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令和 3年 9月定例会本会議-09月29日-03号

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  1. 長野県議会 2021-09-29
    令和 3年 9月定例会本会議-09月29日-03号


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    令和 3年 9月定例会本会議-09月29日-03号令和 3年 9月定例会本会議 令和3年9月29日(水曜日)  出席議員(54名)   1 番 熊谷元尋    30 番 小池久長   2 番 望月義寿    31 番 酒井 茂   3 番 小林君男    32 番 堀内孝人   4 番 清水正康    33 番 石和 大   5 番 加藤康治    34 番 依田明善   6 番 川上信彦    35 番 山岸喜昭   7 番 山田英喜    36 番 小島康晴   8 番 大井岳夫    37 番 小林東一郎   9 番 丸茂岳人    38 番 毛利栄子   10 番 寺沢功希    39 番 和田明子   11 番 花岡賢一    40 番 諏訪光昭   12 番 池田 清    41 番 丸山栄一   14 番 山口典久    42 番 小池 清   15 番 小山仁志    43 番 宮本衡司   16 番 竹内正美    44 番 清沢英男   17 番 竹花美幸    45 番 垣内基良   18 番 宮下克彦    46 番 鈴木 清
      19 番 大畑俊隆    47 番 高村京子   20 番 共田武史    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志    50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人    51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫    52 番 向山公人   26 番 中川博司    53 番 平野成基   27 番 両角友成    54 番 本郷一彦   29 番 清水純子    55 番 萩原 清   56 番 服部宏昭    57 番 望月雄内  欠席議員(1名)   21 番 丸山大輔         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長      小林安男   副知事       関昇一郎    林務部長      井出英治   危機管理部長    中村宏平    建設部長      田下昌志   企画振興部長    伊藤一紀    建設部リニア整   総務部長      玉井 直    備推進局長     斎藤政一郎   県民文化部長    中坪成海    公営企業管理者   県民文化部こど           企業局長事務取扱  小林 透   も若者局長     野中祥子    財政課長      矢後雅司   健康福祉部長    福田雄一    教育長       原山隆一   環境部長      猿田吉秀    警察本部長     安田浩己                     監査委員      田口敏子         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   矢島修治   議事課長      百瀬秀樹    議事課主事     松橋高志   議事課企画幹兼   丸山俊樹    総務課課長補佐   川村亜由美   課長補佐              兼庶務係長                     総務課担当係長   青木武文                     総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和3年9月29日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、丸山大輔議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  この際、お知らせいたします。丸山大輔議員から発言通告取消しの申出がありましたので、報告いたします。  順次発言を許します。  最初に、小林君男議員。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)おはようございます。異常気象が日常化し、大規模な災害が日本全国で頻繁に起こる中、県民の命と暮らしを災害から守るための県の役割と課題について3点にわたって質問いたします。  まず1点目は、消防団の団員確保における県の役割です。  この課題については、県内各自治体において解決し難い大きな問題となっています。定数確保のために本来退団すべき団員を再度任命するなど、多くの市町村でやむを得ず進められてきており、将来的に消防力や防災力の低下などが懸念される状態となってきています。  消防に関する責任は市町村に帰属していますけれども、多発化、激甚化する災害から県民の命を守る消防団の皆さんの活動は大変貴重なものであり、地域の宝とも言えます。これまで、県としても各メニューを持って支援を進めてこられました。困難さが複雑、拡大する消防団員の確保に向け、さらなる拡充施策が必要であります。  この間、各市町村の消防団関係者から意見をお聞きする中で、団員の確保困難には複合的な要因があり、少子化や若年層の価値観の変化はあるものの、主なものとして、報酬、日常の活動、企業などの協力などと伺ってきました。  私自身も高校3年生の1月から18年間にわたり消防団活動をさせていただいた経験を踏まえて、何点か危機管理部長に伺います。  1点目、消防庁から年間報酬並びに出動報酬の標準額が初めて示されました。県として報酬の引上げを進めるための強力な依頼や支援をされたいと考えますが、方法などをお聞かせください。  2点目、日常活動については、多様化する災害に備えた訓練は必要でありますが、過度な負担とならないようにし、特に、操法は、火災現場で安全に活動するためには重要であるものの、大会が競技化しているとも言われています。既に県消防協会とも相談され、手がけられてきているとは思いますが、見直しの状況などをお聞かせください。  3点目、団員の勤務先への優遇措置については一定のメニューで進められていますが、サラリーマン団員が圧倒的な状況であることから、協力事業所の優遇措置事業についてもさらなる大幅な拡充が必要と考えます。具体的には、協力事業所応援減税の限度額の大幅な引上げなどを図られたらいかがか。また、事業所には知事表彰を実施されていますが、それに伴う社会的効果や恩恵が具体的に反映されるよう取り組まれたらいかがか、伺います。  次に、公衆電話の削減について伺います。  国では、設置義務の緩和を認め、現在の台数の4分の1に削減が進められています。ほとんどの人が携帯を持っており、やむを得ないのではないかとの声や、災害の通信制限の際はどうしたらいいのかとの声が聞こえてきています。  そこで、お聞きします。  一つ目、公衆電話事業の赤字からの削減とのことでありますが、避難所、駅など必要不可欠なところには、国、県、市町村の努力で残すべきとの声も多くあります。県の考え方を伺います。  二つ目、災害時は大丈夫かとの危機感の声が多くある中で、避難施設などでの早期通信手段の確保及び帰宅困難者の連絡手段確保のため、災害時用公衆電話の配備が進められようとしていますが、県の対応などについて、以上、危機管理部長にお伺いします。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)順次お答えさせていただきます。  消防団員の年間報酬などの引上げを進めるための県の取組について御質問がございました。  消防団は、地域に密着した地域防災力の中核として極めて重要な役割を担っておりますが、全国的に団員数の減少が続き、憂慮すべき状況となっております。このため、消防庁では、消防団員の処遇等に関する検討会を設置し、団員報酬の改善や負担軽減について検討を行い、本年4月に出動報酬の創設や報酬基準額を盛り込んだ非常勤消防団員の報酬等の基準が通知されたところでございます。  この通知を受けまして、県では、新たな基準を市町村に周知するとともに、個別に訪問して報酬改定等の検討をお願いしており、引き続き処遇改善に関する国の検討結果や各市町村の検討状況等の情報共有にも努めてまいります。県といたしましても、消防団の充実強化には団員の処遇改善が有効な取組の一つと考えておりますので、一層改善が進むよう市町村を支援してまいります。  次に、県消防ポンプ操法等大会の見直しの状況についてでございます。  県消防協会では、県消防ポンプ操法等大会について、団員や家族の負担が大きく、事前準備にも多大な労力を要していることから、昨年3月に県大会のあり方検討会を設置し、県内消防団へのアンケートを行い、開催方法等を検討しております。  県大会の開催については、団員の士気高揚や消防力を維持するためこれまでどおり開催することといたしましたが、大会への出場については各地区の消防協会、各消防団の判断に委ねることとされました。また、会場を固定化する希望が多いということから、令和5年度からは固定化するとともに、あわせて、熱中症対策として、開催時期の変更や開閉会式の時間短縮等も検討しております。  こうした検討の一方で、消防ポンプ操法等大会の見直しには消防団の組織力の低下などを危惧する意見もございます。県としましては、団員の負担軽減と消防力の維持が両立されるよう、市町村や県消防協会と共に検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、消防団協力事業所への優遇措置の拡充についてでございます。  本県の消防団員のうち、サラリーマン団員が占める割合は約84%、全国3位となっており、団員が活動しやすい環境の整備や団員の確保には企業の協力が不可欠となっております。  消防団活動協力事業所応援減税は3年ごとに見直しを行っており、今年度からの適用期間延長の検討においては、減税制度により協力事業所の数が維持されているとして、従来の要件を維持し、令和5年度まで期間を延長したところでございます。  また、消防団協力事業所の知事表彰は、全消防団が参加する研修大会等での表彰や事業所の活動をまとめたパンフレットにより消防団活動への貢献を周知するとともに、受賞企業には建設工事入札参加資格のさらなる加点により優遇しているところでございます。県といたしましては、引き続き市町村と連携しながら、優遇制度の周知や知事表彰受賞事業所の広報を通じて消防団を応援する企業の支援に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、公衆電話の配備に関する県の考え方についてであります。  常設の公衆電話には、社会生活上の安全や戸外における最低限の通信手段を確保する観点からユニバーサルサービスとして電気通信事業法に規定される第一種公衆電話と、通信事業者の社内基準で設置されるいわゆる公衆電話がございます。公衆電話には、災害時など、電話が混み合い、通信規制が実施される場合においても、通信規制の対象外として優先的に取り扱われるという特色があるとお聞きしております。公衆電話が有効に活用されるよう、第一種公衆電話の設置基準を市街地は約500メートル四方から1キロメートル四方とするなどの緩和を認める答申が7月の国の情報通信審議会においてあったと承知しております。  公衆電話設置の今後については、電気通信事業者において公衆電話の役割や技術革新など様々な環境変化の中、適切に判断されているものと認識しており、その動向を注視してまいります。  次に、災害時用公衆電話の配備に関する県の考え方についてでございます。  県では、災害時における通信手段の確保に努めており、県地域防災計画において、災害救助法が適用された場合には避難所等に災害時用公衆電話の設置に努めるものと定めております。県内では、東日本電信電話株式会社が市町村と協議をしながら災害時用公衆電話の事前設置を進めており、これまでに77市町村で2,469か所の設置が完了しております。  今後も、災害時における通信手段の確保のために、市町村の要望に沿った事前設置が進むよう通信事業者に働きかけてまいります。  以上でございます。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)入団勧誘では、対象者の親がうちの子は構わんどいてくれなどと、世代間継承が困難になっている現状も多く見られます。消防団は、地域の安心、安全を守る核として、将来的にも体制維持ができるよう、今後とも協会や市町村に対して格段の支援をお願いします。  また、災害時、緊急時に使える通信手段を携帯以外にも確保することは、行政の大きな役割です。公衆電話削減に当たっては、県として慎重に対応していただくことをお願いし、三つ目のリニア残土管理について質問します。  リニアトンネル工事の残土処分における各箇所の処分量は膨大であり、台風や集中豪雨などによって残土集積地の崩壊や土石流が起きれば、その被害は甚大なものになります。  熱海市の土石流災害を受け、住民の皆さんからは、36災害を経験した地域でもあり、災害が激甚化している中で、大規模な盛土は本当に大丈夫なのかとの声が増してきています。また、この残土処理におけるJR東海の環境負荷などの手続に関する問題点を指摘する声もあります。そして、盛土の将来にわたっての管理と安全性の確保のシステムも定まっていない箇所もあり、住民の不安がますます大きくなってきています。  そこで、知事に伺います。  一つ目、県は客観的な立場の第三者委員会を自ら設置し、全ての盛土に対して専門家による安全性のチェック、検証を行い、地域住民の不安を払拭すべきと考えますが、所見をお聞かせください。  二つ目、大規模な盛土の中川村半の沢では技術検討委員会が設置されていますが、一般財団法人に委員の人選も含めて委託して設置したものであり、公平性、中立性を要求される第三者委員会としてふさわしくないとの指摘もありますが、見解を伺います。  三つ目、後世にわたって禍根を残さないためには、そして、地元住民の皆さんの懸念や不安を根本的に解決するには、土砂災害に発展する可能性のある処理地の管理者はJR東海もしくは県とすべきであり、また、経年劣化や地震などによる損傷を専門家がチェックするシステムを確立することであります。県の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)リニア工事に関連する発生土の処分、管理の在り方について3点御質問を頂戴いたしました。  まず、リニア工事発生土の盛土の安全性の確保についてでございます。  これまで管理者が確定してきている発生土置場について申し上げますと、まず、地形的には、盛土の流出するおそれがない平たんな箇所もございます。山間部などにおける発生土置場につきましては、砂防法や森林法などの法規制があるわけでありまして、こうした指定区域に該当する箇所については、関係法令の基準に基づいて県として厳格に安全性の確認を行ってきているところであります。
     加えて、現在のリニア工事の発生土は工業団地の造成や道路改良といった地点で活用されることが大変多い状況でございまして、こうした箇所については、公共事業の事業主体であります各自治体がその責任において安全性の確保を行っていくという形になります。それ以外の発生土置場については、JR東海が設計、施工をしていくということになりますが、こうした箇所につきましても、県の建設部において安全性のチェックを行っているところでございます。こうしたことで、我々としては最大限安全性の確保に対する対応を行ってきている状況でございます。  それから、中川村半の沢の技術検討委員会の人選についてでございます。  今回の技術検討委員会におきましては、地下水に配慮した盛土の設計や完成後の盛土の管理など、技術的知見に基づく徹底的な御議論をいただいた結果設計が見直されるなど、安全性の向上が図られているところであります。第三者委員会として機能を十分果たしていただいているものというふうに考えております。  盛土の完了後の管理主体と管理手法についての御質問でございます。  これまで、盛土完了後の管理者が合意された箇所につきましては、管理者はいずれも県、市町村、そしてJR東海という形になっております。したがいまして、経年劣化や損傷のチェックといったようなことにつきましては、各管理主体が責任を持って行うことになります。  なお、これまでにJR東海が管理する形になった箇所は2か所ございます。私とJR東海社長は定期的に会談をしておりますが、その中で、私のほうからは、安全性の確保や造成後の管理については地元の意向を踏まえて対処するように強く要請をしてきたわけでありますが、こうしたことを踏まえて、JR東海において土地を取得して、盛土造成後の恒久的な管理を行うことになったものでございます。  県としては、今後とも、盛土の管理者、管理方法を決めていく箇所については、JR東海に対して地元の意向をしっかり受け止めるように引き続き要請してまいります。また、管理の手法についても、関係者間で十分調整を行って必要に応じて文書を取り交わすなど、適切な管理が行われるよう求めていきたいと考えております。  以上です。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)残土処理について、県は、従来からも、そして今の知事答弁でも、様々な関係法令の許可権者としての立場から専門家の意見を聞くなどとし、厳格に安全性を確認していくスタンスで対応するとしています。各残土処分地において管理の主体と安全確保が図られてこそリニア工事は進められるべきであると地域住民の皆さんは痛切に願われております。  知事は、危険な箇所の管理主体を、市町村ではなく、JR東海に強力に要請すべきです。県民の命を守る行政機関としての役割をこのリニア対応でもしっかりと発揮されるべきであると申し上げ、私の質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、宮下克彦議員。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)自由民主党県議団の宮下克彦です。  豪雨災害時の内水排除等の総合的な対策についてお聞きいたします。  まず、8月の豪雨、9月の豪雨で亡くなられ、また、被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。今回の8月14日からの豪雨で、諏訪市も内水氾濫で浸水しまして、床上浸水が末広地区はじめ全18棟、床下浸水は大手一、二丁目はじめ235棟と被害が広がりました。  気象庁の記録によりますと、13日から15日の総雨量は306ミリで、一番激しかったのは14日の1日149.5ミリ、1時間最大雨量は15日の朝の3時から4時にかけての29ミリでした。13日午前6時、2.5ミリから降り始めまして、断続的に降り続き、14日の午後1時までに総雨量は148ミリ、24時間降水量は201.5ミリで、これまでの史上最高値を83ミリ上回る観測史上最大の雨量でした。  雨の降り方は、このように今までのレベルを明らかに超え、確実に大きく変わってきています。丸一日で下水があふれ、床下浸水に陥るという事態に直面しているわけです。これは、今後は、雨の多い地域、例えば九州地域などの降水レベルの準備対策を参考にする必要があると考えます。雨が1時間2.5ミリでも降り始めたら24時間後の災害を想定してすぐに準備をしなくてはならない、実際のところそんな状況に来ているということです。  14日当日の朝5時には、市民に向けまして諏訪市の広報放送で放送があり、下水道の水位が上昇しているため、本日は洗濯の水や風呂の水は流さないようにお願いしますという内容でした。