富山県議会 2023-10-31
令和5年こどもの未来対策特別委員会 開催日: 2023-10-31
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継続審査事件について
(1) 報告事項
山尾小中学校課長
・令和4年度
児童生徒の問題行動・不
登校等生徒指導
上の諸課題に関する調査結果の概要について
(2) 質疑・応答
佐藤委員
・2022年度の問題行動・不登校調査の結果と対応に
ついて
・子供の
事故対策等について
光澤委員
・
学校部活動について
寺口委員
・文科省の生徒指導上の諸課題に関する調査結果を
受けた県内の取組について
庄司委員
・
教育相談体制の充実について
大門委員
・学童保育について
種部委員
・ひとり親の支援について
井加田委員
・子供の人権教育の推進と教育環境の充実について
奥野委員
・いじめの
早期発見と不
登校児童生徒への支援につ
いて
・
児童虐待等対応職員の確保・育成について
火爪委員
・若い世代の低賃金の解消について
・
学校給食費の無償化について
・保育士の配置基準の見直しについて
山崎委員
・高校教育にかかる費用負担の軽減について
・学校における食育と食材の有機無農薬化の推進に
ついて
武田委員長 次に、報告事項に関する質疑及び本委員会の調査事項「
少子化対策をはじめ、こどもの貧困や児童虐待、
ひとり親家庭支援や
いじめ対策など、長期的な視点に立った
こども政策全般に関する調査について」の質問に入ります。
質疑・質問は説明員の分掌事務の範囲内で行うものといたしますので、よろしくお願いをいたします。
質疑・質問はありませんか。
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佐藤委員 私からは、今ほど報告がありました昨年度の国の問題行動・不登校調査について4点、そして子供の
事故対策等について3点伺わせていただきます。
問題行動・不登校調査によると、不登校の状態にある県内の子供の数は、コロナ禍前の令和元年度と比べますと、小学生が2倍、中学生が1.5倍、そして高校生がほぼ変わらないということでした。いじめの件数は小中高
特別支援学校合わせて、前の年度より424件増えております。いずれも過去10年間で最も多くなったとのことでございます。
こうした傾向は全国的にも同様でありまして、私は6月議会でも
文部科学省の
COCOLOプランについて取り上げ、その推進を求めました。不登校とされる小中学生が全国で30万人近くになるということですが、その中で、4割近い11万4,000人が、学校内で専門家らの相談や支援を受けていないとの報告がありました。
教員の多忙化も影響しているとの報道もありますけれども、支援や相談体制を整えることが重要と考えます。また、そこにたどり着くまでの情報を分かりやすく明示するなどの取組も必要と考えます。
そこで、はじめに、本県の現状と今後の具体的な取組について、
山尾小中学校課長に伺います。
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山尾小中学校課長 委員御指摘のとおり、
文部科学省の調査では、令和4年度の全国の不登校の小中学生の38.2%に当たる11万4,217人の
児童生徒が、
学校内外の機関等で相談・指導等を受けていない状況でございます。本県におきましてもその割合及び人数は増加傾向にありまして、
県教育委員会としては、このような状況を深刻に受け止めております。
学校におきましては、相談機関による支援を受けているか否かにかかわらず、保護者との連絡を密に取り合うことに加えまして、家庭訪問を行い、本人や保護者との面談を通して状況把握に努め、個々の状況に合わせた支援を行っているところでございます。
県教育委員会では
広域訪問指導員を配置しまして、
教育支援センターを定期的に訪問したり、要請に応じて家庭訪問を行うなど、一人一人の状況に応じた
アウトリーチによる支援体制を整えております。
また、今年度より
スクールカウンセラーの
スーパーバイザー3名を新たに配置しており、要請に応じまして、
スーパーバイザーによる
児童生徒や保護者の相談を学校外で行うことを可能にするなど、多様な学びの場における支援の充実に努めているところでございます。
県教育委員会としましては、不登校の
児童生徒が
学校内外の機関等で必要な相談・指導などを受けられますよう、民間団体とも連携し、
教育相談体制のさらなる充実に努めますとともに、
フリースクールを含めた
子供たちの支援先や居場所についての情報が、
学校内外の機関等で相談・指導を受けていない
子供たちに確実に届くための方法について検討してまいりたいと考えております。
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佐藤委員 教育委員会で十分対応されていることは存じております。
スーパーバイザーやさらなる支援の拡充、そしてそれらの効果が出るよう取組をお願いします。不登校の子供の数が増え続けておりますので、そういった対応をまた期待しております。
それでは次の質問です。
文部科学省では今春から、
児童生徒が所持する
デジタル端末を活用して、心身の不調をデータとして把握するなどの取組を推奨しております。不登校やいじめなどの
早期発見や支援を行う、いわゆる心の健康観察に関する県内の
活用状況等について、見解を山尾課長に伺います。
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山尾小中学校課長 委員御指摘のとおり、今春、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策として
文部科学省が示しました
COCOLOプランには、心の小さなSOSも見逃さず、
チーム学校で支援するといった方針の下、健康観察にICTを活用するなど、1人1台端末を活用し、心や体調の変化の
早期発見を推進するよう示されました。
また、今年7月には
文部科学省より、1人1台端末を活用した健康観察、
教育相談システムなどが紹介されまして、SOSの早期把握のために利用してもらうよう、全ての公立学校に伝えたところでございます。
県内の一部の
市町村教育委員会におきましては、1人1台端末を活用した心や体調の変化を把握するアプリ「心の健康観察」を導入しており、今後導入を予定している
市町村教育委員会もあると承知しております。具体的な活用方法としましては、
児童生徒が、心の状態を晴れ、曇り、雨、雷で表してタブレットに入力し、その結果を担任や管理職が確認することで、早期に
児童生徒の変化を把握することができるようになっております。
県教育委員会としましては、今後ともICTを活用するなど1人1台端末を活用し、心や体調の変化の
早期発見を推進するとともに、
スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカー等の配置の充実を図りまして、関係機関とも連携を密にしながら、
チーム学校として不
登校児童生徒の支援充実に努めてまいりたいと考えております。
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佐藤委員 学校では、子供の不調や遅刻など端緒に早めに気づいて対応することが重要だと言われております。
今ほど報告がありましたとおり、
スクールカウンセラーまた
ソーシャルワーカー等と連携して、
チーム学校でしっかりと対応していただきたいと思います。また、その際、人材の育成また組織の
拡充強化等も必要だと思いますので、併せてよろしくお願いいたします。
続いて、昨年11月に富山市の
女子中学生が自殺した問題についてですが、
第三者委員会による調査報告では、
学校組織全体での対応の不十分さや、いじめの定義に対する認識不足、丁寧な事実確認がされていなかったなどの指摘があったとの報道がありました。
いじめの対応につきましては、
学校組織全体で取り組むべき課題であると考えております。
そこで、いじめを認知するためには、教員がいじめの定義について十分に理解し、丁寧な事実確認が必要だと考えますが、県としての所見と今後の対応、いじめの防止に向けた取組について、
山尾小中学校課長に伺います。
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山尾小中学校課長 委員御指摘のとおり、いじめはどの学校でもどの子供でも起こり得るという認識の下、
学校組織全体での早期かつ適切な対応が必要であると考えております。
県教育委員会では、全教職員がいじめの定義を正しく理解し、いじめにつながるおそれのある些細なことでも積極的に認知し、いじめの
早期発見・早期対応・再発防止に努めるよう、
市町村教育長会議や
市町村教育委員会担当者会議、校長会、教員対象の研修会など、あらゆる機会を通しまして各学校に周知しているところでございます。
いじめ防止に向けた取組としましては、
県教育委員会では、
スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカーを配置し、
いじめ事案の早期の段階から学校と専門家が連携し、チームによる組織的な支援体制の構築を図っております。
今年度は、新たに子供からのSOSを受け止めるポイントなどを示しました事例集を作成し、全ての学校に配布しまして活用していただいているところでございます。
また、ネット上でのいじめも増加傾向にありまして、
ネットパトロール事業や
ネットトラブル防止等研修会を活用しながら、今後もより一層
コミュニケーションツールを使うときの判断力や
モラル向上を図っていくことが必要であると考えております。
県教育委員会では引き続き、学校が小さなトラブルと安易に捉えず、いじめとして積極的に認知し、早期対応・早期解決に向けて組織的かつ適切な対応を行うことができますよう、
校内相談支援体制の充実を支援してまいりたいと考えております。
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佐藤委員 私から言うまでもなく、現場の先生方が一番真剣に対応されていると思いますけれども、やはり本当に些細なところをいかにキャッチするか。不登校もいじめも当然それぞれ状況が違いますし、一人一人の状況にしっかりと寄り添って、先ほどありましたけれど
アウトリーチも含めて様々な環境を掌握しながら、いろいろな方々で連携しながら対応をお願いしたいと思います。
それでは続いての質問です。
一方で
子供たちの状況は様々でありまして、
フリースクールなどの
居場所づくりも急務であります。
そこで、
子供たちが安心して過ごせるよう、こうした居場所の開設に係る経済的な支援が必要と考えますが、県内の
居場所づくりの現状と市町村との連携を踏まえた今後の支援策について、
橋本こども未来課長に伺います。
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橋本こども未来課長 子供の
居場所づくりにつきましては、今年度新たに、学校以外の居場所で子供が学習支援や食事提供などを受けることができるよう、民間団体における居場所の開設や特色ある取組への支援を行うこととしており、県内の
フリースクールなどで構成する団体、富山県不登校を考えるネットワークの会員への案内や、
ホームページ等において周知を図ったところ、既に6団体からの申請がございました。
さらに、
こども食堂への
学習支援ボランティアの派遣や、運営の厳しい
こども食堂の活動維持のための助成のほか、先週10月25日には、その地域に暮らす住民そして
子供たちにとって最も身近な存在である市町村の首長の皆様や、関係の皆様を対象に、
こども食堂トップセミナーを開催し、
こども食堂への理解をより一層深めていただいたところでございます。
今後とも、子供の学習支援の場や
こども食堂など、地域の中に安心して過ごせる子供の
居場所づくりが促進されますよう、
教育委員会をはじめ市町村や民間団体の方々と連携した各施策に取り組んでまいりたいと考えております。
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佐藤委員 今年度は6団体が申請されているということでございますが、さらに拡充をしていただきたいと思います。
いずれにしましても、多様な学びの場を確保するということで、
フリースクールなどの整備といいますか、機能強化の後押しもしていただきたいと思います。
また、親御さんにとっては、交通費などの負担も大変大きいというのが実態でございまして、そういった負担の軽減策と、さらには学びの
多様化学校の早期設置にも私は期待をしておりますので、どうかよろしくお願いします。
引き続き、2項目の子供の
事故対策等について伺います。
政府は8月1日、昨年の全国の保育所や幼稚園などで起きた死亡・負傷を含む重大事故が2,461件だったと公表されました。昨年よりも114件も増加しており、対策が急務であります。また、こども園の送迎バスで置き去りにされた園児が亡くなるという痛ましい事故の教訓が生かされず、事故が再び起きたことから、国においては今年3月、重大事故の一歩手前のヒヤリハットをまとめた事例集を作成しておりますが、こうした事例集の積極的な活用が必要と考えます。
まず取組状況を
池田子育て支援課長に伺います。
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池田子育て支援課長 県では、これまで国から発出されました一連の事故防止についての通知や
ガイドライン等について、速やかに市町村を通して各施設に周知し、注意喚起を図っております。
また、昨年度の
送迎用バスの事案を受けまして、今年3月に
安全管理研修会を実施いたしまして、バスでの対策だけでなく、日常の保育現場での危機管理についても講義内容に盛り込み、現場の方々への注意喚起に努めたところでございます。
さらに、昨年度より、県が指導・監督を行う施設に対し、登園時の出欠把握の状況、場面の切替わりにおける人数確認や職員間の情報共有の方法について聞き取りするなど、基本的な安全管理についての指導を強化しております。
また、
児童福祉法などの改正により、今年4月から保育所に義務づけられました安全計画の策定状況についても確認しているところでございます。
委員御紹介の事例集につきましては、保育現場での研修に用いることを想定し、送迎バスや園外保育など、日常の
保育場面ごとに分かりやすく掲載されております。今後は指導がより効果的になるよう、事例集の活用を勧めるなどし、
保育施設等での事故の予防に努めてまいりたいと考えております。
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佐藤委員 事例集については、今ほど紹介がありました
送迎バス等に限らず、園外保育だとか園内における室外での保育、また園内の室内での保育という4つの場面に即して、置き去りや見失いがないよう、詳細に記載されていると認識しております。
いずれにしても、富山県独自の安全計画の策定といった話もございましたので、今後も積極的な取組をお願いしたいと思います。
次に移ります。
こども園の送迎バスの安全装置の設置については、今年4月から義務づけられましたけれども、県内の現状と今後の取組について、
池田子育て支援課長に伺います。
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池田子育て支援課長 令和5年4月の
児童福祉法等の改正により、
送迎用バスの安全装置の装備が義務づけられ、令和6年3月末までの1年間の経過措置が設けられましたが、国は本年6月末までの装備を推奨したため、県においても、先ほども申し上げました3月に実施した
安全管理研修会などを通して、6月末までの装備を呼びかけてきております。
7月に国が公表しました6月末時点の装備状況の結果によると、富山県の装備率は44.5%で、これは全国平均の55.1%より低くなっております。この数値は、幼稚園、保育所、
認定こども園、
障害福祉施設、
特別支援学校の総計でございまして、
当課所管分の内訳としては、
認定こども園が58.4%と
全国値の67.4%より低く、保育所が75.0%と、
全国値の67.3%より高くなっております。
このため、県では装備促進を促す通知について、各施設や市町村に対して改めて周知徹底を図るとともに、施設監査において、
送迎用バスがある施設については装備の有無を確認しているところでございます。
今後ですが、11月に再度、国において装備状況の調査が実施される予定でございます。その結果も踏まえながら、引き続き全てのバスにおいて早期に装備が完了するよう働きかけてまいりたいと考えております。
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佐藤委員 全国平均にしてもまだ半分くらいということですので、経過措置として来年の3月末までありますが、これから100%に向けてしっかりと後押しをしていただきたいと思います。
