渡辺委員
・本県の
地域交通ネットワークの形成について
中川委員
・城端線・氷見線について
・
富山地方鉄道について
岡崎委員
・公共交通の持続性と利便性の向上について
瘧師委員長 それでは、質疑に入ります。
質問は、今ほどの説明事項及び説明員の分掌事務、所管事務の範囲内で行うものといたします。
なお、本日は時間が限られておりますので、委員各位におかれましては簡潔な発言をされ、事前に通告していない質疑は御遠慮いただきたいと思います。
また、執行部の皆様方におかれましても簡潔な答弁をお願いいたします。
それでは、質疑はありませんか。
2 立村委員 トップを切って質問します。諸先輩方が多数控えておられますので、簡潔な質問に努めたいと思います。
私からは、高山本線の利便性向上について、2問質問します。
昨今、JR線では、城端線・氷見線に注目が集まっております。高山本線は、国内有数の観光地である高山と富山を結び、将来の地域交通を描く
グランドデザインを考えるにあたり、本県にとって欠かせない大事な路線であると考えております。
本来であれば、富山から高山の直通運行に関する質問をしようと思っていたところでありますが、それは過去からいろんな先輩方が質問されて、それへの答弁から、御努力いただいていることが分かります。今回は、高山本線富山─猪谷間の問題について質問します。
猪谷から富山の間は、富山市が推進する、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりの重要な公共交通軸です。令和3年3月に事務局を富山市に置く
高山本線ブラッシュアップ会議が設立され、市・県、そしてJR西日本を構成員として3者が連携して、高山本線の活性化・利便性向上について協議がなされてまいりました。
そして、今年3月に
高山本線ブラッシュアップ基本計画が策定され、公表されたところです。私も一読させていただきましたが、非常によくできた計画であると思っております。
先般、この会に新たな構成員として、
富山地方鉄道が加えられ、今年度の
ブラッシュアップ施策としては、朝のラッシュ時に越中八尾駅発のダイヤを15分おきに均等化し、分かりやすく便利なダイヤ設定とされました。ほかにも、
コミュニティーバスとの乗り継ぎ改善に向けた運行実験などを行われると伺っております。
このような取組は引き続き進めていただきたいと思っておりますが、喫緊の課題として、朝夕のラッシュ時、特に富山駅─速星駅の間は定員を超える乗客が乗車し、混雑化することが常態化しております。
富山市が昨年6月に行った調査によれば、平日朝7時台後半に富山駅に到着する路線の速星─富山間の乗車率、そして夕方17時台後半に富山駅を発車する富山─速星間の乗車率は、100%を優に超えている状況にあります。
今ほど御説明のあった富山県
地域交通戦略においては、富山県の
地域交通ネットワークの目指すべき姿の1つとして、
鉄軌道サービスの利便性・快適性の向上が掲げられているところであります。
そこで、朝夕のラッシュ時の列車の増発、あるいは連結車両の増設などが必要と考えますが、
黒崎広域交通・
新幹線政策課長にお伺いします。
3
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 高山本線は通勤・通学が主な利用目的となっており、今ほど委員御説明のとおり、朝夕の時間帯には大変混雑している状況です。富山市の
ブラッシュアップ基本計画の資料にも、時間帯によっては乗車率が100%を超えると公表されているところでございます。実際、私も高山本線を利用して通勤しておりますけれども、非常に混雑している状況はよく体感しております。
高山本線では、JR西日本が富山市と連携いたしまして、平成18年度から利用促進と沿線の活性化を目的に増発の社会実験を行っております。最近では、今ほど御紹介ありました3月のダイヤ改正におきまして、富山─速星間の1往復を、富山から越中八尾間まで、少し距離を延ばして延長運転することにより、越中八尾から乗車される方の利用選択肢を広げるといったことで、混雑の緩和を図っております。
また、朝の通勤時間帯に、これまで3両を2本走らせていたものを、2両にして3本走らせるなど、限られた車両数の中で、様々な工夫をしている状況でございます。
高山本線強化促進同盟会の会長を富山県と岐阜県の知事が2年に1回交代して務めておりますが、県はその事務局として、富山市、それから商工団体とともに、毎年、JR西日本に対し、朝夕の通勤通学時間帯における列車の増発等による混雑緩和について要望しております。
鉄道の利便性・快適性の向上を図ることは、利用者の増加にもつながると考えておりまして、引き続き、粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
4 立村委員 朝夕のラッシュ時に混雑化するのは、高山本線だけではなくて、あいの風とやま鉄道などもそうだと思いますが、今ほど課長から御説明があったとおり、高山本線に関しては、平成18年度から22年度にかけて社会実験が行われました。
その際、列車の増発、婦中鵜坂駅の新設がなされました。そのときは、やはりある程度の混雑の緩和等もなされた。
そういったことをしておられるものですから、現在の状況──特に今、婦中鵜坂駅周辺は御存じのとおり、新興住宅地がどんどん増えてきて、渋滞、混雑化が非常にまた増していることから、なおさらそういった声が高山本線沿線の住民から聞こえてくるのではないかと私は思っております。
引き続き、利便性向上に努めていただくよう、JR西日本さんにお願いしてほしいと思います。
先般、JR西日本が公表されました昨年度の輸送密度は、高山本線の猪谷─富山間は1,830人でした。一般的に2,000人を下回れば非効率な路線と評価され、収支率が公表される可能性があるようですが、高山本線に関しては、コロナ禍前は2,000人を上回っていた。
前年度比については、城端線・氷見線と比べて大幅な増加である20.7%増だったことから、いずれ2,000人は回復するのではないかなと思っております。そのためには、やはり高山本線で通勤、あるいは通学しよう、利用しようと思う県民を増やすための取組が必要です。
通勤・通学のラッシュにもまれるストレスというのは、やはり大きいものですから、高山本線の利用者増加の足かせにならないよう、引き続き、働きかけていただきたいと思います。
次に、
JR高山本線の利用者には、あいの風とやま鉄道に乗り継いで通勤・通学する方が多くおられますが、あいの風とやま鉄道で使用されている
交通系ICカード、いわゆるICOCAが高山本線では使えないことから、大変不便だという声をよく聞きます。
富山県
地域交通戦略の主な検討施策の中にも、鉄軌道の
サービスレベル向上に対する投資として
キャッシュレス決済、
交通系ICカード等の導入が上げられているところであります。
そこで、ICOCAを高山本線でも使用できるようにして、利用者の利便性向上を図ってはどうかと考えますが、黒崎課長にお伺いします。
5
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 交通系ICカードは、切符の購入や乗り継ぎ時の精算が不要で、県内、市内の鉄道利用者にとっては、シームレスな移動が可能になります。また、県外から訪れる観光客、ビジネス客の方は、例えば、東京ではSuicaがよく使われていますし、関西からはICOCAの利用者が多いと思いますけれども、そういう県外からの利用者で、その地域の路線の状況や鉄道を利用した移動に慣れていない方にとっても、安心して乗車することができ、利便性・快適性の向上にもつながると考えます。
委員御指摘のとおり、現在、
JR高山本線ではICカードに対応できていない状況でございます。県ではこれまでも、先ほど申し上げた
高山本線強化促進同盟会として、毎年、
交通系ICカードの導入をJR西日本に働きかけているところでございます。
こうした中、富山市が事務局を務める
高山本線ブラッシュアップ会議が3月に取りまとめた
ブラッシュアップ基本計画の中で、
ICカード導入に向けた検討を行い、実施を目指すとされております。
あいの風とやま鉄道からの乗り継ぎのこともございます。県としましては、富山市やJR西日本などとともに高山本線の利便性向上に取り組んでまいりたいと考えております。
6 立村委員
交通系ICカードを含む
キャッシュレス決済に関しては、この後、瀬川委員からも質問があるようですので、私はあまりこれ以上言いませんが、城端線・氷見線が今のままあいの風とやま鉄道に移管されると、
県内JR在来線は、唯一高山本線だけとなります。
しかも、JR西日本にとってみれば、一番端っこの路線になります。一言で言えば、今、私を含め地域住民は不安なんです。折しも本日の報道で、岡山と広島を結ぶ芸備線の一部区間において、JR西日本から国に対して協議会を設置するよう要請がなされたところであります。
そういった不安を払拭するためにも、やっぱり利便性の向上を図ることによって、利用者を増やして、JRにとって必要な路線だという認識を持っていただくことは大事だと考えております。
今後とも高山本線の利便性の向上、そしてその動向に注視し、配慮されることをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。
7 瀬川委員 私からは3問質問します。
先ほど、黒崎課長から城端線・氷見線再構築検討会の開催結果の御報告がありました。
細かいところはこれからだと思いますけれども、非常にスピード感があって、とてもよい流れで進んでいるなと思っております。首長の皆さんに注目が行きがちですけれども、事務局の皆さんが大変御苦労されて、しっかりまとめているからこそ、こういう流れになっているんだと思いますので、皆さんのおかげだと大変感謝申し上げます。
この検討会では、様々検討することがありますが、大きいところでは、4つのことを話し合いますよとうたわれています。
1つは、
新型鉄道車両の導入について。2つ目としては、運行本数の増加。3つ目は、両線の直通化などの利便性・快適性の向上。そして4つ目が、
交通系ICカードの導入ということです。
この4つ、どれもとても大事だとは思うんですけれども、この
交通系ICカードだけ、私の所感ですが、少し浮いているというか、小粒、ほかのものに比べたら少しスケールが小さいのかなと、初めて見たときにまず感じました。
何でそう思ったかというと、
交通系ICカードの決済というのは、今やもう全てのコンビニなどで導入されているぐらい広く行き渡った技術であって、今さらこれを議論するのかと、まず感じたのがきっかけです。
とはいえ、皆さんがこれまで要望してきたけれども、JRでは導入されていない事実もあるので、議論はすべきことではあるんですが、広く行き渡っている。その次に思ったのが、よくよく考えてみると、
ICカード決済が最初に登場したのが20年以上前になりまして、決済の仕方はこの20年でどんどん進化している。この20年前に開発された技術がいつまで将来続くのかなという疑問も自分の中でありまして、今日議論したいなと思っております。
というのも、現時点では、この
交通系ICカードがないことへの不便さに目が行きがちですけれども、将来という視点に立つと、いつまでこれがあるのか、この
