富山県議会 2024-06-01
令和6年6月定例会 一般質問
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午前10時00分開議
◯議長(山本 徹)おはようございます。ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(山本 徹)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第95号から議案第105号まで、報告第3号から報告第12号まで及び議員提出議案第7号を議題といたします。
これより、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
種部恭子議員。
〔18番
種部恭子議員登壇〕
3 ◯18番(種部恭子)おはようございます。
自由民主党議員会の種部でございます。
一昨日に引き続きまして、
トップバッターは、たつ年で始めさせていただきたいと思います。たつ年その2でよろしくお願いいたします。
本県の最大の課題は人口減少でありますので、今日は子供と女性の政策を中心に、存分に質問させていただきたいと思います。機会をいただきまして、感謝を申し上げます。
若い女性が流出する理由は、
キャリア志向の高い女性ほど、制約が少なくフェアな評価が得られる地域を選んでいるからであります。昭和とか平成の時代というのは、子持ちは二流の労働力扱いだったりとか、200%働いても認めてもらえないとか、あるいはポジションを飛び越えられていくとか、家に帰っても無報酬労働の免除がないとか、こんなアンフェアにじっと耐えてきたのは、昭和の女性というのは労働市場に混ぜてもらうだけで必死だったからであります。
しかし、若い女性というのは驚くほどフェアネスの意識が高いので、そうはいきません。働きたい会社がないから帰ってこないのではなくて、つまらないから選ばないということは明らかであります。どれだけ子育て支援に予算を投入しても、この逆噴射を止めなければ全く効果はないと思っています。
まず、女性の賃金格差について2問質問させていただきます。
ポジションや仕事の評価がフェアかどうかを示す指標の一つが男女の賃金格差であります。
男女賃金格差が大きな地域ほど女性が流出しているということは
ジェンダー統計を見れば明らかなことであります。賃金格差は第2次産業に強みのある地域ほど大きくて、第3次産業に強みのあるところは縮小しているということが分かっています。
本県では、特に製造業が多いということも男女の賃金格差が大きくなる理由でありますが、言ってみれば伸び代はあると私は考えています。女性の賃金が上がる、女性にたくさんお金が入ってくると、日常生活でちょっといいものを買うと思うんです。そうすると第3次産業も伸びていくという、こういう構造があります。好循環が生まれます。
例えば、地域の暮らしを映し出す指標の中に、総務省が行っている家計調査というのがあります。これは本当に暮らしをよく映しているなというふうに思うんですけど、直近の
都道府県庁所在市と政令市の品目別の
年間支出ランキングというのを調べました。そうすると、第1位が東京都23区だった品目が、外食、ワイン、チーズ、パスタです。富山市が第1位に輝いた購入品目は何かというと、冷凍食品、ふりかけ、
総菜材料セット、魚介です。外食と冷食ですよ。この違いは、どっちが
ウェルビーイングかというと、はてという感じですよね。ちなみに、ブリとかイカも1位なんですけど、すしは1位ではありませんでした。
消費の意思決定権の8割は女性なんです。女性の賃金が上がると、ちょっといいものを買おうと思います。そうすると、冷食が外食に変わるかもしれないんです。そして、ふりかけがすしに変わるかもしれないんです。ですから、私はやっぱり賃金を上げるのが先、特に女性の賃金を上げるということは大事な取組だと思っています。
女性活躍推進法の改正で、常勤301人以上の一般事業主に対しては、男女の賃金の差異の公表が義務づけられました。厚労省の、女性の
活躍推進企業データベースというのを見ますと、県内企業625社しか公表していないんですけど、その公表している企業のうち21.6%しか賃金差異を公表していませんでした。全国では30%、東京都は38.6%が開示をしています。しかも、ここで横並びに並べられると、富山県と東京都を比べるとやっぱり見劣りがします。
首都圏の企業では、えるぼし、くるみんも当たり前です。中にはWEPsへの署名をしていたりとか、規模が小さくても具体的にDE&I(ダイバーシティー・エクイティー&
インクルージョン)の行動計画を示しているとか、本当にこのフェアネスの期待に応える情報開示がなされています。
ここで比べられたらひとたまりもないなと思うわけでありまして、県内企業における男女の賃金格差の解消に向けて、
富山女性活躍企業及び
男女共同参画推進事業所の認証要件に男女の賃金の差異の公表を求めてはどうかと考えます。
川津知事政策局長にお伺いをいたします。
厚労省のデータベースに男女の賃金差異の開示が進まない理由は、公表しにくい何か理由があるからだと思います。開示している県内企業において、差異が30%台から110%と大きな開きがあります。
確かに新採に女性が多いとか、あるいは専門的技術を持っている人の男女差がある、ここ自体を本当は補正しなきゃいけないところではありますが、こういう分析をするには要因が複雑過ぎて、なかなか難しいというのが現状です。
そこで、役員登用までに要する年数とか、育児等でブランクがあった場合キャリアにどう影響するのか、ポジションをスキップされて飛び越えられたりしないか、これが分からないと男性は育児休業なんか取りません。ですから、新たなパラメーターと課題分析のツールを作成して、賃金格差の解像度を上げてフェアネスを感じるロードマップを公表しやすいように支援してはどうかと思います。川津局長にお伺いいたします。
次に、働く女性の健康について2問お伺いいたします。
現在の女性は平均12歳で初経を迎えます。平均の初産年齢である30歳までずっと、産まないけれど18年間月経があるわけであります。この間、月経に起因する子宮内膜症というのを発症しやすくなるんですが、この病気を発症しますと卵子の損傷が進みますので、5年前倒しで妊孕性──妊娠しやすさが下がっていきます。こんな中で女性たちは葛藤しているわけです。また、生涯の月経回数は450回に増えました。昔の女性、昭和の女性の約10倍ぐらい月経の回数が増えたわけであります。
経産省の試算では、月経随伴症状による経済損失は年間約6,000億円と言われています。この労働損失と子宮内膜症による妊孕性の損失を回避するための特効薬が低用量ピルです。
これに費用助成を行う県内企業が出てまいりました。若い女性の転出超過を止めるために、今、全国で
ジェンダー合戦をやっているのと同じ状況にあります。女性の健康課題に取り組む企業を増やして
キャリア志向を応援するという姿勢を見せることが、本県での就労を選択していただくための有力な戦略だと思っています。
東京都の調査のほうでも、企業が何をすればいいのか分からないと回答しているところが3割程度ありますので、これはやっぱり先に取り組んだもの勝ちだと私は思います。
ピルの助成やその前提となる女性の健康教育に取り組む企業への補助を通じて取組を浸透してはどうか、新田知事に伺います。
経産省の推計では、更年期障害による労働損失は年間1兆9,000億円と言われています。また、女性は要介護期間が長いので、更年期治療での労働生産性の向上とか、あるいは
エージングケアでの介護ニーズの抑制とか、このようなものが社会保障費に与える費用対効果が非常に高いというふうに言われています。
しかし、日本の女性で閉経教育を受けた人はゼロ人です。こんな状況で治療せいというのは無理な話でありまして、まずは、更年期あるいはエージングについて、リテラシーの向上が必要であります。従前の健康教育とか、あるいは健康経営の取組とか、あるいは地域保健の取組では追いついていないなというふうに思うわけであります。
そこで、
ヘルスリテラシーの向上に向けて、女性が月に1回必ず行って、長い時間滞在して、その中で健康とか家族とか暮らしの話をずーっとしゃべっている場所が、美容院であります。ここで、更年期や
エージングケアの情報提供の場として適切な相談窓口にちゃんとつなげていただけるようなキーパーソンを育成する、すなわち美容師さんを養成する
研修プログラムを行ってはどうかと思います。
経産省は、東京都で美容師対象の研修を行う実証実験を実施しています。成果が出てきているというふうに聞いております。
私と同じ更年期仲間の佐藤副知事に御所見を伺って、1問目を終わりたいと思います。
4 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
5 ◯知事(新田八朗)
種部恭子議員の御質問にお答えをします。
女性の健康課題についての御質問を頂きました。
女性が仕事や家庭、社会で活躍するためには、女性特有の健康課題への理解を、女性自身が、そしてまた働く企業などの職場にも広げていくこと、そして対策を取っていくことは大切だと考えます。
一方で、本県の調査では、女性特有の健康諸課題が職場での女性活躍のネックになっていると回答した割合なんですが、ギャップがありまして、
女性従業員自身が29%であるのに対し、企業側は12%にとどまっている、このギャップが大きな課題だと考えております。企業側の意識を高めていく必要があると認識しています。
このため県では、全国の自治体に先駆けて、令和3年度から、女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決するフェムテックに関連する製品やサービスなどを導入する企業への支援を開始し、これまで10社ですが、健康リスクの可視化やオンラインによる相談などの取組が行われています。また、その場は徐々に拡大をしておりまして、県内においても社員の低用量ピルの活用を支援する企業も見受けられます。
今年度はさらに、女性の健康課題やキャリアとの両立に関する、女性活躍の
専門コンサルタントの県内企業への派遣を開始するとともに、9月には企業間交流会を開催し、女性の健康問題もテーマに意見交換を行うこととしています。
私自身が経営者であった時代に比べると、ここ数年で、女性活躍の機運の盛り上がりとともに、フェムテックを扱う
スタートアップも増えていると考えております。今後も、女性の健康課題に対して、女性が働きやすい職場環境の整備を進めることが生産性の向上、ひいては企業成長にもつながるという視点も含めて、経済団体や企業に積極的な取組を働きかけ、経営者の意識改革も促していきたいと考えております。
1問目、私からは以上です。
6 ◯議長(山本 徹)佐藤副知事。
〔佐藤一絵副知事登壇〕
7 ◯副知事(佐藤一絵)種部議員からの、女性の
ヘルスリテラシーの向上についての御質問にお答えをしたいと思います。
議員御指摘のとおり、女性が更年期を迎える世代というのは、まさに働き盛りの世代とぴったり重なるということでございます。ただ、そのときに、どうしても女性特有の健康問題というのが起こりがちでありまして、そのことによって、本来は仕事を今までどおりしっかり続けたいのに、離職せざるを得ないといったことに直面する女性もいらっしゃるのは事実でございます。
女性が、そういう意味では、望まない離職等に直面することがなく、また、老後も含めて、今は平均寿命が長いわけですからエージングの時代も健やかに過ごすことができ、生涯にわたりいろんな形で活躍をするためには、やはり、企業側の取組はもちろんですけれども、女性自身の
ヘルスリテラシーを向上していただく、それは極めて重要なことであると思っております。
ただ、この更年期、私自身も実際に更年期に今入っているわけでございますけれども、本当に個人差が大きくて、なかなかそういう意味でも相談しづらい。あまり症状のない方ももちろんいらっしゃいますし、本当に症状が重くて、実際に私の知人でも、仕事を、少し働き方を変えるというようなことを選択せざるを得ないような方もいらっしゃいます。
なので、相談というものは非常に求められているのですけれども、今はインターネットなどもありまして様々な情報はありますが、やはり、1人ずつの多様な状況に合った形の相談が受けられる、そういう体制が非常に重要だと思います。
本県においては、女性向けの相談窓口というものを広範に設けておりますが、その相談窓口をカテゴリーに分けた特設サイトというのを設けております。例えば体のことなのか、あるいは精神的な心のことなのか、生活のことなのか、様々な固有の悩みに対応できるような窓口ということでございまして、今、特設サイトの周知を図っているところでございます。
特に、議員御指摘のとおり、女性は、定期的に通う場所として美容室というのがございます。私自身は2か月に1度ぐらいしか行きませんけれども、ただ、恐らく大半の女性は、美容室というものは日常の生活には欠かせない場所であると思います。そういう意味で、女性が必要な情報がしっかり届く場所でもあるということで、先般、4月ですけれども、相談窓口の周知を図ることを目的に、富山県
美容業生活衛生同業組合さんと県のほうで連携協定を締結させていただきました。この協定に基づきまして、この相談窓口の特設サイトを周知するカードがございますが、これを組合加盟の県内約500店舗に1万部ほど配らせていただいて、今実際に置いていただいております。
更年期障害というのは、例えば、自分自身ではなかなか自覚しにくいという場合もあります。そういうことで、本当は症状があるんだけれども自覚できなくて何も対策を取っていないと、それで苦しんでいるような方々もいらっしゃいますが、例えば美容師さんは、お客様に直接髪の毛を中心に触れたりする中で、お客様の変化──この方は少し体調が悪いんではないかといった不調などに気がつきやすい、そういった面もあると思います。そういうときに、「こういうカードを県のほうで配っていて相談ができますよ」というふうに勧めていただけるような、そういう取組を今、美容師さんのほうにやっていただいているということでございます。こうした取組を通じて、悩んでいる女性が適切な医療やサービスを受け取るきっかけになることを我々としても強く期待をしているところでございます。
今後は、美容室での相談窓口の周知の実効性を高めるために、まずは組合と連携をいたしまして、美容師の方々が女性特有の健康課題への理解を深める機会を提供する、そういったことも検討しております。
引き続き、この組合とも連携協力しながら、特性を生かしたきめ細やかな支援につながるように努力をしてまいりたいと思います。
以上でございます。
8 ◯議長(山本 徹)
川津知事政策局長。
〔
川津鉄三知事政策局長登壇〕
9
◯知事政策局長(川津鉄三)私には、男女の賃金差に関して2問頂いております。
まず、男女の賃金差異の公表についてお答えいたします。
男女の賃金格差は本県固有の課題ではありませんが、採用の形態や管理職に占める女性割合、継続勤続年数の男女差など、構造的要因で生じており、様々な課題が集約されております。
このため、男女の賃金差異の要因を分析することによって、本県企業における女性の活躍、キャリア形成につなげることが期待できるものと考えております。
また、議員から御紹介のありました、厚労省の「女性の
活躍推進企業データベース」では、
一般事業主行動計画や女性の管理職割合、男女の賃金差異など、様々な女性活躍に関する情報を一元的に集約、提供しており、こうした情報は就職活動における企業選びの判断材料の一つになっているものと認識しております。
こうした中、6月に国のほうでまとめられました女性版骨太の方針2024におきましては、現在、常用労働者数301人以上の一般事業主に義務づけられております男女の賃金差異に関する情報の公表を、今後101人以上まで拡大することが検討されているとされております。県内におきましても、男女の賃金差異を公表することは重要であり、意義深いと考えております。
一方で、現時点では認定ハードルが高い国のえるぼし認定企業におきましても、公表までは求められていないのが現状であります。このため、議員御提案をいただきました、とやま
女性活躍企業や
男女共同参画推進事業所におきましては、認定事業所の会社概要や特色の紹介を行う県のホームページなどにおきまして、男女の賃金差異を公表する欄を設けることによってそういう公表を促す。また、厚労省の女性の
活躍推進企業データベースでも、御紹介ありましたようにまだまだ県内の企業は出ておりませんので、こうしたところへの公表につきましても働きかけてまいりたいと考えております。
次に、男女の
賃金差異改善に向けた取組についてお答えいたします。
男女の
賃金差異解消のためには、議員御指摘のとおり、個々の企業の実態に応じた支援が必要であると考えております。
このため県では、
一般事業主行動計画策定を支援するため、
社会保険労務士の派遣や研修会を開催するとともに、
女性活躍専門の
コンサルタントを派遣いたしまして、女性活躍の課題を一緒に分析した上で助言を行っております。
また、賃金格差の原因で最も大きいのは役職の違い、いわゆる管理職比率でありますことから、煌めく
女性リーダー塾では、係長級、課長級、役員等の3コースを設けまして段階に応じた研修を実施するなど、企業の取組を後押ししております。
現在、国におきましては、金融・保険業や食品製造業など、今も御紹介ありましたが第2次産業も確かに大きいということで、男女間の賃金格差が大きい業界に着目して、実態把握、分析、課題の整理を行い、業界ごとに目標の設定を含めた
アクションプランの策定を促すこととされております。また、先ほどお答えしたとおり、賃金差異の公表の義務づけの拡大も検討が始まっていると。
このため県では、こうした国における検討の状況を注視しながら、
女性活躍推進法に定められている対応事項に加え、役員登用までに要する年数といった今御紹介いただいたものですとか、男女の賃金の差異が入社後いつ頃から現れるのか、そして女性の出産、子育てがどういうふうに影響しているかなどにつきまして、富山労働局や関係部局とも連携しながら勉強してまいりたいと考えております。
以上であります。
10 ◯議長(山本 徹)
種部恭子議員。
〔18番
種部恭子議員登壇〕
11 ◯18番(種部恭子)2つ目は、妊活に関連して5問お伺いしたいと思います。
私は、議会質問と当局の皆様の答弁動画をユーチューブで切り抜きにして配信しています。そこで県民の皆様の御意見を募集しているんですが、過去に、恋愛とか男女交際とかの質疑を切り抜いた動画を見た県内の10代の女性から意見が寄せられました。「彼氏は欲しいけどDVとかに当たりたくない。でも、子供は欲しいから精子バンクとか真剣に考えたいです」という御意見です。
恋愛とか結婚は、もはやリスクとか、あるいは出産は痛いから嫌、でも子供は欲しい、精子バンクと人工子宮でお願いしますと、こういう意見は産婦人科医だと承服し難いところであります。ですけど、確かに、2次元から化粧男子まで、すごく幅広い方がいらっしゃるわけで、男女ともに文化圏が拡大したことで、恋愛に参入すること自体が非常に難しくなったというのが現状だと思います。
そこで、結婚ではなくて恋愛も含めて、若者の価値観を受け入れて、速いスピードでハザードを取り除いていく政策が必要ではないかと考えています。
令和5年2月の議会で、恋愛や交際に関する調査を求めました。当時の局長から、結婚と出産に関する意識調査、これは県の条例に基づいてやっているものだと思いますが、この中で、恋愛に関しても調査対象に含めるという答弁がありました。この結果は出ているはずですけれども、その結果を踏まえてどのように取り組むのか、
川津政策局長にお伺いいたします。
思春期、特に高校生は恋をする生き物です。もてたいと思うからおしゃれとか体臭とかが気になるわけで、身だしなみが途端にきれいになります。そして、恋愛で人間関係を学ぶことで親離れの練習をしているということで、思春期のこのステップはとっても大事だと思います。
外来に来ている中高生に、
ウェルビーイングを高めるものは何かと聞いたら、「制服アレンジ」「前髪」「アイプチ」「スクバ」「彼氏」という答えが出てきました。高校生活が楽しくなかったら勉強するエネルギーは湧かないと思います。
そんな彼らにとって、服装や頭髪の検査が厳しいかどうか、校則違反にならないか、バイトはできるのか、妊娠したら退学になるのかということは大事な論点でありまして、大人が思っているより重要だと彼らは考えています。
令和3年6月の議会で、校則と制服の見直しと公開を求めて高校生が提出した請願を採択していただきました。生徒自身によるルールメーキングも求めてきました。その後、校則・制服見直しが全校で行われたと聞いていますけれど、校則がホームページで公開されている高校は見当たりませんでした。
令和4年に文科省は生徒指導提要を全面改訂し、校則の内容について学校の
ホームページ等に公開しておくことや、制定した背景について示しておくことが適切という改訂をしました。
校則の公開について現状はどうなのかということと、今後どう取組をするのかということについて、廣島教育長にお伺いをいたします。
妊活に適した期間というのは非常に短くて、キャリアを取るのか妊活を取るかで、女性たちは葛藤しています。そんな中で、不妊や流産、死産によるロスを避けたいというのは誰しもの思いであります。
WHOは2006年頃から、妊娠前に感染症や生活習慣病などの基礎疾患を見つけて治療することで、不妊とか先天異常とか、あるいは早産を避けて確実に子供を持てるようにするプレコンセプションケアという政策を推進してきています。
本県でもプレコンとして、前年度からプレ妊活健診が実施されています。今年度から富山市を除く14市町村に拡大されました。ただ、その内容はいまだ限定的だと思います。対象が結婚または事実婚のカップルのみで、妊活に入っている人たちだけということなんですけれども、例えば、先ほど申し上げたような子宮内膜症があれば、ライフプランは前倒しが必要になります。となると、結婚した人を対象にしているようでは遅いと思いますし、結婚するかしないかにかかわらず提供すべきことであろうと思います。
プレ妊活健診のこれまでの実績を踏まえて、より効果的な介入になるように、対象や内容の拡充を目指す必要があると思いますが、どのように取り組むのか新田知事に伺います。
医学の進歩によって、不治とされた重篤な疾患を抱えていても、お子さんを持つ希望をかなえることができるようになりました。
小児期発症の重篤な疾患は、小児慢性特定疾患として18歳までは医療費の負担がありません。特にその一部、例えばSLEなどの膠原病については難病に指定されていますので、成人後も引き続き医療費の負担が発生しません。
一方、小児慢性特定疾患に指定されているけど難病になっていないものについては、18歳以降医療費負担が発生します。特にそのうちでも高額の医療費負担を生涯必要とするのが、インスリンを常時必要とする1型糖尿病と抗体治療を要する関節炎、成人後でいえば関節リウマチに当たるものであります。
うち、1型糖尿病については、男女とも良質な治療により十分コントロールをしなければ次世代の先天異常の発生率が高くなるため、プレ妊活健診にも糖尿病のスクリーニングを取り入れていただいています。
本県では、妊産婦医療費助成制度がありますので、妊娠中は糖尿病を含む特定の6疾患のみ無料で治療ができます。しかし、1型糖尿病は出産後に再び高額な治療費を負担しなければならなくなり、かつ授乳をしながらこの治療をするという、非常に難しい状況に置かれます。第2子以降を諦めたり、先天異常のリスクが高い状態のまま妊娠してしまうこともあります。
もう大分前のことではありますけれど、妊娠10か月で1型糖尿病を発症した患者さんを受け持ったことがあります。産着もベビーカーも全部準備していたのに、予定日の3日前に胎児が死亡しました。本当に悲しい死産だったんですけど、これに立ち会ったときに、何としてもこの人たちに生きた子供を抱かせてあげたいと思いました。
妊活世代の1型糖尿病の男女が質の高い治療で産みたいだけ子供を安全に産むことができるようにするというのは、少子化対策としても、また将来の透析予防としても効果的であり、県単独医療費制度等による補助を検討すべきと考えます。松井こども家庭支援監にお伺いいたします。
本年2月にがん検診に係る国の指針が改定されました。子宮頸がん検診が、5年ごとのHPV検査単独法という違うやり方にスキームは変えられました。これは、コストが下がって非常に効果が高い、いい政策だと思っています。
しかし、新たに示された検診のスキームは非常に面倒な感じでありまして、5年ごとのトリアージに加えて、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染している人には、1年ごとにコール・リコールをしなきゃいけなくなるという、非常に面倒くさい煩雑なスキームが必要であります。この実施については、マイナポータルによる自治体DXへの検診データのひもづけ、いわゆるパーソナルヘルスレコード(PHR)の活用が必須であります。