いずれにしても、先ほどありました基本が大事だと思いますので、
一つ一つ事故のないように、またよろしくお願いいたします。
最後の質問に移らせていただきますけれども、子供の性被害に関して伺います。
先般、
児童ポルノ事犯の摘発が県内で増えており、昨年は過去最高となったとの報道がありました。
そこで、
サイバーパトロールや学校等の関係機関との情報共有を含め、今後の対応策について、
高島生活安全部長に伺います。
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高島生活安全部長 県内の
児童ポルノ事犯の検挙状況は、昨年検挙人員が8人、検挙件数が28件であり、委員御指摘のとおり過去最高であったところでございます。
また、本年9月末現在では、検挙人員11人、検挙件数は24件と、検挙人員については既に昨年を上回っている状況にあります。また、このような犯罪の背景にはSNSが介在しており、SNSに起因する犯罪の被害に遭った少年についても、平成26年以降、毎年10人から20人程度が確認されており、
インターネットやSNSを介した犯罪による少年の被害は、深刻な状況にあります。
近年の事例といたしましては、少年がSNSにより興味本位で裸の写真を送信し合ったり、10代の女性がSNSで知り合った男から、会わないと裸の写真をばらまくぞと脅されたりと、少年の間で
児童ポルノ画像が出回ったりするなどの事案が発生している状況にございます。
こうした被害を未然に防止するため、県警察ではX、旧ツイッターでございますが、X上におきまして
サイバーパトロールにより児童の性被害に係る不適切な書き込みを行う児童や誘引者に対し、注意喚起、警告活動を行ったり、
少年相談等を通じて被害児童の
早期発見や保護、児童の福祉を害する犯罪の取締りに努めております。
また、
教育委員会や
PTA連合会などと連携しながら、従来の
ネットトラブル防止教室に加え、本年10月からは、裸の画像送信、パパ活、大麻の購入や闇バイトについても、事例を交えながらSNSの危険性を訴える
SNS危険防止研修会の開催を推し進めているところでございます。
県警察としては、引き続きこれらの
サイバーパトロールや取締り、
学校等関係機関と連携した取組を強力に推進し、
インターネットやSNSを介した犯罪による少年の被害の防止に取り組んでまいりたいと考えております。
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佐藤委員 今ほど報告がありましたとおり、SNSをきっかけとした被害が相次いでおります。ネットに拡散した映像は一生消えません。また、被害に遭った子供の苦しみもずっと続くということになります。
卑劣な事件に巻き込まれることがないよう、警察をはじめ家庭等もそうですけれども、
教育関係機関における対策の徹底がしっかりと広がることを期待して、私の質問を終わります。
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光澤委員 それでは早速ですが、私からは部活動について3点質問させていただきます。
学習指導要領において、
学校教育の一環と位置づけられている
学校部活動は、
子供たちの健やかな成長に大きく寄与するとともに、
スポーツ等の技術の向上はもとより、
自己肯定感、責任感、連帯感の涵養、
コミュニケーション能力の向上など
教育的意義が大きく、
子供たちの将来にとって大きな影響を与えるものであると感じております。
少子化が進む中で、学校の統廃合や部活動の地域移行に伴う部活動の集約化が進んでいると認識をしております。その中で、練習場所が遠くなることによる送迎時間の増大はもとより、本県においては共働きの夫婦が多く、また近年では退職年齢の引き上げなどにより、送迎自体が負担となっていたり、送迎できないために好きな部活動を諦めたりする事例もあると伺っております。
子供たちの多様な活動機会を維持していく上で、送迎が保護者の負担となっているとの認識を持っておりますが、部活動ができる環境を今後どのように維持していくのか、
大島保健体育課長に所見を伺います。
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大島保健体育課長 近年、学校の部活動は、少子化の進行などに伴い
持続可能性の面で厳しさを増しておりまして、国は
部活動改革として、地域の実情に応じ、まずは休日の部活動を地域に移行することにより、
子供たちが継続してスポーツや文化芸術に触れられる環境を整備することとしております。
現在、
県内市町村では国の実証事業を活用し、学校や地域の実情を踏まえた休日の地域移行に向けた取組を進める中で、生徒にとって参加しやすい活動環境、場所ですとか時間、活動方法などでございますが、こうした環境や保護者の
受益者負担等を考慮した、持続可能な運営体制について検討を重ねております。
移行の取組におきましては、休日の活動を複数校の合同練習とした場合などに、
学校部活動と異なる会場への移動に公共交通機関の利用や保護者の送迎が必要となることもありますが、競技や会場ごとに異なる様々な環境下で、送迎面の配慮、例えばスクールバスを運行するなどの配慮を行うには、経費や管理の面で課題があると考えております。
県では、これまでも国への重要要望や全国都道府
県教育委員会連合会等の要望を通じまして、地域移行に係る各種費用負担への財政支援を要望してきておりまして、今後も様々な機会を捉えて国に働きかけたいと考えております。
また、今後も参考となる他県の事例を収集し、市町村に提供しますとともに、県で設置する関係団体や有識者等からなる地域部活動検討委員会におきましても、こうした課題について検討してまいりたいと考えております。
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光澤委員 今ほどあったように、部活動については、地域差というところ、例えば富山市と氷見市でも、公共交通の在り方や送迎の体制であったり、いろいろ地域的な特性もあると思いますので、そういったところも踏まえまして、保護者の負担をなるべくなくせるように今後とも検討していただければと思います。
次の質問に移ります。
部活動といえば、今ほどありましたけどスポーツ・文化芸術であります。ちょっとチームスポーツのことに特化してしまう質問ではあるのですけれども、人口減少が特に著しい地域においては、例えばチームを組むことができずに、希望するスポーツができない子供も存在しているのが現状であると思っております。
将来的に子供の数がさらに減少していくことは、現在の人口動態を見ても明らかでございまして、今後ますますそのような
子供たちが出てきたり、少人数のために競技自体ができない部活動も出てきたりするのではないかと懸念しております。
未来の
子供たちの選択肢を減らさないために、県としてどのように取り組んでいくのか、
大島保健体育課長に伺います。
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大島保健体育課長 少子化が進展する中、
学校部活動を従前と同様の体制で運営することは難しくなってきており、学校や地域によっては存続が厳しい状況にございます。
このため、
県内市町村では、地域移行に向けた国の実証事業等の取組におきまして、学校や地域の実情に応じて地域の活動を複数校の合同練習とするなど、学校単独ではチームとして活動できない場合も、休日は他校の生徒とチームを組み、練習できるようにしまして、生徒の競技選択の幅を広げるほか、専門的な指導による質の高い練習機会の提供に努めているところでございます。
県教育委員会といたしましては、これから進める地域も含め、
県内市町村において部活動の地域移行が円滑に進むよう、こうした取組の成果と課題を全市町村で共有するとともに、事業推進に係る助言や情報提供を行うほか、地域部活動検討委員会において運営上の各種課題の検討を行っていくこととしております。
また、地域移行によりまして学校の教育課程外の活動となる地域クラブ活動でございますが、これにつきましては、市町村は実証事業での検証を通して、持続可能な運営体制を整備していくことになります。
国は、昨年12月にこうした新たな地域クラブ活動の整備に向けた対応等についてのガイドラインを策定しており、
県教育委員会では、これを踏まえまして、市町村の意見も聞きながら県版ガイドラインを本年中に策定しまして、適切な運営や指導者の質の確保、大会の在り方等について、取組の参考となるよう市町村へ示したいと考えております。
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光澤委員 今、例えがありましたけど、他校と連携して一緒に活動する取組は、私の地元でも見られます。ただ、今までは活動場所が近くだったからすぐに行けたけど、合同で練習する場所は遠くなって送り迎えができないからもう続けられないといった声も聞こえてきたりします。そういったところなど、国のガイドラインや計画策定の中で、しっかり課題を見いだしながら取り組んでいただければと考えております。
最後の質問になります。
部活動をする上で、やはり指導者が必要でございます。県内においても部活動の指導者不足の声がある中で、部活動を維持していくためには指導者の確保、これが必要不可欠であります。
今年の6月の予算特別委員会における山崎委員からの質問でも取り上げられておりましたが、指導者の方が会社勤めなどをされている場合、早退のために時間休を取る必要があるなど、指導者を雇用している企業への負担も少なからず発生していることが推測されます。
本県においても、指導者を引き受けやすい環境づくりに向けて、部活動応援企業登録制度を設けるなどの取組をされていると承知しておりますが、今朝の新聞報道によりますと、今ほど申し上げた部活動応援企業の登録数は、26日時点で11社にとどまっており、伸び悩んでいる状況にあると認識をしております。
伸び悩みの原因として、企業の人手不足もその要因となっていると知事のコメントも紹介されておりましたが、本制度も含めて、もう一歩踏み込んだ取組が必要ではないかと考えます。例えばほかの分野を見てみると、育休においては男性の育休取得者の事業主に対する5万円の補助があったり、業務を代替する社員への応援手当に対する助成拡充の検討がなされたりと、企業に対する支援拡充の動きが加速化しております。
部活動においても、部活動指導のための休暇制度の設立や指導者を雇用している企業への支援等について検討すべきと考えますが、指導者不足に今後どのように取り組んでいくのか、
大島保健体育課長に伺います。
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大島保健体育課長 部活動の地域移行におきましては、指導者の確保が課題となっております。このため、
県教育委員会では、御紹介にもありましたように、昨年度創設した部活動応援企業登録制度におきまして、指導者の派遣等への協力だけでなく、社員が参加しやすいよう、
学校部活動や地域クラブ活動への参加を促す休暇制度の整備などに取り組む企業なども募集しているところでございます。
これまで応募のありました11企業の中には、社内の運動部が地域移行の受皿となって生徒の指導に当たり、運営に係る費用も負担されているという例がありました。今後、こうした具体的な取組の事例を広く紹介しまして、自分たちであればこういう取組ならできると手を挙げていただける企業が増えるよう、周知に努めてまいります。また、今後部活動等への貢献をたたえる企業表彰制度を設けまして、部活動等に協力しようという機運の醸成につなげたいと考えております。
併せて、引き続き、県スポーツ協会や芸術文化協会等と連携しまして、競技団体や吹奏楽連盟等に、部活動等の指導について協力を求めながら、得られた指導者の人材情報を
市町村教育委員会でも活用できるよう、今年度人材バンクのシステムを構築することとしております。
今後とも指導者人材の確保に向けまして、市町村や関係団体、企業等と連携して取り組んでまいります。
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光澤委員 今ほどありました人材バンクであるとか、そういったところを期待しておりますので、様子を見させていただきたいなと思っております。
また、今の制度でありますけれども、やはり待っているだけでは、なかなか企業さんから手を挙げにくいというところもあると思うので、県としても、しっかりと推進していく、部活動の環境もしっかりと維持していくというところでしっかり働きかけていただいて、そういった応援企業を増やせるように、私も活動させていただきますが、また一緒に頑張っていければと考えております。
私も保護者ですけども、やはり保護者の立場からすると、部活動というのは結構、子供の成長にとって重要だなと思っています。私もどっちかといったらスポーツで生きてきた人間で、部活のおかげで今こうして生活できているというところもございまして、子供にこういう部活をさせたいなとか考えています。
今いろいろと取り組まれているUターン政策とか、人の呼び込みなどを考える上でも、やはり部活動ができる環境というのは一つ大事なポイントになってくるのかなと思っていまして、持続可能な部活動というところで一緒に取り組んでいきたいと思いますので、また引き続きよろしくお願いいたします。
24 寺口委員 9月議会において、教育の課題ということで、不登校、いじめ、それから教員不足についてお話をさせていただいたのですけれども、10月になりまして、文科省のほうから令和4年度
児童生徒の問題行動・不
登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果ということで発表がありました。
今ほど山尾課長からも御説明をいただきましたが、今回は不登校のことについてもう少し掘り下げて伺いたいと思いましたので、2点質問をさせていただきます。
調査結果の概要について、文科省が取りまとめられましたが、不登校が小中学校で29万4,000人、今ほど
佐藤委員から質問もあったとおり、
学校内外で相談を受けていない
児童生徒は11万4,000人もいると。周囲の大人が
子供たちのSOSを受け止め、組織的対応を行い、外部の関係機関等とも積極的に連携して対応するなど、きめ細やかな対応が求められている、こういう状況です。
こういった状況で、政府においては
児童生徒が安心して学ぶことができる、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取組の緊急強化を図るため、10月17日に不登校・いじめ緊急対策パッケージを取りまとめられました。この資料を読んでみますと、緊急対策として、不登校の
児童生徒全ての学びの場の確保、心の小さなSOSの
早期発見、安心して学べる学校づくり等のため、今年の3月に取りまとめられた不登校対策である
COCOLOプラン、これを前倒しして実行して取組を進めてほしいと言っているわけであります。ここにおいて、今回国が取り組むこと及び地方公共団体に取り組んでほしいことという区別がなされたわけです。この内容について、今回伺わせていただきます。
この調査概要の中で3点、まず1つが校内
教育支援センターの設置促進、それから2つ目として、
学校内外で支援が受けられていない
児童生徒への
教育支援センターのICT環境整備、そして3つ目として、
アウトリーチ機能等の
教育支援センターの総合的拠点機能の強化ということを地方公共団体において取り組んでくれと言っているわけでありますが、県内における現状について、これはどのように今把握しておられるのか。それと、今後どのように設置促進と環境整備を進めていかれるのか、その計画について伺います。
25
山尾小中学校課長 まず、学びの場の確保に関しましては、本県では学校に行きづらかったり教室に入りづらかったりする
児童生徒の支援のため、ほとんどの学校で校内
教育支援センターに準ずる場所としまして、空き教室等を活用した相談室を設けております。
中学校には教育相談の専任教員であるカウンセリング指導員を35校に配置しており、相談室等に常駐しております。また、希望する11市町の小学校に、教室に入りにくい
児童生徒等の話し相手や悩み相談、家庭と学校との連携支援等を行う「子どもと親の相談員」を配置しております。
教育支援センターのICT環境整備に関しましては、
児童生徒が希望した場合は、学習専用端末を活用し、学校と連携しながらオンラインで授業を視聴することができたり、出席状況を共有することができる
教育支援センターがあると承知しております。また、
教育支援センターにも登校できなくなった
児童生徒に対して指導員が定期的に家庭訪問をするなど、
アウトリーチ機能の強化に努めている
教育支援センターもあると承知しております。
県教育委員会としましては引き続き、
スクールカウンセラー及び校内
教育支援センターの指導員と同様の学習支援や相談等に当たります「子どもと親の相談員」の配置拡充について、国に対して要望してまいりたいと考えております。
また、
教育支援センターの拠点機能の強化につきましては、今後、不
