• "介護人材確保ネットワーク会議"(1/3)
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  1. 長野県議会 2016-06-23
    平成28年 6月定例会本会議-06月23日-04号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成28年 6月定例会本会議-06月23日-04号平成28年 6月定例会本会議 平成28年6月23日(木曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 毛利栄子   2 番 今井愛郎      28 番 和田明子   3 番 寺沢功希      29 番 備前光正   4 番 山口典久      30 番 小池久長   5 番 百瀬智之      31 番 太田昌孝   6 番 小山仁志      32 番 諏訪光昭   7 番 小川修一      33 番 髙橋岑俊   8 番 丸山大輔      34 番 今井 敦   9 番 酒井 茂      35 番 丸山栄一   10 番 吉川彰一      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 両角友成      41 番 小池 清   16 番 藤岡義英      42 番 宮本衡司   17 番 髙島陽子      43 番 清沢英男
      18 番 浜 章吉      44 番 垣内基良   19 番 中川宏昌      45 番 鈴木 清   20 番 清水純子      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 荒井武志      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      池田秀幸   副知事       太田 寛    建設部長      奥村康博   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     野池明登    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       清水 深   総務部長      小林 透    公営企業管理者   県立大学設立担           企業局長事務取扱  小林利弘   当部長       髙田幸生    財政課長      岡地俊季   県民文化部長    青木 弘    教育長       原山隆一   健康福祉部長    山本英紀    教育次長      小林資典   環境部長      関昇一郎    教育次長      菅沼 尚   産業政策監兼産           警察本部長     尾﨑 徹   業労働部長     石原秀樹    警務部長      西口 学   観光部長      吉澤 猛    監査委員      田口敏子   農政部長      北原富裕         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      大日方正明   議事課担当係長   倉石博之   議事課長      鈴木英昭    総務課担当係長   小澤利彦   企画幹兼議事課           議事課担当係長   吉沢秀義   課長補佐      坪井俊文         ───────────────────  平成28年6月23日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(向山公人 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(向山公人 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、埋橋茂人議員。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)おはようございます。  まず、私は三つの質問を申し上げたいというふうに思います。  最初に、保育士、介護福祉士の確保対策について伺います。  この問題につきましては、政府が一億総活躍社会の重要課題として取り上げ、また、長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略、いわゆる信州創生戦略でも大きな柱として位置づけていますが、実効性を確保するために県としてどのような施策を講じていくか。お考えを伺います。  まず知事に、信州創生戦略を実践していくに当たって、この重要課題に長野県としてどう取り組むお考えか、基本的なところをお聞かせいただきたいと思います。  また、子育て支援税の導入も検討課題として盛られておりますが、消費税の引き上げ再延期で社会保障にかかわる安定財源の確保が危ぶまれる中、先行導入を考えているのか。伺います。  次いで、その中で欠かせない保育士、介護福祉士の確保対策について、県民文化部長及び健康福祉部長にお答えを願います。4点ございます。  保育士、介護福祉士の県内養成機関の定員とその充足状況、卒業後の県内就職率を説明をいただきたい。  二つ目として、定員充足率が一定基準以下の場合、国の補助金が削減されるとのことであり、保育士、介護福祉士の確保のため、養成機関への県の支援が必要と考えるが、お考えを伺います。  三つ目として、保育士、介護福祉士の有資格者で従事していない方の復帰対策とその実績について伺います。  4番目、保育士、介護福祉士の待遇改善策について、国の施策だけですと大都市圏との格差は依然として解消しません。人材流出が懸念されますが、県としての対策をどうお考えか。伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)保育士、介護福祉士の確保対策についての御質問にお答え申し上げます。  子育てしやすい環境をつくる、また年をとっても安心して暮らせる長野県をつくる、そうしたことを進めていく上では、そうした取り組みを支えていただく人材の確保、御質問にありましたように、保育士、介護福祉士の人材確保は県としても極めて重要な課題だというふうに考えております。  まず、保育士につきましては、特に年度途中の3歳未満児の受け入れに対応するための保育士の確保が当面喫緊の課題であるというふうに考えております。また、中長期的に見た場合には、3歳未満児の保育でありますとか、あるいは病児保育等、こうした保育の仕組みをさらに充実していくために保育士を確保していく、あるいは人材を育てていく、こうしたことが重要だと考えております。  県としては、年度途中の乳児受け入れのための助成を民間保育所に対して行わせていただいておりますし、また、潜在保育士の皆様方の復職支援、さらには修学資金貸付事業等を通じた保育士を目指す学生の増加等さまざまな取り組みを行ってきているところでございます。また、保育士が定着していただく上では、給与等抜本的に処遇改善を進めていくということも大変重要であります。こうした点については、国に対して引き続き強く要請をしてまいります。  また、介護の分野では、増大する介護需要に対応していくための人材確保も喫緊の課題であります。2025年には4.6万人の介護職員の皆さんが必要であるというふうに推計をされております。特段の対策がなければ、大変多くの人材不足が見込まれているところでございます。こうしたことから、多様な方々、多様な人材にまず介護福祉士になっていただけるような取り組みを進めていくと同時に、職場に定着していただく、あるいは離職を防止していく、こうしたことを進めていきたいと考えております。  まず、入職促進、介護福祉士になっていただくという観点で申し上げれば、誰もが介護の仕事につきやすい環境を整えるという観点で、求職される方、職を求められる方と介護事業所のマッチングを支援しております。また、資格がない方には、介護の資格取得費用の全額助成というようなことも行って対応しているところでございます。  また、職場の定着、離職の防止につきましては、業務改善を促し、また介護職員の負担軽減を図るといったような観点で、経営の専門家を派遣させていただく事業でありますとか、また子育て世代の介護職員の皆様方にも働き続けていただけるような環境を整える上で、施設内保育所の運営支援等を新たに創設して、職場への定着、離職防止に努めているところでございます。  こうしたさまざまな取り組みを通じて、保育士、介護福祉士の一層の確保に努力をしていきたいと考えております。  また、子育て支援税についてでございますが、安心して子育てをすることができる環境整備は大変重要でございますし、そのための財政的な裏打ち、こうしたこともしっかり考えていくことが重要というふうに思っております。しかしながら、税の導入ということは、県民の皆様方に御負担をいただくことにつながるわけでございますので、幅広い県民の皆様方の御理解が不可欠というふうに考えております。そうしたことから、まずは庁内におきまして、今後取り組むべき子育て支援策とその財源のあり方について慎重に検討していきたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)私には4点の御質問を受けましたので、それぞれ順次お答え申し上げたいと思います。  まず、養成校の充足率等でございますが、県内の保育士養成施設は8校ございますが、平成27年4月1日現在の学生定員1,380名に対しまして1,143名が在籍しておりまして、充足率は82.8%となってございます。  就職状況につきましては、長野市所管の養成施設2校がございますが、その2校を除きました6校について把握してございまして、平成26年度の状態で申し上げますと、保育士有資格者として卒業した407名のうち、県内に就職した方は346名となっておりまして、県内就職率は85%でございます。  養成校への支援についてでございます。  本年度、学費や入学金、入学準備金等の修学資金の返還免除型貸付制度の創設を予定してございまして、これによりまして保育士養成校の学生の負担軽減を図りますとともに、学生の確保、定員充足率の向上につなげてまいりたいと考えております。  また、「信州で学ぼう!魅力発信事業」等によりまして、この養成機関でございます短期大学、専門学校で学ぶ魅力を発信する支援などをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、保育士の復帰対策でございます。  保育士資格を有しながらも保育士として勤務していない、いわゆる潜在保育士の復帰対策につきましては、昨年度、潜在保育士掘り起し事業を実施したところでございます。具体的には、長野県での保育士登録者約2万5,000人に対しまして、就業支援に向けた実態調査を実施したところでございます。6,784人の方から回答がございました。この調査の回答にあわせまして、就業意欲のある潜在保育士から求職票の提出を受けまして、649人を福祉人材センターに登録をいたしました。こうしたことで市町村等の保育士確保の支援を行いましたほか、就職支援講習会を県下10会場で実施し、212人に受講をいただいたところでございます。  また、今年度復帰する潜在保育士の方に対する資金の返還免除型貸付制度の創設を予定してございまして、この実態調査により把握した潜在保育士に対しまして情報提供をしていくなど、具体的な復職につなげてまいりたいというふうに考えております。  次に、保育士の処遇改善についてでございます。  公立保育所の運営費は一般財源化されておりますし、民間保育所につきましては、全国一律の制度により国、県、市町村の財政負担及び利用者負担により運営されているところでございます。保育士の給与等処遇改善に県独自に取り組むことは、財源の確保に大きな課題があると認識してございます。保育士が処遇面においても魅力が感じられる職となりますよう、給与等抜本的な処遇改善につきましては、先ほども知事から答弁いたしましたとおり、引き続き国に要望してまいりたいというふうに考えております。  なお、人材流出の対策につきましては、本年度創設を予定しております県内保育所での継続勤務を条件といたしました返還免除型の貸付制度を広く周知し、多くの学生に利用を働きかけまして、学生の県内保育所への就職促進につなげてまいりたいと考えておりますし、また、人材確保、人材流入の面からも、長野県の豊かな自然環境や地域資源を生かしました信州やまほいくの取り組みを強化するなど、魅力ある信州の保育現場をPRしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)介護福祉士の確保対策について順次お答えいたします。  県内介護福祉士養成施設の定員は、11校465名でございます。また、平成27年度の入学定員に対する充足率は51.3%となっております。  卒業後の就職状況でございますが、27年度の卒業生250名のうち233名が福祉・介護職場に就職しております。この233名のうち227名、率にして97.4%が県内に就職しております。  次に、介護福祉士養成施設への県の支援についてお尋ねがございました。  県内の養成施設の入学者数はここ数年減少傾向にあり、将来の介護需要に対応した専門人材を育成確保していく上で入学者数の増加は重要な課題であると認識しております。そこで、介護福祉士養成施設への入学者に対する修学資金の貸付制度を希望する学生全員が利用できるよう、これまでの40人程度から今年度は70人程度まで事業を拡大したところでございます。  また、平成27年度から、養成施設が行うオープンキャンパスパンフレット作成等のPR費用に対して助成する介護の次世代育成促進事業を創設し、入学者数の増加に向けた取り組みを支援しているところであり、今後も各養成施設と連携を図りながら、入学者数の増加に向けた取り組みを支援してまいります。  資格を有しながらも介護福祉士として勤務していない、いわゆる潜在介護福祉士の復帰対策については、平成25年度より、就労していない期間の技術的な不安を解消するための復職支援研修会を就職相談会と組み合せて実施するなどの取り組みを進めております。27年度までの3年間で177人がこの研修会に参加し、現在求職中の方もおられますが、少なくとも48人が介護の仕事に復帰しているところです。  こうした取り組みに加えて、潜在介護福祉士等の復職を財政的に支援する再就職準備金貸付制度を創設し、今後4年間で1,300人以上の再就職を後押ししてまいります。加えて、29年4月から介護職員が離職する際の届け出制度が全国一斉に開始されることを受け、28年10月から県福祉人材センター福祉支援専門員を配置するなど、対策の強化を図ってまいります。  人材流出への対策についてお答えいたします。  県では、介護の職場の離職防止、定着促進に向けて、27年度末に長野県版キャリアパス・モデルとモデル給与規程、給与表を作成し、県内介護事業者に幅広く周知することで、各事業者のキャリアパスの構築を支援し、処遇改善を促しております。
     また、今年度新たに中小企業診断士や税理士、社会保険労務士などによる経営専門家派遣事業を実施し、働きやすい職場環境の整備等に向けた取り組みを支援しているところでございます。  大都市圏への人材流出への懸念につきましては、昨年度より、移住交流先として高いポテンシャルを持つ本県の特性を生かし、移住施策と連携した県外における就職説明会の開催を通じて、U・Iターン希望者の獲得に取り組んでおります。  今後も、こうしたさまざまな取り組みを通じて介護人材の確保に努めてまいります。  以上であります。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)御答弁をいただきましたけれども、とりわけ介護福祉士が465人の定員枠のところで250人ということですので、この対策をさらにお進めいただくことをお願いして、次に移ります。  次に、地方創生に不可欠な農業の維持振興策と、関係機関、制度の利活用について、農政部長に伺います。  農業を支える多くの仕組み、制度、機関がございますが、農地法、農業委員会法、農協法が改定されています。その中で、今後この農業、農協にどのような影響を与えるのか。現状の仕組み、制度をどう利活用して地域農業を支えていくのか。  以下、6点お願いします。  生産基盤の維持対策についてです。  土地改良区、農業委員会、農地中間管理機構等の関係機関や関連制度がございますが、この改正等を踏まえ、どのように利活用して生産基盤の維持を図っていくのか。伺います。  また、課題となっております畜産のクラスター事業の県内の現状はどうなっているのかお聞かせをいただきたいと思います。  二つ目に、人の問題でございます。従事者の確保対策です。  担い手への土地、施策の集中が政策的に進行しています。新規就農者の対策に加えて、集落営農によるものや定年帰農者等、多様な就農者が必要だというふうに思いますが、どのように確保していく方針かお示しをいただきたいと思います。  三つ目、新技術、新品種の開発について、新技術、新品種の開発と普及を、どのような国、県、民間の研究機関を利用してどのような視点で進めていくのか。伺いたいと思います。  とりあえずここで切ります。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)農業問題に対する御質問について順次お答えをいたします。  初めに、農地法、農業委員会法、農協法などの改正を踏まえた生産基盤の維持についてですが、県といたしましては、今般の法改正の趣旨である担い手が積極的に活動できる環境整備を関係機関と連携して進めることが重要と考えております。このため、市町村農業委員会に新たに設置された農地利用最適化推進委員と、県、市町村、JA、また農地中間管理機構などがチームを組み、担い手への農地の集積や遊休農地の発生防止などへの取り組みを強化し、地域農業の基盤である担い手の確保と農地の維持を進めてまいります。  また、畜産クラスター事業につきましては、地域の中心的な畜産経営体やJA、市町村などにより協議会を設立し、地域ぐるみで収益力の高い畜産を実現する取り組みでありますけれども、平成27年度は、3協議会において3億8,965万円の事業費により、畜舎や堆肥舎などの施設整備を実施しております。本年度は、TPP関連対策事業として拡充され、現在、3協議会の事業要望について国と協議を進めているところでございます。  また、担い手経営体が規模拡大等に取り組むための畜産機械リース事業につきましては、県は、全農長野や畜産関係機関・団体とともに信州畜産クラスター協議会を設立し、この支援に当たっているところでございます。  次に、多様な就農者の確保対策についてですが、本県農業の競争力を強化するためには、認定農業者、集落営農組織、新規就農者など効率的な経営体が本県農業生産の主体を担う構造となることが重要と考えております。このため、認定農業者の経営拡大への支援や、新規就農里親支援事業などによる新規就農者対策、また集落営農の法人化、組織化への支援助成を進めているところであります。  一方、農村を今後とも維持、活性化していくためには、定年帰農者やIターン者など多様な農業者の確保も必要と認識しております。本年度、これらの方々への支援として、農業機械や農業資材の購入資金に対して利子を助成する事業を新たに創設したところです。また、本年2月には、JA長野県グループと農村地域の暮らし支援に関する協定を締結しまして、相互に連携して農村コミュニティーの維持に取り組むこととしたところでございます。これら取り組みによりまして、多様な農業者が地域で活躍できる農業・農村づくりを進めてまいります。  最後に、新技術、新品種の開発と普及についてでございますが、今後の試験研究においては、国や各県の農業関係研究機関にとどまらず、農業分野以外の大学や企業、研究機関が持つ技術シーズを積極的に取り入れ、県内農業の体質強化、農産物のブランド化などに寄与する革新的な技術の早期開発と普及を目指すことが重要と考えております。  このため、農水省の研究予算を活用し、国や他県の研究機関、大学等と連携して技術開発を進めるとともに、平成27年度からは、農業分野以外の大学や企業と連携する信州農業を革新する技術開発推進事業をスタートさせ、水田畦畔除草機、レタス収穫機、フィルム状の太陽光発電装置などの開発を進めております。  また、7月1日には、多分野連携のマッチングフォーラムを開催し、さらに多方面にわたる企業、研究機関などと積極的に連携した研究開発に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)続いて、3点について伺います。  販売対策でございます。  大手の量販店の流通や価格に対する支配力が非常に強くなっております。その中で、県産品の販売確保、先ほども触れられましたが、ブランド化、また輸出拡大ということの中で、県はどのように臨んでいかれるか。御説明をいただきたいと思います。  また、県産農畜産物の輸出実績と重点輸出品目、またそのために必要な施設や仕組みをどのように構築するのか、どんな機関を利用していくお考えか。伺います。  続いて、価格安定対策です。  品目横断的経営安定対策におきます米・畑作物の収入減少影響緩和対策俗称ナラシ対策でありますが、27年産から収入源を補填する保険的制度がこのナラシ対策のみになったことの影響や評価を伺います。  二つ目として、Alic、独立行政法人農畜産業振興機構による畜産・園芸の収入補填対策に加えて、野菜等におきましては、長野県独自の価格安定基金制度で園芸産地と生産を維持してきたことについては生産者から高い評価を得ております。今後の国の制度設計にどのように要望しているのか、このAlicも資金的には畜産のほうに重点が移っていますが、TPPでここのところにもいろいろな影響が出ようかというふうに思いますので、この辺のお話をいただければと思いますし、県として独自で維持している仕組みをどういうふうに考えているのかお聞かせいただきたいと思います。  最後の質問でございます。  再生産確保対策について、いわゆるゲタ対策の県内における実績と評価、麦、大豆、ソバ等の畑作物が対象でございますが、これを伺いたいと思います。  二つ目に、農業共済組合を通じて自然災害に対します損害補填がなされ、再生産の確保が図られております。