦及びそのパートナーの家族形成の在り方等に関わる意思決定の支援を目的」とするものであり、「マススクリーニングとして一律に実施することや、これを推奨することは、厳に否定されるべきであること」とされております。
私もこの考え方に基づき、妊婦やそのパートナーが正しく理解した上で、知識や技能、責任を有する専門職のいらっしゃる日本医学会認定施設において適切に検査が実施されるべきものと考えます。
県では、子育て・女性健康支援センターや不妊専門相談センターにおいて相談対応しているところであり、今後もこうした窓口を広く周知することなどにより、正しい情報の提供や関係機関等との連携、調整を図るなど、適切な支援に努めてまいります。
最後、20点目、養育費の履行確保についてでございますが、養育費は、離婚して子供を監護している親にとって、子供の健やかな成長を図るために大変重要なものであると認識しております。
県では、離婚前後の父母等を対象とした弁護士相談や養育費の履行を確保するための公正証書の作成を支援する取組などを実施しているところです。
また、国に対しては、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームを通じて、履行確保に向けた対策の強化と地方の取組への支援を要望しており、今後の法制審議会における、親の権利の親権制度の見直し状況も注視しつつ、引き続きひとり親家庭の子供が安心して暮らせるよう、取組を強化してまいりたいと存じます。
◆18番(大橋通伸議員) (登壇)御心配をいただきました14番、割愛します。諦めます。
再質問を2つさせていただきます。
1つ目ですけど、9番目に係って、内容は、おとなしい子供についてです。学力調査では測れない子供たちが本来持っている力についてです。大人に従順な子供で本望ですかとの問いを込めて再問します。
自分たちのことは自分たちで考え、時にぶつかり合いながら、認め合い、折り合い、譲り合いながら全体の納得と了解を導き出していく。子供たちが子供たち独自の自治を体現しながら自治に関心を高めていく。大人は静かに見守ります。格好の主権者教育と考えます。
昨日の駒井議員の質問に対して、知事が子供のことは子供抜きには決めないとの御答弁ありました。心に残っています。子どもとともにつくる県政の真髄もここにあろうと思います。御見解を伺います。
2つ目です。
家庭で育児を行う世帯、御答弁いただきました。選挙中の思い出話も心に残りました。
家庭で育児を行う世帯に今後どのような仕組みが必要かずっと考えていました。育児の社会化はどうかと考えています。2000年──平成12年に介護保険制度が開始しました。介護の社会化でした。この介護を育児に適用してはどうかと考えています。
介護保険制度を登場させたのは、介護の社会化に共鳴した世論でした。介護の家族負担を社会全体で肩代わりしようという考え方でした。あれから22年後の今、出生数の減少はやまず、その最大の理由として育児負担が挙げられています。この先、出生数の先細りは、婚姻数の減少からも明らかです。婚外子比率が高い欧米諸国と違い、日本にあっては婚姻後の出産が大多数です。2021年の婚姻数は51万442件で、前年より4.3%もの減少です。
かつて、老いた親の介護が日常生活にあって、高いハードルとして社会問題となっていました。介護の社会化の世論の高まりの中で介護保険制度が生み出され、問題を乗り越えてきました。それと同様に、今、育児の社会化を真剣に考える時期に突入していると考えます。
厚生労働省においては、育児、家事支援のヘルパー制度など、有力な支援策が検討されていると聞いています。子育て家庭への支援について知事の思いを、見解を伺います。
以上、2つお願いします。
◎知事(三日月大造) まず、1つ目にいただいた再問なんですけれども、主権者教育とまで言わずとも、やっぱり自分たちのことは自分たちで決める、みんなのことはみんなで考えて決めると。そして、決めたことをみんなで分かち合って実行していくということが大事なんじゃないかと思います。そういうことが社会の、もしくは学校の、家庭の、地域の中、至るところで行われているということが大事なんじゃないかと思います。
滋賀県は、例えば学力・学習状況調査の結果なんかを見ても、地域活動に参加している小学生、中学生の割合が非常に高うございます。その中で、例えば祭り1つやるにしろ、子ども会活動をやるにしろ、みんなで、「さあ、どうしようか」と言って考えて決めてることというのが多いんじゃないかと思いますね。そういうことをぜひ、例えば学校の場面でもそうでしょうし、いろんなところでつくっていくことが自覚を促し自治を進展することにもつながっていくのではないかと思います。
同時に、本物の体験をするということも大事ではないかと思っていまして、自分たちではうまくいかないことを、自然相手に、他の生き物相手にどのように乗り越えていくのかということも大事ではないかと思いますので、うみのこ、やまのこ、ホールの子、たんぼのこ、つちっこなどのこの本物体験をこれからも重視しながら滋賀の教育を形づくっていければと考えております。
もう一つの育児の社会化というものを施行すべき時期に来ているのではないかという御指摘は大変重く、なるほど、そうだなと思って受け止めさせていただきました。
