平成29年 6月
定例会--------------------------------------- 平成29年松本市議会6月定例会会議録 第2
号--------------------------------------- 平成29年6月12日 (月曜日
)--------------------------------------- 議事日程(第2号) 平成29年6月12日 午前10時開議 第1 請願第10号
義務教育費国庫負担制度の堅持を求める請願書 第2 市政一般に対する質問
------------------------------出席議員(31名) 1番 今井ゆうすけ 2番 勝野智行 3番 青木 崇 5番 若林真一 6番 川久保文良 7番 吉村幸代 8番 井口司朗 9番 上條美智子 10番 田口輝子 11番 中島昌子 12番 村上幸雄 13番 上條 温 14番 小林あや 15番 上條俊道 16番 犬飼信雄 17番 小林弘明 18番 阿部功祐 19番 澤田佐久子 20番 宮坂郁生 21番 忠地義光 22番 芝山 稔 23番 犬飼明美 24番 柿澤 潔 25番 宮下正夫 26番 青木豊子 27番 近藤晴彦 28番 南山国彦 29番 草間錦也 30番 太田更三 31番 大久保真一 32番 池田国昭
------------------------------説明のため出席した者 市長 菅谷 昭 副市長 坪田明男 総務部長 丸山貴史 政策部長 山内 亮 財政部長 高野一司 危機管理部長 嵯峨宏一
地域づくり部長 宮川雅行
文化スポーツ部長 寺沢和男 環境部長 土屋雄一 健康福祉部長 樋口 浩 こども部長 伊佐治裕子 農林部長 藤井卓哉 商工観光部長 川上正彦 健康産業・
企業立地担当部長 小林浩之 建設部長 小出光男
城下町整備本部長 百瀬雅仁 上下水道局長 守屋千秋 病院局長 斉川久誉 教育長 赤羽郁夫 教育部長 矢久保 学 行政管理課長兼平和推進課長
行政管理課法制担当課長 市川英治 小西敏章 秘書課長 羽田野雅司 政策課長 横内俊哉
------------------------------事務局職員出席者 事務局長 麻原恒太郎 事務局次長 逸見和行 議会担当係長 住吉真治 主査 金井真澄 主任 高橋千恵子 主任 永原浩希
------------------------------ 本日の会議に付した事件 議事日程(第2号)記載事件のとおり
------------------------------ 午前10時開議
○議長(上條俊道) おはようございます。 現在までの出席議員は31名でありますので、定足数を超えております。よって、直ちに本日の会議を開きます。 最初に、報告事項を申し上げます。 請願が1件提出されております。請願文書表第2号としてご配付申し上げてあるとおりであります。 次に、陳情が1件提出されております。陳情文書表第1号としてご配付申し上げてあるとおりであります。これは所管の
経済地域委員会に回付しておきます。 本日の議事は、日程第2号をもって進めます。
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△日程第1 請願第10号
○議長(上條俊道) 日程第1 請願第10号を上程いたします。 内容につきましては、請願文書表第2号によりご承知願います。
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△日程第2 市政一般に対する質問
○議長(上條俊道) 日程第2 市政一般に対する質問を行います。 質問通告者は、お手元にご配付してあります
一般質問者一覧表のとおり15名であります。 一覧表記載の順序により発言を許します。 最初に、7番 吉村幸代議員の質問を行います。吉村幸代議員は質問者待機席へ移動してください。 7番 吉村幸代議員。
◆7番(吉村幸代) 〔登壇〕 おはようございます。 会派みんなの未来の吉村幸代でございます。発言の機会をいただきましたので、会派を代表いたしまして田口輝子議員とともに質問をさせていただきます。今回もみずから一番くじを引き当てまして、トップバッターでの登壇でございます。 1件目は、医療費の適正化に向けて、2件目は、
地区福祉ひろばのさらなる充実に向けてと題しまして、件名ごと一括してご質問申し上げます。 まずは、医療費の適正化についてお伺いしてまいります。 ちょうど1年になります。私が
教育民生委員会の副委員長として迎えた昨年の6月定例会は、松本市
国民健康保険条例の一部を改正する条例が議案として掲げられた定例会でした。ご承知のように、本市の
国民健康保険財政は、被保険者の減少や高齢化を主な原因として医療費が伸び続ける一方で、保険税収入は減少しております。平成27年度は赤字に陥り、財政調整基金の全額取り崩しと、平成28年度からの繰り上げ充用を行いました。そして昨年6月定例会において、
国民健康保険税率の平均13.95%の引き上げと、平成28年度、平成29年度の2年間は一般会計から6億8,400万円ずつ特例繰り入れを実施すると決定したわけです。実に悩ましい場面でありました。慎重な上にも慎重な審議を経て、熟慮の末にやむなしと判断するに至ったものでした。これによって、本市の
国民健康保険税は県内19市の中で最も高額になりました。 私自身も国民健康保険の加入者ですから、後日、自宅に届いた納税通知を開封し、それを改めて実感することとなりました。我が家に届いた通知書に記載されていた金額は、軽自動車が1台買えるような金額、しかも私自身は極めて健康で、ここ10年ほど振り返ってみても歯科医院の定期ケア以外に、ただの1度も受診歴がありません。実感がないまま、これを毎年納め続けるのかと思うと、逃げ出したいような気持ちに駆られました。 現行の
国民健康保険制度が施行されて60年近い年月がたち、医療保険制度の存続が危ぶまれております。治療や延命にかける医療費に適正という額は存在するのかという素朴な疑問はあるものの、現在の医療が未来にツケを回して継続している状態であることも否めません。高齢化や医療の高度化を背景に医療費は高騰しています。その増加原因は、重複受診や頻回受診あるいは重複検査、残薬問題などと言われ、こうした医療費の無駄遣いを減らす取り組みを強化していくことが国民皆保険という優れた制度の維持・存続につながるものと思われます。 医療の質を落とすことなく、医療費の無駄遣いを減らす取り組みを強化していくこと、つまり医療費の適正化が求められていると言えます。 昨年度、
松本市議会教育民生委員会では、医療費の適正化について具体的に整理して考える必要があるとして、さまざまな角度から調査研究を行うことといたしました。テーマを定めて調査研究を重ねる日々の中で、私たちは実に多くの情報と出会いました。残念ながら、市長への提言という成果には至りませんでしたが、精魂込めて調査研究したわけですので、とりわけ重要と認識する特徴的な部分を今議会の俎上にのせることにした次第です。 本日これから私が
リビングウィル及び摂食嚥下・歯科口腔医療の重要性について、そして委員長を務められた中島昌子議員が
電子版健康手帳や健康経営の推進などについて、明日の結びの一番として登壇、発言いたします。ご期待ください。 では、まず、
リビングウィルについてです。
リビングウィルのリビングは生きているという意味、ウィルは意思あるいは遺言を意味します。これが
リビングウィルと2つ続きますと、
オックスフォード英語辞典には、重病になり自分自身では判断ができなくなる場合に治療に関しての自分の希望を述べておく書類、特に医師たちに治療を中止して死ぬに任せてくれるよう依頼する書類と書かれています。
リビングウィルに関して数々の著書がある愛知県
がんセンター名誉総長の大野竜三先生によりますと、終末期の医療やケアについての意思表明書という訳語が適切とのことです。 この
リビングウィル、欧米では当たり前で、アジアでは台湾と韓国で法的に整備がなされています。また、アメリカで1991年に施行された
患者自己決定権法というのは、事故や重症疾患によって意思決定能力が失われたときに、どのような医療を希望または拒否するのかを意識が清明なうちに表明しておくというものであり、事前指示を書き示すものです。昨年度の
教育民生委員会における議論の中では、死という問題は議会で議論すべきものではないなど
リビングウィルに抵抗感を示す意見もありました。確かに、安楽死や宗教観などの問題と隣接するデリケートな側面があることは理解できます。しかしながら、私には、社会構造の変化の中で
リビングウィルは行政が先立ちで進めていかなければならないことの一つであると思えてなりません。 私は、夫と自分の両親合わせて4人の親を見送った経験を通して、人のみとりについて思うところがございます。特に16年前に他界した夫の父の最期のことは、ずっと心にひっかかっています。夫の父は、旧
日本陸軍軍医中佐としてビルマ、現在のミャンマーですが、その戦地で7年間もの歳月を送った人です。厳格で曲がったことが大嫌いで、千曲市にて開業医をしておりました。最後は、病院のベッドの上で、たくさんの管と呼吸器をつけてあえぎ続けながら苦しんで亡くなりました。最後の1週間というものは、目の端に涙をにじませてそれはつらそうでした。向き合うとこちらが委縮してしまうほどのあの強い義父が。見るに見かねて主治医に尋ねると、マラソンレースをずっと走り続けているような状態とのご説明でした。これを本人は望んでいるのだろうか。恐らくもう助かりはしないだろう。時代の流れに翻弄されてさんざん苦労してきた人生の最期の最期がこれではと、やりきれなさを覚えました。 当時の私には、何の知識も大した覚悟もありませんでした。
リビングウィルのような認識は一般的でなかったようにも思います。医学部のカリキュラムの中に終末期のことが取り入れられるようになったのは平成22年からと言いますから、変わってきたのはここ10年ほどのことと思われます。今さらながら思うに、きちんと書いてもらっておけば様子は違ったかもしれないと悔やまれてなりません、医師である義父には、前もって多くのことがわかっていたに違いないのですから。 さて、2010年に朝日新聞が、2013年に読売新聞が行った世論調査によると、両紙ともに8割強の人が無意味な延命治療は受けたくないと答え、一方で1割強の人は延命治療を希望しています。患者の意思がわからない場合、医療側は勝手に治療を中止するわけにはいかず、例え無意味な延命治療であっても延々と続けられて、医療、
介護関係費増加の原因になっている、それが我が国の実情と聞いております。昨年の秋には、日本医師会に医療や法律、宗教などが専門の有識者で構成される
生命倫理懇談会が設置され、超高齢社会と尊厳ある終末期医療について検討が始まりました。 本日の私の話は、医療費の適正化という視点から入っているわけですが、日本医師会における議論は、それは医師会でありますから単に経済や財政の視点ではなく、医療の側から人生の終末をどう迎えるかということは、人間としてのあり方を問うこととして議論がなされ、
リビングウィルの重要性や普及、啓発の必要性、そして
リビングウィルの支援のためにもかかりつけ医を持とうという呼びかけがなされています。
リビングウィルは、本来、生者の意思という意味ですが、より広範囲にわたり終末期の医療に関して意思を表明する手段として、医療に関する事前指示書というものもあります。これは、どのような環境で医療を受け、判断力や意思が失われたとき、誰が代理人として本人の意思を伝え、生命の行方に反映させるかを書き示すものであって、県内では須坂市や飯田市医師会のホームページから事前指示書をダウンロードすることができます。 昨年12月、松本市医師会と意見交換をさせていただいた折にも、医師会の先生方から医療に関する事前指示書の運用を図り、市のホームページに掲載するなどしてはどうかとのご意見を賜りました。昨年9月の定例会の提案説明の中で、多死社会が来ると市長が話されたことが記憶に残っておりますが、
リビングウィルについて医療者である市長はどのようなお考えを持っておられるのでしょうか、お聞かせいただければと思います。 続きまして、摂食嚥下・歯科口腔医療の重要性についてです。 昨年秋に開催された
松本市議会歯科保健衛生対策議員連盟研修会で、
信州大学医学部歯科口腔外科学教室教授、栗田浩先生の健康余命と口腔摂食医療と題した講演をお聞きいたしました。ご承知のように、日本人の平均寿命は84歳、我が国は世界一の長寿国ですが、平均寿命と健康寿命には差があって、その差である平均10年ほどが日常生活に制限のある不健康な期間と言えます。健康寿命を短くしている代表的な状態に
メタボリックシンドローム、いわゆる生活習慣病です。そしてフレイル、フレイルというのは低栄養、体重減少など健康障害を起こしやすい脆弱な状態だそうです。ロコモティブシンドローム、運動機能の低下です。などがあり、口腔の健康増進と摂食栄養状態の維持・改善は、
メタボリックシンドロームやフレイルの予防・改善を通して健康寿命に大きな影響を及ぼしているとのお話でした。 また、嚥下性肺炎の原因は口腔内の細菌であって、口腔内を清潔に保つことによって肺炎を減らしたり、軽くしたりすることができる上に、歯科疾患は早産、心臓病、動脈硬化、糖尿病、認知症、がんなどとも密接な関係があって、歯がよいと病気を予防できると言えるそうです。なお、
地域包括ケアシステムの構築に当たっては、歯科口腔医療、摂食嚥下医療、栄養学、食支援は欠かせないのですが、十分に取り込まれてはおらず、医療供給体制の整備と医科歯科連携、かかりつけ医、
かかりつけ歯科医といった、
かかりつけ制度の推進が求められているとのことでした。医療費の適正化に向けて摂食嚥下・歯科口腔医療は重要であり、市民への啓発も必要と思われますが、医療者である市長はどのように考えておいででしょうか。こちらについてもお答えいただけたらと思います。 以上、2項目の見解をお尋ねいたします。
○議長(上條俊道) 菅谷市長。
◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 吉村議員の2点のご質問にお答えいたします。 まず、
リビングウィルについて申し上げます。 私は、人生の終末をどのように生き、どのように死を迎えるかに関する問いかけに対し、市民の皆様にも自身の身近な問題として考えていただくことが大切だと考えております。このことは先ほどお話がありましたが、昨年9月の定例会で申し上げました超高齢化社会の次に訪れるであろう、いわゆる多死社会を見据えた、今まさにみずからの人生の旅じまいに対する心構えが求められているものと認識しております。いずれは誰もが必ず迎える死と向き合い、改めてみずからの死生観に各自が気づくことで、例えば死を前にしてみずからが望む医療処置について前もって意思表示をしておくことも重要な課題と捉え、元気なときからみずからの終末について考える文化を地域で育めたらと考えております。 次に、摂食嚥下・歯科口腔医療の重要性につきましては、議員のご発言のとおり、歯科口腔衛生が全身疾患に多大な影響を及ぼすことや、口腔機能の低下により誤嚥や窒息など摂食嚥下障害のリスクが高くなること、また摂食嚥下においては口腔体操などの訓練が機能低下予防に効果があることなど、私も早くから指摘しており、歯科口腔衛生の重要性を十分認識しております。このことは平成27年度に行った
スポーツボイス大学院実証実験事業における嚥下・口腔機能の調査で示すとおり、口の周りの筋肉、舌、声帯を動かすトレーニングを行うことにより、そしゃく力が21%の人に改善が見られ、
反復唾液嚥下テストでは65%の人に唾液を飲み込む回数が増加したことから、口腔機能的にも介護予防につながると推察されております。 また、昨年、信州大学医学部から歯科口腔疾患と全身疾患の関連を明らかにするための疫学研究の提案が松本市にあり、松本市医師会、松本市歯科医師会と連携した松本市検診データを用いた歯科疾患と全身疾患に関する疫学研究を国内における先進的な取り組みとして目下進めておるところでございます。この研究は、
歯周病検診データと全身疾患の診察状況を結びつけ、関連するリスク因子を明らかにし、医科歯科連携による全身疾患の早期発見と早期治療へ結びつけることが期待されており、過日、中間報告を受けたところ、大変興味深い結果が出ていると伺っております。今後この研究結果を受けまして、市民の皆様へその内容をわかりやすく周知するとともに、あわせて口腔衛生の重要性や口腔管理を習慣づける意識醸成に努めてまいる所存でございます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 吉村幸代議員。
◆7番(吉村幸代) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。ありがとうございました。
リビングウィルについては、市長のご答弁に勇気を得た思いで続けさせていただきます。先月、医療に関する事前意思表明に関する調査を、施行時特例市35市にお願いいたしました。そして32市から回答を得ました。約半数が何かしらの取り組みあるいは検討を行っているようですので、ここで少しご紹介したいと思います。 まず、医療に関する事前意思表明について、
リビングウィル、事前指示書、
エンディングノート、その他どのような取り組みを行っているかをお尋ねしたところ、
リビングウィルは富士市、松江市の2市、事前指示書は茅ヶ崎市、春日井市の2市において取り組まれていたほか、一宮市のように市民病院のホームページの終末期医療の支援という項目の中に
リビングウィルの案内を掲載している自治体もありました。
エンディングノートについては、オリジナルのネームを冠したり、他の取り組みと併用するなどして、多くの自治体で利用されていたほか、市販のものを利用するように呼びかけている自治体もありました。例えば鳥取市が在宅療養支援として整備した絆ノートは、大変な力作と感じ入りました。しかもこの力作は市立病院ですが、鳥取市立病院のホームページからダウンロードすることができます。このように市立病院が一役買っているケースが目立ちます。 また、春日井市、松江市のように、アドバンス・ケア・プランニングの視点で取り組みを始めているという自治体もありました。アドバンス・ケア・プランニングとは、患者と家族、医療従事者を含めた包括的なプロセスを重視した計画手法のことで、
意思決定能力低下に備えての対応プロセス全体を指し、患者が治療を受けながら、将来もし自分に意思決定能力がなくなっても、自分が語ったことや書き残したものから、自分の意思が尊重され、医療スタッフや家族が自分にとって最善の医療を選択してくれるだろうと患者が思えるようなケアを提供することのようです。 そこでお尋ねいたしますが、本市においては
リビングウィル、医療に関する事前意思表明といった問題を、今後どのように考えていかれるのでしょうか。導入予定はあるのでしょうか。 摂食嚥下・歯科口腔医療の重要性についてもお答えいただきました。口腔ケアの重要性については、市民の皆様方への啓発に力を入れていただきますよう要望いたします。 さて、本市において医療費の適正化に向けたさまざまな取り組みがなされていると評価しております。しかしながら、その中に摂食嚥下・歯科口腔医療の視点が少し足りないように感じております。これについてはいかがでしょうか。例えば病気の早期発見、予防により医療費の抑制を図るという観点からの一つの例として、歯周病が全身に影響を及ぼす恐ろしい病気であるということは、皆様が既に認識しているところですが、出産後に歯周病がふえるという報告があります。本市の妊娠、出産から子育てまでの切れ目のない支援において、妊産婦に対する歯科検診は出産前の一度のみ助成の対象となっていますが、産後に歯周病がふえるという報告を踏まえると、出産後の歯科検診を助成する自治体があるということもうなずけます。歯科医の友人いわく、出産後はとかく忙しいのか、お金がないのか、受診を怠り重症化してから来院するケースが多いとのことでした。このあたりから、本市でも検討されてはいかがかと思っているところです。 さて、6月4日の虫歯予防デー、現在は歯と口の健康週間というのだそうですが、その6月4日の日曜日に信州大学で開催された
