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  1. 富山県議会 2019-09-01
    令和元年9月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時00分開議 ◯議長(中川忠昭君)おはようございます。ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(中川忠昭君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第91号から議案第119号まで及び報告第14号から報告第19号までを議題といたします。  これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  井上学君。    〔18番井上 学君登壇〕 3 ◯18番(井上 学君)皆さん、おはようございます。本日のトップバッターを務めさせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。  まず初めに、台風15号の被害で、本当に大きな被害を受けられました千葉県の皆様に心からお見舞いを申し上げます。いまだに、きょうの新聞によると、3万7,600軒以上の停電が続いているということで、一日も早い復旧を願うものであります。こうした災害のニュースに接するたびに、普通の生活が普通にできることに、我々は本当に感謝しなければいけないんだなということを再認識させられるわけであります。  本日は、災害関連の質問も含めて、大きく3つの項目で3分割で質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。それでは、質問に入らせていただきます。  最初の項目は、安全・安心なまちづくりについてであります。  昨年は大変災害の多い年でありました。2月の豪雪、7月の西日本豪雨、9月の台風21号被害、北海道の胆振東部地震、さらには大阪北部でも災害がありました。  昨年1年間だけでなく、振り返ってみますと、平成の時代は大変災害の多い年であったと思います。自然災害が頻発し、そして激甚化して、甚大な被害が全国各地にもたらされました。  これらの教訓を踏まえて、国では、特に緊急に実施すべき対策として、いわゆる防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を決定し、国土強靱化基本計画を改定されました。  県では、こうした国の基本計画の改定を踏まえて、公共事業、主要県単事業をあわせて、昨年度の2月補正や今年度の当初予算でも、公共事業予算を大幅に拡充するとともに、平成28年3月に策定されました富山県国土強靱化地域計画を今年度、見直すこととされたと承知します。  そこで、今回の地域計画見直しに当たり、今後の県土強靱化について、どのような観点に重点を置いて取り組んでいかれるのか、今後の見通しとあわせ、石井知事にお伺いをいたします。  次に、道路施設における防災拠点化についてお伺いをいたします。  大きな地震、あるいは大災害が発生した場合、道路利用者の避難場所や情報の入手先として、道路施設、例えば、一般道路においては道の駅があり、高速道路にはサービスエリアパーキングエリアがあります。これらの施設の防災拠点化を図ることが大事であると考えます。
     国土交通省では、2014年から重点「道の駅」制度を導入され、地域振興に加え、高い防災機能がある道の駅に対し、重点的に社会資本整備総合交付金を配分されています。道の駅の防災機能に注目が集まったのは中越地震や東日本大震災などで、広い駐車場を有し、幹線道路に面していることから、救援物資を集めやすく、水や食料、トイレを提供する拠点として大いに機能したわけであります。熊本地震では、震源地に近い道の駅がマイカー避難者のよりどころとなったことも記憶に新しいところであります。  また、高速道路におけるパーキングエリアサービスエリア等の休憩施設は、大規模な地震など、広域災害が発生した場合には、自衛隊や消防、警察、医療機関などの緊急出動機関のいわゆる前線基地として、被災地への支援拠点としての役割があると考えます。  そこで、道の駅や高速道路の休憩施設の防災拠点化について、その意義をどのように認識していらっしゃるのか、また、県や市町村が定める地域防災計画への位置づけや整備の進捗状況について、土木部長にお伺いをいたします。  現在、県内の道の駅は、県西部には12カ所あるものの、県東部には宇奈月、滑川、細入の3カ所しかありません。防災拠点としての役割ももちろんですが、地域の特産物や観光資源を生かして、人を集め、雇用を生むなど、道の駅は地域経済の活性化にも貢献する施設として進化してきました。地域振興や文化発信の拠点として、さらなる設置を期待する声を聞きますが、今後の道の駅の整備についてどのように考えておられるのか、土木部長にお伺いをします。  次に、富山市内警察署の再編についてお伺いします。  平成25年に策定されました富山市内警察署再編計画では、新幹線開業等による社会情勢の変化に伴う治安対策の強化、初動対応力、夜間警備力の強化等を目的として、市内4警察署を3署体制とし、平成29年3月に富山中央署が整備され、また、(仮称)富山南警察署は、本年7月末に安全祈願祭と起工式がとり行われ、新築工事が始まっています。再編計画の最終章として、この富山南警察署の整備が着実に進むことを期待するところですが、これによって富山市内警察署の再編が完結し、南警察署の完成から、管轄区城を見直し、新たな3警察署体制でスタートするまで、今後どのような工程を予定されているのか、警察本部長にお伺いします。  また、富山南警察署は再編後、現状よりも大幅に人員が増員されると聞いていますが、管轄区域も広がることから、災害や事件、事故等が発生した際の初動対応に支障を来さないようにすべきと考えます。このため、突発事件等が発生した際に、直ちに招集に応じ、捜査活動等に従事できるよう、警察署の近接地に署員の待機宿舎の整備がぜひ必要ではないかと考えますが、警察本部長の御所見をお伺いして、最初の項目の質問を終わります。 4 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 5 ◯知事(石井隆一君)井上議員の御質問にお答えをいたします。  県土の強靱化の取り組みについてであります。  昨年もお話のように、全国各地で災害が頻発しましたことから、国では昨年12月に、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を盛り込みまして、国土強靱化基本計画を改定されました。3カ年でおおむね7兆円程度の規模ということになっております。  県といたしましては、国の基本計画の改定を踏まえまして、国の3か年緊急対策による交付金などを積極的に活用しまして、平成30年度2月補正予算と今年度当初予算を合わせました14カ月予算で、公共・主要県単独事業全体で、前年度を14.6%上回る1,036億円を確保いたしまして、さらに、今議会で提案しております9月補正予算案におきましては、公共事業費として約65億円、主要県単独事業では、災害未然防止緊急特別対策事業など、地方創生関連でありますが38億円を計上いたしますなど、社会資本整備関係の予算を大幅に拡充いたしております。  また、今年度に予定しております県の国土強靱化地域計画の改定に当たりましては、国の基本計画の改定内容を踏まえまして、神通川とか黒部川、庄川、小矢部川等の河川改修ですとか、立山砂防などの大規模土砂災害対策、また東海北陸自動車道、国道8号、また、道路のり面対策、それからまた、富山高山連絡道路等々、災害に強い道路の整備ですとか、これまでの本県の施策の進捗状況を考慮しますとともに、災害時には代替輸送ルートとして機能します北陸新幹線の整備促進、また東海北陸自動車道の暫定2車線区間の4車線化、それから災害の未然防止や軽減のための取り組み、さらには集中的な大雪時における道路、鉄道等の交通の確保についても盛り込みたいと考えております。その際には、道路管理者等の間の連携とか、待避場などのスポット対策も盛り込む予定としております。  県といたしましては、富山県国土強靱化地域計画を改定いたしますとともに、その際には県の国土強靱化地域計画有識者会議の御意見も伺った上で改定しますとともに、引き続き必要な予算確保に努めまして、災害に強く、日本一安全・安心な県の実現に向けて、やっぱり災害が起こってから復旧工事にお金を使うよりも、起こらないようにお金を使うのが一番ベストだと思いますので、しっかりと取り組んでまいります。 6 ◯議長(中川忠昭君)水口土木部長。    〔土木部長水口 功君登壇〕 7 ◯土木部長(水口 功君)まず、道の駅等の防災拠点化についての御質問にお答えをいたします。  道の駅は国道や県道など一般道に隣接し、駐車場、トイレなど、24時間自由に利用できる休憩機能や道路交通、緊急医療などの情報を提供する機能を有しておりますことから、災害時には避難場所や復旧支援活動の拠点としての活用が期待できます。また、高速道路の休憩施設は、災害時の広域支援の観点から、支援物資や応援部隊等の中継基地となる機能を有しております。これらの施設は実際に、新潟県中越地震、東日本大震災などで、一時避難場所や緊急車両及び支援物資の中継基地など防災拠点として活用されたところであり、大地震や大災害発生時には大変重要な役割を担うものと認識しております。  県内には現在15カ所の道の駅と10カ所のパーキングエリアサービスエリアがございます。地域防災計画への位置づけにつきましては、県計画への位置づけはございませんけれども、市町村計画に道の駅が9カ所位置づけられております。高速道路のパーキングエリアサービスエリアで位置づけられている施設はございません。  次に、整備につきましては、まず道の駅では、いずれも市町村の地域防災計画に位置づけられておりますものの中で、国道8号沿いの道の駅、メルヘンおやべなど、国管理の道路に隣接する3カ所では、国において、飲料水の備蓄やトイレの非常用電源の整備が行われており、県管理道路では、国道156号上平や国道304号福光におきまして、3か年緊急対策を活用し、停電対策として道路照明やトイレの非常用電源の整備を進めております。また、県内3カ所の高速道路のサービスエリアでも、中日本高速道路株式会社において、飲料水の備蓄や非常用電源の整備が行われております。  道の駅や高速道路の休憩施設は、広域的な防災拠点として大変重要と考えておりまして、地域防災計画の策定主体である市町村に対し、防災機能強化についての先進的な国等の取り組みを周知するとともに、道路管理者として必要な整備についてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  次に、道の駅の整備についての御質問にお答えをいたします。  道の駅には、休憩、情報発信の機能のほか、議員御指摘のとおり、地域振興や文化発信の拠点となり、地域の活性化や地域の連携を推進するといった機能がございます。  本県におきましては、平成5年度の細入ほか4カ所の登録を皮切りに、順次整備が進められ、昨年度、高岡市が設置をいたしました道の駅雨晴までで15カ所が整備されており、内訳は呉東で3カ所、呉西で12カ所となっております。  また、現在、黒部市におきまして、国道8号の入善黒部バイパスの黒部市堀切交差点付近において、農産物と海産物を活用した6次産業化の拠点として、地方の特色を生かした重点道の駅(仮称)くろべの整備が国と黒部市により進められております。  道の駅の設置者は、市町村またはそれにかわり得る公的な団体とされておりまして、道の駅のさらなる整備につきましては、地域振興や防災拠点の観点から、まずは各市町村において検討いただきたいと考えております。  県といたしましては、市町村に対し、道の駅の新たな機能や果たすべき役割などの情報提供に努めますとともに、道の駅の設置を希望する市町村から相談があれば、必要な助言を行うなど協力をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 8 ◯議長(中川忠昭君)大原警察本部長。    〔警察本部長大原光博君登壇〕 9 ◯警察本部長(大原光博君)まず、富山市内が新たな3警察署体制となるまでの工程についての御質問にお答えします。  富山市内警察署再編計画は、管轄区域を見直し、富山市内の4警察署を中規模警察署以上の3署体制とすることにより、治安情勢に一層迅速かつ的確に対応できる体制を構築し、初動対応力や夜間、休日における当直体制の充実強化を図ることを目的としております。  同計画に基づき、地域の安全・安心及び災害拠点施設となる警察署の計画的な整備を進めており、平成29年春には、富山中央警察署が竣工、運用開始したのに引き続き、(仮称)富山南警察署についても本年7月に竣工式を終え、令和2年9月末の竣工を目指して工事を進めております。  (仮称)富山南警察署の完成を見据え、現在、富山市全体の治安情勢の変化を見きわめつつ、新たな3警察署の人員配置などについて詳細な検討を進めており、(仮称)富山南警察署新庁舎完成後、同署の運用も含め、新たな3警察署体制を可能な限り速やかにスタートするべく万全の準備を進めてまいりたいと考えております。  次に、(仮称)富山南警察署の待機宿舎の整備についての御質問にお答えします。  富山市内警察署再編後の(仮称)富山南警察署につきましては、議員御指摘のとおり、管轄区域が拡大し、管内人口も大幅に増加することに伴い、配置人員も現状の約2.5倍の150人規模を予定しております。そこで、災害や事件事故など発生時における初動対応に万全を期するため、既存の宿舎に加え、警察署新庁舎に近接する県有地に警察官待機宿舎を新たに整備することとしております。  今回の整備に当たっては、民間資金を活用した事業手法、具体的には、民間事業者に事業用地を貸し付け、事業者みずからの資金で設計、建設、維持管理をし、家賃収入で本宿舎に係る費用全てを賄う独立採算型のスキームを採用することとしております。本手法を用いることにより、県の財政負担の削減や、整備に要する期間の短縮などの効果が見込まれるところであります。  県警察といたしましては、(仮称)富山南警察署の整備に当たり、待機宿舎の整備も含め、初動対応力や夜間警備力の強化にも十分留意しながら、富山市内警察署再編の実行を期してまいる所存です。 10 ◯議長(中川忠昭君)井上学君。    〔18番井上 学君登壇〕 11 ◯18番(井上 学君)2項目めは、中山間地域の振興についてであります。  富山県全体の人口がどんどん減少していく中において、中山間地域の人口減少は県全体をはるかに超えるスピードで進むことが予想されています。  また、昨年、県が実施した中山間地域における集落の生活状況等に関する実態調査において、集落は衰退していくと感じている人が中山間地域では90%を超えていました。中山間地域は、地理的、生産的条件に加え、経済的条件が不利で住みにくいところと言われていますが、水源の涵養、洪水や土砂流出の防止など、県民の安全・安心にかかわる役割だけではなく、伝統文化の継承や豊かな自然に恵まれ、そこに住む人々の人情の厚さも相まって、都市部では体験できない魅力があると評価されるようになってきています。  過疎地域など中山間地域の振興は、古くて新しい行政の重要課題であり、過疎対策法は昭和45年の施行以来5回の延長を重ねてきていますが、それでも過疎化に歯止めがかからないということは、過疎地域、中山間地域の振興がいかに難しい間題であるのかを物語っています。  今後、地方創生をさらに加速化させるためには、条件不利地域である中山間地域の振興が引き続き重要であり、そこに生活する住民が誇りと自信を持てるように、県として最大限の支援が必要であると考えますが、石井知事の御所見をお伺いします。  次に、鳥獣被害対策について伺います。  平成30年度の本県における野生鳥獣による農作物への被害金額は6,634万円に上っています。平成29年度が9,473万円であり、減少傾向にはあるものの依然として甚大な被害であり、農業者にとっては経営的な被害のみならず生産意欲の減退など深刻な問題となっています。これまでも、地域住民の皆さんは侵入防止柵を設置したり、わなを設置したり、みずから捕獲するために狩猟免許を取得するなど、被害防止対策に取り組んでこられました。しかし、防止柵やわな等を効果的に設置するためにはさらなる技術向上が必要であり、専門的な知識を持った方による的確な助言が不可欠であると考えます。  他県においては、科学的、計画的な野生動物の保護管理や被害対策に取り組むため調査研究、情報発信を行う研究センターを設置し、総合的な対策を進めている事例があると聞いています。本県においても、今後こうしたワンストップ的な研究センターのような指導窓口を整備していくことが求められていると痛感しています。  その整備に向けての第一歩として、地域住民がいつでも相談でき、効果的な対策を講じることができるよう、野生鳥獣の生態を把握し、効果的な捕獲方法や防護対策などを指導できる体制の強化を図ることが必要であると考えますが、石井知事の御所見をお伺いします。  次に、イノシシ管理計画についてお伺いします。  中山間地域においては、丹精込めて栽培した農作物が収穫を目前にして無残にも食い荒らされ、収入も失われ、営農を継続する気力も体力も失われてしまっており、被害額として数字にあらわれる以上に深刻な影響を与えています。  地域の方々からは、とにかく捕獲を積極的に進めてほしい、今のうちに対策をとらないと将来ここに住めなくなってしまうとの悲痛な声を多くお伺いします。自然界に生息する鳥獣を管理することは容易なことではありませんが、県当局には予算と人員を確保していただき、先手の対策をお願いしたいと思います。  県では、富山県イノシシ管理計画を策定し、平成29年度から取り組んでおられます。計画では、令和3年度末の個体数を平成27年度末の推定個体数4,872頭以下に抑えるとしています。本年度はその中間年に当たりますが、これまでの取り組み状況と計画目標に対する進捗、また今後の取り組みについて生活環境文化部長にお伺いをいたします。  次に、鳥獣管理の担い手であるハンターの育成確保対策についてお伺いをいたします。  富山県猟友会の会員数は、ピーク時の3分の1程度にまで減少し、そして高齢化も進んでいるとお聞きします。今後5年、10年と経過するうちにハンターが急激に減ることも想定されます。県では、さまざまな狩猟免許を取りやすい環境を整えていただいていることは高く評価するものですが、狩猟免許試験に合格しても、銃を購入し、所持するための手続や、毎年必要となる狩猟者登録、狩猟の実地体験など、狩猟の実践に至るまでには幾つかのハードルがあることも事実であります。せっかく狩猟に関心を持った方が、途中のプロセスで戸惑い、挫折しないように、猟友会と連携して諸手続の助言を行ったり、初心者向けに狩猟方法の実地指導をしたりなど、狩猟免許を取得した人をフォローする踏み込んだ取り組みが必要ではないかと考えます。  富山県猟友会の会員数の推移と年齢構成の変化についてお伺いするとともに、狩猟の担い手確保に向けたさらなる対策について生活環境文化部長にお伺いをいたします。  次に、中山間地域の商業機能の維持について伺います。  中山間地域においては、少子化、高齢化、人口減少による購買力の低下を背景として、店舗廃業など商業機能の縮小が進んでいます。厳しい経営環境は、後継者の問題にも暗雲を投げかけています。  県においても、中山間地域の商業機能の維持向上を目指し、事業承継支援買い物弱者サービスの初期費用を支援する事業等を実施されていると承知します。地域経済活性化のためには、引き続きの支援が必要だと思われますが、とりわけ高齢化が先行する中山間地域における商業機能の維持は、地域生活者の生活支援機能として重要であります。  しかしながら、中山間地域における商店の維持や買い物支援事業は、採算性がネックとなり難航しているのが現状であります。この課題は本来、採算性だけで論ずるべきではなく、中山間地域の地域維持のための必要機能として、各方面の英知を集め、その仕組みを考えるべきだと思います。地域の自治会、商工会、社会福祉協議会、行政機関、商業者、専門家、宅配事業者、利用者などが知恵を出し合い検討すべき課題であります。県庁内関係部局の共管事業として支援していくことが必要であると考えますが、総合政策局長の御所見をお伺いして、2項目めの質問を終わります。 12 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 13 ◯知事(石井隆一君)まず、中山間地域対策についてお答えをいたします。  議員の御指摘のとおり、過疎地域等を含む中山間地域は県土の保全や水源の涵養、自然と触れ合う機会の提供など、さまざまな公益的機能を有している一方で、人口減少に伴って集落が空洞化しまして、総合的な対策が必要となっております。  そこで、この3月に、中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例、これは議員提案で議決いただいたということもございます。この4月に、総合政策局に地域振興・中山間対策室を新設いたしまして、部局横断的な推進体制を強化しますとともに、現在、有識者などによる検討会を設置いたしまして、中山間地域の総合的な戦略の検討を進めております。  この検討会では、第1に地域のコミュニティーの再生、人口の安定及び地域の保全、また第2に地域経済の活性化促進、若者等の所得の増大、第3に生活に必要不可欠なサービスの確保、この3つの観点から検討を進めることといたしまして、今後5年間の計画期間中の重点施策といたしまして、地域サポート人材の育成などの住民主体の地域づくり、また里山林の整備促進とか、農村環境の保全といった安全で環境に優しい地域の形成、また、移住や応援人口の拡大等の新たな人の流れの創出、また、農作物の高付加価値化とかコミュニティビジネスの振興など地域の特性を生かした事業の振興、また、ドローンとかICT等を活用いたしました鳥獣被害対策とかスマート農林業の推進など、先端技術等による産業振興と生活の確保とすること等の戦略の策定方針につきまして、おおむね御了解いただいたところであります。  また、戦略の策定に先駆けまして、県としましては、今年度から新たな支援策として、集落支援を行う地域コンシェルジュの配置、こうした分野に見識のある方を1人、週5日勤務で、そのうち3日間は中山間地の現地に入って、いろんなお話を聞いて、実情も調べて、そして本庁に戻って対応策を考えるというやり方をしておりますし、また、地域課題の解決に向けて、住民の皆さんのお話し合いとかワークショップに専門家の派遣等を行うような支援を行いまして、県職員なんかも参加しております。  また、地域資源を活用した新たな特産物の支援や発掘、さらには、例えば、持続可能な地域交通網形成のための実証運行、デマンドタクシーですとか、市営バスの実証運行などを支援するとかいったことの取り組みも開始いたしております。  なお、現行の過疎地域自立促進特別措置法が令和3年の3月末で法律の期限を迎えますので、引き続き過疎地域の振興が図られますように、新たな過疎対策法の制定を国に働きかけております。昨年度に引き続いて今年度も、私自身も中山間地域に出向きまして、地域の方々から直接御意見をお伺いしているところでありまして、魚津の片貝地区とか富山市の婦中地区とか、今後も予定をいたしておりますけれども、今後とも地域の皆さんの御意見、声をよくお伺いしながら、市町村や関係団体と連携いたしまして、やはり地域の人口が減少していく中で施策を効果的に実施するということで、なかなか難しい課題もございますけれども、住民の皆さんが地域に誇りと自信を持てるように総合的な中山間地域対策に積極的に取り組んでまいります。  次に、鳥獣被害対策についてお答えをいたします。  野生鳥獣による被害の防止や軽減を図るために、鳥獣それぞれの生育状況、生態等に応じた施策が重要でありますので、鳥獣保護管理事業計画に基づいて、生態把握や侵入防止、捕獲、担い手の育成などを総合的に進めております。  特に、イノシシとかニホンザル、ツキノワグマなどは、生活環境や農林水産業などに被害を及ぼしますので、これらの鳥獣の捕獲は、こうした被害の詳細を把握している市町村が主体となって、地域住民等を実施隊として任命する。例えば、猟友会員等を中心に地域の方々を鳥獣被害対策実施隊として市町村で任命されて、捕獲を実施されているわけであります。  こうした市町村や地域の住民の方々、猟友会の皆様方などの捕獲活動を支援しますために、県としましては、調査研究、指導助言の拠点として、自然博物園ねいの里に4名の専門職員を配置いたしておりますし、そこで野生鳥獣の継続的な生態調査とか、また研修会の実施ですとか、それから被害防止対策の現地の指導、例えば、ツキノワグマ、イノシシなどが市街地に出没した場合にどう捕獲をするかといったようなことを現地で指導したり、また、県民の皆様への普及啓発等を実施いたしております。また、捕獲現場条件に即した指導助言を行いますために、県の自然保護課に野生鳥獣の生態に詳しく、狩猟について専門的な知識を有する嘱託職員を配置しております。  さらに、平成30年度から実施しているイノシシ被害防止研修におきましては、国などからも専門家を招きまして、捕獲わなの効果的な配置とか、侵入防止柵の設置についても指導助言をいただいております。  豚コレラ対策が、今、喫緊の課題となっております。今ほどワンストップ窓口を設けてはどうかというお話もありましたけれども、まずは今申し上げました体制で、ねいの里に4名の専門職員、県の自然保護課に1名置いて、また地域住民の御相談にも対応し、また、県と市町村に鳥獣担当窓口を設けておりまして、野生鳥獣が出没した際には、夜間も含めた連絡体制も整えておりますので、まずは今申し上げた体制で、捕獲活動の各段階に即した支援をしっかりと効果的に、重点的に行うことが重要だと思っております。  今後も、市町村や警察、猟友会、ねいの里等の関係機関で構成いたします野生動物被害防止対策会議によって、密接な連携を図りながら、鳥獣被害の防止や軽減に努めてまいります。  以上です。 14 ◯議長(中川忠昭君)須河生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長須河弘美君登壇〕 15 ◯生活環境文化部長(須河弘美君)私からは、引き続き鳥獣被害対策に関する2問にお答えをいたします。  まず、イノシシ管理計画についてお答えをいたします。  平成29年4月から5年間を計画期間といたします第2期イノシシ管理計画では、平成27年度に実施した個体数調査を踏まえ、令和3年度末には、平成27年度末の推定個体数である4,872頭以下に抑えるということを管理の目標とし、また毎年度の捕獲頭数につきましては、前年度までの最大捕獲頭数以上を目標としまして捕獲に取り組んでまいりました。この結果、平成27年度の捕獲頭数は2,591頭のところ、28年度には4,360頭と大きく増加し、30年度には5,959頭と、毎年度、前年度の捕獲頭数を上回る捕獲実績となっております。  しかしながら、捕獲数や目撃数が増加を続けていたことから、平成30年度に再調査を行ったところ、平成29年度末の推定個体数は約1万9,000頭となることがわかりました。このため、今般の豚コレラ対策にあわせて、さらなる捕獲強化を図る必要もあることから、前倒しでできるだけ早くイノシシ管理計画の改定に着手したいと考えております。  県では、これまで各市町の有害鳥獣対策協議会が行う侵入防止柵の設置や実施隊が行う捕獲活動への支援、県捕獲専門チームの拡充、ICTを活用した捕獲わなの設置による捕獲効率の向上、狩猟期間の延長などに取り組んでおり、さらに予備費と今回の9月補正予算を活用させていただき、捕獲わなの増設、捕獲イノシシ1頭当たりの経費への支援の上乗せ、埋設処分地整備への支援等、一層の捕獲強化を図っているところでございます。  次期管理計画の策定に当たりましては、これらの捕獲強化策とあわせ、県捕獲専門チームの充実を初め、担い手の育成や捕獲技術の効率化等について、十分検討してまいりたいと考えております。  次に、狩猟の担い手確保対策についての御質問にお答えをいたします。  県猟友会の会員数の推移につきましては、昭和53年度の2,175人をピークに減少し、議員からも御紹介がありましたとおり、平成25年度には最少の693人と、ピーク時のほぼ3分の1まで減少しましたが、26年度からは増加に転じ、30年度末では791人に回復してきております。また、年齢構成につきましては、平成25年度では20歳から49歳までが18%、60歳以上が68%であったところ、30年度では、20歳から49歳までが27%と9ポイントの増、60歳以上が62%と6ポイントの減となっており、依然として高齢者の割合が高いものの、若い世代の割合が徐々に高まってきております。  県ではこれまで、狩猟に興味を持ってもらうためのガイダンスを実施するとともに、狩猟免許試験の実施回数を増やしてきており、猟友会会員の増加はこうした取り組みの効果でもあると考えております。  また、免許を取得された方を対象として、ライフル射撃場の使用料の補助、銃猟やわな猟のフォローアップ講習会、狩猟登録手続等に対する指導助言の実施などきめ細かく対応してきております。  さらに、平成28年度からは、実際の捕獲現場でベテラン狩猟者から狩猟経験の浅い若手狩猟者に技能を伝えるOJT研修を実施してきており、これまで14人が研修を修了し、それぞれの地域の捕獲専門チームで活躍をいただいております。本年度も16人が研修に参加しておられ、今後の活躍を期待しているところでございます。  今後とも県猟友会と連携し、担い手の確保や育成、捕獲技能の向上に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 16 ◯議長(中川忠昭君)蔵堀総合政策局長。    〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕 17 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)次に、中山間地域における商業機能に関する御質問にお答えをいたします。  昨年度、県内中山間地域の全集落を対象に実施いたしましたアンケート調査では、約3分の1の方が商店、スーパーの閉鎖が課題であると回答をされております。中山間地域においては人口減少や高齢化を背景として、地元商店などの廃業、撤退により、日常生活に必要な買い物に不便を感じている高齢者を初めとした住民の皆さんがいらっしゃるということを感じております。いわゆる買い物弱者の増加が懸念されておりますことから、生活に必要な商業機能の維持に対する支援が重要だと考えております。  このため県では、徒歩での買い物が困難な地域におきまして、移動販売車などで必要なサービスを提供する民間事業者などに支援をしてきております。この買い物支援サービスにつきましては、宅配で行っているものが県内では20件、移動販売で行っているものが14件、それから買い物支援バスで行っているものが10件ある状況でございます。  こうした事業者の中には、移動販売にあわせまして、困り事などの御用聞きも行うということで、例えば、食品以外の必要な物資の買い物ですとか、草刈りですとか、電球の取りかえといったようなことも行っている業者もあるところでございます。高齢者の方が住みなれた地域でできるだけ長く、安心して暮らすことができるように取り組んでおられるところでもございます。  さらに、今年度は、新たに後継者のいない商店などを対象に、地域外の第三者に引き継ぎますことで、中山間地域において商業機能を維持できるかどうかの可能性調査も実施することといたしております。
