富山県議会 2024-02-01
令和6年2月定例会 一般質問
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午前10時00分開議
◯議長(山本 徹)おはようございます。ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(山本 徹)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第68号まで、報告第1号及び報告第2号を議題といたします。
これより、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
鍋嶋慎一郎議員。
〔7番
鍋嶋慎一郎議員登壇〕
3 ◯7番(鍋嶋慎一郎)おはようございます。本日最初の質問をさせていただきます
自由民主党富山県議会議員会の鍋嶋慎一郎です。今回も質問の機会をいただきましたことに、諸先輩方をはじめ同僚議員に感謝申し上げます。また、本日までの様々な質問と重複するところもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
質問に先立ち、元日に発生いたしました能登半島地震においてお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。
私自身、48年の人生で初めて身の危険を感じた地震でありました。富山県は安全という何の根拠もない安心感に包まれていたものが、夢から覚めるかのごとく一瞬にして恐怖へと変わり、繰り返し起きる余震のたびに周りを気にしながらびくびくしていたのを今でも鮮明に覚えています。自然災害の猛威になすすべのない人間の小ささをまじまじと感じさせられた正月でありました。
多くの災害復旧に携わってこられた方々、そして今このときも災害に対応されておられる皆様に敬意を表するとともに感謝申し上げ、一日も早い復旧・復興を願っております。
それでは、通告に従い、一括にて質問をさせていただきます。
まず初めに、その地震、能登半島地震を受けてということで、5問質問させていただきます。
私の住む入善町も、元日に激しい揺れに見舞われました。幸いにも人的被害はなく、建物被害も50件余りと、ほかの被災地から見れば比較的被害は少なかったかのように感じておりました。
しかし、地震から間もなく、入善沖より取水している海洋深層水の取水温が高いということが分かりました。すぐさま調査船を手配し、調べたところ、
海洋深層水取水施設の取水管が地震による海底の地滑りの影響で大きく破損していることが分かりました。
富山湾の入善沖、水深およそ380メートルからくみ上げる海洋深層水は、水温が2度ほどと低温で水質もきれいなことから、入善町では近隣の工場の冷却過程に使われたり、サクラマスの養殖やカキの浄化・蓄養などに使用されておりましたが、現在取水できないということで、全て停止している状況であります。
また、2025年には、富山県ではもちろん、日本中そして世界中にも注目されている、この深層水を利用したサーモンの陸上養殖の稼働を目指すこととなっていることから、早急な復旧が必要となっているわけでありますが、町だけの力では復旧には到底程遠く感じるところであり、県の多大なる御支援が必要であると考えますが、横田副知事のお考えをお聞かせください。
地震が発生し、間もなく大津波警報が発令され、様々なテレビ、ラジオ、地域での防災無線などにおいて、今すぐ高台に逃げろ、海から離れろなどと避難を呼びかけたことにより、多くの方が内陸、山手のほうへと避難されました。
避難された方の中には、津波による被害の心配のない地域に住んでおられる方々も多く、そういう方が避難行動を取ったことで、山手へ向かう道路では大渋滞が発生したこと、また避難指定場所ではないところに多くの方が避難してきたなど、この地震を受け、今まで想定していなかった多くの課題が見えてきたことと思います。
自助、共助、公助などある中において、初動として大切な自助、自分自身を守るためにどのような避難行動を取るべきなのか、各地域の
ハザードマップなどを活用して住民全体の最適な避難行動を促すべきではないかと考えます。
また、今回の地震を受け、住民の記憶が新しいうちに実践的な訓練を行うことが効果的であると考えます。県としても今後の防災・減災対策として、各地区における
防災ハザードマップを再確認し、避難場所や避難経路の周知を強化する必要があると考えますが、
武隈危機管理局長の御所見をお伺いします。
災害が発生した際、必要になるものの中に、飲食物や衣類などと同じように大切なのはトイレであると言われています。避難所の衛生面から見ても、災害発生時のトイレ対策はしっかりしていくべき課題の一つだと思っております。
先日、井上議員からも災害時におけるトイレに関する質問がなされましたが、私からは、流した行き先についての課題を質問させてもらえればと思います。
富山県の下水道の普及率は86%余りと大変高くなっており、下水道が使用できる場合、水さえあればトイレを我慢する問題も衛生面での問題もありません。しかし、今回のような多くの下水管が使えない場合、幾ら水があっても流すことができず、時間がたてば仮設トイレの設置は可能ではありますが、場合によっては、発災直後から数日間トイレを使用することはできません。そういった中においても使用できるのは、浄化槽を使ったトイレではないかと考えます。
立山町において今年の11月に開館予定の防災センター及び児童館施設のアカリエでは、災害を想定し、浄化槽を利用したトイレが設置されたと聞いています。
今後の災害の備えとして、避難所となる公民館等において浄化槽を設置する必要があると考えますが、廣島
生活環境文化部長の御所見をお伺いします。
今回の地震により、県内の多くの田んぼで陥没やあぜの崩壊、亀裂等の被害が出ていると聞いております。また、氷見地域のパイプラインの損壊や県内の多くの農業用水路が亀裂などにより漏水している、また、春になり水を流し始めると漏水箇所が多数出てくるのではないかなどとも言われている、まだまだ全容が見えていないのが農業関係の被害でもあるかと思います。
田んぼの時期が始まり、水稲を作付する分には、水張りをするので、田んぼやあぜの陥没、ひび割れ、崩壊が分かりやすいかと思います。しかし、転作や畑作にしている田んぼでは、なかなか水張りをすることが少なく、被害が分かりにくくなってしまいます。数年後に水稲をしてみると陥没があった、ひび割れがあった、水がたまらないなどと問題が出てこないとも言えません。このような把握されにくい被害も想定されることから、今回の地震の影響は中長期的に捉えていく必要があるのではないかと考えます。
田んぼの陥没やあぜの崩壊、亀裂等の被害の把握状況と、氷見地域のパイプラインを含めた農業用水路の現在分かっている被害状況はどうか、また今後の復旧見込みをどのように考えているのか、
津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
石川県では、能登半島地震の被災地において発生した刑法犯罪は1月だけでも35件となり、窃盗や空き巣が多かったと聞いております。
東日本大震災の際には、自販機荒らしの窃盗や空き巣、偽ボランティアによる窃盗行為、点検商法などの悪質商法、募金や義援金詐欺など様々な犯罪が発生しました。
地震後、1月4日に石井本部長と話をした際に、警察として救助・救援活動に行くのはもちろんだが、そういった犯罪に対してもしっかり対策をしていかなければいけないとおっしゃっておられました。今回の能登半島地震に関連した犯罪の内容とその対応、対策はどうであったのか、
石井警察本部長の御所見をお伺いします。
次に、富富富の生産拡大について5問質問します。
現在、氷見市などにおいて、田畑や用水路等の復旧作業が進められています。復旧の進捗によっては、富富富をはじめとした水稲の作付が難しい地域の発生も懸念されるのではないかと考えます。
先日、作付が遅れても遅れたなりの指導をしていきたいとおっしゃっておられましたが、ある程度期限はあるかと思います。地震の被害が大きかった地域における水稲の作付見通しはどのような状況であるのか、
津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
第3期「富富富」生産・販売・PR戦略では、2028年産の栽培面積目標を1万ヘクタールとされました。
近年の異常気象でも1等米比率が高いこと、倒伏しづらい、いもち病にも強いこと、そして何よりもおいしいということから、コシヒカリに代わる富山県の米として、私自身、以前より富富富の作付を増やしていきたいと考えていただけに、この生産目標には非常に期待いたしますし、評価するところであります。ただ、面積が面積なだけに、絵に描いた餅にならぬよう、しっかりとした計画が必要かと考えます。
私の住む入善町での令和5年産富富富の作付は296ヘクタールで、県全体の富富富の作付1,632ヘクタールの約18%の面積であり、仮に単純に計算して、この18%の割合のまま1万ヘクタールを作るとなると、入善町では1,800ヘクタールの作付となり、入善町全体の耕地面積3,800ヘクタールの約半分で富富富を作付することになります。
富富富の栽培に意欲的な入善町でさえ、平成30年から作付が始まって、5年でようやく296ヘクタールまで増えたというのに、あと5年でこの約6倍にまで増やすと考えると、相当な農家さんへの意識改革と施設等の新たな整備が必要と考えます。
また、面積が増えれば、もちろん米の量も増えます。農家の人たちは基本、納める数量を決めてから、すなわち農協であったり商社であったり、販売先を決めてから耕作面積を決めます。この富富富においても、いきなり面積を増やしても販売先がなければ、米が余ったり、売れ残った米を安く販売されたりと、本末転倒となりかねません。高い面積目標の設定は、富富富に対する本気度がひしひしと伝わってきて非常にいいことだとは思いますが、一朝一夕に達成できるものではなく、計画的な取組が重要であると考えます。
この高い目標の達成に向けて、県としてどのようなロードマップを描いているのか、具体的な販売先の確保策も含めて
津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
富富富の栽培面積を増やしていくに当たり、以前からお願いしておりますが、何よりも栽培方法の縛りを緩和し、コシヒカリ同等にしていく必要があると考えます。
省力化の一つに挙げられている直播に関して、先日の答弁でも、乾田直播だけではなく、水を張った田んぼでも直播ができるようにしていくとおっしゃっておられましたが、これができるのであれば取り組みたいという生産者が多いことからも、早急に取り組んでいってほしい一つであります。
このような直播や
密苗栽培技術等のさらなる省力・低コスト化な栽培方法の導入見込みと、収量の安定化に向けた今後の技術的な取組について、
津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
今、米業界で全国的に有名になってきた山形県で開発されたお米「つや姫」は、出穂期、成熟期ともにコシヒカリ並みで、晩生に属し、稈長はコシヒカリより短く、耐倒伏性があります。また、昨年のような高温でも1等米比率が高く、いもち病にも強い、食味も言うことなしと、まるで富富富かと思うぐらいであります。
このつや姫は現在、山形県だけではなく、宮城県や島根県、大分県、長崎県の5県で奨励品種として採用されています。このように、山形県産のブランド米「つや姫」のブランド戦略の一つでは、全国へ種苗を供給し、県外での生産量を増やし、認知度を向上させています。
富山県は全国でも有数の種もみの産地であります。富富富の生産・消費拡大に向けて、種子の生産力も上げながら、このつや姫のように全国に種苗を供給し、全国で富山県の米、富富富を生産してもらう取組を進めてはどうかと考えますが、
津田農林水産部長の御所見をお伺いします。
前回の
予算特別委員会でもお聞きしましたが、この富富富と、県が掲げる「『寿司』と言えば、富山」の
ブランディングの一体的な取組を進めてはどうかと考えます。
先日の
ブランディング対策特別委員会でも、天然の生けすと言われる富山湾で取れるおいしい魚、新鮮なネタの話が多かったかと思います。すしにはネタはもちろん大事でありますが、ネタだけでは刺身であります。すしのうまさはシャリが6割と言われるぐらいシャリは大切な存在であり、シャリがあってこそのすしではないでしょうか。
この富富富は、さっぱりした味わいの中にも米の香りと甘みがあり、心地よいもちもち感で、口の中でほどけていく感じがすしのシャリにも非常に合っていると聞いております。富山湾で取れたきときとのネタと富富富のシャリで、消費拡大だけではなく、100%「『寿司』と言えば、富山」としてのブランド化に向けた相乗効果も期待できるのではないかと考えます。
富富富の消費拡大に向けて、県が掲げる「『寿司』と言えば、富山」の
ブランディングと一体的な取組を進めてはと考えますが、新田知事の御所見をお伺いします。
次に、台湾観光やその関係について3問お伺いします。
本年1月31日に富山─台湾間の臨時便が再開した際、より多くの県民が台湾へ観光に訪れるよう
アウトバウンド需要につながる取組と、台湾より本県へより多くの人に訪れてもらうインバウンドの集客に向けた
チャイナエアライン台湾支店1階の幾つもある柱への富山県の広告や、台湾で最もにぎわっている繁華街にある地下鉄の中山駅構内で多くの人たちが行き交う壁一面の巨大広告などの取組を視察、そして本県と台湾の交流発展につながるよう、県庁の方々と同僚議員とともに視察に行ってきました。
今日のこのネクタイは、私の尊敬する国会議員のトレードマークである黄色のネクタイということでもありますが、今回のこの視察が富山県と台湾の関係発展につながる訪台になればと願い、黄色といえばマンゴーや
パイナップルケーキ、マンゴーや
パイナップルケーキといえば台湾と思い出せるようにと、向こうで購入してきたものであります。どうでしょうか。(「似合っとるぞ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
台湾は富山空港より僅か三、四時間で、しかも非常に親日ということ、日本語表記も多く、日本語を話せる方も多いなど、国内旅行のように気軽に海外旅行を楽しめる魅力を身をもって体験してきました。
令和6年度当初予算案に計上している
台北便アウトバウンド利用促進事業について本事業の狙いと、富山─台湾便の定期便運航再開に向けてどのような効果を見込んでいるのか、
田中交通政策局長の御所見をお伺いします。
今回台湾に行った際、県庁から
サイクリング関係の視察ということでもあり、行かれておりましたが、昨年3月に台湾側から提案された
富山湾岸サイクリングコースと台湾の
主要サイクリングコースとの間での友好協定締結に向けた準備状況と台湾との交流について、今後どのような取組を進めるのか、併せて
竹内地方創生局長の御所見をお伺いします。
今回の訪台で大規模な店舗を展開している現地の商社を訪れ、輸出について現在の状況やこれからの展望など話を聞いてきました。その商社では現在、富山県産の農林水産物の取扱いはありませんでしたが、非常に興味があり、取り扱ってみたいとのことでした。また、親日家が多いことから、今回の震災の復興を手助けしたいという気持ちもあるということで、北陸の商品はないのかと探しに来る方もいると聞いております。
農林水産物の輸出促進に向けて、様々な国に細かく輸出し120億円を目指すのもいいですが、数か国にターゲットを絞り、様々な売り込みをし、輸出額を増やしていってはと考えます。
台湾に進出する県内企業などのネットワークを生かし、
プロモーションを強化していってはどうかと考えますが、今後の輸出拡大に向けた取組と併せて新田知事の御所見をお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
4 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
5 ◯知事(新田八朗)
鍋嶋慎一郎議員の御質問にお答えをします。
まず、富富富の消費拡大についての御質問にお答えします。
富富富については、令和10年度に1万ヘクタールとする目標達成に向けて、生産と消費の両面から取り組むことが大切であり、特に消費拡大については、富山米全体で県外流通が約7割あることから、様々な
流通販売ルートを活用して新たな需要開拓に努めるとともに、家庭用と中食、外食用といった消費や販売の形態に応じた対策を進めていく必要があると考えています。
御提案の「『寿司』と言えば、富山」との一体的な取組について、富富富は、すし店からは粒立ちがよい、県内の卸売業者からは冷めてもおいしいという特性はすしに合うのではという評価をいただいておりまして、「『寿司』と言えば、富山」の展開に当たって、全国的にも評価の高い新鮮な富山湾の魚介類に加えて、富富富を使用することで富富富のPRにつながり、消費拡大も期待できるのではと考えています。
現状ですが、一部ではありますけれども、すし店や押しずしにおいても富富富が使用されているほか、県が毎年実施している飲食店フェアにおいても富富富を使用したすしを提供しております。ちょうど昨日お客様とすしランチをしたんですが、その店の方も、今はコシヒカリとてんたかくをハーフ・ハーフで使っているけれども、一方で、富富富でも今試行錯誤を続けているということで、近い将来には変えたいというようなお話もありました。
皆さんそういう意味で興味を持っていただいている、関心が高まっているというふうに思っております。引き続き、すし店さんなどの実需者に富富富の使用を働きかけるとともに、家庭向けには「とやま県民家庭の日」に併せたすしに関するキャンペーンと連動した消費者参加型の料理コンテストを実施することで相乗効果を発揮していきまして、中食、外食用と家庭用のバランスの取れた需要拡大を一層進めていきたいと考えています。
次に、台湾への輸出拡大についての御質問にお答えします。
台湾は、本県の令和4年度の農林水産物の輸出額が2.1億円ということで、国・地域別では第5位です。米菓、日本酒、干し柿、ホタルイカなどの海産物などが輸出されています。また、経済発展が著しく、親日的で、福島の
ALPS処理水の海洋放出の影響もないことから、今後の輸出拡大を積極的に推進していきたいと考えています。
県では台湾への輸出拡大に向けて、とやま
輸出コミュニティを通じて、県内事業者のノウハウを事業者間で共有しているほか、台湾に事務所を持つ地域商社が県産品をまとめて輸出する取組を進めていまして、これまでにそうめんや日本酒など7社、16品目が輸出されるなど、着実に輸出が拡大しています。
私自身も先月の21日から23日にかけて台湾を訪問し、
台湾進出県内企業との意見交換の中で、食品の流通状況、あるいは日本酒への関心、あるいは和牛の取扱いなどについて御教示をいただき、改めて輸出拡大の可能性に期待を持ってまいりました。
そこで、台湾最大の国際食品見本市「FOOD TAIPEI2024」に、今年度に続いて来年度も出展できるよう、パビリオンを運営するグループ企業の会長さんにもお会いをし、直接要望をし、快諾を得たところです。
新年度はこれまで以上に台湾への
プロモーションを強化することとして、「FOOD TAIPEI2024」では、富富富やアイスクリームなどの新たな品目も出展できるよう、現在調整を進めています。
引き続き、JETROや地域商社とも連携の上、輸出に関心のある、輸出の希望がある企業さんを支援しながら、県産の農林水産物の台湾への輸出拡大に努めてまいります。
私からは以上です。
6 ◯議長(山本 徹)横田副知事。
〔横田美香副知事登壇〕
7 ◯副知事(横田美香)私からは、入善町の
海洋深層水取水施設の復旧支援についての御質問にお答えいたします。
今回の地震により2つの取水施設が被災し、深層水が取水できなくなっている状況は、町のほうからお聞きしております。
水産庁の補助を受けて整備した既存施設では、サクラマスの養殖、漁獲物やカキなどの一時蓄養などに使用され、そしてもう一方は町が誘致し、今後増設予定のパック御飯工場や建設予定の
サーモン陸上養殖施設に供給するために、内閣府の
デジタル田園都市国家構想交付金を活用して整備中でありました。
町の調査によれば、取水管は海底地滑りにより、それぞれ水深100メートル地点、220メートル付近で破断しており、復旧には別の場所に2本の取水管を布設し直す必要があると聞いています。
これを受けまして、県としても1月24日に新田知事が農林水産大臣などに復旧への財政支援を直接要望するとともに、私も国の関係機関に支援を働きかけてきております。
事務的には、既存施設の復旧に向けて水産庁の災害復旧事業が活用できるように現在調整を進めており、そしてもう一方の施設につきましても、取水管を新たに整備するに当たって、
デジタル田園都市国家構想交付金の活用の相談について、国と町との間に入り対応しているところでございます。
ロシア沿岸の厳冬期に冷却され、富山湾の深海に流れ込んだ低温かつ清浄な海洋深層水は、富山県の農林水産業、食、そして企業誘致のための貴重な資源でございます。今後、町において調査や設計などの結果を基に復旧方針を検討されますので、県としてもそれを踏まえて、引き続き国などの関係機関と協議してまいります。その中で、県としてさらにどのような支援ができるのか、検討してまいります。
以上です。
8 ◯議長(山本 徹)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
9
◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、津波に対する避難行動についての御質問にお答えいたします。
元日の津波警報の発令時には、津波被害が想定されない地域を含め、県内沿岸部の広い範囲で多くの住民の皆さんが避難されたため道路渋滞が発生するなど、津波に対する避難行動が大きな課題として明らかになりました。
県では、新年度、人流データを活用し、津波警報の直後にどのくらいの方が避難したか、また避難行動は適切であったかなどにつきまして分析、検証することとしており、その検証結果については今後の津波対策に役立てていきたいと考えております。
また、津波発生時における最適な避難行動のためには、議員御指摘のとおり、住民の皆さんに津波
ハザードマップを再確認いただき、自らの避難場所や避難経路をよく御理解いただくことが重要でございます。
県としては、住民の皆さんの記憶が新しいうちに、沿岸市町や県防災士会等とも連携して、住民の皆さんへの津波
ハザードマップの周知を強化するとともに、地区ごとに、どんなときにどんな避難行動を取るのか、あらかじめ定めておく地区防災計画の策定や避難訓練の実施を促進するなど、津波対策に努めてまいります。
以上でございます。
10 ◯議長(山本 徹)廣島
生活環境文化部長。
〔廣島伸一
生活環境文化部長登壇〕
11 ◯
生活環境文化部長(廣島伸一)避難所への浄化槽の設置についてお答えをいたします。
災害時の避難所となります公民館などにおけるトイレの確保は、避難者の方々や被災地域の生活環境の保全と公衆衛生の確保を図る上で重要な課題となります。
今回、地震の影響によりまして、公共下水道につながる水洗トイレが使用できないといった問題が生じ、仮設トイレまたは簡易トイレで対応した避難所がございました。
議員御指摘の浄化槽は、一般的には本体構造が丈夫であり、下水道のような長い管路が不要で、被災しても短期間で復旧が可能であるなど、地震などの災害時には有用なものとされております。
また、災害時における浄化槽の有用性を示す一つの例ということで御紹介になりますが、建築基準法の規定で下水道処理区域では汚水を浄化槽で処理できないという規定になっておりますが、業界団体の要望も踏まえまして、平成28年度に本県から国に対しまして、災害時に備えた規制緩和を提案いたしました。この結果、災害等非常時の運用として、下水道処理区域での浄化槽の設置が可能との見解が示され、この運用解釈の変更につきましては、県から市町村のほうに周知したという経緯がございます。
避難所のトイレに関しましては、まずは避難所の指定や運営を行われる市町村において適切に対応されることが原則になります。今回の能登半島地震に際しまして、市町村のほうから県のほうに対しまして、避難所のし尿処理の収集・処理などの課題についての報告もいただいているところでございます。
県としましては、今後、市町村、また業界団体の皆さんと今回の地震対応について振り返り、課題の検証などを行う機会を設けたいと考えております。そうした機会を捉えまして、避難所での浄化槽の活用など、必要な対応について市町村の方々等と検討をしてまいりたいと考えております。
以上になります。
12 ◯議長(山本 徹)
津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
13 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、5つの質問にお答えいたします。
まず、被害の把握状況と今後の復旧見込みについての御質問にお答えいたします。
県内の農地や農業用水路など農業用施設の被害につきましては、2月26日時点で、田んぼの噴砂等を含めた農地で300か所、氷見地域のパイプラインを含めた農業用水路で1,362か所、その他施設を合わせて県全体で2,151か所が報告されております。
能登半島地震につきましては、1月11日に激甚災害として指定され、国の補助率がかさ上げされておりますが、国におきましては、今後、春の通水や営農活動の開始により新たな被害が判明した場合にも、この激甚災害での対応ができますよう、通常は発災から3週間以内に提出することになっている確定報告の時期を弾力的に取り扱うということとされており、現時点で被害が確認されていない地域や農業者にも配慮されているところです。
国の災害査定は6月以降と想定しており、復旧には相応の日数を要すると見込んでいることから、現在県では、春の作付に間に合うよう、事業主体であります市町村に対して、仮復旧工事のほか、査定前着工制度を活用した応急本工事の実施など、状況に応じた適切な技術的助言等を行っております。
