富山市議会 2023-09-02
令和5年9月定例会 (第2日目) 本文
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───◇ ◇ ◇───
開 議
午前10時 開議
◯ 議長(金厚 有豊君)
ただいまから、本日の会議を開きます。
議事日程は、お手元に配付のとおりであります。
───◇ ◇ ◇───
一般質問並びに議案第105号から議案第119号まで、
及び報告第44号から報告第51号まで(質疑)
2 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これより、日程第1 一般質問並びに議案第105号から議案第119号まで、及び報告第44号から報告第51号までを一括議題といたします。
これより、一般質問及び議案の質疑を行います。
順次発言を許します。
35番 鋪田 博紀君。
〔35番 鋪田 博紀君 登壇〕
3 ◯ 35番(鋪田 博紀君)
おはようございます。
富山市議会自由民主党、鋪田 博紀です。
令和5年9月定例会に当たり、一般質問並びに議案の質疑を行います。
まずは、本年7月の豪雨災害、8月の台風、そして、先日の集中豪雨により被災された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
令和5年7月12日に発生した富山県では初となる
線状降水帯発生を伴った豪雨災害について伺います。
本年7月12日のあの夜、毎回溢水する用水路の確認のため、また、消防団員として万一の場合に備えるため、
分団器具置場に向かおうと車に乗り込んだまさにそのとき、携帯電話が鳴り、担当する
校下自主防災会の役員から、町内で用水路があふれ、床下浸水が発生し、今まさに消防車が駆けつけて土のうを積んで、流域の水門の確認に行ったところだとの報告を受けました。あわせて、
災害対策本部はまだ立ち上がらないのか、消防団への指示は下りていないのかと質問を受けましたが、的確にお答えすることはできませんでした。私は分団長に連絡し、消防本部に対し待機指示などを出すべきではないかと具申してほしいとお伝えし、器具置場に向かいました。
器具置場に到着すると、鳴ったことのない消防団の電話が鳴りました。先ほど申し上げた床下浸水が発生した町内の役員からでした。まだまだ床下浸水などが発生するおそれがあり、その場合はどちらに連絡すればよいのかとのお尋ねと詳細な被害報告でした。避難所開設は富山市公式サイトと報道などで知りましたが、
災害対策本部設置の情報が見当たらなかったことから、何かあれば、先ほどのように、消防署に遠慮なく通報してくださいと伝え、電話を切りました。
その後、
防災危機管理課に電話をかけ、
浸水状況報告と併せて
災害対策本部の設置について確認したところ、明確な回答は得られませんでした。
電話をかけた時刻が22時前後であったことから、
災害対策本部が立ち上がる前であったか、立ち上がって間もなくのため各部署への伝達が届いていなかった可能性もあり、電話窓口では十分に対応できなかったのは当然のことかもしれません。しかし、この電話が一般市民であったならば、冷静に受け止めていただけなかったかもしれません。
こうした私自身の経験を踏まえ、以下、質問いたします。
まずは、
災害対策本部の設置状況並びに
災害対策本部設置に先駆けて行われた避難所開設などの対応状況について答弁を求めます。
先ほど述べたように、避難所開設についての情報は富山市公式サイトや報道、ソーシャルメディア、メールによって知ることができましたが、
災害対策本部の開設情報を得ることはできませんでした。
災害情報の伝達方法について課題があったと考えます。
専用サイトを準備しておき、富山市公式サイトのバナーから直ちに特設サイトを見ることができるようにするだけでも市民は安心感を得られたのではないでしょうか。
まさに災害が起きようとしていることを実感している住民だけではなく、自分の住んでいる地域では今は雨が少ないが、天気予報ではアラートが出ている、今後は大丈夫だろうかといった不安や疑問の解消にもつながると考えます。
こうした提言も踏まえて、情報発信に課題はなかったか、また、今後の情報発信についての考え方について答弁を求めます。
先ほど申し上げたとおり、常備消防の豪雨災害への対応については迅速かつ的確に行われていたと考えますが、一方で、消防団がこうした災害時に地域住民の期待に応えることができなかったのではないか、消防団員の1人として考えさせられた出来事でした。
本年8月30日に開催された富山市
消防団富山方面団分団長会議においても、出席した分団長からこうしたことを指摘する発言がありました。
今回の活動状況を踏まえ、消防局側から見て
災害対策本部との連携についてどのように評価するのか、また、災害発生時の消防団の役割についてどのように考えているのか答弁を求めます。
今回の豪雨は夜間から深夜にかけて発生したことから、災害に関する問合せの対応は
防災危機管理部で受けることになりましたが、翌日以降の住民からの問合せ窓口は、
防災危機管理部のみならず、
行政サービスセンター、
中核型地区センター、
地区センター等に幅広く寄せられていたと考えます。寄せられた情報は
防災危機管理部に集約され、共有化され、適切な対応が取られることになると考えますが、浸水した家屋の消毒や健康に関する相談などが身近な
地区センターに寄せられる場合もあったと考えます。問合せを受けた職員によって情報が異ならないよう、お答えする内容について組織として共有化していくとともに、情報を絶えずアップデートしていくことが重要と考えます。
住民からの問合せに対する対応についてどのように考えているのか答弁を求めます。
令和5年4月から、行政だけでは解決できない地域課題の解決を住民と共に進めるため
地域コミュニティ推進課が新設されました。平時においては、設置当初の狙いにある役割を担うことは当然として、今回のような災害発生後の復旧・復興に当たっても、地域住民及び担当部局の取組をサポートすることなどにより平時における課題解決の取組も円滑に推進することが可能になると考えます。
災害時における
地域コミュニティ推進課の役割についてどのように考えているのか答弁を求めます。
次に、
防災危機管理部の役割について伺います。
平時は災害に備えた準備をし、災害時には部局横断的な対策の司令塔となるべくして誕生したのが
防災危機管理部であると認識しています。
各部局は、
地域防災計画にのっとり、それぞれ定められた役割を果たすことになっています。
平時における
防災危機管理部の役割並びに災害時における
防災危機管理部の役割と在り方について答弁を求めます。
浸水が発生した町内の自主防災会は、図上訓練、避難、要配慮者等への安否確認などを盛り込んだ訓練を実施され、その検証を踏まえ、民間事業者と協定を結び、避難場所の確保や土のう袋の配備を決定されました。
また、中山間地では、地域住民が協力して流木、土砂などで埋まった用水の復旧、崩落した斜面の重機による復旧に当たるなど、災害時において地域住民との協働が欠かせないことは今回の豪雨災害でも明らかになりました。
災害時の行政と地域住民との協働の必要性並びに今回の災害を教訓とした今後の取組について市長の答弁を求めます。
次に、今9月定例会に提出された令和4年度決算状況について伺います。
一般会計においては、コロナ禍に加え、ロシアによる
ウクライナ侵攻を契機とした
エネルギー価格の上昇や物価の高騰が続く厳しい社会情勢の下、本市は、感染症の拡大防止と
社会経済活動の両立を図るため、ワクチン接種の促進に努めるとともに、物価高騰に直面する市民や事業者への支援にも積極的に取り組まれました。
令和4年度
一般会計決算状況について答弁を求めます。
主要な歳入である市税収入は令和3年度と比べ増額となっており、市町村合併後、過去最高の収入額となっています。
市税収入が前年度と比較して増額となった要因について答弁を求めます。
先般、専決処分した
大雨被害復旧に対する補正予算では財源に
財政調整基金を活用したように、将来の財政運営や予期しない災害などを見据えて資金を準備しておくことが重要です。そのためにも決算剰余金をどのような基金に積み立てておくかが重要です。
令和4年度一般会計の決算剰余金である実質収支額は35億1,400万円余りで、そのうち18億円を
財政調整基金に積み立てる補正予算案が提出されています。
令和4年度
一般会計決算剰余金の基金への積立てに対する考え方について答弁を求めます。
病院事業会計においては、コロナ禍もあって、引き続き厳しい経営状況だったと推察します。
令和4年度の
病院事業会計決算をどのように評価しているのか、また、
新型コロナウイルス感染症五類移行後、どのような病院経営に取り組むのか答弁を求めます。
水道事業会計等の決算における収益的収支は近年黒字が続いていますが、上下水道管の
長寿命化対策など、大きな予算が必要となることが考えられます。
令和4年度の
水道事業会計等の決算をどのように評価し、今後どのような経営を目指していくのか答弁を求めます。
プラスチック資源一括回収について伺います。
今年は大変な猛暑日が続き、私たちがこれまで経験したことのないような記録的な暑さで、気象庁の
異常気象分析検討会は「今年の気温は歴代と比較して圧倒的に高い。夏全体で見ても異常だった」と発表しました。また、海水温も極めて高くなっているとの報道や、漁業関係者からも、ここ数年、富山湾では南方に生息する魚が揚がると聞いており、地球温暖化の影響があると考えます。
海水温の上昇は台風の発達や集中豪雨をもたらす原因にもなるので、暑さに加えて、災害への警戒もこれまで以上に必要になってくると考えます。
さらに、
世界気象機関は、今年の7月は世界の平均気温が
観測史上最高になる見込みだと発表し、国連の
グテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した」と危機感を示しました。
地球温暖化はもとより、激甚化・頻発化する災害に対しても環境問題への取組は急務であり、抜本的な対策として
温室効果ガス削減の強化が必要不可欠です。
国においては、
地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて政府実行計画を策定し、
温室効果ガスの排出目標を2030年度までに2013年度比50%削減するため、太陽光発電をはじめとした
再生可能エネルギーや電気自動車、LED照明の導入など、脱炭素社会の実現を目指していますが、まだまだ取り組む余地があります。特に、家庭から出るごみの減量化は、
温室効果ガス削減による地球温暖化の抑制や処理施設の延命化などにつながり、将来世代への負担を軽減できる有効な取組であり、可能な限り分別し、資源化に努めるために様々な施策に取り組むべきです。
富山市では、これまで分別回収によるリサイクルに重点を置いてごみの減量化・資源化に取り組んできましたが、近年の家庭ごみの排出量は全国平均を上回る状況が続いており、十分に進んでいるとは言えません。現在、ごみの収集、焼却から埋立てなど、ごみ処理には多くの費用がかかっており、限りある資源やエネルギーを大切に使いながら将来世代の負担を軽減するためには、ごみの減量化にしっかりと取り組む必要があります。
令和4年4月に
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が施行され、本市においても、
プラスチック資源一括回収の実施に向け、環境省の
モデル形成支援事業を活用して婦中地域で実証実験を行いました。
そこで、
プラスチック資源一括回収の目的並びに婦中地域での実証実験に対する成果について答弁を求めます。
この実証実験を踏まえ、令和6年4月から市内全域で
プラスチック資源一括回収の実施を目指すことを掲げています。
市内全域で
プラスチック資源一括回収を実施した場合、
プラスチック資源の回収量をどのぐらい見込んでいるのか答弁を求めます。
市内全域で事業を展開するためには住民の理解が必要不可欠です。これまで実施してきた婦中地域以外の市民に対する周知と課題についてどのように考えているのか答弁を求めます。
最後に、本市において、私たちが将来世代の負担を減らすためには、
ごみ処理経費の削減や
ごみ処理施設の延命化、施設更新時の規模縮小、限りある資源の使用削減など、循環型社会の実現を目指していく必要があります。
富山市として、循環型社会の実現に向け、今後どのように取り組んでいくべきと考えているのか市長の答弁を求めます。
以上で一般質問を終わります。
4 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長の答弁を求めます。
〔市長 藤井 裕久君 登壇〕
5 ◯ 市長(藤井 裕久君)
鋪田議員の質問にお答えいたします。
私からは、災害対策のうち1点、
プラスチック資源一括回収についてのうち1点にお答えし、その他の事項につきましては、
病院事業管理者及び担当部局長から答弁を申し上げます。
まず、災害発生後の対応についてのうち、災害時における行政と地域住民との協働の必要性と今後の取組についてにお答えいたします。
まず、本年7月12日における本市での豪雨災害につきまして、被災された市民の皆様には心よりお見舞いを申し上げます。
また、災害地域における自治振興会や町内会の皆様、地元企業などには、浸水被害や復旧対応等に御尽力、御協力をいただきましたことに深く感謝を申し上げる次第であります。
さて、身近な地域で助け合い、地域の結びつきを生かした、いわゆる共助の取組と、市役所や警察、消防が主体となった公的支援である、いわゆる公助とが一体になり、被災住宅の清掃や生活道路の確保などの応急復旧に取り組むことは、災害に強く回復力のあるまちづくりを推進する上で大変重要であると考えております。
今回の災害においても、地元の皆様方には、避難時における見回りや住民への電話連絡、地元企業の皆様方には、崖崩れにより封鎖された生活道路上の土砂の排除などを行っていただき、改めて協働の必要性を強く認識させられたところでございます。
今後の取組といたしましては、起こり得る大規模災害に備え、
自主防災組織や地元企業などの地域の皆様とは、各種訓練や講習会等を継続的に実施していくことでそれぞれの役割を十分理解し合うとともに、相互に連携・協力し、災害の予防、減災、応急復旧に迅速、的確に対応できる体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、
プラスチック資源一括回収についてのうち、循環型社会の実現に向け、本市として今後どのように取り組んでいくべきと考えるのか見解を問うにお答えいたします。
9月に入りましたが、今年はまだまだ暑い日が続いております。
富山地方気象台によりますと、1939年の観測開始以来、8月の
月間平均気温が初めて30度を超える記録的な猛暑となりました。
世界的に見ても、今年の7月は世界の平均気温が観測史上最も高くなったとEU(欧州連合)の
気象情報機関が発表されており、近年、国内のみならず、世界各地で起きている猛暑や豪雨などの異常気象は
温室効果ガス排出量の増加に伴う地球温暖化が原因の1つと考えられており、二酸化炭素の削減は世界共通の喫緊の課題となっております。
国は、令和2年10月に2050年までに
温室効果ガス排出実質ゼロを宣言し、今年4月に開催されたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合においては、2050年ネット・ゼロ(
カーボンニュートラル)の実現に向けて各国が足並みをそろえて取組を進めていくことが確認をされたところでございます。
こうした中、本市におきましても、令和3年3月に策定した富山市
エネルギービジョンにおいて、2050年の
温室効果ガス排出実質ゼロに向けた方針、施策を定め、ゼロカーボンシティを表明するとともに、令和5年3月には、富山市
地球温暖化対策推進計画を策定し、太陽光発電や小水力発電などの
再生可能エネルギーの導入拡大をはじめ、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)への導入支援など、脱炭素に資する取組を積極的に推進しております。
一方、本市の廃棄物行政におきましては、従来の大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済からの脱却を目指し、これまでも市民の皆様の御協力をいただきながら、空き瓶、空き缶や
プラスチック製容器包装等の分別回収のほか、
資源物ステーションの開設や
資源集団回収への支援、環境教育の実施などを通じてごみの減量化・資源化に努めてまいったところでございます。
こうした取組に加え、本市が令和6年4月から実施を予定しております
プラスチック資源一括回収につきましては、1つに、
プラスチック類のリサイクル率をさらに高めることによる石油資源の使用量の削減、2つに、再商品化によるリサイクルの推進、3つに、ごみの焼却量の削減、4つに、焼却施設に係る負担の低減による安定的な稼働が図られることから、大変重要な取組であると考えております。
なお、
プラスチック資源一括回収による再商品化には一定程度の経費がかかり、国の支援がありますが、本市も負担を伴うことについて市民の皆様にはぜひ御理解をいただきたいと考えております。
本市といたしましては、今後とも国の施策に呼応し、
温室効果ガスの削減や
カーボンニュートラルの推進、さらには、資源の循環促進に向け、分別回収はもとより、節電やエコドライブ、過剰包装品の購入を控えるなどの市民の行動変容を促す施策を通じて持続可能な循環型社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
以上です。
6 ◯ 議長(金厚 有豊君)
石田病院事業管理者。
〔
病院事業管理者 石田 陽一君 登壇〕
7
◯ 病院事業管理者(石田 陽一君)
私からは、令和4年度決算についての御質問のうち、
病院事業会計について決算の評価について問うにお答えいたします。
令和4年度決算においては、事業収益133億8,800万円余りに対し、事業費用は135億900万円余りであり、病院事業全体で1億2,100万円余りの純損失が生じております。
これを病院別に申し上げますと、まず
富山市民病院においては、令和3年度との比較では、患者数の回復に伴い医業収益は増加しましたが、コロナ禍前の水準までには戻っておらず、
コロナ病床確保料などの補助金を含めた事業収益は124億9,100万円余りであり、これに対し事業費用は125億3,600万円余りとなることから、4,400万円余りの純損失となっております。
一方、
富山まちなか病院においては、患者数の増加に伴い医業収益が増加し、医業費用についても、昨年度に引き続き
ジェネリック医薬品の使用促進を図るなどの費用削減の取組を進めましたが、事業収益8億9,600万円余りに対し、事業費用は9億7,300万円余りとなり、7,600万円余りの純損失となりました。しかし、その損失額は
富山まちなか病院の運営を開始した令和元年度から年々減少しており、今後もこの取組を継続していきたいと考えております。
病院事業全体の決算といたしましては、
新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けた令和3年度と比べると回復基調にはあるものの、いまだ完全に脱却できたとは言えない状況にあることから、医業収益の回復が急務であると考えております。そのためには、医療器械や療養環境を整備し医療の質を高めるとともに、患者満足度の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、
新型コロナウイルス感染症五類移行後、どのような病院経営に取り組むのかについてお答えいたします。
本市の病院事業の目的は、その時代ごとに変化する医療需要に応じて市民に必要な医療を的確に提供することであり、その実現のため、病院事業局には安定的かつ健全な経営を行うことが強く求められております。
しかし、今般のコロナ禍においては、手術の延期や入院の制限を行わざるを得ない事態となったことで患者数及び医業収益が大幅に減少し、安定的な経営が脅かされる状況に至りました。
また、
新型コロナウイルス感染症患者の受入れに伴う
病床確保補助金も本年5月8日以降はほぼ半減しており、さらに、本年10月以降については補助金自体の大幅な見直しが検討されていることから、補助金に依存しない経営体制の早急な構築が求められております。
このことから、本年4月から両病院内で診療報酬の増加や支出削減等を目的とした
タスクフォースを立ち上げ、その活動の結果、救急患者の受入れが前年度を大幅に上回るなど、収益改善の兆しが見られるようになりました。さらに、本年6月には
富山市民病院の
新型コロナウイルス専用病棟を廃止し、病床数や人員配置をコロナ禍前の体制に近づけたところ、本年度第1四半期の医業収益は昨年同時期に比べ11.5%増の29億4,000万円余りとなっており、コロナ禍前の令和元年度を上回る数値で推移しております。また、
富山まちなか病院においても、第1四半期の医業収益は昨年同時期比で5.4%増の2億1,000万円余りとなっており、
新型コロナウイルス感染症が五類に移行したことで市民にとっても受診しやすい環境が整いつつあるものと考えております。
このように、両病院においては
新型コロナウイルス感染症五類移行後の体制へと順調にシフトしてきていることから、今後とも、
タスクフォース等による職員の自発的な提案も積極的に取り入れながら安定的かつ健全な経営を目指すとともに、引き続き市民の皆さんへ良質な
医療サービスを提供してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
8 ◯ 議長(金厚 有豊君)
中村防災危機管理部長。
〔
防災危機管理部長 中村 敏之君 登壇〕
9
◯ 防災危機管理部長(中村 敏之君)
私からは、災害対策について、本年7月12日発生の豪雨災害についてのうち、初めに、
災害対策本部の設置状況並びに避難所開設などの対応状況についてお答えいたします。
本年7月12日から13日にかけての大雨対応につきましては、12日午前8時30分及び午後3時には庁内における気象情報の共有を図るとともに、各部局において情報収集や想定される事態に備えるための体制を取ったところであります。
また、
防災危機管理部では、午後4時15分の大雨警報の発表を受け、数日前からの雨の影響による土砂災害に早期の段階で警戒する必要があったことから、市内4か所に自主避難所を開設し、明るいうち──時間的に午後6時13分──に防災行政無線により、警戒が必要な地域を対象に気象情報に留意することや自主避難所開設について周知、呼びかけを行っております。
その後、午後9時10分に土砂災害警戒情報が発表され、さらには、線状降水帯も発生する状況となったことから、本市に広い範囲で大規模な災害が発生する危険性が高いと判断し、午後10時には、市長の指示の下、市
災害対策本部を設置するとともに、
災害対策本部室要員や
地区センター班要員等の災害対応職員が参集し、午後11時30分には、対象地域17か所の避難所の開設を行ったところであり、その後、翌13日の午前0時10分から午前3時にかけて9か所の避難所を追加開設しております。
なお、避難所の開設につきましては、ホームページや旧ツイッターのX、フェイスブックに加え、テレビやラジオによる放送など、複数のツールを用いて周知したところであります。
一方、緊急速報メールでの周知につきましては、深夜の時間帯であったことを踏まえ、全市民に対し避難情報を一斉配信することは避難対象地域ではない方々の混乱や危険を招くおそれがあると判断したことから、緊急速報メールによる情報伝達は行わなかったものであります。
また、議員御指摘の市
災害対策本部の設置につきましては、所要人員への参集連絡にとどめることとしたため、各部局等への周知を行わなかったことは参集職員の範囲や情報共有に課題を残すことになったと考えております。
これら一連の対応につきましては、今後、災害対応がある程度落ち着いた段階で各部局において振り返りを行い、その中でしっかりと整理、検証し、その内容につきましては部局間で共有することで今後の災害対応に生かしてまいりたいと考えております。
次に、情報発信の課題と今後の情報発信についてお答えいたします。
本年7月12日から13日にかけて本市が発信した大雨や避難に関する情報としては、1つに、大雨警報の発表、2つに、自主避難所の開設、3つに、気象情報への警戒の呼びかけ、4つに、避難指示の発令、5つに、避難所開設の状況等であり、それぞれの内容に応じて、市ホームページやマスコミ等へ情報を伝えるLアラート、防災行政無線、SNS等を活用して発信したところであります。
自主避難所の開設や気象情報への警戒の呼びかけについては比較的早い段階で情報発信ができたものの、線状降水帯の発生を受けて、避難指示を発令した時間帯が深夜──午後11時45分であったため、就寝中で情報に気づかなかった、あるいは、雨の影響で防災行政無線が聞き取れなかったという声もいただいております。
今回の災害対応においては、避難対象地域外の方の混乱を招くなどの理由により、携帯電話会社4社の情報配信サービスで市内全域の全ての対象端末に特定の災害、国民保護等に関する情報──今回の災害対応で該当したのは避難指示──を配信する、いわゆる緊急速報メールによる情報発信は行いませんでした。このことについては、災害発生のおそれがある時間帯やエリア、雨風の強さなど、状況に応じた情報発信の判断の難しさを痛感するとともに、例えば災害への意識が低い、情報を受け取る準備がないといった方にはどのような手段を講じても情報が伝わらないという課題が改めて明らかになったと考えております。
