GIGAスクール構想とは、Society5.0時代に生きる多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、子供たち一人一人に公正に個別最適化され、資質・能力を一層確実に育成できる
教育ICT環境の充実を目指すものです。
本市においても、令和3年度
重点項目事業の1つとして
静岡型ICT教育の推進があり、環境整備に向けてPC等の機器の導入が進んでいることも把握しております。
そこで伺います。
GIGAスクール構想を推進することによって、児童生徒にどのような力をつけたいと考えているか、そのためにどのようなことが必要だと考えているか、見解を伺います。
次に、質問の第2は、児童生徒の安心・安全について3点。
まずは、
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
今月21日に市内の学校にてクラスターが発生したと発表がありました。昨年から感染症対策に各現場で御尽力されていることは承知しておりますが、児童生徒の親御さんからも心配の声が上がっています。
そこで伺いますが、
新型コロナウイルス感染症対策の実施状況はどのようになっているか、お伺いします。
次に、心のケアについて伺います。
子供たちのコロナに対する不安や、長時間の自粛生活が続くストレスもさることながら、学校教育の習熟についての不安、いじめ、登校に対する不安など、子供の悩みは多岐にわたります。
そこで伺いますが、児童生徒の心のケアに関する相談体制はどのような現状であるか、お伺いします。
次に、子供たちの学び舎である学校施設の耐震化について伺います。
令和2年度の
包括外部監査では、静岡市
公共建築物耐震対策推進計画において、学校施設における
耐震性能ランクII、倒壊する危険性は低いが、被害を受けることも想定される建物を、ランクI、地震後も継続して使用できる建物にするとの目標を定めているが、具体的な目標期限が定められていないと指摘を受けております。
そこで伺いますが、小中学校の校舎の耐震化状況はどうなっているか。また、この指摘についてどのように考えているか、お伺いします。
次に、質問の第3は、教育機関と民間企業の連携について伺います。
一般に異質な者同士の連携は、お互いの考え方を理解するなどの点で困難が伴います。教育機関と民間企業とはまさに異質な存在であり、それぞれ相手方にはない特色を有しています。その特色を生かし、組み合わせた連携が成功した事例は幾つもあります。
その1つの事例として、静岡県
中小企業家同好会静岡支部で行われている
キャリア教育職業体験授業があります。所属される複数の企業の方々が学校を訪問し、本物の仕事を直接子供たちに伝えるものです。それによって、子供たちの働くことに対する価値観の熟成や学習意欲が向上したなど、体験授業を導入された先生方や父兄からお話を伺っております。また、企業側でも自分たちの会社がどのように地域に貢献しているかを再認識する場になったとの所感をいただきました。まさに、双方にとって価値ある事業になった事例だと認識しております。
そこで伺いますが、
キャリア教育の充実に向けた民間企業との連携についてどのような取組を行っているか、お伺いします。
1回目の質問は以上です。
5 ◯教育長(赤堀文宣君) 私からは、
GIGAスクール構想の推進によって子供たちにどのような力をつけたいと考えているかについてお答えさせていただきます。
これからの予測困難な時代を生きる子供たちには、様々な変化を前向きに受け止めて、未来を自ら切り開き、たくましくしなやかに生きていく力を育成することが重要です。このため、
学習指導要領では、社会に出てからも学校で学んだことを生かせるよう、次の3つの資質や能力をバランスよく育むこととしています。
1つ目は、実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能、2つ目は、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力、3つ目は、学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性です。
この3つの資質・能力を育成するには、残念ながら、従来の1人の教員が黒板を用いてクラス35人全員に一斉に同じ内容を教える授業では限界がありました。確かに全員が同時に同じ内容を学習することのメリットはありますが、きめ細かく一人一人の理解度に応じた学びを実現するには限界があります。また、意見を発表する子供も限られてしまいます。
しかしながら、
GIGAスクール構想により、1人1台端末の環境を整備することで、子供たち一人一人の学習状況、反応を踏まえた個別指導や教員と子供の間、子供同士の双方向でリアルタイムのやり取りを可能とする授業に転換することが可能となります。
こうした授業により、例えば子供たちが自身の関心や学習の進捗に応じて自ら主体的に調べものをすることや、学習履歴が蓄積されることで教員がそれぞれの子供に応じた指導を行うことが可能になるなど、子供一人一人の
教育的ニーズや学習状況に応じた個別最適化された学びの実現につながります。また、子供一人一人の多様な考えを即時に共有し、活発な話合いが教室に生まれます。多様な意見を共有し、合意形成を図る活動は、協働的な学びにつながります。
このような学びに転換することで、子供たちは自ら学んでいく楽しさや、自らの意見を持つことの大切さを知り、また多様な意見の存在も確認することができるようになります。これは、子供たちが未来を自ら切り開き、たくましくしなやかに生きていく気づきにつながります。
これまで学校において積み上げてきた教育実践をさらに充実することに加え、多様な子供たち一人一人が端末を活用し、個別最適化された学びと協働的な学びを実現する
GIGAスクール構想を推進することで、子供たちに
学習指導要領が唱える3つの資質や能力を身につけさせていきたいと考えています。
現在、市内の小中学校では、1人1台端末を効果的に活用した授業も始まっており、そうした先進的な実践を全小中学校で共有し、教員一人一人のICT活用の力を伸ばしていくことで、どの学校でもPC端末が文房具のように日常的に使われることを目指します。
これまで本市の学校が積み上げてきた教育実践とICTとの
ベストミックスが図られた学校教育を実現し、これからを生きる子供たちにとって質の高い教育環境を確保できるよう努めてまいります。
6 ◯教育局長(青嶋浩義君) 児童生徒の安心・安全に関する対策等のうち、まず
