中山間地域の農業の取組についてであります。
農林業と環境の関わり、また併せて茶業の現状について触れてまいります。
静岡市は、私、一番広い面積だと思ったんです。そういうときもあったんですよね。ところが、合併が進んだ現在、高山市、浜松市、日光市、北見市に続いてですね、今5番目になっちゃったんですね。5番目にはなったといっても、南アルプスからこの駿河湾まで、市長、あなたの手腕が問われているんですよ。ぜひ頑張っていただきたい、こんなことを思いながら、小さな部分でありますけれども、大きい質問をしてまいります。
市域面積のおよそ80%余を中山間地域が占めております。南アルプスから駿河湾まで広がる豊かな森林と川の流れが、そこに暮らす人々が織り成す生活と文化を育んでまいりました。本市行政は、70万市民がこのまちに生まれてよかった、との歌がありますよね、市歌がありますが、これを口ずさみながら、山村と都市が共生・共育するまち静岡を築くために頑張っているわけでありますが、特に中山間地域の振興に努力されている職員の皆さんには、この場を借りて心から感謝を申し上げる次第であります。
国際レベルで環境問題が重点化するとき、森林と田畑は、
地域住民たちの農林水産物の生産の場にとどまらず、水源涵養という公益的機能を発揮していることを皆さんと再認識したいと思うのであります。我が国の中部地方は、大変雨の多いところであります。そのことを証明するのが、天竜川や大井川に昭和20年、30年頃に大きな発電用のダムが建設されたことが証明しているのであります。雨水を森や畑に蓄えて、大小の河川の流れを通して市民の暮らしを支えているわけであります。水道の蛇口をひねればおいしい水が飲めるという、この幸せな静岡市。しかし、私たちのこの蛇口をひねる水は、安倍川の源流から100年かけて門屋の浄水場にたどり着いているわけであります。まさしく伏流水であります。日本一おいしい水というのは、この100年間の伏流水の流れの中でミネラルをためているわけであります。
さて、林業といえば
東南アジア方面から安価な外材が輸入されて、国産材の価格は昭和55年をピークに低迷を続け、国内の林業家は苦境に立たされてまいりました。申すまでもなく、市民の水源地とも言うべき安倍奥の森林管理は、消極的になりがちであります。最近では、林地を
太陽光発電用に転換しなければならないといった、厳しい環境に林業家が置かれているわけであります。森は水源涵養という能力を失いつつあるんだなと危惧しているわけであります。
小嶋市政のときに、
森林環境基金を創設いたしました。そのおかげで、現在、間伐事業を促進する、この森林の公益的機能を保とうとする努力がずっと続けられているわけであります。今ここに小嶋市長のその手腕を高く評価しなければならないわけでありますが、このことによって林業家が間伐を年間300ヘクタールほどやらせていただいて、その活力の一部を保持しているわけであります。改めて、小嶋市長ありがとう。
一方で、昭和の山間地農業を支えたのがお茶やワサビ、シイタケの生産でありました。お茶の元祖と言われる聖一国師は有名であります。ここで、このコロナ禍の中でお茶の効用というのが一番話題になったわけでございます。私の先輩である井川出身の
森竹敬浩先生は、お茶に関する書物をたくさん出しているわけでありますが、その1冊にお茶の世界の散歩道というのがございますが、その中で、鎌倉時代に栄西禅師は3代将軍、源 実朝が戦の前夜、酒宴で二日酔いになり頭を痛めているということを聞いて、お茶を一杯と書物を献上したところ、将軍家が大いに喜んだ、こう吾妻鏡に書かれているそうであります。この頃から、お茶の成分というのは効用があったことが評価されているわけであります。遡ることおよそ800年、里山から厳しい山間地に広がる茶畑やワサビ田が開墾され、今に至っているのでありますが、歴史ある茶園やワサビ田が雨水をコントロールするダムの働きをし、
水源涵養機能を発揮しているのであります。
ここでまず環境局に伺いますが、農林業が環境にもたらす恩恵にはどのようなものがあるか、教えていただきたいと思います。
以上、ここから一問一答でありますので、質問席に移らせていただきます。
〔安竹信男君質問席へ移動〕
5 ◯環境局長(藪崎 徹君) 農林業が環境にもたらす恩恵についてですが、市域の76%を占める広大な森林や身近な緑である田畑は、木材、農作物等の生産のみならず、国土の保全、水源の涵養、土砂災害の防止、地球温暖化の緩和など、市民生活や企業活動に様々な恩恵をもたらしております。
また、本市にあっては、美しい茶畑と山々の織り成す景観が、郷土の原風景の一つとして誇るべき環境資源となっております。さらに、自然の恵みを体感できる農作物の収穫体験は、豊かな感性を育む環境学習につながるものとして期待できるなど、農林業は様々な恩恵を私たちにもたらしてくれているものと認識しております。
6 ◯安竹信男君 ありがとうございます。