今後の災害対応における情報発信につきましては、先ほども申し上げましたが、就寝中で情報に気づかなかったなど、今回いただいた御意見も参考として振り返りを行うとともに、災害の発生が見込まれる際には気象や避難に関する情報収集が重要となることについて平時から周知・啓発を行うなど、より多くの方に情報が伝達できるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、災害発生後の対応についてのうち、初めに、住民からの問合せに関する窓口対応についてお答えいたします。
大規模災害が発生した際には、迅速に被災相談や支援情報の提供等を行えるよう担当窓口を周知し、被災者に寄り添った支援に努めることが重要であると認識しております。
本年7月の市内で発生した豪雨の際には、多くの浸水被害や土砂崩れ等の発生により、被害に関する相談、罹災証明書の手続、災害ごみの収集依頼、災害見舞金の支給など、多岐にわたる様々な相談や問合せがあったことから、市ホームページに被災された方々に対する支援などの担当窓口の一覧を掲載し周知を図るとともに、住民からの被害報告につきましては、各
行政サービスセンターや
地区センターが中心となり対応したところであります。
しかしながら、多くの電話等に対応していたことで電話がつながりにくい状況や市役所内で他の部署が行う支援内容の共有が十分ではなかったことから、市民の皆様に的確な対応ができなかった事例があったとも伺っております。
今後につきましては、災害発生後の復旧や被災状況の把握は情報が膨大で多種多様となることから、迅速かつ正確に情報を把握するため、それぞれの対応を専門に行う各担当課において受け付けることが望ましいと考えておりますが、今回の豪雨災害での被災等に関する対応を各担当課が振り返り、検証し、市民の皆様が相談する際に、混乱せずに速やかに相談できるよう分かりやすい案内に努めるとともに、各担当窓口においても円滑に対応できるよう庁内での情報共有を密にし、市民の皆様への迅速な被災者支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、平時及び災害時における
防災危機管理部の役割と在り方についてお答えいたします。
防災危機管理部は、近年、頻発化・激甚化する自然災害や様々な危機事象への対応力を強化するため、本市の危機管理、防災、防犯、交通安全部門を一元化し、昨年4月に創設したものであります。
防災危機管理部の役割として、まず平時においては、1つに、地域防災拠点や防災行政無線の適切な整備、2つに、水、食料、資機材の備蓄など、避難所機能の充実、3つに、
自主防災組織の育成、4つに、研修、訓練等の実施による防災活動の普及・啓発など、災害発生に備え、自助、共助、公助のバランスの取れた地域防災力の向上を図ることであると考えております。
また、警報の発生など、災害の兆候を捉えた際には、気象の変化を随時監視し、避難の必要性などを検討した上で、施設や職員参集の調整を行うとともに、災害発生時においては、1つに、被害の発生状況や復旧の見通し等正確な情報の把握、2つに、把握した情報の関係部局との共有、3つに、各部局が実施する災害対応への支援や助言、4つに、災害に関する情報や支援内容の地域住民等への提供などであり、災害対応の総括的窓口として情報収集、取りまとめを行うとともに、関係部局の災害応急活動状況を調整し、市民へ発信する役割を担うものと考えております。
いずれにいたしましても、
防災危機管理部は、本部長である市長の指揮の下、災害対応において市組織や防災関係機関との調整役を果たすとともに、
自主防災組織の育成支援などを通して自助、共助を高め、地域防災力向上の牽引役を果たす存在であると考えております。
以上でございます。
10 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
〔消防局長 河部 勝巳君 登壇〕
11 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
私からは、災害対策について、本年7月12日発生の豪雨災害についてお尋ねのうち、消防局側から見た
災害対策本部との連携についての評価と災害発生時の消防団の役割について問うにお答えします。
本年7月の豪雨災害時の
災害対策本部との連携につきましては、
災害対策本部が立ち上がる前の段階から自主避難所の開設や降雨予測等について
防災危機管理課から情報が伝達されております。大雨による被害が出始めた午後9時頃からは、消防局が対応した災害事案の出動状況や被害情報等について相互に情報共有を図るとともに、
災害対策本部に集まる道路の通行止めや土砂崩れなどの情報についても消防局へ随時連絡されており、
災害対策本部と緊密な連携が図られていたものと考えております。
次に、災害発生時の消防団の役割につきましては、地域防災力の中核として地域との密着性はもとより、即時対応力、要員の動員力を兼ね備えた住民の安心と安全を守る重要な役割を担っているものと考えております。特に、近年頻発している大規模かつ広域的な自然災害においては、消防団は災害発生前から危険が予測される箇所のパトロールなどを行い、異常を察知すれば、いち早く避難を呼びかけ避難誘導を行うなど、自らの地域は自らが守るといった自主的な活動が期待されております。
しかしながら、このたびの豪雨災害時には、一部では消防局からの指示を待っていた分団もあったことから、今後は災害に関する情報を消防局から適時適切に伝達するとともに、消防団員自らが災害等を覚知した場合には自主的・自発的に活動が行えることをいま一度、周知してまいりたいと考えております。
以上でございます。
12 ◯ 議長(金厚 有豊君)
大沢市民生活部長。
〔市民生活部長 大沢 一貴君 登壇〕
13 ◯ 市民生活部長(大沢 一貴君)
私からは、災害対策について、災害発生後の対応についてのうち、災害時における
地域コミュニティ推進課の役割について問うにお答えいたします。
本市では、大規模な災害が発生した場合、災害応急対策を実施するため、
地域防災計画の定めるところにより、必要に応じて、市長をトップとする
災害対策本部を設置することとしております。
この
災害対策本部における主な市民生活部の役割といたしましては、1つに、部内の被害報告の取りまとめ及び連絡調整に関すること、2つに、
地区センターとの連絡調整に関すること、3つに、避難所の開設に関すること、4つに、罹災証明書の発行に関することなどがございます。
このうち、
地域コミュニティ推進課の役割といたしましては、
行政サービスセンターや
中核型地区センター及び
地区センターを所管する所属として各地区の被害状況を把握し、
防災危機管理課へ報告、情報共有することや他部局から入手した情報を部内で共有する役割を担っております。
しかしながら、本年7月12日に発生した大雨による災害時においては、線状降水帯が発生し、13日未明に同時多発的に被害が拡大したことや、
地区センター所長をはじめとする職員が避難所の開設や運営に当たっていたことなどから、
防災危機管理課と被害状況などの情報を迅速かつ十分に共有できなかったことが課題であったと認識しております。
これまでも、平常時から災害に対する備えを行うため、災害対応の最前線である
地区センター班要員の職員は、避難所運営マニュアルにて役割分担や活動内容を把握するとともに、避難所開設訓練において各施設の鍵の開け方や備品の保管状況の確認などを継続して行っております。
本市といたしましては、今回の災害を教訓として、災害発生時の初動体制の早期確立や被害状況の把握のみならず、絶えず変化する状況を把握し、臨機応変に対応できるよう、避難所開設訓練や総合防災訓練への参加などで職員一人一人の防災意識の向上や知識の習得に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
14 ◯ 議長(金厚 有豊君)
牧田財務部長。
〔財務部長 牧田 栄一君 登壇〕
15 ◯ 財務部長(牧田 栄一君)
令和4年度決算についてのうち、まず、一般会計の決算状況についてお答えします。
令和4年度の一般会計の決算は、形式収支で46億3,000万円余りの黒字、また、形式収支から繰越明許費などの翌年度に繰り越す財源を差し引いた実質収支でも35億1,400万円余りの黒字となっております。
また、歳入・歳出の総額ともに大型の施設整備事業の進捗により令和3年度の決算額を下回ったものの、
新型コロナウイルス感染症対策に加え、原油価格・物価高騰対策を実施したことなどにより、市町村合併以降、4番目の規模となっております。
令和3年度決算額との比較では、歳入は、市税において給与所得の増加や企業業績の回復などにより増収となり、決算額は767億2,000万円余り、市町村合併以降で最高額となっております。
一方で、市債は、大型の施設整備などに係る市債や臨時財政対策債の減少により減額となり、残高も減少しております。
歳出は、学校給食費の負担軽減や農業者への緊急支援など、原油価格や物価高騰に直面した市民や事業者への支援事業の実施などにより補助費等が増加したものの、投資的経費が、令和3年度に富山市斎場や八尾中学校が完成するなど、大型事業の進捗などにより減少しております。
令和4年度においては、感染症対策や物価高騰対策に取り組むとともに、本市の今後を見据え、市町村合併の検証や富山市スマートシティ推進ビジョンを策定しました。さらには、大沢野会館や大山会館、オーバード・ホールの中ホールの開館に向けた整備を着実に推進したところであります。
感染症の状況や原油価格高騰等により社会経済情勢の動向が不透明な状況ではありましたが、市税収入の向上や国の各種交付金、地方交付税措置のある地方債などの有利な財源の活用など、財源の確保に努め、将来を見据えた財政運営が行えたものと考えております。
次に、市税収入が前年度と比較し増額となった要因を問うにお答えします。
令和4年度の市税の決算額につきましては、令和3年度決算額740億2,400万円余りに対し、26億9,500万円余り増の767億2,000万円余りとなり、過去最高となったところであります。
この要因について主要な税目ごとに申し上げますと、まず、個人市民税では、課税の対象となる令和3年分の給与所得において、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けていた
社会経済活動が回復傾向となったことなどにより前年に落ち込んでいた賃金の改善が見られたことから、対前年度比2.6%増、金額にしますと6億3,000万円余りの増となっております。また、法人市民税につきましても、本市においては製造業を中心に業績が回復傾向となったことから、対前年度比9.9%増、金額にしますと7億2,000万円余りの増となっております。
次に、固定資産税につきましては、家屋の新増築による増や、令和3年度を限りとして実施された事業収入が一定以上減少した中小事業者等に対する事業用家屋及び償却資産に係る税額の軽減措置の適用がなくなったことに伴い、対前年度比3.1%増、金額にしますと9億3,000万円余りの増となっております。
また、都市計画税につきましても、固定資産税と同様の理由から対前年度比3.9%増、金額にしますと1億5,000万円余りの増となっております。
最後に、
一般会計決算剰余金の基金への積立てに対する考え方について問うにお答えします。
決算剰余金につきましては、地方財政法第7条の規定により2分の1を下らない金額を積み立て、または、償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てることとなっております。
このことから本市では、これまでも決算剰余金の一部を
財政調整基金や減債基金等の残高に留意しながら積み立ててきたところであります。
このうち、
財政調整基金につきましては、年度間の財源調整や大きな災害、リーマンショックのような税収の変動に備えるために設置しており、一般財源の最後のとりでとしての役割を持つ重要な基金であります。令和4年度末の残高は、市町村合併以降、最高額の102億5,600万円余りとなり、100億円という数字の上では1つの節目を超えたところであります。
しかしながら、先般の7月12日から13日にかけての大雨被害への対応のため2度にわたり専決処分した補正予算の財源として14億600万円余りを繰り入れる予算を計上し、今年度末の残高見込みは88億5,400万円余りまで減少しておりました。
こうしたことから、令和4年度の
一般会計決算剰余金18億円を
財政調整基金へ積み立てる補正予算案を提出しているところであり、今後も、決算剰余金等を活用し、基金残高の維持・増加に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
16 ◯ 議長(金厚 有豊君)
酒井上下水道局長。
〔上下水道局長 酒井 正道君 登壇〕
17 ◯ 上下水道局長(酒井 正道君)
私からは、令和4年度の決算についてのうち、令和4年度の
水道事業会計等の決算をどのように評価し、今後どのような経営を目指していくのかの御質問についてお答えいたします。
令和4年度の決算につきましては、水道事業が約5億8,000万円、工業用水道事業が約1億8,000万円、公共下水道事業が約19億4,000万円、それぞれ当年度純利益を確保したところであります。
これらを前年度と比較いたしますと、水道事業では約7,300万円、約14%増加しており、人口減少などの影響により給水収益は減少したものの、企業債支払利息や廃止した配水管の撤去工事などの費用の減少によって純利益が増加したものであります。また、工業用水道事業では約6,200万円、約50%増加しており、責任水量制により安定的に給水収益が確保できることに加え、退職給付引当金繰入額や減価償却費などの費用の減少によって純利益が増加したものであります。一方、公共下水道事業では約1億7,700万円、約8%減少しており、下水道使用料や一般会計繰入金などの収入の減少に加え、浜黒崎浄化センターの包括委託料や修繕費などの費用の増加によって純利益が減少したものであります。
上下水道局といたしましては、昨今の世界的な社会情勢の影響などに伴う電気料や燃料費、原材料費の高騰など、厳しい経営環境の中ではありましたが、概ね堅実な事業経営ができたものと考えております。
今後の水道事業等の経営につきましては、昨年度見直しました第2次富山市上下水道事業中長期ビジョン後期計画期間中の令和8年度までは黒字は維持できるものと見込んでおり、このビジョンに基づき、着実に事業の進捗を図りつつも、今後予想されるさらに厳しい社会経済情勢に対し、柔軟かつ適切に対応しながら、次世代に安心を引き継いでいくため、健全で持続可能な安定経営に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
18 ◯ 議長(金厚 有豊君)
舟崎環境部長。
〔環境部長 舟崎 文彦君 登壇〕
19 ◯ 環境部長(舟崎 文彦君)
私からは、
プラスチック資源一括回収についてお尋ねのうち、まず、
プラスチック資源一括回収の目的と婦中地域での実証実験の成果について問うにお答えいたします。
国においては、地球温暖化による気候変動問題や海洋
プラスチックごみ問題への対応を契機として国内における
プラスチック資源循環を一層促進するため、令和3年6月に
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律を公布され、これを踏まえ、本市では、令和4年3月に策定した第2次富山市一般廃棄物処理基本計画後期計画において
プラスチック類のリサイクルの推進を重点施策に位置づけ、令和6年4月から
プラスチック資源の一括回収及び再商品化に取り組むことといたしました。
なお、再商品化に当たっては、国から2分の1の支援があるものの、本市の経費負担約1,600万円が新たに生じることになります。
本市では、これまでも市民の皆様の御協力により食品トレイや卵のパックなどを
プラスチック製容器包装として分別回収し、リサイクルしておりますが、このたびの一括回収は、これまで燃やせるごみとして出していただいているバケツや歯ブラシ等のいわゆる
プラスチック製品を併せて回収することで、1つに、リサイクルの推進、2つに、燃やせるごみの削減、3つに、焼却施設に係る負荷の低減による安定的な稼働が図られることから、大変有効な取組であると考えております。
このことから本市では、市内全域での一括回収の実施を検討するため、令和4年11月に婦中地域において
プラスチック資源の分別回収から再商品化まで一連の流れについて実証事業を行ったところであり、回収した
プラスチック資源は約17トンで、前年同月と比べて回収量で約1トン、率にして約6%の増加が見られました。
このように
プラスチック資源の回収量の増加を確認できたほか、1つに、回収した
プラスチック資源はペレットなどへの再商品化が可能であること、2つに、アンケート調査では分別のルールが分かりやすかったと多くの方から回答をいただいたこと、3つに、回収量が増えたことによる収集運搬業務や集積場での影響が見られなかったことなどが確認され、一定の成果が得られたところであります。
こうしたことから、本市といたしましては、市内全域での本格実施に向けある程度手応えを感じているところであり、令和6年4月の開始に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
次に、
プラスチック資源一括回収の実施における資源回収の見込みについて問うにお答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、婦中地域の実証事業では
プラスチック資源が約1トン、率にして約6%増加しております。また、令和4年度に市内全域の家庭から排出された
プラスチック製容器包装の回収量は年間で約2,500トンでありましたので、これを基に試算いたしますと、市内全域では一括回収によって年間で約140トンの
プラスチック資源が増加するものと見込んでおります。
最後に、市民に対する周知とその課題について問うにお答えいたします。
このたびの一括回収の実施に伴う新たな分別ルールの見直しは、平成17年の
プラスチック製容器包装と紙製容器包装及び古紙の分別以来、約19年ぶりとなりますことから、市民の皆様が戸惑われることのないよう十分に周知と啓発を図ることが課題であると考えております。
また、一括回収に伴う注意点といたしましては、例えば
プラスチック製品に金属類が含まれているものは従来どおり燃やせないごみとして出していただくことや、軽い水洗いで取れない汚れがあるものは燃やせるごみとして出していただくことなどのほか、特にリチウムイオン電池は発火性があり、じんかい車や処理施設での火災につながることから、混在させないよう広く周知することなどがあります。
これらのことから、「広報とやま」や市ホームページへの掲載をはじめ、富山市LINE公式アカウントからの情報発信、全世帯への案内チラシを配布するほか、本定例会に補正予算案を提案させていただいております新聞掲載による周知や固定式の集積場への案内看板の配付など、今後は、自治振興会の御協力をいただきながら住民説明会を開催し、分別ルールの周知と啓発を図り、令和6年4月から予定しております一括回収のスムーズな実施に向け、市民の皆様の御理解と御協力をいただけるよう努めてまいります。
以上でございます。
20 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで鋪田議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
19番 押田 大祐君。
21 ◯ 19番(押田 大祐君)
自由民主党の押田 大祐です。令和5年9月定例会において自由民主党より一般質問いたします。
今定例会の市長提案理由説明では、本年7月12日、13日の記録的な大雨により市内各所において床上、床下浸水、土砂崩れが発生し、多くの方々が被災され、被災箇所の早急な復旧が必要になったとの説明がありました。この日には、市当局の皆さんも夜を徹して警戒に当たられ、市民の安全・安心のために御尽力されたことに感謝申し上げます。
そしてもう1つ、消防団も市民のために御尽力をされておりました。その消防団は、本業を持ちながらも、自分たちのまちは自分たちで守るという精神の下、地域の安心・安全を守るために設置された消防機関の1つであり、富山市では80の分団で構成されています。
その消防団ですが、活動拠点となるのは消防
分団器具置場、よく消防分団員の詰所やら屯所やらと言われているところです。
平成31年3月定例会において、新年度予算案には消防
分団器具置場の改築費用が2か所分計上されているが、年に2か所の整備箇所数をもっと増やせないのかという質問がありました。その問いに対し、当時の消防局長は、消防の施設、車両の整備状況は全国的に見ても非常に高い水準にあると言える。このような消防力を充実・強化し、そして、維持していくためには、人員、車両、施設、装備に限られた予算をバランスよく投入するということが重要であり、消防
分団器具置場の年2か所の改築整備は将来を見据えた妥当な計画だと考えているとの答弁がありました。
この答弁によれば、富山市内には88の置場がありますので、年2か所ずつですと44年での建て替えになる計算です。
さて、そこで質問をいたします。
消防
分団器具置場の改築については、過去の答弁において、富山市総合計画に位置づけ年2か所のペースで整備するとしていますが、過去10年程度の消防
分団器具置場の改築ペースはどうだったのかをお伺いいたします。
22 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
河部消防局長。
23 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
自由民主党、押田議員の御質問にお答えします。
消防
分団器具置場につきましては、平成25年度から令和4年度までの過去10年間で15か所、年平均1.5か所のペースで改築を実施しております。
24 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
25 ◯ 19番(押田 大祐君)
過去10年間で15か所であれば、年1.5か所になります。それでは市総合計画に位置づけた年2か所には届いていません。
今現在で富山市で一番古い置場は総曲輪分団の置場で52年間、その次は三郷分団で48年と伺っています。事実、この夏に三郷分団の置場を見に行ってまいりましたが、屋根がさびて雨漏り等が著しく、かなり老朽化した状態でした。
過去10年で15か所、年1.5か所というこの実績を踏まえた上で、今後の消防
分団器具置場の改築ペースについてはどのようにお考えでしょうか。見解をお聞かせください。
26 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
27 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
消防
分団器具置場の改築につきましては、資材価格などの上昇の影響もあり、改築に係る事業費が富山市総合計画前期基本計画の初年度となる平成19年度に比べ約2倍に増えていることや、一般的には単年度で改築工事が完了するところ、立地条件等により2か年となるケースも増えてきていることから、改築のペースは計画よりやや遅れている状況にあります。
しかしながら、市内には88か所の消防
分団器具置場があることから、引き続き毎年2か所を目安として改築事業に取り組んでまいりたいと考えております。
28 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
29 ◯ 19番(押田 大祐君)
昨今の建築費の高騰、気にはなっておりましたが、2倍になっているということは非常に驚きました。
しかしながら、最後のほうで年2か所の改築ペースを目安に取り組むという答弁で少しは安心をしております。
改めて言いますが、年2か所ペースでも44年間、直近の1.5か所のペースであれば、単純計算ですけれども、建物、置場を59年間も使うことになります。
消防
分団器具置場の長期間にわたる使用に際して支障はないのか見解を伺います。
30 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
31 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
消防
分団器具置場につきましては、毎年、署員が老朽度合いを調査し、劣化の状況に応じて必要な修繕等を行うことで長寿命化を図り、防災拠点としての機能維持に努めているところでございます。
32 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
33 ◯ 19番(押田 大祐君)
器具置場に関しては、適宜な修繕で長寿命化を図るということが分かりました。
しかしながら、基本的に改築のペースを正常なる年2か所とすることは、消防団機能が低下しないようにすること、そして、地域住民の安心・安全を守ることに寄与する消防行政の重要な役割だと受け止めていただきたいと思います。
さて次に、消防団車両の更新についてお伺いいたします。
消防団に配置されている消防ポンプ自動車は市全体で88台あると聞いております。器具置場同様、これだけの消防車両を消防活動に支障が出ることがないよう点検や修繕等を行い、維持管理に努める必要があると思いますが、まずは、消防団車両の耐用年数についてはどのようにお考えでしょうか。
34 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
