富山市議会 2021-06-02
令和3年6月定例会 (第2日目) 本文
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開 議
午前10時 開議
◯ 議長(高道 秋彦君)
ただいまから、本日の会議を開きます。
議事日程は、お手元に配付のとおりであります。
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一般質問並びに議案第136号から議案第166号まで、
及び報告第11号から報告第41号まで(質疑)
2 ◯ 議長(高道 秋彦君)
これより、日程第1 一般質問並びに議案第136号から議案第166号まで、及び報告第11号から報告第41号までを一括議題といたします。
これより、一般質問及び議案の質疑を行います。
順次発言を許します。
38番 柞山 数男君。
〔38番 柞山 数男君 登壇〕
3 ◯ 38番(柞山 数男君)
令和3年6月定例会において、自由民主党より一般質問をいたします。
まず、藤井新市長に富山市の未来像について伺います。
本年4月に執行された市長選挙は、本市が平成17年に市町村合併してから初めて市長が交代する転換期の選挙でした。
藤井市長はさきの富山市長選において多くの市民の支持を得て富山市長に就任され、心よりお祝いを申し上げます。19年ぶりに交代した県都の新リーダーとして、富山市の発展と市民の幸せのために邁進されますよう御期待をしております。
本市は、人口約41万4,000人、面積1,241キロ平方メートルを有する日本海側有数の中核都市でありますが、平成22年の42万1,953人をピークに人口減少に入り、近年は社会増の傾向にもありますが、今後とも自然減が一層進むことが予想され、出生率の改善や人口のダム機能を果たせない限り、長期的な減少傾向から脱却することが困難になります。
さらに、年齢構成においても、当面ゼロ歳から14歳の年少人口割合や15歳から64歳の生産年齢人口割合が減少し、現在の出生率では、令和42年の人口は32万6,591人になると予想されています。
加えて、本市は、市道延長約3,100キロメートル、橋梁約2,200橋をはじめ、多くの社会インフラを管理していますが、今後は維持管理や更新費用が懸念され、高齢化の進行などに伴う社会保障費の増大や公共施設の老朽化などによる維持管理の更新費用が増大することから、財政状況にも大きな影響を及ぼし始めています。
本市では、第2期富山市まち・ひと・しごと総合戦略の基本目標として、1つに、産業活力の向上により、安定した雇用を創出する~地方の中核を担う都市として躍動するまち~、2つに、交流・定住を促進し、富山市への新しい人の流れをつくる~選ばれるまち~、3つに、生活環境の一層の充実を図る~すべての世代が安心して暮らせるまち~、4つに、持続可能な都市経営・まちづくりを推進する~公共交通を軸としたコンパクトなまち~を掲げています。
藤井市長には、さきの選挙に当たり、最重要政策テーマとして「育む
未来!~活き活きひとづくり日本一とやま」、緊急政策テーマとして「コロナに打ち勝つ!~市民の命と安全、生活を守りぬく」、重要政策テーマとして「守る未来!~安全・
安心まちづくり日本一とやま」「稼げる未来!~豊かさ日本一とやま」「繋がる未来!~連携日本一とやま」を公約に掲げておられます。
また、就任式の挨拶で、幾多の先人が営々と築き上げてきた郷土の歴史をしっかり受け継ぎ、未来に向けて富山市の新しい歴史を切り開いていくと決意をおっしゃっています。
富山市の現状をどう認識し、「幸せ日本一とやま」の実現に向け、どのような富山市にしていこうと思っているのか決意を伺います。
次に、市長としてどのような姿勢で市政に臨むのかお伺いいたします。
市長と市議会議員はそれぞれ住民から直接選挙で選ばれ、多様な市民の意見を市政に反映する車の両輪としての役割が託されています。
その観点から、自民党会派では、広く市民の声を聞きながら市政の重要課題について適時適切に市長に提言するとともに、これまでも行政へのチェック機能としての取組によって市政の推進に寄与してきたと自負しており、我が会派としてもこれまでの取組をより一層深化していきたいと考えております。
また、新市長も重点政策テーマの中で、市議会や市職員の提案を大切にしながら、現場重視・スピード重視の市政を実行していくと掲げておられます。
市長として、これから議会とどのような関係を築いていくのか伺います。また、どのような姿勢で現場重視・スピード重視の市政を実行していくのか伺います。
次に、市町村合併についてお伺いいたします。
本市は、平成17年4月に旧7市町村、富山市、大沢野町、大山町、八尾町、婦中町、山田村、細入村が合併して誕生いたしました。
森前市長は、合併した当時から少子・高齢化と人口減少社会を見据え、本市が持続可能な都市として発展していくため公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを掲げ、選択と集中によるめり張りを持たせた施策を通じて、本市が目指すまちの将来像の実現に向けて、取り組んでこられました。
一方、合併後の施策に関しては、市民の中でも様々な意見があります。
また、森前市長は、市町村合併の検証に関しては、私ではなく、次の市長にしていただきたいとおっしゃっていました。
藤井市長は、森前市長のときから取り組んできた拠点集中型のコンパクトなまちづくりを継承、深化させる方針で、合併から16年が経過する中、合併の検証も進めたいとおっしゃっています。
市長として平成17年の合併についてどのように考えているのか所見を伺います。また、どのように合併に対する検証を行っていくのか伺います。
次に、
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
新型コロナウイルス感染症の感染者は、感染力が強く、重症化しやすいと言われる変異株の影響により、本年4月に入り再び全国的に拡大いたしました。
本県においても、本年4月23日に県独自の警戒レベルをステージ2に引き上げられましたが、その後も感染者数や入院者数の増加が続いており、ステージ3が目前の状況になったことから、5月21日、富山県感染拡大特別警報が発出されました。
本市でも連日のように感染者が判明し、クラスターも様々な場所で発生している状況となっていました。
本市では、国の高齢者への
新型コロナウイルスワクチン接種開始の日程に合わせ、本年4月12日から一部高齢者施設で接種を開始されたところであり、一般高齢者については、4月26日に85歳以上、5月10日に75歳から84歳、5月17日に65歳から74歳の方々に接種券を発送し、5月17日から接種が開始されていますが、本市が設置する予約・相談センターへの電話が通じないことや、接種予約が取れないなど、多くの意見をいただいているのも承知しています。
このような状況下で、国からの本年4月30日付事務連絡「新型コロナワクチンの高齢者向け接種の前倒しについて」による要請を受け、7月末までの完了を目指すこととなっています。
藤井市長は、緊急政策テーマとして「コロナに打ち勝つ!~市民の命と安全、生活を守りぬく」と掲げておられます。
また、就任式で、現下の最大の課題は、
新型コロナウイルス感染症から市民の生命と安全、生活を守り抜くことだと、ワクチンの円滑な接種に万全を期すと強調されています。
本市における
新型コロナウイルスワクチンの接種体制と高齢者向け接種の完了に向けた状況についてお伺いいたします。また、今後の
ワクチン接種スケジュールについて伺います。
次に、藤井市長が掲げる4つの政策課題について伺います。
まずは、「育む
未来!~活き活きひとづくり日本一とやま」について伺います。
本市では、全ての妊産婦や子育て世代が安心して子育てができる環境づくりを推進するため、1つに、フィンランドのネウボラの理念や支援の仕組みを取り入れた、一人一人の対話を重視した
子育て世代包括支援センターによる支援、2つに、全国初の自治体経営の産後ケア応援室やお迎え型病児保育などを行う富山市
まちなか総合ケアセンターの開設、3つに、産後鬱を早期に把握する産婦健康診査の実施や、支援が必要な妊産婦への育児や家事の援助などを行うヘルパー派遣、4つに、
ベイビーボックスプレゼント事業を通した産後早期からの支援など、妊娠期からの切れ目のない子育て支援体制の強化を図るとともに、きめ細やかな子育て支援施策を総合的に実施しています。
また、本市の児童・生徒数は、昭和60年度には5万6,059人いましたが、令和2年度では2万9,887人と大きく減少しており、5年後の令和7年度には2万8,510人になると見込まれ、今後も減少傾向は続くものと考えられます。
こうした中で、これからの社会を生きる子どもたちには、多くの友達や教職員との交流を通じて互いに切磋琢磨するとともに、多様な意見や考え方に触れながら主体性を探求する力を高めていくことがこれまで以上に求められています。
本市では、様々な状況下において子どもたちの可能性を引き出し、魅力ある学校教育を実現する観点から、市立小・中学校の適正規模・適正配置を含めた持続可能な学校の在り方について具体的な検討を進めてきています。
藤井市長は、富山市PTA連絡協議会会長や富山県議会議員などの経験を踏まえ、最重要政策テーマとして「育む
未来!~活き活きひとづくり日本一とやま」を掲げておられます。「育む未来」を実現するためにも、子どもを産み育てやすいまちにしていくべきと考えます。
「育む
未来!~活き活きひとづくり日本一とやま」の実現に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、「守る未来!~安全・安心まちづくり日本一とやま」について伺います。
本市を取り巻く課題について、過度な自動車依存による公共交通の衰退や市街地の拡大によるごみ収集や除雪など、都市管理コストの上昇と中心市街地の衰退、平均寿命と健康寿命の乖離などが挙げられていました。
これからの環境を見据えた持続可能な都市を目指し、本市では、鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化し、その沿線に居住、商業、業務、文化などの都市における諸機能を集積させることで公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりに取り組んでまいりました。
令和元年度末に路面電車南北接続という大きな到達点を迎え、今後は新たなまちづくりのステージへと進んでいます。
また、おでかけ定期券や「とほ活」ベンチプロジェクトなどを通じて歩くライフスタイルを推進することで、健康寿命の延伸や社会保障費の削減、地域経済の波及、まちのにぎわい創出などにも効果が出ています。
これらの取組が評価され、本市は環境モデル都市、環境未来都市、SDGs未来都市などの選定も受けています。
さらに、令和3年3月に、コンパクトシティのネクストステージを見据え、環境施策のさらなる強化により、持続可能なまちづくりの深化を図るため、ゼロカーボンシティを表明いたしました。
人口減少が避けられない本市において、限られた財源の中で選択と集中による効果的な施策展開に努めないと、将来にわたり持続可能で安心・安全なまちづくりはできなくなると考えます。
藤井市長は、重要政策テーマとして「守る未来!~安全・
安心まちづくり日本一とやま」を掲げておられます。「守る未来」を実現するためには、将来にわたって持続可能なまちづくりを行っていくべきと考えます。
「守る未来!~安全・
安心まちづくり日本一とやま」の実現に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、「稼げる未来!~豊かさ日本一とやま」について伺います。
本市は、天然の生けすとも言われる水深1,000メートルの富山湾から標高3,000メートル級の北アルプス立山連峰まで標高差4,000メートルの多様な地勢と豊かな自然を誇るとともに、古くから薬のまちとして製薬業をはじめとする様々な産業基盤と高度な都市機能を持つ日本海側有数の中核都市として発展を続けています。
一方、人口減少、少子・高齢化の進行により、地域経済の縮小を呼び地域経済の縮小が人口減少を加速させるという負のスパイラルに陥るおそれがあると言われています。
本市では、雇用機会の拡大と地域経済の活性化を図るため、コンパクトなまちづくり政策による都市としての総合力や豊富な水資源、暮らしやすさ、勤勉な土地柄という魅力を生かして、企業立地の促進に取り組んでいます。
また、独立開業を目指す人を支援する創業者支援施設や産学官連携・
研究開発型ベンチャー起業等支援施設などを整備することで、新産業や新事業の育成にも努めています。
さらに、スマート農業の推進により、就農者育成や稼げる農業の実現に向けた取組も行っています。
特に、昨年のコロナ禍で働き方の意識が大きく変化していますが、この機会を逃すことなく、都市からのUIJターンの取組やサテライトオフィスの誘致などを推進していく必要があると考えます。
藤井市長は、重要政策テーマとして「稼げる未来!~豊かさ日本一とやま」と掲げておられます。「稼げる未来」を実現するためには、人口を減らさず、自主財源を安定して確保し続けられるまちにしていくべきと考えます。
「稼げる未来!~豊かさ日本一とやま」の実現に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、「繋がる未来!~連携日本一とやま」について伺います。
本市は、市道延長約3,100キロメートル、橋梁約2,200橋、横断歩道橋3橋、トンネル4本、上下水道など、多くの社会インフラを維持管理しています。しかも、高度経済成長期に整備した社会インフラは、今後、老朽化により一斉に更新時期を迎えることが予想されています。
一方で、人口減少などによる経済の縮小から税収減になることが予想される中、適切な管理・更新が困難になることが懸念されています。
さらに、本市の土木部門の職員数は、平成17年の市町村合併以降、減少傾向にあり、近年は横ばいとなっていますが、維持管理しなければならない量と管理する職員数との乖離が課題となっています。
管理施設や老朽化施設の増加、維持管理費や体制不足、維持管理レベルの低下などにより負のスパイラルに陥り、社会インフラがその機能を発揮できないばかりか、重大事故などのリスクにつながるおそれがあります。
今後、課題解決に向け、持続可能な
社会インフラマネジメントが必要になります。
本市では、これまでも
国立研究開発法人土木研究所との協力協定や、大学、民間等に対するインフラの実証実験をする場所の提供、民間事業者向けの
センサーネットワーク実証実験などを通して産学官連携を進めてきています。
また、新田知事には、県、市町村が課題を共有して、連携協力体制を深化させることを目的に「ワンチームとやま」連携推進本部会議を開催しています。
藤井市長は、重要政策テーマとして「繋がる未来!~連携日本一とやま」を掲げておられます。「繋がる未来」を実現するためには、今後一層、富山県をはじめ、県内市町村や大学、民間企業などとの連携ができるまちにしていくべきと考えます。
「繋がる未来!~連携日本一とやま」の実現に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いし、私の質問を終わります。
4 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長の答弁を求めます。
〔市長 藤井 裕久君 登壇〕
5 ◯ 市長(藤井 裕久君)
おはようございます。
柞山議員からの質問にお答えいたします。
問いの1として、富山市の未来像について、2つ目として、市長としてどのような姿勢で富山市政に臨むのかについて、3つ目として、市町村合併についてのうち1点、4つ目として、市長が掲げる4つの政策課題についてお答えいたします。その他の事項につきましては担当部長から答弁を申し上げたいと存じます。
まず、本市の現状をどのように認識し、「幸せ日本一とやま」の実現に向け、どのような市にしていこうと考えているのかという問いについてでございますが、本市は、19年余り市長の職を務められました森前市長のリーダーシップの下、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを政策の中心に据え、雇用や福祉、教育、環境、文化など、都市の総合力を高めるため様々な施策に取り組んでまいりました。
こうした取組の結果、1つ目として、昨年3月に路面電車南北接続事業が完成いたしました。市内に約15キロメートルに及ぶLRTネットワークが構築されるなど、次世代に引き継がれる都市基盤が整備されたこと、2つ目として、近年、人口の転入超過や平均地価の上昇が連続しており、市の固有財源である固定資産税や都市計画税などの税収が増加し、中山間地域あるいは郊外部における市の単独事業の財源が生み出されるなど、税の還流が起こっていること、3つ目として、約9割の市民が、住み続けたいまちと評価するなど、市民のシビックプライドが格段に向上していることなど、様々な成果が大きく現れているものと認識しているわけでございます。
一方で、郊外にお住まいの方からは、自分の住む地域に活気がない、中心部ばかりが発展していくといったような生の声があることも承知をしております。
これらのことから、私が公約に掲げた「幸せ日本一とやま」の実現に向けた今後の市政運営に当たりましては、人口減少や超高齢社会に対応していくため、都市経営の視点に立って、引き続き市の中心政策として公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを継承し深めていく──深化させていくことが必要であると考えています。
その上で、1つには、郊外にある拠点や域内におけるコミュニティバスやデマンドタクシーの運行のほか、ボランティア輸送の新たな導入など、二次交通等のサービスの充実、2つには、オンライン申請など、行政手続における市民や事業者の皆さんの利便性向上や行政事務の効率化など、行政のデジタル化の一層の推進、3つとして、AIやIoTなどを活用した富山市版スマートシティの構築に向けた取組などを通じて、暮らしの利便性を高めるとともに、市民一人一人の生活の質の向上をさらに図り、コンパクトシティ政策の果実が市全域に行き渡るように努めてまいりたいと思います。
また、市民にとって安全・安心に暮らせる災害に強く犯罪の少ないまちづくりや、医療・福祉の充実、意欲ある若者等が夢や希望を持って起業にチャレンジできるような環境づくりなどについても、産学官の連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
私は、市民の皆さんがそれぞれの夢や希望を抱き、その実現に向かって努力されることに対しまして、できる限り寄り添い、後押しをし、応援していくことが行政としての大切な役割であると考えているものであります。
いずれにいたしましても、多くの市民の皆さんが日々の暮らしを通して幸せを実感し、このまちに住んでよかった、自分の子どもや孫にもこのまちに住み続けてもらいたいと思っていただけるような、そんな富山市にしたいとの思いを私は強く持っております。そうした「幸せ日本一とやま」の実現を目指し、全力で市政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、市長としてこれから議会とどのような関係を築いていくのか問うの質問にお答えいたします。
もとより、日本の地方自治制度では、地方自治体の首長と議員を住民がそれぞれ直接選挙で選ぶ二元代表制が採用されており、首長と議会はお互いの立場を尊重し、健全な緊張関係を保ちながら、議決権を持つ議会の決定に基づき、執行権を持つ首長が事務を執行することで公正な行政が確保されている仕組みとなっているわけでございます。
こうした制度の下、本年4月の選挙において、私と議員の皆様方はそれぞれ市民の負託を受けた結果、今こうして議場に立っているわけでございます。お互いの立場は異なるものの、富山市を今以上にさらによくしたいという強い思いは共通しているというふうに認識をしております。
私は、富山市長選挙に立候補するため、本年2月に富山県議会議員を辞職するまでおよそ10年間にわたり、県民や市民の皆さんから様々な声をお聞きし、また、県政に対する様々な提案、県政のチェック活動にも取り組んでまいりました。
こうした県議会議員としての経験のほか、経済同友会、また、議員おっしゃるとおり、PTA活動等における経験も生かしながら、富山市政の最高責任者として、市勢の発展と市民福祉のさらなる向上に向けて、議員の皆さんと互いに切磋琢磨しながら、当局と議会が車の両輪の関係となって市政を強力に前進させていけるよう、全力で職務に当たってまいる覚悟であります。市議会の皆さんのより一層の御理解と御支援をよろしくお願い申し上げるものであります。
次に、どのような姿勢で現場重視、スピード重視の市政を実行していくのか問うの質問についてお答えいたします。
私は、県議会議員として在職中、当時所属していた会派の政務調査会に6年間在籍いたしました。そのうち2年間は政務調査会長の重責を担わせていただきました。この間、県内の各地域や団体等からの各種要望を取りまとめ、国や県当局などの関係機関に伝え、その実現に向けて要望したり、政策についていろいろと調査・研究、取りまとめをするなどしておりました。
このときの活動を通して、私は、様々な問題や課題を抱えながらもそれらに立ち向かい、それぞれの立場で一生懸命頑張っておられる地域で生活する多くの方々に出会うことができました。こうした方々の努力によって、県あるいは市町村の行政が支えられているということも強く認識をさせていただきました。
これまで私は、実際に現場に赴き、現場を見たり、現場の声を聞くことで、こうして頑張っておられる方々や、また困っておられる方々に寄り添って、一緒に課題解決に取り組んでいく姿勢を自らに課してまいりました。こうした私の基本姿勢は市長となった現在も変わるものではございません。
コロナ禍の真っただ中にありまして、時代は混迷度を一層深めておりますが、こうしたときだからこそ、なおさら現場主義やスピード主義を貫くことが大切だというふうに考えております。
こうしたことから、私は、初めて臨んだ市長就任式において、幹部職員に対して、市民重視、現場重視、スピード重視の姿勢に立って富山市政に取り組んでほしいと強く呼びかけたところであり、私自身が先頭に立ってこうした姿勢を示すことで「幸せ日本一とやま」の実現を目指し、組織全体が一丸となって、心を一つにして市政推進に取り組んでいけるものと感じているわけでございます。
次に、市長として、平成17年の合併についてどのような考えをお持ちかという質問にお答えいたします。
明治22年(1889年)4月1日に市制・町村制が施行された当時、全国の市町村の数は1万5,859でありました。その後、明治の大合併、昭和の大合併、そして平成の大合併などによって、全国の市町村の数は現在1,718に減少いたしました。
このように、市町村合併は平成の大合併に限ったものではなく、この100年余りの間に幾度も繰り返し行われてきたものと認識をしております。
こうした中、さきの平成の大合併は、人口の減少と少子・高齢化の進行や複雑・多様化する住民ニーズへの対応など、市町村を取り巻く環境が厳しさを増しつつある中で行われたものと認識をしております。
地方分権の担い手となる住民に最も身近な基礎自治体である市町村が、地方分権型社会における自己決定権及び自己責任の理念の下、自主性や自律性を発揮した行政運営を行うためには、専門的かつ高度な行政能力と政策実現のための行財政基盤の充実・強化が強く求められたのであります。
こうしたことを背景として、国は市町村の合併の特例に関する法律、いわゆる合併特例法に基づき、合併特例債や地方交付税の合併算定替の大幅な延長などの手厚い財政支援措置を講ずることで全国的に市町村合併を強く後押ししてきたわけでございます。
こうした状況の中、当時の旧富山市の森市長は、旧富山市とその周辺の町村で構成される圏域が1つにまとまり、いわゆる川上から川下までを包含した広域的なまちづくり、このことを展開していくことが必要であるという見地から、当時、富山市と共に富山地区広域圏事務組合を構成していた10の市町村の首長に合併協議への参加を呼びかけられ、結果的に、議員御承知のとおり、7市町村による合併を目指すこととなったわけでございます。
その後、約2年間に及ぶ協議を経て、新市のまちづくりの基本方針や主要施策などをまとめた新市建設計画が策定され、平成17年4月の新富山市の誕生を迎えることとなったわけであります。
こうして誕生した富山市の初めての市長選挙において、旧富山市の市長であった森 雅志氏が、多くの市民の信任を得て、初代市長に就任されたわけであります。
その後、富山市は、この森前市長のリーダーシップの下、合併協議で議論されたことを尊重しながら、新市建設計画に掲げられた主要事業の推進に努めるとともに、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを政策の中心に据え、雇用や福祉、教育、子育て、環境、文化など、包括的な施策を展開することで、都市の総合力並びに市民一人一人の生活の質の向上に注力してこられたわけでございます。
その結果、現在、9割近い市民の方が住み続けたいまちであると評価しておられます。自分の住むまちへのシビックプライドが格段に向上しているという状況だと存じ上げております。
加えて、人口の転入超過や地価の上昇が連続しており、先ほど申しましたとおり、固定資産税あるいは都市計画税の税収が増加し、中山間地域への税の還流が起こっていることは、まさに都市経営の視点に立った市政運営のたまものであると評価しているわけであります。
こうしたことから、本格的な人口減少社会を迎えた今日、この1市4町2村による大同合併により新富山市が誕生いたしましたことは大変意義深いことであると私は考えており、当時、合併協議を推進し、多くの困難を乗り越え、合併を成し遂げられた森前市長をはじめとする関係首長さん、あるいは関係の皆さんの御努力に深甚なる敬意を申し上げたいというふうに考えております。
次に、市長が掲げる4つの政策課題についてでございます。
「育む未来」「守る未来」「稼げる未来」「繋がる未来」についての質問にお答え申し上げます。
私が本年4月24日に市長に就任させていただいてから、50日余りの日数が経過したわけであります。この間、私は公務の合間を縫って、各部局から事業内容や当面の懸案事項等についての説明を受けるなど、市政の現状と課題等の把握に努めてまいりました。また、現場に赴き、市の関係施設を視察したり、職員から直接話を聞くということを行ってまいりました。
森前市長からは、御自身の経験を踏まえ、まずは焦らず、じっくりと勉強することが大事であるから、しっかりと勉強しなさいという助言をいただいているところでございます。
私といたしましては、しっかりと本市の市政の現状をまずは理解した上で、私が掲げた公約の実現に向けてどういった取組が必要なのか、少し時間をかけてじっくりと検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
こうした中、現在の市政の最重要課題は、何と言いましても
新型コロナウイルス感染症から市民の命を守ることであります。
このため、市民の皆さんへのワクチン接種を着実に進めていくこと、そして、そのことこそが地域経済を支えることに直結するという考え方であり、まずはこのことに全力を傾注してまいりたいというふうに考えております。
一方、私の選挙公約に関連した事業といたしまして、今定例会に富山市スマートシティ推進ビジョン策定に関する事業費を計上したところでございます。
本市のコンパクトシティ政策をさらに深める──深化させていくとともに、この政策の果実を市域全体に広く行き渡らせるためには、ICTなどの技術を活用することにより市民の生活の質や利便性の向上を図る、いわゆる富山市版スマートシティの実現が必要不可欠であると考えております。私は、このことにいち早く取り組みたいという考えの下、6月補正予算案に計上したものでございます。
また、スマートシティを実現するための推進体制として、今月3日には私を本部長とする富山市スマートシティ推進本部を立ち上げたところであり、来年度を目途に、本市が目指すスマートシティの方向性を取りまとめたスマートシティ推進ビジョンを策定したいと考えております。
先ほども申し上げましたとおり、今は市政の現状や課題等を十分に把握し、理解するとともに、私が掲げた公約を実現するためにはどういった事業がこれから必要なのか、じっくりと検討すべき時期であるというふうに考えております。
今後、正式に政策として決定したものが出てくれば、年度内の補正予算、あるいは来年度以降の予算の中で事業化を図ってまいりたいと考えております。その際にはよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
6 ◯ 議長(高道 秋彦君)
前田企画管理部長。
〔企画管理部長 前田 一士君 登壇〕
7 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
市町村合併についてのお尋ねのうち、どのように合併に対する検証を行っていくのかにお答えいたします。
平成17年4月の市町村合併以降、本市は、合併協議で議論されたことを尊重し、新市建設計画に掲げられた主要事業の推進に努めるとともに、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを政策の中心に据え、雇用や福祉、教育など、様々な施策を包括的に展開した結果、転入者の増加や平均地価の上昇など、これまでの取組による成果が相次いで現れてきております。
また、本市のコンパクトシティ政策が広く国内外から高い評価を受けてきたことも周知の事実であります。
一方で、中山間地域等にお住まいの方などの間には、自分の住む地域に活気がない、中心部ばかりが発展していくといった声があるということも承知しており、合併の効果が必ずしも市民全体に理解されたり、実感されているわけではないものとも受け止めております。
こうしたことから、合併から今日までの本市のまちづくりの16年余りの歩みを通して、富山地域におけるさきの市町村合併の意義や効果について今ここで客観的に検証することは、本市がコンパクトなまちづくりをはじめ、様々な政策を今後進めていく上でも大変意義のあることであると考えております。
御質問にありました合併の検証方法や具体の進め方につきましては、合併検証を行ったほかの合併自治体の事例などを参考にしながら現在検討を進めているところでありますが、本市は合併から既に16年以上の年数が経過しており、合併協議に携わった職員や関係者が年々少なくなっていることに加え、この間、人口減少や超高齢社会が加速度的に進行するなど、合併とは直接関係のない日本の社会全体に共通する社会的要因等がある中でどのように客観的な検証を行うのかが課題であると考えております。
いずれにいたしましても、今回実施する合併の検証作業は、言うまでもなく、合併したこと自体の是非を問うためのものではなく、検証結果を今後の本市の施策に反映させることで市民のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を一層向上させるという基礎自治体としての使命を果たすためのものであり、このような検証作業の持つ重要性などから、少なくとも今後一、二年をかけ、外部の様々な意見もお聞きしながら、腰を据えて取り組んでいく必要があるものと考えているところであります。