登校児童生徒支援協議会等で情報共有を図りまして、
市町村教育委員会と連携して進めてまいりたいと考えております。
26 寺口委員 今、
教育支援センターの拠点機能の強化ということを言われましたけれども、現状を見ていると、支援が必要な方の人数が増えているということもそのとおりなのですけれども、機能が少し追いついていない部分というのはどうしてもあると思います。コロナ禍になって支援が必要な子供の数が急激的に増えてきた状況の中で、まだ機能が追いついていない部分については、やはりしっかり追いつけるよう努力していただく必要があると思います。そこにおいては、やはりまだまだ保護者の方等とのコミュニケーションや話合いが足りていないように感じる部分がありますので、ここはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次にいきますけれども、心の小さなSOSの
早期発見のためとしまして、特に課題を抱える重点配置校への
スクールカウンセラー、
スクールソーシャルワーカーの配置充実をうたっております。
県教委では、その配置充実のために国に対して予算を要求すると、以前の私の質問に対してこのように答弁を頂いたと思っておりますが、文科省では地方公共団体にしっかりとその配置充実をするようにと、お互い言い合っているような状況です。この点どのようにして配置充実を果たしていかれるのか伺います。
27
山尾小中学校課長 子供たちの心の小さなSOSの
早期発見のため、学校では日頃から
児童生徒の表情や言動の変化を見逃さないために、目配りや気配りに努め、
スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカー等の専門家による面談や
アウトリーチなどを通しまして、不安や悩みを抱える
子供たちの教育相談の機会を持つなどして、チームで連携して、生徒指導上の様々な課題が長期化、深刻化することを防ぐ必要があると考えております。
文部科学省では、来年度概算要求におきまして、
スクールカウンセラーを全ての公立小中学校に週4時間配置、重点配置校には週8時間、さらにはより課題を抱える重点配置校に対して週2日8時間の配置時間の充実を目指しているところでございます。
本県におきましては、全ての公立学校に
スクールカウンセラーを配置しておりますが、令和5年度の週当たりの平均配置時間数は、小中学校で3.4時間となっております。
県教育委員会としましては、各学校の配置時間を増やすため、国に対して重要要望として
スクールカウンセラー等の配置拡充を要望してきているところでございます。
委員御指摘のとおり、特に課題を抱える重点配置校への増配置も含めまして、
スクールカウンセラーの配置拡充や
スクールソーシャルワーカーの効果的な活用に努めまして、生徒の心のケアなど、
チーム学校による早期支援を推進しまして、
教育相談体制の一層の充実を図り、学校現場の支援をしてまいりたいと考えております。
28 寺口委員 現状の平均配置時間数週3.4時間を、週4時間にできるように、しっかりと要望していただいて、ぜひ実現していただきたいと思います。
一方で、先ほど全国の数字で11万4,000人の方が相談を受けることができていないという状況がありましたが、富山県内で相談を受けることができていない
児童生徒数は、県教委のほうでは把握していらっしゃいますか。
29
山尾小中学校課長 人数につきましては、
文部科学省から、本県の状況は公表できないとなっておりまして、そこは御理解いただきたいと思います。
30 寺口委員 公表できないけど把握はしてらっしゃると、そういったことでしょうか。
31
山尾小中学校課長 本県も同様に増えてきているという状況ではあります。
32 寺口委員 把握することがまず大事だと思っております。私が聞いたところによりますと、と言いますか、
教育委員会さんから聞いたのですけれども、やはり相談を受けることができていない子供をすごく気にはしていらっしゃいました。
相談を受けることができた子供に関しては、相談を受けることによって不登校が解消される傾向が50%程度あったということですが、逆に、もし相談を受けなければ、そのまま不登校になってしまう。相談を受けることで、それが防げたということで、非常に効果が大きいと思っていますので、相談を受けることができていない
児童生徒への対応、要は
スクールカウンセラーさんなのか
スクールソーシャルワーカーさんなのかによって、措置が届くようにしていただきたいと思っておりますが、その辺の対応は今後考えていらっしゃいますでしょうか。
33
山尾小中学校課長 先ほど
佐藤委員にもお答えしたところでありますが、何も相談を受けていない
子供たちに
フリースクール等の情報が確実に届くように、県としても取り組んで、そういったきっかけを通しまして、少しでも社会に出る一歩にしていただければと考えております。
34 寺口委員 もう一つだけお願いします。
実は魚津市の不
登校児童生徒数を聞いたのですけれども、魚津市には令和4年度の不
登校児童生徒が113人いるということでありました。前年と比べて当然人数は増えているわけであります。
先日、コロナ禍が始まって以降、小学校5年生から学校に行っていないお子さんがおられる親御さんとお話ししました。その親御さんは、今中学2年生の男の子がおられるそうですが、子供が家で一日中ゲームをしていると。たまに適応指導教室や
教育支援センターに行っているそうですが、全然学校に行っていないし、オンラインで授業や相談もあるけれど、やはりゲームばかりしていると。ただ一方で、ゲームがすごく好きだそうで、他国の
子供たちとオンラインゲームをしていて、英語以外の言語を勉強したりして、すごくやる気を出しているみたいな話も伺いました。
その子って、実はその113人のうちに入っていないんですね。学校に行かず、適応指導教室に行っていると。要はその子たちも登校と認めましょうとしているがゆえに、魚津市では今113人の不
登校児童生徒がいると言いながら、実際に学校に行っていない方の人数はもう少し多いのです。
教育委員会で、そういった数字というのは把握していらっしゃいますでしょうか。要は、学校に行っていないが、ほかのところに行っている方の人数です。
35
山尾小中学校課長 先ほどもお答えしましたとおり、
フリースクール等を含む民間施設及び校内
教育支援センター等を利用している
子供たちの人数については、把握しております。
36 寺口委員 無理に学校に行く必要がないという文科省の言い方もすごく大事なことなのかなと思うんですけれども、私も子を持つ親として、学校に行かない方法といいますか、やはり学びの保障ということをしっかりと考える必要があるなと思っております。
様々な学びがあり、個別最適化を図らねばいけないのですけれども、40人の学級の中で何人かの生徒が指導や相談から漏れてしまって、何となく本人のやりたいこととは違う状況になっているということがないように、やはり親としっかりとお話していただく必要があると思います。
その親御さんはもうちょっと先生とお話ししたいとか、学びに関してもう少しフォローアップが欲しいという中で、なかなか学校に相談ができない、学校が把握してくれていないというような気持ち、意見を持っていらっしゃいましたので、少ない人数で現場は非常に大変だとは思うんですけれども、より一層相談体制のための人員を確保していただきたいと思います。
37 庄司委員 私からも、不登校のことについて御質問させていただきたいと思います。
佐藤委員、そして寺口委員からも御質問があったとおりでありますが、今日の朝刊に、富山市の不登校の方の数字が出ておりました。また低年齢化も進んでいるというようなこともありました。
昔の学校とどう違ってきているのかということを考えてみると、今、学校の働き方改革も進めておられますけども、やはり先生と生徒が向き合う時間が減っているのではないかなと思います。先生が子供と向き合う時間の確保は本当に非常に大事ではないかなと思っています。
また、低年齢化ということも意識してこれから取り組んでいかなければいけないなと思っています。国の話もありましたけど、今までは中学生を対象に、いろいろと
スクールカウンセラーの支援だとかされておりましたけども、コロナ禍以降、支援が必要な子はどんどん低年齢化しておるのではないかということで、これは現場の先生方はよく分かっておられると思いますけども、これをやはりクリアしていかないと、不登校の子供の人数は増える一方ではないかなと思っています。
そしてまた、不登校には、いじめなどいろいろな要因もあると思います。とにかく子供ファーストで、その子供の意見を聞くということがやはり一番大事ではないかなと感じています。
今ほど言ったように、先生が子供と向き合う時間が少なくなった中で重要になってくるのは、相談体制の充実ということになってくるのではないかと思っていまして、私のほうからは
教育相談体制の充実について、まずはお尋ねをしたいと思います。
先ほど山尾課長の答弁の中でも説明がありましたが、まず県の状況を聞きたいと思います。県では、小中学校に
スクールカウンセラー配置を行っておられます。先ほど答弁もありましたが、週の配置時間は4時間ということを国では推奨されていますけども、本県の現状について、
山尾小中学校課長にお伺いしたいと思います。
38
山尾小中学校課長 委員御紹介のとおり、
文部科学省の来年度概算要求におきましては、全ての公立小中学校に
スクールカウンセラーを週4時間配置することを標準としております。また、重点配置校には週8時間、さらにはより課題を抱える重点配置校に対しまして、週2日8時間の配置時間の充実を目指しているところでございます。
本県におきましては、全ての公立小中学校、義務教育学校も含めますが、
スクールカウンセラーを配置しております。令和5年度の週当たりの平均配置時間数は、小中学校で3.4時間となっております。
39 庄司委員 先ほどの御答弁と同じ内容だったと思いますが、3.4時間では、
スクールカウンセラーに相談できない方もたくさんおられるというような話もさっきありました。1人の相談だけで3.4時間はあっという間にたってしまうと思います。しかも1週間で3.4時間ですから、これが4時間になったところで問題が解決するのか。やはり大幅に拡充しないといけないと思います。根本的に支援をしていかないと、何の解決にもならないのではないかなと思っておりまして、相談時間を増やすだとか人数を増やすだとか、そういったことをやっていく必要があると考えますが、山尾課長に所見を伺いたいと思います。
40
山尾小中学校課長 委員御指摘のとおり、
スクールカウンセラーの相談体制を強化するためには、1校当たりの相談時間を増やすことが必要でありまして、
市町村教育委員会からも強く要望をいただいているところでございます。
このため、県では、国に対して重要要望として
スクールカウンセラー等の配置拡充を要望してきているところでございます。
県教育委員会としましては、今後も
スクールカウンセラーの配置拡充に努め、
教育相談体制の一層の充実を図りまして、学校現場を支援してまいりたいと考えております。
41 庄司委員 ぜひ時間の拡充を、カウンセラー自体の増員も含めてお願いしたいと思います。またカウンセラーさんにもいろいろなレベルの方がおられると思いますし、
スーパーバイザーの配置ということも今やっておられますけども、そういった支援の体制も必要だと思いますのでよろしくお願いします。
それと、相談の窓口となるのは教頭先生をはじめ管理職の方ですよね。そういった管理職の方が、今の状態だと
スクールカウンセラーに相談する必要があるなといったように割り振りをしておられると思いますが、管理職の方々への研修会など、相談の窓口となる方のレベルアップも必要だと思います。いろいろなことが絡み合っていると思いますので、ぜひ複合的に進めていっていただきたいと思っております。
最後ですが、冒頭に低年齢化ということを言いましたし、先ほどの答弁の中にもありましたが、小学校を対象として、「子どもと親の相談員」を配置しておられるということです。
スクールカウンセラーの配置時間数、これを増やすことももちろん重要ではありますが、小学校では
スクールカウンセラーだけでは対応できない問題も多々あると思います。そういったことをクリアするためにも、この「子どもと親の相談員」配置拡充を進めるべきだと思いますが、山尾課長に伺います。
42
山尾小中学校課長 希望する11市町の小学校に、児童の話し相手や悩み相談、家庭と学校との連携支援等を行う、「子どもと親の相談員」を配置しているところでございます。「子どもと親の相談員」を配置している学校からは、教室に入りにくい児童に声をかけたり、保護者面談を行ったりしていただいたことで、児童や保護者が持つ悩みや不安が軽減されたという御意見もいただいております。
しかしながら、年間35回の配置となっておりまして、学校のニーズとして配置時間の拡充が必要であるという要望も受けているところでございます。
文部科学省では、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策としまして
COCOLOプランを策定し、来年度の概算要求においても、校内
教育支援センターの設置促進やその学習指導員の増配置により、学校内において教室に入りづらい
子供たちの支援の必要性を示しております。
本県におきましても、今後
スクールカウンセラーの配置拡充に加えまして、校内
教育支援センター、学習指導員と同様の業務を行っております「子どもと親の相談員」の配置につきましても、国に対して拡充要望し、不
登校児童生徒支援等に向けまして、多様な学びの場の確保や
教育相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
43 庄司委員 とにかく子供とのコミュニケーションが大切だと思います。いろいろな相談体制があると思いますので、先生ではない外部の方でもいいですし、とにかく話を聞いてあげる体制が必要ではないかと思っています。
そしてまた、学校以外の受皿というものも必要だと思います。
悩んでいる子供、学校に行けない子供、話を聞いてほしい子供がおられます。いろいろな選択肢があると思いますので、ぜひそういった子の支援に向けて体制の整備を進めていっていただきたいと思っております。
44 大門委員 私のほうからは、学童保育についてお伺いをしていきたいと思っております。
学童保育ですけども、大変ニーズが高まってきているという印象があります。私が子供の頃は、学童保育はあまりなかったのかなと思っていまして、家におじいちゃんやおばあちゃんがいて、そのまま学校から帰ってくるというような形だったと思いますが、データを見てみますと、今は特に低学年の
子供たちの利用率が高く、小学1年生、2年生で大体3割、3年生になると2割の
子供たちが学童保育に入っているというような状況であります。やはり共働き家庭にとっては大きなセーフティーネットになっておりまして、非常に大切な場所だと思っております。
ただ最近、学童保育に入れない、という言葉をちらほら聞くようになってきました。3年生でもう入れないというところとかも出てきていますし、夏休みになりますとよりニーズが高まってきますが、定員があるので希望しても入れないということです。それで自分の子供を学童保育に入れることができず、仕事を辞めざるを得ないといった話も聞くわけであります。学童保育というものは非常に大切なものであり、ニーズが非常に高くなってきているのかなと思っております。
そこで、まず学童保育の状況ということで、近年の利用者の推移と学童保育に希望したけれども入れなかった方々の人数について、
池田子育て支援課長にお伺いしたいと思います。
45
池田子育て支援課長 国において、放課後児童クラブ数や利用登録している児童数、登録児童数と言いますが、などの状況を把握するための調査を毎年実施しております。この調査の結果によりますと、県内における放課後児童クラブの登録児童数は過去5年間では、令和元年度1万3542人、2年度1万3,134人、3年度1万2,782人、4年度1万3,187人、5年度は速報値でありますが、1万3,671人となっております。新型コロナの影響などもあり、令和3年度まで減少したものの、令和4年度以降は回復傾向にあります。
また、希望したが利用できなかった児童数、待機児童数でありますが、令和元年度97人、2年度114人、3年度73人、4年度115人、5年度は速報値ですが、105人となっております。
46 大門委員 コロナ禍の時期は、私も滑川市内の学童保育を全部回りましたけれども、密を避けるということで、定員を削減していたところもあり利用者が減っていたと。ただコロナ禍が明けて、また利用者が戻ってきたというような状況だと思います。
今の答弁で、学童保育に入れなかった
子供たちは大体100人前後ということですが、私の地域の学童保育では、希望しても利用できない子供が普通に二、三十人いるイメージでして、多分各市町村から上がってきている数字だとは思いますが、私の実感と若干ずれがあるなという印象です。恐らく学童保育に入れない子供はもっといるのかなと思います。
