長野県議会 2017-11-28
平成29年11月定例会本会議-11月28日-02号
平成29年11月定例会本会議-11月28日-02号平成29年11月定例会本会議
平成29年11月28日(火曜日)
出席議員(56名)
1 番 花岡賢一 28 番 備前光正
2 番 今井愛郎 29 番 吉川彰一
3 番 寺沢功希 30 番 小池久長
4 番 山口典久 32 番 諏訪光昭
5 番 百瀬智之 33 番 髙橋岑俊
6 番 小山仁志 34 番 今井 敦
7 番 小川修一 35 番 丸山栄一
8 番 丸山大輔 36 番 竹内久幸
9 番 酒井 茂 37 番 小林伸陽
10 番 荒井武志 38 番 高村京子
11 番 堀場秀孝 39 番 今井正子
12 番 依田明善 40 番 村上 淳
13 番 石和 大 41 番 小池 清
14 番 埋橋茂人 42 番 宮本衡司
15 番 両角友成 43 番 清沢英男
16 番 藤岡義英 44 番 垣内基良
17 番 髙島陽子 45 番 鈴木 清
18 番 浜 章吉 46 番 西沢正隆
19 番 中川宏昌 47 番 風間辰一
20 番 清水純子 48 番 佐々木祥二
21 番 堀内孝人 49 番 向山公人
22 番 小島康晴 50 番 高橋 宏
23 番 小林東一郎 51 番 宮澤敏文
24 番 下沢順一郎 52 番 平野成基
25 番 山岸喜昭 53 番 本郷一彦
27 番 和田明子 54 番 村石正郎
55 番 萩原 清 57 番 望月雄内
56 番 服部宏昭 58 番 古田芙士
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説明のため出席した者
知事 阿部守一 林務部長 山﨑 明
副知事 太田 寛 建設部長 油井 均
副知事 中島恵理
建設部リニア整
危機管理監兼危 備推進局長 水間武樹
機管理部長 池田秀幸 会計管理者兼会
企画振興部長 小岩正貴 計局長 清水 深
総務部長 小林 透
公営企業管理者
短期大学事務局 企業局長事務取扱 小林利弘
長兼県立大学設 玉井裕司 財政課長 岡地俊季
立担当部長 教育長 原山隆一
県民文化部長 青木 弘 教育次長 角田道夫
健康福祉部長 山本英紀 教育次長 菅沼 尚
環境部長 関昇一郎 警察本部長 内藤浩文
産業政策監兼産 警務部長 横田直幸
業労働部長 土屋智則 監査委員 田口敏子
観光部長 熊谷 晃
農政部長 北原富裕
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 吉沢 久
議事課担当係長 倉石博之
議事課長 村松敏伸 議事課主査 山崎紀子
企画幹兼議事課
総務課担当係長 小澤利彦
課長補佐 小松健一
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平成29年11月28日(火曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
知事提出議案(日程追加)
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本日の会議に付した事件等
諸般の報告
知事提出議案
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
午前10時開議
○議長(垣内基良 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑であります。
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△諸般の報告
○議長(垣内基良 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。
〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕
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△
知事提出議案の報告
○議長(垣内基良 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。
〔職員朗読〕
平成29年11月28日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
長野県知事 阿 部 守 一
平成29年11
月長野県議会定例会議案提出書
議案を別紙のとおり提出します。
第 29 号
人事委員会委員の選任について
第 30 号
収用委員会委員及び
収用委員会予備委員の選任について
〔議案等の部「1議案 (1)
知事提出議案」参照〕
○議長(垣内基良 君)以上であります。
ただいま報告いたしました
知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。
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△
知事提出議案
○議長(垣内基良 君)本件を一括して議題といたします。
お諮りいたします。本件については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ提出者の説明を省略することに決定いたしました。
これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。
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△
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案
○議長(垣内基良 君)次に、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案を議題といたします。
お手元に配付いたしましたとおりの議員から
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。
順次発言を許します。
最初に、村上淳議員。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)おはようございます。新ながの・公明の村上淳でございます。まず、知事の政治姿勢についてお聞きをいたします。
さて、本年10月22日に
衆議院議員選挙が終わりました。自公連立政権が313議席を獲得し圧勝をいたしました。希望の党、
立憲民主党等新党が立ち上がり、野党が混乱し、選挙期間中は政策論議が深くなされなかったことが実に残念でございました。
今回の選挙戦の争点は、安倍政権の過去5年間の総括、特に地方経済の再生が課題でございました。今後、アベノミクスをいかに信州に浸透させるのか、地方分権の推進と東京一極集中の解消等、国政と県政が連携しなければならない課題は幾つか出てまいりました。
そこで、知事は今回の
衆議院議員選挙の結果をどのように評価されているのか、知事は安倍政権に何を期待し、国政と県政をどのように連携されていくのかをお聞きいたします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)さきの衆議院議員総選挙に対する評価と新しい政権への期待、安倍政権への期待、そして国政と県政との連携という御質問でございます。
衆議院議員選挙の結果の受けとめは人によってさまざまあろうかというふうに思いますが、国民の皆様方の思い、考え方というものが反映された結果だというふうに思っております。選出された衆議院議員の皆様方には、ぜひ国民の負託にしっかりと応えて、さまざまな課題に対してしっかりと向き合っていっていただきたいというふうに思っております。
安倍政権への期待ということでございますが、これは、私は知事という立場で国を見たときに、やはり国でしかできないことというものがたくさんございます。外交、安全保障の問題、あるいは経済成長、経済政策は、国全体で取り組んでいかなければいけない話でありますし、また、これから人生100年時代とも言われる中で安定した社会保障制度を確立していく。こうした国でしかできないこと、あるいは国が責任を持って取り組んでいただかなければいけない課題が山積しております。こうしたものに対して正面から向き合って政策を進めていっていただきたい。そして、国民の皆様方が安心して暮らせる社会をつくっていっていただきたいというふうに思っております。
その一方で、知事の立場で申し上げれば、やはり地方に対してもしっかりと目を向けていただきたいと。分権型社会の構築はまだまだ道半ばだというふうに思っておりますし、地方創生、あるいは教育、人づくり、こうした取り組みは我々地方が主体的に取り組んでいかなければいけない問題ではありますが、他方で、国においてもそうした地方の取り組みを後押ししていただく、あるいは本格的な税財源の移譲も含めて分権型社会をつくっていただくということが大変重要だと思っております。私どももこうした地方の声を知事会等を通じてしっかり伝えていきたいというふうに思っております。
国政と県政との連携という観点で申し上げれば、県政として担っている事務事業のかなりの部分は、法律等に基づいて国が大きな方針を決めて、それに基づいて実施しているもの、あるいは国から国庫補助金、あるいは負担金、こうしたものを受け取る中で行っている事業がかなりの部分を占めております。そういう意味で、国と連携していくということは、県の政策を進めていく上で極めて重要だというふうに思っております。
私どもも自治体でありますので、単に国の政策の後追いをするということだけではなく、県として有意義な政策を取捨選択していくということも重要だと思います。他方で、地方の立場から見て改善すべきような点、例えば、
子供医療費助成についての国保の減額調整措置、これについてはかなり国に働きかけて一部撤廃をしていただくことができましたけれども、こうした地方の考え方を国に伝えていくということも引き続き重要だというふうに思っています。
今後とも、国とは十分な意思疎通を図りながら連携して取り組みを進めていきたいというふうに思っておりますので、村上議員初め各議員にもぜひ御支援いただきたいというふうに思っております。
以上です。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)知事はかつて総務省にお勤めになっていた経緯がございます。地方分権、国政と県政の推進は強い分野だと思っております。知事の任期も最終コーナーに差しかかっておりますので、しっかりと引き締めて県政を運営していただきたいと思います。
それでは、県林務部の再生についてお聞きいたします。
本県は海なし県ですが、全国に冠たる山岳と森林県であります。本県面積の約9割は森林面積ですが、森林を守り、育み、豊かな木材や水をつくり出す、日々努力がなされております。この豊かな森林資源をいかに生かしていくのか、林業の大きな役割です。
森林といっても、基本的には国有林と民有林に分かれておりまして、県では民有林を中心に森林整備が行われております。山づくりのための治山工事、林道整備も鋭意行われております。県林務部の役割は、時代は変われども大変地味な仕事で、本県は急峻な現場もあり、大変な仕事であることを理解しております。
そこで、県林務部が現在危機的な状況にあります。県民の県林務部への信頼回復にはいまだ遠く、イバラの道であり、時間がかかると思います。3年前に発覚した
大北森林組合等補助金不適正受給問題は、司法の場では一応は解決したものの、職員の損害賠償問題、
コンプライアンスの問題など課題を抱えている中、
大北森林組合の再生を県としてどのように支援していくのか。
県内森林組合との連携をどのように構築するのか。
最近の報道では、
森林整備事業について、他の地方事務所においても闇繰り越しが行われていた旨、本庁職員が発言したと報じられております。また、森林整備の手続に不備があったのか、疑問も指摘されております。
林務部長には、一連のこのような状況について、どういう状況であったのか、真意をお聞かせください。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)初めに、
大北森林組合の再生支援についてのお尋ねでございます。
大北森林組合では、
抜本的経営改善方針に基づき、平成29年1月に
事業経営計画と
補助金等返還計画を策定し、平成32年度までを集中改革期間と位置づけ、取り組みを進めています。
県では、森林組合の根幹となる
森林整備事業が軌道に乗るよう、
森林経営計画作成の指導、施業同意のための
所有者説明会への出席など、
造林補助事業の再開に向けた指導、支援を引き続き行っているところでございます。
なお、本年度の
造林補助事業につきましては、県単独事業の搬出間伐が約1ヘクタール、
国庫補助事業の下刈り約10ヘクタールについて
補助金交付申請があり、順次現地調査を実施しているところでございます。
また、地域の資源である広葉樹の利用については、用材、まき、キノコ原木等への利用拡大を図るため、職員、理事などと広葉樹施業の候補地を選定し、現地調査を行い、販路や価格など現実的な広葉樹伐採に向けての検討を行っております。
広葉樹利用についての新たな取り組みとしては、本年度より、信州大学の協力のもと、ドローンを利用した
広葉樹林調査を実施し、これまで検証が困難であった資源価値の高い広葉樹の把握を進めているところでございます。検証結果を利用することにより、地域の広葉樹を計画的、効率的に活用ができるようになり、森林組合等とも情報を共有することにより経営の向上が図られると考えております。
さらに、県と
県森林組合連合会とで
林業経営コンサルタントを派遣する仕組みを立ち上げ、平成28年度に
大北森林組合の経営診断を行い、役職員に対する
経営アドバイスを7月に実施するなど、経営再建に向けた取り組みについて引き続き指導をしてまいります。今後も、引き続き、
大北森林組合が経営を健全化し、一日も早く自立に向けた道筋がつくよう指導、支援を進めてまいります。
次に、森林組合との連携構築についてのお尋ねでございます。
森林組合は、県下に18組合、県内民有林の65%に当たる森林面積を所有する地域の森林整備、林業の中核的な担い手であることから、これまでも連携した森林整備を進めてきたところでございます。
一方で、今回の事案などから森林組合の経営上の課題が明らかになったことから、県では、
県森林組合連合会と連携して経営等の専門家を組合に派遣し、指導する事業を行うなど、経営課題の改善に向けた取り組みを進めているところでございます。
また、ことしの4月28日には、森林組合が適正な会計処理が行われるように、
県森林組合連合会長と
森林組合長会長の連名のもとで、常に
公認会計士等外部の目でチェックできる体制を構築することと、公金を扱っている組合として
森林整備事業の取り組み状況をホームページで開示していくことを行動宣言として発表し、信頼回復に向けた取り組みを進めているところでございます。
県としましても、こうした取り組みへの支援、指導を通じて組合との連携を強化し、林業県への飛躍に向けて森林組合が地域の森林整備、林業の中核的な担い手としての役割を果たせるよう取り組んでまいります。
次に、
森林整備事業に関する本庁職員の発言についての報道に関するお尋ねでございます。
報道のあった発言につきましては、
北安曇地方事務所林務課に在籍した職員から、平成27年1月から28年10月までの間に複数回にわたり
森林政策課等に対して調査等の依頼や内部通報があったため、総務部とともに調査を行ってまいりました。
また、今回の報道を受け、改めて聞き取り調査を行ったところ、具体的な事実関係に基づくものではなく、誤った認識のもとに発言をしたものであり、また、公式な会議ではなく、職員の会話の中の発言であったとはいえ、本人は深く反省しているところであります。
また、他の地方事務所における不適正事案の状況については、平成27年に実施した緊急点検において確認を行っているところであり、報道されたような全地方事務所に期ずれが蔓延していたものではないことを確認しております。
続いて、県職員の事務手続についてのお尋ねでございます。
県では、森林整備を推進するため、平成20年度から、森林税を活用した地域で進める
里山集約化事業により事業地を集約化する取り組みに支援をしております。
北安曇管内では、平成18年9月に子供が学校の横で熊被害に遭ったことを契機に森林整備の機運が高まりましたが、集約化を主体的に行える事業体がなく、看過できない状況であったことから、地方事務所の主導で、将来的には森林組合等に事務局を移すことを念頭に、森林所有者による
森林整備協議会を設立し、林務課職員が運営に当たることで森林整備を進めてまいりました。
平成20年度及び22年度に
北安曇地方事務所が実施した地域で進める
里山集約化事業の申請において、申請書に添付する同意書を、事務を代行していた林務課職員が日付の補正や印鑑を用いた代行作成をしたものがございました。林務課職員は、同意書の日付が事業実施日以降でないと事業に適合しないと誤認していたことなどから行った行為で、適切ではない事務処理であったものの、
集落懇談会等を通じて全ての森林所有者から施業同意を得ていたことから、交付金交付上は問題がないものと認識しております。
なお、平成23年度以降、林務課職員が協議会方式による事務の代行は行っておらず、現在は
林務部コンプライアンス推進行動計画により適正な事務の執行を徹底しております。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)私は、この林務部の悪循環を断ち切るには、県林務部が過去のうみを出し切り、大胆な方向転換をすれば、再生は可能だと思います。実力がある、現場を熟知した林業士、技術者の集団です。必ずこの難局を乗り越えることは可能と思います。
今回の一連の事例は、そうめったにあることではありませんが、これは林務部だけの問題ではありません。県政運営全般に影響しております。私は、日々頑張っている職員から損害賠償をいただいても何の解決にもならないと思います。知事は断腸の思いの結論としておりますが、一昨年、関係する職員の厳しい懲戒処分もあり、知事みずから2回の給与減額、副知事も1回の給与減額処分をみずからなさいました。職員の給与削減は厳しいと思います。
昨年は、
コンプライアンス元年とも位置づけました。このような中、林務部は、
コンプライアンス推進にどのように取り組み、林務部の再生に効果を発揮しているのでしょうか。人員削減はしないで組織の強化策を考えているのか。
以上、知事の御所見をお願いいたします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)林務部の
コンプライアンス推進の取り組み、そして組織の強化等について御質問いただきました。
林務部におきましては、一昨年から
林務部コンプライアンス推進行動計画を策定いたしまして、業務の適正化、あるいは職員の意識改革などに取り組んできております。
外部有識者の皆さんに構成いただいております
林務部改革推進委員会からは、造林事業における2人体制での現地調査など、事案の発生要因に対して直接的な改善を図っていこうという取り組みにつきましては成果が見られているといったような一定の取り組みに対する評価をいただいているところでございます。
組織のあり方につきましては、まず林務部の人員につきましては、県全体の職員数が抑制基調にある中で、ここ近年はほぼ同水準の人数を確保いたしているところでございます。
組織体制といたしましては、補助金の不適正受給事案を受けまして、これまで林務部は林業職を中心に職員構成しておりましたが、林業職以外の職員を大幅にふやし、ほかの部局との人事交流も進めてきております。さまざまな経験を持った職員が林務部に入ることによって多様な視点からのチェックもでき、牽制機能の強化あるいは意識改革等の効果が上がるよう期待をしているところでございます。
また、今年度からは、全ての地域振興局の林務課におきまして、森林整備あるいは林業振興の指導を行います係と造林事業の検査を実施する係を分離させていただきました。これにより、これまで以上に牽制関係が働くものというふうに考えております。
引き続き
コンプライアンスの推進をしっかり行っていきたいというふうに思っておりますし、また、全国有数の森林県といたしましては、森林の保全と活用をしっかりと進めていくことができるよう適正な人員配置にも努めつつ、さらに
市町村等関係機関も含めた体制強化のあり方についても検討していきたいというふうに考えております。
以上です。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)私が調べた限りでは、法的に罰せられない職員が厳しい懲戒処分を受けて、その上で損害賠償をする前例はございません。最終的には知事が決断をするわけでありますけれども、知事には慎重な対応を求めたいと思います。
林務部の再生は、本県県庁全体の再生、
コンプライアンスリニューアルの問題です。総合5カ年計画を立派に終了させるには、また、新たな総合5カ年計画をスタートするためにも、この問題から小手先で逃げるわけにはいきません。知事には積極的にこの問題にかかわり、県民から信頼される林務部を再生していただくことを希望いたします。
次に、長野県林業大学校についてお聞きをいたします。
木曽郡木曽町には、本県林業の将来を担う若者が集う長野県林業大学校があります。木曽地域は、まさに本県を代表する森林・林業・林産業の集積地と言え、林大は地域に根差した学校と言えます。
林業大学校は、昭和54年の開校以来、来年で実に40年となりますが、1学年20名で2年制であり、全寮制であります。これまでに679人の卒業生を輩出し、卒業後の進路につきましては、36.7%が公務員、民間企業へは32%、森林組合へは18%が就職をしております。林科のある信州大学や一般大学への編入が可能です。ちなみに、平成29年度の入試倍率は2.16倍で、41人が受験し、19人が入学されました。
本県が誇る林業大学校は、現在、これからの大学校の将来を見据えた議論がなされております。現在、全国でも林業大学校はふえ続けており、平成23年度に7校あった全国の林業大学校は、現在までに19校となり、今後学生募集が大変厳しくなっていくことも考えられます。
毎年、
学校運営協議会で大学運営についての議論がされますが、現況における学校運営の課題は3点ございます。1番、施設、設備の老朽化、2番、教育内容の充実、3番、地域連携のレベルアップ。
特に、教育内容の充実を図るために、
信州大学農学部、
岐阜県立森林文化アカデミーとの学校間の連携、交流に関する覚書を本年9月に締結いたしました。この覚書の締結により、林業大学生の技術の向上のみならず、さまざまな演習林で
高性能林業機械を使い、高度な実践教育を受けられ、高度な技術を有する林業技術者の育成が図られます。また、地域の有害鳥獣対策や森林林業のさまざまな課題に取り組むメリットがございます。
そこで、この学校の今後のあり方、方向性を検討するために、有識者で構成する長野県林業大
学校グレードアップ推進会議が設立されております。この会議は、県林務部長が招集をいたします。この会議を開催する中で、委員からは、今後の林業大学校の修業期間は2年間では内容が不足であり、生徒の技術をアップするだけでなく、他県林業大学校との差別化を図り、より林業を目指す若者に魅力を与えるために、少なくとも3年制化を目指すべきだの意見が出されております。
私も、開校以来、この学校の教育には目を見張るものを感じております。この際、日本一の林業大学校を目指す上で、長野県が林業県として羽ばたくための林業教育の場として、少なくとも3年制化の設置を望みますが、林務部長の御所見をお願いいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)林業大学校の3年制化についてのお尋ねをいただきました。
林業大学校は、全国で最も歴史のある林業教育機関として、専門的な知識、技術を身につけた有能な林業人材を養成してまいりました。これまでにも、林業を取り巻く情勢の変化等に対応した人材を育成するために教育内容等を見直してきたところでございます。
一方で、本県の森林資源は、利用期を迎え、林業の再生に向けて、ICTを活用した森林情報の利用あるいは低コストで効率的な作業システムの導入など、経営感覚を持った担い手の確保が必要となっております。
このため、本年6月に、外部有識者6名による林業大
学校グレードアップ推進会議を設置し、本県が林業県に向けて育成すべき人材や学校の基本となる教育理念や目標について検討を進めているところでございます。
県といたしましては、時代の要請が多様化する中で、会議での御意見や議員の御指摘も踏まえて林業大学校のあり方について十分検討し、林業の中核を担う人材の育成機関としてその役割をしっかりと発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)過去におきまして、我が会派でもこの林業大学を訪れまして、生徒の皆さんと車座でいろんな議論をさせていただきましたけれども、この学校は、非常にコンセプトがしっかりしておりましてすばらしい大学だと思っております。ただ、メニューが多いものですから、2年制だけではやっぱりやり切れないということで、生徒からも3年制にしてほしいという要望が出ておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、地域医療構想と木曽の医療についてお聞きをいたします。
医療、福祉における2025年問題は本県でも大変大きな課題ですが、医療、福祉において、全世代にわたり充実した生活ができる手だてを今から準備しておく必要があります。
本県で策定された地域医療構想は、本県の次期の医療、福祉における中核をなす計画だと思います。本県は全国に冠たる健康長寿県です。しかしながら、本県の医療分野における弱点は、心臓疾患、脳疾患にかかる率が全国レベルより高いと指摘されております。この分野を改善すれば、まだ健康寿命は延びるはずです。
さて、国では、これからの医療、福祉の柱として、在宅医療や在宅福祉の充実を求めております。いつでも、どこでも、高度な医療、福祉のサービスを受けられるのが本県の強みです。しかしながら、本県は面積が広く、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリを進めるには厳しい自然環境であります。また、介護職員の低賃金も課題です。この現況をどのように乗り越え、工夫されていくのか、健康福祉部長にお聞きをいたします。
私は、特に過疎中山間地における医療体制に不安を感じます。特に、県立木曽病院における緊急医療体制は不安です。2年以上にわたり循環器の常勤の医師がおりません。特に、夜間、休日の緊急医療が不安と木曽の住民は訴えております。待ったなしの状況がまだ続いているわけであります。
循環器疾患は、短時間で直接命にかかわる緊急医療です。医師確保にはさまざまな手だてがなされていると思いますが、御所見を健康福祉部長にお聞きをいたします。