交通系ICカードよりもより取り入れるべきものがあるのではないのかなとも思います。
県も出資しているあいの風とやま鉄道などでは、もうこの
交通系ICカードの改札が導入されています。
1問目としては、議論のベースにするために、改札機として設置する場合、1台当たりの
交通系ICカード簡易改札機の
想定導入費用は幾らなのか。そして、簡易に設置している場合と、進入禁止バーを伴う場合がありまして、進入禁止バーを伴う場合の1台当たりの
想定導入費用は幾らか、黒崎課長にお聞きします。
8
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 まず、お話ありました利便性・快適性の向上の4つの方策の中で、ICカードがやや小粒ではないかという御意見をいただきました。
実際、委員のお話にもありましたとおり、
交通系ICカードというのは、もう20年前に開発されて、広く行き渡っている。
交通系ICカードに限らず、
キャッシュレス決済というのはコロナ禍もありまして、急速に普及している状況です。
それが、城端線・氷見線、先ほど、立村委員から御質問ありました高山本線には導入されていない。広く行き渡っているものが導入されていないことに対する沿線住民、沿線市からの不安や、不便さがより増しているといった切実な思い、意見もあって、ICカードを含めた利便性・快適性の向上策について検討しています。
今、御質問いただきました簡易改札機、それから進入禁止バーを伴う改札機──これは
ゲート式改札機と言うそうです。
こちらの導入費用は、県内では、あいの風とやま鉄道で両方の改札機をそれぞれ設置しておりますので、その状況を確認したところ、少し古いんですけれども、平成27年度に高岡駅に
ゲート式改札機を設置しております。出場と入場の2台を1セットと考えて、その1セット当たり約800万円と聞いております。また、同じ平成27年度に魚津駅で簡易改札機を設置しております。こちらのほうも出場と入場、それぞれ形としては2台ありますけれども、それを1セットと見て約600万円と聞いております。
9 瀬川委員 思ったより費用がかからないなという印象です。ここだけの議論で結構ですけれども、よくよく調べてみると、今、どんどん駅の改札が変化しているようです。例えば、JR九州、
福岡市営地下鉄、江ノ島電鉄、これからは東京メトロ、東急でも導入するらしいですが、
交通系ICカードではなくて、
クレジットカードで改札を通ってもらおうという実験や、導入が進んでいます。
これには、大きく2つ理由がありまして、1つは、今どんどん増えている海外からの観光客は
交通系ICカードを持っていないので、海外からの観光客の利便性につながっていくというのが1つ。もう1つは、
交通系ICカードの決済は、日本独自の技術なので、
クレジットカードの決済よりも費用が高くなりがちだというのが、もう1つの理由としてあります。
さらには、特に東急がそうなんですけれども、改札を通るだけで終わらせようとは思っていない。
交通系ICカードの場合は、改札入場などの移動のデータは取れるんですけれども、そのカードを使っての購買は、今は数としては
クレジットカードに比べて多くはないんです。
クレジットカードであれば、改札も通って、お買物もそれでする。どういう人がこの地域に来て、どういう消費行動をしているのかのデータが取れるので、次の
ブラッシュアップ、観光地の磨き上げにつながる。こういう理由で、全国各地で導入が進んでいます。
そこで、2問目ですけれども、このように公共交通への
クレジットカードタッチ決済導入が全国的に進んでいますが、こちらのほうの1台当たりの
想定導入費用は幾らなのか、黒崎課長にお聞きします。
10
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 公共交通機関における
クレジットカードによるタッチ決済は、まず現金や事前のチャージが不要です。それから、様々な
クレジットカードが対応しており、海外から訪れる観光客にとっても利便性が高い。そのほかにも今、御紹介いただいたような特徴があるかと思います。
国内では、これまでバスを中心に導入が進んでおり、最近では、鉄道路線においても進んでいます。例えば、大阪の南海電鉄、九州の西日本鉄道、ほかにも市営地下鉄の話もありましたけれども、私鉄や都心を中心に導入されているほか、今年度、JR九州でも実証実験が行われていると聞いております。
費用ですけれども、交通事業者に問い合わせてはみましたが、導入費用については、残念ながら対外的に公表していないということでございました。
11 瀬川委員 世界的な規格であることから、恐らく
交通系ICカードよりも安いのではないかと予想をするわけなので、城端線・氷見線の導入に当たっては、ぜひ検討してほしいなと思っております。
どちらも整備するのが一番生活者にとっては便利なのかもしれませんが、なかなかそういうわけにはいきません。仮にどちらかを選ぶとすると、現時点では確かに利用者は多いけれども、これからいつまでもつか分からない技術を導入するのか。あるいはこれからどんどん利用者が増えていく、また、県庁としては海外からの観光客誘致に大変力を入れているので、そことの親和性、連携も考えて
クレジットカードにするか。ぜひこちらも検討してほしいなと思っております。
クレジットカード対応にした場合は、未来を見据えて投資しているというメッセージも打ち出せるので、大変話題性もあります。先ほども言いましたが、移動後の富山県でどういう行動をしているかのデータが取れて、富山県の観光地、あるいは生活の磨き上げにつながると思います。城端線・氷見線の
カード決済導入に当たっては、未来に向けて
交通系ICカードよりむしろ
クレジットカード決済を導入してもいいのかなと思いますけれども、黒崎課長の見解をお聞きします。
12
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 先ほどお答えしましたとおり、
クレジットカードによるタッチ決済の導入につきましては、海外から訪れる観光客なども使いやすいというメリットがあります。
ただ、現在、ICカードに対応していない城端線・氷見線への導入を考えた場合、まず、城端線・氷見線利用者の多くは、通学利用の高校生です。高校生は
クレジットカードの発行に制約があり、基本的に高校生への発行はできないカード会社が多いと聞いております。
また、
交通系ICカードを既にあいの風とやま鉄道で導入しておりますけれども、あいの風とやま鉄道から乗り継ぐ場合に使用ができないといった課題もあると考えてございます。
クレジットカードによるタッチ決済は、そういったメリットや課題がそれぞれあると考えており、城端線・氷見線へのICカードの対応につきましては、路線の実態を踏まえ、検討をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
13 瀬川委員 ぜひ検討をよろしくお願いします。
14 針山委員 私からも、まず、JR城端線・氷見線について質問します。
JR城端線・
氷見線LRT化等の事業費調査の結果を受けまして、新しい交通モードに
新型鉄道車両の導入が決定されたところでございます。
今、いろいろと資料も見返しておりますけれども、
ディーゼルエンジンで発電機を動かして、モーターで走行すると。4両編成で定員が408人。輸送能力が高く、燃費も向上し、二酸化炭素などの排出を今よりも30%から40%ほど削減できる。また、車両が軽量化されて、直通化が可能。いろいろと期待も膨らんでおりまして、メリット、特徴も情報があるわけでございますけれども、実際に、この
新型鉄道車両がどのようなものなのか、まだなかなか県民の皆さんはイメージし切れていないのではないかと思っております。
当初はLRT化を検討するということで、万葉線やライトレールのようなイメージで、県民の皆さんも期待が膨らんでいた面もありました。導入予定のこの
新型鉄道車両というのは、「これだ」というのがいつ頃決定するのか。改めてとなりますけれども、どのような車両を想定して、また、現在の車両と何が違うのか、
黒崎広域交通・
新幹線政策課長にお尋ねいたします。
15
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 現在進めております城端線・氷見線の再構築実施計画でございますけれども、今ほど委員から御紹介ありました3月の
LRT化検討会の検討結果を踏まえ、
新型鉄道車両の導入についても盛り込むことで進めております。
城端線・氷見線は、非電化区間であるということで、現在は、製造から約40年以上が経過した、かなり古いディーゼル車、液体式気動車のディーゼル車が運行されております。
新型鉄道車両は例えば、電気式気動車や
ハイブリッド気動車といった、
ディーゼルエンジンで発電機を回して、得られた電気をモーターに伝えて車輪を回すという、新しいタイプの車両を想定しております。
現在の車両との違いは、加速性能、静粛性が優れている、また、ディーゼル車ではありますけれども、車両の構造上、最終的には電気をモーターに伝えて車輪を回すということで、電車と部品が共有できるため、部品の調達やメンテナンスの費用が抑えられる。さらには、電車と気動車は、普通は運転免許が別ですけれども、どちらか一方の免許を有していれば運転することができて、運転士確保の点からもメリットがあると考えております。
非常に技術的な話になってしまって申し訳ないんですけれども、現在は今ほど申し上げたとおり、車両の性能で、特徴の面から検討を進めておりまして、再構築実施計画の中で沿線市、鉄道事業者などとともに検討していきたいと考えております。
16 針山委員 今の話は性能や技術面の話だったと思いますけれども、見た目がこんなものだというのは、いつ頃分かるのかをお聞きしたいのですが、黒崎課長、お願いします。
17
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 見た目、車両のデザインは、具体的にどういうタイプのものを導入するか、どういう形で設計するか、いろいろ検討する点がございます。
それにつきましては、検討しています再構築実施計画の中で位置づけたものを具体的に導入する段階で、デザインなどを検討するところでお示ししていくことになるかと考えております。
18 針山委員 これからだということです。
もともとのLRT化の検討の中で、当初の需要調査では、LRT化・直通化して、ピーク時は10分おき、オフピークは15分おきに運行したら、46%の方が新しくLRTに乗ってみたいという調査結果も出ています。
性能・技術は分かりますけれども、どんなものが走るのか分からない中で、今後、
新型鉄道車両導入を進めていく上で、需要の予測はどのようにしていくのか、黒崎課長にお尋ねいたします。
19
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 需要の予測につきましては、どういう事業構造にするか、事業主体をどうするか、そういったことをこの後議論する中で、実際にどれだけの需要見込みがあるか、それに基づいて実際に運行計画をどうするかを含め、議論していくことになると考えております。
20 針山委員 事業費調査の中で、LRT化すると400億円を超えるコストがかかる、
