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  1. 岐阜県議会 2023-03-01
    03月09日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 5年  3月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                   令和五年三月九日(木)午前十時開議 第一 議第一号から議第五十号まで 第二 請願第四十二号及び請願第四十三号 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第一号から議第五十号まで 一 日程第二 請願第四十二号及び請願第四十三号 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   安井 忠君     十二番   中川裕子君     十三番   伊藤英生君     十四番   澄川寿之君     十五番   水野吉近君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十一番   長屋光征君    二十二番   高殿 尚君    二十三番   田中勝士君    二十四番   加藤大博君    二十五番   林 幸広君    二十六番   高木貴行君    二十七番   野村美穂君    二十八番   川上哲也君    二十九番   山本勝敏君     三十番   松岡正人君    三十一番   小原 尚君    三十二番   水野正敏君    三十三番   野島征夫君    三十四番   伊藤秀光君    三十五番   平岩正光君    三十六番   佐藤武彦君    三十七番   松村多美夫君    三十八番   渡辺嘉山君    三十九番   伊藤正博君     四十番   森 正弘君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十五番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山口義樹 総務課長         高野朋治 議事調査課長       古田幹雄 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同   課長補佐     大野享子 同   課長補佐     久富英材 同   課長補佐     市川達也 同   主査       水野 恵 同   主査       鷲見和良 同   主査       柘植健太 同   主査       水谷昭之…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        北川幹根君 秘書広報統括監      高橋洋子君 総務部長         尾鼻 智君 清流の国推進部長     長尾安博君 危機管理部長       内木 禎君 環境生活部長       渡辺正信君 環境生活部県民文化局長  篭橋智基君 健康福祉部長       堀 裕行君 健康福祉部子ども・女性局長              村田嘉子君 商工労働部長       崎浦良典君 農政部長         雨宮功治君 県土整備部長       大野真義君 都市建築部長       野崎眞司君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        加藤伸宏君…………………………………………………………………………………………… △三月九日午前十時開議 ○議長(平岩正光君) ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十四番(澄川寿之君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。 改めまして、新議場での初の質問となります。知事も竣工式等で発言をされておられましたが、今回の新県庁舎の出発が単なる移転にとどまることなく、新しい仕事を発信していく場となるよう私自身も新たな気持ちで質問をさせていただきたいと思います。 さて、昨年十二月十五日、岐阜県議会公明党として、古田知事に対し、令和五年度予算への要望書を提出させていただきました。岐阜の未来を支える人づくり、全ての県民が安心して暮らせる岐阜づくり、地域のつながりを生かした岐阜づくり、感染症に強い岐阜づくり、そして直面する課題への対応、この五つを柱といたしまして百四十七項目について要望させていただきました。 年が明け、知事のほうから全ての項目について推進するとの回答をいただき、新年度予算にも反映をしていただきました。 具体的には、妊娠時から出産・子育てまでの伴走型相談支援と経済的支援の一体的な実施について、市町村を積極的に支援、若年層の賃金上昇に向けた支援、♯七一一九救急電話相談事業の早期実現、医療機関同士の連携と役割分担、保健所機能の強化や医療人材確保などの仕組みづくり、物価高騰等の影響を受ける県内事業者への支援、脱炭素に取り組む事業者への支援、温室効果ガス吸収源対策の強化、こういった項目について予算案に組み込んでいただけたことをうれしく思っております。 そこで、まず岐阜県議会公明党の予算要望から前日までの質問との重複を避けまして、二点お尋ねしたいと思います。 一点目には、本県における行財政の課題認識と今後の改革方針についてお尋ねをいたします。この課題につきましては、これまでにも質問をさせていただいておりますが、改めて過去の経緯から確認をさせていただきます。 本県ではバブル経済崩壊後の平成五年度から平成十三年度の九年間、毎年三千億円を超える大規模な公共投資を行ってきました。また、平成十六年度の単年度だけで、地方にとって二・九兆円近い財源が一挙に失われ、地方財政ショックと言われた交付税の大幅な削減といった要因も重なり、借金の返済負担の程度を示す指標の実質公債費比率が平成二十一年度には起債許可団体となる一八%を上回り、平成二十三年度には一九・七%と全国でワースト三位となり、本県は極めて深刻な財政危機に陥りました。 以来、たゆまない努力を続け、今から四年前の平成三十一年三月には、節度ある財政運営を確保し、持続可能な財政基盤の確立のため、向こう十年間の本県の行財政改革の方向性を示した岐阜県行財政改革指針二〇一九も策定されました。 このように着実に行財政改革に取り組んだ結果、令和三年度の実質公債費比率は六・一%と全国ワースト三からベスト三にまで回復。財政の硬直度を見る指標である経常収支比率も令和二年度で九二・四%と全国六位と、全国と比較しても健全な水準に改善しました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の発生やロシアによるウクライナ侵攻、先日のトルコ・シリアの大地震、原材料価格の高騰などを原因とするコストプッシュ型のインフレーションの進行など、先行き不透明な国内外の社会経済情勢が続いており、行財政改革指針策定当時よりも行財政の諸課題は複雑化・多様化してきています。 こうした状況の中、岐阜県の最上位計画である「清流の国ぎふ」創生総合戦略を一年前倒しで改定するため、今議会に議案として提出されているところでありますが、同戦略に基づく重要な政策課題に積極的に対応するための来年度の予算は、平成二十五年度から十一年連続の増額となる八千八百九十七億円規模となっています。このことからも、県民生活を支え、県民の期待に応えていくため、未来を見据えた政策に積極的に取り組む知事の強い意志を感じています。 一方、本県財政は二〇〇〇年まで国の借金で調達してきた金額が地方債に押しつけられ、強いられた借金である臨時財政対策債の累増や頻発化する自然災害への備えに加え、社会保障関係経費の充実、公共施設の長寿命化対策といった構造的な財政需要の拡大などにより、県債の発行が増加し、公債費も令和二年度までの減少傾向が令和三年度から増加に転じることとなりました。 地方財政は、国のように赤字債を発行できない限られた歳入の範囲内で歳出を決め、収支の均衡を図っていかなければなりません。また、法律で定められた財政健全性の基準を逸脱すると、かつてのように起債許可団体等になって、財政の自由度が制約される事態となりかねず、財政需要への対応と財政健全化の両立が求められます。 そこで、県では持続可能な節度ある財政運営を引き続き確保するため、今月これまでの行財政改革指針二〇一九を改定し、令和五年度から令和十四年度までの向こう十年間の財政見通しを踏まえ、今後の行財政改革の方向性及び具体的な取組をまとめた岐阜県行財政改革指針二〇二三を作成することとしております。 そこで、知事にお尋ねをいたします。今回、岐阜県行財政改革指針二〇二三を策定するに当たり、本県行財政の課題をどのように認識し、今後の改革をどのような方針で行っていくおつもりか、知事の考えをお聞かせください。 続きまして、リスキリング支援についてお伺いします。 リスキリングとは、日本語では学び直しとも言われます。 新型コロナウイルスの感染症の拡大は、企業や労働者にとって従来の働き方が大きく変化するきっかけとなりました。情報通信技術を活用した在宅勤務やリモートワークは、時間や場所の制約を受けることなく、働く形態を広げました。その一方、リモートで仕事する際に、どのように生産性を向上させるのかという課題も浮き彫りとなりました。 県内企業の大半を占める中小企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、持続的に成長していくためには、顧客ニーズを基に製品やサービスを改良するとともに、業務そのものや組織風土を変革し、競争上の優位性を確立することが必要です。 このように労働環境が大きく変化する中で、労働者もその変化に的確に対応していくには、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、生産性や競争力を高めることでスキルアップを図っていかなければなりません。その中心となり、組織をリードする人材が求められており、変革の鍵を握るのはデジタル化であります。 しかしながら、そのような知識・スキルを持つデジタル人材は全国的に著しく不足しています。 岸田首相は、昨年十月の所信表明演説の中で、個人のリスキリング支援など人への投資に五年間で一兆円投じることを表明し、物価高、経済再生実現のための総合経済対策では、デジタル分野等のスキルの獲得と成長分野への円滑な労働移動を同時に進める観点から、リスキリング支援が盛り込まれました。 県におきましても、DX推進計画を令和三年度に策定し、少子高齢化に伴う人材不足に対応していくため、デジタル技術の活用は不可欠であり、中小製造業のデジタル化促進に向けた人材の育成・確保を推進することとしています。 冒頭に申しましたとおり、リスキリングとは学び直しとも言われますが、新しい職業に就くためや現在の職業で必要とされるスキルの大きな変化に適応するために必要なスキルを獲得することです。特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や仕事の進め方が大幅に変わる今日、労働者が自らの雇用を守るために必要なスキルとなります。DXを導入することで不要となった業務に従事していた人たちが新たな知識や技能を習得しなければ働く場を失う可能性もあります。 デジタルなどの技術進歩に対応するには、企業が戦略的な取組を進め、働く人が新たな能力や知識を習得することが必要不可欠です。その先にはスキルアップした労働者が成長分野で活躍し、企業の生産性も向上、企業収益の改善や労働者の賃上げにもつながり、消費拡大や地域活性化をもたらす好循環をつくり出していかなければなりません。 このように、DX時代のこれからの人材戦略は、デジタルの技術の力を使いながら新たな価値、スキルを創造し、生産性や競争力を向上させるリスキリングが重要となります。 そこで、商工労働部長にお尋ねをします。リスキリング支援の今後の取組についてお聞かせください。 以上で一回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 本県行財政の課題認識と今後の改革方針についてのお尋ねがございました。 御指摘もありましたが、本県ではかつて毎年度三百億円を超える財源不足が見込まれ、実質公債費比率が一八%を上回り、起債許可団体となるなど危機的な状況にありました。 大きな要因としては、まずバブル経済崩壊後の平成四年度以降、国の経済対策に呼応した道路整備事業や公共施設の建設など、多くの公共事業を積極的に進めてきたことでございます。 加えて、平成四年度から七年度にかけて発行した県債について、当面の公債費の負担を免れるため、本来の返済年度を後年度に繰延べしたことによる影響も大変大きかったものと考えております。 こうした状況に対応するため、平成二十二年度から三年間にわたって行財政改革アクションプランを実施し、何とか持続可能な財政運営に道筋をつけてきたところでございます。そして、その後も手を緩めることなく、節度ある財政運営に心がけてきております。 この結果、実質公債費比率は令和三年度決算で六・一%と全国三位、経常収支比率も令和二年度決算では九二・四%と全国六位まで改善しております。 その一方で、新型コロナウイルス感染症の発生・拡大やロシアのウクライナ侵攻など、このところ社会経済情勢が大きく変化したことを踏まえ、「清流の国ぎふ」創生総合戦略を一年前倒しで改訂することといたしました。 このため、この戦略改訂と歩調を合わせ、今後の課題や向こう十年間の財政見通しを踏まえ、行財政改革指針も改定することとしております。 まず、財政の中期的な構造問題といたしまして、公債費については、近年の激甚化・頻発化する災害への備えなどにより県債が累増していることに加え、金利上昇の影響などから毎年度十億円から四十億円増加をするという見込みでございます。 また、社会保障関係経費につきましては、高齢化の影響などから毎年度十億円から三十億円増加する見込みでございます。 さらに、公共施設の老朽化対策として、毎年度百三十億円程度必要となる見込みでございます。 こうしたことにより、中期財政見通しにおいては成長実現ケースにおいても毎年度百億円程度の財源不足が発生する見込みであり、ベースラインケースでは十年後にはその額が二百五十億円程度に膨らむ見込みでございます。 一方、コロナ禍や物価高騰などの影響を踏まえ、来年度予算の重点課題としております社会経済の回復・再生・転換と人口減少社会からの脱却をはじめ、新たな「清流の国ぎふ」創生総合戦略に盛り込まれた様々な課題にもしっかりと対応していかなければなりません。 このような状況を踏まえて、新たな手法も盛り込みつつ行財政改革に取り組むことで引き続き持続可能な財政運営を行ってまいります。 例えば、事業見直しにつきましては、引き続き事業の必要性や効率性を精査した上で、廃止を含めた見直しを実施するなど、今後もさらなる効率化を目指してまいります。 また、歳入面では、引き続き税収の確保や国に対する必要な財源の働きかけを行ってまいります。さらに地方税統一QRコードの導入により、スマートフォンによるキャッシュレス決済において、これまで未対応であった一部大手や銀行系のアプリなどが対応可能となるなど、新たな取組も進めてまいります。 加えて、デジタル技術を活用した原則全ての行政手続のオンライン化や、RPA(Robotic Process Automation)を活用した定型事務の自動化などを行うことにより、行政手続の利便性向上や職員の事務負担軽減を進めてまいります。 ○議長(平岩正光君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) リスキリング支援に対する今後の取組についてお答えします。 県内企業では、競争力の維持・強化に向けてDXの取組が求められているものの、それらを担うデジタル人材が不足しております。そのため、今いる従業員が学び直すリスキリングは極めて重要であり、来年度以降も一層の充実を図ってまいります。 まず、ソフトピアジャパンでは今年度から開始したDX推進に向けたリスキリング研修の機会を増やします。また、岐阜大学内に設置した航空宇宙生産技術開発センターでは、これまでの航空宇宙産業の技術者向け研修を今後は製造業全般のリスキリングに拡大いたします。さらに、テクノプラザでは新たにAIなどの最新技術を理解・活用するカリキュラムを開発し、より実践的なリスキリングを開始いたします。 このように、リスキリング研修を量・質ともに充実し、DXを担う人材育成を支援してまいります。 一方、DXの進展などにより、どのような業務変化と労働移動が起こるかは各企業によって異なります。今後、経済団体等と意見交換を重ね、求められるリスキリングへの支援を検討してまいります。 ○議長(平岩正光君) 十四番 澄川寿之君。    〔十四番 澄川寿之君登壇〕 ◆十四番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、誰一人取り残さない岐阜づくりを踏まえて、三点お伺いをしたいと思います。 一点目に、ケアリーバーへの支援についてお伺いをします。 昨年の四月から改正民法が施行され、成人年齢が十八歳に引き下げられました。そのような中、十八歳の壁に直面する人たちがいらっしゃいます。それがケアリーバーの方々です。 ケアリーバーとは、児童養護施設や里親など社会的養護の下で育ち、保護(ケア)から離れた子供たちのことを言います。 厚生労働省によりますと、児童養護施設などで暮らす若者は、令和三年三月時点で四万二千人余りに上ります。ケアリーバーが地域社会において自立生活を送る際には、生活や就業上の様々な問題を抱えながら、自らの努力で生活基盤を築いていかなければなりませんが、自立は簡単ではありません。 虐待や貧困、ネグレクト(育児放棄)などを理由に親元を離れ、児童養護施設で暮らしてきた子供たちは、現行制度上では原則十八歳で施設や里親を離れなければなりません。しかし、十八歳を迎え、施設などを離れると、頼れる大人も周囲にいないことが多く、戻る家庭もない環境の下、経済的な困窮や孤立に追い込まれるケースが相次いでいます。 厚生労働省が令和三年に公表したケアリーバーの全国初の実態調査では、およそ五人に一人が施設を退所した後、収入より支出の多い赤字の生活を送っており、施設職員や里親家庭との直接の交流が「一年に一回もない」との答えは三〇%を超えています。また、過去一年間に医療機関を受診できなかった経験も二〇%を超え、さらにはせっかく大学や専門学校に進学しても、経済的な理由で退学を余儀なくされたり、保証人がいないため、住宅の賃貸契約ができなかった事例もあるなど、生活費や学費などを工面できずに悩み、悩んでも相談できる相手が身近にいないケースも多いことが改めて判明し、支援を求める声が上がっておりました。 公明党では、これまで当事者や支援者らの声を基にケアリーバー支援を全国的に推進してきており、十八歳の年齢制限の撤廃や孤立防止を訴えてきました。その結果、改正児童福祉法が成立し、二〇二四年四月に施行される予定になっています。 この改正児童福祉法では、児童の自立支援を図るため、例えば自立援助ホームでの共同生活を送りながら、相談や日常生活の援助、生活指導及び就業の支援を行う児童自立生活援助事業が最長でも二十二歳までとされていた年齢制限が緩和され、都道府県が必要と判断する時点まで支援を継続できるようになります。 つまり一律に年齢ではなく、自立可能かどうかで判断し、成人向けの支援に引き継ぐまで継続的なサポートを受けられるようになるため、法改正の意義は大きいと考えます。 また、施設退所者等に対する自立支援の提供体制の強化が図られ、新たに生活支援、自立に関する相談等を提供する社会的養護自立支援拠点事業が創設されました。 ケアリーバーは社会全体で支えることが非常に重要です。そのため、改正法の趣旨を踏まえ、ケアリーバー支援そのものの認知度の向上や関係者の理解促進を図りながら、誰一人取り残されず、孤立を防ぎ、安心して生活できるよう、ケアリーバー支援を充実強化していくことを願っております。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 県の判断も求められるようになる来年の法施行に向け、ケアリーバー支援をどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 続きまして、発達性読み書き障がい(ディスレクシア)についてお伺いをいたします。 ディスレクシアとは、知的能力に問題はありませんが、文字を書けない、うまく読めないという生まれつきの発達性読み書き障がいと言われています。一般的な理解力などに特に遅れはないにもかかわらず、文字の読み書きに限定した困難があり、そのことにより学業不振が表れたり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。 主に就学期前後に判明する発達障がいの一つであり、知能や聞いて理解する力、発話で相手に自分の考えを伝えることは問題ないのですが、文字を見て、それを脳が認識し、言葉として理解するまでにとても時間がかかると言われています。 筑波大学教授の宇野 彰さんの著書「「うちの子は字が書けないかも」と思ったら」から引用させていただきますと、ディスレクシアの主な特性といたしまして、一、通常の読み書きの練習をしても、音読や書字の習得が困難であること。二、音読ができたとしても、読むスピードが遅いこと。