     県といたしましては、現在策定中の中山間地域創生総合戦略におきましても、生活に必要不可欠なサービスの確保は、大きな柱の一つであると考えておりまして、総合戦略検討会にも、そうした移動販売等を行っている方も委員として入っていただいているところでもございます。  また、庁内の関係部局をメンバーとする作業部会も設けまして対策を検討しているところでありますけれども、これからも中山間地域で生活する人たちができるだけ安心して暮らしていけますように、市町村や事業者、それから商工会、地域運営組織などの関係団体などとも連携いたしましてしっかり取り組んでまいります。 18 ◯議長(中川忠昭君)井上学君。    〔18番井上 学君登壇〕 19 ◯18番(井上 学君)最後の項目は、富山空港の活性化についてでございます。  富山・東京便が6便から4便へ減便されて3年半になります。私は家が比較的空港に近い関係で飛行機をよく利用しますが、東京からの日中の便がないため、どうしても利用しやすいダイヤとは思えないわけであります。現在は第2便が9時45分、第3便が6時05分の東京発であります。この間が8時間以上あいてしまっております。やっぱり不便なわけであります。  県では昨年度、東京便の利用者等への詳細なアンケート調査を実施されたとお聞きします。また、ことし7月に国土交通省の羽田空港の発着枠の配分のあり方を検討する小委員会が開催され、羽田空港国内線に就航中の6社から最大で25枠を回収して、地方空港に優先して配分するという案が有識者委員会に示されたと報道がありました。  そこで、この再配分が行われる中、昨年のアンケート調査の結果も踏まえ、今後とも東京便と新幹線が共存できるとともに、利便性のよいダイヤとなるように、全日空や国へ積極的に働きかけていくべきと考えますが、石井知事の御所見をお伺いいたします。  次に、富山空港と高山市を結ぶバス運行についてです。  県では、平成28年9月より富山・飛騨高山観光バスの運行の支援をしておられます。これまで3年間の実績はどうだったのか、またその結果をどう評価していらっしゃるのかお伺いします。  あわせて、県では、ことしの9月1日から富山空港と高山市を結ぶ高速直行バスの実証運行を開始されました。年間400万人を超える高山観光客の富山空港の利用促進に大いに期待をするところでありますが、現在までの滑り出しの利用状況はどうでしょうか。そして、これからのさらなるPRにどう取り組んでいかれるのか、観光・交通振興局長にお伺いをいたします。  最後に、空港敷地内の県有地の有効活用についてお伺いをいたします。  現在、富山空港の駐車場は、A、B、C、Dはいつもほぼいっぱいであります。EとFも埋まるときもあります。しかし、最南端のGとHは、ほとんどあいていると思われます。さらに、その南側には1万平米を優に超えると思われる遊休の県有地があります。先日の武道館機能を有する多目的施設の施設整備の議論では、延べ床面積が1万2,000平米必要となる構想も示されましたが、もしここに持ってくれば、G、H駐車場の有効活用にもなり、敷地面積の縮小も図られます。何といっても、既に県有地であり、新たな買収の必要もありません。これは重要な候補の一つでないかとひそかに考えているところであります。  また、富山県内には、雨や雪の日、猛暑の日や寒い冬に、親子や3世代そろって遊びに行ける屋内型のアミューズメント施設が少ないと、以前から指摘されているところであります。若い人を呼び込むためには、遊びの発想も大事な要素だと思います。屋内型の遊園地やアスレチックなどの観光施設を空港の近くに誘致できたら、相乗効果も期待でき、空港ターミナルビルの店舗や総合体育センターの利用促進にも大いにつながるものと考えるところです。  空港敷地内や空港周辺の緑地公園等の県有地の有効活用について、どのように考えておられるのか、観光・交通振興局長の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 20 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 21 ◯知事(石井隆一君)富山空港の活性化についてお答えいたします。  富山・東京便は、本県と東京圏はもとより、羽田乗り継ぎによりまして、全国や世界の主要都市とを結ぶ基幹路線でございます。この路線の利用率、一時やや心配だったんですけれども、昨年9月の富山─羽田便利用促進キックオフ大会開催ということで、これをきっかけに、改めて県民や経済界の皆様にも大変御協力をいただいて、冬季の就航率改善とか機材の小型化などの要因もありますけれども、前年同期に比べますと利用率は上昇しまして、混雑期には機材を柔軟に大型化していただいておりますけれども、基本的には従来の小型の飛行機となった影響で、利用者数は減少いたしております。  一方で、昨年度、県が実施しました羽田便利用者などへのアンケート調査によりますと、旅行者や県内外の企業から昼間の便の運航を求める声が相当程度あったということは承知をいたしております。  これを踏まえまして、県としましては、全日空に対して将来的な路線の充実、昼便の運航も含めた、そういったことについても働きかけを行っておりまして、昨年の8月には私がANAの平子社長にお目にかかって、そういった趣旨もお願いしておりますし、またその後も実務責任者から、そうした趣旨の要望をANAの幹部にお話をしてきているわけでございます。  全日空側からは、新幹線と競合する他の路線の平均搭乗率、大体75%程度ということですけれども、それにかなり近づきつつあることは一定程度評価していただく一方で、まずは現行の4便体制によって、各便の曜日、季節ごと並びに路線収支の改善のため、その利用率が安定することが大切だと、路線の充実については、路線収支の改善状況をよく見た上で判断したいということでありました。  そこで、県としましては、利用率のさらなる向上、特に御承知と思いますが、平日の東京発第1便と富山発第4便の利用率の向上、また冬季の利用率向上に向けまして、ちょうどことしは令和ということでもありますので、令和を記念したツアー造成の支援、また羽田乗り継ぎによる冬季の県外からのツアー造成支援等に取り組んでおります。  令和は、正式には言えませんが、実質的な考案者は高志の国文学館の中西館長ということもございますし、こうしたことも大いに活用させていただこうと思っております。  お話しのように、羽田空港の国内線発着枠について、国交省による今回の見直しで、発着枠総数は変わらないけれども、地方路線を対象にした再配分、こういう考え方は伺っておるんですけれども、そうした使用状況もございますので、今後とも将来的な昼便の運航も含めた東京便の充実を視野に入れまして、北陸新幹線との共存を図りつつ、全日空と連携して東京便の維持と充実、並びに富山きときと空港の利便性向上にしっかりと取り組んでまいります。 22 ◯議長(中川忠昭君)猪俣観光・交通振興局長。    〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕 23 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)私から2点お答えいたします。  まず、富山・飛騨高山観光バスの実績評価と、9月からの富山きときと空港と高山市の高速直行バスについてでありますが、まず、富山・飛騨高山観光バスにつきましては、富山駅・富山きときと空港と高山駅を結び、八尾や五箇山、白川郷、飛騨古川を周遊するツアー商品でありまして、3年間の利用者数の累計は818名となっております。内訳では、高山駅から五箇山、白川郷などをめぐりますコースが480名と最も多く、高山から富山への誘客に一定の成果があったと考えています。ただ、5日前までに予約が必要なため、個人旅行者にとっては利用しづらい面もあったことなどから、利用率の向上には至らなかったものと考えております。  次に、高速直行バスでございますけれども、9月1日から9月17日火曜日までの約2週間の利用者数、実績でございますけれども、延べ114名と聞いております。  この高速直行バスのPRにつきましては、首都圏などの旅行会社にこのバスを利用した旅行商品の造成を働きかけますとともに、県や沿線自治体が首都圏などで開催しますイベントや本県アンテナショップでのPR、また高山市内のバスターミナル、宿泊施設、飲食店などでのPR、そして、ユーチューブや海外SNS等でのPR動画などにより、旅行者の認知度向上を図っているところでございます。  なお、富山空港を発展させる会におきましても、一昨日にこのバスを利用して高山市を訪問し、市や経済界の方々に利用を働きかけていただいたところでございます。  県としましては、こうした高速バスの運行などを通じまして、飛騨高山を訪れます旅行者や飛騨高山の方々の富山きときと空港の利用の促進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  次に、空港周辺の県有地での有効活用についてでありますが、富山きときと空港の駐車場につきましては、現在、有料駐車場126台、無料駐車場1,536台の駐車台数を確保しております。この広い無料駐車場が富山きときと空港のセールスポイントの一つとなっており、平日の利用が少ない最南端のG、H駐車場におきましても、大型連休期間中には駐車スペースの7割以上が埋まっておりますことから、今後も現在の駐車スペースを維持する必要があると考えております。  また、南側の緑地につきましては、滑走路に大変近く、航空法によります高さの制限を受けますこと、またこの緑地を含め、空港スポーツ緑地につきましては、航空機の騒音などを緩和する緩衝緑地として整備されたものでありますことから、武道館機能を有する多目的施設やアミューズメント施設など、新たな開発には地元の理解も含め、慎重な検討が必要と考えております。  一方、県では、これまで空港と総合体育センターとの間に屋根つきの連絡通路を整備するなど、相互利用の促進を図ってきたところであり、また滑走路バスツアーや空の日の記念イベントなどの実施により、航空利用者のみならず、非航空利用者の増加にも取り組んでいるところでございます。  今後も引き続きこうした取り組みを通じて、さまざまな空港の活性化方策について検討してまいりたいと思っています。  以上でございます。 24 ◯議長(中川忠昭君)以上で井上学君の質問は終了しました。  吉田勉君。    〔19番吉田 勉君登壇〕 25 ◯19番(吉田 勉君)9月定例会に当たり、公明党より質問をさせていただきます。  初めに、富山県SDGsの取り組みの普及啓発についてお伺いをいたします。  2030年までに誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指す、国際社会の共通目標である国連の持続可能な開発目標への取り組みを着実に進めていきたいと思います。  SDGsは、貧困や飢餓の撲滅、環境保全、平等の実現など17項目の目標から成り、その下に貧困状態にある全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させるといった169の具体的なターゲットが設定されております。こうした世界的な流れを日本でも加速させていかなければなりません。  公明党の外交部会とSDGs推進委員会は6月、政策提言を政府に提出いたしました。国際社会や日本国内の隅々までSDGsを浸透させたいとの公明党の強い決意のあらわれにほかなりません。  提言には、中小企業や小規模事業者への支援、児童生徒の学習機会の確保、女性や若者の活躍推進、国際社会の議論をリードなど幅広い政策を盛り込んでおります。日本が持続可能な社会を築くために必要な取り組みを列挙している点に特徴があります。特に注目したいのが、自治体に積極的な取り組みを促す施策の強化であります。SDGsは、地方創生の強力な推進力になるからであります。それぞれの自治体が直面する課題を解決してこそ地域社会の持続可能性が高まることは言うまでもありません。  そこで、SDGsという指標を通じて本県の地方創生を深化させていくために、中長期を見通した持続可能なまちづくりに取り組むことが必要ですが、どのように取り組むのか、石井知事にお伺いいたします。  次に、エシカル消費(倫理的消費)の普及啓発について伺います。  消費者の行動で時代を変える、大量生産、大量消費から省エネ社会へ、さらに地球環境保護の時代へと変わりつつある現在、新しい消費者意識を喚起し、広めることは世界的要請となっております。  現在、新時代の消費者のあり方として注目されているのが、エシカル消費(倫理的消費)であります。エシカル消費とは、環境、人と社会、地域のためになるかどうかを考えながら商品やサービスを選択することであります。例えば環境への配慮なら、自然エネルギーを活用したり、エコマークつき商品や有機農産物を選ぶ。人と社会なら、障害のある人がつくったものや、途上国から適正価格で継続的に輸入されたものを買う。地域では、地産地消を心がける。こうしたことを日常生活の中で実践することであります。これによって、環境破壊につながったり、不当な労働搾取が潜んでいる商品が排除され、経済活動のゆがみの是正につなげることができます。まさに、商品を通した世界との対話と言えましょう。  また、エシカル消費は、国連が30年の達成を目指して進めている持続可能な開発目標の活動にも合致しております。SDGsの12番目の目標「つくる責任つかう責任」では、キーワードとして「持続可能な生産と消費」が挙げられています。SDGs達成のためにも、新時代の消費者像の提示が急務でありますが、今後、エシカル消費が広まっていくために、本県の消費者はどう変わっていけばいいのか、須河生活環境文化部長にお伺いをいたします。  次に、中小企業とSDGs経営について伺います。  国連が、2030年に向けた世界の共通目標として掲げる持続可能な開発目標(SDGs)、9月には国連総会に合わせてSDGs首脳級会合が開かれ、15年の目標設定時から4年間の進捗を話し合う。国内では、産業界、とりわけ全企業数の99%、雇用者数の約7割を占める中小企業、小規模事業者への浸透が急がれております。  17の目標から成るSDGsは、193の国連加盟国全てが合意している未来の形、未来の姿であります。30年に向けた世界共通の成長戦略とも言えます。その意味で、SDGsが示す未来に基準を置いた企業経営こそSDGs経営であります。日本では、人口減少や少子高齢化が進み、社会構造も大きく変わる中で、事業環境の先行きはなかなか見通せません。  そこで、企業経営においてSDGsを行動の指針として活用していけば、将来の進むべき方向性が見え、事業拡大につなげられると思います。  大企業では特に、SDGsバッジをつける人が増えました。環境、社会、企業統治に配慮した経営を評価するESG投資の流れが加速し、企業戦略でも目先の利益ではなく、事業の持続可能性に価値を置く動きが広まっております。  事実、サプライチェーン全体での取り組みを見直す大企業は増加傾向であります。今後、その潮流はさらに鮮明になり、数年以内に調達方法は大きく変わるとされ、原料や部品の調達先の多くを占める中小企業にとって、無関心ではいられません。外部から対応を迫られて動くのでは、取り残されるおそれもあります。  SDGsが一時的に終わるのであれば勧められませんが、少なくとも30年までは続き、それ以降も持続可能な社会を目指す方向性は変わらないと思います。そう考えれば、中小企業もSDGs経営を早く始めれば始めるほど確実にメリットがありますが、ただ、認知度はまだ低く、周知に改善の余地があるのが現状であります。  今後、本県として、まずは普及啓発に努めるとともに、SDGsという指標を通じて中小企業の取り組みを見える化し、企業同士のマッチングを後押ししたり、融資制度を設けたりといった支援策を進めてほしいと思いますが、芝田商工労働部長に御所見を伺います。  次に、防災意識社会の構築について伺います。  8月末、九州北部が記録的な大雨に見舞われ、犠牲者も出ました。つい2週間前も西日本一帯が超大型台風10号に襲われたばかりというのにであります。今も台風15号の被害も続いており、息をつく暇もないくらいに頻発をしているわけであります。  9月は防災の月であり、いやが上にも実感させられる災害列島日本の現実を直視し、防災・減災意識を高めることに努めなければなりません。そのためにも、我が町、我が地域で実施される防災訓練にこぞって参加し、そこで得た経験や知識を家族や地域で共有することが大切であります。一日限りのイベントに終わらせず、あすからの平時の備えの充実強化につなげたいと思います。  頻発する大規模災害に、国の防災・減災の方針は大きく転換しつつあります。中央防災会議の作業部会が昨年末、行政が一人一人を助けることはできないとして行政の力の限界を明確にし、国民にみずからの命はみずからが守るという意識をと呼びかけたこともその一つであります。この会議は、自助、共助の取り組みを公助が支援するところに防災意識社会が構築されると力説し、防災・減災の主体は住民であることを強調しております。お上頼り、人任せの災害対応の時代は終わったことを自覚したいと思います。  そこで、県と市町村との連携が必要ですが、自治体や関係機関のタイムライン(防災行動計画)の整備とともに、地方自治体における地域防災計画に基づいた防災・減災対策を強化し、そして住民一人一人の防災行動計画であるマイ・タイムラインの普及、住民に周知活用されるハザードマップ(災害予測地図)や、防災マップ(避難経路と避難場所を示した地図)の整備、普及にどのように取り組むのか竹野危機管理監にお伺いします。  防災士、消防団、地域防災リーダー等の地域防災を支える防災人材の育成確保のための支援とともに、女性や若者の加入による消防団の充実強化にどのように取り組むのか、また、地域の防災コミュニティーや地域住民等による自主防災組織を支援する取り組みが必要ですが、竹野危機管理監に御所見を伺います。  地域住民が平時から地域のリスクを把握し、避難計画を立てる地区防災計画を促進し、特に災害時に自力で避難することが困難な高齢者や障害者等の災害弱者の避難支援の取り組みが重要ですが、策定状況や課題はどうなのか。また、防災訓練や防災イベントを含めた地域防災教育など、住民一人一人の災害対応力や、防災の知識や技術を養う防災リテラシーの向上のための取り組みを加速しなければなりませんが、どのように取り組むのか、竹野危機管理監にお伺いします。  次に、児童虐待の防止強化について伺います。  鹿児島県出水市で4歳の大塚璃愛来ちゃんが、母親の交際相手である男に頭を殴打され、その後死亡しました。暴行容疑で逮捕された男は、璃愛来ちゃんに対して日常的に虐待を繰り返しており、しつけだったと供述しているといいます。また出水市も、病院から寄せられた虐待が疑われるとの情報を把握しながら、児童相談所や県警と情報を共有しておりませんでした。  気がかりなのは、児童相談所がなぜもっと積極的に一時保護に踏み切らなかったのかという点であります。児童相談所の職員は福祉職の公務員であり、子供を保護する際に親からの報復を恐れて及び腰になるとの指摘もあります。このため、昨年7月の児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策を受けて、児童相談所の体制強化の一つとして警察との情報共有の徹底のほか、より強く警察に援助要請を行うことがルール化されましたが、本県の児童相談所と県警の連携について、どのように取り組むのか市村厚生部長にお伺いをいたします。  また、相次ぐ児童虐待事件の教訓から、家庭でしつけと称した体罰が多くの虐待につながっており、親などによる体罰の禁止を法律に明記されました。法律に明記されたことで、しつけに体罰は要らないとの認識を社会に広げる必要があります。  また、親が子供を戒めることを認める民法の懲戒権のあり方についても、虐待につながらないように施行後2年をめどに検討することが盛り込まれました。  そこで、本県の児童虐待の原因となる親などによる体罰の禁止の認識をどのように広めていくのか、市村厚生部長に伺います。  また、児童相談所の体制では、家庭への立入調査や子供の一時保護などの介入を担当する職員と保護者支援を行う職員を分けることを明記しました。また、弁護士が常時、児童相談所に助言、指導できる体制を整備するほか、医師と保健師を配置することも定めております。介入と支援の分離は、素早く効率のよい初期対応をする上で有効とされますが、引き継ぎ方やリスクの判断力の養い方などが課題になるとの指摘もあります。  また、改正法には再発プログラムの実施や転居時の情報共有の強化なども盛り込まれましたが、児童相談所の人材難の現状では絵に描いた餅になりかねません。  そこで、本県の児童相談所の強化には、人を増やし職員の専門性を高めることが喫緊の課題であると思いますが、どのように取り組んでいかれるのか市村厚生部長にお伺いをいたします。  あわせて、児童虐待がDVと関連していることも少なくないことから、DV被害者の保護に向け、配偶者暴力相談支援センターや婦人相談所が児童相談所と連携協力をして親子を守ることを規定しました。加えて、児童相談所と医療機関や保育所などとの情報共有も一層強める必要があります。  また、既に始まっている未就園児を持つ家庭を対象とした自治体による訪問事業もしっかりと進めなければなりません。  改正法は、最優先すべきは子供の命を守ることを目的に成立をいたしましたが、本県の児童虐待の実態と児童相談所の現状と課題について石井知事にお伺いをいたします。  次に、消費税対策について伺います。  来月から、消費税率が10%に引き上げられます。景気や経済への影響を最小限に抑えるため、プレミアムつき商品券の発行や、キャッシュレス決済時のポイント還元制度、自動車、住宅に対する購入支援など、十二分な対策が講じられております。  政府も最大限の効果を発揮するように準備に万全に期すとしていますが、本県も準備に万全の態勢で臨まなければなりません。その中で、キャッシュレス決済時のポイント還元制度の対策の準備状況について芝田商工労働部長にお伺いをいたします。  10%引き上げと同時に実施される軽減税率は、日常生活に欠かせない飲食料品などの税率を8%に据え置くもので、痛税感を緩和する生活税制であります。制度の円滑な実施には、中小、小規模事業者の準備が欠かせません。中小企業庁は、軽減税率対応レジの導入経費の一部を支給する補助金について、今月中にレジ購入の契約を終えれば、補助金が交付できるよう要件を緩和することを決めました。また、店舗に合ったレジ導入には、商談を初め、契約後も納品までに時間がかかるケースがあるとの指摘もありましたが、事業者への周知徹底を図るなど、引き続き制度の円滑な実施に尽力していただきたいと思います。  本県の軽減税率対応レジの導入状況や国の補助金の活用状況はどうなのか、また、県として補助制度の周知にどのように取り組んでいるのか芝田商工労働部長にお伺いをいたします。  また、来月の消費税引き上げにあわせてスタートする幼児教育・保育の無償化のうち、認可外と幼稚園の預かり保育は申請が必要です。また、低年金対策として年金生活者支援給付金を受け取るにも、申請手続が必要なことから、対象者に漏れなく給付が行き届くよう地方自治体や関係機関と連携し、周知徹底に努めなければなりません。  特に、給付金の手続をめぐる詐欺にはくれぐれも気をつけなければなりませんが、本県は市町村と連携し、対象者に対する制度の周知徹底にどのように取り組むのか、市村厚生部長にお伺いをいたします。  最後に、武道館機能を有する多目的施設の整備についてお伺いをいたします。  先月、健康・スポーツ環境充実検討会は、大規模アリーナの整備について、老朽化した武道館にかわる武道館機能を有する多目的施設の整備が望ましいとの方向性をまとめられました。  検討会は、大規模アリーナは多額の整備費に加え、毎年の収支差額を税金で補填することに県民の理解が得られないとし、大規模アリーナより、武道団体からの要望が強かった武道館機能を有する多目的施設の整備が現実的であるとの判断を示されました。  県は、武道館機能を有する多目的施設の整備に向け、調査検討費を9月補正予算案に盛り込み、3年7カ月後の北陸新幹線敦賀開業前後の供用を念頭に置いたスケジュールの見通しも示されました。  今後、基本計画を策定する中で、立地場所や詳細な施設規模、機能、既存武道館の取り扱いについて関係者としっかり議論をしていただきたいと思います。その際に、東京2020パラリンピック競技でもある車椅子バスケットボールなどの障害者の方々がスポーツに参加できる施設整備も考慮すべきと考えますが、今後どのように取り組むのか、スケジュールもあわせて石井知事にお伺いをいたします。  以上で質問を終わります。 26 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 27 ◯知事(石井隆一君)吉田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、SDGsへの今後の取り組みについてであります。  富山県SDGs未来都市計画におきましては、経済、社会、環境面それぞれにおきまして、中長期を見通した持続可能な県づくりのために地方創生に資する具体的な施策とその成果指標を設定したところであります。  具体的には、経済面では立山黒部の世界ブランド化、また世界で最も美しい富山湾の活用、水産業の振興と富山湾のさかなのブランド力向上、再生可能エネルギーの導入、新たなエネルギーの利用に向けた開発の促進に取り組むことといたしております。小水力発電とか地熱発電とかいろいろあるわけですが、また、社会面では循環型社会、低炭素社会づくりの推進、富山物質循環フレームワークの実現に向けましたとやまモデルの確立に取り組むことといたしております。これは食品ロス削減の取り組みなども含まれます。  さらに、環境面では、立山黒部を初めとする雄大で美しく豊かな自然環境の保全、また環日本海地域の環境保全への国際貢献、清らかな水資源の保全と活用、また水と緑の森づくりに取り組むこととしたところであります。
     県といたしましては、こうした施策に取り組むことが議員のおっしゃる持続可能な県づくりに結びつくと考えておりまして、今回策定した計画に沿って、今後取り組むべき課題を見据えた上で、施策ごとのKPIの達成に向けまして、関係事業を着実に実施することにしております。その中には、黒部ルートの一般開放・旅行商品化ですとか、富山のさかな、水産加工品のブランド力の向上や販路拡大、小水力発電等の導入とか水素エネルギーの利活用等々多数ございます。  また、SDGsに掲げられている17のゴールが、議員お話しのように大変幅広い政策分野にわたっておりますことなど、SDGsに対する県民の皆さんの理解を深めますために、富山県SDGs未来都市選定記念フォーラムの開催を先般行いまして、講師には政府でSDGs審議会等をなさったときに中心的に活躍された藤田先生などもお招きして開催いたしました。また、富山県SDGs推進連絡協議会を立ち上げまして、SDGsの観点を取り入れた取り組みを県全体で推進することにいたしております。このメンバーには、経済団体、環境団体、消費者団体等の事務の総括責任者のような方々に入っていただいているわけであります。  今後ともSDGsの観点を取り入れた地方創生の推進、持続可能な県づくりにしっかり取り組んでいきたいと思いますし、またちょうど10月に本県で「世界で最も美しい湾クラブ」世界総会もありましたり、またJCの全国大会などもありますから、そうした場でこのSDGsへの取り組みを全国あるいは海外にも発信してまいりたいと思っております。  次に、児童虐待防止対策についてお答えをいたします。  児童相談所における児童虐待相談対応件数につきましては、平成30年度で848件と前年度の794件から6.8%増加しておりますが、これまで児童福祉司ですとか児童心理司等を相当大幅に動員いたしましたり、関係機関への定期的な研修の実施ですとか、また乳児家庭の全戸訪問事業など市町村事業への支援も行っておりますことなどから、児童相談所の体制強化とか市町村の相談体制強化、関係機関との連携強化に努めてきたということで、内容を見ますと件数は全体としては増えているんですが、施設入所などが必要な比較的重い案件は増加していないということであります。  一方で、6月の児童福祉法の改正によりまして増加、複雑化する相談にきめ細かく対応しますために、児童福祉司の配置基準がこれまで人口4万人に1人だったのが3万人に1人とされたり、また里親養育支援や市町村支援担当の児童福祉司を輩出することとされましたこと、また、保護者への指導を効果的に行いますために、児童の一時保護等を行った児童福祉司以外の者に保護者への指導を行わせること、またDVと児童虐待が重複して起きている、他の自治体で大変重篤な事例もあるわけですから、そうしたことに対応しますために、児童相談所と配偶者暴力相談支援センターとの連携を密にすることが明記されましたことなどから、今後さらに児童相談所や市町村の児童相談体制の強化、関係機関との連携強化が求められていると考えております。  そこで、県といたしましては、去る8月29日に、関係機関や有識者から成る検討委員会を設置いたしまして第1回の会議を開催したところでありますが、その際の委員の方々からの御意見も踏まえまして、9月補正予算案に早速、児童相談所の情報管理システムの整備、また新たな研修実施等を盛り込む。そのための検査用具の購入ですとか、また職員の資質向上、専門職の人材確保等々できることから進めている。また、児童相談所機能の強化等を図ったところでございます。  今後、6月の児童福祉法改正等に対応いたしまして、児童相談所の人員体制を強化していくとともに、検討委員会で医療機関や保育所や学校、配偶者暴力相談支援センターなど関係機関との連携強化についてさらに検討を進めまして、きょうも御意見を承りましたが、県議会での御意見も踏まえて、児童虐待の早期発見、早期対応から自立支援までの一連の施策の充実にできるだけスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、武道館機能を有する多目的施設整備についてお答えをいたします。  武道館機能を有する多目的施設整備につきましては、立地場所や整備計画、管理運営計画等の具体的な検討を進めていく必要がございます。  検討会では、富山駅周辺が望ましいといったような御意見が多かったんですけれども、いずれにしても、県内各地からの利便性が高く集客しやすい立地場所の選定を行いたいと思っております。今回の補正予算案で、基本計画策定費を計上したところでございます。  多くの県民の方々に親しんでいただけますように、武道競技を初め多くの室内スポーツ競技、バスケットボールとかバレーボールとかといったようなことも含めて、それから、そういったことの大会とか練習会等に加えまして、音楽イベントを初めとしてさまざまなイベントも誘致できる施設といたしますことで、スポーツ振興や競技力向上、県民の健康増進、地域の活性化、またおっしゃるように、若い人たちがやっぱり楽しいなと思えるような施設が、特に全天候型のものが今まで少なかったということもありますから、そういったこともしっかり念頭に置いて進めたいと思いますし、もう一つは、3年7カ月後に北陸新幹線敦賀開業ということもございます。  関西方面が近くなっていい面もありますけれども、うかうかしておりますと富山県の富山駅を含めて3つの駅が通過駅的になってはいけないわけで、できるだけ富山県のさまざまな面での拠点性というのを高めていく必要がある。そういうこともありますので、できればそのころまでに間に合うように、県の行財政状況を十分考慮しながら、県議会を初め幅広い県民の皆様の御意見をいただきつつ、できるだけスピード感を持って検討を進めて、今年度末までには基本計画を取りまとめたいと考えております。  