• "体制づくり等"(1/1)
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  1. 富山県議会 2023-06-01
    令和5年6月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                      午前10時00分開議 瘧師委員長 皆さん、おはようございます。  ただいまから、本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        種部恭子委員の質疑及び答弁 2 瘧師委員長 種部委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 種部委員 おはようございます。自由民主党議員会の種部でございます。  2期目最初の質問は、1期目最初と同じ、虐待とか女性の生きづらさとか、そういうことについてまた深く問うていきたいと思います。今日たくさん質問がありますので、早速質問に移りたいと思います。  委員長、資料の提示の御許可をお願いします。 4 瘧師委員長 許可いたします。 5 種部委員 最近、中野市で青年が4人の貴い命を奪う事件がありました。富山県では奥田交番襲撃事件というのがありましたが、これら全て、やっぱり発達特性があって、その中に様々なトラウマを重ねることによって、失敗体験を重ねて、そして加害者になっているという特徴が見えます。  発達特性がある子供に、ずっと虐待があったり、家庭の中に生きづらさがあったりすると、これはケアされないまま続くわけであります。そうすると脳に機能的な障害を受けまして、トラウマに伴う症状があったり、あるいは被害的な思考が残って犯罪に及ぶということが分かっています。  こういうものを途中で見つけると、児童相談所で扱うケースとしては、これは厚労省の手引きの中に書いてありますけど、様々な症状が出てきます。安定した関係が持てなかったり、人間関係でつまずいてしまったりということで、緊張とか乱暴になったり、ひきこもりになったりということがあります。  一方で、こういう生きづらさをもともと持った人が、環境要因があって、学校の中でいじめとか、地域あるいは家庭の中でも育てにくさというのがありますと、同じような症状が出ます。こういう方たちというのは医療機関を受診されています。ここに書いてある症状と全く同じでありまして、こういう方たちも不安障害があって、中には暴力行為を働く子がいるということになります。  これが、身体的な暴力などであれば児相に通告いたしますので、児相を入り口として、その後トラウマのケアにつながるということでありますが、全ての虐待というよりは、例えば教育虐待みたいなものというのは通告しないわけであります。そういう人たちも生きづらさを抱えておりますので、同じように心が傷ついていくと、最終的には犯罪者になるということがあります。  秋葉原の無差別殺傷事件の加害青年は、教育虐待の被害者でした。奥田交番襲撃事件の方は、発達特性があったプラスアルファでいじめの被害者でもありました。そしたら、こういう状況から救い出してあげるということはやっぱり出口が必要なわけでありまして、この入り口に入った子供たちを必ず出口につなげていただきたいというのが政策としては必要ではないかと思います。  出口というのは、家庭においてはペアレントトレーニング、親に対して取説が必要ということになります。そして学校においては、トラウマインフォームドケアといいまして、やはりこの子をどういうふうに育てていけばいいのかという情報を共有する必要があるので、教育との連携なしにこれらの子供たちの回復というのは絶対望めないと考えています。  このたび、児童相談所の機能強化ということで、基本計画が県から出されました。これを見ますと、二拠点化するということになっておりまして、1つは養育・援助センター(仮称)。これは子供の心のケアを中心にするということで、県リハのこども支援センターの近くに児童心理治療施設も含めて施設をつくるということで、出口の一つであろうと思っています。
     一方で、これは入り口でもありまして、こども支援センターの中で見つかってくる様々なトラブルを抱えた子供たちの背景に虐待があることもあります。そして、その子たちが学校でトラウマを受けないようにと考えたときには、この中に教育との接点になるハブがここしかないんですね──富山県総合教育センター教育相談窓口教育相談部というところだと思うのですが、ここには在籍学校への働きかけとか、教育事務所との調整をする、連携をすると書かれていますので、ここが唯一の、出口につながる大切な場所だろうと考えています。  この機能について、総合教育センターからどのような機能をここに持ってくるのか、あるいは県リハビリテーション病院こども支援センター、子供の心を見ている医療の中で、先ほどの暴力行為の子供たちもいるわけですけれども、これは離れた場所にあるわけです。これをどのように連携していくのか、どのような機能をこの育成総合支援センター、仮称ですね、こちらに持っていくのか、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 6 松井こども家庭支援監 育成総合支援センター、仮称でございますが、このセンターは、こちらの資料に御紹介していただきましたが、富山児童相談所のほか、子ども・若者総合相談センター県警少年サポートセンター、それから総合教育センター教育相談窓口といった、子供に関する県の各相談機関を集約して配置することとしております。  そのうち、富山児童相談所については、新たな相談窓口を設けまして、各相談機関と連携して子供に関する相談に幅広く対応します。  それから、子ども・若者総合相談センターについては、現在、森林水産会館にある機能を全てこちらのほうに移転することとしております。  それから、県警少年サポートセンターについては、現在、富山中央警察署内に設置されています東部分室の機能を全て移転しまして、御質問いただきました総合教育センターについては、現在の県総合教育センター教育相談部に加えまして新たな相談窓口を増設し、子供の不登校やいじめなどの相談に対応することとしております。 7 種部委員 ということは、総合教育センターの中から、教育相談部を担っている人員をそこに配置するという考え方でよろしいですか。 8 松井こども家庭支援監 人員配置については、これから教育委員会とも話合いをして、こういう相談機関と一緒に検討していくところでございます。 9 種部委員 ありがとうございます。  今、一部が教育相談窓口からこちらのほうに移転という、一部だけということでありました。そうすると、県民から見ると、あるいは医療機関から学校につないでいただきたいハブが欲しいわけですけれども、そういうときに、この窓口が2つできることになります。総合教育センターと、そしてここにも新しい窓口ということですが、これはどのようにすみ分けていくのか、荻布教育長に伺います。 10 荻布教育長 育成総合支援センター、仮称ですが、こちらは駅前に位置して、子育て関連の機関が集まる環境を生かしまして、より幅広く相談を受けることができるようになると考えております。  また、それとともに、警察、福祉機関、また教育機関が、各機関の強みを生かしつつ、日常的に連携することで、初期の段階からワンストップで相談者を支援するということを目指しておりまして、学校や家庭における暴力やいじめの重大事案や、複数の相談機関が関わる案件に対して、より迅速かつ適切な対応が可能になると考えています。  なお、委員御指摘のとおり、発達課題やトラウマを持つ児童生徒への対応については、学校との継続的な連携が必要不可欠であります。そのことから、総合教育センターにおいては、これまで同様、面談による丁寧な相談支援を行うとともに、学校における児童生徒の様子の観察や、支援方針の共有などの連携を図りながら、相談者への支援や学校への助言などに対応していくと考えております。  また、総合教育センター内の教育相談部教員研修部が連携して、相談事例を踏まえて研修の充実を図るなど、相談業務や生徒指導に係る教員の資質向上にもつなげていくことにしたいと考えています。 11 種部委員 ということは、一部がそちらに行ってより重層化した、例えば少年サポートセンターなどを通ってくるというのは、暴力の問題とかいじめの重大事案だと思うんですけど、そのような重層化しているものはこちら、そして、そこまででもないものはという置き方でしょうか、やっぱり県民から見ると分からないということになろうかと思いますが、いかがでしょうか。 12 荻布教育長 窓口が2つできるということでありますが、先ほども申しましたが、育成総合支援センターというのは、多くの方が気軽に相談できるという、そういったメリットはできると思います。  総合教育センターは、これまでと同じような継続的な案件ということですが、そこは両方とも連携をして、どちらに相談が行っても、適切な場所でつないでいけるようにといったことはしていきたいと思っています。 13 種部委員 ありがとうございます。  どっちに行ってもちゃんと出口は同じようにということで、安心はいたしました。  このような立場というのは、非常に大事なハブだと思っています。特に学校というのは、小学校から中学校に行く、中学校から高校に行くというふうに学校が変わると、例えばそれぞれの学校の中にカウンセラーがいても、その情報が次に共有されるかどうかというところにやはり温度差があったりするので、同じ人が継続して見ていくということが大切だろうと思っています。  そういうことを考えますと、これだけの重大事案を扱うときには、アウトリーチできる、いろんな関係機関にアウトリーチできて、学校の公私を越えたり、転校したりしてもそちらに行けるという、アウトリーチのある人が必要だと思うのですが、今年度から、教育委員会スクールカウンセラースーパーバイザーという方が配置されていると伺っています。この方たちは、いじめの重大事案とか、そういう重篤な症例に対して緊急対応したり、いろんなところにアウトリーチに行けるということですが、こういう方をこの新しい拠点の中に配置したらいいのではないかと思いましたが、荻布教育長の御所見を伺います。 14 荻布教育長 暴力行為やいじめなど、要因が多様化、複雑化しておりまして、様々な悩みや不安を抱える児童生徒に対して、臨機応変な対応や包括的な支援の充実に努めるために、御紹介のありましたように、今年度から公認心理師の資格を持つスクールカウンセラースーパーバイザー3名を配置したところであります。  スーパーバイザーは、緊急的な事案の発生時に対応していただいているということもそうですが、それだけでなく、日頃からいじめなどの未然防止のため、スクールカウンセラーや教員などが多様な児童生徒の状況に応じたカウンセリングやアセスメントを行うに係るコンサルテーション機能を高められるように、支援を行ってもらっています。  今年4月に配置して以降、緊急的な事案に対する児童生徒へのアセスメントや通常配置しているスクールカウンセラーへの助言、また心理に係る教職員研修の講師などとしても御活躍いただいています。  育成総合支援センター(仮称)においては、児童相談所少年サポートセンターなどの関係機関と連携して、重大な事案に迅速に対応する必要があることから、委員から御指摘のありましたように、スーパーバイザーのような公認心理師などの資格者を配置すべきという御意見も参考にして、このセンターの開設に向けて関係部局と協議をしてまいります。 15 種部委員 ありがとうございます。  非常に重大な事案を扱うという認識がありましたので、そのプロフェッショナルといいますか、経験値もあるような人たちを配置していただけるとより安心かなと思いますので、ぜひまた前向きに御検討をお願いいたします。  次に、児童相談所の職員の負担軽減について伺います。  この5年ほどで、児相の職員数は倍に増えています。虐待対応、非常に深刻な事例が増えていますので、職員の方たちが非常に疲弊しているなという感じはあります。児相の機能強化の検討委員会のまとめを見ていましても、職員の異動が多いと書かれていました。  今後、児童心理治療施設をつくるとなると、さらに職員の増員が必要になるわけであります。そして、職員の専門性も高くする必要がありまして、中長期にわたってちゃんと育成しないといけないし、人員計画、そういうものが必要ではないかと思うのですが、あまりに疲弊し過ぎてモチベーションが維持できなくて、疲労して辞めているのか、あるいは人が足りなくてどんと新しい人を雇っているのかよく分かりませんが、あまり長く続けていくことができないような現状というのを聞いておりました。  現在の職員の勤続年数とその分布──年齢分布含めて──及び育成に関わる人材の確保とか育成の計画について、松井こども家庭支援監にお伺いいたします。 16 松井こども家庭支援監 今ほど委員から御指摘ありました、職員の異動が頻繁で経験が蓄積されないといった現場の意見ですが、令和3年度の検討委員会の資料に記載しております。  そうした現場の声も踏まえまして、富山、高岡児童相談所の福祉職員の現所属における勤続年数、そこの所属で何年在籍しているかという年数につきましては、4年以上在籍している職員は、昨年度では全体の割合として29%、約3割でございました。逆に3年以下の在籍職員は7割でございました。  今年度に至っては、4年以上の在籍職員を40%にしておりまして、3年以上は6割ということになるのですが、昨年度に比べまして現所属での勤続年数は延びております。  それから、このうち、特に児童福祉司として、おおむね5年以上の経験を有し、国が定める研修を受講した福祉職員が、経験の浅い福祉職員の指導教育を行うことができますように、専門的な技術の習得に努めているところでございます。  それから、委員からも御指摘ありましたが、法改正に伴う児童相談所の人員体制の強化を行うため、標準配置基準も上がりまして、最近増員してきているところでございます。そういった結果、勤続年数の短い職員の割合が高くなっている状況でございます。  このため、今後の取組として、人材育成の確保、支援体制を強化するため富山児童相談所に設置しました地域支援・人材育成課が中心となりまして、在籍経験や勤続年数、年齢等を踏まえまして、中長期的な観点から職員の資質向上に向けた研修体系を構築することとしております。  それから、御指摘を受けました児童心理治療施設については、国の措置基準では、心理療法担当職員児童指導員など、計20人以上が必要になります。そういうことで、さらなる職員の資質向上のため、児童心理治療施設の先行している県などでの研修機会の確保にも取り組んでまいりたいと考えております。 17 種部委員 人員をこれから確保する、ただでさえ人が少ないときに、かなりシビアな仕事に就いていただいているということで、負担はすごく大きいと認識しております。  この勤続年数が短いのは、もう無理ですと言って疲弊している人だけではなくて、多少、場所替えをすることでまたブラッシュアップになっていくということであればいいと思うのですけれど、そういう声にちょっと耳を傾けていただいて、人材育成はすごく計画的にやらないと、質が下がっては何もならないと思っておりますので、お取組をまたお願いしたいと思います。  このような負担を軽減する意味では、非常に高葛藤な場合、司法対応を求められる、法的な対応を求められる件数が増えているということも認識しております。児童相談所機能強化検討委員会の議論の中でも、法的対応の案件が増えていると。その負担が大きくなっているという意見が書いてありました。  児童相談所より連れ去り等する方から、私も陳情を受けたことがあります。子供を連れ去られたという方ですね。ですが、お話を聞くと、恐らく一件一件丁寧にアセスメントをきちんとされているはずですし、そういうことはないと思うのですが、このような葛藤の中で、対立もある中で、どうやって関係構築をしていくのかということにすごく尽力されているのがよく分かります。  これは他県でも同様な状況ですけれども、恐らく職員にとって大きな負担となるのは、親権者の同意のない施設入所、里親委託など、そして2か月を超える一時保護の延長には28条などの家裁申立てが必要なはずです。  この件数、それから親権者からの情報開示請求、このような法的対応を求められている件数というのは現状どんな感じなのか、松井こども支援監にお伺いします。 18 松井こども家庭支援監 過去10年間における児童福祉施設等への入所措置などに係る家庭裁判所への申立て件数は、合計12件であります。  最近では、令和2年度は3件、令和3年度は1件、令和4年度は1件で推移しております。それから、過去10年間における親権者などからの情報開示請求については、平成30年度の1件のみでありました。  このように、各年度の件数はゼロから3件程度となっておりますが、今委員に御発言していただいたとおり、1つの法的対応の案件が発生した場合には、児童相談所では一時保護に対する児童の意見、意向の聴取に加えまして、裁判官への一時保護上の請求に係る証拠書類等の収集や弁護士との調整などの業務がありまして、業務量が大変増加することになると児童相談所からも聞いているところでございます。 19 種部委員 ありがとうございました。  10年で12件って簡単に言いますけれど、よく分かりますが、一件一件、裁判と同じですので、もう物すごい、このぐらいの厚い資料を作って裁判をやっているのと同じです。毎年裁判が1件以上あるなんていうことを考えたら、相当な負担であるということは誰でも想像できることだと思いますし、その書類作成、非常に厳しい作業だと思いますので、通常の保護の作業に加えて、このような司法対応するための作業に、これ、やっていらっしゃる方はプロではないわけですよね。そういうことを考えますと、弁護士さんに相談・助言を求めたり、あるいは委託するということは必要なのではないかと思いますが、この件数の中で顧問弁護士に相談・助言を求めた件数は何件でしょうか。松井こども家庭支援監にお願いします。 20 松井こども家庭支援監 過去10年間においてですが、家庭裁判所申立てに対し顧問弁護士に相談・助言を求めた件数は、合計14件であります。最近では、令和2年度に3件、令和3年度に1件、令和4年度に3件と推移しております。  それから、過去10年間において家庭裁判所申立てに係る情報開示請求に対して、顧問弁護士に相談や助言を求めたものはございませんでした。 21 種部委員 ありがとうございます。  情報開示請求をするケースはちょっと少なかったんですけれど、例えば28条についても、膨大な裁判と同じようなエネルギーがかかるので、こういうものは弁護士さんに委託するのがよいのではないかと思います。  これに加えて、令和6年度以降、改正児童福祉法が施行になった後ということになりますが、一時保護の開始時に司法審査が求められるようになるはずです。  そうしますと、それも全て毎回フォレンジックなといいますか、司法対応に対して書類を作らなきゃいけないことになるので、これまた膨大なエネルギーではないかと思います。  一時保護件数をお伺いしますと、令和3年度120件と聞いておりまして、これに対して、司法審査をするための書類作りだけでも大変なエネルギーだと考えられます。このときは、証拠保全のすごい高いレベルのスキルが必要になりますので、とても児童福祉司さんたちのレベルで全部担うというのは、考えただけでもすごく大変なことだろうなと思っています。  富山県の方針を見ていましても、家庭裁判所の申立てについては、法律の専門家である弁護士さんに手続の代理などの依頼をする体制を整備するということが、去年、虐待対応に関する方針として示されてきたと思うんですね。  ただ、現在は顧問弁護士さんに、要は、オンデマンドで、必要なときに来ていただいて相談を行う体制ということだと思うんですが、それこそ、先ほどの経験が4年未満という経験値の浅い職員にとっては、こんなこと聞いていいのかなとか、あるいは、私たち、弁護士さんにそんな直接電話するなんて怖くてできないというのが普通の人の感覚だと思うんです。そうすると、若い児童福祉司の人たちが弁護士さんに、すみません、こんなこと聞けますかというのはなかなか言えないのではないかと思うんですね。  こういう葛藤がすごくある中でちゅうちょしているということで、子供の安全を守るという意味において、一時保護の開始時の審査でありますので、ここでちゅうちょすることがあってはいけないと思うんです。  そういう意味で、この労力を減らすために、専門性の高い弁護士さんを交えて定期的に会議を開いてはどうでしょうか。そうすると、その場にいらっしゃると行間が聞けるので、これはどうだろうという感覚を聞いたり、法律対応プラス、そういう行間の相談ができるのではないかと思いますので、負担軽減のためにこのような定期的な会議をするというやり方をやってはどうかなと思います。  ちなみに、岐阜県を調べてまいりました。そうすると、弁護団を組んで業務委託する形で、常勤ではないのですけど運用しておられまして、家裁申立て件数は、富山県の一時保護件数に比較してもはるかに高いんですね。弁護士配置の強化という意味では、このようなやり方が参考になるのではないかと思いますが、松井こども家庭支援監のお考えを伺います。 22 松井こども家庭支援監 各相談所では、現在、法的対応が求められる事案に適切に対応するため、弁護士との法律相談契約書を締結しまして、月1回の定期的な相談を行っており、これは弁護士に児童相談所に来てもらっております。そのほかですが、必要な場合、随時相談ができる体制を確保しております。  一方で、これも委員から御発言がありましたけど、令和6年度から一時保護開始時に司法審査が導入されます。そういったことで、児童相談所の法的対応に係る機能強化を図ることが必要不可欠となります。富山県児童相談所等機能強化基本計画においても、富山、高岡の両児童相談所が随時、弁護士の相談支援を受けられる体制の充実、それから各種法的手続を弁護士に依頼するほか、手続業務の標準化などによる職員の負担の軽減について、具体的な検討を進めることが盛り込まれたところでございます。  こうしたことから、今後ですが、この基本計画に基づく検討事項や、今ほど委員から御発言がありました、岐阜県の対応についての御紹介もいただきましたけど、他県のそういった弁護士の活用状況等も踏まえまして、措置決定やその他の法律関係業務にとどまらず、日常業務においても、事案の情報共有を含めまして、弁護士による指導または助言の下で円滑に業務が遂行できる体制づくりになるよう検討してまいります。 23 種部委員 とにかく、負担の軽減になることは何でも取り入れていかないと、令和6年以降迎えられないかと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。  次は、子供の性暴力への初動対応について伺います。  令和5年度から生命の安全教育が開始されておりまして、学校及び少年サポートセンター、くもくん教室というんですかね、子供の性暴力防止の教育に行っています。これをやった後に自分が当事者だと気がついて開示するということは当然増える可能性がありますし、最近ジャニーズの問題があったので、男の子からの相談が増えることは想定をされていることであります。  このときに、初動対応の質を上げるという取組をしてくださいということを何度も求めてきました。令和2年にも、令和3年にも2回質問しています。これまで3回質問しました。生命の安全教育に取り組むということと、ワンストップ支援センターと連携して取組を進めるという答弁をそのときはいただいています。  しかし、先日、また相談を受けました。学校に、このワンストップセンターが中心になって作ったマニュアルが置かれていると聞いていますけれども、性的いじめに対して、学校で適切な初動対応をしてくださらなかったということで御相談、陳情を受けました。  マニュアルは当然配置されていると思うのですけど、やはり初動対応をやるときに、マニュアルを見ただけでは使えないだろうと思います。初動対応を間違えると、性暴力については今回、刑法が改正されましたので、犯罪に当たる部分も出てくるわけです。そうすると、初動のときに、やはり証拠保全だったり、司法面接だったり、そのようなスキームにつなぐ必要があるのですけど、そのためにRIFCR(リフカー)という研修を受けてくださいと前にもこれは質問しましたが、いまだこのような陳情を受けるということは、現状どうなっているのかなということで非常に疑問でありました。荻布教育長に取組の現状をお伺いいたします。 24 荻布教育長 性暴力の被害を受けた児童生徒への初動対応において、その心理状態を十分理解せずに対応した場合には、周囲の配慮のない対応で深く傷ついたりするなど、二次被害が生じるおそれもございます。  教育委員会ではこれまでも、教職員に対してRIFCR(リフカー)研修を受講できる機会を周知してきました。また、管理職を対象にした研修会において、子供への性暴力被害に対する適切な初動対応や、中長期的な支援の在り方などについて知見を深めるとともに、適切な面接技法などの向上も図ってきたところです。  今年1月には、性暴力被害ワンストップ支援センターとやまが中心となって作成された教職員向け性暴力被害対応マニュアルを県内全学校に配付しますとともに、校長会においても、センターの所長にも御出席をいただいて、その活用について周知し、被害の早期把握や初動対応、二次被害の防止につながる指導の徹底に努めているところです。  学校では、子供が性暴力被害を受けたことを認知した場合、速やかに教育委員会と情報共有を行って、学校内に相談支援を行う体制を構築するということ、それとともに、児童相談所や警察、ワンストップ支援センターなどの関係機関とも連携を図りながら、児童生徒の心情に十分配慮した支援を行うこととしています。  教育委員会では、今後とも性暴力被害について、子供たちへの指導の充実や、教職員の理解を深める研修を行うなど、生命の安全教育の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。 25 種部委員 マニュアルを使えるようにするためには、恐らく知識があるだけではなくて、初動で何をするかというところへ一歩出る、そこが必要ではないかと思うので、ちゃんとインストールできる研修の形をまた検討していただきたいと思っています。ありがとうございました。  次は、子供の意見表明についてお伺いいたします。  子供たちを取り巻く環境の中には、いじめとか虐待、体罰など、身近な生活圏の中でこのような暴力は起こっています。だからこそ、口止めとか仕返しとか、そういうおそれがあるので相談できません。これは、会社であれば当たり前のことでありまして、パワハラの相談窓口は外部窓口じゃないと仕返しが怖いので相談できない。当然のことでありますが、学校でも同様だと思います。  それを考えますと、子供の安全が守られるように、外部機関で意見を聴取できるという仕組みが必要と考えます。  改正児童福祉法では、子供の意見聴取、意見表明、権利擁護に向けた環境整備を求めています。そして、県の社会的養育推進計画でも、子供の意見を受け付ける体制の在り方や意見の処理をする手続、仕組みを検討するとされています。多分これは、一時保護開始時の子供の意見ということであろうかと思うのですけれど、同じように、やはりいじめの重大事案とか、あるいは性暴力とか刑法にかかるようなものについても、同様の聴取をする必要があるのではないかと思います。  