三、漢字や仮名の形を思い出すことが難しいため文字が書けない、またはよく間違えること。四、文字を書くことはできるが、その文字の形を思い出すまでに時間がかかるため、文書を書くのに非常に時間がかかることなどが挙げられます。 アメリカ人俳優のトム・クルーズさんがディスレクシアであることを公表して、欧米では広く認知されるようになっています。世界的俳優として活躍されているトム・クルーズさんも子供の頃はディスレクシアのため、幾つもの学校を転々とし、いじめにも遭い、つらい思いをしてきたことを度々告白されています。俳優になってからも脚本の文章が理解できず、テープに録音してもらってせりふを覚えていたそうです。現在では同じようにディスレクシアに苦しむ子供たちを支援する活動を続けられています。 宇野 彰さんの発言によりますと、ディスレクシアは日本の小学生の約七%から八%存在すると言われており、したがって、読み書きを苦手とする児童はクラスに平均二人から三人いると見られますが、日本ではまだまだ認知度が低く、保護者や子供自身もディスレクシアであるということに気づくことが少ないという課題があります。 言うまでもなく、学校は勉強するところです。日本の学校教育における勉強とは、字を読んで書くことが中心となっているため、ディスレクシアの子供たちにとって勉強はつらいものとなりかねません。読み書きが嫌いであるから学校そのものが嫌いになっているディスレクシアの子供も少なくありません。そのため、ディスレクシアの子供たちには読み書きの負担をできるだけ軽減し、学習成果を上げるための合理的配慮が求められます。周りの人が理解し、適切なサポートをすることで困難さを軽減することができます。 合理的配慮の中で、最も有効な手段の一つがICTの活用です。 例えば、学校においては黒板をノートに書き写す代わりにタブレットで写真を撮る。あるいはタブレット端末に文章を入力するということも障がいの軽減になります。また、宿題をタブレット端末で提出することや、教科書についてもデジタル教科書のルビ振り機能や音声読み上げ機能を活用することも効果的です。 また、合理的配慮への理解を他の児童・生徒や保護者に周知することも必要です。特別扱いをしているとの誤解からいじめにつながることを恐れ、合理的配慮を受けられないことを防ぐ必要があります。保護者等を対象に、発達性ディスレクシアに関する分かりやすいリーフレットを作成し、学習会や講演会を実施するなど、発達性ディスレクシアへの理解を促す必要があると考えます。 さらには、学校現場でディスレクシアが発見された際、保護者との連携を十分に図ることも重要です。教育現場のみならず、専門医の診断を必要とする場合もあり、医療機関への接続をスムーズに行うことや、早期療育につなげる必要性もあると考えます。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。 ディスレクシアのある児童・生徒への対応状況と現状の課題認識、そして今後の取組についてお考えをお聞かせください。 最後に、岐阜県福祉友愛アリーナの利便性向上についてお伺いをいたします。 令和元年の六月、障がい者の社会参加の促進並びに障がい者のスポーツの推進及び競技水準の向上を図るため、清流福祉エリアに岐阜県福祉友愛アリーナが開館しました。 障がい者や障がい者団体の利用は無料に設定され、バスケットボールやバレーボールのほかボッチャやシッティングバレーボールなど利用も可能で、多くの障がい者の皆様がスポーツを楽しんでいらっしゃいます。 開館から間もなく五年目を迎えるに当たり、運用面の課題も見えてきました。 視覚障がい者のリハビリテーションとして始まったスポーツであるゴールボールの団体、岐阜県ゴールボール協会をはじめ障がい者スポーツ団体から県に対し、福祉友愛アリーナの運営方法の改善と交通アクセスの利便性を高める要望が提出をされました。 障がい者スポーツ団体の皆さんは、要望書提出の前からも福祉友愛アリーナの開館以来、スポーツ活動で利用している中で開館時刻や交通アクセスに関して利用しづらい面があるため、運営の見直しについて県の担当部局へ意見を述べていらっしゃいました。 運営方法について福祉友愛アリーナが利用しづらい点として、時期により開館時間が変わるため、利用時間が短くなること、定期練習や強化練習での活動ルーチンを変えなくてはならないこと、イベント(大会、合宿、選手発掘、体験会等)で開始時刻が遅くなり十分な活動時間が確保できないことを挙げていらっしゃいます。 また、開館時間が季節によって変わることは、移動に利用する交通機関の利用時刻も変わるため、時間に合わせる行動や待ち時間等、障がい者にとっては負担となります。 さらに、冬季に活動開始時間が遅れることから帰路が暗くなり、歩行に危険が伴います。 岐阜県福祉友愛アリーナ条例第十三条には開館時間が規定されており、五月から九月は午前九時、十月から四月は午前十時となっています。利用者の切実な声に応え、季節によって異なる開館時間を変更していただき、年間通して午前九時に開館できるよう、条例改正を前向きに御検討いただきたいと思います。 次に、交通アクセスについても、利用者からは不便であるとの声が届いています。残念ながら路線バスや福祉バスが友愛アリーナの近くへ巡回していないため、使用する障がい者は離れた距離のあるバス停から徒歩で移動しています。障がい者が安全に移動するには距離が長くかかり、大きな負担となっております。 福祉友愛アリーナへの交通アクセスの利便性の向上は開館当初から課題とされていましたが、いまだに改善されておりません。ほかの都道府県で見られる送迎サービスのように、岐阜駅と福祉友愛プール・アリーナを日中に数回往復するマイクロバスまたは公用車を配備し、交通弱者である障がい者の皆様が利用しやすくなるよう改善していただきたく思います。 いずれも実際に施設を利用し、改善してもらいたいという障がい者の皆様の生の声であり、切実な意見です。 本年六月には、福祉友愛アリーナ開館から五年目を迎えます、福祉友愛アリーナは障がい者の社会参加の促進と障がい者スポーツの推進のための施設であります。本県が誇る障がい者スポーツの先進施設でもある福祉友愛アリーナが節目の年を迎えるに当たり、いま一度利用者の声に耳を傾け、より満足度の高い施設となるよう運用改善を求めたいと思います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。岐阜県福祉友愛アリーナの利便性向上についての御見解、今後の方針についてお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) ケアリーバー支援についてお答えいたします。 児童福祉法改正に伴う施設入所等の年齢制限緩和に当たっては、現在社会的養護の下にある当事者が十分な準備のないままケアから離れることがないよう、本人はもちろん、児童養護施設や里親など関係者の意見も聞きながら利用期間延長を行っていきます。 また、現在ケアリーバーに対する相談対応や、様々な理由で居住できなくなった際に一時避難できる場所の提供などを行う事業を県から民間法人に委託して行っております。今後、ケアリーバーが相互交流を行う場を設置することにより、来年四月にスタートする社会的養護自立支援拠点事業にも対応してまいります。 さらに、来年度からは中央子ども相談センターに自立支援コーディネーターを配置して、退所前の段階から継続支援計画を作成するとともに、よりきめ細やかなフォローアップを行う予定です。 こうした支援に対する社会の理解を進めるため、ケアリーバーが抱える困難を理解した上で住み込みにより雇用いただく「ぎふ職親プロジェクト」の登録企業の拡大にも取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
    ◎教育長(堀貴雄君) ディスレクシアのある児童・生徒への対応についてお答えします。 学習障がいの一つであるディスレクシアについては、現在、通常の学級や通級指導教室の中で文章読み上げソフトの利用、タブレットによる文字入力や板書撮影、テスト時間の延長など、児童・生徒一人一人の障がいの状況に合わせて支援をしているところです。 一方で、ディスレクシアは小学校入学後に顕在化することが多いため、失敗経験の積み重ねなどから自信を失い、学習や学校生活への意欲が低下することがあります。 このために、自分の特性を知り、それに応じた解決方法を身につける支援につなぐため、まずは児童・生徒一人一人をよく見て、その障がいを着実に把握すること、そして可能な限り早期に把握していくことが重要であると考えております。 今後はこれまでの支援策に加え、各学校に配置されている特別支援教育コーディネーターや、特に小学校低学年の教員に対し、この障がいの特性や読み書きの困難さを見極める方法などを学ぶ研修を実施し、早期発見にも重点を置きながら取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 岐阜県福祉友愛アリーナの利便性向上についてお答えします。 福祉友愛アリーナの開館時間につきましては、先行して完成した福祉友愛プールと同じ運用としており、その設定に当たっては障がい者団体やパラスポーツ競技団体の方々に御意見を伺い、冬季の早い時間は利用者が少ないと考えられること、維持管理コストを考慮すべきであることという御意見を踏まえ決定したものです。 御指摘の開館時間の変更については、幅広い皆様の御意見を伺うため、両施設の利用者に対するアンケートを行っており、今月中に取りまとめを行い、検討してまいります。 また、交通アクセスの向上については、以前から課題として認識し、バス事業者への路線バスの運行見直しの要望や団体利用者へのバス借上げ助成事業などを行ってきておりますが、さらなるバス事業者への要望や助成事業の見直しなどを検討してまいります。 アリーナの運営に当たっては、利用者や関係団体の御意見を踏まえて進めていくことが重要と考えており、御指摘の内容につきましても、皆様の御意見を踏まえ、検討を進めてまいります。 ○議長(平岩正光君) 二十二番 高殿 尚君。    〔二十二番 高殿 尚君登壇〕(拍手) ◆二十二番(高殿尚君) 通告に従い、早速三項目について質問をさせていただきます。 国内外の様々な影響によって、足元ではエネルギー高、物価高騰が家計を直撃しており、本議会に提出された令和五年度当初予算案にもこうした状況に対応するための関連事業などが数多く盛り込まれております。 また、二〇二三年度から二〇二七年度の五年間を計画期間とした「幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県をともに目指して」と題した本県の最重要の総合計画である次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略(案)も示されたところです。 その中には、本県の取り組むべき課題として、人口減少そのものへの挑戦だけではなく、誰もが活躍できる社会づくりなど、人口減少社会への挑戦を両輪で進めていかなければならないとされております。 この人口減少が進行する要因は、出生数が死亡数を下回る自然減と、転入者が転出者を下回る社会減の二つがありますが、現在本県においては自然減、社会減のどちらも進行している状況です。このため、幅広い対策を複合的に打つことで、少なくとも現状に近い状況を維持していくことが求められます。 そこで、今年一月に少子高齢化社会の安心対策特別委員会で視察した岡山県奈義町の事例を紹介いたします。 人口五千七百四十七人、これは令和四年十月現在ですが、奈義町の最大の課題は、岐阜県や他の自治体とスケールが違っても、やはり人口減少と少子高齢化であります。奈義町の目標は、今後も現在の人口を維持することで、その対策として定住を促進していくことを掲げております。 具体的には、住む環境を整える住宅施策、働く環境を整える就労の場の確保施策、そして産み育てる環境を整える子育て支援施策の三本柱です。 こうした取組の成果もあってか、令和元年の合計特殊出生率は二・九五、参考までに岐阜県は一・四五、全国では一・三六です。 日本一の出生率を誇るこの町は奇跡の町と言われておりますが、それは決して奇跡ではなく、若者に対する定住支援や就労支援、独自の子育て支援などの対策にどの自治体よりも真摯に取り組み、約十五年にわたり複合的に推し進め続けた結果ではないでしょうか。 奈義町の職員からお話を伺うと、高い合計特殊出生率の鍵は安心感とのこと。住むところがあって安心、子育ての負担が軽くなって安心、そして働くところがあって安心という安心感が一番大事だそうです。さらに全ての行政施策を人口維持に向けていくために、高齢者の方々にも少子化対策の必要性の理解を求めるために根気よく説明をし続けることに加え、少子化対策を推し進めることが最大の高齢者対策につながると理解を求め続けてこられたとのことです。 こうした奇跡の町の取組を参考に、二点質問をさせていただきます。 一つ目の質問は、これまでの移住定住施策に対する検証と今後の施策展開についてお尋ねをいたします。 まず最初に、本県の状況について整理をいたします。 岐阜県への移住者の現状は、令和元年度の千四百九十八人から、令和三年度には千六百九十六人と増加傾向にあります。また、東京の認定NPOふるさと回帰支援センターが発表した二〇二二年の移住希望地ランキングにおける岐阜県の全国順位は、二十歳代以下では第六位、三十歳代では第八位と上位に位置しております。 さらに、同センターにおける岐阜県への移住等の相談数の全国順位は、二〇一九年以前は二十一位以下であったものが、二〇二〇年には第十位、二〇二一年には第八位、二〇二二年では第十一位と高い順位を維持しております。 次に、移住の要因について整理をいたします。 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局のアンケートによると、移住の要因については、通勤・通学環境を変えるためがコロナ禍前の「一六・三%」からコロナ禍の「二〇・八%」と四・五ポイント増加、山や海などの自然環境の豊かな環境下で生活をするためがコロナ禍前の「八・九%」からコロナ禍の「一一・四%」と二・五ポイントの増加となっており、コロナ禍で暮らしの環境を重視する流れになっていると分析できるのではないでしょうか。 このように、コロナ禍における地方移住の機運の高まりもあり、県全体では移住件数は伸びているものの、私の地元、飛騨地域ではここ三年、三百八十人前後の推移にとどまっております。 飛騨地域の移住施策においては、名古屋市、愛知県域の通勤エリアである岐阜市、大垣市などのJR東海道本線、名鉄沿線エリアや多治見市などのJR中央線沿線エリアの移住施策などと共通した施策に加え、地域性を加味し、地域別の施策も必要であると考えます。 そこで、さきにお話をした二〇二二年移住希望地ランキングのトップである静岡県の取組の一つを御紹介させていただきます。 静岡県がまとめたデータによると、令和三年度の移住者数は千八百六十八人と令和二年度の千三百九十八人に比べ三割以上増え、平成二十七年度の三百九十三人から五倍弱の伸びを見せております。 静岡県では移住者数が最も多い市町は、首都圏に比較的近い三島市、続いて富士市、静岡市、浜松市と県内の東部地域や新幹線停車駅のある市を中心に人気が集まっています。 静岡県の移住推進担当らの分析によると、移住者が多い要因の一つは首都圏へのアクセスのよさ、静岡に移住する約三割は東京からであり、神奈川、埼玉、千葉を含めると移住者全体の七割ほどを占めているとのことです。 これは、近年、コロナ禍でテレワークが広がりを見せる中、今の仕事を続けながら地方へ移住したいとのニーズが非常に高まりつつあり、これが形となった転職なき移住です。一方で、首都圏に近いゆえに大学進学や就職のタイミングで上京する人も多いといいます。 そこで、静岡県は上京した人がスムーズにUIターンできるような環境づくりを推進しています。 「三十歳になったら静岡県」というキャッチフレーズを使い、結婚や出産、転職、親の介護など、人生の転機と言われる三十歳前後でUIターンを検討している若い世代をターゲットに、再チャレンジやリスタートしたい方に向けて移住を応援する取組も実施されております。 静岡県ではこのような移住の取組を「ふじのくにに住みかえる」と題して推進しており、県東部にとどまらず都市部から中山間地域までの全域に拡大していくことを目指しています。 この「住みかえる」は、三つの「住みかえる」を意味します。 一つ目は、静岡県に「帰る」を意味する「住み帰る」、帰るとは家に帰るという意味の帰るです。 二つ目は、静岡県に生活の基盤を「替える」、替えるとは取り替えるの替える。 最後に三つ目は、静岡県に住居を得ることの意味で、「住みか得る」、住みかを得るという意味であります。 静岡県に帰るはUターン、静岡県に生活の基盤を替えるはIJターン、静岡県に住居を得る住みか得るは二地域居住などになります。 こうした取組を参考に、私から幾つかの提案をさせていただきます。 まずは、現在の施策の展開のさらなる拡充です。 若い世代にターゲットを絞って、若い世代の岐阜県への移住志向を現実の移住に結びつけるために、仕事や暮らしに関する地域発情報を積極的に届けることが必要不可欠です。 そのため、移住を検討される方と直接触れる清流の国ぎふ移住・交流センターの体制を強化し、地元市町村と連携して地域発情報の発信や相談者、移住者のフォローに当たるその地域に居住する相談員の県事務所への配置などを検討してはどうでしょうか。 さらに、移住施策は仕事・住まい・暮らし・子育てや教育などの複合要素があることから、県庁内の幅広い部局に横串を刺し、移住定住に特化した推進本部のような組織を設置し、県内市町村や民間団体と一体となって取組を推進するとともに、地域課題に対応するための地域支部についても設置してはどうかとも思います。 次に、移住定住は地域の人材確保の有効な切り札の一つであることから、商工会議所、商工会などとの連携による仕事に重点を置いた情報発信や雇用のマッチングなどの取組の推進や、そうした取組の裾野の拡大を図っていくことも必要ではないかと考えます。 これは後ほど二つ目の質問で詳細に触れさせていただきます。 最後に、移住定住は、その家族の仕事や生活が一変する場合がほとんどで、大きなハードルとなっています。首都圏近郊のように都市部の企業と連携して、都市圏に仕事や生活を維持しながら、地方にも仕事や生活の拠点をつくる二地域居住の取組を本県でも積極的に取り進めるべきだと考えます。 多様な働き方の実現ばかりではなく、南海トラフ巨大地震等に対する危機管理の観点からも、地方部の環境のよい場所にサテライトオフィスやテレワークの拠点の設置を検討している都市部の企業は少なくないと思います。 そこで、都市部の企業と本県との継続的な連携に向けたキックオフイベントとして、こうした企業を対象とした大規模なセミナーや相談会などの開催について検討されてはどうかとも思います。 知事は、地元紙面の新春号で、コロナ禍を契機とした地方回帰の流れを移住定住施策の積極展開や県内外からの就職促進、多様なニーズを踏まえた働く場の創出などの施策に生かしたいともおっしゃられていました。 さきに述べた岡山県奈義町の取組も、現在のように至るまでには約十五年かかったとのことでした。 本県においても次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略の次なる十年の展開を見据えて、取組を強化するとともに、PDCAサイクルを回しながら、継続すべきは継続し、見直すべきは見直すめり張りの利いた施策を展開していただきたいと思います。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねをいたします。 移住定住を推し進めてこられた実績であるこれまでの道をどう検証し、次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略に基づいた今後の施策展開であるこれからの道をどう推し進めていくかをお尋ねいたします。 次に、産業人材不足解消に向けたUターン就職を促す取組の推進について質問を続けます。 昨年、企画経済委員会において、高山商工会議所が中心となって参画企業と共に推し進めるUターンシップという独自の取組について視察をいたしました。 Uターンシップとは、インターンシップと地元に帰ることを意味するUターンを融合した学びの場を意味し、地域と学生をつなぐ取組です。 企業が個々に、別々にリクルート活動を行うのではなく、飛騨地域の参画企業が専用のウェブサイト、いわゆるプラットフォームに登録することで、地域全体として学生とつながりを持ち、その上でインターンシップなどを通して各企業と学生がつながっていく仕組みです。地域が一体となった情報発信により、飛騨地域に興味のある学生が飛騨地域や飛騨の企業を深く知り、活躍の場として飛騨の企業を選択肢の一つとすることができる環境を整えることを目的としております。 視察の際に頂いた資料のトップにも、「地元飛騨で働くという選択肢」と記されておりました。 こうした取組の背景には、岐阜県全体の高校生の約五〇%が進学や就職によって岐阜県を離れることに対して、飛騨地域の高校生は約七〇%が高校卒業後、飛騨を離れ、県内外に進学し、そのほとんどがそのまま飛騨地域以外で就職し、生活を続け、なかなか地元には戻らないという現状があります。 こうした状況の中、まず一番大事なことは、ふるさと岐阜県、またそれぞれの地元で働くという選択肢を持ってもらうことです。 県も清流の国ぎふ大学生等奨学金事業、オール岐阜・企業フェスなど、実効性のある雇用対策事業はこれまでも打ち続けてきました。