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07月04日-一般質問-03号

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  1. 新潟県議会 2011-07-04
    07月04日-一般質問-03号


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    平成23年  6月定例会 本会議平成23年7月4日(月曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(小林林一君、梅谷守君、楡井辰雄君、高倉栄君、佐藤卓之君、金子恵美君)   ――――――――☆――――――――出 席 議 員(52名)          高橋 直揮 君  宮崎 悦男 君  青柳 正司 君  坂田 光子 君          矢野  学 君  金子 恵美 君  皆川 雄二 君  小林 一大 君          冨樫 一成 君  佐藤 卓之 君  楡井 辰雄 君  小島  隆 君          佐藤  純 君  桜井 甚一 君  小林 林一 君  西川 洋吉 君          佐藤 莞爾 君  岩村 良一 君  沢野  修 君  斎藤 隆景 君          金谷 国彦 君  早川 吉秀 君  尾身 孝昭 君  柄沢 正三 君          中野  洸 君  小川 和雄 君  村松 二郎 君  小野 峯生 君          帆苅 謙治 君  渡辺 惇夫 君  東山 英機 君  三富 佳一 君          星野伊佐夫 君  高倉  栄 君  上杉 知之 君  梅谷  守 君          石塚  健 君  大渕  健 君  内山 五郎 君  市川 政広 君          長部  登 君  小山 芳元 君  竹島 良子 君  志田 邦男 君          青木太一郎 君  松川キヌヨ 君  佐藤 浩雄 君  片野  猛 君          横尾 幸秀 君  若月  仁 君  小島 義徳 君  佐藤 久雄 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者 知事            泉田 裕彦 君 副知事           森  邦雄 君 副知事           大野 裕夫 君 副知事           北島 智子 君 知事政策局長        杉山 順爾 君 総務管理部長        安居  徹 君 県民生活・環境部長     中村稚枝子 君 防災局長          飯沼 克英 君 福祉保健部長        若月 道秀 君 産業労働観光部長      高井 盛雄 君 農林水産部長        目黒 千早 君 農地部長          米田 博次 君 土木部長          田宮 強志 君 交通政策局長        坂井 康一 君 会計管理者兼出納局長    安藤ますみ 君 病院局長          江口 孝雄 君 企業局長          鈴木 文夫 君 教育長           武藤 克己 君 人事委員会事務局長     土屋 良治 君 警察本部長         大庭 靖彦 君 労働委員会事務局長     飯塚真理子 君 監査委員事務局長      本間 俊一 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時開議 ○議長(村松二郎君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(村松二郎君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。 順次、発言を許します。 まず、小林林一君の発言を許します。小林林一君。   〔小林林一君登壇〕(拍手) ◆小林林一君 自由民主党の小林林一でございます。一般質問のトップバッターに出させていただくということに新たな感激と、また責任を感ずる次第でございます。また同時に、きょうは上越の県議が3人連続でなされますし、また5人の県議がそれぞれの立場、それぞれの場所でされるということで、地元でも注目をされております。よろしくお願いを申し上げます。 まずは、去る3月11日に発生いたしました東日本大震災でお亡くなりになられました皆様、いまだ行方不明の皆様、そして被災されました皆様方に、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。さらには、翌3月12日に発生した長野県北部地震で被災されました皆様、とりわけ十日町市、津南町、上越市、旧東頸城の皆様にも重ねてお見舞いを申し上げます。ともに一日も早い復興・復旧に向けて、私どもも精いっぱいのお手伝いをさせていただきたいと思います。 私も5月19、20日と自民党県議団の一行で仙台市と石巻市の惨状を視察させていただき、地震の大きさ、そして津波の恐ろしさを肌で感じてまいりました。改めて防災体制の確立を図っていかなければならないと痛感いたしてまいりました。 これはこれで今後の議員活動に生かしてまいりたいと思いますが、今回は福島第一原発事故に端を発します日本の原子力発電のあり方、そして日本のエネルギー政策の見通しを中心に論じさせていただきたいと存じます。 申すまでもなく、我々新潟県は柏崎刈羽の日本一の発電量を誇る原子力発電所を抱えている地域だけに、事の深刻さと同時に、将来に対する冷静な見きわめが何よりも求められていると考えるからであります。 結論的に申し上げれば、私は原子力発電推進派でございます。しかし、それはあくまでも絶対安全な原子力発電の実現のもとでということでございます。 まずは、福島第一原発の事故は、これまで世界一安全だと信じ込まされてきた私たちの思いを裏切る結果となりました。安全神話なるものが、もろくも崩れ去られたのであります。 事故発生当初は、未曾有の震度と未曾有の津波の高さが想定外の事故につながったと説明されておりました。しかし、事態が明るみになるに従って、日本の原子力発電所の安全基準が必ずしも完璧なものではないことがわかってきました。しかも、これまでその点に気づいていた一部原発関係者からの指摘がいろいろ上がってきたにもかかわらず、事実上黙殺されていたことも判明してまいりました。 例えば東京電力側は、福島第一原発の事故は未曾有の津波によるものとの説明に終始しています。何か、問題点はすべて津波のせいにしているように見受けられます。 専門家の見方では、津波以前に原発の電源などの周辺施設の耐震強度が低かった。すなわち、震度5程度で電源が失われるような耐震設計になっていた。とりわけ原子力発電所の安全は原子炉の安全であって、周辺設備の安全は想定されていない。だから、津波が来る前に周辺設備が崩れて接続不能となってしまったことが、水素爆発につながる一番の原因をつくってしまったとの問題点が指摘されています。 安全神話をつくってきた原子力発電に関係する電力事業者、経済産業省を中心とする政府の規制当局者、そして一部の学者が原発推進の国策のもとで結び合い、現状を追認する。しかも、だれかが決定的な判断を下すことは巧妙に逃げるという、いわゆる原子力ムラとやゆされる行動様式が厳しく指摘されました。全くこれまでの原子力行政を信じることができなくなりました。 しかも、今日まで原発の再開基準が明確になっていないため、政府と地元県知事及び市町村長が決定的判断を下すことをいたずらに先延ばしにして、みずからの決断に責任を持つことを避けようとしているように思われてなりません。 しかし、私どもは現状に踏みとどまってはいられないのであります。今の状態でイタリアのように国民投票をしたら、原発ノーという判断が下されると思います。果たしてそれでよいのでしょうか。日本の産業活力を高めるためには、安定した電力の供給が不可欠であります。 また、巷間しきりに叫ばれておりますバイオマス、風力、太陽光、地熱利用等の再生可能エネルギー発電は、供給の不安定性や経済性、量的制約など多くの課題を抱えており、補助的電源がせいぜいであって、とても基幹電源の役割を担うのは無理であると言われております。 再生可能エネルギーは、狭い日本の国土にあっては、むしろ国土破壊に結びつくという点をしっかり認識しなければならないのであります。世論に迎合する単に当面の人気取り政策を次々と繰り広げようとする菅政権の姿を、木を見て森を見ない誤りを内に含んでおりますことを指摘しておきます。 果たしてこの日本の将来はどうなるのか。政治に求められているのは、目先の利益ではなく、百年の計を考えた骨太の方針でなければならないはずであることを申し上げて、我々のおひざ元である柏崎刈羽の原発を含めて、原子力発電の安全性について問題にしたいと思います。 そこで、質問の第1点でありますが、日本全体の原発に対する安全基準について、私は福島第一原発の事故を踏まえ、過去の歴史にさかのぼり、最大値である震度7、津波22メートルに耐え得る原発であるかどうかと設定するよう国に求めることが、国民にとって一番わかりやすく、理解を得る近道と思うのでありますが、知事の所見をお伺いいたします。 これまでの安全基準は、余りにも専門的過ぎて住民にはわかりにくい。結局は、国と地元知事が政治的判断でゴーサインを出す結果になっていたのではないか、そんな住民の原発不信感が国民の間にぬぐえないのであります。 そういう点からすると、過去の歴史をさかのぼり、この地球上での最大の数値であります震度7、津波の高さ22メートルに対しても耐えられる原発かどうか、当然電源を含めて外部施設全体が耐えられるかどうかを説明するシステム、そして国民全体が納得できるシステムを構築することが国民の原発に対する理解を得る出発点だと申し上げたいのであります。 お断りしておきますが、津波高22メートルというのは、このたびの東日本大震災を検証した学者グループが出した最大値ですので、この点の検証は必要と思うのでありますが、とにかくこの地球上で発生した最大値の津波高を基準にすべきと申し上げたいのであります。 原発という一たび事故があれば、地球上に多大の災難を及ぼす原発であります。また、日本列島だけでなく、この地球というメカニズムの中では、どこで最大強度の地震、最大の高さの津波が起こっても不思議ではないのであります。何とかプレートとか、何とか活断層とか、何百年に1回の確率とか、これらはあくまでも仮説の論理であって、いつ、いかなるところでも予告なしに発生するのが地震であり、それに伴う津波であります。 地球のマグマは、時を選ばず、ところを選ばず爆発すると思わなければなりません。その最大値の災害に耐えられる原発をつくって初めて国民の理解、納得を得られると思うのであります。 また、当然その基準に達しないからといって原発を即時停止するのではなく、一定の年次を区切って、今の原発はこの程度の地震、津波に耐えられます。一定の年限の後には必ず停止させて完全に補強しますので、それまでの稼働をお認め願いたいと正直に住民にわかる形での工程表が示されれば、国民は納得してくれると思うのであります。 この点をあいまいにして、なし崩し的に再開を認めようとする動きを国民は強く警戒していると思うのであります。改めて知事の御認識をお伺いいたします。 次に、これまで再開を認めてきた柏崎刈羽原発の1号機及び5号機から7号機までの安全基準は、東日本大震災規模の震度と津波に耐えられる基準であったのかどうか、お伺いいたします。 さらに、再開を認めてきた柏崎刈羽原発の1号機及び5号機から7号機までの安全基準が、東日本大震災規模の震度と津波に耐えられる基準には及ばないものであるとするならば、再検討を求める考えはないか、お伺いいたします。 さらには、再開に向けて準備を進めている柏崎刈羽原発の2号機、3号機、4号機について、その安全基準を東日本大震災規模の震度と津波に耐えられるかどうかに置く考えはないか、お伺いいたします。 次に、新潟県としての安全性の判断は、現行の新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会にゆだねているようでありますが、この技術委員会での検討結果に全幅の信頼を置いていると受けとめてよいのか、お伺いいたします。 あわせて、この技術委員会の報告を受けて、柏崎刈羽原発の再開について知事が最終判断を下されるわけでありますが、どのように行うのか、お伺いいたします。 特に最終的には、知事と地元の市町村長との話し合いで行われることになると思います。このたびの代表質問の答弁にありましたとおり、地元の合意なくして再開は認めないと言われますが、それは単なる政治的決着ではなく、科学的な根拠に基づく説明、一般市民にもわかるような合意を示すべきであります。その点を強く申し添えさせていただきます。 この項目の最後に、新潟県がこのほど発表されたメガソーラー発電所の2基目の建設計画についてお聞きいたします。 私は、一定の電気量を確保するために、あらゆる発電可能なエネルギーを研究開発することは必要なことと思います。そのため再生可能な自然エネルギーの利活用は、当然研究開発の対象であると思います。しかし、いずれもプラスの面とマイナスの面、双方向から比較検討することが必要であります。 このたびのメガソーラー、いわゆる太陽光発電は発電量の割合からすると、必要面積が余りにも大きいと言われております。このたびの東部産業団地で建設が計画されておりますメガソーラー発電は、1メガワット、すなわち1,000キロワットの発電量でありますが、そのためには約3ヘクタールの用地を必要とします。 これは、柏崎刈羽の原発が1基で110万キロワットであるということに当てはめれば、原発1基分に相当する発電量をメガソーラーで確保しようとすると、単純計算で1,100倍の用地、すなわち3,300ヘクタールの用地を必要とします。東部産業団地が約100ヘクタールですので、東部産業団地が33カ所必要という計算になります。さらなる推進を図るとなると、新潟県の森林山野を切り崩しての開発になりかねません。 おまけに、新潟県企業局の経営になりますので、東部産業団地開発の目的の一つであった固定資産税は入ってこない。1基目は国の補助金が入りましたが、2基目は補助金なし、一般会計からの持ち出しとなります。さらに、買電価格にしても菅政権が掲げております再生エネルギー特別措置法で期待されている固定価格が保証されて初めて採算ラインに乗る、少しでも狂えば赤字覚悟の事業になるというおまけまでついております。 私は、まだ1基目が建設途上であるだけに、その稼働を見きわめてからでも遅くはないのではないか。この厳しい財政状況の中にあって、何を急ぐ必要があったのかと疑問を持たざるを得ないということをあえて指摘させていただきます。 このように、これら再生可能エネルギーはまだまだ大きな問題点、課題を抱えております。すなわち、補助電源になり得ても基幹電源にはなり得ないと言わざるを得ないのであります。新潟県における再生可能エネルギーの導入についての知事の認識をお伺いいたします。 大きな質問項目の第2は、直江津港の将来計画についてであります。 私は、これまで申し上げてきましたように、原子力発電の問題点をカバーするものとしてLNG、液化天然ガスによる火力発電所の建設を進めることが、新潟県として最も時代の要請にこたえるものと御提案申し上げます。 原子力発電所の再開については、今ほども申したとおり、東日本大震災の震度、津波に耐えられるものでなければ到底国民、住民の了解を取りつけることはできないと思います。ということは廃炉、すなわち原子炉の取りつぶしはあっても、新設は事実上難しくなったと言わざるを得ません。 恐らく日本の原発で生き残れるのは、希望的観測からいっても3分の2がせいぜいではないかと言われております。そうすると、それにかわるべき発電所建設が当然求められるわけであります。それにこたえる一番安全で、クリーンで、熱効率の高い発電所となるとLNG火力発電所であります。 今、直江津港では、中部電力の発電所1号機、2号機の建設が進んでいます。この中部電力の発電所建設を前倒しで進めるよう、県からも強く要請していただきたいと思います。 同時に、東北電力で建設が予定されておりますLNG火力発電所の上越1号系列の建設でありますが、計画だけは示されているものの、いまだ具体的な動きは見えません。 去る5月19日、仙台市を中心に視察をした折、東北電力本社をお伺いして、本社幹部の皆さんと親しく意見交換をさせていただいた話を総合すると、東北電力は前向きな姿勢は持っているものの、まだまだクリアしなければならない諸条件があるように思います。しかし、新潟県としては、諸般のエネルギー事情を考慮いたしますと、直江津港での上越1号系列の建設を促進させる絶好のチャンスと思います。 そのような観点から、直江津港の将来計画を考えるとき、いろいろとクリアしなければならない課題があると認識いたします。それらを踏まえて順次質問させていただきます。 まず、日本海側の拠点港に直江津港が指定されるかどうかという点であります。 去る2月の国土交通省の日本海側拠点港の形成に関する検討委員会において検討対象の26港が示され、直江津港も対象となっています。その公募が国土交通省において6月3日に開始されたわけでありますが、その選定基準は何か、まずお伺いいたします。 また、拠点港に選定されると国からどのような支援を受けられるのか、お伺いいたします。 次に、直江津港の拠点港への選定に向けて、県はどのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。 また、上越市側からは新潟港との連名申請が求められているようでありますが、県の受けとめ方をお伺いいたします。 さらに、直江津港単独申請の問題点と新潟港との連名での可能性、メリットについて県の見解をお伺いいたします。 さらに、直江津港の実情を見るとき、地元の努力がもっと必要ではないかと申し上げたいと思います。これまでの直江津港の物流を見るとき、県の支援もあって徐々に成果は上がっております。例えば青海電化のクロロプレンゴムの輸出につきましても、事実上は県当局のお力によるものであります。しかし、さらなる上積みを目指すためには、地元としてのさらなる努力も必要ではないかと思うのであります。 これまでややもすると、直江津では港湾の整備や顧客獲得は県の仕事、地元では県が計画を立て、整備してくれた環境の中で運行業務に当たっていればよい。ポートセールスとは、形式的なイベントと心得ているのではないかと思われる節が私には見えました。 今まで以上に官と民とがそれぞれの立場での営業努力を果たし、結果として官民一体となったポートセールスに結びつけるという姿勢が求められていると思うのでありますが、知事の認識をお伺いいたします。 次に、直江津港の将来計画を考えるとき、対岸貿易をにらんだ物流の拡大も必要ではありますが、エネルギー港湾としての位置づけを考えると、先ほども申したように、東日本大震災での原発事故等を踏まえ、より安定的なエネルギー供給が図れるよう、東北電力で建設が予定されているLNG火力発電所の上越1号系列の建設をより一層促進すべきと考えるのであります。知事はどのような認識でおられるのか、お伺いいたします。 また、促進のための具体的な方策についてお伺いいたします。 さらに、LNG火力発電所の立地を求めていくためには、直江津港の公共埠頭用地、荒浜埠頭地区にありますが、これを将来的にどのように整備し、活用していくかが大きな課題となると考えます。県の認識をお伺いいたします。 この項目の最後に、直江津港についてはエネルギー港湾としての位置づけをより明確にすべきと考えます。そのためには、現行の港湾計画を改訂する必要があると考えるのでありますが、どのような体制で責任を持って計画の方針を打ち出していくのか、お伺いいたします。 大きな質問項目の3番目は、北陸新幹線建設問題についてであります。 知事は、23年度予算に新幹線建設に伴う工事額を計上しませんでした。理由は、新潟県側の新駅に全列車停車の見込みがない。多額な建設費負担金を計上しても現行のシステム、すなわち特急はくたかの列車数よりも少なくなってしまう。また、時間的にも余計かかるような運行体制では利便性が悪くなってしまう。場合によっては、過去に支払った負担金の返還請求をしたいとまで述べております。こういう事態になると、まことにゆゆしき問題であります。 私が知る限りの上越市民の率直な気持ちは、確かに全列車が(仮称)上越駅にとまってくれるにこしたことはない。しかし、必ずしも全列車停車にこだわってはいない。上越新幹線においても長岡駅や越後湯沢駅でも通過列車がある現実を踏まえれば、多少の通過列車が通ることはやむを得ない。それでも東京や北陸と直結するメリットのほうが大きい。上越市及び周辺地域を一段と整備することによって、少しでも多くの列車がとまってくれるように地元としても最大限の努力をしていこうと意気込んでいるのであります。これが大多数の上越市民の率直な感情であります。 むしろ逆に心配するのは、知事が全列車停車にこだわる余り、新幹線の開業をおくらせてしまわないかという点であります。 頭の回転の速い泉田知事のことでありますので、我々にはうかがい知れない計算や、国交省やJRとの駆け引きが頭の中にはあるのかもしれません。例えば、全列車停車という高いハードルを掲げておいて、新潟県内の駅に一部通過列車を認めるかわりに、時には富山駅や長野駅は素通りして新潟県内駅に停車させる列車ダイヤを組む。また、(仮称)上越駅を発車した列車は、次は長野駅と高崎駅、大宮駅くらいにとまる速達型の列車ダイヤをふやすなどによってバランスを図るというお考えもあるのかと思っています。 しかし、知事がどのように頭の中で、また腹の中でお考えをお持ちとしても、新潟県の財産、県民の財産を動かすのでありますから、県民にわかるような説明をしていただかなければならないと思うのであります。以下の質問をさせていただきます。 北陸新幹線の列車停車に当たり、本県は各県少なくとも1つの駅に停車する仕組みを求めているようでありますが、そのねらいは何か。また、沿線3市は了解しているのか、お伺いいたします。 一番の心配は、本県のこれまでの主張が、石川県、富山県、長野県の理解を得ているのかどうかであります。沿線の県知事とはどのような話し合いをしているのか、お伺いいたします。 新幹線問題解決のために国交省の津川祥吾政務官との会談がポイントかと思える段階がこれまでにはあったようでありますが、国に対してどのような解決の糸口を見出そうとしているのか、お伺いいたします。 大きな質問項目の4番目は、財政問題についてであります。 平成21年4月、地方公共団体の財政の健全化に関する法律が施行されました。この法律に基づき、毎年地方公共団体の財政指標が総務省から発表されています。 この指標を見ますと、例えば実質公債費比率、すなわち公債費や実質的な公債費負担額の標準財政規模に対する3カ年平均の比率は、新潟県は16.8%で、全国都道府県の平均13.0%よりは悪く、全国38位に甘んじているものの、国がイエロー信号としている早期健全化基準25.0%を大きくクリアしているのであります。 私は、この指標を見る限り、この基準は余りにも甘いと思います。確かに、夕張市のように極端に悪い自治体もあります。むしろこれらは例外の部類であると思います。逆に言えば、この基準からすると、新潟県はもっともっと借金をしていいのではないか。この指標のぎりぎりまで借金をする気になれば、県民要望にもっとこたえられるはずではないか、そうも思いたくなります。 しかし、私はそれでよいとは思いません。知事も常識的に見て、そうであってはならないとお考えであると思います。そうであるならば、総務省の指標は別に置いても、新潟県としての独自の経営指標を定める必要があるのではないかと考えます。そんな観点から、2点お聞きいたします。 地方公共団体財政健全化法に基づく健全化基準は余りにも甘く、これでは住民の要望にこたえるため、地方公共団体は借り入れをさらに増加させてよいと受けとめることもできると考えますが、健全化基準について知事の認識をお伺いいたします。 地方公共団体財政健全化法に基づく健全化基準によらず、財政の健全化という視点で県独自の基準を定める考えはないか。あるとすれば、どのような形で示す考えか、お伺いいたします。 また、県独自の基準は不要と考えるなら、県民からのさらなる事業要求に対して財政状況が厳しいと主張する理論的根拠がないと解釈せざるを得ず、その結果、本県の健全な財政が維持できなくなるのではないかと懸念いたすのでありますが、知事の認識をお伺いいたします。 大きな質問項目の最後は、吉川高等特別支援学校についてであります。 御案内のように、知的障害をお持ちのお子様をどこでどのようにして学ばせるか。そして、将来一般社会の中に溶け込ませるようにするにはどうしたらよいか大きな課題であります。保護者にしてみれば、少しでも一般の学校で健常な子供たちと同じように育ててほしいと願う気持ちは無理からぬことであります。 その願いは、小学校や中学校まではある程度可能でありますが、高等学校レベルになりますと、一般高校ではやっていけない。どうしても特別支援学校の高等部に集中しているのであります。 高田養護学校からも、この高等部の分散が強く求められておりました。私ども県議にも相談があり、一昨年上越3市の県議団が相談し合い、超党派で取り組んでまいりました。幸い県御当局の御理解をいただき、本年4月から吉川高校旧校舎をリニューアルして、吉川高等特別支援学校として開校したのであります。この間の関係者の御努力に敬意を表するとともに、改めて感謝申し上げます。 ただ、改めてふたをあけてみますと、吉川に来られる生徒数が意外に少ない、高田特別支援学校高等部に進まれる生徒数が思った以上に多いという現実を見るにつけ、いろいろと考えさせられる点がございまして、次の質問をいたします。 本年度新設した吉川高等特別支援学校の入学者数について、同学区である高田特別支援学校高等部の入学者数が余り減らなかったことを踏まえ、どのように見ているのか、教育長の所見をお伺いいたします。 本年度の入学者数が想定した人数よりも少ないのではないかと考えるのですが、その原因をどのように考えているか、お伺いいたします。 同校は、自力通学が前提であるのですが、冬期の遠距離通学など負担が大きい生徒もいると聞きます。通学方法の見直し及び寄宿舎等の新設を検討する考えはないかお伺いいたし、私の一般質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 小林林一議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、原子力発電所の安全基準の設定についてであります。 22メートルの津波、震度7というものを基準にしてはどうかという御提案でありました。今回の災害の教訓を念頭に、これまで発生してきた地震、津波だけにとらわれず考えていく必要があるというふうに考えております。 例えば数千年に1回という地震、津波を想定しても、断層が100あれば計算上は10年に1回起きるということになるわけです。また、既往最大ということを想定すれば、22メートル、震度7をはるかに超える地震、津波というのは、地球は幾つも経験をしてきております。近年で見ても、奥尻島では30メートル弱の津波があるわけですから、22メートルでいいという根拠はなかなか言い切れないのではないのでしょうか。 想定を超える規模の地震や津波の発生を考慮して、対策を検討していく必要があると考えております。 次に、現在運転中の柏崎刈羽原子力発電所の安全基準についてであります。 柏崎刈羽原子力発電所の安全基準は、今回の東日本大震災の規模の震度には十分対応できると承知をいたしております。しかしながら、今回の規模の大津波には対応できていないと承知をいたしております。 詳細については、防災局長から御説明いたします。 次に、安全基準の再検討についてでありますが、今ほどお答えをいたしましたとおり、大津波については想定を超える規模になっておりますので、国に対しては既に再検討をすることを求めております。 では、具体的にどうしたらいいのかということについては、福島第一原子力発電所の事故の検証結果などを受けてなされる技術委員会の判断に基づき、検討を求めることになると考えております。 