生まれてこの方、水害は子供の頃から毎年ありましたが、成人して下水道が整備されてからこのような放送は初めてでありましたので、事態の把握がなかなか困難でした。  諏訪湖周の公共下水道は、昭和54年10月に供用を開始して以来、約40年が経過し、施設の更新は計画的に進められているところでありますが、マンホールから水が噴き出すようなことは今までありませんでした。いかに最近の雨の降り方が急激であるかということでもありますが、八ヶ岳山麓から塩嶺峠、和田峠を通じて集まった雨水を含む増加した下水は、冠水した道路上のマンホールの隙間や老朽化した下水道管のつなぎ目からの浸水が原因で、事業所や家庭などの平時の排水の倍以上の雨水が短時間に下水道に流入したものです。  雨の降り方が大きく変わってきて、このまま毎年このような雨が続くとすると、この急激な降水による新しい状況への対応が必要となると考えます。状況の調査や市町村と連携した対応が早急に必要と考えます。  そこで、猿田環境部長にお聞きします。諏訪湖流域下水道の雨水浸水の排除対策については今後どのような対応を取っていくのでしょうか。  また、8月の豪雨時には、諏訪市内の内水排除のために、15日から16日にかけまして、国土交通省の排水ポンプ車が3台、延べ30時間余り稼働し、排水に当たっていただきました。市内に設置されている45か所、60基のポンプも稼働し、大手町には仮設ポンプも緊急設置されたところでございます。  さらに、9月4日の豪雨時には諏訪市新川の西側の浸水区域を夜間に巡回視察しましたが、浸水箇所の市町村の常設ポンプ、また、消防団のポンプ車が西の山側から浸水した膝上数センチにもなる内水を排除するのに4時間ほど時間がかかりました。降水レベルの急増に伴いまして早急な対応が必要とされていると考えます。  このような状況下では、地盤沈下地帯のためなかなか難工事で進まない状況にあります新川バイパスの工事とは切り離しまして、新川左岸の常設ポンプ等の先行工事が優先されるべきだと考えます。  そこで、田下建設部長に伺います。  諏訪市新川の河川改修の状況はいかがか。また、新川左岸の築堤や補償工事として実施する排水ポンプの先行設置を望む声がありますが、県としてどのように考えるか、お聞きします。  次に、諏訪市大手も床下浸水等が70棟を超え、コロナで疲弊している飲食店街に追い打ちをかけるような浸水で、多くの市民ボランティアの皆さんの力も借りまして後片づけが続きました。  そこで、お聞きします。地球温暖化の影響により、災害のレベル増大の傾向は否めません。特に、面的な浸水被害に陥りやすい内水対策については、国、県、市町村、さらには住民も参加して対応していく必要があると考えます。そこで、支川を管理する市町村が内水対策を行う場合の財政的支援はあるのか。また、県としてどのような取組を考えているのか。以上を田下建設部長に伺います。  次に、諏訪湖創生ビジョンの改定についてお聞きします。  諏訪湖創生ビジョンは平成30年3月に策定され、行政や地域住民が一体となって諏訪湖を創生するためのよりどころとなっています。来年度で5年を経過するため、改定の年度となります。水質保全、生態系の保全、そして湖の水辺活用のまちづくりのよりどころとしまして、ヒシ刈りや河口のしゅんせつ、漁業支援策を実行する場合に、毎年度実施される事業はこのビジョンを根拠にしていますので、ヒシが魚類や水生昆虫の産卵場所になることもあって、ヒシ刈りの量というのは全体の10分の1程度に当たります年150トンとされているなど、年度の実施方法は簡単に変更することはできない状況にあります。としますと、ビジョンの改定は非常に重要で、大きな意味を持ち、今後の5年間の事業を実質的に規定することになるため、改定については、十分な予算も確保し、多くの専門家の意見を結集して、多数の課題に応えていく必要があると考えます。  今年の8月には、ヨットハーバー沖で水陸両用バスが堆積した土砂で座礁しまして、諏訪湖の中で動けなくなりました。現場の土木業界の皆様に話を聞くと、このところ台風等で相当堆積が進んでおり、上川や砥川の河口でのしゅんせつではとても諏訪湖の堆積に追いつかないという意見がありました。砥川沖にできた中州状の島や横河川の河口の砂を見ると、とても土砂除去が足りているとは思えません。釣船協会の皆さんの話を聞いても、最近ボートのスクリューがよく諏訪湖の底に当たるそうです。  また、諏訪湖創生ビジョンについては、防災上の観点も必要だと思います。諏訪湖は、かつてより大きな遊水池であり、下流の皆様にとっても、流域の住民にとっても、流域治水のために大きな効果を発揮してきた遊水池であるわけです。八ヶ岳西側の大きな裾野、富士見峠から、岡谷の塩嶺峠から、下諏訪の和田峠からの水をも集めているわけで、流域治水のための河川断面の維持の機能の観点からも、防災上からしゅんせつの検討が必要な時期であると考えます。諏訪湖のしゅんせつは、様々な意味で地域の住民の皆様が多く望んでいるのが現状でございます。  諏訪湖創生ビジョンでは、湖岸域を覆砂することで底質を改善し、ヒシの繁茂を抑制するとしています。しゅんせつやヒシ刈り、覆砂の効果に様々な意見や見解が述べられている現場の諏訪湖に、去る8月12日、地元の共田県議に誘われまして、丸茂県議と共に、地元の同僚3県議で、諏訪建設事務所の案内の下、実際に潜ってみました。覆砂5年後の様子を実際に目で見たところでございます。場所は、上川の河口の諏訪湖漁協の西側で、岸から沖に向かいまして約50メートルが覆砂されており、水深は約1.2メートルで、泥の上の砂は歩いても沈みませんでした。水中にはヒシは生えておらず、クロモが少し見える程度で、覆砂の効果は5年経過した今も十分あると思われました。その砂場は、ちょうど遊泳にも快適で、諏訪湖水浴場の設置も夢ではないと感じたところでございます。  そこで、お聞きします。  実際に諏訪湖に潜ってみたところ、覆砂対策について、ヒシの抑制に一定の効果があると見ましたが、見解はいかがか。田下建設部長に伺います。  次に、諏訪湖の生態系の保全、漁獲量減少対策も一つの重要な視点であります。必要な対策はいろいろ考えられますが、例えば、地元の諏訪湖漁協の武井組合長は、諏訪湖の漁獲量の減少対策には、魚がカワウなどの害鳥から隠れたり産卵したりする場所づくりが必要だとしています。入り江の水生植物帯でありますエゴの再生、浮き島や水辺のヨシ、テトラポットや人工の「やつか」、魚がすめる隙間のある石積みなど、一部は現行のビジョンにも記載されている提案であります。  そこで、小林農政部長にお聞きします。  鳥害等による諏訪湖の漁獲量減少に対する対策の検討の状況はいかがでしょうか。  また、現諏訪湖創生ビジョンに明記されているように、県の諸機関の調査研究や信大、諏訪湖クラブ等で行われている調査研究の連携強化を図り、一体的に調査研究を行う拠点としての諏訪湖環境研究センター(仮称)の開所に向けた準備状況はいかがでしょうか。猿田環境部長に伺います。  次に、諏訪湖創生ビジョンは、湖の水辺周辺を活用したまちづくりをもう一つの課題にしています。夢は広がりますが、近い将来の魚と一緒に泳げる水浴場づくりは、琵琶湖に現在存在する湖水浴場と同様に、湖水は広々として波がなく、塩分がないため、べたつかず、Tシャツで泳ぐとそのまま帰れるなど、新しい魅力あるまちづくりを果たせると考えます。建設が進んでいるサイクリングロードや、来年計画されている諏訪湖周や八ヶ岳山麓をコースとして走りますスワコエイトピークスミドルトライアスロン大会も、新しい時代の諏訪湖を生かした広域的なまちづくりの一つの方法であると考えます。  そこで、知事に伺います。  諏訪湖創生ビジョンは、来年度、改定の時期を迎えます。各部にまたがる諸課題を認識した上で、5年経過して新たな課題に対応できる総合対策が必要と考えますが、ビジョン改定の進め方についての御所見と決意はいかがでしょうか。  最後に、交通安全設備の有効な整備についてお聞きします。  4月に千葉県八街市で小学生の通学の列に車が飛び込む事故があり、全国的な状況調査の上で交通安全対策が取られ、今回補正予算も計上されているところでございます。  諏訪地域の西にあります岡谷と茅野を結ぶ主要地方道県道岡谷茅野線は、この4月に神宮寺で高齢者の死亡事故があり、その1か月後にはまた人身事故で重体の被害者を出しています。この地域では、区長会や交通安全協会の分会、小学校のPTA等が中心になって、平成9年以来継続して県や市に要望書を提出し、交通安全に向けた活動を進めてきました。令和3年8月31日の交通安全協会等連名の要望書によりますと、諏訪地域の交通網の西の軸を形成している県道岡谷茅野線は、通称西街道と呼ばれまして、交通量は増加の一途をたどり、通学・通勤時間帯の交通渋滞や、歩道の未整備区間が多く、交通事故の多発地帯となっています。平成14年11月の石舟渡のセブンイレブン付近の事故以来、この道では高齢者の死亡事故が10件以上も発生しています。生活地域の中の昔の規格の狭い道路には、大型車を含む多くの車が通行し、高速道路や国道の抜け道とされている状況でございます。  交通事故多発の原因は、主要地方道であるとともに、地域住民の生活道路であり、子供たちの通学路でもあること、幅員が狭く、歩道が片側だけのところもあり、側溝に蓋をしただけのところもある古い規格のものでございます。身近なところでは、去る8月29日早朝に、県道岡谷茅野線の石舟渡交差点で、86歳の私の母親が青信号で横断している途中で、前方から来た右折車にひかれまして、諏訪日赤に救急車で搬送されました。幸い全治3週間で戻ってきましたが、頭も打っておりまして、打ちどころによれば事態は切迫していたと考えられます。  信号機設置の交差点についても事故が発生していますが、歩車分離の交差点が有効と考え、その設置場所の増加が望まれるところでございます。また、右折の矢印信号なども車両の混雑緩和に有効と考えます。様々な工夫ができると思いますが、道路上のペイント、また高速道路への誘導によります通行車両の規制などが考えられます。  そこで、安田警察本部長にお聞きします。  県道岡谷茅野線の交通事故の現状につきましてどう認識されているか、伺います。  また、同路線の中で、住宅地周辺での死亡事故や交通事故がございますが、それを減少させ、住民の安心感を高めるため、大型車等の交通規制や交通安全施設、道路標示の整備といった対策が必要と考えますが、どのように検討されているか、伺います。  また、県民の安全と命に必要不可欠なものは十分な予算化をすることが必要だと思いますが、県道岡谷茅野線を含め、交通事故防止のための交通安全施設整備に必要な予算確保につきましては、交通事故発生状況などを踏まえてどのように検討されているか、安田警察本部長に伺います。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)私には2点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  最初に、諏訪湖流域下水道における浸入水対策についてでございます。  諏訪湖流域下水道は、諏訪地域を中心とした7市町村の公共下水道からの汚水を一括して処理し、諏訪湖の水質改善などに寄与してまいりましたが、近年、特に大雨の際に、本来侵入しないはずの雨水、いわゆる不明水が大量に流入し、処理場の機能に支障を来す事態が発生しております。諏訪湖流域下水道の処理区域は広域にわたるため、まずは、本年度、この不明水の原因となっております系統を絞り込む調査に着手したところでございます。  来年度以降、本調査で絞り込まれた系統について、具体的な流入箇所を特定する調査へと進めていくこととなりますが、これには、枝線である公共下水道の管理者の協力が必要となると同時に、その先、ハード面の対策完了までには一定の期間を要する可能性がございます。このため、市町村と連携し、下水道管などの老朽化対策を進めるとともに、調査を早期かつ効率的に実施し、効果的な施設改善につなげていきたいと考えております。  続きまして、諏訪湖環境研究センター(仮称)の開始に向けた準備状況についてのお尋ねでございます。  諏訪湖環境研究センター(仮称)は、長野県男女共同参画センターの建物の一部を改修し、設置することとしており、現在、その改修に係る基本設計を進めており、来月には実施設計の段階に進めてまいる予定でございます。  当センターでは、水質の調査研究に多くの分析機器が必要となりますので、この設計に当たりましては、これらの重量に耐えられる強度の確保、さらには、ゼロカーボンを見据えて、エネルギー消費量の削減といった観点からも検討を行っているところでございます。  また、情報発信、環境学習のための展示物につきましても、来館者が自発的に学習し交流できる場となるよう、近く設計業務に着手することとしてございます。あわせて、組織体制についても検討を進めており、当センターが目指す調査研究、情報発信、環境学習の拠点としての機能を果たすことができるよう、引き続き改修に向けた準備を進めてまいります。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、諏訪市新川の河川改修に関するお尋ねでございます。  新川は、平成2年度から最下流の諏訪湖合流部より全延長4.2キロメートルの河川改修に着手しまして、現在は最終段階である諏訪市湖南地区の約1.2キロメートルについて県道岡谷茅野線バイパス工事と一体的な整備を進めております。  当該地区での改修計画では、左岸側の堤内地に新たな堤防を築く箇所があり、現在は、軟弱地盤である当該地域において築堤による地盤変状の影響を周辺に出さないよう、先行して矢板設置工事を進めているところでございます。  また、この左岸側の築堤に伴い、補償工事として実施する内水排除用の排水ポンプにつきましては、築堤工事と同時に実施するため、現在、前倒しして設計を進めているところでございます。  近年の災害発生の状況を踏まえますと、一日も早い河川断面の確保が必要であることから、用地買収はもとより、本格的な改修に向けて先行実施が可能な工事につきましては、今後とも地域の皆様の御要望を踏まえながら鋭意進めてまいります。  次に、市町村が行う内水対策への財政支援と県の取組に関するお尋ねでございます。  まず、市町村が行う内水対策としては、ポンプ場や雨水排水管渠等の整備があり、これらについての財政支援として、国の補助金及び交付金がございます。また、今年度から緊急自然災害防止対策事業が大幅に拡充されているところでございます。  次に、県としての取組でございますが、内水氾濫の抑制に対しましては、合流先の水位上昇を抑える対策が最も効果的でございまして、例えば、諏訪湖に関しましては、釜口水門からの最大放流量を増やすため、国、県が連携して天竜川の改修を進めてきているところでございます。  また、機動的な内水排除を行うため、県が所有する排水ポンプ車を令和元年度以降2台増やしまして5台に増強し、各地に分散配備したほか、さらに必要な場合に国土交通省へ配備要請を行う体制を整備し、内水氾濫の軽減に努めております。  さらに、流域治水の一環で進める公共施設や各住宅での雨水貯留タンクの設置や、ため池、水田を活用した雨水処理は、内水被害の防止、軽減にも有効でございまして、市町村をはじめとしたあらゆる関係者と協働した取組を推進してまいります。  最後に、諏訪湖における覆砂対策の効果に関するお尋ねでございます。  諏訪湖の浅瀬の湖底を砂で覆う覆砂につきましては、湖底からの窒素やリンの溶出を抑制するとともに、浄化機能を有するシジミの生育環境を創出する目的で、平成27年度から岡谷市南宮地先等5か所において実施しております。令和2年度に実施したモニタリング調査によれば、例えば下諏訪町の高木沖では、覆砂を行った箇所と行っていない箇所でヒシの繁茂状況に大きな差異が見られ、覆砂はヒシの繁茂対策としても一定の効果が見受けられます。  今後も、現行の諏訪湖創生ビジョンに位置づけた岡谷市南宮地先等において覆砂を継続して実施するとともに、諏訪湖浄化に関する工法検討委員会において、覆砂を含めた浄化工法の効果を検証することにより、有効な対策について次期の諏訪湖水質保全計画、諏訪湖創生ビジョンに反映させてまいります。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)諏訪湖の漁獲量減少への対策について御質問をいただきました。  令和2年の漁獲量は、10年前の24トンと比較しまして7トンにまで減少しており、これは、カワウなどの鳥類やブラックバスなどの外来魚による食害のほか、魚のすみかなどの環境変化の要因が複合的に影響していると認識しております。  これまで、県は、鳥害等を軽減するため、漁業協同組合が行う追い払いや駆除に係る経費を助成しており、さらに、地域を越えて移動するカワウに対しては広域的な対策が必要であることから、複数の漁協等が連携した一斉追い払いなどの対策を検討する会議を来月に予定しております。  また、来年度に向けて、水産試験場諏訪支場では、特産のワカサギやテナガエビの安定的な確保に向けて、新たに増殖方法などの技術開発を検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、諏訪湖創生ビジョン改定の進め方に係る所見と決意についてという御質問をいただきました。  諏訪湖創生ビジョン策定後、これまでの4年間で、いろいろな成果、改善されてきている部分も出てきているというふうに思っています。諏訪湖の日の制定やサイクリングロードの整備、覆砂による底質の改善等、こうしたことを着実に進めてくることができたというふうに思っています。  今後、このビジョンをどういう観点で改定していくかということでありますが、私としては、やはりただの行政計画にしてしまわないということだというふうに思います。そもそも、この諏訪湖創生ビジョンは、多くの皆さんの思いを結集していこうということで策定を行ったわけでありますので、その当初の思い、考え方というものはしっかりと維持していくということが重要だというふうに思っています。  諏訪湖に関連しては、例えば、ヒシの適正な刈取り量や漁獲量の減少をどう抑え込んで増大に転換していくか、あるいは、しゅんせつの在り方をどう考えるか、かねてから議論されているけれども、なかなか方向性が決まっていないという課題がまだ残されています。これは、人間の営みと自然との関係でありますので、明確にこれが最善の策だということはなかなか決め難いところはあります。であるがゆえに、多くの皆さん、諏訪湖を愛する方々、地域住民の皆さん、さらには専門家、こうした方々の意見、思いを結集してビジョンを改定していくということが大変重要だというふうに思っております。  加えて、この間、いろいろ新しい視点も出てきています。ゼロカーボンの視点や、UDC信州によるまちづくりをどうしていくか、さらには、御質問にもありました諏訪湖環境研究センターをどう生かしていくか、アフターコロナを見据えた観光をどう進行していくか、こうした新たな観点もしっかり取り込んでいくということが重要だというふうに思っております。  このビジョンは、将来の方向性を多くの関係者が共有して一緒になって行動していくためにつくるビジョンでありますので、ぜひ住民の皆様方の思いを形にして、初期に我々が念頭に置いていた考え方を決して見失うことがないように、これから将来に向けての諏訪湖の在り方をしっかり考える、そうした改定にしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔警察本部長安田浩己君登壇〕 ◎警察本部長(安田浩己 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、県道岡谷茅野線の交通事故発生状況と大型車両の交通規制や交通安全施設等の整備についてお答えいたします。  県道岡谷茅野線は、岡谷市から茅野市を結ぶ幹線道路で、通勤・通学時間帯を中心に、交通量が多く、平成28年から令和2年までの5年間に、死亡事故3件を含む226件の人身交通事故が発生しているほか、本年7月には諏訪市中洲地籍において道路横断中の高齢男性が車にはねられる死亡事故が発生するなど、重大な交通事故が多数発生している路線であると認識しております。  同路線の大型車両の交通規制につきましては、地域住民から、住宅地周辺における大型車両の通過抑制に対する要望がなされており、道路管理者によって、通称新川バイパスへ車両を誘導するカラー舗装や案内標識の設置が行われているところであります。  県警察といたしましても、住宅地周辺における大型車両の抑制は、地域住民の安心感を高めるとともに、交通事故防止上有効であると考えておりますが、一方で、大型車両の通行を規制するためには、同路線周辺に所在する大型車両が出入りする企業等の御理解が必要となりますことから、こうした方々の御意見も踏まえながら、個別具体的に規制の在り方を検討してまいりたいと考えております。  また、同路線の交通安全施設の整備につきましては、昨年、死亡事故が発生した諏訪市内の神宮寺交差点を歩車分離式信号機としたほか、信号灯器の視認性向上を図ることを目的としてLED化事業を実施しているところであります。また、道路標示の整備につきましては、住宅地周辺における減速を促すドットライン標示等の整備について道路管理者と連携した対策を引き続き検討してまいります。  次に、交通安全施設整備に必要な予算の確保についてお答えいたします。  交通安全施設の整備は、交通の安全と円滑を確保するための重要な対策の一つであると認識しております。本年度も、容認していただいた予算を有効に活用して交通安全施設の整備を行っているところであります。  県警察といたしましては、今後も、発生している交通事故実態や地域住民の要望を踏まえながら、県民がより安全で安心して通行できる交通環境を構築するため、必要な交通安全施設の整備に係る予算確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
          〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)答弁いただきました。  内水排除につきましては、局地的な雨が降る場所によって、どこにでも一日で災害が起こる大気の状態になっているという状況でございます。準備対策も、今までのレベルではなく、一段上げて対策を取る必要があるということで、命が関わってまいりますので、一日も早く可能な箇所から先行して進めていただきたいと思います。  また、個々の政策を決定していくそれぞれの過程で、特に諏訪湖創生ビジョンなど、知事には地元の思いが伝わっているとは思いますけれども、住民と知事が対話できる機会をぜひ設定いただきたいと思います。知事には、ぜひ各部長さんを誘って一緒に諏訪湖に潜って状況を見ていただきたい。百聞は一見にしかずで、現場を実体験していただくことが実情や住民の思いが一番よく伝わると考えております。よろしくお願いいたします。  現場で直接話を聞くというのは、例えば、諏訪辰野線の上野地区災害避難所の前の信号、これは、机上ではよく分かりませんが、高齢化の中で、その道を渡るためにはどうしても必要だということは、現場を見れば分かりますし、特徴のある福祉大学校の施設、こういったものもぜひ知事に現場に来て見ていただければと思います。  交通安全対策につきましては、本部長からお答えをいただきました。生活道路の交通量を減らすには、企業の協力も得て、歩車分離の交差点の信号や、高規格の高速道路やバイパスに車を誘導するような、究極的にはそういったことが必要だと思います。  以上、ぜひ御検討を要望しまして、一切の質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前10時57分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  加藤康治議員。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)初めに、気象防災アドバイザーの活用について伺います。  一昨年発生した東日本台風災害、また、昨年と本年も大雨災害が発生するなど、県内も災害が頻発し、多くの被害が生じております。こうした自然災害に対しては、気象の見通しを基にした対応が重要であり、そのためにも気象の専門家を活用していく必要があります。  気象庁では、地域防災支援の取組を推進しています。具体的な取組としては、平常時には気象防災ワークショップなどの開催や防災気象情報の活用についての共有などが行われ、災害時には早い段階から記者会見などを実施し住民に見通しを伝えるとともに、ホットラインによる首長への助言なども行うとされており、県としても活用すべきと考えます。そこで、本県と気象台との連携の状況、今後の展開について伺います。  また、地域防災力を向上するためには、地域の気象に精通していて地方自治体の防災・災害対応を支援できる気象防災アドバイザーの活用が不可欠です。気象防災アドバイザーとは、平常時は防災気象情報の読み解き方について自治体の職員等に解説をする、また、災害発生が見込まれる際には、自治体の災害対策本部等に駐在し、幹部職員や防災担当職員に対し地域の特性を踏まえた気象解説を行うなど、気象台とは異なり、自治体側のスタッフとして防災業務を直接支援するものであります。  昨年、気象台のOB、OGが初めて気象防災アドバイザーとして委嘱されるなど、本年4月現在、全国で84名が委嘱されており、10の自治体で気象防災アドバイザーが活躍しています。本県においても、広域の複数市町村に助言を行うため、気象防災アドバイザーを活用することが有効であると考えますが、県としてどのように取り組んでいくか。以上を危機管理部長に伺います。  次に、女性の視点を加えた防災対策について伺います。  災害対応に当たっては、地方公共団体における女性の視点からの防災の取組が不可欠と考えます。  一昨年の台風災害でも、長野市の避難所に避難されている女性から、避難所に女性の職員がいないため、女性特有の悩みを相談しづらいとの声をお聞きし、すぐに長野市長に要請し、避難所に女性職員を配置していただいた経過があります。  防災に女性の視点を加えるには、地域防災会議の女性委員の割合を高める必要があると考えます。他県の例を見ると、徳島県では、第5号委員である県職員について、保健福祉部局や青少年部局の女性管理職等、12名中11名に女性を登用し、都道府県の条例で定める第8号委員については、女性・子育て、高齢者、障害者団体の代表等21名全員が女性であるなど、積極的に女性を登用することにより、昨年度は女性委員の比率が46.9%で、全国首位となっています。これにより、災害対応における女性の課題について聞き取りやすくなった、女性や要配慮者のニーズを踏まえた避難所運営ができるようになった等の効果が生まれており、本県においても参考にすべきと考えます。県の第5次男女共同参画計画では、長野県防災会議における女性委員の割合について令和8年度には30%とする目標を掲げておりますが、女性を登用するための具体的な取組について伺います。  また、これまで、地域防災計画における男女共同参画部局やセンターの役割が曖昧であったことを踏まえ、昨年5月、国は防災基本計画を修正し、地方公共団体は、男女共同参画の視点から、男女共同参画担当部局が災害対応について庁内や避難所等における連絡調整を行うこと、また、男女共同参画センターが地域における防災活動の推進拠点となるよう、平常時や災害時における男女共同参画部局や男女共同参画センターの役割について明確化しておくよう努めることとされています。  そこで、国の防災基本計画の修正を受け、県の地域防災計画における男女共同参画部局やセンターの役割の明確化についてどのような取組をされたのか。以上を危機管理部長に伺います。  また、女性の視点からの災害対応を円滑に進めるためには、平常時から危機管理部をはじめとする関係機関との連携を密接にし、災害時に備えることが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、県民文化部長に伺います。  次に、災害等を想定した代替道路の整備について伺います。  本年7月、長野市篠ノ井小松原地籍において地滑り災害が発生しました。県の発表では、長さ240メートル、幅180メートル、移動推定土塊量が約40万立方メートルとされています。地滑り発生箇所の下を国道19号が走っており、影響が生じています。  そこで、何点かお聞きいたします。  まず、今回発生した地滑りの現状、今後の対応方針や見通しについて伺います。  地滑りの影響により、国道19号で片側交互通行が行われていますが、朝夕の時間帯を中心に渋滞が発生するなど、利用する方にとって大きな影響を及ぼしています。渋滞緩和や全面復旧に向け、県としても国道を管理する国と連携しながら進めるべきと考えますが、状況について伺います。  今回の国道19号の件は、ほかでも起こり得る可能性があります。交通量の多い道路が通行止め等となった場合に備え、代替道路を確保、整備し、道路のネットワーク機能を構築していくことが重要と考えます。県道が迂回路となることに備え、十分な役割を果たすよう、日頃からの機能強化、整備が必要と考えますが、御所見を伺います。  その上で、現在、国道19号の迂回路として県道が案内されていますが、迂回路ではない長野市篠ノ井地域の県道にも迂回して車が通行する状況があります。道幅の狭い区間では擦れ違いに支障を来すため、片側交互通行になっていますが、交通量の増加により渋滞が発生するなど、地域住民の生活にも影響が出ており、地元からも安全確保等が求められています。国道の全面復旧には時間がかかることが想定されるため、狭隘部分の早期の改良が必要と考えます。今回の補正予算案に国道19号の迂回路整備に関する事業が計上されていますが、整備の方向性について、以上を建設部長に伺います。  次に、動物愛護について伺います。  9月20日から26日まで、広く国民の間に命ある動物の愛護と適正な飼育についての関心と理解を深めるため、動物愛護週間が設けられており、今年も全国各地で様々な行事が行われています。  そんなさなか、今月初め、多くの犬を劣悪な環境で飼育していたとして、松本市内のペット業者が動物の愛護及び管理に関する法律違反の疑いで県警による家宅捜索を受ける事案が発生しました。この関係については、昨日中川議員が質問されておりますので、別の角度からお聞きいたします。  まず、県内における動物取扱業者数について伺います。また、法律では、動物取扱業者に対し、飼養施設の状況や取り扱う動物の管理の方法等必要な事項に関する報告を求めるとともに、動物取扱業者の事業所等に立ち入り、飼養施設等を検査することができると規定されていますが、県による立入検査や管理指導の状況について伺います。  本年6月に改正動物愛護管理法が施行され、従業員数による動物の飼育頭数の限定など、数値基準も含めて明示されました。これにより、動物取扱業者による適切な飼育が促進されることを強く望みますが、今回のような事案が二度と起こらないよう、法の施行を受け、取扱業者に対ししっかり運用していくことが重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくか。以上を健康福祉部長に伺います。  最後に、がん患者の医療用補正具購入への助成について伺います。  9月はがん征圧月間です。この月間中、がん予防に対する意識啓発を目的として、適切な予防や早期発見、早期治療が呼びかけられています。治療法や検査技術の進歩により、がん患者の5年生存率も伸びており、早期がんの多くで90%を超えています。がんの治療を受けながら仕事などの社会生活を営む方は今後ますます増えていくことを踏まえると、治療と仕事の両立をはじめとする生活支援を一層進め、がん対策の柱の一つであるがんとの共生を実現すべきと考えます。がん患者の皆様の就労や社会参加を応援し、療養の質がよりよいものになるよう県としても取り組んでいくべきです。  こうした中、注目されているのが、アピアランスケアです。アピアランスとは、英語で外見を意味します。がん患者の体には、手術や抗がん剤、放射線などにより傷痕が残ったり、皮膚や爪の変色、脱毛といった外見の変化が生じることがあります。治療前とは異なる自分の姿は、仕事や活動をする上で大きな障害となりやすい状況です。こうした外見の変化に関するがん患者の悩みに対し、医学的、技術的、心理的に支援するのがアピアランスケアであり、県としても支援を充実すべきと考えます。  その一つとして、医療用ウイッグ等がん患者への医療用補正具の購入支援が考えられます。特に、医療用ウイッグは、運転免許証の写真でも着用が認められる時代になっています。また、全国を見ると、医療用ウイッグ等の購入に対する助成を行う県が増えてきています。そこで、本県においても購入費用への助成を検討すべきと考えるが、いかがか。健康福祉部長に伺います。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)順次お答えいたします。  初めに、県と気象台との連携の状況、そして今後の展開についてという御質問でございます。  台風や大雨、地震や火山活動など、様々な気象災害に対して専門性の高い気象台との連携は極めて重要なものと認識しております。そのため、県総合防災訓練などの各種訓練や研修、市町村危機管理・防災担当課長会議への参加など、様々な機会を通じ、平時から県や市町村と顔の見える関係づくりを進めているところでございます。  特に、平成29年度からは、気象台との共催により、市町村職員を対象とした防災気象情報講習会を開催し、実践的な気象防災ワークショップを行うことで、適時適切な避難情報の発令につながるよう取り組んでいるところでございます。  また、災害に備え、24時間体制のホットラインを確保するとともに、災害発生時には、県災害対策本部において最新の気象情報の共有が図れる体制を維持するなど、非常時における体制を構築しております。  今後も、様々な気象災害の発生に備え、気象台との連携により県の災害対応力の向上を図るとともに、さらに市町村の防災体制の強化、向上につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、気象防災アドバイザーの活用についてでございます。  近年、風水害等の災害が各地で発生し、県や市町村による適時的確な防災対応が一層求められており、正確な気象情報の入手が重要となっております。  こうした中、気象庁では、市町村の気象防災業務を支援するため気象防災アドバイザー制度を設け、気象解説や地域住民対象の気象講習会の講師などの活動事例が全国各地にあると承知しているところでございます。県といたしましては、今後もこの気象防災アドバイザー制度の活用について市町村へ情報提供を行い、気象台と連携しながら市町村の防災力向上に向け取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地域防災会議における女性登用の取組についてでございます。  長野県防災会議の女性委員は現在15名であり、女性委員の比率は19%となっております。県では、これまでも、防災対策への女性による視点が必要との考えから女性委員の任用を進めておりますが、役職を指定して任命している場合や、防災関係機関の推薦によるなど、県による裁量が働きにくいという課題がございます。  このため、女性委員の割合を30%にするため、防災関係機関に対して積極的に女性委員を推薦するよう依頼しているほか、県の裁量で任命できる委員については14名中11名を女性とするなど、女性委員の積極的な任命に取り組んでおります。引き続き県の第5次男女共同参画計画に掲げる目標の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。  最後に、男女共同参画部局等の役割の明確化に当たっての取組についてでございます。  県の男女共同参画の推進を担う人権・男女共同参画課は、県の地域防災計画においては災害対策本部の人権・男女共同参画班に位置づけられております。  人権・男女共同参画班の所轄業務につきましては、従前は男女共同参画センターなど所管施設の応急対策と県民文化部内の応援に関することとされておりましたが、国の防災基本計画の修正を受けまして、令和3年3月、県の地域防災計画の修正を行い、「男女の違いや多様性に配慮した避難所の運営等に関すること」を追加し、役割の明確化を図ったところであります。  その上で、今年度から、女性の視点に立つ取組として、女性に配慮した避難所の快適トイレの導入促進や生理用品などの備蓄に取り組んでいるところでございます。今後とも、関係部局と連携して、男女の違いや多様性に配慮した防災・減災対策を進めてまいります。  以上でございます。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)女性の視点を加えた平常時からの災害対応についてのお尋ねでございます。  女性の視点を加えた災害対応を進めるためには、大きく二つの課題があると認識しております。一つは、災害から受ける影響やニーズの男女の違いに十分配慮すること、もう一つは、災害対応における意思決定の場面に女性が参画することでございます。いずれも平常時からの取組が大変重要となってまいります。  まず、男女の違いに配慮する取組としまして、避難所を運営する市町村に対し、内閣府が作成した防災復興ガイドラインに基づいて、平常時から避難所運営や備品について男女共同参画の視点からチェックをしていただくよう危機管理部と共に働きかけを行ってきております。また、災害対応への女性の参画拡大に向けて、男女共同参画センターを中心にロールモデルや好事例の発信に取り組んでおりまして、令和元年度には災害時に女性の力を活かすことをテーマとしたフォーラムを開催したところでございます。  今後とも、危機管理部等との連携を密にしまして、避難所運営等への取組強化を働きかけるとともに、地域の自主防災組織への出前講座等を通じて、災害対応への女性の参画拡大に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、長野市篠ノ井小松原地籍における地滑りの現状と今後の対応方針についてのお尋ねでございます。  地滑りの対策においては、調査初期段階から国と県で連携し、対応方針や作業の工程などについて調整を密に行っているところでございます。県では、発災から約2週間後の7月21日に国土交通省から災害関連緊急地すべり対策事業の採択を受け、応急的に地下水を抜くための地滑り末端における横ボーリング工や仮排水路等の工事を実施してまいりました。今後、地滑り本体を止めるための横ボーリング工などの対策工事を行ってまいります。  一方、国におきましては、国道に影響を及ぼさないよう仮設防護柵等を設置し、現在は、専門家の助言をいただきながら崩壊土砂防止柵等の対策を進めており、国道の交通開放についてはなるべく早く今後の見通しについてお知らせしたいとしております。  今後は、引き続き国と県で連携を図りながら対策工事を進め、早期の地滑りの安定化と国道19号の開放に向け取り組んでまいります。  次に、国道19号の渋滞緩和や全面復旧に向けた国との連携についてのお尋ねでございます。  渋滞緩和対策としては、国が設置した長野市篠ノ井地区交通マネジメント検討会に県も参画し、関係市町村、バス会社と共に、交通規制などの情報提供や交通誘導サイクルの最適化等の検討を行っており、国では、混雑情報やライブ影像などのホームページへの掲載、片側交互通行のサイクルタイムの調整などを随時行っております。  さらに、夜間通行止めや渋滞回避のため、国と県の連携の下、迂回路として利用している国県道での誘導看板や交通安全対策としての注意看板の設置などを行うとともに、県職員に向けては時差出勤などの奨励を行っております。  全面復旧に向けては、国が設置した有識者等から成る地すべり対策検討委員会において規制緩和の判断をすることになりますが、先ほど申し上げたとおり、国と県で連携してできる限り早い時期の規制解除となるよう取り組んでまいります。  次に、災害時の代替路線としての県道の機能強化、整備についてのお尋ねでございます。  