山梨県議会 2023-09-01
令和5年9月定例会(第2号) 本文
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ヒット発言 選択表示 すべて選択 すべて解除 1 ◯議長(
水岸富美男君) 2
◯久保田松幸君 3 ◯議長(
水岸富美男君) 4 ◯知事(
長崎幸太郎君) 5 ◯議長(
水岸富美男君) 6 ◯県民生活部長(
上野良人君) 7 ◯議長(
水岸富美男君) 8
◯県土整備部長(椎葉秀作君) 9 ◯議長(
水岸富美男君) 10 ◯教育長(降籏友宏君) 11 ◯議長(
水岸富美男君) 12
◯久保田松幸君 13 ◯議長(
水岸富美男君) 14 ◯議長(
水岸富美男君) 15
◯桐原正仁君 16 ◯議長(
水岸富美男君) 17 ◯知事(
長崎幸太郎君) 18 ◯議長(
水岸富美男君) 19 ◯県民生活部長(
上野良人君) 20 ◯議長(
水岸富美男君) 21
◯福祉保健部長(井上弘之君) 22 ◯議長(
水岸富美男君) 23
◯観光文化・
スポーツ部長(落合直樹君) 24 ◯議長(
水岸富美男君) 25
◯警察本部長(小柳津 明君) 26 ◯議長(
水岸富美男君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(
水岸富美男君)これより本日の会議を開きます。
直ちに日程に入ります。
日程第一、
知事提出議案第六十四号議案ないし第七十七号議案、
認第一号議案及び
認第二号議案を一括して議題といたします。
これより、上程議案に対する質疑とあわせ、日程第二の県政一般についての代表質問を行います。
発言の通告により、
久保田松幸君に四十分の発言を許します。
久保田松幸君。
(
久保田松幸君登壇)(拍手)
2
◯久保田松幸君 私は、自由民主党・開の国を代表いたしまして、今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問いたします。
現在、日本社会は、
新型コロナウイルス感染症が五類に位置づけられたことにより、大きな転換点を迎え、本格的に動き始めています。県内の各地域では、にぎわいを創出するコンテンツが次々と姿をあらわし、至るところで多くの旅行者の姿を目にするようになりました。
また、コロナ禍において自粛されていた地域のイベントも復活しつつあり、私の地元でも先月、四年ぶりに夏祭りが盛大に行われたところであります。
こうした地域の特色を生かした取り組みによる地域の活性化が、山梨県全体に広がることが期待されます。
地域の活力は地域の成長につながり、地域の成長は県政発展の基礎となります。
私は、長崎知事が積極果敢に取り組まれている
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしの実現に向け、今後も地域を盛り上げ、知事とともに県政発展に取り組んでいくことをお誓いし、以下質問に入ります。
初めに、
総合計画の策定についてであります。
長崎知事は、本
定例県議会において、新たな
総合計画の策定に向け、最終的な計画案の
基本的事項について議案として提出されました。
六月の
定例県議会において報告された素案は、
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしを目指すという揺るぎない知事の思いが、具体性のある基本理念として示され、全ての
ステークホルダーとの共創に向けた心に響くメッセージとしてしっかり受けとめられる内容でありました。
従来、県民からの意見聴取は、制度化されている
パブリックコメントを中心に行われてきたものと承知しておりますが、知事は、これに加え、県議会との意見交換を初め、
山梨政策評議会などあらゆる機会を捉え、みずから県民の意見を酌み取り、総合計画の中に積極的に取り入れる姿勢を貫かれております。
あらゆる部門計画の上位に位置する県政運営の基本指針となる
総合計画について、県民とともにつくり上げようと行動する知事の姿は、まさに県民を豊かさ実感へと導くために先頭に立つ、頼れる
リーダー像そのものであります。
既に知事は、二期目初めての
本格的政策予算として六月の補正予算を計上し、公約の実現に向け、迅速に取り組みをスタートさせておりますが、最終的な
総合計画には、基本戦略や政策の柱立てのもと、これらの施策・事業が
アクションプランの中に具体的に位置づけられ、公表されるものと承知しております。
計画策定に当たっては、まずは関係する
ステークホルダーに共創への参画を促し、効果的な取り組みを展開するためにも、計画自体の内容を具体化し、わかりやすく明示することが重要であると考えます。
そして、その上で、次に重要になってくるのは、四年間の計画期間において取り組みを進めながら、施策・事業の実施により得られた成果を確実に把握し、適切に評価を行う中で、必要に応じ改善を図っていくことだと考えます。
そこで、新たな
総合計画について、どのような考え方で策定作業を進めてこられたのか、また計画内の
アクションプランに掲げられた取り組みによる成果は、今後どのような形で評価していくのか、伺います。
次に、
県土強靱化の取り組みについてであります。
全国各地で
観測史上最大となる豪雨等が観測され続けておりますが、深刻な被災状況が報道されるたびに、住民やボランティアの方々が、住宅に流れ込んだ土砂や使えなくなった家具を撤去する様子も伝えられ、インフラの強靱化とともに地域の防災力がいかに大切であるか、思い知らされるばかりであります。
県では、知事のリーダーシップのもと、県民の生活基盤を強く安心なものとする、
ふるさと強靱化を推進し、豊かさをもれなく届けられるふるさとを目指しています。
ふるさと強靱化は、自然災害や感染症に対する強靱化に加え、経済基盤や県民の生活基盤を強く安心できるようにする施策も含まれています。
こうした
強靱化施策の中で、特に、本県は四方を山々に囲まれ、急峻な地形や脆弱な地質が広がっており、私の地元を流れる釜無川などは、上流から流れ出た土砂が川底に堆積し、洪水時の氾濫が危惧されるなど、自然災害への備えが喫緊の課題になっています。
県では、気候変動の影響により激甚化・頻発化する自然災害に対し、国の防災・減災、
国土強靱化のための五か年
加速化対策予算等を積極的に活用する中で、災害に強い
県土づくりに向けた取り組みを鋭意進めており、その効果が着実にあらわれてきております。
しかしながら、その取り組みはいまだ道半ばであり、こうした状況を踏まえ、県議会では、国に対し予算の十分な確保とともに、五か年
加速化対策に続く次の計画を早期に策定し、現計画を上回る事業規模とすること、さらに
地方財政措置の充実・強化を図ることについて、強く要望することを六月定例会で議決し、意見書を提出しました。
国では、七月末に新たな
国土強靱化基本計画を閣議決定し、基本的な方針を定め、
国土強靱化を推進することとしたところです。
本県におきましても、直面する大
規模自然災害のリスクを踏まえ、地域の強靱化に総合的かつ計画的に取り組むことが重要ではないかと考えます。
そこで、
県土強靱化の取り組みにつきまして、県の所見を伺います。
次に、広域的な連携を支える
道路ネットワークの整備についてであります。
本県の
骨格道路網は、
中央自動車道が東西、
中部横断自動車道が南北の軸として、また国道二十号や五十二号などがこれを補完し、県外との交流や連携を担っております。
令和三年に全線開通した
中部横断自動車道の静岡─山梨間の沿線では、大規模な工場や
物流センターなどが進出し、また観光地の来訪者が大幅に増加するなど、経済活動においても効果が出ております。
そのうち、南アルプスインターチェンジの隣接地には、コストコの開業が令和六年十一月に予定されているなど、今後も雇用の拡大や交流人口の増加が期待されることから、本県の産業、文化、経済、観光などを支える
道路ネットワークの整備について幾つか伺います。
まず、
中部横断自動車道長坂以北の整備促進についてであります。
中部横断自動車道は、国土の横断軸として太平洋と日本海をつなぎ、物流、産業、観光の振興に寄与し、大規模災害時においては避難・救援の命の道となる重要な道路であります。
しかし、長坂から八千穂間においては、つながっていない区間であり、整備に向けた作業に大きな進捗が見られない状況にありました。
知事は、就任時、長坂─八千穂間の早期事業化を最優先課題に位置づけ、新たに山梨・長野両県が主体となり、都市計画決定の手続で地域の合意形成を図っていくとの考えを表明されたと承知しております。
その後も、長野県を初め、沿線自治体などと連携し、あらゆる機会を捉え、両県が行う手続への協力を求めるとともに、早期事業化を要望するなど、国へさまざまな働きかけを行ってこられました。
そのような活動が実を結び、本年七月、国から山梨・長野両県へ具体的なルート案の提示がありました。事業化への大きな一歩を踏み出したところであります。
こうした状況を受け、県では、都市計画決定を行うため、近々、説明会を開催すると承知しております。地域住民を初めとする関係者のさまざまな意見に耳を傾けながら、合意形成を図っていくことが求められるところです。
加えて、今回の都市計画手続は、環境影響評価手続と並行して行われるため、相当な時間を要することも想定されますが、手続を円滑に進めていただきたいと思います。
山梨大学の試算では、
中部横断自動車道の山梨─長野間が全線開通した場合、全国の個人と企業の所得が年間で計二百九十七億円増加すると予想し、山梨県内では年間七十三億円程度増加する結果が発表されたところであり、早期整備を期待する県民の声は、ますます高まるものと感じております。
そこで、今後、長坂以北の整備促進についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、釜無川周辺の道路網の整備についてであります。
中部横断自動車道の静岡─山梨間全線開通により、私の地元である南アルプス市では、静岡の清水港までの所要時間が大幅に短縮されたことから、首都圏・東海圏とのネットワーク拠点としての役割を担う地域となりつつあります。
一方で、工業団地の造成による企業進出やコストコの開業により、周辺地域は新たな渋滞が発生するのではと危惧しております。
私は、釜無川で分断された地域の交通状況や将来の需要を踏まえると、この川をまたぐ新たな道路網の整備が必要であると考えます。
そこで、釜無川周辺の道路網の整備について所見を伺います。
最後に、早川芦安連絡道路の整備についてであります。
早川芦安連絡道路は、南アルプス周辺の豊かな自然環境や観光資源を有効活用し、
中部横断自動車道の開通効果を地域観光や経済活性化につなげていくために整備が必要不可欠であると考えております。
一方、現在、早川町と南アルプス市は、林道を介して二つの県道で結ばれております。冬期には雪や路面凍結など安全な通行の確保が困難なことから、一年を通して通行することができません。
そのため、早川芦安連絡道路の早期開通を目指し、地元市町村で構成する南アルプス周遊自動車道整備促進期成同盟会において、毎年要望しているところです。
早川芦安連絡道路は、長大なトンネルや橋梁により計画されていることから工事には時間もかかると思いますが、一日も早く安全に通行できる道路環境の整備を期待しております。
そこで、早川芦安連絡道路の現在の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
次に、地域公共交通計画の策定についてであります。
本県の交通環境においては、リニア中央新幹線の開業による効果を県内全域に波及させるため、交通網の整備が重要であると考えております。
私の地元である南アルプス市では、コストコの開業や企業の移転等が予想されており、公共交通の重要性がさらに見込まれることからも、リニア駅と身延線の小井川駅を結ぶシャトルバスの運行検討においては、さらなるルートの延伸を期待しているところであります。
一方、県内の地域公共交通においては、全国平均を上回る高齢化により、今後、運転免許証の返納が増加し、公共交通のニーズが高まると予想されるものの、現状では、利用者の減少やそれに伴う交通事業者の収支の悪化、また輸送を担う運転手不足の深刻化など、需要と供給の両面で人口減少の影響を受け、多くの課題を抱えております。
これまで、県では、広域的な移動手段を確保する観点から、幹線バス路線を支援し、市町村においては、住民の生活のニーズに対応する観点から、地域内の道路を支援するという役割分担を基本として、バス路線の確保・維持を図っていると認識しています。
こうした状況を踏まえ、県では、令和六年度から地域公共交通計画をスタートさせると承知しております。
この計画の策定に当たっては、行政機関に加え、交通事業者や利用者、学識経験者等による法定協議会を設置し、一体となって地域の実情に応じた持続可能な公共交通網の確保・維持に取り組んでいると聞いています。
私は、この計画は、今後の県内公共交通の羅針盤となる重要なものであるため、より実効性のあるものにしていくべきと考えます。
そこで、県内公共交通の課題を的確に捉え、より本計画に実効性を持たせるため、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、消防団員の確保について伺います。
近年、災害が激甚化、頻発化する中で、地域防災力の重要性がますます高まっている一方、地域で活動する消防団員数は年々減少傾向であります。