次に、停止中の号機の安全基準についてでありますが、今ほどお答えをした運転を再開した号機と同様に、具体的には福島第一原子力発電所の事故の検証結果を受けてなされます技術委員会の判断に基づいて検討を求めることになると考えております。 次に、技術委員会の検討結果と県としての判断についてであります。 人が判断をする、また人知は限られるという以上、完全無欠ということはあり得ないと考えております。しかしながら、技術委員会が最新の知見に基づいて判断した結果は尊重してまいりたいと思います。 また、県としての判断は、福島原発事故以降の状況の変化を踏まえまして、予断を持たずに対応してまいりたいと思います。 次に、再生可能エネルギーについてであります。 斎藤議員、市川議員の代表質問にお答えをしたとおりでありますが、エネルギー政策については次代が選択できる環境を整えていくということが、今現在の我々に求められているというふうに考えております。これを目標に施策を進めてまいりたいと思います。 少し例示をさせていただきますが、スペインではかつてエネルギーのほとんどを輸入に依存をしておりました。このため、国策として早くから再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでまいりました。日本では再生可能エネルギーは、全使用エネルギーの1%という状況ですが、スペインでは35%、日本の原発の割合を上回るという自然エネルギーの利用に至っております。結果として、世界的な風力発電メーカーの育成にもつながっているということでございます。 県といたしましては、このような事例を参考にしつつ、次の時代のエネルギー・産業政策の選択の幅を拡大させていきたいと。そしてまた、産業振興、それから働く場の確保にもつなげてまいりたいと考えております。このため、新潟版グリーンニューディール政策の取り組みを加速させてまいりたいと思います。 なお、一般会計と特別会計のお話で誤解があるようなので、申し上げておきたいと思いますが、この特別会計、用造会計におきまして固定資産税が入るためには、企業が進出をしてこなければいけないということになるわけです。企業が進出をしなければ管理コストだけかかって、そしてまた将来の値下がりリスクにさらされるということになってまいります。これは、太陽光発電事業をすれば必ず収入が入ってきますので、ほったらかしておくよりも県民財産の有効活用という観点では必ずプラスになることになります。 また、補助金の話も指摘がありましたが、補助金のかわりに一般会計からの無償貸与という仕組みを利用したいというふうに思っています。これは遊ばせておけば、先ほど申し上げましたとおり、管理費だけかかって何ら収入が入らないわけです。太陽光発電にすれば必ず収入が入ってきますので、県民財産上の活用の仕方、また率先垂範して次の時代の選択肢の可能性をふやしていくというために、公共団体として取り組むべき課題であるというふうに考えております。 次に、直江津港の将来計画についてお答えをいたします。 まず、直江津港の拠点港の選定についてであります。 上越市など地元が拠点港応募を視野に策定しているビジョンを踏まえて、計画書を策定してまいりたいと思います。関係自治体を初め地元との合意形成を図った上で、国へ応募してまいりたいと思います。 新潟港との連名についてでありますが、これは可能であると国から回答を得ておりますので、その方向を目指すことになるかと思います。 加えて、連名申請は港湾管理者が同じ県であるため、効率的な運用が可能であります。それぞれの対象エリアで機能を発揮しつつ、お互いに連携をしていくということで、単独申請よりも両港の強みをアピールできるのではないかと期待をいたしております。 次に、直江津港での集荷の取り組みについてであります。 さらなる物流の上積み、これをどう進めていくかということですが、やはり利用者にとって利便性が向上していく、またはコストが下がる、何らかのメリットがなければ利用増に結びついていかないというふうに考えています。 利用者、つまり荷主さんにとっては必要なタイミングで必要な量、これも品質よく届く、できれば値段も安いほうがいいということになるわけです。特にコンピューター社会が進展をした中で、サプライチェーンをいかにマネジメントするかということが会社の浮沈、競争力にも影響してまいるわけであります。 荷主さんにとってのリードタイム、運航頻度、トータルコスト、その他サービス内容の面でやはり他港の利用に比べて有利であるという環境ができていくことが、さらなる上積みにつながっていくものと考えています。 そのためには、やはり多くの可能性のある荷主さんから現在の課題、これを聞いた上で対応を進めていかなければならないということだと思います。ニーズの把握を努めることによって、より魅力的なサービスが提供される環境整備に取り組んでまいりたいと思います。 いずれにいたしましても、昨年の直江津港のコンテナ貨物取り扱い量は過去最高となっておりますので、次のステップに進めるように今後とも努力をしてまいりたいと思います。 次に、東北電力の上越火力発電所1号系列の建設についてであります。 このたびの震災に伴いまして、電力供給は不安を抱えた状況にあります。しかしながら、今後の東北電力における能力増強工事の進捗、そしてまた被災した発電所の復旧、さらにはその間に行われる家庭や企業による節電の効果が期待をされております。現時点で新規のLNG火力発電所の建設を電力会社のほうが想定をしていないということから、建設は難しいものと考えております。 次に、公共埠頭用地の整備と活用についてであります。 平成8年に策定をした現行の港湾計画では、コンテナや原木などを取り扱う計画といたしております。しかしながら、近年の取り扱い貨物の推移に照らしますと、この埠頭計画は現状にそぐわないものになってきていると考えております。 このことから、将来を見据え、直江津港のよりふさわしい活用方法を検討すべきと考えておりますが、そのためには立地企業を想定した上で、需要を見通せなければ何をつくっていいかわからないということになりますので、やはり土地の取得企業を探すと、もしくは後背地を活用して利用していただく需要を見きわめていくということが先になろうかと考えております。 次に、北陸新幹線問題についてお答えをいたします。 まず、各県1駅停車のねらいについてであります。 上越に全列車停車ということを申し上げているわけではありません。当然糸魚川の停車についても考えていただかなければいけないというふうに考えております。 そして、このねらいなのですが、現行よりも停車駅、停車本数、所要時間の点で不便になることを避けなければならないというふうに考えております。これも新上越駅だけではなくて、糸魚川も含めて考える必要があるというふうに考えております。 そしてまた、御承知のとおり、北陸新幹線は東京―大宮間にボトルネックがあります。運行本数の限界があると。例えば今でも臨時列車については大宮までという方針が示されているようであります。乗りかえということが想定をされるわけであります。 各県1駅停車が実現しないとどうなるのかということになると、速達タイプの列車が仮に県内駅を通過して、現行より不便になる可能性が高いというふうに考えています。 さらに、金沢以西に延伸した場合どうなるのかと。さらにノンストップの列車がふえれば、ボトルネックがある中で、さらに通過列車がふえる。本数がふやせない中で通過列車がふえれば、だんだん新潟県内の駅は過疎化をしていく。 こういうことに何ら担保をとらないで税金をどんどん投入していくという判断は、私はあり得ないということだと思っています。 このため本県といたしましては、こうした要請を沿線3市と一体となって行っているところであります。 次に、沿線県との話し合いについてであります。 そもそも論でいきますと、本県が要請している各県1駅停車や新幹線貸付料の返還、還元、これはあくまでも本県と国との間の問題であるわけです。そもそも法律に定めた意見聴取手続をしない強行認可を国がしたというところに端を発しているわけでありまして、他県とは関係ございません。 なお、これらの要請事項については、沿線各県が本県と同じ立場に立って、共同で国に対して働きかけをしているところであります。 次に、新幹線問題の解決についてでありますが、市川議員の代表質問にもお答えをしたとおり、既に本県からは国に対し、具体的な解決策を提案しているところであります。本来であれば、国が約束をした昨年の12月が期限ということになりますが、そこの部分については、あえて期限を切らずに交渉に応じる立場を示しております。残念ながら、いまだ回答をいただいておりません。無論3月11日に発生した東日本大震災の影響もあろうかと思います。 そして、先ほども申し上げましたが、国が法令違反の認可を強行して本県との信頼関係を破綻させたということが問題の出発点でありますので、問題解決の責任は国にあります。本県の側から解決に向けたさらなる働きかけをすることはあり得ません。 次に、財政問題についてお答えをいたします。 まず、健全化基準についてであります。 財政状況を的確に評価をするためには、議員御指摘のとおり、現在の基準は極めて恣意的、それも時間とともに、それも担当省によって幾つも基準が出てくるという状況になっております。やはり本質的には公会計改革を進めて複式簿記、発生主義による財務諸表を整備することが重要であると考えています。これであれば国際会計基準に準拠をして、一般の経営者の方々も県の財政がどのような状況か御判断いただけるということだと思っています。健全化判断指標による財政状況の評価は、余り意味がないものと考えております。 次に、県独自の健全化基準の設定についてであります。 本来財政状況を的確に評価をするためには、国際会計基準を基本とした財務諸表を整備・公表すると。そして、だれでも理解できる財政の透明化ということが必要だと考えております。 独自の基準の設定につきましては、県財政の運営は経済状況や国の地方財政対策など多くの要素に左右をされるということになりますので、独自に基準をつくるということには大きな意味がないと考えております。 なお、御指摘のような県独自の基準を定めるまでもなく、財政運営計画でお示しをしているとおり、歳入歳出両面にわたる努力によりまして、実質収支の黒字を維持し得る持続可能な財政運営が可能と考えております。御懸念には及ばないものと思います。   〔防災局長飯沼克英君登壇〕 ◎防災局長(飯沼克英君) お答えします。 現在運転中の柏崎刈羽原子力発電所の安全基準についてでありますが、柏崎刈羽原子力発電所で現在稼働中の1号機、5号機、6号機及び7号機は、中越沖地震後の東京電力による耐震強化工事により、東日本大震災で福島第一原子力発電所において生じた規模の揺れに十分耐えられると県技術委員会では評価されております。 一方、津波につきましては日本海東縁部を震源とする3.3メートルの津波で評価をしておりましたので、東日本大震災規模の津波は、これを超えることとなります。   〔交通政策局長坂井康一君登壇〕 ◎交通政策局長(坂井康一君) 2点についてお答えいたします。 まず、日本海側拠点港の選定についてでありますが、選定基準については、輸送モードや貨物の対象機能ごとに貨物の取り扱い量や航路数等の目標を定めた定量的評価及びその目標の妥当性や計画実現のための施策に関する目標、施策の優位性評価の2つが示されております。 また、国からの支援策についてでありますが、募集要項には記述されておりません。国土交通省政務官の記者会見の席でも、必要があれば国の支援策は自治体から提案してほしいと発言するにとどまっております。 次に、直江津港の港湾計画改訂についてでありますが、将来を見据えた直江津港によりふさわしい計画検討も必要と考えていますが、需要や企業の立地が見込めることが前提となりますので、条件が整った後、所要の手続に入ってまいりたいと考えております。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 まず、吉川高等特別支援学校の入学者数についてでありますが、募集学級2学級、20人のところ15人を受け入れ、高田特別支援学校では、募集学級4学級、40人のところ、昨年とほぼ同数の34人を受け入れたところであります。 これにより、この2校で当初のもくろみどおり、上越市内の高等部教育を希望する志願者全員を受け入れることができたものと考えております。 次に、入学者数と想定数についてでありますが、当初、進学希望調査に基づき、17人の入学を想定していたところ、15人と想定を若干下回る入学者となりました。 この要因としては、同校が上越市の中心部から遠距離にあるという立地条件及び新設校であることへの不安などが考えられます。 次に、通学手段等についてでありますが、開校に際し、JRと路線バスの接続時間の調整を行いましたが、通学の負担が大きい生徒もいることから、今後、バス路線の延伸や福祉バスの運行について上越市と協議してまいりたいと考えております。 なお、同校は自力通学できる生徒の入学を前提としておりますことから、寄宿舎については設置する予定はありません。 以上であります。 ○議長(村松二郎君) 小林林一君の質問は終わりました。 次に、梅谷守君の発言を許します。梅谷守君。   〔梅谷守君登壇〕(拍手) ◆梅谷守君 上越選出の質疑者3連発の2番手、梅谷守でございます。よろしくお願いします。 3.11に東日本を襲った広域複合災害は、島国の日本が常に自然災害の脅威にさらされていることを痛感させたとともに、安全神話などというものがそもそも存在しないことを証明しました。しかし、同時に災害に対する周到な準備と、そしてまた、国民の強さ、底力も浮き彫りにしたことは間違いありません。 本県の対応もすばらしかったと思います。先日会派で宮城と福島の被災地、そして避難所に入りましたが、現地では新潟と言うだけで真っ先に駆けつけ、24時間体制で親身になって支援してくれた。本当にありがたかったと多くの被災者から感謝の言葉をいただきました。 翌日には長野県北部地震が本県を襲ったため、極めてタフな対応が求められていたはずですが、知事を初めとする幹部の皆様並びに職員の皆様の迅速かつ懸命な支援活動に心から敬意を表しますとともに、こうした対応は高い意識のもとでの日ごろの地道な活動あってのもの、日夜の御努力に心から感謝を申し上げます。 被災地の復旧・復興につなげるには、まず何よりも原発事故の収束を図らなければなりません。いまだ予断を許さぬ原発事故対応は、国内外に不安と恐怖を招き、本県でも特に世界最大級の柏崎刈羽原発を擁するがゆえ、県民の不安は募ります。 折しも国内のみならず、世界的な規模で経済・雇用情勢は先行き不透明感が漂い、社会的・経済的不安定さは犯罪をも助長しかねず、市民の心に不安をもたらす要素が広がりつつあるというのが私の認識です。 こうした中で、県民、市民の不安を解消するに私たちは何をすべきか。政治と行政は、そこにどんなお手伝いをすべきなのか。今回の質問は、こうした観点から順次質問と提言を行いますので、できる限り県民の不安解消につながる前向きな御答弁を賜りますようお願いします。 まずお尋ねしたいのが、今後の見通しについてです。 今回の地震、津波、そして原子力事故は、安全対策の抜本的な見直しを余儀なくし、復旧・復興需要により一時的には経済は盛り上がるかもしれませんが、後々の全国的な経済悪化を招くことが予想されます。既に物流の混乱や自粛ムードによる観光や飲食業への打撃は大きく報道されましたし、さらには電力不足による経済全体へのダメージも必至です。 頼みの綱の海外経済ですが、中国やアメリカでは減速懸念も示され、ここに知事御指摘の円高やデフレの打撃が加わる。 東日本大震災の影響もある中で、県内の経済・雇用情勢においては、まさに予断を許しませんが、知事は今後の見通しをどのように考えているのか、お伺いします。 まことに言いにくい話ですが、東北地方に立地していた港湾や企業群が軒並み震災でダメージを受けた今、リスク分散の観点から他県への立地を勧めるなど大きな変化のうねりが生じています。 こうした中、東日本大震災を契機として存在価値が高まりつつある日本海側ルートの最大物流拠点として本県が存在感を確立するために、今回の震災に伴う日本海側の物流の動向から見えてきた新潟東港、そして直江津港、姫川港の課題並びに今後の対応についてお伺いします。 あわせて、震災前後の各港湾、空港の人流、物流の状況についてお尋ねします。 県内経済・雇用の落ち込みから脱却するためには、原発事故に伴う風評被害の払拭が大きな課題の一つです。環日本海を見据える本県としては、特に国内はもとより、対岸諸国の不信、不安を一刻も早く解消しなければなりません。 原発事故収束への道筋が視界不良ですし、相手のあることですので、対応することそのものがはばかれるかもしれませんが、厳しい現状を一刻も早く打開すべく、新潟の農産物や工業製品の輸出、国内外からの観光客誘致において、知事は今後どのように取り組むおつもりか所見を伺います。 次に、長野県北部地震についてお尋ねしますが、その前に知事におかれましてはまことに御多忙の中、先月8日、上越市大島区菖蒲地区に視察にいらしてくださいましたことに心から感謝を申し上げます。 被災者の中には、それまで知事から現場に入っていただけていなかったことに加え、東日本との相対性でうちらのところはまだましと、甚大な被害にもかかわらず訴えを控えていた方がいらっしゃったものでして、今回の訪問を住民の方々は本当に喜んでおりました。 今定例会初日に知事は、被害の大きい農地、公共土木施設は冬を迎える前までに復旧作業が完了するよう引き続き全力を挙げて取り組むと力強く所信を述べておられましたが、住民の心に安心をお届けしていただくべく、県内被害からの復旧に向けて改めて知事の決意をお伺いをします。 今回の地震は、主に中山間地域につめ跡を残しました。私の知る限り、被災後は自治会長が住民の間を回って地域のきずなをつなぎとめようと不断の努力を惜しまないでおりますし、若い衆は若い衆で貴重な休みや仕事の合間を縫って地域の手伝いやイベントに精を出してくれていますが、こうした地域の復興については、ただ単にもとの暮らしに戻すという観点だけではなく、持続可能な地域づくりにつなげる復興を意識しなければなりません。 コミュニティーの崩壊がそもそも懸念される地域ですから、その復興の道筋には困難が予想されます。被災地の地域コミュニティーを再生するためには、多面的機能を維持する観点からも中山間地域の農業・農村のさらなる活性化が必要であると考えますが、知事の所見をお伺いします。 幹線道路が限られる今回の被災地からは、避難道路、迂回道路の整備を求める声も聞こえてきます。道路が寸断されれば住民避難に支障を来すだけでなく、事故対応で関係者が現場に向かうアクセス道路も失われてしまいますし、冬期間であればなおさらです。 そこで、周辺地域の住民がこれまで強く求めてきた上越魚沼地域振興快速道路を早急に整備すべきと考えますが、知事の御認識を伺います。 中越大震災と中越沖地震も引き続き強力に復興を進めなければなりません。 東日本大震災や長野県北部地震への対応に迫られる一方で、中越大震災及び中越沖地震からの復興に向けて引き続ききめ細かな対応が求められます。マンパワーが不足しがちな中……   〔「水害」と呼ぶ者あり〕 ◆梅谷守君(続) 水害もそうですね。マンパワーが不足しがちな中、県として今後どのような支援をもってさらなる復興につなげていくのか、知事の決意と今後の方針について伺います。 次に、東日本大震災関連について幾つかお尋ねします。 知事は、東日本大震災の被災地に何度か足を運んでいらっしゃると伺っております。まずは現場から何を感じ、課題をどのように受けとめたのか、お尋ねします。 その上で、東日本大震災の被災地に対する県としての今後の支援方針について、あわせてお伺いをします。 本県では、7月1日現在7,778人の県外避難者を受け入れていますが、4カ月近くがたち、求められる支援もハードからソフトへと転換をしていると推察をいたしております。 一方的な押しつけにならないよう変化するニーズや被災者の心情に目を配りながら、長期的な支援を通じて避難生活の充実を図るとともに、できるだけ早く普通の暮らしに戻れるようバックアップしなければなりませんが、県は東日本大震災に伴う県外避難者のニーズの変化をどう認識、予測し、生活面や雇用面において、どのような長期的支援策を考えているのか、お伺いします。 あわせて、県内での避難所生活におけるこころのケアや身体面における健康支援の内容及び支援実績についてお尋ねします。 今回直接的な被災はなかったものの、さまざまな要因から県内でも倒産を余儀なくされたり、失業者が出ていると伺っておりますが、この点を知事はどう受けとめていらっしゃるのか所見を伺うとともに、県内の状況と産業、雇用における今後の対策についてお尋ねします。 今回の震災では、多くのメディア等から義援金配分のおくれが指摘されています。この点、本県は被害の度合いなどから、相対的に早い対応がされていると伺っておりますが、このたびの義援金額と被災者の手元に渡った金額及び全国と比べた支給率についてお尋ねします。 ところで、県は新潟県災害ボランティア基金を平成18年4月1日から設置しています。主要15団体で構成し、県社協が事務局を務める災害ボランティア調整会議の協力のもと、平常時から災害時に備えたボランティア活動を促進しておりますが、さまざまな団体からの各種要請に対し、もっと柔軟な対応をとるべきではないかという指摘もございます。 例えばボランティアバス。調整会議の調整で東日本大震災後、計4回出しましたが、それ以後も民間から多くのボランティアが被災地に向かい、復旧に励んでいるにもかかわらず、財源の関係から、彼らの要請にはこたえていません。かつての支援のお返しと言うのであれば、この点にももっと力を注いでもいいでしょうし、そこで培うノウハウや新たな組織力は、将来起こり得る災害に向けて非常に重要な備えになると考えます。 県外に対しても災害時のボランティア活動支援をより柔軟かつ強力に行えるようにすべく、県災害ボランティア基金規模の拡充を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。 あわせて、基金の現状についてもお尋ねします。 また、災害時ボランティアの所管部局は、現在県民生活・環境部ですが、災害対応のさらなる一元化と体制の拡充に向けてその所管を防災局に移管すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、防災対策についてお尋ねします。 県は、最も被害が大きいと想定される地震を津波想定被害として特定するなど、来年2月ごろに津波の想定地震を決定する予定ですが、対策の基本となる考え方について、中央防災会議の専門調査会が政府と自治体に津波想定の抜本的見直しを求める提言をまとめたことは、会の一員である知事が、ここのだれよりもよく御存じでしょう。 従来の想定の甘さを認めた上で、より大きな災害に備える方針への転換を打ち出し、過去の津波を徹底的に調査する必要性を強調しておりますし、複数の地震の連動性への懸念も言及しています。 そこで、お尋ねしますが、この専門調査会の提言をどのように受けとめ、県内の地震・津波対策に反映させるのか、知事の所見をお伺いします。 現時点で本県は東日本大震災のような広域性海溝型地震から生じる事態を想定していませんが、提言を受け、たとえ日本海側といえども最悪のパターンとして地震の連動による評価も行い、そこから生じる震度や津波の高さ、規模等も予想する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 また、原発事故を含む広域複合災害も予想される被害のケースの一つと想定すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。 広域複合災害は、決して起きてはなりませんが、仮に起きた場合、被害を少なくするためには県境を越える広域的な被害をあらかじめ予想し、予防対策や災害応急対策等の円滑な実施のために、都道府県間の連携や調整を図る都道府県相互間地域防災計画を策定すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。 本県にとって最悪のシミュレーションに応じた対策であればあるほど、そのすべてに手をつけることは財源上、財政事情の中で極めて現実味に欠けます。 これまでの我が国の防災や危機管理の判断は、往々にして専門家にゆだねられがちでしたが、科学が明らかにできるのは危機が発生する確率までであり、どれくらいの災害、事故に耐えられる施設にするのかや犠牲が出た場合はどうするのかなど、どこまでリスクを受け入れるかについて、住民を交えて平時から議論をしておくこと、つまりリスク議論に基づくハード面とソフト面を巧みに交えた防災体制をしくことが、これから特に重要になると考えます。 国は、復興構想会議において大災害の発生を前提に被害の最小化を図る理念、減災の発想を促しました。本県としても減災の発想をもって、どこまでリスクを受け入れるか県民の理解と納得を得ながらハードとソフトを組み合わせて防災体制を整えることが県民の不安解消につながるものと考えますが、知事の所見をお伺いします。 その中で地域防災計画の見直しに当たっては、住民参加の機会を拡大することが、非常に大切なことだと考えますが、知事の所見をお伺いします。 また、県は海岸保全施設や河川管理施設の整備を進めてきておりますが、財源が限られ、維持管理費にも目を配らなければならない中で、優先度や効率化策など津波対策のハード整備として、今後どのような方針、工夫をもって取り組まれるおつもりか、堤防の規模方針も含め、あわせてお尋ねします。 地域の防災体制の一翼を担う自主防災組織について、県内では組織力向上の実績を上げていますが、大事なことは、いざというときに実行力をどれだけ発揮できるかにあることは言うまでもありません。 私は、2年前の委員会質疑において、県の自主防災組織の組織数と防災訓練回数のギャップを指摘するとともに、その是正に当たって県の積極的な調整を要望しましたが、これが現在どの程度改善をされているのか改めて現状を伺うとともに、組織数並びに組織ごとの年間防災訓練回数及び訓練内容についてお尋ねします。 次に、原発対策についてお尋ねします。 災害対策は多く質問されると思いますので、私からは1点、テロ対策についてお尋ねします。 原発のテロ対策は、2001年9月のアメリカ同時多発テロ以来、特別の警察部隊や海上保安庁の巡視船艇による警備が実施されるなど強化がなされていますし、2005年12月に原子炉等規制法を改正し、事業者に一定の脅威に備えることを義務づけるなど、我が国の防護水準を国際的まで引き上げたのが現状です。 こうした中、私は1期目の平成19年6月定例会と平成20年9月定例会の委員会質疑で、この原発テロについて質問をしました。そのときの答えは、事業者の東電が警察と海上保安庁と連携のもと、24時間警戒態勢でしっかりした体制をとっている、柏崎市と刈羽村でどのような避難をしたほうがいいかを検討したマニュアルがつくられているでした。 今世界に目を向ければ、5月に国際テロ組織アルカイダの前指導者のウサマ・ビンラディン容疑者が死亡したことで、怨恨の連鎖が深まろうとしておりますし、韓国と北朝鮮の緊張の高まり等々を考えれば、これからはテロ対策においても不測の事態を予測して行動しなければならず、特に世界最大規模の柏崎刈羽原発を擁する本県は、この点をより強く意識しなければなりませんし、原発事故のもたらす恐怖と混乱の甚大さを改めて世界的に知らしめてしまった以上、今後さらなる警戒態勢を検討する必要があると考えます。実際アルカイダ等のテロ集団は、ともに原子炉の破壊工作を繰り返し検討していると指摘する核問題専門家もいます。 テロ対策は、一義的には国の責任でありますし、警備上の問題もあります。また、過度に不安をあおることも許されません。 また、警備上の問題であることから、公表できることに制限があることは重々存じ上げてはおりますが、柏崎刈羽原発については施設警備体制の強化はもちろんのこと、避難マニュアル、ハザードマップに災害対策だけでなく、テロ対策の視点も含めるなど県として危機管理体制の見直し、強化に向けた議論を始めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。 