滋賀県議会 2007-09-21
平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)−09月21日-02号
平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)−09月21日-02号平成19年 9月定例会(第17号〜第23号)
平成19年9月
滋賀県議会定例会会議録(第18号)
平成19年9月21日(金曜日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第2号
平成19年9月21日(金)
午 前 10 時 開 議
第1 議第103号から議第129号まで(平成19年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか26件)(質疑、質問)
第2 議員派遣の件
───────────────────────────────
本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
第2 日程第2の件
───────────────────────────────
会議に出席した議員(47名)
1番 川 島 隆 二 君 2番 奥 村 芳 正 君
3番 生 田 邦 夫 君 4番 野 田 藤 雄 君
5番 西 村 久 子 さん 6番 中 谷 哲 夫 君
7番 成 田 政 隆 君 8番 九 里 学 君
9番 柴 田 智 恵 美 さん 10番 江 畑 弥 八 郎 君
11番 木 沢 成 人 君 12番 清 水 鉄 次 君
13番 佐 橋 武 司 君 14番 節 木 三 千 代 さん
15番 西 川 仁 君 16番 角 川 誠 君
17番 沢 田 享 子 さん 18番 今 江 政 彦 君
19番 西 川 敏 輝 君 20番 辻 孝 太 郎 君
21番 西 沢 桂 一 君 22番 田 中 章 五 君
23番 山 田 実 君 24番 粉 川 清 美 さん
25番 石 田 祐 介 君 26番 宇 賀 武 君
27番 福 本 庄 三 郎 君 28番 蔦 田 恵 子 さん
29番 山 田 和 廣 君 30番 山 田 尚 夫 君
31番 辻 貢 君 32番 佐 野 高 典 君
33番 家 森 茂 樹 君 34番 吉 田 清 一 君
35番 辻 村 克 君 36番 世 古 正 君
37番 三 浦 治 雄 君 38番 中 村 善 一 郎 君
39番 上 野 幸 夫 君 40番 梅 村 正 君
41番 西 川 勝 彦 君 43番 大 井 豊 君
44番 谷 康 彦 君 45番 中 沢 啓 子 さん
46番 出 原 逸 三 君 47番 青 木 愛 子 さん
48番 森 茂 樹 君
───────────────────────────────
会議に欠席した議員(なし)
───────────────────────────────
会議に出席した説明員
知事 嘉 田 由 紀 子 さん
教育委員会委員長 高 橋 啓 子 さん
選挙管理委員会委員長 伊 藤 正 明 君
人事委員会委員長代理 宮 崎 君 武 君
公安委員会委員長代理 宮 川 孝 昭 君
代表監査委員 宮 村 統 雄 君
副知事 澤 田 史 朗 君
政策調整部長 橋 本 俊 和 君
総務部長 谷 口 日 出 夫 君
県民文化生活部長 中 村 順 一 君
琵琶湖環境部長 山 仲 善 彰 君
健康福祉部長 馬 淵 義 博 君
商工観光労働部長 沢 井 進 一 君
農政水産部長 但 馬 甚 一 君
土木交通部長 吉 岡 淳 君
会計管理者 加 藤 晴 吾 君
企業庁長 小 川 義 隆 君
病院事業庁長 川 尻 嘉 徳 君
教育長 斎 藤 俊 信 君
警察本部長 安 森 智 司 君
───────────────────────────────
議場に出席した事務局職員
事務局長 塩 見 和 夫
議事調査課長 南 史 朗
議事調査課課長補佐 上 田 勝 彦
───────────────────────────────
午前10時1分 開議
○議長(出原逸三君) これより本日の会議を開きます。
────────────────
△諸般の報告
○議長(出原逸三君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
人事委員会委員長市木重夫君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員宮崎君武君が、また、
公安委員会委員長吉田修君が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として同委員宮川孝昭君がそれぞれ出席されておりますので、御了承願います。
────────────────
○議長(出原逸三君) これより日程に入ります。
────────────────
△議第103号から議第129号まで(平成19年度滋賀県
一般会計補正予算(第3号)ほか26件)(質疑、質問)
○議長(出原逸三君) 日程第1、議第103号から議第129号までの各議案に対する質疑ならびに質問を行います。
本日は、会派代表による質疑ならびに質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、25番宇賀武君の発言を許します。
◆25番(宇賀武君) (登壇、拍手)皆さんおはようございます。9月定例会に当たりまして、自由民主党・湖翔クラブを代表して、知事、担当部長ならびに教育長、警察本部長に質問をいたします。時間の制約上、少し早口になり、お聞き苦しいところもあろうと存じますが、よろしくお願い申し上げます。
ところで、8月の猛暑の原因につきましては、ラニーニャ現象が日本の南海上で対流活動を活発にし、太平洋高気圧が勢力を増したことを挙げておりますが、国際社会で大きくクローズアップされてきた地球温暖化が進行し加速しているとはいえ、いよいよ深刻な状況が到来したのではないかと痛感いたしております。
一方、政治においては、戦後レジームからの脱却を掲げて2006年9月26日に、戦後生まれとして初めて第90代首相に就任され、教育基本法、国民投票法などを成立させた安倍総理が、けじめをつけ、局面を打開するとの強い決意のもとに、去る9月12日に辞任されました。正直、同じ党籍を持つ一人として大変驚いたところでございます。
小泉、安倍両首相が改革路線を進める中で、地方の痛みを配慮できなかったことが、参議院議員選挙での我が党の敗因の一つではなかったかと考えております。しかし、参議院議員選挙後、国会において衆参ねじれ時代を迎えたとはいえ、地球温暖化対策やテロとの戦いにおいては、国際協調体制の中で、ともにそれぞれの立場で使命と責任を果たしていくことが肝要であろうと思います。新しい首相には、国内外において信頼の回復と重い責務に自信と勇気を持って、国民の負託にこたえていただきたいと願うものであります。
さて、嘉田知事は昨年の7月20日に滋賀県知事に就任され、県政を担当されて、はや1年2カ月が経過いたしました。今日まで知事は、対話と共感を政治信条として、座ぶとん会議などを通じて、地元や生活現場に出向かれて、知事みずからの考え方や思いを話し合ってこられたとお聞きいたしております。今日のように社会変動の激しい中では、県民との真の対話こそ大切であり、私も同じ考えを持つ一人であります。我が会派も今、郡市別に平成20年度の予算編成に向けて、市町における国、県への予算要望の聞き取りを実施してまいりました。知事と同様に、出向いてまいりますと、それぞれの地域の実情がまさに手にとるように理解でき、地方政治や行政執行を預かっておられる、首長を初めとする関係者の大変な御苦労が読み取れるのであります。
今回の聞き取りで、各地域の現場から聞こえてくる声は、財政的に困窮しているとは申せ、事業の凍結や補助金のカット、さらに、県との信頼関係のもとに推進してきた事業なども、地元の考え方や意見もほとんど聞き入れることなく一方的に中止ないし見直しをされるやり方に憤りを感ずる、また、基礎的自治体であります市町においては、財源不足だと言って福祉を初めとする行政サービスや各種事業をストップさせることは到底許されることではなく、県当局はもっと各地域の声に謙虚に耳を傾けてほしいと強く要望されておられます。知事は、これらの声にどのようにこたえていこうとされるのか。
いずれにいたしましても、この1年は嘉田色の見えない1年でありましたが、2年目を迎え、いよいよ対話と共感の真価が問われるものであり、知事の御奮闘に期待を申し上げ、質問に移ります。
まず初めに、新たな行財政改革と基本構想についてお伺いします。
県では、これまで数次にわたり財政改革に取り組んでこられました。そうした中で、知事は昨年の就任以来、新しい行政改革の方針を示し、新たな
財政構造改革プログラムを策定すると言われてきたところであります。さきの新行革大綱においても大きな財源不足額が示されていたところですが、知事はさきの提案説明において、平成20年度以降、400億円から460億円の財源不足が生じ、さらに厳しい状況になる見込みであると述べられました。ここ数年は企業業績も好調であり、県税収入も堅調に推移している状況に加え、平成19年度当初予算では、現行の改革プログラムを着実に実行するとされた中で、新行革大綱よりも厳しい状況が今になって見込まれるというのは、にわかには信じがたいところであります。
現在、庁内では新たな
財政構造改革プログラムの策定に向けてゼロベースでの見直し検討が進められていると伺っております。しかしながら、厳しい行革を行うに当たっては、単に削るだけではいけないと考えるところであります。厳しい財政状況の中にあっても、県の活力を最大限に生み出していくことが重要であり、そのために、知事としての県政の考え方を明確にして選択と集中を行うことが必要であるのではないでしょうか。ところが、現在進めておられる作業は、8月3日に「新たな
財政構造改革プログラムの策定について」をお出しになり、がむしゃらに一般財源を、一説によると5割もカットする作業を各部局に先行させておられるやに聞き及んでおります。
昨年7月に知事に就任され、平成19年度予算を編成されるに当たっては、9月8日にまず、平成19年度県政運営の基本的な考え方を示されました。その上で、マニフェストに掲げられた緊急提言や政策提案についての重点的な推進を盛り込んだ平成19年度予算編成要領を10月17日に出されたと記憶いたしております。しかしながら、本年はそれらの基本方針を全く示されないままに、まず削減ありきのみの作業を各部局に求められているようであります。これは、昨年度まで絞りに絞ったぞうきんを、それぞれ担当がもっと絞って持ってこいと言っているようなものであります。まだ絞る余裕があるとすれば、平成19年度予算は放漫予算であったということでしょうか。決してそうではない、ぎりぎりの予算編成であったはずであります。痛みを直接感じる立場の方々に知事が先頭に立って理解を求められたのか。みずからは決して前面に出ず、事前に補助対象団体等の地ならしを各部局に求めるのであるとすれば、対話を重視する知事の政治姿勢とはほど遠いものと言わざるを得ません。
既に市町や各種団体から悲鳴が私どもに数多く届いております。去る9月14日には、県市長会、町村会からの要望が知事あてに出されたとも聞いております。さらに、各部局では既に削減案が取りまとめられ、知事ヒアリングに入っていると聞き及びますが、市町や各種団体等との対話もないまま一方的に歳出削減に取り組まれた内容等は、いつどのように説明し、理解を求めようとお考えになっておられるのか、対話と共感を掲げ、県政運営に当たっておられる知事の御所見をお伺いいたします。
一方、基本構想については、当初、その策定の経過を9月議会で報告し、12月議会に上程するという予定が示されており、去る7月10日から8月10日まで
県民政策コメント制度にかけられながら、今議会での報告が突然見送られ、県の施策の考え方が明らかとならないままとなっております。嘉田知事が就任され、嘉田県政の基本姿勢を明らかにする、この
基本構想策定作業は、その策定スケジュールが先送りにされることは、県民に対する説明責任からも許されるものではありません。
県民政策コメントに対しタイムリーに貴重な御意見をお寄せいただいた県民の方々には、この間の事情変更を十分に説明した後、納得いただくことが、県政への信頼を得るために不可欠と考えますが、これをどのように説明されたのか。
新たな
財政構造改革プログラムとの整合を図る必要を今になって気づいた、大きな変更は考えていないので手戻りはないでは済まされないとの声も仄聞いたします。基本構想の策定と
財政構造改革プログラムの整合は、検討段階から当然想定されていたものと推測いたします。知事の誠意ある御説明をお願いいたします。
そもそも知事は、マニフェストを掲げ当選され、その実現を果たすことが嘉田知事の県政運営である以上、今回策定中の基本構想は、
マニフェスト実現に向けた基本戦略と道筋が明らかにされるべきものであります。同時に、その大方針を掲げつつ、非常事態とも言うべき危機的な財政状況に対応する新たな
財政構造改革プログラムが策定されるべきであります。これに加えて、新しい行政改革の方針、この3大方針と知事のそれに伴う県民に対する明らかなメッセージなくして、厳しさの予想される平成20年度の予算編成は到底県民の理解が得られないのではないでしょうか。知事がその方針を示さないことには、そもそも
マニフェスト実現に向けた予算編成などあり得ないものであります。
知事は、今回提出を見送られた基本構想の策定経過を一刻も早く議会に報告され、予定どおり12月議会で議決を求められるべきであると考えます。同時に、新たな
財政構造改革プログラムについても、12月議会で報告されるべきであると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
現在行っておられる作業で財源不足を一方的に集計して基本構想にフィードバックさせ、結果、マニフェストが実現できない言いわけに利用するのでは、全く物事の順序が逆ではないでしょうか。知事は説明責任をしっかりと果たすべきであると考えますが、御所見をお伺いするものであります。
ところで、財政改革の王道は、入るをはかり、出るを制するに尽きるとよく言われます。嘉田知事の言葉にもございました。私は、この入るをはかるとは、何らの歳入努力もせずに、入ってくるものが幾らあるのかを単に計算することでなく、収入増に対する最大限の努力を払うことにあると考えております。
そこで、入るに関して知事に、以下4点について質問いたします。
まず、本県の交付税額につきましては適正に積算されているものと信じておりますが、県としてもどのように検証されているのか、他府県との比較を含めて御説明をお願いします。
次に、本県の財源不足の原因の大きな要因とされる普通交付税算定に当たっての近年における変遷について、わかりやすく御説明をお願いします。
また、本県の県民1人当たりの地方消費税の再配分額は全国43位という報告もありますが、なぜこのように低いのか、御説明をお願いします。
さらに、知事就任後、こうした交付税の基準財政需要額の積算方式の是正について、あるいは地方消費税の再配分の改善について、国へ具体的な要望努力はどのように重ねてこられたのか、御説明をお願いします。
最後に、出るを制するに関して、以下3点について、知事にお尋ねいたします。
提案説明での知事の発言にあります、非常事態に聖域を設けず対応することについて県民の理解を得るには、まずは義務的経費の削減にどこまで踏み込めるかであります。職員定数や職員給与のカットの条例提案など、人件費の大幅削減も含めた義務的経費削減に対する知事の決意のほどをお伺いいたします。
そのためには、知事公約の退職金のカット条例も直ちに率先垂範して提案すべきと考えますが、知事の御所見をお尋ねいたします。
次に、県事務所、地域振興局などの大幅な運営見直しを断行すべきと考えますが、具体的な知事のお考えを伺います。
また、指定管理者施設の再見直しの断行も不可欠であります。県が交わされた契約を破棄しようとする事例も他にありますことから、たとえ債務負担行為に基づく契約があろうとも、聖域なき見直しを行うべきであると思料しますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、新幹線新駅につきまして、知事にお伺いいたします。
知事は昨年7月の就任以降、新幹線新駅については、凍結を基本的姿勢として取り組んでこられました。その取り組みの当初より、凍結に向けては、県、栗東市、関係市およびJR東海の四者の合意が前提であり、まず、関係者が対等の立場で十分話し合いを行い、合意に至る必要があるとの考えを示され、これまで話し合いを重ねてこられたと承知しております。
我が会派といたしましても、新駅の必要性を認めつつも、中心となって新駅問題を議論されてきた促進協議会正・副会長会議での合意を尊重するとの立場をとってまいりました。そして、去る5月13日の自民党県連党大会におきまして、現在凍結状態にある新幹線新駅問題について、知事は早急に栗東市ならびに関係者と対話を進め、
土地区画整理事業等を含めた総合的な解決策を示すべきである、我々はその解決策を支持するとの方針を明確にしたところであります。
その一方で、促進協議会におきましては今も精力的な協議が継続されているところでありますが、既にその協議が始められましてから1年以上が経過いたしました。そして、ここに至り、JR東海と締結された覚書により、現行協定類の履行の諾否につきまして、まさに目前に迫った10月31日までに結論を出さねばならない状況となっております。1カ月余りという期間しか残されておらず、この極めて短い期間で本当に関係者が合意に至ることができるのか、心底心配をし危惧するものであります。
期限までに関係者が合意に至るためには、我が会派としてかねてから申し上げておりますように、知事が
土地区画整理事業等を含め、総合的な解決策を早急に示される必要があります。知事は、必要とされている関係者の合意とは、単に新駅の凍結だけの合意ではなく、区画整理事業の事後処理策などを含めての合意であるはずであります。総合的な解決策を示す責務は県にあり、それなくして関係者が合意に至ることは困難であります。新駅凍結の方針を打ち出された知事みずからが、まず早急に総合的解決策を示し、その上で期限までの合意形成を図っていく必要があると考えますが、このことについて知事はどのように対応しようとされているのか、また、総合的解決策を具体的にどのように描いておられるのか、お尋ねいたします。
あわせて、促進協議会の正・副会長会議におきましては、これまでにどのような課題を整理し、現在どのような課題を協議しているのか。そして、そこでは何が問題となっているのか、お尋ねいたします。
また、知事は、
駅前区画整理事業の地元住民の皆さんとも話し合いの場を持たれているところでありますが、住民の皆さんの理解が得られたとは言いがたい状況であると認識いたしております。住民の皆さんが不安に思っておられる要素は何なのか、何を問題にされているのか、お尋ねいたします。
先ほど申し上げましたように、JR東海との覚書では、期限までに地元が合意に達しない場合でも現行の協定は終了してしまうこととされております。しかし、関係者の合意がないまま協定が破棄されてしまえば、たとえその後に合意に達したとしても、それは凍結という結果を押しつけたものであり、取り返しのつかないものであります。JR東海との覚書の締結に当たりましては、地元は同意したとはいえ、県は凍結には合意を必要とするとの前提で話し合いを進めてきたのでありますから、期限までに合意が得られない場合、それは県が進めてきた行政の失敗となります。新駅問題の解決に関係者の合意は不可欠であると考えますが、知事の御所見と、これからの短い期間での合意に向けた知事の決意を伺います。
次に、知事の新駅凍結の考え方に関してお伺いします。
知事は新駅に関して、限りなく中止に近い凍結との表現を用いられておりましたが、その具体的な意味をお尋ねしたところ、将来において新駅を設置するだけの財政的余裕が生まれた時点で検討すべきものと本議会で答弁し、説明されました。このことから、凍結の場合、新駅の芽が摘まれてしまうのではなく、新駅設置の可能性が残され、将来において一定の条件が整えば新駅設置が再開されると理解しております。知事は、凍結の解除ができる環境ではないと現時点においては考えているとも答弁されましたが、今後、この知事の方針である凍結で合意に至った場合、知事はどのような形で再開の可能性を残し、その可能性を担保しようとされているのか、お尋ねいたします。
また、これに関連して、新駅の整備促進基金の取り扱いについてお尋ねいたします。
新幹線新駅等施設整備促進基金につきましては、平成13年3月に本議会で基金条例が可決し、以来、その積み立てが行われ、現在、積立額は約40億円に達しております。この基金につきまして、新聞報道によりますと、知事は区画整理事業の代替策を含む地域振興策に充てると発言されておりますが、まだ新駅問題の結論が出されていないだけでなく、ただいま申し上げましたように、将来において条件が整い凍結解除となれば新駅設置が再開されるのでありますから、基金は今後とも新駅整備に充てるものとして存続させる必要があります。にもかかわらず、知事が基金を地域振興策に充てると発言されていることは、新駅再開の可能性を否定し、知事の方針である凍結の考え方と矛盾いたしますが、知事の見解を伺います。
続きまして、新駅の凍結に伴う損害賠償についてでありますが、栗東市は、新駅の凍結に伴い、これまでの区画整理事業等に要した経費などを含めて約150億円もの損害が栗東市において生じています。また、その額は現在のところ不明でありますが、区画整理事業の地権者の方々にも損害が発生し、栗東市に対して損害賠償請求するとの声もあります。栗東市としては、それらを合わせて原因者である県に請求するとの考え方であるとともに、裁判も辞さない姿勢であると聞き及んでおります。
こうした、県が支払うことになるであろう損害賠償の額について、知事はこれまで明言を避けてこられましたが、あと1カ月余りで結論を出さねばならなくなった今、県が支払う損害賠償の額をきちんと提示しなければ、合意どころか話し合いすらできないと考えます。県として、合意期限までに損害賠償額を提示するとともに、それをもとに話し合いをされるつもりはあるのかどうか、お考えを伺います。
また、凍結によって県が支払うべき損害賠償の額は、我々にはまだ示されておりませんが、恐らく何十億円、場合によっては100億円を超える膨大な額になるかもしれません。その一方で、後には何も残らないことになります。これはまさしく県税の浪費そのものであり、県税のむだ遣いの何物でもありません。そのような県税の使い方は、県民の皆さんだれ一人として望まれてはいないと考えます。それだけでなく、知事は新駅に多額の税金を投入することを「もったいない」とされ、それを県民の皆さんの意思とされましたが、何も残らない損害賠償などに、少なく見積もっても何十億円もの県税を投入し、むだにする方がもったいないのではないでしょうが。
知事はマニフェストでも損害賠償については何も説明しておられません。それならば、新駅を設置するよりもはるかにもったいないと言える、この県税の使い方に対して、県民の皆さんの意思を確認する必要はないのでしょうか。知事には、新駅の結論を出すまでに県が支払うことになる損害賠償額や事後処理策を明らかにし、県民の皆さんへの説明責任を果たしていく責務があると考えますが、どのように対応されるのか、知事のお考えを伺います。
次に、これ以上解決をおくらすことのできない造林公社問題について伺います。
我が会派としては造林公社問題について、かねてより重大な関心を持ちつつ、この問題の解決に向けての道筋が一日も早く示されるよう求めてまいりました。既に平成17年2月県議会においても辻村議員が代表質問において、県が抜本改革に向けて取り組むことを表明されたのを受けて、遅きに失した感は否めないが、解決に向けて動き始めようとするその姿勢については評価しているところであります。
そこで、知事に、以下5点についてお尋ねいたします。
第1点目は、県がかねてから造林公社抜本改革に不可欠と主張しておられた、伐採時期に合わせた償還と、その償還期間を延長した場合の利子負担の軽減について、政府の平成20年度概算要求ではどのような結果であったのか、また、その結果を受けて、県はどのように公社問題を解決していこうと考えておられるのか、お尋ねいたします。
第2点目は、知事は6月県議会において我が会派の蔦田議員の代表質問に対して、今後、最悪の場合、農林漁業金融公庫から造林公社に対して一括請求あるいは県に対して損失補てん請求など厳しい対応が迫られることも十分想定できると答弁されましたが、何ゆえそのような状況に至る可能性があるのか、これまでの公庫との協議状況も含めてお尋ねいたします。
第3点目は、現在、造林公社では経営改善を図る上で基本となる資産査定を行っているということでございますが、その資産査定の基本的な考え方とあわせて、少しでも収益を上げるために間伐材の利用拡大等の積極的な取り組みが不可欠ですが、どのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
第4点目に、知事は今議会の提案説明において、造林公社抜本改革に向けて強い決意を述べられたものと受けとめております。平成16年度包括外部監査報告では、公社の解散、清算を結論とし、それをもって公社の見直しおよび整理について具体的な内容を決めていくべきと考えるとの意見が出されております。一方、さきの提案説明で、「琵琶湖の周辺の森林はもとより、琵琶湖の環境と私たち滋賀県民の暮らしを支えるだけでなく、淀川下流域の水資源を確実に維持するために重要な役割を担っており」と言われる公社林の今後の管理と組織体制のあり方について、知事はどのような方針で臨まれるのか、お伺いいたします。
また、最後に、関係者の皆さんを初め、県民の皆様にも御負担をおかけすることもあると認識しておられる状況にある巨額の債務の処理について、具体的にどのような内容を考えておられるのか、また、それをどのように進めていくおつもりなのか、お尋ねいたします。
次に、南湖湖底環境改善事業についてお尋ねいたします。
琵琶湖の南湖は、琵琶湖全体のわずか12分の1ということでありますが、かつては琵琶湖全体のニゴロブナやホンモロコの繁殖拠点として、また、セタシジミの主要な漁場として、まさに琵琶湖全体のかなめの役割を果たしておりました。しかしながら、水質の悪化、水草の繁茂、外来魚の増加、湖底環境の悪化、漁獲量の激減など、これまでにないさまざまな問題が複合的にあらわれております。こうしたことから、さきの6月議会の我が会派代表質問への答弁において、都市再生プロジェクト、琵琶湖淀川流域圏の再生に位置づけられております南湖再生プロジェクトの推進に積極的に取り組むという県の姿勢が示されたことは大いに期待しているところであります。さまざまな実行力のある強力な取り組みが集中的に、また、関係機関がこれまでにない形で有機的に連携して行われることは、非常に重要となっていると考えます。
今回、この南湖再生の一環として、湖底環境改善事業が補正予算に充てられておりますが、今まで陸域における下水道の整備や湖辺の水辺環境整備などの対策がとられてきたことに対し、生態系の回復、漁場環境の改善のためには、これまで手がついていなかった湖底の環境改善に本腰を入れて取り組むことが必要であると考えております。この中で、砂地の回復事業に当たっては、瀬田川しゅんせつによる砂を利用されるようでありますが、例えば、野洲川などにも土砂の堆積が見られます。今後も、このように県内の河川をしゅんせつした土砂を利用することが重要であると考えるものであります。
また、琵琶湖のかなめとしての南湖の役割にかんがみ、生態系の効果的な回復のためには、湖底の環境改善とあわせ、セタシジミの稚貝、あるいはワタカ、ホンモロコ、ニゴロブナなどの稚魚の放流を通じて、自然の回復力を復元し、積極的に資源の回復を図ることが大変重要であると考えるものであります。特にセタシジミにつきましては、単に農政水産部の漁業資源の回復だけでなく、琵琶湖環境部、土木交通部にかかわります水質改善効果についても大いに注目すべきものがあると考えます。そういう意味で、今回、関係3部局が互いに連携し合い取り組んでおられることが大変心強い限りであり、率直にエールを送らせていただきたいと思います。
そこで、この事業について、知事に、以下3点についてお尋ねします。
第1点目に、この湖底環境改善事業は、どのような機関を通じて、どのような形で南湖を再生しようとしているのか、その目指す姿はどういうものなのかをお尋ねいたします。
第2点目に、都市再生プロジェクトは、関係省庁、地方公共団体が一体となって総力を挙げて取り組むべき行動計画であるとのことであり、今回の事業も、国や関係機関と県との連携事業であるということでありますが、その具体的な連携の枠組みはどうなっているのか、お尋ねいたします。
第3点目に、この事業目的を達成するためには、単に財政難であるからといって手控えるのではなく、確実な財源を確保しつつ積極的に打って出る必要があると考えます。例えば、本県には琵琶湖総合開発に由来する琵琶湖管理基金もありますが、その設置条例を見てみますと、「琵琶湖の湖岸および湖底の清掃および整地その他これらに類する琵琶湖の維持管理の事業」などの「適正かつ円滑な実施を図るため、滋賀県琵琶湖管理基金を設置する」とされております。
琵琶湖の水際の自然回復力の復元事業は、まさに琵琶湖管理基金本来の目的に合致するものであると考えられ、これを有効に活用し、全事業期間を通して的確な財政措置を講じていくのも一つの選択肢かと考えますが、これについて知事の所見をお尋ねいたします。
次に、本県の医療を取り巻く状況についてお伺いします。
少子高齢化の進展や人口減少社会への突入に伴い、高齢者の医療費が1人当たり70万円を超えるなど、我が国の国民医療費も大きな伸びを示しています。こうしたことから、国においては、国民の期待する質の高い医療の確保と、国民皆保険制度を持続可能なものとするため、1つに、安心、信頼の医療の確保と予防の重視、2つに、医療費の適正化、3つに、超高齢社会を展望した医療保険制度体系の実現、この3つを柱とする医療制度改革に取り組まれているところであります。
我が会派としても、国民がだれでもどこでも必要な医療が享受できる国民皆保険制度を持続していくことは論をまたないと考えておりますし、また、今後の高齢化の進展や日本経済の負担能力を考慮した場合、医療費の適正化は必要なものでありますが、ただ単に機械的に医療費を抑制するのでなく、国民の健康と医療のあり方について、矛盾せずに一連の医療制度の改革が進められるべきだと考えているところでございます。
ところで、本県の医療を取り巻く状況を見てみますと、彦根市立病院では、産科医師の確保のめどが立たず、出産の取り扱いを中止しておりますし、近江八幡市立総合医療センターにおいても、同様の理由から近く分娩制限が行われると仄聞しております。また、医師の偏在や不足により、一部の病院ではこれら産科以外の診療科でも廃止や休診などに追い込まれていると聞いております。
先般、奈良県において妊婦の救急搬送がおくれ、死産となった事件を受けて、周産期の救急医療に対応可能な受け入れ医療機関が確保できない場合に、近畿ブロック府県で搬送先医療機関を円滑に確保できる広域連携体制を整備することについて合意されたと聞いております。奈良県の事件は決して対岸の火事ではなく、この滋賀県において、昨年度、救急搬送された主婦のうち5人が県内の病院に受け入れを断られ、京都府内の病院に移送されたと先日新聞報道されておりました。また、厚生労働省が行った人口動態統計調査によりますと、本県の乳児死亡率は全国1位という極めて憂慮すべき事態となっております。
こうしたことから、滋賀県にとって広域の周産期医療体制の確保は喫緊の課題です。周産期の医療体制の確保に向けて、今後どのように取り組まれようとしているのか、また、乳幼児死亡率ワーストワンという事態を受け、この現状をいかに受けとめ、今後どのように対応されるのか、伺います。
次に、県においては、今年度から医師確保支援センターを立ち上げ、医師確保総合対策事業を進めておられますが、これまでの医師確保の取り組み状況はどのようなものなのか、お伺いします。
最後に、今回の医療制度改革について、療養病床の削減が計画されておりますが、現在入院中の療養患者の受け皿はどうするのか、これから高齢者が増加していく中で病床の確保をどのように行おうとしているのか、といった不安の声を聞いております。
そこで、今般進められようとしている医療制度改革に関して、本県の現状についてどのように認識され、どのような方向で取り組まれようとしているのか、健康福祉部長の考えをお伺いいたします。
次に、淀川水系河川整備計画原案について、知事にお尋ねいたします。
災害から地域住民の生命と財産を守る、また、力強い産業活動に資するため、丹生ダムや大戸川ダムは国直轄事業として進められてまいりました。琵琶湖淀川水系問題については、県政にとって大きな政治課題であり、それゆえに議会においても厳しい議論がありました。折しも滋賀県の百年の悲願であった瀬田川洗堰の全閉操作の撤廃が、本年1月に国土交通省が出した琵琶湖淀川流域の基本理念案に盛り込まれたことは、本県にとって画期的な事柄でありました。
しかし、去る7月5日に開催された河川整備基本方針検討小委員会は、瀬田川洗堰の全閉解消については一定の条件が付されたところであり、流域全体でリスクを分担するとする意見、いわゆる全閉解消には上流、下流で解決すべき問題、下流においては天ヶ瀬ダムの再開発、宇治川塔の島地先のしゅんせつ問題や堤防のかさ上げなど、堤防の整備や洪水調節施設の整備後、下流に影響を及ぼさない範囲でという条件がつけられたところであります。上流の本県においては、全閉解消に向けて果たすべき役割は、ダムによる治水効果であります。そのことが、本県の悲願である瀬田川洗堰全閉操作解消の一つの条件であると考えます。
8月28日には、国土交通省近畿地方整備局が、淀川水系河川整備計画原案を公表されました。これは、さきに出された淀川水系河川整備基本方針に基づいた計画として公表されたものであります。かねて凍結方針が打ち出されていた大戸川ダムが、整備計画原案の中で、洪水調節目的専用ダムとして整備する、つまり凍結から建設の方向にかじが切られたところであります。ダムに関係する市町からは、ダムの早期建設、大戸川ダム関係市からは水源地域対策特別措置法に基づく主要道路整備、下水道事業などが求められています。
知事は、県営ダムの芹谷ダムや北川第一ダムについて、治水対策のために有効と、12月、2月議会本会議で答弁をされていますが、9月8日、多賀町での芹谷ダムについての地元説明会では、計画は容認しているが、建設するかどうかは見直しており、決定に至っていないと、その理由に財源事情の厳しさを説明されたようであります。議論はまたまた後戻りの様相を呈しております。今まさに国から淀川水系河川整備計画原案として提案されたことから、滋賀県としての方針を発信しなければならないと考えます。大戸川ダムの治水対策、道路事業や水源地域整備事業などの継続実施の必要性を考えると、大戸川ダムはぜひ必要と思われますが、知事の明快な答弁をお願いいたします。
一方、丹生ダムについては、規模縮小の方向ではありますが、建設の方向で位置づけされています。この事業の推進は湖北地方の悲願であり、昨今の地球規模での環境の変化に伴う異常気象の多発が懸念される今日、自然災害からとうとい生命、財産を守る、安全で安心できる国土づくりは最も優先される課題であります。ダムの形式について、原案では、ダム形式の最適案は総合的に評価して確定するため、調査、検討を行うとされています。観光、環境、逆水による金銭的負担など多方面から議論を展開し、早急に結論を出すべきであると考えます。
高時川の治水、瀬切れ対策などを考慮した場合、貯水型ダムでの建設が望ましいと思慮いたしますが、知事はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
この丹生ダム建設計画により、高時川の河川整備は後回しとなり、実施されてこなかった実態があります。雨が降れば洪水、はんらん、雨がやめば渇水時は農業用水、生活用水、特に防火水利など、高時川は常にはんらんと瀬切れの背中合わせであります。今後の高時川治水対策についてもあわせて知事にお尋ねいたします。
次に、ゆとりある教育活動、いわゆるゆとり教育の見直しとも言われております学習指導要領の改訂に係る対応について、教育長にお伺いいたします。
要領の改訂につきましては、文部科学大臣の諮問機関であります中央教育審議会で議論がなされ、初等中等教育分科会教育課程部会を初めとする関係部会において基本的な考え方が了承されたとお聞きしております。
改訂素案の骨子は次のとおりであります。まず、小学校においては、国語、算数、理科、社会、体育の5教科の授業時間数を全体で1割程度増加し、3年生以上で週3時間程度実施している総合的な学習の時間、いわゆる総合学習を週1時間程度削減、高学年で週1時間程度、体験型の英語活動の授業を追加、各教科の授業では、表現力、判断力、思考力を育成することとされておりますとともに、学校週5日制を堅持しながら総授業時間数を、低学年で週2時間、中・高学年で週1時間程度の増加を図ることとしております。中学校においても、国語を初めとする6教科について、必修の授業時間の増加を求める一方、総合学習や選択教科を減らすとの内容で、差し引き授業時間を週1こま──50分程度増加するとなっております。いずれにいたしましても、小中学校の授業時間の増加は、昭和52年の改訂以来となり、早ければ平成23年度より実施される見通しであります。
総合学習は、ゆとり教育の実施に伴う授業時間や教科の削減に合わせ、地域の特色や子供の興味を生かしながら学ぶ教科横断型のテーマ学習として設けられ、みずからが課題を見つけて解決する能力を育てることをねらいとしており、小中学校では平成14年度から、高校では平成15年度より導入されたものであります。教科に係る授業時間は、総合学習の導入、週5日制の実施などにより、ゆとり教育の中、減少してきました。今回の改訂は、子供たちの学力低下を危惧し、基礎学力の立て直しを図るためとのことですが、一方、強まるゆとり教育への批判に対する配慮だとも聞いております。しかしながら、総合学習が導入されてまだ6年目、現場の教師を初め、子供たちや親にも戸惑いが生じるのではないかと心配をいたしております。
そこで、このような戸惑いを解消するとともに、平成23年の円滑な実施に向けて、県教育委員会としてどのような取り組みを考えておられるのか、教育長にお尋ねいたします。
また、授業時間数の増加に伴い、授業についていけない子供たちにもよくわかるよう、きめ細かな授業を行うことが、より重要になってくるものと思われますが、どのように対応していこうとお考えなのか、あわせてお伺いします。
また、学習指導要領の改訂が予定される中、新しい時代に対応し得る教職員の育成が必要であると考えます。教育委員会においては、教職員一人一人の努力や実績を適正に評価し、教職員の意欲の向上に結びつける新しい人事評価制度を計画され、昨年度から県内全公立学校で試行されたようでありますが、学校現場での導入に当たっての課題、そして、その対応についてお聞かせ願います。