消防庁が公表している消防団の組織概要等に関する調査によると、令和五年は、全国の消防団員数は平成二十五年から約一割減少しております。これを年齢階層別に見ますと、特に三十代以下の若年層の割合が減少し、五割以上であったものが、この十年間で四割程度になっており、本県においても同様の傾向にあるのではないかと思います。
災害による被害を最小限にとどめるためには、地域防災力のかなめである消防団の役割は大きく、将来にわたり、安定的な団員を確保していかなければならないと考えます。
私自身も、地元消防団の団長として、長年にわたり消防団活動を行ってまいりました。南アルプス市消防団は、山梨県消防団操法大会における優勝や、他の模範となる消防団に贈られる日本消防協会表彰旗の受賞など、輝かしい実績を残してきております。
こうした活動実績を積極的に広報することにより、消防団の活動が地域の皆さんに広く認識・評価され、そのことが団員の士気高揚につながっていると考えます。
一方、消防団は、地域防災力の中核としての役割だけではなく、地域の住民同士のつながりをつくる場としての効果も期待されることから、団員を確保することにより、地域の活性化が図られると思います。
こうしたことから、地域に欠くことのできない消防団を維持・発展させていく必要があり、そのためには、中高年の方だけではなく、若者や女性、移住者などさまざまな方が参加しやすい環境を備え、多くの団員を確保していくことが重要であると考えます。
そこで、消防団員の確保に向け、県ではどのように市町村を支援していくのか、伺います。
次に、国際交流の成果と今後の取り組みについてであります。
新型コロナウイルスパンデミックによる行動制限が国際交流に与えた影響は甚大ですが、現在、人々は移動の自由を取り戻しつつあり、訪日外客数はコロナ前の八割程度まで回復してきたとの発表もあります。
このような中、本県は、先日、ベトナム社会主義共和国クアンビン省との姉妹提携協定を締結しました。コロナの影響が残るうちから準備を進め、人々の往来が活発になった後に、いち早く姉妹提携協定という形のある成果を上げられたのは、知事の先見の明と行動力のたまものであると敬服する次第であります。
五月に知事が、七月には議員訪問団と県職員訪問団がクアンビン省を訪問し、省政府関係者との意見交換会を行いました。この姉妹提携協定の締結を契機として、より深化した友好関係が築かれていくものと期待しております。
また、交流を続けてきた姉妹友好地域においても、活発な交流が行われています。
四月には、大韓民国忠清北道からの知事を初めとする訪問団を受け入れ、実質的な交流を進めることで合意しました。
八月には、知事みずからブラジル連邦共和国を訪問され、交流を深められたとともに、グリーン水素の利用拡大や文化交流の提言、共生社会への新たな気づきなど、儀礼的なものにとどまらない具体的な交流協議が行われたと承知しております。
本県を国内外に開き、開の国としていくには、姉妹友好地域とのこうした実質的な交流を追求する県の取り組みが不可欠であると考えます。
そこで、これまで県は姉妹友好地域との交流を通じどのように成果を得ているのか、また今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、ひきこもり対策についてであります。
ひきこもりについては、その当事者だけでなく、八〇五〇問題といわれるように、八十代の親が自宅にひきこもる五十代の子供の生活を支え、経済的にも精神的にも行き詰まってしまう家庭問題であります。
県では、ひきこもり地域支援センターを中心に、福祉的な視点から市町村支援や当事者に対する個別支援、集団支援、さらには家族教室の開催など、当事者やその家族に対する支援を鋭意実施していることは承知しております。
しかし、ひきこもりの当事者やその家族には、そこから抜け出したいと思いつつも、信頼できる相談機関や安心できる居場所などに出会えず、事態が悪化したり長期化したりしている方も少なからずいると思われます。
このような現状からの脱却のためには、県や市町村などの関係機関による支援はもちろんのこと、身近での相談や就労支援、居場所の提供などの取り組みを行う民間支援団体の活動も重要となってくると考えます。
このため、今後は、団体やその活動状況の周知が必要であり、県が七月に創設した、民間支援団体をウエブサイトで公表するやまなしひきこもり支援団体認証制度は、まさに時宜を得た制度だと思われます。
そこで、まず、この制度の効果と周知のため、取り組みについて伺います。
また、ひきこもりのきっかけの一つである不登校について、山梨県の不登校児童生徒数は、令和三年度、千六百八十一人と過去最多を更新し、今後も同様な状況が続いていくものと推察されます。
ひきこもり状態の方は、不登校を経験している人が一定割合でいることから、私は、ひきこもりと不登校は連続して考えるべき問題であると考えます。
ひきこもり支援団体の方々からも、「一定の不登校がひきこもりにつながっている」「年齢が上がれば上がるほど対応が難しくなるため、不登校など年齢が低い段階での対応が必要」と意見をいただいていることも承知しております。
そこで、県では、ひきこもりの予防的観点からどのように不登校支援に取り組んでいるのか、あわせて伺います。
次に、こども基本法施行に伴う県の取り組みについてであります。
子供に関する施策については、これまで国の関係省庁が所管する諸法律に基づいて国、地方公共団体等においてさまざまな取り組みが進められてきたことは承知しております。
それにもかかわらず、令和四年度、全国の合計特殊出生率は一・二六と過去最低になり、出生数も統計開始以来初の八十万人を割り込むなど少子化の進行はとまらず、さらに児童虐待の相談や不登校の件数が過去最多となるなど、このままの状態を放置すれば、我が国の将来を揺るがす事態となることは明白であります。
この憂慮すべき事態に、国では、こども家庭庁の設置と同時に、全ての子供が将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、子供施策の包括的な基本として、こども基本法を本年四月に施行させました。
この基本法では、これまで別々に作成されていた三つの大綱を一元化し、子供の施策に関する基本的な方針、重要事項を定め、こども大綱を策定するとしています。
私は、大綱を一つにすることは、国民にとって施策が一層わかりやすくなるとともに、各取り組みを総合的に推進する上で、大変有効であると考えています。
また、大綱では、子供の施策に子供・子育て当事者等の意見を反映させることとしており、より丁寧で効果的な取り組みにつながるものと期待しているところであります。
一方、基本法では、都道府県にこのこども大綱を勘案し、都道府県こども計画を策定することを努力義務としています。
本県には、各法律に基づき、やまなし子ども・子育て支援プランや、やまなし子どもの貧困対策推進計画などが個別に策定されていることは承知しております。
そこで、県では、国のこども大綱の策定に向けた動きを受け、努力義務とされている都道府県こども計画について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、人口減少社会における働き方改革の推進であります。
日本人の人口は、平成二十一年をピークに十四年連続減少し続けており、本県においても人口減少に歯どめがかからない状況が続き、令和四年の出生数は四千七百人余りと、十年前に比べ千五百人余りも減少しています。
合計特殊出生率も一・四〇と二年連続で下降しており、少子化の進行を受け、知事は、六月、人口減少危機突破宣言を出されました。
少子化の背景には、経済情勢の悪化や不安定な雇用環境、子育てに関する費用の負担、仕事と育児の両立の困難さなど、さまざまな要因があり、関連する施策を総合的に推進する必要があると考えます。
私が、特に着目するのは、働き方の問題であります。子育ての世代は、まさに働き盛りの年代であり、企業でも貴重な戦力であることは理解できます。
しかし、働くことに比重がかかる余り、父親として子育ての時間を割きたくても、同僚に遠慮し言い出せない男性も多いのではないか、また産休・育休などの制度があっても、仕事と子育ての両立に悩み、取得することをちゅうちょする女性もいるのではないかと懸念しています。
男女がともに仕事と育児を両立できる職場環境の整備がなければ、少子化の進行を防ぐことはできません。
また、一つの職場にとっても、出産や育児だけでなく、介護中の方や病気療養中の方など、さまざまな事情を抱えている方が働いています。
こうした方々が、それぞれの希望に応じて、やりがいを持って働き続け、活動できる職場環境を整備することは、安定的な人材確保の上でも大変重要な取り組みだと考えております。
そこで、県では、人口減少社会における企業の働き方改革の推進について、どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、担い手への農地の継承についてであります。
知事は、就任以来、本県農業を将来にわたり成長産業として発展させ、生産者の所得向上の実現を図るため、生産・流通・販売の三位一体の高度化に精力的に取り組まれてこられました。
特に、桃の夢みずきや、ブドウのサンシャインレッドを初めとする果樹のオリジナル品種の育成・普及や、農産物の高品質化と生産性の向上を図るデータ農業技術の開発などを積極的に推進してこられました。
こうした取り組みにより、先月発表されました令和四年度の本県の農業生産額は一千百三十九億円となり、中でも果実の生産は七百十三億円と過去最高額となりました。
また、県産果実のさらなる輸出拡大に向け、効果的なプロモーション活動を展開したことにより、令和四年度の県産果実の輸出額は初めて二十億円を突破し、過去最高を記録しました。
一方で、農業従事者の高齢化が進み、二〇二〇年の農林業センサスでは、本県の農業労働力の平均年齢が六十九・九歳と、全国の平均を二歳近く上回っています。
県では、新規就農者の確保に積極的に取り組み、近年は三百人を超える新規就農者を確保するなど、成果を上げていることは承知しております。私の地元の南アルプス市でも、高齢者の農家から「後継者がおらず不安だ」との声を耳にします。
農家の減少により耕作されなくなった農地の一定程度は、地域の中心的な担い手に集積されているものの、荒廃農地の面積は依然として横ばいで推移しております。十年先を考えると一抹の不安を感じます。
代々引き継がれてきた農地も一旦耕作者が不在になると、瞬く間に荒廃してしまうことから、新規就農者を含む地域の担い手に円滑に継承していくことが重要であります。
また、新規就農者が地域に定着していくためには、農地や住宅の確保に加え、農業用機械や施設・設備など多額な初期投資を要するといった課題があることも承知しております。
折しも、現在、市町村においては、地域の将来の農業のあり方や農地利用の姿を明確にする地域計画の策定に取り組んでおります。
この機を捉え、県、市町村、JA、農地中間管理機構が連携し、担い手の農地の継承に取り組んでいくべきと考えますが、県の所見を伺います。
次に、リニア中央新幹線の進捗状況についてであります。
リニア中央新幹線は、三大都市圏を結ぶ我が国の新たな国土軸になるものであり、移動時間が大幅に短縮されることから、さまざまな経済活動の活発化が期待されるところです。
本県のリニア駅周辺の整備については、リニア開業効果を広く全県で享受するため、これまでのさまざまな議論が重ねられる中で、広域的な交通結節機能を有する駅北側は県が担い、地域の発展に直結する南側のまちづくりについては、地元甲府市が主体となって取り組むと整理されていることは承知しております。
駅北側に県が整備する交通結節機能については、本年三月に駅前エリア北側のゾーニングレイアウトが示され、整備に向け準備が進められております。
また、駅南側については、先般、甲府市からリニア駅前エリアのまちづくりの具体的方針案が発表され、県と市が協働でまちづくりを進めることが示されたところであります。
駅周辺が一体となって最大限の効果を発揮するためには、北側の整備と南側の取り組みが緊密に連携し進められることが肝要であり、今後の協議により南側のまちづくりが進められることに大いに期待を寄せるところであります。
一方、リニア本線に目を向けると、本県内ではトンネル掘削工事はほぼ契約済みであり、明かり部工事においても、私の地元南アルプス市では釜無川にかかる橋梁工事が進み、河川内外に橋脚が立ち並び始めるなど、構造物の姿が目に見えるようになり、建設工事が本格化していることが実感できる状況になってきております。
先月には、私が委員長を務める中央リニア新幹線建設促進山梨県議会議員連盟研究委員会で、富士川町内の第一南巨摩トンネル掘削工事現場を初めとした三カ所の工事現場の視察を行い、リニア中央新幹線の進捗を直接目にすることで、リニア開業への期待がますます高まったところです。
リニア本線の工事については、
中央自動車道をまたぐ架道橋が工事発注されたことが新聞記事になるなど、時折目にすることはありますが、山岳トンネルや駅舎など、詳しい進捗状況は、なかなか県民に伝わっていないように感じております。
そこで、山梨県におけるリニア中央新幹線整備の現在の進捗状況について伺います。
次に、次期山梨県教育振興基本計画についてであります。
国づくりの基礎は、言うまでもなく人づくりであり、私は人づくりの要諦は教育にあると考えます。
そして、教育こそ、人の可能性を広げ、ひいては社会の可能性を広げる最善の手段であると考えております。
県は、全国に先駆け二十五人学級の導入や、公立学校の一人一台端末環境の整備によるICT教育の充実、経済的に困難な環境にある児童生徒への支援など、次代の山梨を見据えた施策を推進してきました。