本邦は、アジアで唯一、若年での子宮頸がんが増えている国でありまして、ワクチンの接種率が非常に低いので、今後も妊娠前に子宮を失う女性は、今現在でも年間全国で1,000人いるわけでありますけど、これは変わらないという見込みであります。
HPV検査単独法の迅速な導入を目指すため、前提となる自治体DXの推進に向けて人と予算を増やして、部局間での連携を取って取組を強化する必要があるのではないかと思います。有賀厚生部長に御所見を伺います。
12 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
13 ◯知事(新田八朗)プレ妊活健診の御質問にお答えをします。
県では市町村と連携し、将来子供を望むカップルを対象に、妊娠、出産に影響する疾患の早期発見、早期治療などを目的とするプレ妊活健診を、今年度から14市町村に拡大して実施をしています。
各市町村で申込みを受け、御希望の医療機関で、女性は甲状腺機能や子宮頸がんリスク検査など、また男性は空腹時血糖や糖質代謝などの検査を受けた後、産婦人科医から受診結果の説明があり、また、医療スタッフから今後のライフプランや生活習慣病予防、感染症、妊活などに関する助言を受けることになります。そんな流れです。
4月から5月までの利用実績は48組となっています。受診された方々からのアンケート結果では、受診について大変満足したという方が7割、そしてやや満足を合わせると100%の方が満足していただいています。また、今後ライフプランを考える上で役に立ったと答えた方が9割など、一定の効果があったものと考えています。また、10代、20代の若い時期に受ける機会があるとよいといった御意見も頂いております。2割ほどこういうお答えがありました。
議員御提案の対象年齢や健診項目などの内容の拡充についてですが、まだちょっと短期間の実績であるため、今後の利用実績やアンケート結果も検証したいと考えます。市町村や県産婦人科医会の関係者の御意見もお聞きして検討します。
また、現在、若い世代向けのプレコンセプションケアの意義についてチラシやPR動画を作成しておりまして、来月中にはそうした広報媒体も活用して、プレコンセプションケアの必要性について市町村と連携して幅広く周知をしていきたいと考えます。
2問目は以上です。
14 ◯議長(山本 徹)
川津知事政策局長。
〔
川津鉄三知事政策局長登壇〕
15
◯知事政策局長(川津鉄三)私からは、結婚等に関する県民意識調査についての御質問にお答えいたします。
県が昨年9月から10月にかけて実施いたしました意識調査におきまして、18歳以上の県民を対象にお伺いしたところ、異性と交際する上での不安を聞きましたところ、異性に対する自分の魅力や出会いの場所が分からないなどの意見が多かったという状況にあります。
こうしたことに対応するため、県では民間事業者が実施する男女の交流イベントへの支援を行うとともに、若者同士が気軽に交流できるコミュニティー「TOYAMATCH」を開設・運営いたしまして、積極的に出会いにつながるイベントの情報発信に努めております。
また、この調査結果では、異性への声のかけ方が分からない、恋愛・交際の進め方が分からないなどの意見も多かったことから、コミュニケーションに苦手意識を持つ若者が増えていると考えております。
こうしたことを背景に、昨今、リアルのコミュニケーションが敬遠され、マッチングアプリが広まっているのではないかと思われますが、マッチングアプリはスマホから簡単に登録でき、職業や趣味など様々な情報から自分に合った人と効率的に出会えるメリットがある一方、トラブルもあることから、アプリ使用に不安を感じている方が増加している、こういうことが課題であるというふうに考えております。
このため、今年度新たに、アプリの正しい使い方も含め、婚活の進め方に関するセミナーを開催いたしまして、恋愛に対する不安感を少しでも和らげ、恋愛に前向きに挑戦しようと思う若者のチャレンジを支援していきたいと考えております。
今後も若者の価値観、意識の把握に努め、出会いを希望する若者に寄り添った施策を展開してまいりたいと考えております。
以上です。
16 ◯議長(山本 徹)廣島教育長。
〔廣島伸一教育長登壇〕
17 ◯教育長(廣島伸一)私からは、県立高校の校則の公開状況についてお答えいたします。
まず、校則は、全ての児童生徒にとって安定した学校生活を受ける上で規範となるものとして、教育の目標の実現という観点から校長先生が定めるものとされており、その見直しについても校長の権限となっております。
県教育委員会としましては、これまで生徒や保護者などからの意見を十分に聞くなど、丁寧に対応しながら見直しを図るよう、各校長に伝えてきているところでございます。
こうした中、議員から御紹介がありましたとおり、令和4年12月に文部科学省が改訂した生徒指導提要では、児童生徒がそれぞれの決まりの意義を理解し、主体的に校則を守るようにしていくため、校則の内容について、ふだんから学校内外の関係者が参照できるよう学校の
ホームページ等に公開していくこと、また、制定した背景についても示しておくこと、これが適切であるとされたところでございます。
県教育委員会ではこれまで、改訂された生徒指導提要のポイントや要点をまとめましたダイジェスト版を作成しまして、全県立学校に送付し、校則の運用指針及び校則については、不断に検証し見直すこと、こうしたことを生徒指導提要改訂の趣旨として周知してまいりました。
ですが、このたび県立高校39校に確認しましたところ、ホームページで校則を公開している高校は2校、公開に向けて準備検討を行っている高校は12校という状況でございました。
このため、中学生をはじめとしまして、広く学校の特徴や現状を伝える観点からも、改めまして校則をホームページで公開するよう促してまいります。
以上でございます。
18 ◯議長(山本 徹)松井こども家庭支援監。
〔松井邦弘こども家庭支援監登壇〕
19 ◯こども家庭支援監(松井邦弘)私からは、妊活世代となる1型糖尿病の治療費についての御質問にお答えいたします。
1型糖尿病に罹患している方への支援として、小児慢性特定疾病医療支援制度では、国が定める疾病に罹患している18歳未満の方及び18歳到達後も引き続き治療が必要であると認められる場合は、20歳未満の方が対象となっております。また、妊産婦医療費助成事業では、糖尿病のほか、貧血、心疾患などに罹患している妊産婦が対象となっております。
国においては、昨年12月に策定されました、こども大綱の基本的な方針の中で、子供や若者の状況に応じて必要な支援が特定の年齢で途切れることなく行われ、社会全体で切れ目なく支えることとし、また、ライフステージを通した重要事項の一つとして、慢性疾病や難病を抱える子供や若者への支援が織り込まれております。
また、県においては、子育てのライフステージに応じた切れ目のない支援の中で、妊娠前のいわゆる妊活世代の方に対して、不妊治療費助成事業や、先ほども御質問をいただきましたが、プレ妊活健診事業を実施しているところでございます。
議員御発言のとおり、妊活世代となる1型糖尿病患者が経済的な負担をちゅうちょすることなく良質な治療を受けられることが大切なことと考えております。また一方で、公費での支援については、支援対象者の設定や疾病の違いによる公平性の観点など検討すべき課題があるとも考えておりまして、まずは他県での事例の収集などを行いまして研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
20 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
21 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、子宮頸がん検診におけるHPV検査単独法の導入に向けた状況についてお答えいたします。
今年2月に子宮頸がん検診の検査項目に追加されたHPV検査単独法については、検査結果により受診者ごとに次回の検査時期が異なる複雑な制度となっているということは御紹介いただいたとおりでございます。
このため国では、市町村、都道府県、検診機関等を対象としたHPV検査単独法導入に向けた精度管理支援事業説明会、これを7月から10月にかけて全国で開催することとしております。そして、県といたしましても、市町村職員など関係者における制度の理解を深めた上で、新たな検査方法の導入に向け、調整を図りたいと考えております。
また、この検査方法を導入するためには、市町村において対象者の受診情報や検診結果をデータベース等に保存し、各年度の検診対象者リストを管理、追跡するとともに、対象者が転居する際には適切に情報連携することが重要となります。
現在、本県では、市町村と連携して情報システム標準化など作業を進めておりますが、人員増や体制強化が大きな負担となることやシステム開発事業者の業務が逼迫していることから、市町村からは、システム改修に相当な時間を要し早期の実施は難しいといった意見も聞いております。
県としては、こうした課題の解決に向けまして、庁内関係部局や市町村、検診機関等と連携し準備を進めてまいります。
以上です。
22 ◯議長(山本 徹)
種部恭子議員。
〔18番
種部恭子議員登壇〕
23 ◯18番(種部恭子)最後に、子供の成育を保障する仕組みについて3問伺います。
国は法定の1歳6か月と3歳児健診に加えて、1か月健診と5歳児健康診査を導入することを決定しました。
1か月健診は虐待の早期発見、そして5歳児健診は発達障害等のスクリーニングを目的としていると捉えています。5歳児健診による早期介入は学童期の不登校発生数を低下させたという国内の報告がございます。
一方で、毎年就学相談が近くなると発達障害の診断に必要な心理検査が集中するために、小児神経科あるいは児童精神科がパンクします。もともとパンクしているんですけど、この時期になると、検査のみで非常に逼迫するということを聞いております。
その軽減の目的も含めて5歳児健診が導入されることになったわけでありますが、逆に、5歳児健診と就学時健診のインターバルが短いということが問題でありまして、時期が近いので、実施時期とか連携方法とか慎重に検討しなければ、かえって負担が集中するというおそれがあります。
県の責務は、5歳児健診後に適切に療育につなげる体制を整備することでありまして、市町村の療育支援とか教育委員会の就学相談とのすみ分けや連携、その時期、インターバルも含めてじっくりと取り組む必要があると思います。2次検査を担う医師の養成や医療機関の確保にも時間がかかると思いますが、今後どのように取り組むのか、松井こども家庭支援監に伺います。
小児医療のニーズは大きく変化をしました。従前は小児救急医療が中心でありましたけれど、在宅で呼吸器をつけたお子さんたちが生活をするようになったり、子供の心の問題が増加したり、移行期の医療が必要になったりと、治療のみならず多職種・多機関連携による養育支援が必要だと思います。
先天異常と小児がんを除けば、子供の死因の1位は事故です。思春期以降になると、1位は自殺になります。死亡率を減らすためには死亡事例の検討、いわゆるチャイルド・デス・レビュー(CDR)を行って、同じ文脈にある被虐待、不登校、ひきこもり、そして依存症、少年犯罪などの防止に向けて、せっかくこのようなデータ解析をしたのであればこれを生かしていく、小児保健でトリアージをするとか支援に生かすということは必要だと思います。
先行事例として、富山県には周産期保健医療協議会というのがあります。ここでは毎年亡くなった新生児──周産期死亡ですね、それと妊産婦の死亡については、死亡事例の原因分析や医療と保健による対策の効果について情報共有をしたり、そして、どのようにしたらこの死亡を減らせるのかということを話し合いながら、マニュアルをつくったり多機関・多職種の連携を取ったりということを通じて、死亡率の減少に成果を発揮してきました。
しかし、小児については、たくさんいろんな協議会はあるんですけれど、系統的な方向性を協議して方向を見定めスタンダードになるものをつくるところはなく、各機関がばらばらに対策を行っている、そして別々のフォーマットをつくって運用している状況にあると理解しています。
そこで、小児医療、母子保健、小児保健、福祉、教育の関係者で定期的に対策や仕組みを検討する小児医療及び関連領域の協議会を設置して、CDRや課題の検証、対策や仕組みづくりを通じてPDCAサイクルを回す必要があると思います。
協議会の設置に関して、有賀厚生部長の御所見を伺います。
今年、離婚後共同親権を認める改正民法が成立しました。早ければ次年度施行される可能性があります。
この離婚後共同親権によって、進学先や手術などの重要事項決定に際して別居している両親の意見が異なる場合は、家庭裁判所がそれを判断して進学先とか医療を決めるということになります。こんな時間待っていられないような事例はたくさんあると思います。
そんな場合とか、あるいは親が決めたことに対して子供が不満を持っている、自分は本当はこんな治療を受けたかった、こっちの学校に行きたかったということは当然あることだと思います。このように親子に葛藤がある場合や、いじめ、体罰への大人の対応に対して子供が別の意見を持っている、不満がある場合には、子供の意見表明権を守るために、利益相反のない意見聴取をする必要があると思います。
福岡県、大阪府、愛知県などでは、チャイルドアドボカシーセンターが開設されております。児相に派遣して子供の意見を代弁する活動に取り組んでいます。
本県でも、改正児童福祉法の施行により導入される児相の一時保護時の子供の意見聴取に向けて、本年度、人材育成を行う事業をされていると思いますが、これは、児相の機能強化という切り口であれば虐待に限る可能性がありますが、虐待に限らず、いじめ、体罰への対応など、大人の決定に不満を持つ子供の意見を聞いて代弁するチャイルドアドボカシーセンターとしての機能を持たせるべきではないかと思います。松井こども家庭支援監にお伺いして、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
24 ◯議長(山本 徹)松井こども家庭支援監。
〔松井邦弘こども家庭支援監登壇〕
25 ◯こども家庭支援監(松井邦弘)私からは、2つの御質問についてお答えをいたします。
まず、5歳児健診の導入についての御質問にお答えをいたします。
先月開催しました母子保健担当会議において、5歳児健診の実施主体となる市町村からは、健診を行う小児科医師の確保が困難であることや、健診後の要精密検査医療機関が限られるため、円滑な実施が見通せないことなどの様々な課題があることをお聞きしたところでございます。
こうした中、今月12日付の国庫補助金に関する国の通知によりますと、医師などの確保が困難な状況を踏まえ、今後二、三年をめどに、対象となる乳幼児全てに5歳児健診を実施する体制を構築することを前提に、当面の間は、事前の聞き取りやアンケートなどを組み合わせて、発達等に課題がある幼児を対象に健診することも差し支えないとされたところでございます。
県としては、市町村や地域の医療機関などとの協議や広域的な調整、また保育士等に対する発達障害に応じた研修機会の提供などによる支援が必要と考えております。
今後、母子保健担当会議などを適宜開催しまして、議員より御発言ありました各市町村の実情を踏まえた実施時期や方法、また就学相談や就学時健診との連携、さらに療育を担う医療機関の状況把握や市町村への情報提供、研修会の実施などについて協議を行いながら、県としての必要な支援に努めてまいります。
次に、チャイルドアドボカシーセンターの運用についての御質問にお答えをいたします。
改正児童福祉法に基づきまして、都道府県は子供の福祉に関する知識、経験を有する意見表明等支援員を確保養成することとなっております。また、その支援員が独立した立場で、児童相談所の一時保護施設や児童養護施設などに訪問しまして、入所中の子供の意見などを聴取すること。それから、その支援員が子供からの措置内容に関する意見や生活の悩み、不満などを理解し把握した上で、子供の代弁者となり、児童相談所などの関係機関への意見表明を支援する事業が着実に実施されるよう努めることとなっております。
本県においては、この意見表明と支援事業を実施する一方で、その他の子供からの様々な相談や意見などにつきましては、令和7年度開設予定のこども総合サポートプラザ(仮称)で対応することとしております。
その中で、弁護士などの専門家にアドバイスを受けて対応すべき事案も想定されますことから、今後、子供の対応をする職員が弁護士などに相談できる体制を整備するとともに、家庭や学校などに直接出向いて問題解決に向けた支援を行うなど、子供に寄り添ったきめ細かな対応ができるように準備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
26 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
27 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、地域の協議会についてお答えいたします。
小児医療のニーズに対応するため、県では、令和3年度に設置いたしました小児医療等提供体制検討会に、こころの問題ワーキングを設けて、子供の心の診療体制について検討を重ねております。
その検討会等では、次世代を担う子供たちの命と健康を守るためには、小児救急医療や専門医療だけでなく、発達障害、心の問題にも対応できるよう、教育などの関係機関との連携体制の構築が必要であるというふうに指摘されております。
また、周産期医療や母子保健、発達障害、児童虐待等の分野ごとに協議会等を設置し、多機関・多職種連携による周産期医療や母子保健、養育支援などの検討を行っております。
例えば、妊娠期から子育て期にわたる関係者で構成される周産期保健医療協議会のほか、発達障害者の支援について、医療、保健、福祉、教育の関係者で構成される発達障害者支援地域協議会などがございます。また、地域においては、各厚生センターを中心に医療、保健、福祉で構成される地域医療推進対策協議会や周産期地域連携ネットワーク会議等があり、合同会議を行う場合もございます。
こういった状況ですので、今の時点でここから新たに小児医療及び関係領域の協議会を設置するということよりも、課題への対応や関係者間の連携について、既存の協議会の在り方も含めて整理して検討していきたいというふうに考えております。
私からは以上です。
28 ◯議長(山本 徹)
種部恭子議員。
〔18番
種部恭子議員登壇〕
29 ◯18番(種部恭子)働く女性の健康について、新田知事に再質問させていただきます。
先ほど、低用量ピルの補助を含めて、働いている女性の健康支援というのは重要だということで御答弁いただきました。
その中には、フェムテック製品を開発しているところは10社とか、低用量ピルに補助を始めたところもあるということは御承知おきいただいたということでありますけれども、製品を開発するというのは消費者に対することでありまして、社員に対するものではありません。そして、新田知事の本当におつながりのある方はたくさんいらっしゃると思いますので、経営者の方々に訴えていただけるということですが、このトップの方たちは男性がほとんどであります。管理職に占める男性の割合が非常に高い中で、これが本当に必要な政策なのかということを会社の中で言う人がいないというのが現状であります。
したがって、開発ではなくて、社員に対して何をするのかということ、それから、企業の中、組織の中で女性の健康分野が進まない理由の一つが色物扱いされていることだと思います。当事者性のある方に訴える必要があると思いますので、経営者に対して訴えるというのはちょっと違うのではないかというふうに思います。
どのように進めていくのか、もう一度知事の答弁を求めます。
30 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
31 ◯知事(新田八朗)再質問ありがとうございます。
確かにトップ層には、今の富山県の状況では女性が少ないというのは現実です。でも、男女問わず経営者の理解というのが、私は自分の経験からも含めて大切だというふうに思っています。
なので、女性活躍に関して、昨年来、経営者のセミナー、経営者に理解を深めることをやってまいりました。その中の一環として、こういったフェムテックのこと、女性特有の健康課題のこと、これらについても、今日の質問も私に来たように、それは男女問わないというふうに思います。
ただ、実際に、女性の社員に詳しく話を聞いたりアドバイスしたりするという、ここはやっぱり女性同士のほうが話が通じやすいところもあるんだというふうにも思います。そういった
コンサルタントの派遣をしたりもしていますので、経営者の理解を得て、そしてそれをまた伝わりやすいようないろんな工夫をしていくということ、これには努めていきたいと考えております。
32 ◯議長(山本 徹)以上で
種部恭子議員の質問は終了しました。
鍋嶋慎一郎議員。
〔7番鍋嶋慎一郎議員登壇〕
33 ◯7番(鍋嶋慎一郎)皆さん、おはようございます。自民党県議会議員会の鍋嶋です。今回も一般質問の機会を頂きましたことに際し、先輩議員、同僚議員に感謝いたします。
富山県議会議員とさせていただき1年が過ぎました。様々な視察や要望、行事ごとや勉強会などなど、富山県内はもとより、国内外を飛び回らせてもらい、あっという間の1年でありました。2年目もさらに見聞を広めるべく、痩せる思いで飛び回りたいと思っております。
昨年の6月に初めてこの壇上で質問させていただいたときのことを思い出しておりました。何を質問したのか、何を話したのかはあまり覚えておりませんが、尊敬する前県議の傍聴に来た際かテレビでしか見たことのないこの神聖な壇上で、僣越ながら質問させてもらえ、畏れ多さで口から心臓が飛び出すほど緊張したことは、今でも忘れません。これからもその緊張感と初心を忘れることなく、謙虚な気持ちで邁進していきますことをお約束し、質問に入りたいと思います。
それでは初めに、農林水産業の振興について5問質問いたします。
まずは、水稲の高温対策についてお伺いいたします。
令和5年産米は、夏季の異常高温の影響により品質や収量の低下が生じるなど厳しい状況で、特に主力品種であるコシヒカリの1等米比率は50.6%と大きく落ち込み、等級低下により農家の所得が減少しました。
今夏も猛暑と見込まれる予報がなされており、適切な対策が求められることから、今年度の水稲栽培における高温対策についてどのような対策で取り組むのか、津田農林水産部長の御所見をお伺いいたします。
次に、そのような異常高温の中においても順調に生育し、1等米比率が96%余りと高かった、富富富についてであります。
今年3月に示された第3期「富富富」生産・販売・PR戦略では、令和10年度の栽培面積目標を1万ヘクタールに設定したところであります。
令和6年産の作付では種子の生産確保に課題があり、作付を希望しても応えることができない状況であったと聞いていますが、生産体制は確保されたのか、また令和6年産米の作付状況はどの程度拡大したのか、津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
これまでも循環型農業や有機農業などの取組を進めてきてはいますが、持続可能な農業の実現に向けて、まだまだ取り組むべき課題は多いと聞いています。
最近よく耳にすることの一つに、水稲栽培過程におけるメタンガス発生の削減があります。メタンは温室効果ガスであり、CO2の約25倍の温室効果を持ち、水田からのメタンガス排出量は日本全体のメタンガス排出量の約4割を占めているとも言われています。
水田から発生するメタンガスは、水を張った田んぼ内の前年の稲株やわらなどの有機物や肥料から、嫌気性菌によって生成されます。そこで、通常の水稲栽培において行われる、出穂前に一度水田の水を抜いて田面を乾かす中干し作業がありますが、この期間を延長することでメタンガスの発生を抑制することができるとのことであります。
通常1週間程度中干しするところを、もう1週間程度中干し期間を延長することにより、メタンガス発生量を約30%削減できることが確認されています。また、その削減した分をクレジットとして認証してもらい、削減量分の収入を得ることができることから、農業分野の新しい取組として活用が期待されております。
また、環境に配慮した農業においてプラスチックフリーの取組、農業生産におけるプラスチック問題は、年々大きく取り扱われてきていると感じております。
農業用ハウスやトンネルの被覆資材、マルチ、畜産のサイレージラップ、俗に一発肥料と言われる肥料成分を合成樹脂等の膜でコーティングした被覆肥料などなど、これらは全てプラスチックを使用しております。
近年、プラスチックごみによる海洋汚染が国際的な課題として注目されている中、富山県としても「寿司といえば、富山」には欠かすことのできないきときとの魚が取れる天然の生けすと言われる富山湾を守るため、すしには必要不可欠な富山米の付加価値向上のためにも、生分解性マルチや非被覆肥料の購入補助や、被覆肥料の被膜殻の流出防止などの取組への補助をしてはどうかと考えます。
