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  1. 富山県議会 2023-06-01
    令和5年6月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                      午前10時00分開議 瘧師委員長 皆さん、おはようございます。  ただいまから、6月定例会予算特別委員会を開会いたします。  本委員会の運営に関し、理事会で決定した事項は既にお配りしてありますが、ここで特に質問者に申し上げます。  持ち時間は答弁を含めて60分ということになっております。その具体的な取扱いについては、理事会確認事項として、既に皆様方にお配りしている資料のとおりでありますので、留意の上、質問されますよう、改めてお願いいたします。  また、答弁者においては、簡潔な答弁に留意され、円滑な委員会運営に御協力いただきますようお願いいたします。  なお、委員席につきましては、ただいま御着席のとおりにしたいと思いますので、御了承願います。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        大門良輔委員の質疑及び答弁 2 瘧師委員長 大門委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 大門委員 おはようございます。  予算特別委員会初日トップバッターを務めさせていただきます大門良輔でございます。改めて、2期目としてこの場に出させていただきまして、感謝申し上げます。  また、皆さんも今日新聞を御覧になったと思いますが、山本議長が全国議長会の会長に就任されました。山本議長はこの場におられませんが、誠におめでとうございます。山本議長におかれましては、富山県から全国へと、これまでやってきたことを発揮され、大活躍されることを期待申し上げたいと思いますし、私たちも、全国に山本議長ここにありと言ってもらえるようにしっかりとサポートをしていきたいと思っておりますので、知事はじめ県当局の皆様、そして特に議会事務局の皆様、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、質問に入りたいと思います。  富山県の人口が100万人を切るのが目前となり、人口減少、少子高齢化のしわ寄せが、教育であったり、医療であったり、いろんな分野に出てきているところであります。この人口減少社会をどのように食い止めていくのかが大きな政治課題だと思っております。  私の持論ではございますが、大都市を抜いて人口が増えているエリアに共通点があると思っておりまして、1つが子育て支援がしっかりしているところ、2つ目が働く環境がしっかりしているところ、そして3つ目が交通の利便性がよいところだと思っております。  例えば兵庫県の明石市では、子育て支援が日本一だとうたっておりますし、働くところも大変充実をしております。そして、神戸市の隣ということもあり、交通の利便性がよいなど、そういった要因から人が集まり、子供が生まれているものだというふうに思っております。  よって、今回は子育て支援、富山県の産業、そして交通と、限られた時間の中で質問していきたいと思っております。
     まずは子育て支援であります。  今回、岸田内閣からこども未来戦略方針が提出され、人口減少の反転攻勢に向けて、ラストチャンスということで閣議決定されました。その基本理念は、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造・意識を変える、全てのこども・子育て世代を切れ目なく支援するとされ、細かな施策が示されたところであります。  新田知事も、日本一の子育て環境をつくるんだと今議会でも言っておられ、私も大いに賛同しますし、本気で実現に向けて共に歩んでいけたらと思っております。  その中で、こども未来戦略方針をどのように捉えておられるのか。また、各県では、例えば大阪では高校の教育を無償化にしていこう、東京では18歳以下の子供に毎月1人5,000円を給付するなど独自色を出しております。  富山県の子育て環境の強みをどのように捉え、独自色を出していこうと考えておられるのか、新田知事にお伺いをしたいと思います。 4 新田知事 答弁に先立ちまして、私からも一言申し上げます。  先ほど大門委員から御紹介がありましたとおり、山本徹、我らが議長が、全国都道府県議会議長会の会長に就任されました。心からお祝いを申し上げます。山本議長の持ち前の行動力とリーダーシップを存分に発揮され、地方自治の発展にお力添えをいただきたいと切に願っております。  国のこども未来戦略方針において、児童手当の拡充、保育サービスの充実など、多くのこども・子育て施策が盛り込まれたことは歓迎したいと思います。また、この方針で示されました全国一律で国が行う施策と、地方がその実情に応じてきめ細やかに行う施策が組み合わさることで、より効果が発揮できるものと思います。  本県の子育て環境の強みということでしたが、まずは保育所の待機児童がゼロ、保育所等の入所率は80.2%ということで全国2位であります。また、延長保育の実施率が82.0%と高くなっております。このように、保育が受けやすい体制が整っていると自負しております。さらに、小学生の居場所となる放課後児童クラブや、放課後子ども教室などの実施率がほぼ100%となっておりまして、育児と仕事が両立しやすい環境が整っていると認識しています。  今年度は、妊娠時から出産時にかけての支援を強化するため、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う新たな子育て支援ポイント制度の創設、また、プレ妊活健診への支援、民間企業が行う産後ヘルパー人材確保への支援、子育て家庭がお出かけしやすくするための民間施設サービスへの支援など、市町村や地域、企業と連携した子育て支援に取り組むことにしています。  今年度、新たに「ワンチームとやま」連携推進本部会議の中で、全市町村と新たな子育て施策について協議をしているところであります。本県の独自色ある施策を打ち出すことができるように取り組んでまいります。 5 大門委員 ありがとうございます。  今、まさしく知事が言われるとおり、国の示す方針、施策と、やはり地方の動きが相まって、初めてその地域の子育ての環境がよくなると私も思っております。  やはり、国に先立って何をしていくかがこれから大変重要になってくるのかなと思っております。今ほど言いました富山県の強み、いろいろあると思いますが、これからまた知恵を絞り出して、富山県の先進的な取組を強めていただけたらと思っておりますので、また共に頑張ってまいりましょう。よろしくお願いをいたします。  その子育て支援の中で、病児保育についてお伺いをしたいと思います。  これについては何度か議会でも質問をしておりますが、病児保育は共働きをする家庭のセーフティーネットであります。現在、各市町村で病児保育が立ち上がり、県でもネットで使用状況が分かったり、予約ができるシステムを導入するなど、環境は整ってきていると感じております。  ただ、利用する側のニーズとして、市外で働く職場の近くに病児保育の利用が可能であれば、もっと利用しやすいという話を伺います。  その中で全国を見てみますと、病児保育の広域化が徐々に導入されている県が増えてきております。また、福岡県では、病児保育の利用に対して1回2,000円の補助を出すなど、利用しやすい環境を整えてきております。  富山県は、富山広域圏の富山市、滑川市、立山町、上市町、舟橋村であれば、もう既に広域化ができている状況にありまして、これを富山県全体に広げていただきたいと考えておりますが、現在の検討状況につきまして、松井こども家庭支援監にお伺いをしたいと思います。 6 松井こども家庭支援監 県では、病児保育の利用者の利便性を図るため、今年度新たに、病児保育施設がインターネットで予約受付ができるシステムを導入する際に、支援する制度を設けることとしております。また、さらなる利便性の向上のため、今ほど委員御発言のとおり、居住市町村にかかわらず子供の受入れが可能となるよう、病児保育の広域連携が必要と考えております。  施設を利用される方々からは、通勤途中や職場近くの施設の利用を希望する声もお聞きしておりますが、広域連携を推進するためには、病児保育事業の実施主体である市町村の御理解と御協力が必要となります。このため、現在、各市町村に対して、病児保育の実施状況や広域受入れについての考え方などの意向調査を実施しております。  今後、その調査結果を踏まえまして、広域受入れの連携方法や実施時期などについて、市町村と共に鋭意検討してまいります。 7 大門委員 各市町村は前向きに捉えているのかなという印象を受けました。ぜひ実現に向けて動いていただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。  こども未来戦略方針の中に、「医療的ケア児等の支援基盤の充実」という文言も入っておりました。  医療的ケア児が保育園を卒園して小学校に上がり、支援学校に通っております。また、支援学校に通う医療的ケア児はまだそんなに多くはありませんが、統計を見ますと、今後増えてくることは間違いないことであります。  その中で、通学のバス問題があります。支援学校では、広域で子供たちを受け入れているため、御家庭から学校まで遠い子供は、学校のバスで通学をしております。ただ、医療的ケア児に至っては、何かあった場合、看護師の処置が必要なため、バスに看護師を同乗させる必要があります。  しかし、現在の体制では看護師がバスに同乗できないため、医療的ケア児はバス通学ができず、親御さんが毎日送迎をしております。例えば、片道30分であれば往復1時間というようなことであります。これは遠足のバスも同じだそうです。  もちろん、何かあった場合のマニュアルや責任の所在などを検討していかなければならない課題はあると思っております。  しかし、医療的ケア児の御家庭は子供を付きっきりで見ているため、母親が働きに出たいけど働けず、父親の収入だけで苦しい生活をしているケースが多くあります。もちろん、独り親家庭の支援も受けることができていません。このバス問題をクリアできれば母親も働くことができ、生活も安定します。  他県の状況を見ますと、医療的ケア児が安全に送迎できるように課題を洗い出し、実施している県があります。  ぜひとも、富山県も医療的ケア児が安全に送迎できるように課題を洗い出し、前に進めていただきたいと思いますが、荻布教育長に御所見をお伺いします。 8 荻布教育長 県立の特別支援学校に在籍し、自宅から通学している医療的ケア児は近年増加傾向にありまして、本年の5月1日現在で47名であります。  安全・安心に通ってもらえるよう、看護師の配置や指導医、指導看護師による学校への指導助言など、体制の充実を図っているところです。  今ほどお尋ねのありました特別支援学校で運行する通学バスについてでございますが、医療的ケア児の利用も可能とはしておりますが、運行途中で医療的ケアを必要とする場合には、バスを安全に停車できる場所までの移動や医療的ケアの実施に時間を要すること、また、御紹介のあったように、看護師の配置といったようなこともございます。そうしたことから、通学バスの利用には、バス内での医療的ケアが必要でないことを現在は条件としております。こうしたことから、通学バスを利用する医療的ケア児はいないというのが現状であります。  医療的ケア児が利用できる通学車両の運行については、例えば東京都のように、医療的ケア児専用の通学車両を、同乗する看護師を確保の上、運行している例もございますが、本県で同様の運行を実施しようとする場合には、対応可能な車両と看護師の確保というのが課題になってくるものと考えております。  なお、他県では、保護者が利用された福祉タクシーや、訪問看護ステーションなどの看護師による送迎に対して補助を行って、保護者の負担軽減を図っている例もあると承知しております。  こうした他県の取組も参考にしながら、今後とも医療的ケア児の通学支援について研究をいたしますとともに、特別支援学校の児童生徒が安心・安全に通学できる環境づくりに努めていきたいと考えております。 9 大門委員 ありがとうございます。  今、教育長から話があったとおり、東京都では、たしか88台のこういう医療的ケア児の専用バスといいますか、介護タクシーですよね、それを改造したものを利用してやっていると伺っております。もちろん、看護師が同乗しなければいけないということで、人員的なもの、そして介護タクシーを借り上げるということですごくお金がかかると。本当に人員的にもお金的にも大変なことだと思っております。  ただ、やはりその子供たちであったり、その御家庭を守るのは、私は政治の役割だと思っておりますし、何とかそういった厳しい御家庭に対しての支援を検討していただいて、実現に向けてお願いできたらと思っております。よろしくお願いをいたします。  それでは、富山県の産業政策の推進についてお伺いをしてまいりたいと思います。  富山県の産業は、豊かな水資源を利用し、水力発電をつくり、安い電力を利用して工場誘致に力を入れ、ものづくりの県として発展してまいりました。このすばらしい環境をつくっていただいた先人に感謝しつつ、この富山県の産業をどう維持発展させるかが大きな課題だと思っています。  その成長の鍵の一つに、デジタル化など情報通信産業があると私は思っております。デジタル化が進むことで企業の効率化が図られ、生産性の向上や情報通信の産業が広がれば、女性の働く場所の創出にもつながると思っております。  今、県でも大学に情報系の新たな学部をつくり、人材を育てる動きもあれば、情報系の企業誘致にも力を入れており、企業のデジタル化が進むことで、富山県の情報産業の裾野も広がると思っております。  その中で、ビヨンドコロナ補助金のデジタル枠や生産性向上枠で、企業のデジタル化の動きも一歩前進したと思っております。  デジタル化は段階がありまして、まずは未着手の企業、そして1段階目がデジタイゼーション、業務のデジタル化です。2段階目がデジタライゼーション、デジタル化で新たな価値やビジネスモデルをつくることとなっております。そして、3段階目がデジタルトランスフォーメーション、この言葉はよく聞くんですけれども、これはデジタル化によって組織やビジネスモデルが変革していくことであります。  まず、富山県において、デジタル化に未着手の企業、そして1段階目から3段階目の企業の割合がどのようになっているのか、また、ビヨンドコロナ補助金デジタル化の成果をどのように捉えておられるのか、中谷商工労働部長にお伺いをいたします。 10 中谷商工労働部長 県内中小企業が、少子高齢化に伴う人材確保、それから業務効率化等の課題に対応し、事業を継続、発展させていくためには、デジタル技術を十分に活用して生産性を向上させることが大切であると考えております。  昨年夏に実施をされました県IoT推進コンソーシアムの非会員──IoT推進コンソーシアムはみんな頑張っている人たちだけなので、その非会員に対するアンケート調査の結果では、回答がありました154社のうち、半数以上でIoT、AI等のデジタル技術の導入予定がないとされております。また、導入を検討している企業においても、導入費用の確保、自社課題の把握・抽出、人材の確保育成などに課題を抱えておりまして、まだまだデジタル化が十分に進んでいないと認識しております。これはただ、去年の夏のアンケート結果でございます。  こういうこともありまして、県では、ビヨンドコロナ補助金によりデジタル化の設備投資等を支援してきております。昨年度の第1次、第2次募集では822社において、デジタル化、DXの目的で活用されております。具体例としましては、テレワーク環境の整備、モバイル機器の導入による業務効率化、財務、給与や販売、施工管理システムなどのデジタル化オンライン商談の推進やECサイトの構築などがありまして、県内企業のデジタル化の推進に一定の効果があったのではないかと考えております。 11 大門委員 ありがとうございます。  今、去年の夏では50%、そして、このビヨンドコロナ補助金の後には、着手を始めた企業が8割ということで、一定の効果があったのかなと思っております。  先ほど言いました、1段階から2段階目、3段階目の割合は分からないということでよろしいですか。 12 中谷商工労働部長 すみません。なかなか定義も難しく、そこまでの調査は行っておりません。 13 大門委員 分かりました。ありがとうございます。  ある程度、その未着手の企業が一歩目を踏み出したということは大変よかったと思っておりますし、残り2割の企業を着手させようというのは、本当に大変なことだと思っておりますが、やはりそういった企業に対して、これから伴走支援というものが必要になってくると思っております。  未着手の企業は、このデジタル化がどうして必要なのかということを理解していただくことが必要でしょうし、着手をした企業がより次の段階に行くためにも、やはり理解増進といったことが必要だと思っております。  北海道の網走市では、DXアドバイザー事業を商工会議所で行っておりまして、企業に出向き、DXのよさややり方を指導して回っている事業を行っております。  現在、富山県は、新世紀産業機構で、どちらかというと相談に来た会社に対しては相談に乗るというような印象を受けておりますが、今後、情報通信産業の裾野を広げていくためにも、網走市のDXアドバイザーのように、積極的に企業に出向いて伴走支援を行えるような体制をつくり、デジタル化について強化をしていくのも一つかと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。 14 中谷商工労働部長 先ほどのビヨンドコロナ補助金については、デジタル化、DXの目的で活用されたのが822社でありますので、割合は、御答弁はちょっとできていないということで。  その上で、企業がデジタル化に着手され、さらにデジタルツールから得られたデータ等を活用して生産性の向上につなげていくためには、知識、経験を有する専門家によるサポート体制が必要であるというふうに認識しております。  このため県では、今、委員からお話がありましたように、県の新世紀産業機構デジタル化相談窓口の設置を支援しております。コーディネーターが、デジタル技術の導入や本格展開に当たり相談に応じておりますほか、出前講座として、現場でIoT機器を体験してもらいながらデジタル技術導入の重要性、進め方の手順についてアドバイスをしております。  また、実際導入するに当たりましては、指導者を企業に派遣し、生産性向上に向けたデジタル技術の導入や設備稼働データの活用方法など、各企業に適した現場改善を提案しているところでございます。  また、県のIoT推進コンソーシアムにおきましては、今年度新たに各企業の課題を発掘し、解決につなげるための研修講座を開催することとしております。課題の抽出段階から、県内のIT企業に支援パートナーとして協力いただき、参加企業の課題に応じたデジタルツールの提案や導入後の活用方法等を一緒に検討していくということをやっていきたいと考えております。  さらに、各企業の従業員にDXサポーターになっていただいて、そして県の支援制度の周知を図るとともに、県や各企業のネットワーク化による情報交流などを通じて、県内企業のデジタル化、DXを推進していきたいと考えております。また、今お話ありましたが、県内の商工団体においても、やはり出向いてアドバイスをするという支援が行われております。  こういったこととも連携をいたしまして、県内中小企業に寄り添った支援に努めてまいりたいと考えております。 15 大門委員 今、まさしく人手不足であり、2024年には働き方改革関連法の適用ということで、長時間労働ができなくなってくるというような課題があります。やはりそういった中で必要になってくるのがデジタル化という一つの手法だと私は思っております。  もうすぐ働き方改革もスタートしていきますし、やはりそういったデジタル化というものを少しでも加速させるように、また力をいただけたらと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  トラックドライバーの話をしますが、今ほども言いましたが、その働き方改革関連法というのが物流業では2024年4月に施行され、トラックドライバーの長時間労働の上限が年960時間となります。これは、トラックドライバーの労働環境は長時間労働の慢性化という課題を抱えており、トラックドライバーの労働環境をよくしていこうという狙いがあります。  ただ、私は、影の部分も存在すると思っています。一つが、運送、そして物流業者の売上げ、利益が減少することであります。一度で運べる量が減少するため、運賃を上げていかなければ売上げが減少し、運送業界は働きやすくなる反面、利益確保は難しくなると思っています。  また、製造業に対する打撃も大きいと感じています。運賃がこれまで以上に倍ほどかさみ、価格転嫁せざるを得ず、地方に行けば行くほど企業間競争が不利になるのではないか、また、ひいては地方における企業誘致にも悪影響が出るのではないかと心配する声も伺うところであります。  今回の6月補正で、運送業者の人員確保に向けた予算が確保されたところではありますが、トラックドライバーの働き方改革による、県内産業における懸念点をどのように捉えておられるのか、また、2024年に向けてこの懸念点をどのように払拭させていくのか、中谷商工労働部長に伺います。 16 中谷商工労働部長 いわゆる2024年問題でございます。国の有識者による検討会によれば、このまま何も対策が講じられない場合、2030年には輸送能力が約34%低下すると推計されております。  本県においても、経済活動の減速、物流事業者の売上げ減少、それから配送料の高騰というのが懸念されるというところは、今、委員御指摘のとおりかと思います。  こうした中で、去る6月2日に国の関係閣僚会議におきまして、物流事業者、荷主事業者、一般消費者が協力して、我が国の物流を支える環境整備を図るために、物流の負担となる商慣習の見直し、それから物流の効率化、荷主・消費者の行動変容に係る抜本的、総合的な対策が物流革新に向けた政策パッケージとして取りまとめられたところでございます。  県では、毎年度、運輸事業振興助成交付金を県のトラック協会に交付しまして、ドライバーの健康、労務管理、トラック運送事業のPR活動など、業界振興のための様々な取組を支援しているところでございます。これに加えまして、今、委員からお話がありましたとおり、今回の6月補正予算案には、トラック運送業や倉庫業などの物流事業者だけではなく、荷主事業者、それから消費者などの皆さんに幅広く課題を認識していただく、そして必要な取組を促進していくために物流効率化支援事業を計上しております。  具体的には、物流事業者や荷主事業者による──これは物流の事業者だけではなくて荷主も含めてです──物流生産性の向上を図る取組、それから、今お話がありました担い手確保、女性活躍のために環境整備をする、それから適正な価格転嫁、今お話がありました価格を転嫁していく、それから輸送円滑化に係る関係団体の啓発、広報活動──これは、一般の消費者の方にも御理解をいただく必要があるということで──、そういうものを支援していきたいと考えております。  今後さらに、今、国の政策パッケージがこれから順々明らかになってくると思いますので、そういったものも踏まえまして、国の関係省庁、物流事業者、荷主事業者、関係団体、それから消費者の皆さんと共にこれらの課題に対応してまいります。 17 大門委員 ありがとうございます。  物流業者、荷主事業者、共に効率化を図るなど、そういった国のパッケージが示された部分もあれば、今から出るというようなことだと思っております。大変懸念をしておられる企業の方々がたくさんおられる印象を受けておりますので、ぜひそのパッケージを生かしながら、働き方改革後もスムーズに、県内産業が停滞しないように、またお力をいただけたらと思っております。よろしくお願いをいたします。  続きまして、地域未来投資促進法についてお伺いをしたいと思います。  これは、常任委員会のほうでも質問したわけですけれども、改めて質問したいと思います。  委員長、ここで資料の提示の許可をお願いしたいと思います。 18 瘧師委員長 許可いたします。 19 大門委員 パソコンでデータを見ていただけたらと思うのですけれども、地域未来投資促進法は、地域の特性を生かして高い付加価値を創造し、地域経済を牽引する事業への積極的な投資を後押しすることを目的としまして、認定された企業は地域未来投資促進税制として特別償却など優遇措置を受けることや、農地転用ができない地域でも農地転用が許可されるものとなっております。この計画は、各都道府県や市町村で計画を策定し、それぞれの地域の考え方で進めることができます。  今、デジタルサイネージに出ているのは富山県の計画になっております。その中段辺りに、富山県の承認要件と書いてあるところが富山県の項目となっておりまして、7項目あるわけですけれども、どれもものづくりの内容となっております。  これは委員会でも同じ質問をさせていただいたわけですけれども、ちょっとおさらいとして、地域未来投資促進計画のこれまでの投資額や、生まれた雇用の人数などの成果について、中谷商工労働部長にお伺いをしたいと思います。 20 中谷商工労働部長 地域未来投資促進法は、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者に対して、相当の経済効果を及ぼす地域経済牽引事業を促進することによりまして、地域の成長発展の基盤強化を図ることを目的として、平成29年7月に施行されました。  本県では、今お話がありましたとおり、7つの分野──一つは医薬品関連産業、電子デバイス関連産業、機械・金属や高度技術・新素材技術の集積を生かしたものづくり産業、デザイン人材を活用したクリエーティブ産業、情報通信技術関連産業、食料品・飲料製造関連産業、物流関連事業において投資を支援してまいりました。この結果、令和5年5月末までに、計画をつくったときの目標は54件としていたのですが、それを上回る121件の地域経済牽引事業計画を承認し、実際の成果ではちょっとまだ捉えられませんが、計画ベースでは総投資予定額が約2,629億円、雇用予定数は1,850人となっております。一定の成果があったものと考えております。 21 大門委員 ありがとうございます。  121件の申請で2,629億円の投資を促し、1,850人の雇用を生んだとされておりまして、一定の成果はあったと思っておりますし、ものづくりの富山県として大きく発展できたと思っております。  しかし、他県と状況を比べますと、富山県の品目はものづくりに特化をしておりまして、品目の幅が少ないと思っております。  次の資料を見ていただきたいのですけども、これは新潟県の資料となっておりまして、この中段のほうに新潟県の項目が示されているところであります。そこには、富山県にない観光であったり、スポーツ、文化、まちづくり、環境エネルギー、教育、農業などが入っておりまして、今、富山県はこれから、例えば農林水産の輸出を増やしていこうとか、今後、インバウンド需要をもっともっと増やしていこうと言っているにもかかわらず、このような成長が期待される分野が入っていないのは違和感を感じます。  今後、令和5年7月を目途に、国のほうでは新たな基本方針が示されるとなっておりまして、それを受けて、富山県では地域未来投資促進計画の見直しを行うと伺っております。  本来であれば、この質問は、農業のことなら農林水産部長であったり、観光のことなら地方創生局長にお伺いをしたいところですけれども、ここは代表として、知事に地域未来投資促進計画の分野の拡大の必要性についてどのように捉えておられるのか。また、富山県は各市町村単位での細かな計画はありません。市町村の実績に合った地域未来投資促進計画もあってもよいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。 22 新田知事 地域未来投資促進法に基づきます本県の基本計画は、先ほど中谷さんからも答弁しましたが、医薬品や電子デバイスなど本県の強みのあるものづくり産業を中心に7つの分野を設定しています。  一方で、令和4年2月に策定した県の成長戦略においては、ものづくり産業だけではなくてまちづくりあるいはブランディング、観光など幅広い分野において、新たな製品、サービスの創出や、新しい価値を生み出す地域づくりを進めることにしています。  本県の基本計画は平成29年9月策定ですが、今年度末までが期限となっています。現在、新たな基本計画の策定に向けた作業を行っていますが、次期計画の策定に当たっては、高い付加価値をつくり出し、地域経済を牽引するような民間事業者の投資を幅広く呼び込むために、委員に御提案いただいたとおり、対象分野についても拡大する方向で見直します。  また、基本計画については、県と市町村が共同して策定することとされていることから、策定に当たっては市町村の意見を伺うこととしていますが、県全域を対象とする計画とは別に、特定の地域に限定して市町村が主体となって計画を策定することも可能であり、一部の市町村、例えば南砺市、あるいは委員の地元の滑川市においても独自計画の策定を検討中と聞いております。  県としては、市町村の意見を踏まえて、県全域を対象とした計画を策定する一方で、各市町村において、より特性や強みを生かした計画の策定を目指される場合にはしっかりと協力をしてまいりたいと思います。