しかし、今、農業共済組合の組織再編が検討されておりますけれども、これによります機能の変更等がないのかお聞かせをいただきたいと思います。  以上です。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)順次お答えをいたします。  初めに、県産農産物の販売対策についてでございますが、JA長野県グループと連携した卸売市場へのトップセールスはもとより、おいしい信州ふーど(風土)を旗印とした首都圏などにおける商談会や、県内の旅館、ホテルで県産食材の活用を進める食の地消地産の取り組みなどにより、販路拡大とブランド化を進めてまいります。  また、農産物の輸出につきましては、平成29年度5億円を目標として取り組んでおりますが、平成27年度は前年対比184%の3億8,000万円余と年々増加しており、リンゴなどの果物や米を重点輸出品目と位置づけ、東南アジアを中心に輸出額の増加に取り組んでまいります。とりわけ、人気の高いシャインマスカットやナガノパープルなどのブドウについては、本年度から産地における鮮度保持施設の整備を支援し、輸出時期の長期化や輸出先の拡大につなげてまいります。  今後も、長野県農産物等輸出事業者協議会を中心に、輸出先の有力バイヤーを招聘した商談や現地でのフェアを開催し、継続的で安定的な商業ベースでの輸出を拡大してまいります。  次に、価格安定対策の部分の中の、初めに収入減少影響緩和対策の影響と評価についてですが、国は水田農業を担う農業者への支援の重点化を進めるため、米価などが下落した際に収入を補填する制度を平成27年産から米、畑作物の収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策に一本化し、規模要件を廃止した上で、交付対象者を認定農業者、集落営農組織等の担い手としたところでございます。  平成27年産のナラシ対策への本県の加入状況は、1,527件、1万3,281ヘクタールと、平成26年産の605件、1万1,052ヘクタールから大幅に増加しており、認定農業者への誘導や集落営農の取り組みが進んでいるものと認識しております。  一方、加入者負担が生じる、認定農業者となっていないなどから制度加入していない農業者も多い状況にあります。ナラシ対策は、担い手農業者の経営安定にとって重要な制度でありますので、引き続き市町村やJAと連携し、多くの農業者が制度に加入できるよう推進してまいります。  また、今後の国の制度設計についての御質問でございますけれども、まず園芸の野菜価格安定制度、また畜産の畜産価格安定制度につきましては、国に対しまして引き続き予算の確保と事業の拡充について要望しているところでございます。  現在、国では、全ての農作物を対象として、自然災害による収量減に加え、価格が低下した場合を含めた収入の減少を補填する収入保険制度の検討が進められておりまして、検討の中では対象者を青色申告者に限定すると言われております。県といたしましては、収入保険制度の創設に伴いまして、野菜価格安定制度や畜産経営安定制度などの既存制度に加入している全ての農業者が補償水準の低下や農家負担の増大など不利益を受けることがないよう、十分な整合を持って検討していただきたいということを国へ要請してきているところでございます。  また、県単の園芸作物に対する価格安定事業につきましては、これら国の動向を注視しつつ、生産者団体の意向を踏まえ、引き続き的確に対応してまいりたいというふうに考えております。  また、畑作物の直接支払交付金の実績と評価についてでございますが、平成27年産から交付対象者が担い手とされたことから、平成27年は申請件数が1,197件と前年の5,651件から大幅に減少しておりますが、一方、面積は7,271ヘクタールと、前年の7,554ヘクタールに対しわずかな減少にとどまっております。これは、集落営農組織や担い手農業者への集積が進んでいる結果と認識しておりまして、本制度は、水田転作作物としても重要な麦、大豆、ソバ等の生産の維持拡大につながっているものと認識をしております。  最後に、農業共済組合の組織再編についてでございますが、現在、県内四つの農業共済組合と県農業共済組合連合会及び国という3段階から成る制度になっておりますが、現在、各農業共済組合と連合会が合併し、国との2段階制とする1県1組合化に向けた検討が行われております。1県1組合化によりまして、業務の効率化、合理化、より迅速な損害評価や共済金の早期支払い、また事業運営基盤の安定化が図られるものと考えております。  合併後の新たな組合においては、組合員資格、共済事業の内容に変更はなく、また現在の組合事務所は存続し、職員数は現在数を継承すると聞いておりますので、農業共済組合の基本的な機能に変更はないものと認識しております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)いずれにしろ、制度の激変期でございますので、よろしく対応をお願いしたいというふうに思います。  最後に、松枯れ対策について御質問を申し上げます。  先般、植樹祭が行われ、森林の持ちますさまざまな価値が再認識されたことについては大変有意義であったというふうに思います。しかし、皆さんも御同様だと思いますけれども、信州の緑の松山が次々と赤茶色に変わっていくのを見るのは非常につらいものがございます。また、防災上からも大きな課題だと思います。  松枯れ対策は、従来からもさまざまな論議と対策が講じられていますが、県の現状認識、対応方針について、林務部長に以下5点伺います。  被害林の経年データと今後の予測、地域別の被害率はどうなっているのかお示しをいただきたいと思います。また、被害林の拡大実態はどうなっているか、また、何かと相関関係があるのかということです。  二つ目として、この被害林の伐採計画と害虫でありますマツノザイセンチュウ、これの媒介昆虫でありますマツノマダラカミキリの防除対策はどうなっているか説明をいただきたいと思います。薬剤散布や樹幹注入、薫蒸、防御帯の設置などありますけれども、どの程度なされていて、拡大防止効果がどのくらい出ているのかお伺いします。  三つ目としては、マツノマダラカミキリに対して有効な交信攪乱剤、コンフューザーと言いますけれども、これがあるのかないのか。また、あったら使っているのか。伺いたいというふうに思います。  四つ目として、マツノザイセンチュウは100年ほど前に北米から入ったということですが、私がアメリカを訪れた折は、かの地の松は非常に健在でございました。松は乾燥に強いものですから、松がなくなるともう砂漠化してしまうということで大変大事にされておりましたけれども、アメリカで松が健在だということは、マツノザイセンチュウに対する耐性種が自然淘汰の中で生き延びたものだというふうに思います。  日本においても、松枯れ耐性松の選抜や研究を国や県の研究機関、大学等で行っているのか。伺います。行っているとすれば、現状どの程度まで進んでいるか御説明をいただきます。  最後ですが、西日本の多くの地域のように、放置してというより放置せざるを得ず、結果的に松林から広葉樹や他の針葉樹等への樹種の変更を待つか、地域を限定してでも徹底的な対策を講ずるのか、県の方針はどうか、御説明をいただきたいと思います。  以上でございます。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)松枯れ対策につきまして、順次お答えを申し上げます。  最初に、被害の経年データ、被害の拡大実態についてのお尋ねでございます。  長野県の松くい虫被害は、昭和56年度に初めて確認されてから、平成20年度に6万立方メートルを超え、平成25年度にこれまでの最高となる約7万8,000立方メートルとなり、平成27年度でも7万立方メートルを超えており、今後も予断を許さない状況が続いております。  昨年度、塩尻市で新たな被害が発生いたしまして、この5年間で被害市町村も46から51にふえるなど、被害地域が広がる傾向でございます。  平成27年度の地域別の被害状況でございますが、上小、松本、佐久地域の順に被害が大きく、被害率につきましても、県全体の被害に対しまして、上小地域34%、松本地域29%となっておりまして、この2地域で全体の6割を占めている状況となっております。また、これまで被害の確認されなかった標高の高い地域への拡大が確認されておりまして、県の林業総合センターの分析によりますと、平均気温が高まるとマツノマダラカミキリの活動が活発化するなど、被害拡大の危険性が高まると指摘をされているところでございます。  次に、マツノマダラカミキリの防除対策についてのお尋ねでございます。  松くい虫対策は、市町村等との調整によりまして、県土の保全、または景観上などで重要な森林を守るべき松林として位置づけまして、被害の侵入を防ぐための防除対策を選択と集中により効率的、効果的に進めることを基本とさせていただいております。このため、守るべき松林におきましては、被害木の伐倒駆除に加え、薬剤散布、樹幹注入などの予防対策を重点的に実施しまして、その周辺松林では、伐倒駆除及び樹種転換などによる感染拡大対策を重点的に実施をしております。  平成27年度には、防除対策といたしまして、被害木駆除4万7,000立方メートル、薬剤散布は444ヘクタール、樹幹注入228本、樹種転換101ヘクタールに取り組んでいるところでございます。これらの実施によりまして、ここ3年間を見ますと、被害量の増大を食いとめるなど一定の効果は上げていると認識をしているところでございます。  次に、交信攪乱剤についてのお尋ねでございます。  交信攪乱剤は、合成した性フェロモンを被害区域に放出することで、異性の探索、発見を困難にしまして、害虫の繁殖率を低下させる病虫害防除の方法の一つでございます。しかし、マツノマダラカミキリ類を対象といたしました交信攪乱剤の研究は、国の研究機関では1980年代から行われておりますけれども、いまだ製品化には至っていないのが現状でございます。  本県でも、県の林業総合センターでマツノマダラカミキリの天敵となります微生物を利用した試験などを実施しておりまして、今後、こうした試験結果を十分に検証いたしまして、有効性が確認された場合には県下各地に普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、松枯れ耐性松の選抜や研究の現状についてのお尋ねでございます。  松枯れしにくい松の品種開発につきましては、国内では昭和53年度から松枯れ被害の大きい場所で生き残った松などから選抜を行うことによりまして、平成26年度までに375種の抵抗性品種が開発をされまして、苗木の生産が行われております。  本県では、平成16年度から、県の林業総合センターにおきまして、抵抗性品種の中から長野県の気候、風土に適した品種の評価、検証を行っておりまして、その結果を踏まえまして、平成30年度から種子の生産を行うことを目指して現在取り組んでいるところでございます。  次に、今後の被害対策の方針についてのお尋ねでございます。  県では、県内のアカマツ林約9万2,000ヘクタールのうち、約2割に当たります2万ヘクタールの松林を守るべき松林に定めておりまして、その周辺の松林を含めた約4万5,000ヘクタールの松林において、引き続き効率的かつ効果的な被害対策を実施してまいりたいと考えております。  それ以外の被害松林につきましては、他の樹種への更新を進めることも必要と考えておりまして、公共造林事業などを活用いたしまして更新に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。あわせまして、今後は更新の際などに伐採される被害材を木質バイオマス燃料等として有効利用する取り組みにつきましても積極的に進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)御答弁をいただきました。  長野県はマツタケの生産量が日本一でありますけれども、これが失われると、かつての西日本のようになってしまいますので、効率的に守るべきところはぜひ守っていただくことをお願いいたしまして、私の一切の質問を終わります。 ○議長(向山公人 君)次に、小山仁志議員。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)大北森林組合の補助金不適正受給事案にかかわる補助金返還請求等について、順次林務部長にお伺いいたします。  大北森林組合は、先月の通常総代会におきまして、長野県や市町村から返還請求をされている10億2,800万円余りの補助金返還計画を決定されました。この計画は、返済期間を本年度から2065年度までの50年間と設定されています。  県は、この返還計画に対し、役員の責任の明確化や新たな発想による事業展開等抜本的経営改善を進めるため、計画の見直しを行うよう同組合に通知されていますが、大北森林組合が示しました補助金返還計画について、県はどのように精査、検討されたのでしょうか。  また、返還計画の実現は、事業収益を上げていくことが大前提になりますが、同組合の事業再開の見込みはどのように捉えているのか。お伺いいたします。  返還計画を決定した先月末の総代会には、70名ほどの参加があったとのことです。補助金不適正受給事案が発覚後、一度も総会は開催されていないということですが、補助金の返還や役職員の責任問題、組合の再生につきまして、大北森林組合が組合員と一体となり、全体としての意識醸成を図る必要があると考えますが、県のお考えをお伺いいたします。  今定例会では、大北森林組合補助金不適正受給事案にかかわる国庫補助金の返還金等、現時点で見込まれる約11億5,300万円を補正予算案に計上されています。この財政的対処につきましては、大北森林組合に対し補助金返還請求しているものや、同組合に対する損害賠償請求等を財源として見込んでいこうとされています。  一方で、大北森林組合の補助金返還につきましては、その期間が長期にわたり、財源の見通しも不明確なことから、その実現性について疑問を呈する声もあり、公費損失の回復を図る財源として見込むことについて大変不安を感じますが、その実現性についての認識についてお伺いをいたします。  県は、大北森林組合に対し、昨年8月以降、4回にわたり、期限を設けて8億6,500万円の返還請求をしてきました。大北森林組合は、これまでに1,000万円返還していますが、同組合の資金難を踏まえ、履行期限を本年7月末まで延長し、返還計画などを踏まえ、改めて判断するということです。  7月末までの履行期限までに返還が困難となった場合には、さらに履行期限を延長するのか、また何を基準にその期間を設定、延長するのかについてお伺いをいたします。そして、履行期限までに返還ができず、さらに遅滞等が発生した場合、不適正受給発生当時の大北森林組合の役員に対し負担を求めること等も含め、どのように対応していくのかについてもお答えください。  大北森林組合補助金不適正受給事案に加え、他の2森林組合におきましても不適正事案が判明しました。県内18ある森林組合の賦課金団体であり、上部団体の長野県森林組合連合会の指導監督というものも再構築をしていく必要があると考えます。長野県森林組合連合会の監査機能強化を含め、経営指導の改善、再構築を図るべきと考えますが、県としてはどのように取り組むお考えなのか。お伺いをいたします。
     以上、林務部長からお答えをお願いいたします。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)大北森林組合に対します補助金返還請求についての御質問に対して順次お答えさせていただきます。  最初に、大北森林組合の補助金等返還計画についてのお尋ねでございます。  組合が策定いたしました補助金等返還計画は、従来の事業の延長線上で作成をされておりまして、返済期間が長期に及ぶものとなっております。県といたしましては、組合から報告があった役員の責任の明確化などの点もあわせ、人件費などの事業管理費の削減や効率的で収益力の高い事業活動の拡大など、徹底した経営改善が計画に反映されているかどうかについて精査を行ってまいりました。さらに、林務部改革推進委員会の委員の意見を踏まえた上で、その実現性、確実性の観点から、新たな視点で戦略的に事業経営を行うことが必要と考え、組合に対しまして、役員の責任の明確化、新たな発想による事業展開、徹底した管理費の削減、増資等による経営基盤の安定化などの観点から、経営改善を抜本的に進め、計画を見直すよう文書で通知をさせていただいたところでございます。  組合への県事業の再開の見込みでございますが、県の入札参加停止措置につきましては9月16日までとなっております。また、造林関係補助事業の再開につきましては、会計処理マニュアル作成等の再発防止に向けた取り組みでありますとか、補助金等返還計画の見直しなどについて組合がしっかりとした対応を行うことが重要であり、まだ判断できる時期ではないと考えているところでございます。  次に、大北森林組合の意識についてのお尋ねでございます。  大北森林組合が平成28年5月末に総代会を開催するに当たっては、総代と全組合員を対象とした地区懇談会を5市町村において10回開催いたしまして、200名を超える総代及び組合員が参加したと聞いております。しかしながら、県としては、大北森林組合に対し、抜本的な経営改善を進めるよう求めているところでありまして、新たな事業構想の構築や実現のためには組合員のさらなる協力が不可欠と考えております。大北森林組合が組合員の理解と協力のもとで自覚と覚悟を持ち、みずから考え決定し、地域の森林整備等の中核的担い手として再生することができるよう、議員御指摘の点も含め、引き続き指導してまいりたいと考えております。  次に、大北森林組合の補助金等返還の実現性についてでございます。  組合が策定いたしました補助金等返還計画等につきましては、その実現性、確実性の観点から精査が必要と認められることから、県といたしましては、抜本的な経営改善による計画の見直しを強く求めているところでございます。組合には、不適正受給した補助金を早期に返還する責務がありますので、新たな発想による収益性を高めた事業計画などにより、できる限り早期に補助金が返還されるよう厳しく指導をしてまいりたいと考えております。  次に、組合の補助金返還に係る履行期限の延長と履行遅滞時の対応についてのお尋ねでございます。  組合の補助金返還債務につきましては、組合が無資力に近い状態と認められ、補助金を直ちに一括返還することが困難な中で、計画的に補助金を返還させるために、3月25日、地方自治法等の規定に基づきまして、履行期限を7月29日まで延長する処分を行っております。  7月29日以降の対応につきましては、抜本的な経営改善を行うよう見直しを求めている補助金等返還計画などについての組合の検討、見直しの状況を踏まえた上で判断してまいりたいと考えております。  また、組合に対しては、できるだけ早期の返還を計画的に行うよう求めてまいりますが、仮に遅滞等が発生した場合には、法令に基づいて適切な債権回収に向けた対応を行ってまいりたいと考えております。  次に、長野県森林組合連合会の監査機能強化等についてのお尋ねでございます。  長野県森林組合連合会は、県内18森林組合の系統上部組織として、森林組合に対して森林組合監査士監査、事業指導等の事業を実施しておりまして、森林組合の経営改革を推進していく上で、その役割は極めて重要であると認識をしております。  県といたしましては、大北森林組合等の補助金不適正受給事案を受けまして、県内の森林組合の内部管理体制の整備を進めるため、長野県森林組合連合会に対しまして、森林組合のコンプライアンス体制構築のためのガイドラインの策定や森林組合の役員研修会の新たな開催など、経営指導体制の強化を促してきているところでございます。  また、昨年度に長野県森林組合指導方針を改正いたしまして、本年度から、森林組合に対し、常例検査の体制、方法を強化したことから、長野県森林組合連合会と相互補完をいたしましてより実効性の高い経営指導ができるよう取り組むとともに、企業経営の専門家等による森林組合の事業改善の支援等についても連携して取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)でき得る限り公費損失の回復を図っていくのは県の当然の責務であると考えますが、一方で、そのための財源についての実現性が現状においては大変不透明だというふうに感じています。組合とは粘り強く厳しく対峙し、指導していくことが求められますが、その一方で、前提となるのは、県がみずからの足元を見詰め直していく、単に法令遵守にとどまらないコンプライアンスの推進を徹底していただく姿勢にあるというふうに考えます。県民理解、そして信頼回復を担っていくには相当の覚悟を要するということを指摘させていただきたいと思いますし、そのための説明責任が問われています。  また、4,000人いらっしゃる大北森林組合の組合員の皆さんには、裏切られたですとか、あるいは置き去りにされているといったような気持ちを抱く人もいらっしゃいますし、事案を招いた体質を見過ごしてしまったという責任を感じている方もいらっしゃいます。ぜひ一体感の醸成へのなお一層の指導をお願いしたいと思っています。  本県の2,000人を超える林業就業者の3分の1が森林組合でお勤めになっています。各森林組合が補助金頼みの経営でなく、明確なビジョンとともに事業の展開がなされていきますよう、県としても森林組合連合会と一層の連携を図る中で指導監督責任を果たしていただくことを求めたいと思います。  続いて、介護人材の確保についてです。  県内の介護職員数は、平成26年の数字で3万4,000人ですが、2025年、平成37年には約4万6,000人が必要と推計をされており、年間で1,000人から2,000人の人材確保が求められることになります。  本県におきます介護職の有効求人倍率は、長野労働局によりますと、直近の数値で2.02倍と依然高い水準で推移をしておりますし、また、県内の介護福祉士養成校の入学定員充足率は、平成27年、51.3%と年々減少傾向にある上に、極めて低い水準となっています。現状における雇用のミスマッチを解消しながら、将来に及ぶ長期的な介護人材の確保をしていく取り組みが求められています。  本県におきましても、本年度、多様な人材の入職促進、資質向上、定着支援、離職防止に向けた新規事業とともに総合的な対策のメニューが組まれておりまして、当初予算におきましても、福祉人材確保対策事業としては2億6,700万円の予算となっており、これは前年度と比較し、約5,400万円の増加となっています。  