以上でございます。
8 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
〔福祉保健部長 田中 伸浩君 登壇〕
9 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
私からは、
新型コロナウイルス感染症対策についての御質問のうち、まず、ワクチンの接種体制と高齢者向け接種の完了に向けた状況についてお答えをいたします。
本市の
新型コロナウイルスワクチンの接種体制につきましては、インフルエンザなどの予防接種と同様に、病歴やアレルギーなどを把握されている、かかりつけ医による個別接種を主体とし、この個別接種を補完するという位置づけで集団接種を行っております。
現在、本市で個別接種を実施している医療機関につきましては、約170施設となっております。
一方、本市が開設、運営する集団接種につきましては、現在のところ、本年8月上旬までに、平日、月曜日から金曜日に行っている富山市・医師会急患センターでの接種が延べ54日間、約7,300回、また、土曜日、日曜日等に富山市保健所や保健福祉センターなど市内を巡回して実施する会場を12か所設定しており、延べ46日間、約1万5,000回の接種を実施することとしております。
また、これらに加えまして、今後、県が開設される接種会場や職域、大学等で実施される接種会場など、接種体制は順次拡大していくものと考えており、本市といたしましても、一日も早く市民の皆さんへの接種が進むよう、県や富山市医師会などの関係団体、関係機関との連携を図りながら接種体制の強化・充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、高齢者向け接種の完了に向けた状況につきましては、当初は国から示された考え方の下、本市では一般高齢者への接種開始日を本年5月17日からとし、8月上旬の接種完了を目標としておりましたが、国の前倒し要請を受け、本年7月末の接種完了を目指すこととしたところでございます。
前倒しに当たりましては、接種体制強化の方策といたしまして、市が設置、運営する集団接種の拡充や、個別接種を実施する各医療機関において接種回数を上乗せいただくことが必要となりました。
このため、まず、集団接種の拡充につきましては、当初計画していた施設に加えまして、西保健福祉センター、テクノホールなど6会場、延べ30日間を追加開催するほか、各会場での接種人数の上乗せも行った結果、当初は約4,300人であった接種可能人数を約6,800人増加し、合計約1万1,100人としたところであります。
一方、個別接種の回数の上乗せにつきましては、市医師会に対して接種体制の強化についての協力を要請いたしましたところ、市医師会が独自で本年6月12日から毎週土曜日に富山市・医師会急患センターに接種会場を開設されることになったことをはじめ、各医療機関におきましても接種人数の増加に積極的に取り組んでいただいており、当初の見込みと比較して、これまでの接種回数は着実に増加してきております。
加えて、国が個別接種促進のための新たな支援策として接種回数の多い診療所への接種料の加算措置などを示されており、各医療機関においてさらなる接種回数の上乗せが期待されるところでございます。
さらに、県において接種会場を富山市内にも開設されることから、より一層高齢者の接種が進むものと考えております。
こうした接種体制強化の取組により、本市の高齢者の接種希望者が想定どおりの7割──約9万人でございますけれども──であれば、高齢者向けの接種が本年7月末に完了できるものと考えておりますが、接種希望者の増加が見込まれる場合は、その時点において可能な限りの対策を講じてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、ワクチンは高齢者の方全員分を確保しておりますので、市民の皆様には安心して接種をお待ちいただきたいと考えております。
次に、今後のワクチン接種のスケジュールについてお答えをいたします。
本市での今後の接種スケジュールにつきましては、高齢者に続く優先接種順位に当たる基礎疾患のある方や高齢者施設等の従事者、また、60歳から64歳の方への接種券を早期に発送する予定としております。
なお、高齢者施設等の従事者につきましては、県で開設される接種会場も含めて接種を実施することとしており、この会場での接種を希望される方には本年6月下旬に接種券を送付することとしております。
そのほかの60歳未満の方につきましては、職域や大学での接種体制の進捗状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。
また、保育や教育関係など様々な団体から優先接種の要望がありますが、優先接種の対象につきましては、今後の感染状況やワクチン接種の進捗状況を考慮しながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
10 ◯ 議長(高道 秋彦君)
これで柞山議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
31番 横野 昭君。
11 ◯ 31番(横野 昭君)
令和3年6月定例会に当たり、自由民主党より一般質問及び議案の質疑を行います。
最初に、市町村合併後の地域要望についてお尋ねしたいと思います。
合併時、私自身、市の職員でありましたから、事務事業の見直しや統一に向けた取組など、本当に多くの意見を交わしながら、本当に大変な苦労だったというふうに振り返ります。それぞれの地域の特徴を主張しながら、意見の食い違いによる統一の難しさも改めて感じたところであります。
合併協議会における各部局の2,038項目による各種事務事業の取扱いについても調整されておりましたが、このうち約250項目の事務事業については合併後に再編するものとされ、新市発足後にその再編の方向性や実施時期などについて検討されてきたところであります。現在、一部を除き、まだ残っていますが、概ね再編は完了したものというふうに思っています。
また、この地域要望ということについては自治振興会組織という形で旧富山市がつくられましたが、合併した4町2村においてはなかなか自治振興会組織に慣れるまでに数年かかったような記憶があります。
そういった点、地域要望の在り方について、合併した4町2村については非常に苦労したというふうに思っております。
やはりコンパクトシティを進めてきた市当局とすれば、本当に中心市街地に大きな投資もされて、一方、それ以外の地域においても、旧町村部においても、本当に様々な施設整備等がなされてきたというふうに認識しております。そういった点においては、別に合併したからマイナスが多かったというイメージはないです。やっぱり合併は合併の、1つの富山市としていい方向が見えたというふうに思っています。
しかしながら、市全体を見渡したときに、中長期的な視点からの事業の推進も必要であるというふうにも認識しておりますし、地域住民の視点から、地域の道路や用排水路、あるいは通学路、あるいは防犯灯の設置だとか、カーブミラーだとか、本当に細かいことに対して、それぞれの地域の皆さんは身近な生活環境の整備に本当に強い希望や要望を持っています。
こういった点において、それぞれ地域の自治振興会は本当に細かい要望をいろいろつくりながらそれぞれのセクションにお願いしておりますが、こういったものはなかなか実現していない。これは、ざっくばらんに「予算がないから」というその一言で今まで片づけられてきましたが、合併した地域においては、これもできないのか、あれもできないのかといった不満ばかりが募って、結果的に合併は何だったのかと、トータル的に富山市全体を見た合併とそれぞれのエリアにおける地域の要望との違い、そういったものが多々感じられるものであります。
そういった点においては、地域要望の在り方について、やはり市当局の捉え方というものについては、私自身、非常にマイナーな面があるなというふうに思っています。
技術屋が判断して、いや、これは慌ててする必要がないという意見もありますけれども、実際、そこに住んでいる皆さんは本当にそういうつもりでいるのかなという思いが正直あります。本当に僅かな予算でできることになかなか予算をつけてくれない。そのあたりの判断をやっぱり技術屋に求めたい。技術屋はそのあたり、どうすればこの仕事ができるのかということを検討してもらうような技術屋を育てていただきたい。市長も現場主義を主張されますが、現場を見た上で判断するといった、そういった方向性を見極めていただきたいという思いであります。
この合併事例の中で、やっぱり一番気になったのは、ある地域で距離700メートルほどで4,000万円から5,000万円かかる事業費があるのですが、結果的に、合併して16年、最初の取っかかりは県道を広げないと工事にかかれませんという市の見解だった。しかしながら、県道は3年で拡張が終わりました。県道が終わってようやく工事にかかるかなと思って、8年経過したけれども、まだ150メートルしか仕事は進んでいない。その間使った金が2,350万円。つまり、全線一遍にやったら四、五千万円でできるものが、たかが150メートルだけで2,350万円もかけているこの発注方法について、10メートルや25メートルの工事だけやっていますというふうに言われますが、本当にそれを見ている市民からすると、ある意味、この道路については、旧婦中町から旧山田村へ抜ける、あるいは砺波市のほうへ行ける、そういった幹線道路と解釈すると、何となく合併特例債を使えた事業ではないかなという思いもあります。そういった点においては、やはりもう少し目を配る必要性があったのではなかろうかというふうに思っています。これはあくまでも一例であります。
もう一つは、生活道路──市民が家を建てて、そこで子どもも生まれて、そしてそういった小さいお子さんが歩く道路、市道にはなっていません。でも、生活道路で家を建てることを認められた道路でありますが、そこに例えば防犯灯を1つつけていただきたいという要望があっても、それは市道でないから駄目だ、こういった何となく寂しいところが、やっぱり地域住民にすればこれもつらいのかなと。やっぱり市道にならないと物はできないのかなと。何で生活道路で家を建てることを認めてもらった地域の子どもがそこを歩いて──地域にすれば、やっぱり若い世代に住んでいただいて、子どもが2人増えたということについては、少子・高齢化の中で私たちはいいことだなというふうに思って、そういうものにやっぱり目を配る、そういった姿勢もあってもいいのではないかなというふうに思っています。
そういった点、私たちは地域要望からいろんなことを考えながら、やはり一例ではありますけれども、いろんな面で、施設整備の検証もさることながら、地域の住民にとっては、住民が安心・安全に暮らしていくため、地域で身近に抱える課題や問題に対し、市がどのように関わってきたのかを振り返るという視点では大切なことだというふうに思っています。
合併後の地域要望の対応に対して、本当にいろんな意味で私自身疑問に思っていることもありますが、それはそれとして、過去を含め、自治振興会より各地域の要望に対してもう少し検討することが必要と思いますが、現場主義を主張される市長の見解を伺いたいと思います。
12 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長の答弁を求めます。
13 ◯ 市長(藤井 裕久君)
ありがとうございます。
自治振興会や地域の連合体等々から毎年提出されております地域要望につきましては、本市の要望等の総合窓口となります市民生活相談課に提出されるもの、このほか、個別の要望事項についてはそれぞれの担当部局に提出されるものなどがあります。
議員おっしゃったとおり、特に建設関係に対する要望については非常に多いというふうに認識しております。これは、市内の多くの自治振興会等からいただいているものというふうに認識をしております。
また、具体的な要望項目といたしましては、建設関係では、議員がおっしゃったとおり、道路整備、あるいはその維持補修、あるいは防災対策など──街灯も含めてですね──そして農林関係では用水の維持管理など、あるいは教育関係では学校施設の修繕、整備など、その要望は多岐にわたる内容というふうに心得ております。
こうした寄せられた要望の中には、各部署でこの要望全てについて見通しながら、緊急度、重要度、予算の状況、人員等の執行体制など、様々な観点から総合的に判断をして、市として優先度を決定した上で順次事業化し、取り組んでいるというものもございます。
また、即時に実行できないものについても、次年度以降での予算に反映できるようにするなど、各地域からの要望になるべく応えるように対応をしているというふうに承知しております。
しかしながら、毎年度大変多くの要望をいただいているというのも事実でございます。予算等の状況により全ての事業を直ちに実施する、このことには限界があります。結果として実施に至らなかった要望事項については、各自治振興会において、その時々の地域事情も勘案されて、引き続き要望すべきとされたものについては、次回の要望書の提出の際に改めて要望事項として掲げられているものになっていると思います。
また、自治振興会によっては、要望件数を絞り込む、あるいは重点項目といった形で要望に優先度を示しながら要望を行っているという自治振興会もございます。
各担当部局としては、その時々の事情に応じて可能な限り事業に取り組んでいるものと思いますが、結果としては、提出いただいた要望事項のうち実施に至らないものがあることによって、議員の御質問にあったような地域住民が不満と感じるところがある、こういうことについてはしっかりと受け止めてまいりたいというふうに感じております。
私としましては、地域からの要望は、市民の皆様が安全・安心に住み慣れた地域に暮らし続けるための市民の皆様からの大切な声であるというふうに考えております。
御質問では、自治振興会から過去を含めての要望書を各部局に提出してもらい検討してはどうかという趣旨でございました。今ほど申し上げましたとおり、実施とならなかった要望項目につきましては、毎回改めて要望として提出され、各担当部局において検討がなされてきたものと認識しております。
その上で、改めてそうした要望書の提出がありますならば、その全てに対し、直ちに取り組んでいくことは難しいところにありますが、一つ一つの要望事項の内容をしっかりと見極めて、真摯に向き合ってまいりたいと考えている次第であります。
以上です。
14 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
15 ◯ 31番(横野 昭君)
今、市長の答弁であったように、確かに全ての要望が全てパーフェクトというのはなかなか難しい、予算的な問題もあると思います。合併して16年間、同じ要望を出してきて、2年ごとに出しなさい、前に出したものは出すなという、そういった指導もあったということで、結果的に、16年前に出した要望がいまだに実施されていない。日がたっていっただけで、16年間我慢していたけれども、合併して、「なーん、いいなかったじゃ」という、全然捉え方が違うという、地域の言葉からすればそういったものもあるということだけはまた認識いただいて、やっぱりそういった要望に対する再検討を十分にしていただきたいというふうに思います。
では、次の質問に参ります。
藤井市長が主張されています「繋がる未来」の政策の中に、「都市と農山漁村の交流による人と地域の繋がりの推進」を掲げています。
農山漁村地域においては、それぞれが計画を立て、地域ぐるみのまちづくり計画を立てることにより、生きがいのある魅力のある農山漁村地域にすべき方向性を指導することも必要だと思っています。こういったことによって交流人口が増えるものと思っています。
藤井市長は県議会議員のときに、富山県中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例の制定に関わられたと思いますが、私は富山市における中山間地域の活性化に向けた取組も必要と思っています。
現在、富山市黒瀬谷地区活性化プラン推進委員会を組織して、富山県中山間地域対策課の中山間地域コミュニティ活性化促進事業の実施を受けて、5分野5チームの黒瀬谷地区活性化推進プロジェクト活動計画を策定して活動しています。この活性化プランの前段として黒瀬谷地区活性化アクションプランに取りかかり、黒瀬谷地区の魅力ある地区の創造に積極的に取り組んでこられました。
そこで、この黒瀬谷地区の活性化プランなどにおける農林水産部の関わりについてお伺いいたします。
16 ◯ 議長(高道 秋彦君)
山口農林水産部長。
17 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
黒瀬谷地区においては、農業の担い手不足、耕作放棄地の増加などといった課題がある一方で、美しい農村景観や棚田風景、新鮮な農林産物などといった地域資源に恵まれているため、これらの資源を最大限に活用した活性化プランの策定とその実行が必要であるといった機運の高まりが見られました。
このことから、平成29年度に地域課題の整理や課題解決のための取組案の検討を目的に、学識経験者などで構成される農山村地域コミュニティビジネスモデルの創出プロジェクトチームを農林水産部が主導して立ち上げ、地区住民に対するアンケートやコミュニティビジネスに関する講演会などを実施いたしました。
これらの結果を踏まえ、黒瀬谷地区活性化アクションプラン策定委員会が設立され、協議が重ねられた結果、平成30年12月に、地区の将来像とその実現に向けた取組内容を明確にした黒瀬谷地区活性化アクションプランが策定されました。
本市といたしましては、これらのプロジェクトチームの立ち上げはもとより、委員会の活動を支援することでアクションプランの策定に寄与しており、意欲のある地域の取組を支援してまいりました。
その後、このアクションプランを実行するため、1つに生活コミュニティー、2つに新規定住者促進、3つに都市農村交流、4つに農業活性化、5つに教育の5つのプロジェクトチームを有する活性化プラン推進委員会が設立され、協議を経て、活性化プラン推進プロジェクト活動計画が策定されました。
この計画は、地域住民の交流促進を目的としたコミュニティカフェの開設、新規定住者促進を目的とした空き家調査など、多岐にわたる分野での取組であるため、本市といたしましては、関係する部局が連携しながら支援をしてきたところでございます。
18 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
19 ◯ 31番(横野 昭君)
ただいまの報告を聞いた上で、最初の取りかかりは確かに農林水産部ではありますが、農業振興から来る様々な取組をつないで地域コミュニティーの活性化につなげていったところに、本当にこの取組は非常によかったなというふうに思っています。他地区からの交流のこと、このこともやっぱり魅力的だと思います。
このすばらしい黒瀬谷地区の取組は、定住促進や教育、人口減少対策、空き家対策など幅広い活動計画だというふうに思って、これが今現在活動中で、県の補助金も頂いていて、県の中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例の中で生きている、本当にいい取組だというふうに理解しています。
これについても、やっぱり市ももう少し、陰ながら応援することも必要ではないかなというふうに思っています。
こういった計画は、先ほど答弁にもあったように、農業だけでなく、幅広く各部局にまたがる取組であり、富山市としても中山間地域の活性化に向けて中山間地推進班を新設して、県との連携を深めながら取り組んで、富山市の中山間地の取扱いを有意義にするべきだと思いますが、市長の見解を伺いたいと思います。
20 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長。
21 ◯ 市長(藤井 裕久君)
ありがとうございます。
御案内のとおり、富山県は、平成31年2月の議会におきまして、富山県中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例、いわゆる富山県中山間地域推進条例でございますが、これを制定いたしました。
この条例は、県議会の自民党議員会が検討プロジェクトチーム──私も、議員おっしゃるとおり、このメンバーでございましたが──これを結成し、県全体の中山間地域の振興を図るため、様々な意見や要望を聴取しながら調査・検討を重ね、取りまとめたものをベースに、他の会派の賛同を得て
議員提出条例として提案したものでございます。
まず、条例の前文をここで読み上げさせていただきたいと思います。
以下、前文でございますが、「本県において、中山間地域は、県土の保全、水源の涵養、文化の継承、自然と触れ合う機会の提供、食料の安定的な供給等に関し重要な役割を担い、県民生活及び本県経済の安定に寄与しており、中山間地域の維持は、全ての県民に関わる課題である。しかしながら、中山間地域では、急速な人口の減少に伴う集落の空洞化、魅力ある多様な就業の機会の不足、生活を支えるサービスの衰退等が、住民の暮らしに深刻な影響を及ぼし、地域社会の存続さえもが危ぶまれている。長期的な人口の減少及び高齢化はもはや避けがたく、構造的な変化への本質的な対応に迫られており、県が主導的な役割を果たし、あらゆる政策手段を有効に組み合わせ、総合的な対策を講ずることが求められている。ここに、県、市町村、県民、事業者等が相互に連携を図りながら協働して、中山間地域に、人口減少社会、長寿社会にふさわしい「持続可能な新たな地域社会」を形成するため、この条例を制定する」、以上が条例の理念の前文でございます。私も、中山間地域に取り組む姿勢としては、全くこの前文の思いをそのまま継承していきたいというふうな姿勢でございます。
一方、平成17年4月の合併後の本市においては、一体感の醸成と均衡ある発展を目指して、旧富山市と同様、旧町村地域にも地区センターなど行政サービスの窓口となる組織を配置いたしました。このほか、保育所や小・中学校並びに公民館の改築、中山間地域における携帯電話不感地帯の解消、地域間を結ぶ道路網の整備、小見地区及び山田・細入地域の各常備消防拠点の整備、おでかけバス事業の全市域への拡大、大山・八尾・山田地域における市営コミュニティバスや大沢野地域でのシルバータクシーの運行、立山山麓エリアにおけるスキー場や遊歩道並びに牛岳温泉スキー場の整備、割山森林公園天湖森の施設整備、大山・八尾地域などでの移動販売への支援など、地域の特性や課題を踏まえて、中山間地域の活性化、あるいは魅力ある地域の実現に向けた様々な取組が行われてきたものと私自身理解をしております。
また、中山間地域に暮らす住民目線による住民主体の地域づくりの取組が重要でありますことから、黒瀬谷地区での住民主体の活動に対する支援や、昨年度も小見地区において、地域資源を活用して地域コミュニティーの維持や活性化を図るための住民による話合いの場に本市の職員がオブザーバーとして参加するなど、市はこれまで様々な地域活動の支援を行ってきたところでございます。
本市といたしましては、今後も引き続いて中山間地域の特性を生かした地域づくりや住民生活の質の向上に向けた様々な事業を、県や地域の住民の皆さんと連携を図りながら、市の関係部局相互の密接な連携の下に、総合的な取組として推進してまいりたいと考えております。
現時点では、議員提案の中山間地推進班の設置ということは想定しておりませんが、今までと変わらず中山間地域に目を向け、しっかりと声を聞きながら、情報交換をしながらその政策を進めてまいる姿勢は変わりございません。
以上です。
22 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
23 ◯ 31番(横野 昭君)
ただいまの報告で、中山間地推進班をつくれというのは、私自身、やはり県との連携を考えた上での話であって、それぞれの部局が県の中山間地域対策課とどういうつながりを持って、どこのセクションがそれを担当するのか、富山市において分かりづらいものですから、逆に言えば専門班の必要性があるのではないかという思いで提案しております。またいろいろ検討していただければ幸いだと思います。
次の質問に参りたいと思います。
富山市民病院では、
新型コロナウイルス感染症の対応において、帰国者・接触者外来の設置や感染者と一般患者を隔離して診察するための診療室、発熱外来を院内に常設するなど、診療体制の強化を図りながら地域医療を担っています。
本年4月に入り、第4波の到来とともに変異種による感染者数も増加してきている中において、富山市民病院には一層の診療体制の継続と強化が求められています。
今定例会において、病院事業局から富山市民病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例制定が提案され、診療科目に感染症内科を追加する改正内容でした。この改正は、富山市民病院として、今後とも
新型コロナウイルス感染症に対して病院一丸となって対応していくことの決意の表れだというふうに認識しております。
そういった点において、この感染症内科を設置する目的と、設置することによってどのような効果を見込んでいるのかお伺いしたいと思います。
24 ◯ 議長(高道 秋彦君)
石田病院事業管理者。
25 ◯ 病院事業管理者(石田 陽一君)
富山市民病院ではこれまでも、感染症医療の研さんを積んだ医師を中心に、感染管理を専門とする認定看護師、薬剤師、臨床検査技師等による感染対策チームを組織して、感染症に係る診療及び院内の感染防止対策に注力してきたところであります。
とりわけ
新型コロナウイルス感染症に対しましても、感染対策チームが中心となって、感染者の入院医療や発熱外来及びPCRの行政検査など、第二種感染症指定医療機関としての責務を果たしてまいりました。
しかしながら、変異株の発生など、いまだ終息の兆しが見えない
新型コロナウイルス感染症をはじめ、今後も出現すると想定される新興感染症に対応していくためには、感染症医療全般の機能強化を図る必要があることから、日本感染症学会認定の専門医を置く感染症内科を新設するための条例改正案を本定例会に提出したところであります。
また、感染症内科の新設によって見込まれる効果としましては、1つには、感染症専門医の知識、経験及び人的ネットワークを活用することにより最新の知見に基づいた診療を迅速に行えること、2つには、専門的な対応が必要な感染症診療の大部分を自己完結で行えるようになること、3つには、医師や病院スタッフが専門医と関わることで個々のスキルアップが図られることなどが挙げられ、診療機能が総合的に高まるものと考えております。
当面は毎月2回、非常勤医師による入院患者中心の診療となりますが、将来的には常勤の医師を配置するなどして人員体制を拡充し、外来診療も行っていく方針であり、地域の中核病院として、患者さんをはじめ、市民の皆様から求められる質の高い医療サービスの提供に今後とも努めてまいりたいと考えております。
26 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
27 ◯ 31番(横野 昭君)
私自身、やっぱり富山市民病院というのは、市民の安心・安全のためという観点から言えば、こういった科を新設していただいて、やはり一人一人にいい治療をしていただく、いい指導をしていただく、そういった病院になっていただきたいという思いでありますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
では、次の質問に入ります。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、いろんな意味で、今、新型コロナウイルスのワクチンの問題が重点的に取り上げられていますが、私から言えば、感染した人たちのPCR検査の問題が一番、またこれも1つの大きな課題だというふうに思っています。
そういった点において、連日のように感染者が判明している現状を見ると、逆に言えば、クラスターもそうですが、このPCR検査のこなし方といいますか、検査結果が出る日数の問題とか、いろんなことについて非常に疑問に感じています。また、その結果によっては、それぞれの市民への対応の仕方はいろいろあると思います。
そこで、まず最初に、本市の本年4月以降の感染者の発生状況及び変異株の割合についてお伺いいたします。
28 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
29 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
本市での
新型コロナウイルス感染症の発生状況につきましては、いわゆる第4波の中で感染者が急増しておりまして、本年4月には247名、5月は229名であり、直近の状況では、6月13日までに、4月以降、534名の感染が確認されており、4、5月の感染者数は、過去最も多かった本年1月の月199名を2か月連続して上回っているところでございます。
この感染拡大の要因につきましては、感染力が強いとされる変異株が大きく関わっているものとされておりまして、変異株の公表につきましては、国が原則、都道府県単位としていることから、本市において件数等は公表しておりませんけれども、富山県衛生研究所では、県内の感染者のうち、本年4月では約60%が変異株によるものであったが、5月に入りさらに増加し、現在はほぼ100%が変異株であると推定されるとしております。
また、市内での5人以上の感染者集団(クラスター)につきましては、本年6月13日までに23件発生しておりますが、このうち半数以上の13件が変異株が主流となった本年4月以降に発生しております。その発生場所につきましても、飲食店、社員寮、学校など多様化しており、日常生活の様々な場面で集団感染が危惧される状況となっております。
30 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
31 ◯ 31番(横野 昭君)
クラスターという形で飲食店を経由して、富山市の場合、そういったことが非常に多いなというイメージでありまして、もちろん市民の皆さんも注意はしていると思うのですが、なかなかそのあたり、本当に分からないウイルスという感じで広がっているのが現実だと思っています。
この感染者数の増加やクラスター発生に伴って濃厚接触者等のPCR検査も増加しているというふうに思いますけれども、保健所の調査及び検査体制について状況をお伺いしたいと思います。
32 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
33 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
保健所が感染者からの生活状況や行動歴の聞き取りなどから判断して濃厚接触者として特定した方については、新型コロナウイルス感染が疑われる方を診察する帰国者・接触者外来を設置する医療機関を受診していただき、採取された検体について専門機関においてPCR検査を行っております。
濃厚接触者につきましては、国立感染症研究所が作成した