一方で、議員御指摘のとおり、中山間地域や転作等により被害が把握されにくい地域もございますが、この場合でも、国の支援を得るにはその前提として被災箇所としての確定報告が必須となりますので、遺漏なく報告できますよう、引き続き関係団体と連携し、正確な被害状況の把握に努めてまいります。
次に、被災地域での富富富の生産見通しについての御質問にお答えいたします。
令和6年産の富富富につきましては、798経営体から2,496ヘクタールの申請があり、先般生産者登録を行ったところです。このうち能登半島地震による被害が大きい氷見市では、水稲の作付面積の約7%に当たる116ヘクタールの作付が予定されております。
現在、関係機関・団体等が連携し、ため池や用水路等の復旧に努めているところであり、特に被害の大きかった氷見市のパイプラインにつきましては、充水による不可視箇所における破損箇所の特定と補修を進めております。
今後、幹線用水路等の復旧が完了した地区から、順次各圃場までの通水状況や圃場に水を張ることができるのかなどの確認が進められることから、こうした状況を丁寧に把握しながら、富富富を含めた水稲作が可能な面積を把握していくことになります。
春からの田植に向けて、被災された農業者が意欲を持って取り組むことができますよう、引き続き市町村、土地改良区、JAなどの関係団体と連携し、復旧状況や今後の見通しをお示ししながら、畦畔等の簡易な補修のほか、通水時期や用水量に応じた栽培技術など、必要な指導支援に努めてまいります。
続きまして、富富富の目標達成に向けた取組についての御質問にお答えします。
富富富につきましては、令和6年産の生産者数が5年産に比べ30%増加するなど、生産者に富富富の優位性の理解が進むとともに、中食、外食需要も高まり、学校給食等を通じた県民への浸透も進んできております。
御質問のロードマップ、目標達成に向けた道筋につきましては、生産と販売の両面から進める必要がございますが、地域の事情も異なることから、県一律ではなく、可能な地域から拡大を進めることとしております。議員お膝元の入善地域においても、引き続きトップランナーとして県全体の生産拡大を牽引いただければ誠にうれしく思っております。
県としても、地域協議会活動、新規生産者も含めたきめ細かな栽培指導、省力化や低コスト化に向けた栽培実証、乾燥調製施設の整備など、しっかりと関わりながら、各地域の実情に応じて拡大を進め、戦略推進会議で県全体の進行管理を行ってまいります。
また、販売面では、食べてもらう、知ってもらうことを中心に、中食・外食事業者や消費者にアプローチをいたします。まず、おにぎりや弁当を販売しているコンビニや小売店舗に対しては、イベントやフェア等の対面による試食販売等のPRをJA等と連携して働きかけ、販売先を増やしていきます。それに併せて、若い世代を中心とした消費者の購買、行動につなげるため、SNS等での料理動画等の発信や消費者参加型のレシピコンテストなどを実施し、県内、全国での富富富ファンの輪が広がることを目指しております。
これらの取組を総合的に進めていく中で、進捗をしっかりと確認しながら、必要に応じて追加の対策を講じるなど、関係団体と連携し、戦略の目標達成に努めてまいります。
続きまして、富富富の栽培技術についての御質問にお答えいたします。
富富富の生産拡大に向けては、多くの生産者の方から、コシヒカリなどで実践されている圃場に直接種をまく直播栽培を望む声を聞いております。富富富はコシヒカリに比べ出芽が遅く、苗立ちがそろうまでに日数を要する等の課題がございますが、生産者の要望に応えるため、現地試験などで技術確立を図り、普及に努めてまいります。
具体的には、直播栽培のうち、乾田でのV溝直播につきましては、令和2年度に現地で行った試験栽培の結果に基づき、令和3年度から地域協議会の指導の下、現地で栽培が進められており、農家からコシヒカリと同等以上の収量があるとの声もあり、年々面積が増加しております。
また湛水──水を張った状態での直播栽培につきましては、令和5年度に入善町で試験栽培を行ったところ、玄米のたんぱく含有率など食味・品質はおおむね良好だったものの、穂数やもみ数が不足するなど、収量や苗立ちに課題が見られたところです。このため、令和6年度も引き続き、現地試験と併せて栽培指導を行ってまいります。
また、同じく生産者から要望の多い富富富全体の収量の安定化に向けましては、従来からの栽培技術に加え、来年度新たに地域協議会においての現地実証を通じて、土壌条件や地理的条件など地域の特性に応じた技術対策を行うこととしております。
加えまして、令和6年産につきましては、初めて富富富を作付する生産者も多いことから、圃場巡回により生育状況を的確に把握、確認するなど、JAや地域協議会などとも連携し、きめ細かな栽培指導に努めてまいります。
私からは最後になりますが、富富富の生産・消費拡大に向けた県外での生産についての御質問にお答えをいたします。
議員から、県外での富富富の生産という御提案がございました。これにつきましては、生産量が増え全国的に出回ることで品種の認知度の向上が期待できるメリットがある一方で、富富富の名称が品種名として選定されました理由の一つが、良質米の産地である富山県をイメージできることであったことから、県外での生産は、現行の富山の富富富というイメージを基にした販売戦略への影響も懸念されるところでございます。
例えば、富富富を海外へ出品した際には、現地の輸入業者から、コシヒカリであれば、それが富山県産なのか判然とせず差別化しにくいが、富富富であれば富山県産であることがインプットされやすく、また大変縁起のよい名称であることから、海外、特に中華圏へ輸出するには大変有効との声も聞いております。
また、富富富につきましては、現状としては、必要となる種子の生産量に限度があることから、1万ヘクタールの生産目標達成のためにも、当面は県内での生産が優先されるべきものと考えております。
今後、他県から生産希望が出てきた場合には、戦略に基づく生産拡大の進捗状況も踏まえつつ、生産者や米卸業者、全農とやま、県種子協会などの関係団体の意見を参考に対応を検討してまいります。
私からは以上でございます。
14 ◯議長(山本 徹)
石井警察本部長。
〔石井敬千警察本部長登壇〕
15 ◯警察本部長(石井敬千)私からは、能登半島地震に関連した犯罪に関する御質問にお答えいたします。
被災地における犯罪情勢につきましては、震災に便乗した犯罪として、2月末までに未遂1件を含めた窃盗被害3件を確認しております。具体的には、氷見市内において、被災により家人が避難中、不在の自宅に侵入された被害や、空き家から物品が盗まれた被害などでございます。
また、国の要請を受けて来たなどと語りブルーシートを販売しようとした事案や、強引に屋根に上がり、無料で屋根瓦の修理をするという業者が訪れた事案など、2月末までに県全体で17件の悪質商法に関する相談を受理しております。この中には、氷見市内において、独り暮らしの高齢者の方から屋根瓦の修理契約をしてしまったとの相談を受理し、悪質商法が疑われたことから、クーリングオフを助言して契約を解除してもらったものもございます。
発災後には、氷見市内の避難所に移動交番車を配置するとともに、機動警ら隊、交通機動隊などを統合運用することにより、パトカーなどを県西部に重点配置するなど警戒活動を強化いたしました。また、震災に便乗した犯罪や悪質商法などの被害を防ぐため、様々な広報媒体を活用し、注意喚起を図っております。
被災地を狙った犯罪を抑止するため、復興支援見守りカメラ事業に基づき、氷見市姿地区、宇波地区、阿尾地区などに計6台、高岡市伏木地区に4台、合計10台の防犯カメラを設置したところです。
県警察では、引き続き石川県での犯罪発生状況にも留意しながら、県、自治体、関係機関と連携し、震災に便乗した義援金・寄附金の募集、補助金や地震保険などの請求のサポートを語る詐欺、悪質商法、また副業あっせん名目の特殊詐欺も県内で目立ってきておりますので、こういった犯罪悪質商法に、被災されて生活やなりわいで大変な思いをされている方が被害に遭わないように、被災者に寄り添いながら犯罪を抑止して、安全・安心を確保する活動を推進してまいります。
以上でございます。
16 ◯議長(山本 徹)
田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
17 ◯交通政策局長(田中達也)私からは、
台北便アウトバウンド利用促進事業についての御質問にお答えします。
富山─台北便については、富山からの搭乗者数が台北からの搭乗者数に比べ少ないことから、アウトバウンドの需要喚起は重要であると考えております。このため、新年度当初予算案の
台北便アウトバウンド利用促進事業では、台湾観光庁、台湾観光協会や航空会社と共に、県内旅行会社向けに台湾の最新の観光情報や誘客のための施策などについて情報提供を行い、旅行商品の造成につなげるアウトバウンドセミナーを開催いたします。
また、1月末から運航しております臨時便において、旅行商品造成に対する支援を行い、富山から台湾へ向かう旅客の確保につながっていることから、引き続き旅行商品の造成に支援を行い、利用を促すことを狙いとしております。
さらに、パスポート取得促進事業を、パスポート取得費の助成要件を緩和した上で実施することとしており、台湾へのアウトバウンドセミナー開催時や旅行商品販売時においてもPRを行うことにより、定期便の再開を見据えたアウトバウンドの底上げにつながるものと考えております。
富山─台北便の定期便運航再開に向けては、アウトバウンドの利用促進に継続して取り組むことが重要と考えており、富山空港国際路線利用促進協議会などとも連携を図り、取り組んでまいります。
18 ◯議長(山本 徹)
竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
19 ◯地方創生局長(竹内延和)私からは、台湾との交流に係る御質問にお答えをいたします。
本県と台湾との交流につきましては、能登半島地震後も多くの台湾観光客の方々に県内観光地を訪れていただいているほか、県内市町村では、台湾の行政区との間で友好交流協定を締結、また多くの県内企業が進出するなど、幅広い分野で交流してきております。
県ではこれまで、台湾からのインバウンド需要の拡大に向けまして、観光公式サイト及びSNSにおいて、地震の影響も含め、正確な情報発信に努めるとともに、御質問の中で御紹介いただきましたけれども、台北市内の柱広告や現地向けウェブ広告を展開しております。
また、これに加えまして、今月には台北で開催されます国際的な自転車展示会への出展、新年度は現地商談会の開催、そして現地旅行博への出展も予定しているところでございます。
また、台湾とのサイクリングを通じた相互交流を深めることにより、さらなる誘客を図るため、
富山湾岸サイクリングコースと台湾の
主要サイクリングコースとの友好協定締結に向けた準備を進めております。
現在は、台湾のサイクリングコースのうち、どのコースと協定を締結するか、協定締結の主体をどこにするかなどにつきまして、富山県サイクルツーリズムアドバイザー──こちらのアドバイザーは大東文化大学の野嶋剛先生等が組織されます研究会に委嘱してお願いしておりますけれども、こちらのアドバイザーや県内の
サイクリング関係者とも相談しつつ、台湾観光協会東京事務所を通じまして台湾側と調整しているところでございます。
台湾は本県にとって重要なパートナーであり、サイクリングを含めた様々な分野で交流を深化していくことを通じまして、誘客の促進に努めてまいります。
以上でございます。
20 ◯議長(山本 徹)
鍋嶋慎一郎議員。
〔7番
鍋嶋慎一郎議員登壇〕
21 ◯7番(鍋嶋慎一郎)入善町の
海洋深層水取水施設の復旧に関して再質問させていただければというふうに思います。
今ほどは横田知事より、復旧支援に際して、国など様々な機関に要望しているということで、非常に助かっているところであります。また感謝するところであります。
この約3キロにわたる管を引き直すには、何十億というお金がかかります。とても町だけでできることではありません。
また、先ほども言いましたけれども、この深層水を使った新たな事業、陸上サーモン養殖が2025年から稼働し始める予定で、それに向けた工事がもうじき始まるところであります。
現在日本で食されているサーモンのほとんどが大西洋サケと言われるアトランティックサーモンで、主にノルウェーやチリから輸入されています。また、一番人気のすしといえば、サーモンとも言われております。今までのノルウェー産やチリ産のサーモンであったものが全国的に富山県産サーモンが出回るとなれば、「『寿司』と言えば、富山」の一翼も担える事業になるのではないかというふうに思っております。
そういった観点からも、ぜひとも国と一緒になってこの深層水施設の早急な復旧に力を貸していただきたく、再度のお願いでありますが、もう一度横田副知事の思いを聞かせていただければと思います。
22 ◯議長(山本 徹)横田副知事。
〔横田美香副知事登壇〕
23 ◯副知事(横田美香)再質問をいただきました。鍋嶋議員の大変熱い思いを聞かせていただきました。
御指摘のとおり、アトランティックサーモンの養殖ということですけれども、まさにすしとして
ブランディングをしていこうとする富山にとって大変重要なことでございますし、海洋深層水の今後の活用の可能性というものも大変高いというふうに考えております。そういった意味で、県としても大変重要な施設であるという認識をしております。
今も国との間に立って、いろんな細かい調整もありますので、町の職員の方々といろんな話をしながら進めているところでございますが、御指摘のとおり、時間もあまりないということで、せっかくの工場誘致をしっかりと有効に産業として根づいていっていただくためには、やはり私たちとしても最大限の支援をしていきたいというふうに考えております。
またいろんな細かい調整なり整理が必要なことがあるかと思いますけれども、ぜひ関係の皆様にも協力をしていただいて進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
24 ◯議長(山本 徹)以上で
鍋嶋慎一郎議員の質問は終了しました。
火爪弘子議員。
〔32番火爪弘子議員登壇〕
25 ◯32番(火爪弘子)日本共産党の火爪弘子でございます。
まず、私からも、1月1日の地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表し、被害を受けられた地域の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
今回の地震では、富山市内でも能登に帰省中のお二人が亡くなられ、全壊2件、半壊27件を含む1,700件を超える住宅被害が発生をしております。
北部地区の東蓮町では、液状化で全壊1件、半壊・準半壊9件を含む約70件の住宅被害が発生をし、3月3日には東蓮町地震被害者の会が結成されております。ここでも、被災者生活支援制度の300万円や半壊の100万円では、県の支援の上限の上乗せがあるものの、とても復旧できないとの悲鳴が上がっております。支援上限額の引上げと半壊以下への支援拡大を国に強く働きかけるよう、私からも知事に重ねて要望いたします。
加えて、液状化による被害家屋への再建支援120万円については、富山市など関係4自治体において、一部損壊世帯も対象となるように県からの丁寧な働きかけを期待しております。協議の状況はどうなっているのでしょうか。
報道では、当初、富山市長が一部損壊家屋の多さを挙げて、財政上難しいと述べたと伝えられました。しかし、液状化による被害地域が対象であり、全てが対象になるわけではありません。どう取り組むのか知事に伺います。
この町内では、現在10軒の御家族が避難生活を余儀なくされております。県営住宅に避難されている御家族から、半年となっている家賃の免除期間の延長や、さらなる入居期間延長の要望が寄せられております。半年や1年で住宅の再建はできません。当然の要望だと思います。どう取り組んでいくのか土木部長に伺います。
地元の小学校でも1月1日、津波から避難された方々を中心に3,000人近くが避難され、周辺は大渋滞でした。校区の自主防災組織の皆さんは、戸惑いながらも懸命に対応をされました。これを教訓に、津波シミュレーションと津波避難所の住民への周知、本当に避難が必要な地域での津波避難ビルなど垂直避難できる場所の確保、各町内のごみステーションなど身近な場所に海抜表示をとの要望も地元からいただいております。どう取り組んでいくのか危機管理局長に伺います。
東日本大震災の後、県内でも自主防災組織の組織化に力を入れてきました。組織率は89.1%まで来ましたが、町内会単位でいえば46.1%、小学校区でも49.4%です。それも、役員を決めただけになっている町内も見られます。令和4年度に防災訓練を実施した自主防災組織は18.9%。地域防災計画の作成もごく僅かです。どう支援していくのか局長に伺います。
医療的ケア児の御家族から、どこに避難すればいいのかと切実な御相談をいただきました。在宅医療を受けている方たちの避難先を含む個別避難計画は、地域の民生委員や町内会だけに任せず、医療機関の協力も得て作成すべきだと思います。厚生部長の見解を伺います。
東日本大震災の後、災害時避難行動要支援者の個別避難計画づくり、ケアマネや福祉支援員の活用、福祉避難所の確保や直接避難の仕組みづくりについて取り上げてきました。しかし、思うように進んでいるとは言えません。
昨年8月の調査で、避難行動要支援者の登録は県内人口の8.0%、うち個別避難計画ができている人は21.3%にとどまっています。自治体間格差も大きく、立山町が51.8%であるのに対し、富山市、魚津市、滑川市は1桁にとどまっています。福祉避難所は全県で240か所が指定されていますが、直接避難の受入れの仕組みはほとんどできておりません。現状と課題をどう認識し、今後どう取り組んでいくのか、厚生部長に伺います。
今回の地震では、北陸電力の志賀原発で様々な深刻なトラブルが発生しました。地震の揺れによって変圧器が故障し、外部電源が一部使えなくなり、潤滑油が大量に漏れました。漏れた油の量は当初発表の5倍以上、1万9,800リットルであったことが判明をし、地震の揺れで何かから火花が出て発火していれば、火災になるところでした。
中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で発生した火災も、同じように漏れた潤滑油への引火が原因でした。結局、今回は誤報でしたが、火事があったという情報も上がり、緊張が走りました。
見過ごせないのが、北陸電力が慎重な点検も行わないまま、1日の4時49分には安全性に問題はないと早々と発表していることです。その後、情報の修正が相次ぎました。安全神話から脱していないと言わざるを得ません。県は北陸電力に改善の申入れを行ったとのことですが、1月24日では遅かったのではないでしょうか。申入れの内容と北陸電力の回答と併せ、危機管理局長の認識を伺います。
今回、志賀原発が活断層の集中する能登半島にあることの危険性が改めて浮き彫りになりました。再稼働していなくて本当によかったと思います。今回の地震が長さ150キロに及ぶ能登半島北岸断層によるものとされているのに対し、北陸電力が規制委員会に提出している資料では、原発の設計上、想定していた活断層は最大96キロでしかありません。揺れの強さを示すガルも、1、2号機とも設計の基準を超えていました。苛酷事故が起きた際の住民の避難計画が成り立たないことも明らかです。
こうした現実を直視し、富山県としては、北陸電力と国に対し、志賀原発の再稼働は断念するよう働きかけるべきです。再生可能エネルギーの開発で代替案は十分つくれるはずです。知事の見解を伺います。
次に、子育て支援の充実について伺います。
新年度の県の予算案の重点は、こどもまんなか社会の構築とされ、知事は子育て環境日本一を目指すとも述べられています。しかし、予算案を見ると比較的小規模の新規事業が多く、それ自体は大事な項目でもあり歓迎なのですが、もっと思い切って踏み込んだ子育て支援予算を期待したいと思います。
例えば、私立高校授業料の実質無償化の対象を、どうして多子世帯とひとり親世帯に限定してしまったのでしょうか。私の近くでも、「私たちはどうせ対象外」、「2人だって暮らしは大変」など、ブーイングの声が上がっています。
3億円予算を増やせば、東京都や福井県のように、少なくとも世帯収入910万円以下の世帯全てに支援が可能でした。本当に子育て環境日本一を目指すのであれば、ぜひ検討していただきたいと思います。知事の見解を伺います。
青森県が新年度、県として公立小中学校と私立中学、県立特別支援学校の給食費無償化に踏み出しています。東京都も市区町村が無償化すれば半額補助することから、23区全てを含め、無償化する自治体が都内でも急速に広がっています。
新年度への重点要望項目として、県に対しては、県内9自治体から今年度要望が提出されていたはずでした。2月7日に開催された富山県女性議員連絡会の場でも、知事に直接無償化を求める要望が出されました。知事は、無償化のためには42億円必要と述べられましたが、市町村と折半すれば21億円です。小学校からという手もあるのではないでしょうか。
青森県が新年度10月から実施する予算額は、半年で19億5,400万円、通年ベースにすると38億800万円の見込みと聞いています。本来国が実施すべきことですが、政府はいまだに課題を整理している段階です。
子供の医療費無料化や少人数学級の拡大も、これまで地方自治体が国を動かしてきました。県独自にでも、まず一部補助から手をつけるべきではないのか、知事の見解を伺います。
子育て支援の中で、放課後児童クラブ、学童保育も重要な役割を担っています。私もこれがなければ仕事を続けられず、議員にもなれませんでした。県内でも数はそれなりに増えて、新年度は311か所の見込みと聞いています。
しかし、どこでも支援員の安定的確保に苦労しています。厚生労働省の昨年5月の調査で、県内の待機児童は86人、それだけでなく、国はガイドラインで、希望すれば小学校6年生までを対象とできるとしていますが、3年生以上を受け入れていないクラブについての相談もしばしば保護者から寄せられています。現状をどう認識しているのか、こども家庭支援監に伺います。
国は、支援員の安定的確保とクラブの質の向上のために、支援員の資格研修の実施と併せて、勤続年数による賃上げのためのキャリアアップ補助金などを創設していますが、県内の市町村は全く活用しておりません。支援員の常勤化や勤務年数による賃上げには、まだ足踏みをしている現状があります。
そうした中で、国はさらに新年度、常勤の支援員2人以上を確保しているクラブに対し補助単価を大幅に引き上げることにしており、県も今回の県の予算案にこの予算を盛り込んでいます。しかし、市町村が常勤配置に努めなければ、この加算は使われません。この制度を活用し、県内クラブでの常勤支援員の確保、支援員の大幅賃上げ、処遇改善に取り組むよう市町村に丁寧に働きかけてほしいと思います。どう取り組むのか、こども家庭支援監に伺います。
予算案では、困難を抱える女性への支援という課題も挙げられています。富山市が今年度で母子生活支援施設である市立和光寮を廃止することを決めました。その結果、県内には母子生活支援施設が一つもなくなります。
厚生労働省によれば、現在、設置なしの県は宮崎県だけですが、その宮崎県も県が民間団体に委託する形で新年度開設、再開する予定と聞いています。DVから逃れた親子や複雑な事情で出産に至った女性などが身を寄せ、子供と共に暮らす施設として必要がないとは思えません。
全国の母子生活支援施設は昨年度末で215施設あり、石川県でも2施設、金沢市の施設には富山県からも入所している親子がいると聞いています。であるならば、他県から逃れてきた富山県にゆかりのある女性たちもいるでしょう。私もDV被害親子をやむなく県営住宅の入居につなげたことがあります。私たち支援者がいなかったらどうなっていただろうと思うわけであります。今後、富山県としても民間団体への委託事業として取り組むことができないでしょうか。支援監の見解を伺います。
次に、賃上げと男女賃金格差の是正について2問伺います。
物価高に見合う賃上げ支援が切実に求められています。大手企業は賃上げする体力があっても、中小零細企業は大変です。最低賃金が大幅に引き上げられれば、その分を国や自治体が支援してほしいものです。
そこで、岩手県は昨年4月から今年9月までの間に、時給50円以上を前年度から引き上げた中小企業に対し最大100万円を補助する、物価高騰対策賃上げ支援金を実施しています。富山県の賃上げサポート事業と違って、設備投資を条件としていないことが歓迎されているようです。富山県でも検討できないでしょうか。商工労働部長に伺います。
1月末の子育て支援・少子化対策県民会議の初会合で、天野馨南子ニッセイ基礎研究所人口動態シニアリサーチャーからも、男女の賃金格差是正が若い世代の婚姻に対する不安を減らす要素になるとの指摘がありました。
一昨年から、女性活躍推進法に基づいて、従業員301人以上の事業所に男女賃金格差の公表が義務づけられました。貴重な前進だと思います。これを生かして、県内事業所に対して是正計画の策定などの働きかけをすべきではないでしょうか。
県内の女性の賃金は平均で男性の78.1%ということになっておりますけれども、公表されたデータによると、県内の有力企業でも、いまだに格差が37.3%というところもあります。驚きであります。また、県庁職員の男女の給与格差も公表されており、全体平均で80.3%となっていますが、一層の努力が必要です。本庁の幹部職員だけを見るとほとんど差がないのですが、有期の非常勤職員では75.2%となっております。
今後、男女賃金格差の是正にどう取り組んでいくのか、横田副知事に伺います。
最後に、城端線・氷見線再構築計画について伺います。
最初に、JR資産の譲渡交渉についてであります。
鉄道経営に詳しい桜井徹日大名誉教授が、赤字路線の譲渡に当たっては利益還元法に基づいて計算をし、こちらが代金を支払うのではなくて、逆に向こうから、いわゆる持参金を受け取るのが筋だと指摘をされております。