介護人材の掘り起し、定着、離職防止を図っていくためには、介護職の労働環境の改善を図り、職場の魅力を高めることやイメージアップが求められますし、また、将来を見据えますと、若い世代へのアプローチを図っていくことも必要なことから、単に介護分野の課題として捉えるのではなく、労働雇用分野や教育分野とも緊密な連携を図っていくことが求められます。  本県におきましては、平成26年度に福祉・介護人材確保ネットワーク会議が設立をされていますが、その取り組み状況やその成果について、まず健康福祉部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)福祉・介護人材確保ネットワーク会議の取り組み状況や成果についてお尋ねがございました。  事業者団体や職能団体、長野労働局や県教育委員会を初めとする行政機関等が参画し平成26年度に設置いたしました福祉・介護人材確保ネットワーク会議では、これまでに、人材育成、確保・定着、イメージアップの三つの部会で人材確保策の検討を行い、各機関が連携して事業実施に取り組んでおります。  今年度からは、地域全体で課題に取り組むため、市長会、町村会に参画いただくとともに、求職者に対して人材育成や職場定着に取り組む事業者の情報を発信する認証評価制度について検証する部会を新たに立ち上げ、取り組みの強化を図っているところでございます。  これまでの連携の成果といたしましては、それぞれの事業所の採用力を高めるため、面接技術の向上に関するセミナーを長野県社会福祉協議会と共同で開催したほか、介護の仕事のイメージ向上を図る若者向けの啓発パンフレットを介護福祉士養成施設連絡会と共同で作成するなど、さまざまな取り組みを展開しているところでございます。  今後も、このネットワーク会議の枠組みを生かし、関係機関と連携しながら実効性の高い人材確保策を実施してまいります。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)各機関が参画されてのこのネットワーク会議ですが、ぜひ確かな成果にこだわった工夫の徹底をお願いしたいというふうに思っています。例えば、今お話しいただいた取り組みというものについても、やはりしっかりとした情報一元化への気配りを願いたいというふうに指摘をさせていただきます。  と申しますのも、本県より一足早く、平成24年度に介護人材確保に関する関係機関が参画された協議会を設置されたのが広島県です。広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会というもので、この協議会としてのホームページがふくし・かいごネットひろしまというものでございます。これが大変すぐれておりまして、知事にもぜひチェックをいただきたいんですが、こちらでは、事業者向けの情報や、あるいは求職者、資格を取得されようとする方への情報が掲載されておりますし、協議会が認証をした安心して働ける事業所の検索ができるようになっています。各事業所がどういった働きやすい環境の整備について取り組んでいるかの紹介がホームページで検索できるようになっておりまして、つまり情報が一元化をされていて、ポータル性がかなり高いホームページになっています。  一方で、本県のネットワーク協議会なんですが、社協さんのホームページに小ぢんまり、ちょこっとネットワーク会議とあるだけで、この一つの情報にたどり着くのにも、県のホームページに行ったり社協のホームページに行ったりと物すごく奥行きが深くて、閲覧者にとっては極めて不親切、不便な状況になっています。  ホームページがよければ全ていいとは言いません。しかし、介護についてのマッチング支援とかイメージアップ、あるいは一生懸命取り組んでいる事業所、法人への支援というのは、私はこういうことからもできるというふうに思っていますので、強く改善を求めたいと思います。  さて、平成25年の介護労働実態調査によりますと、本県の介護関係の離職率は11.5%となっておりまして、そのうち勤続1年未満が30.5%、勤続1年から3年未満が31.9%となっています。特徴的な離職理由として、専門性や能力を十分に発揮、向上できない、将来の見込みが立たない等が上げられており、介護職の処遇改善に結果として結びついていくキャリアパスを描けるような研修体制を図り、働きやすい環境をつくることが求められています。また、潜在的有資格者へのアプローチには、復帰率というような視点に立ち、受け皿のための多様な働き方の推進も求められます。  そこで、以下、健康福祉部長にお伺いをいたします。  本県では、県版のキャリアパスのモデルに基づき、その研修やキャリアパス構築に向けた支援を行っていますが、この普及状況についてはどのように捉えているでしょうか。  また、介護事業所におきましても、県が掲げる信州ならではの働き方の推進、いわゆる多様な働き方ができる職場環境の整備は、介護分野への多様な人材確保に向けましても大変有効な手段であると考えます。介護事業所における働きやすい職場環境の整備、ワーク・ライフ・バランスの推進等の状況についてどのように捉えているのか。お伺いをいたします。  将来の介護サービスの需要と供給に対し、継続的に対策を講じていく、あるいは必要とあれば拡充を図っていくため、戦略的に事業を実施していくための安定的な財源確保は課題の大きな一つになってくると考えます。福祉人材確保対策事業は、いわゆる消費税増収分を活用して設置をされました地域医療介護総合確保基金を財源の柱に据えています。このほど明らかにされました消費税増税の再延期に伴って、今後の財源への影響はどのように捉えているでしょうか。また、その影響への対応策についてもあわせて健康福祉部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)介護人材確保の推進について3点御質問をいただきました。  まず、キャリアパスの普及状況についてお答えさせていただきます。  本県では、平成23年度に長野県版キャリアパス・モデルを作成し、このモデルに基づき、初任者から管理者までそれぞれの職層に応じて必要な能力を身につけていただく福祉職員生涯研修を実施しております。平成27年度までの4年間で約7,700人に受講いただき、キャリアアップを支援しているところでございます。  しかしながら、平成26年度に県社会福祉協議会が実施した調査では、キャリアパスを構築し、運用している事業所の割合が5割程度にとどまっており、介護職員の離職防止、職場定着の観点から、さらなる取り組みが必要と認識しております。そのため、県では、キャリアアップを給与等の待遇に反映させることが必要との考えから、平成27年度末に長野県版キャリアパス・モデルに給与規程や給与の目安、人事評価制度の例を加えた長野県版キャリアパス・モデル完成版を作成し、公表したところでございます。本年度、この完成版を介護事業者向けの事業説明会や集団指導等において積極的に周知し、キャリアパス構築が進むよう一層の支援に努めてまいります。  次に、介護事業所における多様な働き方の推進についてお尋ねがございました。  平成26年度の介護労働実態調査によりますと、県内の介護事業所では、賃金、労働時間等の労働条件を改善している事業所の割合が約7割、業務改善や効率化等による働きやすい職場づくりに力を入れている事業所の割合が約4割と、いずれも全国平均を上回って取り組みが行われており、働きやすい職場環境の整備が一定程度進んでいるものと考えております。  しかしながら、県といたしましては、介護人材のさらなる確保定着を図ることが必要と考えており、今年度より新たに実施する業務改善を通じた多様な働き方の実現を目指す中小企業診断士や税理士などの経営専門家派遣事業や、子育て世代の介護職員が働き続けられる環境づくりを支援するための施設内保育所に対する運営費補助事業等を行いまして、働きやすい職場づくりをより一層支援してまいります。  次に、消費税増税延期の影響と対応についてお答えいたします。  消費税10%への引き上げが再延期されたことに伴い、本来、恒久財源を用いて加速されるべき医療・介護サービス提供体制の充実が少なからず影響を受けるものと認識しております。  しかしながら、この6月2日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランでは、新たな3本の矢の一つとして介護離職ゼロが掲げられ、介護の受け皿整備に加え、介護の仕事の魅力を向上し、介護人材の処遇改善、多様な人材の確保育成、生産性の向上を通じた労働負担の軽減を柱として、25万人の介護人材の確保に総合的に取り組むこととされており、これを実現するための介護人材の確保策の充実が示されているところでございます。  県といたしましては、国に対して必要な財源の確保を引き続き要望していくとともに、今後も国の動向を注視してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)介護事業所におけるキャリアパス等の導入も含め、働きやすい職場環境の整備については、事業所の大小で二極化の傾向にあります。つまり、小さい事業所ではそこまでなかなか手が回らないといった実態があり、そのことは離職率とも相関関係にあります。そして、小規模の事業所にとって、働きやすさ等でのアピールできるものがなく、採用等に影響して人材不足に陥ってしまう悪循環があることも御認識をいただきたいと思っています。  介護人材をめぐる課題は、他の労働市場との獲得競争、また地域間競争といった側面もあり、雇用のミスマッチを解消しながらの安定的な人材確保には大きなハードルを抱えています。そもそも労働力を1万人ふやしていこうということは、労働力人口に占める割合をふやしていくといった規模観を持たないと達成し得ないものと考えます。県が介護事業者や関係機関との緊密な連携を生み出していく主体として、なお一層積極的に役割を果たしていただくことが重要です。ぜひ実効性ある対策を講じるための施策の充実を求めまして、本日の私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(向山公人 君)次に、丸山栄一議員。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)それでは、順次質問をいたします。  最初に、ケアラー支援についてお伺いをいたします。  ケアラーとは、高齢者や障害者、病気の家族の介護や看護などを無償で行っている人を言います。高齢化が進み、介護を必要とする人の数がふえ続ける中、介護に追われ、自分のことになかなか気を配ることができずに、知らず知らずのうちに心や体が弱ってしまう人たちのサポートが求められております。  NPO法人が実施した調査によれば、介護、看病、療育、世話をしている人は、何と5人に1人という結果が出ております。向こう三軒両隣のうち1軒はケアラーという実態であり、気遣いのみを担っている人も含めますと、4人に1人以上という高い比率になってまいります。また、今ケアに従事していない人も決して無関心ではなく、その85%の人が将来に不安を抱えながら暮らしていることがわかったとありました。  厚労省の在宅医療・介護推進プロジェクトチームの研究によれば、2025年問題を迎える平成37年に在宅介護を必要とする方は、平成24年の1.4倍の463万人になると予測されており、ケアラーも当然ふえていくことが見込まれます。介護職の人材確保や介護施設の充実にも国や地方を挙げて取り組んでいただいておりますが、現実問題として在宅の介護や看護は24時間続き、休みをとることは難しいのが実情であります。気づかないうちに心や体が疲弊し、病院へ行きたくても時間がとれない人も多いと聞いております。生活が介護一色になり、仕事をやめざるを得なくなるなど、社会から孤立してしまう人も少なくありません。ケアラー特有の問題、ニーズを把握して、健康づくり支援をしていく必要があると考えます。県内のケアラーの実態についてどのように把握されているか。お伺いをいたします。  また、ケアラーの方の心身の健康づくりと孤立解消は喫緊の課題と考えます。孤立しているケアラーの方には地域の支え合いが重要であり、支援を必要としている人たちとどのようにつながり、求めている支援をどのようにしていくのか。今後の対策の御所見をお伺いいたします。  介護する人を支える手帳として、自分の心や体の健康と向き合うきっかけにしてもらうため、日本ケアラー連盟によりケアラー手帳がつくられ、その表紙には、「大切な人を介護しているあなたも大切な1人です。」と書かれております。あなた自身にもケアが必要だと呼びかけております。モデル地区として、北海道の栗山町や東京杉並区など、社会福祉協議会やNPOを通じて配布をされていると言われております。  この手帳が介護者を救う全てではありませんが、介護者と支援をする人たちがつながる仕組みづくりになる一つのツールになると思いますし、各自治体が導入を進めれば、介護者を定期的に訪問したり見守ったりするきっかけになるというふうに考えます。ケアラー手帳について、以上、健康福祉部長に御所見をお伺いをいたします。  次に、バリアフリー観光についてお伺いをいたします。  バリアフリー観光はまだ一般的ではありませんが、観光地でのバリアフリー化も高齢化社会において重要な課題であります。日本は、1970年に高齢化社会となり、急速な早さで進行しており、2020年ごろには65歳以上の高齢者人口が約3,300万人とピークに達し、その後も数十年間は少子高齢化社会が続くと言われております。  高齢化で拡大する老齢人口に対しては、福祉、介護マーケットなど多方面に及ぶビジネスチャンスが拡大しておりますが、旅行業界にとっても今後拡大していく市場でありまして、さまざまな取り組みが必要でございます。また、ヨーロッパでは、石畳の市街地や古い城跡など、物理的にバリアフリー化が困難なところが多いため、健常者が進んで障害者をサポートする心のバリアフリーが浸透をしております。  これらから本県の観光を展望したとき、本県を訪れる全ての観光客が安心して宿泊し、旅行を楽しめる環境を提供していくことが大切であり、とりわけ高齢者や障害者、外国人、ペット連れの方など、ニーズに応えていくことで新たな市場の拡大につなげていく必要があると考えますが、本県の取り組みと今後の対応についてお伺いをいたします。  自民党県議団においても、佐賀県の嬉野バリアフリーセンターに視察に行ってまいりました。嬉野バリアフリーセンターでは、高齢者、車椅子利用者、その他の障害者、外国人などさまざまな人にとって優しい温泉地を目指して、宿泊施設や商店街のユニバーサルデザイン化などのハードの整備に加え、温泉での入浴介護を中心に、宿泊施設の選定や予約、必要な介護機器のレンタルなど、ソフトの整備も進められておりました。また、温泉地の整備以外にも、市民参加型の福祉、教育、文化、スポーツに関するイベントや研修を開催するなど、多面的な活動を行っております。  高度成長期には、男性主体の団体旅行が主で、温泉地を中心に歓楽型の観光がもてはやされたわけでありますが、現在は女性主導の個人やグループの旅行が主になり、癒やし、くつろぎ型、体験型の観光が主流になってまいりました。今後は、超高齢化社会に入り、旅行のユニバーサルデザイン化、バリアフリー化が必要となり、満足から感動や幸福感を得る旅行が求められ、東南アジアや欧米からのインバウンドがさらに進んでいくと予想されるところであります。ユニバーサルデザインやバリアフリーの考え方は、顧客の感動や幸福感の醸成の基礎的なものになり、観光に限らず全てのビジネスの根幹的な考え方になっていくと考えますが、バリアフリーセンターについての御所見を観光部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)初めに、県内のケアラー、いわゆる介護者の実態について御質問がありました。  県では、平成25年度に、要介護者や介護者の実態を把握するための調査を実施いたしました。その調査結果によれば、在宅で要介護者を主に介護する方は、介護サービスのヘルパーが17.9%でありましたが、その一方で、子が31.3%と一番多く、次に配偶者が26.2%、子の配偶者が14.4%となっておりました。また、ヘルパーを除き、主な介護者の年齢は、65歳以上が46.3%であり、いわゆる老老介護も多い状況でございます。また、介護者が介護する上で困っていることとして、日中、家をあけるのを不安に感じる、精神的なストレスがたまっている、現在の状況を理解してもらうことが難しいなどと回答した者が多くなっております。  次に、介護者への支援についてお尋ねがございました。  介護保険制度においても、地域資源事業の中に家族介護支援事業が位置づけられており、市町村では、介護者同士の情報交換のための交流会の開催、リフレッシュのためのレクリエーションの実施、介護方法や健康づくりなどの家族介護教室の開催、認知症の人とその家族を支援する認知症カフェの設置、介護慰労金の支給などを行っております。  県としても、引き続きこれらの地域支援事業に対して財政的支援を行うとともに、今後、市町村を対象とした研修会において取り組みの紹介や情報交換を行うなど、介護者支援の取り組みの推進を図ってまいります。  次に、ケアラー手帳についてお尋ねがございました。  介護者に介護に必要な知識や技術、また悩みの内容に応じた相談窓口などの情報を確実に伝えていくことは重要であり、ケアラー手帳はそのツールの一つとして活用されているものと認識しております。  以上でございます。       〔観光部長吉澤猛君登壇〕 ◎観光部長(吉澤猛 君)バリアフリー観光につきまして二つ御質問をいただいております。  まず、バリアフリー観光への取り組みと対応についてでございます。  議員御指摘のとおり、年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して楽しめる旅行を提供するいわゆるユニバーサルツーリズム、これに対応できるバリアフリーの観光地づくりは、国内のみならず、海外からのお客様にも楽しんでいただけるような観光体験を目指す本県にとっても非常に重要なポイントであると認識しております。  県内でのバリアフリー観光地づくりの取り組み事例としては、富士見高原において、子供や高齢者、障害者と介助者、誰もが一緒に楽しむことができる野外体験プログラムを四季を通じて提供しております。その中で、アウトドア用車椅子「HIPPO」や、障害のある子供たちが楽しめるバイスキーを導入するとともに、ユニバーサルガイドの育成等も行っております。  県としましては、富士見高原の取り組みに対して、地域発元気づくり支援金による支援を行っているほか、県外の観光情報センターにおいて、車椅子で散策できる遊歩道のある県内観光地を紹介するなどの取り組みを行ってきております。  ユニバーサルツーリズムへの対応は、本県が目指す世界水準の観光地域づくりを進める上でも重要な視点であり、部局の枠組みを超えて進めていく必要があることから、先ごろ設置した県観光戦略推進本部の中で取り組んでまいりたいと考えております。  2問目がバリアフリーセンターについてのお尋ねでございます。  議員から御指摘がございました嬉野バリアフリーセンターは、嬉野市や観光協会等が連携協力しながら、温泉地のバリアフリー化をハード、ソフト両面で進め、これまで温泉旅行を諦めていた高齢者や障害者などの受け入れを可能としたことが高く評価され、平成26年度の国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰を受賞しております。  観光庁が平成26年に作成したマニュアルでは、ユニバーサルツーリズムの普及促進には、地域のバリアフリー情報の収集と発信、行政、観光、宿泊、福祉等の関係者のネットワーク化、そして観光地での受け入れ拠点づくりが重要であると報告されており、バリアフリーセンターがその中核的な組織として重要であると考えております。  県としましては、ユニバーサルツーリズムに対応できるバリアフリーの観光地づくりを進めるために、現在各地域で設立の動きが出てきている地域DMOの中にバリアフリーセンターの機能を担っていただけるよう、県DMOや地元市町村とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)それぞれ御答弁いただきました。