新型コロナウイルス感染症対策の実施状況についてですが、本市では、令和2年5月、文部科学省の
衛生管理マニュアルに基づき、学校における新しい生活様式の標準を
市内小中学校に示しました。各学校では、これを基に学校規模や所在地などの実情を踏まえた新しい生活様式を作成し、基本的な衛生管理の徹底と3密の回避に取り組んでいます。
具体的な対策としては、登校時や休み時間ごとに石けんで丁寧に手洗いすることを徹底するとともに、清掃時にドアノブや手すりなど多数の児童生徒が触れる場所の消毒を行っています。これら必要な石けんや消毒液などの物品の購入につきましては、文部科学省の
学校保健特別対策事業費補助金などを活用し、各学校に予算を配当しています。
本市内外における感染状況により警戒レベルに変更があった際には、保健所などと連携し、感染症対策の強化、あるいは緩和について判断していきます。そして、その対策の内容を各学校に通知するとともに、
市ホームページに掲載するなど、保護者に対しても周知してまいります。
今後も子供の安全を最優先に考えた対応を継続するとともに、一方で感染症対策が児童生徒にとって過度の負担にならないよう配慮しながら、児童生徒の生活や学びの保障に努めてまいります。
次に、児童生徒の心のケアに関する相談体制についてですが、コロナ禍での自粛生活が長期化しており、児童生徒の不安や悩みが生活の乱れや不登校という形で表れる前に、様々な手だてを講じることが重要であると考えています。
各学校では、主に担任の教員が児童生徒の日常の様子を観察し、一人一人の状況の把握に努め、変化が見られる場合は随時相談に乗っています。また、全校で悩み事調査を年3回実施し、悩みがあると回答した児童生徒の全員に対し、担任のみならず、学年主任や校長など、学校内の関係する職員が必ず悩みの相談に乗るなどの対応をしています。
教育委員会では、心理的支援や福祉的支援が必要な児童生徒や保護者に対応するため、
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを各学校に派遣し、児童生徒や保護者の相談に乗り、不安や悩みの軽減を図っています。
また、不登校対応につきましては、児童生徒の相談対応や別室での学習支援を行う教育相談員や児童生徒の家庭へ直接訪問する
訪問教育相談員について拡充して配置するなど、より充実した相談体制を整えております。
次に、小中学校における耐震化の現状についてですが、本市の全ての校舎・体育館は、建築基準法の基準を割増しした
文部科学省基準による児童生徒の安全を守るために必要な耐震性能を満たしております。
一方で、本市では、静岡市
公共建築物耐震対策推進計画において、
文部科学省基準よりもさらに高い目標として、地震後も建物を継続して使用できる耐震性能に引き上げることを目指し、対策を行っています。
学校施設につきましては、老朽化による施設の更新や学校統合など、個々の学校の状況を見据えながら、より効果的かつ経済的な時期を捉えて耐震対策を行っていくため、具体的な目標期間を定めず、順次アセットマネジメントを踏まえた大規模改修等に合わせて耐震対策を行うこととしております。本年度は、本市の計画上、対象となる建物43棟のうち2棟について工事を実施しており、達成率は90.9%となる予定です。
令和2年度の
包括外部監査では、学校施設の耐震化目標について工事計画を策定し、ゴール目標を設定すべきとの御指摘を受けておりますが、このような状況を踏まえ、関係部局と引き続き協議を進めてまいります。
続いて、
キャリア教育の充実に向けた民間企業との連携の取組についてですが、本市では地域の民間企業や事業所との連携により、授業で活用できる人材や
職場体験活動の受入れ場所をリスト化し、
活用プログラムを小中学校に対し提供しています。各学校では、このリストを活用し、例えば建設業の方をお招きして仕事に対する思いや働く上での苦労についての講話を聞いたり、またスーパーマーケットを訪問して、商品の陳列や接客業務などの仕事を体験したりしています。このような本物に触れる実体験や地域で学ぶ経験は、
キャリア教育の推進とともに、
静岡型小中一貫教育の狙いである豊かな感性や郷土を愛し、誇りを持つ心の育成につながる貴重な機会であると捉えております。
今後も、引き続き地域の民間企業や事業所との連携を図りながら、
キャリア教育を推進してまいります。
〔浜田佑介君登壇〕
7 ◯浜田佑介君 御答弁いただきありがとうございます。
それでは、2回目の質問をさせていただきます。
静岡市における
GIGAスクール構想の推進により、個別最適化された学びと協働的な学びが実現され、児童生徒の知識、思考力、判断力、表現力、そして人間力を育むという方針について理解いたしました。その方針を体現された授業を、先日私たち会派の視察にて参観させていただきましたので、少し紹介させていただきます。
南部小学校6年生2クラスでの合同授業、テーマは、私たちの2030年、小学校をよりよくするために必要なことを考える社会の授業でした。4月から配備されたPCを利用し、各班でアイデアを
ブラッシュアップ。一般企業でも利用されている
ピラミッドチャートや
PMIチャートを駆使し、
校内ネットワーク上で情報共有しながらシームレスに意見を集約。各班で取り決めた提案をPCを使い発表。児童一人一人が意見を持ち、同学年の生徒、先生方、参観している私たち大人といった大勢の前で堂々と発言するさまは、とても心強く感じました。
授業を行った先生からは、パソコンというツールを使うことで意見が言えるようになる。発表が苦手な子供も文字入力により意見をダイレクトに伝えることができるようになる。表計算、ワープロ、プレゼン等のソフトを使用することでフラットな状況で表現できるとお伺いしました。PCや各ソフトを技術的にマスターするだけでなく、それを用いて思考し、さらに表現に生かすなど、私が子供だった頃とは比べものにならないほど進化した授業を見させていただきました。ぜひこの取組を市内全ての子供たちが等しく学べる環境を整えていただきたいと強く要望します。
そこで伺います。
他校への先進的取組の展開方法など、ICT教育を推進する教員の育成をどのように考えているか、お伺いします。
次に、心のケアに関する相談体制について。
さきの質問にて、
スクールカウンセラーやソーシャルワーカーによる対面での相談体制の推進状況は理解しました。子供たちの相談体制の充実を図る上で、SNS等を利用した相談窓口について提案したいと思います。
スマートフォンの普及拡大に伴い、10代の保有率は約8割を超えています。また、
総務省情報通信白書において、10代の主な