先生の試算では、現在の赤字額10.8億円を基に割引率を2.6%として計算すると417億円、10年後の赤字額7.06億円で計算した場合は271億円をJR西から受け取る計算になるとのことであります。
11月定例会で私がこの見解を紹介した際に、田中局長は、それも一つの考えだと述べられました。しかし一方で、150億円以上のJRの追加負担は考えていないとも答えられました。これは重大な答弁です。
JR西からの150億円は再構築計画への拠出金であって、資産譲渡とは別枠でなくてはならないはずです。仮に無償譲渡や実質無償譲渡となった場合でも、県と4自治体は一旦何十億円かをJRに支払わなければなりません。少なくとも、それ以上の金額を新たにJRから受け取らなくては、自治体側に新たな負担が生じることになります。再構築計画の自治体負担128億円とは別の負担が発生することになってしまいます。
県には前例を超える新たな交渉結果を目指して、攻めの協議に臨むことを求めたいと思います。改めて交通政策局長に伺います。
公共交通は社会インフラであり、地域交通サービスは公共サービスとの考えは重要であり、大賛成です。しかし、問題なのは、日本には経常経費への補助がないことです。
市町村をまたぐバスには、不十分ながら欠損補助というものがあります。また、EUをはじめ公共交通の先進地を見ても、国が責任を持って公共交通を財政的に支えています。ドイツでは連邦政府が燃料税を基に、年間36億ユーロの資金を各州に投入しています。
国による経常経費への強力な支援を求め働きかけるべきと思いますが、最後に知事の見解を伺って、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
26 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
27 ◯知事(新田八朗)火爪弘子議員の御質問にお答えします。
まず、液状化による被災家屋への再建支援についての御質問にお答えします。
被災者生活再建支援制度については、これまでも、令和2年の法改正によりまして支給対象が中規模半壊世帯まで拡大されるなど、都度拡充が図られてきておりますが、全国知事会としても、昨年7月に支給額の増額など、さらなる充実を国に求めています。また、今回の能登半島地震を受け、私からも、松村防災担当大臣をはじめ国に対し、被災者生活再建支援金の増額などさらなる生活再建支援の拡充を要望しております。
これまで、被災者の生活再建に向けた支援策としては、県では国の被災者生活再建支援制度の対象とならない半壊世帯を県独自で支援する制度を創設しました。
また、液状化被害により傾斜した住宅の補修については、災害救助法の住宅の応急修理の活用が可能となっていることに加えまして、液状化被害の大きさを鑑み、新たな支援策として、住宅の耐震改修の支援の対象に、準半壊以上の住宅で行われる地盤改良など建物の基礎補強工事などを追加することとし、準備を進めております。
これをさらに一部損壊住宅にも適用することについては、被災市により被害状況が様々であることから、市町村が範囲を特定して支援が必要と判断した場合には、一部損壊についても同様に支援するとしているところであります。
被災市からの相談、あるいは要望、あるいは御提案も今、受けているところであります。そもそもが本県にとって前例のないことであります。なので、被災市とキャッチボールを丁寧にしながら、また柔軟に対応していきたいと考えております。
この支援を議会で予算化いただければ、今後、市町村と連携して積極的な周知を図り、これまでの支援策と併せて被災者の方々に御活用いただけるように取り組んでいきたいと考えます。
次に、原発事故の際の避難計画についての質問にお答えします。
今般の地震によりまして、本県でUPZを含む氷見市では、家屋の全壊が150件を超えるとともに、能越自動車道をはじめとする複数の道路が一時通行止めとなるなど甚大な被害が発生しました。
県及び氷見市がそれぞれで策定する避難計画では、複合災害により、自宅での屋内退避が困難な場合には一時集合場所で実施することや、避難ルートが不通になった場合には代替経路を用いることなどを定めています。
しかし、これまで経験したことのない規模の地震発生を受けて、仮に原子力災害が併発した場合、一時集合場所や代替経路への誘導が適切に実行できたかなどについて、改めて氷見市と共に詳細に検証する必要があることは認識しています。
今後、避難計画の検証などを踏まえながら、県防災会議の原子力災害対策部会などにも諮り、できるだけ早く地域防災計画や避難計画の見直しに取り組んでまいります。
志賀原発については現在、1号機、2号機ともに運転を停止しておりまして、原子力規制委員会が2号機の新規制基準への適合性審査を行っています。
断層に関する議論については、新規制基準適合性審査において敷地及び敷地内の断層の活動性評価が行われているところですけども、今回の地震による知見も追加的に考慮されて、原子力規制委員会において厳正に審査が行われることになるものと認識しております。
原子力規制委員長は、今般の地震による知見の収集、反映には年単位の時間を要すると見込んでいると発言されたとお聞きしています。県としては、専門家による様々な視点から、科学的調査分析、検証を行った上で総合的に判断いただくことが重要であり、国において安全・安心の確保を最優先して審議を進めていただきたいと考えております。
次に、私立高校授業料の実質無償化についての御質問にお答えします。
こどもまんなかの視点に立ち、子供たちが経済的な制約を気にせず進学先を選択できるような環境が望ましいと考えます。
このため、私立高校の授業料について、年収590万円から910万円未満の世帯に対し、県単独で国の就学支援金制度に上乗せする形で支援してきたほか、入学料についても県単独で低所得世帯や多子世帯に対する支援を行ってまいりました。
このたび提案しております新年度予算案では、国において令和7年度から高等教育機関に通う多子世帯の学生等について授業料等を無償とすることを踏まえまして、年収910万円未満の多子世帯や子育てと生計の維持を独りで担うひとり親世帯について、入学料を県立高校の負担相当額まで軽減するとともに、授業料の実質無償化を図ることとしています。
他方で、さらなる拡充に対しては、子供の選択肢の確保についてどういった課題があるかなども慎重に検討することが必要と考えております。
県としては、私立高校はそれぞれの創学の精神に基づき、また魅力と活力のある学校づくりに取り組んでおられること、そして一方で、県立高校も昨年来、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会、あるいは本年度の教育検討振興会議などで学科のバリエーションなども検討中です。子供たちの可能性を引き出して未来を切り開いていくために、公私問わず選択肢を多く用意できるよう、引き続き関係者の意見もお聞きし、必要な施策を検討してまいります。
次に、給食費の無償化についての御質問にお答えします。
御指摘のとおり、令和6年度から、東京都のほか2県において、小中学校の給食費の無償化に取り組む市町村に対し、県が給食費の全額または一部を補助する形で保護者負担の軽減策が打ち出されています。
国においては、昨年6月に発表されたこども未来戦略方針の中で、「学校給食費の無償化の実現に向けて、(中略)全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、(中略)具体的方策を検討する」として調査を実施されたところです。
さらに新年度、国ではその実態調査の結果を踏まえて、各自治体の保護者負担軽減策の効果検証や学校給食の運営に係る経費負担の在り方について研究されることとなっています。
県としては、これまでも学校給食費の無償化について、全国知事会を通じて、国全体として学校給食費等の負担の在り方を抜本的に整理した上で、国の責任において財源を含め具体的な施策を示すよう要望しておりまして、国の新年度の事業の動きも踏まえながら、引き続き国に働きかけていきたいと考えます。
私からは最後になりますが、地域鉄道に対する国の支援の充実についての質問にお答えします。
人口減少やマイカーの普及、コロナ禍での暮らし方、働き方の変化など、ローカル鉄道を取り巻く現下の厳しい状況を踏まえますと、鉄道の維持確保のため国の支援は必要であると考えています。
このため、県の重要要望において、燃料価格の高騰や長期に及んだ新型コロナの影響により厳しい経営状況に置かれている交通事業者に対して十分な財政支援を行うことなど、支援制度の拡充を求めています。
また、全国知事会からも、鉄道路線等の地域公共交通は地域経済や住民生活を支える重要なインフラであるとし、経営に深刻な打撃を受け、維持が難しくなっている鉄道路線などに財政支援を行うことを国に提案しています。
昨年11月に首相官邸で開催されました全国知事会議の場で、私から国土交通大臣に対して、公共交通は社会インフラであり、地域交通サービスは地域の活力や魅力向上に直結するサービスであることから、しっかり国としても支援するよう求めました。国土交通大臣にも前向きに捉えていただいております。
国会においては、昨年4月の地域公共交通活性化再生法の一部改正の際の附帯決議に、地域公共交通の持続可能な発展を図るため、中長期的な支援の取組や、安定的な財源の在り方を検討することが明記されています。
県としては、今後も鉄道事業者に対する支援の充実について国に対して要望を行うとともに、全国知事会とも連携し、国に働きかけてまいります。
私からは以上です。
28 ◯議長(山本 徹)横田副知事。
〔横田美香副知事登壇〕
29 ◯副知事(横田美香)私からは、男女の賃金格差についての御質問にお答えいたします。
本県の男女の賃金差異は、長期的に見ると格差は縮小傾向にあるものの、依然としてこれだけの格差があるということは大変残念に思っております。
要因としましては、女性の管理職割合が低いということで、富山県では令和2年の数字ですが9.2%、そして平均勤続年数が短い。富山県では男性14.6年で、女性は12.0年となっています。それから、正社員の比率が低い。男性の正社員が73.7%、女性が52.4%といった状況にあります。こういった点が影響していると考えております。
ですので、格差の解消には配置、昇進、教育訓練、人事制度などの運用改善や男女ともに働きやすい環境整備など、包括的なアプローチを着実に進めていく必要があると考えています。
県では、女性が働き続け活躍できる環境整備のため、女活法に基づく一般事業主行動計画の策定支援、例えば休暇制度や男性育休制度等の就業規則の改正など、そして女性特有の健康問題への対応、非正規雇用の処遇改善の奨励金などを実施しております。また、女性社員のキャリア向上、育成支援としまして、煌めく女性リーダー塾を実施しています。さらには、改革には経営者の意識改革が必要ということで、環境整備や女性採用などを促すトップセミナーも実施しております。そして、この格差の根底にあるアンコンシャスバイアス──無意識の思い込みに気づき改善していく取組も重要ということで進めております。県庁内でもこれらに加えまして、時差出勤、テレワークなど、男女ともに働きやすい環境整備に率先して取り組んできているところでございます。
賃金格差解消は、若い世代の将来不安の軽減につながります。また、女性活躍や多様性確保は地域の人材確保においても極めて重要です。国の情報公開の仕組みも活用しまして、こうしたことを企業にもしっかりと伝え、働きかけて、男女間の格差解消に早期に結果が出せるように強力に進めてまいります。
以上です。
30 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
31 ◯土木部長(市井昌彦)私からは、県営住宅の一時提供についての御質問にお答えします。
このたびの地震を受けた県の被災者向け支援パッケージの一つに、被災2日後の1月3日にお示しした県営住宅の一時提供がございます。被災者の方で、自宅に引き続き住むことができず住宅に困窮している方を対象に、早く御活用いただくため、証明に日数を要する罹災証明を求めず建物被災写真等の書類で受入れを判定し、家賃、敷金は免除し、原則6か月の期間、県営住宅を提供しているものでございます。
2月末時点で県営住宅には28世帯58人、同様の一時提供が行われている市町村を合わせた県内の公営住宅全体では、86世帯165人の被災者の方が入居されているところです。
こうした被災者の中には、自宅の修理に時間を要するなど、6か月で自宅へ戻ることができない方を想定し、パッケージでは、必要に応じ最大1年間まで延長としているところでございます。被災者の方々の事情を踏まえ、原則にとらわれず対応をしてまいりたいと考えております。
また、最大1年とする延長後にあっても住宅の修理等のめどが立たない方につきましては、その時点で改めて被災者の事情を丁寧にお伺いした上で、ほかの入居者の方々とのバランスも踏まえ対応を考えてまいります。
以上です。
32 ◯議長(山本 徹)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
33
◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、3問いただきましたうち、まず津波からの避難対策についての御質問にお答えいたします。
今回の地震では、津波
ハザードマップ上では浸水想定区域外であったり、十分な海抜のある地域の方を含め、多くの方が一斉に車で避難されたことにより、県内の至るところで渋滞が発生しました。津波発生時の避難について、正しい避難行動が県民の皆さんに十分理解されなかったことが浮き彫りになったところでございます。
沿岸の市町におきましては、これまでも、津波が発生した場合に想定される水深や避難場所などを記載した津波
ハザードマップを作成し、地域住民への周知を図っています。また、津波から緊急的に避難できる津波避難ビルとして県内52施設を指定しており、住民が迅速に避難できるよう備えておられます。
津波から命を守るためには、まずは県民自らが避難場所や避難経路を確認し、いざというときに迅速な避難行動を取れるよう、日頃から備えることが重要でございます。
県としては、地域の危険度を日頃から理解いただくため、海岸近くの電柱やごみステーションなどに海抜表示を掲示する取組の拡大や、住民の方に適切な避難行動を取ってもらえるよう、津波避難ビルなど安全な避難場所の確保や津波
ハザードマップの一層の周知など、沿岸市町の取組を支援することにより、津波からの避難対策に努めてまいります。
次に、自主防災組織の活動の強化についての御質問にお答えします。
災害時に隣人同士が助け合い、命を救われたという事例はこれまでも多く、大規模災害時における共助の要となる自主防災組織の活動は重要でございます。
県ではこれまでも、自主防災組織のリーダー向け研修会の開催のほか、市町村と連携して地区防災計画の策定を促すためのモデル事業を実施しております。
今月2日には、このモデル事業を活用して計画策定した関係者を講師とする事例発表会を開催し、自主防災組織のリーダーや防災士など約150名に計画策定のノウハウなどを御教示いただきました。
新年度は自主防災組織による資機材整備のほか、研修会や防災訓練の実施、地区防災計画の策定などを支援する地域防災力向上支援事業を拡充し、自主防災組織の活性化を図ることとしております。
また、自主防災組織が災害時に機能するためには、リーダー的役割を担う防災士の育成が不可欠でありまして、県では今年度から防災士養成研修の定員を前年度から倍増しております。さらに、新年度は防災士資格の取得者を対象に、非常時の防災リーダーとして活躍いただくためのスキルアップ研修を新設することとしております。
県としては、今後とも市町村や県防災士協会などと連携いたしまして、自主防災組織の活動の強化を図り、共助の取組が活発になるよう努めてまいります。
次に、北陸電力の危機対応についての御質問にお答えします。
能登半島地震により志賀原発では震度5強を観測し、変圧器の故障や冷却用プールのポンプ停止など、様々なトラブルが発生いたしました。また、議員から御指摘のあったとおり、変圧器からの油漏れの量が当初の発表からかなり増えるなど訂正が相次いだことから、経済産業省から北陸電力に対しまして正確な情報を発信するよう指示が出されたところであり、県からも北陸電力に対して安全対策の徹底と正確かつ迅速な情報提供を申し入れました。これに対し北陸電力からは、しっかり対応する旨の回答をいただいております。
こうした指示等を受けまして、北陸電力では、トラブルの概要や対応状況などの公表に当たりまして、これまで以上に正確な情報発信に努めるとともに、地震後の事実関係を整理した情報を新たにホームページに掲載するなど、情報発信の強化に取り組んでおられます。
原子力災害ですが、これはあってはならないものであり、北陸電力には、今回のトラブルの原因究明と再発防止など、志賀原発の安全確保の徹底に努めていただきたいと考えております。
また、原子力発電所に関する情報は、地域住民にとりまして安全・安心を担保し、原子力発電への信頼を確保する上で非常に重要な情報であることから、北陸電力にはそうした点に十分留意の上、正確な情報発信に努めていただきたいと考えております。
以上でございます。
34 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
35 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは2問お答えさせていただきます。
まず、在宅医療を受けている方々の個別避難計画についてですけれども、厚生センターでは、在宅で人工呼吸器や在宅酸素を使用している患者の避難に備えて、電源バッテリーや酸素ボンベの確保、緊急入院の受入れ病院や搬送手段の検討など、医療機関や医療機器販売業者、消防等関係機関と連携して具体的な支援方法について検討するとともに、その内容を市町村に情報提供するように努めております。
7月豪雨災害時には、在宅医療を受けておられる人工呼吸器装着の患者さんの避難の際に、事前に保健医療関係者等によって作成されました支援計画が功を奏しまして、保健医療関係者等が連携して迅速に医療機関へ搬送することができました。
これを受けまして、県では、昨年11月に開催した市町村担当者会議において、市町村に対しましてこうした事例を紹介し、訪問看護師や保健師等の多職種が連携して実効性の高い在宅療養者の個別避難計画の策定を進めるように働きかけたところでございます。
今後とも、医療的ケア児など在宅療養者の個別避難計画の策定に当たりましては、民生委員や町内会等だけではなく、医療機関、厚生センターなど多職種の関係者が連携を図りながら策定に取り組むように市町村に働きかけてまいります。
続きまして、個別避難計画づくりについてでございます。
県では、これまでも市町村担当者を対象とした研修会の開催や「ワンチームとやま」連携推進本部会議を通じまして、市町村の計画策定を働きかけてまいりました。特に昨年度からは、市町村の計画策定の実態や課題等を詳細に把握するために、全市町村に出向きまして聞き取り調査を行ったところでございます。
主な課題といたしましては、計画策定の必要性が十分浸透していない、職員のマンパワー不足や福祉・医療専門職の参画が進まない、地域の避難支援者の成り手不足、結果として計画策定が進まず福祉避難所への直接避難を検討できる段階にないといったことなどが挙げられました。
このため県では、昨年11月に市町村担当者会議を開催いたしまして、7月豪雨災害時への対応や福祉専門職が参画している県内の好事例、そして福祉避難所への直接避難に取り組んでいる全国の先進事例などを情報共有したほか、昨年度、県介護支援専門員協会がケアマネジャーを対象とした研修会を開催し、計画策定に参画する意義や役割についての理解と意識向上を図ったところでございます。
さらに、昨年12月には、自主防災組織のリーダーや民生委員等を対象とした計画策定の研修会を開催するなど、市町村が抱える課題対応のために積極的に支援に取り組んでおります。
今後、今回の地震における市町村の個別避難計画の活用状況や福祉避難所の開設、直接避難の状況などの実態把握を進めまして、その課題や具体的な事例等を市町村と情報共有を図るなど、引き続き市町村との連携を図りながら、個別避難計画の策定が進み、災害時避難行動要支援者の方々が安心して避難できるように努めてまいります。
私からは以上です。
36 ◯議長(山本 徹)松井こども家庭支援監。
〔松井邦弘こども家庭支援監登壇〕
37 ◯こども家庭支援監(松井邦弘)私からは、3つの御質問についてお答えいたします。
まず、放課後児童クラブの待機児童の現状についての御質問にお答えをいたします。
放課後児童クラブについては、共働き家庭の増加や、平成27年度から対象児童の年齢要件が撤廃されまして小学校6年生まで利用可能となったことにより、一部の市町村では希望する放課後児童クラブを利用できずに待機児童となるケースや、クラブが低学年生の利用を優先した結果、中高学年生の利用をお断りするケースがあるとお聞きしております。
本年度における国の放課後児童クラブ実施状況調査の結果によりますと、県内における放課後児童クラブの登録児童数は1万3,538人であり、学年別で見ますと、小学校2年生までが63%、3年生が23%、4年生から6年生が14%となっております。また、希望したが利用できなかった児童数、いわゆる待機児童数は86人で、このうち3年生が35人、4年生から6年生が22人となっております。
こうしたことから、放課後児童クラブ事業を実施する市町村では、子育て家庭に対するニーズ調査などを踏まえまして、順次整備が進められており、令和5年度における県内の放課後児童クラブ数は305か所で、10年前の211か所から増加しているものの、依然として、利用申込みをしたが利用できなかった児童、いわゆる待機児童も存在している状況でございます。
次に、常勤支援員の確保や処遇改善についての御質問にお答えいたします。
県では、放課後児童クラブに従事する職員の確保のため、国の補助事業を活用しまして、午後6時半以降開所している放課後児童クラブの支援員等の賃金改善の実施に対する費用補助や、支援員等の収入を一律3%程度引き上げるための措置に対する費用補助などの支援制度を設けております。これまでも市町村に対し、例えば市町村担当課長・担当者会議において支援制度の詳細な説明を行うなど、活用を働きかけてきているところでございます。
また、こども家庭庁の新年度予算案の中で、常勤の放課後児童支援員を2名以上配置した場合の補助基準額が創設されることとなりまして、県においても新年度予算案に、国のこの補助事業を活用した支援制度を設置するために要する経費を計上したところでございます。
なお、国の放課後児童クラブ実施状況調査結果によりますと、本年度において常勤の放課後児童支援員を2名以上配置している放課後児童クラブ数は76あり、これらのクラブについては新年度予算案に盛り込まれている新たな支援制度の対象になるものと考えております。先月開催の市町村担当課長・担当者会議においても、放課後児童クラブの支援制度を説明したところでございます。
今後ともあらゆる機会を捉え、市町村に対し、これらの支援制度の丁寧な説明を行うとともに、積極的な活用を働きかけてまいります。
最後に、母子生活支援に関する民間団体への委託についての御質問にお答えいたします。
県では、DV被害や家庭関係、生活困窮など、日常生活や社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性の様々な相談に対して県女性相談センターが対応しております。ここで、必要に応じて安全確保のための一時保護、それから生活支援や心理的ケア、就職活動の支援、退所後の生活再建に向けたきめ細かい支援を行っているところでございます。
特に、DV被害などの困難な問題を抱える女性に対する居場所の提供や、カウンセリング、生活習慣指導、同伴児童への支援など、入居中から退所後の継続的支援まで自立に向けた中長期的な支援については、県内のNPO法人が運営する民間シェルターと連携して取り組んでいるところでございます。
県内に1か所ある母子生活支援施設である富山市立和光寮については、利用者がいないことなどを理由に年度末で廃止されるとお聞きしておりますが、DV被害親子に対する中長期支援の在り方について、民間団体からの御意見や他県の例も参考にしまして、さらに検討してまいります。
以上でございます。
38 ◯議長(山本 徹)中谷商工労働部長。
〔中谷 仁商工労働部長登壇〕
39 ◯商工労働部長(中谷 仁)私からは、中小・小規模事業者の賃上げ支援についてお答えをいたします。
県内の有効求人倍率が1.43倍と引き続き高い水準にある中、企業は人材確保のため、エネルギー・原材料価格高騰等の厳しい経営環境の中で賃上げを迫られている状況にあるというふうに認識しております。
このような中で持続的な賃上げが行われていくためには、適切な価格転嫁の下、中小・小規模事業者においても今後を見据えた設備投資や人への投資等により生産性を向上させ、収益を上げながら賃金を引き上げていくことが重要であると考えております。
このため、これまで小規模事業者や賃上げの取組にも配慮し、多くの事業者の皆さんに御利用いただいたビヨンドコロナ補助金、それから国の業務改善助成金に県が上乗せをします賃上げサポート補助金によって、県内中小企業の生産性向上を通じた賃上げを支援してきております。
さらに、昨年11月2日の閣議決定で、国のデフレ完全脱却のための総合経済対策におきましても、中小企業の生産性向上を通じた賃上げ支援が強化されたところでありまして、県といたしましても11月補正予算により、県内中小企業の生産性向上を後押しするため、デジタル化や省エネ等の課題を見える化するための診断費用、その課題解決も支援をいたします中小企業トランスフォーメーション補助金の創設、先ほど申し上げました賃上げサポート補助金の実施期間の延長など、県内中小企業の生産性向上を通じた賃上げ支援を強化したところであります。
県といたしましては、持続的な賃上げにつなげるため、引き続き県及び国の支援策が、必要とする県内の中小企業・小規模事業者の皆さんにより多く活用いただけますよう、労働局、商工団体とも協力をし、制度の一層の周知等に取り組んでまいります。