こうした施策は、令和元年度に策定した山梨県教育振興基本計画に基づき進めてきたと承知していますが、本計画は、本年度が計画最終年度となっています。
既に、県は、本年五月に有識者による検討会議を設置し、次期計画の策定に向けた検討を進めているものと承知しています。
検討に当たっては、国の教育振興基本計画を参考にしつつ、現行計画の施策の成果を踏まえ、変化する社会に対して新たな視点の取り組みも重要です。
また、少子高齢化や経済のグローバル化がさらに進展するとともに、デジタル分野での技術革新が起こることなど、社会を取り巻く環境は日々大きく変化し続けています。
山梨の子供たちが、将来、みずからの可能性を最大限に発揮しながら、未来を切り開くことができる人材として成長していくためには、こうした社会の変化、社会の要請に対応した教育のあり方を次期計画にしっかりと反映させる必要があると考えます。
また、そのためにも、次期計画の策定に当たっては、教育に係るさまざまな視点から広く意見を聞くことが必要であるとも考えます。
そこで、現在策定を進めている次期教育振興基本計画の基本的な考え方や、今後の策定の見通しについて伺います。
最後に、定時制・通信制高校における教育環境の整備についてであります。
私は、山梨県高等学校定時制通信制教育振興会の会長を務めておりますが、近年、定時制・通信制高校は、これまでの勤労を目指す機関から、不登校や病弱を含め、さまざまなバックグラウンドを持つ人々の学びの場としての受け皿に変化するなど、全日制高校と比較して多様性が増していることを実感しているところです。
このような定時制・通信制の位置づけが変化する中、心理面の支援を行うスクールカウンセラーや、行政機関の学校などを結びつけ、福祉面から支援を行うスクールソーシャルワーカーなど、学校外部の専門家の役割は今後ますます重要になってくるものと考えます。
本県の高等学校では、スクールカウンセラーは県全体で十二名、スクールソーシャルワーカーは二名の配置となっていることは承知しておりますが、この配置人数では、定時制・通信制高校に在籍する生徒の対応が十分に行き届かないのではないかと危惧されるところです。
そこで、本県の定時制・通信制高校におけるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの支援の状況について伺います。
また、通信制の高校では、一般的に生徒はスクーリングと呼ばれる面接指導や授業を受けるため、一定時間数、学校に登校し、その後はそれぞれのペースで自主学習などに取り組んだ上で課題の提出や定期テストに臨む、言わば自学自習のスタイルをとっています。
県内唯一の公立通信制高校である中央高校通信制では、スクーリングの機会を月二回ほど設けていますが、このスクーリングでは、紙の教材を利用した従来型の授業が一般的であり、ICT活用について改善を図る余地があるのではないかと考えております。
また、自主学習においても、主に紙での課題の作成・提出を通じた学習が多く行われていると聞いております。もっとICT化を図り、電子での提出を進めていくべきではないかとも感じております。
そこで、中央高校通信制におけるICT活用の現状と今後の取り組みについて、県の所見を伺います。
以上で、私の質問は終わります。御清聴ありがとうございました。
3 ◯議長(
水岸富美男君)
久保田松幸君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
4 ◯知事(
長崎幸太郎君)久保田議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、自由民主党・開の国を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。議員の地元におかれましても、四年ぶりに盛大な夏祭りが行われたとおっしゃるように、県内各地におきまして、
新型コロナウイルス感染症の流行前のような数多くのお祭り、あるいはイベントの開催が行われるようになり、これは地域経済が再び成長軌道に戻ったことであると実感をし、大変喜ばしく思うところであります。
また、地域の活力が地域の成長、さらには県政発展の基礎となるとのお考えを示されながら、私とともに県政発展に向けてお取り組みいただけるとの大変力強いお言葉を賜り、心から感謝を申し上げます。
私も、
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしの実現のため、久保田議員を初め、自由民主党・開の国の皆様とともに、粉骨砕身取り組んでまいりますことをお誓いし、以下答弁に入ります。
初めに、総合計画の策定についてです。
県政運営の基本方針となります総合計画は、時々の社会情勢の変化に応じて、各種施策の内容を最適化あるいはアップデートするべきものと考えております。
そのため、現行計画につきましては、感染症による社会変容を前進の機会として捉え、社会変革を進める施策を新たに提示する形で、令和三年に改定を行いました。
新たな
総合計画は、私の一期目の取り組みにより構築された頼れる土台の上に、山梨をさらに飛躍させる豊かさへのロードマップとしてまとめ上げたものであります。
策定の考え方といたしましては、まず県民の皆様とのお約束を各種施策へしっかりと反映することに重点を置き、その上で、これら施策の取り組みを加速させるものとして、全国に先駆けた人口減少対策に係る抜本的な取り組みも計画に位置づけることといたしました。
策定プロセスにおきましては、あらゆる
ステークホルダーとの共創を見据え、
山梨政策評議会に新たに現場の担当者から成る分科会を設置するなど、幅広く御意見を伺い、策定作業自体が集合知を組成するためのプラットフォームとなるよう心がけ、進めてまいったところであります。
今後、施策の実行フェーズに入っていくこととなりますが、まずは、私みずから全市町村に出向き、計画をもとに県民の皆様と対話を重ねるなど、多様な個性に山梨の豊かさづくりへ参画していただく気運醸成に努め、計画推進において集合知を発揮してまいります。
次に、取り組みの成果の評価につきましては、言うまでもなく、豊かさを漏れなく届けられるふるさとを着実に構築していく上で大変重要なものです。
このため、二百六十五の成果指標について、可能な限り定量化することとし、現行計画に比べ約一割増の八〇%を超える指標を定量目標といたしました。
今後は、毎年度、進捗状況や成果を把握するとともに、成果指標の達成状況を分析し、計画の進捗状況について総合的に評価しながら、必要に応じて施策全体のブラッシュアップに取り組んでまいります。
次に、
県土強靱化の取り組みについてです。
自然災害への強靱化は、人命保護の最優先に加え、社会の重要な機能の維持、県民の財産や公共施設の被害の最小化、迅速な復旧・復興を図ることが肝要です。
この基本目標に基づき、本県の脆弱性評価の結果や国の計画を踏まえた新たな
県土強靱化計画を年度内に策定し、誰もが安心して暮らすことができる基盤づくりに資する施策を重層的に展開いたします。
まず、第一に、県民の生命と財産を守るため、河川、ダム、砂防、治山などの防災インフラの施設整備と維持管理の充実強化を推進します。
具体的には、河川の改修やしゅんせつを初めとした流域治水対策などの事前防災対策の加速化や、富士山噴火時の火山防災対策をハード・ソフトの両面から実施し、逃げおくれゼロを実現いたします。
第二に、経済発展の基盤となる交通、エネルギーなどのライフラインを強化し、かつ代替性を確保します。
交通につきましては、急峻な山々に囲まれているがゆえの脆弱性を補完するため、災害に強く信頼性の高い
道路ネットワークの整備を進めます。
また、太陽光発電など自立分散型エネルギーシステムの普及により、エネルギーの効率的利用と安定供給を図り、非常時でも途切れない経済活動を維持します。
第三に、避難所での災害関連死を防ぐための環境整備や、過去の訓練や知識を住民に伝承・実践する取り組みなどにより、地域の防災力を強化します。
こうした三本柱に加え、施策の展開に当たっては、住民との情報共有や被災者の救援・救護にドローンやAIを活用するなど、デジタル技術による高度化を進め、災害対応力の向上を図ります。
また、官民連携の強化により、民間の防災投資を促し、発災時における民間事業の継続性を確保するとともに、復旧・復興に向けた幅広い取り組みを推進します。
さらに、強靱化計画の実効性を高めるため、ここまでやればこれだけ安全になるという明快な指標を設定し、進捗を把握しながら、PDCAサイクルの活用により、災害に強いふるさとをつくり上げてまいります。
次に、広域的な連携を支える
道路ネットワークの整備について、幾つかお尋ねをいただいております。
まず、中部横断道長坂以北の整備促進についてです。
中部横断自動車道の長坂─八千穂間につきましては、これまでの県と関係者の皆様の努力が実り、先般七月に具体的なルート案が国から長野・山梨両県へ送付され、事業化へ向け大きく一歩前進いたしました。
この知らせを待ち望んでいた多くの皆様と、今月七日に開催いたしました開の国前進大会において、喜びと感謝の気持ちを共有し、事業化への手続に地域一丸となって取り組むことを決意したところであります。
県では、ルート案の送付を受け、既に行っている環境影響評価の手続とあわせ、都市計画の手続に着手をし、来月二十四日から、甲斐、韮崎、北杜の三市において、詳細な道路の位置や構造に関する説明会を開催することとしております。その後、公聴会の開催や国との協議、都市計画案の作成・縦覧などとともに、環境影響評価についても準備書の作成・縦覧などを行うこととしております。
これらの手続には、地域の合意形成が重要であり、今後も丁寧な対応に努めるとともに、事業予定者である国との協力は不可欠であることから、速やかな資料提供などを求めながら、着実に進めてまいります。
引き続き、関係機関と連携しながら、一日も早い事業化に向けて取り組んでまいります。
次に、釜無川周辺の道路網の整備についてです。
釜無川周辺におきましては、物流拠点や工業団地の拡張整備が進むとともに、大型商業施設の進出が予定されており、新たな交通需要が見込まれるところであります。
一方、開国橋や浅原橋の橋詰では、朝夕を中心に渋滞が発生していることから、将来の交通需要を見据えると、釜無川をまたぐ新たな道路を整備すべく、所要の検討を行う必要があると考えております。
このため、現在、県では、この道路のルート選定に当たり、企業進出などによる影響を見込んだ将来交通量の推計を行い、周辺道路に及ぼす効果や課題について検証しているところです。
この検証結果を踏まえまして、新たな
道路ネットワークのあり方について、それぞれの市町が描く将来のまちづくりビジョンとの整合性を図り、反映させていくことが重要であると考えます。
このため、三市町とともに立ち上げた勉強会で、釜無川周辺の道路網の整備方針について認識の共有を図るとともに、整備手法や役割分担についても協議を進めてまいります。
次に、早川芦安連絡道路の整備についてです。
早川芦安連絡道路は、
中部横断自動車道や国道五十二号などと連携した周遊観光を実現し、南アルプス地域の観光振興に大きな効果をもたらします。
さらに、災害時におきましては、孤立集落の解消や避難路の確保とともに、救急救命活動の支援などに寄与するなど、さまざまな整備効果を発揮します。
早川側では、早川を渡河する延長約百四十メートルの橋梁や盛土及び早川に合流する沢の流入水処理を計画しており、現在、橋梁へのアプローチ区間の整備を進めています。これまで、盛土工事と並行して、沢の仮排水路工事や盛土の基礎となります護岸工事を行っており、このうち、仮排水路工事につきましては、本年度末までに完了することになっております。
芦安側では、延長約三・五キロメートルのトンネル工事のために必要となる現道の狭隘箇所の解消を図ることとし、工事中の交通規制や迂回方法について、地元関係者と調整を行っているところであります。
また、温泉や井戸の水文調査など、トンネル掘削工事を進める際の周辺環境対策について調査・検討を行っております。
特に、トンネル坑口付近には生活用水の水源があることから、掘削中の影響に備え、代替水源の水量・水質について、モニタリングを本年秋から始める予定となっております。
引き続き、地域の皆様の御理解と御協力をいただきながら、トンネルや橋梁工事の着手に向け取り組みを進めてまいります。
次に、消防団員の確保についてです。
消防団員を安定的に確保するためには、議員御指摘のとおり、積極的に広報を行うほか、さまざまな方が参加しやすい環境を整備していくことが重要であると考えます。
このため、県では、県民の皆様が消防団の役割や活動に御理解を深め、やりがいや魅力を感じていただけるよう、市町村と連携しながら広報活動を行ってまいります。
具体的には、ホームページや各種イベントでの広報に加え、本年度新たに訓練の様子を記録したPR動画を作成し、発信をしてまいります。
また、活動を通じて交流の場や自身の成長といった団内外の活動に生かすことができるような持続可能な消防団について研究をし、市町村と共有することとしております。
このため、多くの女性団員が活動している甲斐市と富士川町をモデル市町村に選定し、時代に即した魅力ある消防団のあり方について検討を始めたところであります。
検討に当たりましては、活動自体が楽しいと感じてもらえるような新たな視点からもアプローチしてまいります。
例えば、同じ目標に向かって共同して取り組むことによる男女の出会いの場の創出、ゲーム的要素を取り入れた訓練の導入、ICTを活用した過重な負担の軽減といったさまざまな切り口から検討してまいります。