最後に、交通弱者対策について、警察本部長にお伺いいたします。
昨年1年間の本県での交通死亡事故者数は102人であり、交通事故によりとうとい命が奪われております。残念ながら、県警察が目標とされる100人を上回ってしまいました。このため、県警察ではことしの交通事故死亡者数を95人以下とする抑止目標を掲げ、さまざまな交通事故抑止活動を精力的に展開いただいているにもかかわらず、8月末現在で昨年同期と比較しますと11人減少はしているというものの、既に52人もの方のとうとい人命が悲惨な交通事故により失われているのであります。こうした状況にあることから、県警察では、本年の抑止目標を実現するために、さらに強力かつ効果的な対策を推進する必要があると思われます。
また、交通事故の内容につきましても、65歳以上の高齢者や交差点での出会い頭事故による痛ましい犠牲が目立ちます。このため、県警察では、高齢者の交通事故抑止対策の推進や交差点事故防止対策の推進などを重点課題と位置づけ、諸対策を進めていると聞き及んでいます。
本県は、京阪神、北陸、中京を結ぶ主要幹線道路が走る交通の要衝であるという地理的状況から、大量の通行車両が県内を通過するという厳しい交通環境であることは理解できます。しかしながら、県下の犯罪、すなわち刑法犯認知件数は、街頭犯罪対策の強化や県民総ぐるみによる自主防犯活動により4年連続で減少するなどの成果を上げていることを見ますと、決して交通事故も大幅に抑止することは不可能ではないと考えます。
そこで、悲惨な交通事故を1件でも減らすためには、まず死亡事故の原因を分析した上で、交通事故の被害に一番遭いやすい子供や高齢者などの、いわゆる交通弱者に対する対策、加えて車両相互による事故防止対策が急務かと考えますが、これまでの交通死亡事故の発生形態、原因などの特徴と、今後、県警察として具体的な交通弱者対策についてどのような対応をとっていかれるか、お伺いいたします。
以上、自由民主党・湖翔クラブを代表し、質問といたします。知事初め、当局の明瞭な答弁を求めます。よろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(出原逸三君) 25番宇賀武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)自由民主党・湖翔クラブ、宇賀議員の代表質問にお答えさせていただきます。
まず、新たな行財政改革と基本構想についての12点の質問にお答えさせていただきます。
1点目の新たな
財政構造改革プログラム策定に当たり各部で取り組んでいる歳出削減の内容は、いつどのように市町や各種団体等に説明、理解を求めようとしているのかという質問でございます。
まずは、地方行政を担う大切なパートナーであります市町に最も協力を求めていかなければならないと考えております。そのため、県の現状に十分御理解いただくとともに、意見交換を行う機会を、この9月議会後早急に設ける所存でございます。具体的な考え方については現在庁内で検討しているところであり、まとまり次第、早期に市町にお示ししてまいりたいと考えております。
各種団体についても同様に庁内作業中でございますが、これまでの財政的支援等のあり方を県として見直すこととしており、考え方が一定まとまった段階で速やかにそれぞれの団体へ説明し、理解、協力を求めていく所存でございます。
2点目の
県民政策コメントに対し意見を寄せた県民に事情変更をどのように説明したのかという御質問でございます。
基本構想は、6月に委員会からの答申を受け、
県民政策コメントを7月10日から8月10日まで実施しました。コメントを寄せていただいた県民の皆さんに、改めて感謝申し上げます。実施に際しましては、県民の皆さんからの意見、情報と、それへの対応結果は、当初、9月県議会で策定経過の報告を行った後、公表する予定としておりました。しかし、財政状況が予想を上回る厳しい状況であることから、全庁挙げて新たな財政構造改革に取り組むこととなり、基本構想についても、この改革と歩調を合わせて策定することが望ましいと判断し、策定スケジュールを変更することとしました。
県民政策コメントでは、221人の方から、同種の意見も含め、延べ700件を超す意見、提案をいただいておりまして、基本構想の策定スケジュールがおくれることについて、行財政改革とともに、県民の皆さんに対して説明させていただく必要があると考えております。今後、ホームページを通じて広報するとともに、最終的な結果を公表する際には、意見に対する対応とともに、行財政改革を踏まえた対応策等を含めて示したいと考えております。
次に、3点目の基本構想の策定と
財政構造改革プログラムの整合は当然想定されたものと推測するが説明を願うという御質問でございます。
現行の
財政構造改革プログラムで示されております厳しい県財政に対応するため、基本構想の策定に当たっても、当然、そうした財政状況を念頭に置きながら検討してきたところでございます。しかし、今年度に入って新たな
財政構造改革プログラムの策定に当たって、一定の前提のもとに、収支見通しについて試算し直しましたところ、さらに大幅な収支不足が明らかとなり、施策、事務事業のゼロベースでの見直しが必要となったところでございます。基本構想はもとより県行政の総合的な推進のための指針であるとともに、県民の皆さんとともに取り組みを進める上での共通の指針であり、将来の滋賀県の目指す像の実現に向けた施策の展開や成果指標を掲げて、一定到達すべき目標を掲げております。
また、基本構想には、基本理念や将来の姿を示す前半部分と、戦略や施策について具体的に示す後半部分がございます。基本理念や将来の姿などの基本的な考え方は今後も変わるものではなく、現在作業を進めている行財政改革についても、この基本的な考え方を踏まえて進めるよう、庁内に指示を出しているところでございます。
しかし、県が主体性を発揮して実現を目指していく後半の戦略や施策に関しましては、巨額の財源不足が予想される中で、その実施について実現性を確保する必要があることから、
財政構造改革プログラムの策定に向けて取り組んでいる施策、事務事業の見直しと歩調を合わせて策定作業を進めるべきと判断させていただきました。
4点目の基本構想の策定経過を一刻も早く議会に報告し、12月議会で議決を求めるべきであり、新たな
財政構造改革プログラムも12月議会で報告されるべきという御質問でございます。
現在、基本構想の考え方をもとに
財政構造改革プログラムの策定に向け、施策、事務事業の見直しを行っているところでございます。基本構想の策定作業は当初の予定より少しおくらせましたが、基本構想と行政改革方針、
財政構造改革プログラムは整合をとりつつ、できるだけ早く議会や県民の皆さんにその内容を明らかにしていかなければならないと考えております。基本構想は「滋賀県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決事件として定める条例」において、県議会の議決を要する計画に該当し、議決を得るに当たりましては、それに先立ち、策定経過の報告を議会に対して行う必要があると承知しております。このため、まずは12月県議会で策定経過の報告をさせていただき、案についての御審議をいただきたいと考えております。
このため、素案の見直し案ができ次第、事前に議会の委員会で御説明をし、御意見をいただき、十分に検討した上で、12月議会において御議論いただき、基本構想案の実質的な内容を固めていきたいと考えております。
また、
財政構造改革プログラムについても、基本的な取り組み方針や、それに基づく主な見直し事項について12月議会でお示しできるように作業を進めております。
5点目の税源不足を一方的に集計し基本構想にフィードバックして、マニフェストが実現できない言いわけに利用するのは順序が逆ではないか、説明責任を果たすべきと考えるが、所見を問うという御質問でございます。
基本構想は県政の最上位計画として、部門別の各種の計画やビジョンの基本となり、県政を牽引すべきものであると認識しております。しかし、400億円を超える収支不足は、このまま何も手だてを講じない場合には財政再建団体へ転落しかねないという非常事態とも言うべき危機的な状況であり、基本構想も行財政改革との整合を図っていく必要があります。現在作業を進めている
財政構造改革プログラムの策定に向け、施策、事務事業の見直しは、基本構想の考え方を踏まえ、これからの県のあるべき姿や県の役割、市町との役割分担等、さらには県民の暮らしと命へのしわ寄せを極力回避するといった考えのもとに行っております。財源不足のみを理由に施策、事務事業を休廃止するのではなく、優先度を勘案しながら、見直すべきところは見直し、なされるべきところはしっかりと取り組むという姿勢で、将来を見据えながら実行に移していかなければならないと考えております。
こうした考え方については、市町や県民の皆さんとの対話の機会を設け、県の財政状況をわかりやすく説明するとともに、地域経営としての基本構想の推進と、自治体経営としての行財政改革の推進を図っていくための、いわば県政経営の考え方をお示しし、御理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。
6点目の本県の交付税額について適正に積算されていると信じているが、県としてどのように検証しているのか、他府県との比較を含めて説明してもらいたいという御質問でございます。
地方交付税につきましては、地方交付税法に基づき、毎年度、基準財政需要額が基準財政収入額を超える地方団体に対して交付されているものでございます。算定に当たりましては、各都道府県が当該都道府県の基準財政需要額および基準財政収入額に関する資料を国に提出し、法令に規定する算定方法により地方交付税の額が決定されております。なお、単位費用および測定単位などについても法律および省令で明らかにされておりまして、算定は適正に行われていると承知しております。
他府県との比較について、本県の平成19年度の普通交付税で見てみますと、不交付団体である東京都と愛知県を除くと、金額ベースでは神奈川県に次いで2番目に少ない状況でございます。これは、本県の人口や面積が比較的小さく、地理的、社会的な条件による経費の割り増しがほとんどない等の要因で基準財政需要額が他府県に比較して相対的に少なくなっていること、また一方で、税収が比較的多いことから基準財政収入額が相対的に多いこと、これらにより交付税額が少なくなっていると理解しております。
7点目の本県の財源不足の原因の大きな要因とされる普通交付税算定に当たっての近年における変遷について説明願いたいという御質問でございます。
複雑でわかりにくいと言われております地方交付税の算定方法を簡素化するとともに、地方交付税の予見可能性を高める観点から、人口と面積を基本とした包括算定経費、いわゆる新型交付税が今年度から導入されたところでございます。また、地方交付税の総額については、平成16年度の地方財政対策において、投資単独事業に地方財政計画と決算に乖離があるとして是正されるとともに、平成17年度からは投資単独事業と一般行政経費の計画と決算の同時一体的な乖離是正が行われていることから、地方の一般歳出が抑制され、結果として地方交付税総額が縮小したと理解しております。さらに、今後の地方交付税の動向を見通しても、国の基本方針2006における歳出・歳入一体改革で地方の一般歳出の削減方針が示され、地方税と地方交付税を合わせた一般財源総額は抑制基調になるものと考えられております。
8点目の本県の県民1人当たりの地方消費税再配分額がなぜ全国43位と低いのかとの御質問でございます。
本県の地方消費税の平成18年度決算額は約120億円でありましたが、御承知のとおり、地方消費税は、一たん各都道府県に払い込まれた税収の総額を消費に関するシェアで再配分されております。この結果、再配分後の収入額は約257億円となったところでございます。この再配分に使用されるシェアの算出には、小売販売やサービス業の売上高といった、消費に関連する指定統計調査による数値が使用されております。
議員御指摘のとおり、県民1人当たりの地方消費税再配分額が全国第43位と低位であることは承知しております。その要因としては、大きく2点ございます。1点は、他の地方団体の立地と順位の関係を見てみますと、消費の中心であります大都市近郊というような地理的な面、また、滞在型観光資源の有無等が大きく影響していることが見てとれます。本県の場合は、大都市近郊という条件、また、県内での消費額そのものが相対的に小さいのではないかと推定されるところからこのような結果になると考えております。もう一つの要因は、シェアの算出に使われております指定統計調査において、調査自体の事情から対象業種の入れかえが頻繁に行われ、滋賀県にとって影響度が高いと思われます農協の売り上げが含まれていないという要因がございます。これら大きな2つの要因が、全国での順位を43位と下げてしまっているものと理解しております。
次に、9点目の知事就任後、交付税の基準財政需要額の積算方式の是正について、あるいは消費税の再配分の改善について、国への具体的な要望努力はどのようにしてきたのかとの御質問に対してでございます。
まず、地方交付税の算定方法に係る意見の申し出につきましては地方交付税法に規定されており、本県についても地方自治体の財政需要に応じた、より適正な算出方法となるよう、国に対して意見を申し上げております。平成18年度については、新型交付税における算定人口について、人口増加率による数値補正の適用など14項目にわたって意見をしたところでございます。平成19年度における意見は、現在取りまとめ中でございます。
このような厳しい財政状況は、本県だけでなく全国どこの自治体も同様の状況であることから、全国知事会を初めとする地方団体と連携を図りつつ、地方交付税の総額確保について国に対して強く要望しているところでございますが、今後も引き続き強く要請してまいります。
また、近畿ブロック知事会といたしましても、地方分権を推進するに当たって、国と地方の税源配分の見直しや地方交付税の総額確保など、地方財政の安定化に向けて国に提言するなど、活発な取り組みをしております。
さらに、地方消費税についてでございます。地方消費税の都道府県間の清算指標が消費の実態をより適切に反映したものとなるよう、政府への政策提案や都道府県税制に関する意見書の提出などにより、本県から直接、国に対して要望を行っております。また、消費税から地方消費税へのさらなる税源移譲を求める中で、地方消費税をより偏在性の少ない安定的な地方税財源とする観点からも、清算指標の見直しについて、全国知事会を通じて要望しているところでございます。
次に、10点目の職員定数や職員給与カットの条例提案など、人件費の大幅削減を含めた義務的経費削減に対する決意のほどを伺うという質問でございます。さらに、知事公約の退職金のカット条例も直ちに率先垂範して提案すべきと考えるが、知事の所見を伺うという御質問でございます。
これまでも申し上げておりますように、危機的な財政状況のもと、人件費などを含めた義務的経費についてもいま一度見直すことが必要であると認識しております。職員定数につきましては、これまでから削減に努めてきたところでございますが、今回の施策や事務事業の見直しに応じて、また、組織機構もあわせて見直しを行いながら、簡素で効果的な少数精鋭の体制づくりを進め、定数削減に努めていきたいと考えております。
職員給与についても、これまでより給与構造の改革や諸手当の見直しに取り組んできたところでございます。さらに、現在の厳しい財政状況から、独自の給与カットも緊急やむを得ない措置として、あわせて実施しているところでございます。人事委員会勧告制度など、公務員の給与決定ルールはあるものの、施策や事務事業の見直し結果を反映した今後の収支見込みの状況によっては、職員給与のカットを検討する必要もあるのではないかと考えております。
マニフェストに示した私の退職手当を全額受け取らないことにつきましては、当然そのように対処していくことと考えておりまして、今後、しかるべき時期に条例案を提案させていただきたいと考えております。議会の皆様の御協力をよろしくお願いいたします。
11点目でございますが、県事務所、地域振興局などの大幅な運営見直しを断行すべきと考えているが、具体的な知事の考えを伺うとの質問でございます。
地域振興局につきましては、既に平成17年4月に県内の市町村合併の進捗により、所管区域の広域化と機能の見直しを行い、暫定的な再編を行っているところでございます。今般の厳しい財政事情の中で、地域振興局、県事務所の体制についても、これまで以上に最小のコストで最大の効果を上げることのできるスリムな組織として見直すことが必要だと考えております。今後の地域振興局等のあり方の検討については、こうした考えを前提にしながら、地域での県としての行政サービスのあり方、合併や地方分権の進展による県と市町の役割分担や、必要な市町への支援、また、地域において県が果たすべき危機管理機能などに十分留意しながら進めてまいりたいと考えております。
12点目の指定管理施設の再見直しの断行も不可欠である、たとえ債務負担行為に基づく契約があろうとも聖域なき見直しを行うべきであるとの御質問でございます。
公の施設のうち、指定管理制度を導入している施設についても、事業内容をゼロベースで徹底した見直しを行うとの考えで、業務内容の変更も含め、見直すべきと考えております。指定管理者と県との間で、双方の合意に基づき、数カ年に及ぶ基本協定を締結しているところでございますが、この協定では、施設管理に関して特別の事情が生じた場合に、協議により協定を改定し得る旨を規定しておりまして、こうした手続を踏みながら見直しを進める所存でございます。
次に、東海道新幹線新駅について、8点の御質問にお答えさせていただきます。
まず、1点目の期限までの合意形成への対応と具体的な総合的解決策についてでございます。
さきの9月3日の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において、県から、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)を提示させていただきました。これは、栗東市や関係市との議論のたたき台として県の考え方の骨格を取りまとめ、公式にお示ししたもので、その内容としては5点ございます。1点目は、現行協定類の終了でございます。2点目は、事業費の清算。3点目は、栗東新都心土地区画整理事業の継続実施への支援。4点目は、県南部地域の振興の方向性の考え方の提案。5点目が、東海道
新幹線新駅等施設整備促進基金の存置でございます。
正・副会長会議では、県の方針案をもとに引き続き議論していくことについて確認いただいているものと認識しております。今後、この県の方針案をベースにさらに議論を深め、関係者の合意による解決に向け、具体的な内容を詰めていく所存でございます。
2点目の促進協議会正・副会長会議における、これまでの課題整理、現在の協議課題と、そこでの問題についてでございます。
昨年9月27日、促進協議会の臨時総会において、正・副会長会議が新幹線問題を協議する場として規約改正をされ、以降、去る9月3日まで8回の正・副会長会議を開催してまいりました。対JR東海にかかわる内容としては、昨年10月期の負担金の支払い猶予の問題や新駅の大幅なコスト削減の問題、新駅の結論の期限等を議論いたしました。地元自治体にかかわる内容として県から、新駅の需要予測および経済波及効果の再検証結果や、新幹線新駅凍結に係る県の責任の範囲の考え方も正・副会長会議で提示し、議論いただいております。さらに、9月3日には県から、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)を提示させていただきました。栗東市長も、県の方針案が示されたことは、凍結を含む幅広い議論ができるたたき台が示されたと考えると発言され、県と協議を行う考えであることを正式に表明くださいました。今後、県の方針案をベースに議論することを確認したところでございます。
また、周辺市長より、基本協定を、例えば5年凍結するようJR東海へ要請できないか、また、期限を延ばすことはできないので何らかの形で可能性を残していきたいとの意見、また、県と栗東市が胸襟を開き話し合うべきとの意見もいただきました。さらに、栗東市長から、県の責任を明示すべきとの意見もいただいております。
10月末の期限が迫る中、早期に検討を進め、議会の皆さんとも十分協議の上、合意による解決を図る所存でございます。
3点目の区画整理事業の地元住民の皆さんが不安に思っている要素と問題点についての御質問でございます。
4自治会を回らせていただき、地元の皆さんから、抱える問題や県に対する要望など、厳しく切迫したさまざまな御意見をいただきました。例えば、減歩による土地の減少を苦渋の思いで受け入れ、土地区画整理事業に同意したにもかかわらず、県の方針転換により事業が立ち行かなくなっていることに対する行政への不信や、将来の見通しが立たない生活設計への不安など、いただきました。こうした地権者の皆さんに発生している問題の多くは、基本的には、土地区画整理事業をどうするかにかかわっているものと認識しております。地元の皆さんの不安を取り除くために、一日も早く栗東市との協議を進め、関係者の合意を図り、方向をはっきりとさせることが必要であると考えております。
区画整理事業の対応策につきましては、施行者である栗東市と事務レベルでの協議を始めておりますが、引き続き協議を重ね、早急に最善の方策を市とともに探っていく考えでございます。
4点目は、関係者の合意は不可欠との考えに対する知事の所見と、短い期間での関係者の合意に向けた知事の決意という質問でございます。
従来から申し上げておりますように、関係者の合意のもとにこの問題の解決を図ることが私の基本的考え方でございます。新幹線新駅の凍結は、県民の皆さんの支持を受けた適正な政策変更であり、将来における県民負担の最小化を図る最善の選択であると考えております。地元の皆さんとの話し合いを行い、土地区画整理事業への対応の必要性を痛感しておりまして、そのためにも、さらに栗東市と協議を進めてまいりたいと考えております。10月末の期限まで時間は限られておりますが、栗東市長も県と協議を行うことを公式に表明されていることから、精力的に正・副会長会議を開催し、県の方針案をベースに議論を進め、関係者の合意形成に精いっぱい努めていく所存でございます。
5点目の凍結合意の場合における再開の可能性とその担保についてでございます。
私の申し上げている凍結は、現行協定類の終了でございます。このことは、将来において新たな駅を設置する可能性までも否定するものではございませんが、新たな駅を設置するに当たっては、将来において財政的な余裕が生まれた場合、その時点で総合的に検討されるべきものと考えております。現時点で将来の新たな駅の可能性に対する担保につきましては、仮定の話でもあり、お答えすることは困難であると考えております。
6点目の基金を地域振興策に充てる旨の発言は、新駅再開の可能性を否定し、凍結の考え方と矛盾するのではないのかとの御質問でございます。
現行協定類の終了に係る諸課題を考慮して、一定の方向性が見えるまでは現行の基金はそのままにしておくこととしております。私の地域振興策に充てる旨の発言は、当分の間、基金を存置することを前提に、現行協定類の終了に係る諸課題に対応するための財源枠として、今後の可能性の一つとして申し上げたものでございますが、現時点では具体的に何にどれだけ充当するかについて決定しているわけではございません。私の発言の趣旨は、将来、新駅再開の可能性のあるなしについて言及したものではございません。基金の取り扱いについては、議会の皆さんと今後御協議させていただいた上で対応したいと考えております。
7点目の期限までに損害賠償額を提示し、話し合いをするつもりがあるかとの御質問でございます。
昨年11月28日に開催された県議会常任委員会連合審査会等の場で、新駅の凍結に伴う県の法的責任の範囲の考え方についてお示しさせていただきました。この中では、県の債務不履行によって新駅が凍結された場合における県の法的責任の範囲について、基本協定が締結された平成14年度以降を基本として整理し、一定の金額の幅をお示しいたしました。また、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)の中では、県が新駅問題の解決のために負担する考えのあるものとして、以下の3点を示させていただきました。
1点は、関係6市分に対する事業費の清算について、関係市が負担した工事費負担金──大津市については観光振興事業協力金でございますが、工事費負担金から仮清算や本清算による払い戻し金を差し引いた金額を本清算後に負担するというものでございます。2点目は、栗東市に対する事業費の清算に関しては、県の責任に相当する金額について県が負担することを前提に、今後、栗東市と誠実に協議しながら詰めていきたいと考えております。3点目の土地区画整理事業への支援等については、まずは栗東市とともに対応策を協議し、その方向性を見定めた上で試算されるべきものであるため、現時点でその金額が幾らか、お示しする段階ではございません。
今後、関係者の合意による解決を目指していく中で、栗東市が凍結を前提とする協議に応じることを前提に、こうした点についてさらに詰めてまいりたいと考えております。
最後の8点目の損害賠償額や事後処理策を明らかに県民への説明責任を果たしていく責務についてでございます。
新駅の凍結方針を掲げてきた県としては、今後、新駅問題の解決のため、先ほども申し上げました協定類の終了に伴うコストとして一定の財政的な負担は避けられないものと考えております。ただし、その額は、御質問のような膨大な額となるとは想定しておりません。私としては、協定類を終了させることで将来にわたる県民の負担が軽減されることになると考えており、このような判断をしているところでございます。関係者に対する県の責任を果たしながら、県民の皆さんに納得していただける形での最良の解決策を見出していく所存でございます。
今後とも、県議会とも十分相談させていただきながら、さまざまな媒体を通して県民の皆さんにお知らせをさせていただくことで県としての説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
次に、造林公社問題について、5点の質問にお答えさせていただきます。
まず、第1点目の政府の平成20年度概算要求の結果と、その結果を受けての公社問題の解決についてでございます。
造林公社問題の解決のためには、県や公社独自の取り組みだけでは解決が困難との認識のもと、これまでから国や関係機関に対して、あらゆる機会を通じて支援要請活動を展開してまいりました。平成17年から19年にかけて合計27回の要望活動を行ってまいりました。
その1つが、本県を含む関係20府県と農林漁業金融公庫が貸し手と借り手という立場の違いを超えて、平成17年11月に設立しました金融問題検討会の活動でございます。金融問題検討会では、伐採時期に合わせた償還と、償還期間の延長に伴う利子負担の軽減という2点を柱として政策提言を取りまとめ、国に新たな金融支援措置の創設を求めてまいりました。昨年度に引き続き今年度も、平成20年度の概算要求に盛り込まれるよう、4月に金融問題検討会による提言活動を行ってまいりました。また、5月には本県独自の要望活動として、同様の内容について政府提案を行いました。しかしながら、8月末に公表された国の概算要求での実現はかなわなかったところでございます。
この新たな金融支援は、公社が伐採収入を財源として債務を償還していくという本来の姿に立ち返るために必要不可欠な支援策であるという思いは今でも変わりません。全国の林業公社の中には既に独自の解決策を決定しているところや解決策を模索しているところもあると聞き及んでおりまして、本県といたしましても、毎年18億円にも上る債務が増加している状況にある公社問題の解決は、まさに待ったなしでございます。国への支援要請は引き続き強力に行っていくこととし、公社問題の解決に向けて、伐採時期に合わせた償還と、償還期間の延長に伴う利子負担の軽減も含めた新たな経営改善計画が取りまとめられるよう、公庫ならびに下流社員の皆様の御理解を得るため、最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
2点目の農林漁業金融公庫との協議状況も含め、なぜ公庫から造林公社に対する一括請求、県に対する損失補償請求の可能性があるのかとの御質問でございます。
農林漁業金融公庫とは、平成17年度から償還条件の変更等をお願いするため、協議を開始してまいりました。平成17年度はともに、先ほども述べましたように、金融問題検討会に参画し、政府に政策提言を行うということから、償還猶予に御理解をいただいてまいりました。平成18年度の猶予は、19年度からは正常に償還を行うという前提で再び償還猶予をいただいたところでございます。
こうした中、県としては、平成19年度当初予算において公庫への償還財源の予算化を見送ったことから、両公社は本年4月30日から、公庫に対して三たび延滞という異常な状態となっているところでございます。公庫は、3年目となります今年度については、償還猶予は金融の常識から見てあり得ないとの見解でありまして、両公社が償還すべき期日が過ぎているにもかかわらず、いまだ償還ができていないことをもって、県に対する履行請求も視野に入れながら、繰り上げ償還の一括請求をいつ出してもおかしくない状況でございます。
また、仮に両公社から繰り上げ償還の一括請求が行われた場合、県が公社にかわってお支払いをするという損失補償契約を締結しているため、基本的には一括請求があった日から10カ月以内に全額の支払いが完了しないと、本県に対する損失補償請求が行われることになるものと認識しております。
3点目の御質問でございますが、資産査定の基本的な考え方と収益を上げるための積極的な取り組みについてでございます。
現在公社が行っております資産査定は、破産債権を確定させる場合のような現在価の額を算出するものではなく、現在の木材価格の水準で将来の伐採収入を推定しようという作業でございます。この資産査定の基本的な考え方でございますが、まず、森林の生育状況が将来どう見込めるのか、そして2点目には、その木を伐採、搬出するためのコストは幾らかかるのか、3点目には、さらにその森林を伐採するまでに管理費や金利負担等の管理コストは幾ら必要と見込まれるのか、さらに4点目に、造林補助金をどの程度活用できるのか等について、両公社の約600カ所あります事業団地を単位に、一つ一つつぶさに試算いたしまして、販売収入や補助金収入などから上記のコストを差し引いたものを将来資産として把握しようとするものでございます。
なお、森林整備にかかわりますこれまでの投下経費を公社が回収できない状況の中で、土地所有者の皆さんとの分収契約における分収割合について、一定の見直しをお願いしなければならないこともあると認識しております。
昭和55年をピークに下落の一途をたどってまいりました木材価格は、現在、ほぼ底を打っている状況と認識しておりまして、資産査定においては、現在考えられるすべての要素を盛り込んでおり、将来において若干の変動は避けられないものの、おおむね妥当であると認識しております。
さらに、収益を上げるための積極的な取り組みでございますが、まず、公社の経営改善にとって少しでも多くの収益を上げる努力をするという観点が必要であるということは、議員御指摘のとおりでございまして、私もかねてから痛感しているところでございます。そして、公社材も含めた県産材を有効活用していくためには、3つの取り組みが必要であると考えております。まず1点目は、高性能林業機械の普及によるコストの低減、2点目には、品質を確保し、信頼される材を供給する上で不可欠な乾燥施設などの整備でございます。また3点目には、どういった材をどの用途に使用するのかといった需要と供給のマッチングシステムの確立でございます。これらの要因を解決し、その上で課題に対して対応していく必要があると認識しております。
さらに、今後、伐採時期を通常より延ばし、材の価値を高める施業、いわゆる長伐期化を目指している公社から生産される間伐材は、通常の間伐材よりも丸太の径が大きく、用途も異なってくることから、丸太や柱材としての利用だけではなく、合板や集成材への活用など、林産業との連携の可能性を見きわめた上で必要な対策を前向きに講じていきたいと考えております。
4点目の公社林の今後の管理と組織体制のあり方についてどのような方針で臨むかとの御質問でございます。
滋賀県造林公社とびわ湖造林公社は、ともに木質資源の充実とあわせて琵琶湖の水源涵養林の造成という目的のもとに設立され、現在、両公社合わせて約2万ヘクタールの森林を管理しております。両公社は、国の指導に基づき、もともと森林所有者みずからが造林できない山間奥地等の条件不利地に事業を展開してきたものであり、民間が代替することが極めて困難なことから、引き続き公社が管理することが必要と考えております。森林の果たす役割は、水源涵養機能だけではなく、洪水の緩和や土砂の流出防止、また、近年、二酸化炭素の吸収源として脚光を浴びるなど、県民生活の安定にかかわる多様な機能を果たしておりまして、これらの森林を適正に管理することが公社の使命でございます。森林公社という組織は既に昭和40年から今日まで森林造成に取り組んできた経験がございまして、引き続き今後も森林管理を担っていくことが現実的な対応であると理解しております。
しかし、公社が将来にわたって経営を担っていくためには、公社組織の一層のスリム化、運営の効率化など、不断の見直しが不可欠でありまして、また、このことがなければ県民の皆さんの御理解がいただけないものと認識しております。森林管理においては、全契約地を一律に同じような施業を行うのではなく、土地所有者の理解を得ながら、土地の地理的条件や森林の生育状況に応じて効率的な投資を行っていく必要があります。
なお、伐採計画においては、土地所有者による再造林が期待できない中、早期に本来の森林状態に自然復旧できるように、一度に大面積をまとめて伐採するのではなく、区画を区切って小面積を順番に伐採していくという方法に転換していくことが必要と考えております。
次に、南湖の湖底環境改善事業についての3点の御質問にお答えさせていただきます。
まず、南湖湖底環境改善事業は、南湖をどのような期間を通じて、どのような形で再生しようとしているのか、その目指す姿はどういうものなのかという御質問でございますが、南湖は、皆さん御存じのように、セタシジミ、ホンモロコ、ニゴロブナなどの産卵、また生息の一大拠点であり、本来、琵琶湖のゆりかごとも言える豊かな湖の機能を果たしてまいりました。また、周囲に多くの人々が住み、すぐれた漁場でもあり、人々が琵琶湖の豊かな恵みを受け、良好な関係で共生してきたものでございます。
しかし、これらの生き物に重要な砂地の減少、泥化の進行、そして、水ヨシ帯の減少、さらに、近年の水草の異常繁殖や外来魚の繁殖など、生物の生息空間としての機能が低下しております。その結果、南湖でのセタシジミ漁獲量はほぼゼロになるなど、漁獲量が急減しております。また、貝びき漁業が行われなくなったことで砂地の泥化がさらに進み、生物の生息空間としての機能がさらに劣化するという悪循環に陥っております。このため、平成30年度をめどに、現在、草津市の下笠地先で行っております水ヨシ帯の造成や志那町地先などで行っております貝びき漁具を用いた水草の根こそぎ除去と湖底の耕うんとをあわせ、泥地については県内の河川しゅんせつ工事などで出る土砂を活用して砂で覆う覆砂の事業をとり行う予定でございます。覆砂の予定地の一部にかかわるくぼ地については、まず試験施工を行い、その効果の検証を踏まえた上で、これを埋め戻した上で覆砂をしたいと考えております。
また、ヨシ帯から沖合の砂地への連続した生物の生息空間を確保するということが最終の目的でもございます。あわせて、セタシジミの稚魚などを放流し、貝びき漁を復活させ、良好な湖底環境を維持し、さらに、ホンモロコ、ニゴロブナのほか、ワタカ、ゲンゴロウブナなどの固有種の稚魚の放流や外来魚の駆除も積極的に推進したいと考えております。
これらによりまして生態系の自然回復を復元する中で、議員の御質問の目指す姿としては、3つの効果を期待しております。
まず1点目は、生態系の回復でございます。先ほどから申し上げておりますように、琵琶湖固有種であるセタシジミの漁獲量を琵琶湖全体で160トンから2倍の320トンへ倍増することを成果の指標といたしまして、セタシジミやホンモロコなどの生き物と人々がともに南湖の恵みを分かち合うことができる、自然と人が共生する南湖の生態空間を目指します。
2点目は、水質改善効果でございます。セタシジミは、その水をろ過する機能を強く持っていることは過去からよく知られているところでございます。また、ホンモロコなどの魚類がふえ、湖内の栄養塩を漁獲により外へ持ち出すことによりまして水質の改善も期待できます。
さらに3点目は、琵琶湖の水辺文化の再生でございます。各家庭の食卓にふなずしやシジミのみそ汁が並び、春先の湖岸ではホンモロコ釣りを楽しむといった人々が琵琶湖をより身近なものとして感じ、琵琶湖に誇りを持ち、そのことによってさらに琵琶湖に親しみ、保全にかかわっていくといった、人と琵琶湖の良好なかかわりの循環を再生し、次世代へ引き継いでいくこと、これも3点目のねらいとして目指すものでございます。
次に、淀川水系河川整備計画原案について、3点の御質問にお答えさせていただきます。
まず、淀川水系の1点目の御質問でございますが、大戸川の治水対策、道路事業や水源地域整備事業からの大戸川ダムの必要性でございますが、平成18年12月議会で、将来的にはダムを必要とするという国の提案に沿った考え方でいると表明いたしました。また、ダムにかかわる県道つけかえ事業や水源地域整備事業については、地元の生活保全の立場から、継続した実施を図れるよう国に要望しているところでございます。
さらに、河川整備計画原案については、先日、近畿地方整備局より説明を聞かせていただきました。大戸川ダムは県にとって重要なものであるため、大戸川ダムの地元の方々の意見や、今後国が示される財政的な負担の説明などを踏まえて判断してまいりたいと考えております。
2点目の丹生ダムは貯留型ダムが望ましいとのことについてでございますが、丹生ダムについては、ダム形式の最適案を総合的に評価して確定するため、国において調査、検討されるところでございまして、県としても、源流部の流域保全、高時川の魚類生態などの自然環境保全、高時川が流れ込む琵琶湖と水質とのかかわりなど、環境調査検討が必要と考えておりまして、今後、国とともに早期に検討してまいりたいと考えております。
最後に、3点目の今後の高時川の治水対策についてでございますが、今後、ダムタイプの検討等に時間を要することから、限られた予算の中ではございますが、地域の皆さんの意見を聞きながら、土砂の排除や樹木の伐採など適切な維持管理、また、局所的な治水対策を検討し、同時に流域治水としての対応も図ってまいりたいと考えております。
以上、宇賀議員の代表質問にお答えさせていただきました。
(知事降壇後、再登壇)一部答弁漏れがございましたので、追加させていただきます。3点でございます。