新型鉄道車両のほうは整備費に131億円かかるという数字だったかと思います。コストをにらんで
新型鉄道車両の導入を決めましたけれども、やっぱり費用対効果の面で、需要がしっかりと確保できないと、その131億円が高いか安いかがなかなか分からないと思います。その需要喚起も含めて、予測もしっかりと調査していただかなければならないと思っております。
続きまして、あいの風とやま鉄道についてお尋ねをいたします。
JR西日本を例に取りますけれども、直近の2023年3月期の業績の中で、売上げが1兆3,955億円、うち本業といわれます運送業・運輸業で7,503億円。私たちがいわゆる本業と捉えております部分で、JR西日本の売上げは53%しかない。「しかない」ことはないんですけれども、53%を占めると。それ以外に、物販や飲食、百貨店、流通の部門で売上げが立っているわけでございます。
一方で、あいの風とやま鉄道は直近の2023年3月期で54億円の売上げになっておりますが、ほとんど運輸・運送業による収入だと思っております。
それ以外の収入といったら、模型やカレンダー、「あいの助」のグッズを売ることですが、まちづくりに積極的に関与してもらう視点も含めて、あいの風とやま鉄道に沿線のにぎわいを創出するような事業にも取り組んでいく、そういった考え方があってもいいのではないかと思いますが、黒崎課長にお尋ねいたします。
21
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 あいの風とやま鉄道では、これまでも本業である鉄道事業──現在は本業が中心ではございますけれども、ほかにも沿線のにぎわい創出に向けた取組を行っております。
具体的に申し上げますと、あいの風とやま鉄道が所有しております富山駅の高架下の敷地を民間事業者に貸し付け、開発を行いまして、令和2年6月に飲食店、それから富山駅改札口の横にありますコンビニエンスストアを開業しております。そういうことで、富山駅周辺のにぎわい創出にも寄与しているところでございます。
また、現在、あいの風とやま鉄道が所有している同社の本社西側の敷地開発も進めております。開発事業者に決定した富山ターミナルビル株式会社は、JR西日本グループの会社でございますけれども、その商業施設の開発を進めておりまして、来年春の開業を目指しております。
8月には、名称が「牛島パークウエスト」に決定しまして、スポーツバイク専門店、バーベキュー施設などの整備が予定されており、さらなる駅周辺のにぎわいが期待されるところでございます。
また、富山駅周辺だけではなくて、例えば、朝日町のあさひ舟川「春の四重奏」、日本海高岡なべ祭り、入善ラーメンまつりなど、その沿線市町で行われますイベントとタイアップした企画切符の造成にも取り組んでおります。
こうした沿線のにぎわいの創出に向けた取組は、鉄道の利用促進にもつながる大事な取組であると考えております。あいの風とやま鉄道には引き続き、まちづくりの主体であります市町村とも連携して、こういった取組を進めていただきたいと考えております。
22 針山委員 決して多角化がいいというわけではないとは思いますけれども、これからの人口減少社会の中で、利用者を何とかつなぎ止める努力も必要だと思っております。
23 永森委員 私からは、城端線・氷見線の活性化についてお尋ねします。
先ほどからいろいろと話題に出ているとおりであります。今年3月に県と沿線4市、JR西日本で4つの活性化策が合意されました。新型車両の導入、運行本数の増加、ICカードの導入、直通化であります。
そして、こうしたことを受けて、今年度に入って2回、再構築検討会が開催されまして、あいの風とやま鉄道に経営を移していくことが大筋合意されたということであります。
スピーディーな対応で、非常に評価をしたいと思っております。
ただ、一方で、今ほど針山委員からもいろいろお話がありましたとおり、運行主体が誰になるのかは、一番難しくて大きな問題であることは事実ですけれども、やはり出発点は利便性の向上にあると思っています。その利便性の向上についての具体的な議論があまり見えてきていないというのが私の印象であり、そういうところから、城端線・氷見線に対しての具体的なイメージ、機運が高まってこない1つの要因なのではないかなと思っております。
一方で、この計画は年内中に策定するということで、あと3か月しかありません。スケジュールを見ておりますと、11月にはもうその計画の素案が出てくる予定になっていますが、利便性の向上については、もう少し丁寧な議論をし、県民にしっかりと理解をしてもらうことが必要だと思っているわけです。
経営移管大筋合意の9月6日翌日の新聞には、砺波市長は、3つの活性化策、つまり直通化を除く3つの策を実現後にあいの風とやま鉄道に移管するのが現実的と発言をしておられ、また、あいの風とやま鉄道へ移管するための5つの条件を見ていましても、直通化事業をする場合には、JR西日本が全面的に支援することと書いてあって、あたかもJR西日本の下では直通化されないことが前提になっているのかなと考えられる発言もあったわけであります。
そうしたことも含めて、この城端線・氷見線の4つの活性化策について、誰がどのような時間軸で、どう進めていくのかが見えてこないわけなんですけれども、現状、どんなふうに議論されているのか、まずは黒崎課長にお尋ねします。
24
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 城端線・氷見線の利便性・快適性の向上策につきまして、事業主体、実施時期は、今、事業主体を中心に議論を進めております。鉄道事業再構築実施計画について前倒しで議論していたところ、10月1日から改正法が施行され、その計画の策定の中で検討を進めているところでございます。
それぞれの方策にいては、年内にその策定を目指しているこの計画で、大臣の認定を目指していきたいと考えております。
直通化につきましては、新聞報道で、砺波市長から、直通化の議論は経営移管後に検討する、筋ができた段階で検討するという発言もあったことは承知しております。
既存のあいの風とやま鉄道は貨物列車を含めて多くの列車が運行しております。直通化のためには運行の調整が必要となる。それからレールや信号など、多くの鉄道設備の改良が必要となるため、経営移管後に同一の事業者で実施したほうが効率的、効果的であるという考えから、直通化についてそのような御発言があったものと考えております。
先月開催されました第2回の検討会でも、あいの風とやま鉄道から様々な条件が示されました。直通化につきましても、JR西日本から全面的な支援も示されております。こうした条件と併せて引き続き検討していくことになります。
実施計画に盛り込む内容に利便の確保という項目があり、4つの施策を中心に議論していくことになります。
事業主体や実施時期につきましては、その計画の策定の中で議論していきたいと考えております。
25 永森委員 計画の策定の中でということですけれども、既に残された時間を考えると、非常に限られた時間の中での議論で、そこまで全て決めていけるのか、どこまで決めるのかもちょっと分からないんですけれども、後でまた聞くとして、次に移ります。
この4つの活性化策の中で、運行本数の増加という書かれ方をしています。もともとの出発点である
LRT化検討会で様々な議論や試算も行われましたが、LRTなので、全てパターンダイヤが前提の議論をされていたと思っているんです。
10分、15分、30分間隔で試算するとどうなるか、その場合には、幾つの擦れ違い設備が必要だという、そんな検討の中身だったと思っているんですね。
それが、今回、
新型鉄道車両の導入になったときに、運行本数の増加という書き方がしてあって、パターンダイヤは出てこない。パターンダイヤを導入していくことが前提になっていると理解してよろしいのでしょうか。まず聞かせてください。
26
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 現在、策定を進めている実施計画の中では、運行本数の増加を利便性・快適性の向上策の1つに位置づけております。その場合に、どの程度の運行本数にすればいいのか、どの程度の運行間隔とするかを現在検討しております。
朝夕のラッシュ時と昼間の時間帯では運行間隔が異なります。また、ほかの路線──北陸新幹線やあいの風とやま鉄道との接続の利便性も考慮する必要がありますので、現時点ではパターンダイヤの導入について申し上げることはできない状況です。
ダイヤは鉄道の利便性と密接に関わりますので、沿線市、鉄道事業者とともに、これも計画の策定の中で、利便性の確保としてどういったことができるか検討してまいりたいと考えております。
27 永森委員 今のところパターンダイヤ前提ではないということでありますけれども、ただ、同じ話だったと思うんですね。LRT化検討のときだって同じ問題は当然あったわけで、それも含めて私は議論されてきていると思っているので、そういうことでいいのかなと。
また、この計画の中で、この事業の効果、目標設定を出していかなければいけないわけですよね。利用者数がどうなるか、事業収支がどうなるか、国・地方公共団体の支出額の目標はどうなるのか。これほど大事なことを、この年内に策定すると言っている計画の中に書き込んでいかなくてはいけないのに、運行の在り方、つまりパターンダイヤにするのか、そうではないのか、運行本数をどのくらい増やすのか、そうしたことも出ていない状態で、こういうことを設定していくことが本当に可能なのかなと思うわけです。いろんな試算もしているのでしょうけれども、仮に、パターンダイヤとする場合の検討はされていたりするのでしょうか。
LRTのときは、何分間隔だと擦れ違い設備が必要ですよねといった議論があったかと思うんですけれども、そういう議論は全くなされていないのでしょうか。
28
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 先ほども御答弁申し上げましたけれども、運行本数の増加を中心に、利便性・快適性の向上策の1つとして、どの程度の運行本数にするか、運行間隔をどうするかを、現在検討しているところでございます。
パターンダイヤについて全く検討していないということではなくて、運行本数、運行間隔について検討しているということでございます。
29 永森委員 分かりました。
全ての質問がパターンダイヤ前提の質問だったんですけれども、運行本数の増加、また時間帯によってはパターンダイヤとすることも考えていることがにじみ出てはいるのかなと思っております。
その上で、この計画に当たって、当然予算を出していかなければいけないので、
新型鉄道車両をどの程度調達するか、施設整備は必要になるのか、検討はなされているのでしょうか。
30
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 運行本数の増加を、1つの利便性・快適性の向上策として検討しております。
運行本数を増やす場合に、どの程度の本数を増やすかにもよりますけれども、パターンダイヤを導入するかどうかにかかわらず、車両の増車や、それに伴う行き違い施設──城端線・氷見線は、今、単線でございますので、運行本数を増やすとなると、行き違い施設を新たに設けることも必要です。それがどの程度必要になるかを現在検討しているところでございます。
