令和 5年 9月 定例会(第4回) 令和5年第4回(9月)定例会会議録(第2号) 令和5年9月13日(水曜日) 午後1時00分開議 午後3時46分
散会---------------------------------------出席議員(20名) 1番 藤井義房君 2番 滝口晴夫君 3番 藤田 徹君 4番 渡辺 将君 5番
伊藤 進君 6番 藤原栄作君 7番 鈴木富蔵君 8番 渡辺新喜君 9番 宮下宗昭君 10番 秋山晃一君 11番 勝俣大紀君 12番 前田厚子君 13番 小俣光吉君 14番 横山勇志君 15番 勝俣米治君 16番 渡辺幸寿君 17番 戸田 元君 18番 渡辺利彦君 19番 奥脇和一君 20番 太田利政君
---------------------------------------欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名 市長 堀内 茂君 副市長 前田重夫君 教育長 奥脇義徳君 代表監査委員 渡辺龍雄君 企画部長 渡辺一史君 総務部長 眞田喜久雄君 市民生活部長 小笠原むつよ君 経済環境部長 小林 登君 都市基盤部長 白須美行君 都市基盤部長(上下水道) 田辺 満君
ふるさと創生室部長 荻原美奈枝君
市立病院事務長 小泉俊也君 教育部長 武藤智恵子君 企画部次長 堀内利教君 総務部次長 小川 徹君
演習場対策室次長 舟久保佳浩君
監査委員事務局長 萱沼妙子君 秘書課長 白須 圭君 総務課長 梶原明彦君
---------------------------------------職務のため出席した事務局職員 事務局長 萱沼孝文君 次長 天野義仁君 課長補佐 奥脇茂樹君 臨時職員 林 純司君
---------------------------------------議事日程第2号 第1 市政一般に対する
質問---------------------------------------会議に付した事件 議事日程に同じ
------------------------------------------------------------------------------ 午後1時00分 開議
○議長(勝俣大紀君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配付のとおりであります。 傍聴人に申し上げます。
市議会傍聴規則第7条の規定により、静粛に傍聴するようお願いいたします。 また、一般傍聴者におかれましては、同規則第9条の規定により、撮影及び録音は禁止されておりますので、御留意願います。
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△諸般の報告
○議長(勝俣大紀君) 報告事項を申し上げます。 CATV富士五湖から、本日の本会議の一般質問をテレビ中継したい旨の申出がありました。また、報道機関から、傍聴席より撮影を許可願いたい旨の申出がありました。いずれも許可いたしましたので、御了承願います。 以上で報告事項を終わります。 これより日程に入ります。
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△日程第1 市政一般に対する質問
○議長(勝俣大紀君) 日程第1「市政一般に対する質問」を行います。 本日の質問は、1番目、勝俣米治君、2番目、秋山晃一君、3番目、
伊藤進君、4番目、前田厚子君の順で行います。 勝俣米治君の質問を許可します。 15番勝俣米治君。 〔15番 勝俣米治君 登壇〕
◆15番(勝俣米治君) 9月定例会におきまして、第1標題、
富士山登山鉄道構想について一般質問をさせていただきます。
富士山登山鉄道構想については、山梨県が実施する事業であり、市政一般に関する質問にはそぐわないとの御意見があることは十分承知しております。しかしながら、
富士山登山鉄道が本市に与える影響は計り知れないと思料することから、今回一般質問をさせていただきます。 私は、堀内市長のこれまで4期16年にわたる富士山における環境保全、安全対策への取組について非常に高く評価しており、心から敬意を表する次第であります。特に、平成25年6月の富士山の
世界文化遺産登録や平成26年の
富士山保全協力金の導入においては、堀内市長のメディアをはじめとする各種方面、団体への力強い発信力と行動力があったからこそ実現できたものであり、また、国や県に対し、地道ながらも粘り強く要望活動などを続けてきたからこその成果だと考えております。 その後も山梨県側の
富士山火山噴火対策砂防事業の早期実現を図ることを目的に、平成27年1月には
富士山火山噴火対策砂防事業促進期成同盟会を設立し、国などへ要望活動を続けた結果、平成30年度から山梨県側で国直轄による砂防事業が着手されるに至ったことは大変喜ばしく、市民の皆さんの安心・安全を願う市長の並々ならぬ思いを感じ得たところでもあります。
国直轄砂防事業の着手には、当時、私も議長の立場で堀内市長とともに要望活動を行った一人として非常に感慨深いものがあります。令和3年3月に発生した豪雨時には、この
国直轄砂防事業のおかげで、
富士北麓公園付近の砂防堰堤で大量の土砂を捕捉し、土石流災害を未然に防いだことは記憶に新しいところであります。 しかしながら、富士吉田市は古くから雪代などの土石流災害に見舞われてきた地域であり、これまで十数年から数十年に一度の頻度で発生をし、甚大な被害が報告されております。土石流による甚大な被害は二度とあってはなりません。令和4年5月には、富士北麓地区で初めてとなる国による砂防施設の建設が富士山浅間沢で着工されました。今後の
国直轄砂防事業に大きな期待を寄せる一人であります。 さて、富士山には信仰の山としてのいにしえよりあがめ奉られた歴史があります。一例として、江戸時代中期には「江戸八百八町に八百八講、講中八万」という言葉があるように、江戸のまち全てに富士講があり、講員は実に8万人に上ったと言われております。信仰の対象と芸術の源泉として世界文化遺産に登録された富士山。登録10周年を迎える本年は、富士山の価値を再認識し、その普遍的な価値を後世に継承する取組をさらに進めていく必要があります。 そうした中、山梨県では長崎知事の公約として、
富士スバルラインに
次世代路面電車LRTを敷設する
富士山登山鉄道構想の可能性を検討しています。その検討会には地元市町村の首長等の名前はなく、一部の有識者だけで議論が進められており、地元住民は蚊帳の外に置かれています。富士山は日本を象徴する山であり、世界の宝でもあります。また、多くの国民の心のよりどころでもあり、麓に暮らす私たちにとりましても、豊かな自然がもたらす様々な恩恵はかけがえがないものであります。今を生きる私たちは、この美しい富士山に感謝し、国民の財産として、世界に誇る日本のシンボルとして、後世にしっかりと引き継いでいかなければならない責務を負っていると感じており、一部の有識者だけで鉄道の設置を議論することや検討すること自体、地元を無視した暴挙とも言える行為ではないかと思います。 また、富士山は宝永噴火から315年沈黙を続けており、専門家からいつ噴火してもおかしくない活火山であると言われております。スイスのアルプス山脈を走る
ユングフラウ鉄道と違い、富士山はスコリアが堆積した砂礫の山であります。岩盤の上に鉄道を敷くのと砂場のような砂礫の上に鉄道を敷くのとでは、鉄道事業としての安全面や富士山の景観を損ねることなどからも大きな違いがあり、加えて、登山者の安全確保の観点からも鉄道を敷設すべきではないと考えております。さらに、富士山は冬季に発生する雪崩によって、スバルラインや滝沢林道などの道路の寸断や損傷が毎年確認されています。そのような状況にもかかわらず、なぜ
富士山登山鉄道構想を推し進めようとするのか、富士山を愛する私には全く理解できません。 堀内市長においては、先日の
富士山世界文化遺産登録10周年記念イベントの挨拶で「この美しい富士山をしっかりと守っていく」と発言されていました。これまでの富士山の環境保全や防災対策、そして登山者の安全管理に16年間心血を注いできた自信、そして今後の意気込みに満ちあふれた挨拶であると感じ得たところであります。 そこでお伺いします。 富士山の麓のまち、富士吉田市を統括する立場として、
富士山登山鉄道構想に対してどのような見解をお持ちでしょうか。市長の見解をお聞かせください。 以上で1回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 勝俣米治議員におかれましては、私のこれまでの4期16年の行政実績を評価していただくとともに、富士山の環境保全、安全対策への取組に対しまして高い評価をいただき、感謝申し上げる次第であります。勝俣米治議員には、市民の皆さんのためによりよい行政を築くため、今まで以上に御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。 それでは、
富士山登山鉄道についての御質問にお答えをいたします。 まず初めに、私が申し上げたいことは、なぜ富士山が世界文化遺産に登録されたのかということであります。これは富士山という自然の営みに宗教性、芸術性を見いだしてきた日本人の自然観や文化観が国際的に認められたからであります。世界の宝としてこのような評価を受けている富士山に登山鉄道を整備する構想があることは、私も以前から報道等において承知しております。しかし、山梨県からは一度も協議を持ちかけられたことがなく、勝俣米治議員御発言のとおり、一部の有識者が富士山から遠い場所で議論を進め、地元住民への説明会すら行わないことから、私は「雲の上で描いた、絵に描いた餅」と発言をいたしました。私もこの世界文化遺産に登録されている意味を踏まえた上で、地元住民や富士山に関係する様々な人たちが登山鉄道の賛否を含む議論に加わることは至極当たり前のことだと思っております。 また、山梨県はこの
富士山登山鉄道を整備することによって、登山者数のコントロールや環境保全が可能になると考えているようでありますが、私は以前から、自然環境の保護や登山者の安全確保を目的に、入山規制や入山料の義務化など、様々な方法により富士山の登山者数を制限すべきであると申し上げております。同様に、五合目の来訪者による車両台数の増加に伴う環境への負荷は、マイカー規制の拡充と五合目までの路線に技術革新が目覚ましい電気バスをさらに活用することで軽減できると考えております。 さらに、二酸化炭素の削減ということでは、登山鉄道構想よりも先に富士山五合目の電化を進めるべきだと考えております。電化が進めば、富士山にある様々な観測機器の安定運用、そして各施設での総使用量が年間25万リットルと言われる化石燃料の消費がなくなり、環境面において大きな効果が期待できます。なお、この電化に係る費用は50億円ほどと試算されており、1,400億円とも言われる
富士山登山鉄道の整備費用の僅か4パーセントほどで実現が可能です。 加えて、災害対策の観点からも、今なぜ登山鉄道構想なのかと疑問を持たざるを得ません。山梨県も構成メンバーとなっている
富士山火山防災対策協議会は、富士山噴火における最新の調査研究を加え、令和3年3月に富士山の
ハザードマップの改定を行いました。また、同時に山梨県は安全を確保するための
富士山噴火総合対策を策定し、住民、登山客、観光客の安全を確保するよう
富士山火山防災対策を強力に推進するとしていることから、登山鉄道に1,400億円もの資金を投入するのではなく、富士山の火山防災対策に投入すべきではないかと考えております。 そのほかにも、災害時における避難対策の観点から、噴火や地震、落石といった災害発生時に多くの来訪者を短時間で麓へ移送するに当たり、鉄道による移送では運用方法に制限があり、移送量や避難の即時性の面でバスや自動車のほうがはるかに効果的であります。また、バスや自動車は災害により
富士スバルラインが寸断された場合にも、滝沢林道を利用することで避難が可能であり、リスク管理という観点からも優位であると考えております。 実際、吉田大沢では、水とスコリアが起因となり、泥流と雪や氷から起こる
スラッシュ雪崩、いわゆる雪代が恒常的に発生いたしております。例えば、令和3年3月22日に発生した
スラッシュ雪崩では、
富士スバルラインにおいて4か所が寸断されてしまい、1か月以上通行できなくなりました。令和2年に山梨県が行ったスバルラインにおける雪崩に関する調査においても、