1つは、造林公社でございますが、巨額の債務処理についての具体的な内容と、その進め方でございます。
公社の経営改善については、伐採収入で債務を償還していくという公社経営本来の姿に戻ることが出発点だと認識しております。伐採収入で償還できる部分については、伐採時期に応じた償還と金利の減免が不可欠であり、この点について関係者の御理解を求めたいと思っております。その上で、現在行っております、いわゆる資産査定の結果を踏まえて、あくまでも現時点での評価という前提のもとで、債務の圧縮などによる公社の森林が抱える含み損の解消も必要と考えております。なお、新たな償還スキームの中で県が手当てすることが必要とされた場合には、県の体力に応じて薄く長く負担させていただくことについて理解を得たいと考えております。
債務処理の進め方については、農林漁業金融公庫からの一括繰り上げ請求の可能性が高まる中で、下流社員は精力的に協議に加わってもらっております。さらに、公社の抜本改革を図る観点からの経営改善計画を取りまとめるために、今は関係者が合意形成に向けて努力している最中でございまして、協議の頻度を高め、この議論を加速させていくことで、関係者間の信頼関係づくりにつなげ、結果的によい方向に進むものと認識しております。
造林公社問題については予断を許さない状況でございますが、一刻も早く公社で経営改善計画を策定できるよう、県としてもこの計画の実現を図るための取り組みを早急に始めたいと考えております。
南湖の湖底環境改善事業についてでございますが、都市再生プロジェクトは、関係省庁、地方公共団体が一体となって総力を挙げて取り組むべき行動計画で、今回の事業も国や関係機関と県との連携事業とのことであるが、その具体的な連携の枠組みはどうなっているかとの御質問でございます。
昨年12月に都市再生プロジェクトの事務局であります近畿地方整備局において南湖再生ワーキンググループが設けられ、この中で、県も関係機関と事務内容および連携のあり方について検討を進めてまいりました。ことし5月に第2回ワーキンググループ会議を経て、国土交通省、水産庁、水資源機構、そして県による四者連携の枠組みがまとまったところでございます。その内容は、4点ございます。
1点目は、国土交通省は河川事業による土砂を提供すること、2点目は、水産庁は県の実施する覆砂事業への補助などで支援すること、3点目は、水資源機構は航路しゅんせつから出る土砂を提供し、また、みずからくぼ地の埋め戻しの試験施工と覆砂箇所に係る一部のくぼ地の埋め戻しを行うことでございます。
県は琵琶湖環境部、農政水産部、土木交通部の部局連携のもと、全体事業の調整に当たり、これまでのヨシ帯造成、水草除去に加え、覆砂や試験施工を踏まえた上で、覆砂範囲にかかる一部のくぼ地の埋め戻し、さらに、県の各試験研究機関の共同調査と連携しつつ、効果のモニタリングを行うほか、琵琶湖河川事務所や水資源機構の行う水質等のモニタリング等との連携も考えていきます。
こうした、これまでにない形での連携によりまして、資源の有効活用や経費の削減、あるいは相乗的な事業効果の発揮はもちろん、今後の琵琶湖保全に向けた新たなモデル的な取り組みの契機となるものと期待をしております。この南湖湖底環境改善事業につきましては、県民の皆さんにもぜひ関心を持っていただきたいと思っております。
次に、南湖湖底環境改善事業の3点目の御質問でございます。
事業目的を達成するためには、単に財政難であるからといって手控えるのではなく、確実な財源を確保しつつ積極的に打って出る必要があると考えるが、例えば琵琶湖管理基金もあり、琵琶湖の水際の自然回復力の復元事業はまさに基金の本来目的に合致するものであると考えられ、これを有効に活用し、全事業期間を通して的確な財政措置を講じていくのも一つの選択肢かと考えるが、これについての知事の所見を問うという御質問でございます。
今回の事業は、先ほども申し上げましたように、湖と人との良好な関係が損なわれている南湖の現状にかんがみ、財政状況が厳しい中ではございますが、琵琶湖の多面的な価値を発揮させ、次世代へ伝えるため、今行うべき投資として着手し、平成30年度をめどに継続的に実施していくことが必要と認識しております。
御指摘の琵琶湖管理基金は、湖岸および湖底の清掃および整地その他、これに類する琵琶湖の維持管理の事業の適正かつ円滑な事業を図るためのものでございます。言いかえれば、琵琶湖の健全な機能を維持向上させるような事業に充てるべきものでありまして、また、この資金を有効に活用して生態系の自然回復力を復元するような取り組みを進めることは、県の本来の責務でもあると考えております。今回の湖底環境改善事業は、この基金の設置の趣旨に合致し、まさに今実施すべき事業と認識しております。このため、今回の補正予算においても琵琶湖管理基金の充当を予定しておりまして、湖底環境改善事業全体について、これを有効に活用していくことが基金の趣旨に沿うものと理解しております。
答弁漏れがございまして、失礼いたしました。
◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)本県の医療を取り巻く状況についての3点の御質問にお答え申し上げます。
まず、1点目の周産期医療についてでございますが、本県の周産期医療体制につきましては、ハイリスク妊婦や新生児を受け入れるため、大津赤十字病院が総合周産期母子医療センターとなり、また、滋賀医科大学医学部附属病院が周産期医療協力支援病院となる中で、合わせて12の病院が周産期医療ネットワークを構築しているところでございます。
周産期医療ネットワークでの平成18年度における対応につきましては、新生児搬送が186件、母体搬送が290件となっておりまして、そのうち6件につきましては県内の医療機関での受け入れが困難でありましたことから、医師の判断のもと、安全性を確認いたしました上で、病院間の連携によりまして京都府の病院に母体の搬送がされたところでございます。
こうした状況のもと、近畿ブロック知事会は、構成している9府県がより確実な広域での推進体制を確保いたしますために、周産期医療広域連携検討会を設置し、協議してまいりました。ことしの9月には、搬送する医療機関を円滑に確保いたしますため、広域の医療体制を整備し、近畿府県全体での安全、安心な周産期緊急医療体制を確立することを合意したところでございます。そして、現在、各府県では、広域での搬送が必要な場合に他府県への受け入れ要請を行う広域搬送調整拠点病院の設置等について、医療機関と早期の稼働を目指しまして調整を行っているところでございます。
次に、乳児、新生児の死亡率が高い現状と対応についてでございます。
総務省から公表されましたように、平成17年の乳児死亡数は、出生1,000人当たり全国平均が2.8となっている中、本県は3.5となっておりまして、全国で最も高く、新生児の死亡についても同様の状況でございます。こうした状況につきましては厳しい現実にあると強く認識しているところでございます。
県におきましては、これまでから、周産期医療体制の充実を図りますため、学識経験者や産科・小児科医、助産師の参加のもと周産期医療協議会を設置いたしまして対応してきているところでございますが、今回の厳しい状況を受け、今後さらに、死亡事例について、出生時の体重、週数、母体側の異常や新生児の異常、母体搬送や新生児搬送の状況などをもとに分析を進め、検証結果を速やかに生かしていただくよう、医療機関への情報提供を行いますとともに、周産期医療従事者を対象に、より高度で専門的な医療の提供に役立つ研修を行い、情報の共有化の徹底と対応の充実を図ってまいりたいと考えております。
また、既に課題として指摘されている事項でございますが、これにつきましては、早期に対応し、解決を図りますため、呼吸管理が可能な新生児用ベッドの整備への支援を行いますほか、医師を初めとする人材の確保にもなお一層取り組み、安心していただける周産期医療体制の確立に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の医師確保への取り組み状況についてでございますが、医師の確保は、県民が安心して暮らしていける医療を確保する上で大変重要で、差し迫った課題であると認識しておりまして、今年度医師確保総合対策事業として取り組んでいるところでございます。
まず、医師確保支援センターでは、滋賀医科大学を初めとする関係大学と県との連携強化を図る中で、医師の派遣などについての協議を鋭意行っておりまして、県内病院での医師の確保を支援するなどの取り組みを進めているところでございます。
また、今年度設けました医学生向けの修学資金などについては、現在、資金貸与の募集を進めておりまして、これまでに免除要件の確認など、応募に向けての相談を受けており、医師確保につながるものと考えております。
さらに、働く意欲を引き出す職場環境整備や女性医師の働きやすい環境づくりなどの補助制度につきましても、病院から、医師の確保と離職防止を図るため、魅力ある病院づくりを進めようとの考え方のもとに、女性医師専用の更衣室や休憩室の整備のほか、研究用医療機器の整備などを進めたいといった相談を受けているところでございます。
また、8月末には滋賀医科大学との間で寄附講座を開設する協定を結んだところでありまして、これにより県内における周産期医療の実態把握が進められ、あわせて、実態をもとに産科・小児科医師への支援方法を研究していただくことによりまして、安全で安心な医療体制の充実強化とともに、周産期医療に携わる医師の養成や医師確保に貢献していただけるものと期待いたしているところでございます。
今後におきましても、こうした取り組みを具体的な成果につなげますため、関係する市町、また、関係する病院関係者とともに全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、3点目の医療制度改革への取り組みの方向などにつきまして、まず、本県の現状についてでございますが、本県の総医療費は、平成17年度3,116億円でありまして、そのうち老人医療費が1,130億円で、全体のおおむね4割近くを占めております。そして、厚生労働省による推計では、平成24年度3,972億円となり、約3割の増加が見込まれるとされ、増加の大半は老人医療費の増加によるものと考えられております。
こうした状況のもと、医療を取り巻く現状の認識といたしましては、1つには、高齢者が増加し、加齢とともに生活習慣病が増加すること、2つには、高齢者に多い、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病などに対する、急性期から慢性期を経て復帰するまでの医療機関の連携がさらに求められていること、3つには、医療の必要性の低い人が療養病床に長期入院をしている実態があり、これらを放置しておきますと医療費を大きく押し上げ、将来的に県民負担の増大につながることから、大変大きな課題であると認識しているところでございます。
次に、今後の取り組みの方向についてでございますが、まずは、県民の皆さんが病気を予防し、健康で生き生きと暮らすことのできる、そのような対応が重要であると考えております。このため、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病などは、日ごろの生活習慣の改善により予防をしっかり行っていただければ発病を抑えることができると言われておりますので、予防を重視した生活習慣病予防対策を実施してまいりたいと考えております。具体的には、40歳から74歳までを対象に特定健診や保健指導を行うことで生活習慣病およびその予備軍の減少を図りまして、健康寿命の延伸に努めていきたいと考えております。
また、発病をし医療を必要とする場合には、患者の視点に立った安心、安全な医療を受けていただくため、急性期から慢性期を経て在宅復帰に至るまで、切れ目のない医療供給体制整備を行うことといたしております。特に、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病の4疾患につきましては、医療機関の役割分担や連携を図っていくことといたしております。
一方、昨年の10月に実施いたしました、医療、療養病床に係るアンケート調査によりますと、医療の必要性の低い、いわゆる医療区分1の患者がおおむね4割を占めているという結果となっており、いわゆる社会的入院に対応するため、療養病床の再編成を行うとともに、在宅医療の整備を推進することといたしております。
療養病床の再編に当たりましては、現在入院されている方々の状態にふさわしい介護サービスなどが提供されるよう、老人保健施設などへの転換を図りますとともに、地域で生活を支えるための保健・医療サービス、福祉サービスの提供体制の整備を進めてまいりたいと考えております。また、平成16年度から展開いたしております在宅医療等推進事業の成果を全県に普及させ、切れ目のない医療の提供、24時間在宅ケアシステムの整備等に取り組んでまいりたいと考えております。なお、療養病床の再編に当たりましては、入院患者や家族の方が不安を抱かれることがないよう、適切な相談対応に努め、また、療養病床の円滑な転換がなされるよう総合的な調整、助言や情報提供なども行ってまいります。
こうした考え方のもとに、保健医療計画を初めとする一連の計画を策定し、県民皆さんが将来にわたって安心して暮らしていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)学習指導要領の改訂についての御質問にお答えいたします。
まず、平成23年の円滑な実施に向けてどのような取り組みを考えているのかとのお尋ねでございますが、現行の学習指導要領は、子供たちに基礎的、基本的な知識、技能を身につけさせ、みずから学び、みずから考える力などの生きる力をはぐくむことをねらいとし、総合的な学習の時間が創設され、平成10年に告示されました。その後、教科書検定などの諸準備を経て平成14年度から完全実施され、今日までそれぞれの教育現場で徹底されているところであります。今回の学習指導要領の改訂の背景には、議員御指摘のように、子供たちの学力や学習意欲の低下への危惧がありますことから議論されているものと承知しております。
しかし、今回の改訂は現在審議中であり、御指摘のような戸惑いがあるとするならば、今後の審議内容等を十分に見きわめた上で、改訂の趣旨や内容について教員や保護者にしっかりと説明し理解してもらうことが何より重要であります。そのためにも、指導主事による計画的な学校訪問等を行い、各学校の教育課程編成について指導していきたいと考えております。
また、学習指導要領の趣旨を生かした授業づくりのための教師用資料の作成や、指導方法についての教員研修会など、完全実施に向けた準備や対策を行い、円滑な実施につなげていきたいと考えております。
また、授業についていけない児童生徒への対応についてでありますが、これまでから、課題別グループ編成や複数教員による指導、さらには、休み時間や放課後の個別指導など、さまざまな工夫を重ねながら、可能な限り対応しているところであります。今後の授業時間数の増加に伴い、毎朝のドリル学習の時間を設けたり、学習活動においては授業時間の弾力的な運用など、より一層、個々の子供たちに応じたきめ細かな教育を目指し、効果的な方法を研究しながら取り組んでいきたいと考えております。
次に、新しい人事評価制度導入に当たっての課題と対応についてお答えいたします。
すべての子供たちにとって質の高い教育環境を整えるとともに、滋賀の教育力を高めていくには、教職員の資質の向上が何より重要であると考えております。このため、昨年度から県内すべての公立小中学校、県立学校におきまして、新しい人事評価制度を試行し、教職員がみずからの目標を設定し、その成果を自己評価するとともに、管理職がそれぞれの教職員の能力や意欲、実績等を客観的に評価するなどの取り組みを展開しているところでございます。そうした取り組みの中で、評価制度に対します学校長等からの聞き取りや教職員アンケートの結果などから、管理職と教職員との面談に多くの時間を要することや、自己目標の設定の難しさ、評価の公平、公正の確保などが課題として提起されているところでございます。
このため、これらの課題への対応につきましては、昨年度に設置した学校の組織運営に関する調査研究委員会において議論いただくとともに、引き続きまして、人事評価制度の試行を継続する中で、課題への対応を検証しつつ、全管理職を対象とした評価者研修を実施するなど、さらに効果的、効率的な制度の運用が可能となるよう努めてまいります。
いずれにいたしましても、滋賀の教育の一層の充実に向け、また、新たな教育環境の変化に柔軟に対応し得る、すぐれた教職員の人材育成に向け、制度の熟度を高め、定着していくよう努めてまいりたいと考えております。
◎警察本部長(安森智司君) (登壇)交通弱者対策についての御質問にお答えいたします。
まず、交通死亡事故の発生形態と原因などの特徴についてでありますが、本年8月末の県下の交通事故の発生状況は、発生件数6,264件、前年比マイナス370件、死者数52人、前年比マイナス11人、負傷者数8,367人、マイナス434人、特に死者数につきましては、昭和34年以降最も少ない状況でございます。
ことしの死亡事故の形態としましては、歩行者が車にはねられる、いわゆる人対車両の交通事故で13人、自転車と車の衝突事故で3人、車両同士の事故による死亡事故におきましては、出会い頭の衝突事故で15人、正面衝突事故で12人が、それぞれ亡くなっております。
これら死亡事故の主な原因を見ますと、ドライバーの前方不注視による事故で14人、交差点での一部不停止で8人、対向車線に出た右側通行で8人、交差点での信号無視で6人となっております。なお、歩行者の死者数13人のうち8人が、いわゆる高齢者であり、自転車乗用中の死者3人がすべてが高齢者でございます。そのため、高齢者対策が特に必要であると考えております。
交通弱者の死亡事故や交差点で発生する死亡事故をさらに詳細に分析いたしますと、時期的には、暦年の第4四半期に当たる10月から12月が、ほかの3四半期に比べて高い。時間的には、午後4時から午後7時の、いわゆる夕方、薄暮時間が多いという特徴がございます。こうした分析結果を踏まえまして、年初に掲げた目標を達成するためには、今後の取り組みいかんにかかっていると認識しております。本日から始まります秋の全国交通安全運動で、県民の交通安全機運を盛り上げ、その勢いを年末まで持続してまいりたいと考えております。
具体的には、夕暮れが早まる10月以降は交通死亡事故抑止のサンセット活動と銘打って、広く県民に対し、早目のライト点灯を呼びかけるとともに、夕暮れ時の午後4時から午後7時までの時間帯に警察官をできる限り街頭活動に従事させ、交通事故に直結する信号無視や一時不停止等の交通違反、歩行者事故につながる横断歩行者等保護義務違反などの取り締まりを強化して、出会い頭事故や交通弱者事故を防止してまいりたいと考えております。
次に、具体的な交通弱者対策についてでありますが、交通死亡事故を抑止する上で交通弱者対策は重要な観点でございます。歩行者の安全確保と自転車の正しい利用につきましては、ルールの周知とマナーの実践に向けて、現在実施しております参加・体験・実践型の交通安全教育を継続して推進するとともに、歩行者、自転車利用者に対する反射材活用の促進、交通危険箇所等における保護誘導活動を引き続き行ってまいりたいと考えております。
また、道路管理者等と連携して、生活道路や通学路に加え、交通弱者が被害に遭った死亡事故現場における交通安全施設の点検整備を推進し、交通弱者にとって、より安全で快適な交通環境の整備を図ってまいりたいと考えております。
交通安全は県民の切なる願いであり、悲惨な交通事故の防止は、県および関係団体はもとより県民すべてが一体となって総合的に取り組まなければならない重要な課題と考えております。警察といたしましても、こうした関係団体と力を合わせながら、ただいま申し上げました諸対策に取り組んでまいりたいと考えております。どうぞ御支援をよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○議長(出原逸三君) しばらく休憩いたします。
午後0時25分 休憩
────────────────
午後1時17分 開議
○議長(出原逸三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、40番山田実君の発言を許します。
◆40番(山田実君) (登壇、拍手)民主党・県民ネットワークを代表して、知事ならびに関係部長に質問いたします。
知事は、18日の提案説明で県の財政状況について、非常事態とも言うべき危機的な状況との見解を示され、何も手だてを講じない場合、財政再建団体への転落は現実のものになると述べておられます。こうした厳しい状況の中での代表質問でありますので、できるだけ提案型の質問としていきたいと思います。知事を初め、関係各部長の率直な答弁をお願いいたします。
初めに、県の財政問題について質問いたします。
本県においては、県税収入は平成15年度以降着実に増加してきているものの、地方交付税が毎年大幅に削減されるなど、財政を取り巻く環境はこの数年大変厳しいものになってきています。県債残高の増加に歯どめをかけることができず、基金も底をつくといった財政運営を余儀なくされている状態です。このため、平成16年度に財政危機回避のための改革プログラムを策定し、以降、事務事業の点検や見直しを徹底して行い、子や孫にツケを残さない財政の健全化に向けた努力が行われてきたところであります。嘉田知事になってからも、さらに厳しい姿勢でこの財政状況を突破する努力が行われてきたものと考えております。しかし、平成20年度、21年度、22年度の財政収支の見通しにおいては、400億円を超す大幅な財源不足が今後とも生じるとの試算が行われております。
そこで、まず、新たな
財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
本県では、厳しい財政状況を踏まえ、平成10年度からこれまで4度にわたる財政構造改革が行われてきました。しかし、来年度以降も多額の歳入不足が引き続き発生するとの見込みから、現在、新たな
財政構造改革プログラムの策定作業が行われています。現在、平成16年度に策定した財政危機回避のための改革プログラムに沿って、経費節減等を含む事業費の削減、人件費の削減、公債費の平準化などの取り組みが進められてきておりますが、この改革プログラムが予定していた目標達成の見込みについて、総務部長にお尋ねいたします。
また、財政危機回避を掲げて取り組んだこの3年間の成果をどう認識されているのでしょうか。特に歳出の削減に積極的に取り組み、事業見直し等に取り組まれてきましたが、本県の財政危機回避の改革はどの程度進んできたと考えておられるのでしょうか。その結果、県民の暮らしや地域社会にとってどのような変化があったと認識しておられますか。あわせて知事にお伺いいたします。
この
財政構造改革プログラムに沿って、厳しい歳出削減等が進められてきましたが、歳出面では、団塊の世代の大量退職や社会保障関係費を初めとする裁量の余地のない義務的経費が増加し、他方、歳入面では、県税収入は回復傾向にあるものの、地方交付税は地方債への借りかえや三位一体の改革による大幅な削減などを背景に年々減少傾向にあります。この結果、本県では財政危機とも言うべき状況が続いています。このような厳しい財政状況に陥った原因を総合的にしっかりと把握しないまま、新たな構造改革プログラムを策定しても、財政危機回避にはつながらないと思いますが、知事の基本的な認識をお伺いいたします。
さて、こうした状況を踏まえて、去る8月3日に総務部長名で、新たな
財政構造改革プログラムの策定についてという通知が出され、その策定作業が始まっているとお伺いしております。この新たな
財政構造改革プログラムは、持続可能な財政基盤の確立を目指すために、平成20年度からおおむね3年を取り組み期間とするとされ、その見直しに当たっては、昨年度実施した施策・事業の仕分けを職員の気づきに生かすとともに、聖域を設けずにゼロベースで徹底した見直しに取り組むこととされております。そこで、この策定作業の今日までの作業状況と、これからの策定作業の日程、財政構造改革の見通しについて、総務部長にお尋ねいたします。
これまでの本県における財政構造改革の取り組みを踏まえると、新しい
財政構造改革プログラムは、従来のように歳出削減だけが突出するような帳じり合わせには限界があるように思います。まさに財政構造の改革を伴ったものにしていく必要があると考えます。財政の健全化には歳入増加策と歳出削減の努力が必要ですが、既にさまざまな取り組みを行ってきたことを踏まえると、これまでと同様の取り組みでは限界があり、相当思い切った取り組みもプログラム化していく必要もあろうかと思います。その際、知事は新たな財政構造改革に向けての方針をどのように考えておられるのでしょうか。知事の考えをお伺いいたします。
財政健全化を進めるに当たっては、県民福祉の後退を最小限度にとどめる努力も必要であると考えます。そのためには、関係する人たちに十分な情報を公開し、説明し、理解してもらう努力が必要だと思います。この難局を乗り切るために、財政危機宣言を行うなどにより県の財政状況を市町、県民に広く広報し、何よりもわかりやすく的確に情報提供を行うこと、また、この事態を克服するため、広く英知を集めることも必要だと思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。
財源不足の原因の一つは、国の補助金の削減と税源移譲、そして交付税改革という、いわゆる三位一体の改革にあります。そして、その改革が十分な成果を上げない中で、都道府県、市町村は財政危機の中に置かれています。国自体が巨額の借金を抱え、省庁の縦割りの壁が地方の自立化を阻んでいます。それが地域の元気を奪い、国民、県民の大きな不安を生み出していると思います。そうした中にあって、国と市町の間にある県の役割として、また、そのトップにいる知事として、今後どのようなアクションを起こしていくべきとお考えなのかも、あわせてお伺いいたします。
さまざまな県政の課題の中で、財政の健全化は極めて優先順位の高い課題です。知事に就任されて15カ月にもなられますが、知事として、あれもしたい、これもしたいという気持ちはあると思いますが、財政再建に向けての知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
次に、基本構想についてお尋ねいたします。
本県では、平成15年度から平成19年度までの5年間の施策展開の方向を示す滋賀県中期計画が最終年度を迎えているところから、今日までその改定作業が進められてきました。既に6回の基本構想審議会が開催され、ことし7月には審議会の答申と、それを受けて
県民政策コメントも行われたところであります。しかし、財政状況の見通しが不透明な中で、この9月議会で予定されていた説明が延期されました。財政との整合性を図るために、
財政構造改革プログラムの策定作業を踏まえたいというのが、その理由でありました。しかし、基本構想の策定に当たっては、財政状況の厳しさはある程度予測できたことであると思います。
そこで、今回の基本構想策定スケジュールの変更について、基本構想と財源見通しはどうリンクさせるべきとお考えなのか、政策調整部長にお伺いいたします。
このことは、新しい時代における基本構想の役割をどう考えるかという問題になると思います。これまでの基本計画は専ら経済成長と人口増加を前提にして、その上で何を県政が目指すかを考えてきたものでありました。しかし、財政が厳しい時代、人口が減少する時代、高齢化が進む時代においては、基本構想の役割は変わらざるを得ません。知事はこれからの時代における基本構想の役割とは何だとお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
以下、基本構想が取り上げるべきテーマを3つほど提案してみたいと思います。
1つは、基本計画の中心に、若者が夢を持てる社会をどう築くかを念頭に置くべきではないかということです。ある調査によれば、中高生を対象に、21世紀は人類にとって希望に満ちた社会になるかという質問に、アメリカでは8割、韓国では7割、フランスでは6割が「そう思う」と答えたのに対して、日本では6割が「そう思わない」と答えたということです。未来に夢が持てないことほど不幸なことはありません。経済成長が夢を実現してくれた時代が過ぎた中で、知事が言う「もったいない」を形にして、若者が夢を持てる社会の構築に私たちは知恵を出すべきだと思います。
2つ目は、これからの自治のあり方を考えたとき、目指すべき方向として、知事がよく言われる自助、公助、共助がうまく機能する社会であると考えます。とりわけ公共サービスの担い手が多様化し、効率的な行政運営に向けて公的サービスのアウトソーシングが進む中では、共助の受け皿を育てることが極めて重要です。これまでのようなハードな社会資本形成中心の投資を、地域の自治組織の強化やNPOの育成、元気なリタイア層の活躍の場の創造、企業の社会的貢献の促進といったソフトな社会資本形成に力を入れるべきであろうと思います。それが行政を身軽にして財政負担を軽くしながら行政サービスの質を維持していく方向ではないかと思います。
3つ目は、何といっても地球温暖化の防止です。これについては項を改めて質問したいと思いますが、琵琶湖を抱え、環境問題に積極的にかかわってきた本県としては、他県に先駆けた取り組みにチャレンジすべきだと思います。地球温暖化防止は、山や田んぼの活用、生活の見直し、産業の振興、学術研究、交通、教育など、あらゆる知恵と力の結集を必要とします。そのために、私たちが目指すべき明確な未来像を描き、その未来から現在を見通しながら、今、協働して取り組むべき行動目標を設定し、行動計画を設定することが大事だと思います。
何を選択し、何に集中して取り組むかの見識を示すのが基本構想であるべきだと考えますが、こうした提案に対する知事の御意見をお聞かせいただきながら、新たな基本構想への所信をお聞かせください。
次に、平成20年度予算編成について、知事にお伺いいたします。
従来であれば10月の中ごろ予算編成の方針が示され、それに基づいて滋賀県の来年度予算の編成作業がスタートいたします。ことしは、新たな
財政構造改革プログラムの策定作業の結果を受けての予算編成作業になるのかと考えておりますが、県の予算編成は、県内各市町の予算編成作業にも大きな影響を与えます。それは、とりもなおさず県民の生活にも直結しております。情報の提供、公開を速やかに行い、市町の予算編成や今後の施策展開への影響を最小限度にすることが大事だと思われます。知事のお考えをお伺いいたします。
財政再建の問題に関連して、最近、県職員に元気がないということを耳にいたします。「貧すれば鈍する」という言葉がありますが、お金がないという現実の前では、優秀なはずの県職員の士気が低下し、その実力が存分に発揮されていないことは、実にじくじたる思いがいたします。しかし、財政が厳しいときであるからこそ、お金だけに頼らない県政の展望を開くことに知恵を出し、県民に希望を与える役割が県職員にはあると思います。その中で、行政のトップとしての知事の役割は非常に大きなものがあり、常に県職員が意欲を持って仕事に取り組める環境形成に取り組んでいただきたいと願うものであります。
ところで、これまで財政危機を乗り切るため、既に5年間、職員の皆さんにも給与の独自カットのお願いをしてきています。しかし、人件費を抑えるためにとっている独自カットは一時的措置であり、いつまでも続けることがいいとは思えません。構造改革の観点からすれば、例えば個々の職員の賃金抑制という一時的な手法ではなく、人件費の抑制に着目した持続的な取り組みが求められていると考えます。こうしたことも踏まえ、知事はこの厳しい財政状況下で職員の士気をいかに高めようとしておられるのか、そして、県職員と一丸となって事に当たるために何を行うべきと考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。
次に、新幹線新駅問題について、知事にお尋ねいたします。
本件については、我が会派としても本年6月定例会で、県としての早急なる解決への道筋について質問を行い、去る9月3日の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針について案が示されました。その中で、新駅設置事業に対し、県として投資が許される状況にはなく、将来において新たな駅を設置するだけの財政的余裕が生まれた時点で総合的に検討すべきものとし、新駅の凍結とは、現行協定類の終了と主張されました。同時に、協定終了時における、栗東市や土地区画整理事業の地権者の皆さんが抱える課題に対しても早期に対応する必要性について明記されました。
県としては関係者の合意を得て解決を図ってきたいと再三知事は申されていますが、栗東市長は、正・副会長会議の中でも、凍結とは一定期間の凍結なのか、将来にわたっての完全な中止なのかを明確にしてほしいと、凍結の意味を各当事者が共通理解できるよう求めておられます。
そこで、まず、この凍結という言葉は、現行協定類の終了という意味とされていますが、その内容について知事としてはどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
また、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)の中で示された栗東新都心土地区画整理事業の継続実施への県としての支援について、我々は次のような例が考えられると思います。地元から要望の強かった工事中断に伴う住民の皆さんの税負担等に対する支援、国庫補助事業の継続採択を県として国に働きかけること、県道栗東志那中線拡幅工事の実施等、これらに栗東市と一緒になって取り組んでこそ、合意に向けての前進になると考えますが、知事の支援に当たってのお考えをお伺いします。
さらに、東海道
新幹線新駅等施設整備促進基金の存置については、当分の間、存置するという表現をしておられますが、この当分の間とはどれくらいの期間を指すのか、お伺いいたします。
また、基金を活用する場合、県南部地域の都市基盤整備を含めた土地区画整理区域への活用等考えられますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、治水対策について、知事に質問いたします。
どのような洪水にあっても死者を出さず、壊滅的な被害を防ぐ治水対策はどうあるべきか、そして、同時に、自然の生態系や生き物の宝庫、また、文化の源泉でもある河川の力を生かしながら、多面的な河川政策をどう組み立てていくかを練り直したいとして、県内で建設が計画されているダムについて、一たん凍結を宣言し、対話を通じて見直したいとされ、昨年知事に就任されました。そして、就任直後に、ダムだけに頼らない流域治水を推し進めるため、流域治水政策室を設置し、各種検討がなされ、ダム計画河川における、ためる機能が流域としていかに可能であるかを、具体的な流域の土地利用などを整理し、数値的な試算を行った結果、本年3月には一定の判断が示されるに至ったところであります。
その結果、北川第一ダムについては、ダム、プラス河道改修を有力な計画として、今後、地域との対話を進める。北川第二ダムについては、治水安全度の優先順位などを総合的に考慮し、当面は実施しない。芹谷ダムは、遊水池案、河川改修案の再検討の結果、ダム、プラス河道改修を有力な計画として、今後、地域との対話を進めていくとされています。
去る9月8日に行われた芹谷ダムについての知事と地元住民との意見交換の場で、知事は、計画は容認しているが、建設するかどうか見直しており、決定に至っていないと発言したと報道されています。しかし、財政的な課題はあるものの、2月議会の場でダム建設を有力な計画とされ、今日まで流域住民と川づくり会議を重ねてこられた中で、建設するかどうか見直しているという発言は県民にはわかりにくいものとなっています。言いかえれば、知事の発言が、その都度ニュアンスが変わっており、知事の真意をはかりかねる事態になっているのではとの思いがするところであります。
県のリーダーたる知事は、県民に対してわかりやすい、ぶれない発言が求められますが、県営治水ダムの知事の考え方を伺います。
現在、来年度以降も財源不足が見込まれる中、新たな
財政構造改革プログラムの策定に取り組んでおられるところであります。この中にダム予算を組み込むのかどうか、いよいよ決断されるべき時期であります。今後のスケジュールを含め、県営治水ダム建設事業の知事の考えを伺います。
国土交通省近畿地方整備局は8月28日に、淀川水系河川整備計画原案を公表しました。この中で、大戸川ダムは、京都市内を流れる桂川の河川改修に伴い下流の流入量がふえる淀川の大阪府枚方市で計画水位を超すことが予想されるため、上流部で流出量を抑える必要から、総貯水容量は従来計画の約3分の2に当たる2,200万立方メートルとし、常時貯水する必要がなくなったため、穴あきダムとして復活しました。丹生ダムは、琵琶湖への環境影響などを検討した上で、二、三年をめどに総貯水容量を含めて、穴あきダムか貯水ダムか判断するという方針であります。
一方、懸案の瀬田川洗堰の全閉操作は、宇治川の改修や天ヶ瀬ダムの再開発、大戸川ダムの整備後に原則として行わないとしています。今日までの知事の両ダムについての方針を踏まえ、今回公表された河川整備計画原案に対する知事の所見をお伺いいたします。
また、今回公表された原案をもとに調整が進むと考えますが、今後の河川整備計画の策定に向けての滋賀県の対応ならびにスケジュールについてお伺いいたします。
次に、廃棄物について、知事ならびに琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
知事はマニフェストで3つの緊急提言をされ、その3つ目は産業廃棄物行政に関してでありました。具体的に、栗原地先に建設予定だった産業廃棄物、一般廃棄物の焼却処理施設建設計画の凍結でありました。凍結の前提として、ごみゼロ滋賀県行動計画をつくり、産業廃棄物は排出事業所との共同で、一般廃棄物は生ごみ、紙ごみ、プラスチックごみを分別、資源化する仕組みづくりを支援することでありました。凍結から1年以上たつ現在において、栗原地先では1日当たり一般廃棄物で200トン、産業廃棄物で100トンの処理を予定されておりました。それらの予定されていた廃棄物は現在どれだけ分別、資源化で削減され、そして、今後、残りの廃棄物はどのように処理される予定でしょうか、伺います。
また、マニフェストに具体的に示されていた建築廃材、汚泥の再利用システムの構築状況、生ごみリサイクルと再利用システムの確立、そして、紙、プラスチックごみの固形燃料化を伴うRPF工場の誘致の状況がどのようになっているのか、また、廃棄物を出さない循環型産業の創出や、ごみは地域内で再利用できるような暮らしの構築などの、ごみゼロ滋賀県行動計画の作成はどうなっているのかなど、栗原地先処分場建設回避に向けた施策の取り組みの進捗状況を、知事にお伺いいたします。
あわせて、栗原地先の処理場建設計画に当たって唱えられた、産業廃棄物処理における公共関与の必要性は今後どのように考えていかれるのか、お伺いいたします。