小松原地籍の地滑り災害では、国道19号を利用する方に多大な影響を及ぼすこととなり、道路ネットワークの強化の必要性を改めて認識しております。  これまで、木曽川右岸道路や県道箕作飯山線など、ダブルネットワークの観点から整備を推進してきたところでございまして、今回のような災害を踏まえ、国道19号など主要な幹線道路を補完する道路ネットワークの強化に向け、今後の整備の方向性を検討してまいります。  最後に、補正予算案における国道19号の迂回路整備に関するお尋ねでございます。  小松原地籍の地滑りに伴い、県道長野信州新線や県道戸隠篠ノ井線など、近隣の狭隘な県道が迂回路として利用されております。このため、両路線を含む5路線について早急に対応できる局部的な道路拡幅や待避所設置の費用を補正予算案に計上しております。これらの路線については、急峻な地形の箇所や集落内の人家が連なっている箇所など早急な整備が困難な箇所もございますので、引き続き地域の御意見を伺いながら着実に整備を進めてまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、大きく2点御質問を頂戴しております。  まず、動物愛護に関しての御質問でございます。  長野県内の動物取扱業の登録状況でございますが、令和3年3月末現在、ペットの販売業やペットホテルなどの一時預かりをする保管業など675事業所がございます。  動物取扱業への立入検査でございますが、計画的なものと苦情などがあった際に必要に応じて行うものがございまして、それぞれ必要な助言、指導や事実確認を行っております。  計画的な立入検査につきましては、県で監視、指導の基本方針を示しまして、それに基づき、保健所ごとに施設の特性、過去の指導指摘状況を考慮の上、年間計画を立てて実施しております。  立入検査の状況でございますが、特に適正な飼養管理が求められる繁殖業者を含む販売業に対しましては、令和元年度で275の事業所に対して178件、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もございまして若干少なくなっておりますが、274の事業所に対して113件実施しております。このうち、指導事項がございましたのは、令和元年度は立入りした178事業所のうち53か所、令和2年度は113の事業所のうち41か所で、主な内容は、施設の衛生管理の不備や動物の健康管理に関する記録の不備などでございました。  県としての今後の対応についてでございます。  報道されている事案につきましては、現在、警察において捜査が行われているところでございます。昨年度までの保健所の指導が必ずしも十分でなかったおそれがあると考えておりまして、当時の対応につきまして、捜査結果も踏まえまして、問題がなかったか改めて検証してまいりたいと考えております。  また、今回、動物愛護管理法の改正によりまして、この6月から動物取扱事業者が守るべき飼養管理基準が明確化されたところでございます。また、環境省においても、動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針も策定されております。こうしたものを踏まえまして、動物の適正飼養管理に向けてしっかりと対応してまいります。  また、今回の事案を受けまして、現地機関である保健所と指導困難事例に関する情報共有を図り、動物愛護管理法に基づく行政措置の運用方法の手順を定めた県独自の要領の策定、警察等の関係機関との連携強化などに取り組むとともに、一定規模以上の動物取扱施設に対して年度内に一斉点検を行いたいと考えております。  次に、がん患者の医療用補正具購入への助成についての御質問でございます。  がん患者のアピアランスケアは、医学的手法、化粧品などを用いた整容的手法、カウンセリングなどの社会心理的手法を用いて外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアとされておりまして、医療現場におけるサポートの重要性が認識されつつあるところでございます。  現在、ウイッグ等医療用補正具については、17県で購入支援を行っておりまして、多くは市町村が行う購入支援に対して県が補助をするという制度になっております。  このアピアランスケアは、全国的な課題ではございますが、いまだ国の助成制度は設けられておらず、県といたしまして、今年度、国に対して制度の創設を要望しているところでございます。  がん治療で外見が変化した場合でも、患者それぞれの病状や感じ方等によってアピアランスケアへの受け止めは様々でございます。今後は、市町村の御意見も踏まえながらその必要性について検討するとともに、財源につきましては引き続き国への要望を行ってまいります。  以上でございます。       〔5番加藤康治君登壇〕
    ◆5番(加藤康治 君)県内でも毎年のように大雨災害が頻発する状況を考えますと、自治体で気象の見通しを基にした対応が重要です。  本日取り上げました気象防災アドバイザーは、先ほど御答弁がありましたけれども、平時も、また災害時も自治体の防災業務を直接支援できる制度でございますので、市町村で活用が進みますよう県としても引き続き取組をお願いいたします。  また、実際に災害が起こってしまった際に女性の視点からの災害対応が確実に行われることが重要ですので、引き続き危機管理部や県民文化部はじめ関係機関が連携して対応をお願いいたします。  国道19号については、長野市をはじめ、長野市以外にお住まいの方も含め、多くの県民の皆様が影響を受けています。いざというときのため、道路のネットワーク機能の確保のための整備が重要ではないかと、こんなふうに考えます。また、国道19号の迂回路となっています県道には、通学路となっている箇所があり、朝夕は子供も通学いたしますので、安全の確保が何よりも不可欠です。今回の補正予算案で早速御対応いただき感謝申し上げるところですけれども、早期の改修に向け、引き続き取組をお願いいたします。  動物愛護については、法規制が段階的に強化されていますが、この背景には、残念ながら動物を傷つける事件が後を絶たないという実態があります。かけがえのない動物の命がないがしろにされることがあってはなりません。改正された法律の運用が確実になされるよう県としても取組をお願いいたします。  そして、がん患者への医療用補正具購入の助成については、がん患者の皆様が安心して社会生活を送れる世の中にしていくことが重要です。今回、医療用ウイッグの助成について取り上げましたが、県の市長会からも助成制度創設について要望されております。市町村とも連携する中で、助成に向けた機運が高まることを切望いたしまして、一切の質問といたします。 ○副議長(清水純子 君)次に、酒井茂議員。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)伊那市選出、酒井茂でございます。私は、今回は、長野県の宝であります人材と木材という材について質問いたします。  最初に、人材育成に関してであります。  まず、小学校における英語教育について質問いたします。  日本人は、長い間にわたり英語を勉強いたしますけれども、話すことができないと言われます。また、なぜこんなに英語力がないのかと嘆きの声も聞かれるわけであります。多くの優秀な職員を抱える長野県庁におきましても、英語を話すことができる職員は少ないと聞いております。  英語教育は、中学、高校の6年間で行うという制度が長く続きました。そして、中高生の英語力を高めることを目的といたしまして、小学校への英語教育が導入されたのであります。完全実施は昨年の4月からでありまして、小学校3、4年生は外国語活動として、5、6年生は教科として英語が導入されたのであります。これによりまして、英語に関しては、小学校3年生から6年生までは授業時間が週1こま増加したのであります。  英語の導入に当たりましては、基本的には学級担任を中心に現状の職員体制で指導を行うこととされております。担任が指導する理由は、担任は児童の様子をよく分かっており、他の教科と関連づけて指導できるからとされておりますが、私には、専科の教員を配置できないことの口実に聞こえます。  小学校への英語の導入に伴い、県教委から市町村に対して加配という形で専科の教員が配置されておりますが、伊那市では、全校15校に対しまして、配置されたのは僅か1人であり、とても専科教員を配置されたと言える状況ではありません。実質的には、英語指導のほとんどを学級担任が行っているのが現状であります。小学校への英語教育の導入は国の肝煎りの施策であることから、専科教員を全校に配置し、これに係る経費は全額国庫負担で行うべきであると考えます。  そもそも、小学校の教員は、教員免許を取得するに当たって外国語指導に関する単位を取得しておらず、また、英語が苦手な教員や発音もおぼつかない教員が多数存在します。英語の指導力に乏しい教員から指導を受けた児童が中学の英語科の学習にスムーズに移行できるのか心配であります。  また、教員の指導力不足により英語嫌いになり、そのまま中学へ進む児童が出ることも懸念されるわけであります。担任の多くは、英語を指導する能力に乏しく、指導力を高めるために自己研修や県、市町村の研修を受けております。さらに、授業を行うための準備も行わなければならず、英語の導入による教員の負担は相当大きいものがあると考えます。教員の働き方改革を進めなければならない状況の中で、ICT教育への対応もあり、さらにはコロナ感染防止対策にも当たらなければならないことから、まさに改革とは逆行する時代となっているわけであります。  私は、こうした大幅な制度改正を行う場合には、長期的な視点に立って、まずは人材の育成と財源の確保の見通しを立ててからスタートすべきであって、今回の英語の導入は拙速であったと考えるわけであります。  日本人が英語を話せないのは教育が悪いとよく言われますが、私は、日本ではふだん英語を使う必要がないことが主な要因と考えるものであります。私たちは、ふだんの生活の中では、英語を話せなくて困ることはありません。日本語で全て用が足りるからであります。また、話せないことの原因は、聞く力が弱いことにあると考えます。ふだん英語を聞く環境がない日本人に聞く力が高まらないのは当然のことであります。仕事などで必要に迫られれば、聞く力、話す力を中心に英語力は向上すると考えます。  小学校への英語教育導入の背景には、日本人の英語力を劇的に向上させることができるとの発想があるとされておりますが、これを否定的に捉える専門家もおります。否定的な意見の主なものは、小学校段階では国語の能力の育成が重要であり、英語については中学校から対応するほうが適切であるとしております。私も、小学校では国語教育を徹底的に行い、自分の考えを言葉で話せるようにすることが先だと思います。私は、中高生の英語力は向上してきていることから、中学、高校での6年間の英語教育は、一般の人が必要とする英語力を獲得するには十分ではないかと考えるものであります。  また、小学校の英語導入は、教員配置等のコストと学習に係る時間や児童の負担などを考えると、メリットは小さいと考えます。中学、高校の6年間の英語の授業以上に英語を学びたい人は、例えばクラブ活動で学ぶこともできますし、高校の外国語コースで学ぶこともできるわけであります。県内には、英語などの国際系の学科のある高校が複数あります。さらに、多くの大学では、外国語系の学部・学科を設置していることから、希望すれば学ぶ機会は十分に用意されているのであります。  例えば、公立の国際教養大学では、全て英語による授業が行われております。また、児童生徒や学生、社会人にとっては、英語を学ぼうとすれば、学校以外に幾らでもその機会や手段はあります。テレビ、ラジオやネットなどを通じて無料で学ぶこともできるわけであります。  そこで、教育長にお聞きいたします。  小学校の英語教育について、学習の充実を図るとともに、指導の中心であります学級担任の負担を軽減するために指導の全てを英語の専科教員が行うようにすべきと考えますが、現在の教員数はどうなっておりますか。また、専科教員のさらなる増加と、それらに伴う専科教員の確保について県としてどのような方策を取っているのか、伺います。  次に、大学入学試験における英語試験についてお聞きいたします。  グローバル社会で活躍できる人材育成を目指して、政府の教育再生実行会議は、2013年に大学入試改革を提案いたしました。2014年には、英語教育の在り方に関する有識者会議が開催され、企業経営者の強い主張などもあって、民間試験導入の流れができたと言われております。2016年に文科省が発表した高大接続改革の進捗状況によりますと、英語力の評価には民間の試験を積極的に活用する必要があるとされたところであります。  その後、文科省では、入試改革の目玉として、大学入試センター試験を衣替えした大学入学共通テストを2021年1月に実施することを決定し、その中で英語民間試験を導入することを決定したところであります。しかし、大学や高校、受験生などからの批判を受けて、実施直前の2019年12月には導入を一旦見送ることを決定いたしました。  実施が予定されておりました民間試験は、英検、TOEIC、TOEFLなど六つの事業者や団体によるものであります。その後、文科省は、民間試験導入の是非を改めて検討した結果、今年の7月には導入を断念することを明らかにしたのであります。導入を断念したのは、民間試験は試験会場が都市部に集中して地域間格差が生じることなど、公平性を確保するめどが立たないと判断したことによるものであります。  私は、多様性を重視する教育において、なぜ入学試験において英語を重視しなければならないのか理解ができません。共通テストに加えて英語民間試験を導入することは、受験生の負担を増やすものであり、まさに受験地獄といわれる状況を悪化させるものと考えます。高校生や保護者にとりまして、受験勉強は相当の負担を強いるものでありますから、できるだけ負担を軽減するという視点が重要であります。  受験生に対して共通的に実施する共通テストは、各大学における個別の試験の上乗せで行われるもので、両方の試験のための準備は負担が重いと考えます。極端かもしれませんが、私は、共通テストを全て廃止して過去のように各大学が実施する入試のみの制度に戻せば受験生の負担を大幅に軽減できると考えます。受験勉強に充てる時間を削減することにより、部活動、奉仕活動や友人との交流、その他様々な経験をし、貴重な高校生活を有意義に過ごすようにすべきであると考えます。大学は、入りやすく、卒業は難しいシステムにすべきと考えます。  そこで、以下3点、教育長にお聞きします。  一つ目、大学入学共通テストにおける英語民間試験の導入が見送られたことについて、教育現場や受験生、保護者はどのように受け止めておりますか。また、県教委として、英語民間試験の導入の見送りをどのように評価しておりますか。  二つ目、学習指導要領と直接関連のない英語民間試験が大学入学共通テストに導入された場合、高校では民間試験を意識した授業が行われることになり、本来行うべき教育内容と異なる授業が行われるおそれがあると考えますが、県教委としてはどう考えておられますか。  三つ目、私は、英語力をはかることを目的として大学入学共通テストに民間試験を導入することは、受験生間の公平性が保てないなどの課題があるため、今後においても導入すべきではないと考えます。受験生の英語力を評価する必要があれば、これまで実施しているように各大学において個別に英語の試験を加えることが適当と考えますが、県教委としてはどのようにお考えでしょうか。  次に、大きい2項目めのグローバル人材の育成について質問いたします。  県の総合5か年計画では、重点施策として、グローバルな視点を持った人材育成の促進を掲げております。  政府は、2011年にグローバル人材育成推進会議を設置し、2012年にはグローバル人材育成戦略を公表いたしました。その中で、グローバル人材の要素として、語学力とコミュニケーション能力に重きを置いております。グローバル人材には、コミュニケーション能力が求められるわけでありますが、私は、手段としての英語力だけではコミュニケーション能力を高めることはできないと考えるものであります。基本である国語力なくしてはコミュニケーション能力は高まらないと考えます。  さて、グローバル人材を育成する方法として、異文化を理解するための学習や体験が効果的であり、これを実現するために、海外留学は一つの有効な手段と考えます。留学体験は、異文化を肌で感じ取り、物事を地球規模で展望できる能力を養うことができます。県では、信州つばさプロジェクトとして、高校生の海外留学に関し、1週間以上1年以下の個人留学について、その期間と地域に応じまして補助をしておりますが、大変結構なことであると考えます。長野県の高校生の留学者の割合は現在1.2%となっておりますが、全国平均を下回っており、さらに増加させる必要があると考えます。  今、NHK大河ドラマで「青天を衝け」が放送されておりますが、主人公の渋沢栄一氏は、明治政府の官僚として、後には実業家として活躍し、日本資本主義の父と評価されております。渋沢氏は、農家の出身でありますが、大志を抱き、故郷を捨てて江戸に出ました。その後、政府のパリ万博の視察団の一員に選ばれ、2年間にわたりヨーロッパ各国を訪問する中で、先進的な産業や諸制度を見聞きし、近代社会のありようを学びました。そして、帰国後は、貴重な経験を生かして活躍し、近代日本の礎を築くことに貢献したのであります。まさに、渋沢氏は、広い視野と先見性を持って考え、行動するグローバル人材であったと言うことができると思います。  真のグローバル人材とは、グローバルに物を考え、行動できる人であって、必ずしも外国語ができる人ではないと考えます。文科省では、国際理解を進めるために、英語の授業の中で諸外国の文化や社会情勢などを学ばせようとしております。しかし、児童生徒は英語を学ぶことに精いっぱいであり、英語で国際理解を深める余裕などはないと考えます。諸外国の文化や社会情勢などは、例えば社会の学科の中で学ぶことができますし、何よりも日本語で学ぶことから理解がより深まると考えます。  日本人は、英語コンプレックスがあり、英語ができなければいけないとか、英語ができれば国際人だとか、誤った理解をしている人が多いと感じます。近年は、技術が進んで、機械やロボットなどが即座に翻訳してくれるようになり、英語などの外国語の聞く力、話す力を気にしなくてもよい時代になりつつあります。  ここで、改めて県が考えるグローバル人材について確認したいと思います。  まず、知事にお聞きいたします。  私は、グローバル人材とは、広い視野を持ち、常に長期的な視点を持って柔軟な発想ができる人と捉えておりますが、知事はグローバル人材をどのように想定しておられるでしょうか。また、グローバル人材育成のために県ではどのような施策を行ってきましたか。また、現状の県の施策の課題をどう捉え、今後どのように進めていく方針でしょうか。  次に、教育長にお聞きいたします。  県では、グローバル人材育成の一環として、信州つばさプロジェクトにより高校生の海外留学に対する支援を行っておりますが、今後、留学生をどのように増やしていく方針でしょうか。また、高校生の個人留学に対する支援制度では1週間以上の短期留学を支援の対象としておりますが、1週間では異文化理解等の体験活動を十分に行うことはできず、留学の成果を期待できないことから、2週間以上の留学を対象とするよう制度を改正することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  さらに、これからの世界はアジアの時代となることから、アジア地域を対象とする留学を奨励すべきと考えますが、どのように対応する方針でしょうか。  以上で大きい2項目めの質問といたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、英語教育についてのお尋ねでございます。  英語専科教員配置の現状とさらなる増員、教員確保についてというお話でございます。  まず、英語専科教員につきましては、平成30年度より20人ずつ増員いたしまして、令和2年度からは60人ということになっております。