富士スバルライン上には雪崩のリスクのあるところが14か所にも上るとの報告があります。 自然の厳しさは生易しくありません。トンネルなどでルートが保全されている
立山黒部アルペンルートでさえ、12月から3月までの期間は営業を行っておりません。危険を冒してまで通年観光を目指す必要はなく、冬は山を休ませる期間だと思っております。 また、勝俣米治議員御発言のとおり、海外での実例として比較されるスイスの
ユングフラウ鉄道は、岩盤が隆起してできたアルプス山脈に建設されたもので、地盤がしっかりしておりますが、溶岩やスコリアなどで構成される軟らかくて崩れやすい山である富士山に登山鉄道を整備することはそぐわないものと考えております。 このように環境保全や安全対策などの観点で、
富士山登山鉄道構想について私の考え方を述べさせていただきましたが、いずれにいたしましても、富士山において登山鉄道整備の必要性は全くありません。富士山は世界文化遺産でも認められた山岳信仰と芸術の源泉であります。富士山の大自然がこれらを醸成してきたのです。これ以上富士山の自然を壊すことなく守っていくべきであります。「これ以上富士山を傷つけてほしくない。」、「富士山を金もうけの道具に使ってもらいたくない。」、これが私の思いです。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 勝俣米治君。 〔15番 勝俣米治君 登壇〕
◆15番(勝俣米治君)
富士山登山鉄道構想について、2回目の質問をいたします。 堀内市長の御答弁をお聞きして、私の考えと軌を一にするものであり、大変心強く感じるとともに、富士山を後世にしっかりと引き継いでいかなければならないとの決意を私も新たにしたところであります。 また、富士山は多様な噴火形態や数多くの火口が広範囲に点在していることから、噴火のデパートとも言われており、その切迫性や被害規模、避難方法などを理解し、正しく恐れることがとても重要であります。御答弁にもありましたとおり、噴火や地震、落石などの災害発生時において、現状のスバルラインを道路として利用した場合の避難については、避難者の移送量や避難の即時性及び
富士スバルラインが寸断された際の滝沢林道を活用した避難も可能となり、リスク回避の観点からも、鉄道と比べて優位であることは自明の理であります。そのことはもちろん私も同意見であります。 山梨県では、本年度当初予算に
富士山登山鉄道構想策定のための調査費として6,000万円を計上いたしました。また、8月3日に開催された
自民党山梨県連市町村議員政策研修会において、長崎知事は
富士山登山鉄道の利用料金について、県民からはお金を取る必要はないと発言されるなど、私には
富士山登山鉄道ありきで進められているように思えてなりません。 御答弁にもありましたとおり、
富士山登山鉄道構想には地元住民や富士山に関係する様々な人たちが賛否を含む議論に加わるべきであり、こうした議論を交わすこともなく進められようとしている
富士山登山鉄道構想は、まさに机上の空論でありますし、もっての外であります。県民の代表である長崎知事には、富士山が世界文化遺産に登録された意味を正しく御理解していただきたいと思います。 私は今回の一般質問に当たり、富士山に関係する方々をはじめ、県議会議員や
市町村議会議員及び地元住民の皆さんなど、様々な立場の皆様方から
富士山登山鉄道構想に対する意見を拝聴してまいりました。その御意見の中には「これ以上、美しい富士山の自然を壊してほしくない。」、「
富士山登山鉄道が整備された場合、冬季に雪崩が発生し、運行車両に直撃することが大変危惧される。」といった私の考えと一致する御意見も数多くあり、
富士山登山鉄道構想に反対する御意見が多数を占めました。 堀内市長の下にも
富士山登山鉄道構想に対する様々な御意見が寄せられていることと思いますが、どのような内容か、その一端をお聞かせください。また、寄せられた御意見を山梨県にしっかりと伝えていくことも、富士の麓に住む市長に課せられた使命であり、大変重要であると考えますが、見解をお聞かせください。 先日、テレビ朝日で放送されている「ビートたけしのTVタックル」という番組を拝見いたしました。その番組では、
富士山登山鉄道構想の是非が議論されており、登山家の三浦豪太氏や石原良純氏などがゲストとして意見を述べておりました。ゲストの真摯な議論を拝聴し、富士山は日本を象徴する山であると確信するとともに、市民の代表である市議会議員として、議会においても議論をし、
富士山登山鉄道構想に反対する御意見をお持ちの方々と山梨県に物を申していかなければならないと痛感いたしました。 堀内市長におかれましても、
富士山登山鉄道構想には反対の立場を示され、機会あるごとに山梨県に物を申されておりますが、先ほども申し上げましたとおり、今年度、山梨県では調査費を予算計上するなど、着々と
富士山登山鉄道構想を前に進めようとしております。これ以上前に進めさせないためにも、地元の首長や議員等が結束し、声を上げていく必要があると考えますが、堀内市長の見解をお聞かせください。 以上で2回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 勝俣米治議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、
富士山登山鉄道構想についてどのような意見が寄せられているかについてでありますが、日本全国の個人や様々な団体から、環境面、安全面、費用面と、内容は様々でありますが、そのほとんどが
富士山登山鉄道には反対であること、また、山梨県に負けないで頑張れといった共感や激励のお言葉をいただいております。
富士山登山鉄道構想に対する反対のうねりが押し寄せていると感じられ、私自身大変励まされております。 また、寄せられた御意見をしっかりと山梨県に伝えることが重要であるとのことでありますが、私も全く同じ意見であります。しかしながら、山梨県からは現在までに協議を持ちかけられたことがなく、意見聴取の場さえ設ける予定があるかも分からない状況であります。その一方で、先日のテレビ放送を含め、様々なメディアでもこの
富士山登山鉄道構想は取り上げられており、私もそれらの番組を見る機会がありましたが、富士山をよく知らない人たちは、深く考えることなく、見た目のかっこよさや便利さのみに焦点を当て、偏った情報をそのまま受け入れ、賛同してしまっているような印象を受けました。 本年8月11日の山梨日日新聞には、富士山の登山者250人に行ったアンケート結果として、登山鉄道に賛成と答えた人の割合は41.6パーセントとありました。賛成の理由として挙げられているのは、交通量の減少による環境保全や利便性の向上につながるとのことですが、私は莫大な資金を投入することなく、電気バスの運用で十分に対応が可能であると考えております。一方、
富士山登山鉄道の賛否に対するアンケートで、分からないと答えた人は3分の1以上の34.8パーセントを占めております。多くの人々が山梨県の
富士山登山鉄道構想の詳細を理解していないことが判明いたしましたので、この構想が富士山にとっていかに不要なものであるかを誰にでも分かるように周知しなければならないと痛感いたしております。そのためには、まず市の広報紙やホームページなどに限らず、様々な媒体を使い、富士山には登山鉄道が不要であることを、市民の皆様だけでなく、全国の皆様に御理解いただけるよう周知してまいります。 また、山梨県は
富士山登山鉄道構想ありきで強引に話を進めており、地元住民への説明責任が果たされておりません。この山梨県の進め方に対抗していくためには、勝俣米治議員御発言のとおり、富士山をよく知る地元の人たちが結集し、富士山の環境保全の重要性や自然災害の危険性をしっかりと主張し、
富士山登山鉄道構想がいかに不要な計画であるかを訴え、登山鉄道の整備に反対していく必要があります。 各方面に影響力を持つ方々の集まる大きな団体が進めようとする
富士山登山鉄道構想に対し、富士山の麓の小さな市が反対することは、アリがゾウに挑むような行動であります。しかし、私は富士山を守り、富士山を未来に引継ぐ責任を持つ富士吉田市長として、全国の皆様にしっかりと事実をお伝えすることにより、今後、
富士山登山鉄道構想への反対運動が、富士山を心から愛する団体や個人の方々から草の根的に全国へと広がっていくことを大いに期待しております。 先ほど答弁申し上げましたとおり、「これ以上富士山を傷つけてほしくない。富士山の自然を守りたい。」という願いが私の根底にあるからこそ、
富士山登山鉄道構想に断固として異を唱えているのです。勝俣米治議員におかれましても、私同様の見解であると認識できましたので、今後も共に反対の声を上げていただきますようお願いを申し上げます。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 勝俣米治君。 〔15番 勝俣米治君 登壇〕
◆15番(勝俣米治君) 「富士山愛、富士吉田愛」を政治理念とする私にとって、富士山の美しい自然を後世に継承していくことは責務であり、政治手腕が問われる重要な課題であると認識しております。山梨県が地元と協議せずに推し進めようとしている
富士山登山鉄道構想には絶対反対の立場を示すとともに、今後、反対運動に微力ながら参画してまいりたいと思います。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(勝俣大紀君) これをもって、勝俣米治議員の質問を打ち切ります。 秋山晃一君の質問を許可します。 10番秋山晃一君。 〔10番 秋山晃一君 登壇〕
◆10番(秋山晃一君) 日本共産党の秋山晃一です。 9月定例会において一般質問を行います。 今回の質問は、第1標題として、DV被害に関する市の施策について、第2標題として、
富士山登山鉄道構想についての2点を質問します。 第1標題として、DV被害に関する市の施策について質問します。 DVとは、ドメスティックバイオレンスの略称で、配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力を指します。これに関して、幾つかの施策についてお聞きします。 1点目は、DVの被害に遭っている方への相談窓口と対応についてお聞きします。 内閣府男女共同参画局の調査では、2021年4月から2022年3月の1年間に全国で寄せられた相談の数は7万4,979人、内訳は女性が7万2,490人、男性が2,489人となっています。現在、山梨県内の相談窓口は甲府市1か所と、この富士吉田市にもあると聞いています。しかし、富士吉田市の相談では、相談を受けるだけで、DV証明書などの取得はできないので、全ての手続を完了させるためには、改めて甲府市に出向かなければならないと聞いています。今のこの制度は、DVから逃れてきた人にとってはなかなか困難なやり方ではないでしょうか。全ての手続が市内の相談窓口で完了するようにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 次に、相談を受ける場所ですが、被害に遭われた方は、他の相談事例にも増して繊細な心境となっており、市役所内での相談では足を運びづらいこともあるかと考えます。それに対する対応策としては、市役所外に相談所を設置するといったことなどが考えられますが、どのように考えておられますか。 2点目に、シェルターについてお聞きします。 山梨にはシェルターが極めて少なく、私も以前相談を受けたときに、近隣の場所を紹介することができませんでした。行政として独自にシェルターを持つことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、市営住宅へDV被害者が入居できるようにしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 3点目に、制度上の配慮についてお聞きします。 DV被害者が富士吉田市に移住した場合、住民票を移しますと居場所を知られてしまうなどの問題が生じる可能性があります。そこで、DV被害者であると認められたような方は、住民票を移さなくても市民としての権利が得られる、また児童については保育施設や教育施設を利用できるようになるといった何らかの対応ができないかと考えますが、いかがでしょうか。 4点目に、DV被害者を支援する個人あるいは団体への支援についてお聞きします。 先ほども言いましたように、DVの被害に遭われた方のためのシェルターあるいはシェアハウスは極めて少なく、民間の努力で対応されています。