実は、私、資料として配布してございますので、参考にしていただきたいと思うのですが、何回かこのような形でこの議場で紹介しておりますけれども、こちらの災害防止、
土砂災害防止ですね、あるいは水源涵養、次は、今お話がありました保健・レクリエーション、あるいは文化関係、いろいろ換算した数字が出てございますが、大変これだけの機能が働いているんだということを思うと、私たちは、この恵まれた80%の林地・農地に大変恩恵を被っているんだなということを認識できるのであります。
さて、環境局の答弁、ありがとうございました。市民生活や企業活動を支えるために、森林や田畑に本当に適切な維持管理が必要だということ、この貴い命を我々は育んでいるわけでありますが、全国的に見ましても、年間を通して大雨による土砂災害が頻発し、各地で貴い命と財産が失われていることは御案内のとおりであります。現実問題として、令和4年度の国土保全に資する
治水事業等関係費は1兆円を超えて1兆367億円ということが表示されております。その内訳を見ますと、河川関係で8,642億円、砂防関係で1,546億円、
海岸保全関係で178億円、こんなふうに書かれているのであります。
下水道事業関係は合わせて524億円であります。このような事業費は膨らむばかりでありますが、なるだけこの森林を管理することによってその涵養能力を高めて、この金額をできるだけ少なくする、これも大きな政策の1つではないかと思うのであります。
ここで私が申し上げたいことは、農林業者が森林を育て畑を耕すこの労力を、
治山治水事業の対価に換算してみることが必要ではないかと思うわけであります。森林の公益的機能を金額に換算しますと、恐らく国レベルでは国家予算に匹敵する、県レベルでは県の年間予算に匹敵する、本市の場合は年間予算およそ4,000億円に匹敵する、こう私は試算したことがございます。機械化された今と違って、労力に頼った田畑の棚田の造成には、賢い知恵と経験が必要でありますが、急峻な山間地に生きる先代たち、先祖たちの苦労と開拓魂がしのばれます。持続可能な
開発目標SDGsの原点がここにあると言っても過言ではないと思うのであります。
100年以上続いた
全国お茶生産量第1位のこの静岡県の座が、昨年度、静岡県から鹿児島県に交代してしまいました。2021年の農林水産省の発表で、鹿児島の茶産出額は252億円、静岡県が251億円となったというのであります。茶園面積は、静岡県が1万3,700ヘクタール、鹿児島県は7,970ヘクタールでありますから、静岡県のほうが茶園は広いわけであります。しかし、なぜここで総生産量が金額にしてこれだけの251億円にとどまったのかということでありますが、これは残念ながらお茶の生産が九州のほうが早く行われる。そして、その九州の茶が出回って、静岡市の茶が低迷するという、ここで単価が低くなるということが原因であることは間違いないと、そう思っております。茶のおいしさ、質、そして摘採量では、静岡県は間違いなく第1位だと私は腹の底に信じているわけであります。
ここで伺いますが、
市内茶農家数と茶園面積はどのような状態なのか、その推移についてお伺いしたいと思います。
7
◯農林水産統括監(稲葉 光君)
市内茶農家数についてですが、
農林業センサスによりますと、平成22年は約2,200戸、27年は約1,500戸、令和2年は約850戸へと減少傾向にあります。
次に、茶園面積についてですが、平成22年は約1,500ヘクタール、27年は約1,100ヘクタール、令和2年は約700ヘクタールへと同じく減少傾向にあります。
こうした減少に歯止めをかけるとともに、茶農家の経営基盤の強化を図るため、本市では第2次
茶どころ日本一計画に基づく様々な施策を実施しているところでございます。
8 ◯安竹信男君 茶農家の数が平成22年2,200戸、令和2年850戸、この10年間で61.4%も減少しているということになるわけであります。茶園面積が1,500ヘクタールから700ヘクタールということでありますので、53.3%も減少しているわけであります。このように数字で表されると、山に生きる人間、茶農家を相手にしている立場から大変脅威に感じるのが実感であります。
私が茶農家さんとの接点で感じる危機的な状況をこのような形で表されたわけでありますが、私は常時、中山地域の茶畑を視野に入れながら、マイカーを走らせ活動しておりますが、放棄されていく実態を目にしている中で、この数字を、また自分がアレンジしながらどうしたらいいかということを考えなきゃいけないな、こう実感したわけであります。今後も茶農家に茶の生産を続けてもらうためには、やはり生産現場の農家の皆さんが頑張れる環境づくりが必要であります。
私は、過去に茶業振興策について提言してまいりましたが、ただいま
茶どころ日本一計画があるということを発表されましたけれども、これについては後ほど触れたいと思います。