国でもこども家庭庁をつくったことを受けて、令和6年度から母子保健をつかさどる子育て世代包括支援センターと児童福祉をつかさどる子ども家庭総合支援拠点を再編して、相談や訪問などの支援を包括的に行うこども家庭センターを各市町に設置しようということで今取組を進められているようですので、県もこういう機関を中心に、地域の住民の皆さん、民間団体等と連携して、社会全体で子育て家庭を支える体制というものを構築していきたいと考えておりますし、そのための様々な財源なども、これ、どのように生み出していくのかということについて、これはまた滋賀だけではなくて国全体で議論することもあろうかと思いますけれども、みんなで知恵を集めていく時期に来ているのではないかと思います。
◆18番(大橋通伸議員) 終わります。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、18番大橋通伸議員の質問を終了いたします。
最後に、29番有村國俊議員の発言を許します。
◆29番(有村國俊議員) (登壇、拍手)知事は「子ども、子ども、子ども」というふうにおっしゃっておられます。今回の議会でも「子ども、子ども」と議員の皆さんもおっしゃっておられます。先般の常任委員会で福永教育長は、その上で、子供を真ん中に置くということをおっしゃいました。それぞれ、なるほど、いい言葉だなというふうに思っております。
目的は、滋賀の子供たちあるいは日本の子供たち、自尊心を養っていただけるような教育、自己肯定感を高めてもらえるようなそういった施策も一生懸命やっていこうということなんだろうというふうに思っております。そういう意味で、私たちの次の世代の子供たちがこの日本を牽引してもらう、そんな教育がこの滋賀からできればいいなというふうに思っております。マスクを外させていただきます。
ちょっと余談にもなりますけれども、ちょうど先月、思い出したんですが、亡き石原慎太郎さんの息子さんたち、何人かいらっしゃいますけども、たまたま天気予報の、今ちょっとすごい降雨があったんですが、良純さんと会う機会がありました。政治家の父親を持っていたので、ほとんど家で父親から教わったことが何もないというような話の中で、私たち子供たちが記憶に残っているのは何かといえば、お父さんに相談したら必ず「感性で生きろ」と。「子供の頃から大人になって死ぬまで感性で生きろ」、それしか言わなかったということでありまして、まさに先ほどの木沢先生じゃないですけど、ありのままのそのままのアイデンティティーを高めていただきながら、しっかりと大切な感性を磨いて生きていきたいなというふうに思っております。
もといですね。
それでは、西の湖の水環境改善について
琵琶湖環境部長に伺います。
内湖は古来、周辺に住む人々の日常生活に密着した存在であり、内湖の水は生活用水、農業用水として利用されるとともに、その水源は舟運のルートとして活用されてきました。
また、内湖はコイ科魚類を中心とした魚類の産卵の場、仔稚魚の生育の場として重要な機能を果たし、産卵等のため遡上する魚類の捕獲が行われるとともに、内湖で繁茂する水草や湖底の泥は肥料として陸地に還元されるなど、まさに地域の社会基盤の核として機能してきたと言えます。
このように、内湖が本来持つ機能は、人々がそれに価値を見いだし、生活の中で利用されることを通じて維持されてきました。
しかし、近年の生活様式の変化の中でそれらの価値が低下した結果、内湖は利用されなくなり、人々の暮らしの中で遠い存在となっていきました。
こうした背景の下、戦中戦後の食糧増産や耕地面積拡大政策によって内湖の干拓や埋立てが行われ、農地となり、過去数十年の間に総面積のおよそ85%が消失するとともに、かつての内湖の機能は大きく低下していきました。現在存在する内湖は33か所であり、その総面積はおよそ540ヘクタールと言われています。
西の湖は、その面積がおよそ220ヘクタールと全体の40%を占める県内最大の内湖であるとともに、その周辺には広大なヨシ群落が広がり、水郷が張り巡らされ、琵琶湖八景の一つ、安土八幡の水郷として、観光でいらっしゃる皆様が水郷巡りを楽しんでいらっしゃいます。
また、ヨシ群落をはじめとする湿地には多くの動植物が確認され、平成20年10月にはびわ湖のラムサール条約湿地登録エリアが拡大され、西の湖が追加登録されるとともに、地域の方々がヨシ群落を大切に守り育てながら、ヨシ産業地の一つとしてよしずなど多くの加工品を生産しておられます。
このように、西の湖は今でも内湖が持つ機能に人々が価値を見いだし、暮らしの中で密接に関わっているかけがえない存在であると言えます。
しかし、近年、西の湖や湖水が流出する長命寺川では、植物プランクトンが異常増殖することで形成されるアオコが頻繁に発生し、水道水の異臭味や魚への着臭が確認されるなど、人々の生活環境にも影響が生じています。
こうした西の湖の現状についてどのように認識されているのでしょうか、お伺いします。
また、私の地元、近江八幡市では、西の湖を生かした旧近江八幡市と旧安土町との回遊性の向上により地域一帯のにぎわいや魅力を創出していく方策の検討が進められるなど、西の湖のさらなる活用に向けた取組が進められています。こうした新たな取組の実現と今も行われている水郷巡りや漁業などの継続、発展には西の湖の水環境の改善が急務であると考えますが、県におけるこれまでの調査検討の経緯と結果について伺います。