また、民間企業もあの手この手、手を替え品を替えながら個々にリクルート策を打ち続けていますが、成果・効果が現れにくくコストも多額となっております。 加えて、仮に地元で就職しても数年で離職する者も少なくなく、ここ数年の県内高卒者の離職率を見ると、多いときには四割近くの若者が卒業後三年以内に離職しています。さらに、人材が確保されないことで、高い技術の継承や事業の承継が引き継がれないという状況にあります。 それでは、どうしたらこうした状況を打開できるのでしょうか。 その一つとして、冒頭で述べた地元に就職をするという選択肢を高めることが重要になると思います。 そもそも学生たちは地元への就職という意識が薄いため、地元企業を調べず、それが傾向や結果として地元企業を知らないことにつながっております。 そうであるならば、この地域ではもちろん、地域外、国内外でも活躍や貢献をしている企業や仕事を通じてスキルアップできる企業など人材を求める企業側と地元の活躍の場を知らないだけ、調べていないだけの学生とを結ぶ場が必要ではないでしょうか。 まさに冒頭でお話しした学生、社会人、企業、地域を結ぶプラットフォームが必要であると考えます。 さらに体験型インターンシップを取り入れることで、入社後のイメージギャップの離職を防ぎ、また目指す仕事のやりがいの発見、仕事場、将来生活の場の明確なイメージが持てるようになり、最終的な選択肢に入れてもらえるようになるのではないかとも考えます。 このような飛騨で行われているUターンシップのような取組が拡大し、参画する業種や企業が増えれば、学生の地元就職、岐阜県への転職への選択肢も増えていくのではないかと期待しております。 こうした魅力ある県内企業と未来の貴重な人材を結ぶ取組を加速させ、就職先、転職先の選択肢に選んでいただくことは、Uターン就職の促進につながるのではないかと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。 地域の産業人材不足を解消する手段として、Uターン就職の促進に向けてどのように取り組まれていくのでしょうか、お尋ねをいたします。 最後に、乗鞍スカイラインの早期開通に向けた今後の方向性と取組について、一点質問をさせていただきます。 本定例会において、我が県政自民クラブ野島議員の代表質問でもありましたとおり、本県の広域道路ネットワークは経済発展、産業振興、観光交流はもとより、日本の安全・安心を確固たるものとするために極めて重要な役割を担っております。 しかし、そのネットワーク整備は道半ばであり、地域からは一刻も早い整備が望まれております。 こうした中、私が令和三年六月の定例会に質問した広域ネットワークの一つ、中部縦貫自動車道の整備促進について、知事は地元中心の既存の協議会に新たに岐阜・長野両県知事が参画する新体制を構築するとの答弁をいただきました。その直後、知事自ら協議会の初代会長に就任され、先頭に立って整備促進を要請いただく強力な体制を整えていただきました。 こうした活動が着実に確実に実を結びつつあります。 昨年十二月には、高山・清見道路の区間内で唯一未着手であった坊方トンネルにいよいよ着手するということで、トンネル掘削の着工式が盛大に執り行われました。 また、今年二月には高山市奥飛騨温泉郷平湯から高山市丹生川町日面の間を全線バイパスで整備する案が示されるなど、次期計画の動向についても動きが活発化しており、コロナ禍であって明るい兆し、夢ある話題が続いております。 このように、地域が望むインフラの整備が目に見える形で進むのは、知事をはじめ多くの先輩議員の方々、首長の皆様、さらには両県の地元の皆様、経済界の皆様の並々ならぬ御尽力と積み上げた要望の成果に尽きると実感しているところです。 さて、この重要な中部縦貫自動車道の沿道には、中部山岳国立公園エリア内の山岳観光産業として重要な道路である乗鞍スカイラインが走っています。皆様御承知のとおり、乗鞍スカイラインは十二月定例会、県政自民クラブ、藤墳議員の代表質問にもありましたが、令和二年七月の豪雨災害で路側が崩壊し、その後、全面復旧を前日に控えた昨年九月に再度新たに崩落が発生し、現在も全面通行止めの状況が続いております。 そうした中、今年一月末には県の対策検討会により、トンネルによる復旧を進めていただけることが示され、早期に方向性を示していただいたことは地元住民も安堵をしております。私からも御礼を申し上げたいと思います。 一方で、山頂にある施設に行く従業員の方々や観光客は、昨年のシーズン後半は通常時より約一時間かけ長野県側から迂回しているという実態があります。地元としては、安全・安心な道路として復旧されることと同時に一日も早い全線開通を望んでおります。 標高の高さや脆弱な地質など、この工事は屈指の難工事となることが想定されておりますが、道はつながってこそ、その効果を発揮します。そのつながった道を通ることで人や物が動き、経済が回り始めます。現在、官民一体となって高山市と長野県松本市をつなぐ横断ルートを魅力的なルートに磨き上げるビッグブリッジ構想が進められている中、先月二十五日、両市を結ぶルートの名称が北アルプス・トラバースルートに決まり、本地域エリアには新たな風が吹いております。 その構想において中心的な役割を果たす乗鞍スカイラインは、今後のインバウンドのV字回復、国内観光客の本格回復を見据えた上でも非常に重要な観光資源であり、一刻も早い開通が望まれているところであります。 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。 乗鞍スカイラインの早期開通に向けた今後の方向性と県の取組について御答弁をお願いいたします。 以上三点、私からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 清流の国推進部長 長尾安博君。    〔清流の国推進部長 長尾安博君登壇〕 ◎清流の国推進部長(長尾安博君) これまでの移住定住施策に対する検証と今後の施策展開についてお答えいたします。 近年、コロナ禍を契機とした地方移住への関心の高まりが見られ、令和二年度の本県への移住者数は千七百五十二人と過去最高に達し、昨年度も千六百九十六人と引き続き高水準を維持しております。また、こうした傾向は特に若者において顕著であることから、今後は次期総合戦略に基づき若年層を対象とした施策を強化してまいります。 具体的には、Uターン就職等を条件に返還を免除する奨学金の貸与月額を倍増し、Uターン者の増加を図るほか、東京圏からの移住支援金に係る子育て加算を増額し、子育て世帯の移住促進を強化してまいります。あわせてサテライトオフィスの進出を支援するなど、県内にも拠点をつくる二地域居住も促進してまいります。 加えて、移住者の声を踏まえたより効果的な情報発信や県内企業と連携した新たな奨学金返還支援制度の導入などを検討し、若者のさらなる移住促進を図ってまいります。 さらには、これらの施策を仕事・住まい・子育てなど各分野と連携して進めるため、庁内連携会議において情報共有を密に行い、部局連携の下、取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) Uターン就職を促す取組の推進についてお答えします。 Uターン就職の促進に向けては、まず県内企業の魅力を知っていただくとともに、Uターン就職・転職希望者と企業のマッチング機会を創出することが重要であると考えております。 このため、昨年度、約三百六十社の企業情報を動画で発信するウェブサイト「ギフッシュ」を開設し、県内外から十万件を超えるアクセスがありました。また、県外への通勤・通学者が行き交うJR岐阜駅のアクティブGで、昨年十一月に初めて開催した就転職フェアでは、Uターン希望者約二百名と県内二十社とのマッチングを行い、双方からこうした機会を増やしてほしいとの声をいただくなど、手応えを感じているところです。 そこで、来年度にはアクティブG内の求職者相談窓口をUターン就職・転職支援拠点へとリニューアルし、年間を通して企業説明会や若手社員との座談会などを開催し、効果的なUターン就職につなげてまいります。 ○議長(平岩正光君) 県土整備部長 大野真義君。    〔県土整備部長 大野真義君登壇〕 ◎県土整備部長(大野真義君) 乗鞍スカイラインの早期開通に向けた今後の方向性と取組についてお答えします。 これまで三回の検討会を経て、被災箇所を迂回するトンネルでの復旧を決定し、今後、令和九年度内の完成を目指して工事を進めることとしております。 これに先駆けて、被災箇所付近に仮設道路を設置し、令和六年内には地域の方々をはじめ、観光バスやタクシーの通行を可能にしてまいりたいと考えております。この通行の際には、地下水や斜面などの変化を常に観測する体制を整え、十分な安全性を確保してまいります。 また、一日も早い通行を可能とするため、現在仮設道路の設置に向けた崩壊斜面の補強工事の入札手続を進めており、今後は現地において短期間で設置が可能な仮橋や、工場であらかじめ製作されたコンクリート製品を適所で活用するなど、さらなる工期の短縮に努めてまいります。 乗鞍スカイラインは、地域の観光を支える重要な道路であり、引き続き早期の全線開通に向け全力で取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 四十四番 尾藤義昭君。    〔四十四番 尾藤義昭君登壇〕(拍手) ◆四十四番(尾藤義昭君) 三項目にわたり通告いたしましたら、議長より許可が出ましたので、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、木曽川水系連絡導水路事業について質問をいたします。 先月、渇水対策のために徳山ダムの水を揖斐川から木曽川に流す木曽川水系連絡導水路事業について、水余りを理由に建設計画からの撤退を表明していた名古屋市長が、一転して計画を認める方針を固めたとの新聞報道がありました。 名古屋市としては、当初の目的である量的確保に加え、良質な飲用水の確保や治水対策、市内を流れる河川の浄化など、新たな用途で導水路を生かすことについて国に提案されたとのことであります。 この名古屋市長の方針転換を受け、これまで事実上凍結されていた建設計画が一歩前進する可能性があり、私自身とてもよかったなと感じているところであります。 ここで、この木曽川水系連絡導水路事業の概要について、少し述べさせていただきます。 この事業は、揖斐川と長良川及び木曽川を全長約四十三キロの地下トンネルで結び、日本最大級の貯水量を誇る徳山ダムの水を木曽川及び長良川に流す事業であります。 事業の経緯としては、二〇〇四年に中部地方整備局により愛知県、岐阜県、三重県と名古屋市をメンバーとする検討会が設立され、二〇〇八年に事業実施計画が認可されております。翌二〇〇九年に着工し、二〇一五年に完成する計画でありましたが、河村市長が初当選直後の二〇〇九年に名古屋市の撤退を含めた検討を表明、同年に当時の旧民主党政権が事実上事業を凍結し、今に至っております。 あくまで当初計画ではありますが、総事業費は約八百九十億円で、その約三・三%に当たる三十億円を岐阜県が負担、その他、国が約四百八億円、愛知県が約三百十八億円、三重県が約十三億円を負担することとなっております。 事業の目的は大きく二つあり、その一つ目は、異常渇水時の緊急水補給による河川環境の改善であります。木曽川水系の異常渇水時に徳山ダムに確保されている五千三百万立方メートルもの渇水対策容量を、揖斐川だけでなく木曽川、長良川に緊急水として導水することで河川環境の改善などを行うというものであります。 目的の二つ目は、徳山ダム分の新規利水の補給であり、愛知県、名古屋市の都市用水を木曽川で取水できるように導水することであります。 また、岐阜県におけるメリットとしては、渇水時にこの導水路により木曽川下流部、羽島市と愛知県稲沢市の県境に建設された可動堰である馬飼頭首工より上流に水を補給することで木曽川上流部にある岐阜東部上水道用水供給事業の水源ダムの貯水量が温存されることが挙げられます。 この上水道用水供給事業は、可茂・東濃地域七市四町の約五十万人に水道水を供給しており、この地域の渇水被害が大幅に緩和されることが期待できます。 また、長良川の渇水時にも、この導水路により長良川中流部へ維持流量を供給することが可能となり、長良川にすむアユをはじめ魚類などの生態にもプラスの効果を及ぼすものと考えられます。 岐阜県としては、この事業の基本的な計画に同意をしていたところであり、建設計画の凍結後も中部地方整備局などが定期的に開く検討会議に県内自治体と共に出席するなどして情報を共有してきたとのことであります。 この事業は、国土交通省から承継された水資源機構の事業ではありますが、これまで述べてきたように、岐阜県も大いに関わり、メリットとなる事業であります。岐阜県の将来に大きな夢を与える事業になり得るため、私としてもぜひ推進すべきものと考えております。 そこで、知事にお尋ねいたします。 木曽川水系連絡導水路事業は、当初の事業計画時から十数年が経過し、取り巻く環境も大きく変化していますが、この事業に対する現在の評価と岐阜県としての今後の対応についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 ここで、取りあえず分割一回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 木曽川水系連絡導水路事業に対する評価及び今後の対応ということでお尋ねがございました。 本県は、これまで豊かな森林を保全し、そこで育まれる清流を下流域の方々に安心して使っていただけるよう心を砕いてまいりました。特に徳山ダムの建設に際しましては、旧徳山村の全戸移転という大変大きな犠牲を払いつつ、揖斐の防人、濃尾の水がめとして中部圏全体の発展のために努力をしてきたところでございます。 こうした中、導水路事業につきましては、徳山ダム建設と併せ国家プロジェクトとして進められていましたが、平成二十一年に国によるダム事業の検証の対象となり、現在も検証作業が続いております。 この事業による本県への効果としては、異常渇水時に徳山ダムに確保した水を導水路で木曽川や長良川へ補給することが可能となり、アユ等の動植物が生息するための河川環境が改善されます。 また、徳山ダムを含む木曽川水系ダム群を一体のものとして運用する水系総合運用を行うことによって、異常渇水時における可茂・東濃地域の取水制限の緩和が見込まれます。 とりわけ、長年渇水に悩まされてきた可茂・東濃地域の皆様の生活を支えるとともに、今後リニア中央新幹線の開業を契機とした安全・安心な地域づくりのためにも必要な事業でございます。 加えて、昨年五月に発生した愛知県内の明治用水頭首工における大規模な漏水に伴う水供給の停止は、本県としても対岸の火事ではありません。将来のリスクに備える上でも速やかに導水路を整備する必要があると再認識したところでございます。 一方、ダム事業の検証は、国、水資源機構、関係県、市町で構成されるいわゆる検討の場において、現行計画を含む複数の案について意見交換が行われてまいりました。しかしながら、直近では検討の場の幹事会が開催された令和三年六月以降、一年九か月もの間開催されず、次回の開催も決まっていない状況でございます。 こうした中、先月二十二日に中部地方整備局長と面談をいたしまして、関係機関の共通認識を一つ一つ丁寧に積み上げながら、国が主体となって速やかに検証事業を進めるべきである旨を申し上げたところでございます。 いずれにしましても、本県にとりまして必要な事業であり、今後とも様々な機会を捉え、国や水資源機構に対し、本事業の意義や必要性を訴え、速やかに検証作業を進めるよう要請してまいります。 ○議長(平岩正光君) 四十四番 尾藤義昭君。    〔四十四番 尾藤義昭君登壇〕 ◆四十四番(尾藤義昭君) ただいまは御丁重な答弁ありがとうございました。 続きまして、通年ノーネクタイの実施について質問いたします。 環境省は、冷暖房の過度な使用を控えるクールビズ、ウォームビズの実施を提唱してまいりましたが、令和三年度から全国一律の実施期間の設定をやめ、柔軟な対応を求める姿勢に転換いたしました。 現在は、気温や体調などに合わせて柔軟に服装を選択し、快適で働きやすい服装で業務を行うことなどを呼びかけています。 これを受け、近年、全国の自治体で通年ノーネクタイの取組が広がりつつあります。 働きやすいと感じる執務環境は職員一人一人異なること、服装の自由化、あるいは多様化やSDGs、脱炭素化の推進など、近年の社会情勢の変化を踏まえ、働き方改革の一環として導入している事例が多く見受けられます。 通年ノーネクタイの実施による効果としては、ネクタイの締めつけによるストレスの軽減と、それによる業務の効率化が期待されており、大半の自治体では一定の試行期間を経て本格導入に至っているようであります。 ただ、通年ノーネクタイを導入済みの自治体の多くは市町村であり、都道府県ではまだ事例が少ない模様であります。 さて、本県では昨年五十六年ぶりの新県庁舎が完成し、今年一月から新行政棟、新議会棟で業務が始まっております。新庁舎の執務室は、課室の仕切りがなく、効率的に業務が行えるオープンフロアとし、情報通信機器を活用したペーパーレスの会議の開催など、新しい働き方にも対応できるというコンセプトの下で建設されたとのことであります。 知事も新聞の新春インタビューで、移転を契機に業務の進め方、働き方についても点検、見直しのチャンスと捉え、全ての県職員が高いモチベーションを持ってより質の高い行政サービスを提供していけるよう努力すると答えておられました。 執務環境が大きく変わった中、そこで働く職員も新しいスタイルに変化するいい機会であると考えます。 岐阜県においても以前より、五月から十月までをノーネクタイ、上着非着用、チノパン着用可のクールビズ、さらにそのうち六月から九月まではポロシャツ、スニーカーの着用も可とするぎふ清流クールビズとして取り組み、定着しているところであります。 この新庁舎移転をきっかけに、もう一歩踏み込み、県職員の新たな働き方として、通年ノーネクタイを導入してはいかがでありましょうか。執行部、議員を問わず、お互いに肩肘を張らずに仕事をするためには有効ではないかと思います。 私の知る限り、県内市町村においてもいまだ導入事例はないようでありますが、県がこうしたことに率先して導入して、その効果をアピールできれば、県内市町村にも波及していくのではないかと考えております。 民間では、このコロナ禍における在宅勤務の拡大で、脱スーツ、服装の自由化が加速したとも言われています。しかしながら、公務員という立場上、いきなり服装自由化というのは困難な面もあるかと思いますが、ノーネクタイであれば比較的取り組みやすいのではないでしょうか。 もちろん導入に際しては注意しなければならない点も幾つかあろうかと思われます。 公務員としての品位を失わない節度ある着こなしとし、来庁者、職場の同僚に不快感を与えるようなものではないこと。TPO、すなわち、時、場所、場面をわきまえた対応とすること。ただ、これら注意点については、既に実施しているクールビズで職員には浸透しているはずですので、通年ノーネクタイの導入は新たな問題にはつながらないのではないかと思います。 また一方で、制度としては導入しても、ネクタイをしたい職員に対してまでもノーネクタイを強制すべきではないと思います。 政府は新型コロナ対策としてのマスク着用について、今月十三日から新たな指針を適用し、屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針としましたが、ネクタイについてもマスク同様に、個々の職員の判断に委ねていいのではないでしょうか。 以上を踏まえ、総務部長にお尋ねいたします。 新庁舎移転を契機とした県職員の新たな働き方としての通年ノーネクタイの実施について、どのようなお考えを持っておられるのか、お尋ねいたします。 最後に、児童虐待事案に対する取組について、二点質問いたします。 児童虐待については、昨年度、県内五か所の子ども相談センターにおいて二千三百九十件の取扱いがあったと伺っております。県内で一か月におよそ二百件近くの児童虐待事案が発生しており、この数値は過去最多であるばかりか、五年前の約二倍に増加しているとのことでした。 全国に目を向けますと、令和三年八月には、大阪の摂津市において、市の担当者が児童虐待を認知しながらも児童相談所へ一時保護を求めなかったことや、警察と情報共有をしなかったことにより、三歳男児が母親の交際相手により全身に熱湯をかけられ死亡するという極めて痛ましい事件が発生しました。もちろん虐待という許されざる行為が直接的な原因ではありますが、間接的に関係機関の連携不足も子供を死に追いやった一因となってしまったという事件であると思っております。 なお、岐阜県におきましては、近年こうした児童虐待における死亡事例はないとのことですが、これはひとえに子ども相談センターばかりでなく、警察や市町村の児童虐待対応部署や学校関係者等、多くの担当者が連携し、日々発生する児童虐待事案に御尽力をいただいているたまものと深く感謝を申し上げます。 さて、このような状況の下、今年度から岐阜市内において、こどもサポート総合センターが開所しました。児童虐待を取り扱う県警、県、岐阜市の関係機関が同一施設内の同じフロアで勤務するという新しい組織であり、担当職員が近くで勤務し、顔の見える人間関係を構築することで行政組織の違いから生じる隙間を埋め、より連携を深め、迅速で適切な対応が可能になったと聞いております。 この取組は県の児童相談所と県警が同一ルームで勤務していること、県の児童相談所と市の子育て支援部署が同居していることという二点で、全国初であるとのことであります。 