31 永森委員 車両は増やさなければいけないことが決まっている、擦れ違いの設備も造らなきゃいけないということは決まっている。けれども、幾つ造らなきゃいけないかは分からないということですよね。
どの程度増やせばいいのか検討をしているとおっしゃられますけれども、さっきから繰り返しているように、もう時間があまりなくて、去年のように外注して、調査をして、その結果を待つことがもうできない状況です。何をよりどころにして、どの程度増やすかを議論されていくおつもりなんでしょうか。
32
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 これまでの
LRT化検討会でかなり詳細に、事業費調査などをしております。
使えるものは当然使いながら、あとは、JR西日本も検討メンバーに入っておりますので、そういった鉄道事業者の御意見も聞きながら、検討しています。
33 永森委員 城端線・氷見線
LRT化検討会の資料は、やっぱり輸送能力も全然違いますし、そもそも前提としていたパターンダイヤというダイヤ編成も全然違っているわけなので、基礎資料としてどこまで有用なのか分からない。もし、それが有用なものだったとしたら、差し迫ったこの状況まで、そうしたことがなぜ議論されてこなかったのか、非常に残念に思いますね。
最後の質問になりますけれども、新駅は、計画上どのように位置づけをしてやっていかれるのでしょうか。
34
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 新駅の設置につきましては、観光客や、沿線市による駅を中心としたまちづくりの取組などで、新たな需要を取り込み、利用者の増加が期待できるものと考えております。
城端線・氷見線につきましては、現在、利便性・快適性の向上に向けたその4つの方策について検討を進めておりまして、新駅設置については、その後の議論になるものと考えております。
35 永森委員 何というか、ほとんど何も決まっていないような気がするんですけれども。繰り返しになりますが、国、そして地方公共団体なので、もちろん我々県議会の議決にかかってくる、県の予算のことも関わってくる話でありますし、市町村だってそうですよね。まして今から基金をつくっていくんだという話もしているということですから、非常に重要なことをこれから決めていかなければいけない段階です。
いろんなことが決まっているんだけれども、今の段階では言えないことがたくさんあるのだと期待したいと思いますけれども、やっぱりこういう議会の場で、県として思っていることをしっかりお伝えいただかないと。この城端線・氷見線という事業に、いくら国から補助が出るとはいえ、多額の予算をこれからかけていかなければいけない。その事業の中身が十分に議論されないまま、年内に計画が策定されていくことはあってはならないことだと思いますので、しっかりとまた議会とも意見を共有しながら進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
36 瘧師委員長 暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
〔休 憩〕
37 瘧師委員長 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑はありませんか。
38 山本委員 策定中の
地域公共交通計画について、まず1問お尋ねをします。
県は、今、御承知のとおりつくっておられるわけでございますけれども、高岡市も計画をつくる方向で進めていると聞いています。各市町村が順次つくっていく、またはつくられていると認識をしていますけれども、質問とすれば、しっかりと連携をして取り組んでほしいという趣旨の質問でございます。
基本的には、鉄道のこと、それから、鉄道からその次の二次交通のことについてお話をされているでしょうけれども、地域公共交通を1つのサービスとして見るときには、どこまできっちり伸ばすことができるか、幹から枝、最後の葉っぱの先まで、しっかりつながって初めてネットワークと言えると認識をしています。
県で全部やれるわけではありませんので、どうしてもやっぱり市町村さんと協力をする必要がある。そうでないと、葉っぱの先まで行き届いた交通ネットワークにならないと考えておりまして、そこをしっかりやっていただけないかという質問でございます。
やっぱり魂の籠った計画になってほしい、十分織り込んだことをしてほしいと思いますが、
有田交通戦略企画課長にお聞きします。
39
有田交通戦略企画課長 地域交通戦略会議で、幹や枝、葉にあたる交通についての検討ポイントを取りまとめました
地域交通ネットワークの目指すべき姿を、2月に取りまとめました。その中では、幹となる
鉄軌道サービス、また、駅を中心にあらゆるサービスが1つにつながる県全体のネットワーク形成を目指すことにしております。
この実現には、
鉄軌道サービスはもちろん、駅を降りた後の地域内のモビリティーサービス確保に取り組む市町村との連携は欠かせないと考えております。県で計画を策定する際には、市町村の計画との間で相互に整合性を確保しまして、連携を図ることに留意する必要があると考えております。
このため、富山県
地域交通戦略会議の下には、県内の全ての市町村が参画する交通ワンチーム部会を設置しております。
この交通ワンチーム部会を開催して、戦略会議の議論の状況を各市町村に逐一共有しますとともに、各市町村の動向についても、この部会の中で相互に情報交換、意見交換を行っております。
また、各市町村が計画を策定する際に、各市町村で開催される地域交通関連の会議には、県も委員の一人として参画しております。
先ほど、山本委員から御紹介いただきました高岡市の会議にも私が委員の一人となっておりまして、出席、参画をしているところでございます。
こういった形で、県と市町村の計画間の整合性を取るために、必要な連携体制を構築しています。
また、目指すべき姿の中で示した、鉄軌道や駅を中心とした県全体でのネットワーク形成の実現に向けましては、各市町村における地域内のモビリティーサービスに関する取組との連携の観点はもちろん、まちづくりの観点からの市町村との連携も重要になると考えております。
8月に開催した第5回
地域交通戦略会議の中でも、委員の方々から、立地適正化計画──これは、市町村がつくるまちづくり計画の1つでございますが、そうした立地適正化計画など、市町村のまちづくり計画において拠点と位置づけられた駅に対する取組や、めり張りをつけた対応の必要性について、御意見をいただいております。
市町村の
地域公共交通計画だけではなく、こうしたまちづくり計画との連携の観点にも留意しながら、県の計画策定に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
40 山本委員 富山大学の中川大先生が特別講演をされまして、タクトダイヤのお話がございました。先ほど、永森委員からパターンダイヤの話がございましたけれども、タクトダイヤというのも1つの大事な考え方だと思っています。
タクトダイヤの考え方は、早く目的地へ着くことよりは、しっかりつながっているというか、無駄がなく、1時間に1本であっても、それに乗れば時間のロスが少なく、目的地まで行けるということです。
タクトダイヤそのものの手法をまるっきり導入しなかったとしても、しっかり市町村と連携して、その考え方である最後まで行けるネットワークを構築することで、「行き届いた」と言えると思うんですよね。
それをつくっていくためには、どうしてもオーダーメイド型にならざるを得ないと思っているんです。どこかの取組が優れているので、それを丸々取り込もうとしても、丸々取り込むことはできない。やっぱり、地域に合った形に十分そしゃくする必要がある。苦しいかもしれないけれども、事業者とも、市町村とも協議をしていかないと、やっぱり魂が入ってこないだろうと思うんです。
せっかく県だけの計画をつくられるので、一生懸命やっておられるお話も聞きましたし、そこまで少し大変かもしれませんが、行き届いた計画になるように期待をして見ております。頑張っていただきたいなと思います。
もう1つは、高校生、中学生、要するに車の免許を持たない子供たちが行きたいところへしっかりと行けることが、何よりも都市の魅力だと思うんですね。
自分が小さいとき、大和に行きたい、イオンに行きたい、ファボーレに行きたいのに、親に送ってもらわないと行けなかった。親に頼むのも申し訳ない。そういう交通の不便なところに彼らが帰ってきて子供を育てたいと思うか。やっぱりそう思わないだろうし、それではよくないと思うんですよね。
だから、今の中学生や高校生が、ちゃんと公共交通で自分たちが行きたいところに行ける形をつくることが、将来にわたって、都市機能として生きるということだと思います。鉄道の話はもちろんですけれども、そういう意味での大きなネットワークを求めたいなと思います。
また、公共交通の利用促進のためには、やっぱり意識的なことも重要です。今なお俺たちは城端線・氷見線関係ない、みたいな話が県内で聞かれるのはとても残念なことだと思っています。
先ほど申し上げたとおり、ネットワークになって初めての公共交通ですので、より広い範囲でネットしていることにこしたことがないわけです。そういうことを県民の皆さんと広く意識共有していくことがとても大事です。この議論を進め、これから先いろんな形で税を投入する、地域の方にいろんな負担を求めていくときに、一緒に乗ろうという空気がないと、どうしてもうまくいかないのではないかなと思っています。
フランスの30都市や、ルクセンブルクではもう完全に公共交通を無料化している。公共交通に対して採算性という価値観は全くなくなるわけですよね。いかに便利かということだけ。あとは、どれだけ公的な資金を投入できるかという、ただそれだけの話になってくると思うんですよね。そこまでいかないにしても、やっぱり意識をしっかり持つ必要があります。
SDGsの17の目標、169のターゲットのうち、11─2に以下のような記述があります。「2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。」となっています。
SDGsの観点からも、これが将来的にも求められていて、大事だろうなと思います。
また、この間、新聞にちょっと出ていましたけれども、砺波市長が、赤字を補填するのではないと。事業者に全て押しつけるという意味じゃないですか、赤字を補填するというのは。そうではなくて、都市機能の1つとしてとても大事なものなんだと。それが将来にわたって、私たちの子供たちや孫たちが使っていく。それが大きな都市の魅力につながることをみんなで共有するために、何か取組が必要だと思うんですけれども、
有田交通戦略企画課長の御所見をお聞きします。
41
有田交通戦略企画課長 これまでの
地域交通戦略会議、特に8月の
地域交通戦略会議では、冒頭に御報告も申し上げましたが、関係者間の役割分担、責任分担について意見交換、議論をしまして、取りまとめを行っております。