新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領によりますと、1つには、患者と同居あるいは長時間の接触があった者、2つには、適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護していた者、3つには、患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者、4つには、その他、手で触れることができる距離──目安として1メートルとされておりますけれども──この間隔で、必要な感染予防策なし──例えばマスクなしとかという状況でございます──その状況で患者と15分以上の接触があった者、ただし、周辺の環境や接触の状況等の個々の状況から患者の感染性を総合的に判断することというふうに定義をされております。
本市ではこれまでも、これらのことを参考にしながらも、濃厚接触者だけではなく、濃厚接触には至らないものの、感染者の行動歴や交友関係などから僅かでも感染の可能性が疑われる方についても最大限に幅広くPCR検査を受けていただいているところでございます。
このようなこともありまして、濃厚接触者のみの検査件数につきましては数えてはおりませんけれども、本市において実施した検査件数は、昨年度が8,446件であり、今年度は4月が2,823件、5月が2,634件となっております。
なお、保健所では、濃厚接触者が検査で陰性が確認された場合につきましても、国の実施要領に基づきまして、患者と最後に接触した日の翌日から、ウイルスの潜伏期間である14日間は、体調の変化を確認するため、国が開発しました新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム──HER-SYS(ハーシス)と呼ばれているものでございますけれども──これを使用した自動電話システムや、職員による電話確認などにより健康観察を行っているところでございます。
34 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
35 ◯ 31番(横野 昭君)
確かにその検査体制、あるいは本当にこのPCR検査の必要性というのは十分でありますから、真っ先に検査体制が十分に整っていることが一番だと思っています。
それで、もう1つ気になるのが、先般、県立高校で発生した大きな集団感染を調査する中で、その家族に中学生がいたとか、そういった形で大規模な人数の検査をするのに現在の富山市保健所でできるのか、あるいは県との連携によって県内各地の協力を得て、やっぱり大量の人数のPCR検査を同時にできる、そのあたりのことについて、県との連携状況についてお伺いしたいと思います。
36 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
37 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、職場や学校など多くの人が集う場所において感染が確認され、大人数の方がPCR検査を受けていただくケースが度々生じております。このため本年4月以降、検査件数が急増しているところでございます。
本市の検査体制につきましては、主に県衛生研究所で検査を行っております。また、検査件数の増加に対応するため、市保健所や民間検査機関においても検査を実施しております。
PCR検査の件数につきましては、本年4、5月の2か月間で5,457件であり、その内訳としては、県衛生研究所で2,798件、市保健所で1,166件、民間検査機関で1,493件というふうになっております。
本市といたしましては、今後さらなる感染拡大が生じた場合においても、市民の皆様が迅速かつ円滑に検査が受けられるよう、検査機関を確保するなど検査体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
38 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
39 ◯ 31番(横野 昭君)
検査体制を含めて、一生懸命頑張っている皆さんには本当に感謝いたします。ともあれ、今後、なるべくそういったPCR検査の必要性がないような状況に早くなることを祈っている所存であります。
次の質問に参りたいと思います。
まず、
新型コロナウイルス感染症の経済対策についてお伺いしたいと思います。
新型コロナウイルスの進捗状況はいろいろあるのですが、こういった中で、多くの飲食店では、感染拡大の防止に取り組みながら営業しているものの、売上げが大きく減少し、コロナ禍を機に廃業を検討する店舗も多いのではないかと懸念しております。
また、飲食店と直接取引のある事業者にとっても事業経営に大きな影響を受けていることも事実であり、県では、本年1月に酒類を提供する飲食店に休業要請を出した際、協力いただいた飲食店には協力金を、また、飲食店と取引のある事業者と運転代行業の事業者には給付金を支給されましたが、いまだに経営は安定しておらず、先般、我が自民党会派にも、飲食店と直接取引する酒販業の方々から窮状を訴える要望書が提出されるなど、厳しい経営環境の下で事業を行われている方々がいらっしゃいます。
そういった中で質問ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受ける飲食店等の現在の経営状況や事業者の生の声についてどのように把握されているのかお伺いいたします。
40 ◯ 議長(高道 秋彦君)
大場商工労働部長。
41 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
新型コロナウイルス感染症の影響が出始めてから1年余りとなりますが、感染症の拡大は依然として収束せず、本県においては、今月12日に感染拡大特別警報は解除されましたが、県独自の警戒レベルはステージ2が維持され、引き続き夜間における2時間以上の飲食の自粛が要請されるなど、長引く感染症の影響は本市経済にとって大きな脅威となっております。
本市では、これまでも景気の状況を把握するため、富山市中小企業景況調査を年4回実施しているほか、雇用の促進などについて要請を行う企業訪問や業界団体との会合の場などを通じて、市内経済の実態把握に努めてきたところであります。
しかしながら、感染症の拡大は様々な業種に影響を与えていることから、昨年4月に商工会議所や商工会をはじめ、金融機関、旅行業、飲食サービス業などの業界団体の方々から感染症の影響や景気状況、さらには今後の見通しなどについて御意見を伺う情報交換会を実施し、本年5月には2回目となる会議を開催したところであります。
この2回目の会議における主な意見としましては、1つに、感染症が長期化する中、業績が回復している企業と落ち込みが続く企業に分かれ、企業間で二極化が進んでいること、2つに、人流の抑制により飲食サービス業、宿泊業等の業界が特に厳しい状況であること、3つに、外出自粛による巣籠もり需要で、お中元やお歳暮などの贈答品やリビング関連商品の売上げが伸びていることなどがありました。
また、本市に対しましても、資金繰りや消費活性化に対する支援などの御意見をいただいたところであり、業界の生の声を聞く貴重な機会となったことから、今後も必要に応じて開催するなど、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。
42 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
43 ◯ 31番(横野 昭君)
確かに、生の声といいますか、事業者に対しては本当に大変な思いがあると思います。
それで、経営に大きな打撃を受けている飲食業やその関連事業者に対する支援が必要と考えていますが、どのような対策を検討されているのかお伺いしたいと思います。
44 ◯ 議長(高道 秋彦君)
大場商工労働部長。
45 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
本県においては、酒類を提供する飲食店に対し、これまで数回にわたり営業時間の短縮を要請されたこと、加えて全国的に感染リスクが高いとされる外食の消費マインドが低下していること、さらには人流の抑制強化が叫ばれていることなどから、飲食店をはじめ飲食店と取引を行っている事業者、宿泊施設等におかれましては、経営継続に大変苦慮されているものと考えております。
こうした中、県におかれましては、飲食店に対し時短要請を行ったことから、要請に応じた飲食店に協力金を、また、飲食店と取引のある事業者に対し給付金を支給されております。
また、本市といたしましては、事業継続のためには一定程度のまとまった資金の確保や消費喚起策が必要と考え、最大10年間の貸付け期間全てを無利子とする融資制度を創設したほか、飲食店や小売業などを営む中小企業を対象に、キャッシュレス決済をされた方にポイントを還元する事業を本年1月に行ったところであります。
しかしながら、
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、飲食店や宿泊施設などの業種は引き続き厳しい経営状況となっていることから、これらの事業者を対象に第2弾のポイント還元事業を実施するため、本定例会に補正予算を提案したところであります。
その内容といたしましては、対象を飲食店、宿泊施設及びタクシー業、運転代行業とし、本市が選定した事業者の加盟店で決済された方に決済額の20%をポイント還元するもので、感染状況にもよりますが、現在のところ、実施期間を本年10月、11月の2か月間とし、1回当たり2,000円相当、実施期間中、合計で1万円相当のポイントを上限に付与する予定としております。
本市といたしましては、こうした消費喚起策は飲食店の売上げを押し上げるだけでなく、飲食店と取引のある関連事業者の売上げ増加にもつながるものと考えており、市民をはじめとする多くの方に利用されるようPRに努めてまいりたいと考えております。
46 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
47 ◯ 31番(横野 昭君)
多くの市民の皆さんに利用していただいて、経営者に対する還元がうまくいくことをお願いするものであります。
続いて、この
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、昨年来、人の移動が制限され、首都圏や関西圏をはじめ県外からの宿泊者が大幅に減少し、加えて海外からの来訪者も皆無となっており、ホテルや旅館などの宿泊業者においては、その経営状況は大変厳しいものと伺っております。
そこで、これらの宿泊事業者に対する支援も必要と考えますが、市ではどのような対策を検討されるのか併せてお伺いします。
48 ◯ 議長(高道 秋彦君)
大場商工労働部長。
49 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、昨年度の本市における延べ宿泊者数は約55万人で、前年度比46.1%の減となっております。
また、今年のゴールデンウイーク期間中の県内主要観光地への入り込み者数は、コロナ禍前の一昨年と比較し66.2%の減となるなど、観光需要は依然として低迷し、宿泊事業者をはじめとする観光関連事業者においては大変厳しい状況が続いているものと認識しております。
こうしたことから、本市では、今後の観光需要の喚起策として、富山市内宿泊促進事業とまちなか観光推進事業を実施するための補正予算を本定例会に提案したところであります。
まず、富山市内宿泊促進事業につきましては、昨年多くの方々に御利用いただき、好評でありました富山に泊まってエンジョイキャンペーンを今年度も実施するものであり、今回は、市民を対象に市内宿泊施設の宿泊料金を最大で1人1万円、3,000名の方に助成することで、宿泊施設の利用を促進するものであります。
また、まちなか観光推進事業につきましては、市内に宿泊された方にガラス美術館や県美術館などの文化施設の無料観覧券と、路面電車無料乗車券や富岩水上ライン乗船割引券などの特典をつけたまちめぐりクーポンを配付するものであり、富山市内宿泊促進事業に併せて実施し、飲食や物産等の観光消費を促すものであります。
なお、これらの事業につきましては、
新型コロナウイルス感染症の拡大状況によりますが、現在のところ、本年8月からの実施を予定しており、本市といたしましては、こうした取組により、宿泊事業者をはじめとする観光関連事業者への支援につなげてまいりたいと考えております。
50 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
51 ◯ 31番(横野 昭君)
市民あるいは事業者に対する還元という形ではやはりいい事業だと思いますので、多くの方に利用していただくことをお願いして、次の質問に入りたいと思います。
次は、自転車の保険加入についてお伺いしたいと思います。
今定例会における新規事業として、自転車損害賠償責任保険の加入促進事業として約1,000万円が計上されております。
この自転車損害賠償責任保険の加入促進については、厚生委員会、自転車安全利用促進特別委員会において自転車の安全利用促進に関する条例の制定を検討する中で、条例の重要な柱の1つに位置づけして議論してきたものであります。
さらに、令和3年3月に改定された富山市自転車利用環境整備計画でも、重要な取組の1つとして初めて整備計画に盛り込まれたところであります。
そこで、この加入促進を行うためには、複数年にわたって継続的に補助すべきと思うのですが、当局の見解をお伺いしたいと思います。
52 ◯ 議長(高道 秋彦君)
岡地市民生活部長。
53 ◯ 市民生活部長(岡地 聡君)
近年、自転車利用者が加害者となる事故の損害賠償におきまして、加害者側に高額な賠償を命じる判決が下されたことなどを踏まえまして、保険の加入は加害者、被害者双方にとって極めて重要であると考えており、さらには、こうした保険加入の必要性を広く呼びかけることは、多くの市民の皆様に自転車の安全利用を考えていただく契機となるものと考えております。
こうしたことから本市では、市民の皆様に対し、保険加入の重要性について繰り返し周知・啓発に努めてきたところですが、今回、さらなる加入促進策として自転車損害賠償責任保険加入促進事業を開始することとして、本定例会に補正予算を提案したものであります。
この支援事業につきましては、市議会からもその重要性を鑑み、市に対し要望書の提出があったところですが、保険加入の動機づけ、きっかけづくりとして、市民の保険加入を市が支援することで保険加入率の向上を目指そうとするものであります。
さらに、この保険加入率の向上には、より多くの市民の方々にその必要性を繰り返し周知し、御理解いただくことが重要であると考えていることから、本事業につきましては概ね3年程度での取組を考えているところでございます。
54 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
55 ◯ 31番(横野 昭君)
ただいま3年程度という話でありますが、私も条例を目指した委員として、さらなる加入促進をお願いして、やっぱり安心・安全の自転車のことに関して進めていただきたいというふうに思っています。
また、事業の広報活動も重要であるということも、本年3月定例会で保険加入の周知も重要な取組であると我が会派の代表質問に対する答弁でも示されたところですが、保険会社や保険業界団体など、民間と広報活動の連携を図ることが効果的と考えていますけれども、当局の見解をお伺いしたいと思います。
56 ◯ 議長(高道 秋彦君)
岡地市民生活部長。
57 ◯ 市民生活部長(岡地 聡君)
今回の事業を行うに当たりまして、保険会社や保険業界団体などの民間事業者との連携を図ることが加入促進に有効であることから、補助制度の在り方など様々な協議を行ってきたところですが、こうした中、民間事業者からは本事業の趣旨に御賛同をいただき、広報に御協力いただけるとのお申出をいただいたところであります。
自転車損害賠償責任保険には、自転車事故に特化した保険のほか、他の損害賠償保険に附帯するものなど様々な種類がありますことから、民間事業者からの適切なアドバイスは保険加入の促進につながるものと考えております。
こうしたことから、本市としましては、ホームページや広報によるほか、民間事業者としっかり連携しながら、より多くの市民への周知に努めてまいりたいと考えております。
58 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
59 ◯ 31番(横野 昭君)
本当により多くの市民に広報していただいて、多くの市民に協力していただく、そういった姿勢をひとつよろしくお願いしたいと思います。
次に、JR高山本線活性化及びブラッシュアップ会議について質問いたします。
市長の市政運営方針の説明の中で、人口減少や超高齢化社会に対応するためコンパクトシティ政策はしっかりと継承し深化させていくことを基本としつつ、郊外にある拠点や区域内の公共交通を充実することでコンパクトシティの果実を全市に行き渡らせるという発言がありました。
その意味では、合併前の5市町村を南北方向につなぐJR高山本線につきましては、郊外部の発展に欠かせない重要な公共交通であり、さらなる利便性向上が必要であると考えております。
しかしながら、JR高山本線の現状を見ますと、駅へのアクセスが片側のみの駅やトイレが設置されてない駅、運賃の支払いにICカードが導入されていないこと、また、混雑度が高い便があることなど、この新型コロナウイルスに対することから言えば、逆に混雑することの改善点なども大いに必要だというふうに思っています。
また、昨年の夏にJR西日本から発表がありました越中八尾駅の無人化につきましても、サービスレベルの低下が危惧されるというふうに思っています。
そこで、JR西日本から発表された越中八尾駅の無人化について、市はどのような対応を行っているのかお伺いしたいと思います。
60 ◯ 議長(高道 秋彦君)
中村活力都市創造部長。
61 ◯ 活力都市創造部長(中村 雅也君)
JR西日本では、本格的な人口減少社会の到来による利用者数の減少が予想される中、鉄道サービスを持続的に提供するため、越中八尾駅を含め、北陸エリア37駅において2030年度までに駅の無人化を進めることを令和2年8月に発表しております。
これを受け、本市では令和3年1月に、高山本線強化促進同盟会によるJR西日本への要望活動の際に、越中八尾駅の無人化については地元に対して丁寧な説明を行うとともに、慎重に検討を行うよう要請したところであります。
越中八尾駅はJR高山本線の主要駅であるとともに、おわら風の盆の時期には多くの来街者が訪れる重要な玄関口でもあることから、本市といたしましては、今後も引き続き駅員を配置していただくことも含め、利用者のサービス低下とならないよう、様々な機会を捉え、JR西日本に粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
62 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
63 ◯ 31番(横野 昭君)
ともあれ、やっぱり無人駅になるということについて、私も八尾で生まれた人間とすれば、本当に無人駅は嫌だなというふうに思っています。できることなら有人のままで残していっていただきたいという思いであります。
この本年3月に設置された高山本線ブラッシュアップ会議につきましては、新聞報道で見たところでは、JR高山本線の利便性向上に向けた前向きな議論を行う場であると感じています。沿線住民としましては、どのような議論がされるのか期待に胸を膨らませるところであり、藤井市長に引き続きこの会議をしっかりと推進していただきたいと考えております。
改めて、JR西日本、県、市の3者で高山本線ブラッシュアップ会議を設置した目的について伺いたいと思います。
64 ◯ 議長(高道 秋彦君)
中村活力都市創造部長。
65 ◯ 活力都市創造部長(中村 雅也君)
JR高山本線は、本市が進めるコンパクトなまちづくりの重要な公共交通軸であることから、これまでJR西日本と連携し、列車の増便運行や新駅の整備など、様々な活性化事業に取り組んでまいりました。その結果、西富山駅・越中八尾駅間の利用者数は、増便前の平成17年度と比べ、令和元年度は約3割の増加となるなどの成果が得られております。
しかしながら、今後人口が減少し、少子・超高齢化の進行に加え、今回の新型コロナウイルス感染拡大を契機とした企業におけるリモートワークの普及など、公共交通を取り巻く環境はより厳しいものとなると考えております。
こうしたことから、これまでのJR西日本と連携した取組の深化や持続可能な公共交通の実現に向けた関係者間の議論を早急に進める必要があると考え、高山本線ブラッシュアップ会議を本年3月30日に立ち上げ、JR高山本線沿線住民の通勤・通学など生活の足の確保はもとより、沿線地域の活性化を推進するため、まちづくりと連携した利便性やネットワーク機能の向上による活性化などについても様々な観点から検討することとしたものであります。
66 ◯ 議長(高道 秋彦君)
31番 横野 昭君。
67 ◯ 31番(横野 昭君)
ちょっと時間的に苦しいので、次の3番目の質問を飛ばしまして、高山本線ブラッシュアップ会議についてどのようなことを期待するのか市長の見解をお伺いしたいと思います。
68 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長。
69 ◯ 市長(藤井 裕久君)
本市ではこれまで、人口減少社会の到来や少子・超高齢化の進行を見据えて、持続可能な都市構造への転換を図るため、公共交通の活性化、公共交通沿線地区への居住推進、中心市街地の活性化を3本の柱とし、必ずしも車に頼らなくても住みやすく、健康で歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを推進してきたところでございます。とりわけ公共交通の活性化に関しましては、まちづくりと連携した公共交通ネットワークの形成に向けた取組をより一層推進していく必要があると考えております。
一方で、全国の地域公共交通は、今後の人口減少や少子・超高齢化の進行により利用者の減少が見込まれる中、さらに、
新型コロナウイルス感染症の影響により、高齢者等の外出の自粛、企業における在宅勤務やリモートワークの普及など新しい生活様式が浸透してまいりまして、移動需要そのものが減少することが今後も予想され、地域公共交通を取り巻く環境はますます厳しくなるものと考えております。
本市として、公共交通は、車を自由に使えない学生や高齢者などの移動手段としての役割はもとより、コンパクトなまちづくりの要であり、市民生活や経済活動に必要不可欠な公共財として重要な社会インフラであるというふうに認識しております。
こうしたことから、本市の重要な南北公共交通軸であるJR高山本線につきましては、県、市、JR西日本の3者から成る高山本線ブラッシュアップ会議が立ち上げられ、利用者の減少によるサービスの低下に陥り、さらなる利用者の減少を招くといった負のスパイラルに陥る前に関係者による議論が始まったことは非常によいことだというふうに考えております。
ブラッシュアップ会議での議論から様々な施策が実現され、鉄道の利便性向上や利用環境の充実が図られることで、利用者の増加はもとより、外出機会の創出など、ライフスタイルにもよい変化をもたらし、市民等の交流が増加し、地域全体の活性化につながるとともに、県内はもとより、全国の地域鉄道が直面する同様の課題の解決に向けたモデルケースとなるように期待をしております。
さらに、都市経営の観点から、中長期的には鉄道の利便性が高い地区の周辺における地価の維持や上昇、健康寿命の延伸による医療費の抑制など、市の財政面への効果も期待できるとともに、環境負荷の軽減等のSDGsの取組に資するほか、市民が安心して住み続けられるまちの形成、市民の生活の質の向上にもつながるということ、すなわち、持続可能な都市の構築に寄与するものと大変期待をしております。
以上です。
70 ◯ 議長(高道 秋彦君)
これで横野議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
暫時休憩いたします。
午前11時54分 休憩
───────────
午後 1時10分 再開
71 ◯ 副議長(江西 照康君)
議長が都合により出席できませんので、私が代わって議事を進めさせていただきます。
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
33番 佐藤 則寿君。
72 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
令和3年6月定例会に当たり、公明党より一般質問並びに議案の質疑を行います。
初めに、藤井市長の市政運営について伺います。
本市は平成17年の合併により、新市富山市として森 雅志前市長と共にスタートし、私も公明会派では唯一、合併前からの市議会議員としてその発展に関わらせていただきました。
藤井 裕久市長においては、本年4月の選挙にて第2代目の市長に選出され、推薦した公明党の会派といたしましても改めてお祝いを申し上げるものであります。
さて、本市が国内外から高い評価をいただいているコンパクトシティへの取組は、公明党が政権入りして推進した中心市街地活性化法に基づく本市の基本計画が国の認定第1号とされたことや、日本初の本格的LRTとなる富山港線の路面電車化事業に対する国土交通省の支援のほか、我が党が進める環境モデル都市、環境未来都市、SDGs未来都市と、本市のまちづくりに積極的に関わる中で、公明党の歴代の国土交通大臣や党首をはじめとする幹部が幾度も前市長と会見するなど、深い信頼関係を築いてまいりました。
そこで、改めてその評価と今後の役割について市長の見解をお聞かせください。
73 ◯ 副議長(江西 照康君)
藤井市長の答弁を求めます。
74 ◯ 市長(藤井 裕久君)
佐藤議員の御質問にお答えします。
平成24年12月執行の第46回衆議院議員総選挙、この結果でございますが、国政の場において再び自由民主党と公明党による自公連立政権が復活しました。それ以来、その後の国政選挙で国民の審判を経ながら、今日までこの連立政権が続いていることは御承知のとおりでございます。
このことは、国民が安定した政権の基盤の下で、少子・高齢化への対応や領土問題など、国の内外に山積する困難な諸課題にしっかりと対応してほしいという国民の強い期待の表れであると私自身は受け止めております。その意味におきまして、政権の一翼を担う公明党の果たすべき役割は極めて大きいというふうに感じております。
一方、富山市におきましては、市出身の井上 義久公明党副代表には、常日頃、大所高所から市政運営の推進にお力添えをいただいているところでございます。また、故冬柴 鐵三先生には、国土交通大臣在任中、軌道法の特例として上下分離方式による軌道事業第1号認定をいただいたことで、市内電車環状線事業を推進することができました。
さらに、富山駅路面電車南北接続事業では、上下分離方式で軌道施設の整備が可能となる軌道運送高度化実施計画についての国の認定を、当時の太田 昭宏国土交通大臣と石井 啓一国土交通大臣からそれぞれいただいたのでございます。
そして、昨年3月20日の富山駅路面電車南北接続開通式──これは私も出席させていただきましたが──及び南北自由通路完成式には、現職の赤羽国土交通大臣に出席をいただきました。御祝辞をいただき、本市は公明党の国会議員の先生方にはこれまで、議員おっしゃるように、大変密接な関係、そしてお世話になったというところであり、引き続き本市のネクストステージのまちづくりに大きなお力添えをいただければと思います。
以上であります。
75 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
76 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
藤井市長の下、私どもも引き続き党を挙げて市政の発展に尽力を決意しているものでございます。
次に、市長は「幸せ日本一とやま」の実現を目指すとされておりますが、本年度の財政見通しが大変厳しい中で、今後の財源確保など補正予算の編成方針について伺います。
77 ◯ 副議長(江西 照康君)
藤井市長。
78 ◯ 市長(藤井 裕久君)
まず、補正予算に計上する事業といたしましては、通常、国や県の予算に呼応して実施する事業や災害復旧費、喫緊の課題に対応する事業に限られるものであります。
しかしながら、令和3年度当初予算においては、今年4月に市長選挙が控えていたことから、いわゆる骨格予算として編成しているため、今年度の補正予算に関しては、新しい市長が判断するために補正予算での対応とした、いわゆる肉付け予算の事業や、私が市長選挙において掲げた「幸せ日本一とやま」を実現するための事業を計上しているところでございます。
今回の6月補正においては、肉付け予算の事業に加え、選挙公約で緊急政策テーマとして掲げた
新型コロナウイルス感染症に対応するための経費や、重点政策テーマとした富山市版スマートシティの実現にいち早く取り組むため、(仮称)富山市スマートシティ推進ビジョンを策定するための経費を計上したところでございます。
そのほかにも選挙時に掲げた政策テーマは多岐にわたっておりますが、
新型コロナウイルス感染症対応のようにスピード感が求められる一方で、県や市町村と連携して取り組むべきものや、市民や企業の声を聞く必要があるものなど、政策の精度を高めるため検討に一定の時間が必要な政策テーマもあります。
現在、本年4月の市長就任以来、市の抱える課題等についてしっかりと把握し、その上で「幸せ日本一とやま」を実現するためにどのような事業が必要なのか検討しているところであり、今後、政策決定ができたものから順次提案してまいりたいと考えております。
なお、事業の実施に際しては、財源として前年度の決算剰余金を原資とする繰越金や、
新型コロナウイルス感染症対策では
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用するほか、国、県の支援策について積極的に情報収集を行うなど、財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
79 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
80 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
市長の公約実現のためにも、当局の皆様の尽力も期待をしております。
次に、コロナ禍における施策について伺います。
いまだ猛威を振るう
新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種については、その対応に尽力されている関係各位に心から敬意を表するとともに、無事故を最優先に、一日も早く希望される全ての市民に実行されることを願っております。
まず、障害者や高齢者らへの対応について伺います。
県においては、障害者施設のクラスター発生を機に福祉施設における関係者にPCR検査を推進することになりましたが、障害者施設等の感染対策にはそうした施設関係者への
新型コロナウイルスワクチン接種が急務と考えますが、今後の施策についてお聞かせください。
81 ◯ 副議長(江西 照康君)
田中福祉保健部長。
82 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
障害者施設につきましては、県内でもクラスターが発生するなど、感染対策としてワクチン接種を早急に進める必要があると考えております。
