富山市議会 2024-03-05
令和6年3月定例会 (第5日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 議事の経過
───◇ ◇ ◇───
開 議
午前10時 開議
◯ 議長(金厚 有豊君)
ただいまから、本日の会議を開きます。
議事日程は、お手元に配付のとおりであります。
───◇ ◇ ◇───
一般質問並びに議案第1号から議案第97号まで、
及び報告第1号から報告第9号まで(質疑)
2 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これより、日程第1 一般質問並びに議案第1号から議案第97号まで、及び報告第1号から報告第9号までを一括議題といたします。
これより、一般質問及び議案の質疑を行います。
順次発言を許します。
11番 久保 大憲君。
3 ◯ 11番(久保 大憲君)
令和6年3月定例会に当たり、自由民主党より一般質問いたします。
まず冒頭に、今年、元日に能登半島地震が起きました。被災された方には心からお見舞いを申し上げますとともに、元日から災害対応に尽力をされた富山市の職員の皆さんにも心から敬意を表したいと思います。
会派からは、元日から勤務に当たられた皆さんに何か手当ができないものかというふうに提案をさせていただいておりましたが、それが本定例会の中でも
1つ条例改正案、これは国の制度がそうなったという背景を受けてというふうに聞いておりますが、そういった方々に少しでも私たちの要望が届いたと思えばよかったことだなと思っております。
2014年の
地方公務員法改正において
人事評価制度が導入されました。
人事評価制度を導入した背景には、優秀な人材の確保と人事の公正性の確保により職員の士気の向上を図ることで組織全体の職務能率が向上し、住民福祉の増進に寄与することを期待するものです。
国は人事評価の結果に基づき、原則として5段階の区分で昇給を行い、勤勉手当についても標準の支給率を一律抑えた上で、成績区分、成績率に応じた勤勉手当を支給しております。具体的には、国家公務員の場合、基本的に1年で4号俸──これは地方公務員でいう給に当たるものなのですが──昇給しますが、上位5%は8号俸、上位20%までは6号俸昇給することになります。
平成26年8月15日付の
総務省自治行政局通知において、地方自治体も国の取組を参考に運用を図ることとしております。
事前の調査で、富山県でも人事評価により4号給よりも多く昇給できる制度となっており、工夫をしながら運用しているというふうに聞いております。
本市も能力評価及び業績評価に基づく人事管理をしていますが、残念ながら、昇給については従前どおり、勤務成績が著しく悪い場合を除き一律4号給昇給というふうになっております。能力が高い職員にとっては、高い目標を設定し、勤務に精励しても昇給に反映されないとなれば、無難な目標を設定し、余力を持って勤務するようになってしまい、組織としての職務能率が低下し、住民福祉の増進を阻害しかねません。
先日の代表質問の答弁では、20代、30代の職員が多数、自己都合により退職している実態が明らかになりました。優秀な人材が待遇に不満を持ち、能力を高く評価してくれる民間企業に転職している可能性もあるのではないかというふうに危惧をしているわけです。
さらに、具体的な事業名は申し上げませんが、予算審査のときにお花畑のような到底実現できそうもない目標を掲げておきながら目標達成のための努力を怠り、結果、目標を大きく下回っても原因を含めた検証がお
ざなりになっている事業が散見されます。事業の成果を業績評価として人事評価に反映し、昇給につながるということになれば、実現可能な目標を設定し、目標達成のために今よりも様々な取組が行われるようになるはずです。
社会全体が終身雇用、年功序列から能力主義へと変わり、若い世代の価値観も変わってきています。
人事評価制度の変更は当然新たな課題も生じるとは思いますが、国の取組を参考に人事評価の結果を給与に反映させる運用について検討する価値は十分にあると思いますが、当局の見解をお伺いします。
4 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
前田企画管理部長。
5
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
おはようございます。
自由民主党、久保議員の一般質問にお答えいたします。
最初に、国の取組を参考に、昇給について人事評価の結果を反映した運用を検討してはどうかとのお尋ねがありました。今ほど御質問の中で解説をいただいたのですが、改めて申し上げたいと思います。
本市は、平成26年5月の地方公務員法の改正を受け、能力評価と業績評価から成る
人事評価制度を平成28年10月から本格導入しております。富山市職員の初任給、昇格、昇給等に関する規則では、人事評価に基づく職員の勤務成績に応じて決定される昇給の区分として、勤務成績が極めて良好である職員は8号給以上、勤務成績が特に良好である職員は6号給、勤務成績が良好である職員は4号給、勤務成績がやや良好でない職員は2号給、勤務成績が良好でない職員はゼロ号級──つまり昇給しない──と国と同様の5つの区分を定めております。
ただし本市では、勤務成績が良好または良好を下回る職員については規則の規定どおり運用する一方、極めて良好または特に良好である職員については、規則の規定とは異なり、良好である職員と同じ4号給とする運用を行っているところであります。先ほど御紹介のあったとおりであります。
このことは、ともすれば、上司によって部下職員の評価にばらつきが生じるなどの課題があることを考慮し、本市において
人事評価制度が確立するまでの当分の間の措置として行っているものであります。
市としては、職員の士気の高揚を図るなどの観点から、人事評価の結果を給与面により適切に反映させることができるよう、引き続き国や他の自治体などの取組事例なども参考に、基礎自治体としての役割といいますか、そういった特性にも応じた、
人事評価制度の改善に向け調査・研究してまいりたいと考えております。
6 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
7 ◯ 11番(久保 大憲君)
おっしゃるとおり、私も様々な立場の職員の方とお話をして、やはり窓口業務が多い基礎自治体において極めて優秀というのは、例えば部門によって偏りが出るのではないかとか、そういったことになればある特定の部局に人事異動の要望が集中するのではないかと様々な課題もあるというふうに思っております。これは、私は今、提案はしましたが、拙速にするべきではなくて、今部長が答弁されたとおり、
人事評価制度というのは常に見直しながら、その時代に合った職員の士気を向上できるような仕組みであるべきだというふうに思いますので、また職員の声も聞きながら改善を図っていっていただければありがたいなというふうに思います。
続いて、市職員の
予備自衛官補試験の受験勧奨についてお伺いをします。
ふだんは社会人として企業などに勤務しながら、年間で定められた日数の訓練に参加し、有事においては招集され自衛官となり、国防や災害派遣などの任務に就く
予備自衛官等制度があります。自衛官未経験者が予備自衛官となるためには、まずは
予備自衛官補の採用試験に合格し、教育訓練を受け、予備自衛官として任用される必要があります。
予備自衛官などが受ける教育訓練は、公務員としての心構えや組織人としての
立ち居振る舞いなど、本市の職務を遂行する上でも有意義と私は考えています。
本市の職員の中から自発的に予備自衛官を目指す職員が増えることを期待するわけなのですが、市としてさらに背中を押す意味でも、予備自衛官や
予備自衛官補となった場合に人事評価で加点評価するなど、いろんな方法があると思うのですが、評価することで
予備自衛官補採用試験の受験勧奨を行ってはどうかというふうに思いますが、当局の見解をお伺いします。
8 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
9
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
人事評価は、職員の任用、給与、分限、その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び上げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価であり、公正に行われなければならないものと地方公務員法に定められています。
このため、例えば職員が予備自衛官、その他、消防団員や民生委員、人権擁護委員など、公益に資する職を兼ねていたとしても、そのことだけをもって職員の人事評価に何らかのインセンティブを与えることは法の趣旨に反するためできないことでありますが、職員が
予備自衛官等として受けた教育、訓練や活動などの経験を生かして職務上の能力を有効に発揮させ、目標以上に業績を上げることがあれば、結果として人事評価に反映されることもあり得るものと考えております。
10 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
11 ◯ 11番(久保 大憲君)
今おっしゃるように、予備自衛官以外にも様々な公益的な役職があると。例えば民生委員も成り手不足という中で、市職員の中から民生委員にもなっていただきたいなと思うところはあるわけです。
それぞれを直接反映するというのは法の趣旨等に照らし合わせて難しいというような御答弁でしたが、上司の方は、そういったふだんのフィールドワーク、予備自衛官として、もしくはそのほかでも公益的な活動に参加していることについてしっかりと目配りというか、評価をしていただければいいのではないかなというふうに思います。
一般公募で
予備自衛官補となった場合、3年間で計50日間の教育訓練を受ける必要があり、技能公募で採用となった場合は2年間で計10日間の教育訓練を受けることになります。
ほかの中核市では、予備自衛官などになる場合に
営利企業等従事制限の解除許可申請の提出を求め、教育訓練に参加する際に
職務専念義務の免除をしているところが一般的な対応のようです。
本市において予備自衛官などが教育訓練を受ける際の現行の対応についてお伺いします。
12 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
13
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
本市では、職員が予備自衛官などとしての訓練や出動のため勤務時間中に職務を離れる必要がある場合、消防団員や
鳥獣被害対策実施隊員などと同様に、
職務専念義務を免除する取扱いとしているところであります。
14 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
15 ◯ 11番(久保 大憲君)
予備自衛官になっても安心して訓練に臨むことができる体制があるというのは分かりました。
ここで、青森県野辺地町では、職員の職務に専念する義務の特例に関する規則、この規則の中に明文化しているのですね。予備自衛官の防衛訓練等の招集があった場合をこの
職務専念義務の免除の規則の中に明記しています。この文章に書いてあるかどうかというのは、ある意味、今の現行方法で問題ないのですが、文章で明記をするというのは1つ大きなメッセージにもなるというふうに思いますので、この明記についても今後検討いただければありがたいなというふうに思います。
次に、今ほどは自衛官未経験者である市職員が予備自衛官を目指し、
予備自衛官補の試験を受けるよう促す提案をしましたが、次は、退職自衛官の職員採用について質問をいたします。
退職自衛官などには、
自衛隊勤務経験者、
即応予備自衛官、予備自衛官、
予備自衛官補が含まれます。いずれも隊員になる際、宣誓に署名をし、服務の宣言を行います。宣誓内容は、「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」、こういったものであります。
このような宣誓を行い、苛酷な訓練や任務をこなしてきた退職自衛官が有する様々なノウハウや人間性は、本市が被災した場合だけでなく、本市の職員として通常業務を遂行する場合にも大変有益であるというふうに考えますが、当局は退職自衛官などの能力についてどのような見解をお持ちなのか答弁を求めます。
16 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
17
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
平成17年4月の市町村合併によって多様な地形と広大な市域を有する都市となった本市は、大規模災害などの危機事象に対応するため、合併後、
危機管理統括監──これは現在の
防災危機管理指導監でありますが──と統括監を補佐する副統括監の職を新たに設置するとともに、これらの職に退職警察官や退職自衛官といった外部人材を採用してきたところであります。
市では、この副統括監として、いずれも富山県出身で陸上自衛隊または航空自衛隊の幹部であった退職自衛官各1名を平成17年と平成26年にそれぞれ採用した実績があります。
また、これ以外にも、令和2年4月には近年増加する自然災害等への迅速な対応のため、
航空自衛隊小松基地に所属し、気象予報、解析業務などに従事していた気象予報士の資格を持つ退職自衛官1名を
一般任期付職員として採用したほか、昨年5月にも
地域防災マネージャーの資格を有する
陸上自衛隊出身の退職自衛官1名を地域防災担当の管理職員として同じく
一般任期付職員で採用しており、現在も
防災危機管理部で自衛官として培った能力や知識、経験などを生かして本市の
危機管理対応能力の向上に尽力されております。
こうした本市での退職自衛官の存在は、危機管理対応の面で有益なだけでなく、例えば仕事に取り組む姿勢や態度、上司への報告、連絡、相談の仕方など、様々な場面で本市職員の模範となるものであり、市政運営において大変よい影響や効果をもたらしているものと考えます。
18 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
19 ◯ 11番(久保 大憲君)
高く高くその能力を評価していただいて、また、必要なところで雇用も図っていただいているということでよかったなと思うわけです。
次に、自衛隊は精強さを保つため、若年定年制という制度と任期制という制度、この2つの制度を採用しています。若年定年制では50歳代で退職となり、任期制の場合は20代から30代半ばに任期満了で退職をする、こういった制度になります。
高校を卒業した18歳の若者が、例えば
任期制自衛官となった場合、苛酷な訓練や任務に当たり、20代で任期満了により退職するというケースがあるわけです。そういった方々が自衛官としての経験を生かし、消防吏員、消防局の職員になりたいといって目指すケースが少なくないわけです。
それを受けて、令和3年に防衛省と総務省消防庁との間で人材の確保及び活用に係る防衛省及び消防庁の相互連携に関する申合せを行い、これに基づき、陸上自衛隊において
消防吏員採用試験の受験を希望する
任期制自衛官で職務に精励していると認められる者へ
自衛隊新卒認証証明書を交付し、受験した
任期制自衛官が勤勉であることをPRする取組を行っています。
消防局として、
職員採用試験で証明書が提出された場合、どのような取扱いを行うのか答弁を求めます。
20 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
21 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
議員お尋ねの防衛省と消防庁の申合せにつきましては、今ほど議員からも御説明がございましたが、令和3年12月に両省庁の人材確保及び活用に資する取組について相互の連携を強化することを目的として取り交わされたものでございまして、この申合せの中で、今ほど御紹介いただきましたが、防衛省が消防職員を志願する
退職予定任期制自衛官に対しまして、その任期を終了予定である事実等を証明する資料を交付するというふうにされております。
本市の消防職員の採用試験につきましては、第1次試験として体力試験や教養試験等の競争試験を行い、第2次試験として面接試験による競争試験及び身体検査を行っているところでございます。
消防局では、これまで採用試験受験時にこの証明書が提出されたことはございませんが、提出された場合の取扱いの一例として申し上げますと、受験者本人の消防への適性を総合的に判断する際に、公安職に従事していたことや災害対応のスキルを身につけていると見込まれることから、その判断の一要素になる場合もあると考えております。
22 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
23 ◯ 11番(久保 大憲君)
職員採用試験というのは、公平性が当然必要な中で、様々な角度からその人となり、それ以外にも点数評価みたいなものをされていくのだろうと思います。
そういった中で、今の御答弁を私なりに解釈すれば、そのまま言われたとおりなのですけれども、一定程度の評価をきちんとしていますよということだろうというふうに思います。ぜひ、うちの消防局の職員を目指して多くの退職自衛官が採用試験を受けにきてくれることを私は心から願っておりますし、そういった優秀な人材がこれからも富山市の消防を支えていっていただければ大変ありがたいなというふうに期待をしているわけです。
自衛隊が優秀な人材を安定的に確保していくために、自衛官の再就職先の確保に国はかなり力を入れて取り組んでいます。国は、地方公共団体に、退職自衛官が再就職することは自衛隊と
地方公共団体の連携強化が促進され、地域の防災基盤の強化にもつながるとの考えの下、
地方公共団体の防災関係部門における退職自衛官の活用を積極的に支援してきており、毎年、防衛大臣から市長宛てに
若年定年退職自衛官の防災部門での活用について依頼文書が発出されています。
退職自衛官などは、自衛官として被災地で活動してきた経験に加え、
人的ネットワークを生かした自衛隊などとの調整もできるという能力を有しています。本市が被災した場合には、中心となって災害対応に当たり、多くの市民の生命や財産を守り、国内で激甚災害が発生した場合には、
応急対策職員派遣制度で本市を代表して派遣することで被災地での活躍も期待できるわけです。
実際、令和6年能登半島地震において氷見市に派遣された福島県、岡山県からの派遣職員の中に自衛隊出身者がおり、連携などがスムーズに行われたというお話も伺いました。
以上のことから、退職自衛官を本市の職員としても積極的に採用すべきではないかなというふうに考えます。
特に本市では、先ほども言いましたが、20代、30代で自己都合退職する職員も多く、同年代の
任期制自衛官の採用は本市の職員年齢構成を適正に保つ上でも、これは有意義なのではないかなと思います。
ただ、
職員採用試験でお待ちしておりますと言っても、ただ待っているだけでは本市の採用試験を受験していただけないのではないかと。
そこで、
職員採用試験において退職自衛官などの経歴をその他の能力の実証として評価することや、
職員採用試験ではなく選考、この方法で採用を実施してはいかがでしょうか。当局の見解をお伺いします。
24 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
25
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
地方公務員法第15条では、職員の任用──任用というのは採用ということも含めての話ですが──は受験成績、人事評価、その他の能力の実証に基づいて行わなければならないとされており、また、同じく地方公務員法第17条の2第2項では「人事委員会を置かない
地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験又は選考によるものとする」と規定されております。
これを受け本市は、富山市職員の任用に関する規則において、選考、すなわち競争試験以外の能力の実証に基づく試験により採用を行うことができる場合として、医師や獣医師、薬剤師などの採用困難な職のほか、特殊な専門的知識または技術を必要とする職などを規定しております。
このことから、これまで本市では、防災危機管理副統括監や専ら防災業務に従事する任期付の職に専門的知見を有する退職自衛官を選考により採用してきたところであります。
今後とも、人事行政の最も重要な事柄の1つである職員の採用については、法にのっとり、公平・公正かつ厳正に対応してまいりたいと考えております。
26 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
27 ◯ 11番(久保 大憲君)
私も、自衛官の方とお話をするときに、横のつながり、縦のつながり、退職した後も大変深いつながりを持っておられる方たちがいらっしゃって、例えば富山市が、市長のトップセールスでぜひ受けに来てください、私たちは自衛官をどこよりも高く評価していますよと、ぜひ我が市の職員にチャレンジしてほしい、また、一緒に働きたいと、こういった強いメッセージを出していただければ、きっと自衛官の中でもまた優秀な方が富山市を受験しようではないか、富山市に移り住もうではないかと思っていただけるのではないかなというふうに思います。
できれば最後に、時間があれば、市長にそういった思いも含めて少しお言葉をいただければというふうに思います。
次の質問に移ります。
次は、退職自衛官などの市内企業の就職についてお伺いをします。
自民党富山県連青年局では、毎年、建設業や農業など、様々な業界団体の青年部組織と意見交換会を行っています。意見交換会では、必ずと言っていいほど人材不足について意見が出されます。人口減少に加え、少子・超高齢化に直面している本市の中では少ない人材を取り合うのにはやはり限界があって、市外から人を呼び込むということも必要なのだろうというふうに思います。
退職自衛官は、2023年度では、20歳代から30歳代半ばで任期満了する
任期制自衛官は約3,000人、50歳代で定年となる若年定年制自衛官が4,000人と、合計7,000人もの優秀な人材が退職を迎えるわけです。今後も毎年同程度の退職者が再就職を探して退職されるということになるわけです。
コロナ禍や物価高騰など、厳しい経営環境で疲弊した民間企業において、様々な資格やノウハウを持ち、即戦力となる退職自衛官は本当に喉から手が出るほど欲しい人材であるということになります。
自衛隊地方協力本部や自衛隊援護協会との連携を強化し、例えば国の任期制隊員の再就職に向けた合同説明会に本市の魅力や移住を促すようなブースを出展したり、市内で退職自衛官などを対象とした合同企業説明会を実施したり、市内の企業が県外の合同説明会に参加できるような支援など、一人でも多くの退職自衛官を獲得できるよう市としても思い切った投資をしてもいいのではないかなというふうに思います。
また、毎年、退職を控えた自衛官に対して市内で勤務している先輩退職自衛官の活躍状況や移住先として選んでもらえるように市の魅力をまとめた冊子を配布することも私は効果的ではないかなと。実はこういった取組はほかの自治体ではやっていないというふうに聞いています。まさに今、トップランナーとしてここに先に目をつけて、多くの自衛官に富山市のよさ、富山市こそ移住先にふさわしいというイメージをつくっていく上ではいいことではないかなと思います。
