富山県議会 2020-02-01
令和2年2月定例会 一般質問
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時00分開議
◯議長(中川忠昭君)おはようございます。
ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(中川忠昭君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第58号まで、報告第1号及び報告第2号を議題といたします。
これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
酒井立志君。
〔14番酒井立志君登壇〕
3 ◯14番(酒井立志君)皆さん、おはようございます。
初めに、伏木富山港の活性化に向けて、3点質問いたします。
まず、港の計画です。
港湾は港湾計画に基づき整備されています。港湾計画は、通常10年から15年程度の将来を目標年次として、その港湾の開発、利用及び保全の方針を明らかにするとともに、取扱可能貨物量の能力、その能力に応じた港湾施設の規模及び配置、さらに港湾環境の整備及び保全に関する事項などを定めることとなっております。
港湾計画の変更には、その規模に応じ、改訂、一部変更、軽易な変更に区分されており、伏木富山港の伏木港、富山新港、富山港では、その時代の変化に応じ、一部変更、軽易な変更などはこれまでなされてきましたが、港湾空間のあるべき姿を実現することを目標とした改訂は、平成11年7月を最後に変更されておりません。
伏木港については、10年から15年後に増加する取扱貨物量を平成11年当時のトレンドから推測され、港湾計画の規模及び施設配置が計画されているのだと思うのですが、現状は計画どおりに貨物量が増加していないため、現在の
港湾計画どおり整備が進んでいないのではないかと考えます。
伏木港は貨物のみを取り扱う計画となっているのだと思うのですが、社会情勢の変化に伴い、港湾に求められる機能も変化しており、貨物だけではなく旅客に対する対応も求められるようになってきております。
国は、訪日外国人数を2030年には6,000万人を目標と定め、うちクルーズ船で訪日される訪日クルーズ船を2020年、ことしですが、500万人を実現するためクルーズ振興に取り組んでいるところです。
本県でもこの波に乗り、今定例会において提案理由説明で石井知事は、専門家と連携しクルーズ客船の誘客に積極的に取り組むとの発言がございました。
伏木港でも平成11年の初寄港を皮切りに、毎年クルーズ船が寄港しているが、旅客に対応した施設がありません。また、伏木港では、現在バイオマス発電の建設が進められており、令和3年秋の運転開始が予定されています。運転が開始された暁には、燃料となる木質ペレットを年間約20万トン輸入される計画であり、1回の荷おろしには1週間程度かかるのではないかとお聞きいたしております。
伏木港の取扱貨物の増加が図られることは大変喜ばしいことではありますが、その一方で、クルーズ船の寄港日と貨物船の入港日が重なった場合、これまで以上に十分な調整が必要と考えます。
そこで、前回の改訂から約21年が経過していることから、現在の社会情勢に合わせ、貨物と旅客の受け入れが共存できるような港湾計画に見直してはどうかと考えるのでありますが、水口土木部長の所見をお伺いいたします。
次に、富山新港について提案いたします。
県では、これまで
富山新港東埋立地に元気の森公園や新湊マリーナを整備してきており、今では広く県民に親しまれ、魅力とにぎわいあるウオーターフロントを形成しつつあります。
加えて、現在、射水市では、未利用地を活用した
フットボールセンターの整備計画が進められていると聞いておりますが、この計画が実現すれば、東埋立地一帯はスポーツに親しむことができる環境の充実が図られ、
一大スポーツゾーンが形成されることとなります。
また、周辺には、世界で最も美しい湾クラブの富山湾や海王丸パーク、新湊大橋など、本県を代表する観光資源も多くあることから、これまで以上に県内外からも多くの来訪者が見込まれ、県西部はもとより、本県全体のスポーツ振興とにぎわい創出に大きく寄与することになると考えます。
この整備予定場所は、港湾計画における現状の土地利用計画では、スポーツ施設を整備することができない位置づけとなっていることから港湾計画の変更が必要となります。
また、県においては、未利用地の有効活用につながることから、射水市との協議を進め円滑に整備が進むよう、港湾計画の変更手続を早期に行ってはいかがでしょうか、石井知事の所見をお伺いいたします。
一昨日の薮田議員のSLBを活用したロシア航路のウイークリー化を見据えての質問に対し、石井知事は、これまでのさまざまな成果の上、輸送実証実験を引き続き実施するほか、
専門アドバイザーの配置などによりさらなる利用促進に努め、ロシア、欧州向けの物流拠点港を目指すとの力強い答弁がありました。
知事の成果はさまざまあります。私に強く残っている事柄を3点挙げると、1つには、日本からロシアに向けて富山新港がラストポートになったこと。2つには、昨年、
FESCOイスリン社長と直接交渉されて、30年以上続いているロシア極東航路について、ボストチヌイ港寄港前にウラジオストク港に寄港させ、シベリア鉄道を利用した伏木富山港からモスクワへの輸送日数をさらに短縮されたこと。3つ目には、107年前に作家の与謝野晶子さんが夫の鉄幹さんに会うために、新橋、敦賀、
ウラジオストク経由でモスクワまで12日間で到着したという話をもって、ロシア人のプライドを刺激させることで、昨年3例のうち1例で、実に12日間で到着が可能になったということです。これはすごい話だと思います。
これらの実力をもって、石井知事には、伏木富山港全体の発展に力を尽くしていただきたいものだと考えてございます。
現在、伏木富山港においては、
ロシアコンテナ航路のほか、中国、
韓国コンテナ航路に加えて
RORO船航路等、月35便を確保しています。
昨年の
国際コンテナ取扱個数実績は7万5,529TEUであります。
アジア進出企業の推移を見ますと、平成13年で約141事業所あったのが、令和元年には約600事業所となり、18年間で4.8倍となっていることから、当港における輸出入貨物量の伸び代は大変大きなものがあると期待するものであります。
そこで、伏木富山港の活性化に向けて、集荷促進、貨物創出、航路拡充など、今後一層の物流の促進にどのように取り組み、強化策を図っていこうとしているのか、石井知事に所見をお伺いいたします。
次に、外国人の学校教育の充実に向けて、2点質問いたします。
全国の1,741地方公共団体のうち、学齢相当である外国人の子供が1人以上いる地方公共団体は1,196で、全体の3分の2以上にまで及んでいます。その中で、日本語指導を必要とする外国籍の児童生徒は4万人以上、日本国籍の児童生徒は1万人以上と、近年顕著に増加しているが、日本語指導など特別な指導を受けられているのは、小学校で82%、中学校で77%、高等学校で67%のみにとどまっております。
そして、特別支援学校の高等部を除いて日本語指導が必要な高校生は、平成29年度中に9.62%が中退しており、全高校生等の1.26%に比べて約7.6倍とはるかに高い状況となっております。
また、日本語指導が必要な高校生等の卒業後の就職者における非正規就職率も40%と、全高校生4.3%の約9.3倍でありますし、進学も就職もしていない生徒の率が42.19%で、全高校生と比較して大きな隔たりが生じています。
こうした状況を放置すれば、中長期的な日本社会の安定にも影を及ぼすおそれがあると考えます。
そこで、本県における状況はいかがか、また、その改善策について伍嶋教育長に伺います。
文部科学省の2019年の調査によると、住民基本台帳における外国人、小学生相当と中学生相当の学齢年齢者は12万4,049名、そのうち就学状況確認できずが8,768人、不就学が1,000人、教育委員会が就学状況確認の対象としていないため、就学状況が不明な者が9,886人。いわゆる義務教育年齢で不就学の可能性がある子供は1万9,654人で、これは全体の15.8%の外国人の子供に不就学の疑いがあることが明らかになっています。
外国籍の子供たちを受け入れる努力を懸命にしている学校もありますが、地域によっては格差があります。日本も批准している国際人権規約では、この規約の締約国は、教育についての全ての者の権利を認めるとしております。外国人は就学の義務がないとは、どこの法律にも書かれていません。地域に暮らす就学年齢の子供は、外国人、日本人にかかわらず、全て就学させなければならないという視点で見てほしいものであります。
国も本県も、誰一人取り残さないSDGsを理念として、持続可能な形での社会の発展を目指しています。
しかしながら、今ほど述べたように、現在の日本社会では外国にルーツを持つ子供たちが取り残されていると言わざるを得ない。こうして状況を放置すれば、諸外国でも見られるように、中長期的な日本社会の安定にも影響を及ぼすものと考えます。
就学案内から学習支援と一貫してフォローする仕組みが求められると考えますが、伍嶋教育長の不就学者に対する所見と、本県の不就学者状況はどうなのか。また、今後の対応策についてお伺いいたします。
次に、幼児教育と地域防犯力の強化に向けて、3点質問いたします。
昨年、県では「子どもの安全確保と地域防犯力の強化」に関する有識者会議を開催されて、県内外から有識者をお招きして建設的な提言を受けられました。座長には、犯罪学の国内第一人者である
小宮立正大学教授をお招きしたと伺っております。
今回の提言では、犯罪の起きやすい場所を
ホットスポットと定義しています。ほとんどの犯罪は
ホットスポットで発生するという考え方で、犯罪者は犯行の瞬間を見られたくない、また逃走が容易な場所を選んで犯行に及びます。そのような場所を
ホットスポットと呼び、犯罪が起きやすい場所であります。入りやすく見えにくい場所がキーワードで、小宮教授が提唱される犯罪学の犯罪機会論に基づく考え方であります。
そこで、県警察の
防犯カメラ貸出事業についてでありますが、これまでの貸し出し実績と今後の設置に際して、
ホットスポットなど、犯罪の起きやすい場所への優先的な設置が必要と考えますが、大原警察本部長の所見をお伺いいたします。
今回の提言では、小学校での
地域安全マップづくりが大きなテーマとなっています。提言では、1つ、
地域安全マップづくりが目的ではなく、マップを作成する過程が大切であり、子供の育成プログラムの一環であること。2つには、子供自身の危険な場所を見抜く力を養うためのもので、景色解読力を目的とすることであります。
これまでの
地域安全マップづくりは、誤解が多く、例えば不審者が出没した場所をマップに落として子供に暗記させたり、地区の大人が作成して子供に渡して学校に張りつけるといった事例でありますが、これらは全て必ずしも有効的とは言えません。
そもそも不審者などという者は、大人でも外見上は誰にも見分けがつかないものでありますし、大人が作成したマップを子供に配っても、肝心の子供の心に響くものでもありません。マップを学校内に張りつけたり、子供に配って暗記させるのではなく、子供がどこへ行っても犯罪に遭いそうな危険な場所を見抜く力、つまり景色解読力を養うことが求められていると思います。
これは極めて重要な部分であり、犯罪だけではなく防災にも応用できる話であります。いわゆる東日本大震災のときの釜石の奇跡と対比して、大川小学校の悲劇が一番わかりやすい事例だと考えております。
そこで、これは提言のまさに核心部分と言っても過言ではないと思いますが、今後小学校での安全マップの作成、普及はどのように取り組まれるのか、伍嶋教育長の所見をお伺いいたします。
最後に、富山県
幼児教育センターについてです。
富山県
幼児教育センターは昨年4月に設置され、主に幼児期の非認知能力等の育成に取り組んでおられると伺っております。幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、
幼児教育センターの役割は重要であります。
非認知教育は、子供の意欲、協調性、課題解決能力などの育成でありますが、同時に幼児教育と小学校教育との円滑な接続も重要であります。
さきに述べましたが、小学校では
地域安全マップづくりに取り組み、子供の危険回避能力の向上に取り組むことが重要とするならば、円滑な接続の観点からも、より早い段階で幼児教育においても危険回避能力の向上に取り組むことが求められると考えます。
なぜなら、子供は地域の宝で、命の安全が最も重要であるも、幼稚園や認定こども園、保育園を卒園して小学校へ入学すると、保護者が真っ先に心配するのは、これまでのように保護者付き添いではなく、原則的に子供が自力で登下校をする必要があるからです。事件や事故から子供は自分の力で自分を守る必要があり、その能力を身につけなければなりません。だからこそ、このことは幼児教育においても最優先事項であり、小学校入学までに最低限、身につけておく必要があろうかと考えます。
そこで、
幼児教育センターにおける幼児教育の一環として、子供の命を守り、思考力、判断力を育成する危険回避能力の向上に取り組む必要があると考えますが、幼児教育からの人づくりにかける思いとあわせて、石井知事の所見をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
ありがとうございました。
4 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
5 ◯知事(石井隆一君)酒井議員の御質問にお答えいたします。
まず、
フットボールセンター整備に係る港湾計画の変更についてでございます。
富山新港の東埋立地では、これまで県としまして、
日本パークゴルフ協会公認コースを有する元気の森公園ですとか、また日本海側最大級の保管可能隻数を誇る新湊マリーナを整備いたしまして、また射水市では、屋内プール等を有する
海竜スポーツランドを整備するなど、スポーツの拠点として多くの方々に利用されております。
今般、射水市が計画していらっしゃるこの
フットボールセンターは、県西部初の
人工芝フィールドを2面有する本格的な施設であり、整備されればスポーツ振興に大きく寄与するとともに、交流人口の拡大、また経済効果なども期待できるのではないかと思っております。
フットボールセンターの整備に当たりましては、伏木富山港港湾計画で定めております土地利用の区分をスポーツ施設が整備できるように変更する必要がございます。
そのため、県では射水市の整備計画と調整いたしまして、国及び関係機関の意見を伺いながら港湾計画の変更案の作成を進めまして、今月末に開催します県の地方港湾審議会で御審議いただくことにしておりまして、ここで適当と御答申いただければ、3月末ぐらいまでに港湾計画変更の公示をできればと思っている次第であります。
東埋立地にあるスポーツの拠点に加えまして、西埋立地には帆船海王丸が係留されて、年間100万人を超える方が訪れる海王丸パークがありますし、またこの2つの埋立地を結ぶ日本海側最大級の斜張橋でもある新湊大橋、また先ほど申し上げた新湊マリーナや新湊きっときと市場など、観光資源が豊富でございます。
フットボールセンターが整備されれば、このエリアが地域活性化や観光振興の拠点としてさらに発展することが期待されます。
このことについては、射水市からも御熱心に協力要請、支援要請がありますし、この議場にいらっしゃる永森議員や八嶋議員からも、これはぜひとおっしゃっていただいているわけでありまして、県としましては、ぜひ射水市に協力して早期に整備を支援していきたい、かように思っております。
次に、伏木富山港の活性化についてお答えをいたします。
今ほどは伏木富山港の活性化についての県の取り組みにつきまして、大変過分なお言葉いただいて恐縮に存じます。
県としましては、伏木富山港の一層の物流促進を図りますために、既存の荷主企業奨励金や
トライアル輸送補助金に加えまして、新年度には陸上輸送費の高騰等を踏まえまして、伏木富山港から輸出入する際の国内輸送費への助成制度を新設することにしております。
また、
ポートセールス事業推進協議会において取り組んできています集荷促進活動に、これまで以上に荷主企業や関係団体、これは倉庫関係の方、トラック関係の方、船会社、金融機関、いろんな方にも御参画いただいて、官民一体となった体制の充実について検討してまいりたいと思っております。
特に、お話にも出ましたシベリア・ランド・ブリッジの利用促進につきましては、昨年5月、モスクワで開催された日ロ知事会議に出席しまして、御紹介いただいたように、歌人の与謝野晶子さんの例なども御紹介いたしまして、改めてシベリア・ランド・ブリッジを活用した物流の迅速化、高速化の重要性を強調しますとともに、FESCOの本社を訪問しまして、イスリン社長に対して、伏木富山港からモスクワまでの輸送日数、従来どうも20日以上かかることが非常に多かったわけですので、これをぜひ2週間程度に短縮するよう要請いたしました。
また、その後、東京でももう一度直接お会いしたんですけれども、ありがたいことに昨年6月末から航路が変更されまして、御承知のとおり伏木富山港からボストチヌイ港に行ってウラジオストクに行くという、この順番を伏木富山港からウラジオストク港に直接行くというふうに変更していただいたこともありまして、14日間での輸送が可能となりました。
そういうことも踏まえて、新年度におきましては、モスクワまでの輸送実験によりまして引き続き速達性等の実証を行う。いろいろロシアも、立派な国だと思うんですけれども、一応お約束なさっても、なかなか実現、そのとおりならないというケースもありますので、何とかこれをしっかりと実証しまして、そして荷主や船会社、いろんな方にもPRをしていくと。
新たに、伏木富山港からシベリア鉄道を利用して輸出入する際の陸上輸送費への助成制度も創設しまして、これまで以上に、県内はもちろんですけれども、例えば北関東あたりからは、ぜひ伏木富山港に荷物を運んでいただけるような、そういうインセンティブもつくりたい。
さらには、ロシア物流に精通する専門のアドバイザーを配置することなどによりまして、県内外のロシア向け、さらには欧州向け、ヨーロッパ向けの貨物の集荷促進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
今後とも、国交省やFESCOやロシア鉄道、また港湾事業者や物流事業者、またロシアの関係の知事さん方、こういった方々とも緊密に連携協力しまして、伏木富山港が物流の大きな拠点になるようにさらに努力してまいります。
最後に、幼児教育についてお答えをいたします。
国の中央教育審議会の答申におきましては、社会の変化に伴って子供たちが起こり得る危険を理解して、いかなる状況下でもみずからの命を守り抜くことや、必要な情報をみずから収集して、適切な意思決定や行動選択を行う力を子供たちが育むことが求められております。
また、富山県教育大綱においても、児童生徒等の危険回避能力を向上させる実践的な安全教育を主要施策の一つに掲げているわけでございます。
また、幼児期における危険回避能力の達成ということは、国の教育要領ですとか保育指針等においても、幼児が体を動かして遊ぶ中で、体験を通じて学び取ることが大切だというふうにされております。過保護とか過介入では、かえって、おっしゃるように危機管理能力が育たないということが言われているわけでございます。
そこで、今年度開設しました
幼児教育センターでは、訪問指導を通じまして、子供たちの意欲や協調性や課題解決能力といった、いわゆる非認知能力を育成しますとともに、幼児自身が安全について、体験を通して主体的に判断する力の育成についても助言していると伺っております。
幼稚園、保育園などでは、お預かりが終わっておうちに帰るときの帰りの会と言うんだそうですけれども、その日1日のことも振り返り、安全面についての注意事項なんかも振り返って、改めて子供たち幼児に気づきを促して、危険察知の目を自分で養うようにする。また、
安全マップづくりは、保護者だけではなくて、子供たち自身が自分で考えて気づいて行動できるようにする、そのように保育士さんや、あるいは教諭の方が誘導するようにする、そういった努力をされていると伺っております。
新年度は、こうした訪問研修を拡充することにしておりまして、引き続き危険回避能力を育む指導のあり方について、しっかり指導、助言してもらいたいと思っております。新しい総合計画においても、人づくりを重要政策として位置づけておりまして、とりわけ幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を養う重要なものでございます。
今後とも、県の教育委員会や市町村とも連携しまして、子供たち一人一人の健やかな成長に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
以上であります。
6 ◯議長(中川忠昭君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
7 ◯土木部長(水口 功君)港湾計画の見直しについての御質問にお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、今後、伏木地区の万葉ふ頭では
バイオマス発電所の稼働により、燃料を輸送いたします大型貨物船が定期的に入港いたしますことから、接岸する万葉3号岸壁の年間利用日数は約7割に達するのではないかと見込んでおります。
一方、万葉岸壁では、これまで22万トン級の大型クルーズ船が接岸可能となるよう係留設備等の整備が完了しておりまして、貨物船とクルーズ船の利用調整でございますが、船舶の入港に支障が生じないよう荷役業者との情報共有を密に行うなど、引き続きしっかりと対応する必要があろうかと思っております。
伏木富山港の港湾計画は、将来の計画貨物量に大幅な変更が見込まれましたことなどから平成11年に改訂しておりますが、その後も耐震強化岸壁ですとか臨港道路の整備など、必要な事項に迅速に対応いたしますため、随時、一部変更などを行ってきております。
現計画改訂から約21年が経過しておりますものの、今後の対応につきましては、世界経済の動向が不透明な状況でありますことや、一方、県内での新たな企業立地ですとか、それによる貨物の動向など、総合的に見定めていく必要があるのではないかと考えております。
また、国では、北陸地方整備局管内の港湾につきまして、来年度、中長期的な港湾ビジョンの策定に取り組む予定としておりまして、その内容も十分注視し、議員から貨物と旅客の共存という御指摘がございましたけれども、今後の対応につきまして検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
8 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。
〔教育長伍嶋二美男君登壇〕
9 ◯教育長(伍嶋二美男君)私からは、日本語指導が必要な児童生徒に関する御質問にお答えいたします。