しかし、シェアハウスの運営にしても、家を確保すれば家賃も発生しますし、運営にも資金を必要とします。このような民間の取組で支援活動を行っている方への行政からの支援は、現在はないと聞いています。支援を行っている個人や団体から実情をお聞きするところから始めて、支援を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 5点目に、職員の研修についてお聞きします。 この問題は非常にデリケートで、なおかつ重要な問題であるだけに、職員の皆さんが一定の知識と認識を持っておられることが必要かと考えます。正確な知識で正確な対応を行うためにも、現在DV被害者支援に取り組んでいる民間の協力も得て研修に取り組むことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。 6点目に、DVに対する学習についてお聞きします。 幼児教育や学校教育の中で、DVに関する認識を深め、デートDVなどのように子どもたちが加害者にも被害者にもならない取組が必要だと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。 以上で1回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 秋山晃一議員のDV被害に関する市の施策についての御質問にお答えいたします。 ドメスティックバイオレンスは大変深刻な社会問題であり、DV被害に遭っている方への支援に当たっては、DV被害に関して正確な知識を持ち、適切な対応を行うことが大変重要なものと考えております。 DV被害に関する施策等の具体的な内容につきましては、市民生活部長をして答弁いたさせます。 以上、私からの答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 市民生活部長。 〔市民生活部長 小笠原むつよ君 登壇〕
◎市民生活部長(小笠原むつよ君) 秋山晃一議員のDV被害に関する市の施策についての御質問にお答えいたします。 まず、1点目のDV被害に遭っている方への相談窓口と対応についてでありますが、本市では婦人相談員を配置し、要保護女子の相談・指導を行っておりましたが、平成13年度に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆる配偶者暴力防止法が制定されて以来、これまでの相談に加え、DVの被害相談も受け付けております。 DVに関する証明書につきましては、法律により発行することができる機関が配偶者暴力相談支援センターと定められており、県内では甲府市にある山梨県女性相談所と山梨県男女共同参画推進センターとなります。なお、本市で取り扱うことができるのは、第三者が住民票等の閲覧、交付により被害者の現住所を判明できないよう保護するための住民基本台帳事務における支援措置申出書のみであります。 また、相談を受ける場所につきましては、庁舎内の個室で対応しておりますが、秋山議員御発言のとおり、市役所に行きたくないという方もいらっしゃいます。その場合には、コミュニティセンター等の部屋を借りて相談を受け付けておりますので、専用の相談所を設置することは考えておりません。 次に、2点目のシェルターについてでありますが、DVの被害に遭っている方が一時的に身を寄せることができる公のシェルター、いわゆる一時保護所を設置することができるのは、配偶者暴力防止法により各都道府県の婦人相談所と定められていることから、現状では本市が独自にシェルターを設置することは困難であります。 また、市営住宅への入居につきましては、公営住宅の目的外使用について、関東地方整備局長の承認を得ることにより、原則として1年を超えない期間において、緊急に迫られる事情があるDV被害者の一時的なシェルターとして使用可能となっております。 次に、3点目の制度上の配慮についてでありますが、DV被害者の方が市外から本市に移住してきた場合、住民票の異動をせずとも市民と同じように行政サービスを受けられ、お子さんがいる場合は保育園への入園や小・中学校への転入学の対応が可能となっております。 次に、4点目のDV被害者を支援する個人あるいは団体への支援についてでありますが、市でDV被害者の相談を受けた際には、相談者の状況に応じ、子育て支援課や健康長寿課など庁内の関係課や警察署等の関係機関と連携し、よりよい支援ができるように努めております。その中で、民間の団体や個人の方からの支援が加わることで、より支援の厚みが増すものと考えておりますので、その民間団体や個人の方への支援につきましては、実情を把握した上で、先進地の事例等を参考に検討してまいります。 次に、5点目の職員の研修についてでありますが、山梨県女性相談所や山梨県主催の様々な研修に担当職員が参加しているところであります。また、同じく女性相談所主催で行う実務者会議において、日頃の相談業務における事例発表を通して意見交換を行うなど、知識の習得に努めております。秋山議員御発言のとおり、DV被害は被害者の安全を守るために、決して被害者の情報を漏らしてはならないなど、非常にデリケートな取扱いが必要であることから、職員の対応については細心の注意を払っております。 次に、6点目のDVに対する学習についてでありますが、子どもたちに対しては、命の重さや人を思いやることの大切さなどを道徳等の授業だけでなく、あらゆる場面で指導しております。また、NPO法人が作成したリーフレットの配布や、山梨県が作成したDVやデートDV防止に係る冊子を活用する中で、被害者、加害者のどちらにもならないよう注意喚起や指導を徹底しております。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 秋山晃一君。 〔10番 秋山晃一君 登壇〕
◆10番(秋山晃一君) 2回目の質問を行います。 市営住宅への入居が1年を超えない期間であれば、一時的なシェルターとして使用可能となっているという答弁でしたが、DV被害者がいて、そのような必要が生じれば、市としては取り組んでいくつもりだということでしょうか。その点はいかがでしょうか。 次に、市営住宅への入居は可能ということや、答弁ではDV被害者の家族が住民票を異動しなくても、諸権利や教育を受けられるということですので、それらのことは喜ばしいことです。しかし、いずれもDV被害者として証明されているという条件があるのではないでしょうか。そうであるならば、証明書の発行が甲府市にある2つの場所でしかできないという今の形態は、被害者にとってはやはり大変に困難です。法律で定められているとのことですので、この問題はその深刻さから、法改正に向けて地方の実情を訴えていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 次に、DVに対する学習について取り組んでいるという答弁がありましたので、お聞きします。DV被害者支援に取り組んでいる団体は、被害者支援だけでなく、学校等への出張講座にも取り組んでいると聞きました。そのような講座を行いたいという声があれば、積極的に応えていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市民生活部長。 〔市民生活部長 小笠原むつよ君 登壇〕
◎市民生活部長(小笠原むつよ君) 秋山晃一議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、市営住宅の入居についてでありますが、一時的なシェルターとしての使用につきましては、DV被害者の身の安全を確保するという点から、必要に応じて適切に対応してまいります。 次に、行政サービスを受ける際のDV被害に関する証明についてでありますが、小・中学校の転入学につきましては、学校や教育委員会の間で家庭の状況を把握することができる場合には、手続の際に証明書は不要となっておりますが、市営住宅の入居や保育園の入園の際には証明書が必要となります。 このようにDVに関する証明書が必要でない手続もありますが、行政サービスを受けるために証明書が必要となる場合があることは事実であり、秋山議員御発言のとおり、証明書を取得するためにわざわざ甲府市まで出向かなければならないことは、被害者の方にとって大きな負担になっております。したがいまして、甲府市まで出向くことなく、郡内の公的機関で証明書を取得できるような仕組みや体制づくりにつきまして、相談件数や相談内容を考慮する中で、法改正による対応を含め、山梨県と協議してまいります。 次に、DVに対する学習についてでありますが、DV被害者支援に取り組む団体が行っている出張講座等の活動につきましても承知しておりますので、今後におきましても、子どもたちに対し、命の大切さの教育を実施する過程におきまして、各学校と協議し、こうした出張講座の活用も検討してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 秋山晃一君。 〔10番 秋山晃一君 登壇〕
◆10番(秋山晃一君) 第2標題として、
富士山登山鉄道構想について質問します。 山梨県によって、富士山に登山鉄道を敷くという構想が打ち出され、8月24日には推進に向けた「山梨の未来を拓く富士登山鉄道構想を考える県民会議」の発起人会の初会合が開かれたと報道されています。この
富士山登山鉄道構想について幾つかお聞きします。 まず第1点目は、世界文化遺産にもうたわれているとおり、「信仰と芸術の源泉」である富士山をどのように考えていくかということです。 富士山は噴火が絶え間なかった平安時代には、役行者などの修験道者が修業のために入る山として、多くの道者が訪れるようになり、江戸時代に至るまでの間に上吉田の町は2回の町並み移転を重ねながらも、道者を迎える町として成り立ってきました。江戸期に入り、富士山信仰の爆発的流行とともに、関東一円はもとより、遠くは近畿からも訪れる富士講を迎える富士山となってきました。 近年に至るまで、富士登山と言えば徒歩で登ることであり、その登山道の一つとして吉田口登山道も栄えてきました。1952年には河口湖駅から三合目を経て五合目までの「路線バス」が始まり、1964年にはスバルラインが開通したこともあり、登山の形態はバスなどで五合目に行き、そこから登山することが主流となり、観光的な要素が増えてきました。 しかし、世界文化遺産にうたわれている信仰ということを考えれば、これ以上の開発は必要なく、むしろ徒歩での登山を中心とした登山の形を大いに奨励することが必要だと考えます。富士山は下から、麓から見てもその美しさは大いに感動することができます。体力がなければ富士には入れない。麓からの遥拝をしてもらうことも大いに宣伝すべきです。この点についてはいかがお考えでしょうか。 次に、富士山の保存管理と開発についてお聞きします。
富士山登山鉄道構想について周りの方に意見をお聞きしますと、山を知っている関係者は、「賛成」とか「反対」ではなく、「無理だ」というような答えが返ってきます。先日、富士山駅から電気バスに乗って五合目まで行ってきました。改めてスバルラインのヘアピンカーブの多さを見てきました。また、片側1車線ずつ、バスであれば擦れ違いもできるその道は、鉄道を敷くとなれば、当然道幅を広げるなどの工事も必要となります。また、四合目付近からは防雪、防砂の施設も既存の施設に加えてさらに必要となります。そして、道路を塞ぐように何度となく雪崩や土砂崩れが起きる、そのようなことを身をもって知っているからこそ、「無理だ」というような答えになるのだと思います。 2021年の富士山世界文化遺産協議会作業部会に出された参考資料、
富士山登山鉄道構想検討会のまとめには、「2020年に山梨県県土整備部が実施した調査では、四合目から五合目の約7キロメートルの区間において、雪崩の影響を受ける箇所が14か所ある」としています。さらに、「このうち5か所は洞門などが設置されていますが、残り9か所は対応の検討が必要」とされています。さらに、「富士山は溶岩や火山礫、火山灰が幾重にも積み重なった成層火山で、その表層には不安定な岩石が多く、落石が起きやすい地質条件にある」と記されています。資料には、「2009年に富士宮市の新五合目駐車場において、駐車車両に落石が直撃し、車内にいた男性が死亡する事故があった」として、「富士山では至るところで落石の危険性がある」と指摘しています。五合目の関係者に話を伺うと、冬場は積雪が非常に多く、しかも凍結するということでした。同じ資料では、「