まず、私は、地産地消の推進を提唱してまいりました。多くの市民、つまり消費者と生産者を身近に近づける、この仕掛けが必要だということであります。消費者である市民が茶園で働く生産者と交流できて、茶工場等で製茶していく工程を見学するなんていったら、これは本当に感動ものです。生産者と消費者が
静岡茶どころの魅力を共有できる、こういうことが必要だと考えたからであります。茶農家の皆さんは、7年ほど前から始まったこの
お茶ツーリズム事業の効果を期待しております。
残念なことは、4月中旬から県外産の新茶が出回ってまいりますので、市内の新茶摘採が始まる4月下旬から5月連休の頃には、茶市場における取引価格は低迷し始め、内牧や美和、松野、賤機地区などの茶工場では、農家の皆さんの顔色が青くなってくるわけであります。申すまでもなく、5月中旬以降に最盛期を迎えるオクシズ中山間地域の茶工場にとっては言わずもがな、茶市場取引は農家の首を絞めているのであります。
10年以上も前のエピソードになりますが、
富士山静岡空港であるイベントがありました。空港周辺の茶園の美しい光景は見事でした。そこで川勝知事は、挨拶の中でこう申しました。牧之原の新茶摘採は、まだ始まっていない。静岡の山間部の新茶はもっと遅くなる。しかし、この時期に既に県外の新茶が静岡県内に出回り始めて、八十八夜の新茶の旗をなびかせている。これはおかしいじゃないか。静岡は、山間部のお茶の摘採時期に合わせて八十八夜の旗をなびかせればいいと思うと、こんなふうなことであったんですが、私はびっくりしました。感動したんです。八十八夜は5月1日か2日です。静岡県産の新茶が出回るときに、これが本物の静岡の茶だと言って出せば、この茶額低迷に迷うことはないはずであります。とても大切な助言をいただいたわけでありますが、このことについてこれからももっと本山茶だけになる静岡県のお茶の取引について、もっと研究しなきゃいけないな、そういう課題を持っていると思います。
本市は、令和4年度の国に対する提案・要望書の中に、農林水産省に対して農業従事者の減少や高齢化、
経営耕地面積の減少など、危機的な現状であると記載しております。あわせて、本市農業の直近10年間の農業産出額は25%減少、特にお茶においては65%減少したと書かれております。今後は、担い手が活躍できる優良農地の確保と、農業所得の向上を目指していくとして、
畑地帯総合整備事業及び
農地中間管理機構関連農地整備事業、この2つを着実に実施していきたい、その予算確保をお願いしたいと、こう要望しているのであります。
ここで伺いますが、本市農業全体では、不足する労働力を確保するためにどのような施策を実施しているか、お伺いしたいと思います。
9
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 静岡市
農業振興計画では、担い手の確保を最重要施策として位置づけ、新規就農や事業継承等による将来本市農業を担う経営体の確保と、繁忙期等の一時的な労働力の確保という2つの側面から、国や県の制度も活用し総合的に取り組んでおります。
まず、1つ目の本市農業を担う経営体の確保に向けた施策としましては、国の
農業次世代人材投資事業を活用し、新規就農者の
経営初期段階の生活を最長5年間下支えする支援を従前より継続して実施しております。また、令和元年度から開始したがんばる新
農業人支援事業では、静岡県やJAと連携し、作目ごとに生産技術の習得や農地の確保までを一体的にサポートしており、
農業次世代人材投資事業と併せ、就農に向けた研修から就農後の生活まで長期間にわたる支援を行っております。さらに、令和3年度からは国の経営継承・
発展等支援事業を活用し、本市農業の中心的担い手である
認定農業者等の後継者が行う規模拡大や販路開拓、作業効率の向上などに対する助成にも取り組んでおります。
2つ目の、繁忙期等の一時的な労働力の確保につきましては、労働力不足に悩む農業者と農業をサポートしたい市民とを結びつける
援農ボランティア事業を本市独自に実施しております。
10 ◯安竹信男君 いろいろな施策を展開していただいて、その効果がじりじりと今芽吹いていることは承知しております。
ここで私は、
援農ボランティア事業について触れたいと思います。どこへ行っても、高齢化した農家の皆さんは、もう跡取りはいないから諦めなきゃならないと、安竹さん、この畑もあと10年だよという話が出てくるわけでありますが、この
援農ボランティアというのは非常にうまくできていると思うわけであります。この内容を見ますと、募集内容でありますが、この
ボランティアを集めるときに、作業内容、募集人員、注意事項、保険についてなどが掲載されておりますが、私が注目したのは、注意事項の中に
ボランティア活動には労働の対価としての報酬、交通費など、いかなる金銭も支給されませんよと、こう書いてあるんです。また、農家の繁忙期での援農となりますので、お客様としての扱いもしませんよと、こう書いてあるんです。言ってみれば当然ですよね。ところが、私は、この