だとすれば、これもスケールメリットを生かして、1つのセンターをつくったほうが効率がいいのではないかと思います。刑事裁判を見据えて、司法面接も見据えた上でできる、子供の意見の記録の技能を持つチャイルドアドボカシーセンターを児相内につくるべきではないかと思います。松井こども家庭支援監の御意見を伺います。 26 松井こども家庭支援監 子供の意見聴取、意見表明、権利擁護に向けた環境整備に努めなければならないことが、令和6年度施行の改正児童福祉法で定められたところでございます。  国のほうは、子どもの権利擁護に関するワーキングチームで検討されまして、その取りまとめ結果、それから調査研究報告書などによりますと、子供の意見表明支援員は、アドボケイトとも言われていますが、子供の求めに応じ子供の意見を代弁し、時には子供の代弁者として、児童相談所などの行政機関が行う決定や、子供の支援についての見直しや改善を求める役割を担うものであることから、児童相談所などの行政機関との間に利害関係がないという意味での独立性が必要とされております。  それから、国の子どもの権利擁護に係る実証モデル事業などに参加した自治体でですが、こうした環境整備を図るために、子供の意見表明を支援する機関である子どもアドボカシーセンターへの委託、それから子供の権利に関する活動を行う民間団体への委託、あるいは弁護士会等の専門職団体への委託、あるいは大学への事業委託、それから児童相談所等の行政機関が直接事業の運営を行うなど、様々な体制で事業が実施されております。  それぞれのメリットやデメリットなどの結果も報告されておりますので、今後、こうした国の調査研究報告や実証モデル事業などによる結果を精査するとともに、今後、これも国のほうから、夏から秋頃に提示されます運用イメージ、そういったものを踏まえまして、本県における実施、運用体制について検討してまいります。 27 種部委員 前向きの検討をしていただけそうでほっとしました。一番大事な場所だと思いますが、ただでさえ人が足りないところなので、支援監の健康も含めて大事にしていただければと思っております。  では、次に行きたいと思います。  子供の貧困に関係する質問についてお伺いいたします。  昨年度、県が実施したこどもの生活状況調査というのがございました。貧困に関する項目がございまして、この中で、独り親家庭の2人に1人は生活が苦しい、5人に1人は食べるものに困った経験がある、5人に1人は高等教育への進学を諦めていたというデータが出ております。  貧困やネグレクトなど家庭に困難を抱えている生徒にとっては、4月が恐怖なんですね。提出物とか集金が怖いという話であります。特に高校進学時というのは最も新学期の提出物が多くて、そして学年集金の徴収とか、いろんな集金ものがあったりする時期でありまして、こういう御家庭には新学期早々に、スクールソーシャルワーカーなどのサポートが必要ではないかと思いますが、少なくとも、中学校のときにも要保護児童として指定されていると要対協で把握されているようなケースについては、高校を進学したら、すぐに4月にサポートに入っていただけないかなと思っておりました。  ところが、この時期が5月から7月ぐらいに要対協から高校に連絡が来たケースがあると、ソーシャルワーカーが出向く前にもう退学してしまっているというケースがあったということを伺っています。  これがこの貧困だけで起きたことかどうかは分かりません。ほかの要因かもしれませんけれど、そうなりますと、少なくともこのように、中学校のときから分かっているような子については、情報提供はいつ行われていたのか、そして、できればこういう情報提供の時期を早くして、4月に対応できるようにしてあげたらどうかと思います。松井こども支援監の御意見を伺います。 28 松井こども家庭支援監 スクールソーシャルワーカーについては、県教育委員会において、単独配置している富山市を除く全ての市町村の全中学校区と県立学校の拠点校4校に配置しております。  県教育委員会では、スクールソーシャルワーカーの派遣が必要となる事案が発生した場合は、学校の要請に応じて派遣しております。  それから、各学校には、急に支援が必要になった場合は、時期を問わず速やかに県教育委員会に要請するように周知しております。  それから、要保護児童対策地域協議会の件についてですが、これは市町村において要保護児童の相談や通報を受けた後、事態の危険度や緊急度の判断などを行った上で、支援に関わる関係機関が出席するケース検討会議が適時開催されております。  これは、年度初めだろうが、年度終わりだろうが、適時開催しているところでございます。ケースに応じて学校や市町村教育委員会も参加しまして、援助方針や方法、時期、連携方法などの具体的な内容を検討し、共有しているところでございます。  それから、この協議会ですが、富山、高岡の各児童相談所の職員も参加しております。各機関の役割分担や具体的な支援内容などについて、児童相談所の職員が専門的な助言を行っております。  スクールソーシャルワーカーによる早期の支援、委員からも御指摘を受けましたが、スクールソーシャルワーカーの出向く時期が遅いケースもあったのではないかという御発言も含めまして、個別のケースごとに市町村に適切に助言し、関係機関とも連携して、適時適切に必要な支援を行えるように取り組んでまいります。 29 種部委員 市町村だったりすると、隙間がやっぱりできると思うんですね。要対協も市町村によって温度が随分違うなと思っていますので、そういうときは、恐らくその中に当然児相が入っているわけですし、4月はやっぱり急いだほうがいいのではないかということで、臨機応変に対応いただくとありがたいなと思います。またお取組をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
     この項目最後には、虐待とDVが併存するケースのことについてお伺いいたします。  虐待や不適切養育の背景には、DVが一緒にあるということは少なくありません。結愛ちゃんの事件も、心愛ちゃんの事件もそうでした。背景にはDVがあって、もしDVで気がついて相談されたときにお母さんを支援していれば、子供たちは死なずに済んだはずです。ですから、これは必ずセットで見ていく必要があると思っていまして、児童相談所でもそのように対応していると思います。  児童相談所での相談受理の中で今一番多いのは警察だと思うんです。4割ぐらい警察だったと思うんですけど、その多くが面前DVだと思うんですね。すなわち、お母さんも被害者であるということが分かっているケースであります。  そうなりますと、同時にこれはお母さんへの支援も積極的にやっていかなければ、お母さんも力をつけて出るということはできないということもありますので、このDV対応も専門的な知識を持った支援員と同時に、児相とセットで動いていただくのが非常によいと思っています。  このたび機能強化をするに当たって、CiCという場所を選んでいただいたわけでありますけれど、CiCには富山市男女共同参画推進センターがあります。この中に、DVに対応する婦人相談員の方が1人おられると聞いています。  そうであれば、1人で対応するのはとても大変なことなので、市の婦人相談員と協働で、県の婦人相談員の方が、もう一人ここに行っていただくとか、1人でも何人でもいいですけど、協働で配偶者暴力相談支援センターを設置してはどうかと思います。  現在、婦中町と、そして高岡のウイング・ウイングに設置されていますけれども、婦中町はちょっと遠いわけですね。  配暴センターというのは、最初の初期の相談だけではなくて、住基ロックの毎年更新のときに、DV証明を取りに行っていらっしゃるのですが、そのためだけに婦中町へ行くのは大変だよなってちょっと思うわけであります。そうすると、利便性も高くなりますので、このCiCの新しくできる児相のところに配暴センターを設置してはどうかと思います。新田知事の御所見を伺います。 30 新田知事 県では、女性相談センターが配偶者暴力相談支援センターの機能を担っておりまして、警察や県民共生センターをはじめとする関係機関と連携して、DV被害者に対する相談支援を行っています。  このうちで、子供の面前でDVがあり、児童虐待とDVが並存するケースについては、女性相談センターに児童虐待防止対応コーディネーターを配置し、児童相談所と連携して取り組んでいます。  今年の3月に策定した富山県児童相談所等機能強化基本計画の策定に当たっては、種部委員にもいろいろと御指導いただきましたけれども、富山駅前のCiCビルに整備する育成総合支援センター、仮称ですけれども、これに県の子供に関する相談機関を集約して配置することとしています。  また、この計画では、CiCビル内にある県の各相談機関と、子育て支援センターやファミリーサポートセンターなどの富山市さんの子育て関係機関が相互に協力して対応し、より利用者に寄り添える体制としています。  一方で、子供の相談と同時に親へのDVにも対応できるよう、同ビル内でDV相談も行っている富山市男女共同参画推進センターとの連携も重要なことと考えます。  現在、育成総合支援センター(仮称)に集約される各相談機関と課題の共有や対応策について随時協議をしています。今後さらに親へのDVに気づいた場合の対応、またDV証明の発行、おっしゃるように場所は非公表ですが──婦中町にあるということでありますが、確かにあまり便利な場所ではありません。利用者の負担軽減に向けて、富山市男女共同参画推進センターも含めまして、関係機関との具体的な連携方策について検討を進めてまいります。 31 種部委員 ありがとうございます。前向きにまた御検討をお願いしたいと思います。  富山市との連携になりますと、富山市さんにこうしてくださいと言うのはなかなか難しいんですが、新田知事であればできるかなと。ワンチームでぜひ話合いを進めていただければと思っております。  それでは次は、医療についての質問をさせていただきたいと思います。  地域医療構想を実現するというのは、それぞれ対立があったり、なかなか難しいというのは承知しております。  今回の議会でも、高岡市民病院で来年から分娩を取りやめるということについて、瀬川議員と嶋川議員から大変な御批判がありました。  ですが、お二人ともおっしゃっていたことは、医療安全のために集約化は必要という認識はしておられました。それは非常に重要なことでありまして、産婦人科医が増えない理由というのは、労働時間が長い、全員の平均労働時間が過労死ラインを超えている、それからオンコールという無報酬の拘束がある、あるいは訴訟のリスクが高い、こういうことで若い人が選んでくれません。ですから、集約化しなければ、さらに産婦人科医は減るということになります。  周産期については、地域医療構想の実現を待たずに先に集約化ということもあり得る話でありまして、いつそのような状況になっても、市民の方が不安を覚えないようにすることはとても大事だと思います。  例えば集約されると何を皆さん心配されるかといいますと、出産するのに間に合わないんじゃないかということを心配されます。このアクセスをカバーするやり方として、分娩の1週間前ぐらいから分娩取扱い医療機関またはその近隣の宿泊施設等に産前ケアを行いながら宿泊する、そして分娩を待っていただくというシステムを市町村と協議して早急に整備してはどうかと思います。  これと同じような質問を昨年の2月にお聞きしています。そのときは先進事例を検討するという答弁をいただいています。例えば、アクセスに難のある北海道では、もう既に取り入れている話だと思います。  例えば富山県内も、冬、雪が降ったら遠くて心配だよねというお母さんたちとか。あるいはお子さん2人、3人抱えていて、いきなり陣発したらどうやって行こうかと悩まれる方とか、こういう方から、取りかかりやすいところから市町村と協議されて産前ケアを、このアクセス改善のためのカバーとして検討してはどうかと思います。松井こども家庭支援監にお伺いします。 32 松井こども家庭支援監 県では、分娩取扱医療機関と妊娠中に健診に対応できる産婦人科医療機関が連携協力し、妊婦の方をサポートする体制を推進するため、妊婦の方向けのリーフレットや医療機関向けの地域連携ネットワークの手引きによりまして、身近な医療機関で健診や相談が受けられ、緊急時には速やかに対応する産前ケアの確保に取り組んでいるところでございます。  今ほど委員からの御提案──以前の議会でもそういった御提案がございましたが、産前ケアシステムの整備については、今回、国の周産期医療の体制構築に係る指針の中でも、集約化、重点化により、分娩医療機関までのアクセスが悪化する地域に居住する妊産婦に対して、アクセスを確保するための対策について検討することとされているところでございます。  県内の市町村の中では、妊婦健診や出産時にかかる交通費を助成しているところもございます。県においては、そうした取組事例について、厚生センターごとに母子保健の実情を踏まえて議論する連携ネットワーク会議や県周産期保健医療協議会などにおいて、市町村や医療機関と情報を共有しまして、妊婦の方の医療機関等へのアクセス確保についても検討してまいります。 33 種部委員 ありがとうございます。  前も検討ということでありましたけど、また検討していただければと思いますし、思ったより早く集約化を進めなきゃいけない可能性というのは出てくると私は思っていまして、総合病院では部長クラスで働いていますのが私の年よりもちょっと上ぐらいですかね。ですから、定年になると皆さん県内に残ってくれるかどうかも分かりませんし、65を過ぎているのに真夜中に起こされてというのは、やっぱりつらいなというところでありまして、そういうところが分娩を取りやめざるを得ないということは当然出てくると思っています。  これに加えて出産、これは保険適用ということが少し国で議論されようとしていますけれど、そうなりますと、診療所を含めて医療体制が大きくがらっと変わる可能性があります。そのときに、産前ケアというやり方で、安心の部分を受け持ってもらうところと安全を受け持つところとを分けていくというようなことも、第7次医療計画も含めて考えていただければと思います。またお取組をお願いいたします。ありがとうございました。  それでは、集約化されるとまた困るなというところで、安心提供のためにもう一つお伺いしたいと思います。  周産期以外の急性期医療も、集約化というのはいずれは避けられないと思いますし、病床削減ということは、これはもう決まっていることであります。  この国の社会保障費の持続可能性を考えると、当然病床削減とか、あるいは在宅移行というのは、目指すことはいいこと、持続可能性のために必要だろうと考えています。  そして、これも先にはしごを外されて、病院がなくなったじゃないかという話にならないように、先に在宅や地域の中でアンカーを置いて、そして、本当に必要なときは急性期医療機関に運ぶということを考えていただくとか、あるいは遠隔医療を推進するなど、そういう受皿をつくってから集約化を進めるべきではないかと思います。  6月16日でしたか、国の指針の中でも、規制緩和をいろいろやっている中に、D to P with Nというのですけど、遠隔医療についても規制緩和をどんどんしていこうという姿勢が見えていますので、恐らく在宅プラス遠隔医療という形になるのではないかと思っています。  こういうときに、患者さんがそれを選んでくれるかどうかというのが一番重要なポイントだと思います。なかなか在宅に移行することをちゅうちょされている方に伺いますと、いつ、どんなタイミングで在宅医療に切り替えたらいいか分からない。現在診てもらっている病院からどうやって切り替えればいいか分からない。それから、在宅にすると医療のレベルが下がるという誤解を持っていらっしゃいまして、見捨てられ感があるということでありましたが、在宅になっているドクターに言わせると、出産以外は全部できると言っておりました。  ですから、質が下がることは絶対ないと私は思いますが、このように理解が進んでいないことが一因ではないかと思います。  これを、例えば、在宅での看取りが近くなってから在宅移行というパターンもあると思いますが、そうではなくて、御自身で選んでいただけるということが大事かなと思いますので、例えばですけれど、運転免許の更新における高齢者講習のときとか、そのような場所を使って、在宅医療の移行に関する、具体的にどう進めるのか、タイミングがどうなのかとか、そのような情報の啓発を行ってはどうかと思います。有賀厚生部長に御所見を伺います。 34 有賀厚生部長 本県では、高齢者の加齢に伴い、医療と介護双方のニーズを有する高齢者の増加が見込まれておりますけれども、できるだけ住み慣れた地域で暮らし続けたいという県民の思いに応えるためにも、入院医療だけでなく、介護サービスや生活面での支援とともに、提供される在宅医療の推進が重要であるとも考えております。  このため、市町村と連携して、介護予防教室や通いの場等の高齢者が集う機会を捉えて、在宅医療、介護連携を啓発するチラシを配付し、医療や介護が必要となったときに、入院や施設入所のほか、在宅で医療や介護のサービスを受けることも選択肢の一つであるということを認識してもらえるように努めてまいりたいと思っております。  また、当然、在宅医療に関しては、やっていただく医療の方の底上げも十分必要だと思っていきますので、そこは連携して合わせてやっていきたいと思っております。 35 種部委員 ありがとうございました。  集約化というのは避けられないということ、多分、推進するためのアンカーをつくっていかなければいけないというところだと思いますので、また引き続きお取組をお願いしたいと思います。  では、最後の質問をさせていただきたいと思います。  アドバンス・ケア・プランニングについてお伺いしたいと思います。  人生の最期に何を食べたいですかということを、この前の選挙戦のときに皆さんに聞いて歩きました。そうすると、いろいろ出るんですけど、白い御飯のおにぎりの中に鮭を入れてくれとか様々な要望があって、一番多かったのがお酒です。私も人生の最期は絶対ビールを飲んで死にたいと思っていまして、ビールに焼き鳥というのが私の最期に食べたい食べ物なので、今日皆様お見知りおきいただいたと思うんです。  こういうことを言っておかないと、あの人は最期にそれを食べたいと言っていたから、自宅に置いておかないといけないということが分かってもらえないわけで、こういうことを周りに理解してもらうというのがACPだと私は思っています。  これは、新田知事に御所見を伺いたいのですが、知事も人生の最期に何を食べたいかということをぜひここで教えていただければと思っています。  こういう食べ物というのは病院では食べられません。病院で出てこない食べ物ばっかりですけど、そうなりますと、多くの県民はやはり家で最期まで暮らしたいと願っているということだと思います。その意思を家族に伝えておかなければ、急変時に救急車を呼ばれてしまうと、運ばれる、呼吸器をつけられる、点滴だらけになるということになってしまいます。  本人が、これを言っておかないといけないということも含めて、これがまたそのぎりぎり間際になってから最終段階で言われたら、悲壮感しか漂ってこないということでありまして、もうちょっと楽しく考えると。自分の残された人生をどう生きていくのかというのを、ぎりぎりになってからじゃなくて、恐らく親の介護なんかが始まる50代ぐらいからですね、親の老いを我が事に移して、人生後半だったらどう生きるかということを考えるというのは、これはウェルビーイングだと私は思います。  これまでの生き方を変えて、人生後半をどうやって何に投資をしていくのか、今までかぶっていたよろいを全部脱いで、どこに投資するかというのは、まさにウェルビーイングを考えるということだと思っています。  なので、このアドバンス・ケア・プランニングというのをウェルビーイングの向上と捉えて、在宅看取りの理解とか、あるいはその実行を促進するための効果的な手段として、どうしていったらいいのかということ、私はこれはむしろ現役世代に問うべきではないかと思っています。  こういう積極的な県民の啓発を行ってはどうかと思いますが、新田知事のお好きな食べ物とともに御答弁をお願いいたします。 36 新田知事 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、本人の意思決定を基本として、人生の最終段階においてどのような医療系ケアを望むのか、あらかじめ、家族をはじめ、信頼のおける人を含めた医療・介護従事者と繰り返し話し合うプロセスのこと、自分と向き合うよいきっかけとなるものと理解をしております。より前向き感を出すために、人生会議という言い方もされていると聞いております。  御指摘のとおり、このACPの本人の意思を尊重する考え方は、自分らしく生き生きと生きるという、まさにこれはウェルビーイングであります。その向上にも通じることでありまして、生涯を通じて向上に通じることであります。県の目指すところでもあり、県としてもACPの取組を広く県民の皆様に普及していく必要があると考えます。  県民の世論調査では、自身に介護が必要となった場合でも、およそ7割の方が、自宅や住み慣れた地域で生活を続けたいと望んでおられるという結果を踏まえますと、このACPを普及することで、多くの高齢者が在宅における生活や看取りの可能性について具体的に考える機会となり、ひいては在宅医療の推進にもつながることが期待できます。  一部の市町村では、ACP実践の具体的な手段として、独自の終活支援ノートを作成されて、ケーブルテレビで放映したことによって住民からの問合せが増えたという事例も伺っています。こうしたことも参考にしながら、ACPの普及に効果的な啓発の手法を市町村とも協議して進めていきたいと考えております。  私に対する御質問ですけれども、私はあまり食べるものに執着がないものでして、だから最期にどうかなというのは、食べるものがあればいいなと思っております。  ただ、終わり方という意味では、私は生まれてからずっと犬と一緒に育ちまして、赤ん坊の頃から犬になめられながら育てられて、二十歳まで犬をずっと飼っていたのですが、ここのところちょっと忙しくて、犬を飼わない、犬いない歴がもう数十年になってしまいました。何らかの形で時間が取れるようになりましたら、犬を再び飼い、犬に見送られたいなと思っております。 37 種部委員 ありがとうございます。  犬は病院に持込禁止ですので、やっぱり在宅でということだと思います。そういうことを考えていただく機会になるのと、今日皆さん聞いてくださいましたので、そういうことを考えるための取組というのを、あまり暗い言い方ではなくて、知事の得意のウェルビーイングという前向きな、明るい感じの、わくわくする感じのアドバンス・ケア・プランニングで取り組んでいただければと思います。  以上で終わります。 38 瘧師委員長 種部委員の質疑は以上で終了しました。        川上浩委員の質疑及び答弁 39 瘧師委員長 川上委員。あなたの持ち時間は60分であります。 40 川上委員 私は、自民党議員会の川上浩であります。  質疑に入る前に、今日6月23日は沖縄県の慰霊の日であります。沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園では、入場制限のない4年ぶりの沖縄全戦没者追悼式が開催されます。岸田首相、そして衆参両院議長、そして全国都道府県議会議長会会長の山本徹富山県議会議長が参列されると伺っております。  12時には黙祷になります。我々も心から哀悼の意をささげたいと思います。  それでは質問に入ります。  まず、教育を取り巻く諸課題についてであります。  令和6年度県立高校募集定員についてでありますが、我が自民党議員会の宮本議員の代表質問の中でも取り上げられましたように、教育委員会では、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や、総合教育会議の議論を踏まえ、先月、富山県立高校の学びの改革に向けた基本理念や目指すべき方向性をはじめ、県立高校の配置や定員、再編統合など、具体的な検討を行う必要があるとする報告書が取りまとめられたわけであります。  そして、今月1日に、新たに高校再編の基準や高校規模などを検討する会議、県立高校教育振興検討会議が立ち上げられたと伺っております。単なる生徒数や学級数の議論とせず、本県の高校教育の在り方そのものを議論する検討会議としてスタートしたとのことであります。  教育検討会議を5回ほど開催し、生徒のニーズ把握、アンケート結果などを参考に、規模だけではなく、様々なタイプの学校についても検討する旨の答弁を教育長がなされていたかと思います。  一方、今議会の議論の中で、教育長は間もなく令和6年度の県立高校の募集定員を発表するということでありました。  振り返ってみますと、令和5年度の県立高校募集定員の発表後、昨年は雄山、氷見の両校の普通科1クラスが減となったわけでありますが、県議会や所在市町村等の関係者を巻き込み、教育委員会の進め方について大きな議論となったところであります。  令和6年度の県立高校の定員数の検討に当たり、県議会や地域の関係者へどのように理解を得る説明を行うのか、まず教育長に伺いたいと思います。 41 荻布教育長 委員御指摘のとおり、昨年ですが、令和5年度の県立高校の募集定員については、県議会や所在市町の首長さんなどの関係の方から多くの御意見をいただいたところです。  このため、昨年度、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や、3回開催された総合教育会議において、学級編制、公私比率、普職比率、学区の取扱いなどについて、全国の状況なども踏まえて議論を行ってきたところです。  総合教育会議では、今後の方向性の主な論点が整理をされまして、学級編制については、これまでと同様、地域の均衡ある学びの確保を踏まえつつ、生徒数の動向、志願状況などを勘案して総合的な判断が必要とされました。  こうしたことから、令和6年度の県立高校の募集定員については、来年3月の中学校卒業予定者数の動向や、これまでの高校の志願状況、学級増減の経緯などを踏まえて総合的に判断することとし、今議会での議論も踏まえて検討をしているところです。  学級編制の方針や考え方などについては、今後、県議会や所在市町の関係者の皆さんに丁寧に説明をしたいと考えています。  また、5月に取りまとめた令和の魅力と活力ある県立高校のあり方に関する報告書を踏まえまして、先般設置した県立高校教育振興検討会議において、再編に関する学校規模、基準や学科・コースの見直しなどについて検討して、全県的視野に立った県立高校の魅力ある教育環境づくりを進めていくということについても、併せて御説明をしたいと考えております。  令和6年度の県立高校募集定員については、県議会や関係者の御意見も踏まえて、7月をめどに教育委員会で慎重に審議の上、決定したいと考えております。 42 川上委員 今、そういう答弁をいただいたわけでありますが、昨年9月の定例会において、薮田、そして亀山両議員が、この学級編制方針やその決め方などについての疑問と問題点を取り上げられたわけです。その中で教育長は、学級編制は、地域別の中学校卒業予定者の数の動向、そして1次志願状況、これまでの学級増減の経過を踏まえ教育委員会が決定すること、また、学級を少人数化すると財政負担が伴うことなどを答弁されました。  また知事は、来年度改めて学校の規模、再編の基準などについて検討することになると考えています。学区の在り方も議論を進めたい。年次ごとの県立高校全体の募集定員の目安を示すこともできるのではないかという答弁をされているわけであります。  高校の所在する自治体の関係者は、学級数の削減が今後の学校再編対象につながるのではという懸念を持っているわけでありまして、これは理解できるところであります。学校再編は検討中であると言いながら、先行する学級数減への警戒感が非常に強まっているのが現状であります。  一昨日の我が会派の永森委員への答弁において、定数減と学級編制の方法について、教育長さんは少人数学級についても言及されたように私は伺いました。  一方で、学校の再編に当たっては、これまでのタイム的なスケジュールを考えると、そう時間のないということも、一昨日の永森委員の質問の中で明らかになったかと思います。  そういう点を踏まえて、先ほど申しました少人数学級も含めた答弁につながったのではないかと、私もこの委員会の中で伺っておりました。その点について教育長に伺いたいと思います。 43 荻布教育長 今ほど御紹介もいただきましたが、先日の永森委員への御答弁の中で、今、新しい検討会も設置して、今後の再編に関する学校規模基準などについて話合いを進めたところであるということも踏まえまして、当面の間、学級減でなく少人数化するという方法が可能かどうかということも含めて、来年度の学級編制について検討したいと申し上げました。  御発言のあったように、これまでの再編基準が学級規模で4学級未満といったような、そこを検討対象とするといった基準があったので、学級減に対する皆さんの御懸念も非常に大きいものがあるということは理解できます。  ただ、その基準についてはこれまでの基準でありまして、今後の基準というのは、まさに今から検討を始めたところではありますが、そのことも説明しつつ、ただ御懸念も分かりますので、そういった少人数化ということも含めての可能性を探るということについて検討したいと申し上げました。そういったことであります。 44 川上委員 今ほど御答弁いただいて、恐らく7月に教育委員会の中で決定されるということでありますから、今の答弁というのはどういう意味を持っているかということを、私は改めてこの場で確認させていただけたような気がしております。  それでは次に、総合支援学校の施設整備について伺いたいと思います。  委員長、ここで資料の提出をお願いいたします。 45 瘧師委員長 許可いたします。 46 川上委員 ちょっと細かくて見えにくいですけども、これは特別支援学校のそれぞれの児童生徒数の一覧表であります。この赤い線が引いてあるのがにいかわ総合支援学校でありまして、そして青の線が富山県立しらとり支援学校、それから黄色の線が高岡高等支援学校ということになっております。  これを見ていただくと、児童生徒数が全体として減っている中にあっても、どの支援学校もこうやって維持もしくは増えてきているのがお分かりいただけるかと思います。