     ケアラー支援につきましては、全国で要介護認定を受けた方は、平成27年7月時点で615万人であり、国民の20人に1人が認定されることとなります。認定者の数は、この10年で5割ふえております。高齢化が進み、介護を必要とする人たちがふえ続ける中で、介護に追われる人たちのサポートが今求められております。適切な対応をぜひお願いをしておきたいというふうに思います。  バリアフリー観光についても、それぞれお取り組みをいただくということでございますが、長野県も温泉地が全国で2番目に多いというふうに言われておりますが、小さい温泉地が多いということであります。こういったバリアフリー観光については、旅行者の気持ちに寄り添ったきめ細かな受け入れ態勢を構築することにより、民間宿泊施設の魅力向上とあわせて、本県の観光を押し上げていく原動力となるというふうに思います。急激な高齢化社会に対応したバリアフリー社会の構築について、積極的に対応いただきますことを心よりお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、改正道路交通法についてお伺いいたします。  自転車は、幼児期においては保護者とともに遊び道具として使われ、その後、買い物や通勤、通学、子供の送迎など身近な移動手段や、サイクリングなどレジャーやスポーツなど多面的に利用されているわけであります。さらに、自転車は温室効果ガスを出さない環境負荷の低い移動手段であり、高齢化の進展等を背景とした健康の保持増進や体力の向上といった意識の高まりを受け、その利用が非常に高まっており、国内では約7,000万台が登録されていると聞いております。  一方で、自転車は身近な移動手段であるがゆえに、車両という意識が薄くなりがちであり、歩道等において自転車関係法令を厳守せず、歩行者に危害を及ぼすおそれがある自転車の利用が増加しており、自転車利用者だけでなく、歩行者の大事な命を守っていくためにも、交通安全に対する教育を通じ、意識の向上や事故への備えを進めていく必要があるわけであります。  近年、自転車の交通事故件数は減少傾向というふうに聞いておりますが、昨年の改正道路交通法の施行に伴いまして、自転車運転中に一定の危険な違反を繰り返した者を対象とする講習会が導入されました。自転車の取り締まりの強化を求める人たちにとっても、自転車の利用者にとっても、ルールを守る意識を改めるいい機会となったというふうに思います。この改正道路交通法の改正に至った経緯と改正点、講習内容についてお伺いをいたします。  あわせて、県内の自転車事故の発生状況を警察本部長にお伺いをいたします。  ルール違反の行き着く先は交通事故であります。近年は、運転中に携帯電話を使用し、スマホを見ながら運転する危険行為も目立ちます。警察庁によりますと、昨年1年間で自転車事故数は約9万8,000件で、交通事故全体に占める割合は約18%というふうになっております。危険な違反者に対する講習制度が始まり、ルール厳守が叫ばれる中で、警察官によるきめ細かな注意や指導あるいは声かけは、ルールを守っていこうとする自覚を促し、交通事故が減少することにつながるというふうに思います。  自転車運転者講習制度が始まり1年が経過いたしましたが、改正以前と比べ、効果と現状、今後どのような取り締まりや指導を行っていくのか。警察本部長にお伺いをいたします。  自転車の安全な乗り方を定着させるには、子供のころから正しいルールやマナーを身につけることが重要であります。自転車安全教室を実施していただいているところでありますが、1960年に道路交通法が制定され、当初、自転車走行は車道と位置づけられておりましたが、車との事故がふえたことから、1970年には自転車走行区間の整備を後回しにされながら、自転車の歩道通行可という例外をつくりました。その後、40年が経過をいたしまして、今度は自転車と歩行者の事故が問題となり、2011年に改めて自転車は車道という通達を出して、今回の路側帯での右側通行禁止になったところであります。  大人も困惑している方が多いというふうに思いますが、今回の改正でも、歩道を通行できる条件の一つとして、運転者が13歳未満もしくは70歳以上、または身体に障害を負っている場合歩道を通行できます。小学生時の自転車安全教室でのルール指導から中学校時の対応に至る関係機関の連携が大変重要になってまいりますが、児童生徒に対する指導と対応について教育長にお伺いをいたします。  また、自転車と歩行者の衝突事故でも、死亡事故に至り、多額の損害賠償が発生することもあることから、万が一に備え、保険に加入することが望まれます。しかし、ほとんどが個人賠償保険での対応と承知しておりますが、自転車保険の加入状況と促進対策について、県民文化部長にお伺いをいたします。  兵庫県において、男子小学生が夜間自転車で帰宅途中に歩行中の女性と正面衝突し、被害者は意識が戻らず、監督責任を問われ、母親に9,000万円を超える賠償命令が下されました。そんなことから、高額の賠償を伴う深刻な自転車事故の増加を背景に、兵庫県では、自転車を購入した人に保険への加入を義務づける全国初の条例が施行されました。  全国の条例制度の状況と、本県においても同様な条例をつくるお考えはあるか。知事にお伺いをいたします。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)改正道路交通法に関連いたしまして、大きく2点、お答えいたします。  まず最初に、改正に至った経緯、改正点につきましては、自転車が関与した交通事故が全国で年間13万件以上発生し、その6割以上で自転車の側に法令違反が認められる上、交通事故に直結する危険な行為が繰り返されていることから、道路交通法を改正し、信号無視など指定された14項目に該当する危険行為により3年以内に2回以上検挙された運転者に対して、公安委員会が講習の受講を命ずる制度を新設し、受講命令に従わない場合は5万円以下の罰金が科されることになりました。  次に、講習の内容につきましては、自転車運転者としての質の向上に関すること、自転車の運転について必要な適性などの講習により、自転車の安全運転の大切さについての気づきを促すなど、その特性に応じた講習となっており、講習時間は3時間となります。  県内の自転車事故は、昨年6月からの1年間で、全事故のおおむね10%に当たる931件が発生しており、6名の方が亡くなっております。また、自転車と歩行者の事故などで11件を検挙しております。  続きまして、自転車運転者講習制度の効果でございますけれども、効果につきましては、発生件数でマイナス135件、死者でマイナス2人、傷者でマイナス131人と、いずれも前年同期比マイナスで推移しており、事故抑止に一定の効果があったものと認められます。  次に、自転車運転者講習の運用状況につきましては、全国における講習受講者は24人と承知しておりますが、当県における講習受講者はありませんでした。何らかの交通違反をした自転車運転者に対しては、イエローカードと言われる自転車指導警告票を交付しての指導・警告を行い、さらに交通事故に直結する危険な行為を行う者に対しては厳しく取り締まるほか、関係機関と連携の上、スタントマンに交通事故の実演をさせて疑似体験させる、いわゆるスケアード・ストレート教育技法等の交通安全教育を充実させて、交通ルールの周知徹底を図ってまいります。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)自転車走行に係る児童生徒への指導と対応でございます。  児童生徒の自転車安全走行につきましては、保健体育の授業や特別活動での交通安全教室において、関係機関の協力も得ながら、自転車の点検整備のほか、ヘルメットの着用、2人乗りや並列走行の禁止などの交通ルールや運転マナーを心身の発達段階に応じて指導しているところでございます。  また、法改正などによりまして交通ルールが変わった場合などには、より丁寧に指導しているところでございます。昨年6月の道路交通法の改正によりまして、歩道への自転車乗り入れ禁止などに違反する危険行為を繰り返した場合には、14歳以上の者は自転車運転者講習の受講義務が課せられることになりました。このように、14歳、中学生は制度の境目でもありますので、中学校においては交通事故ゼロチャレンジ実行委員会が作成するリーフレット等も活用し、法改正の内容を徹底して指導しているところでございます。  引き続き、県警察本部を初め、PTA、関係機関と連携を密にして、交通安全教育を推進してまいる所存でございます。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)自転車保険についてのお尋ねでございます。  自転車に関する保険にはさまざまなものがございますが、大きく分けまして3種類に分かれております。一つには、自転車の利用者、いわゆる人を対象としたもの、二つに、自転車の車両を対象としたもの、三つに、自動車の任意保険に付加する個人賠償責任特約によるものがございます。このような保険が多くの保険会社から販売されておりますことから、自転車保険の加入状況につきましては公的な数値がなく、他県や民間団体が実施いたしましたアンケート調査によりますと、加入率はおおむね4割と推計されているところでございます。  加入促進の取り組みといたしましては、本県におきましては、学校でリーフレット等を配布し、自転車通学の生徒を中心に保険加入を呼びかけておりますほか、交通安全協会では点検整備が保険と一体となったTSマークつき保険を推奨するなどの対応をしてきているところでございます。  本年5月に策定をいたしました第10次県交通安全計画におきましても、保険への加入促進を掲げており、県民の保険加入意識の醸成を図るとともに、関係機関・団体等との連携を図り、一層の加入促進を進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)自転車に関する条例についての御質問でございます。  県警本部長から御答弁申し上げましたように、本県においても自転車による加害事故が発生しております。今後、高額な賠償事例の発生も懸念されるところでございます。また、自転車は環境負荷の低い移動手段でありまして、本県が推進していますアウトドア観光での活用、あるいは健康増進といった側面からも、その役割はこれからますます高まっていくものというふうに考えております。  いわゆる自転車に関する条例につきましては、自転車が加害者となる事故の増加、あるいは高額な損害賠償事例を契機といたしまして、自転車の安全で適正な利用に関する条例の制定に取り組む自治体が全国的にふえてきている傾向にあります。現在、九つの都府県で条例が制定されているというふうに承知をしております。  私といたしましては、自転車の安全で適正な利用と保険加入によります県民生活の安心確保、これを基本としつつも、観光振興や道路環境の整備等も視野に入れた長野県らしい条例を制定してはどうかというふうに考えておりまして、今後、条例づくりに向けた具体的な検討に着手をしていきたいと考えております。  以上です。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)それぞれ御答弁いただきました。  条例制定につきましては、大変前向きな御答弁をいただきました。ぜひお願いをしたいというふうに思っているところでございます。  また、こういったいろいろな観光とか産業発展のためにも、これをしっかり利用しながらやっていただきたいというふうに思っております。便利で気軽な乗り物である自転車でありますが、法律上軽車両に当たり、ルール、マナーを知らない人も大変多く存在します。これからも、さらに関係機関と連携しながら、各世代における交通安全教室や各種イベント等において広報啓発をお願い申し上げまして、質問を終わります。 ○議長(向山公人 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時39分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(下沢順一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  堀内孝人議員。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)自由民主党県議団、堀内孝人です。  午前中に埋橋議員さんから同じ御質問がありましたが、重なるところもあるかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。  最初に、松くい虫被害、また対策について。  6月5日、天皇皇后両陛下をお迎えし、第67回全国植樹祭が開催されました。全国植樹祭は、戦争で荒廃した国土の緑化を目指し、昭和25年に始まり、県内開催は昭和39年の茅野市以来52年ぶり、長野県では2回目の開催でありました。阿部知事は、信州を森林県から林業県へ転換を加速させ、豊かな森林を次の世代に確実に引き継いでいくと決意を述べております。  また、8月11日は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日、国民の祝日「山の日」が制定されました。私たちの貴重な財産である豊かな森を次世代に引き継ぐことの大切さを痛感しております。  長野県の約8割が森林に覆われ、この6割が民有林であります。4割が個人有林、民有林の約6割を針葉樹が占め、この5割がカラマツ、また人工林のアカマツが4万5,000ヘクタール、民有林アカマツが9万2,000ヘクタール、国が1973年に制定されました松くい虫特別防除や、約20年間にわたり松くい虫被害対策特別措置法など時限立法に基づき、以前より空中・地上薬剤散布、伐倒駆除などに毎年莫大な費用を投入して、被害防止対策の徹底を図ってきました。空中ヘリコプター散布がいろいろな兼ね合いから現在できなくなってきているのも大変問題であります。里山の木々も新緑となってきましたが、松くい虫の被害が各地で多発しております。  しかし、年々拡大、松くい虫被害は依然として我が国最大の森林病害虫であり、北海道を除く46都道府県で、地球温暖化により北へ北へと松枯れ被害が北上してきているのも事実でございます。この量は、胸高直径30センチ、樹高20メートルの立ち木に換算すると、およそ150万本の松が1年間に枯死していることになりまして、日本の平均的な木造家屋に換算すると、7万5,000戸分に相当するそうであります。先ほどの答弁では、木質バイオマス利用とありましたが、この被害木の大部分は再利用されることがなく、各市町村の山林に放置されているのが現状であると思っております。  松枯れは、松くい虫という昆虫が松を枯らしているわけではなく、この枯損は昆虫ではなく線虫という微小な生物がもたらす病気によるもので、松材線虫病というのが正式な名前だそうです。ただし、行政用語としては、運び屋のマツノマダラカミキリのことを松くい虫と称しております。もともと日本にはおらず、北アメリカから持ち込まれた侵入生物で、この線虫がもたらす病気、松材線虫病によって日本全体の松林は崩壊の危機にありますが、人間が積極的に保全しなければ、松林の維持は極めて難しくなってきています。  枯れ木がふえたため、繁殖を防げるものがなく、爆発的にふえる条件が整っております。放置すれば被害は広がるのみ。第1位の鹿児島県に次いで、長野県は第2位。管理をしっかりすれば森林はどんどん育つ。環境にも、また経済、観光にもプラスになればいいと思っていますが、ある企業では、小鳥が飛んでくるような町にしたいと思っている企業もありまして、地域と相談しながら喜ばれるようにしたいと、社会貢献への意欲は尽きないと頑張っているそうであります。  観光立県と言われる長野県、「山の日」も8月11日に第1回が開催されますが、松枯れが県土で大発生している中、被害の状況を踏まえ、何人かの関係市町村議員も松くい虫について大変危惧しておりまして、質問が出ているそうであります。早急に関係市町村と十分な調整を図りながら総合的な防除対策を実施していかないと、美しい景観を形成していく上でも、自然環境、社会環境の保全、また農業その他に被害を及ぼさないようにするため、必要な処置、予防対策を講じてほしいと願っております。  そこで、池田林務部長にお伺いします。  最初に、平成27年度の被害材積も7万立方メートルを超える見込みであるということであり、過去最大となった平成25年度から依然として高い状態にあり、憂慮すべき事態であると思うが、原因はなぜか。  また、松本北部地域、長野自動車道沿線でありますが、被害が最も深刻な状態であり、上小の被害量がさらに多く、次いで松本、佐久地区の順となり、塩尻市でも被害が確認されました。ほか、各市町村でも被害木が大変多く見受けられるようになっております。倒木のおそれがあったり、また有害鳥獣被害防止柵の上に枯れ松が倒れ破損してしまう等、各地方事務所、市町村関係機関が連携した広域的な取り組みを一層推進していくとあるが、どのような取り組みと、今後の対策はどのようにしていくのか、お伺いいたします。  また、樹種転換につきまして、上山田地区、中川村等、また植樹祭のときにもこんな考えで植樹したと思っておりますが、今後の予定はどのようにしていくのか。  また、今後の薬剤散布事業についての考えはどうか。  須高地域におきましても、松の赤が大変目立つようになりました。散布、駆除に対して、高山村の山林も、また近くの須坂市坂田山共生の森、また、さくら100選の臥竜公園ですが、松の名松100選にも選ばれており、その臥竜公園でも松くい虫が出始めております。今月1回、来月1回、2度にわたり松くい虫防除の農薬散布の予定がありますが、長野県内各地での薬剤散布はどのようにしていくのか。お伺いいたしたいと思います。       〔林務部長池田秀幸君登壇〕 ◎林務部長(池田秀幸 君)松くい虫被害対策についての御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  最初に、松くい虫被害が多く発生している原因についてのお尋ねでございます。  主な要因といたしましては、県の林業総合センターの分析から、近年、気温の上昇によりまして松くい虫被害を拡散されるマツノマダラカミキリの活動が活発化いたしまして、被害区域が周辺へと拡大するとともに、これまで被害が発生しなかった標高の松林にも拡大していることが被害が減少しない要因となっていると推定しているところでございます。  次に、関係機関が連携した広域的な取り組みについてのお尋ねでございます。  現在、松くい虫対策につきましては、守るべき松林への松くい虫被害の侵入を防ぐために、防除対策を徹底すべく取り組んでおります。これを効率的、効果的に進めるため、各地域に設置されております県、市町村、森林管理署、森林組合等関係者で構成いたします松くい虫防除対策協議会におきまして、被害木の一斉調査の実施、被害木駆除等を適期に実施するための労務等の調整、安全かつ効果的な空中薬剤散布実施のための調整、松くい虫防除方法や技術の定着を図る現地研修でありますとか、研修会の実施等につきまして連携して取り組んでいるところでございます。  また、県といたしましては、未処理のまま放置をされ倒木となってライフライン等に影響を与える可能性のある危険な枯損木につきまして、今年度から、道路、鉄道、電力などの関係機関と県、市町村、森林組合等による会議を立ち上げまして対策を検討するとともに、それに沿って市町村等が実施します伐採処理への補助を開始することとしております。  次に、樹種転換についてのお尋ねでございます。  樹種転換は、守るべき松林の周辺におきまして、アカマツ林を伐採し、他の樹種の森林を造成することによって、マツノマダラカミキリの侵入を防ぎ、被害の拡大を防止する有効な手段でございます。しかし、その効果を発揮するためには、一定のまとまった規模で樹種転換を行う必要がございまして、森林所有者や地域に対し、市町村と連携した丁寧な説明による合意形成が重要となっております。  樹種転換は、伐採されるアカマツ材を有効利用できる利点もあることから、引き続き森林所有者や地域の御理解をいただきながら、実施効果が高く、優先順位の高い場所から計画的に実施してまいりたいと考えております。  次に、松くい虫防除のための薬剤散布についてのお尋ねでございます。  マツノザイセンチュウへの感染を防ぐ薬剤散布は、松くい虫被害の侵入の予防対策として有効な手段であると認識をしております。一方で、実施に当たっては、長野県防除実施基準等に従って、薬剤の飛散による人の健康などに影響を及ぼすことのないよう、特に注意して実施することが必要となります。市町村等では、地域の皆様にこれらを踏まえた情報提供を行って、地域での合意形成が得られた箇所において実施をしておりまして、平成28年度には21市町村、415ヘクタールで実施をされる予定となっております。  県といたしましては、今後も、県下各地域において、その地域に適した効果的な方法で安全に実施されるよう、実施主体となります市町村等に対しまして補助や助言を行うなど、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)いずれにしましても、長野道を走っていると、赤の色が年々加速しておりますので、いろいろな手だてを考えていっていただきたいと思います。  次に、県立武道館の整備についてお聞きいたします。  県内では、柔道、弓道や剣道などの競技団体でつくる連絡協議会は、平成22年に17万人の署名を添えて建設を要望するなど活動を続けてきました。県総合5カ年計画(平成25年から29年度)で、あり方を検討する方針を明示、県立武道館が必要と結論づけになりまして、議論され、基本構想が本年5月にまとまり、発表されました。  都道府県立武道館がないのは、長野県、福島県、新潟県、京都府の4府県のみで、聞くところによりますと、新潟県は建設の準備を進めているそうであります。  長野県は、平成31年度中に供用開始を目指して、武道振興の拠点として、スポーツによる元気な信州づくりの新たな一歩を踏み出すとありますが、弓道場の計画と相撲場は、既存施設の充実や有効活用を含め検討するとあります。また、文化活動など多目的な利用にも配慮していただき、北信越地区レベルの大会開催も可能に、また規模や機能も充実した施設にしていただきたいと思います。  長野県の武道競技人口、約10団体を見ますと、剣道がおよそ1万1,600人、弓道が4,600人、柔道が3,050人、ほか太極拳3,000人、合気道1,000人と続いております。今回の県立武道館建設につきまして、弓道は武道競技人口が2番目に多いにもかかわらず弓道場建設がないのがどうしてかお伺いしたいと思いますが、原山教育長にお伺いしたいと思います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県立武道館への弓道場整備についてのお尋ねでございます。  県立武道館における弓道場整備の是非につきましては、昨年度設置いたしました県立武道館基本構想検討会議におきまして、県立武道館として望ましい機能、規模を検討する中で議論をされ、既に県営施設として弓道場があることから、その充実や有効活用を含め検討すべきとの報告をいただいたところでございます。  県営の弓道専用施設である県営飯田弓道場は、平成4年に飯田運動公園内に整備され、10人立ちの近的射場及び6人立ちの遠的射場並びに観客席350席を備える全国でも有数の弓道専用施設でございまして、北信越国体を含め各種大会に利用されるなど、本県における弓道振興の中核的施設として利用されておりますことから、検討会議の報告も踏まえ、県としてはこの県営飯田弓道場を引き続き活用することとし、県立武道館には整備をしないこととしたところでございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)高校生の部活動を見ても、弓道は大変人気種目であります。県立武道館の隣接地に弓道場を建設するお考えがありますか。教育長にお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県立武道館に隣接した弓道場整備というお尋ねでございますが、先ほどの質問でお答えしたとおり、弓道につきましては県営飯田弓道場を中核的施設として活用するため、新たに弓道場を設置する考えはございませんが、今後、弓道関係者の御意見をお聞きしながら、県営飯田弓道場が今後も武道振興の中核的施設として活用されるよう、施設管理者である建設部と協議してまいりたいと考えております。 ○副議長(下沢順一郎 君)次に、中川宏昌議員。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)教育現場における政治活動についてお伺いいたします。  6月17日付産経新聞では、長野市内の認定こども園で、本年4月にある団体が安全保障関連法の廃止を呼びかける署名文書が園児を介して配布されたとの報道がされております。また、昨年11月12日のしんぶん赤旗では、「主権者は私たち 戦争法廃止、立憲主義の回復へ 声をあげよう」と呼びかけたビラを望月高校前で配布した模様や、18歳選挙権の施行に伴い、県下各高校の校門前でビラやチラシを配布したと報じられております。  認定こども園は、教育現場の中での事例であり、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」との教育基本法に抵触いたします。今回の事例は、長野市が認定した認定こども園でありますが、今後の再発防止策について、他の市町村の認定こども園を所管している県民文化部長に見解をお伺いいたします。