本県でも地域防災計画に基づき、万が一の場合に備え、安定沃素剤を整備することとしておりますが、整備の考え方について伺います。 また、安定沃素剤の備蓄量と住民に十分行き渡る量となっているのか、現状をお尋ねします。 あわせて、緊急時の安定沃素剤の搬送の仕方についてお尋ねします。 県では、現在、地域防災計画の見直しを議論しておりますが、この安定沃素剤の整備については、十分な説明をもって県民に安心感を持っていただけるような方針で進めていただきたいと思います。 次に、通告2の北陸新幹線諸課題について質問いたします。 3月15日に予定をしておりました津川祥吾国土交通大臣政務官との協議が、震災の影響でやむなく中止となりました。その後改めて協議の場を設けるのかと思いきや、知事は従前からの主張、国にボールがあるとして、県から改めて呼びかけるつもりはないと言いますし、先ほどの小林議員の質問の答弁にもそのようにおっしゃっておりました。 それは、なぜなのか。何事もメリット、デメリットがありましょうが、政務官との協議において、それは震災前後で変わり得るものではないと思います。この点、違和感を覚えずにはいられませんし、国からの本県への不信感がますます高まるのではと懸念しておりますので、改めて津川国土交通政務官との北陸新幹線に関する協議をなぜ行わないのか。これは、津川政務官のみならず、副大臣や大臣に向けてもそうですが、行うとしたらどのタイミングなのか。県益を見据えたメリット、デメリットの点も踏まえた知事からのしっかりとした説明を求めます。 さて、先日の東京で行われた北陸新幹線建設促進大会に知事御本人が出席されたこと、私はとてもよいことだと思いますし、今後も本人出席を心がけながら、他県の知事と意思疎通を図っていただきたいと考えますが、一方でこの大会の中で認可申請されている敦賀への延伸計画についても速やかな認可と着工を求める決議がまとまりました。 現在のスキームでは、貸付料は新規建設財源に充てられることになっているために、知事の求める貸付料の返還、還元と相反しかねない決議の合意に加わったことは、今後の交渉に影響を及ぼしかねませんが、この点知事はどのようにお考えなのか見解をお伺いします。 知事が主張する財投資金や郵政資金の活用が実現されれば、こうしたジレンマに遭遇することはなくなりますが、この財投資金などの活用に対する他県の反応と他県との合意形成の進捗状況についてお尋ねします。 従前から知事は、上場会社であるJRの不利益になるような要求はすべきでないとして、全列車停車の要請をJRに働きかけず、交渉先を国に絞っておりますが、その国が停車駅は営業主体のJRと県が話し合うべきだと言っている以上、やはりJRとも交渉を行うべきと私は考えるわけでして、うがった見方かもしれませんが、これを行わない知事は、本当に全列車停車を求めているのかどうか、それともこれはブラフで、ねらいは別のところに置いているのではないかなどといぶかってしまいます。 鉄道事業法を読む限り、運行計画の決定権限は営業主体であるJRが有していることは間違いなく、したがってJRを避けての交渉はあり得ないはずなのですが、その上でなぜJRでなく、国に対する要請にこだわるのか。法的に決定権限のない国との交渉をこれ以上続けても水かけ論に終始するだけで、全列車停車の実現は成り立ちづらいと考えますので、ここでJRとの交渉を始めるべきと考えますが、法的根拠に関する知事の所見を伺うとともに、JRとの交渉に向けた知事の所見を伺います。 県並行在来線株式会社が立ち上げられ、各地で市民との対話集会を開催するなど丁寧な対応をしていただいておりますが、市民からの御意見をいただいた現在、並行在来線の課題を改めてどのように認識されたのか伺うとともに、並行在来線の存続と安定経営に向けた知事の決意をお伺いします。 先日の会派視察において、東松島市と松島町の境目付近にある仙石線東名駅の線路が復旧の関係で撤去されておりました。それによって住民の生活が大変困っていると聞いて、生活密着路線の貴重さを改めて肌身に感じましたし、その土地の暮らしを支える公共交通を再生し、大切に守ることは私たちの使命だとも改めて感じたところです。 その一方で、三セクには東日本大震災のような大規模被害が出た場合には復旧能力がなく、今後の防災対策をどのようにすべきかという懸念が頭をもたげます。 並行在来線の防災対策を今後どのように講じるべきとお考えなのか。また、いざ大規模災害に見舞われたとき、これは自治体対応だけではままならないわけで、国が責任を持つ仕組みづくりを検討しなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いします。 仮に並行在来線運営で赤字が続いた場合、廃線することになるのか否か。赤字が出ないような運営を心がけてまいりますといったような答弁ではなく、現実的にそういうリスクがあるのかどうかをしっかりと県民の前に示していただきながら、そうならないために市民は何をすべきか、これを真剣に議論することが、目指す四セク運営につながるものと考えますので、知事の所見をお伺いします。 北越急行株式会社についても1点お尋ねします。 開業に時間がかかると見込まれた北陸新幹線の代替の高速鉄道として平成9年に開業した北越急行ですが、北陸新幹線の開業に伴い、特急はくたかの廃止が懸念をされます。 今後は、普通列車を中心とした利用促進策が課題と言われていますが、北越急行株式会社において現在どのようなアイデアが出されているのか。そして、それは路線の存続につながり得るものなのか見解を伺います。 北陸新幹線関連の最後に、大きな枠組みの質問を1つ。 これまで新潟空港のネットワーク戦略を中心に議論されている総合交通問題懇談会ですが、総合交通は決して空港だけで議論される性質のものではなく、県全体、さらには日本海全体のあらゆる交通モードを総合して検討することが望ましいと考えます。 新幹線や並行在来線の役割を飛行機やバス、タクシーまで含めた総合交通体系の中で位置づけ、待ち時間の短縮や相互乗り入れの改善、冬期間対策など連携した議論を行う必要があると考えますが、知事の見解をお伺いします。 次に、通告3、今後の県政の展開方針について伺います。 冒頭お伝えしたとおり、今回の質問の柱は不安をいかに解消するかでして、できるだけそこにつなげるべく各論を質問してまいりましたが、総論として私が申し上げたいのは、これからは、ただ単に政治や行政がこれをこれだけやっていますが、満足でしょうか、いかがでしょうかと伺うだけでなく、できるだけ情報を公開し、起こり得る事態を積極的に説明することが、むしろ市民からの理解と納得を得られるのではという問題意識のもと、県は今後、満足度だけでなく、納得度に着目すべきではないかということです。 そこでは、もしかしたら市民に我慢を強いる部分が出てくるかもしれません。ですが、そこも含めて説得と対話を重ね、最後はこれでいくと納得していただくことが、不安解消に向けて非常に重要だと考えます。 長野県では、県政運営に当たり、かつて満足度と重要度に加えて、くだんの取り組み事業や認知度や納得度を聞いたことがあります。埼玉県草加市でも市民の納得度100%を市政運営に掲げているなど、全国的にもちらほら見受けられます。 県政運営に当たり、長野県は満足度と重要度に加え、県の取り組み事業の認知度や納得度を聞いております。「夢おこし」政策プランの今後のさらなる推進のために、納得度調査の実施を検討してはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 最後の質問です。 4年前の6月定例会の冒頭、私はこんなことを聞きました。新潟県において現在最も不足していることは何か、県政で最優先と考えていることは何か、この任期中に必ずなし遂げたいことは何か。大震災という未曾有の危機に日本がさらされている中で、4年後の今がこうして到来しておりますが、これらの点について、知事のお考えに何らかの変化はあるのか。今後の県政の展開方針に向けた知事の決意をお伺いします。 広域複合災害という予想外の事態は、新しいうねりを招来します。それは、新潟県にとって厳しい側面もありましょうが、逆に新たなチャンスの到来を意味します。再生可能エネルギーが今後爆発的に発展することは容易に予想されますし、他の都道府県もこぞってこの市場を目がけて手を打ってくることは間違いありません。 その中で本県が輝きを強めるには、再生エネルギーを軸としながらも、新潟ならではのオンリーワンの個性にさらに磨きをかけるとともに、その個性に準じた企業誘致やインフラ整備等を行うべきですし、さらには県内外、国内外に響き渡るような発信体制の強化に加え、ブランディング化政策を打っていくことが非常に重要だと私は考えます。 知事の目指す新潟像が、この方向に向かっていると期待し、新潟のさらなる飛躍から東日本の元気につながることを心から祈念申し上げ、私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 梅谷議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、県内経済及び雇用情勢の見通しについてであります。 県内の多くの企業が現在、震災前の稼働率に戻るまでには一定期間がかかるだろうという見込みになっております。また、それに加えまして、飲食、宿泊、こういったところが大きく打撃を受けておりますが、その背景には、やはり食に関する安全不安の影響ということも想定をされます。 特に海外からのお客様が大幅に減っていると。新潟空港を利用された方は、何と前年比95%減ということです。また、関西方面、そして九州という今回の原発の影響は少ないだろうという地域から東日本に来られる方が重点的に減っているという状況だと理解をしております。 それに加えまして、円高、デフレとあわせまして、震災の影響により企業の先行きへの不安がうかがわれるという状況であります。 このため、今後も経済・雇用情勢は厳しい状況が続くことを懸念いたしております。有効求人倍率もじりじりと下がってきているという状況であります。注意深く見きわめてまいりたいと思います。 次に、物流拠点の確立等についてであります。 今後、このたびのような震災で関東を含めた太平洋側の地域が被災した場合、物流面でも全国的に機能不全に陥るおそれがあると認識をいたしております。 東日本大震災、これはプレート型の地震ということでありますが、その後、全体的なバランスが崩れている中で何が起きるのかということは、やはり大きな懸念を持って対処していく必要があるということだと思っております。 このため、日本海側の港湾におきまして太平洋側港湾の代替補完機能を担える水準を確保していくこと、これは重要な課題であると考えております。 今後の具体的対応については、交通政策局長から御説明をいたします。 次に、本県の農産物や工業製品の輸出、国内外からの観光客誘致に関する今後の取り組みについてであります。 先ほども申し上げましたが、県産品の輸出、特に食品に関しては、輸入禁止という国が大変多くありまして、新潟県もその禁輸の対象に入っているケースが多いという状況です。 また、観光客誘致につきましては、先般、中国からのツアー客の来日が再開したわけですが、西日本の特に原発から距離のあるところに限定をしたルートが組まれているというふうに承知をいたしております。まず、安全・安心に対する信頼回復、これを進めていく必要があると思います。 我が県も中越沖地震におきまして、柏崎刈羽原子力発電所の被災を経験いたしました。この際には、中越大震災と違って観光客の戻りが悪いという旅館業界からの報告もいただきました。最大の原因は何かと。放射性物質が漏れたのではないかという懸念が観光客の足を遠のけ、そしてまた食品に対する懸念を広げたということだったと思っています。 これに対応するため、正確な情報を出すために、これは安全宣言してもむだでございまして、やはり情報を数値で出し続けるという地道な努力が必要ということだったと思います。そのため、県では当時放射性物質の分析装置の増設をいたしました。それが今回円滑に測定できる一つの原因になっているということでございます。 正確な情報を伝えることが重要であると考えておりますので、内外に向けて放射線測定結果などの情報発信を行っていくということといたしたいと思います。また、県内の各総領事館に対して、このような測定結果を提示し、本県の食や観光に対する安全性などの御説明を続けているところであります。 あわせて、国に対しましては放射性物質に係る暫定規制値、これを可能な限り早期に3月16日以前の水準に戻してほしいという要望をいたしております。 御承知のとおり、3月16日以降、日本の放射性物質に対する規制値が緩みました。これは輸入で考えますと、以前は370ベクレル以上のものは、日本は輸入禁止で突っ返していたわけです。それが自分のところは500ベクレルでいい、2,000ベクレルでいいと言って世界の人が信用してくれるのかという課題であると思っています。 また、原発の排水、これは環境中に放出するものが、1リットル当たり90ベクレルまでということが国際的に決められているわけですが、日本の水道は200ベクレルまでオーケーと。原発の排水よりも水道の基準のほうが緩いというこの暫定基準を直していかなければ、やはり海外から来る人に安心していただけないのではないかという懸念を持っております。 いずれにせよ、的確な情報発信、それから現行を暫定的にとられた制度の平常化ということを求めてまいりたいと思います。 次に、長野県北部地震からの復旧に向けた決意についてであります。 今回の地震、新潟県、長野県境で発生をいたしました。この地震は、中越大震災と同様に、議員御指摘のとおり、中山間地域を襲った災害であり、私といたしましては、被災された方々の思いを大切にし、安心しておいしいお米を生産できる喜びを、そしてまた、お一人お一人の生活をもとに戻していくための対応、これを進めてまいりたいと思います。特に豪雪地帯でございます。降雪前までに一応の復旧作業が完了するように、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。 次に、被災地の地域コミュニティーの再生、復興についてであります。 議員御指摘のとおり、今ほど申し上げましたが、中山間地域の被災ということでありますので、都市部に比べまして、さらに地域コミュニティーの再生、復興ということが重要になってまいります。この地域コミュニティーの再生、復興なしに農業・農村の活性化もあり得ないと思っておりますので、そういった視点を忘れずに取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、上越魚沼地域振興快速道路の整備についてであります。 県では、この道路の整備、大変全県から要望が多いわけでございます。災害時における安全・安心の確保、また救命救急センターへの搬送時間の短縮などを考慮して整備を進めております。しかしながら、公共事業費をめぐる情勢が大変厳しいという状況になっております。予算の範囲内で精いっぱい取り組んでまいりたいと思います。 次に、中越大震災及び中越沖地震の復興支援についてであります。 東日本大震災と長野県北部地震という未曾有の災害がありました。中越大震災、中越沖地震、また水害の被災地、こういったまだ復興途上にある被災地についてもきめ細かな対応をしながら、新たな産業の生み出しによる経済的自立の促進、持続的に地域コミュニティーが成り立つ新しい日常の実現、これを目指して復興の歩みを進めてまいりたいと思います。 次に、東日本大震災の被災地を訪問しての感想と支援方針についてであります。 大規模な津波による壊滅的な被害、本当に津波というのは、爆弾を落とされたと同じような状況になってしまうのだということを現地に入られた議員各位も実感をされたかと思います。また、物すごく日常生活とかけ離れた光景、原発事故によって無人になってしまった町並み、これを目の当たりにいたしました。 被災地域の再生、そしてまた、県外避難者の生活再建のためには、従来型の復旧の発想を超えた取り組みが必要であるということを認識いたしております。 県といたしましては、知事会のみならず、関係自治体と連携しまして、既存制度を改正してでも被災地の気持ちに寄り添った、現実に沿った支援を実施してまいりたいと考えております。 次に、避難者への長期的な支援策についてであります。 避難の当初は、3日あれば戻れると思った、とるものもとりあえず、財布も持たずに避難された方がいらっしゃるわけであります。なるべく早くふるさとに帰りたいという方々がほとんどでいらっしゃいました。 しかしながら、特に福島県から避難をされてこられた皆様方は、原子力発電所事故の影響により避難生活の長期化ということが予想される状況になってきております。当分の間、本県での生活を選択をされると、特に小さなお子さんをお持ちの方々を中心に、そのような選択をされる方々が出てきておられるというふうに認識をいたしております。 こうした意向ということも踏まえまして、避難者お一人お一人の気持ちに寄り添いながら、住居の確保、就労支援、被災地とのきずなづくり等、避難の長期化に対応した支援を続けてまいりたいと思います。 いずれにせよ、押しつけるということがないような対応をしてまいりたいと思います。 次に、東日本大震災による倒産や失業の発生についてであります。 議員御指摘のとおり、企業経営や雇用面など震災による影響が県経済に及んできているものと考えております。 その倒産した企業さんを見ておりますと、やはり指摘せざるを得ないのが、宿泊関連の企業さん、これは原発事故に起因した安全不安の影響ということがうかがわれると考えております。特に外食に対して危機感を持っておられる方々、特に小さなお子さんを持っている方々は、そういうことにならざるを得ないと。なぜならば、基準値を緩めた食品が流通をしているという現実があるわけですから、ここへの対応ということをしていかないと、やはり外食、宿泊というところの厳しさ、いつ戻るのだろうと。これは、海外からお客様が来ていただけるかどうかということと同じ問題だというふうに思っています。 そして、今の暫定基準値のひどいところは、これは大人も子供も一緒だということです。放射線の感受性が強いお子さん、妊婦さんはどうするのだという基準がなくて暫定基準値がつくられているという状況になっているわけです。健康問題について不安を抱えている方々の不安を払拭しない限り、問題の抜本的解決にならないのではないかというふうに懸念をいたしております。 そういった中、現在も放射性物質の放出が継続をしているわけでございます。今後ともこれらの影響ということをしっかり見きわめながら、必要な対策を講じてまいりたいと思います。 なお、具体的な状況と今後の対策については、産業労働観光部長から御説明をいたします。 次に、県災害ボランティア基金の拡充についてであります。 東日本大震災において、本基金は現時点で140万円程度の使用しか見込まれていないという状況になっています。 災害時のボランティア活動を円滑にするためにつくったはずの基金なのに、なぜこういう状況なのか。ニーズがないというのが担当部局からの報告なのですが、先ほどの議員のお話を聞いていると、運用が厳しいのではないかというところも感じるわけでございます。額が足りないからできないのではなくて、現在は残高が十分残っております。まずは基金を使い勝手のよいものにしていくことが、より重要ではないかと考えております。 その状況によりまして、必要であれば基金規模の拡充のため、県からの出捐も考えてまいりたいと思います。 基金の現状については、県民生活・環境部長から御説明をいたします。 次に、災害時ボランティアの所管についてでありますが、災害時においては、防災局は指令塔とならなければなりません。ということは、みずからが業務を持つと、すべて防災局で対応することになるとパンクをしてしまうという懸念があるわけでございます。 また、災害時ボランティアに関する業務については、平時からボランティア活動を所管している部局が関係団体と連携をしていくということで、信頼関係を築いていくことも大変重要だと考えております。 災害時だけのボランティアというのは存在しませんで、各種NPOはまちづくりをやっていたり、さまざまな活動している中で、災害時もボランティアをやられているという実態がありますので、よりきめ細やかな対応が可能になるような体制、現体制を維持したいと考えております。 次に、中央防災会議専門調査会の提言と県の地震・津波対策についてであります。 私も委員をさせていただいております中央防災会議地震津波専門調査会で、先日中間報告を取りまとめいたしました。東日本大震災の教訓、本当にお聞きをしていると、胸が詰まるような話も多々ございます。 1つ御紹介をいたしますと消防団です。津波が来るという発令があれば、真っ先に行って門を閉じると、これは消防団の役割です。ふだんは、お仕事を持っておられる消防団、これが津波に向かって走っていく、それが堤防を越えて多くの殉職者を出したという現実もあるわけです。かといって、門を閉めなければ多くの被害者が出てしまう。 また、福祉関係に従事されている方々、これは災害時要援護者の皆さんを避難させたいという一心で、津波に巻き込まれて亡くなってしまったという事例も報告をされております。 こういった事例、教訓を踏まえて、ハード、ソフトをどのように組み合わせていくのか、大変重要な問題だと考えております。これまでの考え方をやはり抜本的に見直すとともに、今後の地震・津波対策の一つの指針として中間取りまとめが行われたものでございます。 県でも津波対策検討委員会におきまして、津波対策の検討を行っているところであります。想定地震の検討、情報伝達をどのようにするのか、また防災教育や訓練の充実などありますので、国の提言内容を反映させてまいりたいと思います。 もう一つ、ハザードマップについてもこういう経験がありました。ハザードマップで浸水地域と想定されていなかったところに犠牲者が多かったということです。 したがって、ハザードマップの伝え方、つくればいいということではなくて、ハザードマップをつくったことによって、その周辺地域が油断をしてしまうということがあってはならないので、この情報の伝え方も大変重要な課題であるというふうに考えております。 次に、地震の連動による評価等についてであります。 現在の県の想定では、地震の連動発生を想定しておりません。今般設置をいたしました津波対策検討委員会におきまして、連動発生とその規模などについて、予断を持たず検討していく必要があると考えております。 また、御指摘のとおり、その地震想定を受けまして、原発事故も含めた広域複合災害の影響についても検討する必要があると考えております。 次に、広域複合災害に備えた都道府県間の連携・調整についてであります。 議員御指摘のとおり、連携・調整の仕組みをあらかじめ構築していくことは大変重要であると考えております。 本県におきましても中越大震災、それから中越沖地震の際、北海道東北ブロックの幹事県、福島県でございました。福島県から災害対策本部にも参加をしていただいて、調整をお願いしたところでございます。 従前より、この例のように全国知事会では、それぞれブロックごとの広域応援の協定を結んでおりました。今回の東日本大震災ではどうだったのかと。ブロックを超える支援が必要であったというところが、1つ修正点としてあるだろうというふうに思います。 同時にもう一つ、東日本大震災では大変重要な教訓があったと思っています。国が緊急災害対策本部を設置して、支援体制の一元化を図ったということであります。これは何を意味するかというと、自治体が物資にさわれなくなるということを意味します。十分な機能を発揮できなかったということです。 覚えていらっしゃるかと思いますが、ガソリンの一滴は血の一滴というぐらい被災地ではガソリンが不足をいたしました。新潟県では、ほかの物資もいろいろ送ろうとしていたのですが、およそすべて統制にかかって事実上動けなかったと。こんなに動けなかった経験は初めてなわけですけれども、それでも市中に出回っているガソリンを被災地にお届けしようということで、タンクローリーを準備して出すところまで行きました。そうしたところ、相手方の災害対策本部で、うれしかったのだと思います。新潟県からこういう支援がいくと報告が上がって、国の耳に届いた瞬間に、新潟県は勝手に動くなということで、タンクローリーの派出をとめられたということもありました。それ以外の物資もさまざまな形で事実上手出しができなかったということであります。 一元対応するということは、足らざるところを国が調整をすべきであって、すべての活動をとめれば平常時、物流が動いていたところが全く動かなくなるわけです。自衛隊がすべての物量を、被災地全体のものを賄えるのかと。賄えるわけがないわけで、今回一元化という名の統制経済が、結果として復旧・復興をおくらせたということだと思います。 さらに、これ物資をストックするポイント。1キロ先に避難所があるにもかかわらず、そこでは1日おにぎり1個しか配付されない。避難物資が山積みで配分されないという事態もあったと報告を受けております。 なぜそのような事態になるのかと。これは、プロフェッショナルでない行政職員は物資の管理ができないわけです。情報を提供して個別配送できるような形で民間の活力を活用しないで、すべて国で一元化やろうというのは、私は無理だというふうに思っています。 また、知事会と国との間でどっちがやるのだと。おまえはやってはいかぬということで、当時は麻生知事会長でしたけれども、事実上、国からストップがかかったというようなぼやきも聞いています。 地方自治体間での広域連携を主体的に行っていくというためには、国の危機管理のマネジメントをしっかりやらなければいけない。すべて自分一人でやるのではなくて、大きな、大勢の人の力をかりるという発想がない中で、被災地対応をやってはいかんのではないかというふうに思っています。 同時に個別の対応、これは財政制約で各省が被害対応が異なるところについて補助金で復旧を進めていくと、これも無理だと思っています。特に基礎自治体の意向を重用して支援ができるように、権限と財源を与えるということが大変重要であると考えております。迅速な災害対応を可能とする非常時立法の整備がないというのも日本はまれな国なのですが、そういった対応が必要になってくるのではないかと考えております。 次に、減災の発想についてであります。 議員御指摘のとおり、減災の発想をもってハード、ソフトの防災体制を整備をするということが、大災害に対する県民の皆様の不安解消につながるものと考えております。 また、県地域防災計画の見直しに当たりましても、議員御指摘のとおり、住民参加の機会を拡大することが大切でありますので、対応してまいりたいと思います。 次に、柏崎刈羽原子力発電所にかかわる危機管理体制についてであります。 柏崎刈羽原子力発電所がテロで攻撃をされた場合、一体どうなるのか。これは攻撃内容によっては、住民避難を伴う原子力事故になってしまうということが想定をされます。 このため県といたしましては、原子力発電所に係る危機管理体制強化のための訓練の実施や避難マニュアル策定に向け、国及び関係市町村と調整を始めているところであります。 しかし、一方においてテロ攻撃を想定することは無用な不安をあおるのではないかという関係自治体からの慎重意見もちょうだいをいたしております。私は、万が一原子力災害が起きたらどうするのかということは、現実的に考えておく必要があると考えています。 ちなみに諸外国では、原子力発電所にかかわらず、石油精製施設でも防空用のミサイルを配備している国もあるぐらいでありまして、国の根幹を担うような重要施設に対する安全対策というのは、はるかに日本よりしっかりしているということだと考えております。 住民の御理解を得るよう配慮いたしまして、危機管理体制の強化を行い、訓練の実施を目指してまいりたいと思います。 次に、北陸新幹線の諸課題についてお答えをいたします。 まず、津川国土交通大臣政務官との協議についてでありますが、新幹線問題の協議の延期は国からあったものでありまして、本県から申し入れたものではありません。