次に、不法投棄の未然防止対策に関して、琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
環境省は数次にわたり、廃棄物処理法の改正および不法投棄撲滅アクションプランを策定し、総合的な不法投棄対策を推進してきました。その結果、産業廃棄物の不法投棄件数ならびに投棄量は、ピーク時の約1,100件、約40万トンから半減したものの、依然、約600件、約20万トンの不法投棄がされています。不法投棄に関しては、早期発見、早期着手、早期解決が重要であると言われております。不法投棄に対する監視体制を強化すると、当初は発見率が上がり、件数、量ともに増加し、その後、結果として新規発生の件数、量は減少すると言われております。滋賀県においては、地域住民や事業者の協力、また、24時間監視可能なカメラ等ハイテク機器を活用した監視により、不法投棄の未然防止が行われていますが、滋賀県の不法投棄の発見件数、量の推移ならびに動向はどのようになっているのでしょうか。
また、京都府においては24時間対応通話料無料の不法投棄情報ダイヤルや、電子メール等を通じて直接、間接に情報を得ており、また、警察OBによる不法投棄等監視員を配置し、監視パトロールを実施し、不法投棄等の早期発見を心がけておられますが、今後、さらなる不法投棄の減少に向けてどのような取り組みを行われるのか、お伺いいたします。
最後に、ごみゼロに向けた県民運動の展開について、知事にお伺いいたします。
廃棄物問題において3Rの取り組みの中でも何よりも優先されるべき事項は、ごみをつくらないこと、発生抑制──リデュースであります。現在、マイバッグの使用によりレジ袋を断る行動やマイボトル運動など、一人一人のちょっとした心がけを行動に示すことにより、入り口の段階でごみを減ずることができます。そのためには、県民への意識づけと事業者の協力は不可欠でありますが、発生抑制に向け、どのように県民、事業者、行政とのパートナーシップを築き、県民運動として展開されますか、お伺いいたします。
次に、地球温暖化防止対策について、知事ならびに琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
ことしの夏は大変暑い夏でありました。きょうもまた厳しい残暑に見舞われておりますが、ことしは全国的には過去最高の暑さ、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市において最高気温40.9度を記録いたしました。地球温暖化の影響で、ヒマラヤを初め、世界各地で氷河が解け出し、さらに、海面水位の上昇によりキリバス共和国では諸島が沈むおそれがあることから、全国民10万人脱出・移住計画を明らかにしました。また、北極圏においては、海氷にあいた穴から息継ぎのために顔を出すアザラシを捕獲して食べているホッキョクグマも、海氷がなくなったことにより絶滅が危惧されているところであります。
ことしのドイツでのG8、ハイリンゲンダムサミットにおいて、2050年まで温室効果ガスの半減を真剣に検討することで合意され、そして、来年、我が国で開催されるG8、北海道洞爺湖サミットにおいても地球温暖化が重要なテーマとして議論されることが予定されており、今後の地球温暖化対策がますます注目されているところであります。
このように地球規模での温暖化に歯どめがかからない一方で、我が国では全国において1990年度から2005年度までにCO2は7.6%増加し、温暖化効果ガスの排出を1990年度、マイナス6%に抑えるというCOP3での我が国の目標の達成は、その見込みが立っていません。滋賀県においても、CO2は5万トン、0.4%の増加に抑えられているものの、現在の取り組みでは昨年12月に出された滋賀県地球温暖化対策推進計画における2010年の温室効果ガスの削減目標であります1990年比マイナス9%を達成できるとは考えられません。
しかし、一方で、地球温暖化防止対策に成果を上げているところもあります。先般、8月31日にドイツのアンゲラ・メルケル首相が来日されましたが、ドイツにおいて対1990年比で21%削減するという目標をほぼ達成しつつあります。これは、電力会社に自然エネルギー発電電力を固定価格で20年買い取り、必要経費を補償する仕組み、つまり太陽光など再生可能エネルギーを普及させるための法的措置をめぐらせ、経済的にも効果が出るような誘導策を実施したことにあります。この仕組みはドイツ・アーヘン市における取り組みがモデルとなって、その有効性が国家的政策にまでなったものであります。
滋賀県では今後、地球温暖化防止に向けてどのように取り組もうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
滋賀県における温室効果ガス排出量のエネルギー起源における部門別推移を見ますと、産業部門は1990年から2002年の比率において9.7%減っているものの、運輸部門では27.1%、家庭部門26.1%、業務その他部門21.7%、それぞれ増加しています。また、将来推計値においてさらに増加傾向であります。今後、人口がさらにふえ、また、新名神高速道路の開通に伴い、さらに交通量がふえることが予測される本県において、運輸部門におけるCO2の削減に向けた取り組みをどのように行うかが非常に重要であると思われます。
物流部門では、県内では松下電器産業やクロネコヤマト、たねや、平和堂などが、カーボンニュートラルとされるバイオディーゼル燃料を活用したCO2削減への取り組みを行っています。また、ドイツでは、2000年から2003年までに運輸部門においてエネルギー消費量を減らしておりますが、その要因の一つとして、公共交通機関の利用者が増加したことにあるそうです。こうした公共交通機関の利用促進や物流対策など運輸部門におけるCO2削減対策をどう展開されようとしているのか、知事の御所見をお伺いします。
また、県民一人一人の理解と協力がなければ、家庭部門においてCO2削減目標が達成できません。そのためには、県民に対して意識啓発や具体的な実践活動などの呼びかけが不可欠と考えますが、その最前線であります滋賀県地球温暖化防止活動推進センターの活動状況はどのようになっているのか。さらに、滋賀県地球温暖化対策会議の設置活動状況も、あわせて、県民に対していかなるアプローチをされているのか、琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
また、これまでNPO、市民団体、企業等と協働し、新エネルギーの導入推進のためにさまざまな取り組みが行われています。湖国菜の花エコ・プロジェクトや市民共同発電所、木質バイオマスエネルギー利用など、地域の特性を生かした新エネルギーの開発推進がなされてきました。また、行政でもさまざまな取り組みが進められています。しかし、残念ながらこれらの取り組みは大きな戦略のもとに相互連携されているとは思われません。これからさらに大きな県民運動としてうねりを起こしていくためには、知事はどのようにこれら市民の力を生かしていこうとされているのか、お伺いいたします。
最後に、滋賀県が一事業者として地球温暖化対策の模範となるべく、先日、滋賀県庁地球温暖化対策実施計画が発表されましたが、これに対する知事の意気込みをお伺いいたします。
次に、造林公社について、知事にお伺いいたします。
本県の2つの造林公社問題については、既に10年以上も前から重要課題として何回となく県議会において問題提起がされてきました。また、平成16年度には包括外部監査が実施され、経営体として存続できる状態ではないという大変厳しい報告がされています。これに対して県は、経営改善検討会議や金融問題検討会への参加、また、公社自身は自助努力等、鋭意取り組んでおられますが、結果的に抜本改革にはほど遠い状態であり、債務は年々増加の一途をたどり、平成18年度末には借入金891億円、利息166億円、計1,057億円という莫大な債務を抱えるに至っております。また、農林漁業金融公庫の平成17、18年度分利息支払いに当たっての償還猶予申請に対し、平成19年度中に抜本改革の方向を示すこと、抜本改革へ向けての進展がなければ10月末には一括繰り上げ償還請求を行い、その10カ月後、県への
損害補償請求を行うことになるとの条件がつけられています。
こうした中で、6月定例会におきまして知事は、本県について債務償還スキームを含めた抜本改革の方向性を早急に見出すべく、県と公社および関係者が真剣に検討している。できるかできないかではなく、やるかやらないかであると強い決意を述べられています。9月12日の県議会環境・農水常任委員会において、公社の抜本改革案の選択肢として、公社存続を前提とした3案と公社解散を前提とした2案の計5案を明らかにし、その上で、森林の伐採時期が来る約10年先まで債務を返済猶予してもらい、その後は伐採収入をもって返済に充てる案を最も望ましいとされています。
今回、5案の選択が示されたことは、従来の考え方から一歩踏み込んだものとして評価できるものでありますが、5案に対する基礎データ等が明らかにされておりません。このままでは選択肢に対する検討ができなく、また、森林伐採時期が来る約10年先まで債務の返済猶予をしてもらい、以後は伐採収入をもって返済に充てるとの方針が適正であるか否かすら判断できません。
そこで、次のことについてお伺いいたします。
かねてから積算されておりました現在の資産額は幾らでしょうか。現在の簿価および評価資産額でお示しください。
また、伐採時期が来る今後10年間の利息、事業費、管理費等の支出総額およびその時点における伐採収入額をどのように見込まれているのでしょうか。
あわせて、公社の経営最終年に当たる平成80年までに返済可能な総額を10月中に算出し、債務者に対して理解を求めていくとの考えですが、関係者の理解を得るためには、その前提となる基礎データを明らかにする必要があります。このデータについても、公表されるようお願いいたします。
次に、今回の事態に陥った背景には、各公社や都道府県の経営努力を超えた国の森林・林業政策の転換という構造的な課題があることは、関係者に認識されているところであります。そのことを前提にした農林漁業金融公庫や大阪府を初めとする下流自治体等の協議状況についてお伺いいたします。
また、分収割合が公社6、土地所有者4となっておりますが、大分県にあっては9対1に変更されており、他の県におきましても見直しが進められております。造林事業の現状から、この分収割合の見直しも早急に行うべきであると思いますが、どのようにお考えですか。
民主党・県民ネットワークでは、去る9月13日、高島市にある滋賀県造林公社およびびわ湖造林公社の現地調査を行いました。現地は、急な傾斜地で、公社の設立目的である山間僻地および離島等の未開発地域であることをまず実感いたしました。が、このことは逆に、木材搬出が大変な地であることを意味するものであり、公社における造林地が搬出道まで平均700メートルもあるという説明でありました。木材搬出作業が大変なものであり、同時にコスト高につながるものであることから、まず、買い手があるのか、さらに、木材価格は今が底値とされていますが、今までの経過や人口が今後減少していくことを考えますと、先行き需要は決して楽観できるものではなく、むしろ好不況の波はあっても現在の状況が当分続くものとして考えるのが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
次に、この造林公社問題は、県が損失補償をしていることから、県政全体にも大きな影響をもたらすものであり、できる限りの情報を公開し、広く県民の理解を得ていくことが大切であると考えますが、いかがでしょうか。
再建策にあっては、堅調な見通しに立って行うのが常識であります。この種の事業は結果がすべてであり、失敗は許されません。そのときになって、逆に債務がふえたという状態であれば、もう取り返しはつかないと考えます。この点、どのように考えておられるのか、お伺いします。
次に、安心して子供を出産できる環境について、健康福祉部長にお伺いします。
先月、奈良県で女性が下腹部の痛みを訴え、119番し、救急車が出動しましたが、奈良県立医科大学附属病院など、奈良県や大阪府の9施設に受け入れてもらえず、救急車搬送約2時間後に破水、病院到着まで約3時間かかり、胎児の死亡が確認されました。同県は昨年の8月にも、病院で分娩中に意識不明になった女性が約20カ所の病院に受け入れを断られた末に死亡してしまったという悲しい事実は記憶に新しいところでありますが、救急にもかかわらず、複数の病院に受け入れを断られるたらい回しや、地域によっては離れた医療機関まで時間をかけて運ばざるを得ないということは、今妊娠中の女性や将来の子供を産もうとしている女性に不安をもたらす大きな問題であります。
本県の昨年度の妊婦救急搬送事例件数が9月19日付の新聞で報道されました。その内容は、最初の医療機関とは別の病院に転送された妊婦が290人、このうち大津赤十字病院の調査で、5つ目の病院で受け入れられた妊婦が1人、4つ目が1人、3つ目が4人、2つ目は12人いたことや、5人が京都府内の病院に搬送されたという報道でした。また、9月12日の中日新聞では、ことし7月に本県東近江市で20代前半の妊婦が陣痛を訴えて救急車を呼び、救急車が妊婦宅に到着したものの、妊婦を乗せ、停止したまま、約15分間、救急隊員が4カ所の病院や開業医に電話で受け入れを要請したが、この妊婦の場合、かかりつけ医でない、妊婦の経過がわからないなどの理由で次々断られ、5カ所目でようやく、24キロメートル離れた甲賀市の公立甲賀病院が受け入れを承諾、到着したときには既に1時間16分かかっていたと報道されました。いずれも母体や新生児に異常はなかったとのことのようですが、奈良県のような事故になり得る危険性はなかったのでしょうか。
こうしたことを踏まえ、妊婦と胎児の命にかかわる緊急の事態にスムーズに対応するため、緊急搬送時のシステム構築、空きベッドなどの情報の共有、隣県・自治体との連携が必要だと思われますが、本県の妊婦救急搬送についての現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、助産師の役割と活用についてお伺いいたします。
分娩を取り扱う施設の減少や産科医の現実、今なお安心、安全なお産ができない現実が広がりつつあり、身近な地域で安心して産みたいとの願いがある中、県の取り組みとして、滋賀医科大学産婦人科で日常の妊婦健診や相談など、地域の診療所や助産所と連携し、妊婦に異常が見受けられる場合は、医師と助産師の医療スタッフ協力のもとで出産を行う産科オープンシステムをモデル実施中であります。
周産期母子医療センターとして大津赤十字病院を指定され、産科と新生児科が一つになって、危険度の高いお産、重病の妊産婦を受け入れ、お産の医療ネットワークとしての重要な役割を果たしています。一方、県のモデル事業として、産科を持つ県内の15病院に募集をかけて選考し、院内助産所の開設に向けて、まずは助産師外来が今月11日ごろに大津市民病院で開設、来年4月には市立長浜病院で開設を予定されています。
これらのシステムに大いに期待するところでありますが、高島市を中心とする湖西地域や彦根市を中心とする湖東地域の整備がなされていません。これらの地域の整備について、どのように考えておられるのか、お伺いします。
また、出産・育児支援のためにもさらなる助産師の活躍の場の確保、体制づくりをすることについて積極的な取り組みと支援が必要と思われますが、どのような具体策を考えておられるのか、お伺いします。
次に、総務省が、厚生労働省の人口動態統計をもとに乳児および新生児の死亡率について、平成8年から平成17年までの10年間における国全体および47都道府県別の状況を調査した結果を発表しました。国全体の死亡率は減少傾向にある中で、本県は平成17年の乳児死亡率が出生1,000人当たり3.5で、全国平均の2.8を上回り、最も低い佐賀県の1.7の約2倍という調査結果になりました。また、本県は、この10年間のうち9年、全国平均を上回っているとの結果も出ています。平成17年の新生児の死亡率は本県は2.1と、全国平均の1.4を上回り、最も低い佐賀県の0.7の約3倍で、この10年間のうち8年、全国平均を上回っている結果が出ました。
このワースト結果となった数値の詳細、ならびに常態化したと言われることに対しての原因究明と死亡率改善の方策についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
最後に、中小企業振興対策について、知事にお尋ねいたします。
滋賀県では、滋賀県産業振興新指針に基づき、滋賀3KBI、つまり、健康福祉、環境、観光、バイオ、ITの各分野における新産業の創出、地域産業の高度化、体質強化、若者、女性、障害者の雇用と多文化共生の推進の3点を重点目標に取り組んでおられます。現在、滋賀県産業振興新指針の見直し作業が行われておりますが、新しい産業振興指針の策定に当たっては、現行の指針が本県の産業振興策として的確であったのかどうかを踏まえる必要があると考えます。
本県には、県内事業所数の99%を超え、また、総従業者の86%を超える中小企業があります。中小企業は、地域に根差した産業であり、この中小企業の自律的な活性化を図ることが、地域社会の元気を取り戻す大きな原動力になると思います。
しかし、本県の中小企業は、今、元気な状況に置かれているとは思えません。例えば、新たに開業した事業所数ならびに廃業あるいは倒産した事業所数の最近の変化はどうなのでしょうか。意欲的な事業者が次々と生まれ、開業率が廃業率を上回るという環境をつくることが、産業振興の目安の一つになると思います。元気な中小企業を生み出すには、総花的でなく、滋賀県の特性を踏まえた重点戦略を持つことが必要だと考えます。これまでの産業振興の理念、施策をしっかりと総括することが必要だと思われますが、御所見をお伺いいたします。
次に、中小企業振興対策を考えるに当たって、中小企業の実態、中小企業者の思いを十分把握しておられるのでしょうか、お尋ねいたします。
先進的な都道府県では、個々の中小企業にヒアリング調査を行い、中小企業の抱えている苦労を共有するところから、中小企業の持つ課題の解決策を考えていこうとしています。まさに現場に足をつけた産業振興策を模索しようという取り組みであります。中小企業家のモチベーションを高めるためには、政策担当者が現場を訪れ、その実態を調査することから始まり、そのヒアリング調査をもとに産業振興の戦略や施策を構築していくことが大切だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、中小企業振興対策の主体についての御認識をお伺いします。
産業・経済活動は、民間活力が最もその能力を発揮する分野であることを考えると、産業振興の主体は民間であるはずです。行政は、その主体がダイナミックな活動を行う上での支援をするという役割を果たすべきだと思います。例えば産業振興会議という場を用意し、そこに意欲ある経営者に集まっていただき、中小企業が抱えている問題をお互い検討し、研究者と一緒になって問題解決に向けた取り組みを行い、行政はその活動に支援を行うといったことが大事かと思います。同じ額の補助金を使うに当たっても、単年度執行の補助金は使い勝手が悪いので、複数年度のシステムにしてほしいという声もありますが、こうした場で行政も一緒になってその改善策を考えるべきです。
また、中小企業振興のためには、従来の商工観光労働部の所管だけでない多様な連携が必要です。例えば、障害を持った人たちを雇用するなど、福祉との連携、地場で生産された農産物の直販事業のような農林漁業との連携、琵琶湖を初めとする環境保全活動との連携、あるいは地場産業振興など、幅広い取り組みが既に行われております。主体を中小企業に置くことで、行政も各部にまたがる施策を有機的に、また体系的に進めることに通じると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、民主党・県民ネットワークの代表質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(出原逸三君) 40番山田実君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)民主党・県民ネットワーク、山田議員の代表質問にお答えさせていただきます。
まず、財政問題につきまして、13点の質問のうち10問に答えさせていただきます。
2点目の財政危機回避を掲げて取り組んだこの3カ年の成果をどう認識しているかとの問いでございます。
財政危機回避のための改革プログラムの各年度の取り組みを着実に実施することにより歳出規模を削減するなど、一定の成果を上げてまいりました。特に事務事業の徹底した見直しや人件費の削減により、3年間で291億円の縮減を達成するなど、収支改善に大きく寄与したものと認識しております。
また、改革の取り組み経過において、県民の皆さんには一定の我慢をお願いしてまいりましたが、必要な行政サービスについては、厳しい財政状況の中でも実施してきたところでございます。
一方、そのような中で、地域の多様な主体との協働に向けた取り組みが一定程度進むとともに、県の役割はこれまで以上に広域的、高度専門的な分野に特化させるなど、市町との新たな役割分担や協力関係も築くことができたと認識しております。
次に、3点目のこのような厳しい財政事情に陥った原因を総合的にしっかり把握することが大切だという御指摘についてでございます。
平成10年度以来、数次にわたる財政構造改革の努力にもかかわらず、依然として巨額の財源不足が生じています。この要因としては、改革期間中における予期せぬ景気の落ち込みによる県税収入の減少や平成16年度から始まった三位一体の改革により地方交付税が大幅に減額されたことが挙げられます。さらに、予期せぬ景気の落ち込みに対応するため、国の経済対策等に呼応し社会資本整備を進めたことにより県債を増発してきたこと、過去の人口急増時期にその対応を図ってきたこと、比較的余裕があった右肩上がりの時期に県民サービスの向上のため各種施策を積極的に行ってきたこと、これらのことが結果として、一般財源が減少してきている現在において公債費や維持管理経費といった形で財政負担となっていると認識しております。
これまでは財源対策として財政調整基金や県債管理基金などを活用し、その対応を図ってまいりましたが、これらの基金も底をつく状況であり、また、財源対策的な県債の発行も限られるなど、今まで以上に困難な状況にございます。このまま何も手だてを講じない場合には財政再建団体への転落は現実のものとなる状況であり、是が非でも阻止しなければならないと決意している次第でございます。
5点目の知事は新たな財政構造改革に向けて方針をどう考えているかでございます。
新たな改革に向けての方針は、県民の暮らしと命を守るなど、施策の重点化を図りつつ、県として徹底した歳出の見直しを行うこと、同時に、税収の確保、拡大、県有資産の有効活用や増収策を講じるなど歳入確保を図ること、さらに、本県の財政需要に応じた一般財源が確保されるよう国などに求める財源確保に努めること、そして、こうした取り組みによりまして、県財政を将来にわたって安定的で持続的な県政経営を可能とするための弾力的で機動的な行財政体質に構造的に変えていけるものと考えております。
次に、6点目の財政健全化を進めるためには十分な情報公開、説明、理解が必要だという御指摘でございます。
現在のまさに非常事態とも言うべき危機的な財政状況を県民の皆さんに御理解いただき、そうした中でも、県の将来や県政をともに考えていくため、広報誌や県のホームページ等、あらゆる機会を通じて県の財政状況や取り組み方針について広く情報提供を行うとともに、9月議会終了後、県民の皆さんとの対話集会を県内数カ所で開催し、情報を共有しながら情報の相互理解に努めさせていただきたいと思っております。また、ともに行政サービスを担う市町とは、県の現状についての理解を求めるだけでなく、その対応について情報交換を行うことが必要と考えておりまして、できるだけ速やかにそのような機会を設ける所存でございます。
この難局を乗り切るため、まず、私を含め、職員が一丸となって知恵を絞ることはもとより、広く県民の皆さんの声を聞くとともに、行財政改革に知見をお持ちの専門家の意見も聞きながら進めてまいりたいと考えております。
次に、7点目の国と市町の間にある県の役割として、そのトップにいる知事としてどのようなアクションを起こしていくべきと考えているかとの御質問でございます。
このような厳しい財政状況は本県および県内の市町だけではなく、全国のどこの自治体も同様の状況であることから、全国知事会を初めとする地方団体と連携を図りつつ、必要な税財源の確保、充実を国に対して要望してきているところでございます。また、本年6月には東京都において、地方6団体合同で開催された地方自治危機突破総決起大会と歩調を合わせ、滋賀県地方分権推進自治体代表者会議として、地方の財政運営に必要な地方交付税の確保などを求めるため緊急アピールを発表するなどの取り組みを実施したところでございます。今後も引き続き、県内の市町長と歩調を合わせ、一丸となって取り組んでまいります。
さらに、近畿ブロック知事会長としても、地方分権を推進するに当たって、国と地方の税源配分の見通しや地方交付税の総額確保など、地方財政の安定化に向けて国に提言するなど、活発な取り組みをしているところでございます。
次に、8点目の財政再建に向けた知事の決意という御質問でございます。
今まで申し上げましたように、数次にわたる財政構造改革の努力にもかかわらず、依然として巨額の財源不足がございます。先ほど申しました、このまま何の手だても講じなければ財政再建団体への転落は現実のものとなってしまいます。提案説明でも申し上げましたように、私としては、本県の自治と自立を失ってしまうような財政再建団体への転落は是が非でも阻止しなければならないと強く決意しているところでございます。県民の皆さんにも一定我慢をお願いしなければならないと思っておりますが、そういった中においても、まずは県民の皆さんの身近な生活そのものを守り、滋賀の地に誇りと愛着が感じられ、心安らかな暮らしが確保されることを基本に改革を進めてまいります。
次に、10点目のこれからの時代における基本構想の役割についてでございます。
人口が減少するという、かつてない時代に入り、少子高齢化も急激に進行する中で、温暖化を初め、地球規模での環境問題が深刻化するなど、さまざまな制約要素が加わり、これまでの暮らしぶりや社会の仕組みの見直しに迫られております。さらには、地方分権が一段と進み、地域主権の確立に向け、三位一体の改革や市町村合併などが進められました。しかし、現状は、国から地方へ税源移譲等が不十分であることから、地方財政は大変厳しい状況にあります。
そうしたことを背景に、地方自治のあり方自体が変わりつつある中で、自治を担う多様な主体が新たに多数生まれてきており、地方自治体の基本構想や長期構想の役割も、議員御指摘のように変化しつつあると考えております。かつての長期計画や基本構想は、事業の拡大による生活の質の向上を目指し、あらゆる分野で行政が中心的な役割を担って施策や事業を積み上げ、その着実な推進を図ることを主眼としてまいりました。しかし、これからの基本構想は、さまざまな制約を受ける中で、これまで滋賀の豊かな自然や歴史の中で培われてきた知恵や文化を生かし、また、これまで整備してきた社会資本を有効に活用することによって、生活の質の向上を大切にし、将来にわたって豊かさや幸せを県民の皆さん自身が実感できる社会を目指していくことだと考えております。
そのためには、県が主体的に取り組む政策や施策を総合的に示す県政の最上位計画としての性格もあわせ持ちつつも、これまで以上に県民の皆さんの暮らしの視点に立って、行政が現場に出向き、県民の参画を得ながら協働を進め、皆でともにつくり上げ、皆で共有できるような将来の県の姿や理念、取り組みの方向性を示すとともに、何が大切なのか、何を優先するべきかについての考えを示すことが大切であると考えております。
議員には、具体的に3つの提案をいただきました。11点目の基本構想への所信でございますが、若者が夢を持てる社会の構築、共助の受け皿の重要性、地球温暖化防止へのチャレンジの3つの御提案をいただいたわけでございますが、今公表しております滋賀県基本構想素案では、基本理念を「未来を拓く共生社会へ」とし、私たちの子供や孫たちが幸せや豊かさを実感できる滋賀の未来を切り開いていこうとする考えを示し、みずから高い規範を持ち、主体的に行動する自律性を高め、その上で、さまざまな主体がみずからの役割を自覚し、協働していくことが求められていると掲げております。さらに、戦略としては、「人の力を活かす」「自然の力を活かす」「地と知の力を活かす」の3つを掲げております。
「人の力を活かす」では、地域のつながりを深め、女性や若者、子供たちなど、人の力が生き、生かせる社会の実現を目指しております。さらに、自治会やNPOなど、ソフトな社会資本、これは社会関係資本とも言えるものでございますが、その社会関係資本を充実することにより共助の仕組みも組み上げることが大切であると考えております。さらに、「自然の力を活かす」では、自然本来の力を生かし、「損なわない」持続可能な社会づくりや、人と自然との新たな関係を築くことを目指し、琵琶湖の力の再生とともに、地球温暖化の対応も大事な視点と考えております。
「地と知の力を活かす」では、本県の地理的優位性や大学や民間研究所が多数立地しているという知的な優位性を生かし、産業の競争力を高めるとともに、美しい、魅力あるまちづくりを進めることとしております。
こうした内容は、ただいまいただいた御提案の趣旨と共通するものであり、これからの滋賀県政の運営において重要なものだと思っております。
基本構想は総合計画的な部分もあわせ持っておりますが、厳しい財政状況下にある今日、選択と集中により重点的な取り組みを示すことも大事であり、次の世代にツケを回さないように、そして同時に、20年、30年後にも生きる施策の種をまき、よい芽は未来に残し育て、そしてつないでいくような取り組みを進めていきたいと考えております。次の時代においても次世代が希望を持って幸せと豊かさを実感できるような滋賀県をつくっていくため、県民はもとより、市町や多様な主体が共有し、共感できる基本構想をつくっていきたいと思っております。
次に、12点目の新たな
財政構造改革プログラム策定の結果を受けた県の予算編成は市町の予算編成などへの影響を最小限にすることが必要だという御指摘でございます。
市町の予算編成や施策展開への影響を最小限にするための情報提供等につきましては、先ほど申し上げましたように、県の現状を十分御理解いただき、その対応について意見交換を行う機会を、9月議会の後、早急に設けるとともに、具体的な考え方については早期に市町にお示しし、市町の行政運営に支障が生じないよう適切に対処する所存でございます。
13点目のこの厳しい財政状況下で職員の士気をいかに高めようとしているのか、県職員と一丸となって事に当たるため何を行うべきと考えているかとの御質問でございます。
このように厳しい財政状況の中でも、職員はさまざまな工夫をしながら、県民サービスを確保しつつ、その対応に日夜頑張っており、また、仕事の内容も年々厳しくなっていると認識しております。私も地域での座ぶとん会議などで県民の皆さんから、県職員が県として行うべき役割を理解し、新たな課題に対しても前向きに取り組んでいるという具体的な事例をお伺いすることがあります。大変うれしく、頼もしく思っているところです。どちらかというと、現在、公務員に対する目は大変厳しいわけでございますが、そのような中で、職員の成功体験を軸に自信を持ってもらうことが大変大切でございます。県民の視点、現場主義に立って、滋賀の未来を描きながら、新しい自治の担い手として職員一人一人が誠心誠意仕事に取り組んでほしいと願っております。
その際、私は、職員が生き生きとして働くには、公務員としてのやりがい、人間としての生きがい、そして組織としての支え合いの3つが大切であると考えております。私としては、財政が厳しいこのときこそ、職員の仕事に対する創意や工夫を生かすチャンスでもあると考えておりまして、私自身が先頭に立って職員の意欲と能力を引き出し、県庁の組織力を最大化していくため、積極的に職員に対して語りかけていきたいと考えております。
次に、新幹線問題について3問の御質問にお答えさせていただきます。
新駅の凍結は現行協定類の終了という意味とされているが、その内容についてのお尋ねでございます。
去る9月3日開催の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)をお示しし、現行協定類を履行しないことに合意いただき、協定類の終了を提案したところであり、このことが凍結であると考えております。4月24日に締結した覚書による協定類の終了は、現行協定類に基づく新駅設置事業が中止となることを意味しております。ただし、将来の県民の選択を今縛るものではなく、新しい駅の可能性までを否定するものではありません。
2点目の土地区画整理事業の継続実施への県の支援の例でございますが、その内容についてのお尋ねでございます。
現行協定類が終了した場合における土地区画整理事業への対応は県としても重要な課題であると認識しており、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)において、栗東市が事業を継続実施した場合の支援を提示したところでございます。県としては、まずは栗東市とともに協定類の終了を前提として土地区画整理事業をどのように実施するのか、検討、調査を行う必要があると考えております。そうした検討の中で、栗東市みずからが、市民、市議会の意見を聞きながら、まちづくりの方針を定め、施行者として判断されることが基本であると考えております。県としても、これまでの経過から、土地区画整理事業の問題解決に向けた県行政としての責任を果たせるよう、議員の御提案も踏まえ、栗東市と十分協議しながら適切な支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、3点目の東海道
新幹線新駅等施設整備促進基金の存置について、当分の間とはどれくらいの期間を指すのか等の御質問でございます。
当該基金を存置する当分の間とは、現行協定類の終了に係る諸課題について一定の方向性が見えるまでの間と考えております。現行協定類の終了に係る諸課題としては、御質問にもあった県南部地域の振興と土地区画整理事業が考えられ、こうした諸課題に対応するための財源の枠として基金を存置することとしたわけですが、現時点では具体的に何にどれだけ充当するかについて決定しているわけではございません。今後の基金の取り扱いにつきましては、県議会とも協議させていただいた上で対応してまいりたいと考えております。
次に、治水対策について4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の県民に対してわかりやすい、ぶれない発言が求められる中で、県営治水ダムの考え方についてという御質問でございます。
平成19年2月議会で北川ダムにつきましては、北川第一ダム、プラス河道改修を有力な計画として、今後、地域との対話を進めてまいります。第二ダムについては、財政事情が逼迫する中で、ダム以外の方法、つまり霞堤の活用や流域治水対策を進め、他の河川で当面目標とする治水安全度の優先順位など、総合的に考慮し、当面実施しないと考えておりますと答弁させていただき、芹谷ダムにつきましては、芹谷ダム、河道改修を有力な計画として、今後、地域との対話を進めてまいりますとお答えしたところでございます。また、これらの答弁の前段で、今後、この考え方をもとに、地域住民の皆さんと情報を共有しながら対話を進めさせていただきたいと考えております。そして、そのようなプロセスを経た後で河川整備計画に位置づけ、決定してまいりたいと考えておりますとも答弁させていただいたところでございます。
なお、地域住民の皆さんと情報を共有するために、河川の治水に対する考え方を掲載したホームページにおいても、これら県営治水ダムの考え方を同じように説明し、できるだけ詳細な資料もあわせて掲載しているところでございます。県営治水ダムの基本的な考えについては、基本的に今も変わっておりません。平成9年の新河川法でも規定されているように、住民参加プロセスを大切にするということが基本的な方針であり、ぶれているわけではございません。
私自身、地元で川づくり会議、皆さんから御意見をお伺いしながら、さまざまな意見が出され、その意見を集約するまでに至っていないことや、県の財政状況が大変厳しいことから、これら県営治水ダムについての最終判断には、いましばらく時間が必要であると考えているところでございます。このようなことから、9月8日の芹谷ダム建設予定地域住民の皆さんとの話し合いで、予算の見通しを立てた後で、半年、1年の間には判断します。いましばらく時間がいただきたいと発言したところでございます。
次に、2点目の新たな
財政構造改革プログラムの策定に取り組んでいる中でダム予算を組み込むのかどうか、いよいよ決断されるべき時期での今後のスケジュールを含めた、県営治水ダム建設事業の考え方についてでありますが、新たな
財政構造改革プログラムについては、平成20年度から22年度の3年間の歳出削減と歳入確保の方針を確定するものであります。3年間の歳出削減の取り組みの中で、ダム建設事業については、安曇川、芹川の治水対策を十分念頭に置いて、慎重に検討する必要があります。県全体の財政の見直し状況を見た上で、県営治水ダムのスケジュールを含め、ダムの予算については検討してまいりたいと考えております。
3点目の河川整備計画原案に対する知事としての所見でございますが、県の評価といたしましては、滋賀県知事として、全閉解消や環境に配慮した瀬田川洗堰操作の検討などを記述いただいたことに感謝しております。また、大戸川ダムにつきましては、県にとって重要なものであり、今後、大戸川ダムの地元の方々の意見や、国が示される財政的な負担等の説明を踏まえて判断してまいりたいと考えております。さらに、丹生ダムにつきましては、ダムタイプについて今後国とともに早期に検討していきたいと考えております。
4点目の今後の対応ならびにスケジュールでございますが、国から河川整備計画原案について、学識経験者や住民、市町村長の意見聴取をされますが、あわせて関係府県にも十分な説明をいただくものと考えております。その後、河川整備計画案を策定され、関係府県知事へ意見照会をされることになります。本県では、この意見照会に対する回答について県議会の議決をお願いするものでございます。現在、河川整備計画原案が示され、議論が始まったところであり、今後の進捗ぐあいにもよりますが、地方整備局からは各府県知事の意見照会はおおむね1月から3月と伺っており、2月議会に議決をお願いする必要があると考えております。今後、地方整備局から、より詳しい説明を聞き、早急に知事としての判断をお示しし、議会に対して説明をしていきたいと考えております。
次に、廃棄物問題の5問の質問のうち4問にお答えさせていただきます。