35 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
消防車両の耐用年数につきまして、消防ポンプ車メーカーからは、15年を推奨しているものの、走行距離や維持管理の仕方などで大きく変わることから、明確に示したものはないと伺っております。
本市の消防団車両の更新サイクルは約25年となっておりますが、走行距離は平均で約2万キロメートルと少なく、さらには、道路運送車両法に基づく6か月点検や車検等の法定点検に加え、日常の点検として各分団で毎月2回点検を行い、車両の維持管理に努めていることから、本市では明確な耐用年数は定めておりません。
36 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
37 ◯ 19番(押田 大祐君)
メーカー推奨が15年、そして、市としては25年、走行距離も短いということで、本当に消防車両というのは特殊な車両であり、私たちが乗っている一般車両と一緒のくくりにすることは非常に難しいとは思います。
しかしながら、使用年数が長くなるということは、いざというときに故障などで使用できないということ、また、車両自体、ポンプ等の装備品の修繕部品がなくなってしまうのではないかということも危惧されてまいります。
現在使用している消防団の車両で最も使用年数が長いものは一体どのくらい、何年ぐらい経過しているのか、また、消防団車両の更新についてはどのような計画を取っているのかをお伺いいたします。
38 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
39 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
本市の消防団車両のうち、最も使用年数が長いものは26年経過しております。
また、消防団車両の更新につきましては、使用年数や故障履歴、老朽度合い等を勘案して、毎年3台を目安として更新する計画としております。
40 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
41 ◯ 19番(押田 大祐君)
一番古いもので26年、今年が2023年ですから、26年前は1997年、平成で言えば9年となります。
1997年(平成9年)、その当時ですと、パソコンですとWindows95が普及し始めた頃です。まだスマホがありません。携帯電話も高額で、若者はポケットベルを使っていた頃だと思います。今現在、Windows95を使用している会社はまずないと思いますし、ポケベルは既にサービスは停止になっています。自動車で言えば、「21世紀に間に合いました」というコピーでこの当時発売されたのが初代プリウスです。現在でもそのプリウスを使用していることになります。最近はもうその初代プリウスを見ることはほぼありません。
26年間、消防車両をとても大事に使用していると言えばいいのか、いずれにしても、故障やら修理の可否やらの面で不安が残ってしまいます。
そこでお伺いしますが、消防車両の更新計画に対する過去5年間の実績、どのようになっているのかをお聞かせください。
42 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
43 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
過去5年の実績につきましては、毎年3台の消防団車両を更新しており、加えて、総務省消防庁からは、令和元年度に1台、令和4年度に1台の計2台が無償貸付事業で配備されており、合計17台を更新しております。
44 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
45 ◯ 19番(押田 大祐君)
過去5年間で17台を更新している、そのペースであれば、年間で言えば3.4台ペースです。最初の毎年3台更新、それだけ平均でいきますと、88台を更新するのに29年間程度かかってしまいます。3.4台ペースでも26年間がかかる計算です。
消防車両は高額で耐久性もあるため長期の使用に耐え得るようになっているのだとは思いますが、やはり26年、29年というのはあまりにも長いと感じます。
そこで、消防車両を長期間使用した場合、部品が供給されなかったり、そして、修理不能となったりすることはないのか、また、装備品である消防ポンプの性能が低下することも想定されますが、それにはどのように対応しているのかをお伺いいたします。
46 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
47 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
消防ポンプ車メーカーからは、消防車両を長期間使用した場合でも部品が供給できることを確認しており、また、これまでも部品の調達ができずに修理不能となったことはございません。
また、消防局では、毎年、全ての消防ポンプ自動車等についてポンプ性能検査等を実施し、国が定める動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令に規定する能力を満たしているかを確認しており、不備があれば、速やかに整備等の対応を行っているところであります。
48 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
49 ◯ 19番(押田 大祐君)
修理や点検を確かなものにして、長期間使用の礎としていることは分かりました。
先ほども出ました、メーカー推奨では消防車両は15年、そして、やはりいろんなネットなどでも調べますと、十四、五年での更新が多いというふうにも出ておりました。
市民の安心・安全、そして、生命を守るツールである消防車両ということもありますので、まずは年間3台の更新は最低限確保していただき、新たに適宜な更新計画の立案が必要だと思います。
厳しい財政だとは思いますけれども、市民のためにぜひ御検討をいただきたいと思います。
今度は女性消防団員についてお伺いいたします。
先般、8月28日、富山市内を走る路面電車に消防車をイメージしたラッピングが施されて、消防の「ファイヤー」と路面電車の「トラム」を掛け合わせたファイトラムの愛称で運行が始まっております。これは消防団員の減少に歯止めをかけようという消防局の取組で、消防団員数の確保につなげていくものだと思います。
そして、全国的にも消防団員の総数は減少しております。
しかし、女性消防団員の数は増加している状況であると伺っております。
この富山市におきましても、八尾方面団の女性消防団員が来る10月21日に東京都での全国女性消防操法大会に出場することとなっています。コロナ禍による大会延期を乗り越え、長期間にわたり、操法訓練に取り組んでこられたと伺っております。私も7月に行われました市の操法大会でのきびきびとした動作、また、正確で迅速な操法に感動した次第です。大会当日はぜひ訓練の成果を発揮して活躍されることを期待しております。
さて、女性の消防団員でもこのような消火活動の訓練をしておられるというのを実は私は今回初めて知ったわけです。
まず、日頃から女性消防団員はどのような活動をしていらっしゃるのかお聞かせください。
50 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
51 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
女性消防団員につきましては、主に高齢者宅への防火訪問や応急手当の普及・啓発、保育所や幼稚園での紙芝居などによる防火教室といった消防広報を中心に、いわゆる機能別団員として活動しております。
また、近年では、地元の分団に所属し、男性の消防団員と共に操法訓練や災害対応に当たる、いわゆる基本団員として活動している女性消防団員もおります。
52 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
53 ◯ 19番(押田 大祐君)
確かに、私も水橋地区の敬老の集いにおきまして、水橋の女性消防団員が住宅用の火災報知器の交換をPRする「10年たったら、とりカエル。」という寸劇を見させていただいたことがあります。富山弁を見事に使いこなしてコミカルに分かりやすくPRされていたのを覚えています。
それでは質問しますが、本市の女性消防団員の人数、その推移、また、団員数に占める割合は一体どうなっているのかお聞かせください。
54 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
55 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
本市の女性消防団員につきましては、本年9月1日現在、113名在籍しており、また、人数の推移につきましては、合併当初の平成17年4月1日は36名で、その後、年々増加し、平成25年の130名をピークとして若干減少しておりますが、近年は横ばいで推移しております。
56 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
57 ◯ 19番(押田 大祐君)
富山市の女性消防団員の比率は高いということが分かりました。
先般、9月6日の新聞で富山県はタクシーの女性運転手の比率も12%、2位に大きく差をつけて25年連続トップという記事も目にしました。富山の女性は働き者で積極性が高いことが起因されているのかもしれません。そういえば、高田 真里副議長も消防団員だったと記憶しております。
その女性消防団員ですが、広報活動を行うにしても、研修場所といいますか、拠点となる活動場所が必要です。
女性消防団員の研修場所はどのように確保されているのでしょうか、お聞かせください。
58 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
59 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
すみません、先ほどの御質問でございますが、女性消防団員が団員数に占める割合というところの答弁を漏らしておりましたので、追加で答弁させていただきたいと思います。
女性消防団員の団員数に占める割合につきましては、本年4月1日現在、5.7%となっており、全国平均の3.7%と比べ高い状況となっております。失礼いたしました。
続きまして、今ほど御質問のございました女性消防団員の研修場所につきましては、市内8つある消防署のうち、6つの消防署においては消防団の活動室を設けていることから、その活動室を使用して研修や訓練を行っております。また、消防団の活動室を設けていない2つの消防署においては会議室や講堂などを利用しており、全ての消防署において女性消防団員の研修場所は確保しております。
60 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
61 ◯ 19番(押田 大祐君)
8消防署のうち6消防署に専用の研修場所が確保されて、残り2消防署にしても会議室等で確保されていると。その残り2消防署も、いずれか改築や修繕の際には女性消防団員専用の研修場所を設けていただけることを希望いたします。
しかしながら、男性消防団員もですが、女性消防団員も黙っていても入団してくれるものではないと思います。やはりPRや勧誘があって初めて意識づけがされるものと思いますが、女性消防団員の加入促進についてはどのような活動を行っておられますでしょうか。
62 ◯ 議長(金厚 有豊君)
河部消防局長。
63 ◯ 消防局長(河部 勝巳君)
女性消防団員の加入促進につきましては、1つに、女性消防団員の活動内容を紹介した消防団員募集のパンフレットを配布、2つに、消防音楽隊の出演時に女性消防団員であるカラーガード隊による入団の呼びかけ、3つに、ユーチューブなどのSNSを活用した広報活動など、あらゆる機会を捉えて積極的に加入促進に向けた活動を行っております。
今後も、女性消防団員から活動の重要性や魅力について広く呼びかけていただくとともに、研修会などの機会を捉えて、女性消防団員と意見を交わしながら、さらなる加入促進に努めてまいりたいと考えております。
64 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
65 ◯ 19番(押田 大祐君)
了解いたしました。
私も実は消防団員ですので、私の分団では毎月1日と15日の午後7時から消防車で防火パトロールを行います。消防車のパトロールルートのそばに小さな子どもがいらっしゃる家庭があって、消防車が通るのをいつも待っていてくれて、手を振ってくれるわけです。団員は車の中からですが、おじぎをしたり、手を振り返してあげたりしており、そういった交流に心温かいものを感じております。
女性団員もそうですが、男性団員も含めて、消防団員の加入に地元との交流やPRを地道に行っていただき、加入促進に努めていただきたいと願っております。
変わりまして、今度はアピアランスケアについてお伺いいたします。
これまでたくさんの議員がこの問題を取り上げ質問してまいりましたが、この補助制度に関しては、決まって国の動向を見ながらとか、現時点では導入を考えていないという答弁でした。しかしながら、アピアランスケアを必要とする人々にとってはかなり切実であり、重要な問題と感じ、改めてここで伺います。
アピアランス、いわゆる外見のケアとは、手術や投薬などによる外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアとされております。抗がん剤で抜けてしまう頭髪をウイッグで、また、乳がんなどの切除手術によってなくなってしまった乳房を補整乳房などでカバーすることによりがん患者のケアを行うことですが、病気をして収入がダウンしている中で医療費もかかり、その上で、なかなかの高額のウイッグや補整乳房を用意するということはかなり大変なことです。補助制度があればと思うがん患者の気持ちは十分に理解ができます。
まずは、アピアランスケアにおける本市の役割についてはどうお考えなのかお聞かせください。
66 ◯ 議長(金厚 有豊君)
清水福祉保健部長。
67 ◯ 福祉保健部長(清水 裕樹君)
アピアランスケアにつきましては、国は、令和5年3月に閣議決定した第4期がん対策推進基本計画において、治療を継続しながら社会生活を送るがん患者には治療に伴う外見変化に対するサポートが重要であるとして、拠点病院などを中心としたアピアランスケアに係る相談支援や情報提供体制の構築などを検討するとされております。
また、富山県では、富山県がん対策推進計画を踏まえ、富山県がん総合相談支援センターを設置され、医療や在宅療養、介護、就労など、がんに関する様々な相談に対応されております。
さらに、がん診療連携拠点病院──市内においては富山県立中央病院と富山大学附属病院になりますが──これらの拠点病院においてもがん相談支援センターが設置されており、入・通院患者に対する相談支援、情報提供が行われております。
本市においては、富山県がん診療地域連携拠点病院である
富山市民病院においてがん相談支援センターとしての機能を担う「がん何でも相談室」を設置し、がん看護専門看護師などががんに関する相談をお受けしており、その中でアピアランスケアについての相談に対応しているところでございます。
現時点では、本市ではそのほかにアピアランスケアに関する取組は行っておりませんが、一部の中核市においてはホームページを活用して情報発信を行っていることから、本年6月定例会においても答弁いたしましたが、こうした取組などを参考にいたしまして、アピアランスケアの啓発や情報発信の在り方について検討してまいりたいと考えております。
一方で、全国の市町村においては、ウイッグなどを使った整容的ケアに対する支援としてがん患者用補整具の購入費用の助成が広がっており、全国の中核市においては、62市のうち32市において実施されております。また、本市を除く県内の14市町村におきましても既に実施されていることを承知しております。
68 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
69 ◯ 19番(押田 大祐君)
確かに、以前からの答弁で
富山市民病院での相談、そして、本年6月に啓発、情報発信、そして今、新たに中核市のほうでは62市中32市ですか、やっているということを伺いました。
改めて私からもお伝えしますけれども、補助制度についてです。富山県においては、今もありましたけれども、15市町村中の14市町村が補助制度を導入しています。導入していないのは富山市のみとなりました。北陸3県においても、福井県は17つある全市町、石川県も19ある全市町が導入しております。つまりは、北陸3県51市町村で50市町村が導入していますが、何と富山市だけが導入していないという事実となっています。
舟橋村は、アピアランスケアに対する助成事業をこの4月から始めました。この質問をするに当たって、私は舟橋村の渡辺村長に会ってお話を伺ってまいりました。村の保健師から「村長、この施策はがん患者にとって重要な案件ですから、ぜひ検討してください」と言われ、話を聞いて、資料を見て、がん患者の心のケアにも必要だと思い事業展開したと言っておられます。渡辺村長は昨年11月27日に選挙で当選したばかり、つまり、たったの5か月で導入までこぎ着けているわけです。
さて、今度はもう富山市の番だと思います。
本市もアピアランスケアに対する補助制度を導入するべきと考えますが、藤井市長の見解をお伺いいたします。
70 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
71 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えいたします。
アピアランスケアにつきましては、医学的・整容的・心理社会的支援を用いて外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアのことであります。これはおっしゃるとおりであります。
このアピアランスケアにつきましては、がん患者の方に対してがんの診断やがん治療の経過の中で、議員おっしゃるとおり、適宜適切な情報提供やケアが行われることが必要であるということから、第一義的には患者さんが治療を受ける医療機関において行われるべきものというふうに考えております。
また、がん患者用補整具の購入費用の助成に対しましては、基本的には、1つに、本来、国全体での制度であるべきこと、2つに、外見に変化が生じ、生活の質に影響を及ぼす状態はがん以外の病気や障害によっても生じる可能性があるということという考えに変化はございません。
しかしながら、がん患者用補整具の購入費用の助成が広がりを見せており──これは議員おっしゃったとおりと認識しております──県内におきましても、本市を除く14市町村が助成を行っているということを承知しております。
私は、自分だけで解決できない問題を抱えている方には寄り添って一緒に考えてあげるというようなことを信条としており、こうした他都市の状況を考えると、がん医療の進歩に伴い、がん患者の方が、がんになっても治療と仕事を両立し、治療後も同様の生活を維持されていくためには、治療に伴う外見の変化などの患者や家族の悩みや不安にまず富山市として寄り添うことが重要な役割というふうに考えております。
こうしたことから、今後、がん患者用補整具の購入費用の助成につきまして支援の在り方も含めて検討してまいりたいと考えております。
以上です。
72 ◯ 議長(金厚 有豊君)
19番 押田 大祐君。
73 ◯ 19番(押田 大祐君)
藤井市長の寄り添うという言葉に、そう遠くない時期での導入を実現していただけるもの、また、がん患者に希望の光を差し伸べていただけるものと受け止めました。
以上で私からの質問を終了いたします。
74 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで押田議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
暫時休憩いたします。
午前11時31分 休憩
───────────
午後 1時10分 再開
75 ◯ 副議長(高田 真里君)
議長が都合により出席できませんので、私が代わって議事を進めさせていただきます。
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
12番 松井 邦人君。
〔12番 松井 邦人君 登壇〕
76 ◯ 12番(松井 邦人君)
令和5年9月定例会に当たり、
富山市議会自由民主党より一般質問及び議案の質疑を行います。
初めに、本市における労働政策について伺います。
本市の雇用情勢は、コロナ禍からの経済活動の回復を背景に企業の採用意欲が高まる中、学生優位の売手市場が続き、その傾向が顕著になっています。
来春卒業する高校生の就職活動が今月から本格化しますが、企業からの募集は求人倍率が過去最高だった前年を上回っており、優秀な人材の争奪戦になると言われています。
さらに、国内全体においても人手不足が深刻化しており、都市圏の大企業を中心に地方での人材獲得に力を入れてきていることもあって、優秀な人材を確保するため、企業間での競争がより熾烈になっていくことが想定されます。
こうした中、本市の中小企業は、従来の企業説明会やインターンシップの実施に加え、SNSを活用した企業PRや学生と企業の交流イベントを実施するなど、様々な手法を用いて積極的な採用活動を行っています。
しかし、幅広い業界においてなかなか採用予定人数まで達しない状況が続き、人材を確保できない問題は深刻化してきていると考えます。
また、少子化の進行に伴い労働力人口の減少が進み、今後ますます中小企業の人材確保は厳しくなると懸念されています。
中小企業にとって人材が確保できないことは、既存事業の運営に支障を来したり、需要があっても対応できない事態に陥ったりと、業績不振につながり、結果として本市にも大きく影響してくると思います。
そうならないためにも、本市には中小企業の人材確保に向けた取組に対しての支援が求められると考えます。
本市の中小企業に対して人材確保を支援する必要があると考えますが、見解をお聞かせください。
近年、若者は賃金だけでなく働きやすさも重要と考えており、カフェのようなおしゃれなオフィスや、明るくコミュニケーションが取りやすい会議室などがある職場で働きたいという希望を持つ人が増えてきていると言われています。
地方の中小企業においては、いきなり賃金を改定するのは難しくても、働きやすい環境を整備することは可能ではないかと思います。
また、国内外の研究においては、職場環境を改善することで、仕事のストレス要因や健康状態が改善されたり、生産性が向上したりすると報告されています。
さらに、会社を担う社員にとって働きやすい環境を整備することは、離職率の低下や人手不足の解消にも寄与すると考えます。
本市の中小企業において、労働者が働きやすい環境を整備することが重要と考えますが、見解をお聞かせください。
次に、本市における子ども・子育て施策について伺います。
本市では、全国に先駆けて、小学校就学前の子どもが風邪を引いたり熱を出したりしたときに、保護者が仕事の都合で家庭保育ができない場合に、保護者に代わって子どもを預かるお迎え型病児保育事業を平成28年度から始めています。
現在、病児保育を行っている施設は市内で10か所となっており、子育てしやすい環境の充実が図られてきていると考えます。
本市における病児保育の現状について見解をお聞かせください。
近年、医療技術の進歩に伴い、日常生活及び社会生活を営むために、恒常的に経管栄養や喀たん吸引、その他の医療行為を受けることが不可欠な児童が増加し、医療的ケア児やその家族を取り巻く状況も多様化しています。
令和3年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、地方公共団体は、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有すると規定されました。
本市においても、医療的ケア児やその家族が安心して生活できる体制を整備することは重要な課題となっており、平成30年度から医療的ケア児支援事業に取り組んでいます。
現在は市内の保育施設などで医療的ケア児を受け入れており、少しずつではありますが、個々の状況などに応じた子育て環境の充実にも取り組んでいると考えます。
本市における医療的ケア児の保育施設での受入れの現状と課題についてお聞かせください。
近年、少子化の進行や核家族の増加という社会環境の変化によって、母親と赤ちゃんが孤立を深めるという実態が浮き彫りになってきています。
産前から産後へと変わる女性は心と体に大きな負担がかかり、赤ちゃんを産んだ後は、ホルモンバランスの急激な変化によって精神的に不安定になったり、妊娠前の体に戻ろうと体が急激に変化したりする期間となります。
このような時期に、親のサポートが受けられない、パパは仕事で遅いため援助が期待できないなど、母親が1人で育児をせざるを得ない状況になると、産後鬱という心の病に発展することが懸念されており、最悪の場合は子どもを虐待する行為に及ぶ危険性もあると言われています。
母親になった女性の心と体を癒やして、親と子の健全な関係構築を支援して、結果的に親としての自立を促すためにも、産後ケアの必要性は高まっています。