令和3年4月現在、この60人を兼務をかけながら164校に配置し、学級担任の負担軽減を図っているところでございます。  増員に関するお尋ねでありますけれども、英語専科教員数については文部科学省の加配基準に基づいておりますので、さらなる増員につきまして本年7月に全国都道府県教育長協議会及び全国都道府県教育委員協議会を通じて国に要望しているところでございます。  また、県教育委員会として、平成29年度から小学校教諭が中学校英語2種免許を取得できる免許法認定講習を実施しているほか、令和元年度からは、小学校の教員採用選考において英語免許取得者への加点制度を導入するなど、現職の小学校教員の専門性の向上と専科教員の確保に取り組んでいるところでございます。  続いて、大学入学試験における英語試験に関してでございます。  まず、英語の民間試験導入見送りに対する教育現場や受験生等の受け止めであります。  共通テストへの英語民間試験の導入につきましては、地理的、経済的事情への対応や障害を持つ生徒への配慮が不十分であるなどの課題が指摘されておりまして、それらが解決されないままでの実施には不安がありましたため、見送りを評価する意見が多くあったというふうに承知しております。  県教育委員会としても、総合的な英語力の育成を目指しての導入という導入の趣旨自体は理解できますが、指摘された課題が明確に解決されたと言える状況になかったので、見送りは妥当であったというふうに考えております。  次に、英語民間試験を意識した授業の実施についてというお尋ねであります。  英語民間試験は、それぞれの試験によって資格の利用目的や内容等が異なっておりまして、海外の大学で学ぶ学生向けやビジネス英語が主であるなどの特徴がございます。したがいまして、高校によっては、今申し上げました英語民間試験のそれぞれの特徴に応じた対策指導に重点を置いた授業が行われるのではないかという懸念も考えられるところであります。  続いて、各大学の個別入試へ英語民間試験を導入することに対して県教委がどう思っているかというお尋ねでございます。  先ほど申しましたとおり、英語民間試験の導入には様々な課題があり、これらの課題が解決されない限り大学入学共通テストへの導入は困難であろうというふうに思っております。国が設置した大学入試のあり方に関する検討会議で検討した結果、英語民間試験の活用については、共通テストではなく、各大学の個別選抜で活用すべきという提言がまとまったところでございます。それを受けまして、文部科学省は、各大学がそれぞれ個別試験において独自の試験や英語民間試験を活用していく方向を通知しておりまして、私どもとしても現状においては妥当なものだというふうに考えているところでございます。  次に、グローバル人材の育成についてのお尋ねでございます。  高校生の海外留学についてでありますが、県内高校生の留学者の割合は、信州つばさプロジェクト開始前の平成27年度には0.7%であったものが、開始後の平成30年度には1.27%まで上昇し、令和元年度にはさらに多くの申込みがあったところであります。しかしながら、コロナ禍によりまして留学は中止せざるを得なくなり、現在も実施できていない状況であります。  そんな中ではありますが、留学への機運醸成を図るために、高校生と留学経験者をオンラインでつないだ個別相談会を実施しているところであります。海外渡航が許される状況になれば、プロジェクトを再開し、留学生の増加を目指してまいりたいというふうに考えております。  それから、2週間以上の留学を対象としたらどうかという御提案でございますが、本プロジェクトが1週間以上の留学から支援しているのは、留学希望者の中には長期の日程を確保するのが難しい生徒もおりますので、生徒や保護者の多岐にわたるニーズに応えた留学コースを用意し、希望や実情に応じて留学意欲のあるより多くの高校生に対応していこうという趣旨であるところでございます。  それから、アジア地域を対象とする留学についてというお尋ねでございます。  これまでに信州つばさプロジェクトとして設定した4コースのうち、3コースは台湾、カンボジア、マレーシアを留学先としております。まずは身近なアジアの異文化に触れて学ぶことを奨励しておりまして、今後もアジア地域を対象とする留学を進めてまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、グローバル人材について御質問いただきました。グローバル人材をどういう人材と考えているのか、また、どのような政策を行ってきたのか、今後どう取組を進めていくのかという御質問であります。  今や、経済活動はもとより、脱温暖化、脱炭素社会、気候変動の問題を含めた環境問題、様々な社会的な課題、いずれの分野においても、世界とのつながりを抜きには考えられない時代だというふうに考えています。  そういう意味で、本県としても、グローバルに活躍できる人材を育てていくということが、これからの長野県の発展にとって、そして、世界の中で責任ある役割を、長野県、あるいは日本が果たしていく上でも極めて重要だというふうに考えております。  まず、どういう人材かという御質問で、酒井議員からは、長期的な視点を持って柔軟な発想ができる人という御提示がありました。私も基本的に同じような考え方を持っています。もう少し周辺的なことでお話しをすれば、世界の文化、例えば、生活習慣やしきたりは様々でありますので、そうした多様性を受け入れ、そして尊重することができる人間が重要だというふうに思います。また、世界の国々のいろいろな価値観を持つ人達と交流を深める中で、そこから新しい価値を創造することができる能力、かつて、明治維新後は、ある意味、基本的な部分を海外から輸入することで日本の繁栄の基礎は築かれたわけでありますけれども、これからは、例えば脱炭素社会やこの資本主義の限界をどう乗り越えていくかということについて、世界中どこを見渡しても答えはないわけであります。そういう意味では、やはり新しい価値を創造していく能力ということも大変重要だというふうに思っております。  それに加えて、先ほども英語能力の御議論がありましたけれども、もちろんツールとしての語学力というのも一定程度必要だと思いますが、それ以上に、やはり伝えるべきものを持っているということが重要だというふうに思います。確固とした伝えるものを持っている人間に対しては、多くの人たちは、語学力が不足していても、何とか吸収しよう、何とかコミュニケーションを取りたいというふうに思うはずでありますので、日本、そして信州に育つ子供たちには、やはり日本、長野県、そして各地域の歴史や文化もしっかり身につけておいてもらいたいというふうに思っております。  こうした観点で、長野県としては、長野県の高校生にもっともっと海外に目を向けてもらいたいということで、先ほども御質問にありました信州つばさプロジェクトに取り組んできておりますし、また、ワールドワイドラーニングの指定を受けた高校では、この英語教育と探究的な学びを結びつけたカリキュラムを実施してきております。  そして、地域を学ぶ、自分たちのアイデンティティーを育むという観点での信州学ということも進めてきております。  また、大学におきましては、まさに長野県立大学はグローバルに活躍できる人材を育てようということで設置したわけでありますので、英語集中プログラムを行うのみならず、全員参加の海外短期研修などの特色ある教育を行ってきております。また、県内経済界と連携しての大学生の海外インターンシップなど様々な取組を行ってきています。  今後、次世代を担う子供たち、若者たちには、もっともっと世界に目を向けていってもらいたいというふうに思います。世界を学ぶ、そして世界に学ぶということが大変重要だというふうに考えております。  そういう意味で、我々県行政としては、いろんな機会を提供していくということが重要だというふうに思っております。そうした願いを持ちながら、世界に活躍できるグローバル人材の育成に向けて、引き続き教育委員会とも連携しながら取組を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)今、知事からグローバル人材について答弁をいただきました。多様性を受け入れ、尊重するという大変すばらしい考えであります。また、地域の歴史文化を大切にするという答弁がありましたが、やはりこの地域の歴史文化をしっかりと学んでいくと、こういうことが大事であるというふうに考えたわけであります。  小学校の英語を指導する専科の教員については、今、増加させるという方向で国にも要望するという答弁があったわけでありますが、市町村の教育委員会が心配していることは、英語を指導する能力のある教員が不足している現状の中で、果たして実際に教員が配置されるのかということであります。県教委は、課題解決に向けて最大限の努力をするように要望しておきたいと思います。  それから、私は、国際的に活躍するグローバル人材も必要であるというふうに考えますが、地方創生の面から、地方で活躍するグローバル人材を育成することも大変重要であると考えるものであります。現在、県教育委員会では高校再編を進めておりますが、再編による新校のカリキュラムの中にグローバル人材の育成に資するものを盛り込むことを提案し、大きい3項目めの質問に移りたいと思います。  まず、森林・林業の振興について、その中でも、災害に強い森林づくりについて質問をいたします。  8月13日からの大雨により、県下各地で甚大な被害が発生し、岡谷市川岸で発生いたしました土石流では3名の貴い命が失われたところでございます。岡谷市では、平成18年にも同様の災害がありまして、8名が亡くなっているわけであります。  両方の災害の共通点は、里山の崩落により生じたものであります。今回の豪雨によりまして、林務部関係では、県下の98か所で山地災害が発生し、1,400か所余りの林道が被災しておりますが、早期の復旧を要望するものであります。  平成18年の甚大な災害を受けまして、災害に強い森林づくりの重要性が改めて認識されたところでありました。しかし、15年後の今年、また人的被害が発生してしまったわけであります。県林務部では、平成18年の豪雨災害を教訓に、有識者で構成いたします森林の土砂災害防止機能に関する検討委員会を設置しまして、平成20年1月には災害に強い森林づくり指針を策定したところでございます。  私は、防災対策のために、ハード面の対応と並行いたしまして、災害に強い森林づくりのために長期的な視野に立ってあらゆる効果的な対策を講じなければならないと考えます。平成29年2月議会定例会の代表質問におきまして、自民党県議団の垣内議員が災害に強い森林の整備について質問をし、この中で、直根、真っすぐに伸びた根のことでありますが、これを持つ苗木による植林を進めるべきとの提案がなされたところであります。  そこで、知事にお聞きいたします。  豪雨災害が多発している中で、人的・物的被害をできるだけ小さくするために災害に強い健全な森林づくりを進めることが求められておりますが、今後どのように進める方針でしょうか。  次に、県産材の需要、供給の拡大について質問いたします。  アメリカの住宅着工件数が伸び、中国での木材需要が高まっていることなどから、国際的に木材の需給が逼迫し、木材価格が高騰し、いわゆるウッドショックと呼ばれる状況にあります。特に、住宅のはりや桁などに用いるベイマツを中心に外材が入らなくなっております。  外材の品不足や価格高騰の影響によりまして、国産材に需要がシフトし、国産材や県産材の価格も急激に上昇しているところでございます。これによりまして、建築現場におきまして、コストが上昇し、工期の見直し等が必要になるなど、住宅関連産業には大きな影響が出ているところでございます。原木を扱う林業や、製材、加工を行う木材産業においては、急激な需要の高まりにより注文が殺到しているところでありますが、納品が追いつかない状況にあります。  こうした中で、ウッドショックの影響を受けていない会社があります。私の地元、伊那市にあります木造住宅などを建設するフォレストコーポレーションであります。この会社は、住宅業界がこぞって輸入木材を使用する中で、長野県産材にこだわって木造注文住宅の建設を行ってきました。県産材による住宅建設を始めた25年ほど前には、県産材を安定的に確保することは現実的ではないと、業界からはばかにされたそうであります。  会社では、当初から外材は全く使用しておらず、使用する木材はほとんどが県産材であり、しかも天然乾燥した木材を中心に使用するシステムをつくり上げております。このシステムは、県内におきましては画期的なものであります。さらに、会社では、間伐材も住宅に活用しており、この点で森林整備の促進にも貢献しているわけであります。こうした取組が評価されまして、平成18年には長野県ふるさと森林づくり賞で県知事賞を受賞しております。  ウッドショックの中にあっても、現状では必要な木材は十分な量を確保しており、木材価格の値上げの影響もほとんどないと聞いております。県産材を県内事業者が加工し、住宅を建設するシステムをつくり上げるには、様々な課題をクリアしなければならず、大変な苦労があったのではないかと思います。しかし、今となりましては、極めて先見性のある取組であり、県内の事業者も大いに参考にすべきと考えます。  一方、ウッドショックにより需要が増えて価格が上がっているにもかかわらず、増産しようにも設備や労務の面で限界があり、一過性の需要ではないかとの不安もある中で、供給量が思ったように増えていないといった問題も生じております。県では、2022年に素材生産量を80万立方メートルにまで増やす目標を掲げ、その拡大を目指して施策を展開しておりますが、昨年、2020年の素材生産量は57万立方メートルにとどまっており、需要側からの要請が高まっている状況下で、県内の林業・木材産業にとっては今が大きく飛躍するチャンスでもあります。  一方、グローバルな経済が進む中で、木材市況の急変は今後も十分あり得ると考えられることから、原材料の自給を促進する側面からも、需要の確保、創出とともに、安定的に県産材を供給できる産業構造を構築する必要があると考えます。そのためには、林業現場における素材生産量をいかに増大させるかが重要であります。日本では、戦後に植えられた杉、ヒノキ、カラマツなどが成熟期を迎えておりますが、木材自給率は僅か38%と低迷しております。また、林業従事者の減少が進み、加えて、高齢化も進んで、人材不足が深刻な状況にあります。  しかし、ウッドショックは、本県にとってはマイナス面ばかりではなく、知恵を働かせば森林県から林業県へ飛躍する足がかりになると捉えるべきであると思います。
     そこで、林務部長に以下4点お聞きいたします。  一つ目、今回の急激な国産材や県産材の需要を将来にわたって確かなものとすることが必要と考えますが、県として需要確保の面で具体的にどのような対策を行い、今後どのような対策を講じていく方針でしょうか。  二つ目、県産材の活用を拡大するために県内の関係事業者が連携して県産材に特化した住宅建設を促進することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  三つ目、県産材の活用を拡大するために木材の乾燥能力を拡張する必要がありますが、個々の木材加工業者が設備投資を行うことは経営上困難であるため、製材事業者が連携する中で県内に乾燥の拠点設備を設けることを提案いたしますが、いかがでしょうか。この場合、県として必要な支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。  四つ目、素材生産量の安定化のためには林業従事者の育成確保が不可欠でありますが、今後どのような対策を取っていく方針でしょうか。  次に、知事にお聞きいたします。  県産材の生産量の拡大のために、今後、林業、木材産業においてどのような取組が必要で、県としてどのような施策を推進していく方針でしょうか。  次に、林務部について質問いたします。  ウッドショックの中で早急な対策が求められておりますけれども、森林・林業については50年、100年先を見据えた対策を講じていく必要があります。県の森林・林業施策を推進する上では、現状を直視することも大切でありますが、常に一定程度の木材需要を確保するとともに、常に一定程度の生産力がある森林を育て、これを供給できる木材産業を育成していくことが求められております。  過去に、県の附属機関の審議の中で、林務部と他の部との統合論が出されたこともありましたけれども、森林整備や林業振興、さらにはゼロカーボンや防災対策を進める上で、林務部の果たす役割はますます大きくなると考えます。  そこで、林務部長にお聞きいたします。  森林の整備と林業の振興を進める上では、50年、100年といった長期的な視野に立った施策を講じることが求められており、県林務部は安定的、継続的で有効な施策を実行する組織でなければならないと考えます。林務部のトップとして、全国をリードする林業県への飛躍に向けて施策を展開するに当たっての決意をお聞きいたします。  以上で大きい3項目めの質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、災害に強い森林づくりについてであります。今後どう進めていくのかという御質問であります。  近年の気候変動によります激甚な豪雨災害等が今後も見込まれますことから、激しい降雨にも耐え得る健全な森林づくりが重要だというふうに考えています。  御質問の中にもございましたが、県としては、平成18年に諏訪地域を中心に発生した豪雨災害を契機として、災害に強い森林づくり指針を平成20年に策定いたしております。これまで、この指針に基づきまして、立地環境に適した樹木を育成する適地適木や間伐によります適正管理によりまして、根の張りのしっかりした幹の太い森林に導き、豊潤な土壌を保持する取組を県内各地で行ってきたところでございます。こうした取組を行った箇所では、本年8月の大雨でも新たな災害は発生しておらず、効果は着実に発揮されてきているものというふうに考えております。  今後は、流域治水の観点からも、河川の上流域において、機能の低下した森林をターゲットとして、森林の土砂災害防止機能や水源涵養機能を維持、向上させるため、治山施設設置と森林整備とを一体的に実施することにより森林の強靱化を図っていきたいと考えております。  続きまして、県産材の生産量拡大に向けどう取り組んでいくのかという御質問でございます。  県産材の生産量の拡大を図るためには、地形、地質の条件がよい場所など、林業活動に適したエリアにおいて主伐、再造林を積極的に進めていくことが重要であり、林業分野におきましては、主伐により良質な材から低質な材までを効率的に生産する仕組みづくり、そして、木材産業分野においては、品質が高く、消費者ニーズに合った製材品を安定的に供給する体制整備がそれぞれ必要であるというふうに考えております。そのため、林業分野におきましては、木材を効率的、安定的に供給するための路網整備やスマート林業の導入支援、また、木材生産に従事する担い手の育成確保、さらには主伐後の再造林に対する支援などを進めてまいります。  また、木材産業分野におきましては、製材加工施設の整備に対する支援、製材加工の事業者間の連携強化、住宅産業等の関係事業者とのマッチング、環境に配慮した住宅建設への支援や、県立武道館など県有施設への県産材の積極的利用などを進めてまいります。こうした総合的な取組を進めることにより、県産材の生産量拡大を図っていきたいと考えております。  以上です。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)私には5点お尋ねをいただきましたので、順次お答えいたします。  まず、需要確保のための現在、そして今後の対策についてでございます。  現在、県産の丸太、木材製品の需要が好調であり、林業や木材産業界にとっては大きなビジネスチャンスとなっております。県としては、これを県産材への転換のチャンスと捉え、新たな需要を確かなものとし、着実な増産につなげられるよう、林業、木材産業、住宅産業の需給マッチングを積極的に進めているところです。  