過日、私は、長野県内のある病院の医師とお会いして、医師不足についてと医師派遣についてのお話を伺う機会がありました。その中で、医師は、県内病院の医師の派遣は信大病院医局が主にかかわっている。信大病院と県との関係がうまくいかなければ医師派遣は難しい。病院によっては、信大からの医師派遣が満遍なく行き渡るように毎年戦々恐々としているとお聞きいたしました。医師を供給される信大と県とは連携は果たしてとれているのでしょうか。部長の御所見をお願いいたします。
現在、本県では、医学生や医師に対する奨学金制度が適用されております。今後、本県の医師不足対策に大きな役割を果たすと期待できます。県としてこの制度を運用する中で、学生や医師の卵に本県の医師不足の状況を納得してもらい、特に不足する産婦人科、外科、循環器、麻酔科等に医師としての道を進めるべき指導をされているのか、部長にあわせてお聞きをいたします。
〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)医療、介護提供体制に関するお尋ねに順次お答えをさせていただきます。
議員御指摘のとおり、広大な県土を有する本県は、患者や利用者が少なく点在している中山間地域を多く抱えており、こうした地域における医療、介護の訪問系サービスの提供体制の確保は重要な課題であると認識をしております。
県では、訪問診療や往診を行う医療機関に対し、医師や看護師の待機に係る費用や訪問診療の移動手段である車両設備等への助成を行うとともに、介護職員の処遇改善に向けた取り組みを支援するため、福祉・介護サービス従事者のキャリアパスモデルや長野県介護職員モデル給与規程を県内介護事業所へ普及するなど、在宅医療、介護提供体制の整備を図っているところです。
中山間地域については、訪問看護や訪問介護を担う職員の確保を含め、サービス提供体制の維持が特に困難であるため、平成29年度から、モデル事業として移動費用や職員の処遇改善に係る助成を行っており、今後、本事業の実施効果を検証の上、必要な支援のあり方を検討してまいります。
木曽病院の医師の確保についてのお尋ねがございました。
県では、これまで、自治医科大学卒業医師の配置のほか、県立病院機構と連携して信州大学に医師の派遣をお願いするなど、木曽病院の医師確保に取り組んできたところです。循環器内科医につきましては、昨年度から不在となり、県外で活躍している医師に対して県内での就業を呼びかけるため、民間の医療系雑誌やウエブなどの媒体を活用するとともに、県内の地域の魅力発信にも努めながら常勤医の確保に向けて取り組んでまいりました。
また、24時間365日、急性心筋梗塞に関する救急医療提供体制を構築するための事業を予算化し、信州大学とも連携しながら医師確保に向けて取り組んでいるところですが、いまだに常勤医師は確保できておらず、非常勤医師3名による外来対応を行っている状況であります。県としましては、木曽病院の循環器内科医の確保は重要な課題であると認識しており、今後も関係機関と一層連携をして取り組んでまいります。
長野県内の地域医療を安定的に維持していくためには、県内唯一の医師養成機関であり、最大の医師派遣機能を持つ信州大学との連携が不可欠であると認識しております。
県としては、信州大学医学部に信州医師確保総合支援センターの分室を設置し、県内医療機関の医師の充足状況の調査や医学生修学資金貸与医師のヒアリングを行うなど、貸与医師の配置に向けた調整を行うとともに、医療機関から個別に医師確保の要請があった場合には、実際に医師の勤務先を決定している各診療科の教授などにその都度お会いして支援をお願いしているところです。今後とも、信州大学との連携を深めながら、地域医療を守る取り組みを進めてまいります。
不足する診療科の医師の確保策についてのお尋ねがございました。
将来、地域医療を担う医療機関に従事する意欲のある学生に修学資金を貸与する長野県医学生修学資金貸与制度においては、原則として、地域医療の現場において必要とされている一般内科や総合診療などの幅広い診療を一定期間行っていただくこととしております。
特に、医師が不足している産婦人科や外科等の診療科については、これらの分野を志す県内の研修医に対して研修資金を貸与するとともに、県外の医師に対して研究資金を貸与し、県内の医療機関に一定期間従事した場合には返還を免除することにより医師確保に努めているところです。
県内の医師不足の解消はもとより、医師の地域偏在や診療科偏在の解消を図り、医療提供体制を維持、充実していくために引き続き取り組んでまいります。
以上でございます。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)そこで、提案がございます。この医師不足対策について、県では医師確保対策室が現在ありますけれども、さらに機能を充実するために、信州大学の医局からお医者さんを直接入れたらどうかなと。医師のことは医師に任せるほうが早いのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
さて、県立木曽病院は、昨年度18年ぶりに3,800万円の赤字を計上しました。17年間は黒字が続いたわけです。県立病院機構も2億6,000万円の赤字です。木曽病院の赤字はさまざまな要因がありますけれども、循環器を初め脳外科など幾つかの診療科で常勤医師が不足しており、病院経営が厳しいことが要因で挙げられます。満足な医師を含む医療体制ができれば、恐らく病院経営は黒字となります。僻地ですから、今後人口は減少し、また患者の数も減少するでしょう。
赤字補填を職員の給与カット、賞与カットで処理しようとすることをお聞きしましたが、これは筋違いの話だと思います。経営が17年間黒字のときは給与を据え置き、赤字のときだけ削減とはいかがなものでしょうか。病院機構は、こども病院やこころの医療センター駒ヶ根、僻地病院であります木曽病院、阿南病院など、県でしっかりと支えなければいけない病院ばかりです。病院経営は大変ですが、赤字を給与、賞与で補填すれば、職員の働くモチベーションは確実に下がります。辞職する職員も出てきます。給与を連動業績制にして削減するのは短絡的な処理方法だと思います。
県立病院機構の努力ももちろん必要です。木曽病院でも250名の医療スタッフが頑張っておりますけれども、独立行政法人としての経営が厳しいときは確かにあります。何とかして県立病院機構を給与や賞与を削減しなくても支えていく考え方を知事としてお示しをいただきたいと思います。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)県立病院機構を支える姿勢についての御質問ということでございます。
県立病院につきましては、御承知のとおり、経営主体の創意工夫によりまして収益を確保し、診療機能の維持向上を図ることなどを目的といたしまして地方独立行政法人化をしているところでございます。これは、法人側が自主的、主体的にしっかりと経営を行っていくということが大前提であるわけであります。中期計画期間の5年間につきましては、県が一定の財政負担を行う中で県立病院機構が自立的に病院経営を担っていただくということが基本だというふうに認識をしております。
こうした中、県立病院機構に対する運営費負担金につきましては、阿南病院の不採算分あるいはこども病院のPICUの増床経費に対する負担分を増額するなど、第1期中期計画期間の51.7億円から、第2期となりました平成27年度からは54.8億円に増額をさせていただいているところでございます。
県としては、今後とも、地域の医療ニーズにできる限り応えられる組織となりますように、医師確保対策を進めることなどにより機構の支援を行っていきたいと考えております。
以上です。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)私は、この給与の削減、あるいは賞与の削減等は、企業経営では、最終段階でどうしてもしなければならないときにはこれを最後の手段として使うというわけです。まだまだそこには至っていないわけであります。
働き方改革が叫ばれて、公務員として、あるいは県立病院機構として働いている皆さんが大勢いらっしゃいます。働き方改革の中で、この皆さん方が、モチベーションを高く、働きがいのある社会を、職場を、ぜひとも県知事としてつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、木曽地域の経済再生についてお聞きをいたします。
本県では、現在の経済状況は、長野経済研究所によりますと、県内大手企業は好調で県内経済を牽引しているとしております。一方、圧倒的な企業数、あるいは従業員数の多い中小零細企業は厳しいとの見方がされております。有効求人倍率はかつてなくよくて、正社員、正職員の雇用も順調とのことです。ただし、製造業、建設業ともに人手不足が深刻になっているとの指摘もされております。
さて、木曽地域の経済状況ですが、大変厳しい状況が相変わらず続いております。木曽郡5商工会で構成されている経営支援センターグループの本年4月から6月までの景況調査によると、木曽郡内6町村1,339事業者のうち、252件の事業者から回答が寄せられております。その結果、対前年同期比ですが、売り上げが増加した企業は20%、減少した企業はその倍の39%、変化なしが41%でした。件数では、増加が56件、減少が113件でございました。売り上げが増加した業種は建設業、製造業が多く、減少した企業は、卸、小売、飲食、宿泊、サービス業であり、木曽町、南木曽町、王滝村で売り上げが落ちている傾向があります。
観光面では、私が大変期待しておりましたデスティネーションキャンペーンでありますが、天候不順が続き、まことに残念な結果に終わりました。今期のスキーシーズンを大いに期待しておるところです。
そこで、木曽の観光を県としてどのように支えていくのか、観光部長の御所見をお願いいたします。
〔観光部長熊谷晃君登壇〕
◎観光部長(熊谷晃 君)今後の木曽地域の観光振興についてのお尋ねでございます。
昨年の木曽地域全体の観光地利用者数は、御嶽山噴火災害前に比べ、依然20%を超える減少となっておりまして、スキー場利用者数においても同様の傾向にあるなど依然厳しい状況が続いております。
県では、平成26年度の噴火災害直後から、主に木曽観光復興対策協議会への財政支援を中心に、木曽地域の町村、観光協会等とともに復興対策に取り組んでまいりました。今年度は、回復がおくれている御嶽山周辺地域への誘客を図るため、宿泊助成券を発行する木曽御嶽山麓ふっこう割キャンペーンや、木曽地域への貸し切りバスツアーへの運行支援、観光タクシープランの造成による2次交通対策などを行ってまいりました。
また、信州デスティネーションキャンペーンにおきましても、中京圏、首都圏を中心に木曽地域を積極的にPRしてまいりました。間をあけることなく、11月1日からは、ウインターシーズンに向けてふっこう割第2弾をスタートさせたところでございます。
来年も引き続き同協議会を通じて支援を行うとともに、来年の信州アフターDCに合わせ、日本遺産に認定されました木曽の街道や文化遺産に光を当てながら、木曽地域振興局と歩調を合わせ、木曽地域への誘客を積極的に行ってまいりたいと考えております。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)戦後最悪の噴火と言われました御嶽山噴火から3年たち、噴火警戒レベルも1になったところです。今後の御嶽山の観光には大いに期待したいところでありますけれども、知事には、被災された方に過日王滝村で献花をされました。まことにありがとうございました。今後、県立自然公園としての御嶽山をどう整備するのか、まず、安心、安全で登山ができる環境を整備することが一番です。山小屋やシェルター、登山道の整備が必要です。確実で円滑な情報伝達システム、避難誘導システムも必要です。
そこで、現在、環境部で県立自然公園の抜本的な見直しをしているとお聞きをしておりますけれども、今後御嶽山のあるべき姿を環境部長にお聞きをいたします。
〔環境部長関昇一郎君登壇〕
◎環境部長(関昇一郎 君)今後の県立自然公園の御嶽山についてのお尋ねであります。
平成26年の噴火災害により、山小屋の被災や登山道の荒廃が進むなど、御嶽山の利用環境は噴火前と大きく変わったものと認識をしております。
現在、地元の木曽地域では、県からの支援も受けながら山小屋の再建や登山道の整備を進めております。県といたしましても、御嶽山の将来を見据えたあるべき姿を地域とともに探りながら環境整備を進めていくことが必要と考えております。
県立自然公園につきましては、自然環境を保護しながらその利用を進めるとともに、地域の意向を反映した公園の管理を実現するため、さきの9月定例会において県立自然公園条例を改正させていただきました。この条例に基づきまして、地元関係者で構成される組織を近々発足をさせ、多くの皆さんに安心、安全に訪れていただくことができる御嶽山を目指して、復興に必要な施設整備や自然環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)環境部長にはテンポの速い施策を進めていただきたいと思っています。
そこで、現在、御嶽山の噴火で亡くなった御遺族が国と県に対して損害賠償を求める訴訟を起こしております。噴火の兆候が事前にあったにもかかわらずなぜ噴火レベルを上げなかったのか。地震計が壊れていたのになぜ直さなかったかの訴訟内容ですが、知事は県が訴えられている件をどのように思われているのでしょうか。あわせて、今後、避難用シェルター、ビジターセンターの建設に向けた支援をどのようにするのでしょうか。知事の御所見をお願いいたします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)まず、御嶽山噴火災害に関する訴訟についてでございます。
改めて、お亡くなりになられた方々に対しまして慎んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心より御見舞いを申し上げます。
私ども県に対しましては、噴火当時の地震計2基の故障に関しての訴えとなっているわけでありますが、県としては、故障を放置していたものではないというふうに認識をしております。今後、御遺族の皆様方、あるいは関係者の皆様方の思いにも応えるべく、御嶽山噴火災害の教訓を踏まえ、県としてもできる限りの火山防災対策を進めていきたいというふうに考えております。
次に、避難用シェルター、ビジターセンターの御嶽山への建設に関しての支援についての御質問でございます。
避難用のシェルターにつきましては、登山者あるいは観光で訪れる皆様方の安全を確保するという観点で大変重要な施設だというふうに考えております。地元の木曽町、王滝村におきましては、御嶽山山頂付近への避難用シェルターの建設について、火山の専門家も交えて検討を行っている状況であります。木曽町では、既に山頂付近の山小屋については解体を行ったところでございます。
県としても、この検討に加わって、どのような施設とするのがいいのかということについて一緒に考えているところでございます。また、建設に当たりましては、国の補助制度を活用した場合には、県としても国と同額の補助を行ってしっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。
また、ビジターセンターにつきましては、火山防災の普及あるいは観光振興の視点、さらには御嶽山の噴火災害を後世へと伝えていくという観点から大変重要な施設だというふうに考えております。
本年度、木曽町、王滝村におきまして、御嶽山ビジターセンター(仮称)等建設検討委員会が設置されております。備えるべき機能、あるいは情報発信のあり方、建設予定地など検討が始まったところというふうに承知をしております。
この検討には、木曽の地域振興局、あるいは県の関係部局もかかわらせていただいております。多くの皆様方に訪れていただき、地域における情報発信の拠点施設となるよう県としても支援を行っていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔40番村上淳君登壇〕
◆40番(村上淳 君)結びとなりましたけれども、知事におかれましては、被災された皆さんとも裁判が進行中の状況でありますけれども、距離を置かずに話し合いの場を持っていただきたいと願うところであります。
また、木曽の観光につきましては、世界水準山岳リゾートと胸を張って言える地域とするレベルの高い観光をぜひとも目指していただきたいと思いますので、また御支援をよろしくお願いいたします。
以上で私の一般質問とさせていただきます。
○議長(垣内基良 君)次に、寺沢功希議員。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)大規模木材加工施設と木質バイオマス発電施設を整備することにより木材の新たな需要創出と循環型社会の形成を目指す信州F・POWERプロジェクト、林業再生と再生エネルギー利用における先駆的なモデルとなるべく大きな期待が寄せられているプロジェクトであります。9月定例会一般質問におきまして我が会派の依田議員より質問いたしましたが、再度、その後の状況も含め質問をさせていただきます。
本プロジェクトの事業計画は、平成25年3月25日に策定され、平成27年3月25日に最終改定されております。この改定の際の幾つかの事業計画の変更点、また計画内容について林務部長にお聞きします。
木材加工事業に係る事業費は、当初44億2,400万円、うち県補助金21億800万円でありましたが、改定の際、61億円、うち県補助金23億8,000万円に増額されておりますが、その理由及び内訳はどのようなものでしょうか。
同様に、木質バイオマス発電事業に係る事業費は、当初57億3,200万円、うち県補助金14億5,900万円でありましたが、改定の際、65億円、うち県補助金1億2,000万円となっております。事業費の増額及び補助金減額の理由及び内訳はどのようなものでしょうか。また、現時点でさらに金額に変更が生じておりますでしょうか。
加えて、事業費に対して県補助金は事業計画に明記されておりますが、国等そのほかの補助金の交付を受けている、または交付を受ける予定がありますでしょうか。あればその額もお聞かせください。
また、木質バイオマス発電施設概要において、当初発電出力は10メガワット、1万キロワットでありましたが、改定の際、燃料消費量ほか施設概要に変更がない中、発電出力が14.5メガワット、1万4,500キロワットにふえたのはどういった理由からでしょうか。
事業計画では、プロジェクトの実施により、素材生産による雇用で約250人/年、運搬による雇用で約100人/年、製材工場の雇用で約40人/年、発電施設の雇用で約25人/年、合計約400人/年の新たな雇用が創出される見込みとされておりますが、現在未稼働の発電施設以外において、見込みどおりの雇用が創出されているのでしょうか。また、そもそも、この「人/年」の単位が、毎年この人数の雇用が創出されるとも捉えられかねないような非常にわかりにくいものでありますが、なぜこの単位を使用されたのでしょうか。
加えて、事業計画では、民間監査法人の試算により、プロジェクトによる経済効果は20年間で500から700億円と見込まれているともされております。プロジェクトから熱供給事業が事業主体となる塩尻市が断念したため外れましたが、経済効果はどのように変更になるのでしょうか。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)信州F・POWERプロジェクトについての御質問に対しまして順次お答え申し上げます。
初めに、プロジェクトの事業費についてのお尋ねでございます。
まず、加工事業費につきましては、為替の変動及び資材の高騰、機械の規格等の見直しに加えまして、外構工事、チップ製造施設及び用地造成費の追加により、当初の44億2,400万円から61億円に増額となっております。
また、補助金も、貯木場とチップ製造施設が補助対象となり、約2億7,000万円分増額となっております。また、木質バイオマス発電事業につきましては、為替変動と資材の高騰により、当初の57億3,200万円から65億円に増額となっております。
あわせて、発電施設の補助金につきましては、当初、企業1社で運営する予定でしたが、意欲ある企業の出資により特定目的会社を設立して運営されることとなり、発電施設本体は出資金と金融機関からの融資により建設されることとされました。
県では、当初、補助金約15億円を支援する計画でしたが、民間企業の自主性が最大限発揮されるよう、補助事業による支援は最小限にとどめ、発電事業の収益発生時から返済していくことのできる資金融通により約1億2,000万円を支援することとして減額したものでございます。
なお、現時点で事業費の変更はなく、ただいま説明しましたほかに国等による他の補助金の交付は受けておらず、現在予定もされておりません。
続いて、木質バイオマス発電施設の出力に関するお尋ねでございます。
平成25年3月に公表した事業計画では、構想段階のものとして1万キロワットと計上しておりましたが、その後、事業者において発電施設の詳細設計が行われ、プラントの性能を精緻に分析、評価した結果、1万4,500キロワットの出力とされたものでございます。
続いて、雇用創出についてのお尋ねでございます。
現在、製材加工施設の雇用は46名と、おおむね当初の計画どおりとなっております。また、林業の雇用効果は多段階に及ぶ分野であり、素材生産や運搬による雇用人数は発電を含めた本格稼働時の試算となっております。製材加工施設は、本格稼働に向け調整を進めている中で、現状では当初の計画に達しておりませんが、今後の発電施設の稼働等により雇用創出効果が十分発揮できるものと考えております。
なお、単位につきましては、本プロジェクトは、1年間の雇用効果を示すため、その木材の生産、加工などにかかわる雇用者数を算出しております。一般的な雇用効果1年間当たりの人数をお示ししているものでございます。
続いて、プロジェクトの経済効果に関するお尋ねでございます。
当初計画していた熱供給事業にかわって、新たに熱利用事業の検討がなされており、また、この分野での経済効果は全体の1%程度と見積もっていましたことから、これを含めたプロジェクト全体としての経済波及効果に大きな変更はないものと考えております。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)本年9月28日付の市民タイムス掲載のインタビュー記事内で、小口塩尻市長は、プロジェクトについて、初物にリスクはつきもので、加工した床材の販売が順調にいかないのも想定内だと述べています。塩尻市と征矢野建材株式会社とともにプロジェクト宣言をし、同じ理念のもとプロジェクトに取り組んでいる県としても、同様に床材の販売が順調にいかないことを想定していたのでしょうか。であるならば、順調にいかないと想定した事業に23億8,000万円という補助金を支給したということでしょうか。
さらに、同記事内で、小口塩尻市長は、床材にならない部分を燃料にする収益でそのリスクを相殺するのが木質バイオマス発電の目的で、両輪で行わなければならないとも述べております。これについても県は同様のお考えでしょうか。つまり、木質バイオマス発電事業は木材加工事業の赤字補填事業という理解でよろしいでしょうか。このような考えでは出資者の理解が得られないと思いますが、いかがでしょうか。
以上、林務部長にお聞きします。
また、これらのプロジェクトにおきまして、連携関係にある塩尻市のトップであります市長の発言に対して、同じく県のトップであります知事の見解をお聞かせください。
今回監査委員より提出されました定期監査の結果に関する報告の中で、プロジェクトに対し、「本事業には多額の補助金等を交付しており、期待された成果を達成することが強く求められます。プロジェクト全体の調整役として、事業の進捗管理、支援態勢の強化等に努めてください。」と意見が記されております。確かにこのとおりだと思います。
しかしながら、私は、この意見の中の調整役という部分に違和感を覚えました。プロジェクト事業計画は、県、塩尻市、征矢野建材株式会社の3者で策定され、知事、塩尻市長、征矢野建材社長の連名によりプロジェクト宣言をされていることや、プロジェクトへの期待や熱い思いが込められた過去の答弁などから、私は県は共同事業主体の立場であるという感覚でおりました。
しかし、今回、過去の資料、プレスリリース等を確認すると、県はプロジェクト全体の総合調整役として事業主体及び関係各機関との連絡調整を図るなど、計画の実行に向けた取り組みを推進してまいりますと記されておりました。
調整役と聞くと一歩引いた立場のような印象を受けるのは私だけではないと思いますが、改めて、このプロジェクトにおいて県はどのような立場でどう取り組んでいくのでしょうか。知事にお聞きします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)続きまして、F・POWERプロジェクトの木材加工施設の補助についてのお尋ねでございます。
当プロジェクトは、本県の豊富な森林資源の利活用による林業再生と木材産業の振興を図るとともに、環境負荷の少ない環境型社会の形成に寄与するため、県内初の集中型製材加工施設と木質バイオマス発電施設が併設する日本で初めての取り組みでございます。
これまでほとんど利用が進んでいなかったアカマツや広葉樹を利用して付加価値の高い床材製品等を製造する集中型製材加工施設については、本県には県産材を消費できる拠点施設がない中で、専門家による経営診断や各種調査を重ね、事業計画の妥当性を判断し、補助金交付を決定したものでございます。
続いて、製材事業部門と木質バイオマス発電事業部門の関係に関するお尋ねでございます。
このプロジェクトは、アカマツ材等を多段階で利活用することにより収益性を向上させ、本県の林業、木材産業の活性化に寄与することを目的としており、製材、加工、発電事業が一体的に稼働することで、A材から未利用材まで全てを消費することができることとなるものでございます。
このうち、木質バイオマス発電事業は、これまで活用しにくかった製材端材も発電燃料とすることで価値が生まれ、資源の有効活用と収益性の向上の両面で成果が期待できるものでございます。
したがいまして、製材事業部門及び発電事業部門に関しては、事業連携しながらも自立的な経営を行い、相互に収益を確保していくものとして出資者の御理解を得ている状況と聞いております。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)私には、まず、小口塩尻市長の発言に対する見解という御質問でございます。
小口市長の御発言内容の詳細を承知しているわけではありませんけれども、本プロジェクトは、林務部長からお答え申し上げましたとおり、本県の豊富な森林資源を無駄なく活用して、その利益を山側にも還元するために、集中型加工施設に木質バイオマス発電施設を併設した全国初の取り組みであります。こうしたプロジェクトを進めていく上では、引き続き塩尻市を初め関係の皆様方と十分連携を行いながらプロジェクト全体がしっかり進んでいくように取り組んでいきたいというふうに思っております。
また、県の立場であります。
9月定例会で依田議員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、このプロジェクトは、本県を森林県から林業県へと飛躍し、展開させていくという意味で大変重要なプロジェクトだというふうに考えております。