かつて西の湖の周辺には、大中の湖、小中の湖、伊庭内湖が存在し、この一帯ではフナやコイ、モロコなど漁が盛んだったようであります。その後、小中の湖や伊庭内湖が干拓されましたが、西の湖では、イケチョウガイによる淡水真珠の養殖が盛んに行われていました。そして、昭和43年には大中の湖の干拓が完了し、おおよそ現在のような形となっています。
時代とともに生活様式や周辺の状況が変化する中、西の湖と人々の暮らしのつながり方や水環境も変化していますが、今後、水環境の改善を進める上で望ましい西の湖の姿とはどのようにお考えでしょうか。また、その姿の実現に向けた県の具体的な取組について伺います。
○議長(岩佐弘明) 29番有村國俊議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
琵琶湖環境部長(高木浩文) (登壇)西の湖の水環境改善についての4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の現状認識についてでございます。
西の湖で県が実施しております水質調査結果によりますと、有機物の量を示すCODやBOD、全リン、植物プランクトンの量を示すクロロフィルaの濃度が平成27年頃から増加しておりまして、水質は悪化傾向にございます。
こうした状況は、他の内湖や河川では見られない西の湖特有の現象と認識しております。
2点目のこれまでの調査検討の経緯等についてでございます。
県では、平成29年度から県の関係部局によります情報交換会を開催いたしまして連携強化を図りますとともに、令和2年度には西の湖に流れ込む河川の
流入負荷量の調査を実施いたしました。
また、令和3年度には、有識者や地元関係者等で構成いたします西の湖水質改善対策検討会を設置いたしまして、これまでの調査結果を踏まえまして現状と課題を整理し、今後の改善対策について検討いたしました。
その結果、西の湖では特にリン濃度が増加していることから、まずは、その原因究明と対策の実施を通じてアオコの抑制を目指すことといたしました。
3点目の望ましい西の湖の姿でございます。
かつては琵琶湖と西の湖流域をつなぐ豊かな生態系や自然環境と調和の取れた水環境が確保され、多くの在来魚の繁殖や育成の場でございました。
また、人々が日常生活の中で西の湖と関わり、水辺の景観やヨシ、豊かな魚介類を利用した生活など、地域固有の文化を育まれておられました。
こうした自然と人とが共生できる西の湖が望ましい姿であると考えております。
4点目、県の具体的な取組についてでございます。
まずは、アオコの発生状況をより詳細に把握するため、今年度から近江八幡市と連携いたしまして、定期的にアオコの発生状況を調査しております。
また、環境省とも連携いたしまして、湖底の泥からリンの溶出を抑制することなどを目的といたしまして、極めて微細な酸素の気泡──ウルトラファインバブルと申しますが──ウルトラファインバブルを発生させる装置を用いまして、水質および底質を改善する実証実験を開始したところでございます。
今後ともこれらの取組を継続いたしますとともに、その結果を地域の皆様とも共有しながら、西の湖の水環境の改善に努めてまいりたいと存じます。
◆29番(有村國俊議員) (登壇)アオコが発生したときに県の対応、早かったですね。高木さん、元の元、琵琶湖環境部にいらっしゃったと思うんですけども、そういった流れと、当時の皆さんもはじめ関係者の皆さんにそれは感謝したいなというふうに思っております。
今、国、県と市が一体となって西の湖の水環境改善に向けた取組をしっかりと進めていただければと思っておりますし、1点再質問で、今でも多くの方々が、昔から今もこれからも西の湖を大切に思って、密接に関わりながら暮らしておられます。そうした方々の思いに応えるためにも、西の湖の水環境の改善に向けて必要な財源を確保しつつ、着実に進めていただきたいと思いますが、改めて西の湖の、この曝気のあれもやっていこうということで今年度取り組んでいただくわけなんだけども、西の湖の再生に向けた所見について
琵琶湖環境部長に再度伺わせていただきたいと思います。
◎
琵琶湖環境部長(高木浩文) お答えいたします。
西の湖は、古くから琵琶湖と一対をなし、人と生物の共通の営みを通じまして、長い年月をかけて形づくられた多様な価値を有しております。
県といたしましても、こうした西の湖の有する価値を人々がしっかりと感じ、また、享受できるよう、環境を整えることが重要であると考えております。
内湖の保全再生につきましては、琵琶湖保全再生施策に関する計画にも位置づけておりまして、県としては、この計画に基づき、国や近江八幡市とも連携しながら必要な財源をしっかりと確保し、水環境の改善に着実に取り組んでまいりたいと存じます。
◆29番(有村國俊議員) (登壇)それでは、次に進ませていただきます。
琵琶湖大橋、近江大橋を利用する歩行者の安全対策について、土木交通部長に伺います。