以上でございます。
40 ◯議長(山本 徹)
田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
41 ◯交通政策局長(田中達也)私からは、JR資産の譲渡についての御質問にお答えいたします。
代表質問において知事から御答弁申し上げましたが、JR西日本が所有している鉄道用地、駅などの鉄道資産のあいの風とやま鉄道への譲渡については、利便性、快適性の向上に向けた取組とともに、事業主体の変更までに関係者間で協議の上、決定することとしております。再構築実施計画の実現に向けた重要なポイントであり、計画認定後の次のステップと考えております。
鉄道資産の譲渡については、沿線4市の一つである砺波市長が市議会において、「両線は赤字路線でありますので、利益を生まない資産という原理でいえば、無償譲渡というのが望ましいと考える」と答弁されております。また、氷見市長も昨年12月の城端線・氷見線再構築検討会において、「JR西日本からの資産の譲渡については、やはり無償譲渡が望ましいと思う」と発言されております。
具体的な協議はこれからとなりますが、JR西日本が拠出する150億円は、新型車両の導入、ICカード改札機の整備などの利便性・快適性の向上、事業主体変更後の経営安定支援のために有効に活用する必要があると考えております。
県としましては、沿線市の意向も踏まえまして、JR西日本と協議してまいります。
42 ◯議長(山本 徹)火爪弘子議員。
〔32番火爪弘子議員登壇〕
43 ◯32番(火爪弘子)3問再質問させていただきます。
まず知事であります。
北陸電力と国に対して志賀原発の再稼働を断念するよう申し入れるという質問に対して、国の動向を見守りたいというような趣旨の答弁をいただいたかと思っております。富山県民の命と安全を守る最大の責務を持っている県当局、知事が毅然とした対応を取ることが大事だと思っております。
当初の北陸電力の対応のまずさ、私は安全神話から脱していないと申し上げましたけれども、これに対して県が意見を述べたのも1月24日、経済産業省の申入れの後という局長の答弁でなかったかと思っています。国の顔色や動向を注視して、県として安全に対する毅然な態度を示すということがもっと必要なのではないかなと思っています。
予想よりも長い活断層が動いた、そして地震の震度、ガルも設計以上だったわけで、設計以上の地震を覚悟しなければいけないという状況で、しかも北陸電力の1月1日以降の対応についてもいろいろ、避難計画の見直しと言っていますけれども、避難できないことは明らかだと思うんです。
ぜひ知事には、改めて再稼働を断念し、断念するからこそ再生可能エネルギーの開発に全力を尽くすという態度を求めていただきたいと思っています。
2つ目の再質問は土木部長であります。
県営住宅なんですけれども、状況に応じて最大1年までは入居を延ばすよと言ったんですが、1年では足りない。その後、「ほかの住民との公平性を踏まえて」と言うんですけれど、やっぱり今の時点で大丈夫ですよと言ってあげることが、被災者にとってはとても大事だと思っています。
85歳の御夫婦が入居して半年で出なきゃいけない。最大1年で出なきゃいけない。そのときはどうしようか。じゃ、家財道具はもう一度動かすのか。不安な原因に居住地が確保できる展望がないということが言われているわけです。家賃の免除期間の延長についても答弁はありませんでした。再答弁を求めたいと思います。
3つ目は、城端線・氷見線の資産譲渡の問題であります。
2つのことを私は田中局長に伺ったつもりであります。1つは、JR資産の譲渡については全国に先駆けた事例になっているんだから、新たな前例をつくる意欲的な交渉をすべきではないかと申し上げました。
JRとの資産交渉では、並行在来線の経営分離が決められてしまってから、全国では様々な自治体の努力が積み重ねられ、経験を蓄積してきました。しなの鉄道は簿価で買わされた。高いお金で買わされた。でも、いろいろ努力をして、富山ライトレールのときは10億円、ほとんど国のお金で整備したけれども、一旦10億円払って、10億円の寄附をもらうということを切り開いたわけであります。
残念ながら、北陸本線あいの風とやま鉄道のときは、110億円を一旦払って、無償譲渡だといってお金は返ってきませんでした。でも無償譲渡ということだったと思うんです。
赤字路線を廃線にするときの費用を計算して、その分をいただくという交渉をしているところもあります。もともとJRは国から無償で資産を受け取ったわけですから、赤字企業ということで、公正的な交渉をぜひしていただきたいと思います。予算は別枠で交渉するということが大事だと改めて申し上げたいと思います。
以上3問、よろしくお願いいたします。
44 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
45 ◯知事(新田八朗)再質問をいただきましたので、お答えをします。
言うまでもなく、県民の皆様の生命・財産を守ること、それからまた、福祉の向上は我々富山県という自治体の役目であり、またその責任者は私であるということであります。
今回の能登半島地震、そしてそれに伴う志賀原発での故障などの発生というものは、やはり大変重く受け止めております。一方で、原発については、今は2号機の新規制基準への適合性審査が行われている途上であります。そこに今回の地震が起きたわけです。
断層のことも御指摘はよく分かります。断層に関する議論につきましては、新規制基準への適合性審査において、また評価がされることというふうに思っております。
先ほども述べましたが、原子力規制委員長も今般の地震による知見の収集、反映には年単位の時間を要するものと見込んでいるという発言をされております。そのような観点に従いまして、また専門家の中で十分な議論をされていくことというふうに理解をしております。
また、県としては、県民の福祉の向上ということも大切な役目だというふうに思っております。それには文明的な生活を送るということ、その上では電力というものは不可欠なものと理解をしております。その電力をどうやって供給していくのかということは、様々な道があるというふうに考えております。
再生可能エネルギーを最大限導入していくということ、これは国の方針でもあり、本県としても昨年度に策定しました富山県カーボンニュートラル戦略というものにもうたっているところでございます。2050年カーボンニュートラルという国の約束、それから富山県もそれに当然コミットしていかなければならない。そんな中でカーボンニュートラル戦略をしっかりと進めていくということ。もちろん本県には水力などの再生可能エネルギーも多いわけでありますけども、様々なことを考えた上でカーボンニュートラル戦略を策定しましたが、その中でやはり原子力発電というものも一定の役割を担ってもらう必要がまだあるというふうに考えているところでございます。
私からは以上です。
46 ◯議長(山本 徹)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
47 ◯土木部長(市井昌彦)私からは、1年を超えてさらなる入居を求める被災者に対する対応について御質問いただいたと理解しておりますので、これについてお答えします。
現在、県営住宅につきましては、入っていただく、継続していただくために、そのお答えをお示しするために課題があると私は思っております。
例えば、応急仮設住宅の入居対象となっておられるのは全壊の方、半壊の方ということが基本になっていて、今回私どもは早く入っていただくということで罹災証明を求めず、結果的に一部損壊となった方にも入っていただいております。そこのところをどう捉えていくのかが一つ。
あとは、各市町村においても、県営住宅と同じように入居されている方がおられます。そこのところで、市町村の市営住宅においてどのような対応をされるのかということを、市町村の意向も確認することがあると思っておるのが一つ。
あともう一つは、そもそも県営住宅の要件として収入基準というのがございます。生活に困窮されている方に優先に入っていただくということで、例えば収入月額が15万8,000円という一つの段階があって、さらに厳しい、高齢者の方であれば21万4,000円というような所得の収入基準がございます。被災者の方にはそれを上回ってしまう方もおられると思います。そういった方々に対してどのような対応をしていくのかということも課題だと思っております。
こうした課題をあらかじめ私どものほうで検討した上でお示しするのが適切だと思っております。こうしたことから、今の時点では、その対応についてお示しするような状況にはないというのが私どもの現状でございます。
極力早めに関係者の意見も聞いて、また被災者の皆様の置かれている状況も聞かせていただいて、対応を考えてお示ししたいと思っておりますので、答弁に代えさせていただきます。
よろしくお願いします。
48 ◯議長(山本 徹)
田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
49 ◯交通政策局長(田中達也)火爪議員の再質問にお答えいたします。
昨年12月に国土交通大臣へ申請し、先月8日に認定されました再構築実施計画については、沿線4市と共に協議検討を重ねた上で策定いたしました。こうして策定された計画であることを念頭に、無償譲渡が望ましいとの沿線市の意向も踏まえまして、JR西日本と協議してまいりたいと思います。
以上です。
50 ◯議長(山本 徹)火爪弘子議員。
〔32番火爪弘子議員登壇〕
51 ◯32番(火爪弘子)恐縮ですが、1問だけお願いをいたします。土木部長は今後しっかりよろしくお願いいたします。
質問は田中局長であります。
最後の答弁で、無償譲渡を基本にということで、かなり踏み込んだ再答弁があったかと思っております。
私が申し上げたいのは、まだこれからだと思うんですけど、11月議会の田中局長の答弁に基づいて質問をしているので、検討はまだこれからで答えられないという立場かもしれませんが、ぜひコメントをいただきたいと思っております。
というのは、私たちはもっと踏み込んだ、赤字なんだから、こっちが払わないで頂こうという提案をしております。
あいの風のときの経験でも、110億円を一旦払うわけですよ、県が。一旦あいの風がお金を払うわけです。それは、民間企業ですので、ただで譲るというのは会計法上、許されないことになっていますので、ライトレールのときもあいの風のときも一旦払って、それに見合う寄附金を頂く。あいの風のときも、110億円を一旦払って、それに見合うサービスを提供するということだと。一旦払わなければいけないんです。
だから、あいの風なり自治体は、仮にですよ、無償譲渡にしたとしても、一旦払わなければいけないわけです。そのお金はどうするのと。再構築会議での県と4市の負担は128億円ということになっています。それ以上の負担を、無償譲渡になっても、要するにJRからもらわなければ新たな負担を自治体がかぶることになるわけです。そういうことは避けましょうねと。
だから、無償譲渡にするんだったら、JR西日本から代わりの寄附金を150億円とは別枠で頂かなければいけませんよねと言っているんです。
11月県議会でこれ以上もらうことは想定していないと局長が答弁をされているのでこの質問をしているんだということをよく御理解いただいて、やっぱり無償譲渡にしても、新たな計算方法、利益還元法にしても、赤字路線を引き受けて差し上げるわけですから、ちゃんと頂きましょうねと、そういう交渉を公正的にやってほしいという質問だということをぜひ御理解いただいて、再々答弁をお願いします。
以上です。
52 ◯議長(山本 徹)
田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
53 ◯交通政策局長(田中達也)火爪議員の再々質問についてお答えいたします。
JR西日本からの資産譲渡ですが、協議はこれからでございます。城端線・氷見線の再構築に向けた取組につきましては、国土交通大臣が先進的で意欲的な案と評価もされました。また、JR西日本の長谷川社長も記者会見等で、これまでに例がないリーディングケースと再三述べられております。本事業は全国から注目されておりまして、これは国やJR西日本も同じお考えをお持ちだと思っております。
県としましては、城端線・氷見線の取組が全国のモデルとして、国やJR西日本の協力が最大限得られるよう、しっかり協議してまいります。
54 ◯議長(山本 徹)以上で火爪弘子議員の質問は終了しました。
暫時休憩します。
午後0時11分休憩
───────────────────
午後1時10分開議
55 ◯副議長(奥野詠子)休憩前に引き続き会議を開きます。
谷村一成議員。
〔10番谷村一成議員登壇〕
56 ◯10番(谷村一成)お疲れさまです。
自由民主党富山県議会議員会の谷村一成です。よろしくお願いいたします。
元日にかつて経験したことのない激しい揺れを観測した令和6年能登半島地震により、改めまして亡くなられた御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、被災者支援や復旧・復興に当たっておられる全ての人々に対しまして、心から敬意を表します。
それでは初めに、令和6年能登半島地震について3問質問いたします。
1点目は、津波からの避難対策についてです。
午前中、鍋嶋、火爪両議員からも質問がありましたが、私からも質問いたします。
少し、先月に報道されていました内容に基づき、話をしたいと思います。
元日の地震後、石川県珠洲市では、早いところで1分後に津波が到達しました。その後、繰り返し押し寄せられたと見られます。地震の発生から12分後、気象庁は大津波警報を発表しました。ある人は、テレビに映し出された津波の文字を見て車に飛び乗ったものの、道は通れず、車を乗り捨てて歩いていた途端、濁流に足を取られ、とっさに近くのカーブミラーにつかまり10分間。「膝まで水が来た。あれ以上津波が高かったらと思うと……」、「近所の人は逃げ始めたが、少しのんびりしてしまった。内心まさかと思って……」と話をしていました。一方、即座に逃げる選択をした多くの住民は、2011年の東日本大震災が教訓となったと話し、高台に避難した家族は「大きな地震があったら高台に逃げると家族で共有していた。全員無事だった」とのことです。
県内では31年ぶりに津波警報が発表され、富山市の検潮所では80センチの津波を観測しましたが、研究者が注目したのは、津波が陸地を駆け上がった高さ、津波の遡上高のようです。観測された津波の高さが80センチの場合、海抜1メートル以上の場所に避難すれば安全だと考えている人もいるかもしれませんが、津波はその3倍から4倍の高さまで駆け上がってくる危険性があるということです。
今回、県内の津波の遡上高は、入善町から朝日町までは1.4メートルから2メートル、射水市新湊マリーナでは1.7メートル、県内で最も高い数値を観測したのは氷見市の島尾海岸2.34メートルとのことでした。県東部と氷見市の一部で80センチと観測された津波の高さの2倍から3倍近くまで津波が押し寄せていたということになります。
幸い、富山県では津波での人的被害は出ませんでしたが、実は富山湾周辺には今回動いたと見られる断層のほかにも多数の活断層が存在しています。
県も公表していますが、代表的なもので呉羽山断層があります。津波の到達時間の速さが特徴で、富山市から魚津市では、5メートル以上の津波が地震発生から3分以内に到達すると予想されています。もう一つは西側断層、F45。長さはおよそ40キロメートル。津波が大きくて速いのが特徴です。
入善町では地震発生の7分後に10.2メートルの津波、氷見市では10分後に7.2メートルの津波が到達するなど、県全体に高い津波が押し寄せると推定されます。
これは最悪のケースですが、津波の性質を正しく理解し避難行動につなげることが大事だと考えるところであります。
少し前置きが長くなりましたが、今回、多くの人が津波の到来を恐れ、避難所や高台に向かいましたが、今後、地震発生において沿岸部の住民が瞬時に津波の高さや到達時間の情報を確認し、適切な避難行動ができるのかが懸念されるところであります。
今回の地震では、津波発生時の短時間での避難行動の必要性が改めて認識されたことから、改めて、特に沿岸部における避難場所の検証と津波からの避難対策の検討が必要と考えますが、新田知事の所見をお伺いいたします。
次に、来年度から公開予定されているデジタル防災マップの利活用について質問します。
災害が発生すると、県や市町村、企業、個人などが同時並行で活動を始めます。基本的にはそれぞれが持っている情報を基に活動しているため認識相違が起きやすく、その結果、活動の重なりなどが起こってしまいます。
そういった事態を避けるため、情報の共有を行いますが、現場に状況が伝わらないといった問題も起こる可能性があります。理想は、それぞれの組織が同時並行で活動しつつ、同じ情報を持つことで状況認識が統一され、全体最適な災害対応ができることだと思います。
今回の震災では改めて、各組織が防災・災害情報を広く共有し、迅速的確に対応することが重要と感じました。
そして、被災した際に住民は、避難所や給水場所、ごみの廃棄場所、道路の通行止めの状況など、様々な情報を知りたいはずであります。また、被害の状況次第では、広域エリアでの情報が必要となるため、ワンストップで可視化できる基盤を構築することが理想であります。やはり自然災害時には様々な情報が必要となるため、各種情報をワンストップで可視化できるデータ連携基盤の構築と利活用が大きな課題と考えます。
来年度から公開予定のデジタル防災マップの充実や県民による利用促進に向けてどのように取り組んでいくのか、市町村との連携方針と併せて川津知事政策局長にお伺いいたします。
次に、黒部宇奈月キャニオンルート一般開放の見通しについて質問します。
毎年4月に営業を再開する黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は、元日の能登半島地震による落石の影響で、鐘釣橋の線路の枕木や橋桁に損傷があり、欅平までの全線開通が遅れ、観光の目玉として期待されている黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。現在、被害の全容把握に向けた調査が行われていますが、復旧作業は雪解けを待つしかなく、全線開通の時期は見通せない状況であると、先日報道もされていました。
現在、黒部宇奈月キャニオンルートの旅行商品の販売が延期されています。旅行を計画していた方々は早期に情報が提供されることを期待しているはずです。現状と今後の見通し、6月の一般開放に与える影響について、
竹内地方創生局長にお伺いいたします。
2つ目の項目、こどもまんなか社会の実現に向けて6問質問いたします。
来年度当初予算案につきましては、最優先に能登半島地震からの復旧・復興、そして未来に向けた人づくりと新しい社会経済システムの構築に多くの予算が組まれていると理解しています。特にこどもまんなか社会の施策では、私立高等学校の授業料等減免の拡充やフリースクール等の利用料の支援、ヤングケアラーへの支援、困難な問題を抱える女性支援など、他県で例のない支援や全国トップクラスの支援が盛り込まれていると認識しております。
そこで、子育て世帯の経済的負担の軽減について質問いたします。
子育て世帯の経済的負担軽減のため、新年度の当初予算案には、ゼロから2歳児の保育料について、第3子以降に係る所得制限を撤廃するための予算が計上されています。低所得者にとっては第2子までについても経済的負担が大きいと感じており、子供が欲しくても断念する可能性も否めません。
経済的な理由から子供を持つことをためらうことがないよう、今後は第1子、第2子の保育料のさらなる軽減も必要でないかと考えますが、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。
次に、病児・病後児保育の広域受入れについてです。
子供が急に病気にかかった際に、預け先に悩む子育て家庭は多いと思います。安心して仕事と子育てを両立できる環境づくりを進めていくためにも、病児・病後児保育の充実や利便性の向上が必要と考えます。
病児・病後児保育については、今年7月からの広域受入れ開始に向けた準備が進められていますが、子育て家庭にとって具体的にどのようなメリットが生まれるのか、体制の構築に向けた見通しと併せて松井こども家庭支援監にお伺いいたします。
次に、保育士の処遇改善について質問します。
保育士は全国的に不足しており、子供たちの未来を担う保育士にとっても、保護者、社会にとっても深刻な社会問題となっています。厚生労働省が発表したデータによると、令和4年10月の保育士の有効求人倍率は2.49倍となっていました。ちなみに富山県は2.87倍と、全国に比べると高くなっています。
また、保育士の登録者数が多いが従事者は少なく、令和4年厚生労働白書によると、令和2年時点で保育士登録者数は約167万3,000人となっていますが、実際に保育の現場で働く従事者数は約64万5,000人しかいません。つまり、潜在保育士が約102万8,000人いることになります。
保育士不足解消の鍵を握るのは潜在保育士と言われています。このことから、本県でも潜在保育士確保に向けた保育補助者雇用促進事業が新規予算として計上されていると理解しています。
厚生労働省の調査結果を見ても、保育士資格を持っている人の約半数が保育士として働くことを希望していないことが分かりました。保育士として働かない理由は幾つかあると思います。業務量が多く、子供たちの安全を守る重要な役割を担っているにもかかわらず、給与の低さが目立っている。処遇改善は進んではいるものの、他の職業と比べると依然として厳しい状況にある。また、休暇が少ない、休暇が取りにくいなどとありますが、これらの原因が解消された場合、6割以上が保育士として働きたいと回答している状況のようです。
そこで、国のこども未来戦略に伴い、来年度から保育士の4、5歳児配置基準が改善されますが、保育士不足という課題を抱えている中においては、人材確保の強化やさらなる処遇改善の検討も必要ではないかと考えますが、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。
次に、フリースクール等通所費用の支援について質問します。
文部科学省が昨年10月に公表した、令和4年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によりますと、不登校児童生徒数は、小中学校の合計では29万9,048人に上ります。その数は前年度と比べ5万4,108人増加しており、不登校の児童生徒たちの居場所であるフリースクールのニーズは今後も増えていくと考えられています。
県では不登校の児童生徒の居場所を確保するため、来年度新たに、フリースクール等の学校以外の民間施設を利用する家庭に対して、その利用料や活動費を支援することとしていますが、補助率2分の1や補助上限額月1万5,000円が設けられています。フリースクールでは月当たり実質3万円から3万5,000円かかるところが多いと聞いています。不登校の児童生徒を持つ保護者は、仕事を犠牲にして子供を見ることになる可能性も高く、一部のみの支援では経済的に困難になるケースが多いのではないかと思われるため、補助率や上限額の引上げの検討が必要と考えますが、荻布教育長に所見をお伺いいたします。
次に、県立高校再編に係る質問をします。
県立高校再編につきましては、今年度、5回にわたり県立高校教育振興検討会議が開催され、時代やニーズを踏まえ、県立高校の目指す姿や学科・コースの見直し等について検討が行われ、様々なテーマの充実を目指す内容が提言されました。
今後は、来年度から知事主宰の県総合教育会議において議論、検討を進めていくとのことですが、県立高校とは、生徒にとって、保護者にとって、地域にとってどのような場所であるべきと考えておられるのか、改めて新田知事の考えをお聞かせ願います。
高校教育の充実に当たっては、地域や産業界、保護者の意見を反映するとともに、こどもまんなかの観点から、これから高校生活を過ごす生徒たち自身の考えや思いも考慮していかなければならないと考えます。
一部の、看護科等に進学する生徒は具体的に将来を決めている生徒が多いと思われますが、実際に中学の段階で具体的に将来を見据えて進学、そしてその後の進学や就職を意識できる生徒がどの程度いるのか疑問でもあります。
県立高校における学科・コースの見直しや充実は重要である一方で、高校進学時点において自らの将来を具体的に描いた上で学科・コースを選択できる生徒は多くないことから、高校進学以降でも進路選択の幅を確保できる仕組みも同様に考えていく必要があるのではないかと考えますが、荻布教育長に所見をお伺いいたします。
次に3項目め、本県経済の活性化について3点質問します。
御承知のとおり、本県は第2次産業のウエートが大きいものづくり県であります。近年は電子部品、デバイス、電子材料産業も盛んであり、産業ロボット、水密・気密ファスナー、ウオータージェット微粒化装置など、高度技術を有する産業群が盛んであり、また、高速通信対応の高性能スマホ部品、パソコン用ショックセンサー、セラミック発振子など、多くのオンリーワン企業が存在します。
これからのものづくりは、技術進化や社会の変化により大きく変わろうとしており、DX(デジタルトランスフォーメーション)では、AIやIoTを用いることにより業務の効率化ができ、品質向上にもつながり、人とロボットが協調してものづくりを行い、また、Web3.0やメタバースなどを活用したリアルとバーチャルの融合が進み、新たなビジネスモデルが生まれると予想されています。
そこで、今月末に改定を予定されているものづくり産業未来戦略については、成長が見込まれる新分野や国の戦略など最新の動向を踏まえた上で、県民のウェルビーイング向上も意識しながら、本県独自の新たな観点や目標を盛り込むべきと考えますが、新田知事に所見をお伺いいたします。
次に、半導体産業との交流について質問します。
半導体といえば、受託製造世界最大手の台湾のTSMCが先月、熊本県の菊陽町に日本で初めてとなる巨大な工場を完成させ、大きく報道されていました。存在感の大きさは黒船に例えられるほどで、地元は経済波及効果への期待に湧いているとのことです。