このプロジェクトは、スタート時から産学官それぞれが主体的に役割を分担し、責任を果たしながら連携して進めてきているものでございます。具体的には、集中型製材加工施設やバイオマス発電施設の整備、運営につきましては民間の事業者が実施をし、熱利用については地元塩尻市が取り組み、製材、発電に必要となる木材の安定供給を林業、木材産業団体が担っていくものという位置づけになっております。
県としては、原木の安定供給体制の構築に取り組みますとともに、プロジェクト全体の調整役としての役割を果たしていきたいと考えております。
以上です。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)御答弁をいただきましたが、私の質問の仕方がまずかったのか、もう一度林務部長にお聞きをします。
私は、小口市長の発言について、初物にリスクはつきもので、加工した床材の販売が順調にいかないことが想定内だったのか。同様に県も想定内であったのか。また、木質バイオマス発電については、木材加工事業の赤字補填事業であるという見解であるのか。もう一度林務部長にお聞きをします。
地域未来投資促進法に基づき、長野県と県内3地域の市町村が連名で申請を行った基本計画が9月29日に国から同意を得たとプレスリリースされました。県内の3地域は、上伊那地域、南信州地域、塩尻市で、全国では39県にて70地域の基本計画が同意され、塩尻市における基本計画は信州F・POWERプロジェクトを中心としたものだと聞いております。
そこで、産業労働部長にお聞きします。
この地域未来投資促進法の概要はどのようなもので、今後はどのように進められていくものなのでしょうか。また、塩尻市における基本計画の中心となるプロジェクトが予定どおり順調に進んでいないことに対し国からは指摘を受けなかったのでしょうか。加えて、この現状が今後に影響するおそれはないのでしょうか。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)2点お尋ねいただきました。
初めに、小口塩尻市長がおっしゃった、初物にリスクはつきもので、加工した床材の販売が順調にいかないのは想定内だという発言に対しての見解でございます。
今回、製材工場で主に製品として出荷する予定のものはアカマツフローリングでございます。アカマツフローリングといいますのは、この工場が立ち上がった時点で他にそういう製品があるものではございません。したがいまして、このフローリングが市場の中で浸透し、その価値が認められていくには一定の時間がかかるというふうに私どもは考えております。
また、製材工場におきましても、極めて複雑なラインを海外から輸入し、設置し、稼働させているものでございまして、当然初期のトラブルはつきものだろうということは想定した上での支援を行っているものでございます。
また、木材加工事業の赤字補填事業という理解でよいかという考えでございますが、木材加工事業とバイオマス発電事業は、これはあくまでも両輪の事業でございます。したがいまして、単に赤字補填という話ではなくて、双方がそれぞれ相乗的な効果を発揮できるように両輪となることが望ましいというふうに考えているものでございます。
〔
産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕
◎
産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)信州F・POWERプロジェクトと地域未来投資促進法の関連で2点御質問をいただきました。
最初に、同法の概要についてでございます。
本年7月に施行されました地域未来投資促進法は、従来の企業立地促進法を改正したものでございまして、これまでの製造業の立地を中心として地域の産業振興を図ろうという、いわば全国一律の視点を転換いたしまして、今後高い成長が期待される環境・エネルギー、観光・スポーツなどの幅広い産業分野を対象業種としたこと、地域の特性を生かして地域に高い経済波及効果を生み出す事業を促進するということ、これを主眼としているものでございます。
同法に基づく手続といたしましては、まず、県及び市町村が共同で対象とする産業分野を定めた基本計画を策定し、次いで、事業者がこの基本計画に沿った事業の具体の事業計画を申請をし、県の承認を受けることとなるといったところでございます。そして、この承認を受けた事業につきましては、設備投資減税、土地利用調整に係る配慮、地方創生推進交付金の活用などの各種支援措置が講じられるといったものでございます。
現在、先行した3地域に続いて、残る県内全地域の基本計画を国に申請しているところでございまして、今後、この枠組みの中で地域産業の振興が図られ、地域経済が活性化するよう市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
2点目でございます。信州F・POWERプロジェクトの進捗状況による影響についてのお尋ねでございます。
基本計画につきましては、先ほども申し上げましたとおり、地域特性を踏まえた産業分野の選定というものを主な内容としているものでございまして、具体的な事業内容を特定するものではございません。したがいまして、基本計画の同意に際しまして、国から信州F・POWERプロジェクトの進捗状況に対する指摘というものは特に受けておりません。
また、今後の影響についてでございますが、事業計画申請前であり、具体の事業に基づき判断できる段階ではございませんけれども、現状というものが制度の運用に当たって必ずしも影響を与えるものではないというふうに考えております。
いずれにいたしましても、必要な支援措置がしっかりと活用されるよう、林務部や塩尻市などと連携をとって進めてまいりたいというふうに考えてございます。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)それぞれ御答弁いただきました。
床材販売の不振についてはリスクは想定していた、また、木材加工及び発電事業は両輪で行うため、つまり片方だと事業は成り立たないというふうに答弁より理解をさせていただきました。
続いて、本年2月議会において、着工がおくれている木質バイオマス発電事業について出資予定者と事業の収益性を精査中、発電プラントの工事契約、出資契約、融資契約の締結に向けた内容合意や内容確定の最終調整中との説明がありましたが、9月定例会の依田議員へも同様の状況にある旨の答弁があり、いまだに進展がありません。
通常、事業においてこのような状況にあれば、わずかな期間で結論が出るものでありますが、本当に現在説明されている状況にあるのでしょうか。だとすれば、進展しないネックとなっているものは何なのでしょうか。また、各機関との交渉及び調整の場に県は同席されているのでしょうか。つまり、現在の状況の把握は征矢野建材からの聞き取りだけか、そうではないのか、どちらなのでしょうか。
本年9月3日付の信濃毎日新聞の記事内において、征矢野建材の社長が、取材に対し、着工に関して近く発表できることがあると述べておりますが、その内容はどのようなものだったのでしょうか。
また、本年6月以降アカマツの受け入れを提示している件に関して、9月2日付の信濃毎日新聞の記事内で、征矢野建材は、取材に対し、受け入れ再開時期などは10月のサプライチェーンセンターの会議で説明すると述べており、会派として9月初めに現地調査を行った際にも同様の説明を受けましたが、会議ではどのような説明がされたのでしょうか。
木材加工品の販売が順調ではなく、現地調査の際にも事業に関しては赤字であると説明がありました。征矢野建材の決算状況はどうなのでしょうか。
以上、林務部長にお聞きします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)続きまして、木質バイオマス発電事業のおくれている理由等に関するお尋ねでございます。
9月定例会で依田議員の御質問にお答えいたしましたとおり、発電施設の発注に向けた出資及び融資契約の調整がまさに行われているところでありまして、大詰めの段階となっているものでございます。
これまで時間を要した原因といたしましては、多くの企業がかかわっていることから、確実な事業実施に向けて細部にわたる契約条項を積み重ねているためであると認識しております。県としては、各出資者からの聞き取りを行う中でそうした事実関係を把握しているところでございます。
一方、県といたしましても、その役割を踏まえて、必要な関係者との打ち合わせに参加し、情報の共有を図りながら、早期に着手されるよう求めるとともに、原料となる未利用木材の安定供給に向けた調整を進めているところでございます。
なお、事業主体からは、今後のスケジュール等が定まった段階で発表する考えがあるとお伺いをしているところでございます。
次に、アカマツ材の受け入れ再開についてのお尋ねでございます。
アカマツ材の受け入れにつきましては、事業主体において、丸太及び製品在庫のバランスを図るため、一定期間アカマツ材を納入停止としていたところでございます。その再開につきましては、10月5日に開催されたサプライチェーンセンター需給調整会議におきまして、秋から冬期間はアカマツ材の生産時期となることから、事業主体により10月21日からの床材製品の製造に合わせた受け入れ再開と来年4月20日までの受け入れ量を提示するなど、林業事業体が計画的な木材生産ができるような調整を図っていく旨の説明がなされております。
続きまして、事業主体の決算状況についてのお尋ねでございます。
9月定例会で依田議員の御指摘にもお答えしたとおり、現在、製材事業については、製品の販売開拓と原木の安定供給が課題であり、平成28年度7万立方メートルの丸太を製造する計画に対して、実績は5割ほどとなっている状況でございます。
事業主体においては、営業強化に全力を尽くしており、さまざまな企業との連携も図られてまいりましたので、今後、販売量は着実に伸びていくものと考えております。
なお、事業主体のプレカット部門や海外製品の輸出入部門は好調な状況と把握しております。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)決算状況については、一民間企業のことですので、細かい部分までは答弁できないということは理解できますが、補助金の額が多額、また事業も途中という観点からも把握しておかなければならないと思いますが、決算状況について細かい数字まで把握されておりますでしょうか。再度林務部長に確認いたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)決算状況について再度お尋ねをいただきました。
決算状況につきましては、補助事業上、その決算書等は報告をいただいており、把握しておりますが、個別企業にかかわる問題ですのでこの場では申し上げられないということでございます。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)決算状況は、先ほど申しましたとおり、現地調査の際の説明に加え、私も民間リサーチ会社による資料で確認しましたが、厳しい状況であると認識しております。
しかし、厳しい状況になったのは木材加工施設が稼働し始めた平成27年度からでありました。連携をし、プロジェクトに取り組むことにより、結果的に民間企業に赤字を負わせてしまっている現状、何かみこしに乗せられ担がれたが、担がれた者だけが傷を負ってしまったようなこの状況をどうお考えでしょうか。知事の見解をお聞かせください。
先ほども申しましたとおり、木材加工品、無垢フローリングの販売が順調ではないのが現状であります。プロジェクトの事業計画の中では、一部上場企業の建材メーカーであり、もちろんフローリングの製造販売もしている大建工業が連携体制の中で販路開拓を担うことになっておりますが、事業主体の征矢野建材は、当初よりOEMは考えておらず、無垢フローリングのメーカーとして事業を進め、販売していく考えだったようであります。だとすれば、大建工業の担う販路開拓とは一体何を意味しているのでしょうか。
現在、木質バイオマス発電施設の完成、稼働予定を平成32年とされております。しかし、この時点で完全稼働ということではないようです。現地調査の際の説明によりますと、3年間試験稼働をした後、つまり平成35年に完全稼働となるようであります。また、木材加工施設も同様で、現在の稼働状況は半分にも達しておらず、木質バイオマス施設が100%稼働しないと木材加工施設も100%稼働にはならないとも説明を受けました。
つまり、このプロジェクトが100%の状態で進み出すのは、早くて平成35年からということになります。スケジュールについてはこのような認識でよろしいでしょうか。また、現在の半分以下の稼働状況での生産量でも販売に苦慮されておりますが、平成35年までに100%稼働時の生産量に応じた販売体制を整えられる見通しは立っているのでしょうか。
さらに、全国的に見ますと、バイオマス発電事業から撤退した企業のほとんどが、すさまじい熱により配管を初めとする設備に負担がかかることにより生ずる破損等のふぐあいに対するメンテナンス費用が経営に対して大きな負担となったとも聞いております。そういった検討を踏まえての3年間の試験稼働期間であると思いますが、完全稼働前にメンテナンスが必要になる可能性も想定されておりますでしょうか。また、設備に対するメンテナンス費用を想定した事業計画、資金計画を立てられているのでしょうか。
連携体制のもとで取り組みを進め、また、多額の補助金を投入している以上、県としてはあらゆる可能性を想定しておく必要があると思います。このまま木材加工品の販売が順調にいかず、また木質バイオマス発電事業も思うように進んでいかない場合、例えば、先ほど触れました、今までプロジェクトにかかわってきた大建工業を初めとする大きな資本力のある企業等が征矢野建材にかわり事業を引き継ぐことも十分に考えられます。そうなった場合、県としては、今までと同様に、その企業を新たな事業主体として連携していくのでしょうか。その場合、それまでに支出した補助金の取り扱いについてはどのようになるのでしょうか。
以上、林務部長にお聞きします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)通告なしで私に御質問いただいたわけでありますけれども、この事業全体については応援をいただいている立場で御質問いただいているというふうに理解をしておりますが、この事業自体が多くの関係者の皆さんとの信頼関係、協力関係に基づいて進められているということについてはぜひ十分御理解いただいた上で、みこしに乗せられるとか、乗せたとか、そういうものでは全くないということについては十分御理解いただきたいというふうに思います。
先ほど申し上げましたように、このプロジェクトは、それぞれの主体が役割を分担しながら連携して進めているものであります。そういう中で、我々が林業県へと飛躍していく上で、このプロジェクトをこれからも関係者間の信頼関係、協力関係をしっかり築きながら前進させていくということが我々県の役割だというふうに思っています。どうか寺沢議員初め県議会議員各位におかれましても、そうした観点で、ぜひ御理解、御支援をいただければというふうに思っております。
以上です。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)続きまして、大建工業株式会社の担う販路開拓についてのお尋ねでございます。
事業主体によれば、当企業は業界最大手の建材メーカーでございまして、全国的に事業展開をしているところでございます。もともと複合フローリングのメーカーでございますが、最近では少しずつ無垢材にシフトしつつあるということも聞いているところでございます。
この大建工業は、アカマツや広葉樹を主体とした無垢床材製品を取引先である全国の工務店等へ販路開拓するとともに、今後は製品開発の分野でも連携すると聞いているところでございます。
続きまして、木質バイオマス発電事業の稼働までのスケジュール等に関するお尋ねでございます。
発電施設は、現段階では、平成31年度中に試験稼働を行った上で、平成32年度には商業運転開始というスケジュールになっております。また、製材事業の販売体制につきましては、事業主体におきまして、発電施設の本格稼働を見据え、アカマツ材の新たな販路の開拓等により平成32年度を目途に安定した製品供給体制の構築に取り組んでいるところでございます。
なお、事業計画及び資金計画につきましては、事業主体とプラントメーカー間でメンテナンスを含め十分な調整が図られているものと承知しているところでございます。
続いて、事業の承継等についてのお尋ねでございます。
現時点ではそうした状況は想定しておりませんが、補助制度上は事業の承継は可能とされているものでございます。
以上でございます。
〔3番寺沢功希君登壇〕
◆3番(寺沢功希 君)今回、信州F・POWERプロジェクトについて質問をさせていただきました。通告なしに知事に質問をいたしまして大変失礼をいたしました。ただ、勘違いしていただきたくないのは、この事業を否定したり、やめさせたいというような考えは一切ありません。豊富な森林資源を無駄なく活用しながら環境へも配慮したこの事業に取り組む企業はもちろんのこと、ただでさえ疲弊していた上に、
大北森林組合問題により停滞してしまった林業の再生、復活、そして、何より森を生かす、木々に輝きを与えるためにも、ぜひこのプロジェクトは成功していただきたいと思っております。
そのためには、このプロジェクトに参画する企業、行政、団体が、それぞれがかかわる事業だけを考えるのではなく、全員がプロジェクト全体を考え、携わっていく必要があります。しかし、現状は、それぞれの意識、連携がまだまだ薄いように感じられます。まずはこのプロジェクトの真のスタートに向けて、知事のリーダーシップのもと、それぞれが強い意識を持ち、一致団結し、全力で取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、私からの一切の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(垣内基良 君)次に、今井敦議員。
〔34番今井敦君登壇〕
◆34番(今井敦 君)まずは、さきの11月8日に総合計画審議会より答申のありました次期総合5カ年計画の内容についてお伺いをしてまいります。
次期5カ年計画の政策推進の基本方針には、「学びと自治の力」を政策推進のエンジンと位置づけるとしています。それは、山国信州の発展を支えてきた原動力であり、このエンジンをオーバーホールすることは、本県の各地域を活性化させ、自立的な発展につなげていくことになるというふうに思います。
住民による自治の力、これこそは地方自治の本旨であり、私の住む茅野市においても、「パートナーシップのまちづくり」として、自助、共助、公助のまちづくりをここ数十年来進めてきています。しかしながら、社会経済の近代化、効率化、そして少子化、高齢化、人口減少の進行とともに、茅野市はもとより地方においても自治の力は弱まり、従来どおりの手法が通用しなくなりつつあります。自治の力の強化、これは多くの地方自治体がやろうとしてもなかなか実現できなかった大きな課題であり、これを真正面に見据え取り組もうとする次期5カ年計画には注目をするところであります。
そこで、果たしてどのようにこれを実現していくおつもりなのか、幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず、次期5カ年計画の答申には、最も重要な基本目標に、学びと自治の力を発揮して、効率的、効果的でこれからの時代に適合した新しい社会システムや社会資本を創造するとしていますが、この効率的、効果的でこれからの時代に適合した新しい社会システムや社会資本とは、具体的にどのようなことを想定をしているのでしょうか。知事にお伺いをいたします。
次に、学びにも、さまざまな目的のもとに多様な育成方法や実践方法があるというふうに思いますが、次期5カ年計画では、学びの力を発揮させてどのように自治の力を高めようと考えているのか。これも知事にお伺いをいたします。
次に、政策推進の基本方針の一つ、産業の生産性が高い県づくりにおいては、注力すべき施策として、成長期待分野の産業クラスター形成が掲げられております。本県では、かつて文部科学省の地域イノベーション戦略支援プログラムに採択された医療分野でのスーパーモジュールのクラスター形成など、以前から数々のクラスター形成に取り組んできているところでありますが、これまでの各種クラスター形成の状況と成果はどのようになっているのでしょうか。また、今回期待をしている成長期待分野とはどのようなものを考えておられるのか。この点は産業労働部長にお伺いをいたします。
先月、日経BP社より出版された「世界を動かす100の技術」2018年版には、LPWA、すなわち、ロー・パワー・ワイド・エリアの略でありますが、従来よりも少ない電力消費量で長距離通信が可能になる無線通信技術が紹介されています。茅野市においては、本年9月にソニーセミコンダクタソリューションズと連携協定を結び、ソニーのLPWA通信技術を活用した八ヶ岳登山者位置情報把握システムの実証実験に入りました。
この技術は、低コストの無線でこれまでにない広範囲の山岳遭難者の捜索ができるようになるだけではなく、各種センサーとの組み合わせにより、遠隔地での防災監視や大規模農業の効率化、省力化、有効な配車システムや工場での効率的な生産管理など、AIやIoTとの組み合わせによりさまざまな面での活用が期待されているものであります。
さらに、先般、11月24日に設立認可をいただいた公立諏訪東京理科大学では、公立化に伴い、LPWA通信技術など外部の実績ある研究者や技術者を特任教授等として招聘する仕組みを現在検討をしています。
そこで、次期5カ年計画では、特に、「産業の生産性が高い県づくり」において、技術革新、すなわち第4次産業革命を強く意識したものになるということが予想されますが、これらAIやIoTを活用するにも、LPWAなどの通信技術や人工知能を活用、展開する具体的な技術やデバイスが想定をされていなければ、いつまでたってもAIやIoTは実体がイメージできない夢の技術にすぎないというふうに思います。県としては、AIやIoTを活用する技術やデバイスとしてどのようなものを想定をされているのか、この点についても産業労働部長にお伺いをいたします。
ところで、次期5カ年計画は平成30年からでありますが、時を同じくして長野県立大学と公立諏訪東京理科大学が平成30年に開学いたします。長野県立大学はグローバルなマネジメント能力を持つ人材育成をすることを目標としておりますが、マネジメント能力をつけても、具体的にそれを生かすテクノロジーが常にそこに存在しない限り、県内の優秀な才能はそれを求めて県外へ流出してしまうということが考えられます。そこで、グローバルなマネジメント能力を持つ人材を育成する目標である長野県立大学と、最先端技術の開発を目指す公立諏訪東京理科大学の連携をどのように考えておられるのか。この点は、県立大学設立担当部長にお伺いをいたします。
最後に、知事にお伺いをいたします。
先般行われた公立諏訪東京理科大学の知事要望において、今後、新たな公立大学では、ものづくりの拠点である諏訪地域に立地する特徴を生かし、世界的にも最先端の科学技術に挑戦する教育と研究を推進するとともに、同大学の伝統である工学と経営学の融合教育を通じて、みずから将来を開拓できる主体性を持ち、地域に貢献するとともに、世界にも羽ばたく人材を育成することが大学側から示されました。
さらには、先ほど申し上げましたLPWAの日本の開発第一人者である優秀な開発者を諏訪東京理科大学に特任教授として招聘するべく検討中であり、加えて、地域産業界等のニーズに応える先進的なイノベーション研究開発やその実用化研究開発を進め、研究開発の成果を地域社会に還元するため、地域連携研究開発機構や地域連携総合センターを設置することとしておりますが、これこそ県の次期総合5カ年計画が目指す学びの県づくりや産業の生産性が高い県づくりの推進に資するものというふうに思います。
そこで、本県の将来の発展のための人材育成と技術開発をしようとする公立諏訪東京理科大学の開設に当たり、県としての連携や支援についてはどのように考えるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)総合5カ年計画に関連して、学びと自治の関連でいただいた御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。
まず、これからの時代に適合した新しい社会システムや社会資本の創造、学びと自治の力を発揮して具体的にどういうことを想定しているのかということでございます。
これは、総合計画審議会の答申の趣旨としては、長野県に暮らす皆さんが将来にわたって幸せで安心に暮らし続けられるようにしていくためには、学びと自治の力を発揮して、提案説明で申し上げたとおり、パラダイム転換あるいはイノベーション、こうしたことを起こしていくことによって未来を切り開いていくことが必要だということが審議会の答申の趣旨だというふうに受けとめております。
これから総合5カ年計画を具体化していくわけでありますが、例えば、これからの高齢化社会に向けて、自家用車のみに過度に依存しない地域づくりということが求められてきているというふうに思っています。
そういう中で、世界的には、例えばウーバーというようなシェアリングシステムができてきているわけでありますけれども、こうしたシェアリングシステムは、まさに多くの関係者に主体的にかかわってもらうと、まさに自治の視点にもつながるものだというふうに思っております。また、長野県は、地消地産の推進あるいは循環型経済圏をつくろうということを掲げてきておりますけれども、地域内の経済循環を促していくという観点でも、これは、地域の皆さんが、経済的には県外で買い物をするよりも県内で地域循環させたほうがいいということを主体的に学んで、そして関係者が協働して自治の仕組みとして根づかせていくということが大変重要だというふうに思っております。こうした観点で新しい社会の形ということをつくっていく上では、この学びという概念、それから自治という概念が大変重要だというふうに思っております。短期的な視点ではなくて、そうした観点、中長期的な視点を持ってぜひ取り組んでいきたいというふうに思っております。
そのためには、やはり私ども県組織自体も学習する組織になっていくということが重要だと思っております。職員全体が積極的に学びつつ、そして我々県組織自体が自治体でありますので、自治体としての窓口の視点を持ってクリエーティブな政策形成を行えるように努力をしていきたいと考えております。
それから、学びの力を発揮させてどのように自治の力を高めようとするのかと。
この学びと自治は非常に相互に密接に関連している概念だというふうに考えております。今日のように技術革新が急速でかつ複雑化している時代にありましては、常に学び続けていくということが、一人一人にとっても、そしていろんな組織にとっても極めて重要だというふうに思っております。また、そうした学びを通じてみずからが主体的に課題解決に取り組んでいくという社会をつくっていくことがますます重要になってきていると思います。まさに、それが分権型社会であり、多様性を尊重する社会だというふうに思っております。そうした環境整備に県としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