     そして、これが特別支援学校の所在地の配置図であります。御覧いただけるように、にいかわは、ここまでの範囲の中からみんな通ってきていると。富山、高岡、そして砺波と、このようになっているわけでありますが、それぞれの配置が、これがにいかわで、ここがしらとりで、高岡と。高岡、しらとりは、やはり県央部ですからたくさん児童生徒さんもおいでになるということで、こういう数字になっているのだと思います。  そこでであります。先月20日に、今年創立40周年を迎えるにいかわ総合支援学校で開催された運動会にお招きいただきました。保護者、来賓を会場に入れた大会は4年ぶりということで、会場は400人を超える大盛況でありました。それぞれの児童生徒が生き生きと活動する姿に、会場にいる皆が楽しみにしていたことが伝わってきたわけであります。  にいかわ総合支援学校では、実は児童生徒数の増加によって、ここ数年、特に給食調理室が手狭となっており、隣接する黒部学園からの応援によりしのいでいる状況であるということを伺ってまいりました。それでも生徒や教員の全体数を賄えていないということであります。  にいかわ総合支援学校の給食調理室は、児童生徒数の増加により施設面の課題があり、改善が急務と考えるわけでありますが、この対応について教育長に伺います。 47 荻布教育長 にいかわ総合支援学校の今年度の児童生徒数は、小学部の児童が増加したことから、昨年度から13人増で160人となっています。  給食の調理数については、児童生徒と教員を合わせて、小学部と中学部分の165食をにいかわ総合支援学校で、そして高等部分の74食を隣接する黒部学園で調理してもらっているところでございますが、それでも給食の提供を受けられない複数名の教員は弁当を持参しているという状況であります。  黒部学園のお子さんが、にいかわ総合支援学校に登校してこられたという経緯などもあって、従来より、黒部学園による給食調理の支援が行われてきておりますが、学園から支援学校へは配膳車によって運搬をしており、時間と人手を要しております。  また、アレルギー食の提供が必要なお子さんや医療的ケア児が増えているということもありまして、専用の調理機器や給食スペースも必要となるため、既存設備の利活用には限界もありまして、衛生管理や作業面での職員の負担が大きくなっていると承知しております。  このため、にいかわ総合支援学校において必要とされる給食需要に対応するためには、調理員の増員、高性能な調理機器の導入、調理器具、食器の追加、処理室のスペース拡大など、様々な角度から検討を進める必要があると考えています。  教育委員会としては、学校現場や保護者からの御意見もお伺いしながら、調理機能や体制充実に向けた検討を進めるとともに、児童生徒数の動向や学校施設、設備の老朽化の状況なども留意しながら、全ての児童生徒に安全・安心な給食を提供できる体制整備にしっかり取り組んでいきたいと考えております。 48 川上委員 今ほど教育長から具体的な給食数のお話もあったところであります。  具体的に75食ほどで、全体であっても240食になっていて、これも黒部学園からも含めてということでありますから、明らかに足りない中で何とか賄っている状況が常在化していたということです。  ですから、ここは、今検討という言葉でありましたけれども、コロナ禍を超えた、そしてまたこの衛生面なども考えると、やはりここできちっと整備をするということが急務だと考えます。  もう一方で、実は高岡の支援学校は、今、人数も大変増えて教室が不足している。その環境改善ということで、今、小学部の建設工事が計上されている状況であります。ですから、先ほど冒頭で申しましたように、やはり児童数が減っていても、こういう支援が必要な子供たちが増えてきている現状というのはちゃんと直視しなきゃいけないわけで、何遍も申し上げますけれども、そこへの手当てを早急にやるべきだと考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。 49 荻布教育長 委員からありましたように、児童生徒さんの今後の動向や学校施設の状況を確認しまして、生徒さんが安心して学習できる、生活できる環境づくりにしっかり目配りをしていきたいと考えております。検討したいと思います。 50 川上委員 速やかな対応をお願いしたいと思います。  続きまして、ワクワクとやまの創造についてお伺いしたいと思います。  まず、キャニオンルートとブランディング化についてでありますが、6月18日、知事、県議会議長をはじめ多くの来賓が参加され、宇奈月温泉開湯100周年式典が開催されました。知事、御出席ありがとうございました。  大正期に富山県内でのアルミニウム製造に意欲を燃やした、高峰譲吉博士の構想に始まった黒部川の水力発電事業であります。その鉄道敷設事業とともに、7キロメートル上流の黒薙温泉から引湯して1923年に誕生したのが宇奈月温泉であります。したがって、今年は100周年ということであります。  開発に携わられた高峰譲吉博士、そして山田胖、山岡順太郎氏をはじめ7人の先人を顕彰し、100年の歴史を継承するとともに、宇奈月温泉をさらに未来に向かい築いていくことを、「さあ、行くぞ!」という掛け声とともに誓い合う式典でありました。  来年に迫った、黒部ルートを一般開放したキャニオンルートの開通、そして北陸新幹線敦賀延伸を弾みとして、宇奈月温泉、富山県の観光産業全体を盛り上げていく上においても、大変意義のある式典であったのではないかと考えております。  まず、5月補正予算で計上されました、黒部宇奈月キャニオンルートを活用した立山・黒部魅力再発見事業について、今後、具体的にどのような事業に取り組んでいくのかを地方創生局長に伺います。 51 竹内地方創生局長 御紹介のありました観光庁の観光再始動事業は、インバウンドの本格的な回復を図るため、観光資源を生かした特別な体験の提供や高付加価値化を支援する事業でございます。  本県の黒部宇奈月キャニオンルートを活用した立山・黒部魅力再発見事業は、今年3月にこの観光庁の事業の採択を受けて、県では5月補正予算で認めていただいたところでございます。  この事業では、来年のキャニオンルートの一般開放に向け、まずはインバウンドの受入れ体制整備としまして通訳ガイドの育成に取り組み、加えまして、受入れ体制を確認するためのモニターツアーも実施したいと考えております。  また、キャニオンルートの開業効果を生かすために、立山黒部エリアの魅力向上にも取り組むこととしておりまして、例えば、立山黒部の大自然に身を置きつつ、電源開発やアルペンルート建設の歴史をプロジェクションマッピングや3D映像などのデジタルコンテンツで体感するといった特別な体験を盛り込んだツアーの実施に向けまして、現在、関係事業者等と調整を行っているところでございます。  キャニオンルートの一般開放に向けまして、今年度は引き続き旅行商品造成を進めます。それに合わせまして、秋に開催される北陸デスティネーションキャンペーン全国宣伝販売促進会議で強力にPRしていきたいと考えております。  観光再始動事業で採択された事業も着実に進めることで、キャニオンルートの受入れ体制整備、ルートを含めた立山黒部エリアの魅力向上、そしてPRに努めまして、一般開放の効果を、立山黒部エリアにとどまらず、県内全域に波及できるように取り組んでまいります。 52 川上委員 それだけではなかなかワクワクしないわけでありまして、ここからちょっと具体的なことを数点聞かせてください。  まず、先ほど、旅行商品の話をいろいろされました。かねてからこの議論をしてきたところであります。ルートの安全・安心は電力会社さんがやって、そのルートの商品の開発は県が受け持つということで、もう間もなくその発表の時期というか、いわゆる商品としての発表というのは、来年の6月ぐらいが開通と伺っていましたから、もうやらなきゃいけない時期であろうかと思います。  まず、旅行商品はいつ頃発表されて、販売はどうなるのかといった点について地方創生局長に伺います。 53 竹内地方創生局長 黒部宇奈月キャニオンルートにつきましては、今ほど御紹介ありましたように、来年6月の一般開放を予定しております。  開業日、開放日でございますけれども、これにつきましては、様々な準備の状況も踏まえ、また、関西電力をはじめ関係の皆様との調整も必要でございまして、それを調整した後、決定したいと考えておりまして、そういう意味では、現在まだ決定していないということでございます。  キャニオンルートの一般開放、旅行商品化は、旅行業界をはじめ全国的にも大変高い関心を持っていただいております。一般開放日、また、それを旅行商品として販売を開始する日、さらには、具体的な旅行商品の内容についても、それぞれどういったタイミングで公表させていただくことがプロモーション上効果的なのかということにつきましても、専門家の意見も参考にした上で決定させていただきたいと考えておりまして、適切なタイミングで公表できるように準備させていただきたいと考えております。 54 川上委員 本当はぱーんと答えて欲しかったのですけれども、おっしゃったように、来年がそのルート開放になるということで関心は非常に高いです。私もいろんな友達がおりますので、全国からいつかと、このような質問がよく来るわけですけども、そういう面では、実は今年一年というのは、前の年としての魅力というのもやっぱりあるわけですよね。  そういう面で、前の年に旅行に興味を持っている方、さらに旅行に行きたいなと思っている人たちにそういう思いを抱かせるということが非常に大切な時期ではないかと思うわけであります。  ですから、本当によく聞かれるのは、商品はどういうもので、一体幾らぐらいなんやと、こんなことを聞かれるんですよ。その点について答えられませんか。 55 竹内地方創生局長 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、旅行商品の内容につきましては、現在、造成中ということもございますけれども、さらに詰めているところでございますので、内容についての発表のタイミングは、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。 56 川上委員 もうしばらくということですが、もう6月も終わります、7月です。1年を切ります。御存じのように、立山アルペンルート、そしてキャニオンルートは、ほとんど半年ぐらいの営業になってしまうわけなので、ここら辺もやっぱり意識していかなきゃいけないところだと思います。  それで、先ほどキャニオンルートの開放日、いわゆるXデーについて大変含みのあるお答えだったと思うのですが、例えば、これはいつ頃かぐらい言えないですか。今日、あした駄目なら、これぐらいの時期にはやらなきゃいけないだろうと。こういったことは本当に大変な関心事です。機運を盛り上げるという意味では、こういうところが非常に大事だと思うんですよ。いかがですか。 57 竹内地方創生局長 冒頭申し上げましたとおり、6月の一般開放を予定しておりますので、6月中には開放させていただきたい、そういった予定で取り組んでおります。 58 川上委員 ちょっと待って。その時期、例えば秋にならないとできんとか、そんな話じゃないと思いますので、いかがですか。 59 竹内地方創生局長 今ほど申し上げましたように、まずその開放日自体を今決めているところでございますけれども、11月には、先ほど申し上げました北陸デスティネーション全国宣伝販売促進会議がございます。これは11月の上旬、8、9、10日で開催されます。少なくともその中では、どういった商品であるかということは宣伝させていただきたいと思っておりますので、少なくともそこまでには公表させていただくということで準備をさせていただいております。 60 川上委員 なかなか慎重に答えられますので、これ以上言ってもきっと返ってこないと思います。  もう一点お伺いしたいと思います。  現在、パノラマルートと言って、いわゆる上部軌道というのですか、上のほうに行ってからさらに歩いていくルートがあるわけですが、これについては、どうですか。キャニオンルートには1万人という制限がありますので、なかなか行けない人もいると思うんです。したがって、例えばルート開放後もこのパノラマ展望ツアーというのは続けられることになるんでしょうか。ちょっとそういう声もありますので、お聞かせください。 61 竹内地方創生局長 御紹介ありました黒部峡谷パノラマ展望ツアーにつきましては、来年一般開放される黒部宇奈月キャニオンルートの一部を利用して、平成27年度から実施されております。  実施の主体は、黒部市をはじめ関係の皆様が組織していらっしゃる運営協議会でございます。県は、この運営協議会にはオブザーバーという形で参加させていただいた上で、その利用促進に向けてPRを行うなど、その運営について協力させていただいているところでございます。  このツアーにつきましては、キャニオンルートの一般開放に伴い、関西電力の工事用区域内の維持管理がございまして、その面から通行範囲に見直しが行われると。また、トロッコ電車や、今ほど御紹介ありました上部軌道の運営方法等、実際にそこに新しくキャニオンルートのお客様が通るわけですので、多くの調整が必要になると伺っております。それで、現在、関係者間で協議が進められていると承知しております。可能性としては、新しい形のツアーとなることも考えられると黒部市さんからは伺っているところでございます。  御紹介にもありましたけれども、キャニオンルートにお招きできるお客さんが年間最大1万人と限定されております。キャニオンルートの魅力の一端を感じていただけるこのツアーがあることは、キャニオンルートとの補完、相乗の効果も期待できるということで、今、大変重要であると認識しております。  そのため、仮に、新しい形となることも含め来年度もツアーが実施されるということになれば、県としても引き続き運営に協力してまいりたいと考えております。 62 川上委員 どうもありがとうございました。  さて、今回の補正予算説明では、今ほどもありましたが、国の観光再始動事業に2事業を申請したところ、採択は1つの事業だけだったと。ブランディング・情報発信強化事業が観光庁の再始動事業に不採択となった理由と、新たに取り組む一点突破ブランディング推進事業について、国庫支出金ではなく一般財源での事業実施となるわけでありますが、今後の目標と具体的な取組内容、意気込みを知事政策局長に伺いたいと思います。 63 川津知事政策局長 観光再始動事業の不採択理由につきましては、公表はされておりませんが、採択結果から類推いたしますと、全国から1,000件以上の申請があった中、本県の、今ほどお話がありましたキャニオンルートを活用した立山・黒部魅力再発見事業を含む139件が採択されました。7倍を超える競争倍率だったこともあり、1つの申請者から複数事業が採択された事例はなく、本県申請分につきましても同様の判断がなされたものではないかと類推しているところでございます。  委員から御質問のブランディング戦略につきましては、他の都道府県に先駆けまして、「寿司」に焦点を絞り、一点突破のブランディングを推進し、10年後に「寿司と言えば、富山」の県外認知度90%、富山のすしを友人等に積極的に勧める県民の割合も90%を目指しまして、普及啓発、関係人材の育成、環境整備を戦略的に推進することとしております。  現在、補正予算案として御審議していただいておりますキックオフイベントは、一般財源で実施するということでありますので、より効果的な事業となりますよう、高い波及効果が見込める国内トップシェフをメインターゲットにしまして、冬にキックオフイベントを開催することとしております。  その際には、県外の著名なシェフと、県内のすし職人等がすしを中心とした県産食材を使う料理を創作した上で、本県の酒ですとか、工芸品である器等にも趣向を凝らして、富山ならではの上質で特別な美食体験を提供し、全国に情報発信していくということをしたいと考えております。  また、人材育成に関するニーズ調査も今年度実施しまして、担い手の育成や、新たな価値を創造できる国内外の人材との交流についても検討するということで、県のブランディングにつきましては、一朝一夕で確立するものではないとは考えておりますが、キックオフイベントを契機に、富山県が「寿司」をフックに注目を集めて、そして県内の幅広い業界、業種へ波及するようにつなげていきたいと考えております。 64 川上委員 ありがとうございます。  先日も、いわゆるこのすしの話で、ますずしじゃなくて生の握りずしだということをお聞きしました。いろいろ調べていますと、やっぱり富山のすしというのは、おいしいすしとしてのランキングが非常に高い。ある調査では1位ということでありますので、ああ、そうなんだと改めて認識したところであります。  その中で、「すしといえば富山」って、私、こう言っていますけど、本当は全国に発信するときは、「寿司と言えば、富山」と言わないといけないでしょうかね。こういう言い方をしなきゃいけないんじゃないかなと思うんですけども。  大都市圏で90%の人が富山県のすしをイメージする、そして富山県の人たちは、全国に言うときは「やっぱり寿司やちゃ」と言うようにしていきたいと。具体的な目標を言っておられるわけであります。  それで、目指す方向ということでありますと、ちょうど今立ち上げフェーズということでありまして、今言ったような目標値を設けて、この3年間は60%まで上げるんだと、こんなことであるわけです。  なかなかそこら辺、具体的なことがよく見えないというのが現実ですが、ちょっと県民の皆さんにも分かりやすく御説明いただければと思います。お願いします。 65 川津知事政策局長 委員からも御指摘ありましたように、やはり県外に向けてもそうですし、県内の皆さんにもいろいろ分かりやすくやっていくということは大変重要でございますので、今後、ホームページを立ち上げたり、SNSを使ったりして県内の皆さんにもよく分かっていただける、一般県民の皆さん、それからいろんな業界の方にも分かっていただけるように努力してまいりたいと思います。 66 川上委員 うまいすしを作るように、ひとつよろしくお願いします。  続いて、今ほどありましたブランディングの件ですが、「寿司」を入り口とするのはそういうことで、今おっしゃったように意気込みを感じました。ただ、そういう中で、県全体のブランディングというイメージがなかなか、ブランディング戦略がつかみにくい。10年間すしを進めていくという話ですが、これまでのブランディング戦略を伺っておりますと、中核にあるものはウェルビーイングだと。県民の生活こそが観光資源、暮らすように旅する観光こそ観光、その上で関係人口1000万人を目指すとか、高付加価値的な観光を目指すとして、ハイエンド観光客を対象としたサービス提供事業者の成長を強く後押しすると言われているわけです。  今後の県全体のブランディング戦略をどのように考えており、その中で、今回の「寿司」をテーマとした一点突破ブランディング推進事業をどのように位置づけて取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 67 新田知事 冒頭、沖縄慰霊の日について言及いただきましたが、私も実はおじが1945年の6月19日に沖縄で戦死しておりまして、享年23歳ということでした。私もこの日は毎年しっかりと受け止めております。  さて、御質問ですが、これまでも本県では、雄大な自然や歴史、また食や文化、暮らしやすさなど、本県が誇る様々な魅力資源を国内外にPRしてまいりました。  魅力度や認知度のランキングでは、さはさりながら、例えば都道府県魅力度ランキング、地域ブランド調査では、1位北海道、2位京都、3位沖縄、4位東京、5位大阪、訪日外国人都道府県別認知度ランキング、JTB訪日旅行重点15か国調査では、東京、大阪、北海道、京都、沖縄の順番、若干出入りはありますが、上位5都道府県は一緒であります。いずれも富山県は23位ないし22位、まあ中ぐらいというところで来ております。これでいいのかということであります。  成長戦略のビジョン「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現に向けて、強い共感を持って本県を選択してもらう必要があると。まずは、可能な限り多くの人に本県を認知してもらって、関心を持ってもらうことが大切だと考えております。  このため、私が本部長を務めておりますブランディング推進本部において、今後のブランディング戦略を、富山の強みを踏まえて、戦略的視点で選択と集中を図りながら、富山イコールウェルビーイングのイメージを発信していくこととしております。  この戦略の第1弾として、まずは各地のブランディングに埋没せずに、国内外の注目を集めるために、総花的ではなく、本県を象徴する突出したコンテンツへの絞り込みを図ることとしまして、今回「寿司」に焦点を絞り、一点突破のブランディングを推進することにしています。  まず、この「寿司」をきっかけに、今まで富山を知らなかった方、あるいはあまり興味がなかった方に興味を持ってもらい、そして足を運んでいただく。そして、すしのみならず、来ていただければ富山の食の幅広さが分かると思います。そしてお酒、器をはじめとした工芸、雄大な自然、これを実感いただくことによって「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」、これが拡大をしていく。そして、その先にある富山イコールウェルビーイングを定着させていきたい。それによって、関係人口から交流人口やそしてできれば移住へ、様々な人材が集積する富山県にしていきたい、そういうふうにつなげていければと考えております。  また、この戦略は、県外の方だけに目が行っているわけでは決してありません。県内の幅広い飲食や食品、酒、工芸、観光などの幅広い業界、農林水産業への波及を目指しておりまして、県民の皆さんには本県の魅力を再認識いただき、シビックプライドの醸成にもつなげていければと考えております。 68 川上委員 今ほどの知事の意気込み、分かりました。  最後にありましたように、この地域ブランディングの中でどうしても大事なところというのは、やっぱり地元住民がどれだけ協力をしてくるかというところです。「ほう、なんやすしか。誰がすしやっとるのか」と、これではあかんわけで、どうですか、「県民すしの日」でも設けてみんなで食べようとか、こんなこともぜひ取り組めばいいんじゃないでしょうか。  次に移りたいと思います。  次は、防災・減災の国土強靱化についてであります。  気候変動、地震などの自然災害が激甚化、頻発化しています。平成30年度から国土強靱化緊急対策、そしてまた、国土強靱化5か年加速化対策ということで今取り組まれております。いわゆる防災・減災の取組はもとより、国家のリスクマネジメントであり、強くてしなやかな国をつくること。また、日本の産業競争力の強化であり、安全・安心な生活づくりであり、そして、それを実現する人の力をつくること。そして、国民の命と財産を守り抜くとして今取り組まれているわけであります。  富山県においても、国土強靱化地方計画に取り組まれてきたわけでありますが、この5か年加速化対策による本県のこれまでの取組状況と、加速化対策後にはどのような対策に取り組むのか、施策の展開を土木部長に伺います。 69 市井土木部長 県では、この国の5か年加速化対策の予算を積極的に活用し、令和3年度から今年度までの3か年の延べ数でございますが、道路事業で145か所、河川、海岸事業で134か所など、計680か所で防災・減災対策などに取り組んでいるところでございます。  その前の3か年緊急対策も含め効果は発現しており、一例を挙げますと、平成30年8月の大雨により浸水被害が発生した氷見市の上庄川では、この予算を活用し、被災の翌年に流下断面を確保する河道掘削を実施しました。その後、令和3年の同じ8月に4時間で102ミリという被災時と同程度の雨量を観測しましたが、当時と比べ観測水位が約50センチ低く抑えられたため、浸水被害を免れることとなったところでございます。このように、これらの対策は本県の安全・安心に大きな役割を果たしたと考えております。  一方、昨年度末時点での県管理河川と土砂災害危険箇所の整備率がそれぞれ約57%、約35%にとどまっていること、出水によって河川の土砂堆積は繰り返し発生すること、昨年の富山市などでの浸水被害をはじめ、近年、県内でも自然災害による被害が相次いでいること、こうしたことを踏まえると、県土の強靱化については、5か年加速化対策以降も継続して推進する必要があると考えております。  具体的な対策としましては、河川改修や河道掘削、海岸保全施設、砂防堰堤の整備など、治水、海岸、土砂災害対策、2つ目には、橋梁などのインフラの老朽化対策、3つ目には、骨格となる幹線道路や歩道の整備、港湾の機能強化などを進めていくこととしております。  県としましては、今後、改正国土強靱化基本法に基づき策定されることとなる国土強靱化実施中期計画にこうした対策が盛り込まれるよう、国に対して働きかけるとともに、引き続き必要な予算の確保を図り、県土の強靱化に取り組んでまいります。 70 川上委員 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、今、国土強靱化によって大変進んでおります。聞くところによると、もう15兆円の90%が今年で使われると伺っております。  私らも一生懸命働きかけます。どうぞ知事さん、そして皆さんからもお願いしたいと思います。  次に、救急救命士の資質活用についてであります。  災害発生のたびに救急隊が大変クローズアップされたことによって、救急救命士国家資格の受験者が伸びていると伺っております。  救急救命士の資格は1991年に法制化されたわけでありますけども、当時は、所在の消防署から市町村が300万円ほどの研修費を出して取りに行っていたのが現状じゃなかったかと思うのですが、今は既に、自治体消防に入る人たちは専門学校などで資格を取得してくるといった状況となっているようであります。  消防署において救急救命士の資格を持つ職員の割合も高まってきた一方、救急救命士の活動は、特定行為として医師の指示ののもとに行うなど、活動場所が限られていると聞いております。  本県の消防機関における救急救命士の資格保有者の状況、そして比率について危機管理局長に伺います。 71 武隈危機管理局長 県内の消防機関に勤務する救急救命士の資格を保有する消防職員の数ですが、令和5年4月1日現在で391名、消防署員に占める割合ですが、29.5%となっております。ちなみに、過去10年間の推移を見ますと、救急救命士の数につきましては、10年前の平成25年が309名、5年前の平成30年が354名となっております。  また、消防署員に占める割合ですけれども、平成25年が23.4%、平成30年が26.5%であり、人数、割合ともに増加傾向にございます。 72 川上委員 そのように増えているわけですが、そういう中で、結局、今の消防隊員が、いわゆる定年になってしまうと、救急救命士を持っていても全くそれが機能しなくなってしまうというか、この豊富な経験、それを定年後の活躍の場として、地域の自主防災組織において活用するなど、社会貢献活動に対する支援をしてはどうかと考えるわけですが、危機管理局長、御答弁願います。 73 武隈危機管理局長 救急救命士は、救急現場の第一線で培った豊富な知識と経験、優れた技能を有しており、有為な防災人材と認識しております。  また、川上委員も地元で御参加いただいておると伺っておりますけれども、自主防災組織ですが、地域の共助の要として大切な組織でありまして、県としても共助の促進に向けまして、その組織化、活性化に特に力を入れていきたいと考えておるところでございまして、委員からの御提案は大変ありがたいことと考えております。