これはターゲットが明確な分、ニーズの把握もしやすいですし、戦略も練りやすいと。多くの市民、企業とスクラムを組み、一人でも多くの退職自衛官の皆さんに本市や本市の企業を選んでもらえるよう市として取り組むべきと考えますが、当局の見解をお伺いします。
28 ◯ 議長(金厚 有豊君)
山本商工労働部長。
29 ◯ 商工労働部長(山本 貴俊君)
退職された自衛官の方々は、在職中に培われた実行力、責任感、指導力のほか、職務を通じて身につけた知識や技術、さらには、資格、免許等が企業から高い評価を受けており、現在様々な分野で活躍されていると伺っております。
退職される自衛官の再就職については、自衛隊の組織である自衛隊地方協力本部や一般財団法人自衛隊援護協会において個別に退職予定の自衛官と採用を希望する企業とのマッチングを実施されているほか、
任期制自衛官については合同企業説明会も実施されているところであります。
しかしながら、令和5年度に本市で開催された合同企業説明会では、全国の駐屯地などから参加された退職予定の
任期制自衛官の方は13人であったと伺っており、富山に就職される退職自衛官はまだまだ少ない状況となっております。
本市といたしましては、退職される自衛官の方に市内企業に就職いただくことは即戦力となる優秀な人材を本市に呼び込むことにもつながるため、本市を選んでもらえる取組の1つとして、例えば、県内外の自衛官の方々に対し、本市の強みである子育て環境や教育、文化など、都市の総合力をPRすることも考えられます。
いずれにいたしましても、まずは自衛隊富山地方協力本部と連携し、退職を予定されている自衛官の皆様のニーズの把握や県外の部隊に所属されている自衛隊員の方への情報発信の方法も含め、検討してまいりたいと考えております。
30 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
31 ◯ 11番(久保 大憲君)
まずは情報を収集して、しっかりと連携をしながら本市が再就職にコミットしていくというのは大事なことだと思いますし、市内企業においても大変有意義なことであると、今の部長の答弁にあったとおりだと思いますので、ぜひ新年度に向けて調査・研究を進めていっていただきたいなと思います。
今から13年前、東日本大震災がありました。私は、東日本大震災の後に被災された方が富山県内に移住してこられる、避難されてくる、そういった方々に支援をするというボランティア活動をやっていました。そのときに、実は退職自衛官の方々と一緒に活動する機会がありまして、本当にすばらしい人たちでした。なかなか連絡を取る機会は減ったのですが、あのとき退職自衛官の皆さんが本当にボランティアないし被災者の方に寄り添って御尽力いただいた姿が今でも私は目に焼きついておりますし、そういった方が富山市の市民として増えていくことは、企業だけではなく、地域にとっても大変いいことなのではないかなというふうに思いますので、みんなで歓迎できるような仕組みをつくっていきたいなと思います。
自衛官の退職後の再就職支援は雇用主たる国の責務であり、優秀な自衛官の確保のためにも極めて重要であることから、退職前に再就職に向け職業訓練などの支援を行っています。職業訓練では様々な資格、例えば建設機械の運転や電気工事に必要な資格などの取得を支援しています。
本市では、建設業者が雇用した従業員が資格を取得するための費用を一部補助するといった制度も設けていますが、退職自衛官であれば、全額国費で必要な資格を取得した上で会社に迎え入れることができるわけです。
ほかにも、
即応予備自衛官や予備自衛官を雇用した場合、企業側に給付金を給付する制度などもあります。
ところが、そういった情報を市内の企業の多くが知らないというのが現状です。実際に自民党富山県連青年局での意見交換会においてこの制度の一端を説明したところ、その意見交換会が終わった後にもっと詳細な情報がほしいということで多くの声をいただきました。
市として広く市内企業にこの国の取組を周知すべきと考えますが、見解をお伺いします。
32 ◯ 議長(金厚 有豊君)
山本商工労働部長。
33 ◯ 商工労働部長(山本 貴俊君)
退職された自衛官は、本人が希望し、一定以上の条件を満たす場合に、企業に勤めながら災害などの有事の際に招集される
即応予備自衛官または予備自衛官になることができます。
即応予備自衛官は、年間30日の訓練に参加することが義務づけられており、
即応予備自衛官を雇用することに伴う企業の負担に配慮するとともに、その雇用を円滑にするため、企業が
即応予備自衛官を雇用した場合には、国から月額4万2,500円の
即応予備自衛官雇用企業給付金が支払われております。さらに、
即応予備自衛官や年間5日間の訓練に参加することが義務づけられている予備自衛官を雇用し、その方が災害派遣等の招集や招集中の公務上の負傷等により企業での勤務を離れる場合にも、国から日額3万4,000円の雇用企業協力確保給付金が支払われます。
本市といたしましては、
即応予備自衛官及び予備自衛官についての理解を企業に深めていただくとともに、市内の中小企業の人材確保を図るためにも、今ほど申しました給付金制度も含め、退職された自衛官の採用について自衛隊富山地方協力本部と連携しながら市内企業や関係団体を訪問するなど、機会を捉えて周知してまいりたいと考えております。
34 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
35 ◯ 11番(久保 大憲君)
ぜひその周知を強力に推進していただきたいなと。商工会議所とか様々な団体もいろんな企業とのつながりがありますから、市が持っているパイプは全て使ってでも市内企業に多く周知をしていただきたいなと思います。
たくさんの求人が出れば、もしかしたらたくさんの希望に合致する人たちが富山市に来られるかもしれない。その人たちが富山はいいところだよと自衛隊の中で浸透してくれば、さらにそこから富山を選んでいただける、こういったいいスパイラルをこれからつくっていけるように商工労働部の皆さんには頑張っていただきたいなというふうに思います。
次に、市は、消防団の活動や団員確保の後押しも兼ねて、消防団員を雇用している企業に対して入札参加資格や総合評価落札方式で加点評価をしています。
防衛省は、退職自衛官などを雇用している企業に対して総合評価落札方式において加点評価をしています。
本市においても、入札参加資格を持つ企業が退職自衛官などを積極的に雇用したり、社員が予備自衛官や
予備自衛官補となった場合に加点評価をしてはどうでしょうか。見解をお伺いします。
36 ◯ 議長(金厚 有豊君)
牧田財務部長。
37 ◯ 財務部長(牧田 栄一君)
総合評価落札方式は一般競争入札の一種で、価格だけではなく、企業の技術力等を評価することで価格と品質が総合的に優れた落札者を決定するものであり、本市の建設工事の一部でもこの方法を取り入れております。
総合評価落札方式における評価項目の設定については、国が発行している
地方公共団体向け総合評価実施マニュアルにおいて、工事の品質確保の趣旨を踏まえ、評価項目の配点バランスに配慮した上で各自治体の実情において判断することとしております。
そのため本市では、企業や技術者の施工能力以外の項目については企業の地域性及び社会性を評価することとし、市民の安全・安心の確保に資する観点から災害協定への参加や除雪協力などの項目について、また、市の環境政策推進の観点から「チームとやまし」への参加について評価しており、国のマニュアルに基づく適切な評価項目の設定になっているものと考えております。
議員お尋ねの退職自衛官等の雇用を総合評価落札方式で評価することにつきましては、防衛省の発注工事において工事業者が退職自衛官等を駐屯地や基地などの工事現場に配置し、部隊の運用に関する知見を活用させることで円滑な工事施工となり、品質の確保につながるとの趣旨で評価を行っていると聞いております。具体的には、当該駐屯地等の経験を最も高く評価し、次に、同一都道府県内の他の駐屯地等の経験、次に、隣接都道府県内の駐屯地等の経験の順に加点しているとのことです。
こうした事情から本市では、議員御提案の退職自衛官等の雇用について総合評価落札方式で評価することについては、現時点では考えておりません。
38 ◯ 議長(金厚 有豊君)
11番 久保 大憲君。
39 ◯ 11番(久保 大憲君)
今回は提案ということなので、大変御配慮いただいた答弁だと思いますが、やはりやる側としては現時点では考えていないからこその提案であるわけです。それはすぐに答えが出ないという趣旨だと思います。前田部長と私との議会、議員としてのやり取りはいつも最初はあまりいい答弁をいただけないのですが、後を振り返ってみると、結構ちゃんと私の声が行政に反映されているということが今までも多々ありました。今部長の答弁もありましたが、今後、現時点ではやっていないということで、将来に向けて期待をしておきたいなと思います。
最後に市長、答弁全体を通して自衛隊に対して大変温かい御評価と思いを各部長が述べられたわけですが、できれば市長からも国を守る自衛官に対して何か思いがあれば一言お聞きしたいというふうに思います。
40 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
41 ◯ 市長(藤井 裕久君)
久保議員の御質問にお答えいたします。
自衛隊でありますけれども、国防を担う組織として我が国の国民の生命、身体、財産を平時から守っていただいているということで非常に大切な組織だなというふうに捉えています。そして、有事の場合は命を賭して国民の生命、身体、財産を守るために我が身を盾として国を守るということを任務と自覚した自衛官におかれましては、その高い志と崇高な信念に常日頃から私も敬意を表している次第でございます。
また、今般の能登半島地震におかれても発災当初から真っ先に全国各地の自衛官が被災地に入り、初動──命を守るフェーズにおいても必死に頑張られていたと。そして、72時間が過ぎ、その後も消防や医療関係者と協力して初動の体制で多くの人命を救助されたと。また、残念ながらお亡くなりになられた方々の捜索にも当たられたと。そして、今もなお、被災地で困っておられる方々の炊き出しをはじめ、いろんな安全確保や社会インフラの整備等々を含めて大活躍をされていると。そういう姿を目の当たりにしますと、本当に改めて自衛隊、そして、自衛官の仕事の大切さを痛感するわけであります。本当に大事だなというふうに思うわけでございます。
私自身、30代のときから自衛隊富山地方連絡本部の青年防衛協力会のお世話をたまたまさせていただいて、この議員の中にもそういう活動を一緒にしている方もいらっしゃいますけれども、富山県、富山市においても本当に地道に自衛隊の方々が日々活動していらっしゃいます。こういう方々──任期付で終えられた方々のセカンドキャリアを考えるということは非常に大事なことでありまして、富山市としてもそういうことに正面から向き合うということは非常に意義があるというふうに思っています。
また、自衛隊で様々なスキルを身につけられた、そういう方々が地域において活躍していただくということは誠にその地域にとっても大切なことであると。また、今般の有事のときには、地域あるいは町内の中心になって活躍をしていただけるものというふうに期待もしているわけであります。
いずれにしても、しっかりとまた退職自衛官の方々に向き合ってまいりたいなというふうに思っています。
以上です。
42 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで久保議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
10番 吉田 修君。
43 ◯ 10番(吉田 修君)
吉田 修でございます。
令和6年3月定例会に当たって、日本共産党の一般質問を行います。
大項目として、介護保険、障害者施策について3点お伺いします。
まず、訪問入浴サービスについてでございます。
介護が必要な高齢者にとって、入浴は血行促進や新陳代謝がよくなり、傷や褥瘡、感染など、皮膚損傷からの回復や適度な体力の消耗により安眠効果もある。また、体が温まる保温効果や、疲れが取れて体が活性化し、その回復効果が食欲を促したり、ストレスを解消したりするなどの精神的な効果もあると言われております。
あるケアマネジャーに聞きました。入浴は裸になる。そこで看護師が体の異常を分かることがたくさんあると。また、103歳5か月までお母さんを自宅で介護した家族は、母にとって入浴は極楽極楽、生きていることを感じるひとときであったと回想しておられました。
一方、短時間で済まそうと荒っぽいサービスも多々あったとも言われました。
私はこの間、2つの訪問入浴の事業所を訪問して、いろいろと状況を聞いてまいりました。1か月に100件こなさないと採算が取れない。ということは、1日に最低5件回らなあかんということを言っておられました。何が困難かといったら、やっぱり人材だと。看護師が本当に集まらない。今は週に3回しかやっていないということも言われました。やはり今の介護報酬、今の制度では待遇改善はできない、人が集まらないとじり貧だと言われています。
2年前、あるローカル紙で訪問入浴サービスの撤退が相次ぎ、県内で50人がサービス難民になっているという報道がありました。
そこで、まず第1に、富山市内の事業者数と利用人数の3年間の推移を伺います。
44 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
清水福祉保健部長。
45 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
日本共産党、吉田議員の御質問にお答えいたします。
本市におきます訪問入浴介護の指定事業者の数につきましては、令和3年度末、令和4年度末、令和5年度の令和6年2月末現在、いずれも3事業所となっております。
また、利用人数につきましては、令和3年度末は131人、令和4年度末は136人、令和5年12月末は144人となっております。
46 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
47 ◯ 10番(吉田 修君)
県内の自治体でも、小さい市町村といいますか、自治体では、町に訪問入浴を扱っている事業者がいないということで他の市町村に頼んで、市や町で助成金を出してサービスを確保しているところもあると聞きました。
富山市内、今部長の報告では事業者は3、利用者は減っていないという報告でありましたが、やはりこれはじり貧という状況は今後避けられないし、事業者に聞くと、若い人が集まらないということで、訪問入浴をする職員の年齢が60代後半から70代ということも言っておられました。
事業者任せにされてはいないと思いますが、やっぱり本市としても何らかの手だて、対策が講じられないものかお聞きしたいと思います。
48 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
49 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
県内の一部の市町村では訪問入浴介護事業者に助成金を交付していることを承知しておりますが、そうした市町村におきましても当該市町村内や隣接する市町村に所在する事業者は交付の対象外とし、離れた市町村に所在する事業者の長い距離の移動で生じる費用に対して助成しているものでございます。
このため、本市内の利用希望者は現在、本市内または隣接する市町村に所在する事業者からサービス提供を受けることが可能な状況でありますことから、そうした隣接していない市町村の事業者を対象とした助成は必要ないものと考えております。
また、介護保険制度におきましては、介護サービスの提供に必要な費用は介護報酬に適切に反映されるべきであり、介護報酬が適切に設定されないことで介護事業所が介護サービスを安定的に提供できなくなることなどがあれば、適切な報酬の設定がなされるよう全国市長会などを通じて国へ要望してまいりたいと考えております。
50 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
51 ◯ 10番(吉田 修君)
基本的には介護保険制度あるいは介護報酬の問題だと私も思いますが、後の2番目のテーマと併せて、やはり今後何らかの検討が必要な時期が来るのではないかなというふうに思っています。
2つ目に、医療的ケアが必要な重度障害者の通所施設での入浴サービスについて伺います。
生活介護を行う通所施設のうち、入浴サービスを行っている施設数、そのうち気管切開や胃ろうのそれぞれの医療的ケアが必要な障害者の入浴サービスの提供が可能な施設数はどれぐらいあるのかお聞かせください。
52 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
53 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
本市では、障害者総合支援法による障害福祉サービスにおきまして生活介護を行う通所施設を現在69施設指定しており、そのうち46施設で入浴サービスが提供されております。
その46施設のうち、医療的ケアが必要な気管切開の方への入浴サービスの提供が可能としている施設は10施設、胃ろうの方への入浴サービスの提供が可能としている施設は15施設となっております。
ただし、そうした施設におきましても、利用を希望される方の障害の程度や、医療的ケアや医療行為の内容によっては受入れされていない場合がございます。
54 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
55 ◯ 10番(吉田 修君)
これも施設を幾つか訪問しました。やっぱり重度の方は敬遠するという傾向が非常に多いのですね。したがって、重度の方の行き場がないという状況、これは何とかしなくてはいけないなというふうに痛切に思いました。
特に利用の障害になっているのが送迎だと。ある事業所では、医療的ケアが必要な人の入浴サービスを受け入れているけれども、対象はできるだけ近い方、それと、せいぜいリクライニングができる車椅子程度まではできるけれども、ストレッチャーの患者はとてもではないが無理だと、自前の送迎はできないということで断っていると言っていました。
そういう意味では、介護保険あるいは福祉サービスを少し超えるわけですけれども、やはり福祉タクシーや介護タクシー、私はその境目がちょっとよく分からないのですけれども、8,000円から1万円かかるというのですね。月1回なら何とかなるけれども、2回、3回になるともうとてもではないが無理だということで、この医療的ケアの今言ったテーマでは制度の枠がどうなのかという課題もありますけれども、私は、いわゆる送迎の福祉タクシー等の利用料の一部をせめて補助するような制度をつくれないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
56 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
57 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
国の生活介護施設の指定基準におきましては利用者が自ら通うことを基本としておりますが、障害の程度などにより自ら通所することが困難な利用者に対しては円滑な利用が図られるよう生活介護事業所が送迎を実施するなどの配慮を行う必要があるとされておりまして、施設がその送迎をサービス提供した場合には報酬に送迎加算が算定されることになっております。このため、生活介護施設においては多くの施設で送迎が実施されており、基本的には自ら通所することが困難な利用者は送迎のある施設を利用されているものと考えており、現時点では施設利用に福祉タクシーを利用されたり、家族の方などが送迎されておられるからといって市独自で助成することは考えておりません。これが基本的な考え方でございます。
しかしながら、入浴サービスを行っている中・重度障害者の生活介護施設におきましては、利用者の障害の度合い、あるいは医療的ケアや、医療行為の有無や内容によって受入れや送迎を制限している施設がございます。このため、医療的ケアや医療行為が必要な利用者の中には送迎サービスが受けられない方がいらっしゃることを今回承知いたしました。
したがいまして、まずはそれぞれの事業所における支援の現状を把握いたしまして、現行の福祉サービスでは対象とならない新たなニーズや課題が生じていないか、いわゆる制度のはざまとなっている方がいないかなどにつきまして、他都市の状況も含め、調査・研究してまいりたいと考えております。
その上で、制度の不備ですとか報酬の不足などによりまして受入れやサービス提供ができていないなどといった場合には、制度や報酬の創設や見直しを国へ要望していく必要があると考えております。
まずは、詳しく調べさせていただきたいと考えております。
58 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
59 ◯ 10番(吉田 修君)
大変前向きなうれしい答弁だと思います。ぜひ制度のはざまになっている人たちをどう救うかという点で実態をつかんでいただいて、知恵を出していただきたいなと思いますし、冒頭に言いましたように、高齢者や障害者にとっての入浴ということの意味、意義、これをしっかり我々が受け止めて、それを応援していくという姿勢が何より大事だというふうに思っております。
次に、介護保険の住宅改修、福祉用具の支給について伺います。
手すりや段差の解消などの住宅改修の費用は上限20万円、腰かけ便座などの福祉用具の支給は上限10万円。これは在宅で暮らし続ける高齢者にとって必要不可欠なサービスで、大変喜ばれているサービスでもあります。
しかしながら本市では、一旦かかった費用の全額を支払って、後で9割から7割が返ってくる、いわゆる償還払いになっております。
総務省の中部管区行政評価局レポート(令和5年3月)によれば、全国で、いわゆる償還払いではなくて、受領委任払いを導入している保険者は住宅改修で64.2%、福祉用具で56.7%となっています。
県内では、住宅改修費で見ると、魚津市と射水市で償還払いではなく受領委任払いに移行しております。全国的にも石川県が50%近くありますし、富山県は2つですから、22.2%なのです。残念ながら、非常に遅れているということであります。
したがって、本市も自己負担のみを支払う受領委任払いに変更できないかと考えますが、見解を伺います。
60 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
61 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
介護保険制度におきましては、住宅改修費、また、福祉用具購入費は原則償還払いで支給することになっていること、また、受領委任払いの導入には介護保険事務処理システムの改修が必要になることなどから本市では償還払いとしておりますが、今後、他都市の状況などを参考にいたしまして、調査・研究してまいりたいと考えております。
62 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
63 ◯ 10番(吉田 修君)
支払い方式を変えるための準備作業が必要ですけれども、給付費そのものが増えるわけではありませんので、ぜひ実現へ検討を開始していただきたいと思います。
次に、大項目2番目で、小・中学校の学校給食費の無償化についてであります。
本市の学校給食費は、令和4年度当初に年5,000円値上げを決定し、小学校で年5万8,000円、中学校は6万8,000円になりました。しかし、この2年間、コロナ禍もありまして、国の交付金を使って負担増を回避してこられました。そして、令和6年度当初予算では、今年度も据置きをする予算が提案されています。大変よかったと思います。