なお、議員御指摘の車椅子バスケットボールなどの障害のある方々がスポーツに参加できる施設整備については、率直に申しまして、車椅子で転倒し傷ついた床がささくれとなって剣道、なぎなた等裸足の競技者のけがの原因になるんじゃないかと懸念をする声も実はいただいているわけでございます。そういった理由で、車椅子バスケットボールなどの利用を制限している体育館も多いわけでございますが、一方で、最近では床を分厚く特殊なワックスでコーティングすることで車椅子が転倒しても床が傷つきにくくする、そういう施工方法もあるとも聞くんですけれども、それについても効果が一定程度、限界があるといったような御指摘もございます。  今後、武道館としての機能を損なわない範囲で、できるだけ幅広い県民の方々にお使いいただだけるように、バリアフリーとかユニバーサルデザインといったことを考慮した施設機能につきましても、基本計画策定委員会において必要な研究、検討を行ってまいりたい、このように考えております。 28 ◯議長(中川忠昭君)須河生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長須河弘美君登壇〕 29 ◯生活環境文化部長(須河弘美君)SDGsに関する取り組みのうち、エシカル消費についてお答えをいたします。  エシカル消費は、御紹介いただきましたとおり、直訳すると倫理的消費、よりよい社会に向けた人や社会、環境に配慮した消費行動のことでございます。SDGsの目標の達成に寄与するものということとされております。  本年3月に改定いたしました富山県消費者教育推進計画、とやま消費者プランでございますが、このプランでは目指すべき消費者像を、自立する消費者、消費者市民社会の形成に寄与する消費者としております。今回の改定では、特に新たに重点テーマとしてエシカル消費をあらわします、環境や人、社会に配慮した消費行動の推進を追加いたしまして、食品ロス削減、エコ商品、フェアトレード商品、地元の産品を選ぶなど消費者に求められる具体的取り組みを掲げたところでございます。  昨年度、県消費者協会が1,800人を対象に実施した調査によりますと、エシカル消費を知っている人は4人に1人、知っている人の7割はこれからの時代に必要と回答しておられます。このため、まずは多くの人にエシカル消費の意味を知ってもらい、その必要性について理解を深めていただくことが何よりも大切だと考えております。  このため今年度は、県消費者大会でSDGsをテーマとした講演を行うとともに消費者庁と共催の啓発イベントであるエシカル・ラボを開催し、講演や具体的な取り組みの紹介を通じてエシカル消費の意味や必要性をアピールすることとしております。また、消費生活講座における啓発、県広報媒体の活用などにより、引き続き普及啓発に取り組むこととしております。  今後とも県消費者協会を初め関係団体と連携し、県民がエシカル消費の必要性を認識し、具体的な行動につなげていけるように努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 30 ◯議長(中川忠昭君)芝田商工労働部長。    〔商工労働部長芝田聡君登壇〕 31 ◯商工労働部長(芝田 聡君)私からは3点お答えをいたします。  まず、SDGsの中小企業等への普及啓発などについての御質問にお答えいたします。  SDGsにつきましては、国内の一部の大企業において戦略的な取り組みが進められているものの、国の調査では中小企業の8割以上がSDGsを認知しておらず、また、SDGsの存在や概要を知ったとしても自社にとって関係ないという認識の中小企業の割合が高いという結果になっております。  しかしながら、中小企業がSDGsとは無関係であるという認識で事業活動を行うことは、今後その企業の持続可能性を揺るがすリスク、例えば消費者が商品を購入してくれなくなる、企業の評判が下がるといったリスクをもたらすことにつながりかねません。  逆に、ビジネスを通じてSDGsに取り組み社会的課題の解決を目指すことは、自社の企業価値を高め新たな市場や取引先を獲得する機会になり得るものと考えています。  国では、SDGsアクションプランに基づきSDGs経営ガイドを策定するなど、企業の経営戦略へのSDGsの組み込みを推進しております。  また、県におきましても、本年3月に策定をいたしました新・富山県ものづくり産業未来戦略におきまして、SDGsの目標を踏まえ、健康や環境、デザイン等を重視して新産業の育成を図ることとしており、去る7月に設置したとやまイノベーション推進会議では、SDGsの視点も参考にし、新しいプロジェクトを生み出すための研究分野等の検討をしていくこととしております。  県といたしましては、今後新たなものづくり戦略に基づく取り組みなどを進める中で、中小企業に対しても、SDGsの普及啓発を図りますとともに、SDGsを取り込んだ新技術や新商品の開発、販路開拓等に積極的に支援してまいります。  次に、消費税率引き上げに係るポイント還元制度についての御質問にお答えいたします。  消費税率の引き上げによる需要変動の平準化対策といたしまして、中小小売店等においてキャッシュレス決済を行う場合のポイント還元が10月から予定をされております。  これまで、国や商工団体でも説明会を開催するなど普及啓発に取り組んできておられますが、県といたしましても、国と連携し、県内企業の導入事例の紹介や個別相談等を行うセミナーや、経済産業省との共催による説明会を開催しましたほか、商工団体等を通して相談対応や専門家派遣などの支援を行ってまいりました。  県内のキャッシュレス決済導入状況につきましては、県内10の商店街で調査をしましたところ、回答のあった237店舗のうち、導入済みが145店舗、導入を検討している店舗が8店舗、合わせまして153店舗で約65%になりますけれども、153店舗で導入済み、あるいは導入を検討という結果になっております。残りの84店舗、約35%につきましては、導入予定なしということでございまして、その理由といたしましては、顧客の需要がない、後継者がおらず投資は控えたい、そういったことでございまして、キャッシュレス決済導入に意欲のある事業者につきましては一定程度準備が進んでいるものと認識をしております。  また、9月5日現在、ポイント還元事業における県内の加盟店登録申請件数は約6,000店でございまして、全国と同様、中小小売店等の約3割となっております。  県といたしましては、事業者の認識が不足していると思われるポイント還元の対象店となるための登録方法を重点的に周知するため、直前の対策といたしまして、9月2日からチラシの作成、配布、県と商工団体連携による巡回訪問や相談対応の強化などを行う消費税率引き上げ対策促進キャンペーンを実施しておりまして、引き続き商工団体と連携して事業者へのPRに努めてまいります。  次に、軽減税率対応レジの導入状況等についての御質問にお答えいたします。  消費税率引き上げに伴う軽減税率導入につきましては、これまでも国や商工団体が中心となり説明会を開催するなど周知をされてきております。商工会議所や商工会だけでも約90回ぐらい開催をされているところでございます。  国によると、8月末のレジ補助金の申請件数は全国で約12万6,000件でございまして、想定補助件数30万件の約4割とされております。このうち、県内からの申請は約1,000件でございまして、全国同様、想定の約4割となっております。また、一時レジメーカーからは軽減税率対応レジが品薄との声も聞いておりましたけれども、先般の経済産業大臣の会見では、特に軽減税率対応レジ導入の必要性が高い事業者23万3,000社程度に対しまして、9月末で約24万台のレジが導入される見込みであり、対応が必要な事業者に行き渡るだけの供給はできつつあるとの見解が示されたところでございます。  消費税率引き上げの直前対策として、国では商工団体とも連携をいたしまして、全国7,000人の経営指導員による商店街や小規模店舗への個別訪問や、よりきめの細かい情報提供、コールセンターの体制強化などにより周知の強化を図ることとしております。  本県におきましては、先ほどの答弁でも触れましたが、既に9月2日から商工団体と連携し、消費税率引き上げ対策促進キャンペーンを実施しておりまして、県職員も全ての商工会議所、商工会あるいは主要な商店街振興組合、個別の商店などを訪問いたしまして、軽減税率対応レジの補助金申請の流れや期限などについて重点的に周知をしているところでございます。引き続き、軽減税率対応レジの円滑な導入に努めてまいります。  以上でございます。 32 ◯議長(中川忠昭君)竹野危機管理監。    〔危機管理監竹野博和君登壇〕 33 ◯危機管理監(竹野博和君)私からは、防災意識社会の構築についての3点の御質問にお答えいたします。  まず初めに、自治体や関係機関のタイムラインの整備やマイ・タイムラインの普及などの取り組みについての御質問にお答えいたします。  豪雨等の災害時に被害を最小限に抑えるためには、市町村等が迅速に避難情報発令や関係機関等と連携した防災行動を実施できるよう、事前の防災行動計画であるタイムラインや住民が地域の災害リスクを知り、避難経路等を確認するためのハザードマップ等の整備、また、住民みずからが迅速に避難行動をとるための、住民みずから手を動かす取り組みであるタイムラインの作成、普及が重要であります。  タイムラインにつきましては、例えば水害対応について国直轄河川流域等の市町村で策定されているほか、県管理の水位周知河川でも一部市町村で策定されております。引き続き、他市町村での策定を支援するとともに、タイムラインを生かした的確な災害対応を実施いただくよう助言してまいりたいと考えております。  また、ハザードマップにつきましては、その基礎となる洪水浸水想定区域図につきまして、水防法の改正を受けて作成することとなった想定最大規模降雨の区域図を本年6月までに全ての対象河川で公表しております。  県では、市町村がハザードマップを速やかに作成できるよう事前の情報提供等の支援をしており、各市町村で順次公表されております。引き続き、作成や周知啓発等について支援してまいります。  さらに、こうした行政などでの取り組みに加えまして、ハザードマップを活用してみずからの住む地域の災害リスクを知り、状況に応じた自身や家族のとるべき防災行動をあらかじめ整理したマイ・タイムラインを作成することは、住民の防災意識を高め住民による自助を進める観点から非常に有効と考えております。  今後、国や他県の取り組み事例等も参考にし、県内市町村と連携、協議しながらその作成や普及について検討してまいります。  次に、防災人材の育成確保等への取り組みについての御質問にお答えいたします。  災害発生時に被害を最小限に抑えるためには、国、県、市町村、自衛隊等による公助はもとより、自分の身は自分で守る自助、地域でお互いに助け合う共助といった地域防災力の向上が不可欠であり、地域防災を支える防災士などの防災人材の育成確保、また地域防災力のかなめとなる消防団や自主防災組織の充実等が重要であります。  このため県では、防災人材の育成につきましては、これまでも防災士養成研修講座や地域の自主防災組織リーダー研修会、講習会を開催し、今年度も、これまでも順次拡充させておりましたが、防災士養成研修講座はさらに受講者枠を拡大し、充実強化することとしております。  また、消防団の充実強化につきましては、団活動活性化に支援するほか、映画館での団員募集CMの放送、学生消防団員による先進県の学生消防団の視察など団員確保に努めており、今年度はさらにケーブルテレビやユーチューブを活用したPR、学生向けパンフレットの作成などにより消防団への理解、入団促進を図ることとしております。  自主防災組織への支援につきましましては、市町村と連携して、防災資機材整備や避難訓練等への支援、自主防災アドバイザーの派遣、自主防災組織の結成促進のための組織化研修会等の実施のほか、今年度は、新たに避難誘導や避難所運営など自発的な防災活動について定める地区防災計画を作成した自主防災組織を対象に、当該計画に基づきます資機材整備や避難訓練等への支援制度を創設いたしまして組織活性化の支援を強化しております。  今後とも市町村や関係機関、地域と連携しながら、こうした人材の育成確保の充実強化や消防団、自主防災組織の活動のさらなる促進など地域防災力の向上にしっかりと取り組んでまいります。  次に、地区防災計画の策定状況と課題、防災リテラシー向上への取り組みについての御質問にお答えいたします。  地区防災計画は、東日本大震災の教訓を踏まえまして、平成25年6月の災害対策基本法が改正され、地域の防災力を高めるために創設された制度でございます。  住民みずからが計画策定に取り組むことにより、自助、共助による自発的な防災活動を推進するものでありまして、県内の策定状況につきましては、本年4月時点で、4地区で策定済み、5地区が計画策定に向けて活動中となっております。  計画策定の課題といたしましては、計画の策定に当たっては多様な住民の参加が求められるため地域全体の意識の高まりが必要なこと、意見をまとめる防災に関する知識、意欲を持ったリーダーが必要なこと、まち歩きを踏まえた防災マップづくりなどの作成の手間がかかることなどがあると認識しております。  課題の中でもとりわけ多くの住民参加、地域全体の意識の高まりが重要でありまして、そのためには住民一人一人が地域の防災に関心を持ってもらう必要があることから、県ではこれまでも、防災訓練やイベントなどを通じた防災意識の向上、防災知識などの普及啓発に努めております。  具体的には、今月実施いたします県総合防災訓練での住民避難訓練や、防災意識啓発のための災害体験の実施、学校や職場、地域で県民が参加し、地震発生直後の身を守るための安全確保行動を身につける一斉防災訓練シェイクアウトとやまの実施、また講演会や出前県庁の実施、地震・津波防災ハンドブックや小・中学生用のとやま防災ハンドブックの作成配布などを行っております。  今後とも、市町村と連携しながら自主防災組織の活動を支援いたしますとともに、防災訓練などによりまして住民一人一人の防災知識への普及啓発等に取り組み、地区防災計画の策定促進につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 34 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。    〔厚生部長市村仁志君登壇〕 35 ◯厚生部長(市村仁志君)私からは、4問お答えをさせていただきます。  まず、児童相談所と警察との連携についての御質問にお答えをいたします。  児童虐待の早期発見、早期対応には、議員御指摘のとおり、児童相談所と警察との連携によります対応が重要でありますことから、これまでも子供の安全確認に際しては必要に応じて警察に援助要請を行い迅速に対応してきたほか、児童相談所への警察官OBの配置、市町村担当者も交えた警察との合同研修の実施、協定の締結による情報共有等によりまして連携強化を図ってきたところでございます。  また、市町村の要保護児童対策地域協議会に児童相談所や警察も参加をし、虐待を受けた児童の個別のケースについて情報共有を図り継続的な支援を行っているところでございます。  さらに昨年度、国が取りまとめました緊急総合対策において、虐待通告受理後48時間以内に子供の安全確認ができない場合の立入調査の実施や、警察への援助要請の徹底などの方針が示されたほか、ことし6月の厚生労働省の通知では、警察が児童虐待によります児童の身体の外傷を確認し児童相談所へ通告した際は、児童相談所が48時間以内に児童の安全を直接確認することなど警察との緊密な連携が求められておりまして、こうした国が示しました新たなルール等にも適切に対応しているところでございます。  引き続き子供の安全確認を最優先に、適時適切な援助要請や情報共有を行うなど警察との連携を密にいたしまして、児童虐待対応に万全を期してまいります。  次に、体罰禁止の普及についての御質問にお答えいたします。  県では、児童虐待問題に対する県民の関心と理解を得るため、毎年11月の児童虐待防止推進月間にあわせて、児童相談所共通ダイヤル、「189」、「いちはやく」でございますが、行き過ぎたしつけが虐待に当たることを啓発するポスターの掲示等を行っているほか、体罰によらない子育てについての啓発を含むリーフレットを作成配布するなど、児童虐待の防止や早期発見などについて積極的に普及啓発を図っております。  こうした中、議員御指摘のとおり、6月の児童福祉法等の改正によりまして、親権者や里親などが児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが追加され、来年4月から施行されますとともに、民法の懲戒権のあり方について、改正法施行後の2年を目途として検討を加えることとされております。  国ではこれに先立ちまして、ことし3月になりますが、児童虐待防止に関します関係閣僚会議において、体罰禁止に関する考え方等について国民にわかりやすく説明するためのガイドラインの作成に加えまして、体罰や暴力が子供に及ぼす悪影響、体罰によらない子育てに関する普及啓発などを行うこととしておられます。  県としましては、こうした国の取り組みと連携を図りながら、先ほど申し上げました児童虐待防止推進月間などにおいて、厚生センターや市町村子育て世代包括支援センター等も活用して体罰禁止などの普及啓発に努めてまいりたいと考えております。  次に、児童相談所職員の増員などについての御質問にお答えをいたします。  知事からも先ほど答弁をいたしましたが、県内児童相談所の児童虐待相談が増加していることや、複雑化します虐待相談にきめ細かく対応するため児童相談所の体制強化は重要な課題であると考えております。  県では、これまでも児童虐待通告や電話相談に対し24時間365日対応できます体制を確保いたしますとともに、児童福祉司や児童心理司を増員するなど人員体制を強化してきたほか、職員の研修の充実等により専門性の強化を図ってきたところでございます。  さらに、6月の児童福祉法の改正等によりまして、児童福祉司の配置基準が改正されたことや保護者への指導を効果的に行うため、児童の一時保護等を行った児童福祉司以外の者に保護者への指導を行わせることなどが盛り込まれたため、今後これらに適切に対応し人員体制等を強化いたしますとともに、9月補正予算案で盛り込んだ保護者支援に係る新たな研修、具体的に言えば親が暴力や暴言ではない方法で子供とコミュニケーションをとる技術を指導する、そうした技術を学ぶということなんですが、そういった研修によりまして職員の専門性のさらなる向上を図ってまいりたいと考えております。  今後、児童虐待や社会的養護に関します検討委員会でも議論を進めまして、また県議会の御意見をいただきながら、児童相談所の相談体制のさらなる強化について検討してまいりたいと考えております。  次に、認可外保育施設などでの幼児教育・保育の無償化についての御質問にお答えをいたします。  幼児教育・保育の無償化に当たりましては、副食費の取り扱いが変更となるほか、認可外保育施設や幼稚園等の預かり保育の利用児童が無償化の対象となるには、保育の必要性の認定が必要ですので市町村への手続が必要となるといったことになっております。  そのため県では、県のホームページや県政番組を活用して無償化の制度や必要な手続について紹介いたしますとともに、リーフレットを作成し市町村を通じて保護者に配布するなど市町村と連携して周知を図っております。また、9月7日に開催いたしましたとやまっ子みらいフェスタでも、お集まりいただいた保護者の皆様方にスライドを使ってわかりやすく解説したところでございます。  なお、認可外保育施設を利用している児童の保護者に対しましては、各市町村から施設を通じて手続等について案内をされているというふうにお聞きをしてございます。  幼児教育・保育の無償化につきましては、10月の制度開始が間近に迫っておりますので引き続き周知に努めますとともに、市町村におけます準備状況を確認し円滑な制度導入に努めてまいりたいと考えております。  また、年金生活者支援給付金、これは公的年金等の収入金額や所得が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援するために年金に上乗せして支給されるものでございますが、これを受け取るためには日本年金機構へ認定請求の手続が必要となっております。日本年金機構では、CM放送やホームページ特設サイト、専用相談ダイヤルなどを設けまして周知を図られているほか、給付対象者にはこの9月に日本年金機構から手続の案内が郵送されるというふうにお聞きをしてございます。県民から問い合わせがあれば日本年金機構に取り次ぐなど、県としても可能な限り協力してまいりたいと考えております。  以上でございます。 36 ◯議長(中川忠昭君)以上で吉田勉君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午後0時00分休憩      ─────────────────────  午後1時00分開議
    37 ◯副議長(筱岡貞郎君)休憩前に引き続き会議を開きます。  庄司昌弘君。    〔8番庄司昌弘君登壇〕 38 ◯8番(庄司昌弘君)お願いします。こんにちは。自由民主党、庄司昌弘でございます。吉田県議に続きまして、本日2人目の呉羽の出身となります。  県議になって初めての一般質問の機会を与えていただきました。後援会や地元の皆様、諸先輩議員の皆様、関係各位に心より感謝を申し上げます。  また、ことしの夏も、大雨や台風など日本列島に多くの災害が発生をいたしました。被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。  さて、収穫の秋、実りの秋を迎え、県内各地では稲刈り作業が進められており、地元の呉羽梨は主力品種「幸水」の収穫を終え、「豊水」、「あきづき」の収穫が始まっております。ことしは黒星病の発生も少なく、豊作の年となりました。  また、令和の時代に入って、地元力士の朝乃山が初優勝し、さらに、今場所は横綱鶴竜を寄り切り、県出身では30年ぶりの初金星を挙げ、見事、勝ち越しを決めております。  呉羽に、そして富山県に活気が出てきたと感じております。私も微力ながら、富山県の発展、地域の発展のために精いっぱい頑張ってまいります。  それでは、質問に入らせていただきます。まず初めに、活力とやまについて質問いたします。  稲作を中心として発展してきた富山県農業ですが、専業・兼業を合わせた農業就業人口は、30年間で3分の1に減少しており、平均年齢は約70歳と高齢化が進んでおります。  また、農業をなりわいとする専業農家数は、わずか2,711戸、全体の16%であります。今の農業を若い世代が夢と希望を持って仕事ができる産業に成長させていくことは、日本農業全体の課題であります。  先日、自民党農業問題調査会で、水田のスマート農業やいみず野農協の1億円産地づくり品目「富山ブラック枝豆」や白ネギ「ねぎたん」を中心とした露地野菜の生産農家などを視察してまいりました。市場価格の変動で売り上げが左右されることが本当に大変だと嘆いておられました。  一生懸命に育てた農産物が高く評価されることで農業所得が安定し、若手後継者が魅力とやりがいを感じることのできる農業の実現につながるのではないでしょうか。  富山県の農業技術指導は大変すばらしいと思いますが、これからは6次産業化を含めた農業所得の向上や経営の安定化を推進しなければなりません。  また、農業の担い手候補として一番身近なのはやはり農家の子供です。この身近な担い手候補者を後押しする施策も必要であると考えております。そこで、若者から選ばれる富山県農業の推進と担い手の確保について、石井知事の御所見をお伺いいたします。  ことし7月、地元呉羽において、収穫を目前にした梨の木が何者かによって伐採される被害が発生をいたしました。やっとの思いで育てた樹木や生産物が傷つけられることはあってはならないことであります。  また、収穫期の害鳥対策として艶消し黒ワイヤーの導入が進んでおりますが、被害は減少しているものの、なくなることはありません。現在、スマート農業の普及推進が本格化しておりますが、農業現場における防犯カメラの設置やドローンによる害鳥駆除対策も、農業者が安心して本来の農作業に従事できる環境づくりに役立つと考えますが、河村農林水産部長の御所見をお伺いいたします。  さて、富山県ではこれまでブランド豚の生産に力を入れてこられました。県内では、野生のイノシシの豚コレラ感染が相次ぎ、近隣の長野県では、畜産試験場の豚が豚コレラに感染し、殺処分されたと発表されたところです。  富山ブランド豚を支える種豚は富山県の財産であると考えますが、「タテヤマヨークII」などの種豚供給を行っている種畜供給センターを豚コレラから防護するため、今後どのように対応されるのか、河村農林水産部長に御所見をお伺いいたします。  次に、商工業についてであります。  今後10年間の間に70歳を迎える中小・小規模事業者の経営者は全国で約245万人となり、うち約半数の127万人が後継者未定となっています。これは日本企業全体の約3割に当たり、富山県においても約4割が後継者未定となっています。今後、対応がおくれれば、地域経済に深刻な影響が及ぼされることが懸念されます。  また、商工会などの活動は地域力の向上や活性化にも役立っており、個々の事業者が本来の仕事以外にもボランティアとしてさまざまな役を兼任し、郷土愛を持って日々活動されることで、地域のコミュニティーが維持できているのではないかと感じております。この地域を支える中小・小規模事業者の事業承継支援についてどのように対応していかれるのか、芝田商工労働部長にお伺いをいたします。  次に、呉羽山周辺の観光振興と道路の整備についてお伺いをいたします。  呉羽丘陵では、尾根に沿って設けられた自然歩道、フットパスの整備が進められております。フットパスとは、イギリスを発祥とする、歴史や自然文化に親しみながら歩くことを楽しむための歩道のことです。  このたび、富山市では、城山と呉羽山をつなぐ歩行者専用のつり橋の計画が決定し、調査設計の費用が予算計上されたところであります。  これがつながれば、八ケ山から富山市ファミリーパークまで全長15キロの歩道が完成します。市民、県民の健康づくりはもちろん、呉羽丘陵の新しいランドマークとして、立山を一望できる観光スポットとして、注目が集まっております。  このつり橋の下には、富山県の大動脈とも言える富山高岡線が通っており、峠茶屋付近は渋滞のメッカとなっています。つり橋が完成すれば、観光客を含む多くの方々が訪れ、さらなる渋滞を誘発することにもなりかねません。  県民の生命線とも言える県道富山高岡線の呉羽山付近における拡幅を含めた今後の整備計画と、富山駅北と呉羽山をつなぐ都市計画道路綾田北代線の整備計画について、水口土木部長の御所見をお伺いいたします。  次に、自転車活用推進と大規模自転車道についてお伺いをいたします。  富山県では、観光振興にあわせて、インフラ整備も含めた自転車の活用普及に力を入れておられます。自転車は健康によいだけではなく、環境にも優しい、富山県の将来に向けた大変有効な交通手段であると考えております。  富山県では、湾岸サイクリングコース、田園コースが整備されておりますが、富山県内には、県道富山庄川小矢部自転車道、県道富山朝日自転車道の2つの大規模自転車道があります。  特に、県道富山庄川小矢部自転車道の一部は、廃線となった加越能鉄道加越線を利用し、設置されており、散居村の風景とともに、当時の鉄橋やホームの跡などが残っております。  その歴史的背景やストーリーもPRするなど、地域に眠った観光資源を有効に活用し、利用の促進を図ってはどうかと考えますが、水口土木部長に御所見をお伺いいたします。  あいの風とやま鉄道の新駅設置については、平成27年度に富山県地域交通ビジョンが策定され、平成30年3月17日に、高岡駅─西高岡駅間に高岡やぶなみ駅が開業し、さらに、富山駅─東富山駅間の新駅整備も、2021年春の開業に向けた整備が進められております。  富山県においては、SDGSを推進し、環境エネルギー先端県として、自動車から公共交通機関への転換などによる脱炭素社会の構築に努められております。  呉羽駅─小杉駅間にある富山市願海寺地区においては、富山国際学園があり、学生、生徒、教職員約2,200名が在籍しているほか、近隣地域からの利用増加が見込まれ、経営の安定化にも寄与するものと考えられますが、新駅設置について、猪俣観光・交通振興局長の御所見をお伺いいたします。  9月補正予算において、首都圏在住の社会人女性の移住・Uターン促進のため、東京で本県企業の女性社員と座談会をする移住・Uターン女子トーク事業や、関西や北陸の大学において、学生と本県企業社員との座談会等を開催する関西・北陸UIJターンセミナー開催事業など、人材確保に向けた新しい試みもスタートしたところです。  富山県では、若い女性の県外流出が多いことが課題となっておりますが、毎年、魚津市で開催されている全日本大学女子野球選手権大会には、全国の女子大学野球チームが出場し、ことし8月23日から開幕した第33回大会には、関東、関西、中京地区などから19校が参加し、熱戦が繰り広げられました。  我が母校、関西大学の対戦相手は地元富山大学。結果は5対3と母校は敗れましたが、全国から毎年多くの女子大学生が集まる歴史ある大会となっております。  大都市圏からこれだけ多くの女子大学生が集まるイベントは、そうはありません。この機会を有効に活用し、魚津市とも連携して富山県を積極的にPRし、人材確保や交流人口の増加につなげてはどうかと考えますが、蔵堀総合政策局長の御所見をお伺いいたします。  次に、安心とやまについて質問をさせていただきます。  立山弥陀ヶ原火山の防災について、6月18日の富山県防災会議でまとめられた富山県地域防災計画改定の中で、県、市町村、防災関係機関が実践的な訓練をすることとされていますが、特に、警察の役割について、観光客、登山者、付近住民の避難誘導とされております。  議事録では、県警本部長が必要な装備資機材を備え、関係機関との合同訓練を通じて、観光客、登山の皆さんの安全確保を図る必要を述べておられます。  そこで、必要な装備資機材とはどのようなものなのか、装備はされているのか。また、夏山シーズンが終わり、秋に入りましたが、この計画の改定を踏まえて、どのような教養や訓練が必要と考えられているのか、大原警察本部長にお伺いをいたします。  また、立山においては、海外からも多くの観光客が訪れておられます。外国人の方々に対する災害情報の提供や避難指示など、どのように対応されるのか、竹野危機管理監にお伺いをいたします。  交通事故多発交差点等の情報については、近隣各県においては、これらの情報が公開され、ホームページなどでも確認することができ、事故等の未然防止に役立っております。富山県では、これらの情報が公開されておりませんが、今後、自動運転やAI、IOTの技術が進歩する中で、これらの情報を有効に活用することは県民や旅行者の安全・安心にとって大変重要であると考えますが、大原警察本部長の御所見をお伺いいたします。  最後に、未来とやまについて質問をいたします。  前回の6月定例会代表質問において、臨時的任用教員の未配置解消についてや優秀な教育人材の確保についての質問がありました。正規教員の大量採用は当面続くとのことですが、教員の年代バランスが不均衡となり、若手教員への知識、技術の伝承が難しくなるなど、弊害が予測されます。  また、就職氷河期世代の教員数が、他の年代と比較すると極端に少なくなっています。あと数年でこれらの年代の教員が管理職となっていくのですが、就職氷河期世代における管理職の育成についてどのように考えておられるのか、伍嶋教育長にお伺いをいたします。  昭和42年の県議会定例会で明治百年記念事業として決定され、富山県立図書館が昭和44年、現在の呉羽へ移転されました。ことしで50年を迎えるとのことで、企画展示を見学させていただきました。  