静岡市議会 2017-09-02
平成29年9月定例会(第2日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時開議
◯議長(井上恒弥君) これより本日の会議を開きます。
───────────────────
2 ◯議長(井上恒弥君) 本日の議事日程は、お手元に配布したとおりであります。
───────────────────
日程第1 認定第1号 平成28年度静岡市一
般会計歳入歳出決算の認定について 外36
件(総括質問)
3 ◯議長(井上恒弥君) 日程第1、認定第1号平成28年度静岡市
一般会計歳入歳出決算の認定についてから日程第37、一般質問までを一括議題といたします。
これより総括質問に入ります。
質問の通告がありますので、順次、発言を許します。
初めに、望月賢一郎君。
〔1番望月賢一郎君登壇〕
4 ◯1番(望月賢一郎君) 皆さん、おはようございます。
日本共産党の望月賢一郎です。私は、6月議会に引き続き、
清水都心まちづくりと
清水LNG火力発電所について質問をいたします。
この問題については、この間、情勢の大きな変化がありました。それは、田辺市長が8月8日の定例記者会見で、この発電所について、清水のまちづくりと一致しないと判断し、事業者に計画の見直しを要請すると表明したことであります。さらに9月15日、事業者が記者会見を行い、
環境影響評価準備書の提出を延期すると発表いたしました。その理由は、市長発言を受けて、行政や清水区民の理解が得られていないと判断したということであります。
日本共産党静岡市議会議員団は、今回の市長の意見表明について、同8日に、市民の懸念や反対の声を一定反映したものと受けとめると声明を発表いたしました。私は、
日本共産党静岡市議会議員団を代表して、この本会議において、住民の意見を反映した今回の田辺市長の意思表明に対して、改めて評価をするものであります。
清水LNG火力発電所については、計画を発表して以来、およそ2年8カ月、この計画を心配する住民の皆さんによる多彩で地道な活動が展開されました。発電所計画の問題点を洗い出し、それに基づく地域の学習会や、事業者、市当局との交渉、清水・静岡中心部でのパレード、さらに市長との直接交渉などです。
ことし2月の市議会に提出した5千余名の請願は否決でしたが、11月議会に向けて新たな請願署名は、一昨日までに1万6,000筆以上集まっていると聞いております。そして、これらの活動を推進するため、私も参加させていただいてきましたが、週1回の会合を行い、運動の計画を立て実行していく資金は、全て住民の皆さんのカンパで賄われております。こうした運動の結果、建設中止を求める声は、地元辻、江尻地域だけでなく、有度や飯田、入江といった周辺地域にも広がりを見せておりました。今回の市長の意見表明は、こうした住民運動の大きな成果であるとも思います。
日本共産党静岡市議会議員団も、こうした住民運動と連携し、私の前任者である西谷博子さんから、毎議会、市当局に対応を迫ってまいりました。私も6月議会において、発電所が清水中心部に与えるマイナス面のはかり知れない影響、この点について、JR清水駅周辺の
新築マンション計画が見直しになった事実も示して、市長に反対表明を迫ったわけです。
今回の市長の意見表明につきましては、反対運動をしてきた住民グループだけでなく、多くの市民から歓迎する声が上がっています。
お配りした資料は、建設予定地の地元、辻地区の住民意向調査の結果です。これは住民グループがことしの7月に行ったものですが、私見は入れずに、ただ反対、賛成、わからないの意見のみを、各戸を訪問して聞き取って集計したものです。これによりますと、6割以上の住民が反対をしていることがわかります。実際、私もこの間、自分の出身地である辻地区を回り、意見を聞きました。多くの住民の皆さんから、よかった、市長はよく決断してくれたなどの声を聞きました。一方で、これで本当に発電所の計画はとまるのかといった疑問もなされています。こうした住民の意向を踏まえて質問いたします。
第1に、8月8日の定例記者会見で市長が表明した、計画の見直しを含めた再考とは、具体的に何を指すのか。
第2は、地元経済界との連携やまちづくりへのプラス効果が感じられなかったというのはどういうことか。
第3は、市は9月15日の
清水天然ガス発電合同会社の記者会見をどう捉えているか。
以上3点について、当局の回答を求めます。
5 ◯企画局長(松永秀昭君)
清水都心まちづくりに関する3点の御質問にお答えいたします。
まず、計画の見直しを含めた再考とは具体的に何を指すのかについてですが、現在の計画が、国内外から人々が訪れる国際海洋文化都市の実現を目指す清水都心のまちづくりにおいて、プラス効果を生むものとは考えにくいことから、市民の大方の理解をいただける計画となるよう、事業者に対し計画の見直しを求めたものでございます。
次に、地元経済界との連携やまちづくりへのプラスの効果が感じられなかったとはどういうことかについてですが、発電施設の建設による経済効果としては、本市としましても、税収増などの一定のプラス効果があるものと認識しております。
しかしながら、現在、事業者より示されている計画においては、清水都心のまちづくりや地域活性化への貢献などが、市民の皆さんや地元経済界に十分に示されておらず、計画を後押ししたいという声も特段上がってきておりません。そのため、これらの背景のもと、プラスの効果が見込めないものとして見解表明を行ったものでございます。
最後に、
清水天然ガス発電合同会社の記者会見をどう捉えているかについてですが、8月8日の市長定例記者会見を受け、この短期間に
JXTGエネルギー株式会社及び
清水天然ガス発電合同会社が、スピード感を持って準備書の提出延期を決断されたことは、国際海洋文化都市の実現を目指す本市のまちづくりについて一定の御理解をいただけたものと認識しております。その上で事業者には、大方の市民の皆さんの御理解をいただける計画となるよう、計画の見直しについて引き続き御検討いただきたいと考えております。
〔1番望月賢一郎君登壇〕
6 ◯1番(望月賢一郎君) ただいまの企画局長の答弁は、事業者には、市民の皆さんに大方の理解をもらえる計画となるよう、見直しについて検討してもらいたいとのことでした。9月15日の記者会見で事業者は、行政や地元住民の求めているものを把握して、エッセンスを計画に盛り込めるか、検討すると述べています。この方向については、
LNG火力発電所と同じ敷地の中に、不特定多数が出入りする施設は建設できないわけですし、管理者である静岡県の清水港港湾計画等の縛りもあります。発電所計画の継続を前提とした事業者の検討の幅は、非常に限られているわけです。この狭い幅の中で、市民の皆さんから大方の理解をもらえる計画というのは、逆に事業者にとっても大変に難しい課題となるのではないでしょうか。事業者自身が記者会見で、現時点では明確なアイデアはない、どうしたら事業を進められるか、検討していくと述べているとおりです。先ほど紹介しましたように、地元を中心に多くの市民の皆さんは、この計画には反対です。
こういったさまざまな点から見て、大方の理解をもらえる計画となるような見直しとは、この計画の白紙撤回しかないと私は思います。しかし、事業者は計画について撤回をしたわけではありません。
環境影響評価準備書は、まだ提出される可能性はあるわけです。
そこで環境影響評価について質問します。
準備書手続が始まった場合、手続の流れの中で、
環境影響評価審査会はどのような役割を果たすのか。
また、準備書手続では公聴会の開催が位置づけられていますが、その目的と具体的な運営方法についてどのように考えておられますか。
以上、当局の回答を求めます。
7 ◯環境局長(糟屋眞弘君) 環境影響評価に関する2点の御質問に、一括してお答えいたします。
まず、準備書手続における
環境影響評価審査会の役割についてですが、本市の審査会は、市長の諮問に応じ、環境影響評価に関する事項を調査、審議するために設置されています。審査会では、準備書について、市民から提出された意見に事業者見解を付した資料なども参考に、環境保全の見地から専門家の立場で協議を行い、その結果を取りまとめて市長に答申することになります。この答申を踏まえ、市長意見を作成しますが、市として適切な意見を述べるに当たり、審査会は重要な役割を果たすものと考えております。
次に、公聴会の目的と具体的な運営方法についてですが、本市の
環境影響評価条例において、準備書手続を行う際に市主催の公聴会を開催することが定められています。公聴会は、準備書に関する市長意見を作成するに当たり、準備書等について、環境保全の見地からの意見を持つ方々からその意見を伺うために開催するものです。意見陳述者の人数や1人当たりの陳述時間など、当日の具体的な運営方法については、案件ごとに検討を行い、報告することとなっております。
〔1番望月賢一郎君登壇〕
8 ◯1番(望月賢一郎君) ただいま御答弁をいただきましたが、
環境影響評価準備書の市長意見は、
環境影響評価審査会の答申をもとに出されるということで、審査会は非常に重要だと局長はおっしゃいました。そして公聴会については、準備書等について、環境保全の見地から、意見を持つ方々からその意見を伺うために開催するということで、住民意見の聴取という点で、こちらも非常に重要です。
しかし、ここで大きな問題があると思います。今回の計画について住民の皆さんが心配されたことは、大きく言って3点です。すなわち、環境、安全、景観です。このうち景観は、環境影響評価に含まれます。問題は、安全が全く議論の俎上に上らない、こういう心配があるということです。多くの市民は、こういった専門的な事柄については素人です。環境と安全の両方について不安を持っている方、あるいは、南海トラフの大地震が予想される中、地震や津波の対策について強い関心を持っておられる方、こういう人たちの意見が公聴会ではじかれる、あるいは公聴会で意見を述べる機会があっても審査会への答申に盛り込まれない、はじかれてしまう危険があると思います。多くの市民にさまざまな角度から意見を述べてもらい、市長意見に反映させることが重要だと思います。この点では、他都市の
環境影響評価技術指針の中に、安全に関する項目が設けられている場合があるわけです。静岡市においても安全の項目を追加すべきではないでしょうか。回答を求めます。
もう一点、聞いておきたいことがあります。それは、事業者が9月15日の記者会見で表明した、計画の撤回も含めて1~2年のうちに結論を出すとした点です。この1~2年という期間は、余りにも長くはないでしょうか。1~2年という期間は、
清水都心まちづくりにも大きな影響を及ぼすのではないか。民間の大規模開発から中小を含めた開発事業が、この間、様子見となり停滞しないかということです。
特に具体的に聞きたいのは、(仮称)清水区本郷町大
規模小売店舗跡地整備事業で位置づけられている、分譲マンション及び
スーパーマーケットを基本とした商業施設についてです。前回の質問でも取り上げましたが、4月に事業者がこの計画の見直しを発表しました。清水駅周辺では、西友が徹退してから、生鮮食品を販売する店舗がない状態が続いております。現在、この地域の皆さんは、生鮮食品を購入するために、同じ学区内でも、かなり遠方の二の丸町、巴川を渡った入江、袖師地区の西久保などへ車や自転車で買い物に行かなければなりません。交通の利便性を求めて駅周辺などのマンションに転居をされてきた方々からすれば、これは大きな誤算です。別の言い方をすれば、
スーパーマーケットがないために、この地域の魅力が大きく損なわれているとも言えます。市長のおっしゃるコンパクトシティにも合致しません。一刻も早くこの計画こそ進める必要があるのではないでしょうか。(仮称)清水区本郷町大
規模小売店舗跡地整備事業は、現在どのような計画となっているのか、回答を求めます。
以上で質問を終わりますが、最後に田辺市長に意見、要望を申し上げます。冒頭でも申しましたが、今回の
清水LNG火力発電所に対する市民運動は大きな力を発揮しました。平日にもかかわらず、きょうも市民運動の皆さんが傍聴に来てくださっています。こうした方々の中には、今まで政治や市民運動にかかわったことのない方もたくさんいらっしゃいます。こうした皆さんの運動が、日本でも有数の巨大企業の計画を中断させているということは、驚くべきことです。市長が
清水都心まちづくりとして海洋文化都市を目指すならば、こうした市民の力をまちづくりに生かしていくことこそ重要ではないでしょうか。
今議会の総括質問の最後に、我が党の内田隆典議員が質問を予定しておりますが、清水都心には、清水庁舎の移転、そして桜ヶ丘病院の移転問題があります。まちづくりというのは、こうした施設や道路網などのハードの部分と、そこに住む住民の熱意や創意工夫、つまりソフトの部分がかみ合ってこそ……
9 ◯議長(井上恒弥君) あと1分です。
10 ◯1番(望月賢一郎君)(続) 実現できるものだと思います。庁舎や病院の移転問題で住民の理解が得られたと言えない状況のもとで、ハードの整備だけを進めても、まちづくりは有効に機能しないのではないでしょうか。
私は今回、
LNG火力発電所運動の渦中に身を置いた者として、また、当該地域に生まれ育った者として、今回の発電所問題で市長が示された、市民の意見を聞く姿勢こそが、清水の再生に不可欠だということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
11 ◯環境局長(糟屋眞弘君) 本市の
環境影響評価技術指針の中に、安全に関する項目を追加すべきとの御質問ですが、独自の
環境影響評価制度を持つ政令指定都市18市のうち7市が安全の項目を設けていることや、それぞれの具体的な内容、
適用範囲等については承知しております。
しかしながら、事業の安全対策については、環境影響評価法における評価項目には含まれていないこと、また、事業の許認可に関する法律により適切に判断されると認識していることから、現在のところ、本市の技術指針に安全に関する項目を追加する考えはございません。
12 ◯経済局長(赤堀文宣君) (仮称)清水区本郷町大
規模小売店舗跡地整備事業についてですが、この事業は、清水区本郷町の西友跡地約0.5ヘクタールにマンション棟1棟、ホテル棟1棟、そして商業施設とマンションの複合施設棟1棟の計3棟を平成27年度から29年度にかけて整備するものとして、28年3月に策定した静岡市
中心市街地活性化基本計画に登載されております。
マンション棟については既に完成し、ホテル棟も平成30年夏までに完成予定となっておりますが、複合施設棟については、マンションの分譲戸数の削減を含め、当初計画の一部変更を検討していることが本年4月に新聞報道されました。事業者であるヨシコン株式会社に確認したところ、現時点では複合施設棟については、引き続き、分譲マンション及び
スーパーマーケットを基本とした商業施設という位置づけのもと、整備に向けた検討を行っていると伺っております。
本事業は、まちなか居住の促進や商業機能の再生といった観点から、清水地区の中心市街地活性化に寄与するものであり、引き続き事業者と連絡を密にし、状況把握に努めてまいります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
13 ◯議長(井上恒弥君) 次に、長島 強君。
〔3番長島 強君登壇〕
14 ◯3番(長島 強君) 皆様、おはようございます。
公明党静岡市議会の長島 強でございます。
通告に従いまして、大項目、安心して最期を迎えるための方策について質問いたします。
私は、本市職員時代、福祉事務所で生活保護行政に6年9カ月携わってまいりました。ケースワーカーとしては4年間経験してまいりましたが、そこで見えてきたのは、離婚、借金、解雇、病気などさまざまな理由が原因で生活困窮に陥ってしまったことにより、今まではかかわりはあったけれども、それらがきっかけでかかわりが希薄になったり、あるいは絶縁状態になってしまったりと、孤独になっているケースを多く見てまいりました。
そういう状況の中で、生活保護を受給しながら生活し、最終的にお亡くなりになったとき、いざ連絡をとろうとしても身内の方がいないケースだったり、身内と思われる方に連絡をしても連絡がつかなかったり、あるいは、やっとの思いで身内の方と連絡がついても、経済的に余裕がないので市でお願いしたい、本人と縁を切っているのでうちには関係ない、何でうちがやらなければならないのかなどといったケースが多く、結局のところ行政で対応したというような経験をいたしました。その方々は、引き取り手のない遺骨となり、最終的には無縁遺骨として埋葬されています。私がケースワーカーであった間だけでも、引き取り手のない遺骨や無縁遺骨は年々増加していたような記憶がございます。
このような経験から私は、少しでもこのような方々を減少させていく対策や取り組みが必要であるという考えから、今回質問をさせていただくことにいたしました。
初めに、中項目の1つ目、引き取り手のない遺骨の対応について質問をしてまいります。
国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数の将来推計によると、1995年に25.6%だった単独世帯は、2015年には33.3%、2035年には37.2%まで増加、とりわけ65歳以上の単独世帯は37.7%、75歳以上は39.7%と、約4割を占めるようになると予想されております。このデータからもわかるように、全世帯の中でも65歳以上の単身高齢者は着実に増加の一途をたどっていると考えざるを得ません。
また、単身高齢者の増加の要因として、単に高齢化だけではなく、核家族化のさらなる進行、生涯未婚率の上昇、少子化など、さまざまな要因が重なり合って引き起こされていることも考えられ、見逃せないところでございます。
このような状況が進む中で問題として浮かび上がってきていることは、身内とのかかわりが希薄になり、身寄りがなくなる高齢者が増加しているということであります。今までは家族がその役割を果たし、最期まで支援してきたことが、失われつつあるということであります。
身寄りがなくなった高齢者は、最終的にどうなってしまうのか。最終的というのは、具体的には、亡くなったときにどうなるのかということであります。亡くなった本人とのかかわりが希薄、経済的に余裕がない、遠方に住んでいるからなどの理由で、葬儀葬祭の執行、埋葬、遺品の引き取りなどの支援を拒否するケースが生じ、引き取り手のない遺骨が増加するという問題が全国的に広がっていると認識しております。
引き取り手のない遺骨はどこが処理するのか。墓地、埋葬等に関する法律の第9条には、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない」と定められております。つまり、本市で亡くなられて引き取り手のない場合には、本市が火葬し埋葬しなければならないということになります。
ここでお聞きいたします。
全国的にも増加傾向にある引き取り手のない遺骨の対応について、本市における状況はどうなっているのか、伺います。
また、引き取り手のない遺骨は、最終的には無縁遺骨として市で埋蔵することになると思いますが、本市で埋蔵している無縁遺骨の状況はどうなっているのか、伺います。
以上で1回目の質問とさせていただきます。
15
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 引き取り手のない遺骨の状況ですが、身寄りがないまたは親族から引き取りを拒否された遺骨については、平成18年度から22年度までは年間30件から50件程度で推移しておりましたが、単身高齢世帯の増加に伴い、平成23、24年度は年間90件程度、25年度以降につきましては年間120件程度と増加しております。今後も単身高齢世帯については増加が見込まれることから、引き取り手のない遺骨もふえていくのではないかと考えております。
16 ◯市民局長(豊後知里君) 本市で埋蔵している無縁遺骨の状況についてですが、愛宕霊園内納骨堂に一定期間保管後、1,000体程度埋蔵可能な
沼上霊園内無縁遺骨埋蔵施設に納めることになります。平成28年度末の沼上霊園内の無縁遺骨埋蔵数は739体、愛宕霊園内納骨堂の保管数は396体となっており、
沼上霊園内既存施設の埋蔵数に不足を生じることから、本年度、新たに沼上霊園内に1,200体程度埋蔵可能な施設を整備することで、受け入れ体制を整えてまいります。
〔3番長島 強君登壇〕
17 ◯3番(長島 強君) 御答弁ありがとうございました。
本市においても、引き取り手のない遺骨が増加している状況で、例外ではないことがわかりました。また、その後、無縁遺骨として埋蔵している遺骨についても増加しており、今年度、埋蔵施設の増設工事を行うことで増加需要に対応していることも確認できました。
続きまして、中項目の2つ目、静岡型地域包括ケアシステムについて質問してまいります。
1回目の質問で、引き取り手のない遺骨や無縁遺骨について、本市においても増加傾向にあることが確認できたわけですが、増加傾向だからその需要に対応していくだけでは、対策としては不十分ではないかと思います。冒頭でも述べましたように、引き取り手のない遺骨、無縁遺骨にならないための対策が必要ではないかと考えております。そのためには、生きている間に何らかの対策を講じなければなりません。
神奈川県横須賀市では、次のような先進的な取り組みを行っております。この横須賀市の事例は、雑誌や新聞、テレビ等でも多く取り上げられており、注目されている事例であります。2015年7月から導入しているエンディングプラン・サポート事業という取り組みです。どういう取り組みかといいますと、まず、ひとり暮らしで身寄りがなく、生活にゆとりのない高齢者から市が相談を受けた場合、初めに本人の資産状況、健康状態、病気や認知症などで意思表示ができなくなったときの延命治療の要不要、亡くなったときの緊急連絡先、葬儀や納骨に関する希望などを詳細に聞き取ります。それらの情報を登録後、市内にある葬祭業者の情報提供を行い、本人の選択により葬祭業者が決定したら、その葬祭業者と生前契約を締結して、市はその契約が死後に履行されているかどうかをしっかり見守っていくという流れでサポートするものであります。金額についても、生活にゆとりのないことを考慮して、生活保護基準並みの最低限の費用で賄えるような仕組みになっております。
この取り組みのすばらしいところは、当事者本人の意思を実現するために、あらゆる情報を把握することによって、最終的に死後どのように埋葬されたいのかというところまで生前に意思確認を行い、本人の意思をかなえることができているところであります。市民のニーズを把握し、それに応える支援を行政が行っているところも評価できるのではないでしょうか。
横須賀市では福祉的観点に立って福祉部局が役割を担っていますが、私は、このような役割を担うことができるのは地域包括ケアシステムではないかと思っております。安心して最期を迎えるためには、みとりから死、さらには死後のことまで考えておく必要があります。このようなことは、どうしても面倒なことで、縁起でもないという遠慮から、つい先送りにしてしまいがちです。現在の地域包括ケアシステムの考え方は、医療・介護のサービスを提供し、亡くなるまでの支援になっており、死後のことまで取り扱うことができません。それをさらに進めて、福祉的な考えに立って、死後のことまで取り扱うことまでできれば、横須賀市と同じようなサポートができるのではないかと思います。
さきに述べたように、死後、引き取り手のない遺骨や無縁遺骨になってしまうケースは、無縁の方や生活困窮者に多く見られるケースではありますが、決してそのような方々だけが陥る問題ではなく、さまざまな事情により、誰もがみとりから死後のことまでどうしたらいいのか、悩む時代になってきていると認識しなければならないと思います。
厚生労働省は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的で、可能な限り住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援、サービス提供体制として地域包括ケアシステムを推し進めています。
本市においては、静岡型地域包括ケアシステムとして、本市の特徴である、地域のつながる力と、健康寿命が長い元気な高齢者の活躍により、医療・介護の専門職の連携による支援の輪と、地域の市民の連携による支援の輪を構築し、この2つの支援の輪が連携して、本人、家族を支援する仕組みを推進するとしています。さらには、健康寿命の延伸のために、市民生活に密着した幅広い施策を連携させ、健康長寿のまちづくりを推進するとしています。
また、市長は平成29年2月の施政方針で、「自宅みとり率の向上の取り組みについては、医療・介護の専門的支援、地域の市民の皆さんによる支援、すなわち静岡型地域包括ケアシステムの構築のため、自宅でずっとプロジェクトを加速していきます。具体的には、在宅医療・介護の一層の連携を通じ、平成37年度の自宅みとり率30%を目標に、小学校区程度の身近な地域での支援体制構築、地域包括支援センターの体制強化、自宅での最期を選択できるような積極的な情報発信などに取り組んでいきます」と述べております。
ここで1つ目の質問です。静岡型地域包括ケアシステム構築の中で、医療・介護の連携、医療についてはとりわけ在宅医療が重要であると思いますが、在宅医療・介護連携を進めていく上で、本市はどのようなことを目指しているのか、伺います。
次に、小学校区程度の身近な地域での支援体制構築についてです。
医療・介護の連携を進めていくためには、きめ細かく切れ目のない医療・介護や介護予防・生活支援といった支援が必要になります。ここでキーワードになっているきめ細かくと切れ目のないをどのように進めていくかが重要になってきます。大きい単位では、なかなか、きめ細かく切れ目のないサポートは難しいものであります。本市では、昨年度の平成28年度から静岡市在宅医療・介護連携推進事業として、小圏域における在宅医療推進モデル事業を開始していると伺っております。
ここで2つ目の質問です。小学校区程度の身近な地域における支援体制構築に向けた事業として行っている、小圏域における在宅医療推進モデル事業について、この事業の平成28年度の成果と、今年度、平成29年度の取り組みがどうなっているのか、伺います。
次に、地域包括支援センターについてです。
地域包括支援センターは、高齢者が住みなれた地域でいつまでも安心して生活できるよう、葵区9圏域、駿河区7圏域、清水区9圏域、市内合計で25の日常生活圏域を設定して、各圏域に設置しているものであります。
地域包括支援センターは、平成18年度から運営が開始され、介護、福祉、医療、健康などさまざまな面から総合的に支えるために設けられ、本市では社会福祉法人や民間企業などに委託して運営されていると伺っております。
小圏域での支援体制を構築していく上で、今まで地域で高齢者支援の中心を担ってきた地域包括支援センターが今後も重要な役割を果たしていくべきであり、強化していくことが必要であると私も考えております。
ここで3つ目の質問です。これまで約10年、地域包括支援センターが運営されてきましたが、そこで培ってきたノウハウもあれば、今まで経験してきた中で、さまざまな課題等が見えてきた部分もあるかと思います。それらの課題を解決していくためには、地域包括支援センターのさらなる体制強化が必要であると考えますが、本年度における強化に向けた取り組みについて、どうなっているのか、伺います。