さらに児童虐待の連携強化については、これまで県と県警間で子ども相談センターへの県警OBの配置や児童虐待事案に係る連携協定の締結、児童虐待事案に係る全件情報共有など、連携を深めてこられたとのことであります。 また、こどもサポート総合センターの立ち上げに当たっては、県全体の児童虐待対応件数の約四分の一が岐阜市内であること、岐阜市には岐阜市子ども若者総合支援センター「エールぎふ」があり、福祉部門と教育委員会が共同でゼロ歳から二十歳までの様々な相談に対応する体制を整え支援を組織的に行ってきた実績があり、家庭児童相談について一定のスキルを市が有していることなどの理由から、岐阜市内において開所になったと聞いております。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 こどもサポート総合センターの開所から間もなく一年がたちますが、これまでの施設の運用状況や従来の取組と比べて効果的であった点を併せて、この取組の成果を今後県内にどのように展開させていくのか、お尋ねをいたします。 続きまして、さきにも述べましたが、昨年度の県内での児童虐待相談対応件数は二千三百九十件と過去最高となっております。 特に悪質な虐待については、児童を保護するだけではなく、警察が犯人を逮捕するなど、事件化しております。 しかし、児童虐待事案で逮捕された犯人が犯行を否認し、被害児童の供述の信用性に疑いがあると主張した結果、無罪となる判決を新聞報道などで見かけることがあります。 昨年度、児童虐待に遭った児童の年齢構成は、七歳から十二歳が八百九十一件、全体の三七・三%と最も多く、次に三歳から六歳が五百九十九件、同二五・一%となっており、小学生以下の児童が多くの虐待の被害に遭っております。 なぜ児童の供述の信用性が問われるかというと、児童は、被害者が幼いことから、記憶が曖昧であったり、表現能力が十分にないことで正確な供述を得ることが難しい、他者から得られた情報を自らの考え、体験であるように思い込む被誘導性、被暗示性があるなどの特性があるからであります。 児童虐待などは家庭内で被害に遭うことが多く、目撃者の確保が極めて困難であり、証拠の収集も難しく、被害に遭った児童からの供述が唯一の証拠となりますが、述べたように、児童から事情を聴取するのは非常に困難であり、かつ非常に高い技能が必要となってきます。 そのような困難な状況ではありますが、親としての立場を利用したり、被害の認識にも乏しい子供を対象とした悪質な児童虐待には卑劣としか言いようがないことから、警察として厳正な対応をしていただきたいと思っております。 そのためにも、児童から事情を聴く捜査員の技量を高めていただき、裁判でも供述の信用性を認めてもらう必要があります。 そこで、警察本部長にお尋ねをいたします。 被害児童から聴き取りを実施するに当たり、児童の特性に配慮しつつ正確な聴取を行うため、捜査員への教養、あるいは学校関係者等との連携など、警察としてどのような取組が行われているのか、お答えをいただきたいと思います。 なお、質問は以上でありますが、今に思いますと、平成三年、私は初めてこの議場に立たせていただきました。以来三十二年の月日が流れ、当時私どもの同期は十三人を数えましたが、今では玉田議員と二人だけになりました。 最初の私の議場での第一声として、「私の家から県庁までは車に乗って一時間足らず、距離にして僅か二十キロ足らずのこの道を十二年かけてたどり着きました」、これが私の第一声でありました。 また、あるときの質問の中で、臓器提供の質問をいたしました。虎は死して皮残し、尾藤は死して臓器を残すと訴えました。 こうして初当選以来二十四年余りの県議会議員生活の間、梶原知事、古田知事と二代にわたりお世話になりました。今日まで一日も議会を休むことなく務めることができましたのも、知事をはじめ歴代の執行部の皆様、猫田議員をはじめ同志議員の友情、そして指導があったからであります。本当にありがとうございました。 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 総務部長 尾鼻 智君。    〔総務部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎総務部長(尾鼻智君) 通年ノーネクタイの実施についてお答えいたします。 ネクタイの着用は社会通念上、相手方や周囲に信頼感や誠実さを感じさせる節度ある服装であるとともに、公務員としての我々の言動に一定の規律をもたらすものであると思っております。 これに対してクールビズにおけるノーネクタイなどでの軽装による勤務は、節電や環境負荷の低減など目的を定めて夏の季節を中心に一定期間実施する例外的な取組であります。 ノーネクタイの通年化は、この例外的な取組を一般化することになります。したがいまして、その実施に向けては通年化が勤務に及ぼすメリット・デメリット、働く上での規律への影響、公務員の服装として社会、我々にとっては県民の皆様ということになりますが、どの程度受け入れられるかと、そういったことの見極めが重要であると考えております。 以上のように、現時点では職員のノーネクタイの通年化には慎重な対応が必要と考えておりますが、社会全体の動向を注視するとともに、国や他県の状況を把握するなど、今後も検討をしてまいります。 ○議長(平岩正光君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) こどもサポート総合センターの運用状況及び成果を踏まえた今後の県内への展開についてお答えいたします。 こどもサポート総合センターで岐阜市、県警、中央子ども相談センターの職員が合同で面談や家庭訪問などの対応を行った虐待事案等の件数は、昨年四月の開所から二月末までに、昨年度のおよそ二倍となる三百十五件でした。 一つのフロアに同居したことにより、対応が迅速化したのはもちろん、合同でより多くの個別事案に対応する機会を得たことにより、各機関の職員が互いの視点を学び合い多角的に分析、評価ができるようになるなど、関係機関の連携が深められたと捉えております。 一方、岐阜市では従前から相談体制が充実していたため合同対応業務の増加に対応することができましたが、この取組を他地域に展開するには市町村の相談体制の充実が課題と考えられます。 まずは来年度、他地域の事案対応において、市町村、県警、子ども相談センターに加え、経験を積んだこどもサポート総合センターの職員も参加するオンライン合同会議を試験的に取り入れ、連携強化についての有用性を検証してまいります。 ○議長(平岩正光君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 被害児童への正確な聴き取りのための取組についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、児童虐待事件では、児童がその特性上、成人よりも被害に遭いやすく、被害の立証もより困難であることから、加害者がこれに付け込み、その結果、被害が長期化・潜在化しやすくなります。このため、県警察では被害児童を救い出し、その負担に細心の配慮を払いつつ、加害者を法の網から取り逃がさないよう事件の確実な立証に努めております。 事件の立証の鍵となるのは、被害児童からの正確な事情聴取です。被害児童に二次被害を与えることなく、同時につらさをこらえて聴取に応じてくれる被害児童の努力を無駄にしないよう、被害児童の聴取に当たる職員には訓練を施して、客観的聴取技法という対児童用の専門的聴取技法を修得させております。 また、児童虐待を発見しやすい立場にある学校職員に対しても、発見後の対応に遺漏のないよう、県教育委員会等と連携して研修を実施するなどしております。 さらに、被害児童に対して繰り返し聴取に応じる負担を省くため、県警察、検察及び子ども相談センターが協議した上で、その代表者が一括して聴取を行う代表者聴取も行っております。 今後も客観的聴取技法の修得者の増加及び修得レベルの向上に努め、関係機関との連携を密にして、児童虐待事案を徹底的に立件し、児童虐待の根絶に取り組んでまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時四十四分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(加藤大博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。七番 平野祐也君。    〔七番 平野祐也君登壇〕(拍手) ◆七番(平野祐也君) 皆さん、こんにちは。 議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い質問を始めたいと思います。 今回は、マスクの着用の緩和と部活動の地域移行という、皆さんの日常生活や学校生活に影響を大きく与える分野について質問をしたいと思います。 まず最初に、マスクの着用緩和後の対応について質問をさせていただきます。 一月二十七日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、五月八日から新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、五類感染症に位置づけることとなりました。また、二月十日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部においては、マスクの着用について三月十三日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。 学校教育の現場では、新学期となる四月一日から着用を求めないことを基本とするほか、それに先立って行われる卒業式は、その教育的意義を考慮し、児童・生徒などは着用せずに出席することを基本とすることとなりました。 実際に、県立高校においては既に三月一日に卒業式が実施されましたが、学校によって連絡手段は異なりますが、マスク着用は任意である旨が伝えられております。そして、実際に行われた卒業式において、ほとんどの生徒や教職員の方がマスクを着用している高校が多かったとの話も聞いております。 その後、三月三日には岐阜県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議が開催され、「第八波の確実な終息を目指して」として、三月十三日以降の岐阜県としての対応詳細が発表されました。 そもそも、皆さんにお配りをした(資料を示す)、すみません、字が細かくて。こういった資料がありますけれども、こちら政府の発表と岐阜県のマスク着用に対する考え方を公表しているものとなります。ですので、こちらも見ながら聞いていただければなと思いますけれども、そもそも厚生労働省においては、小学校から高校までの就学段階と就学前段階において、マスクの着用についての考え方を公表しております。 小学校から高校段階の就学児について、マスク着用の必要がない場面として、屋外においては、他者と身体的距離が確保できる場合や、他者と距離が確保できなくても会話をほとんど行わない場合。屋内においては、他者と身体的距離が確保できて会話をほとんど行わない場合。保育所・認定こども園・幼稚園等の就学前児童については、二歳未満の子供では推奨されません。二歳以上の就学前の子供についても、個々の発達の状況や体調等を踏まえる必要があることから、他者との身体的距離に関わらず、マスク着用を一律には求めていません。という形で厚生労働省は考え方を発表しております。 そもそも、このマスクを外すかどうするかというのは、そもそも個人の判断でありますけれども、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく従前の基本的対処方針においては、学校について、学校では身体的距離が十分に確保できないときは児童・生徒にマスクの着用を指導すると記されており、学校生活については事実上マスクの着用が義務化されております。特に、現在の中学三年生、高校三年生は、入学から卒業までずっとマスクを着用してきた世代であり、まだ受験を控えている生徒もいる中で、卒業式だけマスクを外すと言われても生徒が混乱していたことは想像に難くありません。 また、幼稚園や保育の現場では、基本的には屋内ではマスクを着用させているところも多く、保護者に対しても園児に対してマスク持参を一律に求めているところも多いです。この点が、従来から任意であった大人とは異なるマスク着用緩和に伴う本質的な変更の一つであると思います。 大人に関して、外すのは個人の判断といっても、特に学校現場に関しては実質的に強制をしてきました。夏場に一人で自転車通学をする生徒ですらマスクを外さない子供たちが大半を占めているのが現状です。 実際に政府がマスク着用に関するルールを緩和したとしても、自治体や学校によって判断が変わる可能性もあります。 学校現場では、昨年の十二月に黙食に関する考え方について岐阜県教育長より通知を出しましたが、現場としては受験を控え、出席停止に関してのルールが変わっていないとのことから、岐阜市や各務原市においては黙食を継続しております。 一方で、千葉県においては県として黙食を廃止するなど、地域によって対応が異なっております。 卒業式に関しても、政府の通知ではマスク着用は不要ということになっておりましたが、既に卒業式を実施している県内高校によって周知方法が異なっているのも事実であります。 今後、学校現場においては、四月一日より個人の判断ということになるのですが、卒業式と同様、学校や市町村ごとに周知方法や対応が異なるというのは生徒の教育上よくないと考えます。 また、大人と子供で対応に差をつけるというのも、子供にとっては理解ができないと思います。 三月四日付の一部新聞において、学校については、二メートル程度の距離が確保できない状態で声を出す場合にはマスクの着用を求めるなど、各学校で適切に判断との報道がありました。これは、今こちらにお配りした岐阜県におけるマスク着用の考え方とは異なっておりますが、この報道に対して岐阜県知事や教育現場に問合せが殺到したとのことでした。それくらいこのマスクの着用の緩和というのは県民の関心が高い分野であり、県の考え方の周知徹底は非常に重要だと考えます。 そもそも、五月八日以降はコロナウイルスの五類移行により学校現場におけるマスク着用指導の根拠である基本的対処方針も廃止となるため、学校における着用指導の根拠は失われることとなります。 また、実際にマスクを外す案内をしたとしても、学校生活における出席停止の考え方を変更する必要があり、黙食のときと同様に現場まで降りると実質的に効果がないことも考えられます。こうした状況を踏まえて、岐阜県として改めてメッセージを出す必要があると思います。 そもそも、マスクの着用については強制するものではなく、社会や政府の要請によって成り立っている点を再認識する必要があります。こうした状況の中で、今回、来週の三月十三日より個人の判断と明確に政府が打ち出したことには大きな意味があります。 したがって、教育現場や公共機関も含めて、至るところにマスクの着用を促すポスターや掲示物があふれておりますが、こうした掲示物についても変更する必要があります。新たにマスク着用は個人の自由であることや、着用が推奨される場面の啓発等、一律にマスク着用を求めるメッセージを止める必要があると思います。 社会がアフターコロナにかじを切っていく中で、マスク着用は個人の自由だということを周知徹底し、コロナ前の社会同様に戻していく必要があると思います。 コロナハラスメントという言葉がありましたが、今後、マスクハラスメントが社会の様々な現場で起きることも容易に想像がつきます。特に、人が集まる施設や飲食店においては考え方が異なる方が混在するため、トラブルが懸念されます。 例えば、飲食店等においてはアクリル板を設置していたり、座席を間引いておりますが、こうした対応もマスクの着用緩和後にどのようにしていくのがいいのか疑問に思っている事業者もたくさんいます。 飲食店に関していうと、こうした対応によって座席数の減少やアクリル板設置費用、消毒の費用など、実際に商売に影響も出るため、マスク着用緩和後、五類への移行も見据えて第三者認証店舗の取扱いについて周知していく必要もあると思います。 県議会においても、今週までは皆さんマスクを着用しておりますが、来週の常任委員会からマスクを外す方もいらっしゃると思います。政治や行政が一律にマスク着用のルールを決めるのではなく、むしろ率先してマスク着用は個人の自由であるということを体現しないといけないと思います。 マスク着用の案内のときと同様に、マスク着用は個人の判断であることや外してよいという案内を岐阜県として行うべきだと考えます。 そこで、知事にマスク着用緩和後の対応方針について伺います。 マスク着用については、これまで県民にお願いしてきた手前、三月十三日以降、個人の判断となることも丁寧に周知すべきだと考えます。また、県関係職員(県職員、警察職員、教員、県有施設で働く職員)についても、県民に周知する以上は一律のマスク対応をすべきでないと考えます。飲食店等の第三者認証店舗なども、マスク着用緩和により座席間隔やアクリル板の取扱いなど、非常に悩まれる中、混乱が生じると思います。 そこで知事にお伺いします。岐阜県としてマスク着用緩和後の混乱や不安、同調圧力等を避けるため、どのように県民に周知し、県関係職員や県のイベント、第三者認証店舗の取扱いも含めてどのように対応していくのかお考えをお伺いします。 次に、教育長、環境生活部長、子ども・女性局長に、学校・幼稚園・保育所等におけるマスク着用について伺います。 三月の卒業式及び四月一日から緩和される学校でのマスク着用について、岐阜県として学校関係者、保護者、生徒、児童に対して丁寧に説明すべきであり、市町村や学校ごとに対応が異なることは避けるべきであると思いますが、どのように対応されているのでしょうか。こちらは教育長にお伺いします。 また、幼稚園や保育所等に通う未就学児については、一律のマスクの着用を求めないという政府の通知にもかかわらず、一部の幼稚園や保育所ではマスクの持参や屋内でのマスクの着用を求められるところがあるのも現状です。 三月十三日以降に大人もマスク着脱は個人の自由になるということに鑑み、マスクの着用の有無における混乱が生じないように、改めて県内全ての幼稚園及び保育所等について、マスクの持参や着用を求めず、個人の自由である旨を通知し、保護者にも徹底すべきだと考えますが、公立幼稚園については教育長に、私立幼稚園については環境生活部長に、保育所等については子ども・女性局長にお考えをお伺いします。 次に、二点目、部活動の地域移行に関する今後のスケジュールとゴール、運営団体への予算措置について教育長にお伺いします。 今回の議会でもこうした質問は既に出てきておりますけれども、私も令和三年六月議会において県議会で初めて部活動の地域移行に関する質問を行ってから既に二年近くが経過しようとしております。 当時の答弁で、教育長から、各市町村が令和五年度までに地域の状況に応じた方針を定め、令和五年度以降、段階的に地域移行を進められるよう支援するとの答弁をいただきました。 令和五年に入り、一月に国のガイドラインとともに岐阜県ガイドライン案も発表されましたが、それを踏まえた検討が進んでいない市町村があるのが現状です。 一方で、地域移行の受皿である各市町村の競技団体やスポーツ協会は、地域移行を見据えて議論を既に重ねてきておりますが、実際のところ、予算措置や準備状況を含めて、令和五年四月からスタートできる体制とは思えません。もともとは令和五年度からスタートすると言われていたのに、検討が進んでいない状況では当然とも言えます。 地域移行の受皿となる指導員の講師料や場所代、用具の購入等、基本的な予算措置が明確化されなければ、地域移行の受皿となる団体も動くに動けない状況です。 そうした中で、来年度の中学三年生については、夏の中体連の大会が控えている中で本格的な地域移行は夏以降だと考えられます。 今後、県として具体的な地域移行を見据えて大きな混乱を起こさないためにも、移行に関する予算や実務詳細について不断の見直しを行いながら円滑に地域移行が進むように検討する必要があると思います。 先進事例の研究では、一つの中学校の部活動を総合型地域スポーツクラブが丸ごと面倒を見るというような岐阜県の先進事例が全国でも注目されておりますが、こうした事例だけで県内全ての中学校や競技を網羅できるとも思えません。もっと現場に根差した各市町村の競技団体やスポーツ協会において地域移行に取り組む団体を支援したほうが、先進事例のような総合型地域スポーツクラブをつくるよりも早いと考えます。 今回の来年度当初予算案を見ても、県として人材配置支援や利用施設の減免措置の協力要請など、間接的な支援にとどまっております。具体的に言えば、各市町村で活動する各種団体の現場に対する予算措置が非常に少ないです。実証的に地域移行を進める総合型地域スポーツクラブはもちろんですが、地域移行に取り組む各市町村の競技団体に対して、具体的な場所代や講師代、備品代等、岐阜県としての予算措置を検討すべきだと考えます。 来年度の夏の中体連が終われば、地域移行の動きも各地で進んでくると思いますが、競技や地域の特性によって進み方は様々であると考えます。 そもそも、この地域移行というのを市町村単位で考えても、地域クラブは市町村を飛び越えて活動をする可能性もあります。特に、来年度、市町村として実証実験に参加しないエリアの競技団体からすると、補助施策がないままに取組を行う必要が出てくるため、市町村を超えて予算措置のメニューを拡充すべきだと考えます。 