ボランティアというのは、ある程度特典がなければと思うわけであります。この特典を、別にお金を出せとかそういうことじゃないんですよね。できた産物を、どれだけでも時期が来たらお渡しするとか、何かやり方はあると思うんですね。その辺についての工夫をここで要望しておきたいと思います。
私は、JA静岡市が農家にとって身近な生活相談や農業支援といった、本来あるべき業務を希薄にして、金融だけの農協とやゆされる時期を見てまいりました。5年ほど前に多くの農協支店が合併して、今は山間地の農協支店は金融業務の一端であるATM事業を残して、地域農家の皆さんがその空き店舗を加工所や即売所に活用してはおりますが、寂しい風景であります。当時、私は、JAは金融事業をほどほどにして、お茶の生産などの担い手不足で困っている農家を支援する人材バンクを稼働したらどうだと、金融バンクから人材バンクに、このことを言った時期があったわけでありますが、なかなか聞き入れてもらえなかったわけであります。
農協支店の空き店舗は、地元要望で活用されているというものの、農協に関係した人たちは、この様子を見て大変後ろめたさを今になって感じているようであります。日本農業新聞の報道によりますと、JA全農は、地域農業の担い手に出向くJA担当者、愛称TACの活躍を応援しているということであります。現在、全国に206あるJAの中に1,459人のTACが活動していると言われ、2020年度には6万2,000人の農業の担い手を訪問して、49万回の面談をしているということであります。
ここで、労働力確保に関わる施策のこれまでの実績についてお伺いしておきたいと思います。
11
◯農林水産統括監(稲葉 光君) まず、がんばる新
農業人支援事業では、これまでにJA静岡市管内においてはワサビと自然薯、
JAしみず管内においては枝豆を取上げ、経営管理などの研修を実施しました。令和2年度までの直近5年間で、この研修修了者をはじめ新規就農者13人が
農業次世代人材投資事業の支援を受けております。
次に、令和3年度から開始した経営継承・
発展等支援事業では、茶やミカン、枝豆等の生産に係る新たな経営者7人の申請が採択され、このうち6人が
作業効率向上のための設備更新を行い、1人が販路開拓のための専門家への相談を受けております。また、
援農ボランティア事業では、本年11月末現在の
ボランティア登録者数は131人であり、令和2年度までの直近5年間では、茶やミカン、イチゴなど、本市を代表する作物の農家において年平均延べ870人を受入れております。
なお、最新の静岡県の統計では、平成27年度から令和元年度までの5年間における本市の法人を含む
新規就農者数は合計93経営体であり、これらの事業が新規就農者の確保に寄与しているものと考えております。
12 ◯安竹信男君 いろいろな努力がここで表明されていて、私も、緑茶を通じて新しく頑張っているんだなということを評価しながら、この質問をしたわけでありますが、この
援農ボランティア事業について、令和2年度までの直近の5年間で、年平均で延べ870人を受入れたというその実績、これはすばらしいなと思うわけであります。また、令和3年、既に今答弁もありましたが、登録者が131名ということで援農の成果が期待されるわけであります。
がんばる新
農業人支援事業において、JA静岡市管内のワサビ栽培と自然薯作り、
JAしみず管内の枝豆栽培の実践研修が地域農産物に根づくことを大変期待しております。平成27年度から令和元年度までの5年間で、合計93名の新規就農者が誕生している、このことも大変明るい展望だと思います。
さて、静岡市
茶どころ日本一計画、お茶のまち100年構想の実現に向けてというこの事業でありますが、その
実施状況報告書を見ますと、お茶のまち静岡市を誇りに思う市民が今94%だと、これを令和12年度には100%にしたいと、こう書かれております。また、お茶の産出額の20.2億円を令和12年度には30億円に伸ばしたい。静岡市のお茶輸出量0.559トンを令和12年度には何と5.5トンにしたいと言っているわけであります。1世帯当たりの年間の緑茶購入量が今2,323グラムですが、これを令和12年度には2,600グラムぐらい皆さん飲んでくださいと、こういうことであります。
また、オクシズ元気ビジネス支援事業では、地域資源を活用した振興事業計画を実行する住民団体に対して補助金を交付したいと言っております。また、ふるさと農力チャレンジ事業では、農業の6次産業化などに取り組む農業者に対しては、やはり補助金を出してお助けしたいということであります。オクシズプロモーション事業で、中山間地をPR、農林産物の紹介など情報を発信すると、こう言っているわけであります。お茶ツーリズム推進事業では、お茶ツーリズム体験希望者を受入れ、農家を元気づけているということであります。