こうした取り組みによりまして、消防団員の一層の確保に努め、地域防災力の充実強化を図ってまいります。
次に、国際交流の成果と今後の取り組みについてです。
豊かさを育むパートナーである姉妹地域との友好は、本県のかけがえのない資源であり、ともに新たな価値を生み出す姉妹都市二・〇を推進してまいります。
本年度は、ベトナムのクアンビン省と姉妹友好県省を締結するとともに、他の友好地域においても、特に環境と青少年の分野で成果があらわれております。
まず、環境分野では、米倉山における水素事業の取り組みをクアンビン省訪問団が視察された際、非常に強い関心を示されたことから、日越交流の象徴として、グリーン水素の活用に向けて協議を進めてまいります。
また、ブラジルのミナスジェライス州も、再生可能エネルギーに注力をしており、州知事にP2Gシステムによるグリーン水素利用への取り組みを紹介したところ、大変強い関心を示され、現在、来県に向け調整を進めているところです。
また、青少年交流につきましては、その体験が人格形成や国際的な考え方、さらには継続した交流を育む基礎となることから、より深化した交流に取り組んでおります。
十二月には、韓国忠清北道の大学生訪問団を迎え入れ、SDGsの視点も踏まえ、ボランティア活動を取り入れた交流を行うほか、一月にはベトナムクアンビン省の高校生と文化交流を行う高校生訪問団を派遣いたします。
また、ブラジル山梨県人会との交流におきましては、移民した日系人の皆様が現地に溶け込み、地域社会へ貢献し、そして尊敬を得ているということに大変強い印象を受けました。
先人の苦労により形成されたこのようなコミュニティーのあり方は、本県が目指す共生社会の一つの理想形でありまして、今後、県民のグローバルな視野を広げ、相互理解の向上に、さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、ひきこもり対策についてです。
ひきこもりにつきましては、議員御指摘のとおり、そのきっかけは不登校を初めさまざまであり、当事者やその家族が必要とする支援も多様であります。
先般創設いたしました、やまなしひきこもり支援団体認証制度におきましては、認証基準を満たした団体を支援活動ごとに認証・公表することにより、当事者などが支援団体を選択することに資するものであります。
この制度の運用により、当事者などが安心して支援を受けられる環境が整い、必要とする支援につながりやすくなることから、ひきこもりからの回復が期待できるところであります。
このため、県ウエブサイト、SNS、市町村を通じて、認証団体の情報を積極的に発信し、当事者などに対し、その情報が届くよう努めてまいります。
現在、三つの団体を認証し公表しているところであり、引き続き制度の周知を行い、ひきこもりの要因の一つである不登校に携わる団体の認証も視野に、その増加を目指してまいります。
また、ひきこもりの予防的観点から、不登校児童生徒が学校や民間団体など社会とのつながりを維持し、ひきこもりにならずに社会的に自立できるよう後押しをすることは重要であります。
このため、県では、まず一人一台端末を用いて学校と家庭をつなぎ、自宅にいながら授業を受けられる遠隔授業の実施や、児童生徒の心や体調の変化を発見できるアプリの活用を推進しています。
さらに、県のウエブサイトにフリースクールなどの民間団体の情報を掲載し、不登校の児童生徒や保護者に対して情報提供を行っています。
加えて、中学卒業後に進学や就職をしていない人や高等学校を中退した人と面接し、生活状況や進学・就職に関する希望などを把握して、関係機関につなぐといった切れ目のない支援にも取り組んでいます。
学校の授業につきましては、学習方法や学習ペースを自分で判断して取り組む自由進度学習などの子供主体の授業を推進し、不登校やひきこもりが起こらないような教育を目指してまいります。
今後も将来のひきこもりを防ぎつつ、一人でも多くの方がひきこもりから回復されるよう、市町村、学校、民間団体との連携を図りながら、さまざまな取り組みを部局横断的に進めてまいります。
次に、こども基本法の施行に伴う県の取り組みについてです。
県では、子供・子育てに係る施策の充実は、子供を産み育てたいと願う若い世代の不安や負担を軽減をし、安心した子育てにつながることから、出生率上昇のための重要施策として位置づけております。
議員御指摘のとおり、国では、各法に基づいて実施されてきた従来の子供施策を一元化するとしており、総合的かつ一体的に有効な施策を推進していくという考え方は、本県も国と一致しております。
このため、県では、これまで全国に先駆けて実施してきた取り組みをさらに発展・充実させるとともに、一体的・効果的に支援できる仕組みを構築するため、山梨県こども計画を策定することといたしました。
計画は、結婚から子育てまでの支援策や、若者が社会的に自立するための育成方針に加え、貧困対策を一体的なものとして作成することとしており、県民によりわかりやすく、より身近になるよう努めてまいります。
また、計画の実効性を高めるため、支援事業への評価や貧困の状況に加え、体験格差など、より幅広い調査項目を盛り込んだアンケート調査を行うこととし、所要の経費を補正予算に計上したところであります。
さらに、十一月に開催する県、市町村、関係団体などで構成する子ども・子育て会議に、十代から二十代の若者に参加していただいて意見を伺うこととしており、若者の声を確実に計画に反映させてまいります。
県では、山梨県こども計画を子供・子育て施策の中心に置き、国のこども大綱の方針も踏まえ、危機的な状況にある人口減少のトレンドを反転すべく、県民の皆様とともに取り組んでまいります。
次に、人口減少社会における働き方改革の推進についてです。
働き方改革の推進は、議員御指摘のとおり、少子化の進行を食いとめるとともに、深刻化する人材確保の観点などからも極めて重要であります。
このため、県では、企業の皆様とその重要性についての認識を共有し、実際の行動につなげていくため、経営者を対象とした意識啓発セミナーの開発や表彰制度による好事例の横展開を図っております。
また、企業が抱えるさまざまな課題に対応するため、働き方改革アドバイザーとして専任職員を配置し、ヒアリングを通じた課題の整理や具体的な取り組みプランの作成を支援しております。
さらに、就業規則の改正など専門的な知識を要するケースでは、社会保険労務士を派遣し、企業の取り組みを後押ししております。
一方、少子化は加速度的に進行しており、直面する人口減少の危機突破に向け、エビデンスに基づく、より実効性のある施策を展開していく必要があります。
このため、新たな施策立案のベースとなる県内企業の働き方改革に関する実態調査を実施することとし、所要の経費を九月補正予算に計上しました。
この調査では、企業の経営者のみならず、労働者も調査対象とし、労使双方の視点から職場の実態や課題、ニーズなどを把握します。
並行して、人口減少問題の権威である山崎史郎内閣官房参与らを初めとする専門家グループと連携をし、知見を深め、施策立案に生かしてまいります。
なお、働き方改革の重要な取り組みであります男性の育児参加の促進につきましては、県が率先して育児休業などにより、最低三カ月間は育児に携わる取り組みを進めており、県内企業にも波及させてまいります。
これまでの取り組みに加えまして、実態調査の結果などに基づき、より効果的な施策を立案し、積極的に展開してまいります。
最後に、担い手への農地の継承についてです。
本県農業の維持・発展のためには、議員御指摘のとおり、耕作者不在の期間をつくらず、新規就農者を含む地域の担い手に農地を円滑に継承していくことが重要です。
このため、県では意欲ある新たな担い手に関する情報を、農業委員会やJAなどと共有しながら、新規就農者とのマッチングや企業の農業参入を積極的に進めてまいりました。
しかしながら、直近の調査結果では、荒廃農地は三年間で約九百ヘクタール解消し、総面積は減少しているものの、新たに六百ヘクタールの荒廃農地が発生しています。
現在、市町村が策定を進めている地域計画は、地域での農地の出し手と受け手を明確に定めることから、農地が円滑に継承され、荒廃農地の発生防止につながるものと考えております。
このため、県といたしましても、計画策定段階から、新規就農者の確保や農業基盤整備による生産条件の改善など、将来の地域農業のあり方に引き続き積極的に関与してまいります。
また、本年度は、円滑な農地継承の実現に向けて、新規就農者の経営に必要な農地や施設設備、さらには住宅など、ニーズを改めて調査することとし、所要の経費を九月補正予算に計上いたしました。
今後、この結果を踏まえて、市町村や関係団体と連携をし、切れ目のない経営及び技術支援と基盤整備による生産条件のよい農地、住宅などをパッケージで提供する新たな農業継承システムの構築を検討してまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきまして、担当の部長等からお答え申し上げます。
5 ◯議長(
水岸富美男君)県民生活部長、
上野良人君。
(県民生活部長
上野良人君登壇)
6 ◯県民生活部長(
上野良人君)久保田議員の地域公共交通計画の策定についての御質問にお答えします。
本計画は、議員御指摘のとおり、本県にとって望ましい公共交通の姿を明らかにする地域公共交通のマスタープランであり、本年度中の策定に向け、鋭意取り組んでおります。
計画では、県民の活動機会を保障するセーフティーネットとしての生活交通と、創意工夫により利用促進を図る公共交通活性化の二つの領域に視点を当ててまいりたいと考えております。
計画の策定に当たっては、昨年度、事業者や公共交通利用者、県政モニターなどを対象に、幅広くアンケート調査を実施したところです。
この結果により明らかになった、買物、通院、通学などの県民生活において重要な路線を、広域生活交通ネットワーク指定路線として本計画に位置づけてまいります。
こうした生活交通路線の確保・維持のため、集客施設、病院、学校などの目的施設へのバスの乗り入れを初め、市町村や交通事業者との連携強化について検討を進めてまいります。
公共交通活性化につきましては、自動運転など新技術の活用も視野に入れ、活力に満ちたまちづくりを目指す都市圏公共交通や、来県者の利用促進に向けた観光輸送などに係る取り組みを推進してまいります。
本計画が、県民生活の確保・維持における守りの面と、公共交通の利用促進を通じた県内経済の発展を図る攻めの両面において、今後の県内公共交通の指針となるべく、策定を着実に進めてまいります。
以上でございます。
7 ◯議長(
水岸富美男君)県土整備部長、椎葉秀作君。
(県土整備部長 椎葉秀作君登壇)
8
◯県土整備部長(椎葉秀作君)久保田議員のリニア中央新幹線の進捗状況についての御質問にお答えします。
リニア中央新幹線の開業は、本県にとって中央本線や
中央自動車道の開通以来となる大きなインパクトをもたらすものであり、実験線建設時から長きにわたりJR東海に協力してまいりました。
こうした中、リニア本線の用地取得は県が受託し、八月末時点で全体の七割を超える地権者の皆様から契約をいただいており、準備が整ったところからJR東海により工事が発注されております。
工事は、難易度が高く、工期が長くなるトンネルや長大橋梁などから計画的に進められており、トンネルにつきましては、県内七カ所のうち六カ所、延長で九割を超える区間で発注済みでございます。
このうち、甲府盆地から名古屋方面に向けて山岳部の入り口となります延長約八百メートルの第一南巨摩トンネルでは、来月には本線トンネルとして初めて貫通することが先日発表されたところであります。
一方で、明かり区間につきましては、去る六月に富士川町利根川公園内の高架橋が本線で初めて完成を迎え、地元住民の方々や報道機関に公開されました。
また、釜無川を渡る橋梁では、河川内の全ての橋脚がおおむね完成しており、渇水期となる十一月以降に本格的に上部工に着手するなど着実に整備が進められております。
加えて、リニア山梨県駅につきましては、駅予定地の用地取得がおおむね完了しており、現在は埋蔵文化財の調査や駅舎の設計を実施しておるところでございます。
今後も、リニア中央新幹線の開業に向け、工事が円滑に進むよう、県民の皆様の御理解と御協力を得ながら、JR東海と協力して取り組みを進めてまいります。
以上でございます。
9 ◯議長(
水岸富美男君)教育長、降籏友宏君。
(教育長 降籏友宏君登壇)
10 ◯教育長(降籏友宏君)久保田議員の御質問にお答えいたします。
まず、次期山梨県教育振興基本計画についてであります。
少子高齢化やグローバル化、社会のデジタル化など、社会全体が大きく変動する中、次代を捉え、本県が目指す教育の姿や取り組みの方向性を定め、教育の振興を一層図っていくことは大変重要であります。
次期計画につきましては、本県のこれからの教育には、将来の予測が困難な時代において、みずからが社会のつくり手となる人材の育成が必要であるとの認識のもと、年度内の策定に向け、作業を進めているところであります。
次期計画の基本的な理念としましては、主体性を持ち、多様な他者とかかわりながら課題解決を通して社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開くことができる人づくりを目指してまいります。
また、一人一人が自分の可能性を見つけ出し、最大限に伸ばして夢や希望の実現に向かうことができるよう、誰もが教育の機会にアクセスできる学びの機会あふれる山梨にしていきたいと考えております。