本市では、まちなか総合ケアセンターに産後ケア応援室を設け、母子とその家族が健やかな育児ができるよう支援し、不安の強い母親には保健師や精神保健福祉士などが相談に乗って、関係機関とも連携しながら支援しています。
産後ケアは社会変化に伴う課題であり、甘えでもぜいたくでもなく、女性が受けるべきケアで、今後一層求められると考えます。
本市の産後ケア応援室における利用者の心身への支援について、見解をお聞かせください。
本市の子育て環境を充実させていく施策として、各校下における子ども会や民間事業者が行う放課後児童クラブがあります。
これらの事業は、保護者が昼間に労働などで家庭にいない児童に対し、適切な遊び場や生活の場を与えて、家庭、地域などとの連携の下、児童の自主性や社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立などを図り、その健全な育成を図るものです。
本市の放課後児童クラブは、社会福祉法人やNPO法人、任意団体など市内67か所で開設しており、子育て環境の充実に努めています。
さらに、障害のある児童の受入れに必要となる専門的知識を有する放課後児童支援員などを配置して、放課後児童クラブを行う施設も増えてきています。
障害のある児童の居場所づくりはとても重要であり、子育て世代にとって子育てしやすい環境の充実に大きく寄与するもので、本市としても障害児の受入れに対して一層支援していくべきと考えます。
本市の放課後児童クラブにおける障害児の受入れ支援について、見解をお聞かせください。
こども家庭庁は、こどもまんなか社会の実現に向けた取組の一環として、子どもたちのために何が最もよいかを常に考え、子どもたちが健やかで幸せに成長できる社会を実現するという趣旨のこどもまんなか宣言を提唱しました。
また、その趣旨に賛同し、取り組んでくれる個人や団体、企業、自治体などを、こどもまんなか応援サポーターと呼んでいます。
本年6月30日、市長は、こどもまんなか宣言の趣旨に賛同し、こどもまんなか応援サポーターを宣言されました。
こどもまんなか応援サポーター宣言の狙いと、その取組についてお聞かせください。
最後に、豪雨災害時の対応について伺います。
本年7月12日から13日の大雨により、中山間地をはじめ市内各所において床上・床下浸水や土砂崩れが発生し、農地や水路、道路などに多くの被害が生じました。
早急な復旧のために2度にわたり補正予算を専決処分し、今9月補正予算にも大雨被害対応が計上されています。
補正予算案では、新たに町内会などが実施した復旧活動に対し支援金10万円を支給することや、農地や農業用施設の災害復旧の市単独事業において、通常は地元負担が30%となっているところを、今回の大雨被害においては10%へ引き下げ、地元負担の軽減を図ることになっています。
今回の被害においては、各地域で住民が率先して復旧作業に当たっているなど、一刻も早い復旧には地域の協力や対応が不可欠です。
異なる組織や様々な役割を持つ人々などが協力し合いながら社会を支える協働という取組は、大変よいことだと考えています。
災害復旧地域活動支援金の支給や農地・農業用施設災害復旧における地元負担の軽減は、今後災害が発生した場合にも同様な対応とするのか、今回限りの臨時的な措置なのか、それぞれお聞かせください。
以上で質問を終わります。
77 ◯ 副議長(高田 真里君)
藤井市長の答弁を求めます。
〔市長 藤井 裕久君 登壇〕
78 ◯ 市長(藤井 裕久君)
松井議員の御質問にお答えいたします。
私からは、本市における子ども・子育て施策についてのうち1点にお答えし、その他の事項につきましては担当部長からお答え申し上げます。
こどもまんなか応援サポーター宣言の狙いとその取組についてでありますが、国は本年6月、次元の異なる少子化対策の実現に向けてこども未来戦略方針を公表し、子ども・子育て政策をより実効あるものとするため、全ての人が子どもや子育て中の方々を応援するといった社会全体の意識改革に取り組むこととされております。
その一環として、こどもたちのために何がもっともよいことかを常に考え、こどもたちが健やかで幸せに成長できる社会を実現するという「こどもまんなか」の趣旨に賛同し、自らアクションに取り組み、その内容を発信する個人、企業、地方自治体などをこどもまんなか応援サポーターと位置づけており、本市は本年6月30日にこどもまんなか応援サポーター宣言を行ったところであります。
私が幼少期の頃は、何かにつけて近所の方々から声をかけていただいたり、また、町内やPTA、あるいは児童クラブのイベントなどに参加させていただいたり、学童野球でも監督やコーチから叱咤激励をいただいてかわいがっていただいたり、そういう中で、家族や友人、地域の方々、各種団体の皆さんとの温かい交流や、そういう方の思いやりに包まれて成長することができたものと考えております。
少子化・核家族化の進行、共働き世帯の増加、地域のつながりの希薄化が進むなど、子どもや家庭を取り巻く環境は私が子どもの頃から大きく変化しておりますが、子育てはたくさんの方々の協力や支えがあって初めて成り立っていくものだということは、今も昔も変わらず大切なことだと思っております。
このような思いから、本市において、年齢や性別を問わず、少しでも多くの方に子育てを応援する意識を持っていただくため、真っ先に自ら宣言し、「こどもまんなか社会」の実現に向けて一緒に取り組んでいただくことを呼びかけた次第であります。
本市の取組といたしましては、動画サイト「ユーチューブ」や本市の子育て支援ウェブサイト「育さぽとやま」において本市の宣言内容について紹介したほか、リーフレットを作成し、市内の企業や団体を訪問して、「こどもまんなか」の取組への参加と取組事例の報告を呼びかけているところであり、今後、報告いただいた内容を順次紹介していく予定にしております。
これらの取組はまだ始めたばかりではありますが、「こどもまんなか」の趣旨に賛同する市民や企業、団体の輪が広がり、オール富山で「子育て日本一とやま」を実現できるよう、市民や企業の皆さんと一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
79 ◯ 副議長(高田 真里君)
山本商工労働部長。
〔商工労働部長 山本 貴俊君 登壇〕
80 ◯ 商工労働部長(山本 貴俊君)
私のほうからは、本市における労働政策についてのお尋ねのうち、2点についてお答えいたします。
まず、中小企業に対して人材確保を支援する必要があると考えるが見解を問うにお答えいたします。
本市では、市内に事業所を置く中小企業170社を対象とし、中小企業景況調査を年4回行っておりますが、現在直面している経営課題について、従業員の確保難と回答された企業が、昨年10月以降、全体の約半数を占めております。
また、本年8月から市内企業を訪問し、若年者の職場定着と多様な人材の活躍推進等の要請を行っているところであり、その際にも企業側から、採用予定数を確保できない、求人の募集をかけても応募がないといった切実な声が聞かれ、こうしたことからも人材の確保がより一層厳しい状況となっているものと認識しております。
このことから、本市ではこれまでも、企業の採用や情報発信を支援するため、庁舎2階に企業と求職者のマッチングを図る無料職業紹介所「JOB活とやま」を開設しているほか、新卒者などに対する合同企業説明会を例年3月と8月の年2回実施しており、令和6年4月の採用に向けた説明会においては、累計251社の企業と333人の学生が参加されたところであります。
また、近年、学生が就職したい企業を探す際の情報収集方法が変化してきており、SNSや動画が利用されていることから、昨年度、職場の雰囲気や働く社員の様子などが生き生きと分かりやすく表現できる採用動画の制作に対しても支援を行ってきたところであります。
さらに今年度からは、富山で働く魅力を大学生に対し啓発するため、富山大学と連携し、1年生を対象として、富山で働いた場合の給与や家賃、通勤時間などの利点を内容とした講義を実施したほか、こうした情報を国士舘大学など首都圏の大学と連携した合同企業説明会の場などでも発信する予定としております。
労働力人口が減少する中、企業における人材確保は難しい課題であると捉えておりますが、本市といたしましては、国や県、商工会議所等で行われている取組と連携しながら、様々な角度から市内中小企業への支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、中小企業において労働者が働きやすい環境を整備することが重要と考えるが、見解を問うにお答えいたします。
近年のワーク・ライフ・バランスへの意識の高まりから、若年者層を中心に、働く企業に対し、休暇制度などの勤務条件や、明るく働きやすい職場環境を求める傾向が顕著となっております。
企業において誰もが生き生きと働きがいを持てる労働環境を整備することは、働く方々の満足度を高め、そのことが企業の人材の確保や定着に寄与するだけでなく、生産性を向上させ、企業の持続的な成長発展にもつながるものと考えております。
こうした中、我が国では、仕事と生活の調和を図る社会の実現を目指し、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化など、働き方改革を推進するため一連の法整備が行われたところであります。
一方、企業側においても働きやすい環境を整備するため、リフレッシュ休暇やファミリーサポート休暇などの特別休暇の創設や、健康の維持・増進のための機器の導入など、福利厚生の充実を図るための様々な取組を進めておられます。
また、オフィスの中で固定の席を持たないフリーアドレス制の導入や、社員同士が気軽に話したり休むことができるコミュニケーションスペースの設置など、柔軟で働きやすい職場環境づくりにも取り組まれているところであります。
こうした流れを受け、本市では、富山商工会議所が実施する新しい時代に対応した人材の確保・定着や労務に関するセミナーの開催を支援しているほか、女性が職場で活躍できる環境づくりを推進するため、女性専用のトイレや更衣室の整備に対し経費の一部を支援する制度を平成29年度に設け、今年度までに計36件の支援を見込んでいるところであります。
本市といたしましては、国をはじめ関係機関とも連携し、労働環境の改善に向けた各種支援制度の周知や啓発に努めるとともに、議員御指摘の働きやすい環境を整備する企業の取組に対しても、今後、さらなる支援の充実を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
81 ◯ 副議長(高田 真里君)
古川こども家庭部長。
〔こども家庭部長 古川 安代君 登壇〕
82 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
私からは、本市における子ども・子育て施策についての御質問のうち、4点について答弁いたします。
初めに、病児保育の現状について見解を問うにお答えいたします。
本市の病児保育事業につきましては、市町村合併した平成17年度においては市内2施設で実施しており、富山市まちなか総合ケアセンターを開設した平成29年度には5施設、令和3年度からは10施設で実施しております。
また、本市では、平成28年10月に全国に先駆けて、保育所等で急にお子さんの体調が悪くなった場合、保護者に代わって看護師等がタクシーでお迎えに行き、かかりつけ医などを受診するお迎え型病児保育事業を旧西田地方保育所で開始し、平成29年度以降は富山市まちなか総合ケアセンターが事業を引き継ぐ形で実施しているところであり、現在では病児保育事業を行う10施設のうち5施設で実施されております。
病児保育事業の利用状況につきましては、平成17年度の利用者は665人でしたが、施設数の増加に伴い利用者も年々増加し、途中、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による利用控えなどがあったものの、令和4年度には4,014人と、コロナ禍前の利用状況に戻っております。
本市の病児保育事業につきましては、令和2年3月に策定した第2期富山市子ども・子育て支援事業計画において、令和6年度までに7施設を設置することを目標としておりましたが、既にそれを上回る10施設で実施しております。
利用状況からも、やむを得ない事情により仕事を休めない保護者にとってはなくてはならないサービスであり、今後も子育て世帯のニーズは高い事業であると認識しております。
次に、医療的ケア児の保育施設での受入れの現状と課題について問うにお答えいたします。
本市では、令和3年9月から私立の認定こども園において、経管栄養やたんの吸引、酸素療法などの医療的ケアを必要とする医療的ケア児の受入れを開始しており、本年4月からは市立保育所においても医療的ケア児を受け入れております。
令和5年9月現在の受入れ状況につきましては、市立保育所1か所、私立認定こども園3か所の計4か所において6名の児童が入所しております。
なお、医療的ケア児の入所に関する相談は増加していることから、本年初めて、医療的ケア児を保育している市立保育所において、私立保育施設の職員にも参加いただき、医療的ケア児の受入れに関する理解を深めるための研修会を開催したところです。
課題といたしましては、医療的ケア児のケアの内容によっては対応できる看護師等が確保できないため、様々な医療的ケア児の受入れに対応することが難しい場合があります。
本市といたしましては、今後も引き続き医療的ケア児を持つ保護者からの相談に丁寧に対応し、保育ニーズの把握に努めるとともに、保護者の方々に安心してお子さんを預けていただけるよう、受入れ体制の強化について調査・研究してまいりたいと考えております。
次に、産後ケア応援室における利用者の心身への支援について見解を問うにお答えいたします。
産後ケア応援室では、助産師が産後4か月までの母親の身体的回復と心理的な安定を図り、母子とその家族が健やかに育児できるよう支援しているところであります。
産後ケア応援室の利用については、母子健康手帳の交付時に保健師等が説明しているほか、産科医療機関においては、特に産後鬱の疑いや育児に関する知識不足などの産婦に対し、施設を周知していただいているところであります。
昨年度、産後ケア応援室を利用した母親の約3割に強い育児不安などの精神の不調があったほか、支援者不足などを背景とした孤立した環境にある産婦も見受けられています。
このようなことから産後ケア応援室では、個々の産婦に応じたケアプランを作成するとともに、施設利用後も継続的に支援が必要な産婦に対しては、地域の保健福祉センターの保健師につなぐなど、切れ目のない子育て支援を行っているところであります。
さらに、産後ケア応援室では、電話で24時間育児の相談ができる「助産師ほっとライン」を開設しており、年間約450件の相談があることから、産婦の不安の軽減や産後鬱の防止などにもつながっていると考えているところであります。
最後に、放課後児童クラブにおける障害児の受入れ支援について見解を問うにお答えいたします。
本市では、放課後児童クラブに対しこれまで、障害児を受け入れている場合に職員を1名配置するための経費を補助してまいりました。
放課後児童クラブを利用する障害児数が増加する中、1名の職員では複数の障害児を安全に見守ることが難しいことから、今年度、3名以上の障害児を受け入れている場合に、さらに1名の職員を配置するための経費を新たに補助することとしたところ、8クラブから申請がありました。
また、県のハートフル保育カウンセラーの派遣事業を活用し、子どもの発達についての専門知識や経験を有する保育カウンセラーを希望する放課後児童クラブに派遣し、発達相談や支援方法について専門的助言を行っているところであります。
こうした取組により、今後も職員の負担の軽減や障害児の安全の確保、受入れ体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
83 ◯ 副議長(高田 真里君)
大沢市民生活部長。
〔市民生活部長 大沢 一貴君 登壇〕
84 ◯ 市民生活部長(大沢 一貴君)
私からは、豪雨災害時の対応についてのうち、災害復旧地域活動支援金の支給は、今後災害が発生した場合にも同様の対応とするのか、今回限りの臨時的な措置なのかにお答えいたします。
去る7月12日から13日に発生した大雨により、床上・床下浸水や土砂崩れの発生、農業用水や側溝への土砂の堆積など、市内各所において多くの被害が発生しました。
このような中、本市では、不便を強いられている市民生活の解消に向け、市道や農道、林道などの土砂崩れ、のり面崩壊の復旧作業を鋭意実施しているところであります。
一方で、地元管理が原則となっている農道や農業用水などの法定外公共物においても各地で被害が発生し、住民が協力して復旧活動を実施されたと伺っております。
また、今回の豪雨災害の復旧等に対する各種団体からの要望といたしまして、まず、7月21日に富山市議会全会派から、被害状況の把握や速やかな復旧などについて、次に、8月7日に会派
富山市議会自由民主党から、地域住民が自主的に復旧作業を行ったときの支援などについて、また、8月10日に神保自治振興会と井田川水系土地改良区から、農業用水路通水確保のために実施された江ざらいに対する支援等について、市に対して要望がございました。
本市といたしましては、住民による復旧活動を行うことができる地域コミュニティーの維持は、安心・安全な生活環境を守る上では大変重要であると考えており、復旧活動において重機の借上料や燃料費など地元負担があったことなどに鑑み、こうした復旧活動に対して1町内会当たり一律10万円の災害復旧地域活動支援金──総額で事務費を含めまして3,027万6,000円──を本定例会に補正予算案として提案したところであります。
支援金の支給申請につきましては、災害復旧活動をされた町内会から、具体的な活動内容を記載した申請書や活動場所が分かる地図などを提出していただく予定としており、申請される町内会の御負担とならないよう十分に配慮した上で、自治振興会の御協力を得ながら支援金を支給してまいりたいと考えております。
なお、お尋ねの、今後同様の災害が発生した場合の支援金の取扱いにつきましては、1つに、災害救助法の適用の有無、2つに、激甚災害指定の有無、3つに、発生した災害の規模、4つに、市内における被災状況などを総合的に勘案し、その都度検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
85 ◯ 副議長(高田 真里君)
金山農林水産部長。
〔農林水産部長 金山 靖君 登壇〕
86 ◯ 農林水産部長(金山 靖君)
私からは、豪雨災害時の対応についてお尋ねのうち、農地・農業用施設災害復旧における地元負担の軽減は、今後災害が発生した場合にも同様の対応とするのか、今回限りの臨時的な措置なのかについてお答えいたします。
本市では、本年7月12日から13日の大雨により、中山間地域を中心に農地や農業用施設が約1,500件被災し、営農活動に支障が生じるなど甚大な被害が発生したところであります。
その後、国において、本年5月28日から7月20日までの間の本市を含む全国の豪雨等の災害を激甚災害に指定する政令が閣議決定され、本年8月30日に公布・施行されたところであります。
激甚災害に指定されると、国庫補助の対象となる災害復旧事業費が40万円以上の事業は、補助率が9割程度までかさ上げされることとなり、被災自治体に対する特別な財政援助になるとともに、地元負担の軽減にもつながるものであります。
一方、国の補助対象とならない災害復旧事業につきましては、市の補助率が7割、地元負担が3割である市単独の補助事業として以前から対応してきたところでありますが、これまでに経験したことのない被災状況からの早期復旧を目的として、今回、国の補助率のかさ上げに合わせ、市の補助率も9割にかさ上げし、地元負担を1割に軽減することとしたものであります。
議員お尋ねの今後の対応につきましては、1つに、激甚災害指定の有無、2つに、本市の各地域における農地や農業用施設の災害発生件数、3つに、災害救助法の適用の有無、4つに、多面的機能支払交付金などの制度による交付金の災害復旧への活用状況などを総合的に勘案して、その都度判断してまいりたいと考えております。
以上であります。
87 ◯ 副議長(高田 真里君)
これで松井 邦人議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
36番 高田 重信君。
〔36番 高田 重信君 登壇〕
88 ◯ 36番(高田 重信君)
令和5年9月定例会に当たり、
富山市議会自由民主党より一般質問を行います。
初めに、地方分権についてお伺いいたします。
平成5年(1993年)6月に衆参両院で地方分権の推進に関する決議が可決されてから、30年が経過しました。
この決議では、地方分権の推進について次のとおり示されています。
「今日、さまざまな問題を発生させている東京への一極集中を排除して、国土の均衡ある発展を図るとともに、国民が待望するゆとりと豊かさを実感できる社会をつくり上げていくために、地方公共団体の果たすべき役割に国民の強い期待が寄せられており、中央集権的行政のあり方を問い直し、地方分権のより一層の推進を望む声は大きな流れとなっている。このような国民の期待に応え、国と地方との役割を見直し、国から地方への権限移譲、地方税財源の充実強化等地方公共団体の自主性、自律性の強化を図り、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立することが現下の急務である。したがって、地方分権を積極的に推進するための法制定をはじめ、抜本的な施策を総力をあげて断行していくべきである」。
このようにうたわれた決議の後、平成7年(1995年)の地方分権推進法、平成11年(1999年)の地方分権一括法、平成18年(2006年)の地方分権改革推進法の成立等を経て、地方分権改革は着実に進んできたものと考えていますが、一方で、新型コロナウイルスの感染拡大は地方分権の速度を緩め、また、自治体側においても地方分権の機能が低下しているとの見方もあります。
こうした状況を踏まえ、市長は今後の地方分権の推進についてどのような所見をお持ちかお聞かせください。
次に、JR高山本線活性化についてお伺いいたします。
昨年4月11日にJR西日本がローカル線に関する課題認識と情報開示についてプレス発表を行い、輸送密度が1日当たり2,000人未満の利用状況の厳しい区間について、収支を公表し、存続・廃止やバスへの転換等を含め、幅広く沿線自治体とサービス確保に関する議論や検討を行いたいとの意向を示されました。
全国のローカル線ではコロナ禍以降利用者が減少しており、様々な課題に直面しているものと捉えています。
そこで改めて、公共交通における鉄道の必要性について、市の見解をお聞かせください。
市が推進する公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりにおいて、重要な交通軸であるJR高山本線に対し、市は今後も積極的に関与し、さらなる活性化に取り組んでいく必要があるものと考えます。
このことから、市では令和3年3月に高山本線ブラッシュアップ会議を設立し、これまでの活性化の取組の深化や持続可能な公共交通の実現について、2か年にわたる議論を行ってこられました。
本年6月29日には高山本線沿線ブラッシュアップ会議を新設され、新たに富山地方鉄道株式会社を加えられたとのことでありますが、その狙いについてお聞かせください。
国では、地域公共交通活性化再生法を改正し、ローカル鉄道の再構築に関する仕組みの創設や拡充など、新たな支援制度が本年10月に施行されます。
JR高山本線においても、こうした国の支援制度を上手に活用しながらブラッシュアップ施策に取り組むべきと考えますが、事業の大臣認定を受けるためには地域公共交通計画への位置づけが必要になるとされています。
そこで、現在策定しておられる地域公共交通計画の進捗状況についてお聞かせください。
新たな支援制度を活用しながら、高山本線ブラッシュアップ基本計画に位置づけた施策を着実に推進することが必要と考えますが、高山本線沿線ブラッシュアップ会議を今後どのように進めていかれるのかお聞かせください。
次に、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドについてお伺いいたします。
近年、富山駅周辺においては、北口駅前広場やオーバード・ホール中ホールが完成し、ブールバール広場の整備も進展してきています。
そうした環境の整備により、駅前広場などで開催されるイベントに多くの市民が集い、にぎわいを感じられるようになってきました。
令和2年度の富山市民意識調査の地域住民のニーズ等の把握・分析にある最も重点的に取り組む施策(まちづくりの目標別)において、「賑わいと交流の都市空間の整備・充実(富山駅周辺の南北一体的なまちづくりの推進、中心市街地の整備など)」が6位となっており、市民の関心の高さがうかがえます。
富山駅周辺には多くの民間企業、商業・文化施設が集積しており、富山駅は県内一の公共交通結節点であることから、多くの来訪者が就労、交遊、観光などの様々な目的を持って集う場所であり、新たなにぎわいが創出できないかと考えていたところ、本年8月3日に官民の協力で富山駅周辺の活性化を目指す新団体トヤマチ∞ミライ ユナイテッドが設立されたと報道され、さらなるにぎわいづくりに資するものと大いに期待を寄せているところであります。
そこで、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドの設立の経緯をお聞かせください。
地域の価値向上を図る手段として、エリアマネジメントがあります。
多様なステークホルダーが参画し協働して取り組むためには、将来像やコンセプトをしっかり持つことが重要であると考えます。