資料の一部を提供させていただきましたが、これはなかなかうまくできている。タクシー会社もこれに便乗して、一生懸命頑張ってくれているわけでありますが、これは本当にいいですよね。これを皆さん、議員の皆さんと共有して、ますます茶どころ日本一の静岡市を支えていただきたいなと、こう思うわけであります。
さて、これらの事業、本当に一生懸命やってくださっておりますので、市長もたまには茶工場にお見舞いには行かれるようでありますが、この中山間地を私的にでもちょっと散策すると、またいいアイデアが生まれるんじゃないかと、こう思うわけであります。
ここで伺いますが、茶園の耕作放棄地を増やさない、そのためにどのような取組をやっているか、教えてください。
13
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 本市では、茶農家の安定的かつ永続的な茶業経営の基盤づくりを目的に、茶園の改良整備や機械化、共同管理化等を支援・推進しております。一方、耕作放棄地対策としては、農地の集積を図り、担い手の農業経営の規模拡大や省力化を支援する農地中間管理機構を通じて借り受けた茶園において、茶樹改良等の取組を行う場合に、抜根や整地、土壌改良などに係る経費の一部を助成する茶園集積推進事業を実施しております。さらに、茶園の一部をより収益性の高い作物に転換し、生産者の経営を安定させることで今後も茶の生産を継続できるよう、作物転換に係る整地や苗木植栽などの経費について助成する補完作物転換支援事業を実施しております。
その他、急傾斜農用地などが多く、農業生産条件が不利な地域における耕作放棄地の防止対策として、集落等の単位でお茶をはじめとした営農活動を5年間継続することを条件に交付金を支払う、中山間地域等直接支払制度も実施しております。
14 ◯安竹信男君 農家の皆さんは、自分が作っているお茶に誇りを持っているんですよね。だから、なかなかほかと集団化、同じ団地化するということを、どちらかというと敬遠するんですよ。もうそういう時代じゃないよと、もうあなた10年以上やれないと言っているじゃないですかと言ったら、ほかの人と一緒にやるように団地化しようじゃないかと。今答弁にございましたけれども、この茶園集積推進事業、これが僕は鍵だと思っています。そうすると農家の皆さん、本当に安心して自分の畑は団地化されたけれども、俺の畑は俺がまた一生懸命やれるんだと、足りないところは応援してもらえるんだと、こういう環境ができてくるわけであります。
そして、この補完作物の転換事業なんかも、若い茶農家の皆さんは大変積極的にやってございます。そして、じまん市なんかにもどんどんいろいろな形で出てくるわけでありますが、これも大変立派です。ぜひこのようなことを後押ししていただいて、今まで経験しているわけですよね。ちっちゃな茶工場でやっていたけれども、もうこれで末が見えてきたから、大きな茶工場に合併したという、こういう皆さんでもって集団化しよう、合併しようという雰囲気はもう十分できていますので、これを上手に育てていただきたいなと、こう思うわけであります。
まず、ここでこの直接支払い制度、国のほうでは一時、もうこの直接支払い制度はいいんじゃないかという時期がありましたが、私は、まだ自民党に御厄介になっているときのことでありますが、この支払い制度は絶対に廃止すべきじゃないと、こういう陳情・要望を安竹つくれと言われて、国に出したことが記憶に残っているわけでありますが、ぜひこの直接支払い制度をもっと使っていいんだよと言って、使わせてやっていただきたい、こう思うわけであります。
最後の質問です。静岡市の美しい茶畑の景観を市内外にもっともっと情報発信していただきたい、こう思うわけであります。これですよね、こんな感じで。この取組は今どこに力点を置いて取り組んでいらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
15
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 本市では、茶畑の景観を観光資源と捉え、茶摘み体験や茶畑見学などを通してお茶の魅力を発信するお茶ツーリズムを実施しております。また、コロナ禍における取組として、SNSキャンペーンを展開し、ツイッターやインスタグラムへ茶畑の景観を投稿していただくなど、市民の皆さんにも情報発信に御協力をいただいております。
さらに、全国の日本茶インストラクターや首都圏在住者を対象としたオンラインイベントでは、新聞社や雑誌社など複数のメディアが参加する中、茶農家や茶商との交流を通じ、静岡市らしい山あいに広がる茶園の風景を届けました。そのほか、風景を眺めながらお茶を楽しむことができる茶畑テラスの設置が、観光によって地域活性化を図る法人DMOから始まり、近年では民間独自の取組として広がりを見せています。