栗原地先の廃棄物処分場計画の凍結から1年がたち、処理予定であった廃棄物の状態、現在どれだけ分別、資源化がなされているかとの御質問でございますが、現在凍結中の栗原地先での廃棄物処理施設整備の計画は、大津市や湖南地域で焼却処理されている一般廃棄物と、県南部地域で発生する産業廃棄物を受け入れる予定としていたものであり、これらは現在も各市や排出者責任による既存の処理体制において処理されているものでございます。
このうち産業廃棄物については、可燃性でありながら、熱利用されずに焼却されたり埋め立てられたりされているものを対象としておりました。想定していた地域でのこれら対象物の凍結後1年間での削減量は、制度的には把握できないものとなっております。把握できる全県でのこの対象量の変化は、産業界における自主的なゼロエミッションの取り組みにより、平成12年度には約10万トンあったものが17年度においては約7万トンに減少していると承知しております。さらに、これら可燃性廃棄物は、鉄鋼や製紙業など産業界での石油代替エネルギーとしての需要拡大の動きなど、近年の社会情勢の変化も見られるところであり、施設の必要性は薄らいでいると考えております。
各市で焼却されている一般廃棄物についても、熱エネルギー利用やスケールメリット等の観点から、あわせ処理をすることとしておりましたが、産業廃棄物と同様に削減量は制度的に把握できておりません。把握できる全県での動向変化については、リサイクル率で平成9年度に約13%であったものが、平成17年度では約19%と上昇しているものの、人口増等による焼却量については大きな変化はなく、今後はそれぞれの市で資源化の取り組みなどとあわせた処理が進められるよう、見守っていきたいと考えております。
2点目の栗原地先処分場建設回避に向けた施策の進捗状況でございます。
まずは、循環型社会を構築していくことが大切であり、県民、事業者、行政がそれぞれの役割を認識し、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用に連携協力して取り組んでおります。
今年度、新たな取り組みとして、一般廃棄物に関しては、処理主体である市町とともに、ごみ減量資源化推進検討会を立ち上げたところでございます。ここでは、参加意向のあった20市町とともに、ごみ減量、資源化を進める上で共通の大きな課題である事業系ごみの減量、資源化の推進と、生ごみ資源化の推進の2つの課題について重点的に検討を行っております。産業廃棄物については、産業界の取り組みにより資源化が相当進んでいる中で、さらなる資源化が期待できる廃プラスチック類と木くずの2品目について、関係事業者の方々等と意見交換や推進方策の検討を行っております。
これらの取り組み成果について取りまとめ、情報発信することにより、それぞれの役割や実情に応じた自主的な方向を広げていけるよう進めていきたいと考えております。
マニフェストに示しました具体的な3つの取り組みにつきましては、民間における有機性資源活用施設整備や廃棄物減量化技術研究開発に対する支援、さらにリサイクル製品認定制度の運用等の産業3R推進のための事業、さらに、市町の生ごみ資源化に対する支援等によって進めております。マニフェストに掲げましたごみゼロ滋賀県行動計画については、平成18年6月に策定した第2次滋賀県廃棄物処理計画と、目指すべき社会の方向性は同じであることから、この計画に基づき、さきに述べましたように、市町とのごみ減量資源化、関係事業者との産業ゼロエミッション推進の検討など、循環型社会の構築に向けて具体的な行動を進めているところでございます。
さらに、処理場建設計画に当たっての公共関与の必要性についてでございます。
産業廃棄物の処理については、排出者の責任であることから、適正に処理できる体制を民間において確保されるのが原則でございます。産業廃棄物の公共関与については、廃棄物の処理に対して住民の不安感や不信感があること、また、適正処理のための規制強化により民間での施設確保も困難となっていることから、適正な処理が行われるよう、必要に応じて着手するものと考えております。
しかしながら、焼却施設の計画につきましては、さきにも述べましたように、資源化が既に進んできていることや、産業界での可燃性廃棄物のエネルギー利用拡大の動きがあるなど、近年の社会情勢の変化もあるところから、その必要性については薄らいでいると考えております。
5点目のごみの発生抑制に向け、どのように県民、事業者、行政のパートナーシップを築き、県民運動として展開していくのかとの御質問でございます。
第2次滋賀県廃棄物処理計画に掲げております「もったいない」の意識と行動が徹底される社会を目指す目標として、ごみの発生抑制について現在取り組みを進めております。県では、平成10年より毎年10月の3R推進月間に、県、市町、活動団体が協働した、住民参加による全県的な施策として、環境に優しい買い物キャンペーンを県内の主な大規模小売店を含む23社の連携組織である滋賀県小売店環境保全連絡会の協力のもと実施しております。このキャンペーンでは、ごみの発生抑制につながる、買い物袋や買い物かごの持参、環境配慮型の商品選択や簡易包装への理解などについて、広く県民に呼びかけております。
一方、ごみの発生抑制にもつながる環境への負荷ができるだけ少ないものを購入するというグリーン購入の推進と普及も進めております。県も会員であります滋賀県グリーン購入ネットワークには、県内の企業、団体、行政等415組織が加入しており、会員の協働作業により運営、展開されております。また、今までの3R、ごみを減らす──リデュース、もう一度使う──リユース、再生利用する──リサイクルの3R活動だけにとどまらず、もう一歩進め、ごみになるものを断る──レフューズ、あるいは修理して使う──リペアなどを加え、4Rや5Rの活動へと展開を広げていきたいと考えております。さらに、こうした活動や取り組みが、発生抑制等に向けた県民主体の実践運動として県内に広がっていくよう、県としては情報発信等、努めていきたいと考えております。
次に、地球温暖化防止対策の5問のうち4問について答えさせていただきます。
県は、地球温暖化防止に向けてどのように取り組むのかとの御質問でございます。
地球温暖化は、人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題であると認識しております。議員御指摘のように、ことしの夏の暑さは異常でございましたが、思い起こしていただきますと、この冬の暖冬もやはり異常でございまして、しかし、平年より平均気温は1.5度ほどしか高くなかったという結果でございます。このとき、琵琶湖の全循環がおくれ、湖底の低酸素化が心配されました。
この1.5度をどう考えるかですが、IPCCがことしの4月に予測値を出しましたが、今世紀末には最悪6度以上も気温が上がると予測を出しておりまして、もしそうなったときに琵琶湖の水質、生態系に何が起きるか、わかりません。地球規模の温暖化の影響は、比較的小さな水の塊である琵琶湖には、その予兆として早くあらわれやすいと推測されることから、温暖化問題は決して遠い世界の出来事ではなく、琵琶湖そのものに迫る危機でもあると考えております。
一方、温暖化問題は、どうしても自分の問題としてとらえにくく、また、原因となる人間活動の対象が広いこともあり、実効性のある施策や事業の難しさが指摘されています。石けん運動など、琵琶湖への関心が環境保全活動へ導いた、その経験を持つ滋賀県では、情報を地域で共有し、先駆的な対応の仕組みが生まれる潜在的可能性を秘めていると考えております。また、その行動が強く求められております。低炭素社会の構築に向けて社会構造を変えていくために、滋賀県としても基本戦略を詰め、前向きに取り組んでいく必要がございます。
さらに、議員御質問の、昨年10月に策定しました滋賀県地球温暖化対策推進計画では、2010年を目標年次として、対1990年比で温室効果ガス排出量の9%削減を掲げたところでございます。具体的には、この削減対策としては2本の柱がございます。1つは、廃棄物処理計画や工場等の大気環境負荷低減計画などの既存計画の推進です。もう一つは、京都議定書目標達成計画に基づく省エネ・省資源行動の徹底や、運輸部門における低公害車の導入促進など、県民、事業者および行政の主体別行動でございます。このように、現段階で導入可能な総合的な削減対策を着実に実施していくことが大切です。
また、これに加えて、本県では全国に先駆けて省エネ診断に基づく家電製品の買いかえを促進する家庭版ESCO事業の施行に向けて準備を進めているところでございます。その成果をモデルとして全国展開されることで、おくれている家庭部門での取り組みの進展に貢献できることを期待しております。さらに、2030年に温室効果ガス半減を目標とした持続可能な社会への道筋を描くことを目的として、今、滋賀県環境審議会で議論いただいております。ここでは、二酸化炭素の排出を大幅に削減するための政策の方向性が中心テーマの一つとなっております。
先ほども申し上げましたように、地球温暖化対策は、社会や経済、県民生活の幅広い領域でさまざまな政策を動員しなければ解決できないテーマでございます。県としては、これまで琵琶湖や流域の保全という難題に果敢に県民とともに取り組んできた経験を生かして、9%削減の目標達成に努めるとともに、家庭版ESCO事業にその芽が見られますように、可能な限り滋賀県らしい施策の提案や発信に努めていく所存でございます。
次に、公共交通機関の利用促進や物流対策など運輸部門におけるCO2削減対策の展開でございます。
運輸部門における地球温暖化対策については、滋賀県温暖化対策推進計画に基づき、公共交通機関の利用促進や物流対策の推進など、さまざまな施策を展開しております。具体的には、バスや電車など公共交通機関の利用促進、ハイブリッド自動車など低燃費車の導入、アイドリングストップなどエコドライブの促進、貨物自動車の共同輸送など物流の合理化などを柱として展開しております。
昨年度から実施しておりますエコカーマイスター事業では、自動車販売時に環境情報を提供できる人材を養成し、これまでに320人のマイスターが誕生しており、低燃費車の導入促進を図っております。こういった具体的な取り組みのねらいと結果をしっかりと分析しながら、その仕組みづくりに向けて、さまざまな分野で行動が広がるよう取り組んでまいりたいと考えております。
4点目の新エネルギー普及に向け、県民の力をどのように活用するかの御質問でございます。
本県では平成16年に、しが新エネルギー導入戦略プランを策定し、これに基づき、太陽エネルギー、小水力、バイオマスエネルギーの戦略的な導入を目標として取り組みを進めてまいりました。小水力エネルギーは立地条件等の制約、木質バイオマスエネルギーは原材料の収集コスト等の課題があり、残念ながら計画どおりの進捗を見ていないという状況でございます。
その中で、比較的順調に伸び、導入可能性が高いのが太陽光発電施設の設置であると考えております。太陽光発電施設の設置について県はこれまでにも太陽光発電へのさまざまな施策の導入により促進を図ってきており、一定程度、太陽光発電の普及に貢献してきたところでございます。太陽光発電そのものの有効性と長期的な採算性は証明され、国際的にも認知しておりますが、残念ながら初期投資の負担が高いことから、一般の普及の障害となっており、その意味で県民の力の発揮が妨げられております。今後は県の施策に加え、国においても制度的な対応がなされるよう働きかけていきたいと考えております。
議員の御質問にありますように、本県では菜の花プロジェクトや市民共同発電のように、県民の創意と工夫あふれる、地域での取り組みがはぐくまれてまいりました。また、本年6月より運行を開始したバイオ燃料ボディ・ラッピングバスに参加する大学や企業を結ぶ路線バスに、みずからが提供する廃食用油によるバイオディーゼル燃料を使用し、バスの走る地域では確実に新エネルギーへの関心が高まるものと期待しております。こうした実践は、新エネルギーの大幅な展開を可能とする制度的基盤を求める国民的合意が成り立つ土壌づくりとして貴重なものと理解しております。
今後とも、県といたしましては、地域の新エネルギー導入活動が進捗するよう、導入を目指す事業者や大学など個々の主体への連携や働きかけ、支援制度等の必要な情報を提供することで、県民の主体的取り組みの支援に努めてまいりたいと考えております。
5点目に、滋賀県庁地球温暖化対策実行計画に対する知事としての意気込みについてでございます。
滋賀県庁は、大量の温室効果ガスを排出する事業所として、排出削減に率先して取り組むことが必要と認識しております。今回策定した新たな計画においては、平成17年度を基準年とし、平成23年度を目標として9%削減することを目標といたしました。目標達成のための削減対策としては、2つの柱がございます。
1つは、民間資金活用型ESCO事業の活用です。ESCO事業は、顧客に省エネルギーに関するサービスを提供し、省エネルギーによる光熱費の節約分の一部を報酬として受け取る仕組みで、新たな財政負担を必要とせずに省エネルギーを推進できるものでございます。平成16年に取りまとめた県庁省エネルギーマスタープランにおいて、この事業が可能とされた施設、また、省エネルギー効果が高いと見込まれた施設を中心にESCO事業を活用し、計画的な改善を実施します。
もう一つは、従来より取り組んでおります、環境に優しい県庁率先実行計画──グリーンオフィス滋賀による省エネルギー化をより一層推進することです。また、職員によるアイデア募集を適宜行うなど、常に新たな取り組みを検討してまいります。この計画の確実な達成のために、これまで経験を重ねてきたISO14001に基づく滋賀県庁環境マネジメントシステムを活用することとしております。私、知事がトップに立って陣頭指揮をとり、職員が一丸となって取り組み、県としての責任を果たしてまいりたいと考えております。地球温暖化は今や待ったなしの状況でありまして、滋賀県庁での取り組みが県内市町や事業所での展開の模範となるよう努力したいと考えております。
次に、造林公社問題の6点の質問にお答えさせていただきます。
まず、現在の資産額について、現在の簿価および評価資産額など、幾らになるか、また、今後10年間の見通し、さらに平成80年までの見通し、基礎データについての御質問でございます。
現在の森林の資産額としては、簿価では滋賀県公社が約366億円、びわ湖公社が約704億円、合わせて1,070億円となっております。現在の評価資産額については、現在、公社の方で約600の事業団地ごとに一つ一つの資産査定に取り組んでおり、伐採および搬出コストを積算した上で、木材市場の取引価格からこれらのコストを差し引いて求めることとしており、この作業が完了すれば、評価資産額について明らかになるものと理解しております。
伐採が始まるまでの今後10年間の支出経費ですが、まず、利息については、公社抜本改革に必要な要件の一つとして利子負担の軽減があり、今現在、経営改善計画の策定とあわせて検討、協議しているところでございます。
事業費としては、間伐や枝打ち、病害虫や獣害防除等といった森林管理のために、現在、1年当たり約3億円程度でありますが、支出しておりまして、これについては、今後、手入れの周期等の見直しにより経費の削減が必要でございます。
また、管理費につきましては、現在、1年当たり約2億6,000万円でございますが、人件費が大半を占めており、退職者については現在も正規の職員では補充していないので、今後も経費の削減が必要と認識しております。
10年後の伐採収入額ですが、現在、森林の資産価値を計算しているところであり、それと同様の手法を用いて積算中でございます。
返済可能総額については、現在試算中である将来の伐採収入にあわせて補助金や他の収入、支出を合わせ、長期収支見通しを作成する作業をしております。数値につきましては、現在、集約の作業中であり、本日お答えできないものにつきましては当事者間で検討し、理事会で審議の上で意思決定いただいた後、遅くとも10月中には公表させていただく予定でございます。
次に、農林漁業金融公庫や、大阪府を初めとする下流自治体等の協議状況についてでございます。
滋賀県造林公社の抜本改革を図るため、今後の山づくりと公社の経営改善を考えた新たな経営改善計画を策定することを目的に、平成17年1月に理事会決議により経営改善検討会議を設置し、下流団体とは2年半以上にわたり協議、検討を重ねております。下流団体は、琵琶湖の水源涵養林造成に賛同して、社員として参画していただいており、経営改善に必要な協力は惜しまないが、債権保全と滋賀県の財政支援を要望しております。現在も精力的に協議を続けており、一日でも早く経営改善計画の策定ができるよう、協議の頻度を高め、議論を加速させております。
農林漁業金融公庫とは、平成17年度から償還条件の変更等をお願いするための協議を行っております。平成17年度は、ともに金融問題検討会に参画し、政府に政策提言を行うということから、また、平成18年度は、19年度からは正常に償還することを前提に償還猶予を受けております。本年度は、当初予算において償還財源の予算化を見送ったことにより、4月30日から両公社は公庫に対して三たび延滞という異常な状態にあります。今年度は3年目となることから、公庫からは厳しい対応を迫られており、公社に対する一括償還請求、県に対する損失補償請求について、いつ出されてもおかしくない状況でございます。
次に、造林公社の現状から、分収割合の見直しも早急に行うべきであるという御意見でございます。現在の公社の分収契約は、基本的には伐採収入を公社6割、土地所有者4割に分け合うこととなっております。分収割合6対4については、昭和33年当時の国の通達に則して適用したものでありまして、全国の林業公社も分収割合を採用する際の根拠としております。しかしながら、木材価格の下落、低迷により、森林整備に係るこれまでの投下経費を公社が回収できない状況の中で、現行の分収割合を維持していくことは、公社の経営改善に大きな足かせとなっております。
確かに大分県が9対1に見直しをされたように、分収割合の見直しを実施あるいは検討しているところも出てきております。本県においても公社の抜本改革の取り組みを進めていく上で関係機関の負担が必要と認識しており、心苦しいところでございますが、土地所有者の皆さんにも分割割合について一定の見直しをお願いしなければならないこともあると認識しております。
次に、4点目の木材価格は今が底値と判断されているが、今後の状況を当分続くものとして考えることが妥当かどうかという御質問でございます。
公社では木材の販売方向として、立木のまま落札業者に一括して売るのではなく、公社が伐採、搬出して木材市場に出材することとしております。このため、林業などの生産基盤の整備や高性能林業機械の導入によって、可能な限り生産コストの削減に努め、価格競争力をつける必要があるものと認識しております。
木材は国際商品として流通しており、産地国の販売戦略や消費国の木材需給の動向によって、その流通構造が大きく影響を受けるようになっているものと認識しております。国の平成19年度森林・林業白書では、平成19年の丸太、製材品、合板の輸入価格は、近年の中国を初めとする国際的な木材需要の増大に加え、原油価格の高騰に伴う輸送費の上昇、ユーロの高騰を背景といたしまして上昇傾向を見せていると述べております。
昭和55年にピークを迎えた木材価格は、バブル期に一時的な上昇を見た以外は下落、低迷を続けており、杉製材品の価格が、用途が競合する一部の外材製材品を下回るまで落ち込んでおり、現在はほぼ底を打っていると考えております。また、統計上、平成17年には木材需給率が17年ぶりに20%台に回復するとともに、国産材供給量も平成14年から17年にかけて連続して増加を示しており、国産品の需給動向に少し明るい兆しが出てきているものと期待しております。しかし、直ちに木材価格が恒常的な上昇基調を描くとは考えにくく、経営改善計画を策定するに当たっては、現在の価格を参考とすることが、リスクを抑える観点から妥当であると考えております。
次に、5点目の県政全体に大きな影響をもたらすものであり、できる限り情報を公開し、広く県民の理解を得ていくことが大切であるとの御意見でございます。
県としても損失補償していることから、その履行を迫られる可能性もあり、県民の皆さんに御負担をおかけすることにもなりかねないとの思いもあり、情報の提供、共有化は積極的に行う必要があります。県としても、私自身、6月県議会でお示ししましたように、可能な限り情報をお伝えしてきておりますが、また、常任委員会においても御説明させていただいたとおりでございます。
これからも、さまざまな機会をつくり、より一層積極的に県民の皆様に情報を提供し、理解していただけるよう努力してまいります。今後、県のホームページ等でも情報の公開に努める計画であります。また、既に公社においては、ホームページにおいて経営改革の必要性について情報発信をしており、さらに内容の充実を図り、適宜適切な情報提供が実現できるよう指導してまいります。
6点目の御質問ですが、再建策に当たっては失敗は許されず、取り返しはつかないと考えるが、どのように考えているかとの御指摘でございます。
再建計画を策定する場合は、議員御指摘のとおり、収入は厳しく、支出については予想外の出費に見舞われても吸収できるよう、金利負担などのリスクを織り込んだ計画とすることが一般的であると認識しております。公社の経営改善計画においても、現在公社で取り組んでいる事業団地ごとの資産査定結果をもとに確かな資産価値を把握して収入を見通す一方で、支出については、公社の管理コストの縮減を図った上で一定の金利負担などを織り込むことで、収益面において大きくぶれることのない堅実な計画として取りまとめる方針と聞いております。また、経営改善計画は、公社理事会等により審議、決定される見込みであり、その後公表されることになりますが、県として、これを受けてどのように評価し対応するかについては、計画内容をつぶさに検証した上で、議会でも御審議いただき、県民の皆さんの御理解をいただきたいと考えております。
次に、中小企業振興対策の3点の御質問にお答えさせていただきます。
元気な中小企業を生み出すためには、滋賀県の特性を踏まえた重点戦略を持つことが必要との御意見でございますが、平成15年3月に策定した滋賀県産業振興新指針に基づき、中小企業振興対策を含む産業振興対策を実施してまいりました。新指針を検討した平成13年度当時は、デフレの進行や長引く景気の低迷を受け、産業や雇用を取り巻く環境が深刻化するなど、大変厳しい経済情勢でございました。また、経済のグローバル化の急激な進展、IT、バイオ、ナノテク等のハイテク分野での急速な技術革新、さらには、産業空洞化の高まりや雇用問題の深刻化など、さまざまな課題が存在しておりました。
こうした状況の中で本県経済を活性化するには、県内企業の大半を占める中小企業が、厳しい競争に勝ち抜く足腰の強さと活力を持つことが不可欠であり、企業みずからがこれからの時代の変革を読み取り、それに即応する形で意欲的に取り組んでいただくことが重要と認識しております。このため、成熟化する日本経済の中で、県内中小企業が、琵琶湖を抱える滋賀県の特性などを踏まえて、環境、バイオあるいはITなど、将来的に優位な産業分野に取り組みの重点を置き、活力ある成長、発展を遂げられるよう、新規創業や経営革新による体質強化に向けた施策を中心に、力強く推進してきたところでございます。
その結果、例えば中小企業経営革新計画の認定数は、平成11年度から平成14年度までの4年間で85件であったものが、平成15年度から18年度までの間では318件と大幅に増加するなど、新たな取り組みによる経営の向上を目指す中小企業は着実に増加してきております。
また、本県では大学誘致を政策的に進めてきたことにより、平成18年度の人口10万人当たりの学生数は全国第4位となっており、中小企業の新事業展開に効果的な産学官連携基盤が整ってまいりました。こうした研究基盤を活用することで、共同研究数は平成13年度の約260件に対し、平成17年度では400件を超え、競争力向上が図られております。
今年度で新指針策定後4年余りが経過し、経済全体が回復基調にあるものの、長期にわたり消費が低迷している、あるいは事業転換ができない等、企業規模、地域、業種により回復感には差があり、中小企業を取り巻く環境には厳しい側面もございます。そのような状況も踏まえ、新指針の計画期間の終盤となる来年度以降は、産学官ネットワークにより持続発展を促す自律型産業構造、高付加価値の新しい技術や新しいサービス等が絶えず創造される産業構造への転換をさらに加速し、重点的な戦略構築を図るため、新指針の改訂を検討願っているところでございます。
なお、本県の開業率ならびに廃業率についてですが、総務省の統計調査によると、直近の平成13年度から平成16年度は、開業率が3.9%、廃業率が5.4%、その前の平成11年度から13年度は、開業率が4.7%、廃業率が5%となっております。
次に、政策担当者が現場を訪れ、その実態を調査し、ヒアリング調査などをもとに産業振興の戦略や施策を構築していくことが大切との御指摘でございます。
県職員を初め、中小企業振興に携わる者が、地域や事業者のニーズや思いを現場で受けとめ、産業振興の戦略や施策を構築していくことは大変重要でございます。事業者のニーズをとらえる機会については、日ごろ中小企業に直接接している財団法人滋賀県産業支援プラザのマネジャーや商工会議所、商工会の経営指導員、さらには工業技術総合センター等の職員を通じ、事業者のニーズや課題を把握し、政策に反映してきております。
また、企業経営者を初め、事業所長や支援機関など、産業活動に直接かかわっておられる方々30名に、産業新指針ウォッチャーとして就任いただき、ヒアリング、意見交換等を通じて、中小企業と大手企業とのパートナー構築やネットワーク形成への助言など、本県の産業振興施策や産業を取り巻く環境にかかわる意見、提言を承り、政策立案の参考としております。
新指針見直しに当たっても、県内の企業約1,000社へのアンケートや、企業、団体等にヒアリングを実施し、県内企業の実態やアンケートでの要望が多い人材育成、確保に対する支援や、新たな市場開拓への支援等を政策ニーズとして反映できればと考えております。
このように県では、施策の検証や立案に当たり、あらゆる手段を通じ、中小企業の意見やニーズを把握し、施策展開に活用させていただいております。今後も、さまざまな機会をとらえ、ニーズの把握や御意見を賜りながら施策展開に努めてまいりたいと思っております。
3点目の中小企業振興のため、行政各部にまたがる施策の有機的で多様な連携が必要との御意見でございますが、県内企業の大半を占める中小企業が、本県経済の活性化や県民の雇用創出の原動力として重要な役割を担っていただいております。中小企業が主体的、自律的な活動を展開することができるような環境を整備することが行政の役割と考えております。
そのような考えから、平成16年度に経済団体、学識者、行政のメンバーによる滋賀県産業振興推進会議を設置し、産業、雇用にかかわる地域戦略について検討するとともに、産学官がそれぞれの役割を十分認識しながら効果的な連携を深め、それぞれの主体的な実践を推進しているところでございます。あわせて、推進会議から提起された課題について専門的見地から取り組み方策を検討する推進検討部会や、新指針に掲げるプロジェクト等についての進捗状況や課題を検討する新指針フォローアップ部会を設置し、県内企業経営者から実践的な御意見を賜り、施策推進に反映しております。補助制度についても、このような機会での意見も参考にし、新商品や新技術の研究開発に係る補助金では、複数年度にわたる事業計画を承認の上、補助を行うなど、効果が最大に発揮できるよう工夫しております。
また、関係部局との連携につきましては、既に具体化を進めているところでございます。議員も御指摘のところと重複いたしますが、例えば、労働部局と福祉部局との連携については、障害者の企業等への就業に関して、働き・暮らし応援センターや障害者雇用支援センター等で取り組みを進めております。また、農林水産業との連携については、今年度、農協や森林組合等との連携、協力により、地域の強みとなる地域資源を選定し、中小企業がこれらの地域資源を活用して行う事業を支援する予定でございます。
さらに、県と経済界との連携については、例えば、地球温暖化防止と持続的に発展できる経済社会の実現を検討、推進するため、エコ・エコノミープロジェクトを立ち上げたところでございます。
県としては、中小企業が主体的に地域課題を解決する役割を担っていただけるよう応援をさせていただき、期待もさせていただいております。
以上、民主党・県民ネットワーク、山田議員の代表質問にお答えさせていただきました。
◎政策調整部長(橋本俊和君) (登壇)基本構想と財源見通しはどうリンクさせるべきかとの御質問にお答えします。
基本構想の策定に当たりましては、これまでの厳しい財政状況を念頭に置きながら、自立と協調による共生社会という理念のもと、重点的に取り組む戦略的な施策の方向と、行政各分野を体系化した総合計画としての施策を検討してまいりました。しかしながら、予想を上回る厳しい財政収支見通しが明らかになりましたことから、すべての施策、事務事業をゼロベースで見直すことが必要となり、また、基本構想の策定スケジュールも変更することとしたところであります。
400億円という大幅な財源不足の中で県行政を進めていくには、県政運営の指針となる基本構想と
財政構造改革プログラムの整合性を図っていくことが大切であると考えております。そこで、どのように整合を図るのかということでありますが、構想の基本理念や県の将来の望ましい姿は、県民の皆さんと共有する指針となるものであり、その考え方は変わることはありませんし、また、今後の県行政の重点的な方向を示すものとして、人、自然、地の利や知識、知恵の力を生かすという3つの戦略の考え方と施策の方向は間違いのないものと考えております。このことから、
財政構造改革プログラムの策定に当たりましては、基本構想の理念や戦略の考え方に沿って、施策、事務事業の見直しを進めているところであります。
また、基本構想を実現していくために、
財政構造改革プログラムによる財源見通しをもとに、戦略を具体化する施策はもちろん、行政各分野の事務事業をより効果的、効率的でしっかりしたものにしていくこと、さらに、進むべき方向を見据えた選択と集中をより徹底していく必要があると考えております。
今後、基本構想と行財政構造改革を車の両輪として、戦略的かつ計画的な県行政を進めていけるよう、基本構想の策定作業に当たってまいります。
◎総務部長(谷口日出夫君) (登壇)財政問題に係る2点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の平成16年度に策定した財政危機回避のための改革プログラムの目標達成の見込みについてでございます。
3年間の取り組み結果を平成19年度当初予算で見てみますと、プログラムの策定時点では560億円の財源不足を見込んでおりましたが、地方交付税が想定していた以上に落ち込んだことなどにより、財源不足額は611億円に拡大したところでございます。
事業費の削減につきましては、平成18年度に内部事務経費の10%削減や指定管理者制度への移行による経費節減で5億円程度上回ることができましたし、人件費の削減や公債費の平準化はほぼ予定どおり取り組みを行っております。
また、歳入確保につきましては、大きな財源不足に対処するため、未利用県有地の売却を一層進めることといたしております。こうした取り組みを着実に実施することにより一定の成果を上げてきているところであり、平成19年度の下半期におきまして不測の事態が起こらない限り、ほぼ目標どおりプログラムが達成できるものと見込んでおります。
次に、2点目の新たな
財政構造改革プログラムの策定状況などについてでございますが、本年4月以降、平成19年度をベースに、向こう3年間の地方交付税などの収入や歳出予測を精査し、庁内議論を経てきたところであります。また、現在はすべての施策や事務事業について、昨年度実施いたしました事業仕分けの結果などを生かし、その必要性、効果性などの面について各部局において見直しを実施しております。今後は、策定を進めております新しい行政改革の方針のもとに、平成20年度予算編成と並行して新たな
財政構造改革プログラムを策定していくこととしております。
非常に厳しい作業になるかと考えられますが、県の果たすべき役割、本県の将来のあるべき姿を職員一人一人が共有し、全庁挙げて財政構造改革の策定に取り組んでまいりたいと考えております。
◎琵琶湖環境部長(山仲善彰君) (登壇)廃棄物問題についての2点の御質問にお答えいたします。
1点目は、滋賀県の不法投棄の発見件数、量の推移ならびに動向についてであります。
滋賀県における最近5年間の不法投棄の件数を見ますと、やや減少傾向を示しております。新規・継続事案を含め、350件前後で推移しております。また、不法投棄の量につきましては、各年度末の残存量で見ますと、平成15年度は4万6,607トン、平成16年度は4万8,175トン、平成17年度は3万7,470トンとなっております。近年の不法投棄事案の特色としましては、監視等の効果もあって、大規模な事案は少なくなっていますが、比較的小規模で人目につかないところに不法投棄する事案がふえており、悪質、巧妙化しております。
2点目に、さらなる不法投棄の減少に向け、どのような取り組みをするかについてでありますが、不法投棄や不適正処理が発生しますと地域社会の生活環境への影響が大きく、また、その発見がおくれると、その是正には長い時間と多額の費用を要しますため、不法投棄の抑止、早期発見、早期解決が何よりも大切と考えております。まず、不法投棄を発生させない観点からは、排出事業者がみずからの廃棄物の動向把握と適正処分の確認を行うことが重要であり、このため、今年度においては廃棄物の流れを的確に管理し、不正の防止に対しても効果的と言われる電子マニフェストの普及、促進を目的に、県内排出事業者や廃棄物処理業者に対しまして講習会の開催などの取り組みを行っております。
また、早期発見、早期解決、さらには不法投棄の抑止の観点から、警察官OBによる不法投棄監視指導員8名を県下に配置し、定期監視パトロールや休日パトロール、警備業者による早朝、夜間のパトロールを初め、監視カメラの活用、ヘリコプターによるスカイパトロール等を実施しております。さらには、警察と連携し、近隣府県との共同により広域での路上取り締まりを実施しております。
こうした行政による監視に加え、県民等からの通報など、広く情報を集めるため、通話料無料の産業廃棄物不法投棄110番の設置や、地域住民の方々による監視パトロール隊、県内の全郵便局、農業協同組合、森林組合など事業者の方々の協力を得ることにより、監視通報体制の強化を図ってきております。
こうした取り組みの結果は、新規事案の例年の解決率の向上にあらわれており、五、六年前には50%前後であったものが平成18年度には64%になっております。なお、大津市内で発生しました硫酸ピッチの不法投棄事案におきましては、本年5月に行政代執行に踏み切り、既に原状回復をしておりますが、その後、警察の素早い対応により行為者が逮捕されたため、検察庁に手続をとり、原因者に対し接見を行った上、その費用の求償を行っているところでございます。
今後とも、指導、取り締まりを一層強化して、関係機関、地域住民、事業者等の方々と連携し、不法投棄を発生させない、許さない取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
次に、地球温暖化防止に係る滋賀県地球温暖化防止活動推進センターの活動状況等についてお答えします。
温室効果ガスの排出量の推移を見ますと、家庭部門での増加が大きく、その対策が急務となっております。そのため、県民の意識とライフスタイルの転換が求められております。県では平成12年10月に、地球温暖化対策推進法に基づき、財団法人淡海環境保全財団を滋賀県地球温暖化防止活動推進センターとして指定いたしました。センターでは、県が委嘱する滋賀県地球温暖化防止活動推進員の活動に関するサポートや、家庭部門を中心とした省エネ実践活動の呼びかけ、情報発信等の活動を行ってまいりました。
滋賀県地球温暖化防止活動推進員の活動につきましては、現在、90名の県民の方々に推進員を委嘱しております。主な活動としては、小中学校や公民館などに出向き、講義や実験等による体験プログラムなど、ニーズに合わせた出前講座を行っていただいております。また、このほか、スーパーの店頭や街頭などでの啓発活動も行っていただいております。
家庭部門での省エネ活動の呼びかけとしては、夏至の日に消灯を呼びかけるライトダウンキャンペーンや家庭での省エネに取り組むグループに対し、削減割合に応じて支援金を支給する省エネ・お得ポイント事業等を実施しております。また、ホームページ作成に加え、ことしからはメールマガジンの発行により県内の温暖化防止活動に関する情報発信を行っております。
次に、(仮称)滋賀県地球温暖化対策推進会議の設置についてでありますが、事業者、各種団体、行政、家庭、県民等の各主体が温暖化対策に自主的に取り組むことを目指して、まずは、これまで各部門の関係者と組織のあり方や活動、運営等について調整を進めてきたところであります。現在、事業者による新たな積極的な動きが幾つか見られることから、推進会議の設置の時期などにつきましてはもう少し慎重に対応してまいりたいと考えております。当面は、部門ごとの活動の支援やコーディネート等に努力してまいりたいと考えております。
◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)安心して子どもを出産できる環境についての3点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の妊婦の救急搬送についての現状と今後の取り組みについてでございますが、妊婦の救急搬送についての依頼を消防が受けた場合には、救急医療機関となっております、また、産科のある病院に搬送の受け入れを要請しておりまして、本県では救急隊員と医療機関が連携を図り、調整の上、搬送が行われております。
しかしながら、最近の医師不足の中で奈良県のような事態が起こらないとは言い切れないことから、9月10日に開催いたしました救急救命センター、各消防本部、医師会、病院協会等が参加する滋賀県メディカルコントロール協議会において、妊婦の救急搬送状況等について確認を行いますとともに、今後の各関係機関のより一層の連携強化について要請を行ったところでございます。
また、搬送された医療機関で受け入れが困難なハイリスク妊婦と判断した場合には、周産期医療ネットワークを活用して受け入れ医療機関を探し、適切な医療機関に搬送されることとなっており、このため、周産期医療ネットワークでは、ハイリスク妊婦や新生児を受け入れる12病院が連携を図っております。また、総合周産期母子医療センターとなっている大津赤十字病院に情報センターを設置し、医療施設等に対し、空床情報の提供を行っております。こうした対応の中で、県内の周産期医療機関において受け入れが困難な場合には、医師の判断のもと、安全性を確保した上で、近隣府県へ搬送するため、病院間での連携を図っていただいております。
さらに、今回、広域搬送の拡充を図りますため、近畿府県で搬送医療機関を円滑に確保できる広域医療体制を整備し、安全、安心な周産期緊急医療体制を確立いたしますために、近畿2府7県でおおむね合意いたしまして、その体制の確保に向けて医療機関との調整を行っているところでございます。