次に、積極的な情報発信についてです。
体制の強化も大事ではありますが、最終的には、支援を必要としている方がどのようなことを望んでいるのか、しっかりニーズを把握することが必要になってくると思います。かかわっている方がそれぞれ持っている情報を有機的に機能させていくためには、情報共有がどこまでできているのか、また、その情報が正しいものなのかなど、きちんと情報を精査できているかどうかが鍵になってくるのではないでしょうか。それぞれ得意な部分もあれば、不得意な部分もあります。情報を出し合うことで相互に補うことができ、解決するための選択肢の幅も広がるのではないでしょうか。情報が多ければ多いほど、その可能性は広がると思います。みんなで支え合っていく気運を盛り上げていくためには、多くの方を巻き込んでいかなくてはなりません。そのためには、市民の皆さんに広く知っていただくことが必要になります。市長の施政方針の中でも、積極的な情報発信に取り組んでいくということが述べられております。
ここで4つ目の質問です。市民への積極的な情報発信を行っていくとありますが、それについてどのように取り組んでいくのか、伺います。
続きまして、いつまでも住みなれた地域で自分らしく生活していくためには、支援を必要としている方のニーズを的確に把握し、それに見合ったサービスを提供していくことが不可欠であります。静岡型地域包括ケアシステムでは、在宅医療・介護を連携して進めていくとうたわれておりますが、その中でも介護サービスの提供は、住みなれた地域で自分らしく生活していくために特に重要であると思っております。
私たち公明党静岡市議会は、本市と同じ政令市である岡山市を視察してまいりました。岡山市は、平成25年2月に国から地域活性化総合特区の指定を受け、在宅介護総合特区として事業を行っております。在宅に特化した規制緩和等を求める項目11項目を国に要望しており、その中で、通所サービスに対する自立支援に資する質の評価の導入を、デイサービス改善インセンティブ事業として実現しております。具体的には、岡山市と岡山市内の介護保険事業者が協働して選定した5つのデイサービスの質を評価する指標のうち、3つ以上のベンチマークを達成した事業所を指標達成事業所として認定。さらに、指標を達成した事業所のうち、アウトカム評価として、日常生活機能評価の維持・改善度に基づき評価を行い、上位10位までの事業所に対して表彰と奨励金、情報公開というインセンティブを付与しております。この事業の効果として、事業に参加している事業所とそうでない事業所とでは、1人当たりにかかる介護給付費が減少する、また、減額率が大きくなるという効果が出ているそうであります。さらには、給付費の減少だけでなく、介護保険事業者としてもサービスの質の向上が図られている結果にもつながっております。質の向上が図られれば、それがまたサービスを利用されている方にも還元されていく流れをつくっていけるのではないかと感じております。
ここで5つ目の質問です。介護保険事業者がよりよいサービスを提供するための取り組みに対してインセンティブを付与することについてどう考えているか、伺います。
以上で2回目の質問を終了させていただきます。
18 ◯健康長寿統括監(塩澤方敏君) 静岡型地域包括ケアシステムについての5つの御質問に、一括してお答えさせていただきます。
初めに、在宅医療・介護連携を進めていく上で市が目指していることについてですが、住みなれた自宅でずっと安心して暮らせるまちを実現するため、医療・介護の専門職や地域の市民の連携により、切れ目のない医療・介護や介護予防、生活支援といった支援の体制を、身近な学区・地区単位で構築すること、すなわち、地域に根差した静岡型地域包括ケアシステムの構築を目指しています。
在宅医療・介護連携を積極的に進めることで、医療と介護に携わる関係者と地域住民が相互に理解を深め、最期まで自宅で自分らしく過ごすことのできる支援体制を整備することにより、本人や家族の望みをかなえることにつながるものであると考えております。
次に、小圏域における在宅医療推進モデル事業についてですが、平成28年度は、市内7カ所の小学校区域等のモデル地区において、医療・介護の専門職と地域住民による自宅でずっとミーティングを延べ27回、717人の参加を得て実施いたしました。このミーティングでは、がん終末期の方の支援をテーマとして、各職種の役割をあらわしたフローチャートを作成しました。また、このフローチャートの作成を通して、静岡型地域包括ケアシステムについての理解が深まるとともに、専門職と地域住民との顔が見える関係が生まれ、より強い連携と協力体制が形成されました。
これらの28年度の成果を踏まえ、本年度は、新たな市内8カ所の小学校区を対象に、認知症の人とその家族を支える体制づくりをテーマとしまして、自宅でずっとミーティングを進めております。8月26日に開催しました8地区合同のキックオフミーティングでは、121人の方の参加をいただいたところでございます。
この小圏域でのモデル事業による地域連携体制の構築は、静岡型地域包括ケアシステムの核となる部分であり、今後は、この事業の成果を他の地域とも情報共有させ、幅広く波及させていきたいと考えております。
次に、地域包括支援センターの体制強化に向けた本年度の取り組みですが、地域包括支援センターは、平成27年4月から施行された介護保険法改正により、総合相談の窓口機能に加え、地域ケア会議の開催や介護予防・生活支援サービスの推進、在宅医療と介護連携の充実、認知症施策の推進など、さらなる機能強化が求められています。
そこで、体制の強化に当たりまして、次の2点の取り組みを行っております。
1点目は、小規模な地域を除き、各地域包括支援センターに1名ずつ、計23名の職員を本年4月から増員し、市域全体で140名の職員体制で高齢者の支援に当たっております。
2点目は、市に設置が義務づけられた地域包括支援センター運営協議会のもと、地域包括支援センターのあり方検討委員会を置き、機能強化の協議をしております。また、毎月開催するセンター職員連絡会では、情報共有や意見交換などを行い、センター同士の連携強化にも努めております。
次に、市民への積極的な情報発信についてですが、静岡型地域包括ケアシステムの構築に当たっては、市民一人一人が在宅医療・介護の支援体制などについて理解を深めていくことが不可欠でございます。そのため、先ほども申しましたが、平成28年度は自宅でずっとミーティングの報告会を開催し、380名の方に静岡型地域包括ケアシステムと小圏域における在宅医療推進モデル事業などの目的及び必要性をお伝えいたしました。
本年度は、さらにさまざまな媒体や手法を活用した情報発信事業を行ってまいります。28年度に引き続き、自宅でずっとミーティングの報告会を初め、市民向けの講演会や出前講座を実施するほか、静岡型地域包括ケアシステムをわかりやすく紹介するパンフレットやテレビ番組などの動画コンテンツの作成、専用ウエブサイトの設置などを予定しております。今後も、高齢者のみならず全ての市民の皆さんが静岡型地域包括ケアシステムを十分理解していただけるよう、さまざまな媒体や手法を活用した積極的かつ重層的な情報発信に努めてまいります。
最後に、介護保険事業者が行うよりよいサービスに対してのインセンティブの付与についてですが、現在、国においては、平成30年度からの介護保険制度改正に当たり、2点のインセンティブが考えられております。
1点目は、介護保険事業者が要介護高齢者の自立支援に成果を上げた場合、報酬に反映させるなど、メリハリをつけた対応をするとされたところです。
2点目は、市町村等が行う効果的な介護予防や地域ケア会議の活用などの取り組みについて、財政的インセンティブを付与するとされたところです。
このため本市におきましては、こうした2点の国の動向を注視し、対応してまいりたいと考えております。
〔3番長島 強君登壇〕
19 ◯3番(長島 強君) 御答弁ありがとうございました。
3回目は、意見・要望を述べさせていただきます。
今回、安心して最期を迎えるための方策についてというテーマで種々質問してまいりました。このテーマで中心的な役割を果たすのは、やはり地域包括ケアシステムではないかと思っております。その体制が、行政、自治会、医療機関、介護保険事業者、ボランティアなどそれぞれ単独での支援でなく、あらゆる機関が相互に連携し合って有機的につながり得るからです。このシステムを構築していく上でさまざま紆余曲折があると思いますが、試行錯誤しながら、本市として特色のある静岡型地域包括ケアシステムの構築につなげていっていただきたいと思います。
最近は、個人の単位がばらばらになり、細分化され、つながりを失った社会になっている傾向があります。高齢者に限った話ではなく、さきにも述べたように、核家族化のさらなる進行、生涯未婚率の上昇、少子化などが原因で……
20 ◯議長(井上恒弥君) あと1分です。
21 ◯3番(長島 強君)(続) これから高齢者になっていく世代が無縁化してしまうおそれは、十分考えられることであります。死後を考えることについては、いわゆる終活という形で民間事業者が中心に行っておりますが、この終活を行政も後押しし、無縁にならない、有縁の社会にしていくためにも、静岡型地域包括ケアシステムで、みとりまででなく、ぜひとも死後まで広げて考えていただきたいと期待をし、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
22 ◯議長(井上恒弥君) 次に、加藤博男君。
〔2番加藤博男君登壇〕
23 ◯2番(加藤博男君) 本日3番目、公明党の加藤博男でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして質問させていただきます。質問内容は、物流を生かしたまちづくりについて、そして、学びの環境についての2点につき、お伺いいたします。
まずは、大項目の1つ目、物流を生かしたまちづくりについて、お伺いいたします。
6月議会におきましてもクルーズ船の増加について質問をさせていただきましたが、9月議会におきましても物流関連の質問をさせていただきます。
静岡市は、半径300キロ圏内に日本の人口の約6割、約8,000万人、GDPの約7割、約370兆円が集中し、国内のビッグマーケットの中央に位置しており、まさしく物流のど真ん中であります。この地理的アドバンテージを最大化させ、そのポテンシャルを発揮できれば、静岡市内の企業競争力が増し、企業留置につながり、さらに企業誘致にもつながると考えております。最終的には、人口減少に歯どめをかけ、税収がふえ、市民によりよいサービスが提供できるようになり、人口増につながっていくストーリーが描けます。
空想に終わらせないために、その地理的アドバンテージをどう最大化させるかが、今後、本市の課題であると捉えますが、その周辺環境は徐々に固まりつつあります。平成31年開通予定の中部横断自動車道、新東名の開通、今年度開通予定の国道150号中島バイパス、平成30年度予定の国道1号静清バイパス丸子藁科トンネルの4車線化、さらに、建設中の(仮称)東名静岡東スマートインターチェンジの開通と、交通インフラは整いつつあります。
このインフラのストック効果を最大化させ、清水港を中心とした輸出輸入の取り扱いや、内航ROROによる国内海上輸送、富士山静岡空港を活用した国際航空輸送、JR静岡貨物駅を利用した鉄道コンテナ輸送といったトータルの物流を、静岡市立地企業は、静岡市内及びその周辺の中だけで完結させることができ、さらに企業の強みを発揮できるようになると捉えております。
また、先月の本市プレミアムフライデーの企画講座で講演された和泉洋人総理補佐官によれば、2027年に開通予定の品川・名古屋間のリニア中央新幹線、2037年に開通予定の名古屋・大阪間の開業により、東京・大阪間が1時間圏内となり、スーパー・メガリージョンが形成される。静岡市も、中部横断自動車道の開通により、このスーパー・メガリージョンに編入され、高速交通体系を活用したこの地域の一翼を担うとのことでした。
この展望が期待される本市は、リニアによって取り残される圏域になってしまうのではないかという危惧を捨て、攻めに転じていかなければならないと考えます。なぜなら、国内ビッグマーケットのど真ん中に位置し、そのポテンシャルをいかんなく発揮できる広域交通ネットワークと、温暖な気候による住みやすさ、東海大地震説で培われた防災・減災力があります。そして、野村総研にてことし4月に発表された成長可能性都市ランキングの、多様な産業が根づく基盤がある都市ランキングでは、本市が選定100都市の中で7位という結果であり、大都市に依存せず自立して世界と結びつき、外貨を獲得できる地方都市に成長できると考えます。
そこでお伺いいたします。
お手元に配布いたしましたパンフレット「物流ど真ん中」をごらんください。こちらのパンフレットは、物流に特化した、首都圏や甲信地方企業向けの企業立地パンフレットであります。
こちらのパンフレットにおいて、物流ど真ん中である本市が示す物流攻略拠点としてのアピールポイントは何か、お伺いいたします。
こちらは、吉本興業のお笑い芸人のシソンヌを企業立地宣伝部長として起用しており、これまでにないようなアイデアでインパクトの強化を図った、本市のセールスツールになると捉えますが、パンフレットを活用してどのようなプロモーション活動を行っているのかもお伺いいたします。
続いて、ただいま建設中の(仮称)東名静岡東スマートインターチェンジ周辺の工業・物流エリアについてお伺いいたします。
先ほど触れさせていただいたとおり、大方の交通インフラは整いつつあり、その恩恵をしっかり生かしていくために、目下建設中の(仮称)東名静岡東スマートインターチェンジ及びその周辺エリアは、静岡市の産業活性化に好影響を与えると捉えております。本市において、企業が進出するための土地は限られており、このエリアをどう生かすかが重要であると捉えております。
大手電機メーカーや食品関連企業等が新スマートインターチェンジ近くに集積する駿河区のこの地域に、市内に点在されている関連企業が集積できれば、物流の効率化や納品時間の短縮を図ることができ、さらに事業拡大が期待できるとも考えられます。また、市民からも多くの期待の声が寄せられております。
そこで、現在、この地域でほぼ計画が固まりつつあると聞いております恩田原・片山土地区画整理事業の計画概要と特徴はどのようなものか、お伺いいたします。
さらに、工業・物流エリアに立地する企業や周辺企業にとっては、物流の面でどのような効果が期待できるのか、お伺いいたします。
以上、1回目の質問です。
24 ◯副市長(美濃部雄人君) 私からは、物流に特化したパンフレット「物流ど真ん中」についてお答えします。
まず、1点目の物流攻略拠点としてのアピールポイントでございますが、少子化などによるトラック運転手の不足、首都圏の慢性的な道路渋滞などにより、多くの企業が生産性向上のネックを抱えています。そうしたネックを解消し、販路や原材料の供給範囲を判断するための施設を立地させるべきエリアを物流攻略拠点と呼んでおります。
本市では、清水港や高速道路などの広域交通ネットワークの利便性の向上により、企業の抱える物流課題を解決し得る物流攻略拠点としてのポテンシャルが高まっており、広く企業に活用を提案しているところでございます。
本市を取り巻く交通インフラの整備は、近年ますますその進展が著しく、国際拠点港湾清水港においては、新興津・興津地区への物流機能の集約、再編が図られております。また、東西軸として、東名、新東名の2系統の高速道路を有する上、東名高速道路では、大谷地区に新たなスマートインターチェンジが設置されることになっています。さらに平成31年度には、南北軸となる中部横断自動車道の開通が予定されており、本市の物流拠点としての優位性が一層高まっているところです。これをチャンスとして捉え、首都圏や中部横断自動車道周辺の企業に本市を物流攻略拠点として活用してもらい、戦略産業としての清水港・ロジスティクス産業の振興を図るため、このパンフレットを作成いたしました。
吉本興業の人気お笑い芸人シソンヌさんは、ふだん、不動産営業マンと部屋を探す女性という設定でコントをしておりますが、平成29年度版のパンフレットは、そのパターンを応用し、物流攻略拠点としての本市の優位性を明確にプレゼンテーションする仕立てとなっており、わかりやすさとともにインパクトの強化を図っております。
また、内容についても地元港湾物流事業者とともに検討しており、清水港を利用することで、企業が抱える時間短縮、コスト削減、危機管理の課題が解決できることをアピールしております。
企業に向けてのアピールポイントは3つあり、1つ目は、清水港が、混雑の少ない快適な港として、配送時間の短縮による物流コストの削減に貢献できること。2つ目は、広域交通ネットワークの整備により輸送圏域が拡大し、関東甲信地区への輸送利便性が向上すること。3つ目は、地元港湾物流業者がフレキシブルに対応し、安定したサービスを受けられることです。
これらをアピールすることで、コントの決めぜりふ「好きになっちゃう」ではありませんが、企業の皆さんに、まず清水港に興味を持っていただき、清水港の利活用を促し、物流の促進と産業の集積を図り、清水地域のにぎわいの創出及び活性化につなげていきたいと考えております。
続きまして、このパンフレットを活用したプロモーション活動についてですが、清水港の利活用促進には官民一体となって取り組んでおり、静岡県や地元港湾物流事業者と毎月定期的に開催している勉強会において、効果的な取り組みを検討し、実施しています。
具体的には、首都圏企業に対しては、首都圏でのセミナー開催や大規模な物流展示会、例えば8月29日、30日に行われましたロジスティクスソリューションフェアがありましたが、そうしたイベントへの出展を通して、24時間のサポート体制や、迅速かつ効率的な貨物の搬出入の実現、コンテナ貨物への助成制度など、清水港としての利用メリットを提案し、清水港への貨物のシフトや、市内へ物流拠点を設置する可能性のある企業の発掘に努めております。
山梨県や長野県の中部横断自動車道周辺の企業に対しては、現地に出向き、甲府セミナーや展示会におけるPR活動を行っています。平成28年度からは、海上交通による貨物輸送を行う企業にターゲットを絞り、港の利用状況調査を行い、清水港に関心が高い企業に対しては直接訪問して、清水港の利用による輸送の効率化を提案することで、貨物の誘致を図っております。
この結果、平成28年度は、10月に就航した、清水・大分間を結ぶ、貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま運べる船、RORO船の利用を提案し、長野県の新たな企業からの貨物誘致が実現いたしました。こうした営業活動の成果もあり、RORO船は来年3月から2そう体制で、毎日運行に増便される予定です。
今後も、官民が連携し、オール静岡で効率的なプロモーション活動を実施してまいります。
以下は局長から答弁させます。
25 ◯都市局長(大滝茂雄君) 私からは、(仮称)東名静岡東スマートインターチェンジ周辺の工業・物流エリアについての2つの御質問にお答えします。
初めに、恩田原・片山土地区画整理事業の計画概要と特徴についてですが、この事業は、平成25年3月に策定した大谷・小鹿地区まちづくりグランドデザインにおいて、工業・物流エリアに位置づけられた地区で、雇用を生み出し、製造業や物流施設の集積を図ることを目的に、土地区画整理事業による基盤整備を行うものです。
計画の概要としましては、施行面積約32.8ヘクタール、地権者数約270名、総事業費約78億円、事業計画期間10カ年、施行者は区画整理組合を予定しております。
事業の特徴ですが、主に2つあります。1つ目は、街区の大街区化で、敷地の一体的利用により大規模事業者の立地に対応するものです。2つ目は、利便性を強化した道路網の形成で、新しいインターチェンジ周辺の幹線道路とのアクセスを強化し、円滑な物流機能と安全性を確保するための2本の新しい都市計画道路と、広い幅員の区画道路を配置するものです。
現在、早期に企業の立地が実現できるよう、事業に必要な諸手続を進めているところでございます。
次に、大谷・小鹿地区の工業・物流エリアへの企業立地による物流面での効果についてでございますが、本市では平成28年度に産業集積方針を策定し、電気機械器具関連製造業や食品・化粧品関連製造業といった産業の集積を図ることとしております。この地区に立地する企業にとっては、スマートインターチェンジ整備の効果を最大限に生かした原材料の調達や全国の販売網への配送など、高速道路の効果的な活用や、地区内に新たに整備される都市計画道路を利用した、市内取引企業へのスムーズなアクセスが可能となってまいります。また、既に周辺に立地している企業も含め、関連性の強い企業が近くに集まることで、物流に要する距離や時間などが短縮され、コスト削減効果が生まれるとともに、生産性向上などの効果も期待されます。
平成28年度に工業・物流エリア周辺の企業に実施した聞き取り調査では、8割以上の企業が新しいインターチェンジを利用すると回答しております。
スマートインターチェンジの整備による高速道路へのアクセスの向上は、工業・物流エリアに進出する企業に限らず、周辺企業の物流環境の改善に寄与するものと考えております。
〔2番加藤博男君登壇〕
26 ◯2番(加藤博男君) 副市長、局長より前向きな御答弁をいただき、まことにありがとうございました。
2回目の質問に移ります。2つ目の質問は、学びの環境についてであります。
去る8月末に、ことし4月に実施された全国学力調査・学習状況調査の結果が発表となりました。本市の結果については、小学校の平均正答率は全国と同等であり、中学校は全国より上回っているという結果でありました。
先日、本調査結果を踏まえ、琉球大学、西本准教授に来静いただき、会派の勉強会を行いました。西本准教授からは、静岡の学力調査内容につき、小学校は全国平均並みで、中学になると全国平均を上回るという上昇型であり、理想的な傾向があるとのことでありました。すなわち、小学校では考えさせる教育に重点を置き、後に学力が伸びてくるという、全国のモデルになり得るという見解であります。
そこには学校現場の先生方の不断の努力があり、教育課程を編成、実施、評価、改善を図るPDCAを確立されている結果が、このような理想的な傾向につながっているものと考えます。そして、日々尽力されている学校現場の先生方がさらに学習指導に専念できる仕組みをつくることが、子供たちの可能性を広げることにつながるとの思いを背景に、学びの環境について質問させていただきます。
まず1つ目は、学校給食についてお伺いいたします。
本年7月に開催されました本市総合教育会議を傍聴させていただき、議題として日本一おいしい学校給食の提供が取り上げられ、学校給食で実施すべき取り組みについて論議が交わされました。栄養士の方が校内放送で食材の紹介をしたり、地産地消を積極的に取り入れ、静岡ならではの献立を開発し、給食を生きた教材として活用した食育の推進をされている本市の取り組みや、旬の食材を使うことにより、本当のおいしさとは何かを学ぶことも大事であるとの委員の意見も印象に残りました。
このように本市では、日本一おいしい給食を目指し、また、地元の食材を使うことにより静岡への郷土愛を育むことにつながると考えます。未来の静岡を担う子供たちのために、より一層静岡らしさが光る給食の提供をお願いいたします。
さて、この学校給食については、これまで本市議会でも論議がされているところでありますが、今回、私が取り上げさせていただくのは、学校給食費の徴収・管理業務について質問させていただきます。
質問の経緯としましては、文部科学省より昨年12月から本年1月にかけて、学校給食費会計業務に関する全国調査が実施されたことに端を発しております。この全国調査の背景と目的について、同省によれば、学校給食費は徴収・管理業務を教員が担っており、負担感が高いことが明らかになっている。当該業務を教育委員会などに移管した自治体においては、教員の負担が大きく減少しているほか、会計業務の透明性が図られ、安定した食材調達が可能となったなどの効果が報告されているとのことです。
現在、この業務においては4つの区分に分類されます。お手元の説明資料2をごらんください。
1つは、完全無償化している区分、すなわち徴収業務が何も発生していないパターン。2つ目は、公会計、すなわち給食費を自治体の歳入歳出予算に計上するパターンで、徴収・管理業務の実施主体を自治体が行っているパターン。3つ目は、会計区分が公会計ではありますが、徴収・管理業務の実施主体が学校であるパターン。すなわち保護者への窓口のみを学校が対応しているパターンであります。4つ目は、会計区分が公会計以外の方式、すなわち私会計であり、給食費の徴収・管理業務の実施主体が学校であるパターン。以上の4つのパターンに分類されます。
同省は、学校現場の負担軽減等の観点から、今後の学校給食費会計業務のあり方の検討を行い、当該業務を地方自治体みずからの業務とすることへの課題について分析し、取りまとめを行うとしておりますが、文部科学省の学校給食費会計業務に関する調査研究の報告書における学校給食費の費用負担及び徴収・管理業務に関する調査結果はどのようなものであったか、お伺いいたします。
また、文科省では、かねてから調査研究を進めていた給食費の徴収業務を、地方自治体がみずからの業務として学校給食費の徴収・管理の責任を負っていくことが望ましいとしており、来年度の概算要求に、徴収方法のガイドラインを策定するための経費を計上しております。
そこで、学校給食費の徴収・管理業務における本市の状況と今後の考え方はどうか、お願いいたします。
続いて、いじめの相談の取り組みについてであります。
学校内の学びの環境が担保されない原因として、いじめが大きな要因であると捉えております。文科省によれば、2015年度の問題行動調査の結果を昨年公表し、全国の小中高校と特別支援学校で認知されたいじめは、前年度を3万6,000件以上も上回る22万4,540件で、調査が始まった1985年以降で最も多くなったと発表いたしました。同省は、深刻ないじめによる自殺事案や、2013年のいじめ防止対策推進法施行を受け、学校現場にいじめを積極的に把握するよう指導しており、調査結果について、いじめ解決には、まず認知し、組織的に対応するという方針が浸透してきていると分析し、本年3月にいじめの防止等のための基本的な方針が改定されております。
そこで質問をさせていただきます。
本市においては、国のいじめ防止基本方針の改定を受けてどのように取り組んでいるか、お伺いいたします。
あわせて、学校現場におけるいじめの現状はどうか。また、その対応はどのようにしているか、お伺いいたします。
続いて、本市子ども若者相談センターについて質問をさせていただきます。
子ども若者相談センターは、少子化、核家族化の進む中で、家庭や地域が従来持っていた、子育て、あるいは教育に関する機能の低下など、子供と家庭を取り巻く社会環境が大きく変化している中、家庭の教育力を補完する役割も担っていると捉えております。
冒頭に触れました琉球大学の西本准教授の指摘では、家庭内教育がしっかりされればされるほど学力が上向く傾向があり、朝食をきちんととり、規則正しい就寝、親子の会話がしっかりなされていることがよい影響を与えているとのことであります。
さまざまな家庭が気軽に相談でき、身近な地域で対応するレベルの相談システムもますます必要になっている中、子ども若者相談センターでは、日々、学校と連携しながらいじめの相談に当たっていただいているとお聞きしております。