したがって、いつ実施するかについては国が判断するものと考えております。 そもそも論で言えば、昨年の12月までに話し合いしましょうということを国とは約束をしたわけです。その原因をつくったのは、法令違反の認可を国がしたということです。本県との信頼関係を破綻させたということですから、申し入れを延期したのも国ですから、問題解決をどう進めるのか、国からの連絡を待ちたいと思います。 次に、敦賀までの着工の決議と財源についてであります。 北陸新幹線建設促進大会の決議については、現在建設が進められている整備新幹線をめぐる諸課題への対応、これも決議の中に含まれています。具体的に言いますと、整備スキームを見直すことを条件に賛同したということです。 これは、北陸新幹線は御存じのとおり、日本海側国土軸の一部をなすものでありまして、最終的には大阪とつなげるという計画になっているわけです。しかしながら、どのルートを通るのかということが今もって決まっておりません。従前京都を経由して大阪という計画であったわけでありますが、随分熱が冷めているという話も伺っております。むしろ米原経由ではないかという話も出ております。 そうすると、滋賀県にとっては巨額の建設費を負担して十分メリットがないという新潟県と似たような状況になるわけでありまして、今の財源スキームで米原建設が本当に可能なのかということになるわけであります。したがいまして、これは共通認識として今のスキームの見直しをしていこうということが決議をされたということと受けとめております。 したがいまして、思いは一緒でございますので、本県と国との交渉に悪影響が生じるということではないと。今のスキームを直して、ちゃんと自治体がなぜお金を負担するのか、なぜあのとき法改正が行われて自治体の負担が取り入れられたのかといえば、本来、教育だとか福祉に充てるお金を新幹線に入れて地域振興をする地域のメリットがあるからこそ地域負担を求めるという原則に返るということが必要であると思っています。新幹線の長さに応じて負担すると、それを福祉、医療、教育を削って出せというのは、今の制度からして私はおかしいというふうに考えております。 また、決議文にあるとおり、整備スキームの見直しは他県との合意事項でありますので、財政投融資資金の活用などについてはその一つと考えております。 具体的には文書に明示はしてありませんけれども、等の中に財投資金の考え方、これは御説明していますし、現場でも私は申し上げてまいりました。 次に、停車問題に関する交渉相手についてであります。 北陸新幹線を運行する予定のJR東日本及びJR西日本、この両者は上場会社であります。上場会社である以上は、どれだけ投資をして、どれだけリターンがあるか、この利益を最大にするということを株主に対して責務として負っているわけであります。 したがいまして、JR東日本、JR西日本にとって最も利益が上がるパターンと違うパターンを設定してくれというときは、新幹線貸付料、すなわちJR東とJR西の支払いになるリース料を調整しなければ実現できないという構造になっています。 一方で、地域の振興に資するという理由で地方に負担を求めるスキームをつくったのは国であるわけです。地方は負担するのですが、リース料をどう設定するかについては国が一元的に決めるようになっていると。すなわち、まず国と合意をして、新潟県の地域振興のためにリース料を下げるという合意がなくJRと交渉しても、実のある交渉ができないわけです。 したがいまして、国が現在何をやっているかといえば、これは情報公開、黒塗りが物すごく多い中で、ほとんど情報公開になっていないと思うのですが、そのわずかな情報の中でもリース料を計算するときに、停車パターンを想定しているという中で貸付料を算定しているわけですので、この貸付料の設定の仕方で国と合意をした上でJRと交渉しなければ、結果として実のある交渉ができないので、現在はまず国との交渉を優先しているということであります。 次に、並行在来線の課題と存続に向けた決意についてであります。 沿線住民の皆様と新会社との対話集会におきまして、優等列車の存続、隣県との接続性の確保、運賃の値上げ抑制など、地元の皆さんの利便性確保についてさまざまな御意見をいただいたと報告を受けております。 新幹線開業後も地域の利便性を損なわないよう地元と対話を重ねながら、私はある程度公的負担をしてでも公共交通である並行在来線を守っていく必要があるのではないかと考えております。沿線地域にとって望ましい運行サービスを提供しなければならないと考えております。 県では、沿線地域の交通手段である並行在来線が将来にわたって存続し、地元のニーズに合った運行サービスを持続的に提供できるための財源を確保したいと考えております。 そのために、本来赤字在来線を切り離すことによって、赤字が減った部分をリース料に上乗せされていますので、それを国が取るのおかしいでしょうと、新幹線リース料は返してほしいということを申し上げているわけであります。もしくは、県から相当額の出資、補助、これを行うことによりまして、経営に必要な財源の確保に県として責任を持ってまいりたいと考えております。 次に、並行在来線の防災対策についてであります。 このたびの大震災を教訓に、国において地震・津波対策の検討が進められております。その検討結果を踏まえて必要な対策を進めてまいりたいと思います。 また、議員御指摘のとおり、大災害からの復旧は会社や自治体の力だけでは困難であります。自治体が自由になるような仕組みをつくってもらうということのほうが私は望ましいと思いますが、全部国にお願いということではなくて、災害が起きれば自由になる財源を共通に持てるような仕組みがあれば、自治体でやってもそれは当然構わないということだと思います。 いずれにいたしましても、国に対しまして関係県と連携して東日本大震災に対する鉄道への支援について要望いたしておるところでございますので、同規模の災害が発生した場合には、同様に国が支援をできるスキームを構築すべきであると考えています。 次に、並行在来線の運営についてであります。 沿線地域の交通手段である並行在来線は、先ほども申し上げましたとおり、ある程度公が負担してでも存続させなければならないと考えております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、無限に財政負担し続けるのかということになると、やはり使われて社会的に有用なものになっていくということも当然必要だと思っています。 赤字が続いた場合に廃線となるリスクがあるのかどうか、これはしっかりと県民の前に示しながら、そうならないために市民が何をすべきなのかについて真剣に議論することは大切なことであり、そういった機会は設けてまいりたいと思います。 次に、北越急行の利用促進策の検討状況についてでありますが、株式会社の現状の御説明でありますので、交通政策局長から御説明を申し上げます。 次に、総合交通体系を踏まえた新幹線や並行在来線の役割に関する議論についてであります。 本県では、交通流動の実態、需要予測等を踏まえまして、そもそもどういう形で交通体系を構築したらいいのか。基幹交通は、新幹線なのか飛行機なのか。全部欲しいといっても、それは地域の特性によって、やはり優先順位をつけていかなければ無限にお金が出てくるわけではないと。望ましい交通体系のあり方について、国の権限が縦割りでばらばらになっておりますので、これを総合する意味で北陸地方整備局と北陸信越運輸局にも参加を呼びかけて、昨年度から総合交通問題懇談会を開催しております。 議員御指摘の議論の必要性というのは、十分認識をしております。今後議論を進めてまいりたいと思います。 次に、今後の県政の展開方針についてであります。 まず、県民意識の把握についてであります。 御指摘のとおり、長野県では、1度だと理解していますが、平成14年度に納得度について調査をしたことがあると聞いております。役に立ったのかどうかということも含めて、このような調査が本県の政策プランの推進に有効であるかどうか研究してみたいと思います。 次に、今後の県政運営における決意についてであります。 今回の大震災によって単に復興という面だけではなく、防災、国土の安全保障、エネルギー供給等、さまざまな面で国の制度や国と地方の関係、国土の整備、産業政策のあり方など、日本の新しいあり方を考え直さなければならないと考えております。 その一つとして、県政にかかわるものとしてインパクトが違ってくるという意味での違いということになりますが、今回、次の時代のエネルギー・産業政策の選択の幅を拡大させるというためにも新潟版グリーンニューディール政策の取り組みを加速させてまいりたいと考えております。今後政策プランを推進していく中で、そういった点を国に要望するとともに、みずからも取り組んでまいりたいと思います。   〔県民生活・環境部長中村稚枝子君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(中村稚枝子君) 2点についてお答えいたします。 東日本大震災等による義援金についてでありますが、日本赤十字社などに寄せられた義援金については、県の配分委員会で第1次配分として死者、行方不明者及び住宅全壊世帯に35万円、住宅半壊世帯に18万円と決定されたところであります。 被災家屋の再調査等もあり、住宅被害は確定していませんが、6月24日現在で市町村に送金した4,541万円のうち9割を超える4,271万円が被災者に支払われており、全国の支給状況の約7割と比べて高い割合となっております。 また、6月28日には第2次配分が、死者、行方不明者及び住宅全壊世帯に50万円、住宅半壊世帯に24万円と決定され、市町村に送金したところであり、被災者への迅速な支払いを市町村に要請しております。 次に、県災害ボランティア基金の現状についてでありますが、この基金は、平成18年度に新潟県、県社会福祉協議会等の出捐により造成されたものであり、中越沖地震における災害ボランティア活動への助成や平常時における災害ボランティア活動に関する人材育成、情報発信などを行っているところです。 基金造成当初は約3,200万円でしたが、これまでの5年間で、寄附金などの収入が約1,200万円あり、支出約1,500万円を差し引いて、平成22年度末の基金残高は約2,900万円となっております。   〔防災局長飯沼克英君登壇〕 ◎防災局長(飯沼克英君) お答えします。 自主防災組織の組織数と訓練の状況についてでありますが、組織数は平成21年4月1日現在で3,873、防災訓練実施回数は平成21年度で延べ2,540回となっており、延べ実施率は65.6%となっております。 平成19年度の実施率は51.5%であり、14.1ポイント改善しております。 また、訓練としては情報伝達や避難誘導、応急救護・対処などを行っておりますが、このうち情報伝達につきましては、伝達された結果がフィードバックされていないことが課題となっておりますので、その是正に取り組んでいるところであります。   〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕 ◎福祉保健部長(若月道秀君) お答えいたします。 県内での避難所生活におけるこころのケア等の支援の内容及び支援実績についてでありますが、こころのケアについては、専用の電話相談窓口を設置して162件の相談に応じているほか、こころのケアチームを編成して16避難所を巡回し、延べ17日間にわたって支援活動を行うとともに、保健所精神保健福祉相談員が延べ66人に対して個別の相談支援を行いました。 また、身体面の健康支援については、健康・医療の相談窓口を開設して148件の医療機関の紹介等を行うとともに、新潟大学等と連携し、避難所等を巡回して696人に対してエコノミークラス症候群の予防検診を実施し、健康に不安を持つ方々への対応に努めているところであります。 次に、安定沃素剤整備の考え方とその状況についてでありますが、国の原子力安全委員会の方針に基づき、本県においても地域防災計画の防災対策重点地域である柏崎刈羽原子力発電所からおおむね半径10キロメートルの地域の40歳未満の住民が3日程度服用できる量を整備しております。 具体的には、丸薬16万8,000錠のほか、7歳未満が服用する内服液も整備してあり、現在の防災対策重点地域においては、住民に十分行き渡る量となっております。 また、服用は原則避難所に設置される救護所で行うこととしており、避難所に指定されている小中学校等40校に先行配備しております。その他の施設に避難所が設置される場合でも、地元市村から速やかに搬送できる体制を整えております。   〔産業労働観光部長高井盛雄君登壇〕 ◎産業労働観光部長(高井盛雄君) 東日本大震災の影響による倒産、失業の状況と今後の対策についてでありますが、民間調査会社の東京商工リサーチによりますと、県内の倒産は比較的落ちついている中で、東日本大震災に関連した倒産は、6月末現在で7社の発生となっております。 また、新潟労働局によれば、1件5人以上の解雇等があった企業の届け出では、震災に関連した離職者の数は、5月末現在までの累計で190人となっているところであります。 県といたしましては、こうした震災の影響も含めて企業の経営実態に目配りしながら、金融、雇用の両面からセーフティーネットをしっかり張るとともに、産業に波及する再生可能エネルギーの導入拡大や需要の創出と成長を促す県内投資の誘発など、先を見据えた政策を進めていきたいと考えております。   〔土木部長田宮強志君登壇〕 ◎土木部長(田宮強志君) お答えします。 津波対策のハード整備についてでありますが、先月26日に開催された中央防災会議専門調査会にて、今後の津波対策の考え方について方向性が出されました。 この中で、海岸保全施設等は比較的頻度の高い一定程度の津波高に対して引き続き整備を進め、また、これを超える津波高に対しては、住民の避難を軸に総合的な津波対策を立案すべきとしています。 県といたしましては、専門調査会などの提言や検討結果を踏まえ、今後、堤防や護岸の高さ、耐震性などを含め、対応策を検討してまいりたいと考えております。   〔交通政策局長坂井康一君登壇〕 ◎交通政策局長(坂井康一君) 3点についてお答えいたします。 まず、物流拠点の確立等についてでありますが、日本海側の港湾において太平洋側港湾の代替補完機能を担える水準を確保していくためには、今後の対応として、リードタイムや航路数、運航頻度、トータルコストのほか、通関・検疫体制やコンテナターミナルのオープン時間などの物流サービスを充実させてまいりたいと考えております。 このほか日本海国土軸の確立に向けて日本海沿岸東北自動車道のミッシングリンクの解消や磐越・上信越自動車道の4車線化も国に求めてまいります。 次に、震災前後の港湾、空港の人流、物流の状況についてでありますが、県内港での外貿コンテナ取り扱い量は、震災前の2月の対前年比は、新潟港が9.2%増、直江津港が6.8%増でしたが、3月以降の対前年比は、新潟港が31%増、直江津港が27.7%と大きく増加しております。 姫川港の貨物取り扱い量については、2月の対前年比は4.2%増、3月以降は5.7%の増加となっております。 一方、新潟空港については、中国線の臨時便運航といった増加要因はあったものの、観光需要の低迷や路線の運休等が影響し、4月、5月の利用者数は対前年同期比20.2%の減少となっています。 次に、北越急行株式会社の利用促進策等の検討状況についてでありますが、北陸新幹線開業後は、沿線の需要喚起や首都圏との交流人口増を目指すイベント列車の運行などによる利用促進策、さらには光ケーブル事業等関連事業により収入の確保を図ることとしております。 また、組織体制のあり方や設備の効率的な更新によるコスト縮減にも努めることとしております。 さらには、北陸新幹線開業までに内部留保資金を積み上げることにより、開業後も相当期間、自己資金で運営することを目指しております。   〔梅谷守君登壇〕
    ◆梅谷守君 長野県北部地震について1点、関連という形になるのでしょうけれども、先ほども要は市民が、長野県北部地震の被災者の方々は、東日本の被災の大きさとどうしても相対性とか比較の観点で、甚大な被害にもかかわらず、なかなか訴えを上げづらいという心情をお持ちの方が多いと、現場入るとわかるのですが、その一つの要因として、今の長野県北部地震という気象庁が設定をした名前が、ひとつ何か違和感を覚えるのですけれども、新潟がこれだけの県内被害を覆っているのに、この名称について、もちろんこれは新たな風評被害の可能性も否定できませんから、慎重な対応が必要なのでしょうけれども、この名称について知事はどのようにお考えなのか、この1点お伺いをしておきます。 ○議長(村松二郎君) 梅谷守君に申し上げます。 通告をして質問を行ったものについて十分な答弁でないというものについての再質問が認められているのですが、このことに関しての質問ではないので、ここは知事の答弁を求めないことにいたします。 梅谷守君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時10分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時11分 開議 ○副議長(中野洸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、楡井辰雄君の発言を許します。楡井辰雄君。   〔楡井辰雄君登壇〕(拍手) ◆楡井辰雄君 上越市選出、自由民主党の楡井です。 質問に入る前に、さきの2つの震災でお亡くなりになられました方々や被害に遭われた皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。 また、行方不明の方々を今現在も捜索されている皆様、福島原発鎮静化に全力で頑張っておられる方々に心から敬意を表します。 また、大変厳しい財政の中、240万県民、7,800人の避難されている方々のために、今の政府を相手に悪戦苦闘している知事を初め行政の皆様、大変御苦労さまでございます。今回は、大地震を通じて感じたこと、一部質問をさせていただきます。 最初に感じたことは、政治とは一体だれのためにあるのか。また、どうあるべきなのか。政をつかさどると書きますが、本当に今、政を治めているのでしょうか。 また、リーダーとは、政治主導とはどうあるべきか。法律や条例はだれのためにあるのか。自分たちを守る自分たちのための法律なのに、法律を守るためにきゅうきゅうとし、自分の首を絞めて、本当に必要な人のためになっていないのではないかなど深く考えさせられます。 そして、政治をつかさどる者として一番大事にしなければならないだれのためにという原理原則と、政治の生命線である信頼という2文字が今あるのでしょうか。8割にならんとする国民の皆様が信頼をなくし、不信感にさいなまれているような気がいたします。 奥様から「日本を救ってきてください。」と送り出され、福島第一原発に被曝のおそれがあるにもかかわらず、命がけで入ったハイパーレスキュー隊の皆さんや今でも頑張っている自衛隊の皆さん、消防の皆さん、警察の皆さん、そしてボランティアとして活動している皆さんは、何を信じて活動しているのでしょうか。 勤勉実直な日本人の使命感が支えているような気がいたします。そんなことを考えていると、大変申しわけないなという胸が締めつけられる思いで質問に入ります。 最初の質問は、東日本大震災の県内避難者対策についてであります。 被災地では、仮設住宅の入居や義援金の配分を受け、自立とみなされ、生活保護や食料の支給を打ち切られるという報道もありました。今回の東日本大震災の被災者の自立の定義がない中で、何をもって自立と考えるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、被災地の復旧・復興の長期化や福島第一原発事故の収束のめどが立たない状況の中で、避難者は避難の長期化やふるさとに帰れる見通しが立たず、不安が高まっているものと推察されます。こうした被災者に対して、国は既存の制度によることなく、柔軟に対応できる制度を特別立法等でつくり、早急に支援していくべきと考えますが、知事の所見をあわせてお伺いいたします。 避難生活もすごい苦労と不安の中、はや4カ月がたとうとしております。いまだ9万人の皆さんが全国に避難をされています。本当に大変なことであり、我が身に置きかえると、せつないことでもあります。 何とかお手伝いできないかと思い、私は先日久しぶりに上越に避難されている南相馬市の皆様のところにお邪魔をし、避難所を視察させていただきました。私が、暮らしはいかがですか。何か御不自由はありませんか。とお聞きいたしますと、だれもが異口同音に、大変ありがたいことで感謝しています。とお答えになりました。日本人の我慢強さの一言に、何か私は心のどこかに違和感を感じながら数時間過ごさせていただきました。 私は、普通の生活のときには衣食住と言いますけれども、震災時については、衣食住の衣は医療の医、食は職業の職、住は住まい、食べるものを含めた医職住プラス保育、教育であり、もう一つは心の問題だろうと思います。この5つのポイントではないかと感じました。 ただ単に支援ということではなく、地域の皆様やボランティアの皆様と一緒に活動する心の触れ合いが大事ではないかというふうに思っております。 避難所における食事提供については、当初より改善されたとはいえ、依然として野菜の摂取不足など食事内容に改善の必要があると聞いて、見てまいりました。避難生活が長期化する中で、お弁当の種類を選択したり、外で食事をするなど、食を通じた楽しさやいやしも加えていくことも必要と考えますが、現在の食事提供の実態や対応状況について伺います。 次に、本格的な夏を迎え、避難生活が長期化する中で、高齢者や子供などの疲労や病気等が懸念されます。避難所の暑さ対策を速やかに行うべきと考えますが、エアコンの設備を初め暑さ対策など住環境改善をどのように進めているのか、お伺いいたします。 なお、このことは大変県からも御努力をいただいて、1週間くらい前に設置という連絡があったようであります。本当にありがたいことであります。 次に、未就学児童を持つ避難者の雇用対策など、避難者の自立支援につなげるためには、避難者の未就学児童に対する保育対策に取り組む必要があると思います。保育所の定員増、保育士の増員などの取り組みや避難してきたお年寄りをこれらの保育対策に活用するなど、柔軟な対応が必要と考えられますが、所見を伺います。 本当に困っている人を助けたいと善意ある国民の義援金が、まだ2割しか被災者の皆様に配分されていない現状であります。不平等というリスクをおそれ、なかなか前へ進まず、困っている人たちに届かない、本当に歯がゆい思いであります。 将来の不安をなくし、生活の安定が一番の心のケアなのに、国がもたもたしていて当てにならないならば、今こそ泉田知事のスピード感ある実行力、今以上に発揮するときではないでしょうか。そんな思いでお聞きをいたします。 新潟県内の避難者を含め、ふるさとを離れ、県外避難している被災者の多くは、なりわいの手段がなく、生活資金の不足や二重ローン問題が懸念されます。日赤や被災県の義援金配分がおくれている中で、県内被災者に対し、県民募金等を今以上に有効に活用し、避難生活の支援を進めるべきと考えますが、県民募金の実態とあわせ、所見をお伺いいたします。 私は先日、大震災時のディズニーリゾートの対応をテレビで拝見をいたしました。大変感動いたしました。派手さだけではなく、2日に1度は必ずどこかで防災訓練が行われている危機管理のあり方、日ごろからお客様の安全が第一で、そのためには現場の判断で店舗の商品を使ってもいいと指導しているとのことであります。 そして、指揮命令系統が確立されていて十分に機能し、安全を確保したスピーディーさ。4つの教えとして、SCSEという優先順位を示していること。安全は当たり前、礼儀正しさも当たり前、そしてショーのすばらしさを見せる、この3つを心がけてチームワークを発揮することで、お客様が安心して楽しむために4つ目の効率を高めるという教え。そこには、想定外ということはみじんもありませんでした。 細かなマニュアル優先ではなく、すべてはゲストの安全と安心のためにという意識を9割のアルバイトを含む1万人のスタッフが実践をし、7万人のゲストを無事に誘導したことはすばらしいことであります。私は、何かミッキーマウスが、あなたたちはマニュアルを守るためのマニュアル人間になっていませんかと問いかけているような気持ちと感動でテレビにくぎづけになりました。 このことは、想定外でしたや法律があるからといって、だれのためにという目的を忘れ、記者会見をしたい方々にぜひごらんになっていただきたい番組でありましたし、精神は学びたいものであります。 今、EPZ50キロ圏域の勉強会が始められたようでありますが、大変よいことだと思います。情報を開示することは、安心と対策が早くとれるということでありますし、どんどん進めていただきたいと思います。 私自身取り組んできたことでもあり、首長時代から原発については、電力の安定供給の観点から、また経済発展には必要であるということを認識し、より安全にと10年以上前から主張をし続け、2年前にも質問をさせていただきましたが、防災計画等について再度お聞きをいたします。 最初に、原子力災害に対する防災計画において、原発から半径10キロ圏内の防災対策重点地域をもっと拡大する必要があると主張をしてまいりました。今回の福島第一原発事故を受け、改めて原発から30キロ圏域まで広げるべきと考えます。現在検討されている防災計画の見直し状況と避難区域の見直しの方向性について、知事の所見をお伺いいたします。 次に、柏崎刈羽原子力発電所において、不幸にして原発事故が発生した場合に、避難者数の増加や迅速な避難等の観点、津波や地震などによる海岸道路の被害、さらには風向きも考慮すれば、高柳や柿崎方面に避難する既存の中山間地の道路や林道を避難道路として整備を進めるべきと考えますが、所見を伺います。 また、観光にも言えることであり、国際化をより進めようとするなら、避難場所や避難施設など標識の表示内容を外国語を交え、充実すべきと主張してまいりました。その進捗状況や今後の対応方向を伺います。 転ばぬ先のつえと言いますが、沃素剤の配付や大雪、大雨、津波や地震など想定できる災害を考えたときに、今回の東日本大震災を受け、住民の避難誘導や二次災害発生の回避など、自主防災組織やハザードマップの重要性を認識したところであります。防災意識が高まっている中で、自主防災組織の育成や強化、ハザードマップの再整備などを図るべきと考えますが、県内の実態とあわせ、今後の対応方針策を問います。 次に、県版グリーンニューディール政策を含めたエネルギー対策についてお聞きをいたします。 今、震災で東北電力管内の11カ所ある火力発電所のうち5カ所が被災をし、休止をしております。2つある原発も停止と大変な打撃を受けており、今、使用電力15%カットも実施をしておりますが、長期間の電力不足が予想される現在、被災した施設を直すのが先なのか、新規に建設するほうが先かという経済議論もありますが、リスクの分散や安定供給の観点から考えたときに、エネルギー港湾として位置づけられる直江津港の火力発電所についてお聞きをいたします。 上越火力発電所のうち、来年、中部電力の1号系列の稼働が予定をされております。一方、東北電力の1号系列については、平成15年当時、需要の伸び悩み等で35年度まで延期した経過があります。東日本大震災で情勢が大きく変化をし、電力の安定供給の観点から、計画を前倒しして早期に建設を進めるよう要請すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、上越市沖で大量に存在していることが判明しているメタンハイドレートについて、本県の産業振興のための安定エネルギー源として活用が期待されておりますが、現在、実用化に向けた開発状況とあわせ、エネルギー情勢の環境が変化した中で、県としてどのように対応していこうと考えているのか、知事の所見を伺います。 