農林水産省では、本年5月、生産から販売、消費に至るまでの食料システムを持続可能なものとするため、環境負荷の低減を図りながら、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指す、みどりの食料システム戦略を策定するなど、近年の異常気象の多発などを踏まえ、地球環境に配慮した農業の重要性が一層高まっていると考えるところでありますが、県として、生産性向上との両立を図りながらどのように持続可能な農業の推進に取り組んでいくのか、津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
次に、農林水産物の輸出についてであります。
令和4年度の農林水産物輸出額は33億円でありました。そして昨年度、令和5年度には55億円と、1年で22億円増額になったことは非常に評価するところであります。ただ、本県の主要農産物である米の輸出額は約4億5,000万円から4億6,000万円と、ほぼ横ばいでありました。
令和8年の県産農林水産物等の輸出目標額は120億円となっており、達成に向けてはこの米の輸出拡大が不可欠と考えております。日本食ブームとなっている国や地域を中心に、県産食品のフェアや物産展、見本市など、さらなる需要開拓を進めるべきと考えます。
また、富山新港には中国向けの輸出用の薫蒸倉庫を整備しておりますが、国の指定登録には至っておらず、ほぼ使われていない状況となっています。
全国を見ても同様の中国向けの輸出用薫蒸倉庫があるのは、北海道、山形県、神奈川県、兵庫県の5か所だけとなっており、富山県の薫蒸倉庫が指定されれば近隣県からの米の輸出の拠点となることも想定され、農林水産物の輸出が活性化することも期待できることから、早急な指定に向けての強い要請が必要と考えます。
それらを踏まえ、今後の輸出拡大に向けた課題をどう認識し、その解決に向けてどのように取り組んでいくのか、佐藤副知事の御所見をお伺いします。
能登半島地震による海底崩落の発生を受け、シロエビ等の漁獲量が大幅に減少したことなどを受け、先月から富山湾の漁場環境やシロエビの幼生分布に関する調査を実施していますが、進捗状況はどうか、また、その調査結果の公表時期や活用方法と併せて、農林水産部長の御所見をお伺いします。
次に、2つ目の項目、安全・安心なまちづくりの推進について3問質問いたします。
県内各市町村から毎年多くの要望が出てきている中の一つに、信号機の新設や既存の信号機に右折矢印の設置をするなどの改良があります。道路の新設をはじめ宅地造成、様々な店舗や施設の造成により、周辺環境の変化などで交通事情が変わり、交通事故のリスクが高まったところが要望に上がっているものであります。
令和5年度に信号機新設の要望が出ている箇所は35か所でした。その35か所の中で、令和3年から5年の間に、80%である28か所で交通事故が発生しています。
また、同じく令和5年度に信号機の改良要望が出ているのは13か所で、事故状況はその中で12か所、何と92%もの確率で事故が起きている状況です。
そのような中において信号機が新設されたのは、令和3年度は2か所、令和4年度は4か所、令和5年度には2か所と、過去3年で8か所にとどまっております。
信号機を新設するには、多額の初期費用とその後の運営管理費、長期的なメンテナンス費用などがかかることから、なかなか新設または改良は難しいということは聞いてはいますが、1件でも痛ましい、そして悲しい事故を抑制できるよう、信号機の新設や改良をお願いするとともに、設置が見送られた箇所において事故が起きないよう、どのような安全対策を講じているのか、また信号機設置の判断基準と併せて、石井警察本部長の御所見をお伺いします。
次の質問ですが、今述べました信号機の設置が難しい箇所や交通事故発生件数が多い交差点等の危険箇所において、カラー舗装化を進めてみてはと考えます。
カラー舗装にすることで重要なのは、視認性を向上させることで交通事故を防止するという役割です。従来のアスファルト舗装と比較して色彩豊かなカラー舗装は、ドライバーや歩行者に対してより明確で認識しやすい印象を与えます。特に、交差点や歩道など交通の複雑な場面において色分けされた舗装は、道路の構造や交通規制を直感的に理解しやすくなり、歩行者や自転車利用者にとって交差点での交通ルートが明確になることで、安全性が向上すると言われています。
明るい色合いやパターンが設置された舗装は、ドライバーに対して視覚的な注意喚起を行い、車両の速度調整を促進する効果もあると言われています。例えば、学校や公園の周辺、住宅地域などの速度制限区域でカラー舗装が設けられたことで、交通事故の発生率を低減し、地域全体の安全性を高めることができたという事例もあるとのことです。
香川県での導入効果検証結果によれば、カラー舗装化施工前後の年間平均事故件数を比較したところ、出会い頭事故の件数が平均約66%減少するなど高い効果が期待できることから、信号機の設置が難しい箇所や交通事故発生件数が多い交差点等の危険箇所においてカラー舗装化を進めてみてはと考えますが、金谷土木部長の御所見をお伺いします。
次に、先日、尾山議員からも160万円詐欺に遭いそうになったという話がありましたが、その、近年被害が急激に増加している特殊詐欺について質問いたします。
最近、毎日のように詐欺被害の記事を新聞で見ている気がします。特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどし、対面することなく信頼をさせ、指定した預貯金口座への振り込み、またその他の方法で、不特定多数の者から現金等をだまし取る行為、現金等を脅し取る恐喝や、隙を見て
キャッシュカード等を窃取する窃盗などの総称で、1、オレオレ詐欺、2、預貯金詐欺、3、架空料金請求詐欺、4、還付金詐欺、5、融資保証金詐欺、6、金融商品詐欺、7、ギャンブル詐欺、8、交際あっせん詐欺、9、その他の特殊詐欺、10、
キャッシュカード詐欺の10種類に分類されます。
2023年の全国における認知件数は、前年より1,463件増の1万9,033件で、合計被害額は約70億4,000万円増の441億2,000万円となっていて、本県においての昨年の被害件数は前年比217件増の295件、被害額は約5億6,000万円増の約7億1,000万円と大きく増加しました。
そしてなお、今年に入っても増加を続け、5月末時点で被害件数及び被害額は既に昨年同時期の約2倍と、かなり深刻な状況となっておりますが、これらの要因や状況をどのように分析しているのか、また撲滅に向けた具体的な対策と併せて、石井警察本部長の御所見をお聞かせください。
次に、3つ目の項目、未来に向けた教育づくりについて2問質問いたします。
まずは、中学校の部活動における地域移行についてであります。
令和3年度から県内市町村で実践研究が行われてはおりますが、実際に部活動の地域移行を進めるに当たって、指導者等の人材や場所の確保、費用の負担の在り方など、解決しなければならない様々な課題が想定され、まだまだ本格的な実施には至っていない状況であると聞いております。
県としてその要因は何と考えており、解決に向けて具体的にどのような取組を行うのか、廣島教育長の御所見をお伺いします。
最後に、地域の教育を考えるワークショップについてであります。
自民党議員会が実施したタウンミーティングでは、保護者をはじめPTA関係、教育関係の方々と共に、多くの中学生、高校生にも参加をいただき、先日全6回を終了したところであります。
地元の高校のことや教育に対する熱い思い、これからの高校に必要なことや理想の高校再編とはなど、皆さん初めは立場や役職、世間の声などを気にされながら話をされていても、どんどん意見を出していくうちに自分の思いが止まらなくなるなど、たくさんの本当の声が聞けたように思いました。
中でも、これから高校に進学を希望する中学生、現在通学中の高校生も多く参加し、私にとっては目からうろこのような、なるほどとうなずく多くの斬新な意見を知る貴重な機会となりました。
次回以降の高校再編を検討する、地域の教育を考えるワークショップにおいて、教育の中心にいるべき中学生、高校生にも参加をしてもらい、最も尊重されるべき生の声を反映させていく必要があると考えますが、新田知事の御所見をお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
34 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
35 ◯知事(新田八朗)鍋嶋慎一郎議員の、未来に向けた教育づくりについての御質問にお答えをいたします。
県立高校の在り方を検討するに当たって、中高生の意見を聞くのは大切だと私も考えます。県の教育委員会では、令和4年度に中高生などへの高校教育に関するアンケートを実施しており、生徒のニーズ、あるいは望ましい県全体の高校像などについての回答を得ています。
昨年度は、県立高校教育振興検討会議において、これらの結果を踏まえて議論がなされ、4月に提言をまとめていただきました。今年度について教育委員会では、2種類のやり方で取り組んでいただいております。
今ほど議員から中高生に参加をしてもらったらどうかという提案がありましたワークショップですが、これは、各学区の市町村の教育長さん、経済界・保護者の代表、学校長や若手教員などに、検討会議での提言を踏まえて県立高校の目指す姿など一定のテーマで論点を整理して議論いただくことを目的にしています。
もう一つのほうは意見交換会ということでありまして、ここは中学生、高校生も含めてどなたでも参加できる予定になっております。これからさらに広く周知をして参加を募っていきたいと思います。その場では、ワークショップでの論点や御意見を整理した上でお示しをし、より幅広く意見を伺いたいと考えております。なので、こちらのほうで中高生の御意見をぜひ聞いていきたいと考えています。
また、今年度の高校生とやま県議会──高校生による主権者教育の意味を含めた県議会を毎年引き続き開いておりますが、ここでは教育の充実ということをテーマの一つに設定しました。高校生議員たちは各学校でアンケートなどをしてくれることでしょう。そして生徒の意見を把握した上で、自分たち議員として議論を深めて、高校生を代表して意見発表することとしています。ここでも高校生たちの意見を聞けるのではないかと思います。
さらにということですが、参考までにといいますか、青年議会というものも長く続けています。これは高校生よりもう少し上の社会人の人たちで運営する議会ですけども、ここでも、あくまでテーマはその青年議員たちが集まって議員たちで決めることが前提ですが、青年議会でも高校教育の在り方などを検討のテーマにしていただくこともできるのではないかというふうに考えております。
教育の問題は、もちろん中学生、高校生、子供たちが当事者でありますけども、でもさらに保護者という当事者もある、またかつて当事者であったという経験者もたくさんおられます。というかほとんどの県民が当事者あるいは当事者経験者だというふうに思います。なので、今、県議会自民党議員会でもタウンミーティングを開いていただきましたが、様々なチャンネルで意見を聞く場をつくり、そしてそれらを基に今年度総合教育会議で議論をしていく、そういうしつらえでやっていきたいと思います。
引き続き社会のニーズの把握にも努めまして、丁寧に議論を進めていきたいと考えております。
私からは以上です。
36 ◯議長(山本 徹)佐藤副知事。
〔佐藤一絵副知事登壇〕
37 ◯副知事(佐藤一絵)私からは、米の輸出に関する御質問にお答えを申し上げます。
議員御指摘のとおり、令和5年度の富山県の米及び米加工品の輸出額は4.6億円ということで、全体の県の農林水産物の輸出額の伸びに比べると、僅かにはとどまっております。
これは円安の影響ということもございまして、金額ベースではそのとおりなんですけれども、出荷量を見てみますと、米、玄米あるいは精米の形で輸出された出荷量は前年から約400トン増加をしております。また、輸出に取り組む事業者も2法人増えたところでございまして、これは大変いい感じであるというふうに考えております。
ただ一方で、とやま輸出ジャンプアップ計画、こちらにおいては、令和8年度の米及び加工品の輸出額の目標を10億円としておりまして、現状の4.6憶円から倍増させる必要があるということで、その実現に向けては、御指摘のとおり、さらなる努力が必要だと思っております。
特に輸出の拡大に向けましては、まず、富山米の販路拡大のためのマーケティング活動の強化、そして農業生産者側にも輸出にもっと前向きに取り組んでもらえるように、例えば輸出手続などに関する理解の促進などをしていただく必要があると考えております。
このため県におきましては、特に日本国内の他産地との差別化ということで、海外でも富山米を選んでいただけるように、富富富など県独自の育成品種を前面に押し出すような形の差別化を図っていくこと、また、精米や玄米はもちろんですけれども、例えばパック御飯や米粉、そして米菓などの米の加工品を含めた商品のバリエーションを増やしていくこと、こういったことを支援してまいりたいと思っております。
また、海外では、一部の地域で日本食レストランやおにぎり店が大変人気になっておりますので、そういった場面で富山米を活用していただけるような需要拡大を進めること、これも支援してまいりたいと思います。
そして、JAグループや農業者の皆さんが自ら海外にプロモーションに行って、現場で自分たちの米がこんなに求められているんだということを実感していただくというのが輸出にとっては非常に後押しになると思いますので、そういったプロモーション活動の支援ですとか、各国によって貿易規制、輸出手続が違いますので、そうしたことへの知識を深めていただく機会などを設けまして対応を充実させてまいりたいと考えております。
もう1つ御指摘のありました中国の貿易規制への対応ということも課題でございますが、これはやはり国において取り組んでいただく必要がございます。私は令和元年、2年と農林水産省のほうで担当課におりましたので、当時から国においてはあらゆる機会を捉えて、強く中国政府に対しては、米の輸出に関する薫蒸施設、そして指定精米施設の制度の規制緩和を求めてきております。ただ、中国側の対応は非常にかたくなでございまして、なかなか規制緩和ということには現時点においても実現に至っていないところでございます。引き続き、これは県のほうでも国に強く要望していくことでありますし、また、国においても今後ともしっかり取り組んでいくものであると思っているところです。
今回、食料・農業・農村基本法が改正されております。この中で、国内の食料の需要が減少する中において日本の食料供給能力の維持を図っていくためには、やはり輸出というのが非常に重要であるということも位置づけられております。富山県の水田を守っていくということ、そして国全体の食料安全保障の観点からも輸出というのは非常に重要でございますので、引き続き関係機関と連携をしながら進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
38 ◯議長(山本 徹)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
39 ◯農林水産部長(津田康志)私からは4つの御質問にお答えいたします。
まず、水稲栽培におきます高温対策についての御質問にお答えいたします。
令和5年産米は、夏季の記録的な猛暑の影響から、作柄は作況指数98のやや不良、また品質は、白未熟粒が多発したことにより、コシヒカリの1等比率は50.6%と過去最低となりました。
一方、高温耐性品種の富富富の93.2%をはじめ、てんたかく、てんこもりと、ともに90%を上回ったところでございます。
このため県では、令和6年産水稲の生産振興基本方針や重点技術対策に基づき、高温条件下でも品質が安定している富富富などの高温耐性品種の作付割合の拡大や、出穂後の高温登熟を回避するため、コシヒカリについては、5月15日を中心とした田植の徹底を周知しております。その結果、農林振興センターの調査では、高温耐性品種の作付見込み面積や、5月10日以降の田植が昨年より増加しております。
また現在、根の健全化と過剰な生育を抑制するため、中干しの確実な実施とその後の適切な水管理を呼びかけているところであり、今後は登熟期間の活力を維持するため、気象条件や葉色の生育診断に基づき必要な追肥を実施するなど、収量や品質の向上に向けた高温対策の指導を徹底することとしております。
今年の夏も高温が予報されておりますが、県ではこのような技術対策に加え、今年度は新たに用水確保のための応急対策も制度化したところでございます。
引き続き農業団体等と連携し、気象や生育状況に応じた対策の徹底を図ってまいります。
次に、富富富の作付拡大についての御質問にお答えいたします。
富富富につきましては、昨年産で高い品質を確保したこともあり、本年産の栽培面積は2,496ヘクタールと、昨年産の1,640ヘクタールから856ヘクタールの増で、約1.5倍の栽培申込みがあったところでございます。特に、議員お膝元のJAみな穂をはじめ、JAアルプス、JAいなば管内では大幅に面積が増加するなど、全県的に生産拡大の機運が高まっております。
県としましても、令和10年度に1万ヘクタールの目標達成に向けて、荷受けラインの複線化など機能向上に必要な乾燥調製施設の改修支援や、収量・品質を安定確保するための地域特性に応じた施肥・防除体系の実証や技術指導の徹底など、地域の実情に応じた生産者が取り組みやすい環境づくりを進めております。
一方、議員から御指摘がございました種子につきましては、当面の目標でありました栽培面積2,000ヘクタールを目安として準備していたため、生産者登録されている全ての生産者に配付はできたものの、希望どおりの量を配付することができなかったケースもあったということでございます。そうした生産者の皆さんには、希望に添えず大変申し訳なかったと思っております。
こうしたことから、令和7年度以降の種子の確保に向けては、種子場における採取圃場の調整や管理指導など、計画的な増産に向けた取組を推進することとしており、生産者の希望に添えるよう努めてまいります。
今後とも、消費や需要の拡大などの販売対策も含め、関係機関・団体と連携し、戦略に基づいた取組を着実に推進し、富富富の生産拡大を図ってまいります。
次に、持続可能な農業の推進についての御質問にお答えいたします。
県では、昨年3月に富山県みどりの食料システム基本計画を策定し、環境負荷低減と高い生産性を両立する持続的生産体系への転換を目指して取り組んでおります。
具体的には、水田除草機を活用した省力的な有機栽培技術の導入支援による労働生産性の向上や、生産から消費拡大まで、有機農業に地域ぐるみでモデル的に取り組む市町村等への支援、生産コストの縮減にもつながる化学肥料・農薬使用量の低減、とやまみどり認定制度の活用による環境負荷低減に必要な機械・施設の導入支援などを行っております。
このほか、有機農業に取り組む農業者の裾野を広げるため、令和5年度からは、有機アドバイザー制度を設け、有機農業アカデミーを開設しております。
また、議員からお話のありました水田からのメタン排出量削減につきましては、現在、適正な溝堀りと中干しの実施や秋おこしによる稲わらの分解促進の指導などに取り組んでおります。
また、同じくプラスチック被覆肥料につきましては、被膜殻の排出または流失を抑制するとともに、収量や品質に影響を及ぼさないプラスチックフリーの開発につきましても、硫黄コート肥料を配合した肥料で実証をしているところでございまして、早期の実用化を目指してまいります。
農業分野における環境負荷軽減は、昨今の気候変動や生産資材の高騰に照らしても、大変重要な課題と認識しております。基本計画に基づき、市町村や関係団体と連携しながら取組を加速させていきます。
最後になりますが、富山湾で実施しております調査の進捗状況等についての御質問にお答えいたします。
富山湾の漁場環境調査につきましては、先月13日から延べ7日間、漁業調査船立山丸等により、富山湾の水深15から700メートルの74地点から採泥器を用いて海底堆積物の採集を行い、現在、餌となる生物や汚濁などの海底の状況を過去の調査結果とも比較しながら分析を進めております。
また、シロエビにつきましては、今後の漁獲につながる幼生の数や大きさなどを調べるため、プランクトンネットを用いた採集を実施しており、今年11月までに岩瀬沖と新湊沖を合わせて計10回の調査を行い、資源状況等を分析することとしております。
調査の分析に当たっては、先般、富山大学等が水深1,300メートル付近の海底堆積物等を調べた調査や、海上保安庁の海底地形調査の結果も参考にすることとしており、結果につきましては7月中に速報を、そして今年度末には最終報告を予定しております。
また、県内の漁協で組織する富山県漁場等機能回復協議会におきましても、国の事業を活用し、県内6地区において5月から10月にかけて、定置網の設置場所や底引き網の漁場等の地形を調査しているところでございます。例えば入善地区では、刺し網等の漁場で水中ドローンを用いた調査を完了し、夏頃には定置網の施設場所の地形をマルチビームソナーで調査予定と聞いております。
これらの調査結果につきましては、県内の漁業者に情報提供し、必要な助言を行うことにより漁獲量の回復につなげるとともに、今後の漁獲予測をはじめ、漁獲量の回復に向けた資源管理などにも活用してまいります。
私からは以上でございます。
40 ◯議長(山本 徹)石井警察本部長。
〔石井敬千警察本部長登壇〕
41 ◯警察本部長(石井敬千)私には2問頂きましたので、まず、信号機に関する御質問にお答えいたします。
信号機の設置改良に当たりましては、国の警察庁が定めた信号機設置の指針及び県警察で定めた整備指針に基づき、事前に交通量、交通事故の発生状況、道路状況などを調査分析し、危険性が高く他の手段による代替が困難な、真に必要性の高い箇所を選定して設置しております。
老朽化している信号機の更新も必要な中で、新設等を行うため必要性の低い信号機の撤去も併せて行うスクラップ・アンド・ビルドを進めているところでもございます。
そうした中で、信号機の設置を見送った箇所については、道路環境や交通事故の発生状況に応じて、「止まれ」の標示を立体的に見せるイメージハンプやオーバーハング標識の設置、ライトで反射する、規制標識を見えやすくする高輝度化を行っております。また、道路管理者と協議の上、交差点のカラー舗装や道路標示により道路を狭く見せて速度抑制を促す物理的デバイスなどを設置するなど、事故が起きにくい道路環境を整備し、安全対策に努めております。
このほか、要望のある箇所付近で交通事故が発生している場合には、違反状況に応じた交通指導取締りの実施や、注意喚起の看板の設置のほか、発生状況を事故マップとして県警察のホームページで公開──これは今年度導入する安全・安心アプリではより見やすい形で公開することになりますが、こうした事故抑止のための広報啓発活動を行っているところでございます。
県警察といたしましては、引き続き関係者と十分な協議を行い、理解を得るよう努めながら、信号設置要望箇所について必要な安全対策を講じてまいります。
続きまして、特殊詐欺に関する御質問ですけれども、議員に御説明いただいた特殊詐欺に加えて、最近は新たな類型として、SNS型投資・ロマンス詐欺もかなり多発しておりますので、これらを合わせた本年5月末現在の被害状況につきましては、217件、約7億円に上っておりまして、昨年からの被害半減を目指しておりましたが、むしろ倍増している状況でございまして、1日当たり約460万円の県民の皆様の大切な資産が有象無象の犯罪グループに渡ってしまう状況を、治安責任者として大変悔しく思うとともに、極めて深刻に受け止め、非常事態だと思っております。
特殊詐欺は被害件数の約7割を占める一方、SNS型投資・ロマンス詐欺は被害額の約7割を占め、1件当たり約700万円、最高では本年では5,000万円と被害が高額となる傾向にあり、中には投資経験を有する方の被害もございます。
被害増加の背景には、SNSの普及と投資などの資産形成に対する関心の高まりに加え、著名人による偽広告を用いるなど、手口の巧妙化があると考えております。被害者への接触形態も、電話は18%にとどまり、SNS、ポップアップ、メール、マッチングアプリなどが8割近くとなり、財産の交付についても、直接受け取りに来るものは3%にとどまり、電子マネー、ネットバンキングも含めた口座振込、暗号資産送付など、被害者と接触しない事案がほとんどとなっております。
県警察では、特殊詐欺プロジェクトチームを発展させた、本部長直轄の治安対策プロジェクトチームを今春から設置して、県警の総力を挙げた取組を進めており、被疑者の検挙については、海外を拠点としている犯罪グループもいることから、全国警察の連合捜査班と連携して捜査を進めることとしております。