こうした民間の動きにも呼応しつつ、今後、アフターコロナを見据え、茶畑景観とともに、静岡市のお茶を市内外に情報発信してまいります。
16 ◯安竹信男君 お茶ツーリズムだとか、SNSキャンペーン、あるいはオンラインイベント、茶園風景の観光、いいですよね。静岡ならではのこのお茶の楽しみ方ということをもっともっとPRしていただきたい。清水の西河内地区の標高300メートルの高台に天空の茶の間が整備されたということで、大変これ人気があるらしいんです。まだ私は行っていないんですが、清水のことだからじゃなくて、行かせていただきたいと思っています。本当にこういう形をいろんなところに、ぽつんぽつんと造っていただく、第三セクターというか、茶業を営む人たちが、ただ売るだけじゃなくて、こういうところに投資するということも当然必要じゃないかと思うんです。この辺について、我々議会としても働かなきゃいけない課題でありますが、できるだけああいうすばらしい環境を体感する、こういう天空の茶の間的なものを広げていただきたい。
そして、以前、スタートし始めたわけでありますが、各茶工場には集荷の駐車場が広く取ってあるわけでありますが、ふだん茶を作るとき、製茶のとき以外は、空き場所になっているわけですよね。こういうところを提供して、この一画にお茶喫茶などをオープンさせる、こんなこともいいんじゃないかなと思います。農家の人も若者が、おらが村は村じゃないんだと、まちなんだという環境をつくれば、後継者なんていうのはどんどんできてくると思うんですがね。百姓は土に触れていつも泥だらけなんて思っていると、百姓をやる人はいないんですよ。6次産業化もその1つなんですよね。朝起きたら、泥だらけになって農作業をする。昼間になったら、それを加工する。そして、次の日はまちに行って、ネクタイこそしないけれども、多くの市民の前でそれを販売する、これが6次化ですよ。これをですね、やはり官民一体となって推し進めていかなきゃいけない。
ここで、最後に締めくくりますけれども、この9月に静岡市農業委員会から市長に要望書が出ているはずであります。その要望書を見ますと、今、当局が努力していることがほとんどここに書かれているわけですね。
17 ◯議長(鈴木和彦君) あと1分です。
18 ◯安竹信男君(続) そのたたずまいをこうしてほしいというのが、この要望書に書かれております。市長、読まれておりますよね。間違いないですよね。ぜひこういったことに積極的に取り組んでいただきますことを心から要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
19 ◯議長(鈴木和彦君) 次に、市川 正君。
〔市川 正君登壇〕
20 ◯市川 正君 通告に従いまして質問いたします。私は、福祉行政について2点伺いたいと思います。
大項目1、高齢者の虐待防止の取組について。
高齢者虐待の実態については、本年3月、厚労省が令和元年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況に関する調査の結果及び高齢者の虐待の状況等を踏まえた対応の強化についてという通知を発出しました。これによりますと、高齢者の虐待については、養介護施設従事者による相談・通報件数が2,267件、虐待判断件数は644件ありまして、いずれも過去最高となっています。養護者による相談・通報件数は3万4,057件、これも過去最高です。また、虐待判断件数は1万6,928件ということで、前年の1万7,200件余に比べて僅かに減少したものの、高止まり傾向が続いているとしております。養護者による虐待判断は49.7%ということで、養介護施設従事者によるものの28.4%に比べて非常に多くなっております。このことから、今回は養護者による虐待防止について考えたいと思います。養介護施設従事者によるものについては、要望・意見の中で触れることといたします。
養護者によるものでは、養護される側の性格や人格によるもの、養護する側の介護疲れやストレスによるものが多くなっております。これらは認知症に起因するところも多いのではないかと推察されるところであります。家庭において高齢者が安心して生活できるためにも、高齢者の虐待をなくすことが求められます。
そこで、静岡市の対応をお聞きいたします。
1つは、静岡市の健康福祉報告書によりますと、令和2年度の虐待通報件数、在宅分でありますけれども、186件となっております。虐待の種別や要因など、高齢者の虐待の現状はどのようになっているのか、伺います。
次に、虐待通報を受けた場合、虐待の当事者や養護者への支援や指導、これらは市としてどのように対応しておられるのか、伺いたいと思います。
次に、高齢者虐待防止のための市の取組について伺います。