また、県では、昭和シェル石油とのメガソーラー共同事業による実証実験や東部産業団地での再生可能エネルギーの拠点化を進めておりますが、環境に対し、より以上進捗をさせるには、個人個人への啓発と導入が最も大事なことと考えますし、自然エネルギーの導入は、1キロワット当たり30円以上と言われる発電コストをいかに下げるかがポイントになると思いますし、高額になる電気料金の負担等の問題はありますが、子や孫の代にすばらしい環境と自然を残すためにも英知を結集し、CO225%カットを目指していかなければならないと思い、質問をさせていただきます。 県では、昨年度、小水力発電の普及を図るため、導入可能性調査に取り組んできましたが、今後はどのように進めていくのかを伺います。 また、本県は温泉を活用した地熱、雪冷房やバイオマス、風力、波動など、再生可能エネルギー源に恵まれていると考えますが、再生可能エネルギーをどのように進めていくのか、あわせてお伺いいたします。 また、新エネルギーの利用促進にはスマートグリッドの導入が必要と考えます。当初、事業において粟島で実証実験を行うこととしておりましたが、現在の取り組みの進捗状況と今後の取り組み方向について伺います。 今、電力不足による計画停電がささやかれています。ないものはないということはいたし方なく、皆で譲り合い、協力するということは当たり前のことと思いますが、電力が足らなくなったための停電ですという説明だけでは、さまざまな事情を抱えている皆さんは大変不安を感じております。きちっと説明をし、解消する責任が電力会社や行政にはあると思います。また、想定外では済まされないことだとも思い質問をいたします。 これまでのところ節電への協力もあり、計画停電は実施されていませんが、今後、仮に計画停電が実施された場合、自家発電設備を持たない小さな病院や介護施設、さらには在宅で医療機器を使っている患者の皆さんなどについて、どのような対策を考えているのか、お伺いいたします。 農業問題について。 今、世界の食料事情を考えたときに、アメリカの食料管理はペンタゴンが、中国では政府が管理をし、第3の戦略物資となり、国家戦略の最重要政策として取り組まれております。 新興国、特にブリックス4カ国の経済発展による食生活の変化により輸出から輸入に変わり、現在69億人の世界の人口が、2050年には90億人にふえる現実を考えたときに、食を制する国が世界を制することになるのではないでしょうか。 食料自給率40%では何とも心もとないことであり、食料安全保障をいま一度見直し、改めて考えるときが来ているのではないでしょうか。 あの大震災直後、一番最初にスーパーから消えたものは水であります。2番目が近代文明の象徴であるトイレットペーパーであります。3番目がカップめんを含めた食べ物。このことを考えても、人間が生きていく上で一番大事なものは、水と限りなく安全な空気、そしてさんさんと輝く太陽、そして植物を育てる汚れなき大地であるということを再認識いたしました。 さらなる農業の自立を高めながら、他産業の参入や6次産業化を進めるならば、生きるための基礎産業として確立するために2つの質問をいたします。 今回の東日本大震災を受け、食料の重要性を改めて認識したところでありますが、本県が今後とも食料供給基地として、安心・安全な食料を安定的に供給していくためには、農業基盤整備を今以上に進めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 知事は、これまでTPPの参加について、食料安全保障については、例外措置を求めながらも基本的には積極的に取り組むべきと主張してまいりました。今回の大震災は、農業を初めとする産業への影響も大きく、情勢も変化しておりますが、TPPへの参加について改めて知事の所見を伺います。 これからの農業の可能性と経営を考えたときに大きなポイントとなる3点をお聞きいたします。 最初に、輸出であります。 福島第一原発事故を受け、農産物や食品の海外輸出には大変厳しい環境であります。本県農業の可能性を伸ばすには、輸出の取り組みは今後とも重要と考え、農産物を初め米菓やお酒など県産品の海外輸出を促進するためには、組織の一本化や民間等の出資による輸出関連会社の立ち上げなど、オール新潟で輸出促進体制を強化すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、米粉利用についてであります。 この利用については、お米の消費拡大と耕作放棄地の減少という大きな2面性があります。そして、2020年には小麦が30%以上の値上がりをするだろうと予測されている中で、食料の安定供給の観点からお伺いいたします。 米粉の普及拡大に向け、県では新潟発R10プロジェクトを推進しておりますが、県内市町村との連携がまだまだ弱いと思えます。米粉の先進県である本県として県内全市町村との連携をもっと強化し、学校給食や保育園など地域での活用をもっと進めるべきと考えますが、市町村との連携の状況とあわせ、今後の対応策について伺います。 経営の自立を進めるためには、大きな手段としてお金と責任を共有するための6次産業化についてお聞きをいたします。 米の直売や農産物加工など一部の農家や法人では6次産業化の取り組みも見られますが、個々の対応では限界があると考えます。今後は、生産、加工、販売など、それぞれのプロフェッショナルが、また、本業とする組織が経営連携を図るなど、ホールディングス形式を活用した県内初の6次産業化モデル事業に取り組む価値があると考えますが、所見を伺います。 前段で農林水産業は人間が生きるための基礎産業だと申し上げました。特に林業については、国土の70%が山林であり、山が荒れれば里も海も荒れると言われており、二酸化炭素を吸収し、酸素を出し続けている自然でクリーンな酸素ボンベだと位置づけをして質問をいたします。 中山間地域の農林業は、過疎化、高齢化など多くの課題を抱えながらも国土保全、水源涵養、温暖化防止、観光資源など、多面的な機能を多く有しております。今後とも中山間地域を国や県の財産として維持していくためにも手厚い支援が必要と考えますが、県の中山間地域の農林業の振興策について伺います。 ようやく生活や経済の回復の明かりが見え始めましたときに、あの大震災、原発事故、そして何とタイミングの悪いことか、週末の高速料金1,000円廃止と無料化実験の終了となり、また景気が逆戻りとなってしまう懸念を持っているところであります。 自粛から活性化へと向かいつつあるものの、いまだに職種間格差が広がり、大変厳しい経営状況に変わりはない状態であり、先日新聞でも報道されましたが、台湾向けのリンゴが風評により5月は輸出がゼロになってしまうという事実など、国内も大きく経済が影響を受けております。 社会福祉の充実や地域力向上を進めるには、やはり頑張っている皆様への支援や経済の活性化が重要であります。実行しなければ絵にかいたもちになると思います。 改めて質問をいたします。経済・地域振興策について。 県内の経済動向は、東日本大震災の影響もあり、依然として厳しい状況にあります。特に原発事故の長期化に伴い、隣接県である本県においても輸出規制など、国内外の風評被害による産業への影響や自粛に端を発した観光客の減少があるものと考えますが、これらへの実態とあわせ、どのような対策を進めているのかを伺います。 また、県内でも糸魚川のブラック焼きそば、上越のホワイト焼きそば、三条のカレーラーメンなど、各地域で御当地グルメを活用した地域おこしを進める地産地消の取り組みが注目されております。今後これらの地域で頑張っている人たちに対して、県はどのように支援していこうと考えているのか伺います。 昨年、あの事業仕分けで有名になった蓮舫議員の2位じゃだめなんですか。と言われたスーパーコンピューターの予算を見たとき、21年度の予算は190億円の予算であり、22年は267億円の要求に対し、限りなくゼロに近く仕分けられたと思っておりましたら、復活予算で何と前年度より37億円多い227億円の予算がついておりました。 何か劇場型パフォーマンスでめくらましを受けたような感じを受けてしまいましたが、世界一になるには根性だけでは無理で、それなりの予算がなければならない。そして、いろいろな変化に対応できるだけのすぐれた器具や技術、こつこつと積み重ねて研究をするマンパワーがなければならないと改めて感じたところであります。 我が県として、日本の中でまず1番になることを目指し実行しなければ、地域で頑張っている皆様の励みとさまざまな技術支援にならないわけであります。 お聞きをいたします。国の事業仕分けの対象にも上げられたスーパーコンピューターが計算速度世界一になった。日本の国力を高めるためにも科学や技術力の向上が重要であります。効率性や経済性を求めながらも、基礎研究を積み上げていくことが必要と考えます。 本県においても工業技術総合研究所の予算の増大や研究員の技術力の向上などマンパワーを拡充すべきと考えますが、所見を伺い、あわせて農業総合研究所についてもお伺いいたします。 最後になりますが、今、本当の幸せというのは何だろうかとよく考えます。暖かい日だまりの中、親や子、孫と一緒に何げなく語らったり、笑顔で過ごしたり、あるべきものが当たり前のようにあること、時間がとまっているようなやわらかい空気が自然と流れている空間があることかなと最近改めて思っているところであります。 そのためには、価値観が変わろうとしている時代だからこそ、だれのためにという目的と手段を間違わない、人として原点に返ることではないでしょうか。また、より以上に多様化とグローバル化が進む中、求められているのは柔軟性と決断力、そしてスピード感がポイントであり、人の痛みを感じる、優しさを感じる心がなくては、国民、県民の皆様からの信頼は得られないのではないかと考えます。 最後に、国を治める者は小魚を煮るようなものである。やたらにかき回してはならないという老子の言葉、大国を治るは小鮮を煮るがごとしを日本政府に申し上げ、そして知事を初め行政の皆様に御期待を申し上げて一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 楡井議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、被災者の自立についてであります。 災害というのは、毎回顔が違うというふうに言われます。特に同じ原因で起きた今回の東日本大震災、場所によって受けた被害が全く異なるという状況であります。 そういった状況下で自立というものをどう理解していくのかということでありますが、一律には、やはり決めることは難しいと。それぞれの事情に配慮して対応していかなければ、自立は難しいということだと思っています。 しかしながら、現在の状況でありますけれども、どのような救助等の水準を適用するのかについては、第一義的には国の通達をもとに運用せざるを得ないという現状にあります。 しかしながら、それで自立に結びついていくということに限らないわけでありますので、個別にやむを得ない事情がある場合には、国から補助金が出なくても対応するということとしてまいりたいと思っています。 なお、具体的に御心配な事例がありましたら対応させていただきたいと思いますので、後ほどお知らせいただければと思っています。 次に、柔軟に対応できる制度による避難者支援についてであります。 特別立法等によるまでもなく、復旧・復興に資する経費を別枠措置した特別交付税、被災者生活再建支援制度関係経費を盛り込んだ補正予算を早急に成立させていただければ対応できると思っています。 制度上の制約というのも多いのですが、えてして資金使途制限、予算にかかわるものが多いので、特別立法しなければ何もできないということではありませんので、まずは補正予算を早急に具体化をしていただきたいというふうに考えています。 次に、避難者の未就学児童に対する保育対策についてであります。 議員御指摘のとおり、今回の被災者の年齢構成、比率を計算してみますと、新潟県にふだん住んでおられる県民の皆様の子供の割合に対して、相当小さいお子さんの比率が高くなっております。これは、原発事故、放射性物質から我が子を守りたいという親の思いというのは、やはりこの比率にも反映しているのではないかというふうに受けとめていますが、そうであればあるこそ、御指摘のように避難者の皆様のさまざまな保育ニーズに柔軟かつ弾力的に対応していく必要があると思っております。 現在、県内の保育所の対応状況でありますが、受け入れ基準の緩和などで対応いたしております。しかしながら、今後もさまざまな状況に応じて市町村と連携をしながら避難者のニーズを酌み取ってまいりたいと思います。避難されている方々の雇用ということも含めまして、また、新規に避難してきたいという方々も含めて対応してまいりたいと思います。 次に、県民募金等を活用した避難生活の支援についてであります。 避難者の当面の生活を支える重要な役割を担うものとして、これは議員御指摘のとおり、義援金というものが上げられると認識をいたしております。 県内でお寄せいただいた県民募金、これを活用できないのかという御指摘であります。避難者にも配分がなされるよう、配分委員会で御判断いただけることを期待いたしております。 なお、県民募金の現状につきましては、出納局長から御説明を申し上げます。 次に、原子力防災計画と避難区域の見直しについてであります。 県といたしましては、現行の原子力防災計画では不十分であるという認識を持っております。では、どうするかということになると、福島第一原子力発電所で何が起きているのかということをまずしっかり踏まえる必要があると思っています。その上で、万が一、原子力災害が起きたらどうするのかということを現実的に考えて、すべてわかってから対応するということであれば、また数年間という時間が必要になってまいりますので、順次、見直せるところから原子力防災計画に暫定見直しをかけてまいりたいと考えております。 防災対策重点地域、いわゆるEPZですが、これにつきましては、原子力防災部会の議論も踏まえ、拡大を視野に入れて現実的に検討を進めていくべきものと考えております。 次に、エネルギー対策についてお答えをいたします。 まず、東北電力の上越火力発電所1号系列の建設についてであります。 震災直後、当然これは前倒しすべきではないかと同じ感覚を持ったものですから、話し合いは震災直後にもう実施をいたしました。 結果としては、小林議員の一般質問にお答えをしたとおりなのですけれども、現在、ことしの夏、次の冬はどうなるかというところがあるのですが、県民の皆様方、また企業の皆様方に御協力をいただいてピークカットを実施いたしております。その間に東北電力における発電所の復旧等が期待をされます。また、能力増強工事、古い火力の復活等も実施をしておりますし、企業の持つ自家発電の買電、買い取り等も予定をしておりますことから、現時点で新規にLNG火力発電所を早期建設するということは必要ないし、難しいということと考えております。 次に、メタンハイドレートについてであります。 上越沖の資源につきましては、昨年6月に学術的観点からの調査が実施をされました。残念ながら、まだ技術開発の段階でありまして、経済性を議論する段階にも至っていないという状況になっております。 特にメタンの場合は、これは御存じのとおり、万が一、空気中に放出をしますと、二酸化炭素以上の地球温暖化ガスになってしまうということから、しっかりとした技術開発をして、回収して利用するということをしないと、これはまさに地球温暖化問題を悪化させてしまうというリスクも抱えているわけであります。 その上で、どういう対策をとって、どのような形で利用していくのか。単に天然ガスに移行できるのか、別の形態の機器の開発が必要なのか等々、課題が山積しているところでございます。 これは以上の状況がありますので、昨年6月において梅谷議員にお答えをしたとおりなのですが、県といたしましては、将来のビジネスチャンスを見据えて、当面計画の進捗状況、技術開発の動向の情報収集を進めて、出おくれのないように対応してまいりたいと思います。 次に、農業問題についてお答えをいたします。 まず、農業基盤整備についてでありますが、本県が安全・安心な食料を安定的に供給をしていくということは、日本の食料安全保障に貢献をいたします。そしてまた、これも議員御指摘のとおり、世界人口がふえる中で、自国の食料を自国で調達をしていくというのは、世界に対する貢献にもつながっていくものというふうに確信をいたしております。 一方で、後継者を農業に従事させたくないというような劣悪な経済環境があるということも事実でございまして、農業に従事をすると他産業並みの所得が確保できる環境、このような農業ができる制度、仕組みを同時に構築をしていく必要があると考えております。 このため、農業水利施設の維持・保全、経営体への農地集積や経営効率化を効果的に進める整備を計画的に推進をしてまいりたいと思います。農業基盤整備なくして農業は成り立たないということで取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、TPPへの参加についてであります。 今回の原発事故につきましては、いまだ収束が不透明であります。そして、現在も放射性物質の放出が続いているという状況でございます。加えて、日本の放射能に対する規制値が緩められているという状況があるわけであります。日本産品を世界が安心して輸入をしていただけるのかという問題を抱えております。 現実を見てみますと、さきに5月の貿易統計の結果が発表されました。自動車などの生産停滞があるにせよ、輸出が急減をいたしまして、原油、液化天然ガスの輸入の急増と相まって8,000億円、1カ月です。1カ月で8,000億円を超える大幅な赤字となったところであります。 日本製品の競争力が関税以外のところで信用を失って、輸出ができない中でマーケットだけ開けば、日本経済に打撃になるリスクということも当然考えられるわけでございます。 議員御指摘のとおり、今回の大震災の発生によって輸出環境がどうなっていくのか。日本製品が工業品も含めて受け入れていただけるものなのかどうかということを見きわめる必要があるというふうに考えております。TPPの参加に当たっては、これらの貿易環境のあり方ということも見きわめる必要があると考えております。 次に、農産物などの県産品の輸出促進体制の強化についてであります。 今回の原発事故を受けまして、国では急遽、放射性物質に係る暫定基準値を緩和していると。外国から見れば、自分のところは放射性物質には厳しく輸入制限をかけておきながら、いざ自分の問題になったら、緩めてほかに売るのかというように見えているということであります。 したがいまして、このままの基準で輸出を強行するということで、長年築いてきた日本の信用は本当に維持できるのかということをよく考える必要があると考えております。 現実に、静岡県からフランスに対して輸出した茶葉から、基準を上回る放射性物質が検出をされました。その結果、何が起きたのかというと、フランスでは静岡県産の食品全体の信用が失墜をしまして、今後輸入する静岡県産食品については全量検査をするという方針が示されることになりました。1度失われた信用を回復するということは大変難しいと考えております。 したがいまして、国内において流通しているものがどういう水準の放射性物質を含んでいるのかと検査をして、安全が担保できないまま輸出体制だけ構築をするということは、長年築いてきた日本の信用、新潟の信用に傷がつく可能性、こういうことも見きわめた上で対応する必要があると考えております。 したがいまして、まず国において暫定規制値から可能な限り早期に3月16日以前の基準に戻すとともに、輸出品の検査を徹底していく、国際社会の信頼回復に取り組むことが先決であると考えております。 次に、ホールディングス形式を活用した6次産業化についてであります。 農業者みずからが加工・販売まで一体的に行うとともに、さまざまな業種と結びつくことで収益力を上げていくということが重要だと考えております。 御提案いただきましたホールディングス形式については、株式を保有する必要があることから、現在の農業形態は個人経営体であったり、農事組合法人等が多数を占めておりますので、この現状の経営形態を考えて、ホールディングス形式を一般化していくということは実態に合っていないのではないかと考えております。 いずれにせよ、形式はどうであろうとも6次産業化への取り組み、これは必須でありますので、知恵を絞りながら対策を進めてまいりたいと思います。 なお、震災以降、米の卸価格が急上昇しております。しかしながら、恩恵は新潟県に戻ってきておりません。流通事業者、精米事業者に恩恵がいって、作物をつくった農家には戻ってきていないと。これが生産に特化した我が県の農業のあり方の一つの課題だと思っています。 生産のみならず、流通、経営企画をあわせていけば、卸売米価が約2倍になっていますから、農家所得が倍になっても不思議ではないという経済環境にありますので、ぜひ6次産業化には取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県の中山間地域農林業の振興策についてであります。 議員御指摘のとおり、中山間地域は大変重要な役割を担っております。しかしながら、農林業が産業として成り立ちにくい仕組みになっているということから、やはり社会政策的側面も含めて、十分な所得を確保するための公的なサポートが必要なのではないか。もしくは、ここから生む付加価値を農林水産業に携わる方にフィードバックするような仕組みをつくっていかなければいけないということだと思っております。 現行制度を前提にするのであれば、やはり企画販売のノウハウを有する若い新規就農者等の所得を保障する等進めていかなければいけないわけでありまして、県としては、そのためのモデル事業を実施いたしております。この成果を踏まえながら、国に制度改善を働きかけてまいりたいと思います。 次に、経済、地域振興策についてお答えをいたします。 まず、風評被害の実態と対策についてであります。 食品、農産物に関しては、本県は中国から輸入停止ということになっております。また、EUも含めて新潟県の食品は輸出がしにくい環境にございます。規制がかかっているということであります。諸外国においては、工業品も含めた検査や規制措置がとられているところでありまして、海外取引で大きな影響を受けていると承知をいたしております。 一方で、観光・飲食業については、需要が大きく落ち込んで、なかなか戻ってこないという現実があります。これも放射性物質を含んだ食品が流通をして、そして成人と子供を分けない暫定基準値で流通をさせているということから、やはり小さなお子さんを持っている御家庭では自己防御しなければいけない。どこのものが使われているかわからない外食はしにくい環境にあるということが、1つこの需要が戻ってこない原因になっているというふうに考えております。 食品安全不安を含めた原発事故の影響をうかがわせる状況という中で、今後しっかりとした対応が必要ではないかと考えております。 県といたしましては、検査体制を整備の上、正確な情報を透明度高く出し続け、信頼の回復に注力をしてまいりたいと思います。 あわせて、国に対しましても原発事故の一刻も早い収束はもとより、放射性物質の暫定規制値を早く3月16日以前の基準に戻し、タイムリーかつ的確な情報を国内外に発信するよう求めてまいりたいと思います。   〔防災局長飯沼克英君登壇〕 ◎防災局長(飯沼克英君) 4点についてお答えします。 避難所における食事提供についてでありますが、給食センターや事業者による栄養バランス等に配慮した弁当の提供が中心となっております。 また、避難生活が長期化する中で、食生活の単調さを補うということにとどまらず、食を通じて生活の潤いが取り戻せるように、ボランティアや地域住民との食事会、さらには避難者による郷土料理の提供など、避難所ごとに工夫をいただいているところです。 次に、避難所の暑さ対策についてでありますが、現在、避難所に関しては、すべて冷房設備のある公共施設等を提供しており、さらに住環境改善の取り組みの中で、民間賃貸住宅の借り上げ提供、公営住宅等への移動を進めております。 住宅については、立地環境に対応して冷房機器の設置などの対策を実施しているところです。 次に、避難場所等の標識の表示内容についてでありますが、県内30市町村のうち12市町村が表示内容に外国語を交える取り組みを進めております。 県といたしましては、だれにでもわかりやすい表示内容の充実を図るため外国語表示のほか、統一的な図記号等の活用も含め、引き続き市町村に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、自主防災組織とハザードマップ整備の実態と今後の対応方針についてでありますが、自主防災組織の組織率は、平成22年4月1日現在で71.9%となっており、またハザードマップの整備状況は、平成23年5月末現在で洪水ハザードマップが対象となる全27市町村中26市町村、土砂災害ハザードマップが29市町村中28市町村、津波ハザードマップが全12市町村で、それぞれ作成されております。 東日本大震災では、ハザードマップが避難を思いとどまらせたのではないかとの指摘もありますので、既存想定を超える危険があり得ることなど、正しく避難の必要性が伝わるハザードマップとなるよう作成の助言を行うほか、自主防災組織についての先進事例を紹介するなど、市町村の状況に応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。 以上でございます。   〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕 ◎福祉保健部長(若月道秀君) お答えいたします。 計画停電が実施された場合の対策についてでありますが、病院における自家発電設備は130病院のうち128のほぼすべての病院において整備されている状況から、計画停電中の診療には大きな支障はないものと考えております。 また、介護施設等の中には自家発電装置が未整備の施設もあることから、6月補正予算でお諮りしている新たな助成制度により、必要な設備改修やポータブル発電機の設置等を促進してまいりたいと考えております。 なお、人工呼吸器などを装着している在宅患者につきましては非常用電源を用意するなど、おおむね対応ができているところでありますが、加えて行政や医療機関などが連携して患者を個別にサポートする体制を構築しているところであり、停電時の確実な連携について関係機関に要請してまいります。   〔産業労働観光部長高井盛雄君登壇〕 ◎産業労働観光部長(高井盛雄君) 4点についてお答えします。 まず、再生可能エネルギーの今後の推進についてでありますが、小水力発電については調査結果を広く発信し、本県での導入可能性をアピールするとともに、支援窓口の設置や現地調査の実施等により導入促進を図ってまいりたいと考えております。 また、県ではこれまで国内初のメガソーラー発電やバイナリー地熱発電等、再生可能なエネルギーの導入を積極的に進めてきたところであり、今後とも地域資源を活用しながら新潟版グリーンニューディール政策の取り組みを加速してまいりたいと考えております。 次に、スマートグリッドについてでありますが、県では本年度、粟島を実証フィールドとしたにいがたスマートコミュニティ実証事業に取り組んでおります。 災害に強い分散型エネルギーと地域内電力需給を最適化する技術の導入に向け、現在、粟島浦村、東北電力等とともに、太陽光発電と蓄電池及びスマートメーターの設置などの事業を検討しております。 次に、御当地グルメを活用した地域おこしの取り組みの支援についてでありますが、これまでも御当地グルメを一つの柱に据えた新潟うまさぎっしり博の開催や新潟ふるさと村での御当地グルメを集めたフードコートの開設等の取り組みを行ってきたところであります。 また、各地域の御当地グルメが競い合い、磨き合い、食の魅力を高める場として、本年度、新たに国際ご当地グルメグランプリを開催し、新潟から国内外に食の魅力を発信することとしております。 今後、このような取り組みを通じ、御当地グルメ相互の連携を強めるとともに、各地域の食の魅力を高めてまいりたいと考えております。 次に、工業技術総合研究所の機能拡充についてでありますが、工業技術総合研究所は、製品開発や品質管理等において技術的課題を抱える企業に対し、現場指導や各種試験、分析、共同研究などにより、積極的に支援しているところです。 