そこでお伺いいたします。子ども若者相談センターにおける相談状況はどうか。また、子ども若者相談センターのいじめ相談について、どのような充実を図っているか、お伺いいたします。
最後に、ICTを活用した取り組みについて質問させていただきます。
今年度実施されました学校質問紙調査の中で、ICTを活用して、子供同士が教え合う学習や課題発見・解決型の学習指導を行っていると回答した小学校の割合は、全国より下回った結果となりました。今後、ICTを活用した教育実践がますます重要となり、2020年度からは小学校でプログラミング教育も必修化される予定となっています。一方で、教える側への支援、すなわち教職員への支援も行っていかなければ、ICT利用率を高めることにつながらないものとも考えます。
そこでお伺いいたします。教職員への研修、サポート体制について、どのようになっているか。そして、ICTを活用した授業内容について、どういった取り組みをしているのか、質問をさせていただきます。
さらに、本市総合教育会議で議題に上がったその他のテーマとして、グローカル人材の育成があります。すなわち、グローバルな視点とローカルな視点をあわせ持つグローカル人材の育成が、重点的な協議事項として協議されました。
その教育施策は、英語を活用したコミュニケーション力の向上と、静岡市や地域に愛着を育む「しずおか学」を柱としております。多額のコストをかけるのではなく、身近なツールを使ってコミュニケーション力を向上させる取り組みが可能であると思います。例えば、スカイプを使って、時差が1時間しかないオーストラリアの学校と交流することも可能だと思います。
そこでお伺いいたします。学校間交流や国際交流等は、具体的にどのようなICTを活用しているか、お伺いいたします。
以上、2回目でございます。
27 ◯教育局長(望月 久君) 学びの環境についての質問のうち、まず、学校給食についてお答えいたします。
文部科学省の調査研究報告書における学校給食費の費用負担及び徴収・管理業務に関する調査結果についてですけれども、文部科学省では、今後の学校給食費会計業務のあり方の検討のため、全国1,796の公立学校設置者を対象に実態調査を実施し、本年3月にその報告書がまとめられました。
この報告書の学校給食費の費用負担に関する調査項目では、無償化していない自治体が73%、一部無償化または補助している自治体が24%、全額無償化をしている自治体が3%でした。また、学校給食費の会計区分及び徴収・管理業務の主体についての調査項目では、学校が行っている自治体が76%、自治体が行っているケースが24%でした。
次に、学校給食費の費用負担及び徴収・管理業務について、本市の状況と今後の考え方についてですけれども、まず費用負担につきましては、学校給食法では、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費などは設置者の負担、食材費である学校給食費は保護者の負担とされております。このため本市では、保護者の負担とさせていただいております。
次に、徴収・管理業務につきましては、現在、本市では、食材費は児童生徒個人に直接または間接的に還元されるもので、校長が保護者から預かる学校預かり金として取り扱っており、その徴収管理業務は各学校が行っております。このような中、学校現場では、未納対策等が負担であるなどの課題を抱えております。
また、他の自治体では、学校給食費の公平性の確保や教職員の負担軽減などの観点から、徴収・管理業務の主体について見直しを行っている事例も見受けられるほか、議員御指摘のとおり、平成30年度には文部科学省が徴収・管理業務に関するガイドラインの作成を予定しております。
学校給食費の徴収・管理業務につきましては、このような状況を踏まえ、今後も他都市の状況の調査を行い、国の動向を注視し、検討してまいります。
次に、ICTを活用した取り組みについてです。
教職員への研修、サポート体制についてですが、本市では、どの子にもわかりやすい授業、子供同士が学び合う授業、学校内外のさまざまな人々とつながる授業を実現するため、ICT機器を活用した授業に取り組んでおります。
平成28年度末までに全校に大型モニターやタブレットパソコン等を整備したところであり、整備にあわせICT機器の有効活用のための研修やサポート体制を整えております。
ICTの活用研修としましては、教育センターでは、初任者教員に向けた、授業の実践例を学ぶ研修や、より効果的な活用方法を身につける専門研修を実施しております。また、英語などの教科ごとにも、ICTを活用した授業づくりの研修が行われています。さらに各学校では、情報教育担当者を中心とした校内ICT研修を実施しており、教員の指導力向上に努めております。
教職員へのサポート体制としましては、校内ICT研修に教育委員会の指導主事が参加し、指導、助言を行うほか、各学校の要請に応じてICT支援員を派遣するなど、支援体制を整えております。
次に、ICTを活用した授業内容についてですが、例えば算数の授業では、図形を大型モニターに映し出し、子供が考えた解き方に合わせて画面上の図形の位置を変えたり、回転させたり、切り取ってつないだりすることで、さまざまな考え方に触れ、みずからの考えを深めております。また、体育の授業では、タブレットパソコンを活用し、子供同士が水泳のバタ足の動きを撮影し合うことで、お互いの課題を発見し、技能の向上に役立てる学び合いなどを行っております。さらに本市では、英語の本文を音読する機能や、社会科の資料をアニメーションや動画で再生する機能などを持つデジタル教科書を使用した授業にも積極的に取り組んでおります。
ICT実証研究校の調査結果によりますと、わからないことを友達と教え合うときコンピューターは役に立つと思いますかとの設問に、役に立つと答えた生徒の割合は、平成27年度の69.2%から28年度は83%と伸びており、ICT活用の成果が出ていると考えております。
最後に、学校間交流や国際交流等はどのようにICTを使って進めているかについてですが、本市では、メールやスカイプ、コラボノートなどを使って、人とつながる授業に取り組み、地域社会や世界で活躍するグローカル人材の育成を目指しております。
本日配布いたしましたお手元の資料をごらんください。
今申し上げたスカイプとは、資料上段にありますように、離れている相手とテレビ電話でリアルタイムで交流できる機能を持つソフトウエアです。コラボノートとは、資料下段のように、ノートをネット上で共有し、同時に複数の人が文字や画像、動画などを入力することができるソフトウエアでございます。平成28年度に、全小中学校で活用できるように整備を行ったところです。
学校間交流の取り組みとしては、例えば美和中学校区の4校では、小中一貫教育の取り組みの1つとして、コラボノートを使い、小学校6年生が中学校へ入学する前に中学の生活や部活動について質問し、中学生がそれに答えたりするなどの交流活動を計画しております。今後も、コラボノートの活用を全校に広め、小中一貫教育の交流に役立ててまいります。
国際交流の具体的な取り組みとしては、スカイプやコラボノートを活用して、お互いの国の文化についての理解を深める活動を行っております。
今後とも引き続き、ICT機器の効果的な活用により、グローカル人材の育成に努めてまいります。
28 ◯教育統括監(望月敬剛君) いじめ相談の取り組みについて、2点お答えいたします。
まず、国のいじめ防止基本方針の改定を受けての取り組みについてですが、国は平成29年3月に、いじめ発生に気づく力を高めることや、いじめに組織で対応することなどを重点に基本方針の改定を行いました。
本市では、静岡市いじめ防止等のための基本方針を7月に改定いたしました。市の改定では、次の3点を特に重点として捉え、基本目標に掲げております。1点目は、自分を大切にし、友達をも大切にできる子供の育成によるいじめの未然防止です。2点目は、子供のサインを敏感に受けとめる早期発見です。3点目は、子供の心身の安全確保を最優先し、組織的に対応する適切な対処です。
この市の基本方針に沿って、各学校におきましては、これまでの学校の取り組みや、子供の実態に即した独自の学校いじめ防止基本方針を年度内に作成いたします。完成した基本方針は、平成30年4月に各学校が保護者へ説明するとともに、学校のホームページで公表する予定としております。
次に、学校現場におけるいじめの状況とその対応でございます。
本市において、いじめがあったと判断される件数は、いじめ防止対策推進法が制定された平成25年度と比較しますと、28年度は約3割増加しております。これは、教員が児童生徒に寄り添って、よりきめ細かく対応を図ったことが要因の1つと捉えております。
日常の学校生活における具体的な対応といたしましては、これまで各学校が取り組んできた静岡版道徳教育を一層充実させ、人権にかかわる現代的な課題にも積極的に向き合い、いじめの未然防止に努めております。
また、いじめの早期発見では、一人一人の児童生徒の悩みを捉えるために、各学校では、悩み事調査を年3回実施するなどしております。いじめが発見された場合は、学級担任がひとりで抱えることなく、速やかに校内いじめ対策組織へ報告し、解決に向けて組織的に取り組みます。その際は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも加わり、児童生徒の心のケアや保護者との連携を図っております。さらに、警察や児童相談所、子ども若者相談センターなどの関係機関とも綿密に連携をしています。
教育委員会といたしましても、各学校からの相談体制の整備や関係機関との一層の連携など、いじめの根絶に向けて対応の強化を図ってまいります。
29 ◯子ども未来局長(石野弘康君) いじめ相談の取り組みに関する2点の御質問にお答えします。
まず、子ども若者相談センターにおける相談状況についてですが、いじめ問題に悩む子供や保護者などからの相談に応じ、問題の解決や不安の解消を図り、子供たちが安心して学習や生活ができるよう支援するため、面接相談のほか、平成19年1月より静岡市24時間いじめ電話相談を実施しています。いじめ電話相談は、年間を通じて24時間受け付けており、相談に当たっては、臨床心理士などの有資格者や、教職あるいは相談業務の経験が豊富なスタッフが対応しており、相談者の言葉にじっくりと耳を傾け、そのつらさや苦しい思いに寄り添い、まずは気持ちを落ちつけることを心がけております。
電話相談の内訳ですが、平成28年度に受け付けした677件のうち、いじめを主訴とする相談は175件で、平成25年度と比較すると28年度は約3割増加しています。主な相談者は、小学生から高校生までの当事者がおよそ6割となっています。学校生活や友人関係、家庭環境などの相談もあり、いじめに限らず子供のSOSを受けとめる窓口として、問題が大きくなる前の未然防止の役割も担っていると考えております。
次に、子ども若者相談センターにおけるいじめ相談について、どのように充実を図っているかですが、まず周知については、ホームページやリーフレットで広報するほか、子供がいじめで困ったときにいつでも相談できることを知らせるため、いじめ電話相談の電話番号を表記したカードを毎年、市内の全ての小学生、中学生及び高校生に配布しており、ことしは、ペンケースにおさめられる形状に工夫しました。
次に、関係機関との連携についてですが、緊急時には、所属校や教育委員会、児童相談所、警察などと連携し、速やかに対応できるよう体制を整えています。また、相談内容によっては、専門機関と連携した支援が必要なケースもあるため、保健、福祉、医療、教育、警察などを含めた15の関係機関で構成する静岡市子ども・若者支援地域協議会において情報共有や事例検討を行うなどして、相談体制の強化を図っております。
今後も、国の動向や他都市の取り組みにも注視しながら、学校や教育委員会との連携強化を図ることにより、いじめで悩む子供たちが相談しやすい環境に向けて、さらなる充実に努めてまいります。
〔2番加藤博男君登壇〕
30 ◯2番(加藤博男君) 各局より前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
続いて、全体を通じて意見・要望をさせていただきます。
まず、物流攻略拠点に係る意見・要望でございますが、これまで多くの議員の皆様が質問されている南北軸の道路であります。物流ど真ん中をさらに強化するためには必要な道路であり、現在の南北軸の1つである県道74号の長沼大橋は、依然として渋滞が発生しており、橋自体も老朽化しております。熊本地震の際には、橋梁が倒れ、交通が分断され、大きな問題となりました。こうした教訓を生かし、長寿命化に向けた取り組みを、国土交通省との連携をさらに強化していただき、橋梁の調査を現在行っているとのことでございますので、調査の検証を早期に行い、長寿命化対策とあわせて、南北軸の基幹となる道路の事業化推進を要望いたします。
続いて、学びの環境についての意見・要望をさせていただきます。
今月、文科省より、給食費無償化の論議を深める契機として全国調査が始まりました。この全国調査は、子供の貧困対策の観点から、給食費の補助制度を設ける自治体や無償化に踏み切る事例も踏まえ、実施自治体の制度の仕組みや効果、子供たちへの影響を調査分析するよう求めた初の全国調査であります。目下、本調査は各自治体にて調査段階ではありますが、教職員が、徴収にかかわる業務を気にせず、生徒児童に対し正面から食育にかかわっていただける環境をつくることにつながると考えますので、まずは私会計から公会計への実施、さらには、その他教材費等も含め、全体的な徴収行為が学校現場の負担とならない取り組みもあわせて要望いたします。
また、学校給食費無償化は、人口減少対策として、子育て世代の移住、定住につながるといった効果も期待されることから、引き続き、国、県、他市の動向を注視し、未来の静岡を担う子供たちへの投資として、給食費の無償化を前向きに検討いただくよう要望いたします。
続いて、いじめ相談の取り組みについてです。
本年5月に千葉県柏市では、いじめ相談が電話ではできない子供に対するセーフティーネットの1つとして、SNS、すなわちソーシャル・ネットワーキング・サービスを通じたいじめ相談体制を構築し、いじめの早期発見や抑制効果につながっている事例がございます。このアプリは、傍観者が匿名で通報できるシステムで、アメリカでは既に約6,000校、約300万人が利用しているとのことでございます。SNSを使ったいじめ通報システムを導入しているある学校長は、いじめは早期発見が大事だ、通報は匿名なので、周りで見ている子供も声を上げてくれることを期待していると話しており、いじめを見ている傍観者が脱傍観者になっていくことが、いじめを防止していくために必要不可欠であります。
今後、本市においても、SNSを使ったいじめ相談及びいじめを許容しない集団の雰囲気をつくっていく事業の導入を検討いただきますよう要望いたします。
最後に、ICTの活用についてでありますが、教える側の支援として、きめ細かい教員研修の実施や……
31 ◯議長(井上恒弥君) あと1分です。
32 ◯2番(加藤博男君)(続) 専門知識を持った支援員の配置を充実するよう要望し、私からの意見・要望を終わらせていただきます。ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
33 ◯議長(井上恒弥君) 次に、尾崎剛司君。
〔31番尾崎剛司君登壇〕
34 ◯31番(尾崎剛司君) それでは、通告に従いまして総括質問をさせていただきます。
質問内容は、大きく分けまして2点、分煙の推進についてと都市公園についてです。
ちょうど1年前の9月議会で、路上喫煙被害等防止条例について質問させていただきました。その際に、3次総において、「あらゆる人々が多様性を尊重し共に暮らすまち、共生都市の実現を目指していることから、路上喫煙対策においても、たばこを吸わない人も吸う人もお互いの権利を尊重し、ともに快適に過ごすことのできる公共空間の確保を図ることに努めて」いるとの答弁がありました。
私は、たばこを吸う側ですが、マナーは守っていきたいと思っていますし、子供を初め、吸わない人への受動喫煙対策などは積極的に行うべきだと思っております。もっと言えば、さきの6月議会で示された、たばこをやめたいと思っている人などに対する禁煙施策についても理解するところです。ただ、同時に、意思を持ってたばこを吸っている人も尊重されるよう、3次総で掲げる共生都市の実現をしっかりと目指してほしいという思いがあります。
今回は、たばこを吸わない人も吸う人も快適に過ごすことのできる公共空間を確保すべく、分煙の推進というテーマで質問させていただこうと思います。
まず、路上での分煙についてです。
御承知のとおり、2020年の東京オリンピックを控え、IOC、国際オリンピック委員会やWHOなどから受動喫煙対策を求められております。受動喫煙という言葉は屋内を前提としておりますので、簡単に言えば、屋内禁煙が求められております。
しかし、日本の場合、本市もそうですが、屋外、路上から規制が始まっているため、資料を用意したのでごらんいただきたいのですが、完全に屋内を禁煙にした場合、どこにも吸う場所がないという状況が想定されるわけです。海外のように、屋外ならどこでも吸ってよい、そのかわり屋内は禁煙ですよというのは確かにわかりやすいです。ただ、屋外だからといって、歩きたばこも認めているような海外の環境もいかがなものかと、今の感覚からは思うわけです。
受動喫煙という言葉の定義は、屋内の逃げ場のない環境を前提としていますが、屋外でもたばこの煙を吸いたくないという人への配慮は必要でしょうし、本市が、たばこの火に重点を置いて、やけどなどの被害を防止しようとする考えは、海外に対し誇っていいのではないかと思っています。
本市の喫煙者のマナー向上を目的とした路上喫煙被害等防止条例の効果は大きかったわけですが、そうした屋外禁煙からスタートしている日本の特殊事情のようなものを無視して、日本は国際的におくれている、屋内禁煙をただ導入すればいいという考え方には違和感を持っておりまして、これまでの自治体の取り組みと国際的な要請をどう両立していくかが問われていると感じております。
こうした状況の中で、資料にお示しした報道によりますと、国では、受動喫煙対策として、屋外の公共喫煙所を設置する市区町村に対して財政支援をする方針を固めたとあります。
前回、まちなかの禁止地区における喫煙所設置について質問しました。答弁では、人が多く集まり行き交う中心市街地の歩道といった限られた場所へ喫煙所を設置することは、たばこの煙による被害のおそれがあることなどから非常に難しいという考えが示されました。
そこで今回、こうした国の動向も踏まえますと、例えば、昔、御幸通り沿いの電ビルに喫煙スペースがありました。主体は民間でも行政でも構いませんが、禁止地区に面する民間施設内への喫煙所設置についてどのように考えるか、お聞きしたいと思います。
あわせて、前回の答弁では、新型たばこ、今後は加熱式たばことなるべく言うようにしていきますが、これは条例の規制の対象外だということが示されました。また、加熱式たばこの普及や、健康に与える影響の動向などを踏まえて、まちなかでの喫煙所について調査研究するという答弁がありました。要は、従来のたばこと加熱式たばこを分けた考えを示したものだと思います。
そこで、まちなかの路上において懸念される、煙による被害のない加熱式たばこ専用の喫煙所を試験的に設置してみてはどうかと考えますが、当局の見解をお聞きしたいと思います。
次に、市たばこ税についてです。
今回は決算議会ですが、28年度の本市の市たばこ税の税収は45億円となっております。今、たばこ1箱で幾らか、皆さんは御存じでしょうか。昔、たばこを吸っていた方は驚くと思いますが、410円から470円ぐらいです。430円のたばこを例にその内訳を見ますと、半分以上の64%、276円が税金です。市の税収となる市たばこ税は、430円のうちの24%、105円です。たばこを1箱買うと、静岡市に105円税金を納めることになります。
私は、冒頭申し上げましたが、健康への影響を心配したり、医者からとめられたり、いろいろ理由はあるかと思いますが、たばこをやめたいと思っている人に対して、禁煙のための施策を市として講じるのは否定しません。必要だろうと思います。また、発達段階の子供に対して、その悪影響を教えることも大事だと思います。
ただ、そうした一方で、違法性があるわけでもなく、国が認めて売っているたばこを意思を持って吸っている成人に対して、たばこ税を払っている人に対して、市として知らん顔をしているのもまた違うだろうと思うわけです。
ほかの多くの自治体では、こんな呼びかけがよくあります。たばこ税は、国並びに小売店のある市町村や県の収入となり、地域の発展に役立てられます。たばこは○○市内で買いましょう。こうしたPRがホームページやポスターで行われております。また、ほかの市では、たばこは市内で買うようお願いいたしますと、非常に丁寧な言い回しの自治体のホームページもあります。こうした取り組みが本市は足りていないのではないかと感じているところです。
そこで、市たばこ税は市の財源として重要と考えるがどうか。貴重な財源である市たばこ税の安定した確保策についてどのように考えるか、お聞きしたいと思います。
次に、大項目の2、都市公園についてです。
まず、機能向上に向けてですが、これまで平成22年と24年の過去2度、本会議におきまして、都市公園内への集会所の設置というテーマで質問をしました。3期以上の方には繰り返しになりますが、当時とは議会の構成も変わっておりますし、少しお時間を頂戴して、これまでの経過を振り返ってみたいと思います。
初めて本会議で扱ったのが平成22年の9月議会ですから、今からちょうど7年前になります。ただ、実際に取り組み出したのは平成17年からです。公園に集会所をつくれないかという相談といいますか、市民からの要望を受けたのがスタートでして、当時、担当部局に話を持っていった際、法的にできないと一蹴されたのをよく覚えています。その後、公園の指定を集会所の用地分だけ外すことはできないかなど、さまざま模索しては諦めかける中で、ほかの県の市会議員から、うちの市では公園に地域の集会所があるという話を聞きまして、そこから一気に動き出したのを覚えています。当局も本当に知らなかったわけですが、政令市の調査をかけると、5市で実施していることがわかりまして、そのうちの4市、政務活動費を使わせていただいて調査し、満を持して、平成22年9月議会で質問をさせていただきました。
市民部局からは、集会所建設用地の確保について、市街地では空き地が少ないこと、購入に際しての価格が多額になることが課題だという答弁があり、福祉部局からは、S型デイサービス事業の9割が地域集会所を使って行われており、年々高齢者が増加している中、より身近で事業規模に適した地域集会所があれば、さらに事業拡大が図れるという答弁もありました。
こうした答弁を踏まえまして、もし都市公園、街区公園の中に地域集会所をつくることができるならば、用地確保の問題の解決につながるだけでなく、都市公園の質的な機能の向上につながるということ、自主防災の拠点としても、地域コミュニティの充実を図るためにも非常に有効ではないかということ。静岡市として、地域の実情や課題にどう取り組むのか、まさにどういうまちづくりを目指していくのかという中で、公園への地域集会所設置について前向きに研究していただけないかと質問を行いました。
当時の小嶋市長の答弁を抜粋しますと、「市街地では宅地化が進み、適当な用地が見つからないことや、土地が高額であることなどから、用地確保が非常に困難であり、近年、公園等への設置希望がふえてきたと認識しております。
自治会は、地域住民の安全や生活環境の向上、高齢者を初めとする福祉の取り組みなど、コミュニティーの向上に向けた各種の地域活動に取り組まれておりまして、活動の場としての公園を活用することは、公園の機能の向上や整備、管理への住民参加の促進、地域の活性化、自然や環境保護に対する意識の向上などの効果も期待されるものと思います。このことから、地域集会所の設置により、公園の役割や公平性が損なわれることがなく、維持管理上の効果が認められる場合などの判断について、今後研究していきたいと考えております」という答弁がありました。この答弁によりまして、正式に市が動き出してくれたわけです。
そして、田辺市長になられた後の平成24年の2月議会、その後の研究状況について再度質問させていただきました。市民部局からは、自治会へのアンケート調査の結果とともに、「市所有地を」、つまり公園ですけれども、公園を「建設用地として活用したいとの要望も伺っておりますが、所管部署の了承、許可が得られる状況になれば、積極的に助成を行ってまいります」という答弁がありました。市民部局とすれば、うちは準備万端だと、あとは公園を管理する都市局次第だということです。
そこで当時の都市局長の答弁です。これまでオープンスペースの確保に努めてきたという話の後に、「しかしながら、地域コミュニティの活性化、にぎわいづくりなど、まちづくりの課題は多様化する中、公園もできれば多くの機能を果たしてほしいという要請も高まっております。
議員御指摘の、地域コミュニティの活動拠点である集会所を公園に設けることについては、公園が地域に愛されるものとするためにも大切と考えます。
本市の公園がまだまだ不足している中で、公園はふやしていく必要があります。公園は、市民の皆さんの誰もが公平に利用できなければなりません。また、公園の維持管理費はできるだけ少なくしなければなりません。こういったさまざまな課題、問題に対応するため、今後の公園のあり方として、地域の皆さんと公園管理者が連携した住民主体の新たな公園管理制度の導入も視野に入れ、現在、具体的に検討を進めているところであります。引き続き、スピード感を持ってこの制度の実現に取り組んでまいります」。
22年当時の研究するという答弁から、24年の段階では、制度実現に向けて、スピード感を持って取り組んでいくということでした。その後、平場で、状況はどうですかと聞くと、あと一歩ですとか、今年度まとめて、来年度には実現とか、いろいろ苦心されているのだろうと温かく見守ってきたわけです。
ただ、この間に、今回のヒアリングを通じて知りましたが、19政令市のうち5市しか認めていなかったこの制度も、現在では18市が既に導入しているということでした。この質問をした当時、多くの議員から反響をいただきました。公園に設置できるとは知らなかった、大いに進めてほしいという意見もあれば、うちは借金して土地も買ったし納得できないという声もいただきました。そういう方には、自治会の資産となるわけですから、仮に土地を売り払えばお金は戻るわけですしと、他都市で聞いた話をするわけですが、それでも、公園に建てるという選択肢がなかったことや、利子の負担などを考えましても、自前で土地を用意した自治会との不公平感に対して、自治会や市民を代表する議会にも、しっかりとした説明が求められることは言うまでもありません。
そこでお聞きしますが、こうした不公平感や不特定多数の利用といった課題解決も含め、制度実現に向けたこれまでの取り組み状況はどうなっているか、お聞きしたいと思います。
次に、公園へのカフェの設置についてです。