日本の半導体産業は世界的にも注目されており、今後右肩上がりで成長し、2030年には100兆円を超える規模になるとの予測もあります。また、日本での工場の新設発表が連続しており、今年は日本各地で半導体新工場の稼働ラッシュが起こるということであります。
そこで、本県も今後この流れにどのように乗るのかが重要だと思います。県内企業の販路開拓、海外展開に加え、台湾からの企業誘致も見据え、今後は半導体産業を主とした経済交流を加速していく必要があると考えます。
県も来年度新たに、台湾の半導体産業との交流に取り組むこととしていますが、台湾企業との交流によりどのような効果を期待しているのか、また、当事業を契機として今後どのように経済交流を進めていくのか、中谷商工労働部長にお伺いいたします。
最後の質問です。
今後、市町村とも連携し、これから成長が期待できる産業分野の企業や、女性活躍や働き方改革に積極的に取り組むなど県民が働きたいと思える企業など、ターゲットを絞った誘致に取り組む必要があると思います。
企業誘致は、本県経済の活性化に加え、雇用の創出や移住の促進にもつながることから、一層推進していく必要があると考えますが、今後どのような戦略を持って取り組んでいくのか中谷商工労働部長にお伺いしまして、私からの質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
57 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
58 ◯知事(新田八朗)谷村一成議員の御質問にお答えします。
まず、津波避難対策についての質問です。
今回の地震では、16時10分、県内で最大震度5強が観測され、2分後の16時12分には津波警報が発表、また、その1分後の16時13分には津波の第一波が到達されたとされています。
多くの住民の方々が車で避難したり、津波被害が想定されていない地域を含む広い範囲の方々が一斉に避難したため、県内の各所で道路渋滞が発生するなど、津波に対する避難行動が大きな課題となりました。
沿岸の市町では、県が平成28年度に公表した津波シミュレーションの調査結果を基に、津波
ハザードマップを作成しておられます。この
ハザードマップには、津波が起こった場合に浸水が想定される区域や津波の到達時間、避難場所に加え、避難する場合は徒歩が原則といった避難方法の基本ルールについても記載されています。先月開催した市町村との振り返り会議では、津波
ハザードマップのさらなる周知が課題という意見が多数ありました。
県としても、地震発生直後の津波に対する避難行動についての検証が今回の地震の検証においては肝だというふうに考えております。幸い津波による人的被害はなかったわけですけども、このような混乱が度重なると、その混乱によって思わぬ事故が起きる可能性もあることは懸念されます。なので、津波を正しく理解し適切に避難する、これに向けてしっかりと検証を進めてまいりたいと思います。
このために、今御提案させていただいております予算の中に、携帯電話の位置情報に基づく人流データを活用し、津波警報の直後にどれぐらいの人がどのように避難をしたのか、また、避難行動は適切であったのかなどについて分析、検証するための予算を提案させていただいております。
県としてはこうした検証結果を踏まえて、地域防災計画などの見直しに反映するとともに、安全な避難場所の確保及び津波
ハザードマップの周知など、津波避難対策の推進について市町村と連携をして取り組んでまいります。
次に、県立高校の再編についての質問にお答えします。
本県教育の礎となっておりますのが第2期教育大綱であります。この第2期教育大綱では基本方針として、社会の変化とニーズに対応した高校や大学などの教育環境の充実を掲げています。生徒や保護者にとっての高校は、この基本方針で目標としております様々なニーズに対応した教育環境の整備が進められ、子供や若者が未来に希望を持って魅力ある教育を受けられる場所であるべきと考えています。
また、もう一つ、地域にとってという視点も御質問がありました。地域にとってという視点では、これも基本方針に述べられています、教育を通した「ふるさと富山」の創生ということであります。学校や地域、企業などが連携をして子供たちの教育をまた深めていく、広げていく。そして、教育を通して地域の産業や社会を支える人材の育成や意欲のある若者たちを育み、そんな若者たちが県内に定着をする、そんなことを目標にしているところであります。
どうやってこの目標を実現していくかという、HOWの一つが高校の在り方ということになろうかと理解をしております。そのHOW、目標を実現するために、県の教育委員会では、以前は令和の魅力と活力ある県立高校のあり方に関する検討委員会、そしてそれを受けて、昨年度から県立高校教育振興検討会議で検討を進めているところであります。
先月、総合教育会議を開催しましたが、そこでは教育振興検討会議での提言の素案、また検討状況について報告を受け、教育委員の皆さんと意見交換を行いました。
また今は、中学生に「どうして中学に行くのか」と聞くと「義務だから」と答える子が多いという話を聞いてちょっと愕然としましたが、中学生などは、市町村の教育委員会とも連携をして、義務だから行くのではなくて、楽しいから通う、そんなふうな場所にしていかなければならないと思います。
高校は義務ではないわけでありますが、やっぱりまずは楽しいところにしていく必要もあろうかというふうに思います。ただ、中学生よりは大分年も上になるわけですから、一歩二歩社会人に近づいているわけです。なので、やはり高校では学びの質というものが求められますし、そのために生徒にもより幅広い選択肢を確保してあげる必要があるというふうに考えます。また、社会人に近いという意味では、社会の変化やニーズ、これらを勘案して高校の在り方というものも検討する必要があろうというふうに私は考えております。
今後もこのように、こどもまんなかの視点に立って、高校の魅力ある教育環境づくりを進めてまいります。
私から最後になりますが、ものづくり産業未来戦略についての質問にお答えします。
国際情勢が流動化しております。国際的な物流あるいは国際的なサプライチェーンなどが、以前とは状況が変わってきているという環境変化があります。また、デジタルトランスフォーメーションというものはもう待ったなしの状況、それから、2050年カーボンニュートラルの実現などグリーントランスフォーメーションに向けた機運の高まりなど、本県のものづくり産業を取り巻く環境は大きく変化していると捉えております。
環境や社会価値といった新たな価値の創出が求められていくことを踏まえまして、平成31年──5年前になりますが──に策定した新・富山県ものづくり産業未来戦略も改定をする時期になり、取り組んでおります。
改定戦略の案では、各企業が経済、環境、社会課題の解決に向けた投資により新たな価値をつくり出して、その活動を見える化することにより、顧客や社会の共感や支持を得ることで、企業の魅力や評価が向上し、そこに投資や人材を呼び込む、そしてそれによってさらなる成長へとつなげる、このような好循環を目指していくこととしています。
具体的には、国内外で大きな投資が見込まれておりますグリーン、モビリティー、デジタル技術基盤、医薬・バイオ・ヘルスケアの成長産業分野での産学官が連携したオープンイノベーションによる研究開発、また、サーキュラーエコノミーなど新たな成長分野における異業種連携による価値の創出、また、経営者や従業員のウェルビーイングの向上、デジタル・バイオなどの先端技術を活用できる高度な技術人材の育成確保などに取り組むこととしておりまして、令和6年度当初予算案にもこれの関連予算を計上しております。
また、県内製造業の付加価値額を2030年に1兆8,400億円とすること、産学官連携の共同研究や女性人材に関する指標などについても意欲的な数値目標を設定できないか検討を進めています。
改定戦略を指針としまして、関係者と一丸となって、本県ものづくり産業のさらなる発展、成長に向けて取り組んでまいります。
私からは以上です。
59 ◯副議長(奥野詠子)川津知事政策局長。
〔川津鉄三知事政策局長登壇〕
60 ◯知事政策局長(川津鉄三)私からは、デジタル防災マップについての御質問にお答えいたします。
県では、令和3年度に設置いたしました富山県ビッグデータ活用プラットフォーム検討委員会の提言に基づき、県や市町村等が保有するオープンデータなどを一元的に管理いたしまして、地図等と連携させ、分かりやすく提供するための基盤として、データ連携基盤を現在構築しており、今年の4月に運用開始を予定しております。
本基盤は、県や国、市町村等が保有するGISデータやセンサーデータ、施設データ等を地図上の分かりやすいインターフェースで提供するもので、令和6年度は、緊急性が高い防災関連のデータを市町村の切れ目のないシームレスデジタル防災マップとして公開することとしております。
この防災マップは、災害に備えた重要なデジタルインフラとなることから、4月の第1弾のリリースでは、まず県内全域で市町村が指定する避難所のデータや
ハザードマップに加え、河川水位など県が有するセンサーデータを掲載することとしております。
また、この防災マップの利便性を高めるためには、できるだけ多くのデータを掲載していく必要があると考えており、新年度は危機管理局や市町村と連携いたしまして、地震防災マップ情報、市町村が有する河川やため池の水位等のセンサーデータ、様々なオープンデータなどを順次追加いたしまして、内容の拡充に努めることとしております。
データ連携基盤は、様々な情報を提供できる拡張性の高いデジタルインフラでありますことから、今後は市町村との連携をさらに深め、防犯や観光などの分野にも拡大いたしまして、県民や事業者の利便性向上、利用促進に努めてまいります。
以上であります。
61 ◯副議長(奥野詠子)
竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
62 ◯地方創生局長(竹内延和)黒部宇奈月キャニオンルートに係る御質問にお答えをいたします。
黒部宇奈月キャニオンルートを含む旅行商品につきましては、御質問にもありましたとおり、能登半島地震による落石で黒部峡谷鉄道の鐘釣橋が損傷し、黒部峡谷鉄道の全線開通時期が不明となったため、1月29日から予定していた販売開始を延期しております。黒部峡谷鉄道の全線開通時期が発表され、キャニオンルートの予定どおりの開始が可能であれば、速やかに販売開始時期を決定し、販売を開始したいと考えております。
一方、黒部峡谷鉄道の全線開通時期によりましては、6月30日の一般開放・旅行商品化の開始を延期せざるを得ない可能性もあります。黒部峡谷鉄道の全線開通時期が示されることを待っているところでございます。
県といたしましては、黒部峡谷鉄道の全線開通時期が示されれば、6月30日のルート開始の可否、また仮に延期する必要がある場合には、延期後の開始時期と旅行商品の販売開始時期について速やかに決定できるよう、様々な場合を想定し、関係者と協議しているところでございます。
御指摘のとおり、新たな観光ルートの誕生を心待ちにしていただいている皆様が多うございますので、ルート開始時期及び旅行商品販売開始時期が決定した際には、遅滞なく情報提供できるように対応してまいります。
以上でございます。
63 ◯副議長(奥野詠子)松井こども家庭支援監。
〔松井邦弘こども家庭支援監登壇〕
64 ◯こども家庭支援監(松井邦弘)私から3つの御質問についてお答えをいたします。
まず、保育料についての御質問にお答えをいたします。
保育料については、国の無償化の対象とならないゼロ歳から2歳児の保育料について、県と市町村と連携して、一定の低所得世帯の第1子、第2子に対する無償化や軽減を実施しておりまして、また第3子以降については、県と市町村がさらに連携し、所得要件を撤廃し保育料を完全無償化とするため、新年度予算案に必要経費を計上したところでございます。
また、県内の市町村におきましては、保育料の無償化や軽減の対象を第2子、さらに第1子へも拡充するなど、地域の実情に応じた子育て支援策の一環として独自に取り組まれているところでございます。
さらなる支援の拡充については、国の動向や裏づけとなる財源の確保が重要と考えており、引き続きあらゆる機会を通じて国に対して強く働きかけていくとともに、今後とも、経済的支援をはじめとした子育て支援の充実に取り組んでまいります。
次に、病児・病後児保育についての御質問にお答えをいたします。
病児・病後児保育の広域受入れのメリットとして、例えば通勤途中や勤務先近くの施設を利用することが可能となり、子育てと仕事の両立に取り組みやすくなるといったことが考えられます。また、病児・病後児を受け入れる保育施設にとっても利用者の増加が見込まれるということも考えられます。
このため、今年度は病児・病後児保育の広域化に参加を希望する市町村と共に、担当課長会議や個別の意見交換会などにおいて、一部の圏域では既に広域化が図られていることを踏まえつつ、広域化に向けた仕組みや運用などについて協議しているところでございます。
その中で、市町村間の公平性を確保するため、市町村間で利用人数に応じた協定金の精算制度を導入することとし、県は協定金の確定や市町村への通知などの支援を行うこととしております。本年7月の開始に向けて、今後さらに詳細な仕組みの検討や参加市町村との協定の締結、子育て家庭の周知などに取り組むこととしておりまして、こうした病児・病後児保育施設の広域受入れを支援することにより、安心して子育てと仕事が両立できる環境づくりをさらに進めてまいります。
最後に、保育人材確保や処遇改善についての御質問にお答えをいたします。
まず、保育人材の確保については、これまでも、保育士・保育所支援センターにおける潜在保育士の掘り起こしや職場環境への支援に加えまして、保育士養成校の学生への就学資金貸付や情報レターの送付、それから高校生に保育士の魅力を伝える保育所体験バスツアーの実施などに取り組んできたところでございます。
また、新年度予算案において市町村と新たに連携する事業の一つとして、潜在保育士を保育補助者として雇用し、保育現場への段階的な復帰を促進するために要する経費を計上したところでございます。
次に、保育士の処遇改善については、これまでも、経験年数による加算や研修や技能を積んだ者への加算、保育士の収入の3%相当の引上げなどが行われてきており、また、昨年12月に公表されました国のこども未来戦略の中で、民間給与動向等を踏まえた保育士などのさらなる処遇改善を進めることが盛り込まれまして、今後国において具体化の検討が進められていくこととなります。
県としましては、こうした国の動きを注視しながら、引き続き国に対して保育士の人材確保や処遇改善への支援の拡充について要望をしていくとともに、今後とも市町村や関係団体との協議、連携を重ねながら、保育人材の確保など保育環境の充実強化に取り組んでまいります。
以上でございます。
65 ◯副議長(奥野詠子)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
66 ◯教育長(荻布佳子)私からは2問お答えをいたします。
まず、フリースクールなどの利用料の補助制度についての御質問にお答えをいたします。
新年度当初予算案に新規事業として計上をしておりますフリースクール等通所児童生徒支援事業は、学校に行きづらさを感じていたり、どこにも相談・指導を受けていなかったりする子供たちが、フリースクールなどを学校以外の居場所の選択肢の一つと捉え、社会と関わる機会が増えることで社会的自立につながるきっかけとなることを期待するものでございます。
議員から御指摘のありました、補助率2分の1や補助上限額月1万5,000円の設定に当たりましては、施設によって規模、活動内容、また利用料や活動費などが様々でありますことや、一人一人が利用する頻度も異なっていることなどもございまして、他県の実施状況や県内の不登校児童生徒が実際に利用している施設の状況、そして不登校を考えるネットワークの方々の要望、御意見を踏まえて設定をしたところでございます。
担当課で調査をしましたところ、今年度、全国でこうした取組を実施しているのは5県であり、この5県は全て補助対象を経済的に支援が必要な家庭に限定しているのに対しまして、本県は全ての家庭を対象とする予定のものでございます。また、補助上限額の1万5,000円は、この中でも最も高い上限額としているところでございます。
この事業は、新年度から新たに始める事業であることもございまして、今後事業を進めていく中で、県内の施設の状況や支援対象世帯の皆さんの状況、また他県の状況なども踏まえて、さらに研究をしてまいりたいと考えております。
次に、高校での進路選択の幅の確保についての御質問にお答えいたします。
昨年度実施した高校生や保護者などを対象にしたアンケートでは、「学習内容について望むこと」といった設問に対して、「進路に役立つ科目の時間を増やす」、あと「進路希望や興味・関心に基づいて選択できる多様な科目を増やす」といった回答が多かったことからも、高校入学後の進路選択に対応できる仕組みを整えることは重要と考えております。
これまでも、県立高校では生徒の幅広い多様なニーズに応えられるよう努めてきており、例えば普通科では、進路希望に応じた教科・科目や少人数指導のクラスを設定して、また職業科では、専門科目のみならず、進学にも対応したカリキュラムを工夫してきております。
また、総合学科では、進路希望に合った分野で幅広く柔軟に科目選択ができますほか、普通科と職業科が併設され総合選択制が導入されている学校では、学科の枠を超えた科目選択ができるようにしております。
そして、さらに魅力ある学科・コースとなるよう、県立高校教育振興検討会議において議論を重ねてきておりまして、先般、各学科ごとの見直しや充実の具体策などを取りまとめた提言の素案が示されたところです。
その素案では、様々な学科構成や規模の学校をバランスよく配置することが望ましいとされ、また、例えば工業科では、中学生の選択肢を広げられるよう、入学後に学科を選択できる一括募集の導入について検討することが望ましいなどとされております。
新年度はこの提言を基に、総合教育会議でさらに議論を深めていただきたいと考えており、会議での御意見も踏まえながら、引き続き県立高校での教育が高校生のよりよい進路選択につながるように努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
67 ◯副議長(奥野詠子)中谷商工労働部長。
〔中谷 仁商工労働部長登壇〕
68 ◯商工労働部長(中谷 仁)私からは、まず、台湾の半導体産業との交流についてお答えをいたします。
デジタル技術の進展等に加え、経済安全保障の観点からも、国内での半導体製造の需要が高まっておりまして、県内でもこのところ半導体関連の大手の企業立地が進んでいるところでございます。電子デバイス産業の集積が進む本県において、半導体産業が盛んな台湾と経済交流を進めることは、経済の活性化に大きく寄与するものと考えております。
このため、新年度において、台湾電子設備協会の会員企業で構成されます経済訪問団を本県に招き、県内企業との交流を図る予定としております。
この協会は、半導体関連の部品、設備等を製造する企業など約280社から成る有力な業界団体であります。これまで日本では、九州地方において、産業団体、産学官連携の推進団体等とMOUを締結し、ビジネスマッチング会を開催するなど、海外との経済交流に活発に取り組んでおられます。
去る2月21日、新田知事が台湾を訪れた際には、協会の王事務局長に直接歓迎の意をお伝えしたところでございます。訪問時期など詳細は今後協議を進めることとしておりまして、来県時には、県内企業の視察のほか、富山県、台湾双方の企業の間で情報交換や商談を行うネットワーキング等を実施したいと考えております。
半導体産業は関連する技術、製品の幅が広く、富山県、台湾双方の企業がウィン・ウィンの関係で協力できる領域、分野も大いにあると考えております。今後、協会との交流を継続的に進める中で、県内企業と台湾の半導体関連企業とのビジネスチャンスの拡大につながるよう取り組んでまいります。
次に、企業誘致の推進についてお答えをいたします。
県ではこれまで、日本海側屈指の工業集積を生かし、電子デバイス、機械、金属、医薬品など、幅広いものづくり分野において企業誘致を進めてきました。今後は、先ほど新田知事から答弁がありましたように、富山県ものづくり産業未来戦略において成長産業として位置づけておりますグリーン、バイオ、半導体などの分野の企業を中心に、積極的に本県への立地を働きかけていきたいと考えております。
また、近年は、製造業以外の企業誘致にも積極的に取り組んでおりまして、令和4年4月にIT・オフィス系企業立地助成金を創設いたしました。IT企業を中心に、大都市圏からの企業誘致にも取り組んでおります。先般も大阪のIT企業が本県にオフィスを設置するなど、着実に成果も出始めているというふうに考えております。
一方、本県ではまだまだ若い女性の流出に歯止めがかかっていないことから、女性活躍の推進に積極的な企業を誘致するために、昨年4月に本助成制度を拡充いたしました。また、新年度予算案において、女性活躍に積極的な企業に対してプッシュ型の誘致
プロモーションを行う費用を計上しております。
今後とも、市町村と連携をし積極的に誘致活動を展開するとともに、多くの女性や若者が本県で働きチャレンジできる環境を整え、県内経済を牽引する企業の投資を呼び込んでまいります。
以上でございます。
69 ◯副議長(奥野詠子)以上で谷村一成議員の質問は終了しました。
佐藤則寿議員。
〔1番佐藤則寿議員登壇〕
70 ◯1番(佐藤則寿)公明党の佐藤則寿でございます。
元日に起きた令和6年能登半島地震の発災から2か月が経過しました。改めて、被災された皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げるものでございます。
私ども公明党は、国会議員と地方議員が一体となったネットワーク力を生かし、そして被災者一人一人が人間の復興、心の復興を成し遂げるまで寄り添い続け、全力で働いてまいることをお誓い申し上げ、質問に入らせていただきます。
初めに、災害対応と防災・減災対策の促進について6点伺います。
新田知事をはじめ関係各位におかれては、発災直後の応急対応に向けた初動対応から復旧・復興へフェーズが変化する間において、県内市町村からも随時新たな被災状況の報告や支援要請などがあり、国との連携も急務となり、その要望対応にも追われたと認識しております。まさに間断なく奔走されていることに心から感謝申し上げます。
公明党におきましても、発災直後に党本部と県本部に災害対策本部を設け、方面本部長である中川宏昌衆議院議員も、氷見市をはじめ高岡、射水、富山市等の被災現場に何度も同行するなど、国の支援策等の対応にも尽力いただいてきました。
そうした中で、2月11日には山口那津男公明党代表も来県され、林氷見市長にも同行いただき、市内の被災地を訪問し、被災者の生の声や市長からの具体的な要望も伺い、その後は、高岡市内の液状化の状況確認も併せ、住民からの要望も伺ってきました。富山市内のホテルで、マスコミ取材の後、新田知事をはじめ県内各自治体の首長から御要望を伺う機会も設けました。
そこで改めて、国の支援強化を求めるための政府及び与党への要望にどのような思いを持ち取り組んでこられたのか、国の支援策等への反映状況と併せて新田県知事の所見を伺います。
私は昨年6月、当選後の初議会の一般質問で、災害中間支援組織の設置について、神戸大学の室崎益輝名誉教授の「自治体は設置を急ぐ必要がある」との指摘とともに、機能強化の重要性について取り上げ、さらに経営企画委員会では、災害ケースマネジメントの重要性についても伺いました。
当局からも、先行県の事例調査や全国エリアで活動する災害中間支援組織からの情報収集、庁内関係部局や関係団体との話合いや、連携体制の構築などを行っていくとの前向きな回答をいただきましたが、今回の震災により、改めて災害中間支援組織や災害ケースマネジメントの必要性が再認識されたと考えますが、これまでの取組状況や発災後の応急・復旧対応の状況を踏まえ、今後どのように取組を進められるのか、
武隈危機管理局長に伺います。
能登半島地震の被災地において初めて応急仮設住宅の入居となったのが、輪島市に輸送、設置されたコンテナ型の移動式木造住宅であるムービングハウスでありました。18戸に被災者55人が入居され、さらに輪島市や珠洲市、七尾市で約200戸を設置するとのことであります。
全国の自治体では、災害時の応急仮設住宅の供給体制を強化するため、これらの普及を目指す一般社団法人日本ムービングハウス協会との災害協定の締結が進められております。本県においても移動型木造住宅の導入を検討すべきだと考えますが、市井土木部長の見解を伺います。
また、断水が長期間に及ぶ場合は、避難所でのトイレや入浴など、被災者の衛生環境の確保は生活をしていく上で必要不可欠であります。トイレトレーラーや自動ラップ式トイレの確保とともに、過去の発災において他県では、入浴支援として、福祉・介護サービスで日々活躍している移動入浴車や簡易浴槽を活用された事例もあります。
そこで、災害時に断水が長期化する事態に備え、避難所において入浴支援に対応できるよう、関係団体との連携強化や協定の締結等を検討すべきと考えますが、
武隈危機管理局長に伺います。
さて、本県のデジタルによる変革推進条例案では、目指したい未来像として、災害時に必要なあらゆる情報を誰でも簡単に取得できるとありますが、DXなどの技術を生かした防災・減災対策の促進を期待しております。
そうした中で、私は、視覚障害者のために開発された防災情報を音声で伝える「耳で聴く
ハザードマップ」の有用性を痛感し、関係部局をはじめ知事にも紹介してきました。さらに、障害者団体からもその導入促進を求める強い要望の声をいただくまでになってきておりましたので、新年度予算案にその導入に向けた事業費が計上されたことを心から歓迎し評価をしております。
一方、富山市では、