「新築に関する要望書」などの資料や写真が展示され、富山県立図書館の歩みについて深く学ぶ、よい機会となりました。調査研究のための図書館、図書館のための図書館、保存のための図書館として、機能の充実を図っておられます。  これからも、県民ニーズの多様化に応え、さまざまな年代の方々に愛される県民の知の中心地として、次世代へ伝えていただきたいと思っております。これからの図書館は、集まりたくなる異世代・多文化交流の場になればと考えております。  北陸では、福井県立図書館が約16年前に新築され、石川県立図書館は2021年の完成を目指して、新館建設計画が具体的に進められております。50年が経過した今、これからの県立図書館のあり方や公文書館を含めた施設老朽化への対応など、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、武道館機能を持つ多目的施設についてお伺いをいたします。  本定例会の答弁で、知事は2023年春の北陸新幹線敦賀開業を見据えて、武道館機能を持つ多目的施設の実現を目指す考えを示されました。  私も、中学、高校、大学、社会人と、柔道を通して、人間として大きく成長をさせていただいたと思っております。現在、柔道5段であります。武道を通した人間形成のすばらしさも、みずから体験をしてまいりました。  県内スポーツは、朝乃山、八村塁選手の活躍を初め、大変に盛り上がっております。  新しい武道館は武道のすばらしさを発信する中心地として、また、ほかのスポーツやコンサート、災害時の避難場所としての機能も含めた多目的な施設になればと、大変期待をしております。多目的に利用されている武道館と言えば、やはり日本武道館であります。規模は違いますが、武道と文化が融合した県民に親しまれる施設になるよう十分に配慮し、設計していただきたいと思っております。  また、建設地については、検討会から県内各地からの利便性が高い場所、富山駅から徒歩圏内とありましたが、富山駅からあいの風鉄道で5分の呉羽駅周辺や、県のスポーツ施設が集まる富山県の五福公園周辺も、十分に検討の余地があると考えますが、これらの考えを踏まえた知事の御所見をお伺いし、質問を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。 39 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 40 ◯知事(石井隆一君)庄司議員の御質問にお答えをいたします。  まず、若者から選ばれる農業についてであります。本県農業を若者に魅力ある産業に育てて担い手を確保するためには、議員のおっしゃるとおり、生産性・収益性の向上、また、県産農産物のブランド力の強化等によりまして農業所得の増大を図る、また、その道筋を示して、実践を支援していくということが重要だと思っております。  今から4年前になりますが、平成27年度から29年度にかけましてとやま型農業成長戦略チャレンジ事業を実施いたしまして、4つのモデル経営体をソフト・ハード両面から支援し、育成しますとともに、その成果をもとに経営規模の拡大や園芸作物の導入による経営の複合化などにより、年間を通じて主たる従事者の所得750万円以上と、また、人材の確保を目指してとやま型農業経営モデルを策定いたしまして、これは2年前ですが、若手農業経営者の皆さんに、農業は創意工夫次第で収益が上がる、もうかる産業であるということを具体的事例としてお示しする。  例えば、立山町のある営農組合では6次産業化タイプで進めまして、5年ほど前は570万円ほどだった所得が1人当たり1,160万円、また、入善町のある農家も657万円ぐらいだったのが870万円を超える、こんなような具体的な例を示しまして、積極的なチャレンジ精神を持って取り組んでいただくようにPRパンフレットを2,000部作成して、配布して呼びかけをいたしております。  また、こうした経営モデルを参考にして生産性や収益性の高い農業経営に意欲的に取り組む農業者の方を支援しますために、担い手への農地集積の推進、これはこの5年ほどで53.5%から63.3%と、10ポイントほど上がりました。  また、経営規模の拡大や経営の複合化による必要な機械等への整備への支援、また、農業経営塾の開催をいたしまして、そこには税理士さんとか、社会保険労務士さんなどにも来ていただいて、担い手の方の経営力向上等にも取り組んでおります。  さらに、県産農産物の競争力強化に向けまして、ブランド力の強化も含めて、県産米のトップブランドとなります新品種「富富富」の導入ですとか、また、地域の特産物を活用した6次産業化、農商工連携による付加価値の高い商品の開発への支援、また、首都圏の著名な料理人などを招聘したオールとやま県産食材商談会の開催、また、米などの輸出促進によります販路拡大などへの支援も行ってまいっております。  加えて、農業の省力化や産品の高品質化に大きな効果が期待できて、また、若者の関心も高いロボット技術とか、AI、ICTなどの先端技術を活用したスマート農業の推進に向けまして、これはとやま型スマート農業推進コンソーシアム、議員御存じかもしれませんが、これを昨年度立ち上げまして、自動運転トラクター等のスマート農機やICTを活用した施設園芸の実証、普及などにも積極的に取り組んでおります。  この3月、ICT活用による環境制御型の園芸ハウスを整備しまして、とやま農業未来カレッジの実習を拡充しましたほか、中央農業高校の授業、また、一般農業者向けの普及にも活用しております。  今後とも、市町村やJA等の関係団体と連携いたしまして、議員がおっしゃるとおり、若い人が意欲と展望を持って積極的に農業に参入して、経営の安定と発展にやりがい、希望を持って取り組んでもらえるように、しっかりと支援してまいります。  次に、県立図書館についてお答えをいたします。  県立図書館、おっしゃるように50年の歴史があるんですけれども、地域を支える情報拠点として市町村立の図書館の円滑な運営支援と県内図書館の連絡調整、また、2つには、図書館サービスを効果的・効率的に実施するための調査研究、3つには、高度化・多様化する住民の皆さんのニーズに対応するための専門的・学術的資料の収集提供など、多様な役割を担っております。  現在の県立図書館は、開館後、お話しのように50年経過しておりますけれども、ただ、平成11年に本館の耐震化・リニューアル工事とあわせまして、別館とか資料センターを増築して機能を充実しておりますほか、平成17年には情報プラザを、また、平成26年には新聞雑誌閲覧室をリニューアルいたしますなど、機能強化と施設の長寿命化対策に取り組んできておりまして、早急に改築する必要というのは現時点でないと考えております。  一方で、毎年、収蔵図書が約2万冊増えるということもありまして、書籍の収蔵能力に余裕がなくなりつつあることとか、また、少子高齢化、情報化が進展します中、議員御提案の異世代・多文化交流の場の提供を初め、県立図書館に求められる機能ですとか、地域課題が多様化している面もございます。  そのため、今後の県立図書館については、他の類似施設との機能分担の観点も十分考慮しながら、検討を進めていく必要があると思っております。その際には、例えば、教育文化の交流などの機能については、県の生涯学習カレッジとか生涯学習団体協議会が置かれております県の教育文化会館との関係とか、また、ふるさとの文学・文化の振興については、高志の国文学館との関係などを十分に踏まえていく必要があると思っております。  県の教育委員会においては、県立図書館の機能向上に向けて、他県の状況も参考にしながら、また、県民の皆さんから幅広い御意見も伺いながら、本県の特色を生かした図書館、さまざまな他の施設との関係も含めて、引き続き調査検討を進めていただきたいと思います。  最後に、武道館機能を有する多目的施設についてお答えをいたします。  武道館機能を有する多目的施設整備については、武道競技を初め、多くの室内スポーツ競技の大会ですとか練習会等に加えまして、お話しのように音楽イベントを初め、さまざまなイベントも誘致できる施設とすることで、スポーツ振興や競技力向上、県民の健康増進、さらには地域活性化にも寄与するものにしたいと思っております。  また、立地場所や周辺の状況にもよりますけれども、災害時の避難所としての機能も持つことになれば、地域の安全・安心に貢献できると考えております。  今後、この武道館機能を有する多目的施設の整備に向けまして、基本計画策定委員会を設置いたしまして、県内各地からのアクセスの面での利便性が高い、また、集客しやすい、お客さんがアプローチしやすい立地場所の選定、また、武道競技のほかに他のスポーツ競技やイベントもできるような施設機能・規模などの整備計画、また、円滑で効率的な管理運営計画等の具体的な検討を進めていくことにいたしております。  この施設が、地域活性化の面でも効果的なものとなりますように、また、さっきも申しましたが、3年7カ月後に迫ってまいります北陸新幹線の敦賀開業なども念頭に置きまして、できれば、そのころまでに間に合うように、県の行財政状況も十分考慮しながら、県議会を初め、幅広い県民の皆様の御意見をできるだけ丁寧にお伺いして、スピード感を持って検討を進めて、今年度末までには基本計画を取りまとめたいと、こういうふうに思っております。  なお、立地場所については、議員は柔道5段ということで思い入れがおありなのかもしれませんが、健康・スポーツ環境充実検討会の議論の中では、富山駅周辺が望ましいという意見が多ございましたけれども、今後、さまざま御意見を十分に踏まえながら、県内各地からの利便性が高く、集客しやすい立地場所の選定を進めてまいりたいと、こんなふうに考えております。  以上であります。 41 ◯副議長(筱岡貞郎君)河村農林水産部長。    〔農林水産部長河村幹治君登壇〕 42 ◯農林水産部長(河村幹治君)私のほうから2点、お答えをさせていただきます。  最初に、安心して農作業に従事できる環境づくりについてお答えをいたします。  野生鳥獣による農作物被害は、作物自体への被害に加えまして、畦畔や水路のり面等の掘り起こし被害や、圃場等で害獣と出くわすことへの不安などから、被害金額としてあらわれている以上に農家の皆さんの営農意欲の減退にもつながりかねず、農家の皆さんが安心して農作業に従事できる環境づくりのためには、鳥獣被害防止対策の推進が重要であると考えております。  このため、県では、県の農作物被害の8割をもたらしておりますイノシシ対策といたしましては、電気柵の設置による農地、集落への侵入防止や箱わな等による捕獲、餌場や隠れ場の除去など、集落ぐるみで取り組む集落環境管理を、また、鳥害として多いカラスの対策といたしましては、議員からもお話しのありました梨等の果樹園への艶消し黒ワイヤーの設置等を支援してきており、県内の鳥獣による農作物被害は、10年前の平成21年度には1億4,626万円であったところから、平成30年度には6,634万円まで減少してきておるところでございます。  特に、カラスの被害は、28年度に比べまして30年度は約6分の1となっておりまして、梨農家の皆様の御尽力のたまものではないかと考えておるところでございます。  こうした中で、野生鳥獣被害対策をより効果的に進めるため、県では今年度、南砺市内においてドローンからの赤外線サーモカメラや定点カメラによる空撮により、イノシシの生息、行動を調査する実証試験を行っておりますほか、富山市内におきまして、ICTを活用しての監視カメラの映像を見ながらのおりの遠隔操作によりますイノシシの効率的な捕獲や、関係者のイノシシ目撃情報や捕獲情報等を一元管理し、効率的な捕獲を目指すクラウドシステムの導入の実用に向けた実証試験に取り組んでいるところであります。  また、今般の豚コレラ対策として、イノシシの捕獲強化としておりの増設を支援しておりますが、その一部におきましても、監視用カメラを利用いたしましてイノシシの捕獲効率と作業負担の軽減を図っているところであります。  今後とも、各市町や猟友会など関係団体と協力し、先進技術も有効に活用しながら、農家の皆さんが安心して農作業に従事できる環境づくりに取り組んでまいります。  次に、畜産試験場における豚コレラ対策についての御質問にお答えいたします。  畜産研究所の種畜供給センターでは、昨年9月に岐阜県で豚コレラの感染が確認されて以降、豚コレラの防疫体制の強化を図っており、病原体の豚舎周辺への侵入の防止に向け、衛生的に管理すべき衛生管理区域への車両や人の立ち入りの際に、洗浄、消毒を徹底するための消石灰の散布や踏み込み消毒槽の交換頻度の増加、あるいはカラスや野生動物の侵入を防止するための防鳥ネットや電気牧柵の設置など、国が定める飼養衛生管理基準の遵守に努めてきたところであります。  また、本年7月30日、県内で初めて死亡野生イノシシで豚コレラの感染が確認されたことから、夜間の場内の閉鎖及び平常時には県民の皆様に御利用いただいているふれあい施設の閉鎖、さらには豚舎外周へのイノシシ防護柵の増設、豚舎へ立ち入ります際の専用の衣服をさらに豚舎内と豚舎外で区別して着用、また、自宅等で野外へ出た場合には、自家用車のマットやペダルを消毒した上で出勤することを指示するなど、防疫体制のさらなる強化に努めてきているところであります。  去る9月14日、岐阜県、愛知県に続き、長野県でも県の畜産試験場で豚コレラの感染が確認されたところでありますが、本県といたしましては、畜産試験場の豚舎外での病原体の防除対策を強化することとし、衛生管理区域の外周での除草や木の伐採による野生イノシシとの緩衝帯の設置、屋外でのネズミの駆除の強化など、防疫体制を一層徹底していくこととしております。
     今後とも、厳重な警戒を続け、種畜供給センターでの豚コレラの感染防止に万全を期し、県内養豚農家の要望に応えられるよう優良な種豚供給を続けてまいります。  以上でございます。 43 ◯副議長(筱岡貞郎君)芝田商工労働部長。    〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕 44 ◯商工労働部長(芝田 聡君)事業承継についての御質問にお答えいたします。  県が平成29年度に、60歳以上の経営者に行ったアンケート調査結果では、約4割の企業で後継者が決まっていないと回答するなど、事業承継に対する意識が不足している状況が見られ、対応がおくれた場合、地域経済に深刻な影響を及ぼすことが懸念されるところでございます。  このため、県では、新世紀産業機構内に設置している事業引継ぎ支援センターの相談員を、昨年4月に1名から2名に増員をいたしまして、相談体制を強化してまいりました。また、経済団体、金融機関、士業団体など73団体で事業承継ネットワークを構成し、事業承継診断などの個別支援の充実を図っております。  こうしたことによりまして、事業引継ぎ支援センターの相談件数は、平成28年度の27社、延べ43件から、30年度には130社、延べ275件、そして今年度は8月末までの5カ月間で57社、延べ158件、これは前年同期比で約1.5倍になってございますが、こういったことで大幅に増加をしており、事業承継が成立した件数も、28年度の1件から30年度には7件、今年度は8月末までに10件と増加をしております。  今年度は新たに、より地域に密着した形で事業承継の機運を高めるため、事業承継1dayセミナーを9月から県内3カ所で開催をいたしまして、第三者承継の経験者による講演などを通しまして、普及啓発を図り、きめ細かな支援につなげていくこととしております。  また、制度融資の創業支援資金の事業承継支援枠に係る保証料率の0.2%の引き下げといったことなども、今年度行ったところでございます。  今後とも、中小企業者の経営資源等が次世代へ確実に引き継がれるよう、また、事業承継を契機として経営革新や事業転換が図られ、さらなる飛躍発展につながるよう、円滑な事業承継への支援に積極的に取り組んでまいります。 45 ◯副議長(筱岡貞郎君)水口土木部長。    〔土木部長水口 功君登壇〕 46 ◯土木部長(水口 功君)まず、呉羽山付近の道路整備についての御質問にお答えいたします。  富山市街地と高岡市街地を最短距離で結ぶ幹線道路であります県道富山高岡線では、富山大橋のかけかえを含む4車線化事業が平成26年度に完了しており、五福交差点などでは渋滞が大幅に緩和されましたが、呉羽山付近の五福八区交差点や茶屋町交差点では依然として渋滞が発生しており、渋滞対策の検討が必要と考えております。  しかしながら、この五福八区から茶屋町までの区間を拡幅いたします場合、多くの物件移転が想定されますほか、JR高山本線との交差や呉羽丘陵の横断など、多くの課題がございます。  議員から、つり橋の整備による交通量の増加といった御指摘もいただきましたけれども、県といたしましては、引き続き交通量の推移を注視いたしますとともに、富山市や地元の皆様の御意見を伺いながら、どのような対策が可能か、また望ましいのか、検討してまいりたいと考えております。  また、富山駅北側の市街地と呉羽地区を連絡いたします都市計画道路綾田北代線の未整備区間のうち、桜谷みどり町から市道石坂安養坊線までの延長340メートルの区間につきましては、バイパスを整備する計画とし、これまで測量設計を実施し、道路計画について地元関係者と鋭意協議を重ねてまいりました。  現在、これまでの協議結果を踏まえ、計画の細部を詰めているところでありまして、合意を得た後、用地測量に入りたいと考えております。  県としましては、引き続き、富山市とも十分連携し、地元関係者の御理解、御協力を得ながら、粘り強く事業の推進に努めてまいりたいと考えております。  次に、富山庄川小矢部自転車道線の御質問についてお答えをいたします。  富山庄川小矢部自転車道線は、富山市五福地内から小矢部市石動町地内までの、延長約59キロメートルの自転車歩行者専用道であります。  このうち、旧庄川町から小矢部市までのルートは、加越能鉄道加越線の跡地を利用しており、越中一宮高瀬神社などの観光スポットや加越線の歴史を伝えます国の登録有形文化財「旧井波駅舎」、さらには鉄道橋として使用していたものをそのまま活用しております「渋江川橋」などをめぐり、風光明媚な砺波平野の散居村を眺めながら走行できる区間となっております。  本自転車道の利用促進につきましては、県のホームページでルートを紹介しておりますほか、とやまサイクリングマップにお勧めのサイクリングコース「呉羽山・小矢部コース」として掲載し、県内の観光案内所などで配布をいたしております。  今後、ホームページやこのマップに地域の観光資源の情報を盛り込むなど、関係市の意見も聞きながら情報発信に努めてまいりたいと考えております。  また、この利用促進の取り組みとあわせまして、これまでも自転車道につきましては、必要に応じて老朽化した舗装や防護柵の更新などを行っておりますけれども、利用者にとってわかりやすいルート案内となるよう標識や路面表示等の充実について検討するなど、今後とも道路施設の維持管理を適切に行い、良好な自転車走行環境の確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 47 ◯副議長(筱岡貞郎君)猪俣観光・交通振興局長。    〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕 48 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)私からは1問、新駅の設置についてお答えいたします。  新駅の設置は、あいの風鉄道の新たな利用者増につながる可能性があると考えられますことから、県では、平成24年3月に並行在来線新駅設置可能性調査を実施し、小杉─呉羽駅間を含みます7つの候補地におきまして、教育機関の有無など乗車習慣ですとか、開発の見込みなど誘発需要を加味した乗車人員により、新駅設置の波及効果を試算いたしました。  その結果を踏まえて、富山県並行在来線対策協議会が、昨年3月開業いたしました高岡やぶなみ駅と現在整備中の富山駅─東富山駅間の駅の設置を富山県並行在来線経営計画概要に位置づけたものでございます。  小杉駅─呉羽駅間での新駅の設置につきましては、これまでも県や富山市に要望いただいているところではございますけれども、当該地域は市街化調整区域であり、また、農振除外等の手続が必要であるなど開発規制が厳しいこと、また、当該駅はほかの区間に比べバスとの競合が大きく、また、この駅での需要が特に多く見込まれます富山国際学園の学生などは通学定期の利用であり、通勤に比べ割引額が大きいことから運賃収入の上昇が小さいことなどが課題として挙げられており、富山県並行在来線対策協議会におきましても設置すべきとされなかったものでございます。  新駅の設置は、沿線地域のまちづくりとも大きくかかわりますことから、地元市における検討や調査も重要であり、鉄道会社と、そして地元市との判断が大切であると考えておりますが、その後も地元市からあいの風鉄道に対しまして具体的な要望が寄せられているとは聞いてはおりません。  また、地元市富山市では、新駅の設置については鉄道経営の根幹にかかわるものでありますことから、鉄道事業者であるあいの風鉄道がその是非をみずから決定し、設置されるべきものと考えているが、当該地域での設置については、鉄道沿線の人口密度がそれほど高くないこと、バス路線との競合、駅施設用地の確保、多大な事業費など、多くの課題があるとの認識を示されていると伺っています。  県としましては、まずは経営計画概要で位置づけられております富山駅─東富山駅間の新駅の整備に取り組み、新駅の設置につきましては、あいの風とやま鉄道や地元の富山市と十分連携し、検討を進めていく必要があると考えております。  以上でございます。 49 ◯副議長(筱岡貞郎君)蔵堀総合政策局長。    〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕 50 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)次に、全日本大学女子野球選手権大会に関する御質問にお答えをいたします。  全日本大学女子野球選手権大会でございますけれども、これは昭和62年度より開催をされまして、今年度で33回目となっております。  こうしたイベントの機会を活用いたしましてのUIJターンのPRや、首都圏等の学生と地域住民の方との交流によりまして本県とのつながりをつくりますことは、若い女性の皆さんの将来の移住やUIJターンの拡大に結びつくことも期待されるところでございます。  こうした中で、魚津市におきましては、この野球選手権大会の活性化ですとか地域の振興を目的にされまして、大会の試合で負けた後の大学生を対象に、旧片貝小学校を活用した学生やOGの受け入れ、それから、地元住民との交流会も実施をされております。  この交流会の後の事後に行ったアンケート調査によりますと、これまでは試合だけをして、負けて大会が終われば帰っていたけれども、地域の方と話すことができて魚津市のことをよく知ることができたといった意見ですとか、来年も魚津に来るのが楽しみになったといったような意見もございました。  魚津市として推進をされております関係人口の増加にも効果が見込めるというふうに伺っております。  また、県では、魚津市と連携いたしまして、この交流会に県の職員も出席をさせていただきまして、UIJターンのPRなどを行ってきたところでもございます。  また、県としては、県外の大学等の部活動やサークル活動などの合宿経費の一部に助成もしておりまして、この事業を利用いたしました大学等の団体の中には、部活動の成果を地域住民の皆さんに発表したり、地元の学生と合同練習を行うなど、地域との交流を図られている事例も増えてきておりまして、将来的な移住、UIJターンにつながることを期待いたしております。  今後とも、関係の市町村と連携をいたしまして、多くの学生の皆さんが集まるイベント等の機会を活用いたしまして、移住、UIJターンの促進に取り組んでまいります。 51 ◯副議長(筱岡貞郎君)大原警察本部長。    〔警察本部長大原光博君登壇〕 52 ◯警察本部長(大原光博君)まず、弥陀ヶ原火山の対策についての御質問にお答えします。  弥陀ヶ原火山の対策における県警察の役割である観光客、登山者、付近住民の避難誘導に関しましては、火山噴火のメカニズム、火山性ガスの危険性などの火山災害対策特有の留意事項、また、噴火時における警戒区域の状況把握方法に関する教養や訓練が必要で、これまで機動隊や広域緊急援助隊を対象とした県警察災害対策アドバイザーなどの専門家による講義、また、ドローンの操作訓練や山岳警備隊との合同訓練を実施しているところです。  現在、県警察では、火山性ガスマスク、ガス検知器などを整備しているものの、弥陀ヶ原火山周辺は高地で厳しい環境であることから、より迅速的確な避難誘導という観点からは、山間地用の特殊雨衣や登山靴、ヘルメット、ゴーグルなどの装備資機材も必要となってくるものと考えております。  県警察では、引き続き、専門家による教養、関係機関との合同訓練の実施、装備資機材の整備に努め、立山弥陀ヶ原における観光客や登山者、付近住民の安全確保に万全を期してまいります。  次に、交通事故情報の公開についての御質問にお答えします。  議員御指摘のとおり、県民や旅行者が交通事故に遭わないよう、事故多発交差点などの情報を幅広く効果的な形で公開することは大変重要であり、県警察では、よりわかりやすい情報提供のあり方について検討を進めているところです。  9月補正予算案においては、交通事故発生地点の緯度、経度情報を地図上に表示することなどを可能とする新規のシステムの整備事業を上程しているところでありまして、これが実現すれば、ホームページなどを通して交通事故発生地点などに関する情報をより正確かつわかりやすく県民や旅行者に提供することが可能となります。  県警察においては、今後とも、県民や旅行者が交通事故に遭わないよう効果的な情報提供に努めてまいりたいと考えております。 53 ◯副議長(筱岡貞郎君)竹野危機管理監。    〔危機管理監竹野博和君登壇〕 54 ◯危機管理監(竹野博和君)私からは、外国人観光客に対する災害情報の提供や避難指示の対応について、お答えをさせていただきます。  弥陀ヶ原の火山防災対策につきましては、県ではこれまで火山防災協議会におきまして、富山市、立山町、上市町などの関係市町を初め、気象庁、北陸地方整備局などの関係機関・団体、火山専門家等と協議を行いまして、火山現象等の推移を時系列で整理した噴火シナリオの策定、大きな噴石や火砕流等の火山噴火による危険なエリアを地図上に示した火山ハザードマップの策定などを進めてきました。  また、今年度は、5月30日から新たに運用が開始されました噴火警戒レベルを踏まえた地域防災計画の策定や、立山町等が作成する避難場所や立ち入り規制箇所等を地図上に示した火山防災マップへの支援などを行っているところであります。  議員御指摘の外国人観光客に対します災害情報の提供や避難指示などにつきましては、万一の災害時では、各市町村から携帯電話各社により多言語対応された緊急速報メールによりまして、災害避難情報が一斉配信されるほか、県では今年度、富山防災WEBを改修いたしまして、多言語対応機能を追加し、迅速かつ的確な情報の発信、伝達ができるよう取り組んでおります。  また、災害予防対策としましては、火山ガスへの注意喚起や想定される火山現象などを多言語、これは5カ国語であらわしておりますけれども、表記する弥陀ヶ原火山防災啓発カード及びチラシを配布するなど、平時においても立山を訪れる外国人観光客等への情報発信にも努めてきております。  さらに、国におきましては、訪日外国人旅行者向けに発信する災害時情報提供アプリ「Safety tips」の多言語化が進められますとともに、今年度中には避難勧告や指示等の情報発信機能も追加される予定でございます。  立山は、年間約100万人が訪れる国際的な観光地であり、また、この後、東京オリンピック・パラリンピックなどを契機にさらなる観光客の増加が見込まれますので、今後とも、関係機関と連携いたしまして、外国人も含めた観光客等の安全確保にしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。 55 ◯副議長(筱岡貞郎君)伍嶋教育長。    〔教育長伍嶋二美男君登壇〕 56 ◯教育長(伍嶋二美男君)私からは、本県の教員の管理職に関する御質問にお答えをいたします。  本県における教員の年代構成につきましては、50代が44%と大きな割合を占めているのに対しまして、30代、40代がそれぞれ約20%となっておりまして、就職氷河期年代とも重なる中堅層が少ない構成割合となっております。  この結果、現在の管理職の年齢層は高い状況にありますけれども、今後、高年齢層の大量退職に伴いまして、管理職に登用される年齢は急速に低下することが見込まれます。  このため、30代後半から40代後半の教員は、いわゆる就職氷河期世代の教員でありますけれども、比較的若い時期から学校運営の中心的な役割を担うことが求められていることから、こうした若手教員に対しては、50代の先輩教員等が培ってきました学校運営などに関する知識や技能を伝えていくことが急務であると考えておりまして、今後、計画的に管理職を養成していくということにしております。  具体的に申し上げますと、30代あるいは40代の教員に対しまして、学校経営研修会などにおきまして、指導力の向上を図る研修や、管理職を視野に入れた意識の醸成を図るための、例えば教育法規などの研修を充実しております。  さらに、30代、40代の教員を支えます20代後半から30代前半の教員を対象とする中堅教諭等資質向上研修では、ミドルリーダーとしての自覚の醸成と基礎となる知識や技能などの育成を図っております。  また、議員御指摘のとおり、ベテランから中堅、さらには若手教員に対しまして、直接、教育理念や指導技術を伝承していくことが大切であることから、多くの経験を有する定年退職者等を任用いたします制度である再任用制度の有効活用も今後検討することとしております。  30代及び40代の教員には、次の学校運営を担う年代であることを今から自覚をして、ライフステージを意識した研修や自己研さんに真摯に取り組んでもらいたいと考えております。  また、県教育委員会としても、今後とも、大量退職に対応した若手管理職の育成や教員組織の強化に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 57 ◯副議長(筱岡貞郎君)以上で庄司昌弘君の質問は終了しました。  杉本正君。    〔31番杉本 正君登壇〕 58 ◯31番(杉本 正君)実りの秋、新米がおいしい季節になりました。  富山県期待の星、朝乃山関は、きのう負けて3敗になりましたが、あと4日間、2度目の優勝に向けて頑張ってほしいと思います。  9月県議会に当たり、幾つかの問いについて質問いたします。  最初に、富山県のPRについて3問質問いたします。  質問の第1、上海便についてであります。  今月、上海の空港と本県を初め日本の地方空港を結ぶ航空路線の上限規制が撤廃されましたが、県はこれまで取り組んでこられた上海便の週4便定期便化の実現の見通しはどうか。  また、週4便定期便化を実現するためには、まず多くの方に上海便を利用してもらうことが重要と考えます。  私がよく昼飯を食べに行く岩瀬の食堂の娘さんから、先日、「杉本先生、上海便の増便をよろしくと石井知事に言っておいてね」と言われました。「どうしてけ」と聞きましたら、その娘さん、娘といっても40歳を過ぎた熟年の方でありますが、「ディズニーランドが大好きで、年に二、三回、今までは東京ディズニーランドに行っていたけど、先日初めて富山・上海チャーター便を利用して上海のディズニーランドに行ってきました。大変よかった」と言っておられました。  これは身近に聞いた1つの例でありますが、上海便の利用促進策とあわせて石井知事にお伺いいたします。  次に質問の第2、バーチャルユーチューバーについてであります。  本県の観光地や食などの魅力発信を強化するため、県がユーチューバーとして動画配信や投稿を行うコンピュータグラフィックス(CG)のキャラクター、バーチャルユーチューバーを導入してはどうでしょうか。  昨年6月に全国の自治体で初めて導入した茨城県では、2億4,000万円の広告効果があり、本県の射水市は来年1月から導入すると聞いております。  本県も女性キャラクターを新たにつくり、きときと君とあわせて男女のCGキャラクターを導入してはどうでしょうか。滝経営管理部長にお伺いいたします。  質問の第3、立山ブランドについてであります。  「立山に 降り置ける雪を 常夏に 見れども飽かず 神からならし」、これは万葉集の編さんに加わった大伴家持が詠んだ歌です。平安時代の書物「大日本国法華経験記」や「今昔物語集」には、立山地獄に落ちて苦しむ女性の話が紹介されています。  立山といえば、極楽坂、弥陀ヶ原、浄土山、称名の滝、地獄谷など、極楽と地獄に関連した地名が多くあります。  県では、立山黒部世界ブランド化の推進に向け運動を進めておられますが、立山に地獄と極楽が同居しているイメージをもっと前面に打ち出したほうがよいと思います。