    23 大門委員 ぜひ、計画の幅を広げていただいて、民間企業の投資を促していただきたいと思っております。  例えば、福井県では各市町村のそういった計画もありまして、面白いところが、恐竜に関することと書いてありました。やはり独自色というのもあると思いますので、そういった意味でも市町村とまた話し合っていただいて、新たな計画をつくっていただき、富山県の産業の発展に寄与していただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  続きまして、北アルプス横断道路についてお伺いをしたいと思います。  この構想は、隣接している県ではありますが、道路で結ばれていない富山県と長野県を道路で結び、物流や観光に大きな影響を与える夢の構想であります。この構想は何年も前から話をしていますが、3ルートを1本に絞ることができないということで前に進んでおりません。  先日国会で、上田代議士がこの構想について初めて国会の場で質問をいたしました。そこで分かったことが、長野県議会でこの構想について一度も質問は挙がっていないこと、そして長野県の国への要望にもこの構想が挙がっていないということであります。これは大変ショッキングな事実でもあり、この構想は富山県側の一方的な片思いということが分かりました。  このことは、先日、新潟の北陸地方整備局でも話が挙がり、上田代議士が国会の場で初めて質問したのは大きな一歩であり、ルートの選定も国として研究をしていかなければならないと言っておりましたが、やはり長野県側からもこの構想に対して大きな要望なり、熱意がなければ、実現に向けて前に進まないと言われてしまいました。  今度、北アルプス横断道路構想推進会議で、長野県側の国会議員の先生も呼びまして、機運醸成を図る予定にしておりますが、ぜひ富山県としましても、長野県側に北アルプス横断道路の必要性についてアプローチしていただきたいと思いますが、新田知事に御所見をお伺いします。 24 新田知事 北アルプス横断道路が実現すれば、長野県だけではなくて、首都圏とのアクセスも向上し、物流の効率化、産業の活性化や観光振興などに大きく寄与する、大変に夢のある構想と理解をしております。  本県では県の総合計画のほかに、令和3年6月に策定した富山県新広域道路交通計画において、構想路線と位置づけています。この構想の実現には、長野県との連携を強化し、両県、そして両県の関係市町村の機運を高めていくことが大切と考えておりまして、その上で、両県を結ぶこの横断道路の必要性についてコンセンサスを得る必要があると考えます。  このため県では、今年5月に、土木部において長野県の道路部局と事務レベルでの意見交換を実施しました。北アルプス横断道路構想の内容や、これまでの経緯などについて説明をしました。今後も継続して意見交換を実施していくこととしています。  また、長野県との連携については、観光や産業をはじめ、幅広い分野での交流を深めて、県レベル、地域レベル、市町村レベルのそれぞれにおいて強化していくことが大切だと私どもも思っております。  県としては、北アルプス横断道路構想推進会議と連携協力して、本県と長野県、また、双方の市町村間における交流が深まるように国交省、長野県、関係市町村とも意見交換しながら、構想の実現に向けて息長く取り組んでまいります。 25 大門委員 ありがとうございます。  5月に長野県側と意見交換をしたということであります。多分、恐らくこれは毎年やっていることの一つではないのかなというふうにも思いますが、そういった中でも、長野県側からは国への要望であったり、ルートも絞れていないというのも一つ要因にあったかと思っておりますが、まだこの構想に対して一歩踏み出そうというようなアクションは見えてこないという印象を受けております。  本当に私たちの努力不足と言われればそれまでなのかもしれませんが、この構想を富山県側と長野県側で共に歩めるように、またお互い力を出していただけたらと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、豊かな海づくりについてお伺いをしていきたいと思います。  今年のホタルイカは例年と比べましてかなり不漁となっております。現時点での富山県の漁獲量は418トンでありまして、これは例年の30%となっておりまして、ホタルイカ漁がメインとなっております滑川漁港では本当に苦しい、苦しい年でありました。  この状況はホタルイカに限ってではなく、ほかの魚種でも同様に魚が獲れなくなってきております。その原因の一つとして、海水温の上昇であったり、魚種の回遊が変わったことや海底の砂漠化などが挙げられます。  富山県としてブランド化をしていきたい「すし」ですけれども、やはり魚が獲れなくなっては元も子もないと私は思っております。漁師や小売業者、加工業者の皆さんも口をそろえて、魚がいない、魚が高くなってきているというふうに、朝市に行きますと苦しい声ばかりお伺いをし、不安の色を隠せません。人口減少問題も黄色信号となっておりますが、魚の減少問題も黄色信号となっていると私は思っています。  まずはこの状況をどのように捉えておられるのか、津田農林水産部長にお伺いをしたいと思います。 26 津田農林水産部長 近年の本県の沿岸漁獲量は、年による変動はあるものの、2万トン前後で推移しておりますが、傾向としては緩やかに減少しており、魚種ごとの漁獲量の変動も大きくなっております。  本県では定置網漁業が主体で、回遊する魚介類の来遊状況によって漁獲量は変動いたしますけれど、大幅な減少は漁業経営の不安定化につながり、特にホタルイカのような本県を代表する魚の場合は、水産加工などの事業所にも大きな影響を及ぼすと考えております。  一般的に、魚介類の不漁要因としては、委員から御紹介がありましたとおり、海水温上昇による魚介類の回遊ルート、それから、藻場の磯焼けなどによる生息環境の変化のほか、魚種ごとの資源状況、例えば漁業者によるとり過ぎとか、そういった様々な要因が考えられ、その解明には県レベルだけではなく、全国的な取組が求められるケースもございます。  例えば、ホタルイカにつきましては、日本海沖合での回遊ルートや群れの大きさなど不明な点が多いことから、国においては、令和3年度から資源量の調査や評価が行われているほか、現在、県の水産研究所におきましても、コンピューターシミュレーションにより、来遊条件に関する調査を行っております。  引き続き、富山湾の漁獲量の確保と増大に向けて、国と連携した資源調査、生態解明のための調査研究を行うとともに、漁業団体や漁業者との連携による資源管理や漁場環境の改善などにも努めてまいりたいと思っております。 27 大門委員 ありがとうございます。  富山湾は、獲れる魚の7割が回遊魚、そして3割がもともと富山湾に生息している魚と言われておりまして、7割回遊魚ということで、もう本当に全国レベル、世界レベルの対策が必要となってくると思いますが、3割の魚はこの富山湾に生息をしていると言われており、もちろん富山湾を豊かにしていくということは、やはり大切なことだと私は思っております。  今、富山県は栽培漁業センターで種苗を放流しまして、つくり育てる漁業に力を入れております。しかし、放流しても、成魚になり市場に並ぶのは、ヒラメで6%、そしてクロダイで11%となっておりまして、その割合を高めていくことが課題となっております。  なかなか育たない原因に、先ほども言いましたが、海底の砂漠化であったりとか、餌がないといったことが言われております。  この状況を変えるべく、兵庫県の明石漁港では、種苗の放流に加えて海底耕うんというものを行っております。海底耕うんといいますと、船に特殊な機械を付けまして海底の土を耕す、引っ張って耕すわけですけれども、特殊な工具を使いまして海底の土を耕し、海底にたまったリンや窒素を浮遊させることによって、そこにプランクトンがまた集まりまして、魚が集まるというようなサイクルがあるそうでございます。農業で言いますと、田んぼを耕すというようなことと一緒と捉えていただけたらと思います。聞きますと、すぐに結果が出るものではないですが、やるとやらないでは海底の環境が全く違うと明石漁港では結果が出ています。  今後、つくり育てる漁業と併用して海底耕うんを行ってみたらどうでしょうか。これは富山県として研究が進んでいないのであれば、水産研究所と連携をして、調査しながら実施してはと考えますが、農林水産部長に御所見をお伺いします。 28 津田農林水産部長 海底耕うんにつきましては、今ほど委員から御紹介があったとおり、海底に蓄積したプランクトンの養分となるリンや窒素等の栄養塩類の海中への拡散を目的としたもののほかに、もう一点、海底土壌を軟らかくして、生物の生育環境を改善することにより漁獲量の増大を図るというものでございます。  兵庫県の瀬戸内海沿岸では、栄養塩類の減少に伴い、養殖ノリやイカナゴ等が不漁になったということで、平成20年頃から漁業者自らが継続して海底耕うんを実施し、最近では小魚が増えてきているなど一定の効果が出てきていると聞いております。  一方、本県では、平成29年頃からくろべ漁協所属の漁業者の方が、海底土壌を軟らかくすることで、ヒラメ等の生息環境の改善を図ることを目的とした海底耕うんを実施されておりますが、令和2年度に行った水産研究所の調査では、土壌の性質につきましては、海底耕うんの前後による科学的に有意な改善は認められなかったということでございます。  ただ、海底耕うんにつきましては、例えば、海底までの水深のほか、実施時期、頻度などにより効果が異なってくることが想定され、現段階では具体的な手法は確立されておりません。しかしながら、近年、富山湾の漁獲量の変動が大きい中、環境改善による水産資源の確保・増大は重要と考えております。  兵庫県など他県の事例も参考にして、その効果について調査研究するとともに、実施に当たりましては、漁業者の方に取り組んでいただくということも必要になりますので、漁業団体の御意見も聞いてみたいと思っております。 29 大門委員 ありがとうございます。  黒部市のほうではやっているというふうに私も知っておりまして、調査結果ではあまり土壌の改善は見られなかったと聞いたのは、初めてだったわけですけれども、明石市のデータを見てみますと、そこは改善されたという結果が出ておりますし、ほかの県でも改善の効果が見られたという結果を私は見させていただいているので、やっぱり言われるとおり、やり方であったり、時期であったり、頻度、いろいろな要因があるのかなと思っております。  また、聞きますと、やってみたいという漁師さんもおられるというふうに聞いておりまして、ぜひビフォア、アフターではないのですけど、まだ触っていない土壌とやった土壌を調べていただきたいなと思っておりまして、チャレンジをしなければ魚は増えないと思っておりますので、ぜひとも前向きに捉えていただけたらと思います。よろしくお願いします。  先日、調査船に乗りまして、水中ドローンの映像を見てまいりました。そこは滑川沖ではありましたが、海底には藻場がなく、ねずみ色の粘土質が一面に広がり、魚が住める環境ではないという印象を受けました。これは、調査したエリアがたまたまそういったエリアだったかもしれませんが、衝撃的な映像でありました。  先日、県漁連の方ともお話をさせていただきましたが、海底の砂漠化に関して危惧をしており、藻場の再生事業を熱望されていました。  水産研究所では、ロープを下ろしまして藻場の再生に成功しており、藻場の実証実験のエリアを少しずつ増やしていますが、やはりまだ予算は研究費程度でして、藻場の再生の広がりは限定的であります。  先ほども言いましたが、海を豊かにしていかなければ魚の生息は厳しいと考えております。研究も大切ですが、計画的に藻場を再生し、魚の生息する場所、産卵できる場所の創出に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、津田農林水産部長にお伺いをいたします。 30 津田農林水産部長 平成22年に、水産研究所が、魚津市で、海藻を付着した育成ロープによる藻場造成試験を実施しましたところ、令和3年5月時点で藻場が4ヘクタールまで拡大、維持されていたことを確認しております。  現在、水産研究所では、ほかの海域や異なる海藻でも同様な手法で藻場造成が可能か実証試験を進めており、具体的には、令和3年度から滑川市及び魚津市の沖合で、食用のテングサ、ホンダワラ類など、5種の海藻を付着させた育成ロープを設置したところ、今年3月には付着させた海藻が予定どおり成長していることや、今月上旬にはテングサ、ホンダワラ類が成熟していることが確認できております。  藻場の定着、拡大の検証にはもう少し年数を要するため、引き続きモニタリングを行う必要がございますが、次のステップとして、本県沿岸の特性に合った藻場造成と、その保全技術の確立を加速化させていく必要があると考えております。  藻場は水産資源の安定に寄与するとともに、二酸化炭素の吸収源となることから、ブルーカーボンとしても注目されております。  県として、沿岸市町や県内の各漁協とも連携して、藻場の保全、育成を支援するとともに、漁業団体と連携しながらブルーカーボンとしての活用の可能性についても研究してまいります。 31 大門委員 ありがとうございます。  本当にこの研究というのは時間がかかると思っておりまして、最初にロープを下ろしてから何年後にこの藻場の造成が分かったということで、やっぱり年数がかかる研究だと私も承知しているわけですけれども、まだまだ年数がかかるということで、やはりこれは本当に喫緊の課題の一つだと私は思っておりまして、ぜひ加速をしていただけたらと思います。  そして、魚が減少している中で、全国各地を見てみますと、養殖をしている県が増えてきております。富山県の水産研究所ではサクラマスの養殖を何十年にもわたり進めています。その効果もありまして、入善では海洋深層水を使った養殖事業がスタートしたり、その技術を応用して、氷見市や射水市では港湾の空いている場所を使い、海上養殖を行っております。  私は、このサクラマスの養殖の研究は一定の成果が出たと思っておりますし、ある程度成果を見せたのであれば、今後、富山県として、サクラマスだけではなくて、次なる養殖の魚種の研究に進んでもよい段階に来ているのではないのかなと思います。  現在、漁業者は魚が獲れなくなってきているので次の一手を探しています。水産研究所は、富山県の水産を担う研究所として新たな取組にチャレンジをしなければ、富山県の漁業が発展することはありません。  今後、富山県として、養殖事業をどうしていきたいのか真剣に考え、新たなブランドをつくってもよいと考えます。恐らくやるとなれば、日本海ですので高波が強く、養殖に適している場所は少ないと思いますので、どちらかというと陸上養殖になると思いますが、新たな研究に着手していいと考えますが、津田農林水産部長にお伺いをいたします。 32 津田農林水産部長 近年、漁獲量の変動が顕著となる中、養殖は安定した水揚げが見込まれることから、水産物の安定供給や漁業経営に寄与するものと期待されております。  水産研究所では、委員御紹介のサクラマスにつきまして、従来は河川への放流を前提として、効率的な種苗生産などの技術研究を進めておりましたが、令和2年度からは養殖のための技術研究にも着手しております。  具体的には、より早く効率的に育つよう、夏場の比較的高水温にも強い系統の選抜や、稚魚の海水適応能力を向上させ、成魚時の生存率を高める技術開発などに取り組んでおり、令和6年頃までには一定の研究成果が得られると見込んでおります。この成果につきましては、サクラマスだけでなく、ほかのサケ科魚類の養殖にも適応できることから、順次県内の養殖業者に普及してまいりたいと考えております。  このほか、昨年度からは魚津漁協と連携したガゴメコンブの養殖実証試験、今年度からは閉鎖循環システムを活用したキジハタの飼育試験、それから、磯焼け対策としてこれまで駆除されておりましたウニ類に、野菜や果物を給餌する養殖試験も開始したところであります。  引き続き、新たな養殖対象の検討も含めまして、事業化に向けた研究開発と養殖業者への技術支援により、本県の養殖業の振興に努めてまいります。 33 大門委員 ありがとうございます。  ガゴメコンブの小さなものを育てて、魚津漁協で定置網につけるらしいです。そこで定置網につけて、それを養殖という形にするのですが、大体3メートルぐらいに──半年だったかな、すみません、ちょっとずれているかもしれないですけども、大きくなるということは聞いておりますし、ウニも本当に駆除しなければいけないものを集めて、リンゴ、梨、いろんなものを食べさせて、味の改善を行っているということもいろいろ伺っているところですけれども、やはりそれに向けて実用化しなければいけないというのは本当に大きな課題だと思っております。  研究だけで終わってしまいますとやはりもったいないといいますか、次のステップに行けるようにしていただきたいのと、新しいブランド化といいますか、そういったことも含めて、また研究をしていただいて、富山県の水産の発展、養殖業の発展に寄与するように考えていただけたらなと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  先ほどから、海についていろいろ議論をしてまいりましたが、新年度予算を見てみましても、海を豊かにする予算というのはあることあるのですけども、そんなに多くないというような印象を受けております。  先ほどからも言いましたが、種苗の放流であったり、研究の予算がメインとなっているわけであります。このまま何もしなければ富山県のストロングポイントであります海の豊かさが失われ、次の世代に残すのは難しいと考えております。なので、海を豊かにしていくためにも、しっかりと計画を立てて実行していかなければならないと考えます。  今、富山県には富山県水産業振興計画がありまして、これに沿って事業を進めているわけですが、豊かな海づくりの部分は若干薄いように思われます。なので、富山県水産業振興計画を一旦立ち止まり、見直しをかけ、例えば、新たな行動計画やアクションプランを作るなど、計画的に豊かな海づくりに取り組んではと考えますが、新田知事の御所見をお伺いしたいと思います。 34 新田知事 平成31年3月に富山県水産業振興計画を策定しました。これに基づいて、荷さばき施設整備による高付加価値化あるいは漁港や漁港海岸の長寿命化、さらに、去る4月にリニューアルオープンした栽培漁業センターの整備など、各種施策を着実に進めてきたことであります。  一方で、4年たったというのも事実、委員御指摘のとおりでありまして、この間に県内の漁獲量が毎年大きく──ホタルイカもそうですが──変動するということ。もちろん、これは、増えたものもあるのですが、あるいは燃料費など物価高騰による生産コストの増大、磯焼けなど一部海岸での藻場の減少など、本県水産業を取り巻く環境は変化をしてきました。  また、国でも、海洋環境の変化も踏まえて、水産資源管理の着実な実施や、海業など漁村の活性化の推進などが盛り込まれた新たな水産基本計画が昨年の3月に策定されたところです。このような環境変化も捉えまして、本年度、県の振興計画を見直すこととしております。現在、検討委員会の設置に向けた準備を進めています。  計画の策定に当たりましては、栽培漁業の推進や藻場の造成などの漁獲量増大に向けた取組に加えまして、例えば、スマート水産業の推進や輸出の拡大、養殖業の振興など、今ほど委員からいろいろと御提案もいただいた、水産業の成長産業化を促す取組も盛り込めればと考えております。また、資源管理あるいはブルーカーボンの導入などのSDGsに配慮した取組なども取り組めればと考えております。  この振興計画においては、KPIを充実させることによって個々の取組がアクティブに推進されるように努めていくということで、言わばアクションプランと言えないこともないか、そんなふうにしていきたいと思っています。 35 大門委員 ありがとうございます。  振興計画を見直すということですが、本当に厳しい状況にあると思っていますので、ぜひ見直しいただいて富山県の水産業がより発展するように、KPIも充実するということですので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは私の質問を終わります。ありがとうございます。 36 瘧師委員長 大門委員の質疑は以上で終了しました。        庄司昌弘委員の質疑及び答弁 37 瘧師委員長 庄司委員。あなたの持ち時間は60分であります。 38 庄司委員 自民党新令和会の庄司昌弘です。  春の県議選以降、初めての質問の機会をいただきました。ありがとうございます。今回は、選挙中訴えてきた事柄を中心に質問したいと思います。  富山県においても人口減少、少子高齢化が急速に進んでいます。第1次産業である農林水産業や教育現場などへの影響が特に顕著であり、これからの20年で環境はさらに大きく変化すると考えられます。人口が減るということは、おのずと国内の需要も減っていくということで、人口は「人」の「口」と書きますから、経済は縮小してマーケットがどんどん小さくなっていく、そういったことなんだと考えています。  そんな中でも、我々は、未来のまだ見ぬ子供たちのために、持続可能な富山県を渡していく責任があります。子供たちを中心にSDGsの考え方がかなり広がり、定着してきました。富山県が進めるウェルビーイングをさらに推進し、それにプラスして、県民の自己肯定感を高め、伝統や文化に触れ、たった一つしかない自分の命を社会にどう生かしていけばよいか、志を探求する教育を進めることが必要です。今こそ、ふるさと富山のために県民の皆さんと共に考え、この富山を持続可能な地域へと進めていかなければならないと考えております。  以下、通告に従って質問に入ります。  まずは、本当に持続可能な稼げる農林水産業の振興について、10問伺います。  まずは、食料安全保障や食料の自給率の向上について伺います。  農は国の基であり、ウェルビーイングの基盤です。食料は、人間の命を維持するために欠かすことができないものであるだけではなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものです。全ての国民が、将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにすることは、国の基本的な責務です。  食料・農業・農村基本法においては、国内の農業生産の増大を図ることを基本として、これと併せて輸入や備蓄を適切に組み合わせ、食料の安定的な供給を確保することとしております。また、凶作や輸入の途絶などの不測の事態が生じた場合にも、国民が最低限必要とする食料の供給を確保しなければなりません。今後、世界的な人口増加によって食料需要の増大、そして気候変動による生産減少など、国内外の様々な要因によって食料供給に影響を及ぼす可能性があり、食料の安定供給に対する国民の不安も高まっていると感じています。  また、制定から20年が経過した食料・農業・農村基本法については、農業を取り巻く情勢の変化や、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部での総理からの指示も踏まえて、今月2日には食料・農業・農村政策の新たな方向性が示されたところであります。  ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響など、食料安全保障への懸念が高まる中、物価高への対応や危機に強い食料供給体制への転換を進めていかなければならないと考えております。  また、日本の食料自給率は38%となっており、我が国の食料自給率は先進国の中でも最低の水準となっています。  本県において、食料安全保障や食料自給率の向上を実現するための農業の振興に今後どうやって取り組んでいかれるのか、新田知事の御所見を伺います。 39 新田知事 気候変動、それから世界情勢の変化、そして、この3年間経験してきましたパンデミックなど、お金を出せば輸入できるじゃないかと思っていたのが、必ずしもそうじゃないケースもあり得るということを我々は経験しました。  このように、国際的な食料供給の不安定化に当たりまして、制定してから20年たつ食料・農業・農村基本法を、食料安全保障の観点から、国のほうで今見直そうと検討が進められているということです。  その検討の過程で、新たな展開方向のポイントが、委員おっしゃるように、ちょうど3週間前に発表されました。この中には、まず、平時から国民一人一人の食料安全保障の確立をする、環境などに配慮した持続可能な農業・食品産業へ転換する、そして人口減少下でも、持続可能で強固な食料供給基盤を確立する、この3点がポイントとして挙げられています。  本県の、令和2年度の供給熱量ベースの食料自給率は75%ということで、国と比べて倍ぐらい高くはなっていますが、県内消費の3倍の米が生産される一方で、野菜や畜産物の生産が少なく、品目バランスの取れた生産振興の推進とともに、安定した生産資材の確保、農業人材の育成確保、そして、農業生産基盤の整備などに取り組むことが大切だと考えております。  このため、本県では、今年度は麦、大豆や園芸作物の生産拡大に向けた、機械、施設導入などの支援、また、生産から販売までの一貫した取組を進めるための園芸拡大研究会を設置することを考えます。また、肥料や飼料の過度な輸入依存の低減に向けた、当時の野上大臣の下で策定されたみどりの食料システム戦略をしっかりと推進する、そして農業未来カレッジにおける、園芸希望者向けの2年目コースの新設や定員拡充をすることも検討する、そして水田の大区画化や汎用化に併せまして、稲作との複合による高収益な園芸作物の導入の推進などにも取り組んでまいります。  今後、国の食料・農業・農村基本法の改正に向けた作業をにらみながら、食料の安定供給と食料自給率の向上に努めまして、持続可能な農業の実現に取り組んでまいります。 40 庄司委員 今がチャンスというか、大変危機的状況ではあるところでありますが、このチャンスを生かして前に進めるという観点も大変重要であります。大きな農業改革のチャンスになりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。  次に、適正な農産物の価格形成と持続可能な食料システムの構築について伺います。  2022年の世界の人口は80億人を突破して、2050年には97億人に達すると予想されています。