コミュニケーション手段の行為者率は、SNS等のソーシャルメディアが63%であることからも分かるように、現代の子供たちの
コミュニケーションの中心は電話やメールではなくSNSです。
文部科学省でも、相談に関わる多様な選択肢を用意し、問題の深刻化を未然に防止する観点から、SNS等を活用した相談事業の普及が進められています。
その根拠となる長野県での試行に、私は初期から携わらせていただきました。その経験からも、SNS等を活用した相談事業の有効性は肌で感じています。たわいもないLINEのやり取りから始まり、徐々に信頼関係を構築することで悩みを打ち明け、最終的に保護にまで至ったケースもありました。
SNS相談の特徴は、ながらで行うことができ、かつ匿名で相談できるため、対面や電話、メールよりも心理的な負担が低い。つまり気軽に相談することができます。その気軽さから、現代の若者の相談窓口の1つとして注目されています。また、社会問題となっている子供の貧困、家庭内暴力、いじめなど、子供たちの小さなSOSに気づくこともできます。
そこで伺いますが、相談窓口の拡充に向け、本市におけるSNS等を活用した相談体制の導入についてどのように考えているか、お伺いします。
最後に、質問の第4は、教員の業務の多忙化についてお尋ねします。
子供たちを取り巻く環境が変化したことと併せ、教員を取り巻く環境も大きく変化しております。教員をめぐる現状について、文部科学省の指摘もありました。社会の変化への対応や保護者からの期待の高まりなどを背景として、教員の中には多くの業務を抱え、日々子供と接し、その人格形成に関わっていくという使命を果たすことに専念できずに多忙感を抱いたり、ストレスを感じる者が少なくないという指摘です。さらに、このコロナ禍における感染症対策の対応も多忙化に拍車をかけている要因の1つだと推察します。
そこで伺いますが、教員の業務が多忙化している中、本来業務である子供たちの教育に集中できる環境を整えるためどのように対策しているか、お伺いします。
2回目の質問は以上です。
8 ◯教育局長(青嶋浩義君) 最初に、ICT教育を推進する教員の育成についてですが、
GIGAスクール構想を市内各小中学校で推進するためには、教員の
ICT活用指導力の向上が欠かせないことから、まずは各学校で中核となる教員を育成するため、全市的に先進的な授業実践に取り組む
市内推進リーダーと、各学校内の教え合いの核となる
校内推進リーダーの育成に努めております。
市内推進リーダーにつきましては、令和2年度より
市内小中学校から
ICT活用指導力にたけた教員を選抜しており、2年度は6名、3年度は9名を選抜しました。その育成に当たっては、3年度は授業における1人1台端末の効果的な活用に関する研修会を年間7回実施するとともに、ICTを活用した模範的な授業研究を行っております。
また、
校内推進リーダーにつきましては、各学校の中で1名を指名し、その育成に当たっては、
市内推進リーダーの授業研究や校内における
ICT活用推進の方策について学ぶ研修会を年間6回実施しております。これにより、各学校においてICT教育の推進者となるよう育成を進めています。
あわせて、全ての教員を対象として実践事例を紹介する希望研修や訪問研修の実施、市内外の
優良実践事例の
リンク集作成などを行い、全ての教員が授業においてPC端末を有効活用できるような取組を推進してまいります。
今後も活用を推進するリーダーの育成や研修の実施を通して、各校におけるICT教育を効果的に進め、全ての学校で個別最適化された学びと協働的な学びが実現されることを目指してまいります。
次に、SNSなどを活用した相談体制の導入についてですが、本市では、先ほど述べた校内での相談体制のほかに、児童生徒が不安や悩みを抱えたときの相談先として
児童生徒支援課や
子ども若者相談センター、児童相談所などを周知し対応に当たっています。SNSなどを活用した相談窓口につきましては、児童生徒及び保護者に対し、本市の電話相談、こころのホットラインや静岡県が開設している、うちあけ
ダイヤルLINE相談などを紹介しています。
今後は、このような相談窓口の利用について周知することを継続しつつ、既にSNSによる相談を実施している他都市などの運用状況、有効性や効果について調査・検討してまいります。
次に、教員の業務が多忙化している中、子供たちの教育に集中できる環境を整えるための対策についてですが、いじめや不登校の対応など、学校が抱える課題が複雑・多様化する中、教員が子供たちと向き合う時間の確保が喫緊の課題であると考えております。
教育委員会では、平成30年に学校における働き方改革プランを策定し、勤務時間の客観的な把握や
校務支援システムの導入、
部活動ガイドラインの完全実施、日直を置かなくてもよい日の設定など、教員の業務の削減に取り組んでいるところです。
その結果、時間外勤務が月80時間を2か月連続で超えるなどの長時間勤務をしている教員の割合が3年間で約26%から17%に減少し、着実に効果が出ております。その中で、
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、感染対策や消毒作業などの業務が増えてきたため、教員の業務を支援するスクール・サポート・スタッフを、本年度、市内全ての小中学校に配置しました。スクール・サポート・スタッフは、
新型コロナウイルス感染症対策の消毒をはじめ、授業で使うプリントの印刷や宿題の点検など、教員でなくてもできる業務をサポートしております。
今後も教育計画や行事の見直し、部活動改革など、教員の働き方改革の取組を通じて、さらなる負担の軽減に努めてまいります。
〔浜田佑介君登壇〕
9 ◯浜田佑介君 2回目の質問に対し御答弁いただきありがとうございました。
それでは、各事項について意見・要望を述べさせていただきます。
まずは、
GIGAスクール構想の推進について。
さらなる模範となる授業の研究と推進の要となる教員の育成、そして授業を受ける子供たちのハード面においての充実、とりわけ先日の小山議員の総括質問でも御指摘がありました学校内のネットワークの強化を要望いたします。
次に、子供たちの安心・安全について。
SNS相談について御紹介いただきました静岡県障害福祉課によります、うちあけ
ダイヤルLINE相談の周知徹底と相談者側の連携強化をお願いします。また、こちらの事業の大本は厚生労働省の
自殺対策相談事業の1つで、静岡県に住む39歳以下の若者全てと対象が多い事業でもあります。配布された資料を御覧ください。
