○議長(
勝俣大紀君) 日程第4「市政一般に対する質問」を行います。 本日の質問は、1番目、
秋山晃一君、2番目、横山勇志君、3番目、鈴木富蔵君の順序で行います。
秋山晃一君の質問を許可します。 10番
秋山晃一君。 〔10番
秋山晃一君 登壇〕
◆10番(
秋山晃一君)
日本共産党の
秋山晃一君です。 3月定例会において一般質問を行います。 今回の質問は、市の
地震対策についてのみお聞きします。 質問を始めるに当たって、1月1日に起きた
能登半島地震で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。 今回の質問は、この災害をよそでの出来事とするのでなく、ここから何をつかみ取って教訓とし、市政に生かしていくのかという観点から、市の防災対策の中でも
地震対策に焦点を当てて、さらに災害対策と言いましても、通信や運搬、ライフラインの確保、復旧など多岐にわたりますので、
木造住宅の耐震化、
狭隘道路の解消、
被害想定の検討の3点に絞ってお聞きします。 まず最初に、今回の地震では建物の全壊及び半壊が多く出て、建物倒壊による被害が多かったとされています。もちろん震度7を記録した輪島市、震度6強の珠洲市などはまれに見る揺れ方であったことが報道されていますが、そのような地震の中でも家屋の倒壊を免れるか軽減し、まず大切な生命を守ることが必要です。
富士吉田市の
地域防災計画、令和4年改訂版によりますと、想定される地震としては東海地震及び
南海トラフ地震、
南関東直下プレート境界地震、山梨県内及び県境に存在する活断層による地震などが挙げられており、特に前回1854年の
安政東海地震から既に150年以上が経過している東海地震については、その切迫性の高さとともに震度6弱以上の揺れが想定されると記されています。 さらに、第5節「
建築物災害予防計画」の第2「建築物の耐震計画」には「市及び県が実施した
地震被害想定調査によると、想定地震における本市の死傷原因は、ほとんどが建物の倒壊によるものとされている」と書かれています。そして、その対策の第一とされているのが「
木造住宅耐震診断事業」及び「
木造住宅耐震改修補助事業」です。 そこで、住宅の耐震化を進める第一の対策とされているこの補助制度ですが、2022年度(令和4年度)の実績を決算資料で見ますと、個人の持家の
住宅耐震診断を受けたのは27件、
耐震改修工事については7件と報告されています。この
補助事業が市民には利用しにくい事業であり、市内の
木造住宅の耐震化が進まない、改善が必要だということについては、以前より指摘させていただいてきたところです。 2月1日の新聞報道によれば、今回の震災を契機として、山梨県は補助の上限額及び補助割合の見直しを検討しているようですが、本市では現在どのように検討されておられるのか、まずお聞きします。 次に、住宅の耐震化を進めるに当たっては、この事業だけでは進まないのではないでしょうか。以前にも「この事業は県との共同の事業だから改正は難しい」というような答えをいただきました。でも、そうしているだけでは個人住宅の耐震化は進みません。どうしたら地震が起きたときに建物の倒壊、損壊を少なくして生命を守ることができるか、このことを突き詰めて考えていくことが必要ではないでしょうか。現在の
補助事業制度とは別に、住宅の
耐震改修に関する補助制度をつくり、柱一つ、壁1枚などの小規模の
耐震改修工事であっても費用の一部が補助される、そのような事業の創設が必要だと考えますが、いかがでしょうか。生命を守るということに直結する事業でもあり、市民の地震災害を減少するという意識の醸成のためにも必要だと考えます。市は既に
省エネルギー対策としての
太陽光発電設備設置に対する市独自の
補助事業を県に先駆けて行っています。
耐震改修工事にも市独自の
補助事業が必要だと考えますが、いかがでしょうか。 次に、市内の
狭隘道路の解消についてお聞きします。 現在の
建築基準法では、幅員4メートル以上の道路に接していないと新築住宅の建設はできないこととなります。市内の中心街に多くの
狭隘道路があり、これも市内の中心地に古い住宅が多い一つの要因ではないでしょうか。市の道路政策でも
狭隘道路の解消は述べられていますが、防災の観点からも、この取組に力を入れて進めるべきではないでしょうか。
狭隘道路の解消が進み、新築住宅が建てられるようになることは、震災に強い住宅が増えるということだけでなく、市の中心地に多くの人に住んでいただく
まちづくりにもつながると考えますが、いかがですか。 次に、
被害想定についてですが、今回の地震では
被害想定が過少であったために、災害後の支援物資が不足していることが指摘されています。我が市の場合はどうでしょうか。震災に対する
被害想定を再度検討して、十分な物資を備蓄することが必要ではないでしょうか。この点も併せてお聞きします。 以上で1回目の質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 初めに、元旦に発生いたしました令和6年
能登半島地震により尊き命を失われた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。 それでは、
秋山晃一議員の本市における
地震対策についての御質問にお答えをいたします。 まず、先日、新聞報道にもありました山梨県における
木造住宅の
耐震改修に係る補助額及び補助率の見直しについてでありますが、この見直しは山梨県が単独で行うものではなく、山梨県と市町村が連携して行うものであり、本市におきましても新年度から補助額及び補助率を上乗せし、事業を実施する予定であります。このため、
耐震改修工事に関する本市独自の新たな
補助事業の創設については考えておりません。 次に、柱や壁一つなどの小規模の
耐震改修工事に対する補助についてでありますが、
木造住宅の耐震化とは、建物の基礎、壁、接合部、屋根など建物全体の強度や
バランス等を考慮しながら行う必要があり、建物の一部のみの補強を行っても耐震効果が見込めないため、このような事業の実施は考えておりません。 なお、居間や寝室等の一部に安全な空間を確保する
耐震シェルター設置に係る補助金の交付事業を現在、山梨県と連携して行っているところであります。 次に、
狭隘道路の解消につきまして、まず秋山議員御発言の4メートル以上の道路に接していない土地へは新築住宅の建築ができないとのことですが、いわゆる
狭隘道路に面する土地に住宅を新築しようとする場合には、
建築基準法第42条第2項に規定されております
セットバックをすることで建築が可能となっております。 また、生活道路の整備に当たっては、
富士吉田市