     救急救命士の自主防災組織での活用につきましては、豊富な経験を生かしたリーダーシップにより組織の体制強化につながることや、災害現場の初動対応において即戦力として活躍いただけること、専門知識を生かしまして、例えば地区防災計画を策定することによりまして、組織の活性化を図っていただくことができることなど、大きな効果が期待されるところでございます。  また、救急救命士の資格に加えまして、防災士の資格を取得いただきますと、地域を超えたより広い範囲で防災活動に関わることができまして、本県の安全・安心のさらなる向上に貢献していただけるものと考えております。  このほかにも、県や市町村、防災士会など、関係団体が開催する研修会において講師を務めていただくなど、県民の防災意識の啓発活動をはじめ、様々な場面で活躍が想定されるところでございます。  近年の災害の頻発化傾向を踏まえますと、地域の防災力の充実強化はますます重要性が高まっております。今後、市町村とも連携しながら、自主防災組織をはじめ、豊富な経験や技能を生かした社会貢献活動への積極的な参加を、救急救命士の皆さんに呼びかけてまいりたいと考えております。 74 川上委員 ありがとうございます。引き続き救急救命士の件、よろしくお願いしたいと思います。  だんだん時間がなくなってまいりまして、申し訳ありません。  ちょっと1問飛ばしまして、県東部5警察署の機能強化について伺いたいと思います。端的に質問しますので、端的に御回答いただければと思います。  今現在、県西部の5署については、高岡エリア、砺波エリアの2署に集約すると決定されておるわけです。県東部のいわゆる機能強化に向かっては、現在どのような進捗状況になっているのか。地域での広聴会の開催や建設予定地の決定等、今後のスケジュールを県警本部長に伺いたいと思います。 75 石井警察本部長 県東部につきましては、入善、黒部及び魚津の3警察署と滑川及び上市の2警察署をそれぞれ再編することとして、既にそれぞれ4つの建設候補地を提示して、これまで2回、昨年11月と今年2月にエリアごとに広聴会を開催したところです。  広聴会では、新庁舎の建設適地や警察署が統合され分庁舎となる地域の治安対策について、地域の皆様方から、初動対応が一番重要、現場に早く到着できる場所がよい、あるいは将来の人口増減や犯罪発生予測も考慮すべき、犯罪の抑止効果が高く治安維持の象徴となる場所に建設すべきなど、様々な御意見をいただいております。  また、今年に入ってからも、関係する自治体や自治会等から、地元の建設候補場所に新しい警察署を建設してほしいという要望を受けているところでございます。  県東部の場合は県西部と異なりまして、各警察署管内の人口とか世帯数の規模や事件、事故等の発生件数は拮抗しておりまして、また、関係する各自治体から強い存続要望を受けておりますので、さらに慎重な検討が必要と考えており、現段階では今後どういったスケジュールで決定するか、時期について確定的なことは申し上げられる段階ではございませんが、警察署の再編につきましては、県警察機能を強化する重要な課題でありますので、手続が先行している高岡、砺波エリアに続いて、できるだけ速やかに必要な手続を進められるように、適切な時期に3回目の広聴会を開催するなど、丁寧に地域の方の意見の聴取や説明を行いながら検討を進めたいと考えております。 76 川上委員 6月1日に、実は宇奈月温泉の駐在所が宇奈月温泉警備派出所として竣工されました。当時、常駐しているのがいなくなるんじゃないかということで大変懸念されたわけですが、今回の機能強化という中では、やっぱりこれが必要なんだという説明も受けたわけですので、今ほど言いましたように、県東部5署の再編については、やっぱりそうやって動き出しているわけですから、早めのちゃんとした建設予定地の明示とかをお願いしておきます。よろしくお願いします。  次に、新川こども施設の今後のスケジュールについて伺いたいと思います。  今定例会の中で、高岡テクノドーム別館、それから富山県武道館の議論がいろいろ交わされておりました。結果的には、いろいろタイミングを見計らってやってきたわけだけども、PFIを導入したこと、そしてまた、いろんな社会の情勢によって、物価高騰、人件費の高騰、いろんなことが生じた。あわせて、そういう中でPFIを導入することによって、もう一度ちょっと考え直してみようという場所、いわゆる踊り場に上げたことが、さらに物価上昇等に拍車をかけて、なかなか建設が進まない状況になっていると。テクノドームにおいては不調、入札が成り立たないといった状況とも伺っております。  こういう結果を考えてみますと、私たち政治家というのはやっぱり結果責任を必ず問われるわけでして、例えば、来年の敦賀延伸に向けて、高岡のテクノドームの別館はにぎわい創出のためにつくるんだと、こうやって掲げてやってきたのが遅れていくということであります。  そういうためには、ちゃんとした説明をしなきゃいけませんし、さらに、それについてもスピード感をどう盛り返してやっていくのかということも必要だと思うわけであります。  同じように、新川こども施設についてもであります。新川こども施設は民間活用、いわゆるPFIを導入することが決定されており、いわゆる建設から運営まで一括管理するPFI-BTO方式の導入を決めたと、そして令和9年度の完成を目指すということであります。  この施設については、当初からスピード感を持って取り組むとしていたわけでありますが、大変懸念を抱いております。同じような取組方針で行くと、また他の2つの施設のようにならないかということであります。  この新川こども施設について、資材価格の高騰等による進捗の影響はどうなのか、知事に伺いたいと思います。 77 新田知事 新川こども施設の整備費ですが、令和3年度に策定した基本計画では、外構費などを除き、約24億から28億円程度と見込んでいますが、当初想定できなかった最近の社会経済情勢の変化によって、資材価格や労務費が高騰していることから、事業費に一定の影響があるのは避けられないと考えております。  この施設は、昨年度実施した民間活力導入可能性調査の結果を踏まえて、民間事業者のノウハウの活用や創意工夫の発揮がしやすいPFI-BTO方式により整備することとしています。  今年度は、予定価格の設定に向けて精査することとしていますが、基本設計からPFIを導入することにより、設計から施工まで一貫して行うことができますので、いわゆる3点セット、富山県武道館、高岡テクノ別館、そして新川こども施設、3つの中では、本当に最初からPFIの設定が可能ということで、事業費はある程度抑制できるのではないか。と同時に、民間のノウハウを大いに導入できるのではないかと期待しているところでございます。  整備のスケジュールですが、今年度、事業者公募に向けて要求水準書や入札関係書類の作成を進めます。富山県新川こども施設PFI事業者選考審査会を設置します。そして、事業者選考に当たっての審査基準や審査方法を協議、決定をいただきます。その後、来年度に事業者の公募選定、令和7年度から8年度にかけて基本設計、実施設計、令和8年度から9年度にかけて建設工事を行い、令和9年度中の開館を目指しております。  新川こども施設の整備は、こどもまんなか共生社会の実現に向けた重要な事業と捉えております。今後の資材価格や労務費などの状況を注視しながら、着実に進めていきたいと考えております。 78 川上委員 ありがとうございます。  今ほど知事の御答弁にありましたように、この3つの施設というのは、私も今ようやく2期目になったところでありますが、当初からワクワクとやまの創造という中の大きな3つの施設だと私も位置づけておりました。知事さんも、当選されてからワクワク富山だとおっしゃっておられたわけでありまして、大変注目度が高い施設でありますので、同じような流れにならないように、大変懸念しておりますので、その点はしっかりとやっていただきたい。  令和9年度の完成に向けてという発言がありましたように、県東部地域にとっても大変魅力のある施設でありますので、ぜひ実現に向かって邁進していただきたいということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。  ありがとうございました。 79 瘧師委員長 川上委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                      午前11時55分休憩                      午後1時00分開議        火爪弘子委員の質疑及び答弁 80 川島副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  火爪委員。あなたの持ち時間は60分であります。 81 火爪委員 日本共産党の火爪弘子でございます。6期目もどうぞよろしくお願いいたします。  私からも、まず、沖縄の慰霊の日に当たりまして、沖縄で地上戦に遭われた関係者の皆さんをはじめ、命を落とされた皆さん、被害を受けた皆さんに心から哀悼の意を表明し、改めて日本の平和、アジア、世界の平和を守るために全力を尽くす決意を申し上げたいと思います。  それでは、質問に入ります。  まず、コロナ感染拡大と介護事業所の実態について伺います。  コロナ感染の拡大で、介護現場は極めて大きな負担を担ってきました。加えて、今、電気料金など物価高が経営を直撃しています。連続する介護報酬の引下げと介護職員の不足が、困難の大きな土台になっています。このままでは高齢者のウェルビーイングは望めません。  東京商工リサーチの調査によれば、昨年の老人福祉、介護事業所の休廃業、解散、倒産は、全国で過去最多を記録しました。全国介護事業者協議会は6月8日、物価高騰などの影響で、このままでは数年で事業の廃止や倒産の可能性があると回答した介護施設、事業所が全国で27.4%に上るとの調査結果を公表しております。  まず、県内の介護事業所の実態についてどう把握、認識しているのか、厚生部長に伺います。 82 有賀厚生部長 5月臨時議会で高齢者施設等への物価高騰対策緊急支援事業を議決いただき、6月中の受付開始をめどに手続を進めているところでございます。  今後、追加の対策が必要かどうか検討するために、現在、定例の介護事業所への運営指導に併せまして、電気料金などの物価高が経営に与える影響についてもヒアリング調査を実施しております。事業所からは、光熱費や食材だけでなく、おむつ類も値上がりしているのも厳しいこと、また電気料の高騰が著しく、間引きして電気をつけているなどといった声を伺っております。  新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、このまま光熱水費や資材価格が高止まる場合やさらなる物価高騰が起こる場合は、事業所経営への影響が一層懸念されることとなることから、引き続き物価の動向や施設の経営状況の把握に努め、介護保険の実施主体である市町村とも連携し、利用者等へのサービスが安定的、継続的に提供できるよう必要な支援を取り組んでいきたいと思います。 83 火爪委員 今お話にありましたように、5月の補正予算で県が、これまでの前例を超えて、介護事業所などに対する直接支援を行う物価高騰対策支援策を盛り込んだことに、関係者からも歓迎の声が寄せられております。私も5月臨時会の質疑の中で、想定した支援が市町村からも上乗せで行われるよう県から積極的に働きかけてほしいと求めました。知事からは前向きな答弁をいただいたと思っております。  しかし、県内の市町村で対応は分かれました。県の当初の予算設計どおり対応した自治体と定額支援などにとどめた自治体があり、現時点でも支援を決めていない自治体も残っております。  5月の「ワンチームとやま」連携推進本部会議では、複数の首長から調整不足が指摘されました。せっかくの県の英断が十分伝わらず、気持ちよくどこの市町村の事業所にも同じ支援が行われるようにならなかったのが残念であります。  福祉の分野など、市町村が実施主体となる事業への県からの協調支援を我が党も多く要望しております。こうした場合、厚生部の努力はもちろん基本ですが、市町村の担当課が同意しても、大きな予算に関わることは首長との事前調整が必要だと考えます。これからも大いにあり得ることですので、知事の認識を伺っておきたいと思います。 84 新田知事 今般の5月補正、5月2日に臨時議会を開いていただきまして審議、御承認いただきましたが、その中での物価高騰対策支援につきましては、県内市町村のこれまでの支援にばらつきがあり、多くの市町村において、令和5年度当初予算による支援措置がなされていなかったという状況を見まして、県として臨時的に県内一律の支援を行うこととしたことでございます。  短期間での予算編成となりましたが、検討の段階から随時、市町村に県の支援方針を情報提供し、各市町村の実情に応じた支援の在り方について検討を依頼してきたところであります。  これまでも県の予算編成に際しては、市町村と協調して実施するものなど、事前の情報共有が望ましい事業については、あらかじめ市町村の財政担当部局に対して情報提供を行っているほか、各事業担当のカウンターパート同士でも日頃から情報共有に努めているところです。また財政負担が大きいものや制度設計に係る案件などについては、予算編成時期か否かにかかわらず「ワンチームとやま」連携推進本部会議の場を活用して連携に努めているところです。  県と市町村はそれぞれが自らの権限と責任において行政運営を行っております。今般の物価高騰対策におきましても、市町村において地域の実情を踏まえた独自の取組も予定されていると聞いております。施策が多岐にわたる中で、必ずしも常に役割分担や施策の優先順位などの細部まで意見が一致するわけではないと思っております。  県としましては、県民にとって事業効果が最大限に発揮できるよう、市町村長との連携も緊密にしながら、引き続きワンチームとなって県政推進に取り組んでまいります。 85 火爪委員 お答えいただいたとおりだと思うのですけれども、やはり富山市や魚津市や黒部市などが、県と同じように定員1人当たり1万5,000円など、県と同額の倍の支援になるように取り組んだ一方で、定員1人当たり5,000円のところもあり、定員の数に比例せず1事業所当たり25万円というところなど、所在する介護事業所に応じて支援の規模が大きく変わったっていうことは、私はとても残念だったと思っています。  「ワンチームとやま」連携推進本部会議の会議そのものは歓迎をしておりますけれど、会議だけでは機微に触れるような市町村との、特に首長との思いを一にするということはできません。ぜひこれからも努力を求めていきたいと思っています。  次に移ります。  介護施設では、オミクロン株による第7波、第8波の際に、感染した入所者の入院が受け入れられず、クラスターが発生して多数の施設内療養が強いられました。特に高齢者は、今、軽症であっても持病の悪化などで命を落とすこともあり、事業所の負担が極めて大きいわけであります。今年の夏にかけて感染の再拡大も心配されています。5月8日以降の県内のクラスターの発生状況はどうなっているでしょうか。  県の入院調整はなくなったわけですが、可能な限り実情に応じて入院の受入れができるよう、医療機関への働きかけや県の相談窓口の丁寧な対応を希望したいと思っています。  また、5類になってからも施設内療養者を受け入れた際のかかり増し経費への支援が必要ではないかと思いますが、厚生部長に伺います。 86 有賀厚生部長 高齢者施設等において新型コロナの感染者が発生し、施設内療養を行った場合の支援については、5類移行後においても医療機関との連携体制を確保しているなど、一定の要件はあるものの、当面の間、施設内療養を行う高齢者施設等への補助を継続することとしております。  クラスターの公表については、5類移行後、医療機関から患者の個別の情報が報告されなくなったことに伴って終了しておりますけれども、最新の新型コロナの発生動向調査によると、本県における新規感染者は緩やかに増加していると推計しております。  県といたしましては、引き続き施設内療養のかかり増し経費への支援は行いつつ、感染療養中の症状悪化など、施設内療養で対応できない場合には、速やかに医療機関への入院・通院につなげられるよう医療提供体制の充実及び医療と介護の連携強化に努めてまいります。 87 火爪委員 しっかりお願いしたいと思います。  県の衛生研究所の大石所長が、5類への移行に当たって、引き続きワクチン接種の重要性を指摘されておられました。今年度は、65歳以上と基礎疾患のある人は年2回、その他はどうなのか分かりませんが、無料で接種できることになっていると思います。しかし、特設会場はなくなりました。大石所長は、県民のワクチン離れが心配だと言っておられました。  厚生労働省のホームページによれば、6月13日現在で5月8日以降のワクチン接種率は全体で8.9%、高齢者で27.6%となっております。5月8日以降、ワクチンを接種した県民は全体で9.3%ということでありますが、現状どう見ておられるのでしょうか。接種の呼びかけや接種対応医療機関の拡大なども必要かと思っています。どう取り組んでいくのか、部長に伺います。 88 有賀厚生部長 基本ワクチンについての御質問と思っておりますけれども、委員もおっしゃられたとおりに、ワクチンについては今後も無料で接種できるということでございます。  ワクチン接種については、どうしても市町村が主体となります。その点で、県としては、今は集団での会場は設けてはおりませんけれども、国が示す効率的な感染症対策の情報提供とともに、市町村が行うワクチン接種などの周知については、引き続き一緒になって進めていきたいと思っております。 89 火爪委員 県では実態をつかんでいない、そういうシステムになっていないということだと思います。しかし、やはり副反応もあってワクチン離れが心配だと県の研究所の大石所長が言っておられたわけで、ぜひ可能な範囲で実態をつかんでいただいて、周知をしていただきたいものだと思っております。  クラスターについてもつかんでいないということなので、大丈夫なのかと思うのですけれども、クラスター防止のための医療・介護施設における週2回の集中的検査の継続の予算は、今回の補正予算案に計上されていると認識しております。  陽性率の低さを理由に検査を軽視する意見もあると思いますし、これまでもありました。私たちは、そうではなくて、医療・介護施設の検査は職場の安心感を保つ上でも大事だし、感染者発生の際の初動対応にとっても極めて重要だと繰り返し指摘してまいりました。実施要綱では希望する事業所となっておりますが、ぜひ徹底してほしいと思います。県の認識と今年度に入ってからの検査の実施実績と併せて伺います。 90 有賀厚生部長 まず実績ですが、医療・介護事業所における本年4月から5月末までの集中的検査の実施状況は、医療機関が70施設において延べ約5万9,000回、介護事業所が576施設において延べ約13万9,000回となっております。  新型コロナの感染対策については、5類移行後、各施設において自主的に判断し実施することとなっており、重症化リスクの高い方が多く療養している医療機関や介護施設等において、施設内の感染を防ぐ努力を続けながら、仮に感染者が発生したとしても入所者に対して安定的、継続的にサービスを提供していただくことが重要だと考えております。ということで、この集中的検査は自主的な感染対策に取り組むことができるものとして使っていただきたいと思っております。  また、これまでもあった話ですけれども、検査を集中的にやっていたとしても必ずしもシャットアウトというか、守られるものではないと思っています。何をしていても、どんなことがあっても、これだけ社会の中で人が動いている以上は、どうしてもその感染というのも入り込むものではあります。ですので、ひたすら検査をやっているからただそれで安心ということでもなくて、しっかりやりながらも感染はいつでも入ってくるものだという前提の上で対策を取っていただくことが重要だと思いますし、我々としてもそうしたところに対する技術的な支援についてもやっていきたいと思っております。 91 火爪委員 すみません。70施設と576施設、分母とか割合とか分かりますか。 92 有賀厚生部長 すみません。今、手元にございませんので……。一応県内の高齢者施設数自体は約2,200施設という分母でやっております。 93 火爪委員 ありがとうございます。大変少ない数字だと思っております。  自主的な検査ですので強制はできませんが、もちろん検査をしても感染は入ってくるわけでありますけれども、毎日毎日、陽性者がいるのかどうなのかというのは、介護事業所の運営者にとっては大変重大な関心事であります。そういうことが対応の早さにつながるわけで、ぜひそういう立場を周知していただきたいと思います。  国から予算が来ているからやっているという消極的な姿勢ではなくて、国から予算措置されることになったのは、全国の必要性を感じる事業者の皆さんから強い要望があって予算化されることになったわけですから、そういうことをよく理解していただいて周知に努めていただきたいと思います。  次に移ります。  今度は医療機関であります。  県内の医療・介護事業所の職員で組織されている県医療労働組合連合会が、6月12日に看護職員の処遇改善を求める要請書を県に提出をしております。県議会にも同趣旨の請願が提出されております。  県医労連が昨年秋に取り組んだ労働実態調査によれば、回答した県内の看護師881人のうち74%の方が仕事にやりがいを感じる──ありがたいことだと思います──と答えているのに、一方で、仕事を辞めたいといつも思うと、時々思うという方が合わせて79.9%に上るという結果でありました。県はこの実態をどう認識をしているでしょうか。  要望書は、こうした状況を県が直接把握する実態調査に取り組み、県の需給計画に看護職員の大幅増員を見込んでほしいと求めております。どう取り組んでいくのか、部長に伺います。 94 有賀厚生部長 県においても例年、県内病院に対し看護職員の就業状況について実態調査を行っております。この調査によると、勤務年数5年未満で退職する割合については、近年4割を超える状況となっておりまして、令和3年度の退職理由についても、定年を除くと他病院への再就職や健康理由の割合が高い状況となっております。  県といたしましては、県内の医療現場において看護職員不足から、さらには新型コロナの影響も加わって、職員の負担感が増加してさらなる辞職へつながるような悪循環に陥らないようにしていく必要があると認識しております。  このため県では、新人看護職員向け研修会や指導者向け講習会を開催し、新人看護職員がスムーズに職場に定着できるよう支援しております。また、労働環境の改善に向けて、希望する病院ごとに多様な勤務形態や看護業務効率化などを実現するためのワーキンググループを設置するなど、看護職員の職場定着支援に取り組んでおります。  引き続き、関係機関とも協力しながら、看護職員の確保、定着に努めてまいります。 95 火爪委員 この要望書では、昨年10月から実施された国の介護職員処遇改善評価による月1万2,000円の賃上げの対象が、コロナ患者の入院病床確保病院など一部の医療機関の看護師に限定されたため、全国的には就労看護師数約166万人のうち35%程度の57万人しか対象にされなかったと指摘をしています。施設数でいえば、17万8,000施設のうち、対象は2,720施設。  しかし、コロナ感染対策で苛酷な医療活動に従事し、県民の命を守ってきたのは病床確保病院だけではありません。求められるのはチーム医療であり、病院間連携です。しかも今後は、院内感染者もそれぞれの病院で抱えることが求められ、入院病床確保機関も拡大されようとしています。県からも看護職員の賃上げ対象の拡大と診療報酬の大幅引上げを強く働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。 96 有賀厚生部長 昨年10月の診療報酬改定により、看護職員の収入を3%程度引き上げる看護職員処遇改善評価料が新設されたところですけれども、おっしゃるとおり、その対象が地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に限定されております。  県といたしましては、看護職員の確保、定着を図る上で、各医療機関においてDX、IT化の推進化等による業務の効率化や業務内容に応じた賃金改善を進めていくことが重要であり、看護職員をはじめ、医療従事者の労務環境や処遇の改善に取り組む医療機関が適正に評価されるような診療報酬制度とする必要があると考えております。  このため、先般、国に対し、安心・安全で質の高い医療サービスを提供できるように、従事者の処遇改善をしていただくよう要望したところでございます。全国知事会とも連携しながら、医療従事者の処遇改善につながる診療報酬の改定に向けてしっかり働きかけていきたいと思っております。 97 火爪委員 よろしくお願いをしたいと思います。  マイナンバーカードについて、ここで伺っておきたいと思っております。