今後は、こうした基本的理念に基づき、未来を生きる子供に必要な力を育む教育の推進を初めとする柱を立て、子供主体の授業への授業観の転換など、取り組みの具体的な方向性を示してまいります。
なお、計画策定に当たりましては、校長や市町村教育委員会関係者、PTAやNPOなどの関係団体、大学教授などの有識者の意見を伺うとともに、
パブリックコメントにより広く県民の意見を求めていきます。
教育は、未来の山梨の礎づくりそのものであり、次期計画に盛り込む方向性を着実に推進することにより、山梨県が目指す教育の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、定時制・通信制高校における教育環境の整備についてであります。
定時制・通信制高校では、さまざまな背景を抱える生徒が学んでおり、必要なときに心理や福祉の専門家による相談支援を受けられる環境は大変重要であります。
このため、スクールカウンセラーにつきましては、支援ニーズが高い中央高校とひばりが丘高校の各校に二名ずつを配置するとともに、そのほかの定時制高校についても、要請に応じて必要な派遣を行っております。
また、スクールソーシャルワーカーにつきましては、学校からの要請に応じて派遣しており、現状では必要な対応ができているものと認識しております。
県としましては、今後、さらにニーズがふえ、年間の活動時間が超過する場合には、年度途中でも補正予算などにより積み増す対応を検討するなど、学校における相談支援体制の確保に努めてまいります。
次に、中央高校通信制のICT活用についてでありますが、既にスクーリング時において、動画、写真、教材を大型提示装置に投影して授業を行うなど、ICT機器の活用を進めております。
また、自宅学習時におきましても、通信環境が整っている生徒や希望者に対して、ウエブ会議システムなどを活用した相談や質問対応などの学習支援を行う取り組みも開始したところであります。
このように、ICT機器の活用を進めておりますが、まだ道半ばであり、生徒の情報活用能力の向上や効果的な教育実践に向け、さらなるICTの活用を図っていく必要があると考えております。
そのため、今後は、スクーリング時に端末を活用して共同学習を行うとともに、教材の電子化、オンラインでの課題提出、授業動画の配信を進めるなど、ICTの一層の活用を図ってまいります。
以上でございます。
11 ◯議長(
水岸富美男君)当局の答弁が終わりました。
久保田松幸君に申し上げます。再質問はありませんか。
12
◯久保田松幸君 ありません。
13 ◯議長(
水岸富美男君)これをもって、
久保田松幸君の代表質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後二時十五分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時三十五分再開議
14 ◯議長(
水岸富美男君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、桐原正仁君に四十分の発言を許します。桐原正仁君。
(桐原正仁君登壇)(拍手)
15
◯桐原正仁君 自由民主党新緑の会の桐原正仁です。私は、自由民主党新緑の会を代表して、今
定例県議会に提出されました案件並びに県政一般について質問をいたします。
初めに、四月に行われた山梨県議会議員選挙甲州市選挙区において、多くの皆様の温かい御支援を賜り、二度目の当選をさせていただくことができました。心から感謝申し上げるとともに、今後も県政のさらなる推進に微力を尽くしてまいる覚悟です。
新型コロナウイルス感染症法上の五類移行に伴い、日常を取り戻しつつある中で、この夏は久しぶりに人の活発な往来の中に、活気に満ち、閉塞感を打破する勢いを感じました。
改めて、この三年余りのコロナ禍において、医療・福祉や保育、運輸・物流、小売を初め人々の生活基盤を支えるために献身的に御尽力いただいた多くの皆様に感謝申し上げます。
県政においては、長崎知事のリーダーシップのもと、コロナ禍での医療提供体制構築による安全・安心の提供はもとより、コロナ禍を見据え、メディカル・デバイス・コリドー構想、水素・燃料電池関連産業の成長発展に向けた取り組み、少人数学級、介護待機ゼロ、子育て支援の充実など施策は着実に進展し、今後はさらに加速していくことを期待しています。
コロナ禍を経験して改めて意を強くしたことは、山梨の将来を担う子供たちに光を当て、子供たちの可能性を大切にすることであります。子供たちの心身の成長や将来に影響を与える教育、さまざまな体験活動、子供たちが置かれている状況、また社会状況など、子供たちを取り巻く環境が障壁として将来の可能性に影響を与えるものがあれば、それを改める必要があります。
十年後、二十年後の本県の姿を思い描いたとき、子供たちの旺盛な好奇心やチャレンジ意欲に対して、十分に機会を確保し、夢や希望を諦める子供をなくすことが必要であると切に思います。
現在の少子化・人口減少下において、子供たちが将来に希望を持てる地とすることが、山梨の大きな魅力の一つであり、発展の土台になると考えています。
県民に選ばれた公職にある者として、将来の明るい展望を語り、県民の皆様に共感していただき、ともに躍動できる山梨の実現のために、知事とともに全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、人口減少危機対策について伺います。
人口減少・少子高齢化は、我が国が直面する深刻な危機であります。
本年六月に厚生労働省が公表した令和四年度の人口動態統計によると、我が国の出生数は約七十七万人であり、過去最少だった令和三年に対し、四万人以上減少し、初めて八十万人を下回りました。
また、本県における出生数は、令和三年に続き五千人を割り込み、四千七百五十九人となったほか、合計特殊出生数は、県民の希望である一・八七を大きく下回る一・四〇となっており、本県においても厳しい状況にあることは論をまちません。
こうした中、知事は、いち早く問題意識を持ち、全国初となる人口減少危機突破宣言を行い、庁内外に危機感と人口減少危機を克服する決意を共有すべく投げかけました。
また、県、市町村、企業、団体と人口減少危機突破共同宣言を行い、オール山梨による協力体制の構築を図ったほか、県民への切れ目のない支援を実現するための政策パッケージを取りまとめ、公表するなど、そのスピード感ある取り組みに敬意を表するところであります。
少子化の背景には、結婚や子供を望む若者において、出会いの機会の少なさや経済的な不安定さ、子育ての負担感、出産、育児、仕事の両立の難しさなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
私は、それらの要因により若者たちが将来を不安に感じ、結婚や子供を持つことを必要以上に悲観的に捉えてしまうことが少子化につながっているのではないかと考えております。
人口減少危機対策を進めるに当たっては、結婚や子供を持つことへの不安を取り除き、子育て世代が希望を持って生き生きと生活できるような社会の実現に向け取り組むことが重要だと考えます。
そこで、県は、人口減少に対しどのように取り組むのか伺います。
次に、国民スポーツ大会並びに全国障害者スポーツ大会の開催に向けた取り組みについて伺います。
先月二十四日、令和十四年の国民スポーツ大会の本県開催が内々定いたしました。また、全国障害者スポーツ大会についても、本県において同年に開催される運びとなりました。
両大会の開催は、県内スポーツ関係者の悲願であり、実現していただいた長崎知事に深く感謝申し上げる次第であります。
今後は、国内最大級のスポーツイベントである国民スポーツ大会並びに全国障害者スポーツ大会の開催県として、万全の準備を進めていく必要があります。
知事は大会の開催に当たり、共生社会の実現と持続可能性に重点を置いた、山梨らしい大会を目指していきたいとのお考えを示されています。
県においては、九月補正予算において、準備委員会の設置に係る予算を計上されていますが、私は、知事が目指す全国に先駆けた山梨らしい大会を実現するためには、準備段階から県の総力を結集し、最高のパフォーマンスを発揮できる体制が必要であると考えます。
そこで、今後設置される準備委員会について、どのような考えで組織し、運営されていくのか、御所見を伺います。
また、大会開催に向け、競技力の向上は喫緊の課題であります。私自身、ウエイトリフティングを行ってきました。高校生時代にウエイトリフティングの世界に入り、選手として大きく成長し飛躍することができました。これも私の適性を見出し、熱心に、また的確な指導をしていただいた恩師がいたからであると考えています。
競技力の向上は、すぐれた指導者からのコーチングと長年にわたるトレーニングが必要であり、短期間で成果が得られるものではありません。大会の開催までに九年あるものの、競技力の向上の観点に立てば、残された時間は多くないと考えます。
このような中、県では未来のトップアスリートを発掘する甲斐人の一撃事業に取り組まれています。本事業は、全国レベルのみならず国際的に活躍できるスポーツ人材の育成を見据えたものと承知をしており、本事業の成果が、今後の本県の競技力向上につながっていくと考えます。
そこで、本事業の現在の進捗状況と今後どのように競技力の向上の取り組みを展開していくのか、あわせて御所見を伺います。
次に、富士山火山防災対策について伺います。
我が国は、狭い国土に百十一もの活火山を有する火山大国であり、世界文化遺産に登録されてから十年を迎え、多くの観光客でにぎわっている富士山もその一つであります。
火山災害は事例が少なく、地震災害に比べると研究や対策が進んでいない印象があります。しかし、平成二十六年九月に発生し、六十三人の死者・行方不明者が出て、戦後最悪の火山災害と言われている御嶽山の噴火を初め、全国各地で火山活動が活発になっております。一たび大規模な噴火が起きると、住民や観光客の生命・財産に危険を及ぼし、都道府県境を越えて、広範囲にわたってライフラインや交通など、私たちの生活や経済に大きな影響を与えるおそれがあります。
長崎知事には、就任以来、県民の皆様が安心・安全に暮らせるよう、県土の強靱化に鋭意取り組んでいただいております。その中でも、富士山については、市街地の近くに新たな火口が発見されたことなどを受け、対策強化を急ぐため、全国の火山を抱える二十三都道県の知事を巻き込んで、火山防災強化推進都道県連盟を就任後わずか数カ月で設立されました。その後も長崎知事が先頭に立って、国や国会議員連盟に対して、法制度の整備などについて精力的に働きかけてきたと承知をしております。
その大きな成果として、本年六月十四日に活動火山対策特別措置法、いわゆる活火山法の改正が実現しました。これは、地方の声が国の政治を動かした理想的な形であり、また、これまでには、災害発生後に法改正されていたことを鑑みると、災害発生前に法改正がされたことは、私たち県民にとって大きな安心材料となりました。
改正法では、火山の調査研究を一元的に行う火山調査研究推進本部の設置や、国と地方が連携して火山の専門人材の育成・確保に取り組むこと、火山防災の日の制定などが新たに規定されました。
今後、県民の皆様の命はもちろんのこと、暮らしを守るとの観点から、改正法を踏まえ、火山防災対策をさらに強化していくことが大事です。
そこで、活火山法の改正を受けた県の対応と今後の火山防災対策をどのように強化していくのか、その取り組みについて伺います。
次に、高校生の国際交流について伺います。
私は、県議会の議員訪問団の一員として、昨年はアイオワ州デモイン市を、今年はベトナムのクアンビン省を訪れ、現地の方々との交流を通じて大いに刺激を受けました。
これからの時代は、子供たちが外の世界に直接触れることにより視野を広げ、国際感覚を身につけることが大変重要であり、県を初め自治体が高校生の国際交流に積極的に取り組むべきものと考えます。感受性が豊かな年代である高校生が国際交流を経験すれば、大人以上にさまざまなことを感じ取り、これからの人生をより豊かなものにしていくことに違いありません。
しかしながら、ここ数年は
新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで実施されてきた県の国際交流が中止となり、高校生が海を渡り、対面で会話して現地の自然や文化に触れるなど、直接交流することを通じてお互いの理解を深め、認め合う機会が失われてきました。ようやくコロナ禍の制限がなくなった今、再びフェース・トゥ・フェースで世界の現場を実感することができる環境になったことを、私は心から歓迎します。
一方、コロナ禍によってICTを活用したオンラインによる国際交流が盛んに行われるようになったことも承知をしております。今後は、実際に海外を訪れる交流に加え、オンラインによる交流もあわせて行っていくことにより、より多くの高校生が、現地に行かなくても交流に参加できるようになるなど、交流がより深みのあるものになっていくのではないでしょうか。
海外との交流により得たかけがえのない経験は、必ずや本県の若者たちの成長の糧となり、将来の山梨のために活躍してくれることでしょう。
そこで、県では、今後の高校生の交流について、どのように進めていくのか御所見を伺います。
次に、包括的な福祉支援について伺います。
これまで、我が国の福祉制度や施策は、高齢者や障害者、子供といった対象者の属性や介護や虐待、生活困窮といったリスクに応じた制度を設け、現金給付や専門的な支援体制を構築するなどして、質・量ともに充実が図られてまいりました。