信州口腔ケアネットワーク第1回研修会を見学いたしました。研修会には、介護現場で働く方々、そして自宅で家族を介護している方など、大勢の方が参加されて熱心に学び、実習に励んでおられました。私は、大型スクリーンに映し出された認知症患者の口の中を見て衝撃を受けました。食べ物のかすはもちろんのこと、飲み込んだはずの錠剤がずっと口の中に残ったままの人がいるのです。舌にびっしりとコケがこびりついた人、たんが上顎にべったりと張りついている人などもおられて、厳しい実態をかいま見た思いでした。誤嚥性肺炎は、誤って気管に食べ物や唾液が入ってしまい、その結果、肺の中で細菌がふえて肺炎になってしまうのだそうですが、口から食べていても、口から食べておらず胃ろうから栄養を摂取していてもリスクはあるそうです。受講者の中に福祉施設で働いているという方々がおられたのでお聞きしたところ、おむつがえや入浴に意識がいって、口腔ケアは後回しになっている。大切なことなのに、実際にどう対応したらよいかもよくわからなかったなどと話しておられました。介護現場に口腔ケア、摂食嚥下医療を取り入れる必要性を痛感した次第です。 医療費適正化に向けた取り組みは裾野が広く、このように地域包括ケアの中に摂食嚥下・歯科口腔医療を取り入れることもその一つであり、必要性が高いと思われますが、本市においてはどう考えておられるのでしょうか、見解をお伺いいたします。
○議長(上條俊道)
樋口健康福祉部長。
◎健康福祉部長(樋口浩) 初めての答弁になります。どうぞよろしくお願いいたします。 吉村議員の2点のご質問にお答えいたします。 まず、
リビングウィルについて申し上げます。 議員からもご紹介がありましたアドバンス・ケア・プランニングは、人生の終末期に向け、みとりの支援を行う場合、終末期医療に関するさまざまな倫理的な問題を家族や患者、医療者や介護従事者で事前に考えておく取り組みであり、
リビングウィルを考える上で重要なプロセスと考えております。その上で、そのプロセスをどのように確立していくかについて本市におきましては、医療、看護、介護の専門職や住民組織の代表者等で構成する松本市地域包括ケア協議会において、健康寿命延伸の到達点である質の高い死を迎えるための課題について検討を行うこととしており、具体的には死生観を考える市民啓発を行う市民講座の開催、
リビングウィルや
エンディングノートなどについて今後連携して研究を進めてまいります。 次に、摂食嚥下・歯科口腔医療につきましては、本市はこれまでにも口腔機能改善のための口腔体操の普及、スポーツボイス大学院の取り組みによる摂食嚥下機能低下の防止、並びに30歳から70歳までの10歳刻みの節目年齢での歯科検診の実施、さらには一般介護予防による35地区で開催する介護予防講座を通じた口腔機能の改善に取り組んでまいりました。 一方、地域包括ケアとしての高齢者や認知症の方への摂食嚥下・歯科口腔医療の取り組みにつきましては、松本市歯科医師会と連携し、さらに拡充を図る必要性があるものと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 吉村幸代議員。
◆7番(吉村幸代) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 松本市地域包括ケア協議会において、これから取り組むべき内容の検討を進めておられるとのことですので、
リビングウィルについて前向きに検討いただきますよう要望しておきます。 先日のNHKテレビで、八王子市の救急医療情報カードの取り組みが紹介されておりました。このカードは、かかりつけ医や服用中の薬剤名、さらには延命に関する希望を記入して、かけつけた救急隊員にわかるようにしておくというもので、インターネットでダウンロードできますが、番組は、医療に関する事前指示書が終末期のみならず救急医療の現場においても必要だということを伝えていました。救急車を呼ぶと救急隊員も医療者も、それは救急救命だから当然ですが、患者の命を救うために全力を尽くします。しかし、中には患者本人が望まない医療を受ける場合もあるわけで、それを防ぐために書面であらかじめ意思表示がなされていることが望ましいといった内容でした。 高齢化率が上がったということは、近いうちに多死社会が訪れるということ、少子化ということは子供のいない人や兄弟のいない人がふえるということです。さらに、国勢調査から割り出した結果、男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯独身だそうですが、生涯未婚率がこのまま上昇し続けると、非血縁社会、無縁社会が到来するということになります。私の息子も医療者の端くれでありますが、近親者のいないお一人様がふえているのかな、同意がないと手術ができなくて困ってしまうなどと申しております。そして、今、構築を求められている
地域包括ケアシステムとは、他人同士の支え合いです。医療について自分の親であれば、どのように希望しているかについておおよその見当もつきますが、他人の希望がわかるかというと、それは難しいでしょう。判断材料、つまり事前指示を残しておかなければいけないということになります。 私は、夫と自分の両親を見送った経験を通して、人間らしく生き抜き、尊厳を持ち続けて死ぬことは難しい。そして、その人が大切にしていたことを最後の日まで尊重し続けてみとるのは、さらに難しいと感じました。加えて、自身が還暦を過ぎると自分の残りの人生にも思いをはせるようになりました。QOL、クオリティー・オブ・ライフ、生活の質、その次はQOD、クオリティー・オブ・デス、死の質という話も耳にしております。人生の終わりを考えることは、生きる感覚を高めることにも通じ、それは「美しく生きる。」ということに重なるのではないでしょうか。
リビングウィルにつきましては、本市における今後の進展に期待をすることとして、これにて終わりにいたします。 続いて、摂食嚥下・歯科口腔医療の重要性についてですが、先ほどの市長さんのご答弁、そして部長さんのご答弁をお聞きしながら、口腔体操の説明図が地区の福祉ひろばに張り出されていたことを思い出しました。そうしたこれまでの取り組みに加えて、松本市歯科医師会と連携してさらに拡充を図っていただけるとのことですが、信州大学の栗田教授は、地域包括ケアに食べるという視点が欠けていると指摘しておられました。
地域包括ケアシステムの構築に当たり、摂食嚥下・歯科口腔医療を取り入れるべきということ、そして実際に口腔ケアの要望・要請はあるが、行政には受け皿がないとのことです。こうした指摘を受けて、大町市では信州大学の協力のもとに検討が始まっているともお伺いいたしました。 食べるという営みは人間にとって最も大切なことですが、地域包括ケアにおける食べるという視点に関して、本市ではどのように認識し、今後どのように対応していかれるのでしょうか。1件目、医療費の適正化に向けての最後の質問です。
○議長(上條俊道)
樋口健康福祉部長。
◎健康福祉部長(樋口浩) 食べるという視点についてのご質問にお答えいたします。 人間にとって食べることは単に栄養摂取による生命維持のみならず、食を楽しむ心理的満足、生活リズムの調整、口腔機能の向上、唾液分泌による自浄作用の向上、コミュニケーションの手段など、社会生活を営む上でさまざまな効果をもたらします。そのため食べる力の低下は社会的孤立や生命予後に大きく関与すると考えられ、健康寿命延伸のためにも食べる力は不可欠な機能と認識をしております。 そこで、食べられなくなってからではなく、元気なうちから口腔の健康管理を意識する必要があることから、地域包括ケア協議会で取り組む医療や介護等による多職種連携における、高齢者や認知症の方への摂食嚥下や歯科口腔対策の取り組みとして、介護保険制度の中で一般高齢者を対象とした新たな介護予防サービスの立ち上げなどについて松本市歯科医師会と連携して検討を進めてまいりたいと思います。 以上です。
○議長(上條俊道) 吉村幸代議員。
◆7番(吉村幸代) 〔登壇〕 ありがとうございました。 先月17日水曜日の信濃毎日新聞に、「富士見町、国保料3年連続下げ、予防で医療費抑制」という大きな見出しの記事が掲載されました。3年連続の引き下げは異例とのことです。本市におかれましても、医療費の適正化に向けてさらにお力を発揮されますよう、またそのために
教育民生委員会からのご報告が少しでもお役に立ちますことを祈っております。 2件目の
地区福祉ひろばのさらなる充実に向けてです。
地区福祉ひろばのあり方につきましては、本年2月定例会にて澤田佐久子議員が質問されていますが、私は、地区公民館長として福祉ひろばとともに事業を実施してきた経験から問題意識があり、さらにお聞きしたいと思います。 まず、事業のあり方と運営についてお伺いいたします。 去る4月22日、前市長の有賀 正さんが亡くなられました。後日開催されたお別れの会で、足跡をたどりながら私は福祉ひろばに思いをはせました。平成7年、本郷、里山辺、寿台の3地区で福祉ひろば事業が開始されました。私が暮らす寿台地区では、すぐに専用の建物が建てられたわけではなく、現在の地区集会所を代用してとりあえずのスタートを切った印象でした。そのせいか、福祉ひろばの存在について長らくぴんとこない人も多いようでした。私の夫が福祉ひろばって何丁目の公園のことですかと質問したエピソードは、今でも地域の語り草になっています。そして今から10年ほど前、私が地区公民館長の任を受けたころは、福祉ひろばの役割を説明するに際して、縁側機能という言葉が盛んに用いられていました。私は、地区公民館の事業を構成する何本かの太い柱の中から、福祉という1本の柱を取り分けて、いわば新宅を出す形で特化したものが福祉ひろばであろうとイメージいたしました。本家である地区公民館と新宅の
地区福祉ひろば。親戚として同志として時にはよきライバルとして事業に励むようになりました。 先日の有賀前市長さんのお別れの会で、ご遺族を代表して息子さんがご挨拶されましたが、その中に命を引き継ぐことよりも思いを引き継ぐことの難しさというお言葉があって、心に残りました。有賀前市長さんは、どのような思いを福祉ひろばに込められたのでしょうか。「先人木を植え、後人涼を楽しむ」という座右の銘を拝借すると、福祉ひろばは地域づくりの拠点として大樹に育ち、さらには健康寿命延伸都市の地域包括ケアの拠点として枝を張り、緑を蓄えているように映ります。福祉ひろばの事業開始から22年になるわけですが、顧みて何がどのように進化し、成熟したのでしょうか。市としては、どのように認識されているのかをお聞きしたいと思います。 次に、松本市の第3期地域福祉計画は、昨年の夏、社会福祉協議会の地域福祉活動計画と一体的に示すものとして策定されました。策定から1年ほどがたちますが、これによって福祉ひろばは何かしら変化をしているのでしょうか。さらに、本年2月定例会における澤田議員の質問に対して、当時の部長が、人を集めるだけでなく、町会の単位に根づかせていくことが役割、また
地域包括ケアシステムの構築を契機として、
地区福祉ひろばのあり方を検討する庁内プロジェクトチームを設置した、ここでの議論をベースに
地区福祉ひろば専門委員会で機能やあり方を見直すと答弁されました。年度が変わり、職員の顔ぶれも変わったわけですが、その後どのように進展しているのでしょうか。また、町会の単位という言葉に関連して、町会に入らない人がふえているように聞きますが、町会未加入者の福祉についてはどのように考えていかれるのでしょうか。
地区福祉ひろばの職員配置と体制についてもご質問申し上げます。 福祉ひろばの質は、コーディネーターの力量に負うところが大きいと感じております。地域づくりの職務の一端を担うため、平成25年度から3年間かけて非常勤特別職である専任コーディネーターと2種臨時職員である副コーディネーターを
地区福祉ひろば事業推進協議会からの推薦で配置したとのことですが、どのようにして選んだのでしょうか。専任コーディネーターは非常勤特別職なので任期が6年、2種臨時職員の副コーディネーターは任期も定年も特にないと存じます。したがって、数年後、専任コーディネーターの任期満了に伴う新規採用がなされると、副コーディネーターのほうが勤続年数の長いベテラン職員という事態が起こり得るわけですが、こうした状況をどのように考えておられるのでしょうか。 また、コーディネーターの指導に当たる福祉計画課地域福祉担当の職員体制とは、どのようになっているのでしょうか。 以上について市の見解をお伺いいたします。
○議長(上條俊道)
樋口健康福祉部長。
◎健康福祉部長(樋口浩) 地区福祉ひろばに関する質問に順を追ってお答えをいたします。 初めに、福祉ひろばに対する認識につきましては、事業の企画運営を地区福祉ひろば事業推進協議会に委託する中で、この22年間で特に福祉ひろばの持つ6つの機能のうち、地域の縁側機能である地域住民の触れ合いの場から始まり、そして地域の健康づくり、地域の福祉づくりへと福祉ひろばの事業の内容が進化しているとともに、地区によりましては送迎ボランティアやひろばを支える会が発足するなど、住民主体による地域福祉の実践力が着実に成熟してきているものと認識をしております。他の自治体からの視察も多く訪れていただき、地域の意識と実践力の高さがすばらしいとの感想をお聞きする中で、国内でも先駆け的な取り組みに育ってきたなと実感はしております。しかしながら、利用者の固定化、スタッフの高齢化による弊害、事業の硬直化などの課題も顕在化してきていると認識しております。 次に、第3期地域福祉計画に関してですが、推進主体である社会福祉協議会は、本年度からモデル地区を選定して具体的な取り組みを始めているところでございますので、現段階で福祉ひろばに変化は感じられません。 今後、具体的な取り組みが進む中で、計画の主たる目的である地域の担い手が発掘されることにより、福祉ひろばにおきましても新たな事業展開が可能になるものと考えております。 次に、地区福祉ひろばのあり方を検討する庁内プロジェクト会議につきましては、地域づくりに関係する地域づくり課、生涯学習課、高齢福祉課、福祉計画課を主体に、オブザーバーとして行政管理課、そして社会福祉協議会を加えたメンバーで月1回のペースで各課の課題を含めて検討を進めているところでございます。 次に、町会未加入者の福祉につきましては、地域福祉は公的な福祉サービスと異なり、地域の方々による支え合いのサービスであり、松本市においても、向こう三軒両隣の関係を基準にした地域のきずなづくりに取り組んでいるところでございます。そのため、支える側、支えられる側の立場からも、大勢の方に町会に加入していただければと考えております。 続きまして、福祉ひろばの職員配置と体制についてのご質問にお答えします。 初めに、コーディネーターの任用につきましては、非常勤特別職、2種臨時職員いずれも雇用条件をお示しした上で、
地区福祉ひろば事業推進協議会へ地区の実情に精通している観点から、適任者を推薦していただいてございます。これは、福祉ひろばの中心的な機能である住民参加による地域福祉の推進、地区の福祉課題や地区住民の担い手の発掘など、地区に根づいた活動の推進をコーディネーターに期待しているためでございます。 次に、コーディネーターの交代については、現在の非常勤特別職、2種臨時職員体制を導入してから5年になります。議員のご指摘の点も含め、雇用形態の課題は認識しております。今後、35地区へ生活支援コーディネーターの配置等を検討してございますので、職員体制についてもあわせて検討してまいります。 次に、福祉計画課の地域福祉担当職員の体制でございますが、本年度から地域保健師業務を健康づくり課に一元化したことにより、正規職員6名、嘱託職員5名の計11人体制となっております。そして、それぞれが3地区程度を担当し、随時、福祉ひろばを訪問しております。その地区担当職員におきましては、指導役となるため、地域福祉推進に関する専門的な知識を身につけさせるための研修を重ねております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 吉村幸代議員。
◆7番(吉村幸代) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。
地区福祉ひろばの事業のあり方と運営について確認をさせていただきました。住民主体による地域福祉の実践力が成熟してきているということで、本市においては地域包括ケアの推進に当たっての基盤がいち早く整備できた。先人の植えてくれた木に感謝ということが言えると思います。また、それだけに後人である私たちには、植えてもらった木を大切に守り育てていく責務があるわけでありますので、福祉ひろばのさらなる充実に向けて、さらに踏み込んだ質問を申し上げることにいたします。 今回、定例会でご質問申し上げるに当たり、福祉ひろばについて多くの方から聞き取りをいたしました。男性、女性、福祉ひろばをよく利用する人、余り利用しない人、町会の役員、民生児童委員の経験者、地区公民館長OB、福祉ひろばのコーディネーターOGなど、さまざまな立場の方々からです。福祉ひろばをよく利用する人の多くは女性で、おおむね好意的でありました。ただし、事業が前年踏襲型になっているというようなご指摘もありました。余り利用しない人からは、サークルなど決まった仲間で活動しているようなので、新たには入っていきにくいとか、女性が多いので男性は行きにくいといったお声が聞かれました。中には、言葉は悪いですが、いわゆる二重行政ではないかという厳しいご意見もありました。公民館と福祉ひろばがそれぞれに同じようなことをやっている。地区の中で客の奪い合いをしているように見えるという批判のようでした。原因をたどっていくと、特に地区公民館と離れて設置されている単独館の場合、連携のとり方が問題視につながっているのではないかと推察されますが、市としてはどのように捉えておいででしょうか。単独館、公民館との併設館、それぞれの数や連携のとり方、地区担当職員会議などの実施状況も含めての状況をお教えください。 また、地域づくり実行計画の模式図を見ますと、公民館も福祉ひろばも地域づくりセンターに含まれていますが、地域づくりセンター長は具体的に福祉ひろばとどのようにかかわっておられるのでしょうか。そして、地域づくりセンター長と福祉計画課との関係はどのようになっているのでしょうか。 具体的な事業についてお伺いいたしますが、予算書を開くと福祉計画課の欄に市民歩こう運動推進事業費が計上されていて、市民歩こう運動振興業務として
地区福祉ひろばに委託されているようです。市民歩こう運動は、あらゆる年代を対象として巻き込んだほうがよいと考えますが、高齢者の多い福祉ひろばに業務委託する理由をお聞かせください。 職員配置と体制についても確認させていただきました。先ほど福祉ひろばコーディネーターの任用は、