次に、2点目の助産師の役割と活用についてでございますが、現状を出産場所と助産師の状況で申し上げますと、産科、診療所での出産が最も多く、全体の56%を占めている中にありまして、助産師の勤務されている場所は、診療所が24%と少なくなっており、一方、病院はおおむね59%を占め、最も多い状況となっております。こうしたことから、病院勤務の助産師の方々に本来の助産師として役割を担っていただくことによって、産科医の負担軽減を図るとともに、県民の皆さんが多様な出産環境を選択できるようにするため、今年度、全国初の取り組みといたしまして、院内助産所モデル事業を県単独事業として立ち上げ、産科を有する県内全病院を対象に、広く公募を行い、実施病院を選定することとしたところでございます。そして、モデル事業に各病院が積極的に参加いただきたいとの思いから、年度当初に開催の、病院長を対象とした会議や、看護部長等を対象とした看護管理者会議の場で、事業の趣旨、内容を詳しく御説明し、早くから対応を依頼してきたところでございます。
こうした上で、6月には募集を行い、5病院から応募をいただきましたが、この中に産科医の不足が課題となっている湖西・湖東地域からの応募がなかったことから、両地域の病院に働きかけを行いましたが、残念ながら病院側での体制が整わない等の理由で応募いただけなかったところであります。
このような経過を経た上で、応募いただきました病院での正常分娩数や勤務助産師の数、さらには地域のバランス等を考慮し、湖北の市立長浜病院と南部の大津市民病院の2病院を選定したところでございます。現在、両病院においては、モデル事業として助産師外来、院内助産所の開設に向けての具体的なタイムスケジュールを定め、医師、助産師等の関係者が一丸となって、事業の実施に向け、具体的な検討、協議、研修等を行っていただいているところでございます。
県といたしましては、このモデル事業の展開、成果等を踏まえ、効果等の検証を行いまして、県内各地域の病院において助産師外来、院内助産所の開設といった積極的な対応がなされ、助産師の皆さんがさらに活躍いただけるように、医療機関や関係者に広く情報を提供してまいります。また、国においても、来年度予算の概算要求に、院内助産所、助産師外来開設のための事業が盛り込まれ、全国的な展開が予定されておりますことから、これらの動向を注視しながら予算の確保を要望し、各病院での取り組みに当たって国からの支援が得られますよう努めてまいりたいと考えております。
また、助産師の方々には、妊娠から分娩、さらに産後の適切な育児に係る母子および家族への援助、思春期から更年期に至るまで、女性のライフスタイルをめぐる健康問題全般について、保健指導を行う役割を担っていただいております。こうしたことから、既に周産期医療協議会および検討部会に助産師会から委員として加わっていただいており、本県の安心、安全な出産環境について御意見をいただいております。また、子育て・女性健康支援センターでは、核家族や少子化が進行し、家族や地域の人間関係が希薄化している中で、母親や子供により身近な地域において気軽に相談できる体制を整備し、出産・育児支援の専門家として相談や健康教育など、幅広い活躍をしていただいております。
さらに、妊産婦健康支援推進事業では、妊産婦の健康管理の徹底を図りますため、妊産婦生活実態調査や妊産婦への支援のためのマニュアル作成を行う予定をいたしておりまして、助産師の方々の専門的な知識や技術を生かしていただく中で進めてまいりたいと考えております。このように、今後とも、さまざまな機会や事業の中で御活躍いただきたいと考えております。
次に、乳児および新生児死亡率についてでございますが、本県の平成17年の出生数1万2,899人に対し、死亡数は45人で、出生1,000人当たりの死亡率は3.5となっているところでございまして、全国に比し高いこと、また、こうした状況が続いていることを重く受けとめております。
本県では、死亡45人のうちの27人、約6割が生後1カ月未満の新生児死亡であり、乳児死亡に占める新生児死亡の割合が全国では5割となっているのに比べて多くなっている状況でございます。乳児死亡の死因につきましては、全国と同様に、1位が先天性異常、2位が周産期の呼吸器障害、3位が乳幼児突然死症候群の順となっております。
こうした状況のもと、乳児死亡率が高いことの原因等につきましては、現在、周産期医療ネットワークに参加していただいております病院の医師を中心に、周産期医療協議会で死亡事例についての検証作業を行っております。さらに、今後、滋賀医科大学に開設いたしました寄附講座においても、人口動態統計に基づく分析および死亡事例についてのより専門的な分析を行っていただく計画でありまして、こうした検証や分析の結果を医療機関等に情報提供し共有することにより、関係機関での今後の対応に生かしていただくよう努めますとともに、県民の皆さんへの啓発や、関係者の資質向上に生かしていくことにより、妊娠、出産、新生児期、乳幼児期を通して母子の心身の健康が確保されますよう、環境づくりを推進してまいりたいと考えております。
○議長(出原逸三君) しばらく休憩いたします。
午後3時43分 休憩
────────────────
午後4時7分 開議
○議長(出原逸三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
最後に、10番木沢成人君の発言を許します。
◆10番(木沢成人君) (登壇、拍手)皆さんお疲れさまでございます。対話の会・びわこねっとの木沢成人でございます。会派を代表して質問させていただきます。
4月に結成されました我が会派といたしましては今回が2回目の代表質問となるわけでございますが、私自身も初当選の身ながら、このように代表質問の場に立たせていただくことを大変光栄に思っております。議席をお預かりしてこの数カ月、多くの県民の皆さんとお話ししまして感じますことは、県民の皆さんにとりまして、まだまだ県政は身近な存在になっていないということであります。連日マスメディアによって取り上げられる国政や、位置的にも住民に近い市政、町政と比べ、県政はイメージがわきにくいという声をよく耳にいたします。もちろん、先日発表されました県政世論調査の結果のとおり、県民の皆さんの県政への関心度は非常に高まってきているわけでございますが、県の施策に対する判断や意思決定の材料となる県政の情報につきましては不足しているように思われます。したがいまして、県民の皆さんの行政に対するニーズも今後ますます多様化していくと予想される中で、今までより一層情報公開に努め、説明責任を果たしていくことが、議会、議員にも求められていくと考えます。
私どもは、こうした認識に基づき、発言通告に従いまして、以下、質問をさせていただきます。
最初に、行財政改革について、知事にお伺いします。
現在の県の財政状況や新しい
財政構造改革プログラムの策定に当たっての方針については、さきの6月議会の我が会派の代表質問に対して御答弁をいただいたところですが、知事は今議会冒頭の提案説明で、今後3年間の財源不足は毎年400億円から460億円になると説明されています。県ではこれまでも、数次にわたる財政構造改革の取り組みをしてきたわけでありますが、それでもなお、こういった大きな財源不足が発生するということは、知事が述べられているように、滋賀県財政はまさに危機的な状況に陥っていることを意味しているわけであります。
そこで、以下4点、知事にお伺いします。
1点目は、県におきまして、これまで数次にわたって財政健全化の取り組みを重ねてこられたにもかかわらず、このような大きな財源不足になる要因についてお答えください。
2点目は、このように非常事態とも言える厳しい財政状況の中にあっては、単に各部局が各事業をスライス的にカットするのではなく、知事はリーダーとして県民や職員に対し、歳出を削減せざるを得ない理由と情勢を明確に説明した上で、歳入増を含む未来への展望を、嘉田マニフェストと整合性をとりながら、県政の経営方針をしっかりと打ち立てる必要があると考えますが、所見を伺います。
3点目は、説明責任についてであります。
行政として、これからの改革によって生じる痛みを県民の皆さんにしっかり説明し、理解を得る必要があります。当行財政改革に当たっては、知事を先頭に全職員が一丸となって取り組んでいくことは当然として、県民の皆さんや市町等に対して十分な説明をし、理解を求めながら進めるための政策について、知事の所見を伺います。
4点目は、税源移譲に伴う徴収対策についてお伺いします。
今回の税源移譲で、県は個人県民税がほぼ倍増、市町は市町民税が平均して2割増と、課税される額が大きく膨らむことになりますが、それに伴い未納額もまた増加する可能性が高いと思われます。そこで、県、市町とも財政が逼迫している中、税収確保の観点から、今まで以上の滞納額縮減に向けた取り組みが必要と考えられます。県としては、本年度から県庁税務職員を6カ月、市町に派遣し、住民税などの共同徴収を実施するなどの対策を行っていることは承知しておりますが、すべての滞納整理にはさらなる対策が必要であると考えます。現在、市町から上がってきている要望等を踏まえ、今後のさらなる取り組みについてお答えください。
次に、新幹線新駅問題について、知事にお伺いします。
知事の方針である新幹線新駅の凍結につきまして、現在も私どもの会派は、県民の皆さんの声援を日々お聞きしている次第であります。去る9月3日には、東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議が開催され、県から新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)が示されました。現行協定類の履行の諾否の期限とされた10月末が迫ってくる中で、関係者の合意のもとに、この問題を解決したいとする知事の揺るぎない姿勢を感じるものであります。
私どもも、この提案は時宜を得たものであり、この方針案に基づき、関係者との議論を十分深めていただき、10年後、20年後から見ても誤りのない最終結論が得られるよう精いっぱい努めていただきたいと考えております。そこで、以下について、知事にお伺いします。
最初の質問は、最近の状況についてであります。新駅問題につきましては、毎日のようにマスコミに報道されていますが、こうした日々の状況を見ていても、県民の皆さんにはなかなかその流れが見えにくいのではないかと思います。そのようなことから、6月定例会以降、新駅問題についてどのように取り組まれてきたのか、改めて知事にお伺いします。
次に、9月3日に示された新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)のポイントについて、3点お伺いします。
1点目は、新駅の凍結の意味についてです。この方針案におきまして、新駅の凍結とは現行協定類の終了であるとの認識を初めて示されております。このことは、現行協定類に基づく新駅設置事業の中止であると理解いたしますが、そのように考えて間違いないかどうか、お伺いします。
2点目は、県南部地域の振興の方向性の考え方についてであります。私どもも新駅の凍結は、地元栗東市ならびに周辺市にとって大きなインパクトであると考えられ、新駅を前提としない県南部地域の振興に県としてどう取り組むのかは重要な課題であると考えております。それだけに、県としてどのような考えで進めていこうとされるのか、お伺いします。
3点目は、東海道
新幹線新駅等施設整備促進基金についてであります。方針案には、現行協定類の終了に係る諸課題を考慮し、当分の間、基金は存置するとされていますが、新聞報道等を見ますと、その扱いが十分に定まっていないようにも受け取れ、県民はこの点に非常に注目しております。この基金は、現行協定類が終了となった場合、どのように扱うお考えなのか、お伺いします。
最後に、知事は、凍結すなわち現行協定類の終了を目指して10月末の期限までに関係者の合意による解決を図るため、どのように対処されるおつもりなのか、その方策と決意をお伺いします。
では、次に、淀川水系河川整備計画に関する問題について、4点、知事にお伺いします。
1点目は、淀川水系河川整備計画原案についてであります。
ことし8月28日、国土交通省により提示された当原案については、現在、近畿地方整備局の諮問機関である淀川水系流域委員会で審議が行われているわけでありますが、この原案の内容を見ますと、従来の淀川水系流域委員会の意見とは異なり、大戸川ダムの建設に関しての内容が凍結から整備促進へと変わったわけであります。そこで、この原案の内容がダム整備促進へと変わった理由について、また、この原案の評価について、知事にお伺いします。
2点目は、国が建設を提案しております流水型ダム、いわゆる穴あきダムの効果および環境への影響についてです。
大戸川ダムは、この穴あきダム方式での整備が検討されていると伺っております。穴あきダムは、当初、「環境に配慮」をうたい文句としておりましたが、現在は環境への影響ならびに本来の目的である治水効果、両方に対し、8月28日付の京都新聞、論壇誌「世界」7月号などによって、さまざまな疑問点が指摘されております。こうした指摘を踏まえ、知事は穴あきダムの環境への影響ならびに治水効果についてどのようにお考えになっているのか、お答えください。
3点目は、大戸川ダムが建設されると仮定すると、県の財政負担が今後どのように変わっていくのかについてであります。
当ダムに対しては、当初、利水、治水および発電を目的とされていたわけでありますが、本計画では治水のみに限定されたわけであります。マスコミ報道によりますと、全体の整備費用が1,000億円にもなるとも言われておりますが、この場合、国、本県および下流府県の財政負担の割合はどのようになる見通しでしょうか。また、この問題に対する本県ならびに下流府県の考え方はどのようなものであるかについてお答えください。
4点目は、滋賀県にとって、大戸川ダムを建設した場合のメリットとデメリットについてです。周辺事業との関連にも言及し、お答えください。
次に、造林公社の現状と林業分野の今後の展望について、知事ならびに琵琶湖環境部長にお伺いします。
滋賀県には大阪府や兵庫県など8つの下流公共団体も社員として参画している滋賀県造林公社と、滋賀県が単独で出資し、財団方式で運営しているびわ湖造林公社の2つの造林公社があります。それぞれ、前者は昭和40年、後者は昭和49年に設立されました。滋賀県の2分の1の面積に及ぶ森林は、緑豊かな環境の形成、琵琶湖の水源の涵養、県土の保全、家づくりに使う木材などの森林資源の提供、水や空気の清浄な維持、多様な生物の棲息地の提供、地球温暖化を防ぐ二酸化炭素の吸収など、さまざまな機能を持っております。両公社は、こうした緑資源の多面的な機能を総合的かつ高度に生かし、もって農山村の振興と民生の安定ならびに社会福祉の向上を図ることを目的として活動し、拡大造林の推進と森林の適正な保育管理を行ってきました。
しかし、近年、価格などの理由で外国産木材の需要が拡大する一方、国産材の需要は長期にわたり低迷し、また、植林や管理のコストの増大によって両公社は経営を悪化させ、債務が膨れ上がるといった事態に陥りました。ここ数年、確かに外国産木材の価格高騰により国産木材の需要が少しずつ伸び始めているといった明るい兆しも見えていますが、今までの経営により抱え込んだ膨大な債務のため、悪化した経営を正常化するには抜本的な改革が必要であり、また、将来的に公社を維持していくためには、県内産の木材消費をふやすため、常に何らかの対策をとっていく必要があります。
県としては、こうした両公社の債務状況を踏まえ、公社の債務金利を減免する等の対策を打ってきましたが、平成18年度末でその債務は下流社員と農林漁業金融公庫と滋賀県、合計で1,057億円に上っており、利息だけでも年18億円といった非常に厳しい経営状況にあることは変わりありません。また、公庫債務においては、平成17年度、18年度の2年間、償還猶予を受けておりましたが、償還期日も平成19年4月30日に到来し、翌日から遅延状態となりました。しかも、遅延損害による利率は年14.5%となり、年間支払い利息も増加し、最悪の状況はさらに進行しつつあります。そこで、こうした厳しい状況を踏まえ、まず、造林公社について、3点、知事にお伺いします。
私どもは、造林公社に今後とも継続し滋賀県の森を守ってもらうためにも、債権放棄を含め、県、公社、下流社員が三位一体となった抜本改革が必要であると認識しておりますが、まず最初に、知事が考えておられる、子や孫にツケを残さないための抜本改革の具体的内容について、下流社員や農林漁業金融公庫との債務、利息の償還交渉の経過、また、両公社が管理する森林の資産価値をどのように算定するかという点に言及し、答弁をお願いいたします。
2点目は、債務処理についてお聞きします。
知事は6月議会で、「2年目でございました昨年度の猶予措置に当たって公庫は、本県が平成19年度中に公社の抜本改革の方向性を示すことを条件に猶予に同意したという経緯がございます」と答弁なさいました。農林漁業金融公庫が両公社に対して約467億円の一括繰り上げ償還請求を本年4月30日以降はいつ行ってもおかしくない状況の中で、債務、利息の償還の今後の見通しについて、裁判所の仲介で債務処理を進める特定調停を検討なさるのかどうかを含め、お答えください。
3点目は、分収造林契約についてお聞きします。
両公社と森林所有者間の分収造林契約が、期間50年から期間80年になり、世代を超えた契約へと変わったわけでありますが、森林所有者側において契約延長に関して不満があり、契約すべてが完了していないとの情報もあります。また、本契約について森林所有者側の間では、いずれ再び契約期間が延長されるのではないかという不安の声もあるようであります。こうした公社側と契約者側のそごについて、行政はしっかり把握できているのかどうか、また、現在、そのそごは解消に向かっているのか、そして、今後、この契約期間が本当に80年以上に延長されることはないのかという点も含め、お答えください。
次に、木材の消費をふやすための施策についてお伺いします。
先ほども述べましたように、林業に関しまして、外国産木材の高騰により、国内産木材の需要が伸び始めているといった兆しは見えてきておりますが、依然として住宅需要の伸び悩み、膨張した債務、植林や森林管理のコスト増などから、非常に厳しい経営状態であることは変わりありません。そこで、琵琶湖環境部長に質問いたします。
発展途上国を中心として国際的に木材需要が高まってきており、その影響で国産材の価格が下げどまり、もうかる林業を経営努力で行っていくことが次第に可能になってきていると考えられますが、そうした国際的な需要増加に参入し、国内だけでなく国際的にも県内産の木材消費をふやすために、県としてこれからどのような施策を打っていくのか、将来を見据えた政策を具体的にお答えください。
次に、森林組合についてお聞きします。森林組合も、造林公社同様に、林業全般の業務を担っているわけでありますが、林業分野全体の経営向上を考えた場合、造林公社のみならず、森林組合に対しても県は対策を考えていく必要があると思われます。そうした点を踏まえ、県と森林組合が今後の林業行政向上のためにどのようにかかわっていくべきか、お答えください。
次に、廃棄物減量化推進のための取り組みと、産業廃棄物最終処分場の運営についてお伺いします。
現在、地球温暖化は温室効果ガス排出量増加に比例し、年々進行しております。滋賀県の環境白書によれば、今後、温暖化対策をとらない場合、2100年には地球の平均気温が1.4度から5.8度上昇し、海面の上昇や熱帯地方特有の伝染病の拡大、農作物の収穫量減少など、将来世代への重大な影響が懸念されるという予測がなされています。そうした温暖化防止対策として1997年12月に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議──COP3では、先進国の温室効果ガス削減量の目標を定めた京都議定書が議決され、中でも我が国の削減目標が6%とされていることは、国民の多くが知るところであります。
こうした国際的な流れの中で、滋賀県民の多くも家庭内での省エネ対策に取り組み、環境への負担軽減にチャレンジしてきたわけでありますが、今後は、温暖化防止のみならず、後世に資源を残していくという意味でも、持続可能な資源活用のための政策立案が県にますます求められていくわけであります。方向性として、資源、エネルギーのむだ遣いをやめ、再使用やリサイクルを推進する循環型社会の構築を目指し、まさしく「もったいない」の精神に合致すべく県民のライフスタイルを変えていく必要があり、県も市町と連携し、対策をとっていかなければなりません。
循環型社会を目指す上で大きな問題の一つは、ごみに関するものであります。平成17年度の滋賀県は、1人1日当たりのごみの排出量951グラム、リサイクル率19%、最終処分量7万トンでありました。県としては、これを平成22年度には、ごみの排出量900グラム、リサイクル率26%、最終処分量5万トンへと減量していこうとしているわけですが、これを実現するためにも、多方面での対策が必要となってまいります。
そこで、以上の状況を踏まえ、嘉田知事に対し、以下、質問をいたします。
先日、淡海環境保全財団が発行した機関誌を読みました。それには、生ごみの堆肥化を通して、みんなで楽しむ自治会活動の様子が、地域の話題として紹介されておりました。この地域では、生ごみ処理機で生ごみのリサイクルがされており、身近な生活の中から循環型社会を構築する仕組みづくりが行われているわけであります。滋賀県におきましては、燃えるごみのうち約30%が生ごみであるとされております。私どもは、この生ごみを堆肥化するため、県と市町が連携して取り組むことが、循環型社会を構築するためにも必要であると考えております。また、こうした取り組みを子供たちに教育する、つまり環境教育も重要であると考えます。これらの点について、知事のお考えをお聞かせください。
次に、包装の問題についてお聞きします。
容器包装ごみは、体積比でごみの50%から60%を占めます。本年2月、NPO団体であるGomi-jpは、環境省が推進している平成18年度地域における容器包装廃棄物の3R推進モデル事業として「簡易包装を買おうプロジェクト」を実施いたしました。六甲アイラントの約1万7,000人を対象に、簡易包装品を買おうという宣伝を徹底して行い、人々の意識変化を促し、生活者、企業を巻き込んだ社会全体のごみ発生抑制の仕組みづくりを目指したものです。
具体的には、市販の、1、個別包装のない商品、2、トレーなし、3、プラスチック容器なし、4、外箱なしなどの食品、生活用品、15ジャンル280品目を選別して推奨商品とし、コープこうべ六甲アイランド店で販売して、売り上げを調べたものです。その結果、キャンペーン期間中の食料品、雑貨で25.5キログラムのごみ減量という結果を得ました。この結果をもとに年間のごみ減量を推定すると、六甲アイランドのごみ減量は36トンになると発表しています。また、消費者に意識変化が起こり、消費者の7割が、簡易包装を販売する企業や店に好印象を持つようになりました。
滋賀県としても、過剰包装防止のため、流通業界と消費者に対し協力と理解を求め、啓発していく必要があると思うのですが、この点に関して知事のお考えをお聞かせください。
次に、産業廃棄物最終処分場クリーンセンター滋賀を運営する滋賀県環境事業公社の経営についてお聞きします。
平成20年3月の開業を目指して甲賀市で整備が進められています産業廃棄物管理型最終処分場クリーンセンター滋賀についてでありますが、当施設は、滋賀県環境事業公社による事業運営であると承知しております。廃棄物の埋立容量は100万トンで、これを15年間で埋め立てるとすると、年間平均6.7万トンの埋立計画とされております。平成17年度に県内で発生している産業廃棄物で最終処分されている量は14.2万トンで、そのうち11.3万トンが今まで県外で処分されてきました。今回の処分場は、基本的にこの県外処分の中から受け入れ廃棄物を獲得してくると説明されています。しかし、この受け入れ予定廃棄物のほとんどは、既に排出事業者と廃棄物処理業者との取引関係が成立しており、当施設へ誘致することは困難であることが指摘されているわけであります。そこで、この施設に関しまして、知事に、以下5点お伺いします。
1点目は、滋賀県にとって産業廃棄物管理型最終処分場が改めてなぜ必要であるかについてです。この処分場の建設が計画され始めたときは、大量生産、大量廃棄が容認される時代であり、増大するごみのために新たな処分場が必要であると考えたのも理解できます。しかし、地球温暖化防止対策が推進される中、ごみの減量が叫ばれ、企業もリサイクルが進み、さらに滋賀県知事も、「もったいない」というスローガンを掲げる嘉田知事に変わりました。そこで、なぜ改めて産業廃棄物最終処分場が必要なのか、お答えください。
2点目は、今後の経営の見通しについてです。事業費は、地域振興関連費用を含めて155億円と説明されていますが、行政が新たな事業を企画、立案する中でいつも問題とされるのは、造林公社の事例でも示されたように、将来見通しの過大な見込み積算であります。当公社に関しましても、当初の予定よりも廃棄物の受け入れ数量が大幅に少ないと思われますが、処分料金と売り上げ予測や営業活動についての見通しはどのようにされているのか、お答えください。
3点目は、土地の賃貸借契約についてでありますが、平成17年1月から1年間、4,600万円と仄聞しております。この契約について、適切であるとお考えかどうか、お答えください。
4点目は、今後の経営の自立性についてです。滋賀県環境事業公社の今後の経営については、滋賀県に頼らず自立した経営を目指していくべきであると考えますが、どのようにお考えなのか、お聞かせください。
5点目は、公社の理事長についてですが、これは知事が兼務されているわけであります。補助金を出す側ともらう側のトップが同一人物であるということについて、適切であるとお考えかどうか、お答えください。
次に、防災対策について、知事にお伺いします。
本年は3月の能登半島沖地震、そして7月の新潟県中越沖地震と、わずか半年余りの間に列島が立て続けに大規模地震に見舞われる事態となり、国民全体が改めて地震災害の怖さを認識させられた年であると言えます。日本列島全体が活動期に入っているとされる昨今、本県においても、琵琶湖西岸断層帯を震源とする大規模地震や、東南海・南海地震の発生が危惧されており、その対策は急務であると言えます。また、本年7月の台風4号、先日の台風9号の上陸に見られるように、地球温暖化の影響とも言われる大型台風、また、先日、東北地方を襲った豪雨と同様の集中豪雨の発生が今後ますますふえるという予想もあり、地震のみならず、風水害・土砂災害対策についても、県民の命、暮らしを守るという観点から最重要課題としての取り組みが望まれるところであります。
近年、このように全国的に自然災害が多く発生し、県民の防災への意識も徐々に高まりつつあると思われますが、一方、これまで本県は他府県と比べ、自然災害の発生件数が少なく、その意味で県民の防災への意識レベルにも温度差があると思われます。自然災害対策は自助、共助、公助の連携が不可欠とかねてより言われておりますが、この連携を進め、本県の防災対策を推進し、地域防災力を高めるに当たって、知事はどのように取り組まれようとしているのか、お伺いします。
また、現在、県では流域治水という考え方に基づき、平成20年度末をめどに流域治水基本方針を策定されると伺っておりますが、この意図とあわせて、知事のお考えをお聞かせください。
次に、地震防災対策について、教育長、企業庁長、健康福祉部長、土木交通部長、
県民文化生活部長にお伺いします。
我が会派は9月3日、4日の両日にわたり、新潟県中越沖地震の被災地であります柏崎市に現地調査に赴きました。発災から1カ月以上が経過し、復旧も進んでいるものの、いまだに多くの家屋が倒壊している現場、道路等が破損している現場を目の当たりにし、地震災害の恐ろしさを再認識いたしました。また、市役所職員などの行政関係者、被災住民、ボランティアスタッフなど、多くの方から生の声を伺ってまいりましたので、そうした声を参考に、今後、本県が地震防災対策を進めていく上で重要と思われる、以下の4点につきましてお伺いいたします。
1点目は、防災上特に重要な学校関係施設の耐震化であります。学校関係施設は、生徒等、発災時の人的被害が大きいと考えられ、また、避難所に指定されているところが多いため、耐震化の必要性が高いと考えます。
そこで、教育長に伺います。高等学校、養護学校など、県立の学校関係施設の耐震化率は、現在、何%になる見通しでしょうか。また、現在、耐震化工事を順次進めていただいているところでありますが、整備途上で地震災害が発生した場合、どのように生徒の安全を確保していくのか、あわせて伺います。
2点目は、災害時の飲料水、生活用水確保対策であります。今回、現地調査したところ、柏崎市の関係者の多くが、被災が夏場であったということもあり、特に飲料水、生活用水の確保の重要性を述べておられました。
そこで、まず、企業庁長に伺います。上水道に関し、県営水道施設については、滋賀県地震防災プログラムに基づき、災害時の飲料水確保のため、緊急連絡管の整備が進められているところでありますが、平成19年度末の目標値は、整備延長11.6キロメートル、整備率として83.8%となっております。この達成見通しはいかがでしょうか。あわせて、今後の地震対策の課題について伺います。
次に、県営以外の水道施設について、健康福祉部長に伺います。県営以外の水道施設については、同じく地震防災プログラムに基づき、緊急時の飲料水確保として有効な配水池の緊急遮断弁の整備が進められておりますが、平成19年度末目標値は設置率100%となっております。こちらの達成見通しはいかがでしょうか。緊急遮断弁の有効性に言及し、答弁をお願いいたします。
また、今回の新潟県中越沖地震において、初期の飲料水、生活用水の確保の手段として井戸が非常に役立ったということを住民の方から伺いました。阪神・淡路大震災時も神戸市を中心に井戸が活用され、その教訓から、以降、首都圏の自治体を中心に災害時の井戸利用の制度が整備されているところであります。この制度は、個人、事業者所有の井戸を非常災害用井戸として認定し、水質検査費用を行政で補助するかわりに、非常用井戸である旨のプレートを所有者に交付し、災害時には周辺住民に地下水を供給してもらうという内容になっております。
そこで、健康福祉部長にお伺いします。本県におきましても、共助の仕組みであり、飲料水、生活用水確保の手段として有効な非常災害用井戸の認定制度を、市町と協力の上、創設すべきと考えますが、この点について部長の所見を伺います。
3点目は、生活の基盤である住宅に関する地震対策であります。以下、土木交通部長にお伺いします。
初めに、新潟県中越沖地震でも、犠牲者の多くが家屋倒壊の下敷きによるものでした。家屋倒壊のすさまじい現場を目の当たりにすると、古い木造家屋の耐震診断および耐震改修は、減災への最も直接的な有効手段であると実感いたしました。本県では既に耐震診断および耐震改修の取り組みがなされているところでありますが、平成19年度末の目標値は、耐震診断計画戸数1万8,100戸、耐震改修計画数800戸となっております。現況はいかがでしょうか。また、今後、目標を達成するに当たっての課題は何でしょうか。
さらに、耐震改修については、災害時要援護者でもある高齢者世帯の工事促進に向けてリバースモーゲージ制度の導入を検討されているということですが、制度の概要、導入に向けての課題について伺います。
次に、被災者住宅再建共済制度の導入について伺います。
現在、兵庫県におきましては、阪神・淡路大震災の復興過程において被災者の生活再建や地域社会の復興にとって、個人の生活基盤である住宅の再建が最も重要な課題の一つであるという教訓を学び取り、また、自助努力や公的支援にも限界があり、助け合いである共助が大切であるとの認識に基づき、平成17年9月より兵庫県住宅再建共済制度──フェニックス共済をスタートさせております。この共済制度は、住宅1戸につき年額5,000円の掛金で住宅再建等に最高600万円が支給され、住宅の規模、構造や老朽度は不問の上、定額の負担で定額の支給を行う仕組みとなっております。ただし、自然災害で被害を受けただけで直ちに支給を行うものではなく、住宅を再建、購入、補修等がなされたときに初めて共済給付金を支給する助け合いの仕組みであるのが大きな特徴で、損失補てんを目的とした地震保険や他の共済と併用することもでき、地震災害のみならず、すべての自然災害が対象であるため、自然災害による被災者の生活再建に大きく資する制度であると期待されております。
国におきましては、現在、被災者生活再建支援法の改正が検討されておりますが、支援対象、金額等には限界があるため、これからますます自然災害のリスクの高まる本県を含め、全国的に兵庫県と同様の制度の導入が検討されてしかるべきと考えますが、この点、いかがでしょうか。土木交通部長に伺います。
4点目は、震災時の広域応援体制についてであります。新潟県中越沖地震におきましては、自治体職員を初めとする広域応援、支援の取り組みが初動の部分からうまく機能したため、この点に関する被災住民の評価は総じて高い状況でありました。現在、本県におきましては、近畿2府7県危機発生時の相互応援に関する基本協定および中部9県1市の災害応援に関する協定が締結されているところであります。これらの応援体制の実効力を確保するためにどのように取り組まれているのか、その状況について、
県民文化生活部長に伺います。
次に、学力調査およびストレス社会と教育について、教育長にお聞きします。
まず初めに、去る4月24日、小学校6年生ならびに中学校3年生の子供たちに対し一斉に実施された全国学力・学習状況調査について質問します。
この調査は、国際的に子供の学力が比較されるようになった現在、日本の子供の学力の水準を高めるため、文部科学省が現在の子供たちの実態を把握しようと計画したものだとされ、その集計結果が9月中にも公表されようとしています。しかし、その学力調査の目的あるいは手法に関しては多くの疑問点があります。不足しがちな授業時間を割き、貴重な予算を県内分だけでも210万円、全国的な予算では約78億円かけて実施されたわけですから、だれもが納得できるような教育的意義がなければなりません。そこで、まず、この全国学力・学習状況調査について3点お聞きします。
1点目は、この調査の結果をどのように取り扱うのかという点です。文部科学省によれば、調査の目的は2点挙げられています。その1つは、全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育の結果を検証し、改善を図るとなっております。しかし、今回の学力調査がこの目的を本当に果たしたかどうかについての検証をだれがどのように行うのか、また、その時期およびどのような観点から評価するかについては明確になっておりません。この点に関し、その後の教育行政における具体的改善策を含め、お答えください。
2点目は、今後もこの学力調査を続けていく意義があるのかという点です。調査目的の2つ目には、各教育委員会、学校などが全国的な状況との関係において、みずからの教育の結果を把握し、改善を図るとあります。当学力調査が実態調査をもとにした改善を目的とするものではなく、他地域と比べることに重点を置いた点数主義的あるいは偏差値主義的な調査であることは、全児童を対象とするとしながらも、受験学年のみを対象とした調査であること、また、障害を持った子供たちが対象外になっていることからも明らかです。この点に関し、教育長の所見を伺います。
3点目は、当学力調査が学力の地域格差を広げるのではないかという懸念であります。こうした学力調査は地域格差を明確に示すものであり、親たちの中には教育水準の高い地域に子供を就学させたいと考える方もおられます。実際、教育水準の低い学校から教育水準の高い都会の学校へ就学させている例は多々ありますし、教育水準の高い地域へ家族ごと引っ越すといったケースがあることも仄聞しております。機会均等および全国的な教育水準の向上を目指した学力調査が、学力の地域格差を広げるといった結果を生んでは、本末転倒であります。この点に関し、教育長の所見を伺います。
次に、子供、保護者、教職員のストレスに関する対策について、引き続き教育長に質問します。
子供たちが同世代の仲間の中で遊び、交わり、勉強して人間関係を築いていける場が学校であります。にもかかわらず、子供たちはその学校で適切な人間関係を構築することができず、いじめに遭い、不登校になり、時には自分一人で悩みを抱え込んで自殺してしまうというケースも存在します。警察庁がまとめた昨年の自殺者調査によれば、自殺者は9年連続して3万人を超えており、前年比では減少しているものの、19歳以下の自殺は増加しており、そのうちでも学生は2.9%増の886人で、統計をとり始めた1978年以降最多となっています。何としても悲惨な事態は回避しなければなりません。そのためには、やはり子供たちの心が打ち明けられる場が必要であります。
しかし、子供たちの中には、家庭では、頑張る親に心配をかけたくないと親を気遣う子供や、学校では成績評価がついて回り、忙しそうな先生に声をかけにくいといった子供たちが、心を打ち明ける場を失っています。また、テスト漬け、塾漬けの現代社会では、目立たない普通の子供でもいつの間にかストレスを抱えていて、いつ何が引き金になって爆発するかわからないとも言われています。
一方、教職員や親も、多くのストレスを抱えています。教育に対する保護者の過剰な要求、あるいは、それとは逆に保護者が子供のことを顧みず、自分たちの快楽に走るといった問題に苦慮する教職員が多いことも仄聞しています。また、教職員の不手際や怠慢に不満を訴える親の声も決して少なくありません。ことしの県政世論調査では、現状の基礎、基本の徹底や個性を伸ばす学校教育の取り組みに不満を抱き、これからはもっと力を入れてほしいと望む声が一段と高いのは、そうした現在の教育行政に対する親たちのストレスの一つのあらわれであると考えられます。
そこで、こうした現状を踏まえ、教育長に2点お聞きします。
1点目は、子供、保護者、教職員のストレスを軽減するため、あるいは、これからストレスを増幅させないために、県として基本的にどのような考えで取り組んでいかれるのか、具体的施策をあわせてお答えください。
2点目は、嘉田知事のマニフェストにある、すべての小中学校を35人以下の学級にという政策の今後の見通しについてです。現在、小学校3年生までと中学校1年生に35人以下学級が実施されていますが、子供たちの未来を考えると、こうした施策は優先的に行われるべきものと考えます。さきに述べましたように、ストレス軽減のためにも、現在の子供たちは今以上に教師と向き合う時間が必要と考えます。教育長の所見をお聞かせください。
では次に、介護保険制度ならびに介護サービスについて、健康福祉部長にお伺いします。
平成12年に施行された介護保険制度は、65歳以上の高齢者なら、いつでも、どこでも必要なサービスが1割負担で受けられるというのが、国民にとって安心感を与えるものでした。自来7年、制度開始当初から、24時間365日在宅介護をモデル的に展開してきたコムスンが、このほど介護報酬を不正請求していたことが発覚し、全国的に撤退の運びとなりました。そのため、介護保険制度への不信は全国的に広まり、また、コムスンを利用していた高齢者やその家族は大きな不安を抱えることとなりました。