国の指針からしますと、6年生までできるだけ学童保育に入れましょうというような流れになっている中で、例えば、お兄ちゃんお姉ちゃんがいたら利用できませんとか、スペースの問題でこれ以上受入れができないとか、それぞれの学童保育運営の考え方や方法があると思います。
また支援員さん1人に対して何人までといった規制もありまして、子供を受け入れたいけれども支援員さんがいないので募集ができないとか、いろいろな課題があるかなと思っております。
それで支援員さんを増やしたくて、学童保育の先生になりませんかということをいろいろな地域の方々に言って回った時期があるのですけれども、なかなかやりたいと言われる方がいないんですね。人材確保ってすごく大変でして、3時から6時という限られた時間ではありますが、その時間は奥様にとっては晩御飯を作らなければいけないとか家事をしなければいけない大変重要な時間であるとともに、その賃金も非常に安いわけであります。最低賃金にプラスアルファした程度の賃金でして、やはりなり手不足が深刻だなと思っております。
支援員さんが増えることによって
子供たちが利用できる状況をつくれるのかなと思っておりますので、まずそういった方々の働き方改革や賃金改善に向けての取組についてお伺いしたいと思います。
47
池田子育て支援課長 県では、質の高い指導員の確保や定着のため、午後6時半を越えて開所し、家庭、学校等との連絡等に従事する職員を配置する場合の賃金改善や、支援員の勤続年数や研修実績などに応じた賃金改善を市町村とともに支援するなど、処遇改善を図ってきております。
さらに、令和4年2月より収入が3%、月額9,000円程度引き上げられることとなり、昨年10月以降は加算として恒常的な制度とされるなど、賃金の底上げも図られているところでございます。加えて、障害を持つ児童を受け入れる場合も、支援員等を配置する経費を上乗せして支援しております。
このような支援制度の積極的な利用を、市町村を通じて働きかけ、放課後児童クラブの充実を図ってまいりたいと考えております。
48 大門委員 今課長が言われたとおり、賃金は少しずつ上昇していますが、なかなか人材確保は厳しい状況にあるのかなと感じております。
答弁の中にもありましたが、発達障害の子供がその学童保育にいると、1人は付きっきりになってしまいまして、そうなるとなおさら人が必要になってくるし、残りの子の見守りといった課題もありまして、非常に難しい運営を強いられているというのが現状だと思っております。
市町村主体になってくる部分が多いかとは思いますが、県としてサポートできる部分など連携しながら、人材確保に向けて努めていただきたいなと思っております。
子供たちは本当に長い時間その学童保育にいるわけで、夏休みを含めると学校と変わらないといいますか、それくらい学童保育というのは
子供たちにとって影響のある場所だと思っております。ただ全国を見てみますと、富山県はそんなにありませんが、学童保育でも悲しい事件が発生しておりますので、支援員さんの資質向上は非常に大切だと思っております。
そこで、放課後児童支援員ですね、そういった資格がありますが、その資格を取っていただく方を増やす。そして資質向上も進めていかなければいけないと思っておりますが、資格者を増やすための取組についてお伺いしたいと思います。
49
池田子育て支援課長 支援員資格取得のための放課後児童支援員認定資格研修につきまして、県では平成27年度以降、該当者が全員受講できるよう、毎年富山・高岡2会場で開催し、受講者の利便性を図るとともに受講機会の確保に努めているところでございます。
また、認定資格研修には受講要件がございますが、放課後児童支援員の資格取得が比較的容易な教員免許や保育士資格の取得者や取得予定の学生に対し、放課後児童支援員について周知することも効果的と考えられます。このため、保育士養成校の学生を対象にした出前講座においては、支援員の仕事の魅力やその資格の取得方法についても講義しているところでございます。
また、支援員が資格取得後においても継続的に資質の向上を図ることができるよう、資質向上研修を県東部・西部の2会場で実施しております。この研修では、放課後児童クラブに入所する児童の多様化などを受け、研修テーマについては受講者のアンケートを参考にしながら、ニーズの高いものを選択しております。
このほか、保育士向けの研修や放課後子ども教室の指導員向けの研修に、放課後児童クラブの支援員や補助員が参加することも可能としており、各自の専門性を高めることにつなげているところでございます。引き続き、研修等の開催により人材確保や資質向上に努め、放課後児童クラブの充実を図ってまいりたいと考えております。
50 大門委員 力を合わせて支援員の確保と資質向上に向けて取り組んでいただきたいと思います。
51 種部委員 私からは子供の貧困に関しまして、特にその中でも貧困率の高いひとり親支援についてお伺いをいたします。
昨年度、県において、こどもの生活状況調査を実施していただきました。政策の基礎になる大変重要な調査だったと思っています。この調査の中で、ひとり親家庭の子供の2人に1人が、生活が苦しいと言っていました。そして中学生であれば、20%の5人に1人が食べるものに困ったことがあると回答しています。このように、ひとり親家庭の貧困、経済的困窮が明らかになりました。
ひとり親家庭というのは養育者であると同時に労働者なので、手続や各種情報入手については、できるだけ簡単にさっと手に入るほうがいいと思います。また、ひとり親になるプロセスの中で一番多い原因はDVだと思うのですけれど、子供も心が傷ついているという状況で、学校に通えていない、不登校の子が非常に多いわけです。そんな中、子供を置いて相談に行くというのは非常に大変であります。そこで情報を手に入れるために、県のほうで、ひとり親のポータルサイトを作っていただきました。このひとり親支援ナビは、情報が集約されていて非常にすばらしい取組だと私は評価しています。ここを見ますと、エッセンシャルなもの、例えば公営住宅の優先入居とか児童扶養手当とか、それから母子父子寡婦福祉貸付金とか、基本的なメニューもありますし、フードパントリーをやっている民間団体とか、ちょっとこれは必要かどうかよく分かりませんが児童館とか、あと
こども食堂もあまりニーズは高くないのですけど、こういったものを含めて、また市町村独自の支援も含めて80くらい支援のメニューが出ていました。それらが階層化されて分かりやすく書かれているので、すばらしいなと思いました。
しかし、これだけのメニューがあるのに、子供の2人に1人が生活は苦しいと言っているのが現状ということでありますので、どうして使えないのかなということで、私もよく聞こえてくる話をまとめましたが、その多くは、利用までの手続とか要件に課題があるためと考えています。
例えば離婚原因の多くはDVだと思いますけれども、実は逃げた直後にこそ一番生活の支援、公営住宅の入居とか生活基盤の確保というのが必要だと思いますが、令和4年度に国交省が通知を出すまでの間は、市町村とか民間団体のDV証明は認められていなかったんですね。また、今年7月までやっていた県のひとり親家庭応援1万円セットですかね、今は終了していますけれども、これは基本的には児童扶養手当の受給世帯などが主な対象だと理解しています。対象を見ますとDVから逃げた後、離婚成立前については、保護命令が発令された者のみが対象になっていました。保護命令というのは、これは相談した人の1%くらいしか出ません。離婚成立まで非常に長い時間かかりますが、この間こそ、非常に苦しい状況に追い込まれているわけでありまして、一番厳しい時期にお米とか食べ物とかがもらえず、大変苦しい状況の方が多くいるということがよく理解できます。
一例を挙げましたけれども、国や県また市町村独自の支援制度においても、要件の違いがあります。使い勝手がよいものもありますが、手続が非常に煩雑で、市町村の窓口に行っても、担当者が紹介するのにすごく時間がかかるものもあります。当然、その日の仕事がなくなると収入も減るという状況の中に追い込まれている方なわけでありまして、窓口に来て丸1日時間をとられるということは、そのまま生活に直結するため、そのことが窓口嫌いになっている要因かなと考えます。
このような中で、実際に母子父子寡婦福祉貸付金を見ますと、市町村によって利用率に差があったり、あるいは生活保護についても使いやすい市町村もあれば、使いにくいというか、利用割合が少ない市町村もあると思っています。
このような制度はたくさんあるのですけど、利用に結びつかない現状について、市町村の利用割合の違いと併せてどのように受け止めているのか、そして課題解決に向けてどう取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
52
橋本こども未来課長 昨年度のこどもの生活状況調査の結果を受け、県では、ひとり親家庭の現状をさらに詳しく把握するため、本年度のひとり親家庭等実態調査におきまして、支援制度の利用状況の項目数を、前回平成30年の調査時より増やすとともに、支援制度を利用するつもりがない理由も設問に追加し、調査しているところでございます。
また、ひとり親家庭に必要な支援が届くようにするため、委員に御紹介いただきました、本年1月に開設しました情報サイト「ひとり親支援ナビ」を活用しまして、ひとり親が利用可能な支援制度や相談窓口の分かりやすい発信や、オンラインでの申請受付を実施しております。
さらに、今年度は就業支援や子育て、生活支援など、分野別に制度を紹介するリーフレットを配布しておりますほか、子育て世帯になじみやすいSNSを活用した周知を行うこととしております。今後、ひとり親家庭等実態調査の結果やひとり親支援団体等の聞き取りなどを通して、ひとり親家庭のニーズを把握し、利用しやすい支援制度となりますよう取り組んでまいりたいと考えております。
53 種部委員 目詰まりがどこかということを詳しく調べていただけるということで調査の結果を期待したいと思います。
市町村によっては自立支援員を配置しているとは思うのですけれど、スキルやあるいはナビゲーションをしてくれる人がどこまで入り込んでくれるのか、それによって随分と違うような気がいたしますので、できれば全ての市町村で使いやすいようにしていただきたいと思います。
貧困については、お母さんが自立していけるということも当然大事なのですけれども、養育費というものを十分確保できていない家庭があるということが、国の調査で明らかになってきています。国の令和3年度調査の結果しか手に入らなかったのですが、ひとり親、特にシングルマザーの場合、年間の平均就労収入というのは130万円ほどだと思います。養育費が確保できないと子供の貧困に直結します。もともと養育費は親に課される扶養義務ですから、別居だろうが同居だろうが確保されるべきものと思いますけれど、両親に葛藤があった場合、なかなか確保できなかったり、養育費の取り決め自体が行われていないというのが現状だと思います。シングルマザーの団体が調査しているもので、今ちょうど国の法制審議会に出されているデータを見てきたのですけれど、親に葛藤がない協議離婚においても養育費の取り決めをしているものは58%程度で、取り決めしているにもかかわらず、実際に支払われていないものが40%くらい。それから高葛藤な場合で調停とか裁判に行きますと、養育費の取り決めをすることが多く、75%が取り決めをしていますけれども、支払われているものは半分に満たない状況ということだそうです。どんな状況であれ、半分以上はほとんど養育費を受け取っていないということになります。
この状況の中で、高葛藤事例の場合、やはりDVから逃げてきた人が多いわけでありますけれど、DVがあったと認めてもらえず保護命令が出されていない状態で、養育費の取り立てをすることは非常に危険で、個人でやれといっても無理な話だと思います。
現在、国で共同親権の導入が検討されていますが、共同親権と取り立てはまた別の問題です。何回か委員会でも質問しましたけれど、DVの場合には共同親権を認めてはいけないですし、面会交流も認めるべきではないのですけど、この安全装置が働くかどうかというのは、市町村あるいは都道府県でDVをしっかりと認めるかどうか。この家庭、その子供の親に葛藤があったかどうかということをしっかりと把握しないと、養育費をネタにといいますか、その後、葛藤がさらに高まって危険にさらされる可能性があるのではないかと思います。
これも何度か申し上げていましたけれども、離婚前から養育費の確保に向けて手続をするとか、あるいは取り決めをするための支援だとか、それから養育費の代理徴収が必要だと思います。実際、富山市さんは離婚前からの養育費確保に向けての支援ガイドを出しているものの、ほかではなかなかこういった支援に当たるものの情報は手に入らなかったと思います。
代理徴収を含めてどのように養育費の確保をしていくのか、
橋本こども未来課長にお伺いいたします。
54
橋本こども未来課長 養育費につきましては、父母間での話合いが難しく、確保できていない場合もあることから、県では母子家庭等就業・自立支援センターにおきまして、弁護士による養育費取得のための取り決めや支払いの履行、強制執行に関する法律相談を実施しております。
今年度は、さきに申し上げましたひとり親家庭等実態調査におきまして、養育費の受給状況や取り決めの状況、取り決めの方法及び文書ありの場合のその種類、取り決めをしていない場合の理由などを現在調査しているところでございます。
今後、国の家族法制の見直しについての議論も注視しながら、実態調査の結果や他県の状況も踏まえ、養育費確保に向けた取組の必要性について検討してまいりたいと考えております。
55 種部委員 法律ができても、実際運用するときになると、葛藤があるものはなかなか判断が難しい部分がありまして、裁判官がそこまでちゃんと判断してくれるとは、私には思えないです。子供を抱えて逃げてきた方には非常に厳しいと思うんですね。それを考えると、どうしても代理徴収とか強制執行というのは必要ではないかと思います。
支援センターで法律相談を実施されているということですが、実際に使われているのでしょうか。調査をしないと分からないとは思いますが、この法律相談の利用実績を教えてください。
56
橋本こども未来課長 弁護士による法律相談につきましては、年間20名程度の相談があると聞いております。
57 種部委員 様々な相談を含めてということですけども、20名ですから、本当はもっと利用していただきたい方がいるのではないかと思います。
今年の調査はとても期待しています。調査で実際に聞き取った中で、そのような支援をすることで養育費を確保できるものがあるのであれば、使いやすい方法を考えていただきたいと思います。また引き続きの取組をお願いいたします。
58
井加田委員 子供を取り巻く様々な環境について、先ほどからいろいろ御指摘をお聞きしておりますが、私のほうからは子供の人権教育の推進と教育環境の充実の観点から4問ほど通告させていただきました。
県では、
少子化対策や児童虐待、貧困問題、コロナ禍におけるひとり親家庭への支援などに取り組まれてきております。
はじめに、これまでも過去度々議会質問でも取り上げられております、富山県子どもの権利条例の必要性という観点から1問お伺いしたいと思います。
冒頭で説明いただきました学校の
児童生徒の問題行動の報告の中で、暴力行為の発生件数が、前年度比較で全ての校種で全国平均を上回って増加しているとか、いじめの認知件数や不登校が全国平均を下回っているものの、やはり全校種で増加をしているとあり、これが学校現場の現状の一つだと受止めをしております。問題行動の増加傾向、いじめや子供の自殺の件数の多さなどが過去に触れられている傾向もあることを踏まえると、本当に子供にとっては危機的な状況ではないかと、深刻に受け止めざるを得ないなと、このように私は認識をしております。
改めて、子供にとって何が生きづらい環境になっているのか。これはやはり学校現場も含めて社会全体で考えていくということが非常に重要ではないかと思っております。また、いじめや虐待は子供の人権侵害であるということを社会全体で共有化していくことが今求められているのではないかとも考えます。
平成21年に「とやまの未来をつくる子育て支援その他の
少子化対策の推進に関する条例」が制定されておりまして、その第27条、ちょっと長いですけど読みますと「県は、市町村等と連携し、生命の尊厳、子育ての意義、子育てにおいて家庭が果たす役割及び家庭生活における男女の協力の重要性について、子ども及び子どもを生み、育てる者の理解を深めるよう必要な教育及び啓発を行うものとする。」とあります。非常に重要なキーワードを含む中身のある条文だなと改めて読ませていただきました。
既にこうした条例の下で、様々な施策に取り組まれているわけですけれども、今の子供の生きづらさに寄り添うためには、先ほどからも質問で取り上げておられますけれども、子供の学ぶ権利や、虐待やいじめを受けない権利、それから子供の居場所やプライバシーが守られる権利、子供自身の意見を表明する権利など、子供の権利を明確化して、人権教育の推進に取り組むということが非常に大事であり、子供の未来を見据えた、いわゆる人権教育の基本ともなる富山県子どもの権利条例の制定を進めていくべきではないかと考えるところですが、担当課の喜多こども家庭室長の所見を現状の取組と併せてお伺いしたいと思います。