今後とも国の資金なども活用しながら、ニーズの高い研究開発の実施や設備機器の整備等に努めるとともに、各種研修機会の活用による職員の専門性の向上により、企業の新技術導入や課題解決のための機能充実を図っていきたいと考えております。 以上であります。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) 2点お答えいたします。 学校給食等における米粉活用に向けた市町村との連携についてでありますが、学校給食については、完全米飯以外の全市町村で、米粉パンまたは米粉めんが導入されているところですが、学校給食全体における米粉パンと小麦粉パンの比率は4対6となっております。 学校給食等における米粉の普及推進については、市町村や市町村教育委員会等と連携して進めているところですが、課題の一つは食味だと認識しております。 今後は、パン委託加工工場に対する技術指導等の強化により食味の向上を図るなど、導入促進に努めてまいりたいと考えております。 次に、農業総合研究所の機能拡充についてでありますが、本県の農林水産業や食品産業が産地間競争に打ち勝つためには、県内産地や食品産業などのニーズを踏まえ、戦略的かつ独創的な研究を重点的に推進する必要があると考えております。 このため、大学や国の研究機関と連携し、先端技術の習得などを通じて研究職員の資質向上を図るとともに、産学官連携による外部資金の積極的な活用などにより、研究機能の拡充を図ってまいりたいと考えております。   〔土木部長田宮強志君登壇〕 ◎土木部長(田宮強志君) お答えいたします。 原発事故に備えた既存の道路等の整備についてでありますが、現在、県防災会議原子力防災部会において、原子力防災計画の見直しに向けて作業を進めており、見直しと並行して道路等の整備について検討してまいりたいと考えております。   〔会計管理者兼出納局長安藤ますみ君登壇〕 ◎会計管理者兼出納局長(安藤ますみ君) お答えいたします。 県民募金の実態についてでありますが、お寄せいただいた募金額は、6月末日現在、約5億3,000万円となっております。 これまでに長野県北部地震による県内被災者や県内の学校に就学することとなった避難者の児童生徒を対象に2,842万円を配分したほか、被災県に4億億6,000万円をお届けいたしました。 ○副議長(中野洸君) 楡井辰雄君の質問は終わりました。 次に、高倉栄君の発言を許します。高倉栄君。   〔高倉栄君登壇〕(拍手) ◆高倉栄君 燕市・弥彦村選出の高倉栄でございます。 このたびの東日本大震災、長野県北部地震におきまして被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い被災地の復旧・復興を心から祈念申し上げます。 スクラップ・アンド・ビルドにて、我が新潟県の未来を守っていくべき鋼鉄の伝統と現実的要請とを弁証法的に解決しなければならないと確信しております。県政のさらなる発展のために死力を尽くす覚悟にて一般質問を行わさせていただきます。 それでは、まず初めに県央地域における救急医療体制整備についてであります。 私は、選挙等を通じ、そして今現在も日々あらゆる皆様とお会いし、お話をさせていただいている中において、さまざまな背景と事例をも交え聞き、痛切なる一刻も早く、一日も早く、県央地域における救急医療体制を整え、救える命を救ってもらいたいと数多くの皆様よりの切望のお声をちょうだいする。県央地域の市民からの目線にも立って、以下の3点をお伺いする。 1つ、平成23年2月に三条地域振興局で開催された第9回合同会議において、県央地域における救急救命センター及び併設病院のあり方に関する共通認識並びに今後の検討の進め方について合意が図られたが、その後の県の取り組み状況についてお伺いする。 1つ、次に医師確保であるが、救急医療体制を整備していく上で、6月18日開催、県主催の県央地域医療シンポジウムの中でも示されたように、今現在、医師の確保等に対しての課題等が上げられている。 同シンポジウムの井関教授からは、専門医の資格も取得可能で、高い専門知識と高度な医療技術、先端的な医療機器等に触れる機会を与えることが、やる気のある若い医師の確保につながるとの認識があった。 また、千葉県柏市の救急医療を使命と考え、すべて受け入れますと宣言している名戸ヶ谷病院の例では、医師の住宅整備や研修、学会への参加支援など、仕事環境の充実を図ることで医師を十分確保できており、若い研修医にも人気が高いといった病院もある。 医師確保のためには、医師を補佐するクラークの充実、医師を支える協力体制と医師、看護師、事務スタッフへの住居・寮等の支援策、15分以内に病院に駆けつけることができるシステムの一つでもあるなど、医療従事者の働きやすい環境づくりはもちろんのこと、医療の高度化が進む時代にあって、国内外の研修、学会活動への参加支援などが、医師確保のための重要事項であり、医師の視点に立った魅力ある医療従事環境を整えることが、最大の効力を発揮する医師確保策であると考える。 また、一方で、救急医療の視点として、インター等の利便性を加味する必要も当然である。 最先端医療技術を兼ね備え、医師の住宅や技術向上に係る支援策、そして医師家族への福利厚生策を含めた最大限の配慮なども考慮する県央地域における救急医療体制整備こそが、地域住民への公共の公平性と満足度、そして医師確保策にもつながり、住民、医師双方に無限大の幸せと笑顔を提供ができる究極の政治と考えるが、県として医師確保に向けて、今後どのような取り組みを考えているのか、お伺いする。 1つ、合同会議において県一任という合意形成を得た今こそ、泉田知事から県央地域における救急医療体制整備について、最大限のリーダーシップを発揮され、また、逆説的に唱えれば、政治にかかわるすべての政治家、各首長が泉田知事、県関係者よりの御提示を最大限尊重し、大いに支持し、一致団結を行動に移し、泉田知事を筆頭に協力体制を構築すべきであると考える。 知事から御提示の救急医療体制整備の形に対して火の玉一丸となり、一刻も早く、一日でも早く、救える命を必ず救うという覚悟で邁進するべきであると強く強く思う次第であります。 そして、県央地域の住民の最大限の幸せと無限大の笑顔のために、今現在繰り広げられている誘致合戦に対しても終止符を打てるのは、後にも先にも泉田知事筆頭の協力体制であり、これからの救急医療体制整備における設置場所や規模等の方向性を含めた御提示であると確信する。 今後に向けた知事の率先したリーダーシップを強く求めたいと思うが所見を伺います。 続きまして、農業・商工施策についてであります。 我が新潟県は、社会経済的に多くの潜在価値に恵まれている。 農業、商工業のさらなる発展を目指し、それらを最大限に引き出すことで、これからの地域主権という時代の中で、真に自立した発展が可能であると確信する。今こそ官民一体となり、安定した経済サイクルを生み出していかなければならない。 すなわち、景気再生を強く促すという観点からも安定経営、安定雇用、安定勤労の3つの安定した安心力こそが最重要であると確信する。 それには、先んじて次世代の担い手を育てる、育てなければならない、育てていくことこそが、未来永劫、我が新潟県のさらなる安定した経済サイクルを強く生み出していく真の原動力となると確信する。 我が新潟県の無限大の可能性を決して眠らせてはならない。そして、額に汗して働く人こそが、未来永劫、輝ける新潟県にしなければならないという強い思いにて、農業・商工施策についてお伺いする。 まず初めに、農業施策について以下の7点についてお伺いする。 1つ、新川流域地区における基幹排水施設の更新も含む長寿命化対策が遅延し、今後の新潟市内をも含む地域の安心・安全な暮らしを脅かす可能性が大いにあるという現状を踏まえ、蒲原平野は海抜ゼロメートル地帯、ゼロメートル以下地帯が2割を超える田園地帯であることは御承知のとおりでもあるが、老朽化の進む農業水利施設の適切な改修、更新こそが、農業生産、農業経営の安定、安心に直結すると確認する。 次世代の担い手に対する将来の不安材料を少しでも排除していくという強い思いの中で、国の農村整備事業等の予算削減を受けようとも、農業立県新潟として、地域のことは地域で決めるという地域主権の考え方に立ち、施設の適切な保全管理や更新整備に係る県として柔軟な対応、特に予算の確保を求めたいが、いかがか。 1つ、圃場整備事業においても同様である。完了工期が大幅に伸び、転作作物の作付等に大きな支障を来している。コスト縮減や整備手法の見直し等により進捗の回復には努めているが、いまだに平均工期は10年を大きく超えていると聞いている。 工期の長期化による地域農業への影響について見解を伺う。 1つ、圃場整備事業は農業立県新潟として大変重要な施策の一つであり、整備により農地は集積され、担い手たる農家の後継者や新たな就農者のやる気を引き出し、各地域では農業生産法人が設立され、複合営農への展開も図られるなど効果が発現している。 真に10年、20年先を見据えた中で、圃場整備事業の計画が遅延しないように、中長期的な予算の確保を求めるが、いかがか。 グリーン・ツーリズムや農作業体験、農家レストラン等の観光農業は、地域資源を十分に活用し、魅力ある農業・農村づくりを進めるものであり、農業者等の生産意欲と所得向上につながり、結果として農業振興につながるものと考える。 これまでの県の観光農業に対する取り組みと成果についてお伺いする。 県としても既に取り組む観光農業は、観光主導の形で元来方向づけがされてきた感は否めない。農業の多角経営の手法が示されている今こそ、逆説的な発想の転換が大切であり、郷土の自然を生かし、農業経営者だからこその視点に立って、まさに観光農業ではなく、農業主導の農業観光の推進に努める必要があると考える。 そこで、農業経営者のニュービジネスに対する今後の対応についてお伺いする。 1つ、次世代における環境保全型農業を考えていく中で、今年度からスタートした国の環境保全型農業直接支援対策の制度の活用は重要であるが、その中で、都道府県が特に必要と認める取り組みは、地域特認取り組みとされ、国の交付金の対象ともなる。 本県としても今後この取り組みが設定されると聞くが、その際、特認技術を広く公募し、検討していくことが、これからの新しい形の環境保全型農業の展開に必要と考えるが、所見を伺う。 また、環境保全を主眼としていく中で、ヒメイワダレソウ、芝桜等、水田の畦畔に植栽し、除草剤等に頼らない緑のあぜづくりは、ゲリラ豪雨等による畦畔の侵食や土砂が排水路に流亡することを防ぎ、被覆植物自体の光合成作用により、二酸化炭素の固定にも寄与するなど利点がある。 畦畔、被覆植物の植栽を農業立県新潟として率先垂範すべきであり、その取り組みが環境に優しい農業、新しい形のエコから始まる農業の実現につながると考えるが、見解はどうか。 以上7点、安定した経済サイクルを強く生み出していく農業施策についてお伺いする。 続いて、商工施策について。 創業から100年以上の長寿企業の割合を帝国データバンクが収録する全国約130万社の企業データベース、2010年8月時点をもとに集計した結果によると、トップは京都府、次いで、我が新潟県1,011社、山形県と同率2位という輝かしい成績をおさめた。創業100年以上、2代、3代と多年にわたり、歴史と伝統の業績を重ね、幾多の苦難を乗り越え、新潟県、日本へ絶大なる貢献をされてきたことに対して心から敬意をあらわしたい。 今こそ、日本で1番の長寿企業県を目指し、長寿企業育成、すなわち、さきに述べた担い手育成という趣旨、主眼において、官民一体となった日本で1番という目標に向かうことこそが、我が新潟県の強く、そしてさらに安定した経済サイクルを生み出していく大きな原動力になっていくという確信する思いで以下の7点をお伺いする。 1つ、企業が持続的発展を遂げ、長寿企業に成長させるためには、経営者があらゆるプレッシャーと絶対的不可能をはねのける強靱な精神力と帝王学を学ぶ機会を提供する必要があると認識する。 2代、3代と永遠に続いていかなければならない新たな担い手に対しての担い手育成支援が必要不可欠と思うが、所見を伺う。 1つ、さらなる企業の体質を強化していくためには、人は宝という観点から、広くすぐれた人材を新潟に集めることが必要であり、これは人口増加策でもあるが、企業人材をターゲットとしたIターン、Uターンの施策の展開や人材育成支援が必要と考えるが、所見を伺う。 1つ、新たな製造機械導入など、設備投資はさらなる効率化やコストダウンが図られるなど、企業の業績、売り上げ向上に直接的な効果を及ぼすものであり、一方では、5年、10年先の将来を見据えたときに、県政での税収アップも大いに期待されるという観点から、設備投資を行う際の金利優遇措置や固定資産税等の軽減措置を県として積極的に実施すべきと考えるが、所見を伺う。 1つ、先端技術の集積地である燕市は、長寿企業県内第6位に位置しており、今後さらなるイノベーションが必要とされている。総じて燕・三条地域における技術の高度化並びに付加価値化への取り組みにおいて、工業技術総合研究所の技術支援が不可欠であるが、顧客満足度の向上を図るために、指導職員のスキルアップや高精度の測定機器への更新等に期待するところでもある。 工業技術総合研究所の今後の機能強化に向けた所見を伺う。 1つ、これからの大国際交流時代を踏まえ、海外市場にチャレンジする企業への支援として、にいがた産業創造機構における海外ビジネスコーディネーターの活動や海外見本市への出展料助成などがあるが、さらなる海外展開の促進に向けて、各種助成金の拡大や地域振興局など出先機関に貿易実務に対処できる身近な相談窓口の開設が有効と考えるが、所見を伺う。 次に、商店街活性化に関連した質問であります。 マイカーの普及率が高い新潟県において、郊外型大型商業施設の台頭により、低迷しシャッター街化してしまっている商店街が散見される。一方で、いま一度活気のある以前の商店街を取り戻したいという若い担い手の熱い思いも聞こえてくる。 地域にあるものを発掘、再発見し、各商店の持つ特色を生かしながら商店街を再生していくことが必要と考えるが、県の支援状況についてお伺いする。 1つ、帝京大学経済学部教授、溝尾良隆氏は、買い物や食事、芸術鑑賞等、都市のさまざまな魅力を対象とした新たな観光の形である都市観光を提唱、推進されている。 観光と商店街のコラボであり、商店街ルネッサンスとも言える考え方であると思うが、これからの商店街の活性化策を考えていく上で都市観光の推進の取り組みも必要と考えるが、知事の所見を伺う。 以上7点、安定した経済サイクルを強く生み出していく商工施策についてお伺いする。 それでは、最終項目、県立武道館についてであります。 平成22年12月定例会、スポーツ振興・健康づくり対策特別委員会大渕委員長報告にて、武道の振興に向けた県立武道館整備の必要について議論され、今定例会において調査費が計上される運びとなったが、その建設地選定方法などについて2点お伺いする。 建設地については、今後さまざまな地域から立候補要望が出てくると思われるが、その建設地の決定に当たっては武道団体、利用団体の立場に立って、交通アクセスや競技人口の集積度等を十分に考慮し、建設地の選定基準と手続等を策定するとともに、パブリックコメントやプレゼン等を公表し、意見交換、事前告知、自由な傍聴はもちろんのこと、会議等のある場合は、会議資料、議事録等の公開やマスコミへの全部公開など徹底して行うべきと考えるが、知事の所見をお伺いする。 また、これからの県の大規模施設の建設地選定においては、こうした手法を基本方針として、これを標準化していくことを強くお願いしたいと考えるところでもあります。 最後に、県立武道館整備をきっかけとして、武道を通じた中において、人格の完成を形成、昇華するという思いにて、県民に対するさらなる武道の普及と武道指導者の養成や資質向上に向けた取り組みなどを一層強化していく必要性があると考えるが、今後の武道振興策について具体的にお伺いをいたしまして、以上、私の一般質問を終了いたします。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 高倉議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず、県央地域における救急医療体制整備についてであります。 救える命を救う、これは行政の中でも最も重要度の高い施策の一つであると考えております。議員と同じ思いで取り組みを進めてまいりたいと思います。 さて、合同会議において県に一任をされた内容ですが、これは残念ながら各地域の利害関係が錯綜しておりまして、今回一任されたのは、あくまでも規模の判断のみということでございます。 設置場所、どういう診療機能を持つかという点については、やはり専門家の先生方、地域の患者さん、住民の合意というものをつくっていくということが大変重要だと思っています。 上意下達で進めようとしても、これは一部強力な反対があれば、救急搬送すらままならないという事態も予想されるわけで、そういった事態はぜひ避けたいと考えております。地元医療関係者、地域住民との十分な意思疎通を行ってまいりたいと思います。 このため県といたしましては、今後、有識者や地元医療関係者などで構成される検討組織を設置いたしまして、医療機関の役割分担、これは救命救急センターだけで地域の医療は完結しませんので、医療機関の役割分担をどう決めていくのか。そして、医療提供体制をどう再構築をしていくのかという具体の協議を進めながら、その中で合意を得てまいりたいと思います。 次に、農業施策についてお答えをいたします。 農業水利施設の適切な保全管理や更新整備に係る予算の確保についてでありますが、先ほども申し上げましたが、やはり食料安全保障を進めていくというためには、この農業施設がしっかりと基盤が形成されていなければいけないということでございます。 さらに、新潟県における農業水利施設の場合は、農業生産を支えるという施設本来の役割のみならず、低湿地に水田をつくってきたという歴史があることから、その後住宅転用された地域等々、多々抱えているわけでございます。住宅地への浸水防止という地域の安全を守る重要な役割も果たしているところであります。 御指摘のように、適切な維持・保全を行っていくということが不可欠であると考えております。 県といたしましては、国においてことし公共事業費が5%留保されておりますので、これを速やかに解除してもらえるよう、要請をしてまいりたいと思います。 また、地域主権、地方分権の観点から、資金使途制限をかけるのではなく、地域の優先順位に応じて選択ができるような国庫補助制度の抜本的な見直しをお願いしたいと考えております。 加えて、今、円高で大変困っております。燕の輸出企業の中にも円高がダメージを与えているところがあるというふうに承知をいたしておりますが、これはリーマンショック以降、各国が金融緩和政策をとったにもかかわらず、日本だけが金融引き締めを維持したということから、円高基調になっていると。財政政策と金融政策を同時に発動した上で、やはり財政支出をふやしていくということをしない限り、この円高はとまらないということだと思っています。 公共事業全体の必要な予算総額、特に被災地の復興に当たって増税するということは、これは論外でありますので、政府におかれては、引き続き予算の総額を円安の中に求めるという対応をぜひとっていただきたいと、この要請を引き続き進めてまいりたいと考えております。 公共事業費全体の確保なくして、今の議員からの要請というのはこたえられない、残念ながら中央が地方を縛るという体系になっております。 次に、圃場整備予算の確保についてであります。 我が国の食料供給基地である本県が、安全・安心な食料、これを安定的に供給をしていくということは、日本の安全保障のみならず、食料不足にさいなまれる世界の国々に対する責務でもあると考えております。 それを実施するためには、やはり農業者が進んで農業に入りたい、また、みずからの後継者について子供に譲りたいという環境をつくっていかなければいけないと思っています。他産業並みの所得が確保できる農業を目指してまいりたいと思います。 このため、経営体の望む優良農地の確保、それから経営体への農地集積を効果的に進めるための圃場整備、これを計画的に推進をしてまいりたいと思います。 いずれにいたしましても、県といたしましては、国において省庁の枠を超えて地方の裁量が確保できる真の一括交付金化を強く求めていきたいと思います。現状は残念ながら同じ省であっても局がかわると予算が動かせないという状況になっております。公共事業全体に必要な予算の総額も確保できますよう、引き続き政権与党の力強いお力をおかりしたいと、このようにお願いを申し上げます。 次に、商工政策についてお答えをいたします。 商店街の活性化策における都市観光についてであります。 議員御指摘の都市観光については、これは成功すれば商店街の活性化に大変大きな影響があると思っています。 県内で成功例を見てみますと、村上の商店街、ただこれは観光だけというわけではなくて、あのお人形さま祭り、屏風まつり等々、地域の人と一体となって、多くの人に来ていただける環境を整えたという部分もあるかと思っています。 また、牧之通りの整備、これも観光ポイントとして大変すばらしいものがあったと。都市景観大賞も先日受賞されたということで喜んでおります。 しかしながら、こういった一部例外を除いて、昔ながらの中心商店街がすべて都市観光できるのだろうかということになると、条件を整えているところは限られているかなという認識を持っております。 中心市街地における商店街の活性化をどう進めていくのかということなのですが、福祉との連動ということも考えていくべきではないかと思っています。これは、柏崎のえんま通り商店街の復興に際して、福祉施設の誘致を行いました。それによって多くの人から訪れていただいて消費を活性化する。 あと、三条で取り組んでいる配送というのも本来あると思っています。これは、来ていただくだけではなくて、必要なところに必要な商品をお届けするということも当然あり得るのですが、現実を見てみますと、採算が合っていないということになっていまして、純粋な商業ということではなくて、福祉との境界領域の事案として考えていく必要もあるのではないかと思っています。 今回、予算でも提案をさせていただいておりますが、買い物難民対策をどう進めていくのかと。商店街の売り上げ、どうふやしていくのか。これは、すべてビジネスということで割り切るのではなくて、中間領域のものに公が関与するという形の活性化策ということも考えなければならないのではないかと思っています。 加えて、県といたしましては、若手経営者の育成や新規参入の促進をしていくことも重要だと思っています。商店街の新陳代謝が円滑に進むように、商店街全体としてのタウンマネジメント手法についても調査研究を始めておりますので、ぜひ成功事例に結びつけてまいりたいと思います。 次に、県立武道館についてお答えをいたします。 まず、今定例会にお諮りをいたしております県立武道館検討調査費についてでありますが、設計をしようという予算ではございませんで、そもそも県立武道館を策定するだけのニーズがあるのかどうかと、必要性も踏まえた調査を実施するという予算でございます。 したがいまして、今回議会の同意が得られれば、ニーズ調査、必要性、施設規模をどの程度のものを目指すのかということを具体的に検討を始めてまいりたいと思います。 建設地につきましては、仮に建設する方向性が示された場合には、当該調査結果を踏まえた上で次のステップに進んでまいりたいと思います。   〔知事政策局長杉山順爾君登壇〕 ◎知事政策局長(杉山順爾君) お答えいたします。 企業の海外展開促進に向けた支援についてでありますが、県といたしましては、これまでにいがた産業創造機構等と連携し、海外見本市への出展支援等を行ってきた結果、昨年度は100社を超える企業が利用しており、今年度においても企業のニーズを踏まえながら支援の充実に努めているところであります。 なお、輸出においては高い専門性が必要とされることから、今年度から輸出入促進の担当参与や各部門のアドバイザーを新たに設置し、企業への戸別訪問や関係者との意見交換を行っているところであり、今後、これら効果も検証しながら、必要な支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。   〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕 ◎福祉保健部長(若月道秀君) お答えいたします。 県央地域救急医療体制整備の取り組み状況についてでありますが、これまでの検討会議であるべき姿の共通認識が図られたことから、県央地域の住民の皆様にその内容を御理解いただき、安全・安心な医療提供体制について、住民みずからが考える機会とするため、6月18日にシンポジウムを開催したところであります。 また、今後の検討組織の設置に先立ち、6月27日に県央地域の医療課題などについて、地元医療関係者などとの自由な意見交換会を開催したところであります。 次に、医師確保対策の今後の取り組みについてでありますが、高度医療や地域医療を担う魅力ある病院の整備や医師の働きやすい環境づくりを進めることが重要と考えております。 県といたしましては、地域の拠点的医療を担い、地域医療研修と最先端の研究機能も備えた魚沼基幹病院(仮称)の整備、ドクターヘリや救命救急センターなど高度な救急医療体制の整備、がん医療など専門的な医療機器の導入支援などにより、医師にとって魅力ある病院づくりを進めております。 あわせて、医師事務補助者の配置や勤務医の多様な勤務制度の導入、院内保育所の運営支援など医師が働きやすい環境整備にも取り組んでいるところであります。 今後ともこのような取り組みを通じ、医師確保に努めてまいりたいと考えております。   〔産業労働観光部長高井盛雄君登壇〕 ◎産業労働観光部長(高井盛雄君) 5点についてお答えします。 まず、企業における次代の担い手育成支援についてでありますが、企業が長年にわたり経営を維持、拡大していくには、経済環境の変化に即応した経営戦略とともに、議員御指摘のとおり、次代の経営を担う人材の育成が重要と考えております。 このため、NICOによる経営革新塾など経営の担い手を対象とした各種実践講座を通じて経営人材の育成に努めているところであります。 また、中小企業大学校の三条校において、後継者等を対象とした経営管理者の養成コースなどを実施しており、こうした人材育成機関や地域商工団体とも連携しながら、企業の持続的発展につながる人材育成をサポートしていきたいと考えております。 次に、県内企業の人材確保と人材育成の支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、県内企業の体質強化のためには、優秀な人材の確保や人材育成が重要と考えております。 このため、県ではUターンサポートデスクによる県内企業と首都圏を中心とした県外在住の第2新卒者等とのマッチングや、外部人材を活用して経営拡大を図る県内企業に対する経費の支援、従業員のスキルアップを図るセミナーや技術指導等を行っているところであります。 次に、設備投資に係る優遇措置等についてでありますが、震災や円高、デフレに伴う厳しい経済環境が続いている中、企業の先行きへの不安がうかがわれるところです。 県といたしましては、企業の積極的な投資需要を喚起するため、設備投資に対する金利を助成するマイナス金利制度を実施しているところです。 また、産業団地等への立地に対しましては、県においては、不動産取得税や法人事業税、市町村では固定資産税等の課税免除など、企業の初期投資に係る税負担を軽減しているところであり、今後とも市町村と連携し、企業の設備投資に対し積極的に支援してまいります。 次に、工業技術総合研究所の機能強化についてでありますが、工業技術総合研究所は、製品開発や品質管理等において技術的課題を抱える企業に対し、現場指導や各種試験、分析、共同研究などにより積極的に支援しているところです。 今後とも各種研修機会の活用による職員の専門性の向上やニーズの高い設備機器の整備等に努め、企業の新技術導入や課題解決のための機能充実を図ってまいります。 