富士スバルラインには積雪の多い年には2メートル程度の積雪を記録することもある。スバルラインは通年営業だが、除雪車による除雪後も路面凍結のために冬季は通行止めとなる」とされています。また、資料では、土砂の流入、落ち葉等に関して、「富士山の表層は安定性の低い火山性堆積物が多く、降雨後などには斜面からスコリアと呼ばれる火山性の小石などが流れ込むことがある。このスコリアと落ち葉の時期の落ち葉がレールに堆積して運行を妨げる」という記述もあります。そして落雷です。独立峰でもある富士山は、夏季を中心に落雷が発生することが多いこと、これも鉄道の運行には支障となります。また、動物対策として、平地を走る鉄道でも動物との衝突による運休や遅延が多発しているので、侵入防止柵などの動物との衝突防止対策が必要だとしています。 このように富士山に登山鉄道を敷くとなれば、数々の対策が必要となり、その一つ一つが富士山への開発であり、自然破壊だと考えますが、どのようにお考えでしょうか。 また、冬の富士山は、先ほども申し上げたとおり、積雪も多く、独立峰として風も強く、冬場の富士山が観光に適しているとは考えられません。この点についてもいかがお考えでしょうか。 次に、
富士山登山鉄道構想を推進する理由の一つとして、入山の調整ができると報道されています。確かに今年の登山者数は多く、また山小屋が宿泊定員を減らしたことなどにより、宿泊を予定していなかった登山者が登山道の脇で仮眠をとる姿などがマスコミで紹介されました。また、下山のバスの最終便が早くなったことにより、バスに間に合わなかった登山者が五合目で夜を明かしているという話も伺いました。 しかし、これが登山鉄道を推進する理由にはなりません。安全な登山を進めるためにどのような取組ができるのか、そこに力を入れるべきです。入山規制について十分な取組をしなくて、慌てて八合目で規制、五合目で規制などとするのでなく、五合目の関係者からは、麓から規制してほしいという声もあります。今はインターネットの時代です。既に富士登山オフィシャルサイトもあります。入山規制をするのであれば、様々な方法が考えられます。
富士山登山鉄道で入山規制をするといった考えではなく、現在の登山形態の中で安全な登山をするための取組に力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 では、なぜこのような富士山の現実とかけ離れた構想が出てくるのでしょうか。スタートしたときの
富士山登山鉄道構想検討会のメンバーの多くが経団連の名誉会長をはじめとした経済界から、また大学人などで構成され、富士山に携わる地元の関係者がほとんど入っていない構成によるものだと考えます。今後は直接富士山の自然や現実を身をもって知っている関係者の声を集約しながら、この構想を中止させていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。 以上で1回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君)
富士山登山鉄道構想についての御質問にお答えをいたします。 世界文化遺産にうたわれている信仰という点から見れば、昔から富士山は噴火を繰り返す、恐ろしくも神秘的な山であり、信仰の対象として日本人の自然観に大きな影響を与えてきました。古来、火山活動を繰り返す富士山は、麓から山頂を仰ぎ見て崇拝する遥拝の対象となり、やがて噴火が鎮まると、山岳信仰と外来の仏教が習合した修験道の道場として、多くの修験者が山頂への登拝を行う場所となりました。時代がさらに進むと、秋山議員御発言のとおり、17世紀以降に富士講と呼ばれる富士山信仰が人気を博し、数多くの富士講信者が登拝するとともに、山麓の霊地を巡る巡拝を行うようになりました。このように富士山信仰の歴史から見ますと、山頂を目指すことのみが富士登山ではなく、麓から霊地を巡り、五合目まで徒歩で登り、富士山を存分に味わうことも富士登山の醍醐味の一つであると私も考えております。 まず、徒歩での登山を中心とした登山の形を推奨すべきだとの御指摘でありますが、現在、本市では富士山吉田口登山道保存と活用のための活動計画の策定を進めており、有識者、関係機関、地元関係者などから幅広い御意見や御指導をいただく中で、登山者の目線で麓からの登山の魅力を打ち出せるよう取り組んでおります。 次に、富士山の保存管理と開発についてでありますが、秋山議員御発言のとおり、富士山の危険性は落石、落雷、雪崩、雪代など例を挙げればきりがなく、富士山を知る者であれば誰もが危惧するところであります。
富士山登山鉄道は1年を通しての営業を目指すとのことでありますので、当然登山鉄道整備と並行してその対策が必要になるものと考えます。しかし、富士山の自然、環境、景観、文化など、世界文化遺産として世界に認められた普遍的な価値を守り、次世代に継承することが、富士山とともにこの地域に生きてきた私たちの責務でありますので、このような開発行為は到底受け入れられるものではありません。 また、冬の富士山は、麓に住む私たちにとって、人を寄せつけない圧倒的な威厳をもって自然の厳しさを示しております。冬は富士山の眺望を生かした観光を磨き上げ、麓でゆっくりと富士山を楽しんでいただくことが私の目指す通年観光であります。そのためにも、冬の間は富士山の休養期間であるべきだと考えております。 次に、富士山への登山者の入山調整についてでありますが、
富士山登山鉄道構想では、登山鉄道の導入が富士山の登山者数のコントロールや環境保全を行う最善策と考えられているようでありますが、私は以前から自然環境の保護や登山者の安全確保を目的に、富士山の登山者数を入山規制や入山料の義務化など、様々な方法で規制すべきであると申し上げており、秋山議員と全くの同意見であります。 次に、関係者の意見集約についてでありますが、山梨県は
富士山登山鉄道構想ありきで地元住民への説明や協議がなされておりません。秋山議員御発言のとおり、富士山をよく知る地元の人たちが結集し、富士山の保全の大切さや自然災害の危険性を強く訴え、
富士山登山鉄道構想がいかに不要な計画であるかを訴えていく必要があると考えております。 私はこれまでも富士山に関しては、山小屋関係者や地元観光関係団体と連携を取りながら、安心・安全・快適を最優先に考えており、そのための施策には一貫して揺るぎない姿勢で取り組んでおります。秋山議員におかれましても、私の見解にぜひ御賛同いただき、御協力いただきますようお願いを申し上げます。 以上、私の答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 秋山晃一君。 〔10番 秋山晃一君 登壇〕
◆10番(秋山晃一君) 2回目の質問を行います。 富士山が2013年に世界文化遺産に登録されて以来の入山者の増加と、それに伴って外国人向けのツアーバスの増加、自家用車などの排ガスによる環境の悪化を理由の一つとして
富士山登山鉄道構想は叫ばれています。しかし、どのような理由をつけても、鉄道建設は開発事業であり、富士山の自然を破壊することにつながります。環境破壊に対しては、地元のバス会社は現在運行している3台の電気バスをさらに増やす予定だと聞いています。富士山に入る自動車の総量を規制する中で、電気自動車、電気バスを優先的に受け入れていく、そんな方法も考えられます。排ガス対策を鉄道導入の理由にしてはならないと考えますが、いかがでしょうか。 その一方で、イコモスから指摘のあった五合目の環境整備、電気、水道などのインフラ整備は、登山鉄道構想の付け足しのようになっています。このようなやり方ではなく、五合目の環境整備については、鉄道構想とは切り離して正面から取り組んで進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。 以上で2回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 秋山議員の2回目の御質問にお答えいたします。 排ガス対策を鉄道導入の理由にしてはならないとのことでありますが、私も全くの同じ意見であります。また、五合目への来訪者が増えることにより、車両台数が増加することに伴う富士山の環境への負荷は、マイカー規制の拡充と電気バスの活用で、排出される二酸化炭素を削減することにより抑制できると考えております。また、現在、五合目までの路線バスにおいて電気バスが一部運行されておりますが、電気バスの技術は世界の潮流として革新的な進歩を遂げており、環境負荷の抑制が課題となる五合目までのアクセスには最適な手段であると考えております。 さらに、政府は2020年に温室効果ガスの排出量と吸収量を相殺して、排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラル宣言を発表しており、ガソリン車やディーゼル車の廃止に向け、2035年までに乗用車新車販売で電動車100パーセントを実現することとしております。したがいまして、多額の資金を投入して鉄道の線路を敷設するまでもなく、マイカー規制の拡充や車両の電動化により、富士山の環境への負荷を抑制することは十分対応可能であり、自動車の排ガス対策を鉄道導入の理由にしてはならないと考えております。 次に、五合目の環境整備についてでありますが、私も電気設備の整備による改善が必要だと考えており、特にその中でも五合目の電化については、以前から山梨県に要望を上げております。五合目の電化が実現いたしますと、発電機が不要となり、二酸化炭素の排出量の削減や電気バスの充電ステーションの整備、富士山火山対策の観測機器の充実など様々なメリットがあります。 五合目の環境整備、インフラ整備については、秋山議員御発言のとおり、
富士山登山鉄道構想と切り離して取り組むべきであり、特に電化事業を優先すべきであります。また、この電化に係る費用は50億円ほどと試算されており、1,400億円とも言われる
富士山登山鉄道の整備費用の僅か4パーセントほどで実現が可能であります。なお、五合目の電化は登山鉄道の設備と一体でするのではなく、電化を進めることにより、富士山にある様々な観測機器の安定運用が期待できるほか、各施設での総使用量が年間25万リットルと言われる化石燃料の消費がなくなり、環境面にも大きな効果が期待できます。 秋山議員におかれましても、私と同じ見解であると認識できましたので、今後も共に反対の声を上げていただきますようお願いを申し上げます。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 秋山晃一君。 〔10番 秋山晃一君 登壇〕
◆10番(秋山晃一君) DV被害の方が安心して住めるまちとして、市の相談窓口がより被害者に寄り添う形で相談機能を高めるように尽力していただきたい。
富士山登山鉄道構想は、自然条件など県が作成した資料でも非現実的であり、信仰の山としての富士山の魅力を伝えていく点でも造るべきではありません。麓から自然に親しみながら頂上を目指す富士登山と、歴史の道吉田口登山道の魅力をより広く伝えていくことを述べて質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) これをもって、秋山晃一君の質問を打ち切ります。 ここで一旦休憩し、午後2時30分より再開いたします。
--------------------------------------- 午後2時14分 休憩 午後2時30分 再開
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○議長(勝俣大紀君) 再開いたします。 傍聴人に申し上げます。
市議会傍聴規則第7条の規定により静粛に傍聴するよう、また拍手は禁止されておりますので、御留意お願いいたします。
伊藤進君の質問を許可します。 5番
伊藤進君。 〔5番
伊藤 進君 登壇〕
◆5番(
伊藤進君) ただいま議長より許可をいただきましたので、令和5年9月定例会におきまして、第1標題、こども基本法に関する本市の取組について、第2標題、本市における洪水