ハザードマップの再配布なども検討しているとのことですが、このアプリはスマートフォンさえあれば、まさに今いるその場所の津波や洪水、土砂災害などの災害リスクを耳で聞いて知ることができるものであります。視覚障害をお持ちの方に限らず、多くの県民にとっても情報発信のツールとして、さらに外国語にも対応していることから、今後は外国人等の災害弱者への対応にも活用することを期待しております。
そこで改めて、この「耳で聴く
ハザードマップ」の有用性をどう評価しているのか、県民に向けた具体的な普及方法と併せて
武隈危機管理局長に伺います。
今回の震災では、老朽化した公共インフラの被害が甚大であった状況を踏まえ、インフラの老朽化、耐震化対策に早急に取り組む必要があると考えます。
ところで、明年度から上水道の管理や整備は、厚労省管轄から、地方整備局を持ちインフラ整備や災害対策を担ってきた国交省に移管されます。水道施設の耐震化や老朽化対策の加速が期待されます。
さらに国では、都道府県が中心となり、複数の自治体をまたぐ広域連携や、道路、公園、上下水道などの複数インフラの維持管理をまとめて行う多分野連携に取り組む地域インフラ群再生戦略マネジメント、いわゆる群マネの取組を全国展開することにより、公共インフラの耐震化や老朽化対策を加速化させることとしております。
そこで、国交省が進める、広域・多分野のインフラを群として捉える効率的なマネジメント方法を県として取り入れてはどうかと考えますが、市井土木部長に伺います。
次に、こども・子育てや若者への支援について伺います。
こども・子育て支援策については、公明党が一貫して取り組んできたところであり、政府は昨年、我が党が掲げる子育て応援トータルプランを反映した少子化対策の加速化プランを策定しました。
こうした中で新田知事は、こどもまんなか社会の実現に向け、今期の最終年度予算案において、私立高校への入学料を含む支援や、フリースクールを利用する家庭の全世帯への支援、ヤングケアラーがいる家庭へのヘルパー派遣など、全国的にも先駆けた施策が盛り込まれており、我が党が目指す方向への第一歩と捉え、高く評価をしております。
一方で、こうした子育て支援策は、これまで各市町村や県が積極的に支援の拡充に取り組んできましたが、私は、居住する自治体によって差が生じるべきではなく、国の責任においてひとしく支援を受けることができるよう、県としても国に制度化を働きかけるべきだと考えております。
そこで改めて、子ども医療費助成や保育料無償化などの施策について国に対し制度化を求めていくべきと考えますが、新田知事の所見を伺います。
コロナ禍以降、若い世代を中心に、地方での暮らしに関心を持つ人が増えており、国においても、都市と地方の双方に生活拠点を持つ二地域居住の促進に向けて地方が取り組む拠点整備や、支援法人の指定制度創設などを盛り込んだ改正法案を閣議決定するなど、地方への人の流れを創出、拡大する動きがあります。
そこで、本県においても、関係人口1,000万人の実現に向け、都市と地方の双方に生活拠点を持つ二地域居住の受入れ環境を整備し、地域活性化につなげる取組が重要と考えますが、
竹内地方創生局長に伺います。
次に、中小企業支援について伺います。
30年余り続くデフレの完全脱却に向けて、物価上昇を上回る賃上げを達成する取組が重要です。
昨年の春闘の賃上げ率は30年ぶりの高水準となりましたが、高水準の賃上げを持続させることが日本経済の発展につながることから、国は本年の春闘で大幅な賃上げを全国に波及させようと、各都道府県の労働局に対し、地元の経済界や労働団体の代表者と意見交換するため、公明党が提案し推進してきた地方版政労使会議を開くよう指示を出しております。
本県としてもこれと連携し、高水準の賃上げの達成に向け、しっかり取り組む必要があります。
そこで、本県における地方版政労使会議の開催状況と、今後の賃上げに向けた県の取組について新田知事に伺います。
さらに、地域経済を担い雇用の7割を支えている中堅・中小企業が持続的な賃上げを行えるかどうかが重要であることから、我が党は昨年10月に、中小企業等の賃上げ応援トータルプランをまとめ、20の具体策を政府に提言し、企業の稼ぐ力を強化して賃上げの原資をつくろうとする施策が徐々に動き始めております。
その中でも、国が新たに創設した中小企業支援制度である中小企業省力化投資補助事業は、事業者の省力化や生産性向上に効果が見込まれる汎用製品をカタログにまとめ、事業者が選択して導入できる制度であります。簡易で即効性のある投資の促進が期待できるもので、県内の中小企業において十分に活用され、効果が最大限に発揮できるよう、県としてどのように支援をしていくのか、中谷商工労働部長に伺います。
医療・福祉施策について伺います。
私が長年にわたり多くの方々から御要望をいただいてきた医療用ウィッグ等への支援、アピアランスケアについては、昨年6月の初質問でも県として全県下の支援を訴えたところであり、明年度の予算案によって県内の全市町村で助成制度が確立されることになり、心から歓迎しております。
ところで、第4期富山県医療費適正化計画の中間報告案によれば、高齢化の急速な進展に伴い、2029年の医療費は現在から約100億円増加する見通しであるとのことであり、病気予防の対策は必須であります。
そうした中で、80歳までに3人に1人が発症するとされる帯状疱疹をめぐって、ワクチンの接種費用を助成する自治体が増えており、県内においても立山や上市町など、さらに、明年度予算案には富山、高岡、黒部市などで計上されているとのことであります。
そこで、帯状疱疹の発症や重篤化の予防を図るため、帯状疱疹ワクチンの予防接種費用を助成し、高齢期の健康保持増進につなげるための制度についても県下で違いがあってはならないと考えます。
帯状疱疹ワクチンの接種促進に向け、県として助成を行うべきと考えますが、有賀厚生部長に伺います。
最後に、観光施策の展望について3点伺います。
明年度予算案には、バイナリー方式による地熱発電の導入可能性調査を継続する費用が計上されております。
昨年、委員会視察で訪れた福島市の土湯温泉で実施しているバイナリー発電では、地熱発電所から排出する温泉水を利用してエビを養殖し、釣堀と飲食店を開設することで新たな観光スポットを創出し、地域振興にも資する施設として活用されておりました。
そこで、バイナリー発電の事業化に向けて、今年度実施した調査の結果を踏まえ、今後の展望をどのように見通しているのか、観光資源として活用する可能性と併せて籠浦企業局長に伺います。
昨年12月に国のデジタル行財政改革会議が発表した中間取りまとめでは、現状のタクシー不足を地域の自家用車や一般ドライバーを活用したライドシェアにより補う方針が打ち出されました。
本県においては、朝日町のノッカルあさひまちが先駆けて取組を進めており、観光交通の担い手としても期待できるため、県内への横展開を図るためにも県として支援をすべきと考えます。
そこで、本県における着地型観光を推進するためには、二次交通の確保が重要であり、ノッカルあさひまちのような日本型のライドシェアも有効な取組だと考えますが、県内での普及にどう取り組むのか、
田中交通政策局長に伺います。
観光庁の令和5年度補正予算に計上されている地域観光新発見事業の公募が今週3月8日金曜日に開始されます。最大1,250万円までの助成を受けることができる有用な事業であることから、自治体やDMO、事業者に対して積極的に活用を促し、本県の観光コンテンツの造成や販売を推進するべきだと考えます。
訪日客による消費拡大に向けては、地域に埋もれている歴史や自然などの観光資源を磨き上げる観光地の高付加価値化が重要であります。国の新しい支援事業も活用して、官民を挙げた体験型観光の創出に力強く取り組むべきと考えますが、
竹内地方創生局長に見解を伺い、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
71 ◯副議長(奥野詠子)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
72 ◯知事(新田八朗)佐藤則寿議員の質問にお答えします。
まず、能登半島地震に関して、政府・与党への要望についての御質問にお答えします。
発災後、速やかに災害対策本部を設置しまして、被害状況の把握や応急対応に当たりました。そして、発災3日後には被災者への支援パッケージを発表いたしました。
そして、被災者の生活再建や事業者の早期復旧、事業再開には国の積極的な支援が不可欠であったため、1月下旬には、県議会と共に政府・与党に緊急要望をしており、また先月の11日には、県内被災地を視察された公明党の山口那津男代表にも要望させていただきました。
私自身が、日頃から様々な要望をいただく、受けさせていただく立場であります。そんな立場から、現場の声や実情、努力などを直接お聞きする、見る、そのようなことの重要性を実感しております。
なので、今回も地震翌日の氷見市視察に始まりまして、数次にわたって被災地を訪問し、現場の実態把握に努めているところでありまして、国への要望の際には、そこで見聞きした被災者の生の声や、自助、共助、そして県及び市町村による震災対応の努力、それをしっかりとお伝えした上で、どうしても国の後押しが必要である、そのようなことを訴えてきております。
こうした中で、1月25日に国の支援パッケージがまとめられ発表されました。本県が求めておりました、なりわい再建支援事業、また、北陸応援割、農業施設や漁船・漁具への支援、全壊・半壊家屋の公費による解体、水道事業の補助率引上げなどが盛り込まれております。
さらに、今月1日には、政府の復旧・復興支援本部会合で、上下水道や港湾施設の災害復旧事業などへの国の支援拡充も示されたところでありまして、早期復旧への大きな後押しになったとうれしく思っております。
今後も現場の声を聞き、県選出国会議員の先生方、県議会、市町村の皆様とも連携し、新たに判明する課題への対応も含めて、必要な支援策などの実現に向けて国に強く働きかけてまいります。
次に、こどもまんなか社会の実現に向けた取組についての御質問にお答えをします。
子供たちがわくわくしながら勉強し、勇気を持って挑戦し、そして伸び伸びと遊んだり、スポーツをしたり、部活動したりする。一方で、困難な状況にある子供たちを誰一人取り残さない。そんな富山県でありたいと考え、新年度予算案においては、私立高校の授業料や入学料について、年収910万円未満の多子世帯などの実質無償化、月額1万5,000円を上限としたフリースクールなどの利用料助成、県が主体となったヤングケアラー世帯へのヘルパー派遣など、他県に先駆けた取組を盛り込ませていただきました。
一方で、子ども医療費の助成や保育料の無償化については、支援の拡充に取り組んでまいりましたが、地方の財政力によって地域間格差が生じないように、全国一律の包括的な仕組みづくりをすることは国の責任において取り組むべき課題であり、子育て世代の経済的負担軽減の観点からも極めて重要と考えております。
こども・子育て施策の強化に向けては、子ども医療費助成や保育料の無償化をはじめ、国が全国一律で行う施策と県や市町村がその実情に応じてきめ細やかに行う事業、これらがうまく組み合わさることで、より効果的なことになると考えておりまして、引き続きあらゆる機会を通じて国に対して強く働きかけてまいります。
私からは最後ですが、賃上げに向けた本県の取組についての御質問にお答えします。
賃上げをテーマに各県で行われている地方版政労使会議は、本県では先月27日、富山労働局の主催によって、中部経済産業局、公正取引委員会など国の関係機関、そして県、経済団体、労働団体などが出席して開催されました。
会議では、国からは年収の壁対策、生産性向上への支援策、価格転嫁対策など、本県からは持続的な賃上げに向けた各種の支援策について情報提供を行い、経済団体、労働団体から賃上げの現場の実情について共有が図られました。
県内の有効求人倍率は1.43倍と引き続き高い水準にあり、企業は人材確保のため、エネルギー・原材料価格高騰等の厳しい経営環境の中ではありますが、賃上げを迫られている状況と理解をしております。
このような中で持続的な賃上げが行われていくためには、適切な価格転嫁の下で、デジタル改革や省エネ、人への投資などによる生産性向上の支援が必要不可欠と考えています。このため、適切な価格転嫁の実現に向けたパートナーシップ構築宣言の普及推進、中小企業の生産性向上を後押しする中小企業トランスフォーメーション補助金の創設、賃上げと設備投資を支援する賃上げサポート補助金、人への投資の強化に向け従業員のスキルアップを推進するリスキリング補助金、年収の壁対策と連動した非正規雇用労働者の処遇改善を図るためのキャリアアップ奨励金の拡充など、県内中小企業の生産性向上を通じた賃上げ支援を強化して取り組んでいます。
引き続き、県及び国の支援策について、支援を必要とする企業により多く活用いただくために、今回会議に参加された各関係機関ともしっかりと協力し合いながら、制度の一層の周知に取り組んでまいります。
私からは以上です。
73 ◯副議長(奥野詠子)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
74
◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、3問いただきましたうち、まず災害中間支援組織と災害ケースマネジメントについての御質問にお答えいたします。
災害時に専門的技能を持つボランティア団体と被災者のマッチングを行う災害中間支援組織につきましては、昨年12月に開催されました庁内関係部局やボランティア関係団体等が参加する会議におきまして災害中間支援組織の先行事例等を紹介し、関係者間で理解を深めました。
また、組織を設置する都道府県の先行事例を調査し、組織の中核となる団体の実態や意向の把握が難しいとか、平時における業務が少なく、資金確保が難しいなどの課題を確認しております。
あいにく、今回の地震までに災害中間支援組織を立ち上げることはできませんでしたが、今後とも庁内関係部局や関係団体との間で、円滑で効果的な被災者支援のための体制づくりなどについて話合いを続けてまいります。
また、被災者の課題等を個別相談により把握し、被災者の自立や生活再建が進むようマネジメントする災害ケースマネジメントにつきましては、国の手引書では主な実施主体は市町村とされておりますが、取組の認知度は全国と同様にまだ高まっていない状況でございます。
その一方で、今回の地震で多くの住家被害、また特に液状化による深刻な被害などを経験しまして、各市町村では、被災者一人一人に寄り添い支援することの重要性や必要性の認識がこれまで以上に高まったと考えております。
こうした機運をまずは第一歩としまして、今後、市町村において災害ケースマネジメントがどうしたら導入が進むのか、また定着するのかなどにつきまして、市町村とよく話し合ってまいります。
次に、避難所における入浴支援についての御質問にお答えします。
災害により断水が発生した場合、発生直後は飲料水等の確保が必要となりますが、時間の経過とともにフェーズが変わりますと、入浴等のニーズが高まってまいります。入浴には衛生面の保持だけでなく、被災された方の精神面の不安を和らげる効果や、入浴で清潔になることで社会参加への意欲を高める効果も期待できると言われております。
また、過去の大規模災害時には、福祉施設やホテル、旅館のお風呂の開放や、自衛隊等による仮設風呂の設置のほか、議員からも御紹介ありましたが、介護・福祉サービスで使用している移動入浴車の避難所への訪問など、入浴支援の事例が報告されております。
今回の地震では、氷見市内で大規模な断水が発生し、多くの住民が自宅や避難所で入浴することが困難な状況が長く続きました。氷見市では、市内の温泉施設による避難生活者への入浴料無料サービスや、福祉施設のお風呂を地域住民に開放されるなどの支援が行われたというふうに聞いております。
避難所における入浴支援は、避難生活の質を向上する上で重要でありまして、特に、今回を上回る災害が発生した場合には大きな課題になるものと考えております。県としては、新年度設置する「ワンチームとやま」連携推進本部会議のワーキンググループの中で、避難所の運営を行います市町村とともに、災害時でも機動的に入浴支援に対応できるよう、災害に備えた関係団体等との協力関係づくりについて検討してまいりたいと考えております。
次に、「耳で聴く
ハザードマップ」の評価と普及についての御質問にお答えします。
災害時に被害を最小化するためには、迅速かつ正確に気象や避難の情報を伝えることが重要であり、特に障害者の方にどのようにして伝えるかということは大きな課題と認識しております。
今度の件では、議員からいただいた御提案を踏まえまして、新年度、防災情報を音声で伝える「耳で聴く
ハザードマップ」事業を導入する予算を今議会に提案しております。
この事業は、県がアプリの使用契約を結ぶことにより、スマートフォンにアプリを導入した利用者が、
ハザードマップや気象警報、土砂災害危険度、最寄りの指定緊急避難場所などの災害に関する情報を音声で読み上げるサービスを、富山県内であれば利用者が無料で利用できるものとなるものでございます。
また、このアプリは、視覚障害者の方はもちろん、県民及び県内滞在者は誰でも利用可能であり、災害情報を正確かつ迅速に届けるための有効なツールの一つと考えております。
アプリの正式版のリリースは来月1日と聞いており、県ではリリース後速やかに契約を行い、県民に対して県公式XやLINE、ホームページ等を利用して、また市町村や障害者団体とも連携して、広く周知を図り普及に努めたいと考えております。
なお、議員から御紹介のありました英語や中国語等に対応しました多言語化オプションにつきましては、県としては、まず事業導入後のアプリの普及状況や、また利用者の意見なども参考にしながら、オプションの追加をするかどうか検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
75 ◯副議長(奥野詠子)市井土木部長。
〔市井昌彦土木部長登壇〕
76 ◯土木部長(市井昌彦)私にいただきました2問のうち、初めに災害時の応急仮設住宅についての御質問にお答えします。
県では、これまでプレハブ建築協会、全国木造建設事業協会、日本ムービングハウス協会の3団体と災害協定を順次締結し、応急仮設住宅の建設が必要な大規模災害時に、それぞれ県の要請に応じて供給いただけるよう体制を整えております。
まず、プレハブ建築協会が供給するプレハブ仮設住宅は、軽量鉄骨構造等のユニットを工場で製作するものでございます。設置に必要な工期は約3週間で、大規模災害での供給実績が最も多うございます。
次に、全国木造建設事業協会が供給する在来木造の仮設住宅は、本県の住宅に精通した県内の工務店、職人が、在来工法により木造仮設住宅を建設するものです。工期は1か月となっております。
議員御紹介いただきました日本ムービングハウス協会等が供給する移動型木造住宅は、内外装、設備を工場で仕上げたコンテナ型のものでございます。設置に必要な工期は最も短期間の2週間で、平時にはホテル、店舗などの別用途の施設として導入し、発災後に転用する社会的備蓄とされる場合もございます。
石川県の被災地で導入された移動型木造住宅も含め、こうした仮設住宅にはそれぞれのよさがございます。大規模災害時など、仮に県内で設置する必要がある場合には、被害状況、必要戸数、建設場所など、被災した市町村や住民の意向等も踏まえ、そのケースにふさわしい協定先に建設を依頼するものと考えております。
県といたしましては、本県における応急仮設住宅設置の在り方を検討するため、先進自治体や3団体の状況について、どのようなケースでどのような仮設住宅が導入されているか、調査を行ってまいります。
次に、公共インフラについての御質問にお答えします。
県の公共土木施設で、今回の地震により被災した施設112か所のうち、古い設計基準で老朽化による劣化が明らかと見られる被災箇所は確認されておらず、これまでの耐震化の取組は一定の効果があったものと考えているところです。
一方で、本県の公共インフラの多くが高度経済成長期以降に整備されており、老朽化の進展に伴い維持管理費用の増加が見込まれていることから、老朽化するインフラを効率的、効果的に維持管理していくことが行政にとって共通の課題となっております。
こうした中、昨年度国が行った新たな提案は、既存の行政区域にこだわらない広域的な視点で、道路、公園、下水道といった複数・多分野のインフラを群として捉え、さらに更新や集約、再編、新設も組み合わせ、効率的・効果的にマネジメントしようとするもので、導入できればインフラ機能・性能の維持に有効とされているものです。
この国の、いわゆる群マネと申すものを展開するため、国は昨年末、全国から計40の自治体が参画する11のモデル地域の選定を行ったところでございます。
選定された地域におきましては、国設置の検討会の有識者から助言を受けながら、国の支援も得て、計画決定に向け、現在検討が進められておるところです。
県といたしましては、本県公共インフラの効率的、効果的な維持管理を実現するため、このマネジメントに関する国やモデル地域の取組を注視してまいります。
以上です。
77 ◯副議長(奥野詠子)
竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
78 ◯地方創生局長(竹内延和)私からは2問お答えさせていただきます。
先に、二地域居住の促進に係る御質問にお答えをいたします。
国土交通省が令和4年度に全国の18歳以上の男女を対象に実施しました二地域居住に関するアンケート調査によりますと、約3割の方が二地域居住に関心があると回答しておられまして、特にコロナ禍以降、二地域居住への関心が高まっているものというふうに考えております。
県ではこれまで、二地域居住も移住の一つの形というふうに捉えまして、移住、二地域居住の区別なく、これを促進することに努めてまいりました。具体的には、移住者の受入れに意欲的な地域をモデル地域として、これまで県内9つの地域を選定し、地域が取り組む移住者の受入れに向けた施設整備等の環境づくりを支援してまいりました。
また、市町村や県内企業と協働で行う東京での移住相談イベントの開催、そして相談窓口やイベント会場におけるVRを活用した魅力の発信、富山の交通事情や雪のある暮らし等をテーマにしたオンラインセミナーの開催などに取り組んでまいりました。
また、関係人口の創出や、二地域居住そして将来的な移住促進を図るため、県外企業の社員、個人事業主等が富山県内で行うワーケーションやテレワークへの助成も行ってきております。
議員御指摘のとおり、今般、二地域居住の促進を通じて地方への人の流れを創出・拡大するための、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案、こちらが閣議決定されまして、新年度には二地域居住の推進に取り組む自治体を支援するための制度が創設される動きがあるというふうに承知しております。
国のこうした動きも踏まえ、市町村とも連携し、今後とも移住、二地域居住のさらなる推進を図ってまいります。
次に、観光資源の磨き上げに係る御質問にお答えをいたします。
本県には、美しい自然や歴史と伝統、豊かな食など多彩な観光資源がございますが、さらなる訪日外国人観光客の誘致と消費拡大に向けて、観光資源の磨き上げによる魅力の向上や高付加価値な観光地域づくりを推進していく必要があるというふうに認識しております。本県及び県内市町村では、こうした観光地域づくりに当たって、これまでも国の支援事業を積極的に活用してきたところでございます。
例えばでございますけれども、観光庁の、地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業を活用し、観光事業者に対し、インバウンドの受入れ拡大や高付加価値化に向けた働きかけを行ってきております。
また、「富山で休もう。」ワンチーム会議におきまして、市町村に対し観光庁の補助事業の活用を促し、今年度はインバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業──こちらは議員御紹介のありました地域観光新発見事業の前身事業とされる事業でございますけれども、こちらの事業に県内で13件が採択を受け、祭りや食、歴史、文化などを生かした多彩なコンテンツ造成が行われております。
このほか、インバウンドの本格的な回復を目指す観光再始動事業も、県や市町村、民間事業者が活用するなど、様々な国の支援事業を活用してまいっております。
引き続き、御紹介いただきました地域観光新発見事業をはじめとして、国の支援事業について、市町村や観光事業者に広く制度の周知を図るとともに活用を促し、観光資源の磨き上げや高付加価値化に取り組んでまいります。
以上でございます。
79 ◯副議長(奥野詠子)中谷商工労働部長。
〔中谷 仁商工労働部長登壇〕
80 ◯商工労働部長(中谷 仁)私からは、中小企業省力化投資補助事業についてお答えをいたします。
人手不足や賃上げといった課題を抱える中小企業を支援するため、昨年11月、国のデフレ完全脱却のための総合経済対策において予算措置をされました中小企業省力化投資補助事業につきましては、人手不足解消に効果がある汎用製品をカタログに掲載して、容易に選択の上、導入できる制度であります。省力化設備等の導入ノウハウに乏しい中小企業で、生産性向上等に即効性のある効果が期待できるというふうに考えております。
県ではこれまでも、新世紀産業機構にデジタル化相談窓口を設置し、デジタル化に関する相談対応や、専門家を現場に派遣し、IoT、AI等の導入支援を行っております。
今後は、この補助金を含め、国のIT導入補助金や、県のトランスフォーメーション補助金、この補助金では専門家による自社課題の見える化も補助対象としておりますが、こういったものも活用しながら、企業の現場課題に即した投資が円滑に進むよう支援していきたいと考えております。
また、デジタル機器やロボット等の導入を推進するためには、売上拡大や経費節減につながった具体的な数値を用いた成功例を広く周知するということも大事だと思っています。企業における機運を高めることが必要だと思っています。
これらのため、県では、新年度予算案において、設備導入により高い効果を上げた企業の取組を紹介する優良事例動画での普及啓発、課題分析からデジタル技術の検討導入、導入後のフォローアップまでを一貫して伴走支援することなどを盛り込んでおります。