実は、学校給食費無償化は令和4年度末で全国451自治体にまで広がり、令和6年度から東京都は都が市町村の半額を補助する、青森県は県全体で一律無償化にするというところまで広がって、4割、5割に近づいているというのが今の現状であります。地方からの流れが国を動かしつつあります。
政府は、次元の異なる少子化対策の中で無償化も検討事項に入れて全国実態調査を今年の6月に公表し、課題を整理するとしています。全額国費でも4,500億円から4,600億円。異次元というなら、私は何より国が主導すべきだと考えます。
昨年3月定例会で私は本市でも無償化に踏み出すべきと市長に尋ねました。残念ながら、考えていないという素っ気ない答弁ではありました。
全国的に無償化が加速し、国もその方向に向かっています。
富山市はこどもまんなか社会を目指しています。本市も国待ちではなく、無償化実現へ一歩前へ進める、その準備をする、そういう市長の前向きな姿勢を期待して市長の所見を伺います。
64 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
65 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えいたします。
これまで何度も答弁したとおりでございますが、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費、修繕費、人件費、調理場の光熱水費、給食センターから各学校への配送費等、多額の費用を市が負担している中、食材費分のみを学校給食費として保護者の皆さんに御負担をいただいているところでございます。
こうしたことから、市独自での補助による学校給食費の無償化については考えておりません。
なお、今ほど議員御指摘のとおり、国において学校給食費の無償化実現に向けて具体的方策の検討を行うとされておりますことから、引き続きその動向を注視してまいりたいと思っております。
なお、議員も御承知のとおり、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金において給食費の一部を助成させていただいて、保護者の皆さんの負担を抑えてまいりましたが、物価高騰の折でありますけれども、そういうことも含めまして、今、御負担を上げるわけにいかないということで、この交付金は打切りでございますけれども、今定例会に予算案として、保護者の御負担を変えないというか、引き続き抑えていくというか、上げないための予算を計上しているところでございます。
66 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
67 ◯ 10番(吉田 修君)
昨年の出生数はついに75万人台になったということで、昨年も言ったのですが、実は1990年代には120万人の子どもが生まれたのですね。その子どもたちが、今から2030年ぐらいまでにかけてまさに子育て世代に入る。岸田首相も言っています。2030年に成果が上がるようにしなければならない。そうでないともう手後れになる、ラストチャンスだと。
市長は静かなる有事だとおっしゃいましたけれども、今年生まれた子どもが2030年に小学校1年生になるのです。そういう点では待ったなしだと、あらゆる手当てを講ずると、そういう意味でぜひ準備をしていただきたいと思います。
最後に、生活保護の裁判についてであります。
富山地方裁判所は、本年1月24日、生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求事件について生活扶助減額処分を取り消す旨の原告らの請求を認めて、引下げは生活保護法に違反するとの判決を言い渡しました。富山でも原告が勝訴、私は9年間関わってきた者の1人として画期的な判決だと高く評価いたします。
発端になったのは、国が2013年から2015年の3年間で生活保護の生活扶助基準を過去平均6.5%、最大10%も引き下げ、670億円を削減したことに端を発しております。全国29地裁で起こされた訴訟で、本年2月の岐阜地方裁判所を含めて、一審判決26件のうち、原告勝訴は15件目となりました。この種の裁判でこのように原告勝訴の判決は極めて異例であります。
富山では2015年、本市在住の生活保護受給者5人が訴訟を起こしました。私は支援団体の反-貧困ネットワークとやまの結成に参加し、訴訟を支援してまいりました。本判決は、生活保護におけるデフレによる可処分所得の実質増加の程度を測定するために用いた厚生労働省独自の指数が生活保護世帯の消費構造から大きく乖離し、可処分所得の実質的増加分を過大評価している、統計等の客観的な数値等との合理的関連性、専門的知見との整合性を有していないなどとして、生活保護基準の引下げを決定した判断過程及びその手続に瑕疵があると判断し、厚生労働省の裁量権の逸脱、濫用と認定したのです。
本市は国とともに被告であります。この一審判決を不服として名古屋高等裁判所金沢支部に控訴するとしていますが、その理由について伺います。
68 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
69 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
本訴訟につきましては富山地方裁判所において審理がなされ、令和6年1月24日に第一審の判決が言い渡されたところでありまして、その要旨といたしましては、1つに、本市が原告らに対して行った各保護変更決定処分を取り消す、2つに、国家賠償の請求については原告らの請求を棄却する、3つに、本市と原告らとの間に関する訴訟費用は本市の負担とするというものでございます。
本市といたしましては、本訴訟に係る各保護変更決定処分は国が定める生活保護基準に基づいて決定したものであり、適法な処分であると認識しているところでありますが、第一審において国と市の主張が認められなかったため、国とも協議した上で、これを不服として控訴を提起することとしたものでございます。
70 ◯ 議長(金厚 有豊君)
10番 吉田 修君。
71 ◯ 10番(吉田 修君)
基本は国の姿勢だというふうに思いますが、先ほどちょっとややこしいことを言いましたけれども、670億円削減ありきで厚生労働省が意図的に物価下落を過大になるような指数を用いて下げたということが最大の争点になったわけであります。多分、一審判決まで9年かかりました。そして高等裁判所、そして、我々は最高裁判所まで闘うと、全国で、ということにしております。
日々の生活保護行政を一生懸命やっていらっしゃることは評価しているわけですけれども、この点でも我々は引き続き裁判の行方、市の姿勢を注視していきたいというふうに思っております。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
72 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで吉田議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
暫時休憩いたします。
午前11時13分 休憩
───────────
午後 1時10分 再開
73 ◯ 副議長(高田 真里君)
議長が都合により出席できませんので、私が代わって議事を進めさせていただきます。
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
29番 橋本 雅雄君。
74 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
令和6年3月定例会に当たり、会派 誠政より一般質問をいたします。
質問に先立ちまして、我が会派からもこのたびの能登半島地震で被災された方々に対して心よりお見舞いを申し上げるとともに、不幸にして亡くなられた方々へ心から御冥福をお祈りしたいと思っております。
この震災の対応、私は市の職員の方々には本当によくやっていただいた、そして、よくやっていただいていると感じております。元日ということもありまして、休日にもかかわらず、藤井市長、それから、中村
防災危機管理部長をはじめとして本当にたくさんの方がこの庁舎に参集していただいて、震災対応に当たっていただいた。それから、私は藤ノ木小学校の避難所開設も拝見させていただきましたが、若い職員の人たちがテントをてきぱきと設置する姿を見て、大変頼もしく感じていたところでございます。
この災害対応、100点とまではなかなかいきません。このたびの対応について検証して、整理して、今後のさらなる防災、そして、危機管理体制の強化に努めていただきたいと思っております。
そして、それと同時に私たち議員にもこの役割というか、宿題が残されたのではないかなと思っております。今回、自助、共助というのが大変大事なことなのだと、それから、正しい情報というものを身につけるというのが本当に重要なことだと、これを地域の方々にしっかりと発信していくのが私たち議員の役目かなと。地域で、そして、各団体等としっかりと自助、共助、それから、正しい情報、こういったことを発信していきたいなと改めて感じているところでございます。
職員の人たち、そして議員ともに今後、本当に災害に強いまち、それをつくっていかなければならないと改めて考えております。
それでは、今回の質問に入りたいと思います。
今回は保育所の民営化について質問いたします。
本市において、市立保育所の民営化は約20年も前から進められてきました。平成15年、合併前の旧富山市において針原保育所が初めて民営化され、以降、平成17年には3か所、平成18年に5か所、平成19年に3か所、平成20年に5か所、平成21年に3か所、この平成21年というのはもう15年も前なのですね。その時点で20か所を数えられるほど一気に民営化が進められています。
さて、それでは、昨年までにどこまで民営化が進んだのかといえば、ここ数年、民営化の動きは鈍化しており、これまでに民営化された施設数は28か所にとどまっています。
本市には現在36か所の市立保育所がありますが、今後どのように民営化が進められていくのか、それとも、ここで立ち止まるのか、また、そもそも保育所の民営化は是であったのか、こういったことを今回の質問を通して考えていきたいと思います。
まず、一つ一つ確認していきたいと思います。
保育所の民営化は施設利用者にとってどのような効果があったのでしょうか。
75 ◯ 副議長(高田 真里君)
当局の答弁を求めます。
古川こども家庭部長。
76 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
会派 誠政、橋本議員の一般質問にお答えいたします。
主な効果としましては、民営化した保育所では、1つに、市立保育施設では行っていない夜8時までの延長保育や休日保育などの特別保育を実施していることから、保護者の仕事と子育ての両立がより一層図られたこと、2つに、各運営法人が音楽、英会話、運動などにおいて独自性を発揮した特色ある保育活動を行っていることから、保護者が子どもの個性の育みを考えて保育施設を選ぶことができるようになったことなどが挙げられます。
77 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
78 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
夜8時まで開設できるといった回答でございました。大体の保育所は午後7時頃まで開設していると思っておりますが、その1時間の差は大変大きなものなのかなといった思いがしております。
それから、ほかのいろんな教育ですか、そういったことも私立保育所になるとできるようになるといったことで、効果はあったのではないかなと思っております。
それでは反対に、民営化によって保育の質やサービスの低下、そういったものはあったのでしょうか。
79 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
80 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市では、市立保育所の民営化により子どもたちの保育環境に急激な変化を来すことのないよう、民営化する保育施設において民営化前の1年間、引受け法人の保育士等を受け入れて引継ぎを行うことに加え、民営化後も原則3年間は市保育士を派遣することとしております。
さらに、保育内容や衛生管理等について国が定める保育所保育指針や幼保連携型認定こども園教育・保育要領等に基づいた適切な保育が実施されるよう定期的な巡回指導を行っているところであり、保育の質やサービスの低下はないものと考えております。
81 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
82 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
確認までといったことで、これでサービスや質の低下があるといったら、この質問、今日はここで終わってしまいそうだったので、いい回答をいただいたかなと思っております。
それでは次に、本市にとって財政面等、民営化の効果についてお答えください。
83 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
84 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
保育所の民営化による財政面の効果としましては、市立保育施設数が減ったことに伴う施設維持管理費の減少及び保育士等の人件費の減少があります。
85 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
86 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
このあたり、保育士等の人件費の減少、財政面のそういったところで本市にとって効果があるということですが、以前の答弁等々を拝見しますと、やっぱり保育士を確保していくのが難しいと。定年まで、60歳までしっかりと保育士を確保して保育士に給料を払うというのが大変厳しいことだと、それで、民営化することによってこの財政削減につながるものだといった答弁も見受けられております。
そういった意味では、民間事業者にとっても保育士を確保していかなければならないと。今現状ではまだまだ保育士不足というのが表に出ているところかもしれませんけれども、今後やはり少子化が進む中でそういった保育士の確保等々も難しくなってくる。そういった意味では、また民間事業者に対してしっかりと寄り添った施策等々を考えていただきたいなと思っております。
この保育所の民営化は、利用者にとっても行政側にとってもメリットがあると改めて認識しております。
それでは今度は、市立保育所のよいところ、必要性についてお答えください。
87 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
88 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市の市立保育施設のよい点につきましては、ベテランから若手まで様々な勤続年数の保育士が配置されており、また、保育士は定期的な人事異動によって多様な地域にある保育施設での経験を積んでいることから、幅広い知識を生かした質の高い保育が提供できることなどが挙げられます。
また、市立保育施設は、1つに、児童数が少なく、私立施設での運営が難しい地域においても保育サービスを提供する役割、2つに、福祉的な配慮により緊急的な保育が必要となった児童を受け入れる役割を担うことから、本市といたしましては、市立保育施設の必要性は高いものと考えております。
89 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
90 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
市立保育所の必要性をお答えいただきました。もちろん全てが民営化すればいいというものではなく、やはり市立保育所もそれぞれの特色を生かしてしっかりとこの保育体制をつくっていくというのが本市にとって重要なことかなと思っております。
それでは、今後も市立保育所を維持していくのか見解をお聞かせください。
91 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
92 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
入所児童数の減少に伴う休所や閉所、統廃合は想定されますが、民営化対象保育所選定基準にある、1つに、定員が90人以上であること、2つに、3年以上、継続的に定員の90%以上が入所していること、3つに、周辺地域の特別保育の実施状況を考慮することなど、要件を満たさない市立保育施設については維持していくこととしております。
93 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
94 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
先ほども言いましたけれども、その地域性等々を考えれば、やはり民営化する場所、それから、公立、市立でしっかりと維持していく場所、そういったところをこれから示していかなければならないのではないかなという思いもあります。
それでは、老朽化に伴う市立保育所の今後の建て替えの予定はどうなっているのでしょうか。
95 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
96 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
現在、長岡保育所及び月岡保育所の建て替えを予定しております。
長岡保育所につきましては、令和6年度に実施設計を行い、令和7年度に現在の長岡保育所を解体した後、改築工事に着手し、令和8年度の完成を目指しております。
また、月岡保育所につきましては、令和6年度に実施設計を行い、令和7年度に造成工事を実施した後、令和8年度から改築工事に着手し、令和9年度の完成を目指しております。
97 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
98 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
月岡保育所、長岡保育所、その次をぜひ聞きたいなと思っていましたが、まだまだ計画にないのかなということで、月岡保育所、長岡保育所は建物を整備していくということで、これらは将来的に民営化を視野に入れてのものなのかお聞かせください。
99 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
100 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
民営化につきましては、先ほども言いましたように、基準に照らし合わせて検討していくこととなります。
101 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
102 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
建て替えイコール民営化ではないといった回答かなと思っておりますが、長岡保育所、月岡保育所以降も市立保育所の建て替えは計画的に行っていくのか、こういったことをお聞かせいただければ。
103 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
104 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
計画的に行っております。
105 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
106 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
端的な回答、ありがとうございました。
老朽化していくのはどの施設も当然なのですよ。それでも、やはり市立保育所としてしっかり役割を果たすということであれば、計画的にこういった整備をしていくことが重要かなと思っております。
それでは、少子化が進行して、出生数の減少にも歯止めがかからないといった状況。先日発表された人口動態統計の速報値によると、令和5年の県内の出生数は過去最少の5,859人にとどまりました。表現は悪いかもしれませんけれども、毎年毎年記録更新といった状況で出生数が減少している。
このような状況ではあるものの、保育ニーズはむしろ多様化しており、ますます保育所運営にかかる負担は大きくなっていると感じています。安定した保育サービスを提供するためには市立保育所と私立保育所の役割分担を明確にする必要があるのではないでしょうか。市立、私立、それぞれの強みを生かした保育方針を示すことで幅広い受入れ体制が整えられると考えています。
なかなか条件がそろわないかもしれませんが、例えば同一地域に市立、私立が混在する場合、そういった場合には市立保育所において行事を極力実施しないなど、子どもを預かることに特化したらどうかと考えますが、見解を伺います。
107 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
108 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
国が定める保育所保育指針では、保育所は「子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない」とされており、本市の市立保育施設におきましても常に創意工夫を図りながら保育の質の向上に努めているところであります。
現在、市立保育施設で実施している行事につきましては、子ども自身が達成感や充実感などを味わうことができ、保護者にとっても子どもの成長を感じ、子育ての喜びを実感する機会として意義あるものと考えております。
このことから本市といたしましては、引き続き子どもたちが乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられるよう様々な行事を実施しながら、質の高い保育の提供に努めてまいりたいと考えております。
109 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
110 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
当たり前の答弁かもしれませんけれども、なかなか市立と私立の違いがあっては駄目なものなのかもしれませんが、やはり市立は市立としてどう存続していくのかといったことも考えていく必要があるのかなとは個人的には思っております。
全国の自治体では市立の保育所がないところもあるようですが、さすがに本市の実情を踏まえるとそこまではやり過ぎだと感じております。本市の保育施設における公私の比率はどのくらいが適正だと考えておられるのでしょうか。
111 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
112 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