ハザードマップの作成について質問をさせていただきます。 それでは、第1標題、こども基本法に関する本市の取組について質問をさせていただきます。 令和5年4月、こども家庭庁が創設されると同時に、子どもや若者に関する取組を社会全体で総合的に、そして強力に進めていくための新しい法律が施行されました。それがこども基本法です。 こども基本法は、全ての子どもや若者が幸せに暮らせる社会の実現を目指し、そのための大切な理念や国、自治体の取組の基本となることを定めています。こども基本法は、常に子どもや若者の現在と未来にとって何が最善かを考え、日本社会全体で子ども施策に取り組むための共通の基盤になるものであるとされています。こども基本法では、子どもや若者に関する施策を一体的に行われる施策として、子どもや若者の健やかな成長のための支援や結婚・出産・子育ての支援などをこども施策と定義しています。国民全体の教育の振興、雇用環境の整備といった幅広い取組も含まれています。 また、こども基本法では、18歳や20歳といった年齢で必要なサポートが途切れることのないよう、心と体の成長段階にある人を「こども」と定義し、年齢を決めていません。子どもや若者の方々、それぞれの状況に応じて社会で幸せに暮らしていけるよう支えていきます。 こども基本法では、1989年11月、第44回国連総会において採択された児童の権利に関する条約の趣旨を踏まえて、子ども施策に取り組む上で大切な6つの理念を定めています。 1つ目は、全てのこどもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと。 2つ目は、全てのこどもは大事に育てられ、生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、平等に教育を受けられること。 3つ目は、年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会のさまざまな活動に参加できること。 4つ目は、すべてのこどもは年齢や発達の程度に応じて、意見が尊重され、こどもの今とこれからにとって最もよいことが優先して考えられること。 5つ目は、子育ては家庭を基本としながら、そのサポートが十分に行われ、家庭で育つことが難しいこどもも家庭と同様の環境が確保されること。 6つ目は、家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくること。 子どもと若者にとって最もよいことを実現する観点から、子どもや若者の意見を年齢や発達の程度に応じて施策に反映することが重要であると考えます。また、子どもの成長のためには、子育てをしっかりと支えることが必要であり、子育てをしている人の意見も大切です。 現在、本市におきましても、様々な子どもに対する施策、子育て施策を行っていることは承知しておりますが、今後、こども基本法の6つの基本理念に沿った子どもや若者に関する取組をどのように行っていくのか、見解をお聞かせください。 以上、第1標題、1回目の質問とさせていただきます。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君)
伊藤進議員のこども基本法に関する本市の取組についての御質問にお答えいたします。 まず、これまでの本市の子ども・子育て施策の取組状況でありますが、国が児童手当の対象外としている高校生世代への1人当たり10万円の特別支援金、18歳までの医療費の無償化、放課後児童クラブの開所時間の拡大や保護者負担金の軽減、ひとり親世帯等への食料支援、母子の産前産後ケアなど、子どもとその保護者に向けた様々な施策を実施しているところであります。 こうした子育て施策の推進に当たりましては、「富士吉田市子ども・子育て会議条例」に基づき、子どもの保護者、子育て活動団体、幼稚園や小・中学校などの代表者等で構成する「子ども・子育て会議」において様々な意見を求め、また、ひとり親家庭、中学生や高校生、未就園児の保護者などへのアンケート調査の実施、さらには昨年度で50回目を迎えた「富士吉田市児童生徒連絡協議会」主催の「市長さんと話す会」において、小・中学校の児童・生徒代表者からの御意見や御要望など、様々な世代の市民の皆様から御意見をいただく中で、政策を決定し、実施しているところであります。 このほか福祉部門、教育部門などにおいても、子どもの人権、健全な発育や教育など、子ども・子育て施策の実施に努めているところであり、私といたしましては、こうした取組を通じて、既に「こども基本法」が目的とする「生涯にわたる人格形成の基礎の構築」、「こどもの健やかな成長」、「権利の擁護」、「将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現」といった、若者も含めた子ども施策の推進につなげられているものと認識いたしております。 さて、これからの本市の取組についてでありますが、今般「こども基本法」が施行され、今後、国が子ども施策の基本的な方針を定める「こども大綱」や、県が国のこども大綱を勘案して、こども施策についての計画を定める「こども計画」に沿って、国や県の子ども政策が進められることになっております。この中には、「若者」への必要な支援という要素もあることから、本市においても国や県の動向を注視する中で、本市の「こども計画」を策定し、若者を含む子ども・子育て支援施策を推進していくこととなりますが、私といたしましては、子ども・子育て施策という一つの分野に限定することなく、これまでどおり引き続き市民の皆様の御意見、御要望にしっかりと耳を傾ける中で、本市の政策課題に取り組むとともに、必要とされる施策をしっかりと実行してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、安心して生活し、健やかに成長できるよう、今後も最善の生活環境の整備に努め、その子どもたちが大人になったときに、この富士吉田市で子どもを産み、育てたいと思えるようなまちにしてまいりたいと考えております。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君)
伊藤進君。 〔5番
伊藤 進君 登壇〕
◆5番(
伊藤進君) 第1標題、2回目の質問をさせていただきます。 御答弁いただきました様々な子ども・子育て施策には、私の周りからも感謝の言葉が届いております。ぜひ今後も継続した施策の実施をお願いいたします。 昨年度で50回目を迎えた「富士吉田市児童生徒連絡協議会」主催の「市長さんと話す会」において、市内小・中学校の児童・生徒の代表者から御意見、御要望を聞き、政策決定をし、実施しているところであると御答弁をいただきました。私も毎年、CATVを通じて番組を拝見しておりますが、児童・生徒の代表者の意見は、環境問題から観光客へのおもてなし、またまちのにぎわいについてなど、様々な意見が出され、私自身も参考にさせていただいているところです。 このように子どもや若者が意見を発言する機会を増やすことは、子ども施策にとって重要なことだと考えます。本市では、子育て世代向けにLINEで情報を発信し、様々なサポートを行っています。子どもや若者に対しても、このようなLINEを設定し、情報を提供し、またインターネットを使ったパブリックコメントの実施、さらに行政職員が子どもや若者に直接会い、意見を聞くこともこども基本法第11条の趣旨から必要であると考えますが、見解をお聞かせください。 北杜市では、開かれた行政運営の推進に向け、次世代を担う若者の柔軟な発想やアイデアを聞くとともに、成人年齢が18歳以下に引き下げられたことを受け、これから選挙権を持つ高校生に市政や議会を身近に感じてもらうこと、また行政に関心を持ってもらうことで、郷土を愛する心を育むことを目的として、「高校生議会」と呼ばれる「こども議会」を開催しています。これは我々市議会としてもやるべきことはあると考えていますが、まず行政として「こども議会」の開催についてどのような見解をお持ちであるかお聞かせください。 最近、新聞やテレビのニュースで報道される子どもに関する話題は、決して明るいものではありません。特に多いのが虐待に関する報道です。実際に令和3年度の児童相談所の虐待相談対応件数を見ますと、20万7,659件に上り、前年度より2,615件増加し、過去最多を更新しました。児童虐待に対する認識が広まったことにより、通報も増えたと考えられますが、到底それだけとは思えない、耳を塞ぎたくなるような事例が相次いでいます。 本年1月には、静岡県で18歳の女子高校生が交際相手の男子高校生とともに、産んだばかりの赤ちゃんを窒息させて殺害するという事件が起きました。互いの両親も周囲の人も妊娠に気づくことなく、本人たちも誰にも相談しないまま、このような事態を招いてしまったのです。しかし、出産直後、2人がどこかに相談できる機関がないかとスマートフォンで検索した形跡があると捜査関係者は述べていました。 赤ちゃんを産んですぐに死なせてしまったお母さんは、そのほとんどが「望まない妊娠」であったと告白しております。残念なことに、本市においても同様な事件が発生してしまいました。「望まない妊娠」をして、不安な日々を過ごしている彼女らにとっては、匿名が守られ、安全が感じられるような身近で相談しやすい窓口が増えることが必要ではないでしょうか。 「望まない妊娠」は、個人にとっても、社会にとっても重要な問題であり、こども基本法の基本理念からも、行政が予防策とサポート体制の強化に努めることは急務であると考えます。執行者の見解をお聞かせください。 以上、第1標題、2回目の質問とさせていただきます。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 伊藤議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、子どもや若者への情報発信についてでありますが、現在、本市独自の「子育てLINE」を活用し、子ども、若者を含めた各種子育て支援の情報や、子育て世代を対象としたイベント情報など、様々な情報発信に努めているところであります。利用者からも大変好評をいただいておりますので、引き続き積極的な情報発信を行ってまいります。 次に、子どもや若者からの意見聴取についてでありますが、高校生などの若年層を対象に、地域への興味、関心を高める取組を特定非営利法人かえる舎と連携し、「郷土愛醸成を核とした若者チャレンジプロジェクト」として実施しております。こうした取組の中には、市の担当部署との連携により、高校生による企画・運営・調整の下、本市の各種政策実現につなげるなど、子どもたちの意見・提案を市政に反映させている事業も多数あります。 また、「こども議会」についてでありますが、次代を担う若い世代が地方自治や行政への関心を深めていただく機会としての重要性は認識しており、本市におきましては、それと同様の目的を持つ「市長さんと話す会」を通じて、小・中学生からの大変貴重な御意見等をいただく機会を設けております。 今後におきましても、様々な機会を活用し、子どもや若者だけではなく、多くの市民の皆様からの御意見、御要望にしっかりと耳を傾け、本市の政策課題に取り組むとともに、必要とされる施策を着実に実行してまいります。 次に、「望まない妊娠」へのサポート体制についてでありますが、「望まない妊娠」は、まさに個人にとっても、社会にとっても重要な問題であり、そのサポート体制の強化は急務であると認識しております。こうした事情に鑑み、本市では児童福祉法の改正により令和6年度から設置することとされている「こども家庭センター」について、1年前倒しして本年4月から、その機能を供えた組織体制の整備を行うとともに、全ての妊産婦が安心して相談できる体制の強化を図ったところであります。その成果として、この4月以降、関係機関との連携の下、職員による迅速な情報共有、的確な対処により、子どもの命に関わる事案の解決に至ったケースが複数あります。 また、本市におきましては、これまでも子どもたちを中心に命の大切さに関する教育に努めておりますが、こども基本法の基本理念の一つであります家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備することができるよう、若者も含めたあらゆる世代の方々に対して、命の大切さに関する講座の実施や各種啓発活動等に積極的に取り組んでまいります。さらに、「こども家庭センター」の本格設置となる令和6年度に向けまして、国の動向を注視する中で、より強固な組織の体制づくりにも努めてまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君)
伊藤進君。 〔5番
伊藤 進君 登壇〕
◆5番(
伊藤進君) 第2標題、本市における洪水ハザードマップの作成について質問をさせていただきます。 洪水