市町村よりも地域の受皿として今も活動している外部指導者や部活動指導員、各競技団体に直接県として補助する施策を検討すべきだと考えます。 特に、中学校と高校では外部指導者の待遇については高校のほうが手厚く、中学校指導者については自治体によってもまちまちであり、待遇面も含めて人材が中学校に集まらない理由の一つであると考えます。 そこで、教育長にお伺いします。部活動の地域移行に関して、今後、具体的に移行されるフェーズとなります。岐阜県としてしっかりと地域移行を進めるために、スケジュール感を持ちながら段階的に地域移行を進める必要があります。 今後、具体的にどのようなスケジュール感で進め、地域移行の受皿に対するどのような予算措置を考え、二〇二五年度末に岐阜県としてどのようなゴールを見据えているのか御教示ください。 以上で質問を終わります。明快な答弁をよろしくお願いします。ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 新型コロナウイルス感染症対策のマスク着用緩和後の対応方針ということでお尋ねがございました。 まず、御質問にもありましたが、先般、国のほうではマスクにつきまして、三月十三日から、行政が一律にルールとして求めるものではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とする旨の見直しを決定したわけであります。 ただし、この見直しにおいては、症状がある方や、検査の結果陽性の方などはマスクを着用することとされているほか、高齢者など重症化リスクの高い方への感染を防ぐため、医療機関受診時や高齢者施設への訪問時などにおいてマスクを着用することが推奨されております。 このため、本県といたしましても、三月三日に対策協議会・対策本部の合同会議を開催いたしまして、マスク着用の考え方を明らかにした次第でございます。 まず、国の見直しにのっとって個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを明確にいたしました。その上で、国がマスク着用を推奨する場面について、県民の皆様により分かりやすいものとなるよう例示をしたところであります。例えば、重症化リスクの高い方が入院・生活する施設として、医療機関、高齢者施設に加え、障がい者施設を明記いたしました。また、国の考え方に記載されている新型コロナの症状がある場合に関して、発熱や喉の痛み、せき、倦怠感といった具体的な症状をお示しいたしました。 御指摘がありましたとおり、これらについて県民の皆様の関心が極めて高いものがございます。このため、県としては今申し上げました考え方をしっかりと周知徹底するべく、県のホームページ、ツイッター、新聞、ユーチューブ広告、ポスターなど、様々な媒体を通じて積極的に繰り返して広報してまいります。 なお、県職員、県のイベントにつきましても、同様の考え方にのっとって対応してまいります。 また、飲食店等の第三者認証店舗におきましても、三月十三日からはマスク着用を求めないこととするほか、アクリル板につきましては、今後、国のほうで検討結果を発表されることになっておりますので、これを踏まえて対応してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、公立学校、幼稚園におけるマスク着用についてお答えします。 初めに、卒業式については国の示した考え方を踏まえつつ、距離が確保できない状態で声を出す場合は着用を求める具体的な事例を示しながら状況に応じて適切に対応するよう通知するとともに、相談窓口も設置しているところです。 次に、四月一日以降については、今後示される教育活動全般を踏まえた国通知に沿って県立学校や市町村教育委員会に対応方針を通知する予定ですが、卒業式と同様、相談窓口を設けるなどし、各市町村、各学校が迷いなく対応できるようにしてまいります。 また、様々な事情によりマスクの着用を希望する子、希望しない子の双方に十分配慮し、着脱を強いることがないよう、教職員には職員会議等で、子供たちや保護者には入学式や始業式、ホームルーム活動等でマスク着用の考え方を丁寧に周知してまいります。 あわせて、公立幼稚園については、今回の国の見直しにより三月十三日以降はマスク着用を求めないこととされた旨を通知し、保護者も含めて十分に御理解いただけるよう周知してまいります。 次に、部活動の地域移行に向けたスケジュールと支援についてお答えします。 昨年十月の調査では、来年度から五市が完全移行、十八市町村が一部移行、残り十九市町村は実施できない状況であります。 このため、来年度は一部移行を含む移行予定の二十三市町村に、国の実証事業を活用し、運営団体などが購入した用具の経費や指導者の謝金等を手当するとともに、関係団体・市町村等との調整や指導助言などを行うコーディネーターを県内六地域に配置してまいります。 また、本県では令和三年度から四地域で地域移行の実践研究を行った結果、総合型地域クラブに限らず、地域の事情に応じて様々な団体が受皿となることは可能という成果を得ました。来年度は、この成果も踏まえ、各地で取組をしますが、地域移行は県単独ではなく国の方針も踏まえながら行うものであり、再来年度以降の具体的な施策については今後の国の動きに沿って実施していきます。 今後は、移行に踏み切れない十九の市町村にコーディネーターを派遣しノウハウを伝えたり、国には令和六年度以降の施策への提言、さらには要望を実施しながら、令和七年度末までに移行を目指してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 私立幼稚園におけるマスク着用についてお答えいたします。 幼稚園児について、これまでの国の通知ではマスク着用を一律には求めないとしつつも、施設内に感染者が生じている場合などにおいては、可能な範囲でマスクの着用を求めることは考えられるとされていました。そのため、園内における感染拡大防止のため、マスクの着用をお願いする場合もあったと聞いております。 三月十三日以降は、園児についてはマスクの着用は求めないこととなりました。あわせて、基礎疾患があるなどの様々な事情により感染不安を抱き、引き続きマスクの着用を希望する園児や保護者に対して適切に配慮するとされました。 今回の国の見直しの趣旨について、幼稚園関係者に十分に御理解いただけるよう文書を発出し、園長会議で変更内容などについて説明してまいりましたが、今後も機会を捉えて周知してまいります。 また、保護者の方々に対しても十分に御説明いただくようお願いしてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 保育所等におけるマスク着用についてお答えいたします。 まず、二歳未満児については、国は従来からマスク着用を勧めないとしており、今回の通知でも変更はございません。 次に、二歳以上児のマスク着用については、これまでの国の通知では一律には求めないとしつつも、施設内に感染者が生じている場合などにおいて、施設管理者等の判断により可能な範囲でマスクの着用を求めることは考えられるとされていました。そのため、子供や保護者の感染防止のため、マスク着用を勧める園もあると聞いております。 今回の通知では、二歳以上児のマスクの着用は求めないこととし、併せて基礎疾患があるなどの様々な事情により、感染不安を抱き、引き続きマスクの着用を希望する子供や保護者に対して適切に配慮するとあります。 今回の国の見直しを受け、既に二月十五日付で保育所及び認定こども園に対してその内容を通知したところですが、今後も機会を捉えて周知してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 七番 平野祐也君。    〔七番 平野祐也君登壇〕 ◆七番(平野祐也君) 二点再質問をさせていただきたいと思います。 教育長に部活動の地域移行について、今回、十九市町村について、部活動の地域移行について実施ができないという回答があったと伺いましたけれども、ここに所属する競技団体から実際に地域移行の受皿になりたいという要望があった場合に、県としてどのような予算等の対応を考えているのかということをお伺いしたいのと、環境生活部長にお伺いしたいのが、今回、保育所について答弁をいただきましたが、実際、私の子供は保育園にいますが、保護者宛てには何の通知も来ていないと思いますけれども……。 子ども・女性局長ですね。子ども・女性局長にお伺いします。私のところにも同じ子育て世代からこうした問合せがたくさん来ておりまして、実際に園から何の連絡もないというような話をたくさん聞いております。実際に保護者が園からの通知を望んでいる場合もあると思うので、事あるごとに伝えるのではなく、保護者宛てにちゃんと通知を出すという旨を伝えていただけないかということを再質問させていただきます。以上です。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) お答えします。 今般の部活動の地域移行は、市町村が設置者である公立中学校にある学校部活動を新たに地域クラブ活動に移行するものです。よって、新たな地域クラブ活動を所管し、指導・支援するのは、依然市町村が行うことになります。 そのため、議員から御質問ありましたように、各競技団体に依頼をする場合には、所管する市町村から指導者の謝金、さらには支援のための財政支援を実施することを予定しております。ということで、現在のところは、直接そうした団体に補助をすることは考えてはおりません。以上です。 ○副議長(加藤大博君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 今後も機会を捉えて周知をさせていただくところではございますが、その際には、保護者の方々に対しても十分に御説明いただくようにお願いしてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 二十九番 山本勝敏君。    〔二十九番 山本勝敏君登壇〕(拍手) ◆二十九番(山本勝敏君) 皆さん、こんにちは。 これが私にとって最後の一般質問になります。 ゼロゼロ融資返済本格化への対応について。 新型コロナウイルス感染症の感染者が国内で初めて確認されてから三年以上が経過しました。その間に、県内の累計陽性者数は五十三万人を超えました。また、一週間平均の一日当たりの新規陽性者数が最大四千人近くに達したこともありました。しかし、最近ではその十分の一以下まで減ってきています。 感染状況が減少傾向にある中で、先ほど来お話がありますように、来週月曜日、三月十三日からはマスクの着用が、基本的には個人の主体的な選択を尊重して個人の判断に委ねられることになります。 また、五月八日からは、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが現在の二類相当から五類相当に変更されることになっています。 この三年間、私たちは行動変容を求められ、今までの日常は大きく変化しました。 例えば、陽性者等に対して設定された十四日間、現在は七日間の療養期間、県民への不要不急の外出自粛、飲食店の利用に際しての人数や時間の制限要請など、社会生活や経済活動において多大な影響を受けました。 これに対して、例えば次のような対策が講じられました。 従業員の雇用維持を図るために雇用調整、つまり休業を実施する事業主に対しては、休業手当などの一部を助成する雇用調整助成金の特例措置、あるいは旅行代金の一部を補助するとともに、現地の飲食店や土産物店等で利用できるクーポンを配布する観光需要喚起策のGoToトラベルや全国旅行支援、また、まん延防止等重点措置等の期間中には、飲食店等に対して営業時間の短縮や酒類の提供自粛を求めて、協力してもらった店舗に対する岐阜県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金など、様々な対策が講じられてきました。そして、その対策の中の一つに、今回の質問で取り上げる、いわゆる「ゼロゼロ融資」があります。 コロナ禍で売上高が減少した企業に対する資金繰り支援として、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関による実質無利子・無担保の融資、これがゼロゼロ融資と呼ばれるものです。 このゼロゼロ融資は、令和二年三月から始まりました。利用者の急増を受けて、民間金融機関でも令和二年五月から令和三年三月まで取り扱っていました。 例えば、日本政策金融公庫の場合、条件を満たせば、零細企業や個人事業主なら最大六千万円、中小企業は最大三億円を設備資金・運転資金ともに最長二十年にわたって借りられ、利子も中小企業基盤整備機構が最長三年間補給し、実質無利子化するというものであります。また、最も長い場合、最初の五年間は元金の返済も猶予されます。 帝国データバンクの調査によりますと、有効回答企業約一万二千社のうち、ゼロゼロ融資を含むコロナ関連融資を現在借りている企業は四九・二%ということでした。既に全額完済した企業の一・三%を合わせますと、半数以上の企業が融資を受けていたということになります。 現在借りていると回答した企業は、原材料高騰や円安の影響を受けた個人消費に関連した業種で割合が高くなったとのことです。例えば、家具類小売、これが七七・八%、旅館・ホテル、七五・九%、飲食店、七四・二%、繊維・繊維製品・服飾品小売、七三・七%などです。 また、中小企業庁が公表している資料によりますと、令和二年一月から令和四年一月末までの時点で、日本政策金融公庫は約九十七万件、約十六兆円の融資を承諾しています。信用保証協会は約百九十五万件、約三十七兆円の信用保証を承諾している。うち、民間の金融機関が実施したゼロゼロ融資による信用保証は約百三十七万件、約二十三兆円です。これは、リーマンショックのときの緊急保証を上回ったということになります。 なお、融資総額は、令和四年八月末時点で総額四十二兆円に上っていて、そのうち民間金融機関分は二十三兆円とのことです。 こうした支援が功を奏して、老舗から新興企業まで幅広い企業で資金繰りが緩和され、企業倒産は低水準が続いてきました。 民間調査会社の発表によりますと、令和三年の全国倒産件数は六千三十件、平成十二年以降で最少となりました。それ以前と比較しても、昭和四十一年以来、半世紀ぶりの歴史的な低水準となったということです。 また、県内の状況を見ますと、県制度を利用したゼロゼロ融資である新型コロナウイルス感染症対応資金は、令和二年五月から令和三年五月末までの一年間で融資件数約二万件、融資額は三千四百九十九億円を超える実績になっています。 一方で、今年から返済が本格化します。これを踏まえて、岐阜県信用保証協会においてポストコロナに向けた経営改善支援の取組としてポストコロナサポート室を令和四年二月に設置し、保証先企業を訪問して経営状況の聞き取りを行っています。 この聞き取りによりますと、令和四年の夏頃までは返済に不安や懸念を持つ企業の割合は一割を下回っていたということです。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響は終息しつつありますが、令和四年二月のロシアによるウクライナ侵攻を発端とした原油価格・原材料価格の高騰、そして円安に伴う物価高などの影響も続き、中小企業を取り巻く状況は厳しさが増しています。今後、ゼロゼロ融資の返済が本格化しますと、全国的に中小企業を中心に経営が行き詰まる例が増えるのではないかと懸念されます。 令和四年の全国における倒産件数は、先ほどの令和三年に比べて六・六%増えたと。六千四百二十八件です。三年ぶりに前年を上回ったということになります。これは、ゼロゼロ融資などの公的支援効果が薄れてきたことや、先ほどの燃料高、原材料高などが件数を押し上げたと分析されています。 ゼロゼロ融資の利子補給期間の三年が経過する今年の六月が間近に迫る中、コロナ禍の影響や燃料高、原材料高、人手不足の三重苦によって県内中小企業においては業績の回復が遅れています。事業の継続や新たな事業展開の資金不足が生じないか、大いに危惧されるところです。 そこで、厳しい状況にある県内の中小企業者等に対するゼロゼロ融資返済及び資金繰り支援に対し、どのように取り組んでいくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 これで質問を終わります。 なお、私は今議会閉会をもって議員を辞職いたします。十六年間、大変お世話になりました。全ての皆様方に心から感謝を申し上げます。そして、今後も信念を貫いてまいります。 県民の、岐阜県民の皆様の幸せを心から願い続けます。ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) ゼロゼロ融資返済本格化への対応についてお答えします。 いわゆるゼロゼロ融資の返済本格化を見据え、返済の借換えに加え、事業再構築などの前向きな投資に必要な新たな資金需要にも対応するため、本年一月、県制度融資に伴走支援型借換資金を創設いたしました。現在、非常に多くの問合せ、申込みをいただいている状況です。 この新たな資金では、中小事業者が金融機関と協議の上で経営改善に係る計画を作成することを要件に、金融機関により継続的な伴走支援を行うことになっております。これによりまして、金融機関が寄り添い、企業の収益力改善につながるサポートをすることで経営を安定化させることができると考えております。 来年度当初予算では約百十六億円の融資枠を設定しておりますが、今後もエネルギー価格、資材価格高騰が長引けば、返済が困難となる企業の増加も予想されます。 引き続き、中小企業の経営状況などを把握する県信用保証協会、金融機関との情報共有を図りながら、必要となる追加対策を検討してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 三十八番 渡辺嘉山君。    〔三十八番 渡辺嘉山君登壇〕(拍手) ◆三十八番(渡辺嘉山君) ただいま議長より発言のお許しをいただきました。通告に従い、四項目質問をさせていただきます。 まず初めに、省エネ住宅の普及に向けた取組方針についてお伺いします。 昨年六月、建築物の断熱性能を義務化し、木材利用を促進する脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律、改正建築物省エネ法が公布されました。背景には、二〇五〇年にカーボンニュートラルの実現、二〇三〇年に温室効果ガスの二〇一三年度比四六%削減の実現に向け、エネルギー消費の約三割を占める建築物分野での省エネ対策を加速する必要があり、併せて木材需要の約四割を占める建築物分野での木材利用を促進し、吸収源対策の強化を図ろうというものです。このため、建築物の省エネ性能の一層の向上を図る対策の抜本的な強化や、建築物分野における木材利用のさらなる促進に資する規制の合理化などを講じることとされました。 省エネ対策の加速に向けて、省エネ性能の底上げや、より高い省エネ性能への誘導を行うために、原則全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準、断熱等級四の適合を義務づけ、二〇二五年以降はこれを下回る建築物は建てられなくなります。 この断熱等級四以上の場合、冷暖房のためのエネルギー消費量を抑制するとともに、温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することによって、失神、心筋梗塞や脳卒中といった血管の病気を引き起こすヒートショックなどの健康被害も減らすと言われています。 国は、二〇三〇年までに義務化の基準をZEH水準断熱等級五へ引き上げる予定です。ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略であり、壁や窓の断熱性能等の向上により大幅な省エネを実現した上で、太陽光発電などの再生可能エネルギー等を導入することにより年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住まいのことです。 国は、令和三年度の補正予算で五百四十二億円を計上し、こどもみらい住宅支援事業としてZEHの基準に適合する新築住宅に百万円を補助する制度を開始しました。さらに、令和四年度には予算を約一千百四十二億円へと倍増しました。また、令和五年度以降においても、こどもエコすまい支援事業と名称を変えて継続されることとなっています。 しかしながら、補助対象者は子育て世帯や若者夫婦世帯に限られており、単身者が家を建てたり、定年後に夫婦等の住まいを建てようとしても国の補助制度を利用することはできません。また、国は昨年十月に、より断熱性能が高く、冷暖房エネルギー消費の節減につながる基準として断熱等級六と七を施行しましたが、新しい基準を満たす住宅を建てても、補助金額は従来の断熱等級五の新築住宅への百万円と変わりません。しかも、省エネ性能が達成されるのであればどのような建材を用いても構わないため、木材の使用による二酸化炭素の吸収や固定化につながるとは限りません。 毎年着工される新築住宅は全国で約八十五万棟、本県に限っても約一万棟もあり、これから新築される住宅を全て省エネ基準に適合させることは容易ではないと思われます。 そこで、県が目指す脱炭素社会ぎふの実現に向けては、国による省エネ基準の義務化や補助金の交付を踏まえつつ、県自らも取組を強化していく必要があると考えますが、今後の省エネ住宅の普及に向けてどのように取り組まれる方針か、都市建築部長にお伺いします。 