民営化する市立保育施設は、民営化対象保育所選定基準に基づき、さきにも述べました市立保育施設の役割である福祉的な配慮による児童の受入れ等も考慮し、市民サービスが低下しないよう個々の施設を取り巻く状況を踏まえて慎重に決定する必要があることから、市立、私立保育施設の適正な比率については一概に申し上げることができません。
113 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
114 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
予想どおりのお答えですが、でも、ある意味、やはりどこまで民営化を進めていくのかといった指針等々は示していくというか、計画していくべきではないかなとは思っております。最終的にゼロにしてとは全く私も思っていませんけれども、やっぱりなるべく民営化して、民間にこういった保育事業を任せるといったことを数で示すというのは変なことかもしれませんけれども、ある程度の計画、そういったものを示していくことも重要なことではないかなと思っております。
本市の民営化対象保育所選定基準、これを確認いたしますと、まだまだ民営化の対象となり得る市立保育所があるように思われます。
民営化基準を踏まえ、今後民営化をどのように進めていこうと考えておられますか。
115 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
116 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
市立保育所の民営化を進めるに当たっては、先ほど申し上げました民営化対象保育所選定基準の要件を満たしている施設の中から民営化を検討する市立保育所を選定した後、富山市民営化対象保育所等及び引受法人選考委員会へ諮問し、答申の内容を踏まえて民営化対象保育所を決定してまいりたいと考えております。
117 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
118 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
民営化対象保育所選定基準、これに照らし合わせて次に民営化する保育所を決めていくということですが、私は逆の発想でもいいのではないかなと思っています。これは公立で守るよと、あとは、本当に民間事業者の方たちが意欲を持って民営化に手を挙げられればどんどん民営化していってもいいのではないかなと。公立、市立で守るべきところは守りますといったことを宣言しながら民営化を進めていくのがいいのではないかなというのが私の考えでございます。
それでは、民営化対象保育所選定基準の中に建物の要件として保育所の構造と経過年数が示されています。つまり、市立保育所として使用していた既存の建物を無償譲渡するという考え方です。そこには、残存耐用年数30年以上の鉄筋コンクリート造──鉄筋コンクリート造りの保育所ですね──または残存耐用年数15年以上の木造保育所であるということが要件として書かれています。
本市では、これまで28か所の市立保育所を民営化してきました。古いところでは20年を超え、そして、制度開始後、五、六年で急ピッチに民営化が進められてきた経緯を踏まえると、無償譲渡した建物がそろそろ大規模改修が必要である、もしくはこの大規模改修の計画の段階に入っているといった施設があるのではないでしょうか。見解を伺います。
119 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
120 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市では、毎年民営化した保育所を含む全ての私立保育施設に対して今後の大規模修繕等の予定について調査し、その内容を把握しているところであります。
この調査結果から保育環境の向上や利用児童の安全確保に必要な改修等と判断した施設について補助金を交付することにより、大規模修繕等を支援しております。
121 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
122 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
この制度開始後、五、六年で急ピッチに進められた、これはやっぱり同時に施設が老朽化している、改修の必要があるといったことも起きるのかなと思っております。当然毎年毎年の予算は限られていますから、そこは計画的に行っていただきたいところでございますが、また、どうしても直さなければならないとか、そういったところはしっかりと対応していただければと思っております。
民営化の条件として、建物は無償譲渡、土地は無償貸付けとなっていることは理解しています。
大規模改修を行おうとしたとき、現在地での建て替えであれば現行の規定の中で十分対応できると思いますが、それとは別の場所で施設を整備することは想定されていませんか。
123 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
124 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
私立保育施設の運営法人の判断により、無償貸付けしている土地とは別の場所で保育施設の整備をされる場合もあると認識しております。
125 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
126 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
その場合の対応をこの後質問していきたいと思いますが、もう1点、年月がたてば、その時々のニーズ、地域の状況、運営法人の方針等も変化していくのは当然のことだと思います。
さらに踏み込んでお聞きしますが、民営化した保育所の廃止、他の法人への譲渡等は想定されていますか。
127 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
128 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
保育所を民営化する際には民営化後も事業を安定的に継続して運営できることを考慮して対象施設や運営法人を選定しており、民営化した保育施設が廃止されることは想定しておりません。
また、市立保育所を民営化する際に締結している市有財産無償譲渡契約書において建物を他に譲渡することを禁止していることから、他の法人への譲渡についても想定しておりません。
129 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
130 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
本当にいろんなことを想定しながら進めていかなければならないのではないかなと思っております。地域の保育をしっかりと守っていかなければならないし、本当にいろんなパターンがあると思います。そういったことも想定しながら、どうやって本市の保育を守っていくのかといったことを考えていただきたいなと。
この保育の実施義務というのは市町村にあると思っております。それをやっぱり民間業者の方々にしっかり担っていただいている、そういったこともまた柔軟に民間業者の方々とお話ししていただければいいのではないかなと思います。
さて、それでは、今出ました市有財産無償貸付契約書についてお聞きします。
これは民営化された保育所に対する土地の無償貸付けのための契約書のことですね。この契約書は3年に一度、契約を更新するものですが、この内容はその都度見直したりされるものなのでしょうか。
131 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
132 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
市有財産無償貸付契約につきましては、3年に一度、保育施設の運営法人に対して契約更新の意思と契約内容について確認し、双方合意の上で更新しており、これまで契約内容を見直したことはありません。
また、全ての保育事業者を平等に扱う観点から、一般的には個別の事情により契約条件を変更することはないものと考えております。
133 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
134 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
もう1点お聞きします。ちょっと今し方、言われたかなと思うのですけれども、この市有財産無償貸付契約書は、これまで民営化された28施設、一律の内容になっているのかお聞かせください。
135 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
136 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
市有財産無償貸付契約書につきましては、これまで民営化してきた28施設全てにおいて同様の内容となっております。
137 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
138 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
先ほどの答弁ですが、契約内容については見直していないといった答弁だったかなと。先ほど言いました、それこそ時代も変われば、その時々のニーズとか地域の状況等々は変わってきます。民間事業者がいかにしてしっかりとこの保育を続けていけるのか、そういったことも考えていかなければならないと思っております。
仮に、保育所運営法人が内容の見直し等を申し出た場合、それが本市として認められないとすれば、契約は解除されるものなのでしょうか。
139 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
140 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
運営法人から市有財産無償貸付契約書の内容の見直しについて申出があった場合には、内容を聞き、話合いを行うことになります。その上で、契約内容の変更について合意に達しない場合は、一般的には、1つに、契約期間の途中であれば、契約を解除するのではなく、引き続き現在の契約内容で貸付けを継続する、2つに、契約更新時であれば、更新前の契約内容と同内容で契約を更新するか、契約更新を行わないことになると考えております。
141 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
142 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
いずれにいたしましても、契約内容の変更はなかなか認められないといった回答かなと思っております。
それでは、この契約内容に踏み込んでいきたいと思います。
この中の返還の条項を読み上げます。乙──これは法人ですね──は、貸付け期間が満了した場合は直ちに地上の物件を撤去し、原状に復して貸付け地を返還しなければならない。前条の契約解除により返還する場合も同様とすると。ただし、甲──これは市ですね──が特に原状回復の義務を免除した場合はこの限りではないというものです。
現状に復すというのは、貸付けを受けた状態に戻すことだと思うのですよ。それだと、無償譲渡された建物は残してもいいのではないかなといった考えです。
一方で、「地上の物件を撤去し」という文言も入っていて、これは矛盾した表現になっているのではないか、内容になっているのではないかなと思っております。
これは、法に照らすと、どのように考えればよいのか当局の見解を伺います。
143 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
144 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
民法では、土地を無償で貸し付ける使用貸借においては、契約が終了した時点で借主にはその土地を返還する義務があると定められており、土地上に借主が所有する建物を残したままでは土地の返還義務を履行したことにはなりません。
このことから、民営化した保育所の土地に係る市有財産無償貸付契約書においては、貸付け期間が終了した場合は直ちに地上の物件を撤去し、原状に復して貸付け地を返還しなければならないと定めており、借主において建物を撤去した上で返還する義務を負うことを明確に規定しています。
したがって、現状に復すとは、無償譲渡した建物を解体撤去し、いわゆる更地の状態とすることを意味しているものであります。
145 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
146 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
よく分かりました。
このあたり、私らがこの文を見ると、原状に復すというのは元の建物が残っていてもいいのではないかなというふうな思いがありましたが、今、明確に地上のものを撤去して更地にして返すというのが、法律上というか、正しいことなのだという答弁だったと思います。
それでは、この甲──市ですね──が特に原状回復の義務を免除した場合というのはどういった場合なのでしょうか。
147 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
148 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
これまで民営化した保育所の土地に係る市有財産無償貸付契約においてこの条項を適用し、原状回復の義務を免除した事例はなく、例示をお示しすることはできませんが、一般的には、よほどの特別な事情がない限り、免除されることはないと考えております。
149 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
150 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
厳しい答えをいただきました。
これは契約は契約として当然分かります。更地にして返せというのは一定程度理解するところであります。しかしながら、老朽化した保育施設を大規模改修しようとしたとき、市の土地を返還してほかの土地で建て替えるということ、先ほどそういうこともあるだろうといった認識を示されましたが、これは十分あり得ることだと思っております。すると、この新たな施設整備費に加えて解体費用が余分にかかることになります。物価の高騰や解体費用の値上がり等、この土地の貸付けを受けたときの目算と大きな隔たりが出ているのではないでしょうか。果たして、これは契約だからと切り捨てることができるのかなといった思いです。
大切なことはそれぞれの地域の保育環境を守ることであり、市の土地の価値を守ることではないと思っております。民間業者の財政上の問題で保育サービスの質や量が低下することも危惧されるのではないでしょうか。契約を守ることはもちろん重要なことです。ただ、ある程度柔軟な対応はあってしかるべきだと考えております。
これは、返還される土地にまだまだ十分に使用できる建物が残ってしまうといったケースも考えられます。現状の契約では解体しなさいということなのかもしれませんが、この建物を有効利用しようという考えは当局にはないのでしょうか。土地はあくまでも保育所運営のために無償貸付けされたものと理解しております。それでも、その使用目的の解釈、これが広がれば、その建物は新たな価値を生み出し、本市にとっても住民サービスの向上あるいは子育て支援の充実につながるのかもしれません。
そういった場合があれば、行政側からも積極的に残存建物の有効利用について提案していただきたいと思いますが、見解を伺います。
151 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
152 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
建物は、保育を行うために市が運営法人に無償譲渡したものであり、その取扱いは所有者である運営法人において判断されるものであることから、本市が積極的に提案することは考えておりません。
153 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
154 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
ちょっと身も蓋もない答弁でございました。
今、保育所として無償貸付けをしたのだよといったこと、これはこども家庭部さんの見解だったと。これをもし全庁に広げればもっと違う使い道があるかもしれないと私は思っております。まだまだ使える建物をもっともっと有効利用する、こういったことも必要なのではないかなと。すると、建物の解体費用等々も軽減されるのかなといった思いで、これは本当に皆さんで考えていただきたい問題ではないかなと思っております。
この既存の保育施設を無償譲渡したことは、民営化をスムーズに進めるには必要なことだったのかもしれません。ただ、全く同じ造りで全く同じ築年数の建物を同一の法人に譲渡したわけではありません。
今後、民営化した保育所の建物や土地に関わる問題が生じることも予想されます。市としてどのように対応されていくのでしょうか。
155 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
156 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
民営化した保育所の建物と土地に関わる問題が生じた際には、市と引受け法人で締結している、建物については市有財産無償譲渡契約書、土地については市有財産無償貸付契約書に基づいて対応することになります。
この契約では、契約について疑義のあるとき、または契約に定めのない事項については市と引受け法人が協議して決めることとしております。
157 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
158 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
本当にいろんなことを想定していかなければならないのではないかなと思っております。何回も言いますけれども、地域の保育をしっかり守っていくということが大事なので、そういったところをしっかり想定しながら、これからも継続していける、そういった体制をつくっていただきたいなと思っております。
次にいきます。
令和4年に開園したかみいいの認定こども園は市が有する土地に民間の保育所を設置した例ですが、このように今後の市立保育所の民営化に当たってはあらかじめ保育施設を準備するのではなく、補助金を活用して建設の段階から民間に任せる手法を用いるのはどうでしょうか。見解を伺います。
159 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
160 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
議員御紹介の上飯野の市有地を活用した保育施設整備事業では、保育需要の高い東部区域の保育の受皿を確保するため、無償で貸し付ける市有地に運営法人が新しい保育施設を整備する手法を用いました。この手法を用いた場合、1つに、保育施設の運営法人が施設の設計、建設を一貫して担うことにより特色ある保育内容に合わせた施設を建設できたこと、2つに、運営法人の選考から保育施設の開所までの期間が約1年10か月と比較的短期間であったこと、3つに、保育施設の建設に当たり、国の補助制度が活用できたことなどの効果があります。
施設の建設段階から民間に任せる手法の導入については、引き続き調査・研究してまいりたいと考えております。
161 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
162 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
何か利点だらけだったような気もしますが、ぜひともこの手法を用いていくこともどんどん研究、検討していただきたいなと思っております。
今回の民営化の質問、私はこの保育所の民営化は今後も確実に進めていくべきことだと考えております。民営化によって財政負担の軽減された分をまたいろんな保育施策に有効に活用することができたらさらなるサービスが広がってくるのかなと思っております。減ったからそれをほかに回すのではなくて、やはり保育所とか子どもたちに対しての予算を確保していく、そのためにはこの民営化をどんどん進めて、また違うサービスに持っていくといったことを考えていただきたいなと思っております。
ただ、この10年間で民営化された保育所は5か所にとどまっており、なかなか進まないというのが現状です。民営化対象保育所選定基準は平成13年に制定され、その後、平成16年、平成17年、平成27年にそれぞれ改定されています。その時々の改定内容は分かりませんけれども、最後の改定からでも随分時がたっています。現状に即した見直しが必要なときかもしれません。
この見直しについて当局の見解を伺います。
163 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
164 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
民営化対象保育所選定基準を踏まえ、着実に民営化を進めてきていることから、選定基準を見直すことは考えておりません。
165 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
166 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
端的にありがとうございました。
今回は民営化すべきという観点から質問してきました。ただ、私もやみくもに民営化を進めようというつもりはありません。民営化の目的をしっかりと示さなければならないと考えるからです。これまでの議論、また、今回の答弁においても民営化の効果の1つとして財政負担の軽減が挙げられました。もちろんこのことも重要な要素ではありますが、これが決して目的ではないはずです。何より子どもたちのために、そして、働く保護者のために、また、運営を請け負う民間事業者にとっても民営化を進めてよかったなと思うことができる、このことが本市において多様で良質な保育サービスを安定して提供することにつながると思います。
今後の市立保育所の民営化について藤井市長の考えをお聞かせください。
167 ◯ 副議長(高田 真里君)
藤井市長。
168 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えいたします。
本市では、平成15年度の針原保育所から令和5年度の堀川保育所まで、議員も御指摘のとおり、28か所の市立保育所の民営化を行い、保護者の多様なニーズに対応した保育環境の整備に取り組んでまいりました。
この間、民営化保育所の増加とともに、2時間延長保育実施施設数は6か所だったものが40か所に、休日保育実施施設数は5か所だったものが40か所に大きく増えるなど、本市における保育サービスの拡充が図られてきたものと考えてございます。