     日本は人口減少と言っていますが、世界では人口の増加、そしてまた、度重なる気象変動の影響によって輸入のリスクは大変大きくなっていると思っております。また、我が国においては人口減少に伴って、食料供給を支える──今ほど知事からもありました──農業の力がやはり弱体化していると感じています。  さらには、燃料の価格や電力、肥料、飼料、農薬、生産資材の値上がりの影響は大変大きく、現場の農家からは悲痛な叫びを聞いております。安値での価格競争が長期化しておりまして、その中で、生産コストが増大しても農産物に価格転嫁できないことが続いており、農業を持続可能なものにする上で、大変大きな問題となっていると感じています。  適正な農産物の価格形成と持続可能な食料システムの構築をどうやって進めていかれるのか、横田副知事に伺います。 41 横田副知事 生産資材の価格や電気料金の高騰により、農業経営をめぐる環境が厳しくなる中で、食料システム、農業が持続可能であるためには、農産物の生産などにかかるコストが価格に転嫁されるなど、適正な価格形成が求められると、私自身も強く思っております。  国では、食料・農業・農村基本法の見直しの議論の中で、適正な価格形成について議論されており、今月2日に取りまとめられた新たな展開方向において、食料システム全体を持続可能なものとするために、各段階の関係者が協議できる場を創設し、適正取引を推進するためのコスト指標を作成するなどの仕組みの構築、そして、適正な価格転嫁について生産から消費までの関係者の理解醸成を図ることなどが示されました。  食料・農業・農村政策審議会の部会でも、デフレ経済の中で、価格の安さによって競争する食品販売が普遍化し、コスト上昇の販売価格への反映が難しい状況を生み出していると分析されています。  食料の安定供給、持続可能な農業のために、食料システムの関係者による適正な価格転嫁のための環境整備、これについては簡単なことではないとは思いますけれども、しっかりと進めていかれることに期待したいと思います。  県としましては、こうした国の動きを見つつ、できることを実施していきます。まずは消費者が、食と農業の重要性や課題を御理解いただき、価格転嫁を受け入れ、応援いただくことが重要です。  先日、適正な価格形成に向けた国民の理解醸成について国に要望いたしましたけれども、このほかにも今週末の食育推進全国大会も含め、地域食材の活用促進や農林水産業への理解促進のための事業など、さらには、今年度から開始しております富山大学における農業経済に係る寄附講義あるいは公開講座などにおきまして、農林水産業への理解と応援いただく機運の醸成に努めてまいります。 42 庄司委員 やはり消費者の理解というのは本当に大事だなと思っておりまして、ぜひ食育推進全国大会の場でも発信していただきたいと思っております。  今ほど副知事からもあったように、適正な価格に対する消費者の理解に加えて、ふだんから稼げる、売れるものをつくるということも必要だと考えます。マーケットインの考え方を取り入れて、市場に求められる農産物をブランド化して、産地として生産していかなければ、高収益作物や園芸作物の耕作面積はなかなか拡大していかないものと考えます。  県内のそれぞれの地域に適した農産物を、市町村やJA、生産者とも連携して、今だからこそ、本気で産地化、拠点化にスピード感を持って取り組んでいかなければいけないときだと考えております。  富山県における稼げる農業の振興についてどのように取り組まれるのか、津田農林水産部長に伺います。 43 津田農林水産部長 主食用米の需要が年々減少する中、本県におきましては、稼げる農業を振興するため、水田園芸拡大品目等の導入による経営の複合化や園芸作物のブランド化、産地化による収益向上を進めております。  とりわけ高収益作物の導入につきましては、委員御指摘のとおり、マーケットインの考え方に基づき、市場や実需が求める品目の選定や規格、品質、生産量、出荷時期の調整など、市場と実需、それに産地が一体となった取組が求められることから、今年度は、先ほど知事から答弁もありましたが、関係者による園芸拡大研究会を立ち上げ、県外の成功例や付加価値創造の取組などを研究することにより、効果的な営農計画の策定につなげてまいります。  また、県内では、市場ニーズの高いスイートコーンのブランド化など、若手生産者グループによる新たな産地づくりの動きも見られます。園芸作物の産地化や拠点化を進めるには、担い手となる人材育成が重要であり、県として、今年度、新たに消費者や実需者が求める園芸作物の新産地育成に向けた若手グループの活動を支援することとしております。  県として、市町村等が策定した「稼げる!園芸産地プラン」に基づく産地づくりを加速化するため、こうした取組や省力機械の導入、集出荷施設などの拠点づくりを支援し、稼げる農業の振興に向け、産地やJA等と連携して取り組んでまいります。 44 庄司委員 若い方がスイートコーンなどの産地化を目指しておられるということなので、ぜひそういった動きを横展開していただいて、県内で産地を育てていただきたいと思いますし、育てるための拠点もやっぱり同時につくっていただきたいと思います。お願いします。  次に、小麦の生産拡大と大麦の需要の創出について伺いたいと思います。  県内でも小麦の収穫が始まったとニュースもありましたが、日本で1年間に食べられている小麦のうち、国内で作られているのは僅か13%で、残りの87%は輸出に頼っているのが現状です。食料安全保障の観点からも、国産小麦の品種改良を進めて、日本や北陸、富山県の気候に適した小麦の開発が喫緊の課題であると考えております。  また、本県でも生産が拡大している大麦ですが、消費が伸び悩んでおり、今後、需要の創出や加工品など、高付加価値化の推進が必要であるとも考えております。  これらについてどのように取り組んでいかれるのか、津田農林水産部長に伺います。 45 津田農林水産部長 昨今の国際情勢等を受けまして、国産小麦の生産拡大が求められておりますが、本県の小麦生産につきましては、収穫する時期が梅雨入りと重なるため登熟期間の日照が少なく、また、降雨により適期の収穫が難しいことなどから、収量や品質が不安定となる課題があります。  こうしたことを踏まえ、先月の富山県農業再生協議会で承認されました富山県水田収益力強化ビジョンでは、小麦を初めて対象としまして、栽培に適した品種の選定のほか、実需者が求める品質の確保やニーズの把握に努めると取組方針が示されたところであります。  委員御指摘のとおり、小麦の生産拡大には本県の気候条件に適した品種改良が望ましいと考えておりますが、相当の期間を要することから、現状としては国の研究機関等での育成状況等の情報収集のほか、昨年秋に試験圃場で播種しました収益時期が比較的早い夏黄金や、パンに適したふくこむぎなどの3品種につきまして、収穫時期、収量、品質などの点で調査、解析を行っております。  また、県産大麦につきましては、実需からの高い評価の下、主に押し麦などの食用としての需要があり、さらに加工用途でも麦茶、焼酎、麺のほか、小麦粉の代替としたお好み焼き粉などの新たな商品開発も進められております。  引き続き、実需や生産者団体で構成する民間流通麦地方連絡協議会の場などを活用しまして、麦類の生産や加工ニーズを把握しながら、県産小麦の生産拡大に向けた検討と大麦の高品質、安定生産が図られるよう指導支援に努めてまいります。 46 庄司委員 小麦の品種の選定は検討されているということで、ぜひそれにも期待したいと思います。  大麦は、実際にそのように加工はしているのですけれども、なかなか消費に結びつかないところもありまして、そしてまた、今たくさん収穫したものを次どうするかという課題もあります。  ぜひ大麦についてもまた検討もしていただきたいと思いますし、ほかにもまだ生産可能なものがあるのではないかなと思っていまして、健康志向が高まっているので、オートミールもたくさん食べられるようになっていると思います。これは、昔は馬に食べさせていたと聞いていますけども、今は健康志向で人間がたくさん食べるようになっているということも聞いていますので、何かこういったことも検討しながら、さきのみどりの食料システム戦略の中では、オーツ、燕麦は緑肥としても使われているんです。収穫もできて緑肥としても使えるというものがあれば、これも進められたらいいんじゃないかなと感じています。  次に、米粉の活用、米需要の拡大について伺います。  今ほど小麦の話をしましたが、小麦の代替としての米粉の商品開発や普及、米粉の製粉、米粉製品の製造能力の強化であったり、米粉専用の品種の増産など、これは国のほうでも力を入れていくということでありますので、稲作がほとんど、9割を占めるという富山県においてですが、やはり米粉の活用であるとか需要の拡大に一層力を進めていくべきと考えておりますが、津田農林水産部長に伺います。 47 津田農林水産部長 県産米粉の活用につきましては、昨年度、米粉活用研修会の開催をはじめ、新商品の開発への支援、県内百貨店での販売フェアなどを実施し、一定程度活用が進んだものと認識しております。  今年度は、食品メーカーや飲食店に向けて、商品開発に必要となる経費の一部を支援するほか、県内や首都圏での米粉キャンペーンの実施などにより、県産米粉の需要開拓の取組をさらに加速していきます。  また、こうした需要拡大に対応できますよう、農業研究所では今年度からパンや麺用の専用品種の栽培試験を開始したほか、県内製粉会社においても増産に向けての準備が進められていると聞いております。  今週末には食育推進全国大会が開催されます。多くの来場者を見込んでおりますが、その中でも米粉も含めた富山米のおいしさをアピールし、需要拡大に努めてまいります。 48 庄司委員 今ほどお話もありましたが、いろんな種類があるんです。富山県に適した品種なども見つけていただいて、米粉の利用、消費者に向けての発信もあると思いますが、食育大会もありますし、ぜひ進めていっていただきたいと思います。これもちょっと時間がかかると思いますが、大事なことだと思いますのでお願いします。  次に、幾つか話題に上っていましたが、食育推進大会について伺いたいと思います。  今月の24日、25に日なりますが、第18回食育推進全国大会inとやまが開催されます。この大会では、本県の食育の取組を楽しく学べる体験イベントを通じて、食育への理解を一層深めるなど、富山県の豊かな自然に恵まれた多彩な食の魅力と、持続可能な食を支える農林水産業の営みを県内外に発信していくということであります。全国からたくさんの方が来られるということです。  プレイベントとして、県内の農林水産業への理解を深めて食育を推進するバスツアーも実施されたということですし、当日もそういったことをされるということでありますが、実施されたところの参加者の反応はどういった反応があったのかということと、いよいよ今週末に迫りました食育推進大会の開催に向けて、今、農業の課題や消費者へのPRなどいろいろ課題があったと思いますが、それに向けて食育推進大会の開催の意気込みを、ぜひ横田副知事に伺いたいと思います。お願いします。 49 横田副知事 御質問ありがとうございます。  いよいよ今週末に迫ってまいりましたけれども、食育推進全国大会のプレイベントとしまして、今月4日に「とやまのおいしい農業・漁業を知ろう!バスツアー」が行われました。これにつきましては、定員を超える応募がありまして、当日は小学生を中心に38名の親子に参加をいただいております。参加者からは、食べ物が食卓に並ぶまでにどのような人が携わり、どうやって作られているのかを知るいい機会になった、あるいは魚のことが楽しく学べたなどの声が聞かれました。  また、事前募集を実施した大会当日の各種料理教室、バスツアーなどは、軒並み定員を超える応募になっておりまして、多いものにつきましては3.6倍ということになっております。この大会への関心が非常に高まってきていると実感しているところでございます。  今回の大会の内容につきましては大変盛りだくさんとなっておりまして、食とウェルビーイングをテーマとしましたシンポジウム、安田美沙子さん、池田航さん、さかなクンなどによる富山の自然や食に関するトークショー、県産食材や米粉を使った料理教室、そして、県内プロスポーツ5チームの選手によるトークショーや体づくりのワークショップ、市町村や県内事業者さんも含めて約140団体によるブース出展、そして富山のスターでありますドラえもんショーなど、楽しみながら食育や農林水産業を学べる企画を多数用意しておりますので、皆様方におかれましても地域の方々をお誘いの上、ぜひお越しいただきたいと思います。  大会では、食が体と心にとってとても重要であり、ウェルビーイングの基盤であること、現在の生活様式に合った食選びや料理、農林水産業への理解促進、そして富山の多彩な食の魅力を県内、県外の参加者に実感いただきたいと考えております。  そして、これを機に、持続可能な農林水産業、食産業、そして富山の食や地域への評価向上につながるようにしたいと思っておりますので、関係者と共にあと少し、開催準備に万全を期してまいりたいと考えております。 50 庄司委員 大変楽しみになる答弁でありました。ぜひ皆さん、参加していただきたいと思いますし、ウェルビーイングと食は本当につながっていると思います。  そしてまた、そのバスツアーでどういった──子供にしてみたらみんな皿に乗って出てくる、スーパーで並んでいるものや皿に出てきたものでしか食を感じたことはないということなので、現場を見て、やはりどういうふうに育っているものなのか、命をいただいていることを感謝しながら食事をするということも大事なことだと思いますし、ぜひ成功に向けて頑張っていただきたいと思いますし、私も協力したいと思います。  次に、農村地域や水利施設の維持管理について伺ってまいりたいと思います。  農業従事者が、今後20年で4分の1に減少すると言われております。農地の保全や管理、末端のインフラ保全管理が困難になっていくと予想される中で、経営基盤が大きくなればなるほど農村地域や水利施設等の維持管理が困難になってきます。多面的機能支払交付金による活動についても、地域の方々からは人材不足の声が聞かれるようになってまいりました。  農村地域や水利施設の維持管理に将来を見据えて、今後どのように取り組んでいかれるのか、津田農林水産部長に伺います。 51 津田農林水産部長 今後、農業・農村の人口減少に伴い、共同活動の低下が見込まれる中、末端の用排水路、農道等の農業インフラの維持管理等を持続的に行えるか否かは農業生産に大きな影響を与える課題だと考えております。  本県では、多面的機能支払交付制度の活用により、非農業者を含む地域住民の共同活動として、水路の泥上げや草刈り等の維持管理作業が行われており、取組率は令和4年度では県内全市町村の1,449集落、農地面積の約75%と全国的にも高い状況にあります。  しかし、一部の市町村からは、参加者の減少や事務作業の負担感などから、今年度末で終了する第2期の多面的機能支払交付金制度の活動をもって、活動の見直しや取りやめを検討している地域も、少数ではありますがあると聞いております。  現在、県では第3期に向けた準備を進めておりますが、研修会やワーキンググループ等の場で、隣接する地域で協力体制を組む組織の広域化や、事務委託による負担の軽減等を提案するなど、活動の継続を呼びかけるとともに、地域内外のボランティア等とのマッチングによる人手不足対策の支援等について、これまで以上に関係機関と協力して取り組んでまいります。 52 庄司委員 瘧師委員長の答弁の中にも農村RMOという話もあったかと思いますが、地域の方々とか新しい関係者を巻き込んで維持管理していかなければいけない大変大きな課題だと思っていますし、担い手の集約が富山県は大変進んでいるので、それが反対に影響して、基幹的農業の従事者がかなり高齢化しています。その方々が実際に大きな圃場の農道であったり、排水だったり、そういったところを管理するということは大変難しくなってきておりますので、ぜひこれは、先ほど言ったような農村RMOや、いろんなステークホルダーの方に参加していただいて、これの解決に向けて少しでも前進するようにまた進めていっていただきたいと思います。ありがとうございます。  次に、「寿司と言えば、富山」のブランディング戦略と農商工連携について伺いたいと思います。  コロナがありまして、この後の復興、再生、そして地域のつながりを再構築していくことが大変重要であると思いますが、今ほど言ったように、いろんな方々と連携して進めていくことが大事だと思っています。そういった中で、農商工の連携が大変重要であると思っていまして、県ではこのブランディング戦略を10年の計画で進めていくということであります。  「寿司と言えば、富山」ブランディング戦略を進める上で、富山県の素材で作った、富山ならではの、富山でしか味わえない極上の「寿司」であるとか、器であるとか、そういった商品開発をワンチームでいろんな方々と連携して進めていく取組も必要であると考えておりますが、新田知事の御所見を伺います。 53 新田知事 本県では「寿司」を突破口に、本県の様々な魅力を知っていただき、関係人口の創出、さらに拡大を図っていくために、「寿司」をはじめとする幅広い飲食業、農林水産業あるいは伝統工芸、観光産業への波及効果を視野に入れながら、ブランディング戦略を展開していこうと今作戦を練っているところです。  非常に大きな反響もいただいておりまして、今のところ出足は、滑り出しはよいのかなと考えております。これはもちろん、県内の飲食業を全部すし屋にしようということでもなくて、1日3食すしを食べようとか、県外からのお客さんには全部すしを食べてもらおう、そんなことではなくて、あくまで突破口、何かと平均点である富山県ですが、その中でも際立って富山をアピールするためにはやっぱりこういった一点突破が大切だということで、このようなことを考えているところです。  そして、そのキックオフイベントを冬に計画しておりますが、補正予算案に盛り込み、ご審議いただいているところです。このキックオフイベントでは、やっぱり食の世界のインフルエンサーである国内のトップシェフをメインターゲットにしまして、県外の著名なシェフと県内のすし職人が共同で県産の食材を使って、「寿司」を中心にした新メニューを創作した上で、料理とペアリングをするお酒ですとか、あるいは盛り込む器ですとか、それらにも工夫を凝らし、趣向を凝らし、富山でしか味わうことができない上質で特別な美食体験を提供したいと考えています。  こうした取組を進めていくためには、委員御指摘のように、「寿司」をはじめとする飲食業に加えまして、農林水産業あるいは酒造メーカーさん、伝統工芸、観光など幅広い関係者とのまさに農商工連携の視点が大切だと考えます。  このために、去る15日、ブランディングや農林水産、伝統工芸などの県庁の関係課で構成する庁内のタスクフォースを立ち上げたところです。関係部局一丸となって、様々な業界や団体の皆さんと目指す方向を共有し、協力をいただきながら準備を進めます。  今後も、本県認知度の向上や波及効果の拡大につながるように、関係の業界や団体と議論しながら、ワンチームとなって「寿司」をフックに企業間連携、さらに農商工連携を推進してまいりたいと考えております。 54 庄司委員 「寿司」は本当にいいと思います。米は富山で本当にたくさん作っていますし、魚もおいしいということなので、それが全国に発信されれば、本当にうどん県、香川みたいな感じで、「寿司と言えば、富山」ということが全国に認知されるようになると思いますし、それぞれの産業も発展するということなので大変すばらしいことだと思います。今ほどずっと質問してきた中の、やはり農業の振興であったり、漁業の活性化だったり、そういったことにもつながってくると思いますので、ぜひこれを強力に進めていただきたいと思います。お願いいたします。  続けて「寿司」ですけれども、富山は何と言ってもますずしが大変有名だと思います。私も大好きですが、やはりこのますずしも、さきほどサクラマスの養殖の話で大門委員からも質問ありましたが、サクラマスが獲れるからこそますずしが今発展してきたということなので、「寿司と言えば、富山」に欠かせないアイテムとしてこのますずしも取り入れて、推進していけばと考えますが、川津知事政策局長に伺います。 55 川津知事政策局長 ますずしは、本県のおいしいお米と、清涼な河川を想起させるサクラマスをはじめとしたマスからなりまして、江戸時代より富山藩の献上品として使用されております。風土や歴史に根差した富山を代表する押しずしであります。県としては、平成22年度に富山県推奨とやまブランドに認定し、その魅力を広く全国に発信しております。  今回の戦略におきましては、本県の雄大な自然や豊かな食文化をアピールできる「寿司」を起点に、幅広い飲食業や食品、お酒等を生産販売されることはもちろん、農林水産業や観光業、伝統工芸品をはじめとした幅広い産業への波及を──今ほど知事も申し上げましたが──目指しております。  委員御指摘のとおり、ますずしはお土産や贈答品、駅弁として全国的に知名度の高い本県を象徴する産品であります。「寿司」を起点としたブランディング戦略におきましても、欠かすことのできない重要なアイテムであると考えております。  県全体のブランディングのみならず、ますずしのさらなる振興にも結びつくよう、関係の業界や団体事業者の皆様と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 56 庄司委員 海もそうですが、川も、内水面のほうも活性化をぜひ進めていっていただきたいと思いますし、ますずしもそのブランディングの中に入れていっていただきたいと思います。ありがとうございます。  次に、先ほど知事の答弁の中にもちょっとありましたが、海業の振興について伺いたいと思います。  先ほど、大門委員からも海づくりについて質問がいろいろとありましたが、日本近海での不漁に歯止めがかからず、富山湾でもホタルイカの不漁など深刻な状況となっています。不漁や漁業者の高齢化が進んで担い手の数も減っています。  国では、海や漁村の地域資源を活用して、飲食やレジャー、宿泊など、漁業以外の分野で地域を活性化させる取組を海業と名づけて支援を進めています。  今ほどありましたが、「寿司と言えば、富山」ブランディング戦略を進める上でも、例えば、国営農地の再編整備が実施されている水橋地区で生産された農産物と、水橋漁港の海産物を組み合わせて観光客を呼び込み地域の活性化につなげるなど、新たなビジネスの創出などが期待できると考えますが、今後、富山湾全体、お隣滑川も含めて、いろんなところでこの海業の振興を進めていくべきと考えますが、どのように体制を強化していくのか、新田知事の御所見を伺います。 57 新田知事 昨年の3月になりますが、国の水産基本計画が策定され、地域のにぎわいの創出、地域の所得と雇用機会の確保を図るために、海や漁村の地域資源の価値や魅力に加えて、既存の漁港施設などを最大限活用した海業の取組を一層推進するとされているところです。  また、今国会では、海業での漁港施設や水面などの活用を促進するために改正漁港漁場整備法が成立し、公布されました。  委員御指摘のように、漁港などにおける海業としては、釣りやマリンスポーツ、飲食、物販、宿泊や体験型観光など多岐にわたっておりまして、既に県内でも多く取り組まれています。例としましては、氷見漁港でのひみ番屋街やグランピング施設、新湊漁港でのみなとキッチンやきっときと市場、また、黒部漁港の魚の駅生地、また、水橋漁港には釣り桟橋やプレジャーボートの施設もありますし、漁業者の皆さんが自ら経営する水橋食堂漁夫もあり、県内の漁港が有する優れたロケーションや、新鮮な旬の海の幸といった魅力を生かした様々な取組が、既に展開されているところだと理解しています。  こうした海業の取組は、人口減少や高齢化が進んでいる漁村地域の活性化や漁業経営の安定化にもつながると思います。さらに、御提案のように、全国的にも評価の高い本県の水産物と農産物を組み合わせた農水連携とも言えるビジネスが創出されれば、本県の農林水産業の振興にも資すると考えます。  全国の好事例をもっともっと研究しながら、また、県内の好事例をしっかりと伸ばしながら、県内の海業の取組をもっともっと伸ばしていきたいと思います。そのためには、漁業関係団体をはじめ、多様な関係団体とも連携をして取り組んでまいります。 58 庄司委員 国のほうで、こういった取組が今進められているということなので、ぜひチャンスをつかんで富山県でも進めていっていただきたいと思いますし、今まで取り組まれたいろんなところ、今御紹介もいただきましたが、さらに注目を浴びるように、たくさんの方が訪れていただけるようにブラッシュアップも進めていっていただきたいと思います。お願いいたします。  続けて、大きな2問目でありますが、富山県の教育改革と武道教育について以下5問を伺いたいと思います。  我が会派では、子供たちが自分の夢を持ち、夢がかなえられ、失敗をおそれず、将来の可能性に向けてチャレンジできる教育環境の整備を推進することや、伝統文化を取り入れた教育を推進し、ふるさとを愛し、本県や日本にとって本当に必要とされる人材を育成すること、また、不易流行の考え方を基本として、前例踏襲主義から決別して、常に新しい考えを積極的に取り入れることなどを掲げて活動方針としております。  これまでの、経済優先から精神的豊かさを重視したウェルビーイングに志をプラスして、夢や希望に向かって子供たちが主体的に自ら学ぶことができるよう、教育を大きく転換させていかなければならない、そんな時代に入っているのだと強く感じています。  まず、これまでの武道教育の効果と今後の課題について伺いたいと思います。  武道は、心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う人間形成の道です。先ほど言った志教育を進める上でも武道教育のさらなる推進は必要で、道は人生そのものであり、自分の生き方や志を立てることができれば、自ずとそれが学びにつながると考えます。  武道は単なるスポーツではなく、心身の教育システムです。多くの国々でも武道への関心は高く、世界の競技人口も増加傾向にあります。武道教育の重要性はますます高まっていると考えます。  平成24年から中学校体育において武道が必修となり、12年目を迎えています。これまでの武道教育の効果と今後の課題について、教育委員会ではどのように捉えておられるのか、荻布教育長に伺います。 59 荻布教育長 武道は、武技、武術などから派生した我が国固有の伝統文化であり、修練を通じて心と体を鍛えることはもとより、礼節を重んじ、相手を尊重する精神を養うなど、武道を学ぶことは人間形成を図る上で極めて有意義であると考えております。  県教育委員会では、平成24年度から、中学校において武道が必修化されたことに伴いまして、武道関係団体の御協力の下、教員の指導力向上を目指した研修会を開催するとともに、地域の指導者を武道の授業に派遣するなど、安全で質の高い授業の実践に努めてきております。  また、武道推進モデル校を指定しまして、柔道や剣道だけではなく、例えば弓道や空手、柔剣道などの外部指導者を派遣し、多様な武道種目の実践研究も進めているところであります。武道推進モデル校に指定された学校からは、武道の伝統的な考え方や行動について理解が深まったですとか、複数の種目を行うことで基本動作の共通点に気づいたなど、武道に興味・関心を持つ生徒が増えたとの報告を受けており、成果が上がっていると認識しています。  県教育委員会としては、今後もこうした取組を継続して実施していくとともに、取組内容を教員向けの各種研修やホームページなどでも紹介し、周知を図ることで、多くの学校で武道教育のさらなる充実が図られるように啓発をしてまいりたいと考えております。 60 庄司委員 教育長、ありがとうございました。モデル校を選定されて、非常に効果があるということでありますし、選定されていなくてもいろんな学校でされていますので、ぜひ武道教育の必要性を皆さんにも理解していただいて、進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に、武道教育を今言ったように推進していかなければならないと考えております。  コロナ禍で、武道は特に距離を保たなければいけないということで、相撲や柔道、そしてまた剣道など声も出しますので、稽古が困難な時期が大変長く続いておりました。約3年です。この3年間の中でかなり影響が出ています。国内では競技人口がこの3年間でかなり急激に減っているんじゃないかと推測しています。  武道の指導者には、学校や警察の関係者もたくさんおられます。競技人口が減るということは、指導者はもちろんですけれども、教員になろうという方や警察官になろうという、そもそもそういった人材が減っていくことにもつながりかねないと考えております。  これから大事なのは未来を担う子供たちの育成、少子高齢化の中でどうやって子供を育てるかということが大変重要になってくると思います。特に、小学生や中学生が武道に触れ合う機会や出会う機会であったり、鍛錬の場である試合の機会をつくっていく、創出していくことが武道教育を推進する上では大変重要であると考えますが、藏堀副知事に所見を伺います。 61 蔵堀副知事 今後も、少子高齢化、人口減少が進行する中で、武道に取り組む子供の数が減少していくことも懸念されております。  また、委員から御指摘もございましたように、コロナ禍においては、日常の稽古ですとか、競技活動そのものが制限をされて、子供たちが武道に取り組む機会が大変縮小したと思っています。