県の教育委員会では、これまでも日本語指導が必要な外国人児童生徒の教育環境の整備に努めてきておりまして、小中学校では日本語指導や生活指導を行う日本語指導教員や、日本語指導教員を補助いたします外国人相談員を配置し、日本語で学校生活を営み、学習に取り組めるように、個々の実態に応じた支援を行ってきております。
また、学習指導の留意点などをまとめました手引を作成し配付していることや、また、教員対象の実践講座を開催することによりまして日本語指導の充実を図ってきております。
平成30年度の国の調査では、本県の日本語指導が必要な児童生徒のうち、特別な指導を受けている児童生徒の割合は、小学校で94%、中学校で86%と、いずれも全国平均を上回っている状況にあります。
このほか、高校生等の中退率等につきましては、本県分の公表がなされていないのでお答えすることはできませんけれども、特別な指導を受けない場合でありましても、在籍学級でその実態に応じまして、例えば漢字に振り仮名をつけたり、あるいはわかりやすい言葉で説明するなどの十分な配慮をした上で指導をしております。
また、県立高校では、通常の授業の理解に苦労している外国人生徒に対しまして、特に放課後に個別の日本語指導を行ったり、また英語等の言語を用いた説明をする工夫をするなど、教科ごとの指導を行うなど適切に対応しております。
平成30年度の国の調査では、日本語指導が必要な生徒は1名在籍しておりましたけれども、入学当初は日本語に不自由を感じていたものの、教員や、あるいは同級生等の支援もありまして、その後は支障なく学校生活を送り、卒業後は国公立大学へ進学した生徒もいるというふうに聞いております。
今後とも、外国人児童生徒への教育環境の整備や、また進学等に向けた支援の充実にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、不就学に関する御質問にお答えをいたします。
改正入管法が施行されまして、今後ますます外国人児童生徒が増加することが予想されることから、引き続き受け入れ体制の整備や共生社会の実現に向けた取り組みが重要であると考えております。
国の調査では、昨年5月の時点におきまして、県内の学齢相当の外国人の子供795名のうち、就学している者──これは小中学校にですけれども──の数は720名となっておりまして、転居した者や、あるいは出国者を除きますと、不就学者は6名ということになっております。この不就学者6名のうち、1名は現在就学をしておりまして、残る5名は、市町村教育委員会や学校が就学を働きかけている状況にあります。
県の教育委員会では、外国人の子供が不就学とならないように市町村教育委員会などから成る連絡協議会を設けまして、就学の手続や日本語指導などについて指導、助言を行っていますほか、就学や進学等に関する手引の作成、配付や、外国人児童生徒への指導に関する実践講座を開催するなど、教員の指導力の向上にも努めております。
また、県内全ての市町村教育委員会では、住民基本台帳を担当する部署と連携いたしまして、住民登録の際に就学案内をいたしますとともに、学校を通じまして就学状況を確認した上で、不就学の子供の保護者に対して、家庭訪問などにより就学を促しております。
さらに、就学後の学習の支援を充実するため、新年度において日本語指導教員を増員いたしますほか、実践講座の回数を増やすこととしておりまして、市町村教育委員会と連携しながら、外国人児童生徒の教育環境の充実に努めてまいります。
次に、地域安全マップに関する御質問にお答えをいたします。
防犯の地域安全マップは、犯罪が起こりやすい場所や安全な場所等を写真などを使って解説した地図でありまして、平成30年度は県内の約7割の小学校で作成されております。
本県では、昨年8月に設置されました「子どもの安全確保と地域防犯力の強化に関する有識者会議」におきまして、場所の景色を見て、入りやすく、また見えにくい場所を警戒する犯罪機会論の視点を用いた
地域安全マップづくりが重要であるとされたところであります。
具体的には、子供がみずから通学路などを点検し、地図にあらわす作成過程を通じまして、子供自身が危険な場所を見抜く力、すなわち議員からも紹介がありましたが、景色解読力を身につけることが大切であるとされております。昨年12月の提言におきましても、全ての小学校にこの視点を踏まえた
地域安全マップづくりの普及に努めることとされております。
県教育委員会としましては、小学校においてこの
地域安全マップづくりを広げていくため、来年度新たに沿岸部や山村などの地域特性を考慮したモデル校を4校指定いたしまして、具体的な作成過程を他の小学校にも広く紹介することとしております。
また、犯罪機会論に基づく地域安全マップの作成方法等をテーマに取り上げました教職員向けの防犯教育指導者講習会も開催をして、実践的な指導方法について情報共有を図ることとしております。
今後とも、市町村教育委員会、関係機関と連携いたしまして、子供の危険回避能力の向上のため、また犯罪機会論も踏まえた
地域安全マップづくりの普及に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
10 ◯議長(中川忠昭君)大原警察本部長。
〔警察本部長大原光博君登壇〕
11 ◯警察本部長(大原光博君)
防犯カメラ貸出事業についての御質問にお答えします。
防犯カメラ貸出事業は平成30年10月の事業開始以降、55の町内会に対し計79台を貸し出し、うち42町内会が買い取り、計62台が継続設置されました。令和元年10月からは30町内会に40台を貸し出し中であり、本年4月には32町内会に40台の貸し出しを予定しているなど、防犯カメラに対する県民の関心の高さがうかがわれるところであります。
本事業では、数に限りのある防犯カメラをいかに効果的に稼働させるかを念頭に、犯罪や子供に対する声かけ、つきまとい事案の発生実態と通学路などの点検結果を踏まえながら、地域住民の意見も聴取した上で、通学路などの中で人の目が届きにくい、いわば犯罪が起こりやすい箇所を中心に設置を進めております。
このように、議員御指摘の
ホットスポットと呼ばれる場所に対するカメラの設置が進展しつつあると認識しており、引き続き地域住民の要望も踏まえつつ、犯罪発生実態に即した効果的な設置、運用に努めてまいりたいと考えております。
12 ◯議長(中川忠昭君)以上で酒井立志君の質問は終了しました。
藤井大輔君。
〔7番藤井大輔君登壇〕
13 ◯7番(藤井大輔君)県議会議員になり、2度目の一般質問となります自由民主党の藤井大輔でございます。
まずは、本日傍聴においでいただきました方を初めとする多くの方々の御支援と、議会活動における先輩、同僚議員の皆様からの御指導と御配慮に対しまして、心から感謝を申し上げます。
また、コロナウイルス感染症拡大防止において、昼夜問わず対応されている県職員、医療、福祉、教育関係者、そして保護者の皆様に、心から敬意を申し上げます。
それでは、具体的な質問に入る前に、今回の一般質問の全体テーマについて御説明いたしたいと思います。
私がこれまで訴えてきたのは、過去から未来へ富山のバトンをつないでいく、かつ誰もが主人公になる富山県をつくるということでした。その思いは今も変わっておりません。
それらを実現するための手法として、コミュニティソーシャルワークの視点が大事だと感じております。
いつも藤井は横文字ばかり使ってようわからんと先輩方に叱られそうですけれども、コミュニティソーシャルワークとは、日本語にすると、社会的に弱い立場にある方への個別支援を通じて地域や制度の課題を発見し、その解決に向け、社会システムづくりをしていくことになるかと思います。
富山県社会福祉協議会では、日本の社会福祉学の大家である大橋謙策先生を講師に迎え、昨年度からコミュニティソーシャルワーク研修を実施しておりますが、私もその受講者の一人であります。
今回はコミュニティソーシャルワークの手法を使って、実際に存在する4つの富山県民を主人公としたケースで、13の質問を進めさせていただきたいと思います。
まず1番目のケース、地域から孤立しているひとり暮らし高齢者になります。
県内のひとり暮らし高齢者は年々増加しており、2025年には全世帯の12%に当たる4万4,800世帯になるとされております。富山の場合は持ち家の自宅があるケースが多いものの、車の処分をきっかけに外出機会が失われ閉じこもりがちになり、地域から孤立してしまう高齢者が少なくありません。
そんなひとり暮らし高齢者をどのように地域で支えていけばよいのか、私自身、地域包括支援センターにおりますと、そういった相談件数が年々増えてきている実感があります。昨日も孤独死の連絡が入っておりました。
富山県では全国に先駆け、地域での助け合いの仕組み、ケアネット21活動が平成15年にスタート。年々実施地区数が増えているとされておりますが、県内でも市町村によってその温度差があると聞いております。
熱心な取り組み事例として、黒部市社会福祉協議会のくろべネットでは、2019年10月からICT利活用プロジェクトの実証実験を行い、孤立しがちなひとり暮らし高齢者などに、自宅にボタンつき連絡機器を設置、カードをかざすだけで担当者と連絡がとれるシステムを導入しました。
カードの内容は、元気だよ、買い物、宅配お願いなど、地域の商工会青年部のメンバーとも連携して支援を行う仕組みとなっております。実際に孤立してコミュニケーションがとりづらかった高齢者が、機器を設置してから、毎日元気だよというカードで連絡をくれ、生活の軽度な困り事の相談もされるようになったとのことです。
人に迷惑をかけるのは気の毒というふうに思う遠慮がちな富山県人には、こういったICT機器のほうがむしろ相談しやすいのかもしれません。しかしながら、全世帯への展開は、コストの問題もあり、黒部市も今のところ予算化は考えていないようでした。地域福祉の実行主体は基礎自治体であることは承知しておりますが、こういった先進的な地域包括ケア事例が富山県で生まれているにもかかわらず、コストの問題で普及しないのは大変もったいない。こういった事例にこそ県が支援すべきと考えます。もっと言えば、県全体のケアネット21活動を思い切って見直す時期に来ているのではないかと感じております。
そこで、ケアネット21の地域ごとの活動状況とその課題、今後の方針について厚生部長にお聞きいたします。
また、そういった地域包括ケアの推進のために、消費税増税分を加味した地域医療介護総合確保基金があると認識しております。新年度では、医療分で7.9億円の基金積み立てが予算化されておりましたが、地域医療介護総合確保基金の積み立ての状況、基金の医療分と介護分の内訳、また、市町村と連携して行う基金事業の実施状況はどうなのか、厚生部長にお聞きいたします。
ちなみに、国の資料では、県は管轄自治体の事業展開の意向や地域のニーズを十分に勘案し、予算を積極活用されたいと明記してありましたので、県も市町村と一体となり、主体性を持って予算の活用の詳細を検討いただきたくお願い申し上げます。
次に、2番目のケースです。親が認知症で同居する子供がひきこもりの家族、報道ではいわゆる8050問題と言われておりますが、私の経験でも、80代の親の介護相談に御自宅に伺ったら50代の同居の子供がおられ、近所の方もそのことを知らなかったという事例が実際にありました。
また、親には介護保険のケアマネジャー、子供には障害の相談支援員がそれぞれ個別支援計画をつくっていたけれども、支援員同士はお互いの存在を理解しないまま経過していたケースも知っております。
本来であれば家族丸ごとの支援が必要なはずなのに、高齢福祉と障害福祉が縦割りであることで、個別支援はできていても家族丸ごと支援までは至らなかったのです。
ちなみに、千葉県では、対象者や問題を問わずに断らない相談支援を行う中核地域生活支援センターがあります。昨年末、千葉県市川地区のセンター長、朝比奈ミカさんの研修が富山市で実施され私も参加したのですが、対象で分けるような役割分担論では死角が生まれるとおっしゃっていました。新年度予算には、断らない総合的な相談窓口設置のモデル事業、子ども・若者総合相談センター設置の事業が計上されておりましたが、これまでの相談支援窓口と何が違うのでしょうか。私としては、相談窓口が乱立するような状況はむしろ改悪で、困っている人がわかりやすいよう統合や整理が必要かと考えます。
そこで、断らない相談支援の実現のため、市町村主体の細やかに地域に根を張るアウトリーチ型相談支援窓口と、それらを包括的に取りまとめる県主体の中核的な相談支援センターを設置するなど、1次、2次、3次にすみ分ける医療圏のような整理を検討すべきではないかと考えますが、厚生部の所見をお伺いいたします。
次に、認知症の方が住みなれた地域で長く暮らせるように、国では昨年、認知症施策推進大綱が取りまとめられたところですが、富山ではまだまだ、「認知症になったら、施設に入らんにゃ近所や家族に気の毒やわ」という意識が強いんじゃないかと思っております。その偏見を変えるためにも、私は、しつこいようですが、ユマニチュードの啓発が有効なのではないかと思っております。
本議会の知事の提案理由には、認知症やユマニチュードという言葉が残念ながら出てきておりませんでしたが、富山県内の高齢者人口が30万人を超え、そのうち認知症の方が5万人以上と推測される中で、認知症高齢者総合支援対策は重要です。
認知症高齢者の総合的支援がまだまだ不足していると感じておりますが、どのように取り組んでいかれるのか厚生部の所見をお伺いいたします。
また、ひきこもりの方の自立支援について、県独自の実態調査では、県内ひきこもりの数が推計で9,000人とされておりました。その中でも、何らかの障害手帳が交付されている方と交付されていない方では、支援の行き届きに大きな違いがあると考えます。
特に手帳が交付されていない方は、小さなころから特別支援教育や障害福祉サービス等の適切な支援を受けることができず、大変苦労されているケースがあります。そういった手帳のない知的ボーダー、発達障害グレーゾーンの方が制度のはざまで苦しみ、困窮し、結果として不登校やひきこもりになっていることが推測されます。今回の調査が単なるボリューム調査で終わるのではなく、個別具体的な支援に踏み込んでいくきっかけとなることを強く望みます。
さらに、親亡き後のひきこもりの方の自立を地域で支える取り組みが必要と考えます。富山県でオールロケを行った不登校の女子高生の自立を描いた映画「もみの家」、私も先日映画館で見てきましたが、そのモデルとなった共同生活寮「はぐれ雲」の川又さんのお話を伺う機会がありました。大沢野地域の企業と連携し、1つの企業に就職してうまくいかなくても、地域のほかの企業でやり直すことができるような地域全体で支える仕組みがあるということでした。これは全国に先駆けたモデルとなり、京都の社会的共同親プロジェクトなど、ほかの地域にも広がっていると聞いております。
私としては、ひきこもりの福祉的支援を行う場合は、補助金の拡充措置を設けるなど、県が運営主体となって、企業の人材不足解消や、農業の担い手確保とひきこもりの自立支援をマッチングするような、双方が幸せになる仕組みを考えることができるんじゃないかと思っております。商工労働部長の所見をお伺いいたします。
次に、3番目のケース、就職氷河期世代で非正規雇用のまま40代を迎えた子育て世代になります。
本年1月、富山県は北陸3県で初めて就職氷河期世代を対象とした採用試験を実施すると発表されました。2022年度まで3年間続け、毎年1人から3人ほど採用する予定だと聞いております。
そもそも就職氷河期世代とは誰のことでしょうか。バブル崩壊に伴う不況の影響で就職難になった1990年代半ばから2000年代半ばに新卒採用試験を受けた人たちのことで、かく言う私も1995年の就職組なので、人ごととは思えません。
就職氷河期世代のうち非正規雇用は約400万人おり、その75%が年収200万円未満のワーキングプア。また、非正規雇用は女性割合が8割と高く、シングルマザーの貧困率の高さに結びついているなど、本人の資質や努力とは関係なく、社会システムの構造的な問題によって、非正規雇用のまま40代を迎えた人が少なくないのです。
そこで、就職氷河期世代の貧困や、その子供世代への貧困の連鎖を食いとめるためにも、シングルマザーを含めた就職氷河期世代の教育支援が必要と考えます。
就職支援能力開発事業のさらなる強化と、女性のスキル、キャリアアップの支援、高等教育機関でのリカレント教育の充実が重要と考えますが、商工労働部長の所見をお伺いいたします。
ちなみに、幸福度の高い国として知られるデンマークでは、生涯学習ができるフォルケホイスコーレと呼ばれる国民大学があり、年齢で決められるのではなく、学びたいときに学べる環境をつくることで、国民の幸福度と主権者としての意識を高めております。
さらに、就職氷河期世代の支援を、県内にとどまらず、東京や都市圏で仕事を続ける人に広げた就職氷河期世代とやま移住促進プロジェクトを行ってもおもしろいかもしれません。
私自身も40歳になるまで、正直富山に戻るとは考えてもみなかったのですが、年齢を重ねる中で、生まれ育った富山に貢献したいというサクラマスのような思いが強くなっていった経緯があります。
そんないつか富山県に帰ってくる愛県心を磨くためにも、世界に誇れる富山のブランド化は重要と考えます。
特に常願寺川上流の立山砂防の世界遺産登録に向けた取り組みは、富山県人の自然との共生の歴史を踏まえた上でも効果が大きいと考えますが、世界遺産登録状況に向けた進捗を知事にお聞きしたいと思います。
加えて、富山から世界的なブランドになる工芸品を生み出す仕掛けも重要です。先日、産業再生の請負人として著名な冨山和彦さんにお目にかかる機会があり、冨山さんに富山の創生について聞いてまいりました。その中で、ローカルだと思われがちな伝統工芸品が実はグローバルブランド化できる可能性が高いというお話が出ておりました。
そこで、世界的な富山ブランドを誕生させるために、新年度に初開催される国際工芸アワードとやまで新しい人材を発掘し、北京での伝統工芸品PR展示会やヨーロッパなどへの展示会への出展を通じ、世界的な伝統工芸ブランドへと育成するパーマネントな仕組みを構築すべきと考えますが、商工労働部長の所見をお伺いいたします。
なお、2017年の国際北陸工芸アワードで最優秀賞を受賞されました越中和紙職人である川原隆邦さんは、今や世界的な工芸職人として活躍されております。彼のような人材が1人でも2人でも多く輩出されることで、富山の名が世界的なブランドになっていくのだと私は考えております。
少し話がそれてしまいましたが、就職氷河期世代の雇用を推進するために、本質的な意味での働き方改革の必要があると考えます。
富山の中小企業の社長さんたちが働き方改革に前向きに取り組み、かつデジタルトランスフォーメーションと呼ばれるITによる生産性革命を進めることができれば、雇用する側も、働く側も、お互いに満足するホワイトな労働環境がつくれると考えます。それこそが働き方改革の本丸なのではないでしょうか。
そのためにも、まずは新年度働き方改革法案や、いわゆるパワハラ防止対策関連法が中小企業にも適用され、残業時間の上限規制など企業側の責務が増えますが、県内の中小企業への周知は行き届いているのでしょうか。
また、使用者、労働者ともに不利益をこうむることのない体制づくりをすべきと考えますが、あわせて知事にお伺いいたします。
加えて、働き方改革を進める上で極めて重要な、新年度予算の目玉とも言えるIoT、AI、5Gを活用した生産性向上の支援について、これまでの県の取り組みを踏まえ、新年度ではどのような工夫を行われたのか、また、ローカル5G実証事業と何が違うのかを商工労働部長にお聞きいたします。
さらに、県内中小企業のITによる生産性革命を進める上でも、何より県庁の職員みずからが、デジタル化による生産性向上、利便性向上の体験を得なければならないと考えます。
しかし、私が昨日、実際に県庁内で買い物をしてみたところ、県庁の食堂や売店でキャッシュレス化されているのは、小川商会のPayPayの支払いだけ。ほかは現金のみでした。
新年度ではスマートオフィス推進事業が計上されておりますが、5G先進県にふさわしいIoT化や5G通信環境が、この旧態依然とした県庁舎で整備可能なのでしょうか。また、県庁業務のデジタル化による生産性革命の実績、成功体験を積むことが必要というふうに考えますが、あわせて知事にお伺いいたします。
最後に、4番目のケース、スマートフォン、SNSにはまる小学生、中学生になります。
先日、地元の中学校区で行われました児童生徒健全育成協議会に出席した際、小学校の校長先生から、昨今のトピックスとして、小学校6年生のスマートフォン所有率が6割近いこと、そして中学校の見学会で、これまで学校が違っていた小学生同士がSNSでつながってグループをつくり頻繁にやりとりが発生しているとの報告がありました。
SNSグループでのやりとりは、教員や両親にも実態が見えにくく、いじめや犯罪、児童ポルノ等の温床になる危険があるのではないかと危惧されておりました。
そこで、子供たちがSNS等でのサイバー犯罪に巻き込まれないための取り組み、また、事件に巻き込まれたときの対応について教育長にお伺いいたします。
とはいえ、子供のデジタルツールは規制ばかりしていてもいけません。GIGAスクール構想と言われるものが始まっていく中、新しい時代を生きる子供たちに、デジタルツールの使い方がわからんからと、古い大人の価値観を植えつけるのが最もよくないと私は考えます。
そのための基準を示す上でも、子どもの権利条約を踏まえた令和の時代にふさわしい教育大綱等に、ICT教育の推進、SNS等への対策の項目を盛り込むべきだというふうに考えますが、最後に教育長の所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
14 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
15 ◯知事(石井隆一君)藤井議員の御質問にお答えをいたします。
まず、立山砂防の世界遺産登録に向けた取り組みについてでございます。
立山砂防につきましては、松浦元ユネスコ事務局長や西村東京大学の名誉教授などから御助言をいただきまして、かれこれ12年ほど取り組んでいることになりますけれども、国際シンポジウムや、世界的な比較分析などの調査研究等を積み重ねまして、自然と共生した世界に誇れる防災遺産という顕著な普遍的な価値が認められて、世界遺産登録基準iの人間の創造的才能を表す傑作等に該当すると高い御評価をいただいております。
一昨年は、国際防災学会のインタープリベントが開かれまして、そこで富山宣言というのを出していただいたんですけれども、立山砂防はいろいろな面で顕著な普遍的な価値がある、今後、世界の人々の参考となるように、人類共通の遺産として共有すべきだと、こういった宣言もいただきましたし、また、それに先立つこの五、六年、国際イコモスの副会長のルイス・コンティさんとか、モントリオール大のクリスティー・キャメロン先生とか、いろんな国際的な著名な方々から非常に高い御評価をいただいているわけでございます。
この立山砂防の価値や魅力について、次世代を担う若者たちに理解してもらうことは、ふるさと富山の自然、歴史や伝統文化の大切さを継承する上で大変重要ですし、またお話のように、UIJターンとか移住を進める意味でも大切な視点だと思っております。