また、外材から県産材へのシフトを促すため、工務店に対し県産材製品の購入や普及啓発を支援する補正予算案を本定例会でお願いしているところです。こうした取組を通じて、林業、木材産業、住宅産業の関係を強化し、需要がさらに確かなものとなるよう努めてまいります。  次に、県産材に特化した住宅建設の促進についてでございます。  県産材住宅の建設を促進するため、建設部では、環境面や省エネルギーに配慮した県産材住宅への助成を行っているところです。こうした施策を活用する事業者側の連携として、林業、木材産業、住宅産業などの関係事業者による連携組織が県内各地に33グループあり、県産材住宅づくりに取り組んでおります。このような取組は、県産材の活用を進める上で非常に有益で効果的なものと認識しております。県としては、外材を主に取り扱ってきた工務店などに対しても、こうしたネットワークへの参画を積極的に働きかけてまいります。  次に、木材乾燥能力の拡張に向けた事業者支援についてでございます。  現在の木造建築では、木材の割れや狂いを防ぐための人工乾燥が重要な工程ですが、県内にある131の製材工場のうち乾燥施設を保有する工場は全体の約3割、43施設となっています。県内の乾燥拠点の整備については、コスト等の観点から、まずは乾燥施設を保有する製材工場を中心に、保有しない製材工場との水平連携の強化が有効と考えます。県としては、こうした連携に意欲ある事業者の支援を通じて地域全体の木材乾燥能力を高める取組を進めてまいりたいと考えております。  次に、林業従事者の育成確保についてでございます。  素材生産量の増大に向けては、林業従事者の育成確保が重要であると同時に、1人当たりの生産性を高め、素材生産業務に専念できる環境を整えていくことが重要な課題と認識しています。このため、令和3年度は、生産性を高めるための機械化や路網整備、スマート林業の推進等のこれまでの取組に加え、人員不足に悩む地域に林業従事者や機械を他の地域から一時的に移動させる仕組みの構築に向けて取り組んでいるところです。  今後の林業従事者の育成確保に向けた方針については、県の林業労働力対策の基本的な考え方や具体的な方策を定める長野県林業労働力確保促進基本計画の次期計画の策定に向けた作業の中で検討を進めております。  現在検討している主な方向性としては、次の3点でございます。1、労働安全に対する対策の強化。2、生産性の向上と事業地の確保を通じた林業従事者の所得の向上。3、林業の認知度の向上や就業機会の確保、多様な林業への関わり方の推進による新規就業者の確保の3点でございます。今後、より議論を深め、実効性のある計画の策定を目指してまいります。  最後に、全国をリードする林業県への飛躍に向けての決意でございます。  戦後、荒廃した森林に先人たちが苦労して木を植え、育て、本格的に使える時代となっております。そこで、充実した森林資源を継続して利用できるよう、しっかりとした道筋をつけることが今の私たちに課せられた責務と考えております。  こうしたことに加えて、近年の度重なる豪雨災害の発生やゼロカーボン社会の実現に向けた動きなどにより、これまで以上に土砂災害防止や二酸化炭素の吸収、固定といった森林が持つ多面的機能の発揮に期待が高まってきています。  議員御指摘のとおり、森林・林業施策を着実に進めていくためには長期的な視点が欠かせないことから、おおむね100年先の森林のあるべき姿とそれを実現するための方向性を長野県森林づくり指針にて定め、施策を進めております。今後も、指針に基づいて長期的な視点に立ち、災害に強い森林づくりや素材生産量を増加させる取組など本県の森林が持つ価値や機能を最大限発揮させ、林業県として飛躍できるよう、職員一丸となって取り組んでまいります。  以上でございます。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)知事からは、林業、木材産業については、製材加工施設の支援についてもお答えをいただきましたので、しっかりと支援をしていただきますようにお願いしたいと思います。  県産材の生産量の拡大のためには、数多くある小規模林業者も非常に重要でありますので、様々な支援を進めていただくように期待しているところでございます。  最近、伊那市におきましては、若い年代の移住者で林業に従事する人が何名か出てきております。今後、こうした人が増えることを期待いたしますけれども、賃金水準が低いということが大きな課題となっているわけであります。こうした課題にも積極的に取り組むよう要望しておきたいと思います。  災害に強い森林づくりにつきましては、前例にとらわれずに思い切った予算を確保し、執行していくことを要望するものであります。私の後援会の名前は「もりの会」といいますが、もりとは森林のことであります。森林の持つ公益性に着目して命名されました。公益的な機能を発揮できる森林を整備するとともに、全国をリードする林業県となるためにも、林務部職員が一丸となって職務に精励するとともに、単独で存続できる組織となることを期待し、以上で全ての質問を終わりとさせていただきます。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時24分休憩          ──────────────────         午後2時40分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  毛利栄子議員。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)8月の豪雨災害につきまして建設部長並びに危機管理部長に伺います。  8月の前線豪雨並びに9月5日の大雨による災害で亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された全ての皆さんにお見舞い申し上げます。また、対応された行政関係者、消防団、建設業者、地域の方々やボランティアの皆さんに感謝申し上げます。  8月前線豪雨は、とりわけ諏訪、上伊那、木曽地域に甚大な被害をもたらしました。9月5日には茅野市高部の下馬沢川で土石流災害が発生し、大規模な被害が起こっています。僅か1か月の間にこのような大災害が同じ諏訪地域で起こることはかつてなかったことであり、気候危機のすさまじさを感じています。  8月13日から15日までの岡谷市の総雨量は350ミリメートル、特に、8月14日は、深夜3時から4時の時間雨量が44ミリメートルとなり、早朝5時29分、川岸駅前の渓流、中大久保沢で土石流が発生し、母子3人が亡くなるという大変痛ましい事故となりました。現場は、土石流警戒区域に指定はされていたものの、普段は水も流れていない小さな沢での出来事であり、近隣住民の皆さんは、まさかこんなところで土石流が起こるとは思わなかった。早朝、ドーンと大きな音がしたのでびっくりして飛び起きてみたら、向かいの家に土砂が流れ込んでいたと、突然の出来事に驚いています。  既に諏訪建設事務所に対応いただき、応急復旧はされていますが、依然として避難指示は発令されたままです。土石流の原因と、隣の大久保沢を含め今後の本格復旧の見通しについて建設部長に伺います。  今回の土石流は、平成18年、湊及び橋原の死者8人を出した同じ西山地域で起きており、小田井沢川や本沢川も同じように今回も荒れており、当時設置していただいた砂防堰堤は山腹崩壊による流木と土砂で完全に埋まっていて、もしこの堰堤がなければ再び惨事に巻き込まれたのではないかとぞっとする状況であります。  危険な渓流や沢は数え切れないほどありますが、岡谷市では、平成18年の災害以前はたった4基だった砂防堰堤でしたが、災害復旧や下流域に保全施設がある地域を優先的に対策し、現在は40基の砂防堰堤があるそうです。これから台風シーズンにもなり、地域の皆さんは安全に過ごせるか心配し、堆積土砂の撤去を切望しています。優先順位を考えながら堰堤にたまった土砂のしゅんせつをしていただいて機能回復を図っていただきたいが、いかがでしょうか。また、県下にたくさんある堰堤も同じような状況かと思いますが、点検体制と適切なしゅんせつが必要だと思いますが、対応について伺います。  次に、大きく陥没し、通行止めが続いている国道142号について伺います。  ここも、大久保川に大量の水が流れ込み、横断する道路下部を洗掘して土砂が大量に流れ、周辺の約40軒に避難指示が出されました。道路には直径30センチの水道管や下水道管が通っており、辛うじて破損しなかったことが不幸中の幸いだったと町長も語っています。現在は不安定な土砂を取り除き、ブルーシートがかけられたままになっていますが、道路陥没の原因と復旧の見通しについて伺います。  近隣住民の皆さんのお話では、この川は平成18年の豪雨災害のときにも氾濫し、また今度も同じように荒れた。繰り返さないように抜本的な対策を取ってほしいと口々に言っておられます。道路の復旧とともに、雨が降れば安心して寝られないという大久保川上流部の抜本的な治水対策を住民の皆さんの意見などもよく聞きながら図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  今回、県下の被災された皆さんに対し、国の生活再建支援法の対象にならない方々に対して、信州被災者生活再建支援事業で救済するための補正予算が盛られていることは歓迎します。しかし、被災地を回って要望いただいたことは、住宅は損壊しなかったが、土砂が敷地内に入り込むことによってエアコンの室外機や給湯器などが使えなくなった。買換えには費用がかさむため支援はあるかということでした。これらに関する公的支援はあるのでしょうか。見舞金や民間の保険だけでは救済されない場合もあり、今後何らかの支援策を検討する必要があると思いますが、危機管理部長の見解を伺います。  土砂災害や洪水の危険性に対し命や財産を守るためには、ハード面の対策とともにソフト面での対策の重要性を改めて認識しているところです。各地で防災ガイドやハザードマップなどがつくられています。一旦は全戸に配っていても、なかなか日常的に自分たちの住んでいる地域がどんな状況にあるのか自覚することが少ないと思われます。  犠牲者を一人も出さなかった茅野市高部の住民の取組は今後大いに教訓としなければならないと思いますが、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域、浸水区域など、ハザードマップの住民への啓発や周知、防災や減災への備えについて伺います。  次に、避難所の環境改善について伺います。  被災された方々は、学校体育館や公民館、地域コミュニティー施設、提携する旅館などに避難されておりました。不安を抱えながらの避難生活、簡易テントなどが入り、プライバシーは守られたものの、冷たい床にシート1枚、毛布1枚ではつらい。食事も、弁当やインスタントなので、温かいものが食べたい。中には、弁当は自分で買って食べている、毛布も自分で持ってきたという声も聞かれました。  TKB(トイレ、食事、ベッド)を中心に、避難所の環境改善のため、県では避難所運営マニュアル策定指針を示し、市町村と取組を進めています。しかし、県下を見ても、まだまだ地域ごとにアンバランスがあり、避難所の環境改善の取組には課題があると痛感しています。一層市町村と認識を共有して避難所の環境改善を進めていただくこと、簡易テントや段ボールベッドなど備蓄に対する支援、さらには高齢者等避難指示が出ていても要配慮者は体育館等には避難できないとの声も聞かれます。要配慮者の避難の在り方についても伺います。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、岡谷市中大久保、大久保の対策に関するお尋ねでございます。  今回の土石流の原因ですが、当該地域は火山に起因する脆弱な地質で構成されており、そこに、近隣の雨量観測所で最大時間雨量29ミリ、最大日雨量158ミリを観測する降雨があったため、山腹で表層崩壊が発生、流下し、土石流となったものと考えております。復旧につきましては、2渓流で9月26日までに仮設の籠堰堤の設置が完了しており、今後砂防堰堤を新たに設置する予定としております。地域の皆様が安心して暮らせるよう、一日も早い工事の完了に取り組んでまいります。  次に、砂防堰堤の点検体制、堆積土砂のしゅんせつ等の対応に関するお尋ねでございます。  まずは、一般的な砂防堰堤の機能や管理についてでございますが、砂防堰堤は、満砂した状態で機能がなくなるものではなく、満砂している状態でも、上流側の山裾を安定させる機能や、渓流の勾配を緩くするとともに、河床が広がることにより土石流等を止める機能がございます。岡谷市に設置されている砂防堰堤40基につきましては、8月の大雨後、緊急施設点検を実施しており、土砂や流木を捕捉するとともに、上流に不安定土砂を確認した7基の砂防堰堤については、その機能を確保するために、緊急的に堆積した土砂や流木を撤去しているところでございます。  砂防堰堤の点検につきましては、岡谷市も含め、県内全ての砂防堰堤について定期的に実施しており、砂防堰堤の土砂の堆積状況を確認し、山腹やその地質の状況を踏まえた上で、緊急性や保全対象の重要性の観点から対策が必要な施設については順次土砂の撤去を行っております。今後とも、既設砂防施設が十分な効果を発揮できるよう、適切な管理に努めてまいります。  次に、国道142号道路陥没の原因と復旧の見通し及び大久保川の治水対策についてのお尋ねでございます。  道路陥没は、連続369ミリを観測する大雨となったことから、道路を横断する水路への土砂流入や増水によりせき上げられた水が道路の盛土内に浸透するとともに、水路が部分的に崩壊し、道路の盛土が吸い出されたことが原因と考えられます。  現在、上下水道など工事に支障となる占用物件の移設準備を進めており、移設後は直ちに復旧工事に着手して、御柱祭が開催される4月上旬を目標に、部分的にでも通行できるように復旧に努めてまいります。  一方、大久保川の上流を調査した結果、大きな崩壊や上流からの顕著な土砂流出は認められませんが、復旧工事に当たっては、道路の直上流に土砂止め工を設置し、横断水路の土砂流入の軽減を図ってまいります。  また、下諏訪町では、増水対策として下流の水路の拡幅改良を行う予定と聞いており、町とも連携し、住民の意見を聞きながら、これらの対策を速やかに実施してまいります。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)順次お答えいたします。  初めに、家財被害があった世帯に対する公的支援の検討についてでございます。  自然災害により、その住居する住宅に著しい被害を負った世帯に対しては国の被災者生活再建支援法、これの対象とならない世帯には信州被災者生活再建支援制度により支援を行っているところでございます。  さらに、両制度の支給対象とならない世帯に対しては災害見舞金交付基準に基づき見舞金を支給することとしておりますが、支給には床上浸水等の住家被害が要件となっているところでございます。このため、住家被害がない場合は支給の要件を満たさず、県の支援金や見舞金制度の対象とすることは難しい状況でございます。  風水害、土砂災害や地震などの災害に対しては、様々な保険や共済がございます。それらに加入するという事前の備えを推奨しておりまして、保険制度の充実も期待されるところでございます。県では、信州地震等災害保険・共済加入促進協議会において、地震等災害リスクや、保険・共済加入をはじめとした災害への備えについて普及啓発などを行っており、引き続き関係団体と連携し、災害発生後の県民の迅速な生活再建に寄与してまいりたいと考えております。  次に、ハザードマップの住民への啓発、周知や、防災・減災への備えについてでございます。  県民の皆様が自らの命は自らが守る意識を持ち、自らの判断で防災行動を取っていただくためには、身の回りの災害リスクを知ることが重要です。そのため、県では、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域、沿川に集落等がある中小河川の浸水想定区域などを指定し、これらのデータを市町村へ提供し、市町村はハザードマップを作成して住民への周知に努めています。  県では、県政出前講座によるハザードマップを活用した研修を行うとともに、インターネットで確認できます国の重ねるハザードマップで閲覧できるようにするため、国に対して資料提供を行っております。また、長野県防災情報ツイッターや、さらに、10月からは信州防災アプリも運用を開始することから、これらを活用し、ハザードマップの利用活用の普及に努めてまいります。  今後も、県民一人一人が身近な災害リスクを知ることができ、防災や減災への備えができるよう、市町村と連携してハザードマップの周知に取り組んでまいります。  次に、避難所の環境改善と備蓄に対する支援についてでございます。  県では、避難所の良好な生活環境の確保のため、避難所運営マニュアル策定指針を作成するとともに、避難所のTKB(トイレ、キッチン、ベッド)の環境の向上に向け、段ボールベッド等の設置に関するウェブ研修会を開催するなど、市町村支援に取り組んでおります。  また、備蓄については、県は、市町村を補完する立場として、生活を仕切るパーティション(間仕切り)や段ボールベッド等必要な物資の備蓄を行っており、引き続き市町村と連携して避難所の環境改善に取り組んでまいります。  最後に、要支援者の避難の在り方についてでございます。  県では、地域防災計画の基本理念の一つとして、高齢者、障害者、乳幼児など要配慮者への配慮を掲げており、こうした考えを基本に防災対策を進めています。  災害発生時、地域に住む要配慮者が安全に避難するためには、様々な主体や関係者の方が協力し、対応することが必要でございます。そのため、県では、避難所運営マニュアル策定指針の中で要配慮者へ配慮した避難所運営を示すとともに、災害時住民支え合いマップの作成、さらには個別避難計画の策定促進を通じ、誰もが安心、安全に暮らせる社会づくりを目指しています。引き続き、災害時の要配慮者の避難が円滑に進むよう、関係部局と連携しながら、市町村、関係機関と共に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)ネットになじまない方々もたくさんいらっしゃるわけで、分かりやすい情報発信が重要だと思いますし、人々が声を掛け合うということも大事だということも指摘させていただきたいと思います。