     こうした中で、県では、これまでも県スポーツ協会を通じまして、高等学校体育連盟、中学校体育連盟や各武道競技団体が実施する練習会など、日頃の活動を支援してまいりました。スポーツ少年団の競技別交流大会、中学校高等学校の県レベルの大会や、県民体育大会の開催支援などにも取り組みまして、幅広い競技者の活動支援も行ってまいりました。  さらに、競技力向上を図るために、中高生の有望な選手の育成を行いますとやまスポーツ道場事業では、トップクラスの指導者による強化練習会の開催、また、全国的に有名な指導者による公開練習や講演会なども開催いたしまして、全国や世界のひのき舞台で活躍でき、子供たちの憧れになるような選手の育成にも努めております。この、とやまスポーツ道場では、リオデジャネイロオリンピック、柔道の金メダリストでもあります田知本遥選手も参加をされて、強化、育成を図られたところでもございます。  今後も県スポーツ協会と連携いたしまして、スポーツ少年団、それから各武道競技団体が実施をいたします普及振興活動、それから競技力向上について、しっかり支援をしてまいりたいと考えております。 62 庄司委員 本当に現場は深刻な状況もあって、この前、僕も相撲大会に参加したんですけど、小学校でもほとんど相撲をされていなかったので、高学年の6年生、5年生、4年生ぐらいはあまり経験のない方が上がって来られたりして、この辺が運営についても大変厳しいと思いますし、いろんなところでまたそういう機会をつくって、底辺から育てていくことというのは非常に大事だと思います。ぜひ御協力をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。  次に、武道の殿堂となる富山県武道館の建設について伺います。  武道館の建設の要望が富山県武道協議会から提出されていますが、11万人にも及ぶ署名活動であったり、各競技団体の代表者による意見の集約や調整を、この武道協議会は10年余りにわたって活動されています。  いよいよ令和9年度の完成に向けて、具体的に計画を進めていかなければならない大事な時期に差しかかっていると思っておりますし、先ほど来から質問しておりますとおり、武道が大切なものだということは皆さん御承知のとおりでありますが、やはり殿堂が早くできないと競技自体にも差し支えると思っています。  競技人口を増やす意味でも、早く建設をしていかなければいけないと、進めていかなければならないと思いますが、今定例会でも様々な意見が出たと承知をしております。  これまでの要望の内容や県議会での議論をここで一旦整理して、やはり早急に整備方針を固めて、これ以上建設を遅らせないように取り組んでいくべきと考えますが、これまでの議論の整理と建設に向けての考え方、方向性について蔵堀副知事に伺います。 63 蔵堀副知事 富山県武道館につきましては、令和2年4月に基本計画を策定いたしましたけれども、その後の情勢、環境の変化などを踏まえまして、4月に武道館整備基本計画の見直しの検討委員会を設置いたしました。  また、5月9日には富山県武道協議会から要望が出されておりまして、早期の竣工、それから大規模な大会も開催可能な規模の施設整備、それと駐車場の確保を求めるといった要望書が提出をされております。  こうした経緯も踏まえまして、今月1日に開催をいたしました第2回検討委員会では、見直しの方向性の案として、1つには施設のコンセプトは武道競技の振興、競技力向上に寄与する施設に絞ること、2つ目には機能や規模は本県の武道の拠点となる施設として、公式大会が開催可能なものとすること、また3つ目として、現在の建設予定地における整備費の試算を踏まえますと、さらなる整備費の削減が可能となる新たな候補地として、五福公園と県総合運動公園の2か所を提示させていただいたところです。  検討委員会の委員の皆さんからは、武道競技に特化すること、それから、整備費削減のための建設地の変更についてはおおむね御同意をいただけたのではないかと思っております。  ただ一方で、2つの候補地、五福公園と県総合運動公園につきましては、それぞれ長所、短所などの御指摘もいただいております。  また、今県議会でも様々な観点から御議論、御意見をいただいているところでもございます。施設のコンセプト、それから機能や規模、また、令和9年度中の開館を目指すと言った点については、一定程度の御理解をいただけているのではないかと思っております。  ただ他方で、2つの候補地それぞれに関する御意見、また、民間活力の導入に関する御意見などもいただいております。こうした点については、今後よく精査をして詰めてまいりたいと考えております。  今後、検討委員会での意見、また、県議会における御意見も踏まえますとともに、武道関係者、それから実際に利用されている方、それと、それぞれの場所の、近隣の住民の方の御意見などもよくお聞きをした上で、県の武道館でございますので、県内全域からの利用のしやすさといった観点も含めまして、夏頃を目途に基本計画の改定案を取りまとめ、令和9年度中の開館を目指して最大限努力してまいりたいと考えております。 64 庄司委員 ぜひ遅れないように、令和9年の開館を必ず達成していただきたいと思っております。よろしくお願いします。  次に、今ある富山武道館や高岡武道館の存続について伺いたいと思います。  現在、部活動の地域移行や指導者の育成などが議論をされているところですが、武道に関しては、もともと地域の道場で指導や普及がされてきた経緯があります。武道教育の基盤となる競技人口を増やして指導者を育成していくためには、道場などの拠点がますます重要になってきていると感じています。  新武道館の建設と併せて、現在の富山武道館や高岡武道館の存続について、富山市と高岡市とも連携をして、地域の関係団体と意見交換などを進めて、十分な検討が必要であると考えますが、廣島生活環境文化部長に伺います。 65 廣島生活環境文化部長 今回の武道館整備につきましては、既存の県営富山武道館と県営高岡武道館の統廃合により、新たに整備するという考え方に立っていると思っております。  両武道館がこれまで果たしてまいりました役割を踏まえ、新たな県武道館の整備を目指すという観点で策定いたしました現在の基本計画でございます。  この基本計画におきましては、両武道館につきまして、県営施設としては廃止することとし、廃止後の施設の活用については地元市をはじめ、関係方面と十分に協議し、適切に対処していくと書いてあります。  県としては、今後、この基本計画にございます考え方を基本に取組を進めていくということにしております。  県営施設としての廃止後の施設の活用につきましては、地元市をはじめ武道関係者の皆様方と十分協議を進めてまいりたいと。また、これに関連しまして、各地域での武道競技の普及、武道を通した青少年の健全育成や、その指導者の育成、そうしたことにつきましても両市をはじめ、武道関係者の方々と丁寧に協議をしてまいりたいと考えております。 66 庄司委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。  最後になります。  大相撲で復活を遂げました朝乃山ですが、この朝乃山の活躍を契機に、新武道館の建設の対象となっていない相撲場の整備を加速させて進めていかなければいけないと思っております。  先日行われました朝乃山の役員会、後援会の懇親会に横田副知事も参加をいただきましたが、富山県のウェルビーイングの素にもなっている朝乃山の活躍です。  ぜひ、富山県の未来を担う子供たちに、夢や希望を与えるためにも相撲場の整備の促進が必要であると考えますが、どうやって取り組んでいかれるのか新田知事に伺います。 67 新田知事 県の五福公園内にあります公益財団法人富山県スポーツ協会、前は体協と言っていましたが、富山県スポーツ協会の相撲場は2000年とやま国体に向けて競技力強化を目的に、ちょうど30年前の1993年に整備されました。これまで本県相撲競技の拠点として、幅広い世代の相撲競技者に利用され、また、朝乃山関も所属されていた県立商業高校相撲部の練習場所としても活用されています。  令和2年4月に策定した富山県武道館整備基本計画の検討に当たっては、既存の県営富山武道館と県営高岡武道館の老朽化に伴う統廃合により新たに整備するもので、現在の両武道館が果たしている機能を維持拡充する方向で整備することを基本としています。なので、相撲場や弓道場については競技団体の皆さんの御理解もいただき、既存の施設に必要な改修などを実施することとしています。  5月9日に行われました県武道協議会からの要望では、相撲場についても言及がありまして、老朽化に加え、控室や観客席がなく、大会開催には不向きな構造となっていることから、現在の施設を整備拡充して利便性の高いものとしてほしいと、また、富山県武道館の竣工時までの完成を望むとする旨の要望が相撲場についてでありました。  県としては、まず、富山県武道館の整備促進を第一に取り組みます。そうした中で、相撲場についても、県関係者の御意見もよくお聞きをして、第2、第3の朝乃山関のような強い力士が本県から誕生することも願っているところでもありますが、検討してまいります。 68 庄司委員 ありがとうございます。  先ほども言いましたが、子供たち、一生懸命頑張っています。やっぱり地元の先輩がそうやって頑張っておられるというのは大変希望を夢に…… 69 瘧師委員長 庄司委員、質疑はもう終了しましたので。 70 庄司委員 ありがとうございます。 71 瘧師委員長 庄司委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                      午前11時59分休憩                      午後1時00分開議        岡崎信也委員の質疑及び答弁 72 川島副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  岡崎委員。あなたの持ち時間は60分であります。 73 岡崎委員 お昼、トップバッターでございます。  川島副委員長、就任おめでとうございます。同期でございます。  お昼一番で少し眠たいかもしれませんが、そうならないように、しっかりとやっていきたいと思っております。  立憲民主党議員会の岡崎でございます。よろしくお願いします。  さて、うちの会派の長も申し上げておりますが、ウェルビーイングの政策について我々は非常にいいなと思っていますが、まだまだ浸透していないと思います。  私どもが一番いいと思っているのは、知事が掲げられている現場主義ですよね。その現場、すなわち県民がどういう感覚でこの県の施策を見ているか、主観性を持ってこれを昇華されたというのは、私は、この現場主義の評価をどう見ていくかということについて、非常に重要なことだろうと思っています。そういう意味で、より一層県民に身近な施策が展開されていくように、期待を申し上げたいと思っています。  本当に幅広い県民の皆さんから、この選挙戦を通しましてたくさん御意見をいただいておりますので、そこからかいつまんで少し組み立てて、今予算特別委員会で審議をしてまいりたいと思っています。  まず、大項目の問1、コロナ禍のアフターフォローなど、県政運営についてお聞きしたいと思います。  コロナは定点の検査になりまして、息を潜めているかのように思えるのですが、私の近隣に聞いてみましても、最近はやっているんじゃないかとか、あるいは中小企業は、また休みになったとか、あるいは大手のラインが、全部止まっていなくても1ライン止めましたとか、5類になった以降も、結構感染の拡大は続いていると思っています。  県の施策は、やはりある程度国に追随をしていくというのは、それはやむを得ないと思います。予算も交付税でそれを見越してお金をもらっているわけで、それはやむを得ないだろうと思うのですが、やはり、県は身近な行政でありますから、県民の生活や経済にしっかり目を見開いてよく見て、コロナが5類になった後どういうふうになっているのかということは、常に注意を払って守っていかなくてはいけないと思っています。  まず1問目は、常任委員会でも取り上げたのですが、現在、中小企業の中には、やはりちょっと需要が戻っていないのでまだ休業しますというところも出ています。そういう中で、これまでは雇用調整助成金に特例措置が設けられていて、クーリング期間はなかったんですね。したがって、何遍でも使えたわけです。ところが、この雇用調整助成金が通常の制度に戻って、その結果、クーリング制度の縛りを受けるようになりました。したがって、特例措置で1年前に使っていると、その1年間は使えないという状況です。  中小においては休業を繰り返しながら、しかし、この制度が使えないので、結局、独自に苦しい中で雇用を守っていると、そういう実態にあります。  そこで、救済策として、産業雇用安定助成金の活用に加え、企業の技術力の向上やDX導入への取組を支援するなど、在籍出向を含む人材育成、これも含めて、今後の就労につながる施策に積極的に取り組むべきと考えますが、中谷商工労働部長にお聞きしたいと思います。 74 中谷商工労働部長 ただいま委員から御指摘ありましたように、新型コロナの感染症法上の位置づけが、2類相当から一般のインフルエンザと同様の5類となりまして、経済活動が正常化していく中で、雇用調整助成金の特例措置も終了したところでございます。  一方で、原材料やエネルギー価格の高騰によりまして、県内中小企業の経営環境は大変厳しい状況だと認識しております。  そうした中で、県内中小企業、小規模事業者の方々が事業を継続し、さらに発展させていくためには、適正な価格転嫁の下、省エネ、人への投資等による生産性向上が必要不可欠であると考えております。  委員からお話のありました産業雇用安定助成金につきましては、雇用維持もあるのですが、雇用維持だけではなく、人材育成を在籍型出向により行う企業への支援が拡充されております。県としましても、これに連動した県独自の補助金制度を通して、労働局と一体となって、働く方のスキルアップの取組を支援しているところでございます。  また、企業の生産性向上への支援につきましては、ビヨンドコロナ補助金により、省エネ、省資源、DX、カーボンニュートラルなどの取組を後押しし、また、とやま人材リスキリング補助金により、原動力となる人材のリスキリングを促進していく、さらに価格転嫁が適正に行われるようなパートナーシップの構築の普及にも取り組んでいるところでございます。  県内の有効求人倍率が1.5倍と高い水準にあります。企業の人材確保や生産性の向上は待ったなしの課題と考えております。  県としましては、産業雇用安定センターで在籍型出向のマッチング支援ということを行っております。こういったセンターの活用をしっかり周知するなど、企業間ネットワークによる在籍型出向の活用も含めまして、人材の確保育成の取組を支援することで、県内中小企業の発展、成長に努めてまいりたいと考えております。 75 岡崎委員 そういうことでいいんだろうと思うのですが、要は、今ほど言ったように、週に二、三回、1日、2日休むという場合においても、ちゃんと雇用に結びつけられるように、常日頃の関係をしっかりつくるような施策をもう少し突っ込んで、今後1年間はどうしてもこういうことが起こり得ると思うんです。そういうことを踏まえて、引き続きこの中小企業の状態、経済の状態をしっかり見ていただきたいと思います。  次に、この企業関係ということにおいては、パートナーシップ構築宣言、これは知事に非常に御尽力いただいているわけですが、現在、本会議でも、商工労働部長等がお答えしておられるとおり、春闘における賃金改善というのは、大企業においてはすごく好調だと言えます。大体昨年度が2%前半だったのが今年は3%強、高いところに行くと、もう4%近い賃上げに届いているところもあるわけです。  しかし一方では、中小企業はやっぱり大変厳しい状況にあります。やはり中小企業においては、自助努力で自分たちの賃金に反映できるくらいの利益を出す力はまだないと思われます。私たちは連合富山ともよくお話をさせていただいているわけですけれども、やはり賃金の上乗せ分を含めた価格転嫁、これをぜひパートナーシップ構築宣言に盛り込んで強く発信をしていただけないかとお聞きしております。  賃金引上げは、物価上昇やエネルギー高騰の中で、生活を守る最大の支援だと考えています。  そこで、中小企業を含めた価格転嫁が適切に進むよう、知事のリーダーシップの下、引き続きメッセージを発信していただきたいと考えるわけでございますが、これまでの取組の間における賃上げの状況等、企業意識の変化に対する認識も含めて、新田知事に御所見をお願いしたいと思います。 76 新田知事 物価が高騰する中、持続的な賃上げが行われていくためには、生産性の向上の取組と併せまして、企業の規模にかかわらず、サプライチェーン全体の中で適正にコストのパスをさせていって価格転嫁が行われること、全体でコストアップを分かち合う、そのような協力関係が必要だと考えております。  県内の賃上げ状況ですが、今ほど委員のお話にもありましたが、連合富山による5月31日時点の178社における春闘の集計状況によりますと、賃上げ率は全体で3.62%、中小企業においても約3%ということで、昨年同時期の2%前後に比べますと高い水準と理解をしております。  また、価格転嫁に関しましては、パートナーシップ構築宣言が浸透していくように、今、様々な手だてを講じておりますが、登録企業数は着実に増加しておりまして、現在300社を超えたと聞いております。適正な取引を尊重する機運の醸成につながっています。  一方で、国や日本商工会議所の全国調査を見ますと、度重なる仕入価格の高騰で価格転嫁が十分に行われておらず、また、価格転嫁の中身まで目を転じますと、労務費の価格転嫁が原材料費に比べると進まない傾向にあるという状況も見てとれます。  このため、パートナーシップ構築宣言の登録を、ビヨンドコロナ補助金を申請される場合の優先採択の要件といたしました。これはあくまで、ビヨンドコロナ補助金は前向きにお使いいただくことですので、このような一つのハードルも加えさせていただいたことは、これは御理解いただけるのではないかと思っています。  6月補正予算案では、脱炭素サプライチェーン構築の補助金の申請要件も1つ加えました。取引先との連携によって、付加価値向上への理解を深めていただきたいと考えています。  また、経済団体の価格転嫁対策を支援しておりまして、県の商工会連合会の経営サポートセンターが開設され、また、県中小企業団体中央会では、研修会や個別相談会を実施予定であると聞いております。そのように経済団体でも取組が進んできているところです。  今後も、国や経済団体と連携をしまして、適正な価格転嫁に向けた環境整備をさらに進めるとともに、生産性向上の取組を後押しして、中小企業の賃上げが進むように支援をしてまいります。 77 岡崎委員 知事も非常に御尽力いただいているということはよく分かっているのですが、アベノミクスもずっとやったのですが、なかなか結果が出なかったのは、最後はトリクルダウンだったと思うんですよ。トリクルダウンで、ずーっと上が潤えば末端まで全部潤うんだという、こういううたい文句であったのですが、なかなかそこまで行き着かなかったということで、今の岸田政権においても、何とかやっていかなくちゃいけないということで、しっかりやっておられると思うのですけども、やはりそれでも届かないということです。  ぜひ富山県においても、知事に、もうひと頑張りしていただいて、引き続きこうした政策が進むように御尽力いただきたいと思います。  どうもありがとうございました。  続いて、副委員長、資料提示を許可願います。 78 川島副委員長 許可いたします。 79 岡崎委員 皆さんのタブレットにはもう既にデータが入っていると思うのですけども、これは内閣府が提供しています男女共同参画局による資料でございます。  これは何かといいますと、女性の雇用率、就業率を示したものです。どーんと就職されて、結婚されて、お子さんを持つにつれて、1回赤いラインが下がっています。でも、子育てが終わってまた就業率が上がるということで、これはいわゆるM字カーブと言われています。  一方で、この青いラインは正規雇用率を示したものです。これは、最初の結婚をされて職を離れるまでは、同じようにカーブが立ち上がっていますが、これが正規雇用率となると徐々に低下をし始めて、だんだん下がっていくということになっています。ここに課題があると思っています。  現在、国も県もこども・子育て支援を加速化していこうということで取組を始めていくわけです。テーマは、やはり男女共に働き、そして共に育てるということだろうと思います。  ある報道関係ですけれども、女性に今何が不安ですかと聞いてみたんです。そしたら、これから結婚していく中において、当然子供もできて子育てをしていかなくちゃいけないと。そういう中において、やはり育児休業を取ってキャリアが途絶える、このことが非常に不安である。いわゆる、県のような大きな職場ではないわけで、一定のフロアで仕事をしているとすれば、なかなか休業した後そのまま復帰するのにつらいということと、あと、男性の育児休業の取得率がそんなに高くないということも言われていまして、どっちも取れるような環境にならないと、なかなか安心して仕事も続けられない、こんなことが言われていたわけです。  当然キャリアが途絶えると正規化率は落ちてくるし、また、もう一つは、こういうのもあるのですが、これは賃金格差なんですね。これは、男性一般労働者を100とした場合の、赤のラインが女性の一般労働者の給与水準です。青いラインは、男性の正規職員を100とした場合の女性の正規職員ということで、いずれも低いということになっています。  これは、県においても、女性の登用が遅れていくというのは、1つは御家庭を持たれて、そして育児休業を取れば、休業で1年、2年はやっぱり休まれるわけで、それはもう男性職員との登用の格差にはなっていくだろうと考えています。そういうことで、やはり共に働いて共に取れる育児休業ということがテーマになってくるだろうと思っています。  それで今回は、国がこども未来戦略方針の中で示しています公務員における男性の育児休業取得率を、現行の政府目標を大幅に引き上げて2025年に85%とすると言っているわけです。多忙な本県で、これは対応可能なのかということがあるわけです。  そこで、公務職場の男性の育児休業取得率の目標を、異次元に引き上げるわけですけれども、それに耐え得る組織体制をどのように構築するか、県がやるということは民間への波及も期待ができるわけで、含めて南里経営管理部長に見解を求めます。 80 南里経営管理部長 県庁ではこれまでも、男性職員が1か月以上の育児休暇等を取得できるよう、所属長代理が子育て支援推進員となり、子育てパパサポートプランを作成し、休暇等の状況を確認し取得を促してまいりました。  また、周囲の職員が当該職員をサポートする体制を確保するために、その職員の休業中の業務について円滑なサポートに貢献した職員に対して、業績評価において適切に評価するなどの取組を進めてきております。  さらに、職員が安心して育児休業を取得できるよう、代替職員の採用試験を随時実施するとともに、それでも確保が困難な場合はオフィスサポートスタッフを機動的に配置するなど、柔軟に人員を配置してきております。
     こうした取組の浸透によりまして、男性の育児休業取得率は、平成30年度の4.7%から令和3年度は41.7%まで上昇しております。昨年度末には、さらなる取得促進に取り組むため、本県の特定事業主行動計画の数値目標を、令和7年度までに50%から80%に改定したところでございます。  今回の国の方針は本県と異なりまして、病院等を除いた、いわゆる一般行政部門の常勤を対象としているものではございますけれども、今回の国の方針も踏まえまして、今後、指標の在り方を検討したいと考えております。  委員御指摘のあった、育休でキャリアが途絶えることへの不安というのは私も非常によく分かります。どうやって働き続けていったらいいだろうとか、同じやり方でしていいのかどうかなという不安というのは非常によく共感するところでございます。  10年前、私も厚生労働省勤務の夫に、1か月の男性育児休業を取ってもらいました。家族のためだけでもなくて、職場の機運醸成にも貢献したんだと聞いております。  今後とも、本県におきましても、さきに述べたような支援体制を確保するとともに、県庁の意識改革と機運醸成に努めながら、男性育休は当たり前の組織となるような職場環境づくりに努めてまいります。 81 岡崎委員 大変力強い御答弁でございました。ただ、本当に政策は加速化するのですが、組織がなかなか簡単に加速度的に追随できるような状態では私はないと思いますので、そこはぜひまた女性経営管理部長として目を配って、男女共に本当に取れるような、そういう環境に努めていただきたいと思います。  ありがとうございました。  続いて、子供医療費助成について、知事にお聞きしたいと思います。  今、本当に国も、国を挙げてと言っていいと思うのですが、子供ファーストで政策が突き進んでいます。国のこども未来戦略方針において、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止すると明記をされたところでございます。これはチャンスだと思うんですね。  したがって、今ここで県内一律ということではなくて、まさに全国一律、国が責任を持って、18歳未満ぐらいまではしっかりと子供の医療費制度を支える、そういうことをぜひ国に働きかけていただきたいと思いますが、知事に御所見をお伺いいたします。 82 新田知事 子供医療費の助成につきましては、岡崎委員御指摘のとおり、子供の命と健康に関わるため、地方の財政力の差によって地域間格差が生じないようにということで、全国一律の包括的な仕組みなど、国の責任において行う施策として取り組むべきだということを認識しております。また、子育て世代の経済的負担の軽減の観点からも極めて重要であると考えています。  これまでも、政府などへ、県の重要要望や全国知事会を通じて、所得や地域等に関係なく、誰もが安心して子育てできる環境を整備するため、全国一律の子供医療費助成制度の創設について要望してきました。  こうした中で、先日6月13日、国においてこども未来戦略方針が決定され、その方針の中に、子供医療費に係る国民健康保険の国庫負担減額調整措置を廃止するなど、医療費などの負担軽減が盛り込まれて、今後、国において具体化の検討が進められていくことになります。  委員も御指摘のこの国庫負担金の減額調整措置の廃止、これは実は今回、私ども知事会の有志でいろいろ作戦を練っておりまして、そこでも今回のメインターゲットをここにしておりまして、それがこの方針の中に入ったということで大変にうれしく思っているところです。こんなペナルティーのようなことは、やっぱりやめていただきたいということは常々思っておりました。  こども・子育て施策の強化に向けては、子供医療費助成をはじめ、国が全国一律で行う施策と、県や市町村がその実情に応じてきめ細やかに行う事業、これらが組み合わさることで、より効果的なことになると考えておりまして、引き続きあらゆる機会を通じて、国に対しても強く働きかけるとともに、市町村とも様々なことについて、「ワンチームとやま」連携推進本部会議の場などで大いに議論をして手を携えていきたいと考えております。 83 岡崎委員 本当に知事がおっしゃられたとおりで、ペナルティーみたいな対応というのは、これはもう改めたわけで、今さらもう言うことはありませんけれども、やはりこれだけ少子化が進んでいる中において、どこかの県はちょっとよくなっているとか、そんなレベルではもうないと私も思っています。ぜひまた知事会で、本当に強く働きかけていただくことをお願いしたいと思います。  次に第2項目で、災害対策をはじめとした県民の安全・安心の確保についてということでお伺いをしたいと思います。  これは、昨年8月13日の集中豪雨によって、県立中央病院も含む長江地区、あるいは大泉地区、その周辺で起こった集中豪雨による冠水被害でございます。  大手企業や小学校をはじめ、床下浸水や床上浸水被害等、数多く発生いたしました。梅雨も本格化しているわけでございますが、県民の安全・安心の生活を守るため、この対策をしっかり講じていく必要がございますが、この都市型のこうした水害について、その原因をどのように分析しておられ、そしてまた、今後どのような対策を取られるのか、市井土木部長にお聞きいたします。 84 市井土木部長 昨年8月の富山市の大雨では、水路などから雨水があふれた一方で、その合流する河川において越水となる水位が確認されていないことから、いわゆる内水による被害が多く発生したところです。その原因は、水路等に排水能力を上回る水の量が短時間に流れ込んだことによるものと考えております。  こうした都市型水害に対し、現在、富山市の中心部においては、ハード対策として、県や富山市では一級河川の冷川や太田川、準用河川、宮路川等の改修をそれぞれ進めております。  また、市では、実際に被害のあった中央病院周辺において、雨水排出先の水路に堆積した土砂の撤去も実施しておられるところでございます。  一方、ソフト対策としては、県の洪水浸水想定区域図を基に市町村が作成した洪水ハザードマップが公表されており、富山市では、中心市街地の内水ハザードマップも昨年度公表されたところでございます。  富山市では現在、新たな浸水対策基本計画の策定に取り組まれており、県も担当課長が委員として参画しております。本年3月に開催された第2回委員会におきましては、今後、浸水対策を重点的に進めていく地区等を抽出する作業に着手すること、また抽出に当たっては、浸水リスクや人口分布などの指標を用いた優先度評価を実施することが報告されたところでございます。  あわせて、河川や雨水幹線の整備に加え、学校のグラウンドや水田貯留等の被害軽減策の提案も行われたところでございます。引き続き検討を重ね、年度末に対策が取りまとめられると伺っております。  県といたしましても、県民の安全・安心な生活を守るため、流域治水の考えの下、市町村をはじめ関係者と一体となって、ハード、ソフトの両面から市街地の治水対策に取り組んでまいります。 85 岡崎委員 ありがとうございました。  これを聞いているところによると、気象庁も十分雨量観測ができないぐらい、急に降ってきた雨だそうです。気象台がある石坂では、27ミリぐらいしか観測されていないのですが、富山市が秋吉に設置をされている雨量計から推測したところ、時間雨量100ミリ弱、97ミリくらいだったんじゃないかと。相当激しいものだったと聞いております。  今は何が起こるか分からないので、やっぱり日頃からこうしたことに対してしっかり対策を取る必要があると思っています。  引き続き、次の質問になりますが、今度は避難所における運営などについて少しお伺いをいたします。  6月11日に菅沢県会議員が氷見市で、珠洲の地震に関して、富大の名誉教授であります竹内章さんを呼んで講演会をされたのですが、大変たくさんの県民の皆さんが来ておられました。  その中で、最後に質疑になって、女性の参加者からお話があったんですけれども、避難所における女性の対応等についてお話が出て、ぜひ女性防災士を増やして、この避難所の運営等にいろんなノウハウを注ぎ込んでほしいと、また運営に携わってほしいという声が出ておりましたが、武隈危機管理局長に県内防災士の養成状況についてお聞きをいたします。 86 武隈危機管理局長 避難所の準備、運営に当たりましては、女性専用の物干場や受乳室の設置、生理用品等の女性による配布など、女性の視点やニーズを取り入れるとともに、女性にその運営に積極的に参加していただくことが重要であり、県ではこれまでも女性防災士の養成に取り組んでおります。  御質問のありました県内における防災士の状況ですけれども、今年3月末現在で全体で2,345人でございまして、そのうち女性防災士は427名、女性比率は18.2%となっております。  5年前の平成30年3月末現在の女性防災士の数が96人、女性比率が8.4%、これと比較いたしますと、人数では約4.4倍、女性比率では約10ポイント増加しておりますが、女性比率自体ではいまだ20%を下回っておることから、さらなる増員を図る必要があると考えております。  