新型コロナウイルス感染症について、第7波の感染が爆発的に拡大しております。この第何々波、第○○波というのは一体いつまで続くのかなと思う昨今の情勢ですが、新しい生活様式の取組の中、健康志向の高まりを受けて、コロナ禍においても密を避けられる散歩やジョギングを楽しまれる方が増えているように思います。
アフターコロナにおいても、今まで以上にジョギングなどを含む歩行者、ビワイチなどで増えてきた自転車に加え、これからの高齢化社会でさらに利用が進むであろう電動のシニアカーなど多様な乗り物が行き来するのは容易に想像できます。
特に滋賀県を代表する大橋である琵琶湖大橋、近江大橋は、近年、自転車、歩行者の利用が増えているように感じていますが、琵琶湖大橋、近江大橋を利用されている自転車、歩行者の方々はどの程度いらっしゃるのかお尋ねします。
また、私はかねてより、琵琶湖大橋、近江大橋の夜型観光のイルミネーションを定例会議で2度提唱をしてきました。なかなか反響があるというふうに私は思っておりますが、まさに一見見たときから忘れられない琵琶湖にかかる優雅なシルエットのイルミネーションの実現に向けて、今後、様々な観光施策を展開する中でも、この2つの大橋を大いに活用できればと考えているところであります。
日本一の琵琶湖をまたぐこの2つの大橋を夜型観光に生かすことができれば、本県の新しい魅力を引き出すことができ、夜間に通行する人がさらに増えてくるというふうに知事も意識を共有してくださっていますので、今後の取組を大いに期待しております。
ところで、先日、近江大橋を歩いて渡る機会がありましたが、背後から走り抜けていく自転車、自動車にどきりといたしました。
琵琶湖大橋と近江大橋は非常に大きい橋で、一番高いところは琵琶湖大橋で水面から27.1メーター、ビルにして10階ぐらいの高さがあり、近江大橋はその半分の13.32メーター、ビルにして4階か5階ぐらいでしょうか。高いところの歩道を琵琶湖側に寄って歩くのはスリルがありますよね。一方で、スピードが出ている車が走る車道側を歩くのもなかなか厳しいなというふうに感じました。強風にあおられるとなおさらのことであります。そのため、歩行者、自転車は中央によって走行する傾向にあるように見受けられました。
念のため、さきおとといの夜、21時30分頃に琵琶湖大橋の歩道を歩いてきました。驚いたことには、多くの方々が自転車、普通の自転車ですね、それと、歩いて。女性の方1人もいらっしゃいましたけれども、歩いておられました。一昨日の夕方は、議会が終わってから近江大橋の歩道を歩きました。本田先生が途中で擦れ違って、今日声をかけてくれたんですけれども。こちらのほうも多くの方が、自転車、歩きの方がいらっしゃって、老若男女、カップルもいらっしゃいましたし夫婦もいらっしゃいました。
アンケート的にお話を伺うと、初めて渡ったと。琵琶湖大橋の夜もそうだったんですが、初めて渡った。おとといの近江大橋も初めて渡ったという方が半分ぐらいいらっしゃる。いつも車で渡っていましたけども、もっとたくさん、しょっちゅう通っていらっしゃる方かと思ったら、半分ぐらいが初めてだということで、ちょっと驚きました。
そこで、歩道の幅なんですけども、これは土木交通部の皆さんにも協力していただきましたが、琵琶湖大橋の歩道の幅は、北側の大津から守山方面が3メーターあります。南側の守山から大津方面が1.5メーター、その半分ぐらいです。南側の大橋は1期目に建てられた工事で、昭和39年の東京オリンピック、新幹線や名神高速道路の開通、余談ですが、私の生まれた年に竣工していると。当時は両側に1.5メーターの歩道がありまして、現在は進行方向左側の歩道のみが活用されている。右側も残っていますけども、左側の。
一方、近江大橋の歩道の幅は、北側の大橋、大津から草津方面が3.5メーター、琵琶湖大橋より広い。南側の大橋、草津から大津方面が1.9メーター、これも琵琶湖大橋より40センチ広い。
そこで、琵琶湖大橋、近江大橋の歩道を利用する方々が、昼、夜に関わらずさらに安全に往来できるよう、また、歩道等の空間を端まで利用できるように、例えば車道と歩道の間に柵を設置するなどの対策が必要かと思います。これらの大橋について歩道等の通行者に対するさらなる安全対策の必要について、土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(門間俊幸) (登壇)琵琶湖大橋、近江大橋を利用する歩行者等の安全対策について2点の御質問のうち、1点目、2つの橋における歩行者および自転車の交通量についてお答えいたします。
令和3年度の朝7時から夜7時までの12時間の交通量は、琵琶湖大橋につきましては歩行者が89人、自転車が274台となっており、近江大橋については歩行者が179人、自転車が752台となっております。
県が定めました道路の設計基準でございます近江の道づくりマニュアルにつきましては、1日500台以上を自転車の交通量が多い目安としておりまして、議員の御指摘のとおり、近江大橋が自転車の交通量の多い橋と認識しております。
2点目の歩道等の通行者に対するさらなる安全対策の必要性についてでございますが、近年の健康志向やビワイチの認知度の高まりもありまして、今後も歩道部の通行部は増加し、それに伴いまして歩行者と自転車の接触事故のリスクが懸念されることから、道路管理者としましても、実態を把握しながら必要な安全対策を実施していきたいと考えております。