また、富山駅南北一体的なまちづくりプラットフォームで未来ビジョン「トヤマチ∞ミライ」を策定されていますが、それを具現化するために、高い理念の下、活動することも重要です。
そこで、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドのコンセプトをお聞かせください。
このような取組は、官民がこれまで以上に連携し、さらなるにぎわいを創出することで、富山市が魅力あふれる活力ある都市になるものと考えます。
トヤマチ∞ミライ ユナイテッドにおける本市の役割についてお聞かせください。
次に、シティプロモーションについてお伺いいたします。
これまで本市では、市内外の多くの方から選ばれるまちとなるよう、平成21年度には富山市シティプロモーション推進計画を策定され、都市の魅力を戦略的かつ効果的に情報発信することで、本市の認知度や都市のイメージの一層の向上を図るための様々な取組を展開されてきました。
また、平成26年度からは、「AMAZING TOYAMA」のキャッチフレーズの下、市民一人一人が本市に対する愛着や誇りを持つシビックプライドの醸成にも取り組んでこられました。
しかしながら、令和2年度の富山市民意識調査の居住地域別の施策の満足度において、「地域・自治体としてのブランディングとシティプロモーション」の項目においては、不満であると9位にランクされていることは残念に思います。
こうした中、現行の富山市シティプロモーション推進計画から13年以上が経過し、また、スマートデバイスやSNSの普及、新型コロナウイルス感染拡大により、人々の生活スタイルや習慣、行動、価値観が当時と大きく変化していることから、本市では今後のシティプロモーションについて、その在り方や取組の方向性を示す指針を今年度新たに策定することとされています。本年7月には、1回目の富山市シティプロモーション推進指針策定有識者会議が開催されたところです。
そこで、新たな指針の策定の趣旨及び策定に向けた今後のスケジュールについてお聞かせください。
次に、5Gの活用についてお伺いいたします。
これまで富山市のまちづくりは、都市空間の物理的な距離を縮めるフィジカル空間のコンパクト化でしたが、近年の富山市においては、フィジカル空間とサイバー空間を高度に融合させることで、経済的発展と社会的課題の解決を両立する取組を進めておられます。
この取組は、Society5.0時代における超スマート社会といった日本の未来像と軌を一にしています。
Society5.0を実現するための重要な技術の1つに5Gがあります。5Gは、高速・大容量、低遅延、多数接続といった優れた通信技術であります。
富山市が目指すスマートシティに欠かせない技術だと考えますが、5Gの特徴や有効性を市はどのように認識されているのかお聞かせください。
最後に、図書館の活性化についてお伺いいたします。
平成27年(2015年)8月22日にオープンした図書館本館は、図書館の資料や情報を通じて市民が豊かに暮らすことを基本コンセプトとし、約45万冊の蔵書に加え約500タイトルの雑誌をそろえるとともに、ガラス芸術資料、県内の地域・観光資料、まちづくり関係資料を新たに設けられました。
私は、図書館について今回一般質問するに当たり、先月図書館を訪れ、業務内容や施設についてレクチャーを受けました。夏休み期間中ということもあり、親子連れで児童図書を読んだり、高校生が閲覧室で持込み学習をしたり、外国からの旅行者が施設の写真を撮ったりと、多くの来館者でにぎわっていました。何よりも、「知を深める図書館」を改めて強く実感したところです。
初めに、図書館本館の令和元年度から令和4年度までのレファレンスサービスの調査相談件数及び入館者数の推移についてお聞かせください。
図書館本館は、気軽に本と親しむことができる滞在型の図書館として、中心市街地という立地を生かし新たな交流を生み出してきたと思いますが、にぎわいの拠点としてどのようにまちに人を呼び込んでこられたのでしょうか。あわせて、その取組についてどのように評価をされているのかお聞かせください。
図書館は、年齢や属性に関係なく多様な住民が集う施設ですが、読書普及やにぎわい創出のほかにも、ビジネス支援やリスキリング(学び直し)の需要にも対応していくべきと考えます。
このようなことから、他の自治体の図書館では、経済活動のレファレンスなどに関連する研修を修了した図書館司書(ビジネスライブラリアン)も少しずつ増えてきているようであります。
また、泉大津市の図書館では、ロボットが図書館内を移動して利用者が求める本の場所を案内したり、横手市の図書館ではロボットが蔵書点検をする実証実験を行ったりするなど、図書館でもロボットが導入され、業務の効率化が図られていると伺っています。
富山市立図書館でも、ビジネス支援の取組や利用者に案内や相談の対応をするロボットの導入など、魅力的なサービスを展開することによって、さらなるにぎわい創出や利用者の増加につながるものと期待するものですが、見解をお聞かせください。
以上で質問を終わります。
89 ◯ 副議長(高田 真里君)
藤井市長の答弁を求めます。
〔市長 藤井 裕久君 登壇〕
90 ◯ 市長(藤井 裕久君)
高田議員の質問にお答えいたします。
私からは地方分権推進についてお答えし、その他の事項につきましては、教育長及び担当部長から答弁申し上げます。
平成5年(1993年)6月に国会の衆参両院で地方分権の推進に関する決議が全会一致で可決されて以来、地方分権改革は大きく2つの流れで進められてきたものと認識をしております。
1つ目でございますが、平成5年の国会の決議から、平成11年7月のいわゆる地方分権一括法の成立に至るまでの時期に当たるものであり、国と地方の関係が上下・主従の関係から対等・協力の関係に移行し、機関委任事務の廃止や、地方公共団体に対する国または都道府県の関与に関する基本的ルールが明確化されるなど、地方分権の理念や基礎が形成された第1次地方分権改革であります。
2つ目として、平成18年12月のいわゆる地方分権改革推進法の成立から今日まで続いております改革の流れであり、いわゆる義務づけ、枠づけなど、個別の法令により定められている様々な地方に対する規制の緩和や、国から地方及び都道府県から市町村への事務・権限の移譲を進める第2次地方分権改革であります。
このように、第1次地方分権改革により形成された国と地方の新たな関係という土台の上に、第2次地方分権改革により実現することになった地方に対する個別の規制緩和や事務・権限の移譲の積み重ねによって、地方において地域の実情に応じた行政が展開できるようになってきたものと承知をしております。
さらに、国から地方への権限移譲に関し、平成26年度から導入された提案募集方式によって、国主導の改革ではなく、地方の提案に基づくボトムアップ型の改革へと移行したことで、地方分権改革は大きく前進することとなり、自治体が自らの熱意や創意工夫によって自主的かつ自立的に行政を展開できる土壌が整備されたものと、私は非常に高く評価をしているわけでございます。
こうした国と地方との新たな関係の構築を伴うこれまでの地方分権改革の成果は、地方自治法の条文に明確に反映されているところであります。
例えば、1つに、地方公共団体は、法律または政令によらなければ、国または都道府県からの関与──具体的には助言または勧告、資料の提出の要求、同意や許可、指示などのことでございますが、これらを受けることはないこと、2つに、政令に基づく国または都道府県からの関与であっても必要最小限のものでなければならず、また、地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならないこと、3つに、国等の機関が行った助言等に従わなかったことを理由として、地方公共団体に不利益な取扱いをしてはならないことなどが地方自治法の中に明記されております。
こうした中、昨年、国は、マイナンバーカードの取得率に応じて地方交付税の配分額に差を設けたり、デジタル関連の交付金の配分を決める際にマイナンバーカードの申請率を考慮する方針を示すなどしたことは、地方自治法の条文に埋め込まれた地方分権の精神とは大きくかけ離れた対応ではないかと私は思います。
こうしたことから、私は、今後地方分権改革をさらに推し進めていくためには、国並びに都道府県及び市区町村それぞれが、これまで多くの先人たちが数々の御労苦を伴いながら築き上げてこられた地方分権改革の意義や、その成果が反映された地方自治法の精神を改めて深く認識することが重要であると考えております。
その上で、助言または勧告、指示などといった国や都道府県からの関与に対しましては、その関与の法的根拠や度合いなどを十分に吟味し、関与に対する市としての対応を適切に判断する姿勢や気構えを持つとともに、行政事務能力を一層高めることが非常に重要であり、そうしたことが、国や都道府県との関係において、基礎自治体である市町村が自主性や自立性を発揮した行政を展開する、すなわち地方分権改革の成果を自らが享受することにつながるものと確信をしております。
以上であります。
91 ◯ 副議長(高田 真里君)
宮口教育長。
〔教育長 宮口 克志君 登壇〕
92 ◯ 教育長(宮口 克志君)
私からは、図書館の活性化についてお尋ねのうち、まず、図書館本館の令和元年度から令和4年度までのレファレンスサービスの調査相談件数及び入館者数の推移についてお答えいたします。
図書館本館では、絵本などの児童図書や小説、また日常生活に関する実用書や調査・研究に役立つ専門書など、幅広く書籍類を取りそろえており、参考図書フロアのほか、児童図書フロアの相談窓口にも司書を配置し、読書案内だけではなく、課題解決などに必要な資料や情報の提供も行っております。
議員お尋ねの図書館本館における令和元年度から令和4年度までのレファレンスサービスの調査相談件数につきましては、電話やメールでの問合せを含めたもので、令和元年度は5,217件、令和2年度は3,983件、令和3年度は4,054件、令和4年度は4,062件でした。
また、入館者数につきましては、ガラス美術館との複合施設として両施設を合わせた集計を行ってきており、概算ではありますけれども、令和元年度は80万4,000人、令和2年度は51万4,000人、令和3年度は52万2,000人、令和4年度は65万4,000人で、若干ではありますけれども回復傾向となっております。
次に、にぎわいの拠点としてどのようにまちに人を呼び込んできたのか、また、その取組についてどう評価しているのかにお答えいたします。
図書館本館では、図書の貸出しだけでなく、にぎわいづくりの拠点として、大学や他の行政機関と連携した暮らしに役立つセミナーをはじめ、絵本作家の講演会や毎月の読み聞かせ会のほか、ふだん入ることのできない書庫を回るバックヤードツアーなど、令和4年度では全体で約160回開催し、
新型コロナウイルス感染症対策のため人数制限を行いながらも、約1万2,000人の参加がありました。
また、1つに、窓辺に面した明るい閲覧席や壁に囲まれた静かな閲覧席のほか、靴を脱いで親子で絵本や紙芝居を読める部屋を設置する、2つに、まちなかを散策される方や公共交通の待合の方に気軽に利用していただけるよう、1階の情報コーナーに新聞や雑誌を設置し、朝7時から開放する、3つに、一般の方が利用される4階と5階の図書フロアの閉館時刻を、週末の金曜日と土曜日については20時とするなど、利便性の向上にも努めてきたところであります。
これらの取組は、本館の日常的な利用のほか、これまで本館を訪れることのなかった方の来館のきっかけにもなるなど、まちなかのにぎわい創出に寄与しているものと考えております。
なお、毎年7月に実施している利用者アンケートにおきましても、回答いただいた本館利用者のうち、95%を超える方に満足しているとの評価をいただいているところであります。
最後に、ビジネス支援の取組やロボットの導入など、魅力的なサービスを展開することによって、さらなるにぎわい創出や利用者の増加につながるものと期待するが、見解を問うにお答えいたします。
図書館の魅力を高め、多くの方に来館いただくためには、まずは、図書館の基本的役割である利用者のニーズに沿った選書や資料の収集、整理、保存、提供を適切に行い、市民の読書活動を支援することが重要であると考えております。
一方で、近年は、施設をより身近に感じてもらうとともに、全ての人にとって訪れやすい場となるよう、図書館に求められる機能やサービスは多様化してきており、議員から御紹介のありました、司書の立場からビジネス支援に携わる課題解決型のサービスの提供や、ロボットが館内を案内するなどの事例は、図書館の魅力を高める方策の1つであると捉えております。
こうした中、市立図書館では、専門的知識を学んだ司書によるビジネス支援のほか、文字を拡大する機能のついた音声読書機の導入や、点字絵本などのバリアフリー図書の貸出しを行うなど、読書が困難な方のための読書環境の改善にも努めているところであります。
また、SNSを活用しイベントの案内や資料展示を紹介するほか、講演会の様子を動画配信するなど、ICTを活用し図書館の認知度を高める取組も行っているところではありますが、市教育委員会といたしましては、他都市の事例も参考にしながら、引き続き市民の読書や課題解決に関する支援のほか、多様化するニーズへの対応にしっかりと取り組むとともに、魅力あるイベントの開催などを通じて、さらなるにぎわいの創出や利用者の増加に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
93 ◯ 副議長(高田 真里君)
深山活力都市創造部長。
〔活力都市創造部長 深山 隆君 登壇〕
94 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
私からは、JR高山本線活性化についてお尋ねのうち、まずは、公共交通における鉄道の必要性について問うにお答えをいたします。
鉄道につきましては、バスやタクシーなどの他の公共交通機関に比べて、人や物資を大量に輸送できることや、速達性、定時性、広域性などの面において優位性があることから、通勤・通学をはじめ、沿線住民の暮らしを支える移動手段として重要な役割を担っております。
また、都市構造を形成する骨格としての役割や市民生活の質の向上、さらには地域経済の活性化など、多岐にわたる役割を果たす重要な社会インフラであると認識しており、都市政策の観点からは必要不可欠なものであると考えております。
このことから、本市が進める公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりにおいては、富山駅を中心に放射状のネットワークを構成している全ての鉄軌道を公共交通軸として位置づけております。
次に、高山本線沿線ブラッシュアップ会議を新設し、新たに富山地方鉄道株式会社を加えた狙いについて問うにお答えをいたします。
本市では、令和3年3月に設置した高山本線ブラッシュアップ会議において、持続可能な公共交通の実現について議論を行い、本年3月に高山本線ブラッシュアップ基本計画を取りまとめたところでございます。
その後、本年6月に高山本線沿線ブラッシュアップ会議を立ち上げ、2か年を目途に関係機関とのさらなる連携や適切な役割分担を構築し、計画を着実に推進することとしております。
この計画においては、基本方針として、JR高山本線沿線のバス等を含むモードの異なる公共交通機関を1つのサービスと捉え、目的地に応じた最適な公共交通の組合せが可能な環境を整備し、誰もが歩いて暮らせるまちづくりを目指すこととしております。
このことから、JR高山本線と並走するバス路線を運行する富山地方鉄道に参加いただくことで、婦中、八尾、笹津及び猪谷方面の路線バスと協調し、お互いのダイヤ調整や共通ICカードの導入を図るなど、相互に利用しやすい公共交通ネットワークの早期実現を期待するものであります。
次に、現在策定している地域公共交通計画の進捗状況について問うにお答えをいたします。
本市では、少子・高齢化や
新型コロナウイルス感染症などの影響により、地域公共交通を取り巻く環境が変化する中、利便性の高い持続可能な公共交通を実現するため、昨年度と今年度の2か年で富山市地域公共交通計画を策定することとしております。
昨年度は、地域の現状や公共交通の概況を整理するとともに、移動特性やニーズ等の把握をするための調査を実施いたしました。
今年度につきましては、昨年度の調査結果を基に課題を整理し、富山県が策定する富山県地域交通戦略との整合を図りながら、計画の柱となる基本方針や取組方針、目標実現に向けた施策などを設定することとしており、今後、富山市都市交通協議会やパブリックコメントでの様々なステークホルダーの意見を踏まえ、来年3月までに取りまとめて公表したいと考えております。
本市といたしましては、計画には自動運転やMaaSなどデジタル技術を実装する交通DX(デジタルトランスフォーメーション)や、EV車両の導入など脱炭素を推進する交通GX(グリーントランスフォーメーション)など、地域公共交通をリデザイン(再構築)する新たな視点を盛り込むとともに、JR高山本線ブラッシュアップ施策に国の支援制度を活用することなどを位置づけ、関係者の共創による実効性の高い計画となるよう、引き続き策定作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、高山本線沿線ブラッシュアップ会議を今後どのように進めていくのかについてお答えをいたします。
高山本線沿線ブラッシュアップ会議におきましては、基本計画に掲げたブラッシュアップ施策をスピード感を持って議論することを目的に、実務者間のワーキンググループを設置いたしました。
このワーキンググループは随時開催することとしており、これまでに、地域と連携し駅施設を活性化するため、本年8月に開催した越中八尾駅でのとやまレールライフフェスタや、本年10月から社会実験を行う、JR高山本線を補完する路線バスの速達便、さらには、国の交付金を活用して行う駅へのアクセス改善やICカード導入等について、検討を行ってきたところであります。
今後、ワーキンググループにおいて様々な施策の検討を進め、重要な意思決定が必要な案件については、高山本線沿線ブラッシュアップ会議で各関係者間の合意形成を図りながら、計画に掲げた施策を着実に推進してまいりたいと考えております。
本市といたしましては、全国のローカル鉄道が抱える課題解決のモデルケースとなるよう、JR高山本線のブラッシュアップを今後も強力に推進し、持続可能な公共交通の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドについてお尋ねのうち、まず、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドの設立の経緯にお答えをいたします。
本市では、令和2年3月の路面電車南北接続以降、コンパクトなまちづくりのネクストステージを見据え、富山駅南北のさらなる一体感の醸成や魅力を高めることで、市民や来街者が歩きたくなる空間づくりや、富山駅南北のにぎわいを周辺エリアに波及させるため、周辺事業者との官民連携による意識共有を図り、持続的なエリアマネジメントの実現を目指すこととしておりました。
こうしたことから、令和3年11月に本市と富山駅周辺エリアの民間企業、まちづくり団体、交通事業者などによる富山駅南北一体的なまちづくりプラットフォームを設立し、富山駅周辺エリアの将来あるべき姿について議論を重ね、令和5年3月に未来ビジョン「トヤマチ∞ミライ」を策定したところであります。
この未来ビジョンの実現に向けた実行組織として、富山駅南北一体的なまちづくりプラットフォームの構成員を中心とした新団体トヤマチ∞ミライ ユナイテッドが本年8月3日に設立されたところであり、富山駅周辺エリアのさらなる魅力創出や価値の向上に向けた取組を行っていくこととしております。
次に、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドのコンセプトをお答えいたします。
トヤマチ∞ミライ ユナイテッドでは、未来ビジョン「トヤマチ∞ミライ」で定めた基本姿勢を踏襲し、1つに、自分ごととして自主的に活動すること、2つに、南北一体による相乗効果を生み出すこと、3つに、未来へアップデートし続けることを当団体のコンセプトとしております。
こうしたコンセプトを掲げ、当団体では、主体的にまちづくりに取り組み、富山駅周辺の都市機能を一体的に活用することで新たなポテンシャルを引き出し、富山駅周辺の発展に応じて持続的なエリアマネジメントに取り組むことで、富山駅周辺の価値を高めるとともに、さらなる周辺地域も含めた富山の価値向上を目指すこととしております。
最後に、トヤマチ∞ミライ ユナイテッドにおける本市の役割についてお答えをいたします。
トヤマチ∞ミライ ユナイテッドは、富山駅周辺の民間企業が主体となり、自主的にまちづくり活動に取り組む民間主導型の組織であり、本市は幹事会員として参画をしております。
当団体における本市の役割といたしましては、1つに、重要な事業等の計画や実施に関して審議すること、2つに、本市が管理する公共施設である富山駅の駅前広場やブールバール広場等を利用するイベント出店者等に対し、当団体の取組を案内・周知すること、3つに、本市が継続的に行ってきたまちづくりの様々なノウハウを当団体の会員と共有することなどが挙げられます。
本市といたしましては、当団体の柔軟な発想により取り組まれる事業に対し本市がしっかりと伴走支援を行うことで、富山駅周辺のさらなるにぎわい形成につながるものと考えております。
以上でございます。
95 ◯ 副議長(高田 真里君)
前田企画管理部長。
〔企画管理部長 前田 一士君 登壇〕
96 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
私からは、シティプロモーションについてと5Gの活用についての御質問にお答えいたします。
初めに、本市におけるシティプロモーション推進のための新たな指針の策定の趣旨及び策定に向けた今後のスケジュールについてお答えいたします。
日本、とりわけ地方都市において人口減少と超高齢化が進行する中にあって、本市が市内外の多くの方々から訪れたいまち、暮らしたいまちとして選ばれるためには、産業や教育、文化、福祉など総合力の高い都市づくりを進めると同時に、都市の魅力を戦略的かつ効果的に情報発信することで、本市の認知度や都市イメージの一層の向上を図ることが非常に重要な取組になるものと考え、市は平成21年12月に富山市シティプロモーション推進計画を策定したものであります。これは、先ほど議員からも御紹介いただいたとおりであります。
この計画では、北陸新幹線が金沢まで開業する平成26年度末までを計画期間とし、期間中の取組として、シティプロモーションビデオの制作のほか、ホームページの開設やメールマガジンの配信など、合計19の新規事業を位置づけるとともに、具体の行動計画などを定めており、市はこの計画を踏まえ、富山市のイメージ発信やブランド力の向上に努めてきたところであります。
また、計画期間が終了した以降においても、例えば、ANAグループとの連携協定に基づき、機内モニターや国際線機内誌等での本市の魅力の紹介や首都圏でのPRイベントの実施、また、オリジナルキャラクター「ペロリッチ」が本市の魅力を紹介するショートアニメの配信、ツイッターやインスタグラムなどSNSを活用した情報発信など、シティプロモーション推進計画の趣旨を踏襲し、様々な取組を現在まで展開してまいりました。
こうした中、近年のコロナ禍の影響もあって出生率がさらに低迷し、少子化傾向が一段と強まるなど、人口減少に歯止めがかからない状況にあることから、本市においても、今後は人口の社会増だけでなく、交流人口や関係人口の一層の拡大を目指すことがますます重要なテーマとなってきているものと考えております。
また、
新型コロナウイルス感染症の五類への移行に伴う
社会経済活動の活性化や、デジタル技術の進展に伴う人々の行動様式の変化、さらには、来年3月の北陸新幹線の敦賀までの延伸など、本市を取り巻く情勢は、14年前に初めてシティプロモーション推進計画を策定した当時とは大きく異なっている状況にあります。
これらのことを踏まえ、本市では、これまで市が取り組んできたシティプロモーション施策の成果と課題を整理・検証するとともに、シビックプライドの醸成とも関連した、本市が目指すべき今後のシティプロモーションのありようや方向性などを盛り込んだ、(仮称)富山市シティプロモーション推進指針を今年度新たに策定することとしたものであります。
この指針の策定に当たっては、大学教授や雑誌の編集者など6名の委員で構成する有識者会議を設置し、御意見をいただきながら作業を進めていくこととしており、会議の座長には、東海大学文化社会学部教授で、総務省地域情報化アドバイザーなどを務めておられる河井 孝仁教授に就任いただき、1回目の会議を本年7月に開催いたしました。
また、先月には、市民及び首都圏在住者を対象に本市の認知度に関するアンケート調査を実施したところであり、今後のスケジュールといたしましては、年度内に有識者会議を2回程度開催し、アンケート結果なども参考にしながら、本市の特徴を生かした施策の方向性などを御議論いただいた上で、来年3月には指針を策定したいと考えております。
次に、5Gの活用について、その特徴や有効性をどのように認識しているのかにお答えいたします。
いわゆる5Gにつきましては、国内では令和2年(2020年)から商用利用が始まり、現在も国と民間事業者が一体となって利用環境の整備が進められているところであります。
この5Gは、現在主流となっている4Gと比較して、1つに、通信速度が極めて速いこと、2つに、通信の相手方とのタイムラグがほとんどないこと、3つに、極めて多くのデバイスを同時に接続することが可能であることといった3つの特徴を持つものとされております。