具体的には、大学生、高校生を対象とした立山砂防の魅力や世界遺産登録の意義を学ぶユースプログラムというのをこれで7年ほど前からやっておりまして、大学生コースと高校生コースがございまして、それぞれ20人とか35人とか、いろんな方が参加してくださっています。
また、小学3年生以上の県民などを対象とする立山カルデラ砂防体験学習会も行っておりますし、また、小学生の方を対象としたこども砂防教室の開催も、これは毎年のようにやってきているわけでございまして、だんだん若い世代の皆さんにも、ふるさと富山の世界に誇れる貴重な遺産である立山砂防の価値、魅力が浸透してきたかなと思います。
新しい年度においても、引き続き立山砂防国際シンポジウムの開催とか、また、フランスにありますユネスコ本部での企画展でのPR、また、ノルウェーで国際防災学会が開催されますので、そこで研究発表したり、また、若者等を対象とした普及啓発事業に取り組むことにしておりまして、世界文化遺産登録も大分いろんな課題がクリアされてきて、相当今いい段階になってきていると思います。
国や関係市町、関係団体と連携協力しながら、これは立山黒部を愛する会、この議場にも会員の方がたくさんおられますし、「立山・黒部」ゆめクラブとか立山砂防女性サロンの会とか、いろんな方々が大変熱心に思っていらっしゃるので、おっしゃるように、若い人にふるさと富山の誇りを持ってもらうという視点も含めて、さらにこの世界文化遺産登録に向けた取り組みを積極的に、また粘り強く、力強くやっていこうと思っております。
次に、働き方改革についてお答えをいたします。
平成29年6月、3年前になりますけれども、とやま県民活躍・働き方改革推進会議というものを経済団体や労働団体の代表等で構成して設置いたしまして、長時間労働の是正とか、仕事と家庭の両立、それから労働生産性の向上、女性活躍など、働き方改革に関する施策を推進しますとともに、関係法令の周知も図っております。
具体的には、やっぱり大企業はともかく、中小企業にいかに浸透させるかというのが大事ですので、中小企業に女性活躍・働き方改革推進員などを派遣しまして、一般事業主行動計画の策定をきめ細かく支援しますほか、昨年4月、先ほど申し上げた県民会議で採択しましたとやま働き方改革行動宣言に基づく取り組み状況を、県や国のほか、労使双方が県民会議で報告してもらいますなど、この働き方関連法への対応状況、これは使用者側、労働者側、行政、いろんな関係者が認識を共有するというふうにしております。
さらに、富山労働局と連携しまして、広報誌「労働とやま」とか、新聞広報研修会等におきまして法の周知を図っておりますほか、労働相談ダイヤルを通じまして、ハラスメント、これはパワハラもあればセクハラもあるんだと思いますけれども、そういったさまざまな相談に対応しております。
また、富山労働局でも企業訪問やセミナー、説明等をやっていらっしゃいますけれども、そうした機会に働き方改革関連法の啓発をしておりますほか、経済団体にもお願いをして、経営者協会とか商工会議所連合会、商工会連合会等々、そういった経済団体におかれても、法制度の周知や先進事例の紹介などに努めていただいております。
ことし4月から、いよいよ中小企業に時間外労働の上限規制が施行されるということでございます。これまで働き方改革への取り組みが難しいと考えられて、現に取り組みがやや遅れがちな傾向のある業種とか業態を中心に、中小企業の働き方改革実践モデル企業を選定しまして、数カ月にわたってコンサルティングを行って、その成果を同業他社へ横展開するといったことなど、働き方改革がさらに進むように取り組んでまいります。
引き続き労働局など関係機関と連携しまして、法制度の周知とか働きやすい職場環境づくりの支援に努めてまいります。
最後に、働き方改革にもう1つ御質問をいただきました。
県では、働き方改革の取り組みとして、新年度、サテライトオフィスの設置とか、またフリーアドレス、これは御承知のとおり、職員が課内で固定席を持たずに、自由に座席を選んで仕事ができる環境にするということでありますけれども、また、ペーパーレス会議等の試行導入に取り組みますほか、テレビ会議システムを導入しまして、本庁と各総合庁舎、首都圏本部を結びますなど、スピード感を持ってスマートオフィスの推進に取り組むことにいたしております。
議員御指摘のとおり、AI、IoT、5G等のデジタル技術の活用、行政や企業の生産性向上に大いにつながるものと考えておりまして、本県ではこれまでも、全国で見ますと、先進的な取り組みとして、例えば市町村に呼びかけて、市町村と県によるシステムのクラウド化、共同利用化ということでありまして、これなどは、県、市町村で少なくとも7億5,000万以上かかっていた経費を3億7,000万にできた。約5割から5割以上のコスト削減もできておりますし、また大事なことは、未知のウイルスを検知するためのセキュリティー機器を導入したり、サイバー攻撃に対応するといったような視点も入れて、かつ大幅にコストダウンをしたといった実績もございます。
このほか、RPAの導入ですとか、市町村と十分連携しながらデジタル化の推進に取り組んで、これまでもやっていますし、今後も努力してまいります。
特に庁内ネットワークへの無線LANの導入など、デジタル化に必要な環境整備を進めまして、スマートオフィスの推進に庁内横断的に取り組んで、県行政、教育現場での生産性のさらなる向上につなげたいと思います。
旧態依然の県庁という大変厳しいお言葉もありましたけれども、御提案のありました県庁内の食堂は、南別館渡り廊下の耐震工事に伴う庁舎改修のために、ことしの6月から10カ月間、休業する予定でありますけれども、その再開に合わせてキャッシュレス化を導入できないかと考えておりまして、初期投資やランニングコストの費用負担のあり方を含めまして、これは運営されているのは県庁の生協でございますから、よく御相談をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
以上です。
16 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
17 ◯厚生部長(市村仁志君)4つの質問にお答えをいたします。
最初に、ケアネット21についてお答えを申し上げます。
ケアネット21は、高齢者や障害者など、支援が必要な方を地域住民が相互に支え合う活動で、県が、県、各市町村にあります社会福祉協議会を支援することによりまして、県内265地区で取り組まれております。
各地域においては、おおむね3人1組でチームを編成し、見守りや安否確認等の個別支援に取り組まれており、地区によっては、ふれあいサロンの開催などの福祉コミュニティづくりのための活動も行われております。
主な課題といたしましては、未実施地域がまだございますので、そこへの拡大、それから活動のさらなる活性化、支援する対象者の増が見込まれる中で、支える側の住民の負担軽減などが挙げられると考えております。
議員御指摘の黒部市におかれては、これらに対応するため、令和元年度に、安否確認等にICTを利活用した実証実験を実施しておりまして、実施主体の黒部市社会福祉協議会によれば、支援を受ける方の気遣いが軽減されること、情報発信力が増すことで地域活動への参加者が増えること、支援する方の負担軽減につながること等のメリットがある一方で、費用の増加、あるいは支援を受ける方のICTへの理解などといった点で課題があるとしておりまして、今年度内にこれらの結果を取りまとめるとお聞きをしてございます。
県としては、くろべネットでの実証実験の結果も参考に、より効果的かつ効率的な実施方法について検討を重ね、ケアネット21の活動が地域のニーズを踏まえ、さらに拡大し活性化するよう、県や市町村の社会福祉協議会と連携して取り組んでまいります。
次に、地域医療介護総合確保基金についての御質問です。
地域医療介護総合確保基金につきましては、地域におけます医療及び介護の総合的な確保を推進するため、平成26年度に各都道府県に設置することとされたものでございまして、病院の機能転換ですとか介護施設の整備に一定期間要するものもございますので、複数年度にわたり計画的に活用できるようになっております。
本県基金の医療分におけます今年度末残高は約30億円の見込みでございまして、新年度予算案において約8億円の事業を盛り込んでおります。
また、介護分の残高は約28億円の見込みでございまして、新年度予算案において約13億円の事業を盛り込んでいるところでございます。
介護分の基金事業といたしましては、施設等のハード整備として、県と市町村によりますデータ分析を実施した上で、今後、充実が必要であると介護保険事業計画に位置づけた地域密着型サービスの整備に要する財源を市町村に交付しております。
また、介護従事者確保のためのソフト事業として、市町村や関係団体等の提案を踏まえ、介護への参入促進、介護職員の資質向上、そして労働環境や処遇の改善を軸に、県全体に波及する取り組みを実施しているところでございます。
さらに、地域包括ケアシステムの理解を深めていただくための地域包括ケア推進県民フォーラムを開催市町村とともに実施をしておりますほか、地域ケア個別会議の必要性や介護予防の重要性について、市町村の幹部職員に直接働きかけるセミナーを開催するなど、市町村と連携した取り組みを進めております。
今後とも地域ニーズを十分踏まえ、県、市町村が一体となって、基金も有効に活用しながら、介護施設の整備や介護人材の確保などにしっかりと取り組んでまいります。
次に、断らない相談支援などの体制についての御質問にお答えをいたします。
国では、地域共生社会の実現を目指し、これまで社会福祉法の改正や指針の策定、検討会の開催などの取り組みが進められてきております。
こうした中、昨年末に検討会の最終報告が取りまとめられ、市町村が包括的に、断らない相談支援、社会参加への支援、孤立しない地域づくりに向けた支援などを実施する枠組みが示されまして、本年中にも社会福祉法を改正して制度化されるとお聞きをしてございます。
この最終報告では、断らない相談支援については、住民に身近な市町村が総合的な相談窓口を設置し、さまざまな相談を受けとめ、可能なものは市町村みずからが対応するとともに、より専門的な支援や広域での支援等が求められる場合には、他職種や他機関と連携をし、支援関係者全体を調整、対応することとされております。
連携に当たっては、市町村内の関係課のみならず、県の厚生センターやひきこもり地域支援センターなどの専門機関が参画することで、要援護者に対するすき間のない一体的な支援の実現を図るものでございます。
県内の一部の市では、既に専門医による総合的な相談支援体制づくりが進められておりますが、市町村での体制整備に向けた支援というのは県の役割の一つとされておりますので、モデル市町村において、断らない総合的な相談窓口設置などの取り組みを支援します事業を新年度予算案に盛り込んでおりまして、こうした事業等の取り組みを通じて、地域福祉推進のため、全ての市町村で包括的な支援体制の整備が図られるよう取り組んでまいります。
最後に、認知症についての御質問にお答えをいたします。
認知症は、家族や身近な人など誰もがなり得るものであり、その発症を遅らせ、認知症になっても、できる限り住みなれた地域で希望を持って暮らし続けることができる社会を築いていくことが大切であると考えております。
このため県では、共生と予防を車の両輪として施策を推進してきておりまして、県民の皆さんの理解促進を図るための街頭キャンペーンや認知症サポーターの養成、早期発見、早期対応のため、認知症地域支援推進員の配置やかかりつけ医等への研修、認知症疾患医療センターの整備など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
今年度新たに、地域の健康教室等におけます認知症講座や脳トレ等を活用した相談会の開催、認知症本人等が語り合い、不安軽減や進行予防を図るピアサポート活動モデル事業の実施などの取り組みを行ってきております。
今後、共生に向けた取り組みをさらに強化するため、認知症サポーターが認知症の人への見守りや声がけ等の支援を積極的に行いますチームオレンジ活動の促進に向けた研修や、認知症の人の思いを生かした支援ができるよう、本人の意思を発信する機会の創出、企業への若年性認知症に関します研修会、そして、その実態調査などについて新年度予算案に盛り込んでおりまして、引き続き市町村や関係団体と連携しながら、認知症施策を総合的に推進してまいります。
以上でございます。
18 ◯議長(中川忠昭君)芝田商工労働部長。
〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕
19 ◯商工労働部長(芝田 聡君)私から4問についてお答えいたします。
まず、ひきこもりの就労への取り組みについての御質問にお答えいたします。
県が実施をいたしましたひきこもりの実態調査によれば、家族からの支援ニーズは、就労支援が最も高い一方で、ひきこもり状態にある方本人のニーズは、身近な相談窓口やメンタルフレンド、居場所の充実などが上位となっており、就労支援のニーズは必ずしも高くなかったところでございます。
こうしたことから、まずは、当事者の身近な場所で、ひきこもり支援機関や地域の企業、団体など多様な関係者が連携して、一人一人の事情や思いに寄り添いながら、社会参加に向けた支援を柔軟に行う必要があると考えております。
このため県では、新年度、ひきこもりの方が安心して過ごせる場所をつくるため、企業と連携した社会適応訓練を通じた家庭以外の居場所づくりや、民間団体が実施する相談窓口の設置や居場所づくり等の新たな取り組みへの支援を行うこととしております。
また、国の就職氷河期世代支援プログラムにおきましても、地域若者サポートステーションの機能強化、例えば対象年齢を40歳代までに拡大をする、あるいはアウトリーチ要員を配置いたしまして、就労支援情報を本人や家族に確実に届けるといったような機能強化を図りますとともに、市町村等を単位として、ひきこもり地域支援センターや地域の自立相談支援機関などで構成いたしますプラットフォームを形成して、ハローワークなどの関係団体への同行相談や就労支援など、自立に向けたより丁寧な支援を実施することとしております。
その際には、担い手不足に悩む農業などとの連携に努めることが重要であるというふうに考えております。
今後とも、ひきこもり当事者が社会とのつながりを取り戻し、就労への道を歩み出せるよう、しっかり対応してまいりたいと考えております。
次に、就職氷河期世代の支援についての御質問にお答えします。
県が行いました調査結果では、就職氷河期世代の非正規雇用のうち88.1%が女性で、その8割以上が年収200万円未満というふうになっております。この中にはシングルマザーも含まれていると考えられます。また、非正規雇用の女性のうち37.4%が正規雇用での就職、転職を希望しております。
このため県では、新年度、就職氷河期世代の就労を支援するため、同世代が非正規雇用が多いことに起因いたしまして、能力開発の機会に恵まれてこなかったことなどを考慮いたしまして、丁寧なキャリアカウンセリング、適職診断やインターンシップなどを盛り込んだ正社員就職プログラム、合同企業説明会、面接・エントリーシート対策セミナーなどを行うほか、引き続き介護福祉士や保育士などの国家資格の取得等により正社員就職を目指す長期のリカレント教育訓練などを実施することとしております。
また、女性の就労を支援するため、女性就業支援センターによるハローワークと連携した求人情報の提供や就労相談、育児等との両立に配慮した短時間訓練や託児サービスつき訓練の実施、県技術専門学院におけますものづくり訓練コースへの女性枠の設置、シングルマザー向け就業支援講習会や高等技能訓練の促進給付金の支給等を行っております。
さらに、女性の学び直しやキャリア形成を支援するため、富山大学と共同で、キャリアアップ支援講座やミニフォーラムを開催しているところでございます。
今後とも関係機関と連携し、シングルマザーを含めた就職氷河期世代の就労支援にしっかり取り組んでまいります。
次に、伝統産業の振興についての御質問にお答えします。
県ではこれまでも、本県伝統工芸産業の振興やブランド化を図るため、技術の継承や人材の発掘育成、時代にマッチした商品開発や販路開拓を支援してまいりました。
特に平成26年度から毎年、海外において、欧米や中国を中心に展示会を開催し、いずれも高い評価を受けてきております。
例えば見本市出展への県の助成により世界展開を成功させたモメンタムファクトリーoriiの銅器職人であります折井宏司氏や、議員からもお話がございましたけれども、国際北陸工芸サミットでU-50国際北陸工芸アワード最優秀賞に輝き、国内外で活躍中の和紙職人、川原隆邦氏など、県内で育成、発掘した芸術性が高く、すぐれた技術を持つ作家を作品展示や実演を通して紹介をしてまいりました。
新年度におきましては、国際工芸アワードとやまにおいて、本県工芸の魅力を国内外に発信いたしますとともに、県内作家と海外や県外の入賞者との交流の機会を設けることとしております。
また、富裕層が多く販路拡大が期待できます中国北京で開催予定の富山県の匠展、仮称でございますが、ここにおいて、今回のアワードの県内出品者にも展示してもらうように依頼いたしますとともに、今後、有望な若手の県内作家に現地での実現に直接参加していただくこととしておりまして、世界的なブランド化に向けて、人材発掘から販路開拓まで総合的に支援をしたいと考えております。
今後とも、国や関係市町、組合と連携しながら、本県の伝統工芸産業の振興に努め、世界で活躍する作家を数多く輩出できますようにしっかり取り組んでまいります。
次に、IoT等を活用した生産性向上支援についての御質問にお答えいたします。
県では、中小企業や小規模事業者のIoT等の導入を支援するため、県IoT推進コンソーシアムでの講演会やワークショップの開催、融資や補助金による資金面での支援、指導者の育成、派遣などに取り組んでまいりました。
こうしたことによりまして、コンソーシアムの会員数や導入事例は着実に増えておりますが、会員企業へのアンケート結果では、IoT導入済みであるというふうな回答が約3分の1にとどまっており、その課題といたしまして、費用対効果や導入メリットへの理解、スキルや人材の不足、導入費用の確保などを挙げる意見が多い状況にございます。
これらの課題や、企業ごとにその事業規模やIoT等に関する意識、理解のレベルなどが異なることを踏まえまして、新年度では、IoTの導入活用段階に応じて、経営者向けセミナーや現場リーダーの育成講座、補助金制度などのメニューを体系的に設けまして、伴走型の支援により、IoT等の導入の促進を図ることとしております。
また、今後のIoT時代の重要な基盤となる5Gの普及にも積極的に取り組むことといたしまして、県内企業の競争力強化を図るため、企業が主体となるローカル5Gを活用した生産性向上に資するモデル的な取り組みを支援することとしております。
一方、議員から御指摘のございましたローカル5Gを活用した地域課題解決の実証事業、これは国の委託事業でございますが、これを活用して、さまざまな主体の参画によりまして、鳥獣被害対策などの地域課題をローカル5Gの技術で解決する技術実証というものも行うこととしてございます。
今後ともこうした事業を総合的に推進し、IoTや5G等の普及に積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
20 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。
〔教育長伍嶋二美男君登壇〕
21 ◯教育長(伍嶋二美男君)私からは、SNS等でのサイバー犯罪に巻き込まれないための取り組みに関する御質問にお答えをいたします。
スマートフォン等の所持率は年々増加をしておりまして、議員からも御紹介がありましたが、平成29年度の調査結果では、県内の小学校6年生では59%というふうになっておりまして、日常生活と切り離せないものになりつつあると考えております。
ただ、その利用の仕方によりましては、SNS等を介したサイバー犯罪に巻き込まれることが懸念されるところであります。
このため、県教育委員会では、児童生徒がみずからネット利用について考えて、ネットルールをつくる取り組みを支援してきております。
また、保護者に対しましても、児童生徒の入学時に、SNSに起因する犯罪や対策等について盛り込んだ生徒指導の啓発冊子を毎年配布しておりまして、家庭における子供のささいな変化も見逃さずに学校へ相談していただくようにお伝えをしております。
また、教員に対しましては、ネットトラブルに関する最新情報を周知するとともに、子供が相談しやすい体制をつくるため、生徒指導主事や管理職を対象として、実例に基づく研修会を実施するなど、指導力の向上等に努めてきております。
万が一、児童生徒がサイバー犯罪に巻き込まれた場合には、早期解決、再発防止のために、担任だけではなく、養護教諭やスクールカウンセラーなどが連携をいたしまして、被害児童生徒への支援に当たるとともに、警察と迅速に連携して対応することとしております。
今後とも、児童生徒がSNS等を介したサイバー犯罪に巻き込まれないよう、警察等の関係機関とも十分連携して取り組みを進めてまいります。
次に、教育大綱等へのICT教育の盛り込みに関する御質問にお答えをいたします。
本県におきましては、富山県教育大綱や新富山県教育振興基本計画におきまして、ICTを活用した児童生徒の情報活用能力を育成していくこととしております。
そして今後、計画的にICT環境の整備を進めますとともに、教員のICT活用指導力の向上に努めてきております。
これらの教育大綱や教育振興基本計画では、スマートフォンやSNS等の適切な利用方法や情報モラルを学ぶ教育の充実、また、ネットトラブル防止対策の推進にも努めることとしておりまして、ネットルールづくりを初めとした取り組みを進めてきております。
また、教育大綱等の対象期間につきましては、教育大綱が令和2年度まで、また教育振興基本計画が令和3年度までとなっておりますけれども、令和という新たな時代を迎えまして、国では昨年12月にGIGAスクール構想として、全国一律のICT環境整備を進めることにより、多様な子供たちを誰一人残すことなく、能力や適性に応じた学びを学校現場で実現させるため、義務教育段階での児童生徒1人1台端末の整備を行うことが示されております。
今後、教育大綱等を改定する際には、ICT教育やSNS等の対策について引き続き大綱等に盛り込むべき重要な課題であると考えておりまして、AIに関する基礎的技術の習得や、プログラミング教育の推進など第4次産業革命の進展や、超スマート社会の到来を見据え、新たな時代をたくましく生き抜く人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
22 ◯議長(中川忠昭君)以上で藤井大輔君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時35分休憩
─────────────────────
午後1時00分開議
23 ◯副議長(筱岡貞郎君)休憩前に引き続き会議を開きます。
吉田勉君。
〔19番吉田 勉君登壇〕
24 ◯19番(吉田 勉君)公明党より一般質問をさせていただきます。