道路整備計画に基づき、計画的な整備を図っているところであります。その中でも、
中心市街地周辺の住宅が密集している地域の
狭隘道路につきましては、住宅等の建て替え時において
セットバックをしていただくなど、地域住民の協力を得る中で順次拡幅整備に努めてまいります。 次に、震災に対する
被害想定の再検討と物資の備蓄についてでありますが、昨年5月に山梨県から公表されました山梨県
地震被害想定調査により
被害想定が見直され、
南海トラフ地震等の大規模災害時における本市の避難者数は1日
当たり最大5,135人と示されました。現在、本市では避難者数を約6,000人と想定し、食料や毛布、
簡易トイレ等の物資を備蓄しております。 特に、食料につきましては、内閣府が示している3日分の非常用備蓄を上回る1週間分となる
アルファ化米等の主食を12万6,000食以上、ビスケットや
菓子パン等の補助食を3万7,000食以上備蓄しており、発災時の食料供給に万全を期しております。また、震災による被害により橋や道路が通行不能になった場合にも物資の供給が滞ることがないよう、本市では従来から市内5か所の
防災備蓄倉庫を分散して設置していることに加え、迅速に初期対応が取れるよう、
指定避難所である小・中学校や高校、
福祉避難所である福祉施設にも常時物資を備蓄しております。 いずれにいたしましても、このたびの
能登半島地震を対岸の火事とせず、新たな課題やその教訓を調査研究し、より一層本市の防災対策に尽力してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君)
秋山晃一君。 〔10番
秋山晃一君 登壇〕
◆10番(
秋山晃一君) 2回目の質問を行います。 補助額及び補助率を上乗せし、新年度から事業を実施すると答弁がありました。このことは大変歓迎することです。その上で、2021年に改定された市の
耐震改修促進計画によりますと、旧耐震基準の昭和55年以前に建てられた住宅の数は5,300戸、全体の約3割となっています。さらに、この計画では2025年には
耐震化率を95%にすると言っていますので、そのときから1,994戸を施策効果によって耐震性がありとして
耐震化率を上乗せすると、このように言っているのですが、これは現在どこまで進んでいるのでしょうか。 私はこれまでのような
耐震改修補助制度の利用状況では目標は達成しないのではないか。そして、これはただ単に目標を達成しないということだけではなく、一旦災害が起これば人命に関わることですので、今までの取組の延長ではなく、何らかのさらなる施策が必要ではないかと申し上げましたが、その点についての見解はいかがでしょうか。 次に、
地震災害対策としての
狭隘道路の解消についてお聞きしました。答弁では
セットバックすることで建築が可能ということと、住宅の建て替え時に協力を得るということが示されましたが、市としてのこの道路解消に対する積極性が弱いのではないでしょうか。この事業はなかなか困難ですので、市民の皆さんの協力を得るためには、目標を持って計画的にやることが必要で、また市民の皆さんの要望、意見を聞くなど、丁寧な取組が必要だと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。 次に、
被害想定のことについてですが、今回の能登半島の地震においては、避難所の収容人数を上回る避難者があったなど、
地域防災計画の想定を超える避難者の数となったと報道されています。人口2万8,000人の輪島市の避難者は1万2,000人、1万5,000人の珠洲市では約7,000人、1万8,000人の能登町では5,500人が避難していると1月4日付の新聞で報道されています。これらのことから、改めて
被害想定を見直すことは必要ないのかと申し上げましたが、このことはいかがでしょうか。再度お聞きします。 以上の点をお聞きして、2回目の質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 秋山議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、耐震化の進捗状況につきましては、旧耐震基準で建築された
木造住宅の所有者に対し、定期的なダイレクトメールの送付や戸別訪問による啓発等を実施しております。また、これまでに977戸の家屋において耐震診断が行われ、そのうち907戸の家屋が耐震化の必要があると診断され、現在181戸の家屋が
補助事業の活用等により耐震化を完了しております。 この
木造住宅の耐震化は、義務や所有者に対し強制をするものではなく、あくまでも所有者が多額の費用を投じて耐震化を図らなければならないことに加え、所有者の事情や環境は多種多様であり、
木造住宅の耐震化を図るという決断は容易ではありません。 このような背景から、山梨県と連携を取りながら、耐震化への啓発や各種情報の提供に努めるとともに、来年度におきましては、
木造住宅の
耐震改修等事業や
耐震シェルター設置事業の補助額を上乗せすることで、耐震化を必要とする
木造住宅の耐震化を促進してまいります。 次に、
狭隘道路の解消につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、沿線住民の用地協力を得る中で、現地の状況や地元の意見、要望を丁寧に聞きながら整備を進めてまいります。 次に、震災に対する
被害想定の再検討についてでありますが、本市における地震の
被害想定は、山梨県が行っている
被害想定調査で示された値を根拠としております。 なお、令和5年の山梨県
地震被害想定調査では、調査対象の地震が9つ存在しており、本市ではその中で最も
被害想定が大きい
南海トラフ巨大地震の数値を採用しております。そのため、
被害想定の根拠につきましては、引き続き豊富なデータに基づいた山梨県の調査結果を活用してまいります。 なお、数値自体は今後も山梨県の調査結果を根拠としてまいりますが、
能登半島地震の状況を鑑みますと、
南海トラフ巨大地震においても避難者が想定を上回ることも十分想定されます。そのような中、先ほど答弁申し上げましたとおり、本市におきましては、内閣府が示している3日分の非常用備蓄を上回る1週間分の
アルファ化米等の主食を備蓄しており、発災時の食料供給に万全を期しております。 いずれにいたしましても、
被害想定を超えることもあり得ることから、あらゆる状況を鑑みて備蓄品目の充実を図るなど、さらなる防災対策に尽力してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君)
秋山晃一君。 〔10番
秋山晃一君 登壇〕
◆10番(