次に、建築物石綿含有建材調査者の現状と資格の取得促進に向けた取組についてお伺いします。 まず、石綿とは、天然にできた鉱物繊維で、アスベストとも呼ばれています。その繊維が極めて細かいため、適切に除去等を行わないと石綿が飛散して、人が吸い込んで肺に入ると、十五から四十年の潜伏期間を経て肺がんなどの病気を引き起こすおそれがあります。 以前は、ビル等の建築工事において、保温・断熱の目的で石綿を吹きつける作業が行われていましたが、昭和五十年に原則禁止されました。その後も、スレート材、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、現在では原則として製造等が禁止されています。 石綿は、存在自体が直ちに問題となるのではなく、飛び散って吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法などで予防や飛散防止等が図られています。こうしたことを背景に、令和二年七月の石綿障害予防規則や令和二年十月の大気汚染防止法施行規則の改正等により、令和五年十月以降、建築物の解体や改修を行うときは、建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ人が事前調査を行わなければならなくなります。 資格取得のためには、二日間の講習と試験に合格することが必要ですが、県内では岐阜市や大垣市、美濃市などの一部地域での開催となっており、開催回数も限られていることに加え、約五万円の受講料が必要です。特に、中小零細企業や遠方の方にとっては、時間的、費用的に負担感があります。 また、国は調査者の必要人数について、全国で三十万から四十万人程度としていたものを、その後、約十一から十二万人へと下方修正しています。それに対し、資格取得者は令和五年一月末時点で約九万人であり、国の担当者は不足する状況ではないとしています。 しかしながら、県内の建築関係団体からは、調査者の確保が不十分なため、今年十月以降の解体・改修作業において着工の遅延が生じるのではないかと懸念の声が出ています。そもそも、この資格が必要となることがあまり知られていないと建築業界の多くの方々から聞いています。 資格取得のことを知らないまま建築物の解体や改修が行われ、石綿が飛散して作業者や住民らが吸い込むと取り返しのつかないことになります。現在、調査者が八割方充足しているとしても、残り二割は中小零細企業等が取り残されていると考えられ、今後はこれまでのようには取得が進まなくなると思われます。 まずは、現状を適切に把握するとともに、十分な周知を進める必要があります。加えて、負担軽減のために受講料の助成や今まで開催機会のない地域での講習も必要と考えます。 県内各地で空き家の問題が生じている中、いざ解体しようとしても着工できないことがないように取り組んでいただきたいと思います。 そこで、建築物石綿含有建材調査者の現状と資格の取得促進に向けた取組について、環境生活部長にお伺いします。 次に、不適切な保育を発生させないための今後の取組についてお伺いします。 昨年十二月、静岡県裾野市の認可保育所に勤めていた保育士三人が、園児に対する暴行容疑で逮捕されました。裾野市によりますと、保育所では、園児を宙づりにする、日常的に特定の園児に対しにらみつけて声を荒げ、ズボンを無理やり降ろすなど、十六種類の不適切な行為が確認されたといいます。保育士は、世間と虐待の認識にずれがあった、新型コロナの影響で業務が増えて負担になっていたなどと供述しているということです。 こうした不適切な保育は、富山市の認定こども園や宮城県の企業主導型保育施設など、全国で次々と発覚しました。 また、虐待以外にも、通園バスに置き去りにされた園児が熱中症で亡くなる事件も続きました。 近年、待機児童対策で保育所の数は増加し、保育士の人手不足は深刻になっており、昨年十月の保育士の全国の有効求人倍率は二・四九倍で、全職業平均の一・三五倍を大きく上回っています。また、令和三年度厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、本県の保育士の平均賃金、現金給与額は約二百四十一万円であり、子供の安全を守る重大な業務の割に給料が少な過ぎるとの声も聞かれます。 給与水準の低さに加え、実態に見合っていない配置基準、責任の重さ、さらにコロナ禍で検温やおもちゃの消毒、感染対策に配慮しながらの行事開催など、業務量も増えています。 こうした環境が保育士を目指す人の意欲を妨げ、慢性的な保育士不足を引き起こすとともに、保育士の負担増などから今回のような事件が起こったのではないかと推察します。 これまで、県は子供の安全を守る保育士の処遇改善や資質向上のために、様々な取組を実施されてきたことは承知しています。 例えば、国が定める給付費の中ではありますが、保育士等を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として収入を引き上げるための措置、いわゆる処遇改善を行い、平成二十五年度から令和三年度までの約十年間で給与が平均一七%増加したとされています。 また、より安全で、より手厚い保育を実現するため、国に対し、保育士の配置基準を見直すよう要望を断続的に続けられており、県独自の加算を設けるなどの取組も実施されています。 一方で、処遇改善や配置基準の見直しは多額の予算を必要としたり、慢性的な保育士不足などの課題があり、県単独でできるものではありません。待機児童を解消するために保育所が増加した一方で、生命や健康、安全といった基本的な保育の質が必ずしも担保されていないのではないかと懸念されます。 今後、家庭内保育から保育所保育へと移行する、つまり保育需要拡大の動きがある中、保育の質の向上に取り組んでおくべきと考えます。 近年増加傾向にある発達障がいなど、多様な児童に対応するためにも保育士のキャリアやスキルの向上に取り組む必要があります。また、保育士が困っていること、悩んでいることを素直に吐き出せる風通しのよい環境づくりが虐待事案発生の抑止力になるとも考えます。 保育士や幼稚園教諭は非常にハードワークであるという話を身近なところで耳にしますし、私自身も、孫の送迎のため幼稚園を訪れますが、いつ見ても忙しく働かれている印象を受けています。園児や保護者の安心・安全はもちろんのこと、保育士の働きやすい環境、そして誇りを持って働ける環境づくりのためにも、一層の取組が必要と考えます。 そこで、全国で保育所等における虐待事案が発生していますが、不適切な保育を発生させないために今後どのように取り組んでいくか、子ども・女性局長にお伺いします。 最後に、笠松競馬場の魅力向上に向けた取組についてお伺いします。 最近はコロナ禍等の影響でレース開催を縮小されており、笠松競馬場への来場者や馬券販売総額は減少しているものの、一日平均の馬券販売額で見ると、令和二年度、三年度と続けて過去最高の四億円超を記録するなど、好調に推移しています。 また、テレビや新聞、ネット上で話題となる出来事も続いています。 例えば、日本中央競馬会JRAの女性ジョッキーでデビュー二年目の今村聖奈騎手が、今年一月のJRA交流戦において笠松競馬場で初騎乗し、勝利を飾られました。 今村騎手は、藤田菜七子騎手が持つJRA女性騎手の年間最多勝記録の二〇一九年の四十三勝を上回る五十一勝を昨年挙げるとともに、JRA最多勝利新人騎手賞を受賞しておられます。笠松での勝利の後、「笠松はすごく乗りやすい競馬場。スピードを生かしたレースができ、機会があればまた来たい」と喜びに浸っていたようです。 そして、昨日は中央競馬デビュー五日目の岐南町出身の田口貫太騎手が笠松での交流戦で初勝利を飾ったといううれしいニュースも入ってきました。今年の新人六人のうちではV一番乗りとなり、誠におめでとうございます。今後の活躍を大いに期待しています。 また、人気お笑いトリオのジャングルポケットの斎藤慎二さんが馬主を務める三歳牝馬、オマタセシマシタが金沢競馬場から移籍し、一月二十六日の笠松競馬場におけるデビュー戦で見事に初勝利を飾りました。このオマタセシマシタは、これまで九戦したものの勝利はなく、金沢競馬場が冬季休業に入ったため、新天地を求めて移籍しました。この際、昨年、笠松競馬場の年間最多勝記録をともに更新した名門調教師とエース騎手の豪華コンビに愛馬を預けられています。初勝利を得たレースでは一番人気となっており、活躍が続けば、売上げやファン獲得に好影響を与えてくれるものと思います。 さらに、笠松町が競馬場でコスプレーヤーが走るイベントを開き、県内外から愛好家やアマチュアカメラマンら約六十人が参加されました。大半は、人気ゲームの「ウマ娘」のシリーズのキャラクターに扮したといいます。この「ウマ娘」は、アニメやゲームで圧倒的な人気を誇り、二〇二〇年に連載が始まった漫画では、笠松競馬場でデビューし、中央競馬に移籍した後も活躍したオグリキャップが主人公になっています。こうしたブームを追い風に、笠松町の知名度アップとともに町おこしとしても全国にアピールしようとされています。 さて、五月八日から新型コロナウイルス感染症が五類に位置づけられることに伴い、外出や飲食、イベント参加の機運がいよいよ高まりを見せます。ぜひとも笠松競馬場の魅力を向上し、ファン獲得やファンサービスの充実を図っていただきたいと思います。 そこで、農政部長にお伺いします。 競馬関係者の御努力により、今年度の馬券販売額は好調でありますが、笠松競馬場への誘客につながるファンサービス、魅力あるレースの提供など、さらなる笠松競馬の魅力向上に向けた今後の取組についてお聞かせください。 この笠松競馬場については、初当選以来二十年間、様々な角度から質問させていただきました。現任期最後の質問であります。魅力ある御答弁を期待して質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 都市建築部長 野崎眞司君。    〔都市建築部長 野崎眞司君登壇〕 ◎都市建築部長(野崎眞司君) 省エネ住宅の普及に向けた県の取組方針についてお答えいたします。 現在、省エネ住宅の取得に対して、国は子育て世帯などに限定し補助を行っておりますが、県では独自に補助制度を設け、国の対象とならない全ての世帯に対して補助を行っております。 こうした中、国は省エネ性能の高い住宅の普及を目指して対象をZEH住宅に限定した新たな補助制度を創設し、今月下旬より募集が開始されます。 これと併せ、県もZEH基準に満たない住宅への補助を廃止して対象をZEH住宅に限定し、その中でもより省エネ性能の高い住宅に対して、補助額の上限をこれまでの四十万円から六十万円へ引き上げる予定としております。 加えて、県産材活用の支援事業との併用を可能とし、最大九十二万円まで補助できるよう、住宅支援の運用を見直してまいります。 県としましては、今後もホームページや十月開催予定の住宅フェアなどにおいて省エネ化の必要性や補助制度について周知を行うなど、省エネ住宅の普及啓発に努めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 建築物石綿含有建材調査者の現状と資格の取得促進に向けた取組についてお答えいたします。 県では、調査者による解体工事等に係る事前調査が本年十月から義務づけられること及び調査者の資格取得には国の登録機関が行う講習会の受講が必要となることについて、事業者向け説明会や業界団体の研修会などで周知するとともに、ホームページで講習会の開催情報をお知らせしてまいりました。 本年一月末時点で、全国の調査者数は必要とされる人数の約四分の三にとどまっており、本県においても同様の状況と見込まれます。こうしたことから、資格取得者の増加に向け、資格取得につながる取組を一層進める必要があると考えております。このため、建築関係団体と連携し、開催の予定がない地域や休日に講習会を開催することで受講機会を増やしてまいります。 また、講習会の開催情報や制度の実施時期などについて、庁内関係部局とともに周知するほか、建築関係団体の会合で説明を行うなど、資格取得が必要な方々に受講を促すことで調査者の確保を図ってまいります。 ○副議長(加藤大博君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 不適切な保育を発生させないための今後の取組についてお答えいたします。 不適切保育については以前からの課題であり、県では子供一人一人に寄り添った保育となるよう子供の人権に配慮する研修を実施するとともに、毎年の監査の中で虐待の防止措置に係る規定の確認や、風通しのよい職場環境づくりについて指導を実施してきました。 また、令和三年四月には、国が作成した不適切保育の未然防止等に関する手引を周知したところです。さらに、虐待等を見聞きした保育士が県や市町村の担当課に直接相談してきた際は、丁寧に聞き取り、早期に対応してきました。しかし、県内の不適切保育事案は依然としてなくならず、加えて配慮が必要な児童の対応などの増加という課題も顕在化しています。 そのため、県では不適切保育をテーマとした研修を追加し、虐待事案を発生させないための意識啓発を図るほか、子供の発達に関する研修の充実に取り組んでまいります。また、監査でも虐待防止措置に関する取組状況を重点的に確認し、適切な指導助言に努めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 農政部長 雨宮功治君。    〔農政部長 雨宮功治君登壇〕 ◎農政部長(雨宮功治君) 笠松競馬場の魅力向上に向けた取組についてお答えいたします。 競馬の最大の魅力は、人馬が一体となりレースを繰り広げる迫力、ファンの熱気、競馬場の開放的な雰囲気を肌で感じていただくことと考えております。このため、ファンの皆様に足を運んでもらえる魅力ある競馬場づくりに取り組んでまいります。 まず、ファンサービスとして来場者プレゼントやトークショーなどの場内イベントを引き続き実施するとともに、今年度、大変好評であった人気アニメとのコラボ企画をさらに拡充していきたいと考えております。 また、有力馬が出走する目玉レースを新たに七本増設し、二十七レースに拡大します。あわせて、賞金や出走手当を増額する方向で検討を進めており、これにより騎手や所属馬の増加とともに、他の競馬場からの強い馬の参加につなげていくことで、さらに魅力あるレースを提供してまいりたいと考えております。 引き続き、競馬関係者、地域やファンの皆様の御意見を伺いながら、笠松競馬場の魅力向上を目指してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 二十八番 川上哲也君。    〔二十八番 川上哲也君登壇〕(拍手) ◆二十八番(川上哲也君) 通告に従い質問させていただきますが、最初は、県の情報発信についてであります。 災害支援活動を行う際に、情報発信をどうしようかということで悩むことがあります。県内の災害においても、被災された方全部に、一軒一軒行き渡らずに、災害ボランティアセンターをもう一度立ち上げたということが数年前にありました。そういったことを防ぐためにどうするかということであります。ですから、そういったときは被災エリアの一軒一軒に戸別訪問をしてチラシを配る、ボランティアが支援しますよというようなことをやるケースもあります。これは、先ほども申し上げましたとおり、一軒残らず必要な全ての方に、ニーズを持っている方にその情報を得てもらうということが目的であります。 ただ、こういったことは全ての情報発信において使える方法ではないということも考えておかなければなりません。 情報発信で大事な点は幾つかあると思いますが、その一つが媒体、手法であります。最近はニュースをスマホで見るというような若い世代も増えておりますので、これからの情報発信については、絶対必要なのはスマホでも見られるという条件だということは、これは言うまでもないことであると思います。 先ほど例として挙げた災害支援活動では、必要と考えられる方に対して確実に情報を届けることが最重要であったため、戸別訪問という形を取りましたが、これは県の情報発信で同じようなことができるわけはありません。 さて、昨今、防災関連情報をLINEやメール等で届けている自治体が多いということは皆様御存じのとおりであります。 この情報発信方法、災害時の支援物資に置き換えてみますと、プッシュ形式の物資配布に似ているんじゃないかというふうにも思われます。被災した自治体からこれを送ってほしいというリクエストが出されなくても、必要な物資がその自治体に届くということが昨今は行われております。これがプッシュ形式。では、現行のホームページでの情報発信はどうかといいますと、何がそのホームページに書いてあるのか、またそれらを知らないと調べることができないということもありますし、必要な情報に行き着かないということもあります。また、さらに情報がホームページ上にはどこかには載っているんですけど、それがそこまで行き着きにくくなってしまうということもあります。 もちろん、ホームページでの情報発信全てを否定しているわけではありません。ホームページは、岐阜県の全体像を発信するのには適しております。今回、課題としているのは、そのホームページが悪いということではなくて、こんな情報を欲しいんだという方に対して、その情報を適切に県から情報発信ができるかということであります。 以前、新型コロナ対策として、飲食店が感染防止用のアクリル板を購入することに対して補助が出るというものがありました。それを飲食店経営者の皆さんに伝えますと、こういった声がありました。そんな補助金があるのは知らなかった。ホームページには載っていても、それを常に見ている人は分かるかもしれませんが、常に見ている人なんていうのはほとんどいないと思います。ですから、そういったものが出たことも知らなかった。そういった情報は、メールとかLINEとか何か別の形で知らせてくれるようなシステムがあったらいいなという声もありました。 その後、再度寄せられた意見では、そのアクリル板に対して補助が出ますよと飲食店の方に教えたんですけど、その情報があるところへホームページ上で行き着かなかったというものであります。 実際、私もその方からの声をいただいて、県のホームページで探してみました。ところが、普通、そういった欲しい情報はクリックだけで行けると一番いいんですが、クリックだけでは全然行き着きませんので、検索のキーワードが何かを入れて、それで探しに行く、ところがそれもワードを幾つか変えてやっと行き着いたというような状態になりました。これでは支援情報が皆さんに完全に行き着くということは絶対と言えないというような状態であります。 それで、その情報をやっと知ったときには、もう締切り間近とか、ああ、もうこれは間に合わないなというような方があったというのも事実であります。 そこで提案でありますが、LINE等を使って県の情報を取りやすくしてはどうかと思います。 例えば、岐阜県の公式のLINEのアカウント、そこにどういった情報が欲しいんだとクリックして登録しておくところがあって、それを登録しておくと、定期的に例えばその情報が得られる。お店とかそういった事業の支援情報が欲しいよということであれば、その項目をクリックしておく、それで登録をしておくと、毎月例えば一回その情報が寄せられる。それを深く調べていって中身を詳しく見ていくというようなことができないかなというふうに考えております。 そのほかにも、観光情報や医療の情報、もちろん防災の情報も含めて、様々な分野の情報をその公式アカウントから取れるようにすれば利便性は広がりますし、緊急情報などについては登録者全員に送るということも可能であります。 イメージとしては、ホームページは見るものですが、今回提案するLINE等による情報提供は県民が直接県庁とやり取りするツールというイメージであります。 そこで、秘書広報統括監に質問でありますが、現在のホームページによる情報発信は、その情報を取りに行く方にしか情報が提供されず、また情報を取りにくいという難点もあります。県民が欲しい情報を手に入れやすくするためにも、これまでの手法に加え、LINE等を使用して、欲しい情報を確実に取得できるようにすべきと考えますが、どのような改善を行う必要があるとお考えか、お答えを願います。 次に、難聴児教育の改善について質問させていただきます。 以前の一般質問でも取り上げましたが、難聴児の双子を持つ親御さんから難聴学級設置の相談を受け、その件については地元自治体や対応する学校も設置を希望されていたにもかかわらず、小学校入学時にはその双子さん、難聴学級が適用されませんでした。その親御さん、本当に残念がっておられました。 その翌年、二年生に進級するときも、たまたまほかの学校でキャンセルが出たため、進級まであと僅かというところでようやく設置されたということがありました。このときの親御さんは本当に喜ばれたということは言うまでもありません。 難聴児は、そのコミュニケーションの部分さえ改善することができれば、持てる能力をしっかり伸ばすことができます。しかし、現状は、残念ながら難聴児の可能性を潰しかねない状態にあるのではないかとも思います。 教育委員会では、対応が改善されない理由として、教員不足と支援学級を受け持つ教員に対して研修を行わなければならないことを挙げられておりますが、なぜ対応開始を前倒しするなど改善の努力をされないのでしょうか。 一昨年、難聴児の療育を推進するため岐阜大学医学部附属病院に設置された岐阜県難聴児支援センターや地元市町村教育委員会などと連携すれば、早期の段階から義務教育における対応をどうするのか、支援学級をつくるのか、ほかの難聴のお子さんと一緒に学ぶことを選ぶのか、聾学校へ行くのか、またそれ以外の対応を取るのか、時間をかけて保護者の方と検討することが可能となります。 