     全国でマイナンバーカードをめぐるトラブルの発覚が相次いでおります。カード所有者の個人だけではなく、家族の銀行口座がひもづけられていた事例が全国で約13万件、他人名義が748件、マイナポイントを別人に付与していたケースは、総務省の発表で131自治体172件。ほかにも自治体から様々なミスやトラブルが報告をされ、結局岸田内閣は、秋までに総点検をするという体制をつくることを余儀なくされております。これも自治体にかかるこれからの負担が心配されているところであります。  我が党はこうした事態も想定し、個人情報を守るシステムを確立しないまま、政府が自治体に交付金や数字発表など様々な圧力を掛けてマイナンバーカードの取得を急がせることに反対し、県議会でも繰り返し警鐘を鳴らしてまいりました。  まずは、現時点で判明している県内のトラブル発生の件数や実態と、このトラブルの要因をどう受け止めているのか、知事政策局長に伺います。 98 川津知事政策局長 県内の状況につきまして市町村に確認したところ、別人にマイナポイントを付与した事案が3団体で3件、本人が知らぬ間にマイナンバーカードに保険証機能を持たせた事案が2団体で2件、合わせて3団体で5件の事案を確認しております。  別人にマイナポイントを付与した事案は、登録用の端末がログアウトされず別の方がそのまま手続をしたため、前に手続をしていた方にポイントが付与されたものであり、発覚後、御本人にマイナポイントは付与されました。また、本人が知らぬ間にマイナンバーカードに保険証機能を持たせた事案は、窓口の職員の方が利用者の意思を十分に確認しないまま保険証機能を登録したものであり、発覚後保険証機能を解除したものであります。  こうした事態を受けまして、国からシステムの再点検やマニュアルの遵守徹底等の通知があり、県では各県内市町村に再発防止に向けた必要な対応を依頼してきております。また県のホームページには、マイナンバーカード関連サービスの登録状況を自身で確認する方法などを掲載し、県民の不安や懸念の解消に努めております。  昨今相次いでいるトラブルは、マイナンバーカードの本人確認システムそのものに起因するものではありませんが、こうした事案が重なれば、県民のマイナンバー制度への信頼を損ないかねないと考えております。  お話もありましたように、一昨日、国におきまして省庁横断のマイナンバー情報総点検本部が設置され、必要な点検を行うこととされましたので、県といたしましても国や市町村と協力して適正な運用に努めてまいりたいと考えております。 99 火爪委員 続いてマイナ保険証について伺います。  6月2日にはマイナンバー法改正案が参議院本会議で成立し、来年10月には健康保険証が廃止されることに対し、凍結や中止を求める国民の声が大きく広がっております。  厚生労働省の発表によりますと、マイナ保険証に別人情報がひもづけられていたケースが、昨年から5月22日までに7,372件報告されております。開業医の6割を組織する全国保険医団体連合会の調査によれば、調査に回答した65%の医療機関でマイナンバーカードに関わる何らかのトラブルが起きており、マイナ保険証で情報がつながらず、医療費を10割請求したケース、これが30県で1,291件発生しているとのことでありました。  県内でも県保険医協会によれば、今年4月のシステム導入原則義務化以来、回答があった160機関のうち63%で何らかのトラブルがあり、他人の情報がひもづけられていたケースもあったとのことでありました。  6月17、18日の共同通信の世論調査では、マイナンバー制度やこの利用拡大に不安を感じる人は71.6%、来年秋の保険証廃止の延期、撤回を求めた人は72.1%に上りました。  県内の状況をどう把握しておられるのか。国に保険証の廃止を再検討するよう求めるべきだと思いますが、新田知事の見解を伺います。 100 新田知事 富山県保険医協会によりますと、マイナ保険証の利用に関するアンケート結果が公表されたことを受けまして、市町村国保をはじめとした県内の主な医療保険者の状況を聴取したところ、勤務先の変更や高齢者の自己負担割合の変更のデータ更新にタイムラグがあり、古い情報が表示された事例などがあったと聞いております。  データに基づく最適な医療が受けられるというマイナンバーカードと保険証の一体化のメリットを着実に実現するために、医療現場の様々な課題を一つ一つ解決していくことが大切だと考えます。  こうした事態を受けて、国ではマイナンバー情報総点検本部を設置され、これまでに誤りが確認されたデータを含め、マイナカードの個人向けサイト、マイナポータルで閲覧可能な全29項目の情報について秋までに点検を完了することとされました。  また、岸田総理は一昨日、現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に切り替える方針について、国民の不安を払拭する措置の完了が大前提だということを表明され、政府全体で総点検と再発防止を強力に進める、現行の健康保険証を24年秋の廃止後も最長1年間は使える特例措置期間である25年秋までに国民の不安を払拭するとされました。  県としましては、マイナ保険証のメリットを最大限に生かしていくためにも、国においてトラブルの再発防止や利用者の不安の解消、円滑な移行に向けて全力を尽くしてほしいと考えております。  今後も全国知事会を通じて、各省庁、地方公共団体、また関係事業者が一体となったチェック体制の構築や誤った情報ひもづけの防止などに取り組まれるよう、引き続き強く要望してまいります。 101 火爪委員 ありがとうございました。  コロナの感染拡大の中で闘う全国知事会というフレーズが有名になりました。知事会の会長、鳥取県の知事を先頭にしながら、政府の見解にひたすら従うのではなくて、県民、地方自治体の政治の責任者として厳しいこともずばり言うということが大事ではないかと思っています。全国知事会でもいろんな意見を求めていかれると思うのですけれど、ぜひ新田知事におかれては、率直に不安を感じるという人が71.6%にも上っているということを代表して表明する、そういう姿勢を望みたいものだと思っています。  国民健康保険証に違う人の健康情報がひもづけられたというのは、本当に大変なことだと思うんですね。実際に別人の情報がひもづけられて、それで薬局でそれに基づいて薬が処方されかかった方がおられるわけです。薬剤師さんがおかしいと、この人がこれを飲んだら飲み合わせが悪いということで、改めて確認をして発覚したという大変な事態になってるわけです。  さっきの知事政策局長の答弁では、件数だけ見たらまだまだ氷山の一角かなと、これから分かってくるのかなと思ったわけでありますけれども、知事、今の時点で保険医協会の調査でもこれだけの実態が報告されていると、国民の命と健康に関わると、個人情報保護の漏えいに関わる重大な問題だということで、知事会でも積極的に発言をしていただいて、ぜひ凍結が必要だという発信をしていただきたいと思いますが、もう一度コメントいただけるでしょうか。 102 新田知事 いろいろと登録の間違いなどが発生しているわけですけども、私はこれによってデジタル社会の基軸となるマイナンバーカードの有用性が損なわれたこととは考えておりません。誤りを正して、このマイナンバーカードのメリットが最大限発揮されて、そして、全ての国民が誰一人取り残されることなくスムーズにデジタル社会の恩恵を被れるように、その体制づくりをしていくことが必要だと思います。  知事会としても5月30日付で各省庁、地方公共団体及び関係事業者が一体となったチェック体制、あるいは誤った情報ひもづけの防止を担保する制度の構築に取り組むことという緊急の提言を政府に対して出しているところでございます。委員おっしゃるように、しっかりとチェック機能も果たしていきたいと思っております。 103 火爪委員 ありがとうございました。  デジタル化は必要です。必要ですけれども、個人情報の保護や間違いをちゃんと防止するシステムを伴った上で進めるという姿勢がこれからも大事だと思います。  私は、そういう安心できるシステムが構築されるまで国民健康保険証の廃止を凍結する、安心になったらもう一度動かすというのでもいいと思うのですが、凍結を求めるという国民の気持ちというのは本当にそのとおりだと思っています。私も強く求めていきたいと思っております。  では、次に移ります。  県の武道館の基本計画の見直しについて、今議会でいろんな議論がありました。  我が党はこれまで繰り返し、整理すると3つのことを要望してきたと思っております。1つは、武道館機能に特化し、予算規模を圧縮すること。もう1つは、PFI手法は採用せず、極力県内事業者に分割発注ができるようにすること、3つ目には、ゼロ・エネルギー・ビルを目指すことを求めてきました。いろいろあるのですが、あえて3本に整理するとすれば、こういうことを主張してきたということであります。  スケジュール上の都合とはいえ、設計、建設についてPFIの導入を断念されたことはよかったと思っております。  そこで、引き続き維持管理業務への導入可能性の検討スケジュールについて伺っておきたいと思っています。  20年もの長い間、管理運営を1つの企業体、管理会社に丸投げすれば、どれだけモニタリングをしても県民の福祉の向上を図るという自治体としての責任は果たせません。本来の意味では、指定管理者制度は3年、5年ですが、本当の意味で緊張感がある下での民間企業の競争原理も働きません。そして、サービス向上も全国の事例、世界の事例を見ても決して望めないと、いろいろ具体的な事例を挙げてこれまでも指摘をしてきたと思っています。  もし導入をするとすれば、導入可能性調査はやり直さなければなりません。業者の選定にも改めて2年かけなければならないと思います。またお金と時間と労力がかかります。今後どう検討していくのか知事に伺っておきたいと思います。 104 新田知事 去る15日の一般質問でも答弁しましたが、令和9年度中の開館を目指す場合、設計、建設段階からのPFI手法の導入については、事業者の選定手続に約2年間を要することからスケジュール面で困難と見込んでおります。一方、施設の管理運営に当たっては、利用者のニーズに対応したより質の高いきめ細かいサービスの提供や経費縮減の観点から、民間のノウハウを生かすことは必要であると考えております。  現在、富山県武道館の基本計画の見直し検討委員会では、県から見直しの方向性の案として、施設のコンセプトは、武道競技の振興、競技力に寄与する施設に絞ることなどを提示、御議論をいただいてるところ、この点は火爪委員の先ほどおっしゃった3つのポイントにも合致するのではないかと思っております。  ただ、コンセプトを絞り込んだ場合でも、武道に限らず可能な限り幅広いスポーツで活用していただくこと、これは一昨日、永森委員からそのような御質問また御提案、アイデアをいただき、廣島部長から前向きに答えたところであります。可能な限り幅広いスポーツで活用していただき、施設の稼働率を上げていく、また利用料収入の確保に向けて取り組んでいく、これが大切だと考えています。その面で、施設運営面で民間の活力を活用するメリットは大きいと考えております。  したがって、ノウハウを持つ民間事業者に長期の管理運営を任せるPFI-O方式も引き続き選択肢の一つであると思いますが、今後、どのような管理運営手法が効率的、効果的なのかは、引き続きよく検討していきたいと考えております。 105 火爪委員 私の質問の趣旨は、導入可能性調査をやり直すことになるのでしょうか、業者選定に改めて2年間かけるのでしょうか、どう検討していくのか伺いますという質問になってるわけで、導入するとすれば、導入可能性調査のやり直し、業者選定、きちんとしたやり直しが必要だと思うのですが、どうでしょうか。 106 新田知事 そうですね、このPFI-O方式、これはもう1つの焦点でありますテクノドーム別館で1つの先例ができると理解しております。引き続きこれも一つの選択肢ではあると、機能を絞った武道館においても選択肢の一つだとは思っております。  ただ、どのような管理手法がよりよいのかは、今後もよく検討していきたいと考えております。 107 火爪委員 そうではなくて、導入可能性調査をもう一度やらなければならないし、2年間かける業者選定をやらなければならなくなりますねということですが。 108 新田知事 ですから、それは今後よく検討していきたいと考えております。 109 火爪委員 これ以上申し上げませんが、やはり必要だと思うんですね。導入可能性調査の結論を出した前の導入可能性調査は、全体を通じてVFMも計算をし直して、その結果で入れましょうということを決めた。それが没になった。そしたら、その維持管理業務だけの導入可能性調査の詳しいことをやり直さなければいけないと思うんですけど。 110 新田知事 県ではPPP、PFIを優先的に考えるという規定があります。それに従ってここまで進めてきたわけであります。ですから、今後どのような管理運営手法がよりよいのかを考えていきます。  ここは、今もう1つの検討会のポイントで、場所をどうするかという話も出ております。今こちらから2つ提示させていただいているところですが、それにも関連をしてくることかと思っておりますので、御理解いただきたいと。 111 火爪委員 やはり現実を直視する必要があると思うんです。これだけ時間をかけて、お金をかけて、労力をかけて、結局やめることになったと。維持管理も潔くやめたほうがいいと思うんです。またこれから議論をして、2年間かけて導入可能性調査をやり直してっていうことですので、私はぜひこれも含めて断念されることを強く要望をしておきたいと思います。  もう1つです。  ゼロ・エネルギー・ビル化を求めてきました。  今年3月に策定した富山県カーボンニュートラル戦略では、今後県が建設する新建設物はゼロ・エネルギー・ビル化を目指すということになっています。原則50%以上削減するZEB Readyとするということを決めています。これは再生可能エネルギーが入っていないという仕組みだと思うのですけれども、ゼロ・エネルギー・ビル化は大事だと思います。新たな基本計画の中では明確にその姿勢を打ち出していただきたいと思います。これは、気候危機対策への知事の強い決意を市町村にも県民にも示すことになると思います。知事の決意を伺います。 112 新田知事 本年3月に富山県カーボンニュートラル戦略を策定しました。そこにおきまして、県の事務事業の実行計画に位置づけた県庁の率先行動というものがありますが、新築・改築等における省エネ化として、最新の省エネ設備の導入や建築物の断熱化などを図ること、また照明のLED化、さらにはZEB化の推進として、新築建築物については、庁舎、病院、学校等に類する施設は必須とした上で、委員のおっしゃるように、原則ZEB Ready相当以上とするなど、施設、設備などの省エネ化に取り組むこととしています。  一方で、一般的に体育施設の場合は、電気使用料のうち空調関係の負荷が大きいとされます。特に武道館の場合は、部屋の間仕切りが少なく、また吹き抜け部分も大きく、延べ床面積が1万平米以上となるといった特徴を考慮すると、庁舎などオフィス形態の建築物並みの省エネ効果を期待するのは難しいのではないかと考えます。  こうした背景がありますが、県有施設として環境負荷の軽減に取り組むことは、委員御指摘のとおり必要であるという認識はもちろんあります。  武道館として本来果たすべき機能や利便性を損なわないことに十分留意をしながら、延べ床面積が1万平米以上のZEB化が難しい大規模な建築物を対象とした、もう1つZEB Orientedをまずは目指すこととして、基本計画の見直し、基本設計や実施設計の各段階において検討を進めていきたいと考えます。 113 火爪委員 ありがとうございました。  ぜひ今の理屈も含めてですけれども、今年3月に策定したカーボンニュートラル戦略に基づいて、その上に造る新しい施設だということをしっかり踏まえていただいて、そういう努力をするのか、気候危機打開のために新しい県の公の施設もこうなるのかということを、ぜひ心を動かすことができるようなコンセプトにしていただきたいと思います。  そこで、カーボンニュートラル戦略の実践について伺っておきたいと思います。  このカーボンニュートラル戦略における2030年度までのCO2削減目標は、2013年度比で国目標を上回る53%削減ということになりました。しかし、世界は2011年比で6割以上というのが今の流れであります。2013年度比のこの目標を2011年度比にすると48%ぐらいに低下してしまうことになるわけで、曖昧にしてはならないと思っております。不十分な目標と残念に思っています。  我が党は、長野県の目標が60%削減ということも繰り返し示しながら、より積極的な目標を求めてまいりました。うち県庁の率先行動の目標についても2030年度までに55%マイナスと決められたわけであります。決めたからには、我が党も、私たちも積極的に提言をし、超過達成のために力を合わせていきたいと思っております。  そこで、市町村の計画策定のほうはどうなっているのか、伺っておきたいと思っております。  環境省のホームページによれば、県内市町村における地球温暖化対策実行計画の策定は、昨年度末時点では事務事業編で14自治体、区域施策編で4自治体、2年前とほとんど変化がありません。これは年末の数字ですので、今年に入って動いているということでありますけれども、期待をして伺いたいと思っています。  同時に中身であります。ホームページの中身を見ると、計画期間が過ぎているのに改定されていないものも見受けられました。それから、設定されている削減目標も県の目標が1年策定が遅れたわけですよ。だから、55%削減、心を一つにというふうに必ずしもなっておりません。国目標の46%にそろえてしまった富山市や立山町ですね。比較的頑張ってきたと思われるところも、県の目標とはそろえていないと。低い目標になっているというのを残念に思って拝見いたしました。  今年4月にカーボンニュートラル市町村連絡会議をつくって、県は市町村の計画策定に真剣に寄り添って取り組むという決意を表明されておりますので、計画策定の現状と評価を併せ、今後の取組について、今度は知事政策局長に伺います。 114 川津知事政策局長 県では、令和3年4月にワンチームに「ゼロカーボンシティ富山の実現」ワーキンググループを設けまして、実行計画の策定をはじめとする市町村の取組を積極的に支援してきました。  県内市町村における現時点での実行計画の策定状況といたしましては、内部の取組を行う事務事業編につきましては14団体で作成しております。また、区域内の実施施策等をまとめました区域施策編につきましては、2年前の4団体が現在は8団体になっており、倍増している状況です。これに加えまして、5団体においても現在策定に向けた準備が進められているところです。  県では、今ほど御紹介ありましたけれども、今年度新たに設置いたしました連絡会議なども使いながらですね、国のマニュアルを踏まえまして、県の策定時のノウハウを生かして温暖化ガスの排出量の目標設定の方法を先行する優良事例等も紹介しまして、計画未策定の市町村等に対する支援を行ってまいりますし、今ほども御紹介ありましたが、既に施策を作成済みですけれども、目標設定していなかったり古いものに対しても支援を行うということで、今年度環境省のステップアップ講座というものも選定されましたので、それも使いながら実践的な脱炭素の取組につなげてまいりたいと考えております。 115 火爪委員 よろしくお願いします。  もう1問、太陽光発電について伺っておきたいと思います。  2030年度までの太陽光発電の目標は、2020年度比359ギガワットアワーです。それをどうやってやるかということ、カーボン戦略によれば、公共施設で太陽光発電を倍化させると、それから、一定時期に新築住宅への設置を義務化すると。自家発電への設置支援など、取り組むというメニューが並べられております。しかし、2030年度までは7年しかないわけであります。  太陽光発電については、富山県は大変不十分だったと感じてきました。2月定例会の副知事の答弁でも、北陸電力の電力構成は再生可能エネルギー少ないですねって、3割程度ですね。でもそのうちの水力発電が2割以上占めていて、FITは5%しかない。その他の再生可能エネルギーも本当に数パーセント。  私は、やはり水力が豊富な富山県がその他の再生可能エネルギーをもっと頑張れば、全国にもっと大きなインパクトを与えることができるのに、言葉は悪いですけど、水力発電の高さに甘えているんではないかと感じてまいりました。ですので、水力は伸ばしながら、それ以外の再生可能エネルギーを思い切って拡大し全国に姿勢をアピールしていただきたいと、全国にブランド化と言いますけど、これも富山県のブランド戦略の中に位置づけたほうがいいんじゃないかと思うぐらいの思いで私はおります。太陽光発電を359ギガワットアワー増やすことの必要性や経済性、計画とその到達状況を常にアピールし、県民運動にぜひしていただきたいと思います。知事政策局長に伺います。 116 川津知事政策局長 今ほども御紹介ありましたように、3月に策定しました県のカーボンニュートラル戦略では、現況の440ギガワットアワーの太陽光につきまして、発電量を2030年度までに359ギガワットアワー増加するということで倍近くにすることにしております。  そのためには、まず公共施設への太陽光発電導入では、2030年度までには現況の9.7メガワットを2倍にするということを目指しております。  このために、まず県庁の率先行動としまして、設置可能な県有施設の50%以上に太陽光発電設備を設置するということで、現在対象施設の調査を進めているところでございます。また、住宅や事務所への導入促進を加速するため、今年度新たに補助制度を創設することとして現在準備を進めておりますし、事業者向けには県の制度融資、それから、今年2月からビヨンドコロナ補助金に再エネ設備導入枠を新設して普及を促進しているところです。  こうした取組に加えまして、県民運動ということの御提案ではありますが、今年から10月をカーボンニュートラル推進月間に位置づけまして、県全域で集中的、統一的に啓発すると。その際には、太陽光発電は、地球温暖化の防止に加えまして、災害時の非常用電源としても活用できること、太陽光発電設備により発電した電力を自家消費することで電力使用量の削減、ピークカット、それから脱炭素への貢献を同時に実現できることなどのメリットを前面に打ち出していくと。  また今年度末には、新たに太陽光発電等の県内供給量を公表して見える化するという取組も行うことにしております。  市町村はもとより、太陽光発電設備のリースを行っている企業や住宅メーカー、各種設備事業者等を巻き込んで。計画的、戦略的に太陽光発電の普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。 117 火爪委員 ありがとうございました。一緒に取り組んでいきたいと思っています。  最後に、薬用植物のブランド化について2問伺っておきたいと思います。  薬の富山県なのに、薬の原材料がほとんど中国産であることに疑問を感じて、私は初当選のときから県産シャクヤクのブランド化を応援してまいりました。  昨年11月議会で質問をした際には、厚生部長から、今ブランドシャクヤクの根を収穫したところであり、有効成分の試験に合格すれば出荷可能となるとの答弁をいただいておりました。先日、県産シャクヤク「春の粧」の初出荷が実現し喜んでおります。生産者をはじめ、関係者にお祝いを申し上げたいと思っています。薬用養命酒の成分として使用されるとのことですので、今後も需要は十分見込めるのではないかと思っております。  一方、シャクヤク「梵天」のほうは、これまで県内に乾燥施設がなかったため、乾燥しないまま長年奈良県の業者に引き取られ、粉末にされて生薬として使用されてきたと伺っております。  私は、今後はこの梵天も含めて、県内の生薬の原料として県産のシャクヤクが使われるようになってほしいと思っております。薬の地産地消にもつながります。どう取り組んでいくのか、厚生部長に伺います。 118 有賀厚生部長 薬用植物指導センターでは、平成30年から栽培農家へ春の粧の苗の供給を開始いたしまして、センターに収穫、洗浄、乾燥等に係る機器等を整備するとともに、製薬メーカーが求める高い品質や需要に応えるため、農林水産部や関係団体と連携し、栽培技術指導や収穫や加工に関する研修を実施するなど、農家を支援してきたところです。  今回初出荷することとなった養命酒製造さんからは、継続的な栽培をお願いしたいとの意向もいただいております。当分の間は今回の出荷量と同様の300キログラム程度、いずれは1,000キログラム程度の乾燥根が納入できるように安定生産に向けた試験研究や技術指導、種苗の供給に引き続き取り組んでまいります。  また、これまでも生薬を扱う県内を含む幾つかの製薬企業に対して春の粧のサンプル提供や納入、購入条件について個別に打診してきたところです。さらに、今年度実施を予定しております生薬の需要に関するアンケートにおいて、希望する品種、乾燥根または生根のどちらの形態での納入を希望するのか、数量はどのぐらいなのか、購入する場合の上限単価はどのくらいなのかなど、意向を調査することとしております。今後、どの程度県内での需要が見込めるか探ってまいります。 119 川島副委員長 火爪委員、持ち時間が少なくなっておりますので、簡潔に願います。 120 火爪委員 期待しております。  県内の生産者は合わせて111戸。富山市、上市町、南砺市などと伺っております。今お話にありましたように、乾燥する業者、施設の確保は大きな課題です。また、シャクヤクの栽培と出荷には4年かかると言っております。  ぜひ県がしっかり支援し、農家の収入増にもつながるようにしていただきたいと思います。県内の生産地拡大にどう取り組んでいくのか、農林水産部長に伺います。 121 津田農林水産部長 シャクヤクなどの薬用作物につきましては、これまで生産拡大に向けて栽培技術の改善や苗の安定供給体制づくり等に取り組んできました。令和4年度の栽培面積は7ヘクタール、出荷量は9.9トンと僅かずつでありますが増加しており、生産者も増えていると聞いております。  さらなる生産拡大に向けましては、収穫、乾燥、調製作業等の労力が大きいこと、それから病害の発生等により目標とする収量が確保できなくなるリスクがあること、それから収穫までの養成期間が長く、その間は収益が確保できないことが課題と考えております。  このため、省力機械の導入支援や乾燥根での出荷に効果的な乾燥調製技術の検討、例えば自然乾燥をした場合の品質とか成分についてどういう影響があるのかということを今調べております。そのほか、県の普及指導員が圃場巡回等を行って病害の予防とか反収向上のための指導も行っております。また、養成期間中にも切り花による収入を確保するため、令和2年度から実証圃場を設置し、期間中に一定程度切り落として収穫しても根の薬用成分含量に影響を及ぼさない栽培の技術研究も行っております。  今後も生産拡大に向けましてこうした取組を進めるとともに、切り花や入浴剤などの新たな需要の創出、それから需要増加に対応するための生産者の掘り起こしを進めていきたいと思っております。 122 火爪委員 ありがとうございました。 123 川島副委員長 火爪委員の質疑は以上で終了いたしました。        山崎宗良委員の質疑及び答弁