コロナ禍で生活に困窮する市民が増えている中、認知症や要介護の家族を抱える養護者は、養護に関して常に緊張を強いられているのではないでしょうか。厚労省通知で、新型コロナ感染症の拡大防止のため、外出自粛や通所介護、短期入所生活介護の利用回数の変更などにより、多くの高齢者が外出を控え、居宅で長い時間を過ごすことが想定されています。そして、養護者の生活不安やストレスの増加が予想され、高齢者を取り巻く家庭内での人間関係、養護者の介護疲れなどの要因が影響して、高齢者の虐待の発生、深刻化が懸念されるとの警鐘も見逃せません。虐待が起こってしまったとき、あるいはその傾向があるときなど、深刻化する前に発見し、高齢者や家族に対する支援を開始することが求められます。同時に、虐待を未然に防止するためには認知症に対する正しい理解や介護保険の適切な利用など、養護者の負担軽減を図ることが大切と考えております。福祉事務所や地域包括支援センターなどと連携し、セミナーや当事者同士の体験交流の場や学習会を開くなど、市民への啓発活動を進めていくことが大切ではないでしょうか。
そこで、高齢者虐待防止のため市民に対してどのような啓発活動を行っておられるのか、あるいは行っていこうとしているのか、伺いたいと思います。
次に、大項目2です。生活保護行政について伺います。
生活保護については、厚労省のホームページが改善され、生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに御相談ください。このように大きく明示されました。その上で、生活保護の申請についてよくある誤解として幾つかを例示し、保護申請をためらっている人も、まずは思い切って相談しようと納得できる呼びかけになっております。
今年の6月議会において、寺尾議員の質問に対して、本市としましても従来より生活保護の申請は国民の権利であると認識していますとの保健福祉長寿局長の答弁がありました。昨日の本会議でも、創生静岡の長沼議員が触れておりましたけれども、コロナ禍の下、生活に困窮する市民が増える中で、改めて今こそ国民の権利である生活保護制度が市民にしっかり周知され、必要な市民への制度活用が図られなければならないと考えます。そのためにも市民に対して明確なメッセージを発信することが求められるのではないでしょうか。市民がためらわず生活保護を申請するための方策について伺いたいと思います。
まず、市民への制度周知についてですが、厚生労働省のホームページの改善に伴い、各政令市のホームページも改善されてきました。全20政令市のホームページを確認しましたが、今年10月時点では、14の政令市が憲法で保障された国民の権利であることを明示しています。札幌市では、ホームページの表記も厚労省と同様に国民の権利であるとことを大きくはっきり明示しています。また、生活保護の申請は国民の権利です、こういったポスターを10の区民センター、5か所の税務事務所あるいは水道局へ掲出し、また、生活保護のしおりにも明示しているところであります。静岡市のホームページにはそうした記載がなく、保護を受ける前に自分でこのことに努力してくださいと、生活保護を受けるためのいろいろな条件が列記され、これらを様々努力してもなお生活できないときに、初めて生活保護を受けることができますというような表記から始まっております。生活保護をためらわせるこうした記載は、厚労省のホームページと比べてみますと、その印象が大きく異なっているというのが現実であります。
そこで、伺います。本市として生活保護をためらう人のために、生活保護の申請は国民の権利であることを広く市民に周知することが必要であると考えますがいかがか、伺いたいと思います。
以上1回目の質問です。
21 ◯保健福祉長寿局長(杉山友章君) 高齢者の虐待防止の取組についての3点の御質問と、生活保護行政についての御質問にお答えします。
まず、高齢者虐待の現状についてですが、令和2年度に福祉事務所等で受理した高齢者虐待の通報件数は186件で、元年度に比べ28件増加しております。増加の理由は、元年度に市の高齢者虐待防止マニュアルを改訂し、軽微な虐待疑いでも、通報を求めるようにしたためです。この通報件数のうち、福祉事務所で虐待と判断した件数は、令和2年度が59件、前年度が57件で、ここ数年横ばい傾向となっています。
次に、通報者の割合は、ケアマネジャーが最も多く、全体の4割を占め、警察、介護保険事業所、家族・親族、近隣住民等の順になっています。虐待の種別としては、身体的虐待が最も多く、全体の7割を占め、心理的虐待、介護放棄、経済的虐待の順になっております。また、虐待の発生要因は、介護疲れ・介護ストレスが9割弱となっております。
次に、虐待通報を受けた場合の対応についてですが、通報があった場合、福祉事務所の保健師や社会福祉士等の専門職が地域包括支援センター等の職員と連携して、家庭訪問や関係機関への聞き取り等により、事実確認を行います。そして、高齢者の安全確保のため、介護者との緊急の分離が必要となる場合には、特別養護老人ホーム等での一時保護を実施します。また、高齢者の介護について家族間の調整を行い、個々の状況に応じて介護サービスにつなげるなど必要な支援を行います。さらに、介護者に対しても、介護者同士の情報交換の場である家族会等への参加を勧めたり、介護技術に関する情報提供や適切な相談窓口への紹介等を行い、その後も継続的に見守りを行うなど、丁寧な相談支援を行っております。