また、5Gの有効性として、自動車の自動運転や専門医による遠隔診療のほか、遠隔手術を支援するロボットの活用などが技術的に可能となるなど、市民生活のみならず、医療や産業などの多様な分野において劇的な変革をもたらすことが期待されるものであります。
現在本市では、富山市版スマートシティの実現に向けて様々な施策に取り組んでいるところでありますが、本市が目指すスマートシティは、デジタル技術を活用することで市民の困り事や地域課題の解決を図り、生活の利便性を高め、市民一人一人の生活の質の向上を図ることを最終的な目標としております。
こうした中、今後一層、超高速の5Gの利用環境が整備されていくことによって、5Gが持つ特徴や有効性を生かした様々な取組が可能となっていくものと考えており、市民生活の質のさらなる向上につながることを市としても大いに期待しているところであります。
以上でございます。
97 ◯ 副議長(高田 真里君)
これで高田 重信議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
暫時休憩いたします。
午後 2時41分 休憩
───────────
午後 3時00分 再開
98 ◯ 議長(金厚 有豊君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
14番 泉 英之君。
99 ◯ 14番(泉 英之君)
自民党の泉でございます。
今回は、都市計画の非線引き区域で用途地域の指定のない白地地域における土地利用の制限と促進について質問させていただきます。
今回の案件に関しましては、多岐の法律にまたがり、本年度に入って改正されたものもあることから、先週、東京にて、国の担当部局より改正の概要や地方に向けた指針等も確認してまいりましたが、まずは、白地地域の土地利用の制限から質問してまいります。
今回の質問のきっかけとなったのは、最近の新聞報道で御存じの方もいらっしゃるとは思いますが、私の地元の亀谷温泉の遊休地を、裁判所の競売で土地を取得した建設業者がドッグラン施設に再生させるとして、敷地内に残る8階建ての廃墟ビルの取壊しに着手したものの、現在は着手から丸3年を経て、工事が中断したまま放置されているという案件にあります。
当施設は昭和50年代に建設された鉄筋コンクリート造の建物で、アスベストが使用されている可能性が高いにもかかわらず、処理されぬまま取壊しが行われ、重機の足場を高くする目的か、盛土材としてはふさわしくない不良土砂を大量に搬入し、土砂に埋もれた古畳等も確認されており、まるでミサイル攻撃を受けたように壁が破壊されたままの状態で、景観的にも大変見苦しく、加えて、敷地の直下には北陸電力の水力発電所が稼働しており、取壊し後に今回搬入した土砂により盛土された場合、熱海市の土砂流出のような事故さえ懸念されている状態にあります。
ただ、本件は個別事案でありますので、当局の皆様におかれましては、あくまで一般論として御回答いただきたいと考えております。
まずは、公共事業において、コンクリート塊や鉄くず、屋根瓦や塩ビ製品等、工事作業で排出されるこれらの処分に関しては、マニフェストの提出が義務づけられており、よほどの悪質業者でない限り、不法投棄のような行為の発生はほぼ皆無であるのに対し、民間工事の場合にはそこまで厳密に遵守されていないようにも感じています。
そこで、廃棄物処理法において不法投棄とはどのような行為をいうのか、また、その種類についても答弁を求めます。
100 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
舟崎環境部長。
101 ◯ 環境部長(舟崎 文彦君)
自由民主党、泉議員の御質問にお答えいたします。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条においては、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定められており、一般的に不法投棄とは、この規定に反して行われた廃棄物の投棄をいうものであります。
国の通知において廃棄物であるか否かを判断する要件が示されておりまして、1つに、物の性状として、利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等、生活環境の保全上の支障が発生するおそれがないものであること、2つに、排出の状況として、排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること、3つに、通常の取扱い形態として、製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと、4つに、取引価値の有無として、占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること、5つに、占有者の意思として、客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用もしくは他人に有償譲渡する意思が認められること、または放置もしくは処分の意思が認められないことなどを総合的に勘案し、投棄された物が廃棄物に該当するか否かを判断するべきものであるとされております。
また、一般財団法人日本環境衛生センターが発行する廃棄物処理法の解説において、法第16条にある「みだりに」とは、社会通念上許容されないことを意味し、公衆衛生及び生活環境の保全に支障が生じると認められる行為を指すものであると示されているところであります。
不法投棄の構成要素は今ほど述べましたとおりでありますことから、廃棄物処理法において、その種類については明示されていないところでございます。
以上です。
102 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
103 ◯ 14番(泉 英之君)
本事例における当該事業者は、驚くことに、隣の立山町でもドッグラン施設整備の名目にて数か所の土地を新規取得し、その敷地に産業廃棄物を不法に埋め立てているとした近隣住民からの目撃情報提供により、立山町は、刑事訴訟法第239条第2項、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」との条項により、当該事業者を告発し、現在、書類送検された段階と聞いています。
ちなみに、官吏、公吏とは、官吏は国家公務員、公吏は地方公務員の法律名称になります。
したがって、このように不法投棄した場合、罰則はどのようなものなのか、また、罰則が適用されると思われる事案に対して、行政側ではどのような対応が行えるのか、見解を求めます。
104 ◯ 議長(金厚 有豊君)
舟崎環境部長。
105 ◯ 環境部長(舟崎 文彦君)
廃棄物の不法投棄を行った者に対しては、廃棄物処理法に基づき、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらが併せて科せられることとなっており、また、法人の従業者等が業務に関して行った場合は、法人に対しても3億円以下の罰金が科せられることになります。
このほか、不法投棄の未遂や不法投棄を目的とした廃棄物の運搬等に対しても罰則が定められております。
本市における対応といたしましては、不法投棄に関する情報を得た場合は、直ちに現地調査を行うとともに、その結果、不法投棄が明確で、廃棄物処理法の罰則の適用もあり得ると判断できる場合は、行政指導を行うとともに、行政指導に従わない場合は、刑事訴訟法に基づく告発を行うこともあるものと考えております。
106 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
107 ◯ 14番(泉 英之君)
次に、先ほど申し上げたとおり、本事案の建物は昭和50年代に建設されたもので、平成8年の法改正前は、石綿は耐火、断熱、防音などの用途に安価だとして、コンクリートや鉄骨構造のほとんどの建築材料として使用されていたことから、近隣住民からはアスベスト被害が起きないかとの心配の声が寄せられております。
この大気汚染防止法によるアスベスト規制は、昭和43年から令和3年まで何度も段階的に改正されていますが、アスベストに関する法改正の概要について答弁を求めます。
108 ◯ 議長(金厚 有豊君)
舟崎環境部長。
109 ◯ 環境部長(舟崎 文彦君)
大気汚染防止法は、ばい煙や粉じん等の排出を規制し、大気の汚染等に関して国民の健康を保護するとともに、生活環境の保全を目的として定められた法律であり、令和2年6月には、解体工事を伴う石綿、いわゆるアスベストの飛散防止を徹底するために法改正が行われ、順次施行されたところであります。
その主な法改正の内容といたしましては、令和3年4月1日施行分といたしましては、1つに、規制対象の拡大として、それまで規制対象外だった飛散性が低いレベル3のアスベスト含有建材が規制対象に含まれたこと、2つに、罰則の強化・拡大として、除去作業の方法に違反があった場合の直接罰が新設され、下請負人へ作業基準遵守義務が適用拡大されたこと、3つに、アスベスト除去作業記録の作成・保存が義務づけられたこと、4つに、事前調査の信頼性の確保として、アスベストの事前調査方法が法定化されたこと、令和4年4月1日施行分といたしましては、一定規模以上の建築物等において、アスベストの有無に関わらず、事前調査結果を自治体に報告することが義務づけられたこと、令和5年10月1日施行分といたしましては、専門的な講習を受講して認定を受けた建築物石綿含有建材調査者が事前調査を実施することとなったこと、以上が大気汚染防止法の改正概要でございます。
110 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
111 ◯ 14番(泉 英之君)
アスベストはもともと大気汚染に関与する単なる一物質として、1回目の改正では石綿吹きつけ作業の取扱いが付加されて、平成8年にようやく新規使用が禁止され、最近、石綿を含有している全ての製品に拡大するとともに、事前調査の義務づけがなされたと私は認識をしておりましたが、今回のように法改正前に工事着手し、現在は中断中で、今後の工事再開時にこの改正法の効力が発揮されるのかも心配なところであります。
不法投棄と同様に、本法律の違反行為に関する罰則について答弁を求めます。
112 ◯ 議長(金厚 有豊君)
舟崎環境部長。
113 ◯ 環境部長(舟崎 文彦君)
大気汚染防止法においては、アスベストのほか、人の健康に係る被害を生じるおそれのある物質を特定粉じんと規定しており、その除去作業を行う事業者や工事発注者には、1つに、作業開始の14日前までに特定粉じん排出等作業の実施の届出を提出しなければならないこと、2つに、法律に定める除去等の方法を遵守しなければならないこと、3つに、作業基準を遵守しなければならないことなどの義務が課せられております。
これらの義務に対する違反行為については、特定粉じん排出等作業の実施の届出を怠った場合は、工事発注者に対しては3か月以下の懲役または30万円以下の罰金、2つに、特定粉じん排出等作業実施届出書に記載された計画が作業基準等に適合していない場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、3つに、作業に必要な措置や方法に違反があった場合は、3か月以下の懲役または30万円以下の罰金などが罰則として定められているところでございます。
114 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
115 ◯ 14番(泉 英之君)
昨年、富山市発注の富山市公設地方卸売市場旧施設解体工事においても、アスベストの存在が確認されたとして補正予算が組まれておりましたが、官公庁発注の案件については理解するものの、民間案件にはどこまで踏み込んで対応できるのか、見解を求めます。
116 ◯ 議長(金厚 有豊君)
舟崎環境部長。
117 ◯ 環境部長(舟崎 文彦君)
本来、都道府県知事の権限に属する事務であるこのアスベストに関する規制につきましては、大気汚染防止法施行令で指定されました中核市等においてもその長が行うこととされており、本市はこれに該当しております。
本市では、アスベストの飛散防止を図るため、特定粉じん排出等作業実施届出書の提出を受けた解体現場のうち、飛散のおそれの高い場所について、立入検査や測定業者による濃度測定を行うなど、アスベストの飛散防止措置が適正に行われているのかを確認しております。
さらに、適切に解体工事を行っていないのではないかなどの通報があった場合には、届出書類の確認や現場への立入検査を行い、適切なアスベスト飛散防止措置を行うよう指導しております。
本市といたしましては、アスベストの飛散防止は市民の生活環境の保全を図る上で非常に重要と考えており、関係法令等に基づく飛散防止対策の適切な実施に努めてまいりたいと考えております。
118 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
119 ◯ 14番(泉 英之君)
今ほどの答弁ですけれども、結局は届出があった場合だけしか対応できないみたいなことでよろしいのですね。はい、分かりました。
それでは次に、1メートル以上の切土や盛土が生ずる場合には開発行為の届出が必要と理解しているのですが、当該工事においては開発行為の許可表示が掲載されていませんでした。
事前に届出があった場合には、計画書に記載のある方法で施工されているのかの判断や行政側からの指導もできようというものですが、開発行為の対象となる行為の規模について答弁を求めます。
120 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
121 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
本市での開発許可の対象となる規模につきましては、線引き都市計画区域内においては、市街化区域では1,000平方メートル以上、市街化調整区域では原則として全て、非線引き都市計画区域内においては3,000平方メートル以上、都市計画区域外においては1万平方メートル以上となります。
122 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
123 ◯ 14番(泉 英之君)
今話題にしている土地は、中山間の敷地にしては大変広く感じるものの、概ね3,500平米にとどまっており、今ほど御説明があった、要は白地地域では1万平方メートルという規模だということを確認いたしましたが、都市計画区域外による許可の対象規模は、今ほどの説明にあったとおり、ほかの地域よりも大変緩い規制であることから、条例にてもっと規制を厳しくすることは可能なのか、答弁を求めます。
124 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
125 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
開発許可の対象規模につきましては都市計画法施行令で定められておりまして、都市計画区域内においては、特に必要があると認められる場合に、区域を限り、その規模を別に定めることができるとされております。
しかしながら、この都市計画区域外においてはそうした規定がないことから、見直すことはできないものであります。
126 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
127 ◯ 14番(泉 英之君)
もちろん開発行為の届出は建築物の建設を伴ってこその規制ですので、今回のようにドッグラン施設整備への解決法としてはひとまず諦めるとして、この建物の取壊し後には、概ね900平方メートルの建物の跡地で、高さ5メートルほどの約4,500立方メートルの盛土をしてようやく平らな土地になるのですが、現在既に運搬してある土砂は盛土材としてはふさわしくなく、土留め擁壁等を設置しないと大雨により容易に崩れ、直下にある発電施設に流れ込む危険を含んでいることから、盛土規制法の話に移ります。
この法律は、盛土が行う土地の用途やその目的に関わらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する宅地造成及び特定盛土等規制法が今年5月26日に施行され、本案は国土交通省と農林水産省による共管法で、知事、指定都市・中核市の長が盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定するものですが、改正の概要及び新法により既に運用を行っている地域があるのか、他都市の動向についても説明を求めます。
128 ◯ 議長(金厚 有豊君)
狩野建設部長。
129 ◯ 建設部長(狩野 雅人君)
質問にお答えいたします。
令和3年7月に発生した静岡県熱海市での盛土による大規模な土石流災害や、危険な盛土等に関して法律による規制が十分でなかったことを踏まえ、今ほど議員から御案内がありましたとおり、国ではこれまでの宅地造成等規制法を抜本的に改正し、宅地、森林、農地など土地の用途に関わらず、危険な盛土等を全国一律の基準で規制する宅地造成及び特定盛土等規制法──通称、盛土規制法でございますが──を令和5年5月26日に施行したところでございます。
この盛土規制法の概要といたしましては、1つに、盛土等の包括的な規制として、都道府県や政令市、中核市の長が盛土による災害のおそれのある区域を規制区域として指定するとともに、従来の宅地造成等に伴う盛土だけではなく、土砂の一時的な堆積──いわゆる仮置きでございますが──も規制対象とし、許可を必要としたこと、2つに、盛土等の安全性の確保として、災害防止のために必要な許可基準を設定し、許可基準に従った安全対策などについて施工状況の報告や検査を必要としたこと、3つに、責任の所在の明確化として、土地所有者や管理者等の安全対策の責務を明確化するとともに、土地所有者だけでなく、盛土の施工者などの原因行為者に対しても是正措置等の命令を可能としたこと、4つに、実効性のある罰則の措置として、違法な盛土行為などに対し懲役刑や罰金刑を強化したことであります。
次に、他都市の動向につきましては、改正法が施行されて間もないことなどから、多くの都市では規制区域の指定に向けた基礎調査を実施している状況でありますが、平成30年7月豪雨により大規模な土砂災害が発生した広島県では、全国に先駆けて本年9月28日に盛土規制法に基づく規制区域を指定し、制度の運用を開始する予定と伺っております。
130 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
131 ◯ 14番(泉 英之君)
広島県の土砂災害の話を聞きましたので、もうはや9年がたとうとしていますが、この地域は真砂土の土質だそうで、水分を含むと簡単に崩れ、我々建設業としては大変厄介な性質を有しているものと感じております。
やはり実際に人的被害が出た地域は対応が早いなと感じますが、富山市においては、近年、中山間地域の耕作放棄地が急速に拡大し、これらの土地を安価に取得できる環境にあることから、今後、民間工事や災害で発生した土砂置場として安易に放置される懸念も大きくなっています。これが昨今の異常気象や線状降水帯の常態化により2次被害を引き起こすことにもなりかねませんので、法の施行を受けて富山市としてはどのような準備を考えているのか、今後の取組について見解を求めます。
132 ◯ 議長(金厚 有豊君)
狩野建設部長。
133 ◯ 建設部長(狩野 雅人君)
盛土規制法の施行を受け、本市では今年度、規制区域の指定に向けた基礎調査を行うこととしており、市街地や中山間地を含めた市内全域の地形や地質、土地利用の状況等を把握するとともに、他都市における取組状況などを調査することとしております。
この基礎調査を踏まえ、来年度以降に、市街地や集落など人家等が存在するエリアを宅地造成等工事規制区域として、また、市街地や集落等からは離れているものの、人家等に危害を及ぼす可能性のあるエリアを特定盛土等規制区域として、区域の指定を行うこととしております。
規制区域の指定後、区域内で行われる新たな盛土等については許可や届出の対象となるほか、区域内の既存の盛土等も含め、安全性に問題が確認された際には、土地所有者等に対して改善命令を行うこととなります。
さらに、改善命令に従わず、盛土等による災害の危険性が高い場合には、所定の手続を経て行政代執行を実施することとなります。
また、盛土規制法は都市計画法や森林法、農地法など様々な法律や条例等が関連していることから、規制区域の指定や運用に当たっては、県や関係部局などと連携を図りながら取り組みたいと考えております。
134 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
135 ◯ 14番(泉 英之君)
今ほど申し上げたように、要は住宅があるから、ないからももちろん大事なのですが、要は共管している法律ですので、農林水産部のほうでも一応検討いただきたいなということはお願い申し上げておきます。
それで、これまでの質問のとおり、たった1件の案件で、富山市の環境部、活力都市創造部、建設部、農林水産部が関わる様々な法律に抵触するものの、今ほど答弁をいただきましたが、どれも、帯に短したすきに長しで、決定打となる法律とまでは言えず、民間所有の案件にあっても適正な工事を履行してもらうことが大変重要で、仮に違法行為が見つかった場合には、富山市の管理下におけるような仕組みづくりが必要と考えております。
そこで、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正がなされたことにより、行政側からの強制力が格段に向上し、今回の例のような事案には大変有効と考えられることから、本年6月14日に改正された主な内容について説明を求めます。
136 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
137 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
これまでの空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空家法では、周囲に著しい影響を及ぼすおそれのある特定空家等への対応を中心に制度的措置が定められておりましたが、このたびの法改正においては、特定空家等の除却のさらなる促進に加え、特定空家等の状態となる前の段階での発生抑制や、空き家の活用及び適切な管理を促進する対策を総合的に強化する内容となっております。
その主な内容といたしましては、1つに、放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家等を管理不全空家等とし、その所有者等に対して、特定空家等になることを防止するために必要な措置を取るよう指導、勧告が可能となったこと、2つに、民法上は利害関係人のみに認められている財産管理人の選任請求について、市長が直接請求することが可能となったこと、3つに、緊急時において除却等が必要な特定空家等に対して、命令等の手続を経ずに代執行が可能になったことなどが挙げられます。
なお、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律につきましては、議員から御紹介ありましたとおり、本年6月14日の公布日から6か月以内に施行されることとなっております。
138 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
139 ◯ 14番(泉 英之君)
これまで、建屋を壊すと固定資産税が高くなるとの認識により、立ち退き後も空き家をあえて放置する者が絶えませんでしたが、特定空家に認定されると、正確には特別措置法による6分の1の減免が解除できるようになる。つまりは、放置していても固定資産税は最大今の6倍に跳ね上がるという事実を、市民に対し迅速に、そして正確に伝えるだけでも、空き家の減少には寄与するものと考えております。
最終的には行政代執行に踏み込みやすくなった改正と理解しておりますが、この特定空家に関して、どのような経緯により、どのような手続を経て特定空家と認定するのか、答弁を求めます。
140 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
141 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
特定空家の認定に向けた手続につきましては、空き家と思われる建築物等について寄せられる近隣住民等からの情報を受けて、まず市職員が現地に赴き、当該建築物等が空家法に基づく居住その他の使用が日常的になされていない状態であるのかを確認し、空き家であると認められる場合には、周辺の建築物や通行人に対する影響の程度や危険の切迫性を併せて確認をしております。
その上で周辺に対する影響があると認められる場合には、空き家の所有者等に適正な管理を促すため、当該空き家の登記簿情報や所有者に係る戸籍情報、住民票などを調べた上で、所有者または管理者と思われる方に対して、当該空き家に関する管理依頼文を送付しております。
それでも状態の改善が図られず、周辺に著しく悪影響を及ぼしており、特定空家等に該当する可能性が高いと思われる空き家等については、例えば、建築物に著しい傾斜があるのかや、屋根や外壁等が脱落し飛散するおそれがあるのかなど、当該空き家等の危険度などを具体的に把握するために、別途、建築士による立入検査を実施しております。