     称名滝と並んである滝はハンノキ滝と呼ばれておりますが、このハンノキ滝には涅槃の滝という別名があります。称名の滝というのは修行している人の称名念仏の声が滝の音に通ずる、また涅槃の滝の涅槃というのは、悟りを開くという仏教語であります。  芦峅寺や岩峅寺の宿坊や神社、お寺は、立山の聖なる世界を広めるため、極楽と地獄を描いた立山曼荼羅をつくり、それを持って「ぜひ立山に来てください」と全国各地を訪れたと聞いております。  また、大名やお金持ちのところへ行って、「お寺や神社に寄附をすると、立山曼荼羅に描かれている極楽に行けますよ。それも本人が死んでから、奥さんや息子が寄附しても効果はありませんよ。本人が生きているうちに寄附をすれば、間違いなく極楽に行けますよ」と言って寄附を集めたということであります。  話は戻りますが、先ほど述べましたハンノキ滝について、立山ブランドの地獄と極楽のイメージに合った涅槃の滝の名称をもっと前面に出して、称名滝とともにPRしてはどうでしょうか。猪俣観光・交通振興局長のお考えをお伺いいたします。  富山市北部地区の諸問題について、5点お伺いします。  質問の第1点、富山北部高校南側の県有地についてであります。  不動産業者が宅地造成のために購入した富山北部高校南側の県有地に産業廃棄物が埋まっていたとして、県に約8億円の損害賠償請求訴訟を起こしたとの報道がありましたが、この件に関する事実経過と所見を水口土木部長にお伺いいたします。  質問の第2点、岩瀬スポーツ公園の駐車場対策であります。  岩瀬スポーツ公園のソフトボール広場の観戦スタンドが整備され、利用者が増加しているため、早期に駐車場を拡充すべきと考えます。  第54回文部科学大臣杯全日本大学男子ソフトボール選手権がこの秋、富山市の岩瀬スポーツ公園ソフトボール広場で全国32大学が参加して行われました。2023年まで、この場所での継続開催が決まっております。  今月開催された全国大会では、臨時駐車場を含めて駐車場が埋まっていました。住友運河の遊歩道を整備した後に、運河用地の一部を駐車場として整備する予定と聞いておりますが、ソフトボールの聖地を目指すためにも、前倒しして駐車場を整備すべきと考えます。  その整備スケジュールについて土木部長のお考えをお伺いいたします。  質問の第3、富山北警察署の活用についてであります。  (仮称)富山南警察署が完成し市内警察署が再編された後、富山北警察署は幹部交番として活用されます。  この名称についてもいろいろ検討の余地はあると思いますが、富山市北部地区の安全・安心の拠点として必要な機能を維持した上で、幹部交番となった後の敷地利用を検討すべきと考えます。  地元からは、富山市の荻浦地区センターの用地として活用を希望する声もあります。  (仮称)富山南警察署が来年9月に完成する予定であり、本格的な検討をすべき時期に来ていると思います。大原警察本部長の所見をお伺いいたします。  質問の第4、臨港道路西宮線の整備であります。  富山港の東側と西側を結ぶ臨港道路西宮線の整備でありますが、ここ5年も6年も前から調査費がつけられていますが、一向にその具体的な姿は見えてきておりません。  現在の進捗状況と今後のスケジュールについて、土木部長にお伺いいたします。  質問の第5、あいの風とやま鉄道の東富山駅の東側改札口の設置であります。  あいの風とやま鉄道の東富山駅について、鉄道事業者や富山市とも連携して、東側改札口の設置が前向きに進んでおります。  近隣に東富山運動広場や富山東高校、済生会富山病院などがあるほか、宅地開発も着々と進んでおります。駅の近くに一杯飲み屋も既に開店して、東側改札口の設置を待っております。  整備スケジュールを観光・交通振興局長にお伺いいたします。  次に、少子化対策・子育て支援について3点お伺いいたします。  質問の第1、少子化対策の基本計画についてであります。  県では今年度中に新たな子育て支援・少子化対策の基本計画を策定することとしておられますが、策定に向けた基本方針について石井知事の所見をお伺いいたします。  県民の希望出生率1.9を実現するためには、本県がこれまで行ってきた施策の成果と課題をしっかり検証した上で、県民が安心して子供を産み育てる環境を整えることが重要であると思います。  質問の第2、第4子以上誕生お祝い事業についてであります。  子供が4人以上いれば、とやまっ子お祝いパスポートを発行して家族全員が県立の文化・スポーツ施設を利用できる施策で、平成28年から実施されていますが、当初は、このお祝いパスポートの有効期限は、第4子が小学校入学までとされていましたが、これでは利用者の数は少な過ぎる。  文化施設とかスポーツ施設の利用は、小学校入学前の保育所、幼稚園、またそれ以下の幼児より、むしろ小学生、中学生のほうが利用するので、義務教育が終わる中学3年まで範囲を広げるべきだと、私は議会や委員会で大きな声でしつこく言うものですから、当局は昨年の4月からこのパスポートの利用期間を小学校6年生まで拡充されましたが、第4子以上では対象者が少ないため、子供が3人、第3子以上に拡充すれば、少子化対策としてさらに有効かと考えます。  このことによって県の支出が増えるわけではありません。第4子以上誕生お祝い事業について、対象を子供3人、第3子以上に拡充すべきと考えます。  現在のお祝いパスポートの利用状況とあわせて、市村厚生部長のお考えをお伺いいたします。  質問の第3、県庁内保育所についてであります。  これは先日、火爪議員からも質問がありましたが、防災・危機管理センター(仮称)に開設される県庁内保育所は、どのような施設を整備しようと考えておられるのか。  事業所内保育所を設置する県内企業が増えるよう、模範的な施設にする必要があると考えます。  今後のスケジュールとあわせて、経営管理部長にお尋ねいたします。  最後に、環境問題について2点質問いたします。  質問の第1、海洋プラスチックごみについて。  あの小泉進次郎さんが環境大臣に就任されました。安倍総理から海洋プラスチックごみの削減を世界に向けてアピールしてほしいとのコメントをもらったということでありますが、近年、海洋プラスチックごみによる海洋汚染が大きな問題となっている中、全国初の県単位でのレジ袋無料配布廃止などの取り組みが評価され、国のSDGs未来都市に選定された本県としては、プラスチックごみ削減の取り組みを積極的に推進すべきと考えます。  プラスチックは日常生活のあらゆる場所で利用され、我々の暮らしに欠かせない存在でありますが、不適切に処理されたプラスチックが富山湾に漂着しているほか、海に流れ出たプラスチックごみを海の生き物が食べて死んでしまうなど、悪影響が発生しています。  世界で最も美しい富山湾を目指す石井知事のお考えをお伺いいたします。  最後の質問、食品ロス削減のための共同宣言について。  県はことし3月に食品ロス削減のための商慣習見直し等に関する共同宣言を行ったところでありますが、共同宣言に基づく取り組みの推進に向けてどのように取り組んでいかれるのか。  共同宣言にも書かれているとおり、事業者、消費者、行政がそれぞれの役割を果たして取り組んでいくことが重要です。  河村農林水産部長のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 59 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 60 ◯知事(石井隆一君)杉本議員の御質問にお答えをいたします。  まず、上海便についてであります。  富山・上海便につきましては、昨年度から上海からの訪日需要が好調でありますけれども、他方で、増便については日中政府間で上海などから日本の地方空港への便数制限があるため、困難であるということが中国の東方航空側の説明でありましたことを踏まえまして、ことし4月、中国側の要請で北京で開催されました一帯一路国際協力サミットフォーラムの場におきまして、一帯一路構想の実現のためにも日中間の航空路線の充実が重要で、そのための日中間の合意形成の早期実現の必要性をアピールさせていただきました。  また、中国の民用航空局などにもそうした制限緩和のお願いと、国交省の大臣、また航空局長に対する働きかけも行ってまいりました。  幸い、これらの日中のさまざまなレベル、方面への働きかけの結果、富山・上海便を運航する東方航空は、7月11日から9月29日まで臨時2便を運航して、定期便と合わせて週4便で運航することになったわけであります。  この臨時2便の継続、または定期化に向けて、8月12日に中国の東方航空本社、上海にあるわけですけれども、そこで李養民総経理に定期便の増便を働きかけましたところ、制限緩和が認められれば富山・上海便の定期便増便に速やかに対応したいという発言もいただきました。  その後、9月に入ってから国交省の航空局長を再度訪問して確認しましたところ、上海から日本の地方空港への発地制限を撤廃したと言明していただいて、大変喜ばしく思ったところであります。  しかしながら、最近になりまして東方航空富山支店から、10月27日からの冬ダイヤにおいて、富山・上海便は増便は見送って、週2便で申請したという連絡がありました。  これまでの経過からしますと大変残念に思っておりまして、定期便の増便申請をされなかった理由などを現在、富山支店を通じて照会中でございます。  富山・上海便については事実関係を確認整理した上で、またこの2カ月半の間、週4便となってからも相当の搭乗率を確保できておりますので、冬場も含めて今後の旅客ニーズや利便性向上の観点からも、引き続き臨時増便とか定期便化を粘り強く働きかけていきたいと思います。せっかく上海のディズニーランドに行くのを楽しみにしていらっしゃるという方もおられるようでありますから、粘り強く努力してまいります。  そのためにも、議員のお話のように、まず多くの方に上海便を利用してもらうことが必要でありますので、北京や上海で開催しました観光説明会、商談会に参加した現地旅行会社を本県に招聘しまして本県へのツアー造成の促進を図りますほか、東方航空とも連携いたしまして上海で一般消費者向けの観光PRイベントを開催し、観光客の誘客を図るなどの利用促進に取り組んでまいります。  また、あわせて県議会の御理解もいただきながら、幅広い県民の皆様、さらには飛騨高山など近隣地域の皆様、県内企業の皆様に、観光やビジネスでの上海便の利用を働きかけまして、日中間の人的交流がさらに活発になり、その中で富山・上海便の定期便の増便も実現する、こういうことにつながりますように、今後ともしっかり取り組んでまいります。  次に、少子化対策・子育て支援についてお答えをいたします。  少子化対策としては、とやまマリッジサポートセンターを通じた結婚支援ですとか、また県立中央病院のNICUやMFICUなど全国トップクラスの周産期医療体制の充実ですとか、仕事と子育ての両立支援、子育て支援の気運醸成、それから保育料の無償化・軽減、また全国トップクラスの不妊治療や不育症の治療費助成、子育て応援券の配付、拡充、またさっきお話に出た第4子以上誕生お祝い事業など、幅広く施策に取り組んでまいりました。  特に平成27年から市町村と一緒に始めた第3子以降の保育料の原則無償化、これは今でも県単位ではそこまでやっているところは数少ないと思いますし、昨年から一定の低所得世帯の第1子、第2子に対する保育料の無償化、軽減もやっている。  さらに、国が今度10月からやると。これについても副食費を県単、市町村と一緒に助成する、こんなふうにしているわけであります。  こうした取り組みの結果、平成18年、19年は1.34まで合計特殊出生率が下がったというか、最少だったんですけれども、平成30年の合計特殊出生率は1.52となりまして、前の年よりは下がりましたけれども、4年連続1.50台を維持しているということでございます。  さらに、県の調査で見ますと、子育てや教育に係る経済的な負担、あるいは仕事や子育ての両立が難しいといった回答割合が、平成25年度と29年度で比較しますと、明らかに低下している。  また、職場が仕事と子育てを両立しやすいと、これは別の調査ですけれども、これも26年と令和元年を比較しますと、子育てしやすい、両立がしやすいという回答が相当程度上がっているということで、それなりの効果が出ているかなと思います。  一方で、県民の希望出生率の1.9とはまだまだ開きがございますので、未婚化、晩婚化の進行、あるいは第1子出産後、第2子、第3子をちゅうちょする傾向が見受けられること、また3世代同居が減って全国並みに核家族化が進んでいく中で、本県では男性の家事・育児参加が、全国と比較してもまだあまり進んでいないなどの課題があると考えております。  そこで、新たな子育て支援・少子化対策に関する基本計画の中間報告では、結婚を希望する男女への支援、これは出会いの機会の創出やコミュニケーション力のアップといったようなこと、また子育て家庭に対する支援、例えば病児・病後児保育や放課後児童クラブ、産後ケアなどのさらなる充実、働き方改革の推進、また男性の家事・育児参画の促進、また育児休業取得をもっと進める、さらには子育て家庭やお子さんを望む家庭へのいろんな面での支援ですね。こういったことが重点施策として盛り込まれたところでございます。  子育て支援・少子化対策はさまざまな施策を総合的に実施して取り組むべき県政の最重要課題の1つでありますので、年度内に策定予定の新たな子育て支援・少子化対策に関する基本計画におきましては、県議会での議論ももちろん十分を踏まえまして、市町村や関係団体、企業等と連携して、結婚、出産、子育ての願いがかなう環境づくりにしっかり取り組んでまいります。  最後に、プラスチックごみ削減についてお答えをいたします。  海洋プラスチックごみへの対応は、地球規模の重要かつ喫緊の環境問題となっておりまして、その解決には廃棄物の適正処理はもちろんですけれども、日常生活や事業活動を見直してプラスチックごみそのものを削減する3Rの取り組みが重要だと感じております。  そこで、県では国に先駆けまして、先ほど御紹介いただきましたが、全国初となる県単位でのレジ袋無料配布廃止ですとか、国の法制度のモデルとなりました小型家電のリサイクル、また食品トレイやペットボトルなどの資源回収等に取り組むとやまエコ・ストア制度の創設などに取り組んで、特にレジ袋につきましては、今年度、県内企業に御協力をいただきまして、コンビニでのマイバッグ利用促進にも取り組んでおります。全国的にもコンビニでやるのは初めてか極めて珍しいんじゃないかと思います。  さらに、使い捨てプラスチックの中には削減や代替品への転換が可能なものもあると想定されますので、消費者意識調査を実施いたします。これは使い捨てプラスチック等に関する消費者意識調査でありまして、県民1,500名を対象に、この7、8月に調査して、今月取りまとめ中ということでございます。  これとともに、9月補正予算案では食品用プラスチックトレイの削減・転換に向けて、小売店や消費者を対象とした課題調査事業を計上いたしております。何とかこれを削減・転換するためにどういう課題をクリアしたら実現できるのか。いきなり実施というよりは、そういうことをしっかりやった上で進めていきたいと思っております。  レジ袋の無料配布の廃止については、国において来年4月からの実施に向けて議論されておりますけれども、県民や事業者の方、行政が一体となった本県の取り組みが富山方式ということで、当時の環境大臣の原田大臣から、富山方式も参考にして環境省としても全国のコンビニやスーパーなどでレジ袋無料配布禁止の法制化を進めていきたいといった御発言もありまして、大変高く御評価いただきました。  3年前のG7富山環境大臣会合の際にも、海洋ごみセッションでレジ袋の無料配布廃止や廃プラも含めた海岸漂着物の処理や発生抑制の富山県の取り組みについて発表させていただくとともに、北東アジア自治体の環境専門家会合を開催して、海岸漂着物対策を含めたとやま宣言というのを取りまとめて発表した経過もございます。  今後とも、プラスチックごみ削減の取り組みに当たりましても、必要な調査を行って関係者から御意見をしっかり伺い、連携協働して効果的な取り組みを進めたいと思います。  ちょうどお話のように、来月、世界で最も美しい湾クラブ世界総会が開催されますので、本県の取り組みを発信しますほか、NEARの環境分科委員会を通じまして、国内外の自治体へも普及啓発を図る。  せっかく県民の皆さんや多くの事業者の方の御協力をいただいて取り組んでおりますので、こうした県民の皆さんの真面目な取り組みを、ぜひ国の内外に大いにアピールして、海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献してまいりたい、こういうふうに思っております。  以上です。 61 ◯副議長(筱岡貞郎君)滝経営管理部長。    〔経営管理部長滝 陽介君登壇〕 62 ◯経営管理部長(滝 陽介君)私からは2問お答えしたいと思います。  まず、バーチャルユーチューバーに関します御質問にお答えをいたします。  議員から御紹介、御提案がございましたバーチャルユーチューバーにつきましては、ユーザーが親近感を抱きやすく、またツイッターなどと連動して双方向のコミュニケーションが容易であるということもございまして、近年、若年層に高く認知をされております。  御紹介がありましたとおり、全国的には茨城県で昨年初めて導入をされておりますし、県内でも射水市さんが12月ごろの公開に向けて準備中というふうに伺っております。  こうしたバーチャルユーチューバーの導入に際しましては、タレントの方などを起用した動画を制作する場合に比べますと、費用が安く短時間で制作ができるということ、また、現実では不可能な動きについても、コンピュータグラフィックスを使うということで、動画でそれを表現できるでありますとか、実際に実現をするとなると多大なコストがかかるような動画も、低コストで作成できるといったようなメリットがあるところでございます。  一方で、このバーチャルユーチューバーにつきまして、やはりターゲットをかなり特定の年代層に絞って、その年代層に支持されるような魅力的なキャラクターの設定ということが不可欠でございます。  また、イメージに合いました声優の方を起用して企画あるいは運営体制を維持することで、初めて効果が高まるということもございますし、ターゲットといたします特定の年代層のニーズ等に応じた適切な情報を一定以上の量、質、独自のスタイルで継続をして発信するということが必要となりますなどの課題も想定されるところでございます。  議員から御提案のございましたきときと君でございますが、これはターゲットとする年代層を比較的広く設定しているということもございます。したがいまして、バーチャルユーチューバーとして支持されるためには、やはり今ほど申し上げましたような課題をクリアする必要があると考えております。  お話がありましたバーチャルユーチューバーを初めとしまして、特に若い世代の方の流行の変化というのは極めて速いものがございます。そうした変化を把握し対応するということで申し上げますと、近年まで若い世代だと自分も思っておりましたけども、大変苦戦を強いられている分野でございまして、県庁内の若い職員の力もお借りをしながら、今後ともユーチューブを初めSNS等を活用した多様な広報にも努めてまいりたいと思っておりますし、御指摘のありましたバーチャルユーチューバーにつきましても、来週に開催を予定しております県職員と県内市町村広報担当者向けの研修会で、射水市さんから早速、御説明をいただく予定にしてございます。  そうしたことも含めて、今後研究を深めてまいりたいと考えてございます。  続きまして、県庁内保育所についてお答えをいたします。  県庁内保育所は、女性活躍や少子化対策の推進に向けた県の率先行動ということで、防災・危機管理センター(仮称)の建設に合わせて整備をすることとしたものでございます。  その整備に当たりましては、北陸銀行さん、それからJAグループさんと連携をすることといたしておりまして、職員、社員のお子さんを受け入れますほか、今後、増加が見込まれます年度途中の入所希望児の受け皿の確保、また富山市内の中心部で増加をする保育ニーズの充足のため、富山市の認可を受けまして、一定の地域枠を設けた小規模保育所を整備する方向で検討を進めております。  また運営につきましては、富山市と十分協議しながら事業者を公募し委託をしたいと考えておりますけれども、県内事業者へのヒアリングでありますとか、あるいは先行する県の事例も参考にしながら、保育の質の確保を図るため保育士の配置にも十分留意いたしますとともに、一方で、施設の性格上、スペースにやや限りがある中ではございますけれども、事業所内保育所の設置を検討する県内企業の模範となる施設になるように目指してまいりたいと考えてございます。  今後のスケジュールでございますけれども、事業所内保育所を既に開設されておられます県内の企業でありますとか、広島県などの先行する取り組みを参考にいたしますとともに、あわせて専門家の御意見もお聞きいたしまして、今年度中に防災・危機管理センター(仮称)とあわせて施設の実施設計を行うこととしております。  また、来年度に改めまして職員のニーズ調査を行い、この結果に基づきまして、認可権者であります富山市との協議も行い、施設の概要を取りまとめ、令和3年度に運営事業者を公募したいと考えておりまして、令和4年度中の開所を目指して着実に準備を進めてまいりたいと考えております。
     以上でございます。 63 ◯副議長(筱岡貞郎君)猪俣観光・交通振興局長。    〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕 64 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)私から2問お答えいたします。  まず、立山のハンノキ滝についてでございますが、ハンノキ滝は雪解けの時期や大雨の後などに称名滝の隣にあらわれ、500メートルの落差を誇ります大滝でございます。  水が常時流れていないため、例えば、日本の滝100選には選ばれていないものの、県が平成3年度に定めましたとやまの滝37選にはハンノキ滝の名称で選定されており、称名滝や悪城の壁などとあわせて、地元が誇る雄大な観光資源としてこれまでも多くの観光客に親しまれてきたところでございます。  議員御紹介の涅槃の滝は、ハンノキ滝と併記されている例もあり、仏教に通じる名称でもありますことから、立山信仰とも相まって、観光面での活用の可能性があると考えられます。  ただ一方で、地元では一般的にハンノキ滝の名称が広くなれ親しまれていることにも留意が必要であり、また専門家に聞きましたところでは、涅槃の滝と記述されたものは同様の名称が全国的にも存在するとのことであり、今後、山岳信仰の専門家などの意見も伺いまして適切に対応してまいりたいと考えております。  立山黒部の世界ブランド化の推進に当たっては、雄大で貴重な自然はもとより、世界的にも類を見ない独自の歴史、文化など、多種多様な魅力を最大限に活用することが重要であると考えております。  今後とも地元市町や有識者等の意見も伺いながら、ハンノキ滝を初め立山黒部一体の観光振興に努めてまいりたいと考えております。  続いて、東富山駅の東側改札についてでありますが、東富山駅の東側改札につきましては、地元富山市の地域公共交通網形成計画におきまして新たな設置が盛り込まれており、また東富山駅周辺に都市機能を担います施設の整備も見込まれることから、富山市の要望に基づき、県におきましても平成28年9月に県都市計画審議会の議を経て、東富山駅東側の東富山運動広場や済生会富山病院を含みます約31ヘクタールを市街化区域に編入したところであります。  これらを踏まえまして、平成29年9月には地元富山市からあいの風とやま鉄道に対し、東富山駅東口改札の新設につきまして検討してもらいたいとの依頼があり、あいの風とやま鉄道としても利用者の利便性の向上につながり、一定程度の乗車人員の増加にもつながりますことから、昨年3月に富山市と基本協定を締結し、改札口設置を進めることとされたものであります。  整備スケジュールにつきましては、現在、詳細設計中でありまして、来年度、令和2年度に東側駅舎の建設を行い、令和3年春ごろの開業を目指していると伺っております。  既存の駅におきます新たな改札口の整備につきましては、駅を中心としますまちづくりと密接に関係しますことから、地元市町村が中心となって対応していただくことが基本であると考えており、県としましては、あいの風とやま鉄道や富山市と連携しながら、必要な助言を行うなど適切に対応してまいりたいと考えております。  以上であります。 65 ◯副議長(筱岡貞郎君)水口土木部長。    〔土木部長水口 功君登壇〕 66 ◯土木部長(水口 功君)3点お答えを申し上げます。  まず、損害賠償請求訴訟についての御質問にお答えをいたします。  富山市蓮町地内の売却済み県有地につきましては、平成29年6月19日に広告、同年7月28日に入札を行い、今回提訴した買い受け人と約4億3,700万円で契約したものであります。  昨年、買い受け人から埋設物について申し入れがございました。このため、県としましては入札時の書類の調査や顧問弁護士との協議を行い、双方の代理人が解決策を話し合ってまいりましたが、今回の損害賠償請求訴訟を提起されたものであります。  先月、8月30日に訴状が届いたことを受け、現在、顧問弁護士と今後の方針などについて協議しているところではありますが、係争中の事案でございますことから、買い受け人との話し合いの内容も含め、内容について発言することは差し控えさせていただきたいと考えております。  次に、岩瀬スポーツ公園についての御質問にお答えいたします。  岩瀬スポーツ公園は、外野に天然芝が広がる球場を4面備えた全国有数のソフトボール広場を初め、サッカー・ラグビー場、テニスコートなど充実した競技施設を備えた運動公園であり、また芝生広場や子供用の遊具もございまして、緑豊かなスポーツと憩いの空間として県内外の皆さんに利用いただいております。  大規模な大会が開催される週末や休日には、競技や観戦に自家用車で来園される方が多く、公園内の駐車場、普通車で420台分ございますけれども、これだけでは不足する場合もありますことから、大会時には住友運河東側の用地の一部に十分な広さ、約400台分、の臨時駐車場を確保するとともに、大会主催者に対して駐車場へ適切に誘導するよう要請しているところであります。  この住友運河東側の米田水面貯木場及びその周辺の埠頭用地の土地利用につきましては、地元の方々の御意見をいただき検討しました結果、水面をある程度残しながら、運河を周遊できる遊歩道を整備する案、これを基本とし、あわせて駐車場にも活用できるよう、現在その緑地計画を検討しております。  検討に当たりましては、現在整備している住友運河の遊歩道との連絡はもとより、岩瀬スポーツ公園との連携にも配慮する必要があると考えておりまして、地元の方々の御意見をいただきながら緑地計画の策定を進め、早期に工事着手できるよう努めてまいります。  次に、臨港道路西宮線についての御質問にお答えいたします。  臨港道路西宮線につきましては、富山港の航路、泊地等の東西に位置する埠頭用地を有効に活用し東西の連絡強化を図るため、延長800メートル、幅員9.5メートルの新設の道路として港湾計画に位置づけられております。  この道路整備により、港湾貨物の輸送時間の短縮や輸送力の向上による荷役作業や物流の効率化とともに、国道415号や県道富山港線など、既存道路の大型車両の減少による渋滞、振動、騒音の緩和など、生活環境の改善が期待されるものであります。  整備の進捗状況につきましては、平成28年度から国の交付金事業を導入し、これまでに道路法線や富岩運河を横断する橋梁の形式の検討などを実施するとともに、大型の補償物件についての調査を行ってまいりました。  補償物件の調査に当たりましては、この事業により工場の一部が支障となりますけれども、物件所有者に協力をいただき、生産活動が継続できるよう考慮し算定いたしましたところ、補償費が事業着手時の想定より増加する見込みとなり、事業費の確保や補償方法等が課題となっております。  このような課題がございますが、引き続き地元の関係の皆様方の御理解と御協力を得ながら、また国との協議も鋭意進め、課題の早期解決に向け取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 67 ◯副議長(筱岡貞郎君)大原警察本部長。    〔警察本部長大原光博君登壇〕 68 ◯警察本部長(大原光博君)富山北警察署が幹部交番となった後の敷地利用についての御質問にお答えします。  (仮称)富山南警察署新庁舎完成後は、新たな3警察署体制を可能な限り速やかにスタートすることとしており、再編後の現富山北警察署は富山市北部地区の安全・安心を守る拠点として、(仮称)富山北幹部交番として活用することとしております。  この幹部交番におきましては、警部を長として配置した上で、より高度な事案処理判断のもと、近隣の交番、駐在所や本署と連携した効果的な対応を期するとともに、大規模な災害や祭礼警備、国際拠点港湾伏木富山港の警備拠点としての機能を発揮させることを見込んでおります。  当面は既存の庁舎を幹部交番として活用してまいりますが、一方で地元住民の方々からの声も存じておりますところ、警察署再編後の状況も踏まえ、富山市北部地区の安全・安心を確保しつつ、現庁舎や敷地をどのように有効活用できるかについて検討してまいります。 69 ◯副議長(筱岡貞郎君)市村厚生部長。    〔厚生部長市村仁志君登壇〕 70 ◯厚生部長(市村仁志君)第4子以上誕生お祝い事業についての御質問にお答えいたします。  議員から御紹介もございましたが、この事業は平成28年度から実施をしておりまして、第4子以上のお子さんが生まれた御家庭をお祝いするため、知事のお祝いメッセージの送付や県立の文化・スポーツ施設等の利用料を無料としますパスポートの配付、対象の御家庭の広報誌での紹介などを行うものでございます。  昨年度は多子世帯の御家族に家族の触れ合いの機会をつくっていただく観点から、パスポートの有効期限を生後6年間から、親子で出かけることの多い小学校6年生まで延長したところでございます。  パスポートの利用状況は、平成28年度は116件でありましたが、29年度は530件、30年度は1,427件でありまして、発行枚数の増加や制度の周知に伴いまして、利用件数は増えてきております。  今後もパスポートの新規発行枚数が増加していきますことから、利用件数もさらに増加するものと考えております。  