被害防止対策としては、巡回連絡、一軒一軒戸別訪問をしての注意喚起、証券会社との協力による顧客へのビラ配布などの取組を進めておりますが、被害抑止には、見知らぬ者の呼びかけに応じて財産を渡す前に誰かに相談していただくことが最も重要と考えており、県警ホームページには相談フォームを開設し、電話の相談についても、詐欺については24時間365日受け付ける体制を取っております。
今後とも関係機関・団体とも連携しながら、あらゆる手段、機会を通じて、被害防止のための注意喚起や相談窓口の周知を行い、県民のディフェンス力向上を図ってまいります。
42 ◯議長(山本 徹)金谷土木部長。
〔金谷英明土木部長登壇〕
43 ◯土木部長(金谷英明)私からは、交差点等のカラー舗装化に関する御質問にお答えをいたします。
これまで県では、交差点付近の横断歩道、また、通学路など交通事故の発生箇所や事故の危険箇所におきまして、小中学校や警察などとも連携しながら、カラー舗装、あるいは警戒標識及び路面標示など、それぞれの現場あるいは箇所に適した交通事故防止対策を実施してきております。
これまで実施した対策の一部につきましては、道路管理者や交通管理者等から成ります富山県道路安全・円滑化検討委員会におきまして検証結果が示されており、例えば、交差点手前の車線をカラー舗装した国道359号の小矢部市津沢小学校前の交差点では、データ数が少ない事例ではありますけども、死傷事故が約9割減少した。それから、横断歩道におきましては、白線以外の場所や歩道の人がたまる部分をカラー舗装化いたしました県道富山高岡線の呉羽中学校前の交差点では、死傷事故が約6割減少したという報告がございます。また、誤って逆走しないように右折レーンをカラーラインで視線誘導いたしました県道島尻魚津インター線から国道8号へ合流する交差点では、地元自治会から逆走車がなくなったというような評価も頂いておりまして、路面のカラー舗装は交通事故の防止対策に効果的というふうに考えております。
引き続き、事故が多い交差点あるいは通学路などにおきまして、警察、学校など関係者と連携いたしまして、より安全で、そして円滑な道路となりますよう、カラー舗装など交通事故防止対策に努めてまいります。
以上であります。
44 ◯議長(山本 徹)廣島教育長。
〔廣島伸一教育長登壇〕
45 ◯教育長(廣島伸一)私からは、部活動の地域移行についてお答えをいたします。
令和3年度から実施しております中学校の部活動地域移行に係る国の委託事業。全体といたしまして年々実施する学校や競技などが増えておりまして、今年度は12の市町の48校440の部で取組が行われることとなっております。
実施する市町からはこれまで、指導者からは専門性の高い指導が受けられたこと、また教員の負担軽減につながったなどの報告があります一方で、議員御指摘のとおり、地域や個々の部活動によっては、指導者の確保や、指導者また活動場所に要する費用負担といった課題があると聞いております。県教育委員会としても、こうしたことが部活動の地域移行が全体的に行き渡っていない一つの要因ではないかと考えております。
このため指導者の確保につきましては、県スポーツ協会や県芸術文化協会と連携いたしまして指導者の掘り起こしを行い、その人材情報を、本年3月に構築いたしました人材の検索・照会システムでございますパスネットとやま、これを市町村でも活用できるよう取組を進めたところでございます。
また、指導者の派遣や運営支援に協力いただける部活動応援企業、こちらのほうは引き続き募集しますとともに、この応援制度を分かりやすく紹介するPR動画も新たに作成しまして、今後も周知に努めてまいります。
各種の費用負担につきましては、これまでも国への重要要望などを通じまして、財政支援を要望してきております。引き続き、様々な機会を捉えて働きかけてまいります。
また、関係団体や有識者などから成ります地域部活動検討委員会におきまして、今までのこうした課題について検討を進めますとともに、例えば参考となる他の都道府県の事例、こういったものを共有するなど、円滑な地域移行に向けて市町村の取組を支援してまいります。
以上でございます。
46 ◯議長(山本 徹)以上で鍋嶋慎一郎議員の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時43分休憩
───────────────────
午後1時00分開議
47 ◯副議長(井上 学)休憩前に引き続き会議を開きます。
火爪弘子議員。
〔32番火爪弘子議員登壇〕
48 ◯32番(火爪弘子)日本共産党の火爪弘子です。
知事の政治姿勢について、まず3問伺います。
富山県と中国遼寧省との友好協定締結40周年に当たり、先月には新田知事と李楽成遼寧省長との間で覚書も締結されました。
本来、日本と中国は経済的にも文化的にも密接な関係にある隣人であり、交流には大きな意義があります。一方、日本と中国の政府間には様々な緊張・対立関係が存在しています。地方での交流が両国関係の改善に資することを心から期待するものです。
日本共産党は、昨年3月に日中両国関係の前向きな打開のための提言を公表し、日中両国政府に平和的外交努力による関係改善を直接働きかけてきました。
提言は、1972年の国交正常化以来、日中政府間には関係改善の土台となる様々な合意があることを指摘しています。第1は、2008年の日中首脳会談で交わされた、双方はお互い協力のパートナーであり、お互いに脅威とならないとの合意、2つ目は、2014年の尖閣諸島問題について、異なる見解を有しているが、対話と協議を通じて問題を解決するとした合意、3つ目は、軍事的対応を排して対話と外交での紛争の解決を目指すASEANインド太平洋構想への両国政府による賛成の態度表明です。
そして、我が党のこの提言には、岸田首相からも中国の駐日大使からも直接賛意の表明が寄せられてきました。
今、様々なレベルの交流の機会にも、これら合意に立ち返り、中国政府に対しては、東シナ海をはじめとした周辺地域での武力を背景とした覇権主義的な行動をやめるよう働きかけ、日本政府に対しても、中国をにらんでの敵基地攻撃能力の保有と軍事拡大、中国を射程に入れた攻撃型長距離ミサイルの配備などをやめ、徹底した対話、外交の努力に徹するよう働きかけることが必要です。
日中関係の未来について、新田知事の見解を伺います。
次は、教育問題についてです。
昨年8月から9月に行われた第10回海外教育事情視察団の中で、現教育委員である牧田和樹氏の講話が波紋を広げています。報告書によれば、牧田氏は講話の中で、「国家の繁栄は教育がもたらすものであり、社会に役立つ人材、つまり子供という商品の価値を高め輩出するのが学校」であり、「決して保護者のためではなく、国家繁栄のために教育があることを肝に銘じてほしいと思います」と述べられています。驚くべき発言と言わなくてはなりません。
教育基本法は、教育の目的を子供の「人格の完成」にあるとし、侵略戦争に国民を動員した戦前の教育への痛苦の反省から、国家繁栄のために奉仕する教育を厳しく退けてきました。教育は子供たちそのもののためにあるというのが憲法と教育基本法の立場です。
子供たちを「商品」と言い放ち、教育基本法を否定するこうした考えの方は、仮に経済人として信頼のある方であっても、少なくとも教育委員としては不適格であり、辞任を求めるべきと考えます。知事の見解を伺います。
秋の知事選挙に向けて、知事と旧統一協会との関係が改めて問われています。
5月19日に信教の自由を考える富山県集会を開催した県平和大使協議会の幹部が、集会後の記者会見で、個人として新田知事支援に前向きな姿勢を示したと報道されました。トップの意向は組織の動きにつながるでしょう。知事が意識していなくても、向こう側にとって知事は広告塔だったわけですから、簡単には離しません。毅然とした言葉を使わなければ関係を切ることはできないでしょう。
知事は17日の岡崎議員の質問にも、「強い言葉を使うと宗教への抑圧になる。信者も県民の一人である」と答弁をされました。結局は、統一協会に最大限の配慮をしている答弁だと思います。
統一協会は、今や国から宗教法人法に基づく解散命令を申請されている団体です。私も、消息不明になったお子さんを持つ親御さんから御相談を受けたことがありますが、こうした被害者も県民です。加害者を断罪することは、県民を切り捨てることでは決してありません。
私からも改めて知事の見解を伺います。
次に、能登半島地震からの復旧・復興について伺います。
17日に追加提案された上限767万円の宅地液状化等復旧支援事業を歓迎しています。同時に、東蓮町など富山市内の被災地の皆さんからは、本当に自分たちが対象になるのかとの疑問の声が上がっています。
というのは、2月議会で提案された120万円の被災木造住宅耐震化支援事業に当初は期待をしていたのに、公費解体で家が壊され、上に家がなければ対象にならないとか、申請締切りは年度内ですとか、新しい家は対象外ですなどと、いろいろ説明を受けて諦めた人たちがいる、そういう経過があるからです。結局、今、富山市からのこの制度の申請はゼロです。いまだにありません。全県での取組や申請状況はどうなっているんでしょうか。
新たな宅地液状化等復旧支援事業についても、住民には大変分かりづらい制度です。少なくとも、液状化被害が集中した地区ごとの説明会や個別相談会の開催などを市と共に取り組むなど、必要とする被災者にちゃんと届く制度にしてほしいと思います。被災地では住宅再建を迷っている人も多く、申込み期間も、今年度中ということではなくて数年間に設定してほしいと思います。
被災者に寄り添った制度と柔軟な運用を切に要望し、どう取り組んでいくのか土木部長に伺います。
市町村が主体となって行う面的な宅地液状化防止事業については、各地でボーリング調査が始まっています。全県の調査箇所数や取組状況をどう把握しているでしょうか。
対策地域や工法の確定にはまだ時間がかかります。事業の完了には約3年かかるとの説明もありました。被災者は先行きが見えず、不安な毎日を送っています。
国は地権者の同意要件をなくしましたが、反対する住民が出ないとも限らず、全国的には、検討したけれど事業実施に至らなかった地区も多数あると聞いています。地権者の財政負担も生じないようにしてほしいものです。
県としても、できるだけ早く対策事業が進むよう市を支援してほしいと思います。土木部長の見解を伺います。
公費解体などで更地となった宅地に対しては、地方税法第349条で固定資産税を6分の1のまま軽減する特例措置が2年間延長されることになっています。
しかし、液状化対策事業の対象地域などでは、対策に係る約3年間はその場で自宅を再建することもかなり困難です。売却も難しいでしょう。2年間の特例措置の延長が必要です。東日本大震災の際には10年間、熊本地震の際には6年間、国が主導して延長されています。減免制度を判断するのは市町村ですから、県からも国に働きかけることが必要です。地方創生局長の見解を伺います。
県内の地震被害想定調査については、13日の代表質問で答弁がありました。私はその土台である活断層の調査について伺います。
県内の断層の中でも、高岡断層や魚津断層帯、また氷見沖の海底断層については、被害想定上も調査が必要と専門家の指摘があり、国の調査と長期評価が間に合わないのであれば、県の独自調査を行うべきだと思います。
東日本大震災の後に富山市が呉羽山断層帯の独自調査を行い、海域部分はたしか県が行ったと思います。国はその結果をどう扱っているのでしょうか。また、独自調査に国からの財政支援はないのでしょうか。国による県内の内陸部の活断層の地域評価や海域活断層の長期評価の今後の実施見込みと併せて、危機管理局長に伺います。
次に、戦後80周年に向けて伺います。
来年は戦後80年、被爆80年に当たります。
戦後50周年の際には、県と市町村会、遺族会、北日本新聞社が実行委員会をつくって記念事業に取り組みました。
県内では今、富山大空襲を語り継ぐ会などの市民団体が体験を語り継ぐ活動を行い、空襲記念館の建設を目指す動きもあります。戦争体験を語り継ぐ高校生グループの活動も生まれています。また、富山県被爆者協議会なども県の支援を受けて被爆体験集「叫び」を発行されています。
来年の8月に向けて、県が、こうした幅広い県民、市民団体やマスコミの皆さんとも一緒に実行委員会をつくるなどして知恵を集め、多彩な記念事業を準備すべきと考えます。新田知事の見解を伺います。
次に、地域公共交通の再構築について伺います。
富山市が呼びかけて、県東部7市町村による富山地方鉄道の再構築に関する協議が進んでいます。
富山地鉄社長からは、「みなし上下分離を」とか「年内にも一定の結論を」とかの発言もありますが、関係自治体での議論は今始まったばかりです。県が、さきの副知事の答弁にありましたように、まずは市町村で十分な検討をと言うのもよく分かります。
しかし、県東部の地鉄線は3路線がそれぞれ違う性格を持ち、市町村ごとにその区間の収支状況も路線の長さもまちまちです。並行してあいの風とやま鉄道が走っている区間もあって複雑です。市町村の議会などでも、昨日も県の関わりを求める声が強く出されているようであります。
まずは県が協議の場に立ち会うことで、共に考えていくという姿勢を示すことが大事ではないでしょうか。その中で県主導なのかどうなのか、県の関わり方を検討していけばいいと思います。交通政策局長の見解を伺います。
JR高山線についても、富山市を中心に経営形態を含む検討が行われています。こちらのほうは、検討会に県もオブザーバーとして参画してきました。検討状況をどのように認識しているでしょうか。
そして、相手は富山地鉄のように経営の厳しい地元会社とは違います。城端線・氷見線の議論の際にも指摘したように、多額の内部留保を抱えるJR西日本であり、県民的な議論と交渉力が求められます。検討経過の徹底した情報開示も必要です。どのように取り組んでいくのか交通政策局長に伺います。
次に、気候危機対策について伺います。
地球の気温上昇が止まりません。世界気象機関によれば、2023年の世界の平均気温は史上最高となり、産業革命前に比べ1.45度前後の上昇となりました。1.5度以上上昇すると、地球環境が人間の力では制御できなくなる転換点、ティッピングポイントを超える危険性があると指摘されており、もはや地球の温暖化は危機的状況に突入しています。
県は、富山県カーボンニュートラル戦略に基づいて対策に取り組んでいますが、先日公表された2021年速報値によると、2013年以来一貫して減り続けてきた県内の温室効果ガス排出量が、今回は前年度比で3.7%増加する結果となりました。
コロナ禍が続き、エネルギー消費量が前年度比プラス0.2%とほとんど増えていないにもかかわらず、なぜ増えたのか。原因をどう捉え、どう打開しようとしているのか、知事政策局長に伺います。
日本政府が石炭火力発電から脱却する姿勢を示さないことに、世界から批判の声が上がっています。COP──国連気候変動枠組条約締約国会議でも、日本は環境NGOから毎回不名誉な「化石賞」を贈られています。
特に北陸電力は、電源構成に占める石炭の割合が2022年で46%と高くなっています。こうしたことから、北陸電力も、2024年の今年度中に富山新港の火力発電のうち1基を廃止することを計画してきました。志賀原発再稼働のめどが立たなくなっても、再生可能エネルギーの実用化を急ぎ、計画どおりに北陸電力が火力発電の廃止に取り組むよう、改めて県からも働きかけるべきと考えます。知事政策局長に伺います。
かねてから提案してきたソーラーシェアリング──営農型太陽光発電の取組が南砺市でスタートしたと聞いて視察をしてきました。農地の上に一定の高さの太陽光パネルを設置し、農業収入に加え売電収入の確保を目指す取組です。
これまでは、積雪量が多い県内ではなかなか利益確保が望めないと考えられ、全国で唯一取組がなかったのが富山県でした。しかし、工夫次第では利益も見込めるとの専門家のアドバイスもあって、南砺市の2か所の農地で高麗人参やサツマイモの栽培が計画され、農地転用手続も無事行われました。
うち、南砺市が株式会社南砺エナジーと連携して企画し高麗人参の栽培を目指す地域では、県外の大学生が移住してその担い手を引き受けることも決まり、採算も見込めるとのことで、大変頼もしく感じました。
県がこうした事例も参考に、専門アドバイザーを招聘して県内での可能性を探求し、市町村と共にモデル事業に取り組んではどうかと思います。期待を込めて佐藤副知事に伺います。
最後に、医療、介護事業所への支援について伺います。
社会福祉法人など介護事業所の経営が今深刻です。東京商工リサーチが6月7日に公表したレポートによれば、今年1月から5月の全国の介護事業所の倒産は、訪問介護34件、通所短期入所事業21件など合わせて72件となり、同月比較で近年最も高かった一昨年44件の1.7倍となっています。職員不足のために受入れを休止している事業所も広がっています。富山県内の倒産、閉所、稼働休止などの件数はどうなっているでしょうか。
また、今年度の介護報酬の改定では、基本報酬が1.59%引き上げられたものの、うち0.98%は介護職員の賃上げ分とされ、残りの0.61%で介護職員以外の賃上げや物価高騰を賄うことは不可能です。訪問介護事業所の報酬も下げられました。介護報酬の臨時改定や新たな支援を求める悲痛な声が寄せられています。現状と併せて厚生部長の見解を伺います。
ケア労働者の賃上げについても、改善を国に求める請願が今議会に提出されています。
国は、2024年度報酬改定で看護師や介護職のベースアップ2.5%を掲げ、診療報酬には賃上げ評価料を、介護報酬には賃上げ加算を盛り込みました。しかし、請願によれば、日本医療労働組合連合会傘下の職場でも、今年の賃上げはベースアップ分で1.81%、諸手当を含めても2.97%で、連合傘下の全産業平均賃上げ5.08%と比べると格差がさらに広がったとのことです。
国会でも、6月5日、衆議院厚生労働委員会で、介護や障害福祉職員の処遇改善の検討を求める決議が、全会一致という異例の形で採択をされています。県からも、臨時の報酬改定など国に支援を強く働きかけていくことが必要と考えます。厚生部長の見解を最後に伺って、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
49 ◯副議長(井上 学)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
50 ◯知事(新田八朗)火爪弘子議員の御質問にお答えします。
まず、平和外交についての御質問にお答えします。
本県と中国遼寧省の友好県省締結40周年を記念して、先月、私が友好訪問団の団長を務め中国を訪問しました。今回は、山本議長をはじめ県議会や経済界からも参加いただき、遼寧省では書記や省庁から盛大な歓待を受けるとともに、県と遼寧省、県議会と省人民代表大会、さらには民間団体まで、幅広い分野で計4つの覚書を結ぶことができました。
地方自治体レベルだからこそできる交流の積み重ねの重要性を改めて実感したところでありまして、両県省双方が今後一層の広がりや深まりのある交流に努めていくことが大切であると考えています。
一方、日中両国は、5月26日にソウルで開催された首脳会談で、戦略的互恵関係推進を確認しておりまして、6月1日にはシンガポールで両国の防衛相も会談し、対話や交流の推進で合意したところです。外交政策については、我が国の安全の確保に関わる事柄であり、世界の動向を見極め、今後とも政府において適切に対応していただきたいと考えております。
地方同士による多様な交流は、国と国との関係を底支えして、より強靱なものにしていくものだと理解をしております。富山県としては、これまで同様、地方レベルの具体的な交流を積み重ねていき、将来に向かってより一層国際的な相互理解、また相互信頼を確固たるものに構築していくことが重要と考えています。
今後とも様々な国際交流・協力事業の取組を通じて、世界の平和と友好の実現に寄与していきたいと考えます。
次に、教育委員についての御質問にお答えします。
議員から紹介がありました海外教育事情視察ですが、これは県内の経営者団体が主催されたものと承知をしております。
教育委員については、多岐にわたる教育行政の課題に対して、教育行政の改革、教育現場の改善に取り組んでいく必要があることから、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて、県議会にお諮りをして同意をいただいた上で任命をしました。
現在、教育委員を務めていただいている方々には、教育基本法第1条で定めている「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」という教育の目的の趣旨を理解された上で、その知見を持って教育委員として御尽力いただいているものと認識しています。
委員の皆様には、引き続き識見を生かして教育行政の推進に御尽力いただきたいと考えております。
次に、旧統一教会についての御質問にお答えをします。
旧統一教会は、これまでも元信者などから訴訟が提起され、損害賠償請求が認められた事例が複数あり、コンプライアンス上の問題がある団体だと認識しています。
政治家として、また県知事として、コンプライアンス上の問題がある団体とその関連団体とは関係を持たない、このことは、令和4年8月9日の定例記者会見で約束すると申し上げて以降、これまでも繰り返し明確に申し上げ続けてまいりました。
一方で、県知事の権限は強く、影響力も大きいものと認識をしております。県内3,900を数える宗教法人を管轄している立場からも、宗教団体への圧迫に当たらないように、また一部の県民の方を切り捨てるような言い方にならないよう、言葉遣いは慎重にさせていただいています。
また、昨年12月には、国が裁判所に解散命令を請求した宗教法人の資産状況を適時把握できるようにするための法律が成立するなど、被害者救済に向けた動きが着実に進められています。
富山県としても、被害者救済のため、3か月にわたり電話相談窓口を開設して丁寧に対応をしてきました。これからも被害者救済にはしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
私からは最後になりますが、戦後・被爆80周年についての御質問にお答えします。
悲惨な戦争の体験と記憶を風化させず、平和の尊さを次世代に語り継いでいくことが私たちの重要な使命と考えています。
これまでも昭和38年以来、毎年、県戦没者追悼式を継続開催し、さきの大戦で亡くなられた戦没者の御冥福をお祈りするほか、平成17年度からは、戦争の悲惨さを伝えていくために、小中学校への戦争体験者による語り部派遣を実施するなど、戦争体験談や平和への思いを語り伝える事業に取り組んでいます。
また、戦後50年に当たる平成7年から戦時下の暮らし展を開催し、多くの県民の方から寄贈いただいた戦時下の暮らしや富山大空襲に関する遺品や生活用品などを展示しており、現在も引き続き寄贈をお受けしています。
なお、富山大空襲については、富山市において令和元年度から資料のデジタルアーカイブスを作成しており、県からも戦時下の暮らし展実行委員会所蔵の資料を一部提供し、インターネット上で閲覧することができます。
戦後80年の節目となる来年度の戦時下の暮らし展の実施に向け、今年度はコロナ禍で中止していた語り部講演を復活し、来年度には次代を担う若者と連携して実施することができないかなど、開催方法の拡充を検討していきたいと考えております。
今後も市町村や県遺族会など関係の皆様の御意見や御協力をいただきながら、戦争体験などを継承する事業に取り組み、戦争を二度と繰り返さないための社会意識の醸成に努めてまいります。
私からは以上です。
51 ◯副議長(井上 学)佐藤副知事。
〔佐藤一絵副知事登壇〕
52 ◯副知事(佐藤一絵)私からは、気候危機対策のうち、営農型太陽光発電に関する御質問にお答えをいたしたいと思います。
営農型太陽光発電というのは、農業生産と発電を両立する取組でございます。この営農型太陽光発電は、再生可能エネルギーの活用に加えて、農業者が自ら取り組む場合は収入の増加につながる、また、例えば中山間地域の荒廃農地において発電収入を確保することにより農地の再生につなげることができる、そういう場合もあることから、設置に当たりましては通常より長い期間での農地の一時転用許可が認められているところでございます。
県においては、これまでも導入する際の具体的な手続や他県の事例などについて、県のホームページをはじめ各種会議などで周知に努めてまいりました。その結果、議員からも御紹介がございましたが、昨年度、南砺市において県内で初となる2件の案件について一時転用の許可をしたところでございます。
ただ、全国的には、この営農型発電につきましては課題も生じております。この制度は平成25年からスタートしておりまして、これまでに関東地域を中心に全国では4,000件を超える一時転用の許可が出ておりますけれども、残念ながら、中には発電に重きを置いてしまい営農がおろそかになっている不適切な事例が散見されております。
このため国におきましては、今年3月、一時転用許可について、営農が適切に継続されない事例を排除するための措置、これが講じられたところでございます。