秋山晃一君) 3回目の質問を行います。 907戸が耐震化の必要があると診断され、そのうち181戸が
耐震改修工事を完了しているとの答弁がありました。残りの726戸については、持家の耐震状況について関心や意欲があり、耐震診断を受け、
耐震改修工事の必要があると診断されながら工事には至らなかった。そこには様々な事情もありますが、市長も答弁で述べられたように、多額の費用という工事費用の障害が大きいのではないでしょうか。そうした観点から、以前に補助額の増額を提案したところ、県との事業だから難しいとのことでした。それが今回、補助額を上げられるということですので、歓迎すると申し上げました。 しかし、市の
耐震改修促進計画で95%にするというのを目標としているのですから、これは行政としてそこまで到達するように手だてを講じるということになると思います。お聞きした答弁では、その手だては
耐震改修補助事業だけのように受け取りましたが、その増額だけで耐震化が進むかどうか、先行きは不透明です。95%達成のために、啓発の取組や
耐震化促進への取組についてさらにお考えはないのでしょうか、お聞きします。 以上で3回目の質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 秋山議員の3回目の御質問にお答えいたします。
木造住宅の
耐震改修につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、
木造住宅の所有者に対し強制するものではなく、あくまでも所有者自身の意思により
耐震改修を行うものでもあります。このことから、本市といたしましては、
耐震改修促進計画の目標達成に向け、来年度から
耐震改修事業における補助額の上乗せを山梨県と連携して行い、最大125万円を補助することで
耐震改修へのさらなる後押しをするものであります。 いずれにいたしましても、市民の生命、財産を守る上で必要な事業でありますので、引き続き広報紙やダイレクトメールによる普及啓発活動に注力し、
耐震改修による効果等の丁寧な説明を積極的に行うなど、目標達成に向け努力してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君)
秋山晃一君。 〔10番
秋山晃一君 登壇〕
◆10番(
秋山晃一君)
能登半島地震の後も各地で地震が起きています。自然災害は避けられないものですが、その被害をできるだけ少なくしていくこと、被災者の避難生活を快適なものにしていくこと、災害からのなりわいや生活の早期の復興を支援することなど、その在り方についても今後も機会あるごとに議論していきたいと考えます。 以上で質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) これをもって
秋山晃一君の質問を打ち切ります。 横山勇志君の質問を許可します。 14番横山勇志君。 〔14番 横山勇志君 登壇〕
◆14番(横山勇志君) まず、一般質問を始める前に、このたびの能登半島での震災により御家族、御親戚や御友人を亡くされた皆様が深い悲しみや不安を抱えながら生活されていることに対しまして、心よりお悔やみを申し上げます。また、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げますとともに、被災地域の方々が一日も早く安全で安心できる日常生活が取り戻せるよう、私も強く願っております。 令和6年3月定例市議会の一般質問を始めたいと思います。 今回は第1標題、
富士吉田市の将来における財政と施設整備についての1点のみを市長にお伺いいたします。 さきの令和5年12月定例会最終日の議員協議会にて、執行者より明見中学校の長寿命化改修工事についての説明と同僚議員からの質疑がありました。その長寿命化改修に伴う予算について「備品等を想定して約30億円を超える費用がかかり、そのうちの約3分の1が国からの補助金」との答弁があり、私を含め多くの議員の皆さんも10億円ほどの補助金が国から入ってくると理解されたと思います。 そこで、もう少し理解を深めるために担当課にお伺いしたところ、実際に市へ支払われる金額は補助対象経費のうち3か年で3億5,000万円程度しかなく、残りは市が負担しなければならないとお聞きしました。まず、そのことを念頭に置き、今後予定されている小・中学校の建て替え等の工事は、小学校が7校、中学校が4校で、そのうちの1校が明見中学校となるわけです。 さらに、市では市営住宅や小児初期救急医療センターも併設している市立総合医療センターの建て替えや長寿命化、そして新庁舎、市民総合体育館等の建設も計画し、加えて広域ごみ処理場施設建設の負担金も70億円とも、それ以上とも言われております。つまりこれらは市の財政にとって大きな負担となり、圧迫する要因ともなるわけであります。 そこで、市長にお聞きしたいのが、今後予定されている公共施設の耐震・長寿命化工事、さらに新規に建てようとしている施設についてどのような計画をお持ちでしょうか。具体的な説明をお願いいたします。 私は施設の耐震化も考慮した上で長寿命化工事をすることに関し、当然必要なものであると認識しております。また、これらの施策や計画は全て市民のためであり、必要不可欠であります。しかし、市の財源は無限にあるわけではありません。それにかかる建設、整備費用は莫大であり、今後建築費等の高騰も予想され、市の財政支出は増加する一方であります。 さらに、人口減少も深刻な問題です。過日、新聞紙上で公表された人口統計調査で、山梨県はついに80万人を割り込みました。これは全国で6番目に少ない人口であります。
富士吉田市も例外ではなく、転出が転入を上回る転出超過が205人となっており、山梨県で2番目に悪い結果です。また、直近の2月1日現在、昨年同月と比較すると人口が503人減少しており、
富士吉田市の人口は4万6,732人となっています。特に働き手の中心となる生産年齢人口の減少割合が高く、非常に危惧しているところであります。人口減少は税収減や消費低迷につながります。また、少子高齢化も進み、社会保障費等の負担や支出も増えます。 そこで、市長は公共施設の今後の在り方と優先順位をどのように考えておられるのでしょうか。また、以上の懸念材料に対してどのような考えを持っておられるのかお伺いいたします。 一方で、
富士吉田市の財政力は山梨県内で上位に位置し、市長をはじめ職員の皆様が努力をしていることは称賛に値いたします。特にふるさと納税は近年、全国でベスト10の常連で、令和4年度は全国で9番目に多い88億円の収入がありました。そのうち施策に活用できる財源は46億7,000万円であり、県内はおろか全国的にもすばらしい成果だと思います。 しかしながら、ふるさと納税は安定的な収入源とは言えません。他の自治体も同じように努力を重ねており、競争が激化しています。また、国からの規制や制限が毎年のように変更されています。これは今後もふるさと納税が好調に推移するという保証がないことを意味するものであります。 市長は稼げるまち