文部科学省のSNS等を活用した相談事業は、推進の補助があり、試験導入しやすい状況にあります。だからこそ、児童生徒にとってよりきめ細かい相談体制の充実化を図るために、静岡市独自のSNS相談の開設、実現に向けて前向きな御検討をお願いいたします。
また、小中学校における耐震化について。
学校は、災害から子供たちの身体的安全を確保するだけではなく、地域の避難所として重要な役割も担います。大規模災害への備えを強化する側面からも、耐震対策の早期実現を要望いたします。
最後になりますが、子供たちの教育への投資は、静岡市の未来の担い手を創造する重要な政策です。今コロナ禍で働き方が見直されていると同時に、都市部からの移住希望者が私たち静岡市に注目しています。移住希望者からの質問の多くは、地域によい学校があるかどうかです。本市に魅力を感じても、子供を安心して育てられる環境がなければ移住を決断してはくれません。教育の充実は、人材の育成はもちろん、Uターン・Iターン促進、ひいては人口増加にもつながります。
本市における子供たちの教育や安心・安全に関わる環境整備を充実させるため、さらなる予算の拡充を要望し、私の総括質問といたします。ありがとうございました。
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10 ◯副議長(山根田鶴子君) 次に、寺尾 昭君。
〔寺尾 昭君登壇〕
11 ◯寺尾 昭君 生活保護行政と特別支援教育、2つのテーマについて、今日はお伺いいたします。
最初に、生活保護行政について伺います。
コロナ禍の下、仕事が減り、商売が成り立たない中小商工業者や失業率が上昇している非正規労働者の方々をはじめ、多くの人々が苦しい生活を余儀なくされています。とりわけ低所得者層では、特別困難な状況が生じています。
このような状況の下、静岡市においても、生活保護の被保護世帯が増加しております。生活保護受給者の自立を目指す就労支援も重視されているわけです。非正規労働者の失業率が高くなっていることが1つの特徴となっている現在、高齢者や障害者の就労の難しさが話題となっておりますけれども、被保護者の就労の困難さも例外とは言えません。
そこで質問ですが、令和2年度における生活保護受給者に対する就業支援事業の内容はどのようなものか、また、このことによって就労された方がどのくらいいたのか、お伺いします。
資料を事前にお聞きしました。本市における今年4月1日現在の被保護世帯は7,511世帯、4年前に比べ517世帯増えております。コロナが本格化した昨年4月との比較で150世帯増、実人員で約170人増であります。しかし、実際に現場で保護の業務に関わるケースワーカーは、4年前が77人、静岡市でです。現在は何人かといいますと78人ということですから、僅か1人増えているだけなんですね。ほとんど変わらない、こういう状況にあります。
また、昨年同月比では、実は2人減っているんです、マイナス2。これで本当に保護世帯や受給者に対する十分な生活支援ができるのか、これは疑問と言わざるを得ないわけであります。
もう1つの問題として指摘したいのは、今、職員の比率は、会計年度任用職員が生活支援課に非常に多いということなんです。本年度の職員録、最近になってできましたけれども、見てみました。各区の福祉事務所生活支援課の職員数を見てみました。葵区の生活支援課、55人中、会計年度任用職員は16人、駿河区では52人中16人、清水区では45人中13人。合計では152人中45人。その比率は3割となっております。
会計年度任用職員の制度は、昨年4月にスタートしたもので、その任用や給与制度など、従来の非常勤職員から制度上の変更があったわけでありますけれども、その任用は1年ごとの雇用であり、非正規職員であることには変わりがないわけであります。もし会計年度任用職員がケースワーカーに代わってその業務を担っているとすれば、これは問題だと言わざるを得ません。
そこで質問です。
福祉事務所生活支援課における正規職員と会計年度任用職員の役割分担がどういうふうになっているのか、お聞きいたします。
次に、特別支援教育について、現状と今後の対応策を伺います。
業務に係る研修などにつきましては、市内を12の支部に分け、支部ごとに正規用務員を中心に、支部内の用務員が集まる場を設け、機械や工具などの取扱い方法の説明や樹木の剪定など、共同で作業を実施しながら会計年度任用職員に対して指導・育成を行っています。
40 ◯保健福祉長寿局長(杉山友章君) 難聴高齢者に関する2点の御質問にお答えします。
まず、厚生労働省の補聴器による認知症予防効果検証の現在の状況についてですが、国は、令和2年度調査を実施し、その結果として、本年6月に自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究を公表しました。
その報告書では、難聴と認知症との関連に関する研究の現状として、補聴器使用によって認知症の発生率が低下するかについては、明確なエビデンスが現段階では示されていないと報告されています。補聴器による認知症予防効果については、いまだ明確になっていないことから、本市としましては、引き続き情報収集に努めてまいります。
次に、特定健診へ聴力検査を追加することについての本市の考えについてですが、現在本市が行っている特定健診は、国民健康保険の加入者で40歳から74歳までの方を対象に、生活習慣病の予防を目的として、血液検査など国の基準項目の検査を実施しており、聴力検査は実施していません。一方、他都市では、特定健診の受診時に60歳以上の方を対象に聴力検査を実施し、難聴高齢者を把握している事例もあります。
このことから、今後、他都市の取組について情報収集し、研究してまいります。
〔市川 正君登壇〕
41 ◯市川 正君 ありがとうございました。
それでは、2回目の質問に移ります。
中項目の2、難聴者の社会参加の促進について伺います。
加齢とともに耳が遠くなる加齢性難聴は、日常生活を不便にするだけでなく、社会活動への参加や
コミュニケーションを困難にします。国立長寿医療研究センターが行った調査によれば、全国で難聴者は65歳以上で約1,500万人、実に45%になるということであります。また、日常生活に支障を来す難聴者は、70歳代の男性で、5~6人に1人、そして女性では10人に1人がこういう難聴に悩んでいるという調査結果が報告されております。厚生労働省の新オレンジプランでも、難聴が認知症の危険因子の1つである、このように指摘をされています。相手の声が聞き取りづらい、こういった難聴者は