具体的には、琵琶湖大橋および近江大橋は長い下り坂となっておりまして、構造的に自転車のスピードが出しやすいと、出やすいというふうなことで、速度抑制を促す路面標示や看板などによる啓発が有効と考えております。
また、両大橋の自動車の交通量はともに1日3万台を超え、非常に多いということでございまして、特に歩道部の交通量の多い近江大橋は、歩行者等の車道への逸脱をしないような柵を設置することも有効な安全対策の一つであると考えております。
さらに、夜間の視認性を高める対策も必要と考えておりまして、近江大橋では昨年度、照明灯のLED化を実施したところでございます。今後は、琵琶湖大橋でも道路公社におきましてLED化を計画しておりまして、歩道分の視認性の一層の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
◆29番(有村國俊議員) (登壇)今回の質問に対する協議で、道路整備課の皆さん、道路保全課の皆さん、そして土木交通部の皆さんに幾度も大変お世話になりました。
今回、私も議事録で、琵琶湖大橋、近江大橋の歩道あるいは歩行者用道路の議事録の検索をしてみたんですけど、ヒットしなかったんですね。どうしてヒットしなかったのかなというふうに思ったんですけど、それは多分みんなそれぞれ工夫しながら通っていたのかなというふうな思いであります。
昨日、ちょうど琵琶湖大橋のピエリのほうから1.5メーターの歩道、左側です、南側ですね。そちらを通っている高校生、ちょうど一番頂上付近で見ましてね。すごい見たなとうれしかったわけなんですよ。1.5メーターのとこを自転車で行くわけですね。これがやっぱり、僕も横を走りながらですけど、スピード50キロ。50キロ、1.5の幅の歩道を上から下りていって、マクドナルド、堅田のほうへ行くわけですね。すごいなと思いました。でも、慣れている様子でした。全然へっちゃらという感じがあったので。だから、どうってことないと思うんですけども。
そういうわけで、今回そのスリリングな歩行者用道路を何とかしていこうということで質問しましたら、何とかしていこうじゃないかというような土木交通部長の答弁だったと思います。
ここで1点確認させていただきたいんですけど、先ほどのお答えの中で、近江大橋でまずは何かやってみたいなというようなふうにも取れたんですけども、具体的に何か方策があれば、お聞かせいただければありがたいと思います。
◎土木交通部長(門間俊幸) これから詳細な交通量であったり利用状況を把握しながら、具体的な対策箇所を整理していきたいというふうに考えております。
ただ、イメージしておりますのは、例えば近江大橋の大津側ですと、例えば草津側から大津のなぎさ公園へ行くときは、先生のおっしゃるとおり、下り坂があるために自転車が相当スピードを出しているというふうな構造でございますし、歩道が幅が変わっていったりしているというふうなこともございますので、スムーズな移動が妨げられるとか、加えて、西詰の交差点は、あそこは歩道部がカーブしているというふうなことで、先ほどのスピードを出した自転車と歩行者と、あと、公園利用者、それらの交通の流れが錯綜するというふうな実態もございます。
こういった箇所につきまして状況を調査しまして、必要な安全対策を考えていきたいというふうに考えております。
◆29番(有村國俊議員) (登壇)それと、今回この2つの大橋の歩道を歩いた感想としまして、滋賀の山、川から流れ出た水がたまった琵琶湖の大海原の雄大さを実感することができたことは、まさに新たな発見でございました。県民の皆様には、ぜひともこのブルーのアーチのほれぼれとするこの構造物を、新鮮な感覚を体験していただきたいと思います。ああ、なるほど、滋賀の魅力って、琵琶湖の魅力ってこれなんだと実感すること間違いないというふうに私は確信できました。
このルートは、滋賀にお越しくださる方々の観光スポットにもやっぱりなり得ると確信も持てました。そして、要は、これらの大橋を利用する方が、特に歩道を利用される方が安全に安心に利用できるようにすることだと思っておりますので、引き続き善処いただけるように、何とぞよろしくお願い申し上げます。
最後に、醒井養鱒場の役割について、農政水産部長に伺います。
醒井養鱒場は、明治11年に醒井村枝折地先に開設された県営枝折ふ化場を起源として、湧き出る豊富な湧水を利用してマス類の増養殖技術の研究開発とともに、県内の養殖業振興や河川のマス類資源の維持を図るために、種卵や種苗の生産と供給を行ってきました。
また、場内には大小80余りの池にニジマスやイワナ、アマゴなどが泳ぎ、四季折々の風趣が楽しめる観光地であります。多くの県民の皆さんにとって、子供の頃行ったことがある、家族であるいは学校からといった具合に大変親しまれた施設であります。
平成25年4月からは、滋賀県漁業協同組合連合会が指定管理者として県から委託を受けて、マス類の生産や観覧などに係る業務を行われているところでありますが、業務のうち、試験研究については、引き続き水産試験場の一部として行われているところであります。
そこで、4点伺います。
1点目、現在、醒井養鱒場ではどのような取組がなされていますか。