平成22~23年ごろだと記憶していますが、当局から、城北公園にカフェを設置したイメージ写真が示されて、カフェなどの飲食できる施設を公園に設置していきたい旨の説明が議員に対してありました。ただの空地、オープンスペースとしての公園ではなく、憩いの場、にぎわいの場として公園の機能を向上させるいい取り組みだと感じ、大いに期待をしていたわけです。
近隣では、藤枝市で一昨年に、蓮花寺池公園にスターバックスが設置されたのは記憶に新しいですが、地元の食材が味わえる公園カフェというのが実施されていたり、富士市でも今まさに、中央公園に軽飲食店出店者の公募を行っているのを確認しました。
そこで、公園内へのカフェ等の飲食できる施設設置に向けた取り組み状況についてお聞きしたいと思います。
最後に、公園への自主防災倉庫の設置についてです。
平成23年の東日本大震災を機に、市民の防災意識が向上し、自治会が主体となる自主防災組織において、市の補助制度の後押しもある中で、防災資機材の整備が進んでいると承知しております。
そうした防災資機材を保管する防災倉庫の設置場所として公園が利用されることが多いわけですが、現状、1自治会につき原則1個、10平米以内という制限で運用がなされております。都市公園法運用指針によりますと、備蓄倉庫等の災害応急対策に必要な施設については、建蔽率10%を限度に設置できるとあります。もともと2%だった基準が10%に広げられております。半径250メートルくらいの人に利用してもらうことを想定している、市民に身近な街区公園は、面積0.25ヘクタール、2,500平米が標準です。防災倉庫などの公園施設とされるものの建蔽率が10%ということだと、250平米まで認められることになります。現在の1自治会10平米以内という原則は適当なのだろうかと感じているところです。
もちろん、1つの公園に対して複数の自治会が利用している実態があることも承知しておりますし、一定の制限を設けることを否定するわけでもありません。ただ、憩いの場としての機能を維持する中で、自主防災組織が、必要な防災資機材、防災倉庫の設置に苦慮している状況があるならば、そうした地域の実情に配慮する必要もあるだろうと感じているところです。
そこで、都市公園への自主防災倉庫の設置要望に対してどのように対応していくかをお聞きしまして、1回目の質問を終わります。
35 ◯副市長(美濃部雄人君) 私からは、1回目の質問の後半、都市公園についてお答えいたします。
まず、集会所設置許可制度における課題解決の状況についてでございます。
この問題につきましての議員の長年の活動について、深く敬意を表するところでございます。
本市の3次総に掲げる6つの都市像の実現に向け、議員の質問の中でもありましたとおり、地域コミュニティ、レクリエーション、防災など多面的な機能を発揮する都市公園は、市民に必要不可欠な都市施設として積極的な整備に取り組んでおります。
また、都市公園の量的な充足を目指すだけでなく、公園ストックの機能や立地などのポテンシャルを最大限発揮するよう、利用者の目線に立った、公園を使う、生かすという、親しみやすく身近に感じられる公園の管理運営を目指しているところです。
特に、高齢化の進む市街地では、児童の遊具を中心に整備された公園で、利用者の減少による管理上の問題や、変化するニーズに十分対応できていないといった課題が見受けられます。
本市としては、公園に限らず、公共施設が最大限に市民の福祉増進に役立つよう、戦略的にアセットマネジメントを進めております。
このような中、かねて議員より御提案されている、都市公園における集会所やカフェ等の設置は、公園利用者の利便性の向上に寄与し、都市公園の機能を高めるもので、特に自治会等による公園集会所の設置は、地域の活動拠点の確保ができ、地域コミュニティの充実につながるものと考え、公園集会所設置許可制度の検討に着手してまいりました。
検討の中で、公園集会所は、これまでの地域の集会所と機能が重複する面もあり、みずからの負担で建設用地を取得した自治会等との不公平感の解消が課題となりました。
また、公園集会所は、公園施設として誰もが自由に利用できることが要件ですが、自治会等が設置することで利用に制限が加わるおそれがあるため、誰もが自由にできることをどのように担保するかについても課題となりました。
課題解決に当たり、不公平感の解消については、一定時間の集会所管理人の常駐を設置者に求めるということで解決しようと考えております。
次に、利用の確保については、公園集会所内に、利用者全般に開放する空間を設け、利用者の誰もが楽しめる、都市公園の機能を増進するような運営提案を設置者に求めることを考えております。
これらは、要綱として基準を明確に定めることが必要でありますので、これまで関係局の間で調整に努めてまいりました。
また、本年3月には、本市の取り組みを後押しするように、自治会等による地域の集会所が、都市公園の効用を全うするものと認められる場合には設置を認める旨の通知が国土交通省からありました。現在、公園集会所設置許可制度を運営するための要綱案がまとまったところでございますので、今後、速やかに関係者との調整を進めてまいります。
続きまして、カフェ等の施設設置に向けた取り組みについてお答えいたします。
国は、民間活力を最大限生かし、公園の整備、管理運営を効率的に推進し、魅力的なまちづくりを実現する方策として、都市公園法等の改正により、公園経営の民間事業者の参画意欲の拡大を図っております。
本市におきましても、公園にカフェ等の設置を望む市民ニーズを把握し、平成28年度より駿府城公園で、キッチンカーによる軽飲食物を販売する青空カフェを展開中で、来園者、出店者双方から好評をいただいているところです。さらに本年は、駿府城公園への本格的な飲食施設等の民間活力導入による設置を目的に、事業者が出店するための条件等の聞き取り調査を行い、一般公募に向けた取り組みを進めてまいります。
今後は、城北公園を初めとするほかの大規模公園につきましても、公園利用者に、より快適に過ごしていただけるよう、カフェ等の飲食施設の導入を図ってまいります。
36 ◯都市局長(大滝茂雄君) 都市公園への自主防災倉庫の設置要望に対してどのように対応していくのかについてでございますが、自主防災倉庫は、市民の自助・共助の取り組みを積極的に促進し、公園機能を高めるための防災施設の1つとして必要性が高いものと考えており、議員から御指摘がありましたとおり、都市公園条例においては、建蔽率10%を上限として設置を許可することができます。
一方、倉庫の死角などによる防犯上の問題や景観的な配慮を求める声もあることから、許可に当たっては、自主防災組織の規模や活動内容、設置される公園の面積など、地域の実情を考慮し、都市公園の機能を損なわない範囲で、今後も弾力的に設置を許可するとともに、広く市民の皆さんへ周知してまいります。
37 ◯市民局長(豊後知里君) 路上での分煙についての2点の質問にお答えします。
まず、禁止地区に面する民間施設内への喫煙所設置の考え方ですが、本市路上喫煙による被害等の防止に関する条例に基づく喫煙所は、市内7カ所の路上喫煙禁止地区のうち、静岡駅の北口広場、南口広場及び清水駅東口広場の3カ所にあり、いずれも、たばこを吸わない方が煙の被害に遭わないように、喫煙所のそばを通行しなくても済む場所に設置してあります。
一方、呉服町通りや七間町通りなど中心市街地の歩道では、たばこを吸わない方がたばこの煙を気にすることなく通行できる場所の確保が難しいため、喫煙所を設置しておりません。このため、喫煙所の設置が難しいこれらの通りから外れた周辺における路上喫煙被害防止対策としても、民間施設内を利用した喫煙所の設置は、たばこを吸わない人、吸う人の双方にとって有効であると考えております。
まずは、事業者の協力を得て、既存の民間喫煙所も含めて、その利用を促す喫煙所マップの作成など、路上喫煙による被害防止策についてさらに検討した上で、新たに民間施設内への喫煙所設置についても調査研究してまいります。
次に、まちなかへの加熱式たばこ専用の喫煙所の設置についてですが、火を使わない加熱式たばこの普及は、本市条例に規定する、身体、財産への被害の防止には有効であると考えております。
しかしながら、他人の身体や財産に加え、本市条例が被害防止の対象とする他人の健康への影響に関しては、国等の研究も含め十分な知見が得られていないことから、現時点では、加熱式たばこ専用の喫煙所を設置することは考えておりません。
引き続き、加熱式たばこが与える健康への影響を注視しながら、路上における喫煙所のあり方を調査研究してまいります。
38 ◯財政局長(平沢克俊君) 市の財源としての市たばこ税についてですが、平成28年度決算における市税収入約1,260億円のうち、喫煙者の皆様に御負担いただいている市たばこ税は約45億円となっています。直近5年では45億円から50億円程度の、これは毎年ですけれども、安定した収入となっており、貴重な財源と考えております。また、その使途については、一般財源として市政全般に幅広く活用をさせていただいております。
市たばこ税の安定した確保策についてですが、議員には常日ごろ率先垂範していただいているかと存じますが、静岡市内でたばこを購入しますと、御負担いただく市たばこ税は市の収入となります。したがいまして、市たばこ税の安定確保につなげるため、市たばこ税の収入額の状況や使途とともに、市内でのたばこの購入について、今後、ホームページ等で周知を図ってまいります。
〔31番尾崎剛司君登壇〕
39 ◯31番(尾崎剛司君) 御答弁拝聴しました。
分煙についての2回目、中項目3の市として分煙をどう推進するかについてです。
もうあと5日後となるのですが、10月2日から、ブリティッシュ・アメリカン・タバコというメーカーから、グローという新しい加熱式たばこが本市でも発売されます。これにより、紙巻きたばこから加熱式たばこへの切りかえがさらに進むのではないかと言われているところです。
9月14日付の朝日新聞ですが、受動喫煙対策がなかなか進まない中で出てきた新商品、加熱式たばこをどう見ればいいのかという記事がありました。その中で、日本禁煙推進医師歯科医師連盟会長を務めた方の意見として、公衆衛生の分野には、ハーム・リダクション、害の低減という考え方があると示されておりました。より害の少ない加熱式たばこへの移行を社会的に容認していく。喫煙者やその周囲の人のことを考えて、加熱式たばこの普及を妨げるべきではないという趣旨の意見が紹介されておりました。
そこでまずお聞きしたいのですが、加熱式たばこは紙巻きたばこに比べ有害物質の量が低減され、受動喫煙の防止に有効であると思いますが、健康の面からどのように考えているか、お聞きしたいと思います。
次に、市内における分煙環境の整備についてです。
資料の新聞記事の最後のほうに示されているとおり、国では、飲食店での受動喫煙対策として、喫煙所や換気装置の設置費などを半額助成する助成金制度の予算を大幅に増額する方向のようです。また、東京都では、こうした国の助成制度とは別に、補助率5分の4の分煙環境整備補助金を設けております。この担当部局は観光部となっておりまして、外国人旅行者の受け入れに取り組む宿泊・飲食施設の分煙を支援するものとなっております。
本市では、路上での喫煙を禁止していることもあり、独自の取り組みも検討してはどうかと思うところです。
そこで、国の動向も踏まえ、市内における屋内分煙の推進をどのように図っていくのか。飲食店等の民間施設内への喫煙所設置のための助成制度を創設する考えはないか、お聞きしたいと思います。
次に、都市公園についてです。
答弁では、これまでの研究状況が示され、管理人の常駐など、不公平感の解消についての説明があり、要綱案がまとまったところだという答弁でした。
そこで、これまでの答弁をもとに、もう少し踏み込んでお聞きしたいと思います。
まず、公園の維持管理費がかかっているという課題に対し、公園管理への住民参加の促進、住民主体の管理制度の導入を検討されていたと思いますが、具体的にどのようなものになるのか、お聞きしたいと思います。
また、関連して、委員会での答弁では、静岡市型というような話もありました。独自の視点がどのようなものになるのか、お聞きしたいと思います。
これまで、私がこの制度を導入してもらいたいという前提として、集会所を持っていないこと、適地がない、確保できないという事情を考慮する中で、公園への設置を求めた経緯があります。しかし、公園の機能の増進につながるのであれば認めるということですと、現在集会所を所有している上で、さらにもう一軒を公園に設置するというケースでも認めるのかという心配があります。
お手元の資料をごらんいただきたいのですが、7割助成を受けるほとんどが、現在の集会所の改築や2棟目以降の建設に使われていることがわかります。市全体からすれば、まだまだ集会所を持てていない自治会があります。また、この資料では、複数の自治会で集会所を共有している場合も、保有しているとカウントされておりますので、ほかの町内に間借りしている自治会は、自前で集会所を持ちたいということもあるだろうと思います。
そこで、自治会等が2軒目を公園に新築することについてどのように考えるか、お聞きしたいと思います。
最後の質問です。
この質問を初めて行ったとき、先ほども言いましたが、反響も大きかったですし、質問しているさなかの議場の野次がすごかったのを記憶しております。質問が終わってからも、会派に関係なく、賛成という意見もあれば、反対だという意見もありました。新しい制度の導入は、これまでの方針の大きな転換になるわけでして、自治会への説明、理解を求めることや、市民を代表する議会にも同じですが、丁寧な対応が必要だと考えます。要綱施行に向けた今後の進め方について、お聞きしまして、2回目の質問を終わります。
40
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 分煙の推進に関する3点の御質問にお答えします。
まず、加熱式たばこを健康面からどのように考えるかですが、加熱式たばこは、火を使わずにニコチンを発生させ吸引するものです。専用の機器を用いてたばこの葉を熱して、発生した水蒸気を吸うため、たばこの葉を燃やす従来の紙巻きたばこと比較して、タールなど有害な化学物質の量は低減されています。
しかし、加熱式たばこの水蒸気の中には、紙巻きたばこと同様にニコチンが含まれているため、依存症になるおそれはあります。また、ホルムアルデヒド等の発がん物質が含まれているという研究結果もございます。
現状では、加熱式たばこについては、喫煙及び受動喫煙による健康への影響について十分な知見が得られていないことから、今後とも国等の研究結果の動向に注目し、情報を収集してまいります。
次に、屋内の分煙の推進についてですが、現在、国においては、健康増進法を改正し、屋内原則禁煙など受動喫煙防止対策を強化しようとしています。そうした中、健康長寿のまちづくりを推進する本市としましても、健康寿命の延伸のため、禁煙や受動喫煙防止対策を推進しております。
本日は、皆様のお手元にチラシを配布しておりますので、ごらんください。こちらの飲食店経営の皆様へと題したチラシでございます。国などの調査によりますと、お客様は、吸わない人が多数派であり、たばこを吸う人も、他人のたばこの煙は嫌いであるといった結果が出ております。本市では、このような受動喫煙防止対策を促進するチラシを市内の飲食店に配布し、啓発を行っております。
次に、喫煙所設置のための助成制度の創設についてですが、国は、民間事業所の従業員の健康被害を防止するため、受動喫煙防止対策助成金制度を整備し、受動喫煙防止対策を進めています。この制度は、都道府県労働局が窓口となり、飲食店を初めとする民間事業者の従業員の健康を守るため、一定の要件を満たす喫煙所の設置や受動喫煙を防止するための換気設備の設置などを民間事業者が行う場合、必要な経費について、その半分を助成するものです。
本市としましては、独自の助成は考えておりませんが、今後も、飲食店を含めた民間事業者に対し、こうした国の制度についての情報提供を積極的に行ってまいります。
41 ◯都市局長(大滝茂雄君) 集会所設置の素案についての4つの御質問にお答えいたします。
初めに、住民主体の管理制度についてですが、公園管理の考え方は、従来の行政主体の公園を適正に管理するというものから、利用者や住民の目線に立った、公園をどう使うか、生かすかにシフトしております。
公園集会所設置許可制度は、官民連携の1つとして、自治会など地域住民が主体となり、自由な発想で公園をより柔軟に活用していただくためのものです。維持管理においても、地域の皆さんが公園愛護会と連携し、公園集会所のみならず、公園全体の管理に参画していただくこととしております。本制度における公園集会所は、3次総に掲げる、住民自治によるシチズンシップの発揮の場として、地域コミュニティの充実に寄与するものと考えております。
次に、静岡市独自の視点についてですが、本市における公園集会所設置許可制度は、単に地域住民による公園集会所の運営にとどまらず、5大構想に掲げる、健康長寿のまちの推進や、教育・文化の拠点づくりの視点に立った活用を目指すところに、本市としての特色があります。
例えば、高齢者の健康維持促進に寄与するS型デイサービスのような地域の通いの場としての活用や、趣味などの発表、教室を行う生涯学習や、子供を対象にした寺子屋のような活用などが想定されます。また、豪雨災害や地震の多い本市では、防災機能の充実を図る上で、自主防災倉庫とともに、災害時に雨風をしのげる防災ハウスとしての活用も想定されます。
このように、地域住民みずからが公園集会所を核に公園を運営することにより、地域コミュニティの充実や安全・安心なまちづくりの推進が図られるものと考えております。
続きまして、自治会などが2軒目を公園に新築することについてですが、公園集会所は、地域コミュニティの充実など、都市公園の機能を増進し、誰もが利用できる公園施設として、都市公園の効用を全うするものであれば設置許可の要件を満たすものと考えております。
しかし、別の場所に地域の集会所を持つ自治会などが新たに公園集会所を設置することは、機能の重複や設置効果の妥当性を考慮し、今後、慎重に検討する必要があると考えております。
最後になりますが、要綱施行に向けた今後の進め方についてですが、現在、公園集会所設置許可制度を運用するための要綱案がまとまりました。公園集会所設置許可制度は、市民の皆さんにとって大きな影響があるものであるため、今後は速やかに、各区の自治会連合会はもとより、議員の皆様など関係の方々に丁寧な説明を行い、御意見を伺った後、パブリックコメントを経て要綱を取りまとめ、当制度を施行してまいります。
〔31番尾崎剛司君登壇〕
42 ◯31番(尾崎剛司君) 3回目は、意見・要望とします。
まず、分煙の推進についてです。
国の受動喫煙防止対策助成金についてですが、積極的に情報提供していく旨の答弁がありました。国にも確認しましたが、喫煙室などを設置することは、従業員だけでなく、飲食店であれば、そのお客さんの受動喫煙防止にも当然役立つとの話でしたので、ぜひ情報提供をしっかりと進めていただきたいと要望します。
ある東京都議会議員のブログでは、屋内は全面禁煙にすべきだと。その一方で、屋外に屋根つき、囲いつきの喫煙所を整備していく、増設を進めていくべきだという意見がありました。
東京オリンピックを控え、国や東京都の動向には特に注視していただき、受動喫煙をどう防止していくか、吸う人、吸わない人がともに快適な公共空間をどうつくっていくのか、市として分煙をどう推進していくかについて、しっかりと体制を整備していただきたいと要望します。
次に、都市公園について。
まず、公園へのカフェ、飲食施設の設置についてです。
集会所に比べればハードルははるかに低いと思われるこの話ですが、6~7年かけて、これから公募に向けて取り組んでいきたい旨の答弁でした。ちょっと時間の流れがゆっくり過ぎないかと思わずにはいられません。いい取り組みだと思いますので、早期の実現を要望します。
次に、防災倉庫についてです。私は、多くの自治会が、公園には10平米1個だけしか設置できないと思っているのではないかと感じておりまして、答弁のとおり、弾力的な対応と言いましたか、自治会、自主防災会への周知をお願いします。
次に、集会所についてです。議員になって最初に受けた相談といいますか要望が、この集会所の話でした。取り組み始めてから12年、本会議で質問してから7年が経過しました。長かったなと思います。その相談をしてくれた方は、今はもう亡くなってしまい、気持ちに応えることはできませんでしたが、市内全域でこの制度が導入されることにより、地域コミュニティの充実、公園機能の向上につながる活用がなされることを期待してやみません。
最後に、この要綱の施行を心待ちにしている自治会があると聞いております。そうした思いに応えるべく、担当課だけでなく、関係するほかの部局も含めて、迅速かつ丁寧に取り組んでいただきたいことを強く要望いたしまして、私の全ての総括質問を終了します。ありがとうございました。
43 ◯議長(井上恒弥君) この際、暫時休憩いたします。
午後0時16分休憩
───────────────────
午後1時15分再開
44 ◯副議長(牧田博之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
次に、大石直樹君。
〔14番大石直樹君登壇〕
45 ◯14番(大石直樹君) こんにちは。
昼過ぎのまったりする時間ではありますが、お耳はこちらに向けていただき、差し迫った地域の課題について考えていきたいと思います。
通告に従いまして質問を行います。大項目は2つ。1つ目は、本市における交通政策について、2つ目は、JR清水駅東西駅前広場についてであります。6月議会総括質問でも、自民党の丹沢市議、共産党の寺尾市議と、市民の足であるバス政策や現状について質問が行われましたが、私は、少し角度を変えてお聞きしたいと思います。
質問動機は、私の育った環境にあります。核家族の中で育ちましたが、両親ともに運転免許を取得せず、我が家にマイカーはなく、幼少のころは、地域移動は専ら踏んだモーター、そう、自転車移動。父の後ろに姉、母の後ろに私が乗っていたことを思い出します。年に数回のおまちへの買い物や母の実家に帰省するときは、静鉄のボンネットバスや電車を利用する生活でありました。ですので、車掌つきのバスからワンマンになり、カード決済や南北路線変更等、時々乗るバスの変化に感謝しつつ、今でも私の大事なライフラインでもあります。
余談ですが、近所でマイカー所有は半分ほどで、うらやましいとは感じず育ちましたが、小学校高学年くらいからマイカーブームになり、所有率も上がり、近所でないのは我が家と数えるほどになり、18歳が待ち切れず、二輪車免許取得を高校時代に挑戦し、原付から自動二輪小型、中型、限定解除、そして普通自動車、大型自動車と、全て運転免許試験場で直接取得しました。父も同時に原付免許を取得し、カブを30年ほど乗り継ぎ、80歳を超えた5年ほど前、免許返納しましたが、直後に電動アシスト自転車を購入し、私の妻とサイクルシェアリングし、行動範囲は若干狭まりましたが、年相応に活動しています。
しかし、我が家の近所も高齢化率は上がり、私が青少年のころ、颯爽とマイカーに乗っていた御主人たちが、マイカーを手放し、免許返納をされておりますが、何か一抹の哀愁が後ろ姿に見え、行動範囲がいきなり狭くなった高齢者、特に男性にそのギャップを感じます。
さて、質問に戻りますが、昨今の高齢者による逆走や操作ミスによる暴走事故が社会問題になり、さらに、高速道路や一般道でも始まる最高速度見直しなどの交通規則変更など、運転環境の変化も大きく、さらに、免許更新時の高齢者講習での煩雑さなどで高齢ドライバーの免許返納も増加し、全国では、特に75歳以上では、昨年16万人、ことしの1月から5月まででその半数を超える10万人が返納し、過去最高ペースの予想であるそうです。
しかし、返納率のトップは、東京や大阪、神奈川と、公共交通が発達している都会。オクシズやしずまえと地形豊かな本市で、地域集落も点在しているなど、JR東海道本線や静鉄電車駅周辺以外での全ての市民が満足する交通政策を構築していき、机上の空論ではなく、具体的に身近な計画としての公共交通について、本市が目指す公共交通ネットワークとはどのようなものなのか、お聞きします。
次に、全国的にバスの運転士不足が話題になっていますが、現場の状況はどのようになっているのか、社員からの聞き取りをこの夏に行いました。5時30分から14時、7時から19時、8時から20時、12時から22時の4交代勤務に残務作業があり、3勤1休シフトの超変則勤務で、もちろん、ワンマンバスでありますので、常に不特定の乗客の安全を守り、他車両との接触・衝突事故に気をつけ、神経をすり減らす業務だそうです。
事務職や現場の管理職から本音をお聞きしましたら、Aさんは、朝夕の通勤ラッシュの運行は、自分勝手な乗客や車内案内を聞き入れない高齢者が、停留所停止直前に座席を立ち上がり、転倒事故防止など、ストレスがたまります。Bさんは、一般車両の気ままな走行により、合図なしでバス直前への割り込みや、高齢ドライバーに多い、予測不能な車両行動に冷や冷やします。Cさんは、日中のすかすかの車内やバス停付近の天候の急激な変化にも対応しなくてはならず、運転中以外でも心構えが必要で、休息や休日に安息や気持ちの切りかえに苦労します。Dさんからは、免許の関係で中途採用が多いのですが、年齢に関係なくスタート給は同額のため、中高年での転職者が少ないのですなどと聞けて、見た目とは違い、大変厳しい職種だと改めて理解をしました。
全国的に高齢者の免許返納が進められている中、バス運転士の業務は大変厳しく、高齢者を初め、市民の移動手段の確保は大変重要だと考えます。
さて、ここで質問です。本市における路線バスなど市民の移動の確保について、現状、どのような取り組みをしているのか、お聞きします。
さらに質問を続けます。路線バスは、全ての人が安心して利用できる、便利で身近な公共交通機関であると考えます。バス利用の促進策としてどのような取り組みをしているのか、お聞きします。
次に、今回は高齢者のバス利用に特化してお聞きしますが、本市は、特に旧清水市ですが、40年ほど前から10年ほど前まで約30年間、ことぶき乗車券なる、70歳以上の高齢者に年一律3,000円の無料パス乗車券の交付を行っておりました。バス利用の高齢者には大変喜ばれたようですが、個人を特定した利用ではないため、金券ショップでの換金や家族にあげたりと、大半の高齢者の活用にはほど遠かったと聞いています。30年という長きにわたるばらまき事業の例でもあると理解しました。
さて、前向きな話に戻りますと、先進事例が各地でありました。御紹介しますと、名古屋市では市バスなどに、65歳以上では無料乗車できる敬老パスを導入しています。視察をしてきた東京都は、シルバーパス制度という、70歳以上の都民で区市町村民税が非課税などの方は負担金1,000円、課税都民の方は2万510円で、都内路線バスと都営地下鉄などにフリー乗車できます。いずれも高齢者の行動範囲向上や社会参加策が基本目的で、私も路線バスに乗車したとき、相席の72歳とおっしゃる男性にシルバーパスの実物を見せていただき、さらに、メリットを説明いただきました。その方は、港区に住んでいるが、きょうは八王子の大学に夏期講座に行ってきました。本当に出かけるときの大事なツールです。私は2万510円を払ってこのパスをいただいていますが、それ以上利用し、活用していますとのことでした。
そこで、高齢社会突入に当たり、公共交通の利用促進も兼ね、高齢者パスのようなバス料金の大幅割引き制度の導入について考えがないか、お聞きします。