本県においては、先ほどの2件の初のものにつきましては、今現在においては、まだ営農も発電も行われておらず準備段階でございます。そういう意味で、まずは実際の農業生産や発電の状況を検証する必要があると考えております。
国の動向も注視した上で、当面は引き続き営農型太陽光発電制度の周知に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
53 ◯副議長(井上 学)金谷土木部長。
〔金谷英明土木部長登壇〕
54 ◯土木部長(金谷英明)私には2問頂きました。
まず最初に、復旧・復興への支援のうち住宅耐震改修についての御質問にお答えをいたします。
被災住宅耐震改修支援事業につきましては、今回の能登半島地震において液状化により損傷を受け、耐震性が不十分であると判断される住宅の耐震改修や現地での建て替えにつきまして、これまでの既存事業に加えて、新たな補助事業として今年度から市町村と連携し実施しているものでございます。5月末現在でございますが、具体的な相談件数は54件、そのうち交付決定は4件となっている状況であります。
この事業を実施するに当たりまして、住宅の改修ではなく建て替えを計画されている被災者においては、損壊しました住宅を解体後に建て替えることになります。液状化の対策の検討などに、解体から、あるいは建て替えまでの時間を要する場合には、住宅の建て替えを終える年度ごとによって、予算の繰越しでも対応できない場合が見込まれることから、県としては、一人でも多くの方々にこの制度を御活用いただけるよう、現在、国と弾力的な運用について協議を行っているところでございます。
具体的には、一連のエリアの住宅につきまして、それぞれ住宅を建て替えする実施の年度に補助金が交付されるよう協議しておりまして、この協議が整い次第、市町村へ周知し、必要な手続等を速やかに進めてまいりたいと考えております。
引き続き国と調整を進めまして、市町村と連携して被災者に寄り添った支援となりますよう努めてまいります。
次に、宅地液状化防止事業についての御質問にお答えをいたします。
国の宅地液状化防止事業につきましては、道路や下水道などの公共施設と隣接宅地とを一体的、そして面的に整備を行うものでございます。
御指摘いただきましたとおり、現在、住民の同意要件は廃止されておりますが、事業を進めるに当たりましては、対策工法やスケジュールなどについて段階を踏んで、そして住民と意見交換を重ね、説明を尽くし、理解を得ながら進めていくことになると考えております。
その後になりますと、これまでございました熊本あるいは北海道札幌の事例では、住民の理解を得た事業計画を策定した後、道路や下水道など公共施設の災害復旧工事とも調整を図りながら、地下水低下や、あるいは地盤改良などから選定されました面的な液状化対策を進めていくということでございます。
現在、県内では富山市、高岡市、射水市、氷見市におきまして、工法の検討などのために面的整備に先立って実施しております、宅地の液状化による変動予測調査に着手しておりまして、現地で行われているボーリング調査の結果を踏まえまして、具体的な対策工法などについて検討が進められる予定でございます。
今後、県では、被災市と共に、面的整備などに携わる関係者と、最新情報や課題、あるいは事例の共有を随時図りまして、液状化被害を受けた地域の方々の意向に沿ってこれらの事業が実施されるよう、国の御協力も得ながら取り組んでまいります。
以上であります。
55 ◯副議長(井上 学)田中地方創生局長。
〔田中雅敏地方創生局長登壇〕
56 ◯地方創生局長(田中雅敏)私からは、能登半島地震からの復旧・復興につきまして、被災住宅用地の固定資産税に係る関係市との連携の御質問にお答えいたします。
固定資産税制度におきましては、住宅政策上の観点から、現に住宅の敷地となっている土地は、固定資産税の課税標準を価格の6分の1などとする特例措置が講じられております。
その上で、震災等により滅失または損壊した住宅の敷地であった土地につきましても、住宅の再建を支援するため、賦課期日に住宅用地として使用することができないと市町村長が認める場合には、地震発生後2年度分は当該敷地を住宅用地とみなしまして、被災住宅用地の特例措置が適用されているところでございます。
今後、県といたしましては、被災住宅用地の特例措置の延長につきまして、今後の復旧・復興状況などを踏まえまして、課税庁である市町村の御意見、御要望もお伺いした上で、必要に応じまして特例措置の延長に係る国への働きかけを検討いたしますほか、市町村が適切な対応を行うために必要な情報提供、助言なども含めまして支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
57 ◯副議長(井上 学)武隈危機管理局長。
〔武隈俊彦危機管理局長登壇〕
58 ◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、活断層の調査についての御質問にお答えします。
国の地震調査研究推進本部の下に設置された地震調査委員会では、各地域に分布する活断層で発生する地震を総合的に評価する地域評価を実施し、これまで関東、中国、四国、九州の4つの地域の単位で評価を行い、その結果を公表しておられます。
この地域評価ですけれども、現在、近畿地域で調査が進められており、本県を含む中部地域の調査は、この近畿の調査終了後とされておりますけれども、その実施時期は未定となっております。このため、先般行いました国への重要要望におきまして、早急な地域評価の実施を要望したところでございます。
日本海側の海域活断層の長期評価につきましては、本年夏頃までに活断層の位置、形状、発生する地震の規模などの評価結果を公表されるものと聞いております。
また、議員から御提案のありました活断層の独自調査につきましては、正確な活断層の位置や形状などを把握できれば、被害想定の精度の向上につながる可能性があること、さらに、その調査結果が新たな知見として国の調査の参考にされることがあれば、円滑な調査の実施に貢献できることなどの効果が期待されるものでございます。
県では、今年度、地震や津波の専門家によるワーキンググループを設置し、現在、被害想定調査の実施に向けた検討を進めていただいておりますけれども、活断層の独自調査に関しましても、どのような調査が必要か、また可能かについて、今後検討してまいりたいと考えております。また、その財源につきましても国と協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
59 ◯副議長(井上 学)田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
60 ◯交通政策局長(田中達也)私からは2問お答えいたします。
まず、富山地方鉄道の在り方の検討についてお答えいたします。
今年2月に策定しました富山県地域交通戦略では、本県の地域交通ネットワークの目指すべき姿として、骨格となる鉄軌道を中心としたネットワークを実現することを掲げております。また、ポイントとして鉄軌道サービスを強化するため、自治体の積極的な関与や駅を中心としたまちづくりを進める市町村との連携を示しております。
特に自治体の役割として、交通事業者の経営の範囲を超えるものの、その地域が必要と考えるサービスレベルの確保・向上については、地域の当事者として自らの投資により実現することもお示ししております。
富山地方鉄道の運営に関する勉強会は、今ほど申し上げました戦略の策定とほぼ同じ時期に、富山市が先頭に立たれ、沿線自治体との枠組みを設けられました。
鉄道事業の運営については、沿線住民等への影響はもとより、多額の費用負担を伴うことも想定されることから、自治体や地元関係者による主体的な議論の積み重ねが必要であると考えます。
県としましては、勉強会の動向を注視してまいりますが、現在は富山市がリーダーシップを取って進めている状況にあり、今後相談がある際にはしっかり対応してまいります。
次に、高山本線の運営に関する御質問にお答えします。
御質問にありましたとおり、富山市においては高山本線の運営について検討が進められております。
今ほどの答弁でも申し上げましたが、鉄道事業の運営については、沿線住民等への影響はもとより、多額の費用負担を伴うことも想定されることから、自治体や地元関係者による主体的な議論の積み重ねが必要であります。
富山市におかれては、富山ライトレールの取組に当たっても市長がリーダーシップを発揮され、沿線のまちづくりや市民の機運の醸成を図られたものと理解しており、そうした丁寧な対応を経て現在の形に至っているものと認識しております。
富山市においては、こうした経験を踏まえ、高山本線に関しても丁寧に対応いただけるものと考えておりますが、城端線・氷見線の再構築の検討会は全て公開で検討を進めたところでありまして、こうした手法も助言してまいります。
61 ◯副議長(井上 学)
川津知事政策局長。
〔
川津鉄三知事政策局長登壇〕
62
◯知事政策局長(川津鉄三)私からは2問お答えいたします。
まず、温室効果ガスの排出状況についての御質問にお答えいたします。
本県の温室効果ガス排出量につきましては、今年3月に公表した2021年度の速報値では、2013年度以降初めて増加に転じました。部門ごとの内訳では、産業部門及び運輸部門は引き続き減少いたしましたが、家庭部門、オフィス・ビル等の業務部門が増加いたしました。
この理由といたしましては、冬期の暖房需要が高かったこと、コロナ禍で停滞した社会活動が回復に転じエネルギー消費量が増加したこと、これに加えまして、円安による燃料コスト増により石炭火力の比重が高まったことが主な原因と考えられます。
このため県では、3月25日に県のカーボンニュートラル推進本部会議を開催いたしまして、改めて産業や家庭、業務等の部門ごとに担当室課を明確化しまして課題を共有するとともに、様々な関係団体に、担当室課を通じて温室効果ガス削減の取組を促すよう周知いたしました。
今後の県内の温室効果ガス排出量の算出の基礎となります2022年の国内全体の排出量は、4月に発表されておりまして、節電や省エネなどにより家庭部門が減少し、産業部門も引き続き減少したこともあり、過去最少の排出量でありました。
このため、年度内を目途に公表を予定しております22年度の県内の排出量算出に併せまして、部門ごとの排出削減に向けた点検、分析に取り組むこととしております。
県としては、今後も温室効果ガスの排出削減に向け、庁内での情報共有に努め、関係機関や団体と連携しながら、省エネ設備や再生可能エネルギーの導入促進、県民のライフスタイルの転換など、効果的な施策に取り組んでまいります。
次に、石炭火力発電所についての御質問にお答えいたします。
北陸電力が有する県内2基の火力発電については、需給状況等を踏まえつつ、1基は2024年度廃止予定、もう1基は今後検討される状況だと承知しております。
北陸電力とは、燃料コスト増などの影響で排出係数が微増する中で、これまでも脱炭素に向けた取組の情報交換を行ってきております。北陸電力からは、電源の脱炭素化に向け、水力発電所の新設や老朽設備のリプレース、入善沖や福井県あわら沖での洋上風力発電事業への参画、朝日町における陸上風力発電事業の開発、敦賀や七尾大田の石炭火力発電へのバイオマス混焼比率の増加など、再生可能エネルギーの導入等について積極的に取り組んでいくと伺っております。
資源の乏しい日本にとりまして代替電源の確保は大きな課題であり、国では、脱炭素社会の実現を見据え、電源構成を含めた次期エネルギー基本計画の策定に向けた検討を始めておられます。
折しも先週開催されましたG7サミットでは、温暖化ガスの排出削減対策が講じられていない石炭火力発電について、段階的廃止を加速するという目標が再認識されました。
このような動向にも留意しつつ、北陸電力には、できるだけ安価な料金で県民や企業に電力を安定的に供給されることはもちろん、再生可能エネルギーのさらなる導入や、よりCO2排出の少ない発電方式、設備など、電源の脱炭素化に向けて着実に取組を進めるよう、関係部局と共に働きかけてまいります。
以上です。
63 ◯副議長(井上 学)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
64 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは報酬改定に絡んだ問題について、御質問2点についてお答えいたします。
まず最初は、県が指定を行っている介護サービスですが、これは約750サービスございまして、そのうち廃止届や休止届が提出された件数は、今年1月から5月までで12件ございました。同じ期間で比較すると、令和5年は12件、令和4年は3件でございました。
今年5月までの12件のうち、廃止や休止の理由は複数回答で14件ありまして、人員不足によるものと会社合併や事業統合によるものがそれぞれ4件、経営状況の悪化が3件、その他が3件でございました。
令和6年4月の介護報酬改定においては、全体としてはプラスとなる改定が行われたものの、サービスごとの収支差率等が踏まえられた結果、議員御指摘のとおり、訪問介護など一部のサービスにおいては基本報酬の引下げが行われたものでございます。
今回の介護報酬改定が各事業所の経営にどのような影響を与えているかについて、今のところ、我々、十分なデータを得られていないのですけれども、県としては、今後、その影響も含めまして介護事業所の経営状況を注視していくとともに、介護事業所が安定的、継続的にサービスを提供できるように、引き続き介護事業所の経営実態を踏まえた適切な介護報酬の設定を国に働きかけてまいります。
次に、報酬改定の結果の件でございますけれども、まず診療報酬の改定につきましては、議員御紹介のとおり、医療従事者の賃上げを目指すこととされているものでございます。
介護報酬改定については、3種類あった処遇改善加算が一本化されるとともに、加算率の引上げが行われております。加算率については、サービスごとの介護職員数を踏まえてサービスごとに設定されておりますけれども、今回の見直しによりまして、事業所内での柔軟な職種間配分が認められるということになりました。
国は、各事業所に対して、今般の報酬改定による加算措置の活用や賃上げ促進税制の活用等を組み合わせることにより、令和6年度にプラス2.5%、令和7年度にプラス2.0%のベースアップを実現するようにお願いをしているところでございます。
先ほどと似ているんですけれども、今回の報酬改定によるケア労働者の賃金水準の影響についても、現時点では十分なデータは得られていなくて引き続き注視するということにはなりますけれども、県といたしましては、介護職員の処遇改善加算取得のための相談窓口の設置、そして富山県医療勤務環境改善支援センターでの医療機関からの相談対応などにより、各事業所等の処遇改善加算の取得などを積極的に支援するとともに、さらなる処遇改善が進められるよう、全国知事会とも連携しつつ国に対して働きかけてまいります。
私からは以上です。
65 ◯副議長(井上 学)火爪弘子議員。
〔32番火爪弘子議員登壇〕
66 ◯32番(火爪弘子)知事に2問、土木部長に1問再質問をさせていただきます。
まず、教育委員牧田さんの発言であります。
知事からは、不適切な発言だという認識は表明されませんでした。教育基本法を理解した上で就任をしているという答弁があったわけでありますけれども、教育基本法を理解していても、意見が違うということもあり得るわけであります。
「子供は商品だ。国家繁栄のために教育がある。」という認識について知事はどう思われるのか、御答弁を頂きたいと思います。
次に、統一協会についてです。
この問題は、知事と何回も何回も、嫌というほど同じ答弁をお聞きしてまいりました。先ほど申し上げたのは、今回の答弁を聞いても知事は旧統一協会に最大限の配慮をしているように受け止められると、私は感想を申し上げました。
富山市長をはじめ他の市長が旧統一協会とは関係を持たないと名指しをしているのに対して、知事は決して名指しはしません。宗教問題一般とすり替えております。宗教の問題ではないと。
もう一つは、被害者の苦しみに本当に心を寄せているのかと。私は、お姉さんが行方不明になった御家族の切実な声をずっと聞いてまいりました。そういう人たちが今必死に闘っている。裁判でも闘っているし、訴えている。知事は統一協会と関係を明確に断ってほしい。こういう方々も県民であります。罪を憎んで人を憎まず。決して関係断絶を表明することは県民を切り捨てることにはならないと思っております。
何回もなので恐縮ですけれども、あえて伺っておきたいと思います。
もう一つは土木部長に、東蓮町の被災者の皆さんの切実な御要望を伺って、ぜひ、せめて県内7か所でしょうか、液状化被害の面的対策を進めている地域で、制度の説明会や個別相談会をやってほしいという御要望を伺ってきているわけで、それについて答弁がありませんでしたので伺っておきたいと思います。
もちろん立場は、窓口は市町村なので富山市なので、そちらがやるのが筋だということが基本だと思います。
しかし、この間のお話を伺っていると、せっかく県が120万円の制度をつくった、マックス766万円の制度をつくった。しかし、液状化被害はほとんど初めてです。新しい制度として工夫してつくった。工夫してつくったから実際に説明をしてみたら、本当にマッチングできるのかどうなのか実証がされていないわけですね。マッチしない事例がたくさん現場で出てきているわけであります。
しかし、市町村は、これは県と国の支援を受けている制度なので、できませんという説明をするわけですよ。無理ないと思うんですね。そのときに、やっぱり県も一緒になって、いや、やっぱり災害の場合は、制度に現実を合わせるんじゃなくて現実に仕組みを合わせて発展をさせなければいけないんです。
そういう姿勢が求められているからこそ、現場で市と一緒に説明をしてほしい。その場で市と一緒に県も説明してほしい。そして、じゃ、それについては拡充を考えましょうという答弁は県にしかできないわけでありますので、改めて要望し、再答弁を求めたいと思います。
67 ◯副議長(井上 学)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
68 ◯知事(新田八朗)再質問を頂きましたので、お答えをいたします。
まず、教育委員についての質問でございます。
いろいろと、一部一部、切り取って切り取っての質問になっているので、場合によってはそれだけを聞いておられる方に誤解を招くかもしれないと思うので、ちょっと時間がかかりますが、もう少し状況を説明させていただきたいと思います。
火爪議員が御指摘されているのは、昨年の8月29日から9月6日まで、富山経済同友会が派遣をした海外教育事情視察という事業であります。昨年で10回目を数えております。
参加されたのは約20名ですね。名誉団長として経済同友会特別顧問の中尾哲雄さん。この中尾哲雄さんの個人寄附がこの事業の原資となっています。昨年は、本県の高校、中学校、小学校の教諭の皆さん9名が御参加でした。プラス、お世話役として経済界の方々が参加されております。経済界の方々は自費、自腹での参加になっています。そういう意味ではボランタリーな活動ということが言えます。
参加されている方々の中の複数の方々は、本県の教育問題に関する審議会などの委員も務めていただいている方々でございます。その中で、御指摘の牧田和樹さん。私は、民間人の牧田さん、それも公職に就いていただいている方を、議会の場で、公選された議員の方が名指しで批判をするというのは大変に不適切なことだと思いますが、それはさておき、牧田副団長がこの視察団の最中に、海外で講話をされました。対象は9名の先生方、それからスタッフとして行っている経済界の皆さんを対象に講話をされました。
その報告書ができて、それは、私もそうですが経済同友会の会員、それから参加された教師などにも配られているというふうに理解をしております。あくまで内部資料ということで、公表されているものではありません。
その牧田さんの講話はどういう内容かというと、「一般的な貨幣経済下において、会社は商品を提供し、顧客が代金を払います。ここで、商品の価値と代金とのバランスが取れていれば商売は成立しますが、それが崩れると、どちらかに大きな不利益が生じます。」という至極当然な経済活動についておっしゃっています。これは経済界として当たり前の話です。
「翻って、この環境を教育界に当てはめると」──ま、先生方が対象に9人おられるので、分かりやすく話をされたんだというふうに思います──「教育界に当てはめると、会社、顧客、商品、代金が何に当たるのかといえば、会社は学校、顧客は社会、商品は子供、代金は税金となります。それは国家の繁栄は教育がもたらすものであり、社会の役に立つ人材、つまり子供という商品の価値を高め、輩出するのが学校だからです。ですから学校や教師に税金が使われているのであり、決して保護者のためではなく、国家繁栄のために教育があることを肝に銘じてほしいと思います。」というのがお話の一部、ま、そのとおり読みましたが、もっともっと話はいろいろ多岐にわたっておりますが、そういった講話であります。
議員の質問だけを聞きますと、まるで牧田さんが子供を商品として扱って売り買いするような質問に聞こえますが、決してそうではなくて、経済人としては、企業としては商品というものを磨き上げる、質を上げていくということであります、当然ですが……。そして、より顧客の役に立つようにする、そういった行為が、経済界がやる経済行為であると思います。
同じように、教育においては「子供たち」が磨き上げる対象、質を上げていく対象であるということ、それを学校が、先生がやるんだということ、そういったレトリックでお話をされたんだというふうに思い、私はこの発言が別に不適切なものとは全く思いません。それから、教育基本法のどこにこの講話が反するのかということは、私は理解ができません。そういうことであります。
なので、私は引き続き、牧田さんには教育委員としてしっかりと役職を務めていただきたいと思います。
ちなみに、牧田さんは企業経営者でありますが、一方で、全国高等学校PTA連合会会長として、大変に幅広い視点で教育について、これまでも学んでこられましたし、また発言もしてこられました。また、本県の県立高校の在り方検討委員会の副委員長としても御活躍をいただいております。
人格はもとより、教育、学術、文化に関して識見を有する方であり、今大変に、VUCAと言われる不透明で変動する複雑な時代の中で、先生方は、また我々は教育について関わっているわけでありますけども、そんな中での教育課題について、経済界の第一線でかじ取りをしておられる経験から、本県の教育行政に関して有意義な御意見を頂いているところであります。引き続き、本県の教育行政の推進に御尽力いただきたいと考えております。
大変長くなってしまいましたが、一部を切り取って切り取っての発言で誤解を招いては困ると思うので、はっきりと説明をさせていただきました。
続きまして、旧統一教会との話でありますけども、被害者の救済というのは本当に大切なことだというふうに思っております。
先ほども申し上げたように、本県でも電話相談窓口を3か月にわたり開設をして様々な御相談に乗り、そしてそれを適切に、しかるべき方につなぎ、処理をしてきたところでございます。
もちろん、そのことについては今後も、国も被害者の救済については力を入れておられますが、本県としてもしっかりと関わっていきたいと思っております。
私からは以上です。
69 ◯副議長(井上 学)金谷土木部長。
〔金谷英明土木部長登壇〕
70 ◯土木部長(金谷英明)再質問にお答えいたします。
液状化被害を受けた住宅に対して、個別の説明にぜひ県のほうからも参加してくれないかということでございました。
液状化被害に遭いますのは、市町村の方も初めてだと思いますけども、私たち県のほうも実はもちろん初めてという体験でございます。
これまで市町村の方々と共に、勉強会を通じまして、これまで被害を経験された熊本あるいは札幌の方々、そのほかにもいろんなところから、どんなふうにやってきたのかというようなお話、それから苦労した点はこういうところだったというお話を聞きながら、いろいろ対応に努めてまいりました。
そして、国のほうにもいろんな要望をさせていただいておりまして、新しい制度も順次つくっていただいたと思っておりますし、交付税の措置も新たにしていただけるということにもなったものだと思っております。
そういうような制度を、周知、それから我々もどのようにして扱っていくかということに努めておりまして、それを今回のこの議会でも新たなものとして追加で提案をさせていただいておるというところでございます。
実際にその制度を運用していく中で、課題が生じたり、うまく制度は回るかどうかと、そんなようなこともいろいろ御意見も頂いております。それについて、私らも、県庁の中はもちろんですけども、出先機関、それから市町村とも連携を図っていくというのはもちろん大事でありまして、そういうような取組をまさに始めつつある。これまでもしてきましたけども、そういうものを随時行っていこうということで、先ほどお答えを少しさせていただいたところであります。課題の共有に随時努めてまいりたいということでお話をさせていただきました。