このため県では、今年度、防災士養成研修におきまして、女性優先枠を昨年度の60名から120名に倍増いたしまして、これまで以上に女性防災士の養成を推進することとしております。  また、市町村やNPO法人富山県防災士会とも連携いたしまして、地域の女性団体などを対象とした出前講座や研修会を開催するなど、女性の皆さんに防災への関心を高めていただくための啓発活動にも取り組んでいきたいと考えております。  県としては、今後とも災害等の現場における女性参画の必要性について理解促進を図るとともに、女性防災士の一層の養成に努めてまいりたいと考えております。 87 岡崎委員 ありがとうございました。  これだけ災害に対する関心が高まる中で、やはりいろんなところで避難所の状況というのがよく見えるわけで、そういう意味では、女性の皆さんもそういう方がおられると助かるなという声だったというふうに思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  続いて、道路について1問お伺いをします。  私の地元の四方荒屋地内の県道練合宮尾線では、今、建設が進められているわけでございますが、道路整備が進んでいって交通量も増えて、商業効果も出てきている一方で、照明が暗いという話も非常によくお聞きをしております。  実際に私も見ているのですが、四方荒屋の交差点から、倉垣小学校付近のセブン-イレブンの交差点まで約1キロ弱あると思うのですが、全く照明がない状態です。高校生の通学、そしてまた中学生の通学路にもなっているわけで、防犯上も非常に危険、雨天になるとなかなか横断歩道もよく見えないという状況にもあります。  こうした照明等を含めた道路施設の整備について、どのように進めていくのか、市井土木部長にお聞きします。 88 市井土木部長 道路照明は、道路構造令第31条において、交通事故の防止を図るために設ける交通安全施設とされており、国がその設置基準を定め、信号機の設置された交差点や長大な橋梁、夜間の交通上特に危険な箇所のほか、必要に応じ信号機のない交差点などに設置することとしており、県においてもこの基準に基づき整備しておるところでございます。  平成16年度にバイパスの整備に着手した県道練合宮尾線におきましては、令和3年度までに約1.7キロメートルの区間を供用したところでございますが、信号交差点である県道富山魚津線との四方荒屋交差点と県道四方新中茶屋線との交差点、この2つの信号交差点に加え、信号はないものの、つばめ野団地への入り口となる交差点に計5基の道路照明を設置したところでございます。  さらに、供用後の昨年度には、和合中学校から近く、学生が頻繁に利用する横断歩道において追加設置も行ったところでございます。  現在、四方新屋交差点と県道四方新中茶屋線との交差点までの約1キロメートル区間におきましては、委員御指摘のとおり、道路照明は設置されていない状況にございます。  今後、夜間の歩行者等の安全性や横断歩道の利用状況などを調査し、設置基準に照らし合わせて、設置の必要性について検討してまいります。  県としては、道路の新設時はもとより、供用後においても、沿道の利用状況や開発状況を踏まえ、必要な箇所において道路照明を設置することとしており、今後とも夜間の交通安全の確保に努めてまいります。 89 岡崎委員 ありがとうございました。  今後も高岡に向かって進んでいくわけで、そうしたところも含めてぜひまた検討いただきたいと思います。ありがとうございました。  続いて、行きたいところに行ける公共交通ということに関しまして、まず武道館問題を少し取り上げさせていただきたいと思います。  現在、駐車場等いろいろありまして、2つの候補地が挙がっています。ただ、もう一つ、どうだったのかということでちょっと見てみたのですが、これはちょっと皆さんも見覚えのあるポンチ絵だと思うのですが、ちょうどこちら側が新幹線の富山駅です。今、地鉄が横を走っているのですが、高架化事業が進められていくわけです。  こういうことで、道路は全てフラット化されていくわけですよね。したがって、その分、歩きやすくてアクセスもよくなっていく。公共交通も、環状線なども通ったり、ライトレールが通っています。  ということで、いろんなことを含めて千歳町の候補があったと思いますし、その柱には、やはりまちづくりと公共交通を一体的に進めるという柱もあったのではないかと私は思っています。  そういう大きなものはちょっとぶれて、利用していく立場にとったら、やっぱりこっちのほうがいいんじゃないかと言っているわけですけども、それはそれとして、やはり県の政策において、まず柱としてあったものがぶれて、あっちに行ったりこっちに行ったりしているというのは、私はどうも少し疑問に思うわけです。  したがって、当初のこの千歳町、これにしてもかなりいい面がある、そしてまた既存の施設も駅前にあるということも含めて、なぜこれが消えていったのかということ、そしてまた、どうして施策がそういうふうに転換されたのか、いま一度蔵堀副知事にお聞きをしたいと思います。 90 蔵堀副知事 富山県武道館についてでございますけれども、まず、現在見直しております主な理由は、1つは周辺の環境の変化ということがあります。そのため、機能であるとか規模を見直すということでございます。  もう一つは、これは物価上昇に伴うものではございますけれども、整備費の増嵩によりまして、事業費がかなり大きくなりましたので、これをどうやって抑えていくかという2つの点で見直しを進めております。  その中で、機能につきましては、武道館機能に絞るということで、それまで当初予定しておりました地域活性化イベントを行うとか、そういうことについては、基本的には外していくという方向で進めております。  また、整備費についても、現在の場所で削減できる金額に限りがありますので、それをさらに削減するためにはどうするかということで、建物の構造を複層構造から単層構造に変える。そうすると、敷地としては、今の建設予定地ではなかなか入らないということがあって、五福公園と県総合運動公園の2か所を御提示しているということでございます。 91 岡崎委員 説明を聞いて分かったとはなかなか言えないわけですけれども、もともとこの千歳町に建てるときから、もう駐車場の確保というのはかなり難しかったんですよね。にもかかわらずここを選択して、公共交通を利用して行けるからここでやろうと決めたと私は考えていたのですが、その辺はどのぐらいのウエートでなくなっていってしまったのか、もう一度、再答弁をお願いします。 92 蔵堀副知事 今ほど御説明申し上げましたけれども、当初の機能としては、武道館としての機能を果たすということと、それから、地域活性化のイベントを行うということ、また、武道以外のスポーツについても利用されると、こういった3つの機能を持たせるということで計画をしておりました。そうしますと、特にイベントなどの状況を考慮しますと、なるべく公共交通で、より便利な場所ということです。  それから駐車場についてですが、近隣に民間駐車場があるということで、そちらを主として利用してもらうという前提で当初考えておりました。それもイベント時などを考慮すると、かなり大きな駐車場を整備するというよりは、民間駐車場を利用してもらうほうが効率的ではないかと、そういう考えでございます。 93 岡崎委員 機能的にも少し変わってきたということもあると思うんですが、しかし、これくらいの大きい施設を造るときは、どうしてもまちづくりと重なると思いますし、これから将来を含めて考えた場合、ずっと車というのはどうかなと一方では思うわけで、次に地域公共交通の話も少ししますけれども、公共交通の活性化ということもやっぱり一方では考えながら、誰でも来れる場所を選んだりとか。新聞にも少し出ていましたが、高校生とか子供たちの中には、車ではなくて、公共交通で武道館に通っている子供たちもたくさんいたというお話も新聞で報道されていたと思いますので、どんなふうにぶれていくか分かりませんけれども、そういう人たちの足もちゃんと確保するということも含めて、ぜひまた検討いただきたいというふうに思っております。ありがとうございました。  続いて、地域公共交通、身近な交通についてお聞きをいたします。  大分時間も迫ってきましたので、走りながらまいりますが、2月定例会では、こうした身近な公共交通について、田中局長から、交通ワンチーム部会の場などを利用するということでお話があったところでございます。多分たくさんの事例共有を幅広く図られたのではないかなと思いますし、県内においてもすごくたくさんいろんな事例が出てきていると思います。  そこで、地域のワンマイル交通について、交通事業者や住民間の協議、合意形成が重要と考えますが、県としてどのように注意を払って確立に向けた役割を果たしていくのか、田中交通政策局長にお聞きをいたします。 94 田中交通政策局長 持続可能で、最適な地域内のモビリティーサービスを確保するに当たりましては、地域住民の参画、事業者間の協調など、地域全体で実現を目指すことが大切であると考えております。  今年2月の県地域交通戦略会議で取りまとめました地域交通ネットワークの目指すべき姿では、地域住民などが支え手にも受け手にもなるサービス、路線バス等への乗り継ぎや一体的な利用促進、タクシー、バス会社と協力した運行、タクシーなど既存の交通サービスとの両立など、地域内のモビリティーサービスの確保のポイントを整理しました。  県として、自宅と最寄りの施設との身近な移動の確保に当たりましては、これらのポイントに注意を払う必要があると考えております。  このため、市町村や事業者、地域住民等の地域の関係者と、こうした点について認識を共有するため、委員からお話がありましたけど、先月5月に開催しました県内市町村、交通事業者等が参画する交通ワンチーム部会では、この目指すべき姿について丁寧に御説明をして意見交換を行いました。  また、各地域のモビリティーサービスについて協議する市町村の地域交通会議が設置されておりますけれども、ここにも県は参画しております。  県としましては、こうした場も活用しまして、必要な助言を行うなど、関係者間の協議、合意形成が適切に行われるよう努めてまいります。 95 岡崎委員 新幹線は今、大阪まで延伸に向かって頑張っていますけれども、住民にとって本当に身近な公共交通というのは、かなり関心の高まりもありますし、県内様々な事例も今出てきております。そういう意味では、本当に具体化できるように、ぜひまた県のお力を貸していただきたいと思っています。  市町村を取りまとめて、事業者と共に一緒に考えてモデルをつくっていくのは、やはり県の今の地域公共交通計画だと私は思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  続いて、宅配の話があったのですが、少し飛ばしまして、問4に行かせていただきたいと思います。  労働時間短縮や官製ワーキングプアなど、働き方改革について3問お伺いをしたいと思います。  まず知事にお伺いしますが、DXということで、今、マイナンバーも毎日のようにトラブっていますよね。これは精査も含めてやられているわけですけれども、最後に困るのはやっぱり国民であったり県民であったりであります。  また、チャットGPTなども、これは非常に使えるという反面、また一方では、これは大変なことになるんじゃないかということで警鐘を鳴らす有識者も多いわけでございます。本当にじっくりやったほうがいいなと私は思っているわけでございます。  そこで、県職員の業務効率化のため、DX推進や生成AIの活用は切り札とも言われていますけれども、システム稼働には稼働前に試行を重ねることが非常に私は肝腎ではないかと思っています。  そこで、DXの推進や働き方改革に向け、今後どう取り組んでいくのか、新田知事に所見をお伺いいたします。 96 新田知事 県庁職員がより付加価値の高い仕事に集中して注力できるように、そして、それによって県民サービスのさらなる向上を果たすために、できるだけ業務の効率化を図っていくことが必要であろうと。その上で、様々なデジタルツールを活用することが大切と考えて導入してきたところであります。  デジタルツールは開発の進歩が速く、また、様々な製品があります。なので、これはDX・働き方改革推進補佐官の方々の御意見も入れまして、まずはスモールスタートで一部の部署から試験導入し、そして使用する中で県庁に適合する製品仕様を特定し、そして本格導入に向けて課題を洗い出し、有効な活用方法を検討し、安全に利用できるルールづくりや環境整備などに取り組んでいく、このようなやり方でこれまでやってまいりました。  この数年の間には、ビジネスチャットあるいはオンラインストレージ、テレワーク基盤の導入などをやりましたが、このスモールスタートの手法を活用してやってきて、大過なく浸透しつつあると考えております。  現在、県庁職員のほとんど、数千名ですが、毎日の業務で利用しているのはメールです。そして、庁内掲示板等のシステムもあります。このシステムの更新準備、これは数年来の課題でしたが、これを今いよいよ進め始めています。その導入に当たっても、やはりスモールスタートの手法で準備を進めていこうと今考えております。このシステムは、非常に高い業務改善効果が見込まれます。  一方で、メールですから、ほとんどの職員が毎日慣れ親しんでいるものですが、最初に出てくるインターフェースがもう大幅に変わるということになります。ですから、一時的には戸惑いやらトラブルも予想はされますが、操作研修を徹底していくことにしておりまして、迅速なトラブル対応のためには、職員内のヘルプデスクも設置をして、円滑に導入できるように丁寧に作業を進めることにしています。  今後もスモールスタートで、トライ・アンド──なるべくないほうがいいんですが──エラーも繰り返しながら、新たなシステムを導入することによって、県庁のDX・働き方改革を進めてまいります。いろいろ御心配いただきまして、ありがとうございます。 97 岡崎委員 知事、ありがとうございます。  やはりスモールスタートで、トライ・アンド・エラー、このエラーが起こったら本当に業務量が逆に増える、それを防ぐためにどうやるかということで、またまた業務が複雑になるという繰り返しも十分考えられるので、そこは本当に確実に確実に一歩ずつ積み上げていただきたいと思います。  DXは避けるわけにいかないので、これは業務を効率的に進める意味では、非常に重要な一つのツールだと思っていますが、そこをうまく組み立てるのが大事だと思います。  続いて、少し時間外の話をさせていただきますが、県庁も大変忙しくて、知事に替わられてから大分よくなってきたかと思ったら、今度はコロナが起こったり、災害が起こったりして、なかなかうまく効果が出ていないというのが現状でございます。  そういう意味では、限られた人員の中でどう効率的に仕事を進めるかということについては、どこにどう人員を適切に配置するか、やはりこのことがポイントだと思っています。  現在、課ごとに時間外調査も行われているようですが、ここはあえて、もう少し、係ぐらいまで落として、精細に業務量の分析をしたらどうかと思いますが、南里経営管理部長に御所見をお聞きします。 98 南里経営管理部長 知事部局では、給与システムにより、毎月、職員の時間外勤務の実績を室課単位で集計しておりまして、全庁的な時間外勤務の状況を把握するための基礎データとするとともに、各部局に提示し、所属単位での時間外勤務縮減の目安としております。また、それを受けて各所属においては、管理職員が所属職員ごとの月ごとの時間外勤務時間数を把握することが可能となっております。  長時間の時間外勤務職員が在籍する所属においては、把握した時間数を基に事務分担の見直し、所属内の支援体制の構築など、時間外縮減に向けた具体的な改善策を検討し、人事課に報告することとしております。  人事課においては、こうした報告や人事課長等によるヒアリングを通しまして、当該職員だけでなく、所属する班係、さらには室課全体の業務量や時間外勤務の状況を分析し、オフィスサポートスタッフや事務サポートセンターの活用も含めた人員配置の検討を行うなど、時間外勤務の縮減対策を講じてきたところです。  今後とも、DX・働き方改革の推進による業務の効率化や、業務そのものの抜本的な見直しなどに努めながら、柔軟な人員配置を行い、時間外勤務の縮減に取り組んでまいります。 99 岡崎委員 おっしゃることは分かるのですが、仕事を進める上では何々係、何々係ということでしっかり区分されているわけで、そこで分析したほうが私はいいなと思いますので、ぜひまた部内でも少し検討いただきたいと思います。
     経営管理部長、もう1問ありますね。  先ほどからのオフィスサポートスタッフ、これも会計年度任用職員の方だと思いますが、本当にちりばめられるようにしてたくさんの方がいらっしゃいます。  しかし一方では、この間、働き方改革を言われているのですが、賃金が非常に低いなと私も感じておりまして、やはり1年、2年、3年、あるいはもっと、今度は振り替えて、また年数、経験を積んでおられる方もいらっしゃるわけで、そういうような経験を積んだ方というのは、かなりの力になっていただけるということも感じているわけでございます。  一方では、これは、ちょっとどうかなと思うのは、5時15分までの勤務なのに5時で帰ったりというのもあったり、これは15分カットして正規の職員ではないとしているのか、そんなこともいろいろとあるようでございますので、ざっくりとこうした雇用の在り方を含めて、県庁に働く行政の支援をしていただいている会計年度任用職員の処遇の改善、もう少し賃金引上げをする必要があるんじゃないかと思いますが、経営管理部長にお聞きいたします。 100 南里経営管理部長 一般職の地方公務員である会計年度任用職員の給与は、地方公務員法の趣旨を踏まえつつ、県民の理解が得られることが重要であると考えております。  その給与水準については、制度導入時に国から、会計年度任用職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号級の給料月額を基礎として、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を考慮しつつ、勤務の量に応じて支給することが適当と示されておりまして、この考え方に基づき条例及び規則で規定しているところでございます。  御指摘のところもございまして、来年、令和6年4月には、改正地方公務員法が施行される予定でございます。パートタイムの会計年度任用職員に対しましても、これまでの報酬、それから期末手当等に加えまして、新たに勤勉手当の支給が可能となるものでございます。今後、他県の動向を踏まえながら検討していきたいと考えております。  会計年度任用職員は、一緒に働く仲間でございます。県庁にとっては貴重な戦力となっておりますので、本制度、引き続き適正な制度運用に努めてまいります。 101 岡崎委員 大変難しい御説明だったのですが、要するに、荻布教育長、実は非常勤講師もよく似た制度なんですよね。初任の給与を超えないという制度になっていて、そういうところも、私は、本当はこれも絡めて言いたかったんですが、次回にまた教育長には問いたいというふうに思います。同じような課題があると思います。  最後に、時間がありましたので、廣島生活環境文化部長、飛ばしまして本当に申し訳ありませんでした。質疑をさせていただきたいと思います。大事な質問だったので、本当は飛ばしたらあかんかったのですが、宅配の再配達についてでございます。  流通に従事する民間事業者から、再配達についての負担軽減を求める声、これは2024年問題、先ほども出ておりましたが、それも含めて言われているわけです。  配達される方からしてみると、もう一回配達するというときは、2回配達したんだぞって、このぐらいの思いを持っておられるわけで、要するに、料金が発生したっておかしくないんじゃないかという思いもあるようでございます。  やはり、この指定時間に配達しているにもかかわらず、何らかの理由で同じ業務を繰り返すことで労働時間短縮の障壁となっていることですとか、あるいは、生活環境文化部でも取り組んでいただいているとおり、環境にも負荷をかけることにもなっているわけでございます。  こうしたことからも、再配達を減らすために、流通に従事する民間事業者から、県や各事業所において、従業員の荷物の引取り所を設けるなどの要望もあるところでございます。  宅配の再配達の削減は、事業者の働き方改革や環境負荷軽減にもつながると考えるわけでございますが、取組の進捗状況と今後の取組について、廣島生活環境文化部長に所見をお願いします。 102 川島副委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。 103 廣島生活環境文化部長 なるべく簡潔に答弁させていただきたいと思います。  委員御指摘の点から、再配達の削減は大切なことだと認識をしております。  昨年度は、再配達の削減に取り組むきっかけづくりといたしまして、「個人の荷物も職場で受け取ろう!キャンペーン」を行いまして、参加された138の事業所のうち、約8割から今年も続けたいという回答をいただいておりまして、今年度も昨年度と同様になりますが、11月から12月にキャンペーンの実施を予定しております。  今後、関係団体を通じた呼びかけ、またウェブサイトを活用した参加登録受付など、募集受付も工夫して参加事業所を募り、職場受け取りの実施事業所の拡大につなげたいと考えております。  あと、再配達の削減は、事業所だけではないのですけども、個人のライフスタイルに合わせて、職場での受け取り、コンビニでの受け取り、そのほか置き配ですとか、宅配便ロッカーなど、多様な受取方法を柔軟に使い分けていくということが必要であろうと思っております。  このため、今年度は取組の初めといたしまして、再配達率の高い新興住宅街や学生が多い地域をモデル地区に選定して、再配達削減に向けた啓発資材等を重点的に配付するほか、多様な受取方法を紹介する動画を作成して、SNSを通じて周知すること等をしておりまして、今準備中でございます。準備が整い次第、取り組んでまいりたいと考えております。 104 川島副委員長 岡崎委員の質疑は以上で終了しました。        井上学委員の質疑及び答弁 105 川島副委員長 井上委員。あなたの持ち時間は60分であります。 106 井上委員 よろしくお願いいたします。  今日は、二十四節気のうちの一つである夏至であります。1年で最もお昼の時間が長い一日でありますけども、今日は何の日ということでネットで調べてみますと、20個ぐらいの記念日がだーっと出てまいります。その中で目に留まったのが、今日は「キャンドルナイトの日」という記念日だそうでありまして、歴史をちょっと調べてみましたら、2001年だったそうですが、アメリカのブッシュ政権が原子力発電を推進するエネルギー政策を出したと。それに抗議して、カナダの国民が自主停電運動を行われたと。それが始まりだそうであります。  この運動に呼応して、日本では翌年度2002年から100万人のキャンドルナイトというものが始まったということでありました。夜8時から10時まで、2時間消灯しましょうと、電気を消しましょうという運動であります。東京タワーも今年は消灯するような状況だったと思いますが、ろうそくの明かりで子供たちに絵本の読み聞かせを行ったり、キャンドルを見ながら静かに食事をしたり、そして省エネを考えたり、平和を考えたり、そして電気料も高騰していますので、電気のありがたさをいろいろ考えたり、そういったスローな時間を1年に1回ぐらい過ごしてみるのもいいんじゃないかなというふうに思います。取り組むかどうかはあなた方次第でございますので、また御家族と御検討いただきたいと思います。  通告に従いまして、質問に入らせていただきます。  まず最初に、県の人材確保について何点かお伺いをいたします。  まず、県職員の採用についてですが、6月18日に県職員採用上級試験の1次試験がありました。申込者数は減少傾向にあるというふうに聞いておりましたが、今年度の申込み状況や倍率をどのように分析していらっしゃるのか、また、今後の課題と対応について人事委員会事務局長にお伺いしたいと思います。 107 古埜人事委員会事務局長 県職員採用上級試験につきましては、昨年度の申込者数と申込み倍率がいずれも過去最低を記録するなど、職員の採用は年々厳しさを増しております。  この背景には、少子化の影響による新卒学生の減少に加えまして、民間企業の採用活動の早期化があると考えております。この動きは今後も継続し、傾向は強まるというふうに見ております。  このため、今年度の上級試験では、受験時期の早期化、機会の拡大と、受験しやすさへの配慮をポイントに、申込み受付期間の前倒しや長期化、特に採用が厳しい技術職については教養試験の廃止など、採用試験制度を大幅に見直しまして、採用説明会等を通じ、早い段階から周知に努めてきたところであります。  この結果、今年度の試験については、募集人数が昨年度より22人増えまして過去最高であったため、申込み倍率は昨年と同じ3.4倍という状況でございましたけれども、申込者総数は、昨年度を86人、22%上回る476人となりました。  特に技術職については、例えば、委員の思い入れが強いと思われます総合土木職の申込者数が、昨年の19人から43人になるなど大幅に増加したところであり、安堵しているところでございます。  ただ、報道機関の調査によりますと、34都道府県で申込者数が前年度より減少しておるということで、依然として公務員志望者が減少傾向にあるというふうに思っております。  こうした中で、今後とも複雑、高度化する行政課題、それから多様化する県民ニーズに適切に対応するために、有為で多様な人材を確保することが必要でありまして、時代に対応した職員採用の在り方について、引き続き検討を進めてまいります。  また、職員が働きやすい組織、それから若い職員が積極的に政策提案できる組織とするなど、若者に選ばれる魅力ある職場づくりに県庁全体として取り組むことが何より大切だろうと思っております。 108 井上委員 ありがとうございます。倍率は変わらないけども人は増えたということで、いい傾向だと思います。  東京都が大卒者向けの職員採用試験で、合格した人が希望すれば、採用が3年間猶予される制度を導入するという新聞記事を見つけました。今年度の試験から実施するとのことで、合格者は3年以内で入庁年度を自ら選ぶことができる。それまで留学とか大学院へ行くこともできる、企業への就職も可能ということで、受験者数の拡大が大いに期待できるんじゃないかと書いてございました。  そこで、これはいい制度だから、ぜひ富山県でも導入したらどうかと提案しようと思いましたら、本県も実は、今年度から技術職において、この採用候補者名簿の有効期間を3年間延長できることに変更されていました。  そこで、この狙いと期待する効果について局長にお伺いします。 109 古埜人事委員会事務局長 先ほど答弁申し上げましたとおり、受験しやすさへの配慮などをポイントに、採用試験制度を見直したところであります。  その一つの方策として、今ほどお話のありましたとおり、大学院への進学ですとか民間企業への就職など、進路を決めかねている学生が悩むことなく安心して受験できる環境を整えまして、有為で多様な人材が受験してくれることを期待いたしまして、技術職において採用候補者名簿等の有効期間を、これまでの1年間から3年間に延長したところであります。  対象を技術職に限定いたしましたのは、昨年度の上級試験におきましては、総合土木など3職種で初めて申込者数が募集人数を下回るなど、近年、特に技術職におきまして人材の確保が困難な状況が続いていること、それから、理系学部の学生は大学院へ進学するケースが文系学部出身者よりも多いという中で、院の進学も視野に入れながら、採用試験を受験する学生、それから結果的に院の進学を選択し辞退する学生も一部見られます。  それから、技術職は業務に専門性を生かせる部分が多く、大学院進学により、スキルアップした能力を発揮してもらうことが本人にとってもやりがいがありますとともに、県にとっても施策の推進という面でプラスの効果があるというふうに考えたからでございます。  今年度初めての試みでありまして、有効期間をどう活用するかの意向確認につきましては最終合格発表後となりますことから、現段階で今年度の効果というのは判断できませんけれども、秋以降開催します各種採用説明会などを通じまして、学生の声も直接聞きながら、それからこの制度の周知方法なども検証しながら、この制度が人材確保に効果的なものとなるよう努めてまいります。 110 井上委員 ありがとうございます。  東京都の記事を読みますと、地方自治体レベルで、こういう猶予制度というのは非常に珍しいんだというふうに書いてありました。  本県ももっともっと大々的に、教養試験をなくしたことと併せてやっているわけだから、私はもっと宣伝してもよかったんじゃないかと思いますけども、今の大学生は2年生の後半から、実はインターンシップですとか説明会ですとか情報収集をしなきゃいけないわけです。もう昔と随分違うわけでありまして、だからこそ、この採用猶予制度というのは魅力的だと思うんですね。  就職先は富山県庁に決まっています。その後、大学院へ行くことができる、海外旅行もできる、留学もできます。