     100年に一度どころか、19号台風、去年の7月豪雨、今年の災害と毎年のように大規模な災害が起こり、その大きな原因に気候変動が挙げられています。災害への備えや復旧・復興とともに、気候危機に対する本気の取組は待ったなしです。  長野県は、2030年までに10年比で二酸化炭素を60%削減する意欲的な目標を掲げています。その達成のために、覚悟を持って共に県民運動を盛り上げることを呼びかけたいと思います。  国道20号諏訪バイパスについて建設部長に伺います。  半世紀前に一旦頓挫した国道20号諏訪バイパスですが、平成28年11月に山側ルート案が示されて以降、環境アセスが都市計画変更手続と並行して進められています。準備書への住民意見は261通提出され、関心の高さがうかがえます。具体的な中身が明らかになるにつれて、バイパスの姿が住民の中で不安の声として上げられております。県の技術委員会でも議論が重ねられていますが、幾つかの点について部長に伺います。  諏訪バイパスは、8割方トンネル掘削する計画ですが、温泉、湧水、水源や、諏訪五蔵、植生など、環境面への影響はないかとの不安が広がっています。下諏訪町の6月議会では、下諏訪温泉旅館組合、慈雲寺、諏訪大社が、町民の意見を反映し、自然環境を保持するよう求める陳情を提出し、全会一致で採択されています。町長も、議会で住民の声を聞き、不安や疑問を解消した上で進めることが大切と答弁されています。住民からの不安や疑問にどのように対応されていくのか、御所見をお聞かせください。  事業地一体を長年研究対象としてきた信州大学名誉教授の小坂共栄先生から、知事や技術委員会に要望書が提出されています。ここでは、調査が著しく不十分で、トンネル掘削する地域が過去に長地トンネル、湖北トンネル、塩嶺トンネルと大規模な出水事故や陥没事故があったことに触れ、不十分な水質データによって掘削による温泉源泉への影響は軽微であると結論づけていることに対して、根拠薄弱だと指摘。また、準備書では、地質に関する調査がたった2日間だけであり、ほぼ文献調査で済ませているのは論外だと厳しく指摘しています。  トンネル掘削による環境影響評価を実施するためには、地質学的な調査とともに、水理地質学的な調査を長期間にわたって実施、観測することが必要だと述べています。温泉や酒造りに影響が出て観光や経済活動にダメージが生じたり、また、陥没事故などが起こり、近隣に土砂などが入って被害が出てからでは取り返しがつきません。専門家の指摘にどう答えていくのか、県の姿勢も問われます。見解を伺います。  今回の豪雨による土石流災害を見ても、中央構造線と糸魚川静岡構造線が交わる地域の断層に沿って計画されていることに、安全性は大丈夫かとの声も聞かれます。特に、明かり部になっている下諏訪町高木の大沢川や津島公園一帯は土砂災害警戒区域になっており、8月の豪雨で大規模な土砂崩落が起きた場所でもあります。安全性についての検証をどう行うのか、伺います。  掘削工事による建設発生土は約150万立方メートルと予測し、うち21万立方メートルを盛土材として再利用し、残りの129万立方メートルを区域外へ搬出するとされています。住民の皆さんの中でも、発生土をどこに持っていくのか、工事用車両の交通量はどのくらいなのか、アクセス道路が狭いのに安全性は保たれるのかと心配の声が上がっていますが、準備書には記載がありません。発生土の搬出先や運搬するトラックの台数などはどうなっているのか、伺います。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)国道20号諏訪バイパスに関係して4点ほど御質問いただきました。  初めに、住民の方の不安や疑問への対応に関するお尋ねでございます。  国道20号は、慢性的な交通渋滞や、8月の豪雨でもございましたが、冠水による通行止めが過去に幾度となく発生するなど、多くの課題がございます。諏訪バイパスは、これらの課題を解決する様々な機能を備えた道路であり、早期整備について諏訪地域の市町村や商工団体などから強い要望をいただいているところでございます。  現在、県では、法律により、事業者である国に代わり環境影響評価と都市計画変更の手続を併せて進めております。これまでの手続の中で、地域住民の方などから、温泉源泉や湧水、地下水への影響など多くの不安や疑問をいただいております。長野県環境影響評価技術委員会において、これらの内容についても各分野の専門家により審議が進められております。  県としましては、国に対しては、その審議の内容を踏まえた環境影響評価に基づく環境保全対策の確実な実施を求めるとともに、国とともに住民へのより丁寧な説明を行ってまいります。また、地域にお住まいの方からの御意見、御要望につきましては、引き続き諏訪市、下諏訪町と共に真摯に対応してまいりたいと考えております。  次に、専門家の指摘にどう答えていくのかとのお尋ねでございます。  議員から御質問のありました専門家からの御指摘につきましては、先月、知事宛てにも要望という形で御意見をいただいており、内容については国へもお伝えしたところでございます。国からは、事業の実施に当たり、周辺で施工したトンネルの対策も参考にしつつ、より詳細に地下水の状況など調査を行い、その結果を設計や施工方法に反映することでトンネル掘削に伴う環境への影響をより一層低減していくと聞いております。県としましては、国に対して環境保全対策の確実な実施を求めてまいります。  次に、安全性の確保に関するお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、諏訪バイパスにつきましては、断層帯及び土砂災害警戒区域を一部通過する計画となっているため、環境影響評価準備書においては、地形及び地質の項目の中で予測及び評価並びに環境の保全のための措置を示しております。具体的には、トンネル構造での断層帯の通過をできる限り回避するとともに、土砂災害警戒区域においては地形の改変を極力少なくした計画であり、詳細な道路構造、施工方法等については事業実施段階においてこれらに十分配慮して検討することとしております。  今後、国においては、環境影響評価の手続が終了した後、事業実施段階で道路の詳細な構造設計を行うに当たり、道路土工構造物技術基準等に基づき、安全性に十分配慮した設計が実施されることとなっております。  最後に、発生土の運搬についてのお尋ねでございます。  環境影響評価準備書では、諏訪バイパスの建設に伴い、約150万立方メートルの建設発生土が発生すると予測され、そのうち約14%に当たる約21万立方メートルが事業実施区域内の盛土材として再利用され、残り約129万立方メートルが事業区域外に搬出される計画となっております。  また、建設発生土を含む工事用資材などの搬入搬出用の工事用車両については、1日最大延べ台数と主な運行ルートが示されておりますが、建設発生土の搬出時期や搬出先などの詳細が明らかになった段階で国と県で地元の方々に丁寧に説明していくこととしております。今後も、国と連携し、住民に寄り添った対応をしてまいります。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)今の御答弁ですと、事業実施段階でさらに詳細な検討をしていくということで、これではなかなか住民の皆さんの不安に答えるものとは思えません。  諏訪バイパスを心配する皆さんは、植生や地質や水源問題など、自分たちの問題であるとともに、これからの子供たちにとって本当に住みよい地域になるために何が大事かと真剣に学習を重ねています。この声に真摯に耳を傾けていただくことを重ねて求めます。  次に、新型コロナウイルス感染症対策についてこども若者局長及び健康福祉部長に伺います。  年末年始を控え、第6波が懸念されます。ワクチン接種が進み、社会全体に免疫力が広がることが期待されますが、ワクチン接種対象外の10歳未満の陽性確認や若年者の多いのが5波デルタ株の特徴です。1日当たりの感染者数に占める10歳未満の子供の割合は、8月平均は7.6%でしたが、9月は保育所などで集団感染が発生し、比率が4割近い日もありました。未来ある子供たちを感染から守らなければなりません。保育所や児童館、児童センター、学童クラブなど、密にならざるを得ない環境下で子供たちを感染から守るための取組をどのように実施しているのか、伺います。  国で児童福祉施設に簡易検査キットを配るとされていますが、その事業内容と、必要数が配られているのか伺います。保育所に配るだけではなく、園を通じて家庭にキットを配付し、子供の場合、家庭内感染が主なので、不安があればまず自主検査を迅速にやっていただき、早期発見に努めていただきたいが、いかがでしょうか。  抗体カクテル療法の実施体制が整えられつつあることは歓迎しますが、あまり経験したことのない治療法のために、医療機関に戸惑いもあり、研修の要望もあります。県内30の医療機関で実施できる体制を整えているとのことですが、保健所などが主導して研修の機会を設けるなど丁寧な取組を進めていただきたいが、いかがですか。  これから冬に向かい、コロナとともに風邪や季節性インフルエンザに対する対応など、発熱外来の利用が一層増加してくると見込まれます。昨年度は、発熱患者等診療体制確保事業が実施され、検査に対する補助などがありましたが、今年度は予定されておりません。RSウイルスの流行もあり、発熱によって医療機関を受診する小児も増加してきていますが、このままでは医療機関の持ち出しとなり、経営の圧迫が懸念されます。  長引くコロナ対応で医療関係者は疲弊しており、使命感だけではやっていけないと悲鳴が上がっています。第6波を見据え、初期対応として重要な事業なので、せめて昨年同様実施できるよう県としての財政支援を求めますが、いかがですか。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には2問御質問をいただきました。  まず、保育所等における感染防止の取組についてでございます。  未就学児や多くの小学生はワクチン接種の対象となっておらず、保育所、放課後児童クラブ等における感染防止対策は極めて重要と認識しております。  県におきましては、保育所等に対して感染予防の専門家による研修会の開催、保育専門相談員の巡回指導、感染防止の好事例の共有、感染事例に基づく注意喚起などを実施し、施設における対策の徹底をお願いしているところでございます。  また、未就学児や小学生の感染は家庭内感染によるものが多く、子供を感染から守り、施設へウイルスを持ち込まないようにするためには、保護者の理解と協力が不可欠です。このため、県は、保護者に対し、子供と家族の体調を毎日確認することや、風邪症状がある場合はかかりつけ医等に相談した上で登園や利用するか否かを判断いただくことなど、家庭における留意点を文書としてお配りし、協力をお願いしているところでございます。  次に、児童福祉施設における簡易検査キットの配付についてでございます。  国が保育所等に配付する簡易検査キットは、施設職員が出勤後に体調悪化を自覚した場合に、あらかじめ検査に関する研修を受講した職員の管理下で検体を自己採取し、検査するためのものでございます。既に市町村を通じて各保育所等に希望の有無や必要数量を照会し、その結果を国に報告しております。順次国から施設に直接配付が始まっており、必要数が配付されるものと認識しております。今後も、子供たちを感染から守るため、引き続き施設や保護者の理解を得つつ、感染対策に取り組んでまいります。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症対策につきまして、私には3点御質問を頂戴いたしました。  まず、家庭へのキット配付についてでございます。  本県では、PCR検査等実施方針に基づきまして、症状のある方や濃厚接触者に限らず幅広く検査を行っているほか、感染拡大地域において集中的な検査をするなど、積極的に行政検査を実施しております。  さらに、これに加えて、今般、抗原簡易キットを活用した陽性者の早期発見事業を実施することとしたところでございます。この事業は、市町村と連携いたしまして、御指摘のとおり、一般家庭を含めた希望者にあらかじめ抗原簡易キットを配付することで、少しでも体調が悪い場合には御家庭等で気軽に検査をしていただき、早期発見につなげるということを目的にしているものでございます。  今後とも、必要な検査を幅広く迅速に実施いたしまして、感染拡大防止に努めてまいりたいと考えております。  それから、抗体カクテル療法に関する研修等の機会についてお尋ねをいただきました。  抗体カクテル療法に使用される中和抗体薬は、緊急の使用が必要な医薬品として本年7月に特例承認された新薬でございます。こうした新型コロナウイルス感染症の新たな治療法等につきましては、医療機関を対象とした検討会をオンライン等で県が随時実施いたしまして、治療に関する情報の共有、提供を行ってまいりました。  厚生労働省や製薬会社から薬に関する情報が随時発信されておりますので、県が主催する検討会で抗体カクテル療法を含む治療に関して医療機関と情報共有するとともに、保健所等を通じて引き続き情報提供に努めてまいります。  それから、発熱患者等診療体制確保事業の実施についてのお尋ねをいただきました。  この事業につきましては、昨年度、季節性インフルエンザの流行による新型コロナウイルスの検査需要に対応するため、自院で検査できる診療・検査医療機関や地域の診療・検査体制整備等に協力する郡市医師会に協力金を支給し、検体採取体制の整備への御協力をいただく目的で実施したものでございます。  医療機関等関係者の御理解と御協力によりまして、現在、県内の診療・検査医療機関は589を数えるなど、現時点においては季節性インフルエンザの流行時の需要に備えた体制が整っているものと認識しております。  なお、診療・検査医療機関への支援につきましては、インフルエンザ流行に備えた体制整備に関する国の動向を注視するとともに、検査体制の維持等のため、あらゆる機会を捉えて国に要望してまいります。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)県が市町村と共同して実施していただく検査キットの配付についてはレベル5以上ということです。小さい子供たちはしばしば発熱するわけでして、マスクもつけられず、保護者や保育者と密を避けられない環境下で神経を使って保育していただいているので、無償の検査キットの配付は未然防止のためにもぜひ必要だ、拡散防止のためにもぜひ必要だということを重ねて申し上げ、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)子供の貧困対策推進法の目的は、子供の将来が生まれ育った環境により左右されることのない社会の実現にあります。貧困の連鎖をいかに断ち切っていくかが必要とされる中で、県においても、様々な教育費の支援、学ぶ力を育むための居場所づくりや学習支援等に取り組まれています。  いつの時代にも、子供の相対的貧困や教育格差が存在し、親の社会階層が子に引き継がれる階層再生産の研究では、総じて相対的な格差が、多少の変容はあれ、変わらず存在していることを示しています。  日本の義務教育は、財政力の低い県に対する国による支援や国のカリキュラムとしての学習指導要領など、国際的には平等な教育機会を提供する標準化された制度として評価されていますが、生まれ育った環境や教育サービス利用志向などにより、教育格差は時代を超えて根強く存在しています。  コロナ禍の影響による格差社会の深刻化とともに、貧困の連鎖や教育格差など、生まれ育った環境によりその選択肢や可能性が大きく制限されてしまうという根本問題をさらに深刻化させてしまうものと感じますが、教育現場ではどのように実態を感じているのか、教育委員会の認識とともに、教育格差の連鎖を断つためにどのように対策を講じたらよいのか、これまでの取組の成果と課題、今後の取組についての考えを教育長に伺います。  長期化するコロナ禍は、子供たちの心へ様々な影響を与えています。令和2年度に小中学校、高校へ入学した児童生徒は、直前の卒園式や卒業式をまともに経験できず、入学した直後に臨時休業、どのように学習を進めたらよいかも分からないまま日が過ぎ、不安を抱えたまま6月前後に登校が始まり、お互いにマスク姿で顔もよく覚えられない、ディスタンスを保てば友達との関わり合いも減るという状況で学校生活が始まりました。入学生だけでなく、全校児童生徒にとっても楽しみにしていた行事は次々に中止や縮小となって、目標が半減し、休み時間に友達とじゃれ合うことも制限され、楽しいはずの給食は前を向いての黙食です。こんな中で、学校生活を送る子供たちの心に何らかの変化が起きてもおかしくはありません。  警察庁のまとめによりますと、昨年の小中高生の自殺者数は過去最多となり、前年比100人増の499人に上りました。過去5年間の推移を見ましても、8月、9月は特に多く、また、増加傾向にあります。  新型コロナの影響が特に顕著であった第5波はちょうど夏休みとその前後に重なっており、警察庁の報告から見ても、今年の夏休み明けの子供たちの様子について心配される状況であると考えますが、子供たちの変調の実態について今年度はどのような状況であったと認識されているのか、教育長に伺います。  また、子供たちの心身や言動の変化には、その契機や理由、背景があり、これまで以上に子供一人一人の心身の変化やSOSを発見する細やかな観察眼とともに、その背景に丁寧に迫っていく配慮した対応が不可欠であります。県では、「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略を策定し、施策を展開されていますが、長期化するコロナ禍によりどのようなリスクを生んでいると捉えているのか、子供の自殺予防や変調に配慮した危機へのアプローチや支援についてどのような対応策が必要と考え施策を講じているのか、健康福祉部長に伺います。  子供は感染しにくいとはもはや言えない状況の中で、経験したことのない不安を抱える子供も多いものと推察いたします。子供たちが安心した環境で学びと向き合えるように、学校においては、正しい知識の共有や、思いやりと支え合いの心での差別や誹謗中傷を防ぐための啓発等、不安解消のための子供の立場に立った心のケアに対する体制整備が不可欠と考えますが、安心感を持って学校生活と向き合えるように県教育委員会ではどのような対策を講じ、市町村教育委員会との連携を図っているのか、教育長に伺います。  第5波まで及び、長期化するコロナ禍は、学校の学習環境とともに教職員の業務にも大きな変化をもたらしました。小まめな学校施設内の消毒や給食の黙食、パネルの設置やソーシャルディスタンス等々、子供を感染症から守るための対策は枚挙にいとまがありません。  また、コロナ対策の一つとして急速に進められるGIGAスクール構想で1人1台配備されたタブレット端末を活用するための校内環境の整備、オンライン授業への準備、また、タブレット端末の自宅への持ち帰りに向けての環境整備、想定されるトラブル等への対応として重要な情報モラル教育の推進、これらへの周到な準備が必要とされています。  学校現場では、急速に変化する社会への対応で業務が増加しているだけでなく、子供や保護者への対応も複雑に絡み合い、多種多様化し、教職員の長時間勤務、心的負担は大きく、問題視され、働き方改革推進のための対策が取られてきましたが、コロナ禍は、これまでの働き方改革への対応策を飲み込むようにして新たな課題を突きつけているように感じます。  こうした学校や教職員の働き方に対する実態やイメージを反映してか、教職員の志願者数の減少が顕著に表れています。10年前、平成24年には、小学校7.25倍、中学校7.62倍、特別支援学校4.3倍、高等学校6.23倍であった教員採用試験の志願者倍率は、本年、小学校2.61倍、中学校4.25倍、特別支援学校2.58倍、高等学校は5.29倍となっており、志願者倍率、志願者数ともに大きく減少してきています。採用倍率3倍を切ると教員の質の担保は難しいなどという話は、専門家の中でも話題になっているようです。そうなると、コロナ禍でただでさえ不安定になりつつある子供たちを支える大事な人材の確保が適正に行われていない状況になっているのではないかと心配になります。  教員志願者数の大幅な減少傾向や成り手不足に対し、県教育委員会ではその原因をどのように認識されているのでしょうか。こうした傾向は、すぐれた人材確保にも影響するのではないかと憂慮いたします。県の課題認識とともに、人材確保のためどのような対策を講じていく必要があると考えるのか、伺います。  また、途中退職、療養中の教職員の増加も心配されますが、その実態と対応策についても併せて伺います。  保育の現場では、長期間にわたり、子供たちを新型コロナウイルスに感染させてはいけないという強い緊迫感に包まれていますが、いつもと変わらないように明るい笑顔を絶やさずに、元気よく子供たちと向き合う保育士の皆様の姿があります。そして、大変なのは決して大人だけではなく、幼い子供たちも影響を受け、幼いながらに何かを感じ取っていることも忘れてはいけません。  子供たちにとっては二度と巡ってこない幼児期であればこその貴重な学びの基本となる体験や行事も制限せざるを得ない状況が続き、どのように代替策を取っていくのか。保育園では、その配慮に心を砕き、考え合っています。そして、隙間時間を見計らっては、子供が触れそうなあらゆる場所の消毒に追われ、保育士自身もウイルスを施設に持ち込まない、広げないための厳格な感染予防策を徹底しながら、あの手この手の工夫とともに、保育の質を落とさないよう懸命に努力され、県や自治体からの感染症対策の各種通知も参考にはしつつ、最終的な判断と決定は各園に委ねられる中で、大きなプレッシャーに覆われているように感じます。  