これを受け、滋賀県におきましても、介護保険制度に対する不安を払拭すべく、また、コムスンのような不正が二度と起きないように、介護サービスの適正な確保を図らなくてはなりません。そこで、以下5点、健康福祉部長にお伺いします。
1点目は、介護保険サービスの地域格差についてであります。介護保険制度の開始に当たっては、需要が多く、しかも効率的にサービスが行える人口集中地域に比べ、高齢化率は高くてもサービスに手間取る地域へ事業者が参入するかどうかが最も懸念されておりました。この間、訪問介護事業などの在宅サービスに多様な介護事業者の参入や撤退がありましたが、需要不足のため撤退したり、不正による指定の取り消し処分を受けた事業者の状況はどうであったのか、また、撤退に伴い、従前の利用者に対する介護サービスの確保について、県としてどのように対応してこられたのかを伺います。
2点目は、高齢者虐待についてであります。高齢世帯が年々増加する状況の中で、老老介護家庭などにおける介護問題も深刻化しております。介護家族を取り巻く状況としては、介護疲れやストレス、認知症への対応等の介護負担などが要因となり、さまざまな高齢者虐待につながることが懸念されます。このような人たちにこそ、家族以外の救いの手が差し伸べられなくてはならないと考えますが、高齢者虐待の実態とその対応策についてお答えください。
3点目は、介護療養型病床の削減に伴う問題についてであります。医療制度改革の一環として行われる介護療養型病床の削減は、社会的に大きな問題となっております。高齢者の医療と福祉と暮らしを総合的に支える制度が先に整備され、退院を勧められた場合においても、高齢者や家族にとって見通しが持てるようにしておかなくてはなりません。介護療養型病床の再編成に伴い高齢者から発信される相談や苦情の実態、また、地域において高齢者を支える基盤整備について伺います。
4点目は介護相談員制度についてです。医師や看護師による在宅訪問医療や生活介護を支えるヘルパーの活動が地域の日常生活の中で見え、利用している人々が安心できることが何よりの地域福祉社会であります。母子保健の充実を図るためには出産前後の家庭に保健師や助産師が訪問するのと同様に、高齢者福祉の充実を図るために、介護相談員がすべてのサービス現場に出かけ質の向上を図っている自治体もあると仄聞しています。介護相談員として研修を受け、地域の高齢者の介護現場を漏らさず巡回していけるようにすれば、情報が十分伝わらなくて困っている家庭にも手が差し伸べられるチャンスができるのに違いないと思われます。サービス提供者の新たな立ち上げ、参入がある中で、信頼されるサービス提供者と懸命な受給者を対等の立場で維持するために、介護相談員の活動のさらなる充実が必要と考えますが、県内の活動の実態はどのようなものであるか、また、県としてどのような支援を行っているのか、お伺いします。
5点目は、介護サービスに対する県の監査および介護サービス情報の公表等についてです。昨年4月の法改定に伴い、訪問介護事業の経営が従前より困難になったと言われております。しかし、施設サービスから在宅サービスへと進む中で、今後ますます増加する高齢者人口にかなった在宅サービスが多様に整備され、その中から利用者が選択できるようにしておかなくてはなりません。このような中で、コムスンのように不適切な運営や不正請求を行う事業者が出てきている現状があります。事業者の監査や介護サービス情報の公開等、介護サービスの質の確保、向上および利用者の選択への支援に対する県の取り組みについてお伺いします。
最後に、地域産業の再生、振興について、商工観光労働部長にお伺いします。
地域産業は、それぞれの地域の風土や文化を反映している上、地域経済の基盤であるとともに、核となっている産業であることから、地域の産業を振興していくことは、県はもとより、地元市町においても極めて重要な課題の一つとなっています。
ここでもう少し詳細に見ると、地域産業は、地域内の労働力や技術等を経営資源として活用し、生産、販売を営むものであって、地域住民の雇用の場と所得水準の向上など、いわゆる地域経済社会の形成に大きな役割を果たすとともに、貢献度も大変高いものだと考えます。しかしながら、昨今、大企業については全体として景気は回復基調にあるものの、地域産業については、近年の経済社会を取り巻く構造的変化、いわゆる後継者不足や消費者ニーズの多様化、国内需要の低迷や輸入品との競合など、さまざまな課題に直面し、依然として景気回復感に大きな格差が見られるなど、大変厳しい側面が多く残っている状況にあります。
では、このような厳しい環境および課題をどう克服していくかでありますが、現在は供給過多現象にあり、売れるものと売れないものがはっきりしていて、いわゆる勝ち組と負け組ができています。的確に市場の変化をとらえ、柔軟に対応ができなければ市場を獲得していくことは困難な状況にあります。このため、市場に対して、既存市場のさらなる掘り起こしを模索する一方、自社技術を向上させ、地域資源という競争資源を生かした新たな取り組みによる新しい市場の開拓と付加価値の創造、いわゆる市場ニーズに合った製品開発が求められていると考えます。
そこで、商工観光労働部長にお伺いします。
まず初めに、滋賀県の地域産業、とりわけ地場産業の最近業況について具体的にお示しください。
次に2つ目として、地域産業を活性化し再生するため、県として今後どのような支援を進められるのか、また、現在取り組んでいる具体的な施策についてもお示しください。なお、答弁は、再生・振興計画について、人材育成について、新規市場の開拓について、地域ブランド研究開発について言及した上でお願いいたします。
以上で、対話の会・びわこねっとの代表質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(出原逸三君) 10番木沢成人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(嘉田由紀子さん) (登壇)対話の会・びわこねっとの木沢議員の代表質問にお答えさせていただきます。
まず、行財政改革の4点の質問でございますが、最初に、これまで数次にわたって財政健全化の取り組みを重ねてきたにもかかわらず、なぜこのような大きな財源不足になったのか、要因についてでございます。
本県では、厳しい財政状況に対応するため、既に平成10年2月に財政構造改革の指針を定め、それ以来、数次にわたり行財政改革に取り組んできたところであり、歳出規模を削減するなど、一定の成果を上げてまいりました。しかしながら、歳出削減のみでは財源不足に対応できず、残る財源不足については、やむを得ず、歳入での対応を図ってまいりました。具体的には、財政調整基金、県債管理基金などの取り崩し、また、財源対策的な県債の発行、さらに、未利用県有地の売却など、歳入での対応を図ってきたことが、引き続き財源不足を残してしまったという一つの要因でございます。
さらに、今後の地方財政を取り巻く状況などを見通しても、国の基本方針2006における歳出歳入一体改革で地方の一般歳出の削減方針が示され、一定、好調な業績に支えられた税収動向を加味しても、なお一層、地方税と地方交付税を合わせた一般財源総額は抑制基調となり、結果として大きな財源不足が見込まれるところとなったわけでございます。
2点目の知事はリーダーとして歳出削減の必要性等を県民や職員に示し、未来への展望を示し、そして、マニフェストとの整合ある県政経営方針を打ち立てる必要があるとの御指摘でございます。
極めて厳しい財政状況の中でも、県としては、広域的な視点から地域の価値を引き出し、県民の皆さんが誇りと愛着が感じられるよう、滋賀らしい地域づくりを進めていくこと、また、高度な専門性が必要となる課題や、市町では効率的、効果的に対応できない課題などを担っていく、この大きな2つの役割を果たしていくことが求められております。
そのために、県の判断で使途を決定できる県税や地方交付税などの一般財源を確保するよう努力していくことが重要でございます。また、未来につながる視点に立って、県としての活力を高める中で、税収増につながる施策などにも取り組んでいく所存です。一方、当面する危機的な財政状況に対応していくため、歳出の抜本的な見直しなど、県として行うべき改革には徹底的に取り組んでいくことが重要であり、現在、各部局と議論しながら検討しているところでございます。
また、こうした改革を進めていくに当たっては、マニフェストを掲げて県政をお預かりすることになった私自身としては、地域経営としての基本構想の推進と行財政改革の推進を図っていくための、いわば県政経営の考え方を明確にすることが必要と認識しております。この県政経営の考え方を、歳出見直しが必要となる背景も含めて、県民の皆さんにわかりやすい形で早急にお示ししたいと考えております。
次に、行財政改革を進めるに当たって県民や市町に対して十分な説明をすることが必要であるとの御意見でございます。
県民の理解と協力のもとに行財政改革を進めるためには、県の財政状況がどれほど厳しい状況にあるのか、また、なぜこのような状況になってきたのか、県民の皆さんからお預かりした税金の使い道を含めて、皆さんにわかりやすく情報を開示し、県の課題を共有していただくことが必要です。
このため、こうした県の財政状況等について広報誌や県のホームページ等、あらゆるチャンネルで情報提供を行うことはもちろん、今議会での議員の皆さんへの説明の後、私から県民の皆様に直接説明させていただく機会、対話集会の場を設ける所存でございます。また、地方行政を担うパートナーであり、直接県民の皆さんと接しておられる市町には、最も協力を求めていかなければならないと考えており、県の現状について十分御理解いただくとともに、その対応について意見交換を行う機会を、9月議会後、早急に設ける所存でございます。
次に、4点目の滞納額縮減に向けての取り組みでございます。
具体的に滞納額の現状でございますが、平成18年度末においては、個人県民税が、課税額約273億円に対して滞納額が約15億円、個人市町民税が、課税額約647億円に対して滞納額が約36億円であり、合計で、課税総額920億円に対して滞納額は約51億円となっております。今回の税源移譲により、課税額が県と市町合わせ約300億円増加するものと見込まれ、このことにより滞納額もさらにふえることは必至の状況と認識しております。
これまでの市町との連携支援でございますが、個人県民税は、その賦課徴収を市町に担っていただいており、徴収対策において市町との連携や支援は不可欠と承知しております。このことから、平成17年度には、滞納整理に特化した滞納整理特別対策室を設置し、県による住民税の直接徴収を強化するなど、市町支援に積極的に取り組み、相当な効果があったことから、市町からも評価をいただいております。
今年度からの取り組みとしては、職員の派遣制度があり、そのねらいにつきまして御説明いたします。まず、今年度、税源移譲による滞納の増加に対処するため、新たな取り組みとして、県職員を市町に6カ月間派遣し、個人住民税を初め、他の市町税もあわせて、市町職員との共同徴収を実施しているところでございます。また、2点目に、この共同徴収の取り組みには、滞納額の縮減と実践を通して市町職員の徴収技術の向上を図るというねらいもあり、効果が出ているところでございます。
歳入確保と今後の徴収対策の充実でございますが、現在、多くの市町から職員の派遣要請をいただいておりまして、県、市町財政における歳入確保と税負担の公平性の確保を図っていくことは大変重要な課題であり、当分の間、限られた人員の中ではありますが、工夫しながら、できる限り対応していく所存でございます。
次に、新幹線新駅問題について、3点の御質問にお答えいたします。
まず、最近の状況でございます。6月県議会定例会以降の動きでございます。
まず、栗東新都心土地区画整理事業については、重要な課題であると認識しており、地元からの要請も受け、地元自治会や地権者の皆さんと話し合いをする機会を持ちました。6月30日に自治会役員や地権者代表の方々と2回目の話し合いを行いました。その後、個々の地権者の要望や意見について、直接聞いてほしいとの要望を受けて、8月に手原、上釣、下鈎甲、さらに蜂屋の地元4自治会に出向き、自治会ごとに話し合いを行いました。さらに、9月11日には、下鈎甲自治会と2度目の話し合いを行い、他の3自治会の役員の皆さんも出席されました。話し合いの中では、地元の皆さんが抱えておられる課題や率直な御意見などを直接お聞きすることができました。こうした問題の多くは、土地区画整備事業をどうするかにかかわっていることから、地権者の方々の不安をできるだけ早期に取り除くことができるよう、今後、栗東市と協議することが重要だと強く感じております。
一方、この間には、7月27日に開催された東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会幹事会において、関係市からの、まずは県と栗東市で協議を行うべきとの意見も踏まえて、県から栗東市に対し、凍結を前提とした課題解決に向けた協議を進めるよう要請を行いました。
こうした経過を踏まえ、新駅問題の合意による解決を目指して、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)を作成し、8月31日の促進協議会幹事会で説明するとともに、県と栗東市で事務レベルでの協議を進めてまいりました。この方針案については、9月3日の正・副会長会議で説明し、今後、この方針案をもとに引き続き議論することについて確認いただいており、栗東市長も、県の方針案が示されたことは、凍結を含む幅広い議論ができるたたき台が示されたと考えると発言され、県と協議を行う考えであることを公式に表明しておられます。こうしたことから、関係者の合意による解決に向けて一歩前進したものと受けとめております。
2点目の新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)のポイントについて、まず、その第1項、新駅の凍結の意味でございます。
私は、新駅の凍結は、現行協定類の終了と認識しております。私としては、このことを栗東市および促進協議会関係5市で合意いただきたいと考えております。方針案にあるとおり、4月24日に締結した覚書による協定類の終了をお示ししたところであり、このことは現行協定類に基づく新駅設置事業が中止となることを意味しております。ただし、将来の県民の選択を今縛るものではなく、新しい駅の可能性までを否定するものではございません。
新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針のポイントの2点目の御質問、県南部地域の振興の方向性の考え方についてでございます。
正・副会長会議におけるこれまでの議論を踏まえますと、県南部地域の振興の検討が必要と判断いたしました。また、広域行政を預かる県としては、南部地域の振興は重要な課題であり、現行協定類の終了を踏まえつつ、当該地域の活性化について、関係市とともに検討していく必要があるものと考えます。
以上のことを踏まえて、地域産業の振興、広域観光の振興、さらに公共交通基盤の整備などについての方向性と、そのための検討体制等の考え方を取りまとめる方向でおります。今後、(仮称)南部地域振興会議において議論していただけるようなたたき台として、次回の正・副会長会議の場で提案していきたいと考えております。
さらに、新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)のポイントの3点目の東海道
新幹線新駅等施設整備促進基金についてでございます。
当該基金は、東海道新幹線の新駅その他の関連施設の整備促進を図ることを目的に、条例に基づき平成13年3月に設置されたもので、現在の積立金は39億円余りでございます。同基金は、現行協定類の終了に係る諸課題を考慮して、一定の方向性が見えるまではそのまま存置することとしております。
次に、現行協定類の終了に係る諸課題とは、県南部地域の振興と土地区画整理事業が考えられ、こうした諸課題に対応するための財源の枠として基金を存置することとしましたが、現時点では具体的に何をどれだけ充当するかについて決定しているわけではございません。今後の基金の取り扱いについては、県議会とも協議させていただいた上で対応してまいりたいと考えております。
次に、3点目の10月末の期限までに関係者の合意による解決を図るため、どのように対処するつもりか、その方策と決意についてでございます。
新幹線新駅の凍結は、県民の支持を受けた適正な政策変更であり、将来における県民負担の最小化を図る最善の選択であると考えております。一方で、地元の皆さんとの話し合いを通して、土地区画整理事業への対応が重要であると強く感じるとともに、地権者の皆さんの状況を考えると、できる限り早く課題を解決することが大切であると考えております。そのためには、栗東市との協議が重要であり、引き続き精いっぱい努力をしていきたいと考えております。
今後、県が提示しました方針案をたたき台として、県議会の皆さんの御理解を得ながら、正・副会長会議等で十分議論するとともに、栗東市長とのトップ会談も視野に入れつつ、県と栗東市で精力的に協議を重ねていく所存でございます。
次に、淀川水系河川整備計画について、4点の質問にお答えさせていただきます。
1点目の大戸川ダムが国の整備計画原案の段階で整備促進に変わった理由と県の評価についてであります。
近畿地方整備局からの説明によりますと、堤防点検などの調査を実施した結果、淀川下流の堤防補強工事による必要な期間が、当初の想定よりかなり短くなり、要望の大きい中流部域の改修が可能と判断されたことから、下流への影響を出さないためにも、上流部にある大戸川ダムの早期実施の必要性が生じたと伺っております。県の評価としましては、大戸川ダムは県にとって重要な課題であると考えております。今後、大戸川ダムの地元の方々の意見や、国が示される財政的な負担等の説明を踏まえて判断してまいりたいと考えております。
次に、2点目の穴あきダム──流水ダムの環境への影響ならびに治水効果についてどのように考えているのかとの御質問でありますが、流水ダムとして国土交通省所管で初めて建設された島根県の益田川ダムについては、京都新聞や論壇誌「世界」でさまざまな疑問点が指摘されていることは承知しております。
このため、関係職員がこの9月13日に益田川ダムの現地に行き調査したところでは、水没地が土砂や樹木の立ち枯れなどにより荒廃地になるという懸念材料は見受けられなかったという報告であります。益田川ダムで確認された樹木の立ち枯れは、湛水期間約50日の試験湛水時に完全に水没した、主として竹などの樹木であり、ダム運用開始時だけの問題であるとのことでありました。現在では回復しつつあるとの報告であります。また、水の連続性、すなわち魚類等の生き物の生息や水質につきましては、課題も専門家から数多く指摘されておりますが、魚道についての技術的な蓄積などを生かし、検討することにより、影響も少なくすることができるという報告でございます。また、水質につきましても、平常時は貯水池内に水が滞留することなく、特段の問題はないものと報告を受けております。益田川ダムにおきましては、このように、大きな問題は生じていないとの報告です。
流水ダムであっても、地形を改変することによる環境への影響は避けられません。益田川ダムの現状から見て、平常時に貯水するダムに比べ、環境への影響は少ないと考えられますが、ただ、川はそれぞれに個性があり、自然条件や流れの特性などが異なります。河川ごとにデータを蓄積し、調査、検討することが必要でありますことは言うまでもありません。
次に、治水効果についてでありますが、流水ダムは、従前の治水ダムと同様に、下流河川による対応が困難な流域で、その上流に洪水をため洪水被害を低減するためのもので、流域の状況や過去の降雨量などからその規模を設定しており、治水効果は従前のダム同様のものが得られると言われております。
次に、3点目の大戸川ダムの整備費用に対する負担割合についてでありますが、大戸川ダムの治水目的は、大きくは、淀川下流──大阪でございます、中流部の宇治川の治水対策──京都府内でございます、それに必要なものとされております。また、直下流の大戸川の治水対策にも効果があります。全体事業費の約7割が、事業者である国の負担となり、残り3割を、治水目的により、大阪府、京都府、滋賀県がそれぞれの受益に応じて負担することとなります。本県ならびに下流府県の具体的な負担割合およびその考え方については、現在、地方整備局において取りまとめていただいており、詳細はまだ伺っておりません。
次に、最後の4点目の大戸川ダムを建設した場合のメリット、デメリットについてでありますが、大戸川ダムを建設した場合のメリットとしては、大戸川が下流に対して流量増の河川改修ができないと言われる中で、大戸川の治水安全度を上げられることにあります。また、地域整備につながる県道大津信楽線などが、早期に、かつ財政的負担が少なく実施できます。さらには、大戸川ダムを整備することは、洪水に対する京都府や下流、大阪府などの中下流の方々の不安の払拭につながり、これによって洗堰全閉解消の調整の場面になると淀川水系流域委員会において国は説明されております。デメリットとしては、大戸川の環境や生態系に対する影響が考えられますが、国では事業の実施に当たって、学識経験者の指導、助言を得て、自然環境への影響を総合的に評価し、適切な対策を検討、調査していくこととされています。
県におきましても、住民や専門家の皆さんの意見を伺いながら、将来に向けて責任ある判断をしてまいりたいと考えております。
次に、造林公社の抜本改革について、3点の御質問にお答えさせていただきます。
まず第1点目は、下流社員や農林漁業金融公庫との償還交渉の経過、森林の資産価値の算定を踏まえ、子や孫にツケを残さないための抜本改革の具体的な内容についてでございます。
滋賀県造林公社の抜本改革を図るため、今後の山づくりと公社の経営改善を考えた新たな経営計画を策定することを目的に、平成17年1月に、滋賀県造林公社の理事会の決議により経営改善検討会議を設置し、下流団体とは2年半以上にわたり協議、検討を重ねてまいりました。下流団体は、琵琶湖の水源涵養林造成に賛同して社員として参画しており、経営改善に必要な協力は惜しまないが、債権保全と滋賀県の財政支援を要望しております。現在も精力的に協議を続けており、一日でも早く経営改善計画の策定ができるよう、協議の頻度を高め、議論を加速させております。
農林漁業金融公庫とは、平成17年度から償還条件の変更等をお願いするための協議を開始いたしました。平成17年度は、ともに金融問題検討会に参画し、政府に政策提言を行うということから、また、平成18年度は、平成19年度からは正常に償還することを前提に償還猶予を受けております。本年度は当初予算において償還財源の予算化を見送ったことにより、4月30日からは、両公社は公庫に対して三たび延滞という異常な状態にあります。今年度は3年目となることから、公庫からは厳しい対応を迫られており、公社に対する一括償還請求、県に対する損失補償請求について、いつ出されてもおかしくない、差し迫った状況でございます。
現在、公社の方で約600の事業団地ごとに将来の森林の生育状況から木材の生産可能量を集計し、現在の木材価格の水準に基づいて収益を積算し、また、伐採および搬出コストを積算した上で、それぞれを差し引きして価格を求め、最終的に将来の伐採収入を出す作業を進めております。伐採収入に補助金や他の収入、支出を合わせて長期収支見通しを作成し、また、水源涵養林としての機能や、近年、二酸化炭素の吸収源として脚光を浴びるなど、公益的機能を持つ公社の森林を、健全な姿で次の世代へ引き継ぐための管理のあり方とあわせて、経営改善計画を取りまとめようとしております。
抜本改革に当たりましては、伐採時期に合わせた償還と金利の減免が必要であり、それを基本とした計画の内容に沿った償還計画が可能となるよう、下流あるいは公庫に理解を求め、一刻も早く解決を図りたいと考えております。
次に、裁判所の仲介で債務処理を進める特定調停を検討するのかどうかの見通しでございますが、県として、平成17年度から今年度まで償還財源の予算化を見送ってきた理由は、現行のスキームでは展望がなく、公社の抜本改革と新たな償還スキームをセットで取り組む必要があったことによります。現時点においても、この考え方に変わりはありません。まずは、伐採時期に合わせた償還と、償還期間の延長に伴う利子負担の軽減が盛り込まれた経営改善計画を早急に取りまとめ、公庫を含めて関係者との議論を継続する中で、合意形成を図っていくことが重要でございます。計画に基づき償還していく中で、伐採収入だけで償還することが困難であると見通されるため、関係者にも一定の負担をお願いしなければならないこともあると認識しております。
特定調停につきましては、平成17年3月の包括外部監査報告でも提案されており、確かに債務処理の有効な手段であるとは認識しております。特定調停は、話し合いで折り合いのつかない場合の最終手段であり、あくまでも選択肢の一つと考えております。まずは、現在の協議の中でよりよい解決策を見出していくことに全力を挙げて取り組むことが、最終的に県民の負担を最小化する方向であろうと考えております。
3点目の分収造林契約の契約延長における公社側と契約者側のそごなど、行政はしっかり把握できているのかという課題、また、今後の契約期間の再延長についてでございます。
分収造林契約を締結している土地所有者は、滋賀県造林公社574名、びわ湖造林公社1,974名で、両公社合わせて2,500名余りに上ります。両公社は平成9年度から、当初の50年契約から30年間延長して80年契約とする契約延長の更改を順次進めております。
その更改実績ですが、滋賀県造林公社では、面積ベースで約82%、契約数で約75%、びわ湖造林公社では、面積ベースで約80%、契約数で約62%が、更改ができております。契約延長の更改の場に臨みまして了解がいただけていない方たちからは、さまざまな意見をいただいておりまして、中には大変厳しい御意見も上がっていることは承知しております。公社としましては、土地所有者の皆様の不満や疑問を真摯に受けとめながら、契約延長の必要性を御理解いただけるよう、誠心誠意の説明と対応に努力してまいりました。
今後は、抜本改革の取り組みの中で、一律の契約延長に固執することなく、公社の経営上、必ずしも長伐期化への移行が必要のない森林については柔軟な対応を想定しております。現在の80年契約のさらなる延長については、その延長に係る管理経費など、コスト面と収益性を考えれば、必ずしもプラス面ばかりとは言えず、現在のところ、そのような対応は考えにくいと思っております。
次に、廃棄物減量化推進のための施策についての御質問でございます。
まず第1に、生ごみの堆肥化と環境教育に対する対策でございます。
生ごみは家庭から出るごみの30%から40%を占めておりまして、水量が多く、その資源化は、ごみ減量を推進する上で大きな課題となっております。家庭における生ごみについては、県内の多くの市町で生ごみ処理機の購入に対する支援などを行っております。甲賀市や米原市のように、地域住民の協力のもと、市町単位で生ごみの収集、堆肥化を進めているところもございます。一般廃棄物に当たる事業系の生ごみについてですが、その多くが市町の施設で焼却処理されており、食品製造業等から出る産業廃棄物である動植物性残渣に比べて再生利用が余り進んでいないのが現状でございます。
生ごみの資源化については、市町においてさまざまな方法で取り組まれているものの、家庭や地域団体、排出事業者、資源化業者等が連携協力し、一体的に行うための仕組みづくりが課題でございます。県では今年度、循環型社会の構築に向けて、ごみ減量資源化推進検討会を設置し、参加意向のあった20市町とともに、共通の大きな課題である生ごみの資源化と事業系ごみの減量・資源化の推進の2つの課題を重点的に検討しております。このうち、生ごみ資源化については、具体的には、先進地域における資源化方法の利点や問題点の整理と比較、検討を行うとともに、各市町ごとに地域の実情に応じた方法、地域での合意形成の仕方、事業を進めていく上での関連法令、助成制度の整理など、円滑な仕組みづくりができるよう検討しております。
今年度における、この検討結果を踏まえながら、今後、生ごみ資源化の仕組みづくりが進んでいくよう、県としても期待し、引き続き情報面や技術面での支援を行っていきたいと考えております。
循環型社会の構築は、持続可能な社会の実現を目指す上で重要です。学校では、教科での学習や体験を通して計画的に環境教育を実施しております。例えば、小学校では社会科の学習の中で、ごみや下水道を題材にして廃棄物の処理や、その行方などを学習し、実際にごみ処理場や下水処理場に出かけて見学することを取り入れております。中学校では社会科の公民的分野や技術・家庭科において、循環型社会について学習しております。多くの市町では、給食センターや学校に生ごみ処理機を導入して、生ごみの堆肥化を図るとともに、子供たちみずからが給食の食べ残しから肥料をつくる体験をしている学校もあります。しかし、何よりも、食べ残しをしない、一粒の御飯ももったいないという教育は、子供、幼児時代から大切でございます。
私自身も小学校国語の教科書に「ごみ問題ってなあに」という教材を書かせてもらっております。物は本来、ごみであるものはなく、人々が不用という認識の中で物はごみになるという、言葉の問題を含めた教材でございます。教育活動を通じまして、幼少期から環境に配慮することの大切さを学んでもらうことは大変重要と認識しております。
次に、過剰包装防止のための取り組みでございます。
容器包装ごみについては、容器包装リサイクル法のもと、各市町で定めた分別収集促進計画に基づき、資源回収、リサイクルが進められております。資源化を進めるとともに、まずごみの発生抑制のために、不要なものは買わない、物を大切に使うという消費者の意識、ライフスタイルが転換されることが重要です。
県では平成10年より、毎年10月の3R推進月間に、環境に優しい買い物キャンペーンを、環境活動に取り組む県内の団体や市町等と連携して全県的に実施してきております。その結果、本県におけるお買い物袋の持参率は、平成14年度の34.7%が平成16年度には35.7%、平成18年度には38.0%と、年々着実に上昇していることから、環境に配慮した生活習慣の定着に向け、取り組みの成果が徐々に上がっているものと考えられます。ことしも10月1日から16日までの間、流通業界の理解と協力のもと、県内各地の26店舗で店頭啓発やイベントを実施し、消費者に対して簡易包装への理解、買い物袋や買い物かごの持参、環境配慮商品の購入等、新たな環境習慣の実践を呼びかけていく予定でございます。
議員が御指摘の、六甲アイランドでの取り組みは、環境省が公募した平成18年度3R推進モデル事業の一つとして採択され、本年2月の1カ月間、NPOの企画に生活協同組合が協力する形で実験的に実施されたものであり、容器包装ごみの削減効果の推計と住民の環境意識の変化の把握に成果を上げられたものと認識しております。
簡易包装の推進は、ごみを減らし、環境負荷を低減する上で重要な方策であり、容器包装をつくり使用する製造業者、流通業者の協力も不可欠でございます。企業にとっては、商品を選択する側の消費者に、簡易包装が受け入れられるかどうか、商品や企業のイメージ、売り上げへの影響、また、商品の品質保持や安全性確保の面等、経営に影響する大きな問題でもあります。県としては、容器包装ごみの削減に向けて、引き続き、環境活動に積極的に取り組む、県内の大規模小売店を含む23社の連携組織である滋賀県小売店環境保全連絡会を通して流通業界の理解を求めていくとともに、企業の取り組みを促し支えていく消費者の新たな環境習慣が定着するよう努めてまいります。
次に、廃棄物減量化推進のための産業廃棄物最終処分場の運営について、御質問にお答えさせていただきます。
まず、最終処分場がなぜ必要なのかという点でございます。
県内で発生する産業廃棄物を県内で適正に処理するため、さらには、企業が新たに県内に立地するための産業基盤としても、管理型の最終処分場は必要不可欠であると考えております。これらの必要性があるにもかかわらず、県内には民間の管理型最終処分場がございません。現時点では、計画時に比べると企業のゼロエミッションの取り組みにより産業廃棄物の資源化が進んでおり、これ自身は大変喜ばしいことではありますが、最終処分量は減少しているのも事実でございます。資源化が進んだとしても、どうしても残ってしまう廃棄物が生じることから、循環型社会を支える基盤として、管理型最終処分場の必要性に変わりはないと思っております。
次に、滋賀県環境事業公社の経営の見通しについてでございます。
県下で発生する産業廃棄物で、最終処分されている量は、平成17年度には14万2,000トンでございます。このうち8万7,000トンについては、県外で中間処理され、埋め立てられており、県内で発生したものを県内で処理するという本施設の設置趣旨から、直ちには受け入れ対象とはならないものでございます。残りの5万5,000トンのうち、2万9,000トンが県内で埋め立てられておりますが、排出事業者と県内廃棄物処理業者との間で従来からの取引関係があるため、たちまち県の処分場に受け入れにくいとは考えております。残りの2万6,000トンが県外で直接埋め立てられており、これが主な受け入れ対象廃棄物と考えております。クリーンセンターの開業後、当面は、埋立期間15年間に100万トン、年間平均6万7,000トンの受け入れ計画量を確保することが困難な状況と考えられております。
また、処分料金ですが、公社では埋立期間15年間に100万トンの廃棄物を受け入れることを前提に、経営収支のバランス等を考慮して決定しております。具体的には、瓦れきなどの安定型物が1トン当たり1万5,000円、燃え殻などの管理型物が2万5,000円、廃プラスチックや非飛散性石綿廃棄物が3万5,000円でございます。
売り上げ予測と営業活動の見通しでございますが、現時点では、今後15年間の受け入れ量の推移を正確に予測することは困難でございますが、仮に開業当初、年間2万トンを上回れば、処分料収入で維持管理経費を賄える見込みでございます。しかし、建設等の初期投資については、平成19年度末には、国や県からの補助金を除く87億円を借り入れることになりますが、これらの償還も処分料収入で賄うこととなっています。公社運営がこのように初期投資を借入金で賄う仕組みである以上、今後15年間で100万トンを埋め立てるという当初の計画どおり見込めない場合には経営は大変厳しいものになると考えております。
このため、現在、公社では、関係団体や業界との意見交換を行うとともに、排出事業者や中間処理業者への現地説明会を開催しております。この施設は、遮水シートの四重化や遮水シートが破れた場合の破損検知システムを導入するなど、廃棄物処理法に定める技術基準以上の設備を備えており、安心、安全であることを積極的に広報し、その個別事業者の訪問等により受け入れ量の確保に鋭意努め、営業努力をしているところでございます。
このような受け入れ量の確保に努めたとしても、開業後、当面の間は、年間平均受け入れ計画量の6万7,000トンに見合う処分料収入が見込めないと予測されます。この間、借入金による公社経営への影響を和らげるため、何らかの対応が必要と考えております。その上で、開業後3年程度の間、実際の受け入れ状況や企業立地の動向等を見きわめ、さらに、公益法人関連法の改正や災害時の廃棄物処理への対応等、総合的な観点から、改めて経営の見直しを行っていく必要があると考えております。
クリーンセンター滋賀の土地の賃借契約についてでございますが、公社では、15年間で100万トンを埋め立てるのに必要な約20ヘクタールについて借地し、埋め立て完了後、植林し、もとの山林に戻すことを、地権者と土地賃貸借契約を締結しております。公社では借地料について、土地の評価を行った上で、公共工事での借地算定基準をもとに設定しており、本契約は妥当と考えております。
次に、滋賀県環境事業公社の今後の経営の自立性についてでございます。
管理型最終処分場は、環境面、安全面でさまざまな配慮が必要なこと、埋め立て終了後の維持管理が長期に及ぶことなど、対応すべきさまざまな課題があります。こうしたことから、民間では管理型最終処分場の自立的な経営を行うのは困難な状況でございます。このため、公社が国の廃棄物処理センターの指定を受け、公共関与により、安全、安心な施設整備を行うこととしました。また、県では、建設費等の経費を国や県が補助することで負担を軽減し、15年間で100万トンを埋め立てることを前提として、自立した経営を目指して、施設整備、運営を図っていくこととしました。
先ほど述べましたとおり、開業後の維持管理経費を確保したとしても、今後15年間で受け入れ量が増加せず、計画どおり埋め立てられない場合は、自立した経営を行うのは難しいと考えております。少なくとも開業後当面の間は、6万7,000トンの年間平均受け入れ計画量に見合う処分料収入が見込めないと予測されることから、公社の自立した経営を促すとともに、そのための何らかの対応が必要と考えております。
公社への対応に当たりましては、仮に県内で不適正処理がなされた場合、事後処理に多大な労力と経費を要することや、企業誘致のためのセールスポイントという利点もともに考慮していくことが必要と考えております。
最後に、滋賀県環境事業公社の理事長を知事が兼務することについての御意見でございます。
公社、事業団等外郭団体に対して、県は極力関与しない方針であり、知事の理事長等の職務への就任を極力避ける方針でございます。しかしながら、本事業は、公共関与により県と公社が一体となって廃棄物処理施設の整備を進めるものであり、最大限の環境保全対策を行い、県民や地元の皆さんの安全を確保する必要があります。このため、施設を整備、管理運営する公社の責任者としての立場で最大限の責任を果たしていく必要があると考えております。
次に、地域防災について、地域防災力をまず高めるに当たっての取り組みについて、お答えさせていただきます。
ことしになり、震度6強という大きな地震が能登半島と新潟県中越沖で相次いで発生するなど、日本では今世紀に入ってから震度6弱以上の地震が既に11回も発生しております。また、これまで余り予測されなかった地域でも発生するなど、まさに地震はいつどこで起きても不思議ではない状況が続いております。近年は、また地球の温暖化の影響とも考えられる大型で強い台風や、局地的な集中豪雨による風水害や土砂災害が全国各地で数多く発生しております。こうした自然災害から県民の命、暮らしを守るためには、防災対策の重要性はますます高まっております。
本県ではこれまで、地震防災プログラムなどに基づき、総合的、計画的な防災の取り組みを進め、災害に備えてまいりました。財政事情が大変厳しい状況ではありますが、県としては公助の役割を果たすため、知恵を出し、工夫しながら、今後とも防災対策に精いっぱい取り組んでまいる覚悟でございます。