質問に先立ちまして、一言申し上げます。
政府は先月、新型肺炎対策の基本方針を決定いたしました。安倍首相みずからがこの一、二週間が感染拡大防止に極めて重要と訴えたように、対策は正念場を迎えております。外出の自粛や大規模イベント開催の再検討など、国民生活に多くの制限がかかることが予想されるわけですが、一日も早い終息を目指す必要があります。
まだ終息の見通しが立たない中で、県民の不安を和らげるために県は全力で対応していただきたいと申し上げ、以下、質問に入ります。
初めに、全世代型社会保障について伺います。
少子化対策の抜本的な強化について伺います。少子化、人口減少は想定を上回るペースで進んでいます。子供を産み、育てやすい環境を一日も早く整備し、若い世代が結婚や出産の希望を実現できる社会をつくらなければなりません。
公明党は児童手当や出産一時金の創設、拡充を初め、育児休業制度の充実、待機児童対策、それから幼児教育の無償化、母子の孤立を防ぐ子育て世代包括支援センターの設置、不妊治療への支援など一貫して取り組んでまいりました。
非正規雇用の待遇改善や正社員化など、若者の経済的基盤の安定とともに、結婚や新婚生活への支援を進めてきました。少子化対策は待ったなしであります。これまでの政策を強化し、必要な財源を確保しながら若者や子育て世代への投資を大胆に行う必要があります。その支援策をパッケージとして、結婚、子育てを社会全体、ワンチームで応援するという力強いメッセージを明確に発信すべきであります。
昨年の出生数は、ついに年間90万人を下回りました。そこで、本県は、少子化、人口減少が想定を上回るペースで進んでいる現状をどう認識し、県として少子化対策に今後どう取り組むのか、石井知事に伺います。
次に、幼児教育・保育の無償化について伺います。
昨年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、喜びの声が多数寄せられる一方、保育の質や保育士不足などの課題も指摘されました。
そこで公明党は、昨年末までに幼児教育・保育の無償化に関する実態調査を行いました。この調査の最終報告では、利用者の約9割が無償化を評価し、今後取り組んでほしい一番の政策について、約5割の方が保育の質の向上を挙げています。また、保育の質を高めるために処遇改善が必要と答えた事業者が約8割に上りました。
この結果を踏まえ、政府においては、保育士などの処遇改善や職員配置の改善に必要な安定的な財源確保などに取り組むべきであります。さらに共働き世帯が増える中、延長保育などの特別保育の充実を図るべきであります。
昨年10月に幼児教育・保育の無償化が始まり、今後は保育の質の向上や受け皿の整備、また小学校就学後の預け先確保に力を入れていくべきと考えますが、今後どう取り組むのか、市村厚生部長にお伺いをいたします。
次に、共生社会とバリアフリーについて伺います。
オリンピックは平和の祭典と言われますが、パラリンピックは人間の可能性の祭典だと思います。また、英語のimpossibleは不可能という意味ですが、iとmの間にアポストロフィーを入れると、I’m possible、私はできるになります。できないができるになる、パラリンピックはそれを示す舞台ですと、日本パラリンピック委員長の河合純一さんは述べられました。
昨年、富山県車椅子バスケットボールクラブの方々から、今まで練習の拠点だった体育館の廃館に伴い、開館以来利用してきた当クラブ、各障害者スポーツクラブの練習場所や障害者スポーツ協会が開催している教室の会場がなくなり困っているとの嘆願書をいただきました。車椅子バスケットボールに限らず、障害者の方々の練習場所が少ないのが現状であります。また、使用する道具を収納する施設も必要であります。障害者が健常者と同様にスポーツに親しめるような環境を整備し、共生社会の実現を目指さなければなりません。
県立高校の再編統合による空き体育館の再利用も含め、障害者が安心して練習できる環境を確保すべきと考えますが、今後どう取り組むのか、市村厚生部長にお伺いします。
次に、命を守る防災・減災対策について伺います。
初めに、昨年の台風災害の教訓を踏まえた風水害対策について伺います。
昨年の台風災害では、風水害特有のさまざまな課題や教訓が明らかとなりました。これらを徹底して検証し、今後の気候変動の影響による豪雨の増加などを踏まえたハード、ソフト一体の防災対策を総動員して進めていかなければなりません。
河道掘削や堤防強化、洪水浸水想定区域図やハザードマップの作成、公表、調節池の整備、既設ダムの機能強化、活用、市街地での内水氾濫対策など、総合的な治水対策をどのように進めていくのか。国や県、市町村、気象台などが連携した河川気象情報の把握、発信、危険度分布の周知、避難情報の発令、住民避難の伝達など一層の対策が必要ですが、昨年の台風災害の教訓を踏まえた風水害対策について、本県はどのように取り組んでいくのか、石井知事に伺います。
次に、女性の視点を生かす防災対策について伺います。
被災自治体のこれまでの災害対応の経験や教訓を被災経験の少ない自治体など全国の自治体と共有し、今後の防災対策に生かすことが重要です。
例えば、ハザードマップの住民への周知と避難につながる活用、避難情報の発令と伝達、避難所の適正配置、災害弱者の個別避難計画の策定など、災害対応力の強化に向け、徹底した検証と対策を進めなければなりません。
我が党議員が台風19号の被災地に行った際、1人の女性被災者から、避難所に女性スタッフがおらず、女性ならではの相談がしにくいという声がありました。すぐにその声を市長に届け、速やかに市内全ての避難所に女性スタッフが配置されました。
災害対策に女性の視点を生かすということは、子供や高齢者、障害者など災害弱者の視点を生かすことにもつながります。地域防災計画などへの反映とともに、避難所における現場でも着実に実行すべきですが、女性の視点を生かす防災対策について、本県はどのように取り組むのか、竹野危機管理監に伺います。
次に、災害を我がことについて伺います。
災害に強い社会を構築する上で、産業界や学術研究機関などとの連携も重要です。近年、防災・減災に役立つ技術や製品の開発が活発化しています。防災関連産業や研究開発などの振興は、国民の防災意識を啓発し、自助、共助を促し、発災時には国民の命と暮らしを守るとともに、早期の復旧復興につながります。災害から命を守るために最も重要な視点は、防災・減災・復興を社会の主流に押し上げ、災害を我がこととして捉える当事者意識を国民一人一人が持つことであります。それは、災害に強い社会の構築に向けた大きな土台になります。
そのためには、防災教育を初め、住民の避難行動につながるマイ・タイムラインや災害避難カードなどの活用、地域における自主防災組織、地区防災計画などの自助、共助の取り組みを一層促進すべきですが、本県の今後の取り組みを竹野危機管理監にお伺いをいたします。
次に、農業用水の転落事故防止について伺います。
県内では近年、高齢者を中心に農業用水路などに転落して亡くなられる事故が多数報告されています。事故の特徴として、1つには事故に遭われる方は高齢者が多いこと、2つには冬期など非かんがい期にも発生すること、3つには幅が狭く底が浅い水路でも発生することなどが挙げられます。特に、65歳以上の高齢者の事故が8割以上、幅1メートル未満の小規模な用水路での事故が約半数を占めており、高齢者が単独で外出される際に注意が必要です。
本格的なかんがい期を迎える中、用水路の水量が増えるなど、水路等付近での危険が増すことから、転落事故に遭わないよう十分注意する必要がありますが、高齢者の転落防止対策の強化について、石井知事にお伺いをいたします。
次に、循環型社会の構築について伺います。
平成28年5月に本県で開催されたG7環境大臣会合において、富山物質循環フレームワークが採択されてから間もなく4年が経過いたします。
本県では、平成20年4月に全国初の県単位でのレジ袋無料配布廃止を実施し、また昨年3月には、全県的な食品ロス消滅運動として、食品ロス発生の大きな要因とされている納品期限や販売期限に関する、いわゆる3分の1ルールなどの商慣習の見直しに向けて、食品関連事業者、消費者、行政が連携して取り組むとする共同宣言を行うなど先駆的な取り組みを進めてきたところであり、今後も環境・エネルギー先端県として積極的に取り組むことが重要と考えます。
富山物質循環フレームワークの実現に向けて、循環型社会づくりを積極的に推進すべきと考えますが、今後の取り組みについて、石井知事にお伺いをいたします。
次に、県内産業の活性化について伺います。
初めに、中小企業への支援について伺います。
日本経済の屋台骨を支える中小・小規模事業者の生産性向上と賃上げへの支援が極めて重要です。公明党は、ものづくり補助金、あるいは業務改善助成金など、生産性向上を後押しする施策を強力に進めてまいりました。
今後は、時間外労働の上限規制や被用者保険の適用拡大なども見据え、事業者が設備投資や従業員の賃上げに果敢に取り組めるよう、各種補助金や助成金の拡充、価格転嫁対策などを含めた下請取引のさらなる改善を行わなければなりません。
他方、事業承継も喫緊の課題です。公明党は、個人保証を不要にする新たな信用保証制度の構築に取り組んできました。
今後は、これに加えて、全国に設置されている事業引継ぎ支援センターの機能強化を進めるなど、後継者未定の事業者が円滑に技術や雇用を次世代に引き継げるよう、第三者への承継支援を抜本的に講じるべきと考えますが、本県の取り組みについて、芝田商工労働部長にお伺いをいたします。
次に、農林水産業の活性化について伺います。
日米貿易協定が発効し、環太平洋連携協定などとあわせ、世界の国内総生産の約6割を占める巨大な自由貿易圏が誕生しました。新たな市場拡大の好機となり、農林水産物、食品の輸出額アップと所得の増大が見込まれます。世界的な和食ブームや東京五輪大会なども追い風に、高品質な日本ブランドが世界へ広がることが期待されます。
しかし、農業生産基盤の安定のためには、高齢化と担い手不足という難題に直面をしております。需要拡大に対応した生産基盤の安定には、規模拡大だけでなく、その悩みを抱える家族経営などの中小規模の生産者への支援も重要と考えますが、今後どう取り組むのか、河村農林水産部長に伺います。
次に、黒部川の連携排砂について伺います。
実施機関が今年度行った深海底質調査について、魚津漁業協同組合は、今後も継続し、同組合が希望する地点を調査地点とするよう求めていますが、県は今後どう取り組むのか、河村農林水産部長に伺います。
県は、来年度、富山湾の漁場環境を把握するため、県単独で海洋堆積物の分析調査を行うと伺っておりますが、どのような調査を実施し、その結果をどう生かしていこうと考えておられるのか、河村農林水産部長に伺います。
令和2年度地方財政計画で緊急浚渫推進事業を新たに計上し、緊急的な河川等のしゅんせつ経費について、地方債の発行を可能とするための特例措置が創設されたところであり、この制度を活用して黒部川の上流でしゅんせつすれば、黒部川の連携排砂に伴う膨大な排出土砂の軽減につながると考えますが、水口土木部長の所見を伺います。
次に、氷河期世代支援と非正規の待遇改善について伺います。
多様な人材の活躍が社会の活力の源泉です。公明党は、就職氷河期世代の支援に一貫して取り組んでまいりました。雇用状況の改善も相まって、同世代のフリーター数は10年間で約36万人減少しましたが、現在もなお50万人の方が不本意に非正規雇用で働いており、約40万人は無業です。
こうした方々が、長期間、厳しい現実に直面しながら奮闘されてきたことを重く受けとめ、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、人生100年時代を展望したキャリアアップ支援をさらに進めるべきであります。
昨年、この世代の正規雇用を3年間で30万人拡大するなどの支援プログラムを政府は策定しましたが、その実効性を高め、着実に取り組んでいかなければなりません。
また、本年4月からは、大企業における正社員と非正規雇用の不合理な待遇差が禁止されます。国の就職氷河期世代支援プログラムや、本年4月から開始される同一労働同一賃金を踏まえ、県として就職氷河期世代への支援や非正規雇用の待遇改善にどう取り組むのか、芝田商工労働部長に伺います。
次に、県内の道路景観の整備について伺います。
北陸新幹線の開通や高速道路の整備促進により、今まで以上に県外から多くの観光客が来県するようになりました。特に、街路樹の緑や色とりどりの花々で飾られたすぐれた道路景観は、すぐれた国内外の観光客に潤いと安らぎ、癒やしを与えています。
しかしながら、大都市と比べて地方の道路景観は著しく劣悪で、幹線道路といえども中央分離帯や道路のり面などは防草シート化、コンクリート化が目立ち、無機質で殺風景なものになっています。また、新設道路はほとんど街路樹を植えられることもなく、既存の街路樹も枯れたまま長く放置されていたり、そのまま歯抜け状態になっています。
せめて幹線道路だけでも快適で親しみの持てる道路空間の創出が必要と思いますが、所見を水口土木部長に伺います。
最後に、地方創生第2期について伺います。
本年4月から地方創生の第2期がスタートします。これまで第1期では、地方の若者の就業率や農林水産物などの輸出額が増加するなど、仕事の創生については一定の成果が出ていると思います。さらなる地方の課題解決に向けては、これまでの実績を踏まえた実効性のある取り組みが重要です。
地方公共団体の主体的な取り組みを支援する地方創生推進交付金については、地方での就業、起業をさらに進め、地方公共団体がより活用しやすい制度に改善しなければなりません。
また、地方に一定期間移住し、地域事業に従事する地域おこし協力隊は、任期終了後の定住、定着支援の強化が必要です。
加えて、地方創生の新たな潮流となるSociety5.0の推進、中でも、地域の課題解決策として期待されるローカル5Gについては、……
25 ◯副議長(筱岡貞郎君)時間です。
26 ◯19番(吉田 勉君)積極的に取り組むことが重要です。本県の地方創生第2期について、どのような点に力点を置いて取り組んでいかれるのか、石井知事に伺います。
以上で終わります。
27 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
28 ◯知事(石井隆一君)吉田議員の御質問にお答えいたします。
まず、少子化対策についてであります。
本県の平成30年の出生数は6,846人で、前年より332人減少しまして、合計特殊出生率は1.52で、全国値を0.1ポイント上回っておりますものの、全国同様、少子化、人口減少に歯止めがかかっていない状況であります。
これまでも地域における子育て支援、例えば病児・病後児保育の箇所数を7カ所から147カ所に増やすとか、仕事と子育ての両立支援、国は次世代法で101人以上ですけれども、富山県で全国唯一、従業員30人以上に適用する条例を制定しているとか、また経済的負担の軽減、第3子以降の保育料の原則無償化等々、また子育て応援券の配布拡充など、幅広く取り組んでまいりましたけれども、その結果としての現状を真摯に受けとめて、各般の施策を総合的に取り組んでいく必要があると思っております。
今年度策定いたします新たな基本計画では、子供の笑顔があふれる未来を県民みんなでつくろうと、そういう趣旨で、従来からの子育て支援を継続、充実することはもちろんですけれども、新たに働き方改革や男性の家事、育児参画の促進などの視点も盛り込みまして、積極的に少子化対策に取り組むことにいたしております。
具体的には、とやまマリッジサポートセンターの休日のサテライト会場の拡充、従来の2倍ぐらいに増やすとか婚活セミナーの実施、また若手社員の企業間交流の促進、男性の社員が多い職場と女性の社員が多い職場もありますから、企業間交流で、必ずしも結婚のマッチングということだけではなくて、ビジネス交流の場としても位置づけて出会いの健全な機会の創出をする、また結婚を希望する男女の支援を一層強化してまいりたいと思います。
また、産後間もない時期の女性の負担軽減を図りますために、家事サポート利用への支援を市町村と連携してモデル的に実施いたします。
加えて、中小企業の働き方改革を推進するとともに、男性を含めた家族全員での育児参加を促進するためのシンポジウムの開催や、また商業施設等へのベビーシートの設置促進、屋内型レクリエーション施設の整備、これは新川文化ホールの敷地などに子供の屋内レクリエーション施設をつくることを検討する、こういったことなど、子育てに優しく温かい社会づくりに積極的に取り組んでまいります。
今後も、市町村や関係団体、企業と連携しまして、本当にこのままですと、国全体でどんどん人口が減っていくということになりますので、しっかりと社会全体で結婚や出産や子育ての願いがかなう環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。
次に、防災・減災対策についてお答えをいたします。
国の気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会におきましては、今後の水災害対策について検討が進められまして、ハード、ソフト一体となった流域全体で備える総合的な水災害対策を講ずるとの方向性が示されまして、その対策として、まず1つには治水計画等における目標の見直し、2つには新たな整備メニュー、対策手法の充実、3つには治水計画等に基づく着実な整備の進捗、4つには、あらゆる主体と連携した避難体制の強化などが検討されております。
そこで、県では、これまでもハード対策として河川を拡充する改修、例えば高岡の地久子川とか、また堤防のかさ上げ、富山市の山田川とか、あるいは河道の掘削などによる洪水対策等を行ってまいっております。また、雨水幹線等の整備に係る市街地での内水対策については、下水道事業などで市町村が主体として進めていただいているわけでございます。
また、ソフト対策としては、洪水浸水想定区域図の作成、これは水防法の13条に基づいて水位周知河川というのが41河川、指定されておりまして、これらについては洪水浸水想定区域図を全て作成済みでございます。
また、洪水ハザードマップの作成の支援、これは今、市町村のほうで作成、公表済みのところが5市ございますが、令和2年度末までに全市町村で策定を予定しております。
また、国、県、市町村、気象台などが連携して、住民主体の避難行動につながる河川や気象情報の充実を行うように取り組んでおります。
今後は、これらにとどまらずに、国で進められております検討結果も踏まえまして、県としましては、治水計画等の見直しやダムの洪水調整機能の強化などについて検討しますとともに、治水施設の早期整備に向けて必要な予算の確保に努めまして、今年度も昨年度に引き続いて相当に治水関係の予算を確保いたしました。公共事業だけでも、河川事業では、令和元年度63億9,700万円、平成30年度が40億8,000万円ですから1.6倍ですね、補正後も入れてですけれども。そんなふうにしておりまして、ハード、ソフト一体となった流域全体で備える防災・減災対策に鋭意取り組んでまいります。
次に、農業用排水路の転落防止対策についてお答えをいたします。
農業用排水路への転落事故については、県が今年度行いましたアンケートや現地調査によりますと、生活に身近な支川や末端水路において、通行者等が移住や作業をする際に、なれや不注意等によるふらつき、転倒等の人為的ミスによりまして事故が発生しているケースが多いこと、また御高齢の方は、若者に比べて転落後に負傷する割合が高く、死亡率が高くなっていることが明らかとなりました。
こうしたことも踏まえまして、県では先般、農業用水路安全対策ガイドラインを策定しまして、ソフト対策の継続的かつ積極的な推進、また転落リスクなどの優先度に応じたハード、セミハード対策の実施と、また行政や関係機関、地域組織、自治会とか自主防災組織等との連携強化の3つの基本方針のもとに、国の予算や県単独事業も積極的に活用しまして、地域の実情に応じた事故防止対策を総合的に進めることにしております。
そのためにも、去る2月10日には、これは県全体で取り組んでいるという姿勢を示したいということで、県選出の国会議員、堂故先生、山田先生などにも御同行いただいて、夏野砺波市長とともに江藤農林水産大臣にお目にかかりまして、農業用水路の事故防止のための安全対策に必要な予算の十分な配分を要望してまいりました。
また、その際には、国営農地再編整備事業、水橋地区の早期事業化に向けた調査の推進をあわせてお願いしますとともに、県産チューリップ、球根だけではなくて切り花も頑張っていますよということもアピールさせていただきました。
こうしたこともあって、令和元年度の国補正予算においては、本県に対して3億円の国の予算の配分をいただきました。国全体で、これ、推定もありますが、約30億円ぐらいの予算だと言いますから、実に1割を富山県に配分していただいた。また、令和2年度当初予算においても所要額の配分がなされるものと期待しておりまして、私の期待ですけれども、何とか3億円を確保したいと、こういうふうに思って──さらに3億円という意味ですが。
こうした事故防止対策をより効果的に進めるためには、まずは自己啓発や家庭内での注意喚起が重要でございますので、安全意識の向上を図るために、春と秋に転落事故防止強化期間を設けまして、特に御高齢の方については、県、市町村の広報紙を通じた各家庭、これは県内約40万9,000世帯ございますが、注意喚起をしますほか、地域の公民館等でのポスター、カレンダーの掲示ですとか、また老人クラブ等へのチラシ、動画の配布、これも28クラブ連合会、609の老人福祉施設がございますが、こういったところにもチラシや動画等の配布をいたしまして、広報啓発活動に重点的に取り組むということにしております。
今後も、地域、行政が一体となって実効性のある事故防止対策にスピード感を持って取り組んでまいります。
次に、循環型社会の構築についてお答えをいたします。
本県が、今では4年前になりますけれども、G7富山環境大臣会合の際に富山物質循環フレームワークというのを採択していただいたわけですけれども、その実現に向けて、これまで全国初の県単位でのレジ袋の無料配布の廃止ですとか使用済みの小型家電リサイクルの実施でありますとか、これは国の法改正のモデルになりました。また、とやまエコ・ストア制度の創設等の3Rに関する取り組み、また食品ロス削減のための商習慣の見直しや3015運動など、循環型社会づくりの先駆的な取り組みを行ってまいりました。
これが昨年のSDGs未来都市の選定にもつながりましたし、世界で最も美しい湾クラブ世界総会でも高く御評価をいただいたわけでございます。
新年度、3Rの一層の推進のために、全国でのレジ袋無料配布廃止開始を記念するイベントの開催、これは6月ごろを予定しております。また、食品トレーの削減、転換に向けたモデル事業の実施、またプラスチック代替製品の導入への支援などを実施することといたしております。
また、食品ロス削減につきましては、全国に先駆けた消費者、事業者、行政も参画しての商慣習の見直しを盛り込んだ富山県食品ロス削減推進計画の策定ですとか、フードドライブの推進やフードバンク活動の調査検討、酒粕をエコフィードとして使用した県産牛のブランド化などにも取り組みまして、10月には本県で食品ロス削減全国大会も開かれますから、こうした取り組みをしっかり全国に発信してまいりたいと思っております。