以上が1回目の質問です。
46 ◯副市長(美濃部雄人君) 私からは、交通政策について、公共交通についてのうち、本市が目指す公共交通ネットワークについて、お答えします。
近年、人口減少や少子高齢化、市民ニーズ、ライフスタイルの多様化など、全国的に社会経済情勢が変化する中、3次総で掲げる、産業・経済の振興による都市の発展と安心・安全の確保による暮らしの充実の実現に向けては、公共交通の果たすべき役割はより一層大きくなっております。
誰もが安心・安全に利用できる移動手段である鉄道や路線バスなどの公共交通は、成熟した持続可能な都市に不可欠な都市機能であり、市民の皆さんにとって、日常生活に欠かせないものです。特に日常生活における移動が困難な高齢者や障害者、学童などの交通弱者と言われる方々が気軽に利用することができる移動手段の確保は重要です。また、まちに集う人々が飲酒後に安心して帰宅できる公共交通機関の存在は、まちのにぎわいを保つ上でも大きな要素となります。
本市が目指す公共交通ネットワークは、静岡、清水、東静岡などの拠点を結ぶJR東海道本線と、運行頻度の高い静岡鉄道を軸として、鉄道駅を中心とした拠点と周辺地域、さらには山間地域を路線バスなどで一体的に結ぶものです。バスの運転士不足などを背景に、今後、より効率的な形に再編していくとともに、公共交通機関の駅や停留所周辺に人口や都市機能を集約し、自家用車を利用しなくても外出しやすいまちを目指します。
47 ◯都市局長(大滝茂雄君) 私からは、路線バスなどについて、2つの御質問にお答えします。
初めに、路線バスなどの移動手段の確保についての取り組みですが、本市では、バス事業者4社により路線バスが運行されており、平成28年度の実績では、48路線のうち、バス事業者が単独で維持をすることが困難な不採算路線、18路線は、補助金を交付し、維持しております。
バス事業者が撤退して、代替となる交通手段のない地区のうち、井川、両河内、由比の3地区では、本市が事業主体となって、委託により自主運行バスを運行しており、清沢地区では、地元NPO法人による、自家用自動車を利用した過疎地有償運送に対し補助金を交付しています。また、両河内の一部路線では、利便性の向上とコスト縮減を目指し、委託先を地元NPO法人に変更し、自家用自動車を利用した新たな取り組みを平成30年4月から行っていく予定です。
このほか、高齢者などの移動を助けるため、地域住民が主体となり、自家用自動車で地域内を周回し、最寄りの公共交通機関までの足を確保する地域交通弱者対策事業を現在、駒越、長田西の2地区で実施しております。
今後も引き続き、バス事業者や地域の方々と連携し、移動手段の確保に積極的に取り組んでまいります。
次に、バス利用の促進についての取り組みですが、これまでバスの利便性を向上させるために、超低床ノンステップバス、バスICカードなどの導入やバス停上屋の整備に対する交通事業者への支援のほか、パーク・アンド・ライドやサイクル・アンド・ライドのための駐車場・駐輪場、バス優先レーンの整備など、ハード施策に取り組んできました。また、市内に転入される方には、転入手続の際に窓口でバス路線図の配布を行うことや、交通事業者と協同して、バスに親しんでもらうバスフェスタの開催、小学生を対象としたバスの乗り方教室の開催など、ソフト施策にも取り組んでおります。
今後も、全ての人が安心して利用できる、便利で身近な公共交通を目指して、移動手段の確保やバス利用の促進に取り組んでまいります。
48
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 高齢者パスの導入についてですが、本市では、議員のお話にもありましたが、平成18年度まで、高齢者の外出を促進するため、ことぶき乗車券交付事業を実施しておりましたが、利用者間の公平性などに課題があり、財源の有効活用の観点から、生きがい対策やS型デイサービス事業の拡大などの高齢者施策に転換した経緯がございます。
しかしながら、超高齢社会を迎え、さらに、免許返納などで生活状況が変化する中、高齢者の社会参加や日常生活を支える、高齢者が利用しやすい移動手段の確保の必要性が高まっているものと認識しております。
現在、民間のバス事業者においては、高齢者向けの乗り放題定期券などの制度があり、利用されております。今後、こうした民間の取り組みや公共交通ネットワークの状況を踏まえ、高齢者パス導入を含む高齢者の外出促進策について研究してまいりたいと考えております。
〔14番大石直樹君登壇〕
49 ◯14番(大石直樹君) 御答弁ありがとうございました。
次に、JR清水駅東西駅前広場についての質問です。
当初、この通告をしたときの担当課の反応は鈍く、5年も前に完成した施設を今ごろ何をという受け答えに疑問を感じました。JR清水駅橋上駅舎は、列車利用客だけではなく、東西通路として待望の施設でありました。私や家族の送迎に東口ロータリーを利用したり、西口は路線バス拠点となっており、先ほど述べたように、よく利用していますが、1年ほど前から利用者の声が私に届くようになり、ある婦人は、通勤でJRを利用し、ここでバスに乗りかえ、区内南部へ利用していますが、バス停は海風があり、小雨程度でも屋根から吹き込み、ぬれてしまう。ある男性は、風防をする施設がなく、今の時期から春先まで、とてもバス停が寒い。高齢女性は、ベンチが金属製で、夏の西日で昼過ぎはとても暑く、逆に冬は冷たくてとても座れない。高齢男性からは、東口ロータリーは直接風雨が吹き込み、送迎スペースに数分も待っていられない。さらに、デザイン的なパイプ式ベンチは、背丈の低い年寄りや幼児には利用しにくいなど、御意見を伺いました。いずれも、どこに伝えたらよいかわからず、施設利用しているとのことであります。
JR清水駅は、1日の乗降客数が約2万2,000人と、静岡駅に次いで利用客が多く、市内の重要な交通拠点として、市内外からの通勤や通学を中心に、多くの方に利用されています。マリナートやテルサ周辺も含め、旧国鉄貨物ヤード跡地を活用した土地区画整理事業により、都市基盤整備が行われてきていると認識をしています。デザイン的には、東口は海側の玄関口として、羽衣伝説やカモメをイメージした屋根、以下「シェルター」や街路灯を整備し、西口は、駅前銀座商店街や区画整理で建設した、こどもクリエイティブタウン「ま・あ・る」が入るタワーマンション「えじりあ」や、交番や観光協会が入るマンションに囲まれていますが、バス停やタクシー乗車のシェルターの占める割合が少なく、開放感は感じられます。今後、超高齢化社会を迎える予想で、バス等の公共交通の割合がふえることになっていくでしょうから、これまで以上に、高齢者を初め、ユニバーサルに利用する施設として、より改良していくことが必要だと思います。
そこで質問です。JR清水駅広場におけるバスターミナルの風雨の防止対策等についてお聞きします。
50 ◯都市局長(大滝茂雄君) バスターミナルへの雨風の吹き込み防止対策などについてお答えいたします。
駅前広場は、鉄道や路線バス、タクシーへの相互乗り継ぎや鉄道利用者の送迎などの地域交通のかなめとなる重要な交通結節機能を担っております。このためJR清水駅においても、バスやタクシー、一般車の乗降場やバスの待ち合いスペースを設け、雨よけなどを目的とした上屋や待ち合いスペースへのベンチなどを設置しました。この雨よけの上屋は、バリアフリーガイドラインなどに基づき、車椅子がすれ違える2メートル幅を確保し、さらに西口では、路線バスの利用者の待ち合い空間を加えた4メートル幅で整備しました。また、上屋の高さは、利用者が雨にぬれにくいように、限度高の2.5メートルまで低く抑えております。
この駅前広場は、港まで200メートルと海に近く、風を遮る建物も少ない場所であり、バス利用者も多いことから、バス乗降場への雨風の吹き込み状況等について把握し、対策について関係局と連携して調査研究してまいります。
〔14番大石直樹君登壇〕
51 ◯14番(大石直樹君) 御答弁ありがとうございました。
3回目は、意見・要望です。
交通政策は、理想はもちろん、現実も、早期に手を打ち、東西に通るJR東海道本線を越える南北交通をさらに構築していくことが課題と捉え、推進をしていただきたいと思います。
地域交通確保はもちろん重要でありますが、安易に二種免許保持ではないドライバーが他人を有償で日常的に輸送することは、安全面、特に車両故障や事故発生時に適時の避難対応及び、故障・事故表示や通報対応に不安を持ちます。ぜひ適性試験や面接等を適時行い、安全運行を望みます。
そして、市内路線4事業者では、過労、労働環境が運転士不足の大きな要因と推測します。公共交通を担っているバス事業者を本市の重要なパートナーと捉え、情報共有や要望も聞き、適切な助成を行い、今まで以上の連携協力を要望します。
高齢者パスについては、保健福祉長寿局単独の施策ではなく、関係部局が知恵と予算を出し合い、行っていただきたい。高齢者の移動手段であり、お年寄りが元気なら経済効果も出ると確信します。ぜひ先人たちに優しいまちづくりをお願いします。
JR清水駅東西広場の車両乗降待ち合いスペースは、早急な改善を希望します。市民の生の声が届かなかった悪しき事例、ただし、風が強い独特の地理的条件さえクリアすればよい施設なので、よろしくお願いします。
以上で全ての質問を終了します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
52 ◯副議長(牧田博之君) 次に、風間重樹君。
〔26番風間重樹君登壇〕
53 ◯26番(風間重樹君) それでは、通告に従い質問を進めてまいります。
前回に引き続き、清水都心のまちづくり、清水庁舎の移転、桜ヶ丘病院の移転の3つの項目について質問をしてまいります。
1回目の質問では、清水都心のまちづくりについて3点、清水庁舎の移転についても3点の質問をいたします。
さて、今月5日、第1回の静岡市新清水庁舎建設検討委員会がありました。建設検討委員会の委員に事前配布された資料では、市民意見の集約について、今後の清水都心のまちづくりや市民サービス、災害リスクへの対応等について、建設検討委員会で議論を行うため、静岡市市民参画の推進に関する条例に基づき、市民アンケートやパブリックコメント等を行うとしています。
しかし、建設検討委員会では、それ以前の問題に意見が集中しました。清水区の9割方は、何のための区役所なのか、何のために桜ヶ丘病院なのかがわかっていない。また、庁舎の移転新築は賛成という立場からも、清水区におけるまちづくりが、区民に対しても、この委員会でも浸透度が低いように思う。これが明確でない以上、庁舎建設を進めていくのは時期尚早という内容です。市当局の資料は、建設検討委員会開催前に各委員に配布され、意図は十分伝わっているはずなのに、なぜこのような意見が多く聞かれたのでしょうか。
ここで、いま一度、2月に行われたタウンミーティングのアンケートの結果について、もう一度触れることにします。参加者は1,760名、市長の説明を参考にしたと答えたのは38%、不満、どちらかといえば不満と答えた参加者が49%、まちづくりのイメージについても、48%が、変わらなかった、余り変わらなかったと答えています。
質問の1点目は、市民理解に関する現状認識であります。市が進めている清水都心のまちづくりは、十分な市民理解が得られているのか、お聞かせください。
2点目の質問に移ります。
建設検討委員会でも委員から、津波ハザードについての意見がありました。清水港をどのように津波から守るかという問題がクローズアップされて、それがクリアになって、初めて港が維持できるということだ。資料には、津波対策について余り表現がされていない。最後には、それでよいのかという話になる。また、別の委員からは、津波防災地域づくり推進計画以外は、津波ハザードについて言及しているものが少ない。津波ハザードと共生していくまちづくりを目指していることが読み取りづらくなっているなど、津波に関する市の姿勢を問う意見も多く聞かれました。
さて、津波対策上重要なポイントは、将来的に高台への立地誘導をするべき施設と、ハード面の強化対策によって津波浸水想定区域に誘導する施設、その線引きをどうするのか。私は、災害弱者の集まる施設かどうかが線引きの重要な基準になると考えています。
災害弱者について、防災白書では4つの項目を挙げ、そのうち1つでも実施不可能または実施困難な項目がある場合には災害弱者に該当するとしています。それはすなわち、危険を察知する能力、危険に対して適切に行動をとる能力、危険を知らせる情報を受け取る能力、危険を知らせる情報に対して適切に対応する能力です。病人やけが人、乳幼児、高齢者などを指しています。
2点目の質問は、立地誘導の観点から、津波浸水想定区域内に誘導するべき施設とそうでない施設があると考えますが、にぎわいと津波対策をどう両立するのか、この点を含め、明確にお答えください。
3点目の質問は、現在の清水庁舎及び桜ヶ丘病院の周辺地域の経済効果をどのように捉えているのか。また、桜ヶ丘病院の移転により、旭町周辺地域の経済効果がどのように変化すると考えているのかについての質問です。
この問題に対するこれまでの当局の答弁は、次のとおりです。
国が示す中心市街地の活性化を図るための基本的な方針においては、病院や診療所等の医療施設は、交流人口の増大等により、にぎわいの創出に寄与するものであり、医療施設の立地により生じる新たな人の流れは、清水都心の交流人口の維持・増加に寄与し、中心市街地のにぎわいの創出につながるものと考えているというものでした。
さて、ここで、現在の清水庁舎と桜ヶ丘病院の人の流れについて見ていきます。平成27年度の正規、非常勤、臨時職員を含めた清水庁舎の職員数は970名、これを開庁日計算で延べ計算すると年間延べ23万2,800人、来庁者数は、駐車場利用者数をベースとした試算で43万2,547人、合計すると1年間で66万5,347人が、庁舎を中心に流れています。
一方、桜ヶ丘病院の平成25年度の延べ患者数は6万6,333人、医師、医療技術者、看護師、事務局、技能職員の合計は158名です。お見舞いのために来院される方々の人数が把握されていないこと、また、診療日等の計算もあり、年間合計数を出すことはできませんが、現状では圧倒的な差があることは御理解いただけると思います。
市当局はこれまで、新桜ヶ丘病院を多くの方々が利用することで、清水都心のにぎわいや中心市街地の活性化に資するとしてきました。199床の現病院が、300床、400床、あるいは500床の規模になるのでしょうか。
今回の質問の要点は、国が示す中心市街地の活性化を図るための基本的な方針ではなく、現在の清水庁舎及び桜ヶ丘病院の周辺地域の経済効果をどう捉えているのか。また、桜ヶ丘病院の移転により、旭町周辺地域の経済効果がどのように変化すると考えているのかを問うものです。明確な御答弁をお願いいたします。
次に、清水庁舎の移転について質問をしていきます。
まず、新清水庁舎の移転建設についての論議は進めていくべきと私自身は考えております。しかし、そこにはクリアすべき5つのハードルがあると考えています。
1つ目は、ライフサイクルコストの観点から、移転新築の必要性が十分説明できるものであること。2つ目は、新庁舎の規模や機能が、行革の観点を踏まえ、かつ、将来のあるべき行政組織を十分考慮したものであること。3つ目は、津波ハザードをどのように考え、対応していくのか、客観的かつ安全性が十分確保された庁舎であること。4つ目は、庁舎機能のほかに、地域経済の活性化に向けた機能が明確に備わった民間複合型施設であること。5つ目は、全ての過程において、検討過程の透明性を確保するため、公開を原則とし、十分な市民参画のもとで行うこと。時間切れの見切り発車は絶対にしないことであります。
以上を踏まえ、3点の質問をいたします。
質問の1点目は、静岡市新清水庁舎建設検討委員会では、建設場所の検討やスケジュールなど、さまざまな意見がありましたが、市として今後、どのように対応していくのか。
質問の2点目は、新たな庁舎における市の行政組織や規模について、現段階でどのような考えを持っているのか。
質問の3点目として、新たな庁舎には、国、県の関連施設、また、民間施設を導入したいと考えているとのことですが、どのような施設を想定し、どのように働きかけているのか。また、庁舎全体の規模はどのようなものになるのか。
以上、1回目の質問です。
54 ◯政策官(山本高匡君) 私からは、清水庁舎の移転に関する3つの御質問にお答えいたします。
静岡市新清水庁舎建設検討委員会での意見に対する今後の対応についてでございますが、平成29年2月発行の広報しずおか特集号の「明日の清水のまちづくりを考える」でお示ししたとおり、高齢化の進む社会でコンパクトシティの実現を目指す本市において、清水庁舎は、清水都心におけるまちづくりの中核を担うものであり、中心部へ生活機能や都市機能を集積するため、大変重要な施設の1つであると考えております。
そこで、その清水庁舎建設の基本構想、基本計画の策定に当たり、清水都心のまちづくりに求められる庁舎のあり方などについて、学術的、専門的な見地や市民目線での御意見をいただくために、検討委員会を設置したものであります。
第1回検討委員会では、議員御指摘のように、複数の委員の皆様から、庁舎整備の必要性の理解が不十分ではないのかですとか、清水のまちの現状や課題にももっと言及すべきなどの御意見をいただきました。
次回以降の会議では、これらの御意見、御提案を踏まえ、まずは庁舎再整備の必要性や、清水港の抱える課題等について丁寧に御説明し、その上で、新庁舎が担う役割やそのために必要な機能などについて御議論をいただく予定でございます。
その上で、市において検討いたします行政組織の規模や、国・県・民間施設の複合化の可能性等を加味し、建設場所を清水駅東口公園とした市当局案について御検証いただくなどして、検討委員会を進めてまいります。
なお、検討委員会の資料や議事録等につきましては、随時、ホームページなどを通じて市民の皆さんに公表してまいります。
次に、新たな庁舎における市の行政組織や規模についての現段階での考えについてでございます。
現在の清水庁舎に配置している行政組織は、皆さん御承知のとおりだと思いますが、大きく分けて3つに区分されます。1つ目は区役所、2つ目は、子ども未来局、経済局、教育局といった本庁組織、3つ目は、本庁組織と離れた場所で行政サービスを提供するなど、本庁機能を補完する、例えば、市税事務所や都市計画事務所などの事務所でございます。
新たな庁舎には、行政区ごとに配置を必要とする区役所は当然配置することになりますが、市税事務所などの事務所については、行政サービスの観点から、地理的条件などを勘案して、改めて配置を検討してまいります。
本庁組織については、平成21年2月市議会定例会において特別多数議決により改正した、静岡市の事務所の位置を定める条例が、事務所の位置を葵区追手町5番1号と定めていることを踏まえ、意思決定の迅速化、危機事案への迅速な対応、事務執行の効率化という観点からも、原則として、静岡庁舎に集約して配置することが望ましいものと考えております。
しかしながら、現在、静岡庁舎と清水庁舎に分けて配置する分庁舎方式をとっております。これは、合併前の旧静岡市役所と旧清水市役所の庁舎の有効利用をしようということが大きな理由でございます。
したがいまして、新たな庁舎における行政組織や規模については、本庁組織の集約配置という考えに沿うよう決定してまいります。
また、これに加え、先ほども申し上げましたが、本年2月の広報紙、広報しずおか特集号でもお示しした、清水の港を中心としたまちづくりを進め、国際海洋文化都市を実現していくという観点からも、新庁舎に配置する新たな組織についても今後、検討してまいりたいと考えております。
最後に、国・県や民間施設の導入における施設の想定や働きかけ、また、庁舎全体の規模についてでございますが、まず、国・県の行政関連施設につきましては、港湾関連の施設や税務署、法務局など、清水区内に設置されている施設の整備計画を国・県に伺いながら、複合化の可能性について検討しております。
次に、民間施設につきましては、にぎわいの創出や地域経済の活性化という観点から、地元企業を中心にヒアリングを始めたところでございます。それらの調査結果を踏まえ、行政組織の規模を考慮した上で、庁舎全体の規模を算定していきたいと考えております。
55 ◯企画局長(松永秀昭君) 清水都心のまちづくりに関する3点の御質問にお答えいたします。
まず、清水都心のまちづくりについて、市民理解が得られているのかについてですが、清水都心のまちづくりにつきましては、本年2月に広報紙、静岡気分の特集号を全戸配布いたしました。また、全8回の清水まちなかタウンミーティングの開催を通じて、延べ1,700人を超える市民の皆さんに対し、市長から直接説明させていただくことで、多くの方々に強い関心を持っていただいたものと認識しております。
今後におきましても、既に議論を開始しております静岡市新清水庁舎建設検討委員会やアンケート調査、パブリックコメント等を通じて、市民の皆さんの御意見をお伺いするとともに、市民の代表である市議会における議論を通じて、清水都心のまちづくりに対する市民理解を深めていきたいと考えております。
次に、にぎわいと津波対策の両立についてですが、清水の中心市街地は、沿岸部に形成され、海の恵みによって発展してきたまちであります。そのため、津波のリスクへの対応を前提としたまちづくりを進めていく必要があると認識しております。
一方で、国が示す中心市街地の活性化を図るための基本的な方針においては、人口減少、少子高齢化を迎えている中で、多様な都市機能がコンパクトに集積した、誰もが歩いて暮らせる、にぎわいあふれるまちづくりを進めていくことが必要であるとされております。
そこで、これらの両立を図るため、医療、福祉、商業、公共サービス等の多様な都市機能を有する施設を中心市街地へ誘導するとともに、まち全体の防災機能の向上や、迅速かつ安全に避難できる体制をより一層充実してまいります。
暮らしている人には安心感を、訪れる人には満足感を感じていただけることができるまちづくりを進め、安心・安全と活気、にぎわいが両立する国際海洋文化都市の実現を目指してまいります。
最後に、各施設が周辺地域に与える経済効果についてですが、まず、現在の清水庁舎は、昭和58年の旧清水市役所庁舎としての完成から合併後の今日に至るまで、市民の皆さんへ行政サービスを提供し、地域と一体となったまちづくりに貢献してまいりました。また、桜ヶ丘病院については、昭和34年から社団法人全国社会保険協会連合会により運営され、地域に根差した医療を提供する病院として、その役割を長年担っていただいてきたところでございます。これら両施設は、施設の種別は異なるものの、ともに多くの方々が来訪する施設であり、地域にとって一定の経済活動へ結びついているものと認識しております。
次に、桜ヶ丘病院の移転に伴う経済効果については、アクセスの向上や周辺事業所からの健診業務の新規依頼等により、病院利用者の増加が見込まれているとともに、庁舎が病院にかわることで、これまでとは異なる人の流れが生まれ、新たな経済活動につながるものと考えております。こうしたことから、病院の移転は、都市機能の1つとして、清水都心の交流人口の維持・増加に大きく寄与し、このエリア一体のにぎわい創出につながるものと考えております。
〔26番風間重樹君登壇〕
56 ◯26番(風間重樹君) いただいた答弁に関する意見は、後ほどまとめて述べさせていただきます。
2回目の質問に入ります。
清水都心のまちづくりについて、もう少し具体的に聞いていきます。
質問の1点目は、コンパクトシティ化を進める上で、日の出地区と江尻地区に施設を集約する方針に転換したのではないか、この考え方でよいのかという質問であります。
1回目の質問の中で、清水庁舎を中心にした人の流れ、桜ヶ丘病院を中心とした人の流れに圧倒的に差があることを説明させていただきました。しかし、旭町周辺地域の経済効果に対し当局の答弁は、これまでと余り変わらないものでありました。
今回の質問は、国が示す中心市街地の活性化を図るための基本的な方針ではなく、清水区の清水庁舎の場所において、桜ヶ丘病院の移転により、より具体的に、どのような経済効果があるか、そのことについてどう考えているかを問うものでした。依然として、にぎわいの創出という点が漠然として、不明確に感じています。
この点について、建設検討委員会でも質問がありました。庁舎は、日の出と江尻の中間で機能してきた。庁舎を江尻に移すということは、その考え方を転換して、JR清水駅東口エリアへ集約するというメッセージに読み取れるが、市ではそのように決断されているのかというものです。
清水都心のまちづくりについての質問は、1点、コンパクトシティ化を進める上で、日の出地区と江尻地区に施設を集約する方針に転換したということでよいのか、お答えください。
清水庁舎の移転について、2回目の質問に入ります。
庁舎移転の是非については、特にしっかりと議論することが大事だと考えております。建設検討委員会に配布された資料に、整備手法ごとにかかるコストの比較表が添付されています。建設コストについては、6月定例市議会でも触れましたが、移転の必然性を考える上で一つの重要なポイントになります。
資料に記載された整備手法は3つ。大規模改修と現地建てかえと移転建てかえです。今回は、大規模改修と移転建てかえに絞って質問をしていきます。
1点目は、現庁舎の耐用年数についての質問です。大規模改修を実施することで、想定される65年を超え、現庁舎を長寿命化することはできないかという点です。
1点目と関連し、2点目は、庁舎再整備の検討に当たり、ライフサイクルコストをどのように比較していくのか、また、財源はどのように考えているかについてです。
まず、大規模改修の施設整備は合計で約82億9,500万円、移転建てかえの施設整備費は101億5,000万円と、これはあくまでも概算ですが、数字が出ています。
次に、比較検討の1つのポイントになる、1年間のライフサイクルコストは、施設整備費ほかの総費用を耐用年数で割ることによって求められます。分母が大きいほど答えは小さくなります。つまり、耐用年数が長ければ長いほどライフサイクルコストは低くなります。
ここで、大規模改修と移転建てかえのライフサイクルコストを見てみます。大規模改修の1年当たりのライフサイクルコストは約4億2,900万円、これに対して移転建てかえの場合は2億6,100万円、このような数字が出ています。資料では、移転建てかえがコスト的にも最も優位として、丸印が付されていました。
この資料で気になるのは、分母である耐用年数です。移転建てかえ後の新築庁舎は、65年間の耐用年数を前提としています。しかし、大規模改修後の現庁舎の耐用年数は、わずかに26年間。移転建てかえに比べ39年間短く、その分、分母が小さくなることで、ライフサイクルコストは高くなっています。
当局の説明では、1983年に建設された現庁舎の耐用年数を65年と想定した。改修が完了する2022年には39年間が経過することから、当初の耐用年数の65年から経過した39年間を引き、耐用年数を29年間としたということでした。
大規模改修の施設整備事業は82億9,500万円、この中には仮設庁舎整備費約12億円、システム移転費14億8,000万円、経年劣化と耐震化を含む工事費47億8,800万円、災害時に事業を継続するためのBCP対応改修費に約7億円、つまりフルパッケージの大規模改修です。一般的に、他市の公共施設より早い段階でこれだけ大規模な改修工事を施すにもかかわらず、改修前の残余の耐用年数と改修後の耐用年数が全く変わらないというのは、少々理解に苦しみます。財源をどのように考えているのかを含め、お答えください。