コミュニケーションに不安を感じているために外出をためらったり、自分の殻に引き籠ったりして社会参加の機会が減っていく、こういう状況ではないでしょうか。
そこで、難聴者の社会参加を支援する制度に、当市としてはどのようなものを持っているのか、お伺いをしたいと思います。
以上、2回目の質問です。
42 ◯保健福祉長寿局長(杉山友章君) 難聴者の社会参加を支援する事業についてですが、本市では難聴者の意思疎通を円滑にし、社会参加を促進するため、要約筆記者派遣事業と手話通訳者派遣事業を実施しています。
要約筆記者派遣事業は、主に加齢や病気などの理由により、耳が聞こえづらくなった難聴者に話の内容をその場で要約して文字で伝える要約筆記者を、利用者の自己負担なく派遣するものです。
また、手話通訳者派遣事業も、利用者からの自己負担はなく、聴覚障害がある方とない方との手話による
コミュニケーションを支援するため、通訳者を派遣するものです。
利用の状況ですが、病院受診のほか町内会などの地域活動や会議、子供の授業参観など幅広く利用されており、令和2年度は要約筆記者は98人、手話通訳者は1,146人の派遣を行いました。
〔市川 正君登壇〕
43 ◯市川 正君 ありがとうございました。
ただいまお伺いしたところ、この要約筆記者、それから手話通訳者については、各家庭だとか授業参観にも利用されているということですので、ぜひこういった事業があるということの広報を市民に行っていただきたい、このことをまず要望しておきます。
3回目は要望・意見ですが、まず、小中学校の校庭管理についてです。
日本で最も使用されている除草剤、これはグリホサートという名前で、アメリカのモンサント社が開発して、ラウンドアップの商品名で広く使われております。主成分のグリホサートと補助剤で構成されますけれども、この補助剤の1つ、界面活性剤、POEAと言われていますけれども、これにグリホサート単独よりも毒性が高いとの研究もあります。
今年3月の衆議院農林水産委員会で日本共産党の田村貴昭議員が取り上げていますけれども、農水省は今年度から全ての農薬について、最新の科学的知見を踏まえた再評価を行う、このように言っております。
グリホサートそのものも評価を受けることとなり、現時点で安全と評価されたわけでもありません。市が公表している公共施設等の農薬使用一覧表データを見ましても、学校で使われる除草剤のほとんどがラウンドアップとサンフーロンという銘柄でした。いずれもグリホサートを主成分としております。
そこで、学校の校庭管理において、子供たちの安全を考慮したとき、ラウンドアップの安全性が分かるまでは使用を差し控えるべきではないかというふうにも考えます。除草剤などを使わないことが一番ですが、やむを得ない場合もあり、学校におけるこうした病害虫駆除や除草についてのガイドラインを何としても策定すべきではないでしょうか。万が一にも子供たちへの健康被害がないよう、より安全な農薬の選択に努めていただけますよう、市で指導していくことを要望します。
次に、学校用務員の雇用についてであります。
先ほども触れましたように、学校用務員は樹木の手入れ、花壇の整備、校地内外の清掃や美化、窓ガラスの破損処理など、設備修繕や校庭管理をはじめ、たくさんの仕事があります。また、非常の際や災害の対応など、教員と一体で子供たちの安全・安心を見守る、そして環境美化や物を大事にするなど、授業だけでは教えられない大切な教育の一環も担っています。職員会議等に参加し、教員と一体で子供たちを育んでいく大切な業務であり、正規職員で採用し子供たちの未来を担う、寄り添う、そういうすばらしい仕事を充実させるべきではないでしょうか。退職者不補充を見直して、学校用務員は正規雇用にすることを求めます。
次に、難聴高齢者の生活支援についての要望です。
質問の中でも触れましたけれども、難聴高齢者、加齢性難聴はゆっくり進行して自覚しにくいものでもあります。こうした中で、難聴高齢者が積極的に社会参加するには、少なくとも収入に不安がある人への補聴器購入を支援することが欠かせないところですけれども、静岡市においても、難聴高齢者の生活を支援し……
44 ◯副議長(山根田鶴子君) あと1分です。
45 ◯市川 正君(続) 社会参加を促進して認知症予防につなげる施策として、独自の補聴器購入費補助制度を持つことを求めてまいりたいと思います。
また、次に、難聴者の社会参加の促進についてですけれども、難聴支援には、要約筆記やヒアリングループがあると聞きました。これらヒアリングループは、設置されている公共施設もあるというふうに聞いております。ぜひ市民に周知をしていただきたいと思います。
また、こうした高齢者の難聴者を社会参加させるためにも、ヒアリングループが設置されていない施設への設置を進めてほしいと思います。ぜひ可搬式のヒアリングループを貸し出すことができる、そういう制度の創設を要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
46 ◯副議長(山根田鶴子君) この際、暫時休憩いたします。
午前11時51分休憩
───────────────────
午後1時再開
47 ◯副議長(山根田鶴子君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
次に、長沼滋雄君。
〔長沼滋雄君登壇〕
48 ◯長沼滋雄君 創生静岡の長沼滋雄です。通告に従い、大きく3つのテーマで質問をします。
1つ目の項目は、SDGsの推進についてです。
SDGs、持続可能な開発目標は、誰ひとり取り残さない、持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標とされています。前身のMDGs、ミレニアム開発目標が発展途上国向けのものだったのに対して、SDGsでは先進国も含め、各国政府、企業、地方自治体、アカデミア、市民社会一人一人に至るまで全ての人に行動を求めているものです。
この項目について、3点の質問をします。
まず、1点目の質問です。
市長にお尋ねします。
国際連合が国際目標として定めている持続可能な開発目標、SDGsについて、理念としてどのように捉えているのか、SDGs未来都市・ハブ都市としてどのような静岡市の未来像を描いているのか、明確なメッセージを発信していくべきだと考えますが、市長の見解をお聞かせください。
SDGsの2点目は、5大構想へのSDGsへの組み込みです。
本市においては、SDGsの考え方とあまり関係がないように見える事業がSDGsであると位置づけられているのではないかと感じます。
1つ目は、歴史文化の拠点づくりについてです。