とりわけ、本県は、例えば飯田のほうへ行きますと「公民館する」という動詞もあるというふうに伺っておりますように、この公民館活動が活発な地域でもありますし、また、県立図書館を中心に、図書館のあり方もかなりクリエーティビティを増していくという方向で教育委員会を中心に取り組んできていただいております。そういう意味で、こうした自治の力を高めていくためにも、この学びという概念をしっかりと生かしていくということが重要だと思っております。
総合5カ年計画は、今、作成途上ではありますけれども、こうした観点から、学びの力、そして自治の力、双方をしっかりと結びつけながらともども発展していくことができるように政策をつくってまいりたいというふうに考えております。
それから、公立諏訪東京理科大学の開設に伴いましての県の連携、そして支援についての御質問でございます。
公立大学法人公立諏訪東京理科大学につきましては、11月24日にその設立を認可いたしたところでございます。また、これに先立ちまして、11月7日に諏訪広域公立大学事務組合長から正式に私どもに対して支援の要望をいただきました。公立化後の大学の理念についてもあわせてお伺いをさせていただいたところでございます。
新しい大学は、AI、IoT等最先端の科学技術の教育、そして研究を行っていくということでありますし、また、地域の核となってイノベーションを起こしていく知の拠点となっていくものというふうに大きく期待をしているところでございます。
現在策定中の次期総合5カ年計画におきましては、学びの県づくり、あるいは産業の生産性が高い県づくりということをうたっていく予定にしておりますが、こうした観点から、公立諏訪東京理科大学の取り組みをぜひ積極的に県としても応援し、また連携をさせていただきたいというふうに思っております。
信州高等教育支援センターでコーディネートを行わせていただきながら、諏訪地域振興局や県の試験研究機関等との連携も一層深めていきたいというふうに思っておりますし、また、長野県立大学ともしっかりと連携、協力関係を築いていくことができれば大変ありがたいというふうに思っております。
具体的な支援のあり方については、今後諏訪広域公立大学事務組合から御意見、お考えを十分お伺いをさせていただいた上で県としての対応を考えていきたいと考えております。
以上でございます。
〔
産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕
◎
産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)初めに、成長期待分野の産業クラスター形成についてのお尋ねでございます。
産業クラスター形成に係る長野県の歩みを振り返りますと、長野県テクノハイランド構想によりまして県下5圏域で産学官連携の仕組みが構築されたことに始まり、その後、国の集積活性化法による支援を受け、工業技術総合センターに分析機器を整備する中で、技術高度化による産業クラスターの形成を支えてきたということでございます。
また、研究開発では、文部科学省の知的クラスター創成事業や、議員の質問の中にもございました地域イノベーション戦略支援プログラムによりまして、信州大学を中核とした産学官共同研究開発を進めてまいりました。この結果、人体適合性が高い医療材料や水の分離膜、効率のよい電池などが開発をされまして、現在進行中のアクアイノベーションやイノベーションエコシステムによりその実用化開発が進められているところでございます。
このように、産業クラスターの形成に当たりましては、大学の持つシーズや研究機能といったものをいかに地域の企業と結びつけていくのかといったことが肝要であるというふうに考えているところでございます。
国の成長戦略では、技術動向及び市場動向に基づく試算によりまして、健康・医療、環境・エネルギー、次世代交通の3分野を成長期待分野として位置づけているところでございます。
県内企業は、これらの分野に係る技術を有し、また関心も高く、活用できる県内大学のシーズといったものもございますので、この3分野をさらに深掘りする中でクラスターの形成に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、AIやIoTを活用する技術やデバイスについてのお尋ねでございます。
AIやIoTを活用するためには、情報を的確かつ効率的に集め、分析し、制御するシステムが必要でございます。このためには、センシング技術、情報通信技術、ソフトウエア技術が不可欠でございます。また、想定するデバイスは、センサー、IC集積回路、通信装置などでございまして、県内企業の保有技術が活用できるものと考えております。
これによりまして、例えば、製造業では省エネルギー化、不良の削減、設備保全などの生産効率や品質向上、農業では作物の収穫時期の判定や鳥獣害対策、観光業では観光客の行動予測やタクシーの配車システム、また建設業では道路や橋などの劣化診断システムなどへの活用といったものが期待されるところでございます。
既に、大学を核とした研究開発では、諏訪東京理科大と連携した受注変化予測やLPWAを活用した登山者の位置情報把握システムの開発など、具体的な取り組みというものも芽を出しつつございますので、県といたしましても、工業技術総合センターによる技術支援などを進めてまいりたいというふうに考えております。
〔
短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長玉井裕司君登壇〕
◎
短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長(玉井裕司 君)長野県立大学と諏訪東京理科大学との連携についてお尋ねいただきました。
県内の高等教育を振興しまして有為な人材を地域に輩出していくためには、それぞれの大学がみずからの強みを発揮しながら他の大学との連携を図っていくことが不可欠であると考えております。
諏訪東京理科大学は、長野県立大学にはない工学部を擁しまして、ものづくりを担う技術者を育成し、また技術者にとって必要なマネジメント力を高めるためのカリキュラムを設けていると承知をしております。
長野県立大学には、グローバルな視点とマネジメント力を養成いたしますグローバルマネジメント学部がございます。諏訪東京理科大学とは互いに専門分野の教員による授業の実施、学生の単位互換などに関して、まずは連携の可能性を考えることができるものと思っております。
また、産業が集積する諏訪地域の状況を踏まえまして、最先端技術の開発を目指す諏訪東京理科大学と互いの強みを生かしまして連携をいたしまして、ともに地域課題に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
〔34番今井敦君登壇〕
◆34番(今井敦 君)新しい社会の形をつくるための学びと自治である、そんなような御答弁でございました。こうしたことを明確な目標とし、具体的な学びの仕組み、システムの構築をしていくことによって実現していくんだろうというふうに思います。
また、学びと自治の力がエンジンとなって産業の活性化を生み出していくためにも、そのエネルギーを伝えるための仕組みやシステムが不可欠であります。こうしたことを明確にしていくことが重要であり、また、学びと自治の力を本県産業の生産性の向上につなげるためには、先ほど申し上げたような諏訪東京理科大学、あるいは県内のさまざまな高等教育機関、民間企業の先端研究部門との連携が次期5カ年計画の実現のためには不可欠であるというふうに考えます。これから5カ年計画を具体化していくわけでありますけれども、ぜひともそうしたところを念頭に置いて具体的な案をつくっていただきたいというふうに思います。
また、諏訪東京理科大学の支援につきましては、今後また地域のほうからさまざまあろうかと思いますが、具体的にお願いをするときにはまたよろしくお願いをしたいということで、あわせて要望をさせていただきます。
次に移ります。諏訪湖創生ビジョンについてであります。
地域で生じている課題や県民ニーズを的確に把握し、スピード感を持って主体的、積極的に課題解決に当たる組織として、本年4月から地域振興局が設置されました。
昨年9月の定例会において、地域振興局の設置に関し、地域課題の解決の具体的な例として諏訪地域での諏訪湖の環境改善への取り組みについて質問をしたところ、知事からは、水質保全だけでなく、水辺環境整備やまちづくりの観点を加えた諏訪湖創生ビジョンを策定することとし、その事務局を諏訪地域振興局に置くなどして、本庁がそうしたものを支援する。むしろ地域の皆さんの思いや考え方を中心に組み立てていくことも可能ではないかとの答弁がありました。
諏訪地域振興局では、諏訪地域における横断的な課題として、「諏訪湖を活かしたまちづくり」、「八ヶ岳・霧ヶ峰の活力を活かした広域観光」の二つを掲げ、地域の思いを受けとめながら現地機関が連携をして取り組んでいくとしています。
「諏訪湖を活かしたまちづくり」については、輝く諏訪湖周の創出、「泳ぎたくなる諏訪湖」、「シジミが採れる諏訪湖」を目指して、今年度の施策として、「諏訪湖創生ビジョンの策定」、「諏訪湖環境改善の取組推進」及び「諏訪湖畔でアウトドアを楽しむ環境づくり」の三つが掲げられております。
そこで、このうちの諏訪湖創生ビジョンについては、地域懇談会、市町村長との意見交換、ワーキンググループの開催、住民アンケートの実施など、地域の意見を聞きながら諏訪湖のあるべき姿や水環境保全等の取り組みをトータルで示すとのことですが、策定体制の整備状況と全体の進捗状況について環境部長にお伺いをいたします。
諏訪湖では、昨年、ワカサギ等の大量死が発生し、ことしは急激にふえたアメーバの死骸からの悪臭の発生、水生植物のクロモの大量発生など、諏訪湖の状況がこれまでとは変わってきており、このような状況を捉えた上での抜本的な環境改善が求められているところであります。
地元の環境活動団体の一つである諏訪湖クラブでは、諏訪湖で発生している貧酸素や湖底に堆積しているヘドロの改善に向けての実験を終え、その効果を検証中であります。また、諏訪東京理科大による水中ドローンを使った記録撮影も行われたところであります。
一方、先般、2020年東京オリンピック・パラリンピックのボート競技の事前合宿地として名乗りを上げている下諏訪町にドイツのボート協会の方々が視察に訪れました。また、岡谷市出身で自転車冒険家の小口良平さんが中心となって諏訪湖を一周するサイクリングイベントが開催をされたり、何といっても諏訪湖マラソンは29回の歴史があるなど、諏訪湖はスポーツを行う場所としても注目をされ、活用されているところです。
そこで、諏訪湖創生ビジョンは、水質保全、生態系保全、湖水面活用、まちづくりといったさまざまな観点から諏訪湖のあるべき姿を描き、この姿を達成するための指標や具体策を盛り込むと聞いておりますが、どのような内容なのか、環境部長にお伺いをいたします。
また、諏訪湖創生ビジョンは今年度中に策定をするということでありますが、今年度は、今後の県づくりの方向性を示す次期総合5カ年計画や、環境の保全に関する施策を総合的に推進するための指針となる第4次環境基本計画など、県全体にかかわる計画の策定が進められています。諏訪湖創生ビジョンとこれら計画との関連はどのようになっているのか、環境部長にお伺いいたします。
ところで、ことし7月に行われた諏訪地域の移動知事室において、知事は、諏訪湖は諏訪地方にとっても長野県にとっても重要な財産、命の宝庫として諏訪湖も未来に引き継いでいきたいというふうに発言をされました。
先ほども申しましたが、諏訪湖では、昨年、ワカサギの大量死が発生し、その原因は特定されていません。幸いにして本年度は昨年のような大量死は発生せず、資源は回復をしているということでありますが、地域の方々からは再発を危惧する声も聞かれます。また、ヒシの大量繁茂、湖底の貧酸素などさまざまな課題が生じており、地元の関係団体などからは課題への対策について要望が出ているところであります。
これらの課題に対応するためには、データを収集、分析の上、原因を解明し、効果的な対策を行っていく必要があり、そのためには、諏訪湖にかかわる水質や生態系などのさまざまな調査、研究を行う体制を一層強化し、諏訪湖の環境改善を行っていく必要があるというふうに考えます。また、将来を担う子供たちが諏訪湖に関心を持ち、諏訪湖の環境を大切にして守っていこうとする気持ちを育んでいく必要もあるというふうに感じております。
そこで、以上述べましたことを踏まえ、諏訪湖にかかわる今後の調査、研究体制や学習活動をどのように考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。
〔環境部長関昇一郎君登壇〕
◎環境部長(関昇一郎 君)諏訪湖創生ビジョンにつきまして、3点、私には御質問をいただきました。
1点目のビジョンの検討体制、進捗状況についてのお尋ねであります。
検討体制につきましては、中島副知事を座長といたしまして、諏訪地域の現地機関や本庁の関係部局で構成いたします諏訪湖創生ビジョン会議を設置いたしまして、諏訪地域振興局が中心となり策定作業を進めております。
進捗状況についてでありますが、地域の皆様の思いを極力ビジョンに反映するため、これまで関係市町村とは3回、関係団体や住民の方々と4回、小学生や高校生といった若い世代の方々と3回、それぞれ意見交換を実施してまいりましたほか、住民へのアンケート調査を実施するなど、地域の皆様から御意見をお聞きしてきたところであります。
先月26日に開催をいたしました意見交換会では、ビジョンの骨子案をお示しをし、出席者からさまざまな御意見をいただいたところであります。こうした意見を踏まえ、12月下旬にはビジョン案を取りまとめ、パブリックコメントを実施した上で今年度末までにビジョンを策定してまいりたいと考えております。
2点目の諏訪湖創生ビジョンの内容についてのお尋ねであります。
諏訪湖創生ビジョンには、諏訪湖の20年後の目指す姿を長期ビジョンとして掲げるとともに、その実現に向けた今後5年間の取り組みを示すこととしております。骨子案では、「人と生き物が共存し、誰もが訪れたくなる諏訪湖」を長期ビジョンとし、九つの目指す姿のイメージとして、多種多様な生き物が育まれている姿やサイクリングを楽しんでいる姿などが示されております。
また、今後5年間の取り組みにつきましては、水環境保全と、湖辺面活用・まちづくりの二つを取り組みの柱にしております。水環境保全では、水質保全対策のほか、諏訪湖で課題となっている貧酸素やヒシの大量繁茂の対策、多様な動植物が生息できる環境の整備など、生態系の保全に関することをお示ししております。また、湖辺面活用・まちづくりでは、サイクリングスペースの整備などの水辺整備や諏訪湖の利活用のほか、諏訪湖について学べる拠点の整備に関する取り組みなどをお示ししております。
3点目の諏訪湖創生ビジョンと諸計画との関連についてのお尋ねであります。
諏訪湖創生ビジョンは、水質保全はもとより、水辺環境整備、まちづくり、観光振興など諏訪湖に関する計画を取りまとめ、諏訪湖のエリアを切り口として総合的に諏訪湖を創生していくものでありまして、当然、次期総合5カ年計画や次期環境基本計画にもその内容を反映することとしております。
次期総合5カ年計画の地域編においては、諏訪地域の重点施策の一つとして、諏訪湖を生かしたまちづくりの推進を掲げ、諏訪湖創生ビジョンに掲げる取り組みを盛り込んでまいりたいと考えております。
また、次期環境基本計画においても、水環境の保全の中で、湖沼浄化対策の一つとして位置づけをし、諏訪湖創生ビジョンに基づき生態系保全や水辺整備等をあわせて諏訪湖の水質保全対策を推進することを盛り込んでまいりたいと考えております。
以上であります。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)諏訪湖に係る今後の調査研究体制についての御質問でございます。
諏訪湖は、地域の皆様方はもとより、海なし県として県民全体にとっての貴重な財産だというふうに考えております。
7月に移動知事室で諏訪地域を訪問させていただきました。諏訪の地に滞在させていただき、地域の皆様方の諏訪湖に対する熱い思いをお伺いをさせていただく中で、諏訪湖を守り、そして環境を改善していく、そして諏訪湖を生かしていく、こうした取り組みを地域の皆様方とさらに進めていかなければいけないというふうに改めて感じたところでございます。
諏訪湖の調査研究につきましては、現在、環境保全研究所、あるいは水産試験場諏訪支場、あるいは諏訪建設事務所等がそれぞれ行っているという状況であります。今後は、諏訪湖を一体的、総合的に調査研究する体制を整備するとともに、地域あるいは信州大学等の関係機関との一層の連携、あるいは人材の確保、育成等の充実強化が必要であるというふうに考えております。そのため、諏訪地域への諏訪湖環境研究センター、これはまだ仮称でございますけれども、こうしたものの設置を検討していきたいというふうに考えております。
あわせて、子供たちの学習活動の推進、あるいは情報発信の取り組み等につきましても、地域の皆さん、市町村の皆様方の御協力を得ながら検討を行っていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔34番今井敦君登壇〕
◆34番(今井敦 君)諏訪湖創生ビジョンの策定、ぜひともしっかりとしたものにしていただきたいというふうに思いますけれども、今、いろんな機関がそれぞれに行っている対策等を一体的に総合的にやっていきたい、そんなことで、ただいま、諏訪湖環境研究センター、仮称でありますけれども、設置ということで御答弁をいただきました。
諏訪湖は、諏訪地域に住む我々にとってふるさとそのものであります。この諏訪湖がよみがえることをみんなで念じているわけでありますけれども、私が子供のころ、諏訪湖の近くに小さな水族館みたいなものがありまして、そこには大きなコイと、そして大きなカラスガイがいたということをいまだに記憶をしております。小さいときの記憶なので今見るとそんなに大きくないのかもしれませんけれども、諏訪湖の主のようなコイがいたなというふうに思っております。
ぜひ子供たちが諏訪湖のことを思える場所、考えられる場所が欲しいなと常々思っておりまして、諏訪湖の歴史や諏訪湖の環境が今どうなっているのか、あるいは諏訪湖にどういった生物が住んでいるのか、そんなことも学習できる場、それと同時に環境を改善していく、そんな拠点をぜひつくっていっていただければありがたいなというふうに思っているところでございます。
どうかそうした諏訪の地域の人たちの思いを集めた形のセンターにしていただければ、そんなことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(垣内基良 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。
午後0時9分休憩
──────────────────
午後1時11分開議
○副議長(諏訪光昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
藤岡義英議員。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)県立武道館について質問いたします。
基本構想では、50億円程度、必要な機能は整備しつつ質朴なものとなるように配慮という内容だと認識しておりました。当初より7億円余り増加。市の負担は
━━━━━━━━━━━━━━━━━━12億5,000万円の負担。予想をはるかに上回りました。━━━━━━━━━━━━━ステージ分がそのまま地元負担にされてしまったのではないかといった印象も受けます。地元地区では急遽説明会が開催されたそうですが、どのような経過で計画変更なのか、県議会として説明を受けた覚えがありません。突如浮上したステージ追加案について丁寧な説明を求めたいと思います。教育長にお願いいたします。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)県立武道館のステージ建設についての御質問でございます。
昨年5月に策定した県立武道館基本構想では、本県の武道振興の中核的拠点とするということと並んで、他のスポーツや文化活動等で多目的に利用できる「選ばれる」施設を目指すということを施設整備の方針と位置づけて取り組んできたところでございます。
この方針のもと、施設の設計を具体的に検討する過程で、興行や施設マネジメントの観点から有識者にアドバイスをいただきまして、利用の選択の幅が広げられるよう、多くの集客が見込まれるコンサートやイベントの開催が可能な常設のステージを設置することとしたものでございます。
東信地域では最大の収容人員となる約3,000席の設置が可能な施設となることで、武道、スポーツにとどまらない幅広い活用ができ、周辺地域の活性化や文化芸術に親しむ機会の充実など多くの効果が期待されるところであります。
なお、佐久市の負担額につきましては、佐久市から老朽化した市営武道館の建てかえ相当額の範囲内でお話をいただいたものでありまして、ステージの設置がその額に影響を及ぼすというものではありません。
また、債務負担行為の設定の時期についても、基本構想でお示ししました平成31年度中の供用開始を目指すというスケジュールの中で、入札手続期間や工期を勘案して本議会に補正予算案として提出し、御審議をお願いしているものでございます。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)今議会での債務負担行為は拙速だと考えます。地元の方からは、武道なら武道に徹したものをとの御指摘がありました。市民との合意形成をつくりながら慎重に行っていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
9月県議会で和田県議が質問された内容の続きとなります。
7年間もの長期にわたって不正が継続していた
大北森林組合の補助金不正問題は、平成27年1月に公表されました。しかし、公表半年前の平成26年6月18日に、本庁森林づくり推進課の係長が
北安曇地方事務所林務課から判明していた52件の未完了案件の報告を受けましたと林務部長は答弁されています。
そこで質問いたします。平成26年6月18日に現地職員が本庁林務部の職員に報告を行ったわけですが、その当時、資料を受け取り、報告を受けた職員は、林務部のどの課の職員だったのですか。5人から7人いたという情報を入手しておりますが、いかがでしょうか。林務部長にお聞きいたします。
平成26年6月18日、当時
北安曇地方事務所に出張していた複数の林務部職員は、その日の重要な内容を復命すべきでした。私たちは当時の復命書を情報公開請求いたしましたが、存在しないとのことでありました。では、なぜ復命書がないのですか。林務部長にお聞きいたします。
さて、こうした平成26年6月18日の問題、4月時点の問題、法的課題検討委員会は6回開催されていますが、現場職員から、公表の半年前、8カ月前に報告を受け、既に林務部職員が問題を知らされていたことについて、委員は議題として上げられ、議論されたのでしょうか。総務部長にお聞きいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)
大北森林組合の関係での報告を受けた職員の課についてのお尋ねでございます。
平成26年6月18日、本庁林務部の職員は、林業専門技術員、いわゆるSPの巡回指導業務のため大町合同庁舎へ出張しております。この際の巡回指導の目的は、信州F・POWERプロジェクトに向けて、アカマツ、広葉樹などの計画的な搬出の課題等の検討が目的でありました。そうしたことから、県庁から課題に関係する森林政策課、信州の木活用課及び森林づくり推進課の職員が出席しております。
この巡回指導の中で報告が行われたものでありまして、出席者の中に、造林事業を担当し、当該事案についての職責のある森林づくり推進課の課長補佐がいましたため、その職員を中心として対応したものと認識しております。
次に、復命書についてのお尋ねでございます。
復命書につきましては、口頭で行われる場合もございますが、長野県文書規程の保存期間の基準では、会議等に関する文書は1年とされております。保存期限が切れているものにつきましては、当時どのような復命書が作成されていたか確認できないものでございます。
以上でございます。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)法的課題検討委員会の討議内容についての御質問にお答えをいたします。
法的課題検討委員会においては、事務局から事案の概要、経過等についてそれぞれ詳細に報告をさせていただいてきたところでございます。その中で、平成26年4月8日に
北安曇地方事務所林務課から未完了事業が存在する旨の報告があったことも委員会に報告してございまして、委員会においてそれに対する委員の法的な議論がなされたものと承知してございます。
以上でございます。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)9月議会の答弁は、6月18日のとき対応したのは本庁森林づくり推進課の係長一人しかいなかったかのような答弁でありました。実際は林務部3課全員いたじゃありませんか。私は虚偽答弁なのかなとも感じました。気をつけていただきたいと思います。
説明を受けたとき、林務部の職員全員驚いたというような情報もいただいております。復命書の存在がわからないはずはありません。きちんとそれぞれ確認調査をすれば断言できるはずであります。そして、森林づくり推進課の係長は厳正な懲戒処分がされたとの9月議会答弁でしたが、ほかの方々は、説明を受けているはずなのですが、処分を受けていないのではないでしょうか。
また、そのうち一人は林野庁から出向してきた方がおられたようでありますが、この林野庁の方も半年前にこの問題を把握していたことになります。これは大問題です。もう一度林務部長にお聞きいたします。
法的課題検討委員会の委員に渡された分厚い資料の中には、平成26年4月8日のことは確かに書かれていますが、平成26年6月18日のことは一切書かれておりません。限られた時間の中での会議でした。説明は配付された資料のみでしかされなかったはずです。つまり、林務部やコンプラ課からは、この6月18日の問題は委員に対して全く説明されていないことになると私は思っております。これは、もしそうであれば大問題です。6月18日問題を知らずに報告書を作成したことになります。法的課題検討委員会が出した根拠が崩れてしまうと私は思います。もう一度、総務部長、答弁していただきたいと思います。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)当時の状況でございます。