以上、2回目の質問です。
57 ◯企画局長(松永秀昭君) コンパクトシティ化を進める上で、日の出地区と江尻地区に施設を集約する方針に転換したのかについてですが、江尻地区から日の出地区までのエリアを含む清水都心については、本市の3次総及び都市計画マスタープランにおいて、コンパクトシティの核の1つとして位置づけ、さまざまな都市機能が集積する都市拠点としているものであり、特段方針転換を行ったものではございません。
本市としましては、このエリアには、行政だけでなく医療や福祉、商業等の多様な都市機能の集積を図ることで、誰もが暮らしやすい、歩いて暮らせる生活空間を実現するとともに、回遊性を高めることで、にぎわいあふれるまちづくりをエリア一体として進めていきたいと考えております。
58 ◯公共資産統括監(森下 靖君) 庁舎移転についての2点の質問にお答えいたします。
まず、大規模改修による現庁舎の長寿命化についてでございますが、大規模改修のライフサイクルコストは、国土交通省監修の建築物のライフサイクルコストの手引を参考に算定したもので、その積算の基準は、耐用年数が65年間と設定されております。
今回、比較対象としております大規模改修については、昭和58年の建設時を起点とし、65年間を耐用年数としたものであり、さらに、長寿命化する可能性については、その後の建物の劣化状態によるものと考えております。
続きまして、庁舎のライフサイクルコストをどのように比較しているのか、また、財源はどのように考えているのかについてでございますが、庁舎再整備の検討に当たっては、大規模改修、現地建てかえ、移転建てかえの3つの整備方法について、施設整備費、保守管理費及び光熱水費等の総費用を耐用年数で割り返して算出したライフサイクルコストの年割額で比較しております。また、大規模改修、現地建てかえの場合については、移転建てかえと異なり、仮設庁舎の建てかえ費用などを加算して積算しております。
次に、財源についてでございますが、基本的には、庁舎建設は一般財源や市債で対応することとなりますが、市債については、対象事業、事業年度に制約があることから、現在、条件の有利な起債を研究しているところでございます。さらに、建設費を縮減するための方策として、庁舎への省エネ機器の設置を支援する国庫補助事業などを積極的に活用してまいります。
また、庁舎の再整備に当たっては、検討委員会での御意見を踏まえた上で、PFIなどの公民連携手法の導入による民間資金の活用や、施設の複合化などによる整備費や保守管理費の圧縮なども視野に入れ、事業コストの縮減を図るとともに、財源の確保に努めてまいります。
〔26番風間重樹君登壇〕
59 ◯26番(風間重樹君) 3回目の質問は、清水都心のまちづくりについて、また、清水庁舎の移転について、当局の答弁に対する意見を述べた後、桜ヶ丘病院について質問してまいります。
まず、清水都心のまちづくりについてです。
市が進めているまちづくりは、十分な市民理解が得られているのか。また、検討委員会で聞かれた建設場所の検討方法やスケジュール、また、厳しい指摘に今後、どのように対応していくかについての意見について述べます。
検討委員会の終盤、かなり厳しい指摘がありました。行政のやろうとしていることがオブラートにくるまれて、一本筋の通ったものが見えてこないというものです。私も同様の感想を持っています。検討を委嘱された委員に市当局の考えが十分理解されているのでしょうか。委員会でこのような意見が相次いで聞かれたことを考えると、市民が十分理解しているとは到底思えません。今まで以上に市民に対する丁寧な説明と意見聴取が必要だと考えています。
田辺市長は、20日に行われた記者会見で感想を求められると、早期の建設を求める声が市民にはあると強調。移転場所に関しては、庁内で責任を持って議論してきた。委員一人一人に直接私の考えを伝えることも必要だと思うと述べ、みずから説得に乗り出す構えも見せましたと、静岡新聞は21日の朝刊に書いていました。
市民とは誰を指すのか。また、委員一人一人に説得をするというのならば、公開の建設検討委員会に御自身が出席され、その場で各委員の疑問や要望に対応していただきたいと思います。
また、中日新聞には、スケジュールに関連し、私たちが責任を持って議論してきた。場所をどこにするかという議論をすると、また時間がかかってしまうとのコメントが載っていましたが、市当局の答弁どおり、こちらも丁寧に時間をかけ説明していくべきだと思います。建設検討委員会が市民意識を離れれば、終盤に大きな混乱を招くことになりかねません。
次に、にぎわいと津波対策についてです。
市当局は、国の施策を例に、コンパクトシティの形成に病院がふさわしいことを強調しますが、国交省では、コンパクトシティの形成に当たり、災害リスクの低い地域へ住居や都市機能を誘導することが重要としているはずです。
田辺市長は、安心・安全なまちづくりという言葉をよく使われますが、厳密に安心と安全は同列のものではありません。安心とは、読んで字のごとく、心が安らぐことです。心は人間の中にあります。つまり主観的なものです。安全とは、客観的かつ具体的な事実が伴います。つまり、客観的に安全と言える決まり、ルール、施設があってこそ、安心なまちと言うことができます。
にぎわいの拠点、活性化という言葉も同じニュアンスを持っています。これらの言葉には誰も反対ができないからです。初期投資に莫大な資金が投入されると、その直後はあたかも成功しているように見えるのは当然です。しかし、数年後、やがてにぎわいが去り、結局は何も変わっていなかったというのは、よく聞く話であります。
ここでも客観的かつ具体的な技術が伴っているかが重要なポイントです。多額の税金、貴重な市有財産を扱う案件です。にぎわいの拠点、活性化という漠然とした言葉を使うのでなく、数値でしっかりと目標を設定し、そこに至る具体的な戦略を今後示していく必要があるのではないでしょうか。
次に、庁舎の規模と機能についてです。
答弁では、原則として静岡庁舎に集約して配置していくとのことでした。この点については、今後、市民レベルの徹底した議論が求められます。
さて、このことを前提として、市長の言う、ミニ霞が関のような施設、つまり、国・県・民間複合型の庁舎の建設が本当に可能なのか。決断のタイムリミットはいつなのかを含め、新庁舎の機能と規模を含め、今後ともその進捗状況について注視し、意見を述べていきたいと思っています。
次に、現清水庁舎改修工事に伴うライフサイクルコストについてです。
建設検討委員会では専門委員から、他の自治体に比べ、現清水庁舎の竣工年は新しく、耐震性能についても全くないわけではない。建てかえの理由や必要性について明確に示す必要があるとの意見が聞かれました。
ここで一例を挙げます。香川県庁舎東館の竣工は、現清水庁舎の先代、旧清水市役所の4年後、1958年です。設計は両庁舎とも、世界的設計者、丹下健三氏によるものです。老朽化に伴う調査を行ったところ、コンクリートは今後50年以上利用可能であることが判明。しかし、耐震基準を満たしておらず、震度6から7に達する程度の衝撃で倒壊する危険性が高いことが指摘され、平成29年8月から31年まで、基礎部分に免震層を設けるとともに、天井給排水管・エレベーター耐震対策を行っています。注目すべきは、今後100年間の建設費及び維持管理費を含めたライフサイクルコストの比較を行っているということです。
また、昭和35年竣工、築55年が経過した青森県庁耐震・長寿命化改修事業では、改修後さらに40年程度の使用を目標として改修工事を進めています。
現清水庁舎の躯体の耐震性については、耐震診断に伴うコンクリートのコア抜き調査を行ったところ、問題なしとの結果が出ていると聞いています。にもかかわらず、改修後の耐用年数が26年というのは、数字上とはいえ、やはり理解に苦しみます。耐震改修とあわせ、必要な改修を行うことにより、改修後、何年間の使用が可能なのか、それに伴うライフサイクルコストがどのように変化するのか、さらに細かい調査をもとに検討をお願いいたします。
また、他の自治体で庁舎の改修を行う場合、居ながら改修が主流だと聞いています。香川県庁も同じ手法です。清水庁舎の改修の場合、仮庁舎の整備関係費で約20億円の経費が見込まれています。どの程度、初期投資の圧縮が可能なのか、こちらも詳細な検討をお願いいたします。
次に、3項目め、桜ヶ丘病院の移転について3点、これまでの答弁を踏まえ、進捗状況の確認のための質問をしていきます。
1点目は、新桜ヶ丘病院の規模、機能、防災対策や公有財産の処遇法について、JCHOとの協議、調整は進んでいるかについてです。
清水庁舎の移転問題同様、桜ヶ丘病院の移転についても、市とJCHOの方針は決まっているものの、移転場所が清水庁舎の場所というだけであります。決定事項は、今のところこれだけであります。このほかについては、規模や機能、これらに関する情報は皆無です。この点が市民に不安を与えているのだと思います。
本年3月、市側が、JCHOの判断を重く受けとめ、早期移転に向けて全面的に取り組むと話し、また、JCHO側も、移転に向けた準備に入ると明言している以上、早急に協議に入り、災害対策を含む調整をし、その内容を市民に伝えていく責任があると思いますが、いかがでしょうか。
2点目は、発災後の本市で自衛隊はどのような活動を行うのかについてです。
本年6月の当局の答弁で、気になる箇所がありました。搬送ルートに津波の被害があった場合、津波警報解除後、自衛隊などの協力を得て、直ちに道路啓開を行う。また、瓦れき等が散乱し、患者の搬送が困難な場合には、建設業協会や自衛隊などの協力を得て、速やかにルートを確保していくというものです。
しかし、発災直後、派遣された自衛隊の任務は、人命救助と行方不明者の捜索であり、道路の啓開、瓦れきの処理ではないはずです。当局の見解をお聞かせください。
3点目は、発災直後で津波被害があり、新桜ヶ丘病院が救護病院として機能しない場合、救護機能をどのように補完していくのかについてです。
この質問も、2点目の質問同様です。津波浸水想定区域に移転する以上、発災後、新桜ヶ丘病院への患者搬送ルートは、しばらくの間、完全に途絶え孤立化、救護病院としての機能は全喪失すると考えられます。
また、清水桜が丘高校に、救護病院機能を有した救護所を設置するとのことですが、どのような機能を想定しているのかも不明であります。この点についても、方針だけでもお答えください。
いずれにしても、希望的観測ではなく、津波浸水想定区域にあえて災害救護病院を……
60 ◯副議長(牧田博之君) あと1分です。
61 ◯26番(風間重樹君)(続) 誘導するのならば、事実を直視し、確実に対応策を講じることが必要であります。
以上を踏まえ、質問を終わらせていただきます。
62
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 桜ヶ丘病院の移転に関する3点の御質問のうち、2点について、お答えいたします。
まず、新桜ヶ丘病院の規模等に関するJCHOとの協議についてですが、公有財産である現清水庁舎の土地の提供に関しては、売買、交換など、その処分方法について庁内で調査研究を進め、JCHOとの協議に入っていきたいと考えております。
また、新たに建設される病院の規模や機能については、JCHOが策定する新病院の基本計画に反映されるよう、市民の皆さんの御意見や地域の医療体制を踏まえた上で、今後、JCHOに対して要請してまいります。
加えて、JCHOは、新病院の津波対策に関して、1階部分をピロティー形式とするなど、建築手法の工夫などにより、発災後も業務が継続できるとしております。
このことから本市としましては、新病院に緊急時や災害時の患者の搬送手段として、ヘリコプターの離発着機能を確保していただくことや、近隣住民のための津波避難ビルの役割を担っていただきたいと考えておりますので、それらについてもJCHOと協議してまいります。
次に、新桜ヶ丘病院の救護機能の補完についてですが、発災直後で周辺道路に被害があり、病院までの患者の搬送ルートが確保できない場合を想定し、新桜ヶ丘病院の救護病院機能を補完するものとして、清水桜が丘高校に、医療機能を強化した救護所の設置を検討してまいります。
新桜ヶ丘病院や医療機能を強化した救護所までの患者の搬送については、他の救護病院への搬送と同様に、地域の自主防災組織の皆様にお願いしたいと考えておりますが、重傷患者の搬送につきましては、救急車、ヘリコプター、県外からの応援医療チームによる搬送など、さまざまな手段を準備してまいります。
今後、本市としましては、救護病院機能を補完する救護所設置における設備整備や医師等の人材確保などについて、医師会や桜ヶ丘病院、消防など関係機関と協議してまいります。
63 ◯危機管理統括監(荻野敏彦君) 発災直後の本市で自衛隊はどのような活動を行うのかについてですが、大規模地震が発生した場合、自衛隊の南海トラフ地震の対処計画に基づき、御殿場市に所在する陸上自衛隊第34普通科連隊が本市に派遣されることとなっております。
静岡市地域防災計画で定める自衛隊への要請事項としては、被害状況の把握、避難の援助、行方不明者等の捜索救助、水防や消防活動、道路や水路の確保などとしております。
自衛隊の計画では、発災直後は人命救助を優先し活動を行いますが、状況に応じて、要請により道路啓開作業も実施することとなります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
64 ◯副議長(牧田博之君) 次に、堀 努君。
〔7番堀 努君登壇〕
65 ◯7番(堀 努君) 当選してから初めての質問となります。市民の声を市政にはっきりと反映させるべく、はりきってまいりますので、何とぞよろしくお願いします。
それでは、通告に従いまして、大項目、世界に輝く静岡の実現について伺います。
初めに、中項目、市長の理想とする都市の姿について質問します。
今、静岡市政は、難しいかじ取りを迫られております。長年塩漬け状態だった重要案件が具体的に動き出したからです。清水区に目を向けてみますと、例えば、16年以上前から検討されてきた桜ヶ丘病院移転の件、老朽化や震災対応に伴う清水庁舎移転の件、JXTGによるLNG火力発電計画の件など、難しい行政課題がめじろ押しです。
一方で、現在、清水区は絶好のチャンスが到来しております。2013年には三保松原が世界文化遺産に登録され、世界に誇れる地域資源に気づかされました。また、2016年に日本平の夜景が日本夜景遺産に認定されたのを追い風に、2018年度中には日本平山頂に展望回廊を静岡市が整備します。そして、ことし7月、国土交通省により、清水港日の出埠頭が国際旅客船拠点形成港湾に認定されました。清水港客船誘致委員会による長年にわたる努力の成果もあり、2017年度のクルーズ船寄港数は50隻にまでふえて、今後、新たに旅客ターミナルが建設されると、より多くの外国人観光客が清水港に訪れることでしょう。さらには、2019年度には中部横断自動車道が開通し、山梨県や長野県側との縦のラインが強化されることで、物流拠点としての清水区のポテンシャルがさらに高まることとなります。
そうした激動の時代のうねりの中、田辺市長は首長として、かじ取りを誤ることなく、清水区だけでなく静岡市全体を導いていかなければなりません。産業構造の転換の必要性は、誰もが感じているところであります。このまま手をこまねいているわけにはいきません。現状を打破するためには、中長期的な静岡市の都市ビジョンを、田辺市長が常日ごろ言う、鳥の眼、虫の眼で市民に示す采配を振るっていただかなければなりません。
さて、静岡市は清水区において、目指す都市ビジョンを市民の方々に御理解いただくため、ことしの2月から3月まで清水区8会場において、まちなかタウンミーティングを開催しました。私も市民の一人として参加しましたが、会場内は、静岡市や田辺市長に対して、一部の方から大声での罵詈雑言が響き渡り、司会者や市職員が動揺して萎縮してしまう異様な状況でした。これでは、田辺市長の清水に対する情熱、信念、判断力は十分に市民に伝わらなかったことでしょう。今の清水区民は、田辺市政に対して、不安と期待の入りまじった、どちらかというとネガティブな感情を抱いている印象を受けます。
私は以前、田辺市長に、政治とは何か、そう問われました。答えられない私に対し、田辺市長はおっしゃいました。政治とは、対立する意見や利益を調整することで、最善の結果を導き出し、問題を解決することである。
お互いの立場によって正しさの定義は違うわけでありますから、たとえ大局的な見地と中長期的なビジョンで最大公約数を導き出したとしても、双方から100%の満足感は得られず、調整役としての政治家に対して、少なからず不満が残ることとなります。それでも田辺市長には、ぶれずに自分の信念に基づき、この難局に挑んでいただかなければなりません。住民の声にしっかりと耳を傾け、そして前進していかなければ、静岡市の希望の光はここでついえてしまいます。
田辺市長は、平成3年第5回定例会において、市議会議員として初登壇され、当時は実現困難だと思われていた政令指定都市をテーマに質問されました。その中で、静岡市が将来にわたり目指す都市ビジョンとして、大都市の活力とにぎやかさにあふれ、経済的に勢いがある一方、山、川、海に囲まれたすばらしい自然環境を保全した、いわば文明と自然が完全に調和した、世界中から人が集まる都市にしていきたいと訴えました。
そこで質問します。田辺市長は、26年前の初質問において示した静岡市の理想像を今も変わらずお持ちでしょうか。
次に、中項目、植物園の構想について伺います。
静岡市は、市民1人当たりの都市公園面積が他の政令市より下回っているのは周知のとおりだと存じます。静岡市では、条例で市民1人当たりの公園面積の標準を10平方メートルと定めているため、目標を達成するためには、財政状況が厳しい中、今後とも公園の整備を推進していく必要があります。
さて、先ほども申し上げましたが、静岡市では、大型クルーズ船の寄港により、大勢の外国人観光客が訪れるチャンスが到来しております。しかし、現状では、日の出埠頭に到着後、そのまま観光バスに乗り込み、清水港を素通りして市外へショッピングや観光に出てしまい、地元への経済波及効果は限定的と言わざるを得ません。静岡市内には世界に誇れる観光資源がたくさんあるにもかかわらず、それが寄港の目的となっていないことにはもどかしさを感じております。
ことしの6月、静岡観光コンベンション協会にて、DMO推進担当の片桐 優CMOにお会いして話を伺いました。近年の観光スタイルが、観光地を見学し、お土産を買って帰る、モノを楽しむ観光から、旅行先ですばらしい経験や体験をし、感動を持ち帰る、コトを楽しむ観光へと変化しているそうです。また、写真投稿型SNS、インスタグラムで多くの「いいね」をもらうためのインスタ映えを目当てにする若者がふえているということです。
そこで私は、静岡市に新たな感動を生む仕組みとして、植物園の設置を提案いたします。静岡市には、1912年に興津のかんきつ試験場にて育苗された興津寒桜の苗木が米国ワシントンに贈られた歴史があります。そして、現在も友情の桜として人々に愛されています。こうした静岡市ならではの出来事を踏まえた上で、もしも外国人観光客が自国の花木を異国の地、静岡市で見ることができれば、それは大きな感動を生むことになり、また、旅行先の選択肢として候補地に挙がる要件となり得ることでしょう。
世界に目を向けてみますと、2003年に世界遺産に登録されたイギリスの王立植物園キューガーデンは、1759年に誕生して以来、研究機関として、世界中から集められた植物が研究され、新種の発見など、貢献してきた歴史があります。
一方、日本国内に目を向けてみますと、調布市の代表的な観光名所である東京都立神代植物公園は、社会教育と野外レクリエーションという双方の機能をあわせ持つ施設として1961年に開園しました。
また、はままつフラワーパークは、浜松市制施行60周年事業の一環として1970年に開園して、隣接する浜松市動物園と園内でつながっております。
植物園の設置は、何も私が思いつきで言い出したのではありません。静清合併前の2000年には、県、両市、日本平観光組合などでつくる日本平県立自然公園運営協議会がモニターバスツアーを実施した際、自然植物園の整備を望む声があったそうです。また、2013年には静岡市が東静岡駅前の市有地の利活用に向けたアイデアを募集した中で、植物園都市という案がありました。花や木、茶畑が広がる大空間で人々に癒やしを与えるというものです。
現在、静岡市においては、静岡市花と緑のまちづくり協議会による緑化推進事業や、市内を花いっぱいにする事業、そして、植樹・植栽・緑化事業が行われています。
植物園は、都市の環境改善を図る都市緑化の拠点であり、学術的な緑化指導、緑化相談、緑化広報、催しを行うなど、都市緑化を推進する上で重要な役割を担っており、さまざまな設置効果があると考えられます。
そして、2015年に静岡市で開催された第56回全日本花いっぱい静岡大会のテーマである、潤いと安らぎを享受できる、緑豊かなまちづくりの推進を一過性にはせず、継続していく必要があると考えます。
以上のことからも、第3次総合計画で提唱する、住まう人が誇りと安らぎを感じ、訪れる人が憧れを抱く魅力的で風格のある世界水準の都市、世界に輝く静岡の実現に向け、植物園は有効な施設であると考えられます。
具体的な設置場所についてですが、風光明媚な日本平山麓、豊かな自然環境に恵まれた有度山周辺地区はいかがでしょうか。中でも私は、駒越の果樹研究センター跡地を推薦します。現在は建物が解体され、敷地内6.7ヘクタールは更地となっています。キューガーデンの面積は120ヘクタールですので、随分コンパクトになりますが、費用対効果上、十分候補地としてふさわしいと考えます。また、2014年9月11日、駒越地区連合自治会の役員が果樹研究センターの跡地利用の要望で県庁を訪れた際、防災機能を備えた公園の整備の要望や、かんきつ類の樹木を生かしたフルーツパークの整備構想について意見交換がなされたことからも、県庁の理解と協力が得られやすいはずです。
現在、敷地内中央に、貞明皇后が昭和21年にお手植えされたミカンの木がぽつんと植わっております。2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控え、また、MICE等誘致事業を推進する静岡市にとって、諸外国から多数の賓客が訪れるチャンスはたくさんあります。友好と平和のあかしとして、この場所にその国のかんきつなどを植樹して、海の見える植物園として整備すれば、真に国際海洋文化都市としてふわしい都市に近づくことでしょう。
そこで、市民の憩いや観光に寄与する都市緑化の拠点となる植物園について、2点質問します。
他の政令指定都市における植物園の設置状況は、どのようになっているのでしょうか。
そして、静岡市に植物園の整備を望むところでありますが、その検討について静岡市はどのように考えているか、お答えください。
次に、大項目、新たな交流と活力を生み出すまちについて伺います。
2017年2月、折戸湾の再開発に向けて、民間主導により推進会議が整備プランをまとめたとの新聞記事が掲載されました。浜田川から折戸潮彩公園までの海岸線1.5キロ、13.5ヘクタールをウォーターフロントとして一体的に開発する整備プランであり、今後、4年後の事業着手を目指すということで、周辺市民の期待は非常に高いわけであります。
折戸湾は、旧清水市の時代より、さまざまな団体による利活用が検討されてきました。中には、湾の水質を改善するために、三保半島に運河を通し、外海とつなぎ、海水を循環させるといった大胆なアイデアも出されました。しかし、いずれの構想も、地権者不在のまま議論がなされた結果、実現には至りませんでした。
今回は、対象区域内の静岡市を除く地権者全員が賛同しており、決して絵空事ではありません。ある地権者は、建物の解体費用は自己負担してもいいので、この計画を早期実現させてほしいとまで話しております。
しかし、計画実現のためには高いハードルがあります。折戸湾は、港湾法第38条に基づく臨港地区に指定されており、その中でも工業港区の分区に設定されているため、商業・飲食施設といった構造物の建物が制限されます。そのため、港湾管理者である静岡県による分区の見直し等が求められます。また、静岡市においても、対象エリアには、上下水道局が管理する都市施設である折戸ポンプ場が存在します。このプランを早期実現させるためには、県と市には、再開発事業推進会議への参画と連携、協力が必要不可欠であります。
折戸湾は、かつては田中孫七氏によりノリの養殖が行われ、三保ノリが栄えた歴史があります。そして、カキの養殖や真珠の養殖が行われ、人々の暮らしを支えてきました。その後は、輸入丸太を保管する水面貯木場として利用され、働く湾として日本の高度経済成長を支えてきました。現在は、その役割を終え、一部を除いて未利用となっております。
静岡市は、2017年に改訂された静岡市都市計画マスタープランにおいて、折戸湾を観光交流文化拠点として、興津、三保半島と並べて、海浜緑地の整備や釣り、海水浴、ウインドサーフィン、プレジャーボートといった海洋レクリエーションの拠点づくりによる、憩い、にぎわい創出と自然再生を図ると記載しております。
静岡市は今後、折戸湾沿岸部開発事業化推進会議に参加していく中で、どのようにかかわっていくのか。
折戸湾は、清水区のウォーターフロントエリアにおけるにぎわい創出の重要な構成要素として、三保地区、日の出地区、江尻地区、興津地区と同様の位置づけのもと、当再開発を本気で支えていく決意が必要であると考えます。
そこで伺います。静岡市は、清水のまちづくりにおける折戸湾周辺の特色や可能性をどう認識し、民間で検討が進められている折戸湾再開発については、今後、どのようにかかわっていくのか、お答えください。
以上、1回目の質問を終わります。
66 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、世界に輝く静岡の実現についてのうち、市長の理想とする都市像、26年前、市議会で私が初質問した理想は、今も変わらず持っているのかという質問にお答えいたします。
期せずして堀議員からこの質問通告をいただき、私は、市長室の書棚でほこりをかぶっていた当時の議事録をひもといてみました。甘酸っぱい、面映ゆいような気持ちに包まれましたけれども、しかしながら、そのときの思いが鮮やかによみがえってまいりました。まさに初心忘るべからずであります。
ちなみに、当時、この議場にいらっしゃって、今なお現役で御活躍をされている議員は、わずか4人であります。当時、副議長を務めておられた伊東稔浩議員、私と初当選同期の安竹信男議員、そして、曲がったキュウリが合言葉の松谷 清議員、そして鈴木和彦議員であります。
当時の原稿が私の手元にコピーしてありますので、少し引用します。平成3年9月30日午後3時16分登壇とあります。私が30歳になったばかりでありました。
「私は常々、若い世代の特権は現状の体制に異議申し立てできることだと考えております。天野市長の就任以来4年間、確かに何か静岡も変わってきたな、元気になってきたなと評価する声は、多くの方々と接する中で私自身も感じてまいりました。」「しかし、だからといって私たち若手が現状に甘んじて満足してしまったら、もう次の時代の社会の進歩はとまってしまいます。」「現状が70点ならば80点、90点の静岡市の姿があるじゃないか、現状が30点ならば頑張って50点、70点にしていこうじゃないかと提言し続けることが私たち若手新人議員の特権であり、また責任であると信じています。