難聴児のよりよい療育を進める方法は、難聴学級をつくるだけが選択肢ではありません。ほかの難聴児と一緒に学ぶことのほうが、その子の能力をより伸ばせることもあるというふうに言われております。 ただし、どの方向性を選ぶにしても、最も大切にしなければならないのは、難聴児の保護者の方とお子さんがどちらも納得して選択するということであります。 難聴児支援の一環として、飛騨特別支援学校の呼びかけで、数年前に難聴児とその親御さんが参加する交流会が開かれました。さらに、県教育委員会では、飛騨特別支援学校に聴覚障がい専任教員を配置し、令和三年度から難聴のある乳幼児を対象とした乳幼児教室や保護者向け学習会や相談会が行われております。こういった相談会等を活用して、小学校の教育について、年少や年中の年には親御さんと教育委員会がしっかりと話し合える環境づくりを進めるべきと考えております。 そこで、教育長にお尋ねします。 難聴児の力を最大限に伸ばすためにも、難聴児教育の義務教育時期における対応については、難聴であることが分かった時期から保護者との意見交換を行って対応を検討し、保育園や幼稚園の年中の頃までに、難聴学級の設置を望むのか、ほかの難聴児の子と一緒に勉強することを望むのか、あるいは聾学校で学ぶことを望むのか、保護者と難聴児が納得できる方向性を選び、難聴学級を選択した場合は対応する教員の研修を早期に始めるなど、様々な対応を早め早めに進めていくことが教育のあるべき姿と考えますが、これについてどのようにお考えでしょうか。 次は、防災対策のうち被災者側の初期対応についてであります。 今年度、NPOとして、夏の災害では埼玉県鳩山町、石川県小松市、福井県南越前町、秋の災害では静岡県へ支援活動に出かけましたが、災害現場でまた幾つもの課題を感じました。 災害規模が小さかったため報道の扱いも小さくなり、支援の力が届きにくかった被災地。技術系ボランティアや重機ボランティア、資機材の受入れがうまくいかず、支援が遅れた被災地。一万世帯以上の被災だったのに、被災状況の把握とメディアに対する情報提供がうまくいかず、支援の力が集まりにくかった被災地など、気になる点は少なくありませんでしたが、今申し上げた課題については危機管理部と直接改善を進めたいと考えております。 そこで、今回の質問関連として、私たちが支援活動を行った静岡県の浸水がひどかった地域で、被災して最も困ったことを尋ねたところ、こんな声がありました。「最も困ったことの一つは、被災直後の対応でした。水害に遭った家屋の応急処置について、自分で何をしたらよいのか分からなかったし、それを誰に尋ねたらよいかも分かりませんでした。それと、被災したら市役所が調べて助けに来てくれると思い込んでいたため、まさか誰も助けに来てくれないなんてことは想像していませんでした」というものでありました。 この応急処置で何をすればよいのか分からなかったという言葉と、市役所が助けに来てくれると思っていたけど来てくれなかったという言葉、いまだに災害現場でよく耳にする言葉であります。 さらに、これはこれまでの災害支援活動を行ってきた中で何人もの方がおっしゃっていた言葉なのですが、「自分たちは、この泥だらけになった家で我慢して生活していこう。一階は使えないけど、二階で生活すればよい」などのように、どうしてよいか分からないため、私たちはこの家で我慢して生活していこうと、我慢という選択をされる方も少なくありませんでした。 もちろん、そういった方が見つかった場合はしっかりと支援をさせていただくわけですが、被災者が我慢をするという選択をされてから一か月以上たって、そういったお宅を発見することもあります。 昨年の災害でも、支援活動を始めるまでに一か月以上経過していたという被災家屋は少なくありませんでした。このようなこともあり、被災した際に家屋の応急処置として自分で何をすべきか、またどこへ連絡したらよいのかなどについて、被災地域の方全てにいかに知っていただくかということは、復興に向けて非常に重要な点であると考えます。 また、支援活動を続けていると、間違った対応をされているお宅を見かけることも少なくありません。 例えば、浸水被害を受けた家の窓を閉め切っているというお宅、昨年も結構見かけました。また、空気の通りが悪く、まずは乾かさなければならないところに高圧洗浄機をかけて、水をまいて、室内全体の湿度が高まり、その結果、カビ菌を高圧洗浄機で舞い散らしたという結果で家中がカビだらけになったというお宅。 水害の支援活動としては、一言で言えば、泥を除去して乾かすことが基本であります。ですから、被災してどうしてよいのか分からなければ、とにかく乾かすことが第一。水につかったものは干して乾かす、家の中もできるだけ空気の通り道をつくって乾かす。床下に泥がたまっている場合でも、どうしたらよいのか分からなければとにかく乾かす。扇風機があればそれを使って乾かす。これが基本であります。 しかし、これを理解している人はそんなに多くありませんし、水害は時間との勝負でありますので、対応が遅ければ遅いほどカビなどによる損壊が大きくなってしまいます。 そのほかにも、先ほど述べましたように市役所や保険会社に連絡する、家を建てた大工さんや建築会社に相談する、そして災害ボランティアセンターに相談するなど、やるべきことはたくさんあるのですが、それが分かっていなければ何もできません。 また、災害ボランティアセンターへ要請したとしても、災害規模が大きかったり、去年の夏もそうでした。埼玉県とかそのほかの地域が被災をした、その直後に石川県が被災をした、それで福井県も被災した。その一月後にはもう静岡県も被災している。そうなると、いろんな広域な範囲で被災すると、ボランティアも要請されてもなかなか行くことができないこともあります。そうなると、他人に頼れないという時間が延びることにもなります。 しかし、被災しても、自宅への対応をどうすればよいのか、そして外部への連絡や要請をどうしたらよいのか分かっていれば、家屋の保全程度をよくすることが可能となります。 つまり、被災後のノウハウがホームページなどにアップされ、水害が発生したらホームページのトップにそこへ飛ぶアイコンが大きく出ていて、飛んだ先のページには、その災害に対する対応がこのPDFとかにまとめられていて、簡単にプリントアウトできる。この簡単にプリントアウトできるというのが非常に重要であります。それを配りやすくするためにも重要であります。よくホームページをプリントアウトすると、だあっと何枚もになって出てくることがあります。ですから、例えばA4表裏程度にまとめておく、それだったら配ることが簡単になります。 そこで、危機管理部長にお尋ねします。 防災対策の基本的な部分として、増え続ける災害に対し、初期の対応、家族が何をしたらよいのか、地域で力を合わせて何をすればよいのか、どこに連絡したらよいのか、どんなことをボランティアに頼めるのか、それはどのように頼めばよいのか。そして、被災者生活再建支援制度などについて、残念ながら御存じない方は少なくありません。被災家屋の損壊を抑え、生活再建を早める効果を高められるようにするためにも、被災された方がどのように対応したらよいのかを県のホームページにできるだけコンパクトにまとめ、平常時からそれを見られるようにしておき、プリントアウトして配りやすい形式にしておくことが必要だと考えますが、これについてどのようにお考えか、お答え願います。 防災対策、二点目は、複合災害への対応についてであります。 私のNPOが加盟しているNGO団体は、甚大な被害をもたらしたトルコ・シリア地震の支援活動で出動しておりますが、極寒の中での救助活動や避難支援など、本当に大変なことが多い災害だと思っております。 以前、もう十年以上前でありますが、十万人が命を失い、極寒の被災地として報道されたパキスタン地震の支援活動で、私もNGOスタッフとして現地に出かけた際や、また東日本大震災で発災直後に東北へ向かい、とんでもなく寒いトラックの荷台、ほろの中でがたがた震えながら寝た日があったことを思い起こしますと、被災された方がもちろん一番つらいこと、これは間違いありませんが、支援する側も寒い中での支援というのは本当につらいものがあります。 さらに、もしあの津波被害が積雪の多い時期だったらと考えるとどうでしょう。豪雪災害が加わっていたら、被災された方にとっても支援する側にとっても、さらに大変な災害になっていたことは間違いありません。 ここ数年、豪雪時にトラックを含む多くの自動車が高速道路や一般道路で立ち往生してしまったというニュース、皆様御存じかと思います。また、豪雪による倒木で停電が起きたときに、これは飛騨地域がそうだったんですが、積雪の少ない地域からその飛騨地域の支援で作業に来た車が、雪道が慣れていないということで何台も立ち往生したということもありました。つまり、通常時の地震対策を行おうとしても、支援の車が思うように動けなくなってしまうことも十分に起こり得ます。地震と豪雪が重なると、そういった車が動けなくなるということも十分に起こり得ます。 複合災害は、一足す一が二になるわけではありません。複合災害が発生すれば、支援も遅れることが多くなるでしょうから、一問目の質問のように、被災者が何をすべきかも非常に重要であります。 昨今、局所的な豪雨が多くなっております。豪雨災害は頻発化しております。また、局所的な豪雪によって被害が出ることも少なくありません。そんなとき、地震が併せて起きるということは想像したくありませんが、あり得ないと断言できる時期ではなくなってきていると考えております。 そこで、危機管理部長に質問させていただきますが、例えば豪雪プラス地震、水害プラス地震など、複合災害が起こることにより単一災害と違って対応が困難になる点などについて、県内市町村と想定される課題を整理し、DIGと呼ばれる災害図上訓練を実施するなど、複合災害への備えを高めていくべきと考えますが、これについてどのようにお考えでしょうか、お答え願います。 以上、前向きな答弁を期待し、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 秘書広報統括監 高橋洋子君。    〔秘書広報統括監 高橋洋子君登壇〕 ◎秘書広報統括監(高橋洋子君) 欲しい情報が得られる情報発信への改善についてお答えいたします。 県では、様々な媒体を使って県政情報を発信しており、SNSについてもLINE、フェイスブックなど、各所属で運用されているアカウント数は二百八十に及びます。これらSNSの中から希望するものを選択し、登録することで、県からの情報を直接受け取ることはできますが、どのSNSを選択し、どうすれば欲しい情報を入手できるのか迷われる方もおられます。 この点において、御提案のあった県の公式LINEアカウントに情報を選択できる利用者向けメニューを設定して配信する方法も有効な手段の一つでありますが、そのためには既存のSNSアカウントとの連携、おのおのが扱う情報の重複をどうするか、発信する情報の内容とその分類の仕方などの運用の方法、またシステム改修に伴うコストなど、多くの整理すべき点があります。 このため、各所属の意見を聞きながらこれらの整理を進め、より効果的なSNSの活用方法について研究してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 難聴児の教育支援に向けた対応についてお答えします。 難聴児の就学先は、市町村教育委員会が本人の障がいの状態に適した教育支援内容を専門家の意見も聞きながら考え、保護者や本人の希望をお聞きし、合意形成を図りながら、就学前年度、六歳のときに、通常の学級、通常の学級に在籍しながら特別な支援を受ける通級指導、難聴学級、岐阜聾学校の中から決定しております。 一方、議員が御指摘のとおり、児童が四、五歳の頃から保護者と市町村や教育委員会の関係者が早期に話合いを始めることは、本人にとって最適な学習環境を選択できることにつながります。実際、県内の一部の市町村では、こうした話合いを四歳の頃から実施している例もあります。 県教育委員会としましても、早期に先を見通した協議が行われることは、児童の受入れに向けた人的、物的両面での見通しが立てやすくなります。そのため、新生児聴覚検査や乳幼児健診において難聴の兆候が判明した時点で、保護者を含めた関係者間の連携を開始されるよう、市町村教育委員会を指導、支援してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 防災対策について、二点御質問をいただきました。 初めに、被災者側初期対応の周知についてお答えします。 現在、県では被災者生活再建支援制度や県税の減免措置などの情報をホームページに個別に掲載しておりますが、まずはこれを改修し、罹災証明や住宅の応急修理、被災に伴うお金の支援などについて一覧できる専用ページを今月末までに開設いたします。 また、先般行ったここ数年で被災経験のある市町村との意見交換では、支援を円滑に進めるには、ふだんから住民の方々に支援内容と相談先を知っていただくことが必要であり、県で統一したひな形があるとありがたいといった意見もいただいております。 このため、防災分野の学識経験者から意見を伺い、被災直後に住民の方々が混乱することがないよう、家族の安否や住まいの状況の確認、ボランティアへの依頼といった項目ごとに、最初に行うこと、受けられる支援の内容と相談先を分かりやすく整理したひな形を出水期までに作成いたします。これを県ホームページに掲載するとともに、市町村に提供し、各市町村において地域に即した情報を盛り込み、住民の方々に周知されるよう連携して取り組んでまいります。 次に、複合災害対応の向上についてお答えいたします。 複合災害は、同時または連続して二つ以上の災害が発生する事象であり、例えば豪雨で緩んだ土砂が地震により崩れ出すなど、道路の寸断、停電や断水といった被害を拡大させ、応急対応にも支障を生じさせるものと認識しております。 この一月に実施した大規模地震を想定した訓練では、地震発生三日目に、翌日から大雪となることが見込まれる中での対応を確認しましたが、今後は、例えば地震と豪雨や地震と豪雪といった複数の災害の発生を具体的なシナリオとして想定した図上訓練を行ってまいります。 災害時には、刻々と変化する状況を迅速に把握し、被害の規模や拡大の兆候を的確に見極めた上で、体制の構築、自衛隊や他県への広域的な支援要請などを市町村との緊密な連携の下で行う必要があります。先般、ここ数年で被災経験のある市町村と連携会議を開催し、複合災害への対応に係る問題意識についても共有したところです。 今後、より具体的な想定で訓練を重ね、困難な状況下でも的確に災害対応できるよう、市町村と連携し取り組んでまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) しばらく休憩いたします。 △午後二時四十八分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後三時十四分再開 ○議長(平岩正光君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(平岩正光君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。六番 小川祐輝君。    〔六番 小川祐輝君登壇〕(拍手) ◆六番(小川祐輝君) 皆さん、こんにちは。 議長より許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問をさせていただきたいと思います。 今回の私の質問は、サイエンスワールドの魅力の向上に向けた取組について、三点質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 皆さんは、サイエンスワールドに行ったことがありますでしょうか。 私は、年間十回近く行くくらいサイエンスワールドのファンでありまして、なぜこんなにサイエンスワールドに行くかといいますと、まずは何より子供が楽しそうに過ごすということ、そして私も子供の頃に行ったことがあるんですけれども、本当にわくわくしながら体験ができる、そして行くと時期ごとに変わったプログラムとかを体験することができるといった、本当に岐阜県にとってなくてはならないような施設だなというふうに感じております。 サイエンスワールドの正式名称は岐阜県先端科学技術体験センターといいますが、青少年の科学への興味を喚起し、知性豊かな創造性に満ちた人材の育成を図るとともに、広く県民に生涯学習の場を提供することを目的に、平成十一年に瑞浪市に建てられた科学館で、現在、二十四年目を迎えているところでございます。 新型コロナウイルス感染症が蔓延する前までは年間十万人を超える入館者がおり、昨年九月にはサイエンスワールド来館者二百万人を達成して、大森副知事に来ていただきまして、記念セレモニーが執り行われました。 サイエンスワールドの大きな特色の一つは、ほかの科学館が展示や装置を中心とした構成になっているのに対して、体験を中心にした構成になっていることです。体験プログラムのサイエンスワークショップでは、来館者一人一人が実際に様々な実験や科学工作を行うことができたりとか、液体窒素実験などを目の前で見ることができる実験ショー、劇場型施設では参加体験型のサイエンスショーがあります。 観光分野でも各地での体験に価値を見いだす消費傾向であるコト消費への志向が高まっているように、体験に対する価値が高まっており、グーグルの口コミやじゃらんの口コミ評価はほかの科学館と比べて高く、トップクラスの評価をされております。 また、サイエンスワールドの特徴的なのがリピーター率の高さです。アンケートによると、来館者の約六五%がリピーターで、そのうちの四五%の来館者が五回以上来ているといった結果が出ております。このように、体験に特化し評価されているサイエンスワールドは、岐阜県のオンリーワンの施設ではないでしょうか。今回は、サイエンスワールドの価値や魅力を上げるための取組について質問をさせていただきたいと思います。 初めに、利用者との関係性を構築するための取組について質問させていただきます。 昨今、企業では、顧客との関係性を構築することに力を入れております。顧客との関係性を構築することで継続的な利用につながることや、サービスのよい口コミを広めるため新規の顧客確保ができること、サービスの改善点をフィードバックしてくれるためサービスの向上ができることなどのメリットがあるからです。 例えば、数あるコーヒー店の中からスターバックスを選んでしまうのは、顧客との関係性を構築してきた取組の結果であるとも言えます。スターバックスが顧客に提供するのは、コーヒーだけでなく、家でも職場でもない第三の場所としてくつろげるサードプレイスです。スターバックスは、顧客に居心地のよい空間を提供することで、顧客の帰属意識を高めるという取組をしております。また、顧客が求めるものを徹底して追求し、それらの情報を分析してサービス全般に反映させます。そのため、顧客にとってはコーヒーを買うという体験そのものが価値になっていくのです。 サイエンスワールドでも、どんな場所を提供しているのか、子供たちやその保護者も含め、利用者が何を求めているのかを追求し、利用者との関係性を構築することが大切ではないでしょうか。 この先進的な取組として、福岡市科学館ではファンクラブという制度を設けております。まず、入会時に連絡先や属性を登録してもらいます。その登録者に会員向けメルマガを発信したり、来館や活動をすることでポイントがもらうことができ、ポイントをためると記念品や特別展への招待など、特典を受けることができます。ファンクラブの登録者数は、非公表ではありましたが、電話で確認したところかなりの数の登録があるということで、リピーターの確保につながっているとのことでした。 また、どのような頻度で来館したのか、どのような講座、実験に参加したのか等のデータを入手することができるため、改善にもつながります。利用者側としても、来館履歴や自分が参加した講座・実験を振り返ることができるというメリットもあり、特に膨大なプログラムや体験が用意されているサイエンスワールドでは利用者の満足度の向上につながるのではないでしょうか。 このような先進的な取組をしている施設を参考に、サイエンスワールドの利用者がファンとなるように関係性の構築をしていくことが必要です。そして、そのファンがサイエンスワールドのよい口コミを広げていただいたり、サービスの向上に寄与していただくことで、サイエンスワールドの魅力が向上していくことにつながると考えます。 そこで、県民文化局長にお伺いいたします。 リピーターの満足度向上や新たなリピーターを獲得するためには、先進的な取組をしている施設を参考にして利用者との関係を構築するための取組が必要と考えますが、県の所見を伺います。 次に、未来を担う創造性に満ちた人材を育成するための取組及び環境整備について質問をさせていただきます。 我が国の成長のためには科学技術やイノベーションが必要不可欠であり、また岐阜県としても航空宇宙産業をはじめとした産業が発展していくために理工系人材を育成することが必須です。 現在、日本では理系を選択する学生が非常に少ないような状態です。 昨年に出された政府の教育未来創造会議の提言には、人材育成を取り巻く課題として、高校で理系を選択する生徒が二割にとどまっていることや、学部段階での理工系入学者はOECD(経済協力開発機構)平均の二七%に対して日本は一七%であることが指摘されています。このようなことから、理工系人材の育成に対しても様々な対策が立てられているようですが、幼少期から科学に興味を持ち、わくわくしながら夢中になって自分の興味を深めていくことに勝る人材育成対策はないと考えています。 