その中で、地域交通サービスは公共サービスであると明確に位置づけ、その上で、地域の活力、魅力の向上に向けた役割、責任分担を定めました。自治体や県民の役割を、今までの事業者への採算性の確保を促すための側面支援という形から、自らの地域に対する投資、参画へとかじを切ることが必要としました。
沿線の住民や沿線の企業、店舗など、県民の皆さんには、地域の財産である地域交通に対しまして、地域の当事者として主体的に関わっていただくことが必要だと考えております。
県では、これまでもノーマイカーウイークの開催などを通じ、県民に地域交通の利用を呼びかけてきました。戦略会議の中では、県民の理解、協力を醸成し、地域交通に対する参画をさらに促す観点から、会議で今議論している取組と並行しまして、県内各地で出前講座を実施しております。
出前講座は、戦略会議立ち上げ以降、計6回実施をしております。この
地域交通戦略の策定や城端線・氷見線についての検討の概要趣旨、先ほどの県民参画の必要性、地域交通サービスは公共サービスであることなどについて、県民の皆さんに解説しております。
また、県民同士のグループワークをこの出前講座と併せて実施しました。先ほど、高校生が行きたいところへ行けることが魅力というお話もありましたが、高校生に対してもこの出前講座を実施しまして、一部の高校では、出前講座をきっかけに地域交通をテーマにした課題研究に取りかかっていただいております。この出前講座を、地域交通を自分事として考える機会につなげてもらっているところです。
地域の当事者としての県民の参画は、利用を通じた参画はもちろん、地域交通サービスの受け手だけではなく、支え手、担い手としての参画や沿線のまちづくりを通じての参画など、いろいろな参画の仕方も考えられます。
出前講座を通じて、引き続き県民の皆さんの理解醸成を図っていくとともに、戦略会議において、県民の参画をさらに促す施策についても、引き続き、議論を続けてまいりたいと考えております。
42 山本委員 乗ってもらうためにいろいろな工夫をやってほしいと思いますし、県議会でやっている主権者教育のための出前講座で高校に訪れたときも、電車を待つ時間が非常にもったいないと、時間を何とかしてほしいという生の声を、我々も受けてきました。先ほどの永森委員の質疑を聞いておりまして、僕もちょっと心配になりました。時間のない中でもいいものができるように、頑張っていただきたいなと思います。
43 渡辺委員 公共交通の件については、過去10年ぐらい私もいろいろと当局とやり合ってきましたし、ここ数年は本当に議論が活発になってきました。公共交通に関しては、十何年前は後進県だと思っていたんですけれども、なかなか皆さんの質問を聞いていると、議論が非常に随分と神髄に近づいてきているのではないかと思っております。
この間、大変私も目からうろこが落ちたんですけれども、10月1日に新しい改正地域公共交通活性化再生法が出てまいりまして、これはもうすごくいいものが決まったなと、喜んでおります。
私は、本文よりも附帯決議に注視すべきではないかと思っております。本文みたいに拘束力はないですけれども、附帯決議というのは、今後こういう議論をしなさいという、留意しなければいけないこと、頭に置いて進めなきゃいけないことがしっかりと書いてあり、いろんな過去の資料を見ておりましても、それらのことが非常にしっかりと議論されている。我々の質問の中にもしっかりとそういう話が詰まっています。これは大変いい法です。まだ城端線・氷見線は全然いいほうで、もっと1日の輸送密度が少なく、30人とか40人のところがあることも受けて、こういう法律ができたのではないかと。なおかつ、域内交通、域外交通、全てが網羅されている。
私がここ数年の議論の中で非常に注視しているのは、収益よりも利便性というSUMPですね。私自身もSUMP発祥の地であるフランスのナント市へ行って、そこのライトレールに実際乗ってきました。このメンバーの中では永森委員が一緒にフランスのナント市へ行っていたはずです。
そして、昨年、オレゴン州のポートランドへ行きましても、各駅に自動販売機みたいにコインを入れれば切符が出てくるものもあり、フランスのナント市のライトレールは全てバリアフリーで、本当に至れり尽くせりだったなと、振り返って思っております。
また、オレゴン州のポートランドのライトレールは、立地適正化計画等もしっかりしておりまして、こんなことが日本でできるのかなと思うくらい、路線に沿ったまちづくりがしっかりとつくってありました。これはこれで非常に極端でございましたが、参考にはなったかなと。今日、各委員の皆さんが質問したようなことをやって、どれだけ利便性が高まるか。その中で、経費の問題が出てきますが、それを、運賃でどの程度カバーできるか、足りない分をどうするか。
この附帯決議を見ておりますと、クロスセクター効果の話も出ておりました。公共交通の法の附帯決議にこの事項が出てきたことがなかったわけで、これらはもう完全に観光、企業、病院、学校、商業、福祉関係も含んでいるということになってくる。するとやはり当然、部局横断的に議論する必要がありますが、これからされていくのではないかと思っております。城端線・氷見線の議論をはじめ、ほかの県と比べて当県が数段進んだ議論をしていると感じます。去年、議長をやっていましていろいろ聞いていますけれども、当局も私どもも含め、富山県は公共交通に対してやっぱりすごく関心が高い県だなと思っております。
ほかの県はもっとひどい状況なのに、何の手も打たないし、何をやっているのかなというのは、随分と感じたところでございます。
もう年度内に早く城端線・氷見線の鉄軌道域内交通の件は結論を出してもらって、法定協議会から再構築協議会へ上げてからされるのか、どうされるのか、ちょっとその辺は分かりませんけれども、どんどん進めていただきたいと思っております。
そこで、質問でございますが、本年10月1日に改正地域公共交通活性化再生法が施行されました。今までにない、フォローの法が1本入りました。ぜひ、このチャンスを逃さず、日本のモデルケースになるような
地域交通ネットワークの形成をぜひ目指していただきたいと思いますが、田中交通政策局長に意気込みと御所見をお伺いします。
44 田中交通政策局長 昨年6月に、持続可能な地域公共交通を確保するため、戦略会議を立ち上げ、これまで20回会議を開催してまいりました。
部会も含め、幅広く報道していただいて、県民の機運醸成にもつながっております。また、今日のこの特別委員会、自民党のプロジェクトチームなども設置され、建設的な議論をずっと継続してやってきていると思っていまして、私としては、各委員の方からの御意見は、応援として受け止め、いろんな計画にできる限り反映するように努めています。
今、委員からお話がありましたけれども、折しも国においても、同じようなタイミングで議論が行われまして、今月1日から地域公共交通活性化再生法の改正法が施行されました。
この改正法では、事業者だけではなくて、自治体や沿線住民などの地域の関係者の連携と協働の促進が法律の目的に追加されました。また、今日も議論がいろいろ行われていますけれども、ローカル鉄道の再構築制度等が創設されました。
県・市町村・交通事業者など、関係者で連携して、地域交通サービスの利便性向上に積極的に取り組む地域には、非常に追い風になります。富山県は先進的というお話もありましたが、これまで、建設的、意欲的に議論を進めてきた本県にとっても、よい環境が整ってきていると思っています。
スピード感を持ってというお話もありましたので、こうした環境の中、スピード感を持って取り組む必要があると私も考えており、
地域交通戦略については、年度内の取りまとめに向けて、今、進めております。
また、城端線・氷見線再構築についても、沿線市や鉄道事業者とともに、計画策定に向けて鋭意取り組んでいる状況でございます。
附帯決議を私も全項目見ましたけれども、交通事業者等の取組に対する支援をさらに拡充するべきではないかと、そういう項目が私としては非常に印象に残っています。というのも、これまでの戦略会議で、交通事業者の企業の単独の経営努力のみでは、ウェルビーイングの向上をもたらす最適な地域交通サービスの実現は困難だという議論もずっとやってきたためです。地域交通サービスは公共サービスなので、地域の魅力、活力の向上のために、自治体・県民の役割を、側面支援から投資・参画へと、大きくスタンスを変えて臨んでいく形で進めてきております。
委員からお話ありましたけれども、この戦略会議もバックキャスティングで、SUMPという、非常に全国でも珍しいやり方で進んでいます。そうした計画の策定も全国のモデルケースになると考えております。
この戦略会議には、県庁内の関係部局の皆さんが当然参加していますし、知事も副知事も出席している。こういう会議でありますので、今後も関係者の皆様と連携をして、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
なお、先ほど永森委員の質疑で、城端線・氷見線の鉄道事業再構築実施計画の検討があまり進んでいないのではないかという御発言があったんですけれども、決してそうではありません。鉄道事業再構築実施計画に定める事項には、利便の確保に関する事項、また地方公共団体、その他による支援の内容、また再構築事業の実施に必要な資金など、どれもが密接に関係する事柄でありますので、本当に一体的に検討している状況であると、そのように御理解いただきたいと思います。
45 渡辺委員 議論されていないわけがないと、私も思って聞いておりました。
ヨーロッパのライトレールは、あれだけの利便性を備えると、どうしても運賃収入では経費を賄えない。オレゴン州のポートランドのライトレールに乗ったときも、あのときは経済同友会の人たちも一緒に行ったんですけれども、「渡辺さん、これだけのことやっていて、黒字なんですか、マイナスなんですか」って私に聞くから、私は多分大赤字だと思いますよと、運賃収入で2割5分ぐらいしか稼げないのではないですかと答えました。経費の話は最後の議論でございますので、今日はやめておきますけれども、そういう中でやっている。収益よりも利便性という言葉がSUMPにはあるんですけれども、なかなかこれは民間事業者にとっては相反する話ではないかと思っております。持続可能なものにするには、財源の話が最後に出てきます。
46 中川委員 今ほどもたくさん議論があったわけでありますが、私はそんなに甘いものではないなと思っています。
特に、今は人口減少の中で、利用者はもちろん増やしていかなければいけませんが、そんな簡単に増えるものではないだろうなと、こう思うわけです。相当の覚悟を持ってやっていかなければ、なかなか構築できないと思っているわけであります。
これまでも、連携という言葉がたくさん出てきています。地域との連携、そしてまた市町村との連携、あるいは交通事業者との連携とありますが、私はむしろ連携ということではなくて、やっぱり一緒になって、一体的にやるということではないのかなと思うんですね。
これまでもいろんなところで連携、連携と言われていますが、連携ではなかなか前に進まないのではないかなと。やっぱりそれぐらいの覚悟を持たないとできないんじゃないか。
前段として、国鉄からJRに民営化になって、これで36年たつわけです。本州に3つ、東と西と東海がある。そして、北海道、九州、四国とあって、あとは貨物ですが、四国、九州、北海道はとてもじゃないけれども黒字にならないということで、最初から基金を積んで、その赤字を補填していくというスタイルを取ったわけですよ。