59 喜多こども家庭室長 子供の権利につきましては、県では児童の権利に関する条約の精神にのっとりまして、既に平成21年6月に定めた、今ほども紹介のありました富山県子育て支援・
少子化対策条例におきまして、「子育て支援・
少子化対策は、子どもの権利及び利益が最大限に尊重されること並びに子どもの成長に応じてその意見が適切に反映されることを旨として、推進されなければならない。」、また、「県は、子どもの権利及び利益の尊重に関する広報その他の啓発活動に努めるものとする。」と明記しております。
このため、当該条例の基本計画に基づきまして、児童虐待防止や子供の人権尊重について、広報啓発を実施するとともに、学校では人権教育の指導計画を策定いたしまして、各教科や特別活動など、教育活動全般を通して人権意識を高めるよう努めているほか、
教育委員会で作成の補助資料「人権教育推進のために」を学校や社会教育団体等に配布するなど、人権教育を推進する各種施策に取り組んでいるところでございます。
県としましては、今後とも子供が一人の人間として尊重され、子供の権利・利益が尊重されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
60
井加田委員 基本条例としては、全体を網羅した中身になっていまして、それに基づいて施策が進んでおりますが、昨今の子供を取り巻く環境を踏まえたならば、やはり改めて子供の権利を特出ししたような、宣言に近いような理念条例になりますかね、そういったものも検討が必要ではないかなと常日頃思っています。
過去の議会議事録を見てみますと、年に1回か2回そういった質問が見受けられます。今日は特別委員会ですので、こうしたことの必要性も、ほかの委員の皆さんの考えに入れていただけないか、検討いただけないかと提言したいという思いで取り上げました。
この条例があるからそれでいいのだということではなくて、現状を踏まえてさらに取組がうまく進むように、県も今後とも我々とやりとりしながら議論を深めていただきたいと申し上げておきたいと思います。
次ですが、教育現場に期待することは非常に多いんですね。教育環境の充実ということも非常に重要なポイントだと思います。基本的には教員の目が行き届く、そういった教師と生徒の関わりも一つありますし、先ほど庄司委員が取り上げられました
スクールカウンセラーの問題ですね。私も
スクールカウンセラーが常駐しているような学校の在り方が望ましいのではないかとは常日頃思っているわけですけど、実態はなかなかそういう状況にはなっていないですね。
またコロナ禍で特に顕著となっていますが虐待やDVの増加も深刻さを増している現状があります。
条例上うたわれています命の尊厳についての教育環境の充実という観点から、小中高におきまして、様々な発達段階に応じた命の大切さを教える授業やいわゆる暴力防止、デートDVなんかも課題になると思いますけども、そうした啓発講座などがあると思いますが、現状はどういう取組をされているのか。最低でも年1回以上は実施して、そういった教育を充実させていく、あるいはその観点を教えていくということは非常に大事なポイントだと思うのですけど、現状と今後の取組方向について
山尾小中学校課長に見解をお願いしたいと思います。
61
山尾小中学校課長 先ほど御報告させていただきましたが、
文部科学省の調査によりますと、暴力行為は増加傾向にあります。豊かな心の育成の重要性がますます大きくなっていると感じております。そのため、
県教育委員会では、
自己肯定感を身に付け、命を尊び、他者を思いやり、支え合う心、感動する心を持った豊かな人間性を育むなど、道徳教育、人権教育を含みます「いのちの教育」を核とした取組を進めているところでございます。
具体的には、小中学校におきましては、道徳科の中で生命の尊さについて取り扱うとともに、高校でも保健の授業を通しまして、生命を尊重し、明るく豊かな生活を営む態度を養っているところでございます。
また、助産師など「いのちの先生」の話を聞く「いのちの授業」、ライフプラン教育による赤ちゃんふれあい体験、社会に学ぶ14歳の挑戦、そして経済団体などから講師をお招きしての先人に学ぶ講演会などによりまして、社会性や規範意識、命の尊さ、在り方、生き方を学ぶ機会を設けまして、豊かな心の育成に努めているところでございます。
また、自分の身を守る観点から、県警察本部と連携をさせていただきまして、小学校低学年を対象に、性被害から自分を守ることを学ぶ「くもくん教室」や、SNSを介した犯罪や被害に巻き込まれる危険性等について理解する
SNS危険防止研修会を実施しているところでございます。
今後とも豊かな心の育成に向け、全ての
子供たちが自他の命の大切さを実感しながら、命を輝かせられるように、「いのちの教育」の推進に努めてまいりたいと考えております。
62
井加田委員 今ほどありましたが、例えば赤ちゃんとの触れ合いとか、中学生くらいになると14歳の挑戦ということで、私たちもお昼に入った食堂で14歳の挑戦中の
子供たちと触れ合うとか、それから私は孫世代を見守る立場ですけども、例えば女の子は隠れるところが大事なところだよといったこととかを、保育園時代から、学校も含めてだと思いますけど、小さいときから成長段階に応じて、教育現場ではしっかり教えていると思います。これは小学校、中学校、高校でも、そのときどきのテーマに応じて教えていくものでそれらはつながっていくものだと思うのですね。
こういうことが増えた、ああいうことが増えたとマイナスの出来事には神経をとがらせなければいけませんが、通常の教育の中で、しっかり人権意識やいわゆる受止め、発達段階に応じた知識をつなげていくとことが非常に大事な観点だし、これは学校の中でしかできないことだと思いますので、ぜひそういった観点を含めて、教育環境の充実を前向きに進めていっていただきたいなと思います。
あと、日頃からこういった問題意識もあるということで、一つは教育の機会均等の観点から、経済的な理由で進学を諦めることがないようにすること、それから高校生、大学生の教育機会の拡充を図るための県の奨学資金制度について、これは基本的に給付型として考えるべきではないかと思っています。そういう要望も多いです。
現状とこれらの課題について、これは番留教育参事・県立学校課長のほうにお伺いをいたします。
63 番留県立学校課長 高校生、大学生など意欲ある若者が、経済的理由に左右されることなく学ぶ機会を確保できるよう支援していくことは重要であると考えております。
このため、富山県奨学資金制度では、国の制度を補完するものとして、県内出身の高校生、大学生などに無利子で貸与しているところでございます。また、高校生につきましては、国の制度を活用し、平成26年度から授業料に充てる就学支援金を支給しているほか、生活保護や住民税非課税世帯へは、授業料以外の教材費に充てる奨学のための給付金を支給しておりまして、令和2年度には生活が困窮した世帯を支援するため大幅に上乗せ支給をするとともに、近年は毎年給付額を引き上げて家庭の教育費負担の軽減を図っているところでございます。
また、大学生につきましては、奨学金利用者の約9割が利用する日本学生支援機構が基本的な機能を担っておりますが、低所得世帯の生徒の進学を後押しするため、平成29年度に給付型奨学金制度が創設されたところでありまして、令和2年度からは高校ごとの推薦枠が撤廃されるとともに、給付額も必要な生活費を賄える額が措置されるなど、大幅に拡充されてきております。
富山県奨学資金制度を給付型にするということにつきましては、今ほどお話させていただきましたように、国の給付型奨学金が大幅に拡充されているといった状況でありますとか、富山県奨学資金の返還金が制度を維持していく上で大事な財源となっていることなどを踏まえまして、検討していく必要があると考えており、まずは国に対し、高校生への就学支援金や奨学のための給付金、大学生への給付型奨学金のさらなる拡充につきまして、引き続き全国知事会等を通じまして要望してまいりたいと考えております。
64
井加田委員 給付型奨学金制度については、高校ごとの推薦枠を撤廃したというような発言もありましたが、大体高校生の何割が対象になるのか。あるいは、受け取れる資格や所得の状況などの基準について、もう少し教えていただけますか。
65 番留県立学校課長 今ほど紹介しました就学支援金につきましては、年収が910万円未満の世帯ということでございまして、全体の77.3%が受けております。奨学のための給付金につきましては、生活保護受給世帯でありますとか住民税非課税世帯というところでございまして、認定率は5.8%となっております。
それから、日本学生支援機構につきましては9割の利用と言いましたが92.7%で、あと額については大幅に増額ということで国公立は自宅生が35万円、自宅外なら80万円、私立なら46万円、自宅外なら91万円というように、従前よりも自宅1.5倍、自宅外なら約2倍に増額されてきているところです。
66
井加田委員 県としては、国の制度を補完する立場で拡充をしてきているという受止めですよね。無利子といえども卒業した時点で返済義務を負う、そういうことが非常に負担になるという昨今の経済状況の中で、やはりこれもちょっと考えてあげなければいけない、大事なことだという思いで質問させていただきました。
引き続き、できることはやっていただくということでお願いしたいと思います。
それからもう一つ、奨学金もそうなんですけど、例えば安心して学業に専念してもらうための支援ということで言えば、過去にどなたか取り上げられたと思うんですけど、富山県の学生寮がございます。青雲寮と言いまして、これは県の直営ではないということですけど、男性だけが対象であります。
東京で高等教育を目指す女子学生にも、住居の関係について一定程度親の経済支援がなければ、アパートを借りたり生活したりすることが困難な方がいて、経済的理由によって県外での就職を諦めざるを得ないような状況があります。特に地方から出ていく人は困難で、都会の学生であれば自宅から通う、あるいは足りない分はアルバイトで補うということも選択肢としてはあるんですけど、やはり女性も男性と同等の機会といいますか、住居の補助として、寮というものも一つの方策ではないかと思います。女性もそういうところを利用できるよう後押しできないかという思いです。このことは女子生徒がおられる親御さんに結構言われます。
女子生徒の学生寮利用については可能な範疇ではないかなと思っておりまして、検討すべきと考えますが、中家教育企画課課長に所見を伺いたいと思います。
67 中家教育企画課課長 富山県学生寮は、東京都内において公益財団法人富山県学生寮が設置運営する男子学生寮であり、定員は60名のところ今年度は48名の方が入寮されています。富山県学生寮への女子受入れについては、公益財団法人において中長期的な課題とされておりまして、令和2年1月から2月にかけては、女子受入れ検討ワーキンググループによる他県の男女混合寮の視察調査等も行われたところですが、その後の新型コロナウイルス感染症の拡大により、検討を中断されていたということでございます。
今般、今年2月の富山県学生寮理事会での議論を踏まえまして、県の若手女性職員もこのワーキンググループのメンバーに加わり、ワーキンググループを再開いたしまして、7月と10月に2回の会議が開催されたところでございます。会議の委員からは、女子の受入れのためには、浴室やトイレなどの大規模な改修が必要であるといった御意見や、現在の建物が築35年であり設備も古いということから、寮の建て替えなどに合わせた男女の入寮を可能とすべきではないかといった様々な意見をいただいているところでございます。
また、ワーキンググループでは、学生寮の女子受入れについて県立高校6校の3年生とその保護者を対象としたニーズ調査を実施しているほか、富山県学生寮の現在の入寮生からも意見を聞くなど、若い世代のニーズ把握にも努めながら、検討が進められているところでございます。
県としましては、首都圏への進学を目指す本県出身の女子学生が、性別や経済状況にかかわらず、進学機会を確保できる環境を整えていくことが必要と考えておりまして、引き続き学生寮への女子受入れの検討を支援してまいりたいと考えております。
68
井加田委員 ワーキンググループの中に県の職員の方も入り、また当事者の方にも意見も聞いておられるということですが、建て替えと同時ということであれば、来年とか再来年とか、そういう時間軸の話ではないなと思います。
若い世代のニーズとも言われましたけど、寮というのは一つの現実的な選択で、ぜひ実現してほしいと思っておりまして、女子に限った話ではないですが、県外で住宅を借りる人たちへの支援があれば、東京で勉強して地元へ帰ってきてまた富山のために頑張る人材の確保にもつながっていくのではないかなと思いますので、将来できることではなくて、今できることは何かということで検討を進めていただきたいなと思いますが、いかがですか。
69 中家教育企画課課長 今申し上げましたワーキンググループは、あくまで富山県学生寮への女子受入れということを検討されております。建て替えも含めてですが、実際の女子受入れに当たっては課題も大きいということが分かっておりますが、参加いただいた委員からは遠い先の話だけではなく、今県として何かできるのではないかという御意見も様々いただいておりますので、それらにつきましては、取りまとめた上で県当局にも伝えていきたいと考えております。
70
井加田委員 ぜひ現実的なものになるよう、スピーディーな取組をお願いして質問を終わります。
71
武田委員長 暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。
〔休 憩〕
72
武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑・質問はありませんか。
73 奥野委員 私からも、
教育委員会に対して、いじめや不登校の話について聞いていきたいと思います。
まず、今日の報告でありました
児童生徒の問題行動・不
登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果ですが、いじめの重大事態の発生件数を加味して数値を確認すると、この数値って本当に富山県の実態を反映しているのだろうかと疑問に思います。例えば、先ほど不登校の人数の説明があったと思います。最新のデータでは、小中高を合わせて2,675人が不登校ということでありました。それで、今度はいじめの重大事態の件数を確認すると、令和4年度調査では発生件数が11件ということになっています。
いじめの重大事態の認定に係るものとしては、例えば第2号というようなくくりで挙げられますけれども、法律上、長期間いじめによって学校を欠席すると重大事態だということになります。とすると、不登校という時点で30日以上の欠席ということですから、県内30日以上欠席した2,675人のうち、いじめが原因で30日以上欠席した子もしくは件数は11件しかないということになるわけですよね。それは本当かと私は思っています。この数値は、県内の現状を正しく反映していないと思っています。そういう前提で話を進めていきます。
まず、いじめの認知件数とか不
登校児童生徒は増加しています。これについては、いじめを認知していこうという方向性、つまりいじめを見落とさず、小さな
子供たちのSOSを丁寧に拾っていくということで、認知件数が増えることはむしろいいことだと思っています。ただし、その中でさらにもう一歩踏み込んだ重大事態の件数は、本当に正しく認識、反映されているのか。先ほどから申し上げているとおり、私は正しく認識されていないと思っています。
NPO法人全国不登校新聞社、これは我が国で唯一不登校に特化した新聞として1998年に創刊されているものですけれども、ここの新聞社では、不
登校児童生徒本人並びに保護者のアンケートでは、不登校の原因の25%がいじめによるものだという調査結果を公表しています。これを踏まえると、この調査が本当に実態にそぐうのだろうかと疑問があるわけですけれども、この現状について、まずはどう分析しているのか伺いたいと思います。
74
山尾小中学校課長 文部科学省の調査によりますと、令和4年度の本県におけるいじめ認知件数及び不
登校児童生徒数は、全ての校種において、昨年度から増加しております。また不登校の要因としまして、いじめを含むものの割合は、全国で小中学校における不登校全体の約0.3%となっています。
一方、委員御紹介の
文部科学省の令和2年度に実施しました不
登校児童生徒の実態調査におきましては、不登校を経験した小学校6年生、中学校2年生のサンプル調査ではございますが、この調査におきましては、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけにつきましては、友達から嫌がらせやいじめがあったが、複数回答ではあるものの、小学生が25.2%、中学生で25.5%となっております。
両調査は調査方法やサンプル数、質問内容が異なっているため、単純比較はできませんが、学校の判断と不登校を経験した