    124 川島副委員長 山崎委員。あなたの持ち時間は60分であります。 125 山崎委員 改選後初めての質問となります。当局の皆様におかれましては、引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。  まず最初に、教育の充実について4問お伺いをいたします。  国の方針で部活動の地域移行が進められ、上市町では空手、柔道、バドミントンやカヌーなど7競技が既に地域クラブへの移行を完了しています。ほかにも複数の自治体で積極的に進められております。  国は令和5年度から段階的に移行する方針でしたが、指導者や施設の確保が難しいことや保護者の費用負担が増えるなどの理由で、昨年12月に対応の見直しが発表され、本年度は調査を行うこととされました。  見直し前は、部活動指導員の支援などに対する予算が全国で約100億円見込まれていましたが、見直しにより約28億円と3分の1以下となり、積極的に地域移行に取り組んだ地域では、独自で財源を確保するか、確保できなければ無償での運営を余儀なくされるなど、厳しい状況に置かれています。  本来国では部活動は教育の一環と位置づけられており、青少年が自ら部活動を選択し、目標設定をし、継続的な鍛錬、創意工夫、チームワークなど、人格形成に大きな役割を果たしています。しかし、地域移行によって金銭的負担が増え、練習場所への移動手段の確保が必要、また練習場所そのものが確保しにくく練習日数が減るなど、結果として生徒がスポーツに親しみにくく、スポーツ人口の減少につながることが懸念されます。  また、これまでの部活動であれば、経済状況にかかわらず、誰もが等しくスポーツに触れる機会が確保されていたと言えると思うわけでありますが、地域移行に取り組むことによって、お金と時間のない家庭の生徒がスポーツクラブへの参加を諦めなければならないというのは、スポーツの衰退や、ひいては生徒の夢を奪うなど、国の衰退にもつながりかねないと大きく心配をしているところであります。  令和5年度の予算が3分の1以下に減少したことから、地域移行を積極的に進めている自治体やクラブにとっては大打撃であります。例えば上市町では、地域クラブへの支援金として約800万円を充てています。財政厳しき折ではございますが、生徒たちの成長やそれを支えるクラブの皆さんに対する熱い思いを感じるのであります。本来であれば国が手当てすべきところではありますが、県におかれましても、生徒たちの育成のために各自治体に対しての支援をぜひとも考えていただきたいのであります。  今後、参加を希望する全ての生徒が安心して活動できる環境整備に向けてどのように対応をされるのか、新田知事に伺います。 126 新田知事 部活動の地域移行に当たっては、施設の利用料などの経費あるいは保護者の送迎などの負担により生徒が参加できないということのないように取り組まなければなりません。  地域移行に係る新たな費用負担については、これまでも国に対し、県の重要要望やあるいは全国知事会の要望を通じて、経済的に困窮する家庭に対する補助などの財政支援を求めてきました。  現在、県内の10の市町では、国の委託事業である実証事業を活用し、活動場所の確保や適切な費用負担の設定、困窮世帯の支援などについて検証しながら、持続可能な維持運営の在り方を検討しておられます。委員の地元の上市町でも268万円を使って今実証事業を進めているというところです。  県の教育委員会ではこれらの取組事例を全市町村へ情報提供し、関係団体から成る地域部活動検討委員会において課題を検討するほか、部活動指導員配置への助成や応援企業の募集などを行い、保護者の負担軽減に配慮した地域クラブの体制整備を支援しています。また、今年度改訂する富山県部活動の在り方に関する方針においては、保護者の負担軽減を含む適切な運営についてお示しする予定にしております。  今後も生徒の多様な活動機会を確保していくため、国の動きもよく見ながら教育委員会と連携し、部活動の地域移行に向けた市町村の取組を支援してまいります。 127 山崎委員 ありがとうございます。我々議員も県と一緒になって国に対して要望してまいりたいと思いますけれども、現場は待ったなしでございますので、ぜひとも県としての支援を御検討いただきたいと思う次第であります。  部活動の指導者を確保することは、今後のスポーツの進展を大きく左右すると思います。地域クラブが始まる時間は午後6時や7時ということであります。このような場合は、指導者の職場での評価に直結することから、指導者として報酬を得ないと継続が難しいと思います。例えば、指導者の方が会社勤めをされている場合、指導のために仕事を打ち切ったり早退しなければならず、毎日練習がある場合などは大変厳しいと思います。  指導者を確保するためには、指導に見合う報酬を支払うことはもとより、引き受けやすい環境づくりを社会全体として進めていくことが重要と考えますが、荻布教育長の所見を伺います。 128 荻布教育長 御指摘のとおり、指導者を確保するためには、報酬などについて適切な額が支払われることが望ましいと考えますが、地域移行した活動における指導者謝金などの費用は、保護者や市町村の新たな負担ともなりますことから、各市町村では持続可能な維持運営ということを考慮され、部活動指導員の例を参考に実情に合わせて額を設定されているのが実情でございます。  県では重要要望や全国知事会の要望において、指導者の処遇改善を含む地域クラブの環境整備のための財政支援を国に要望しているところであり、引き続き国に働きかけてまいりたいと思います。  指導者を引き受けやすい環境づくりにつきましては、昨年度創設した部活動応援企業登録制度において、社員の方が参加しやすいように地域部活動への参加を促す休暇制度の整備などに取り組まれる企業なども募集しているところであります。  これまで応募のあった企業の中には、社内の運動部が地域移行の受皿となって生徒の指導に当たってくださり、運営にかかる費用も負担されているという事例もございました。今後、こうした具体的な取組の事例を広く紹介しまして、地域部活動に協力しようという機運の醸成につなげたいと考えています。  あわせて、引き続き富山県スポーツ協会や芸術文化協会などと連携して、競技団体や吹奏楽連盟などに地域部活動の指導について協力を求めていくこととしております。 129 山崎委員 ありがとうございます。企業の理解と支援というのは非常に大事なところだと思いますので、ぜひともこれを進めていただきたいと思う次第であります。  現在部活動の地域移行は運動部を中心に行われていますが、部活動の機能として生徒の居場所、受皿になっている側面があると思います。文化部はスポーツ以外の選択肢として、最近では写真やダンス、ロボット製作やeスポーツ、プログラミングなども注目されています。  生徒や学校のニーズなどに応じて部活動の内容をさらに充実させるため、市町村における指導者の確保支援として、部活動指導員配置促進事業の補助対象人数の拡充や文化部向けのエキスパート派遣事業の創設を検討すべきと考えますが、荻布教育長の所見を伺います。 130 荻布教育長 国においては平成30年度から、部活動の指導だけでなく単独での大会引率も行うことができる非常勤の職員である部活動指導員の配置を進めております。県教育委員会も国と共に市町村を支援して配置拡充に努めてきているところです。  制度開始時の平成30年度の配置数は市町村全体で38名でしたが、今年度は143名配置されているところです。部活動指導員は、運動部だけでなく文化部でもどちらでも対象となります。県内の中学校でも文化部の部活動指導員を置いているところもございます。今後、休日の部活動の地域移行後も平日の部活動の担い手としての役割も期待されていますことから、教育委員会ではさらに拡充配置できるよう財政支援措置を国に要望しているところであります。  また、スポーツエキスパート派遣事業は運動部のみを対象としておりますが、文化部への支援としては、中学、高校の吹奏楽部の生徒に対してプロの演奏家による技術指導の場を設ける県独自のスクールバンド育成事業を実施しておりますほか、今年度からとやまアーティストマッチング事業として、希望に応じて県内の芸術家を学校へ派遣する事業も行われる予定となっております。  今後も生徒や学校のニーズ、また市町村の御意見も踏まえながら、部活動の充実に向けて取り組んでいきたいと考えております。 131 山崎委員 ありがとうございます。拡充をよろしくお願いしたいと思います。  上市高校のインターンシップでは、毎年上市町の地元企業の皆さんに御協力をいただき約20のブースを設けて、各企業から働くとはどういうことなのか、卒業生など先輩方から生徒に体験談やそれぞれの企業の取組についてお話をいただいています。生徒は自分の興味のある企業を事前に選択することになっているので、コマーシャルなどでよく見かける企業や興味のある職種に集まる傾向が強い一方で、社員を大切にする企業など、本来の企業価値が高い企業を知る機会が少ないために、ブースに集まる人数に偏りが大きく、それを見て私自身とても驚きましたし、もったいないなと思ったところであります。  このことから、毎日家と学校を往復するだけでは、県内のすばらしい企業の存在に触れることはなく、そのことで進学や就職など、生徒の進路決定や県外流出にも大きく影響しているのではないかと考えています。  県内在住の方ですけれども、以前スイスに住んでおられまして、お子さんがスイスの小学校に通っておられたときに、5年生のときだったそうですが、親の職場で親の働く姿を1週間ほど見るという体験をされたそうであります。日本では、一般家庭の多くの方は親の働く姿を見る機会はないと思います。自分の親が自分の仕事に誇りを持って一生懸命働く姿を見ることで、働くことの意味や親の職業に対して深く理解することができ、大きなインパクトがあるのだと思います。親の職場に行くのは最初だけだと伺っているのですけれども、5年生から毎年、日本でいう14歳の挑戦のようなキャリア教育が、高校卒業まで8年間連続して行われていると聞きました。  県内の企業の人事担当者さんは、毎年募集の時期になると胃が痛くなり寝ていられないと聞きます。自民党の職域団体の皆様からも、PTAと連携してインターンシップや企業からの出前授業など、地元の企業に触れる機会をぜひとも増やしてほしいとの切実な声が届いています。  一生懸命勉強して都会の大学へ行って有名な企業へ就職できたとしても、それが即幸せとは言い切れない側面もあると思います。県内の若者が県内企業を多く知ることは、若者の県外流出を抑制し、かつ県内の産業を活性化させる、また本来の企業価値を知ることでウェルビーイングにもつながるのではないかと考えています。  日々頑張っている県内企業の姿に生徒が触れる機会を増やし理解を深めるために、14歳の挑戦や17歳の挑戦のような機会をさらに増やしてはどうか、新田知事に所見を伺います。 132 新田知事 今、子供たちには、将来、社会的、職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現するための力をつけることが求められています。  こうした中で本県では、これまでも発達の段階に応じたキャリア教育に取り組んでまいりました。委員に御指摘いただいたように、県内の中学校2年生が取り組むのが社会に学ぶ14歳の挑戦。これは、規範意識や社会性を高め、将来の自分の生き方を考えるなど、生涯にわたってたくましく生き抜く力を身につけることを狙いにしています。また、高校生になって取り組むのが社会へ羽ばたく17歳の挑戦です。企業視察などによりまして県内企業への理解を深め、将来の就業について考える機会としています。  これ以外にも、小学校では地域での職業調べや職場見学を通じて、社会の中での自分の役割や働くことについて学んでいます。また、地元企業の見学、看護体験、リンゴやナシ農園の見学、収穫体験、漁業組合によるホタルイカ出前講座や定置網見学など、地域の特色や地域の産業を生かした取組も実施されています。中には新たに小中学校9年間で系統的にふるさとについて学ぶカリキュラムを編成した自治体もあると聞いております。  委員御指摘のとおり、今自分の家族がどこで働いているかも知らない子供たちもそう珍しくないことのようであります。ですから、子供たちにとって、地元の企業をはじめ、ふるさとへの愛着を育む機会を創出していくということは大切であると思います。  今後も市町村と連携をして地域資源を生かした取組を推進するとともに、それらの成果を横展開するなどしてキャリア教育をより一層充実させていきたいと考えます。 133 山崎委員 ありがとうございます。子供たちの将来がぜひとも幸せなものにつながるように、こういった機会をぜひとも増やしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  続きまして、安全・安心の確保について5問伺います。  上市町の大岩山日石寺は、真言密宗の磨崖仏や六本滝による滝行をはじめとする参拝者、おおかみこどもの花の家、秘密のケンミンショーで紹介された大岩そうめんもあり、そして近年の登山ブームで近くの茗荷平山への登山コースや県のサイクリングロードになっていることから訪れる観光客などが増え、もともと年間30万人と言われた観光客は増加傾向にあります。  しかし、大岩神明町線の大岩橋から大岩山日石寺までの区間については、道幅が大変狭く、サイクリング客がいた場合は対向車との擦れ違いができませんし、乗用車と大型車両との擦れ違いは路肩へ寄せて徐行するなど神経を使います。観光バスなどの大型車同士の擦れ違いは言わずもがなであります。安全性確保のために道路の拡幅が必要と考えますが、市井土木部長に伺います。 134 市井土木部長 県道大岩神明町線は、観光客も訪れる大岩山日石寺に程近い上市町大岩地区を起点として神明町地内に至る延長約5.7キロメートルの路線でございます。この県道に対し上市町からは、柿沢地内の正源寺橋から大岩川の上流に位置する大岩橋にかけての延長約400メートル区間の拡幅の要望をいただいていたところでございます。  これを受け、県では昨年度、中でも見通しが悪く安全性に課題のあった正源寺橋の左岸橋詰め交差点の整備を補正予算により事業化したところでございます。これまで測量や設計を進めてきており、地域の皆様の御了解が得られれば、続いて用地測量に着手したいと考えております。  町からの要望区間のさらに上流側に位置する大岩橋から日石寺までの区間につきましては、委員御指摘のとおり、一部を除いて歩道が設置されておらず、車道の幅が狭く大型車両の擦れ違いが困難な箇所も多い状況でございます。  こうした状況を念頭に置きつつ、県としては、まずは安全性に課題のある、昨年度事業化した区間の早期整備に取り組むことが大切であると考えているところでございます。地元の皆様の御理解、御協力の下、その整備促進に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。 135 山崎委員 ありがとうございます。地元の皆さんからは、拡幅についてはどれだけでも協力するから、ぜひとも進めてほしいという熱い熱い要望をいただいておりますので、今後また町と共に進めてまいりたいと思う次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。  上市スマートインターが開設され、フルトレーラーも利用できる大変便利なインターとなりました。上市町民はもちろんのこと、富山市北部の企業や個人が県東部へ向かう場合にはよく利用されると思います。インターに接する県道上市水橋線については、インターチェンジ付近の整備をしっかりと進めていただき、大変ありがたく感謝を申し上げます。  しかし、大型トレーラーなどが行き来していることから、国道8号に至るまでの整備区間の早期の拡幅が地元住民から求められています。市井土木部長に伺います。 136 市井土木部長 県道上市水橋線は、上市町三日市から富山市水橋地区に至る延長約6.5キロメートルの路線でございます。当路線は、上市町と富山市との市町村境界付近で北陸自動車道と国道8号の2つの幹線道路と交差していることから、上市スマートインターチェンジが設置され、インターチェンジは令和2年12月に供用しておるところでございます。  県では、このスマートインターチェンジの設置に併せ、当該県道のインターチェンジ連結部の約640メートルの区間において、インターチェンジへの進入を円滑にするため付加車線を設置し、道路の線形改良も行ったところでございます。  この改良区間の北側、委員お尋ねの市町村境を越え、国道8号に至る区間につきましては延長が約1.5キロメートルあり、歩道は設置されておらず、車道の幅は縮小規定による5.5メートル、また両側の路肩はそれぞれ0.5メートルと大型車両同士が擦れ違う際に十分な幅員とはなっていない状況でございます。  こうしたことから、県といたしましては、上市スマートインターチェンジの利用状況の推移──令和4年度は日当たり1,231台となっておりますが、この利用状況を注視しながら、大型車両の安全な通行に対しどのような対応が可能か検討してまいります。 137 山崎委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いをいたします。  続きまして、常盤橋の架け替えについて伺います。  常願寺川に架かる常盤橋については、築60年以上が経過し老朽化が進んでいます。また、交通の要衝として産業道路や生活道路としての重要な役割を担っていることや、もともと幅員も狭いことから、富山市側からも舟橋村や上市町からも心配する声があることから、県としてどのような方針で対策に取り組まれるのか、スケジュールも併せて市井土木部長に伺います。 138 市井土木部長 常盤橋は、橋長481メートルの長大橋で幅員6.0メートルの車道橋と幅員2メートルの自歩道橋の2橋で構成されております。車道橋は64年、自歩道橋は44年がそれぞれ経過しており、将来的には架け替えについての検討も必要と考えておりますが、当面は適切な健全度を維持し長寿命化を図ることとしております。  このため、平成30年に実施した橋梁点検結果を踏まえ必要となりました高欄の修繕、支承の修繕、支承の劣化を予防するための橋面防水工事を平成31年度から令和4年度にかけて実施するなど、順次修繕を進めているところでございます。今年度も床版の補修設計を実施するほか、2巡目の橋梁点検を実施することとしております。  また、橋の左岸側の取付道路におきましても、後づけで張り出し形式により設置された歩道に一部床版の腐食等が見られたため、今年度更新工事を実施することとしております。  このように、健全性を保ちながら引き続き定期点検を実施し、劣化や損傷状況を継続的に把握し、必要な修繕工事を計画的に進め、適切な管理に努めてまいります。 139 山崎委員 ありがとうございます。今川橋が終わって、富立大橋が終わったら、次は常盤橋じゃないかなということで地元は大変期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  続きまして、上市川や白岩川などの県の管理河川については、国土強靱化5か年加速化事業によって、しゅんせつや伐木等の治水事業が着々と進められ、地元からも感謝の声が届いています。一方で、まだ手つかずになっている箇所もあり、その地域からは早期に整備が必要との声が強く上がっています。  そこで、事業の全体像や現在までの進捗状況など、どのような方針や基準で対策を進めているのか、市井土木部長に伺います。 140 市井土木部長 堆積土砂の除去と樹木の伐採、いわゆるしゅんせつと伐木につきましては、河川の流下の支障となる土砂の堆積状況や樹木の繁茂の状況に加え、川沿いの人家の立地状況などを勘案して、緊急性の高い箇所から実施しているところでございます。  しゅんせつと伐木が国の交付金事業の対象となった平成30年度からは一定程度の予算が確保され、直近の家屋浸水実績や浸水想定区域内の家屋戸数といった要件を満たす箇所において、計画的、重点的に実施しているところでございます。  令和4年度の実績は公共、県単合わせた約7.2億円で、しゅんせつは県下38か所で、伐木は12か所で実施しているところでございます。  県としましては、引き続き国の予算も活用し、しゅんせつ、伐木を計画的に進め、地域の皆様の御協力を賜りながら、河川の適切な管理に努めてまいります。 141 山崎委員 ありがとうございます。北陸地方整備局の局長さんもこの予算確保を一生懸命頑張るとおっしゃっておりましたので、共に頑張ってまいりたいと思います。  治水ダムや堰堤など河川の整備が進み、洪水などで堤防が決壊するということはほとんど見られなくなってまいりました。  一方で、先人の知恵で整備された霞堤は現存しておりまして、増水によって霞堤があだとなり、過去に浸水した住宅地もあると聞いております。霞堤ではしゅんせつや伐木は行われず、イノシシなどの害獣の住居や通り道になったりしています。  治水対策上、不要となった霞堤は塞いだ上で別の用途に活用できるのではないかと思っております。県内における霞堤の必要性をいま一度精査する必要があると思いますが、市井土木部長の御所見を伺います。 142 市井土木部長 霞堤は、堤防に開口部を設け、上流側の堤防と下流側の堤防が二重になるようにした不連続な堤防であり、洪水時には、堤防の開口部に一時的に水をためて河川に流れる水量を抑える洪水調節効果や、上流で氾濫した水を下流の霞堤で受けて速やかに河川に戻し、被害の拡大を防ぐ等の効果がございます。  急流河川が多い本県では、霞堤は常願寺川や上市川、片貝川などにおいて伝統的な治水工法として数多く存在しており、市街地などにおける大規模な浸水被害の防止、軽減に効果があることから、治水上、今後とも霞堤の機能を維持保全していくことが重要と考えておるところでございます。  委員から、霞堤でしゅんせつ伐木が行われず、害獣のすみかになっているとの御指摘がございましたが、災害の未然防止対策として緊急の高い箇所から優先して伐木に取り組んでおるところでございます。例えば片貝川におきましては、約1.4キロメートルの霞堤を含む区間の伐木を令和3年度から今年度にかけて実施しているところでございます。  本県では、河川整備の進展に伴い治水安全度の向上も図られてきたところではございますが、令和4年度末の河川整備率は57%と、整備が必要な河川はまだ多く残されております。  今後とも必要な予算の確保に努め、河川整備の推進を図るとともに、現場の状況を確認の上、治水機能維持に必要な堆積土砂の除去や伐木に取り組んでまいります。 143 山崎委員 ぜひとも現場を確認いただきまして、これは不要だと思われる霞堤があれば、着手をお願いしたいと思う次第であります。よろしくお願いします。  それでは、農業の振興について6問お伺いをいたします。  イノシシについてであります。  イノシシなどの害獣は、特に中山間地の用水や石垣、農作物を荒らすなど生活を破壊しております。地元の方から呼んでいただき現場へ行くと、トラクターで起こしたようにきれいに掘り起こされたり、用水の石垣が壊されるなど、そこでの生活を諦めなければならないような状況があります。これはもはや災害であると思っております。災害対策ということであれば、国の援助が得られるはずなのですが、現時点ではそのような支援策は設けられておらず、大変残念に思っております。  近年発生した豚熱によってイノシシの個体数が減り、被害も少し抑えられたのですが、豚熱が収まり、再び増加の一途をたどるものと予想されます。この機会を捉えて一気に個体数を減らす取組が有効と思われます。  しかし、猟師だけで生計を立てている人はおられません。わなの設置や見回りに半日程度かかり、残りの半日で何か収入を得ることができない場合は生活が成り立ちません。時間と労力の負担が大きいことからさらなる手厚い支援が必要と思われますが、廣島生活環境文化部長の所見を伺います。 144 廣島生活環境文化部長 県におきましては、県猟友会等と連携いたしまして、個体数管理に重要な役割を果たされます捕獲の担い手の確保育成に取り組んでおります。例を挙げますと、平成26年度以降、狩猟免許の試験回数を年2回から3回に増やし、また初心者向けガイダンスや受験者向け講習会の開催など、こうした取組によりまして狩猟免許保持者は令和4年で1,420名となっておりまして、一番少なかった平成18年876名との比較では1.6倍まで回復しているところでございます。  農作物被害の約7割を占めますイノシシへの対策といたしまして、中山間地域におきましては、今年度から市町村の境界を越えた広域的な捕獲活動への支援ということで広域捕獲事業を実施することとしております。この事業を活用した場合、これまでイノシシの成獣1頭当たり7,000円だったものが、支援額が1万8,000円と増額となるところでございます。  また、今度は山間部のほうでございますけども、環境省の指定管理鳥獣捕獲等事業を活用しまして、今、捕獲専門チーム、県内8地区10チームを今設置しております。チームにおきましては、ベテランハンターから若手への捕獲技能の継承、また活動時間に応じた手当の支給、ICTを活用したわなの導入による見回り負担の軽減、こうしたことを通じまして捕獲従事者への支援、また担い手の確保育成を進めているところでございます。  山間部等での捕獲、中山間部での有害鳥獣対策、こういったものの連携が必要不可欠であろうかと考えております。今後とも関係部局、市町村、猟友会などと連携しまして狩猟の担い手の育成確保に努めてまいります。 145 山崎委員 ありがとうございます。イノシシの繁殖能力は複利で1.5倍程度だと聞いております。これを上回るだけの捕獲をしない限り数量は減らないということでございますので、ぜひとも手厚い支援をお願いしたいと思う次第であります。  続きまして、農業用排水路の転落事故についてであります。  我が県は稲作が盛んであり、そのために農業用水もたくさん整備されておりますが、近年農業用水への転落事故が相次ぎ、県としても蓋がけや転落防止柵の設置など、その対策を進めておられます。  蓋かけによる対策においては、重量のある鉄製のグレーチングや鉄板などが主流となっていると思いますが、心ない人たちによって盗まれるケースもあります。また、グレーチング製品は古くから三重県が産地でありまして、韓国製などの輸入製品も多く入ってきております。グレーチングや鉄板も必要なものだとは思いますけれども、この蓋を富山県産材の木製の蓋に置き換えるのはいかがでしょうか。木材の防腐加工によって通常の3倍から5倍程度の耐久性が見込まれ、10年は優に持つと伺っております。人命の確保と県産材の利用促進という一石二鳥の名案だと思いますが、津田農林水産部長に伺います。 146 津田農林水産部長 農業用水路の転落防止対策につきましては、県で作成した農業用水路安全対策ガイドラインに基づいて、地域の危険防止を地図に落として見える化し、地域住民と行政が一体となって安全対策を検討するワークショップにおいて、優先度を決めて農業用水路の転落防止柵や蓋かけ等のハード、セミハード対策を支援しております。  水路の蓋でございますが、県内ではほぼ鋼製かコンクリート製の物が利用されており、現在のところ木材利用が確認できるのは1例のみとなっております。  木製の蓋は、安価で軽く施工が容易である一方、滑りやすく軽量であるため、水路が溢水した際には流出するおそれや耐久性が明確にされていない等の課題もあることから、各用水の管理者においては、現場の状況や管理体制を踏まえて、その使用について慎重に検討されているのではないかと考えております。  こうしたことから、現状として農業用水路の転落防止対策としての木材の利活用としては、転落防止柵のほか、注意喚起看板、視線誘導標の利用などが大半と考えられ、これまでも各地域で開催しておりますワークショップ等で活用事例の紹介や実物の展示を行っております。  御提案の木製の蓋の利用につきましては、用水管理者の考えを聞くとともに、まずは他県の状況、例えば設置状況とか、どういったところで使われているのか、使用する場合のルールとか条件があるのかということを確認させていただきたいと思っております。