まず、障害者施設の利用者のうち、65歳以上の高齢者につきましては既に接種券を送付しており、現在、各施設において接種を進めていただいているところでございます。また、65歳未満の利用者のうち重度心身障害や重い精神疾患、知的障害のある方につきましては、基礎疾患を有する者として国が定める接種順位では高齢者の次に優先し、本年6月1日から15日の間に申請していただくことにより早期に接種券を発送することとしており、このことについて市内の障害者施設等に案内をしているところでございます。
次に、高齢の障害者が入居する障害者支援施設等の従事者につきましては、高齢者施設等の従事者に該当するものであり、高齢者の次の優先接種順位となっております。
また、訪問系サービスや通所系サービスなどを行う施設の従事者につきましては、地域の感染状況等を踏まえた上で、市町村の判断により高齢者施設等の従事者の範囲に含めることができるとされており、本市ではクラスター対策の観点から、これらの施設の従事者も優先接種対象とすることとしております。
こうしたことから、現在、各施設から接種を希望する従事者リストを提出していただいているところであり、利用者と同じく早期に接種券を発送することとし、接種券が届いた方から順次接種が進むことになります。
なお、障害者が入所する障害者支援施設のうち、ワクチン接種の見通しが立っていない施設の入所者や従事者につきましては、県におかれまして、調整が整った施設から順次、巡回接種を実施していただけることになっております。
加えまして、訪問系サービスや通所系サービスなどを行う障害者施設の従事者につきましては、県で開設される接種会場も含めて早期に接種を実施することとしており、県、市を挙げて障害者施設関係者への接種を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
83 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
84 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
情勢が変化していく中で、現場のニーズに沿った速やかな対応をお願いしたいと思います。
また接種については、年配者や障害をお持ちの方など、いわゆる移動困難者への対応が課題となります。
地方創生臨時交付金は接種場所への移動支援にも活用できるとのことですが、訪問診療による接種の推進も併せて積極的な取組を期待しますが、見解を伺います。
85 ◯ 副議長(江西 照康君)
田中福祉保健部長。
86 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
本市で
新型コロナウイルスワクチンの接種ができる施設は、市が開設する集団接種会場が13か所、地域でのかかりつけ医が主体となる個別接種が約170施設あることから、大多数の方は最寄りの医療機関や会場で接種が可能であると考えております。
接種会場への移動が困難な方につきましては、国の制度として、介護保険や障害福祉の通所サービスを受けられている方が、ワクチン接種会場までの送迎サービスを利用することも可能となったところでございます。
本市におきましても、在宅の要介護1以上の方が利用できるおでかけタクシー券や、富山市社会福祉協議会が運営し、日常的に車椅子を利用している方などが利用できる高齢者移送サービスといった支援があり、こうした事業も御活用いただきたいと考えております。
また、こうしたサービスを利用することができず接種会場に来ることが困難な方につきましては、往診・訪問診療を行っている病院、診療所において在宅での訪問接種を実施しているところでございます。
なお、本市のまちなか診療所においては、70名余りの患者のうち、ワクチンの訪問接種を希望される65歳以上の高齢者54名の接種を、本年6月末をめどに完了することとしております。
87 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
88 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
次に、就労支援について伺います。
本市では、コロナ禍の影響を受ける中小企業者や小規模事業者等への支援にも尽力されておりますが、さらに、新分野への進出や事業転換、販路を開拓することを支援する国の持続化補助金等の多様な制度の活用を促すよう啓発が必要と考えますが、見解を伺います。
89 ◯ 副議長(江西 照康君)
大場商工労働部長。
90 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
長引く
新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が低迷している中で、中小企業が事業を継続していくためには、国や県の補助金をはじめとする各種支援策を有効かつ迅速に活用されることが重要であります。
国では今年度も様々な支援を行っており、例えば、小規模事業者が実施する販路開拓等の取組を支援する持続化補助金では、商工会議所や商工会の経営指導員が申請に向けた指導や助言を行われております。
また、テレワークに向けた環境整備など、新しい生活様式に向けた取組を支援する県の中小企業リバイバル補助金につきましては、申請先である新世紀産業機構で相談を受けるなど、中小企業へ迅速に支援が届くよう努められております。
本市としましても、コロナ禍において前向きな姿勢で事業に取り組む中小企業者にこうした国や県の支援制度が効果的に活用されるよう、PRを行うことが大切であると考えており、今後とも中小企業にとって有益な情報などを市ホームページで紹介するとともに、多くの会員を有する商工会議所や商工会の会報誌などで情報を発信してもらうなど、各関係機関と連携を図りながら周知・啓発に努めてまいりたいと考えております。
91 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
92 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
ポストコロナを見据えた新たなビジネスサービスの進展にもつながればと期待しております。
今ほど部長の答弁にもありましたけれども、テレワークが急速に広まったことを追い風に、東京一極集中の是正にも期待が高まる中で、国も地方でのサテライトオフィスの開設を後押しする交付金を創設するなど、地方分散型の働き方を促しております。
本市の積極的な取組を期待しますが、見解を伺います。
93 ◯ 副議長(江西 照康君)
大場商工労働部長。
94 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
新型コロナウイルスの感染拡大により企業のテレワークの取組が進む中で、首都圏等に本社を置く企業を中心として、地方にサテライトオフィスを開設する動きが広がりを見せております。
本市では平成29年度から、首都圏等のIT関連企業が市内でサテライトオフィスを開設される際に最大50万円、運営費として月額最大10万円を3年間支援するサテライトオフィス等開設支援事業補助金により支援を行っており、昨年度1件の実績がありました。
こうした中、国においては、地方でのサテライトオフィスの開設やテレワークを活用した移住や滞在の取組を支援する地方創生テレワーク交付金を令和2年度の第3次補正予算において創設し、自治体を支援することとされております。
このため、本市ではこの交付金の活用を希望する民間事業者を調査したところ、意欲ある1社から交付金を活用しテレワークオフィスを開設したいとの申出があり、国の採択を受けたことから、本定例会において当該交付金を活用した補正予算を提案したところであります。
本市といたしましては今後とも、働き方の意識や行動が大きく変容してきているこの機会を逃すことなく、国の交付金や既存制度の周知を図ることで、サテライトオフィスの誘致に努めてまいりたいと考えております。
95 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
96 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
期待をしておりますけれども、ところで、働く人が
新型コロナウイルスワクチン接種をしやすくするためのワクチン休暇の導入について伺います。
接種機会が増え、倦怠感や発熱などの副反応にも備えられると考えますが、本市職員への対応についてお聞かせください。
97 ◯ 副議長(江西 照康君)
前田企画管理部長。
98 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
職員の新型コロナワクチン接種に関する取扱いにつきましては、先月末に総務省から地方公務員の新型コロナワクチン接種に関する考え方が示されましたことを受け、市では今月7日付で全職員に通知を行ったところであります。
その主な内容といたしましては、1つ目として、職員が新型コロナワクチンを接種する場合で、公務の運営に支障のない範囲内において勤務しないことがやむを得ないと認められるときは職務専念義務を免除する。なお、医療従事者等に該当する職員の新型コロナワクチン接種は、職務遂行のために必要な行為であるため、職務専念義務の免除の手続は不要といたします。2つ目として、新型コロナワクチン接種との関連性が高いと認められる症状により──発熱などということでございますが──療養する必要がある場合で、勤務しないことがやむを得ないと認められるときは職務専念義務を免除するなどといった内容のものであり、市では国や県の取扱いに準じて対応を行うこととしております。
99 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
100 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
市民生活を守るためにも、本市職員の安全・安心をしっかりと確保していただきたいというふうに思っておりますけれども、一方で、市内の、特に中小企業のワクチン休暇の推進に対しても積極的な支援ができればというふうに考えますが、見解を伺います。
101 ◯ 副議長(江西 照康君)
大場商工労働部長。
102 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
国においては、働く人のワクチン接種がスムーズに進むよう、先月、日本経済団体連合会や日本商工会議所などの経済団体に対し、社員のワクチン接種日や副反応が発生した際に休日を与える、いわゆるワクチン休暇の導入や勤務体制の配慮等について要請を行われております。
こうした社員の休暇制度や勤務体制などはそれぞれの企業で決定されるものでありますが、本市といたしましては、働く方が接種しやすい環境をつくることや、アレルギーなどを理由に接種を望まない方が企業から差別的な扱いを受けることがないよう、富山商工会議所などの経済団体への働きかけを検討してまいりたいと考えております。
103 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
104 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
答弁いただきました。細やかな支援をまたお願いしたいと思います。
さらに、国では独り親家庭の自立を支援するため、就労を1年間継続することを条件に返済を免除する家賃貸付制度を創設し、高等職業訓練促進給付金の対象も拡充されました。
これらの制度の周知や活用の促進を求めますが、本市の取組を伺います。
105 ◯ 副議長(江西 照康君)
大沢こども家庭部長。
106 ◯ こども家庭部長(大沢 一貴君)
看護師や美容師など専門資格を取得するため、養成機関へ通う場合に生活費を支給する国の高等職業訓練促進給付金等事業については、今年度に限り必要な訓練期間が1年以上から6か月以上に短縮され、対象資格がデジタル分野等の民間資格や講座などに拡充されたことから、「広報とやま」6月5日号に掲載し周知しているところであります。
また、様々な支援内容をまとめたリーフレット「富山市ひとり親家庭応援ぷちっとギュッとガイド」において周知するとともに、こども福祉課に配置しているひとり親アテンダントが、就労や資格取得に関する支援制度の説明や手続のサポートをしております。
一方、今年度新たに国において創設されたひとり親家庭住宅支援資金貸付事業につきましては、県において実施される予定ですが、詳細について国から示されていないと伺っており、実施が決まり次第、市のホームページや広報などを通じて多くの方に活用していただけるよう周知してまいりたいと考えております。
107 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
108 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
ありがとうございます。
本市がひとり親家庭アテンダントを置く、本当に積極的なこれまでの取組にも心から敬意を表しているところです。今後また新しい情報には速やかに対応していただきたいと思います。
ところで、今議会には富山市民病院に感染症内科を新設する条例改正案が提出されており、歓迎をしております。
そこで、
新型コロナウイルス感染症そのものは軽症で回復した人でも、後遺症に悩まされるケースが多く報告され、新型コロナウイルス後遺症の専門外来を設置する医療機関が増えているとも伺います。
新型コロナウイルス後遺症に対して、今後、富山市民病院としてどのように取り組むのかお聞かせください。
109 ◯ 副議長(江西 照康君)
石田病院事業管理者。
110 ◯ 病院事業管理者(石田 陽一君)
新型コロナウイルス感染症による後遺症につきましては、厚生労働省が公表しているデータによりますと、感染から回復しても倦怠感や味覚・嗅覚障害、呼吸が苦しいなど、様々な症状が1か月以上続くケースがあるとされており、富山市民病院におきましても、
新型コロナウイルス感染症の患者さんが退院後に体調不良を訴えて受診されたことが数件あったところです。
このうち肺炎を確認したケースでは入院の処置を取りましたが、そのほかの事例では、何となく体調が悪いと訴えられ受診されたものの、検査をしても異常は認められず、問題のある症例はなかったと診療に当たった医師から聞いております。
こうした感染回復後に不調を訴える患者さんの診療につきましては、症状に応じた専門の医師が一般外来にて診療を行っているところであり、当面は同様の体制で患者さんを受け入れてまいりたいと考えております。
なお、一部の有識者からは、後遺症発生のリスク要因としては高齢や肥満などが報告されている事例はありますが、現段階では
新型コロナウイルス感染症による後遺症の明確な原因は分かっておらず、また確立した治療法もないとされております。
しかしながら、日本をはじめ世界各国の研究機関において新型コロナウイルスに関する調査・研究が続けられていることから、富山市民病院といたしましても最新の情報の収集、把握に努めてまいりたいと考えております。
111 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
112 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
病院事業局については、様々な地域医療構想、またネットワークとか大変問題も多く、また本当に御尽力をいただいていることに感謝をしております。
次に、スマートシティへの取組について伺います。
6月補正案にはスマートシティ推進ビジョン策定に向けた予算が計上されており、藤井市長の強い実行力に期待をしております。
本市では既に富山市センサーネットワークの活用を促進しており、今後はさらに5Gの進展による車の自動運転や遠隔診療の実現など、暮らしを豊かにするデジタル社会の構築にも期待が高まります。
菅総理大臣は本年9月に新設するデジタル庁に対して、公明党提言にある司令塔としての設置、マイナンバーを利用した国民の利便性向上、アクセシビリティーの確保を盛り込んだと答弁されました。
そこで、本市のデジタル化を戦略的に推進するための司令塔となるべき部署の再編及び創設──仮称ですがデジタル戦略課など──が必要と考えますが、見解を伺います。
113 ◯ 副議長(江西 照康君)
前田企画管理部長。
114 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
本市の高度情報化の推進に係る施策の企画や立案、調整に関しましては、現在、情報統計課が中心となって担っておりまして、情報統計課では今後のデジタル社会の進展を見据え、行政サービスの高度化や効率化を実現するための指針として、平成30年度に富山市高度情報化ビジョンを、また、昨年10月には情報システム導入に関する今後の基本方針となる富山市情報システム全体最適化計画を策定するなど、行政のデジタル化を推進する上で本市の司令塔の役割を担っているところであります。
また、市では平成22年度から、IT技術に関し高度な専門知識や豊富な実務経験を有する人材を情報企画監として民間のIT企業から任期付で採用しているほか、平成29年4月からは、ICT分野における研究の第一人者である東京大学大学院教授の江崎 浩先生に市の政策参与を委嘱し、本市の高度情報化政策について様々な助言・指導をいただくなど、行政のデジタル化を戦略的に進めるための体制強化を図ってまいりました。
さらに、市は今年度から第4期行政改革実施計画をスタートさせましたが、この計画の重点事項の1番目に掲げているスマート自治体の推進に関しましても、情報統計課が中心となって各担当課と連携して具体の取組を開始したところであります。
こうしたことから市では、情報統計課を中心とした現在の推進体制の下、行政のデジタル化を着実に進めてまいりたいと考えており、今のところ新たな部署の創設等については考えていないものでございます。
115 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
116 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
もう既に市には情報統計課で、積極的な活動といいますか、対応をしていただいていることに十分感謝をしているところでございます。
ところで、今部長の答弁もありましたけれども、こういった施策推進の鍵を握るのは、やっぱり何といってもデジタル人材であります。日本は圧倒的に不足していると言われています。
理論的・科学的な考えと専門的な知識と技術を持つ創造的なデジタル人材の育成や確保など、富山大学が進めるデータサイエンティストの育成に対する本市の取組を伺います。
117 ◯ 副議長(江西 照康君)
前田企画管理部長。
118 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
行政のデジタル化を進めるに当たりましては、まずは今いる職員の能力及び資質の一層の向上を図る必要があることから、市では情報統計課に配属となった職員を地方公共団体情報システム機構などの専門機関に派遣し、専門的な知識の習得や実践的な対応能力の向上が図られるよう取り組んできたところであります。
また、こうした公務内における人材育成だけでは最新のIT技術に対応することが困難であるため、IT企業出身の民間人材を任期付職員として採用するほか、ICT分野の第一線の研究者に本市の政策参与を委嘱するなど、外部からの有為な人材の確保にも努めてきたところであります。
さらに市では、行政のデジタル化を推進する担い手となる人材を育成するための今後の取組として、1つ目として、デジタル関連資格の取得を目指す職員に対する資格取得のための講座受講料などの一部助成、2つ目として、情報企画監が講師を務めるデジタル関連資格取得のための職員向け研修講座の開設などについて検討しているところであります。
市では、今後もこうした様々な取組を通じ、行政のデジタル化を推進する人材の育成及び確保に努めてまいりたいと考えております。
なお、富山大学が中心となり、県や本市と連携して今年度から開始予定のデータサイエンティスト育成事業については、現在、大学側において事業を推進するための組織体制や具体の事業内容等について検討が進められているところであり、市といたしましては、これらの内容等が固まり次第、事業が円滑に実施されるよう、県と共に必要な支援や協力を行ってまいりたいと考えております。
119 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
120 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
行政に大事なデジタル人材をさらに確保していただけるというふうに期待をしております。
ところで、こうしたコロナ禍の中で、家族や友人とのオンライン会議やキャッシュレス決済の買物、ワクチン接種の事前予約など、様々な生活場面でデジタル技術を活用する機会が増えました。
一方で、こうした技術に不慣れな方々に対し、まずはスマートフォン活用の支援策が必要と考えます。
そこで、学生を有償ボランティアとして地区センターに配置するなどして、無料スマホ教室を開催することを検討すべきと考えますが、見解を伺います。
121 ◯ 副議長(江西 照康君)
前田企画管理部長。
122 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
国では、国民の間でのデジタル格差を是正することを目的に、今年度新たに利用者向けデジタル活用支援推進事業を創設されました。
この事業は、高齢者等を対象に、スマートフォンの基本操作をはじめインターネットやメールの使い方、オンラインによる行政手続やサービスの利用方法等に関する無料の講座を開催する事業実施団体に対して国が補助を行うもので、携帯ショップのほか地域の公民館など全国1,000か所程度での実施が想定されているところでございます。
現在、この事業の実施を予定している複数の事業者から本市に対して市内の公立公民館の利用等についての相談が寄せられているところであり、本市といたしましては、市民への周知などを含めこの事業の実施に協力してまいりたいと考えております。
123 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
124 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
まずは国の推進事業をしっかりと推進していただければというふうに思っております。
ところで、東京都は水の使用量を遠隔で自動検針できる水道スマートメーターの導入を加速させるそうです。
スマホなどで使用状況が確認できれば、蛇口の締め忘れ防止や節水にも役立ち、さらに検針票や請求書の電子配信、高齢者の見守り支援にも活用できます。
厚生労働省も水道事業の運営基盤を強化するためのモデル事業を実施し、データの利活用も検討しているそうですが、今後の本市の施策について伺います。
125 ◯ 副議長(江西 照康君)
山崎上下水道局長。
126 ◯ 上下水道局長(山崎 耕一君)
上下水道局では、平成30年度に整備されたセンサーネットワークを活用し、令和元年11月から本年3月までの間、水道スマートメーター導入に係る実証実験を実施したところであります。
その結果、水道スマートメーターと通信基地局間の電波が近隣にある建物の位置や大きさ等の影響を受けることで、使用機器類が適切に作動しない場合があり、安定してデータが得られないことを確認いたしました。
加えて、水道スマートメーターは従来のメーターに比べ5倍以上の価格となっており、交換には多額の費用が必要となることから、費用対効果の面でも課題があります。
しかしながら、断水の発生を防止するため、特に凍結等による漏水の早期発見が不可欠となっている山間部においては、水道スマートメーターを用いることで異常の早期把握が可能になり、さらに検針業務の効率化も図られます。
こうしたことから、水道スマートメーターにつきましては、直ちに全市で導入することは困難ではありますが、調達コストの動向を見極めるとともに通信方法の見直しなども行いながら、現在、一部地域──山間部の一部の集落に限定して導入できないか検討を始めたところであります。
127 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
128 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
ぜひ着実な推進、これまでも上下水道局では様々なことに取り組んでいただいているということで安心をしておりますけれども、またよろしくお願いいたします。
また、マイナンバーカードの取得促進が狙いでもある国のポイント還元事業、マイナポイント事業は本年9月末まで延期され、本市も4月からは市民課窓口を拡充して推進をしていただいております。
さらに、総務省が地方版マイナポイントの全国展開を目指すとのことにも期待をしております。
そこで、本市のマイナンバーカードの取得促進策についてお聞かせください。
129 ◯ 副議長(江西 照康君)
前田企画管理部長。
130 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
本市の今年5月1日時点のマイナンバーカードの交付率は27.3%であり、1年前の同じ時期の12.6%と比べまして14.7ポイント増加しております。
この1年で交付率が大きく増加した要因としては、国がマイナンバーカードの普及促進と消費活性化のため、昨年9月からマイナポイント事業を開始したことや、今般のコロナ禍を契機にマイナンバーカードへの市民の関心が一段と高まったことなどが考えられます。
このように、昨年来マイナンバーカードの交付申請件数が急増したことから、市ではこの4月から──今議員からも御紹介をいただきましたが──市民課にマイナンバーカード専用窓口を開設し職員を増員したほか、昨年9月から休日窓口や平日時間外の延長窓口を開設するなど、窓口の混雑解消とカードの円滑な交付に努めているところであります。
市といたしましては、今後もマイナンバーカードの交付申請は増加していくものと予想しており、現在実施されている国のマイナポイント事業とは別に、市として独自の取得促進策を実施することは今のところ考えておりませんが、住民票などのコンビニ交付サービスを受けられることなど、マイナンバーカードの利便性について今後とも市民の皆さんに分かりやすくお伝えしていくことで、取得の促進を図ってまいりたいと考えております。
131 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
132 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
着実な取得促進をまたこれまで以上にお願いしたいと思います。
次に、本市ではスマート農業のほか、明年度の重点事業としてスマート水産業の推進も掲げております。
一方で、国は森林資源を活用し林業の成長産業化に向けた取組を推進するために、低い労働生産性や高い労働災害率といった林業特有の課題に対処していく必要があるとして、地理空間情報やICT等の先端技術を駆使し、生産性や安全性の向上、需要に応じた高度な木材の生産を可能とするスマート林業を推進しているとも伺います。
カーボンニュートラルは国産材の利用を促す追い風でもあり、日本の林業が成長産業へと転換するチャンスでもあります。
本市のスマート林業の取組について伺います。
133 ◯ 副議長(江西 照康君)
山口農林水産部長。
134 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
スマート林業には、地理空間情報を活用し森林施業を集約化するものと、ICT等の先端技術を活用し森林施業を効率化するものがあります。
このうち地理空間情報の活用につきましては、県において令和元年度から航空レーザ計測による高精度な森林情報や木材需要の情報などを集約した森林クラウドの整備に取り組まれ、現在、県内市町村や森林組合などと情報共有体制の構築を進めているところであります。
お尋ねの本市におけるスマート林業の取組につきましては、この森林クラウドにより、公図や航空写真といった従来の基本的な情報はもとより、高精度な森林情報、例えば樹木の本数、大きさ、配置や地形などのデータを活用することができ、これまで現地において調査しなければ知り得なかった情報がパソコンの画面上で確認できるようになります。これにより、森林境界の明確化や森林所有者の合意形成に要していた多大な労力と時間が削減できるとともに、森林施業の集約化が促進され、一体的な森林整備につなげることができるものであります。
なお、地理空間情報につきましては、林業のみならず、山地災害の防止や急傾斜地対策などの様々な分野で活用できると考えていることから、関係各課との共有化についても検討しているところであります。
次に、森林施業の効率化につきましては、本市では樹木の切り倒し、枝払い、切り分け等の一連の作業を効率的に実施できる高性能林業機械の導入について継続的に支援を行っているところでありますが、ICT等を活用したスマート林業機械につきましては、現在国などにより研究が進められているところであり、その結果を注視してまいりたいと考えております。
135 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
136 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
ぜひ林業が成長産業へ転換することを期待しております。
続いて、またスマート農業にはスマート酪農もあろうかと思いますが、こうしたスマート農業等を推進することにより新規就農や移住促進につながることを期待しますが、本市の取組についてお聞かせください。
137 ◯ 副議長(江西 照康君)
山口農林水産部長。
138 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
本市の農林水産業は、就業人口が年々減少するとともに、高齢化などにより担い手不足が顕著となっていることから、作業の省力化や効率化などを図り、次世代を担う若い担い手を確保する必要があると考えております。
このことから、本市では現在、エゴマ栽培におけるスマート農業の実証に取り組んでいるところであり、リモートセンシングセンサーで得られた風向や風速、土壌水分量などの生育環境情報を、富山市センサーネットワークを活用し、圃場に行かなくてもタブレット上で確認することなどが可能となりました。
これらの情報なども活用し、引き続きスマート農業の効果を検証してまいります。
また、今年度からホタルイカ漁において、定置網の中の漁獲量などの情報を、陸上からスマートフォンなどを用いて事前に把握し効率化を図るスマート水産業に取り組んでおります。さらに今後、梨の栽培におけるスマート果樹への展開も検討しているところであり、各分野でAIやICT等の先端技術の活用により作業のスマート化を進めております。
これらの取組により、従来の経験に基づく農林水産業から、データに基づく農林水産業への転換を図っているところであります。
また、スマート農林水産業を推進することにより作業の効率化や省力化が図られ、その結果、労働時間が削減されるとともに、収益の向上にもつながるものと考えております。