しかし、大規模な災害は、広域かつ同時多発的に発生するものだけに、消防や警察などがすぐには救助に駆けつけられないことも想定されます。例えば、阪神・淡路大震災では、救助された方の約8割、今回の新潟県中越沖地震では3分の1が、家族や近所の人たちにより助け出されたと言われております。
私は、自分たちの命や地域は自分たちで守るという自助、共助の精神に支えられた地域の防災力が、災害から命を守る大きな力になるものと考えており、これを高めていくことが防災対策の重要な柱であると思っております。そのためには、まずは県民の方々が災害をただ恐れるのではなく、自分のこととして受けとめ、日ごろの予防対策と発生時の応急行動をしっかりと身につけていただくこと、また、この防災組織が、そして防災意識が人と人へとつながり、隣近所、自治会などの地域に根づき、災害時には支え合えるような、日ごろからのなじみの関係を築くことが大切であると考えております。
このため、私も機会を見つけては、約月1回のペースでございますが、「くらしセーフティ」という仕組みの中で県内の自主防災の活動をしておられる地域の現場にお伺いし、皆さんの防災のさまざまな取り組みや知恵をお聞かせいただき、結果をテレビ放送、ブログあるいはホームページなどでも紹介させていただいております。
今後とも、県としては、市町とも協力、連携しながら、防災情報の提供や普及活動、自主防災組織の育成支援などに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。県や市町などの行政の取り組みはもちろんのこと、行政と住民が連携して地域の防災力を高め、社会全体の力で災害に立ち向かってまいりたいと考えております。
さらに、2点目の流域治水基本方針策定の意図、考え方についてでございます。
これまでは、洪水を川の中で安全に下流へ流下させるよう、河川整備などを実施し、治水安全度を高め、水害の発生をなくすために行政としての努力をしてまいりました。水害の発生を抑えて被害を大きく低減させることができましたが、反面、住民の水害に備える意識も希薄になってきております。河川ごとに治水安全度の目標を定め、河川改修などにより水害の発生を極力少なくしていくことは、河川管理者である県の責務であり、県民の命と財産を守るための知事として今後も引き続き精いっぱい努力してまいります。
しかしながら、河川の整備が完成するまでの間の洪水や、また、完成した後の計画規模を超える洪水が発生した場合には、河川がはんらんし、流域に被害が生じることは否定できません。そうした洪水に対して、人命を守ることを第一に、いかなる洪水に遭っても壊滅的被害を防ぎ、そして、被害をできるだけ小さくすることが重要で、そのための手だてを講じる必要があります。
このため、去る8月22日に流域治水検討委員会の行政部会を立ち上げ、まずは市町との検討をスタートさせました。この委員会においては、各市町から自主防災組織の育成や避難誘導対策などに努力するとの発言とあわせ、河川管理者の責務として適切な維持管理や着実な河川整備を求める要望も多く出されたところでございます。こうした要望も十分に踏まえ、市町と共同しながら原案を取りまとめた後に、学識経験者からの意見聴取や県民との対話を進め、都市部や農山村部など地域における対策の考え方や役割分担など、基本的方向性を流域治水基本方針としてまとめてまいりたいと考えております。
各主体がそれぞれの役割に応じた水害減災の取り組みを進めながら、住民と行政との協働型治水の実現を滋賀モデルとして目指していきたいと考えております。
以上、対話の会・びわこねっと、木沢議員の代表質問に対する答弁とさせていただきます。
◎
県民文化生活部長(中村順一君) (登壇)地震防災対策のうち、震災時の広域応援体制についての御質問にお答えします。
本県では、阪神・淡路大震災後の平成7年度に、近畿2府7県および中部9県1市との間で災害時における広域応援協定を締結いたしておりますが、その内容は、食料品、飲料水および生活必需品等の提供およびあっせん、職員の派遣、避難者、傷病者の受け入れなどとなっております。これらの応援を実効性あるものとし、また、円滑に実施するためには、平時より関係機関と十分な連携を図ること、必要な情報を相互に交換すること、合同訓練等の実施に努めることとされております。
このため、各ブロックごとに定期的に情報交換の場を設けるなどして、関係府県市間の連携の強化と円滑なネットワークの形成に努めているところでございます。また、合同訓練につきましては、近畿2府7県においては図上訓練、緊急消防援助隊の総合受援訓練、合同実働訓練および物資調達等に関する情報伝達訓練を実施いたしております。中部9県1市におきましては、物資調達等に関する情報伝達訓練を行っているところでございます。いずれも年に1度、関係府県市を持ち回りで被災地を想定して実施いたしておりまして、応援体制の実行力の確保に努めているところでございます。
これらの応援協定は、各県市が責任を持ってそれぞれの首長名で署名されたものでございまして、相互の応援協定でございます。応援要請を受けた府県市は最大限その責務を果たすべく努力しなければならないものでございまして、いずれの府県市が被災地となった場合にも、関係府県市から迅速かつ円滑な応援活動が受けられるものと考えております。
◎琵琶湖環境部長(山仲善彰君) (登壇)木材消費をふやすための施策についてお答えいたします。
平成17年度に本県で消費された素材は10万6,000立方メートルであります。一方、県全体の民有林の人工林は約8万ヘクタールであり、ここから生産された素材は4万立方メートルでございます。これは、この約8万ヘクタールの森林の年間成長量から推定した供給可能量である34万立方メートルの1割強にとどまっており、県内の森林資源が十分に利用されていないのが現状であります。
このような素材生産活動の低迷は、これまで木材価格の低迷がその原因であると言われてきましたが、我が国の木材価格は世界的な価格動向に連動していることから、将来も大幅に上昇することは期待薄であると見込まれています。今後は、いかに低コストで安定的に供給し、外材との競争力をつけるかが、かぎとなっています。
このため、生産・流通面において、小規模で分散している施業地の集約化や高性能林業機械の導入などにより木材生産の低コスト化に成功している事例や、ITを活用した流通改革に取り組む事例が県外で出始めております。本県においても今年度から、森林組合が施業の集約化や高性能林業機械の活用により木材生産の効率化を図るなど、具体的な取り組みも始まっております。
県では、このような取り組みに対して、路網整備や高性能林業機械の整備に対する助成、および林業普及指導員による現地指導などの支援を行っているところであります。一方、消費面で見ますと、本県で消費されている素材のうち、県産材の割合は約2割にとどまっております。この原因としては、住宅における和室の減少や柱が見えない工法の増加とともに、住宅の耐震性や施工期間の短縮などが重要視されていること、また、乾燥が十分で品質、性能の保障された製品の安定供給に対応できていないことが挙げられます。
中国などの木材需要の増加などにより木材供給は逼迫し、国内の木材加工場が原材料を外材から国産材へ転換するという好機を迎えているにもかかわらず、まとまった量の木材がいつでも供給できる乾燥や製材、また、ストックなどの施設や体制が整っていない、言葉をかえますと、山にはふんだんに木があっても、まちにはすぐ使える形で十分な量がないというのが現状であります。
今後、昭和40年代に植林された森林の本格的な伐採期を迎えます。県では庁内に、本年度、県産材安定供給推進チームを設置し、本県にふさわしい木材の生産・流通システムを構築するため、調査、検討を鋭意進めているところであり、順次施策化を行っていきたいと考えております。こうしたことにより、県内の林業、木材産業の振興と、さらには造林公社の木材の活用や販路拡大につなげていきたいと考えております。
なお、木材の輸出につきましては、九州や日本海側の県を中心に杉丸太の輸出や展示住宅の建築など、試験的な取り組みが行われていますが、我が国の平成18年の輸出量は約3万立方メートルと、ごくわずかの量にとどまっております。したがいまして、本県といたしましては、まずは県内や国内の市場開拓に取り組むことが必要であると考えておりますが、木材が国際商品であることから、国際的動向も注視しつつ林業政策を進めてまいりたいと考えております。
次に、森林組合に対する政策についてお答えいたします。
森林組合は、森林所有者の共同組織であり、地域の森林整備の中核的な担い手として大きな役割を担っております。しかしながら、林業の収益性の悪化等により森林組合の経営環境は極めて厳しい状況にあり、森林組合の皆さんが議論を重ねて、森林組合改革プランを策定し、広域合併による組織体制の強化などに取り組んでいただいております。その結果として、平成16年当時の森林組合は17であったものが、現在では10組合に統合され、さらに、目標である7組合への統合に向けて取り組んでいただいているところであります。
森林組合の所有する森林は、そのほとんどが戦後に造林されたもので、これまで下刈りや枝払いなどの保育作業が中心でありました。現在、森林は大きく育ち、利用可能な時期を迎えつつあります。しかしながら、木材価格の低迷により木材生産への関心は低く、不在村者の増加と相まって施業が行われずに放置された森林も見受けられ、森林の適正管理上、大きな問題となっております。また、森林組合の経営においては、これまで治山事業等の公共事業を中心に成り立っていた面がありましたが、近年、公共事業は縮減の傾向にあるため、経営状況は極めて厳しいものとなっております。こうした森林の荒廃と森林組合の経営悪化を克服するために、森林組合が公共事業中心の経営を、組合員から森林の施業や経営を受託する経営へと転換することが必要になっております。
また、木材は、戦後いち早く輸入自由化された国際商品で、現に国内消費の8割が外材で占められておりますが、県内の林業が競争に勝ち抜くには、旧来の林業経営の感覚ではなく、ビジネス感覚を取り入れた経営が必要となっております。そこで、県内の一部の森林組合では、森林施業を行うに当たって、小規模な組合員の森林をまとめて団地化し、機械の導入や作業道の整備により施業の効率化を図る低コスト作業システムを導入しながら、間伐材を生産する取り組みを始めております。また、山から切り出した木材を市場や合板メーカー等の事業者に販売する上で、マーケティングの視点も今後重要となってくると考えております。
県といたしましては、このような森林組合の自主的な経営改革の取り組みが推進されるよう、間伐材の買い取りに対する支援や、素材生産活動に伴う資金の貸し付けを行うとともに、高性能林業機械のオペレーター養成など、高度な技術を有する林業従事者の育成支援などを行っているところであります。また、森林経営を充実強化し、効率的な林業生産活動を展開し、木材の安定供給を実現するためには、製材・加工業者や工務店、消費者など、いわゆる川下における需要の拡大が不可欠であります。こうしたことから、川上の木材供給体制の整備とともに、流通を担う川中の充実支援、さらには川下の需要喚起や拡大に向けた施策の展開にも努めてまいるつもりでございます。
◎健康福祉部長(馬淵義博君) (登壇)地震防災対策についての御質問のうち、2点についてお答えいたします。
まず、1点目の県営以外の水道施設における配水池の緊急遮断弁についてでありますが、緊急遮断弁は、地震などの災害で水道管が破損した場合に発生する、配水池からの異常な流出を感知し、自動的に閉じることによりまして流出をとめ、配水池の水道水を守る機能を持っております。新潟県中越沖地震等について、水道施設の被害等を厚生労働省が調査する中で、流出を防ぐことによって、確保した水を断水地域への給水車による応急給水に利用し、迅速な応急給水に役立っていることが報告されているところでございます。
本県におきましても、こうした点に着目し、県の地震防災プログラムにおきまして、水道水の供給事業を行う市町や一部事務組合、合わせて26事業体が、緊急遮断弁を配備した配水池をそれぞれ1カ所は備えることを目標に取り組んでいるところでございます。現在の整備状況につきましては、26の水道事業体のうち、平成15年度末で15事業体が整備済みであり、平成16年度からの4年間で5事業体で整備が行われ、20事業体で整備されております。残る6事業体におきましては、整備に当たっての用地取得が困難なこと、老朽管の更新工事を急ぐ必要があることなどが課題と聞いておりまして、今後とも早急に整備されるよう助言いたしますとともに、整備に当たりましては国からの支援が得られますよう、県といたしましても取り組みまして、促進を図ってまいりたいと考えております。
次に、2点目の非常災害用井戸の認定制度についてでございます。
本県におきましても、非常災害時における応急給水は大変重要であると認識しており、県の地域防災計画において、県、市町の役割分担を定め、県が広域的な応援体制のもとに市町の給水活動を支援すること、市町は速やかに応急給水を行うこととされ、市町が定めるべき給水計画の指針においては、水源の一つに井戸水を掲げ、飲料に適するかどうかの検査、災害時の消毒やろ過などによる浄化方法について定めておくことが示されているところでございます。また、飲料水だけでなく、トイレ、洗濯、清掃などに使う生活用水の確保も求められているところであります。
こうした状況のもと、県内の市町を調査いたしましたところ、ほとんどの市町が防災計画に井戸の活用を掲げ、一部の市町では、あらかじめ利用可能な家庭用井戸を把握して、その有効活用を図るとされているところでございますが、事前に井戸の状況を十分に把握されている段階にはありませんでした。こうしたことから、災害時の井戸の利用を実効性のあるものとするため、御質問にありました、非常災害用井戸の認定制度が共助の仕組みとして役立っている事例などももとにいたしまして、さらなる取り組みが市町で図られ、災害時に近隣での協力が円滑に行われますよう、情報の提供、啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、介護保険制度ならびに介護サービスについての5点の御質問にお答えします。
まず、1点目の在宅サービスへの事業所参入と撤退の状況でございますが、指定訪問介護事業所は、今月の1日現在で268事業所となっておりまして、介護保険制度がスタートいたしました平成12年4月に比べ120事業所増加いたしております。この間には、開設したものの利用者が少なかったことなどから廃止を行った事業所も相当数ございましたが、廃止に当たっては、利用者に対するサービスの継続、確保を図るため、他の事業者の紹介や引き継ぎを速やかに講じるよう指導してきているところでございます。
また、不正等により本年8月末までに6事業所の指定取り消しを行っておりますが、取り消しに当たっては、保険者等と連携して利用者の引き継ぎ等の調整を行い、利用者の皆さんが安心してサービスを利用していただけるよう支援を行っているところでございます。
次に、2点目の高齢者に対する虐待についてでございますが、高齢者への虐待の防止につきましては、高齢者虐待防止法が平成18年4月に施行され、市町の担当課や地域包括支援センターにおいて、相談、指導、助言および虐待を受けた高齢者の施設への保護等の対応が行われているところでございます。
昨年度、県内の各市町に寄せられました高齢者虐待に関する相談、通報の件数は308件となっており、そのうち、市町による事実確認により虐待と判断された件数は202件でございます。その状況別の内訳では、身体的虐待がおおむね35%で最も多く、次いで介護、世話の放棄、放任、心理的虐待、経済的虐待が、それぞれおおむね20%を占めております。こうした虐待への対応につきましては、養護者に対する助言、指導71件、契約プランの見直し46件等を行い、防止を図っておりますほか、こうした方法での防止が困難な66件につきましては、施設への入所などにより保護が行われているところでございます。
こうした状況のもと、県におきましては、高齢者成年後見支援センターを、専門的知識を持っておりますNPO法人に設置し、市町職員に専門的助言を行いますとともに、虐待事例の研究等を行う高齢者虐待問題研修会を開催しているところでございます。また、広く一般県民の皆さんを対象に、高齢者虐待防止セミナーや身体拘束廃止セミナーを開催いたしております。今後とも、高齢者と家族を支えるための専門的知識の普及や対応力の向上、地域における高齢者虐待の未然防止などに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、3点目の療養病床の再編成についてでありますが、再編に伴う相談等は、昨年7月からことし5月までの間に、入院患者の家族から、治療の必要性が低くなったことで退院を求められている、療養病床の廃止に備え、早目に介護施設を探すように言われているといった内容の6件の相談があり、これを受け、市や県の関係課においては、医療機関に状況の確認を行いまして、必要に応じ、定員のための調整や介護施設の情報提供などを行ったところでございます。
高齢者を支える基盤の整備につきましては、今後における療養病床への転換や高齢者人口の増加に伴う状況変化などをもとに、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことのできる地域づくりを進めるため、地域における見守り支援や在宅療養支援診療所の充実を図りますとともに、介護保険施設やグループホームなどの介護サービスを総合的に提供できるよう、必要な基盤整備に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、4点目の介護相談員についてでございますが、平成18年度での派遣回数は、施設や通所系サービスを中心に1,749回となっており、本年度は13市町で102名の介護相談員が設置され、活躍をいただいております。相談員は、介護サービスが行われている場所を訪ね、利用者の身近なところで相談を受けることによって利用者の不安の解消を図るとともに、利用者本位のサービス提供を進めるためにも大きな役割を果たされていると考えております。
そのため、県では、介護相談員の養成と資質の向上を図るため、養成研修や現任者対象の研修を実施いたしておりまして、研修会の開催に当たりましては、未設置の市町にも参加を呼びかけるなど、すべての市町において設置されるよう働きかけているところでございます。
次に、5点目の、まず、事業所の監査につきましては、事業所への個別の実地指導や監査などを通じて、法令遵守の徹底を図りますとともに、集団指導の充実強化、さらには、新規に開設する事業者に指定時研修への参加を義務づけることによって、これまで以上に制度の周知と法令遵守を求めてまいりたいと考えております。
また、市町や国民健康保険団体連合会などとの連携を強化することによって、サービスの提供状況などの情報を収集し、不適正な運営が疑われる事業所については、緊急の立入調査を含め、機動的に対応してまいりたいと考えております。
介護サービス情報の公表につきましては、介護サービスの質の向上と利用者が事業者を適切に選択できる環境を構築することを目的に導入いたしておりまして、平成18年度は、訪問介護や通所介護など9つのサービスを対象に971事業所の情報を公表したところでございます。本年度は、通所リハビリテーションなどの医療系の3つのサービスを追加し、合わせて12のサービスを対象に実施いたしております。今後におきましても、対象の拡大を図り、平成20年度では30のサービスについて、平成21年度には38のサービスを対象に行う予定といたしております。
こうした対応とあわせまして、この制度が有効に機能を発揮するためには、広く県民の方々に御理解いただき、活用していただくことが重要でありますことから、パンフレットの作成や滋賀プラスワンへの掲載など広報により、一層周知、啓発を図ってまいりたいと考えております。
◎商工観光労働部長(沢井進一君) (登壇)滋賀県の地域産業、とりわけ地場産業の最近の状況についてお答えいたします。
県内地域産業の中心であります地場産業には、長浜ちりめん、湖東麻織物、高島綿織物の繊維産業、そして、彦根バルブ、彦根仏壇、彦根ファンデーションの彦根地域の産地、さらに、信楽陶器、甲賀・日野製薬、そして高島の扇骨の、合わせて9つの産地がございます。
これら各産地の現況につきましては、彦根バルブの産地では、景気回復によります設備投資が活発化している好影響を受けておりますし、また、甲賀・日野製薬の産地ではジェネリック医薬品──特許期限が切れた医薬品などの新たな取り組みが進みまして、その2つの産地につきましては、順調に推移しております。
しかし、この2つの産地以外の現況は厳しい状況でございまして、長浜ちりめん産地は、生活様式の変化による呉服需要の減退などの影響だけでなく、海外、主に中国からの製品流入の影響を受けております。
次に、湖東麻織物、高島綿織物、彦根ファンデーション、信楽陶器および高島扇骨の産地につきましては、海外からの低価格品流入の影響を受けまして売り上げの減少が続き、低調に推移しております。また、彦根仏壇産地では、住宅事情の変化──特にマンション等の関係でございますが──でありますとか、他産地や海外からの低価格商品との競争激化のために、産地の得意分野であります大型高級仏壇の売り上げが伸びておりません。このように、バルブおよび製薬以外の産地におきましては、いずれも生産額が低迷しておりまして、引き続き大変厳しい状況にあると認識しております。
次に、今日まで取り組んできた施策と今後の支援についてお答えいたします。
まず、再生・振興計画についてでございます。
本県産業振興の戦略方向を示しております滋賀県産業振興新指針におきまして、時代の変化に対応した地域産業の創生を目指して、ブランド力の強化や先端技術の活用によります地場産業を活性化することを基本方策として定め、地域の創意工夫や、やる気のある企業や団体の積極的な取り組みに対して支援を進めております。また、現在、新指針策定後4年の経過の中で、地域経済を取り巻く環境には大きな変化が生じたと考え、新指針の見直しを産業界や有識者の皆さん方で構成する新指針改訂検討委員会において進めておりまして、本県産業の実態を改めて把握し、施策を検証する中で、地域産業の再生、振興について新たな方向性を検討していただいているところでございます。
2つ目に、人材育成でございます。工業技術センターや産業支援プラザにおきまして、技術や経営に関するさまざまな研修や講習会を開催しております。さらに、今年度は、伝統産業におけます後継者育成への取り組みを促進するため、モデル事業として国指定の伝統的工芸品産地でございます湖東麻織物、彦根仏壇、信楽陶器の産地を対象にいたしまして助成を行っております。他の産地につきましても、今後、後継者の育成支援を実施してまいりたいと考えております。
3つ目に、新規市場の開拓についてでございます。中小企業の皆さんを対象とした各種支援施策のほかに、それぞれの地場産地の企業や団体によります見本市への出展についても助成をしております。特に信楽陶器につきましては、高付加価値商品の海外への販路開拓を目指して、アジア、これは香港でございますが、アメリカ・ニューヨーク、サンフランシスコ、ドイツ・フランクフルトで開催される見本市への出展の取り組みをここでも始めております。
4つ目の地域ブランド研究開発についてでございますが、ブランドの構築につきましては、国の中小企業地域資源活用プログラムとの連携を図りながら、専門家による商品企画へのアドバイスやブランド化を目指した商品開発への取り組みに対して支援を進めております。また、研究開発につきましても、工業技術センターを中心に、大学などとも連携を図りながら、技術支援を進めておりまして、長浜ちりめん産地における絹糸の精練時に抽出されるセリシンを利用した化粧品の開発でありますとか、白生地を活用したウエディングドレスへの展開、彦根バルブ産地における鉛フリー銅合金ビワライトでありますとか、信楽焼の、いわゆる窯業技術とセラミックを融合した、環境問題に貢献した壁面緑化システムなど、多くの商品化事例がこの中でございます。
県といたしましては、地場産業を中心とする地域産業が有する技術や人材などの資源と先端技術やデザインを掛け合わせる──融合させるというんですか、消費者の感性に訴える高い付加価値商品を目指す感性産業、感性事業など新事業の創出につながる、地域の意欲ある取り組みに対しまして、積極的に国や地元市町とも連携を図りながら進めてまいりたいと考えております。
◎土木交通部長(吉岡淳君) (登壇)私からは、防災対策についてのうち、住宅に関する地震対策についてお答えいたします。
まず、個人木造住宅の耐震診断、耐震改修の計画目標に対する達成状況についてでございますが、平成18年度末の確定した数値で申し上げますと、耐震診断の実施戸数が4,448戸でございまして、目標戸数1万3,200戸に対して33.7%であります。また、耐震改修の実施戸数は36戸で、目標戸数700戸に対して5.1%と、県の目標数値とは大きな隔たりがございます。本年度におきましても、年度目標の達成に向けまして、普及、啓発や事業執行に努力しているところでございますが、昨年同様、実施戸数が伸び悩んでいるのが現状でございます。
次に、今後、目標を達成するに当たっての課題についてお答えいたします。
個人木造住宅の耐震診断、耐震改修は、行政だけの対策で目標が達成されるものではございません。県民の皆さんには、地震や防災に関する知識を習得し、正しく恐れることや、自主防災活動への参加など、みずからの地域を守るといった主体的な取り組みをお願いしているところでございます。住宅の耐震化は、みずからの命を守ることと同時に、地域の防災力を向上することにもつながるものでございます。そうした個人の意識、社会へ向けた意識を持っていただくことが重要でございまして、意識の高まりから行動へとうまく結びつけていくということが、目標達成の課題であると考えております。
そのために、地震や防災の知識や支援制度を県民の皆さんに知っていただくことが重要であります。県広報誌、テレビ番組などを通じまして、積極的に広報や啓発に努めているところであります。今後は、県民の皆さんと直接の対話ができる自治会等への出前講座などの内容を充実させますとともに、市町や関係部局とも連携しながら、あらゆる機会をとらまえて、住宅耐震化の重要性について普及、啓発をしてまいりたいと考えております。
次に、リバースモーゲージ制度についてであります。
高齢者世帯の耐震改修の資金融資といたしまして、土地、建物を担保とし、月々、利息のみを返済し、もしくは一切返済せず、亡くなられた後に、担保とした土地、建物をもって一括返済するという制度がございます。既に制度化されているものを調査いたしましたところ、住宅金融支援機構では、以前からバリアフリー改修でこうした制度がありましたものに、さらに本年7月より、耐震改修工事の融資についても使えるようにされたところでございます。ただ、手続の繁雑さや不動産鑑定費用等の初期の負担が生じますことから、余り利用されていない状況と聞いております。現在、国では、高齢者世帯の住宅の耐震化を促進する必要があることから、何らかの支援事業を検討されている状況でございます。
県におきましても、国の動向を見ながら、リバースモーゲージ制度の活用について、さらに調査研究をしてまいりたいと考えているところでございます。
次に、被災者の住宅再建共済制度の導入についてでございますが、現在のところ、都道府県独自で本制度を実施しているのは兵庫県のみと承知しております。兵庫県では、住宅再建には現在の公的支援では限界があるということから住宅再建共済制度をスタートさせているところでございますが、本年3月時点での加入率は、対象戸数に対して、持ち家、借家合わせて5.9%と低い状況にあると聞いております。
それでは、この共済制度を本県に導入した場合、例えば、琵琶湖西岸断層帯等によります甚大な地震被害が発生いたしますと、その際に給付する費用は莫大なものとなり、県だけの取り組みでは、適正な共済運営が困難となろうと考えるところであります。
一定の地域に多くの被災を伴うような地震災害等にありましては、共済や保険制度はできる限り広範囲で、しかも多くの人たちで支え合うことが必要と考えますことから、県としましては、各都道府県とともに、全国知事会等を通じまして全国的な共済制度の検討を国に要望しているところでございます。
◎企業庁長(小川義隆君) (登壇)地震防災対策のうち、県営水道施設についての2点の御質問にお答えいたします。
水は命の源であり、水道は最も重要なライフラインの一つでありますことから、企業庁では、地震の発生時にも家庭において必要最小限の生活用水が確保できるよう、3つの浄水場間で水を相互に融通する緊急連絡管の整備を進めているところでございます。緊急連絡管は、被災した浄水場の受水人口1人当たり1日100リットルの水を他の浄水場から送水するためのもので、南部地区の吉川浄水場と甲賀地区の水口浄水場間および吉川浄水場と中部地区の馬渕浄水場間を、耐震性能の高い管で結ぶものでございます。
そこで、まず、1点目の緊急連絡管の整備目標値達成見通しについてでありますが、平成19年度末での整備延長は12キロメートルとなる見込みで、当初目標値の11.6キロメートルを上回る見通しとなっているところでございます。なお、既に吉川浄水場と水口浄水場の間につきましては平成18年度から供用を開始しているところであり、残る吉川浄水場と馬渕浄水場につきましても、計画的かつ着実に整備を推進しており、平成20年度には全区間が完了する見込みとなっているところでございます。その後、洗管作業や消毒などの準備手続を行い、平成21年度に供用を開始できる予定となっております。
次に、2点目の今後の地震対策の課題についてでありますが、大規模地震が発生し、施設が被災した場合においても、できるだけ早く生活用水の確保を図ることが重要であると認識しております。そのため、企業庁では、施設が被災した浄水場においても、おおむね1週間以内に応急給水ができることを目標とした耐震化計画を策定いたしまして、浄水場の補強や耐震化によるバイパス管路の整備などに鋭意取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、安全で安心な水を安定的に供給するため、施設の耐震化の推進に取り組んでまいる所存でございます。
◎教育長(斎藤俊信君) (登壇)防災対策に関する2点の御質問にお答えいたします。
学校施設は、子供たちの教育活動の場であると同時に、1日の大半を過ごす生活の場であります。また、地域住民の皆様にとりましては、地震等の災害発生時には避難場所となり、既に多くの県立学校が市町の地域防災計画上の避難所に指定されるなど、地域の防災拠点としても重要な役割を持っております。このため、県立学校の耐震化は極めて重要な課題であり、平成16年3月に策定されました県地震防災プログラムでは、学校施設を防災上特に重要な県有施設と位置づけ、これまで順次、耐震対策に取り組んできたところでございます。
そこで、お尋ねの県立学校関係施設の現在の耐震化率でございますが、平成19年度末では、高等学校で59.7%、養護学校などの特別支援学校は89.4%となる見込みでございます。
次に、整備途上で地震災害が発生した場合の生徒の安全確保についてでありますが、現在ではすべての県立学校におきまして、地震やそれに伴う火災の発生などを想定して、各学校の実情に沿った防災計画と危機管理マニュアルを作成し、非常事態時に備えているところでございます。
さらに、各学校におきましては、防災計画に基づき、毎年、避難訓練実施計画を策定した上で、地元消防署と連携した避難訓練を実施するなど、地震などの緊急時には安全かつ迅速に行動できる習慣を身につけられるよう実践しているところでございます。
今後とも、地震等の災害に対しましては、子供たちの安全確保を最優先にした上で、避難訓練の方法等にも工夫を凝らしながら、教職員はもとより、子供たち自身の危機管理意識の向上に資するよう指導を徹底してまいりたいと考えております。
次に、教育問題についての御質問のうち、全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
去る4月24日に実施されましたこの調査は、我が国の教育水準の向上や教育施策のあり方を検証することなどを目的に全国一斉に行われ、本県においても実施の趣旨を踏まえ、参加したものでございます。
まず、1点目のこの調査の結果をどのように取り扱うのかについてでありますが、今後、国においては、調査目的に照らし、評価、検証した上で新たな施策の策定を進めていくことが計画されているものと承知しております。県といたしましても、調査結果を本県の教育の向上に生かすため、総合教育センターにおいて、国語、算数、数学の教科や学習と生活習慣に関する調査部会を設置し、調査問題や調査結果の特徴、さらには課題を検証した上で、今後の学習指導の改善につなげていきたいと考えております。
また、各学校現場においては、調査結果に基づき、一人一人の児童生徒の課題がどこにあるのか分析した上で、それぞれの児童生徒のつまずきや課題に応じたきめ細かな指導と学習習慣の改善につなげる指導を行うとともに、分析結果を各教育機関で共有し、有効に活用してまいりたいと考えております。
2点目の今後もこの調査を続けていく意義があるのかについてでありますが、継続して調査を実施することにより、各学校現場における継続的な授業改善に資するとともに、県教育委員会といたしましても、各種の教育施策の成果を経年的に検証できることになりますことから、調査を続けることには意義があると考えております。
また、小学校の6年生と中学校の3年生について調査が行われることにつきましては、それぞれの校種における最終学年で評価することに意義があると考えております。
なお、障害のある児童生徒の参加については、実施要項に基づき、障害の種類や程度に応じて、可能な限り調査に参加できるようになっており、必要に応じて、点字や拡大文字、時間延長、補助員の体制などに配慮されたところであります。
3点目のこの調査が学力の地域間格差を広げるのではないかということについてでありますが、本調査の趣旨は、児童生徒の学力を把握、分析することと同時に、学習状況や生活習慣と学力との関係から見えてくる子供の実態を検証することと認識しているところであり、県教育委員会としましても、調査の趣旨を十分に踏まえ、地域間格差につながることのないよう厳格に対応してまいりたいと考えているところでございます。
次に、子供、保護者、教職員のストレスを軽減するための基本的な考え方と、その具体的施策についてお答えいたします。
現代社会におけるあらゆる生活の場面で、人々はさまざまなストレスにさらされ、そのことにより健康にも多大の影響を及ぼすことが医学的にも立証されております。そのような中で、子供たちも決して例外ではなく、家族や友達などとの人間関係に起因するものや、思春期における自分をめぐるものなどのさまざまなストレスを抱えております。このため、県教育委員会といたしましては、これまでから、子供たちの心身の発達段階に応じたストレスへの対処法などを授業や特別活動の中に取り入れ、子供たちが自分なりの対処法を身につけることができるよう学習を進めているところでございます。
しかし、過度のストレスは、心身に好ましくない影響をもたらすことも懸念されますことから、必要に応じ、スクールカウンセラーやオアシス相談員などの心の専門家や、子供と年齢の近い大学生のスクーリングケアサポーターを派遣するなど、その不安を低減し、子供たちが安心して伸び伸びと学校生活を送れるような教育環境づくりに取り組んでいるところであります。
また、教職員のストレスについてでありますが、子供たちにとって質の高い滋賀の教育環境を整えるためには、教職員の心身の健康を保つことが大変重要であります。各学校におきましては、校長など管理職のリーダーシップにより職員同士のコミュニケーションを図り、課題等をひとりで抱え込むのでなく、組織として対応できるよう指導を徹底しているところでございます。
さらに、昨年3月に滋賀県教育委員会職員メンタルヘルス対策指針を策定し、予防のための啓発教育から、早期発見、早期対応などの各段階に応じたケアを行うとともに、ストレス相談、メンタルヘルスセミナーの開催などの取り組みを推進しているところであります。
人が生きていく上でストレスを感じること自体は自然なことであり、適度なストレスは精神発達上必要なものでありますものの、過度のストレスとならないよう、子供たちのどのような変化も見逃さずに、教員が子供たちとしっかり向き合うことが教育現場では何より重要と考えております。その上で、保護者の皆様と、子供たちのさまざまな情報を共有し、連携を深め、信頼関係をつくっていくことが、保護者のストレス低減にもつながるものと考え、そうした観点から今後ともしっかりと取り組んでまいります。
最後に、すべての小中学校を35人以下の学級にという政策の今後の見通しについてでございますが、本年度から新たに小学校3年生を対象に拡大を図り、現在、小学校1年生から3年生および中学校1年生におきまして実施しているところであります。さらに、小学校では4年生から6年生のうち、各学校の実情に応じて、いずれか1つの学年で35人学級編制が実施できることとしております。本県のこうした少人数学級の現状は、全国的にも先進的な取り組みでありますとともに、議員御指摘のように、子供たちが教師と向き合う時間がとれるなど、きめ細かな教育を推進する上で非常に大きな効果があるものと認識いたしております。
しかしながら、本県の財政事情が非常事態とも言うべき状況の中で、今後の対応につきましては、そうした状況等を十分踏まえながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
○議長(出原逸三君) 以上で、会派代表による質疑ならびに質問を終わります。
────────────────
△議員派遣の件
○議長(出原逸三君) 日程第2、議員派遣の件を議題といたします。
直ちに採決いたします。
本件については、会議規則第122条第1項の規定により、お手元に配付いたしておきました文書のとおり派遣いたしたいと思いますが、これに賛成の方は、御起立願います。
〔賛成者 起立〕
御着席願います。起立全員であります。よって、そのように決定いたしました。
──────────────────────────────
議 員 派 遣 の 件
平成19年9月21日
次のとおり議員を派遣する。
(1) 目 的 スポレクあおもり2007への参加
(2) 派遣場所 青森県
(3) 期 間 平成19年9月21日から9月23日まで
(4) 参加議員 宇賀武議員
──────────────────────────────
△休会の議決
○議長(出原逸三君) お諮りいたします。
明22日から26日までは、議事等の都合により休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
────────────────
○議長(出原逸三君) 来る27日は定刻より本会議を開き、上程議案に対する一般の質疑ならびに質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時40分 散会
────────────────...