ハザードマップとは、洪水や土砂災害などの自然災害が発生した際に、特に危険な地域や避難経路、避難場所などを示した地図を言います。これらの地図は、地域の住民や関係機関が災害時に適切な判断を行い、被害を最小限に抑えるための情報を提供する役割を果たします。 主な要素や情報としては、河川の氾濫時や豪雨時の洪水・浸水予想区域が示されます。これにより、どの地域が洪水の影響を受ける可能性が高いかが把握できます。また、避難する際の経路や避難場所が明示され、住民が安全に避難するための道順や選択肢が提供され、ほかにも高台や安全とされる地域が示され、避難計画の参考になります。加えて、洪水時の水位や深さが示され、住民や関係機関が水害の被害状況を把握するのに役立ちます。さらに、災害時に関する最新の情報や外部サイトリンクへの情報、注意喚起などが掲載され、住民がリアルタイムで情報を得ることができます。 このように洪水
ハザードマップは、地域の住民や行政、関係機関が危機管理や避難計画を策定する上で重要なツールとなります。また、住民に対する情報提供や災害時の対応強化につながるための有効な手段と言えます。 近年の地球温暖化は、様々な自然災害、特に水害に関連して影響を及ぼしています。本年8月に発生した台風6号、7号も九州地方をはじめ多くの地域に水害を発生させ、これにより住宅や農地、歴史的建造物が被害を受け、大勢の方が避難を余儀なくされる状況が続いております。 本市におきましても、市制施行73周年の式典で、堀内市長が式辞で述べられたように、昭和36年の雪代被害により、宮川橋筋の家屋130戸が濁流にさらされ、家屋の内外には土砂が堆積し、多大な被害を受けました。また、昭和58年8月の新倉地区の台風被害、平成3年8月の向原地区の台風12号による被害など、これまでの水害の発生を振り返りますと、私たちの住む地域でも洪水や土砂災害が発生しており、これらは地域社会に大きな影響を及ぼしています。 このような状況を鑑みますと、行政には地域住民に対する絶対的な備えが求められていると考えます。特に洪水
ハザードマップの作成は、今後の水害を予測し、適切な対策を講じるために不可欠です。地球規模の気候変動により、我が国では毎年のように大規模な水害が発生しています。しかし、洪水
ハザードマップを取り入れている自治体では、水害発生時において住民の避難行動を支援し、住民の安全と命を守る役割を果たしています。 本市におきましても、洪水
ハザードマップの作成が進められるべきだと考えますが、行政としてどのような取組が検討されているのかお伺いいたします。 以上、第2標題、1回目の質問とさせていただきます。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 洪水
ハザードマップの作成についての御質問にお答えいたします。 本市における洪水
ハザードマップの作成につきましては、本年度当初予算に計上し、既に作成を進めておりまして、本年度中に全戸配布する予定であります。その内容といたしましては、桂川や宮川が氾濫した場合の浸水範囲や深さ、避難場所に関する情報等を掲載する予定であり、市民の皆様に、お住まいの地域における洪水の危険度を認識していただくとともに、災害時における自らの避難計画や避難行動にお役立ていただきたいと考えております。 いずれにいたしましても、本市の防災力向上のため、広報紙やホームページ、地域への防災出前講座を通じて、洪水はもとより地震や噴火など自然災害に対する平時からの備えと、自助・共助の重要性について、今後も引き続き普及啓発を図ってまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君)
伊藤進君。 〔5番
伊藤 進君 登壇〕
◆5番(
伊藤進君) 第2標題2回目の質問をさせていただきます。 洪水ハザードマップの作成について、本年度中に全戸配布する予定であると御答弁をいただきました。洪水の被害から市民の安全を守るために、一日も早い配布を期待しております。 ハザードマップの具体的な内容についても、避難場所に関する情報や住居地の洪水の危険度等、避難計画や避難行動に役立つ情報を掲載すると御答弁をいただきました。 少し具体的な質問になりますが、洪水による浸水の未然防止を図るため、本市においては土のうの貸出しを行うと思いますが、土のうステーションの設置場所や受渡しについての情報なども
ハザードマップに掲載されるのでしょうか。 また、避難時の携行品の確認のために、非常持ち出し品チェックリストの掲載もあるのでしょうか。お聞かせください。 防災力向上のために広報紙やホームページ、地域への防災出前講座を通じてと御答弁をいただきました。この防災出前講座はどのくらいの頻度で開催し、どのような内容で行っているのか、具体的にお聞かせください。 御答弁の中で、「自助・共助の重要性について、今後も引き続き普及啓発を図ってまいります。」といただきました。大規模災害時は住民だけでなく、行政も同時に被災する可能性もあるため、公助が円滑に機能しないケースも考えられます。そのため、近所や地域の方々と助け合う共助が重要になり、災害時に助け合いができるように、日常からの関わりが大切だと考えます。行政として発災時における地域コミュニティをどのようにサポートしていくのか、具体的な取組がありましたらお聞かせください。 東京都北区のホームページを見ますと、水害
ハザードマップの開設について、ユーチューブを使って分かりやすく行っています。基礎知識編と実践編があり、イラスト等を使い避難方法などを教えてくれています。本市においてもお子様からお年寄りまで洪水
ハザードマップの内容を理解できるように、QRコードを掲載し、動画にアクセスできる取組も必要であると考えます。執行者の見解をお聞かせください。 以上、第2標題、2回目の質問とさせていただきます。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 伊藤議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、洪水
ハザードマップへの土のうステーション等の情報の掲載についてでありますが、土のうステーションの設置場所等の情報、非常時持ち出し品チェックリストの情報、洪水
ハザードマップの内容解説に係るQRコードの情報を洪水
ハザードマップへ掲載する予定はございません。 先ほど答弁申し上げましたとおり、洪水
ハザードマップには、桂川や宮川が氾濫した場合の浸水範囲や深さ、避難場所に関する情報等を掲載し、市民の皆様に、お住まいの地域における洪水の危険度を認識していただくとともに、災害時における自らの避難計画や避難行動にお役立ていただきたいと考えております。 なお、これらの情報については、広報紙やホームページ等への掲載並びに防災出前講座を通じて周知を図っております。 次に、防災出前講座の開催頻度及びその内容についてでありますが、防災出前講座は防災専門官や安全対策課・富士山火山対策室の職員が自治会、学校、企業など各種団体へ出向いて開催しており、昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響もありましたが、計14回開催しております。今後におきましても、これまでと同様、富士山科学研究所の火山専門家や富士吉田防災士会をはじめとする関係機関と連携する中で、先ほど答弁申し上げましたとおり、本市の防災力向上のため、広報紙やホームページ、地域への防災出前講座を通じて、洪水はもとより地震や噴火など自然災害に対する平時からの備えと、自助・共助の重要性について、引き続き啓発活動を行ってまいります。 次に、発災時における地域コミュニティに対するサポート体制についてでありますが、年に4回、自主防災連絡連携会議を開催し、自治会及び自主防災会、行政、避難先となる学校の職員も交える中で、顔の見える関係を築くとともに、自主防災会とは避難行動要支援者名簿を共有し、共助の体制を構築しております。 今後におきましても、市の総力を挙げて、防災や高齢者・介護担当はもとより、地域や医療・福祉の専門的な知見を持つ関係者等とさらなる連携を図り、地域防災力の向上に取り組んでまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君)
伊藤進君。 〔5番
伊藤 進君 登壇〕
◆5番(
伊藤進君) 第2標題、3回目の質問をさせていただきます。 「土のうステーションや非常時持ち出し品チェックリストの情報について、洪水ハザードマップの内容に係るQRコードの情報を洪水ハザードマップに掲載する予定はない」と御答弁をいただきました。また、「これらの情報については、広報紙やホームページ等への掲載並びに防災出前講座を通じて周知を図っていく」と御答弁をいただきました。 洪水ハザードマップに情報を一元化することは、ハザードマップの信頼性を向上させるとともに、正確なデータと最新の情報が提供されることで、住民や事業者はリスクを正確に把握し、適切な対策を取ることから大変重要であると考えます。地方自治体では、洪水ハザードマップに情報を一元化し、公に提供することが法的要件となっています。避難計画や避難場所の確認に役立てるためには、洪水
ハザードマップに情報を一元化し、広報紙やホームページ等への掲載などで分散せず、QRコードをスキャンすることによって最新の情報に住民がアクセスできることが大変重要であると考えます。 再度お伺いします。洪水
ハザードマップに様々な情報を入手できるQRコードの掲載を求めますが、見解をお聞かせください。 以上、第2標題、3回目の質問とさせていただきます。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 伊藤議員の3回目の御質問にお答えいたします。 洪水
ハザードマップの内容解説等に係るQRコードの掲載につきましては、伊藤議員御発言のとおり、情報の一元化は重要でありますが、洪水
ハザードマップへは洪水時の危険性等の掲載が必要とされており、内容解説等に係るQRコードの掲載は法的に規定されておりません。洪水
ハザードマップは緊急時においても、誰もが一目見て避難先等を確認でき、適切な避難行動につなげられる内容で作成してまいります。したがいまして、先ほど答弁申し上げましたとおり、非常時持ち出し品チェックリスト等のイラストによる表示や、洪水
ハザードマップの内容解説に係るQRコードを洪水
ハザードマップへ掲載する予定はございません。 しかしながら、QRコードは情報発信の手段として非常に有効であると認識しており、これまでも「富士吉田市防災の日」の情報発信等において、広報紙にQRコードを掲載するなど活用しております。今後におきましても、様々な媒体においてQRコードを活用する中で、防災に関する知識のさらなる普及啓発を図ってまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君)
伊藤進君。 〔5番
伊藤 進君 登壇〕
◆5番(
伊藤進君) 大正12年9月1日に発災した関東大震災から本年で100年の節目を迎えました。多くの被害をもたらしたこの震災を教訓に、本市においても9月の第1日曜日を「富士吉田市防災の日」と定め、富士山噴火を想定した避難訓練が行われました。日頃から防災対策を行い、万が一のときに備えておくことが大変重要であると考えます。 今後も本市が安全で持続可能な地域として成長できるよう、議員活動を続けてまいります。御清聴ありがとうございました。
○議長(勝俣大紀君) これをもって、
伊藤進君の質問を打ち切ります。 前田厚子君の質問を許可します。 12番前田厚子君。 〔12番 前田厚子君 登壇〕