先ほど申し上げましたように、出席者の中には、造林事業を担当し、当該事案について職責のある森林づくり推進課課長補佐がおりました。当然この職員を中心として対応したものと考えておりますし、また、他の職員については、そもそも違う目的で行っていますので、そこの部分について初めてそういう事案があったという話として承知した者もいるという話かと思います。
いずれにしても、この造林担当の課長補佐は、4月に一番最初に地方事務所からそういう相談があった段階で、課長と相談をした上で、早期に現場を早く終わらせようということを徹底してございます。したがいまして、この6月の時点でも恐らくそういう聞き取り方をしたのではないかなということを類推しているところでございます。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)法的課題検討委員会の討議内容についての再度の御質問でございます。
この法的課題検討委員会におきましては、検討事項が損害賠償請求等の法的課題に関することでございまして、県の争訟に関する事務であること、あるいは個人、法人その他の団体に関する情報であること、また公正円滑な審議のために必要であることから非公開とされてございます。
意見交換の概要についてを申し上げますと、加算金にかかわる職員の責任について、あるいは加算金の時効の考え方、また、職員に対する請求に当たっての考え等について議論がなされたという中で御指摘の点についても議論がなされたというふうに承知してございます。
以上でございます。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)再度、総務部長に、6月18日のことが議題として上がって議論されたのかお聞きしたいと思います。続きは委員会で議論していただきたいと思います。
間伐事業の同意書無断作成問題について質問いたします。
森林税を活用する事業で起こった問題として昨年1月の内部告発がありましたが、県は、この問題について、新聞報道がされるまで事実関係を公表されていませんでした。11月2日、知事の会見動画を視聴させていただきました。この問題は、検証委員会の報告書で説明されており、その結果に基づいて関係する職員を既に処分しているので解決済みとのことですが、私も報告書を読ませていただいておりますがどこにも書いておりません。一体どの部分に説明されているのでしょうか。知事にお聞きいたします。
11月2日の会見では、この間伐事業の同意書無断作成問題について、検証委員会の報告をまとめる段階で既に把握されていましたと林務部の担当者は答えており、知事も知っていましたと答えておられました。では、知事はいつこの問題を把握されていたのでしょうか。検証委員会の報告書が発表された平成27年7月ごろでしょうか。昨年の1月でしょうか。また、この問題を告発した内部報告についても当時把握されていたのでしょうか。知事にお聞きいたします。
昨年の1月下旬に内部告発があったことで、改めて再調査をされたと思いますが、その内部告発の約半月後の平成28年2月16日、プレスリリースを出しております。二つの協議会に対し、森林整備が未実施だったので補助金返還請求を行ったというものでしたが、この時点で発表する機会があったのにもかかわらず、なぜしなかったのですか。既にこの問題を把握されていたとされる平成27年7月の検証委員会の報告の時点、昨年の2月のプレスリリースの時点、いずれも公表されなかった理由は何ですか。林務部長にお聞きいたします。
また、内部告発された資料について、元検証委員会のメンバーが含まれる
林務部改革推進委員会やコンプラ課で調査、議論、公表ということは検討されなかったのですか。総務部長にお聞きいたします。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)法的課題検討委員会の討議内容につきましての再々度の御質問でございます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、この検討事項の公表についての取り扱いにつきましては、委員会で先ほど申し上げたとおり非公開と決定されているところでございますが、その中の概要として申し上げられる範囲で申し上げますと、加算金にかかわる職員の責任について、あるいは加算金の時効の考え方について、あるいは職員に対する請求に当たっての考え方について議論がなされた、その中で議論がなされたというふうに申し上げたところでございます。
それから、次の御質問でございますが、議員御指摘の資料につきましては、
大北森林組合等補助金不正受給事案に係る一連の
コンプライアンス問題の一つとしまして、林務部における調査内容など、当初から
コンプライアンス・行政経営課が林務部と情報を共有し、連携して対応してきたところでございまして、その点につきましては林務部とともに対応しているというふうに考えているところでございます。
また、議員御指摘の
林務部改革推進委員会の委員につきましては、伝わっているというふうに聞いているところでございます。
以上でございます。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)森林整備に関連して、トラブルになったときに問題になりかねない行為があったということについて、報告書のどの部分に説明されているのかという御質問であります。
この件につきましては、午前中に村上議員の御質問に林務部長がお答えしているような背景があるわけであります。森林所有者により
森林整備協議会を設立して森林整備を進めていこうということで取り組んでいる中で、一部適切さを欠いた事案があったというものであります。
私の会見を御視聴されたか、あるいはお読みになったということであれば、そもそもあの会見での記者とのやりとりは、この協議会方式というものについて十分理解をされていたかどうかという点であったというふうに御理解いただけると思います。
大北森林組合の補助金不正受給等検証委員会の報告書におきましては、大北地域で森林整備を進めるために協議会方式を採用し、事務局は当面林務課職員みずからが運営に当たったというふうに記載をされております。
また、林務課職員が
大北森林組合の書類の作成を手助けするといった対応が行われ、組合からの依頼や了解が明示的でないことも多く、トラブルになったときに問題になりかねない行為であったという形の記載がなされているところでございます。これは報告書の31ページ前後、31ページ、32ページ前後に記載をされているところでございます。
それから、会見のときに、私がこの問題について知っていたと答えていたが、いつ知ったのかと、また、内部報告も把握されたかという話であります。
この問題というのは、一つで簡単に答えられない、大きく2段階あると思っています。協議会方式によりまして林務課の職員が事務を代行していたというようなこと、あるいは書類の不備があった場合に、林務課の職員が書類の作成を手助けするといったような対応が行われていたということについては、平成27年の7月に検証委員会の報告書が出された段階で私も読ませていただいておりますし、包括的に承知をしていたところであります。
また、他方、この協議会の事務を代行する中で、今回報道されておりますような同意書の日付を補正したり、あるいは印鑑を用いて書類を作成したといったような詳細な個別具体的な内容につきましては、ことしの9月の段階に県に対して情報公開請求がなされたと、その段階で林務部から私に対して報告があったということでございます。
以上でございます。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)間伐事業の関係で、公表されていない理由についてのお尋ねでございます。
当時の事務は適切ではない事務処理でありましたが、同意書自体は有効であり、補助金交付上問題がないとの法的見解も得ていたことから、検証委員会やプレスリリースでは公表を行っておりません。
また、不適切な事務手続の改善につきましては、
林務部コンプライアンス推進行動計画に基づき、速やかに全体会議等を通じ、適切な事務の執行を徹底しております。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)報告書の31ページ、私、何度も毎日読んでいるんですが、書いていません。ですので、これは委員会で白黒はっきりさせていただきたいと思います。
また、ことしの9月まで重大な問題の報告が知事になされなかったということでした。私は林務部の
コンプライアンスは大丈夫かなと感じました。
会見では、森林所有者のかわりに同意書にサインして捺印したことを事務の代行といった趣旨で答弁されておりました。本来の意味で事務の代行という言葉を使うのであれば、事務局になった
北安曇地方事務所の職員が、協議会のかわりに所有者のところに回って同意書にサインと捺印をしてもらい集めてくる。これなら事務の代行と言えるものだと思いますが、所有者に無断で同意書を作成することは私文書偽造に当たります。刑法第159条が禁じ、3カ月以上5年以下の懲役に処せられるそうであります。もし所有者が被害届を出していたらそれでアウトです。県内でも同様の問題で名前と顔写真が報道された事件もありました。
では、次、同意書の問題の中身についてお聞きいたします。
今回の問題で使用されたとされる
北安曇地方事務所林務課にあった60個以上の判こは何だったのでしょうか。二重向地区の
森林整備協議会の規約はいつ作成され成立したものですか。また、二重向地区の協議会会長が集めたとされる同意書の原本は現在誰が保管していますか。地域で進める
里山集約化事業を活用した各地区の
森林整備協議会の事務局を
北安曇地方事務所林務課職員が担当した期間はいつからいつまでですか。そして、このような同意書を無断で作成したり、日付を改ざんした事業は一体幾つあるのですか。
以上5点、林務部長にお聞きいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)印鑑や同意書に関する御質問でございます。
当時、
北安曇地方事務所では、全体で24の協議会のうち、6の協議会の事務を当初担っておりました。
北安曇地方事務所林務課にあった印鑑につきましては、地域で進める
里山集約化事業の申請に添付する同意書を林務課職員が代行作成するためのものと考えられます。
二重向地区の
森林整備協議会の規約につきましては、平成21年7月29日に同協議会が成立した際のものと考えております。
同意書の原本の保管につきましては二重向地区の
森林整備協議会長が保管されていると承知しております。
森林整備協議会の事務局につきましては、平成20年度及び22年度の事業において林務課職員が六つの事業で直接事務局を担っておりました。これら6事業において林務課職員が同意書の日付を修正したものや代行作成したものがございました。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)判こについては、当初森林所有者から預かったもの、判こは返却した、森林所有者の印鑑を用いて同意書の作成を行ったと説明を受けてきました。その後の説明では、判こは現地職員が必要に応じて購入してきたもの、もしくは退職した職員の置いていったものかもと説明が変わり、二転三転でした。
規約については、平成21年7月29日の協議会設立説明会で資料とともに配布されたということでありますが、しかし、実は私、二重向地区
森林整備協議会の会長に会ってきたのですが、会長いわく、規約は設立時はありませんでした。次年度、平成23年3月に交付金がもらえるということで、協議会の口座をつくってくださいと言われ、口座をつくろうとしたら、団体の口座は規約がないとつくれませんと言われ、そこで急遽つくったとのことでありました。
同意書の原本については、本人が持っているのではなくて、現在、大町市役所が保管しているそうであります。
それから、現地職員が協議会の事務局をされていた期間は平成20年から22年度までだったとのことでありますが、以前、情報公開請求で得た
大北森林組合職員の復命書の資料では、平成23年の8月3日にどこかの
森林整備協議会の打ち合わせ会議に
北安曇地方事務所林務課職員が出席しており、その会議で、添付書類は林務課の職員で作成するとしており、23年度も事務の代行をされている形跡がありました。
私たちが調査した現場で得た情報と県の説明が食い違い過ぎております。詳しい正確な説明はぜひ林務委員会で行っていただきたいと思います。
再質問いたします。
昨年1月の内部告発の文書には重大な告発内容が含まれておりました。
大北森林組合が事業主体である交付申請書に添付されている同意書が、ほかの
森林整備協議会の事業で使われた同意書のコピーであったことが明らかになったとの報告書でありました。
事業が異なるので同意書の文面は異なるはずなのですが、森林所有者のサイン、印影は全く同じであること、結果、問題として考えられるのは、地域
森林整備協議会の集約化した同意書を使って
大北森林組合が交付申請したことは、実態のない事業であったものと考えられる。承諾書の文面が異なることから、切り張りして加工したものと考えられる。本物の同意書は林務課に保管されていることから、林務課の職員が
大北森林組合に承諾書を貸し出して加工された可能性がある、こういった報告書がございました。
こんな話は、私、全く聞いたことがありません。大問題ではないでしょうか。この新しい問題について調査を行いましたか。なぜ今まで1年間も県議会に報告してこなかったのですか。林務部長にお聞きいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)公表についての再質問をいただきました。
当時、内部告発があった段階できめ細かな調査は行っております。また、それぞれなされていた事態が、法的に果たしてそれは補助金返還に該当するような重大な事案であるかということの見きわめをしてございます。
そうした中で、補助金の返還にかかわるものにつきましては速やかに公表手続をとっておりますが、一方で、補助金の返還に至らなかった、至らないと判断できるものについては、その段階で公表をしていないということでございます。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)この新しい問題についてはぜひ委員会でしっかり説明していただきたいと思います。
森林税について質問いたします。
地域で進める
里山集約化事業では大変ずさんな事務処理、そして森林税が使われる事業で得た同意書を
大北森林組合の架空の申請の書類作成に流用していたという、これを県職員が協力していたのではないかという検証委員会の報告書の範囲を明らかに超える新たな問題も浮上しております。
内部告発の一連の問題、事務の代行という言葉では到底おさまり切れない大問題について地元新聞の記事で初めて知った次第であります。県民や県議会に対して問題を隠蔽したままではないでしょうかと私は思います。
今議会開会日、知事の議案説明の森林税の継続の部分で説明がなされると思っておりましたが、全く触れられておられませんでした。こうした深刻な林務部内の問題ですら解決しない状況で、森林税継続しますはあり得ません。ほかの部局まで広げますという方針を県民は到底受け入れないでしょう。
基金は森林税1年分以上残高が残っております。一度立ちどまるべきではないかと思いますが、林務部長にお聞きいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)森林づくり県民税に関するお尋ねでございます。
まず、北安曇問題につきましては、森林整備が看過できない状況の中で、誰がそこを担うのかという部分で極めて放置できないような状況の中でのことということが大きな背景にあったということを御理解願えればと思います。
また、森林づくり県民税につきましては、本年度、課税期限を迎えるに当たり、改めてゼロベースで超過課税の必要性等を検討し、森林づくり県民税に関する基本方針をまとめました。この過程で、基金残高を活用して事業を行いながら超過課税を一時休止した場合の検討も行っておりますが、この場合は、少なくとも県民の皆さんの期待の大きい教育や観光等の新しい取り組みについては実施できず、先送りになってしまうということでございます。
また、本県以外に36もの府県が類似の課税を実施して森林整備を行っている中で、本県の森林整備が著しくおくれをとることは看過できないということから基本方針案をまとめ、パブリックコメント、あるいは県民説明会を行ってまいりました。そうした中で、使途を広げることについて期待する多くの御意見をお寄せいただいたところであり、基本方針に基づき超過課税を継続することが必要と考えたところでございます。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)これだけ森林税にかかわる深刻な問題を、内部告発があったにもかかわらず、なぜ公表した上で調査しなかったのか。隠蔽であり、大問題であります。一気に森林税に対する状況は変わりました。継続する状況ではないと申し上げて、次の質問に移ります。
他の地方事務所で期ずれ、闇繰り越しがなかったのか、調査について質問いたします。
11月4日、予算消化のための闇繰り越し違法会計処理、全地方事務所でという衝撃的な記事が報じられました。これまでの県のスタンスは、検証委員会の報告書にあるように、北安曇以外の地方事務所では、
北安曇地方事務所や
大北森林組合と同様の状況であったとは考えにくいとして、限定的に佐久と松本は一部発覚いたしましたが、基本的にないとのことだと認識しております。
そこで質問いたします。北安曇以外の9地方事務所における緊急点検がされたと報告書にありますが、この点検は担当県職員に対してのものだと思いますが、他の管内の森林組合等の事業体関係者にもヒアリング調査を行ったのでしょうか。また、3名の検証委員が緊急点検に直接参加されておられましたか。北安曇以外の地方事務所の担当職員にヒアリング調査など、期ずれ、闇繰り越しがなかったのか、直接確認されていますか。
昨年10月26日に
北安曇地方事務所職員が森林政策課に提出した不適正行為等報告書を情報公開請求いたしました。11月4日に報道された録音データと同じ内容であるようでありますが、残念ながら、入手した文書は黒塗りで全く確認できません。なぜ全て黒塗りで内容がわからない状態で出したのですか。
以上、林務部長にお聞きいたします。
その内容は、いわゆる闇繰り越しというのはずっと全地方事務所に蔓延していたなどといった内容だと、新聞報道でもありましたが、予想されます。この不適正行為等報告書についても
林務部改革推進委員会やコンプラ課で調査、議論、公表といったことは検討されなかったのでしょうか。総務部長にお聞きいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)補助金不適正受給事案での、まず緊急点検についてのお尋ねでございます。
大北森林組合の造林補助金不適正受給事案の判明を受けまして、県では、平成26年12月から平成27年10月の10カ月間をかけて、
北安曇地方事務所管内を含めた2万2,415件もの交付案件について緊急点検を行ったところでございます。
この緊急点検では、
造林補助事業の全ての交付案件を対象に、各地方事務所に保管されていた交付申請書等の関係書類について、図面や写真等の交付申請に必要な資料が添付されているか等の点検を行うとともに、調査調書の記載状況等により、申請内容、手続等を確認しております。その上で、必要なものについて森林組合等の事業体に対して聞き取りなどの調査を行った上で、特に森林作業道については全箇所の現地確認を行い、間伐等の森林整備については関係書類だけでは事業完了が確認できない箇所は全箇所現地確認を実施いたしました。
このように、緊急点検については、書類調査、現地調査、聞き取り調査という方法で、現実的に実行可能な最大限の調査を実施したものと考えております。
また、補助金不適正受給の検討委員会の
北安曇地方事務所以外の不適正受給に関するお尋ねでございます。
検証委員会には、緊急点検の方法や点検結果のほか、県が行った聞き取り調査等について説明した上でその評価を行っていただいたところでございます。こうした調査結果等から、検証委員会の報告書では、
北安曇地方事務所以外の他の地方事務所についてはほとんどの補助金は適正に交付されていると考えられ、不適正な事例が確認された一部の事例についても、補助金を受領した事業体側で組織内部の事務的な混乱等が原因との見解を示していること、
大北森林組合のような大規模かつ継続的な状況にはないことから、他の9地方事務所やその管内の事業体については
北安曇地方事務所や
大北森林組合と同様の状況であったとは考えにくいという評価をいただいているところでございます。
なお、検証委員会の委員による直接の聞き取り調査については、委員において必要と判断された
北安曇地方事務所林務課職員及び
大北森林組合の職員に対して実施されております。
次に、情報公開請求についてのお尋ねでございます。
情報公開請求のありました不適正行為等報告書につきましては、長野県情報公開条例に基づき公開の決定を行っているものでございます。
不適正行為等の報告制度は、林務部の職員が不適正な行為またはそのおそれのある行為を知ったときに直接上司や
コンプライアンス推進担当などに報告できる制度であって、その性質上、公開を前提としていないものであり、仮に内容等が公表されることになると、職員が萎縮し報告を控えるなど、今後の制度の運用に著しい支障を及ぼすおそれがあるため、条例第7条第6号により非公開情報としたものであります。
また、当該報告は個人が行った報告であって、条例第7条第2号個人に関する情報に該当し、例外として公開できるいずれの場合にも当てはまらないものでございます。
以上、二つの規定に基づき、一部非公開としたものでございます。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)不適正行為等報告書にかかわる調査等についての御質問にお答えをいたします。
この不適正行為等報告書は、林務部が独自に制定した不適正な行為等に対する林務部内の事務取扱要綱に基づき提出されたものでございますが、総務部としても報告当初から情報を共有し、調査に協力するとともに、
コンプライアンス・行政経営課が林務部と連携して対応してきたところでございます。
この案件につきましては、また、平成27年7月の第6回
大北森林組合補助金不正受給等検証委員会に報告され、
林務部改革推進委員会の委員にも伝わっていると聞いているところでございます。
以上でございます。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)再質問いたします。
この間、幾つかの森林組合の関係者の方、林業従事者、事業者の皆さん方、また県関係者などに聞き取り調査を行ってまいりました。
ある森林組合の幹部の方は、闇繰り越しは毎年度普通にあった。直接こちらに言ってくるのではなく、人のいい担当者のところに相談の話が来て、断り切れず引き受けるという形だった。ある県職関係者の方は、森林整備が重視され、所有者の意識と世論が高まり、事業の計画的な執行が求められた。国の補助金が年々ふえてきたので現場での消化が難しく、年度末に予算が余るため、現場だけ目星をつけて書類のみ作成し、作業の実施は次年度、これが闇繰り越しの仕組みです。森林整備だけでは予算消化できないので、作業道の整備開設は予算消化の重要な事業でした。検証委員会の緊急点検前に終わっていない仕事を早くやれと大騒ぎになっている組合もあった、これが事実といった証言。ある林業事業者さんは、冬の間は雪の降らないところで仕事をしていました。闇繰り越しの仕事も請け負いましたといった証言。
現場にかかわる関係者にお話を聞けば聞くほど、どの地方事務所管内でも闇繰り越しはあったのではないか、そして本庁林務部も把握されていたのではないかとますます疑ってしまいます。
この音源データは、昨年の10月に森林政策課に出された不適正行為報告書と関係があるのか、その音源データは会議の音源だとのことですが、会議出席者全員からヒアリング調査を行うべきではありませんか。この点について林務部長に再質問いたします。
知事に再質問いたします。
一連の林業行政における問題について、今回あらゆる角度で質問させていただきました。大変深刻です。もう一度検証委員会や法的課題検討委員会で検証しないといけないのではないかなと私は感じておりますが、現在でも、検証委員会の報告書どおり期ずれ、闇繰り越しは他の地方事務所では基本的にはなかったと考えるのでしょうか。また、本庁林務部は
北安曇地方事務所の期ずれ、闇繰り越しの実態を把握していなかったと考えるのでしょうか。そして、森林税もいかがお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)再質問いただきました。
事業体の皆さんがどのような発言をしたか、詳細については私たち存じ上げませんが、かつて、それは相当古い時代だと思いますが、いわゆる年度末の段階で時期をずれてしまうような事案が過去にはあったという話は承知しております。
それと、今回の事案については、ヒアリング調査は可能な範囲で行っております。その中では新しい状況というものは確認されておりません。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)
大北森林組合等の問題に関連して、極めて深刻な事態ではないかという御指摘、それから、森林づくり県民税についてどうするのかという御質問でございます。
林務部長からもるる御答弁申し上げてまいりましたように、私ども、この
大北森林組合の問題、あるいは最近になって報道された部分についても真摯に事実関係の調査をしっかりしようということで取り組んできたところであります。
例えば、ほかでも行われていたんじゃないかというような本庁の職員の発言、これも私はしっかり確認すべきだということで、本人からも聞き取り調査を行わせていただいたところであります。具体的な事実関係に基づくものではなく、誤った認識での発言ということで、先ほど部長からも答弁申し上げましたとおり、発言者本人も反省しているというような状況がございます。
そういう中で、これまで補助金の受給が不適正だったかどうかという観点について、2万2,000件にも及ぶ非常に膨大な交付の案件につきまして緊急点検あるいは関係者の聞き取り調査等を行ってきたわけであります。
御質問の中にもありましたように、一部の地方事務所では不適正な事例が確認されたわけでありますけれども、それ以外は適正に執行されてきたものというふうに認識をしております。また、検証委員会におきましても、そうした考え方、ほとんどの補助金は適正に交付されていると考えられ、
北安曇地方事務所や
大北森林組合と同様の状況であったとは考えにくいというふうに御評価いただいているところであります。
本庁が実態を把握していた状況ということでありますけれども、これは、私も再三にわたって林務部あるいは
コンプライアンス推進室等にも確認し、聞き取り、把握をしてきたわけでありますけれども、本庁の林務部が期ずれを認識していたというふうには考えておりません。そうした事実関係はないものというふうに認識をしております。
また、森林づくり県民税については、今回条例を出させていただいているわけであります。森林、林業行政、