地区福祉ひろば事業推進協議会から適任者を推薦してもらっているとのお話でした。前段のご答弁にもございましたが、福祉ひろばの事業内容は、地域住民の触れ合いの場から始まって、地域の健康づくり、地域の福祉づくりへと進化してきているようです。22年を経て成熟した福祉ひろばには、進化した使命に伴う質の高さ、平たく言えばレベルアップが求められているのではないでしょうか。先ほど申し上げましたが、福祉ひろばの質はコーディネーターの力量次第ですから、その人選は
地区福祉ひろば事業推進協議会へ委ねるだけでなく、専門性をも求める時期ではないかと思うのですが、市としてはどのように考えておられますか。 また、専任コーディネーターと副コーディネーターは、それぞれの業務を明確にしているので、上下関係等に問題はないとのご答弁をいただきました。 そこでお尋ねいたしますが、専任コーディネーターが留守のときは副コーディネーターが同じ仕事を担っています。専任コーディネーターの報酬月額16万5,900円を勤務日数18日で割って日額を求めると9,217円、さらに時給換算すると1時間当たり1,190円となります。一方で、副コーディネーターの日額は6,590円ですので、時給換算すると1時間当たり850円です。同じ仕事をしていて、市民からは同じ立場のように見えるのに、これでは少し差があり過ぎではないでしょうか。他の待遇面、例えば健康診断を一例として考えてみても、専任コーディネーターの健康診断は市が負担、2種臨時職員の副コーディネーターは自己責任の世界であって、同じように市民と接している体なのに、これでよいのだろうかといささか気の毒な気もいたします。2種臨時職員は超過勤務も認められないと思いますが、地区行事は土曜日、日曜日に開催されることが多い中、きちんと振りかえができているのでしょうか。 以上、この機会に日ごろから疑問に感じていることをお聞きいたします。
○議長(上條俊道)
樋口健康福祉部長。
◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 初めに、公民館との連携につきましては、地域づくり実行計画に基づき、それぞれが独立性を担保しながら緩やかな連携を図っております。ご指摘のとおり、公民館と併設していない単独館の場合、併設館に比べ常時の連絡は難しくなりますが、地域づくりセンター長のコーディネートのもと、事業の共催や一元化など具体的な連携を図っております。 次に、単独館、併設館の施設の数についてですが、公民館と離れている単独館が13施設、併設館が隣接を含め23施設となっております。また、地区担当職員会議の実施は27地区、地域づくり協議会等の関係会議への参加は22地区となっておりますが、施設の設置形態によっての差異は認められておりません。 次に、地域づくりセンター長とのかかわりですが、地域づくり実行計画におきましては、公民館、福祉ひろばは、それぞれが独立機関であるとともに、地域づくりセンターを構成する機関として地域づくりセンター長は全体のコーディネートをする立場と位置づけられており、多様な業務の中、ひろばの事業の企画運営や地域住民との調整にかかわっております。また、福祉計画課は、地域づくりセンターが進める地域づくりに向けて、福祉ひろばを拠点とした地域福祉の推進を担っており、連携して地域づくりを進めております。 しかしながら、議員ご心配の地域づくりセンター、公民館、福祉ひろばがそれぞれの事業を実施していく中での連携不足などの課題も十分認識しておりますので、先ほどお答え申し上げましたとおり、庁内プロジェクトチームにおいて現在検討課題として進めております。 次に、市民歩こう運動振興業務委託についてですが、市民歩こう運動は、身近にできる健康づくり、介護予防に端を発しておりますことから、福祉ひろばで実施をしているものでございます。なお、現在では、ウオーキング事業といたしましては多くの公民館においても歩こう運動を取り入れているところでございます。 次に、職員配置に関するご質問についてお答えします。 先ほどお答えしましたように、コーディネーターは、まずは地域をよく知り、地域の実情に詳しい人材が必要と考えております。しかしながら、少子・高齢化が進展する中においては、地域の人材を育て活用していく地域福祉の拠点としての機能が、福祉ひろばの最大の役割と考えておりますので、今年度から長野県社会福祉協議会主催の地域福祉コーディネーター養成研修にコーディネーターを参加させ、地域福祉に関する専門性を高めていくこととしております。 次に、待遇の違いについての件ですが、それぞれの業務分担を明確にし、雇用条件を示した上で地区から推薦をしていただいているところでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、課題は認識しておりますので、待遇を含め職員体制も検討してまいりたいと思います。 次に、休日勤務の振りかえについてですが、コーディネーターの雇用形態は非常勤及び臨時という形態になっており、月の勤務日数を定めておりますので、休日出勤した場合などは勤務日数の中で調整をしていただいております。なお、勤務状況につきましては、その実態調査や面接の実施、福祉ひろば職員の研修などを通じて、指導・徹底を図っていきたいと考えております。 以上です。
○議長(上條俊道) 吉村幸代議員。
◆7番(吉村幸代) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。
地区福祉ひろばの事業のあり方と運営については、単独館の場合、常時の連絡に難しさはあるが、設置形態による差異なく具体的な連携を図っているとのお話でした。事業のあり方と運営については、要望がてら最後に1点だけお聞きしておきたいと思います。 福祉計画課の窓口で「
地区福祉ひろばってな~に?」と書かれたパンフレットをいただきました。福祉ひろばの理念や歴史が書かれた総合案内的な印刷物ですが、平成25年3月に発行されたものが最新版らしく、平成23年7月の第2期松本市地域福祉計画策定までが記載されています。第3期の福祉計画が策定されたことですし、何より福祉ひろばの進化を伝える内容を加筆するべきと考えます。先ほどお伺いいたしますと、全国からの視察も相次いでいるということですので、ぜひ新たに作成していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 職員配置と体制については、最後に要望を申し上げます。 コーディネーターの専任制は、私が地区公民館長を務めている最終年に、ある日突然に発表されて驚いた記憶があります。それまではどちらの地区においても、コーディネーター2人が対等な関係で仲よく交代勤務されている様子でしたので、どうやって正副、上下を決めるのだろう。罪つくりな話にならねばよいがと勝手に気をもんだものです。幸い、私の地元地区では調整の苦労もないまま順調に決まり、現在に至っておりますが、新制度のスタート時には、ほかのあちこちの地区から専任コーディネーターの選出をめぐって苦慮しているという、心配したとおりの難航話が聞こえてきていました。地域づくりの職務の一端を担うために専任コーディネーターを配置したとのことですが、2人のコーディネーターの職場内格差は明らかで、しかも研修と研さんを積んだ専任コーディネーターには、6年で退任しなければならないという皮肉な末路が待っています。そもそも福祉ひろばのように、一時的でも臨時的でもない恒常的業務に有期雇用職員を充てること自体に首を傾げます。 先ほどのご答弁によると、福祉計画課の地域福祉担当は正規職員6名、嘱託職員5名の計11名で、それぞれが3地区程度を担当して随時福祉ひろばを訪問しておられるとのことでした。嘱託職員のコーディネーターと2種臨時職員のコーディネーターを嘱託職員が指導するという体制が組まれているわけです。福祉計画課地域福祉担当側に焦点を当ててみますと、たった数日の勤務日数の差で常勤、非常勤と区別され、責任のある指導的役割を担うにもかかわらず、嘱託職員は非正規職員扱いです。これまでも我が会派の宮下正夫議員が公務員の非正規雇用問題を取り上げて発言してきましたが、このように皮肉にも本市の福祉の拠点、最前線が昨今問題にされている労働問題の総合商社のようになってしまっているという現状があります。 話を「先人木を植え、後人涼を楽しむ」に戻したいと思います。私は、
地区福祉ひろばを22年間興味深く観察し続けておりますが、福祉ひろばはその時その時のニーズに合わせて役割をつけ加えて成長してきたために、いびつな大木になっているのかもしれません。後世に残る銘木に育て、みんなで涼を楽しみ続けるには、枝は伸ばすべきものを選び、適切な時期にきちんと剪定すること、それによって樹形が整っていくのではないでしょうか。そして、その時が来ているような気がしております。 以上で私の質問の全てを終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(上條俊道)
樋口健康福祉部長。
◎健康福祉部長(樋口浩) パンフレットの関係についてお答えいたします。 今年度、パンフレットの増刷を予定しておりまして、議員からただいまご指摘をいただいた点につきましては修正するとともに、利用者の拡大に向けてそのパンフレットを使って福祉ひろばのPRに努めてまいりたいと思います。 以上です。
○議長(上條俊道) 以上で吉村幸代議員の質問は終結いたします。吉村幸代議員は自席へお戻りください。 次に、10番 田口輝子議員の質問を行います。田口輝子議員は質問者待機席へ移動してください。 10番 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 どうもトップバッターの吉村議員に続いて発言の機会をいただきました、みんなの未来の田口輝子です。みんなの未来を代表して、私見を交えながら質問をさせていただきます。全体で4件、件名ごと一括で質問させていただきます。 まず、初めに、1件目、災害時の支援の連携について伺います。 栄養士会との連携についてです。 東日本大震災をきっかけに日本栄養士会が、日本栄養士会災害支援チーム通称JDA-DATを設立されています。このチームは大きな災害が発生したときに、迅速に被災地内の医療、福祉、行政栄養部門と協力して緊急栄養補給物資など、状況に応じた栄養・食生活支援活動をして被災地支援を行っています。昨年の熊本地震のときにも支援に入っていました。この支援の対象者は、妊産婦、高齢者、子供そして慢性的な疾病を抱えた方が要配慮者となっています。どこの被災地でも課題は二次被害を防ぐことです。せっかく大きな災害から命が助かっても、厳しい避難生活の中で亡くなられる方が多く、そこをどう守るかということがとても重要なことです。そんな点から、この日本栄養士会災害支援チームは大きな役割を果たしています。災害時、こうした専門家チームとの連携は重要です。チームは、災害時に全国から集まって結成するので、日常的には地域の栄養士会の皆さんとの連携となります。災害時は何ごとにもリスクがありますが、特に食事は大変です。健康な方は届けられたお弁当や菓子パン等でしのげますが、食事制限のある方が長期にわたって避難所生活を送る場合は、食事に対することは大きな課題で、即、命と直結します。 ぜひこうしたチームといざというときにつながれるために、県の栄養士会または市の栄養士会の皆さんと日常の連携をつくっていってはと思いますが、市としてのお考えを伺います。
○議長(上條俊道)
樋口健康福祉部長。
◎健康福祉部長(樋口浩) 災害時の栄養士会との連携についてお答えします。 東日本大震災の際の避難所生活において、支援物資の偏りによる栄養不足や肥満、糖尿病等の食事制限が必要な方などの要配慮者に対する食品と指導不足により体調が悪化するなど、健康に影響する二次被害が見られたとのことであります。 この経験を踏まえ、熊本地震の際には、議員ご紹介のとおり、日本栄養士会災害支援チームが医療救護班に帯同し、栄養アセスメントにより要配慮者に対する食と栄養のアドバイスが行われました。また、物資面でも要配慮者向けの特殊栄養食品等の支援物資を集めて仕分けし、必要な方に届けるサポートが行われるなど、被災された方の命と健康を守るための重要な役割を果たしたと聞いております。特に長期化が予想される災害時の避難所生活における要配慮者に対する栄養と食生活支援は、二次被害を防止するために重要と考えておりますので、議員ご提案の栄養士会との連携についてどのような連携が可能か、今後検討をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 ありがとうございました。 とても重要なことだと思いますので、ぜひ前向きに検討を続けていただきたいというふうに思います。 それでは、2点目の質問に入ります。 庁内での連携についてですが、本市の中に管理栄養士、栄養士の資格を持って勤務している方は何人ぐらいいらっしゃるでしょうか。学校教育関係の給食、保育園、健康福祉部など関連する部署にあちこちにいらっしゃると思いますが、災害時の連携として考えたときにどう生かせるのか。今回この災害時の支援として全国の栄養士会で災害支援チームリーダー育成研修に取り組んでいます。これは、大災害のときに適切に対応できる専門的知識と技術の育成を目的として開かれています。ぜひ本市の栄養士チームからこの研修に派遣されてはと考えます。庁内で災害時の対応のノウハウを持った栄養士がいることは、先ほども部長がおっしゃいましたように、大きな力になると思います。支援チームとの連携もいざというときに生かせると考えます。 1点目として、本市の栄養士の人数そして人材育成の取り組みについて、市としての考えを伺います。
○議長(上條俊道) 丸山総務部長。
◎総務部長(丸山貴史) 庁内の栄養士等の人員及び人材育成についてお答えをいたします。 現在、栄養士等として任用している市の職員は、嘱託職員を含めて健康寿命延伸に向けた市民の栄養指導や食育などの担当として健康福祉部に8名、保育園や小・中学校、病院での給食の栄養管理、栄養指導の担当としてこども部に3名、教育委員会に9名、病院局に2名を配置しております。 次に、職員の人材育成につきましては、平成28年3月に策定いたしました人材育成基本計画に基づき職員力を高める研修の充実策として、それぞれの職員が職務を遂行する上での必要な知識や能力の向上に向けて自己研さんを図ることへの支援を行っております。 議員ご提案の災害支援チームリーダー養成研修にも、今年度は栄養士1名の参加を予定しており、災害発生時の多種多様な状況に適切に対応できる専門的知識と技術を持った職員の育成に努めているところでございます。栄養士に限らず多くの職員が、みずからの能力を高めるために、必要な専門的知識やさまざまな技能の習得に向けて外部の専門機関の研修等に参加しており、今後も引き続き意欲ある職員の研修参加について積極的に支援を行ってまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 どうもありがとうございました。 3回目は要望とさせていただきます。現在、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など、大きな災害から学んだ教訓から新しい連携や取り組みが始まっています。松本市は、災害リスクが高いと言われていることからも、本市は危機管理部を中心に先を見通した取り組みを行っていることは高く評価しています。そんな中で必要、大切と思うことは一つ一つ実現してほしい。いざというときの対応の力にしていくことが重要だと思います。専門家を育成することはそのことに直結します。この食の問題は、厳しい避難生活の中で二次被害を防ぐ重要な課題です。食事制限を受けている方たちの食に関する危険を除くためにも、ぜひ日常の連携をつくって訓練の課題にも加えていただきたいと要望いたします。 1件目の質問については以上で終わりたいと思います。 2件目の質問に入ります。1件目は、栄養士会との連携について伺いましたが、2件目は、避難所としての保育所との連携について伺います。 いつも避難生活で弱い立場に置かれた人をどう守るかというのが大きな課題です。病気を抱えたり、要支援者の方もそうですが、女性たち、子供たちもそうです。昨年の熊本地震のときも妊産婦さんや小さい子供連れのお母さんたちが、避難所でのトラブルを避けるため不自由な車中泊を選ぶケースが多くあり、厳しい状況が伝わってきました。今回そんな状況を教訓に、愛知県で保育所に自主避難所の機能を持たせ、妊産婦、乳幼児を抱えた女性たち専用の場として備えようという動きが始まっています。このたびの熊本地震のときに、避難所で授乳や子供の泣き声に肩身の狭い思いをしていたお母さんたちを地域の保育所で受け入れるという試みがされました。お母さんたちの声は、本当に親も子供たちも安心して過ごせたというものでした。ちょうどその時期、愛知県から支援に入っていたこども・女性支援ネットの方がその取り組みを見て、これはぜひ支援として広げたいと行動に移されたと報道されていました。その取り組みを伺ったとき、本市でもそんな場所があったら安心できるだろうと直感しました。 松本市は既に全地区に指定された避難所があり、それはそこでしっかり運営される必要がありますけれども、授乳中などの小さい子供さんを抱えたお母さんたちが安心して避難できる場として、幾つかの保育園と連携がとれないものかと考えます。 1点目として、市としての現在の保育園の考え方、現状を伺います。 2点目として、現在の保育園が女性と子供の避難所としての備えを持つ連携ができるかどうかを伺います。
○議長(上條俊道) 嵯峨危機管理部長。
◎危機管理部長(嵯峨宏一) 私からは、災害時の保育園の考え方につきましてお答えをいたします。 被災した保護者の皆さんができるだけ早く生活を再建し、仕事に復帰するためには、保育園を早期に再開する必要がありますので、旧松本市の保育園については避難所に指定しておりません。しかし、合併地区においては、指定避難所となり得る公共施設が少ないため、保育園9園について合併前からの指定を継続しております。 なお、妊婦や小さい子供連れのお母さんなどが避難所生活をする場合には、原則として小・中学校の特別教室など、一般の方とは別に専用の部屋を設けてご利用いただくことを想定しております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。