しかしながら、人口減少など社会構造の変化に加え、個人の価値観の変化、血縁や地縁の希薄化などにより、いわゆる八〇五〇問題や社会的孤立、介護と育児を同時に担うダブルケア、ひきこもりなど、制度や分野を超えて複合的な課題が顕在化してきています。こうした課題を解決するため、個別の支援体制が相互に連携し、一体となって対応することが重要と考えます。
国においては、令和二年度に社会福祉法を改正し、既存の相談支援などの枠組みを生かしつつ、介護や障害、子育てや生活困窮といった、属性や世代を問わない相談支援や地域住民の交流の場の確保など、市町村の包括的な取り組みを支援する重層的支援体制整備事業を創設し、地域共生社会に向けた体制を整備したところであります。
本県では、私の地元甲州市において、県内市町村に先駆け、令和四年度からこの事業に着手しており、各制度における既存の相談窓口が連携し、いずれの窓口であっても、相談者の属性や世代、相談内容にかかわらず受けとめる体制の構築や、複合的な課題を抱えている方に対し、関係機関が協働で支援プランを作成するほか、属性や世代を超えた地域住民の交流機会の創出などに取り組んでおります。
こうした包括的な支援について、住民の複雑化・複合化する支援ニーズに対応する上で非常に効果的であると考えております。この取り組みを県内全域に広げるため、県として今後どのように取り組むのか、御所見を伺います。
次に、在宅医療の推進について伺います。
我が国の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、間近に迫った二〇二五年には、団塊の世代が七十五歳以上になり、その後、団塊ジュニアが六十五歳以上になる二〇四〇年には、高齢者の人口はピークを迎えます。
高齢者がふえ、誰もが何らかの病気を抱えながら生活するようになる中、在宅医療のニーズは、ますます増大していくことが見込まれます。
一方で、本県の在宅医療の体制を見ますと、在宅医療の提供の中心となる在宅療養支援診療所数は、人口十万人当たりで、本県は六・四カ所であり、全国平均の九・〇カ所を大きく下回っております。
また、この数年間を見ますと、
新型コロナウイルス感染症の影響により在宅医療の提供を休止する医療機関が相次ぎ、在宅医療の対応する医療機関は、コロナ禍前に比べて約一四%減少したとの報道もなされております。
さらに、在宅で療養する患者さんは、いつ何どき容体が急変するとも限りませんが、実際に訪問診療を行っている医師からは、医師一人だけでは緊急時の対応が難しいとの声も聞いており、十分な体制がとられているとは言えません。
私は、こうした状況を見るにつけ、このままでは県民が安心して在宅での療養生活を送ることができなくなるのではないかと危惧をしているところであり、医療機関の参入を今まで以上に進めるとともに、医療機関がお互いをフォローできるような体制を整備していくことが必要と考えております。
また、在宅医療の提供に当たっては、医師のみならず、患者さんの自宅に頻繁に訪問して、医療や介護のさまざまなサービスとの連携を図るなど、幅広く患者や家族をサポートする訪問看護の役割が非常に重要であります。
しかしながら、訪問看護の活動拠点となる訪問看護ステーションの数は、人口十万人当たり、全国平均の十二・六一カ所に対し、本県では九・六七カ所にとどまっております。訪問看護は、単に看護サービスを提供するだけではなく、患者や家族の精神的な支えとなるものであり、在宅医療の推進には、訪問看護の充実を進めていくことも重要であると考えます。
そこで県では、今後、在宅医療の推進にどのように取り組んでいるのか、御所見を伺います。
次に、山梨の夏服の普及に向けた取り組みについて伺います。
報道によると、七月の世界の平均気温は観測史上最高になる見通しとのことで、国連の事務総長は、「地球沸騰化の時代が到来した」と表現しました。
日本国内も、この夏の全国の平均気温が統計開始以来最高となり、私自身も地元の勝沼が全国一の暑さを記録した日もあり、連日の猛暑を身をもって体感したところです。
厳しい暑さへの対処には冷房の適切な使用が不可欠ですが、一方で電力需給の逼迫につながるおそれもあるため、SDGsの観点から、環境との調和を図りつつ、職場や家庭で快適に過ごせる生活スタイルが求められています。
近年では、クールビズやカジュアルクールビズの浸透に加え、コロナ禍を経たテレワークの普及によりネクタイやスーツを着用しないスタイルが広がりつつあります。
一方、本県の織物産業は、スーツの裏地やネクタイが主力であり、私は、今後持続的に産業が発展していくためには、こうした現状や社会的課題を踏まえた新たな製品開発が必要と考えています。
こうした中、昨年度、県は関係者とともに、郡内織物の高い技術を活用し製作した山梨の夏服の試作品を発表しました。さらに、本年七月には、本県で初めて開催された全国知事会議において、夏服が公式ウエアとして使用され、全国に発信されたところです。私も本議会の開会日に着用して実感しておりますが、各県の知事からも、その快適性や着やすさにおいて高い評価があったものと聞き及んでおり、全国的にも注目を集めたものと感じております。
山梨の夏服は、厳しい暑さの中、地球環境にも配慮しながら、夏を快適に過ごすためのすぐれたアイテムであり、まさに時宜にかなったものであります。
全国知事会議や県議会などのオフィシャルなシーンはもとより、オフィスや家庭を問わず生活スタイルに合わせて着用することのできる山梨の夏服は、郡内織物の新たな主力製品として、織物産業の可能性を広げるものと大いに期待をしています。
全国知事会議において、全国から注目された今こそ、山梨の夏服の普及を強力に推進していくべきと考えますが、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、県産農産物の輸出拡大について伺います。
本県は、富士山を初め数々の名峰に囲まれ、山々から生み出される清らかな水、豊かな日照時間と恵まれた自然環境にあります。こうした環境のもと、先人から引き継がれた高度な生産技術により、果樹王国やまなしが築き上げられ、ブドウ、桃、スモモは日本一の生産量を誇っております。また、県産果実はやまなしブランドとして、国内はもとより海外でも広く認知され、その品質も高く評価されています。
知事は就任以来、生産者の所得向上に向けてブランド価値の向上に尽力されるとともに、アジア諸国を中心に、積極的に県産果実の輸出に取り組まれてきました。こうした中、先般公表された令和四年の本県の果樹輸出額は、二十億七千万円余と二十億の大台を突破し、過去最高を更新しました。
しかしながら、近年、海外市場において、国内外の他産地との競争が激しくなっていると聞いております。特にシャインマスカットは、韓国産や中国産が、品質は劣るものの安価であることから、競合産地として看過できない存在となりつつあります。
人口減少などにより、国内市場の縮小が見込まれる中、本県農業を維持・発展させていくためには、引き続き、輸出の拡大に取り組んでいくことが必要不可欠であります。
私の地元である甲州市においても、本年六月、輸出に向けた選果レーンを配置した共選所を新たに整備し、さらなる輸出拡大に向けて積極的に取り組んでいるところであります。また、本県には、果樹以外にも多くのすぐれた農産物があることから、これらについても海外販路を開拓していくことが必要であると考えます。
そこで、県産農産物の輸出拡大に向けて、今後、県はどのように取り組んでいくのかお伺いします。
次に、森林環境譲与税を活用した森林の整備・保全について伺います。
森林は、木材生産のほか県土保全、水源涵養、二酸化炭素吸収による地球温暖化の防止など多様な公益的機能を有し、県民の暮らしを支える貴重な資源であります。
この公益的機能の維持・増進に向けた取り組みを加速させるために、国において森林環境譲与税が導入されましたが、その九割が配分される市町村において多くが基金に積み立てられ、活用が進んでいないことが大きな問題とされています。
森林環境譲与税は、所有者がみずから管理できない森林の経営管理に市町村が関与していく森林経営管理制度の導入にあわせて、令和元年度から交付が開始されたものであります。そのため、これまでは主に、森林所有者の意向調査や間伐の実施などを中心に活用されていると聞いております。
しかし、本来、譲与税は、森林整備の促進に関する取り組み全般に活用できるとされており、路網整備や木材の利用拡大など、地域の実情に応じた幅広い取り組みに充てるべきであるものと考えます。
昨年度には、国からも譲与税の多様な活用例のリストが示され、全国市区町村における令和四年度の執行率は七八%と、令和三年度の六四%から向上しています。本県においても、市町村への指導・相談体制を強化するとともに、昨年度は国の活用例を示しながら市町村に働きかけを行ったと承知をしております。
そこで、県内市町村における昨年度の森林環境譲与税の執行状況について伺います。
現在の森林環境譲与税の譲与基準は、結果的に人口の多い都市部に多く配分される仕組みになっておりますが、公益的機能を十分に発揮できる健全な森林を維持していくためには、森林面積が多い市町村の取り組みをより一層推進する必要があります。
このため、森林面積の多い山間部の市町村により厚く配分すべきとの意見が、我が山梨県議会を初め多くの自治体から国に届けられており、現在、国では譲与基準の見直しに向けた検討が進められております。
このような中、県土面積の八割を森林が占める本県においても、県と市町村が連携した取り組みの加速化が求められています。そこで、森林の整備・保全に向けた取り組みについて伺います。
次に、自転車活用推進計画について伺います。
山梨県は首都圏からのアクセスに恵まれ、富士山や富士五湖を初めとした世界に誇る美しい自然や景観、世界農業遺産にも認定された峡東地域に広がる果樹園や甲斐国分寺跡などの国指定史跡やワイナリーなど、多様で特色ある観光資源を幾つも有しております。本県の雄大な自然を感じながら観光地をめぐるサイクルツーリズムが注目を集めており、一昨年の東京オリンピック自転車ロードレースの開催や近年の健康志向の高まりから、スポーツや観光目的など多様なシーンで自転車の利用がふえております。
本年五月に新型コロナ感染症が五類に移行されてからは、全四十七都道府県から約八千人が出場したマウント富士ヒルクライムを初めとした自転車の大会やイベントが開催され、多くのサイクリストが本県を訪れていることを実感しております。
自転車は環境に優しく、子供から大人まで幅広い年代層がさまざまな場面で気軽に楽しめる乗り物であるとともに、まちづくりや交通混雑の緩和などにもつながることから、近年関心が高まっております。
そのような中、県内においてもレンタサイクルや乗りたいときに借りて、行きたい場所で返すことのできるシェアサイクルなど、身近に自転車を利用できる環境が整いつつあり、観光地を中心に、自転車に乗った旅行客を数多く見かけるようになりました。
さらには、南アルプス市や富士吉田市内においては、マウンテンバイクの裾野を広げることを目的とした専用コースが整備されるなど、自転車を活用したさまざまな地域活性化を図る取り組みも行われております。
県では、令和元年に策定した山梨県自転車活用推進計画を本年四月に改定したとのことであり、これまで道の駅を初めとした拠点施設でのサイクルスタンドの設置や工具などの貸し出しを初めとした自転車環境の整備や、地域の強みや特色を生かした魅力的かつ先進的な自転車のモデルルートの設定など、多くの来訪者を迎え入れるためのさまざまな施策を実施していると承知をしております。
そこで、これまでの取り組みを踏まえ、さらに推進させていくことが必要であると考えますが、県の御所見を伺います。
次に、県立美術館における信頼性の高い収蔵品の管理方法の確立について伺います。
県立美術館において、昨年八月に収蔵する美術品一点が窃取されたことを受け、全ての美術館収蔵品を確認したところ、新たに二点の美術品の所在が不明となっていることが判明し、本年三月に公表されました。
本事案が発生した要因として、収蔵品の台帳管理に不備があったこと、長年にわたり収蔵品の全数調査を行っていなかったことなど、ずさんな管理の実態が明らかとなりました。盗難被害に遭うばかりでなく、収蔵品の管理が不適切であったことは、県民の信頼を大きく損なうものであり、まことに遺憾であります。
ミレー作品に代表される県立美術館の収蔵品は、県民の財産であり、県土の宝でもあることから、万全の管理体制が求められることは言うまでもありません。
今回の事案を真摯に反省するとともに、何が課題であったのかを分析の上、セキュリティーレベルを高め、収蔵品の管理体制を抜本的に見直し、県民の信頼を回復することが急務と考えます。
再発防止に向け、知事は、三月九日の臨時記者会見において、最新のテクノロジーや知見を活用し、膨大な数に及ぶ収蔵品をしっかり管理できる体制を一日も早く構築するとの決意を述べられました。
また県では、収蔵品管理に知見のある有識者や実務者から助言を得るため、山梨県立美術館収蔵品管理の効率化検討会議を設置し、無線通信を介して個体を自動で認識できる仕組みであるICタグを活用した新たな管理方法を検討していると承知をしています。
小売業や物流業では、これまで人手や時間を要していた棚卸しや在庫管理にICタグを採用し、一連の作業を迅速に完了させる人手不足のソリューションとしており、ICタグは、先進的かつ効率的な収蔵品管理の仕組みを構築する上で有用な技術と考えます。
そこで県では、県立美術館における信頼性の高い収蔵品の管理方法の確立に向けて、どのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
次に、消費者保護対策について伺います。