そして、本州の3つのJRについては、それぞれ拠点の東京、名古屋、大阪を中心にして、稼いでくれよと。そしてその稼ぎによって、ローカルといわれる鉄道網を維持管理してくれということだったと思うんです。
ところが、この36年間見ていると、ほとんどが中央だけに投資、あるいは新幹線に投資して、ローカルについてはほとんど何もしてこなかったのではないかと、私はそう思うんですね。
そういうことが輸送密度をどんどん低くしてしまって、どうにもこうにもならなくなった。そうしたら、ヨーロッパでは、輸送低密度の対策として、そういう路線を維持するためには、資産を保有しているのではなくて、上下分離方式でやるしかないだろうと、ローカルの資産そのものを全て国有財産にしました。そしてそれを管理維持して、運営はどんどん民営化をしてやっていくスタイルを取ってきたわけです。
そうやって考えてみると、日本の場合はようやくその辺が分かってきて、富山県はJR西日本からすれば、一番端っこにある島みたいな県なんですね。そういうローカルは全国にあるわけで、その辺をどうするか、ようやく鉄道事業者、交通事業者が、資産を保有していなくてもできるような、そういう制度をつくろうと進めてきたのではないかなと思っているんですね。
そのことを、やっぱりまず我々はしっかり認識しなければいけないのではないのかなと。そして、今まで何もやってこなかったわけですから、当然、最低限のことしかやってこないとだんだん車社会が進んで、乗る人も減ってきた。
今になってようやくヨーロッパ方式を学びながら、日本の国もそういうことにてこ入れしようとなった。
そのためには、そこに住む人たちがどういう生活をして、何にどれくらい乗ってもらえるか、まちづくりと兼ね合いを取りながら、公共交通をしっかり考える段階にようやく来たんだろうなと思うわけであります。
そうしたことを考えながら思うと、やっぱり連携ではなくて、本当に一体となって、まちづくりも含めてやっていかなければいけない。そういう覚悟が、私は必要ではないのかなと思っているわけであります。
そういうことを考えたときに、今の鉄道事業再構築事業が出てきました。富山県も今までは市町村と交通事業者で話合いをしてきたんですが、なかなからちが明かなかった。それを県が、知事が先頭になってやろうということで、先ほど来、田中局長もおっしゃったように、物すごいスピードで密度の高い検討会もやりながら、ここまで来ている。
再構築実施計画は、地方公共団体と鉄道事業者が協働で計画を策定することになっています。考えられるのは、地方公共団体といえば県と、城端線・氷見線を対象にすると4市、そしてJR西日本が協働で出すタイプ。あるいは、今後、移管を予定されているあいの風とやま鉄道を加えたものでやるか。あるいはそうではなくて、いきなりあいの風とやま鉄道に移管されるのであれば、そちらに入って積極的にやるか。これはあまりないと思うんですが、やっぱりJR西日本が絡みながら計画策定をやっていくことが前提だと思います。
そうした中で、城端線・氷見線の事業主体がどうなるのか、考えておられることがあると思います。計画策定中でありますけれども、今後、事業主体はどのように考えておられるのか、黒崎課長にお聞きします。
47
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 現在、検討を進めております城端線・氷見線再構築検討会でございますけれども、冒頭で報告いたしましたとおり、第2回の検討会からあいの風とやま鉄道にも参画いただいて議論しております。
その第2回検討会では、日吉社長から、あいの風とやま鉄道が将来的に城端線・氷見線を一体的に運営することになれば、料金面やダイヤの面から改善が見込め、県西部の交通ネットワークが強化されるといった御発言もありまして、併せて5つの条件についても示されたところです。
事業主体をどうするかは大変重要で、現在、あいの風とやま鉄道から示された5条件を踏まえまして、県、沿線4市、JR西日本におきまして、その対応について検討しているところでございます。
事業主体につきましては、次回検討会で議論を詰めることとしており、現時点では、どうなるか申し上げることはできません。再構築実施計画には事業構造の変更の内容を定めることとされておりまして、引き続き、検討を進めてまいりたいと考えております。
48 中川委員 実施計画の中身は幾つもあるわけでありますが、今ほども話がございましたように、旅客鉄道事業の事業構造の変更の内容に関することは、上下分離の方式などを踏まえて、どなたが事業主体になるのかが恐らく検討されていくんだろうと思います。
そして、実施期間は、基本的には10年間になるのではないのかなと。そしてまた何よりも、どんな中身で事業化していくのかが、非常に重要なわけであります。
あいの風とやま鉄道から5つの条件が提案されていますが、経営の安定はもちろん、基本的にはしっかりした基盤でなければ、とてもじゃないけれども資産を譲渡していただいても運営が赤字になってくるだけなので、私は非常に不都合だと思います。
そうした中で、レールや枕木、分離機、あるいは道床など、それ以外にも橋梁、ちょっとしたコンクリートの構造物など結構あるわけなので、そういったものを含めると、かなり費用もかかるんだろうと思います。
JR西日本さんが今まで36年間、何も手をつけてこなかったと言ったら大げさですけれども、最低限のことしかやってこなかったわけなので、そういうところをどうやってきちんとした形でやってもらうかも大きなポイントではないかと思うんです。
何年で移管されるか別にしても、移管されるまで、そういうことを含めて、いろいろと条件が必要です。
安全な運行と安定した経営を持続できることが一番の要です。今後、交渉していく中で、JR西日本にどのようなことを求めていこうとなさっているのか、お伺いします。
49
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 今ほど委員から御指摘いただきましたとおり、旅客の輸送を担う鉄道事業におきまして、安全は何よりも優先されるものです。
一方で、人口減少が進む中で、持続可能性を高めて、将来にわたり運行を続けていくためには、利便性・快適性を向上させて、利用者を増やしていく、その好循環を目指す取組も必要だと考えております。
第2回の検討会で、あいの風とやま鉄道から5つの条件が示されておりますけれども、JR西日本に対して、運転士や技術系の要員の確保、移管前の鉄道施設の再整備、直通化を行う際の全面的な支援といった、安全運行を支える人的、技術的な支援を求められております。沿線市からも、それを応援するような形で、JR西日本に対して移管後のサポートを求める意見がございました。
これに対しまして、JR西日本金沢支社長からは、事業運営の主体が仮にあいの風とやま鉄道に移管されたとしても、全く手を放して終わりではないと考えているといった御発言もございました。
現在、策定に向けて検討を進めております鉄道事業再構築実施計画ですけれども、これは地方公共団体やその他の者による支援の内容も定めることとしております。
検討会では、あいの風とやま鉄道から示された5条件とは別に、出席した委員からは、JR西日本に対し、移管前の安全対策の実施など、前向きな議論を進めていることを踏まえた手厚い支援を求める意見も出されたところでございます。
既に検討会では、JR西日本への支援についての声も出ているところでございますけれども、県としても、計画策定をする過程で沿線市やあいの風とやま鉄道とともに、JR西日本に対して、支援、協力を求めていきたいと考えております。
50 中川委員 JR西日本さんは、移管後もお付き合いするようなこともおっしゃっていますが、やっぱり移管する条件として、安全に運行できる基盤整備を、絶対最後まで手を抜くことなくやってもらいたい。
今、並行在来線であいの風とやま鉄道が運行していますけれども、その赤字の補償は、経営安定基金で行っています。県と市町村が拠出して、あれだけ努力していても、二、三億円ずつ毎年それを取り崩さなければならない、そういう現実があるわけですよ。
そんなことを考えると、法律が改正になったことも踏まえるとね、別に、JR西日本が財産を保有しながら、第三者に事業を任せることもあっていいのではないかと思うんです。
結局、施設を直すときには、必ず国費と県・市町村も費用を折半するという問題が出てくるわけですよ。
整備されていれば、それは支出する必要がないわけですが、支出しなければならないということは、JRになり代わって、県・市町村が国と一緒になって、資金を得て、補助金を得て、やっていかなければいけないし、そしてそこには、県と市町村の負担が当然出てくる。
そういうことを考えたときに、相当、そこをシビアに対応してもらわないと。JR西日本さんは、とにかく早く切り離して渡したい気持ちだと思うんですね。
早く渡すのはいいけれども、ちゃんと整備してもらって、一体的に運営できるような、そういう体制を整えることこそ、やっぱり安定した経営と安全な運行ができる土台になると思うんですね。
ですから、いろんな構造物がありますが、国の助成があるから県と市町村で折半してやればいいじゃないかという考え方を、安易にやすやすと受け入れるべきではないと私は思うので、ぜひそのあたりも腹をくくってやってもらいたいなと思います。
新幹線ができて、あいの風とやま鉄道が並行在来線になったときに経営安定基金を積んでいるわけでありますが、そのときには、JR西日本さんは参加していないんですね。
これはなぜかというと、JR貨物の線路使用料があるから、それで、JRとすれば十分役割を果たしているということだったと思うんですね。
だけれども、今さっきも言いましたけれども、実際に赤字になった部分は経営安定基金──県や市町村がつくった、造成したものを使わざるを得ない、そういう状況になっているわけですよ。
そういうことを考えたときに、城端線・氷見線の経営安定基金はどうしてもつくっていかなければいけないと思います。そのときに、やっぱりJR西日本さんにぜひ参画してもらって、赤字を埋めてもらう。そういうことをやっていただかないと、駄目だと思うんですね。
そんなことを含めて、城端線・氷見線の経営安定基金にもぜひ参画すべきだと思っていますが、どのように今考えておられるのか、お聞きします。
51
黒崎広域交通・
新幹線政策課長 今ほど委員から御紹介ありましたとおり、現在、あいの風とやま鉄道では、富山県並行在来線経営安定基金を設置しております。県・市町村からの拠出金、それから民間企業──これは県内企業が中心でございますけれども、民間企業からの寄付金からなる基金を設置して、あいの風とやま鉄道が行う運賃抑制や、乗り継ぎ割引、快速便の運行、それから利便性の向上につながるような設備投資に対して支援を行っております。
新聞報道では、砺波市長さんが将来JR西日本からあいの風とやま鉄道に運行を移管することになった場合、既存路線の基金とは別に城端線・氷見線の経営安定基金をつくりたい、つくったほうがいいんじゃないかという意向も明らかにされたことは承知しております。