2点目、醒井養鱒場の役割としては、特に河川漁業の振興に関わる部分が重要と思うところであります。近年のアウトドアブームの中、県内の河川に釣り人を呼び込むことは、ポストコロナや山間地域の活性化などの観点からも重要と考えますが、水産行政として河川漁業の振興を図る上でどのような課題がありますか。
3点目、河川漁業を振興していく上での課題に対してどういった取組を行っておられますか。醒井養鱒場での取組も含めてお尋ねします。
4点目、今後、醒井養鱒場ならではの機能が一層発揮されるよう、いかなる取組を進めていかれるか。
以上4点お伺いします。
◎農政水産部長(宇野良彦) (登壇)醒井養鱒場の役割についての4点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の醒井養鱒場の現在の取組でございますが、県の試験研究機関といたしまして、琵琶湖の宝石とも呼ばれますビワマスのほか、イワナ、アマゴといったマス類に関する調査研究に取り組んでおります。特に現在は河川漁業振興のための研究に注力をしているところでございます。
養鱒事業といたしましては、河川放流用や養殖用の種苗としてマス類を生産し、主に県内河川の漁業協同組合や養殖業者に供給をいたしております。
また、豊かな森林と清らかな水に恵まれた風光明媚な環境の中、マス類の泳ぐ姿が見られますほか、釣り池やふれあい河川を有しまして、地元米原市の主要な観光資源の一つともなっております。
さらに、主に小中学生の皆さんを対象にいたしましたニジマスの採卵体験や、夏休みには親子魚教室の開催など、湖魚や琵琶湖の漁業への理解を深める取組も行っているところでございます。
次に、2点目の河川漁業の振興上の課題でございます。
県内にはマス類やアユなどの漁場を管理しておられる17の河川の漁業協同組合がございます。遊漁者、いわゆる釣り客でございますが、そういった方からの遊漁料収入などによりまして、漁場の管理や種苗放流の事業を行っておられます。
近年では、県内におきましてこの遊漁者の数がこの10年間で約6割に減少しておりまして、遊漁料収入の低下が漁協経営上の大きな課題となっているところでございます。
さらに、河川でカワウの生息数が増加いたしまして、放流したアユ等の食害などが河川環境の変化といったことも課題となっているところでございます。
次に、3点目の河川漁業振興上の課題に対する取組でございますが、水産行政といたしましては、漁協が行われるアユやマス類の種苗放流や市町が行われるカワウ被害を低減するための防鳥糸、鳥を防ぐ糸でございますが、その設置の取組などへの支援を行っております。
遊漁者を増やす取組といたしまして、滋賀県河川漁業協同組合連合会が行われる河川での釣りの魅力を知っていただく釣り教室や種苗放流などの体験学習会の開催への支援も行っているところでございます。
また、醒井養鱒場では、河川漁業の魅力をさらに高め、遊漁者を増やすことを目的といたしまして、遊漁者に好まれる美しい姿のアマゴやイワナの種苗の生産のほか、生存率、生き残る率ですが、これを上げるための最適な放流時期の研究など、技術開発に取り組んでいるところでございます。
最後に、4点目の醒井養鱒場の今後の取組でございますが、養鱒事業につきましては、特にビワマスはその美しさやおいしさはもとより、琵琶湖固有種としての希少性も相まって、全国的にも人気が高まりつつあるところでございます。優良な種苗の研究や県内養殖業者への安定供給に努めまして、生産の拡大を図ってまいりたいと考えております。
今回の世界農業遺産の認定を契機といたしまして、ここ滋賀での琵琶湖八珍のPRや商品販売などを通じまして、首都圏でのビワマスの魅力発信に努めてまいりたいと考えております。
また、観光資源といたしまして、地元の関係者の皆さんと連携して、紅葉ます祭など季節ごとのイベント開催を通じまして、醒井養鱒場の魅力の発信に努めるとともに、県内外の皆様に一層親しまれる施設として、その活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
◆29番(有村國俊議員) (登壇)どうも御答弁ありがとうございました。
150年続く醒井養鱒場のこれからの役割について期待を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 以上で、29番有村國俊議員の質問を終了いたします。
以上で発言通告のありました発言は終わりました。
この際、関連質問はありませんか。
(「なし」)
関連質問なしと認めます。
以上で質疑ならびに一般質問を終わります。
────────────────
△議第83号から議第102号まで(令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか19件)ならびに請願(各常任委員会付託)
○議長(岩佐弘明) 議第83号から議第102号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
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令和4年7月定例会議議案付託表
令和4年8月4日(木)
〇総務・企画・公室常任委員会