今後とも、県民や事業者、各種団体の皆さんと連携しながら、環境・エネルギー先端県とやまとして頑張ってまいりたいと思います。
最後に、第2期の地方創生の取り組みについてお答えをいたします。
この第2期のとやま未来創生戦略では、現行の4つの基本目標は維持しながら、新たに北陸新幹線の敦賀延伸、グローバル競争の進展等を見据えた新成長産業の育成とか観光振興、若者等の雇用創出の取り組みやSDGsの推進、5G等、未来技術の活用などの分野横断的な観点を取り入れまして、働き方改革の推進とか移住定住の環境づくりと応援人口の創出拡大、若者、女性や外国人を含む多様な人材の確保育成、また、豊かで魅力ある中山間地域の実現等に力点を置いて取り組むことにしております。
新年度では、議員御指摘の地域おこし協力隊の受け入れ体制強化と定着支援のために、隊員の任期終了後の自立に向けた研修会の開催ですとか、受け入れ自治体へのアドバイザー派遣等を実施いたします。
また、例えば鳥獣被害対策や建設現場の労働生産性向上といった地域課題解決に向けまして、ローカル5Gを活用したモデル事業を実施するとか、IoT、AI、5Gを活用して県内企業の生産性向上を支援する事業を予定いたしております。
また、地方創生関係交付金につきましては、本県の要望も受けまして、国で複数年度にわたる施設整備事業についても、この交付金の対象にしてもいいということにしてもらいました。これで富山市の蓮町にあります県の職員住宅を大改造しての創業支援施設・UIJターン者等住居の整備の事業が実施できる見通しになってきたわけでございまして、富山工業高校の生徒さんたちの建築甲子園での優勝もそこで生きてくるわけでございます。
そうしたこととか、また移住支援制度、今まで連続5年、東京23区ということだったのが、通算5年というふうに緩和していただきましたし、また受け入れ企業も、資本金10億円を超すとだめということでしたけれども、もう少し上のほうでも、おおむね50億円ぐらいまで、市町村長の推薦があれば、何とかその対象にしてもらえると。知事が必要と認めるということになるそうですけれども、そういうふうに規制緩和をしてもらいましたので努力してまいります。
今後とも、議員を初め県議会、とやま未来創造県民会議、また幅広い県民の皆さんの御意見を承りまして、今月中には次期戦略を策定して、令和新時代にふさわしい活力と魅力あふれる富山県づくりに積極的に取り組んでまいります。
以上であります。
29 ◯副議長(筱岡貞郎君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
30 ◯厚生部長(市村仁志君)2つの質問にお答えいたします。
最初に、保育の質の向上や受け皿整備についての御質問にお答えをいたします。
幼児教育・保育の無償化や女性就業率の高まり等による保育ニーズの増加から、保育の質の向上や受け皿整備は課題でございます。保育の実施主体市町村では、子育て家庭のニーズを把握し、計画的な受け皿整備や特別保育の充実に努めており、県は国とともに施設整備や運営費の支援を行っているところでございます。
こうした保育の推進のためには、保育士確保が重要でありますことから、県では保育士の処遇改善などに加え、今年度新たに保育士修学資金制度の創設を行ったところであり、さらに新年度予算案には、高校生の保育所体験バスツアーの実施などを盛り込み、保育の担い手確保に総合的に取り組むこととしております。
あわせて、保育士の資質や専門性を高める研修の開催や、年度途中入所に対応するための保育士加配への支援などを行いまして、保育の質の向上に取り組んでいるところでございます。
また、小学生を取り巻く環境の変化によります子育て家庭のニーズの高まりにより、放課後児童クラブの登録児童数は増加傾向にございます。このため県では、施設整備や運営について、国の基準に基づく助成に加え、県単独で小規模クラブや18時を超えて開所するクラブに対する支援を行っており、実施箇所数も年々増加をしてきているところでございます。
今後とも、市町村と連携をいたしまして、保育の充実や放課後の居場所確保など、子育てしやすい環境整備に努めてまいります。
次に、障害者スポーツについての御質問にお答えをいたします。
障害者スポーツを推進することは、障害者の自立や社会参加の促進につながるとともに、県民の障害や障害者に対する理解を深め、共生社会の実現に資するものであります。
このため県では、これまで県障害者スポーツ大会の開催や全国大会等に出場する選手の育成支援、障害者の方々の練習の場ともなるスポーツ教室の開催など、障害者スポーツの推進に取り組んできているところでございます。昨今、ボッチャですとか車椅子バスケットボールの活躍などは、広く県民に知られているところでございます。
こうした県内の障害者スポーツ団体は、主に県や市町村の体育施設や公園などを練習の場としておられますが、車椅子バスケットボールなど、競技によりまして、施設のバリアフリー化や当該スポーツに対応したハード、ソフトの整備、他の利用者との利用調整や施設の運営方法など、練習環境の確保において課題があるというふうにお聞きをしてございます。
先ほど御提案の学校施設の再利用については、現在、地元の市町等においてその検討を進められていると聞いておりますが、障害者の練習環境の確保を含めまして、障害者がスポーツに親しむことができる環境づくりは大切なことでございますので、まずは庁内の関係部局と連携の上、他県の状況の把握や課題の整理など、必要な調査研究を行いたいと考えております。
以上でございます。
31 ◯副議長(筱岡貞郎君)竹野危機管理監。
〔危機管理監竹野博和君登壇〕
32 ◯危機管理監(竹野博和君)私からは、2つの御質問に対してお答えいたします。
まず、女性の視点を生かした防災・減災対策についての御質問にお答えいたします。
防災・減災対策に女性の視点を取り入れることは、子供や高齢者、障害者などの弱者の視点を生かし、地域の見守り体制の強化につながるなど、極めて重要であると考えております。
このため県では、地域防災計画を策定する県防災会議の委員に11名の女性の方に御就任いただいておりまして、また地域防災計画では、防災に関する政策、方針決定過程及び防災の現場における女性参画を拡大することや、自主防災組織や避難所の運営における女性参画の推進を規定しております。とりわけ避難所につきましては、男女別トイレ、女性専用の物干し場、更衣室、授乳室の設置、女性用下着等の女性による配布など、女性に配慮した避難所運営を重点的な取り組みとして位置づけております。
国の避難所運営ガイドラインにおきましても、避難所運営に女性の視点を取り入れることとされておりまして、県では避難所を運営する市町村に対しまして、このガイドラインを送付いたしまして周知を図っているところでございます。
また、自主防災組織などに複数の女性リーダーが含まれるよう、女性リーダーの育成に努めること等にも取り組んでおります。具体的には、防災士養成研修講座の受講枠に、昨年度から新たに女性優先枠を設けまして、女性防災士を積極的に育成しております。
防災分野の女性の参画は、平成30年3月に策定されました第4次富山県民男女共同参画計画にも新たに基本施策に項目を立てまして規定して推進しているところでございます。
今後とも、防災施策に女性の視点が生かせますよう取り組んでまいります。
次に、災害に対する当事者意識を高めるための今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
万一の災害発生時に被害を最小限に抑えるためには、子供を含めた住民がみずからの判断で迅速に避難行動をとるなど、当事者意識を持って行動することが重要であります。このため、小中学校での防災教育におきましては、授業における自然災害への対応や身近な地域の被害の可能性の学習、特別活動などでの防災学習や避難訓練を実施しているほか、遠足や総合的な学習の時間などを利用いたしまして、県広域消防防災センターでの体験学習をする。また、気象に関する情報収集方法や緊急地震速報の仕組みなど、情報活用の学習を実施することによりまして、危険を予測し、みずから回避する能力の育成に努めております。
また、地域住民の当事者意識を高め、県民みずから迅速な避難行動を促すため、新年度におきまして、新たに風水害ハンドブックを作成いたしますとともに、その中にマイ・タイムライン作成ツールを織り込みまして、自主防災組織の研修会や普及啓発イベントなどを通じまして県民への普及啓発を図ることとしております。
さらに、地域の防災力向上を図りますため、引き続き自主防災組織の結成促進や結成後の資機材整備、避難訓練のほか、地区防災計画の策定につきましても市町村と連携し、支援を行うこととしております。
災害に強い社会の構築のためには、地域における自助、共助の取り組みの推進が重要であることから、今後とも防災教育の推進やマイ・タイムラインの普及啓発、自主防災組織の活動支援などにしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
33 ◯副議長(筱岡貞郎君)芝田商工労働部長。
〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕
34 ◯商工労働部長(芝田 聡君)まず、事業承継についての御質問にお答えいたします。
県が平成29年度に60歳以上の経営者に行ったアンケート調査結果では、約4割で後継者が決まっていないなど事業承継に対する意識が低い状況にございますが、経営資源等を次世代へ確実に引き継ぎ、また事業承継を契機とした企業価値の向上によって、中小企業のさらなる飛躍、発展につなげるということが重要でございます。
このため県では、これまでもセミナーの開催や新世紀産業機構に設置している事業引継ぎ支援センターにおける法人、個人の事業承継税制等に関する情報提供や相談対応、後継者人材バンクを活用したマッチングなどに取り組んでおります。また、経済団体、金融機関、士業団体など73団体で構成する富山県事業承継ネットワークにおきまして、事業承継診断などの個別支援をきめ細かく行ってきております。
さらに、新年度は、国においてこれまで中小企業の事業承継の阻害要因となっておりました経営者保証を不要とする事業承継特別保証制度が創設されたことから、県といたしましても国の政策に呼応し、県制度融資に経営者保証を不要とし、さらに保証料率は国の2分の1に引き下げる融資メニューを創設いたしますとともに、新たに新世紀産業機構に専門のコーディネーターを配置することとしております。
あわせて、事業承継セミナーにつきましては、より参加しやすくなりますよう回数を3回から6回に倍増して開催するなど、一層の機運醸成を図りたいと考えております。
今後とも、国や新世紀産業を機構と連携しながら、円滑な事業承継への支援に積極的に取り組んでまいります。
次に、就職氷河期世代への支援についてお答えいたします。
県では、国の就職氷河期世代支援プログラムを踏まえ、県内の支援対象者を把握するため独自に調査を実施したところ、同世代の不本意非正規雇用者の割合は2.99%で、人口に換算いたしますと約4,200人となりました。また、非正規雇用者のうち正規雇用での就職、転職を希望する方の割合は37.7%で約1万1,900人、同じく無業の方では38.1%で約3,700人でございました。
これらの方々の就労を支援するため、新年度、県では、適職診断やインターンシップなどを盛り込んだ研修プログラムのほか、丁寧なキャリアカウンセリング、合同企業説明会、面接エントリーシート対策セミナーを実施いたしますとともに、人材活躍推進センターの地域若者サポートステーションなどの機能を生かした伴走支援やホームページによる一元的な支援情報の発信、さらに新聞広報等による同世代の採用に積極的な企業等のPRなどを行うこととしております。
また、非正規雇用の待遇改善に向けて、同一労働同一賃金が本年4月から順次適用されます。このため国では、ガイドラインの作成や働き方改革推進支援センターにおける電話相談や企業訪問、キャリアアップ助成金による正規雇用への転換促進に取り組んでおります。
県におきましても、広報誌「労働とやま」により広報いたしますとともに、労働相談ダイヤルを通じまして、労働者や企業からのさまざまな相談に応じているところでございます。
今後、国の施策と十分連携し、市町村や企業の協力も得ながら、人材活躍推進センターと一体となりまして、就職氷河期世代の活躍や非正規雇用の待遇改善にしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
35 ◯副議長(筱岡貞郎君)河村農林水産部長。
〔農林水産部長河村幹治君登壇〕
36 ◯農林水産部長(河村幹治君)3点、御答弁申し上げます。
最初に、中小規模農業者への支援についての御質問にお答えをいたします。
農業者の減少、高齢化や経済のグローバル化が進展する中、本県農業が持続的に発展するには、生産性や収益性にすぐれた経営体の育成確保は重要であります。このため、農地集積による大規模化や経営の複合化に取り組む企業的経営や、地域ぐるみで効率的な農業を営む集落営農を育成し、その経営発展に向けた法人化等を推進してきております。
一方で、中山間地域など生産条件が不利な地域では、経営規模の拡大や集落営農の組織化が難しく、家族経営が地域農業や集落機能の維持に重要な役割を果たしております。
このため、家族経営も対象といたしまして、生産コストの低減を図るため、JAの地域間施設の利用促進や地域の農作業受託法人との作業受委託を促進するほか、家族経営において重要な役割を担います女性農業者の参画を促すため、6次産業化や経営の複合化等の取り組みへの支援を行いますとともに、中山間地域等の農業生産の維持活動や草刈り、江ざらい等の地域の共同活動への支援等を行っているところでございます。
さらに、後継者不足が深刻化する中、第三者を含めた円滑な経営継承を推進するため、啓発フォーラムや研修会の開催等による指導、支援等にも取り組んできているところでございます。
今後とも、大規模経営や法人だけでなく、家族経営による農業も含め多様な人材や経営主体に活躍いただけるよう、産業政策と地域政策の両面からサポートに努めてまいりたいと考えております。
次に、連携排砂の深海底質調査についての御質問にお答えをいたします。
県ではこれまで、魚津漁協の要望を踏まえて、国土交通省黒部河川事務所及び関西電力北陸支社に対し、土砂管理協議会の場などで深海底質調査の実施などを重ねて要請してきております。県からの要請も踏まえ、排砂実施機関では、今年度の環境調査において、これまでの調査に加え、県水産研究所の協力も得て、カニかご漁等が行われる水深800メートル以深──より深い──深海の泥を採取して分析する底質調査を実施し、その結果につきましては、次回の排砂評価委員会、4月中旬に開催予定でございますが、そちらのほうで報告される予定となっております。
本調査の今年度の調査地点につきましては、排砂実施機関において専門家の意見等を踏まえて4地点とされ、うち1地点については、魚津漁協が調査を希望されるカニかご漁場から選定し、魚津漁協に説明の上、実施をされたと聞いております。
魚津漁協がこの調査を希望される地点がほかにもあり、その他の県内漁業関係者からも調査の継続を要望される声があることから、県では、先月17日に開催された土砂管理協議会において、調査地点などについて漁業者の意見も聞きながら、深海底質調査を来年度も継続することを要望いたしますとともに、県としても調査船の使用等に協力することを申し上げたところでございます。
今後も、排砂実施機関におかれては、漁業者の声をしっかり受けとめて漁業者の不安が払拭されるよう、また漁場環境や漁業に極力影響を与えないよう、具体的かつ真摯な取り組みを進めることを県として強く働きかけてまいりたいと考えております。
最後に、新たな海底堆積物調査についての御質問にお答えをいたします。
県では富山湾の漁場環境を監視するため、これまでも海水の水温や有機物量等の水質調査、海底表面の泥の有機物量や硫化物量等の底質調査を毎年実施し、それぞれ5年ごとには調査地点を増やして漁場環境の把握に努めてきており、その結果につきましては漁業団体や漁業者等に報告をさせていただいております。
こうした中、近年、漁業者から、沿岸漁業の一部の海域において海底の泥の状態が変化し、漁場環境が悪化しているのではないかとの声が寄せられてきております。
このため県水産研究所では、来年度新たに富山湾沿岸で定置網や刺し網、底びき網などの漁場となっている水深400メートルより浅い海域の8地点で海底の泥を筒状に採取して、年代別の堆積量やその性質、粒の大きさ等の変化など、海底の堆積物の状況をより詳細に調査し、他の環境調査の結果とあわせて、富山湾の漁場環境についてより多面的な解析を行い、その結果を漁業者等にお示しすることといたしております。
今後とも、漁業者の声もお聞きしながら、良好な漁場環境の保全に向けた環境調査等にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
37 ◯副議長(筱岡貞郎君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
38 ◯土木部長(水口 功君)黒部川のしゅんせつについての御質問にお答えをいたします。
黒部川の流域は山地崩壊箇所が7,000カ所にも及ぶ全国でも有数の荒廃山地でありまして、崩れやすい地質のため大雨のたびに大量の土砂が流出いたしております。
このため、国ではこれまでも土砂流出対策として、砂防事業により、特に荒廃が著しい支川の祖母谷や小黒部谷、黒薙川などで砂防堰堤の整備が進められてきておりますほか、治山事業により祖父谷で治山ダムや山腹工が整備されてまいりました。また、本川に流入した土砂につきましては、排砂実施機関において、宇奈月ダムと出し平ダムとの連携排砂により下流に排出されております。
黒部川の上流部における土砂のしゅんせつにつきましては、地形が極めて急峻でありますことから、沿川にはアクセス道路がなく、しゅんせつ土砂の運搬が困難なことなどから、御提案の緊急浚渫推進事業の活用につきましてはなかなか難しいのではないかなと考えております。
県といたしましては、引き続き土砂流出対策の一層の推進を国に働きかけますとともに、連携排砂がより自然に近い形で実施されますよう、排砂実施機関に対して要請してまいりたいと考えております。
最後に、道路景観の整備についての御質問にお答えをいたします。
道路の植栽は、良好な景観の形成を初め、歩行者等の危険な道路横断や飛び出しを防止する、あるいは日差しの強い日に道路利用者や沿道の方々に木陰を提供するなど、多様な役割を果たしております。
このため、都市部や交通拠点にアクセスする幹線道路を中心に、例えば本県の空の玄関口に至ります県道富山空港線を初め、県道石垣魚津インター線や高岡古城公園沿いの県道中川南町線、県民公園太閤山ランド前の県道串田新黒河線などにおきまして、歩道や中央分離帯に植栽を行ってきております。
また、植栽の生育状況を踏まえ、信号などの視認性を確保し、快適な通行環境を維持するため、定期的に剪定や除草を行うなど、植栽管理にも努めております。
一方、近年は沿道の方々から、落ち葉や害虫などの苦情が多く寄せられていることもあり、道路整備に当たりましては、中央分離帯に防草シートやコンクリート化をいたしましたり、歩道に植栽をしないケースが増えてきております。
県としましては、道路が地域に愛着を持って親しまれること、これが大切であると考えておりまして、住民の美化活動等を支援する道路愛護ボランティア制度を設け、沿道の自治会等に花植えや草むしりなどに御協力をいただいております。
今後とも、地域住民の方々の御協力をいただきながら適切な植栽管理を行い、県外からの観光客の方にも評価されるような良好な道路景観の形成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
39 ◯副議長(筱岡貞郎君)以上で吉田勉君の質問は終了しました。
針山健史君。
〔6番針山健史君登壇〕
40 ◯6番(針山健史君)自由民主党の針山健史でございます。
本日より、県立高校の入試が実施されております。
受験生の皆さんは、本日の試験が終了し、あしたの試験に備えて机に向かっていることと思います。寝食を忘れて勉強し、試験に臨んだ29年前を思い出します。1週間後の合格発表の掲示板、隅から隅まで探しても、自分の名前を見つけることができなかったという苦い経験をした私からではありますが、受験生の皆様には、最後の最後まで全力を尽くしていただきたいと願うばかりでございます。
県内の高校各校は、生徒の個性や能力に応じた学科、コースをそろえ、高等学校教育を支えております。ただ、最近では、スポーツや文化活動などに特色のある県外の高校に魅力を感じて、進学を希望する生徒もいると聞いております。
一方で、県外から本県へ進学を希望する生徒もいるわけですが、若者の大学進学や、就職での県外流出が課題となっている中で、県内高校を選択してもらえるような取り組みが必要と考えます。
高校進学時における転入転出状況とあわせて、伍嶋教育長に所見をお伺いいたします。
縁あって、3年間過ごした私立高校は、このたび東京オリンピック、柔道90キログラム級の日本代表に内定した向翔一郎選手など、数多くの卒業生を輩出しており、愛すべき母校であります。ちなみに、向選手は、向栄一朗前県議の遠縁に当たり、小学校低学年まで、高岡市伏木に住んでおられたと伺っております。
富山県の私立高校は、県立高校では手が行き届きにくいところにも、きめ細やかな教育を提供しております。
令和元年5月1日現在の学校基本調査によりますと、富山県内の私立高校10校に約6,000人の生徒が学んでおります。これまでも、本県は、補助金として学費等の支援を続けてきましたが、来年度から国の支援金の拡充により、年収590万円未満世帯の授業料が完全無償化されます。
これにより本県は、余裕ができた財源を住民税非課税世帯の入学金等、また年収590万円以上910万円未満世帯への一部授業料へ新たに分配することになっておりますが、年収590万円以上世帯の学費負担が大きな多子世帯への支援、拡充及び一部対象外となっている県外からの進学者へも支援するべきと考えますが、蔵堀総合政策局長に所見をお伺いいたします。
平成30年3月、高等学校卒業者進路状況調査によりますと、進学した県内高校生のうち、県内大学等への進学率は24.9%、石川県へは21.9%、福井県へは1.9%となっております。
先日、地元の化学メーカーを見学した際に、県内に採用したい学部、学科で学ぶ生徒が少なく、石川県、福井県で学ぶ学生を採用するケースがあるとお聞きしました。また、大学生の意識調査によりますと、学びたい学部、学科があれば県内大学に進学をしたと、多くの県外進学者が回答しております。
そこで、平成25年4月に、教育研究等の連携と地域とのつながりを目的に、県内7つの高等教育機関により設立された大学コンソーシアム富山の活動状況を伺いますとともに、一層の活動促進を図るため、教育環境の相互補完など、北陸3県の大学等との連携を広げるべきと考えますが、蔵堀総合政策局長に所見をお伺いいたします。