事実、まだまだ静岡市にはやらなければならないことがたくさんございます。」「静清バイパスはいまだ全面開通せず、幹線道路の慢性的な渋滞はそのままになっている。駅前広場は北口は県都としての風格が感じられず、南口に至っては、お話にならないほど貧相。一方、お年寄りや障害者に配慮した施策もまだまだ不十分。環境問題への取り組みはほとんど手つかずに近い水準。このままの静岡市でいいじゃないかとは、とても言える状況ではありません。」「今の静岡市には、市民と行政がかんかんがくがく議論ができる大きな目標が必要です。」
「21世紀を目前にして、世界の中の日本を考えるとき、中央集権から地方分権へとシフトさせ、民主主義の成熟、真の地方自治の確立を目指していく方向は、もはや議論の段階を過ぎ、断固実行あるのみです。」
そこで「第1に、現在の静岡には活性化のための大きな目標が必要なこと、第2に、広い視野から見て日本の地方分権化は不可欠なこと、この2点により、静岡は理想の地方自治制度実現の一里塚として、政令指定都市化に向けて積極的に取り組んでいくべきだと考えます。」が、市長、いかがでしょうかと、こういう質問でありました。
そして3回目に、意見・要望を最後に述べる登壇をしたときに、先ほど議員から御紹介いただいたフレーズがあります。
「大切なことは、静岡が目指すべき政令指定都市は、決してミニ東京化の方向であってはならないということです。」世界を意識した「独自のビジョンを持ったまちづくりをするべきだということです。」「将来の静岡の政令指定都市は、大都市の活力とにぎやかさにあふれ、経済的に勢いがある一方、山、川、海に囲まれた、すばらしい自然環境を保全した、いわば文明と自然が完全に調和した、そんな都市にしていきたいのです。
「どうか天野市長を初め当局の皆様方も、21世紀の理想の静岡の実現の第一歩のために、あらゆる努力を傾注して、政令指定都市の実現を目指していただければと念願しております。私自身も、今後の政令指定都市化にこだわりを続けた議員活動をしてまいりたいと思います。
これで私の一般質問を終わります。」と結ばれております。
質問が終わった後、答弁を作成してくださった幹部職員の方、もうお亡くなりになりましたが、声をかけてくれました。開口一番、若いっていいね、夢があって。頑張りなさいということでありましたが、一方で、そんな簡単なことではないよと。私よりよっぽど知識もあり、専門情報もあったその方は、だからこそ、20年、30年、清水、静岡の合併議論もままならないのに、その先にある政令指定都市、夢のまた夢物語であるというニュアンスが含まれて、当時の幹部職員はみんなそう思っていたのではないかと思います。
しかし、それから14年後、静岡市は政令指定都市になりました。この間には、さまざまなハードルがありました。その前提となる静清合併、私自身、それにこだわる活動をしていますが、その中で出会った、先ほど質問された風間重樹議員、当時はまだ議員ではありませんでしたが、住民発議を牽引した。当時は行政も経済界も合併について全く逡巡をしていたときに、市民パワーで住民発議をやり、そして、それが1つの起爆剤になって、合併協議会が編成され、静清合併し、そして今があります。当時の風間議員の行動力に今でも敬意を表しております。そうしてこの政令指定都市になったという事実を私は今、振り返っております。
一方、当時、私は、自民党議員団の中で戦後生まれの会というグループに属しておりました。そのリーダーが鈴木和彦議員でありました。ほどなくして、保守改革ということを標榜する当時の細川護熙前熊本県知事が立ち上がった日本新党の動きがあり、私はいても立ってもいられませんでした。そして、鈴木議員に対して、当時、新自由クラブから自民党に入っていた片山 卓議員、亡くなられましたけれども、とともに、鈴木会長、新党に行きましょうよと、一緒にやりましょうよとけしかけたことを鮮やかに覚えております。
しかし、そのときの鈴木議員の答えは、田辺、おまえの気持ちはわかる。しかし、ちょっと待てと。じっともう少し様子を見定めようという答えでありました。
結果、1992年に発足をした日本新党でしたが、その2年後の94年には解党を余儀なくされました。もし私があのとき東京の仲間に誘われ新党に行っていたら、私の人生は全く違ったものになっていたでしょう。
やるときはやるという熱き心と、しかし、事態を冷静に見なければいけないという頭、いわばホットハートとクールヘッドをどう両立させるか、それが難しいところであります。私は、アクセルとブレーキ、ふかすときにはふかす、しかし、ブレーキを踏むときはブレーキを踏むと、このバランスというものが政治家にとってとても大事だということをこの26年間で学んでまいりました。
余談ながら、そういう私ですが、その10年後には、アクセルをふかし過ぎて大事故を起こしました。御迷惑をおかけいたしました。
堀議員が植物園の提案をされました。大変おもしろいアイデアだと受けとめました。しかし、それもそう簡単なことではありません。午前中の議論で尾崎剛司議員が、長年取り組んできたワンテーマで公園行政の新しい考え方を当局から引き出しました。一朝一夕にはいかないけれども、そして、世の中には次から次へと興味深い問題や、やらなければいけない課題というものが生まれてきますが、それに目移りすることなく、1つのテーマを一生かけて貫いていくという自分の役割、自分の天命というものを十分自覚して、しっかり地域に根をおろして活動することが大事だと私は学んできました。5年、10年かけて、ぜひ植物園の構想を実現に向けて取り組んでいただきたいということをお願いいたします。
最後に、先ほどの26年前の原稿の引用は、こんなふうにも言っております。
新しい事業は、無理と決めつけた瞬間からその実現の道は閉ざされてしまいます。私たちならできる、静岡市ならできると思うところから全ては始まりますということであります。
ぜひ堀議員の今後の活躍に深甚なるエールを送って、私の答弁を閉めさせていただきます。
私も、26年前の初心を忘れることなく、質問にありましたとおり、この政令指定都市という器の中で、世界スペックの、世界水準の、世界に輝く静岡市の実現に邁進してまいります。
以下は局長から答弁させます。
67 ◯都市局長(大滝茂雄君) 私からは、植物園の構想についての2つの御質問にお答えいたします。
初めに、政令指定都市における植物園の設置状況ですが、議員御質問の、市民の憩いや観光に寄与する都市緑化の拠点となる植物園は、本市以外の全ての政令指定都市で、府や県または市により設置されている状況でございます。
内訳は、本市以外の政令指定都市19市中、市が設置主体となる植物園を有する都市は15市、府や県が設置主体である植物園は、京都府立植物園や新潟県立植物園など4市に設置されております。各政令指定都市に設置された植物園は、利用者に広く開放された公園的な観光施設として、娯楽や憩いの色合いの濃いものが主流で、多くは都市公園として開設されており、市民の緑への意識の醸成、園芸知識・技術の向上を図るための都市緑化の拠点としても活用されております。
次に、植物園の整備の検討についてでございます。
本市は、海、山、川の豊かな自然に恵まれた緑豊かな都市であり、市民の皆さんの背景としての自然の緑に対する満足度は高いものがあります。一方、憩いやレクリエーション、運動などの場となる身近な緑としての都市公園は不足しているため、これまで公園整備に重点を置き、取り組んでまいりました。
かつては、徳川家康公が大御所時代に、縁起のよい植物としてオモトを愛し、その後、大名から庶民までが楽しめる園芸文化が花開いたことや、久能山東照宮の社殿にオモトの彫刻が飾られるなど、古くから園芸の歴史がございます。
現在は、バラや洋ランなど全国有数の花卉生産地であることや、議員に御案内いただきましたが、354に上る地域の花壇づくり団体による花いっぱい運動が盛んなこと、花と緑のまちづくり協議会が春、秋に開催する園芸市には、毎回1万人以上の来場者があることなど、市民の植物への関心の深い土地柄でございます。
これまでに本市が実施した緑に関する市民アンケートやニーズ把握のワークショップでは、都市公園のさらなる整備を望む御意見のほか、植物園を望む声もいただいております。
具体的には、観賞価値の高い美しい植物や希少な植物がテーマに沿って展示されたものを望む御意見、美しい花々と新緑や紅葉の木々の中を散策できる公園的なものを望む御意見などをいただきました。
このような植物園は、姉妹都市、友好都市などの国内外の賓客をお迎えした際の記念植樹の場として活用することにより、日本中、世界中の樹木や花々が観賞できる公園ともなり得るものと想定しております。
本市では、静岡市みどりの基本計画において、緑にかかわる情報の受信・発信・蓄積と市民の緑化知識・技術の向上の活動拠点施設として、仮称みどりの相談プラザの構想を掲げており、植物園はその実現方策の選択肢の1つと考えております。
今後は、魅力的で風格のある都市、世界に輝く静岡実現のため、本市にふさわしい植物園のあり方を、みどりの基本計画の改訂にあわせ、調査研究してまいります。
68 ◯企画局長(松永秀昭君) 新たな交流と活力を生み出すまちについてのうち、折戸湾につきましての御質問にお答えいたします。
折戸湾周辺についての市の認識と、民間で進められている折戸湾再開発検討に対する市の今後のかかわりについてですが、清水港周辺について、まちづくりの視点から俯瞰しますと、駅前で海の幸を楽しめる江尻地区、客船やイベントでにぎわう日の出地区、自然やレクリエーションが楽しめる三保地区、海浜を再生し、海釣り公園などのレジャーを生み出す興津地区など、多彩な特色を持った地区がコンパクトにまとまっており、今後、港全体が、楽しむ港として国内外から人々を引きつける大きな潜在的な可能性を持っております。
議員がお尋ねの折戸湾周辺地区も、これらの地区と同様、清水港の魅力を高める上で、大きな可能性を秘めた地区の1つであると考えております。
特にこの地区は、富士山を正面に望む美しい水辺という場の魅力に加え、周辺の清水都心、三保、久能山、日本平などとつながる利便性の高い立地特性といった点で、他の地区にない強みを持っていると認識しております。
議員から御紹介がありました、折戸湾の再開発に向けた整備プランでは、折戸湾の豊かな景観や水辺の魅力といったポテンシャルを最大限に活用して、インバウンドの集客や、健康・滞在型リゾートなどの民間投資を呼び込んでいくという方向性がまとめられ、今後も、民間が主導し、市場調査や事業手法の検討を進めていくこととしております。
今後、プランに示されたような開発を具現化していくには、民間投資などの開発機運の高まりに加え、港湾関連の土地利用規制の変更などの課題の解決が必要になると考えられます。
本市としましては、既に28年度から、清水港にかかわる国、県の機関とともに、民間で設置された検討の場に参加しており、今後も民間主導の開発検討の進展を見きわめながら、必要に応じて、周辺まちづくりとの整合や交通アクセス、観光回遊など、行政として開発の効果を高めるための対応を検討していきたいと考えております。
〔7番堀 努君登壇〕
69 ◯7番(堀 努君) 市長には力強い御答弁をいただきました。
それでは次に、中項目、道の駅について伺います。
静岡市には、オクシズを中心に静岡市道路休憩施設が20カ所あります。これは、道路利用者に観光トイレや駐車場といった休憩場所を提供することによって、利用者の快適な道路利用を支援し、交通事故や違法駐車を防止することを目的として設置されております。また、既存の観光・地域振興施設と連携、連動することで、道路利用者と地域住民との新たな交流の場が創出されるといった効果もあります。広大な市域のうち、中山間地域が約8割を占める静岡市の道路事情を考慮して設置されるものであり、道の駅の補完的役割を担うものとして大変評価されるものであります。
しかし、道路休憩施設には限界があります。例えば24時間利用可能な施設である必要はなく、年中無休の運営形態は求められておりません。また、利用者が求める機能は、新たに新設するのではなく、近接する施設が相互補完することで対応することになっております。
一方で、地方創生の拠点として地域の個性を発揮している道の駅が、全国的に注目を集めて久しいわけであります。1993年からスタートした道の駅は、2017年4月現在、全国に1,117駅を数えるまでにふえており、静岡県内には24カ所設置されています。
道の駅にはさまざまな役割が期待できます。例えば、2015年に国土交通省により重点道の駅に指定された、三重県大台町にある道の駅奥伊勢おおだいでは、道の駅が地域の高齢な生産者の支援を行っています。具体的には、道の駅が農産物の集荷に回ることや、道の駅直営農場による供給補填や生産技術向上に対応しています。また、愛知県豊田市にある道の駅どんぐりの里いなぶでは、道の駅が交流人口増加促進に寄与しております。具体的には、山里、調理、農業の体験プログラムを実施しております。
静岡市においても、人口減少が進む中、地域活性化の起爆剤にしたいという願いから、設置を望む声が駒越や蒲原、庵原などから聞こえております。道の駅は、産業振興、地域福祉、交通結節点としての交通サービスの提供、防災機能、観光総合窓口、インバウンド観光促進、地方移住促進、地域間交流連携促進といったさまざまな効果を持たせることができます。静岡市においても、道路休憩施設から一歩踏み出し、市内に1カ所しかない道の駅を今後戦略的にふやしていく必要があるのではないでしょうか。
そこで質問します。静岡市は、道の駅についてどのように考えているかお聞かせください。
次に、大項目、災害に強く安心・安全に暮らせるまちについて伺います。
初めに、中項目、地震津波対策について伺います。
静岡市は、静岡市地域防災計画策定のもと、現時点で想定し得る最大クラスの津波に対し、5分、500メートルで避難できる地域づくりを目標に避難対策を講じています。
具体的に静岡市が行った対策の中で、民間の協力を得て津波避難場所を整備した事例があります。2016年、三保地区に民間企業からの用地の無償譲渡を得て、静岡市初となる津波避難用人工高台、命山が完成しました。また、津波避難タワー建設用地取得が難しい不二見地区の村松周辺に対して、日立ジョンソンコントロールズ空調の工場敷地内に避難するための連絡橋を今年度中に整備する予定となっております。あるいは、民間施設を活用した津波避難ビルの指定、整備をするための外づけ階段設置費や屋外フェンス設置費などに対する補助をすることで、空白エリア解消に努めています。そのような官民連携の取り組みは、評価できるものであります。
静岡市を津波に強い都市にするためには、多重的な防災対策が必要です。津波被害を確実に軽減するために、静岡県に対しても、静岡市の都市ビジョンと整合性のとれた防潮堤の早期整備、河川改修を訴えていかなければなりません。
また、まち全体を津波や地震に強い構造に変えていくことが求められます。例えば、建物倒壊により道がふさがれることのないよう、倒壊のおそれのある古い木造家屋やブロック塀の耐震補強を継続して促していかなければなりません。
加えて、確実かつ迅速に避難できる体制づくりとして、津波到達時間が極めて短い地域については、津波避難施設のより一層の充実が求められます。それは、単に物理的な環境を整えるだけではなく、なるべく津波に向かって避難することのないよう配慮したものでなければなりません。
さらには、ハード面での整備はもちろんのこと、防災訓練や啓蒙活動といったソフト面での取り組みも欠かすことができません。
以上はほんの一例にすぎません。このほかにも取り組むべきことは数多くあります。しかし、安心・安全な暮らしとにぎわい、活力が両立するまちづくりを実現するためには、必ず取り組まなければなりません。
そこで質問します。津波からの避難が困難な区域の解消に向けて、折戸湾周辺地域の取り組みと、今後の進め方についてどのように考えているのか、お答えください。
我々は、東日本大震災の映像が今でも鮮明に残っており、沿岸部における津波に対する不安を抱えております。ただし、必要以上に恐れることのないよう、我々は冷静な判断と正しい知識を持つことが重要です。そして、いつ来てもきちんと対応できるような体制づくりが必要です。
東日本大震災で大きな被害を出した気仙沼市は、都市計画マスタープランにおいて「海と生きる」を表紙に掲げています。これは、気仙沼市の震災復興計画策定に当たり、市民公募によって選ばれた副題です。以下、市民委員会による説明文を紹介します。
「先人たちはこれまで何度も津波に襲われても、海の可能性を信じて再起を果たしてきた。人智の及ばぬ壮大な力としながらも、海を敵視せず、積極的にかかわり合って暮らしてきた。それは単に「海で」生活していたのではなく、人間は自然の一部であることを経験的に体得し、対等の関係を築いて、「海と」生活していたとも言える。その態度が、自然観や運命観、ひいては死生観となった。気仙沼の観念は海にある。いまを生きる世代が再び海の可能性を信じ、復興をなしとげることが犠牲者への供養となり、次世代への希望となろう。理念を超えた観念をメッセージ化したものが、「海と生きる」である。」
清水区も気仙沼市と同様に、港を中心に、海とともに発展してきた都市であります。そして、これからの清水区の発展は、東日本大震災の教訓を生かしつつも、悲惨なイメージに引きずられることなく、海の可能性を信じて、誰もが豊かな海の恵みを享受できる国際海洋文化都市を達成せねばなし得ません。そのためには、市民の理解が必要不可欠です。
そこで質問します。沿岸部での津波に対する不安を解消するため、静岡市が考える対策はどのようなものか、お答えください。
最後に、中項目、防災・減災について伺います。
災害による被害を最小限にとどめるためには、災害に関する重要な情報が、一層確実かつ迅速に市民に届くことが求められます。かつて、行政が防災情報を伝える手段は同報無線でした。しかし、同報無線は、設置されてから40年以上が経過し、老朽化や住環境の変化によって、情報伝達手段として十分に機能を果たしているとは言えない状況にあります。また、台風やゲリラ豪雨による雨音で音声がかき消されてしまうという根本的な問題があります。
別の情報伝達手段として固定電話やテレビがあります。デメリットは、大規模災害時に固定電話は混線によりつながらなくなり、テレビは停電により使えなくなるおそれがあります。比較的新しい情報伝達手段である携帯電話やインターネットは、高齢者に対しては、デジタルディバイド、いわゆる情報格差の問題が生じています。また、過去の大規模災害において、災害情報を入手する手段としてラジオが大変有効であることが報告されています。
そのため、静岡市は2015年に緊急情報防災ラジオを2万台販売しました。デメリットは、コミュニティーFM放送の電波を利用するため、中山間地などは、受信困難な区域があるということです。
以上、情報伝達手段には一長一短があります。このことを踏まえて静岡市は、既存の情報伝達手段を最大限活用し、そして、ICT機器を活用したIoTによる新たな情報伝達手段を導入することで、市民に対し多重的に災害情報を伝達することによって、重要な情報が同じ人に複数回届くことがあっても、一回も届かないことがないよう、必要な情報伝達基盤を整備し、有効利用していくことが求められます。
そこで質問します。市民が迅速・確実に災害情報を入手できる体制が静岡市には整っていますか、お答えください。
以上、2回目の質問を終わります。
70 ◯建設局長(伊東正高君) 道の駅についての御質問について、お答えいたします。
道の駅は、これまでの休憩や物販を中心とした施設から、地域の創意工夫により、防災、観光、農林水産、福祉などの課題に対応する地域活性化の拠点として利用価値が高まってきています。
また、市内では、中部横断自動車道や国道1号静清バイパスの整備が着々と進み、交流人口を支える交通基盤が充実してきています。
このような社会情勢をチャンスと捉え、人口減少などのさまざまな課題を抱えている本市におきましても、交流人口の拡大や景観、歴史、食材など、地元の個性を発揮する要素を持つ道の駅を地域の活力を高める手段として検討する必要があると考えております。
そこで、本市の課題や特性を踏まえ、どのような道の駅が地域活性化に有効なのか、本年度、業務委託を実施し、先進事例の調査、必要な機能、設置候補エリア、官民連携の整備手法などについて検討していきたいと考えております。
71 ◯危機管理統括監(荻野敏彦君) 大項目、災害に強く安心・安全に暮らせるまちについての3つの御質問にお答えいたします。
まず、折戸湾周辺地域における、津波からの避難が困難な区域の解消に向けた取り組みと、今後の進め方についてですが、折戸湾周辺の地域は、清水港に押し寄せた津波による浸水が想定されております。このため、三保・折戸地区のこれまで防潮堤がなかった区間を中心に、静岡県による防潮堤の整備が進められており、これが完成すれば、想定される最大の津波においても減災効果が期待されております。
本市が実施しております津波避難対策では、議員がお住まいの駒越地区では、津波避難に適した建物が多くあることから、津波避難ビルの指定を進めてまいりました。
三保・折戸地区は、津波避難に適した建物が少ないため、津波避難タワーや命山の整備をしてまいりました。
不二見地区では、先ほど御紹介をいただきましたけれども、津波避難タワー建設用地の確保が困難で、河川によって、浸水区域外への避難が難しくなっている地域があります。浸水区域外の企業の御協力をいただくことにより、避難路となる橋を整備する計画を進めております。
また、これらの避難施設や誘導経路の案内表示、照明の設置などの対策もあわせて実施し、避難が困難な区域の解消に努めてきたところです。
今後の進め方についてでございますが、津波避難タワー等の建設は完了する見通しであり、避難対策としては、津波避難ビルの指定をさらに推進してまいります。津波避難ビルの指定については、これまでにも、本市の津波避難ビル補助事業を活用し、屋外に避難階段を新設したり、暗がりでも避難できるよう、照明を内蔵した手すりを設置することによって、津波避難ビルの指定を受けていただいたケースがあることから、補助事業の積極的なPRとともに、建物所有者への働きかけを進めてまいります。
次に、沿岸部での津波に対する不安を解消するための対策についてでございますが、静岡県が発表した第4次地震被害想定は、最大クラスの地震・津波の被害を想定したものであり、これをもとに作成し、市民の皆さんに配布しました津波ハザードマップに示された災害の危険性も、想定される最大のものであるという認識を正しく持っていただくことが重要だと考えております。
また、市民の皆さんの記憶にある東日本大震災の津波が、本市で想定される津波とは異なることも正しく理解していただく必要がございます。例えば、津波の破壊力となる流れの速さも、三保半島に守られた清水港周辺では比較的緩やかであると想定されていることから、浸水が浅い地域では、耐震化された住宅であれば、上の階に上がることも避難の選択肢となることなど、具体的な例を挙げてわかりやすく説明する必要があります。
これまでも、地震・津波について正しく知っていただくための市政出前講座を、自主防災会、自治会などを中心に実施してきたところですが、役員の方や防災に強い関心のある方など、参加者が固定化する傾向があるため、今年度は、PTAなど子育て世代に向けた講座も予定しております。今後も、より多くの方に参加していただけるような講座の開催方法等について検討してまいります。
最後に、市民が迅速・確実に災害情報を入手できる体制についてでございますが、災害が発生したとき、または発生のおそれがあるときに、できるだけ多くの方に迅速かつ確実に情報をお伝えするため、同報無線及び、この放送内容を確認できる電話案内サービス、あらかじめ登録した方に防災情報をお伝えする静岡市防災メール、地域にいる方の携帯端末へ自動配信する緊急速報メール、そして、御質問の中にもありました緊急情報防災ラジオなど、さまざまな情報ツールを活用しております。
また、避難勧告など避難に関する情報を発表している地域へ、避難所の開設状況については、国の災害情報共有システム、Lアラートを介して、テレビやラジオから市民の皆さんに情報を提供する体制を整えております。
〔7番堀 努君登壇〕
72 ◯7番(堀 努君) 3回目は、意見・要望です。
まずは、田辺市長に対してです。
田辺市長には、決して順風満帆とは言えなかった26年間の政治家としての歩みの中、これからもいばらの道を歩んでいただかなければなりません。ある方は、首長とは孤独であると言いましたが、私もそう思います。田辺市長には、引き続き、世界に輝く静岡の実現を目指して取り組んでいただくことを要望します。
植物園の構想につきまして、次に、花が咲くような種を今のうちに植えておくために、まずは、賓客が訪れた際に記念植樹を可能とする場所の選定とその仕組みづくりに取り組んでいただくよう要望します。
折戸湾再開発は、民間主導による、市内に例のない大規模なウォーターフロント再開発です。静岡市には、都市経営のスペシャリストの立場から、責任ある立場を担い、公民連携の先進事例として成果を上げていただくことを切に要望いたします。
道の駅につきましては、国土交通省は、地方創生を具体的に実現していくための極めて有力な手段であると発表しております。ぜひ、静岡市には、道の駅整備のガイドラインを早急に作成するよう要望します。
大項目、災害に強く安心・安全に暮らせるまちについて、一括して要望します。
先月、南海トラフ沿いの防災対応を検討してきた国の作業部会によると、東海地震の直前予知は困難であると結論づけました。これを踏まえ静岡市は、津波防災地域づくり推進計画の早期達成に向けて、職員一丸となって取り組んでいただくよう要望いたします。
以上を持ちまして私の総括質問を終了します。ありがとうございました。
73 ◯副議長(牧田博之君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時21分休憩
───────────────────
午後3時40分再開
74 ◯議長(井上恒弥君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
次に、宮城展代さん。
〔18番宮城展代君登壇〕
75 ◯18番(宮城展代君) 自由民主党の宮城展代です。本日の最後の質問者ですが、当選して初めての質問、一生懸命頑張ります。
通告に従い質問いたします。
初めに、現在の社会について少し述べさせていただきます。
今、私たちは、大きく変化している時代を生きています。それは、少子高齢化、人口減少、そして猛烈なスピードで進んでいる核家族化により世帯が変化しているからです。どこの地域でも高齢者だけの世帯がふえ、そのうちの34%はひとり暮らしです。そして、その結果として、まちの中に空き家がふえ、まち並みが変化しています。
次に、経済のグローバル化により産業も大きく変わっています。地球規模で、人、物、お金、サービス、情報などが移動したり関係し合ったりして、世界がつながっていく社会。今では、インターネットを利用して全国からお取り寄せが日常化しています。そして、ネットスーパーなどの利用もふえ、また、後継者もいないことから、まちの商店街も姿を消しています。