     また、高校での事例は、学校周辺での活動でありますが、こうした行為自体が教育現場の環境として望ましいかとの議論もありますが、私は、一定の配慮が必要と考えます。さらに懸念されるのが、学校教職員による関与であります。校外で配られたこうしたビラについて、教員が学校で取り上げ、その政治活動に賛同のコメントをするようなことはあってはならないと思います。義務教育課程、高校でそのような事例は報告されていますでしょうか。また、そのような事例を招かないための政治的中立を保つための対策をどのように講じているのか。教育長にお伺いいたします。  次に、災害時の情報伝達手段についてお伺いいたします。  今月の初旬に熊本県を訪問させていただきました。この数日は、集中豪雨による被害が発生しており、被災をされている皆様に改めてお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。  東日本大震災、熊本地震、また近年長野県で起きた地震や自然災害等を見ても、今まで経験したことのない災害であり、改めて防災・減災対策に力を注いでいくことは言うまでもありません。  発災直後に重要なことは、いかに多くの方に情報伝達をしていくかであります。  内閣府が実施した「東日本大震災時の津波・避難情報の入手に関する調査」によると、津波警報や避難に関する情報を見聞きした人は約半数にとどまっておりますが、そのうち、主な情報の入手先として約半数の人が防災行政無線から情報を入手しており、災害時の情報伝達として整備されている防災行政無線の有効性が明確となっております。  テレビや携帯電話等での情報入手もありましたが、防災行政無線の次に多かった情報入手先は、実はラジオでありました。総務省も、東日本大震災において災害情報の提供などラジオ放送が大きな役割を果たしたと評価しております。  そのラジオでありますが、今、大きな動きが出てきております。AMラジオ放送については、従来の地理的・地形的難聴や外国波の混信に加えて、建築物の高層化、堅牢化や電子機器の普及等による都市型難聴の増加も顕在化してきており、解消手段としてFMによる補完放送が始まりました。また、国土強靱化計画でも、住民の災害情報の入手手段として大きな役割を果たすラジオ放送が災害時に放送の中断がないよう、FM補完局や予備送信所の整備の対策を推進する必要があるとされております。  さて、長野県内を見たとき、県内の高速道路のトンネルや県道の長大トンネルの中では、その多くがAM波は受信できても電波の特性が見直されたFM波は受信できないトンネルであり、防災・減災対策として一刻も早い対応が望まれます。昨年11月の危機管理委員会で、私はこのことについて指摘をさせていただき、危機管理部側からも、大変重要な指摘であるため、これから事業者と詰めていきたいとの答弁もいただいているところであります。県内のトンネル内FMラジオ不感対策を危機管理部長にお伺いいたします。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)認定こども園における政治活動についてのお尋ねであります。  今回の事案がありました長野市の認定こども園は、幼保連携型認定こども園でございまして、教育基本法に定めます学校に当たりますことから、政治的活動はしてはならない施設でございます。  再発防止につきましては、市町村の主管課長に対しまして通知を発出したところでございますけれども、政治的中立性に対する疑惑を招くことがないよう、指導を徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教員が生徒に対して特定の見解を述べることの懸念についてでございます。  まず、議員御指摘のような事例の報告はございません。その上で、教員は自身の個人的な主義主張を避けて、中立かつ公正な立場で指導すべきものであり、生徒に対して教員が特定の見解を自分の考えとして述べることについては、教員の認識が生徒に大きな影響を与える立場であることから避けなければならないところであります。  国が作成した主権者教育の指導資料に加えまして、県教育委員会が県選挙管理委員会と連携して作成したリーフレットを各校に配布し、政治的中立性を確保するよう指導しているところでございます。  また、学校の教員にかかわる政治的活動の禁止等については、教育基本法、教育公務員特例法等さまざまな法令で規定されており、このことを踏まえて、県教育委員会では、選挙が行われるたびに、全ての公立学校長に教職員の服務規律の確保に努めるよう通知し、指導しているところでございます。       〔危機管理監兼危機管理部長野池明登君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登 君)災害時の情報伝達手段についてでございます。  トンネル内でラジオを受信できるようにする設備は、火災その他の非常の際の連絡や危険防止、事故の拡大防止のため、トンネルの長さ等に応じましてその設置が求められているものでございます。この基準と道路管理者の判断により、ラジオ用設備が設置されている県内トンネル86カ所のうち、AMラジオ、FMラジオの両方が受信できるトンネルは19カ所という状況でございます。  高速道路を管理するNEXCO中日本及び東日本では、トンネル内FMラジオ用設備の整備につきまして、高速道路利用者へのサービス向上を目的に、既設設備の更新にあわせ整備するなど、順次実施しているところと伺っているところでございます。  FMラジオを活用してトンネル利用者への情報提供を御指摘のとおり多重化することは、防災の面からも有効と考えておりますので、その設置拡大が進みますように要望をしてまいりたいと考えているところでございます。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)ただいま答弁をいただいたところでございますが、教育現場の政治活動についてでございますけれども、私、高校生に政治の関心を深めてもらいたいと、こういう強い思いもある一方で、生徒の通学路ですとか学校周辺の静粛な環境を維持する配慮というのは十分必要じゃないかというふうに思っております。  神奈川県教育委員会ですけれども、高校の校門前や通学路などでの選挙運動に関して、教育に支障を来す場合は学校が中止を求めることを盛り込んだ対応マニュアルを作成する方針を決めております。選挙運動や政治的活動が学校の敷地外で行われた場合でも、生徒に影響が及ぶ可能性に配慮する、そういったマニュアルだと聞いておりますけれども、教育現場において混乱を招かないように一定の配慮を考察していただきたいと、このようにきょうは要請をしておきます。  続きまして、遠隔授業による学習支援についてお伺いいたします。  昨年の2月県議会において、「長期病気療養高校生に対して遠隔授業による学習支援を求めることについて」の請願が全会一致で採択をされております。請願の趣旨は、長期病気療養の子供には、療養行為と同時に学校教育環境の存在が真の社会復帰に欠かせない中、県内の取り組みを見たとき、長期間病気療養を強いられる高校生に対する学習支援は不十分であり、遠隔授業による学習支援の実施を検討するよう強く要望されたものであります。  この取り組みについて、知事は、昨年の2月県議会において、「学びの場の機会の提供、そして病気と闘う生徒に勇気を与える非常に重要なことだと思っている。今後一人一人に応じた学びを支えていくことができるよう、教育委員会とも連携してICTを活用した学習の実現に努めていきたい」との前向きな回答をいただいております。  また、教育委員会は、請願に対する処理経過において、遠隔授業による学習支援の必要が生じ、医師の許可が得られた場合は、医療機関と連携の上、学習支援体制を整備し、実施することとしているとの回答をしております。  昨年の4月に学校教育法施行規則が一部改正され、疾病による療養のため相当期間高校を欠席すると認められる生徒に対して、遠隔教育が認められております。遠隔授業の現在の取り組み状況、モデル事業等今後の進め方、また学習支援体制等、教育長にお伺いをいたします。  最後に、ホストタウンについてお伺いいたします。  東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、国では、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等の観点から、参加国・地域との人的、経済的、文化的な交流を図る地方公共団体をホストタウンとして登録することを全国に広げようとしております。この取り組みは、長野冬季オリンピックで開催された一校一国運動を参考に考案されたと聞いております。一校一国運動がIOCから高く評価をされ、その後も引き継がれている歴史もあり、今後の国際交流の推進の観点からも、ホストタウンに多くの市町村が取り組むことは大変意義があると考えます。  一方で、市町村の中には、ホストタウンに関心はあるが、ホストタウンとして国から登録を認められるためにはどのような交流の計画を策定し、受け入れを希望する国とどのように交渉して話を進めればいいかわからないという戸惑いの声も聞き、県が積極的にホストタウンの受け入れを支援すべきではないでしょうか。  まず、県内市町村のホストタウンの登録の現状と、県としてホストタウン登録に向けた支援を促進すべきと考えますが、支援の取り組み状況について県民文化部長にお伺いをいたします。  全国で第1次登録になった団体の中には、市町村単独のみならず、県と市町村との合同、あるいは県単独での登録となったところもあると聞いております。全国で最も町村数が多い長野県は、小規模自治体が多いことから、登録したい気持ちがあってもなかなか単独でホストタウンに手を挙げることは困難な状況も見受けられます。このことから、県みずからもホストタウン登録に向けた申請を行い、積極的に受け入れるべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  また、ホストタウンの対象国を考えるならば、これまでの本県の交流の実績や協力団体等のことを考えますと、長野県は三十有余年にわたって中国河北省と交流を積み重ねており、長野県日中友好協会は、支部組織や会員数において全国屈指の日中友好協会であり、長年多様な交流を中国と行ってきた実績もあります。今後のさらなる交流の発展を考えても、本県のホストタウンの相手国としては中国がふさわしいと考えますが、あわせて知事の所見をお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)遠隔授業による学習支援についてでございます。  学校教育法施行規則の改正によりまして、高等学校でメディアを利用した遠隔授業が可能になり、現在、本県では、国のモデル事業の指定を受けて、複数の高校間で遠隔教育による単位修得の研究を始めているところでございます。それに先行しまして、長期病気療養中の高校生に対して、少しでも学習のおくれを補完できるよう、カメラつきタブレット端末を用意して授業を配信できるようにしておりますが、現時点では利用されていないというのが実態でございます。果たして希望者やニーズの把握が十分なのかという問題意識を持っております。  義務教育終了段階での就学相談や、高校受験時の相談の機会を捉えたり、関係者の連絡会に参加したりするなどして希望者やニーズの把握に努めるとともに、モデル事業等を通じて遠隔授業に係るさまざまな課題を克服して、長期病気療養中の学習支援が確実に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)ホストタウンの登録状況と県の支援の取り組み状況についてのお尋ねでございます。  ホストタウンの登録は、昨年12月の第1次申請では、県内からは駒ケ根市及び佐久市の2市が登録され、本年5月の第2次申請では、先般、安曇野市が登録をされたところでございます。国では、さらに10月にも第3次申請を受け付ける予定と聞いているところでございます。  県といたしましても、市町村のホストタウンへの取り組みを支援することは、今後の海外との交流促進の観点からも必要と認識しております。そこで、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局に講師の派遣を依頼いたしまして、ホストタウンの説明会を7月中に県下2カ所で開催する予定でございます。この説明会には、市町村の担当者のみならず、地元の観光協会、国際交流団体等の関係者にも広く参加を呼びかけまして、ホストタウン構想への理解を深めますとともに、ホストタウン登録に向けた地域一丸となった取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)東京オリンピック・パラリンピックに向けたホストタウンについての御質問でございます。  私もこのホストタウン構想に関心を持っておりまして、内閣官房のオリンピック・パラリンピック推進本部事務局にも私も直接お伺いをして、情報収集、意見交換等をさせてきていただいた経過もございます。県として、今、県民文化部長から御答弁申し上げたように、市町村が行うホストタウンへの取り組みについての支援を行うということのみではなく、県みずからもホストタウン登録に手を挙げていくということは、大会参加国の選手あるいは関係者の皆様方と長野県の皆さんが交流するということを通じて、本県のグローバル化、地域の活性化、さらには観光の振興等にもつながり得る意義あることというふうに考えております。  県のホストタウンの相手国として中国がふさわしいのではないかという御提案でございます。  御指摘のとおり、これまで中国と本県との間の交流の歴史と実績、また長野県日中友好協会が全国屈指の中国との友好交流をこれまで築き上げてきていただいていることなどから、中国をホストタウンとしてお迎えする基礎となる条件は整っているものというふうに考えております。また、長野県は、長年友好交流を行ってまいりました中国河北省もその会場となります2022年の北京冬季オリンピックの開催に向けた支援も行っているところでありまして、2020年の東京オリンピックだけではなく、その後の北京冬季オリンピックも視野に入れた中国との交流促進を図るという観点からも意義があることというふうに思います。  このホストタウン登録に向けた取り組みにつきましては、現実にホストタウンとして選手等を受け入れていく上で、県だけではなくて、市町村、あるいは県の日中友好協会初め関係団体の皆様方の御協力が不可欠であるというふうに考えておりますので、今後、関係の皆様方とも十分相談した上で、前向きに検討していきたいと考えております。  以上です。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)それぞれ御答弁をいただきました。  遠隔授業につきましては、教育長に教育委員会としての今の現状認識をしっかりしていただいたと思って感謝をしております。現場にはそうやって学びたい子がおりますので、今、そこと教育委員会との接点がないんじゃないかと思いまして私はこの質問をさせていただきました。ぜひ前向きにお願いしたいと思います。  また、今、知事からは、ホストタウンについて前向きな答弁をいただいたところでございます。一校一国運動の産みの県が長野県でありまして、各国の交流の活発化をこれからまたしっかりお願いしたいと思います。  以上をもちまして一切の質問を終了します。 ○副議長(下沢順一郎 君)次に、備前光正議員。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)まず、地震対策について伺います。  4月14日に熊本県や大分県地方を震央とする最大震度7の地震が発生し、引き続き16日には本震が発生し、甚大な被害が発生いたしました。地震でお亡くなりになられた方々に御冥福と、被災されている皆さんにお見舞い申し上げます。  今回の地震は、最大震度7の国内観測事例としては4、5例目ということで、前震に続いての本震観測では、地震学者からはこれまでの通説を覆しているとも指摘されております。さらに深刻なのは、今もなお続く有感地震が1,700回を超えるなど、住民の生活の復旧に重大な影響を及ぼしております。  また、この地震は、日奈久断層帯北部、布田川断層帯の活動による大陸プレート地震と言われておりますが、大分県中部では、別府―万年山断層帯においても多くの地震が起きており、これらは長野県にも伸びている中央構造線の延長ではないかとも言われております。  今回、熊本県では、行政の庁舎が被災し使えないという問題や、また耐震対策工事が行われたばかりの体育館等の指定避難所が2度の震度7を経て損壊するなど、公共的施設の被災が問題となりました。  そこで、危機管理部長にお尋ねしますが、本県も断層、活断層の非常に多い県として対応が求められているわけでありますけれども、長野県では、昨年3月、第3次長野県地震被害想定調査報告書を作成していますが、想定されている地震災害ではどの程度の被害予測をされ、また、そうした中で、どの程度の公共的施設が含まれているのか調査されているのかを危機管理部長にお尋ねいたします。  今月10日、政府の地震調査研究推進本部は、全国地震動予測地図2016年版を発表しました。この中で、長野県の結果が、特に牛伏寺断層を含む糸魚川―静岡構造線全体でマグニチュード8程度の発生確率を14%としていたものを、中北部ではマグニチュード7.6の確率が13から30%へと上昇するなど、さらなる地震発生の確率が高まっていることが明らかになりました。これらの知見も踏まえた対応が必要であると思います。  そこで、徳島県では、2012年に、南海トラフ巨大地震や中央構造線活断層帯を震源とする直下型地震から住民を守るために、特定活断層調査区内で特定施設を新築等行う場合には県への届け出を求める徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例を制定しました。徳島県では、地震発生確率を30年以内にゼロから0.4%という段階で条例化を図っており、長野県の牛伏寺断層を含む糸魚川―静岡構造線の中北部の地震発生確率が13から30%と国内有数であることからも、同様の条例を参考にして指針等を作成するおつもりはないか。危機管理部長に伺います。       〔危機管理監兼危機管理部長野池明登君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登 君)地震対策につきまして2点お答えを申し上げます。  まず、第3次長野県地震被害想定についてでございます。  長野県に大きな被害を発生させる地震といたしまして、八つの活断層モデルと東海地震及び南海トラフの巨大地震を想定地震といたしまして、建築物の倒壊や死傷者などの物的、人的被害想定を行ったものでございます。  想定のうち、県内で最大規模の被害を発生させるのは、糸魚川―静岡構造線断層帯が連動して全体で動く地震でございます。被害は、最大で、建物の全壊・焼失9万7,940棟、半壊10万9,620棟、死者数7,060人、避難者数36万7,540人を想定しているところでございます。  この被害想定の中では、平成26年度の時点でございますが、市町村の防災上の重要施設についても機能に支障を来す可能性を一定の条件を置いて評価しておりまして、糸魚川―静岡構造線断層帯の全体が動く地震では、災害対策本部施設、避難活動拠点施設など812施設が機能に支障を来す可能性があると評価をしているところでございます。  2点目の徳島県の条例を参考にした指針等の作成についてでございます。  国が評価の対象としている主要活断層のうち、徳島県では中央構造線断層帯のみが県土を横断しており、その断層も地表にあらわれている部分もありますことから、県独自の詳細な活断層調査を行って、ただいまお話がございましたけれども、条例で特定施設の新築等の届け出とその後の調査を行ってもらい、活断層の直上を避けてもらうという特定活断層調査区域の指定を行うという制度でございます。  一方、本県の活断層の状況は、糸魚川―静岡構造線断層帯、長野盆地西縁断層帯、伊那谷断層帯などの主要断層帯が県下に数多く存在しており、あらゆる地域に地震による被害のリスクがあるため、徳島県とは状況が違うものと認識をさせていただいております。  長野県におきましては、大地震がいつ起きてもおかしくないという危険性と日ごろの備えの重要性につきまして、市町村と連携をし、さまざまな手段を用いまして啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)ただいま御答弁いただき、リスク回避を促す法的なリスクコントロールが必要になるというふうに思います。先ほど812施設ということでありますけれども、いわゆる行政や医療や学校、介護もありますけれども、また燃料基地など、防災に重要な施設だけでも断層帯から外したほうがよいことは有識者からも言われております。2012年には静岡県でも調査をしたそうであります。  一方、東日本大震災以降に津波防災地域づくりに関する法律が施行され、海岸地域は津波災害警戒区域を指定し、あらかじめその地域がそうした地域であることを最低限住民に知らせているわけであります。