私は、令和二年十一月議会において、消費者保護の推進について質問したところ、県からは、市町村や消費者団体と連携しながら、消費者施策を総合的、計画的に推進していくとの答弁がありました。あれから三年近く経過する中で、消費者を取り巻く環境はさらに大きく変化しました。私たちの生活スタイルや消費行動に最も大きな影響を与えたのは、言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大であります。外出自粛などによる巣ごもり消費の活発化やソーシャルディスタンスの確保による非接触志向の高まりは、デジタル化の急速な進展とともにネットショッピングやキャッシュレス決済の普及を加速させました。
その結果、消費生活における利便性が大きく向上した一方で、ネット購入を介したさまざまなトラブルが増加しており、例えばインターネット上の広告から試しに一回購入したつもりの商品が、実は定期購入だったなどの事例も報道などで目にするようになりました。
特に、高齢者については、スマートフォンを利用する方々がふえている中で、機器の操作に不なれなことからトラブルに巻き込まれるケースも多いのではないかと考えます。
消費者白書によると、二〇二二年における高齢者のインターネット通販による消費生活相談は、コロナ禍前の二〇一九年よりも約一万五千件多い、近年では最多の約五万件となっています。そもそも、孤独・孤立、判断の低下といった高齢者の弱みにつけ込む訪問販売などの悪質商法も後を絶たない中、こうした新たなネット購入のトラブルなどの課題も加わっており、高齢者を守るための未然防止策の強化はますます重要となってきています。
また、消費生活にかかわる大きな変化として、もう一つ上げられるのは、昨年四月の成年年齢の引き下げであります。これにより親の同意を得ない契約を取り消すことができる権利、いわゆる未成年者取消権の対象から十八歳、十九歳の若者が外れることになり、消費者トラブルに巻き込まれるリスクが増加したと考えられます。
国民生活センターの発表では、成年になったばかりの十八歳、十九歳からの美容商品などのトラブルに関する相談が急増しているとのことであり、インターネットを使いなれている若者であるがゆえ、手軽に契約、購入してしまうなどの危険性について注意喚起を行っていかなければなりません。
私は、こうした社会情勢の急激な変化に対応した対策を講じ、特に被害者となりやすい高齢者や若者などを消費者トラブルから守ることが喫緊の課題であると考えています。
そこで県では、消費者保護対策に今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
最後に、防犯カメラの設置促進について伺います。
県警察では、県民が安全で安心して暮らせる社会づくりを推進するため、令和四年度に引き続き、本年も防犯カメラの設置促進事業を行っていると承知をしております。
この事業は、市町村が設置する防犯カメラの初期費用を補助するもので、私は昨年度から本事業を高く評価し、防犯カメラのさらなる設置促進が必要であると考えています。
私は、これまで地域の安全・安心の一翼を担ってきた人の目、言いかえると、地域の目には限界があると受けとめており、それらに伴う地域の防犯力の低下を懸念しています。以前から私は、防犯力を強化する対策の一つとして、人の目を補完する防犯カメラを真に必要な場所に設置し、県民の安全・安心の確保に努める必要があると考えていたところ、まさに本事業がそれを後押しするものとなっています。
そのため、私は、本事業はまだまだ継続すべきであると考えており、あわせて、市町村において防犯カメラの設置の取り組みに温度差があってはいけないと思っています。
今後、人々の活動が活発化することに伴って地域の目が行き届かなくなることも予想される中で、自転車盗難や車上狙いを初めとする街頭犯罪の増加、さらに、性犯罪の予兆とも言える子供や女性に対する声かけ事案などの増加も懸念されています。ぜひ山梨県民のため、また、山梨県を訪れる方々のためにも、県警察は各市町村などと一層の連携を図りながら、本事業の着実な推進に努めていただきたいと思います。
そこで、本事業の進捗状況とあわせて、本事業を積極的に活用してもらうために、どのように周知を図っていくのか伺います。
以上をもちまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
16 ◯議長(
水岸富美男君)桐原正仁君の質疑・質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
17 ◯知事(
長崎幸太郎君)桐原議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、自由民主党新緑の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。県民に選ばれた公職にある身として、躍動できる山梨の実現のため、私とともに全力を尽くされるとの御決意を示されるとともに、私のリーダーシップに基づく施策の推進に御期待をいただきまして、身の引き締まる思いであります。
山梨の将来を担う子供たちが希望を持てる地とすることが、本県発展の土台になるという議員のお考えのとおり、子供が誰一人取り残されることのない社会に向けて邁進する覚悟であります。
私も桐原議員を初め自由民主党新緑の会の皆様とともに、希望の持てる将来の土台を築くべく、持てる力を尽くしてまいりますことをお誓いし、以下答弁に入ります。
初めに、人口減少対策についてです。
人口減少という危機を突破するためには、県民へ希望に満ちた選択肢を提示し、将来世代を含めた、
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしの実現に向け、取り組みを加速させなければなりません。それには、子供を産み育てるための生活基盤を強く安心できるものとする
ふるさと強靱化、また、若者や子供たちの可能性を広げる開の国づくりを目指す施策の充実・強化が不可欠であります。このため、あらゆる施策を総動員し、それぞれのライフステージにおいて、切れ目のない支援を実現する必要があります。
このような観点から、本県における対策の核となる政策パッケージの暫定プランを取りまとめたところです。この暫定プランに基づきまして、人口減少危機対策の取り組みを行う市町村への支援、労働環境改善に向けた関係者との協議などの取り組みを強力に進めてまいります。
さらに、国家的課題である人口減少対策は、国との連携が不可欠です。今般、山崎史郎内閣官房参与ら専門家グループとともに、各種少子化対策が出生率向上に与える影響を検証していく方針で一致いたしました。これまでの施策の効果検証も踏まえ、本県が全国に先駆けて、さまざまな施策を実行し、結果を全国に還元していくなど、国の政策動向と一体となり取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、人口減少危機対策は、長期的に困難かつ複雑な社会的課題に取り組むためのものであります。このため、効果的な施策の立案には、まずは出生率上昇の阻害要因などを十分に調査研究することが重要です。
九月補正予算におきましては、本県の人口減少危機対策を本格的に確立し、実行していくための初めの一歩として、人口減少危機対策基礎調査に要する経費を計上いたしました。一方、すぐに始められる取り組みにつきましては、調査結果を待たずに、積極的に取り組むこととしております。
今般提出した事業につきましては、市町村や民間と連携したモデルケースを創出するものであり、今後、効率的に県内全域へ波及させてまいります。
さらに、知事直轄の組織として、新たに人口減少危機対策本部事務局を設置いたします。ここを核として、人口減少危機対策を全庁部局横断的に有機的連携を強力に確保しながら取り組みを継続的に推進してまいります。
次に、国民スポーツ大会並びに全国障害者スポーツ大会の開催に向けた取り組みについてです。
まず、準備委員会の組織・運営についてです。
両大会は、県民の健康増進や地方スポーツの振興などに大きく寄与するものであります。他方で、巨額の経費負担が全国共通の大きな課題となっております。このままでは三巡目の大会開催は困難との声も耳にするところです。
このような状況に一石を投じ、人口や財政規模を問わず開催をすることが可能な持続可能な新たな大会モデルを確立すべく、積極果敢に挑戦していく所存です。
この挑戦に市町村、競技団体のみならず、経済界や教育機関、福祉団体や医療団体など幅広い分野の方々に準備委員会に御参画をいただき、オール山梨で集合知を発揮してまいります。山梨から大会のスタイルが大きく変わった、あるいは、後世に残る斬新な大会になったと言われるような将来のモデルとなる大会を目指し、準備を進めてまいります。
次に、競技力向上の取り組みについてです。
全国大会や国際大会における本県選手の活躍は、県民に感動や勇気を与え、県民みずからの挑戦意欲の後押しになることも期待されます。そのため競技力の向上は不可欠であると考えております。
この競技力の向上には、筋力、瞬発力、敏捷性など、すぐれた基礎体力を持つ子供たちを対象に、早期に競技への適性を見きわめることが重要です。甲斐人の一撃事業では、一定の基礎体力を有する小学校五年生、六年生の児童を対象に、二年間で十種目の競技を体験し適性を判断することとしております。現在、そのうち四種目の実技体験が終了したところであります。
今後は、競技団体と連携した選手の強化策につなげ、競技力を実践的に伸ばした子供たちが成人となる九年後の大会におきまして、本県を担う中心選手として活躍できるよう努めてまいります。
次に、富士山火山防災対策についてです。
まず、活火山法の改正を受けた県の対応についてです。
法改正の実現は、火山防災強化推進都道県連盟を立ち上げた大きな目的であり、火山防災対策に関する国の本格的なコミットメントを獲得できたことにより、大きな一歩を踏み出したものと考えております。
また、大規模噴火時の県境を越える広域避難につきましても、国の関与を求めてまいりました。この点につきましても、法改正の議論の中でしっかりと整理をいただいたことから、国とともに図上訓練などを通じた課題の抽出について協議を進めております。
法改正を受け、県では、改正後の推進体制を速やかに整備すべく、七月に都道県連盟の総会を開催しました。この総会では、火山の専門的人材は、住民の命と暮らしを守るために欠かせない公共財であるとの認識のもと、地方としても主体的に継続的な人材確保に連携して取り組んでいくことなどを確認したところです。
その中で、本県が全国に先駆けて採用している火山防災職を他の都道府県知事に紹介をし、その必要性を理解していただきました。その上で八月には、新たに設置される火山調査研究推進本部において、必要かつ十分な人員や予算を確保することなどにつきまして、国に要望してきたところであります。
今後も、国や国会議員の議員連盟、都道県連盟などと連携をしながら、住民や登山者などの安全確保を目的とした法改正の趣旨に基づき、その実現に向けしっかりと取り組んでまいります。
次に、今後の火山防災対策の強化についてです。
昨年三月に策定されました富士山火山避難基本計画に基づく避難体制を一刻も早く構築する必要があります。このため、各市町村が抱える火山防災対策上の課題を抽出し、訓練を通じて解決することで、PDCAサイクルが確立した避難体制の構築を支援してまいります。
さらに、地域住民への徒歩避難の浸透を図るため、動画やリーフレットを活用した広報を行うほか、火山灰の上を歩行する体験事業を開催してまいります。加えて、地域住民や観光客が円滑かつ確実に避難できるよう、AIやアプリを活用した情報発信の手法や通信体制の整備を検討してまいります。
こうした取り組みを通じまして、火山防災の基礎となる富士山を正しく知り、正しく備えることの定着を図り、逃げおくれゼロの実現を目指してまいります。
次に、高校生の国際交流についてです。
グローバルな時代を生きていく本県の高校生が、世界の扉を開き、多様な背景を持つ人々と交流をし、チャレンジをしていくことは、誰にでも開かれた開の国づくりを進めるに当たり非常に重要であります。このため県では、海外での活躍に意欲ある若い世代を後押しし、本県の高校生に国際交流や国内留学の機会を積極的に提供してまいります。
本年十一月には、韓国・忠清北道の高校生訪問団を本県にお招きをし、県内の高校生と三日間寝食をともにしながら体験活動やディスカッションなどを重ねる実のある交流を行うこととしております。
さらに、来年一月下旬には、本県の高校生がベトナム、クアンビン省を訪問し、現地高校生とお互いの国の文化や自然などについて語り合うなど、密度の濃い交流を行う予定です。
また昨年、包括連携協定を締結したテンプル大学ジャパンキャンパスにおきまして、本県の高校生を対象とした二泊三日の国内留学プログラムを開講することといたしました。
加えて、県立高校がコロナ禍で続けてきた各国とのオンライン交流は、その交流が容易であるだけではなく、訪問前から関係の構築が可能となることから、今後も有効な交流手段として実施してまいります。
こうした取り組みを通して、本県の高校生が国際的な理解を深めて国際感覚を涵養し、将来グローバルな視野で世界を意識して活躍できる人材となるよう、その育成を図ってまいります。
次に、在宅医療の推進についてです。
高齢化のさらなる進展に伴い、慢性期の医療ニーズの高まりが想定される中、受け皿となる在宅医療の充実を図ることは喫緊の課題となっております。