    147 山崎委員 モデル事業を一つつくっていただいて、そこで経年変化を確認するなどの実証実験的なことをぜひとも進めていただいて、本当にいいものかどうかを確認していただきたいと思います。よろしくお願いします。  国営農地再編整備事業は、高収益作物の作付拡大による生産性、収益性を図るモデル事業として、地元の絶大なる御理解と協力によって力強く進められておりまして、少しでも早く整備が進み、農家の経営が安定するように祈るものであります。  一方で、612ヘクタールという大変広大な農地を再編するので、地元農家の中には、同意はしたものの後継者がいないために費用負担など先行きを心配しておられる方々もおられます。先日、ある会合で農業者の方にこの話をしたところ、「そんな話があるなら、ぜひ相談してほしい。この事業は絶対に進めなければならないし、費用面でも相談に乗る。」という大変力強い言葉をいただきました。  このことから、各地区に意見集約や合意形成を円滑に行うためのコーディネーターの役割が必要だと思いました。津田農林水産部長の所見を伺います。 148 津田農林水産部長 土地改良事業は、実施に当たって受益農業者の3分の2以上の同意が必要な申請事業でございまして、申請に先立って、主に地元土地改良区の役職員が中心となって地区内の農家との話合いや合意を得ておられます。こうした合意形成には、各市町村の農村振興計画や土地利用計画及び事業費負担についての調整も必要となるため、幅広な専門知識が必要となります。こうしたことから、県では県内の市町村や土地改良区役職員を対象とした事業制度や圃場整備に係る研修会をはじめ、県の土地改良事業団体連合会と連携した換地業務に係る研修会、国と連携した概算要求や概算決定に合わせた予算説明会などを開催しております。  一方で、価値観が多様化する中、意見集約や合意形成に御苦労されている地区もあると承知しております。ただ、時間を要したとしても、しっかりと丁寧に地元で話し合うことがその後の事業を円滑に進める上では重要だと考えております。そのためのコーディネーターとしての役割を果たす人材の確保育成はとても大切なことだと考えておりますので、県としても、先ほど述べました研修会の内容を工夫するなど、土地改良事業が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。 149 山崎委員 県の皆さんの積極的な取組に期待したいと思います。  それでは、庄司委員も質問されましたが、米粉の使用増につきまして2問ほど質問をさせていただきます。  米の需要減により米価が低迷し、農業経営が立ち行かなくなり、離農が進んでいます。持続可能な農業や国土保全の趣旨からも米価向上対策は急務であります。  このため、国では米粉の普及を打ち出しており、富山県においても同様に米粉の普及に力を入れておられます。米価が上がるように米粉を普及させるには、現在生産されているコシヒカリなどの主に生産されている品種を使用して麺類やパン、パスタなどを小麦製品に置き換えることが重要だと考えています。  そのために、お隣の新潟県では、小麦粉消費量の10%以上を米粉に置き換えるR10プロジェクトとして大型需要者の開拓、幅広い需要開拓、家庭での普及、また県食品研究センターが中心となって高品質な米粉の製造方法の研究を重ねておられるそうであります。我が県においても商品開発や販路拡大支援、新たな用途開発やレシピコンテストなど、一般家庭への浸透普及に力を入れるべきと思います。  本来は農林水産部長への質問ですけども、農業経営の支援ということで、ここはぜひとも新田知事に御所見をお伺いしたいと思います。 150 新田知事 御指名いただいてありがとうございます。  米粉については、近年でん粉損傷が少ない状態で粒子を細くする製粉技術が確立され、パンや麺など小麦粉と同程度にまで用途が広がったので、全国では直近5年間の米粉使用米の需要量は1.5倍に増加しました。  本県の米粉用米の生産量は同期間で約3倍ですから、全国の伸びの倍ですね。全国平均を上回るペースで増加しています。その要因の一つは、県内の製粉会社においてこの生産技術を応用した製法がいち早く導入され、その高い品質が認知されたことが挙げられると考えております。現在、この会社ではさらなる増産に向けて準備を進めておられると聞いており、県産米粉用米の一層の生産拡大が期待出来ます。  県ではこれまで関係団体との連携によりまして、米粉の需要拡大に努めておりまして、本年度も業務用で拡大していくのが有効と考え、商品開発支援をはじめ、県内や首都圏での米粉キャンペーンによる需要拡大を図るほか、農業研究所において専用の品種の栽培試験も開始します。  さらなる県産米粉の普及に向けては、委員御紹介のとおり、新たな用途開発や裾野を広めるという意味で家庭への普及も重要と考えております。農業研究所などにおきまして加工適性に関する研究も進めるほか、主力の業務用の活用拡大を進めながら、家庭向けのレシピの開発あるいはSNSを活用した効果的なPRに努めて消費の一層の拡大を図ってまいります。 151 山崎委員 ありがとうございます。農業経営がうまくいくように、そして国土保全ができますように、ぜひとも今後も御支援のほどよろしくお願いをいたします。  県産米の需要拡大に向けて、米粉の専用品種というのがあるそうでございまして、こういった専用品種の普及、推奨についてはどのような方針を持っておられるのか、津田農林水産部長に伺いたいと思います。 152 津田農林水産部長 主食用米の需要が年々減少する中、国は小麦粉の代替となる米粉の生産拡大と専用品種の開発、普及を図っておりまして、今年3月にはパン、麺用向けの加工適性が一般品種より高い米粉専用品種として、国の研究機関が育成した9品種が示されております。  本県におきましては、これまでコシヒカリなどの一般品種による米粉用米の作付面積が需要に応じて増加しており、県産米粉を使用したパンや菓子類などの商品が進められております。  米粉用米の推進に当たりましては、先般、富山県農業再生協議会で承認されました富山県水田収益力強化ビジョンにおきまして、製粉業者や食品加工業者と連携し、需要に応じた生産を進めていくこととしており、実需者の求める米粉専用品種についての検討が必要と考えております。  こうしたことを踏まえ、農業研究所では今年度から、国が示した米粉専用品種のうち、本県で栽培の可能性がある6品種で栽培試験を開始しておりまして、収穫時期や収量、品質等の栽培適性に加え、米粉100%での製パン適性などについても検証を行うこととしております。  早期の普及に向けまして、関係団体と連携しながら、本県での栽培適性と実需が求められる加工適性を備えた品種の選定を進めてまいります。 153 山崎委員 ありがとうございます。コシヒカリ並みの単価でもし売れるものであれば、こういったものはぜひ生産拡大をして普及していくべきだと思うわけであります。高収益作物、園芸商品は人手もたくさんかかりますので、今の田んぼで米をこのまま継続できるのであればそのほうが効率がよろしいと思いますので、この米粉用専用品種がどれだけの単価が取れるものかちょっと分かりませんけれども、農業経営が安定するものであれば、ぜひとも普及をお願いしたいと思う次第であります。  続きまして、薬用植物の質問でございます。先ほど火爪委員も質問をされました。  シャクヤクやミシマサイコなど薬用植物は、高収益作物として、あるいは医薬品産業を支える原料として大きな可能性があると思っております。富山県薬用植物指導センターでは、シャクヤクを乾燥調製し付加価値を向上させるための施設整備が行われ、今年めでたく初出荷にこぎ着けました。今後のさらなる普及拡大が望まれます。  また、上市高校で栽培に取り組まれているミシマサイコは、解熱鎮痛効果があるとされ、昨日の新聞報道では、小矢部市で耕作放棄地を利用した栽培が開始されたと大きく取り上げられていました。  薬用植物の産地化に向けて浸透を図るため、県内の農業高校においても高付加価値な品種の栽培や、技術研究に取り組まれてはいかがでしょうか。有賀厚生部長にお伺いをいたします。 154 有賀厚生部長 委員御紹介のとおり、上市高校では令和4年度、主に農業を学ぶ分野を選択している生徒たちが、センターから提供した薬用植物のミシマサイコの種苗を使用して発芽率などの栽培実験に取り組まれたと聞いており、薬用植物の栽培研究に興味を持っていただいたことは意義があるものだと考えております。センターでは、これまでも県内の高校からの御要望に応じて薬用植物の種苗等の供給、栽培技術等に関する資料の提供などを実施してきております。  今後とも薬用植物の地産化に向けて関係者と連携協力して取り組むとともに、各高校に対する情報提供に努めてまいります。 155 山崎委員 普及のほどよろしくお願いをいたします。  以上で終わります。 156 川島副委員長 山崎委員の質疑は以上で終了いたしました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。  再開は3時でお願いいたします。                      午後2時50分休憩                      午後3時00分開議        五十嵐務委員の質疑及び答弁 157 瘧師委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  五十嵐委員。あなたの持ち時間は60分です。 158 五十嵐委員 最終バッターでありますので、もうしばらくお付き合いいただきたいと思っております。  今議会でも人口減少対策が議論されてまいりました。人口を増やすことは事実上難しいと思いますので、減少を少しでも食い止める努力が必要であろうと思います。そういった観点から何点か質問いたします。  総務省が発表した住民基本台帳人口移動報告によりますと、富山県は転入が1万4,109人、転出が1万5,384人で1,275人の転出超過となっています。26年連続で転出が転入を上回る状況が続き、人口減少に拍車をかけていると言えます。  過去3年分の人口移動報告を見ると、20歳から24歳の年代で転出超過数は女性が男性の2倍から3倍の数で推移しております。去年は男性が190人に対して、女性が690人と3倍以上になっているのであります。20歳から24歳の女性のうち転出超過となっているのは、22歳が最多で、20歳、24歳と続き、大学や短大、大学院を卒業、修了する年齢と重なっていると言えます。このような現状をどのように捉えているのか、新田知事の所見をお伺いしたいと思います。 159 新田知事 委員にお示しいただいた今年1月の総務省のデータでは、東京都を中心に首都圏へ20歳から24歳の方の転入超過が顕著である一方で、42の道府県においてこの年齢層が転出超過となっています。本県も転入が3,362人、転出が4,242人、880人の転出超過です。  また、高校卒業時の年齢層を含む15から19歳の方の転出入を見ますと、本県は転入が694人、転出が1,127人、こちらも転出超過が433人となっており、多くの20歳前後の若者が進学、就職を機に県外に流出し、その数は県内に流入する数を上回っている状況にあると認識しています。  若者が活躍の場を広く県外や世界に求めることを止めるつもりはありませんが、県内にあっても活躍できる環境を整え、若者が本県を選び、流入する状況をつくることが重要だと考えます。そのため、県としてはこれまで第2期とやま未来創生戦略に基づきまして、県内高等教育機関の魅力向上、産業振興と若者の雇用促進、移住、UIJターンの促進などに取り組んできています。  また、昨年2月に策定した富山県成長戦略では、次世代の価値を生む人材が富山に集積することを目指し、女性が活躍できる環境づくりに向けた経営者層を対象としたセミナーの開催、DXやデータサイエンス人材の育成強化に向けた県立大学における情報工学部の開設などに取り組むことにしています。  引き続き、若者に選ばれる県となるための施策を総合的に進め、転出超過の状況の改善に取り組んでいきたいと考えます。 160 五十嵐委員 この原因は、富山県は何といっても大学の数が少ないことにあるのではないかと思っています。  隣接県で言うと、新潟県が全国で11番目の21校、石川、岐阜県が16位の13校、富山県が下から7位の5校となっております。このため、高校卒業時に進学を希望する生徒のうち約7割が県外に進学している実態であります。  大学の新規創設は難しいと思いますが、これまでも県立大学では我々の要望もありましたが、4年前に看護学部を創設していただきました。また来年度は、今ほど話もありましたが、情報工学部を創設するなど、学部の新設、整備等の努力は認めるものであります。  今後も少子化の進む中、常に時代の要請に合った学部・学科を検討し、大学等進学時の県内定着を高めていくことが重要と考えております。新田知事にお伺いいたします。 161 新田知事 人口減少やデジタル化の進展など社会経済情勢が変化する中で、県立大学は、平成21年に環境工学科を、平成29年に医薬品工学科を設置し、工学部の定員増を図るとともに、平成31年には看護学部を新設するなど、県内外の高校生に県立大学を選んでもらえるように、時代の要請に応じた学部・学科の新設や拡充、施設の充実に努めてきました。  また、デジタル人材の育成を推進するため、令和4年にDX教育研究センターの供用を開始し、産学官連携の下、実践的な研究を通した人材育成を進めています。また、オープンな環境の中で地域の企業などと協働してものづくり、環境、製薬、看護などの分野の地域社会課題の解決に向けて取り組む場でもあり、学生にはその経験を将来にも生かせる人材育成の場にもなっています。  さらに、今後、全国的なデータサイエンティストの不足が見込まれる中、昨年8月の有識者会議でデータサイエンスの専門教育を行う学科と関連する工学部の学科を再編し、情報を軸とする一体的な教育組織の整備が望ましいとする意見がまとめられたことから、令和6年4月に情報工学部を新設することとし、新学部の開設に向け学生募集、新学部棟の整備などの準備を進めているところです。  こうした取組によりまして、大学全体が今後とも社会経済情勢や県民ニーズ、県内企業の要望を踏まえ、県立大学が県内外の高校生から選ばれる一層魅力ある大学となるよう充実に努めてまいります。 162 五十嵐委員 富山県立大学は、そういった意味で学部なり、あるいは設備等は全国に誇れる大学であろうと思っております。  県立大学工学部の新入生の県内出身者の比率を見ると、平成31年度が39.7%の141人、令和2年が43.4%の155人、令和5年が49.2%の192人と順調に増えてきていると思います。  県内出身者が入学生の約半数というこの数字をどのように評価しているのか、また学生募集のため、大学として県内の高校等に対してどのような取組を行っているのか、南里経営管理部長にお伺いいたします。 163 南里経営管理部長 県立大学の第2期中期計画では、学生確保に当たって、18歳人口の減少を見据え県外からの志望者の増加を図るとともに、優秀な県内入学者の確保を図ることとしておりまして、工学部における入学者の県内比率目標値を30%台後半と設定しております。  今年度は法人化以来最も高い49.2%を記録しましたが、これは、県内の高校に対しきめ細やかな学生募集活動を行ってきた成果であると認識しております。  具体的には、高校の担任や進路指導担当の教員による大学の紹介が高校生の進路の大きな動機となることから、高校教員OBの学生募集担当を増員し、県内高校へ手厚い訪問活動などを行っております。特に受験者の多い高校には学長が同行し、県立大学を勧めてもらえるよう教員に対して大学の魅力や特色をPRしております。さらにオープンキャンパスでは、特に評価の高い施設見学や研究室見学を拡充したほか、高校生が大学に訪問して実施する科学技術体験講座や、教員が高校に出向いて出張講義を行うサテライトキャンパスの実施など、高校生に興味・関心のあるプログラムづくりをしております。  今後とも学生に選ばれる県立大学となるよう、大学の認知度向上や学生募集の取組を県としても支援してまいります。 164 五十嵐委員 一方で、県立大学工学部の卒業生の県内就職率を見てみますと、令和元年度が学部、院合わせて49.1%だったものが、令和4年では40.8%と8.3ポイントも低下しております。特に大学院の修了生では、43.1%から26.1%と17ポイントと大幅に下がっているのが現状であります。大学院の修了生の県内定着が少なく、この点が大きな課題であるのかなと思っております。  県内企業と連携しながら県内での就職を働きかけるべきと考えますが、経営管理部長の所見をお聞きいたします。 165 南里経営管理部長 県立大学では、工学部卒業生や大学院修了生の県内就職率が低下した要因として、県外企業の採用意欲が高いこと、コロナ禍を経て企業の採用活動がオンライン上でも行われるようになりまして、県外企業への就職活動が容易になったことなどと分析しております。  特に、御指摘の大学院修了生の県外流出が加速した背景には、修了生自身に、従事する業務内容と処遇の面から県外企業を志向する傾向があることによるものと捉えております。  このため県立大学では、早い時期から学生に県内企業の情報を提供し、県内就職へとつなげるため、県内企業と連携しまして合同企業研究会の開催時期の前倒し、県内企業が毎週学内において自社の魅力、実力を直接学生に紹介する機会の提供、2年次のゼミによる県内企業訪問のほか、OBと学生との意見交換の実施などに取り組んでおります。  また、企業に対しては、学生が就職活動で重要視していることや就活時期等を情報提供する研究協力会会員企業向けの説明会を開催するとともに、新たに県内企業向け院生採用支援セミナーを開催しまして、大学院生の県内就職率の向上につなげたいと考えております。  さらに、県外出身の学生や院生の県内就職を経済的に支援するため、県内企業に就職した場合には、卒業、修了後の1年間の住居費の一部を助成しております。  県としては、より多くの県立大学の卒業生が県内に定着し、県内企業の成長を牽引するものづくり人材を数多く育成、供給し、地域に貢献できる大学となることを期待するものでして、地元企業の声を聞きながら必要な支援に努めてまいります。 166 五十嵐委員 今ほど部長がおっしゃったように、コロナ禍でやはり就職活動が様変わりしてきたということもあると思いますし、県内企業には、しっかり大学を卒業した人と院を卒業した人の処遇改善もやはりお願いしていかなければいけないのかなと思っております。  やはりせっかく富山で学んでくれて、富山で生活してくれた学生たちが何とか富山に残って、富山の企業を元気づける、あるいはものづくりに貢献していただける、そんな仕組みをしっかりとつくっていっていただきたいと思っております。  それでは続いて、県立大学看護学部についてお尋ねいたします。  県議会でも長く働きかけてまいりましたが、平成31年4月に開学しました。定員120人のうち県内の学校推薦枠は4割の48人とするなど、県内出身者の枠を優先してきたことを評価いたします。多分当時で一番高い比率だったのかなと理解しております。  過去5年間の推移を見ますと、県内出身者が平成31年が72人で58.5%、令和2年が73人で60.8%、最初の3年間は70人強の県内出身者の入学でしたが、令和4年が85人で70.2%と最高を記録しております。しかし、今年度の入学生は県内中心者が68人、56.7%と過去最低となりました。  この結果をどう受け止めているのか、また、県内の高校に対して、県立大学看護学部としてその特徴について高校生に働きかけを行っていると理解しておりますが、経営管理部長にお伺いいたします。 167 南里経営管理部長 県立大学看護学部の県内出身の入学生につきましては、平成31年度から令和3年度までは、御紹介いただいたとおり全体の約6割、そして令和4年度は約7割と高くなりましたが、今年度の県内出身の入学生は、御紹介いただいたとおり割合で56.7%となっているものの、令和3年度までの約6割に近い数値ではないかと認識しております。  今年度の県内出身者数が再び減少した理由、あるいは令和4年度が過去最高の県内出身者数となった理由については、志願倍率が年によって大きく変動していることもありまして一概には評価できないものですけれども、県立大学としては、質の高い看護人材の育成のためできるだけ多くの方に受験していただきたいと考えております。  これまでも進学ガイダンスやホームページの活用などにより大学の魅力をPRしてまいりましたが、学生の流動性の高まりを踏まえまして、県内の進学ガイダンスに積極的に参加し、今年度からは高校ごとの大学見学の際にその高校出身の県立大学の在学生から直接話を聞く取組を実施することとしております。またオープンキャンパスでは、新たに実習体験や学生による相談コーナーを設けまして、看護学の魅力や少人数教育による手厚い教育を体感してもらいたいと考えております。  今後とも県立大学看護学部が看護師を目指す学生の進学先となるよう、引き続き県立大学の学生募集の取組や教育体制の充実を図るなど、必要な支援に努めてまいります。 168 五十嵐委員 看護学部もこの春初めての卒業生を送り出したところであります。同時に、大学院専攻科も今年度から開設され、関係者も大変喜んでいるところであります。  卒業生を見ると、今年は全体で115人中86人が就職して、このうち県内で就職したのが54人で、県内就職率は62.8%でした。しかし、県内の出身者に限れば、52人中50人と96.2%と高い結果になっています。  一方、県外出身者でいえば、34人中僅か4人にすぎません。県外出身者はそれぞれの出身地の奨学金などを受けているという事情などもあるのかもしれませんが、この春の就職状況をどのように見ているのか。せっかく4年間県内で学んでいただきましたから、県内の病院などでしっかりと学んだことを生かしていただければと思っています。そういった県外出身者に県内での就職を働きかけるべきと考えますが、経営管理部長にお伺いいたします。 169 南里経営管理部長 県立大学看護学部については、平成31年の開設時より県内就職率の目標60%を掲げまして、県内定着に向けて取り組んでまいりました。  具体的には、職場の魅力を伝える機会につながる実習施設として県内134か所の医療機関等に協力いただいているほか、県内の病院や訪問看護ステーションの魅力をPRする説明会、県内の若手看護職員との交流会の開催、県内の指定施設で一定期間従事した場合、返還が一部免除される修学資金制度に県立大学看護学部生を対象とした30名分の優先枠を設定するなど、県内定着の促進に努めてまいりました。  こうした取組の結果、今年3月の卒業の進路状況は、御紹介いただいたとおりでございまして、進学者は29名、就職者は86名、県内就職が54名となりまして、県内就職率は約63%、目標の60%を上回りました。一方で、県外出身者の状況は、34名のうち県内就職4名といった状況でございます。  県立大学では、県内、県外出身者にかかわらず県内就職を促進することとしておりまして、今年度は新たに看護学部生を対象にしたキャリア支援ホームページの制作、県内の病院見学ツアーの実施、キャリアカウンセリング職員の配置に取り組みまして、県外出身者も含めて県内定着率の向上を図ることとしております。  県では今後とも、より多くの卒業生が県内に定着し、県内の医療・介護現場で活躍してもらえるよう、引き続き県立大学と連携しながら取り組んでまいります。 170 五十嵐委員 看護学部が出来たときは、県立大学の男子の学生は、専門学科は中央病院で学ぶけども、一般教養なりサークルは小杉のキャンパスでやるだろうということで、男女の出会いが増えるんじゃないかということを大変わくわくして期待をしていたと関係者から聞きました。そういった意味では、そういったアフターフォローの調査は行われていませんからどういった結果になっているのか分かりませんが、何とか県外の看護学生もしっかりと富山の男性を捕まえて、富山で生活していただければいいのかなと思っております。  どうもありがとうございました。  続いて、県内の大学の6年制薬学部に在籍する県内出身者は、昨年5月時点で356人で、2021年に続き人口比で全国最下位でありました。ワースト5の県の中で国公立の薬学部があるのは富山県だけであるのに、全国最下位にあるのは不思議に感じているのは私だけでありましょうか。  薬剤師の数は全国で増加傾向にあるのに、県内の従事者は医療機関で横ばい、製薬企業では減少傾向にあると聞きます。県が実施したアンケート調査では、公的病院や製薬企業、県の職員で募集人数の約4割から5割程度しか確保できていないと聞きます。このような現状についてどのように認識しているのか、有賀厚生部長にお聞きいたします。 171 有賀厚生部長 薬剤師の従事先には地域や業態によって偏在があることが国の検討会でも指摘されており、首都圏などと比較して薬剤師が少ない富山県では、業務が増加している薬局、病院や近年増えているドラッグストアなどにおける薬剤師需要の拡大に対応できていない状況にあるものと考えられます。