こちらの事業は、16番の目標「平和と公正をすべての人に」に位置づけられていますが、16番は、国連決議では「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」とされています。
平和と公正という訳を、私はこれ誤訳であると感じていますが、英語ではもともとは「Peace, justice and strong institutions」、平和と正義、強力な法制度となっています。つまり脆弱な制度、法の支配の不備、それによって暴力、迫害、紛争が生じるという考え方が根底にあるようですが、平和についての受け止め方が、私たち日本人とは異なっていると感じます。これを踏まえますと、私には静岡市が目下進めています歴史文化施設での天下泰平を実現した徳川政権の歴史展示を行うことは、この目標のいずれのアジェンダにも該当しているようには思えません。
もう1つは、海洋文化の拠点づくりについてです。
この事業は、SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」が組み込まれていますが、目下計画中のミュージアム建設計画は、来場者数や収支の見通しが不透明で、慎重な判断が必要だと考えます。
5大構想関連の質問は2つです。
1つ目は、SDGs「平和と公正をすべての人に」という目標に対して、歴史文化の拠点づくりではどのように取り組んでいくのか。
2つ目は、SDGs「海の豊かさを守ろう」という目標に対し、海洋文化の拠点づくりではどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
SDGsの3点目は、具体的な施策についてお尋ねします。
教育についてです。
ゴール4の「質の高い教育をみんなに」は、国連決議では「すべての人に包摂的かつ公正で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」とあります。この包摂的というのは、持続可能な開発のための2030アジェンダでは、誰ひとり取り残さないという意味で繰り返し言及されていますが、本邦でも当然、教育を受ける権利は、憲法第26条、教育基本法第4条に定められる国民固有の権利です。少数者であっても取り残さずに教育を行っていくということについて、静岡市の取組を3つ質問します。
1つ目は、不登校についてです。
令和元年度の文部科学省の調査によると、静岡県は小中学生の不登校の割合が全国で5番目に高くなっています。その中でも、静岡市内の不登校生徒数は県内の平均よりもさらに高く、小学校では1.1%、中学校では5.5%と、全国的に見ても突出した数字となっています。このことについて、市としてどう受け止めていますでしょうか。また、現下の市の取組状況についてもお尋ねします。
2つ目は、生徒指導についてです。
この件は、不登校との関わりが大いにあるとも私は考えておりますが、公立小中学校における、具体的には性差への配慮、性的少数者への配慮に向けて、校則の見直しについての取組をお答えください。
3つ目は、学校給食についてです。
市内の学校給食は、イスラーム法で許される食材になっていません。一部の生徒が弁当持参となっていると聞いています。ほかにも食にタブーのある宗教や思想は多くありますが、イスラーム、ヒンドゥー教、ユダヤ教、モルモン教、その他にも教義や思想を理由にして肉食、牛乳、ネギ科の植物、お茶、コーヒー、調味料のアルコール類などを避けなければいけないケースもあるようですが、そういった生徒数が市内でどれぐらいの人数であるか、静岡市では把握をしていますでしょうか。また、把握をしていればその詳細についてもお答えください。
以上、1回目の質問です。よろしくお願いします。
49 ◯企画局長(松浦高之君) SDGsに係る3点の御質問にお答えいたします。
初めに、SDGsに係る考え方と未来像についてですが、SDGsは2015年9月の国連サミットにおいて、誰ひとり取り残さないを合い言葉に全会一致で採択された世界共通の目標です。
本市は、地域課題を解決し、豊かな市民生活や世界に輝く静岡の実現につなげるため、SDGs実施指針を定め、市政への組み込み、普及啓発、情報発信に取り組むことといたしました。
3次総の3年目である2018年には、国からはSDGs未来都市に、国連からはアジアで唯一のSDGsハブ都市に選ばれました。また、市民向け普及啓発の結果、SDGsの認知度は、平成30年度に28.8%だったものが、令和2年度には66%まで大幅に向上したところです。
今後は、SDGsの視点を市の最上位計画である4次総に組み込むことにより、全庁を挙げてこれまで以上にSDGsに取り組むようにしてまいります。さらに、地域課題の解決に貢献する優良事例の表彰や企業、団体等との連携を強化することなどを通じて、市民の皆さんが日頃からSDGsを意識し、自発的に活動していくような持続可能なまちを目指してまいります。
次に、5大構想のうち、歴史文化の拠点づくりにおけるSDGsのゴール16「平和と公正をすべての人に」に係る取組についてですが、歴史文化の拠点づくりでは、歴史文化施設を核とした文化の継承と新たな魅力の創出による風格あるまち並みの形成などを目指しています。施設のテーマである大御所家康公は、戦乱の世を終わらせた後に駿府の地に戻り、外交面でもスペインとの関係構築や悪化していた朝鮮との関係を修復するなどして、260年にわたる天下泰平の礎を築きました。この260年という長さは、世界史上においても特筆すべき事象と評価されており、歴史文化施設では、こうした家康公の世界に冠たる天下泰平の偉業を発信していきます。
また、次世代に向けて本市の歴史を正しく伝えるため、近現代の戦争も含め、明治から昭和にかけての今の暮らしに直接結びつく資料の収集、保存も継続して行っていきます。この施設を通して歴史を学び、訪れる人が平和に思いをめぐらせる機会を創出してまいります。
次に、海洋文化の拠点づくりにおけるSDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」に係る取組についてですが、本市は世界的に貴重な環境を有する駿河湾に面し、また東海大学やJAMSTECと連携、交流ができる都市であることなどから、これらの特色を生かしSDGsに取り組んでおります。
例えば、研究船の一般公開や海洋研究の市民向け講演会を官民一体で開催し、市民が海洋を学び、地球レベルの課題解決を図る海洋研究を応援する機会をつくってきました。また、サクラエビの生態把握、資源量の推定に活用可能な水中カメラ等を用いた観測システム開発への支援など、海の課題解決促進にも取り組んでおります。