コンプライアンスの推進を初めとして、御指摘のとおりしっかり立て直さなければいけない部分もあるというふうに思っております。
しかしながら、他方で、これを1年、あるいは2年おくらせる、あるいは森林づくり県民税を課税しないということになると、とりわけ里山整備を中心として本県の森林整備がおくれてしまうという形にもなります。
私も、県民の皆様方との対話を通じて、この森林づくり県民税についての事務の考え方を誠実にお話をさせてきていただき、また、多くの皆さんの御意見を伺ってきております。そういう中では、やはりこの森林づくり県民税については必要だというふうに考えていただいている県民の皆様方が大勢いらっしゃるというふうに受けとめておりますので、森林行政のしっかりとした推進、
コンプライアンスの確立ということと並行して、この森林づくり県民税につきましては、ぜひ議員各位の御理解をいただいた上で、来年度以降も課税をさせていただきたいというふうに考えております。
以上です。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)林務部長、ぜひ本人だけではなく、会議に出席した全員、林務課、林務部双方全員ヒアリング調査を行っていただきたいと思います。
森林税については、ぜひ委員会でしっかりと皆さんに議論していただきたいなと思います。
平成27年6月23日、市民タイムスの記事を紹介いたします。
大北森林組合の問題で、県は、23日、県庁で緊急会議を開き、県内10カ所の地方事務所の所長に、公表した
大北森林組合問題の中間報告書の内容の説明と再発防止を呼びかけた。そこで、不正受給の一つで、間伐など補助金対象事業の完了時期が規定に反して補助金申請後にずれこむ期ずれ、これは闇繰り越しでありますが、ある所長から、ほかの地方事務所管内で絶対にないと自信を持って言える所長はいないと思うなどの意見も出たと報道されました。
知事、検証委員会の報告、法的課題検討委員会の報告を根拠に突き進まれるのではなく、一度立ちどまってもう一度検討されることを要望いたします。
次の質問に移ります。
住民監査請求の棄却と損害賠償請求の検討作業について質問いたします。
9月に県内600人余りが行った住民監査請求でありますが、棄却されました。これは、監査委員として検証委員会の報告書や法的課題検討委員会の報告書のみを棄却の根拠にされているのではないでしょうか。独自の調査は行われたのでしょうか。代表監査委員にお聞きいたします。
また、11人の県職員の損害賠償請求内容の検討作業については今行われているところだと思いますが、検証委員会や法的課題検討委員会だけを根拠にせず、慎重に行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。代表監査委員にお聞きいたします。
〔監査委員田口敏子君登壇〕
◎監査委員(田口敏子 君)お答えいたします。
お尋ねの1番目の住民監査請求の監査におきましては、私ども監査委員としての立場から、県の総務部、それから林務部が行ったヒアリングの結果や、検証委員会及び法的課題検討委員会が行ったヒアリングの結果を含む審議内容、また刑事訴訟における訴訟記録等々の検証を詳細に行うとともに、監査委員としての疑問点や確認すべき事項について監査対象機関に聞き取りを行うなどして独自の調査を行った上で結論に至ったところでございます。
それから、お尋ねの質問の2点目、阿部知事から請求のありました県職員に対する損害賠償請求監査についてでございますが、監査対象となった職員の賠償責任の有無、それから賠償額の決定に当たりましては、法的課題検討委員会の報告を詳細に検証した上で、監査委員の立場から必要と考える調査を行い、判例や他県の事例等々を参考にしながら、関係法例にのっとって慎重に判断いたすべく現在監査を進めている、そういうところでございます。
以上でございます。よろしくお願いします。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)代表監査委員に再質問いたします。
今後、11人の県職員に対してヒアリング調査が実施されるとお聞きしております。その際に提出される書類や資料は、一連の
大北森林組合等補助金不適正受給問題の真相究明につながる中身であると考えております。
もちろん、個人が特定されてしまうことはあってはならないということで十分に配慮される必要はありますが、書類や資料はでき得る限り公表し、客観的にこの問題を解明すべきと考えますが、いかがでしょうか。代表監査委員にお聞きいたします。
〔監査委員田口敏子君登壇〕
◎監査委員(田口敏子 君)お答えします。
監査対象の職員から提出される書類等、今、できる限り公表すべきではないかと、こういうお尋ねだと思いますが、それらの書類等はあくまでも知事からの求めであります。当該職員の賠償責任の有無、それから賠償額、決定すべく必要な事実を確認しようとするためのものです。
一般的に、監査のために収集した資料というものは非公開とされるというように承知をしております。この件につきましても、書類等が公表されることになりますと、監査対象の職員から自由な発言が得られないのではないかということも懸念され、今後の監査手続にも支障が生じかねませんので、そんなことで御理解を賜りますようお願いしたいところでございます。
以上、お答えです。よろしくお願いします。
〔16番藤岡義英君登壇〕
◆16番(藤岡義英 君)代表監査委員、ぜひ慎重に調査をお願いしたいと思います。
このままでは真相究明はできないと感じ、団として独自の調査を始めてきました。調査を通じて、現場の職員の皆さんは、強圧的な
大北森林組合からの突き上げと、本庁林務部からのどんどんふえる予算の消化を求めるプレッシャーとの板挟みで追い込まれてしまっていたことが、さまざまな関係者の方々のお話で明らかになりました。現場の職員だけに責任を押しつけるやり方で終わらせてはいけないと強く感じております。
発覚後3年が経過しましたが、疑惑は残されたままです。北安曇だけでなく全県的に闇繰り越しがあったのではないか。そして、その事実を本庁林務部も把握しながら、知らなかったと結論づけたのではないか、司法もマスコミもそう分析しております。
監査委員から調査を受ける11人の方は、必死になって、自分たちだけに責任があるわけではないこと、真実はこれだということをヒアリング調査で語られると思います。文書や調書でも出されると思います。どんな中身なのか、それが明らかになれば、大きく真実に近づくことは間違いないと確信しております。
闇繰り越しの問題を白日のもとにさらしたくても、検証委員会の議事録、再確認ヒアリング調査、法的課題検討委員会議事録など、全て真っ黒、黒塗り、もしくは非公開で闇の中であり、残念ながら今の状態では私たちはその中身を確認、検証することはできません。
改めて、県議会の皆様、御一緒に百条委員会を設置してこの問題を解明し、正しく責任の所在を明らかにすべきだと思います。その上で、これからの長野県林業をどうするのかを考えていくべきではないでしょうか。
以上、呼びかけさせていただき、質問を終わります。
○副議長(諏訪光昭 君)次に、村石正郎議員。
〔54番村石正郎君登壇〕
◆54番(村石正郎 君)最初に、いじめ、不登校、体罰について伺います。
いじめ認知件数は、小、中、高、特別支援校で平成27年度1,567件であったものが、平成28年度は4,214件と前年度比2.7倍と急増しております。これはどこに原因があるのか。今まで隠れていたものが表面化したのか。いずれにしても、驚くべき件数の増加であります。
国では、いじめ防止対策推進法が施行され、本県でも長野県いじめ防止対策推進条例が施行されました。県、市町村、学校、保護者、地域等が連携したいじめ問題への取り組みが期待されておりますが、そうした中でのこの認知件数の増加をどう分析し、どう対応されているのか。教育長の見解を伺います。
いじめ認知件数は4,214件でありますが、このうち解決されたものはどのくらいあるのでしょうか。また、未解決のものが、現在、件数としてどのくらいあるのでしょうか。さらには、どのような理由で解消されていないのでしょうか。教育委員会としては、どのような解消に向けての努力をしているのか。そして、加害者にはどのような指導をしているのか。以上について詳しく説明を求めます。
次に、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例、子どもを性被害から守るための条例といじめ防止対策推進条例の徹底について伺います。
いじめの問題、加害者側の指導のあり方、いじめで傷ついた心は生涯残るものであります。陰湿化、また他人の見えないところで起きています。
いじめは心の疾病であります。ウイルスに感染して加害者になっていく、死に追いやるほど残酷で陰湿で悪質であります。汚い、きもい、うざい、死ねば。学校と親は、一丸となっていじめという悪の根源に取り組む必要があります。学校全体で取り組んでいくという体制、また、学校全体の保護者の理解と協力が必要と考えます。そして、本県からいじめの根絶に向けてどのような教育政策を進めていくのか。教育長の見解を伺います。
また、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例及び子どもを性被害から守るための条例の徹底について、子ども支援センター及び性被害者のワンストップ支援センター「りんどうハートながの」の現在の取り組みと活動状況を県民文化部長に伺います。
平成28年度、小、中、高の児童生徒の不登校は2,906人であり、毎年同じような割合で発生しております。不登校児童生徒に対してあらゆる手段を駆使して休ませないようにするのが肝要であります。連続して欠席することは絶対に避けなければなりません。
大抵の場合、長期に欠席すれば、それだけ学校の敷居が高くなります。学校内でも、本人抜きの学友関係ができ上がってしまいます。1週間から十日欠席が続けば、もはや解決は非常に難しくなり、一刻の猶予も許されないのが不登校の問題です。学校を休みたいという生徒に妥協せず、あの手この手で登校させる。気力のなえた一時期、危うい一時期を乗り越えさせ不登校にならないようにする。これが不登校防止の唯一の方法と考えます。
登校しなかった最初の数日、これが一番重要で、そのとき保護者の協力を得る関係を築けないと生徒の様子を知ることはなかなか難しい。まさに教師の力量、並々ならぬ取り組みが望まれます。新たな不登校を出さないための取り組みについて教育長の見解を伺います。
次に、白馬村立白馬中学校教諭、2017年定年退職後再任用された教諭の体罰の件について伺います。
本年5月23日、この男性教諭は、授業中に席を離れるなどした生徒の机を倒した後、生徒の頬を平手で打ち、右足の太ももを蹴りました。授業後、男性教諭が生徒の母親に事情を説明した際、母親が、どのようにされたのですかと聞いたところ、男性教諭は急に立ち上がったために、動いた机が母親の脇腹に当たりました。さらに教諭の動作を制止しようとした保護者の母親の手首に教諭の手が当たったとのことであります。
校長は、教諭の指導方法について、けがをさせた母親を含め複数の保護者から相談があった。校長として対応が不十分だったと述べたとのことです。
県教育委員会は、7月20日に当該教諭らの懲戒処分を行いましたが、生徒に体罰を加え、さらに母親に対してもけがを負わせるという普通では考えられない行為であります。この教諭は、定年退職後、再任用された教諭であったわけですが、県教委では、教諭の再任用に当たっては、どのような資質を確認し、任用しているのでしょうか。また、こうした体罰などの再発防止のためにどのような対策をとっているのでしょうか。
また、この体罰のほかにも、わいせつ行為をした教諭や飲酒運転をした教諭など教員の不祥事が発生しております。これだけ教育委員会、学校当局挙げて不祥事の根絶に取り組んでいるときになぜ後を絶たないのか。理解に苦しむところであります。児童生徒を指導し、模範的な立場にあるべき教育公務員としてあってはならないことと考えます。県民の学校教育への信頼を著しく失墜させるものであります。本当に一人一人の教員に不祥事の根絶の意識が届いているのか。このような不祥事を起こさせないためにはどうすればよいのか。教育長の見解を伺います。
次に、看護職員の確保について伺います。
長野県立信州医療センターは、地元自治体の支援を得て新棟が建設され、県立病院機構の研修センター、内視鏡センターや化学療法室、健康管理センターの増床等がされました。また、がん対策や予防医療が強化され、地域住民からも感謝の声が届いております。
これにより、本年7月1日、長野県立病院機構の中核病院としての位置づけがより明確化され、あわせて名称変更がされました。県の政策医療の体現や、医療従事者の養成を担う機関としての役割が一層期待されております。
一方、医療現場は、医師を初め看護人材の確保にも依然苦慮していると聞いております。今後、政府が進める働き方改革もあわせた対応が迫られております。
厚生労働省の調査によると、長野県の平成26年度末現在の助産師、保健師、看護師の人口10万人当たりの就業者は、准看護師で下回るものの、全国値よりも高く、今までの関係者の尽力に敬意を表するところであります。しかし、夜勤者や産休代替など看護人材の確保には、医療機関の大小を問わず苦労されていると聞きます。
今年度は、信州保健医療計画が策定され、看護職員の養成確保についても盛り込まれると思いますが、2025年以降を見据え、看護職員の確保について現在までの総括と今後の展望について伺います。
医療の高度化に伴い、看護の質の向上が求められており、近年の社会ニーズを背景に、全国的に看護系短期大学の4年制化が進んでおります。長野県では、県立須坂看護専門学校が、看護専門学校としては県内で初めて4年課程を実現させる先進的な取り組みを行い、本年度初めて卒業生を社会へ送り出すことになりました。4年制移行のメリットとしている実習機会の確保や現場の医療従事者からの講義については、県立信州医療センターを初め地域医療機関との連携により十分な体制を整えていると聞いております。
新聞報道によると、平成31年4月の開校を予定し、長野市内に二つの看護大学が開設の準備を進めていると報じております。長野市長は、両大学に対し、校舎建設等に係る補助を表明し、長野県も、両大学の要請を受け、支援を検討するとのことであります。両校の定員は合わせて155名。現在、北信地域内に4年制看護大学はありませんが、就学により看護師の受験資格を得る3年課程以上の看護専門学校の定員数は、現在の120名から一気に2倍を超える増加が見込まれます。
県立須坂看護専門学校は、地元就職率が平成27年度卒業生で91%と、看護大学と比べ非常に高く、県内看護職員の養成に大きく貢献しております。看護専門学校は、総じて学費が安く設定され、須坂看護専門学校は4年間で教科書代などの諸費を含めても145万円であり、一般的に約400万円以上と言われる私立看護大学と大きな開きがございます。新たに看護大学が開校されれば、北信地域における看護職員の養成環境は大きく変わると予測されます。
人生100年時代を迎え、平均寿命が延伸する中、医療や介護を必要とする人もふえております。在宅医療をさらに推進していく今後は、看護職員の確保は欠くことのできない事項の一つです。少子化が進み経済格差が進行しても広く看護職員を確保するためには、経済的な理由から進学を諦めることがないような施策は不可欠と考えます。
県立須坂看護専門学校は、今後の地域医療の発展になくてはならないものと考えますが、今後の役割及び展望について健康福祉部長に伺います。
最後に、災害復旧について伺います。
去る10月27日、主要地方道豊野南志賀公園線の促進期成同盟会の総会が高山村役場で開催されました。
その会議の中で、10月22日から23日にかけて日本列島に上陸した台風21号による大雨により、主要地方道豊野南志賀公園線の高山村雷滝付近で発生した道路崩壊に伴い、大型車が通行どめ、普通車片側1車線交通となっていることがわかりました。私も現場を見てまいりましたが、20メートルから30メートルにわたり谷側が崩壊しており、折から紅葉のシーズンであり、八滝周辺にバスや乗用車が渋滞しておりました。
この上部には山田牧場があり、冬期間はスキー場として高山村の重要な観光地となっているところです。長期間の通行規制は高山村の観光に重大な影響が生じてまいります。スキーシーズンまでに早期復旧をぜひとも完了しなければなりません。この復旧工事の今後の予定について建設部長の見解を伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)まず、いじめの問題についてであります。
いじめの認知件数の増加についてでありますが、議員御指摘のとおり、平成28年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、全国と同様、本県のいじめ認知件数は大幅に増加したところであります。
これは、平成28年度の調査から、国の指示に基づきまして、いじめの認知について、けんかやふざけ合い、暴力行為などについても背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断することとされたためでございます。一見するとたわいもないようなけんかやふざけ合いが、気づかないうちに深刻な事態に至ってしまう場合もあることから、そうならないように早期に対応するという意味において、認知件数が増加したことは前向きに捉えております。
一方、最も多く認知した学校が246件であるのにかかわらず、認知件数ゼロの学校も27.3%あるなど、学校によっていじめの認知に温度差があることも課題であります。初期の段階から積極的にいじめの認知をするよう指導してまいりたいというふうに考えております。
いじめの解消率と解消に向けての取り組みについてでございます。
学校が認知した4,214件のいじめのうち、既に解消したものは3,872件ということですが、残りの342件については、いじめの行為はやんだものの、被害児童生徒がいまだに心身の苦痛を感じているということが考えられます。
いじめ防止対策推進法の制定を契機として、担任だけではなく学校組織全体としていじめ問題に対応するため、いじめ防止等のための対策の組織が全ての学校には設置済みです。学校では、この組織をベースとし、スクールカウンセラー等外部専門家を含めたチーム学校として被害児童生徒の心に寄り添い、解消に向けた努力を継続しております。
同時に、加害児童生徒に対しては、いじめを即刻やめさせるとともに、いじめを二度と起こさせないようにいじめをしてしまった背景や要因にも十分留意した上で、ケースによっては警察、児童相談所等関係機関と連携し、適切な指導を行うこととしているところでございます。
いじめを根絶するための本県の教育政策についてであります。
平成24年、知事と教育委員長の連名で、いじめを見逃さない長野県を目指す共同メッセージを発出し、いじめ根絶に向けた対策を進めた結果、平成27年調査までは、24年当時に比べ、いじめ認知件数は減少したところでございます。
しかし、いまだにいじめ問題が後を絶たない現状を踏まえますと、これまでの教訓を生かし、同じ過ちを繰り返さないようにするため、今後、知事、県教育委員会に加え、市町村長、市町村教育委員会が一体となっていじめの問題に取り組む姿勢が重要だと考えております。
まず、早期発見の取り組みとして、先ほど申しましたとおり、いじめの認知度は格段に上昇したものの、学校ごとに認知の格差がありますから、市町村教育委員会と連携し、積極的にいじめの認知を進めてまいりたいと考えております。
また、深刻ないじめに発展する事案は、児童生徒がSOSをうまく発信できない、または発信したとしても周囲の大人が受けとめることができず対処がおくれてしまうことが大きな要因となっています。そういったことを踏まえ、SOSの出し方教育を展開し、子供がSOSをちゅうちょなく発信できる力を育むとともに、教員だけでなく、保護者や地域の大人たちが子供のSOSを受けとめられるようにしていきたいというふうに思っております。
さらに、専門家や地域の人材を交えたチーム学校としていじめ問題に取り組むことが重要でありますけれども、とりわけ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが、いじめ後のケアだけではなくて早期の段階からもかかわるよう取り組みを支援してまいりたいと思っています。
いじめ問題への対処については、さまざまな事例の教訓を全ての関係者が共有することが不可欠であります。このため、法に定めるいじめの重大事態への対応の報告に加え、例えば、いじめにかかわる要因による児童生徒の欠席日数が不登校の基準であります30日に満たない場合等も、重大事態となる可能性がある事案として学校から報告を求め、事例を蓄積し、傾向を分析したいと考えております。そこで得られた教訓を学校や関係者にフィードバックし、同種の事態の再発防止や適切な対応のために生かせるようにしてまいりたいというふうに思っております。
新たな不登校を出さないための取り組みでございます。
県教育委員会としては、平成22年に策定しました不登校対策の行動指針をもとに、新たな不登校を生まないという視点に立った教育実践の見直しを推進してまいりました。その結果、県内公立小中学校における平成28年度の新規不登校児童生徒の数及び構成比率は、この5年間で最も少なくなっており、一定の効果があったとは考えております。
一方、本県の不登校の要因を分析すると、ほぼ一貫して学業の不振が全国と比べて高い傾向にございます。9月定例会の本会議でも答弁したとおり、学校の生命線はまさに授業であります。子供たちが常に生き生きとして学んだという実感が持てるような授業を全ての学校、全ての教師が実践できるよう、授業改善の取り組みを最大限の努力で行ってまいりたいと思っております。
もちろん、不登校に至る要因には学業の不振以外にもさまざまな要因が絡んでおります。それらに対する丁寧な対応も不可欠です。そして、これらの支援については、議員御指摘のとおり、欠席が目立ってきてからではなく、初期対応のあり方が非常に重要だというふうに思っております。
保護者やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の外部専門家とも協力し、チームとしての学校相談支援体制を充実させる中で、遅刻や早退の状況も含め敏感に対応し、不登校に至らないよう適切に支援をしてまいりたいというふうに思っております。
体罰に関係しまして、再任用教員の採用についてであります。
教員の再任用制度は、高齢職員の能力や経験をこれまで以上に活用するとともに、雇用と年金の接続を確実に行うことを目的としておりまして、1年ごとに新たな任用として選考しているものであります。
選考に当たっては、書類審査と個別の面接による審査を行っておりまして、書類審査ではこれまでの勤務実績や健康状況などを、また、個別の面接による審査では勤務意欲や目的意識等を評価し、採用の可否を総合的に判断しているところであります。
当該教員につきましては、選考において問題は認められず任用したものでありますけれども、今回の件を踏まえ、再任用教員の資質を一層見きわめるとともに、任用後の研修の充実にも努めてまいりたいと思っております。
また、体罰の根絶につきまして、教職員に対する研修は当然でありますけれども、同僚等を含めた学校全体で防止するような体制もしっかり図っていきたいというふうに考えております。
教員の不祥事根絶についてであります。
児童生徒を指導する立場にある教員の不祥事はあってはならないことでありまして、教育委員会と学校現場は、これまで、信州教育の信頼回復に向けた行動計画に沿って非違行為根絶の取り組みを進めているところであります。教員一人一人の心に届くようにするためには、それぞれの学校の実効性のある取り組みが大事であるというふうに考えておりまして、わいせつな行為根絶のための特別対策の実施や研修資料であります「非違行為の根絶に向けて」の改訂など、取り組みを見返しつつ充実を図ってきたところであります。
さらに、今年度、私自身が全ての小中学校の校長と懇談し、その中で各校の非違行為根絶に向けた取り組みの徹底について意識を共有したところでございまして、県教育委員会と学校現場が同じ方向を向いて引き続き非違行為根絶に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〔県民文化部長青木弘君登壇〕
◎県民文化部長(青木弘 君)子ども支援センター及び性被害者のノンストップ支援センターについてのお尋ねでございます。
初めに、子ども支援センターでございますけれども、このセンターは、子供に関するさまざまな問題について相談できる総合窓口といたしまして、教育や児童福祉分野の相談経験のある相談員が、相談をする子供や保護者の気持ちをしっかり受けとめながら対応しているところでございます。
平成27年4月のセンター開設以来の各年度の相談件数の状況をまず申し上げたいと思いますけれども、平成27年度が1,286件、28年度が828件、本年度は10月末現在で601件となってございます。
相談内容別には、交友関係や学校関係の相談が多くなっているほか、いじめに関する相談件数につきましても、平成27年度が69件、平成28年度が63件、そして本年度は10月末現在で49件となっております。
こうした相談のうち、いじめや虐待などの深刻な相談に対しましてはより迅速な対応が必要でありますことから、教育委員会や児童相談所等の関係機関と連携し、解決に向けて取り組んでいるところでございます。本年度は、10月末現在で県教育委員会と6件、児童相談所と5件につきまして連携を行い、速やかな対応に努めております。
また、子供や保護者にセンターを周知することが大変重要だというふうに考えてございます。そういうことで広報にも努めさせていただいておりますが、本年度は、5月に県内の小学校3年生から高校3年生までの児童生徒にしおりを配布しますとともに、8月には、LINEによる相談を実施するに当たりまして、県内の中学、高校生に相談機関として子ども支援センターを記載した登録カードを配布するなど、一層の周知にも努めているところでございます。
また、次に、「りんどうハートながの」についてでございますけれども、昨年の7月の開設以来、性暴力被害者の心身の負担軽減や健康の回復を図るために、医療機関を初めとした関係機関と連携、協力する中で、被害直後からの総合的な支援をワンストップで提供をさせていただいているところでございます。
相談件数について申し上げますと、平成28年度の8カ月余の間におきましては、70件の事案に対応してまいりました。このうち、被害時年齢が18歳未満の相談件数は19件となっております。また、本年度は、10月末現在で45件の事案に対応し、被害時年齢が同じように18歳未満の相談件数は21件でございます。
相談を受け付けた後は、必要に応じまして面接相談を実施し、被害者の意思を尊重しながら支援をコーディネートしております。強制性交、強制わいせつなどの深刻な被害につきましては、産婦人科医療や法律相談等につないだ事案もございます。こうした案件については、件数で申し上げますと、平成28年度が5件、平成29年度は3件となっているところでございます。