世界旅行をやっておこうと思ってもできるわけで、ほかの仕事にも就けることになるわけですよね。本当に自由に過ごせる時間ができるということで、学生にとっては非常に有利な制度じゃないかと思いますが、もちろんお金に余裕があればの話でありますけども。  少子化などの影響で、民間企業との人材獲得競争が本当に激化しています。この採用猶予制度は、志望者の様々なキャリア選択に応じられる柔軟な仕組みだと、私は高く評価します。  同様の取組は、国家公務員の総合職試験でも導入されているというふうに聞いておりますけども、今後、技術職に限らず、事務職においても同様に、この採用候補者名簿の有効期間延長を検討すべきじゃないかと私は考えますが、導入に向けた今後の課題と方針について伺います。 111 古埜人事委員会事務局長 総合行政など、事務職を受験する者のほとんどは文系学部出身者でありまして、大学院進学率が理工系学部と比べるとかなり低い現状にあるということを考慮いたしますと、仮に事務職においても、この有効期間を3年間に延長した場合、制度を活用して県職員として採用されることを保留する人の多くは、民間企業への就職を選択されることになるのではないかというふうに想定しております。  このようにして民間企業を経験された方が有効期間内に県に戻ってきてもらえれば、県庁組織が活性化されるといったような面も期待されるので、それはいいんだと思うんですけれども、ただ、現実を考えますと、民間企業の人材獲得競争が激しくて、良好な勤務条件を提示したり、より働きやすい職場づくりを進めている企業が多くなっているという中で、この制度を利用した県採用予定者が一旦就職した企業を短期間、3年以内で退職するかというと、なかなかそうもいかないだろうというふうに考えざるを得ず、その結果、県の採用を辞退するケースも懸念されるところであります。  事務職の合格者が全体の半数を超える中で、この制度が積極的に活用された場合、任命権者にとって採用の見通しを立てにくくなるのではないかというふうに考えております。  このため、事務職への拡大は、現時点では慎重でありますけれども、今後、技術職における導入効果の検証や、他県では事務職まで拡大してというのはまだごく少数でありますが、その取組状況なども参考にしながら研究してまいりたいと思っています。  また、今回の試験制度の見直しは技術職に重点を置きましたけれども、事務職についても、一定の申込者数があるとはいえ減少傾向にありますことから、試験制度や人材確保対策、いわゆるPR対策についてさらに工夫できることがないか、引き続き検討を重ねまして、細かいことでもできることからスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。 112 井上委員 慎重に前向きに検討してください。よろしくお願いします。ありがとうございました。  次に、民間との人事交流等についてお伺いをいたします。  県では、以前から民間企業との人事交流を行っておられます。現在、どの程度の人数が民間企業に出向され、そしてまた、民間企業から出向を受け入れていらっしゃるのか、これまでの取組状況とその評価について経営管理部長にお伺いします。 113 南里経営管理部長 県では、民間企業のノウハウの習得によるスキルアップや、行政と民間との協働、相互理解等を目的として、これまでも民間企業との人事交流を積極的に実施しております。  こうした人事交流については、職員が企業の経営感覚やコスト意識、現場感覚を身につけるとともに、官民連携の下、地方創生やSDGs等の取組を進めていく上でも大変有意義だと考えております。  平成26年度から今年度までの過去10年間の実績を申し上げますと、JR東日本やANA、NTTドコモなどの民間企業のほか、ジェトロ、富山経済同友会、地域活性化センターなどの団体に37人を派遣し、27人を受け入れてまいりました。  私も前所属を通じて、派遣の経験者や、それから民間企業から受け入れた社員と一緒に仕事をさせてもらいましたけれども、仕事のノウハウ等、周囲の職員や私自身にも大いに学ばせていただくところが大きかったように思います。  こうした派遣職員については、派遣後の人事異動において、派遣先で培ったノウハウや人脈を活用できる所属に配置し、その能力を十分に発揮していただいております。  また、受け入れた社員については、行政での経験がその方のキャリアや成長につながっており、所属する企業や団体に戻った後も、それぞれの分野で御活躍いただいているとの声を伺っているところでございます。 114 井上委員 ありがとうございます。  昨年、サントリーという会社が、社員を地方自治体へ出向させることを始めるという報道がありました。いわゆるESG(環境・社会・企業統治)の重要性が高まる中、民間で得られない広域的な視点やノウハウの獲得につながることを狙いとしており、今後、出向者を年間20人程度に増やしたいと考えているということでございます。ANAなど航空業界などでも同様の動きが広がっていると聞いております。  このように、民間では新たに地方自治体への出向を始める企業があるなど、官民の垣根を越えた人材交流が今後も活発になるものと考えるわけであります。双方にとって視野が広がり、お互いのノウハウが身につけられるなど、ウィン・ウィンの関係が構築できて、双方に大きな効果をもたらすことが期待されます。  県と民間企業との人事交流について、取組を強化すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 115 新田知事 このように、社会経済の情勢が急激に変化をし、また我々行政に対するニーズも本当に複雑になり多様化している中、これらに対応していくためには、もちろん我々も一生懸命頑張るんですが、県庁に民間企業とのネットワークあるいはプロジェクト組成などに向けたノウハウを蓄積することが大切だというふうに思っています。  県ではこれまでも、民間企業との戦略的な人事交流や民間からの中途採用の拡大など、官民を行き来する複線型キャリア形成を促進するために、先ほど南里部長からもありましたが、JR東日本さんやANA、ジェトロなどに加えまして、今年度から新たに、民間のシンクタンクであります一般社団法人構想日本、こちらに職員を派遣するなど、人事交流を拡充しております。  また、地域交通やデジタル化推進、公民連携など、重要施策における民間出身者の起用、そして、県政エグゼクティブアドバイザーの委嘱などによりまして、民間の感覚、発想、知恵、これを県政に取り入れているところです。  井上委員御指摘のとおり、民間企業との人事交流は、県庁では職員の意識改革と行政の効率的な執行、また事務処理能力の向上、改革マインドに富んだ地域力創造などの効果が得られます。  また、民間企業の側にとっては、社内では身につかない経験やスキル、行政との連携により社員の成長を促すことができるなどという話も伺っておりまして、双方にとりウィン・ウィンでメリットが期待できる機会になっていると理解しています。  今後も、県の施策の推進に向けまして、官民の垣根を越えた人事交流を通じて、官民連携の推進、既存の考え方にとらわれない県庁の枠を超えた発想や経営感覚を備えた人材の育成、活用に取り組んでまいります。 116 井上委員 ありがとうございます。  民間との交流という点では、企業版のふるさと納税であります人材派遣型という制度があります。この人材派遣型ふるさと納税の利用企業が、今年4月1日現在で、36道府県の83自治体が、30社102人を受け入れたとする内閣府の調査があります。昨年12月時点では30自治体で26社34人の受入れですから、大幅に増えているわけであります。  企業は、人件費を寄附として負担して社員を派遣します。社員は任期付地方公務員として働くわけです。企業側は、寄附額の最大9割の税の軽減に加えて、社員の育成や自治体との関係構築ができる。そして自治体側は、財政負担なく人材を確保して民間のノウハウを得られるという非常にいいシステムであります。全国の例を見ますと、DX推進のためのIT人材を受け入れる例が多いようであります。  過去の県議会においても、知事からは、民間企業側のニーズの把握に努めて、本県のどの行政分野にどのような専門知識を有する人が必要か、部局内で洗い出したいという答弁もされていらっしゃいました。  本県と包括連携協定を結んでいる第一生命は、今年度は56の自治体に59名の社員を派遣していらっしゃいます。そのうちの一人が本県にも派遣されているというふうにお聞きしております。  先ほどのサントリーやANAもそうですが、人材不足の自治体にとっては本当にメリットの大きい制度だというふうに思います。この制度を積極的に本県も進めるべきだと考えますが、現在の取組状況と今後の対応について、知事にお伺いをいたします。 117 新田知事 企業版ふるさと納税の人材派遣型は、この制度が発表されたときに、本当に経済界もざわついて、すごいなということでありました。今、それがもう定着し始めまして、今ほど御紹介いただいたように、活用実績は累計で令和3年度の10社から本年4月時点で30社と増えており、企業の活用ニーズは増しているんだと感じています。  本県では、この制度について、県のホームページやパンフレットへの掲載、首都圏イベントでのPRなどを通じまして、企業版ふるさと納税とも併せまして、人材派遣型についても周知を図っています。  本年度は、第一生命保険株式会社さんがこの制度を活用した寄附の申出をされまして、民間の進んだ働き方などを実践できる人材の派遣を受け入れて、男女共同参画や女性活躍の推進に関する分野において、職場における性別による無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスの解消、あるいは先進的な女性活躍の取組への支援などに今一生懸命働いていただいているところです。  なお、これまでの行政分野での専門的知識を有する民間人材の活用につきましては、先ほど答弁したように、観光やデジタル化推進などの分野をはじめ、主として民間企業との人事交流や県政エグゼクティブアドバイザーの委嘱などにより対応しております。  今後、県行政のさらなる高度化、専門化が見込まれ、専門的知識を有する民間人材を必要とする分野がさらに拡大すると考えられ、また、関係人口の創出拡大も期待できることから、県と民間側のニーズの一致が前提でありますけども、人材派遣型の企業版ふるさと納税の制度を積極的に活用していきたいと考えます。 118 井上委員 ありがとうございます。どうか積極的に進めていただきたいと思います。  次に、教員の成り手不足も深刻であります。  7月から、来年度採用の公立学校教員の採用試験が始まります。全国で教員不足が浮き彫りになる中、中国地方の各県の教育委員会が、教員免許を持たない社会人の教員への採用に力を入れているという新聞報道がありました。広島、島根、鳥取の3県は、本年度の試験で、免許を持たない社会人を採用する対象教科を拡大するということです。岡山県も同様の採用試験を、中学、高校の英語などにも実施するということでありました。各県とも、実社会で経験を積んだ人材の積極的な登用を目指していらっしゃいます。  定年による退職が増えた一方で、学校現場の長時間労働が社会問題化しまして、志望する若者が減る傾向にあることから、文部科学省は教員確保のため、昨年の3月ですが、教員免許がない社会人を採用できる特別免許制度を積極的に活用するよう、各都道府県教育委員会に通知しています。  そこで、本県においても、民間の現場をよく知り、高い専門知識を持つ人に教員として活躍してほしいと思いますが、教育長の所見をお伺いいたします。 119 荻布教育長 県教育委員会では、これまでも民間経験や専門技能を持つ人材を確保するため、採用検査で社会人経験を持つ方を対象にした特別選考というのを実施してきました。  また、令和元年度からは、委員から御紹介のありました、特別免許状の授与を前提とした教員免許状を持たない社会人を対象とした特別選考を、工業などの特定の教科で実施をし、その後、対象教科を情報、農業などにも拡充をしてきております。  さらに、今年度の採用検査からは、高い専門性を持つ人材確保の観点から、カリキュラム上、教員免許状の取得が難しい工学系の大学院生などを対象に、特別免許状の授与を前提とした大学推薦を富山大学と富山県立大学で実施することとしたところであります。  また、優れた教員を安定的に確保するための広報を強化対策の一つとして、新たに教員の魅力を紹介する「一生、青春。」と題したPR動画を制作し、その中でも、民間企業から教員に転職した方も紹介をしています。
     また、今年は新たに民間の転職フェアにも出展をし、このPR動画を活用するとともに、社会人の方にアピールするため、「教員免許なしでも出願できます」とのチラシを貼ったブースを開設したところ、これまでよりも多くの相談があり、手応えを感じているところです。  今後とも、教職がより魅力ある職業と認識されるように、学校現場の業務改善をはじめ、採用検査のさらなる見直しなど、優秀な人材確保の取組を総合的に進めてまいります。 120 井上委員 ありがとうございます。いろいろ工夫しておられることはよく分かりました。またどんどん拡充をしていってほしいと思います。  次に参ります。  人員不足は、県職員や教員ばかりでなくて、警察官も心配であります。全国的にも警察官への応募者が減っている中、人員の確保は警察力の維持の観点から喫緊の課題であります。質的な低下があってはならず、採用に当たっては、知力、体力のほか、遵法精神や強い正義感を備えた人材が必要であります。  最近でも、自衛隊で痛ましい事件があったばかりであります。また、捜査手法の習得など、経験を必要とする技能がベテランから若手警察官に確実に伝承される必要があります。  今年度の第1回目の警察官採用試験が、5月に1次試験、6月に2次試験が実施されたと承知しています。  そこで、警察官の大量退職時代を迎え、近年の採用試験の受験倍率の推移とその評価、また、今後の人材確保や若手警察官の育成をどのように進めていかれるのか、警察本部長にお伺いをします。 121 石井警察本部長 近年の警察官の採用につきましては、就職適齢者の減少や民間企業の活発な採用等の影響もございまして、基本的には倍率減少傾向でございます。昨年度の採用試験の競争倍率につきましては、過去最低の2.5倍まで低下して、今年度も、最終的には高校生の採用等も合わせて確定することになりますが、さらに低下することが見込まれている非常に厳しい情勢だと認識しております。  このため、若手警察官の出身校の人脈を生かした募集活動、あるいは警察学校のオープンキャンパスやインターンシップの開催、例年一定数が警察官に採用される学生安全ボランティアへの勧奨、こういった採用活動を強化しているところでございます。  また、女性警察官の採用も積極的に推進しており、昨年度の女性採用率は26.7%と、10年前の約2.5倍となっております。  若手警察官に対しましては、警察学校や職場実習など、15か月から21か月に及ぶ研修期間を通じて、警察官として必要な知識、技能、体力に加え、職務倫理に関する講義や柔剣道──武道ですね──こういったものを通じて、倫理感や正義感の涵養に努めております。  さらに、研修期間中やその後の勤務を通じて、経験豊富な警察官で編成された本部指導班によるロールプレイング方式の実践的な現場想定訓練、あるいは実際の事件現場の映像等の動画を活用した研修、こういったものを実施することで、警察官の対処能力の強化を図っております。  また、職場に年齢の近い先輩警察官を、我々チーフアドバイザーポリスと呼んでおりますけど、いわゆるメンターのような形で指名して、若手が相談しやすい環境づくりにも配慮しているところでございます。  そして、若手警察官が働きやすく、志望者の方にとっても魅力ある職場環境を整える観点から、業務の合理化、効率化を進め、時間外勤務の抑制や、男性の育児休業、昨年度は7割を超えましたけれども、こういった各種休暇の取得促進等、ワーク・ライフ・バランスの推進にも努めているところです。  今後とも積極的な採用活動を行うとともに、魅力ある職場環境の整備に努め訓練研修を充実させることで、若手を含めた個々の職員の能力向上と士気高揚を図り、県民から頼りにされる精強な組織の構築に努めてまいりたいと考えております。 122 井上委員 いろいろ工夫して、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  それでは、次の問いに移ります。  次は、グローバル人材の育成について4点質問いたしたいと思います。  まず最初は、大学生等の海外留学の支援についてお伺いします。  新型コロナ感染症の世界的な流行が海外との往来を困難にして、国際交流機会が著しく減少したことは、皆様御承知のとおりであります。しかし、富山県の未来を担う子供や若者は、国際交流の経験を通じて、グローバル社会を生き抜く力を身につけるということの重要性が一層高まっていると感じています。  ビヨンドコロナの時代には、国際交流を停滞させず、子供や若者に交流の機会を提供することは県の重要な責務の一つと考えます。知事も8つの重点施策の中で、将来の富山を担う人材への思い切った投資を挙げて、富山県内で学ぶ大学生等が交換留学プログラム等に挑戦する際、経済的に支援を行う奨学資金制度を昨年度新設されました。  近年は、コロナ禍で海外への渡航も制限されてきたところでありますけども、コロナ禍前も含めて、これまでの富山県内の大学生等の海外留学の実態と、県の奨学資金制度の今年度の応募状況、またそれらの評価について、経営管理部長にお伺いをいたします。 123 南里経営管理部長 県内6つの大学、短大の海外留学者の数は、コロナ前の平成30年度は合わせて302名、令和元年度は286名と、300人前後を推移しておりました。その後、新型コロナ感染症の流行により、令和2年度はゼロ、令和3年度は17名、そして令和4年度は191名と推移し、水際対策の緩和に伴い回復傾向がうかがえます。  また、県内の大学等に在籍する学生が海外に留学する際、留学期間に応じて最大100万円の奨学金を貸与する大学生等留学支援奨学資金制度は、令和3年度に条例を制定し、昨年度秋募集から運用を開始しました。  本奨学資金制度は、留学先の学期に合わせ、年2回の募集を行っておりまして、初年度となる昨年度は留学生1名の貸与でしたけれども、今年度は、春募集を実施したところ、夏に出発を予定している者から2件の申請がありまして、今後9月より、冬に出発を予定している者向けの秋募集を実施する予定でございます。  本県の未来を担う若者がグローバル社会を生き抜く力を身につけるため、海外留学を通じて国際交流、異文化理解を経験することは重要なことと考えております。  これまでも、各大学、短大の事務局に出向き、大学生等留学支援奨学制度の概要説明やリーフレットの配布を依頼するなど、学生への制度周知に取り組んでまいりました。  現在、海外渡航、そして留学生の数が回復する中、大学関係者と連絡調整し、またSNS等を活用して、学生に直接届く広報手法を工夫するなど、制度の周知に引き続き取り組みまして、国際的視野に立つ人材育成のため、海外留学の機運醸成に努めてまいります。 124 井上委員 どうもありがとうございます。しっかり対応をお願いします。  次に、高校生の海外留学支援についてお伺いをいたします。  昨年7月に文部科学省が示しました、高等教育を軸としたグローバル政策の方向性では、コロナ禍で激減した学生交流の回復に向けて、その中の取組の一つとして、より若い時期の海外経験を将来の留学につなげるため、大学生に加えて高校生の段階から留学の機運を醸成、支援を強化するとしています。  高校生の海外での留学や研修などの経験は、語学経験を積むだけではなくて、自国を知ることと他国を知ることの両面を経験することで多様な価値観を身につけるとともに、将来の進路選択の幅を広げるなど、大変大きな教育的効果があると考えます。  その機運醸成や支援について、これまでの取組状況と今後の方針について、教育長にお伺いをいたします。 125 荻布教育長 委員からも御紹介のあった、文部科学省の高等教育を軸としたグローバル政策の方向性のとおり、高校段階から海外での留学や研修を積んで見聞を広めることは、グローバルに活躍する人材育成の推進に大きく資するものと思います。  本県の第3期富山県教育振興基本計画においても、グローバル社会で活躍できる人材の育成を基本方針の一つに位置づけて取り組んでおり、平成28年度から県立高校の海外大学などでの研修を支援する、とやま型スーパーグローバルハイスクール事業を実施しており、昨年度までに937名の生徒の研修を支援してきています。  また、協賛企業の御協力による基金を活用しまして、昭和58年度から、富山県高等学校生徒海外派遣事業を36回にわたり実施をしてきており、これまでに792名の生徒を海外に派遣しております。  参加者からは、他国の実情を実際に見ることで視野が広がり、世界の問題について深く考えるようになったですとか、英語を話すことに抵抗感がなくなり、国際関係の職に就きたいと思うようになったなどの意見が聞かれ、将来の進路選択の幅が広がり、大きな教育的効果があったというふうに思っております。  また、短期留学を希望する生徒を支援する、とやまの高校生留学促進事業というのも実施しておりまして、今年度も85名分の事業費を計上しております。  今後とも、海外での留学や研修のさらなる支援に努め、多様な価値観を身につけたグローバル人材の育成にしっかり取り組んでいきたいと考えています。 126 井上委員 高校生の留学におきましては、県では、交換留学制度の推進とかオンラインでの交流を進めておられます。文部科学省の調査によりますと、高校生の海外留学生率、学生率ですけども、本県は全国に比べると比較的高いという調査がありました。そもそも、交換留学を進めるための土壌として、姉妹校提携を進める必要があると思います。  そこで、本県の高等学校において、この姉妹校提携ができている高校はどのくらいあるのでしょうか。また、この姉妹校提携を行う上での課題や今後の取組について、教育長にお伺いをいたします。 127 荻布教育長 現在、県立高校では9校が7つの国、地域にある16校と、また私立高校では3校が7つの国、地域にある13校と姉妹提携を結んでいます。  この提携の下、海外に派遣された生徒たちは、ホストファミリー宅でホームステイをし、交流活動や高校の授業に参加するなど様々な体験をして、生活や文化の違いに触れ、国際理解を深めることにつながっております。一方で、受け入れる側としては、ホストファミリーの確保などが困難な場合もあるというふうに聞いているところです。  各高校では、近年、新型コロナの影響などにより、姉妹校への訪問や生徒の受入れは実施できておりませんでしたが、オンラインでの交流によって継続して交流を深めてきました。  今年度からは、姉妹校を含めた海外の学校への留学や、修学、研修旅行での訪問を再開する予定の高校が増えてきており、久しぶりにじかに目で見て体験する交流となって、参加する生徒たちにとっては主体的に考えたり、新たな進路の発見につながったりする意義深い経験になるというふうに期待しています。  姉妹校は、生徒や地域のニーズを基に高校間で提携するものでございますが、国においても国際教育交流が推進される動きもありますので、国際的な視野を養い、世界を舞台に活躍する人材を育成するためにも、支援の在り方について研究してまいりたいと考えております。 128 井上委員 ありがとうございます。  今後、グローバル化や情報通信技術の進展など、社会情勢は急速に変化します。チャレンジ精神や異文化を理解する精神を有して、国内外の様々な分野で主体的に活躍できる人材の育成が求められています。世界のどこにいてもたくましく生きていける人材を育成することは、非常に重要だというふうに考えます。  内閣府が発表した、日本、アメリカ、韓国など7か国の若者を対象とした調査結果によりますと、海外留学や海外の高校、大学への進学を希望する若者の割合は日本が最も低くて、他国と比べてやっぱり内向きであるということが分かりました。  富山県の将来を考えるとき、グローバル人材に必要な人間力やコミュニケーション能力、語学力等を育成するには、海外留学や海外大学への進学が直接的な手段として大変有効であると感じます。  ポストコロナを見据えて、県内高校生へ海外にも目を向けてもらい、留学や進学を促進するための取組を今後さらに充実させる必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 129 新田知事 第2期富山県教育大綱においては、ふるさと富山に誇りと愛着を持って、地域社会や全国、世界で活躍し、未来を切り拓く人材の育成ということを基本理念として、国際的な素養を身につけ、地域や国際社会が抱える課題を解決できる人材の育成を目指し、国際交流などの取組を含む、英語・グローバル教育を推進しています。  ただ、今、委員の御指摘のように、最近の若者あるいは高校生も含めてですけども、あまり海外に魅力を感じていないのか、ちょっと出不精なのか、そういう傾向があることは承知をしております。  私自身は、その頃はとにかく日本を飛び出して海外に行くしかないというふうに思っていた青年だったものですから、何か学生の感がありますが、でも、そういった気持ちを持つ子にはぜひ後押しをしてあげたいということで、海外の大学への進学や留学を促進する仕組みを用意しておりまして、教育委員会において、先ほど教育長からもありましたが、県立高校の海外大学などでの研修を支援するほか、国の事業を活用した高校生の海外研修を実施するなど、生徒の海外留学への意欲の喚起をしています。  また、昨年度には、富山県高等学校生徒海外派遣事業で、オレゴン州に生徒20名を派遣しました。派遣された生徒からは、自己を見つめ、国際社会との関わりを考えるいいきっかけになったという意見も聞いておりまして、今年度も派遣を予定しています。  さらに、オンラインで海外の学生と英語などによる国際交流を行う学校が増加するほか、英語プレゼンテーションコンテストにも多くの高校生が参加をしてくれて、プレゼン能力や語学力の向上が図られています。  先月開催されましたG7富山・金沢教育大臣会合では、世界に発信された富山・金沢宣言においても、国際教育交流の推進が取り上げられておりまして、県としては、今後とも生徒や保護者のニーズも踏まえての話ですけども、県教育委員会と連携をして、留学や海外研修を促進する取組をさらに充実させることで、様々な分野で主体的に活躍できるグローバル人材の育成に取り組んでまいります。 130 井上委員 どうかよろしくお願いいたします。期待しております。  次、第3点目でございます。防災危機管理について、3点お伺いしたいと思います。  まず最初は、一般社団法人であります助けあいジャパン、東京都の法人でありますが、全国20の自治体とつくる災害派遣のトイレネットワークプロジェクトであります「みんな元気になるトイレ」と言いますが、自治体同士がお互いに助け合うことで、被災地のトイレ不足解消や、避難所の劣悪な環境による災害関連死を防ぐためのプロジェクトであります。全国20自治体のほか、300ほどの自治体が今参加を検討中とのことであります。さすがに市町村が多いわけでありますが、県レベルでは群馬県が参加されたという報道がありました。水洗の清潔なトイレを自治体間で相互に派遣できる仕組みは、大変重要な視点ではないかと考えます。  車両の購入費には、消防庁の緊急防災・減災事業債の仕組みが使え、実質的な負担は3割ほどだそうであります。ふだんはイベント等でも活用できますし、災害時のトイレ不足問題の普及啓発を図ることにもつながると思います。災害の少ない富山県と言われますけども、準備することが大事だというふうに感じます。  市町村とのワンチーム推進会議でも、ぜひこのトイレのプロジェクトを取り上げて、県全体で取り組んでみてはいかがでしょうか。危機管理局長に所見をお伺いします。 131 武隈危機管理局長 災害時の快適なトイレ環境の確保は重要でございまして、避難所を設置する市町村では、使い捨て携帯トイレの備蓄や、民間企業等から仮設トイレの提供を受ける災害時連携協定の締結、マンホールトイレの設置などによりまして、県内で1,000か所以上あります避難所のうち、約8割で災害のトイレ環境が整備されているところでございます。  委員から今ほど、自治体間でトイレトレーラーを相互派遣します「みんな元気になるトイレ」プロジェクトの御紹介があったところでございますが、トイレトレーラーの導入は、購入の際、緊急防災・減災事業債が活用できること、牽引車によりどこでも移動でき、到着後すぐに使用可能であること、屋根に太陽光パネルが設置されておりまして、バッテリー電源と照明も確保できるなどのメリットがあるものと承知しております。  委員から御質問を受けまして、トイレトレーラーの導入状況や必要性につきまして、県内の市町村担当課に意向を確認しました。その結果ですが、今年度導入予定が1自治体ありました。また、「導入が必要」としたのは3自治体、その他の自治体は「必要ない」または「分からない」という回答でございました。  また、必要とした自治体でも、予算の確保の問題ですとか保管場所、牽引免許を持つ運転士の確保など、課題として挙げられております。  このように、市町村の理解は今のところ十分には進んでおりません。また、全国でも導入についてまだ始まったばかりでございまして、その効果ですとか課題もまだ把握できない状況でございます。  