今までの常識が通用しない時代でもあります。例えばエネルギー。今までは電力会社しか扱えなかった電力は、今は他の分野の人が一生懸命販売しています。また、例えばお葬式。今までは、少しでもかかわり合いがあった人が、何を置いても駆けつけ、お別れをしましたが、今では家族葬として行われ、なるべくその意を大切にと小規模で行われています。
このように、私たちの暮らしは各方面で大きく変わっています。しかし、どんなに変化しても変わらないもの、変えてはいけないもの、大切にしなければならないものがあります。私は、それが、人と人とのつながり、つなぐ力だと思います。
社会状況がどんなに変化しようとも、私たちは、今ある人、物、事を最大限生かし、そこに新たな価値観を生み、育て、幸せだと感じることができる持続可能なまちをつくっていかなければなりません。周りでよく聞く、静岡には何もないという意識を捨て、市長が第3次総合計画でも提言している、ないものねだりではなくあるもの探しをしようとのもと、私は、誰もが、この静岡に生まれてよかった、この静岡市に住み続けたいと思うまちづくりをして、次世代の子供たちにつなぐという使命を果たしていきたいと思っております。
そこで、今、この変化のとき、今を生きている私たちが直面している事柄について、大きく3つの項目を質問いたします。
大項目1は、まず、静岡、また駿河区の玄関口、静岡駅南口についてです。
人と人が初めて会うときの第一印象が大切なように、都市の玄関口のイメージも、とても大切な場だと思っています。例えば、受験生が初めて静岡へおり立ったとき、わくわくして魅力を感じれば、その後の就活時につながるかもしれません。あるいは転勤などで着任したとき、風格を感じれば、リタイア後のついのすみかになるかもしれません。また、観光で訪れたときの初めての印象が居心地がよければ、また訪れようと思うでしょう。そう考えると、第一印象はとても大事です。
私は、昨年、所用で何度か東京都日野市を訪れましたが、その駅前の風景がどこかに似ているとずっと思っていました。そこは狭いロータリーがあり、左手に、書店を含む店舗ビル、右手には、ハンバーガーショップとゲームセンターがあるのですが、少したってから、そうだ、私の住んでいる静岡の静岡駅南口とそっくりだと気づきました。そこは、人口18万の東京都下のまちです。しかし、私が住んでいるのは、人口70万の政令市です。
そこで質問いたします。政令市の玄関口として、今の現状をどのように認識し、静岡駅南口の役割をどのように考えているのか、市長の思いをお聞かせください。
次に、2つ目の質問です。
静岡駅南口の場合は、南口の信号から先は再開発が進み、水の森ビル、その向かいの駿河スカイタワーマンションとでき上がっていますが、一番人々が車で、またバスで乗りおりするロータリー構内が狭く、不便を強いられていること、また、歩行者空間も狭く、にぎわいを創出するスペースが不十分であり、とても政令市の玄関口にふさわしいとは思えません。例えば、東側にある商業ビルも含めて駅前広場を整備したらどうでしょうか。
そこで伺います。市では静岡駅を都市拠点として位置づけ、南口周辺の整備に取り組んでいますが、静岡駅南口の駅前広場の再整備に向け、今後、どのように取り組んでいくのか、お答えください。
これを1回目の質問といたします。
76 ◯市長(田辺信宏君) 私が26年前に初めてこの場所で登壇したより、よっぽど盛大な拍手で送られて、何だかうらやましいような、宮城議員への期待の大きさがうかがわれます。
私からは、大項目、静岡駅南口についてのうち、静岡駅南口の整備について、政令指定都市の玄関口として静岡駅南口の役割をどのように考えているのか、その思いは何かという質問にお答えいたします。
議員と同じように私は、第一印象が大切だと思っております。先ほども申し上げましたが、四半世紀前の静岡駅南口に比べれば、今、よくなってはいると思います。つまり、25年前、全く貧相だと私は表現をしましたが、それに比べれば、水の森ビルや駿河スカイタワーなどの再開発が進み、その中では静岡科学館る・く・るが立地し、この夏休みも多くの子供たちが県内外から訪れておりますし、ホテルセンチュリーも立地され、随分よくなってきているとは思います。
ただし、30点が60点になったかもしれませんが、宮城議員からすると、まだまだ100点を目指して、政令市にふさわしい玄関口をつくっていかなければいけないという、駿河区をしょっての強い問題意識だと存じます。私自身、南口の整備なくして駿河区の発展なしと、あるいは静岡市の国際都市としての振興なしだと強く感じております。
初めて新幹線に乗って県外から静岡駅におり立ってくるお客さんは、どうしても南口に出る傾向があります。新幹線の改札口から近いからであります。そのときの第一印象をどうよくしていくかということは、これからの課題であります。
国際化にかじを切った、世界に輝く静岡市という意味での南口玄関口も、大変重要な、これからの風格を感じるような拠点にしていかなければなりません。
その際、南口は、駿河区の玄関口の役割を担っていることはもちろんのこと、駅周辺では業務系や住居系の都市機能の集積が進み、外からいらっしゃってくださる市民の方々にとっての満足感もありますし、駿河区に住んでいる方々の安心・安全を確保するという意味で、通勤や通学、買い物などでも便利な場所としていかなければなりません。そういう意味では、自家用車とタクシーとバスがふくそうしているという現況をどう改善していくかということは、重要な問題であります。
また、観光バスが石田街道のところに、場所取りよろしく、朝早くから週末を中心に駐車をしております。それが交通渋滞を醸し出すという遠因になっておりますし、また、バスに乗り込むお客さんにとっても、不便な場所に重い荷物を持って歩いていかなければいけない現状も改めていかなければなりません。
これからは、世界中から人が集まる都市にしていこう、いわゆる交流人口の拡大ということに注力をしている3次総のプログラムの中で、そういう方々にどう利便性を確保していくか、また、そういう方々も南口を使うわけですね。南口で観光バスに乗り込み、そして、ある方は、三保松原、清水区の方面に出かけていくし、ある方は、取りつけ道路から東名の中島インターチェンジに行くというようなことであります。また、これからスマートインターチェンジが大谷・小鹿地区に整備されるとなると、そこへのアクセスという意味でも、南口の重要性は一層増してきます。
MICEの推進、本市が誇る観光名所に行くためにも、あるいは国際会議や全国大会、大規模イベントの集積地としてのツインメッセやグランシップへのアクセスという意味でも、この南口をどう第一印象よく、また、利便性のいい拠点にしていくかということについて、私たちは真剣に考えてまいりましたし、これから一層、このことについて歩を進めていかなければなりません。
しかしながら、平成6年に暫定活用して以来、地権者の説得等々で、なかなか今持っている計画が進んでいないというのも現実であります。
そこで、その方向とは違うオプション、新しい考え方を打ち出して、この南口を再開発する、南口の駅前広場を整備していくことにも取り組んでいきたいと思っています。その点で、かんかんがくがくの議論を我々はやりまして、そして、新しい考え方を打ち出すタイミングであるという考えに至りました。これまで多くの議員の皆様に、この静岡駅南口のあり方について御質問をいただきました。そんな思いも込めて、今回、新しい考え方を打ち出していきます。
具体的にはこれから都市局長が答弁いたしますが、今後も政令市の玄関口として、世界水準の国際都市、観光都市の顔としてふさわしい静岡駅南口になるよう取り組んでまいりますので、宮城議員の御指導、御支援をよろしくお願いいたします。
77 ◯都市局長(大滝茂雄君) 静岡駅南口駅前広場の再整備に向け、今後、どのように取り組むのかについてでございます。
静岡駅南口駅前広場は、昭和47年に面積5,500平方メートルで都市計画決定され、平成6年に面積5,150平方メートルで暫定整備して、現在に至っております。
暫定整備後、20年以上が経過し、この間、駅周辺では、議員から御案内がありましたが、駿河スカイタワーなどの再開発事業などにより、オフィスやマンションが建ち並び、街区の形成や都市機能の集積が進んでおります。
このような南口を取り巻く環境が大きく変化している中、今後は、交通、観光、交流等の多様なニーズに応じた交通結節点としての役割がますます重要になってまいります。
現在の広場は、交通がふくそうし、また、歩行者空間にゆとりがなく、憩いの広場であるオープンスペースが少ないことなどが課題となっており、交通結節機能の強化や都市の広場機能の充実が必要であると認識しております。
このため、広場の再整備に向け、拡張の可能性の検討を進めるに当たり、隣接する関係地権者の協力が必要不可欠であることから、理解を深めていただくよう、情報共有や意見交換を継続して行っています。
また、この検討とあわせ、広場に隣接する市道泉町豊原町線の拡張整備を進めており、昨年度は、ホテルセンチュリー東側交差点付近の用地を取得し、歩行空間の整備を行い、駅周辺の交通環境の改善や、駅利用者の安全性、利便性の向上に取り組んでおります。
今後も、本市のさらなる発展のため、政令市の玄関口としてふさわしい駅前広場となるよう、従来の用地取得による手法に限らず、例えば、駅前広場の立体化など、新たな整備手法の可能性も視野に入れ、関係地権者や関係機関と協議、調整を行いながら検討を進めてまいります。
〔18番宮城展代君登壇〕
78 ◯18番(宮城展代君) 大変前向きな御答弁ありがとうございました。
次は、大項目2、5大構想にも掲げる健康長寿のまちづくりについて、静岡型地域包括ケアシステムの構築と健康長寿の延伸(富士山型)について、4つ質問いたします。
本市は、市民ができる限り健康で人生を楽しむことができ、住みなれた自宅でずっと自分らしく暮らすことができるまちを実現するため、市民の健康意識を高めるとともに、健康長寿の秘訣と言われる社会参加、食事、運動を軸とした取り組みを進め、また、その一方で、医療や介護が必要になった人に対しては、専門職や地域住民の連携による、切れ目のない医療・介護や介護予防・生活支援といった、地域に根差した静岡型地域包括ケアシステムの構築を目指すとの方針です。
私は先日、この「自宅でずっと」プロジェクトの静岡市のタウンミーティングに参加してまいりました。そこでは、まちづくりを富士山型になぞって説明していました。
皆様、お手元の資料1をごらんください。
そこには、富士山型になぞった絵がありますが、その中から、まず山頂の中で2つの問題点、山腹、裾野で、4つの問題についてを質問いたします。
まず、山頂の部分としての取り組みは、医療・介護などの専門職の連携による支援体制の構築として、今年度は市内8カ所の小学校区を対象に、認知症の人とその家族を支える体制づくりをテーマに行うとのことです。平成27年度での本市の認知症高齢者の方は2万1,337人ですが、その数は、ますますふえ続けています。認知症患者は、人それぞれ症状が異なり、また、核家族化に伴い、見守る家族もいない場合もあります。周りが変化に気づいても、本人が症状を自覚できない場合、また、受け入れられない場合もあると聞きます。
ここでは、まず2つのことをお伺いいたします。
1つ目は、本人が、家族が、また周りの住民が、その症状が心配な人を初めにつなぐ支援の仕組み、認知症初期集中支援チームの目的と活動状況をお聞きします。
2つ目は、認知症と診断された方が自宅でずっと自分らしく生きるため、本人はもとより、家族も支えて、初めて自宅での療養生活の安心感が生まれると思います。例えば、今までとてもおしゃれで、周りの誰に対しても気配りをしていたお父さん、あるいはお母さんが、だんだんその役目を果たせなくなっていく姿を見ていくことはつらいことです。しかし、それらを受け入れ、励まし、長寿社会では誰もがなり得ることも、社会、あるいは地域全体で学ばなければなりません。ここでは、認知症の方を地域で見守り、支えていくための施策はどのようになっているかを教えてください。
3つ目の質問は、山腹です。山腹では、地域の市民連携による地域での支え合いと位置づけ、S型デイサービス、しぞ~かでん伝体操など、さらに普及させていくとのことでした。また、核家族化が進み、日常のちょっとした手伝いや見守りなどサポートが必要な人がふえている一方で、支える側として参加してくれる人も出てきています。私の地元である新川一丁目も例に漏れず、33%の高齢化率ですが、今まさに、町内に生活支援「野バラの会」というボランティアグループが、立ち上がろうと会議を重ねているところです。
先日、9月9日の静岡新聞朝刊の記事です。皆様のテーブルのところにお届けしてあります。その記事によると、環境省は、高齢者を対象にした地方自治体のごみ出し支援制度の普及に乗り出し、足腰の衰え、集積場までごみを運ぶのが困難な人を支援するだけでなく、高齢者の見守り活動としての効果も期待。ひとり暮らしや介護を必要とする高齢者が、自分でごみを捨てに行けなくなる事例はふえている。ごみ出しの日がわからなくなり、ため込んで、ごみ屋敷問題につながるケースも発生とありました。
新川一丁目の生活支援「野バラの会」も、まずごみ出し支援からスタートするとのことですが、静岡型地域包括ケアシステムとは、自宅でずっと最後まで自分らしく暮らすことを実現するための手段ですが、そのために欠かせないのが、人が人のためになりたいと思う崇高な気持ちです。それによってできる、支え合うグループです。支援を必要としている人にピンポイントでつながれば、今、まさに求められている取り組みになります。
そこで3つ目の質問をいたします。これらの、これからますます重要になってくる取り組みをしている人たちを支える役割を担っているのが、生活支援コーディネーターだと伺っております。その仕組みと活動状況を教えてください。
次は、富士山型まちづくり、最後の裾野の部分で4つ目の質問です。
ここでの取り組みは、健康長寿の延伸をどのように図っていくかをお尋ねしていきます。この一番元気で層の厚い人々に対して、市民の自主的な健康長寿の取り組みの促進とありますが、何か具体例はあるのでしょうか。
昨年の6月議会で、自民党の先輩、丹沢議員の質問に市長は、富士山型の土台であるこの層に対してさまざまな施策を打っていくことに、静岡型地域包括ケアシステムを成功させる鍵があるだろうとおっしゃり、また、健康長寿のまちづくりをして、第3次総合計画最終年の平成34年には健康寿命が75歳になることを目指すとのお考えを述べました。
静岡市も、健康度の見える化事業や、民間企業、大学と連携し、まちぐるみで食を通じた健康づくりを推進など、いろいろなお考えがあり、また、これから取り組んでいくようですが、何かビビッと心に響きません。しかし、いろいろな取り組みが必要なのですね。
それではもう1つ、私は、ここでの取り組みに、厚生労働省がモデル事業で取り組んでいる健幸アンバサダー制度を導入することが有効なのではないかと思います。健幸アンバサダーとは、健康に関する正しい知識や上手な情報の伝え方を学んで、友人や近所の人など周囲の人に情報を伝える人のことです。健康や運動に無関心という人が、健康づくりを始めるきっかけとして、身近な人からの口コミが有効と言われています。そして、そこから、群衆的行動、つまり体にいいことをやってみようと思い立たせ、健康増進活動に広げていく。例えば、適度な運動のために公園を歩く、朝のラジオ体操活動に参加する、定期的に健康診断を受けるようにする、こうした行動は、住民の健康維持に有効であると同時に、地域全体の医療費を下げるという効果を持ちます。アンバサダーによる口コミで、群衆的な行動に基づいた健康増進活動をどこまで広げていけるのか、これは地域での行政の重要な役割であると思います。
ここで4つ目の質問をいたします。この健幸アンバサダー制度導入についてのお考えをお聞かせください。
次は、大項目3、少子高齢化に伴い変化するまちづくり、横断歩道橋についてです。
私は、今回の質問の初めに、今、私たちが生きている時代は大きく変化していると申し上げましたが、それは、交通事情、そして、それに伴う政策にも及んでいます。昔は、子供たちも喜んで、ある意味では遊具と化して横断歩道橋の階段部分を楽しそうに駆け上がる姿も見ましたが、今は上っている人影を見ることも少なくなっています。市内に設置されている横断歩道橋ですが、静岡市内には現在44橋が設置されていると伺っております。
横断歩道橋そのものは、皆様御承知のとおり、昭和30年代後半からの急激なモータリゼーションの進展に伴い、歩行者、特に通学児童の交通事故対策として設置されてきたものですが、44橋のうち、38橋、実に8割以上が建設後40年以上を経過し、老朽化も顕著となっており、維持管理費の増大が懸念されている状況にあるとのことです。
また、少子高齢化の進展とともに、高齢者の方々が横断歩道橋の階段を上りおりするのが困難な状況になりつつある中で、その階段部分が歩道を狭めている箇所も大変多く、これにより自転車と歩行者との衝突事故、接触事故などの危険も考えられます。私の住んでいる大里西学区にも、インター通りを中心に4橋の横断歩道橋がありますが、ことしになって、歩道上で自転車と歩行者の接触事故がございました。
私は、誰もが安全に暮らしやすい地域を目指す中で、これからも必要な横断歩道橋は残し、役割を終えた横断歩道橋は撤去していく、そのための検討をきちんと進めるべきであると考えております。
そこでお伺いいたします。市では、横断歩道橋の今後のあり方について、どのように考え、どのように維持管理していこうとしているのかを教えてください。
以上で2回目の質問を終わります。
79 ◯健康長寿統括監(塩澤方敏君) 静岡型地域包括ケアシステムの構築と健康寿命の延伸についての御質問のうち、3点について、お答えいたします。
まず、認知症初期集中支援チームの目的と活動状況ですが、認知症初期集中支援チームは、認知症サポート医と保健師などの専門職で編成したチームで、平成27年度から市内9カ所でモデル事業の活動を始めました。この支援チームの目的は、認知症の人やその家族などに対する医療や介護のマネジメントをすることにより、自立生活をサポートすることです。
具体的には、地域包括支援センターから相談のあったケースに対し、支援チームが家庭を訪問し、対象者の支援方針に基づき、医療機関への受診勧奨や本人の重症度に応じたアドバイス、継続的な医療支援や介護サービス等の調整などを行います。活動状況は、平成27年度から28年度の2年間で、対応困難ケース8人を対象に延べ41回訪問し、サポートを行ってきました。
今年度は、行政区ごとに支援チームを置き、市全域で実施しております。葵区は静岡てんかん・神経医療センターに委託、駿河区は溝口病院に委託し、清水区については市で、それぞれ対応しております。
次に、認知症の人を地域で見守り支えていくための施策ですが、情報の提供、居場所づくり、専門家の配置、市民の皆さんによる見守りの4点を柱として推進しております。
1点目は、情報の提供としての認知症ケアパスです。認知症の症状に合わせ、いつ、どこで、どのようなサービスを受ければよいのか、その流れを標準的に示した認知症ケアパスを作成し、市のホームページに掲載するなど、市民の皆様にお知らせしております。
2点目は、居場所づくりとしての認知症カフェです。認知症の人やその家族が地域住民や医療・介護の専門職などと交流する認知症カフェを設置しています。平成28年度の実績は、20カ所で年間延べ3,124人の利用がありました。本年度は、8月末現在25カ所で、利用者数は28年度と同程度で推移しております。
3点目は、専門家の配置としての認知症地域支援推進員です。医療機関や介護サービス事業者及び地域の支援団体同士の連携や、認知症の人やその家族等の相談支援を行う認知症地域支援推進員を地域包括支援センターなどに10人配置しております。
4点目は、市民の皆さんによる見守りとしての認知症サポーターです。市民の皆さんに研修を受講していただくことにより、認知症について正しく理解し、相談などの支援を行う認知症サポーターを養成しております。サポーターは、本年8月末現在で延べ4万9,978人となっております。
次に、生活支援コーディネーターの活動状況についてですが、本市では、市域に1名、行政区域に3名、日常生活圏域に10名の生活支援コーディネーターを配置しています。コーディネーターは、活動範囲に応じて、主に次の2点の活動を行っております。
1点目は、ごみ出しや買い物支援、移動支援などの地域が必要とするサービスを新たに生み出すとともに、これらのサービスの担い手を養成することです。この活動に当たっては、新しいサービスの担い手となることを希望する団体などと相談・支援も行っております。
2点目は、地域の関係者間の情報共有やサービス提供主体間の連携体制づくりなどのネットワークの構築です。具体的には、それぞれの地域で行われる地域づくり会議等と連携し、その地域の特性を理解した上で、地縁組織や事業者などの関係者に協力を依頼するなど、地域の課題解決への支援を行っております。
80
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 健幸アンバサダーの導入について、お答えいたします。
健幸アンバサダーとは、健康に無関心な地域住民に対して、口コミで健康づくりに関する情報発信や理解を広げる役割を担う人です。
本市としても、地域住民への口コミ等での働きかけは重要と認識しており、同じような役割を担う人材として、既に認知症サポーターや元気いきいき!シニアサポーター、でん伝体操サポーターなどを養成し、合わせて6万人にも及ぶ方々が地域で活動されております。
御指摘の健幸アンバサダーについては、現状では、国としてもまだモデル実施の段階であり、人材育成の体制や運用等が確立していないと伺っておりますが、今後、事業の効果検証の結果を踏まえ、健幸アンバサダーの養成や活用の可能性について検討していきたいと考えております。
81 ◯建設局長(伊東正高君) 横断歩道橋についての御質問についてお答えします。
横断歩道橋の今後のあり方と維持管理についてですが、横断歩道橋は、歩行者と自動車を物理的に分離できる立体横断施設であることから、議員のおっしゃるとおり、昭和30年代後半からの自家用自動車の普及により交通事故が多発した時代には、特に通学児童の交通事故減少に大きく寄与してきました。
しかし、8割以上が建設後40年以上を経過しており、施設の老朽化が進むとともに、少子高齢化に伴う通学児童の減少や、高齢者にとっては階段の上りおりが大きな負担になること、また、周囲の道路整備や横断歩道の設置などにより、利用者が減ることで、その役割を終えた施設もあると考えております。また、一部の施設においては、階段などによって歩道幅を狭め、見通しを悪くしているなどの課題もあると認識しております。
このため、本市では、静岡市アセットマネジメント基本方針、第10次交通安全計画、バリアフリー基本構想などに基づいて、横断歩道橋の利用者数、老朽化の現状、歩道を狭めている箇所、付近の交通事故の発生状況などの現状把握を行い、その調査結果から、横断歩道橋のあり方に関する基本方針を策定し、存続すべき施設と撤去を検討する施設に分類いたしました。
この基本方針に基づき、現在、一部において地域の皆様と主に今後の通学路や道路横断者の安全確保について意見を交わし、協議をしております。その結果、地域の合意形成が図られ、撤去が完了した箇所では、歩行空間が広がり、誰もが安心して利用できるようになったと喜ばれております。
今後も、引き続き、横断歩道橋のある地域の皆様の声や、交通管理者である静岡県警察の意見などを伺いながら、施設ごとにその使われ方、必要性を明確にし、役割を終えた施設は撤去するとともに、必要な施設については適切に維持管理していきたいと考えております。
〔18番宮城展代君登壇〕
82 ◯18番(宮城展代君) 3回目は、意見・要望です。
静岡駅南口ですが、先ほど局長より御答弁いただいた中で、立体化による新たな考え方の可能性もお示しいただきました。もし立体化ができれば、それにより、静岡駅南口における、利用できる空間も広がり、もしそこにバスや乗用車が別々に乗り入れることができれば、利便性が一段と進みます。
ことしの4月に名古屋駅にオープンしたJRゲートタワーにより、名古屋駅はまた大変な新たなにぎわいを生み出しています。
本市も、静岡駅南口に風格と利便性も備えた未来像を早く若者たちに示していただき、これからの若者たちに夢と希望を与えていただきたいと思います。
次は、静岡型地域包括ケアシステムについてです。
基本目標は、市民ができる限り健康で人生を楽しむことができ、住みなれた自宅でずっと自分らしく暮らすことができるまちを実現するとのことですが、その先にある、避けては通れない問題が、自宅でみとるということだと思います。
静岡市の現在の自宅でのみとり率は、平成26年度で14.6%、病院でのみとり率は78.4%です。今後も少子高齢化は続き、病院のベッド数はふえず、多死時を迎えた場合、この数字が逆転するかもしれません。しかし、そのとき、核家族化により、みとる家族はいるのでしょうか。
7月に、命と平和のとうとさを万人に伝え、生涯現役医師を貫いた日野原重明先生が亡くなりました。先生の著書に「十歳のきみへ-九十五歳のわたしから」というものがあります。この本の中で日野原先生は、人間ってすごいものだなと私が心から思うことは、人間には思いやりの心があるというものだ。そして、それを見も知らない人のために自分の力を使えるというところなのです。そんなこと動物にはできません。人間だけにできるのです。だから人間であることを味わい尽くさなきゃ、それこそ損だと思いますよと語っています。また、社会の人々に向けては、年をとっても、何かを始めるのに遅いことはないとも言い続けて、シニア世代にエールを送り続けました。
私の地元である大里西学区には、代々、自治会婦人部長OGたちを中心に結成されているボランティアグループ、ピンクダックが、もう20年以上も、地元に寄り添い、思いやりの心を持って活動しています。このグループは、地域や地域の高齢者の方々とのつながり、きずながしっかり結ばれています。もしかしたら次世代のみとりは、地域でこのようなグループでみとる時代を迎えるかもしれません。
いずれにしろ、静岡型地域包括ケアシステムをしっかり検証して、自宅でずっといられる取り組みを確立していただきたいと思います。
最後は、横断歩道橋についてです。
しっかりした検証を重ねて撤去した事例からは、歩道について、自転車とのすれ違いが怖くなくなったとか、シニアカーの人からも、安心して買い物へ行けるなどの声が聞かれたそうです。
しかし、道路の横断が心配な箇所については、新規の信号や横断歩道の設置を警察と連携して配慮していくことも必要だと思います。その一方で、大里西学区の中野新田歩道橋は、大里中学の生徒たちが毎日、大勢利用しているのを見かけます。それぞれの場所によって異なるあり方の検討をこれからも丁寧にお願いします。
今回は、時代とともに変わっていくまちづくりについて質問させていただきました。これで私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
───────────────────
83 ◯議長(井上恒弥君) 本日はこれにて延会いたします。
午後4時21分延会
───────────────────
Copyright © Shizuoka City, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...