長野県も、複雑な活断層が走行しているということで、徳島県とは違うということをおっしゃられるわけでありますけれども、こうした内陸地でも断層上であることを知らせ、まずはこうした公共的施設建設を避けることや、また耐震基準の強化がさらに必要になってくると思いますけれども、これにつきまして危機管理部長のお考えを再度お尋ねいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長野池明登君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登 君)活断層につきまして、制度的な枠組みの中で公共的な重要な施設について避ける措置をという再度のお尋ねでございます。  これにつきましては、活断層の性質上、既に学術上認定をされている、認知をされているものもございますし、これまで大きな被害をもたらした活断層、いわゆる隠れた活断層が動いたという地震もございます。また、つい先ごろ、全国地震動予測地図というものが発表されたばかりですけれども、この中でも確率が高い地域はよりリスクを認識し、低いからといって決して安心することのないようにということがコメントされたところでございます。  繰り返しになりますが、長野県におきましては県土のあらゆるところに大きなリスクがあるということで、事業者の方も県民の方もそういうリスクをしっかりと認識していただきますようにしっかりと啓発に努めていきたいというふうに考えているところでございます。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)ただいま、リスクを認識しつつ、活断層が非常に多いということでありますけれども、やはり耐震強化等もさらに進めていく必要があろうかというふうに思いますので、これにつきましての検討を要望して次に進みたいというふうに思います。  引き続きまして、廃棄物対策について伺います。  塩尻市東山地区の管理型最終処分場建設計画について、さきの議会でも取り上げましたが、地元環境対策委員会が環境協定書に基づき地域住民や専門家を伴っての立入調査を求めましたが、業者はこれをたびたび拒否し、結果、参加者名簿提出や写真撮影を許可しないなどの条件づけをするなど、全く不誠実な対応をとっております。  また、この間、信州大学等の学者らによるたび重なる学習会を行い、学者らからは、既設の安定型処分場も隣接の計画地も活断層近くであることから建設不適地であるとの指摘がなされました。既設の安定型処分場も、かつて国鉄の塩嶺トンネルの建設廃土や諏訪湖しゅんせつ土などが持ち込まれたところに、安定5品目とともにアスベスト含有建材も大量に処理されております。しかも、ここの地下には信濃川水系の最上流部である田川の水源域でもある水盆があり、現在は上水道など飲料水や農業にも活用されるなど、重要な水資源となっております。  こうした地質構造の上につくられた安定型処分場からの放流水、浸出水など、電気伝統率の異常な高さ、また地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭問題などは、住民からの声が上がっておりますけれども、これら地下水への影響を懸念を抱かずにおられません。現在、現地では市による水質測定や独自グループによる水質測定も継続的に行っております。  こうした中、5月22日には、塩尻市東地区における処分場計画で、現地塩尻東地区全13区、北小野地区でも建設反対決議が上げられ、今月8日には松本地方事務所にも決議文が提出されました。また、昨日の塩尻市議会におきましては、県に対し、管理型最終処分場の建設許可をしないことを求める請願が全会一致で採択されました。  そこでお尋ねしますが、安定型処分場の水質調査が年1回行われておりますが、04年から15年までの調査で、水の汚染度を相対的に評価する電気伝導率は、平均して78ミリジーメンス・パー・メーターと非常に高い値が出ております。ことし3月に市が行った周辺地下水が4あるいは河川が1から20ということからも、周辺より高いことが言えます。さらに、この調査の12年間のうち、7年分は、上部井戸のデータのほうが高いという逆転現象が起きております。  また、同社が現地東地区に提出している毎月測定の自主検査でも、浸透水や放流水が基準値、地区協定値や、あるいは環境基準を守らないときがありました。また、7年余りの86回の測定中、36回は電気伝導率は上部井戸のほうが高く、逆転しています。これらは、他の項目でも言え、化学的酸素要求量(COD)で59回、浮遊物質量(SS)で34回が上部の観測井戸のほうが高くなっております。  本来、上部の観測井戸は、対象、いわゆるコントロールとされるはずでありますが、このように周辺よりも高い電気伝導率や上下逆転について、観測井戸の設置場所として適切なのか、また地域住民が地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭や河川の石の変色問題などについて指摘されておりますが、これをどう認識されているのか。県として原因調査も行っていただきたいのですが、これらについて環境部長に伺います。  この安定型処分場には、アスベスト含有建材が処分されております。即日覆土を10から20センチ行うことが義務づけられているはずですが、これはどういった処理が求められているのでしょうか。さきの議会での部長答弁は、飛散性ではないので合法だとの答弁でした。ところが、必要とされる散水等による飛散防止措置等は認められず、破砕処理なども行っていたことが住民からは言われます。これらについて、環境部長の御認識と違法性はないのか、お尋ねいたします。  また、同地の地質構造について、信州大学の酒井名誉教授や大塚教授らが幾つもの断層を見つけており、これまで不明であった地質構造が解明されつつあります。糸魚川―静岡構造線に伴う南北の断層に対して交差するみどり湖断層は特に重要で、東側が600メートルも落ち込んで、予定地の上部で荷直し峠断層につながるらしいこと、また、北部の県畜産試験場北側には、高ボッチ山塊西麓を塩尻川に流下する約750メーターの崩壊地形が存在しており、これらの断層等に囲まれているエリアであるなど解説されております。この傾斜地上に塩嶺トンネルの廃土30万立米と諏訪湖のしゅんせつ土などが埋められ、ハザードマップの土砂災害特別警戒区域でもあるところが一層軟弱地盤になっていること、しかも、数百メートル南は岡谷市で、以南は東海地震など南海トラフ地震の地震防災対策強化地域に指定されていることからも、建設許可はすべきでないと説明されております。  業者側は、処分場は地震に耐え得る構造と言いますが、今回の熊本地震では2回の震度7で耐震建築物が倒壊するなど被害が拡大しております。こうした活断層付近での処分場建設は規制されるべきであると思いますが、環境部長の御所見を伺います。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕
    ◎環境部長(関昇一郎 君)ただいま廃棄物対策について御質問いただきましたので、順次お答えをいたします。  初めに、最終処分場の検査用井戸についてのお尋ねでございます。  安定型最終処分場につきましては、環境省令の維持管理基準によりまして、処分場から排出される有害物質によります地下水の水質への影響の有無を判断するため、2カ所以上の場所から地下水を採取することが事業者の責務として定められております。  県では、廃棄物の適正処理の確保並びに周辺環境への影響等を確認するため、行政検査を実施しておりますけれども、お尋ねの塩尻市東山地区の最終処分場の上部と下部2カ所の検査結果では、有害物質23項目について、これまで基準の超過はございません。  また、水質の状況を広く把握するための基本的項目として、県独自に電気伝導率等を測定しております。これらの数値を見ますと、上部の井戸の値が下部の値よりも若干高いときもありますけれども、常に高いというわけではなく、また、ここ数年、上部と下部で大きな差はなく、検査地点としても問題はないものとして考えております。  次に、最終処分場付近の地下水の濁りなどについてのお尋ねでございます。  先ほど答弁いたしました地下水のほか、浸透水を処理した後の放流水についても検査を行っておりますが、この結果は浸透水の基準に照らしても超過はございません。  議員御指摘の地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭、それから河川の色の変色につきましては、職員が現地で確認をしております。現時点で直ちにこれによります生活環境保全上の支障があるとは考えておりませんが、必要であれば再度現地の確認や検査等を行い、生活環境上の影響の有無を確認したいと考えております。  次に、アスベスト含有建材の埋め立てについてのお尋ねでございます。  飛散のおそれのないアスベスト含有建材の埋め立て方法につきましては、環境省によります石綿含有廃棄物等処理マニュアルに定められております。これによりますと、覆土については、厚さの基準はありませんが、1日の作業終了後に埋め立て面の上面を覆土することとされております。また、荷おろし等の作業時の留意点として、破砕等により石綿が飛散するおそれがある場合は、散水等により受け入れ物を湿潤化してから荷おろし等の作業を実施することとされております。  この処分場につきましても、マニュアルに沿って処理がなされているものと考えておりますが、今後とも引き続き適正な処理が行われるよう監視、指導をしてまいります。  最後に、活断層付近の最終処分場の設置についてのお尋ねでございます。  最終処分場の設置には、満たすべきさまざまな基準がございますが、最も重要な基準の一つは構造耐力上の安全性でございます。県廃棄物条例に基づく事業計画説明会や法に基づく設置許可申請に当たりましては、申請者みずからが予定地の地質やそこにどのような構造物を建築するかについて明らかにし、地震による影響も含め、その安全性について説明することが求められます。  県といたしましては、個別の審査に際して、その施設の立地場所等により求められるべき安全性のレベルを勘案の上、専門家の意見を聞きながら総合的に判断をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)ただいま、部長答弁は、年1回の行政検査については異常がないということでありますけれども、同社がホームページ等で報告しております自主検査、これを毎月行っているものについては、そうした面で異常値を呈しているところがたびたび出ているわけであります。ここでもやはり要望させていただきたいと思いますけれども、現地の地元対策委員会は、現場に立ち会いたい、専門家が一緒に立ち会っていただくということで、より詳細に現地の状況をつかみたいということであります。これらのことも含めて、県の立ち会いのもと、地元対策委員会の皆さんが立ち会うような形での調査をしていただく、そうした用意はあるかどうか。再度御答弁よろしくお願いします。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)ただいま、現地の委員会と業者の間におきまして協定が結ばれております。その協定に基づき、立ち入りの調査ですとか、それから資料等の確認が行われることになっておりまして、本来、この協定に基づきましてお互いに誠意を持ってその履行に努力すべきものと私どもも考えておりますので、業者に対しては適切な対応を行うよう指導してまいりたいと思いますし、また地元の皆さんからもお話を聞いてまいりたいと思っております。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)ぜひともお願いをしたいと思います。  そして、塩嶺トンネル工事中の昭和50年に異常出水がありまして、この計画地域の地下数百メートルにたまっている水盆の水と言われますが、現在はその水は良質な飲料水として塩尻の上水道やミネラルウオーターや農業用水として利用されております。先週18日には、この流れで守ってきた在来種のゲンジボタルの恒例のほたるまつりが多くの住民参加で行われました。  県では、こうした水源地域となっている地域を保全するために、長野県水環境保全条例や、さらには長野県豊かな水資源の保全に関する条例を制定しておりますが、こうした場合、同地域の水環境の保全のためにはどう活用できるのか。また、その指定手続と効果について、環境部長にお尋ねいたします。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)水道水源の保全等に関する条例の手続と効果についてのお尋ねでございます。  まず、長野県水環境保全条例では、水道水源保全地区として指定をされますと、その地区内で廃棄物最終処分場の設置など一定の開発行為を行う際には知事への事前協議を義務づけられることとなりますので、水質汚染防止の観点からの効果が期待されます。  また、長野県豊かな水資源の保全に関する条例では、水資源保全地域として指定をされますと、その地域における土地取引等の事前届け出を義務づけられることとなりますので、水の資源の保全の観点からの効果が期待されます。  これら地域の指定に当たりましては、市町村長の申し出に基づき、環境審議会の意見を聞いた上で知事が指定をすることとなっております。  なお、申し出に当たりましては、市町村長はその区域の土地所有者及び地域住民等の関係者に対して、説明会等により合意を得るよう努めることとしております。  以上であります。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)引き続きまして、福祉のまちづくりについて伺います。  公共交通機関等における障害者の安全対策は急務であります。この間、聴覚障害者の皆さんから、視覚的な列車到着やリアルタイムの運行情報表示の設置が求められております。私も調査をしましたが、無人駅等でも列車到着を表示する警報機は設置されております。ところが、表示は非常に小さく、ホームの隅に設置されているなど、目につかないようなものも多く見受けられました。JR等の大きな駅には、列車運行状況がリアルタイムで表示される電光掲示板がありますが、無人駅にはそれがありません。そのため、列車の遅延情報などが伝わらない。また、特急列車や高速バスでは次の到着駅やバス停の視覚的表示がなされておりますが、在来線やバス路線においてはそれが徹底されておらず、聴覚障害者にとっては非常に不便を強いられております。  4月より施行された障害者差別解消法には合理的配慮が掲げられ、第5条では、鉄道会社などでは施設の改善や設備の整備をする努力をしなければならないと規定されており、これにはこうした情報を伝えるための施設整備も含まれております。  そこで、県ではこのような聴覚障害者を取り巻く状況をどうつかみ、改善を図ろうとしているのか。健康福祉部長に伺います。  さらに、ホテル、旅館等でのインターホンや、緊急時に音声ガイドでは逃げおくれることもあり、県は客室50室以上ある施設に対して、回転灯やキセノンランプの点灯設備の設置を行うなどの独自基準を新設しておりますが、こうした施設の設置見通しはどのようにお考えか。健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)福祉のまちづくりについて2点御質問をいただきました。  まず、聴覚に障害のある方を取り巻く状況と改善策についてお答えさせていただきます。  聴覚障害者の当事者団体からは、駅等において電光掲示板など見てわかる情報の提供が必要であるとの御意見が寄せられており、聴覚に障害のある方は、音声による情報の取得やコミュニケーションに困難さを抱えていることが生活のしづらさにつながっていると認識しております。  議員御指摘のとおり、公共交通機関等の事業者は、障害者差別解消法に基づき社会的障壁の除去に努めることとされており、県においても、事業者向けの説明会等の機会を捉え、法の趣旨の理解と事業者における自主的な取り組みを継続して促してまいりたいと考えております。  また、障害のある方の情報取得やコミュニケーション支援について、手話言語条例により手話の普及を進めるとともに、昨年10月に設置した長野県情報保障・コミュニケーション支援研究会において、社会生活を送る上での課題解決に向けた検討を行っているところでございます。  さらに、障害者差別解消法の規定に基づき、当事者、教育、福祉、経済などの分野の関係団体等で構成する障害者差別解消支援地域協議会を設置し、聴覚に障害がある方のこうした課題についても、関係者の情報共有や連携を図り、合理的な配慮の提供に結びつくための取り組みを推進してまいりたいと考えております。  次に、ホテル、旅館の聴覚障害者への対応についてお答えさせていただきます。  客室50室以上のホテル、旅館に緊急情報を点灯と音声で伝達する装置を備えた客室を1室以上設置することは、障害者団体からの要望を踏まえ、福祉のまちづくり条例改正の際、県独自の基準として追加したものでございます。この整備基準は、本年12月1日以降に着工する建物から適用となりますので、現在、事業者団体や設計士団体等に対し、改正事項の周知に努めているところでございます。  なお、既存の建物については、設置の負担等が大きいため基準適合義務はございませんが、機会を捉えて障害者も利用しやすい配慮をしていただくよう理解を求めてまいります。  以上でございます。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)今回は聴覚障害について質問させていただきました。いわゆるバリアフリー法は国交省、障害者差別解消法は県では健康福祉部が中心となってということで、福祉のまちづくり条例ということでありますけれども、いずれ高齢化していくことによりまして、そうした障害に対応した町づくりをしていただきたい、そのためにもしっかりと対応する体制もとっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  引き続きまして、県道床尾大門線の問題について取り上げます。  この問題は、再三取り上げてまいりましたが、今期、再度取り上げてみたいと思います。  この県道は、国道19号線の木曽と国道153号線を結ぶ旧中山道の一部です。近年、旧街道文化をめぐるウオーキングや塩尻市で進めるワイナリーめぐり、さらには遺跡公園として整備された、かつては日本三大遺跡と呼ばれた平出遺跡などの多くの観光客も訪れるとともに、地域住民の生活道路であります。二つの国道を短絡してつなぐため、道路の交通量も多く、交通事故が絶えません。4年程前には、平出遺跡公園付近で中学生が通学中事故死するなど、痛ましい事故も起きております。  また、この県道にはJRのガードがあり、狭隘なガード内に安全対策で歩道を設置してきましたが、死亡事故も発生し、さらなる安全対策でこのガードの歩道を1.5倍化したために、車道は片側交互通行になってしまいました。中心市街地でこのような県道はほかにあるのでしょうか。この県道床尾大門線の歩道設置を含めた拡幅改良をぜひとも要望するのでありますが、建設部長のお考えを伺います。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)県道床尾大門線の拡幅改良についてのお尋ねでございます。  大門JRガード下の安全対策につきましては、平成19年より歩道部の拡幅や歩車道を分離する樹脂ポールの設置など、考えられる対策を実施してまいりました。さらに、議員御指摘の死亡事故を受けまして、歩道入り口部の段差解消や照明の改善などの対策を実施しました。また、ガード下以外についても、車道の外側の路面を緑色に着色するグリーンベルトや注意喚起の看板を設置するなど安全対策に努めてきたところでございます。  ガード下の拡幅改良につきましては、平成23年より検討を進めてきておりまして、鉄道交差につきましてはJR東日本と協議を進めてきております。しかしながら、塩尻駅に近接し、軌道敷が広いため延長の長いトンネルになるなど技術的に困難な課題が多く、また、沿道には人家が連檐し、多くの家屋移転が伴う可能性があることから、財政上の問題も含め、さらなる検討が必要となってきております。したがいまして、この区間の拡幅改良につきましては、周辺道路網とあわせた道路整備のあり方も含め、引き続き関係機関と検討を進めてまいります。  以上でございます。       〔29番備前光正君登壇〕 ◆29番(備前光正 君)このガード部では、待つことができずに、歩道ののり面を乗り上げていく他地域からの車両も見受けられます。また、自転車での通行者は、自動車から追い立てられながら坂を上がっていく状態もあり、お年寄りでなくても身体への負荷が非常に大変です。ぜひともこれらのことも考慮をしていただきまして、引き続き検討していただきますことを要望しまして、私の質問を終わります。 ○副議長(下沢順一郎 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時18分休憩          ──────────────────         午後2時34分開議 ○議長(向山公人 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて、順次発言を許します。  酒井茂議員。       〔9番酒井茂君登壇〕 ◆9番(酒井茂 君)自由民主党県議団、伊那市出身の酒井茂でございます。  私は、今回は人の命に直結する献血の推進について質問をさせていただきたいと思います。  さて、地方公共団体や日本赤十字社の努力、あるいは献血者の協力によりまして、輸血に必要な血液について、総体としては足りているというふうに言われているところでございます。しかし、必要な血液型や、あるいはさまざまな事情によりまして、血液の需要量というものは日々変化しておりまして、常に必要な血液が確保されているというふうには言いがたい状況があるというふうに考えております。そこで、私は、将来にわたって安定的に血液が確保されるため、さらに献血を推進するための施策について質問をさせていただきたいと思います。  さて、ここで私の体験談を申し上げたいと思います。私の長男のことでありますが、十数年前、原因不明の難病に侵されました。血液をつくる機能が極めて著しく減少いたしまして、緊急に輸血をする必要が生じ、県内の病院に緊急入院をしたところでございます。血液型はRhマイナス、1,000分の1、0.1%という出現率であります。当初、血液の確保ができるのか非常に不安な状況がございましたが、しかし幸運にも愛知県の血液センターから血液が送られ、無事緊急輸血をすることができたわけであります。