◆12番(前田厚子君) ただいま議長より許可をいただきましたので、令和5年9月議会におきまして、市政一般に関する質問をさせていただきます。公明党の前田厚子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、第1標題、市民に広く手話言語を知ってもらうための対応についてお聞きします。 1点目、現在、市では新生児に対し、聴覚の検査を助成してくださっていますが、その後、成長の過程で子どもさんの聴覚障害の疑いがあるときは、お子さんの保護者がいつでも相談できる専門の相談窓口は設置されていますか。 2点目、本市では手話を学ぶ手話教室、または気軽に参加できるサークル等はありますか。聴覚障害の親を持ち、自身は耳が聞こえる子どものことをコーダと言い、手話や口話や身振り、筆談などを複数組み合わせて親との意思疎通をしてくださっています。ヤングケアラーの調査の中で、このような中高生が何人かいることが分かりました。このような方がいることも含め、市民を対象にした手話教室の必要性を感じています。 聞くところによると、本市のろう者の方々は、他市町村まで行かれ、手話教室のお手伝いをしてくださっていると聞いています。本市のろう者の方や手話通訳士の方に協力していただき、開催していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 3点目、以前に作成していただいたコミュニケーションボードですが、災害時などの混乱したときに必要な支援を設けるためのものです。コミュニケーションを取ることが難しい方々に配慮し、災害時等意思を表示できるよう、意思確認や要望の内容をカードにし、それを指さすことによって、ボランティアなどが意思の確認ができるボードのことです。これは文字を書いたり消したりもできます。このボードを日頃から使い、また訓練のときも使用して、いざというときに生かされるようにする必要があると思います。それは命を守るのに大きな役目を果たすボードになるからです。 先日、障害者の方の防災の会合に出席させていただいたときに、もっと実用性のあるものにしていただけないかという要望がありました。確かにいざというときに当事者が使いこなせなければ意味がありません。そして、御自分のコミュニケーションボードをいつも身近に備えて、いつでも使えるように訓練しておくことが大事だと思います。そのためにも、いま一度当事者を交えて一緒に見直しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 4点目、最後に、「手話言語条例」の制定についてお聞きします。 平成26年に手話言語の町として、町全体で手話を学び広げている市川三郷町で、先進的に取り組まれている鳥取県の障がい福祉課長による講演が開催されました。そこで、条例の制定や県としての取組を学ばせていただきました。本市からも当事者の皆様が見えて、共に学ぶことができました。そのような背景の中で、その後、早速本市としても、市の聴覚障害者協会の方が平成26年9月議会で意見書を求める請願書を市に提出しました。そのとき、私も請願の紹介議員としてお話をさせていただきました。全議員の賛成で意見書は採択されました。 内容は、手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に広め、聞こえない子どもが手話を身につけ、手話で学び、自由に手話が使え、さらは手話を言語として普及、研究することのできる環境整備を目的とした手話言語法を制定することです。やはり具体的にどのような活動をするのか明確にしていかないと、意見書が採択されただけで中身のないものになります。 そこで、今回は山梨県議会で令和5年3月24日に「山梨県手話言語条例」が施行されたのをきっかけに、本市としての「手話言語条例」を制定して様々な課題に取り組むべきだと考えますが、市長の考えをお聞かせいただきたいと思い、提案をいたします。 県内で条例が制定されている市町村は、市川三郷町と上野原市のみです。また、山梨県では今年の3月に制定されたばかりですが、早速全国初の条例として、「手話言語の日」を「9月23日」と制定されました。さらには、ふさわしい事業を実施するために、所要の経費を6月補正予算に計上され、今後においては学校の授業などで手話言語への関心を持てるような取組の実施について、市町村の教育委員会等へも働きかけてくるようです。本市としても、条例を制定する最も機の熟したときではないでしょうか。このようなことをさらに進めつつ、ろう者が生活しやすい環境を整えていくことが必要だと考えます。 そこでお聞きします。 本市の「手話言語条例」の取組についての考え方についてお聞かせください。 以上で1回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 前田厚子議員の市民に広く手話言語を知ってもらうための対応についての御質問にお答えいたします。 まず、1点目から3点目までの御質問につきましては、後ほど市民生活部長をして答弁いたさせます。 次に、4点目の手話言語条例の制定についてでありますが、本市は手話言語についての理解を深めるため、全国手話言語市区長会の会員となっており、様々な情報収集に努めております。また、地域活動支援事業における意思疎通支援として、聴覚障害の方の通院時等に手話通訳者の派遣を実施するなど、聴覚障害の方がコミュニケーションを取れる環境づくりに努めております。 手話を言語として位置づけ、障害の特性に応じた意思疎通を行う権利を尊重し、障害のある人もない人も社会を構成する対等な一員として、安心して暮らすことのできる共生社会を目指すことが手話言語条例の趣旨だと認識いたしております。したがいまして、手話言語条例の制定につきましては、意思疎通支援における施策を推進する上で必要であることから、制定に向けた検討を行ってまいります。 以上、私からの答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 市民生活部長。 〔市民生活部長 小笠原むつよ君 登壇〕
◎市民生活部長(小笠原むつよ君) 前田厚子議員の市民に広く手話言語を知ってもらうための対応についての御質問にお答えいたします。 まず、1点目の子どもの聴覚障害が疑われる場合の相談窓口についてでありますが、本市では新生児が出生後に医療機関で聴覚検査を行う場合に、その検査費用について3,000円を限度に助成しており、聴覚障害の早期発見・早期支援につなげております。この検査の結果、聴覚障害が疑われる場合には、医療機関等でのフォロー体制が取られることになっております。また、こうした取組と併せて、子育て支援課においては新生児、乳幼児、未就学児及びその保護者を対象に、生後4か月を迎えるまでの乳児家庭への全戸訪問、各地区の担当保健師による家庭訪問や電話相談、集団健診時における問診・面談など、様々な場面で保護者の皆様からの相談を受ける体制を整えており、精密検査や支援が必要と認められた場合には、福祉課や県立ろう学校、医療機関等の窓口を御案内しているところであります。 このように聴覚障害が疑われる子どものケースに限らず、子育て世帯の保護者の皆様が生活を送る上で、子どもの生育状況、子育てへの不安、御自身の抱える心配事など、子育て世帯のあらゆる相談に対して、まずは子育て支援課の職員が保護者の方々に寄り添った対応ができる体制を整えております。 次に、2点目の手話教室、手話サークルについてでありますが、富士吉田市社会福祉協議会へ委託している障害者の社会参加促進事業の一環として、手話奉仕員の養成講座を行っており、ろう者の方を講師に、手話の技術を習得するとともに、ボランティアの養成を行っております。また、市内には現在3つの手話サークルがあり、手話に親しみながら学ぶ活動が定期的に行われており、手話を学びたいという方はどなたでも参加可能であります。 次に、3点目のコミュニケーション支援ボードについてでありますが、災害が起こったときに避難所で意思確認等が行えるように、避難所版として令和元年度に作成いたしました。作成から4年が経過していることから、使用方法を検証するため、当事者の御意見を聞きながら、支援ボードを通じての質問や確認事項について、より有効に利用できるように見直しを行ってまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 前田厚子君。 〔12番 前田厚子君 登壇〕
◆12番(前田厚子君) 第2標題、地方自治体の奨学金返還支援制度全額肩代わりの推進についてお聞きします。 本市におきましては、市長のマニフェストにもある県内最大のUターン促進奨学金返還支援制度が、6月議会におきまして雇用促進事業として予算が計上されており、早速導入されております。今までも奨学金の返還支援制度は、学びたい人が経済的理由等により進学をあきらめることのない社会を目指して、奨学金制度の対象者の拡大や返済不要の給付型奨学金の実現に取り組まれてきたものです。 しかし、格差を埋めるための奨学金がかえって格差を広げているという当事者からの声が多く、また、社会に出ても十分な収入が得られなかったり、病気や事故など予期せぬ事態に見舞われたりして、順調に返せる保証がないと悩んでいる方も多く、国としても奨学金返還に苦しんでいる若者の支援体制の拡大に力を入れているようです。 奨学金返還支援制度とは、自治体や企業が奨学金返還を支援するもので、令和4年6月1日現在では36都道府県、615市町村が奨学金支援に取り組んでおります。奨学金の現状はといいますと、大学生の2人に1人、年間128万人が利用しています。しかし、その年間返還額はというと、平均で約20万円と言われています。借りたものは返さなければなりません。しかし、さきにも述べたように、卒業したからといって、すぐにその環境が整うわけではありません。結果、月々の返済が重く、多くの若者は悩み苦しんでいるというのが現状ではないでしょうか。 そこでお聞きします。 1点目、本市では雇用促進事業として、この奨学金返還支援制度を実施していますが、本市の決められた企業等に就職し、奨学金を返還している方のみがこの支援の対象者となっていると認識していますが、よろしいでしょうか。 また、現在、該当する企業がどこなのか分かるようになっていますか。よろしければ会社名を挙げていただけないでしょうか。そして、本市と企業の補助金の割合はどのようになっていますか。この状況で、現在何人ぐらいの方が申請したり、制度を利用していますか。 実は、地方自治体でも1,700以上ある中でも、まだ615の自治体がこの奨学金返還支援制度を利用しているだけということで、国としてもさらなる推進を目指しているようです。であるならば、本市においても、雇用促進事業にこだわることなく、国の制度を調べて、国負担が50パーセントになったことも確認して導入へと働きかけていただきたいと思います。そこには、導入する際は予算の確保をする上で、全ての自治体で利用が可能であるとのことです。市長のお考えはいかがでしょうか。 2点目、現在の本市の支援制度の要件はどのようになっていますか。やはりこうした制度を使っていただき、Uターンだけでなく、Iターンの道を切り開き、地元への居住者を増やす要件を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 以上で、1回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 地方自治体の奨学金返還支援制度全額肩代わりの推進についての御質問にお答えいたします。 まず、奨学金返還支援制度の対象となる企業等、本市と企業との補助金の割合及び本市支援制度の利用者についての御質問につきましては、経済環境部長をして答弁いたさせます。 次に、国の奨学金返還支援制度の利用についてでありますが、自治体の行う奨学金返還支援制度に対し、特別交付税措置が受けられることは承知しておりますので、今後も国等の動向を注視し、財政支援を活用してまいります。 次の本市支援制度の要件についての御質問につきましても、経済環境部長をして答弁いたさせます。 以上、私からの答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 経済環境部長。 〔経済環境部長 小林 登君 登壇〕