     加えて、全国の大学の6年制薬学部に在籍する県内出身者については、昨年、人口当たり全国最下位であったことから、薬学部進学者が少ないことが薬剤師確保を困難にしている一因と考えられ、大学進学を迎える中高生に向けた薬剤師の仕事や魅力のPR不足について、協議会の委員からも御指摘をいただいているところです。  県といたしましては、今年度、中高生を対象に病院、薬局での調剤服薬指導や薬事総合研究開発センターでの薬の成分分析など、薬剤師の仕事を体験していただくとともに、薬局、病院、企業での薬剤師の仕事や魅力をPRするセミナーを開催することとしております。  今後、薬剤師を志す学生を増やすためのさらなる取組について協議会において検討してまいります。 172 五十嵐委員 富山大学薬学部では、県内の高校生らに募集を限る地域枠を来年度入試から実施することになりました。  大学薬学部で地域枠を導入するのは全国で3番目と思っております。富山大学薬学部では県内出身者は2割程度と低い状況が続いていると言います。地元での就職希望の県内出身者を確保し、卒業後も地域で働いてもらうことで、県内の病院や製薬企業、行政に人材を送り込むことができることと期待されております。この導入についてどのように評価しているのか、厚生部長にお尋ねいたします。 173 有賀厚生部長 地域枠の創設は、富山大学薬学部への進学を目指す人が増加し、また将来、県内で活躍していただく薬剤師が増加することにつながるものと強く期待しております。  県といたしましても、地域枠の学生を対象とした奨学金制度の創設が、医学部の地域枠のように地域医療や医薬品業界、薬務行政などの場への定着を図る上で大変有効な方策になると考えており、先日13日の代表質問においても知事より奨学金制度の検討状況について御答弁申し上げたところでございます。  同日に開催された薬剤師確保対策推進協議会では、奨学金貸与制度の骨格として、県内の公的病院、製薬企業、または行政機関で9年間勤務した場合に返還を免除する案をお示しし、協議会の委員からは好意的な御意見、御議論をいただいております。  富山大学薬学部に地域枠が創設されるこの機会を、本県での薬剤師確保によりつなげることができるよう、引き続き効果的な奨学金制度の構築に取り組んでまいります。 174 五十嵐委員 地域枠の学生に対して富山県が奨学金制度を考えていることは大変評価いたします。9年勤務すれば奨学金の返済を免除するなど、骨格案も出てきております。今後貸与額を決めるなどして制度案を9月議会に提出すると伺っております。  しかし、地域枠の学生に対してだけでは薬剤師不足の抜本的な解消にならないのではないかと思っております。地域枠以外の県内出身者、あるいは県外出身者も対象にした奨学金制度として、一人でも多く県内定着を進め、県内の薬剤師不足を解消すべきと考えます。有賀部長の所見を求めます。 175 有賀厚生部長 先般の協議会で御議論いただいた奨学金制度の案は、大学入学時から、卒業後は県内の地域医療や地域産業に貢献する意欲が高い富山大学薬学部の地域枠学生に対して奨学金の貸与を行うことで、学生の確実な県内定着を図るということを狙いとしております。  一方、大学では、地域枠以外の学生に対しても、地域枠学生向けの県内の病院、製薬企業の見学やインターンシップを体験する地域創生型カリキュラムの受講を推奨する予定としており、こうした取組が地域での薬剤師キャリアへの理解を深め、地域定着につながるよい機会になると期待しております。  また、県外大学の薬学部生を県内へ誘導するということも重要であり、そのための取組の一つとして、今年度薬学部生を対象として実施する公的病院での短期インターンシップにおいては、県外の学生に対して交通費などを支援することとしているところでございます。  県としては、奨学金制度については、まずは地域枠学生を対象として開始したいと考えております。県内外の薬学部生をより確保できるような取組については引き続き協議会において検討してまいります。 176 五十嵐委員 今おっしゃったように、やはり薬剤師の不足を解消するというのが大前提であります。  そういった意味で、地域枠の学生だけではなくてそれ以外の学生、県外へ進学している県出身の学生に対してもいろんな制度、いろんな取組を通じて、何とか富山に戻って富山で働いていただける、まずそんな仕組みをしっかりとつくっていただきたいことを要望しておきます。  続いて、富山国際大学呉羽キャンパスの子ども育成学部の今年の入学生は95名で、このうち県内出身者は90人と94.7%を占めておりました。卒業生の就職状況を見てみると、子ども育成学部では、小学校教諭に40名、保育士、幼稚園教諭等に22名、社会福祉関係に17名で、企業等は11名、就職者90人中81人が県内で就職しております。特に、教員、保育士、社会福祉関係など、人材不足と言われている分野へ卒業生を送り出しております。  この国際大学子ども育成学部の役割をどのように捉えているのか、経営管理部長の認識を求めます。 177 南里経営管理部長 県ではこれまで、私立大学に対し学生確保、県内定着のためのオープンキャンパス、就職説明会の開催支援や開学の際の校舎や体育館の施設整備への支援など、魅力ある学校づくりに対して支援を行ってまいりました。  富山国際大学子ども育成学部については、教育と福祉の両方を学べる学部として平成21年に開設されまして、平成30年には定員を拡充するなど、地域のニーズに応えた人材を育成されておりまして、正課授業と就職、進学がリンクしていることが、教員や公務員試験の合格率や社会福祉士国家資格の合格率の高さにつながっているものと認識しております。  このように、大学の取組と県のサポートの結果もありまして、富山国際大学は、さきに述べたような人材育成、そして御指摘の若者の県内定着という点においても貢献していただいていると認識しております。  県では、富山国際大学をはじめとする県内大学が今後とも県内で活躍する人材の育成の拠点となるよう、各大学と連携協力し適切に支援してまいります。 178 五十嵐委員 その子ども育成学部の県内高校出身者90名中、高岡、砺波地区の出身者は23名で25.5%にすぎません。また、同じ呉羽キャンパスの富山短期大学の今年の入学生は264名で、県内の高校出身者は95%の249名でした。このうち高岡地区、砺波地区の出身者は30%であります。キャンパスの立地場所が県のほぼ中央にあるにもかかわらず、25%、30%と比率がやはり低いと私は感じておりまして、通学の不便さがあると考えられております。県西部地区の高校卒業生は進学を考えたとき、石川県、特に大学の多い金沢市を選ぶのではないかと思っております。  こうしたことを考えると、地元や学園がかねてから近くに新駅の設置を要望しております。これで10年がたったわけでありますが、地域交通政策の観点から、この新駅の設置要望をどのように捉えているのか、田中交通政策局長に所見をお伺いいたします。 179 田中交通政策局長 御質問の新駅設置については、富山国際学園の学生等の利便性向上や、今ほど委員からもお話ありましたが、県西部地区の高校生の通学の面などから、これまで要望されていることは承知しております。  地域交通政策の観点からということでしたので、県の地域交通戦略会議においては、鉄道会社の努力のみではウェルビーイングの向上をもたらす最適な地域交通サービスの実現は難しいといった議論を踏まえまして、自治体や地域住民の積極的な関与、参画など、地域全体で実現を目指すとされております。  鉄道駅については、都市政策と交通政策の連携が不可欠、また、まちづくりの要素として鉄道や駅を位置づけていただく必要がある、駅に拠点としての役割、機能を持たせるためには、市街化調整区域ではなく、少なくとも市街化区域にすべきなどの御意見をいただいております。  2月に戦略会議で取りまとめました地域交通ネットワークの目指すべき姿では、鉄軌道サービスの利便性等向上や駅の機能強化として、市町村のまちづくりとの連携を掲げております。また、先月開催しました交通ワンチーム部会では、この目指すべき姿について市町村の皆さんにも丁寧に説明し、まちづくりと一体となった地域交通の確保について検討、議論を進めております。  こうしたことから、新駅設置については、鉄道会社はもとより、まちづくりを進める地元市の対応が重要であると考えており、状況を注視してまいります。 180 五十嵐委員 願海寺の新駅は、かなり前に県が調査したところによると、利用者が一番多いのは去年開業した新富山口駅、そしてその前に開業した高岡やぶなみ駅でして、この願海寺は3番目の利用者が期待されるということでありました。  これまでも度々知事にも副知事にも要望をしてまいりましたが、今ほど答弁があったように、単に交通事業者の採算性を考えるとなかなか難しい面もあるかもしれませんが、まちづくりの観点あるいは県民生活のことを考えて、ここは知事を先頭にしてワンチームになってこの駅の設置を具体的な検討にしていただきたいと思っております。この問題は改めてしっかりと時間を取って議論したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  続いて、7割の方が県外に出ていくということを先ほど申し上げましたが、県内に出て行ってもいつでも帰ることができる場所として富山県を意識してもらうために、昨年度初めて県外に進学する、または就職する若者を応援する「I’m Your Home.富山県」プロジェクトを実施しました。このような取組は持続して行っていかなければならないと思います。昨年度初めて実施した「I’m Your Home.富山県」プロジェクトの具体的な取組と成果、今後どのように継続していくのか、知事政策局長にお伺いいたします。 181 川津知事政策局長 委員御紹介のとおり、昨年初めて「I’m Your Home.富山県」プロジェクトを実施いたしました。  具体的には、今年の2月下旬から3月上旬にかけて、保護者から県外へ旅立つ子供へのエールと同時に感じる寂しさなどの本音や、知事をはじめとする地域からの応援メッセージを富山駅周辺でフラッグやデジタルサイネージを掲出して発信いたしました。このプロジェクトを広く周知するためのプロジェクトムービーを製作いたしまして、特設ウェブサイトへの掲出やユーチューブ、ツイッター等のSNSを通じた配信なども行いました。  その結果、当該プロジェクトが本当に多くのメディアで取り上げられるとともに、プロジェクトムービーの再生回数が7万回を超えるなど、多くの方に共感いただくことができたものと考えております。また、SNSを中心にこんな取組をした富山県やるねと県内の若者からの見直しの言葉ですとか、富山県っていいところなんですねという県外の方からの驚きの声、実は私も富山県出身というふうに出身県をカミングアウトされる方なども出てくるなど、本プロジェクトに対する好意的なメッセージが多数投稿され、本県のイメージアップ、関係人口の創出にもつなげることができたものと考えております。  今年度は、委員からもありましたように継続ということで、富山に残る若者や新たに来県する若者も対象にし、内容を充実の上継続することとしております。  今後とも若者のウェルビーイング向上の観点、そして県全体で進学や就職を機に県外で新たな挑戦を始める県内の若者を応援し、県外に出た若者の多くも富山県との心理的なつながりを感じていただくように努めてまいりたいと考えております。 182 五十嵐委員 しっかりと継続して取り組んでいっていただきたいと思います。  大学等へ進学した学生のうち県外へ進学する学生が7割もいるわけですから、この人たちにどうやって富山に帰ってきてもらうかということがやはりこれからの県政の課題かなと思っております。  県では、本格的な就職活動が始まる3月に先立ち2月にキャリアフォーラム2023を開催したり、先週の19日にはオンラインで就活応援相談会を開催、またUターン就職活動に係る交通費をサポートする制度を創設するなど、Uターン就職の支援に力を入れてきております。  インターンシップを通じて得た学生の情報を企業が採用選考に活用することが認められたことから、今年の夏休みが事実上の就職活動開始となると見られております。  若者の都市部流出が進む中、県内企業のインターンシップを通じた人材確保への支援に、県としてどのように取り組むのか、商工労働部長の所見を求めます。 183 中谷商工労働部長 県ではこれまで、県内企業におけるインターンシップを通じた学生の採用活動を支援するために、未導入の企業に対してその実施方法を指導する実践講座の開催、県内のインターンシップ実施企業と学生とのマッチングを行うための企業説明会の開催を行ってまいりました。  今、委員からお話がありましたように、昨年のインターンシップの推進に当たっての基本的な考え方、これは文科省、厚労省、経産省の3省合意でございますが、これが改正されまして、今後大学3年生の夏休みのインターンシップで得られた学生情報を広報活動、それから採用選考活動の開始時期以降に使用が可能となるということになりました。  これを踏まえまして、今年度新たに県内企業が学生にとって魅力のあるインターンシップを行うためのセミナーを開催するなど、企業の採用力の向上を支援します。それから、県の就職支援イベント等の機会を通じて、県内外の学生に対し県内企業のインターンシップ情報をPRし、企業との交流会を開催するなど、マッチングを支援してまいります。  また、先ほど委員からもお話がありましたが、県外の学生が県内企業のインターンシップに参加しやすいように、今年度から交通費を助成する制度を拡充しましたほか、今後企業と学生とのマッチングサイトであるインターンシップナビとやまを他の関連サイトと統合しましてリニューアルして利用しやすくするということで、それとともに新たにSNSによるプッシュ型の情報発信を行うことで、県内企業のインターンシップ情報をこちら側から直接、県内外の学生に届けていきたいと考えております。  引き続き、県内企業に対してインターンシップの効果的な実施を促進しますとともに、県内外の学生とのマッチングを支援することにより、優秀な学生の確保につなげてまいります。 184 五十嵐委員 そういったあらゆる手段を通じて、何とか富山に若者が帰ってくる、そういった社会づくりを進めていってほしいなと思っております。ありがとうございました。  続いて、富山駅付近連続立体交差事業についてお伺いいたします。  富山地方鉄道の高架化事業は、令和4年度に事業着手され、先月5月に高架化事業の起工式、くわ入れ式が行われたところであります。  昨年11月定例会でも指摘いたしましたが、この間コロナ禍で資材の高騰などによりほかの県発注でも軒並み工事費が増加していることから、工事費の増嵩が懸念されております。資材の高騰だけでなく、新幹線の安全な運行維持のため作業が夜間に限られること、狭い場所、低い場所での作業が可能な特殊なクレーンが必要なことなど課題が多く出てまいりました。  11月定例会の答弁では、工事費や工期について見直しの検討を行っていると答弁されておりましたが、今現在の状況について土木部長にお聞きいたします。 185 市井土木部長 富山地方鉄道本線の高架化事業は、県が事業主体となり、工事は協定に基づき富山地方鉄道で施工いただいており、先月20日には、委員御紹介のとおり仮線の工事に続く計画線の高架化工事が始まったところでございます。  令和元年の国の認可以降、設計、鉄道事業者協議、工事を進めていく中で見直しを余儀なくされることとなったため、現在、工事費を精査しているところでございます。  これまでのところ、1つ目として、仮線工事の土砂掘削に先立つ鋼矢板の地中への圧入作業中矢板が入らなかったことから、玉石を破砕する補助工法を併用し対応しております。最大径約15センチメートルの玉石層が広く分布していたことによるもので、これを仮線と同様な土質条件としていた計画線の土留め工、くい工にも反映させたこと。2つ目として、新幹線と地鉄の仮線という2つの営業線に近接しての工事であり、双方の鉄道事業者との協議の結果、営業線の安全運行が図られるよう工事の作業時間帯、作業空間、保安対策等について措置を講じた上で施工することで了解が得られ、施工計画を見直し経費を積み上げたこと。3つ目として、鉄道の運行管理上必要な信号制御システムについて、富山駅に関する部分的な変更にとどまると見込んでいたが、システムの全更新が必要となったこと。このような増嵩要素に加え、委員御指摘の近年の労務、資材の高騰などが重なった結果、事業費は認可時の124億円から約81億円増となる約205億円になるものと見込んでおります。 186 五十嵐委員 認可時の124億円が81億円上がって205億円、165%の増加であります。武道館やテクノドームのように工事費がかかるからといって設計変更などできるわけでありませんので、この積上げは仕方がないのかなと思っています。  当初124億円のとき、連続立体交差事業ですから国が55%、事業者が5%、残りを県と市が半分ずつという計算だったと思います。当時地鉄の負担は6億円でありましたが、このうち高架下を駐車場に利用することで地鉄が受益を見込めるということで、その分1億5,000万円を地鉄が工事費を負担するということでありまして、当時の6億円の残りを県と市が支援するという話合いだったと理解しております。  これだけ工事費が上がった場合に地鉄の負担金はどのようにするのか、今現在の検討状況をお聞かせください。 187 市井土木部長 連続立体交差事業の全体事業費が増加することになれば、富山地方鉄道の負担割合は、委員御紹介のとおり全体事業費の5%と定められていることから、その負担額も増えることになります。  令和2年に県と富山市と富山地方鉄道の3者で締結した富山駅南北一体的なまちづくりに関する協定書におきましては、地鉄の受益を超える負担については、県と市が同額の支援を行うことで合意しております。  この県と市の支援は、連立事業の期間中、一時的に地鉄の費用負担が増大することで経営が圧迫を受け、鉄道事業の維持に影響を及ぼし、県民の生活を支える地域公共交通サービス低下にもつながるおそれがあることから、地鉄の経営安定化に向け実施しているものでございます。  連立事業の全体事業費の増加に伴って増えることとなる富山地方鉄道の負担につきましても、協定締結時の合意の趣旨を念頭に現在の地鉄を取り巻く状況を踏まえ、県、市、地鉄の3者で改めて調整したいと考えております。 188 五十嵐委員 調整したいといっても地鉄の負担が当面の先の負担が過分にならないように支援するという考え方だろうと思いますが、ともかくも大変大きな事業費になるわけでありますから慎重に協議していただきたいと思っております。  それで、工事費は205億円になるわけでありますが、当初、令和8年度に高架化が完成するという話でありますが、工期のほうも随分と先送りになると聞いておりますが、まずその点をお答えください。 189 市井土木部長 高架化工事の完成につきましては、玉石層が広く分布する地盤への対応のために基礎工事に時間を要することや、作業時間帯──夜間工事を基本としてございますが、その作業時間帯また作業空間の制約の中、作業効率が低下いたします。加えて、国内でも保有台数の限られた特殊なクレーンの調達可能時期を踏まえ工程を調整する必要もございます。  こうしたことを踏まえ、認可時に見込んでいた令和8年度から約2年遅れとなる令和10年度になるものと考えているところでございます。 190 五十嵐委員 地鉄の高架化が令和10年度までずれ込むとなると、そのあと仮線の撤去作業があって、それから堀川線の拡幅工事が始まるということであります。  大変先の話であって、我々が生きているかどうか分かんないようなときの話であるかもしれませんが、今の時点で、10年度に地鉄の高架化が完了した場合、そのあとの堀川線の拡幅工事が完了するのにどれぐらいの時間がかかると想定しており、この連続立体交差事業全体が完成するのは何年度ぐらいになると想定しているのでしょうか。 191 市井土木部長 連続立体交差事業に係る一連の事業としましては、地鉄高架化のほか、富山市の土地区画整理事業や鉄道と交差する都市計画道路を整備する街路事業が含まれており、その中で堀川線の拡幅整備と富山駅横断東線の新設整備が行われることとなっております。  事業主体の市に確認したところ、富山駅横断東線と堀川線については令和6年度までに詳細設計に着手する予定でございますが、工事は2路線とも地鉄高架化後の着手の予定となっておりまして、このうちアンダーパスの2車線の現道を平面化した上で4車線に拡幅する堀川線につきましては、県が牛島蜷川線の整備の際に行っておりますように、交通を切り回しながらの複雑な工程を組み上げて工期を算定する必要がございます。  こうしたことから、市のほうでは完成時期は現時点で未定と伺っておるところでございます。 192 五十嵐委員 現時点で未定と言われていることをこれ以上議論しても仕方ないなと思っておりますが、取りあえず地鉄の高架化については令和10年度完成をしっかりと守っていただきたいとお願いしておきます。ありがとうございました。  最後に、富山県武道館について質問いたします。  先日の我が会派の安達議員、瀬川議員も質問していましたが、私も同じ意見でありますが、できる限り重複を避けたいと思います。  知事は安達議員の質問に答えて、民間の資金やノウハウを活用して整備するPFI手法の導入は、事業者の選定手続で2年程度かかるとして、2027年度の開館に間に合わせる上で困難であると答弁しておられます。また、五福公園については都市計画法上の制約があり時間がかかるという答弁もありました。2027年度の開館ありきで検討しているのではないかと私には思えます。  また、大会に来る人はマイカーを利用してくる人がほとんどであるとの答弁もありました。全国大会レベルの大会は毎年あるわけではないと思います。全県レベルの大会も、例えば高校総体、中体連、剣道、柔道等の県選手権など、そんなにあるわけではありません。私は、厚生環境委員会でも指摘していましたが、大会での開催は大事だが、ふだん使いも考えることが重要だと考えております。また、これからの公共交通の利用促進を図る観点から考えると、そういった視点で考えることも場所選定にとって重要なことだと思っております。  検討委員会では、若い経済界の委員が県からのプレッシャーを感じながらも、将来を考えて五福公園が公共交通が便利だからということでいいのではないかと主張されたとも聞いております。いま一度原点に返り議論が必要でないかと考えます。  4月に基本計画の見直し検討委員会を立ち上げ、これまで2回の会議が開催され、今議会でも多くの議論がなされてきましたが、検討委員会の議論、今議会での議論を振り返り、現時点でどのように考えていらっしゃるのか、知事の所見を求めるものであります。 193 新田知事 県武道館の基本計画見直し検討委員会では、県から見直しの方向性案として、施設のコンセプトは武道競技の振興、競技力向上に寄与する施設に絞ること、機能や規模は公式大会が開催可能なものとすること、また、現建設予定地における整備費の試算を踏まえ、さらなる整備費の削減が可能となる新たな候補地として五福公園と県総合運動公園の2か所を提示したところであります。  検討委員会の委員からは、武道競技に特化することや建設地の変更について異論はありませんでした。一方で、2つの候補地については、それぞれの長所や短所などの御意見をいただきました。別に私はプレッシャーをかけているつもりは全くありませんが、その辺りは御理解いただきたいと思います。  今議会でも多くの議論をいただいているところですけども、施設のコンセプトを武道館機能に絞ること、整備費削減の方向性、令和9年度中の開館を目指すことについては一定程度御理解いただいたものと考えています。他方で、2つの新たな建設候補地に関すること、公共交通の利便性、民間活力の導入、環境への配慮に関することについては、それぞれ御意見があったと認識しております。  今後、これまでの検討委員会や今議会での御議論も踏まえるとともに、武道関係者、利用者、近隣住民などの御意見もよくお聞きした上で7月下旬に開催を予定しております第3回の検討委員会に基本計画の見直しの案をお示ししたいと考えております。  その上で検討委員会で御意見をいただき、夏頃をめどに基本計画の見直し案を取りまとめまして、令和9年度中の開館を目指して最大限努力してまいりたいと考えております。 194 五十嵐委員 この間の日曜日、北日本新聞は1面で取り上げておりました。「県武道館いつどこに」とあります。その中を読んでいると、今の富山県武道館を利用している子供が剣道教室に通っている母親は、自分で電車やバスに乗って来る子もいる。富山市中心部のほうが助かる。また、柔道教室に子供がいる男性は、今の利用者の意見も聞いてほしいという意見も言っています。また県西部の剣道指導者は、まず武道館の主目的を明確にすべきではないかと、大会ありきなのか、武道の普及振興なのか、立地場所が使い方によって変わるというような意見も出されております。  また今議論となっている五福地区の振興会の役員が集まられて意見交換もしております。その中で出た意見は、渋滞が問題となっているが、肌感覚ではなく明確なエビデンスを調査すべきではないか。住民感覚として、平日の朝8時前後と夕方6時前後には富山高岡線は渋滞するが、武道館利用者がメインとなる時間帯は渋滞しないのではないか、土日は渋滞しない。公共交通の利便性について、総合運動公園と五福公園のバス、JR、地鉄などの総合的な交通の利便性を比較してほしいという意見も出されております。  例えば公共交通でいえば、総合運動公園は国道41号線を走るバス路線だけであります。1日で約50本強だったかなと思います。一方、五福のほうは岩瀬からも南富山からも路面電車一本で来られます。また、県東部、県西部の人たちは、あいの風とやま鉄道を使って富山駅へやってきて、そこから路面電車で五福へ行ける、そんな場所でありますし、また県西部の人があいの風とやま鉄道だけでなく、高岡、また小杉、そして射水の新港西口からもバス路線が県道富山高岡線を走って五福スポーツ公園の本当に近くにバス停があるわけであります。そういった声が出ております。  私としてどちらに決めろというわけではありませんが、そういった多くの皆さんの意見を聞いていく。今現在、そういった富山県武道館を利用している人たちの声を聞いているのかどうかも含めて、知事に再答弁を求めます。 195 新田知事 極力いろいろな方の御意見を聞くようにしておりますが、それらを集約するのが検討委員会の場であろうかと思います。そういういろんな声の入るような方を委員として人選をしているところでございます。  今の委員の御意見も十分に受け止めながら、今後検討委員会の議論をしっかりと見極めてまいりたいと思います。その上で総合的に判断をして様々なことを決めていきたいと考えております。 196 五十嵐委員 やはりこれからの富山県の重要な政策は、公共交通をどのように活用したまちづくりをしていくかということが重要な施策の一つであろう思っております。そういった意味で、その辺もしっかりと考えて結論を出していただきたいと思っております。 197 瘧師委員長 五十嵐委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本委員会の質疑は全て終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し深く敬意を表します。  これをもって令和5年6月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。  お疲れさまでした。                      午後3時58分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...