児童生徒及びその保護者の判断との間には隔たりがあると考えております。
こうしましたことから、
県教育委員会としましては、各学校において効果的な不
登校児童生徒への支援につなげるためにも、個々の不
登校児童生徒の状況や不登校のきっかけを的確に把握することが大切であると考えております。そのためにも、
スクールカウンセラー等の専門家を活用した相談体制を充実するなど、多様な支援の実施を推進してまいりたいと考えております。
75 奥野委員 当然これは支援につなげるために伺っているものですけれども、適切な支援につなげるためには、まずは正しい現状認識が必要だと思っています。
文科省が実施した調査結果については、文科省自体がこの調査方法については改善の余地があるということを認めています。私も担当者と話をしましたけれども、どのような調査をすれば、学校だけでなく、
子供たちや保護者の受け取りも含めた、現状により近い結果にできるのか検討したいと認識しているようでした。
今の答弁の中で改めて確認をしておきたいのは、
いじめ防止対策推進法によると、学校がいじめを認知しようがしまいが、
児童生徒本人や保護者がいじめを受けているとか、いじめを受けたことによって不登校になったとか心身の不調があるとか変化があると申し出た場合には、これは全て重大事態として扱うこととすると、法律ではこう書かれているわけです。とするならば、別にそれを基に調査をかけなくとも、その時点で重大事態としてカウントしなくてはならないのですよね、法律的に。そうすると本当に11件なんですかという疑問があるわけです。
今の答弁の中にも、サンプル調査であるものの、本人や保護者から聞き取りをしたら大体25.2%ですか、きっかけはそういういじめや友達とのトラブルに起因するのだということを言っているわけですよね。そしたら、それで30日以上欠席している子はみんな重大事態にカウントしないと法律上おかしいわけです。その点についてはどう思われますか。
76
山尾小中学校課長 学校がいじめを認知してからその解消に取り組む間で断続的に欠席していた日数が、認知する以前の欠席数も含めて相当期間であるとか、いじめを認知していなかったとしても、当該
児童生徒が相当の期間学校を欠席した事案の中には、改めて確認したところ、いじめだったというところもありますので、そういった点につきましては丁寧に確認しなければならないとは考えます。
77 奥野委員 再度申し上げますけれども、当然調査は必要ですが、まず本人並びに保護者がいじめで心身の不調だとか、いじめで30日以上の欠席だ、不登校だといった場合には、まずは重大事態としてカウントをするというのが先なんですね。対応をしていく上でも、調査が先ではないということは指摘しておきたいと思います。
富山市では先般、重大事態について再調査をされました。そこで新たに4件の重大事態が発見されています。それを含めて令和4年度は11件ということになったかと思っていますが、まずこの富山市において重大事態が見落とされていた理由、それからその理由を踏まえて、他の自治体で同様の見落としの可能性は本当にないのだろうか。このことをどのように認識しているのか伺いたいと思います。
78
山尾小中学校課長 いじめ防止対策推進法では、いじめ重大事態は、いじめにより生命、心身または財産に重大な被害が生じた場合、疑いがあると認めるとき。もう一つに、いじめにより相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるときと定義されております。いずれかの事態が発生した場合には、速やかに調査組織を設けまして、事実関係を明確にするための調査を行うこととなっております。
全国的に重大事態として把握されなかった理由としまして、今ほども申し上げましたが、学校がいじめを認知し、その解消に取り組む中、断続的に欠席していた日数が、認知する以前の欠席数も含め相当の期間になっていたことを確認できていなかったということ。もう一つに、いじめと認知していなかった事案において、当該
児童生徒が相当の期間学校を欠席したため、再度確認したところいじめと認知したことが挙げられております。
富山市の4件におきましては、欠席といじめの因果関係が不明確であったり、調査の際に当該
児童生徒から聞き取りを行えなかったなどの理由で、把握されていなかったと聞いております。
県教育委員会としましては、他の自治体においても同様の理由で重大事態が把握されていないことも考えられることから、それを防ぐためにも、まずは重大事態の正しい認識について、定期的に
市町村教育委員会等に周知徹底を図るとともに、今後
市町村教育委員会と連携しまして、長期欠席者の状況についてその要因等を丁寧に確認してまいりたいと考えております。
また、いじめを的確に認知することや、重大事態として確実に把握するための留意事項につきましても、
市町村教育委員会等への周知に努めるとともに、重大事態の発生を的確に把握し、適切に対応するように努めてまいりたいと考えております。
79 奥野委員 まず富山市が重大事態を見落としていたということについて理由を御説明いただきましたが、私も確認しています。先ほどもちょっとしつこいように言いましたけれども、欠席といじめの因果関係が不明確だったからとか、本人への確認がなかなかできなかったからと、こういう理由を挙げられているわけですけれども、本人が訴えたらその時点で重大事態にカウントしないといけないんですよね。別に因果関係が不明確だろうが、これはカウントをして調査をするということになっているわけです。本人への確認がなかなかとれなかったということについても、例えば欠席をしている、不登校になっている子の保護者でもいいわけですよね、本来ね。これで本当はもうカウントしないといけないわけですよ。にもかかわらずカウントしていなかったから見落とされていたということで、これは、
教育委員会側並びに学校関係者、教育関係者が、ちゃんと法律を正確に認知していない、理解していないということが問題だと思っています。
ですので、周知していきたいというのは全くそのとおりで、やっていただければと思っていますが、もう一つ、富山市の件についてです。ここで富山市の議論をするつもりはありませんけれども、結局このいじめの重大事態の再調査に至るまでには、富山北部中学校の生徒が自殺をしたというあの案件が大きく関わっています。
このケースについては、中学校1年生のときにいじめがあったと言っていたにもかかわらず、調査をしたのは2年生になってからだったということです。これも先ほど申し上げたように本人や保護者が、いじめはあったのだと訴えれば、本当は重大事態とカウントしてすぐさま調査に乗り出さなければいけなかったと思います。ここでまず大きな落ち度があったと思っています。さらには法令違反もあったと思います。学校は
教育委員会に報告する義務があるわけですけれども、重大事態としても認知をしていなかった。いじめとしても認知していなければ重大事態としても認知していなかったというのが、大きな法律違反に当たるわけです。
こういう現状が既に明らかになっていますし、さらに9月定例会の一般質問で寺口委員からも、まずはこういういじめの認知について正確な報告がされているのかどうか、それと重大事態について正確な調査を行い、ちゃんと報告がされているのだろうかと指摘があったと思いますが、たしか教育長は適切に報告を受けていると答弁をしています。私は本当にびっくりしました。事実として
市町村教育委員会では法律を正しく認識していなくて、適切な報告をしていなかったという事態が明らかになっているにもかかわらず、適切に報告を受けていますという答弁でした。本当に危機感がないなと思っています。
まず周知徹底と同時に、しっかりと再調査をするべきだと思っています。今ほど課長の答弁でも、他の自治体でも同様の見落としの可能性がないとは言い切れないと言っているわけです。速やかな再調査を求めます。答弁をお願いします。
80
山尾小中学校課長 御指摘のとおり、いじめはどの学校でもどの
子供たちも起こり得るという認識の下で、いじめの通報やその事実の有無の確認ですとか結果の報告など、早期の段階から適切な把握、そして対応を行うように改めて周知徹底してまいりたいと考えております。
81 奥野委員 周知徹底はぜひやっていただきたいのですが、私は再調査について求めました。
もう一つ、一応御紹介をしますと、富山市の再調査で新たに重大事態が発覚した後に、知事の諮問機関として、富山県いじめ再調査委員会が開かれています。
その会議録を見ると、そこの委員から、医師の方ですけれども、外来において、いじめを受けたということでPTSD、心的外傷後ストレス障害の症状が出たり、不登校になっている方が度々いると。しかし、本人や保護者が学校にいじめだと伝えても、いじめだと学校が認定してくれないというケースを幾つも聞いているという話や、
いじめ対策に関する法律において、いじめと子供が感じたらいじめとしなければならないが、これは先ほども御紹介しましたけれども、こういう認定は実態と乖離してしまっており、自分が診ている患者でも重大事態に当たる子たちがいるけれども、実際には重大事態に認定されていないという話がありました。ほかの委員からも、自分が知っている複数件の情報に関して言うと、担任で止まっているものがあったり学校で止まっているものがあったりする状況を知っているというような発言があります。
これらは、おそらく重大事態にカウントされていないものについて委員が言っているわけですが、この会議は3月に開催されているわけですね。知事の諮問機関ですから、諮問機関の委員からそういう指摘をされたら、本当だったら大慌てで調べ直さなくては、となるべきではないのか思っているのですが、この半年間再調査をした形跡がなく私はとても心配しています。
また、この諮問機関の会議には当時の経営管理部長も出席していらっしゃって、委員から、現場ではこのようなことがあり、報告が来ない理由について考える必要があるのではないかというような指摘もされているはずです。にもかかわらず、その後一向に何も対策が行われていない。
改めて、再調査をして、まずは本県の状況について認識をする必要があると思います。教育次長の答弁を求めます。
82 水落教育次長 委員から御指摘のあった再調査の件についてですけれども、先ほど山尾課長の答弁の中にもあったと思いますけれども、市町村委員会にまずは周知徹底を図ることが大事であると。その上で、市町村の
教育委員会において、どれが重大事態なのかということを把握していただく必要があると思います。
答弁の中で、定期的に周知徹底を図り、さらに長期欠席者の状況について、その要因等を丁寧に確認してまいりたいということでしたので、その中で確認できることは確認していきたいと思っております。
83 奥野委員 その中で確認できることは確認したいというのは、改めて調査をするということなのか改めてお聞きします。
周知徹底をするのは当然です。それは当然なのですけれども、何のためにするのかといったら、まずは本県の状況を正確に確認して、次の支援につなげるために行うわけです。
はっきり申し上げて、今までだって周知しているわけですよ。周知しているのに、この現状なわけです。ということは、こういう項目でもう一回調査し直してくれと、もう一回認識を新たにしてくれと言わない限り、私はアップデートされないと思います。
再調査の必要性を伺います。この場でこれだけ問題があるということが分かっていて、なぜ再調査すると言えないのか。理由があるのであれば教えてください。
84 水落教育次長 再調査をすることについて、何か問題があるということではありません。ただ、先ほど言いましたように的確に把握してもらうには、重大事態の認識を正しく持っていただきたいということがあるので、そういったところをまずは
市町村教育委員会に認識いただいた上で、数を出していただくということになると思います。
再調査をいつやるかどうこうということではないとは思っておりまして、手順を追って順次やっていきたいと思っております。
85 奥野委員 順次やるということは、再調査をするということでよろしいかと思いますけれども、先ほども言いましたが、周知と新たな確認はセットでなければ、市町村のほうも、その話はもう何回も聞いているよと思うだけですよ。ですので、調査のため、この項目をこう確認してくださいねということがセットでなければ無意味だということを強く申し上げておきます。そうしないと、まず本県の現状が明らかになりません。
私は今のやりとりの中で、他の自治体においても同じような見落としの可能性がないとは言い切れないということ、それから法律に基づいてしっかり認識をしていただかなくてはならないということ、そしてそれに基づいて確認をしていく必要がありますよねということ。これらについて共有できたものと思います。よろしいでしょうかね。はい、うなずいていただきましたので、ではしっかりとこの問題は認識していただいたものとして、先に進めます。
次に、不登校の
児童生徒については、学校以外の学びの場や居場所の確保ということが非常に重要となってきています。先ほどもほかの委員から、そういうことについて幾つも質問がありました。
現在、県内ではそうした不登校の
児童生徒に対してどのような学びや居場所の選択肢が、どの程度用意されているのかということについて伺いたいと思います。また、そのうち個別指導計画を立てて出席扱いとする措置をとっている事業所や対象の
児童生徒が何人いるのかということについても併せて伺いたいと思います。
86
山尾小中学校課長 県内の不
登校児童生徒の学校以外の学び場としましては、県総合教育センター、市町
教育支援センターのほか、
フリースクールなどの民間施設などがあり、それらの施設において相談・指導を受けている
児童生徒数は増加傾向にあります。
一方、不
登校児童生徒の中には、
学校内外の機関等で相談・指導を受けていない
児童生徒の人数が増加傾向にあり、深刻に受け止めているところでございます。
委員御質問の、県内の不
登校児童生徒が利用している
フリースクール等民間施設の数は、令和2年度の調査におきましては26施設であり、そのうち14施設では出席扱いとしている実績がございますが、現在の正確な数を把握しているところではございません。
また、それらを利用している都道府県別の不
登校児童生徒数につきましては、
文部科学省からは公表されていないところでございます。
フリースクール等の民間施設に通っている
児童生徒につきましては、各学校長が出席扱いとするかどうかを判断することとなっております。そのためにも、管理職をはじめとした教員が施設を積極的に訪問し、子供の活動の様子などについて施設と学校が情報共有し、個別の状況を判断することが大切であると伝えております。
県教育委員会としましては、施設を利用している
子供たちが学習に対する意欲やその成果を認められたと実感し、
自己肯定感を高め、社会的自立につながることが大切であると考えておりますことから、引き続き各学校が学校以外の施設と積極的に情報共有し、連携を図るよう
市町村教育委員会に伝え、不
登校児童生徒の学び場や教育機会が確保されるように取り組んでまいりたいと考えております。
87 奥野委員 ぜひ、こういう
子供たちの学校以外の学びの場や居場所を増やしていっていただきたいと思います。
今課長にご答弁いただいたとおり、そうやって頑張っていることが出席認定されて評価につながると、多分
子供たちも自分の行動がしっかり大人に見てもらえているなとか、おっしゃったとおり
自己肯定感などにつながるのだろうと思います。
それと施設側には、出席扱いとなるような仕組みがあるということを知らないところもまだあるわけです。私も施設側の人に話を聞いていて、そんな仕組みがあるのかという話や、つい前年から出席の措置をとるためのやりとりを当該
市町村教育委員会としましたよ、という報告をいただきました。
当然施設側の取組状況にもよりますので、徐々にではあると思いますけれども、居場所となる施設側にもそういう対応ができるところを増やしていただきたいですし、今答弁いただいたように、学校側にもしっかりと施設と連携をとりながら子供の頑張りを認めていく、そういう措置を広げていただきたいと思っております。
不
登校児童生徒の学び場や居場所としては、今御紹介いただいたようなもの以外にも、他県ではいろいろな取組があると感じています。
先般、長野県に自民党の部会で視察に行ってきました。視察先の一つとして動物愛護センターに行きましたけれども、長野県では、この動物愛護センターも不
登校児童生徒の学びの場だったり居場所として活用されているということでした。面白い取組だなと思って話を聞いてきました。動物介在活動を通して社会とのつながりを再構築していくという理念で取組が進められていました。聞いていると、いじめもそうですけれども、人間関係につまずいて学校に行けなくなったとか、人との関わりが怖くなった
子供たちに、もう一回人の輪に入って一から進めよう、ここは学校ではないからねといっても、なかなかハードルが高い子たちもいるそうです。そうした子が、動物を介して少しずつ社会活動に参画していく取組で、ああ、なるほどと思って聞いてきました。