◎こども部長(伊佐治裕子) 危機管理部に引き続き、議員の2点のご質問についてお答えをいたします。 市内の公立保育園は、業務継続計画によりますと、発災後24時間以内に43園のうち11園が応急保育を実施することとしております。これは、園児の家が被災した場合や保護者が災害復旧、人命救助に従事する場合など、お子さんを受け入れるためのものであります。また、1週間以内に全ての園が通常どおりの保育ができるよう準備することになっております。 したがって、先ほどの危機管理部長の答弁にありましたとおり、これまでは一部の園を除き避難所としての活用は想定しておりませんでしたが、園では非常食やおむつ、ミルクなどが備蓄してあり、またシャワーや調乳室、これはミルクや離乳食をつくる部屋ですが、こうしたものも設置されておりますことから、遊戯室などを柔軟に活用することで小・中学校に行けない方を緊急避難的に受け入れることは可能かと思われます。 しかしながら、避難所となりますと、24時間体制の人員の確保や、避難が長期化した場合に保育所運営に支障を来すなど幾つか調整が必要な点もありますので、その可能性については危機管理部と相談しながら検討したいと思います。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 お答えありがとうございました。 2回目ですけれども、要望とさせていただきます。 確かに保育園の役割は、復興に当たる方々の職場復帰も含めて働く人々の保障の場です。少しでも子供さんを預かって仕事に復帰したり、子供さんも安心して過ごすことのできる場ということは重要で、早期の開園も重要だと思います。 しかし、全市でなくていいので、災害の状況にもよりますが、どこかにそうした園を設ける備えをすることも、特に小さい子供さんを抱えた方にとって大切だというふうに思います。私は、いつも災害時の避難所運営で女性や子供の視点を大切に考えてほしいということを申し上げてきています。避難所内のトイレや更衣室、授乳室、女性専用のコーナーなど、避難生活が少しでも安心・安全の場となることを願っています。そんな視点から今回の愛知県や熊本県に広がっている保育所の利用、今後の課題としてぜひ検討に加えていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 これで2件目の質問を終わりといたします。 続けて、3件目の質問に入ります。子ども支援についてです。 1回目は、児童虐待について伺います。 先日、この庁舎で松本市要
保護児童対策協議会代表者会議が開催されて、その中で松本児童相談所長さんから、松本地域での児童虐待の現況が報告されたという報道がありました。状況は厳しく、平成28年度の相談件数は416件で、3年連続で過去最多を更新したことが述べられていました。主な虐待者は実父が最も多く、調査を始めた平成8年度以降、平成27年度から初めて実母の数を上回ったこと、また、子供の目の前で家庭内暴力、ドメスティック・バイオレンス、DVが行われるなど、心理的虐待が急増していることが背景にあると報告されていました。今、子供を取り巻く状況は本当に厳しいものがあります。子供の貧困、いじめ、自殺など、本来守られ、安心して自分の命を生きていく年代に、このように命の危険にさらされる子供たちが急増している。この状況を現在、市としてはどのように捉えているのかお伺いします。 また、市への相談はどのくらいあり、どのような対応をしているのかを伺います。
○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。
◎こども部長(伊佐治裕子) 児童虐待の現状としての2点のご質問にお答えいたします。 最初に、児童虐待の相談件数が増加している現状についてでございますが、これは松本地域に限らず全国的な傾向となっており、主に2つの要因があると考えております。1つ目として、児童虐待に対する一般市民の問題意識の高まりや虐待に係る通報方法が周知されてきたこと、2つ目として、子育て家庭における不安や負担感の増大、養育力の低下などを背景に虐待そのものが増加していることも考えられます。したがって、虐待防止のさらなる強化が必要と考えております。 次に、本市に寄せられた虐待の相談件数でございますが、平成28年度は42件で、このうち虐待者種別では実母が22件と全体の約半数を占めており、次いで実父が14件と全体の3分の1となっております。こうした児童虐待への対応につきましては、児童福祉士を中心に9人のケースワーカーや相談員が対応し、あわせて発生の防止に向けたペアレントトレーニングや啓発活動などを行っておりますが、昨年度からは子ども子育て安心ルームを設置し、子育てコンシェルジュなどを配置して妊娠から子育てまで、切れ目のない寄り添い型の支援に努めているところです。 今後は、さらに庁内外の関係機関との連携を密にし、引き続き保護が必要な児童の早期発見と早期対応を図ってまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 子ども支援について2回目の質問をさせていただきます。 ありがとうございました。 子供の貧困を初め、取り組む課題は多くありますけれども、この子供への虐待については、何より優先的に取り組まなければいけない課題だというふうに思います。相談件数がふえているということは、それだけ表に出てきたという点では解決につながる道ですが、具体的な対応が重要だというふうに思います。特効薬はありませんが、松本市は子どもの権利に関する条例を掲げています。どの子も愛され、大切に育まれ、認められる、安心して生きることのできるまちです。このことをしっかり子供たちに知らせ、いつでも相談でき、救済される場所があるということを公のメッセージとして子供たちに伝え続ける。いざというとき、助けることのできるシステムを市の中にしっかりつくってほしいというふうに思います。こども育成課のこころの鈴、こども福祉課の相談窓口、また学校での校長先生や保健室の先生、子供の居場所の児童館や児童センター、これらの場所に子どもにやさしいまちの宣言をしっかり掲げて、子供たちにあちらこちらで子供たちを守るまちということを知ってもらう、そんな取り組みが大切だと思います。 昨年12月定例会の質問で私は、CAPの取り組みをと申し上げました。これも自分を大切にし、自分を守る力をつける取り組みです。一人一人の子供さんが自分が困ったときに助けてと言える、受けとめてくれるところがある、そんな場がまちの中にあることを知らせていくことが重要だと思います。社会的な背景の中で貧困や虐待がすぐ解決はしませんが、子供の声を受けとめる、そんなシステムをぜひつくってほしいと思います。それが、子どもの権利に関する条例を持つ私たちの松本市の意味だというふうに思います。その点について、これをどう生かすかという点について市の考え方をお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。
◎こども部長(伊佐治裕子) 児童虐待は、子供の権利侵害の最たるものであり、まずは未然防止が必要ですが、子供自身が声を上げる力をつけSOSを発信できることや、それを受けとめる場所が身近にあるということも重要と考えております。本市では、先ほどご紹介いただきましたが、子供の権利侵害に対する相談や救済を目的に、子どもの権利相談室こころの鈴を設置しているほか、あがたの森文化会館でも養護教諭経験者によるまちかど保健室を実施するなど、子供のSOSをうけとめるための窓口の充実を図っております。特にこころの鈴では、子供たちに気軽に相談してもらうため、過去の相談事例などを記載したこころの鈴通信やポスター、相談カードを市内の小・中学校や高校、児童館、児童センターなどへ出向いて配布をしております。また、昨年度は、11月20日の松本子どもの権利の日にあわせ、全小・中学校のお昼休みの校内放送で、子供の権利や相談窓口を身近なものとして感じてもらうため、子供たちによる子供たちへの周知にも取り組みました。 議員もおっしゃるように、特効薬はないわけですが、こうした取り組みを継続的に積み重ねることで、子供たちが見守られていることや大切にされていることを実感でき、また大人が子供たちの声を真摯に受けとめることができるよう、今後も積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 ありがとうございます。 ぜひしっかり進めていただきたいというふうに思います。子供支援について3回目の質問です。DV、配偶者暴力相談との窓口の一本化について伺います。 このドメスティック・バイオレンス相談について、これが子供への虐待の大きな要因になっているという報告がありました。本市では、DV相談は人権・男女共生課で弁護士相談を受けています。それ以外では、市のワンストップの市民相談窓口へ行くと、こども福祉課の相談窓口に紹介してくれます。DVは、子供への虐待と重なるということで切り離せないという点でこども福祉課に窓口が置かれているようです。相談に訪れるというのは、ただでさえ心や体に傷を負い、悩み抜いた方々です。これは大変な勇気が要るというふうに思います。以前もドメスティック・バイオレンスを受けている方からの相談で、どこへ逃れさせようかとあちこち対応したことがありましたが、シェルターと言われる避難場所が本市にはほとんどなくて、さんざん悩んだ経験があります。子供連れとなると、なお一層大変です。何とか駆け込み寺というような場が必要ではないかというふうに思います。 ことしの1月、私たちは会派で徳島県鳴門市に視察をさせていただきました。鳴門市は、2010年、国の内閣府男女共同参画推進室とも連携しながら、四国初の配偶者暴力相談支援センター、女性子ども支援センター「ぱぁとなー」を立ち上げ、支援に取り組んできています。相談から自立支援までがワンストップとなる取り組みです。シェルターとしてホテルと契約をして、安心して避難する場所を確保したり、自立できるまでの就業支援など、一貫して相談から自立までを支えていました。ふえ続けるDVに子供、児童虐待、それらに対して心強い支援につながっている取り組みを実感しました。何より困難を抱えた子供たちを守り、これからの人生をしっかり生きていける、そんな支援体制をつくっていくためにも、こういった相談の受け入れ窓口の一本化を図れないものか、その点についてお伺いいたします。
○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。
◎こども部長(伊佐治裕子) 本市では、現在、ご紹介がありましたとおり、こども福祉課がDV被害や女性相談支援の窓口を担っており、母子福祉司や女性相談員が、日常生活における夫婦間や家庭の問題、DV等の幅広い悩みや相談、資格取得などの就労支援に至るまで総合的な対応を行っております。ご相談の中で法的な相談を希望される場合は、人権・男女共生課の弁護士相談をご紹介したり、就職のみのご相談の場合は県の就業支援員を紹介するなど、関係機関との連絡調整もあわせて行っております。また、配偶者からのDVにより緊急避難が必要となった場合は、警察等関係機関とも連携して、常時備えている緊急避難先で一時保護を行い、その後、早期に安心して生活できるような支援も行っております。 このように、本市でも総合窓口としての機能は、おおむねこども福祉課が果たしておりますが、こうした内容で相談に訪れる方は心身ともに疲弊しておられるため、利便性や相談先のわかりやすさなどを考慮し、今後の対応を研究してまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 わかりました。今、本市の相談窓口というのは生活困窮者自立支援法の取り組みもあって、相談窓口が一本化され、とても利用しやすいという声もお聞きしています。私も相談を受けたときに窓口へ行き紹介するなど、利用させていただいています。ドメスティック・バイオレンスの相談もこども福祉課につなげて連携していくということですので、ぜひ子供だけのことではなく、大人も助けてと言える場所として最後のとりでがこういった公的な場だと思いますので、ぜひ市民の方々が相談しやすい場となりますように検討を進めていただきたいというふうに思います。 それでは、最後の4件目の質問です。松くい虫防除対応について伺います。 私は、今回、地元の合意形成のあり方についてに絞って質問をいたします。この間、本郷地区と里山辺地区に無人ヘリコプターによる薬剤散布を行うということで議論になっています。本当にここ何年も四賀地区の松枯れから松本中のあちこちの野山で松が赤く枯れて、山が傷ついていることを実感し、心を痛めています。自然の青々とした山が茶色になっていく様は、この自然豊かな松本市として何とか対策を立てていかねばならないということはよく承知しております。 その上で、今回の薬剤の空中散布について大勢のお母さん方から、薬剤の安全性への不安の声が寄せられています。もちろん市としても地元の協議会から要望を受け、取り組んでこられていると思いますが、若いお母さん方から、知らなかった、不安だとの声が多いのです。今回の本郷地区、里山辺地区の前に行われた四賀地区と岡田地区での協議会の経過をお聞きすると、地元の役員の皆さんや住民の方々、農業や果樹をやられている方など多くの地区の皆さんが議論を重ね、それぞれの意見を聞き、それぞれに配慮を重ね、結論を導いたとお聞きしています。岡田地区は、結果として薬剤散布ではなく伐採をして樹種転換をしているともお聞きしました。 私も、本郷地区ですので、自分たちの問題でもあります。お母さんたちは、今、不安を募らせています。今の時期、あちこちで農薬を使う時期でもあり、アレルギーや過敏症の子供さんを持っているお母さんはぴりぴりし通しで、体調を見守っていると話してくださいました。また、その上に空中からの散布は一層不安だともおっしゃっていました。そんな状況をお聞きすると、今回、情報の共有や説明が不足だったのではないかなと思います。地元の協議会の皆さん方はいろいろ段階を踏んで努力なさったと思いますが、なかなか多くの層には届いていないと、お母さん方の声を聞いて思います。情報の共有の努力については、県の防除のガイドラインにもしっかりと書かれています。 多くが書かれていますので、ここでは情報の問題、それと健康、安全にかかわるところだけちょっと抜いて申し上げますと、特別防除の計画に当たって、実施主体は、より詳しい情報が的確に地域の住民等に伝達され、理解が深まるよう努めることとし、特に、住民等がとるべき安全確保のための措置等は、より詳細かつ丁寧に伝達するように心がけるとともに、これらを着実に住民や関係事業者等に伝達するための方策について、全戸配布など、より確実に伝達できる方策を工夫することとするとか、防除の実施主体は、質問や相談ができる窓口の周知やホームページなどで情報をとりやすい工夫をし、特別防除により影響を受ける可能性のある化学物質に感受性の高い人や過去の特別防除において健康への影響を受けた人の有無など、必要な情報を把握するものとする。そのための個別の確認、調査を行うものとする。 もう一点、特に特別防除の実施を計画している地域について、特別防除による健康への影響の可能性などについての十分な情報を把握し検討を行って、地区防除対策協議会における協議等を経て、適切な判断を行うこととするなど、これを読んでいくと本当に厳しいチェックがあります。この経過の情報がきちんと共有される議論が重ねられていたら、こんなにも子供たちを持ったお母さん方が不安になる状況はなかったかと思います。今、学校や保育園に近くないかとか、もし外に出て遊んでいるときだったらどうしようとか、そんな具体的なところで皆さんが不安に思っています。これからもいろいろな課題があると思いますが、こうした合意形成の取り組みをもっと早期から丁寧に取り組む必要があると思いますが、市としての今回の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○議長(上條俊道) 藤井農林部長。
◎農林部長(藤井卓哉) 初めての答弁ですので、よろしくお願いいたします。 地域の合意形成、もっと早く取り組む必要があったのではないかというご質問にお答えするに当たり、この合意形成に関連して、まず空中散布に使う薬剤について少々ご説明を申し上げたいと思います。 松くい虫対策として空中散布で使用する農薬はネオニコチノイド系の農薬ですが、このネオニコチノイド系農薬は最近使われだしたものではなくて、20年以上前から既に全国で松本地域でも使用されています。ほかにも有効成分は違いますが、稲や野菜、果樹の害虫駆除として使われている農薬としてネオニコチノイド系はよく使われている農薬です。かつての有機リン系農薬に比べ安全な農薬ということで、この20年間使用されてきて、この農薬を原因とする健康被害は寄せられていません。ただ、農薬は同じでも濃度は違います。農家が散布する場合は、作物の種類により異なりますが、1,000倍から4,000倍の希釈をするのに対して、松くい虫対策で使用する場合の希釈は10倍から100倍です。 そこで、市では、空中散布を実施した場合、散布地から少し離れた場所、住宅のある方向で必ず気中濃度の検査を実施しております。既に四賀地区での検査データが蓄積されており、四賀地区のいずれも散布地から41メートルから50メートル離れた地点と四賀小学校で気中濃度を検査しております。検査は、散布中、散布直後、その日の昼間、1日後、2日後、4日後と6回検査を実施しております。そのほとんどが測定できる範囲以下、つまり計測できないほどの数値です。これまでに平成26年度から3年間、検査箇所5カ所、合計検査回数180回のうち、数値が計測されたのは6回、散布中と散布直後に42メートル、44メートル離れた地点で計測されました。しかし、計測された数値は環境省の農薬吸入毒性評価部会の計算式で計算された体重15キログラムの子供さんの1日の摂取許容量の200分の1から240分の1です。つまり散布地から四、五十メートル離れたところでは、翌日以降はもちろん散布中も散布直後も濃度はほとんど計測されません。この空中散布で使う薬剤は、それだけ飛散をしない薬剤でございます。 そこで、この合意形成の話ですが、このように薬剤散布は実施しても、ほとんど飛散しないこと、また普通に使用されている農薬であること、合意形成という点では全地区ではなく、影響の及ぶ可能性のある農薬散布実施町会での説明でよいと考えております。ただし、松くい虫対策協議会を設立するに当たっては、どこまでの町会で構成するかは地元の役員の皆さんの判断で決めております。 なお、薬剤散布を実施するに当たっては、薬剤散布実施町会だけではなく、その周辺に広く周知していく必要があると考えており、市では、四賀地区においては広報のほか散布地周辺に実施案内の看板を設置したり、お知らせを全戸配布したり、町内の放送を実施したり、また農薬過敏症の方への相談窓口の開設などをお知らせしております。 そこで、地元での対応ですが、本郷、里山辺地区においては平成27年度に松くい虫対策協議会が設置されて以降、集落説明会が開催され検討が重ねられた結果、無人ヘリコプターによる薬剤散布の実施区域が決定されました。本郷地区の協議会では、市の担当者も出席し、7カ所で集落説明会が開催され、松くい虫の被害のメカニズム、対策の状況、防除方法について説明を行ってまいりました。里山辺地区の協議会では、松林を抱える4町会を中心に各種取り組みが検討され、最終的に今年度は2町会で薬剤散布を要望することとなりました。このような過程があることから、周知や合意形成は適正に図られてきたと考えております。 議員のご質問の中にありました、市民の、特に若いお母さんの不安の声等のことですが、議員のご指摘の特別防除に関するガイドライン、これは有人ヘリコプターによるものですが、当市では無人ヘリコプターによる薬剤散布においても準用し、無人ヘリコプター散布用として登録された農薬を農薬取締法に基づき適切に使用をするとともに、国・県の指導のもとに実施しております。長野県内でも18の自治体が薬剤散布を実施していますが、特に問題はなく、四賀地区においては平成25年から4年間同様の薬剤散布を実施してきました。国が認めた薬剤を国・県の定めた防除方法に基づき使用すれば安全であるとの認識があったため、市は、これまでの説明の中で特に散布する薬剤について詳しく説明することはありませんでした。市としまして、地域住民に説明会や検討会を通じて周知に取り組んできたと考えていますが、薬剤に対する不安を覚える方もおられますので、使用する薬剤の安全性と先ほどの飛散しないということも含めて、引き続きしっかりと説明をしてまいりたいと考えております。 以上です。
○議長(上條俊道) 田口輝子議員。