◎経済環境部長(小林登君) 地方自治体の奨学金返還支援制度全額肩代わりの推進についての御質問にお答えいたします。 まず、富士吉田市奨学金返還支援事業補助金は、本の産業を支える企業等の人材確保を図り、その人材が本市へ定着することを目的に、市内の企業等に就職した方の奨学金について、県内最大の支援制度として本年度に本市が独自で新設したものであります。 さて、前田議員御質問の奨学金返還支援制度の対象となる企業等についてでありますが、限られた企業等のみではなく、本市に本店、主たる事務所を有する法人や個人事業主のほとんどを対象としております。 次に、本市と企業の補助金の割合についてでありますが、この制度では、市及び企業等が一体となって奨学金の返還を支援することとしており、補助金を申請した方が勤務している企業等に対して、市が補助する金額の2分の1を上限に協力をお願いし、支援をするものであります。 次に、この制度の現在の利用者についてでありますが、本年度新たに制度を設けたものでありまして、事業の実施に当たっては、年度内における奨学金の返還内容を確認する必要があるため、年度末に申請を行っていただくことから、現時点での利用者はございません。 次に、本市の支援制度の要件についてでありますが、対象者は大学等を卒業し、申請年度の4月1日時点で30歳未満であって、市内の民間企業等に正規雇用され、市の住民基本台帳に記録されており、市内に定着する意思がある等の要件を満たす方であります。この要件を満たす方の奨学金の返還に対して、月額3万円を上限として、最長で5年間、奨学金の返還を支援するものであり、Uターンの方だけではなく、本市以外で生まれ育ち、本市の企業等に就職するIターンの方も対象としております。 今後におきましても、働きながら奨学金を返還している若者に対する支援を推進し、市内企業の人材確保、この地域への定着に向け尽力をしてまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 前田厚子君。 〔12番 前田厚子君 登壇〕
◆12番(前田厚子君) 第3標題、本市における特定空家等の対策についてお聞きします。 ここ数年、空き家になって、その後の対応に困っている人がおり、その空き家における雑草の繁茂や廃棄物の堆積等がもたらす景観の悪化、治安の悪化等周辺環境へのトラブル等で困っている人などの迷惑を被っている人の相談が大変に多くなってきました。国としても、こうした空き家問題の解決に向けた取組が進められ、平成27年5月には空家対策特別措置法に基づき、空き家の適正な管理を進めるための計画が策定されました。 それを受け、本市においても空家等対策計画が策定されました。その計画策定の背景は、まさに適切に管理されずに倒壊、損壊等の防災上の問題や、異臭を放つ等の衛生上の問題、または景観上の問題等、住民生活に重大な影響を及ぼすほどの問題となっている空き家があるからです。 一口で空き家と言っても、倒壊の危険や衛生上の有害、著しく景観を損なうと認められる状態のものを特定空家等と言い、ここで問題になっているのがこの特定空家等のことです。今回、私はこの特定空家等の対策について質問をさせていただきます。 1点目、現在、本市では特定空家等に該当する戸数はどのくらいありますか。また、近隣に住む方が危険度を感じる家屋はおよそ全体の何割ぐらいだと把握されているのでしょうか。 2点目、特定空家等に指定されていることは、所有者は御存じですか。また、最近では高齢者が単身で住んでいた空き家が放置されていて、所有者不明になっているケースも多いと聞いていますが、本市の状況はいかがでしょうか。 3点目、私たちが知らなくてはいけない本市の空き家に関するガイドラインからお聞きします。 まず、特定空家等を放置するとどうなりますか。特定空家等に関しては、もし事故等があったときは、空き家の所有者は民法第717条による損害賠償責任を負う可能性があるということです。市のガイドラインに載っているのは、例えば建物だけでなく、死亡事故まで発生したら約5,600万円であったり、2億1,000万の損害額が発生するかもしれないと掲載されていますが、こうしたことを未然に防ぐために今、市が行っていることはどのようなことでしょうか。様々な補助金の制度もお聞きしますが、その周知の方法もお聞かせください。 4点目、所有者が特定空家等を解体しないメリットはありますか。例えば土地の税金が、建物があるときよりも更地になったほうが6倍ほど高くなるとよく聞きますが、これは間違いないでしょうか。 5点目、平成29年3月に富士吉田市特定空家等判定等審議会条例が制定され、審議会が設置されましたが、令和5年までに何回審議会は開かれましたか。そこではおよそどのような内容が審議されたのでしょうか。お聞かせいただけますか。 以上で1回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 本市における特定空家等の対策についての御質問にお答えいたします。 まず、本市の特定空家等の現状についてでありますが、富士吉田市特定空家等判定等審議会は、特定空家等に該当するかの判断や措置に関して審議を行い、令和元年度から本年度までに計4回開催され、本年9月現在までに17件が特定空家等として認定されております。特定空家等に認定された旨の通知を所有者に送付するとともに、助言・指導を行い、併せて特定空家等の除却費用に対する補助制度をこの通知の際に紹介し、現時点までにこの補助制度を御活用いただき、10件が除却されております。 また、保安上・衛生上・景観上の問題が著しいとまでは判定されない空き家等につきましても、これまでに317件把握しており、特定空家等となることを未然に防ぐため、所有者にアンケート調査や助言・指導を行っております。この助言や指導が大変重要であり、その結果、317件の空き家等のうち、除却に至った空き家等は115件、利活用につながった空き家等は79件と、解消率は61パーセントに上り、県内27市町村が把握している空き家等の中で、県内第1位の解消率を誇る成果を挙げております。 しかしながら、特定空家等に認定された所有者の中には、助言・指導をしたにもかかわらず、改善していただけない場合もあり、その場合には期限を定めて改善を求める勧告を行いますが、この勧告を受けると、家屋が存在する土地の固定資産税の住宅用地に対する特例が適用されなくなります。いずれにいたしましても、空き家等を解体せず放置することは、建物や草木を継続して管理する手間や費用がかかり、隣地等への人的・物的損害を与える可能性があるなど、所有者には大きなデメリットのみがあることから、今後におきましても、富士吉田市空家等対策計画に基づき、適切に対応してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 前田厚子君。 〔12番 前田厚子君 登壇〕
◆12番(前田厚子君) 第3標題、本市における特定空家等の対策について、2回目の質問をします。 市内にある空き家の中には、放置したままで近隣に迷惑をかけている特定空家がたくさんあると思います。特定空家等に認定した旨の通知を所有者に送付して、助言・指導をするのと併せて、特定空家等の除去費用に対する補助制度があり、通知の際に紹介し、この補助制度を活用されているとのことですが、この補助制度の内容を教えていただけますか。 また、市からの通告を無視した場合、家屋が存在する土地の固定資産税の住宅用地に対する特例が適用されなくなるとありますが、この特例とは具体的にはどのようなことでしょうか。 また、空き家を放置して特定空家等にならないために、茨城県の板東市は、ふるさと納税の返礼品として、市内に空き家を所有する市外在住者を対象に、空き家管理(見守り)サービスを開始したそうです。1万円以上の寄附で年1回の見守りを依頼することができ、サービス内容は、建物や庭の状況確認や郵便物の整理、ガスや電気といった各種メーターの確認等です。本市でも空き家を放置せず、安心して暮らせるまちづくりのためにも、何か対策を考えていただけないでしょうか。 以上で2回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 前田議員の2回目の御質問にお答えいたします。 まず、特定空家が市内にたくさんあるとの御発言でありますが、特定空家等とは、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく特定空家等判定等審議会において認定された著しく保安上・衛生上・景観上の問題のある空き家等を言うのでありまして、本市におきましては、これまでに17件を認定し、10件が除却されているところでございます。 さて、御質問の補助制度の内容についてでありますが、認定された特定空家等の所有者または管理者に対し、100万円を上限として、特定空家等を除却した際に要した経費の2分の1を補助する制度となっております。 次に、家屋が存在する土地の固定資産税の住宅用地に対する特例についてでありますが、住宅用地は、その税負担の軽減を目的として、その面積によって小規模住宅用地と一般住宅用地に分けて特例措置が設けられており、小規模住宅用地につきましては固定資産評価額の6分の1、一般住宅用地につきましては固定資産評価額の3分の1の額を課税標準額とするものであります。 次に、ふるさと納税の返礼品として空き家対策事業を導入している自治体があることは、これは前田議員に言われるまでもなく承知しております。このふるさと納税を活用した空き家対策事業を調査研究している一般社団法人の報告によりますと、ふるさと納税を活用した空き家対策事業を導入したものの、実績がない自治体が非常に多く、また、空き家対策等の地域課題に対してふるさと納税を活用して取り組むことには疑問があることから、本市ふるさと納税の返礼品への導入は考えておりません。 いずれにいたしましても、市民が安心・安全な生活を送れるよう、引き続き空き家等の対策について適切に対応してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 前田厚子君。 〔12番 前田厚子君 登壇〕
◆12番(前田厚子君) 第3標題、本市における特定空家等の対策について、3回目の質問をします。 本市において、特定空家等判定等審議会での審議を重ね、特定空家等が認定されていますが、そこで認定されずに放置されている空き家の近隣に住む方々に対しては、結局何もできないでいるのでしょうか。 私は以前より市民の方から御相談を受けてきた空き家をいま一度、何軒か見てきました。その中の1軒の方は、市からの勧告があったので、持ち主の方が来て取りあえず危険な木を切ってくださったと大変喜んでおられました。もしあのままだったら、台風が続く中で、子どもと一緒に命を落とす危険もあったのではと話していました。市職員の方が一生懸命対応してくださった結果であり、大変感謝をしています。 しかし、空き家の解消率については、県内第1位の解消率を挙げているとのことでありますが、むしろできていない39パーセントに心を配り、対策を練ることはもっと大事なことではないでしょうか。現実に同審議会での審査の対象にならない危険なところはたくさんあります。そこにどう対応していくかを一緒に考えていただきたいと思います。せめてバリケードやロープ、または危険を知らせる看板だけでも立てていただきたいのですが、それもできないとのことでした。 また、ふるさと納税での対応も考えていないとの答弁でしたが、市では市民が安心・安全な生活を送れるよう、空き家等の対策について適切に対応してくださるとありましたが、具体的にどのようなことなら可能でしょうか。お聞かせください。 以上で3回目の質問を終わります。
○議長(勝俣大紀君) 当局の答弁を求めます。 市長堀内茂君。 〔市長 堀内 茂君 登壇〕
◎市長(堀内茂君) 前田議員の3回目の御質問にお答えいたします。 特定空家等に認定されないまでも、保安上・衛生上・景観上の問題のある空き家等につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、特定空家等となることを未然に防ぐために、所有者にアンケート調査や助言・指導を行い、問題が解消された空き家等が数多くあります。いずれにいたしましても、問題が解消されない空き家等につきましては、引き続き富士吉田市空家等対策計画に基づき、所有者に助言・指導を行うなど適切に対応してまいります。 以上、答弁といたします。
○議長(勝俣大紀君) 前田厚子君。 〔12番 前田厚子君 登壇〕
◆12番(前田厚子君) 今回はろう者の方の声と若者の声、そして生活をしていく上でいただいた困り事の3点を質問させていただきました。こうして市民の声を政治につなげていくのが私の仕事であり、使命だと思っています。これからも皆様の声をしっかり聞いて、市長にお届けしていけたらと思っています。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(勝俣大紀君) これをもって、前田厚子君の質問を打ち切ります。 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日9月19日午後1時より本会議を再開いたしたいと思います。 本日はこれをもって散会いたします。
--------------------------------------- 午後3時46分 散会...