子供の生涯にわたる人格形成を図るという崇高な使命を果たそうと奮闘される保育現場に対し、敬服の念に堪えないわけですが、新型コロナウイルスの影響により、かねてより課題とされてきた保育士不足に拍車をかけないか、危惧いたします。  県では、保育士人材バンク事業により、高まる保育ニーズや待機児童発生抑制のための求人と求職のマッチング、保育士人材確保に取り組まれてきましたが、長期化するコロナ禍においてどのような影響が生じ、どのような対策が必要と考えているのか、こども若者局長に伺います。  学びの改革推進と併せ、質の高い幼児教育の提供と主体的な学びを実践する信州人の基盤づくりを目指し、県教育委員会では、平成31年から幼児教育支援センターを設置され、保育者の資質の向上や市町村への支援などの事業を展開されています。幼児教育の質に焦点を当てていることがセンター運営の軸であり、従来からの転換であったわけですが、今日までどのような成果を上げられていると捉えているのか、伺います。  また、支援センターでは、新型コロナウイルスによってニューノーマルの実践も必要とされる中で、幼児教育の質への影響についてはどのように捉えているのか。また、コロナ禍において質の高い幼児教育の実現のため必要とされている支援について教育長に伺います。  幼児教育の重要性について世界的な潮流を捉えられ、幼児教育支援センターの設置を前回の知事選挙で公約に掲げられたのが阿部知事であります。OECDでは、Starting Strong、人生の始まりこそ強くという2001年以降続けられている報告がありますが、これは、幼児期の社会経済的な投資による将来の社会全体としての還元の高まりや、幼児期の学びがその後の子供の発達や人生に大きな影響を及ぼすなど、経済格差や教育分野における非均一性に対する社会政策的な意義も背景にしています。  幼児教育は、人生の基盤をつくる大切な学びのステージであり、その質を向上させることは、将来の社会全体の利益にもつながってくるものと考えますが、幼児教育に注力することの重要性について知事のお考えをお伺いいたします。  また、幼児教育の質を保つために、どういう人材が現場に立つかによってその行方を大きく左右するものと考えます。とかく人材不足が指摘されている中で、とにかく資格さえあればと数を確保する方向に陥っていないか憂慮いたします。幼児教育の現場を担う人材の資質を高めるため、どのように取り組んでいくべきと知事は考えるのか。長期化するコロナ禍という大変厳しい社会環境の中で、未来の宝である子供たちの人間形成、学びの基盤となる幼児教育の現場を支え抜かれようとされる皆様に対する知事の思いと共にお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、貧困の連鎖や教育格差への認識と取組についてというお尋ねでございます。  経済的な理由で十分な学びが保障されないことによって貧困が世代を超えて連鎖するのではないかということについては、学校現場でも懸念しているところでございます。コロナ禍において特徴的であったのは、臨時休業等でオンライン授業を進めるに当たって、家庭におけるインターネット環境に大きな差が生じており、そのままでは学びの格差を助長する可能性が大きく、対策を講じていく必要性を痛感したところでございます。  こうした貧困の連鎖や教育格差を生まないためには、切れ目のない教育費負担の軽減と学習支援の充実が不可欠だというふうに考えております。教育費負担の軽減に関しましては、小中学校においては就学援助により、また、高等学校においては奨学給付金により教育費等の負担軽減が図られているところでありますが、コロナ禍において家庭でのオンライン学習通信費も援助の対象に加えられたところでございます。また、コロナ禍の影響による家計急変世帯の増加を想定しまして、就学援助や奨学給付金の支給対象範囲を家計急変世帯まで拡充して支援をしているところでございます。これらに加えまして、高等学校においては、就学支援金の支給や奨学資金貸付金等によりまして教育への経済的負担の軽減を図っているところでございます。  こうした取組によりまして、教育費の負担軽減は一定程度図られてきたところでございますけれども、さらなる充実が必要であり、毎年度国に対して奨学給付金の給付対象の拡大を求めてきているところでございます。  学習支援の充実に関しましては、学校の取組だけでなく、信州型コミュニティスクールをはじめとした地域と連携した学習支援が必要でありまして、家庭で十分に学べない子供に対する支援の充実を図る必要があるというふうに考えております。  続きまして、子供の心のケアについてであります。  今年の夏休み明けの子供たちの状況についてでありますが、今年8月に学校生活相談センターに寄せられた子供たちからの相談は、昨年度同様、家族関係に関するものが最も多く、続いて対人関係、友達関係でございました。具体的には、親に怒られるとか友達とうまくいかないといった内容になっています。  また、LINEの相談では、昨年の8月は、生活リズムを崩したとか学校生活で疲れたなど、心身の健康、保健に関する相談が多かったわけですが、今年度は、クラスの人とあまり話せないなど友人関係が最も多く、中にはリストカットをしてしまうとか、どうして死んではいけないのかなどつらさを訴える相談も見られました。  昨年度に比べ、どちらの相談も相談件数の増加は見られないものの、子供たちは、表面には表れない悩みやストレスを抱えているというふうに考えられますので、学校や周囲の大人が子供たちの様子をきめ細やかに見ていく必要があるというふうに考えております。  次に、子供の立場に立った心のケアに対する取組についてでございます。  新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や差別、偏見の防止等につきましては、これまでも市町村教育委員会や学校に通知するとともに、児童生徒向けのリーフレットを作成、配付してきたところでございます。また、5月に実施した小中学校の教職員を対象とした学校人権教育研修会では、県内の学校で取り組んだ新型コロナウイルス感染症に係る差別・偏見防止の好事例を紹介し、さらなる取組をお願いしたところでございます。  子供たちの心のケアについては、コロナ禍が長引く中で、ストレスや悩みを抱える児童生徒の小さな変化を見逃さないために、各学校において子供たちと向き合う時間をつくり、個別に面談等を行うとともに、支援が必要な子供に対してはスクールカウンセラーによるカウンセリングにつないでいるところであります。  7月には、市町村教育委員会及び学校宛てに自殺予防の取組について通知しました。また、SOSの出し方に関する教育の実施やLINE相談窓口等の周知についても依頼したところであり、今後とも市町村教育委員会と連携しながら子供たちの心のケアに努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、教職員の人材確保についてのお尋ねであります。  教員採用選考の志願減少傾向についてのお尋ねでありますが、この原因につきましては、まず、少子化の影響によりまして、教員養成に係る大学の定員自体が減少しているということもございます。また、教員に対するイメージの低下など複合的な要因によりまして、全国的に教員志願者減となっているところではないかと考えています。加えて、昨年度はコロナ禍で十分な教育実習が実施できないなど、教育現場への理解が深まらず、不安を覚えて他業種に志願を切り替えた者も一定数いたのではないかというふうに考えております。また、本県では一次選考を近隣都県と同一日に設定していますので、そのことから、教員志願者が倍率等を見て合格しやすいと思われる他県へ分散したということも考えております。  課題認識と人材確保のための対策についてのお尋ねでありますが、志願倍率の低下や志願者数の減少は、教員としての質の確保の点から極めて憂慮すべき問題であるというふうに認識しております。  志願者の確保に向けては、まず日程について、近隣都県の一次選考と重ならないよう選考実施日の前倒しを考えております。また、採用選考の内容については、受験条件や選考方法等他県の取組を参考にしながら、11月末の公表を目途に見直しを進め、質を担保した人材確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
     さらに、県内外の大学生や高校生等に向けて長野県の学校教育、教員という職の魅力について様々な機会に発信していくことを継続する中で志願者増につなげてまいりたいというふうに思っております。  それから、中途退職や療養中等の教職員の実態と対応策ということでございますが、定年前の退職者数、それから、長期療休者、休職者数は、年度により多少の増減はありますけれども、ここ数年ほぼ横ばいの状況ではございます。県教委としては、引き続き、健康診断の100%の受診、それから健康診断による再検査の早期受診に係る勧奨を行うとともに、精神疾患に対しては、早期に気づけるための研修会や、精神疾患で休職等してしまった教職員に対してスムーズに復帰できるよう復職の訓練等を継続して行ってまいりたいというふうに思っております。  最後に、幼児教育の質の向上につきまして、まず、幼児教育支援センターの成果についてというお尋ねであります。  これまでの成果ということでありますが、子供の主体性を尊重した取組をしている園を選定しまして、その園で保育者が学び合う新たな形の研修を実施してまいりました。131園、延べ621名が参加し、アンケートの結果では、約95%の参加者から、幼児教育の質の向上に非常に有効だという回答を得たところでございます。  また、幼児期の育ちと小学校の学びをつなぐカリキュラム作成に係る理論を冊子にまとめまして、県内全ての園や小学校に配付したところでございます。この冊子をテキストとして、小学校と校区内の園での合同研修や小学校長及び園長の管理職研修が行われるなど、有効に活用されているというふうに考えているところであります。  また、今回の新型コロナの幼児教育の質への影響、必要とされる支援ということであります。  感染症対策によりまして、活動の制約が当然出てまいりました。その中でも、各園において、いわゆるニューノーマルへの取組というものが様々に行われております。例えば、行事に向けた準備時間を短縮したことで子供たちが自由に遊びに浸る時間を確保したり、遠足の計画を立て直し、改めて子供が主役の行事になっているかを確認するなど、各園が保育の狙いを明確にして、子供を主体とした新たな形の幼児教育の実践を展開しようとしているものというふうに認識してございます。  センターとしては、このような優れた取組を各園が共有し、実践できるよう、参集しての研修はなかなか難しいということでありますので、オンラインで互いの実践を学び合う研修を実施しているところでございます。コロナ禍であっても質の高い幼児教育が実現するよう、情報交換や研修の機会を確保してまいりたいというふうに考えているところでございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、子供の自殺予防等に関する御質問をいただきました。  まず、コロナ禍における子供の自殺リスクについてでございますが、学校の長期臨時休業や部活動の制限、様々な行事の中止などによりまして、子供たちが学校での楽しみややりがいを失っている事例があると考えております。また、テレワーク等で保護者の在宅時間が増え、保護者との関係不和や虐待等の家族問題がより深刻化しているケースの増加も懸念されるところでございます。  こうした様々なリスクを抱える中で、コロナ禍の影響で相談機会が減り、心の悩みや不安について子供が大人や教師に話しかけたり相談しづらい、SOSを発信しにくい状況も生じているのではないかというふうに考えております。  子供の自殺予防のための対応、施策についてのお尋ねでございます。  コロナ禍による影響を踏まえた場合においても自殺リスクの早期発見と対応が基本になると考えております。リスクの早期発見のため、これまでのSOSの出し方教育やゲートキーパー研修の取組に加えまして、新たにICTを活用して自殺リスクを判定するRAMPSというツールを夏休み明けから県内10の高校でモデル実施をしているところでございます。これら様々な方法でリスクを把握された生徒に対しては、学校や市町村等からの支援が行われるところでございますが、県としては、そうした支援者に対して、子供の自殺危機対応チームによる多職種の専門家からのアドバイス等を行っているところでございます。  加えまして、この9月から、県内でグーグルやヤフーといった検索サイトで自殺関連用語を検索した場合に様々な相談窓口を表示する検索連動型広告、いわゆるリスティング広告を県で行いまして、相談窓口の周知等を強化しております。これら様々な取組によりまして、引き続き子供の命を守る自殺対策に取り組んでまいります。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、コロナ禍による保育士人材バンクへの影響と対策について御質問をいただきました。  県におきましては、現在、3歳未満児の保育需要が高まり、保育士の確保が困難となっていることから、保育士人材バンクを設置し、全県的なマッチング体制による保育士不足解消に取り組んでおります。  人材バンクにおけるマッチング数は、コロナ前の令和元年度は82件であったのに対し、コロナ下の令和2年度は46件にとどまりました。コロナ前後で求人数は大きな変化がなかった一方、新規の求職者数がほぼ半減したことがマッチング数が減った最大の要因と認識しております。  この背景には、昨年度は、ワクチン接種が行われていない状況下で、乳幼児との密接な接触が避けられない保育の仕事が敬遠されたことなどがあるものと認識しております。  今後は、求職者をもっと増やすため、まずは保育士登録名簿を活用し、資格を持っているものの現在保育士として働いていない潜在保育士に人材バンクに御登録いただけるよう働きかけます。加えて、潜在保育士や人材バンク登録者を対象に、職場復帰支援のための説明会を開催し、最近の保育事情や保育所の感染対策を正しく御理解いただき、保育の仕事への不安を払拭していただけるよう努めてまいります。  また、新規資格取得者を確保するため、これから就職活動を始める保育士養成校の学生を対象に、現役の保育士がその魅力を直接伝えるガイダンスも開催してまいります。このような取組を通じて、引き続き保育士の確保に取り組んでまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、幼児教育に関連して、大きく2点御質問いただきました。  まず、幼児教育に注力することの重要性についての考えを問うという御質問であります。  人間の人生におきまして、幼児期は生涯にわたる人間形成、そして、生きる力の基礎が培われる極めて重要な時期だというふうに考えています。幼児は、生活や遊びといった直接的、具体的な体験を通じて、情緒的、知的な発達、あるいは社会性を涵養し、人間として、社会の一員としてよりよく生きるための基礎を獲得していくことになります。  また、この時期は、学習、運動など様々な能力が発達し、物事を吸収するスピードも最も早い時期であります。そういう意味で、この時期に様々な経験をしていくということが重要だというふうに考えています。  また、幼児教育の必要性、あるいはメリットとして、非認知能力、コミュニケーション能力、忍耐力、協調性や主体性、こうしたものが伸ばせるといった観点、あるいは、学習の基礎が形成される、また、自己肯定感が育まれる、こうしたことが指摘されております。そういう意味で、この幼児教育は非常に重要だというふうに考えております。私どもとしては、この幼児教育が、子供たちの人間としてのその後の生き方も大きく左右する重要なものだということをしっかり認識しながら幼児教育の充実に努めていくことが必要だというふうに考えております。  続きまして、幼児教育の現場を担う人材の資質を高めるための取組と現場を支える皆様方に対する思いという御質問でございます。  平成31年3月に信州幼児教育振興指針を定めました。先ほど申し上げたような考え方を踏まえて、幼稚園や保育所、認定こども園、こうした様々な施設においてより質の高い幼児教育を実現していこうということで策定したものでございます。  その中でも、やはり研修、人材育成は非常に重要なものだというふうに考えております。県としては、県立大学や福祉大学校でこうした人材の育成に取り組んでいるわけでありますので、社会環境の変化も踏まえながら、幼児教育の重要性ということをしっかり踏まえた専門性の高い人材の育成に取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、既にこうした職種に就かれている皆様方への研修、人材育成ということも重要であります。先ほど教育長から御説明いたしました幼児教育支援センターの取組も含めて、県としてはこれまでもこうした職種の皆様に対する様々な研修を行ってきております。この幼児教育振興指針の趣旨も踏まえて、園内、園外でのこうした研修を充実していく。また、小学校との連携接続も視野に入れて取り組んでいく。また、配慮が必要な子供たちもいらっしゃいますので、そうした子供たちの支援という視点も忘れることなく人材の育成強化に取り組んでいきたいというふうに考えております。  次に、幼児教育の現場を支える皆様方への思いということであります。  昨年から新型コロナウイルスとの闘いが続いているわけであります。特に、私のほうからも人との距離の確保ということをお願いしているわけでありますが、子供たち、特に幼児期のお子さんに向き合っていただいている職場の皆さんは、なかなかそうしたことは実行しづらい状況であります。むしろ逆に、子供たちとのスキンシップや子供たちとの集団生活こそが実は重要な局面だというふうに思います。  そういう中で、子供たちの成長を支えるために様々な工夫を凝らし、感染防止にも最新の注意を払いながら取り組んでいただいていることに対しまして、改めて敬意と感謝を表したいというふうに思っております。こうした現場の皆様方の御努力のおかげで子供たちを守ってくることができたというふうに考えております。  まだまだコロナ禍は続いているわけでありますけれども、私どもとしても、こうした現場の皆様方の思いにできるだけ寄り添いながら、厳しい環境の中で模索をしながらということになりますけれども、この幼児教育をしっかり発展させていきたいというふうに思います。また、コロナ後も見据えながら、長野県における幼児教育がより充実したものになるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)コロナ禍は、社会の弱い部分に深刻な打撃を与えているように感じます。この打撃によって広がった傷口を未来に対する危機として捉えながら対応策を考えていくことが重要であると考えます。  日本の10代の死因は、自殺が第1位であります。先進7か国では日本だけであるということでありますし、コロナ禍において、昨年は前年と比較し大きく上昇しています。県は、子供の自殺ゼロを目指しておりますが、非常事態として捉えた細やかな対応策について考え、実践していくことをお願いしたいと思います。  そして、未来を担う子供たちと共に歩んでいく、支えていく教職員や保育士に人材が集まってこない脆弱な状況を生んでいないかと憂慮いたします。子供たちが未来への希望を持って将来を担う自立した生きる力を伸ばしていくためにどのような環境や機会が必要か、幼児期からの教育投資への視点について将来を見据えたしっかりとした取組をお願いさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮本衡司 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明30日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時52分延会...