◆10番(田口輝子) 〔登壇〕 今回、私がこの質問に立ったのは、本当に子供を持ったお母さん方から多くの不安の声を聞いたものですから質問に立たせていただきました。今の丁寧なお話をお聞きしたりしながらも、やっぱりその地区の全体のいろいろな層の方までしっかり情報が届くことがとても大切だというふうに思います。四賀地区の方からお聞きしたんですが、賛成の立場も反対の立場もしっかり対等に話し合いを重ねたり、結果について丁寧な検証を行ったり、山を守りたい人、子供の安全を守りたい人、いろいろな立場の方たちでいろいろな真摯な話し合いが行われたということもお聞きしました。それぞれの地区でやはりこういう不安を持つことに対しての合意というのは、できるだけ話し合いを重ね結論を出していくというのが、その過程としてはとても大事なことだというふうに思います。 これからもいろいろな課題が出てくると思いますが、ぜひ要望として何事も丁寧な合意形成に取り組んでいただきたいというふうに思いますので、ぜひその点をしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。これからまたいろいろな議論があると思いますけれども、私としての質問はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(上條俊道) 以上で田口輝子議員の質問は終結いたします。田口輝子議員は自席へお戻りください。 昼食のため暫時休憩いたします。 再開は午後1時15分といたします。 午前11時53分休憩 --------- 午後1時15分再開
○議長(上條俊道) 休憩前に引き続き会議を開きます。 23番 犬飼明美議員の質問を行います。犬飼明美議員は質問者待機席へ移動してください。 23番 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 質問の機会をいただきましたので、日本共産党松本市議団を代表しまして一問一答で質問をいたします。 まず、平和行政についてです。 安倍首相は、共謀罪、憲法9条改悪、辺野古新基地建設など、多くの反対にもかかわらずごり押しをしています。年金は減り、残業は過労死ラインの100時間を認め、賃金は15カ月連続マイナス、家計消費は19カ月連続マイナスと、国民生活や労働者の働き方も国民の願いに背を向けております。唯一の被爆国としての平和を守る役割も果たせていません。 まず、平和行政の今後の在り方について質問いたします。 松本市は、平和推進課を設置し、これまで、被爆地ではない地方都市でありながら、第23回国連軍縮会議など重要な会議を開催し、全国の平和行政をリードしています。平和都市宣言をし、核兵器廃絶を目指す立場から見て、核兵器禁止に背を向ける国の姿勢を正す立場で平和行政を進めるべきだというふうに感じます。5月22日に国際連合のエレン・ホワイト議長により核兵器禁止条約の草案が発表されました。この草案は、前文で核兵器の非人道性について強調するとともに、被爆者や核実験被害者らの苦難に留意すると述べ、多数の非政府組織及び被爆者の取り組みについても高く評価をしています。被爆者の訴え、反核平和運動の願いを正面から受けとめたものと言えます。 少し簡単に条約の中身を紹介いたしますが、第1条は、核兵器の開発、生産、製造などを禁止し違法化をしています。核保有国に参加の道も開いているということも重要です。第6条では、被害者への支援も義務づけています。核兵器を法的に禁止するとともに、核兵器全面廃絶につながる大きな意義を持つ草案です。しかし、米英仏露中の核保有国やその核の傘に依存する国々は、禁止条約を安全保障にとって有害だなどと批判を強め、妨害しようとしています。 安倍政権が核保有国に追従し、被爆国にあるまじき態度をとっていることに、内外で失望と批判が広がっています。この姿勢を根本的に改め、条約への参加を真剣に検討すべき時だというふうに思います。広島、長崎の被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名、ヒバクシャ国際署名と言っておりますが、この署名を軸に核保有国などを追い詰める圧倒的な国際世論を築き上げることが今こそ求められるというふうに思います。 最初の質問ですが、核兵器廃絶に向けた市長の思いと、核兵器廃絶に背を向ける国の姿勢に対する考えをお聞きします。
○議長(上條俊道) 菅谷市長。
◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 ただいまの核兵器廃絶に関するご質問にお答えします。 私自身にとりまして、ベラルーシ共和国においてチェルノブイリ原発事故による医療支援活動に従事し、原子力災害の及ぼすさまざまな影響の悲惨さを目の当たりにした経験から、世界平和の希求と核兵器廃絶はみずからの政治信条の根幹をなすものでございます。私は、このような考えのもと、市長就任以来、平和施策にも積極的に取り組み、先ほどお話がございましたが、平成23年の国連軍縮会議、平成26年の平和首長会議国内加盟都市会議、昨年の日本非核宣言自治体協議会総会など、平和関連主要会議を被爆地以外のこの松本市で開催し、広島市、長崎市を初め関係団体とともに核兵器の廃絶と恒久平和を世界に訴えてまいりました。 そこで、議員ご質問の核兵器禁止条約制定交渉への日本政府の不参加についてでございますが、核兵器廃絶を目指す実効性のある条約の制定に向けては、より多くの国が交渉に参加することが必要でございます。そのような中で、唯一の被爆国である日本が不参加と判断したことは、まことに残念であり、積極的平和主義を掲げている政府としては核保有国と非保有国との橋渡し役として最もふさわしい立場にあることを踏まえますと、核兵器廃絶に向けた取り組みを一層進めてほしかったと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 日本政府の参加について、不参加であったことが残念という答弁でございました。私は、その上に立って松本市に今あります平和推進課の仕事に大変期待を寄せております。今後の事業についてどのようなものかお伺いします。
○議長(上條俊道) 丸山総務部長。
◎総務部長(丸山貴史) お答えします。 松本市では、本年4月、平和推進課を設置し、平和推進に取り組む姿勢を明確にいたしました。そこで今年度の具体的な事業といたしましては、8月の平和祈念式典、平和の集いの開催、市内中学生の代表による広島平和記念式典への参加、10月には小・中学生の平和ポスター展の開催に加え、今年度新たに8月に長崎市で行われる平和首長会議でのブースの出展、9月には平和都市宣言の日記念イベントの開催などを実施してまいります。 また、平和の大切さや命のとうとさを考え、平和をつくる取り組みとして平和都市宣言30周年を契機に、昨年度から始めました市内の小学生親子が参加する親子平和教室を実施するほか、大学生などの若者による松本ユース平和ネットワークでは、長崎市の大学生との交流や平和ハンドブックの発行など、若い世代と一緒になった取り組みを引き続き進めてまいります。さらに、若い世代が過去の戦争の悲惨さなどを学ぶことに加え、現在、欧米などで起きているテロの連鎖、中東情勢などについても学ぶ機会が設けられないか検討をしてまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 ありがとうございました。 さまざまに活動を展開されながら、しかも若い世代にも加わってもらう、そういった運動の発展方向が見えてきたというふうに思います。 次に、核兵器廃絶に向けた具体的な取り組みについてお伺いをいたします。 市長は、平和はつくるものと打ち出しておられます。積極的な姿勢を心強く思います。平和都市宣言で核兵器廃絶をうたっていますが、私は、むしろもっと鮮明に具体的にすべきではないかというふうに感じております。行動であらわしたり職員の育成に取り組んだりなど、発展させるべきもう一段階があるのではないかと考えます。国に対して核兵器禁止の立場をとるよう要請することについて、まずお伺いします。 ことし3月、核兵器全面禁止につながる核兵器を禁止する法的拘束力のある協定についての交渉を行う国連会議の第1会期が終了しました。6月15日から第2会期で条約案が審議され、7月7日の閉会までには採択される予定です。この会議に参加した川田忠明氏の報告では、核兵器の使用や保有、製造、開発などを広く禁止する核兵器禁止条約が早ければ年内にも実現いたします。第1会期の冒頭では、コスタリカの外務大臣が、新しい歴史のページを記すためにここに集まったと発言、アイルランドの国連大使は、補完的な条約を書こうとしているのではなく、新しい歴史を書こうとしているというふうに述べ、まさに新しい歴史をつくる決意と意欲に満ちた会議となりました。 これまで2000年、2010年と核兵器のない世界を達成、維持しようと合意してきたにもかかわらず、強い法的拘束力があるわけでもなく、核保有国は自国の核軍備を強化してきました。それに対して、ただ核保有国の方針転換を待つのではなく、現状を打開するための新たな戦略が求められてきました。日本から参加した被爆者の藤森俊樹氏が、法的拘束力のある条約を成立させ、発効させるために力を尽くすよう訴え、同時に参加を拒んだ日本政府を強く非難しました。この会議では、政府代表だけでなく市民代表も同等に扱われ、長年の市民運動によってここまで到達したことが表明されました。課題は、廃絶につなげていく補償と展望はどこにあるかということで、ここにさらなる市民の世論と運動が求められ、日本政府の態度を変えさせる運動の積み上げが決定的となります。 1995年、北京で世界女性会議が引かれました。私は青年団OBという立場で参加をしましたが、この会議の閉会に当たって最終文書というものが出されました。開発途上国から核兵器廃絶を目指そうという一文を書き加えるよう提案がありましたが、結果的にこの文章は入りませんでした。そこには日本政府の画策があり、米国がこれを高く評価したという、まさに今もあるような事態が起こっていました。常に日本政府は核兵器廃絶には後ろ向きであり、アメリカがそれを評価するという構図です。大変憤りを覚えます。日本政府に対し、核兵器禁止の立場をとるようしっかりと要請すべきだと考えますが、この点についてお考えをお聞きします。
○議長(上條俊道) 丸山総務部長。
◎総務部長(丸山貴史) お答えをいたします。 松本市では、平成26年11月に本市で開催をいたしました平和首長会議国内加盟都市会議において決議された、核兵器禁止条約の早期実現に向けた取り組みの推進についての要請を、広島市長、長崎市長とともに開催市の市長として内閣総理大臣宛てに平成26年11月27日に提出をいたしました。また、本市も参加をいたしました本年5月に開催された日本非核宣言自治体協議会総会では、国に対して核兵器禁止条約の制定に向けた交渉に参加するよう要請することが決議され、6月中旬に国へ提出されることとなっております。 このように、今後も、申し上げました団体に加盟する自治体と連携しながら、日本政府が国際社会において核兵器廃絶に向けた役割を発揮するよう働きかけてまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 るる活動されていることがよくわかりました。 次に、核兵器禁止条約交渉会議への参加についてですが、この会議の第2会期が今月15日から始まりますが、こうした核兵器廃絶に向けた国内外で開かれる会議に職員を派遣できないでしょうか。中心的な会議に出席するということは無理でも、周辺行動に参加するなどは可能ではないかと考えます。職員にとって貴重な経験となりますし、平和行政の担い手となることが期待されます。私は、29年前、国連軍縮総会にNGOメンバーとして参加をし、ニューヨークの街なかやセントラルパークなどで署名活動などに参加をしました。このときの経験が大変貴重なものとなっています。核兵器廃絶・禁止に向けた国際的な会議に職員を派遣することについてお考えをお聞きします。
○議長(上條俊道) 丸山総務部長。
◎総務部長(丸山貴史) お答えをいたします。 先ほど申し上げましたとおり、松本市では、平成23年の国連軍縮会議を初め、平和関連の国際的会議を地元松本市で開催してまいりました。会議には多くの職員が参加し、核兵器廃絶に向けた取り組み、世界情勢などについて見聞を広めてまいりました。このような国際的な会議に職員が参加することは、議員ご案内のとおり、核兵器廃絶に向けた世界の動きを直接肌で感じる機会となり、平和行政の推進に必要な人材の育成につながるものと考えております。 議員ご提案の国際的な会議への職員の派遣につきましては、国内で開催される平和首長会議や日本非核宣言自治体協議会などへは引き続き積極的に職員が参加するほか、国際連合等で開催される国外会議については平和首長会議代表団への参画など、会議の目的、開催地や日程等の状況に応じて個別に判断してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 核兵器禁止に関連しました世界規模の集会にも参加ができるように、そんな前向きな取り組みも期待をしたいというふうに思います。 次に、ヒバクシャ国際署名の庁内での取り組みについてお伺いします。 広島、長崎の被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名は、昨年6月、日本、韓国、北米、ブラジルの被爆者団体の代表者及びカナダ、メキシコに在住する被爆者の皆さんが、「呼びかけ人被爆者代表」となって取り組まれています。この署名を推進する連絡会は、先日9日、東京都内で会見し、署名の累計が296万余になったと発表いたしました。15日から国際連合本部で核兵器禁止条約の交渉会議の第2会期が始まるのを前にして発表しました。連絡会では、3月に開かれた第1会期の際に、同会議の議長から署名をたくさん持ってきてほしいと要望されたのに応えて、第2会期で手渡す予定になっています。 後ろ向きな日本政府を動かすために、このヒバクシャ国際署名こそ核兵器禁止条約の実現のために尽力している諸国政府が求める市民の声であります。最終的には2020年までに世界で数億人の署名を集めることで、大きな国民的運動として発展させることが求められます。署名用紙には、今なお1万数千発の核兵器があり、広島、長崎の数万倍に及ぶこと、地球上に存在する全ての生命を断ち切り、環境を破壊し、地球を死の星にする悪魔の兵器であり、生物兵器、化学兵器について議定書で禁じている、それらをはるかに上回る破壊力を持つ核兵器を禁ずることに何のためらいが必要かと訴えています。 ヒバクシャ国際署名を市役所の庁内に置くことを提案しますが、お考えをお聞きします。
○議長(上條俊道) 丸山総務部長。
◎総務部長(丸山貴史) お答えいたします。 ヒバクシャ国際署名につきましては、昨年、松本市にも署名の依頼があり、趣旨に賛同し10月に市長が署名いたしました。核兵器のない世界を実現したいという広島、長崎の被爆者の皆さんのこの取り組みを、市民の皆様にお知らせすることは大切なことと考えておりますので、本署名はインターネットから行うことができることから、まずは市ホームページで署名について紹介してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 この署名を市役所の庁内に置いているのは、広島市とか豊見城市などです。市民の皆さんにも署名に参加してもらえる機会をふやすということが大事です。私も署名に回っておりますけれども、署名をしながらご自分の戦争体験を話される方もおります。熱心に行動しておられる方のお話では、ほぼ8割、9割の方に署名してもらえるとの感想でした。 ただいまの答弁で、市のホームページで紹介ということで、まずはスタートできることが大変重要だというふうに思います。庁内に置くことは、市民の皆さんに知っていただき、参加していただく機会をふやすということになりますので、期間限定でも例えば第2会期の閉会、7月7日までなどというような形でもいいので、取り組まれることを要望します。 なお、日本の自治体首長658人、それから長野県を含めまして11の県知事も署名をしております。先ほど部長の紹介にもありました、菅谷市長にも署名をいただいています。 次に、松枯れ対策について質問いたします。 松本市では、地域から要望のあったところ、住民から要望されたところに薬剤を散布しています。
経済地域委員会の報告では、薬剤散布が統計的に効果があったとしています。また、リモートセンシングという衛星画像でチェックして効果があると出ているので、現時点ではこの方法しかないという市長の記者会見のお話でした。 ネオニコチノイドのとりわけミツバチへの影響が取り沙汰されて、関心が持たれてきたというふうに思います。あらゆる農作物について、国内産のものは安全という空気が日本の中にはありますけれども、OECDの調査によりますと、単位面積当たりの農薬使用量は米国やオーストラリアを抑え、日本と韓国がトップだと言われています。そして、この農薬使用量の多さと相関していると考えられるのが発達障害の有病率です。こちらも日本と韓国が断トツトップで、驚くべきことに農薬の使用量と発達障害の発生率は関係しているというような可能性が極めて高いと見てとれる結果も出ています。 近年、EUでミツバチの大量死の原因として、使用が禁止された農薬がネオニコチノイド系農薬で、ミツバチだけではなく人体に対しても影響を及ぼすもので、特に発達障害の原因となるという説があり、残留基準値が日本では欧米よりも極端に高いこと、例えばイチゴの残留基準値は日本では5ppmですが、欧州基準では0.01ppmと500倍も厳しいことや、増加する自閉症や注意欠陥多動性障害、学習障害とのかかわりが取り沙汰されています。2012年には、米国の小児科学会が農薬による発達障害の危険性について公式見解を発表しました。 空中散布のあり方について県が行いましたパブリックコメントに寄せられた声を幾つか紹介いたします。ある方は、私と娘は3年前に慢性投薬中毒と診断された。子供は鼻血を出し、胸が苦しく息ができない。頭痛なども訴え、多動傾向や描画の異常、不整脈も見られた。解毒薬を1カ月飲んで症状は改善した。農薬の空中散布を行った時期が重なっていたという声。また、ある方は、私は、大気中の化学物質により中枢神経機能障害と診断を受けており、解毒剤を飲んでいないと息ができなくなったり動けなくなる。引っ越してきた6月にいきなり呼吸困難に襲われたが、その朝には空中散布が実施されていた。現に苦しんでいる人がいるのに、どうしてまき続けられるのか。子供の命を奪っても平気なのかなどの声です。また、浅間温泉の方で、四賀地区の空中散布後は、毎回散布2日目からのどがいがいがしてきて、頭がくらくらして、だるさが増す。3日目から起きられなくなり、7日間ほど寝込むという声などがあります。 まず、最初の質問ですが、地元協議会の要望もあって、この薬剤散布が行われています。一方で、市民からは不安の声、やめてほしいの声があるのも事実です。5月から6月までに松枯れへの薬剤散布中止の申し入れが幾つかの団体からありましたが、その中身は健康被害や発達障害への心配、子供の安全という側面からの中止の申し入れです。市民の納得のいく説明を求める意見や、いろいろな立場の意見を聞くことを求めています。説明不足への批判、健康被害への不安が浮かび上がってきています。これらの声をどのように受けとめるのか、まずお聞きをいたします。
○議長(上條俊道) 藤井農林部長。