サイエンスワールドの設置目的は、冒頭にも言いましたが、青少年の科学への興味を喚起し、知性豊かな創造性に満ちた人材の育成を図ることです。科学への興味を喚起することについては、サイエンスワールドでできる様々なワークショップなどを体験することで楽しんで科学に触れることができ、興味の喚起へつながっていると考えます。 一方で、知性豊かな創造性に満ちた人材の育成については、興味の喚起から物事をさらに深めるプログラムや、自ら探求していくことができる環境を整備していくことが必要になってくると考えています。 一つの例として、愛知県の高校生の戸田さんは、高校生ロボットシステムインテグレーション競技会トライアル大会で最優秀賞を獲得したり、第五十九回技能五輪全国大会のウェブデザイン職種で銀賞を受賞するなどの功績が評価され、愛知県の大村知事とのイノベーション創出に向けた人づくりをテーマにした語る会に最年少で参加されました。その中で、サイエンスワールドで受けたロボット講習会がきっかけでものづくりに興味を持ったと語っていました。 サイエンスワールドでは、ロボットプログラミング技術を深く追求することを目的として、ロボット講座を受講した方を対象としたロボット発展講座、通称みずなみロボットクラブがあり、月に一、二回程度、サイエンスラボでロボットの改造などを協議しており、学んだことをさらに探求していける場所となっています。また、昨年はみずなみロボットクラブで活動を続けていたRoot41が、ロボカップの全国大会で日本ロボット学会の学会賞であるRSJ賞を受賞したというような成果も出ています。このように、興味を持ったことをさらに深めていけるような取組を拡充していく必要があるのではないかと考えます。 また、用意された体験をただ単にこなすだけではなく、自らがやりたいことを探求していけるような環境整備も必要であると考えます。 二〇一九年に総務委員会で視察した山形県のヤマガタデザイン株式会社が運営している全天候型の児童教育施設キッズドームソライでは、高さ六メートルのオリジナル遊具が設置された「アソビバ」と、自由にものづくりが楽しめる「ツクルバ」、約八百冊の本が楽しめるライブラリがあり、子供の夢中体験を創出する様々な仕掛けがされております。 特に、ツクルバでは、約千種類の素材と3Dプリンターなど二百種類の道具がそろっており、自由にものづくりが楽しめる場所で、毎月新しい「せっけいず」が用意されており、その設計図を見てつくることもできます。視察させていただいた当時から、子供の頃から主体的に自らの興味を深めていけるものづくりの場所は大切だなと、ずっと記憶に残っていた視察でした。 サイエンスワールドを視察したときに聞いた話では、元学校の先生などが多くの科学を利用した工作や体験をつくっており、膨大な蓄積があるということです。これらを設計図として自分のつくりたいものを自分で選んで、道具や素材を用意し、つくる経験ができる、自ら興味のあることを探求していけるような場所が必要ではないかと考えます。 以上を踏まえ、県民文化局長にお伺いいたします。 未来を担う創造性に満ちた人材を育成するため、ロボットプログラミング講座のような取組を拡充するほか、自ら探求していけるような場所を設置するなど、サイエンスワールドをより学びを深める場へと発展させる必要があると考えますが、県の所見を伺います。 最後に、サイエンスショーの計画的な見直しについて質問させていただきます。 サイエンスワールドの中でも人気なメニューの一つが、劇場型の施設で行われるサイエンスショーです。 サイエンスショーは、スクリーンに映し出される映像とステージ上で繰り広げられる実験を組み合わせたパフォーマーによる参加型のライブショーです。宇宙、生命、エネルギー、発電、分子、物理など、様々なテーマを扱ったショーが九本用意されております。例えば、発電をテーマにした「宇宙船「地球号」SOS~科学は地球を救えるか~」というサイエンスショーでは、化石燃料を使った発電や温室効果についての環境問題から、太陽光発電や水素燃料など地球に優しいエネルギーについて、さらには次世代エネルギー源として期待されている核融合発電まで楽しく学ぶことができ、サイエンスワールドの魅力となっています。 一方で、先端性が確保し切れていないという課題もあります。九本あるショーのうち、六本が開館したときから使用しているプログラムであり、二十四年たっているということになります。 確かに科学は普遍性があり、昔に通用したことが現在は通用しないということはあまりありません。しかし、科学は日々刻々と進化していくものでもあります。例えば、宇宙開発、AIやロボットなどの最先端の技術、IPS細胞の発見や新型コロナウイルス感染症などのライフサイエンス技術、脱炭素の考え方やそれに伴う技術革新など、世の中はこういった科学技術で変容してきています。このような最先端の科学技術も取り入れながら子供たちが楽しく学ぶことができるショーが開催できると、さらに魅力的な施設になっていくのではと考えております。 また、令和三年度に行われた岐阜県包括外部監査の報告書でも、サイエンスショーについてプログラムの開発やリニューアルに取り組むべきであるという指摘がなされており、計画的にプログラム開発やリニューアルをしていく必要があると考えます。 そこで、県民文化局長にお伺いいたします。 来館者に魅力ある施設であり続けるよう、計画的にサイエンスショーのプログラムを見直していくことが必要と考えますが、県の所見を伺います。 以上三点、サイエンスワールドの魅力向上の取組について質問させていただきました。前向きな答弁を期待いたしまして、私の一般質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 環境生活部県民文化局長 篭橋智基君。    〔環境生活部県民文化局長 篭橋智基君登壇〕 ◎環境生活部県民文化局長(篭橋智基君) サイエンスワールドの魅力向上に向けた取組について、三点質問をいただきました。 まず、利用者との関係性を構築するための取組についてお答えをします。 サイエンスワールドは、開館以来多くのリピーターを中心に利用されており、より一層魅力のある施設とするには、そうした利用者との関係性の維持・向上を図ることが重要であると考えています。 現在も、利用者アンケートやSNSによるイベント情報の発信により、関係性の維持・向上に努めておりますが、今後は他施設で実施されている先進的な取組を研究し、例えばファンクラブやサポーター制度の創設、デジタル技術を活用したアンケートの電子化やプッシュ型による情報発信など、双方向的なコミュニケーションの実施により利用者との関係性を一層向上させる取組の実施について検討してまいります。 次に、創造性に満ちた人材育成のための取組及び環境整備についてお答えします。 創造性に満ちた人材育成には、当館をより深い学びも提供できる場とすることが必要であります。 議員御指摘のロボットプログラミング講座は、基礎から高度な内容までを体系的に学べ、利用者の体験や学びを深めることができる当館唯一の講座となっております。 今後は、例えば電子工学のテーマにおいても、簡易な回線作りから高度な回路作りまでを体系的に学べる新たな講座を開設するなど、講座の充実を検討してまいります。 また、利用者が自ら探求していけるような場所の設置については、スペースや利用者の安全性確保などの課題もあるため、利用者のニーズや専門家の御意見などを踏まえまして総合的な検討を進めてまいります。 最後に、サイエンスショーの計画的な見直しについてお答えいたします。 サイエンスワールドの主力コンテンツである映像とパフォーマーによるサイエンスショーは、科学の基礎の理解に必要な内容を分かりやすく伝えるものとなっています。 直近の利用者への満足度調査でも「内容に満足している」が約九割となっております。多くの方々に好評をいただいております。一方、「映像に古さを感じた」という御意見もいただいております。 そのため、まずは今の時代に沿った利用者が理解しやすいものとなるよう、既存の映像の見直しを順次進めてまいります。 あわせて、サイエンスショープログラムの新たな開発やリニューアルについても、現在の科学技術の進歩や利用者のニーズに沿っているかという内容面はもとより、他の手法による代替の可能性や費用対効果などを念頭に置きながら検討を進めてまいります。 これらの取組を進めまして、サイエンスワールドのより一層の魅力向上を図ってまいります。 ○議長(平岩正光君) 四十一番 小川恒雄君。    〔四十一番 小川恒雄君登壇〕(拍手) ◆四十一番(小川恒雄君) 議長のお許しを得ましたので、通告に従い順次質問をさせていただきます。 先ほども小川でございましたし、今回も小川でございます。私は古いほうの小川でございます。 質問は二分割で行います。 今日は、私の議員生活の最後の議場での質問であります。今まで五期にわたる登壇質問回数は、今回を含め六十一回であります。質問の機会は年に四回でありますので、二十年で都合八十回登壇できることになりますが、慣例申合せの事項で議長・副議長、監査委員は質問をしないことになっておりますので、正味六十八回のうち六十一回でございます。 ただし、監査委員の折に、美濃加茂ソニーの撤退のときに一回だけ行いました。結果、私の質問の率は約九割になりますが、多くの質問をしたからといって、適時の質問が回答者の急所の胸をつくようなものではなかったものも多くあったと思います。 最初の質問は、令和五年度の岐阜県消防操法大会について、危機管理部長にお伺いするものであります。 二十年前、私の議員としての初めての一般質問は、消防団員確保について、当時の知事並びに防災監にお伺いするものでございました。そして今回、県議会議員としての最後の質問において、操法大会に関することを危機管理部長にお尋ねすることになり、消防団に関し、何か因縁深いものを感じております。 私はこれまで、令和三年六月定例会と令和四年六月定例会の二回にわたり、操法大会の会場の固定化と審査要領の改正について質問を行い、それぞれ前向きの答弁をいただいたところであります。 令和四年八月に開催された山県市での岐阜県消防操法大会においては、操法の実施要領について、まだ多少の問題点が見られますが、従来のような美しさやきれいさを重視した見せる操法と違い、全国大会様式に倣い、より実践的な内容の操法へと改革をされております。 一方、操法大会の会場については、今年度の山県市までは従来どおり県下五圏域を持ち回りの開催であり、操法会場の固定化は来年度が最初となります。私は、これまで会場として、駐車スペースや高速道路からのアクセス、宿泊施設などをはじめとした外来者対応施設などの優位性を考え、美濃加茂市のぎふ清流里山公園での開催を提案してきましたけれど、里山公園は一般県民向けの都市公園であり、公園の一部を将来にわたって使用することは公園の管理上難しいことから、美濃市が当番市になる令和五年度からは各務原市川島町にある消防学校で開催するということで、先般説明を受けたところであります。 しかしながら、先般の議案説明会の資料では、操法大会について記載されておらず、令和五年度の大会に向けどのように進められているのか大変気になるところであります。 そこで、危機管理部長にお伺いをいたします。 令和五年度岐阜県消防操法大会の開催に向け、どのように取り組んでいかれるのか。当番市である美濃市は分かっていると思いますが、県民や消防団、そして我々議員にもはっきり分かるような明快な回答をお願いいたします。 ここで、分割の一項目めの質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 令和五年度の岐阜県消防操法大会の開催についてお答えいたします。 令和五年度の県消防操法大会は、県消防協会や美濃市、美濃市消防協会との協議を踏まえ、八月に県消防学校で開催する予定です。 大会開催に向け、関係者が共同で実施する枠組みとして、新たに県・県消防協会・美濃市などで構成する実行委員会を組織し、学校施設を有効に活用したレイアウトやスタッフの配置、交通対策など、県消防学校で開催するに当たっての具体的な運営方法について連携して検討を進めているところです。 また、会場となるグラウンドは、県消防学校で実施する雨天時等の訓練にも支障があったことから、七月までにアスファルト舗装することとし、八月の操法大会に間に合うよう整備してまいります。 なお、大会開催に当たって必要となる駐車場については、県消防学校のほか、各務原浄化センターや川崎重工ホッケースタジアム等といった公共施設を中心に、大会運営に必要となる約千百台を確保できる見通しです。八月の大会に向け、関係者が一丸となって着実に準備を進めてまいります。 ○議長(平岩正光君) 四十一番 小川恒雄君。    〔四十一番 小川恒雄君登壇〕 ◆四十一番(小川恒雄君) 次に、分割最後の質問をいたします。 私は二十年前、新米議員となり、その二年ほど後に今の知事が誕生いたしました。それまで甘いも酸っぱいも、裏も表も分かった、-----------梶原知事に比べ、古田知事は大変初々しく、この知事であればと大いに期待をしたものであります。この知事であればと期待をしましたけれども、四期十六年目ぐらいになりますと、やはり前職と同様、官僚くささ、上から目線が目に余るようになったと私は感じました。 決して官僚が悪いとは申しません。世の中には優秀な方も多くいらっしゃいます。総じてそういったいかにも官僚な部分はなるべく表に出されず仕事をこなします。こういったくささは、あくまで官僚でなければ他人に目立たないものでありますが、こと官僚のそれについては周囲が敏感に感じやすく、また特有の「におい」で自分ではほとんど感じない、当たり前だと思っているものだと思います。 少し話を変えたいと思います。本年二月十日に開催された一般社団法人中部生産性本部主催の中部財界セミナーで、ソニーグループの平井一夫シニアアドバイザーが、「ソニー再生のリーダーシップ~心の奥底に隠された情念のマグマを解き放つ~」と題して基調講演をされました。そこで平井氏は、今日の超競争のビジネス環境では、変革が求められると指摘し、この環境で勝っていくためにやる気を起こさせるリーダーシップが必要だと語りました。 やる気を起こすリーダーの条件として、人として尊敬される人徳を鍛えることが欠かせないと強調されて、忖度なく、正直な意見を言ってもらえる環境をどうつくるかが重要、時間がかかるが自分のアイデア(考え方)があっても、よい意見を採用し、手柄を横取りせず、失敗すれば責任を取る、実績を見せ続けることで社員のモチベーションは上がると指摘されました。 また、中部生産性本部の小倉忠会長--株式会社ノリタケカンパニーリミテッドの会長であります--は、同セミナーの冒頭挨拶で、日本で長らく生産性が向上してこなかった原因の一つは、国も企業も、処遇を含め、人材に積極的に投資をしなかったことだ、人材の確保と育成を成長の最優先課題として大胆に投資をと指摘をされました。 私は、この記事を読んだとき、これらのことはまさしくこれからの岐阜県政の課題とする必要があると確信をいたしました。 例えば、少子高齢化、すなわち知事の言われている人口減少社会からの脱却についての課題は、今対応しなければ岐阜県は取り返しがつかないと知事は思っておられると思いますが、実際に施策を具体的に実施するのは職員の皆さんであり、「勇将の下に弱卒なし」のことわざのように、やはり組織のトップ次第で下の成果は大きく異なります。 現在の県庁にトップは歴然として存在し、ほぼ十八年間、毎年繰り返し繰り返し職員を悩ませているのではないか、職員の本音はどこにあるのか、オール岐阜で政策を考えて実行しているのか等々、私なりにこれまでの岐阜県政を省みたとき、言葉の上でやる気を起こそうとしても起きないというのが現状であれば、それはやる気を起こさせるリーダーシップの言葉だけで、実績が伴っていないからなのではないでしょうか。 優秀な職員の皆さんは岐阜県にとって有益な人材資源であり、消耗品ではありません。「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがありますが、もし能力を発揮できる環境ではないと悟った職員がいるとすれば、いずれかの日に期待できる朝が来ることを期待して、その爪を隠すのではないでしょうか。そして、爪を磨いて、鋭く研ぎ澄まして、必要なときが来るまで温存すればよいのではないかと私は思います。 知事、今まで申し上げたことをどのように思われますか。 先ほど申し上げましたが、ソニーの平井氏が基調講演で、人として尊敬される人徳を鍛えることが必要、リーダーとして欠かせないと強調しております。人徳を鍛えるには年齢は関係ありません。知事はまだ七十五歳、部下職員に爪を隠されてしまわないよう、できないことはないと私は信じております。 自分では感じないくささは、周りから忠告を受けて初めて気がつくものです。世の中の政治家は、私も含めてですが、長く政治を続けると、その独特のくささに自分では気づかず、裸の王様になりやすいところがあるのではないかと思います。かくいう私も、今、議員を辞めるときになって自分もそういった一面があったと気がつき、深く反省をしているところであります。 この際、申し上げたいことがあります。知事は記者会見などで「新しい酒は新しい革袋に盛れ」と発言されておりますが、新庁舎に入ることを契機に県政の新しいステージを代々担って創っていくことで職員一同が改めて心新たにしてしっかりと取り組んでいきたいという中身を見ますと、やはり人です。うがった見方をすれば、新しい革袋は分かりますが、新しい酒は本物なのか。多少なりとも古い酒が混ざっているような気がいたします。 終わりになりますが、今期の古田県政ではコロナに始まってコロナに終わるような気がいたしますが、ぜひ第八波までのコロナを見て、コロナ、コロナで終わることのないよう、知事の県政を深く見詰めていきたいと思います。 江戸時代の禅僧、良寛さんが、あるべき生活態度を平易な戒語で示しました。巧みな言葉、大げさな物言い、意味不明な内容、しゃべり過ぎ、人の話に割って入ることを忌み嫌いました。 さて、今回の質問の中で、優れたリーダーに必要な条件等を幾つか紹介いたしましたが、これらを踏まえ、知事にお伺いをいたします。 組織のトップとしての在り方をどのように考えておられるのか。また、トップ像の実現に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。ぜひ本音に近い所見をお聞かせ願います。 以上で質問は終わりますが、五期二十年、県知事あるいは職員の皆さんに大変迷惑をかけっ放しでありますが、大目に見ていただきたいと思います。 また、私の中学の先生で私の後援会長であった酒向年雄先生がおととい亡くなりました。先生は、私の最後の登壇での傍聴を大変期待しておられましたが、今日が葬儀でした。何か因縁を感じますが、御冥福を祈り、最後の質問といたします。 長い間誠にありがとうございました。御清聴感謝します。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) リーダーシップの在り方についてのお尋ねがございました。 まず、組織のリーダーシップの在り方でありますが、その組織の状況、役割、そして組織を取り巻く環境、取り組むべき課題などにより、その様相は異なってくるわけであります。 私自身、日々その在り方を模索し、試行錯誤をしながらも、現場主義、対話重視、風通しのよい組織づくりを旨として取り組んでまいりました。 顧みますと、これまでに不正資金問題、財政再建など、かつてないほどの厳しい事態がございました。また、鳥インフルエンザ、豚熱、新型コロナと、まさにウイルスとの闘いが続く中で、局所集中豪雨などの風水害にも見舞われました。 この間、職員の皆さんには、都合の悪い本当の事実こそ速やかに報告すること、率直に自分の意見・異論を述べること、一たび組織として決定したら迅速・確実に実行することを繰り返し求めてきたところであります。 これに対し、特に県庁職員総がかりで行いました豚熱の殺処分、一日当たり最大四百人を超える応援職員を投入しての新型コロナ対応、そしてそのような非常事態にあってもしっかりとした歩みを続けた各部局における行政運営など、職員の皆さんには正面から課題に向き合い、決してひるむことなく、また持てる力を出し惜しむこともなく、一丸となって対処していただきました。誠に頭の下がる思いでおります。 もちろんこうした危機に立ち向かえたのは、県議会、市町村、医療機関、事業者、そして県民の皆さんの御理解と御協力があってのものでありますが、このオール岐阜の基盤には、職員の皆さんの頑張りがあり、危機管理に強い県政の実現につながっているものと感謝の念に堪えません。それでもなお、議員御指摘のように、職員の皆さんの能力を十分に生かし切れていないとすれば、私としていまだ力及ばざるところであり、不徳の致すところであると思っております。 「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上」という先人の言葉があります。組織は、誰か一人の力で、また一朝一夕に成るものでもありません。私も足らざるところは反省しつつ、職員の皆さんとの対話を続け、共に汗をかき、さらなる組織づくりに努力をしてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は、午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時五十八分散会 ……………………………………………………………………………………………...