次に、商店街の再生支援策についてでありますが、県といたしましては、中心市街地の活性化に意欲的に取り組むモデル地域への支援や雇用対策基金を活用した空き店舗対策を行うとともに、セミナーの開催による若手経営者等の育成や商店街への新規参入を促進するため、収益歩合制家賃の導入支援や新規起業者への助成を行うなど、商店街の新陳代謝が円滑に進むよう積極的に支援しているところであります。 また、商店街の規模や立地条件などがそれぞれ異なることから、地域の特色を生かしたタウンマネジメントの手法について調査研究会を設置し、議論を進めているところであり、その成果を商店街の再生支援に生かしていきたいと考えております。 以上です。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) 4点お答えいたします。 県の観光農業に対する取り組みと成果についてでありますが、県といたしましては、農業・農村における6次産業化の一環として、観光農業関連施設の整備を支援するとともに、商品企画や観光業者との連携など、受け入れ態勢づくりの取り組みを支援してまいりました。 これらの取り組みにより、農作業体験や農家レストラン等の利用者は減少傾向にあるものの、直売・直食などの複数の機能を持つ総合交流施設の利用者は平成21年度では19年度に比べて17%の増加となっており、農業者の生産意欲と所得向上につながることを期待しております。 次に、農業経営者のニュービジネスに対する今後の対応についてでありますが、農業者の所得拡大を図るためには生産だけでなく、加工・販売や観光等を総合的に組み合わせた付加価値の高い農業経営の展開が必要と考えております。 県といたしましては、農業者が主体となった6次産業化を推進していくため、農業体験施設や農家レストラン等の整備、農業と観光業が連携した新商品の開発等、ソフト、ハード両面から支援してまいりたいと考えております。 次に、環境保全型農業直接支援対策の地域特認取り組みについてでありますが、環境保全に高い効果のある地域特有の取り組みを支援することは、地域の実情に応じた環境保全型農業の推進のために必要であると考えております。 しかしながら、本対策の交付金につきましては、地方の裁量が働かない事実上の補助金となっており、地方分権、地域主権の観点から、より地方の裁量が発揮できる制度となるよう求めてまいりたいと考えております。 次に、緑のあぜづくりについてでありますが、被覆植物を活用した畦畔管理技術は、畦畔の侵食防止や除草剤の削減による環境負荷の軽減とともに、農村景観の保全にもつながり、環境と調和した農業を進める上で重要な取り組みと考えております。 このため県では、平成19年度からみどりの畦畔づくり運動を実施し、畦畔被覆植物の活用を推進しておりますが、導入時の労力やコストなどに課題があることから、展示圃の設置や苗の導入支援などを通じて取り組みの拡大に努めているところであります。   〔農地部長米田博次君登壇〕 ◎農地部長(米田博次君) お答えいたします。 圃場整備の工期の長期化による地域農業への影響についてでありますが、圃場整備は経営の効率化や多角化などにより、農家所得の向上に寄与するとともに、農家の高齢化が進む中、新たな担い手の確保や育成に大きな役割を果たしていると認識しております。 工期が長期化することにより、これらの取り組みのおくれが懸念されることから、一層のコスト縮減や重点配分など事業の進め方を工夫しながら、計画的な事業推進に努めてまいります。   〔教育長武藤克己君登壇〕 ◎教育長(武藤克己君) お答えいたします。 今後の武道振興策についてでありますが、トキめき新潟国体の男女総合優勝に向け取り組んでまいりましたジュニア育成システムなどの成果を生かしつつ、現在、部活動への外部指導者の派遣などにより底辺拡大及び競技力向上を図っているところであります。 引き続き関係団体と密接に連携し、武道の充実に取り組んでまいりたいと思います。 ○副議長(中野洸君) 高倉栄君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後2時57分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時15分 開議 ○議長(村松二郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、佐藤卓之君の発言を許します。佐藤卓之君。   〔佐藤卓之君登壇〕(拍手) ◆佐藤卓之君 自由民主党の佐藤卓之でございます。通告に従い、質問をさせていただきます。 まず、3月に発生しました東日本大震災、そして長野県北部地震で被災をされた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 このたびの大震災におきまして、私自身非常に考えさせられることが多くございました。大げさに言えば、今こそ私たち日本人の生き方が問われているのではないか、日本の国づくりが問われているのではないか、そして今こそ政治の役割が問われている、その中で、一県会議員である私にできることは何であろうかと、それぞれの事案について、今も自問自答をしている毎日でございます。 このたびの質問では、主として東日本大震災への対応を通じて、私自身が感じたさまざまな事案について取り上げ、質問をさせていただきます。既に先輩議員が質問された内容と問題意識として重複する部分も多くございます。なるべく重複を避けたいという思いで、私なりの視点で質問をさせていただきますので、御答弁どうぞよろしくお願いをいたします。 大きな項目1番目として、東日本大震災等への対応について7問お聞きをいたします。 県では、3月11日の発生以来、速やかに災害対策本部を設置し、対策本部として約300人規模の体制で対応に当たり、最大で9,000人を超える福島県などからの避難者の受け入れと調整を行ってまいりました。今回の対応について、県民の一人として知事並びに職員の皆様の御尽力に感謝を申し上げます。 私自身、三条市内の避難所や被災地を取引先に持つ企業などを回りながら気がついた点をその都度災害対策本部に対して要請をさせていただきましたが、一言で言えば対応が非常に早かった。言うまでもなく、災害対応においては毎日毎日、刻々と状況が変化していく中で、的確な素早い対応が求められるわけでありますが、その点において県の対応は、さすが近年数々の災害対応に当たってきただけのことはあるなと思わせていただきました。 もちろんすべての物事がうまくいったわけではないでしょうし、反省すべき点、残念ながらできなくて悔やまれた点もあったかもしれません。 そして、現在も福島第一原子力発電所の事故に伴う避難者も含めた支援というものは継続中なわけでありますが、知事はこれまでの東日本大震災における県の避難者への対応について、例えば中越大震災や中越沖地震の経験を踏まえ、的確に対応できた点や今後改めて検討を要する点など、どのように評価しているのか伺います。 次に、避難者の受け入れ等については、県や市町村とともに、ボランティアの方々も避難所の運営などさまざまな面で市町村に協力し、避難者支援を行ってまいりました。市町村によっては、ほとんど行政の直営であったり、避難所となった施設の指定管理業者が避難所の運営者となったところもあるようでございます。 市町村によって置かれた環境、またボランティア団体の存在、いろいろと状況が異なっていた中で、実際にボランティアに参加した方々からは、市町村によって避難所の運営体制などの面で、ボランティア等民間団体との協力状況や活用状況等に違いがあった。そのために個々の市町村ごとに避難者への対応が十分にできた点や、逆に難しかった点もあったようだと。違いがあったと。そして、自分たちが避難者の支援をした経験がそこで終わってしまっては余りにももったいないと。このような声を今後発生が予測されます東海地震など、多数の避難者が発生することが想定される大規模災害のときに、ぜひ役立てていただきたいという声も聞いているところでございます。 県や市町村の対応状況はもとより、ボランティアの活動状況も含め、今回の県内における避難者支援対応について検証・評価を行い、今後の財産としてまとめ、本県のみならず広く情報発信し、今後の災害対応に生かしていくべきと思いますが、知事の所見を伺います。 次に、東日本大震災におきましては、災害弱者と言われる高齢者や障害者が、なれない避難先で死亡する事例が多数発生しているとの報道がありました。特に苦痛など自分の意思をうまく伝えることができない知的障害者の死亡事例を聞くと心が痛みます。 災害時において、このような障害者の避難誘導や避難所における対応は、その生命・安全にかかわるもので極めて重要であります。特に広域避難を要する場合の対応について、あらかじめ県や市町村の防災計画などで明確化しておくことが必要と考えますが、知事の所見を伺います。 また、福島第一原子力発電所事故の収束が見えない状況で、放射線による小学生や乳幼児への影響を不安視し、新たに避難したいとの声も聞かれているようであります。福島県に隣接する本県として、その受け入れについてどのように考えているのか伺います。 ちなみに、いろいろな考えの中では、集団で疎開させたほうがいいのではないかとか、さまざまなことが言われております。やはり安全面では、特に子供たちの安全については、県にはしっかりと考えていただきたいなということをここで要望をさせていただきます。 さて、福島第一原子力発電所の事故に伴い、世界的に日本製品の輸入規制を招く状況となっております。日本からの輸出品は、EUなど諸外国から日本の公的機関による放射性物質の検査証明書を求められており、国はことしの第1次補正予算で、国が指定した検査機関が行う輸出品に係る放射線検査の検査料の補助を行うこととしております。 先ほどの楡井議員の質問に対する知事の答弁の中にもありましたけれども、検査の厳格化というものが今求められているわけでございます。 本県におきましても、工業技術総合研究所に測定器を入れて対応をしているところではありますが、工業製品については、さほど大きな問題は生じていないように受けとめております。 私がお話を伺った三条市内でインランドデポの上屋として業務を行っているある運送会社さんでは、国から指定を受けている検査機関のまた指定を受けて、自社でインランドデポの上屋、つまり倉庫内で放射線の測定を行った上で出荷をしているので、大きな問題は発生しておりませんということでございました。 現状で問題となっているのは、これは静岡県産のあら茶の問題もございましたけれども、農産物や加工食品等の食品ではないかと思います。 工業製品と異なりまして、食品はそれぞれロットごとにサンプルを分析器にかけて、成分を分析した上で汚染されていないことを証明する必要があります。 しかしながら、国が指定をしている民間の検査機関は、ほとんどが東京都内であり、このたび新たに高額の検査機器を導入した県内の民間検査機関2社は指定から漏れております。検査料や輸送コスト、また検査に要する期間が長期化するなど、県内企業等には負荷が大きいことから、その軽減策が必要であると考えております。 工業製品と比べれば、食品等の輸出額はわずかではありますけれども、農産物を初め食品の輸出とは、すなわち日本の食文化の輸出でもあるはずです。 キッコーマンのしょうゆの輸出に際しての苦労というのは、この話は大変有名です。知事も恐らくよく御存じのことだと思いますが、異なる食文化を持つ海外諸外国への食品の輸出は、軌道に乗るまでに長い時間と多くのコストがかかるものであります。 米や果物、米菓、和食用の調味料など、本県においても農産物、加工食品などの輸出に力を入れている、すなわち日本の食文化の輸出に尽力している企業等がある中で、今後、現在の状況が続いた場合には、今までの投資をあきらめ、海外から撤退を余儀なくされるなど、さらなる影響が危惧されるわけであります。 そこで質問いたしますが、例えば県内の民間検査機関を指定し、検査料を補助することなどを国に対して働きかけることが必要と考えますが、知事の所見を伺います。 また、国に働きかけるだけでなく、県独自の支援策が必要と考えますが、いかがでございましょうか、知事の所見を伺います。 次に、東日本大震災の際には、太平洋側の鉄道網や高速道路など道路網が甚大な被害を受けたことで寸断され、被災地への救援物資や燃料を含め、生活必需品等の搬送に影響を与え、住民生活や経済活動面など多方面に大きな影響が生じました。 その際に、日本海側の公共インフラ、例えば本県においては、新潟港や新潟空港、既存の鉄道網、道路網が活用され、被災地域からの避難や被災地域への支援等に重要な役割を果たしたものと考えております。 このようなことから、日本海側の公共インフラ整備は、太平洋側の公共インフラ補完の観点からも必要であり、本県においても日本海沿岸東北自動車道の延伸や磐越自動車道や上信越自動車道の4車線化などを進めていくべきであり、泉田知事もこのたび青森、秋田、山形の各県知事と合同で、国に対して要望を行いましたが、さらなる御尽力をお願いするところであります。 また、被災した企業も含め、東日本大震災を踏まえたリスク分散のための本社機能の一部や物流施設、工場等の分散化の動きが見られるわけであり、実際に引き合いもあると仄聞をしているところであります。 このような企業の受け入れは、新潟県の拠点化や県内経済の活性化、雇用の促進にも寄与するわけでありますから、今後、このような企業の本県への移転、新設を促す観点から、県として支援を行うべきと考えますが、知事の所見を伺います。 大きな項目2点目、柏崎刈羽原子力発電所について4点お聞きをいたします。 まず、1点目として、福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県を初め脱原発を表明する自治体があらわれております。一方で、運転停止中の九州電力玄海原子力発電所については、地元で国による説明会が行われるなど、また、海江田経済産業大臣が佐賀県を訪問し、知事等に運転再開を呼びかけております。そのような中で原子炉の運転再開に向けた動きもあるようでございます。 柏崎刈羽原子力発電所におきましても、ことし8月に1号機と7号機が定期点検のため停止する予定と聞いております。県は運転再開について、県技術委員会での安全性に関する技術的な検証、評価を受けた上で進めるものと考えますが、再開に向けてどのような手順を踏みながら判断を行っていくのか伺います。 また、県技術委員会では、発電施設や危機対応のための周辺施設など、ハード面を中心に検証等が行われていると聞いております。しかしながら、原発における休日や夜間の緊急時対応体制などを初め、ソフト面の検証がしっかりとされているのでしょうか、知事の考えを伺います。 続いて、東京電力は平成23年3月の経済産業省原子力安全・保安院からの指示に基づいて、柏崎刈羽原子力発電所の緊急安全対策の実施状況について報告書を国に提出するとともに、県へも提出しております。提出された報告書には、既に実施した安全対策とともに、今後実施する津波対策などが記されております。 しかしながら、東京電力が示した対応策は、例えば防潮堤の設置が検討されているわけでありますけれども、その高さはいかなる根拠のもとに設定されているのか。また、十分な耐震対策が施された状況で電源車が配備されているか。緊急時に電源車からの電源供給が本当に可能なのか。配管、ポンプなどへのダメージを考慮しているのかなど、十分な安全対策がなされているのか疑問点もあります。 また、そもそも対応策を指示した国の根拠も不明であり、また国策として原子力政策を進めてきたのであれば、その対策に要する経費の負担も国が行うことが必要であり、知事も我が党の斎藤議員の代表質問にそのように答弁をされております。 国の負担は不明確で、電力会社の負担ばかりかさみ、防潮堤の設置に関しては、情報が二転三転しております。対策が具現化されるのか疑問も残るところであります。 新潟県の原子力発電所の安全管理に関する技術委員会においても検証がなされていると聞いておりますが、県は東京電力が講じることとしているこの対策について、どのように評価しているのか伺います。 この項目の最後ですが、今回の福島第一原子力発電所事故に際し、緊急事態において気象条件や地形情報などから放射性物質の環境への拡散を地理的、数値的に予測するシステムとして、SPEEDIと呼ばれる緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムがあるわけでございます。 柏崎原子力発電所におきましても、万一過酷事故が、シビアアクシデントが発生した場合には、当日の風向き、風力などの気象条件によって、福島と同じように放射性物質の飛散による影響が当然のことながら危惧されるわけであります。 今後、県の防災計画の見直しを行っていくということでありますが、あらかじめこのSPEEDIを活用して防災計画を見直すべきと考えますが、所見を伺います。 大きな項目3点目、再生可能エネルギー政策について5点お聞きします。 東日本大震災や福島第一原子力発電所事故などに起因し、生じる電力不足対応や今後のエネルギー対策の一つとして、低炭素社会の実現にも大きく貢献する太陽光発電は、今後全国的にも普及すると考えられます。 本県の太陽光発電の普及促進のための施策としましては、昨年の6月定例会でもお聞きしたわけでありますけれども、私の質問の趣旨は、まちの電気屋さんや工務店さんがセールスマンになって宣伝してくれるような制度でなければ普及は進まないし、県内経済の活性化にもつながらないのではないかというものでした。今もその考えは変わりません。 新潟版のグリーンニューディールがスタートして1年になるわけでありますけれども、その後も含めて、本県の全国比較の中での太陽光発電の普及状況について伺います。 次に、県では、このたびの6月定例会に家庭用太陽光発電のさらなる普及に向けた予算を提案しております。この事業内容と特色、期待される効果等についてお伺いします。 3点目として、知事は昨年の6月定例会においてメガソーラー発電所の建設意義等について、雪国においてもビジネスとして成立することを示したいとされておりました。 昭和シェル石油と共同で取り組み、昨年8月から運用されているメガソーラー発電所の電力量など運用状況はどうなっておりますでしょうか。 4点目として、地熱発電についてお聞きいたします。 本県では、平成21年度にバイナリー地熱発電導入の可能性調査を行い、これを受けて実証実験を始めております。 この可能性調査の内容や現在の実証実験の状況を伺うとともに、県として地熱発電の可能性をどのように考えているのか伺います。 この項目の最後に、エネルギー政策につきましては、再生可能エネルギーのみならず、再生可能エネルギーと原発や既存の発電方法等を組み合わせ、また、省エネと節電の組み合わせなど、複合的な方法が必要であります。 県では、再生可能エネルギー施策を進めておりますが、再生可能エネルギーの導入目標など、今後のエネルギー政策について知事の所見を伺います。 大きな項目4点目、きずなづくりと個人情報保護についてお伺いいたします。 今回の東日本大震災におきましては、人と人とのきずなの重要性が改めてクローズアップされているところでございます。 本県におきましても、本年2月定例会において、議員発議により家庭及び地域社会におけるきずなづくりに関する基本理念を定める新潟県人と人との絆きずなづくり条例を提案し、3月29日付で公布、施行されているところであります。 しかしながら、個人情報保護法などに基づく個人情報保護を理由とした行政の対応が、このきずなづくりの支障となっていないかと以前から危惧をしていたところであり、例えば視覚障害者に対して市町村の広報紙などの音声訳を行っているボランティア団体に対して、行政側が視覚障害者の住所、氏名などの情報を提供することができないという問題について、昨年の厚生環境委員会で取り上げさせていただきました。 また、新規に起業した法人の情報が行政から提供されないために、商工会議所が組織率を上げようとしても難しい面があるという相談を受けたこともございます。 このたびの東日本大震災におきましても、ボランティアに対しての災害時要援護者に関する情報提供に制約が生じ、障害者の方に十分な支援が行われていないとする報道もなされております。 河北新報は、5月30日の社説において、同法は個人情報の保護のみを主眼にしているわけではない。円滑な利用を図るためのルールづくりも立法の趣旨だった。だが、目につくのは情報の収集と提供の双方での萎縮と過剰反応。その結果招いた社会の匿名化といったマイナス面ばかりだと論じております。 個人情報の悪用を防ぐための個人情報保護法と保護条例の重要性は言うまでもないわけでありますけれども、このような運用では、きずなづくりにおいて支障となるばかりか、個人情報の価値の上昇が犯罪の誘因にもなっているのではと案じられる面すらあり、むしろ法と条例の趣旨に対する誤った解釈が、社会のきずなを断ち切る要因となっているのではないかと危惧をしております。 本来、個人情報保護法や個人情報保護条例は、個人の権利、利益の保護を図るとともに、個人情報の有用性のバランスを図るものであり、国もそのような認識から、いわゆる過剰反応が一部に見られます。法律を正しく理解し、個人情報を適切に管理しつつ、上手に活用することが大切ですとの文言を織り込んだ内容のパンフレットを作成し、啓発活動もしております。 私としましては、本県における絆きずなづくり条例の趣旨も踏まえた中で、県も県民や市町村に対して、個人情報の有効活用について積極的に啓発活動を行うべきと考えるわけであります。 そこで、お聞きいたしますが、弱者支援を初め、きずなづくりにおいて行政による個人情報の有効活用が重要であると考えますが、知事の所見を伺います。 大きな項目5点目、県央地域の医療体制の構築についてお伺いいたします。 県央地域の医療体制の構築に向けた取り組みの一つとして、この6月に県央地域医療シンポジウムが開催され、私も出席をさせていただきましたが、非常に有意義なものであったと感じました。 その際に、地域医療提供体制の再編には、地域住民を含めた丁寧な議論が必要だという意見も出されるなど、今後も地域住民の関心度を上げるために、このような取り組みの継続が必要だと思います。今回のシンポジウムの評価と今後の取り組みに関する所見をお伺いいたします。 また、このシンポジウムの中では、質疑応答の時間に聴衆の中から、県央基幹病院構想の中で加茂病院が廃止されたり、縮小されたりするのではないかという懸念の声や、老朽化が著しい加茂病院の早期改善を望む声もありました。 県央基幹病院構想と同時に、周辺病院も含めた県央地域全体の医療提供体制の将来像についても速やかに議論を進めていく必要性を痛感したところでございます。 その上で、地域住民の不安の解消のためにも加茂病院、そして吉田病院、2つの県立病院の老朽化に対して早急に対応していくべきものと考えており、知事の積極的な対応を期待するものであります。 通告の順番を1つ入れかえますけれども、通告の3番を先にお聞きいたします。県央基幹病院に関する今後の議論におきましては、昨年の12月定例会で、本年度は県央医療圏の具体的な救急医療提供体制について早期の合意形成を目指すと答弁がございました。 今後の議論に当たっては、現場の医療関係者の声を聞き、反映させ、地域の医療資源の不足している部分を補っていくことが重要であると考えます。 先ほどの答弁の中で、6月27日に医療関係者との会議を持ったという答弁もございましたが、今年度の議論の進め方について、どのような形でどの程度まで行うのかをお伺いいたします。 私自身も27日以降、ある医療関係者からこういう声を聞きました。いつまでも同じ議論ばっかりしていられないよね。という声であります。県には、今年度しっかり頑張っていただきたいということをお願いを申し上げます。 最後に、県央基幹病院の構想に当たりましては、ことし具体的な中身に入っていくはずでありますので、私も初めて言わせていただきますが、例えば、新潟県の県立病院の中には、がんセンターや新発田病院に関しましては、併設されるリウマチセンターがありまして、専門性や地域の医療実態を考慮して特色のある病院運営がされているわけでございます。 全国的に見ましても、10を超える県立病院を運営している都道府県は、新潟県と岩手県だけだと思います。大半の都道府県は、例えば、がんセンターであるとか、静岡県では、有名ですが、こども病院ですとか、民間では採算が合わないような特定の疾患であるとか分野に関して、公的にしっかりとやるべきだろうという思想で県立病院が運営されているようでございます。 県央地域の医療資源の実態を考えますと、特に小児科医の不足が言われているわけでございます。県央地域では、小児救急を含めて小児医療の充実が必要と考えますが、知事の所見をお伺いし、一般質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 佐藤卓之議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、東日本大震災の避難者への対応の評価についてであります。 本県では、発災後早い段階から全国で最も多くの避難者を全30市町村で受け入れ、対応してまいりました。 本県県民の皆様方の心のこもった温かい対応に、多くの方々から感謝のお言葉をたくさんちょうだいいたしております。 数度にわたる災害で全国から支援をいただいた御恩返しをしたいという県民の皆様の思いを背景に、これまでの経験が生かされたものと考えております。県民の皆様を初めボランティアや市町村職員の方々など、災害対応、避難者の受け入れに携わっていただいたすべての皆様に感謝を申し上げたいと思います。 次に、県内における避難者支援対応についての検証・評価についてでありますが、災害対応について情報発信をしていくということは、これまで数々の地震、水害等を経験しました本県の責務であると考えております。 議員御指摘のとおり、今後、今回の対応について検証・評価を行ってまいりたいと思います。その結果については、広く今後の災害対応に生かしてまいりたいと思います。 次に、障害者の広域避難への対応についてであります。 議員御指摘のとおり、県や市町村の地域防災計画などで明確化することが必要であると考えております。今後具体化に向けて取り組んでまいります。 次に、新たな避難者の受け入れについてであります。 新潟県内では、現在も乳幼児から小中学生まで、大学生、それから未成年者を含みません。までで約2,000名を受け入れております。 特に放射能の影響を心配される親御さんの不安、これはもっともであります。したがいまして、引き続き借り上げの仮設住宅の提供等による受け入れを進めてまいりたいと思います。また、よく御要望をお聞きしながら、さらなる対応も検討をしてまいりたいと思います。 なお、被災県におきましては、できるだけ地元に残ってほしいという行政の希望もございます。また、地域を復興していくための住民、働き手というものがいなければ、地域復興もならないという部分がありますので、そういったお気持ちにも十分配慮した対応をしてまいりたいと思います。 次に、県内企業の負担軽減策など国への働きかけについてであります。 今回の原発事故に伴う諸問題についても、これまで北海道東北地方知事会や東北の日本海側の3県とも連携をして対応を進めているところであります。国の責任で解決すべきこと、これは国でしっかり対応してほしいと要望してきているところであります。 県といたしましては、輸出品に係る検査費用の負担軽減など、企業支援については、国と東京電力に対応を求めてまいりたいと考えております。 次に、県の独自支援についてでありますが、原発事故に伴うものは、国が支援策を講じていかなければならないというふうに考えております。しかしながら、迅速な対応が必要ということから、県としても十分状況を把握をした上で支援をしていく必要があると考えております。この基本的な考え方にのっとって対応を進めてまいりたいと思います。 なお、支援に係る経費については、本来的には国と東京電力に負担を求めてまいりたいと考えております。 次に、東日本大震災を踏まえた企業のリスク分散の動きに対する対応についてであります。 