議第83号 令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳入の部 全 部
歳出の部 款2 総合企画費
第3条 地方債の補正
議第85号 滋賀県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案
議第86号 滋賀県職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案
議第87号 滋賀県税条例の一部を改正する条例案
議第88号 滋賀県税の課税免除および不均一課税に関する条例の一部を改正する条例案
議第89号 滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案
議第94号 滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりの推進に関する条例の一部を改正する条例案
〇土木交通・警察・企業常任委員会
議第83号 令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款9 土木交通費
款10 警察費
第2条 債務負担行為の補正
議第91号 滋賀県建築基準条例等の一部を改正する条例案
議第92号 滋賀県営住宅の設置および管理に関する条例の一部を改正する条例案
議第97号 契約の締結につき議決を求めることについて(大津能登川長浜線補助道路整備工事)
議第98号 契約の締結につき議決を求めることについて(大津能登川長浜線補助道路整備工事)
議第100号 契約の変更につき議決を求めることについて(大津能登川長浜線補助道路整備工事)
議第101号 契約の変更につき議決を求めることについて(大津能登川長浜線補助道路整備工事)
議第102号 契約の変更につき議決を求めることについて(新庄寺(長浜)県営住宅建替事業)
〇環境・農水常任委員会
議第83号 令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款5 琵琶湖環境費
議第84号 令和4年度滋賀県琵琶湖流域下水道事業会計補正予算(第1号)
〇厚生・産業常任委員会
議第83号 令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款6 健康医療福祉費
款7 商工観光労働費
議第90号 滋賀県民生委員の定数を定める条例の一部を改正する条例案
議第95号 滋賀県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
〇教育・文化スポーツ常任委員会
議第83号 令和4年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款4 文化スポーツ費
議第93号 滋賀県都市公園条例の一部を改正する条例案
議第96号 滋賀県立美術館条例等の一部を改正する条例案
議第99号 契約の変更につき議決を求めることについて(新県立体育館整備事業)
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請 願 文 書 表
△請願第5号 滋賀県として地方創生臨時交付金(コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分)を活用し、中小事業者の営業と生活を守る施策の実施を求めることについて
請 願 番 号 第5号
受 理 年 月 日 令和4年7月28日
件 名 滋賀県として地方創生臨時交付金(コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分)を活用し、中小事業者の営業と生活を守る施策の実施を求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 黄野瀬明子 節木三千代
付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
コロナ禍の影響で、依然として多くの業種で売上高が回復せず、厳しい景況が続いている。燃油や資材、食料など物価高騰、異常な円安が拍車をかけ、中小事業者の経営は危機に直面している。地域の中小事業者からは「やっとお客さんが戻りかけていたのにコロナの感染拡大で、客足が止まった」「半導体などの電子部品が1.3〜2倍に値上がり。物によっては5〜10倍だ」「小麦、バター、油などが値上がりしているが、料理の値上げができない」「見積りをしても1か月もしないうちに資材高騰で工事をすれば赤字になる」といった声が上がっており、事業復活支援金など直接支援が打ち切られる下で、廃業、倒産の増加が懸念されている。今全ての業種で深刻な状況が広がっている。これまでのような飲食店や小売店、サービス業だけを対象にした支援制度ではなく、建設業や製造業なども含む全ての影響を受けた業種の事業者を対象にした支援制度を緊急に創設すること。
滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例では「滋賀の中小企業は、地域の経済や社会の担い手として、生産や消費活動、さらには雇用や地域づくりなどの面において、重要な役割を果たしている」「滋賀の経済や社会が今後も持続的に発展していくためには、その主役である中小企業の活性化が不可欠である」と位置づけている。その趣旨を生かして、政府が1兆円の予算を組んで創設した地方創生臨時交付金(コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分)を活用し県内の中小事業者の営業と生活を守るため、以下の施策を早急に実施していただくよう請願する。
【請願事項】
1 地方創生臨時交付金を活用して、コロナ前との比較で売上げが減少している中小事業者(全ての業種を対象にした)の営業存続を支援する給付金や固定費補助などの制度を緊急に創設すること。
2 原材料や燃料および水道光熱費などの負担を軽減するための事業継続を支援する制度を創設すること。
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△陳情についての報告
○議長(岩佐弘明) なお、陳情については、お手元に配付いたしておきました一覧表のとおりであります。
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陳 情 一 覧 表
△陳情第2号 滋賀県議会として関西電力美浜原発3号機の運転再開への反対表明を求めることについて
陳 情 番 号 2
受 理 年 月 日 令和4年7月27日
件 名 滋賀県議会として関西電力美浜原発3号機の運転再開への反対表明を求めることについて
提 出 者 (略)
要 旨
美浜原発3号機は特重施設(テロ対策等対処施設)の工事のため昨年10月より運転を停止しているが、高浜原発3・4号機の特重施設工事での経験から工期短縮が可能になり、7月下旬から美浜原発の特重施設を運用開始できるとして、関西電力は6月10日に、美浜原発3号機の運転再開を、当初予定の10月から2か月早めて8月にすると発表した。
しかし、美浜原発3号機は原則40年とされている寿命を超えた老朽原発であることに加え、昨年の再稼働後、わずか3か月の営業運転中に2度も不具合を起こしており、関電のほかの原発でも、ここ数年立て続けに事故(死亡事故含む)や不具合が起きており、関電の安全対策や危機管理には強い不安がある。
安全性を最優先にできていない中で、電力逼迫を理由にした経済優先の運転再開は問題である。
よって、滋賀県議会として関西電力美浜原発3号機の運転再開に反対を表明していただきたく、ここに陳情する。
理由
・ 滋賀、福井県境の山々は標高が低いため、万が一の原発事故では県境とは関係なく放射能プルームが到来し、滋賀県一体が放射能汚染される可能性が非常に高く、県民の生活と関西の水源の危機に直結する。
・ 知事が表明されているように、万が一原発事故が起きた場合の多重防護態勢が構築されておらず、県内の避難計画もまだ十分に整っていない。昨年10月から長浜市の避難対象区域の75%、約7,000世帯にチラシ配布戸別訪問を行い、多くの住民から原発事故への不安、原子力防災の情報不足等の声を聞いている。
・ 政府や電力会社は電力需給が逼迫しているとしているが、関西での電力供給予備率は3%を上回っており、美浜3号機の運転再開により改善する供給予備率は8月では0.3%でしかなく、節電対策で十分に間に合う。
・ 昨今、全国的に地震が頻発している。美浜原発の周辺には活断層が密集しており、耐震性を上回る揺れで地表面にずれができた場合は、原発内部の配管が破断して大事故になる可能性が高い。
・ ロシアによるウクライナ侵攻での原発の占領や攻撃により、戦時における原発の危険性が浮き彫りになった。原子力規制委員会の更田委員長も、ミサイル攻撃等に対して「防護する手段は事実上ない」と認めている。
・ 原発事故では長期間の環境汚染が起こり、住民は避難等で、コミュニティ、なりわい、家族を失う人が多数発生することが福島第一原発事故で証明された。さらに、目に見えない放射能の影響を心配しながらの生活によるストレス、意識の違いによる分断を生み出す。
・ 使用済み燃料は、処分方法や処分地の問題が解決されていない。後世への負の遺産にしかならない使用済み核燃料をこれ以上増やさないためにも、原発から早期に撤退すべきと考える。
送 付 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
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△休会の議決
○議長(岩佐弘明) お諮りいたします。
明5日から11日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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○議長(岩佐弘明) 来る12日は、定刻より本会議を開き、付託案件に対する各常任委員長の報告を求めます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時2分 散会
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