「りんどうハートながの」では、本年度、運営会議を設置し、産婦人科医会、弁護士会等関係機関との連携を一層強化するとともに、被害者との面接相談や支援先への付き添い等を行います現地支援員の増員、資質向上のための研修を実施するなど支援体制の充実も順次図っているところでございます。
広報につきましても、昨年の7月の開設時には、リーフレットや名刺大の広報カードを市町村等さまざまな機関に配布するのに加えまして、広報カードにつきましては、若い世代をターゲットに、関係団体の協力を得てゲームセンター等に設置を依頼しているところでもございます。
今後も、両センターが県民の皆様から信頼され、相談したい方が安心して相談できますように、広報啓発にも工夫をしながら関係機関等との密接な連携のもと取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)私には、看護職員の確保について2点御質問をいただきました。
県内の就業看護職員数は毎年500人程度増加し、平成28年末時点で2万9,018人となっており、保健医療総合計画での目標達成に向けて順調に推移している状況にありますが、議員御指摘のとおり、依然夜勤や産休代替、中小医療機関などで看護職員の不足が生じており、有効求人倍率も2.67倍と高い状態が続いております。
本年3月に作成した地域医療構想において、高齢社会の進展に伴い、2025年には現在より1割程度入院医療や訪問診療等の医療需要の増加を見込んでおり、引き続き看護師確保対策は重要な課題であると認識しております。
新たな保健医療総合計画においても、現在、看護職員の確保対策として進めております新規養成への支援、資質向上・離職防止、再就業支援の三つの柱を中心に施策を位置づけ、看護師確保に努めてまいります。
須坂看護専門学校は、医療の高度化、複雑化に対応できる質の高い実践力を備えた看護師を養成し地域に送り出す役割を担っており、教育課程を充実させるために平成26年度に公立校において初めての4年制専門学校に見直しを行ったところです。
今後の医療需要の増加を踏まえ、市町村や関係団体などから看護職員の確保について強い要望をいただいている中、須坂看護専門学校の平成29年度入学生の受験倍率が3倍を超えるとともに、地域の医療機関からは、学生を新規学卒時から高度医療の病棟に配置したいなどと期待をされております。
一方で、看護系の学部を新たに設置しようとする動きが出ておりますので、須坂看護専門学校については、こうした状況に加え、国の医療制度改革の動向や看護師の需給の状況、学生の進学先としての希望なども踏まえ、そのあり方を考えてまいります。
以上でございます。
〔建設部長油井均君登壇〕
◎建設部長(油井均 君)高山村雷滝付近の県道の災害復旧についてのお尋ねでございます。
御質問の災害箇所につきましては、先月の台風21号の大雨により発生した路肩の崩落により幅員が狭くなったため、普通車のみの片側交互通行となっております。
災害発生後、速やかに被災状況を調査するとともに、冬期間は山田牧場のスキー場など観光地への唯一の道路でもあることから、早期の復旧に向け既に工事を開始しております。
現在、崩落部の拡大を防止する吹きつけ工事を実施しており、本格的なスキーシーズン前の12月中旬には大型車の片側交互通行が可能となる見通しとなっております。
来年3月末の完了を目指して、引き続き復旧工事に鋭意取り組んでまいります。
〔54番村石正郎君登壇〕
◆54番(村石正郎 君)平成28年度いじめ認知件数4,214件。私は、平成7年6月議会で初めて県議会での一般質問に登壇して、取り上げたのがいじめ問題でありました。あれから23年、いじめ問題は、学校当局、教育委員会初め関係各位のさまざまな努力にもかかわらず、根絶、解決できないのが現状であります。その後、一般質問でも何度か取り上げ、委員会質疑でも幾たびか取り上げてまいりました。私が文教企業委員会に長く籍を置くのも、この深刻ないじめ問題を何としても根絶することができないものかとの強烈な思いがあるからであります。
いじめは、法律や条例だけでは解決できない。いじめはなぜいけないのか、どうやって防ぐのか、児童生徒たちがみずから考え、話し合い、心の中に定着させていく過程が欠かせません。 いじめを苦に小中高生が自殺する。こんな悲劇を繰り返してはならない。大津市中2男子のいじめ問題をきっかけに、平成25年、いじめ防止対策推進法が施行されました。その後も、山形県天童市、仙台市、岩手県矢巾町、名古屋市中3男子、犬山市、新潟県新発田市、青森市立浪岡中中2女子生徒13歳、いじめをしないでのアプリ、ストレスで生きていけない。青森県東北中中1男子、いじめ自殺か。母親が胸中告白。先生は指導して様子を見ますと言うばかりで……。奈良高1、16歳、自殺。奈良県教委第三者委員会は、2017年7月21日、生徒がいじめを受けるなどして自殺したとする調査報告書を公表しました。LINEのグループから生徒が排除され、中傷するメッセージが書き込まれていた。
いじめは犯罪であります。自殺を思いとどまった子供でも、うざい、臭い、きもい、死ねば、クラスで一人で孤立。こんなことが毎日で耐えられますか。いじめは人の心を傷つける犯罪であります。癒やしようのない深い心の傷。こんなことがあってはならない。教育現場で何ができるかを考えるとき。
大切なのは、いじめられている子供たちが、教師や親、大人たちに何を言っても無駄だと思い込ませない信頼関係を築くことであります。全教員が同じ問題意識を共有していじめ問題に一丸となって取り組んでいけば、学校全体にいじめは絶対に許さないという空気が漂うはずであります。いじめを見抜く教師の眼力、プロである教師には、その能力が求められます。また、親に対しても、子供の小さなサインを見逃してはならない。
いじめは、大抵の場合、1対多数です。大勢でいじめに参加することで罪の意識を軽くし、責任を分散させてしまう。驚くばかりの加害者の罪の意識の軽さ。されている側がいじめだと感じれば、それは間違いなくいじめであります。
いじめ防止対策推進法、いじめ防止対策推進条例の追跡調査はしているのか。この法律、条例により、加害者児童生徒の減少に影響しているのか。法施行により教師の意識がどのように変化してきているのか。
以上、教育長の説明を求めます。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)いじめ防止対策推進法、長野県いじめ防止対策推進条例施行後の状況についてのお尋ねでございます。
法施行後、県内全ての学校において学校いじめ防止基本方針が策定され、いじめ防止等のための対策の組織が設置されております。また、いじめ防止対策推進法に基づいた重大事態への対応も行っているところであります。
そして、長野県いじめ防止対策推進条例の施行後には、いじめ防止子どもサミットNAGANO、あるいは高校生ICTカンファレンス長野大会を実施して、児童生徒の主体的、自主的な取り組みの推進に努めているところでございます。
学校では、法に基づき、被害性に着目していじめをきめ細かく認知し、いじめが深刻になる前に、学校内部だけでなく保護者や関係機関と連携しながら組織として早期に対応することの必要性がそれぞれの教師にも浸透してきているのではないかというふうに考えております。
こうしたことから、今後、一定期間いじめの認知件数が増加していく可能性は高いと思いますが、法、条例に基づく対策が着実に積み重ねられていくことによって、確実にいじめの加害児童生徒数の減少につながっていくものと考えておりますし、また、そうしなくてはならないと強く思っております。
〔54番村石正郎君登壇〕
◆54番(村石正郎 君)平成27年2月定例会で長野県いじめ防止対策推進条例が成立、施行され、いじめ防止基本方針が全ての学校にできましたが、この実効性が問われております。
つくっただけではなく、各学校がきちんと実効性が上がるように組織的に対応していけば、いじめは防止できるはずであります。長野県からいじめを一切なくすための努力をぜひともお願いしたい。県民総ぐるみでいじめの問題を克服するため、この条例が徹底するように、各学校、生徒、保護者それぞれに確実に浸透を図り、成果が上がるように切望いたします。
豊野南志賀公園線の災害復旧に対しましては、早期対応、まことにありがとうございます。スキーシーズンは目前であります。一日も早い工事完成をよろしくお願いいたします。
県立須坂看護専門学校については、我が国公園の父と言われた本多静六博士の設計による名勝臥竜公園と百々川緑地公園の中の風光明媚な景勝の地にあります。将来の看護大学への昇格を目指して、看護師養成のメッカとしてますます充実発展することを御期待申し上げまして、私の質問を終わります。
○副議長(諏訪光昭 君)この際、15分間休憩いたします。
午後2時49分休憩
──────────────────
午後3時5分開議
○議長(垣内基良 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
清沢英男議員。
〔43番清沢英男君登壇〕
◆43番(清沢英男 君)初めに、空き家対策について伺います。
この問題については、過日、自由民主党県議団が行った各種団体との懇談会の中で、県司法書士政治連盟から「特定空家等への対応に関する県内市町村の予算措置及び法改正等を含めた検討について」として寄せられたものであります。その空家等対策の推進に関する特別措置法、以後、空き家特措法と言いますが、それは一昨年施行されました。
建設部長にお聞きします。
一昨年の11月定例会で、丸山栄一議員から、空き家の有効利用等特措法関係の質問がされていますが、改めて空き家特措法の概略について御説明願います。
その上で、特定空き家について伺います。
この空き家は、一つに、倒壊等保安上危険、二つに、衛生上有害、三つに、景観を損なう、四つに、生活環境の保全上放置不適切という4点のいずれかの状態にあるものであります。この問題につき、具体例を挙げてお聞きします。
空き家特措法は、空き家対策の主体は住民に近い市町村としており、長野県では、13の市町村が空き家に関する条例を定め、対策に乗り出しています。東筑では、筑北村が適正管理に関する条例を法律に先んじて平成24年に施行されました。村にあった特定空き家は、相続人が相続放棄したもので、近隣から放置は危険等の苦情が寄せられていました。そこで、村は、官報公告の上で代執行宣言をして略式代執行、取り壊しを行ったというケースがありました。村とすれば、その費用につき特定空き家の所有者に求償できるわけでありますが、この場合、所有者不存在でそれはできません。土地の売却も検討できますが、過疎中山間地域という土地柄、それも無理なようであります。
こういう場合は、特措法によって、手続や段階を踏めば行政代執行まで持っていけるようになりましたが、問題は、法に基づく空き家対策支援協議会が特定空き家等と判断した場合であっても、空き家所有者が明治や大正時代の人ならば相続権利者は気の遠くなるような人数になり、対処を村の職員がそれ専門にかかり切りになるわけにもいかず、かわりに弁護士や司法書士に依頼するとしても、その費用は村財政の費用対効果に耐え得るものではないと見込まれたらまことに困ることになります。実は、特定空き家にはこういったケースのほうが多く、市町村も頭を悩ませているわけであります。
そこで、建設部長に伺ってまいりますが、一つには、県が市町村と課題共有のために設置した空き家対策市町村連絡会では、県としてはセミナーの開催、啓発パンフレットの作成、配布等を行っているようですが、もう少し深掘りしていかなければ、殊に特定空き家対策の問題は解決できないと考えますが、いかがでしょうか。
二つには、係る問題につき、市町村への財政支援であります。弁護士は気の遠くなる数の相続人に対して訴訟を提起し、判決の上、特定の相続人を決めて交渉のテーブルに着くことができるようになります。しかし、費用は大きなものになります。ケース・バイ・ケースでしょうが、特措法に基づき市町村が設置する協議会に対して財政支援ができないかどうか、または他の財政支援の方法がないか、お考えをお聞かせいただきます。
三つには、放置されている空き家についてであります。権利の上にあぐらをかいている場合はこれを保護せずといった精神に基づくならば、倒壊の危険、景観阻害など地域に迷惑をかけている建造物で、相続人の特定が困難であって、協議会から除却はやむなしとして特定空き家と認められた場合、官報による一定期間の公告の後、相続人を特定する、または相続人不存在とするなどの措置がとれるように、例えば、長野県空き家等権利者特定の対策条例を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。和歌山県では、景観上について係る条例を設置していると仄聞しますが、これからは空き家が残念ながら増加の一途をたどると思いますので、早目の措置をお願いできればと思います。
四つには、空き家を離れますが、道路事業等での権利関係が複雑になっている場合でも、前項のような条例があれば、登記上も解決できると考えますが、権利登記が事業の隘路となっている件数も含め、係る条例設置についてお答えいただきたいと存じます。
山林関係についても権利関係が複雑化している問題を抱えていますが、それは次の質問でお聞かせいただきます。
〔建設部長油井均君登壇〕
◎建設部長(油井均 君)空き家対策について順次お答えをいたします。空家等対策の推進に関する特別措置法に関するお尋ねでございます。
この特別措置法は、住宅や建築物の老朽化、人口の減少などによりまして、適切な管理が行われていない空き家が増加し、その対策を講じることを目的として制定され、平成27年5月に全面施行されたところであります。
この法律では、空き家対策の主体的な役割は、議員御指摘のとおり市町村が担うこととしており、市町村は空き家等対策計画の策定や協議会の設置のほか、周辺の生活環境を害するおそれのある特定空き家に対する措置を行うこととしております。
また、都道府県は、市町村が講じる措置について、情報提供、技術的助言、市町村間の連絡調整などの必要な援助に努めることや、国とともに空き家対策の実施に要する費用の補助を講ずるものとされております。
次に、空き家対策の深掘りについてのお尋ねでございます。
県と市町村では、周辺の環境を害するおそれのある特定空き家等に対応するため、特別措置法の施行にあわせて空き家対策市町村連絡会を、また、平成28年度からは県内10の地域に空き家対策地域連絡会を設置したところです。
この地域連絡会では、特定空き家の具体的な判断基準の検討や、現地において特定空き家の判定の実施、県内における空き家の除却事例を紹介するなど地域の空き家対策の課題に取り組んでおります。こうした地域連絡会での取り組みを通じ、空き家対策を推進するために不可欠であります空き家の所有者や管理者の意識の向上を図るため、今後も市町村と連携してまいります。
特別措置法により市町村が設置する協議会への財政支援に関するお尋ねでございますが、この協議会は、市町村が作成する空き家等対策計画や特定空き家に該当するか否かの判断を行うために市町村が組織するものです。
議員からは、協議会への財政支援の御提案をいただきましたが、県としましては、空き家の大きな課題であります特定空き家対策を進めるには、建築士や司法書士などの専門家の技術的助言が重要であると考えております。このため、空家等対策支援専門家派遣事業を平成28年度から実施し、今年度は22名の専門家を市町村に派遣をしております。
なお、市町村が設置する協議会には建設事務所職員が参画し、建築分野の知見から助言をするなどの支援を行っているところであります。
次に、空き家所有者特定のための条例措置についてのお尋ねでございます。
議員から御提案のありました県条例の設置につきましては、空き家の相続人等を迅速に特定することを目的としたものと捉えております。
特別措置法におきましては、特定空き家が周辺の環境を害するおそれがあっても、その処分を行うことは個人の財産権の制約を伴う行為が含まれることから、慎重な手続を踏むことが必要とされております。そのため、市町村が空き家に対する措置を行う場合には、少なくとも不動産登記情報、住民票情報、固定資産情報等により所有者を特定しなければならないこととなっておりまして、県条例により迅速化することは困難であると考えます。
次に、道路事業等における権利者特定のための条例設置についてのお尋ねでございます。
近年、不動産登録簿の名義人が変更されずに長年放置され、所有者が不明となっている土地の問題が全国的に深刻化しております。
本県においても、公共事業を進めるに当たり、所有者不明の問題によって交渉開始から3年以上経過しても用地取得ができない事案が、平成24年度から28年度までの5年間で、県、市町村合わせて20件あり、大きな課題となっております。
こうした状況を受け、現在、国において、登記制度、土地所有権のあり方、所有者不明土地を利用する仕組み等について議論をされているところであります。財産権に直接関係する事項については全国的な視点での検討が必要であることから、県といたしましては、まずこうした国の動向を注視してまいりたいと考えております。
〔43番清沢英男君登壇〕
◆43番(清沢英男 君)人口減少社会にあって、国も、これまでの絶対と言われた所有権のあり方を時代に即したものに見直す検討を始めたようであります。報道によると、所有権がわからなくなっている可能性のある土地は、日本全体で九州の面積よりも広いと言われているようであります。県も、国や関係機関と連携して、係る問題への解決に一層尽力いただきたいと思います。
次に、県政と林務行政、それから松枯れ対策について伺います。
大北森林組合事件に関する一連の経過の中で、県職員の変化を微妙に感じ取っている自治体関係者がおられます。例えば、県に申請した事業で、これまでの経験から当然着手できるものと期待していましたができない。そんな違和感に困惑しておられます。
県職員は、県に起こったどのような事件でも真摯に向き合い、仕事には常に県民の皆さんを向いて、結果を出そうと頑張っていると信じています。
知事に伺います。
知事は、昨今の県職員の雰囲気を、大北事件の以前と事件賠償案件以後で変化を何か感じておられないでしょうか。県庁内の現況に対してどう思われ、どう対処されますか。県職員全体の仕事に対する姿勢について、思うところをお聞かせいただきます。
林務部長に伺います。
さきの空き家対策でも問題視しましたが、山林についても所有権の相続関係が放置されており、特定空き家同様、山が荒れ放題で、ために保水力が落ち、豪雨暴風による倒木、やがて土石流の一因となり、橋脚へ流木が集積し、河道の閉塞、果ては甚大な洪水被害をもたらす原因となります。そうさせないための森林整備であり、山林所有者、以後、山主と言いますが、のみならず、社会全体の安全確保という共通利益を保全するために、財源の一部として森林税のお願いを等しく県民の皆さんにしてきましたし、今議会に継続案件として提出されています。
そこで、今般提出の来期森林税の使途につき、この県民共通の安全を守るという原点から外れているものはないかどうかお答えいただきます。
過日、山林の一定地域をまとめて間伐作業等に当たるために、私の山の森林整備を了解しましたという山主の同意を取りつける集約化事業での7年前の瑕疵について地元紙に報道された案件がありました。
この集約化事業でも、ネックになることは不在山主で、しかも登記上所有権の権利者が随分昔の人、これは、山の価値が一気に下落した時代以降、山への興味が失われた結果とも思いますし、また、共有地で一部が権利者不明などというケースがあることだと思います。
そこで伺いますが、一つに、そのような場合、集約化のおくれ、ひいては森林整備のおくれとなると推測しますが、実態はいかがか、お聞かせいただきます。
二つに、そのような場合、仮に空き家特措法のように地権者を探す協議会のようなものが設置され、そこにある程度の強権的な権限が委託され、官報公告等を経て権利者の特定が早期のうちにできる法的手段があれば、防災減災という面で社会的要請のある森林整備が促進されると考えますが、御所見を伺います。
三つに、これは法的な意味合いがありますので、国が係る問題の対処につき何らかのポジティブな動きを見せているのか、また、森林県長野県としても働きかけをしておられるのか、お聞かせいただきます。
次に、松枯れ対策についてお聞きしてまいります。
季節外れの台風だったことし10月末の21号、22号は、県内各所に農業や建設、果ては人命までも甚大な被害を及ぼしました。被災された方々に心から御見舞いを申し上げるとともに、県当局には復旧や手当てに迅速な対応をお願いするところであります。
森林被害を見るとき、暴風による倒木の影響が少なからずあり、道路閉塞や有害獣防護柵への倒伏等を招きましたが、これらにも助力を惜しまないでほしいと考えます。
倒されたのは主として枯損木であります。それも松枯れ被害に遭ったものとの話がありました。これまでも議場で多くの松くい虫対策への訴えがなされてきましたが、大きな実績は感じることができません。殊に長野道の嶺間、筑北、麻績付近の高速道路沿道の風景は、通行するたびにため息を禁じ得ません。観光大県とうたうに反して、夏でも灰色に塗り潰された松林を観光客にごらんいただいても平気なのでしょうか。今、冬の季節になれば、他の木々も枯れて松枯れも目立たなくなり、少し安堵してしまう悔しさがあります。
そこで、枯れてしまった松林の対策から伺います。
一つに、伐倒処理に国からの支援が細っている状況だと思いますが、しかし、手をこまねいていることはできません。今般提案された森林税を財源として積極的に伐倒処理をしていただきたい。市町村に促すという答弁ではなく、県としての重点投資について、これまでの1期、2期と次期予定の森林税の用途を含む今後を比較して御所見をお聞かせいただきます。
二つに、2割の松枯れが発生すればその山の松林は全滅するという意見もあります。すなわち、2割枯れれば全部切る。皆伐してしまうほうがいいのではないか。そのための補助も考えてほしいとの要請にはどうお答えになられますか。お聞きします。
三つに、松枯れ枯損木の有効利用としたバイオマス発電施設につき、塩尻のF・POWERの建設稼働がおくれるならば、他のところにも枯損木をチップ化して搬入しやすい出力の小さい当該施設をつくるべく、市町村等県民の皆さんに呼びかけてみたらどうかと考えますが、いかがでしょうか。
続いて、松枯れ予防について伺います。
一つに、松本市でも、松枯れ予防策では最も効果があり経費節減にもなる空中散布の実施について大変苦闘しているようであり、松本空港建設反対時の弁護士さん等を代理人として訴訟にもなっています。空散薬剤の人体への悪影響が争点だと思います。
ここで思い出すことは、昨年5月、上田市の母親らでつくるこどもの未来と健康を考える会が、環境科学の専門家4人に、松枯れ対策などに使用されるネオニコチノイド系農薬が子供の体内にどれだけ取り込まれているのか相談し、子供たち50人を対象に、農薬散布以前、直後、1週間後等の3日間分の尿に含まれる成分測定をすることになりました。
結果は、1年後のことし4月に発表されました。調査は、北海道大学准教授ら4人で、結論として、子供の尿の農薬濃度は散布前後で明確な変化は見られなかったと報告されました。空散による人体への影響は否定的ということであります。母親の会の代表は、だからといって安全とは言えないとコメントしています。
こんな出来事を想起した上でお聞きしますが、県の空中散布のガイドラインである民家、道路から200メートル離れていれば実施してもよいというめどに従えば、奥山でしか薬剤空散実施は不可能で、コンパスでラインを引けば、目に見える場所は全て空散でなく高価な薬剤注入や伐倒処理しか対策はなく、その結果は松枯れの蔓延ということになります。よって、先ほどの長野道の風景や、なれ親しんできた松並木が枯れていくのをただ傍観するしかない地域の悲しさがあります。
そこで、この際、一つには、薬剤による人体への悪影響が立証された例もないわけで、県のガイドラインを撤廃するかゼロに近く縮小するべきだと考えますが、御所見を伺います。
二つには、松枯れ被害地の樹種転換事業につき、松くい虫に抵抗力のある松苗を再植樹することはできないのか。さらに、長野県の誇る林産物、マツタケの産地として松林保護を現行よりも積極的に打ち出してほしいと考えますが、いかがでしょうか。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)
大北森林組合の事件に関連して、事件前、事件後の県職員の雰囲気の変化、そして県職員の仕事に対する姿勢という御質問でございます。
大北森林組合の不適正受給問題については、これは林務部はもとより県庁全体で重く受けとめて、職員がしっかり県民の信頼回復に向けて全庁的に取り組んでいくべきものというふうに思っております。
他方で、過度に萎縮することがないように、県組織全体のモチベーションもしっかり高めていくということが重要だと思っております。林務部にも聞いておりますけれども、直接的にモチベーションが低下しているとか、消極的な姿勢になっているという意見は出てきていないというふうに受けとめております。
これから新しい総合計画も策定していくわけでありますし、先ほども申し上げましたように、県民のための県政を進めていく上では、県職員一人一人が前を向いて、やる気と志を高く持って仕事に向き合っていくということが大変重要だというふうに思っております。
そういう意味で、例えば若手職員がしごと改革に取り組んでいろんな提案もしてきていただいています。また、部局長会議では、笑顔プロジェクトということで、現場の職員も含めた県職員が取り組んだ業務によって県民の皆様方が笑顔になっているというような取り組みも共有をさせてきていただいているところであります。
こうした取り組みも通じて、引き続き県全体でしっかりとモチベーションを維持しながら、より県民の皆様方の期待に応えられる県政運営に努めてまいりたいというふうに思っております。
県組織、県職員の責任者として、私自身も積極的に職員とコミュニケーションを図る中で、県全体で県民のための県政を進めていくことができるように引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。
以上です。
〔
林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)何点かお尋ねいただきました。順次お答えを申し上げます。
初めに、森林づくり県民税の使途に関して、県民共通の安全を守る原点から外れているものはないかとのお尋ねでございます。
森林づくり県民税につきましては、多面的な機能を有する森林を健全な姿で次の世代に引き継ぐため、里山における間伐等の推進に加え、県産材の利用や多様な人々の森林づくりへの参加など、森林を守り育てるために必要な事業を展開してまいりました。
こうした事業の成果と課題を踏まえ、今後の森林づくりの方向性として、防災・減災及び住民等による利活用のための里山等の整備を初め、観光、教育等の本県の強みの分野における森林の景観向上や多様な利活用など、必要な事業を精査し、厳選した上で基本方針を取りまとめたところでございます。
また、多様な森林の整備や利活用の取り組みについては、これまでさまざまな場面からさまざまな方に御意見を賜り、県民アンケートや市町村の皆様からも高い期待が寄せられているところでございます。