さらに市町村からお話があれば、その中で説明会にぜひ来てほしいというお話があれば、そこについては可能な限り検討していきたいと思っております。
私からは以上でございます。
71 ◯副議長(井上 学)火爪弘子議員。
〔32番火爪弘子議員登壇〕
72 ◯32番(火爪弘子)念のために申し上げておきたいと思います。
教育委員の発言については、民間人を名指しして批判をしたとおっしゃいますが、私は、教育委員、公人になっていただいているので、あえて申し上げました。事は重大だと思うからであります。これからの新田県政における教育行政に大きな影響を与える方が、こういう発言では困ると。
私が読み上げた原稿は、新田知事が読み上げた文章と同じものをあえて全部読み原稿の中に入れて申し上げたので、一部を切り取ったものでは全くありません。私は、あの報告書を頂きました。それをきちんと正確に読み上げた。
知事は、「不適切だとは思わない、どこが教育基本法に反するのか分からない」とまで言われました。事は教育委員会の委員の方の問題ではないということが、改めてよく分かりました。
教育関係者は、この発言に大変強い怒りを感じておられます。今後皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思っております。
再答弁を求めるのは、すみません、土木部長、お願いします。
土木部は、この間大変頑張っていただいていて、私が東蓮町で制度を説明して、「いや、それは公費解体でうちがなくなる対象にならない」と言われ、それをそのまま土木部に伝え、「申込み期限が3月だと、これ役に立たないよ」と伝えたら、その延長を、国に今一生懸命相談をしてくれています。大変柔軟な対応を取っていただいていると、大変評価をしています。
しかし、市はそういうわけにいかないわけですよ。自分がつくった制度でないので、それは県がつくった制度なので、「できません」とぴしゃりとやっているわけです。それで諦めて、ストレスがたまっているわけですよね。
だから、その場に一緒にいることによって、この制度の運用を拡大する。柔軟に、「じゃ、それも認めることにしましょうよ。それは国と掛け合ってみますよ」ということを、現場の説明の個別相談の場で言えるということが大事だと思うんですね。
関係市は今大変で、そこまでできないわけですよ。だから、市から言ってきたらやっと出ていくのではなくて、本当に役に立つ制度にするために、一緒に私たちも行きますから、説明会やりましょう、相談会やりましょう、そう言って県の制度が本当に困っている人たちのところに届くように発展をさせていくということを、初めての機会なんだから、ぜひやってほしいんですということをお願いしています。
すみません、再々答弁をお願いいたします。
73 ◯副議長(井上 学)金谷土木部長。
〔金谷英明土木部長登壇〕
74 ◯土木部長(金谷英明)お答えをいたしたいと思います。
地元の方が苦労しておいでるというところを心に留めていかなければならないと思っております。その上で、県のほうから一緒に行きましょうと言うよりは、やはり市のほうと共にというつもりでおりまして、市のほうが説明に行きたいので、ぜひ県に来てほしいというお誘いをいただければ、検討してまいりたいと思っております。
以上であります。
75 ◯副議長(井上 学)以上で火爪弘子議員の質問は終了いたしました。
谷村一成議員。
〔10番谷村一成議員登壇〕
76 ◯10番(谷村一成)皆さん、大変お疲れさまです。自民党議員会の谷村一成です。2年目に入りまして、今定例会におきましても質問の機会を与えていただきまして感謝申し上げます。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
私からは3問12点について質問させていただきます。
初めに、農業振興について7点質問いたします。
令和4年2月に発生しましたロシアによるウクライナ侵攻は、世界の商品価格高騰を招き、日本の農業にも大きなダメージをもたらしました。特に輸入生産資材への依存度の高い部門が深刻と見られ、その影響は幅広く、農業者、農業関係者の自助努力の範囲を超えるものでありました。また、この事態は改めて日本の食料安全保障の課題を浮き彫りにしたようであります。
事態が深刻化した背景には、日本の食料及び農業生産における輸入依存度の高まりとその反対側にある農業投資低迷など、日本の農業生産力低下が挙げられるようです。今後も厳しい農業環境が続くと見られ、中長期的には日本の農業生産力の回復への実効的な施策を示すことが必要と考えられています。
日本の農業生産力低下をいかに回復させ食料安全保障の確立につなげていくかが焦点である一方、国内の農業生産力だけで日本の食料安全保障の確立を達成することは現実的ではないと見られています。安定的な輸入先の確保、国内備蓄の強化といったことも必要と思われます。
先月、農政の憲法とされる食料・農業・農村基本法の改正法が成立いたしました。この改正法は、食料安全保障や農村振興、農業の持続可能性などを規定しており、食料安全保障の抜本的な強化が図られ、農業の環境負荷低減も新たな理念として盛り込んでいます。そして、具体的な施策の検討が本格化されることで、日本の農業は大きな転換期を迎えることになると考えられます。
富山県としても、高齢化や後継者不足による農業従事者の減少、耕作放棄地の増加、収入の不安定性、自然災害の多発等の課題に対して、持続可能な農業と美しい農村を実現するために、総合的かつ計画的に施策を推進しているところでありますが、本改正を踏まえた農業政策に取り組む必要があると考えます。
今回の改正を受けて富山県の農業の未来像をどう描いていくのか、新田知事にお伺いいたします。
次に、農地利用の適正化に向けた地域計画についてです。
地域計画につきましては、一昨日、同会派の先輩、瘧師議員への答弁もありましたが、改めてお聞きいたします。
地域の高齢化や担い手不足が全国的な課題となる中で、農地の集積を進め、地域における営農の中心的な経営体を確保し、地域の農業を守り持続していくことを目的とした人・農地プランが平成24年に開始されましたが、高齢化や人口減少の本格化により、農業者の減少や耕作放棄地が拡大し、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されている中、農地が利用されやすくなるよう農地の集約化に向けた取組を加速化することを目的に、農業経営基盤強化促進法の改正法が令和5年4月に施行され、従来の人・農地プランに代わる地域計画を令和7年3月末までに各市町村で策定することが求められています。
県としても市町村へのサポートや関係機関との連絡協議会等の設置などに取り組むべきであり、期限までに策定できるよう、必要な支援の上、策定状況の進捗を管理していく必要があると考えますが、改めて現在の策定状況と併せて津田農林水産部長にお伺いいたします。
次に、スマート農業についてです。
農業の大きな課題である農業従事者が減少する中にあっても、食料の供給基盤の維持を図っていくため、生産性の高い農業を確立することが求められており、国ではデジタル変革が推進する中、スマート農業の基盤となるデジタル技術のさらなる活用により、農業の生産性を向上させていくことが重要との見解を示しています。今回の食料・農業・農村基本法の改正法におきましても、スマート技術を活用した生産性の向上などに取り組むことが盛り込まれています。
本県におきましても、スマート農業技術を導入して、目指す姿とする誰もが取り組みやすい効率的な農業の実現に向けて、県、農業・商工団体、市町村等の連携を強化し、急速に開発が進展するスマート農業技術の有効性を実証、評価するとともに、人材の育成や条件整備等に取り組むため、富山県スマート農業推進方針を策定し、取り組んでいると認識しております。
国が令和元年度から実施してきましたスマート農業実証プロジェクトの結果によりますと、農業機械の自動運転や遠隔操作による労働時間の削減、環境・生産データを活用した栽培管理による収量・品質の向上や化学農薬・化学肥料の削減、スマート農業機械のシェアリングや農業支援サービス事業体の活用による導入コストの低減等の効果が様々な品目で確認されています。
また、スマート農業は、大規模法人だけでなく、中小・家族経営にとっても現場の課題解決に役立つという見解を示しています。しかし一方では、スマート農業機械の導入コストが課題となることから、農業支援サービス事業体の活用が有効であることも明らかになっています。
中小・家族経営にとっても、人材不足や後継者問題の解消、品質向上や所得向上につなげ、現場の課題解決の手法とならなければならないと考えますが、今後どのように取り組むのか、県内のスマート農業の普及状況と併せて津田農林水産部長にお伺いいたします。
次に、女性などの新規就農についてです。
担い手不足とされている農業課題の中、女性などこれまで少なかった層から人材を取り込んでいき、農業を女性が活躍できる分野にしていくことも必要であると考えるところであります。
国が実施してきたスマート農業実証プロジェクトによりますと、農作業経験がない女性や新規就農者であっても、熟練農業者並みの速度、精度で作業が可能となるなどの成果も得られたようです。
このように、スマート農業の普及により、若者や女性にも受け入れられやすく活躍しやすい就労環境が整っていくと思われますが、今後、女性などの新規就農者を確保していくためどのように取り組んでいくのか、津田農林水産部長にお伺いいたします。
次に、農福連携についてです。
厚生労働省が昨年12月に公表しました民間企業や公的機関などにおける令和5年の障害者雇用状況の集計結果によりますと、民間企業に雇用されている障害者数は前年より2万8,220人多い64万2,178人となり、20年連続で過去最高を更新しています。障害者の就業意欲は右肩上がりで高まっていることが分かります。このことからも、障害者は新たな働き手として期待されており、各地で農福連携の取組が盛んになっているようです。
そこで、農業分野における新たな働き手の確保として、また障害者の就労や生きがいづくりの場の提供にもつながる農福連携のさらなる推進が必要と考えますが、これまでのマッチング支援などの取組と併せて、津田農林水産部長にお伺いいたします。
次に、6次産業化についてです。
県では農林漁業の収益向上を図るため、付加価値を高める商品開発や新たなサービスの提供といった6次産業化にはこれまでも取り組んできていますが、これまでの課題を整理し、今後も有効な支援をしていく必要があると考えます。
今年度、新たに6次産業化チャレンジ支援事業を実施していますが、これまでの取組課題をどのように捉え、どのような狙いを持って本事業を進めていくのか、津田農林水産部長にお伺いいたします。
次に、牧場経営の支援についてです。
国の統計情報によりますと、令和4年の農業総産出額は9兆15億円、うち畜産は3兆4,678億円となっており、全体の約39%を占めています。ちなみに、野菜が約25%、米が約16%、果実が約10%となっています。農業総産出額は、平成24年から令和4年の10年間で106%となっており、そのうち畜産は134%に増加しています。しかしながら、日本の酪農家157人を対象とした一般社団法人中央酪農会議の酪農経営に関する実態調査によりますと、飼料価格や燃料費、光熱費の上昇、子牛販売価格の下落等で経営は悪化、酪農家の84.7%が赤字経営で、そのうち4割以上は1か月の赤字が100万円以上に及んでいるようです。改善のめども見えず、離農を考えてはいるものの、生活維持、借入金返済、日本の食の基盤維持のために経営を続けているという実態が浮かび上がっています。
一方で、2年で黒字転換した栃木県の観光牧場NASU FARM VILLAGE、規模を10倍に拡大させた同じく栃木県の伊藤牧場、公共牧場を核とした地域活性化に成功している岩手県のくずまき高原牧場、三重県にある体験型農業複合施設の伊賀の里モクモク手づくりファームなど、特徴のある取組による好事例も多くあるようです。
酪農経営は、例えば観光地化することで県内の観光振興の一翼を担うこともでき、また酪農経営を農村・農業が持つ価値とうまく組み合わせれば、農村全体がもっと元気になると思います。
県内には小矢部市と黒部市が経営する2つの市営牧場があります。いずれも大変厳しい経営状況であると理解しています。経営改善のためには県の支援も必要であり、従来の牧場のカテゴリーにとらわれず、観光資源としての活用など、市と連携を取りながら新たな価値創造への取組をすべきと考えますが、所見を新田知事にお伺いいたします。
次に、公共未利用地の利活用について2点質問いたします。
令和4年度の状況ではありますが、県の報告では、県有の未利用地が35件あるということです。県有財産は県民の貴重な財産であることから、県民のために活用されることが最も望まれる有効活用であることは言うまでもありません。
未利用のまま放置しておくことは維持管理費がかかり、財政的な負担にもなっているはずです。包括外部監査においても指摘されているようですが、行政目的がなくなり将来的な有効活用の計画も定められていない財産や、長期保有しかつ現状においても活用方法等を見いだせていない財産、こうした個別財産の有効活用方針を定め、売却処分や貸付け等により積極的有効活用することで、本県の財源確保や維持管理費の節減を図る必要があると思います。
人口減少の中、県の所有する公共施設の建て替えや行政組織の再編に伴い、今後売却も困難な未利用地が増加してくるのではないかと考えており、早い段階で活用方法を見いだすためには、建て替え等の際には現有地施設の活用方針も並行して議論し、有効活用を計画的に進める必要があると考えますが、これまでの活用実績と今後の活用見込みについて、併せて南里経営管理部長にお伺いいたします。
市町村においても今後未利用地が増加していくのではないかと考えております。県の未利用地を市町村に活用してもらうことや、市町村の未利用地の活用方法について県としても連携して関わっていくことで、相互に有効活用を果たせることができないかと思うところでありますが、県全体の公有の未利用地を有効活用するため、市町村が保有する未利用地の活用について県としても連携、支援してはどうかと考えますが、所見を南里経営管理部長にお伺いいたします。
次に、地域交通サービスについて3点質問いたします。
県では、地域交通は交通弱者等にとってのセーフティーネットであるだけでなく、生き生きと暮らせる魅力的なまちづくり、県民の
ウェルビーイングの向上にとって不可欠であるという認識の一方で、地域交通を取り巻く環境は、人口減少、燃料費高騰や新型コロナの影響等により大きく変化していることから、将来にわたって持続可能な地域交通サービスを確保するため、富山県地域交通戦略を策定されました。
それには、地域交通サービスは公共サービスであり、自治体の役割を、事業者の側面支援から自らの地域に対する投資へとかじを切ることが必要と、全国的にも先進的な考えが盛り込まれています。
また、全市町村に鉄道が通る富山県の強みを生かし、幹となる鉄軌道や駅を中心に、あらゆるサービスが木のように一つにつながるネットワークを目指すべき将来像とされており、その取組に期待をしているところでありますが、戦略に基づき県として鉄軌道網に対し投資することで、どのような社会的便益が維持され、さらにどのような投資効果を期待しているのか、田中交通政策局長にお伺いいたします。
富山地方鉄道の鉄道3路線の再構築については、一昨日、そして先ほど火爪議員への答弁もしておられますが、私からもお聞きいたします。
県は、市町村の議論を見守り相談があれば適切に対応したいなどのコメントをしていますが、今後再構築に向け、鉄道の在り方や運営形態など様々な議論が進むと思われ、他県では応分の負担をしている例もあることから、県も関与しないわけにはいかないと私も考えています。
沿線自治体からは、県が議論を主導するよう求める声も出ており、できるだけ早い段階で県も議論に加わるべきと考えますが、所見を新田知事にお伺いいたします。
先月、石川県の北陸鉄道においても、みなし上下分離方式により事業再構築を目指し、国、県、沿線市町で約132億円を支援する方針と報道されたところであります。
国では、自治体が鉄道施設を保有または維持管理する上下分離方式やみなし上下分離方式、別の事業体への事業譲渡といった形での再構築に対して補助金や交付税措置の財源支援制度を設けており、幾つもの採用例があるようです。
富山地方鉄道の再構築につきましても、同支援制度の活用ができると考えますが、所見を田中交通政策局長にお伺いしまして、以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
77 ◯副議長(井上 学)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
78 ◯知事(新田八朗)谷村一成議員の御質問にお答えします。
まず、食料・農業・農村基本法についての御質問にお答えします。
改正食料・農業・農村基本法では、世界の食料需給の変動、地球温暖化の進行などの諸情勢の変化に対応していくため、新たな基本理念として、まず食料安全保障の確保、2番目に食料システムの環境負荷低減による環境との調和、3番目に農業の持続的な発展のための生産性の向上、4番目に農村における地域社会の維持が掲げられたところです。
富山県ではこれまで、需要に応じた米づくりや高収益作物の導入、県産農林水産物の輸出の拡大、有機農業などの環境に優しい農業の推進、農地の大区画化・汎用化とスマート農業の推進、農村の集落機能を補完する農村型地域運営組織(農村RMO)の推進などに市町村や関係団体と連携して取り組んでおりまして、今回の法改正はこれらの取組をさらに後押しするものと考えています。
国では今般の法改正を踏まえて、今年度中に食料・農業・農村基本計画を改定されることになると思いますが、岸田総理が「農林水産業の所得向上に向けた農林水産、食品分野の政策の再構築を進める」、このように表明されたことから、持続的な食料供給に要する合理的なコストを考慮する仕組みの法制化や、先進的な環境負荷低減の取組への支援など、まさに政策の再構築が進むことを期待しております。
富山県においても、今後、国の計画改定に合わせて県の農業ビジョンである富山県農業・農村振興計画を見直すことになります。そこで御質問の富山県の農業の未来像ということですけども、農林水産業は県民の皆さんの幸せの基盤であるという認識の下に、今回の法改正を契機として、稼げる農業、そしてコストと環境の両面で持続可能な農業・農村の実現、これらに向け、市町村や農業団体とも連携しながらワンチームで取り組んでいきたいと考えております。
次に、市営の牧場への支援と観光資源としての活用についての御質問にお答えします。
黒部市と小矢部市の2つの市営牧場では、酪農家から子牛を預かり、妊娠した牛に育成して所有者に返すという事業を行っています。預託牛ということです。
県では、牧場の安定した経営継続を支援するために、預託牛の管理に必要な経費として頭数に応じた支援を行っておりますほか、近年の飼料高騰が牧場経営を圧迫していることから、令和4年度と5年度において、牧草などの自給飼料調達を促進するための奨励金を3回にわたって交付しております。
また、この2つの牧場は高台にあるものですから眺望がよく、観光地として多くの来場者があり、それぞれ工夫を凝らしたイベントが開催されています。また、小矢部市の牧場のほうでは、豚肉や牛肉を提供するレストランの運営が行われています。黒部市のほうでは、牛乳、乳製品の販売や、アイスクリーム、バターなどの加工体験なども行われておりまして、来場者から好評であるというふうに聞いています。
観光牧場は動物との触れ合いやのどかな風景に癒やされるだけではなく、様々な体験型イベントが楽しめることから人気が高まっていて、これまでも県としても、牛乳の加工施設の整備や牧場までのアクセス道路の改良工事などを行い、支援をしてまいりました。
引き続き両牧場の安定した経営に向けて支援をするとともに、市から観光資源としての活用を進めたいというさらなる御相談があれば、観光ナビやSNSなどによる情報発信など、大いに連携して協力をしてまいりたいと考えております。
最後に、富山地方鉄道の再構築についての御質問にお答えします。
持続可能で最適な地域交通サービスを実現していくためには、市町村のまちづくりとの連携が重要であり、また、地元が自分ごととして考え、自らの地域に対する投資そして参画により、積極的に関わっていくことが大切だと考えます。
とりわけ、鉄道事業の運営については、沿線住民の皆さんへの影響はもとより、多額の費用負担を伴うことが想定されるので、自治体及び地元関係者による主体的な議論の積み重ねが大切だと考えます。
議員の御質問の中でも触れられました城端線・氷見線では、かねてから、約40年近く前になりますが、沿線の4市を中心に交通事業者、経済団体や自治会など幅広い関係者で構成する城端・氷見線活性化推進協議会が設けられ、十分な議論の積み重ねができていた段階で、私ども県も関与して再構築計画がまとまったものです。
富山地方鉄道の再構築については、富山市が先頭に立たれ、沿線自治体との勉強会の枠組みを設けられました。
新聞報道では、今年4月の藤井市長の定例記者会見において、2月に1回目の課長級の会議を開催し、富山地鉄より経営状況や運営に関する考え方の説明が行われたということ、また、県の東部にとっては通勤や通学、観光面でなくてはならない鉄道であり、どのように持続可能にしていくか、富山市としてはできる限り協力していきたいと、この会見で話され、夏頃をめどに首長が集まる場をつくる考えがあることを示されております。
そのように、今の時点で見ますと、富山市がリーダーシップを取って勉強会に取り組まれておられる状況と理解をしております。県としてもよくコミュニケーションを取りながら対応してまいります。
私からは以上です。
79 ◯副議長(井上 学)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
80 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、5つの質問にお答えいたします。
まず、地域計画についての御質問にお答えいたします。
現在県内では、全237地域で地域計画の策定に向け、担い手などの意向把握と地域の協議が進められ、おおむね10年後の農地利用の姿を示した目標地図の作成などに取り組まれております。このうち24地域が策定済み、残りの地域についても予定どおり令和7年3月末までに策定を終えると承知しております。
策定の進捗につきましては、市町村や地域によって異なりますが、円滑な策定に向けては、各市町村の状況を把握し、その実情に応じた支援を行うことが必要と考えております。
このため県では、四半期ごとに各市町村の進捗状況等を確認の上、国と共に各市町村とオンライン会議を開催しているほか、各農林振興センターで開催しております管内の市町村やJAとの意見交換の場で必要な助言を行っております。
加えて、県農地中間管理事業連絡協議会におきましても、構成員であります市町村等に対し、計画策定の先進優良事例を紹介しております。また、農林水産公社においても地域の協議に参画し、その場で必要な指導助言を行っているなど、様々な場面を活用して策定を支援しております。
また、地域計画の着実な実行には担い手の確保が鍵となることから、県農林水産公社に配置しました就農コーディネーターの機能強化を図り、就農希望者の相談から定着まで一貫して支援しております。
引き続き、地域計画の策定と実行に向け、市町村や関係機関と連携して取り組むとともに、国に対しても地域計画と整合が取れた各種農業施策が実行されるよう働きかけてまいります。
次に、スマート農業についての御質問にお答えします。
県では、令和4年3月に策定した富山県スマート農業推進方針に基づき、スマート農機の実用性検証や、地域や経営体の特性に応じた技術の現地実証に取り組み、効率的な営農体系モデルを示すなど、スマート農業の普及を推進しております。
普及状況につきましては、生産コストの削減等の導入効果が大きい大区画圃場において、大規模経営体を中心に直進アシストトラクターや収量コンバインといった大型・高性能機械の導入が進められております。
一方で、中小・家族経営におきましては、スマート農業機械は導入コストの負担が大きく、費用対効果が限られることから、大型・高性能機械の導入はあまり進んでいない状況にございます。
今般成立しましたスマート農業技術活用促進法では、そうした中小・家族経営の負担を軽減するため、農作業代行や農業機械のレンタルサービスを提供する農業支援サービス事業体の活用や、地域ぐるみでのスマート農業機械のシェアリングなどの取組を促進することとされております。