まず、在宅医療への参入促進につきましては、医療機関から参入の手続や収支見通しなど経営面での助言を求める声が多く寄せられています。
このため、昨年度から意欲の高い医療機関を対象に専門のアドバイザーを派遣し、医療機関ごとの課題を踏まえた伴走型の支援を行っております。これまでに十五の医療機関にアドバイザーを派遣していますが、本年度は想定を上回る派遣希望をいただいております。このため、今回の補正予算において予算額を増額することとしたところであります。
また、議員御指摘のとおり、在宅患者が安心して療養するためには、夜間や容体急変時の体制を確保することが重要です。このため、本年度策定する地域保健医療計画におきまして、地域ごとに二十四時間対応やクリニックの支援などを行う中核的な医療機関を位置づけることとし、現在、関係者と協議を行っております。
さらに、医療ニーズの高い在宅患者の増加に対応するには、地域における訪問看護の充実を図る必要があります。このため、訪問看護ステーションの新規開設を支援する予算を増額し、設置を強力に推進してまいります。
加えて、特定行為研修を修了した看護師など、在宅医療を担う人材の確保・育成を進めることにより、在宅医療提供体制の充実・強化を図ってまいります。
次に、山梨の夏服の普及に向けた取り組みについてです。
山梨の夏服は、郡内織物の技術による清涼感あふれるウエアであり、県民に親しまれ、またオフィシャルでも着用できるプロダクトに仕上げてまいりたいと考えております。七月の全国知事会議におきましては、公式ウエアとしてお披露目したところ、各知事の皆様からは、涼しくて非常に快適と大好評でありました。
議員御指摘のとおり、知事会議での好評価を追い風に、織物産業の新たな主力商品として、県内外で広く愛用いただけるよう強力に取り組んでまいります。
まずは、地元関係者や市町村に加え、国中のアパレル関係者や経済団体にも御参画いただく中で、オール山梨の推進協議会を速やかに立ち上げます。この協議会を核としまして、デザインの磨き上げや生地の機能性向上、さらには、量産化や低価格化の実現に向けた商品開発を進めてまいります。並行しまして、親しみのある愛称やロゴの選定、フジテキスタイルウイークなどイベントと連携したプロモーションにより県内外への普及を加速します。
こうした取り組みをオール山梨で進めることにより、山梨の夏服の普及を強力に促進してまいります。
次に、県産農産物の輸出拡大についてです。
議員御指摘のとおり、人口減少などにより国内市場の縮小が見込まれる中、本県農業の維持・発展のためには、輸出の拡大を図っていくことが重要です。このため県では、国内外の他産地との差別化と消費者への効果的な訴求に取り組んでまいります。
まず生産面では、高品質な果実の安定供給を図ってまいります。また、流通面では、品質を保持したまま海外の消費者へ届けられる流通の仕組みを構築し、さらなる差別化を図っていきます。さらに販売面におきましては、匠の技で生産した芸術品とも言われる県産果実の魅力と、それに見合う価格であることを消費者に訴求すべく、引き続き効果的なプロモーションを展開していきます。
さらに、輸出拡大のためには、新たな輸出国を開拓していくことも重要となります。このため、国に対しましては強力に要請を行うとともに、本年五月には私みずからベトナムを訪問してまいりました。その際、現地の最大手の高級果実専門店で本県のブドウの魅力をPRしてまいりました。これを受けまして、先月、その代表者がブドウの栽培状況の視察のため本県を訪れ、今後、解禁後の取引に向けて情報共有をしていくこととなりました。
加えて、果実以外の農産物につきましても、同様に海外への販路を広げていくことが大切であると考えています。本年度、米、牛肉、魚につきまして、アジア諸国などを中心に市場調査を行い、今後の輸出戦略を策定してまいります。
今後とも、県産農産物のブランド価値の向上を図るとともに、輸出国及び輸出品目の拡大に鋭意取り組み、さらなる輸出の拡大を図ってまいります。
次に、森林環境譲与税を活用した森林の整備・保全についてです。
森林環境譲与税は、市町村が森林整備に係る施策を主体的に行うために交付されております。しかしながら、専門職の不足など市町村の推進体制の構築は課題となっております。
このため県では、県森林協会の相談窓口に県職員を常駐させるなど、支援体制を強化しているところです。加えまして、昨年度は地域の実情に応じた多様な取り組みの実施に向け、市町村とともに必要な検討を進めてきたところであります。
その結果、林道の改修や公共建築物の木造化にも幅広く活用され、令和四年度の執行率は、全国平均を超える八二%となりました。
一方、県内には整備を要する森林が多く存在することから、市町村による対象森林の絞り込みや林道計画の策定がより効率的かつ簡易に進められる環境を整えていくことも大変重要と考えます。
そこで、県では現在、来年度の運用開始に向け、ICT技術を活用した森林クラウドシステムの構築を行っているところです。このシステムによりまして、市町村は画面上で森林管理の履歴や詳細な地形、所有者情報などを随時把握できるようになるため、森林整備に向けた準備作業の加速化が期待されます。
譲与税につきましては、来年度以降、配分額の増加が予定されており、引き続き市町村との連携を密にし、健全な森づくりをさらに進めてまいります。
最後に、自転車活用推進計画についてです。
県では、令和元年に山梨県自転車活用推進計画を策定し、誰もが安全で快適に自転車を活用できる環境の実現を目指して、自転車の走行環境の整備や地域活性化の取り組みを進めているところであります。
これまでに、サイクルツーリズムの推進を図るため、地域の特色を生かしたモデルルートを六つのエリアで設定したところです。本年度は、峡北地域など残る三エリアにつきまして設定を行うこととしております。
また、誰もが安全に通行できる空間を確保するため、矢羽根などの路面標示による環境整備や道路整備に際して路肩幅員を一メートル以上設けることとする本県独自のルールを定めました。
さらに、オリンピックコースやモデルルートの魅力発信や、ふだんは通れない林道を活用したサイクルイベントの開発などに取り組んでまいりました。また、周遊観光を促進するためのシェアサイクルの導入や周辺の観光資源を活用したツアーの開発・販売を行う拠点整備の応援も進めております。これに加えまして、eバイクやマウンテンバイクなど多様な自転車の利用ニーズに対応した情報発信やサイクルツーリズムをさらに促進するためのツアーガイドの養成などにも取り組んでいきます。
今後も自転車活用戦略会議を定期的に開催し、専門家の御意見を伺いながら施策のフォローアップを行い、誰もが自転車の楽しさや魅力を感じることができるサイクル王国やまなしの実現に努めてまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきまして、担当の部長等からお答え申し上げます。
18 ◯議長(
水岸富美男君)県民生活部長、
上野良人君。
(県民生活部長
上野良人君登壇)
19 ◯県民生活部長(
上野良人君)桐原議員の消費者保護対策についての御質問にお答えします。
議員御指摘のとおり、近年の急激な社会変容に伴い、消費形態も多様化し、偽サイトなど悪質商法の手口が複雑化・巧妙化していることから、消費者保護の重要性はますます高まっています。特に高齢者については、単身世帯の増加など消費者トラブルに遭う危険性が高まっています。地域全体で啓発や声かけを行い、未然防止・早期発見につなげる体制は、これまで以上に必要不可欠です。
このため、市町村と連携して取り組んできた、自治会、福祉関係者、民間事業者などの地域の多様な担い手による見守りネットワークの設置について、県内全域への拡充を迅速に図ってまいります。加えて、市町村職員や相談員を対象に研修会を実施し、身近な相談体制の充実強化も図ってまいります。
次に、若者については、起こり得る消費者トラブルの未然防止とともに、自立した消費者となるための育成が重要です。このため、高校一・二年生に対するトラブルの実例を題材とした授業のほか、金融機関の方の講義も取り入れ、引き続き消費者教育に取り組んでまいります。
さらに、契約の重要性を理解し、消費者として正しい選択ができるよう、大学などにおいて消費者教育コーディネーターによる出前講座を実施するとともに、SNSによる注意喚起も積極的に行ってまいります。
あわせまして、国の消費生活相談のDX化に向けた検討状況を踏まえつつ、現状のメールによる相談体制の充実強化に加え、ウエブ相談などの導入についても検討を進め、必要な消費者保護対策を講じてまいります。
以上でございます。
20 ◯議長(
水岸富美男君)福祉保健部長、井上弘之君。
(福祉保健部長 井上弘之君登壇)
21
◯福祉保健部長(井上弘之君)桐原議員の包括的な福祉支援についての御質問にお答えします。
制度や分野を超えた重複する課題の解決には、既存の相談窓口が連携・協働し、相談や支援を効果的に行う体制を構築する必要があります。このため県では、地域福祉支援計画に基づき、高齢者や障害者、児童の福祉など重複する課題への支援体制を全ての市町村に確立することとしております。
これまで市町村担当者を対象とした研修会を開催し、他県における支援体制の構築に向けた具体的な取り組みを学ぶことで体制の整備を進めてまいりました。
一方で、支援の現場では、個人や世帯の課題を当事者が自覚しておらず、潜在化してしまうケースや、相談に応じたり支援を行う側の方が、課題の根本的な原因を把握しきれないケースなどがあり、課題を全体的に捉えてかかわることが一層求められております。
そこで、本年度は従来の取り組みに加え、専門家が市町村を個別に訪問し、実情を聞き取りながら、効果的な支援のあり方を助言する事業を創設したところであります。これまでに都留市、山梨市、甲斐市、中央市から、この事業を活用するとの申し出があり、重複する課題への支援体制が県内に広がりつつあります。
こうした取り組みにより全ての市町村に制度や分野を超えた支援体制を確立することで、誰一人取り残さない地域社会を実現してまいります。
以上でございます。
22 ◯議長(
水岸富美男君)観光文化・
スポーツ部長、落合直樹君。
(観光文化・
スポーツ部長 落合直樹君登壇)
23
◯観光文化・
スポーツ部長(落合直樹君)桐原議員の県立美術館における信頼性の高い収蔵品の管理方法の確立についての御質問にお答えいたします。
県立美術館で発生した収蔵品の盗難事案及び紛失事案につきまして、収蔵品の管理体制に不備がありましたことを深く反省し、再発防止に向け管理体制の抜本的な見直しを進めてきたところでございます。
事案の発覚を受け、速やかに危機管理の有識者や弁護士などをメンバーとする第三者委員会を立ち上げ、再発防止に向けた提言をいただきました。その提言を踏まえ、直ちに収蔵庫内作業の立ち会いや監視方法、収蔵庫の入室管理方法の改善など、盗難防止対策を講じたところでございます。
これらの盗難防止対策に加え、一万一千点を超える収蔵品の管理を効率的に行うことが大きな課題となっていたため、ICタグを活用した管理システムの導入について検討を進めてまいりました。収蔵品の管理にICタグを活用することにより、膨大な作業量を伴うことが障害となっていた全数点検を定期的に実施できるようになります。
有識者の助言を受け、システム運用に係る責任の所在や役割分担についても明確化を図り、効率的かつ確実な管理を実現できる見通しが立ったことから、所要の経費を九月補正予算に計上したところでございます。
ICT技術を活用した管理と人の手による管理をしっかり組み合わせることにより、県民の貴重な財産である収蔵品の管理に万全を期してまいります。
以上でございます。
24 ◯議長(
水岸富美男君)警察本部長、小柳津明君。
(警察本部長 小柳津 明君登壇)
25
◯警察本部長(小柳津 明君)桐原議員の防犯カメラの設置促進についての御質問にお答えいたします。
防犯カメラ設置促進事業につきましては、防犯カメラを設置して地域の防犯活動に取り組もうとする市町村や自治会等に対して、設置に係る初期費用の二分の一を補助するものであります。
事業を開始した令和四年度は、十四団体に対して合計四十二台、総額八百八十三万五千円の補助を行いました。本年度は、八月末現在、補助金交付申請書を受理したものは十八団体で、合計五十四台、総額八百八十万四千円であります。
本事業の周知方法ですが、本事業の概要、申請方法等について、昨年度から県警ホームページへの掲載、地域住民の集まりにおける警察官による防犯講話の中での説明等を行っております。また、各市町村に対して案内文を発出しているほか、市町村が発行する広報誌等にも掲載してもらっております。さらに本年度は、各市町村の教育委員会を通じて学校関係者への周知も図っております。
防犯カメラは、犯罪を行おうとする者に犯行を断念させるという犯罪抑止効果が期待できるとともに、事後の捜査活動にも活用することができます。このように未然防止と検挙の両面への効果から、引き続き防犯カメラの設置促進に努めてまいります。
以上でございます。
26 ◯議長(
水岸富美男君)当局の答弁が終わりました。
桐原正仁君に申し上げます。残り時間がありません。
これをもって桐原正仁君の代表質問を打ち切ります。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
来る十月二日、午後一時、会議を開き、代表質問及び一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時四十九分散会
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