富士吉田市を公約にしています。私もその考えに大賛成です。その上で、市長は今以上に稼げる体制を構築することにかじを切ることも必要だと考えます。その中で、令和5年9月定例会の一般質問で私も提言した道の駅
富士吉田の建て替えは、将来に対する投資だと思います。道の駅は年間200万人の来客があり、観光や物産の拠点として重要な役割を果たしています。建て替えによって道の駅の魅力や機能を今以上に高めれば、それに伴う収入増は
富士吉田市の収入源の一つの柱となり得ることが期待できます。 以上のように、市の財政支出は増加する一方で、市の収入には不安定な要素も併せ持っていると思いますが、市長がこれまで実行してきた施策は「稼げるまち
富士吉田市」に一定の成果や結果をもたらしていると思います。そういった意味も含めて、私は「今は財政運営も順調に見えるが、今後のことも考えて身を引き締めるべきだ」という考えに至りました。 この私の自論に対して市長の見解をお聞かせください。 以上で第1標題、
富士吉田市の将来における財政・施設整備についての1回目の質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 答弁に先立ちまして、令和6年
能登半島地震により尊き命を失われた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に対し心からのお見舞いを申し上げるとともに、被災地におきまして一日も早く従来の日常を取り戻すことができるよう願っております。 それでは、横山勇志議員の
富士吉田市の将来における財政と施設整備についての御質問にお答えをいたします。 まず、公共施設の耐震化・長寿命化工事や新たな建設における計画についてでありますが、現在、本市では道の駅
富士吉田、富士北麓総合医療センター、市役所本庁舎、鐘山総合体育館等の建て替えを計画しており、さらに富士北麓・東部地域12市町村による広域ごみ処理施設の建設を進めているところであります。横山議員御発言のとおり、これらの施設の建設に当たりましては、多額の財政支出が必要となります。 全国の地方公共団体において、1960年代から1970年代にかけて公共施設が集中的に整備され、それらの公共施設は建て替えなどの更新時期を一斉に迎えようとしております。また、少子高齢化の急速な進行に伴い、扶助費等の社会保障関係費は増加傾向にあり、財政状況が年々厳しさを増している中で、全国的に既存の公共施設等の更新に充てることができる財源は減少傾向にあります。さらに、人口減少等によって既存の公共施設に対する需要の変化が予想されることも踏まえ、公共施設等の状況を把握するとともに、適正な供給量や配置を実現することが全国共通の課題となっております。 このような状況を踏まえ、本市におきましても、財政見通しとライフサイクルコストに配慮した
富士吉田市公共施設等総合管理計画を平成29年3月に策定いたしました。また、社会基盤である公共施設等のマネジメントは、市民の安心・安全な暮らしの確保はもとより、持続可能な
まちづくりにつながる非常に重要な取組であることから、住み続けられる快適なまちを目指すため、令和4年3月に
富士吉田市公共施設等総合管理計画の改訂を行ったところであります。 次に、公共施設の今後の在り方と優先順位についてでありますが、横山議員御指摘のとおり、世界的な建築資材の高騰により、公共施設の更新等における財政支出は増加する一方であり、さらに、少子化による人口減少や高齢化の進行等に伴い、市税収入等の増加は見込めないため、投資的経費の抑制など市の歳入歳出における構造の変化が予想されます。 今後、必要な公共施設等を維持し、建設するためには、限られた経営資源の有効活用が求められ、将来の人口に見合った公共施設の保有量を目指すことが必要であります。このことから、選択と集中の考え方に基づき、本市が持続的な発展を続けるために必要な施設に関しまして、優先的に整備等を進めるとともに、山梨県が所管する施設と機能が重複している施設や利用者数が低迷している施設につきましては、将来における施設の在り方について、規模の縮小化、他の施設との複合化や廃止等を検討してまいります。 次に、現在の順調な財政運営状況においても、今後を見据えて身を引き締めるべきであるとの考え方に対する私の見解についてでありますが、横山議員御発言のとおり、現在、本市の財政状況につきましては、県内で上位の健全性を維持しており、ふるさと納税につきましても、全国トップクラスの成果を上げているところであります。 しかしながら、中長期的な視点で見ますと、今後は人口の減少に伴う税収の減少が懸念される一方で、高齢化の進行による社会保障関係費のさらなる増加や、公共施設、インフラ施設の老朽化に対する経費が増加していくなど、財政需要は時を経るごとに増加するものと認識しております。これらの見通しを踏まえ、私としても、好調な現状のみを見て行動するのではなく、将来の財政需要を見据えた上で、中長期的な視点を持って公共施設の整備や財政運営を行っていかなければならないと強く考えているところであり、これは横山議員のお考えと全くもって一致しているところであります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君) 横山勇志君。 〔14番 横山勇志君 登壇〕
◆14番(横山勇志君) 第1標題、
富士吉田市の将来における財政と施設整備についてに関する2回目の質問を行います。 市では、
富士吉田市公共施設等総合管理計画を平成29年3月に策定し、令和4年3月に改訂を行ったとのことですが、この
富士吉田市公共施設等総合管理計画の具体的な内容の説明がなければ、市民に理解してもらうことは難しいと思います。周知のとおり、国は人口減少に伴う公共施設の利用実態の変化、地方自治体の財政状況の悪化、公共施設の老朽化などの問題を抱えています。こうした状況を踏まえ、総務省は各自治体に対し、最低でも10年以上の公共施設の方向性を示した公共施設等総合管理計画の策定を指導しました。そして、私は市長答弁で述べられた説明を踏まえた上で、各自治体がそれぞれ策定に至った経緯があると理解をしております。
富士吉田市公共施設等総合管理計画で策定されたことは、本市の今後にとって非常に大切な要素が含まれていることは容易に想像ができます。そのような意味も含めて、市長は