このことから、今後、経験の少ない若い方でも、従来よりも就業しやすくなることを期待しているところでございます。
なお、本市ではこれらの取組に加え、コロナ転職事業でコロナ禍における失業者等を支援するとともに、新規就農希望者が参加する新・農業人フェアへの出展、さらには首都圏の大学、専門学校等を訪問し就農に関する支援制度を紹介するとともに、本市が総合的に住みやすいまちであることをPRしております。
本市といたしましては、これらの取組を引き続き推進することで市外からの移住の促進を図るとともに、やる気のある若い就農者などの多様な担い手の確保に努めてまいりたいと考えております。
139 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
140 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
様々な分野からの本市のスマートシティ化、また選ばれる都市へとさらに発展することを期待しております。
ところで、地方自治体には、一定の居住要件などを満たす人の奨学金を肩代わりする支援制度を設けているところがあります。国の奨学金返還支援制度に基づき、富山県も理工系、薬学部生を対象に奨学金返還助成制度を設けております。
こうした取組は若者の転入や定着を促進するものであり、定住人口の増加に寄与することから、地方創生の取組としても有効であると考えます。
そこで、富山市独自の奨学金返還支援制度の創設を求めるものですが、当局の見解を伺います。
141 ◯ 副議長(江西 照康君)
前田企画管理部長。
142 ◯ 企画管理部長(前田 一士君)
若者の定着と県外への流出防止や都会から地方へ若者を呼び戻す施策を進めることは、人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保するための重要な取組の1つであります。
このことから本市は、若い世代が富山市を魅力ある都市と感じ、住んでみたい、住み続けたいと思ってもらえるよう、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを政策の基本に産業の振興と雇用の創出を図るとともに、福祉や教育、環境、文化などバランスよく都市の総合力を高め、選ばれるまちづくりを推し進めてまいりました。
一方で、富山県内における高等教育機関のキャパシティーは小さいことから、高校卒業後、首都圏など県外の大学等へ進学する若者が多いのが現状であります。
このため市では、地元での進学や就職、あるいは地元へUターンする若者を増加させ本市への定着を促進するため、居住地の違いによる生活費や生涯賃金等の状況について、検証可能なデータを用いて調査・分析した結果を冊子にまとめ、市内の高校生やその保護者に多様な働き方や生き方を考える材料として提示する取組を数年前から開始しております。
また、県外出身の学生が約7割を占める富山大学をはじめ、市内の短大や専門学校等に在籍する県外出身の学生に、卒業後も富山に定住してもらえるよう、シェアサイクルアヴィレの年間利用料の助成などを通して、富山の魅力を知り、富山市を好きになってもらう取組も行ってきたところであります。
さらに市では、こうした取組に加え、独り親世帯や非課税世帯の子どもが県内の4年制大学等へ進学する場合、入学金や学費等を無利子で貸し付けるひとり親家庭奨学資金貸付事業や富山で働く人材応援奨学資金貸付事業、市内企業で働きながら通信制や夜間制の大学等で学ぶ社会人や、就職先を一旦休職または退職して大学等で学び直しをする方を対象とした富山で働き・学ぶ生き方応援奨学資金貸付事業を市独自に実施しているところでございます。
これらの奨学資金貸付事業は、いずれも大学等を卒業後、原則5年間、市内企業等に勤務した場合などに全額返還を免除する制度とし、また事業の財源は、篤志家や企業の皆さんからの寄附金を基に創設した基金を活用して行うものであります。
市では、今後ともこうした様々な取組を通して、若者の市内及び県内への定着と地元企業で働く人材の確保につなげてまいりたいと考えているところでございます。
143 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
144 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
昨年のデータですけれども、1,700以上の市町村の中で423がこの制度を利用しているということで、また今後もぜひ検討していただけるというふうに思っております。
いずれにしても、奨学金を学生の3分の1が利用して、現在コロナ禍もあるのですけれども、卒業後の返済が大変重いという声が聞こえております。
そうした中で、一方、奨学金を貸与する独立行政法人日本学生支援機構では、本年4月より企業が奨学金の返済をしている社員を支援する方法として、企業が直接同機構に対して返還金を送金する代理返還ができるよう制度の改正を行いました。これまで企業が社員の奨学金返還を支援する場合、対象の社員に対し通常の給与に手当として上乗せをしていましたが、この制度を利用すれば企業は代理返還を損金として算入でき、社会保険料の負担も軽減され、社員の所得税も軽減できるなど、企業にも返還者にもメリットがあります。
市内の企業に対してこの制度を周知し、人材の確保につなげてもらうべきと考えますが、見解を伺います。
145 ◯ 副議長(江西 照康君)
大場商工労働部長。
146 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
少子・超高齢社会の進行により労働力人口が減少する中、市内の企業が人手不足を解消し、安定的に企業活動を継続されることは、地域経済の維持・発展につながることから、将来にわたって持続可能な都市を構築する上で重要であると考えております。
このため本市では、企業の採用活動を支援するため、1つに、首都圏の学生に本市で働き暮らす魅力を伝えるUIJターン就職座談会の開催、2つに、春休みやお盆といった学生が参加しやすい時期に合わせ、企業が自社の魅力を直接学生等にPRする企業説明会の開催、3つに、企業の特色等と併せて採用情報を掲載する企業情報ホームページの運営など、若者と企業とのマッチングを促進する事業を実施しております。
お尋ねの代理返還制度につきましては、企業がこの制度を利用した場合、独立行政法人日本学生支援機構のホームページに企業名を掲載できることからPRにつながり、企業が求める優秀な人材の確保や、若者の離職率を低下させる一助になると考えられることから、市内企業の経営者等に対し直接雇用の促進などの要請を行う企業訪問や市ホームページなどで周知してまいりたいと考えております。
147 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
148 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
最後に、危機管理体制の強化について伺います。
近年の豪雨災害は激甚化、頻発化している中で、間もなく今年も出水期を迎えようとしています。
また、本市においても昨年来より新型コロナウイルスが猛威を振るい、市民生活や経済活動に甚大な影響を与えております。さらに、本年1月は35年ぶりとなる豪雪にも見舞われ、まさに災害級の事態に陥るなど、危機事象への的確な対応が大変重要になっております。
富山市危機管理基本指針では本市の危機管理担当部は企画管理部であるとのことですが、実務的には大雨などの自然災害は建設部の防災対策課を中心に対応されており、一方で、
新型コロナウイルス感染症などの危機事象については、各所管部局が企画管理部と連携して対応されております。
そこで危惧されるのが、これらの危機事象が同時多発的に起きる大規模な災害時において、迅速に対応できる組織体制や強い指揮系統が構築されているのかであります。
かねてより私は危機管理の体制強化を求めてきましたが、全国の中核市の中で建設部に防災担当課を設けているのは本市だけであり、他都市では防災・危機管理専門の部署を設けていたり、人員を指揮する関係などから総務・企画部門に設けていると伺いました。
県は今年度から危機管理局を新設し体制の強化を図りましたが、本市においても危機管理専門部署の創設が必要と考えますが、藤井市長の見解を伺います。
149 ◯ 副議長(江西 照康君)
藤井市長。
150 ◯ 市長(藤井 裕久君)
ありがとうございます。
危機事象への対応につきましては、自然災害などを想定した地域防災計画、またテロ等の武力攻撃事態などを想定した国民保護計画、その他危機事象ごとに国や県などの関係機関による個別計画や市が策定した危機管理基本指針などに従って、危機事象の規模や程度等に応じた体制づくりを行い、迅速かつ適切に対処することが基本であると考えております。
本市では、企画管理部が防災危機管理統括監の指揮監督の下、本市における危機管理の基本的な方針を定めるとともに、職員の災害対応や危機管理能力の向上のため危機管理研修会等を毎年実施しているところであり、また、所管部局が不明確な危機事象が発生した場合や全庁的な対応が必要な場合の総合調整などを担っているところでございます。
一方、部局長は各部局における危機管理の責任者となっており、各部局が担当する分野等において起こり得る危機事象をあらかじめ想定し、その未然防止に努め、また危機事象発生時には初動措置を講じるとともに、各計画やマニュアル等に基づいて緊急事態対応に当たることとなっております。
さらに、対応に当たるべき部局が複数にまたがる場合や重大な危機事象が発生した場合などには、適宜、私を本部長とする対策本部を設置し、全庁挙げて危機事象に対処することとなっております。
こうした危機管理における内部組織に関しましては、自然災害の発生危険度や周辺の地理的条件といった地域固有の事情などによって自治体ごとに異なっているものと思いますが、私といたしましては、基本的には本市における現在の危機管理体制には問題がないと認識しているところでございます。
いずれにいたしましても、災害など様々な危機事象に対しましては平時の備えが何よりも重要でありますことから、今後とも、職員一人一人が常日頃から緊張感を持つとともに、職員の危機管理意識の高揚と対応能力の向上を図るための様々な取組を行い、いざというときに市民の安心と安全を守ることができる体制が迅速かつ的確に構築できるよう努めてまいりたいと考えております。
以上です。
151 ◯ 副議長(江西 照康君)
33番 佐藤 則寿君。
152 ◯ 33番(佐藤 則寿君)
消防団の大先輩でもある藤井市長の一層の危機管理体制の強化の御英断を心から期待をし、私の質問を終わります。
153 ◯ 副議長(江西 照康君)
これで佐藤議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
21番 高田 真里君。
154 ◯ 21番(高田 真里君)
令和3年6月定例会における自由民主党一般質問を行います。
初めに、防災・減災に関する質問をいたします。
本年も梅雨の時期を迎えようとしております。毎年6月は土砂災害防止月間となっておりますように、梅雨の時期に合わせて洪水、浸水、土砂災害など最も警戒が必要な時期を迎えます。
国におきましては、これらの災害時での逃げ遅れゼロを目指し、2019年、内閣府による避難勧告等に関するガイドラインを改定され、住民が取るべき行動を直感的に理解できるよう、5つの段階の警戒レベルを明記し避難情報で提供されることとなりました。
しかしながら、その後、令和元年台風第19号や昨年の7月豪雨などの災害において逃げ遅れによる被災が多数発生し、避難勧告と避難指示の違いも十分に理解されていないなどの課題があらわとなりました。
このため、国では災害対策基本法を改正され、本年5月20日より本市が発令する避難情報を次のように変更されることとなりました。
警戒レベル3の避難準備・高齢者等避難開始は高齢者等避難に簡素化、警戒レベル4の避難勧告と避難指示は避難指示に一本化、警戒レベル5の災害発生情報は緊急安全確保にそれぞれ変更されました。
住民が災害が差し迫っている状況で発令されるレベル4の避難指示の段階までに避難を行うことが大変重要となってまいります。
今回の改正でレベル4におきまして、これまでは「必要と認める地域の居住者等」とされていた立ち退き避難を求める対象が、「必要と認める地域の必要と認める居住者等」へ変更されております。
避難が必要となる対象が分かりづらく注意が必要になるものと考えますが、この法の改正により、避難指示を発令した場合、立ち退き避難の対象となる「必要と認める居住者等」について答弁を求めます。
155 ◯ 副議長(江西 照康君)
当局の答弁を求めます。
舟田建設部長。
156 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
高田 真里議員の御質問にお答えいたします。
お尋ねの避難指示を発令した場合に立ち退き避難の対象となる「必要と認める居住者等」とは、国が本年5月に改定した避難情報に関するガイドラインによりますと、発令地域の居住者等のうち、低層階や平家の居住者など、立ち退き避難をしないと命が脅かされるおそれがある危険な場所の居住者等とされており、発令地域の全ての居住者等が必ずしも立ち退き避難の対象ではなく、堅固な建物の上階への移動や高層階にとどまる屋内安全確保も選択できるとされております。
なお、このガイドラインでは居住者等が屋内安全確保を行うためには、1つに、自宅などが家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないこと、2つに、自宅などに浸水しない居室があること、3つに、自宅などに水、食料などの備えがあり、一定期間生活が可能であることなどの条件が満たされていることを自ら確認し判断する必要があるとされております。
しかしながら、建物の上階や高層階であっても居住者等が危険や不安を感じた場合には、早期に立ち退き避難を判断し、身の安全を確保していただきたいと考えております。
157 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
158 ◯ 21番(高田 真里君)
今ほどの3つの条件が整った場合に、水平だけでなく垂直の形で屋内安全確保が取れるようになったということであります。
今ほどの内容も含めて、この避難情報の変更点につきまして、市民への周知徹底が大変必要であります。
今月5日号の「広報とやま」に掲載はされておりましたが、さらなる周知方法について答弁を求めます。
159 ◯ 副議長(江西 照康君)
舟田建設部長。
160 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
国では、避難情報の変更について住民への周知を図るため、新たな避難情報に関するポスター、チラシを作成し、自治体の施設等に掲示することで住民への広報を強化することとされております。
本市の対応といたしましては、新たな避難情報に関する記事を広報6月5日号に掲載し全戸配布したほか、ホームページやツイッター、フェイスブックで周知したところでございます。
今後は、国から配布されるポスター、チラシを本庁舎等の主な施設に掲示するとともに、市民へのさらなる啓発を図るため、テレビやラジオのメディアを活用するほか、職員による出前講座、自主防災組織への研修会などを通して、市民の皆様に分かりやすく周知してまいりたいと考えております。
161 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
162 ◯ 21番(高田 真里君)
市民の皆さんに適切な避難行動を取っていただくためには、まずは正しく理解してもらうことが必要と考えますので、お願いします。
昨年6月に全戸配布をされました洪水ハザードマップ、また土砂災害ハザードマップに記載された避難情報の内容についても、今回の改正により変更の必要があるのではなかろうかと考えますが、その対応についてお答えください。
163 ◯ 副議長(江西 照康君)
舟田建設部長。
164 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
議員御指摘のとおり、今回の法改正により変更となった避難情報につきましては、洪水ハザードマップと土砂災害ハザードマップに記載されており、市民の皆様が災害発生時において適切な避難行動につなげられるよう、早期の修正が必要であると考えております。
その対応としましては、洪水ハザードマップでは、1つに、避難情報などの変更箇所について修正していただくための印刷物の全戸配布、2つに、ハザードマップの説明及び周知用に作成した動画の修正を行いたいと考えており、これらの対応に必要となる費用については、本議会において補正予算を提案しているところであります。
また、土砂災害ハザードマップでは、今回の避難情報の変更に加えて、土砂災害防止法の改正に伴う避難場所や避難経路に関する事項の追加などの見直しを今年度中に行うこととしており、令和4年度の出水期までには対象区域の全戸に配布したいと考えております。
165 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
166 ◯ 21番(高田 真里君)
素早い対応を考えていただいているということで、市民にしっかり届くように引き続きお願いをいたします。
さて、国土交通省におきましては、洪水ハザードマップのさらなる普及推進及び危機意識の醸成、洪水時避難所などの認知度の向上を図ることを目的に、自らが生活する地域の洪水の危険性が実感できるよう、居住地域をまるごとハザードマップと見立てて、生活空間であるまちなかに水防災に関わる各情報を表示する、まるごとまちごとハザードマップの整備を推進しています。
富山市においても今年度、ハザードマップの情報を現地表示する、まるごとまちごとハザードマップの実施検討を行うことになっておりますが、その内容についてお答えください。
167 ◯ 副議長(江西 照康君)
舟田建設部長。
168 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
まるごとまちごとハザードマップは、市民の皆様が水害の危険性を実感し避難の実効性を高めるため、洪水ハザードマップや津波ハザードマップに記載されている浸水深や避難場所などの情報を公共施設の外壁などに表示する取組であります。
議員お尋ねの今年度に行う実施検討の内容につきましては、1つに、想定される浸水範囲や浸水深などを踏まえた設置区域の検討、2つに、学校やその他の公共施設などの標識設置箇所の選定、3つに、標識設置の効果を高めるため、視認性などに配慮した標識デザインの検討などを行うこととしております。
また来年度からは、今年度の成果に基づき、水害に対するリスクが高い家屋倒壊等氾濫想定区域に位置する市街地などから順次標識の設置を実施していきたいと考えております。
169 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
170 ◯ 21番(高田 真里君)
それでは、教育委員会へのお尋ねをいたします。
私が小・中学生だった頃──つい昨日のことのようなのですが、既に40年を経過しております──授業時間や休み時間に放送が鳴り、「訓練、訓練、理科室から出火」ですとか「給食室から出火」などと想定された火災の避難訓練、ハンカチを口に当てて、黙って身を低くしてグラウンドへ避難する。また、急な揺れを想定した地震による避難訓練。机の下に籠もり、じっと揺れが収まるのを待つ。これらが毎年のように行われていたと記憶しております。
近年は、登下校中に揺れを感じた場合には、小学生であればランドセルを背負ったまま、蓋を頭側にかぶせて身を低くしゃがむ体勢を取ることも有効だと防災士の方から聞いております。
本市の小・中学校における防災教育の現状についてお答えください。
171 ◯ 副議長(江西 照康君)
金山教育委員会事務局長。
172 ◯ 教育委員会事務局長(金山 靖君)
本市小・中学校における防災教育につきましては、主に避難訓練を通して災害発生時における基本的な行動を十分身につけるとともに、自分の命は自分で守るという意識を育み、災害発生時に的確な避難行動を取ることができるよう、発達段階に応じた指導に取り組んでいるところであります。
各学校における令和2年度の避難訓練の実施状況につきましては、全ての学校で火災及び地震を想定した訓練が行われ、さらに、学校の立地条件等から津波や洪水、土砂災害を想定した訓練を実施しているところもあります。
こうした訓練は、災害がいつ起こるのか分からないことから、授業中のみならず、例えば児童・生徒に予告なく休憩時間に実施するなど、より現実に近い状況で緊急時における適切な判断力と行動力の育成に努めております。
このほかの取組といたしましては、1つに、小学校においては、授業参観日等の機会を利用して、災害発生時等に教職員が児童を直接保護者に引き渡すための訓練を行う、2つに、小学校の社会科においては、過去に県内で実際に発生した自然災害を取り上げ、被害の大きさや災害発生時の関係機関の役割を学習する、3つに、中学校の保健体育科においては、自然災害に伴う危険について学習する際に災害への事前の備えや応急手当てなどの方法を学ぶなどがあります。
173 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
174 ◯ 21番(高田 真里君)
先ほど建設部長から御答弁をいただいた、まるごとまちごとハザードマップについてでありますが、このまるごとまちごとハザードマップが来年度以降表示されるようになれば、通学時やふだんの生活の中でおのずと目に触れるようになります。
児童・生徒が毎日の通学や生活の中で自然に目に留まるということは、防災教育にとって大変有意義なものになると考えます。
いざというときの命を守る行動を取るために、特にハザードマップなどにおいて津波や洪水、土砂災害の危険が予想される沿岸部や河川流域の小・中学校においては、水防災のための避難訓練も全て実施されたいと考えるものであります。
昨年配布されたハザードマップのみならず、まるごとまちごとハザードマップも活用した児童・生徒への防災教育については、今後どのように取り組まれるのか見解をお聞かせください。
175 ◯ 副議長(江西 照康君)
金山教育委員会事務局長。
176 ◯ 教育委員会事務局長(金山 靖君)
各学校におきましては、津波ハザードマップや洪水ハザードマップなどを避難訓練の事前・事後学習に活用したり、校内に掲示して津波や洪水の被害を受けるおそれのある区域や避難場所を児童・生徒自らが確認できるようにしております。
まるごとまちごとハザードマップにつきましては、今後、市所管施設などに標識が設置されることとなった場合には、児童・生徒が災害に遭遇した際、瞬時に最善の避難方法等を選択することができる効果が期待されているところであります。
市教育委員会といたしましては、これまでのハザードマップに加え、まるごとまちごとハザードマップについても、例えば避難訓練時や、小学校においては集団下校等の機会を捉えて児童・生徒への周知を図ってまいりたいと考えております。
177 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
178 ◯ 21番(高田 真里君)
冒頭に申しましたように、児童・生徒の頃の防災教育、身についたものは何十年たった大人でもしっかりと体が覚えておりますので、さらなる防災教育の取組を推進していただきたいと考えます。
次に、避難体制の中でお伺いをいたします。
新型コロナウイルス感染症については、今なお感染源が不明な陽性者が出たり変異株が猛威を振るうなど、終息の見通しが立っておらず厳しい状況にあります。
多くの人が集まる避難所においては、感染リスクが高まる中でもためらわずに避難して命を守ることが大切になります。
富山市内には、河川の氾濫で重大な被害が及ぶおそれのある大きな河川が複数あり、徒歩圏内の指定緊急避難場所への避難だけでは収容能力が十分ではないと見込まれる校区は複数存在しています。避難指示が出たときに該当地域の全ての市民が避難所に避難するということは、物理的に不可能と言わざるを得ません。
これまで以上に事前に親戚縁者宅や友人宅へ交渉や承諾を得ておいて、いざ避難となったときに数日間身を寄せることのできる場所をそれぞれが確保しておく分散避難が大切になってくるのではないでしょうか。
命を守るため、さらなる分散避難に係る啓発が必要と考えますが、その取組についてお答えください。
179 ◯ 副議長(江西 照康君)
舟田建設部長。
180 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
国では、小・中学校や公民館等の指定緊急避難場所に行くことだけが避難ではなく、安全な親戚、知人宅等への立ち退き避難や、自らの判断で屋内安全確保をするなど、様々な避難行動を分散避難と呼んでおります。
本市では、これまでも避難先の分散化を図るため、各種ハザードマップを活用し、災害時に自宅が安全な場所にあれば避難する必要がないことや、親戚や知人宅などに避難することを検討していただけるよう、ホームページや広報、出前講座などを通して周知に努めてきたところであります。
今後はこれらに加え、新たな避難情報の周知と同様に研修会や各種メディアを活用し、市民の皆様に分散避難について正しく理解していただき、的確な避難行動につなげていただけるよう、さらなる啓発に努めてまいりたいと考えております。
181 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
182 ◯ 21番(高田 真里君)
分散避難を呼びかけるものの、多くの人が避難所に集まってくるということもしっかり想定しておかなければなりません。
本市では、大規模な災害が発生した場合、まずは第1次避難所である小学校等に避難をしていただき、被災された方が一定の期間避難生活を送ることとされております。
被災された方の中には、高齢者や障害を抱えた方など何らかの特別な配慮を必要とする方もおられます。一般の避難所で過ごすことが難しい配慮が必要な方については、福祉避難所が開設されることになっております。
事前の調査によれば、富山市において福祉避難所は現在62施設と、徐々に増えてきております。しかし実際のところ、災害時に福祉避難所に収容すべき人が何人になるのか、具体的な数字が分からないのが現状です。
これまで熊本地震では、一般の避難所と福祉避難所の違いを知らずに、福祉避難所に多くの人が詰めかけたケース、また、2019年10月の台風19号では、福島、宮城、長野の55の市町村で福祉避難所が開設されたものの、うち31の市町村でその開設が住民に知らされていませんでした。一般住民の殺到を懸念されてのことですが、このことで高齢者や障害者の避難に遅れが生じ、緊急時における連絡体制が不備と指摘をされています。
福祉避難所の開設公表については、令和元年12月定例会において竹田議員の質問に当時の建設部長が、福祉避難所の開設を公表する方法につきましては、今後、福祉避難所側と十分に協議してまいりたいと考えておりますと答弁をされています。
現在はこのことについてどのように進んでいるのか、答弁を求めます。
183 ◯ 副議長(江西 照康君)
舟田建設部長。
184 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
本市では、災害発生時に福祉避難所を開設した場合、国の福祉避難所の確保・運営ガイドラインに基づき、開設した福祉避難所の施設名を公表することとしておりましたが、その公表方法を検討するに当たり、施設側において開設や運営手順を示したマニュアルが作成されていないことや、施設側の同意が必要なことなど多くの課題があったことから、令和2年度より福祉部局や施設管理者と協議を行い、現在、福祉部局において福祉避難所開設・運営マニュアル作成ガイドの作成を進めているところであります。
こうした中、国において令和元年東日本台風や令和2年7月豪雨など、近年発生した災害の教訓を踏まえ、先月に災害対策基本法や同施行規則の改正をはじめ、防災基本計画の修正、福祉避難所の確保・運営ガイドラインの改定がなされたところであります。
このうち福祉避難所に関する修正内容として、1つに、必要に応じて福祉避難所を指定避難所として指定するよう努めること、2つに、受入れを想定していない避難者が避難してくることがないよう、必要に応じて受入れ対象者を特定して公示すること、3つに、この公示内容に準じて、事前に福祉避難所で受け入れるべき要配慮者の調整を行い個別避難計画等を作成し、要配慮者が必要となった際に福祉避難所へ直接避難することができるよう努めることなど、平常時から市町村が取り組むべきことについて新たに示されたところであります。
本市といたしましては、今後、福祉部局や施設管理者と協議を行い、新たに示された取組について福祉避難所開設・運営マニュアル作成ガイドへ反映するとともに、他都市の状況も参考にしながら、引き続き福祉避難所の開設の公表方法について検討してまいりたいと考えております。
185 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
186 ◯ 21番(高田 真里君)
今回の改正にもあったようですけれども、富山県においても福祉避難所マニュアルが策定をされ、ホームページでも確認をすることができました。中には、市町村におけるガイドライン策定時に参考にすべき箇所が何点も挙げられています。
福祉避難所を利用する協定を施設側とさらに進めると同時に、運営の手引の作成や日頃からの訓練など、災害対応に向けた福祉避難所の充実化をしっかりと行っていただくことを期待して、次の質問に移ります。
次の質問は、呉羽梨の生育状況についてであります。
呉羽梨は広く市民に親しまれ、県内外からの人気も高い、本市で最も多く栽培されている果物であります。
その歴史を見てみましたが、この地区に住む土池 弥次郎さんが、呉羽地区の土壌に適した作物を見つけるために全国の農園を訪ね、明治後期に苗を持ち帰り、自分の畑で長十郎を試作したのがきっかけと聞いております。
昭和46年に始まった米の生産調整を契機に梨畑は飛躍的に拡大をし、当時新しい品種だった幸水が全国に先駆けて導入され、県外市場への出荷も行われるようになりました。また、平成24年からは光センサーによる新たな選果ラインも導入され、毎年2,000トン程度が県内外の市場に出荷をされています。
この梨の生育ですが、本年は遅霜により満開を迎えていた梨の花が深刻な影響を受け、樹木に実がなっていないという被害が発生し、そこへ追い打ちをかけるように広範囲であられが降り、結実していた少ない果実にも傷がつく、このような状態になりました。
こういう中で藤井市長におかれましては、先月15日、いち早く現地に出向かれ、生産者等の話を聞かれながら被害状況を確認されたと聞いております。
私も先月下旬、追分茶屋にお住まいの高原市議と共に被害の大きさを確認してまいりました。
梨生産者の方々のほかにも選果場長、生産組合長にもお越しいただいて、実際に幾つかの園地の実態を見せていただき、両手を広げただけの枝についているはずの、本来、何十の実がなければならないところに全くついていない、ゼロという枝が数多いという状況を見て、本当に驚いてまいりました。やっと見つけたまだ小さな実も、あられによる被害でえくぼと言われるくぼみができていたり、また、霜による被害から肌荒れ──これは表面の色が変わってがさがさになっている状態──こういうものが数多く見られたわけであります。