市民レベルの活動では、民間企業や地域の皆さんによって三保地域の海岸清掃などが行われており、市としてもこのような地域を愛する方々の主体的な取組を支援しています。
さらに、今後整備を予定している海洋文化施設も十分に活用しながら、海の豊かさや大切さをPRするなど、ゴール14に資する担い手の育成に力を入れてまいります。
50 ◯教育局長(青嶋浩義君) まず、不登校の現状と対策についてですが、文部科学省の調査によると、本市の1,000人当たりの不登校児童生徒数は、他の都市に比べて多い状況であり、このことは喫緊の課題として捉え、総合的に取組を進めているところです。
その中で、何より児童生徒が不登校にならないよう、どの児童生徒にとっても達成感が得られるような授業や行事の実施、協力的な学級づくりが大切であると考えます。また、教員の指導力の向上が必要であるため、教員研修として自らの指導方法を振り返る不登校研修プログラムを行っています。
加えて、不登校の傾向が見え始めた場合には、登校するという結果のみを目標とするのではなく、心理的な専門知識を有した
スクールカウンセラーが相談に乗るなど、個々の児童生徒に応じた対応を行っています。
さらに、令和3年度においては、
訪問教育相談員を6人から12人に倍増したほか、新たに小学校6校に教育相談員を配置し、サポートルームで学習を支援するなど、より多くの児童生徒を支援するための対策を講じています。
今後とも学校に通えない児童生徒について一人一人の状況に応じた支援を行い、不安や悩みを軽減するなどしてその児童生徒に合った居場所や学びを保障するよう努めてまいります。
次に、生徒指導における性差への配慮等、校則の見直しに関する取組についてですが、文部科学省が生徒指導に関する学校、教職員向けの基本書としてまとめた生徒指導提要には、学校教育において、社会規範の遵守について適切な指導を行うことは極めて重要なことであり、校則は教育的意義を有しているとあり、本市としましても、各学校が定める校則の運用は、児童生徒の育成において大事なものと考えています。
一方で、各学校の校則には、必要以上に細かな規定や男女の違いだけで規定しているものもございます。社会通念上、合理的な理由とは言えない規定などについては積極的に見直していくことが必要であり、学校と教育委員会が連携して見直しに取り組んでいるところです。
そうした中で、最近では市内中学校の制服について、上着のデザインを男女で基本的に同じデザインのブレザーにする学校や、女子生徒がスカートかスラックスを選択できる学校など、既に見直しを実施した例もございます。制服や髪型などを規定している校則の見直しについては、多様な性への配慮を行うとともに、児童生徒や保護者の意向を踏まえたものとなるよう取り組んでまいります。
次に、宗教的な理由で給食を食べていない児童生徒の現状についてですが、本市では、現在、宗教的な理由により給食の全部または一部を食べていない児童生徒は17名おり、そのうち9名は毎日、弁当を持参、残りの8名は食べられない食材があるときに限り、弁当を持参しております。そのほか、宗教以外の理由で、ベジタリアンなど生活信条により弁当を持参している児童生徒は12名おります。
文化的な背景が違っても、子供同士一緒に同じ給食を食べることは、それぞれの違いを認め、互いに尊重し合う多文化共生の学習にもつながります。そのため、令和3年度は宗教など文化信条に配慮したより多くの児童生徒が食べられる献立の提供を予定しており、静岡市の食物アレルギーの対応に準じ、肉類、ゼラチンを含むアレルギーの原因となる28品目とアルコールなどを除去した献立を試験的に全給食施設で提供する日を設ける予定です。
この結果を踏まえつつ、多様な文化的背景を持つ児童生徒が一緒に食べられるよう、学校給食の在り方について今後も引き続き研究してまいります。
〔長沼滋雄君登壇〕
51 ◯長沼滋雄君 SDGsについて御答弁いただきました。本当は市長からいただきたかったんですが、残念です。
SDGsの部分について、意見・要望を申し上げます。
私としては、静岡市の施策全体について、持続可能性についての認識は不十分ではないかと感じていることが数多くあります。静岡市は最貧国でもなければ、開発独裁の国でもなく、成熟した民主主義国家の産業も自然資源も豊かな都市です。例えば、誰ひとり取り残さない、貧困をなくす、平等を実現する、気候変動に具体的で強力な対策を取っていく、SDGs未来都市・ハブ都市として普及啓発や情報発信だけでなく、できることは数多くあるはずです。
もともとこのSDGsというのは、国連総会の70の1の決議、持続可能な開発のための2030アジェンダとして、193か国の全会一致という手続で採択されています。国際連合加盟国の中には、常任理事国であっても一党独裁の国、民主主義のプロセスに非常に問題がある国が多数あります。それらを包摂して先進国も地方自治体も全ての当事者に行動を求める内容となっているものです。常任理事国というものがありますから、当然、民主的な政府の運営や公正な普通選挙についての実施については、一切の言及がありません。
例えば、平和と公正をという目標は、法の支配の実現や暴力、迫害をなくしていくという内容でして、この16番の目標に至るには、各国の苦渋の努力があったものだと思います。
また、SDGsそのものについても、持続可能よりも開発行為に偏重しているという批判が多くあります。開発行為への言及が多いのは、社会インフラや経済が極めて脆弱な国々への配慮の結果だと思います。したがって、万が一にも中身があまりない箱物の建設ですとか、持続可能でない無計画な事業ばかり並べて、これがSDGsですということになってしまっては、そういう一部の国と歩調をそろえるようなものでして、SDGsどころの話ではありません。市長におかれましても、成熟した社会のモデルを見せるのだという気概を持ってやっていただきたいと思います。
歴史文化施設については、当局においては、国連総会決議をいま一度御確認いただきたいと思います。平和で包摂的な社会の促進や法の支配、説明責任ある法制度の構築ということを再検討お願いします。
徳川政権の260年間については、農業技術の発達、都市の建設、法制度の確立や資本市場の増大といった近代化の萌芽とも言うべき歴史がありますが、一方では、琉球やアイヌへの武力制圧、大坂の陣、島原の乱といった宗教戦争や異民族への征服、こういうことも行っています。歴史文化施設については、昨日の答弁でもまちのにぎわいをつくるですとか集客というお話が出ましたが、それだけではなくて、史料の保存、研究教育という大切な役割もあります。したがって、歴史の1つの事象についてよしあしを評価して、SDGsに強引にこじつけるようなことがないようにしていただきたいと思います。