◎農林部長(藤井卓哉) 薬剤散布に対する市民の不安だ、やめてほしいという声についてどう受けとめているかという話ですが、先ほど田口議員のご質問のときにもお答えいたしましたが、国が認めた薬剤を使用し、国・県が定めた実施基準に基づいた薬剤散布は安全であるという認識を市は持っております。使用薬剤については、農業などで広く使用されているものと同じ主成分の薬剤であることを説明してまいりました。しかしながら、一部の住民には正確な情報が十分に伝わっていないという点があり、不安を抱かれることになったかと思います。 ただいま議員のほうからお話がありましたが、最近、確かにネオニコチノイド系農薬というのは、ミツバチへの影響ということで注目されるようになったと思いますが、それが蓄積すれば人体に影響があるという説もあれば、ないという説もあります。これらは害虫駆除剤ですので、やはりそれは使用量を大量に使えば人体に影響があると思うんです。例えば蚊取り線香みたいなものでも、大量に使えば人体に影響があるというのと同じだと思います。取り扱い基準をちゃんと守れば、人体にほとんど影響のない、だから国がそれを認可しているということで、市は、その国が認めた薬剤を国・県が示す防除方法を守って散布をしておりますので、安全だというふうに考えております。 現在実施している薬剤散布によって、健康被害は発生しておりません。先ほど申し上げましたが、薬剤がほとんど飛散しないことを、そういったことも含めて住民説明会を十分に行い、引き続き松枯れ対策に努めてまいりたいと思います。 以上です。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 国・県が安全だということならばよしという答弁でありました。また、健康被害はないということでしたが、現に証言があるということをどのように受けとめられているかというふうに感じました。 次の質問にいきますが、地元協議会は住民の意見を聞いていたのかということについてお聞きをいたします。 県民からの空中散布に対する中止要望を受け、長野県は防除実施基準、平成23年に見直しを行いました。健康への影響の自覚の有無や化学物質に感受性の高い体質の有無について情報提供を依頼し、できる限り必要な情報を把握し、散布の可否を判断することになっていますが、説明をした上で意見をもらっての判断だったのかをお聞きいたします。
○議長(上條俊道) 藤井農林部長。
◎農林部長(藤井卓哉) それにつきましても、地元協議会の状況につきましては、先ほど田口議員のところでお答えしたとおりでございますが、本郷地区、里山辺地区では松くい虫対策協議会を設立し、町会を通して検討会や説明会を実施してまいりましたので、その際に住民の方の意見をお聞きし、周知もできていたと考えております。 今回このように不安の声が上がった要因といたしましては、四賀地区では空中散布による健康被害が既に発生しているという情報がありますといった、根拠が明確にされていない署名活動等が行われ、それまで不安を感じていなかった住民から不安の声が上がったと判断しています。そして、先ほど田口議員のときにもお話を申し上げましたが、私たちが気中濃度を検査していますと、50メートル離れたところではもうほとんど濃度がないというデータが出ております。ですので、6キロメートル離れた浅間温泉のところで感じるというのは、非常にまれな実例だというふうに私たちは受けとめております。 以上です。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 少しやはり見解の相違というものがあるのかなというふうに感じました。 次に、対策の抜本的転換について質問をいたします。 薬剤散布に対して要望する声、また中止を要望する声も両方あるわけです。薬剤は予防のための処置の一つですが、散布をしても現実には広がっておりまして、抜本対策にはなっておりません。リモートセンシングによる四賀地区の被害木調査では、散布地を平成27年と平成28年で比較した集計を見ますと、平成27年の被害率9.06%に対し、平成28年の被害率は23.84%と拡大しています。散布しても広がっているわけです。非散布地と散布地を比較した場合では、平成28年の被害率で非散布地が31.34%に対し散布地が23.84%と、散布地のほうが被害率はやはり低い結果が出ています。効果ありという判断のこれが根拠かもしれませんが、この結果でこれからも継続すると決定づけることには反対です。薬害で苦しむ方が存在する、その事実をもう少し重く見るべきではないかというふうに思います。薬剤散布をやめ、その予算を伐倒燻蒸や樹種変換など、薬剤以外の方向にしっかりとかけていくことが必要と考えます。改めてお考えをお聞きしますが、同じ答弁になりますでしょうか、お願いします。
○議長(上條俊道) 藤井農林部長。
◎農林部長(藤井卓哉) お答えします。 薬剤散布を他の松枯れ対策に回すことはできないかということでございますが、松くい虫対策においては、薬剤散布を実施することで抑制は実際にできております。本市で全国に先駆けて実施した衛星画像を用いたリモートセンシング技術によっても、分析でその効果は確認できております。しかし、被害を完全に抑え込むことができないこともまた事実です。ただ、現段階では伐倒燻蒸、薬剤散布、樹幹注入、さまざまな方法を組み合わせて実施していくことが最も有効で、それにかわる抜本的な対策は、現段階では国や県においてもまだ見出せていない状況です。 議員ご提案の伐倒燻蒸や樹種転換だけでは、感染の拡大というのは防げないというふうに思っております。積極的な対応といたしましては、薬剤散布も必要と考えております。 以上のことから、薬剤散布の予算をほかの松枯れ対策に回すことは、現段階では考えておりません。 以上です。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 要望にしますけれども、青森県では秋田県側から入らないように伐採をして防除帯というものをつくっているとお聞きしました。感染した松を伐採して防ぐ方法です。守るべき松の周辺を伐採する方法は、10年前ピークだった広島県でも推奨していました。県内では千曲市が昨年から見合わせております。ただし、わずかに地上散布というものも行っています。出雲市では、健康面の苦情があり、平成20年から散布を中止しています。予防に成功したのが伊那のかんてんぱぱガーデンとお聞きをしまして、取材をしました。かんてんぱぱガーデンでは、600本の松にこれまでに4回の樹幹注入をしており、1回に1,000万円かかっています。周りは感染していますが、樹幹注入したところは今のところ感染を防いで成功をしています。1本当たりの樹幹注入に1万円以上かけているわけで、そこまでやらないと予防ができないということだと思います。松くい虫の予防には大変お金がかかるということも、私自身わかりました。 抜本対策になっていない薬剤散布をやめるよう、他の方法に税金を有効活用することを私は強く求めたいと思います。化学毒性物質は、母体から簡単に胎児に入ります。この時期は胎児の脳神経系の発達において神経細胞の分裂増殖がピークを迎え、シナプスがよく形成される大切な時期です。子供たちを守る立場、健康を守る立場で、薬剤散布を中止することを強く求めたいと思います。 次に、市立病院について質問します。 病院建設候補地について。 市民から土壌汚染はないかと問い合わせがあります。土地の安全性について確認をする機関が必要ではないかと考えますが、このお考えについてお聞きをしたいと思います。 まず、土壌汚染についてはどのような想定をしているかお伺いします。
○議長(上條俊道) 斉川病院局長。
◎病院局長(斉川久誉) お答えいたします。 松本市立病院の建設候補地につきましては、これから用地取得に向けて交渉を進めてまいりますので、土壌汚染について現在のところは具体的な想定をしておりません。用地を取得するまでに土壌汚染がないかを確認するため、土壌調査等の実施が必要であると考えております。 以上です。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 土地の安全性をどのように証明するのか、第三者機関が必要ではないかと考えますが、お考えをお聞きします。
○議長(上條俊道) 斉川病院局長。
◎病院局長(斉川久誉) お答えいたします。 土地の安全性につきましては、土壌汚染対策法及び土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインにより、土壌調査や汚染があった場合の土地の適切な管理の仕方などについて示されております。用地を取得するまでに土地の安全性を確認するため、土地所有者に同法及びガイドラインに基づく土壌調査等の実施について依頼をしてまいります。土壌調査の結果、土壌汚染のおそれがある場合には、同法及びガイドラインに基づき安全性を確保するため適切な措置を講じてまいりますので、現時点では第三者機関の設置については考えておりません。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 いずれにしましても、これからの手続ということでありました。 次に、新たな病院の役割について質問いたします。 無料低額診療制度の導入についてです。 公立病院の役割として、一般病院がやれない部門や医療費の支払いに不安な市民が受診できる仕組みが必要と考えます。無低診、無料低額診療制度を公立病院でやるべきと一般病院からも声があります。短期保険証など、医療にかける経済的な問題があって受診がおくれて亡くなる、そういう方が全国では五十数人という調査についてお伺いしました。この中で松本管内では2人という報告を受けています。お金の心配なく受診ができる環境整備が公立病院の役割の一つと考えています。薬局にはこの制度がないので、薬局にもこの制度をつくらせようという動きもあります。無料低額診療制度は、公立病院では例を余り聞きませんが、済生会病院で幾つか例があります。生活保護の捕捉率は長野県が2番目に低いと言われる中、経済困難を抱えながら受診を控える事態を防ぐべきだというふうに思います。 最初の質問ですが、市立病院での未払いの実態をお聞きいたします。
○議長(上條俊道) 斉川病院局長。
◎病院局長(斉川久誉) 市立病院における未払いの状況につきまして平成27年度で申し上げますと、同年度中に患者負担分として請求した診療費のうち、1年後の平成28年度末の時点で未払いとなっているものが、件数で222件、金額で266万円という状況でございます。診療費の支払いが困難な方には、個々の状況に応じてお支払い方法等について早目にご相談するなど、未払いにならないように努めております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 滞納者へは支払いを促していくということで、困窮した暮らしの中でもあくまでも支払いを求めていくというのは心が痛みます。 次の質問ですが、平成23年2月定例会の答弁で、この無料低額診療制度について経営面への影響、病院の立地条件、新たな医療スタッフの確保を初めとする受け入れ態勢の整備、既存の減免制度の整合など、個別の課題とともに医療福祉政策全般にかかわる問題で慎重に検討という答弁でした。その後、県内の公立病院の意向をお調べいただき、9月議会では25の公立病院のうち回答があった19の病院からは、制度導入は考えていないとの回答であったとの答弁でした。最も懸念されることは、経営面かと思います。 厚生労働省の調査では、平成17年のもので少し古いですが、この無料低額診療制度で減免を受けた患者数は634万人、実施した施設は260ということで、全患者の14.3%になるようですが、これは病院側の負担が決して軽くないとは思います。ただ、制度を利用した方の半分以上は、結果的には生活保護に移行しておりますので、医療費を病院が持つ期間はそんなに長くはないと思います。一般病院のように、固定資産税の減免など優遇措置はない中ではちゅうちょするのもわかりますが、本来、公立病院の役割として不採算部門を設置することや、経済的困難を抱えても安心して医療にかかれる環境整備は、公立病院にこそ求められると思います。一般病院からも市立病院でぜひ無料低額診療制度をやってもらいたい、こういう強い声があります。この制度導入について再度お聞きをいたします。
○議長(上條俊道) 斉川病院局長。
◎病院局長(斉川久誉) お答えいたします。 無料低額診療制度の導入につきましては、ただいま議員からご紹介がありましたとおり、平成23年2月定例会の犬飼明美議員、同年9月定例会の池田議員のご質問に対しまして、当時の病院局長が既存減免制度との整合など、医療福祉施策全般の問題などにより、制度を導入する考えはないという趣旨の答弁をしてございます。 その後、市では、子育て支援医療の対象拡大や市民が相談しやすい環境を整備するなど、市民の生活を支援する施策の充実を図ってきております。こうした市の施策との整合を図りながら、地域に必要な医療を提供することも公立病院の役割と考えております。したがいまして、無料低額診療制度についての基本的な考え方はこれまでと変わりなく、制度の導入については考えておりません。 今後も、公立病院の役割として経済的に困窮されている方であっても、安心して受診をしていただけるよう相談体制等の充実に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 この無料低額診療制度については、本当に何度も質問をしておりますけれども、全く風穴もあかないようで残念でございます。公立病院では、実施しているところが全国でもやはり余りお聞きをしませんが、公立に準じる弘済会病院とか済生会病院のグループ、また民医連病院では多く取り組まれておりますので、参考にしながら強く私はこの取り組みを求めたいと思います。 4番目の質問ですが、医療費の窓口無料についてです。 本市の福祉医療は、子育て支援医療、障害者支援医療、ひとり親家庭支援医療の自己負担分の一部を助成する制度です。一旦窓口で支払い、3カ月ほどして口座に戻される。1レセプト当たり500円の負担分を引いた分が戻されます。全国では窓口無料が広がっており、昨年、岩手県が実施して、子供医療費を一部でも窓口無料化しているのが39都府県、残り8道県が償還払いです。全く1市町村も窓口無料になっていない県が長野県を含めて4県、うち長野県含め3県は窓口無料の方向が出されています。長野県がこのほど来年8月から窓口無料を実施することを決めました。私たちも保育園前の署名運動など何回も取り組んできましたが、長年の子育て世代の願いや住民の運動が実りつつあるというふうに思います。 最初に、まず、長野県のこの検討はどこまで進んでいるのか、窓口無料について検討がどこまで進んでいるのかお聞きいたします。
○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。
◎こども部長(伊佐治裕子) ただいまお尋ねの医療費を窓口で支払わない方法の検討状況でございますが、国は窓口負担がない市町村に科していた「国保ペナルティー」を平成30年度から未就学児分、これに限って廃止することを昨年12月に公表いたしました。 先ほど犬飼議員のお話にもありましたが、このことを受けて県では、県と市町村の代表で構成される長野県福祉医療費給付事業検討会を立ち上げ、子育て支援や少子化対策を推進する観点から検討が重ねられてきました。本年3月にこの検討会の取りまとめとして、導入する範囲を中学校卒業までの入院、通院とすることや、受給者負担金は現行の1レセプト当たり500円とする方針が示されたところです。県が5月下旬に行った説明会では、「国保ペナルティー」など新たに生ずる市町村負担分の2分の1を県が補助する方針や、この見直しを平成30年8月からとすることなどが示されました。 本市といたしましても、この内容に沿った準備を検討しているところでございますが、このことが実現した背景には、犬飼議員を初め議員の皆様による長年のご支援がありました。この場をお借りしまして、改めて御礼を申し上げます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 新聞報道では、窓口での支払いはないという報道でした。しかし、医療費に関して窓口の支払いがないということでありまして、負担金は求められるということです。ただ、やはり長年の県民の運動の中で、ようやく踏み切られるということに対しては非常に私はうれしく思っているところです。窓口無料といいましても、1レセプト当たり500円の負担金支払いが必要という、実はこの点少し県民をがっかりさせていることになっています。2014年時点で、負担金を取らない県は宮城、群馬、山梨、岐阜、愛知、和歌山、香川の7県、そのうち群馬県は15歳まで負担金を取らないということでした。 次の質問ですが、1レセプト500円の負担金、これを市の負担で無料にできないかお聞きします。負担金の意味合いが持続可能な制度とするために、制度を受けていることをわかってもらう、そのために受益者の負担を理解してもらうという、検討会の取りまとめの結果もございますが、窓口無料というこの願いを実現させるために、市の負担で無料にできないか、このことをお聞きします。
○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。
◎こども部長(伊佐治裕子) 受診者が窓口で支払う負担金につきましては、先ほど申し上げた検討会において、受益と負担の関係を明確し、将来にわたり持続可能な制度とするため、現行の負担金を維持することが適当であるとされました。 本市においては、この検討会の取りまとめに基づき、当面は現行と同様に1レセプト当たりの負担金を500円として実施したいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 犬飼明美議員。
◆23番(犬飼明美) 〔登壇〕 当面はということでございますので、大変期待するところでございます。窓口無料は、お金がなくても医療を受けられる、子供たちの命を救う制度です。佐久市長選挙と中川村の村長選挙では、いずれも当選された方々は医療費完全無料化実現を打ち出していました。子供が熱を出しても、給料日前だと医者に連れていけないという声は多くのお母さん方、子育て世代から寄せられており、手おくれになったり重篤化するのを避ける意味で大切な制度です。子供の貧困が広がる中、ますます重要性は高まると考えられます。子供は未来です。今後、市独自で無料とし、お金の心配なく医療にかかれるという制度への前進を、しかも本市から率先して実現することを強く求めて質問を終わります。ご協力ありがとうございました。