この立入検査による結果や周辺に対する影響の程度などに加え、法務、不動産、建築、福祉等に関する有識者で構成する富山市空家等対策推進協議会での意見を踏まえ、特定空家等であるのかどうかを総合的に判断し、認定することとしております。
142 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
143 ◯ 14番(泉 英之君)
今回のような中山間地の案件ばかりではなく、少子・高齢化や高度経済成長時代に建てられた一般住宅も、多くは耐用年数を既に超えて、富山市内の様々な場所で固定資産税の特例措置に甘え放置されている危険な家屋が急増していることから、これらの関連を踏まえて、行政側からの度重なる指導や勧告に対して有効な措置を講じず、周囲に著しい悪影響を与える空き家について、積極的に特定空家と認定すべきと考えますが、市長の見解を求めます。
144 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
145 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えします。
特定空家等の認定につきましては、先ほど部長答弁でもお答えしたとおり、本市においては、建築士による詳細な立入調査に加え、富山市空家等対策推進協議会による有識者の意見をお伺いするなど、非常に丁寧な議論を経て認定を行っているところでございます。
特定空家等に認定するということにつきましては、所有者等に対して空き家等の状態を改善するよう助言・指導、勧告することにとどまらず、最終的には、命令に至った際に改善がなされなければ、行政による代執行の実施も可能となることから、強い公権力の行使につながるものと考えており、その認定には様々な観点からの慎重な検討が必要であると考えております。
一方で、今般の空家法の一部改正におきましては、緊急時において除却等が必要な特定空家等に対して、命令等の手続を経ずに代執行が可能となりましたことから、本市においても有事の際の迅速な安全確保に対する責務が課せられたものと感じております。
今後、一部改正された空家法の施行までの間に、国では特定空家等に対する適切な措置を実施するためのガイドラインを改定する予定であると伺っておりますので、このガイドラインや他都市の状況などを参考にしながら、本市における特定空家等の認定の在り方について、改めて検討してまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、特定空家等につきましては、引き続き有識者の御意見も伺いながら、慎重な検討を行うとともに、緊急時の市民の安全確保の面からも、適時適切に認定してまいりたいと考えております。
なお、空き家につきましては、私も議員と同じように、非常に大きな本市における重要課題だというふうな認識を持っております。
以上です。
146 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
147 ◯ 14番(泉 英之君)
ありがとうございます。
今回案件に携わっている事業者に対して、立山町さんは刑事訴訟法というアクロバティックな法律を駆使してこの問題に対応されています。
本来なら、法律にのっとり粛々と工事を行うだけで済む話なのですが、今回議題に挙げた多くの法律を勘案されて、富山市の中では不法行為は許さないという強い姿勢を示していただきたいとお願いを申し上げておきます。
それでは、大項目の2問目の質問に移ります。
今年の3月定例会で、有峰林道東岸線再開について、行き止まりのまちの人口減少の話題を挙げましたが、大山地域の人口減少は、合併から昨年3月末まででマイナス21.3%の数値が、今年7月末ではマイナス23.7%、つまり去年の3月からは9,149人から8,873人へと276人も減少してしまっています。
何度も申し上げておりますが、コンパクトシティの取組は中心市街地を活性化させた大変有益な施策であったと今も思っていますが、ただ、串と団子政策の団子の部分は膨らむことがなくしぼみ続けていることから、2問目は土地利用の促進について伺います。
昨年12月定例会において農地転用の条件について質問しましたが、改めて、農地法では甲種から1種、2種、3種などの農地区分がされており、戸建て住宅や更地分譲についてはどのような施設等がある場合に農地転用が可能となるのか、答弁を求めます。
148 ◯ 議長(金厚 有豊君)
酒井農業委員会事務局長。
149 ◯ 農業委員会事務局長(酒井 秀祐君)
農地法上、農地に住宅を建てる場合は農地転用の手続が必要であり、農地は地理的条件により、転用しやすい順に、第3種農地、第2種農地と、原則不許可の甲種農地や第1種農地に区分されております。
このうち第3種農地とは、概ね500メートル以内に教育施設や医療施設、
地区センターなどの公共公益的施設が2つ以上あり、かつ前面道路には主に公共上下水道管が埋設されている区域のほか、鉄道の駅や高速道路の出入口などから概ね300メートル以内の区域など、市街地化の傾向が著しい区域にある農地を指し、農地転用は原則許可で、戸建て住宅の建築が認められております。
次に、第2種農地とは、鉄道の駅から概ね500メートル以内にある農地などで、第3種農地に住宅が建築できない場合などは転用が認められます。
一方、更地分譲につきましては、投機的な土地取得につながるおそれがあることから、第3種農地、第2種農地であっても基本的には認められておりません。
しかしながら例外として、市街化区域や第1種住居地域などの用途地域が定められている区域では更地分譲が認められております。
また、市街化調整区域、用途地域の指定のない区域の場合は、地区計画を定めることにより更地分譲が可能となります。
150 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
151 ◯ 14番(泉 英之君)
農地には農林水産省が定める2つのルールがあり、今ほどの農地法は農地転用の許可について定めているのに対し、農振法では、長期にわたり総合的に農業振興を図る地域として、農業用の土地利用区分について定めており、青地地域と──都市計画の白地地域とはまた別の地域なのですが──青地地域と白地地域を農業振興地域とし、農業振興地域外とを区別しております。
そこで、住宅建設には、今ほどの農地法の転用許可のほか、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法による農振除外が必要とされていますので、農振除外について説明を求めます。
152 ◯ 議長(金厚 有豊君)
金山農林水産部長。
153 ◯ 農林水産部長(金山 靖君)
農振除外につきましては、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法に規定されており、1つには、農用地以外の土地とすることが必要かつ適当で、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと、2つに、農業経営基盤強化促進法に規定する地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないこと、3つに、農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと、4つに、農業経営者の農地利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと、5つに、土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと、6つに、農業基盤整備事業完了後8年を経過していること、この6つの要件を全て満たすことができなければ、農振除外は認められないこととなっております。
154 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
155 ◯ 14番(泉 英之君)
大山地域の大庄地区は、農地区画が旧大山町時代の早くから整備されており、この地域のほとんどは農振法における青地区分とされ、地元の営農事業者がその多くの耕作を請け負い、この季節は立山連峰を背景に黄金色の田園風景が広がっており、第三者からすると何の問題もなさそうに感じていると認識しております。
しかしながら、これら農地の所有者にしてみれば、米価の下落等で自力栽培を諦め、営農事業者に耕作を任せることで農地の保全はされているものの、土地改良組合の負担金や農地に係る固定資産税の支払い総額が営農事業者から受け取る代金を上回っており、おやじの目の黒いうちは耕作放棄地にもできず、農地を所有しているだけで個人資産が目減りしていることから、できることなら農地を売却したいと訴えている声が大きいことを皆さんにお伝えしておきます。
これまで農振法、農地法の話でしたが、住宅に転用するに当たり、今度は都市計画の定めをクリアしなければなりませんので、今ほど農業委員会から説明があったように、農地法では土地分譲の規制の例外として市街化区域内であること、用途地域を定めている区域──というのは今の私の質問の中では範疇外ですが──のほか、地区計画が定められているものは除くとされておりますので、都市計画法における地区計画制度と対象区域について答弁を求めます。
156 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
157 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
都市計画法における地区計画制度につきましては、良好な市街地の環境を形成・保全するために、地区特性に応じたきめ細やかなまちづくりのルールを定め、計画的によりよいまちへと誘導していくものであり、地区の区域や目指すべき目標を定めるとともに、建築物の形態や公共施設の配置などを都市計画に定めるものであります。
また、地区計画を定めることができる対象区域は、用途地域が定められている区域に加え、用途地域が定められていない区域、いわゆる市街化調整区域や非線引き都市計画区域の白地地域において、住宅市街地の開発等が行われる、または行われた区域等とされております。
本市におきましては、この地区計画制度を活用し、用途地域が定められた区域において23地区、用途地域が定められていない区域においては14地区、合わせて37地区において地区計画を都市計画に定めており、各地区の良好な市街地環境の形成や保全などに寄与しております。
158 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
159 ◯ 14番(泉 英之君)
今から概ね30年前、当時の総務省から全国市町村における将来人口推移予測が公表され、当時の旧大山町1万3,000人の人口が、10年後には6,000人に減少するという大変ショッキングなデータの発表を受け、当時の大山町では、全国でもいち早く、新生児出産費用30万円の支給や、集落排水事業のモデル地区として、首都圏でさえ下水道普及率が僅か二十数%の時代に90%以上という全国1位の偉業を達成し、数多くの分譲住宅の開発促進や工業団地の造成等を実施し、人口対策と生活環境の改善に注力したことにより、ほとんど人口が維持されたまま合併を迎えました。
現在、藤井市長が掲げるスマートシティ構想により、中山間地域へのデジタルトランスフォーメーションによる生活改善の取組が開始され、地域の皆さんはこれまでとは違った変化を肌感覚で感じており、藤井市長に対する期待感がちゃんと芽吹き始めております。
ただ、合併後の新富山市においては、農振法や農地法によって非線引き白地地域での開発行為や宅地分譲はできないものといった誤った認識が住民に定着していることから、地域住民や不動産業者に対して開発は可能なんだという正確な情報提供が必要と考えており、旧大山町が実施してきたような強力な施策を藤井市長にも求めるものですが、非線引き白地地域における良好な宅地分譲の促進について、市長の見解を求めます。
160 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
161 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えいたします。
本市が目指す公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりでありますが、規制強化ではなく、都心や公共交通沿線の魅力を高め、そこに居住を誘導する誘導的手法を基本とするとともに、都心だけではなく、地域ごとに拠点を整備し全市的に推進することとしております。
また、本市のコンパクトなまちづくりは、郊外の居住を否定するものではなく、白地地域や市街化調整区域であっても、既存集落の維持や公共交通沿線に居住誘導を図る観点から、農林漁業の調整が図られた区域で、良好な住環境の形成に寄与し、一定の基準を満たす優良な開発は認めることとしております。
このため、富山市都市マスタープランにおいては、白地地域においても全ての鉄軌道や運行頻度が高いバス路線の沿線の徒歩圏において、良質な住環境の保全のための地区計画を定めた場合は、公共交通沿線居住推進地区に設定することとしております。
こうしたことから、お尋ねの白地地域における良好な宅地分譲につきましては、公共交通沿線居住推進地区内であれば、本市が目指すコンパクトなまちづくりの形成につながるものと考えております。
一方で、今後は人口減少や少子・超高齢化が本格化するとともに、増加傾向にあった世帯総数も令和12年頃から減少に転じることが予想されている中で、白地地域などにおいて宅地分譲が過度に進むことは、既成市街地の空洞化、あるいは日常生活に必要な都市機能の衰退、ひいては地域の拠点性の低下につながるということが懸念されているわけでございます。
このため、本市といたしましては、今年度から着手した次期都市マスタープランを策定する中で、地域の実情や特性を考慮しながら、本格的な人口減少時代の先にある我が市が目指すべき都市の将来像を見据えて、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
162 ◯ 議長(金厚 有豊君)
14番 泉 英之君。
163 ◯ 14番(泉 英之君)
ありがとうございます。
現在富山市には、1小学校区だけで1万人を優に超える地域が存在する中、今年度、富山市議会の議員定数を見定める議員定数問題懇談会が開催されます。
合併から18年、既に細入・山田地域から議員選出ができなくなり、今度は大山地域が崖っ縁の状態にあります。
新富山市の53%の面積を占める地域から住民の声を市政に反映させる議員の消滅は決してあってはならず、合併前の旧町村地域への抜本的な居住対策の推進をお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
164 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで泉議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
13番 金谷 幸則君。
165 ◯ 13番(金谷 幸則君)
令和5年9月定例会に当たり、
富山市議会自由民主党より一般質問を行います。
今回は、人口減少に対する今後の本市の取組についていろいろと御質問させていただきたいと思っております。
人口減少と一口に言いましても、問題はいろいろあるわけであります。
まずは、国全体が直面する最大の危機とも言われております少子化に関してお伺いをしていきます。
昨年1年間に生まれた子どもの数は77万747人となりまして、統計を開始した1899年以来最低の数字となりました。
1949年──昭和24年ですけれども──現在74歳の皆様がお生まれになったときは270万人であったということを考えますと、実に3分の1にまで減少し、また、昨年の合計特殊出生率は1.26という数字をたたき出したわけでありまして、これも過去最低でありました。
少子化の問題というのは随分前から予想されていたことでありまして、1971年から1974年に生まれました、いわゆる団塊ジュニアと呼ばれる、まさに私たちの世代から、25年たちました1996年から第3次ベビーブームが起きなかったわけでありますから、ここからどんどんと子どもの数が減っていくわけであります。
しかも、最近は少子化のスピードがどんどん加速をしているわけでありまして、2016年にはついに100万人を割り込み、2019年には90万人、そして昨年には80万人を割り込んだということになってしまったわけであります。
この少子化は、当然人口減少を加速させているわけでありまして、昨年は国全体で80万人の自然減となったわけであります。このままでは、毎年100万人規模の大都市が1つずつ消滅をしていくと、そういったスピードで人口減少が進むわけであります。
しかしながら、私たちをはじめ皆さんは、今まで何もしてこなかったわけではありません。この議会でも、今まで多くの議員の皆さんがこの問題に対して取り上げていらっしゃいますし、これまでも国も県も、そして本市も様々な取組を進めてきたわけでありますが、なかなか効果が上がらないのが現状であります。
そこで、本年6月には、国で次元の異なる少子化対策の実現のためのこども未来戦略の策定に向けてこども未来戦略方針を定め、日本のラストチャンスということで、若者人口が急激に減少する2030年代に入るまでに、少子化のこのトレンドを反転させ、我が国の持てる力を総動員して少子化対策に取り組むというふうにされているわけで、まさにここから2030年までの間に、国、県、市、そして民間企業や社会全体でこの少子化問題に取り組む必要があるというふうに思っているわけです。
そこで、今回、各方面の方からいろいろな現場の声なども聞かせていただきましたので、そういったことも踏まえながら、今後の本市の取組について議論を進めてまいりたいというふうに思っております。
まずは、結婚について伺っていきます。
現在の少子化の原因は、1つに、結婚している夫婦が子どもを産まないことと、2つには、婚姻数の減少が挙げられます。
2000年と2021年、この2つのデータを比較してみますと、男性の初婚数は2000年には61.5万人でありましたけれども、2021年には29.9万人と激減をしているわけであります。これはやっぱりいかに結婚できなくなっているかということがよく分かるわけであります。
そして当然ですけれども、この初婚数と出生数は同様にリンクをしているわけであります。私は、まずこの結婚の支援というのが大変重要だというふうに考えるわけであります。
結婚するには、当然まず出会いが必要なわけでありますけれども、このコロナ禍の前後で出会いの形が非常にさま変わりをしてきたわけであります。
民間企業で今年の新成人に対して、現在交際している異性とどうやって知り合ったかというアンケートに対して、1位が同じ学校ということでありますけれども、2位がSNSやアプリという結果でありました。
さらに、女性だけに特化した回答に絞りますと、1位がSNSやアプリという結果になりました。これは大変私も驚いたわけであります。
先日、富山県ウエディング協会の方ともいろいろと意見交換をさせていただいたわけですけれども、今結婚を考えていらっしゃる人たちも、大変広い範囲、極端なことを言うと、日本中いろんなところから相手を求めていて、このネットの力が大変絶大だというお話を聞かせていただきましたし、これからはこういった分野で実績のある民間の力も活用しながら進めていく必要があるのではないかというお話でありました。
本年3月の定例会でもこの結婚支援の御紹介がありまして、私はこの地域の婚活イベントはもちろん大事だと思っているわけですし、これももちろん成果があると思っているわけですけれども、これからは異次元を求めていかなければなりませんから、それに加えて、今後はやっぱり県や民間と連携をした結婚支援の取組が必要であるというふうに考えるわけですけれども、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
166 ◯ 議長(金厚 有豊君)
当局の答弁を求めます。
大沢市民生活部長。
167 ◯ 市民生活部長(大沢 一貴君)
富山市議会自由民主党、金谷議員の御質問にお答えいたします。
県では平成26年にとやまマリッジサポートセンターを設立され、結婚を希望する方への出会いの場を提供するため、お見合いの調整、交際のフォロー、お見合いサポーターの募集などを行っておられ、本年6月末現在、会員数は県全体で788人、累計成婚数は117組となっていると伺っております。
本市といたしましては、この取組が出会いの機会の創出に資するものと考え、「広報とやま」への会員募集記事の掲載、リーフレット及びポスターの配置、出張登録会の案内などを行っており、今後も引き続き県と協力して取り組んでまいりたいと考えております。
一方、民間においては、議員からも御紹介がありましたが、本年2月に独身男女の出会いの支援を目的として、婦中地域や、山田、古沢両地区を合わせた10地区51人の婚活サポーターで構成される富山西婚活サポーター連絡協議会が発足されました。
現在、サポーターは56人に増えておりまして、引き続き新たなサポーターを募りつつ、地区内の婚活を希望する方の情報を収集して協議会への登録を進めるとともに、定例会で各地区の婚活希望者の情報交換や婚活イベントのサポートなどに努めておられます。
なお、本年8月現在、協議会には男性22人、女性11人、合わせて33人の婚活を希望する方が登録されており、婚活サポーターは、相性や条件の合う相手の紹介、本人たちの希望に応じて顔合わせの機会を設けるなど、積極的に活動されております。
本市といたしましては、マッチングアプリやSNSが出会いのきっかけとなるケースが多い中、こうした地域の団体等が中心となって地域の縁結びとしての活動をされることは、青年男女の出会いの機会の創出はもとより、地域住民の交流の活発化にもつながることから、本市のモデル的な取組として、他地域等への今後の広がりに大いに期待しているところであります。
以上です。
168 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
169 ◯ 13番(金谷 幸則君)
ぜひそれも進めていただきたいと思っておりますけれども、それに加えて、富山県ウエディング協会の方のお話ですと、出会うまではもちろん結構出会うのですけれども、その後、結婚に至るまでには、大変、後押しをしていただく方のサポートが必要だということでありました。
不動産売買で言いますところの売主と買主の間に仲介業者というのがいらっしゃるわけで、こういった方のなかなか相手に聞けないところを聞くですとか、親御さんも含めて、いろんな条件をいろいろとマッチングすると、そういった仕事の方が大変重要だというお話でありました。当人同士ではなかなか話が進まないのが今の現状だということでありまして、そういったことにもたけていらっしゃる民間企業の方とぜひいろいろと意見交換をしていただいて、今までのものに加えて、さらに進めていただきたいというふうに思っているところであります。
次に、結婚している夫婦に持ちたいと思っている数の子どもを持ってもらうための施策についてお伺いをしていきたいと思います。
岡山県北東部に人口5,700人余りの奈義町という町がありますけれども、この町には全国の自治体関係者からの視察が絶えないそうであります。
岸田総理も視察をされたこの町は、2019年の合計特殊出生率が2.95まで回復をし、少子化対策の奇跡の町として注目を集めていらっしゃいます。
もともとそうだったわけではなくて、20年前には1.41だったということでありますから、これは大変驚くべき数字であります。
非常に興味を持ちながらいろいろと調べてみますと、その具体的な施策を見てみますと、起死回生の目玉を打ち出したわけではなくて、住民のニーズをキャッチしながら施策に反映し、住民意識を高めながら少しずつ支援策を拡充するといった取組に至ったということであります。まさに、少子化のトレンドを反転させ、町も住民も総がかりで取り組んだ成果かというふうに思っています。
本市では、平成19年にこども家庭部を創設し、妊娠から出産、乳幼児、青少年に至るまで、きめ細やかな、そして切れ目のない子育て支援の拡充に努めていらっしゃいます。
先ほど松井議員の質問の中にもありましたけれども、まちなか総合ケアセンターの産後ケア応援室は大変先進的な取組であるというふうに私も思っていますし、今後さらにこのよさを広め、より利用しやすい環境をつくっていくためにも、民間ですとか地域の方と連携をした産後の支援の取組というのはやはり必要だというふうに考えるわけですけれども、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
170 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
171 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
お答えいたします。
本市では、民間に率先して子育て支援に取り組んでいただくことは重要であると考えており、そのため、企業の人事担当者や管理職などを対象とした妊娠・子育て応援シンポジウムを開催し、妊娠・出産・子育て家庭に対する支援制度や企業や団体の先進的な取組を周知することにより、職場における子育て支援の機運醸成を図っているところであります。
また、松井議員の御質問にお答えしましたとおり、市内の企業や団体を訪問して、「こどもまんなか」の取組への参加と取組事例の報告を呼びかけているところであり、今後、報告いただいた内容を紹介していく予定としております。