また、県では3人以上のお子さんを持つ家庭の支援として、これまで子育て応援券の手厚い配付や、平成27年度からは保育料の原則無償化、がんばる子育て家庭支援融資の対象拡大及び実質無利子化、とやまっ子すくすく電気事業の実施などに取り組んでいるところでございます。  こうやって今年度は、本年10月から開始されます国の幼児教育・保育の無償化に当たり、一定の所得の多子世帯におけます副食費を無償化するなど、さまざまな施策を組み合わせて多子世帯を支援しているところでございます。  現在、新たな子育て支援・少子化対策の基本計画について、子育て支援・少子化対策県民会議におきまして議論、検討をいただいております。  今後もこの県民会議や県議会、今ほど議員から御提案もございましたが、幅広い県民の皆様の御意見をお伺いすることとしておりまして、そうした御意見も踏まえて、効果的な子育て支援・少子化対策の施策について検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 71 ◯副議長(筱岡貞郎君)河村農林水産部長。    〔農林水産部長河村幹治君登壇〕 72 ◯農林水産部長(河村幹治君)食品ロスの削減についての御質問にお答えいたします。  議員からもお話がございましたように、本県では食品ロスの大きな要因であります食品流通段階における3分の1ルールなどの商慣習の見直しで、事業者、消費者、行政がそれぞれの役割を果たし商慣習の見直しに取り組むことを、去る3月29日全国に先駆けて宣言したところでございます。  これまで22の事業者がこの宣言に賛同し商慣習の見直しを進めていただいており、例えば製造業では、賞味期限の延長や年月表示化を進めていただいているほか、小売段階のスーパーでは、菓子、飲料を中心に従来の商慣習3分の1ルールを2分の1に見直し納品期限を延ばすとともに、賞味期限間近の商品についてはディスカウント等により売り切ることなどに取り組まれているところでございます。  また、商慣習の見直しの推進には、こうした事業者の取り組みの拡大を図りますとともに、過剰な鮮度志向の改善や賞味期限と消費期限の違いについての正しい認識をするなど、消費者の理解が重要でありますことから、消費者の皆さんを対象に去る7月には事業所の取り組み事例を紹介するフォーラムを開催したほか、8月には大手ショッピングモールで消費者向けの啓発イベントを開催したところであります。  また、10月からはスーパー等の買い物かごを利用し、すぐに食べるものであれば賞味期限に近いものから購入することなどを紹介、啓発するシートを買い物かごに入れるなど、啓発活動を行うこととしております。  さらに、このたびの9月補正予算案では、見切り品コーナーの利用が環境保全にもつながる賢い選択であるという消費者の機運醸成を図りつつ、事業者の取り組みを加速させるため、各小売店に設置された見切り品コーナーのイメージアップ等のためのディスプレイ等に要する経費の支援や、消費者に過剰な鮮度志向の改善を呼びかける、幅広い年代向けのテレビCMの制作、放映などの実施を盛り込んだところでございます。  今後とも県民会議を中心に、県民、事業者、関係団体等、多くの皆さんと連携協力し、共同宣言に基づく取り組みを積極的に推進し、食品ロスの削減に向けた県民参加を促進してまいりたいと考えております。  以上でございます。 73 ◯副議長(筱岡貞郎君)杉本正君。    〔31番杉本 正君登壇〕 74 ◯31番(杉本 正君)ハンノキ滝と涅槃の滝について、局長の答弁がちょっと不満なものですから、再質問させていただきます。  これはどこの誰かということは言いませんが、ある人が私に熱心に、いや、杉本さんね、さっき言いましたように、せっかく立山は地獄と極楽をテーマにずっとやってきておると。僕は今言われましたように、地元の人がハンノキ滝と言われるのはわかります。だけど私は、ハンノキ滝と言うのをやめれと言うとるがでないがです。それと、今は「ハンノキ滝(涅槃の滝)」となっとるが。逆に「涅槃の滝(ハンノキ滝)」でもいいと思うがいちゃ。  これは今言いましたように、称名の滝とハンノキ滝、合わんがいちゃ、全然。バランスが悪い。やっぱり称名の滝と涅槃の滝は非常にバランスがいいと思うんです。そういう点で、やっぱり県庁の中にもいろいろ仏教のことだとか立山の信仰のことだとか詳しい方はおられます。これはよく考えられて、やっぱり涅槃の滝をもっと私はPRすべきだと思っとるが。ハンノキ滝をやめれ言うとるがでないが。涅槃の滝をPRせいと言うとるがで。  局長の前向きな答弁をお願いします。 75 ◯副議長(筱岡貞郎君)猪俣観光・交通振興局長。    〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕 76 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)再質問にお答えいたします。  繰り返しになりますけれども、涅槃の滝はハンノキ滝と併記されている例もあります。そして、仏教に通じる名称であることも私としても承知しております。立山信仰とも相まって、観光面での活用の可能性があると考えられます。  今後、山岳信仰の専門家などの意見を伺って、どういう名称のやり方がよいのかどうか、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。 77 ◯副議長(筱岡貞郎君)以上で杉本正君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。  午後3時00分休憩      ─────────────────────  午後3時10分開議 78 ◯議長(中川忠昭君)休憩前に引き続き会議を開きます。  安達孝彦君。    〔5番安達孝彦君登壇〕 79 ◯5番(安達孝彦君)自由民主党の安達孝彦です。  4月に初当選をさせていただきました新人11人も、6月と9月議会でそれぞれ初質問を済まされ、残すところ一番未熟者の私のみとなりました。おかげさまで同僚並びに先輩議員の御配慮で本日質問の機会をいただき、また御指導をいただいてまいりましたことに厚く御礼を申し上げます。  私自身、県議会議員に当選させていただく前に、この本会議場をただ一度だけ訪れたことがあります。それは、今から15年前、平成16年6月11日、6月定例会であります。  それは、その日をもって29年間の県議会議員としての生活に幕を閉じ、参議院議員選挙に出馬される河合常則先生の最後の県議会での質問を傍聴するためでありました。最後の質問は中山間地の振興、ダムに対する評価、人間力を高める教育の再生、県内大学の県内産業振興への寄与などについて質問をされました。  先生はその後、参議院議員を1期務められた後、一昨年の9月に泉下の人となられましたが、中山間地や山村の振興、社会教育の推進、文化・スポーツの振興など県政発展に多大な御尽力をされました。先生に師事した者として、その思いを引き継いで県政の課題に取り組んでまいりたいと思います。  また、五箇山出身者としては、昭和34年まで県議会議員を務められた利賀村出身の須河信一県議会議長以来、60年ぶりの県議会議員であります。御期待を寄せていただいた南砺市民の皆様に感謝申し上げるとともに、光の当たりにくい地域や問題に関しても光が当たるように努力をし、富山県が誰もが住んでよかったと思えるような地域となるよう県政発展に邁進してまいることをお誓いして、最初の質問に入ります。  まずは、森林の整備について4点質問させていただきます。  今年度から森林環境譲与税が創設され、いよいよ国としても森林整備を本格的に行うという動きになってまいりました。  それは伐採期を迎えている森林が大変増えてきていることが大きな要因で、本県においても県土の67%を占める森林のうち、約4割を占める人工林で伐採期を迎えているものが約8割の2万ヘクタールに達しており、これは年々増加をしてきております。  一度手を加えた森林は、手を加え続けないと必ず山は荒れます。実際、昨今の集中豪雨で山の斜面が崩落し、各地で土砂崩れが起きています。  特に私自身印象的だったのは、平成20年の南砺市で起きた集中豪雨であります。数十カ所にわたり山の斜面が崩壊をし、道路を塞ぎ、橋を崩落させ、流木が道路や河川のみならず田んぼにも根こそぎ散乱している姿を見て、山の木が痩せてきている、弱ってきていると感じました。  森林は、皆さんも御存じのように多面的機能を有しています。生物多様性の維持、水資源の涵養により豊富な地下水に恵まれ、それが平野部においては、おいしいお米や野菜の収穫につながり、また海においては豊かな海をつくり、おいしい魚、海産物を私たちに与えてくれます。さらには、河川の氾濫、土砂崩れの防止といった住民の生命と財産を守る防災・減災にも寄与するとともに、二酸化炭素の吸収により温室効果ガスの削減にも貢献するなど大変多くの役割を持っており、言うなれば山だけの問題でなく、里や海、県全体、いや国全体が抱える大きな問題であるということであります。  そこで1点目の質問ですが、県ではこれら多面的機能を将来にわたって持続的に次の世代にまで維持していくために、伐採期を迎えている森林の伐採、植林等の循環をこれまで以上に強力に、強力に推進していくことが重要であると考えますが、石井知事の所見をお伺いいたします。  2点目に、県議会では平成28年に県産材の利用促進条例を制定され、県産材の適切な供給及び利用の確保を通じた林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展を図ることとされましたが、県産材の利用促進に向けた県の取り組みやその効果について、河村農林水産部長にお伺いをいたします。  3点目は、現在県において、森林の有する多面的機能を将来にわたって持続的に発揮させていくために、混交林化の取り組みを進めていらっしゃいます。  その取り組みを進めることは大切でありますが、一方で中山間地や山間地においては農地が耕作放棄地となり、荒廃している土地がかなり見受けられるようになりました。  そうした土地を里山として、背後の森林と一体的に整備、管理できるような環境づくりを進めていくことも、環境美化や鳥獣被害を軽減させる1つの方策だと思いますが、どのように考えておられるのか農林水産部長に所見をお伺いいたします。  次に、4点目であります。  担い手の確保や安定した収入を得るために、林業就業者の通年雇用の拡大を図る必要があると考えます。
     そのためには冬期における事業体間での労働力の融通や作業道の整備を支援する必要があり、一部予算を今議会に提案中ではありますが、具体的にどのような取り組みにより、どの程度の雇用や仕事量の確保を目指すのか、農林水産部長にお伺いをいたします。  次に、農業の振興について4点お伺いをいたします。  県では現在1億円産地づくりとして、となみ野のタマネギ、氷見のハト麦、射水のエダマメを初めとして、各JAを中心にそれぞれ園芸作物の販売額の向上に努めておられ、特にとなみ野のタマネギにおいては192ヘクタールで生産され、今年度の販売額は6億円前後と予想され、1億円を大きく上回る成果を上げておられ、全国的にも注目を集めています。  これは県の指導もさることながら、組合長のリーダーシップのもと、職員が泊まりがけ、住み込みで産地に赴き、栽培方法を学び、試行錯誤を繰り返しながらようやくここまで生産拡大を実現されたのであって、関係の皆さんの御努力に敬意を表するものであります。  そこで1点目の質問ですが、県ではこれを全県的に広めて、さらなる生産拡大を図ろうと考えておられるようですが、どの程度の規模で拡大して、どの程度の販売額を目標とされておられるのか、河村農林水産部長にお伺いをいたします。  ただ、県ではこのような取り組みを進めておられますが、残念ながら本県の園芸作物の販売額は全国最下位の47位のままであります。また、農業全体の産出額においても661億円と全国40位であり、輸出の増加等により、この10年余りで全国30の道府県で産出額が増加しているにもかかわらず、富山県では約60億円減少しています。  今後、米の価格が右肩上がりに上がっていくことは考えにくく、また米の国内消費量は減少していることから、今後は米に大きな比重を置いている本県農業全体の産出額のさらなる減少につながる可能性もあり、将来性は大変厳しいと言わざるを得ません。  そこで2点目の質問ですが、競争力の高い農業の実現に向け、水田をフル活用するため、園芸作物の生産に適した農地の汎用化と農業の複合化、圃場の大区画化など、土地改良の推進が大変重要だと考えますが、これまでの取り組みの成果と今後の取り組み方針を河村農林水産部長にお伺いをいたします。  また、これまで県では集落営農組織の設立を推進し、全国一の組織率を誇っておられます。これがこれまで地域の農業を担い守ってきたのは確かではありますが、農村における人口減少と高齢化、後継者不足が進む中、一部では限界に達しているものと思われます。  また、先日も経済産業委員会において視察をしてきましたが、今後スマート農業が普及していく中において、農業技術も大切ですが、農業所得の向上や若手就農者の増加を考えたときに、経営感覚を持った担い手、人材が必要になってくるのではないかと考えます。  生産さえすればいいというのではなく、いかに農産物の価値を高め、消費者のニーズに合った高収益作物の生産・販売方法等を考えるなど、マーケティングの知識、感覚を持った人材が必要だと考えます。  そこで3点目は、そのためにも産学官が一体となり、日本の農業の将来の姿を見据えた農業経営者の育成、そこに力点を置いていくことが大変重要になってくると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に4点目ですが、先日報道がされていました。富山県の農業用水への転落死亡事故の多さについて知る機会がありました。  そこでは、県内で過去10年間に184件の農業用水路での転落死亡事故が発生しており、これは全国的に見ても断トツワーストワンという報道で、中には父と姉、夫と、3人の家族をそれぞれ農業用水に転落して亡くされたというインタビューもありました。  県ではこのような悲しい事故を少しでも減らすため、ことし1月から事故防止対策推進会議を設置し、発生原因等の調査分析やワークショップの開催を通じて安全対策の検証を進めておられますが、これまでの検討状況及び今後の取り組み方針を農林水産部長にお伺いいたします。  次に、文化財の支援について5点お伺いをいたします。  富山県は現在でこそ、日本海側有数の工業地帯として発展を遂げていますが、その源流には真面目でこつこつと物事に取り組む姿勢や進取の気質、団結力などがあると思います。  私はそれらの県民性を生んできたのは、長い間培ってきたさまざまな信仰の力だと思っています。この信仰心が、全国的に見ても大変豊かだと言われる富山県をつくり上げる素地になってきたのだと思います。  先日も福野のある地域で夏休みのラジオ体操に参加をしてきましたが、子供たちはお寺の境内での朝のラジオ体操が終わると、すぐにお寺の本堂に上がり、住職の読経に合わせて念仏を唱えていました。私たちの子供のころの風景と全く変わらない風景が、この令和の時代にも存在していることに感激をいたしました。  こういった行いが子供たちの倫理観を高め、感謝の心、地域への愛着が湧いてくる土壌をつくるのではないかと思いますし、これまで先人が守ってこられた風習、風俗を守ることは大変重要であり、同時に文化財を守り生かしていくことも大切だと考えます。  そこで1点目の質問ですが、政府では現在、文化芸術資源を活用した経済活性化、いわゆる文化GDPを拡大させ、インバウンドの増加や地域の活力創出、文化財で稼ぐ仕組みづくりなどを進めていますが、県においても文化財の保存や伝承にさらに力を入れていく必要があると考えますが、伍嶋教育長の所見をお伺いいたします。  2点目は、現在、高岡市伏木の勝興寺が23カ年の計画で平成の大修理中であります。  勝興寺は1471年に蓮如上人が越中の布教の拠点として南砺市土山に土山御坊を開き、蓮如上人の子孫が代々住職を務めるなど、浄土真宗本願寺派の触頭寺院、越中の代表的寺院として繁栄してきました。  現在の本堂は1795年に建立され、ほか12棟の建造物とともに国の重要文化財に指定をされています。また、この境内地は古く越中の国府があった場所で、新元号令和の典拠となっている万葉集の編さん者でもある大伴家持が5年間赴任していた地でもあります。  この修復が完成すれば文化的価値が向上し、同じく高岡市の瑞龍寺に続き国宝への指定も期待され、国宝に指定されれば文化面のみならず観光面においても大きな影響があると考えます。  県として国宝指定に向けた支援を考えていくべきだと考えますが、どのように考えておられるのか伍嶋教育長にお伺いいたします。  また、同じく南砺市の城端別院善徳寺は、1471年に蓮如上人によって加賀越中の国境の砂子坂に建立され、1559年に砂子坂より城端の地に移されました。  1559年というのは、時は戦国時代、今川義元と織田信長が雌雄を決して争った桶狭間の合戦の前年であり、隣の越後には上杉謙信、甲斐信濃には武田信玄、三河には松平元康、後の徳川家康らが群雄割拠している時代であり、善徳寺はその時代から一度も火災に遭っていないという、全国的に見ても大変珍しい寺院であります。  また、江戸時代を通じて浄土真宗東本願寺派の越中における触頭寺院として、江戸時代初期には越中、加賀、能登に末寺と門徒を有し、住職には本願寺門首一族が入寺し、時には加賀藩主の子弟が本願寺の猶子となって入ったほどの寺格を有しています。  この善徳寺では、先ほど述べたように火災に一度も遭わなかったことにより、大変多くの文化財を所有しておられます。親鸞聖人、蓮如上人の真筆を初めとする貴重な真跡、絵画、彫刻などがありますが、特に特筆すべきは推定1万1,500点に及ぶ古文書であります。推定と申し上げたのは、未解読のものがいまだに大量にあるからであります。  現在、善徳寺にある古文書は、昭和54年に文化庁、県、町による古文書緊急調査事業により9,309点の目録を作成し、一括して県の重要文化財に指定されたものの、残る明治期のものは未整理で、私も見てまいりましたが、現在も段ボール箱に入れられたままになっている状態であります。  この目録編さんに御尽力をされた富山大学の楠瀬教授は、「越中の真宗史を塗りかえる資料がこの中に存在する。必ずや古文書の解読を」と言われたそうであります。  また、古くは南北朝時代の文書や、日本民藝運動の指導者である柳宗悦をして「世界で最も美しい書物」と言わしめ、日本の雑誌のルーツとも言える「三帖色紙和讃」のほか、国宝や国の重要文化財級のものが何点もあると聞いています。  そこで3点目の質問ですが、これら古文書は一地方や真宗寺院の宝ではなく、県西部を中心とした飛越能の当時からの暮らしや文化、風俗など、さまざまなことがわかる大変貴重な資料であり、県民の宝、いや日本の宝であると考えますが、県としてはこれらの文化財の価値をどのように認識しておられるのか、教育長にお伺いをいたします。  そして何といっても、これらの古文書は県の重要文化財であります。これを解読もせずに9,309点一括して指定をされている。これはおかしなことで、しっかりと整理、解読を進める必要があると考えますし、それによって本県の文化発展に寄与するのではないかと考えます。  そこで4点目ですが、これらの古文書は虫食いの被害に遭い、このまま放置すれば近い将来、解読不能となります。貴重な文化財が失われる可能性もあることから、次の世代にこれらの宝を残し引き継いでいくためにも、県が積極的に文化庁とも相談をしながら伝承と保存を進めていくべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  5点目、特に強調したいのは、現在、善徳寺の古文書を解読しようと、住民の皆さんがNPO法人を立ち上げる準備をしておられるということであります。  これによって全体像を解明し、古文書を全てデジタルベース化し公開することにより、展示会や講演会などを開催するなど、この地域の文化を全国に発信し地域活性化につなげるとともに、そこからさまざまな発想が生まれ、文字から映像で次世代に伝えることも可能となるなど、大きな可能性が生まれてくると考えられます。  このような地域の文化財の保存活用に取り組む団体の育成や活動を支援すべきと考えますが、教育長の見解をお伺いし、以上で私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 80 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 81 ◯知事(石井隆一君)安達議員の御質問にお答えをいたします。  まず、森林の整備についてであります。  県土の3分の2を占める豊かな森林は、お話のように、木材の生産はもとよりですけれども、水源の涵養、山地災害や地球温暖化防止など多面的な機能を有しておりまして、これらを持続的に発揮していくことが大切であります。  そこで、県では本年3月に新たな富山県森林・林業振興計画を策定しまして、成熟期を迎えております人工林について、伐って、使って、植えて、育てる森林資源の循環利用を推進することを計画のポイントといたしまして、持続可能な森林経営に向けた取り組みを強化することにしております。  具体的には、施業に必要な路網の整備や高性能林業機械の導入等によります林業経営の効率化に加えまして、航空レーザー計測により詳細な森林資源情報を把握し、森林境界の画定や施業集約化に活用するなどスマート林業の推進、また優良無花粉スギ「立山 森の輝き」による再造林の推進、とやま県産材需給情報センターによります木材の需給のマッチングの円滑化などによりまして、目標年度の令和8年度には主伐面積を現在の約3倍となる100ヘクタールとしまして、県産材の利用量を約4割増加させる。そして冬期林業の普及などによりまして、林業就業者の方々の通年雇用化と所得向上、できれば現在より約4割程度増加させたい、こういう目標を立てておるわけであります。  特に、航空レーザー計測によって森林資源を1本単位で樹種とか樹高とか材積などを把握できるということですから、これまでに比べますと随分と効率的な施業ができるのではないかと思います。  また、適切な経営管理が行われていない私有林の人工林を意欲と能力のある林業経営者や市町村に委ねて、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ろうということで、今年度から森林環境譲与税とともに導入されました新たな森林管理システム、これは国の森林経営管理法に基づくシステムですけれども、これが円滑に実施できますように森林経営管理総合支援センターを森林政策課の中に設置いたしまして、専任を1人、また各農林振興センターにそれぞれ1人、4人ですね。こちらのほうは兼任ですけれども、設置いたしまして、今ほど申し上げた航空レーザー計測により得られた森林資源情報の提供ですとか、市町村職員を対象とした技術研修など、市町村による森林の適切な経営管理を支援しようということにいたしております。  県としましては、今後とも市長村や、また林業、木材関係団体と連携いたしまして、災害の未然防止や国土強靱化につながる豊かな森づくりと魅力ある林業の構築に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。  この森林環境譲与税、これをつくるときも随分全国知事会の中でも議論がありました。富山県としては何とかいろんな御意見をまとめる役もさせていただいて、いい方向に来ているんじゃないかと。ぜひこの方向をしっかり進めたいと思います。  次に、農業経営者の育成についてお答えをいたします。  産地間競争が激化する一方で、農業就業人口の減少とか高齢化ということもありますので、本県農業の成長産業化を図りますためには、生産技術だけではなくて、お話のとおり販売戦略などを含めた経営感覚にすぐれた農業経営者の育成が重要であります。  そこで富山県では、学識経験者、これは福島大にいらっしゃる生源寺先生はこうした分野でも全国的にも名高い方ですし、筑波大の納口先生とかいろんな学識経験者を、また民間の経営コンサルタント、あるいは政府系金融機関などから構成しますとやま型農業成長戦略モデル推進会議で何度も検討いたしまして、水稲、大麦、大豆といった主穀作と園芸等を組み合わせまして、年間を通じて所得と人材を確保する経営モデルといたしまして、とやま型農業経営モデルを策定いたしました。これは一昨年の12月であります。  先ほどもちょっと触れましたけれども、主たる従事者1人当たりの年間所得を750万円以上としたいと、こういう経営モデルでありまして、メガファームとか6次産業化とか、あるいは集落営農雇用、また園芸重点、4つのタイプをつくっておるわけでございます。  この経営モデルを、発展段階のイメージとか具体的な実例も示しまして広く普及啓発する。先ほども触れましたが、2,000部ぐらいPRパンフレットもつくりまして、認定農業者の方々に配布いたしております。  また、県内の意欲ある担い手が収益性の高い農業経営を実現できますように、農地中間管理事業等による担い手への農地集積の推進ですとか、経営の複合化・高度化に必要な機械等の導入等の支援に取り組んでおります。  また、経営感覚にすぐれた担い手の育成を図りますために、とやま農業未来カレッジでは青年農業者等を対象としまして、これはカレッジ生も受講するんですけれども、大学教授とか中小企業診断士、経営コンサルタント等が講師となりまして、経営戦略やマーケティングや労務管理、ICT技術など、経営ノウハウを体系的に学べる農業経営塾を開講しております。これは短期研修ということで2年前から実施しておりますけれども、昨年の場合でいうと18名の方が受講されて、21日間しっかり取り組んでいただきました。  このほかにも、県外の先進的な経営者を講師とした公開講座も年2回ほどやっております。  さらに、昨年度から実施しております農業経営者総合サポート事業では、例えば収益性向上のための生産計画の策定とか法人化、6次産業化、資金管理、労務管理などの多様な経営課題の解決に向けまして、経営体ごとに支援チームを編成いたしまして、税理士とか中小企業診断士、あるいはケースによっては社会保険労務士や公認会計士などの専門家を無料で派遣するといったことで、創意工夫を生かした農業経営の実践を支援しているわけであります。  今後とも、議員のおっしゃるとおりでありますので、産学官が連携しまして、こうした取り組みを強化して富山県農業を牽引する、ひいては日本農業も牽引できるようなすぐれた農業経営者の育成に努めてまいりたいと考えております。  最後に、文化財の御質問についてお答えをいたします。  城端別院善徳寺は、お話にありましたように江戸時代に浄土真宗大谷派の触頭と呼ばれる筆頭寺院を務めた由緒ある古刹でございます。私も何度も拝観などいたしましたが、中・近世の浄土真宗の歴史とか加賀藩との深い関係を物語る貴重な文化財があり、また建造物の本堂や山門などの4棟を初めとして、古文書では、お話にありましたように9,309点、工芸品としては絵画や彫刻、漆器など190点が本県の有形文化財に指定されております。  こうした善徳寺の数多くの貴重な文化財は、善徳寺を初め先人の並々ならぬ努力と熱意で、お話のように一度も火災に遭うことなく、今日まで250年余の長きにわたって守り伝えられてきた県民共通の大切な財産であります。  一方で、近年、建物の老朽化などが大きな課題となっておりましたので、県としましては南砺市と連携して、緊急性の高い本堂と山門の修理、耐震補強工事を優先して支援してまいりました。  また、昨年11月には6年の歳月を費やした修復工事の竣工式にも私も臨席させていただきましたが、見事に修復された建物群を目の当たりにしまして大変感慨深く、また、このお話はたしか河合常則先生が一番最初に、きょうもいらしているかもしれませんが、地元のいわたさんなどと御一緒に要望にみえた経過もありまして、本当に感慨深く、また地元関係者の方々の御熱意、御尽力に改めて敬意を表したいと存じます。  一方、未解読の古文書の整理や調査につきましては、確実な保存に向けて、今後その業務を担うNPO法人の設立が進められているとのことでありますし、また先般、善徳寺や地元関係者の方々から県に対して古文書全点のデジタル化や詳細な仏教史に精通した解読を担う専門人材の確保などについて大変御熱心に支援要望もいただきました。  県といたしましては、引き続き古文書の全容解明に向けた調査方法、また今後の適切な管理、活用のあり方について、南砺市や地元関係者の方々と緊密に連携していきたい。  この善徳寺の古文書調査は、地域の方々はもちろんですけれども、県民の皆さんが富山県のすぐれた歴史、文化への誇りとか愛着を一層深めるきっかけともなる、それだけの値打ちがあるんじゃないかとも受け止めておりますし、また非常に膨大な資料でありますから、一遍に全ての古文書というのはなかなか大変ですので、まずは評価の高い資料等を優先して解明することによりまして、資料全体の価値づけを高めていく。そういうことによって文化庁も相当本気になる。逆に文化庁には本気になってもらわないと、通常の古文書調査の文化庁の予算では、とてもこれは対応できるような数字じゃないですからね。  ということで、今後も地元の皆様の御要望なり南砺市の要望もあるのかもしれませんが、そういったものもしっかり伺った上で、文化庁とも十分に相談しまして、何とかまず文化庁の支援対象になるということが大事で、そうしませんと、調査してそれなりの結果が出ても、その後、国の例えば文化面でのいろんな指定なんかにつながらなくなるとぐあいが悪いので、何とか文化庁の支援が得られるように努力しますとともに、県としても必要な支援についてしっかりと検討してまいりたい、かように思っております。 82 ◯議長(中川忠昭君)河村農林水産部長。    〔農林水産部長河村幹治君登壇〕 83 ◯農林水産部長(河村幹治君)まず、森林の整備について3点お答えをいたします。  県では、県産材利用促進条例に基づきまして、平成29年度に策定した県産材の利用促進に関する基本計画のロードマップに沿いまして、CLT(直交集成板)の普及に向けたセミナーや個別相談会の開催などによります県産材の需要創出と、平成30年に開設されましたとやま県産材需給情報センターによる需給マッチングの円滑化、そして、それらを通じました県産材の安定供給体制の整備に取り組んできております。  こうした取り組みによりまして、大量で多様な県産材製品が円滑に調達できるようになり、本年3月に県内で初めて直交集成板を構造材として使用した県立大学新学生会館が完成しましたほか、県関係の施設といたしましては、高岡児童相談所でブロック塀にかえまして、新たに県産材を活用したフェンスの設置等にも取り組んでいるところであります。  また市町村におきましても、小学校や農業者研修施設、放課後児童クラブの施設などに県産材が積極的に使われるようになってきていますほか、民間企業におきましても県産材のCLTが使用された社員食堂や、県産材を合掌造りのように組んだゲストハウス、県産材を活用した倉庫などが建設されるなど、県産材の利用が広まりつつあります。  さらに今年度は、民間の非住宅分野での県産材利用を促進するため、とやま県産材活用の手引きを活用し、設計者などを対象とした県産材を利用する際に必要となる品質や調達方法に関する講習会の開催でありますとか、県産材を活用した建築物や設計の優良事例コンクールを実施するなど、木造建築物を設計できる人材の育成確保に取り組むこととしており、今後とも関係団体や市町村と連携し、県産材のさらなる利用促進に努めてまいります。  次に、耕作放棄地を森林として管理することについての御質問にお答えをいたします。  