○議長(上條俊道) 以上で犬飼明美議員の質問は終結いたします。犬飼明美議員は自席へお戻りください。 次に、32番 池田国昭議員の質問を行います。池田国昭議員は質問者待機席へ移動してください。 32番 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 日本共産党松本市議団を代表して、2回目から一問一答で行います。 まず、中核市についてです。 昨年12月定例会での議論の到達点に立って、中核市への移行について改めて検討なのか、それとも推進なのか、中核市ありきなのか、そうではないのか、再確認の意味も含めてまずお聞きしたいと思います。 次に、松本市の教育行政について。 政府が教育勅語を学校での教材として用いることを容認する閣議決定に対し、教育長が少し違和感という答弁、そしてこの一連の経過について大きな関心がある。政府の動きに対する考え方を市教育委員会としても議論したいと、このように発言をしました。 そこで、教育勅語そのものに関する見解とともに、この閣議決定に関して改めての見解をお聞きしたいと思います。 次に、重要文化財旧開智学校の売店で売られていた教育勅語についてお聞きしたいと思います。 事の本質は、教育勅語のレプリカに加え、大事なところを意図的に脱落、誤訳をしている口語訳が一緒に販売されているということです。これについてどう考えますか。また、現在この商品は販売中止としているということですが、その理由は何かを聞きたいと思います。実は、5月11日の午前中に私はこの重要文化財旧開智学校へ行って、その売店に飾ってある実物を見てきた経過がございます。 次に、生徒の学力向上、教育指導の改善という口実で始まり、10年を迎えた全国学力・学習状況調査について、回を重ねるごとに点数競争が激化、学校の自主性が奪われ、教育をゆがめ、学校の現場に多忙化など弊害が起きております。全国では、点数競争化した極端な例が報告されておりますが、松本市でも結局同じような現象が生まれているのではないでしょうか。 以下、質問でこの点も含め明らかにしたいと思いますが、誰のための学力向上か、この点に関連して、まず全国学力・学習状況調査、以下学力テストと言います--を実施後、全部コピーして学校で採点している。松本市でもそのような学校があるのかどうか、何校あるかお聞きしたいと思います。また、これは一体誰の指示なのか、こうした早期採点についてどのように考えているのかお聞きしたいと思います。 次に、イオンモール松本開店に伴う渋滞対策についてお聞きします。 市長は、イオンモール株式会社の吉田社長との懇談の際、予想される交通渋滞の緩和について社としても万全を期したいと説明をいただいたとのことですが、その具体的な内容について少しお聞きしたいと思います。 最後に、トイレ環境についてです。 松本市役所関係施設内のトイレの温水洗浄便座化についてお聞きします。 市施設のトイレの温水洗浄便座の設置状況についてお聞きします。全くないところには、トイレの温水洗浄便座が必要と考えますが、いかがですか。例えば波田の支所などには1つもございません。温水洗浄には医学上問題があることを指摘する医療関係者がいることは承知しています。でも、一方で、温水洗浄機つきトイレの要望があることは事実です。この点を踏まえて質問し、第1回目の質問といたします。
○議長(上條俊道) 菅谷市長。
◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 池田議員の中核市移行方針に関するご質問にお答えします。 中核市移行の検討の進め方につきましては、昨年12月定例会の池田議員のご質問にお答えをし、本年度の行財政運営通達で部局長初め職員に対し、中核市に関する検討ということで私自身の考えを伝えたところですが、これからも引き続き慎重かつ丁寧に検討を重ねていく所存でございます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 赤羽教育長。
◎教育長(赤羽郁夫) 〔登壇〕 教育勅語に関する2点のご質問にお答えをいたします。 まず、1点目の閣議決定等に対する見解でありますが、3月31日に憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されないという答弁書を閣議決定したことについては、大きな関心を持っております。4月の教育民生委員協議会でもお答えしたとおり、戦後の参議院で失効確認の決議がされ、衆議院において排除に関する決議が行われた歴史等を考えますと、少し違和感があると言わざるを得ないというのが現在の認識であります。 次に、2点目の教育勅語の翻訳につきましては、意図的に脱落して口語訳されているという意見もあることは承知しておりますが、政治的な問題を含む全国レベルの論争的な課題でもあり、解釈や口語訳が多数存在いたします。そのため教育委員会としましては、そうした状況を踏まえ、特定の解釈や口語訳について意見を申し上げることは適当ではないと考えております。 なお、旧開智学校で販売されておりました資料につきましては、ご指摘がありましたので、資料的価値もあり、その検討のために現在は販売を中止しているということであります。 なお、教育勅語は、明治時代に教育の基本方針として示されたものであり、先ほど申しましたとおり、戦後の歴史的事実も重く受けとめていく必要があります。したがいまして、松本市教育委員会といたしましては、教育勅語を推奨するということは考えておりません。 次に、全国学力・学習状況調査に関するご質問にお答えをいたします。 平成29年度松本市内の自校採点実施校は、小学校3校、中学校6校でありました。これは、全国学力・学習状況調査の結果に対する早期対応のため、各学校の判断で実施したものであります。 なお、5月23日に行われました教育民生委員協議会の折、池田議員からご発言がありました全国学力・学習状況調査に対する対応や学校訪問に際して、県教育委員会が特定の学校に対して指導主事が訪問し、点数の底上げを図る指導を行っているという事実はございません。同様に、松本市教育委員会も指導主事が訪問し、一方的に指導に当たるという取り組みは行っておりません。 松本市教育委員会では、個々が身につけた知識、技能から過度な競争や序列化が生じることなどは全く意図しておりません。時代の多様化に伴い児童・生徒がこれからの世をたくましく生きるために必要である、みずから課題を発見し、その解決に向けた探求力、成果等を表現するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力や関心、意欲を高め、主体的に多様な人々と協働する態度などを学力として広く捉え、その育成に今後も努めてまいります。 以上であります。
○議長(上條俊道) 川上商工観光部長。
◎商工観光部長(川上正彦) 〔登壇〕 イオンモール松本の開店に伴う、市内の交通渋滞対策に関する質問にお答えいたします。 今定例会初日に市長が提案説明で申し上げましたとおり、イオンモール株式会社の吉田昭夫社長との懇談の際、改めて開店に伴う中心市街地を初めとした街なかの交通渋滞対策について説明をいただきました。吉田社長からは予想される交通渋滞の緩和策として、ソフトオープン、グランドオープンの導入などによる開店直後の集客ピークの分散のほか、入庫用車線やバスベイの設置、きめ細やかな誘導員の配置や看板による誘導、松本商店街連盟共通駐車券システム加盟駐車場の活用、公共交通利用者に対する優遇など、さまざまな対策をイオンモール側で実施検討しているとのことでございました。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 高野財政部長。
◎財政部長(高野一司) 〔登壇〕 初めての答弁ですので、よろしくお願いをいたします。 トイレの環境についてのご質問にお答えをいたします。 トイレにつきましては、施設所管部局において整備しているところでございますが、市の施設全体にかかわるご質問でございますので、財政部から一括してお答えいたします。 まず、温水洗浄便座の設置状況でございますが、50平米未満の小規模な施設を除き、市の施設は722施設ございます。この722施設のうち市営住宅など使用者が特定される施設は302施設で、残りの420施設が多くの市民にご利用いただく施設となっております。この420施設のうち、温水洗浄便座を有している施設は156施設あり、大便器が2,279穴設置されており、そのうち洋式便器は1,582穴で、この洋式便器に945穴、温水洗浄便座が設置されております。一方、温水洗浄便座を有していない施設は264施設となっております。 次に、これらの未設置施設への温水洗浄便座の整備につきましては、施設の規模、トイレの置かれている環境、利用者数や利用者の態様などを総合的に勘案しながら、施設所管部局において適切に対応してまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 中核市、慎重かつ丁寧ということでしたが、実は私の今手元に松本市の中核市移行に関する県・市連絡会議設置要綱というのがございます。何と書いてあるかというと、松本市の中核市移行の円滑な推進を図るためと書いてあります。誰が、いつ、この設置要綱を定めたのか、私は、この要綱は中核市のスタートライン上で前のめりという状況をはるかに超えて、既にドンと出発というふうにしか見えないわけですが、まず、この点についてどのようにお考えですか。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) 初めての答弁ですので、よろしくお願いいたします。 それでは、お答えいたします。 松本市の中核市移行に関する県・市連絡会議は、昨年11月4日、菅谷市長が阿部県知事に対し、本市の中核市移行の取り組みに対する協力を要請した後、県と市との具体的な調整及び協議を行うための組織として、双方の協議により要綱を作成し、昨年11月24日付で設置したものでございます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 双方の協議ということですので、松本市も当然この責任がある要綱です。口を開けば慎重に検討ということですが、既に先ほど来、12月の前から私たち議会には報告なく推進ということを県と一緒に進めていると、私は、この点は非常に厳しく問題点として指摘をしておきたいと思います。もしこの点について何かございましたら、答弁をよろしくお願いします。 次に、移行による職員体制や組織体制については、現在どこまで検討が進んでいるのか、仕組みづくりは大事ですけれども、それが機能しなければ何の意味もない。人員を何人ふやすのか、特に保健所関係の職員は何人にしていくのかお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) お答えいたします。 まず、中核市移行につきましては、当初から慎重に進めてまいりますと市長のほうで発言をしております。職員及び組織体制につきましては、移譲される事務の内容や業務量などを精査した上で、必要な職員数及び組織体制を今後検討することとしております。現在は移譲事務について県と協議、調整を開始する段階でありますことから、保健所も含め具体的な職員の増員数につきましては現時点では算出しておりません。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 ならばお聞きします。では、推進ではなくてということでよろしいですかと。これどうしても通告はしておりませんが、答弁ですから、ぜひお答えください。 さて、岸和田市の例を申し上げます。岸和田市は、当初、全体の見込みを、職員全体ですね、38人からその後に見直したら56人と約1.5倍となっています。そのうち保健所の人員は当初31人、その後39人まで広がっています。加古川市の検討した、この調査検討報告書です。これによると、もともと保健所を持っていない市は、平均で約49.6人、50人ですね。最高では74人という都市が生まれていると、こういうことも検討しながら今やっているんですが、お聞きしたいのは、では、その職員増員の必要数というのは、いつごろをめどに明らかにする予定なんですか。先ほど申し上げた推進ではなくて検討でいいのかということと同時にお答えください。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) 中核市の推進か、検討かというご質問につきましては、1回目で市長が答弁したとおりでございますので、よろしくお願いします。 (「推進ではないということでいいですね」と池田国昭議員呼ぶ) お答えいたします。 今年度末を目途に、移譲事務に関する県との協議、調整の結果を取りまとめる予定としておりますことから、その段階において必要な職員数を明らかにしたいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 今年度末ということですけれども、実は保健所関係の職員はふやしたものの、いわゆるその関係する事務職の方を既存の保健部門から兼任させると、結果として保健所とその他の衛生関係の職員の合計を見ると、移行後2年、3年経過するにつれて、その合計が減らされているというのが全国的な例です。結局、私は、そうならざるを得ないのかなと思いながら、そういうふうにしないんだということを言明できますか、お聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) 保健所の設置につきましては、現在その人員も含め検討するということですので、保健所設置後に人員が削減されるということは、今の時点では申し上げることはできません。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 すみません、今のは通告していなかったもので。 次に、保健所の建物そのものはどのようにするつもりなのかということをお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) お答えいたします。 ご存じのとおり、中核市は保健所の設置が法律で定められております。今後、松本市が検討していく新たな保健所につきましては、有識者会議などの外部委員会を設置し、専門家や関係機関の皆様のご意見をお伺いしながら、県との協議、調整を進める中で、新たな建物の必要性を検討してまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 ぜひ私が懸念するようなことがないようにしてもらいたいと思います。 次に、中核市移行に向けた取り組みという文章が決まりました。この中には、移行に伴う経費の増額分は、交付税等でおおむね賄うことができるというふうに書いてありますが、実際はどうなんでしょうかお聞きします。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) お答えいたします。 中核市移行に伴う財政措置としましては、移行に要する経費としまして特別交付税が1,000万円交付されます。また、移行後には事務を執行するための経常的な経費としまして、普通交付税が増額されます。中核市に移行した他市の事例では、普通交付税の増額により継続的な経費はおおむね賄うことができるとされております。 しかしながら、移行に伴い施設整備が必要になる場合や、移譲事務の内容によっては普通交付税の増額分を上回る負担が生じることも予想されますので、財源の確保を見通しながら経費の算出を慎重に行い、今年度末の取りまとめの段階で見込み額を明らかにしてまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 継続的な経費は、交付税で賄うことができると今おっしゃられましたが、余りにも甘い見方じゃないですか。実はこの交付税額と言われている金額は、あくまで基準財政需要額に算入されるだけのものであって、それが丸々交付されるかどうかなんてことは、この間この議会の中でも大分議論している中身です。実際に大阪の岸和田市でも、基準財政需要額の試算額と交付税の試算額というのは同じなんだと、同じにしか今見られないんですよ。 そこで、もう一つ私は大事だと思うのは、全額交付税で来るんじゃないんだということに加えて、さて移行してその1年の単年度だけではなくて、実際に2年、3年、4年たって、その予定の交付税がそのまま交付されるのかと、経年でちゃんと来るのかという問題なんです。先ほど紹介したこの加古川市の調査検討報告書によると、地方交付税については試算結果は担保されるものではないと、中核市移行後に減少している自治体が多いと、中長期的に安定的な財源確保が担保されているものではないと、そして川越市などは移行年のみが少しふえたけれども、3年間の計、3年後の前後6年で見ると、6年後は3年前と比べてもそのときからも下がっているという例をこの加古川市の調査検討報告書には書いているんですが、この点についてはどのようにお考えですか。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) その点につきましては、ご意見としてお伺いしておきます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 ぜひ大事なものとして受けとめていただきたいと思います。 さて、移行方針は、いつ、誰が、どのような過程を経て決める予定なのかということを改めてお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) お答えいたします。 中核市の移行方針につきましては、今年度末を目途に、移譲事務に関する県との協議、調整の結果、移行による効果及び課題を整理し、検討庁内委員会において移行方針案を作成いたします。その後、方針案を庁議において協議をし、市議会にお諮りした上でパブリックコメントの実施により市民の皆様からのご意見をお伺いし、平成30年度上半期の策定を予定しているところでございます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 それでは、その方針書をパブリックコメントにかける前に、その前の委員会も含めて、先ほど私が申し上げたような懸念もどうなんだということをちゃんと検討していただきたいと思います。 さて、その移行方針との関係で、市民の皆さんへの移行確認というのは、いつ、どのような方法で行うつもりですか。合併のときと同じ轍は絶対踏んではいけないなというふうに私は思っているんですが、いかがでしょうか。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) お答えいたします。 中核市移行の検討の過程につきましては、現在、市ホームページや広報まつもとなどを通じて市民の皆様に情報を提供しているところであり、今後も引き続き検討の経過を掲載し、市民の皆様からのご意見をお伺いしてまいります。また、移行方針がまとまり、その後、実施するパブリックコメントにあわせて中核市移行に関する住民説明会を開催し、市民の皆様から直接ご意見をお伺いする機会を設けていきたいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 先ほど私が合併のときと同じ轍を踏まないようにと言ったのは、当時は、集会をやり統計学なるものを持ち出して、結果的には推進したんですよ。そのやり方は間違っていたということで、四賀トンネルは別の方法をとりました。ぜひ合併に向けた取り組みにまさるとも劣らないこの重要案件については、先ほど申し上げたように、情報提供というならば、その前の段階で、先ほど来心配していることについては、ぜひ含まれるものと理解しますが、その方向で市民には明らかにし、住民説明会の中でも明らかにしていっていただきたいと思います。 さて、最後に、この移行の最終判断というのは、どういうふうに行うのか、どの段階で何をして移行と決まるのかどうか教えてください。
○議長(上條俊道) 山内政策部長。