その後、治療を開始いたしまして、現在は寛解の状態とは言えませんけれども、普通の日常の生活がおくれるまで回復をしているという、そんな状況でございます。これも、当初、緊急輸血ができたおかげだというふうに考えております。私は、輸血に対して本当に心から感謝をしているところでございます。私は、若いころから献血をしておりました。しかし、そんな体験も踏まえて、できるだけ多く、毎回400ミリリットルの献血をしていると、そんな状況でございます。  献血につきましては、一度経験すれば献血に対する不安はなくなり、献血したことによりますさわやかな気持ちを味わうことにより、次回も献血しよう、そういう気持ちが起きるのではないかと思います。  ここで、献血者数の推移を見ますと、全国的には30年前と比較をいたしまして5割の水準に低下をしております。そして、特に10代と20代の献血者数の減少が顕著となっております。長野県におきますここ10年の献血の状況は、献血者数は毎年度目標をほぼクリアしており、短期的には問題であるとは言えません。しかし、10年間の献血者数の推移を見ますと、総数ではマイナス7%でありますが、10代ではマイナス40%、20代ではマイナス35%、30代がマイナス39%と、若い世代が大幅に減少をしているところであります。  今後も現在の献血率が変化しないとした場合、輸血量の需要がピークとなります2027年には、全国で年間85万人分もの血液が不足するという日本赤十字社の試算も出されているところであります。そして、輸血用製剤はその8割が病気の治療に使用されており、今後、高齢化が進む中におきましては、常に安定した料の血液を確保しておかなければならない、そんな状況にあるわけであります。また、余り知られておりませんけれども、分娩時における異常出血に伴う輸血を必要とする確率が総分娩件数に対して1%あると言われておりまして、分娩に備えた血液量確保は大変重要であります。  私は、ここで若い世代のうちでも特に高校生の献血について触れたいというふうに思っております。献血は、全血献血の場合、400ミリリットルについては男性が17歳から69歳、女性は18歳から69歳、200ミリリットルにつきましては男女とも16歳から69歳まで可能でありまして、当然高校生は可能となっております。全国の高校生の献血者数は、30年前と比較して実に13%の水準まで低下をしております。長野県の献血実施校数を見ますと、昨年は7校、うち県立高校は下伊那農業高校1校のみであります。実施校の比率は7%と、全国でも最下位のレベルとなっております。全国の高校の実施率を見ますと、栃木県97%、岩手県91%、山梨県89%と非常に高い成果を上げている県がありますが、なぜ長野県がこんなに低い率なのか、私は理解することができません。  長野県では、高校生の献血推進のために、校長や保健指導主事、養護教諭に対して協力を依頼しているところでありますけれども、現在の県の状況を見る中では、依頼するだけでは不十分であるというふうに考えております。私立の伊那西高校におきましては、長年学校一丸となりました献血への取り組みが評価をされ、平成24年には大臣表彰を受けました。同校では、開校以来30年にわたり、文化祭にあわせまして献血を行っており、毎回生徒の1割が献血をしているところでございます。また、県立下伊那農業高校では、昨年11月に移動献血車による集団献血が行われました。テストの最終日を選んで実施したとのことであります。同校の献血は13年ぶり、県下の県立高校では6年ぶりの復活となりました。この2校の例は、やればできるというよい例でありまして、県教委としては大いに参考にしていただきたいと考えます。  長野県では、現在、血液量は不足している状況にはございませんが、将来献血者となる可能性のある高校生の献血者が極めて少ない状況からしますと、将来は県全体としては血液が不足してくるのではないかと懸念をしているところでございます。献血は人を救うことができるすばらしいボランティア活動であります。また、献血した血液の検査データは本人にも送られてくることから、みずからの健康管理に役立つなどメリットは大きいと考えます。高校時代における献血体験がその後の献血行動の動機づけになるとの報告もございまして、将来の安定した血液の確保のためにも、今後高校生の献血者数をふやしていくことが重要であるというふうに考えます。  高校生の献血につきましては、以前監査委員から指摘をされておりますけれども、一向に改善されておりません。これは問題だというふうに私は思います。そこで、まず献血に対してどう認識されておるのか。今後どう献血推進に取り組むのか。特に、若年層の献血を推進するためにどう取り組むのか。知事にお聞きをしたいと思います。  次に、他県では献血の実施率が高い高校がある中で、県内の高校の実施校数が極めて少ない状況や、県立高校が1校だけである状況をどのように認識しておられるのか。教育長にお聞きをしたいと思います。  さらに、伊那西高校や下伊那農業高校の取り組みをどう評価し、この取り組み事例を今後どう生かしていくのか。さらに、高校生の献血推進について教育委員会として今後具体的にどう取り組むのか。教育長にお聞きをしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)献血について、特に若年層の献血の推進について御質問をいただきました。  献血は、酒井議員の御質問の中にもありましたが、これは病気やけがで血液を必要とされている皆様方にとっては、この献血という取り組みがなければ命にかかわる大変重要な問題、課題だというふうに思っております。特に、データの御紹介もいただきましたけれども、私も改めてデータを見ますと、長野県は、御指摘のように、献血目標をほぼ達成はしてきているものの、その内容を見ると、比較的若い世代の献血者数が減ってきているということをやはりしっかり受けとめて対応していかなければいけないだろうというふうに思います。将来にわたって血液製剤を安定的に、そして継続的に確保していくためには、多くの県民の皆様方への理解と協力を求めていくということとあわせて、酒井議員御指摘のとおり、若年層を中心として献血者を確保していくための工夫、努力、取り組み、こうしたことをしていかなければいけないと思います。  これまでも県民の皆様方への幅広い啓発に加えまして、若い世代への啓発ということで、全ての高校生、あるいは新しい社会人に対するリーフレットの配布でありますとか、さまざまな献血イベントの情報提供、そして校内献血への協力要請等を行っているところでありますが、今後とも、教育委員会、あるいは日赤の血液センター初め、関係団体と十分連携、協力をした上で、効果的な啓発努力、そして具体的な献血者の確保につながるような取り組みを進めていく必要があるというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県内高校での校内献血実施数が低いことへの認識、それから今後の取り組み、あわせて御答弁をさせていただきたいと思います。  学校現場では、万が一の事故への対応の懸念などから、県内高校における校内集団献血率は近年非常に少ない状況になっておりますが、これは、血液製剤を安定的、継続的に確保していくためには、将来を担う若年層、とりわけ高校生においても、助け合い、奉仕の精神を学び、自発的に献血に取り組むということは大変重要だと考えております。  積極的に取り組んでいる学校を見ますと、御紹介にありました伊那西高校におきましては、献血をボランティアの一環として位置づけ、文化祭において、生徒会の保健委員会が中心となって生徒みずからが呼びかけを行っている。また、昨年、下伊那農業高校では、県教育委員会の呼びかけに対しまして、管理者が先頭に立ち、生徒、保護者に丁寧な説明を行い、生徒もその必要性を理解し、定期試験の日を利用してみずからの取り組みとして校内献血が実現したものでございます。  こうした例も踏まえまして改善方策を考えると、二つの点が重要だというふうに考えております。一つは、啓発のあり方であります。人口減少社会において、血液資源は医療面での重要な問題であることなどを理解し、献血を生徒自身がみずからの問題として考えることができるようになる啓発、高校生の心に届く啓発を進めることが重要だと思っております。二つ目は、生徒や保護者の不安を取り除き、参加しやすくするためのきめ細やかな対応が必要だと考えております。初めて献血を体験する子がほとんどであります。献血に対する生徒の不安を取り除くための丁寧な説明が必要ですし、献血効率は劣りますけれども、小集団での実施や200ミリリットル献血などの参加しやすい集団献血の実施などの対応を考える必要があるというふうに考えております。  これらについて、今後、健康福祉部、関係事業者、学校現場を交え、率直な意見交換を行い、具体的な改善方策を検討してまいりたいと考えております。       〔9番酒井茂君登壇〕 ◆9番(酒井茂 君)今、それぞれお答えをいただきました。基本的な方向性については私はそういうことでいいかと思いますが、やはり改善を何とかするというために、まずは全国の高校の献血の実施率の平均値を目標に掲げて、それに向かって効果的な施策を進めるというようなことにしていかないと、ただお題目を掲げるだけでは進んでいかないというふうに考えます。私の提案についてどのようにお考えになりますか。教育長の答弁をお願いしたいと思います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)実施率の目標を掲げて推進すべきではないかというお尋ねでございます。  先ほど申し上げましたけれども、具体的な啓発のあり方でありますとか、あるいは生徒や保護者の不安を取り除いて参加しやすくするような対応であるとか、具体的な改善方策を検討する中で、さらに推進目標を掲げるかどうかという点についても検討してまいりたいというふうに思っております。       〔9番酒井茂君登壇〕 ◆9番(酒井茂 君)今、教育長から一歩前向きな御答弁をいただきましたが、現場に任せるだけでなく、県教委がしっかりとした方針を出し、強い指導力のもとで高校における献血体験と献血教育を進めるように要望したいと思います。  次に、廃棄物の処理に関する質問に移りたいと思います。
     まず、一般廃棄物の処理施設に係る国の交付金についてであります。  一般廃棄物、いわゆる家庭ごみの多くは焼却施設で処分されておりますが、全国的にも多くの施設が更新時期を迎えており、施設の更新や再編整備を進めなければならない、そんな状況にあるわけであります。県内には24のごみ焼却施設が稼働しておりますが、現在、10の広域連合や一部事務組合で施設の建設を進めているところでございます。  私は、伊那市の副市長、あるいは上伊那広域連合の助役といたしまして、10年以上にわたりまして新たな施設の用地の選定、地元との調整に携わりました。上伊那地域におきましては、老朽化した三つの施設を統合して新たに施設を建設することを平成10年に決定いたしました。平成14年から用地の選定作業を開始し、平成20年には候補地が決定し、環境アセスメントを経て、平成26年には用地の地元からの建設同意を得たところであります。用地の選定作業を開始してから実に12年の歳月を要したところでございます。  さて、施設の建設には巨額の費用を要するため、国の循環型社会形成推進交付金を得て初めて事業実施が可能となっております。長野県全体の国の交付金に係る当初内示額の要望額に対する割合を見ますと、平成23年度は37%と大変低い率でありました。24年度は100%、25年度は64%、26年度は94%、27年度は87%、本年度は94%でありました。各年度の最終的な交付額は、国の補正予算を得る中でほぼ要望を満たす額となっているところでございます。  当初内示額が要望額を確保できなかったことを受け、県及び事業主体は、毎年度、合同で予算確保に関する中央要望を行ってまいりました。内示額に不足を生じた場合、事業を計画どおり進めることができなくなり、苦労して築き上げた地元との信頼関係に悪影響を与えることになります。長い年月をかけ用地を選定し、建設に係る地元同意を得てようやく建設に着手できる段階に至りながら、建設スケジュールをおくらせ、新たな地元との調整や計画の変更等を迫られるだけにとどまらず、事業の実施に重大な影響を及ぼすことも考えられるのであります。内示不足額を毎年度補正予算に頼るのは、今後の事業主体の財政計画を不安定なものにするため、基本的には国が当初予算において所要額を確保する必要があるというふうに考えるわけであります。  そこで、国の循環型社会形成推進交付金につきまして、毎年度補正予算に頼らなければ必要額を確保できない状況をどう見ているのか。知事にお聞きしたいと思います。  また、今年度は要望額が確保されるかなど、交付金の状況について環境部長にお聞きしたいと思います。  次の質問は、一般廃棄物の圏域内処理についてであります。  一般廃棄物の多くはごみ焼却施設で焼却処分され、施設からは主灰や飛灰といったいわゆる残渣が排出されますが、これを適正に最終処分、いわゆる埋め立て処分をしなければならないわけであります。  近年、廃棄物の処理につきましては、廃棄物の排出から最終処分までを広域圏などの圏域内で行おうとする、いわゆる圏域内処理の考え方が主流になっております。しかし、現状におきましては、最終処分場の用地確保の困難性や、残渣の最終処分を受託する民間事業者が存在することから、県内で排出される残渣の実に5割が圏域外の民間の最終処分場に持ち込まれているという実態があります。こうした状況は、圏域内処理とはほど遠いと言わざるを得ません。  近年、民間の最終処分場におきまして、設置主体と地元地域との間で埋め立て物や管理運営方法などをめぐりましてトラブルが起き、残渣の受け入れができなくなるケースも出てきております。こうした場合、自治体は残渣の処理を他の民間事業者に依頼することになりますが、簡単には新たな事業者が見つからず、大変苦労している状況もあります。こうしたトラブルがいつ発生するか予想できない現状の中では、民間への委託処理の方法については常に不安定要素を抱えているというふうに思います。  残渣は1日の休みもなく毎日排出されるものであり、自治体におきましては確実に最終処分できる手段を常に確保しておく責任があります。こうした状況にありまして、圏域内処理を実現するためにも、私は自治体が自前の最終処分場を確保すべきと考えます。参考までに、上伊那広域連合におきましては、自前の最終処分場を既に確保してあるところでございます。県内には、自治体の一般廃棄物の最終処分場は41施設ございますが、今後の処分可能年数は12.7年となっております。処分可能容量は毎年度着実に減少していくため、新たな処分場を設置しなければならない状況にあります。  そこで、一般廃棄物の圏域内処理についてどう認識し、今後、県として具体的にどのように対応しようと考えておられるのか。環境部長にお聞きしたいと思います。  次に、県による産業廃棄物に係る最終処分場の整備について質問をいたします。  最終処分場の整備につきましては、以前計画されましたけれども、この計画は中止となりました。その後、計画変更となり、以前計画しました二つの地域の施設予定地のうち、阿智村にあります用地を取得し、整備が必要となった場合の予定地とすることとしております。そして、阿智村へ最終処分場を整備した後に、さらに残余年数が逼迫すると見込まれる場合には、全県下におきまして候補地を選定していくとしているところでございます。  県では、今後最終処分量が減少することや、民間におきます最終処分場の整備が今後見込まれることから、現状では県が処分場を整備する状況にないとしているところでございます。しかし、私は、民間におきまして新たに最終処分場を確保していくことが次第に困難になるのではないかと考えております。加えて、県内の最終処分場の今後の平均処分可能年数はわずかに10年程度であるため、近い将来、阿智村におきまして施設整備を進める必要が生じてくるのではないかと考えております。そして、その場合、阿智村の施設の次の施設の検討に入らなければならないと考えます。  そこで、今後県が行う産業廃棄物に係る最終処分場の整備に関する基本的な考え方について、環境部長にお聞きをしたいと思います。  次に、廃棄物の最終処分場に関連しまして、高レベル放射性廃棄物の最終処分について質問したいと思います。  原子力発電所は、トイレのないマンションと言われております。一般の廃棄物は最終処分場が確保されておりますが、原子力発電は高レベル放射性廃棄物の最終処分場は確保されておりません。  国では、最終処分につきましては将来の問題と捉えておりましたが、3.11大震災はこの考え方を大きく変えざるを得ない出来事でありました。それは、福島の原発のメルトダウンした原子炉自体がまさに高レベルの放射性廃棄物であり、まずはこの廃棄物の最終処分までの道筋をつけざるを得なくなったのであります。  そこで、国では、昨年5月に高レベルの放射性廃棄物の最終処分に関する取り組みを見直すことを決定をしたところでございます。この中で、国は最終処分となり得る科学的有望地を提示し、有望地である複数の自治体に対し、協力を申し入れることとしているところでございます。  私は、最終処分場はなくてはならないものであり、国の責任においてできるだけ早期に設置すべきものと考えます。そこで、高レベル放射性廃棄物の最終処分場が設置されていない状況をどのように捉えておられるのか。知事にお聞きをしたいと思います。  また、長野県といたしまして、国から最終処分場の設置について申し入れがあった場合、どのように対応すべきと考えておられるのか。現時点における知事の考え方をお聞きしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)廃棄物処理について、大きく2点お答え申し上げます。  まず、循環型社会形成推進交付金についてでございます。  市町村等が行う焼却炉等の一般廃棄物の処理施設の整備、これは酒井議員の御質問の中にもありましたが、長い期間にわたる関係者の御努力の中で計画的に進められてきたものでございます。他方で、市町村初め関係者がこうした長年の努力で計画的に進めてきているにもかかわらず、この循環型社会形成推進交付金、必要な予算額が国の当初予算額においては十分確保されていないという現状があります。平成27年度の数字で見ると、国の交付金に係る当初予算額が約354億円に対しまして、補正でその後383億円措置されているという現状にあります。  私は、こうした状況は、本来のこの廃棄物の処理施設を整備するための交付金のあるべき姿とはかけ離れたものではないかというふうに考えております。今後、さらに必要額の増大が見込まれるということを勘案しますと、極力当初予算でしっかりと措置をしていただき、市町村が安心して円滑に事業執行できる環境をつくっていくということが重要だと考えております。これまでも、市町村の皆様方と一緒になってこの交付金の予算措置について国に働きかけてきておりますけれども、引き続き関係する市町村の皆様方と協力しながら、長野県としてもしっかりと先頭に立って、国に対しての働きかけを行っていきたいと思っております。  それから、高レベル放射性廃棄物の最終処分場についてでございます。  この問題に関しましては、現在、国において、国民や地域に冷静に受けとめられる環境を整えようということで、シンポジウム等の取り組みが鋭意進められているところであります。また、これと並行して、科学的有望地については、審議会において、専門的見地から安全性の確保を第一に検討を進めているところというふうに承知をしています。  高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題については、これは我が国のエネルギー政策の根幹にかかわる国家的な大きな問題、課題だというふうに考えております。将来の世代に単純に先送りしていくということではなく、国の責任においてしっかりと方向づけをしていかなければいけない課題だというふうに認識をしております。  この問題については、今申し上げたように、国における取り組み、検討が現在行われているという状況でございますので、その先のことを仮定して、私ども長野県としての見解を示す段階ではないというふうに考えております。  以上です。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)廃棄物処理について、私には3点御質問をいただきました。  初めに、今年度の循環型社会形成推進交付金の状況についてのお尋ねでございます。  今年度の交付金は、市町村等の当初要望額36億8,000万余に対し、国からは34億8,000万円余の内示がありまして、内示率は約94%となっております。昨年度の当初内示率は約87%でしたけれども、最終的には内示額の範囲内で事業執行が可能となった市町村等が多かった中で、不足分のあった一部市町村等におきましては、追加内示がなかったため、単独事業費や事業の先送りで対応した例もございました。今年度は、昨年度を上回る内示率ではありますが、追加内示がなければ単独事業費で対応する市町村等も出てくると思われます。  県におきましては、本交付金の重要性にかんがみ、市町村等における所要額が満額確保されるよう、市町村等の皆様と協力をしながら、この7月末にも国に対して要望に行くこととしております。  次に、一般廃棄物の圏域内処理についてのお尋ねでございます。  一般廃棄物の最終処分場の整備につきましては、処理責任が市町村にあることから、市町村単位で設置することが本来望ましいものではありますが、単独でその設置が難しい場合は、市町村の区域を超えた広域的な整備を進めていく必要があると考えております。  県内の一般廃棄物の最終処分については、平成26年度実績で、最終処分量約6万4,000トンのうち約3万6,000トンが民間事業者に委託され、そのほとんどが広域の外に搬出をされている状況であります。  議員御指摘のとおり、地域内での処理が重要でありますので、今後、各地域において検討される最終処分場の計画につきまして、最新の知見や技術動向を踏まえた情報提供や、整備が容易に進まない原因等を市町村とともに探る中で、その解決策をともに考えるなど、整備が進むよう支援してまいりたいと考えております。  最後に、産業廃棄物の最終処分場の整備に関する基本的な考え方についてのお尋ねでございます。  