梨農家の方にとって、収穫する果実が少なく収入が減少すれば、労働意欲が薄れるばかりか、離農される農家が出てくることも危惧されます。また、収穫量が減少すれば、おのずと選果場の運営にも支障を来すことは目に見えており、厳しい状況も耳にしてまいりました。
先ほどからも出ておりますが、藤井市長は公約の中で、現場主義を徹底して、スピード感を持った政策実行力を向上する、これを大きな柱とされています。市長自らが現場へ出向かれダイレクトに声を聞かれる、この態勢を取られたことは、この公約を実践されたものと大変期待をしているところであります。
そこで、現地を確認された藤井市長の感想、また支援について見解をお伺いいたします。
187 ◯ 副議長(江西 照康君)
藤井市長。
188 ◯ 市長(藤井 裕久君)
高田 真里議員の質問にお答えいたします。
私は、市長選挙の公約において6つの行政運営方針を掲げております。
今ほど申されましたとおり、その1つが、現場主義を徹底し、スピード感を持った政策実行力の向上であります。
市長や市職員が自ら現場へ出向き、ダイレクトに声を聞く体制をパワーアップすることが政策の精度を高め、より効果的に市民を支援する行政につながるというふうに考えております。
今回の梨の被害につきましては、本年5月の連休明けに担当部局から第一報を受けました。5月15日の土曜日に担当部長ら市職員と共に現場に出向いたところでございます。
現場では、呉羽梨選果場長や生産組合長さんなどから説明を受けてまいりました。
議員おっしゃるとおり、具体的には、主力品種であります幸水の満開の時期である本年4月10日、11日の霜により雌しべが凍ったことから、実ができない花が多く発生したことに加え、4月18日にはあられが降ったことから、少ないながらもついていた実にあられがぶつかり、表面が傷ついた実が多数発生したということでありました。
私も確認いたしましたが、平年であれば実がたくさんなっているはずでありましたが、今年は僅かしかなく、まさに議員おっしゃるとおりでありました。残っている実もあられがぶつかった傷がありまして、正常な実はほとんどないという状況でございました。
呉羽梨は約120ヘクタールで栽培され、生産農家数は約220戸、選果場における出荷量は平年約2,000トンの本市を代表する果樹でありますが、今回の被害は、県道富山戸出小矢部線よりも北側の比較的平地の圃場で被害が大きく発生しております。
生産者の皆さんからは、収穫量は平年の4分の1程度になるのではないか、あるいは、50年余り梨を作ってきたが、ここまでひどい被害を受けたことはなかったとか、実がついていないので今後の作業に対して意欲が湧かないなどのお話をお聞きし、被害の大きさや生産者の心情をじかに感じてきたところでございます。
私は、広く市民の皆さんから好評をいただいている呉羽梨が、今年は小売店に並ぶかどうか危惧するとともに、呉羽梨の出荷拠点であります呉羽梨選果場の運営にも多大な影響が出てくるのではないかと大変懸念しているというところでございます。
さらに選果場長によれば、これまで取引のあった中京圏、関西圏などの県外市場へ出荷できないという事態になれば、来年以降取扱いをしてもらえなくなるのではないかとの話をお伺いし、呉羽梨のブランド力が低下するという今までにない危機的な状況と考えている次第でございます。
しかしながら、前市長で呉羽地区で梨を栽培する森 雅志さん──現在、果樹見習ということでございますけれども、あられ等の被害でくぼみができた梨を「えくぼなし」という名称で商標登録を出願しておられます。このブランド化による売上げ拡大を目指すということでありますが、地元では現状を乗り越えるべく、様々な場面で頑張っておられるというようなお話もお聞きして、本当に勇気が湧いてくる次第でございます。
このこともありまして、今後の支援策につきましては、本年6月下旬から行う被害状況調査の結果等を踏まえ、県や生産者、農業協同組合等の関係機関と協議し検討してまいりたいと現在考えているところでございます。
なお、霜による被害は本市だけではなく東北地方でも発生しており、さきの参議院農林水産委員会において野上農林水産大臣が状況を注視して対応していきたいと述べられていたことから、今後、国の情報収集に努めてまいりたいと考えております。
さらに、私の公約の重要政策テーマには、スマート農業の推進による稼げる農業の実現と若手就農者の育成を掲げております。呉羽梨の栽培において、生育環境のデータ化や可視化、生産者の後を自動追随する運搬支援ロボット等のスマート農業機器の導入を現在検討しております。
このスマート農業の推進により、生産者の高齢化や担い手の減少などの課題解決に加え、生産意欲の向上など、特にやる気のある若者の就農促進にもつながるものと考えているわけであります。
いずれにいたしましても、様々な方策を通して、生産者の皆さんの心が折れることなく、希望を持って営農を継続できるよう支援しながら、呉羽梨の生産振興に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
189 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
190 ◯ 21番(高田 真里君)
市長も御覧になって地元の方々から悲痛な思いを聞かれたということで、まさに私も同じ話を聞いてきたのだなというふうに思っています。
先ほど市長答弁の中にもありましたが、実がなっていない樹木は栄養分が本来実に行くものが樹木そのものに行くので、本来は要らない樹木の作業というものが出てくると。実がなるための作業ではなく、実がつかないけれども、樹木の来年度以降のために追加でやらなければいけない作業が増えているというところにも切ない思いを感じてきたわけであります。
本年の被害は、今市長答弁にもありましたように、単年度によるもので終わらなくて、来年度以降のことも考えていかなければいけないのかなと思っています。ここ数年は梨の開花時期が早まりつつあり、ということは春先の寒暖差の影響を受けやすく、霜被害、霜対策も踏まえていかなければいけないのかなというふうに考えています。
今後の梨の管理や来年の生産に向けた市当局の見解をお尋ねします。
191 ◯ 副議長(江西 照康君)
山口農林水産部長。
192 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
今回の梨の被害が今後の生育に及ぼす影響につきましては、新しい枝が過剰に繁茂することが想定されます。これは、実が少ない木では光合成による栄養が実にたまらず、木の成長に費やされることによるもので、これを放置いたしますと、防除作業時に農薬が樹木全体に行き渡らず、病虫害が発生しやすい状態になります。このことから、今後は新しい枝を剪定する作業が例年より多く発生し、生産者の負担が大きくなることが予想されます。
また、先般の現地での選果場長や生産組合長との話合いにおいて、地球温暖化の影響で梨の開花が早まり、霜被害の影響を受けやすくなっている、あるいは霜の対策が必要であるとお聞きしております。
他県では霜の対策として、1つに、圃場で練炭や豆炭などを燃焼させる方法、2つに、薬剤を散布する方法、3つに、ファンを設置し上部から空気を送り、地表の冷たい空気を逃がす方法などの事例がございます。
このうち練炭等を燃焼させる方法や薬剤を散布する方法につきましては、県や生産者等と共にこの秋に試験を行い、その効果を検証することとしております。
いずれにいたしましても、自然相手の農業ではこのような被害がいつ発生するのか分からないことから、本市としましては、まずは生産者の皆様に収入保険や果樹共済など既存のセーフティーネットへの加入を勧めるとともに、今年度新たに発生する作業や霜などに対する有効な手段等について、県や生産者、農協等の関係機関と協議し、その支援について検討してまいりたいと考えております。
193 ◯ 副議長(江西 照康君)
21番 高田 真里君。
194 ◯ 21番(高田 真里君)
霜対策についてもこの秋に試験的に行っていただけること、また、先ほど市長答弁にもありました、国の動向を見ながら、県との連携も踏まえて、しっかりと今後の生産者に向けた対応を考えていただけるということで、よろしくお願いしたいと思います。
先ほど森前市長の「えくぼなし」の商標登録のお話が出ましたけれども、「えくぼなし」って、私は最初、「えくぼがあるのに何で?」と思ってしまったのですけれども、「えくぼなし」の「なし」は果樹の梨なのですよね。ちょっと紛らわしいなと思って混乱しそうになりましたが、勇気をいただける生産者支援だと思って、これからも頑張っていただきたいと思います。
これで質問を終わります。
195 ◯ 副議長(江西 照康君)
これで高田 真里議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
暫時休憩いたします。
午後 2時48分 休憩
───────────
午後 3時10分 再開
196 ◯ 議長(高道 秋彦君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
16番 竹田 勝君。
197 ◯ 16番(竹田 勝君)
令和3年6月定例会に当たり、自由民主党より一般質問をいたします。
まず、藤井市長にこれからの市政運営や重点政策の取組について質問いたします。
藤井市長はさきの市長選挙において、御自身の政策キャッチフレーズ「さあ、初めよう!幸せ日本一とやま!!」を実現するため、キーワードである幸せの4文字を頭文字とする市民の声が第一、あらゆる価値観を大切に、分かりやすい情報公開を、政策はスピード感を持っての4原則を掲げられました。
それに基づいて、最重要課題に位置づけるひとづくりや緊急課題の
新型コロナウイルス感染症対策、及び重要課題としての安全・安心のまちづくり、豊かさ、連携の5つのテーマを掲げ、計28項目の重点政策を打ち出されました。
加えて、市民と共に歩むリーダーになるために、4つの行動指針や6つの行政運営方針を掲げ、森市政の継承、深化を訴えて多くの市民の支持を得て、見事新市長に当選されました。
28項目の重点政策はどの程度本年6月補正予算に反映されたのか、市長の見解を伺います。
198 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長の答弁を求めます。
199 ◯ 市長(藤井 裕久君)
ありがとうございます。竹田議員の御質問にお答えさせていただきます。
私が本年4月24日に市長に就任して以来、約50日が経過したわけでございます。
現在、市の抱える課題等についてしっかりと把握するとともに、市民や企業の皆さんの声をお聞きするなどしながら、私の目指す「幸せ日本一とやま」の実現のためにはどのような施策が必要なのか検討しているところでございます。
こうしたことから、議員がおっしゃったとおり、私が政策集の重点政策テーマに掲げました政策は28項目でございます。具体的な取組につきましては、政策決定ができたものから順次提案してまいりたいと考えており、今回の6月補正予算では、いち早く取り組むべきと判断したものについて予算計上してあります。
今回予算計上いたしました事業を具体的に申し上げますと、まず重要政策テーマ「守る未来!~安全・
安心まちづくり日本一とやま」に掲げましたスマートシティ計画の策定と、その実現に向けたビッグデータ活用の推進とデータサイエンティスト人材の育成に取り組むため、本市が目指すべき将来像を描くとともに、その実現に向け解決すべき課題や解決の方向性、産学官民の役割や推進方針などについて取りまとめる、仮称でありますが、富山市スマートシティ推進ビジョンを策定する経費を計上してございます。
次に、緊急政策テーマ「コロナに打ち勝つ!~市民の命と安全、生活を守りぬく」、ここに掲げました中小企業・小規模事業者等に対する経済支援対策の推進を図るため、市独自の対策としてキャッシュレス決済ポイント還元事業や、市民を対象に宿泊料金の割引を行う市内宿泊促進事業を実施するための経費を計上しております。
また、市内宿泊者を対象に路面電車や文化施設の無料券等をつけた観光ガイドの冊子を配布するまちなか観光推進事業や、農林水産物の販売促進イベントを市内複数会場において同時多発的に開催する農林水産物ワンデージャックフェスタを実施するための経費を計上しております。
このほかにも、
新型コロナウイルス感染症への対応につきましてはスピード感を持って取り組む必要があることから、ワクチン接種の体制強化のための経費、あるいはPCR検査数の増加に対応するための経費などを計上しているところでございます。
以上です。
200 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
201 ◯ 16番(竹田 勝君)
ありがとうございました。
政策が固まり次第、本年9月の補正、そして来年3月、次年度の予算編成のときには、藤井色一色になって色濃く出てまいるのを私は大変期待を持って見守っていたいというように思っております。
次に、スケジュールやKPIなどの進捗管理を含む具体的な展開について、市長の見解をお伺いいたします。
202 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長。
203 ◯ 市長(藤井 裕久君)
先ほど柞山議員の質問にお答えしましたが、私が市長に就任してから50日余りということでございます。現在、各部局からの事業説明や現地視察などにより市政の現状と課題等の把握に努めているところであります。まずはしっかりと市政の現状を理解した上で、私が掲げた公約の実現に向けてどのような取組が必要か、少し時間をかけて検討してまいりたいと考えているところでございます。
現在の市政の最重要課題は、先ほども申しましたが、何と言いましても
新型コロナウイルス感染症から市民の命を守るということであり、市民の皆さんへのワクチン接種を着実に進めていくこと、そして、それがすなわち地域経済を支えることにも直結しているものと考えており、まずはこのことについて全力を傾注してまいりたいと考えております。
一方で、私の選挙公約に関連した事業として、今定例会に富山市スマートシティ推進ビジョン策定に関する事業費を計上いたしましたところでございますが、これは本市のコンパクトシティ政策の果実を市域全体に広く行き渡らせるためには、ICT等の技術を活用した富山市版スマートシティの実現が必要不可欠であると考え、このことにいち早く取り組む必要があると判断したためであり、本市が目指すスマートシティの方向性について、来年度を目途にビジョンとして取りまとめたいと考えております。
繰り返しになりますが、今は市政の現状や課題等を十分に把握し理解するとともに、私が掲げた公約を実現するためにはどういった事業にこれから取り組んでいく必要があるのか、このことをじっくりと検討しながら取り組んでまいるということであり、今後、正式に政策として決定したものが出てくれば、今ほど議員おっしゃったように、年度内あるいは来年度以降の予算の中で事業化を図ってまいりたいと考えております。
なお、議員から御提案のあったKPIやスケジュール感というものは非常に大切ですので、しっかりとそのことも踏まえて検討してまいります。
以上です。
204 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
205 ◯ 16番(竹田 勝君)
先ほども答弁で言われておりましたが、慌てることなく、焦ることなく、大いに公約を力強く展開していっていただきたいと思います。
さて、私は市議会議員2期目のスタートに当たり、さきの市議会議員選挙を通じて有権者に訴えた政策課題をいかに前に進め実現していくか、覚悟を新たにしているところであります。
私はこのたびの選挙に当たり、「人・まち・自然が調和する活力都市とやま」を目指して、スローガンを「富山の未来に活力を ネクストステージへ前進」を掲げました。
ネクストステージに込めた思いは、大きく時代が変わることにより政策の選択と集中が重要であり、1つ、人口減少に加え、コロナ禍により財政難の対応を余儀なくされる、2つ、森市長から新市長に代わる、3つ、私自身が2期目に向かって新しい視点で挑戦していくことでありました。
そのためのキーワードとして、均衡ある発展、地域拠点の活性化、地域共生社会の推進、官民共創社会の実現、市民の協働を打ち出し、公約として7つの政策目標を掲げました。
本定例会では、そのうち6つの政策を取り上げ関連する課題について質問いたします。
政策目標の1つは、福祉の充実、子育て支援の強化と高齢者が生きがいを持てるまちづくりです。
人生100年時代を迎え、地域包括ケアシステムの確立、福祉の充実を図ることにより高齢者が尊厳ある生き方を目指すとともに、子育て支援の強化を図り、産みたい人が産める環境を確保することであります。
私が4年前、市議会議員選挙に初挑戦した際は、「共助のまちを目指して」を最重点に地域包括ケアシステムの確立を訴えました。過去の定例会でも度々、地域包括ケアシステムや日常生活支援総合事業について質問してまいりました。
現在、同システムは、団塊の世代全てが後期高齢者となる2025年の対応を控えていますが、地域包括支援センターや民生委員など関係者の御尽力により、それぞれの地域で一定の成果を上げ、定着してきていると思っています。
地域包括ケアシステムの現状と課題について、当局の答弁を求めます。
206 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
207 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
本市の地域包括ケアシステムにつきましては、その中核機関となる地域包括支援センターを市内32か所に設置し、高齢者の総合相談支援や権利擁護、包括的・継続的マネジメントの支援、また生活支援コーディネーターの配置など、きめ細かなサービスを提供しているところでございます。
さらに、1つには、まちなか診療所による在宅医療を行う開業医のサポートや、富山市医師会による多職種の顔の見える関係づくりを目的としたエリア会議の開催など、在宅医療と介護の連携の推進、2つには、パワーリハビリテーションの実施や角川介護予防センターの運営、老人クラブへの支援や生きがいづくりの場の提供など、介護予防施策の推進、3つには、車椅子でも利用できる市営住宅やライフサポートアドバイザーなどを配置したシルバーハウジング、介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるための地域密着型サービスの介護保険施設など、高齢者の住まいの確保などについて取り組んでいるところでございます。
このように、本市ではハード、ソフト両面からの取組を進めるとともに、地域の方々と連携して、地域住民による支え合いと連動した包括的な支援体制を構築しているところでございます。
次に課題といたしましては、地域によって抱える問題が異なることに加え、介護に関することのみならず、心身の障害や生活困窮など複合的な支援を必要とする高齢者が増加しており、福祉だけではなく様々な分野の横断的な連携が必要になってきていることが挙げられます。
このことから、地域住民をはじめ様々な主体に地域包括ケアシステムを御理解いただくとともに、それぞれの地域の方々に積極的に支援活動に参画していただくことが重要であると考えているところでございます。
208 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
209 ◯ 16番(竹田 勝君)
今御答弁のありましたそれらを踏まえて、私は今回、地域共生社会の推進を声高に訴えました。
地域共生社会とは、制度・分野ごとの縦割りや、支え手、受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が我が事として捉え、人と人、人と資源が世代を超えて丸ごとつながり、子ども、高齢者、障害者など全ての人々が、地域、暮らし、生きがいを共につくり高め合う社会で、これから日本社会全体で実現が求められています。
大事なことは、誰かにやってもらうのではなく自分たちもやれる、やりたくなるものであること、そして、この取組を通じて全ての人の幸せを実現することであります。まさに市長が掲げる「幸せ日本一とやま」に通ずる社会全体のビジョン、これからの社会のありようを明確に示しているものと言えます。
福祉の分野だけでなく、産業、防犯・防災、環境、交通、教育、都市政策など、人、分野、世代を超えてつながり解決すべき課題が多くなっており、富山市民全てが地域の課題を我が事、丸ごとと受け止め、お互いに支え合い助け合って課題解決を図る仕組みであります。
地域共生社会を推進するためには、高齢者の分野で培った地域包括ケアシステムの考え方や実践を活用することが大事なポイントです。
同システムは、障害者、生活困窮者、子ども、子育て分野にも展開し、ひきこもりや孤独・孤立対策など、既存の制度による解決が困難な複合化、複雑化した課題、制度のはざまの課題に対応できる包括的支援体制の構築が求められます。
加えて、地域の様々な課題について、他人ごとではなく我が事として捉えることができる地域力の強化が必要です。
地域共生社会の現状と課題、今後の取組について答弁を求めます。
210 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
211 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
地域共生社会につきましては、今ほど議員が言われたとおりでございまして、地域包括ケアシステムの理念である必要な支援を包括的に確保するという考えを、高齢者に限らず普遍化したものでございます。
本市では、平成30年度から3か年にわたり国の地域共生社会推進モデル事業の補助金を活用し、3か所の保健福祉センターに保健、医療、福祉に関する包括的相談窓口を設置するなど、地域共生社会の推進に取り組んでまいりました。
こうした中、国では、地域住民が抱える複雑化・複合化した課題や制度のはざまのニーズへの対応に向けた重層的支援体制整備事業を新たに創設されたところでございます。
この重層的支援体制整備事業においては、分野別の支援体制では対応が困難な複合的な課題や、議員も言われたように、制度のはざまのニーズを円滑に支援するために、既存の相談支援等の取組を生かしつつ、分野、世代、相談内容に関わらない相談支援体制をはじめ、各支援機関の連携体制や必要に応じた訪問支援などのアウトリーチのほか、参加支援事業の整備等を行うこととしております。
これまで本市では、複合的な課題を抱える事例については、例えば障害がある子の親が高齢になり、介護を要する状態になった場合には、長寿福祉課や障害福祉課が中心となって、状況に応じて関係各課や地域包括支援センターをはじめ、障害相談支援事業所、社会福祉協議会など各支援機関と個別に連携を取り、支援につなげるよう取り組んでまいりました。
しかしながら、制度のはざまや多分野にわたる事例、またはそれらが複合的に重なる事例につきましては、相談先が分からない、支援機関が多岐にわたるなどの理由から、個別の連携や迅速な対応に苦慮することもありました。
こうしたことから、本市では来年度から重層的支援体制整備事業に取り組むことができるよう、今年度、部局横断的な体制や各支援機関との連携体制の整備を進めるなど、さらなる地域共生社会の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
212 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
213 ◯ 16番(竹田 勝君)
次に、地域共生社会の取組によって実現する幸せと、市長の政策キャッチフレーズである「幸せ日本一とやま」の幸せとはどのようにつながるのか、市長の見解を求めます。
214 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長。
215 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えします。
国では、少子・高齢、人口減少が進む中、経済社会の存続の危機を乗り越えるためには、一つ一つの地域の力を強化し、その持続可能性を高めていくことこそが必要であり、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、誰もが役割を持ち活躍ができる地域共生社会の実現が求められるものとしております。これは議員おっしゃるとおりでございます。
この地域共生社会との関係におきましては、本市には地域で福祉や介護に関する相談支援を担う地域包括支援センターが32か所、また、顔の見える関係で地域住民と行政職員が地域の課題解決に共に取り組むことを可能とする地区センターが79か所設置されております。
さらには、自治振興会をはじめふるさとづくり推進協議会、社会福祉協議会などの組織・団体では、地域において住民相互に支え合い、安心・安全に暮らしていけるような様々な取組を行っておられます。
本市には──これは竹田議員がいつも大事にしておられることと思いますが、地縁であります。地域のつながりが強く残っているということでありますので、地域共生社会の構築に向けた基盤ができているというふうにも感じているところであります。
こうしたことを踏まえ、本市ではこれまで3か年にわたり、地域共生社会推進モデル事業で包括的相談窓口の設置や地域づくり事業などを実施しており、今後引き続き国の重層的支援体制整備事業交付金を活用するなど、地域の力を強化し、その持続可能性を高めるため、地域共生社会の実現に向けた取組を推し進める必要があるものと考えております。
私が富山市長選挙の際に掲げました政策「幸せ日本一とやま」では、幸せの4文字から、幸せの「し」は、市民の声が第一、幸せの「あ」は、あらゆる価値観を大切にする、幸せの「わ」は、分かりやすい情報発信、そして幸せの「せ」は、政策はスピード感をもって実行するという4原則といたしております。
この4原則にのっとり、私は、自分だけで解決できない問題、このようなものを抱えておられる方々には寄り添って一緒に考える、また、声を上げられない方々には、じっくりと話を聞き、共に考え、行動する勇気を持てるように応援していく、こういうことを行動の指針としてまいりたいと思います。
また、行政の運営方針の1つとして、声を上げられない人に寄り添う仕組みを強化し、行政と市民の距離を近づけることで、課題解決力向上と市民との協働の機会を拡大することを掲げ、例えば、児童や障害者、高齢者などを分け隔てるのではなくて、AI等の技術を活用したワンストップで家族丸ごと支援する、こういうことができる相談支援体制づくりなど、市の施策の中でどのように実現していくのか、今後検討してまいりたいと考えております。
このような私の考え方は、本市における地域共生社会の実現に向けた取組と方向性が一緒であり、また、竹田議員とも方向性は一致していると思いますが、地域の複合的で複雑な問題や困り事を受け止め、必要な支援につなげることで得られる住民の幸せ、このことは「幸せ日本一とやま」につながっていくものと考えているところでございます。
以上です。
216 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
217 ◯ 16番(竹田 勝君)
さて、新型コロナウイルスの影響で、高齢者の方から集まる機会が減って寂しい、楽しみがなくなったという声を聞くなど、孤立・孤独が広がり深刻化しています。
体操教室、健康サロンなど介護予防ふれあいサークル事業の休止、縮小等、活動状況について答弁を求めます。
218 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
219 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
介護予防ふれあいサークルは、地域の高齢者が気軽に集い、交流による仲間づくりや生きがいづくりを通じて閉じこもりの予防や社会的つながりの維持に寄与するものであり、そこで行われる運動や趣味活動に参加することで介護予防の効果が期待できるものでございます。
昨年度の介護予防ふれあいサークル事業の実施申請を行った団体数につきましては、老人クラブのサークルが174団体、身近な地域に住んでいるメンバーで構成されたサークルが547団体の計721団体であり、各サークルの活動計画の内容は、体操教室やパークゴルフなどの運動、手芸やカラオケなどの趣味活動など多岐にわたるものでございました。
しかし、昨年4月の新型コロナウイルス感染拡大に係る富山県緊急事態措置の実施期間、また新型コロナウイルスの感染が拡大した冬場においては、活動を自粛せざるを得なかったことから、38団体──これは全体の5.3%でございますけれども、計画どおり活動を実施しました。しかしながら、12団体──全体の1.7%ですが、年間活動の全てを休止した、671団体──全体の93%が計画どおりの活動を実施することができなかったとの報告を受けております。
なお、計画どおりの活動ができなかった団体では、自粛期間中、地域との関わりが継続できるよう、メンバーの健康状態の把握のため声がけを行うなどの活動をしておられたところでございます。
また、今年度の介護予防ふれあいサークル事業の実施申請を行った団体数は、昨年度に比べまして64団体減の657団体であり、参加人数につきましては1,297人減の1万340人となっており、減少した理由として、
新型コロナウイルス感染症により活動が制限されることが影響したものと考えております。
220 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
221 ◯ 16番(竹田 勝君)
分かりました。
また、利用控え、在宅サービスの制限によるデイサービス、訪問看護など、介護サービス事業者の廃止、休止等、経営への影響についてお尋ねします。
222 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
223 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
昨年の
新型コロナウイルス感染症の第1波の際、介護事業所の中には、学校休業に伴うスタッフの休暇取得や感染拡大を回避するためなどの理由から、やむなく利用者の皆さんにサービス利用の自粛を要請された事業所もあったと認識をしております。
こうしたことから、令和2年4月及び5月のサービス利用に係る介護給付費は、通所系サービスが例年と比較し約2割減少したものの、その後は持ち直しているところでございます。
介護事務所の廃止、休止につきましては、令和2年4月から令和3年3月末日までに廃止届は50件、休止届は27件の計77件であり、主な理由としましては、人員の不足が約3割、利用者の減少が約2割、事業再編などが約5割となっております。
一方、同期間における新規の開設件数は81件で、介護事業所数の変化につきましては、コロナ禍にあっても例年と同様の動向となっております。
なお、令和3年度の介護報酬改定におきまして、
新型コロナウイルス感染症に対応するために、全てのサービスについて令和3年4月から9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せする報酬改定がされ、介護事業所の経営面への支援が行われているところでございます。