先ほど新田知事から答弁がありましたとおり、適切な価格転嫁の下、中小企業が付加価値や生産性の向上を図り、持続的な賃上げに取り組んでいただけるよう、関係機関と協力し支援してまいります。
以上でございます。
81 ◯副議長(奥野詠子)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
82 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、帯状疱疹ワクチンの接種についてお答えいたします。
現在、このワクチンは、予防接種法に基づく接種ではなく任意接種と位置づけられており、接種を希望される方の負担によって接種をされているところであります。県内独自に接種費用に対する助成を実施している自治体があるということも承知しております。
ワクチン接種に対する公費助成については、国が科学的知見に基づき、その安全性や有効性、費用対効果などを精査した上で、予防接種法に位置づけして実施することが基本であると考えております。
帯状疱疹ワクチンの定期接種化については、国の審議会において、期待される効果や導入年齢、費用対効果などの観点において検討が進められているところであり、引き続き、国の動向や県内の自治体の取組の状況について注視してまいります。
私からは以上です。
83 ◯副議長(奥野詠子)籠浦企業局長。
〔籠浦克幸企業局長登壇〕
84 ◯企業局長(籠浦克幸)私からは、バイナリー発電に関する質問にお答えします。
企業局が今年度行いましたバイナリー発電に関する委託調査におきましては、文献調査、それから現地調査を行いまして、事業の規模を検討した結果、魚津市内において可能性があるとの報告を受けたところです。
一般的に地熱発電では、発電に使った温水を地域に供給して二次利用することが可能です。例えば、議員から御紹介もありましたエビの養殖を観光資源として活用する例のほか、発電所そのものをエコツアーの見学ルートに組み込む例、さらには、観光以外の分野では、災害時の非常用電源に活用する例など、それぞれの地域で工夫を凝らして活用されています。
このような地域での取組を含めまして、地熱開発におきましては、導入時や開発段階だけでなく、運用開始後も地域の関係者との理解と協力が不可欠でございまして、地域としっかり連携して進めていくことが、事業化の実現、それから二次利用の可能性を広げることにつながると考えています。
こうしたことを踏まえまして、新年度は地熱資源がどの辺りにあるのかについて、魚津市一円の16か所程度でセンサーによる電磁探査を行い、地下に
熱水をためている可能性の高い場所を推定することとしています。
県としては、今後も地域の意向を十分に伺い、また事業の採算性などもしっかり見極めながら、バイナリー発電の実現可能性を追求してまいります。
以上です。
85 ◯副議長(奥野詠子)
田中交通政策局長。
〔田中達也交通政策局長登壇〕
86 ◯交通政策局長(田中達也)最後に私から、二次交通の確保についての御質問にお答えいたします。
富山県地域交通戦略では、全市町村に鉄道が通る本県の強みを生かし、幹となる鉄軌道や駅を中心に、駅に接続する他の交通サービスが木のように一つにつながるネットワークの実現を目指しております。こうしたネットワークの構築は、県民の日常の利用はもとより、観光客の利用も期待できると考えております。
国のデジタル行財政改革推進会議においては、交通分野では、タクシーの担い手の減少や高齢化が進行しているため、自治体等による自家用有償旅客運送の制度改善が進められております。
自家用有償旅客運送制度の活用については、県も支援を行いましたノッカルあさひまちが、地元のタクシー事業者の協力を得ながら地域住民が自ら運行の担い手となる移動サービスとして、全国のモデルとなっております。
こうした実績を踏まえ、新年度当初予算案では、地域の関係者の共創による持続可能な移動の足の確保を図るサービスの立ち上げの取組を支援することとしております。
地域交通戦略会議の下には、全市町村と交通事業者等で構成する交通ワンチーム部会を設置し、各市町村における取組事例の情報交換、意見交換を行っております。
今後も関係者と連携を図りながら、地域内の足の確保を支援してまいります。
87 ◯副議長(奥野詠子)以上で佐藤則寿議員の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後2時51分休憩
───────────────────
午後3時00分開議
88 ◯議長(山本 徹)休憩前に引き続き会議を開きます。
藤井大輔議員。
〔17番藤井大輔議員登壇〕
89 ◯17番(藤井大輔)本日最後の一般質問の機会をいただきました藤井大輔です。
私からも、能登半島地震で被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げるとともに、復興・復旧に御尽力いただいている関係各位の皆様に感謝を申し上げ、以下、地震に関連する質問を5問お伺いいたします。
今から165年前、1858年に起こった飛越地震──安政の大地震とも呼ばれますが、私の地元の富山市新庄地区は、その地震で大きな被害を被ったエリアであります。岐阜県境の跡津川断層を震源地とし、直下型地震で立山連峰の大鳶山、小鳶山が崩壊。その土砂が土石流となって常願寺川沿いを襲い、新庄から広田地域を土砂で埋め尽くしました。その土砂の一部がいまだ立山カルデラの中に堆積しており、富山平野を守るための砂防事業が国の直轄事業として今でも続けられているのは皆様御承知のとおりであります。
そんな富山市の新庄地域ですが、今回の地震でも液状化による被害が広範囲で起きております。今回の地震の被害は、どうしても全国を見ると石川県が報道され、富山県は注目されにくくなっており、同じように県内においても、県西部は報道されるんですが、富山市の新庄地域はほとんど注目されておりません。それでも、液状化により傾き半壊認定された自宅で、これからどうすればいいか分からないと不安な日々を送っている子育て世代の方が実際にいらっしゃいます。ぜひ、どの地域であろうとも、同じ被災者として同等の支援の手を差し伸べていただきたい、そのようにお願い申し上げます。
さて、県では、液状化対策として、住宅耐震化メニューに液状化復旧を追加する新しい支援を準備されております。財源が見えない中、液状化支援を考えていただいた新田知事及び担当部局の皆様には感謝申し上げます。
ただ一方、平成28年の熊本地震では、復興基金を活用した熊本県独自の被災宅地復旧支援事業を創設しています。本事業は、対象となる工事費から50万円を控除した金額の3分の2が支給され、上限額が633万3,000円となる手厚い支援であります。石川県でも今後、子育て世代に手厚い住宅再建利子助成事業の検討がなされていると聞いております。
富山県の被災者にも同等の支援を求めることはできないのでしょうか。復興基金の創設はできなくても、特別交付税の措置がなされるよう国に求めることはできないのでしょうか。液状化対策において実施主体となるのは市町村ですが、財源のめどが立たず、支援をしたくてもできないという状況が見られます。
ぜひ、新田知事を先頭に、県や市町村への特別交付税措置を国に働きかけようではありませんか。新田知事の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
ちなみに、先月2月19日には、自民党県連の政調メンバーで、渡海紀三朗政調会長へ要望に行ってまいりました。その際、「お金の問題で地方自治体の災害支援をためらうことがあってはならない」との発言があったこともお伝えいたします。共に頑張りましょう。
次に、県内で被災した中小企業の支援についてです。
県内の製薬会社や精密機械関連企業の工場が、液状化等により大きな被災を受けております。2月28日からは、富山県なりわい再建支援補助金の第1次募集が開始されましたが、上限額が3億円では足りないのではないでしょうか。被災が大きな事業者に対しては、石川県と同等の15億円まで上限額を引き上げる特例措置が必要と考えますが、中谷商工労働部長の御所見をお伺いします。
次に、富山市内でも、広田用水をはじめとした用水路や農地で液状化等の被害があり、「いや、本当の被害は水を流してみんと分からんちゃ」と地元の農家組合の方がおっしゃっております。
農地、農業用水路等については、国の災害復旧事業の対象となる40万円以上の被災については国庫補助金が大幅にかさ上げされ、受益者負担が軽減されます。しかし、40万円未満の被災の場合はどうなるのでしょうか。また、農業機械・施設等の再建や営農の再開に向けて被災された農業者をどのように支援されるのか、
津田農林水産部長にお伺いいたします。
次に、行政や民間企業との連携協定についてお尋ねします。
県では、行政や民間企業等と災害時応援協定を締結しております。その数は165あると光澤議員への答弁でもありましたが、今回の地震において、これらの協定に基づいた支援はどれだけの数があり、どのような支援内容があったのでしょうか。また、協定によっては県からの要請があって初めて動くスキームとなっているものも多く、「県からの要請がなかったので動けませんでした」という声もありました。今後の課題や対応方針と併せて、
武隈危機管理局長の御所見をお伺いします。
また、県は民間企業23社と包括連携協定も結んでおります。今回の地震において、協定の効果はどの程度あったのでしょうか。具体的にどのような支援があったのでしょうか。今後の課題や対応方針と併せて川津知事政策局長にお伺いし、第1の分割質問を終えたいと思います。
90 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
91 ◯知事(新田八朗)藤井大輔議員からの1問目にお答えします。
宅地の液状化についての御質問です。
熊本地震では、公共事業として市が取り組む液状化防止事業により、公共施設と宅地との一体的な液状化対策を講じられました。とともに、地盤の整地や住宅基礎の沈下・傾斜対策など、公共事業の対象とならない個別の宅地の復旧について、議員から御紹介いただきましたが、県独自の制度を設けて支援されたと聞いております。
本県では、能登半島地震による宅地液状化被害に対する支援策として、国の被災者生活再建支援制度では対象とならない半壊世帯を支援する県単独の制度を創設しました。──すみません、何度も言っておりますが……。また、傾斜した住宅補修に対しては、これまでの災害救助法の住宅の応急修理の活用に加えまして、液状化被害の大きさに鑑み、液状化などにより被災した住宅で実施する地盤改良などの基礎補強工事などが支援を得られるよう、住宅耐震改修のメニューを追加する準備を今進めています。
県としては、これらの制度をまず分かりやすく説明をして市町村と連携して周知を図り、被災者の方々に御活用いただけるように取り組みたいと考えています。
また、既に着手された工事への支援については、国や窓口となっている市町村と連携をしながら丁寧に対応していきます。まずはこうしたことに力を尽くしていくことが今やるべきことだというふうに考えております。
また、被災市から具体的な相談、要望、提案などもいただいております。このような中で、必要な支援はどのような支援なのかを把握をして、議員のおっしゃるように、特別交付税などの十分な財政的支援が得られるように、市町村、県議会とも連携して国に要望してまいりたいと考えます。
1問目、以上です。
92 ◯議長(山本 徹)中谷商工労働部長。
〔中谷 仁商工労働部長登壇〕
93 ◯商工労働部長(中谷 仁)私からは、なりわい再建支援補助金の上限額についてお答えをいたします。
このなりわい再建支援補助金につきましては、震災直後に国において緊急的な被害調査を実施されたものを基に制度設計されておりまして、過去の震災における措置をベースに、富山県での補助率は、中小・小規模事業者で4分の3、中堅企業で2分の1、補助上限は3億円というふうになっております。このため、施設設備等の被害額としては、中小・小規模事業者で4億円、中堅企業で6億円まで対応、カバーするという形になっております。
これまでの県内商工団体に協力をいただいている被害調査、それから個別企業、業界団体等へのヒアリング状況によりますと、現時点では多くの事業者についておおむねカバーできているのではないかと思われますが、液状化被害等に対しては、当面の応急措置で生産体制を維持し、本格的な復旧の程度などを含めて時間をかけて検討せざるを得ない事業者もおられるというふうに想定しております。
新田知事からは、1月24日に齋藤経済産業大臣に対して、今後、具体的に復旧が進められていく中で支援額が大きく不足することが明らかになった場合には、改めて支援を検討していただくよう申し入れているところでございます。
このなりわい再建支援補助金につきましては、被災事業者の皆さんに復旧に向けた見通しを早く持っていただく、そのために新田知事から国に対し速やかな実施を求めてきたところであります。先月28日に第1次募集を開始いたしました。
中小企業等の復旧・復興支援に当たりましては、個々の事業者の実情に即して実施する必要があると考えておりまして、国に対しても継続的な対応を求めているところであります。引き続き、被災事業者の復旧ニーズを聞き取りながら、必要な支援が行き届くよう取り組んでまいります。
以上でございます。
94 ◯議長(山本 徹)
津田農林水産部長。
〔津田康志農林水産部長登壇〕
95 ◯農林水産部長(津田康志)私からは、農業関係被災への支援についての御質問にお答えいたします。
県内の農地、農業用水路等の被害につきましては、2月26日時点で2,151か所、また農業機械や施設等の被害につきましては88件が報告されております。
農地や農業用水路の復旧につきましては、1月11日に激甚災害として指定され、国の災害復旧事業も国庫補助率のかさ上げ等により受益者負担も軽減されますが、1か所が40万円以上などの要件がございます。40万円未満の小規模災害につきましては、近接した複数か所を1か所とみなして対象とすることも可能でございますが、県単事業ではより多くの被災箇所を支援できますよう、その範囲を国事業の150メートル以内から300メートル以内に緩和しており、活用いただきたいというふうに考えております。
また、農業機械や施設の再建等への支援につきましては、国の支援交付金を活用し、被災農業者施設等支援事業として1億9,500万円を先月専決処分したところでございます。
本制度では、農業用ハウスや畜舎などの施設の再建・修繕や、農業用機械の再取得や修繕に対し、国の2分の1支援に県の支援を4分の1上乗せした4分の3を支援することとしており、なりわい再建支援補助金と同程度の措置としております。
このほか国の支援もございますので、県の支援事業と併せて農業者の方に周知してまいりたいと考えております。これらの制度を活用して、農業者の負担軽減を図りながら、一日も早い営農開始に向けて復旧作業を進めてまいります。
以上でございます。
96 ◯議長(山本 徹)
武隈危機管理局長。
〔
武隈俊彦危機管理局長登壇〕
97
◯危機管理局長(武隈俊彦)私からは、災害時応援協定についての御質問にお答えします。
今回の地震では、県内で417か所の避難所が開設され、多くの県民の方が避難されたところでございまして、このため、一部の避難所で飲料水や非常食が不足する事態が発生いたしました。
県では、県のリソースだけでは十分な対応が困難な場合に備えまして、国や自治体、民間団体等との災害時応援協定を締結しており、今回の地震ではこうした協定に基づく物的支援、人的支援を受けております。具体的には、避難所で配布する飲料水やパン、段ボールベッドの提供、仮設トイレの設置、災害廃棄物の処理、医療人材の派遣など幅広い支援をいただき、協定の重要性を改めて実感したところでございます。
今回、県からの応援要請の有無にかかわらず、各協定先から県に対して特段の意見は聞いておりませんが、県としては、被害状況に応じて、より適時適切に必要な支援が受けられるよう備えていくことが今後の課題と認識しております。
県としては、災害時の対応手順等をあらかじめ整理するとともに、定期的に協定先との意見交換や訓練等の機会を設け、日頃から顔の見える関係をつくることや、全庁的に応援要請や受援の状況を適宜把握できる仕組みづくりなどに取り組みまして、災害時応援協定が実効性あるものとなるよう努めてまいります。
以上でございます。
98 ◯議長(山本 徹)川津知事政策局長。
〔川津鉄三知事政策局長登壇〕
99 ◯知事政策局長(川津鉄三)私からは、包括連携協定企業からの支援についてお答えいたします。
県では、民間企業や団体と連携いたしまして課題解決に努めるため、23の企業等と包括連携協定を締結しております。今回の能登半島地震を受けまして、これらの包括提携23企業等、全てから御支援をいただいております。
その内容といたしましては、コンビニエンスストアですとか飲料メーカー、スーパーマーケット、保険会社などからの飲料水やパン等の支援物資の提供に加えまして、被災者向けの相談窓口の設置、災害ボランティア車両の高速道路の無料措置、そして義援金など多岐にわたっております。このように、包括連携協定企業などからの支援は幅広く、協定の重要性を改めて実感するとともに、大変感謝いたしておる次第であります。
一方で、包括連携の内容は多岐にわたるため、連携企業側からの提案を受けてから関係部局と具体の調整をしたこともありましたので、今ほど危機管理局長からもお答えされましたが、被害状況に応じてより適時適切に必要な支援が受けられるように、今後そういうふうに対応することが課題であるというふうに認識しております。
今回の経験を基に、今後、関係部局との連携をさらに深め、よりタイムリーに、より迅速に包括連携企業からの御支援が受けられるよう努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
100 ◯議長(山本 徹)藤井大輔議員。
〔17番藤井大輔議員登壇〕
101 ◯17番(藤井大輔)次に、人口減少社会への対応と関係人口の創出について6問お尋ねします。
先日、令和5年の出生数が6,000人を下回ったというショッキングなニュースが報道されました。我が会派の永森議員の代表質問において川津知事政策局長から、「2030年から人口減少がより激しくなる。これからの数年間が少子化を食い止めるラストチャンス」との答弁がありましたが、要因が曖昧なまま少子化対策をしても効果は少ないのではないでしょうか。人口減少、少子化対策を効果的に進めるためには、体系的な調査が必要と考えます。
例えば、富山大学の中村真由美教授は、県内高校生の地域定着・地域移動希望についての調査を実施されており、研究生によるデータ分析が行われていますが、実際に進学した後の追跡調査までは実施できておりません。若者の県外流出や県内還流、そういったことの要因が何なのか、10年以上追跡し続けるトラッキング調査を産官学連携で実施してはどうでしょうか。まずは、若者県政モニターを募集し、15歳から10年継続してもらうよう求めるなど、スモールスタートでもよいと思います。私はこの数年が若者の総合調査を本格的に導入するラストチャンスだと考えておりますが、横田副知事の御所見をお伺いします。
次に、自治体の
ブランディングについてお尋ねします。
12月の
ブランディング対策特別委員会でも提言いたしましたが、自治体の
ブランディングは他県との違いを訴える差別化戦略だけでは不十分で、県民、市町村、県内企業などを巻き込んで共感・共鳴を生んでいく、そういったことが重要だと思っております。
例えば、2011年の九州新幹線全線開通の際に熊本県が実施した、「くまもとサプライズ」キャンペーンがあります。熊本に来た人を驚かせようというコンセプトで、まさに県民を巻き込むための県民運動にまで発展する戦略が練られていました。
その一つの産物が、くまモンのキャラクターになります。くまモンの表情って、皆さん、どんな顔をしていたか覚えていますかね。あれ、びっくりしているんです。まさに「くまもとサプライズ」というコンセプトを体現しているわけです。
私は、「『寿司』と言えば、富山」ということ自体を否定しているわけではないんですが、県民運動にまで高めるためには、アドバイザー的立場の専門家だけでなく、実務的な職員を公募するなどの実行体制の強化が必要だと思います。パブリックリレーションズ、いわゆるPRや広報のプロを公募するなどの対応が必要と考えますが、新田知事の御所見をお伺いします。
次に、7月開業予定の関西圏情報発信拠点についてお尋ねします。
開業に合わせた関西圏からの誘客を高めるために、どんな施策を計画されているのでしょうか。
本年は、3月16日からの北陸新幹線の敦賀延伸、そして7月の関西圏の情報発信拠点の開業、その後は10月の北陸デスティネーションキャンペーンの実施まで、イベントがめじろ押しです。切れ目のないキャンペーンを行うことで、富山県への観光需要を最大限に高めることが重要だと考えます。
ちなみに、私、大学時代は大阪で過ごしていたんですけど、関西圏の人から言うと、北陸というのはカニなんです。それも福井と石川止まりで、富山までなかなか来てくれないという印象があります。
ぜひとも北陸割の延長や関西圏向けの新たなキャンペーンの導入などを検討すべきと考えますが、発信拠点の名称に込められた思いと併せて蔵堀副知事にお伺いいたします。
次に、富山県のスポーツ振興についてお尋ねします。
新年度予算案では、地域スポーツコミッションの設立に向けた調査研究事業を計上されております。大規模な大会や合宿を誘致することで関係人口の拡大に寄与することが期待されますが、一方、本県のスポーツ施設などの資源は、小さかったり老朽化していたりだとか、そういった問題があると聞いています。
そこで、地域スポーツコミッションを設立することで得られるメリットとは何でしょうか。また、現時点での富山県のスポーツ資源の活用における課題をどう認識されているのか、廣島
生活環境文化部長にお伺いします。
次に、県立高校のスポーツ強豪校の設備なんですが、これも老朽化とか整備不良があって、満足に部活動ができないという声があります。11月定例会の
予算特別委員会でも、私は富山北部高校のサッカーグラウンドとか石動高校の玄関横のトレーニング施設などを写真を掲示して改善を求めたんですけれども、その後の対応はどうなったのでしょうか、荻布教育長にお伺いいたします。
次に、新川こども施設についてです。
県として、ついにPFI-BTO方式を活用した初めての公共施設整備となります。御承知のとおり、PFIを採択すれば、民間事業者の提案により高いVFMが見込める一方、長期需要を含めた収入予測が難しいとされます。収入が計画を大幅に下回ってしまうと経営が悪化する事例もありまして、発注する公共側にもノウハウが求められると聞いております。
地震や物価高騰の懸念もされますけれども、9月の事業者選定、12月の事業契約に向けての進捗はどうでしょうか。事業者選定がくれぐれも不調にならないよう、要求水準書に込められた創意工夫も踏まえて
竹内地方創生局長にお尋ねいたします。
次に、県庁の組織風土改革についてお尋ねいたします。
先日、都市経営プロフェッショナルスクール北陸富山キャンパスというところで学んでいる県職員の1期生が、2年間のプログラムを卒業されました。まちづくりの「狂犬」と呼ばれている木下斉さんという方がいらっしゃるんですけども、その方の厳しい指導の下、実践的な官民連携事業に関する知識を学んだ県職員8人。この方々には県庁内のプロジェクトをがんがんと進めてほしいなと期待しております。しかし、他県の事例では、県庁の前例主義などの組織風土が壁となってしまって、そういう活躍ができないケースがあると聞きます。
少し話がそれるんですけども、私、今回当初予算の策定においてウェルビーイング指標を活用した施策設計図を導入されたということについてはとっても意欲的だと考えているんですけれども、施策設計図のようにバックキャスティング型で考える思考は、正直、県職員の方はかなり慣れていないのではないかというふうに推察しております。
そこで、都市経営プロフェッショナルスクールで得た知見を全庁的に広げていくためにも、どのような組織改革が必要と考えているのか、富山県職員人材育成・確保基本方針を策定した狙いと併せて南里経営管理部長にお伺いし、第2の分割質問を終わります。
102 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
103 ◯知事(新田八朗)藤井大輔議員からの2問目にお答えします。
「『寿司』と言えば、富山」についての御質問にお答えします。
すしによる
ブランディングを確立するためには、県民、市町村、民間事業者が目指す方向を共有し、共感や参画を得ながら官民一体となって取組を進めることが重要という御指摘、しっかりと受け止めております。このために、
ブランディングの狙いや意図を県民に幅広く知っていただくことを目的に、有識者によるトークセッションを開催する、また特設ウェブサイトやSNSによる発信に努めてまいりました。
新年度予算案には、県民家庭の日に合わせたすしに関するキャンペーンを計上しておりまして、多くの県民に富山のすしのおいしさ、あるいはその背景にある類いまれな富山湾の地質的な特色、またこれらで育まれる食文化の魅力を再認識いただき、さらにその魅力を自ら口コミやSNSで発信をいただく、そしてシビックプライドの醸成につなげていくためのプロジェクトに取り組むように準備を進めています。
こうした取組を県民運動として広げていくためには、御指摘のとおり、多様な価値観を有する県民や関係者の間でこのプロジェクトに参画する共通のメリットを見いだし共感いただくために、さらなる戦略の明確化が重要だと考えます。
このため、
ブランディング推進課の体制強化策として、
ブランディングやPRの専門知識を有する専門人材を常勤で配置する準備を進めておりまして、近く公募を行います。
今後も広く県民の皆さんを巻き込み、シビックプライドの醸成に努めながらすし
ブランディングを進め、本県の認知度向上により幸せ人口、すなわち関係人口1,000万の創出・拡大につなげてまいりたい、そんなような作戦でやっていきます。
2問目、以上です。