中山間地域において、やぶ化し農地として再生利用が困難な耕作放棄地が、イノシシなど野生動物の隠れ場所となったり景観の悪化を招くことから、議員からも御指摘がありましたとおり、耕作放棄地を背後の森林と一体的に里山林として整備を行うことは、中山間地域の環境づくりの観点からも有効であると考えております。  一方、耕作放棄地でありましても農用地区域等の規制がありますことから、そこを森林として管理する場合には、市町村農業委員会から非農地の通知の発出を経て、森林法に基づき県が策定いたします地域森林計画の対象森林に編入することで、水と緑の森づくり税を活用いたしました里山再生整備事業等により、森林の整備や管理に対して取り組み支援することができると考えております。  なお、こうした取り組みをするに当たりましては、当該農地を将来にわたって里山林として維持管理していくことへの所有者の理解と地域住民の合意が必要であります。  このため県といたしましては、地域等から御要望、御相談がありました場合には、農業委員会を所管し、また里山再生整備事業の事業主体でもあります市町村とも十分連携しながら、中山間地域の環境づくりに協力してまいりたいと考えております。  次に、冬期林業についての御質問にお答えいたします。  県では本格的な利用期を迎えている森林資源の循環利用の促進に向け、平成27年度から3年間、とやま型冬期林業チャレンジ支援事業に取り組んだところ、公道に近く傾斜が緩やかな森林などでは12月から3月までの冬期間の出材が可能であり、県産材の生産体制の強化と林業就労者の通年雇用化の促進に効果があることが確認できたところであります。  一方、冬期林業につきましては、それに適した森林が限られており、森林組合ごとの事業地の確保にばらつきがあり、例えばみずからの雇用者によりまして冬期間の伐採可能量を上回る事業地を確保している事業体がある一方で、冬期間作業ができます事業地が十分確保できていない事業体もあるところでございまして、冬期林業の効果的な実施に当たりましては、事業体間の連携による労働力や高性能林業機械の融通、そして作業に当たりましての作業道の凍結、泥濘化対策、いわゆるどろどろになることでありますが、そういったことへの対策が重要となるところであります。  このため、このたびの9月補正予算に新たな冬期林業対策といたしまして、1つには、富山県森林組合連合会が行います冬期林業に向けた事業体間で労働力を融通、連携する際のルールづくりや、融通に伴いまして必要となる伐倒、造林作業のための高性能林業機械の輸送経費の助成に対しまして県として支援しますとともに、林業事業体が行う栗石敷設による泥濘化防止対策や凍結防止剤の散布による作業道凍結防止対策など、冬期林業のための必要となる整備につきまして支援を盛り込んだところであります。  こうした事業体間の連携により新たに冬期林業が可能となる森林は、今後3年間で約30ヘクタールと見込まれ、生産性の向上や素材買い取り価格の動向にもよりますが、県産材生産量が約1万8,000立米増加し、また雇用につきましては、累計ではなく毎年毎年効果を継続させる必要があるものではございますけれども、冬期における雇用を十数名程度増やすことができ、通年雇用化につながるのではないかと見込んでいるところであります。  今後とも、所得増大による林業就業者の確保、定着と年間を通した県産材の生産体制の強化に努力してまいりたいと考えております。  2番目の項目の農業の振興についてお答えをいたします。  最初に、1億円産地づくりについての御質問にお答えをいたします。  園芸の1億円産地づくりにつきましては、議員からも御紹介のありましたように、JAとなみ野のタマネギを初め、JAいなばのハト麦やJAいみず野のエダマメなどにおいて着実に成果が上がっており、戦略品目全体の販売額は取り組み前の平成21年度の約4億8,000万円から30年度には約11億7,000万円に増加してきております。  一方で、高齢化による生産者の減少や機械化による省力化を見込めないこと、さらには病害による収量、品質の低下などの要因によりまして生産量が伸び悩んでいる品目も見られるところであります。  こうした中において、1億円産地づくりの加速化を図るためには、担い手や土壌条件、施設の整備状況など、地域の条件に応じました作付を基本に収益性の高い園芸品目に集約するとともに、県内JAを横断した産地化を図ることが重要であります。  このため、販売額が伸び悩んでいる戦略品目については見直しを行いますとともに、成功事例でありますJAとなみ野のタマネギについて、他のJAへと広く横展開を図り、大規模な広域産地の形成を目指すこと、さらには安定的な需要が見込まれ、かつ機械化一貫体系が確立しているニンジンや加工キャベツについて、さらなる広域産地化を推進することなどに取り組んでいるところであります。  これらの取り組みにより、戦略品目全体の販売額を令和3年度には24億円まで増加させることを目指しているところであります。  今後とも、効率的な機械化体系の導入支援や農地の周年利用の導入等による計画的な土地利用等によりまして、収益性の高い園芸作物の大規模な産地化が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。  次に、土地改良の取り組みについてお答えをいたします。  県では、米政策の見直しや米消費の減少などを見据え、農業競争力の強化と農業所得の向上を図るため、生産コストの低減に向けた水田の大区画化や、水稲から高収益作物等への転換を進める汎用化などを行う農地整備事業に計画的に取り組んでおり、これまでに5,209ヘクタールの大区画化、3万4,449ヘクタールの汎用化を行ってきたところであります。  こうした中、今ほどもお答えいたしましたとおり、県内15農協で22の園芸作物を選定し1億円産地づくりを進めており、JAとなみ野のタマネギ生産等によりまして作付面積が大きく増加し、販売額も43倍増加するなどの成功事例も出てきているところであります。  今後も水田農業に特化した農業構造であることを生かしつつ、主穀作と園芸等を組み合わせて周年的に所得と人材を確保するとやま型農業経営モデルを参考に、経営規模の拡大や高収益作物の導入促進が可能となるよう、農地の集積、集約化に資する農地の大区画化や汎用化に積極的に取り組みますとともに、給水栓等のパソコンやスマートフォンでの遠隔操作など、水管理労力の大幅な削減に向けたICT化など新技術の導入を進め、本県の意欲ある農業者が希望を持って農業に取り組めるよう、農業基盤の整備を積極的に推進してまいります。
     最後に、農業用水路の安全対策についての御質問にお答えいたします。  本県における農業用水路の死亡事故は、この数年20件前後の水準で推移し、昨年度はやや減少したものの、今年度も8月末までに残念ながら7件発生をいたしております。  議員から御紹介をいただきましたように、県ではことし1月に有識者から成る農業用水路事故防止対策推進会議を設置し、ソフト、ハード両面から事故防止対策を総合的に検討しており、現地視察を含めてこれまで2回の会議を開催したところであります。  会議におきましては、用水路の特徴を整理した上で対策を検討すべき、小規模な支線、末端水路での事故が多い中、啓発活動等のソフト対策が重要、県内一律の対策は難しく、いろいろな要素から類型化し対策を検討する必要があるなどといった御意見をいただいておるところであります。  このほか、今年度は新たに自主防災組織や多面的機能支払活動組織など、地域のさまざまな組織で活動される皆さんで安全対策を話し合っていただくワークショップを開催いたしましたところ、身近な危険箇所の再発見や有効な事故防止対策についての議論を通じて、住民の皆様の安全意識が高まるとともに、安全点検マップの作成など地域ぐるみの取り組みにつながるきっかけともなったところであります。  また、農業用水路事故を詳細に検討、分析する調査研究を専門家に委託しており、県内の農業用水路の特徴を踏まえて、過去数年間の事故現場での現地調査や住民の方々へのアンケートを行いますとともに、地理情報システムを活用して傾斜、流量などの地形や水路のデータを交えて分析することにより、危険度の高い地域を洗い出すこととしております。  今後、来月開催予定の第3回の推進会議において、ワークショップや調査研究の成果を報告しますとともに、さらに議論を深め、年内に第4回の推進会議を開催し、農業用水路安全対策ガイドラインを策定したいと考えており、地域と行政が一体となって効果的な事故防止対策に取り組んでまいります。  以上でございます。 84 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。    〔教育長伍嶋二美男君登壇〕 85 ◯教育長(伍嶋二美男君)初めに、文化財の保存・伝承に関する御質問にお答えをいたします。  本県には国宝の瑞龍寺や重要文化財である勝興寺、世界遺産の五箇山合掌造り集落、ユネスコ無形文化遺産に登録された城端神明宮祭の曳山行事など3つの曳山行事、日本遺産に認定された高岡や井波など、文化芸術資源としての魅力ある文化財が数多くあります。  議員からお話のあったとおり、文化庁では文化芸術資源を活用した経済活性化、いわゆる文化GDPの拡大に向けまして、文化財で稼ぐ仕組みづくりを進めるため、文化財を解説するための多言語化や文化財の適切なサイクルによる修理や建造物等の美装化のほか、日本遺産を初め文化財を中核とする観光拠点の整備などに取り組まれております。  こうした国の取り組みを踏まえまして、県の教育委員会においても文化財の魅力向上の観点を見据えて、高岡御車山などの国、県指定文化財の保存修理や、観光資源として一体的な整備を図る勝興寺の公開活用、さらには山町筋などの街並みの美装化などへの支援など、その所有者や国、市町村と連携しながら取り組んできております。  このほか県教育委員会では、今年度から地域における文化財の総合的な保存や活用を後押しするため、文化財保存活用大綱の策定に向けて取り組むこととしておりまして、この大綱では文化財が貴重な地域観光資源であるという観点を取り入れて、その保存や伝承のための施策についても検討を進めることとしております。  県教育委員会としては、文化財の保存や伝承は文化GDPの拡大に向けて、その土台を形成する重要な取り組みであると考えておりまして、引き続き所有者や関係機関と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。  次に、勝興寺に関する御質問にお答えをいたします。  勝興寺は荘厳な伽藍の姿を今に伝える江戸時代の大寺院建築群でありまして、近世建築の歴史を知る上で貴重な文化遺産であるとして、本堂や大広間また式台を初め、主要な建築群の12棟が全て国の重要文化財に指定されております。  この勝興寺では、平成10年度から令和2年度までの23年間に及ぶ大規模な修理と一般公開や活用に向けた整備が進められておりまして、国、県、高岡市が連携して財政的な支援を行っております。  これまでの修理事業において多くの建物が優美な曲線を持つ柿葺きの屋根に復元をされまして、すばらしい意匠と特徴を備えた建具が修理されるなど、最も栄えた江戸時代後期の姿に復元されつつあり、文化財としての価値は一層高まっていると考えております。  議員からあったお話のとおり、勝興寺が国宝に指定された場合には、観光面においても観光客へのアピールや集客に大きな影響をもたらすと考えられますことから、県では本年6月に国への重要要望といたしまして、保存修理完了後の早期の国宝指定を要望したところであります。  一方、国宝の指定は国の重要文化財のうち、比類のない国民の宝として世界に発信できるものを国が指定するものでありまして、全国の類似事例の中でも特筆される文化財としての価値が見出されることが求められます。  県教育委員会としては、今後、新たな観光資源として勝興寺の魅力を広く発信いたしますとともに、国や高岡市、所有者とも連携しながら、国宝の指定に向けて学術的価値が高められますよう引き続き調査研究に取り組むなど、支援をしてまいりたいと考えております。  次に、善徳寺の古文書に関する御質問にお答えをいたします。  今ほど知事からも答弁がございましたが、善徳寺は貴重で魅力ある文化遺産の宝庫でありまして、県教育委員会ではこれまでも善徳寺が所蔵する絵画や彫刻、漆器等の歴史資料の調査や、老朽化した本堂を初めとする建造物の修理を行うなど、善徳寺の文化財が末永く保存・継承されるよう、国や南砺市と連携して支援をしてきております。  これらの絵画や彫刻、漆器などの工芸品は、中・近世の浄土真宗の歴史や加賀藩との深い関係を物語る貴重な文化財として、190点が県の文化財に指定されております。  また古文書は本県の中・近世の真宗史を物語る類例のない貴重なものであるとして、9,300点余りが県の文化財に指定されております。  一方、議員からお話のありました未解読の古文書につきましては、昭和54年度から55年度にかけて実施されました古文書調査におきまして、国宝の対象となる時代より後の、主に明治期以降の古文書であるということが明らかにされておりまして、この調査では対象外とされたものであると聞いております。  しかしながら、それらの古文書の中には幕末から明治にかけての動乱期を善徳寺がどのように乗り越えたのかを示す貴重な史料が含まれている可能性もあると聞いておりまして、古文書の解読が進みそうした経緯が明らかになれば、大変貴重な文化財として評価されることになるものと考えております。  今後、文化財としての評価を行うためには詳細な調査が必要となることから、県教育委員会としては南砺市や地元関係者の方々と緊密に連携して、また文化庁にも十分に相談しながら調査に取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、文化財の保存活用に取り組む団体に関する御質問にお答えをいたします。  善徳寺では未解読の古文書の整理や調査を行うため、地域住民の方々によりますNPO法人の設立が進められております。  今後、善徳寺の古文書調査が順調に進展をして、その成果が広く公開され情報発信されることは、貴重な文化遺産が次の世代に保存・継承されることはもとより、地域の文化の魅力発信や地域活性化にもつながるものと考えております。  国においては、文化財の担い手不足などを背景といたしまして、地域ぐるみで文化財の保存・継承に取り組むため、文化財保護法を改正をいたしまして、県、市町村、所有者等が地域の文化財の保存と活用を総合的かつ計画的に推進するための枠組みが設けられたところであります。  具体的に申し上げますと、県による文化財保存活用大綱の策定や市町村による地域計画の策定に努めることとされましたほか、新たに市町村が専門的知見や実績などを有する団体を文化財保存活用支援団体として指定できる制度が設けられております。  指定された支援団体は、当該市町村内の文化財の保存活用、また調査研究や文化財の管理などを行うことが可能となることから、市町村と連携した文化財の継承につながることが大いに期待されるところであります。  県教育委員会といたしましては、官民が連携協力して地域ぐるみによる文化財の総合的・計画的な保存活用を推進していくことが重要であると考えておりまして、善徳寺資料の調査、保存、活用に熱心に取り組もうとする団体に対しましては、支援団体としての指定も含め幅広く活動されるよう、南砺市とも連携しながら必要な情報の提供や助言などに努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 86 ◯議長(中川忠昭君)以上で安達孝彦君の質問は終了しました。  この際、申し上げます。  本日の会議時間を午後5時30分まで、30分延長いたします。 87 ◯議長(中川忠昭君)上田英俊君。    〔36番上田英俊君登壇〕 88 ◯36番(上田英俊君)延会手続で5時半まで時間をいただきました。ありがとうございます。  分割質問方式で2項目についてじっくりと質問させていただきたいと思います。  再質問、再々質問ができないようなこれでもかというような答弁を期待して、以下質問に入ります。  まず、教育について7問質問いたします。  夏休みも終わりに近づき、新学期を控えた時期に新聞紙上で幾つかの連載記事を目にしました。  そのタイトルは「新学期のあなたに」「ウィズ・ユー きみとともに」そして「ストップ自殺・しんどい君へ」というものでした。不登校、引きこもり、自殺を心配する記事でした。  学校で、家庭で、地域で悩む子供たちへの温かいメッセージでもありました。  富山県では、年間30日以上、学校に行かない不登校の児童生徒は、教育委員会小中学校課の資料によると、平成29年度では、小学校で276名、中学校で631名、高等学校で317名と、いずれも前年より増加し、総数で平成21年度以降、最も多くなっている現実があります。  また、不登校の一歩手前で踏みとどまっている、教室には行かない「教室外登校」、授業に参加する時間が少ない「部分登校」など、「隠れ不登校」とも呼ばれる児童生徒も多数存在すると推測されます。  児童生徒本人、保護者、教師等の誰もが「このままではいけない!何とかしなくては!」と悩み苦しみ、そして県教育委員会としても、学校の対応力、教員の指導力の向上、教育相談の充実強化、保護者・地域関係機関等との連携を柱に、いじめ・不登校等への対策を粘り強く展開していますが、厳しい現実を数字が物語っています。  まず、不登校、隠れ不登校に対する現状認識と県当局の取り組み及び成果について知事の所見を求めます。  児童生徒の今と未来に対し、大きな影響を与える存在は教員です。学業だけでなく、あらゆる社会とのかかわり方全てに影響力を持つ教員に要求される資質は、幅広くかつ深い能力が要求されます。  今日、全国各地で教員採用試験の競争倍率の低下が見受けられます。職業として肉体的にも精神的にもストレスが多いと避けられる傾向なのかもしれません。  児童生徒の未来を切り開くだけでなく「活力」「未来」「安心とやま」を支える人材を育成する教員に求められる資質は何か、教育長に伺います。  また、教育現場において、公立学校教員の年齢構成と今後の定年退職者数をどう見込んでいるのか。そして、それに対応すべき教員採用選考検査の受検者数、名簿登載者数及び採用倍率の推移はどうか。そして、より優秀な人材を確保育成するための取り組みを教育長に伺います。  長時間労働という環境に置かれた教員の働き方改革を推進するため、そして何よりも教員が児童生徒とより向き合う、専念することができるための存在が部活動指導員とスクール・サポート・スタッフと認識しています。  富山県では、平成30年度より、国庫補助だけでなく、県単独事業として、学校現場でこの制度を利活用、増員していますが、その効果をどう捉えているのか。  また、来年度予算において、文部科学省は概算要求において、部活動指導員では3,000人の増員、スクール・サポート・スタッフでは1,800人の拡充を財務省に提出していますが、県として増員拡充に対し、どのように取り組んでいくのか、教育長の所見を求めます。  児童生徒の学習を、生活を、そして貧困の連鎖をとめよう、地域で支えようとする動きが全国で活発に行われています。  立山町では、放課後学習教室、放課後子供教室事業として、雄山中学校全生徒を対象に大学生が学習支援サポーターとして配置され、基礎学力を充実させ、また各小学校では、学習、スポーツ、文化活動が展開されており、ほかの県内自治体でもさまざまな事業が行われていますが、各市町村での現状はどうか。また、県として支援し、拡大展開すべきと考えますが、教育長の所見を求めます。  また、厚生部の福祉の視点に立った生活困窮者自立支援事業の任意事業である「子どもの学習・生活支援事業」の県内実績はどうか。ひとり親家庭等生活向上事業の推移、実績と今後の取り組みについて厚生部長の所見を求めます。  以前、東京都足立区の夜間中学を視察しました。  終戦直後の混乱期は、義務教育であるにもかかわらず、経済的理由で昼間に働かざるを得ない子供たちが大半で、ピーク時の昭和30年代には、全国で89校、5,208人が在籍しました。  しかし、高度経済成長や就学援助制度の整備により、そして行政管理庁の夜間中学の早期廃止勧告もあり、学校数、生徒数も急減しました。  今日、夜間中学で学ぶ生徒も大きく変化し、戦後、義務教育を受けることができなかった高齢者や、難民認定を受けた外国人、そして不登校などの理由で十分な教育を受けないまま卒業した「形式卒業者」とも呼ばれる若年者が多く見受けられました。熱心に学び、熱心に教える姿勢に、そして生きていこうとする力に深く感動した記憶は、今も鮮明に残っています。  夜間中学は、現在、全国9都府県に33校存在しますが、文部科学省は、教育機会確保法に基づき、各都道府県に最低1校以上の設置を促しており、首都圏だけでなく、徳島県、高知県では、令和3年4月の開校に向け、準備を進めています。  そこで、知事に質問いたしますが、教育機会確保法の夜間中学開設の趣旨をどのように認識し、県内における夜間中学のニーズをどのように把握しているのか。そして、県内での夜間中学開設の必要性について伺います。  今、教育県富山においても、新しい形態の高等学校が増加しています。それは、学校教育法第54条及び学校教育法施行令第24条に記された広域通信制高校であります。県外に本校を設置し、富山県内に協力校、サポート校と呼ばれるサテライト施設において、面接指導、試験、添削課題のサポート等を行う県域を超えた広域的な通信制の高等学校であります。  不登校経験者や高等学校中退者のほか、スポーツや芸能により打ち込みたい、そして学業との両立を志したい者など、生徒は多様なようです。  就学支援金の不正受給で不適切な学校運営、教育実態が捜査の対象となった学校もあれば、特別な才能を持つ生徒を伸ばすという高い評価を得ている学校も全国各地にあります。  そこで、質問いたしますが、県内において、広域通信制高校の現状をどのように把握しているのか。また、富山県民が学ぶ高等学校として、学校への助成支援体制、就学支援金に対する考え方及び現状について総合政策局長の所見を求め、第1項目といたします。 89 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 90 ◯知事(石井隆一君)上田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、不登校についてであります。  国の調査によりますと、平成29年度における県内公立学校の不登校児童生徒数、先ほど小中高分けておっしゃいましたけれども、全校種合わせますと1,224人で、前年度に比べますと124人の増とはなっておりますけれども、1,000人当たりの不登校児童生徒数で見ますと、いずれの校種、小中高ともですね、全国平均に比べると低くなっているということかと思います。  一方、全国的には不登校の児童生徒数は、高水準で推移しておりまして、5年連続で増加して、平成29年度は14万4,031人で、過去最多ということだそうでありまして、不登校の要因としては、例えば親御さんの離婚など、家庭に関する事情、また友人関係、学業の不振など、事案ごとにさまざまで、その解決には専門家のアドバイスが必要だとされております。  そこで、県といたしましては、不登校の未然防止のためには、早期発見、早期対応が必要でありますので、不登校等の支援が特に必要な中学校に今年度は全部で79中学ですが、昨年より1校増の32校に国の加配なども活用しまして、専任のカウンセリング指導員を配置しておりますとか、昨年度から国の目標を1年前倒ししまして、スクールカウンセラーを全小中学校に配置しますとともに、スクールソーシャルワーカーを、これも国の目標を1年前倒ししまして、全中学校区に派遣してまいりました。  富山市は、中核市で単独実施ですけれども、また今年度は校区の小中学校に同じスクールカウンセラーが支援にあたる。小中連携型スクールカウンセラーも拡充しております。  また加えて、不登校を生まない学校づくりや、不登校児童生徒への支援のあり方等についての研修を行いまして、教員の皆さんの資質向上にも努めております。  さらに、各学校では日ごろから多くの目で見守って、子供の小さな変化を見逃さないこと。また、欠席した場合は、必ず担任が電話連絡しまして、原則3日欠席が続いている場合は、家庭訪問を行うこと。また、専門家の活用、教職員間で情報を共有して、状況に応じてスクールカウンセラー等の専門家の活用を図ることなどです。  それから、全ての子供が安心できて、自己肯定感や充実感を感じられる学校づくりに取り組んでいます等々、不登校の子供はもちろんですけれども、議員御指摘の隠れ不登校など、子供の実態把握や指導方針の共有化に努めております。  なお、不登校の要因が学校にある場合には、保護者の要望を丁寧に伺って、その改善にも努めております。  なお、教育委員会では、虐待が心配される場合には、各学校が児童相談所や警察と連携して、適切な対応がなされるよう周知徹底を図っているということであります。  こうした取り組みやまた専門家等の対応の結果、小中学校の不登校児童生徒のうちで、登校できるようになった生徒さん、また学校復帰に向けて好ましい変化が見られるようになった生徒、その割合は、平成29年度では全国の46.7%に対して、本県では53.4%となりますなど、本県は全国に比べると、改善が図られているように見られますけれども、さらに改善が図られるように努力していきたいと思います。  子供たちの何らかの理由による不登校などに対しては、迅速に対応して解決を図っていくことが何よりも重要でありますから、今後とも県教育委員会においては、市町村教育委員会と連携しながら、不登校の未然防止、またさらに早期発見、早期対応等にしっかり取り組んでいただきたいと思っております。  次に、夜間中学についてお答えをいたします。  教育機会確保法では、小中学校等における就学の機会が提供されないまま、学齢期を経過した者のうち、学び直しを希望する者に対して、地方公共団体は夜間中学などの就学の機会を提供することとされております。  議員のお話のように、夜間中学はもともと戦後の混乱期の学齢期において、さまざまな事情で義務教育未修了となった高齢者の方に対して、教育の機会を提供する役割を果たすものでありましたけれども、先ほどもお話がありましたけれども、近年では本国において義務教育を修了していない外国籍の方、また不登校などさまざまな事情から十分な教育を受けられないまま、学校を卒業した方、さっき形式卒業者と言われたように聞こえましたが、また現在、増加している不登校の学齢生徒を対象に、義務教育の機会を実質的に保障することにその役割が変化してきていると考えております。  県内における夜間中学設置へのニーズにつきましては、県の教育委員会が県内市町村に対して調査した結果ですと、いずれの市町村においても、住民から夜間中学に関する具体的な問い合わせや、夜間中学等における設置促進に関する市町村要望、こういったものはないと聞いております。  夜間中学に係る要望とか、問い合わせのない中で、夜間中学の入学対象となる当事者から直接聞き取りを行うのが難しい面もありますので、今のような回答で県教委としては受けとめているということであります。  学び直しは、失われた時間と与えられなかった就学機会を取り戻すために、真剣に学ぶ姿勢のあらわれということだと思いますので、学び直しを希望される方があれば、その就学機会を提供することは大切なことと考えておりますけれども、夜間中学については、まずは就学機会を希望する方の志望動機やまた年齢層、それからニーズによっては、例えば外国語に対応できる通訳が必要だという場合もあるでしょうし、具体的なニーズを把握した上で、必要となる教育環境の整備を検討していくことが必要かと思います。  その必要となる教育環境の中には、教科とか日本語指導などの教育課程の内容、また教職員の配置、設置者、設置場所、またほかの市町村からの受け入れとか、いろんな論点がございます。  引き続き、県教育委員会には他県の取り組み状況も参考にしながら、具体的なニーズの把握に向けて、市町村教育委員会と十分に検討協議をして、適切な対応に努めていただきたい、こういうふうに思っております。 91 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。    〔教育長伍嶋二美男君登壇〕 92 ◯教育長(伍嶋二美男君)まず、教員の質に関する御質問にお答えをいたします。