◎政策部長(山内亮) お答えいたします。 中核市移行の最終決定につきましては、市議会へ中核市指定申し出についての議案を提出し、議決を経た後に県に同意を申し入れ、県議会の議決、県知事の同意、国への中核市指定の申し出、そして閣議決定により政令が公布されることで、最終的に中核市への移行が決定される手続となっております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 12月の議会では、中核市にならなければ実現しない市民要望サービスはありませんというふうに明言がされました。私は、この財政的な問題のみ取り上げて今回の問題について指摘をしているわけではありません。保健所を初め新しい権限の移譲により、迅速にきめ細かく質の高い、より高度な行政運営が期待できるというメリットを私は否定するものではありませんけれども、しかし、この財政的な裏づけなくしてこの仕組みだけができても、ちゃんと機能させるにはマンパワーとともに財源が欠かせないんですよ。ぜひそうした点をしっかりと検討し、中核市先にありきではなくて、決められたロードマップで結論を出すのではなくて、そういうことがはっきりしなければ、まずそれを市民に明らかにすると。今後、博物館や市立病院の新築や新たな市庁舎の建設も出てきますが、当然、財政シミュレーションも必要になるというふうに思うんです。ぜひそういう点で、私は説明責任を行政が果たし、そして市民の皆さんの判断を仰ぐと、そうした覚悟を持って進めることを強く求めたいと思いますが、議長、聞いてもいいですか。
○議長(上條俊道) 答弁ありますか。 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 それでは、次に、政府の教育勅語の教材利用をオーケーとする答弁書ということについてさっき答弁がございました。なぜ今になって、この閣議決定がされるかということについて少し申し上げます。戦後の歴代政権と文部省は、これを教材として扱うことを否定してきました。これをここに来て安倍政権になって、いわば政治主導で急転換してきたというのが今の状況です。前川喜平さん、皆さん想像しているあの前川喜平さんです。この方が、当時、文部科学省初等中等教育局の局長として国会で何と答えたかと。教育勅語の中には、今日でも通用する内容が含まれており、これらの点に着目して学校で活用することは考えられると、こういうふうに答弁したんですが、これではいけないんで、実はもともとこの前川さんたちが準備した答弁書はこうだったんです。学校教育で使うことは慎重にすべきだという答弁書を用意していたんですが、これをいわば曲げられたという中での答弁でした。そして、それを受けて当時の下村文部科学大臣が学校で教材として使うことは差し支えないと、さらに踏み込んで、教育勅語そのものの中には至極真っ当なことが書かれているのでというふうに記者会見で述べて、実は、この前川氏の指示と言い切っていいかどうかあれですが、そういう中で、先ほど来のような答弁が行われ、実は、前川さんはやっぱりその後でこういうふうに言い直したんです。その後、この前川局長は、教育勅語そのものを教材として使うことは考えられないというふうにまた否定をしたんです。ちょうど今の加計学園のような状況かなと私は思っております。 いずれにしても、政治的な圧力でこの戦後の教育勅語をめぐるこの日本政府の見解がゆがめられてきたと、今、ゆがめられつつあるということが非常に大事だというふうに思うんです。 そこで、改めてお聞きしたいと思います。1983年5月11日、参議院の決算委員会で瀬戸山文部大臣が述べております。時間がないので、衆参両院でそういうことは朗読しないとか、学校教育で使わないということを決議されたと。教育勅語の成り立ち及び性格、そういう観点からいって現在の憲法、教育基本法のもとでは不適切であると、こういうことが方針で決まっているというふうに、このとき瀬戸山文部大臣は答弁しています。これは、実はある私立高校が学校行事で教育勅語を朗読していたことが問題になったときの答弁です。このことについてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 まずは、先ほど教育長が申し上げましたことが教育委員会の基本的な考え方でございます。その上で、瀬戸山文部大臣の答弁につきましては、昭和58年の当時の文部大臣の発言という歴史的な事実として認識しております。松本市教育委員会といたしましては、そうした歴史も踏まえ適切に対応してまいります。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 時間がなくなってきたので、次の質問は、勅語というのは大体どういう意味ですかという質問でしたが、勅語は、明治憲法のもとで天皇が大権に基づき、国務大臣の副署を要さずに親しく臣民に対して発表した意思表示と、これが教育の分野における勅語の意味なんです。要は、全ての徳目が皇室国家のためという内容なんです。この教育勅語というのは、ご存じの、私は知りませんが、学校の奉安殿の中に御真影と一緒に保管されて、そこの前を通るときは最敬礼を求められて、もししなければ何かやられて、打ち首とはなりませんが、そういうぐらいに重大な扱いだったんですよね。 こういう歴史的経過との関係で、教育勅語を改めてお聞きしますが、どのように考えますか。今、学校の入・卒業式に檀上に上がる際に、誰もいない壇上に向かって日の丸がある場合とない場合がありますけれども、一礼して上っていく例がございますが、私は、これらの行為というのは、この名残だというふうに言われていると思うんです。改めて、こうした歴史的な扱いもされてきた先生方の命を奪うようなこともあった、自殺をしなければいけないような事態があったこの教育勅語について、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 教育勅語は、明治時代に教育の基本方針として示されたもので、昭和23年の参議院での失効確認の決議、衆議院における排除の決議をしたものであり、さまざまな解釈がございます。そして教育勅語は、その時代によっても解釈の違いがございますので、その意味でも歴史的資料としての価値はあるのではないかと思います。 なお、冒頭、教育長が申し上げましたとおり、松本市教育委員会は推奨することは考えておりません。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 さまざまな解釈があると言いつつ、松本市としては推奨しないと明確な答弁ですので、この衆参両院の国会決議は時間がないので紹介しません。この後、文部省が2つ通達を出しました。1つは、1946年10月8日、学校にちゃんと保管しろという通達をまず出して、その後に、今度は、1948年6月25日に大至急文部省へ返還せよと、書類を添えてと、こういう扱いになったんです。確かに歴史的にいろいろあって、いわゆる歴史の逆流があったりする中ですけれども、それでもこういう扱いになったと。 それで、次にお聞きしたいのは、この教育勅語についていわゆる部分的に、内容的には否定しない、こういういいものがあるという見解を述べる論調があります。これを部分的真理論というふうにいうらしいですが、何人かの政府関係者が最近また述べ始めておりますけれども、稲田防衛大臣がことしの4月11日に、現在でも通用するような価値観があると、このように述べたそのものです。この部分的真理論について、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 教育勅語につきましては、その時代背景によっても多くの解釈や口語訳が存在しておりますので、議員ご紹介の考え方につきましても、そのうちの1つの考え方であると思います。 松本市教育委員会といたしましては、先ほど教育長が答弁いたしましたとおり、戦後に両院で決議された歴史的事実を重く受けとめております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 残念ながら部分的真理論そのものについての答弁なしと。 では、お聞きします。実は、この教育勅語の中に、夫婦相和しという言葉があります。私も実は聞いてびっくりしたんですが、この夫婦相和しというのは、今の夫婦の相和しではないということは皆さんご存じだと思うんです。そうではなくて、この夫婦相和しという意味は、仲よくではなく、妻は自分の意思に戻るなと、知識裁量は夫に及ばないと、夫に服従して逆らうなと、こういう意味としてこの夫婦相和しを明治政府が教育勅語の解説書として紹介したと、そういう事実があるんです。これについてどのようにお考えかお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 明治時代には300を超える解説書があったようですので、お答えが大変難しいわけですが、当時は、男子が家族員を統制する家父長制度のもとで男尊女卑的な考え方が一般的でございましたので、現代感覚の夫婦仲よくするというものとは異なっていたのではないかと認識しております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 私が紹介したこの教育勅語の解説書は、1890年の翌年、教育勅語発布の翌年に明治政府の文部省がつくったものです。この事実をぜひ踏まえて、一般論だとかいろいろあるだとかではなくて、事の本質をぜひつかんでいく必要があるかなと思います。 次に、後ほどの議題にも関係するんですけれども、一旦緩急あれば、義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべしと、一番問題、話題になっているところですが、この部分の意味についてはどのように教育委員会は捉えていますか。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 まず、天壌無窮、皇運扶翼という言葉の意味を解説をしたいと思います。広辞苑によりますと、天壌無窮は、天地とともに極まりのないこと、皇運は、皇室の運、扶翼は、仕事、任務がうまく進むように助けることと記載されております。また、大辞林によりますと、天壌無窮は、天地とともに永遠に続くこと、皇運は、皇室の運命、扶翼は、助け守ることと記載されております。この文全体の意味でございますが、1940年、昭和15年の文部省訳によりますと、万一危急の大事が行ったならば、大義に基づいて勇気を奮い、一身を捧げて皇室国家のために尽くせと書かれております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 大辞林のほうが正確ですね。今、紹介された一つの口語訳を、幾つも口語訳がありますが、その私が申し上げた天壌無窮と皇運と扶翼もそうですね、これがいわばキーワードなんです。 そこで、こうしたことについて教育長が今後いろいろ議論が必要というふうに冒頭に紹介をしたとおり、今後、先ほど来申し上げた、今この時期に安倍政権がやろうとしている、この狙いとの関係で、今後、市教育委員会としてこの教育勅語の歴史扱いについてどのような議論をするつもりでいるかお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 松本市教育委員会といたしましては、山積する教育課題の一つとして捉え、まずは教育史や教育的資料の価値などについて研究してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 それでは、この項目の最後、市長に見解を求めたいと思います。今回質問としては教育勅語ということでしたが、後ほども言う質問の学力テストの問題は、安倍首相が書いた有名な「美しい国へ」の中で、学力テストの結果は公表するべきだというふうに書いています。いずれも、戦争する国づくりと無関係ではないものだと思います。秘密保護法や集団的自衛権の容認、そして戦争法、そして今、共謀罪と、さらに加えて憲法の明文改憲にいよいよ手をつけて、2020年までに変えていくと。 市長は、共謀罪については拙速になってはいけないというぎりぎりのコメントと言えばそれまでですが、されましたが、こうした教育勅語の復活、憲法9条の2項に、3項で自衛隊を書き込む、こうしたやり方について、この憲法を変えて、しかも期限を区切ってやるという、この一連の安倍首相のやり方について、市長はどのように考えるか最後にお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 菅谷市長。
◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 それでは、お答えいたします。 憲法改正についてでございますが、戦後我が国は、日本国憲法で国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を三大原則として掲げ、憲法9条に戦争放棄を規定し、平和国家として発展してまいりました。日本国憲法は、日本が世界に誇る先駆的、先進的な法規範であると考えております。また、先ほどの犬飼明美議員へのご質問にお答えいたしましたとおり、世界平和の希求は私の政治信条でございます。先般、安倍首相が自民党総裁として2020年という目標を明示して、9条の改正内容も含めて発言があり、具体的な案はこれから示されることになるわけですが、私は、憲法の改正に関しては、かつて我が国が戦争へと向かった忌まわしき道に二度と戻らない平和主義を第一に、国民に対する十分な説明と広く国民的な徹底議論がなされ、慎重にも慎重の上、進めていくべきものであると考えております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 続いて、重要文化財旧開智学校で売られていたレプリカ、プラス、口語訳ですが、そこにはこういうふうに口語訳が添えられていました。非常事態の発生の場合は、真心を捧げて国の平和と安全に奉仕しなければならない。このことを報じた信濃毎日新聞が、意図的誤訳、特定解釈を伝える可能性というふうに報じましたが、さて、このある意味、特定の解釈を与えるこの口語訳を添えたレプリカ、販売されていることによる影響について教育長はどのように、教育部はどのように考えるか。今、販売が中止されているというふうにお聞きしていますが、どうした意味で中止しているのかということも含めて、それからいつからどんな目的でこれが販売をされてきたのかお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 販売を中止していることにつきましては、先ほど教育長のほうからお答えしたとおりでございます。 重要文化財旧開智学校は、教育博物館としての位置づけもあり、これまで教育史を学び、研究する方などに教科書などの復刻品を資料として提供してまいりました。これは、教育博物館の役割の一つと認識しております。また、教育勅語資料の販売の事実を確認できましたのは、平成24年度からでございます。なお、平成2年に開催いたしました教育の文化誌展の折にも、一部取り扱いがあったのではないかと推察されます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 ならばお聞きしたいのは、この歴史的な教育勅語と違う訳が添えられているんですよ、ご存じのとおり。国の平和と安全に奉仕しろというのと、皇室のためにやれというのと大違いじゃないですか。これが添えられて売られていることについては、どのように考えるんですか。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 そういったご意見をいただいたということで、今、慎重に教育委員会の中で、そういった事実も含め、また歴史等ももう一度きちっと研究しながら、慎重に対応を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 松本市の重要な教育行政のいわば視点が、原点が問われていると思うんです。ぜひ間違いのない決定をしてもらいたいというふうに思うんですが、さて、このことに関して5月25日に教育委員協議会が非公開で行われました。当初予定した時間よりも長くかかったというふうに聞いておりますが、協議された時間、このことについて、及びその内容、結論についてお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 5月25日の教育委員協議会におきましては、その取り扱いについて30分に及ぶ議論を行ってまいりました。協議の内容は、担当課から今回の経過等の報告を受けた後、松本市は教育勅語を推奨するものではなく、教育資料として販売してきたという基本姿勢を確認し、今後も教育史や教育資料の価値などについて研究し、引き続き慎重に検討をしていくということとしております。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 さっきも言ったかもしれませんが、これは教育資料じゃないんですよ、当時の使われ方と違う資料ですから。 さて、改めて教育委員会として今後どうするかということですが、私の要望として、改めて結論を出す教育委員協議会が開かれるかと思うんですが、いつ開く予定なのか、及び今度のこの協議会は私は公開でやるべきだと、市民にこのことを知ってもらう意味でも、公開で行うべきと考えますが、いかがですか。そのことを最後に、このことについては最後にお聞きしたいと思います。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 現在、教育史や教育資料の価値等に関する調査研究を進め、教育委員協議会の場で協議する資料の作成を進めているところですので、資料の作成や会議の準備が整い次第、引き続き教育委員協議会の場で検討してまいります。 なお、教育委員協議会は、教育の自由な議論をするというようなこともあり、さまざまなプライバシーを守るというような意味もありまして、これまでもずっと非公開としてまいりましたので、今回も非公開とさせていただきます。 以上でございます。
○議長(上條俊道) 池田国昭議員。
◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 それならば、協議会じゃなくて教育委員会の正式な議題にすれば公開ということで、私はそれに必要な、それぐらい重要な中身かと思いますので、改めて公開でやることを強く求めておきたいと思います。 次に、学力テストのことについてです。 私がつかんでいる学校数よりも多いということに正直びっくりしました。小学校3校、中学校6校、市のほうで一方的にコピーしろとか、事前の採点はしろとか言っていないということなんですが、それを受けて、まず学力テストの結果の公表については改めてお聞きしますが、松本市はどのように考えて今までやってきましたか。学校ごとのランク付などがされているのではないですか。また、学校関係者、校長会等とこの学力テストの学校ごとランクなどが話題になっているということはあるんですか、それともないと言い切れますか、どちらですか。
○議長(上條俊道) 矢久保教育部長。
◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 そういった疑念はないと申し上げたいと思います。その上で、公表のことについて少しお話をさせていただきたいと思いますが、全国学力・学習状況調査が始まりました平成19年度当初から、直接的な数値の公表をいたしておりません。松本市教育委員会では、数値では表現できない市全体の傾向などを文章にまとめ、市ホームページで公表しております。また、各学校の状況は、学校だよりや進路通信等で保護者に説明しております。ですので、基本的には数値を公表しないというようなことで進めているということでございます。 以上でございます。