224 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
225 ◯ 16番(竹田 勝君)
ただいま廃止、休止、そして新規の発足ということを含めまして、件数的には大体変わらなかったということで安堵しております。
全国で介護人材が2025年度末には38万人不足すると言われています。
富山県では、医療・介護ニュースを伝えているGemMedというサイトの2年前のデータによると1,731人不足。そうすると、本市内では700人程度が不足すると推計され、毎年140人程度を確保する必要があります。このことは介護業界最大の経営リスクであり、介護従事者不足による介護崩壊を防がなければなりません。
地方自治体においては、独自の手当や奨励金を設けるなど、人材確保・定着に力を入れるところが増えています。
本市として、事業者と連携して介護人材の確保についてどのように取り組んでいくのか答弁を求めます。
226 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
227 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
介護ニーズの増大が見込まれる一方で、介護職を目指す学生の減少や離職者の増加など、福祉・介護人材の確保や定着が喫緊の課題となっております。
このため、本市では平成29年度より、介護分野の求職者と求人をマッチングする介護職場の就職説明会をハローワークと共催で年5回開催しており、平成30年度からは介護事業所の管理者や職員等を対象とした働きやすい職場づくりセミナーを年5回開催しており、こうした取組を通じまして事業者支援を行っているところでございます。
本市といたしましては、今後ともこれらの事業の継続的な実施に努めるとともに、若年層やシニア層など多様な人材の参入を促進するよう、県や関係機関、介護職養成校と連携し介護人材の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
228 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
229 ◯ 16番(竹田 勝君)
よろしくお願いいたします。
コロナ禍による雇用環境の厳しさが増す中、飲食や宿泊業に従事する非正規労働者、とりわけ女性への影響が大きく、重点的な支援が求められます。
企業が払う休業手当を国が補填する雇用調整助成金は、主に製造業で働く正社員の中短期の休業を念頭に置いたもので、非製造業のパートやアルバイトが長期に職を失う事態を想定しておりません。
休業手当を受け取れない人には
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金がありますが、周知不足で非正規労働者に十分行き渡っていないのではないかと思われます。
非正規雇用の7割近くを女性が占め、シングルマザーが失職した場合は生活困窮に直結する懸念があり、子どもの貧困や女性の孤立・孤独問題につながり、自殺増にも及んでいるのではないでしょうか。
富山市社会福祉協議会では、生活福祉資金貸付事業として緊急小口資金、総合支援資金並びに住居確保給付金などの貸付けの相談、受付を行っていますが、いっとき申請が殺到し対応に苦慮したと伺っております。
国では、コロナ禍で打撃を受けた生活困窮者らへの緊急支援策として、条件付ながら総合支援資金の返済免除や特例貸付けの拡充に加え、来月から3か月で最大30万円を給付する支援制度を始めることも打ち出しています。また、本定例会において独り親以外の低所得子育て世帯に子ども1人当たり5万円を支給する事業が補正予算に計上されています。
コロナ禍で表面化したセーフティーネットの支援の強化について答弁を求めます。
230 ◯ 議長(高道 秋彦君)
田中福祉保健部長。
231 ◯ 福祉保健部長(田中 伸浩君)
新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、休業や失業等により収入が減少し生活に困窮する世帯が増加しており、そのような方をどのように支援するのかが喫緊の課題となっております。
生活に困窮している方を支えるセーフティーネットにつきましては、議員がおっしゃられたとおり、従前より生活福祉資金貸付制度がありますが、そのうち緊急小口資金及び総合支援資金の特例貸付けや住居確保給付金については、コロナ禍による支給要件の緩和等が行われてきたところです。また、それらの相談受付窓口としては、主に議員がおっしゃるとおり、市の社会福祉協議会が担っているところでございます。
それぞれの令和2年度の状況といたしましては、緊急小口資金については3,066件で5億3,806万円の貸付けを行っており、生活に困窮する世帯に貸付けしております総合支援資金につきましては2,301件で10億4,458万円の貸付け、次に、住居確保給付金につきましては1,602件で5,422万円の支給となっております。
市社会福祉協議会による支援を受けてもなお生活状況が改善せず、生活保護が必要であると判断された方に対しましては、適切に生活保護の申請につなげているところであり、令和2年3月以降確認できるだけでも26件が生活保護につながったところでございます。
また、国においては総合支援資金の貸付けが終了を迎えたなど、市社会福祉協議会における支援制度が利用できない方を対象として、令和3年7月より新たに
新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金制度を創設することとされており、具体的には収入や資産、求職活動など、一定の要件を満たす方に対しまして3か月を限度として、単身世帯は月6万円、2人世帯は月8万円、3人以上世帯は月10万円を現金給付するものでございます。
今後につきましても、国の動向を注視しながら本支援金事業の実施に努めていくとともに、市社会福祉協議会をはじめとする関係機関と連携を密にしながら、生活に困窮されている方の自立した生活に向け、それぞれの状況に応じた適切かつ切れ目のない支援を行ってまいりたいと考えております。
232 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
233 ◯ 16番(竹田 勝君)
さて、ヤングケアラーがクローズアップされてきました。慢性的な病気や障害、精神的な課題を抱える家族の介護や世話を担う18歳未満の子どものことで、本人の通学や学業に支障が出ることが課題となっており、支援の必要が指摘されています。
国の調査では、約17人に1人の中学生が世話をしている家族がいると言われております。
本市のヤングケアラーの現状と対応についてお尋ねいたします。
234 ◯ 議長(高道 秋彦君)
大沢こども家庭部長。
235 ◯ こども家庭部長(大沢 一貴君)
今般、厚生労働省と文部科学省が連携し、国において初めて中学生や高校生を対象とした全国規模のヤングケアラーに関する調査が実施され、本年3月に結果が公表されました。
この調査は、全国の公立中学校1,000校と全日制の高校350校、定時制高校47校等を無作為抽出し、それぞれ在籍する2年生──約17万人──を対象に実施されたものであります。
その結果では、議員からも御紹介がありましたように、「世話をしている家族がいる」と答えた中学生は5.7%でおよそ17人に1人、高校生は4.1%でおよそ24人に1人となっております。
また、ヤングケアラーの認知度も低く、「聞いたことはない」が8割を超えており、子ども自身や保護者を含めて、まだヤングケアラーの概念が浸透していないことが浮き彫りとなっております。
なお、この調査における自治体ごとの結果につきましては公表されておりませんので、本市の状況は分かりませんが、国においては地方自治体に対し実態調査を行うよう促すことを検討しておられます。
一方、本市と警察や児童相談所など34の機関で構成する要保護児童対策地域協議会では、令和2年度にヤングケアラーと思われる子どもを2名把握し、保健福祉センターや教育委員会をはじめ学校や病院、児童相談所などと連携した支援により、現在は学校に通学できるようになっております。
今年度も数名を把握しており、関係機関と支援方針や役割分担を決めるケース会議を開催しながら、必要な支援を行うこととしております。
本市といたしましては、子どもの人権を守り、子どもらしい暮らしが損なわれないよう、福祉や介護、医療、教育等の関係機関がヤングケアラーについて正しい理解を深め、ヤングケアラーの視点を持って早期に発見し、適切な支援につなげてまいりたいと考えております。
236 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
237 ◯ 16番(竹田 勝君)
さて、3つは、若者たちが未来の可能性を確信できる産業・文化のまちづくりです。
5GやAI時代を迎え、技術開発基盤、大学等の研究機関を充実・強化し、素粒子物理、デジタル技術、医療、素材産業等を集積し上場企業を育成するとともに、伝統文化に加えて若いクリエーターの活動を支援し、最先端文化を発信することが求められます。
富山は進取の気性があるとよく言われたものですが、この頃ほとんど聞かれなくなりました。長らく市内企業のIPOはなく、県内でも3月に上場した魚津市の株式会社シキノハイテックは久々で、誠におめでたい限りでございます。
県内経済においては、近年のGDPの伸び率は全国や近隣県に比べて伸び悩み、開業率も低く推移していると言われています。
市内の優秀な若者は東京を主に県外の大学に進学し、多くは官庁、大企業等に就職しますが、一部の若者はベンチャー企業に入社または起業するなどして富山には戻ってきません。富山には保守的な風土が残り、わくわく感が乏しく、人材のレベルアップができていないからではないかと危惧しています。
UIJターンを促進するためにも、若者たちが未来の可能性を確信できる産業を強化しなければなりません。
デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラル分野に取り組むのはもとより、データサイエンスの重要性は増すばかりで、ITエンジニアの大量育成も喫緊の課題です。「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムも動いており、富山大学は熊本大学と、アルミニウムなど軽金属を扱う国内初の研究組織を設立しました。昨年4月には、富山大学と東京大学宇宙線研究所は、大型低温重力波望遠鏡KAGRAの本格運転及び観測を始めるに当たり、共同研究でもたらされるサイエンスと教育的効果の重要性を認識し、緊密な連携を行うため新たに覚書を締結しました。
若者たちにとって魅力的で、未来の可能性を確信できる、わくわくする産業の創造について答弁を求めます。
238 ◯ 議長(高道 秋彦君)
大場商工労働部長。
239 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
本市では、ベンチャー企業の育成や新産業・新事業の創出を支援するため、富山市新産業支援センターや四方チャレンジ・ミニ企業団地、とやまインキュベータ・オフィスといった創業支援施設を設置しており、これらの施設には30代や40代の若い経営者も入居され、今後成長が期待される次世代型産業等の事業化に取り組まれております。
特に新産業支援センターの入居者の中には、大手企業との共同研究に取り組まれる方や、大学の教授や学生と共に新商品の開発等に取り組まれる方もおり、学生にとっても貴重な経験を得ることができる場となっております。
また、この3つの創業支援施設をこれまで174事業者が卒業され、うち116事業者が事業を継続されており、四方チャレンジ・ミニ企業団地を卒業された事業者の中には、当施設をステップとしてさらに事業を拡大され、市内の企業団地に入居された方もおられます。
さらに、昨年9月には富山駅前のCiCビル3階に、産学官民の交流や共創──ここで言う共創は共に創るという意味でありますけれども──共創活動の拠点であるSketch Labを開設したところであります。
本施設は、ビジネス交流機能を有するコワーキングスペースとして、市内の若手の起業家や経営者を中心に構成する官民連携組織によって運営されており、若者をはじめとする多様な主体による交流・共創を促すことで新たなビジネスの創出を図ることとしております。
また本市には、医薬品や電子部品、機械関連産業等の製造業が多数立地しており、中には航空機のエンジン部材を最先端のセラミック素材で製造し、その製品を海外にも提供する企業も操業されております。
このように、本市には製造業を中心とした産業集積を背景に多様な企業が立地していることに加え、産学官連携によるベンチャー企業の育成に適した環境が整っており、若い世代にも本市の産業における未来の可能性を感じることができるものと考えております。
本市といたしましては、今後とも大学や経営支援機関等と連携しながら、事業者の経営基盤の強化や持続的発展への支援はもとより、新たな産業の育成やさらなる企業誘致に努め、様々な事業者が独自の特色や魅力を発揮できるような環境を整備することで、若者がわくわくするような「産業都市とやま」を目指してまいりたいと考えております。
240 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
241 ◯ 16番(竹田 勝君)
また、高度人材育成に重点投資して、例えば2040年までに市内企業10社をIPOさせることを目標に掲げることについて答弁を求めます。
242 ◯ 議長(高道 秋彦君)
大場商工労働部長。
243 ◯ 商工労働部長(大場 一成君)
近年、AIやIoT等の急速な進歩により社会経済情勢が大きく変化していることから、本市では、先端技術の導入とそれに対応できる高度なスキルを持った人材の育成、新産業・新事業創出への支援など、様々な施策を実施しております。
まず、先ほども申し上げましたように、研究開発型ベンチャー企業等支援施設として設置した富山市新産業支援センターでは、大学や大手企業との共同研究により先端技術の開発に取り組んでいる事業者も入居され、医薬バイオやIT、ナノテク、環境など、今後成長が期待される分野において新技術や新商品の研究開発に取り組まれております。
また、先端技術を活用できる人材の育成については、東京大学ものづくり経営研究センターの協力の下、市内企業の製造現場の方々を対象にものづくり改善インストラクター養成スクールを開講し、AIやIoT等の先端技術の活用をはじめ、工程・品質管理、作業改善などの幅広い分野で、ものづくりを改善し生産効率を高めることができるリーダーの育成に取り組んでおります。
さらに、企業経営の中核を担われる方々の経営能力の向上を図るため、とやま経営実践塾を開催し、データから改善点を明確にして利益を生み出す手法や人材育成の重要性を学んでいただいております。
一方、富山大学においては、ビッグデータ等を分析・解析し問題解決を行うデータサイエンティストの養成に力を入れておられ、令和2年度から全ての学部学生を対象に一貫したデータサイエンス教育を行い、社会に貢献できる人材の育成を目指しておられます。
こうした中、東京証券取引所等に新規上場する企業数に目を向けてみますと、北陸3県は全国の他の地域よりも少ないと言われており、例えば2015年度から2020年度までの県内における新規上場件数は4件、うち市内は2件という状況であります。
各企業が事業規模を拡大され株式の上場を行われるか否かについては、経営者の判断に委ねられるものであることから、本市として企業の新規上場、いわゆるIPOの目標数を設定することは難しいものと考えておりますが、市内にはこれまで電子部品や精密機械、医薬品などの分野で、ベンチャー企業から成長し新規上場に至った企業も多数あり、本市経済の活性化や雇用の拡大に貢献されております。
本市としましては、こうした富山市を代表する企業の後に続くベンチャー企業の成長や新規上場を期待しており、県をはじめ大学や経営支援機関等と連携を図りながら、今後とも高度な専門人材の育成をはじめ、経営能力の向上や新産業・新事業創出の支援に努めてまいりたいと考えております。
244 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
245 ◯ 16番(竹田 勝君)
ぜひお願いいたします。
4つは、次代を担う心豊かな子どもたちを育むまちづくりです。
世界に羽ばたく子どもたちや地元に根づきふるさとを盛り上げる子どもたちに、実のある学校教育、家庭教育、社会教育により、豊かな感性、安定した情緒及び高い志を育むことです。
そのためには、ふるさと教育によるふるさと愛が不可欠であり、中学校までに地元地域に対する愛着、誇りを育てることが必要です。
学校選択制により、この春、私の地元、月岡小学校を卒業した47名のうち、月岡中学校に進学したのは35名で、実に12名の生徒、26%が他校区の中学校に進学しており、大事な時期に十分なふるさと教育が行き届いていないと、このように思っております。
中学校の学校選択制については前市長は、私の発案であり、県外からの転勤者の人のために旧市内の有力中学校へ進学を可能にすることも思惑にあったと答弁されています。
工場進出が目覚ましく、確かな経済成長が期待でき、生徒数の減少も緩やかであった当時とは社会状況もさま変わりしています。
義務教育でありながら学校間格差につながる学校選択制は、本質的な教育論から外れ、今まで選択制で進学していた学校と統合することもあり得る学校の再編統合を控え、今こそ再検討するよいタイミングだと思います。
中学校の学校選択制の見直しについて答弁を求めます。
246 ◯ 議長(高道 秋彦君)
金山教育委員会事務局長。
247 ◯ 教育委員会事務局長(金山 靖君)
本市におきましては、保護者や子どもの多様な希望、価値観に応えるとともに、特色ある学校づくりや開かれた学校づくりを推進するため、平成20年度の入学生より中学校の学校選択制を導入しております。
令和2年度に学校選択制を活用して通学区域外から中学校へ入学した生徒は202名であり、全入学者数3,350名に占める割合は6.0%となっております。
学校選択制実施の効果といたしましては、1つに、子どもが自ら希望した中学校へ進学することで、中学校生活への自主的・主体的な心構えが育ってくること、2つに、希望した部活動があるなど、より自分に合った学校に通学できること、3つに、各学校が選ばれる学校を目指すことで教職員が切磋琢磨するようになるなど、創意と工夫のある学校づくりが推進されることなどが挙げられます。
また、令和2年7月、市内全ての中学校1年生を対象に行ったアンケートでは、97.5%が「この中学校に入学してよかった」と回答しており、制度開始以来、毎回97%台を維持していることから、学校選択制が定着して受け入れられており、その実施が現状としましては新入生にとって充実した学校生活につながっているものと考えております。
さらに、入学生のアンケートに加えて、令和元年度の中学3年生を対象としたアンケートにおきましても、全体として94.7%、区域外生徒はそれを上回る95.1%が「この学校に入学してよかった」と回答しており、いずれも高い満足度を示しております。
こうしたことから、市教育委員会といたしましては、学校選択制につきましては今後もアンケート結果などを参考にしながら実施してまいりたいと考えております。
248 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
249 ◯ 16番(竹田 勝君)
ちょっと残念なのですが、アンケートについては、本当は父兄とかそんなのではなくて、教員、その者が一番教育現場に携わっておりますので、そういうことにも拡大すればいいのではないかと私は思っております。
5つは、安全・安心のまちづくりでございます。
コロナ禍にあっても、地震、豪雨、台風等の自然災害は容赦なく襲ってきます。最近では誰も経験したことのない規模の災害も常に想定する必要があります。
新型コロナウイルス感染症対策を前提とした避難誘導、避難所の運営が求められます。また、
新型コロナウイルス感染症で自宅療養する人が避難を余儀なくされた場合、安全な移動や避難所での感染対策が的確に行われるのかどうかが課題として挙げられます。
改正災害対策基本法では、高齢者や障害者の避難方法を個々の状況に応じて事前に決めておく個別避難計画作成を市町村の努力義務としています。
新型コロナウイルス感染症療養者もこうした災害弱者と同様な事前準備が必要です。
地域防災計画や避難所運営マニュアルに
新型コロナウイルス感染症対策が反映されているのか答弁を求めます。
250 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
251 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
災害対策基本法では、市町村及び都道府県の地域防災計画は、国の防災基本計画に基づき防災会議が作成し、必要があると認めるときはこれを修正しなければならないとされております。
国では、令和2年5月に防災基本計画を修正し、
新型コロナウイルス感染症対策などが盛り込まれたところであり、これを受け、県が本年3月に県地域防災計画を修正されたことから、本市ではその内容を反映した地域防災計画修正案を来月開催予定の富山市防災会議に諮り、本年7月末頃の公表を予定しております。
なお、避難所運営マニュアルにつきましては令和2年7月に改定を行い、
新型コロナウイルス感染症等対策編を新たに追加したところであります。
252 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
253 ◯ 16番(竹田 勝君)
また、
新型コロナウイルス感染症の自宅療養者の避難について答弁を求めます。
254 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
255 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
国では、本年5月に防災基本計画を修正し、
新型コロナウイルス感染症を含む感染症の自宅療養者等に対する避難や情報共有などについて追加されたところであります。
この中で自宅療養者等の被災に備え、1つに、保健所は平常時から防災担当部局との連携の下、ハザードマップ等に基づき危険エリアに自宅療養者等が居住しているか確認を行うよう努める、2つに、保健所は防災担当部局との連携の下、自宅療養者等の避難に向けた具体的な検討・調整を行うとともに、必要に応じて避難の確保に向けた情報を提供するよう努める、3つに、保健福祉担当部局は、自宅療養者等が指定避難所に避難する可能性を考慮し、防災担当部局に対し避難所の運営に必要な情報を共有するなど、市町村があらかじめ取り組むべきことが示されたところであります。
本市といたしましては、今後、福祉部局と連携し、自宅療養者等の避難方法や情報の伝達方法などについて協議を行い、自宅療養者等の避難先を確保することで速やかに避難できるよう努めてまいりたいと考えております。
256 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
257 ◯ 16番(竹田 勝君)
6つは、豊かな自然と環境を守るまちづくりでございます。
先頃、国のほうでは2050年までの脱炭素社会実現を目指した改正地球温暖化対策推進法が成立しました。
再生可能エネルギーの導入拡大に向け、自治体が促進地域を設ける制度を創設し、温室効果ガスの削減とともに地域活性化につなげる方針です。
来年4月施行が見込まれる改正地球温暖化対策推進法にうたう地域脱炭素化促進事業にどのように取り組むのか、答弁を求めます。
258 ◯ 議長(高道 秋彦君)
杉谷環境部長。
259 ◯ 環境部長(杉谷 要君)
本年5月に改正されました地球温暖化対策の推進に関する法律では、脱炭素社会の実現に向け、事業者が再生可能エネルギーを利用した施設の整備を行い、温室効果ガス排出量の削減に取り組む地域脱炭素化促進事業が創設されたところであり、市町村は地球温暖化対策の実行計画において、1つに、地域脱炭素化促進事業を実施するための目標及び実施する区域、2つに、区域内において整備する地域脱炭素化促進施設の種類及び規模、3つに、施設の整備と併せて実施すべき地域の環境保全のための取組などを定めるよう努めることとされております。
なお、事業者が地域脱炭素化促進事業の申請を行った場合、市町村は実行計画に適合していれば認定を行い、当該認定を受けた者に対しては、自然公園法や廃棄物処理法などの関係法令の手続についてワンストップ化などの特例措置が設けられることとなっております。
さらに今回の法改正では、地域脱炭素化促進事業に対して市町村が積極的に関わり、地域内の合意形成を円滑に図る旨が定められていることから、地域の脱炭素化を推進する上で大きな意義があるものと考えております。
地域脱炭素化促進事業の具体の認定方法や促進区域の設定などに関する詳細につきましては現時点で明らかになっていないことから、本市といたしましては国の動向を注視するとともに、引き続き官民が連携し、地域が一体となってゼロカーボンシティの実現やSDGsの推進に取り組んでまいりたいと考えております。
260 ◯ 議長(高道 秋彦君)
16番 竹田 勝君。
261 ◯ 16番(竹田 勝君)
最後は、農業の担い手確保と多面的機能が持続可能なまちづくりであります。
この4年間、農業の担い手確保を言い続けてきましたが、あまり進展せずに、私が見聞することが多い地元、富南地区においては耕作放棄地が見る見る増加しています。
このほど公表された2020年の農林業センサスによると、本市の農業の経営体数は3,565経営体で、5年前の調査に比べて1,374経営体減少しました。
どうやって担い手を確保していくのかということでございますが、やはり大規模農業法人の充実・強化や中小・家族経営の継承、加えて農協が主体になった大規模農業法人の新規立ち上げや農作業受託会社の業容拡大をすることも必要だと思っております。
私の住んでいる近隣の5つの町内では、農業の後継者が不在で、かつ50年前に基盤整備を行いましたが、用排水路、農道などが老朽化していることから、担い手を確保するためにも、農地整備事業により60ヘクタールほどの農地を1ヘクタールの圃場に大区画化し、スマート農業や生産性の向上が可能な農地環境を整えようとしております。
受皿として農協が主体になり担ってほしいと要望しており、農協も現在の農業や地域の状況を考えると変わらざるを得ないと思うのであります。
担い手確保の有効性のある具体な対策について答弁を求めます。
262 ◯ 議長(高道 秋彦君)
山口農林水産部長。
263 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
2020年農林業センサスでは、本市の農業経営体数は、議員御指摘のとおり、5年前と比べて約28%減少しております。一方、農業法人経営体数は129経営体と、5年前と比べ約20%増加しております。さらには、1経営体当たりの平均耕地面積は3ヘクタールと、5年前に比べ約36%増加しております。
これにつきましては、本市が農業法人設立支援事業などの県事業の活用や経営拡大等に適した農業制度資金の紹介等により、個人や集落営農組織等の法人化を推進するとともに、企業等農業参入相談窓口等により……
264 ◯ 議長(高道 秋彦君)
山口部長に申し上げます。
質問時間を超えましたので、答弁は簡潔にお願いします。
265 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
広く法人に対する支援を実施してきたことも1つの成果であり、本市においても農業経営の改善が一定程度図られてきたものと考えております。
農業担い手の確保といたしまして、1つに、認定農業者の掘り起こしや経営改善などの指導などを行ってきております。さらに新たな対策といたしまして……
(発言する者あり)
266 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
いずれにいたしましても、本市としましては、従来からの対策の継続に加え新たな対策を講じることで、実効性のある取組を進めてまいりたいと考えております。
267 ◯ 議長(高道 秋彦君)
質問時間を超えましたので、これで竹田議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
15番 岡部 享君。
268 ◯ 15番(岡部 享君)
令和3年6月定例会に当たり、立憲民主市民の会より一般質問を行います。
最初に、消雪装置に関する質問をいたします。
これから夏に向かう時期に雪に関する質問かと思われるかもしれませんが、冬季に備え、消雪装置に関連した質問を行っていきたいと思います。
本年1月7日から10日にかけて記録的な大雪に見舞われ、公共交通機関などに大混乱が生じ、市内幹線道路では大型トラックなどのスタックにより終日にわたり渋滞が発生、市民生活に大きな影響を及ぼしたことは記憶に新しく、本年3月議会では各会派から地域防災計画の見直しをはじめ雪害の対策など様々な質問がされ、建設部から大雪に対する課題や対応について答弁がされています。
また、消雪装置に関連しても、降雪量が地下水による消雪能力を超え、路上に大量の積雪が残る路線が発生したとの報告もされています。
そこで、昨年度の大雪に対する消雪装置の状況や本市の対応等についてお聞きいたします。
まず、昨年度の大雪に伴い、本市及び消雪管理組合等が管理する消雪装置の稼働状況においてどのような問題が発生したのか、また、発生した問題点への対応と今後の対策についてお聞かせください。
269 ◯ 議長(高道 秋彦君)
当局の答弁を求めます。
舟田建設部長。
270 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
岡部議員の御質問にお答えいたします。
昨年度の大雪では、本市が管理する消雪装置332か所において、計24か所の故障や動作不良が発生いたしました。
その原因と箇所数につきましては、地下水位の低下によるものが8か所、降雪センサーの故障によるものが3か所、降雪センサーへの着雪により降雪を感知できなかったものが11か所、ポンプの故障によるものが2か所となっております。
これらの不具合のうち、地下水位の低下やポンプの故障などによる4か所については早期の復旧が困難であったため、近隣の除雪業者による機械除雪で対応いたしました。
また、降雪センサーへの着雪による感知不良につきましては、地域住民などからの通報を受けた職員が速やかに現地に向かい、降雪センサーに付着した雪を取り除き動作不良を解消いたしました。
なお、消雪管理組合等が管理する消雪装置につきましては、消雪装置の占用許可条件において消雪管理組合等が運用及び維持管理を行うこととなっていることから、その稼働状況について本市では把握しておりません。
今後の対策といたしましては、本市が管理する消雪装置において早期の復旧が困難であるポンプの故障などに備え、機械除雪で対応するためのバックアップ体制の構築を行うこととしております。
さらに、消雪装置の不具合を迅速に把握し対応するため、本市のセンサーネットワークを活用した消雪装置遠隔監視装置の設置を検討してまいりたいと考えております。
271 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