私自身、議員になる前に地元の保育園の理事長として富山市の民営化保育園の民営化をお受けした経験がございます。保護者の方々や入所しているお子さん方に不安を感じさせることのないよう、行政としっかりと連携しながら、地域の方々にも温かいサポートをいただきながら丁寧に取り組ませていただいたということを昨日のことのように覚えております。
一方、本市の令和4年度における保育施設全体に占める市立保育施設の割合は33.1%となっております。中核市平均の17.6%より高いことを鑑みれば、民営化対象保育所選定基準を満たし、事業を安定的に継続して運営していける施設があるのであれば、今後も民営化を進めてまいりたいと考えております。
なお、民営化を進めるに当たっては、富山市民営化対象保育所等及び引受法人選考委員会の意見を丁寧に聞きながら進めてまいりたいなと考えております。
人間の発達段階において、乳幼児期のしっかりとした大人との関係性、愛情に包まれて保育を受ける、あるいは成長するということは「三つ子の魂百まで」という言葉もございますとおり、その人の人間形成にとって大変大きな影響を与える部分でありまして、そういう観点からも非常に富山市の保育というものは大事だなというふうに考えている次第であります。
本市といたしましては、引き続き保育施設を利用する子どもとその保護者に十分配慮をしながら、こどもまんなか社会の実現の視点に立って、保育内容あるいは保育環境のより一層の充実に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
169 ◯ 副議長(高田 真里君)
29番 橋本 雅雄君。
170 ◯ 29番(橋本 雅雄君)
私は保育所の民営化という、ここだけを重点的に考えているわけではなくて、やはり保育のさらなる充実、こういったものが必要ではないかなと。もっともっと富山市が質の高いサービスを求めていっていただきたいと。私はこれは、少子化対策にも当然つながるものだと思っております。
少子化対策と称しまして何とか補助金だ、何とか手当てだ、はたまた無償化、私とはちょっと考えが違いますからあれですけれども、午前中とかもありました。ただ、私は親が子どもを育てるのは当たり前だと思っていますし、子どもに食べさせるのは当たり前だと思っています。そういったところで何が軸となるのか。人が生きていく上で、そしてまた生活していく上で、やはり働くことがしっかりと軸にならなければならないのではないかなと思っております。若い人たち、この人たちが働くためには、安心して子どもたちを預けられる施設に朝預けたら、もう本当に夕方まで何の心配もなく安心して預けられる体制、こういったものが必要なのではないかなと思っております。
先ほども言いましたけれども、やはり民営化して予算として浮いた部分、これを保育施策にまた何かしらの新しいサービス、こういったものを考えていただいて、「保育日本一とやま」といったことが掲げられるようにやればいいのではないかなと思っております。
もちろん働く環境というのは当然必要です。だけど、その上で、富山市で子育てをしたら保育所なんかも何でもしてくれるぞと、全く心配ないぞと、そういったような保育体制が整えばいいのではないかなと思っていますので、今後とも私自身もいろいろと考えていきたいなと思っております。またどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
171 ◯ 副議長(高田 真里君)
これで橋本議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
6番 澤田 和秀君。
172 ◯ 6番(澤田 和秀君)
令和6年3月定例会に当たり、自由民主党より一般質問をいたします。
今回は、大沢野地域、細入地域におけるコミュニティバスとシルバータクシーの運行についてと、当市における福祉避難所についてお伺いいたします。
まず、大沢野地域、細入地域におけるコミュニティバスとシルバータクシーの運行についてお伺いいたします。
現在、富山市内では、大沢野地域、細入地域のみコミュニティバスの運行がありません。そのため、地域住民はコミュニティバスの早期運行を熱望しています。
さらに、細入地域では大沢野地域で利用できるシルバータクシーの利用もできません。住民からは、神通川を挟んだ対岸の下タ南部地区、下タ北部地区はシルバータクシーの利用が可能で、そのシルバータクシーは神通川を渡り、細入地域を通り、大沢野地域に向かいます。細入地域内を通過するのにどうして細入地域住民はシルバータクシーの利用ができないのかという声を多くいただいております。
そこでまず、大沢野シルバータクシーの過去3年間の利用状況についてお伺いいたします。
173 ◯ 副議長(高田 真里君)
当局の答弁を求めます。
深山活力都市創造部長。
174 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
自由民主党、澤田議員の御質問にお答えをいたします。
大沢野シルバータクシーにつきましては、高齢者の生活の足の確保や公共交通空白地域の解消を目的に、大沢野地域に居住する満65歳以上の高齢者を対象とした予約型の乗り合いタクシーであります。
その過去3年間の年間延べ利用者数につきましては、令和2年度が1万7,749人、令和3年度が1万9,700人、令和4年度が2万948人と増加傾向となっております。
175 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
176 ◯ 6番(澤田 和秀君)
ただいまお答えいただいたとおり、コロナ禍前よりも利用者が増えているというふうに思います。
これは、コロナ禍により地域の病院やクリニックが無料送迎バスの運行をしていたのを廃止したことが大きな要因ではないかというふうに考えております。
また、シルバータクシーが運行されていることにより高齢の方々が安心して免許の返納ができるとの声も聞かれております。免許を返納された方が利用されたことも理由の1つではないかというふうに考えます。
細入地域においては、シルバータクシーの利用ができないため、90歳を超えても運転免許を返納できない方もいらっしゃいます。
このような方々が安心して暮らし、自由に移動できる地域にするためにも、大沢野シルバータクシーを細入地域に拡大することはできないのか、可能性についてお伺いいたします。
177 ◯ 副議長(高田 真里君)
深山活力都市創造部長。
178 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
本市では、鉄軌道の駅及び停留場、並びに路線バスなどのバス停から半径750メートルの外側のエリアを公共交通空白地域と定義しており、こうした地域における生活交通を確保するため、これまで地域の住民や企業が連携・協力して運行する地域自主運行バスを支援するとともに、中山間地域においては、コミュニティバスや大沢野地域でのシルバータクシーの運行を市直営で行ってきたところであります。
議員御提案の細入地域につきましては、JR高山本線の楡原駅と猪谷駅があるほか、地鉄バスの停留所が13か所あり、細入地域の約98%の方が公共交通空白地域ではない、駅や停留所に歩いてアクセスすることが可能なエリアに居住されていること、さらには、富山・猪谷間では往復約20便の路線バスが運行されていることから、本市といたしましては、こうした地域でシルバータクシーを導入することは難しいものと考えております。
しかしながら、自由民主党会派の泉議員の御質問で答弁いたしましたとおり、中山間地域における生活の足の確保は重要であることから、本市といたしましては、国において議論が進められております地域の自家用車や一般ドライバーを生かしたライドシェア、地域住民などによるボランティア輸送などの活用の可能性について、交通事業者等と意見交換を行いながら、今後研究してまいりたいと考えております。
179 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
180 ◯ 6番(澤田 和秀君)
シルバータクシーの細入地域運用ということもなかなかできないというふうな形なのですが、いろいろな手段もあるでしょうし、今後ともまた検討していただきたいなというふうに思います。
さて、シルバータクシーについて質問してまいりましたが、シルバータクシーは高齢者の移動手段としては大変有効な事業です。しかし、18歳未満や運転免許を持たない方々の移動手段としては使えません。
大沢野地域、細入地域には公共交通機関としてJR高山本線と地鉄バスが運行されています。この公共交通機関を利用するためには、最寄りの駅またはバス停まで行かなければなりません。JR高山本線は大沢野地域、細入地域に3か所の駅があり、また、地鉄バスのバス停は大沢野地域の中央を走る国道41号沿いにしかありません。大沢野地域は東西を結ぶ交通機関がないため、遠く離れたバス停やJR高山本線の駅に行く手段は家族に送迎してもらうか自転車で行く必要があります。自転車でバス停に着いても、バス停によっては自転車を置く場所もなく、冬は雪が降るため自転車を使うことはできません。
家族を送迎するために正社員を諦め、パート勤務を余儀なくされているとの声も寄せられています。
これらの方々の移動手段としてコミュニティバスは大変有効です。
そこで、市営コミュニティバスを大沢野地域、細入地域で導入する可能性についてお伺いいたします。
181 ◯ 副議長(高田 真里君)
深山活力都市創造部長。
182 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
本市では、大沢野シルバータクシーのほか、大山、八尾、山田の各地域においては中山間地域にお住まいの方の移動手段を確保するため路線定期型のコミュニティバスの運行を行うことや、住宅等が面的に立地している大山地域の平たんなエリアにおいてはAIオンデマンド交通システムの社会実験を行うなど、各地域の実情に応じた様々な形での市営コミュニティバスを運行しております。
大沢野シルバータクシーにつきましては、旧大沢野町でコミュニティバスの試行運行を実施した結果、利用者の多くが高齢者であり、地域の実情に応じて高齢者のみを対象としたシルバータクシーとして運行に至ったものであります。
また、大沢野シルバータクシーは、利便性の高いドア・ツー・ドア型のサービスであり、利用者数が年々増加し、現在は、先ほどお答えいたしましたとおり、年間約2万人の方に利用されている状況下において、コミュニティバスへ運行形態を変更することは利用者の理解を得ることが難しいものと考えております。
さらに、新たに市営コミュニティバスを導入するためには、運転手の確保、育成に加え、車両の購入や事務所の設置など、新たな設備投資が必要となり、現在多くの地域から地域自主運行バスの導入に向けた相談がある状況下において、限られた予算の中で既に高齢者の移動手段が確保されている大沢野地域に市営コミュニティバスを導入することは難しいものと考えております。
183 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
184 ◯ 6番(澤田 和秀君)
地域交通はお年寄りのためだけにあるわけではありませんので、いろんな状況や免許を持っていない人たちのためにも前向きにまた検討をお願いしたいなというふうに思います。
大沢野地域、細入地域においては、このまま高齢化が進むと東西の移動手段がないため陸の孤島となりかねません。そうならないためには市営コミュニティバスの早期整備が必要だと考えます。
加えて、利便性向上のために地鉄バスのバス停をJR笹津駅前に移設することも考えられます。JR笹津駅のそばには旧笹津保育所があり、この地を有効活用すればバスの回転スペースも確保することが可能であることから、JR笹津駅に地鉄バスのバス停を置くことも可能です。これによりコミュニティバスの運行経路を簡易にすることも可能であると考えておりますので、大沢野地域、細入地域のコミュニティバスの運行をまた前向きに考えていただけたらというふうにお願いいたします。
それでは、次の質問に入ります。
富山市の福祉避難所についてお伺いいたします。
まず、今回の能登半島地震において亡くなられた方々、被災された方々に心より御冥福をお祈りし、お見舞い申し上げます。
元日に起きた能登半島地震は富山市にも大きな被害をもたらしました。しかし、能登地方においては甚大な被害が出ており、今もライフラインが復旧せず、また、家を失うなど、多くの人々が避難所生活を強いられています。
本年1月2日の夜、旧知の仲である穴水町長から連絡がありました。支援物資が全く届かない。一般の避難所はあと3日間は何とかなるが、福祉避難所があと2日で食料、飲料水、暖房や自家発電の燃料が尽きる。何とか福祉避難所を助けてほしいという内容でした。私は翌日、3日分の食料、飲料水、燃料を準備し、社会福祉法人の経営者が集まる団体の応援もいただきながら支援物資を整え、1月4日に届けてまいりました。
生活弱者が集まる福祉避難所は、一般避難所に必要な物資に加えて、様々な物資が必要となります。福祉避難所は、主に社会福祉法人が地域貢献のために自ら登録した施設です。ですから、備蓄品も社会福祉法人自らが備えることになり、多くの法人はBCPを作成し、備蓄品の食料及び燃料は実質利用者が3日間耐え得る物資を備え、食料、燃料以外は1週間耐えられるようにしていると思います。
しかし、これに加えて、施設周辺に住む体の不自由な方々が避難してきた場合、人数によっては2日ほどしかもちません。穴水町長は町長に就任するまで長きにわたり福祉に携わってきた方なので、前回の能登沖地震の経験から福祉避難所も4日は耐え得る備蓄をしていました。しかし、今回のような大規模災害の場合、マニュアルどおりにはいきません。
この実態を目の当たりにし、富山市の福祉避難所がどのように備えているのか確認したいと思います。
まず、富山市の福祉避難所の種別ごとの登録件数をお伺いいたします。
185 ◯ 副議長(高田 真里君)
中村
防災危機管理部長。
186 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
本市の福祉避難所につきましては、災害発生時に小学校等の指定避難所へ避難してこられた方のうち、高齢者や障害者など、避難生活に特別な配慮を要する方を受け入れる避難所として現在65か所を指定しているところでございます。
施設の種別につきましては、老人福祉施設が52か所、障害者支援施設等の施設が10か所、特別支援学校が2か所、児童福祉施設が1か所となっております。
福祉避難所の受入れ対象である高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者などに求められる配慮にはそれぞれ特有の御事情もあることから、それぞれのニーズに応じた受入れが可能となるよう、関係部局と連携し、福祉避難所の確保に努めてまいりたいと考えております。
187 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
188 ◯ 6番(澤田 和秀君)
このように高齢者施設は多くの登録がありますが、障害者、児童施設等の登録施設は極端に少ない状況であります。
私は、本年2月2日に一般避難所にもなっている穴水町役場に炊き出しに行ってまいりました。このとき、午前8時半より食事提供の準備をしながら避難所の様子を見ていると、被災された皆さんは、朝食後、自宅の片づけに向かわれる方、仕事に行かれる方がいらっしゃいました。その間、避難所に残っていたのは高齢者、障害者、また、平日だったため未就学児の方々でした。土日は小・中学校も休みのため児童も避難所にいます。ですから、土日はかなりの人数になります。児童、未就学児も長きにわたる避難所生活でストレスもたまり、走り回る子どもたちもいました。御高齢の方も避難所生活でたまるストレスに加えて、そのような子どもたちがいる中でさらにストレスが増していきます。障害を持った方の中には、避難でストレスがたまり、奇声を発する方もいらっしゃいます。
以上のことから、本市においても障害者施設、児童福祉施設等の福祉避難所をもっと増やす必要があると考えます。
防災危機管理部だけではなく、福祉保健部と連携を取って早急に進めていっていただきたいというふうに思います。
次に、地域ごとの登録件数をお伺いいたします。
189 ◯ 副議長(高田 真里君)
中村
防災危機管理部長。
190 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
本市の福祉避難所の地域ごとの登録件数につきましては、富山地域が48か所、大沢野地域が8か所、大山地域が1か所、八尾地域が2か所、婦中地域が6か所となっており、山田地域、細入地域につきましては現在登録はございません。
居住地によっては福祉避難所までの移動距離が長くなる場合もあることから、引き続き先ほどの種別同様、立地的にもバランスの取れた福祉避難所の新規開拓に取り組んでまいりたいと考えております。
191 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
192 ◯ 6番(澤田 和秀君)
ただいま御説明があったとおり、地域ごとのばらつきが目立つと思います。地域によっては徒歩圏内に福祉避難所がないところもあります。混乱時に遠方の福祉避難所を目指すことは危険でもあり、かなり負担を強いられます。富山市は広大な広さです。地域格差が生じないよう現存施設の登録を進め、新規に施設を設置する場合は福祉避難所登録を前提に計画的に進めていっていただきたいと思います。
次に、今回の地震における福祉避難所の開設件数についてお伺いいたします。
193 ◯ 副議長(高田 真里君)
中村
防災危機管理部長。
194 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
今回の能登半島地震の際、市災害対策本部に要配慮者への支援として福祉避難所を必要とする旨の情報は入っておらず、福祉避難所は開設しておりません。
195 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
196 ◯ 6番(澤田 和秀君)
今回の地震において、一般避難所は富山市のほぼ全域において開設されています。福祉避難所については1か所も開かれていないわけですが、富山市が策定している福祉施設向け福祉避難所開設・運営マニュアルによると、福祉避難所の受入れ対象者は要配慮者とその介護者で介護保険施設や医療機関等に入所、入院に至らない方とあります。そして、その判断は富山市が決定するとあります。
一般避難所に避難された方は約8,100人と聞いております。その中で要配慮者である福祉避難所対象者がゼロだったということはちょっと考えづらいというふうに思います。
それを踏まえて、一般避難所と福祉避難所の開設定義についてお伺いいたします。
197 ◯ 副議長(高田 真里君)
中村
防災危機管理部長。
198 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
まず、一般避難所は、災害の危険性があり、避難した住民等を災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在させ、または、災害により家に戻れなくなった住民等を一定期間滞在させることを目的とした施設で、本市では主に小・中学校などの公共施設を指定しており、市災害対策本部が開設の決定を行い、開設を担当する市職員に指示をした上で市職員が開設することとしております。
次に、福祉避難所につきましては、一般避難所に避難された避難者のうち、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児などの何らかの特別な配慮を必要とする要配慮者を受け入れる避難所であり、本市においては、あらかじめ福祉避難所の設置運営に関する協定を締結した施設のうち、災害時に市災害対策本部から福祉避難所開設の要請を行い、施設の被災状況等を踏まえ、受入れを了承いただいた施設に要配慮者とその家族を移送することとしております。
199 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
200 ◯ 6番(澤田 和秀君)
一般避難所に避難してきた要支援者は、その場所で判断して福祉避難所に移動するというふうなことであると思うのですが、一般避難所の開設者が必ずしも福祉の専門家ではないというふうに思います。要配慮者か否かを判断することはなかなか難しいのではないかというふうに考えています。
防災介助士の育成、普及等を訴える方もいらっしゃいますが、私は、今ある資源が有効に使われればしっかりと対処することは可能だと考えます。先々のために新しい資格者を育成、普及することも大切ですが、今ある資源を有効に使うことを優先すべきと考えます。
私は、長年福祉に携わり、災害現場を福祉の視点で幾度も見てきました。私の視点で全一般避難所に福祉の専門家を災害時、即座に置くことは困難であるというふうに思います。私は、まず要配慮者に関してはできる限り福祉避難所に登録をし、被災された場合は被災者自らの判断で福祉避難所に避難すべきと考えます。福祉避難所がない地域は一般避難所にDWATの派遣を要請すべきです。DWATとは災害派遣福祉チームでして、これは県のホームページに載っていますので、また見ていただければというふうに思います。
要支援者が一旦一般避難所に避難し、そこで市が判断し、福祉避難所に移動するのは、移動手段に問題があったり、二次災害の危険性があります。福祉避難所は一般避難所と違い、特殊で専門性を備えていなければなりません。要支援者の安全確保の点から、一般避難所と福祉避難所は同時に開設する必要があるというふうに考えます。こういうときこそ日頃から地域福祉に積極的に携わり、BCPを作成し、備える社会福祉法人の専門性を生かすべきと考えます。
次に、福祉避難所における送迎についてどのようにお考えかお伺いいたします。
201 ◯ 副議長(高田 真里君)
中村
防災危機管理部長。
202 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
福祉避難所への移動につきましては、原則として要配慮者自身で家族や支援協力者等の協力により行っていただくこととしております。
しかしながら、災害時には自力や家族等での移動が困難な場合も考えられることから、市が作成した福祉避難所開設・運営マニュアル作成ガイドでは、市から福祉避難所施設管理者に対し、福祉避難所施設の本来業務の継続に支障のない範囲で協力を依頼することを定めているほか、災害協定を締結している交通事業者と連携し、要配慮者を一般避難所から福祉避難所への移動を支援することも想定しております。
203 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
204 ◯ 6番(澤田 和秀君)
いろんな状態を想定されているというふうに思いますが、1つの例として、昨年7月の豪雨災害のときに大山地域の一部で地域住民が避難するためのバスが用意されました。しかし、支援が必要な独り暮らしの高齢者がこのバスに乗車することができず、避難することができませんでした。このようなことはあってはならないことです。この場合も、福祉避難所に要支援者登録制度があれば、専門性を持ち、福祉車両を持つ福祉避難所が迎えに行き、避難できた可能性もあります。支援が必要な方々の福祉避難所への送迎の在り方もしっかりと計画していただきたいというふうに思います。
次に、福祉避難所における支援物資についてお伺いいたします。