県におきましても、令和5年度に県内の農業支援サービス事業体を対象として、サービス提供に必要なスマート農機の導入を支援したところでございますが、今後の国の動きを注視するとともに他県の取組事例を調査研究するなど、中小・家族経営の農業者がスマート農業の効果を実感できるよう努めてまいります。
次に、若者や女性の新規就農の促進についての御質問にお答えします。
農業従事者の高齢化や減少が進む中、若者や女性の参画は喫緊の課題となっております。県では、就農啓発から定着までの切れ目ない支援をはじめ、現在もとやま農業未来カレッジの機能拡充を進めておりますが、こうした施策が効果を上げるには、その前提として、農業は重労働で経営的にも厳しいというイメージを払拭し、若者や女性に選ばれる環境を整備する必要があると考えております。
例えば議員御提案のスマート農業の普及は、農作業の省力化や効率化を実現し、少ない労働力で生産性の高い農業に変えていくチャンスであり、若者や女性への訴求力も大きいと考えております。
また、JAとなみ野ではタマネギなど付加価値の高い園芸作物の栽培を進めており、地中に排水パイプを埋設して水はけを向上させ、長靴が必要ないスニーカー農業としてアピールされております。
一方、最近では新規就農として雇用就農が増えていることから、労働条件や就労環境を改善することも大変重要と考えております。特に女性の就農を促進するためには、男女別トイレの整備や更衣室の確保など、女性が働きやすい職場づくりが必要であり、県としても引き続き支援してまいります。
今後もスマート農業や農業DXの推進、JAや農業法人と連携した就労環境の整備のほか、農村女性活躍プランに基づき、女性リーダーの育成やロールモデルの発信に努めます。また、若手農業者や女性農業者との意見交換を積極的に行い、若者や女性の就農を促す取組につなげてまいります。
次に、農福連携についての御質問にお答えいたします。
農福連携は、農業の労働力不足の解消や障害者の多様な就労の場の確保など、双方の課題解決を図る重要な取組でございます。
県ではこれまでに、マッチング支援のための農福連携コーディネーターの設置、農作業等の技術指導や作業手順の改善を行う専門人材の派遣などに取り組んでおり、県内の農福連携の取組件数は、令和元年度の26件から令和5年度では82件と、着実に増加しております。
一方で、さらなる農福連携の推進に向けては、作業環境の改善、地域のマッチング体制の整備、障害者への分かりやすい作業指示などが課題と考えております。このため、今年度は新たに、作業環境を改善するため、受入れ側の農業者が行うエアコンや空調服──ファンつきベストでございますが──などの導入を支援する事業の創設、地域におけるマッチングを促進するための手法等を習得する研修会を開催するほか、引き続き、福祉事業所の支援員を対象とした農作業見学会や農業者及び福祉事務所への専門人材の派遣などを行うこととしております。
また、今月5日に施行された改正食料・農業・農村基本法に農福連携の推進が新たに位置づけられたことを受け、国では同日、農福連携等推進ビジョンの改訂版を決定し、官民挙げて取り組むこととしております。県としましても、このビジョンを踏まえつつ、農福連携が各地域で浸透するよう取り組んでまいります。
私からは最後になりますが、6次産業化チャレンジ支援事業についての御質問にお答えします。
6次産業化は、農林漁業経営の多角化や収益性の向上などに有効な方策であり、県ではこれまで、商品開発や加工機材の整備への支援、商品のブランディングやマーケティングを学ぶセミナーの開催などに取り組んできました。
過去12年間で75件の支援を行い、農村カフェや農家レストラン等で収益向上につなげておりますが、加工品につきましては、干し芋等の成功事例もある一方で、類似品との差別化や商品の魅力のPRが十分ではなく、販路開拓に苦戦している事例もあると聞いております。また、昨年度の官民協働事業レビューにおいて、補助事業者へのフォローアップが不十分との御意見も頂いたところです。
こうしたことを踏まえ、6次産業化を農林漁業者の所得向上につなげるには、事業活用後も継続的なフォローアップや販路開拓への支援が課題と考えております。このため今年度は、6次産業化チャレンジ支援事業として事業を拡充し、従来の支援に加えてプランナー派遣制度の活用を事業実施の必須要件として追加し、支援内容の充実を図ったところです。
これにより、全ての事業活用者が経営の分析、改善や販路開拓等に関して専門的な助言、支援を受けることができ、事業効果の向上が期待されると考えております。
また、ソフト、ハードの両面から、伴走支援をはじめ、商談会における販路開拓のためのスキル習得を目的としたセミナーを開催するなど、実践的な支援の充実により、6次産業化が着実に農林漁業者の所得向上につながるよう努めてまいります。
以上でございます。
81 ◯副議長(井上 学)南里経営管理部長。
〔南里明日香経営管理部長登壇〕
82 ◯経営管理部長(南里明日香)私からは2問、まずは県有未利用地の有効活用についてお答えいたします。
公共施設等の保有総量の適正化や歳入確保の観点から、将来的に有効活用を図る見込みがないと判断した土地につきましては、県有未利用地の活用及び整理の方針に基づきまして、売却処分を進めることとしております。売却を開始した平成11年からこれまでに、105件、約94億円の売却を進めてまいりました。
売却が進みにくい要因を持つ土地につきましては、例えば南砺福光高校跡地を南砺市に貸し付けまして、フリースクールのほか通信制高校のサポート校の開校を目指して準備が進められておりますし、また、廃止した職員宿舎をリノベーションし、県内での創業支援や県外からの移住促進を目的としたSCOP TOYAMAを整備する、そのほかメガソーラー事業やコールセンター事業などの用地として貸し付けるなど、県有地の有効利用に取り組んでいるところでございます。
人口減少が進み、公共施設等の在り方を議論していくに当たりましては、県有未利用地の有効活用策について民間の知見や投資を取り入れながら検討していくことも重要でございます。このため、サウンディング型市場調査などによりまして、さらなる売却方法の工夫や売却までの間の有効活用に努めてまいります。
次に、市町村が保有する未利用地の活用についての連携等にお答えいたします。
市町村所有地を含め、県全体の公有未利用地の有効な利活用は、各自治体にとって、単に歳入確保や管理経費の削減のみならず、民間投資による地域活性化につながる取組でございます。一方で、民間投資を呼び込むには、未利用地情報の提供体制の充実とともに、有効活用を検討する異業種をつなぐネットワークの構築も重要でございます。
このため県では、富山市が運営しておりました、とやま地域プラットフォームを、令和5年度に県下全域をエリアとする広域プラットフォームとして拡充いたしまして、土地の所有者である県内自治体はもとより、利活用の可能性がある国や民間をメンバーといたしまして、民間提案を呼び込むための情報提供やセミナー等の開催、民間事業者のニーズや課題を把握する意見交換などに取り組んでおります。
このプラットフォームでは、例えば新川こども施設の整備について取り上げまして、その意見交換を行いました民間企業等61団体間でのつながりが生まれて、当該事業の参画に向けたコンソーシアム形成にもつながりました。
市町村の未利用地についても、この場を活用してより多くの土地の利活用につなげてもらえるよう、未利用地活用に関するノウハウの共有や勉強会、企業会員──約600名ほどおりますけれども、こういった方々への市有地の売却情報の案内のほか、今年度は新たにプラットフォームのホームページに県、市町村の未利用地情報を追加し、取得や利活用の要望を随時受け付ける体制を強化することとしております。
こうした取組によりまして、公有未利用地等の有効活用が一層進むよう努めてまいります。
83 ◯副議長(井上 学)田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
84 ◯交通政策局長(田中達也)私からは2問お答えいたします。
まず、鉄軌道投資の社会的便益、効果についての御質問にお答えいたします。
鉄軌道事業者の取り巻く経営環境は厳しい状況にありますが、こうした状況の下、議論を重ね策定した富山県地域交通戦略では、地域交通サービスに関して、事業者への側面支援から自らの地域に対する投資、参画へとかじを切ることが必要としました。
鉄軌道は、地域の観光や商業、子育て、教育など、様々な分野の振興などを移動の面から支え、人と人との交流を生み出すなど、生き生きと暮らせる魅力的なまちづくりや県民の
ウェルビーイングの向上をもたらすと考えております。
また、CO2の削減や道路の渋滞緩和、交通事故の削減など、利用者だけでなく、地域全体に幅広く便益をもたらすものと考えております。
さらに、投資効果については、投資を行い利便性を高め、利用者を増やし、事業者の経営環境の改善が図られるといった好循環を期待しております。
最後に、鉄道再構築の支援制度の活用についての御質問にお答えいたします。
鉄道事業再構築実施計画には、事業構造の変更に加え、利用者の利便の確保に関する事項や再構築事業の効果などを定める必要があります。
今年2月に国から認定を受けた城端・氷見線の計画では、事業構造の変更の内容は、事業主体をJR西日本からあいの風とやま鉄道へ変更するものであり、利用者の利便の確保に関する事項は、新型鉄道車両の導入や運行本数の増加、交通系ICカードへの対応などをはじめ、多くの内容を定めました。
再構築事業の効果については、利用者の利便の確保に関する取組を進めることにより、1日当たり利用者数が計画前に比べ、計画最終年度には約2,400人増加するとしました。また、路線収支も約3.8億円改善すると定めたところです。
北陸鉄道においては、みなし上下分離方式を目指すこと、また金沢市が運行本数の増便やキャッシュレス化等を提案し、沿線自治体や交通事業者と調整を進めていると報道されておりますが、こうした内容が事業構造の変更や利用者の利便の確保に関する事項、再構築事業の効果に反映するものと考えます。
富山地方鉄道に関しては、まだ勉強会が始められた段階であり、国の支援制度の活用のためには議論の積み重ねが必要と考えます。
以上でございます。
85 ◯副議長(井上 学)以上で谷村一成議員の質問は終了いたしました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後2時56分休憩
───────────────────
午後3時10分開議
86 ◯議長(山本 徹)休憩前に引き続き会議を開きます。
宮本光明議員。
〔36番宮本光明議員登壇〕
87 ◯36番(宮本光明)今定例会におきまして再三取り上げられておりますけれども、私からも、まず初めに、人口減少下における本県の施策と将来展望について伺いたいと思います。
5月1日に発表された富山県の人口移動調査結果で、本県人口が100万人を切り、99万人台となったわけであります。また、富山県の2023年の出生数が過去最少の5,512人となり、過去8年連続の減少で少子化が加速度的に進んでおり、人口減少、少子化問題に今まで以上の危機感を抱いております。
本県においては、こうした人口減少時代の到来を見据え、少子化対策や、特に20歳代の若い女性の県外流出に歯止めをかけるための施策など、人口減少の鈍化の取組や、関係人口の増大による県内あらゆる分野の活力維持のための施策を推進しているところであります。
この取組は、たとえすぐに成果が表れなくとも、地道な取組の継続が必要と思っております。
とはいえ、現実には2050年には一つの推計として富山県の人口が70万人台になると予測されており、その状況を見据えた、またそうした情勢であるがゆえに、新たな県の成り立ち、県民の意識の改革、そして県民の幸福をどのようにイメージするかが重要と考えます。
こうした中、県においては部局横断的に富山県人口未来構想本部を立ち上げられたところでありますが、まずそこで、富山県人口未来構想本部では現在どのような議論が行われているのか、また、今後どのような方向性で議論を進めようとしているのか、併せて田中地方創生局長に伺います。
私が今回の富山県人口未来構想本部に期待することは、人口減少を悲観的に捉えない姿勢の中で、仮に県人口が70万人台になったときに県民の生活がどのように変化し、どのような県政運営がされているのかといったところを具体的に県民の皆さんにイメージしていただき、その方向に向かってみんなが努力する目標を掲げることだと思っております。
そこで、具体的な行政の枠組みの改革について伺います。
まず、人口減少下において、県職員の採用や市町村職員の採用にも影響を及ぼす中で、特に土木、農林水産の技術系職員の採用が厳しい状況となることが予想されます。
現在、県では、土木センター、農林振興センターを配置し、市町村との連携や地元の要望に当たっている中で、例えば、県と市町村の事業の一元化、一本化のため、県職員と市町村職員が一緒に業務に当たる仕組みをつくることにより、国道、県道、市町村道の一体的整備や、土地改良事業や森林整備などの技術者不足への対応などにつながると考えますが、そのメリット、デメリットもしっかり整理しつつ議論を深めるべきと考えますが、金谷土木部長並びに津田農林水産部長にお伺いをいたします。
具体的な一例として申し上げましたが、人口減少下において、県庁組織内の事業や組織の全てにこのような課題が発生すると想定されますが、富山県人口未来構想本部の議論では、知事の強力なリーダーシップの下で、できる限り具体的な課題と対策、未来構想を県民に周知できるよう取り組んでいただきたいと考えますが、新田知事の所見をお伺いいたします。
県では、人口減少対策の一つの取組として、定住、半定住、移住促進などの施策に取り組んでまいりましたが、東京一極集中の是正がなされず、コロナ禍においてリモートワークの普及による地方での生活形態が進んだ面がありますが、決して確固たる様式が形成されたとは言えません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
そんな中でも、本県では2023年度の県内への移住者が2022年度比74人増の966人と、14年連続で過去最多を更新したとのことであります。この間、定住に向けた各種施策に尽力されてきた皆さん方には敬意を表するものであります。
今後も引き続き、首都圏在住者等を対象に市町村や県内企業などによる富山移住・しごとフェアを開催するなど、移住政策に尽力されるわけでありますけれども、これまで移住促進に向けた取組をどのように行ってきたのか、その実績と傾向、これまでの取組の評価、さらに今後どのように進めていくのか、併せて田中地方創生局長に伺います。
農山村における人材の確保、人手不足解消は喫緊の課題と認識しております。
県においては、地域の魅力発信や農業支援、さらに移住・定住支援など、市町村に入り込み地域の中で人材育成や地域支援を行う目的で、地域コンシェルジュを4名配置しております。今後も、農山村において地域コミュニティーの維持のため、こうしたコンシェルジュ配置や集落支援員の設置、地域おこし協力隊の配置などによる支援が一層重要と認識しております。
そこで、地域コンシェルジュや地域おこし協力隊員の確保、増員を早急かつ計画的に進めるとともに、こうした方々が富山県に移住し、地域の担い手となってもらうため、国の制度の拡充を要望するほか、県独自でも支援施策の拡充に取り組むべきと考えますが、現在配置されている地域コンシェルジュの活動状況と成果を併せて、田中地方創生局長に伺います。
また、幅広い人材の確保に取り組むことは、今後の県の発展に極めて重要と認識しています。
全国各地で同様な取組がされている中で、例えば福井県では、首都圏等を中心とした地域からの新しい視点で、若者のチャレンジ応援やスポーツによる地域活性化など、県を盛り上げる施策を推進するため、チャレンジ応援コーディネーターやスポーツコミッションコーディネーター、さらにフィルムコミッション ロケーションコーディネーター、アーティスト・サポーターなどの幅広い分野で肩書を与え、県の地域おこし協力隊として委嘱をしております。
本県においても、こうした多様な人材を確保し、幅広い広域的な地域課題の解決を図るため、特定分野に知見のある県外の人材の確保は重要であり、委嘱といった立場ではなく、県職員として登用し、一時的ではなく長く本県に腰を据えて活躍してもらいたいと考えますが、南里経営管理部長にお伺いをいたします。
次に、人口減少が社会に与える課題として、地域医療の確保も問題が大きいと考えます。
特に65歳以上の高齢者の増加に伴い、救急搬送を含めて地域医療に対するニーズはさらに高まっていくと想定されます。また、出産を希望する方々や小児救急等に対する十分な医療提供体制の確保が重要であることは言うまでもありません。
一方で、地域医療を支える医師、看護師などの医療従事者の方々の確保が極めて困難な時代を迎えることとなります。
そこでまず、地域医療の担い手である医師、看護師等の医療従事者の確保について、他県と比較し本県の実績や現状はどのようになっているのか、また、課題の根本にある医師の地域偏在の問題は県レベルの対応では限界があり、国において抜本的な取組を講ずることが不可欠でありますが、県として国にどのような対応を求め、本県の医療従事者の確保に取り組んでいくのか、有賀厚生部長にお伺いをいたします。
国においては、公立・公的病院に対して、複数の病院における役割分担や高度な医療機関の集約化を進める動きがあります。
その背景の一つに、将来的な病院経営の悪化が挙げられますが、総務省において、公立・公的病院の機能分化、連携強化に向けて、公立病院経営強化ガイドラインを令和4年に策定し、財政支援策を講じるとともに、各公立病院において、公立病院経営強化プランを令和5年度中に策定することが求められておりました。
そこで、国のガイドラインと地方財政の支援策の概要について伺うとともに、県として、市や町が設置する公立病院における経営強化プランの策定に際してどのような助言を行ったのか、田中地方創生局長に伺います。
こうした中、広島県では、県立広島病院、病床712、JR広島病院、病床275、中電病院、病床248の3つの病院を統合し、1,000床という公立病院としては全国最大規模の新病院を、2030年に広島県が開設する方針を打ち出しております。
広島県においては、地域医療の大きな課題を、若い医師が首都圏に流出することによる医師不足と県内医療機関における医療資源の分散の2点と整理し、医療資源を集約することで質の高いチーム医療の提供が可能になり、医療従事者にとって働きやすい環境になる、病院で診察する症例を集積することで多彩で豊富な症例が経験できるようになり、若手医師にとって魅力的な病院となるとの意義を強調されております。
富山県においても同様な課題に直面しており、富山医療圏を例に挙げると、県立中央病院の中央病棟が築32年、富山市民病院が築41年、富山赤十字病院が築28年と、遠くない将来のうちに病棟の建て替えの検討が視野に入ってくると予想され、医療資源を集約化し、医療従事者と患者さん双方にとって魅力ある基幹的な公立病院を核として、そこに全国から優れた医療従事者を確保し、中山間地域等の病院や診療所などに医師を派遣するなど、人口減少社会においてはこのような医療提供体制の大きな枠組みの見直しについて議論していかなければならないと考えますが、新田知事の所見をお伺いいたします。
次に、職業系専門学科が配置されている県立高校の将来像について伺います。
現在、少子化の進展により、県立高校の再編や魅力ある学科の設置等、様々な観点から議論がされております。
平成7年3月中学卒業予定者1万4,342名が、平成14年1万1,743名、平成22年1万539名、そして令和5年には8,752名となり、さらに昨年県内の出生数が5,512名となったことで、中学卒業予定者数が減少することとなっております。
こうした中、職業系専門学科の入学志願者数の減少も危惧されるところでありますが、今後の職業系専門学科の学校及び学級数の推移はどのような見通しなのかを廣島教育長にお伺いをいたします。
私は県立富山工業高等学校の同窓会長を務めておりますが、県内の工業課程を有する7校の同窓会で組織する工業課程高校同窓会連絡協議会が15年前に設立され、様々な情報交換を行っておるところであります。
本年5月の同連絡協議会の総会の折に、県教委の担当課から今後の職業系専門学科の将来についてお話を伺うことができました。その後の意見交換の中で、中学3年生が進路を選択する際に中学校サイドが現在の職業系専門学科を有する高校のことをどの程度理解されているのか、また、生徒自身に、職業系専門学科の授業内容はもとより、社会の中でそのことがどのように生かされているのか、どのような職場があるかなどが伝わっていないのではとの懸念の声がありました。
中学校教諭に対し、職業系専門学科を有する県立高校についての知識や経験を理解してもらうため、どのような取組を行っているのか、また、あわせて中学生に対しどのように職業系専門学科の周知や理解を促しているのか、廣島教育長にお伺いをしたいと思います。
また、今後も技術系の人材不足が懸念される中、高校教育において、社会の実情に即し、行政や企業が取り組んでいる、ものづくりや研究開発、事業の現場などの体験や、関係団体等の仕事を体験することは極めて重要と考えます。
一例として、新潟県立塩沢商工高等学校では、土木系の科目設置当時は、地元建設業協会や測量設計業協会、国土交通省等と連携した実習の実施や、学科改編後も地元建設業協会と連携し、防災教育や仮設道路の製作などを実施し、肌で体験する機会をつくっていると伺っております。
本県の職業系専門学科を専攻した高校生が、将来の職業選択に際し、こうした地元企業等々の現場を理解し、そこに興味を示してくれることは極めて重要と考えますが、今日までどのように実社会との関わりを持つカリキュラムが実施されてきたのかを伺います。
あわせて、今後職業系専門学科を選択した学生の実体験の場をどのように確保していくべきなのか、廣島教育長に伺います。
職業系専門学科を選択した高校生が、卒業後就職を選択する率が高いとはいえ、年々大学等への進学率も高まっていると認識しています。そうした中で、富山県のみの人材ということではなく、富山県の高校で学んだ学生は意識も技術も高いと評価される人材を輩出することは、回り回って富山県の魅力を高めることに通ずると思っています。
そこで、技術等が日進月歩する中で基礎的知識を学ぶことは極めて重要であることは言うまでもありませんが、現在の最先端の機械や技術を習得することも将来にとって極めて重要と考えます。職業系専門学科の教育環境や実習機械等を時代に即して改善していくことが重要と考えますが、実態と併せて今後の整備方針について廣島教育長に伺います。
我が会派では、富山県教育の未来を考えるプロジェクトチームの中での議論やワークショップなど責任ある議論を進めており、また、現在、県及び県教育委員会においても、県立高校教育振興検討会議からの県立高校教育振興の基本的な方針についての提言などを受け、様々な議論がされております。
その中で、職業系専門学科の振興方針として、社会の変化に応じた学科・コースへの改編やデジタルものづくり、工業デザイン、防災・社会基盤維持など、学科・コースの見直しや魅力発信等の提言がされております。
そこで、今後の県立高校再編の議論の中で、技術者の育成を行う職業系専門学科の将来像をどのように展望されているのか、知事の所見をお伺いして私の質問を終わります。
ありがとうございました。
88 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
89 ◯知事(新田八朗)宮本光明議員の御質問にお答えします。
まず、人口減少下における施策と将来展望についての御質問にお答えします。
本年4月に、私を本部長として富山県人口未来構想本部が発足しましたが、そこでは、人口減少、またそこから生ずる諸課題に真正面から向き合い、本県の人口ビジョンを見直すとともに、これまでの取組の検証も踏まえて、人口減少を抑制する対策、そして人口減少下においても社会を維持していくための対策、これらを議論していくことにしております。
今後、この人口未来構想本部における議論や、県議会をはじめ多くの方々からの御意見も踏まえながら取組を進めていくことになります。その中では、人口問題に係るエビデンスやデータも踏まえた課題を明確に提示しながら議論を進めるとともに、具体的な課題と対策、本県の新たな人口ビジョンである富山県人口未来構想を県民の皆様と共有することが大切だと考えます。その際には、一方で富山県成長戦略会議をはじめ様々な立場の方々の大胆な発想を共有しながら議論を重ねることを進めていきます。
これまでの視点にとらわれず、新たな施策を生み出していければと考えます。そのためにも、私が先頭に立って議論をリードし、人口減少を過度に悲観的に捉えず、前向きな取組を打ち出す契機にできるように進めてまいります。
次に、医療提供体制についての御質問にお答えします。
富山県では、人口減少、高齢化が進む中、質の高い医療を効果的に提供するため、医療機関の機能分化、連携について医療圏ごとに地域医療構想調整会議や地域医療推進対策協議会において協議を重ねながら、各病院における必要な病床機能の転換などを進めてきました。