このことから、まずは今年度、県内で初めて導入予定でありますところの魚津市の状況ですとか、昨年度、都道府県で初めて導入されました群馬県の取組などにつきまして、情報収集をして県内市町村に提供していきたいと思っております。その上で、今後導入の機運が高まりましたら、県と市町村でワンチームで導入を検討してまいりたいと考えております。 132 井上委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  次に、地下避難施設についてお伺いしたいと思います。  他国のミサイル攻撃などから身を守るため、国民保護法に基づき、都道府県と政令指定都市が定める緊急一時避難施設のうち、地上よりも有効とされる地下施設が全体の4%にとどまることが、共同通信の調査で分かったと聞きました。  内閣府は、国民保護法に基づいて指定する避難施設のうち、爆風などの被害を軽減するため、一時的に逃げ込む建物や地下施設である緊急一時避難施設を、21年度から5年間を集中期間として、特に地下に重点を置いて指定を推進するよう各自治体に求めています。内閣府では、爆風軽減の効果は地下のほうが高いというふうにされています。  そこで、本県におけるこの地下避難施設の指定状況と、それによりカバーできる人口カバー率をどのように認識しておられ、今後どのように取り組んでいかれるのか、局長にお伺いします。 133 武隈危機管理局長 国民保護法に基づきまして、都道府県は、弾道ミサイルなどの武力攻撃に備え、住民を避難させるための避難施設をあらかじめ指定する必要がございます。  また、委員御指摘のとおり、国では、令和3年度から7年度までの5年間を、コンクリート造りなどの堅牢な建築物や地下施設を緊急一時避難施設として指定する集中期間としておりまして、特に地下施設を重点的に指定するよう推進しているところでございます。  御質問がありました本県の指定状況につきましては、これまで県が指定している避難施設は、令和4年4月1日現在で1,683施設でありまして、そのうち緊急一時避難施設は925施設、さらにそのうち地下施設は105施設で、これは全国で5番目に多い施設数でございます。また、緊急一時避難施設に占める地下施設の割合も11.4%と、全国の割合の4%を大きく上回っております。  しかしながら、地下施設の人口カバー率は1.3%にすぎないことから、国民保護の観点からは、地上より有効とされる地下施設の指定を進めていくことが重要と考えており、令和4年度に新たに51か所の地下道を追加指定しているところでございます。  県では、ミサイル攻撃等から県民を守るため、地下施設を使った住民避難訓練を実施しておりますが、これまで高岡市や魚津市で実施しており、今年度は富山市で実施する予定としております。  県としましては、こうした機会を活用して、避難施設への避難の重要性を啓発するとともに、市町村と連携しまして、また、地下を管理する施設管理者の御理解もいただきながら、引き続き地下施設の指定に努めてまいりたいと考えております。 134 井上委員 どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  この項最後に、防災職の採用についてお伺いをします。  広島県が危機管理を専門的に扱う職種、防災職というのを新設して採用を始めるという情報がありました。頻発する自然災害に的確に対応するため、全国の自治体で初めて設けるそうであります。来年春から採用されるということであります。大学で災害のメカニズムなどを学んだ20代の新卒や、災害現場で危機管理対応の経験がある社会人5年以上の中途採用を想定しているということでございます。主な職務は、防災・減災対策の企画や立案、実行、それから、災害対策本部での指揮などを予定しているということでありました。  広島県では、2014年の土砂災害や2018年の西日本豪雨など自然災害が多発しておりまして、危機管理分野の知識や経験が豊富な人材の確保と育成がどうも急務になっていたということでございます。現在は、本県でも同様だと思いますが、一般事務職員が防災を担当しているところであります。災害対応の専門職が必要と判断されたわけであります。  いつ起こるか分からない災害への対応の準備として、災害を体験した県が真に必要と考えているこの災害対応の専門職を、本県でもぜひ採用すべきであると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 135 新田知事 昨今の頻発する、そして激甚化する地震、風水害などをはじめ、危機管理や災害対応における知識や経験が豊富な人材の確保育成、委員のおっしゃるとおり大切なことであります。  県ではこれまでも、危機管理を担う専門職として、平成17年度からは、災害派遣などの経験が豊富な退職自衛官を1名、管理職として採用して、今の福山さんで2人目であります。北朝鮮のミサイルなどが飛んだときには、物すごく精力的に情報を入れてくれています。災害対策本部における指揮統制や、あるいは自衛隊警察をはじめ関係機関との連絡調整など、災害マネジメント業務に当たってくれています。訓練などのときは中心的に働いてくれています。  また、平成24年度から原子力の技術的事業に詳しい専門人材を採用して、専門性が高い原子力防災に関する助言や調整などを行ってもらっていますが、残念ながら、この人材は今ちょっと切れているところなので、新たな人を探しているところです。  さらに、一般職員を内閣官房の事態対処・危機管理担当部署や原子力規制庁に派遣をし、国の知見やノウハウを学ばせております。そして、東日本大震災の被災各県あるいは熊本地震時の熊本県などの被災地にも派遣をし、実際の災害現場で生の体験を積ませ、職員の災害対応能力の向上を図ってきました。  加えて、国の研修制度を活用して、災害マネジメント総括支援員を6名、その補佐をする災害マネジメント支援員6名を養成するなど、専門性の高い人材の育成にも努めています。  外部専門人材の活用や職員の人材育成により、日頃の備えとして危機管理体制の強化を図ってきているわけですけども、今後も災害が増えるであろう状況を踏まえると、危機管理や災害対応を担う人材の確保充実は引き続き不可欠と考えます。  このため、今後とも職員の災害対応能力の向上と専門性の高い人材の確保育成に努め、危機管理体制を強化してまいります。 136 井上委員 どうか対応をよろしくお願いいたします。  最後の項目になります。  富山高山連絡道路関係に関連してお伺いしたいと思います。  国道41号は、富山市と名古屋市を結ぶ重要な幹線道路であります。我々沿線住民にとりましては、生活道路として大きな役割を担うとともに、重要な役割を担っております。  現在、国交省のほうで、猪谷楡原道路事業と大沢野富山南道路事業が進められております。令和2年4月に富山市片掛地内で発生したのり面崩落を受けまして、国において崩落対策検討委員会が設置されて、その結果、応急組立橋による国道の復旧が行われ、崩落のり面の対策が実施されて、現在に至っていると承知しています。  これまでの両道路事業の進捗状況とか、それから今年度の予定とか、また今後の課題について土木部長にお伺いをいたします。 137 市井土木部長 富山高山連絡道路のうち猪谷楡原道路につきましては、令和4年度末での事業進捗率は約77%、用地進捗率は100%となっております。  令和4年7月までに、片掛地区ののり面崩落ののり面の安定が図られ、今年度は(仮称)片掛橋、(仮称)猪谷橋の2つの橋梁工事が進められることとなっております。
     一方、大沢野富山南道路につきましては、4年度末での事業進捗率は約23%、用地進捗率は約42%となっており、用地買収が今年度春日地区や楡原地区において、また、工事も栗山地区においては橋梁下部工工事、福居地区におきましては道路改良工事がそれぞれ進められることとなっております。  お尋ねの今後の課題につきましては、県内においては2つの事業の整備促進が図られておりますが、岐阜県側におきましては雨量規制区間の一部において、船津割石防災によるバイパス整備が進められているものの、事業化されていない区間もあり、県としては、こうした未着手区間の早期事業化が課題と考えております。  昨年の両県知事の懇談会では、本道路の整備促進についても連携して取り組んでいくことが確認されており、今後とも早期整備が実現するよう、岐阜県や両県の沿線市町村と共に、国に対し積極的に働きかけてまいります。 138 井上委員 地元としては大変期待しておりますので、どうかよろしくお願いします。  最後の質問になります。  道の駅についてお伺いしたいと思います。  休憩のためのパーキングとしてはもちろんですけども、この道の駅というのは、地域の文化や歴史、それから名所や特産品などを紹介する情報発信の場としても本当に活躍しておると思います。  現在、県内の道の駅を調べましたら16か所ありました。県西部に12か所、県東部に4か所しかありませんでした。一番最近は、KOKO黒部が昨年4月にオープンしています。  近県の整備状況を見ましたら、石川県は26か所、福井県は21か所、新潟県は42か所ありました。ちなみに、岐阜県、長野県がもっと多くて、岐阜が56か所、長野が53か所でした。富山県は全国順位で見ると、下から7位タイでありました。  国道41号の沿線住民からは、富山高山連絡道路沿いに道の駅をぜひ設置してほしいという声がありますが、この41号線沿線を含めて、本県の道の駅の設置にはまだまだ余地があるんじゃないかというふうに考えますが、道の駅設置に向けての課題と今後の対応について部長にお伺いします。 139 川島副委員長 市井部長、簡潔にお願いします。 140 市井土木部長 道の駅には、休憩情報発信の機能に加え、地域振興や文化発信の拠点として、地域の活性化や連携の推進機能もあることから、その設置は国の要綱において、市町村または市町村に代わり得る公的な団体が行うこととされており、本県の16か所の道の駅はいずれも市町村が設置しており、新たな道の駅の設置については、まずは市町村において検討していただく必要があると考えております。  富山高山連絡道路沿いにおいては道の駅細入があり、こうした現状も踏まえ、まずは地元富山市において、地域の意向に加え、設置の必要性、設置位置をはじめ備えるべき機能などを御検討いただくことが大切であると考えており、県としましては、市から相談があれば、国と連携して必要な助言を行うなど協力してまいります。 141 井上委員 終わります。 142 川島副委員長 井上委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                      午後3時01分休憩                      午後3時15分開議        永森直人委員の質疑及び答弁 143 瘧師委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  永森委員。あなたの持ち時間は60分であります。 144 永森委員 本日のラストバッターということになります。どうぞよろしくお願いいたします。  冒頭、大門委員、そしてまた新田知事からもお話がございましたけれども、私どもの議長、山本徹議長が全国都道府県議会議長会の会長ということで就任されました。大変な誇りでありまして、私からもお祝いを申し上げたいと思っております。  山本徹議長は、持ち前の行動力、そして、大変な発想力をお持ちの方でございますので、事務局の皆様方は少しはらはらすることもあるかもしれませんけれども、きっとこの県議会の存在感というものを大いに高めてくださるのではないかと期待をしているわけであります。  そんな中で、昨日、記者会見をされまして、早速、地元紙では大きな記事として取り上げられておりましたけれども、山本議長は、やはり議会への関心の低さということが大変課題であると指摘されていらっしゃいました。実際に本会議でも若干議論がありましたけれども、県議選のほうも非常に低い投票率に終わってしまったということがございます。  私ども議員は、やはりしっかりと県民のニーズに寄り添った議論を展開していかなくてはならないのだということを改めて肝に銘じたいなと思っております。  その上で、今日は初めに、富山県教育の未来についてということでお尋ねをしていきたいと思っております。  人口減少が大変大きな課題であるということは、多くの皆様方が一致するところではないのかなと思っております。ということは、いわゆるロボットであるとか、AIであるとか、そうしたテクノロジーというものをしっかりと使い倒していかねば、これからの人口減少時代を乗り切っていくことはできないということであります。  そういう意味では、教育も、高度経済成長を支えるための教育というところから、少し根本的に考え方を変えていかなければならない局面に来ているということだろうと思っております。  他方で、これから様々な議論が教育委員会を中心として展開されていくわけでありまして、教育委員会の皆様方の能力といいましょうか、そうしたものに対するリスペクトというものを最大限持っていることは大前提とさせていただきながらも、高度経済成長を支えてきたときのような教育において、富山県は日本でも有数の教育県と言われた、そのいわゆる成功体験といいましょうか、その経験、伝統というものが、むしろかえって、これからの教育の変革の妨げになるということがあってはならないと思っているわけであります。  私ども県議会自民党議員会におきましても、富山県教育の未来を考えるプロジェクトチームをつくりました。もちろん、私たちはプロフェッショナルではないわけでありますけれども、それでもしっかりと県民に寄り添った議論を行い、また、未来を見通すビジョンを持って、しっかりと責任ある提言を行って、そして教育委員会の皆様方あるいは知事とも、いろいろと意見交換をしながら、富山県教育をよりよい方向に導いていくために努力をしていきたいと思っております。  そして、今朝ほどからもいろんな議論がありましたが、やはりこれからの社会は多様性の時代でもあります。そして、一度つまずいても、何度でもチャンスのある社会をつくっていかなくてはならないということは間違いないことだろうと思っています。  そんな中で、知事は今月初めに、射水市内のフリースクールを御視察いただいたということであります。報道で発表されているコメントによれば、知事は、子供たち一人一人の教育機会を確保する必要性を再認識した、保護者への経済的な補助など、必要な支援について検討していきたいと、こう発言されたということで記事には載っておりました。  フリースクールの経営が大変厳しいということであったり、また、フリースクールの利用者の中には、経済的に非常に厳しい方々がいらっしゃって、本当は来たいんだけども来れない人たちもいると、そんなことも私もお聞きしたことがあります。  それで、全国的に見てみると、フリースクールそのものに対する補助金を持っている自治体がありました。一方で、住民税非課税世帯に対して、フリースクールに通う場合に、直接的に貧困世帯に補助をしているという制度もあるようでございました。  知事は、G7教育大臣会合なども経まして、子供のウェルビーイング向上ということの先進地域を目指していくと宣言をされているわけであります。  ぜひとも先進的な取組を行っていただきたいと思いますけれども、本県のフリースクールの状況をどのように把握し、具体的にどのような支援を検討していかれるのか、新田知事に所見を伺いたいと思います。 145 新田知事 明治維新以来ですけども、今、永森委員がおっしゃった高度成長期も含めて、我が国の、その中でも特に富山県の高校教育は大変によい成果を残してきたと思っております。私もその恩恵に浴した一人でございます。  そのような教育のシステムは、もちろん大きな予算もかけて、手間暇もかけて、人もかけて維持をしているので、今後もメインストリームだとは思いますが、これ、今の時代はメインストリームだけではなくて、幾つかの流れが必要な時代、それが誰一人残さない教育、そして全ての子供に教育の機会を確保するという法律の精神にも合致したものだと思っております。  実際に、文部科学省の調査結果でも全国と同じ傾向で、本県でも不登校児童生徒数が増加傾向にあります。また、近年、教育支援センターやフリースクールなど、学校外の施設に通っている子供たちが増えており、児童生徒の一人一人の状況に応じて多様な教育機会を確保する必要があると考えています。  また、教育委員会が設置しております不登校児童生徒支援協議会では、今年度からフリースクールなどを運営する民間団体で構成する不登校を考えるネットワークの方々にも加わっていただき、より幅広く意見を聞きながら実態の把握に努めています。  こうした中で、本県では、今年度新たに、学校以外の居場所で子供が、学習支援や体験活動、文化、スポーツ活動などを通じて、安心して過ごすことができるよう、子供の居場所の開設や改修などのハード面への支援、運営団体の特色ある取組のソフト面への支援、例えば、個々の子供や家庭に寄り添ったアウトリーチ支援や、フリースクールとこども食堂などの居場所同士の連携した取組などへ支援を行うこととしています。  先日、射水市のフリースクールを視察しましたが、運営者側からはフリースクールのニーズは年々高まっているけども、利用料金の負担が厳しい御家庭もあると、さらなる公的支援を検討してほしいとの意見を聞きました。  今後、「ワンチームとやま」連携推進本部会議や、あるいは庁内のこども未来PTにおきまして、こうした現場の実情や課題をしっかりと踏まえて、子供の居場所、学校、家庭、そして第三の居場所であるサードプレイス、このようなものの拡充、促進について協議することとしておりまして、その中でさらなる支援策について検討していきたいと考えます。 146 永森委員 ありがとうございました。  今ほどおっしゃっていただいたとおりだと思っています。来年度に向けまして、ぜひとも大胆な、先進的な制度となるように、また御協議をいただきますようにお願いして、次の質問に移ります。  委員長、ここで資料の掲示、配付、よろしいでしょうか。 147 瘧師委員長 許可いたします。 148 永森委員 今月初めに、第1回の県立高校教育振興検討会議が開催されております。県立高校再編の基本的な方針を決めるための、有識者による具体的な検討が始まったと認識しております。それで、今回の高校再編の議論は、令和9年度以降の対応について議論がされていると認識しております。  そうなってくると、令和9年度までですので、残された期間というのは今年度を含めて5、6、7、8の4年間あるということです。結構時間があるような感じもしますけれども、他方で、前回の令和2年4月の高校再編を見ていくと、それほど時間があるわけではないのかなと思ってしまいます。  モニターでも資料でもいいのですが見ていただきますと、この前回の再編スケジュールですけれども、令和2年4月に実際に高校再編がなされる場合には、再編校の決定というのはその2年前、平成30年2月、ここで県立高校再編の実施方針というのを決めて、対象校というのを具体的に公表しているということであります。  そして、この対象校を決めるに当たっての、いわゆる基本的な方針というのは、さらにその半年前に、これは総合教育会議で、県立高校再編の基本方針ということで決定をしておりまして、この県立高校再編の基本方針という中で、この再編のときは、小規模な学校というのをひとつ再編対象にしましょうという方針を決めていて、それに基づいてこの平成30年につながっていっているということです。  ここで基本方針は出ているのですけれども、では、その前の有識者会議の考えはどこで出ているかというと、さらに1年半ぐらい前の平成28年4月、県立学校整備のあり方等に関する報告書が出て、既にその方向性というのは出ているわけです。  それを今回の再編スケジュールに当てはめていくと、仮にですけれども、令和9年4月に高校再編を実施するとなれば、令和7年2月には対象校の決定をしなくてはならないということになりまして、これはもう令和6年度末ですので、来年度末ということになってしまいます。遡ると、来年度の中盤には基準を決定しないといけないと。その場合は、前回ぐらいのペースで行けば、本当は今年の4月ぐらいにそれが出ていないといけないという、そのぐらいのスケジュールになっているわけであります。  再編するといっても、そのやり方は様々だと思いますので、必ずしもこのとおりのスケジュールになるとは思いませんけれども、いずれにしても非常に厳しいスケジュールになっているのではないのかなと思っております。  そこで、この後どんなふうに進めていかれるのか、荻布教育長にスケジュールのことについてお尋ねしたいと思います。 149 荻布教育長 中学校卒業予定者数の減少が見込まれる中、中学生に幅広い選択肢を確保して、本県の高校教育を充実するために、令和2年度に県立高校を再編統合しております。  この具体的な方針を示した県立高校再編の実施方針によれば、御指摘のありましたように、令和9年度以降の対応については、中学校卒業予定者数の推移などを踏まえ、別途協議するとされております。  このため、令和3年8月に令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会を設置しまして、今後の県立高校の在り方について、中長期的な展望に立って検討を進めてきました。  本年5月に取りまとめられた報告書では、今後も中学校卒業予定者数の大幅な減少が見込まれることから、検討委員会や総合教育会議での議論を踏まえて、学科などの見直しや高校再編に関する基本的な方針について、新しい検討の場を設け、丁寧に検討していく必要があるとされました。  これらを踏まえて、先般、県立高校教育振興検討会議を設置したところです。この検討会議では、県立高校の再編に関する学校規模や基準、学科やコースの見直し、様々なタイプの学校、学科などについて検討することとしており、5回程度開催をして、今年度中をめどに最終的な報告書を取りまとめていきたいと考えているところです。  この報告書を受けて、教育委員会としては、令和6年度から新しい学科やコースの開設、高校再編などの具体的な対応について検討を進めていくことになると思っております。また、総合教育会議などにおいても、幅広く意見をお聞きしながら、魅力ある高校づくりができるように努めていきたいと考えているところです。 150 永森委員 確認ですけれども、令和9年度以降の、いわゆる再編時期ということについては、現時点では明確な考えというのはないということでよろしいのでしょうか。 151 荻布教育長 先ほど申し上げたとおり、前回の再編統合は、9年度以降についてはまた別途考えるとなっておりますので、9年度以降については、今後まさに検討していくということだと思っております。 152 永森委員 ありがとうございます。  ただ一方では、生徒数の減少も勘案しながらということになっております。この後、話もしますけれども、生徒数の現状は非常に厳しいということは、私が申すまでもなく、教育長が一番御苦労をしておられる部分だと思っております。  そこで、そういうことであると、この次の質問が成り立つのかちょっと分かりませんけれども、次の資料は、中学卒業予定者数と学級の数ということになっているんです。 次回の再編統合は令和9年度以降なので、今回は令和8年度までのものということでこの議論がなされていたと、令和2年の再編というのはそんなことでなされていたということですね。  ところが、令和8年というのはどのぐらいの数になっているかというと、生徒の数は、今8,700人ぐらいですけれども、もう限りなく8,000人に近いレベルまで行っているということです。  それで、再編前の平成31年というのは、平均の学級数というのは4.5学級だったんです。それが、再編統合したことによって、令和2年には5学級に一度戻っている。このグラフが一度ぽんと上がっている、ここが再編を実施して5学級まで行っているんですけれども、実は既に令和5年では4.6学級ぐらいまで──ちょっとこのグラフだとそう見えませんけれども、4.6学級まで令和5年で落ちてしまっていまして、既に非常に厳しい学級編制をしないといけない状況に陥ってしまって、再編する前に戻っているんですね。  ということからしても、やはり再編を急がないといけないということと、もう一つは、その令和2年の再編ということが、本当に8,000人という令和8年度の生徒数を見込んでいたのかというと、ちょっと疑問だと思うんです。  このグラフを見ていただいても分かるとおり、子供の数は限りなく減少の一途をたどって、これで止まっているわけではないので、その後、子供の数は6,000人に限りなく近づいていくということになっているんです。  そういうことからいくと、令和2年は子供の数は9,000人いた状況ですが、そこから6,000人ということは、さらに3,000人子供が減るということです。3,000人子供が減るということは、5学級のクラスで15校分になります。単純に県立高校だけでそれを吸収するわけではないですけれども、200人掛ける15校分の3,000人ということを考えると、やはり相当大きなインパクトです。  なので、やはりどの程度の生徒数を見込んで今回の再編の議論をするかというのは、本当に大事な話だと私は思っているんです。  そこで、どの程度の生徒減を見込んで、今回の再編の基本方針を取りまとめていこうとしておられるのか、教育長に伺いたいと思います。 153 荻布教育長 現在公表されている学校基本調査では──今公表されているのは昨年の5月1日現在のものになりますが、本県の中学校卒業予定者数は、令和5年3月の8,752人から令和10年3月には8,000人を割り込み、現在の小学校2年生が高校に入学する令和13年には約7,600人と、さらに減少することが見込まれています。  また、推計値ではございますが、県の人口移動調査、令和4年10月1日の数字を基に教育委員会で算出した令和19年3月の──これは今の1歳児になるわけですが、令和19年3月の中学校卒業予定者数は6,200人と見込んでおります。  この推移については、先般開催された第1回県立高校教育振興検討会議の資料としてお示ししました。この会議において、委員からは、中学校卒業予定者数の推移を見ると、自分が高校生だった頃が一番ピークの時期だと、自分の経験が必ずしも現在に適用できるものではなく、よりよい学校環境を構築できるように、この会議で一緒に考えていきたいという御意見ですとか、高校生ファーストで考えるべきということを念頭に置いて、今後10年、20年先の富山県教育がどうあればよいのかを議論したいという御意見をいただいたところです。  今後、10年余りで2,500人以上の子供の数が減少し、これは約3割減となるわけですが、そうした少子化の状況というのを踏まえた上で、高校の魅力化、活性化について検討することが必要と考えております。  先ほど令和9年以降については今後ということを申しましたが、もちろんスピード感と危機感を持ってやっていかなければならないと思っております。  この県立高校教育振興検討会議での議論をはじめ、総合教育会議などにおいても幅広く御意見をお聞きしながら、社会の変化、また生徒、保護者のニーズも踏まえて、子供たちが学びたい、学んでよかったと思える高校づくりというのを、全県的な視点から丁寧に検討を進めていきたいと考えています。 154 永森委員 荻布教育長には大変な難題であり、かつ大変スピード感も求められるということであります。  一方で、これまでの延長的な、いわゆるどこかの学校とどこかの学校をくっつけて1つにしてという、そういうものではもはや対応ができない段階に来ているということを十分踏まえて、議論をしていかなくてはならないんじゃないかと思っております。  そこで、具体的にというところで言うと、知事も出ておられる総合教育会議、昨年11月ですかね、開催された議事録を見ておりまして、教育委員の黒田先生の御発言というのが非常に私は興味深いなと思ったのでちょっと紹介すると、先生の発言の引用抜粋ですけれども、富山県の特徴として、例えば成績が同程度の生徒が1つの高校に集まっているという傾向が強いと思う。多様な人たちと関わるという点からすると、もう少し違うやり方があるのではないだろうか。全国には規模の大きな総合選択制の普通科校というのがある。その総合選択制の普通科校においては、非常に多様な選択ができる科目設定がされている。そういう高校をつくるという方向で検討すれば、それも一つの考え方ではないだろうかと、こんな趣旨のことを言われておりました。全くの私見でありまして、まだまだ研究しなくてはならないことが、たくさんあると思いますけれども、各通学区ごとに、こういう規模の大きくかつ多様な選択ができる、そういう高校を幾つか配置していくと。その上で、富山県のほうでも茨城県を見に行かれたということですけれども、茨城県に行くと、そういうものはないかもしれませんが、例えば、IT科専門高校としてIT未来高等学校とか、科学技術科専門高校つくばサイエンス高等学校など、そういう非常に特色ある学びのできる学校というのが配置されております。こういう学校というのは多分小規模でもいいだろうと思っております。  一方で、中高一貫校も茨城県では積極的に入れているということも学ばせていただきました。なので、そういう総合選択制の普通科校や特色ある学校あるいは中高一貫校、様々なものを上手に組合せしながら、大きな再編につなげていくのも一つなのではないのかなと思っております。  今日はそのことは聞きませんけれども、県立高校の在り方の議論においては、規模の大きな総合選択制の普通科校を今よりさらに拡大したり、もしくは中高一貫校の設置も議論してはどうかと思いますけれども、メリットや課題などについてどのように見ておられるのか、教育長に伺います。 155 荻布教育長 県立高校での総合選択制は、本県では普通科と専門学科を併設する5校について導入されています。入善、滑川、富山北部、氷見、南砺福野ですが、こういった学校では、生徒同士が学科の枠を越えて学ぶことができるようになっているというものです。  そのメリットとしては、生徒の個性や興味・関心に合った教科選択ができ、また、普通科では将来の進路に合わせた学習が行え、在学中から専門性を高めることができるといったこと、また、専門学科では、普通科目を多く選択したい進学希望の生徒の高い学習ニーズに対応できることなどがあるとされています。  一方、規模の大きな総合選択制の普通科校の拡大については、一般的には生徒数が減少する中、学校規模の維持や全体の中でバランスを取るということが難しいということや、例えば、工業など専門学科と併設をする場合には、実習などの施設や設備が必要になるといったことがあると思います。  また、中高一貫校については、6年間の計画的な教育活動を展開することによって、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的とした特色ある教育活動が可能とされています。  文部科学省によりますと、生徒は時間的な余裕を活用し、安心して自分の好きなことや活動に取り組めるといったメリットがあるということですが、一方で、生徒間の学力差や、高校入試がないために学習意欲の向上などに課題があるといった指摘もあるようであります。また、少子化が進む中、ほかの公立中学校に及ぼす影響などにも課題があると考えられます。  今般設置した県立高校教育振興検討会議では、様々なタイプの学校、学科についても検討することとしております。総合選択制の普通科校の拡大や、中高一貫校の設置についても、メリット、また課題なども踏まえながら、丁寧に議論していきたいと考えています。 156 永森委員 ありがとうございます。  子供たちの教育環境の話でありますので、あまり実験的なことをするわけにはもちろんいかないと思っておりますけれども、他方で、やはりこれだけ学校の学級数を削っていかなければいけないという時代にあっては、どうしたタイプのものをつくっていけばいいのかという可能性については、あらゆる選択肢を排除せずに議論を重ねていただきたいと思っております。  教育の問題、最後です。当面の学級編制についてということであります。  令和9年かどうかは分からないと言われましたので、当面がどこまでを指すのかというのはちょっと分かりませんけれども、いずれにしても、再編をかけるまでは、非常に厳しい毎年の学級編制をしていかなくてはならないということになります。昨年度も大変大きな議論になったと思っております。