特に、長野県ではこの動物介在活動が県の自殺対策にも位置づけられているということでありまして、なかなか意義深い取組だと思っています。
くしくも本県でも、ちょうど動物管理センターの機能強化等について検討が進められているタイミングでもありますし、こういう施設を教育分野においても積極的に活用すべきでないかなと考えています。
子供たちへの良い選択肢の一つになるかなと思いますが、所見を伺いたいと思います。
88
山尾小中学校課長 不登校など様々な困難を抱える
児童生徒に対しまして、個々の状況に応じた多様な教育機会を確保することは重要であると考えております。
近年、
教育支援センターや
フリースクールなど、学校以外の施設において相談・指導を受けている
児童生徒は、先ほども申し上げておりましたが、増加傾向にあるところでございます。
文部科学省では、
COCOLOプランにおきまして、学校・
教育委員会などと
フリースクール等との連携を強化し、多様な学びの場、居場所を確保することを取組の一つとしております。
県教育委員会では、民間施設の代表者にも参加していただいている不
登校児童生徒支援協議会におきまして、多様な学びの場のよりよい連携について協議し、学校以外の施設との連携強化にも努めているところでございます。
委員御提案の動物介在活動を通しまして、
子供たちが動物と触れ合うことで心が落ち着き、ストレスが軽減され、癒されることで、元気が出てくる、自信がついた気分になる、会話や笑顔が増えて表情の変化などの改善が見られる、そういった効果が期待できると考えております。
こうしましたことから、委員御紹介の長野県の動物愛護センターでの取組を参考にしつつ、本県の動物愛護センターの整備状況を踏まえまして、
子供たちが社会とのつながりを再構築するための学びの場の一つとなるか研究してまいりたいと考えております。
89 奥野委員 ぜひお願いしたいと思います。
長野県ではこの活動をもう20年以上やっているということで、小学校の頃に不登校で居場所としてこのセンターを利用した子が、20年たってもボランティアなどで活動に携わってくれているという事例も聞いてきました。
良い取組だと思いますので、ぜひともまた厚生部と連携して検討を進めていただきたいと思います。
それでは、次の質問にまいります。
児童虐待等対応職員の育成・確保についてということで、まず、令和7年度にこども総合サポートプラザ、仮称でありますけれども、これが供用開始予定で、令和8年度には児童心理治療施設と児童相談所の養育・援助センター、これも仮称でありますけれども、これが供用開始予定となっています。
これは箱ができればいいという問題ではありませんので、まずその供用開始に合わせて、それぞれどのような業務を強化して、何人職員を増員するのか計画を立てて進めていく必要があると思います。
この分野については、国も旗を振って増強しようという流れがありますけれども、我が県としてはどういう計画を立てているのか。また、業務によっては、必要なスキル習得のために新たに育成計画というようなものも必要なのではないかと考えてもいます。どのような取組を進めていく予定なのか伺います。
90 稲垣児童相談所等機能強化推進班長 こども総合サポートプラザ、仮称でございますが、こちらにつきましては、各相談機関の相談業務などに対応する職員を配置いたします。
富山児童相談所と総合教育センター、教育相談窓口につきましては人員体制を検討しており、子ども・若者総合相談センターは2名程度、県警少年サポートセンターは7名程度の配置を見込んでおります。
今後、それぞれの機関が相互の連携の下、円滑に業務が進められるよう、開設に向けまして具体的なケースを想定した事例検討を行いたいと考えております。
児童心理治療施設の職員数につきましては、国の児童福祉施設の設備及び運営に関する基準及び措置基準におきまして、施設長、医師、看護師、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士がそれぞれ1人のほか、心理療法担当職員5人、児童指導員及び保育士9人など、計20人以上が必要とされております。また、こうした専門職の資質向上を図るため、他県の児童心理治療施設への派遣研修や先進運営施設職員による集合研修などが必要と考えております。
富山児童相談所養育・援助センター、仮称でございますが、その人員につきましては、現時点では未定でございますが、今後職員のさらなる資質向上に向けた研修体制を構築することとしております。
91 奥野委員 重要なところだと思います。
こども総合サポートプラザが令和7年度、児童心理治療施設や養育・援助センターは令和8年度と、時間があるように見えても、あっという間に期日が来ると思います。計画的に進めていただきたいと思います。
他県でも児童心理治療施設を新設しようという動きが出てきています。福井県も今準備中だということを聞いていますが、児童心理治療施設の職員になる場合には、武者修行ではないですけれども、単発ではなくて一定期間、他の施設に行って、業務を体験しながらスキルアップを目指す。そして自分の県に帰ってきてそのスキルを業務に生かすということで、各県取り組んでいると聞いております。
どこにどの期間行ってスキルを習得してもらうのがいいのかといったことも詰めていっていただきたいと思っています。
児童虐待等の対応策について、先般、横浜市にある専門職員の研修センターに視察に伺ってきました。話を聞くと、やはりこれからの対応策というのは、問題が発生してから対処するということではなくて、未然防止と支援に重点を置くべきだという指摘がなされていました。具体的にどこかと聞いていたら、やはり母子保健と福祉の連携に尽きるということでありました。
今回、令和7年度供用開始予定のこども総合サポートプラザにおいては、CiCの中に設置予定ということで、4階に富山市の子ども支援センターや子供向け図書館が入っていたりするわけで、まずはこういう基礎自治体の母子保健の拠点があるということが大きなメリットだと思っています。
富山市は中核市でありますので、児童相談所単独設置できるわけですが、単独設置しない代わりに県の児童相談業務と連携協力しますよということを、前市長のときから表明しておられます。実際どんな連携をしていこうとしているのか。
また、県としては富山市に対してどういう協力を期待しているのかということについて伺いたいと思います。
92 稲垣児童相談所等機能強化推進班長 こども総合サポートプラザ、仮称でございますが、こちらにおける具体的な連携につきましては、富山市と現在協議中でありますが、例えば富山市の子育て支援センターにおいて保護者や子供本人から受けた相談のうち、性格・行動などの育成相談や非行相談などで児童相談所での対応が適当と考えられる案件があれば、こども総合サポートプラザにつないでいただくこと。また、こども総合サポートプラザへの来所者に対して、富山市の子育て支援センターが実施している様々な講座やセミナーの参加を呼びかけることなどが考えられます。
こども総合サポートプラザの開設を契機といたしまして、同一施設内にある県の各相談機関と富山市の子育て関係機関が相互に協力して対応することにより、早期に適切な相談窓口につなぐことが期待できると考えております。
それぞれの強みを生かすことによりまして、悩みや困難を抱える子供や家庭など、県民に対して効果的な相談支援ができるよう連携してまいりたいと考えております。
93 奥野委員 同じCiCの4階と5階の予定ということで、一体的に相乗効果をもって取り組めるようにお願いをしたいと思っています。
先般の委員会でも、例えば5階の部分には児童相談所の相談窓口のほかに、
教育委員会の相談窓口や警察の少年サポートセンターが入るということで、一回相談に行ったら、そのまま必要なところをその日のうちに声をかけて回れて、次のステップの相談に移ることができますというような答弁があったかと思います。このように、1か所でその日のうちに必要な相談ができるという体制構築のため、ぜひ富山市の4階部分ともつなげてほしいと思っています。
これから、どのような協力関係で進めるのか、さらに協議が進んでいくと思いますけれども、5階部分だけではなくて、4階、5階で一体という体制になるよう、取組をよろしくお願いしたいと思います。
次に、児童虐待等に対応する専門職員の研修について伺います。
これから詳細に計画を立てていくという答弁がありましたけれども、私は、先ほど触れたように横浜市の研修センターへ視察に行ってきました。児童虐待等に対応する専門職員の研修、特に
スーパーバイザーの専門研修センターでありましたけれども、国内には横浜市と明石市の2か所しかないのですよね。これは国10分の10負担で設置している研修センターですけれども、ここに定期的に研修を受けにいくというのは、やはり負担が大きいなと感じます。聞くと
スーパーバイザーの皆さんにも最低5年に1回は研修を受けて、最新の状態にアップデートしていってほしいと言っていらっしゃいました。大体2泊3日の研修を掛ける2回受講するというのがワンセットの
スーパーバイザー研修になるということでした。
私は、富山県において、子供に力を入れて子育て環境日本一を標榜したり、こどもまんなか先進事例をつくっていきたいという知事の思いをしっかりと実現していくためには、将来的には、今は横浜市や明石市でしか受けることができないこの研修を、日本海側でも受けることができるようにしていかないと、なかなか定期的な職員のスキルアップにはつながらないのではないかなと思っています。
当該のセンターの方とは、国がもう少し日本海側に設置したいと言ってくれるかどうかだよね、みたいな話もしていましたけれども、こういう研修センターを日本海側の拠点として本県に設置するよう国に働きかけていくということが、この北陸のみならず全国的に子供支援の底上げにつながることになるのではないかと思いますが、所見を伺います。
94 稲垣児童相談所等機能強化推進班長 本県に今ほど御紹介の研修センターを設置する場合、専門的な支援技術や知見の蓄積、全国からの受講者による経済的な効果などが期待できます一方、運営主体となる団体や研修施設の確保、児童虐待問題や児童福祉に関する専門人材の確保などの課題が考えられます。
また、現在国の補助制度におきましては、2つの研修センターを運営している法人のみを対象としておりまして、こども家庭庁からは、今のところさらに研修センターを増やす計画はないと聞いております。
県では、富山児童相談所に設置した地域支援人材育成課を中心に、職員の資質向上のための研修体験の構築を進めているところでありまして、今後国の児童虐待対応職員の研修体制に関する動きを注視してまいりますとともに、本県の専門職員のさらなる資質向上に取り組んでまいりたいと考えております。
95 奥野委員 今取り組んで強化しようとしている職員研修はもちろん必要なことですけれども、その研修を担当する
スーパーバイザーは、やはりこういう国の2つの拠点で研修してきた人が各県に知識や技術を持ち帰って、そこからさらに裾野を広げようということでやるわけですよね。要は指導役となる専門職員をしっかりと育て、確保し、そして常にアップデートさせていかなくてはいけないという課題があるということを認識していただきたいと思っています。
また、こども家庭庁においては、今のところ2か所でセンターを設置していて今後増やす予定はないと言っているとのことですが、そのこと自体、本当にこの国の児童福祉の底上げにつながるのか。私は問題意識の欠如があると思います。現状、日本全国どこでもこういう専門の方が足りていないわけですよ。足りないのだから、しっかりと専門家を養成しないと
子供たちに必要な対処ができませんということを、動向を注視するのではなくて、やはり分かってもらわないといけないと思うのですよね。
こども家庭庁の創設については、国会だけではなくて私たち地方議員もいろいろな活動で協力をしてきました。自民党内にも、有志でつくるチルドレンファーストの勉強会があって、私たちも参画してきました。そこの一番の目的というのは、子供が死なない国をつくること。これが一つのスローガンになって、国会議員だけではなくて地方議員もみんな協力をして、新しい省庁を誕生させて、子供の未来を守ろうじゃないかといって取り組んできたわけです。
ですので、地方からもどういう現状なのか、国において何が必要なのかということを、しっかり声を上げていかないといけないと思います。注視ではなくて、そういった国に対しての働きかけを富山が率先して行うことが必要だと思いますが、こども家庭支援監に所見を伺います。
96 松井こども家庭支援監 今委員からお話がございました
スーパーバイザーの件ですけれど、県のほうでは富山、高岡児童相談所において積極的に
スーパーバイザーの研修を受けるよう努めているところでございます。
児童相談所に寄せられる虐待相談件数はどんどん増えております。それらにきめ細かく適切に対応する専門職員が必要であり、今、児童相談所職員を増やしておりますが、若手職員も増えておりますので、今委員もおっしゃられたように、その指導役となる
スーパーバイザーの存在は大変重要だと思っております。
研修については、子どもの虹情報研修センターなどに行って研修を受けているところでございますが、お話があったとおり、将来的にはやはり日本海側のほうにあったほうがいいと思っております。ただ、今のこども家庭庁の見解は御答弁申し上げたとおりでございます。
しかしながら、我々も子供のために児童相談所の機能強化が必要と思っておりますので、国に対しては必要に応じて働きかけをしてまいりたいと考えております。
97 奥野委員 ぜひ国にしっかり働きかけて、本県をはじめ全国的にも良い支援の底上げができるようにお願いしたいと思います。
98 火爪委員 まず、深刻な
少子化対策に関連して、1問だけ伺っておきたいと思います。
総務省の2022年就業構造基本調査の数字でありますが、40歳から44歳の男性の場合、非正規雇用労働者の未婚率は69.8%となっており改めて大変驚きました。比較をいたしますと、正規雇用労働者のうち年収300万円以上の方の未婚率は20.5%、年収300万円未満だと54.5%となっており、日本で急速に進む深刻な少子化の原因に、若い世代の低賃金と不安定雇用があることは、もはや共通認識になっていると思います。
最低賃金ですけど、日本はようやく平均1,004円になりました。富山県は948円でしょうかね。EUの事例もありまして、円換算でドイツは時給1,906円、ニュージーランド1,981円、イギリス1,900円、オーストラリアは2,225円となっております。本当に見劣りする日本の賃金です。賃金全体を上げることは急務でありますけれども、若い世代の賃金の底上げということは、大変重要な課題だと思っております。
もちろん、これは国がやらなければならない政策の転換だと思うのですけれども、では、県として何ができるかというのをやはり考えていかなければならないと思います。
今年度、県が5月補正予算で大変ささやかな予算額でありました、小さ過ぎるのではないかと申し上げたことを思い出していますが、国の制度に上乗せをして、正規雇用化と処遇改善を促すキャリアアップ奨励金というものを創設したと思っております。まずその実績と、私が指摘したことについての見解を伺っておきたいと思います。
99 長嶋雇用推進班長 厚生労働省が実施した令和4年度賃金構造基本統計調査によると、正社員と非正規雇用を含む正社員以外との賃金格差は、全体では約10万7,000円、さらに子育て世帯である35歳から49歳では約11万円から15万4,000円と、その差は大きくなっております。
このように、非正規雇用労働者の賃金水準は正社員に比べ低くなっており、県ではこれまでも収入が不安定な就職氷河期世代などの非正規雇用労働者の正社員化に向け、合同企業説明会の開催や採用に向けたセミナー、特設サイトにおけるキャリアコンサルタントによる個別支援などに取り組んでおります。
さらに、今年の5月補正では、国と協調したキャリアアップ奨励金を創設し、事業者による非正規雇用労働者の正社員化や賃上げなどの処遇改善の取組を支援しているところです。このキャリアアップ奨励金の実績については、きのう、10月30日時点で26件、125名分の申請があったところです。
富山労働局によると、県の奨励金の申請の前提となります国の助成金へのキャリアアップ計画の提出数は、県の奨励金創設の効果もあり、昨年よりも実績は伸びているとのことであり、今後県への申請も進むものと見込んでいるところです。
県としては、今後とも富山労働局と一体となって、非正規雇用労働者の正社員化や賃上げなどの処遇改善に取り組んでまいります。
100 火爪委員 ぜひ、国に要望を上げるとともに、来年度の予算ではこういう事業がさらに拡大をされ予算化されることを要望しておきたいと思います。
引き続いて、学校給食の無償化について伺っておきたいと思います。
かつて県は、学校給食については学校給食法で保護者負担になっている。だから無償化は考えないという答弁をされておりました。
しかし、昨年から流れが大きく変わっていると思います。義務教育の無償化は憲法が定める原則であり、
文部科学省も国会の答弁では、自治体による無償化は可能としております。