富士吉田市公共施設等総合管理計画の具体的な策定内容を市民に対し丁寧に説明する責務があると考えます。市長の答弁をお願いいたします。 次に、市長が考える本市が持続的な発展を続けるために必要な施設とは、具体的にどのような施設を優先的に整備することを想定しているのでしょうか。市長のより具体的な答弁をお願いいたします。 また、それらの施設について「将来における施設の在り方について、規模の縮小化、他の施設との複合化や廃止等を検討してまいります」と答弁されていますが、どのような検討を行うのか、市長のより具体的な答弁をお願いいたします。 最後に、市長は、現在の順調な財政状況に慢心することなく、稼げる
富士吉田市にかじを切っていきましょうという私の質問に対して、「横山議員の考えと全くもって一致しているところであります」という答弁をいただき、私も大変心強く思った次第であります。今後も本市が持続的に発展できるよう尽力してまいります。 以上で第1標題、
富士吉田市の将来における財政・施設整備についての2回目の質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 横山議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、
富士吉田市公共施設等総合管理計画の具体的な策定内容を丁寧に説明する責務についてでありますが、
富士吉田市公共施設等総合管理計画は、公共施設が抱える課題を整理し、管理に関する基本的な考え方や推進体制についての認識を共有する中で、今後20年間の公共施設の適正な維持管理についてまとめた計画であることから、横山議員御発言のとおり、市民への内容説明は必要であると認識しております。そのことから、計画の策定や改訂時におきましては、他の計画と同様に市民の意見を反映させるために、パブリックコメントを実施するとともに、具体的な内容につきましては、ホームページにて周知を図っているところであります。 次に、本市が持続的な発展を続けるために必要な施設とは具体的にどのような施設を優先的に整備することを想定しているかについてでありますが、富士北麓総合医療センターと道の駅
富士吉田の建て替えにつきましては、必要性が高く、優先順位が高いものと考えております。また、市民の健康保持増進や総合医療の充実に欠かすことのできない富士北麓総合医療センターは、市民の健康増進につながる参加型事業を開催できる機能をも併せ持つ新たな施設の整備を進めるため、(仮称)総合医療保健センター建設検討委員会において示された将来予測等を踏まえる中で、令和5年度と令和6年度の2か年におきまして基本構想を策定し、建設を進めてまいります。 さらに、道の駅エリアの核となる道の駅
富士吉田は、令和5年度における利用者数、売上額が既に過去最高の利用者数、売上額を記録した昨年度を上回る利用者数200万人、売上額10億円を超える見込みであり、エリア全体の売上額では約20億円を超える見込みであるなど、来訪者から高い評価をいただいております。横山議員御発言のとおり、道の駅
富士吉田につきましては、観光や物産販売の拠点施設として重要な役割を担っていることから、魅力や機能をさらに向上させることにより、本市の収入源の一つの柱になり得ることが期待できると考えております。 加えて、市役所本庁舎と鐘山総合体育館の建て替えにつきましては、今後どのような整備、在り方がよいのか、その実施時期を含め、総合的な観点から検討する中で進めてまいります。 次に、将来における施設の在り方について、規模の縮小化、他の施設との複合化や廃止等の検討についてでありますが、総務省地方財政状況調査関係資料に基づく令和3年度公共施設状況調査経年比較表によりますと、本市の普通財産を除く建物の床面積は24万1,106平方メートルであり、住民1人当たりの延床面積は5平方メートルとなっております。これは山梨県内27市町村の中で10番目に低い数値でありますが、13市の中では6番目に高い数値となっており、昭和35年の上暮地地区編入以降に市町村合併等を行っていない本市といたしましては、人口減少を見据え、公共施設の延床面積の削減が必要不可欠であります。 また、現在、本市が予定している主要公共施設の更新等や小・中学校施設長寿命化を実施した場合の事業費総額は、試算によるとおおむね300億円を上回るものとなり、莫大な財政支出が必要となります。加えて、円安と物価の上昇が進行している現状では、見込まれる経費がさらに増大することは想像に難くありません。したがいまして、公共施設の更新に優先順位をつけた上で、更新対象施設を絞り込むことが必要不可欠であることから、人口減少に対応した適切な公共施設の保有量を目指すとともに、本市財政の健全性を維持してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君) 横山勇志君。 〔14番 横山勇志君 登壇〕
◆14番(横山勇志君) 第1標題、
富士吉田市の将来における財政と施設整備についてに関する3回目の質問を行います。
富士吉田市公共施設等総合管理計画を、市では市長答弁にありますように平成29年度から令和18年度までの20年間を計画期間として策定しました。この計画は、
富士吉田市の公共事業の基盤となるもので、市長答弁にありますように、市民の皆様に対してより丁寧な説明をお願いいたします。 さて、市長が公共施設に対して優先順位をつけて、それぞれ対処してくださることは理解できました。特に、市民の健康を守る富士北麓総合医療センターや
富士吉田市の収入源の核となり得る道の駅
富士吉田といった公共施設に対して優先順位が高いことは私も同意見です。 しかし、本市が計画しているその他の公共施設に対しても優先順位をつけることは当然ですが、市長答弁にありますように「市役所本庁舎と鐘山総合体育館の建て替えにつきましては、今後どのような整備、在り方がよいのか、その実施時期も含め、総合的な観点から検討する中で進めてまいります。」と述べられたように、限られた財源の中で全ての公共施設をそのまま実施することは難しいと考えます。また、「主要公共施設の更新等や小・中学校施設長寿命化を実施した場合の事業費総額は、試算によるとおおむね300億円を上回る」と述べており、さらに将来にわたる税収減について言及されています。 そこで、公共施設の規模縮小や削減についても言及されていることを踏まえ、市長にはさらなる詳細な説明をお聞きいたします。 まず、現在、本市が更新等を計画している主要公共施設ごとの事業費と財源の内訳について詳しく御説明願います。 併せて、将来にわたる本市予算の収支見通しをどのように想定しているのか、詳しくお聞きしたいと思います。 最後に、私が1回目の質問で「今後予定されている小・中学校の建て替え等の工事は、小学校が7校、中学校が4校で、そのうちの1校が明見中学校となります」と小・中学校の長寿命化について触れました。これらの案件は少子化による人口減少と密接に関連しており、直近の問題でもありますので、市長は本件に対してどのような考えをお持ちなのか、詳しくお聞きいたします。 以上で、第1標題、