     そして、本会議でも少し議論がありましたけれども、そろそろ方向性を出していかなくてはいけない時期にも来ているということになっているわけであります。  他方で、ちょっと時間がないのですが、資料を見ていただくと分かるのですけれども、富山学区については、割とバランスよく学級数が様々な学校があるんですけれども、新川、特に高岡と砺波学区は非常に厳しいと言わざるを得ないような状況で、ほとんどが要するに4学級以下の学校になってしまっているということです。もしくは氷見みたいに昨年やったばかりのところとか、そういうところしか残っていないという状況があります。  一方で、前回の再編の議論を思い出していただければ分かりますけれども、そもそも3学級以下の小規模な学校というのは、子供たちにとっての学習環境としてやはり望ましくない部分があるのではないかというところが、前回の再編の議論の出発点になっているわけです。  そんなことを考えると、やはり学級数を1つずばっと削ると、1校から40人がいなくなってしまうということになるわけですけれども、そうではなくて、学級数の減少というのは最小限にとどめて、少人数学級にするということです。4学級のところであれば、例えば小杉高校で今1学年160人いるとすれば、それを35人学級にすると、減少数は20人で済むことになるということです、5人掛ける4で。そうなると、学校運営に与える影響という意味では、少し緩和されるのではないかというのがあります。  一方で、当然のことながら、様々な県費での負担ということも出てくるという、ここが非常に悩ましい部分なのかなと思っておりますけれども、ぜひとも、これから何年続くか分からない厳しい学級編制をしていくに当たって、この少人数学級の選択肢ということも十分検討に値すると思っております。  新たに生じる県費負担も含めて、その見通しを荻布教育長に伺います。 157 荻布教育長 県立高校の1学級当たりの人数、学級編制については、国の法律、標準法で40人とされておりますが、これを少人数学級、例えば35人学級とすることは可能であります。  しかし、この場合、国が財政措置をする教員定数は、学級数ではなく生徒数で基本的に算定されますことから、学級数を維持し、1学級を40人未満とする場合は、国の財政措置が減ることになります。しかし、全体の授業時数は変わらないため、現行の教育活動を続けるためには、教職員の配置数を維持する必要があり、国で財政措置されない人件費分は、県単独で負担するということになります。  現在の中学校3年生について、委員御提案の少人数学級の導入による定員減で対応した場合ですけども、令和6年度に必要となる県単独での人件費負担は5,000万円程度の増額と見込んでおります。また、仮にその後も現行の学級数を維持して、定員減での対応を続けた場合ですが、教職員配置に係る県単独の人件費負担というのはさらに大きく膨らんでいき、全てが35人学級になると考えられる──これは五、六年後になりますけれども、そのときには毎年度、13億円程度の県単独での負担増が見込まれます。  現在、県立高校教育振興検討会議において、今後の中学卒業予定者数の減少への対応について議論されているときでありますことから、委員の御意見なども参考に、当面の対応として少人数学級とし、学級数の減を行わないことが可能かどうかということも含め、令和6年度の学級編制について総合的に丁寧に検討してまいりたいと考えております。 158 永森委員 ありがとうございます。  少しは前向きな御答弁を頂戴したのかなと思っておりますので、ぜひともまた慎重に御検討いただきまして、引き続き説明等々については丁寧に行っていただければと思っております。よろしくお願いします。  時間のほうが大分過ぎてまいりました。  次に、スポーツの振興について伺いたいと思います。  まず、障害者スポーツの拠点確保についてお尋ねします。  昨年、障害者の皆様方がスポーツに親しまれる施設として、富山市水橋に富山市勤労身体障害者体育センターがございますけれども、老朽化に伴いまして廃止されるということが報道されまして、それを受けまして、私のほうにも富山県車椅子バスケットボールクラブの皆様方から、今後の練習場所が確保できないということで、不安の声を聞いていたところであります。  そうしたことも受けまして、昨年6月、9月と2回続けて議会でも取り上げさせていただいたところであります。  閉鎖が令和6年度末ということになってまいりますと、残すのは今年度、来年度ということになってきておりまして、少し差し迫ってきているのかなと思いますけれども、その行方がまだまだ分からないということで、不安が高まっている状況にございます。  そこで、車椅子バスケットボールなどの練習場所確保の問題を含めて、障害者スポーツの拠点確保について、何らかの方向性を出す時期に迫っていると思いますけれども、新田知事の御所見を伺いたいと思います。 159 新田知事 オリンピックは毎回感動を呼ぶわけでありますけども、近年は、オリンピックに勝るとも劣らない感動をパラリンピックでも我々は受けているわけでありまして、それに伴い、応援するだけではなくて、障害者の方々がスポーツを自らプレーする、そんな側にも回ってこられました。これは、健常者と障害者が共生していく社会の実現ということで、とても大切なことであります。  県では、今お話がありました、富山市勤労身体障害者体育センターが閉鎖されることも踏まえまして、これまで障害者スポーツの活動拠点をどのように確保するかを検討してまいりました。  具体的には、県立学校施設を一般に開放する学校体育施設開放事業という事業がありますが、その一環として、県立学校の中で既に通路やトイレなどバリアフリー対応が一定程度施され、車椅子を使用される方々などが利用しやすく、また、今後、車椅子スポーツでも利用できる可能性のある体育館を持つ学校を候補として、教育委員会と連携して検討を進めています。  現在、当該県立学校におきまして、保護者や教職員の理解を得る必要があること、また、利用団体や利用時間の調整手法を定める必要もあります。そして、車椅子スポーツで利用できるよう、体育館などを整備、改修する必要もあります。  これらの課題がありますが、今後、学校関係者、障害者のスポーツ団体、関係部局等とスピード感を持って調整を進めていきます。 160 永森委員 極めて前向きな御答弁をいただいたと思っております。昨年御提案したにもかかわらず、大変スピーディーにこのような御検討をいただいたということに大変感激をいたしております。本当にありがとうございます。  引き続き、障害者スポーツ団体、様々な競技団体がありますので、そうした皆様方のニーズもまたこれからしっかりお聞きになっていただいて、皆様方に喜んでいただけるような、そうした施設にしていただければと思っております。よろしくお願いいたします。  大変いい御答弁をいただいた後で、厳しいことは言いにくいのですけど、次はちょっと武道館のことで、少しお話をさせていただきたいと思っております。  武道館は2回検討会議がありまして、武道館機能に特化するというところがおおむね理解されたと思っています。それで、武道館機能に特化するということをどのように解釈をするのかというところであります。庄司さんには申し訳ないですけれども、武道館で武道をするだけの施設で90億円というのは、やはりちょっと高いんじゃないかと。そういう声が、やはり私たちに県民の声として、どうしても入ってくるわけであります。  そうしたことから言うと、造った施設がやはりなるべくしっかり稼働して、そしてより多くの皆様方に使っていただけるようにというのは、非常に大事なのかなと思っています。  先ほど、蔵堀副知事の答弁の中で、武道の部分とにぎわい創出の部分と、それ以外のスポーツという3つの役割がありましたということを御答弁されておられましたけれども、いわゆるにぎわい創出の部分というのは、これは難しいので今回はやめましょうと、ですので、場所も郊外に移りますと、そこまでは分かるのですけれども、一方で、参考にしておられる新潟県の武道館などを見ておりますと、なかなか稼働率は分からないと言われたのですけど、勝手にオンライン予約システムをのぞいてみると、その予約状況というのは、県でいうと大道場と言われる主道場の稼働率があまり高くないといいましょうか、夜は割とあるのですけれども、平日の日中なんかはやっぱり空いている時間は非常に多いということです。  そういうことから行くと、もう少しバスケットとか──バスケットだったらゴールを動かすこともできますし、バレーボールはポールを立てなきゃいけないから駄目とか、いろんなことがあると思うんですけれども、何かそういう使い方もできるようにしておいたほうがいいのではないのかと思ってしまいます。  一方で、どこにできるか分かりませんけれども、例えば県総合体育センターも相当古くなったりしておりまして、そうした改修ということも、ここ10年、20年先を見ていくとやはりあり得るかもしれません。  そうした中で、なるべく広く武道館を使っていただくという観点に立つと、もう少し幅広いスポーツに使っていただくことも考えたらどうなのかなと思うのですけれども、廣島生活環境文化部長にお尋ねします。 161 廣島生活環境文化部長 委員から今御紹介いただきました主道場は、主に武道競技の公式大会での活用を想定しておりますが、今開催しております見直しの検討委員会におきましては、委員からも永森委員と同様、武道以外の競技の活用につきまして、例えばダンスやヨガなど、床に金具を装着したり、穴を開けたりしなくてもよいような種目ではどんどん使っていいのではないかと、また、フロアにシートを敷けば卓球もできるし、例えば障害者の方々のシッティングバレーボールなども使えると、いろんな方々が楽しんで使えるよう工夫してほしいというような御意見をいただいているところでございます。  施設整備に当たっての考え方として、武道競技の振興、競技力の向上に絞るということを図っているところでございますが、施設の管理運営に当たりましては、武道に限らず幅広い種目で利用していただくこと、これは県民のスポーツに親しむ機会の拡大、また、利便性の向上などの観点から重要なことと考えております。また、施設運営面でも、稼働率の向上の確保にもつながると考えております。  今ほど委員から頂きました御意見、また、検討会での御議論なども踏まえますとともに、今後、武道の関係者、また、室内スポーツの関係者などの御意見も伺えれば伺った上で、県立の体育施設といたしまして、可能な限り幅広いスポーツで活用していただけるものとなりますよう、検討してまいりたいと考えております。 162 永森委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。  続きまして、持続可能な公共交通の実現ということでお尋ねをしたいと思っております。  一般質問におきまして、瘧師委員長の質問に対して、知事から、城端線・氷見線の在り方について、今後、なるべく早く沿線自治体、JR西日本などでつくる検討組織を立ち上げて、議論を進めていきますということでお話がありました。新型車両の導入であったり、便数の増便あるいはICカードの導入などについて、具体的に議論が進められるものだと思っております。  一方で、とても重要かつ進め方にデリケートな部分があると思っていますけれども、やはり肝腎な部分は、JR西日本が、今、城端線・氷見線を経営しているのですけれども、その経営を切り離して、新たな経営主体ということを考えていくのかどうなのか。そしてその場合は、誰が経営主体になるのか、なり得るのか。また、いずれにしても、この後計画をつくって、新型車両の整備あるいはICカードも整備していかないといけないのですけれども、では、これは一体誰がやるのだろうかということも、やはりとても重要なところであり、この辺りがやはりしっかりしないと、その後の議論というのは進んでいかないんじゃないのかなということを危惧しているわけであります。  そこで、城端線・氷見線の在り方は、いつまでに結論を出し、そして具体的にどのような事項を検討していくことになるのか、田中交通政策局長にお尋ねします。 163 田中交通政策局長 先日の一般質問において、知事から答弁がありましたが、先週、国の新たな支援制度に係る説明会が開催されまして、補助要件として事業実施計画を策定すると、大臣認定を受ける必要がある、認定後は、持続可能性や利便性等の向上に資する施設整備に対して、社会資本整備総合交付金が交付されるなどの説明がありました。  県としましては、さらに詳細な情報を収集しつつ、新たな検討組織を設置して、今年度中の事業実施計画策定を目指したいと考えております。  また、この検討の対象事項ですが、これは当然事業実施計画に関する内容となりますが、その内容について国に確認しましたところ、事業実施計画策定の詳細は調整中とのことでありますが、新型車両の導入やレールの強化、ICカード対応など、利用者の利便の確保に関する事項、また、事業の実施予定期間や事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法、さらには事業構造の変更の内容などについて、事業主体を含め記載する必要があると聞いております。  新たな検討組織では、こうした事項について検討を進めてまいります。 164 永森委員 ありがとうございます。  非常に難しいこの着地点をどうつくっていくのか、そして、どんなふうに議論を進めていくのかという難しい面があると思いますけれども、ぜひとも、この辺りの骨格みたいなところを、まずスピーディーに決めていくことが重要なのかなと思っております。よろしくお願いをいたします。  次に、今ほどの議論にも非常に関連すると私は思っていますけれども、この城端線・氷見線は誰が運行主体になっていくのかということと、今、新たにつくる富山県地域公共交通計画というのは密接に関わってくるのではないのかと思っております。  城端線・氷見線が、仮にJR西日本から切り離されていくことになると、普通に考えれば、あいの風とやま鉄道などとの連携はより進めやすくなると思います。  今回の計画において、県内の利便性の高い鉄軌道ネットワークをつくっていくということが県の役割とすれば、非常に大きな計画の肝だと思っております。  そうしたことも含めて、城端線・氷見線やあいの風とやま鉄道など、県内鉄軌道の運用の在り方──これは例えば、相互乗り入れであったりダイヤ連携など、こんなことについても、今つくる新たな計画にて具体的に議論を進めるべきではないかと思います。新田知事に伺います。 165 新田知事 鉄軌道ネットワーク全体で利便性の向上を図ろうと考えますと、今、委員がおっしゃった、他線への乗り入れというのは有効な手段の一つであります。県内でも城端線の一部ですが、あいの風とやま鉄道に乗り入れて運行している例はあります。  一方で、あいの風とやま鉄道など、電化路線の車両は、城端線・氷見線の非電化路線に乗り入れることはできません。また、お互いが電化路線であっても、あいの風は交流、富山地鉄さんは直流ということで電化の方式が違いまして、相互乗り入れには変電所の設置はざくっと3億円、1か所、あるいは交直両用車両の導入はざくっと5億円、このような大規模な整備が必要で、整備費用が多額となって、現状ではちょっとハードルが高いかなと思います。  ただ、それ以外にもできることはあり、ウェルビーイングを向上させるサービスを実現することは可能だと考えております。それは、鉄軌道間の連携を推進していくことであります。  今年の2月に、富山県地域交通戦略会議において取りまとめた地域交通ネットワークの目指すべき姿の中では、鉄軌道サービスの利便性向上はもとより、まちづくりの中心となる駅を拠点化し、快適な乗り継ぎができるネットワークの実現、また、MaaSによるネットワーク内のサービスの統合、進化などを掲げています。既に昨年度、富山県MaaS環境構築事業により、MaaSアプリmy routeと連携し、1つの切符で各種交通機関を自由に乗り降りできるフリー乗車券の販売を開始したところ、大変によい売行きであります。  今後は、戦略会議の下に設置した4つの部会において、目指すべき姿の実現に向けて、例えば運行本数の増加による乗り継ぎ時間の短縮、例えば運行ダイヤに関する連携体制、例えばMaaSの充実強化など、県内鉄軌道の連携推進のためにできることを、アイデアをどんどん出して議論を進めてまいりたいと考えております。 166 永森委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。  続いて質問いたします。  JR西日本金沢総合車両所松任本所が、北陸新幹線敦賀開業に合わせて、来週に閉所される予定となっております。これまで、あいの風とやま鉄道の車両の検査や修繕がこの場所で行われてきたと聞いております。  今後どのようになっていくのか、田中交通政策局長に伺います。 167 田中交通政策局長 委員お尋ねの件につきまして、あいの風とやま鉄道に確認しましたところ、現在、あいの風とやま鉄道が所有する新しいタイプの521系車両というのですけれども、この車両修繕のうち、故障や不具合が発生した都度行うもの、また、消耗品の補充、取替え、各部品の劣化程度の測定などについては、自社の運転管理センターで行っているということでした。  また、走行距離は、80万キロメートルですけれども、使用期間10年間、こうしたことにより劣化する部位について、車両を解体して行う規模の大きな検査については、委員からお話ありました松任本所において実施しております。  松任本所につきましては、来年春に予定されております北陸新幹線の敦賀開業と、並行在来線への経営移管に伴うJR西日本の組織改正により、閉所されることが先月発表されたところであります。閉所後の対応について、松任本所で実施している検査、修繕につきましては、引き続きJR西日本の他の施設で検査を受託していただく方向で調整している旨、あいの風とやま鉄道から伺っております。 168 永森委員 ありがとうございます。  どの程度そうした体制を整えていくことが重要かというのは、ちょっと私も分からないところもあるんですけれども、一方で、そうした車両の検査みたいなことも、なるべくJRに依存せずに、自前でいろいろなことができる体制をつくっていくということも非常に重要なのではないかと思っております。  そういう意味で、中長期的な話にはなるのかもしれませんけれども、県内の鉄軌道車両を一元的に検査、メンテナンスする体制の構築みたいなことも模索してみてはどうかと思います。田中交通政策局長、お願いいたします。 169 田中交通政策局長 あいの風とやま鉄道の車両の検査、修繕については今ほど御答弁申し上げましたが、富山地方鉄道では、全ての車両検査を自社で行っているほか、万葉線の車両の検査の一部も実施していると伺いました。このため、富山地方鉄道に確認しましたところ、これ以上他社の車両を受け入れて検査を行うことは、施設整備や人員体制の面から厳しいとのことでありました。  委員の御提案の、県内の鉄道車両を一元的に検査、メンテナンスする体制を構築することにつきましては、県外の検査施設まで車両を輸送するコストの低減が図られるなどの効果が期待できると思っております。  一方、鉄道事業や軌道事業において、安全な運行の確保は何よりも優先されるものであり、県内の全ての鉄軌道車両が安全かつ快適に走行できるようにするためには、検査する能力を備える施設の整備や人員の確保など、検討すべき課題もあると考えております。  このため県としましては、安全な運行を担っておられる県内の鉄道事業者の御意見を十分伺った上で考えたいと思っております。 170 永森委員 局長、ありがとうございました。  では最後に、富山のブランド戦略ということでお尋ねしたいと思っております。  午前中、庄司委員の質問にもありました、一点突破ブランディング推進事業、「寿司と言えば、富山」という事業についてであります。  知事からは、非常に様々な場所からの反響もあって、評判は上々だというお話もありましたけれども、一方で、いろいろな方に話を聞くと、やはり事業の趣旨が正しく伝わっていないという感じも多々見られまして、私は何となく理解しているつもりではあるのですけれども、やはり何かちょっと県民の間でも温度差というか、ちょっと白けた感じの人たちも結構いらっしゃるのかなというのが率直な感想であります。「いや、何ですしだけなががと、すし以外にもおいしいものいっぱいあるぞ、富山は」と、さっきの知事の話がちゃんと通じればそういう議論にはならないのかもしれませんけれども、そんな話も実際いろんなところで聞こえてくるというのも事実です。  そういう意味で、これから10年、しっかり時間をかけてブランディングをしていく、そのときにやはり相当の予算をつぎ込んでいかないといけないということからすると、最初の時点でしっかり県民の理解を得て、この狙いを十分に周知しておくということが重要ではないかと思っています。  どのようなすしの事業を通じて、富山のブランドイメージを植えつけたいのかということも含めて、川津知事政策局長に伺いたいと思います。 171 川津知事政策局長 委員からも御指摘ありましたけど、本県にはすしをはじめとする多彩な食に加えまして、雄大な自然、歴史や文化など、国内外に誇る様々な魅力があります。  一方で、魅力度ランキングでは、全国中位と本県の魅力が十分に伝わっていないのが現状だと考えております。  全国各地で、いろいろな地域ブランドが進められております。そうした中で、埋没せず、国内外の注目を引き寄せ、本県の認知度を向上させるためには、総花ではなく、富山を象徴する突出したコンテンツへの絞り込みが重要であるということで、他の都道府県に先駆けて、すしに焦点を絞りまして、一点突破なブランディングを推進することとしているところであります。  具体的には、なぜすしかというと、民間の調査では、おすしが好きな料理30年連続日本一となっております。そのすしをきっかけに、富山をまず認知してもらい興味を持ってもらいます。そして、実際にすしを目的に富山に来ていただくと。そして、富山の自然、歴史、様々な体験をすることで、富山への関心・興味を深めていただく。  さらに、富山にはすしに加えて、先ほど御紹介もありましたけれど、本当に様々なおいしい食事、美食と言われるものもいっぱいあります。それから、おいしいお酒、伝統工芸品等があることも来ていただいて知っていただくと。そして、富山のすしというのは、本県の自然や歴史、文化、そして富山の人の営みの集大成であるということを認識していただきたいと。  その上で、SNSでの情報発信や、再度の本県への訪問、それから県内関連イベントの参加や、県産品の購入につなげるといったことを通じまして、本県のブランドイメージの向上、経済波及、そして幸せ人口1000万の創出・拡大につなげていきたいと考えております。  委員御指摘のとおり、こうした戦略の狙いを分かりやすく伝えていくことは大変重要であると考えておりますので、ホームページやSNS、それから様々な媒体を活用しまして情報を発信し、県民の皆さんや各種業界の皆さん、そういった方の御理解もいただきながら、共に取り組んでいけるよう努めていきたいと考えております。 172 瘧師委員長 残り、簡潔にお願いします。 173 永森委員 分かりました。  今ほど御説明もありましたけど、やはり言葉で聞いていてもなかなか県民の皆さんには伝わりにくいのかなと。そういう意味で、やはり結果を出していくということが重要なのではないかと思っています。  その中で、この資料──説明しませんけれども、見ていると、海外での発信ということが非常にたくさんちりばめられているんです。  で、今回、国の予算が取れなかったということで、海外の事業を諦めたというようなお話もありましたけれども、そこは本当はやはり諦めちゃいけないところだったのではないかなと。やはり日本人の感覚として、我が国の特徴といいましょうか、海外ではやると、日本でもまた逆輸入的にすごくバズるといいましょうか、そういう傾向があると思うんです。そういう意味では、今の国内の単発イベントだけということだと、何かやっぱりちょっと物足りないなというのが感想です。  そこで、富山のすしを、今ほど言っていただいた様々なものをパッケージとして、しっかり海外に発信する重要性というのが私は大事だと思っています。  一方で、県内におけるすしの提供、おもてなし体制、つまり国内の供給側のほうも、しっかりその意図を理解していただくということ、その上で戦略的にやっていくということが重要だと思います。新田知事の所見を伺います。 174 瘧師委員長 新田知事、簡潔にお願いします。 175 新田知事 庄司委員の御質問でもお答えしたことですが、すしを突破口にして本県の様々な魅力を知っていただくという、そんな趣旨の事業を考えています。  海外での発信を諦めたわけではなくて、今回の補正はあくまでコロナの対応中心の予算でしたので、その中では、少しダウンサイジングをして国内を対象ということにしました。初年度ということで位置づけております。  国内のトップシェフが、インフルエンサーでありますけども、それをメインターゲットにして、魚のおいしい冬にキックオフイベントを開催することにしています。それはあくまで始まりということで御理解をいただきたいと思います。  そして、すしという産業の持続可能性ということもやはり考えていきたいと思っております。10年計画で、すし職人の後継者確保など、すしを提供する体制についても充実強化を図っていくということ、そのために、人材育成に関するニーズの調査なども行い、担い手の育成、また、新たな価値を創造できる国内外の人材交流などについても検討したいと考えております。  また、私が本部長の、ブランディング推進本部においては、海外富裕層への訴求についても、すしを含めた食やお酒、工芸、自然、文化などの本県の魅力をパッケージでアピールできる効果的な手法を検討していきたいと考えております。 176 瘧師委員長 永森委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本日の日程は終了いたしました。  なお、6月23日の予算特別委員会は、午前10時から開会いたしますので、定刻までに御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。
                         午後4時15分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...