一方、本市では民間事業者と連携し、産後の支援として、1つに、民間ヘルパーを家庭に派遣し、家事や育児の支援を行う産後ヘルパー派遣事業、2つに、民間助産師が家庭を訪問し、沐浴指導や授乳支援を行う居宅訪問型産後ケア事業を実施しているところであります。
本市といたしましては、今後も民間と連携した取組を推進することにより、社会全体で子育てを支援する環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
172 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
173 ◯ 13番(金谷 幸則君)
ぜひ住民運動、市民運動として世の中に広めていきたいというふうに思っているわけです。
先般、産婦人科の先生とも意見交換をさせていただいたわけですけれども、産婦人科の病院も実はどんどんお産ができる病院が減っているということで、産みにいらっしゃる方がどんどん減っているわけだから当然なのですけれども、当然、病室もある、看護師もいらっしゃる、助産師もいらっしゃる、ドクターもいらっしゃる、そして食事も出せるという環境が整っているわけです。そういった施設も産後ケアにぜひ利用していただきたいというお声もありまして、産んだところであれば非常にまた利用しやすいというお声もたくさんあるようでありますから、そういったことも御紹介をさせていただいて、そういった民間との連携もぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。
そして、国のこども未来戦略方針の中に、子どもを産み育てることを経済的な理由で諦めない社会の実現という項目があります。高等教育費の負担ですとか奨学金の返済などが少子化の大きな要因の1つであることの指摘を鑑み、奨学金制度のさらなる充実や授業料負担の軽減など、高等教育費の負担軽減を中心に、ライフステージを通じた経済的な支援のさらなる強化や若い世代の所得向上に向けた取組について、適切な見直しを行うといった記述や、加速化プランの中には、今後3年間の集中的な取組としては児童手当の拡充なども入っているわけであります。
先ほどの産婦人科の先生のお話の中でも、第3子は欲しいのだけれども、育てられないという理由で中絶に来る方も大変多いということでありました。これは本当に残念な話だなというふうに思っております。
私は、この第3子以降の取組については、国がやるとか県がやるとかではなくて、国、県、市、民間企業、4階建てで進めていくぐらいの必要があるというふうに考えているわけです。2人目はほぼ無料、3人目はお得感があるというくらいにまでなっていかないと、本当に子どもが増えていくことにはならないのではないかなというふうに考えているわけです。
今後の第3子以降の支援の取組について、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
174 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
175 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
本市では、多子世帯の子育てを応援するため、第3子以降に誕生した赤ちゃんへのお祝いとして紙おむつを贈るウェルカムベイビーおむつ事業を実施しているところです。
また、第3子以降の保育料や副食費につきましては、一部の世帯に対しまして所得に応じた軽減措置を行っております。
さらに、本年8月31日に県の「ワンチームとやま」連携推進本部会議が開催され、令和6年度から県内全ての市町村で第3子以降の保育料を所得制限なく無償化する方針が確認されたところであり、本市といたしましても対応できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
一方、国では、次元の異なる少子化対策の実現に向けて策定されたこども未来戦略方針の中で児童手当の拡充を打ち出しており、所得制限を撤廃し、第3子以降の児童手当を月額3万円に増額するとされております。
本市といたしましては、安心して子どもを産み育てられる社会の実現に向けて、国や県とも連携しながら、引き続き多子世帯への支援に努めてまいりたいと考えております。
176 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
177 ◯ 13番(金谷 幸則君)
ぜひ、国もやる、県もやる、市もやるで、どんどん積み上げていけるぐらいの第3子以降の支援をお願いしたいというふうに思うところであります。
少子化には、我が国のこれまでの社会構造ですとか、人々の意識に根差した要因が関わっているというふうに思っていまして、家庭内における育児の負担が女性に集中をしているワンオペの実態を変えながら、夫婦が相互に協力しながら子育てをし、それを職場が応援し、地域社会全体で支援をする社会をつくっていかなければならないのではないかなというふうに思っております。
先日お話を聞かせていただいた方々も、今の若い女性は、子どもを産むことに対して自分が犠牲になると、キャリアも時間もお金も犠牲になるというふうな感覚があるようであります。本当にこれを打破していくときには、産んでさえくれれば、あとはみんなで何とかするんだというくらいの周りの協力体制を醸成していかなければならないというふうに思っているわけです。
そこで、やはり一番身近な夫や祖父母、さらには地域の支援というのは大変重要になってくるというふうに思うわけでありますけれども、この支援の取組について当局の見解をお伺いいたします。
178 ◯ 議長(金厚 有豊君)
古川こども家庭部長。
179 ◯ こども家庭部長(古川 安代君)
夫の育児に関する支援といたしましては、妊娠・出産の正しい知識の普及や、父親の育児参加を促進するため、沐浴の方法やおむつ交換などを学ぶパパママセミナーや、子どもの発達や関わり方について学ぶお父さん・お母さんの子育て講座などの取組を行っております。
次に、祖父母の育児に関する支援といたしましては、新しい育児方法や知識を提供するため孫育て手帳を配布するとともに、孫育ての不安を解消し育児参加のきっかけとするため、孫育てセミナーを開催しているところであります。
また、母子健康手帳アプリでは、赤ちゃんの身長や体重、写真つきの成長記録を夫や祖父母など家族で共有できるほか、本市独自の子育て支援ウェブサイト「育さぽとやま」を通して子育て情報の提供を行っており、夫や祖父母が育児に参加しやすい環境づくりに継続的に取り組んでいるところであります。
地域での育児に関する支援といたしましては、母親の孤立化を防ぎ、母親同士の交流を図る仲間づくりの赤ちゃん教室や、保育所、幼稚園などにおいて親子の交流を深める遊び方の指導や子育ての悩み相談を行う親子サークルのほか、子育てを手伝ってほしい方とお手伝いができる方が会員登録し、子育てをサポートするファミリー・サポート・センター事業などに取り組んでおります。
加えて、本年4月に子育て支援センターを新たに1か所開設し市内16か所とするなど、子育て中の親子が気軽に集い、交流し、子育ての不安などを相談できる場の整備に努めているところであります。
今後もこれらの支援を通して、引き続き子どもが地域で健やかに育つ環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
180 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
181 ◯ 13番(金谷 幸則君)
今ほど祖父母ですとか地域の方の取組を進めていきたいというお話がありました。私もおっしゃるとおりだというふうに思っていまして。ただ、いくら祖父母の方とか地域の方にそういう取組をしても、帰ってきて近くで住んでもらわなかったらあんまり効果を発揮しないわけで、ここで私が1つ御提案をしたいのが近居であります。近くに住むというものですね。
ちょっとここで先ほどの奈義町の事例を御紹介させていただきます。若い子育て世代の方にアンケートを取った結果です。奈義町には高校がないそうです。ですから、中学校を卒業したらみんな町の外に出ていきます。当然大学もありませんから、その先、大学、就職と町の外で過ごすことになります。
しかしながら、結婚や出産・育児のタイミングで夫婦で話し合い、町に戻ってくるという方が多いそうであります。都会での子育てに疲れを感じ始めたところ、町にUターン。親が近くにいるし、地域の人もみんな仲よしで、子どもの世話もしてくれると。この町なら3人産んでも大丈夫という気持ちになるというお話でありました。
人口規模ももちろん違うわけですし、地域性ももちろん違うわけですから、私は全てこの町の取組が正しいとは思いませんけれども、近くに祖父母がいるという安心感や地元で子どもを育てるという考え方は、大変いいというふうに思っているわけです。
本年3月の定例会では、我が会派の織田議員から、地域コミュニティー強化の観点や空き家対策の観点から近居の御提案がありました。
私からも、少子化対策ですとか子育ての観点、今ほど御答弁のありました、そういった事業をさらに生かしていくためにも、同じ小学校区での近居は大変効果があるというふうに思っているわけです。
なぜなら、保育園に迎えに行けないときにじいちゃん、ばあちゃんが行ってくれる。そして、お父さん、お母さんが仕事で遅くなったら、小学校から自分の家ではなくて、じいちゃん、ばあちゃんの家に帰る。そして晩御飯まで食べさせてもらうと。これは大変私は効果があるのではないかなというふうに思うわけで、今後、同居していくというのはなかなか難しいと思っているのですね。今の若い御夫婦が同居をするというのはなかなか難しいと思っているのですけれども、こういったいろんな取組の合わせ技として、近くに住んで近くで子育てをするというのは大変メリットがあるというふうに感じているわけです。
この近居の推進に関する今後の考え方をぜひお聞かせいただきたいと思います。
182 ◯ 議長(金厚 有豊君)
深山活力都市創造部長。
183 ◯ 活力都市創造部長(深山 隆君)
本市では、親世帯と子世帯が共に暮らし、相互に助け合うことで家族の絆を深めることや、子世帯が親世帯の担っていた地域の活動を継承していくことで、地域コミュニティーの維持や強化につなげることを目的として、親世帯が暮らす住宅に子世帯が同居するための増改築やリフォーム等を行う場合、その費用の一部を補助するふるさと回帰リフォーム等補助事業を令和元年6月から実施しております。
この事業は同居に対するものであり、議員お尋ねの近居については、今現在具体的な支援は行っておりませんが、近居というライフスタイルは、子世代と親世代がほどよい距離感を保つことで、互いに過度な干渉を避けながら、日常生活の相互の協力や緊急時の迅速な対応などが可能となり、家族の絆が育まれ、地域コミュニティーの醸成にもつながるものと考えております。
こうしたことから、近居の推進につきましては、今後、本市の住宅施策の中でどのように取り扱うことができるのか、引き続き他都市の取組などを参考として、調査・研究してまいりたいと考えております。
184 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
185 ◯ 13番(金谷 幸則君)
私はもちろん3世代同居のリフォームの施策も別にいいと思っています。今までのものに加えて、上乗せして新しいことに取り組んでいかないと、異次元の少子化対策にはなかなかつながらないというふうに思っているわけです。繰り返しになりますけれども、国、県、市、民間企業、地域、ここらが一体となって本当にこの問題に取り組んでいかなかったら先はないというふうに思っているわけで、御提案をさせていただいているわけです。よろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、人口減少にはもう1つ原因がありまして、社会減というものです。これは日本全体というよりも、富山県、富山市の問題であります。
今まで自然減の話をしてきましたけれども、これにも実は大きく関わる、結婚にも出産にも大きく関連しているのが、若い女性の県外への流出であります。
2022年の住民基本台帳人口移動報告によりますと、富山県は女性で972人の転出超過であり、この人数は男性の303人の3.2倍に達するそうであります。特に20歳から24歳の方が690人ということでありますから、この現状はかなり深刻だというふうに思っております。
先日、富山県教育委員会の方に高校卒業後の現状を教えていただきました。令和4年3月に県内の高等学校を卒業した8,517人、これも大変少ないわけでありますけれども、県外に就職や進学をした人数が、県内を選んだ人数よりもここ数年多くなっているという事実を教えていただきました。これは当然、就職も専門学校も全部入っているわけですから、それでも多いのかというふうに思ったわけです。
そこで、とある県立高校──その学校はほとんどが大学に進学する学校でありますけれども、お伺いをしましたら、女子生徒の県内進学者29名に対して、県外進学者が74名ということでありますから、これまた大変なことだというふうに実感をしたわけであります。
私は、県内には大学の数が限られていますから、県内進学を増やすのはなかなか難しいというふうに思っているわけですけれども、先ほどの奈義町の例のように、進学や就職で出ていっても、結婚や出産、子育てというタイミングで、富山に帰って子育てをしたいというふうに思ってもらうことが大変大事ではなかろうかなというふうに思うわけです。
そのためにも、高校在学中などの若いうちから、本市の住みよさを伝えていく必要があるというふうに思っているわけでありますけれども、当局の見解をお伺いいたします。
186 ◯ 議長(金厚 有豊君)
前田企画管理部長。
187 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
本市では、例えば、市内の高校1年生とその保護者に対しまして、富山市と東京圏など、居住地の違いによる生活費や生涯賃金などの状況について、検証可能なデータを用いて調査・分析した結果をまとめた冊子──ガイドブックでございますけれども──これを作成しており、これを毎年配布し、高校卒業後の進路を家族間で本格的に話し合う前に、多様な暮らし方や働き方を提示するといった取組でありますとか、また、市内の高校の総合的な探求の時間において、市の職員が講師となり、移住・定住や公共交通の活性化など、富山市のまちづくりに関する施策についての授業を行う取組、また、市内の中学校や高校において、市長や市職員が市の施策について説明し意見交換するスクールミーティングの開催などを通じまして、若い世代に市政に対する興味や関心を持ってもらったり、本市の暮らしやすさや多彩な魅力を感じてもらうための様々な取組を行ってきたところであります。
市といたしましては、中学生や高校生などの若い世代に本市の様々な政策や魅力を知ってもらう取組を今後も積極的に行うことで、地元での進学や就職を選択する若者や、また、進学等に伴い一旦県外へ転出したとしても、将来富山市に戻ってくることを希望する若者が、これまで以上に増加することを目指してまいりたいと考えております。
188 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
189 ◯ 13番(金谷 幸則君)
今ほどいろいろとずっと伺ってきたわけでありますけれども、この富山の取組のよさですとか、子育て環境のよさ、住みよさ、こういったことをぜひお伝えをしていただいて、やっぱり子どもを産むなら地元だよねという風土をぜひ醸成していきたいというふうに思っているわけです。
今ほど富山から県外に出ていく子どもが大変多いという話もあったわけでありますけれども、逆に県外から富山に進学している学生というのも実はたくさんいらっしゃるわけです。
私の家の近くには富山大学がありますけれども、7割が県外の生徒であります。実際、私の家の近くにも、県外出身で富山大学の卒業生で、この富山がいいから、そしてこの五福が住みやすいという理由で、結婚して五福に家を建てていらっしゃる方が結構いらっしゃるわけです。
本市も、今までも県内の大学とはいろいろ連携をして取組を進めていらっしゃるということはお伺いをしております。
この大学生の就職時における県内就職の取組、これはぜひ必要だというふうに思うわけですけれども、こちらについても見解をお聞かせいただきたいと思います。
190 ◯ 議長(金厚 有豊君)
山本商工労働部長。
191 ◯ 商工労働部長(山本 貴俊君)
生産年齢人口が減少し、労働力不足が深刻となっている現在、県内外の学生に対し富山市の企業への就職支援を行うことは、地域経済の成長力を確保する上で重要な取組であると考えております。
このため本市では、春休みや夏休みといった時期に、富山の企業が自社の魅力を直接学生に対してPRする合同企業説明会を開催し、企業と学生のマッチングを図っております。
令和6年4月の採用に向けた企業説明会においては、累計251社の企業と333人の学生が参加されたところであります。
また、今年度からは、この説明会に参加しやすいよう、県外大学生等に対し限度額1万円の交通費補助も行っているところです。
このほか、県内の大学に進学している学生が富山に残って就職してもらえるよう、富山で働き、暮らす魅力の啓発にも取り組んでおります。富山大学と連携し、1年生を対象として、富山で働く場合の給与や家賃、通勤時間などの利点を内容とした講義を実施し、71人の学生が受講されたところであります。
講義後の学生のレポートでは、将来子どもを持つとき、富山のほうが土地も安く暮らしやすいので、富山に住みたい気持ちが強まったとの意見や、将来家を持ちたいので、富山の企業に就職することも選択肢として考えたいなどの意見があり、学生の意識の変化も見られたところであります。
一方、県内高校の卒業生の多くが県外の大学に進学しております。そうした皆さんにUターン就職してもらうことも重要であり、本市では今年度から、国士舘大学など首都圏の大学と連携し、大学内において合同企業説明会等も実施することとしております。
本市といたしましては、こうした取組を継続することで、学生に首都圏の企業にない富山の企業のよさを知ってもらうとともに、将来どのような暮らしをしたいのかもイメージしながら就職を決めるような意識の醸成を図ることで、富山で働く人材の確保につなげてまいりたいと考えております。
192 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
193 ◯ 13番(金谷 幸則君)
ぜひ進めていただきたいと思います。
我が家にも県外で就職をした人と県内で就職をした人がいるわけでありまして、この兄弟2人を見ておりましても、何だかんだと言っても、東京のほうが給料が高くたって経費がかかるわけでありまして、今ほど部長のお話にありましたように、家を建てたり、住まいをしたり、その後生活をしたりということをロングスパンで考えていくと、やっぱり富山がいいねというふうな思いは十分にあるわけでありますから、こういった魅力をぜひ伝えていきたいなというふうに思いますし、私も五福近辺で県外出身の大学生を見かけましたら、「ぜひ富山で就職しられ」というふうにお勧めをしているわけでありますから、そんなことも併せてぜひ進めていきたいというふうに思います。
人口減少に対する本市の取組につきまして、自然減と社会減についてお伺いをしてまいりました。産んでくれれば後は何とかするという、そんなことを本当に国と県、市、さらには民間企業や地域でぜひ醸成をしていきたいと思っているわけで、これがどんどん具現化していけばいいなというふうに思っているわけです。
私が一番心配しているのは、先日の新聞記事にありました、生涯にわたって子どもを持ちたくない、持たないという人の割合が、2005年生まれの女性で最大42%に達すると推計をされているそうでありまして、男性はさらに多くて5割程度になる可能性があるということでありました。
今の若者の価値観の中には、結婚や子どもを持つ意欲が低下をし、生涯独身でいいというふうに考えている人が急増しているようであります。これが実は一番大問題だというふうに思っているわけで、経済的な支援や手伝いはみんなできるわけでありますけれども、当の本人たちにその気がなかったらなかなか難しいわけであります。これは私はどうやって改善をするのかが大変難しい問題だと思っているわけです。
市長はいつも、子どもを産み育てることのすばらしさを伝え広めていき、社会が一体となって取り組んでいく必要があるというふうにおっしゃっています。私はおっしゃるとおりだと思っているのですけれども、この最後に、人口減少に対しまして藤井市長の見解をぜひお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
194 ◯ 議長(金厚 有豊君)
藤井市長。
195 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えします。
本市の人口は、国勢調査によれば、2010年──平成22年でございますが──この42万1,953人をピークに減少に転じます。
本市が2019年度──令和元年度でありますが──に行った将来人口推計によりますと、2040年──これは令和22年になりますが──の本市の人口は、推定でありますが、37万4,000人余りを見込んでおり、将来的にも人口減少が続く見通しとなっております。
こうした人口減少が進むことにより、地域経済の規模が縮小するほか、労働力不足や地域コミュニティーの機能低下、地域の祭りや伝統文化の衰退、管理不全状態の空き地や空き家の増加など、市民の暮らしや社会全般において様々な影響があるものと認識しております。
また、市政運営におきましても、納税者の減少に伴う税収の減少や高齢化の進行等に伴う社会保障費の増大、老朽化する公共施設や道路、橋梁、上下水道施設などのいわゆる社会インフラを適正に維持管理するための財源やマンパワーの不足、公務部門を担う人材確保がますます困難になることなどが挙げられます。
また、昨年度の市町村合併に関する富山市市町村合併検証委員会からの答申の中では、検証の総括として、少子・超高齢社会に対応できる持続可能な地域づくりや、急速な人口減少を鈍化させ、一定程度の人口規模を維持する取組、あるいは核家族化や地域とのつながりの希薄化の中における地域コミュニティーの維持などが課題として指摘をされたところであり、市内全域において改めて人口減少に向けた対策が求められているところでございます。
本市では、人口減少が今日のように大きな課題、問題となる前から強い危機感を抱き、他都市に先駆けて、将来世代に責任が持てる持続可能な都市経営の構築を目指して、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを政策の基本に据え、都市の総合力を高める様々な施策に取り組んでまいりました。
さらには、コンパクトシティ政策とデジタル技術の活用により市民生活の質の向上を図るスマートシティ政策を融合させることで、市域のどこに住んでいても不便さを感じることなく、人口減少社会にあっても、安全・安心で、誰もが豊かさや暮らしやすさを実感できる、そんな「幸せ日本一とやま」の実現に向けた取組を一歩一歩着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。
今後とも人口減少をマイルドにしていくため、こうした取組などを通じて、住み続けたいまち、暮らしたいまちとして誰からも選ばれるまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
議員おっしゃるように、子どもをもうけたいと。そして、その子どもを家族で育てていきたいという喜びですね。こういうものがその人にとってどういう価値観になってくるのかということだと思います。
もちろん、私はいつも教育だとか周りの方々の温かい子どもたちに対する目線や人間関係が必要だなというふうに考えておりますけれども、多様化した時代でありますので、こうでなければいけないというようなこともなかなか言いにくい世の中であるし、先ほど御紹介いただきました奈義町の事例なんかも含めて、さらに研究しながら、本市の現状に合ったような施策を地道に打ってまいりたいなと考えております。
196 ◯ 議長(金厚 有豊君)
13番 金谷 幸則君。
197 ◯ 13番(金谷 幸則君)
ありがとうございます。
2030年まであと7年しかありません。この施策はリアルに数字となって結果が出てきます。ぜひ、私たちも含めてですけれども、みんな一丸となって本市の人口問題に取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ来年度予算に期待をしながら、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
198 ◯ 議長(金厚 有豊君)
これで金谷議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
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散 会
199 ◯ 議長(金厚 有豊君)
以上で、本日の日程は終了いたしました。
9月11日は午前10時に本会議を開き、一般質問及び議案の質疑を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後 4時33分 散会
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