     教育とは、子供一人一人の命が輝くように、教え、育むことであり、教員は子供の夢や未来を開く使命を担っております。  本県の教員に求められる資質といたしましては、厳しい教育現場においても、すぐれた教育を行うため、教育者としての強い使命感と倫理観、子供に対する教育的愛情、また教科等に関する専門的な知識と実践的な指導力が挙げられるのではないかと考えております。  こうした思想を持ち合わせていくためには、教師自身がみずからの人生経験を幅広くかつ深く積み重ねることや身近な先輩や上司の人生観や仕事等に取り組む姿を見て、謙虚に学び取る気持ちを保つこと。  また、自分とかかわりのある児童生徒や保護者、地域の人の姿から自己のあり方を見詰め直すことなどによりまして、明確な目標を持って、みずからを高めていこうとする姿勢を不断に持ち続けることが大切であるというふうに思っております。  県教育委員会では、これまでも全ての教員を対象といたしまして、キャリアステージなどに応じた教員研修に取り組んできております。  特に教員としての職責や経験及び適性に応じまして、資質の向上を図るための目安となります富山県公立学校の教員等の資質向上のための指標を策定したところであります。  この指標に基づきまして、教職員の全体の研修体系の整備充実を図りますとともに、各学校では教員と管理職との面談の際や、研修受講後の振り返りなどの場面において、この指標を活用しておりまして、全ての教員が明確な目標のもとに、実践を積み重ね、資質向上に取り組めるように努めております。  教育は人なりと言われますが、教師自身が人づくりを支える大切な基盤であることを深く自覚をして、日々、自己の資質や能力の鍛練に取り組めるよう、教育委員会といたしましても、教員の資質や指導力の向上とあわせて、教育環境の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、公立学校教員に関する御質問にお答えをいたします。  公立学校教員の年齢構成につきましては、50歳代が約4割を占め、40歳代と30歳代、20歳代がそれぞれ約2割となっております。  また、退職者数につきましては、第2次ベビーブーム世代の対応のために、大量採用した教員の大量退職時期を迎えておりまして、令和6年度まで毎年300名以上の退職者が見込まれます。  今後、約10年間で、教員の約4割が退職することとなります。  本県の教員採用選考検査の受験者数につきましては、平成22年度に実施した検査以降で見ますと、1,000人前後で推移していたものが、昨年度の検査では888人と1,000人を割り込みまして、今年度は782人となっております。  一方、任用候補者名簿登載者数は、平成22年度に実施した検査以降、300名前後で推移しているため、平成22年度の競争倍率は3.6倍、4倍を下回りまして、それ以降につきましては、3倍台で推移をしておりましたが、昨年実施の検査では2.9倍と平成以降初めて3倍を下回り、今年度実施の検査では2.4倍となったところであります。  県教育委員会では、優秀な教員を確保育成するため、これまでも本県出身学生が進学する大学を訪問しておりまして、特に県内あるいは隣県の大学の場合には、若手教員を同行いたしまして、本県における教員のやりがいや魅力などの周知やPRを行っております。  また、採用検査におきましては、社会人経験や教職経験者など、専門的な知識や経験を有する方を対象とした別枠での採用制度を設けておりまして、今年度からはさらに他県の現職の教員の受検についても、新たに一次検査の筆記検査などを免除したところでありまして、これにより、今年度は過去最高の17名が名簿登載されたということになっております。  また、優秀な教員確保に向けまして、採用検査の受験者数を増やすために、新たに東京、京都、名古屋などの都市部での教員志望である本県出身学生などを対象といたしますUIJターンセミナーの開催や、また教員を志望する学生がその高い志を維持しながら、本県の教員採用検査を受検してもらいますよう、教員養成講座の開催経費につきまして、9月補正予算案として今議会に上程しているところでありまして、今後とも優秀な教員の確保育成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、部活動指導員などに関する御質問にお答えをいたします。  教員の多忙化解消を図るため、昨年度から部活動指導員とスクール・サポート・スタッフを配置いたしますとともに、その配置効果を検証してきております。  具体的に申し上げますと、部活動の実技指導を行う部活動指導員の配置効果としては、昨年度、指導員が配置された部活動の顧問全員を対象としたアンケート結果では、昨年4月から10月までの顧問の指導時間が全体で約30%軽減されますとともに、顧問の94%が生徒と向き合う時間や教材研究など、本来業務の時間の確保や精神的な負担軽減が図られたとのこと。また、専門的な指導による競技力の向上などの効果があったと聞いております。  こうしたことを踏まえまして、今年度は公立中学校には市町村教育委員会からの要望どおり、35名増の72名分の配置を支援いたしますとともに、県立高校については10名増の20名を配置し、ほぼ倍増としております。  また、スクール・サポート・スタッフにつきましては、昨年度、小中学校30校に配置をしたところでありますけれども、プリント印刷や配布物の仕分けなどの補助業務を依頼することによりまして、教員1人当たりの勤務時間の減少が見られたところでありまして、授業準備等の時間の確保や業務量が多くなる時期の業務削減など、効果が大きいとの意見が出されております。  ちなみに、減少時間としては、週当たり1時間から2時間程度の減少が見られたとのことであります。  こうしたことを踏まえまして、今年度は昨年度の30名から6名増の36名を配置しております。  議員からも御紹介がありましたが、文科省の来年度概算要求では、教員の負担軽減を図るため、部活動指導員やスクール・サポート・スタッフの増員要求が盛り込まれておりまして、県教育委員会としては、配置効果を国に伝えることなどによりまして、県内配置の拡充を国に強く働きかけまして、市町村教育委員会等の要望に応えられるよう努めてまいります。  次に、放課後学習支援に関する御質問にお答えをいたします。  児童生徒の学習や生活を地域で支える活動が活発化していることを受けまして、本県では平成28年度から中学校放課後学習支援推進事業として、市町村が主体となりまして、希望する中学生を対象に放課後や週末などに学校の余裕教室等を活用いたしまして、大学生や教員OBなどによる学習指導やICTの活用によります学習支援を行っております。  本年度では、6市町からの要望に応えまして、県として11教室の開催を支援しております。  具体的に申し上げますと、昨年度、魚津市では全中学校2校区で全ての生徒を対象として実施をしておりまして、これは教員免許保有者や現役大学生による個別指導を行ったものでありますけれども、その結果、生徒からは進んで学習ができた。わからない問題も理解できるようになったとの感想があったと聞いております。  また、放課後こども教室推進事業は、主に小学生を対象といたしまして、地域住民等の協力を得まして、全ての子供たちの安全・安心な活動場所を確保し、学習やさまざまな体験、交流活動の機会を提供する事業でありまして、本年度では市町村からの要望に応えまして、必要な予算を確保して159教室の開催を支援しております。  具体的には、昨年度は例えば射水市では地元に伝わる放生津の曳山祭の祭りばやしを教わる教室や、あるいは黒部市では公民館でみそづくりや、あるいは大正琴等の多様な体験交流をする教室を開催するほか、運動遊び、これは立山町ですけれども、スポーツ指導者による運動遊びやニュースポーツを体験する教室など、さまざまな取り組みが各地域で実践をされております。  こうした事業を拡大展開していくためには、何よりも市町村や、あるいは保護者の方々などに理解をしていただくことが大切なことから、県教育委員会では各市町村を訪問いたしまして、課題となっている指導者の人材確保や児童等のニーズに沿った活動内容への見直しなどに向けまして、情報提供や助言に努めておりまして、今後とも地域全体で子供を育む事業の推進に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 93 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。    〔厚生部長市村仁志君登壇〕 94 ◯厚生部長(市村仁志君)今ほど教育長から答弁ございましたが、私からは福祉の視点に立った子どもの学習支援事業についてお答えをいたします。  まず、生活困窮者自立支援制度の子どもの学習・生活支援事業は、生活困窮世帯の子供に対して福祉事務所設置自治体が学習支援や居場所の提供、進路に関する相談等を行うもので、平成30年度は4市において実施をされ、64人の参加がございました。  なお、今年度はもう1市追加され、5市となる予定でございます。  また、ひとり親家庭等生活向上は、ひとり親家庭の児童に対しまして、市町村が週1回程度、公民館等において教員OB等の学習支援ボランティアによります塾形式の学習支援を行っておりまして、この制度、平成25年度に始まりまして、年々増加をし、平成28年度は6市8カ所で実施をされ、1,809人、平成29年は6市9カ所で2,016人、平成30年度は8市12カ所で3,735人の参加がありまして、学習支援が浸透してきているものと思っております。  市町村では、それぞれ工夫をされまして、放課後子ども教室や放課後児童クラブ等を活用して、生活困窮世帯の子供やひとり親家庭の児童に対する学習支援、居場所づくりに対応しているところもございます。  県としましては、今後とも実態調査によりまして、ニーズの把握に努めますとともに、地域の実情を考慮の上、それぞれの取り組みを進められますように促し、必要に応じて助言を行うなど、福祉の視点からの学習・生活支援の充実に努めてまいります。  以上でございます。 95 ◯議長(中川忠昭君)蔵堀総合政策局長。    〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕 96 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)広域通信制高校に関する御質問にお答えをいたします。  広域通信制高校につきましては、学校教育法などによりまして、本校の所在する都道府県が当該高校に対して法的権限を有しておりまして、本校のある都道府県以外では、その正確な実態の把握が困難ではございますけれども、富山県内の学習施設や生徒数の状況につきまして、現在、県で把握している限りでは、その施設数は9施設、生徒数は約300名となっております。  広域通信制高校の運営等への支援といたしましては、経常的経費に対する助成は、本校のある都道府県のみに対して交付税措置をされております。  また、本校がある都道府県以外で学んでいる生徒につきましては、国がその生徒数に応じまして、運営する学校法人に補助金を交付しているところでございます。  また、国の就学支援金につきましても、本校のある都道府県を通じて支給をされているところでございます。  なお、低所得世帯の授業料以外、教科書費ですとか、教材費などですが、授業料以外の教育費負担を軽減いたしますための奨学給付金につきましては、広域通信制高校生の保護者を含む富山県内在住の保護者に、富山県から支給をしているところでございます。  県としては、議員御指摘のとおり、不登校経験者、高校中退者、あるいはスポーツなどとの両立を志す方など、広域通信制高校にも本県の多様な生徒が在籍していること、通信制課程が不登校や中途退学経験者等に対する学び直しの機会の提供など、重要な役割を担っていることなどを踏まえまして、国の対応状況も注視しながら、必要に応じて国の支援措置の拡充について要望してまいります。 97 ◯議長(中川忠昭君)上田英俊君。    〔36番上田英俊君登壇〕 98 ◯36番(上田英俊君)次に、厚生労働行政について6点質問いたします。  先週発足した第4次安倍再改造内閣は、全世代型社会保障の実現に向けた検討会議の新設を表明しました。  旧厚生省所管では、公衆衛生、公的扶助、社会福祉、社会保険を主たる分野とする社会保障制度において、少子高齢化が依然として進行し続ける中、社会保険の中でも、特に年金の占める比重が大きく、国民の関心も非常に高い領域であります。  まず、年金について質問いたします。  参議院選挙直前に、金融庁の金融審議会が老齢厚生年金の不足額について警鐘を鳴らし、早期の資産運用、形成の提言を示しました。  老夫婦単独世帯で無職という前提に異論もありますが、標準的なモデル世帯の単純な足し算と引き算と掛け算の話であると考えます。  まず、金融審議会の報告書に対する知事の所見を求めます。  自営業者を中心とした国民年金、労働者を中心とした厚生年金制度の考え方は、老齢年金については、概略的に20歳から60歳までの約40年間を保険料を納める被保険者の期間として、そして60歳、65歳からの約20年間を老齢年金の受給期間として制度設計がされています。  40年間の保険料納付期間と20年間の受給期間という長い期間の社会保障制度として運営されているがゆえに、また今日、既にステークホルダーが多数存在しているがゆえに、真っ白いキャンバスに新しい絵を描く抜本改革という言葉は、非現実的な扇動的な甘いスローガンに過ぎず、ましてかつて訴えられていた最低保障年金などは羊頭狗肉以下であります。  持続可能な年金制度とするためには、保険料水準固定方式によって保険料の上限が決まり、年金財政の保険料収入が計算できる今日、年金積立金の取り崩しと運用やマクロ経済スライド方式等の給付の抑制を中心に、現行制度を基礎とした年金制度を維持することが基本であると考えます。  国民年金、厚生年金の保険料を納める被保険者は、国民皆年金以降、増加していると推察しますが、高齢化、長寿化によって、それ以上のスピードで老齢基礎年金、老齢厚生年金を受給している人数も受給金額も増加し続け、団塊の世代を中心に当面増加し続けると想像できます。  国民年金、厚生年金の被保険者数と老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給者数はどのように推移し、今後どのように予測されるのか。  そして、高齢者にとって収入の大半を占める年金制度のあり方について知事の所見を求めます。  人生100年時代において、さまざまな形態で働き続けることができる社会は、当事者だけでなく、労働力不足、技能・技術の継承が求められる企業社会にとっても意義あることであり、家計において年金を補う収入面からも重要であります。  高年齢者雇用安定法の改正により、60歳以降も働く方々が増加し続けていると考えますが、県内の現状について商工労働部長に伺います。  また、企業で引き続き働き続ける人々が増加する中で、結果として臨時的な、短期で、そして軽易な作業を請け負うシルバー人材センターの登録者数、受注高の減少が想像されますが、現状はどうか。  今後もエイジレス社会におけるシルバー人材センターの役割は、依然として高いと考えますが、県当局の取り組みはどうか。  また、より高度な専門的能力を有する人々を対象としたとやまシニア専門人材バンクにおける実績及び取り組みについて、あわせて商工労働部長に伺います。  最後に、医療費等について伺います。  高齢者人口の増加、生活習慣による病気の慢性化と入院の長期化、医療技術の高度化、新薬や医療機器の高額化、マンパワーの増加等により医療環境が充実した結果、医療費は増加し続けています。  まず、医療費の状況について、各医療保険者の現状をどのように分析し、持続可能な医療保険制度とするために、医療費の適正化にどのように取り組んでいるのか。  また、国民皆保険の中で高額療養費制度は、患者家族にとって経済的負担を大きく軽減するありがたい制度です。  高額療養費制度を利用した件数と金額はどのように推移し、どのように分析しているのか、厚生部長に伺います。  また、人生100年時代において、誰もが病気にならず、健康であり続けることこそ、いわゆる健康寿命の延伸こそ最重要であると考えますが、持続可能な社会保障制度に向けて、医療費の適正化には健康診断、検査による早期発見、早期治療も重要視すべきと考えますが、各医療保険者と連携した健康増進、早期発見、早期治療等の取り組みについて知事の所見を伺い、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 99 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。    〔知事石井隆一君登壇〕 100 ◯知事(石井隆一君)まず、金融庁の金融審議会の報告書についてお答えをいたします。  ことし6月3日に、金融庁から公表されました金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、人生100年時代と称される、かつてない高齢社会の進展を見据えまして、平均的な高齢夫婦無職世帯を例として、計画的な資産形成、管理に取り組んで、資産管理の重要性を認識することが重要だと報告されております。  この計算、改めて拝見しますと、夫が65歳以上、妻は60歳以上の夫婦のみの無職の世帯で、まずまだ二、三十年の人生があるとすれば、毎月不足額が約5万円で、20年なら1,300万、30年なら約2,000万不足すると、こういうことで、おっしゃるように機械的な計算になっているんですね。  報告書の中で、老後に夫婦で2,000万の赤字であるかのような印象を与える表現があって、不正確で誤解を与えるものだといったような議論もありましたが、また議論の中で、高齢者の生活は多様で、生活水準や働き方、資産の状況もさまざまで、一概に一律に1つのパターンにはめるのは不可能であるといったようなことも、政府のほうの御答弁などにもございます。  高齢期の生活は多様であることは、政府の説明のとおりでありますけれども、報告書をよく読んでみると、そもそもこの市場ワーキング・グループの皆さんも、もちろん多様だということは前提にしておられたんだと思いますが、望ましいと考えられる生活水準や働き方などを含めた価値観、これはやっぱり人によって異なるわけで、例えば今ほどの報告書では、先ほどの年齢のお二人が2人とも無職で、ずっと働かないということを前提にされている、そういう計算になっているわけですけれども、5年前の平成26年の内閣府調査で、全国の60歳以上の男女に対する世論調査では、幾つまで就労したいかという問いに対して「65歳ぐらいまで」と答えた人は16.8%しかなくて、「70歳ぐらい」「75歳ぐらい」「80歳くらい」「働けるうちはいつまでも」というふうに答えた人は、全部で55.3%あるということでありますから、いずれにしてもいろんな考え方、人生観があるので、これは1つの機械的な計算として念頭に置いたらいいんじゃないかなと、こういうふうに思います。  富山県も、多分全国で初めて取り組んだんじゃないかと思いますが、人生100年時代ひとづくり構想というのを昨年随分議論して報告を取りまとめてもらいましたが、その中で1つ、人生のマルチステージ化ということを提言しているんですね。これまでは3つのステージしかなかった。子供のころ、大人になるまで教育を受けて、大人になったら仕事をして、65歳ぐらいになったら老後になる。  しかし、これからは仕事を始めてからも、もう少し学び直しをしたいなというんで、教育にもう一度戻ったり、またそれで新しいビジョンを持って新たな仕事についたり、そういう若者から高齢者まで、全ての国民に活躍のさまざまな場面がある。そういうマルチステージ、人生がマルチステージ化していくということをひとつ言っているわけで、こういった多様な生き方や価値観を認め合って、能動的に学ぼうという意欲のある人、そういう姿勢の人をなるべくサポートして、そしてさまざまな方が、男性も女性も、高齢者も若い人も、それぞれが輝いて生きられる、そういう人生をできるだけサポートする。  そういう中で、この年金問題というのも考えていったらいいなと。あんまり変に騒ぎ過ぎるのもどうかなという気がいたしております。  次に、年金受給者の推移などについてお答えをいたします。  厚生労働省の調査、年報等によりますと、全国ベースで見ると、平成29年度末に国民年金の被保険者数は2,375万人で約23%の減となっております一方で、厚生年金の被保険者数は4,358万人で、10年前に比べて12%の増になっている。  また、全国ベースで平成29年度末で、老齢基礎年金の受給者数が3,171万人で、10年前に比べて約55%の増、老齢厚生年金受給者数が2,916万人で、10年前に比べて42%の増となっております。  今後の見通しについては、国の公的年金の財政見通しによりますと、年金被保険者数は少子化の進展で総じて減少していくものと見込まれております一方で、年金受給者は、65歳以上人口がピークを迎える2040年ごろまで増加していくと見込まれているわけであります。  よく言われますように、かつては現役世代が9人で65歳以上の高齢者1人を支える胴上げ型だったのが、平成24年以降は3人で1人を支える騎馬戦型になって、2050年ごろになると1.2人で1人を支える肩車型になる、こういうふうに言われているわけであります。  そこで、国におかれては平成16年に、将来にわたって年金制度を持続的で安心できるものにするために、基礎年金国庫負担2分の1への引き上げ、それからマクロ経済スライドの導入など、年金財政の安定化に取り組むとともに、平成24年には社会保障税一体改革によって消費税による財源の確保、平成28年には短時間労働者による被用者保険の適用拡大、またマクロ経済スライドの充実などに取り組んでこられました。  社会経済情勢が大きく変化する中で、それに対応していける制度を維持するというのは、なかなか難しい問題であります。  さらに、働き方の多様化に応じて、年金支給開始時期の選択肢を拡大してはどうかとか、また短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大といったような課題もありますので、今般、国において、全世代型の社会保障制度の実現に向けて、関係閣僚や有識者による検討会議が設置されると伺っております。  その場では、年金や医療・介護などの社会保障制度に加えまして、先ほども申し上げた高齢者の働き方も含めて、幅広いテーマが議論される見込みだと伺っておりますので、国おいて十分な議論を重ねていただいて、全ての国民の皆さんが安心して老後が迎えることのできる、時代に即した年金制度となるように取り組んでいただきたいと思いますし、また年金制度の持続可能性を高めるためには、やはり同時に経済成長とか、雇用の拡大とか、人口減少のスピードを緩和するとか、そういったことが大事でありますので、ぜひ国には、当然そうお考えだと思いますが、社会保障制度を論じられるだけでなくて、経済産業政策、国土政策、また子育て支援、少子化対策、教育政策等々を、しっかりした中長期のビジョンに立った議論をしていただく。  また、県としても、そういう議論を見極めながら、幅広い意味での地方創生の推進にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  それから、最後に健康診断等による早期発見、早期治療への取り組みについてお答えをいたします。  少子高齢化や医療の高度化などによりまして、医療費の伸びが今後も見込まれます中、持続可能な社会保障制度を維持していきますには、病気の早期発見や早期治療が非常に重要でありまして、健康診断の実施率の向上とか、生活習慣病の重症化予防に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
     そのために、県では各保険者が実施している特定健康診査や特定保健指導の実施率の向上を図るために、国民健康保険の健診等を行う市町村を支援しますとともに、被用者保険等、県内の保険者と連携して、健診等の従事者の資質向上を目的とした研修会ですとか、また県民への普及啓発の取り組み等を実施しております。  こうしたことによりまして、平成28年度で見ますと、特定健康診査の実施率が57.1%、これは全国平均が51.4%でありますから、全国4位の高さになっております。  また、特定保健指導も20.9%と全国平均よりも高くなっておりまして、国の目標値、これは特定健康診査70%とか、特定保健指導45%となっているんですが、そこまでには至っておりませんが、おおむね上昇傾向となっておりますほか、がん検診も、これも本当はもっと高くありたいんですが、全国よりは高い受診率となっております。  また、糖尿病については、県といたしまして、糖尿病性腎症重症化予防プログラムというのを策定いたしまして、郡市医師会、県医師会の御協力、また専門医や各保険者で構成する協議会の場で、こういうプログラムをつくったわけですが、各保険者や医師会等と連携して、未治療者等あるいは治療中断者などの方の受診の勧奨、また治療中患者の重症化を防ぐ保健指導に努めますなど、重症化予防にも取り組んでおります。  なお、健康寿命の話が出ましたが、健康寿命日本一に向けまして、これまでも「歩こうあと2000歩!」ですとか、富山県民歩こう運動推進大会、元気とやまウォークラリーなどもやってきていますし、また野菜摂取、減塩等による食生活の改善、また企業が従業員の健康管理を経営的視点で捉える、健康経営の普及などに取り組んでおりまして、おかげさまで平成28年度の富山県の健康寿命は、男性が平成25年に比べると1.63歳伸びて72.58歳、女性が1.01歳伸びて75.77歳、全国順位も31位から8位、男性ですね。女性は14位から4位、大幅に上昇しております。  今後も持続可能な社会保障制度の確立に向けまして、県と各保険者が連携しまして、また医師会とかいろんな分野の皆様としっかりと連携を密にして、疾病予防や健康づくりを進めてまいりたいと思います。 101 ◯議長(中川忠昭君)芝田商工労働部長。    〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕 102 ◯商工労働部長(芝田 聡君)まず、高齢者雇用の現状についての御質問にお答えいたします。  いわゆる高年齢者雇用安定法では、65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に定年制の廃止、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講ずるよう義務づけております。  富山労働局によりますと、平成30年6月1日現在、従業員31人以上の全ての県内企業において雇用確保措置がなされており、内訳を見ますと、定年制の廃止が全体の1.8%、定年の引き上げが13.7%、継続雇用制度の導入が84.5%となっております。  こうした義務づけもあり、県内の60歳以上の常用雇用者数は年々増加をしておりまして、平成30年は3万2,649人でございまして、5年前の平成25年と比較して8,591人の増、率にしまして35.7%の増、うち65歳以上の雇用者は、5年前の約2倍にあたります1万4,329人に上っております。  また、国勢調査によります就業率、これも平成27年には60歳から64歳で67.8%、5年前の平成22年から比べますと、6.5ポイントの増になっております。  また、65歳以上でも、平成22年の20.7%から平成27年の24.2%と、3.5ポイント増加するなど、やはり雇用が拡大をしております。  生産年齢人口の減少に対応し、本県経済の活力を維持発展させていくためにも、人生100年時代を迎えまして、働く意欲のある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、活躍の場を整備していくことが需要であります。  現在、国においては、65歳までの雇用確保措置に加え、高齢者の希望や特性に応じた活躍のため、企業が取り得るさまざまな就業機会の確保等の選択肢を拡大して、70歳までの就業機会の確保を図ることが検討されているところであり、今後、県内企業における高齢者雇用は一層進むものと考えております。  次に、シルバー人材センターの実績等についての御質問にお答えします。  県内のシルバー人材センターの登録会員数は、65歳までの継続雇用の進展等を背景に、近年減少傾向にあり、平成30年度は7,289人と、5年前の平成25年度に比べて889人減少しました。  また、契約金額も30年度は約38億円でございましたが、5年前に比べて約3億4,000万円減少をしております。  しかしながら、高齢者の活躍推進の観点から、シルバー人材センターの果たす役割は大きく、県では同センター連合会の運営に対する支援に加えまして、シニア合同企業説明会へのセンターのブース出展や会員拡大に向けた県広報でのPR、経済団体に対する利用の要請などに連携して取り組んでおります。  加えて、昨年10月にはセンターの派遣事業について、知事が指定した業種、職種につきましては、従来の週20時間から週40時間まで就業を可能としたところでございまして、小売業を中心に高齢者の就業機会の確保に努めております。  また、専門的知識や技術を生かした再就職を支援いたしますとやまシニア専門人材バンクにつきましては、ハローワークと連携した出張相談会を開催し、企業とのマッチングを強化するとともに、潜在的なシニア人材の掘り起こしのため、高齢者向けのセミナーやインターンシップ、合同企業説明会等を実施してきたところであります。  これらの結果、昨年度のマッチング件数は、開設以来最高の585名となったところであります。  引き続き、合同企業説明会の拡充、富山会場だけでなくて高岡会場でも実施をする。あるいは、参加企業数を拡大するといったことで合同企業説明会の拡充、あるいは他の就業支援機関と連携したマッチングの強化を図ることとしております。  今後とも、高齢者が元気に活躍できる社会の実現に向け、多様な就業機会の創出にしっかり取り組んでまいります。 103 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。    〔厚生部長市村仁志君登壇〕 104 ◯厚生部長(市村仁志君)医療費の状況、適性化についての御質問にお答えいたします。  県内の医療費は、平成28年度は3,527億円で高齢者人口の増加や医療の高度化等によりまして、平成20年度から16.6%の増となっております。  県が実績を把握することができます国民健康保険、協会けんぽ、後期高齢者医療の3つの医療保険制度において、疾病分類別のレセプト件数と医療費の推移を見てみますと、全体として件数、金額とも生活習慣病に由来をします心疾患、脳梗塞など、循環器系の疾患が多く、高齢になるに従って割合が高くなっている一方、近年の推移を見ますと、がん等の新生物とアルツハイマー、パーキンソン病といった神経系の疾患が件数、金額等も増加をしておるところでございます。  保険者別では、国民健康保険や協会けんぽでは、がん等の新生物にかかる医療費が多く、レセプト1件当たりの金額も大きくなっており、後期高齢者医療制度では件数、金額ともに循環器系の疾患、それから骨密度の障害ですとか、関節痛といった筋骨格系の疾患の順で多くなっております。  また、高額療養費制度は被保険者の医療費の自己負担が過重とならないように、月ごとの自己負担限度額を超える場合、超えた部分を保険者が支給する制度でありまして、平成29年度は、これも県が実績を把握できる唯一の医療保険制度であるものでございますが、約37万件で、約143億円の支給実績がありまして、高齢化や医療の高度化等に伴って、平成25年度から件数、金額とも約10%増加をしているところでございます。  県といたしましては、医療保険制度の安定的な運用のため、生活習慣病予備軍の減少を念頭に、メタボリックシンドロームの予防や改善を目的に実施をいたしております特定健診、特定保健指導の実施率の向上や、健康寿命延伸に向けた県民運動の展開、それから後発医薬品の使用促進など、医療費の適正化の取り組みを進めますとともに、高額療養費制度の周知に努めまして、誰もが安心して医療を受けることができるよう、引き続き取り組んでまいります。  以上でございます。 105 ◯議長(中川忠昭君)以上で上田英俊君の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。  これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。           常任委員会への審査付託 106 ◯議長(中川忠昭君)次に、ただいま議題となっております議案第91号から第113号まで及び報告第14号については、お手元にお配りした議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。           決算特別委員会の設置 107 ◯議長(中川忠昭君)次に、日程第2、決算特別委員会設置の件を議題といたします。  お諮りいたします。  平成30年度決算に関し、36人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、議案第114号から第119号までについては、これに付託の上、閉会中の継続審査とすることにいたしたいと思います。  これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 108 ◯議長(中川忠昭君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次にお諮りいたします。  ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第4条第1項の規定により、お手元に配付の名簿のとおり、議長、副議長及び監査委員を除いた36人を指名いたしたいと思います。  これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 109 ◯議長(中川忠昭君)御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました諸君を決算特別委員に選任することに決定いたしました。      ─────────────────── 110 ◯議長(中川忠昭君)なお、決算特別委員会の委員長及び副委員長を互選するため、本会議終了後、直ちに決算特別委員会を大会議室に招集いたします。 111 ◯議長(中川忠昭君)次に、お諮りいたします。  議案調査のため、明9月20日及び25日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 112 ◯議長(中川忠昭君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で、本日の日程は終了いたしました。  次に、議会の日程を申し上げます。  9月24日及び26日は予算特別委員会を、27日は常任委員会及び議会運営委員会を開催いたします。  次回の本会議は9月30日に再開し、諸案件の審議を行います。  本日はこれをもって散会いたします。  午後5時25分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...