205 ◯ 副議長(高田 真里君)
中村
防災危機管理部長。
206 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
福祉避難所で必要となる物資や資機材につきましては、同じく市が作成した福祉避難所開設・運営マニュアル作成ガイドにおいて原則として市が調達することとし、必要な物資等の確保を市に要請することを定めております。
また、災害発生当初の段階ですぐに食料や資機材を調達することが困難となる場合も考えられることから、必要な物資が市から届くまでの間に一時的に必要となった際には可能な範囲で施設側に物資の提供の協力をお願いし、要した費用を市が負担することも想定しているところであります。
本市といたしましては、必要な物資の備蓄や輸送手段など、福祉避難所の運営について福祉避難所の施設管理者とあらかじめ調整し、災害発生時には速やかに福祉避難所を開設できるよう、関係部局と連携を図りながら日頃からの備えを進めてまいりたいと考えております。
207 ◯ 副議長(高田 真里君)
6番 澤田 和秀君。
208 ◯ 6番(澤田 和秀君)
今、支援物資は市が全て調達するというふうにお答えいただきましたが、実際問題、今福祉避難所として登録している施設は自ら蓄えている状況であると思います。その物資を使った場合、市にどのような対応をしていただけるのかはまた別の機会にお伺いしたいなというふうに思います。
福祉避難所は、一般避難所に必要な物資以外にも、介護用品など、必要なものがたくさんございます。福祉避難所に必要な支援物資の提供についても計画すべきと考えます。
今回の能登半島地震で穴水町でも介護用品が大量に不足している状態であったため、この富山県からも大量の介護物資を送っているというふうに思います。
富山市が昨年作成した福祉避難所開設・運営マニュアルは初版として重要な役割を果たしてまいりました。しかし、私が本日質問したとおり、課題が多くあることも分かったと思います。要支援者が災害時に避難し、最低限の避難生活を送ることすら難しいような状況になる前に早急な改定が必要だというふうに考えます。
今回は、一般避難所ではなく、福祉避難所について質問いたしました。
防災危機管理部が全てお答えになりましたが、種別ごとの偏りや地域のばらつきなどがあることから、福祉保健部が積極的に関与し、災害発生時には生活弱者である要支援者を福祉保健部がしっかりとサポートしていただきたいというふうに思います。市として生活弱者である要支援者にしっかり寄り添っていただきたいと思います。
市長、富山市が目指す共生社会の実現には様々な取組が必要だというふうに思います。それなりの苦労もたくさんされているというふうに感じております。
災害時には何が起こるか分かりません。マニュアルをいくら整備しても役に立たない場合もございます。そこで一番必要になるのが現場力だというふうに思っています。市長も日頃、そう言っておられると思います。
福祉的な支援が必要な方にしっかり寄り添って、緊急時だからこそ縦割りでない組織をつくり、共生社会の実現を行っていただきたいというふうに思います。私たちも全力で協力したいというふうに思っております。
以上で質問を終わります。
209 ◯ 副議長(高田 真里君)
これで澤田議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
暫時休憩いたします。
午後 2時28分 休憩
───────────
午後 2時50分 再開
210 ◯ 議長(金厚 有豊君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
2番 藤田 克樹君。
211 ◯ 2番(藤田 克樹君)
自由民主党の藤田です。
令和6年3月定例会に当たり、一般質問及び議案の質疑を行います。
初めに、昨年12月定例会での富山市の農家がつくったお米で元気に育ってね!キャンペーンと市営コミュニティバスにおける貨客混載について、確認から始めさせていただきます。
富山市産コシヒカリを活用し、子育て世帯に経済的な支援とコメの消費を拡大することを目指したキャンペーンです。開始当初から引換えが順調に進んできました。とてもおいしかったとリピートされた方もいらっしゃいました。これは顧客満足度が高いことと食べたときに期待を超えていたということだと思います。このキャンペーンが評価される裏づけであると思います。
また、あおば農協管内では1俵当たりの精算金が概算で50円から80円程度になる見込みで、予想以上の成果だと考えます。
令和6年2月末に締切りを迎えたこのキャンペーンの成果についてお伺いします。
また、本事業で得た成果を今後どのように生かすのか見解をお伺いいたします。
212 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
金山農林水産部長。
213 ◯ 農林水産部長(金山 靖君)
自由民主党、藤田議員の御質問にお答えします。
今回の富山市の農家がつくったお米で元気に育ってね!キャンペーンは、本市にお住まいの子育て世帯に子どもの人数分の引換券を配布し、市内12か所の農産物直売所等で富山市産コシヒカリ10キログラムと交換するもので、令和5年8月から令和6年2月までの7か月間実施しました。
その結果につきましては、発行枚数5万7,583枚に対し、5万3,115枚が引き換えられ、その引換率は92.2%と多くの皆様に御利用いただきました。
本事業は、国の物価高騰対策に対応し、令和5年5月市議会臨時会で農業、畜産用の電気料金高騰分への支援、化学肥料を低減する農業機械の導入支援、畜産で利用する低燃費な機械の導入支援とともに物価高克服に向けた支援策の1つとして講じたもので、市内産米の消費拡大による農業者の所得向上と子育て世帯への支援を狙ったものです。実際に御利用された方からは、育ち盛りで食べ盛りの子どもたちにおいしいおコメを食べさせられてありがたいという御意見を市のホームページにいただいたほか、おコメを引き換える際に、食品の価格が高騰する中、おいしいおコメを食べられて助かるという感謝の言葉が多数寄せられたと農協などから伺っており、子育て世帯と農業者の双方への支援につながり、効果的な事業が実施できたものと考えております。
本市といたしましては、長引く物価高騰の影響を受け疲弊している農業者が持続的に農業経営を行えるよう、国の経済対策等の動向や市内農業者の実情などを注視しながら、本事業の成果を踏まえ、今後とも必要に応じた支援策の実施について検討してまいりたいと考えております。
214 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
215 ◯ 2番(藤田 克樹君)
すばらしい結果であると思います。本事業で得られた知見を生かしながら、さらなる富山市の農産物の販売の促進とブランド化に貢献できるよう、今後の取組にもまた期待したいというふうに思います。
次の質問です。
市営コミュニティバスでの貨客混載についてです。
今定例会で議案となりました貨客混載実証事業は、コミュニティバスの課題である収益の向上、小規模ですが多様な輸送ニーズに対応可能であり、地域の活性化に貢献する新しい取組です。
この貨客混載実証事業はどのような内容になるのかお伺いいたします。
216 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
217 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
市営コミュニティバスにおける貨客混載につきましては、昨年末より貨物自動車運送事業者との意見交換や管轄する北陸信越運輸局富山運輸支局との協議を行ってきたところであり、本年4月から山田コミュニティバスの山田八尾線を活用し、山田地域への貨物を運送する貨客混載の実証実験を行うこととしております。
具体的な貨物運送の手順といたしましては、まずはバスが待機している八尾バス管理センターで貨物自動車運送事業者が山田八尾線のバス車両へ貨物を積み込み、バスは定刻どおり路線運行を行います。終点の山田中核型地区センターで運転手が貨物を降ろし、貨物自動車運送事業者が貨物を引き取り、山田地域の各戸へ荷物を配達することとなります。
本市といたしましては、市営コミュニティバスが貨物運送の一部を担うことで収益性の向上につながるとともに、物流の効率化による温室効果ガスの削減や労働力不足の解消などの効果が期待できることから、本実証実験の効果を検証し、他路線や他の貨物自動車運送事業者への展開の可能性について引き続き関係者と意見交換を行ってまいりたいと考えております。
218 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
219 ◯ 2番(藤田 克樹君)
今後もしもまた課題とかが出てきましたら、克服しながら事業を進めていただきたいというふうに思います。それを検証していくことが重要であると私も思っておりまして、今後利用者への周知が大切であると思いますので、利用方法の分かりやすい説明や利用の促進に向けた取組も期待しております。
次の質問に移ります。
JR高山本線は今年10月に全線開通90周年の節目を迎えます。1934年に全線開通して以来、多くの人、貨物を運び、我々の生活を支えてきました。現行のハイブリッド新型車両はすこぶる快適です。ただ移動するだけではなく、渓谷の美しい自然を眺めながら快適な旅を満喫でき、インバウンドにも人気で、今も昔も四季折々の本市の魅力を満喫できます。
全線開通90周年は、JR高山本線のこれまでの功績をたたえ、未来に向けた新たな一歩を踏み出す大事な節目であると考えますが、本市としてどのようなことを考えているのかお伺いいたします。
220 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
221 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えいたします。
JR高山本線につきましては、大正9年より岐阜駅から北へ延伸を続けてきた高山線と昭和2年より富山駅から南へ延伸を続けてきた飛越線が全線開通したことに伴い、昭和9年10月に高山本線となったもので、本年10月に90周年を迎えることは大変喜ばしいと考えております。
この路線は、本市が進める公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりの重要な公共交通軸として位置づけられており、富山、婦中、八尾、大沢野、細入の各地域の生活の足としてのみならず、観光の足としても長きにわたり活躍をしてまいりました。
私自身もJR高山本線を利用することがございますが、列車が千里駅から豊かな田園風景の中、田園地帯を通って、そして、住宅街を駆け抜け富山駅に到着すると。見事なコントラストを感じる雄大な立山連峰をバックにするその風光明媚な景色、あるいは時代の変化を感じる沿線の眺めを今でも楽しむとともに、電車の音、がたんごとんと車内に響きわたるこの鉄道の音は非常に心地よく感じているわけでありますが、大好きな音であります。さらには、乗客が多く、結構なにぎわいがあった私の高校時代は4両編成で走っておりましたけれども、大変思い出深く、愛着のある路線であります。何回か寝過ごして猪谷駅まで行ったこともあります。
本市では、この90周年に合わせて、沿線自治体等で構成する高山本線強化促進同盟会が企画される記念事業と連携し、富山駅での記念式典や沿線駅でのJR高山本線に関する企画展示などを開催し、沿線住民と90周年をお祝いすることで沿線のマイレール意識の醸成を図り、JR高山本線のさらなる活性化につなげてまいりたいなと思っております。
以上です。
222 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
223 ◯ 2番(藤田 克樹君)
JR高山本線ですが、飲んで乗った最終電車で寝過ごして猪谷駅に着くと絶望するものです。これからの記念事業を通してJR高山本線の魅力を発信し、地域活性化に貢献することも目指していただきたいというふうに思います。
とやまレールライフ・フェスタin越中八尾駅実行委員会も期待しております。
次の質問に移ります。
本市における人口推移と財政についてです。
かつて一億総中流社会と呼ばれた時代、結婚や出産は当たり前のように考えられていました。しかし、失われた30年以降、著しい減少傾向にあります。2000年から2022年までの間に、我が国の婚姻数は約37%、出生数は約35%減少しました。婚姻数の減少が出生数に直接的な影響を与えることは明らかです。
内閣府子ども・子育て本部の調査によると、結婚持続期間が15年から19年の初婚同士の夫婦の女性が生涯に産む子どもの平均数である完結出生児数は、1970年代から2002年頃までは約2.2人前後で推移してきていました。少子化が進む中、2021年でも1.9人程度であるため、婚姻数が1組増加すると出生数は概ね2人増加する傾向は今でも大きくは変わりません。これは出生数が激減する中、子育て支援、子どもに対する現金給付や子育て世帯の税制優遇などの支援の拡充が進んだことによるものだと考えます。何よりも最前線で活躍される方々のたまものではないかというふうに思います。
一方、内閣府の国民生活に関する世論調査によると、今後の収入や総資産の見通しについて不安を感じる割合は1996年から2022年の間に20代では概ね33%から67%へと大幅に上昇しているため、経済環境と婚姻数の相関関係は、経済環境の悪化で経済不安が高まり、結果として婚姻数が減少したという因果関係にあると考えます。
我が国の景気は、経済活動の再開や賃金上昇などで回復基調に戻ってきております。大手ゼネコン4社の例ですが、初任給の引上げは3年連続で、今年度は各社大卒28万円、大学院卒30万円とすると報道されています。加えて、日経平均の株価が4万円台を行ったり来たりしています。
少子化の流れが止まる経済環境が整いつつあると思います。若者の結婚に対する不安を取り除き、結婚したいマインドを上げることが大事であるというふうに思います。
まずは、富山市民病院における分娩数です。
首都圏から里帰り無痛分娩されたケースが意外と多いのと、第1子出産時に無痛分娩があることを知り、第2子を無痛分娩で出産することもあると聞きました。総分娩件数に占める割合は年々高くなり、人気が出ていると思います。
そこで、富山市民病院における分娩数の過去5年間の推移とその傾向について見解をお伺いいたします。
224 ◯ 議長(金厚 有豊君)
石田病院事業管理者。
225 ◯ 病院事業管理者(石田 陽一君)
富山市民病院における過去5年間の分娩数の実績につきましては、令和元年は1月から12月の1年間で269件、令和2年は189件、令和3年は295件、令和4年は380件、令和5年は343件であります。
本市における出生数が年々減少している一方で、富山市民病院における分娩数は、令和2年に新型コロナウイルス感染症の影響を受け一時的に落ち込んだものの、無痛分娩件数の増加を背景にコロナ禍前より増える傾向にあり、現在のところ出生数の推移と相関性は見受けられないと考えております。
226 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
227 ◯ 2番(藤田 克樹君)
富山市民病院では出生数の減少はないと、むしろ増えているのではないかというところだったのですけれども、恐らく無痛分娩が功を奏しているのだなというふうに思っておりまして、この無痛分娩は出産を決意する大きな後押しとなって少子化対策にも貢献しているというふうに考えます。
こうした分娩数とその傾向から不安な点が少しあります。特に、無痛分娩は産婦人科医、麻酔科医との連携が欠かせません。医師の働き方改革による影響が富山市民病院における分娩に影響がないのか見解をお伺いいたします。
228 ◯ 議長(金厚 有豊君)
石田病院事業管理者。
229 ◯ 病院事業管理者(石田 陽一君)
病院事業局では、令和3年度から医師の働き方改革の取組を進めており、産科医療におきましても、助産師等を含むチームによる診療体制とすることで医師1人当たりの時間外労働の縮減を図りながらも、安心・安全な出産が持続できるよう取組を進めてきたところであります。
また、産科医師については、在籍する4名の医師が通常診療や分娩を行うとともに、休日・夜間については大学から臨時応援医師の派遣等の支援を受ける体制を取っております。
働き方改革が施行される令和6年4月以降においても、大学との協議を重ねまして、常勤の産科医師の確保や臨時応援医師の招聘により安定的に分娩を行える体制を堅持してまいりたいと考えております。
230 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
231 ◯ 2番(藤田 克樹君)
年々出生数が増えている中、いろいろと御苦労なさっていると思うのですが、ちょっとあえてお聞きしたいというふうに思います。世の中の出生数が増えて、今後年間の出生数が徐々に増加していった場合、富山市民病院におけるこの分娩への影響についてお伺いいたします。
232 ◯ 議長(金厚 有豊君)
石田病院事業管理者。
233 ◯ 病院事業管理者(石田 陽一君)
先ほども申し上げましたが、富山市民病院での分娩件数は近年増加傾向にあり、出生数の推移とは相関性が見受けられませんが、全体の出生数がさらに増えることにより富山市民病院の分娩数もさらに増加することは否定できません。
しかしながら、現在の状況から見て、出生数が短期間で急激な増加を来すことは考えにくいと思われます。
したがって、出生数が緩やかに増加するのであれば、富山市民病院においては時間をかけて産科医師や助産師の数を増やすことにより対応することは可能と考えております。
いずれにしましても、富山市民病院は少子化対策に取り組む本市の一部門として産科の機能を堅持するとともに、無痛分娩など、地域住民の医療ニーズにもしっかりと応えてまいりたいと考えております。
234 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
235 ◯ 2番(藤田 克樹君)
ありがとうございます。
分娩医療体制の充実を図っていただき、より多くの方が安心して出産できる環境整備に今後ともまた努めていただきたいというふうに思います。
子育て支援のど真ん中である本市の保育所等の運営管理事業についてお伺いいたします。
出生数が減少している中、保育士不足に直面し、その運営が厳しい状況であると考えますが、令和元年度と令和5年度を比較して、市立保育所等における受入れ児童数と保育士等の数はどのように変化しているのか見解をお伺いいたします。
236 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
237 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市の市立保育所及び幼保連携型認定こども園における受入れ児童数につきましては、平成31年4月1日時点で3,264人、令和5年4月1日時点で2,520人であり、5年間で744人減少しております。
次に、保育士、保育教諭の数につきましては、正規職員、会計年度任用職員を合わせて平成31年4月1日時点で661人、令和5年4月1日時点で639人であり、5年間で22人減少しております。
238 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
239 ◯ 2番(藤田 克樹君)
この変化の中、令和元年度と令和5年度を比較して市立保育所等の運営費はどのように変化しているのかお伺いいたします。
240 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
241 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市の市立保育所及び幼保連携型認定こども園における運営費につきましては、令和元年度当初予算で41億9,500万円余り、令和5年度当初予算で43億9,900万円余りであり、5年間で2億円程度増加しております。
この要因といたしましては、令和2年度以降、市立保育所について3か所を民営化、2か所を休所したことに伴い、施設の運営管理に要する費用が減少した一方、幼保連携型認定こども園が2か所増加したことや医療的ケア児の受入れを開始したことに伴う人件費の増加などの影響によるものと考えております。
242 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
243 ◯ 2番(藤田 克樹君)
施設の運営費が子どもの数が減ってもなかなか減らない。だけど、かかってしまうというのは、これはこども家庭部の努力があってと。その結果、先ほど申し上げました完結出生児数が1.9人程度で収まっている要因ではないかというふうに思います。
今後、手厚い子育て支援も入ると思います。そうした少子化対策が成果を上げ、出生数が増えた場合、保育士の確保がさらに必要だと思いますが、それについてお伺いいたします。
244 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
245 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市では、市立保育所等における保育士を確保するため、県内の保育士養成校を訪問し就職担当者に保育士の採用について説明を行うほか、保育現場の負担軽減を図るため、国の基準を上回る人員配置や保育士の休憩時間を確保するための職員配置、ICT化の推進等に取り組んでまいりました。
一方、国では、令和6年度以降、保育士の配置基準の改正を予定されているほか、令和8年度から(仮称)こども誰でも通園制度の実施が予定されており、さらなる保育士の確保が必要となる見込みであります。
議員お尋ねの出生数が増えた場合の保育士確保につきましては、新たな保育需要を的確に捉え、国の基準に基づいた保育士の配置ができるよう引き続き様々な取組を積極的に行い、保育士の確保に努めてまいりたいと考えております。
246 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
247 ◯ 2番(藤田 克樹君)
先日、民間の総合支援施設、大沢野ドリームベースのオープニングセレモニーに参加してきました。こども家庭部長も一緒に参加されたというふうに思います。この施設は、幼保連携型認定こども園、学童クラブ、放課後等デイサービスから構成される総合支援施設です。子育ては家庭だけの責任ではなく、社会全体で支えるという意識を醸成し、地域のにぎわいを創出する「こどもまんなか」の取組であると考えます。
多角的な視点から様々な施策を推進することで保育士の働きがいのある環境を整備し、質の高い保育を提供できる社会を実現していくことが重要だと考えますので、今後の取組について期待しております。
本市の財政調整基金は不確実性に対処するために重要です。財政調整基金条例の第5条では、経済事情が大きく変わり、財源が不足した際に基金を使用できると定めています。
しかしながら、少子化対策の成果が見込めない場合、長期的に経済に影響を与え、市政の財政にも影響するこの静かな有事が経済事情の著しい変動等に該当するのか、条例の解釈に曖昧さがあると考えます。
そこで、財政調整基金は今後の人口減少に伴う将来の歳入減少、歳出増加への備えとして機能するのか。機能しない場合は、条例改正、もしくは基金をつくってみてはどうかと思いますので、見解をお伺いいたします。
248 ◯ 議長(金厚 有豊君)
牧田財務部長。
249 ◯ 財務部長(牧田 栄一君)