次に、海洋文化の拠点についてです。
それと、私は問題だと思うのは、じゃ、どうするかといったときに、国と県と協力しながら、これまで5日から1週間かかったという道路啓開を3日で済ませるという判断ですよね。いつからそんなこと決まったんですか、何を根拠に言っているんですか。ヘリポートと救護病院ができなくなったから、国と県と相談して道路啓開は3日で済ませるから大丈夫だと、そんなの誰が信用しますか。私はもうこの基本協定というのは、大きく基本が崩れたわけですから、元に戻してこの問題はきちんと市民が理解するような形で検討をしてもらいたい。一旦、基本協定を白紙に戻してもらいたい。市の考え方を伺いたいと思います。
61 ◯総務局長(渡辺裕一君) まず、核兵器禁止条約への署名、批准を国に求めるべきではないかについてですが、条約への署名、批准については国の専管事項であり、国政の場において議論がなされるものと考えております。
次に、自衛隊への名簿提供に関する3つの質問についてお答えします。
まず、本人の同意がない個人情報の提供は個人情報保護条例に違反しているのではないかについてですが、本市の条例では、個人情報の外部提供を制限しておりますが、例外事項の類型が示されており、本件のような法令等の任意規定に基づく照会があった際には、提供の可否について2つの点を検討し、差し支えないと判断した場合、必要最小限の情報に限り提出できるとしております。
1点目は、照会の目的や趣旨、照会に係る個人情報の内容等を十分に考慮すること、2点目は、公益性が十分にあることです。
1点目については、照会の目的である募集事務が自衛隊法に基づく法定受託事務であること、また、照会内容が適齢者のみの情報で用途が当該年度の募集事務に限定されていることから、照会の合理性や事務の必要性において提供に問題がないと判断しております。
2点目については、災害に強く安全・安心なまちを目指す本市としては、自衛隊の活動の一環である災害救助の重要性や大規模災害時に自衛隊の協力を得て地域を守る必要性を考慮し、公益性が十分にあると判断しております。これらの判断の上で個人情報を提供するに当たっては、条例上、本人の同意を必要としておらず、個人情報保護条例違反には当たらないと考えております。
次に、個人情報を提供されたくない市民のために除外申請等の対応は取らないのかについてですが、本市では、自衛隊へ対象者の個人情報を提供するに当たり、除外申請等についても検討しましたが、照会の合理性や事務の必要性、公益性の高さ等を総合的に考慮し、対象者全ての情報を提供することといたしました。今後、他都市の状況等は、さらに情報収集をしてまいります。
最後に、適齢者情報の提供はやめるべきと考えるがいかがかについてですが、これまでどおり自衛隊から依頼があった場合には、適齢者情報の提供を行ってまいります。
62 ◯保健衛生医療統括監(長谷川 誠君) 桜ヶ丘病院に関する2点の質問にお答えします。
まず、市民への説明は十分だと考えているのかについてですが、これまで市議会での質疑を通じて、また広報紙静岡気分への記事の掲載や自治会や地域の関係団体の会合の場を利用させていただき、説明してまいりました。今後も引き続き、丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
次に、協定は白紙に戻すべきではないかについてですが、桜ヶ丘病院は清水地域にとって欠かせない病院であり、このたびの移転新築によって病院機能の維持・向上が図れるものと考えております。
また、救護病院の指定は難しいものの、災害時にも新病院が一定の医療救護機能を担うことが見込まれ、ヘリポートが設置されない場合でも、国、県との連携の下、3日程度での道路啓開に努めることで、災害時においても病院の医療機能が維持されることから、病院機能が当初のものから大きくかけ離れたものとなるとは考えておりません。
以上のことから、引き続き基本協定書を踏まえた取組を進めてまいります。
〔内田隆典君登壇〕
63 ◯内田隆典君 平和行政ですけれども、核兵器廃絶の問題は国の専管事項で、国で議論すべきだということですけれども、それは全国の市長会等々でこういう問題というのは議論しながら、田辺市長がイニシアチブを発揮して国に申すということも十分できるわけで、市の平和宣言の立場からも、私はそういう動きをするべきじゃないかと思います。
それから、自衛隊への情報提供ですけれども、そのまま続けるということでありますけれども、私は個人情報の保護問題は、父兄の皆さん、関係者の皆さんから大きな疑問が呈されているわけで、すぐそれで問題が12団体からも出されているわけで、そのまま続けるというのは、私は行政として慎重に取り組む姿勢がないと思いますから、改めてこの問題を求めてまいりたいと思います。
それから、桜ヶ丘病院の問題でありますけれども、今議会にもこの問題で請願が出されております。その項目は6つありますけれども、1つは慎重に説明責任を果たしてもらいたいということですけれども、金曜日の質問答弁の中でも、広報等でこの問題は説明してきたということです。ただ一方的に説明するだけで、理解は得られていないからこういう問題が起こっているわけですよ。私はこの問題は十分な説明責任が市長にあると。
それから、協定は一定今までの計画からかけ離れている、かけ離れているじゃないですか。かけ離れている、市長。もうヘリも救護病院もやらないというのは、今までのあれからずっと離れていますよ。あなた方、いい加減なことを言っているよ、離れているんだから。元に戻していかんと、このことを求めたいと思います。
64 ◯副議長(山根田鶴子君) 以上で総括質問を終了いたします。
ただいま議題となっております議案第135号外7件は、既に配布した議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
次に、今期定例会で受理した請願1件は、既に配布した文書表のとおり、厚生委員会に付託いたします。
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65 ◯副議長(山根田鶴子君) 以上で本日の日程は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後1時57分散会
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