そこで、今年の9月末現在の数字ですけれども、我が党の全国調査によれば、全国の自治体で、今年度学校給食を無償化しているまたは一部無償化しているないしは計画をしている自治体は493あり、この中には県内の上市町、朝日町が含まれております。比較的小さな自治体から無償化の動きは始まっているわけでありますが、最近は東京の23区など人口の大きい自治体でも次々に無償化に踏み出しております。昨年12月時点で254自治体でありましたので、倍近くに広がっております。無償化の流れはもはや明瞭になっているのではないかと思っております。
県内でも、富山市議会が今年6月、国に対して無償化を求める意見書を全会一致で採択をしております。併せて、
県内市町村からは国と県に対する来年度の重点要望事項として、学校給食無償化の実現が挙げられていると承知をしております。
まず、県がこれら
県内市町村も含めて県民の要望をどう受け止めているのか、確認をしたいと思います。
101 山元食育安全班長 まず、
学校給食費の無償化につきましては、県内の9自治体から要望が寄せられているところでございます。内容につきましては、国庫負担による
学校給食費の無償化の実施について国等へ働きかけること、県においても一定の財政支援を行うこととなっております。
県の
教育委員会では、学校給食無償化につきましては、全国都道府
県教育委員会連合会の要望を通しまして、国の責任で財源を含め、具体的な施策を示すように求めております。
県内の小中学校の給食費につきましては、一部の市町村において無償化や一部補助など、子育て支援や人口減少対策の一環として、学校の設置者である市町村の判断により実施されております。
県が公立小中学校における
学校給食費に対して補助を行う場合、大きな財政負担となりまして、慎重な検討が必要であると考えております。
現在、国において
学校給食費の無償化の実現に向けて、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含め、課題の整理を行い、具体的方策を検討するとされているところでございまして、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
102 火爪委員 県独自でやる気はないというような答弁をもう頂いてしまったのですけど、次の質問にそれがあるわけで、もう一度確認をしておきます。
千葉県は、今年1月から公立小中学校に在籍する第三子の給食費無償化を実施しております。今ほどお話がありましたけれども、県内15市町村のうち9自治体から、県に対しても補助制度の創設を国と連携してするような重点要望が上がっているわけであります。国に対して来年度の重点要望事項としてしっかり上げるとともに、県として何らかの補助制度を検討すべきと考えますが、改めて伺っておきたいと思います。
103 山元食育安全班長 市町村のほうから重要要望として要望が上がっていることは、今ほど申し上げたとおり承知しているところでございますが、国におきまして、学校給食無償化の実現に向けて、今小中学校の給食実施状況の違いですとか法制面等も含めて課題の整理を行っているところでございますので、そういった国の動向を注視してまいりたいと考えております。
104 火爪委員 それでいいのかと指摘をしておきたいと思います。学校給食というのは、それこそ所得の低い家庭においては夏休み、冬休み、子供の体重が減るというところもある中、子供の栄養確保に大変重要なものであるという指摘が上がっているわけであります。
何よりも、義務教育はこれを無償とするという憲法の精神を実現していくという意味では大事でありまして、学校給食法の改正というものも課題として上がってくると思うんですね。その際には、やはり地方からそれを補助するという動きが広がって、国を動かしていく。これまでも福祉制度の場合はそういう流れがあったわけで、県として市町村9自治体から要望が上がっているのに何もやらないで、国の動向だけ注視していくというのは何と悲しいことかと思うので、新年度に向けてぜひ検討をしていただくよう要望をしておきたいと思います。
それでは、保育士の配置基準についても伺っておきたいと思います。
昨年、県内でも保育園における不適切保育が複数明らかになりました。もちろんそれ自体は問題でありますけれども、その背景に戦後74年の長きにわたって、国の保育士の配置基準が改善されずにきているということが大きな問題になりました。
私も昨年県議会での質問で取り上げましたし、県からも国に対して保育士配置基準の改善を要望していたと思っています。
こうした声と運動に押されて、6月に閣議決定された、こども未来戦略方針に75年ぶりの配置基準改善が書き込まれました。1歳児は6人に1人の保育士に対して5人に1人に、4歳・5歳児は30人に1人を25人に1人に引き上げると明記されております。それ自身は、一歩前進と歓迎をしたいわけであります。
ところが、その後の報道によりますと、実際には配置基準の見直しではなくて加算での対応、つまり手を挙げたところに予算を増額するということにとどまると。しかも、実施時期なども明確には示されていないということが明らかになっています。
私は、保育士の配置基準の改善というのは、全ての子供の育つ権利を保障する大事なミニマムアクセスだと思っております。
もし加算にとどまるということになると、保育士を増員配置できないといって手を挙げない保育所が残る可能性があります。実際に、2015年に3歳児の20人に1人の保育士の配置基準を改善せずに、加算で15人に1人に改善をしたことがあるわけでありますが、脆弱な保育所、私立認可保育所の1割以上が加算をしなかったということが厚生労働省の資料でも指摘をされています。
私は、改めて県から国に保育士の配置基準の見直しを求めると同時に、保育士の賃金確保のための公定価格の引上げも求めることが極めて重要だと思います。併せて、もし加算という対応になったとしても、県内の私立認可保育所で加算を実行しない保育所が残らないよう、こういう保育所こそ支援を求めている、問題事例が起きかねない、そういう保育所でもあるわけでありますので、ぜひ力を込めて対応していただきたいと思います。どう取り組んでいくのか伺います。
105
池田子育て支援課長 国はこども未来戦略方針において、先ほど委員からも御紹介がありましたとおり、1歳児及び4・5歳児の職員配置基準について、1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は30対1から25対1へ改善することとしており、令和6年度の概算要求では予算編成過程において検討を行うこととされております。
配置基準の改善がなされた場合、各施設で必要となる保育士の数が増加することが見込まれますが、県では保育士・保育所支援センターにおける潜在保育士の掘り起こしや職場復帰への支援に加え、保育士養成校の学生への就学資金貸付や情報レターの送付、高校生に保育士の魅力を伝える保育所体験バスツアーの実施など、様々な事業を推進しているところでございます。
県としても、保育の質や安全性の向上のためには、配置基準の改善は大変重要であると考えているところでございまして、安定的な財源の確保と併せて国へ重要要望や全国知事会を通して要望しているところでございますが、今般国の方針で示された配置基準改善やさらなる処遇改善への対応を含めまして、保育人材の確保に向けた総合的な取組について市町村、関係団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
なお、今ほど平成27年度から実施している3歳児配置改善加算の取得状況についてもお尋ねがありましたけれども、県のほうで把握可能な数値としましては、県が承認を行っている各種加算の認定申請書や指導監査の調書などでの確認となりますので、中核市である富山市を除く数値となっておりますが、令和4年度におきましては、3歳児配置改善加算の対象となる施設は109か所ございまして、うち加算を取得している施設は105か所となっております。割合は96.3%となっております。
なお、加算を取得していない4施設につきましては、いずれも3歳児の人数が15人以下でございまして、加算を取得する必要がないため、実質的には加算が必要な施設全てが加算のほうを取得されているものと認識しているところでございます。
106 火爪委員 今回、配置改善の見直しではなくて、加算での対応にとどまるということにもしなってしまうと、今後の配置基準の見直しについても加算での対応になっていくという可能性があるわけですよね。
私が強調したいのは、配置基準の見直しというのは、先ほど
井加田委員からも子どもの権利条例のお話がありましたけれども、国の姿勢として最低基準だということを明確に示すという大きな意味があるわけです。最低基準なので、それよりも実際には上乗せしているところが多いわけですよね。だから、最低基準の見直しを明確にするということを、やはり当然の習慣にしていくということを求めることが、極めて大事だと思っています。
事実上というお話がありましたけれども、全国的にも1割くらいはやはり手を挙げられない保育所が残ったという報告もされていますので、そういうところもよく見ていただきながら、重点要望として国に求めていくと答弁をいただきましたので、一緒に取り組んでいきたいと思っています。
県内の保育所が引き続き保育士の賃金の改善を実現する中で、保育士がゆとりをもって配置できるように、また一緒に取り組んでいきたいと思っています。
107 山崎委員 まず、高校教育に係る費用負担の軽減についてお伺いをいたします。
子供1人を大学まで進学させようとすると2,000万円かかるという話があります。こういった経済的な背景も少子化の大きな要因の一つだと思います。
ヨーロッパの先進国では、教育費が無償という国も複数あるということでございますので、私たちの国もその方向へ進んでいくということが非常に大事なのではないかと思っているわけであります。
また、ウェルビーイングという観点からしても、自己決定というのが非常に大事なポイントになってくるわけでありまして、
子供たちが自分の道を自分で決定するということに対しましても、この費用負担というものが壁にならないように取り組んでいく必要があろうかと思います。
本来であれば、国が大きな柱となって進めていくべきことでありますけれども、富山県として何ができるかということを考えたときに、高校教育の費用負担の軽減が富山県のできる範囲になってこようかと思われますので、公立高校の授業料等の費用負担の軽減については、番留県立学校課長、そして私立高校の費用負担の軽減については、吉田学術振興課長にお伺いをいたします。
108 番留県立学校課長 私からは、県立高校の教育費負担の軽減についてお答えさせていただきます。
意欲ある高校生が経済的理由に左右されることなく、学ぶ機会を確保できるよう支援していくことは重要であると考えております。このため、県では国の制度を活用し、平成26年度から年収910万円未満の世帯に対し、授業料に充てる就学支援金を支給し、実質無償化を実現しております。加えまして、生活保護や住民税非課税世帯に対しましては、授業料以外の教材費に充てる奨学のための給付金も支給し、家庭の教育費負担の軽減を図っております。
この奨学のための給付金につきましては、令和2年度から全日制・定時制・通信制に加え、専攻科の生徒も対象とするとともに、生活が困窮した世帯を支援するため、給付額を大幅に上乗せしてきております。また、最近ではオンライン学習に係る通信費相当額を上乗せするなど、毎年度給付額を引き上げてきております。さらには、特に負担の大きい入学時の支援として、希望する入学生に対しまして、4月から6月分に相当する額の前倒し給付を実施しているところでございます。
県では、これらのほかに県単独の奨学金として、必要な資金を無利子で貸与する制度を設けておりまして、これらの事業を組み合わせて修学支援を図ってまいりたいと考えております。
なお、国が実施する就学支援金及び奨学のための給付金のさらなる拡充につきましては、引き続き全国知事会等を通じまして要望してまいりたいと考えております。
109 吉田学術振興課長 私のほうからは、私立高校の教育費の負担の軽減についてお答え申し上げます。
まず授業料につきましては、年収590万円未満の世帯では実質無償化が実施されております。年収590万円から910万円未満の世帯については、ここの部分が公私で差が生じている部分なのですけども、国の就学支援金制度に上乗せする形で県単独で支援をしてきておりまして、今年度から上乗せ額をさらに拡充したところでございます。
また、私学の場合は入学時の納付金というものがあるのですけれども、それにつきまして県単独で住民税の非課税の世帯など、低所得世帯への負担軽減を図っておりますほか、令和3年度から年収590万円未満の多子世帯につきましても支援を行っているところでございます。さらに、授業料以外の教育費につきましても、住民税非課税世帯など低所得者に対して、奨学のための給付金を支給しまして、家庭の教育費の負担軽減を図っているところでございます。
県では、引き続き県議会の皆様と共に、国に対して就学支援金の制度の拡充を粘り強く要望してまいりたいと考えております。
110 山崎委員 子育て家庭が増えていくように、
少子化対策としてもさらなる拡充を求めるところであります。
続きまして、学校における食育の推進についてお伺いをいたします。
戦前と戦後では、食生活が大きく変わってきていると思います。戦前では発生が少なかったアレルギーやがんなどの新たな病気も、戦後にどんどんと増えてきているわけであります。
食べ物は
子供たちの体を作りますし、脳も食べ物によって健全に発達をしていくとのことで、どんなものを食べるか、食育推進は非常に大事なことだと思っております。
そしてウェルビーイング、心も体も健康に育っていくためには、学校給食に有機無農薬の材料が使われていくことが非常に大事なことだと思っております。家庭でこういうものを取り入れるのが難しいとしても、学校給食で取り入れられていれば、3食のうち1食は有機無農薬の材料を摂取できるということになっていくわけでありまして、どのように対処をしていかれるのか、またこれをどのように捉えていらっしゃるのか山元食育安全班長にお伺いいたします。
111 山元食育安全班長 まず食育のほうですけれども、県では令和4年度にスタートしました第4期富山県食育推進計画におきまして、学校等における食育の推進を推進施策の一つに位置づけ、学校給食等を通じた食育の推進、家庭・地域等と連携した食育の推進、豊かな農林水産資源を生かした食の体験の推進に取り組むこととしております。
学校給食は、食育を進める上で有効な生きた教材でありまして、食事の重要性や栄養バランス、食文化等について、各教科等の学習内容と関連する食材や、学校給食の献立を教材として活用しております。
また、家庭・地域等との連携におきましては、毎日しっかり朝ごはん運動や、給食便りによる保護者への情報発信のほか、郷土への愛着、生産者等に対する感謝の心を育むため、親子での地場産物の収穫や調理体験等に取り組んでおります。今後とも食に関する知識や理解、関心が深まるよう、さらなる食育の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
また、学校給食における有機農産物の活用につきましては、学校給食は食材費を抑えつつ、日々大量の食材を安定的に確保する必要があるため、現在の有機農産物の供給量やそのコストなどを考慮すると、活用の拡大に向けては課題があると考えております。
一方、
県内市町村におきましては、年に数回ではありますが、有機農産物を使用した学校給食を実施しておられまして、
県教育委員会としましては、そうした食育の取組事例について、学校や栄養教諭等に対し各種研修会や実践事例集で取り上げるなど、広く紹介してまいります。
今後とも学校給食を通した
児童生徒の心身の健全な発達のため、農林水産部や市町村、関係機関とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
112 山崎委員 有機無農薬の学校給食があるという理由で、わざわざ移住してそういった学校に通わせるという事例もあるそうなので、さらなる推進をお願いいたします。
113
武田委員長 ほかにありませんか。──ないようでありますので、これをもって質疑・質問を終わります。
2 行政視察について
114
武田委員長 次に、行政視察について議題といたします。
本委員会の行政視察については、必要に応じて機動的に実施していきたいと考えており、その実施に当たっての日程調整等については、委員長に御一任願いたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
115
武田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で付議事項についての審査を終わりますが、この際、ほかに何か御意見はありますか。──ないようでありますので、これをもって委員会を閉会いたします。
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