財政調整基金につきましては、地方財政法に規定の趣旨に基づき、年度間の財源調整や大きな災害、経済事情による税収の変動に備えるために設置しております。これまでも大雪に伴う除排雪経費や新型コロナウイルス感染症対応に係る経費、路面電車の南北接続事業完了時における経費の増など、一時的な財政需要に対応するため活用してきたところであり、本定例会においても8億円を当初予算に計上しております。
一方で、今後少子・高齢化が一段と進行することによって納税者の減少に伴う税収の減少や高齢化の進行に伴う社会保障費の増大が想定されることについては、一時的なものではなく、恒常的に財政運営に影響を及ぼしていくものと考えております。
この少子・高齢化の恒常的な影響を見据えた今後の財政運営に特効薬といったものはございませんが、その対応策としましては、まずは財政運営の基本であります「入るを量りて出ずるを制す」の故事のとおり、できる限り歳入の確保に努めながら、その範囲内で事業を実施できるように既存の事業を絶えず見直すことが最優先であると考えております。
また、こうして生み出された貴重な財源を、将来を見据え、真に必要な施策に重点的・効率的に配分し、できる限り財政調整基金を使わずに、可能であれば決算剰余金等を活用し、基金残高の維持・増加に努めていくことが重要であると考えております。
その上で、昨年7月の大雨及び本年1月の能登半島地震に伴う災害復旧費や、今ほど申し上げた事例などのような支出の対応により一時的に財源が必要になった場合には、一般財源の最後のとりでである財政調整基金をちゅうちょなく活用してまいりたいと考えております。
こうしたことから、少子・高齢化の進行に伴う将来の歳入減少及び歳出増加を見据えた財政調整基金条例の改正や新たな基金の創設については現在のところ考えていないところであります。
250 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
251 ◯ 2番(藤田 克樹君)
心配症だったもので聞いてみました。
今後についてですけれども、これから結婚や子育てを考える方々にとって、手厚い子育て支援や少子化対策に関する正確で包括的な情報の提供は出産や育児に前向きになるには不可欠であり、安心して家族計画を立てられるようになると考えます。
そこで、出産、育児から高校卒業までの行政からの経済支援が分かる出産子育て支援パンフレットなどがあると理解しやすいと考えますが、見解をお伺いいたします。
252 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
253 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
安心して子どもを産み育てられる環境づくりのため、子育てに関する様々な情報を適宜適切に発信することが重要であると考えております。
このため、本市独自の子育て支援ウェブサイト「育さぽとやま」と子育て支援AIチャットボットの活用により保護者が24時間いつでも必要な情報を取得できるよう環境整備をしているほか、出産後に行う各種手続や子育てに役立つ情報などをライフステージごとにまとめた富山市子育て支援ガイドブックを作成し、妊娠届出時や保育施設の入所時等の機会を捉えて配布し、広く周知しているところであります。
議員御提案の出産子育て支援に関する行政からの経済的支援が分かるパンフレット等の作成につきましては、出産、子育てに対する経済的不安の払拭につながることが期待できることから、例えば出産費用や保育料、医療費などに対する行政からの経済的支援の内容が子どもの成長段階ごとに一目で分かるような一覧を作成し、既存のウェブサイトやガイドブックに掲載することを検討してまいりたいと考えております。
254 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
255 ◯ 2番(藤田 克樹君)
今行っておられます少子化対策などの支援策はいろいろ多岐にわたり、ややこしいものだというふうには重々承知しておりますが、ぜひ市民の目線に立って、分かりやすくて、ぜひ女性受けするようなかわいいコンテンツを作成していただければと思います。
出産や育児の不安を解消するためには行政との信頼関係をいち早く築いておくことが大切と考えますので、本市の手厚い子育て情報を社会に出る前のできるだけ早い段階に伝えることが有効と考えますが、見解をお伺いいたします。
256 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
257 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
議員御指摘のとおり、社会に出る前の学生等の若い世代に対して本市の子育て支援の取組を周知・啓発することは大切な取組であると考えております。
このため、市内の企業に勤める10代から20代の若者や専門学校、大学等の学生を対象に毎年開催している妊娠・出産を考えるフォーラム等の機会を捉えて、本市のウェブ等を活用した子育て支援情報を周知してまいりたいと考えております。
また、令和6年度に実施を予定しているこどもまんなか推進事業では、幅広い世代に対して「こどもまんなか」の趣旨を周知し、社会全体で子育てを支える機運の醸成を図ることとしており、この中で若い世代に向けた子育て情報の発信についての取組も行ってまいりたいと考えております。
これらの取組を通じて、若い世代が将来、本市において結婚、出産、子育てをしたいと思えるよう周知・啓発に努めてまいります。
258 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
259 ◯ 2番(藤田 克樹君)
引き続きよろしくお願いいたします。
市民のニーズに応えるための政策立案や人口動態に基づく将来設計など、行政の運営はスピード感が重要であると考えます。
現在、必要な統計情報を収集するために情報システム課に個別に依頼することがあります。このプロセスでは情報システム課の担当者が複雑な抽出条件を理解し、それに対応する必要があり、業務負担が増大しております。場合によっては、システムの変更が必要になることもあります。
今後、議題として上がっている
地方公共団体情報システムの標準化により、職員が表計算ソフトなどを使用して必要なデータを簡単に抽出できるようになることが期待されます。
さらに、データ分析を行う際には、生成AIによって事前にデータを学習させておくことでより高度な分析や予測が可能になります。
一方、政策立案の効率化やデータに基づく意思決定の進展が期待される一方で、職員自身のデジタルリテラシー、特にデータ分析やAI技術への理解の向上が不可欠です。
そこで、本市における基幹システムの標準化で今後データの活用にどのような影響があるのかお伺いいたします。
260 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
261
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
これまで市では、システム内に保有しているデータを抽出し利活用する際、システム保守業者にデータの抽出や加工を委託するか、またはシステムのEUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)と呼ばれる機能によりデータを抽出して対応してきたところであります。例えば、今年度実施した住民税非課税世帯等に対する給付金支給システムであったり、物価高騰支援給付金等の支給に係るシステム構築の際の支給対象世帯の抽出のように複雑な加工等が必要なケースは外部に委託し、また、今年度の富山市民意識調査に係る住民基本台帳データの抽出のような複雑な加工等を必要としないケースはEUC機能を活用して職員で対応してきたところであります。
一方、標準準拠システムへの移行が完了した後は、システムから抽出したデータがシステムの標準化前のものとは異なる形式になりますが、現時点でまだ標準準拠システムに関する国の仕様が固まっていないことから、データを利活用する上での影響は明らかになっておりません。
いずれにいたしましても、来年度からいよいよ標準化に向けた新たなシステムの構築作業が本格化することになりますが、市民サービスの根幹をなす重要な機能を担う基幹業務システムの一斉更新は本市では平成17年の市町村合併時以来となりますので、移行作業が円滑かつ安全、着実に進むよう万全を期してまいりたいと考えております。
262 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
263 ◯ 2番(藤田 克樹君)
大きなイベントだというふうに思っております。基幹システムの標準化の成功のためには、技術的な準備だけではなく、人材の育成と組織文化の変革が重要と考えます。基幹システムの標準化は地方自治体のデータ利活用において大きな可能性を秘めているものの、その実現には組織全体の取組と職員のスキルアップが鍵となると考えていますので、今後とも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
最後の質問になります。
都会で学んだり、働いたりした人が故郷に戻ることは地域にとって大きな利益をもたらすと考えます。Uターン移住は地域経済への直接的な貢献だけでなく、新しい知識やスキルを通じて本市の活性化にもつながります。
富山市移住支援金の利用者は年々増加していますが、その対象は首都圏に限定されています。この支援策は首都圏の一極集中の解消を目的としており、その観点から設計されていると思っております。
本市のさらなる発展を目指す上で、支援対象となる地域を全国に拡大することが大きな成果をもたらすと考えます。さらに、Uターンによる出会いの増加が婚姻数の増加と新たな世帯の形成を促し、結果として市税収入の向上にもつながると考えます。
ふるさと富山に帰りたい全国に散らばる若者を応援するため、富山市移住支援金の対象地域を市独自で拡充し、富山県以外とできないか見解をお伺いいたします。
264 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
265
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
本市の税収を向上させるためには、企業の市内進出や設備投資を活発化させ、雇用を増大させることが何より肝要です。
このため本市では、呉羽南部をはじめとする
企業団地を造成してきたほか、新たな
企業団地の候補地についても今年度改定する第2期富山市工業振興ビジョンに盛り込むこととしております。
また、
企業団地等に進出する企業に対し、商工業振興条例に基づき、用地取得に対する最大1億円の支援や工場などの新増設に対し低利な融資制度を設けるなど、県外企業等の本市への立地を促進してきたところであり、また、国においても、安定した雇用の創出を通じて地方への新たな人の流れを生み出すことを目指し、東京23区から本社機能の一部または全部を地方に移転する場合や地方に本社を置く企業がその本社を増築する場合などに対し、税の優遇措置、いわゆる地方拠点強化税制を設けております。
市としては、引き続き県外企業の本市への立地や市内企業の設備投資を促進することで雇用を創出し、税収の向上を目指すこととしており、個人や世帯を対象とした国の移住支援金制度について市独自に東京圏以外の地域にまで対象地域を拡大することは費用対効果の面からも考えておりません。
266 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
267 ◯ 2番(藤田 克樹君)
先日、地元の方から「おらんとこの息子が大阪から帰ってくるがやけど、これ使えんがか」というふうに聞かれたのです。ちょっと公平性に欠けているのではないかというふうに言われるわけなのです。全国から帰ってきたい人はいっぱいおるぞと。なので、ぜひまた機会があれば、前向きに検討していただければというふうに思います。
最後の質問です。
移住者が本市に定住するための要因の1つとして家を所有することが挙げられます。国土交通省の住宅市場動向調査(2022年度版)によると、注文住宅の建築費用は年々上昇しており、多くの家庭にとって手が出しにくくなっております。現在、年収約400万円程度の場合、土地と建物の購入は困難な状況です。それでも公共交通の沿線地域、特に中山間地域に近い場所では地価が比較的安価で、居住を促進するには最適な場所だと思われます。特に地元へのUターンの場合はより魅力的に感じると思います。
しかしながら、例えば越中八尾駅での公共交通沿線の居住推進地区が半径500メートルほどの地域です。これでは小さ過ぎて移住先の選択肢が広がらないというふうに思います。
今後、Uターンされる方を対象に、持ち家を持っていただくために公共交通沿線居住推進補助対象地区を拡張し、補助額を充実させることが有効と考えますが、本市の見解をお伺いいたします。
268 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
269 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
議員お尋ねの公共交通沿線居住推進地区につきましては、本市が進める公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりにおいて、サービス水準の高い便利な公共交通の沿線で車を自由に使えない市民も日常生活に必要なサービスを享受できる徒歩圏をエリアとして設定し、その考え方を都市マスタープランに位置づけ、これまで15年以上にわたり、市民の方だけではなく、Uターンされる方を含めて居住誘導を進めてきたところであります。
議員御提案の居住推進地区のエリアを拡張すること、すなわち、この徒歩圏を拡大することにつきましては、再び市街地の拡散や低密度化を招き、本市のコンパクトなまちづくりにおけるこれまで積み重ねてきた取組の効果が低減してしまうことから、引き続き現在の居住推進地区のエリアを維持してまいりたいと考えております。
また、これらの地区での居住推進のための補助制度につきましてはあくまでも居住を誘導するためのインセンティブであり、住宅を取得することへの経済的な支援が主目的ではないことから、建築費の高騰などを理由に補助額を増額することは現在考えていないところであります。
なお、本市では、地域コミュニティーの維持・強化を図ることを目的に居住推進地区以外を対象としたふるさと回帰リフォーム等補助事業を実施しており、住宅取得には活用ができないものの、子世帯がふるさとに戻り、親世帯と同居するため親世帯等の住宅のリフォーム等に対して支援を行うものであり、Uターンされる方にも御活用いただけるものと考えております。
270 ◯ 議長(金厚 有豊君)
2番 藤田 克樹君。
271 ◯ 2番(藤田 克樹君)
公共交通沿線居住推進補助対象地区なのですけれども、いろいろな場所で設定されております。前々回ぐらいの私の一般質問でも出させていただいたことなのですけれども、この越中八尾駅を中心とした半径500メートルの中には買物できるところも歩いていけるところにはほとんどない状態でございますので、なかなか難しいかとは思うのですけれども、私もいろいろ考えて今後とも提案させていただきたいというふうに思っております。
こういった支援策を強化することは、富山市の将来にとっても少子化の対策にとってもプラスになるのではないかというふうに考えていますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
以上で終わります。
272 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで藤田議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
23番 東 篤君。
273 ◯ 23番(東 篤君)
令和6年3月定例会に当たり、立憲民主市民の会より一般質問を行います。
初めの大項目として、スマートシティ政策の推進について質問いたします。
まず、富山市公式LINEについて何点か伺います。
本市は、昨年8月から無料通信アプリLINEの公式アカウントの運用を始めました。私も、運用を始めたことを知った直後から友達申請し、利用しています。緊急情報や避難情報が全員に配信される、防災、イベント、スポーツ、子育てなどのテーマについて受信設定しておけば情報を受け取れる、居住地域を登録すれば可燃物ごみ、プラ容器ごみ、缶ごみ、不燃物ごみなどの収集日──通知時間は地域によって違うようですが、私の場合は前日の夜7時頃に通知されます──こういうお知らせが届くなど、いろいろな情報がプッシュ型で通知され、大変重宝しています。
また、昨年秋はクマ出没情報通知サービス登録者に対して連日、熊情報が配信され、市民の安全を守るために大いに貢献したのではないか、こう思っております。
そこで初めの質問ですが、富山市公式LINEを導入した理由について答弁を求めます。
274 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
前田企画管理部長。
275
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
立憲民主市民の会、東議員の一般質問にお答えいたします。
最初に、富山市公式LINEを導入した理由についてのお尋ねがありました。本市では、スマートシティ政策の取組の1つとして市民に身近なアプリであるLINEを活用したプッシュ型の行政情報の発信や行政手続のオンライン化による利便性向上を図るため新たに富山市公式LINEを開設し、昨年8月2日からサービス提供を開始したものであります。
276 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
277 ◯ 23番(東 篤君)
これを利用している市民、あるいは、市外在住者であっても市内在住のスマホやパソコンを持っていない高齢の親に情報を提供するために利用している人もいるでしょうけれども、大変助かっているのではないかなというふうに私も思っております。
それでは次に、富山市公式LINEの登録者数の推移及び直近の登録者数のうち、多数の割合を占める年代について答弁を求めます。
278 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
279
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
富山市公式LINEの登録者数は、今年2月末現在、2万6,072人であり、その年代別の割合としては、多い順に50代が約26%、40代が約21%、60代が約20%と、40代から60代で全体のおよそ7割近くを占めている状況にあります。
280 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
281 ◯ 23番(東 篤君)
私は、パソコンとかスマホを使い慣れている若い世代が多いと思っていたのですが、今、一生懸命生活している働き盛りの世代を中心に多いというようなことで大変驚いております。そういう意味でも、やはりそういう皆さんに大変役立っているのだなということを改めて感じました。
私は質問の冒頭でプッシュ型で通知される情報の幾つかについて紹介しましたが、運用開始以降、これまでにどのような機能を加えてきたのか答弁を求めます。
282 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
283
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
富山市公式LINEには主に3つの機能があります。1つは情報配信機能であり、昨年8月の運用開始当初はこの機能が中心でありました。防災や子育て、健康、イベント・展示などの項目の中から関心のあるテーマを事前に登録することでそのテーマに関する情報をプッシュ型で受け取ることができるほか、登録した地区の家庭ごみの収集日や熊出没情報の通知を受けることができるサービス機能もあります。また、災害などの緊急情報や「広報とやま」などについてはLINE登録者全員に配信されます。2つ目は予約機能であり、運用開始当初は市民課の窓口でのマイナンバーカードの受け取り予約のみが対象でしたが、現在は子育てに関する各種講座の予約なども利用できるようになっております。3つ目は申請機能であり、昨年10月からマイナンバーカードによる本人認証を行うことで住民票の写しなどの申請や犬の登録等に関する手続をオンラインで対応できるようになっております。
284 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
285 ◯ 23番(東 篤君)
今ほど部長から答弁ございましたように、この運用を開始してからも幾つかの機能を加えてきたということであります。これからも登録者のニーズに寄り添った情報発信ですとか機能が必要というふうに私は考えます。この件に関して見解を伺います。
286 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
287
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
富山市公式LINEは昨年8月の開設から半年余りが経過いたしましたが、市ではこの間も様々なサービスメニューを追加するなど機能の拡充を図ってきたところであり、引き続き市民ニーズなども十分踏まえながら、各種機能のさらなる充実と利便性の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
288 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
289 ◯ 23番(東 篤君)
本市としてもこの公式LINEを通していろいろと市民の皆さんの利便性を高めようと頑張っていらっしゃるということで、大変いいことだなというふうに私も思っております。これからもやはり登録者のニーズをしっかりと調査・研究していただいて、ニーズに寄り添った富山市公式LINEとなるように努めていただきたいというふうに思います。
私は、各種テーマに関する情報やごみ収集日まで、自ら検索しなくてもプッシュ型で通知をしてくれる富山市公式LINE、世代を問わず大変便利なアイテムだということで実際私も使っておりますし、これまで折に触れていろんな人に使ってみてはどうですかということで勧めさせていただいております。
そこで質問ですが、さらに富山市公式LINEの登録者数を増やすことが必要だと考えますが、これまでの対応と今後予定している対応について答弁を求めます。
290 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
291
◯ 企画管理部長(前田 一士君)
市では、「広報とやま」や市のホームページに掲載するほか、専用のチラシやポスター、SNSなどを用いて市民に富山市公式LINEのPRを行うとともに、LINEへの登録を呼びかけてきた結果、登録者数は順調に伸びており、昨年秋の熊の大量出没や今年1月の能登半島地震の発生も登録を後押しする大きな要因になっているものと考えております。
今後ともLINEの特徴である即時性を生かし、市民が知りたい情報や市民にとって有益な情報の発信に努めるとともに、その他の予約機能や申請機能の充実にも努め、市民の利便性向上を図ることで富山市公式LINEの登録者数のさらなる増加につなげてまいりたいと考えております。