272 ◯ 15番(岡部 享君)
本年3月議会でも、消雪装置が整備されていても道路に積雪が残るということで、それらを補うための除雪業者の確保、バックアップ体制というものが言われているわけですけれども、いわゆる町内会から故障で除雪機械の出動要請という要求があったのかと。それに対して直ちに対応ができたのかどうか、その辺についてもお聞かせください。
273 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
274 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
昨年度の大雪では、本市が管理する消雪装置の故障等により機械除雪に切り替えた箇所は4か所あり、そのうち市から機械除雪の出動命令を出した後で町内会から除雪機械の出動要請があった箇所は1か所ございました。
なお、消雪管理組合等の管理する消雪装置の故障による除雪機械の出動要請はございませんでした。
275 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
276 ◯ 15番(岡部 享君)
先ほども少しお話がございましたが、センサーネットワークによる消雪装置の遠隔監視実証実験というものを実施しておられるわけですけれども、この装置の設置の本来の目的とか、あるいは今後対象となる消雪装置はどのような消雪装置なのかお聞かせください。
277 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
278 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
センサーネットワークによる消雪装置遠隔監視装置の設置目的につきましては、消雪装置が故障した場合に職員が現地へ向かわなくても、庁内でのモニター監視により稼働状況や故障原因を特定できることから、消雪装置の復旧や修繕依頼等の時間短縮を図り、道路交通への影響を最小限にすることであります。
今後は、緊急通行確保路線や主要な幹線道路などの消雪装置に順次設置を検討してまいりたいと考えております。
279 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
280 ◯ 15番(岡部 享君)
ということは、市が管理する消雪装置について遠隔でコントロールすると、こういうことなわけですね。
昨年度の大雪で具体的に遠隔監視装置でどのような成果あるいは問題点が確認できたのか、あるいは問題点に対する今後の対応についてお聞かせください。
281 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
282 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
今回の実証実験は、遠隔監視装置が気温の著しい低下や吹雪などの自然環境において正常に作動し、ポンプの故障や地下水位の低下などの情報の通信が正常に行われるかを市内7か所において検証したものであります。
検証結果につきましては、いずれの箇所も正常に作動しましたので、問題点はなかったものと考えております。
なお、今回の実証実験において消雪装置の停止及び原因となった地下水位の低下を1か所確認し、機械除雪への切替え準備をしておりましたが、程なく地下水位が回復したため出動要請は行いませんでしたが、このような場合に迅速に機械除雪への切替え準備を行えたことは、設置目的でもある消雪装置の故障時への対応時間の短縮につながることも確認できたところであります。
283 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
284 ◯ 15番(岡部 享君)
復旧など迅速な対応が可能になるということでありますから、今後は住民サービスの向上ということになることをさらに期待したいというふうに思っております。
次に、市が管理する消雪装置についてお聞かせください。
本市には、市が管理する消雪路線、それから自治会等で管理する消雪路線、さらには宅地開発業者が自己資金で設置された消雪路線がありますが、市が管理する消雪路線の設置基準についてお聞かせください。
285 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
286 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
本市の消雪装置の設置基準につきましては、国の交付金事業の対象となる緊急通行確保路線などの幹線道路に適用する基準と、市の単独事業で行う生活道路などを対象とした基準があります。
国の交付金事業の対象となる道路につきましては、1つに、日交通量が概ね300台以上の道路で、道路交通の確保が特に必要であるもの、2つに、日交通量が概ね150台以上の道路で、雪寒指定道路に指定されている一般国道、または県道の代替路線または連絡道路であること、3つに、日交通量が概ね150台以上の道路で、官公庁、停車場、病院、学校等の公共施設に通ずる路線であること、4つに、バス路線であることなどのいずれかの条件を満たす国土交通大臣が指定する雪寒指定道路となっております。
また、市の単独事業の対象となる道路につきましては、1つに、幅員9メートル未満のバス路線、2つに、幅員6メートル未満で人家の連檐した延長500メートル以上の道路で、国道、県道の代替と考えられる路線、3つに、幅員6メートル未満で人家の連檐した延長200メートル以上の道路で、幼稚園、保育所、小学校、中学校に接続する道路などの条件を満たす道路となっております。
287 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
288 ◯ 15番(岡部 享君)
今の基準はいろいろ細かいところがあるので、これという形ではお話はできないわけですけれども、例えば旧道というふうに一般的に言われていますが、交通量の多い市道に対して関係の町内会や自治振興会から消雪装置の設置という要望もあろうかと思いますが、ここ過去5年間における消雪装置の要望箇所数と、このうち市が事業着手した箇所数、恐らく市単独の部分だろうというふうに思いますが、その箇所数についてお聞かせください。
289 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
290 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
過去5年間における消雪装置設置要望箇所数は、平成28年度は13か所、平成29年度は4か所、平成30年度は5か所、令和元年度は2か所、令和2年度は4か所の計28か所となっております。
このうち、町内会等から要望もいただいている、国の交付金の対象となる緊急通行確保路線などである草島東線や青島小倉線など、4か所の整備を進めております。
291 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
292 ◯ 15番(岡部 享君)
結構要望箇所が多いというふうに思っています。事業着手は4か所ということですから、比較したらかなり少ないのかなというふうに思っております。順番ということもあるだろうと思いますし、交付金の関係もあると思いますが、要望があるものに対して設置していない箇所について、主な理由というのはどういうものがあるのかちょっとお聞かせください。
293 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
294 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
本市では、市民生活への影響を踏まえ、緊急通行確保路線などの主要な幹線道路への消雪装置の設置を優先的に行っているため、町内会等から要望がある消雪装置の設置については現在行っておりません。
その主な理由といたしましては、1つに、町内会等からの要望については交通量の少ない生活道路がほとんどであること、2つに、市民生活への影響や限られた財源の中で設置を検討した場合に、交通への影響が大きい主要な幹線道路と比べ優先度が低いことなどの理由から設置をお断りしているところであります。
また、これまでも市へ要望された町内会等へは、富山市消雪装置設置補助金制度の活用を働きかけているところでありますが、今後とも、この補助制度について自治振興会や町内会等に広く周知してまいりたいと考えております。
295 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
296 ◯ 15番(岡部 享君)
確かに町内会からの要望を全て聞いているというわけにはいかないというふうに思っていますが、私がよく聞く話は、町内会以外の方が非常によく通るとか、先ほども言いましたように、昔の道路でそこが非常に交通量が多いというようなことから、これは本当に町内でつけなければならないのかどうかというような話も多々あるわけでありまして、なるべくそういうような何らかの理由が考えられるわけで、状況の把握など丁寧な対応をぜひお願いしたいなというふうに思ってもおります。
続いて、消雪装置更新に伴う補助金についてお聞きをいたします。
消雪管理組合等が所有する消雪装置の老朽化がかなり富山市内で進んでいるやに思います。
管理組合等では更新費用に苦慮しているというお話をお聞きしていますが、現在の補助金交付の具体的な考え方についてお聞かせください。
297 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
298 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
本市では、消雪管理組合等が設置する消雪装置は市の除雪費の削減にもつながることから、その設置費用や更新費用について、一定の条件の下、補助金を交付しているものであります。
お尋ねの消雪装置の更新における補助金交付の具体的な考え方につきましては、ポンプなどの揚水施設は15年、配管類などは30年とした消雪施設の耐用年数を基に補助対象となる更新時期を定めているほか、消雪装置の規模に応じて250万円または500万円とした補助金の上限額を定めているところであります。
また、更新の補助回数につきましては、市町村合併以降、消雪装置の新設に係る申請が増加したことから、当面は新設を優先することとし、平成18年4月の要綱改定により更新の補助を1回限りとしたものであります。
299 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
300 ◯ 15番(岡部 享君)
市のホームページで更新の場合の補助金は1回限りというふうに記載してあるのを見たわけですけれども、中には消雪施設、揚水施設、両方合わせて1回かという理解をしている人もおりまして、これはそれぞれに1回ということで、できれば記載を変更していただければというふうに思っています。
では、このことに関連して、平成30年12月議会において我が会派の東議員が質問をいたしましたが、消雪管理組合等が所有する消雪装置への補助金交付を、1回限りの制度の見直しに対し、更新の定義づけや補助の在り方などについて調査・研究をしてまいりたいと答弁をされておりますが、調査・研究の結果についてお聞かせください。
301 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
302 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
今ほど議員からもありましたように、平成30年12月議会において東議員より御質問をいただいた消雪装置の更新に対する補助制度に関し、豪雪地帯である県内外の29自治体を対象として調査を実施したところ、長岡市においては更新補助の回数や工事費の限度額などの制限は設けておられませんでした。
また、金沢市及び滑川市では、更新補助の回数制限を設けていませんが、工事費の上限額を設定しているほか、軽微な修繕工事等を除くために100万円以上の更新工事を補助対象とされております。
一方で、上越市や福井市などにおいては、地域で設置する消雪装置に対する補助制度は設けられておりませんでした。
このように、調査を実施した29自治体においては、消雪装置の更新に対する工事費の限度額を定めている自治体や補助制度を定めていない自治体などがありましたが、更新回数の制限を明確に定めている自治体はないということが確認できたところであります。
303 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
304 ◯ 15番(岡部 享君)
そういう意味では、消雪装置の円滑な更新といいますか、先ほど部長が言われたように、昨年度の大雪の際、消雪装置が非常に機能したという中で、除雪費に対する費用削減にもつながったというふうにも思いますので、この1回限りの交付、これは町内によってはいつ使ったらいいのかというタイミングが非常に難しいということも言われています。
できれば私は、250万円とか500万円とかという上限額は決めておられますので、その上限まで利用できるように見直すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
305 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
306 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
先ほども申し上げましたとおり、本市ではこれまで消雪装置の新設を優先するため、更新に対する補助を1回限りとしておりましたが、近年の補助申請内容では、令和元年度は消雪装置の更新が19件、新規が1件、令和2年度は7件全てが更新、今年度の予定につきましても7件全てが更新となっております。
今後は、この補助制度を活用して設置された消雪装置が更新時期を迎えるため、さらに更新に対する補助申請の増加が想定されることから、更新の補助の回数制限や上限額までの補助などについて引き続き検討してまいりたいと考えております。
307 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
308 ◯ 15番(岡部 享君)
この数字からいうと新設がかなり減ってきているという意味も含めれば、今、更新というそういうタイミングに来ている、このことを重視して引き続き検討をお願いしたいと、こういうふうに思っていますので、よろしくお願いします。
それでは次に、奥田団地の今後の対応について質問をいたします。
奥田団地は、1号館が昭和41年、それから昭和42年に2号館、昭和43年に3号館が建設されました。1階はアーケードつきの商店街で、冬でもげたを履いて買物に行けるということから、げた履き団地の愛称で奥田地域のにぎわいの場としても親しまれてきています。
およそ10年前の平成22年には、老朽化に伴って耐震補強工事の方針が市で決定をされました。そして住民説明会や一時移転の意向調査も行われましたが、結果、耐震工事は実施されず、以降、新規の入居も停止となり、現在ではおよそ3分の2以上が空き室、1階の店舗はシャッター街という状態になっております。
森前市長は、とにかく一時的に退去していただかないと何もできないと。本音は建て替えたい。また、昨年9月議会でも、一時移転に同意していただけない方々を中心に、嫌がられるくらい足を運ぶよう建設部に指示をしたとの答弁をされています。
ついては、その後の取組状況や現状等についてお聞きします。
まず入居状況について、令和2年7月現在、住宅の入居世帯数は70世帯、店舗数は17店舗とのことでしたが、令和3年4月現在の各棟の住宅と店舗別の入居数についてお聞かせください。
309 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
310 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
本年4月末現在の各棟の住宅と店舗の入居数につきましては、1号棟は住宅が15世帯、店舗が7店舗、2号棟は住宅が29世帯、店舗が4店舗、3号棟は住宅が20世帯、店舗が5店舗となっております。
311 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
312 ◯ 15番(岡部 享君)
住宅で6戸、それから店舗で1店舗が減ったということなのですけれども、これはこの間のいろんな取組だというふうに思っていますが、そんなに減ったなという感じはしていません。
では、令和元年度に続いて、令和2年度において奥田団地のコンクリートの劣化調査を実施するというふうにお聞きをしていましたが、調査結果とその見解についてお聞かせください。
313 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
314 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
令和元年度から令和2年度にかけて、各棟のコンクリートの劣化状況を調査するため、圧縮強度や中性化、アルカリシリカ反応などの試験を実施いたしました。
コンクリートの圧縮強度につきましては、基準値が18ニュートン毎平方ミリメートル以上のところ、各棟から採取したコンクリートコアの値は23.4から27.5ニュートン毎平方ミリメートルであり、いずれも基準を満たす結果となりました。
また、コンクリートが大気中の二酸化炭素と反応し、本来のアルカリ性から中性化していく進行度合いを測定する中性化試験につきましては、中性化している範囲の基準値が表面から30ミリメートル以内のところ、1号棟と3号棟では30ミリメートル近くに達する箇所が確認され、さらに中性化が進めば、コンクリート内の鉄筋の発錆や腐食による強度劣化が生じる可能性があるという結果となりました。
さらに、コンクリート内でアルカリ成分と反応しひび割れの原因となる有害鉱物の残存膨張率を測定するアルカリシリカ反応試験では、残存膨張率の判定基準が0.1%未満は無害、0.1%以上0.2%未満は無害と有害の両方が存在、0.2%以上が有害とされており、その試験結果については、1号棟が0.13%、2号棟が0.52%、3号棟が0.14%となっており、値が顕著な2号棟をはじめ各棟ともに判定基準を超えていることから、将来にわたりコンクリートのひび割れが進展する可能性があるという結果となりました。
今回の調査結果では、基準を満たしている結果と劣化が進んでいる結果が混在し判断が難しいことから、今後は建物構造などの学識経験者に意見を伺いながら対応を検討してまいりたいと考えております。
315 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
316 ◯ 15番(岡部 享君)
これは昨年9月の議会ですが、森前市長は、もしも今の状態で大きな地震が起きて崩れて亡くなられたりすると、対応について市に不作為が問われるおそれがあるということで、もっと高頻度で一軒一軒回るくらいのことで意向調査をするように指示をしたとのことでした。
意向調査の結果についてお聞かせください。
317 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
318 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
これまで入居者全員の同意が得られず建物の耐震補強工事が実施できない中で、大地震により建物が倒壊した場合の人的被害を防ぐ観点から、入居者の住み替えや店舗移転を促進するため、昨年9月から12月にかけて、職員が全住宅世帯66件、全店舗15件の計81件を対象に戸別訪問し、そのうち77件、約95%の入居者の意向を確認したところであります。
調査結果につきましては、住み替えや移転が難しいという回答が46件で全体の約6割、また、時期は未定ながらも転居を考えている、または既に市営住宅等に申込みをされたとの回答が24件で全体の約3割となっております。
なお、この調査では入居者の意向確認にとどまらず、住み替えに対する入居者の不安や悩みなどを聞き取ることができたケースや、それらの相談の結果として他の住宅に住み替えをされるきっかけとなったケースもあり、一定の成果があったものと考えております。
319 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
320 ◯ 15番(岡部 享君)
意向調査の結果については、6割が住み替えが困難ということでありました。また、3割が住み替えも可能というような感じで、意向調査そのものは成果があったのかなと、こういうふうに思っていますが、いずれにしろ実態としてはそんなに進展しているという状況でないと思います。
移転できない方、住み替えが困難という方の理由はどのようなものか、また、それらの理由を踏まえた今後の対応についてお聞かせください。
321 ◯ 議長(高道 秋彦君)
舟田建設部長。
322 ◯ 建設部長(舟田 安浩君)
これまでの相談や昨年度の意向調査の結果などから、住宅入居者が住み替えできない主な理由として、1つに、高齢、病気等により引っ越し手続や作業に支障があるという健康上の理由、2つに、生活環境の変化によるメンタルストレスが不安であるという心理的な理由、3つに、近隣に希望に合う賃貸物件がないという地理的な理由、4つに、希望の条件に合う賃貸物件の家賃が高いという経済的な理由などがあると伺っております。
また、店舗入居者が移転できない主な理由として、1つに、希望の条件に合う賃貸物件の家賃が高いという経済的な理由、2つに、お客さんのほとんどが近隣住民であり、他の場所では営業を継続できないという経営上の理由などがあると伺っております。
これらに加え、長らくこの団地で暮らしや事業を営んでこられた入居者の皆様の地元地域への強い愛着も、住み替えや移転をされない要因となっていると認識しております。
一方、住み替えや移転を検討する上で、それ以外にも入居者ごとの個別の事情や不安、悩み事などがあることから、意向調査の際の聞き取り内容をカルテにまとめ、次回の相談に生かせるよう状況の把握に努めているところであります。
本市といたしましては、入居者の安全確保のため、今後も引き続き粘り強く住み替えや移転を働きかけるとともに、併せて引っ越しの手続や希望に合った物件探しの相談に乗るなど、入居者に寄り添った対応を行ってまいりたいと考えております。
323 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
324 ◯ 15番(岡部 享君)
今部長の答弁にもありましたように、やはりそこに住んでいる方のこれまで住んできている地域への愛着というのが非常に強いということは、私もいろいろお話をお聞きして分かっております。
そういう意味では、建て替えてまたここに住んでもらうことも可能だよということもしっかりとお伝えをして説得をするということがやはり必要だろうというふうに思っています。そうでないと、職員の方が回ってみても説得力がないな、大変だなというふうにも思いますので、ぜひそういう方向を出していただきたいというふうに思っています。
森前市長も、「せめて1棟に移ってください。そうすると新しいものを造りますから」と見解を示しておられましたし、奥田団地の建て替えについて具体的な方向を出して、一時移転を求めるべきというふうに私は常々考えております。
藤井市長の見解をよろしくお願いしたいと思います。
325 ◯ 議長(高道 秋彦君)
藤井市長。
326 ◯ 市長(藤井 裕久君)
お答えいたします。
奥田団地の耐震補強工事の実施方針を表明してから──これは前市長でございますが──10年余りが経過しました。工事の前提となる入居者全員の同意が得られず、いまだ工事に着手できていないというのは、今ほど御説明申し上げましたとおりでございます。
お尋ねにあります前市長の発言につきましては、老朽化した団地を建て替えても、高齢入居者などの中には移転を望まない方がおられ、住み替えが容易に進まないという事情を例え話を交えて言われたものであり、奥田団地を建て替えるべきとの見解を示されたものとは私自身考えてはおりません。
現在のところ建て替えは検討しておりませんが、仮に建て替えをするとした場合、耐震補強工事と同様に、一時移転と完成後の移転が二重に伴い入居者の同意が得られにくいことや、奥田団地は公営住宅法に基づく低所得者向けの住宅ではなく、中堅所得者向けの賃貸住宅であるため、原則家賃の値上げが必要になるなど、既存の入居者に負担がかかる課題もございます。
いずれにいたしましても、今後の耐震補強工事や建て替え等の具体的な方向性につきまして、コンクリートの劣化状況の調査結果を踏まえて、建物構造や経済、法律の各分野の学識経験者に意見を伺いながら慎重に検討を進めるとともに、入居者の方々に速やかに住み替えに応じていただけるよう、粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
以上です。
327 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
328 ◯ 15番(岡部 享君)
私は、まず入居者の皆さんの安全を守るということが優先だろうというふうに思っています。そういう意味では、本当にコンクリートの劣化状態も決して胸を張れるような状態ではないということであります。
それから、例え話として言われたというのは議会の答弁の中では僕はいかがなものかというふうに思いますので、そこはしっかりと発言したことに責任を持っていただきたいし、皆さんにどうしたら移転をしていただけるのかということにも真剣に向き合っていただきたいというふうに思っております。
大変利便性の高い地域でありますし、ぜひ活用されるように前向きに検討をお願いしたいというふうに思っています。
最後に、先ほど高田 真里議員も質問されましたが、呉羽梨の霜、あられの被害についてお聞きをしたいと思います。
呉羽梨は8月中旬から10月中旬まで呉羽地区を中心に収穫される梨で、品種としては幸水、豊水、新高、あきづきなどがあり、呉羽梨ブランドで県外にも出荷されています。
あきづきは近年販売され始め、みずみずしさと歯触りのよい食感、豊かな甘みがあり、いわゆる梨界のサラブレッドというふうにも呼ばれており、好評であるということであります。
さて、今年の呉羽梨の生育状態は、日曜日の地元紙でも紹介されていましたし、先ほどの高田 真里議員の質問に対する答弁でもありましたように、被害は呉羽梨の開花始めや満開の時期と霜やあられが発生した時期が重なったことにより、これまでに経験したことのない大きな被害であったことや、今後の影響や対策などについてもお聞かせいただきましたが、生産者の方から、「昨年も低温により実の数が少なかったが、今年はもっと少ない。生産量が減っても病害虫防除は例年どおりであり、農薬代支出が負担である」とのお話もお聞きしています。
そこで具体の内容として質問しますが、呉羽梨は品種ごとに8月から10月に出荷されるということですが、予想される今年の呉羽梨の被害は品種ごとにどのような状況になっているのかお聞かせください。
329 ◯ 議長(高道 秋彦君)
山口農林水産部長。
330 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
呉羽梨の品種による被害状況については、県と共に本年5月10日、11日に、主に吉作、住吉地区で行った調査によれば、栽培面積の約7割を占める主力品種、幸水については、平年のこの時期の実の数を下回る圃場の割合が85%、このうち平年の2分の1を下回る圃場が35%になると推測しております。
幸水の次に栽培面積の多い豊水では、平年のこの時期の実の数を下回る圃場は全域に及び、このうち平年の2分の1を下回る圃場が70%になると推測しております。
なお、あきづきや新高については、栽培面積が小さくかつ圃場が分散しているため、データが取りにくい面がありますが、あきづきは吉作地区のいわゆる平場で平年のこの時期の実の数を大きく下回っているものと推測しております。
さらに新高についても、吉作地区の平場、住吉地区で平年のこの時期の実の数を大きく下回っているものと推測しております。
加えて、少ないながらもついている実も、霜やあられにより表面が傷ついたものが多数あることから、今後生育が進めば被害はさらに大きくなるおそれがあると考えております。
331 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
332 ◯ 15番(岡部 享君)
今お聞きしたように、品種にかかわらず大きな被害が予測されているということであります。
先ほども申し上げましたとおり、生産量が減っても病害虫の防除は例年どおり実施ということが言われているわけで、これから大きな負担になります。
富山を代表する呉羽梨の生産者に対する支援について、農薬代の一部も支援に含めて、市さらには富山県が連携して支援を行うべきと考えるわけですが、見解をお聞かせください。
333 ◯ 議長(高道 秋彦君)
山口農林水産部長。
334 ◯ 農林水産部長(山口 忠司君)
先ほど高田 真里議員の御質問にもお答えしましたが、今後は過剰に繁茂した枝を剪定する作業が多く発生し、生産者の負担が大きくなることが予想されます。この剪定作業が滞ると農薬の効果が樹木全体に行き渡らないことから、防除の回数等が増える要因になります。
また、地球温暖化の影響で梨の開花が早まり、霜被害の影響を受けやすくなっているとお聞きしていることから、練炭などを燃焼させる方法や薬剤を散布する方法について、県や生産者、農協等の関係機関と共にこの秋に試験することとしております。
いずれにいたしましても本市といたしましては、今後、県と協力し被害状況の調査を行うとともに、過剰な枝の剪定など今年度新たに発生する作業や霜などに対する有効な手段等について、関係機関と連携しながらその支援について検討してまいりたいと考えております。
335 ◯ 議長(高道 秋彦君)
15番 岡部 享君。
336 ◯ 15番(岡部 享君)
実は私も毎年県外の親戚に呉羽梨を送っておりまして、大変好評でございます。梨を作っているところからうまいというふうに言われまして、ちょっと嫌がらせをしているみたいな感じもありますけれども。
ちょっと話は変わりますけれども、また、先ほど市長からも紹介がございましたが、今年は生産者の収入確保に向けて「えくぼなし」ということで森前市長も販売を考えられているということですが、やはり生産農家に対して様々な視点からしっかりと支援をいただくということは、呉羽梨という富山のブランドを守っていくということになると思いますので、ぜひ重ねてお願いを申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
337 ◯ 議長(高道 秋彦君)
これで岡部議員の一般質問及び議案の質疑を終了いたします。
───◇ ◇ ◇───
散 会
338 ◯ 議長(高道 秋彦君)
以上で、本日の日程は終了いたしました。
明日は午前10時に本会議を開き、一般質問及び議案の質疑を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後 4時54分 散会
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