年始の新聞では、3年後に迫った北陸新幹線敦賀延伸による北陸3県の経済や観光での連携を期待する特集記事を数多く目にいたしました。
ただ、富山県と石川県は、ライバル意識率の高い県として有名であり、総じて北陸3県同士は互いにライバル意識が非常に強い面がございます。競い合うことも大切ですが、同時に、学び合うことでの連携も大切にしていただきたいと考えます。
本県は、北陸地方だけでなく、日本海沿岸地帯振興連盟、知事懇談会などを通じて、他県との広域連携を推進し、地域の特性や魅力を認め合い、相互発展に向けて交流を深めております。東京一極集中を是正していくためにも、地方と地方をつなぐ広域連携の取り組みを強化するべきと考えますが、石井知事に所見をお伺いいたします。
日本中が連携して取り組んでいる新型コロナウイルスの肺炎拡大防止策の中で、企業ではテレワーク、在宅勤務を実施するケースが増えております。
これまでも、会社に出勤しなくても、お客さんのところへ行かなくても、資料を紙ベースで作成しなくてもできた仕事はいっぱいあったわけでございまして、これを機に、大きく働き方が変わる可能性を秘めていると感じております。
定住人口の増加、地域のにぎわい創出に向けて、企業誘致や工場誘致は有効な手段ではありますが、誘致活動は容易ではありません。人手不足感の強まる中にあって、富山県の勤勉でスキルの高い人材は大変に貴重であります。特に、大きな課題となっている女性の県外転出防止と、子供の第2子以降の誕生期待に向け、仕事をしながら安心して妊娠、出産、子育てができる環境を整える手段として、県内外の企業に呼びかけて、テレワーク、在宅勤務など、多様な働き方を選択できるよう支援を図るべきと考えますが、蔵堀総合政策局長に所見をお伺いいたします。
子育て支援・少子化対策県民会議が先日開催され、基本計画が了承されました。
父親の家事育児時間が長いほど、第2子以降の生まれる割合が高いという傾向から、男性の育児休業休暇の積極的な取得を目指す方針です。ただ、育休取得を促すだけではいけません。なぜ育休を取得するのか。育休中にどんなことが求められているのかを認識してもらう必要があると考えます。
一方、県の企業子宝率調査では、育休の取得期間は、子宝率との相関関係はあまり見られないという結果が出ております。
さらに、積水ハウスが男性の育休について調査したイクメン白書によりますと、イクメン力トップになっている島根県の男性でも、育休取得平均日数を見ると、わずか1.91日です。全国28位、私も頑張って3人の子供の育児を経験しましたが、力及ばず、富山県男性のイクメン力は全国38位でありました。
男性による献身的な育児時間が確保され、タイムリーに休暇を取得できる体制を整えている企業ほど子宝率が高いのであります。
本県職員及び県内企業における男性の育児に伴う休暇、休業の取得を促す取り組みが必要と考えますが、取得状況とあわせて、石井知事に所見をお伺いいたします。
文化発信についてお尋ねいたします。
高岡市伏木にある万葉歴史館は、新元号が発表された昨年4月からの来館者が6万人を超え、例年の3倍のペースで推移しております。高志の国文学館の来館者も、1月末現在において、前年同月比117%、その勢いは衰えを見せていません。また、大伴家持生誕1300年を記念して創設された「第2回大伴家持文学賞」「高志の国詩歌賞」の募集期間が昨年末に終了しました。
まずは両賞の定着に努めている本県において、今回の募集状況と、3月、5月に、中西進高志の国文学館館長の講演が予定されておりますが、元号の典拠となった万葉集ゆかりの地としてのPR活動について、これまでの本県の取り組みと成果を石井知事にお伺いいたします。
令和由来の、梅花の宴を開いた大伴旅人、万葉集の編さんに大きくかかわった大伴家持は、当時の権力者である藤原一族と対峙するなど、飛鳥時代から奈良時代にかけて、波乱万丈の人生を送ったと言われております。有識者からも大変に興味深い題材となり得ると聞いています。現在までに、本格的な全国放送の特集番組となると、NHKBSプレミアムによる特集「英雄たちの選択」のみではないでしょうか。
万葉集ゆかりの地は全国各地に点在しており、各地と協力して、例えば大河ドラマなどテレビ番組や映画、演劇などを通して、国内外に発信できる可能性が十分に残されていると考えますが、須河生活環境文化部長に所見をお伺いいたします。
大伴家持を「おおとものいえもち」と講演された方もいると新聞記事を見ました。積極的なPR活動で、いろんな分野への効果波及に期待をいたします。
万葉集ゆかりの地であるJR氷見線伏木駅から電車を利用することも多いのですが、朝夕の電車内は、通勤通学者でごった返しております。この生活の足ともいえる氷見・城端線のLRT化の検討について、JR西日本と県、沿線4市の間で議論が始まるに当たり、県では検討班の設置を決めました。
地元工場などの荷役輸送に大きな役割を果たしているJR貨物、新湊線との調整など、費用や運営方法以外にも、解決すべき多くの問題があるわけでございます。
今回の検討班には、高岡市、砺波市からの職員以外にも、実際LRTが走っている富山市や万葉線との連結に期待を寄せる射水市など、県内の市町村にも参画を呼びかけ、人口減少、少子高齢化時代の県内公共交通網について、広域で検討できる体制を整えるべきと考えますが、猪俣観光・交通振興局長に所見をお伺いいたします。
氷見・城端線の直通化は、これまで長年にわたり検討と議論が交わされてきました。通勤や通学、観光面で大きな効果が期待されているにもかかわらず、いまだ実現しておりません。JR側も、LRT化の議論には時間を要するとしており、実際に今回と似たケースの岡山県JR吉備線のLRT化計画は、2003年に構想が打ち出されてから、議論は長期間に及んでおります。
所属する県土整備観光委員会では、担当部局より、急いだ議論は結果的に足元を見られるだけだ。慎重に進める考えを示されましたが、こうしている間にも、沿線人口は減り続け、いずれ利用者の大幅な減少が見込まれております。
昨年10月には消費税が増税され、4月からはあいの風鉄道との乗り継ぎ割引廃止で、運賃負担は増すばかりの状況、沿線の活性化、新高岡駅からの2次交通の整備は新幹線延伸対策にもなることを考えれば、例えば大阪延伸までを目標とするなど、LRT化検討はスケジュール感、スピード感を持って進めるべきであります。
武道館機能を有する多目的施設整備計画に向けられた情熱を、LRT化議論にもぜひ注いでいただきたいと考えますが、猪俣観光・交通振興局長に所見をお伺いいたします。
北陸新幹線の開業前、首都圏からの観光及びビジネスにおける交流人口の経済効果は88億円とも試算されておりました。開業5年目は、インバウンドを含め県外入込客数全体を対象にした場合、304億円の経済効果が出現すると言われております。
昨今の災害や、感染症の影響はあるものの、経済波及効果は持続しており、開業効果をどのように評価し、また今後も開業効果を持続進化させていくためにどのように取り組んでいくのかを、石井知事にお伺いいたします。
一方で、金沢に集中していた投資が富山へどんどん流入し、過剰感も懸念されております。入込客の対応へ働き手が確保できず、各種事業のサービスが劣化しているとも耳にいたします。
国内外の景気の減速もにわかに顕在化してきました。また、関西圏での観光プロモーションの展開を計画しているように、新大阪から富山駅まで43分の時間短縮となり、利便性が向上いたします。
いろいろ注視すべき動きもある中で、敦賀延伸対策として、本県は、大きな費用をかけて高岡テクノドームの機能拡充と、武道館機能を有する多目的施設の整備計画を、まさに超特急で進めています。
これまでの議会、検討会でのやりとりで、有識者ではなく県民のコンセンサスは得られているのでしょうか。完成すれば、今後20年、30年、もっと先まで活用しなければならない施設であります。
きょうは、臨時休校で、あいた時間を利用して、高校生と中学生の息子が傍聴に来てくれているはずです。ほかにも、学校に行けず外にも遊びに行けない子供たちの中で、このテレビ中継を見ている子供たちもいることでしょう。このような未来ある子供たちにも託していかなければならない施設です。
計画反対ではありません。あれもこれも一遍に手をつけるのではなく、延伸の影響を見きわめた上で、富山県の発展とにぎわい創出に必要なものを検討する時間がもう少しあってもよいのではないでしょうか。
氷見・城端線LRT化検討に向けられている丁寧かつ慎重なスタンスで議論を進めるべきと考えますが、蔵堀総合政策局長に所見をお伺いいたします。
後から、あんな機能も備えておけばよかった、こんな設備もつくっておけばよかったと言っても、後の祭りであります。
祭りと言えば、地元の高岡市伏木では、5月15日の曳山まつりを控え、各町の若衆が、連日、山倉にこもって準備を進めています。
昨年は、祭りのクライマックスでもある余興「かっちゃ」を桟敷席から、瘧師議員、奥野議員にも観覧いただきました。
知事にも、これまで何度となく祭礼当日には足を運んでいただきまして、どこの祭りより、伏木の祭りを気に入っていただいていると聞いております。
日ごろより体験型、経験型観光を積極的に推奨されておられる知事みずからが、5月15日に、はっぴをまとい曳山を引いていただきますことを切にお願いしまして、質問を終えさせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。
41 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
42 ◯知事(石井隆一君)針山議員の御質問にお答えをいたします。
まず、他県との広域連携による東京一極集中の是正についてでございます。
東京一極集中の是正につきましては、これまでもお話に出ましたけれども、日本海沿岸地帯振興連盟や、また中部圏知事会議などにおいて、関係県等と連携した国や政府・与党への要望を行ってまいりました。
また、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の場には、全国知事会の、地方の知事を代表する形で参画する機会をいただきました。
こうした取り組みによりまして、大学については東京23区の大学の定員増を認めない立法措置が講じられまして、また企業についても、本社機能の地方への移転に係る税制上の優遇措置が新たに設けられて順次拡大されてきておりますなど、東京一極集中是正のための措置は、それなりに実現しているわけであります。
しかしながら、東京圏への2019年の転入超過は14万9,000人と、むしろ増えている形になりまして、東京一極集中に歯止めがかかっていないわけでございます。
さらなる是正のためには、県単独での取り組みももちろん必要ですけれども、全国知事会としての取り組みに加えまして、課題を共有する北陸3県や、あるいは隣接県、あるいは日本海側全体、こういったさまざまな広域連携による取り組みも大切だと思っております。
そこで、全国知事会等と連携して国に働きかけました一つの成果として、新年度からは、先ほどもちょっと触れましたけれども、移住支援金制度の要件緩和、移住者の連続5年というのを、直近10年間で通算5年とか、資本金の要件を、10億円未満というのを、市町村長さんの推薦があれば、知事が50億円未満で指定できるとか、いろいろな要件緩和も実現いたしました。
さらに、北陸3県連携で、企業誘致に向けた展示会への合同出展や、また近隣県との連携によります移住・UIJターン説明会の開催にも取り組んでおります。
例えば、北陸3県でUIJターンのフェスティバル、UIJターンフェスということで、愛知や東京、大阪でもやっておりますし、また、長野、新潟、石川なんかと連携して4県で、東京でも行っている等々でございます。
東京一極集中の是正は、個々の自治体の努力だけでは解決できない構造的な課題も多うございますので、今後とも、さまざまな広域連携の枠組みですとか、近隣県との連携を通じまして、一極集中是正に向けた国の働きかけ、また政策の面での連携協力、これを一層強化してまいります。
次に、男性の育児休暇、休業の取得についてお答えをいたします。
夫が休日に家事、育児にかかわる時間が長いほど、第2子以降の出生率は高い傾向にありまして、本県の企業子宝率調査におきましても、配偶者の出産や子育て等のための休暇を取得した社員の多い企業ほど、子宝率が高い傾向にございます。
一方で、県内の男性の育児休業取得率は、平成20年ごろは実に0.4%ということで、何とかしたいと思ってようやく3.9%になっていますけれども、それでも全国平均が6.2%ですから、まだまだ課題があるなと思っているわけでございます。
これまでも、次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定支援ですとか、これも条例で、法令では101人以上を30人以上にいたしまして、実際ほとんどの企業はそれに従っていただいているとか、また、こうした両立支援制度の周知とか、またシンポジウムの開催等で、女性活躍について豊富な知識や見識のある方をお招きして議論をしたり、また実際に取り組んでいる経営者の話を聞いたりとか、いろいろやってきているわけでございますが、新年度新たに、男性の育休取得を促す管理職向けのセミナーとか、また母子手帳というのは従来ありましたが、父子手帳というものをつくって、新米のパパ向けの手帳を7,000部つくって配布する。また男性を含めた家族全員での育児参加を促進するためのシンポジウム、特に男性にぜひ来てもらいたい、そういうシンポジウムを開催する。また、商業施設等へのベビーシート等の設置促進とか、イクボス企業同盟とやまへの参加拡大など、男性の育児参加の拡大に取り組むことにしております。
一方で、県庁自身も、もっと努力しなくちゃいかんということで、これまで職員の仕事と子育ての両立の支援としまして、男性職員の育児参加休暇を8日間に拡大しますなど、そうすると、妻の出産休暇2日と合わせますと10日間ということになりますから、これは多分全国トップまたはトップクラスの取り組みだと思いますけれども、そうしたことの結果、平成30年度の知事部局の男性職員の育児に係る休暇休業取得率は86.6%となっております。ただ平均取得日数は5.7日間ということであります。
新年度は、国が昨年末に示した国家公務員の本方針に準拠しまして、男性社員の育児に伴う休暇休業の、原則一月以上の取得促進に新たに取り組むとされております。
県庁でも、何とか、いきなり一月といってもなかなかと思いますけれども、なるべく全てというか、ほとんどの男性職員にせめて5日間は取ってもらう。さらにはそれを10日にする、いずれ一月にすると、こういうことで着実に、着実と言ってもできるだけスピード感を持たせて進めていきたいと思いますし、北陸銀行さんやJAさんと連携して、県庁内保育所を、今度の防災・危機管理センターにあわせて整備するといったことも、そうした問題意識も含めてのことでございます。
今後とも、男性の育児休業取得の促進とか、男性も含めた家族全員での子育てが進みますように、しっかりと取り組んでまいります。
次に、文化の発信についてお答えをいたします。
先ほども御紹介いただきました大伴家持生誕1300年を記念して創設いたしました大伴家持文学賞、及び高志の国詩歌賞は、現在2回目となる受賞者の選考を行っておりまして、文学賞は109名の方、詩歌賞は20名の方が候補者となっておりまして、両賞とも前回に比べると候補者数がかなり増えております。
県としましては、新元号令和が本県にゆかりの深い万葉集を典拠とされたこと、お話しのように、中西高志の国文学館の館長さんが、令和の考案者と専ら言われているということを大きなチャンスと捉えまして、国内外や海外に向けて、本県と万葉集のゆかりをPRするために、文学館や日本橋とやま館における令和記念コーナーの設置とか、中西館長の県内及び東京での講演会の開催とか、また、万葉集をテーマにしたとやま夏期大学の開催、昨年は8月に中西進館長御自身の講演も行ってもらいました。
また、改元記念オリジナルグッズの作成も行うとともに、これには、中西先生の書も中に組み込んであるんですけれども、また、家持の秀歌の英訳や、第1回家持文学賞のマイケル・ロングリーさんから本県に贈られた詩3編の掲載をしたパンフレット、これは英文と和文をつけまして、これをまた世界で最も美しい湾クラブの世界総会でも配布しまして、相当の反響がございました。
こうした成果もあって、今年度の文学館の入館者数は、大きく伸びまして、過去5年間で最も入館者数が多くなっております。令和元年は、11万人を超したということであります。
また、県外からの来館者の割合も12ポイント増加しまして、県外団体客、これは観光ツアーのコースに入れてくださる。こちらもそういうPRをしているんですけれども、そういった事例も出てきておりまして、県外団体客の受け入れ件数も約5倍となっております。
こうした勢いを持続、発展できますように、中西館長の講演会を今月末、高岡市内で、新型コロナの関係もありますから、ちょっと取り扱いも少し考えなきゃいけませんが、また5月には、東京で開催しますとともに、文学賞と詩歌賞の受賞者を、5月に富山と東京で公表して、7月に贈呈式を開催しますなど、万葉集ゆかりの地としての本県の魅力をさらに広く発信してまいりたいと考えております。
最後に、北陸新幹線の開業効果についてお答えをいたします。
新幹線の乗車人員は、開業前の3倍近い高い水準が続いておりますほか、観光客は延べ宿泊者数が30万人増加しまして、外国人は倍増となっておりますし、さらには、企業立地の進展、Uターン率のさらなる向上、若い世代を中心とする本県への移住の増加等々さまざまな効果が出ておりまして、富山県の知名度の向上とか、地域経済の活性化にも大きく貢献していると思います。
特に経済の面では、企業の本社機能の移転等によりまして、開業後、全国第1号として認定された本県の地域再生計画に基づくものだけでも、20社で380人の雇用が創出されましたほか、開業後、平成30年度までの4年間で、例えば太閤山ランドのそばのプレステージ・インターナショナルとか、あるいは富山村田製作所も新生産棟を増設されるとか、約2,300人の雇用が創出されておるわけでございます。はっきりしているものだけでもです。
また、Uターン就職率が上昇しますとともに、県や市町村の相談窓口等を通した県外からの移住者も、昨年度は過去最高の905人となって、10年前は200人ぐらいでしたから、相当な効果があったと言えると思います。
こうした開業効果を、今後も持続進化させますために、富山県としましては、今月策定しますとやま新幹線延伸戦略(仮称)等に基づきまして、各分野の取り組みを強化することにいたしております。
具体的には、観光の面では、立山黒部の世界ブランド化に向けたロープウエー整備調査への支援、また、もちろん、黒部ルートの一般開放に備えた準備等もございますし、また富山湾の国際的なブランド価値の向上等に向けて、積極的に取り組んでいく。これは一々挙げますとたくさんありますので省略したいと思いますけれども、富山の魚、水産物のブランド化とか、また湾クラブのネットワークを活用して、例えばフランスのメディアなんかにも来てもらうとか、これまでとはまた一味も二味も違った取り組みを進めていきたいと思っております。
また、企業立地については、市町村からの要請も踏まえた企業立地助成金の対象経費の拡大を図りますほか、移住・UIJターンでは、国の移住支援金制度の活用のほか、富山くらし・しごと支援センターの機能拡充、またサテライトオフィスの誘致、これもどちらかというと、これまでは市町村の自発性というのを尊重して、それを県がサポートするという仕組みだったんですけれども、それも今後やりますが、もっと県が前面に出ようということも実は考えておりまして、県を挙げて、もちろん市町村や民間の皆さんと連携して、こうしたサテライトオフィスの誘致などにも、より積極的に取り組んでまいります。
北陸新幹線の敦賀開業、その後の大阪延伸を踏まえて、今後とも本県のさらなる飛躍発展に向けて、今、何をなすべきか。北陸新幹線をとにかく早く大阪までつなげたいということもありますし、後ほど、部局長への質問ですから、部局長も答えると思いますが、例えばLRT化の問題も、それからテクノドームの別館の話も、じっくり考えたらどうだというのと、もっと急いでやれというお話もいろいろありましたが、私は、例えばLRT化について言うと、わかっていただいていると思うんですが、お相撲の仕切りと同じなんですね。あんまり早く片方が立つと、呼吸がないから待ったがかかって仕切り直しになる。やっぱり呼吸を合わせて立ち上がる。それには向こうが勘違いしないように、きちっと前提条件を言って、いい形で立ち上がってしっかり進めていく。この辺の呼吸をぜひ御理解いただいて、それから、テクノドームについては、やっぱり敦賀延伸、大阪早期延伸、こういったことも念頭に置きながら、ぜひ議員を初め県議会、あるいはさまざまな民間の皆さん、市町村、いろんな方の御理解をいただきながらしっかり進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
43 ◯副議長(筱岡貞郎君)伍嶋教育長。
〔教育長伍嶋二美男君登壇〕
44 ◯教育長(伍嶋二美男君)私からは、県内高校への進学に関する御質問にお答えをいたします。
県教育委員会で実施しております調査によりますと、本県中学卒業者で、県外の全日制高校、定時制高校、高等専門学校に進学している者は、昨年3月に卒業した9,552名のうち149名となっておりまして、その割合は1.56%を占め、過去3年間はおおむね同様の割合となっております。
このうち、県外の全日制高校へ進学した者の理由を調べますと、一家の転居などによるほか、多くの生徒は部活動の魅力を挙げておりまして、主に、県外の私立高校を選択しております。
また、県外からの転入については、令和元年度で95名ということになっていまして、3年間では、おおむね90名前後と、ほぼ同数ということになっております。
こうしたことを踏まえますと、県教育委員会としては、富山ならではの質の高い教育を行うための環境整備はもとより、スポーツや文化活動においても、生徒の能力を十分に伸ばすことができる環境を整備していくことが重要であると考えております。
このため、例えばスポーツ活動では、小中高校の一貫指導による競技力の向上を図るため、未来のアスリート発掘事業や元気とやまスポーツ道場開催事業、さらには、TOYAMAアスリートマルチサポート事業を実施しております。
また、文化活動の面では、プロの演奏家の指導を受けますスクールバンド育成事業などに取り組むなど、本県の生徒が地元の学校に通ってスポーツや文化活動等に励むことができる、そうした状況をつくるよう、県の高体連、また県の高等学校文化連盟等の関係団体と連携して環境整備に努めております。
引き続き、高校への体験入学や中学校説明会などを通じまして、中学生や保護者に対して、県内高校の魅力やまた地元で高校生活を送る、そうした意義を発信することなどによりまして、県内高校を選択してもらえるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
45 ◯副議長(筱岡貞郎君)蔵堀総合政策局長。
〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕
46 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)まず、最初に、私立高等学校授業料の一部助成に関する御質問にお答えをいたします。
ことし4月から実施をされます国の私立高校授業料実質無償化に合わせまして、県では、国の無償化対象外であります年収590万円以上910万円未満世帯の授業料の一部助成や低所得世帯の入学料等の軽減を拡充することといたしております。
御質問いただきました多子世帯を対象とした支援につきましては、東京都ですとか大阪府において実施される予定というふうに聞いておりますけれども、その前提としましては、東京都、大阪府の私立高校の授業料、それから施設整備費等の年間負担額といいますのは、平均で本県に比べ約18万円から24万円高くなっております。東京都の予算の内容では、3人以上いる世帯に対しまして、年額で5万9,400円支援するということになっております。こうしたことは、多子世帯の保護者の負担の一部軽減ということで実施をされるものだと考えております。
また、東京都の予算額について見ますと、この多子世帯支援分だけで年額4億円ということで、これは税収も多く、財政的に豊かである東京都であればこそできることかなというふうに考えております。
また、県単補助の助成対象を県内在住の保護者としている件でございますけれども、全国で本県を含め24都府県ございます。その理由としましては、県の一般財源を活用して住民のサービスを行っているということ。
2つ目には、国が補助します奨学給付金という制度がありますけれども、これも、県内在住の保護者を対象に実施をいたしております。
また、県外出身で県内の高校で学ぶ生徒のほとんどが、卒業後再び県外へ戻ってしまって、富山県内の大学への進学ですとか県内企業への就職というのはほとんどないという状況も考慮いたしまして、現在のところ、本県では、県内在住の保護者に対して支援をしているという状況でございます。
次に、大学コンソーシアム富山に関する御質問にお答えをいたします。
大学コンソーシアム富山は、平成25年4月の設立以来、県内の7つの高等教育機関が連携をして教育研究や地域貢献活動の充実に取り組んでおられます。
現在は、各高等教育機関が特色ある授業科目を提供して、履修単位の相互承認を行う単位互換を実施をされております。
また、高校と大学の関係者が意見交換をして連携を図ります高大連携、それから研究者や学生が地域と協働して地域課題の解決を提案する取り組みですとか、研究成果を広く還元する公開講座なども実施されておりますし、学生の皆さんに県内企業の魅力を伝える合同企業訪問などといったことも、コンソーシアムの活動として取り組まれているところでございます。
また、来年度においては、富山大学では、金沢大学や福井大学と連携をいたしまして、北陸地域における数理、データサイエンス、AI教育を推進する教材開発を行うこととされております。
また、北陸3県の大学コンソーシアムなどでの単位互換ですとか、大学教員の資質向上を図るための研修も実施するという予定でございます。北陸地区の大学との連携をさらに推進されるということでございます。
議員からも、教育環境の相互補完ということで御質問いただきましたけれども、こうした教材開発ですとか単位互換、それから教員の研修といったことを現在進められておりますので、さらに前進するものというふうに考えております。
県としては、今後とも、この大学コンソーシアム富山が行います各高等教育機関の魅力向上ですとか、教育環境の向上に資する取り組みに対して、引き続き必要な支援を行いまして、県内産業の振興、地域活性化、さらには学生の県内定着が一層進むように連携して取り組んでまいります。
次に、女性の多様な働き方に関する御質問にお答えをいたします。
女性を初め、男女がともに安心して結婚、妊娠、出産、子育てが実現できますように、多様な働き方を選択できる環境を整備することは大変重要でありまして、県ではこれまで、フレックスタイム制度やテレワークなど、柔軟で多様な働き方の推進、イクボス企業同盟富山の実効性ある取り組みの推進、さらには業種ごとに行われます研修会に働き方改革の先進企業を派遣いたしまして、具体的な事例による研修を行ってまいったところでございます。
また、特に女性の方の県内定着を図りますために、女性の雇用が多い企業の誘致にも取り組んでおりますし、女性就業支援センターにおきましては、企業の開拓支援によりまして、女性が働きやすい職場環境の整備ですとか、テレワークセミナーや仕事体験会の実施によりまして、育児や介護などで制約のある女性の方の多様な働き方を支援してきております。
来年度におきましては、新たに中小企業を対象といたしましたテレワーク導入に向けたクラウド化体験セミナーの開催ですとか、女性向けのITスキル等を取得いたしますテレワークセミナーを実施いたしまして、さらに企業とのマッチングの場も設定して、多様な働き方を支援してまいります。
それに加えまして、市町村や民間と連携いたしましたサテライトオフィス誘致専門チームも設置をいたしまして、サテライトオフィスの誘致、施設整備支援に取り組むことといたしております。
今後とも、経済団体、関係機関と連携しながら、女性が個性と能力を十分発揮して活躍できる環境づくりにしっかり取り組んでまいります。
最後に、新幹線敦賀延伸を見据えた施策に関する御質問にお答えをいたします。
北陸新幹線の敦賀開業、さらにはその後の大阪延伸によりまして、首都圏、中京圏、関西圏と北陸地域との一大交流経済圏を形成いたします大ゴールデン廻廊が創出をされることとなります。この人口規模としては6,500万人となりますけれども、本県がその重要な一角を担うこととなります。ただ、これは今後新幹線が延伸をしていく石川県、福井県においても同様のことでございまして、一方では、こういった地域との地域間競争も激しくなるということが見込まれるところでございます。
こうしたことから、本県では、観光誘客や移住・定住の促進、産業振興など、官民一体となった取り組みをさらに進めていくことが必要でありまして、富山新幹線延伸戦略(仮称)でございますけれども、これを年度内に策定することとしております。
特に、本県の玄関口ともなります3つの新幹線駅を核とした広域交流を促進いたしまして、それぞれの地域の個性を生かした魅力的なにぎわいのあるまちづくりを進めることが重要だと考えております。
具体的には、富山駅では南北一体化を図ります連続立体交差事業の推進と、それに合わせたまちづくりも進めていく必要があると思っていますし、武道館機能を有する多目的施設を新たに整備することも必要かと考えております。
また、新高岡駅では、新たなコンベンションニーズや5Gなど最先端技術に対応し、若者や親子連れが集い交流できる機能も備えたテクノドームの別館整備をすることといたしております。
さらに、黒部宇奈月温泉駅では、黒部ルートの一般開放、旅行商品化ですとか、立山黒部エリアの滞在周遊の促進に向けた魅力向上に取り組むことといたしております。
北陸新幹線の敦賀延伸に向けた取り組みは、近隣県においても力を入れて進められているところでございまして、特に金沢駅周辺ですとか、福井駅周辺というのは大きく現在変化をしているところでもございます。
本県で予定をいたしております事業は、完成までに2年から4年程度要することとなりますことから、今まさに本県の活性化に向けてスピード感を持って、一方では、整備内容もしっかり検討して取り組みを進めるべきであると考えております。
後々になって、あのときやっておけばよかったと後悔しないように、しっかり取り組んでまいります。
47 ◯副議長(筱岡貞郎君)須河生活環境文化部長。
〔生活環境文化部長須河弘美君登壇〕
48 ◯生活環境文化部長(須河弘美君)大伴家持の国内外へのPRについてお答えをいたしたいと思います。
家持生誕1300年記念事業実施の際でございますが、高岡市万葉歴史館を初め奈良県立万葉文化館、九州歴史資料館、因幡万葉歴史館等、大伴家持とその父旅人の生涯に関係する県内外の7館に連携を呼びかけ、相互にPRを行うなど、全国ゆかりの地との連携を現在構築しております。
また、奈良県や京都府など、他府県と共同した文化シンポジウムをこれまで4回開催しており、中西館長の講演や知事同士の対談を通じて、越中万葉大伴家持の魅力を首都圏においても発信してまいりました。
なお、御紹介のBSプレミアム「英雄たちの選択」におきましても、中西館長が大きな役割を果たしておられたと承知をしております。
家持の生涯は演劇等の題材としても大変興味深いものであり、一昨年でございますが、県芸術文化協会が中心となって、越中万葉創作舞踊「万葉高志の国」が企画され、家持生誕1300年記念式典にあわせて披露されました。
日本舞踊、洋舞、邦楽、書など、本県が誇る芸術文化の粋を結集した幻想的な舞台で好評を博しましたことから、ことし8月に、国内外から約3,000名が参加して開催される「とやま世界こども演劇祭」のオープニング公演でも上演される予定となっております。越中万葉の魅力が国際的にも発信されるよい機会であると考えております。
なお、大河ドラマという突然の御提案でございましたが、県といたしましても、別の主人公を今、強力に働きかけておりますので、控えさせていただきますけれども、大伴家持につきましては、本県からの働きかけによりまして、現在、里中満智子さんが「言霊の人」と題しまして、家持を主人公とする漫画を執筆いただいております。
この漫画につきましては、全国の関係館からも興味を持っていただいておりまして、完成の暁には全国で連携してPRに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
49 ◯副議長(筱岡貞郎君)猪俣観光・交通振興局長。
〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕
50 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)私から、城端・氷見線のLRT化検討につきまして、2点お答え申し上げます。
今般の検討に当たりましては、鉄道施設などの整備費や維持運営費に係る課題を初め、沿線市の将来的なまちづくりとの整合、また観光振興による活性化、そして県内公共交通機関との連携など、さまざまな観点があり、将来にわたり持続可能な見込みが立つかどうか、実現可能性も含めて、慎重に議論する必要があると考えております。
また、この路線を将来にわたり地域住民の日常の生活路線として維持していくためにも、利用促進やまちづくり面での施策など、まず、沿線4市のほうで主体的に検討いただくことが基本であると考えており、その中で仮に必要となった場合があれば、沿線4市のほうから、関係市町村への相談協議がなされるものと考えております。
その上で、県としても、来年度に設置します広域交通対策・LRT化検討班に沿線市から職員を派遣いただき、検討体制を構築することとしており、4市とともに、県議会や国会の先生方、地元の経済界の方々などとも十分相談しながら、慎重かつ丁寧にJR西日本と議論してまいりたいと考えております。
次に、今後のスケジュール感でございますが、県として現時点、これはという具体的なスケジュール感は持っておりませんが、沿線4市やJRとともに検討組織を立ち上げる準備を進め、先ほど申し上げたようなさまざまな観点を検討するに当たり、その基礎材料となります旅客流動調査や需要予測調査などを今後行っていく予定でございます。
今後4市とともに、提案主体でありますJR西日本のスケジュール感も伺いながら、しっかりと議論を行っていきたいと考えております。
ただ、議員御指摘のとおり、沿線人口は平成元年に比べ約13%減となっており、利用者も平成元年度に比べ、近年約40%減となっております。今後も沿線人口の減少が見込まれております。できるだけ早くまとまりますよう、交渉相手と呼吸を合わせながら、4市とともに県議会や国会の先生方、地元経済界の方々などとも十分相談しながら、慎重かつ丁寧にJR西日本と議論してまいりたいと考えております。
以上でございます。
51 ◯副議長(筱岡貞郎君)以上で針山健史君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後2時59分休憩
─────────────────────
午後3時10分開議
52 ◯議長(中川忠昭君)休憩前に引き続き会議を開きます。
亀山彰君。
〔13番亀山 彰君登壇〕
53 ◯13番(亀山 彰君)本日の最終質問者ですので、おくつろぎください。
私からも、コロナウイルスでお亡くなりになりました方にお悔やみを、そして今なお苦しんでおられます多くの方々にお見舞いを申し上げ、一日も早く収束に向かうことを心から願うばかりであります。
初めに、イノシシ被害は中山間地域が多く、農産物や農業用施設に今後ますます被害が増加するだろうと推測されます。
富山県中山間地域における持続可能な地域形成に関する条例の6条では、地域経済の活性化を促進し、若者などの所得の増大を図るために、再生エネルギー源の活用を検討することに加え、鳥獣による農作物被害防止及び捕獲した鳥獣の利用を図ることをうたっています。そこで、中山間地で多く見られるイノシシ被害への対応と利活用について何問か伺います。
昨年12月28日の報道では、入善町でイノシシによる人的被害が発生し、3人の方々がけがをされました。これまで農作物被害の低減のため7集落周辺の環境整備として、里山整備や耕作放棄地の解消、保全管理に努めている集落もありますが、人的被害が発生するまで個体数が増えてくると、個体数そのものを低減させることが何よりも大切と考えます。
イノシシの捕獲数は平成2年に2頭が狩猟によって捕獲されたのが始まりで、平成27年度に2,591頭になり、平成30年度には5,959頭と、捕獲数は年々増加していますが、富山県イノシシ管理計画(第2期)によると、その個体数は平成27年度末で4,872頭、その後、平成30年度の調査では、平成29年度末で1万9,000頭余りに及んでいます。
県では、イノシシ指定管理鳥獣としてその個体数の削減対策をとっていますが、推定個体数は増え続けています。狩猟免許所持者を増やすとか、捕獲数の90%を占める捕獲わなを増やすなどにより、さらに捕獲を強化すべきと考えますが、令和2年度の取り組みを含め、今後、個体数管理にどのように取り組んでいくのか、石井知事に伺います。
捕獲したイノシシの処分については、現在野生イノシシの感染が拡大された地域、確認地点から10キロ圏内は、市、町が土地を確保して埋設しています。しかし、いつまでも埋設地が確保できるか疑問であるため、焼却などその他の処分方法を考える時期に来ていると考えます。
県内で焼却処分している地域では、小さい個体はそのまま、成獣は解体して焼却していると理解しています。
また、富山地区広域圏事務組合では、焼却施設の設置に向けて話し合いを持っていると聞いています。建設には、周辺住民の理解が必要であることに加え、運営コストやCSF感染の疑いのある個体の解体場所などの課題もあることが想定されますが、焼却処分について、県としてどのように進められるのか、河村農林水産部長に伺います。
平成30年度のイノシシのジビエ利用については、国の発表では平成28年度と比べて、3年間で1.5倍となっています。捕獲したイノシシの有効活用策については、農水省は平成29年12月に、全国からの要望を踏まえて、一定の基準に適合するものに限りイノシシを肥料原料として利用することを認めたことから、肉骨粉を肥料や牛以外への飼料としての利用が始まりました。石川県羽咋市では、昨年12月から骨や内臓などの残渣を炭化し肥料にしていますし、佐賀県武雄市では、個体を乾燥させ、骨粉肥料やペットフードにするイノシシ肥料化計画に着手していますが、課題も多いと聞いています。
こうした非食用部の残渣、骨、内臓の肥料化などの事業は、最近始まったばかりで技術もこれからと思いますが、捕獲したイノシシの有効な活用方法として、ジビエ利用の拡大とそのほかの活用手法についてどのように取り組むのか、河村農林水産部長に所見を伺います。
豚コレラはCSFと呼び名は変わりませんが、本年2月5日から豚熱と名称が変更されました。一昨年の9月にCSF、豚熱が岐阜県で確認されて以降、10府県で16万頭以上の豚が殺処分されています。豚へのワクチン接種は行われているものの、いまだに県内でも終息せず、発生し続けています。
沖縄県でもCSFが発生したことや、春になっても終息せず、岐阜県や石川県など隣県とのイノシシの移動も考えると、今後も感染防止対策が重要となります。感染防止に関する今後の県の対応方針について、隣県の状況とあわせて河村農林水産部長にお伺いします。
農水省は、2018年度の野生鳥獣の農作物被害が158億円となったと報告しています。直接な被害だけでなく、営農意欲の減退や耕作放棄地の増加などにも結びついているとしています。イノシシによる被害も農作物だけでなく、用排水路や農道などの農業用施設、畦畔にまで及んでいます。それらの被害復旧にどのように取り組むのか、農業施設の修復には国や県からの補助などがあるものの、畦畔にはなく、地元負担感が大きいので、県としての対応方針を河村農林水産部長に伺います。
我が党の藤井裕久議員の代表質問にもございました。また、菅沢議員の質問にもありましたが、改めて県外へのPR位置づけ方向について伺います。
富富富は、ずっと食べ続けたい、おいしいなど、お米として全国の消費者から愛され選ばれる本県を代表するブランド米として育成すると、戦略推進会議資料に書いてあります。
一昨年、知事の舟橋村での田植えを見学させていただき、知事の思い、意気込みを感じ、昨年、私も全てのコシヒカリから富富富へと切りかえました。実際に作付、収穫して、稈長、草丈が短く、倒伏に強い、これは合っています。昨年は高温でしたが、白未熟粒の発生が少ない、これも合っています。食味は個人差がありますのでよいと思いますが、欠点もあります。
コシヒカリ並みの収穫は得られませんでした。基肥は少な目、農薬散布にも制限されています。草ははびこってしまいました。米粒が小さ目だったのか、くず米の量が多いような気がします。
また、日本穀物検定協会の発表での食味ランクで県産3銘柄、コシヒカリ、てんたかく、てんこもりは特AにならずAになってしまった。しかし、他県のコシヒカリやつや姫、ひとめぼれなど、しっかりと特Aになっています。富富富は出品していない、不戦敗ととられかねないと思います。
栽培技術が確立していないなどからと県民や全国の米消費者にアピール、説明が必要と考えます。生産技術のさらなる改良が必要と考えるがどうでしょうか。また、今後、販路開拓や販売戦略にどのように取り組むのか、石井知事にお伺いいたします。
今年も魚津市長選挙、市議会議員選挙を皮切りに数々の選挙が行われます。富山県選挙管理委員会によると、富山県における投票率の推移は、県知事選挙において選挙期日平成8年10月20日告示選挙では、投票率63.16%とそこそこに投票率がありました。しかし、平成12年10月9日選挙では、投票率43.91%と50%を割り込み、平成28年10月23日選挙では、投票率35.34%と低迷しています。地方選挙から国政選挙まで、投票日はほとんど日曜日に行われています。日曜日が慣例となったのは、他の曜日に比べて投票率が高くなると考えられたことや、小中学校を投票所にしている地域も多く、日曜日でなければ使えないなどの事情もあったと見られます。
しかし、人口の少ない北海道寿都町では、町長選、町議選とも木曜日告示、火曜日投開票日です。理由は経費節減で、休日に実施すれば休日勤務手当や時間外手当がかかりますが、平日なら時間外勤務手当だけで済み、人件費を低く抑えられるからです。
また、山形県飯豊町でも1971年の町議選、1977年の町長選から投開票日を平日に設定しています。投開票所で作業する職員は約50人に上り、費用は日曜日と比べて半額程度の概算150万円で済むそうです。また、5日間という選挙期間に日曜日を挟むことで、候補者の訴えを吟味できるメリットもあるとのことです。
海外事情を見ますと、今まさに大統領予備選挙が行われているアメリカでは、慣例的にスーパーチューズデー、火曜日、英国は木曜日で、投票日にすることが多いようですが、日曜日を投票日にしているヨーロッパの国も少なくありません。隣国の韓国は、大統領選などが行われる国政選挙は、平日を休日にして行います。県内でも投開票を平日に設定することで、人件費などの経費節減につながると考えるがどうか、滝経営管理部長に伺います。
18歳以上若い世代への配慮について伺います。
現在は、期日前投票が利用しやすくなったので、有権者には便利になっているはずですが、投票率は全国的に低下傾向が続いています。日曜日は、若い世代にとって休息日だと認識しているのでは、そして、投票に行くのは義務ではあるが、仕事と捉えているのではないでしょうか。
我が国では、18歳選挙権が与えられています。高校生に選挙に関する出前講座だけでなく、授業の一環として期日前投票へ行ってもらい、それを単位、出席扱いにすることなども考えられます。若年層に対する期日前投票の利用啓発が、低迷している投票率を上げるには効果的ではないか、滝経営管理部長に伺います。
先日、教育警務委員会で県警航空隊施設及び県警ヘリコプター3台目つるぎを視察研修いたしました。県警ヘリコプターは、年間250回程度飛行実績があり、救助実績も70名近くに及んでいます。県境上空まで15分で行けるなど、山岳救助活動や大規模災害、危機管理には欠かせない重要な役目を果たしています。
また、4月からの新しい消防防災ヘリコプターの運航開始に向けて鋭意準備を進めていると知事から提案理由説明がありました。また、県警ヘリコプターの点検整備時期については、遭難多発時期を避け、防災ヘリコプターと同時に非稼働とならないよう調整していると説明を受けています。
アメリカプロバスケットボールの元スーパースター、コービー・ブライアントがヘリコプターの墜落事故でお亡くなりになりました。また、福島県警ヘリコプターは不時着し、重軽傷者が出ました。福島県警ヘリコプター事故はメインローターが機体の後部に接触した可能性が高いと明らかになった。防災ヘリコプターは新品ではあるが、県警ヘリコプターは福島県警ヘリコプターと同型機であることから、点検整備が最重要視しなければなりません。
そこで、点検整備は視察を行った格納庫だけにするのか、よそで行うのか、どのような点に留意して点検整備しているのか、大原警察本部長に伺います。
次に、周辺整備について伺います。
この県警航空隊施設は、昭和62年に不燃廃棄物埋立地に建設されたものではあるが、建物自体は支持層、丈夫な層までくい打ち工法で地震が発生しても危険性がないとされています。しかし、周辺駐車場などは地盤沈下が進む一方であります。有事の際、格納庫から出せない、離着陸できないなどがないように対策が必要ではないかと考えますが、大原警察本部長に伺います。
上空から(仮称)富山南警察署を視察させていただき、同警察署が9月竣工に向けて、整備状況、進捗状況を確認できました。地理的に同警察署周辺の地盤はしっかりしているだろうと推測されます。地震などの災害時でも、パトカーや救急車などの車両は行き来できると推測されます。ならば、県警航空隊施設周辺ヘリポートが利用できない場合に備えて、災害危機、有事の際に、(仮称)富山南警察署などに代替ヘリポートを確保しておく必要があると考えるが、大原警察本部長に伺います。