なお、今ほど東議員からもお話をいただき、御自身も既に御活用いただき、市民の方にも登録を呼びかけていただいているということでございます。ここにいらっしゃる議員の皆様も既に登録していただいているものと思いますが、ぜひまた実際に御活用いただき、その利便性をしっかりと市民の皆様にPRし、登録を呼びかけていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
292 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
293 ◯ 23番(東 篤君)
何回も言いますけれども、このプッシュ型ですよね。このプッシュ型の利点を生かして利用者に本市の行政に理解を深めていただく、あるいは市の情報を適宜伝えるなど、富山市公式LINEは大変有効なアイテムであります。利用するにはスマートフォン、もしくはパソコンが必要というハードルはありますが、それらがある家庭では誰か1人が利用者となるような、そんな環境になるよう、お互いに登録者を増やしていければいいなというふうに改めて思っているところであります。
続いて、スマートシティ政策の推進の中で電子回覧板について質問します。
一昨日も電子回覧板についての一般質問と答弁があり、令和4年度に町内会等地域組織運営支援モデル事業として始められて以降の経過について述べられております。
そこで質問ですが、そもそもの話になりますが、この電子回覧板の導入を支援することになった経過について答弁を求めます。
294 ◯ 議長(金厚 有豊君)
大沢市民生活部長。
295 ◯ 市民生活部長(大沢 一貴君)
本市では、電子回覧板の導入に対する補助を令和3年度からモデル事業としてスタートしており、その経緯といたしましては、町内会役員等の負担軽減を目的とすることと併せて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの人が触れることになる町内会の回覧板について不安を感じている人が増えたことなどから支援を開始したものであります。
事業の経過といたしましては、令和3年度から2か年は、モデル事業として町内会等が負担される初期導入費用と毎月発生する使用料等のランニングコストを合わせ、全額を補助いたしました。モデルとなる対象団体といたしましては、令和3年度は興味をお持ちになった若い世代が多い新興住宅地と古くからの自治組織であり、比較的高齢者の方が多い町内会の2団体を選定いたしました。また、令和4年度は対象団体を広く募集したところ、31団体の応募があったことから抽せんを行い、10団体を選定しております。
これらの12団体につきましては、電子回覧板を活用した地域活動についての感想等のアンケート調査を実施し、活用の検証結果を取りまとめた報告書を市ホームページ等で公開しており、導入を検討される町内会等の参考としていただいているところであります。
なお、今年度からモデル事業を導入支援事業として改め、申請のあった32団体へ補助をしております。
296 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
297 ◯ 23番(東 篤君)
先ほど私、令和4年度にと言いましたが、令和3年度でございました。
この電子回覧板ですが、やはりスマートシティ政策を推進するため藤井市政にとって重要であり、主要な事業の1つではないかなというふうに私は思っております。
今ほど部長からもございましたが、この事業は、令和4年度は電子回覧板アプリ地域振興事業についてということで拡充事業、さらに令和5年度は補助対象経費は導入のための初期費用のみということで100団体分、660万円の補助金を予算化しました。
3か年にわたり継続してきたこの事業ではアプリを活用した活動に関してアンケート調査を実施していますが、実際に利用している管理者、役員及び一般利用者からの特徴的な意見や感想について答弁を求めます。
298 ◯ 議長(金厚 有豊君)
大沢市民生活部長。
299 ◯ 市民生活部長(大沢 一貴君)
電子回覧板の利用者アンケートは、実際に電子回覧板を運用している管理者、役員と一般利用者に実施しており、特徴的な意見や感想を紹介いたしますと、まず、管理者からは、1つに、ごみ収集日以外に出されたごみの注意喚起としてごみステーションの写真を共有したところ、ごみ出しルールに改善が見られた、2つに、町内会行事の参加者数が事前に把握でき、飲食物や景品の無駄が少なくなった、3つに、町内会費の集金システムや発信された記事の検索など、アプリ機能の向上に対する要望などがありました。
一方、一般利用者からは、1つに、町内のことや市のことについて関心が持てるようになった、2つに、積雪や悪天候のときに回覧物を確認できることが便利である、3つに、町内のイベントや会議がカレンダーで閲覧できる仕組みや複数人でリアルタイムなやり取りができるチャット機能を搭載してほしいとの要望などが寄せられております。
300 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
301 ◯ 23番(東 篤君)
実際に利用されている役員の皆さんなり、また、一般利用者──市民の皆さんですね──から比較的好意的な意見ですとか、あるいは、こういうところをもう少し改善してほしいという要望もしっかりと出されて、それをアンケートして集約できていると、すばらしいことだというふうに思います。
この電子回覧板アプリなのですけれども、これに対する関心は高いものの、この普及が伸び悩んでいる背景に、仄聞するところでは、先日の一般質問と答弁でもあったと思いますが、導入に際して町内会などに費用負担が生じること、これが大きな障害になっていると、このように推測をされます。
そこで質問ですが、普及を推進するためには、導入初期費用のみならず、毎月の基本料や世帯数に応じた利用料にも補助することが必要と考えますが、見解を伺います。
302 ◯ 議長(金厚 有豊君)
大沢市民生活部長。
303 ◯ 市民生活部長(大沢 一貴君)
電子回覧板の導入に対する支援につきましては、今年度より利用料も含めた全額補助から、初期導入費用として登録及び利用者設定費用の6万6,000円のみを補助する制度に変更いたしました。
この経緯を申し上げますと、令和3年度と令和4年度に導入された12団体につきましては、電子回覧板を積極的に活用する中で市からのアンケート調査に答えていただくことを条件にモデル事業として2年間限定で利用料を含めた全額を補助してきたところであります。先ほどもアンケート調査結果を御紹介いたしましたが、管理者、利用者ともに好意的な感想が多くあったほか、課題に対しても前向きな御意見や御要望も見受けられたことから、電子回覧板に対する期待の高さを感じ取ることができました。
こうしたことを踏まえて、本市では、より多くの町内会等に電子回覧板の利便性を感じてもらうため、支援件数を拡大し、初期導入費用のみを補助する導入支援事業に改めたところであり、あくまでもモデル事業として支援していた利用料等のランニングコストについて補助することは考えておりません。
304 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
305 ◯ 23番(東 篤君)
この電子回覧板アプリの普及、さきに質問した富山市公式LINE同様、藤井市政において本当にこのスマートシティ政策を推進するための主要な業務の1つだと私も捉えております。
ただ、令和5年度、100団体分の導入に関する費用負担に対して、やはり利用が少なかったということで、令和6年度の当初予算では40団体分の導入補助金の計上ということで縮小していると。大変残念だなというふうに思っています。
やはりこの電子回覧板は、紙ベースの回覧板よりもスピーディーかつ確実に情報伝達もできるというふうに思います。スマホ、パソコンを持っていない皆さんには従来どおり町内会の役員の皆さんが足を運んでいただいて回覧板を回すという必要もありますけれども、やはり大変便利な機能ということで、いま一度、この電子回覧板の普及に知恵を絞り、汗をかいていただけたらいいのではないか、このように要望をいたします。
2つ目の大項目として、防災対策の強化について質問します。
今定例会で既に多くの議員から本年1月1日の能登半島地震に関する質問がされています。発生直後、石川県志賀町で震度7と報道されたことから、志賀原子力発電所で事故が発生していないかと心配して、万が一に備えて渋滞に巻き込まれずに避難できるようにと岐阜県境の方面に退避していた富山市民がいたということも仄聞しております。
現在、志賀原子力発電所は停止中とはいえ、東日本大震災時に福島第一原子力発電所で放射性物質による汚染が広範囲に及んだことから、万が一に備えて避難した市民がいたのも私はもっともだなというふうに思います。
そこで質問ですが、本市として令和6年能登半島地震発災直後から、北陸電力志賀原子力発電所についていかに状況の確認をしてきたのか答弁を求めます。
306 ◯ 議長(金厚 有豊君)
中村
防災危機管理部長。
307 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
原子力発電所の立地県において強い揺れを伴う地震が発生した場合等には、県が国や電力会社から情報を収集し、県内の市町村等に連絡することになっております。
令和6年能登半島地震では、志賀原子力発電所が立地している志賀町で震度7の揺れを観測したことから、県では、本年1月1日に開催した第1回災害対策本部員会議及び翌2日に開催された同会議において北陸電力より状況報告を受け、同会議の様子をオンデマンドで配信するとともに、北陸電力から提供された資料を市町村にも提供しており、本市においてはこれらの資料により志賀原子力発電所の状況を把握しております。
なお、北陸電力からは、モニタリングポストの数値に変化はなく、外部への放射能の影響はないこと、外部電源や監視設備、冷却設備等の機能が確保されており、安全上、問題となる被害は確認されていないことが報告されております。
308 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
309 ◯ 23番(東 篤君)
この富山市は志賀原子力発電所から半径30キロメートル圏の緊急防護措置区域であるUPZ外であるということは私も承知しておりますけれども、先ほども申しました福島第一原発事故での被害を考慮すれば、先ほどから申し上げていますLINEでの情報を通して、例えば放射性物質の流出の情報は入っていないなど、やはりきめ細やかに富山市民に対して志賀原発の状況を伝えるということがあってもよかったのではないかというふうに私は今、感じております。
原子力規制委員会によると、今回の能登半島地震では、避難判断に用いる放射線監視装置(モニタリングポスト)は、石川県と富山県の両県に設置されている116か所のうち、最大18か所が測定不能になったということです。約15.5%の放射線監視装置が測定不能に陥ったという事実をやはり深刻に受け止める必要があるというふうに思います。
そこで続いての質問ですが、富山市内において放射線監視装置(モニタリングポスト)はどこに設置されているのか答弁を求めます。
310 ◯ 議長(金厚 有豊君)
中村
防災危機管理部長。
311 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
県ではモニタリングポストを県内に15か所設置されており、富山市内には富山県庁に1か所設置されております。
312 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
313 ◯ 23番(東 篤君)
私は、令和元年12月議会でも同様の質問をして、そのときも富山市内は県庁に1か所ということで、その後、全然変わっていないということです。
ただ、聞くところによると、富山県では移動式の放射線監視ができる車に搭載されたものを持っているということで、少しは進んでいるということも感じたのですが、ただ、固定式のものは全然増えていないということで、私にとっては残念と言わざるを得ないと思います。
この測定不能に陥った放射線監視装置は、震度の値が高かった志賀原子力発電所に近い奥能登地方に設置されたものが多かったのではないかと推察をされます。しかし、その原発に近い地域で測定不能ということであれば、UPZ外でしっかりと測定するということがやはり必要だったと結果的に言えるというふうに思っています。
今回の能登半島地震では、本年2月28日の数字で、石川県では住家の全壊と半壊で約1万7,000棟となっています。また、石川県が志賀原発の重大事故時の避難ルートに定めていた国道や県道11路線のうち、7路線で通行止めとなったというふうに伺っています。原子力規制委員会の指針に基づいて自治体がつくり、政府が承認する避難計画どおりに屋内への退避をする、あるいは30キロメートル圏外への避難、これもできないという状況に今回の地震では陥りました。震度がもう少し強ければ富山市ではどのような状況になっていたのだろうかと想像すると、背筋が寒くなる状況です。
そこで質問ですが、本市においても、地震と津波に加えて、原発事故が重なる複合災害を想定した地域防災計画を策定する必要があると考えますが、見解を伺います。
314 ◯ 議長(金厚 有豊君)
中村
防災危機管理部長。
315 ◯
防災危機管理部長(中村 敏之君)
国の原子力災害対策指針では、原子力災害に特有な対策を講じておくことが必要となる原子力災害対策重点区域の範囲として、原子力施設から概ね半径5キロメートルの予防的防護措置を準備する区域と、先ほども議員さんがおっしゃったとおり、概ね半径30キロメートルの緊急防護措置を準備する区域を目安とすることが示されております。
このことから富山県では、富山県地域防災計画の原子力災害編において氷見市の一部が緊急防護措置を準備する区域に含まれるとしておりますが、志賀原子力発電所から50キロメートル以上離れている本市においては、原発事故を前提とした地域防災計画の策定は考えておりません。
316 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
317 ◯ 23番(東 篤君)
私は、先ほども令和元年12月議会のことを言いましたけれども、同じ議会でUPZ外の本市でも避難対策マニュアルを作成するなどの対応が必要ではないかとの質問をしました。当時、所管の建設部長は、志賀原子力発電所から50キロメートル以上離れている本市においては避難計画や避難マニュアルの策定、配布については現在のところは考えていない、今後、国の原子力災害対策指針や県の地域防災計画等の状況を注視し、必要な事項が生じた場合には本市の地域防災計画を修正するなど、適切に対応したいと考えているとの答弁でした。今ほどの部長の答弁とほぼ同じような内容で、変わりなしということだと思います。
今回の能登半島地震で志賀原発では外部電源の一部が使えなくなり、地震後の試運転で非常用ディーゼル発電機が自動停止するなどのトラブル、先ほども申しましたが、避難道路の通行止めや住宅被害で避難ができない、本市でも津波警報で高いところに避難する車で大渋滞が発生するなど、万が一、一定量の放射性物質が流出していたら想像を絶する大災害になっていたかもしれないという状況です。
また、志賀原発が立地する志賀町では、本年1月1日に震度7、1月6日には震度6弱を記録し、原発は停止中だったものの、2回とも警戒事態に該当すると原子力規制庁が判断し、原子力規制委員会と内閣府による原子力事故合同警戒本部が設置されていました。市民の安全、命を守るために、富山市としても、国や県の動向待ちではなく、本市として主体的にこの避難計画の策定に動き出すときではないかと私は思っております。
続いて、3つ目の大項目として、令和6年度介護報酬改定について質問をいたします。
政府は、令和6年度の介護報酬改定において、人材確保のため介護職員の賃金底上げに重点配分しました。そのことは他産業に人材が流出している現状に鑑み、必要な措置であり、評価されます。
その一方で、令和6年度介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が身体介護、生活援助、通院時の乗車・降車等介助とも引き下げられますが、訪問介護事業者にどのような影響があると見込んでいるのか答弁を求めます。
318 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
319 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
介護報酬は、介護事業者が利用者に介護サービスを提供した場合にその対価として支払われる報酬であり、介護サービスの種別ごとに基本報酬が定められておりますが、その基本報酬に加えて、各事業所のサービス提供体制や利用者の状況などに応じて加算や減算がされる仕組みとなっております。
令和6年度の介護報酬改定では、訪問介護においては身体介護、生活援助、通院時の乗車・降車等介助とも全ての基本報酬が引き下げられましたが、同時に、1つに、現在3種類ある介護職員処遇改善加算の一本化と最大加算率の引上げ、2つに、みとり期の利用者への対応などを評価するため特定事業所加算の算定要件の見直しなど、10種類の加算や減算についての改定が行われております。
このため、今回の報酬改定による訪問介護事業所への影響につきましては、1つのケースといたしましては基本報酬の引下げにより報酬が減額となる場合も考えられますが、他方では新たな加算の取得により報酬が増額となるケースも考えられますことから、その影響については一概には言えないものと考えております。
320 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
321 ◯ 23番(東 篤君)
今ほど、部長のほうから一概には言えないということでありました。確かにそういうことなのでしょうけれども、厚生労働省は、訪問介護について、この処遇改善加算について高い加算率にしたと説明しているのですが、やはり直接の運営資金につながる基本報酬、これを下げてしまうということになると、とりわけ小規模な事業者の経営が厳しくなることはやはり明らかだというふうに私は思っています。この改定後の状況をしっかりと見ていくということが必要ではないか、このように考えています。
次に、介護報酬改定に関し、介護事業者に改定内容を周知することや各種加算の取得などへの相談に応じることが必要だと考えますが、本市の見解を伺います。
322 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
323 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
介護報酬の改定は通常3年ごとに行われておりますが、本市ではこれまでも、1つに、国、県からの通知を全事業所へ電子メールなどによって送付すること、2つに、介護報酬改定に関する情報を市のホームページに掲載すること、3つに、全事業者を対象とした集団指導を県と合同で実施することなどにより各事業所へ周知しております。
また、介護報酬改定や新たな加算の取得、事業所指定など、事業所からの様々な相談につきましては、これまでも窓口や電話、電子メールなどで受け付け、随時対応しております。
介護保険制度の適正な運営のためには、介護事業所が制度を正しく理解しサービスを提供していくことが重要であることから、今後とも事業所からの相談には丁寧に対応してまいりたいと考えております。
324 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
325 ◯ 23番(東 篤君)
今ほど部長からも3年に1回の改定ということで、やはり事業者にしてみれば、いわゆる猫の目行政といいますか、ころころと変わって本当に分かりにくいということもあるというふうに思いますので、丁寧な対応がやはり求められているというふうに思います。
厚生労働省は、この処遇改善加算を今回の改定で取りやすくすると説明をしているのですけれども、事業者に聞くところによると、上位の加算は要件が厳しいため小規模事業者が取得することは難しいと思われます。これまでも窓口や電話、あるいはEメールで相談に応じてきたということですので、改定内容について丁寧に周知したり、相談にしっかりと応じていただく、このことが引き続き求められていると思いますので、よろしくお願いをいたします。
そこで、介護報酬改定後、経営が厳しくなった訪問介護事業者が事業を継続できるように本市として何らかの助成をする、あるいは県や国に助成を要請するということが必要だと考えますが、見解を求めます。
326 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
327 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
今回の介護報酬改定は、全体でプラス1.59%の改定率と近年では高い改定率になっているとともに、訪問介護においても処遇改善加算の加算率が高く設定されるなど、基本報酬と加算を全体で見ますと、報酬改定に当たっては一定の配慮がなされているものと考えております。
このため、今回の改定による訪問介護事業者への影響は一概には言えないこともあり、新しい報酬単価でのサービス提供が始まっていない今の時点では本市独自の助成制度を設けることなどは考えておりません。
介護保険制度においては、介護サービスの提供に必要な費用は介護報酬に適切に反映されるべきであり、今後社会経済情勢の変化などにより介護報酬が地域やサービスの実態とはかけ離れたものとなった場合などには、適切な報酬の設定が行われるよう全国市長会などを通じて国へ要望してまいりたいと考えております。
328 ◯ 議長(金厚 有豊君)
23番 東 篤君。
329 ◯ 23番(東 篤君)
今回の改定に向けて、巷間言われているのは、いわゆるサ高住で介護を受ける人が1か所に集中しているというようなユーザーを持つ大手の介護事業者は移動もあまり時間がかからないので大変有利なのですけれども、一方で、移動が必要な訪問介護が多い中小事業者にとっては、移動時間が直接的には介護報酬の対象時間にならないですとか、ガソリン価格高騰等の影響を受けているといった特殊な事情があるということがあります。このような状況に鑑み、立憲民主党の本部では、本年2月28日に訪問介護の基本報酬引下げの撤回等を求める要請を武見厚生労働大臣に提出したところであります。
この介護事業ということに関して、市としては本来的には介護事業者を指導、監督する立場ということがメインではあると思いますけれども、あわせて、地域の介護事業者を守ることで地域の介護体制をしっかりと維持していく、そのことも市としての重要な任務ではないかというふうに私は考えます。
そのことを一言申し上げまして、以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
330 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで東議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
───◇ ◇ ◇───
散 会
331 ◯ 議長(金厚 有豊君)
以上で、本日の日程は終了いたしました。
3月11日は午前10時に本会議を開き、一般質問及び議案の質疑などを行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後 4時12分 散会
Copyright © Toyama City Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...