この地域での協議においては、病院の機械的な再編ありきではなく、がんや脳卒中などの5疾病、それから救急や周産期などの6事業について、将来必要となる医療ニーズや医師をはじめとする医療従事者確保の見通しなどについて情報を提供し、また共有し、公立・公的病院はじめ各医療機関がどのような役割を担うのが望ましいか、あるいは医療機能の効率的な連携の方策、そして効果的な医療従事者の確保対策などについて、医師会、医療機関、また関係機関の皆様と議論を進めています。
議員御指摘の医療資源の集約化ということと、県民の皆さんに対する医療の近接性──比較的近いところに病院があるということ──これは一般的に両立しないことから、県としては、時代に即した地域の医療提供体制の最適な枠組み、また基幹となる公立・公的病院の機能と役割について、病院や市町村、関係機関の意見が収れんされていくことが大切だと考えています。
今後とも、公立・公的病院だけではなく、民間病院も含めて、各医療機関のさらなる役割分担と重点化、連携の一層の強化などの協議をスピード感を持って進め、また、その内容に沿って必要な支援や取組を進めてまいりたいと考えます。
最後に、職業系専門学科の将来像についての御質問にお答えします。
県立高校の職業系専門学科では、これまで特色ある教育活動に取り組んで、それぞれの分野における技術者の育成に努めています。こうした中で、技術革新やグローバル化の進展など、社会の在り方が変化をしておりまして、時代に即した教育が求められています。
こうした状況を踏まえ、県立高校教育振興検討会議の提言では、例ですが、工業科ではデジタルものづくり推進の担い手育成、それから近年多発する自然災害を踏まえ、防災や社会基盤維持の学び、工業デザインの担い手育成などが示されています。また、商業科では起業家精神を学ぶ取組、農業科ではSDGsの実践やスマート農業技術の導入などの知識や技術に関する教育の充実を目指すことなど、学科ごとに見直しの方向性が示されています。
4学区で開催した一回り目のワークショップでは、「新しい機器の導入と新たな学びの場が大切である」、あるいは「他県の工業高校のように企業から直接指導を受けるような連携が必要である」、また「様々な職業科間の連携があるとよい」などの御意見も頂きました。
あわせて、職業系専門学科から大学などの高等教育機関へ進学する割合が増加傾向にあります。なので、高校卒業後のより専門的な学びにつなげていくという観点も重要になってきています。
今後、総合教育会議では、学科・コースの見直しに関する検討を進めることにしています。検討に当たっては、こうした社会の変化、生徒や地域、産業界のニーズを把握し、時代に即した人材を育成できる職業系専門学科を目指し、引き続き丁寧に議論をしてまいります。
私からは以上です。
90 ◯議長(山本 徹)田中地方創生局長。
〔田中雅敏地方創生局長登壇〕
91 ◯地方創生局長(田中雅敏)人口減少下における本県の施策と将来展望について、私には4問御質問を頂きました。
まず、富山県人口未来構想本部についてお答えいたします。
本県では、人口減少やそこから生ずる課題に真正面から取り組むため、去る4月に知事を本部長とする富山県人口未来構想本部を設置いたしました。
今月6日に開催いたしました第2回目の会議では、本県の年齢別人口における人口ビジョンとの乖離といった客観的なデータのほか、これまでの取組などについても確認し、部局横断で議論をしたところでございます。
会議の中では、県庁若手職員から聞き取った声も取り上げられるなど、活発に意見交換が行われました。その上でエビデンスや正確なデータに基づく施策の立案の重要性などを確認したところでございます。
今後、人口未来構想本部におきましては、移住促進や産業、また関係人口など、様々な角度からこれまでの取組を検証しまして、人口減少を抑制する対策や人口減少下においても社会を維持していくための対策を議論するほか、国から今後提供されるデータを活用いたしました本県の新たな人口ビジョン富山県人口未来構想の策定を行ってまいります。
そのような中では、御指摘にありました県民の生活がどのように変化するのか、また行政の役割がどのように変化するのか、こういった観点も含めまして部局横断で議論を重ね、前向きな取組を打ち出す契機にできるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、移住促進についてお答えいたします。
県では、これまで移住促進の取組といたしまして、移住検討者に本県に関心を持っていただくためのイベントの開催と、本県に関心を持たれた方を実際の移住につなげるための相談対応、これを両輪として事業の展開をしてまいりました。
具体的には、移住のセミナーや首都圏での相談会などの開催を通じまして、充実した就労環境や子育て環境など、本県の魅力を積極的に発信いたしまして、移住希望者の掘り起こしを行ってきましたほか、仕事と暮らしの相談窓口であります、富山くらし・しごと支援センターにおきまして、本県企業への転職をはじめ、起業や就農、さらには住まいや教育に関する相談など、移住希望者の多種多様なニーズに寄り添いまして、ワンストップで対応する体制を整えてきたところでございます。
こうした取組の結果、イベントの参加者、相談者とも年々増加いたしまして、昨年度の県、市町村の相談窓口等を通しました移住者数は、御紹介がありましたとおり、県が統計を取り始めて以来過去最高の966名となりまして、これまでの市町村との連携による継続的な取組が一定の成果となって表れたものと考えております。
今年度は、例えば農業など、テーマやターゲットを絞りまして、地域が求める人材と移住希望者のマッチングを目的といたしましたセミナーを開催するほか、首都圏在住の移住検討者を対象に実施いたします富山移住・しごとフェアの開催回数を増やすなど、さらに積極的に取り組むこととしております。
今後とも市町村と一層連携を図りながら、あらゆる事業機会を通じまして本県の魅力をしっかり伝え、移住促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
続きまして、地域コンシェルジュや地域おこし協力隊についてお答えいたします。
人口減少、高齢化が著しい農山村などの中山間地域におきましては、住民主体の地域コミュニティーの維持活性化や、地域活動を担う人材の確保育成が重要な課題となっております。
このため県では、令和3年度に地域コンシェルジュを1名から4名に増員いたしまして、細やかに地域を訪問して信頼関係を構築しながら、支援事業の活用などの働きかけや、他地域の先行取組事例の紹介など、地域の実情に応じましたサポートを強化してきたところでございます。
その結果、令和元年度から昨年度までに、住民主体の地域の将来像の話合いやその実現に向けた計画づくりを支援します「話し合い」促進事業につきまして40地域、また、計画の実施等を後押しいたしますチャレンジ支援事業、これは47地域で御活用いただくなど、成果につながっているものと認識しております。
また、地域おこし協力隊につきましては、採用された市や町で、移住・定住の促進、地域団体の設立の支援など、様々な活動に取り組む地域の重要な担い手となっておりますことから、これまでも、その確保育成に対する財政措置の充実を国に求めてきたところでございますし、今後も必要な支援の拡充を国に要望してまいりたいと考えております。
加えまして、若年層の人口が全国的に減少傾向にあることから、主たる年齢層が20歳代から30歳代となります隊員の希望者に、全国各地の県が募集する中から本県を選んでいただきまして、任期後も引き続き県内に定着し、地域の担い手として御活躍いただけるよう、市町村や、本年2月に設置された富山県地域おこし協力隊ネットワークとも連携を深めながら、隊員の確保・増員により一層取り組んでまいりたいというふうに考えております。
最後に、公立病院経営強化ガイドラインなどについてお答えいたします。
公立病院は、医師・看護師の不足や、人口減少・少子高齢化に伴う医療需要の変化、医療の高度化などを背景とした厳しい経営環境が続いておりまして、持続可能な地域医療提供体制を確保する観点から、令和4年3月に国におきまして、公立病院経営強化ガイドラインが示されたところでございます。
このガイドラインに基づきます公立病院の経営強化プランの策定に当たりましては、地域医療構想における将来の必要病床数と整合性を取りつつ、各公立病院が担うべき役割や機能を、地域の実情を踏まえて明確にすることとされております。
また、あわせまして、地域において中核的医療を担う基幹病院及びそれ以外の病院との機能分化・連携強化、医師・看護師等の働き方改革、施設設備の最適化等を進めることとされておりまして、これに基づく医師等の派遣及び受入れに要する経費や施設整備費用のほか、不採算地区病院の運営に要する経費等に対しまして、地方交付税措置がなされているところでございます。
県では、各市町における公立病院経営強化プランの策定に当たりまして、それぞれの施設の病床の運営と、県内4つの医療圏で将来的に回復期病床の需要増加が見込まれることなどの整合性を確認いたしますほか、高度急性期医療を担う県立中央病院及び富山大学附属病院との連携や、地域包括ケアシステムの推進に向けた診療所や介護施設など地域の関係機関との連携、また、医師や看護師の勤務時間の適切な管理などについて助言を行っておりまして、昨年度までに県内全ての公立病院で経営強化プランが策定されたところでございます。
今後も持続可能な地域医療提供体制の確保に資するよう、必要な助言指導などを行ってまいりたいと考えております。
私からは以上です。
92 ◯議長(山本 徹)金谷土木部長。
〔金谷英明土木部長登壇〕
93 ◯土木部長(金谷英明)私から、県と市町村の事業の一元化、一体化に関する御質問にお答えをいたします。
技術系職員の数が減少傾向である中でも、社会資本の整備や維持管理を着実に進めていく必要がございまして、議員御提案の県と市町村の職員が一体となってインフラ整備などの業務を行う仕組みが実現すれば、県や市町村双方にとりまして、効果的そして効率的に事業を進捗できる手法の一つになるというふうに考えております。
一方で課題もあると考えておりまして、例えば、自治体ごとに財政規模やインフラの整備水準が異なりますので、目指す整備水準あるいは管理水準をどのように設定すればよいか、また、整備主体が管理者と異なる際には、管理瑕疵が生じた場合の責任をどう分担するかなど、解決すべき課題も多いと認識しているところであります。
技術系職員の減少は、全国自治体の共通課題であると考えておりまして、現在、国土交通省では、複数の自治体が参画する広域エリアにおきまして、道路、河川、下水道等のインフラを群として捉え、効果的、効率的な整備などを目指す、地域インフラ群再生戦略マネジメントが提案されております。
御提案いただきました県と市町村が一緒に取り組むものも含めまして、昨年末に全国で11のモデル地域が選定され、持続可能なインフラメンテナンスの実現に向け検討が進められているところであります。
こうした国の検討状況につきまして、今後、勉強会などを通じて市町村に情報提供を行いまして、人口減少下におけるインフラの整備などにつきまして、課題を共有してまいりたいと考えております。
私からは以上であります。
94 ◯議長(山本 徹)津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
95 ◯農林水産部長(津田康志)私からも、同じ御質問に農林水産部としてお答えします。
県、市町村ともに技術系職員の採用について大変厳しい状況が続く中、事業の推進には市町村の理解と連携が不可欠なことから、日頃から市町村職員との担当者会議や連絡調整会議を適宜開催するなど、きめ細やかな情報共有に努めております。
また、災害時の対応としましては、災害派遣枠の職員を、農業土木職では富山農林振興センターに1名、林業職では森林政策課に1名配置するとともに、令和5年度の豪雨災害発生時には、災害被災市町の業務支援のため県職員を派遣し、国の災害査定に向けた測量や設計業務の作成を市町村職員と共に行ったところでございます。
能登半島地震でも特に被害の大きかった氷見市のパイプラインでは、国や土地改良区、コンサルなどとチームを組んで調査を行ったほか、現在、市の災害査定が円滑に進むよう必要な助言を行っております。
今後も民間も含めて技術人材の不足が続くと見込まれる中、今回のような大規模な災害に迅速かつ的確に対応するためには、災害対応能力を高めることが重要でありますので、県と市町村の対応手順をマニュアル化し、合同技術研修や課題を共有する意見交換会を開催するなど、市町村との連携協力体制を構築してまいります。
御指摘の、県、市町村の事業を一元化、一体化し、それぞれの職員が共に業務する仕組みづくりも、災害対応能力を高める上で有効な方策の一つであると考えております。
一方で、制度的な問題など精査する課題も多いと見込まれることから、他県の状況、市町村の意向も含め、調査研究を進めてまいります。
以上でございます。
96 ◯議長(山本 徹)南里経営管理部長。
〔南里明日香経営管理部長登壇〕
97 ◯経営管理部長(南里明日香)多様な人材の県職員への登用についてお答えいたします。
議員御提案のとおり、様々な地域課題の解決に向けて、専門的な知識経験や民間ならではの感覚、発想を県政に取り入れるため、県外の多様な人材を登用、活用することは有効であると考えております。
そのため県では、県庁活性化方針に基づいて外部人材の登用を進めており、地域公共交通、県庁DX、公民連携の分野の推進に御尽力いただいております。
また、地域や行政をよくしたいという熱意がある県内外の副業人材の活用も進めており、昨年度は3つの部署で4事業に8名の外部副業人材を活用いたしました。さらに、8名の県政エグゼクティブアドバイザーを委嘱し、専門分野における知識経験を生かし、県政に御助言いただいております。
御紹介ありました福井県では、地域おこし協力隊として募集し、特定分野に知見と熱意のある方を3年間の任期で委嘱しまして、移住につなげる取組をされております。
富山県といたしましては、社会情勢が急速に変化する中、複雑化、多様化する行政課題に対応できる多様な経験や知識、技能、専門性を有する幅広い人材の確保が必要であることから、現在活躍いただいている外部人材などの方に加え、職務経験者採用等の今後の在り方や具体的な方策についても検討し、提案ありました県内外から優秀で意欲のある多様な人材の登用、活用に積極的に取り組んでまいります。
98 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
99 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、医師、看護師等の医療従事者の確保についてお答えいたします。
本県の医師数は、令和4年末現在2,889人となり、人口10万人当たりでは284.1人と、全国の274.7人を上回っています。厚生労働省が示した令和2年の医師偏在指標では、本県は「医師多数でも少数でもない県」とされており、医療圏別では、富山医療圏が「医師多数区域」、ほか3つの医療圏は「医師多数でも少数でもない区域」とされております。
看護職員数も令和4年末現在1万7,150人となり、人口10万人当たりで1,686.4人と、全国の1,332.1人を上回っております。
都道府県レベルの偏在については、東京、京都、福岡などの都市部や、近隣では石川県、その他西日本の府県等が「医師多数県」となっております。本県は、既に述べたように多数でも少数でもない県でございますけれども、「医師少数県」は、新潟や東北などほとんどが東日本でございます。
単純にこの問題、大都市と地方という問題ではないということではございますけれども、いずれにしても、県単独での対応では偏在の解消については限界があるということから、去る6月5日に国に対して実効性のある偏在対策を行うことを要望したところであります。
また、全国知事会などの場では、例えば、医学部臨時定員増の延長、大都市圏における臨床研修の募集定員の削減、必要な医師養成数を定めた上での専攻医募集定員の設定等の意見が出されております。
本年、国において、医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会が立ち上げられたところであり、全国知事会と連携しながら、地域の実情に応じた実効性のある偏在対策を求めるとともに、引き続き、地域の医療提供体制等を踏まえた医師、看護職員等の確保に努めてまいります。
以上です。
100 ◯議長(山本 徹)廣島教育長。
〔廣島伸一教育長登壇〕
101 ◯教育長(廣島伸一)4問頂きました。
まず、職業系専門学科の学校及び学級数についての御質問にお答えいたします。
本県の中学校卒業予定者数ですが、議員からもございましたが、平成7年3月から今年3月までの29年間では1万4,342人から8,625人となりまして、約4割減少しております。
これに伴いまして、県立高校の職業系専門学科の募集定員につきましても同様に減少してきており、平成7年度は3,520人であったものが、令和6年度では2,041名と、また職業系専門学科が配置されている学校及び学級数は、平成7年度の30校90学級から、令和6年度は17校55学級となり、募集定員、学校数、学級数ともにそれぞれ約4割の減少となっております。
今後も中学校卒業予定者の減少は続くと見込まれ、令和13年度には現在より約12%減の7,600人程度に、その後、今の1歳児が卒業する令和20年度には現在からは約30%減の6,000人を割るという見込みでございます。
議員からございました学級数の見通し、大変難しい話ではございますが、今ほど申し上げた減少率を用いまして、今後の職業系専門学科の募集定員をこれに比例すると仮定して計算した場合、今年度の募集定員2,041人が、令和13年度は1,800人程度に、令和20年度には1,400人程度になるということで、学校及び学級数についても減少は避けられないというふうな状況にございます。
今後、総合教育会議において、今後を見据えました学科・コースの見直し、県立高校の再編についても議論させていくこととしております。この中で、職業系専門学科の在り方についても検討してまいります。
次に、職業系専門学科の周知と理解促進に関する御質問にお答えをいたします。
中学生が進路を選択するに当たりまして、中学生やその保護者、さらには進路指導する中学校の教員に各高校を理解いただくことは大切でございます。特に職業系専門学校につきましては、具体的な授業内容のほか、高校卒業後の進路などについても情報発信することが重要となります。
このため、各学校では教員が中学校に出向き、それぞれの学校やその特色、卒業後の進路等を直接説明しております。また、一部ではございますが、職業系の専門学科では、中学校の教員の方を県立高校にお招きし、施設設備の見学はもとより、専門学科ならではの具体的な学習内容や、生産物の即売会、模擬株式会社の運営といった専門性を生かした活動などを紹介し、理解を深めていただいております。
また、中学生に対しましては、オープンハイスクールなどを通じまして、施設設備や最新の技術に触れる実習等を見学、体験してもらい、職業系学科の学習内容や関連職業への理解を深めつつ、例えば工業高校では、中学生を対象としたロボットセミナーの開催、ミラコン、ロボットフェスタへの参加といった特色のある取組を紹介するなど、魅力発信に努めております。
あわせまして、全ての県立高校では、
ホームページ等により各学科の学習内容や、魅力的な取組を発信しておりまして、本年4月には、御紹介させていただきました、工業、農業、商業、そういった職業系専門高校も含め、地域連携活動に取り組む学校を紹介する動画を県の公式ユーチューブで公開したところでございます。
議員からは、各高校の情報がしっかり理解されていないのではという御指摘もございました。今後とも、中学校の教員、そして中学生、保護者などに向けまして、より具体的かつ効果的な情報発信等を工夫し、職業系専門学科に対する理解と興味が深まるよう努めてまいります。
次に、職業系専門学科の生徒の実体験の場の確保などに関する質問にお答えをいたします。
地元企業の現場を理解し、興味を持つ機会を生徒に提供すること、これは、高い職業意識を有し、また、最先端の知識、技能を備える職業人を育成する上で大きな意義を持つものでございます。
職業系専門学科の高校生と地元企業など実社会との関わりにつきましては、これまで、例えば工業科では工場現場でのすずの鋳造体験や、光造形3Dプリンターで作成した模型を用いた鋳型作り、電気工事の実験施設での高所等の安全実習、農業科では、行政やJAと連携しました特産品栽培の改善や、新たな特産品開発の取組、商業科では旅行情報誌の発行や深層水ラーメンといった商品開発など、地域産業と連携しました実践的学習活動を行い、産業界で必要とされる資質の育成に努めてまいったところでございます。
また、年間約300人程度の県内企業の実務経験者の方を学校にお招きして、多様な地域産業に関する実務を学びますほか、全ての職業系専門学科ではインターンシップを実施し、将来を見据えた実践的な学習の場を設けているところでございます。
職業系専門学科におきましては、科学技術の進展や産業構造の急速な変化等に対応するため、地域や産業界との連携の下、実践的な学習活動をより一層充実させていくことが求められております。こうした地域や企業との連携活動は、各学校の特色としてそれぞれが主体的に今進めておりますが、生徒の実体験の場を確保して専門教育のさらなる充実、魅力化に取り組めますよう、教育委員会としても地域や企業との連携を推進し、支援してまいります。
最後になりますが、職業系専門学校の教育環境の整備についてお答えをいたします。
技術革新や産業構造が変化する中、職業系専門学科を有する高校におきましては、従来の基礎的な知識だけでなく、最先端の知識や技術を学習できる教育環境を整備していく、こうした必要がございます。
一方、県立高校においては、築50年経過した学校も多く、老朽化対策が課題となっております。教育方法の多様化や環境への配慮など、社会的なニーズにも対応することを目的として、県学校施設長寿命化計画に基づいて、長寿命化改修を進めているところでございます。
例えば、今、砺波工業高校においては、学校施設の更新に加えまして、実習室の防音・断熱機能の向上、実習用電源の増設など、教育環境の質的改善、機能向上を図っているところです。
また、老朽化した実習設備・機器につきましては、これまでも順次更新してまいりましたが、加えて、就職後での現場で必要となる専門知識や技術、問題の発見、解決能力、こうした資質を向上させるため、最先端のデジタル化産業教育設備の導入、整備も進めております。
こちらも例えば、各学校側の要望により、工業科では工業用3DプリンターやCGデザインシステム、農業科では植物育成用LED照明付培養棚や、GPS機能付農業機械など実習機器を整備しているところでございます。
県教育委員会といたしましては、引き続き、こうした考えの下、優先順位をつけて、学校施設や実習設備・機器の整備を進め、生徒たちが基礎的知識に加えまして、最先端の知識や技術を学習することにより、産業界のニーズに対応し、特に将来の本県産業を支える人材となるよう学習環境の充実に努めてまいります。
私からは以上になります。
102 ◯議長(山本 徹)以上で宮本光明議員の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。
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常任委員会への審査付託
103 ◯議長(山本 徹)次に、ただいま議題となっております議案第95号から議案第105号まで、報告第3号及び議員提出議案第7号については、お配りした議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
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104 ◯議長(山本 徹)次に、お諮りいたします。
議案調査のため、明6月20日及び24日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
105 ◯議長(山本 徹)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次に、議会の日程を申し上げます。
6月21日及び25日は予算特別委員会を、26日は常任委員会及び議会運営委員会を開催いたします。
次回の本会議は6月27日に再開し、諸案件の審議を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時08分散会
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