富士吉田市の将来における財政・施設整備についての3回目の質問を終わります。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 横山勇志議員の3回目の御質問にお答えいたします。 まず、現在、本市が更新等を計画している主要公共施設ごとの事業費と財源内訳についてでありますが、今後10年間において更新等を要すると考えております各公共施設の現時点での試算による事業費は、富士北麓総合医療センターが約25億円、道の駅
富士吉田が約20億円、市役所本庁舎が約80億円、鐘山総合体育館が約70億円であり、また、小・中学校施設長寿命化における中学校のみに係る金額が明見中学校を含めて約120億円、富士・東部広域ごみ処理施設建設の負担金が約15億円となっており、これらを合計しますと約330億円の費用を要することとなります。 また、これらの施設の更新等に係る財源内訳につきましては、現在の想定で、国の補助金が約36億円、市債が約175億円、一般財源が約119億円と見込んでおります。 次に、将来にわたる本市予算の収支見通しをどのように想定しているのかについてでありますが、本市は健全な財政運営を行っているものの、ただいま申し上げましたとおり、施設の更新等を仮に今後10年間で全て実施した場合の収支を見通しますと、莫大な更新費用により、時を置かずして基金が底をつくと同時に、市債の償還費用が著しく増加し、高齢化等に伴う社会保障関係費の増加などと相まって、遅からず本市の財政が破綻の危機に瀕するものと想定しているところであります。 このことから、今後10年間において、これらの更新等を全て実施することは不可能であると結論づけざるを得ないところであり、本市が財政の健全性を維持しながら、持続的な発展を続けるためにも、今後想定される公共施設の更新等につきましては、財政の健全性維持を前提として、その必要性や優先順位などを十二分に検討した上で実施する必要があると強く考えているところであります。 次に、小・中学校施設の長寿命化についてでありますが、
富士吉田市公共施設等総合管理計画におきましては、市立小・中学校施設の老朽化に対する懸念や、旧耐震基準で建築された施設は全て耐震補強済みであるものの、非構造部材に安全対策が必要であると示されており、令和元年度には
富士吉田市学校施設長寿命化計画を策定したところであります。しかしながら、現在、長寿命化工事を実施している明見中学校を含め、市立中学校の施設のみを長寿命化した場合におきましても、先ほど答弁申し上げましたとおり、その事業費は約120億円となり、財政負担が非常に莫大なものとなります。 一方で、横山議員御指摘のとおり、全国的な少子化の進行の中、厚生労働省の人口動態調査や住民基本台帳年報に基づく本市の出生数は、昭和35年の統計開始以降、昭和43年の1,153人をピークに年々減少しており、令和4年には昭和43年比で約74%減少の300人となります。また、この影響により、本市における市立小・中学校の児童・生徒数は、平成27年度の人口ビジョン策定時におきまして、児童が2,545人、生徒が1,451人でありましたが、令和6年度の児童・生徒数は児童が2,074人、生徒が1,072人と予想され、今後も児童・生徒数は減少していることが予測されております。 このことから、現在、本市では令和5年度と令和6年度の2か年におきまして、市立小・中学校の適正規模と適正配置に関する調査をしており、今後はこの調査結果を基に適正配置計画を策定してまいります。また、小・中学校の施設につきましては、整備の方法や在り方等、総合的な観点からの検討を行うに当たり、統廃合の議論は必要不可欠であると認識しております。したがいまして、現在行っている調査結果を基に策定する適正配置計画の結果を踏まえ、議会や市民の皆様の御理解と御協力をいただく中で合意形成を図り、統廃合による適正配置を進めてまいります。 いずれにいたしましても、少子化による人口減少や高齢化が急激に進行する中で、本市の将来人口に見合った公共施設の保有量を目指すことが必要不可欠であります。このことから、選択と集中の考え方に基づき、本市が持続的な発展を続けるために必要な施設は優先的に整備等を進めるとともに、全ての公共施設を対象に規模の縮小化、他の施設との複合化、統廃合や民営化等を進めてまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君) 横山勇志君。 〔14番 横山勇志君 登壇〕
◆14番(横山勇志君)
富士吉田市の財政と施設整備について、一歩踏み込んだ市長の御答弁に接し、私も責任ある立場の議員として市民の皆様に寄り添いながら、地に足をつけ、身を引き締めながらこの難題に取り組む覚悟であります。 これで私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(
勝俣大紀君) これをもって、横山勇志君の質問を打ち切ります。 鈴木富蔵君の質問を許可します。 7番鈴木富蔵君。 〔7番 鈴木富蔵君 登壇〕
◆7番(鈴木富蔵君) 令和6年3月定例会において一般質問させていただきます。 質問に先立ちまして、1月1日元旦に能登地方を震源とした地震が発生し、亡くなられた方々には心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。被災地の皆様の安全と一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。 私は
富士吉田市民皆様の本市における医療体制の充実が重要だと考え、その中で、これまで小児初期医療の体制について一般質問してまいりました。今回は市立病院の役割と経営状況について一般質問させていただきます。
富士吉田市立病院は、富士北麓地域唯一の公立病院として、一般患者の診療はもとより、夜間や休日の救急外来、高度な医療の提供など、この地域に暮らす住民にとって安心・安全な医療を提供する重要な病院と認識しております。特に、令和2年の初頭から始まった新型コロナウイルス感染症は、その後約3年にわたるパンデミックという未曽有の国難となりましたが、このような新型コロナウイルスが蔓延している状況下にあっても、市立病院では多くのコロナ患者を受け入れ、全国でも報道されたようなコロナ患者の入院難民などは、少なくともこの地域では発生しなかったように思います。さらに、現在では、日本人の2人に1人が生涯にがんに罹患すると言われる時代にあって、リニアックやダ・ヴィンチといった高度ながん治療機器などを積極的に導入し、国中地域に劣らない診療体制が整備されていると考えます。 このような観点からも、市立病院は富士北麓地域だけではなく、山梨県が定める医療圏である富士東部地域においても中心的な役割を果たしていると思いますが、市長のお考えをお伺いします。 また、医療の提供に関しては、