基本方針でお示しした取り組みは、森林づくり県民税の趣旨である森林の多面的な機能の持続的な発揮に向け、いずれも必要不可欠なものと考えており、これらの取り組みによって森林を健全な姿で次の世代に引き継いでまいりたいと考えております。
次に、森林整備の集約化における所有者不明森林の実態についてのお尋ねでございます。
本県の森林簿データによりますと、民有林のうち所有者が不明な森林の面積は4%、森林の所在する市町村に所有者が居住されていない森林は19%で、合わせて23%の森林で所有者の確認が難しい状況がございます。
また、全国においては、6月に、民間の有識者による所有者不明土地問題研究会が、所有者と連絡がとれない森林の割合が26%と発表しており、山村の過疎化や高齢化に加え、地籍調査や土地の相続登記が進まないこと等により、実際にはデータ以上に所有者の確認が困難になっているのではないかと懸念されているところでございます。
また、所有者不明森林では、所有者の特定から集約化を経て施業に至るまで、多くの時間と労力を要しているのが実態でございます。
次に、森林所有者の特定を早期に行うための法的手段や国の動向等についてのお尋ねでございます。
議員御指摘の手法に類するものといたしまして、平成23年の森林法の改正により、早急に整備が必要な森林、いわゆる要間伐森林の所有者が不明な場合、または所有者に整備の意思がない場合、市町村の勧告や県の裁定等により間伐等の代行ができるような制度が拡充されました。
この制度では、市町村長が森林所有者に対し整備の勧告を行い、所有者が勧告に従わない場合は、県知事の調停や裁定を経て市町村が指定する者による森林整備の代行が可能とされています。また、当該森林の所有者が不明な場合には、市町村での掲示や県の裁定、使用権の設定を経て整備の代行を行うことが可能となっております。しかし、この制度は手続が複雑なことから、実際に利用されるには至っていない状況でございます。
こうしたことから、国では、要間伐森林の市町村による代行制度について、より制度の活用促進のための見直しが検討されていると聞いているところでございます。また、所有者みずからが管理できない森林について、市町村が管理受託を行う仕組みの創設など多角的な検討も進められていると承知しております。
県といたしましても、森林整備を推進するため、機会を捉えて国に対する提案、要望等を実施してきたところですが、今後も引き続き地域の森林をめぐる実情を踏まえた制度が創設されるよう、関係団体とも連携して働きかけを行ってまいりたいと考えております。
次に、森林税による松くい虫対策についてのお尋ねでございます。
松くい虫被害は、昭和56年の被害発生以来、区域の拡大に伴い被害量が増加し、平成28年度は7.3万立方、被害市町村51となっており、近年甚大な被害が継続している状況にあります。
松くい虫被害への対応、対策につきましては、これまで、国庫補助金による薬剤散布や伐倒駆除等の防除事業を中心に取り組んできたところでありまして、森林税財源につきましては、1期、2期におきましては、森林づくり推進支援金事業の活用により、各市町村の実情に合わせ、国庫補助対象とならない公園あるいは墓地などの松林について対策が実施されてきたところでございます。また、2期目終了年の本年度は、一部モデル的に枯損木の活用を支援する取り組みを立ち上げたところでございます。
次期森林税の活用事業につきましては、松くい虫被害の拡大に対する懸念や早急な被害対策への要望等が多くの県民の皆様から寄せられたことを踏まえ、これまでの森林づくり推進支援金事業での取り組みに加え、里山整備利用地域における松くい虫被害処理、あるいは里山再生、チップ化など、被害木活用モデル事業に本格的に取り組むこととしたところでございます。
松くい虫被害対策全般につきましては、危機感を持って対応しており、国庫補助と県独自の森林税財源による事業を効果的に組み合わせ、総合的に推進することが重要と考えております。
被害松林の皆伐と、そのための補助に対するお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、被害が拡大した松林においては、伐倒駆除が追いつかない状態となる場合がございます。このため、一定程度被害が拡大した、またはそのおそれが高い松林においては、早目に松を伐採し、広葉樹やその他の樹種へ転換していく樹種転換が被害の拡大防止に対する有効な対策の一つとなっており、県内では、平成26年度から28年度までの3年間で13市町村、198ヘクタールが取り組まれているところでございます。
この樹種転換につきましては、
造林補助事業で支援を行っており、アカマツの伐倒とその後の植栽や保育等に対して7割の補助が可能となっております。また、被害木よりも健全木のほうが木材としての利用価値が高く、アカマツ資源の有効活用の観点からも早期の樹種転換が望ましいため、市町村や森林所有者の皆さんなど地域の関係者の方々に適切に情報提供を行い、松くい虫被害の拡大が懸念される地域を中心に積極的な樹種転換に取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、出力の小さな発電施設の建設に関するお尋ねでございます。
松くい虫被害材を木質バイオマスとして利活用していくことは、被害対策の一環として山側に利益を還元していく上でも重要な取り組みの一つであると認識しております。
小規模の木質バイオマス発電施設は、発電のみでの稼働はなかなか採算が厳しいという面があるため、熱利用施設をしっかり見定めたセットでの対応が重要であると考えております。その点では、温泉施設等の熱供給施設を木質バイオマスボイラー等に転換していくための取り組みも有効であると考えておりまして、またその支援策もございますので、そうした観点から地域における木材資源の利活用を推進しているところでございます。
それから、空中薬剤散布に関する防除実施基準における民家等からの距離についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、空中薬剤散布のガイドラインである防除実施基準におきましては、有人ヘリコプター散布の場合は、散布実施区域から希少野生動植物等の生息地や病院、学校、住宅や宿泊所など人の生活圏までの距離を200メーター以上離すこととしております。この隔離距離は、有人ヘリコプターでの農薬散布試験において最も遠く農薬が拡散した距離をもとに、国において安全性を確保できる距離として示されたものでございます。
松くい虫防除のための薬剤の空中散布については、県民の暮らしに重要な松林を守るためほかに代替できない有効な方法ですが、実施に当たっては、自然環境や生活環境の保全に十分配慮することが不可欠であり、現時点では200メートルという隔離距離については科学的知見を踏まえた合理性があるものと考えております。
県としては、生活環境に近接した松林については、地上散布等、他の手法を組み合わせるなど、住民の皆様の安全を確保しつつ効果的に松林の保全が行われるよう、事業主体である市町村等を指導してまいりたいと考えているところでございます。
また、松くい虫に抵抗性のある松苗木の植栽についてのお尋ねでございます。
松くい虫に抵抗性のあるアカマツにつきましては、これまで国の林木育種センターにおきまして幾つかの品種が選抜されております。こうした中で、県といたしましては、平成16年度から、林業総合センターにおいて抵抗性品種の中から長野県の気候、風土に適した品種の評価、検証を行っております。その結果を踏まえ、平成30年度から種子の採種を行い、試験的な育苗を開始することを目指しているところでございます。
しかしながら、抵抗性等の品質が確保された苗木を一定量まとめて生産するには時間がかかりますことから、当面は薬剤散布等の予防対策と駆除、他樹種への樹種転換と組み合わせ、被害の拡大防止を図ってまいりたいと考えております。
次に、今後の松林保護についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、全国一のマツタケ産地である本県にとって、松林はなくてはならないものでございます。このため、これまでマツタケの発生が見込まれる森林等守るべき松林に被害を拡大させないことを中心に対策を行ってまいりましたが、被害が深刻な状況が継続している状況でございます。
こうした中で、近年実用化された衛星写真から広域の被害状況を把握する技術等を用いて、地域住民の皆さんや関係者の方々にもわかりやすい被害状況のマップの作成を現在進めているところでございます。
今後は、守るべき松林、守るべき重要な松林の分布とともに、広域的な被害状況の両面から防除の考え方を俯瞰的に整理できる資料を整理し、市町村の皆様など関係機関の皆さんと連携し、本県のマツタケ生産を守る観点からも、より効果的な防除対策を取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔43番清沢英男君登壇〕
◆43番(清沢英男 君)森林税の継続をするに当たっても、やっぱり松くい虫被害木、松くい虫被害をどうにかしてくれという県民の皆さんの意見は非常に強いものがあります。だから、200メートルの距離の科学的知見というのも聞いてみたいわけでありますが、ひとつ委員会でもぜひ言及していただけたらと思う次第であります。
集約化についての報道は、一部山主の同意書が、押印等を
北安曇地方事務所職員により手元にあらかじめ用意されていたものを使用していたことが内部告発でわかったという趣旨だと思いますが、
大北森林組合の
補助金不正受給事件との違いは、組合がないものをあるとして補助金を詐取したならば、集約化報道案件は、ないものをあるとして仕事に取りかかったことです。
仕事、すなわち森林整備が社会全体の要請であることを考慮に入れた場合、一刻も早く山の手入れをして地域の安全を確保すべきという森林税の趣旨にのっとり、しかも間伐後の山の材は優良材となって山主の不利益にはつながらないと考えたとき、
大北森林組合事件とでは悪質性が異なることを感じます。
一方で、若干の山主負担もあるため、山主の意思確認は怠ってはなりませんが、その意思を集約するに際し、山主が所属する団体の全体意思は確認済みであるとする職員の確信があるとすれば、それを犯罪行為というまで追い込みをかけるのはいかがなものかという県民の意見があります。
一般論として思うことは、原点に立ち返り、軽重を問わず触法行為か否か、そこに社会慣習があったとしても、その正否等を慎重に判断し、
コンプライアンス遵守の精神を大切にしてほしいと強く望みます。
県職員の皆さんには、公務員賠償をめぐる保険への加入はポジティブな自由意志と捉え、その上で、市町村との関係では、これまで以上に意欲的に積極性を発揮して県民の皆さんの期待に応えてほしいというふうに思います。
以上、質問を終わります。
○議長(垣内基良 君)次に、西沢正隆議員。
〔46番西沢正隆君登壇〕
◆46番(西沢正隆 君)自由民主党県議団、長野市選出の西沢正隆でございます。看護学部新設についてお聞きいたします。
清泉女学院大学と長野保健医療大学の2大学への看護学部新設については、両大学ともに新設されるのかが注目をされてきました。2大学とも2019年4月開学を目指すという特殊事情のため、併存について長野市は検証をしてきました。
これからの時代に求められる看護職員、看護教育と2大学の教育方針との検討、学生、実習先、就職先の確保といった学部運営の見通しを検証ポイントと位置づけ、検討を行いました。
教育方針としては、清泉女学院大学が、心を育てる教育、国際・災害看護学の実施等を、長野保健医療大学では、地域包括ケアシステムの支援、多職種連携、人材育成等といったそれぞれが特色ある看護職養成教育を実施し、時代に求められる教育内容になっています。
2大学の受験入学の意向調査では、ともに定員の2倍ほどの希望者があることや、既存の県内の3看護大学では入試倍率が高いことからも、学生確保が見込まれます。また、北信地域には4年制看護師養成大学はないことから、進学希望者の受け皿にもなります。実習先についても、2大学ともに見通しがつき、就職先は約100事業所から採用の意向があるとの調査結果が出ています。
県内の看護職員数は、ナースバンク事業の取り組みなどにより年々増加傾向にあり、平成28年度末で2万9,018人と10年で約6,000人増加していますが、看護師の有効求人倍率は平成28年度2.67と高い水準であることから、まだ看護師不足が続いていると推察されます。
以上のことから、今後の在宅医療や介護などのニーズの増加など需要は続くものと考え、就職先の確保もされることから、2大学の看護学部は併存が見込まれるとの検証結果が長野市より発表されました。
さらに、2大学の看護学部の支援の対応については、国、県のみでなく、長野市並びに周辺市町村にとっても、時代に適応した専門性の高い看護師の輩出が期待できる。特色ある高等教育機関の整備によって高校生の選択肢がふえ、地元進学につながることが期待できる。地元大学で就学し、地元医療機関で実習を積むことにより、地元医療機関への就職につながることが期待できるといった長野市の施策と合致することから、今後、看護学部設置は必要であり、設置に対して支援していくとの結論を出し、予算案を12月市議会に提出する予定であります。県にも2大学の理事長が副知事へ支援要請を11月に行っています。
そこで、2大学の看護学部設置計画に対する県の考え方とその支援の方向性について知事にお聞きいたします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)二つの大学の看護学部の設置計画に対する考え方と支援の方向性についての御質問でございます。
清泉女学院大学、そして長野保健医療大学、二つの大学の計画につきましては、中島副知事が11月9日にそれぞれの理事長から正式に支援要請をお受けするとともに、どのような看護人材を養成していくのかというお考え、理念をお伺いしたところであります。
御質問でも触れていただきましたように、清泉女学院大学におきましては心のケアができる看護師や養護教諭の養成、長野保健医療大学におきましてはチーム医療の中核的役割を担う看護師養成や保健師の養成など、それぞれ異なる特色を持つものと受けとめております。
また、多くの県内高校生が県外大学の看護学部へと現在進学している状況であり、北信地域には看護学部を有する大学がないといったような現状の中で、県内の高校生が進路の選択肢を拡大していく観点、あるいは看護人材の地元への定着につながるという観点、こうした計画であるというふうに認識をしております。
大学に対する支援につきましては、県としてはこれまで当該地域の市町村を通じて行ってきているところでございますので、今後、長野市の考え方をよくお伺いをさせていただいた上で県としての具体的な支援を検討していきたいと考えております。
以上です。
〔46番西沢正隆君登壇〕
◆46番(西沢正隆 君)この補助金は、県から市を通して交付になるということになるため、県は市の支援を前提として支援を決めていくということになります。今、長野市のことをよく聞いていくという話があったんですが、長野市はもう決めているという形でありますので、ぜひ支援の速やかな決定をお願いしたいと思います。
また、過日、私学振興議員連盟役員と私学教育協会役員とで、宮川文部科学政務官へ私学振興について要望を行ってきました。長野県の私立幼稚園教育振興費補助金は、平成28年度予算で園児1人当たり単価1万1,000円引き上げていただきましたが、全国平均額より3万円ほど低く、全国最下位であることから、国へ強く要望してきました。県においても、私立幼稚園教育振興費補助金の大幅な増額をお願いするとともに、私学振興の充実についても次年度予算に反映するよう要望をいたします。
次に、長野県立大学についてお聞きいたします。
平成4年2月定例会に県立短期大学を4年制大学に移行することについての12万人分の署名を添えての請願が採択されてから25年、紆余曲折がありましたが、来年4月、長野県立大学が開学します。
私は、平成18年12月定例会以降、10回以上本会議で県短期大学の4年制大学移行について質問を行うなど積極的に取り組んできましたことから、感慨深いところであります。特に、県短期大学同窓会六鈴会の皆さんの一致団結した熱意ある活動には改めて敬意を表するところであります。
後町キャンパスは竣工、三輪キャンパスも今月中には完成見込みで、推薦試験は既に行われました。さらに、公立大学法人長野県立大学の重要な財産を定める条例案を今定例会に提案されるなど、着々と開学に向けて準備が進んでいます。
そんな中、ソーシャル・イノベーション創出センターの構想について先月発表がありました。このセンター設置は、県立大学の大きな特色であり、行政や民間企業等と連携、協力して推進していくとのことですが、具体的な取り組みについて県立大学設立担当部長にお聞きいたします。
県立大学の三つの理念の中に、地域に開かれた大学、地域とともに歩む大学を目指すとあります。後町キャンパスがある西後町や第四地区とは連携を模索しているようでありますが、長野市を初め設置される地域との連携はどのように考えられているのか。また、県内の他大学との連携について、県立大学設立担当部長にお聞きいたします。
長野県立大学の設立を決断した知事として、開学に当たっての思いをお聞きいたします。
〔
短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長玉井裕司君登壇〕
◎
短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長(玉井裕司 君)長野県立大学につきまして、大きく2点御質問をいただきました。
最初に、ソーシャル・イノベーション創出センターの関係でございます。
長野県立大学は、開学の理念として地域イノベーションを掲げております。県の産業、文化、生活を活性化する知の拠点となることを目指してございます。ソーシャル・イノベーション創出センターは、行政や企業等と連携協力する大学側の窓口となる予定でございます。具体的には、社会的な課題をビジネスの手法で解決しようとする事業者に対しまして、県内外の専門家、また県立大学の教員によるコンサルティングなどの手法による支援を行ってまいります。また、社会人を対象としたイノベーション人材を養成する講座などを開設いたしまして、グローバルマネジメント学科に設けます企(起)業家コースとも連動いたしまして、イノベーションに取り組む人材の育成を図ってまいります。
こうした取り組みにつきましては、既に長野市、塩尻市などの市町村、また八十二銀行からも御協力をいただけることとなってございまして、今後もそういった連携先を広めてまいる考えでございます。このセンターの取り組みを通じまして、県内外の専門家と地域、社会人や学生の相互交流を活発にいたしまして、地域の活性化につなげてまいりたいと考えてございます。
続いて、地域との連携、県内他大学との連携についてでございます。
県立大学は、長野市の市街地を挟みまして、三輪キャンパスに校舎、後町キャンパスに学生寮などを設置してございます。大学としましては、町全体をキャンパスに見立てまして、学生と地域との交流を図ってまいりたいと考えてございます。
後町キャンパスの地元におかれましては、地域のお祭りや商店街の活性化などにつきまして、学生の参画により、若者が地域に新たな風を吹き込むといったことなど御期待をいただいているところでございます。そういった活動によりまして、学生にとりましても、地域のさまざまな方との交流を通じまして、社会性やコミュニケーション能力の向上に資するものになると考えております。
次に、他大学との連携についてでございます。
県立大学と他の大学で教員を相互に派遣し授業を分担する、また、学生が他の大学の授業を履修しまして単位を取得できるようにするなどといった検討を進めてまいります。
また、県内の他大学とそれぞれの強みを発揮しながら互いに連携することにより、地域課題に取り組む、また、地域課題を解決していけるような優秀な人材を輩出してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)県立大学の開学を間近に控えての思いについてという御質問をいただきました。
この土曜、日曜日に学校長推薦選抜を実施して12月4日には合格発表予定ということで、いよいよ第1期生、スタートを切る学生がこれから決まってまいります。平成24年の2月に設立を判断して以来、さまざまな議論、検討を進めてきたわけでありますけれども、安藤国威理事長予定者、金田一真澄学長予定者を中心に構想を具体化し、また教員の選考等、さまざまな事務作業を行ってきております。
この間、西沢議員初め県議会の皆様方、さらには六鈴会初め関係の皆様方には格別の御支援、御協力賜っておりましたこと、大変感謝をいたしております。
当初掲げた理念、グローバルな視野を持ち、イノベーションを創出できる人材をつくるということをこれからもしっかりと揺るぎない方向性として維持しながら、この県立大学が後世、20年後、30年後、50年後、あのとき県立大学ができてよかったというふうに多くの皆様方に思っていただくことができるような大学となるように引き続き取り組んでいきたいと思っております。
ちょうど来年度から新しい総合5カ年計画、学びと自治ということをキーワードにスタートをさせていくわけであります。まさに、県立大学のスタートと、この新しい学びという概念を中軸に据えた5カ年計画が同時にスタートしていくという形になります。
知の拠点として、そして人材育成、教育の場として大きな役割を果たしていくことができるように、最後の仕上げの準備作業をしっかりと進めていくと同時に、開学後も県の立場としてもしっかりと応援をしていきたいというふうに思っております。
以上です。
〔46番西沢正隆君登壇〕
◆46番(西沢正隆 君)新県立大学、この最初の1期生は非常に重要になってまいりますので、ぜひ皆さん一致団結して特色ある大学像をつくり上げ、多くの人材育成を行うことで、日本に誇れる大学になるよう期待をいたしているところでございます。
次に、台湾との関係構築についてお聞きします。
10月23日から27日の日程で2017年日本青年台湾研修団に参加してきました。自民党、民進党、日本維新の会の地方議員30名が参加し、私が団長を務めました。この事業は、2010年より、台湾政府の招聘により超党派の青年地方議員を対象に継続されています。
台湾では、経済工業局、外交部、行政院大陸委員会、ASUS本部、台南市、八田與一記念パーク等々に訪問し、日台関係と台湾情勢について懇談をし、学んできました。日本統治時代に台湾社会インフラ建設に貢献した八田與一技師の功績を大切に継承してきていることが印象に残り、親日派であることを改めて実感をいたしました。
長野県との関係は、長野県の平成28年度外国人延べ宿泊数は89万5,050人で、そのうち台湾人が30万7,580人と断トツのトップであります。また、長野県と彰化県並びに高雄市と観光・教育交流協力に関する覚書を締結し、長野フェアの開催や、今年度県内の中学校、高校に、両県、市の中高生18団体、約800人が訪れています。さらに、5年ぶりにチャーター便が就航されました。このように、長野県と台湾は親密な関係でありますが、近年は、中国、韓国、ベトナムとの交流が目立っているように感じます。
そこで、台湾は重要なマーケットであり、今後の関係強化は大切であります。来年度に向けてインバウンド誘致等のさらなる関係構築の強化をどのようにお考えか。また、知事、副知事がトップセールスで観光客やチャーター便を積極的に誘致すべきと考えますが、知事の御所見をお聞きします。
また、修学旅行で長野県の学生は全国で5番目に多く台湾へ訪れているとの台湾外交部からの発表がされましたが、現状はどのようになっているのか。また、今後の台湾への修学旅行については台湾政府からも強く要望があったとともに、八田與一氏のような日本人が活躍した歴史などを学ぶためにも推進していくべきと考えるが、教育長の御所見をお聞きします。
〔
知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)台湾との交流、関係構築についての御質問でございます。
平成24年の11月に高雄市並びに彰化県と覚書を締結をさせていただいて以来、観光あるいは訪日教育旅行の便ができまして、積極的な交流を行ってきたところでございます。
昨年度は、県からは現地プロモーションのために8回台湾を訪問しております。一方、台湾からは現地旅行会社やメディアを招請したほか、高雄市長、あるいは苗栗県の県長など、事業者や訪問団が12回本県にお越しをいただいておりまして、相互の交流が活発化してきている状況にございます。
昨年10月に策定いたしましたグローバルNAGANO戦略プランにおきましても、中国、香港、韓国、シンガポール、タイ、アメリカ、この六つの国や地域と並んで台湾を経済的提携先として有望なマーケットとして位置づけて、関係を重視しているところでございます。近年は、県内の市町村、あるいは大学等と台湾との独自の交流も盛んになってきている状況でございます。こうした動きとも連携を図りながら、県を挙げて台湾との交流の拡大、友好関係の強化を図っていきたいと考えております。また、インバウンド誘致に効果があります現地旅行会社等の県内への招請をこれまで以上に積極的に行って、密接な関係をつくっていきたいと考えております。
お尋ねのありましたトップセールスについてでございますが、中国、韓国等も含めて機会あるごとに行ってまいりました。台湾につきましては、平成24年に訪問をさせていただいてから5年が経過をしております。訪日旅行市場の環境も大分変化をしてきておりますので、私や副知事が訪問することにつきましても前向きに検討いたしたいというふうに考えております。
以上です。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)台湾への修学旅行についての御質問でございます。
県内高校の台湾への修学旅行の現状につきましては、今年度11校が実施しまして、このうち8校が公立高校でありまして、ここ数年ふえている状況であります。
台湾への修学旅行が増加した要因には、時間や費用などさまざまありますけれども、最も大きな要因は、台湾から多くの高校生が長野県の高校を訪問している、そういったことから相互訪問の機運が高まっていることが最も大きな要因だというふうに考えております。
来年度は新たに2校の公立高校が台湾への修学旅行を予定するなど、今後もこの傾向は続くと考えられますことから、台湾の高校生との相互訪問を通じて、グローバルな視点から国際交流や異文化理解がさらに進むことを期待しているところでございます。
〔46番西沢正隆君登壇〕
◆46番(西沢正隆 君)今月、中川環境産業観光委員長、堀場文教企業委員長が台湾を視察するなど、県議会でも注目をしていますので、修学旅行を初め他国と同様に台湾との関係構築をさらに強化するよう要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(垣内基良 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。
次会は、明29日午前10時に再開して、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後4時8分延会...