次に、高齢者虐待防止のため市民に対してどのような啓発活動を行っているかについてですが、高齢者虐待の発生要因の9割弱が介護疲れや介護ストレスとなっているため、介護の負担を軽減するための介護サービスや相談窓口につなげたり、高齢者の特性や認知症等の病気の特性を介護者に理解してもらうことで、高齢者虐待の防止につながるものと考えます。そのため、高齢者の特性や認知症等の病気の特性と、それぞれの特性に応じた対応方法を紹介する市民向けの講演会や講座を開催するほか、介護サービスや相談窓口の情報も盛り込んだ啓発用パンフレットを作成し、福祉事務所や地域包括支援センター、講演会や講座等で配布するなど、市民に対する啓発に努めています。また、広報紙静岡気分12月号において、高齢者虐待の特集記事により高齢者虐待の防止について周知したところです。
今後も市民への周知、啓発活動を積極的に行い、虐待防止の意識を高めるよう努めてまいります。
最後に、生活保護の申請は国民の権利であることの市民への周知についてですが、生活保護を申請する方の心理的負担の軽減を図るため、ホームページや生活保護制度のパンフレットに、生活保護の申請は国民の権利であることを表示するなど、広く周知してまいります。
〔市川 正君登壇〕
22 ◯市川 正君 ありがとうございました。2回目の質問になります。
生活保護の申請は国民の権利であるということを市のホームページあるいは生活保護のしおりにはっきり明示するという御答弁をいただきました。できるだけ早く市のホームページを厚労省並みに変更する、あるいは広報でお知らせするとともに、できれば窓口をはじめ公共施設に、保護は権利ですというポスターも作成して貼り出していただければと思います。よろしくお願いしたいと思います。
生活保護行政については、市民がためらわず生活保護を申請するための方策について、生活保護の利用をためらう大きな理由が、親族に扶養照会の問合せが行くことではないでしょうか。日本共産党の小池 晃参議院議員の国会質問への答弁の中でも、厚労大臣が扶養照会は義務ではないことを何度も何度も明言しました。2月26日付で厚労省から発出された扶養照会に関する通知で、DV該当者には照会してはならないこと、あるいは扶養義務者であっても10年以上交流がない場合には照会しなくていいこと、このような重要な変更がなされております。
そこで、生活保護の申請において心理的負担となるのが扶養照会であると考えます。政府答弁や国の通知を受け、どのような点に留意して事務を実施していくのか伺って2回目の質問といたします。
23 ◯保健福祉長寿局長(杉山友章君) 生活保護の扶養照会に係る留意点と実施についてですが、本年2月の厚生労働省事務連絡において、生活保護の扶養照会について、扶養義務の履行が期待できないと判断される者には、直接の照会を行わないとする取扱いが改めて示されました。具体的には、例えば70歳以上の高齢者や施設入所者などで、金銭面で扶養が期待できない者や10年以上音信不通であることなど、要保護者の生活歴から明らかに扶養ができない者、さらには虐待の経緯があり、要保護者の自立を阻害することになると認められる者等には、直接の照会は行わないとするものです。
このため、こうした取扱いに留意し、要保護者の相談に当たっては、一人一人に寄り添い丁寧に生活歴を聞き取ることで、適正な扶養照会の事務を実施するとともに、市民に広く周知し、生活保護を必要とされる方がためらうことなく申請できるように努めてまいります。
〔市川 正君登壇〕
24 ◯市川 正君 ありがとうございました。3回目は要望・意見です。
養介護施設での虐待を防止するには、ここで働く人の待遇を改善し、ゆとりある介護ができるようにすることも欠かせないことではあります。厚労省通知でも、養介護施設での虐待の発生要因は、仕事に対する教育、知識、介護技術等に関する問題や、職員のストレスによるもの、人員不足や配置によるものなどが多いとされています。セミナーを充実させていくとのお答えもありましたが、当事者同士の経験交流や地域づくりを進める、こういったことから必要な学習会についても充実されるよう取り組んでいただくことを要望いたします。
また、政府の介護報酬抑制路線、こういったことで多くの事業所は経営難に苦しみ、介護分野は低賃金の非正規労働が主流となっているというのが現実です。介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理や法令遵守を図り、正規化、常勤化の流れをつくっていくこと、サービス残業の根絶、長時間労働の是正を進めること……
25 ◯議長(鈴木和彦君) あと1分です。