富士吉田市民だけではなく、市外の患者も多く受け入れていると思いますが、その割合はどの程度になるのかお伺いします。 次に、市立病院の経営状況についてお伺いします。 昨年5月に新型コロナウイルス感染症が感染法上の5類に位置づけられ、世の中がコロナ前の平時の状態に戻りつつある中、病院関係者におかれましては、依然として感染対策に細心の注意を払いながら診療に従事されていることに大変頭が下がる思いであります。 さて、コロナが5類へ移行する中で、病院経営に関しても大きな変化が現れているようです。コロナ禍であった令和3年度、4年度においては、コロナ関係の国からの補助金などにより市立病院の決算は黒字となっています。しかし、これはコロナ関係の補助が大きく影響したものであって、コロナが5類に移行されて以降、今までのような補助は見込めないと聞いています。さらに、物価上昇や光熱費の高騰などが全国的に病院経営に対して深刻な影響を与えていることを報道などで目にしました。 このような厳しい状況の中で、現在までの経営状況はどのようになっているのかお伺いします。 また、救急医療といった公立病院として担うべき不採算部門の維持も求められている中、このような厳しい病院運営に対しては、一般会計からの負担もあると思いますが、現在の繰出金の状況はどのようになっているのかお伺いします。 以上、1回目の質問とさせていただきます。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 答弁に先立ちまして、令和6年
能登半島地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対しまして心からのお見舞いを申し上げます。また、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 それでは、鈴木富蔵議員の
富士吉田市立病院の役割と経営状況についての御質問にお答えをいたします。 まず、市立病院の役割についてでありますが、
富士吉田市立病院は昭和23年に開設して以来、富士北麓地域で唯一の自治体病院として、一般診療をはじめ高度医療や救急医療など、地域のニーズに応じた質の高い医療環境を提供し、市民の皆様の安心・安全を確保するため、この地域の基幹病院としての役割を果たしております。 特に、100年に一度と言われるパンデミックにおきましては、未知のウイルスであった新型コロナウイルス感染症に対しまして、この地域の医療を守る最前線であり、最後のとりでであるという強い使命感の下、市立病院の職員一人一人が高い意識を持ちながら、医療従事者としての責務を果たしてまいりました。また、新型コロナウイルス感染症患者への対応といたしましては、新型コロナウイルス感染症重点医療機関として、山梨県内の感染状況に応じた必要な病床を確保することで、感染拡大時におきましても病院機能を止めることなく、適切な診療体制を維持いたしました。 さらに、がん診療におきましては、国から地域がん診療病院の指定を受ける中、放射線治療装置のリニアックや手術支援のロボットのダ・ヴィンチを導入するなど、がん治療の高度化や患者の体への負担軽減を図り、安全で質の高い治療を可能とする診療体制を整備してまいりました。現在、県内には放射線治療施設が5か所ありますが、富士東部地域におきましては
富士吉田市立病院のみであります。また、ダ・ヴィンチの導入につきましても、富士東部地域では初めてであり、県内では山梨大学医学部附属病院、山梨県立中央病院に続き3か所目の導入となっております。 このように国中地域や県外へ通院することなく、本市におきましても先進的かつ高度な治療を受けることが可能となり、
富士吉田市立病院は国中地域と郡内地域との医療格差を解消する中心的な役割を果たしていると認識しており、事実、来院する患者の約半数は市外の方であります。 次に、市立病院の経営状況についてでありますが、鈴木議員御発言のとおり、新型コロナウイルス感染症は昨年5月8日に感染法上の5類感染症となり、それまで新型コロナウイルス感染症患者の病床を確保することで得られていた補助金などが大幅に削減されました。本年度の入院や外来による医業収益は、入院患者数の増加などにより増収を見込んでおりますが、同時に材料費や給与費など医業費用の大幅な増加によって厳しい経営状況が続いております。そもそも病院収入の根幹である入院収益や外来収益は、国が定めた診療報酬として算出される公定価格であるため、物価高騰や人件費上昇が適時適切にこの診療報酬に反映されないことがこの厳しい経営状況の大きな要因の一つになっております。 また、平成13年5月に市立病院が現在の場所に移転してから20年以上が経過し、経年劣化による施設の改修や医療機器の更新に多額の費用負担が生じ、病院経営を圧迫しております。さらに、平成23年3月に整備したリニアックなどの高度な医療機器の更新も予定しており、より多くの費用負担が見込まれていることから、経営状況は今後も厳しさを増していくことが予想されます。 次に、一般会計から市立病院の運営に対して負担することとなる繰出金についてでありますが、令和5年度当初予算においては8億9,000万円、令和6年度当初予算においては9億4,000万円もの金額を計上しており、これにつきましては、多くの財政需要を抱えた市の貴重な財源を工面した中で捻出しているところであります。また、コロナ禍にありました令和2年度と令和3年度におきましては、通常の繰出金に加えて、新型コロナウイルス感染症に対する費用の一般会計からの繰出金を追加するなど、可能な限り病院経営の負担軽減に努めてまいりました。 いずれにいたしましても、市立病院の経営は厳しい状況でありますが、富士東部地域の基幹病院として、市民をはじめとする地域住民の皆様へ質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君) 鈴木富蔵君。 〔7番 鈴木富蔵君 登壇〕
◆7番(鈴木富蔵君) 2回目の質問をいたします。 がん治療を含めた高度な医療や新型コロナウイルス感染症に対する対応など、平常時のみならず非常時に際しても、市立病院の果たしてきた役割は、まさに市長の答弁にもあるように、