産業廃棄物の最終処分場の整備は、民間業者による処理体制を基本とし、最終処分場の残余年数が逼迫してきた際には、公共関与による施設整備を行うこととしております。公共関与の基本的考え方を打ち出した平成19年の6月段階で、平成27年度末に11.2年と見込んでおりました産業廃棄物の最終処分場の残余年数は、この平成27年度末に策定をいたしました第4期の県廃棄物処理計画では、平成32年度末で約10.4年と見込んでおります。  こうしたことから、現時点におきましては、直ちに最終処分場を公共関与で整備する状況にはないと考えております。引き続き、阿智村の予定地について適切に管理をしてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔9番酒井茂君登壇〕 ◆9番(酒井茂 君)それぞれお答えをいただいたところでございます。  知事のほうから、廃棄物についての基本的な認識をお伺いしました。私は、そういった認識がよろしいのではないかというふうに思っているところでございますし、一般廃棄物の交付金の合同要望につきましても、私、過去において知事と一緒に官庁等を回らせていただきました。やはりああいう形で知事が先頭に立って要望されることが、受けとめる側についてもやはり姿勢といいますか、熱意といいますか、そういうことが伝わるのではないかというふうに考えておりますので、必要な要望等があれば、ぜひ知事が先頭に立って実施をしていただきたいというふうに思いますし、またこの一般廃棄物の処理施設については、国の補助金の対象になるもの以外に、地元への補償ですとか道路整備だとかさまざまな億単位の費用がかかってくるわけで、これはもう単独で負担しなければならないという、そういう状況にございますので、やはり内示率が100%を割った場合には、非常に市町村財政にとっては厳しい状況があるということを御理解いただきたいというふうに思います。  そして、最終処分場についても、今、部長のほうからお答えがありましたけれども、用地選定から処理場が完成するまでには大変な長い期間を要しますし、また、巨額な投資が必要となります。大変難しい事業となっているわけであります。各自治体の最終処分場の設置に当たっては、やはり県としてもしっかりとさまざまな支援策を講じていただくように要望をするところでございます。  高レベルの放射線の最終処分場の問題については、現時点ではいろいろ言う状況ではないということでございます。しかし、必ずいずれかの地域には設置されるものであります。国政の問題であるというだけでは片づけられないというふうに私は考えております。長野県におきましては、海岸地帯から遠く離れておりまして、放射性廃棄物を輸送するには困難性があるということなどから、有望地とはならないのではないかと考えているところでございますが、いずれにしましても、人ごとではない極めて重要な問題であり、今からぜひさまざまな情報収集や対応を検討していただくように提案をしたいと思います。  いずれにいたしましても、廃棄物の適正処理については、行政にとりましては最も重要かつ困難な課題であります。誤りのないよう対応するよう要望いたしまして、以上で全ての質問を終わりとさせていただきたいと思います。 ○議長(向山公人 君)次に、小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)全国地震動予測地図の2016年版が公開されました。熊本市は7.6%、九州北部ではわずかに減少したわけですが、実際に大地震が起きました。調査委員会は、8%より低いところでも大きな地震が起きたということを認識し、防災に役立ててほしいとしています。また、調査委員会では、今後30年以内に数%は決して無視できない数字であるとし、身の回りの確率を示して、交通事故の負傷24%、空き巣狙い3.4%、火災で罹災1.9%、ひったくり1.2%、大雨での被災0.5%などを上げています。  今後30年間の間に、糸魚川―静岡構造線断層帯、以下、糸静線と申しますが、発生率は最大で30%、南海トラフ巨大地震では70%と本県での地震の発生が予測される中で、今まさに起きるかもしれない大地震に対して喫緊の対応が求められるわけでございます。  長野県防災会議では、県内でマグニチュード7から9クラスの巨大地震が発生した場合について、人や建物の被害予測を算出した第3次地震被害想定を発表いたしました。東日本大震災を教訓に、これまで想定していなかった地震や甚大な被害が懸念される南海トラフを震源域とする巨大地震を加えた11の地震の発生を想定し、被害を算出いたしました。  今回の想定は、科学的に考え得る最大級の内陸型地震として、糸静線の全体が動いた場合の地震を新たに加えたのが特徴であり、この地震では最大で死者が7,000人以上、負傷者も3万7,000人を超え、建物の全壊、焼失は10万棟近くに達するという甚大な被害の発生を予測しているわけです。  最大の被害が予測される糸静線全体が動く地震では、長野市や松本市、上田市、岡谷市など、断層帯に沿った21市町村で震度7の激しい揺れを予測、6強も6市町村、6弱は17市町村で観測されると見込むわけです。それぞれの条件によって、死者は5,570人から7,060人、負傷者は3万1,160人から3万7,760人と予測、建物の全壊、焼失は8万2,750から9万7,940棟、半壊は10万3,450棟から10万9,620棟の被害を想定しています。ライフラインへの被害は、最大時には上水道の断水が被害直後に県人口の69%に当たる145万3,310人に影響、停電も70万570世帯に達する可能性があります。さらに、自宅の損壊やライフラインの停止などによって避難所などに避難する人の人数は、被災2日後の時点で最大36万7,540人に達すると予測され、また避難所での高齢者や障害者などの災害時要配慮者は最大で3万6,560人で、食料や飲料水などの備蓄は被災1日目から不足が発生し、道路の寸断などによって生じる孤立集落は560集落と見込みます。  マグニチュード9の巨大南海トラフ地震は、陸側で強震動が発生した場合に被害が最も大きくなります。県南部から中部の広い範囲で震度5強以上の強い揺れが予測され、6強は飯田市や伊那市など4市町村、また、駒ケ根市や諏訪市など30市町村でも6弱、北部の長野市や千曲市でも震度5強の揺れが発生するとしています。この結果、死者は130人から180人、負傷者は3,330人から4,440人に達し、建物の全壊、焼失は2,230から2,260棟、半壊は2万420から2万450棟と見込んでいるわけです。ライフラインなどへの被害は、最大で上下水道の断水が70万1,780人に影響し、停電は33万3,620世帯で発生、避難所などへの避難者は5万9,690人に上り、135の集落が孤立するとしています。  第3次被害想定は、予測される被害に対して、防災対策を行うことによって得られる減災効果を算出したのも大きな特徴であります。建物の耐震化が100%実施されれば、建物全壊棟数は、糸静線全体の場合で被害は約10分の1、長野盆地西縁断層帯で約20分の1に被害が軽減できることがわかったとしております。  県は、第3次被害想定にあわせて地震被害予想システムを開発いたしました。将来的に地震の発生が懸念される場所だけでなく、県内のどこの地点が震源になった場合も、地震の揺れや被害を概算で算出できる仕組みで、システムに任意の震源や地震の大きさを入力すれば、どの程度の被害が発生するか予測できます。これによって、地震が発生するとは考えられていなかった場所や規模での地震が発生した場合に備え、市町村などが防災対策を検討することが可能になりました。東日本大震災では、地震の規模が巨大だったため、被害の発生から把握までに相当の時間を要しました。しかし、このシステムを使えば、発災直後で被害情報が収集できない場合でも、気象庁が発表する地震情報を入力すれば被害を予測できるため、適切な初動対応が可能になるという。  県危機管理部は、規模の大きな地震が発生した場合、通信網や交通網が遮断され、初動対応に必要な情報収集は極めて難しいが、被害予測システムを使うことで、完全に正確な被害を把握することができないまでにしても、どこで大きな被害が発生しているかを推測でき、速やかな初動対応を行うことができると期待をしております。  そこで、まず建設部長にお尋ねをいたしますが、先日の報道で、災害時の応急仮設住宅候補地が5月現在で17市町村で未定であると報道され、建設主体の県は、予防の意味合いも含めて事前の候補地を決めてほしいとしていますが、その後の進捗はいかがでしょうか。また、候補地選定が困難な自治体では広域的な連携も必要と思われますが、その連携を主導しなくてはならないのではないでしょうか。  重ねて建設部長にお尋ねしますが、震災後の住宅応急危険度判定は、被災者の今後の生活を左右するため、なるべく早い時期に実施すべきと思われますが、応急危険度判定士の確保など、実施体制はどのようになっているでしょうか。  最後に、建築物の耐震化は、災害時の被害の軽減に有効であると考えられます。その対策はどうでしょうか。また、感震ブレーカーの設置は地震時に電気が原因となる火災対策に有効であると思われますが、一層の普及を図るべきと考えます。また、今回の熊本市では、ピロティー形式RCづくりの建築物の被害も散見されたが、補強できるような対策はとれないでしょうか。  続きまして、危機管理部長にお尋ねをいたします。  混乱する当該自治体職員の負担軽減のため、罹災証明書発行等の業務を近隣自治体との連携で早期に発行するなどの協力体制が必要と思われますが、対応はいかがでしょうか。  県が第3次地震被害想定策定にあわせて開発した被害予測システムは、市町村の防災対策に生かされているのでしょうか。危機管理部長にお尋ねをいたします。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)今後の防災対策につきまして3点御質問いただきました。順次お答え申し上げます。  まず、災害時の応急仮設住宅候補地に関するお尋ねでございます。  候補地の選定状況につきましては、平成25年12月に、発災時の応急仮設住宅建設を円滑に行うことを目的に市町村の候補地を取りまとめたところ、未選定の市町村が21ございました。今回の熊本地震を受けまして、現在の候補地選定の状況を改めて市町村に照会し、6月末までの報告を依頼しているところでございます。  6月21日現在の状況でございますが、11市町村から報告があり、このうち今まで未選定であった市町村の1村から候補地を選定したと報告がございました。今後、最新の選定状況を取りまとめるとともに、その状況について公表することとしております。  また、候補地の選定が困難な場合に関するお尋ねでございますが、応急仮設住宅の設置場所は、基本的には、被災者が生活再建に向けて暮らしていくためには従来からお住まいの地域である市町村内が望ましいものと考えております。今後は、最新の候補地選定状況を踏まえまして、選定が困難な市町村につきましては実情を聞き取りするとともに、困難な状況に応じまして、広域的な対応も含めて検討してまいります。  次に、応急危険度判定の実施体制に関するお尋ねでございます。  応急危険度判定は、地震により被災した建築物について、その後に発生する余震などによる倒壊等の危険性を判定することにより、2次的災害を防止することを目的としております。今回の熊本地震におきましても、約5万6,000件の判定が実施され、延べ人数で約6,700人の応急危険度判定士が活動いたしました。本県からも、県職員12名、市職員8名の計20名を派遣し、熊本市内を中心に判定活動を行ったところでございます。  応急危険度判定士は、建築士の資格者で、県が開催する養成講習会を受講した方を登録しております。本県では、毎年県内10カ所におきまして養成講習会を開催し、応急危険度判定士の確保に努めておりまして、本年3月31日現在、行政職員及び民間建築士を合わせまして1,320名が登録されております。  平成24年1月には、一般社団法人長野県建築士会と建築物災害応急活動に関する協力協定を締結し、緊急時の連絡網など、迅速な判定体制の整備を行ったところでございます。また、大規模な災害時における広域判定体制として、全国及び関東10都県、中部圏の被災建築物応急危険度判定協議会に参加し、相互支援や協力体制の構築を図っているところでございます。  続きまして、建築物の耐震化に関するお尋ねでございます。  住宅建築物の耐震化につきましては、本年3月に長野県耐震改修促進計画(第Ⅱ期)を策定し、今後5年間の耐震化に向けた方針や取り組みを定めたところでございます。この計画におきましては、神城断層地震など県内で発生した地震災害の教訓を踏まえ、平成32年までに住宅の耐震化率を90%、多数の者が利用する一定の用途、規模の建築物の耐震化率を95%とすることなどを目標としております。これらの目標達成に向けて、県民への防災意識の啓発、耐震診断や改修の費用の支援など、市町村及び建築関係団体と連携して、耐震化に向けた環境整備を行ってまいります。  また、ピロティー形式の建築物につきましては、今回の熊本地震におきましても、昭和56年以前の旧耐震基準で建てられたマンションのピロティーが崩壊するなどの被害が報告されております。こうした旧耐震基準で建てられた建築物の耐震診断や改修に対しましては、県と市町村が連携して支援を行っており、この制度の中でピロティー形式の建築物についても耐震化の支援を行ってまいります。  次に、感震ブレーカーの普及対策でございますが、過去の震災における知見でも、電気火災予防上の有効性が指摘されております。県としましては、市町村、消防本部等と協力して普及啓発に努めてまいります。  以上でございます。       〔危機管理監兼危機管理部長野池明登君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登 君)今後の防災対策につきまして2点お答え申し上げます。  まず、罹災証明書交付等業務に係る近隣市町村との協力体制についてでございます。  この証明書の交付は、被災者生活再建支援金の交付や応急仮設住宅への入居等、被災者支援のため極めて重要な役割を果たしている業務でございます。災害対策基本法では、市町村は、災害の発生に備え、罹災証明書の交付のための職員の育成とともに、他の地方公共団体等との連携の確保に努めるものとされておりまして、県内市町村間においては、長野県市町村災害時相互応援協定書に基づき、協力体制を整えているところでございます。実際、平成26年に発生した神城断層地震におきましても、被災市町村は協定などにより他の市町村から人的支援を得て、罹災証明書交付等の業務を行ったところでございます。  県としては、市町村担当者を対象とした住家の被害認定等に関する研修会を開催し、罹災証明書交付業務に従事する市町村職員の育成を支援しておりますとともに、他の市町村との連携の重要性につきましても助言をさせていただいているところでございます。今後も市町村の協力体制づくりを支援していきたいと考えております。  2点目の地震被害予測システムについてでございます。  このシステム、想定地震だけではなく、御質問にございました県内の任意の地点で地震が発生した場合に、地震による揺れの程度、被害の状況を簡易に予測するもので、平成26年に策定した第3次長野県地震被害想定にあわせて開発をしたものでございます。  システムの活用方法は大きく2点ございます。平時は、このシステムによりあらかじめ被害を予測し、県及び市町村の防災対策の基礎資料として各種防災訓練や防災体制の充実強化、自主防災組織等での啓発資料として活用をしております。また、災害時におきましては、発災直後は現地の被害情報の収集が困難なことが想定されますので、このシステムにより被害を予測し、防災関係機関の迅速、的確な初動対応のための情報として活用を図ることとしております。  今後も、市町村とこのシステムの有効性と活用方法について認識を共有いたしまして、市町村の防災対策に平時も有事も生かしてもらうよう周知を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)自然の前では、人は余りにも無力であります。しかし、知恵で被害を最小限にしていただくよう、さらなる防災に努めてもらうよう要望するわけです。  さて、続きまして、交通事故が減少傾向にある中にあって、交通事故死者の6割以上を高齢者が占めているほか、高齢者運転者がかかわる交通死亡事故の割合は44.9%となっています。今後もさらに増加することが予測されることから、本県においても総合的な対策を推進しているわけですが、全国の高齢者のアンケートの調査を見ても、いつでもどこでも自由に移動したいので車が必要と回答した人が8割、公共交通機関が使えないため車が必要と回答した方が6割、できる限り運転を続けたいと回答した人が5割に上るわけですが、75歳以上や女性は近距離しか使わないとの回答が多く、車の利用目的は日常の買い物、通院、地域活動が多くを占めているわけです。  全国での75歳以上のドライバーは、2015年に約360万人でございますが、2030年には約1,350万と予測されます。  中央病院の名誉院長の鎌田實氏は、全国で長野県は医療費が安く、日本一の長寿だというのも高齢者の就業率が日本一高いことと関係があり、仕事の多くは小さな農業、生きがいを持って働いているからこそ病院へ行くことも減る。車への依存が強い地方では、人生や生活の質を大きく左右するとも言っています。  また、早稲田大学の樋口世喜夫氏は、運転免許の返納後、心身ともに弱くなり、車椅子の生活や寝たきりになったり、認知症の程度が進んだりするケースがあるとしています。アンケート調査によると、日常生活で移動の足がないと、高齢者の4人に3人は自立困難になるという結果もあり、特に地方では公共交通の削減が著しい中、高齢者から生活の足を奪うのではなく、元気なうちは自分で歩き回れるような取り組みも必要であり、ひいては社会負担の軽減になるともしています。
     高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合会が政府に提唱し、現在、超小型モビリティーの実証実験が国土交通省と希望自治体とで行われています。自家用自動車の地域交通の利用実態を見ると、利用距離10キロ以内が6割、乗車定員は主に1名から2名が中心で、オーバースペックとなっており、今後日本社会が直面する深刻な課題に対して具体的な解決策の一つとされています。  そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。  現在では、介護保険制度の福祉用具貸与種目のシニアカーが高齢者の足として普及が増加しています。群馬県の下仁田町では、65歳以上の高齢者の足として購入者へ5万円の補助金を出していますが、市町村が窓口になるものの、本県で利用を促進するための助成を検討されてはいかがでしょうか。  また、公共交通では補完できない日常の足の確保は、健康長寿日本一を目指す本県としては重要な案件でありますが、高齢者の皆さんが運転免許証を返納後も自宅に引きこもらず、元気なうちは自分で出かけるような生活の足の確保について、どういった取り組みを今後していくのか。お尋ねをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)2点御質問をいただきました。順次回答をさせていただきます。  1点目は、シニアカーへの助成についてのお尋ねでございました。  筋力の低下等により歩行に支障が生じた場合であっても、高齢者が買い物や地域の交流会への参加等のために外出できるということは、介護の観点からも重要であります。したがって、介護保険制度においては、要介護者の移動を補助するシニアカーは福祉用具貸与サービスの車椅子に位置づけられ、そのレンタルが介護給付の対象となっております。利用者の自己負担は、維持費も含め月2,000円程度であり、積雪などにより利用が困難な冬の間は使用を控えるなどの柔軟な対応も可能となっております。  なお、シニアカーを購入する場合は、介護保険の対象外であり、価格も30万円程度と高価であるとともに、購入後もバッテリー交換や傷害保険など年間2万円程度の維持費を別途負担する必要性がございます。こうしたことから、県といたしましては、シニアカーを希望する高齢者が福祉用具貸与サービスにより利用できるよう、介護支援専門員に対する研修などで制度の周知を図ってまいりたいと考えております。  次に、高齢者の社会参加についてのお尋ねでございます。  高齢者が元気なうちはみずから歩き、さまざまな場面で活躍していただくことは、単なる長寿ではなく健康長寿世界一を目指す本県にとって望ましい姿であると考えております。  平成26年度にスタートした信州ACEプロジェクトでは、アクション、体を動かすとして、認知症予防にも効果がある運動習慣の普及や、市町村と連携してウオーキングコースの整備、利用促進、オリジナル体操の普及に取り組んでおります。また、高齢者が経験や知識を生かし、生きがいを持った生活を続けられるよう、人生二毛作社会の確立に向け、長野県長寿社会開発センターと連携して、高齢者の社会参加の促進にも取り組んでおります。  高齢者が住みなれた地域で健康で生きがいを持って暮らし続けられるよう、これらの取り組みを引き続き進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)いつかは当事者になるわけです。中山間地域の多い本県に似合ったような、まさに今、本県の農政部が取り組むような、本県に合ったいろいろな対策というのは必要なんだろうというふうに思います。  最後になりますが、熊本で被災された皆様、そこに降り続くこの豪雨は余りにも無情であります。改めて熊本で被災された皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興を祈念申し上げまして、一切の質問を終わりといたします。 ○議長(向山公人 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向山公人 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明24日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑並びに決算特別委員会の設置等を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時34分延会...