104 ◯議長(山本 徹)蔵堀副知事。
〔蔵堀祐一副知事登壇〕
105 ◯副知事(蔵堀祐一)私からは、関西圏情報発信拠点に関する御質問にお答えをいたします。
令和4年度に実施をいたしました関西圏在住者を対象としたウェブ調査によりますと、関西圏在住の方々の富山県への来訪意向、富山県へ行きたいという意向は、北陸3県の中で石川、福井より低いという状況でございました。特に若い世代ではその傾向が顕著になっております。このため、関西圏情報発信拠点は、富山県と関西圏とのつながりを維持拡大していくための重要な拠点であると考えております。
この拠点は大阪駅のすぐ横のビルに造るわけですけれども、名称を3県で協議をいたしまして、富山・石川・福井情報発信拠点「HOKURIKU+」(ほくりくぷらす)という名前に決定をしたところでございます。関西での3県の認知度を上げるため、正式名称には3県の名前を入れているところでもございます。また、ロゴマークにつきましては、立山などの北陸の山々と日本海を文字と背景にデザインして、北陸の一体感と、+(プラス)により3県が共同で新たな魅力を発信することによる相乗効果や高付加価値な旅のイメージを表現したものとしております。
今月16日には、敦賀開業に合わせまして大阪駅で開業イベントを実施することとしております。同日から北陸応援割も始まりますことから、実施状況も踏まえ、北陸応援割の延長についても国に要望してまいりたいと考えております。
さらに、開業いたしました7月からの広報PRですけれども、3県が連携して広報媒体を活用して開業を周知いたします。それから、開業の際には3県の知事がそろってオープニング式典や開業イベントを開催したいということを検討しております。その後、開業後ということになりますけれども、店舗内では、例えば3県が共通のテーマで販売や試食などのイベントですとかフェアを実施したり、富山県でも独自イベントを開催したいと思っております。その後、秋になりますと10月から北陸DCが始まりますので、このデスティネーションキャンペーンを積極的に大阪でも展開したいと思っています。その中では、やっぱり関西圏ではカニが非常に受けるということなので、富山の高志の紅ガニもしっかりPRしていきたいと思っております。
このように切れ目なくPRすることで、北陸へ、そして中でも富山県に多くの人に来ていただけるように、誘客にしっかり努めてまいります。
以上です。
106 ◯議長(山本 徹)横田副知事。
〔横田美香副知事登壇〕
107 ◯副知事(横田美香)私からは、若者の社会減についての御質問にお答えいたします。
少子化、人口減の原因の一つであります、女性を中心とした若者の社会減は大変深刻な課題でございます。これに対して、県としても対策を講じております。県内での女性活躍推進対策、そして富山の企業への就職を促す企業ナビとやまの運営、東京に就職した女性へのヒアリングなどのほか、今年度から県内中高生や県外に進学した大学生と県内企業の女性社員との交流会を開催し、大きく変化をしている若者の価値観やキャリアに対する意識の把握に努めました。
参加者からは、県内に様々な業種の企業があることを知らない、あるいはグローバルに活躍し成長できる企業や地域社会の課題などに貢献する企業で働きたい、大学生は先輩や親の意見を聞いて首都圏企業を志望するといった率直な意見を聞くことができました。
これを受けまして、新年度は交流会の企画段階から高校生にも参加していただきまして、若者目線で内容をつくり込みながら、生徒に県内での就職やキャリア形成について多様な選択肢があることに気づいていただくとともに、県内の企業が若者の価値観の変化に柔軟に対応し、選ばれる企業となるよう、環境整備に対する助成も拡充することとしております。そして、県内の状況、環境の変化を知ってもらうことが大事だと認識しております。
対策に当たっては、議員御提案のトラッキング調査について、その時代時代の若者の意識とその変化を継続的、定性的に捉えることも大変効果的な対策のために有効と考えます。ただ、個人のプライバシーに踏み込んだ長期の調査となりますことから、具体的な方法については、専門家などに意見も伺いながらよく研究してまいります。
以上です。
108 ◯議長(山本 徹)廣島
生活環境文化部長。
〔廣島伸一
生活環境文化部長登壇〕
109 ◯
生活環境文化部長(廣島伸一)スポーツコミッションに関する質問にお答えをいたします。
県では、スポーツ、経済、観光などの団体や、関係します市町村、企業と連携いたしまして、大規模なスポーツ大会やイベントの誘致、実業団や大学などのキャンプや合宿の誘致、また、これらの情報の収集や発信などに取り組みます地域スポーツコミッションの設立に向け、検討を進めたいと考えております。
コミッションの活動によりまして、本県にスポーツ大会や合宿が誘致できた場合、トップレベルでの大会や練習に触れる機会が増え、県民のスポーツへの関心が高まること、また、スポーツツーリズムによる来県者の増加がもたらす経済効果、議員が言及された関係人口の拡大などによりまして、地域の活性化が期待できるものと考えております。
現在、県内では、富山マラソン、湾岸サイクリングなど県主体のものですとか、ビーチボール大会など市町村主体の全国規模の大会が開催されております。また、大規模大会や実業団のトップスポーツチームの合宿に利用されている施設もございます。こうしたこれまでの取組に関連する資源がある一方で、一部施設の老朽化、また大会の開催などを担うマンパワーの確保ですとかノウハウのレベルアップ、そういった課題があると認識しております。
新年度におきましては、県内外での大会・合宿誘致の状況ですとかコミッション活動の先進事例を調査するほか、課題の解消に向けまして取組へ着手するなど、このコミッションの活動がより効果的なものとなるよう検討を進めてまいります。
以上です。
110 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
111 ◯教育長(荻布佳子)私からは、高校のスポーツ施設についての御質問にお答えいたします。
議員から御指摘のありました富山北部高校と石動高校の施設整備につきましては、学校から具体的な要望を聞くとともに、現地確認により課題を整理し、整備に向けて各学校と検討を進めているところでございます。
富山北部高校のグラウンド整備については人工芝生化の要望があったところですが、整備には大きな投資が必要なことやメンテナンスにも費用がかかるといったことなど課題が多いことから、他の表層材による整備を現在検討しているところでございます。
また、石動高校においては、トレーニングルームの必要規模や設置場所などを検討中でございますが、昨年の大雨被害や先般の地震により大きな被害を受けた箇所の修繕、復旧をまずは最優先に工事を進めているところでございます。
これまでも、グラウンドなどの部活動で利用する施設設備も含めまして、学校の施設整備においては、県立高校全体の公平性の観点も踏まえ、整備経過年数や劣化状況などを考慮して優先度の判断をしてきております。また、喫緊の課題となっている長寿命化改修などの老朽化対策や空調設備など、様々な施設整備にも努めているところでございます。
県教育委員会としては、安全・安心な教育環境の確保のため計画的な整備を進めるとともに、できる限り各学校の要望に沿った施設整備となるように努めてまいりたいと、このように考えております。
私からは以上です。
112 ◯議長(山本 徹)
竹内地方創生局長。
〔竹内延和地方創生局長登壇〕
113 ◯地方創生局長(竹内延和)新川こども施設に係る御質問にお答えをいたします。
新川こども施設につきましては、昨年11月27日に実施方針案及び要求水準書案を公表したところ、事業者から527件の質問や意見が寄せられ、これらの内容も踏まえて、2月2日に実施方針を策定、公表したところでございます。
また、施設の整備、運営に係る事業費につきましては、直近の物価の状況、こちらも踏まえて精査し、本議会において51億円余りの令和6年度当初予算案及び債務負担行為を提案させていただいておるところでございます。
本議会において議決をいただければ、速やかに総合評価一般競争入札の公告を行い、十分な提案検討期間を確保した上で9月頃に落札者を決定し、早ければ令和6年度11月議会において事業契約締結に関する議案を提出したいというふうに考えております。
御質問にありました要求水準書につきましては、子供の非認知能力、運動能力、創造性の育成やユニバーサルデザインの推進、地域貢献など、この施設が備えるべき性能を規定する一方、性能を達成するための仕様、すなわち施設の配置、構造、設置する遊具や実施するプログラムなどにつきましては、できる限り制約を設けず、民間の提案を引き出しやすい条件となるよう留意したものでございます。
加えまして、自由提案の附帯事業についても、本事業の目的の実現に資することを前提に幅広い提案を可能とするなど、民間の収益機会についても配慮したところでございます。
能登半島地震がこの事業に与える影響を正確に予測するということは困難でございますけれども、県としては、初めてのPFI-BTO方式による事業であることや、こどもまんなか共生社会の実現に資する事業であること、こちらを踏まえまして、予定どおり着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
114 ◯議長(山本 徹)南里経営管理部長。
〔南里明日香経営管理部長登壇〕
115 ◯経営管理部長(南里明日香)私からは、県庁の組織改革と富山県職員人材育成・確保基本方針についてお答えいたします。
少子高齢化や人口減少の進展、感染症や大規模災害などの社会情勢の変化を踏まえ、多様化、複雑化している行政課題に対応するため、職員が失敗を恐れずチャレンジできる環境の構築により、職員の持てる力を最大限発揮し、組織力を強化することが重要です。
私ども職員は、新田知事から、県民目線、現場主義、スピード重視を心がけるよう指示されてまいりました。これに基づき、組織の見直しやプロジェクトチームの設置・増設、官民連携人材や越境人材の育成、庁内複業制度の推進、DX・働き方改革の推進などを行ってきたところです。
とりわけ、ウェルビーイング指標の活用による予算編成ですが、全国初の挑戦で不慣れな点もありましたが、県民のウェルビーイングを起点に事業を立案、再検討することで、新たな気づきも多くあったと考えております。
また、御紹介の都市経営プロフェッショナルスクール、この後、受講修了者によるチームを結成し、県職員向け官民連携セミナーを開催するなど、知識やノウハウの庁内展開やチャレンジする職員を広げていくこととしております。
今般策定しました人材育成・確保基本方針においては、「チャレンジできる県庁」を組織像の一つとして掲げ、職員研修、人事評価の充実や、職員キャリア開発支援センターの設置などにより、職員の主体的なキャリア開発やチャレンジを応援し、やりがいを持って働ける職場づくり、組織改革を推進していきます。
また、職員が中心となって言語化しました職員行動指針による職員の意識改革も一体的に推進し、職員一人一人が自ら考えて始動する富山県の実現を狙いとして取り組んでまいります。
116 ◯議長(山本 徹)藤井大輔議員。
〔17番藤井大輔議員登壇〕
117 ◯17番(藤井大輔)分割質問の最後は、誰一人取り残さない教育と地域社会について4問お尋ねいたします。
まず、県立高校の再編についてです。
昨年の県内出生数が6,000人を切ったということは、15年後の中学卒業生が6,000人を切るであろうということを示しています。そんな厳しい少子化の未来が予測される中、県立高校再編の議論について、県民の皆さんの当事者意識とか危機意識はそこまで高まっていないのではないでしょうか。私はこれを非常に危険な状態だというふうに思っています。
我が会派が地域協議会にこだわるのは、地域の当事者意識、危機意識を引き出さずに教育委員会が決めたことを説明するというスキームでは、合意形成のプロセスが不十分ではないかと思うからです。地域との対話は、「説明し、意見を聞く」ではなく、「課題を共有し、協議をする」ということが大切ではないでしょうか。
ちょっと重要な話なので例え話をさせていただきたいんですけども、11月定例会の代表質問の答弁において新田知事から、高校と地域を分けて考えるとの発言がありました。高校と地域、これを仕事と家庭に当てはめてみるとどうでしょうか。仕事と家庭を分けて考えるとなると、仕事のことは私が熟考して決断したので、家庭には丁寧に説明して協力を得たいというふうになると思いますが、もっといい方法があります。それは仕事の課題を家庭に共有して、そのことも含めて一緒に協議して悩んで決断することで、さらなる家庭の理解、協力を得られるというプロセスだと思います。
ぜひ地域にも県立高校再編の課題を共有し、共に協議し決断する機会を提供していただきたいと思います。このままでは、もっと苦しい状況になったときに、地域から心が離れてしまうのではないかと懸念します。新田知事の御所見をお伺いします。
次に、地域に県立高校の課題を共有した場合の事例をお示ししたいと思います。
昨年、南砺市では、南砺平高等学校全国生徒募集準備会を設置しまして、同僚議員の安達議員が会長をされているということですが、地域として南砺平高校を存続させることで、文化の継承、そして今後の人材確保につながるとの方針が示されております。また、県外入学者の下宿先の募集も行い、令和7年度から県外学生受入れに向け準備が進んでいると聞いています。
地域のコミットメント力を引き出すことで、新たな県立高校の魅力化につながる好事例だと考えておりますが、教育委員会としてはどのように評価されているのでしょうか、荻布教育長にお尋ねいたします。
次に、県議会では、高校生向けの主権者教育の出前授業を令和3年から行っております。先月は富山国際大学付属高校の3年生約270名に授業を行い、投票行動の呼びかけをしてまいりました。このとき、実は私、とっても自分の価値観を揺さぶられる体験をしました。
皆さん、高校3年生の2月ですよ。入試の直前で主権者教育なんて受けている場合じゃないというふうに思いませんかね。実際は、国際大学付属の生徒さんのほとんどは推薦入学で、年内には進学先が決まっていたので、今回の主権者教育の受入れをしてもらったんです。私は自分の価値観が古いなというふうに反省をしました。さらに、最近は総合型選抜という形での入学が増えているそうです。この総合型選抜というのは私立大学に多いシステムで、大学のアドミッションポリシーに合致した生徒を面接や小論文で選考する方式なんですが、入試時期が早くて、夏休み明けには試験が始まり、早ければ年内に大学合格が決まるというシステムです。
一方、県立高校の進学校をヒアリングしたところ、国公立の志願者が多いため、基本的には2月の一般入試を前提とした学習指導がなされているという学校がほとんどでありました。総合型選抜入試を想定した指導は、あくまでも生徒が希望すればという程度で、積極的には行われていませんでした。
今後は県立高校でも総合型選抜を志望する生徒がどんどん増えていくと予測されます。次の高校再編では新たなニーズに対応した普通科コースや総合学科の設置検討が必要と考えますが、荻布教育長の御所見をお伺いします。
最後になります。
障害のある人への合理的配慮についてお尋ねいたします。
2021年に公布された改正障害者差別解消法により、本年4月1日、来月から、民間の事業者にも障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されますが、あんまり話題になっていません。
「合理的配慮の提供」とは、行政文章をそのまま読ませていただきます。「行政機関等と事業者が、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面で、障害者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に、その実施に伴う負担が過重でないときに、社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること」とのことです。
私、この説明ではよく分かりません。何となくしか分かりません。障害のある方への合理的配慮の提供義務について、県内企業への周知状況はどうなんでしょうか。
また、企業向け研修等の啓発が継続的に必要と考えますが、今後どう進めていくのか有賀厚生部長にお尋ねし、私の本会議質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
118 ◯議長(山本 徹)新田知事。
〔
新田八朗知事登壇〕
119 ◯知事(新田八朗)藤井大輔議員の3問目にお答えをします。
高校の再編についての質問です。
県立高校の再編につきましては、県立高校教育振興検討会議において、県立高校の目指す姿、学科やコースの見直し、様々なタイプの学校・学科などについて、生徒や保護者へのアンケート調査の結果も踏まえて、学識経験者、教育関係者、市町村、PTAなど、幅広い見識を持った方々による検討を進めております。
また、それとともに、先般は市町村長、市町村教育長との意見交換会も開催しましたし、これまでのところ、高岡と富山の2か所で県立高校教育振興フォーラムを開催し、地域の声をお伺いしながら丁寧に議論を進めているところです。
私としては、今年度末に取りまとめられる検討会議の提言を参考に、新年度の総合教育会議において、地域や産業界、保護者の代表の方々などに出席をいただき、多様な観点からの意見を伺いながら、県立高校の在り方に関する基本方針などについて丁寧に議論をまたさらに深めていきたいと考えております。
また、今後も地域の皆さんから丁寧に意見を伺う場があることは意義深いことだと考えます。地域の声を聞くに当たっては、地域にとっての高校という視点のみならず、今後少子化が急速に進む中で県全体の高校教育はどうあるべきかという課題を地域の皆さんと共に共有し、議員がおっしゃるように危機感もぜひ共有をさせていただき、そんな厳しい中で子供たちによりよい教育の場の選択肢が提供できるように、地域としてはどのようなことができるのかなどもしっかりと伺っていきたいと考えております。
地域協議会についてもコメントをいただきましたが、県教育委員会でもいろいろと調べてもらいました。その報告によりますと、例えば愛媛県では、県立学校振興計画を策定するために県立高校振興検討委員会──同じような名前ですけども──が設置されています。振興検討委員会では、地域の意見を聴取するため地域協議会を設置し検討経過を説明するとともに、そこで出た意見を振興検討委員会の資料として示しながら検討が進められたということです。
本県においてもこれまで、先ほども申し上げましたが、市町村長や市町村教育長との意見交換会、あるいは富山と高岡2か所で開いた県立高校教育振興フォーラムなどで様々な御意見をいただきました。そして、それを総合教育会議や県立高校教育振興検討会議で報告されるなどという流れで検討が進んでいるところです。新年度に予定しております総合教育会議では、地域や産業界、保護者の代表の方々に御出席いただき、幅広く、そして深く意見を伺ってまいりたいと考えております。
先般県教育委員会が富山市と高岡市で開催したフォーラムを、学区ごと、あるいは希望のある地域でも複数回開催し、いただいた意見をまた総合教育会議で報告してもらう予定にしております。こういった取組を重ねることによって、富山県教育の未来を考えるプロジェクトチームから御提案いただいた地域協議会の趣旨を一定程度実現できるのではないかというふうに考えています。
また、まちづくりと教育は別だという話ですが、私はまちづくりと教育というのはまさに別々のことだというふうに考えておりまして、教育はやっぱり子供中心に、こどもまんなかで考えることが大原則だと思い、これは譲れないところであります。誤解のないようにお願いしたいと思います。
また、私はもう40年以上仕事をしておりますが、仕事を家庭に持ち込んだ経験がないので、藤井議員の例示はちょっとぴんとこないというのが正直なところでございます。
いずれにしましても、高校生にとってどのような教育環境が望ましいかということ、こどもまんなかの視点、これだけはぶれないでいかなきゃならないというふうに考えております。その上で高校教育の充実に取り組んでいきたいと考えております。
3問目、以上です。
120 ◯議長(山本 徹)荻布教育長。
〔荻布佳子教育長登壇〕
121 ◯教育長(荻布佳子)私からは2問にお答えをいたします。
まずは、南砺平高校における地域での取組の評価についての御質問にお答えをいたします。
南砺平高校での県外生徒の受入れの実現に向けては、県外生徒の食事など日常生活の世話をする人材の確保や、宿泊施設などの体制づくりが必要でありまして、これらの解決には地域の御理解や協力が不可欠というふうに考えております。
こうしたことを受けて、南砺市におかれては、昨年11月に地域代表や学校関係者などで構成される南砺平高等学校全国生徒募集準備会を設置されまして、これまで3回にわたり県外生徒の受入れ体制などについて協議を重ねていただいております。
準備会においては、受入れ体制のほか、南砺平高校に期待することなどについても協議が行われまして、参加の委員の皆さんからは、「合掌集落や民謡を継承していくためにも高校の役割は大きい」ですとか、「観光を切り口に高校の魅力化を考えてはどうか」など、高校の魅力化に向けた積極的な意見が多く出されました。
また、先月20日に開催された第3回の準備会では、受入れの際、生徒の寮が休みとなる週末などの県外生徒の下宿先として地域の方から3件の応募があった旨、南砺市から御報告もされたところでありまして、受入れに向けた協議を着実に進めていただいていることをありがたく思っているところでございます。
他県の先進事例の成果からも聞かれておりますように、高校と地域が協働して魅力ある高校づくりに取り組み、県外から多様な生徒を受け入れるということは、地元生徒や地域住民の皆さんの双方によい影響があるのではないかというふうに考えております。南砺平高校での全国募集の実施については、準備会の状況なども踏まえまして、今後教育委員会において協議をしてまいりたいと考えております。
次に、総合型選抜に対応した高校の学科・コースの検討についての御質問にお答えをいたします。
総合型選抜は、書類審査と面接などを組み合わせ、志願者の能力、適性や目的意識などを総合的に評価、判定する入試方法でございます。志願者からの活動報告書などに加え、知識、技能、思考力などを評価するため、大学入学共通テストや独自のテストなども活用がされるものでございます。
予測困難な時代と言われる中、探究的な学びが重視をされていることから、探究学習を生かせる総合型選抜は増加をしておりまして、令和5年度は全国の国公私立大学入学者の14.8%がこの選抜を利用しているということでございます。
県立高校ではこれまでも、生徒が自ら発見した課題に対して情報収集をし、思考を巡らせて解決に導く探究型学習を重視してきておりまして、県教育委員会としても、令和5年度より探究型学習の活動費を増額もいたしまして、地域、大学、企業などとの連携を促進するコーディネーターの配置などによってこの取組を推進しています。昨年度からはとやま探究フォーラムを開催し、20校程度の代表校が参加して研究成果の発表や交流を行っているところでもございます。
また現在、県立高校教育振興検討会議において、学科・コースの見直しに関することについても議論が行われております。ここで取りまとめられる予定の基本的な方針の提言の素案においては、例えば今後の方向性として、普通系学科では、地域課題などをテーマとした探究活動に取り組むことや、データサイエンスやグローバル化に対応するため英会話力を高め探究活動に取り組む学科の新設、総合学科においても、課題探究型の学びの充実を目指すことなどが示されております。新年度は、総合教育会議において、こうした具体的な学科の見直しなどについて、さらに検討を進めていく予定としております。
今後とも、課題の発見、解決や社会的な価値の創造にも結びつく資質、能力の育成に向けて努めてまいりたいと思っております。
私からは以上です。
122 ◯議長(山本 徹)有賀厚生部長。
〔有賀玲子厚生部長登壇〕
123 ◯厚生部長(有賀玲子)私からは、改正障害者差別解消法での合理的配慮の提供の義務化に関連してお答えさせていただきます。
本県の、障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例では、法に先立って、平成28年4月の施行当初から、何人も──これは民間事業者も含めてですけれども、合理的配慮をしなければならないと規定し、全ての県民に合理的配慮を義務づけているところでございます。
このため県では、条例のパンフレットやチラシの配布、研修会の開催のほか、企業、学校等へ講師を派遣すること等により、合理的配慮の提供についての普及啓発に努めてきたところでございます。
また、県庁内に専任の相談員を配置し、障害のある方や御家族はもとより、民間事業者からも相談を受け、合理的配慮が円滑に行われるよう助言や調整を行っております。
法改正を機に民間事業者からの相談が増加すると考えられるため、県では引き続き適切に相談対応するとともに、新たに民間事業者向けに動画配信による研修会の実施や、民間事業所内での研修実施を促すために講師の派遣を呼びかける等、障害のある方への合理的配慮の取組がより一層推進するよう努めてまいります。
私からは以上です。
124 ◯議長(山本 徹)以上で藤井大輔議員の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
次にお諮りいたします。
議案調査のため、明3月6日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
125 ◯議長(山本 徹)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は3月7日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時04分散会
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