富士吉田市のみではなく、富士北麓地域、ひいては富士東部地域の中心的な役割をも担っており、大変心強く思います。しかしながら、その役割を全うするため、非常に多くの資本投資を続けていく必要があることも事実です。また、それらが公定価格である診療報酬で賄い切れない状況であることも、先ほどの御答弁で確認できました。今後も施設改修や様々な医療機器の更新と併せて、救急医療やがん治療をはじめとする高度医療などの不採算部門を担うことは、ますます病院経営を厳しくしているものと考えます。 一方、がん治療では、山梨県地域保健医療計画において、地域唯一の地域がん診療病院であり、山梨県における75歳未満のがんによる死亡率が全国平均以下であることにも市立病院は多大な貢献をしているものと考えております。こうした医療提供環境が経済的理由で脅かされ、地域間の医療格差を生じさせることは、本市のみならず富士東部地域、ひいては山梨県全体の大きな損失と考えます。将来にわたり病院機能を低下させないためには、病院施設そのものの適時改修や新たな医療機器への円滑な更新が大変重要であると思います。 そこで、これらの改修や更新が滞らないようにするため、経営基盤強化の方策や市からの繰出金について見直す必要があると思います。また、さらに踏み込んだ話をすると、先ほどのがん治療も含め、市立病院が担っている役割を考えると、その在り方については
富士吉田市のみではなく、周辺自治体も含め、山梨県全体の問題ではないかと考えますが、市長のお考えをお伺いします。 昨今では、病院が経営状況の悪化から閉院するといった報道も目にします。これまで地域医療を担ってきた病院が赤字運営を解消するすべを見いだせず、やむなくその使命を終えてしまうことは大変残念に思います。このような状況は市立病院にとっても他人ごとではなく、赤字運営が続くことで経営基盤が脆弱となり、病院の閉院にまで追い込まれ、地域医療を崩壊し得る状況が発生することは大変憂慮する事態であります。 富士北麓唯一の公立病院である市立病院の厳しい運営は、このような状況をも引き起こす可能性があることを認識の上、市立病院だけに負担をかけるのではなく、市全体の問題として取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。市長のお考えをお伺いします。 以上、2回目の質問とさせていただきます。
○議長(
勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。
市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 鈴木議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、市立病院のこれまで果たしてきた役割につきまして、深い御理解を賜り感謝申し上げます。 さて、御質問の経営基盤強化の方策についてでありますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、市立病院の収入につきましては、公定価格である診療報酬が大部分を占めていることから、収益の大幅な改善を見込むことは難しい状況にあります。しかしながら、看護基準などに代表される各種施設基準の見直しなど、実施可能なものにつきましては、順次行っているところであります。 また、本年は診療報酬が改定される年でもあることから、その改定内容を踏まえる中で、対応可能なものは積極的に取り入れてまいります。さらに、病院施設の改修につきましては、長寿命化計画を活用する中で、費用の平準化を図り、医療機器の購入につきましては、引き続き必要性や経済性、さらには収益性などを考慮するなど、どちらも収支のバランスを念頭に実施してまいります。 次に、市からの繰出金についてでありますが、鈴木議員御発言のとおり、病院の機能を維持する上で、適時の施設改修や医療機器の更新は重要な課題であり、それには多額の費用が継続的にかかることも事実であります。これまでにも施設改修や医療機器の更新には、各種補助金を活用するとともに、本来であれば様々な行政課題の解決や市民サービス向上に活用できる一般財源としての恩賜林組合からの分収交付金も、そのほとんどを繰出金として市立病院事業に支出している状況であります。しかし、一般会計の財源にも限りがあり、様々な財政需要に応えるためにも、市立病院の赤字を全て一般会計からの負担で賄うことは厳しいものと考えております。 大阪府藤井寺市の市立藤井寺市民病院や神奈川県川崎市の聖マリアンナ医科大学東横病院が本年3月末で閉院といった報道に触れ、公立・私立の区別なく、病院の経営環境の厳しさは同じであると痛感しているところであります。鈴木議員御発言のとおり、このような報道を目にしますと、厳しい経営状況が続くことで市立病院の経営が破綻し、地域医療の崩壊の序章になることも他人ごとではないと感じており、市を挙げてこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。 一方、山梨県地域保健医療計画に定められた富士東部医療圏におきましては、鈴木議員御発言のとおり、
富士吉田市立病院が富士東部地域のがん診療の専門的な医療について中心的な役割を果たすとされていることから、今後も高度な医療体制を確保していく必要があるとともに、医師の確保の面におきましても、診療環境の整備は欠かせない要素の一つとなっております。そのことから、富士東部地域におきまして求められる市立病院の在り方や医療提供環境の充実と維持には、その費用負担の在り方も含めて、本市のみの問題ではなく、山梨県をはじめ近隣自治体や
富士吉田医師会なども交え検討するべき課題であると考えております。 以上、答弁といたします。
○議長(
勝俣大紀君) 鈴木富蔵君。 〔7番 鈴木富蔵君 登壇〕
◆7番(鈴木富蔵君) 今回、私は市立病院の役割と経営状況について一般質問させていただきました。堀内市長からは、市を挙げてこの問題に取り組んでまいりたいと力強い御答弁をいただき、誠にありがとうございました。 今後におきましても、お年寄りから子どもたちまでが住みよい、安心できる
まちづくりのさらなる推進をお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
勝俣大紀君) これをもって鈴木富蔵君の質問を打ち切ります。 以上をもって本日の日程は全て終了いたしました。 明日3月7日午後1時より本会議を再開いたしたいと思います。 本日はこれをもって散会いたします。
--------------------------------------- 午後2時37分 散会...