基金の設置につきましては、城端線・氷見線の安定的な路線の維持のために、今後、沿線市・JR西日本・あいの風とやま鉄道と一緒に協議していきたと考えております。
52 中川委員 これは国鉄がJRに民営化したとき以来、延々と続く課題で、まちづくりに関与してこなかったことが、どんどん客離れを広げていくことにつながっていったと思うんですね。
ですから、言葉は悪いですけれども、ツケ。今までそんなにやってこなかった。それを何もしないで、国や市町村だけの責任でやれというのもおかしな話だと私は思うんです。
富山県ではJR西日本として高山本線、城端線・氷見線があるんですが、それがなくなると、新幹線だけになっちゃうんですね、新幹線だけ。
そして、大阪を中心にした私鉄と一緒に競合するような、そういう路線だけがJRとして残って、要するにもうかるところしかやらないと、こういうことになりますよ。
今までやってきた経過などを踏まえると、とてもじゃないけれども許し難いなと、私は思うんですね。ぜひそういう気持ちを持って交渉に当たっていただければと思いますので、よろしくお願いします。
次に、交通事業者というのは、もちろんお客さんを運んで、その対価を得て、持続的に維持できればいいんですが、今ほども申し上げましたように、どんどん人が減ることによって、維持できなくなってくる、そういう現実があるわけです。
今、首都圏、あるいは大阪圏、名古屋圏でもそうですが、私鉄というものは、自分たちの運行がもちろん大事でありますが、それ以外に何とか別のところでお金を稼いで、その稼いだ金を自分たちの利用者の皆さん方に何とかサービスの向上で還元したいという思いで、不動産投資やいろんな開発をして、どんどんお客さんを増やしています。そういう努力をして成り立っているんだろうと理解しているわけであります。
そんなことが富山県でできるかというと、なかなか難しいこともあると思います。今、
富山地方鉄道はいろんなところで努力されておられるんですが、まだまだ不足することがあるなと思うんです。
公共交通は、県民に負担を求めなければいけない、広く薄く求めていかなければいけないことを考えると、やはり交通事業者としても、鉄路やバスだけではなかなかもうからない部分をほかのところで稼いで、サービスを向上していく取組が必要です。
富山地方鉄道の株式の情報を見てみますと、令和4年度も大変苦しい経営が続いております。そういうことは承知しているんですが、鉄軌道や自動車事業での損失は5億7,000万円余り。そしてまた附帯事業では、収益として2億2,500万円ぐらいあるわけでありますから、3億円余りが間違いなく赤字になっています。
その収益情報を令和4年4月1日から、令和5年3月31日まで見れば、全体の売上げは大体91億円です。そのうち、鉄軌道と自動車事業で54億円余り、そして建設業で12億円余り。そしてホテル、保険代理、広告代理業で10億円、あと不動産、賃貸業で380万円なんです。それと、運行をしてもらうための補助金というので、昨年は5億2,000万円余りが渡されているわけであります。
こういうことを考えると、私は、いつも言っているんですが、まちづくりともっとかみ合わせて、投資をしてもらうべきです。そこで稼いでもらって、県民の利便性、そして活気ある、活力あるまちづくりのためにも、何か当然、関わっていく必要があるのではないかと、こう思うんです。
富山県も株主だということを踏まえて、発言したいと思いますが、具体的に言うと、本社ビルに駐車場があります。そして、今の富山駅に引込線ということで高架化を進めていますが、そこの空間もあります。そして、あそこで今、地鉄さんがやっているのはホテルとボーリング場だけなんです。
そういったところに、もっとまちづくりとして投資してもいいんじゃないかと。あるいは、自らが開発できないのであれば、やっぱり誰かの資金を活用して、やってもらう。土地が広大にあるわけですから、そこの賃料だけでもかなり入るのではないかなと。
今、不動産と賃貸業で380万円ぐらいしか入っていないということは、ほとんど何にもやっていないのではないかと思うんですね。もっと言えば、自社ビルをよそ様に貸せば、お金が入る土地なんですよ、実際ね。そういう努力も私は必要ではないかと。
そして、路面電車の南富山駅の開発。稲荷町の結節点になっているあそこですね。そういうところにいろんな土地もあるわけですから、そこへ投資をして、言葉は悪いですけれども、それで稼いで、そして交通事業者として利用してもらう。そうして皆さん方へのサービスを向上していくことが大事だと思うんです。
鉄道では、立山線、不二越・上滝線、それから一部あいの風とやま鉄道と並行して宇奈月へ行く路線、そして南富山へ行く路線があるわけです。
一方で、立山黒部貫光は、立山駅から室堂まで運行している。いわゆるもうかるところをやって、あとはバスを活用して登る。
そして、せっかく立山駅、富山駅を結んでいるので、そこに投資する。もっと利便性を図って、素敵な電車を作って運行させるなど、そういう一連の流れが非常に欠けているのではないか。
特に、黒部宇奈月キャニオンルートが来年6月30日から開業しますが、まさしく鉄路を利用してそこへ投資していかなければいけないにもかかわらず、そこへ投資する力がないということなんですよ。
ですから、立山黒部貫光さんは今も苦しんでいますけれども、今までの利益を考えれば、当然、鉄路にも振り向いて、より多くのお客さんを乗せていくことをぜひ考えていく必要があると思うんです。
今、城端線と氷見線だけの問題になっていますが、今のこの地鉄さんの運行状況、収益状況を見ていると、やはりかなり突っ込んで、もっと強力に考えていく必要がある。
まずそういう努力があって、どれだけの投資効果があるか考えて、どうしても足りないときには、県民の力を借りて、広く薄く税を投入していく。こういう雰囲気を醸し出していかなければいけない。
長々としゃべりました。
富山地方鉄道の株主である県は、今、社外取締役として参加していますが、利用者の利便性をもっと考える、そして経営にもっと踏み込んで発言すべきだと思っています。そのことについて、県としてどのように考えておられるのか、有田課長にお伺いします。
53
有田交通戦略企画課長 富山地方鉄道は、御紹介いただきましたとおり、地域交通サービスに関する事業に加え、富山地鉄ゴールデンボウルの運営や、土地・建物売買、不動産の賃貸借など、附帯事業を行っております。
先ほど、決算情報の話もいただきましたが、そういった決算情報を踏まえれば、
富山地方鉄道につきましては、新型コロナの影響などもありまして、厳しい経営状況にあると考えております。
今後とも、地域公共交通としての役割をしっかりと果たすことができるように、昨年6月から
富山地方鉄道の社外取締役に株主である県が就任し、以降、取締役会に出席をしております。こうした附帯事業や関連会社の事業を含む議論に参画をしているところでございます。
全国でも、公共交通を取り巻く経営環境というのは、人口減少、少子高齢化等が本格化する中で、厳しさを増しております。
その中でも交通事業者の中には、まちづくりに通じる不動産事業や観光事業、様々ありますが、そうした地域交通サービス以外の事業を通じまして、会社の全体の経営改善、収支改善や、それだけではなくて、本来事業である公共交通事業への誘客につなげている例も見られています。
委員からただいま様々な御指摘いただきました。御指摘の趣旨も踏まえ、社外取締役として県が
富山地方鉄道の議論に加わる際は、地域交通サービスに関する事業のみならずに、附帯事業や関連会社の事業につきましても、他の事例なども参考にして、会社全体の経営改善や公共交通への誘客などにつながるよう、促してまいりたいと考えております。
54 中川委員 やっぱり積極的に参画していくべきだと思うんです。冒頭にも申し上げましたように、言葉は悪いですけれども、JRさんはまちづくりをほとんどほったらかしにして、自分らでやれよという姿勢だったのが、今の状態につながっているわけです。
また、一方で、地鉄についても、まだまだ補助金を頂けるから、その分だけ運行していればいいという姿勢がずっと風土としてあるわけですよ。これを断ち切らないと、どれだけ県民に公共交通を使ってくれと言っても、前に進まないと思うんです。
市町村が考えなければいけない、あるいは地域も考えなければいけないことを、何でもかんでも県や民間が考えるのではなくて、やっぱりそこに住む人たちがどう考えるか把握することの積み上げが、成功につながるんだろうと思うんですね。
ですから、間違っては困るのが、上から押しつけられての計画で、公共交通に乗れよというのではあってはいけない。みんなで一緒になって、財産を共有して、便利になるようにしようと、こういうムードをつくらなければ、とてもじゃないけれども、公共交通を利用しろ、利用しろと言っても難しい。
計画だけつくるのではなくて、計画を実現させる、そして県民の足として本当に使われる覚悟がなかったら、私はできないと思います。
先ほど田中局長さんも覚悟の一端を述べられましたが、これまでの歴史や、今までの失敗例も含めて、どうしていくか考えてやっていかなければ、とてもじゃないけれども、富山県の公共交通は名前だけで終わってしまうのではないかと大変危惧しています。
ぜひそういうことを踏まえて頑張ってもらいたいなと思います。田中局長、何か一言あればおっしゃってください。
55 田中交通政策局長 交通政策局は昨年初めてできた局で、私は局長として昨年からやっていますけれども、その前にも観光・交通振興局総合交通政策室があって、そこにも実はいました。今、局長になって、仕事をやっていますと、本当に随分変わったと感じています。かなり公共交通にしっかり取り組む体制も出来上がって、戦略策定に向けて今やっています。
これまでは、どっちかというと、少しちょっと距離を置いて支援するような形だったのが、投資・参画の方向になってきた。参画といったら一体的で、委員のおっしゃるようなそれに近いような形です。ちょっと遠くから見ているのではなくて、自分事、当事者として考えてもらう。そういうスタンスでずっと議論もやってまいりましたし、広く報道もしてもらって、機運醸成をずっと図ってきています。
まちづくりの話も出ましたけれども、やっぱりそのスタンスは崩さないようにする。やはり地域公共交通は地域の皆さんがあってこそなので、県から乗りなさい、乗りなさいと言ってもなかなかうまくいかない。そういう面では、今回の戦略会議も県庁だけではなくて、市町村が皆さん入っていますし、なおかつワンチームと名のつく部会も設けて、きめ細かく市町村の皆さんとも意見交換をしています。まちづくりは本当に大事ですよと、自分事として考えて取り組んでもらわないと、本当に持続可能な地域交通になりませんよと、県としても一生懸命努力して伝えていますので、そのスタンスを持って、引き続き、取り組んでまいりたいと思います。
56 中川委員 地域の当事者が投資、参画する。それを確実にやっていただけるような体制づくりを我々もまた頑張ってやりたいと思います。どうぞまたよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
57 岡崎委員 私からは、持続性と利便性について、質疑をさせていただきます。