本日まさに、県立高校入試が行われています。15歳の子供たちにとって、新型コロナウイルスの影響もあり、大変な試練に立ち向かっています。桜咲く志望校合格を願うばかりです。2020年度全日制一般入試では、24校35学科で定員割れをしています。推薦入試においても、15校30学科コースで定員割れをしています。社会が望む高校の募集定員と子供達が希望している高校の募集定員とでは、かなり隔たりがあると考えられます。
そこで、中学校での進路指導や就職科への認知、広報、周知はどのように行っているのか、伍嶋教育長にお伺いします。
北海道の公立高校では、昨日入学試験が行われました。このたび、卒業式、高校入試に当たっては、苦渋の決断であり、最良の選択だったと信じて質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
54 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
55 ◯知事(石井隆一君)亀山議員の御質問にお答えをいたします。
まず、イノシシの個体数管理についてでございます。
イノシシによる令和元年度の農作物被害は、ことし1月末までの10カ月間で7,895万円と、既に昨年度の被害額を上回って過去最多となっておりまして、また昨年12月には、人身被害が発生する、3人負傷されたということでありまして、個体数の削減を図ることが急務だと考えております。
県では、これまでも、イノシシの積極的な捕獲に取り組んで、今年度の捕獲数は1月末で7,123頭と、前年同期の約1.5倍となっております。
なお、今年度実施した個体数調査では、今、議員が御指摘ありましたとおり、30年度末で約1万9,100頭と、29年度末から100頭余りの増加ですけれども、それだけの増加にとどまっているとも言えるわけで、今年度以上の捕獲ペースであれば、個体数は確実に減少するのではないかと考えております。
そのため、新年度におきましては、捕獲経費の上乗せ支援を継続する。これは1頭当たり今、国が7,000円、県が7,000円さらに上乗せしていまして、市町村によってちょっと濃淡がありますけれども、平均7,000円ぐらい出しておりまして、合計で1頭2万1,000円ということでございます。この体制を続けまして、さらに捕獲わなの増設、捕獲専門チームの配置の拡大、これもこの2年ほどで、2チームぐらいだったのを8チーム101名まで拡充いたしました。年間9,000頭を超える捕獲を目指したいと考えております。
加えて、ことし秋に策定します次期イノシシ管理計画では、令和5年度末に農作物被害がほぼ発生しないとされている水準の2,600頭程度にまで個体数を減少させたいと、これを目標にしたいと考えております。
捕獲強化のためには、御指摘のように狩猟者を増やすことも重要でございますから、資格、狩猟試験の回数増加、10年ほど前までは年に1回だったのが、今では年3回ということですし、また初心者向けガイダンスの実施によりまして、増加に努めております。これも年3回行っております。この結果、免許保持者は着実に増加いたしまして、令和元年度には1,380人と、平成18年度の約1.6倍となっておりまして、新年度におきましては捕獲専門チームの新たな養成研修を開始いたします。
今後も市町村や猟友会と連携して、担い手の確保、育成と捕獲の強化を図りまして、適正な個体数管理に努めてまいりたいと思っております。
次に、富富富についての御質問にお答えいたします。
富富富については、コシヒカリを上回る価格帯での流通販売を目指しまして、高品質で安全・安心な生産を徹底するために、栽培マニュアルの遵守や流通基準に基づく出荷、販売の徹底を図っております。
こうした取り組みや品種特性の発揮によりまして、令和元年度も記録的な猛暑の中で1等米比率91%を確保しております。これは御承知のとおり、コシヒカリは83.2%でございます。
また、一部地域では、これは亀山議員には釈迦に説法になるので恐縮でございますけれども、基肥の施用量が多くなったこと、これは御承知のとおり、田植え時に施用する肥料で、富富富ではコシヒカリの従来の地域慣行窒素施肥量の2割減を基本ですけれども、つい量が多くなったといったことが見られたとか、あるいは中干し作業が遅れましてもみ数が過剰となる、またその結果、登熟が低下して収量、品質に影響が及んだものと考えております。
収量は、御指摘のとおり、10アール当たり517キロでありまして、コシヒカリの543キロよりやや少なくなったということでございます。
このため、令和2年度に向けては、適正なもみ数への誘導に向けた中干しの早期開始や、基肥の適正施用など、改訂した栽培マニュアルの遵守の徹底を図ることにしておりまして、先般開始した富富富生産推進大会におきましても、その内容を説明して、生産者の皆さんからも力強いしっかりやろうという決意表明があったと伺っているわけでございます。
また、今後の販売戦略ですけれども、全農によりますと、現在の全農とやまから米卸業者の方への販売契約済み数量が、12月末現在では32%でしたが、ことし2月末現在では52%にまで進んでおりまして、このペースは年間を通して安定的な販売ができる状況だと、そういう認識だというふうに全農から伺っているわけでございます。
今後の販売戦略については、県内及び首都圏に加えて、やはり中京圏や関西圏でまだまだ知られていないという御意見が多うございましたので、テレビCMの放映をやるとか、また県内外での小売店、伊勢丹とかイオンとかイトーヨーカ堂、いなげや等々でありますけれども、そういったところでの試食宣伝活動の強化、延べ120回ぐらい予定をいたしております。令和元年度の2倍ぐらいやろうと。
また、継続的な購入者を対象とした優待キャンペーンですとか、また本県の記念日等に広く県民の皆さんに味わっていただくキャンペーンを実施する、さらには、県内小中学校等の給食での提供をことしは2週間行おうと、そういったことで県内外での認知度を高めまして、継続的な消費につながるように、農業団体と一体となってしっかり取り組んでまいります。
私の実感としては、例えば、料理の鉄人で著名な中村孝明さん、「石井知事、本当にこれうまいよ」と言ってもらって、中村孝明さんは、ちょっと差し障りがありますが、今までほかの県のある銘柄米で契約されていたのを全部やめて富富富にされたと伺っていますし、また、すし職人の方からよく聞くのは、炊き上がりが香りがよくて甘みがあってうまいというのは、これはある意味では、いいお米ならどこでもそうなんだけど、やっぱり富富富のいいのは、冷めてもおいしいというところだと、これは本当にすばらしいというふうに多くの方から言っていただけますので、いろいろ課題はありますけど、何とかしっかりそれを克服して、富山県を代表する新しいブランド米として育てていきたいと思いますので、ぜひ、議員におかれましても、御尽力、御協力よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
56 ◯議長(中川忠昭君)河村農林水産部長。
〔農林水産部長河村幹治君登壇〕
57 ◯農林水産部長(河村幹治君)イノシシ被害につきまして4点御答弁申し上げます。
最初に、捕獲したイノシシの処分についてお答えを申し上げます。
昨年7月に野生イノシシからCSF、豚熱が確認され、それ以降、県では予備費等を活用いたしまして捕獲強化を図りますとともに、感染確認区域での捕獲イノシシの埋設処分地の整備を支援してきたところでございます。
農作物への被害防止やCSF感染拡大防止の観点から、今後さらにイノシシの捕獲を強化することとしておりますが、それに伴いまして、捕獲したイノシシの処分方法も課題になってくると考えております。
捕獲頭数の増によりまして、埋設処分地の確保が困難になってくることや降雪期は埋設作業ができないこと、あるいは議員からお話がございましたように、既存のクリーンセンター等の焼却施設では、個体の寸法等の制約から受け入れができない場合があること、そういったようなことを考えますと、埋設以外の新たな処分方法についても検討が必要になってくるのではないかと認識をしておるところでございます。
こうした中、先般、富山地区広域圏事務組合において、焼却施設の設置に向けた予算が計上されたと伺っておりまして、大変有意義な取り組みであると考えております。
県といたしましても、イノシシの安全・確実で効率的な処分が可能となりますよう、施設整備に当たっての国予算の活用等について支援に努めますとともに、他県の先進事例におけますイノシシの適切な処分におきました取り扱い方法や運搬体制、運営コストなどの施設運営上の課題への対応状況等につきまして、関係市町村や関係団体とも連携をとりながら調査研究をしていきたいと考えております。
次に、捕獲したイノシシの有効活用策についてお答えを申し上げます。
本県における野生イノシシのジビエ利用につきましては、平成28年度の58頭から平成30年度には146頭へと、約3倍に増えておりますが、捕獲頭数の割合ということで見ますと、2.4%にとどまっておるところでございます。
県では、これまで、捕獲イノシシの有効活用と安全で良質な獣肉の流通を図りますため、獣肉の衛生管理及び品質確保に関するガイドラインを平成29年3月に策定をいたしまして、獣肉処理施設整備等を支援いたしますほか、レシピコンテストやジビエ料理講習会、ジビエフェアの開催、あるいはジビエ料理提供店を紹介いたしました冊子の作成等によりまして、消費拡大に努めてきておるところでございます。
こうした中、昨年7月に、野生イノシシからCSFが確認されまして以降、感染イノシシ発見地点を中心とした半径10キロメーター以内の感染確認区域内において捕獲されたイノシシは、感染の有無にかかわらずジビエ利用ができなくなり、現在は感染確認区域外にある黒部市内の獣肉処理施設のみが稼働しているところでございます。このため、県では、新年度におきまして、感染確認区域内で捕獲されたCSF陰性の野生イノシシを安全に利用できるよう、迅速で確実なCSF感染確認検査の手法を確立するための国の実証事業に参画することといたしております。
なお、議員から御紹介のありました野生イノシシの非食用部を原料といたしました肥料化につきましては、加熱等の処理費用がかさみますことでありますとか、販売先の確保がなかなか難しいということなどの課題がありますことから、県といたしましては、当面、ジビエ利用を主な活用策として、安全で良質なとやまジビエの安定供給と消費拡大に努めてまいりたいと考えております。
次に、CSFの感染防止対策についての御質問にお答えをいたします。
CSFにつきましては、主要豚へのワクチン接種が昨年10月から本県や隣県の岐阜県、石川県、長野県、新潟県を含みます20の都府県で行われており、本州では12月17日以降、養豚農場での発生はないところでございます。
しかし、沖縄県で1月8日以降6件発生しており、いまだ終息のめどが立っておらず、また、CSFと同様に豚やイノシシに感染するASF、アフリカ豚熱の国内への侵入リスクが高まっており、今後とも、これら家畜伝染病の発生防止に万全を期す必要があると考えております。
このため、引き続き、養豚農場に対しましては、国が定めます飼養衛生管理基準に基づきます野生動物の侵入防止対策や人、車両の消毒徹底などの指導を行いますとともに、新たに生まれてくる子豚等を対象としたCSFワクチンの継続接種を行うことといたしております。
また、野生イノシシにつきましては、捕獲活動費の県単上乗せによる捕獲の強化やCSFやASFのウイルス検査、経口ワクチンの散布等を行うことといたしております。特に経口ワクチンにつきましては、これまで県内9の市、町で9,600個を散布しており、来年度も国の経口ワクチン散布計画に従いまして、隣県の岐阜県や石川県、新潟県などとともに、春からの散布に向けまして関係機関と散布時期や箇所などの調整を行っているところでございます。
今後とも気を緩めることなく、CSF等の養豚農場での発生防止に向け、積極的にかつしっかりと取り組んでまいります。
最後に、農業用施設のイノシシ被害についてお答えを申し上げます。
イノシシによる被害は農作物被害に加え、近年、農道や用排水路、畦畔の掘り起こしによる被害が、小規模ではありますが数多く発生をいたしております。
このうち、公共性の高い農道や用排水路の被害につきましては、小規模でありましても近隣の箇所をまとめて復旧費用が一定規模以上となり、市町村や土地改良区等が事業主体となる場合は、県単独の農業農村整備事業による復旧が可能であります。
また、一定規模を満たさない場合や畦畔の復旧被害につきましては、中山間地域等直接支払や多面的機能支払を活用した共同活動等により、集落ぐるみで復旧や被害防止に取り組んでいただいているところでございます。
こうした中にありましても、毎年繰り返される被害に対しましては、農業者への復旧作業や費用への負担感が大きく、営農意欲の減退に結びつきかねないという声もありますことから、県では、新年度に、市、町や農家等の集落関係者の協力もいただきながら農業用施設や畦畔の被害の実態を調査し、被害防止の対策と被害の復旧に向けた対応の進め方等の検討を行うこととしております。
また、国におきましても、野生鳥獣による被害については、現場の負担感など金額以外の被害の実態調査を実施する考えが示されたとの報道もあり、こうした国の動向も踏まえつつ、市、町や関係団体と連携いたしまして、用排水路ののり面や畦畔等も含め、被害状況のより詳細な把握に努めるとともに、被害防止対策を一層強化して推進してまいります。
以上でございます。
58 ◯議長(中川忠昭君)滝 経営管理部長。
〔経営管理部長滝 陽介君登壇〕
59 ◯経営管理部長(滝 陽介君)まず、平日の投開票に関する御質問にお答えをいたします。
公職選挙法上は、国会議員の補欠選挙と一部の再選挙につきましては、4月または10月の第4日曜日に行うと明文で規定をされておりますけれども、その他の地方団体の議会議員、または長の選挙につきましては、一定期日前までに告示することのみが求められておりまして、曜日についての特段の制約はございません。
その上で、平日を選挙期日、投票日として告示をし、平日投票を実施している全国の自治体は、総務省の調査によりますと、平成27年から30年までの4年間で、御指摘がございました北海道の寿都町や山形県の飯豊町など、6つの町で町長選、町議選合わせて9件ございます。
これらの平日投票を実施しております町にその理由をお聞きいたしましたところ、いずれの団体からも、今ほど議員からも御紹介がありましたとおり、休日超過勤務手当等の経費の節減を理由に挙げられておられます。また、町全体としてコンセンサスが十分に得られ、平日投票が町民の方々に受け入れられておりますことや、また、町の基幹産業が、例えば酪農などの曜日を問わずに仕事がある農林水産業で、平日投票でも投票率に与える影響が比較的小さいという団体もございました。
投票日につきましては、各自治体の選挙管理委員会において決定するものでございますが、その際には、投票される方の便宜は考慮すべき重要な要素でありますことから、まずは住民の方々の意向を十分に踏まえていただく必要があると考えております。
また、市町村の規模によりましては、平日に通常の業務を行いながら投票所の事務の従事者を確保することや、例えば、平日の授業を行っております小中学校の体育館などの投票所の確保が難しいといったような事情も考えられるところでございます。
平日投票の実施に当たりましては、経費節減などの長所に加えまして、投票される方の便宜や投票率への影響、実務面での課題なども含めて、各自治体の個々の実情を十分に踏まえて、各選挙管理委員会で慎重に検討されることが必要であると考えておりまして、県といたしましても、各市町村選管からの相談に応じて、今後とも適切に助言をしてまいりたいと考えております。
続きまして、期日前投票に関する御質問にお答えをいたします。
期日前投票は、昨年の参議院議員通常選挙におきますと、県内で投票した方の3分の1が利用されておられますなど、相当程度の浸透が図られております。職種やライフスタイルが多様化する中で、この制度の活用は投票率向上の一助になると考えております。
若年層に対します期日前投票の周知につきましては、総務省が文部科学省と共同で作成をいたしました主権者教育の副教材を平成28年度以降、毎年全国の高等学校等に配布をしております。その中では、授業、部活動だけではなく、例えばレジャー等に出かける場合でも期日前投票はできることが説明をされております。
また、各学校では、公民科やホームルーム等の時間に副教材を活用して指導しておりますほか、県の選挙管理委員会と連携をして実施いたします選挙に関する出前授業におきましても、この期日前投票制度の紹介をしております。
御提案がございました各学校等の授業の一環として、期日前投票の機会を確保するということは、選挙権を備えております満18歳以上の生徒が一部に限られている上に、そもそも選挙権はみずからの判断で行使すべきものであり、教育内容としては必ずしもそぐわないのではないかという考え方も一方でございます。そのため各校では、選挙期日と期日前投票期間中に生徒が投票する時間を確実に確保できますように、学校行事や部活動などの時間を調整するなどの配慮措置を講じているというふうに承知をしております。
一方で、選挙啓発の観点からは、例えば、県の選挙管理委員会で期日前投票をPRする啓発物品やチラシを作成し、各教育委員会等の御協力もいただきながら、高校生に配布すること等も若年層に対します効果的な取り組みの一環として考えられますことから、今後とも教育委員会を初め関係機関と連携をし、若年層を初めとする投票率の向上に向けた取り組みに鋭意努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
60 ◯議長(中川忠昭君)大原警察本部長。
〔警察本部長大原光博君登壇〕
61 ◯警察本部長(大原光博君)まず、県警ヘリの点検整備についての御質問にお答えします。
県警察では、県警ヘリつるぎの安全運航のため、警察庁の指針のもと、毎年、航空業務計画を作成した上で機体の点検整備を行っております。具体的には、航空隊敷地内で実施する飛行前後の日常点検や、飛行50時間ごとの定期点検に加え、年に1度、民間業者へ委託しての耐空検査を確実に実施しているほか、整備に従事する職員には、各種整備講習を受講させることにより、最新の整備技術の習得に努めているところであります。
また、各種点検の際、ふぐあいや機器の故障が発見されて、県警ヘリが運用できない場合には、隣接県警察または本県航空センターに対し、速やかに応援要請を求めることができるよう、平素から連携体制を構築しているところであります。
今後とも、適切な点検整備を確実に実施し、県警ヘリの安全運航に遺漏のないよう努めてまいります。
次に、県警航空隊施設の地盤沈下についての御質問にお答えします。
県警航空隊施設は、議員御指摘のとおり、不燃廃棄物埋立地に建設されていますが、建物自体は、約11メートルの区域層によって支持されているため頑丈なものであると考えております。
しかしながら、これまで地盤沈下が影響したと考えられるふぐあい箇所が見られたことから、その都度必要な改修を行っており、最近では、平成28年10月に実施した空洞調査の結果、地中に空洞が確認されたことから、翌29年9月から11月にかけて、液状のウレタン樹脂を充填したところであります。
現在のところ、有事の際に格納庫から出せない、離発着できないといった事態は生じておりませんが、県警航空隊施設はヘリコプターを活用した警察活動の重要拠点でありますので、今後も地盤沈下の状況を継続的に確認するとともに、関係機関とも緊密に連携しながら適切に対処してまいりたいと考えております。
最後に、県警ヘリの代替ヘリポートについての御質問にお答えします。
地震や洪水などの大規模災害の発生時には、ヘリの機動力を発揮した対応がより一層必要とされることから、有事に備えた駐機場所の代替施設を確保しておく必要があるのは、議員御指摘のとおりであります。
県警ヘリつるぎは、通常、富山空港に併設された警察航空隊敷地に駐機しておりますが、大規模災害等で同所が利用できなくなった場合には、小松空港など近隣の燃料補給が可能である空港や、県内に37カ所ある離着陸可能なヘリポートの中から選定し、同所に駐機することとなります。
また、本年9月末に竣工を目指して工事を進めている(仮称)富山南警察署においてもヘリポートが設置される予定となっており、開署後は同署でも駐機が可能となる予定であります。
県警察といたしましては、万が一の大規模災害発生時においてもヘリを有効に活用できるよう、引き続き必要な体制を維持、構築してまいります。
以上です。
62 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。
〔教育長伍嶋二美男君登壇〕
63 ◯教育長(伍嶋二美男君)県立高校の入学試験等に関する御質問にお答えをいたします。
県立高校の募集定員につきましては、毎年、公立と私立の比率や普通系と職業系の比率、また、地域別の中学校卒業予定者の動向や各高校の入学志願者数の推移、地域バランスなどを踏まえまして総合的に判断して設定をしております。
中学校での進路指導については、生徒が将来への目的意識を持ち、自分の意思で進路を選択できますよう、3年間の教育活動全体を通じて段階的に実施をしております。
具体的に申し上げますと、1、2年生では、地域で働く方々による講演会や、社会に学ぶ14歳の挑戦などの職業体験、さらにはものづくり企業の見学やものづくりに関する講義のほか、高校調べを通して職業科等の学科の特徴についても学んでおります。また、3年生では、高校の体験入学を行うことによりまして、自分の能力や適性に合った進路を考え、選択できる環境を整えております。
定員割れの要因については、学科別の選考度合いが異なるというよりも、むしろこうした進路指導によりまして、生徒が入ることができる学校ではなく、自分が行きたいと思う学校を選ぶ傾向に切りかわってきたことや、私立高校への専願も増加するなど、中学生の進路選択が多様化していることなども影響しているのではないかと考えております。
今後とも、学校訪問研修などにおきまして、生徒が将来の夢や職業を思い描きながら主体的に進路選択ができますよう、適切な進路指導やキャリア教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
64 ◯議長(中川忠昭君)以上で亀山彰君の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
次に、お諮りいたします。
議案調査のため、明3月6日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
65 ◯議長(中川忠昭君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は3月9日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時01分散会
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