地域公共交通計画も本当にもうすぐ、11月には概要が示されるというお話で、年度内の策定が着々と進んでいるところでございます。各委員も申し上げていたとおり、やはり公共交通計画というのは、できてなんぼということではなくて、その結果、本当に県民の皆さんが行きたいところに行ける、めちゃくちゃ便利ではないけれども、行きたいところに行けるようになったよと、これが最終的な目標になってほしいなと心から願っています。
富山市は、中心街は路面電車を中心にして、非常に利便性が高いですが、ちょっと郊外に行くと、全く不便だという自治体でもあります。私は富山市在住ですけれども、それ以外の県内市町村で非常によく頑張っているところも見ていますし、そういう事例も少し紹介をしながら、質疑をさせていただきたいと思います。
まず、全然人が乗っていないバスが走っていると、過去の公共交通系の特別委員会の中でもよく言われていましたが、まさにそのとおりです。
なぜ乗らないのか。コースが悪いのか、あるいは時間帯が悪いのか、はたまた本当に利用しにくくて乗れないのか、いろんな理由があると思います。先ほど中川委員も地鉄のことに触れられておりましたが、公共交通事業者は、人が乗ろうと、乗るまいと、確かに補助金をもらっているかもしれませんけれども、まず交通事業者の任務として、そこは歯を食いしばって運転しなくてはいけない。こういう思いでやっておられると思います。
しかしだからといって、そんな状態をいつまでも放置しているわけにはいかないので、できるだけ乗ってもらえる公共交通にしていかなくてはいけない。
それで、以前にも有田課長に質疑して、とやまロケーションシステムやICカードの情報を使って、県内の路線バスの運行状況がどんなふうになっているのか、なおかつ改善の余地はないのか、それらを検討していくんだというお話を聞いておりますが、現在、どのような進捗状況にあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
58
有田交通戦略企画課長 とやまロケーションシステムにつきましては、運用開始当初はバス路線を主な対象にしておりましたが、昨年3月に富山地鉄の市内電車、また、昨年12月に万葉線の全車両の情報を追加しました。また、今年度中には富山地鉄の鉄道線の情報もこのとやまロケーションシステムの中に追加する予定でございます。県内の路線バス、また鉄軌道に関する豊富なデータを取り扱っています。
このデータにつきまして、これまでは利用者に対する公共交通の運行情報を提供するために、主に使用してきましたが、
地域交通戦略会議では、公共交通の実態把握、またサービス改善につなげられないかという観点でも議論を行っております。
既に、この議論を踏まえ、計画策定に先駆けて、具体的な取組にも着手しております。今年度は、県内のバス路線の一部路線を対象にしまして、とやまロケーションシステムのリアルタイム遅延情報、データを分析し、恒常的遅延が生じているバス路線のダイヤ改善に向けて取り組んでいるところでございます。
このダイヤ改善が実現すれば、利用者の利便性、満足度が向上しまして、ひいては各バス路線の収益の改善効果も期待できると考えております。
また、7月に、とやまロケーションシステムのデータなどを基に各市内の公共交通の運行実態を地図上で可視化して、サービスの改善に向けた検証を自らできるようなノウハウを習得するために、県内の交通事業者の皆さん、また関係市町村の皆さん、担当者を集め、このとやまロケーションシステムのデータを使った研修会も開催しております。
戦略会議では、とやまロケーションシステム以外のデータとの連携など、データのさらなる利活用の方策についても検討施策の1つとしております。データの利活用の視点も踏まえながら、計画策定に向けて引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
59 岡崎委員 かなり進められていて、遅延情報は確かにダイヤ改正につながるのではないかと思います。いつもここは遅れるなという時間帯や区間がやっぱり存在するので。
私もたまに乗ると、やっぱりいつもここは遅れるなということがあります。果たしてこのダイヤでいいのかと思ったりします。それが改善されるということで、大変いいなと。また、尽力いただきたいなと思います。
もう1つは、私も度々言っているんですが、やはりまちづくりをしていても、人というのはやっぱり年数がたてば高齢化していくわけで、それによって、人の営みはやっぱり変わっていくんですね。
それにもかかわらず、ずっと固定化された路線・経路を走り続けると、乗らないことにつながっていっている、あるいは乗れないことにつながっていると思うんです。
500メートルぐらいなら歩けると、バス停まで向かっていた皆さんも、20年、30年たって高齢化していくと、とてもそんな距離は歩けなくなる。したがって、生活路線として使おうと思っても使えなくなるという状況が出てきている。
せんだって、地方創生産業委員会の県外視察で、和歌山県庁にお邪魔しました。大量輸送時間帯といわれる通勤・通学時間帯はバスを使う、それ以外の午前9時から午後4時、5時くらいの通勤・通学時間帯を外したところはデマンド型に切り替えるという、非常に大胆な発想で、地域公共交通を運行替えしているという事例がありました。
なかなか進んでいて、非常に的を射ていると私は思ったんです。私の地域も市電に連結するフィーダーバスが走っておりますけれども、通勤・通学時間帯はもう満杯なんです。だけれども、それ以外の時間帯はもうすっからかんで、誰も乗っていない便もあるんです。
これは、やっぱり事業者にとっても非常に負担になりますし、思い切ってこういう形態に切り替えることも必要ではないかなと思っていましたら、既にもう県内で非常に進んでいるところがありました。砺波市さんがすごいなと思っていまして、昨日ちょっと担当者の方にお話も聞きに行ってまいりました。
「チョイソコとなみ」と言い、全市的に展開をされておられます。本当に行きたいところに行ける公共交通で、散居村も大事にしながら、こういう運行がされております。お話を聞いていましたら、これから1年間ぐらい試行してから路線バスとの連携も考えていく──いわゆる今ほど言ったような大規模輸送時間帯とそうではない時間帯をすみ分けしていかなければいけないともお話をされていました。あるいは近隣自治体の小矢部市さんとも連携をして、砺波市さんは小矢部市ともくっついていて生活圏が小矢部になっている方もおられるということで、小矢部市さんとも協議して進めていければいいなと言っておられました。
こういう県内事例もあるんですが、形態がばらばらなんですね。結構ばらばらで、「
ノッカルあさひまち」というやり方もあれば、それから、「ウチマエくん」という入善スタイルもありますし、富山市大山でのAIを活用した乗り合い式もあります。本当にオーダーメイドなんですよね。
ただ、そのオーダーメイドにならざるを得ない一端は、各自治体の財政状況も大きく関連をしているのではないかなと思うんです。
そういうところで、県の支援もやっぱり要るでしょうし、鉄軌道につなぐための仕組みでもあるわけです。駅とどうやってつなぐか、そのためには砺波市さんのやっておられるようなシステム、「チョイソコとなみ」などを活用して、いろんなところから駅に向かうことができることは、切っても切れない関係だと思います。
幹と枝と葉っぱですけれども、せっかく今議論していただいておりますので、将来10年ぐらいを見据えて、富山型のモデル、こんな形で地域公共交通をつくっていこうというものができれば、非常にすばらしいなと思います。そうした議論ができないか、有田課長にお答えいただきたいと思います。
60
有田交通戦略企画課長 持続可能で最適な地域内のモビリティーサービスの確保という観点について、オーダーメイドというお話もありましたが、それぞれの地域の実情が第一でございます。それぞれの地域の実情を踏まえた上での、便利で効率的で無駄のない運行形態、サービスの内容の実現を目指していく必要があると考えております。
先ほど、委員から、「チョイソコとなみ」の事例と今後の展望のお話をいただきました。また、他県の事例ということで、定時運行の路線バスとデマンド型の乗り合いバスを組み合わせたサービスの事例についてもお話をいただきました。
県内の状況について補足で申し上げますと、小矢部市でも「チョイソコとなみ」と似た名前で、「チョイソコおやべ」の実証運行を行っております。この小矢部市の実証運行では、休日の
コミュニティーバス路線をデマンド型サービスに切り替える試みを先月まで行っておりました。さらに、今月10月からは、平日の朝8時から夕方17時までの時間帯もデマンド型サービスに切り替えて実証運行を行い、定時定路線のバスと組み合わせたサービスでの実証運行を行っております。
県では、地域における新たなモビリティーサービスの立ち上げを後押しするために、支援制度を新たに昨年度から創設しております。今ほど申し上げました小矢部市の実証運行に対しても、これまで支援を行ってまいりました。
また、県内の全市町村、交通事業者が参画する交通ワンチーム部会を、富山県
地域交通戦略会議の下に設置、開催をしており、各市町村の最新の動向などについても関係者間で情報交換、意見交換を行っております。
「チョイソコとなみ」につきましても、砺波市から情報交換ということで、紹介をしていただきました。また8月に開催した交通ワンチーム部会では、小矢部市からも最新の実証運行の動向について紹介いただきました。
県としましては、新たなモビリティーサービスの立ち上げに向けた地域の意欲的な取組を支援しますとともに、横展開というお話もありましたが、交通ワンチーム部会の場などを通じ、市町村間における情報共有を活発に幅広く図ることで、地域が抱える課題、ニーズに対応し、それぞれの地域の実情を踏まえた便利で効率的なモビリティーサービスの創出を推進してまいりたいと思っております。
61 岡崎委員 何かモデルがあれば、地域でもちょっと考えてみたいな、これだったらできそうだなと、地域で考えてみる、参画しようという流れができると思うんですよ。
ところが、新聞でちょろちょろと出ているのを見て、これいいなとは思うのですが、詳細な運用方法が分からない、何から手をつけていいか分からない。こんなことも、なかなか広まっていかない理由ではないかと思っています。
いいモデルをぜひぜひ紹介いただいて、今後は、このスタイルでやればできるというものを、ぜひつくっていただければなと思います。よろしくお願いします。終わります。
62 瘧師委員長 ほかにありませんか。──ないようでありますので、これをもって質疑を終わります。
2 行政視察について
63 瘧師委員長 次に、行政視察について議題といたします。
本委員会の行政視察については、必要に応じて機動的に実施したいと考えており、その実施にあたっての日程調整等については、委員長に御一任願いたいと思います。
これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
64 瘧師委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で、付議事項についての審査を終わります。
この際、ほかに何か御意見等ございませんか。──ないようでありますので、これをもって委員会を閉会いたします。
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