大変な被害を受けられた被災地におきまして、復興を必死で進められている、懸命に取り組んでおられる皆様、企業に対して、こちら側から移転を促すということは慎んでまいりたいと考えております。 一方で、先方から支援要請があった場合については、これは真摯な対応等に努めてまいりたいと思います。 拠点を分散してリスクを減らす動き、これは被災地に限らず、一極集中している首都についてもあるというふうな認識を持っています。県では、BCP、事業継続計画を考えている専門機関とも連携をいたしまして、2度の震災を経て培ってまいりました危機管理ノウハウ、これを本社機能が集積する企業、首都圏等の企業にも情報発信をしているところであります。今後もこうした取り組みにより積極的な誘致に取り組んでまいりたいと思います。 次に、柏崎刈羽原子力発電所についてお答えをいたします。 まず、1号機、7号機の定期検査後の再起動に関する判断についてであります。 柏崎刈羽原子力発電所の定期検査後の運転再開については、技術委員会の判断を尊重してまいりたいと思います。その上で予断を持たずに対応してまいりたいと考えております。 次に、柏崎刈羽原子力発電所の緊急時対応体制等のソフト面の検証ができているかというお尋ねでありました。 技術委員会は、今回の東京電力の緊急安全対策などにつきまして、夜間訓練の確認などソフト面の検証を行っております。 しかしながら、本来、福島の原子力発電所の事故の実態が明らかにならなければ、それで十分なのかということは評価できないということだと思っています。安全上十分な検証と言えるのか、現時点では判断できないものと考えています。 次に、緊急安全対策の評価についてであります。 今ほどもお答えをいたしましたが、やはり福島第一原子力発電所の事故の実態、これを検証していかなければ、そもそも安全と言えるのか、これは判断できないものであります。 技術委員会においても、緊急安全対策については議論が継続している状況であり、評価ができる段階ではないと考えています。 次に、防災計画の見直しに際してのSPEEDIシステムの活用についてであります。 このSPEEDIシステムってどういうものかといいますと、放射性物質が一定期間に限定される場合に、短期的にどのように放射性物質が移動するか予測するものであります。 今回の福島第一原子力発電所の事故を見ていますと、やっぱり何回か放出が集中した時期、これについての予測というのは意味があるということになりますが、事故の対応によって連続的に放射性物質が放出をされるということになると、SPEEDIの予測というのはやはり限界があると。 すなわち、気象条件が常時変わっていく中で、短期間の飛散状況だけ予測すればいいという事故だけなのかということについては、やはりよく考えないと、SPEEDIを活用すれば何でも対応できるということには必ずしもならないということだと思っています。 詳細については、防災局長から御説明をいたします。 次に、再生可能エネルギー政策についてお答えをいたします。 まず、家庭用太陽光発電の普及事業についてでありますが、当事業は、次代が将来のエネルギーを選択できる環境を整えていくということを目標にしております。この目標に向かって導入を進めてまいりたいと思います。 具体的な事業内容については、産業労働観光部長から御説明をします。 次に、今後のエネルギー政策についてであります。 県といたしましては、次代がどのエネルギーを選択するかを選べる環境を整えていくことを政策目標として、再生可能エネルギーの導入に努めてまいりたいと思います。 今後も次の時代のエネルギー・産業政策の選択の幅を拡大させるため、新潟版グリーンニューディール政策の取り組みを加速させてまいりたいと思います。 次に、きずなづくりと個人情報保護についてお答えをいたします。 個人情報の活用につきましては、災害時要援護者名簿の整備などで取り組みを進めているところであります。特に議員選出の三条市においては、先立って逆手上げ方式を取り入れていただいたということで、一つの回答のあり方ではないかと敬意を表しております。 一方で、議員御指摘のとおり、この個人情報保護法の使われ方というのが、少し現場を萎縮させている面があるというふうに考えております。これは震災を経験した直後、中越大震災という意味ですが、政府に法改正を要請しました。その結果、ガイドラインの修正で、本人の役に立つときはどんどん使ってほしいというガイドラインに変えてあるにもかかわらず、やはりこの個人情報の使い方で萎縮をしている現状が改まらないということだと思っています。 地域のきずなづくりや障害者の方などの利益につながる事柄についても、やはり抑制的にしか現場が動いていないという現状があると思っています。個人情報保護制度は適切に運用し、行政が保有している個人情報も有効に活用できるようにすべきであると考えています。 ガイドラインで改まらなければ、やはりもう一度法改正を考えてみてもいいのではないかと考えています。 次に、今後の議論の進め方についてであります。 高倉議員の一般質問にお答えをしたとおりでございますが、有識者や地元医療関係者などで構成する検討組織を設置してまいりたいと思います。その上で、医療機関の役割分担や医療提供体制の再構築などについて検討してまいりたいと考えております。 本年度中を目標に、地域全体の具体的な医療提供体制の合意が図られるよう、取り組みを進めてまいりたいと思います。 次に、県央地域の医療体制の構築についてお答えをいたします。 まず、特色を持った病院の設置についてでありますが、地域全体の具体的な医療提供体制については、有識者や地元医療関係者などの意見を聞きながら検討を進めていくことが大切だと考えております。 検討に当たりましては、県央医療圏における小児医療の状況も踏まえまして、小児医療の充実が必要との議員の提案も一つの参考とさせていただきたいと思います。   〔防災局長飯沼克英君登壇〕 ◎防災局長(飯沼克英君) お答えします。 防災計画の見直しに際してのSPEEDIシステムの活用についてでありますが、現在のSPEEDIシステムは、放射性物質の放出量と風向きから短期的な拡散予測を行うものです。今回の福島の事故のように放出が長期にわたるようなケースは想定されていません。 福島の事故の場合、水蒸気爆発など瞬時に大量に放出されたときは、そのときの風向きの影響を受け、特定の方向に拡散しています。しかし、いまだに放出が続いている結果、結果的には全方向に拡散しております。 現行のSPEEDIシステムの予測結果だけをもって住民避難の計画を見直すことには限界があるものと認識しております。   〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕 ◎福祉保健部長(若月道秀君) お答えいたします。 県央地域の医療体制に関する地元住民との議論の必要性についてでありますが、地域全体の具体的な医療提供体制の構築には、地域住民や医療関係者、行政の合意が不可欠であります。このたびのシンポジウムで約100名の地域住民の皆様に御参加いただき、これまでの検討経過を説明するとともに、今後の方向性を考えていただく契機とできたことは有意義であったと認識しております。 今後とも引き続きこうしたシンポジウムを開催し、地域住民への積極的な情報提供と理解促進を図ってまいります。   〔産業労働観光部長高井盛雄君登壇〕 ◎産業労働観光部長(高井盛雄君) 4点についてお答えします。 まず、太陽光発電の普及状況についてでありますが、平成22年12月31日現在の住宅における導入件数は5,039件、普及率は0.87%であり、全国順位では件数で39位、率が44位となっております。 また、当県では全国初の商業用メガソーラー発電所を設置するとともに、助成制度などにより工場等への太陽光発電の導入支援を行っております。 次に、家庭用太陽光発電の普及事業の内容についてでありますが、当事業は家庭の太陽光発電設置に係る負担軽減を図り、県内における普及を加速させることを目的としています。具体的には、県が信用補完することなどによる金利と設置費用の低減が図られるビジネスプランを民間事業者から募り、モデル的に広く展開していくことでその効果を検証することとしております。 次に、メガソーラー発電所の運用状況についてでありますが、平成22年9月から本年5月までの発電実績は、当県の日射量等を踏まえて算定した期間内における計画発電量の約50万7,000キロワットアワーに対し、約63万キロワットアワーとなっております。 計画に対する発電割合は124%となっており、年間発電量で推計すると約110万キロワットアワーとなり、太平洋側と比べても遜色ないものと考えております。 次に、バイナリー地熱発電の可能性についてでありますが、平成21年度の調査では、導入可能性のある温泉地の選定や事業性等についてまとめたところであります。この調査を契機に松之山温泉において実証研究が行われ、本年11月に稼働が予定されております。 全国で3番目に温泉地の多い本県にとって、地熱発電は地域の資源を生かした再生可能エネルギーの一つになると期待しているところであります。 今後、実証結果を踏まえながら、県内他地域での導入促進に努めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(村松二郎君) 佐藤卓之君の質問は終わりました。 次に、金子恵美君の発言を許します。金子恵美君。   〔金子恵美君登壇〕(拍手) ◆金子恵美君 自由民主党の金子恵美でございます。 東日本大震災発生後、間もなく4カ月がたとうとしている現在も、なお行方不明者の方々が8,000人余、避難所で不自由な生活を強いられておられる方々が12万5,000人、そしていまだ一向に進まない復旧・復興を思うと心痛むばかりでございます。このたびの震災で犠牲になられた数多くの方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。 さて、4月の統一地方選後の定例会において、早々に質問者の一人として登壇の機会を得ましたことに感謝しつつ、以下通告に従い、4点について順次お伺いしたいと思います。知事初め執行部の皆様にはよろしくお願い申し上げます。 私は、先般の2月定例会において、県のがん対策推進計画に関連して、がん診療の連携拠点病院における相談支援センターの充実について伺いました。 福祉保健部長からは、各拠点病院とも専従・専任の相談員が2名ないし3名配置され、がん患者やその家族に対する相談支援業務に従事している。また、全拠点病院の合計相談件数もがんアクションプランの目標件数を達成しているとの御答弁をいただき、計画達成に向けての御努力を感じ得た次第であります。 その際、時間的制約もあり、詳しくお聞きできなかった相談支援体制を支える専門職員、とりわけ医療ソーシャルワーカー、MSWについて今回はお尋ねいたしたいのです。 患者、家族の皆様の多くの声は、相談窓口の拡充はもちろんではありますが、そこに医療上のみならず、生活上、福祉上、ケースによっては、精神心理上の問題にも幅広く対応できる専門職を配置してほしいということであります。 医療そのものに関してに加え、生活や福祉の視点あるいは精神的、心理的な面にまで及んで本人、家族と一緒になって考え、支援できる専門職が望まれるのは当然のことと思います。 御案内のように、この医療ソーシャルワーカーは社会福祉法人の病院には配置義務が法的に規定されているものでありますが、医療の中で生活の質の向上が問われる時代となり、また患者、家族の実態の変化からも治療一辺倒では完結することが困難な時代に入り、今後とも医療機関には一般的に医療ソーシャルワーカーの必要性が問われてくるものと私は考えております。 そこで、御質問いたしますが、まず本県においては、その配置の現況はどのような実態になっているのか、お伺いします。 次に、私は少なくともがん診療連携拠点病院を初め、地域の拠点となる医療機関には配置されることが望ましいと考えますが、県の医療行政としてはどのようなお考えでいられるのか、お伺いいたします。 なお、この医療ソーシャルワーカーについては、現時点では診療報酬上の位置づけが明確にされることが望まれている段階にあります。 したがって、それまでの当面の間は、今ほど申しました地域の拠点的病院における配置・配備に限ってでも、県医療行政としての積極的な支援策をぜひ御検討いただきたいと願うものですが、そのような御意思がおありか否か、お聞かせいただきたいと思います。 次に、いわゆる療養病床問題について伺います。 この問題につきましては、2006年に医療保険適用の25万床、介護保険適用の13万床、合わせて38万床を15万床まで削減するという計画が発表されました。以来、市町村議会を含め、地方議会におきましても種々議論されてまいりました。 私も、当時多くの方々が心配されており、その後の行き先や居場所に不安を感じられていることから、新潟市管内における状況をお尋ねしたりしたものです。 その際の市執行部の答弁は、退院につながる方も想定されることから、現在入院している方やその御家族の中には、不安を感じている方も多いものと考え、市としては、介護療養病床が他の介護施設に円滑に転換されるよう医療機関に対して国の助成金制度や優遇融資制度など情報提供を行っていくとともに、新たに整備する施設での受け入れも踏まえ、次年度以降の整備計画を着実に進めていく。また、退院され、在宅に戻る方についても安心して日常生活が送れるよう必要な医療・介護サービスの充実に努めていくというものでした。 政府においては、世論の動向もこれあり、削減幅を15万床までから22万床までに緩和いたしましたが、緩和後におきましても医療難民、介護難民の声はやむことはありませんでした。しかし、その後、関心、議論が率直に言って衰微していった感は否めません。 新政権になって、当初の削減方針、平成23年度までの削減計画がどのように取り扱われるかについては必ずしも明確ではなく、また国民に十分周知されることもなかったためか、関係する入院患者及びその家族は、依然として不安のままに時の経過を待つほかなかったのであります。 そこで、今回は確認的な意味で直近時点での御答弁をいただきたくお伺いするものであります。 第1点は、本県における療養病床の現状はどのように推移しているのでしょうか。とりわけ介護型病床の減少や転換はどのようになっているのでしょうか。 2点目は、削減計画において、いわば受け皿とされました老人保健施設や老人福祉施設あるいは在宅の看護や介護の整備や拡充は進展を見ているのでしょうか伺います。 保険財政の負担増を回避したいがため、療養病床にかわる老健や特養施設等の整備が抑制されることは、あってはならないものと考えます。 3点目は、本年6月、介護保険法等が改正され、現政権においても削減計画は凍結ないし廃止することなく、介護療養病床の廃止期限が2017年度末まで延長されましたが、これに伴い、国から県へ今後の介護療養病床の具体的な削減計画は示されているのでしょうか伺います。 いずれにいたしましても、この療養病床削減問題は、医療型であれ、介護型であれ、現に長期の入院を余儀なくされている方々、あるいは、そのおそれのある患者、家族にとっては最大の懸念事項であります。単に医療上の必要度の高低という一点のみで医療難民と化するというような事例が生じないよう対応をお願いしたいと考えますが、療養病床削減について県としてどのような方針で臨まれるのか、知事の御所見をお伺いし、この項を終わります。 次に、がん対策に関して伺います。 平成20年7月に策定されました県のがん対策推進計画を着実に推進するため、特に重点的に取り組むべきものとして、1、たばこ対策、2、がん検診、3、がん医療の均てん化に関する取り組みを掲げたがんアクションプランが21年に策定されましたことは周知のとおりであります。 このたび、そのアクションプランが一部改定され、いわば23年度版が示されましたが、その中で、がん予防としてのたばこ対策に関して、新たに女性喫煙率の減少のため、普及啓発や禁煙支援を図ることが独立した項目として取り上げられております。 私自身は、科学的根拠となるような客観データは持ち合わせておりませんが、男性喫煙率が減少傾向であるのに比し、女性喫煙率は増加傾向にあるやに聞いておりますので、このたびの一部改定は時宜を得たものと評価しておるところであります。 具体的には、現状の喫煙率9%台を平成24年に5%に減少させる目標となっていますが、その達成は容易ならざることと思います。中学生や高校生段階の女子に対する対応は、主として学校教育現場における生活指導、生徒指導にかかわることですし、成人女性につきましても女性に限った対応には、さまざまな困難が予想されます。 そこでお聞きしたいのは、アクションプランの目標達成のために、保健医療行政としては女性への普及啓発や禁煙支援の具体的手法をどのように展開されていくのかでありますので、お考えをお伺いいたします。 なお、このアクションプランには引き続き女性特有のがん検診に推進の2文字が追加され、女性特有のがん検診推進事業が掲げられていることにも大いに期待するところであります。 近年、この面でも県の御努力により前進が図られていることは、多くの女性が感じているところであります。その一方で、クーポン券発行などの臨時的な措置や対策が終わった、いわば平常時、平常年度では、どのような対策となるのかを心配する向きも多いのも事実であります。 もちろん推進事業の具体的展開に当たっては、市町村を初め関係者との連携が不可欠であることはわかりますが、アクションプランを一読しても、その具体的イメージが浮かばないのは残念であります。 この問題に関心をお持ちの多くの女性への周知のためにも、女性特有のがん検診推進事業の本年度の執行内容、とりわけ前年度、前々年度との相違点や進展した部分をお尋ねいたします。市町村等との協議が未調整の段階であれば、おおよその見通しで結構ですから、お答えいただきたいと思います。 なお、この推進事業については、市町村保健師の活動強化策や受診勧奨マニュアルの提供など、市町村に対する指導、支援を創意工夫していただくことを要望しておきます。 農業問題に関して2点伺います。 まず、農産物直売所についてお伺いいたします。 先般、直近2010年現在の県内直売所の調査結果が明らかとなりました。直売所数は2008年の602カ所から638カ所へ、年間販売額の総額は59億円から96億円余となり、箇所数はともかく、販売額総計においては大きく伸長しており、望ましい方向にあると思われます。 年間販売の総額を押し上げた主たる要因は、年間売上高1億円以上の大型直売所の寄与によるもののようですが、私はこの直売所の売り上げ規模というものは、一般企業や小売店舗におけるそれとは違い、単なる売上高の意味ではないと考えています。 それは、売上高の背後にある生産者の結集度合いや農地の利用集積、そして、それぞれの生産者の役割分担の程度までをも類推させるものと考えます。そして、そのことが顧客である消費者の利便性や満足度をも推測させるものとも考えます。 その意味において、県農政としても直売所の充実、とりわけ直売所1カ所の販売規模の拡大に政策的に努めるべきものと考える一人でありますが、県農政としては、この点に関してどのようにお考えでしょうか。 ちなみに、2006年度調査時点においては、全国の平均規模3,387万円に比し、本県は小規模915万円であったようですが、2010年の本県の状況はどのようでありましたでしょうか。また、それに対する評価をあわせて伺います。 今後ますます直売所が地域における農産物販売の拠点、地域農業活性化の一つの核となることが期待される中、うまさぎっしり新潟「食のプロデュース会議」、直売所プロデュースにおいても、直売所を活用した新潟県農業の方向性への具体的提言がなされたところであります。 その直売所形式が、農家所得を確保し、農業経営のさらなる活性化につながっていくためには、まず1つには、安定的供給体制の整備が求められます。品種、品目に大きな偏りが生じないよう、また、消費者の多様なニーズにできるだけこたえ、年間を通して一定の品ぞろえを確保できるような継続的な生産体制の構築を進めていかねばなりません。 加えて、最近は消費者の安全・安心志向が強いため、トレーサビリティー、栽培記録や原産地証明などを付記するなど、生産管理を徹底させることも必要であります。 これらを踏まえ、出荷者に向けた指導、普及支援に、県としてもかかわっていくべきと考えますが、この点についての御見解をまずお伺いしておきます。 次に、加工品の開発・販売の拡大についてでありますが、現在、直売所での加工品の取り扱いは、一部では見られるものの、地域特産品を活用した商品や観光客向けの加工品については、販売の充実を図るべきとの指摘もあります。 地元食材を生かした加工品の開発・販売拡大のため、生産者と加工業者との連携に行政の支援も必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。 また、今後直売所のさらなる発展を図るには、近隣地域のみならず、県外をも視野に入れて集荷機能から受注機能、出荷機能、請求・代金回収機能の強化・充実を図ることが必要となるものと考えます。 そのためには、これらを一貫、一体化し、独自の経営戦略を立案し、特色ある店舗展開を行い得る直売ビジネスリーダーが必要であると言われますが、県として、そうした人材育成のための専門的な研修の機会を提供するお考えはありますでしょうか、お伺いします。 次に、米粉普及についてお伺いいたします。 過日、南区根岸地区農業農村を考える会が開催され、知事より「今後の県農業への思い」と題した御講演をいただきましたが、その中でも米粉についての普及、可能性についてお話しされておられました。 米粉問題につきましては、これまでも種々議論されてまいりましたし、また通称米粉・エサ米法、正式には、米穀の新用途への利用の促進に関する法律も制定されましたことは御承知のとおりであります。 私は、この用途拡大政策は、単にお米、米穀の新しい用途への利用促進という観点からだけではなく、水田という国土の公益的機能の維持という視点や国産自給資源の供給確保という意義、また、米生産の潜在生産力の発揮、農村地域の創意工夫や活力回復など、さまざまな観点から有意義であるととらえており、普及目標が達成されますことを願う者の一人であります。 私は、この問題に関するこれまでの議論は、原料米生産という生産サイドに対する支援・助成の観点からのものを中心になされてきたように思いますが、米粉の6次産業としての将来性を視野に入れ、生産農家の皆様が取り組む上での御心配なり、御不安が少しでも解消できればと考えて、多岐にわたって恐縮ですが、以下質問いたします。 まず、第1点は、商材・商品開発に関してであります。 米粉問題に関する立場を消費者あるいは需要家のサイドにおいて考えてみますと、やはり普及の第1の課題は、新商材、新商品の開発となるものと思われます。既に米粉パン、米粉ピザ、米粉ケーキなどが消費市場に登場いたしましたが、いずれも小麦原料の代替商品であります。 そのような小麦代替商品でも構いませんし、米粉本来の価値を生かした米粉冷やしめんや米粉パスタ、米粉ヌードルなどの新商品のいずれでも結構ですが、このような商品企画への取り組みの現状はどのようになっておりますでしょうか。 2点目の質問は、流通販売ルートに関してであります。 米粉パンについては、もちもち食感で好評とか、米粉ケーキについても、好評につき当初の販売期間を延長したとか、いろいろ報道されておりますが、そのほとんどがスーパーやコーヒーショップという場においての販売動向であります。 これから政府としても国全体で小麦輸入量500万トンの10%にも相当する量を米粉でという普及目標ですから、種々の流通販売ルートが考えられ、想定されているものと考えますが、まず、政府の想定について、次に、新潟県としての想定はどう展望されているのか、それぞれお伺いいたします。 3点目は、製造加工の過程、プロセスに関してであります。 当然のことながら、製粉加工については極力集約されることがコストの点からも望ましいものと思われますが、新潟産米穀についてのいわゆる製粉会社等との関係の現状と今後をどのように考えておられるのでしょうか。生産農家の方も中長期的にどうなるのか御心配されていますので、お尋ねいたします。 4点目の質問は、最大の現実的問題とされる原料としてのコスト格差、とりわけ小麦原料との価格差の問題に関してであります。 この点については、既にさまざまな指摘がなされており、ここではるる申し述べることはいたしませんが、中間省略で結論的に言えば、米粉用米穀の低コスト生産や多収穫品種の開発などを早急に先行させる必要があるということであります。 私は、このような生産者の生産環境の条件整備の役割機能こそ、県農政が主導的役割を担うにふさわしい分野と思いますが、その対応についての考えをお答えいただきたいと思います。 最後に、生産者には収穫物の加工引き取り業者や現実に商品化する事業者との契約等が必須不可欠でありますが、私はこのような生産と消費、供給と需要を結びつける、いわばコーディネーターとしての機能を冒頭にお尋ねした商品開発機能と同様に、県行政に大いに期待するものでありますが、知事はいかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。 以上5点、米粉に既に取り組まれている、またこれから取り組まんとされる生産農家の方々が、少しでも安心できるためにする中長期的な将来に及ぶ視点からの質問でありますことを重ねて申し添え、次の質問に移ります。 次に、消費者行政についてお伺いいたします。 2009年6月に消費者行政関連3法が公布され、はや2年を経過いたしました。その間、国においては消費者庁が発足し、県にあっては消費者行政課の誕生を見ましたことは御承知のとおりであります。県当局には、引き続き消費者行政の可能な限りの一元化に向けた御努力をお願いするものであります。 このような体制整備は、国、県ともに旧来の消費者行政の大転換を図ろうとするものであり、以降、期待を持ってその動向が注目されてまいりました。 しかしながら、その消費者庁の設置を見たことが契機となり、消費者行政機構の再編が検討される動きに及び、これまで消費者相談に奮闘してきた国民生活センターを消費者庁に統合する案が議論されるに至りました。 私は、形式上は独立行政法人とはいえ、国民生活センターのような第一線の苦情対応を初めとする広範な直接相談機能を持った組織、機関こそが、消費者にとっては欠かせないものであり、このような窓口を廃止、統合し、または縮小し、官庁組織の中に埋没させる考え方は懸念ばかりが多く、その効果も定かではなく、やがて地方団体にも波及するおそれもあり、問題があると考えます。 直接的には国政にかかわる論点ではありますが、県行政の立場からどのように考えておられますか、お伺いいたします。 いずれにいたしましても、消費者安全法の制定によって、消費生活相談の実施は基本的に基礎自治体である市町村の責務とされた現段階で必要なことは、県下20都市を中心に自治体ベースの消費生活センター機能を充実・拡充することだと思われます。 市町村の相談体制や相談窓口の整備は進展しているのでしょうか。また、市町村が今後重点的に取り組むべき課題はどのような点とお考えでしょうか、あわせてお伺いいたします。 最後に、地元関連で恐縮ではございますが、白根大凧合戦についてお礼を申し上げかたがた取り上げさせていただきます。 300年を超える歴史と伝統を持つこのたこ合戦ですが、本年はオーストリア、レルヒ少佐優勝旗拝受100周年、凧合戦協会設立100周年の節目に当たる特別の年でしたが、県からも御声援、御支援をいただき、オーストリア大使殿の御観戦もいただく中で、盛大かつ成功裏に閉幕できましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。 地域では、老若男女が伝統を守りながら先人の技術とわざを代々受け継いでおり、さらに伝統行事を継承する若者の育成にも努めております。 また、ロシア、フランス、アメリカなどでの日本行事紹介への参加のほか、先ほど申し述べましたように、オーストリアとの親善友好も加わり、国際交流の役目も果たすに至っております。 全国各地の同様の行事の中でも類を見ない希少、貴重な文化的営みと地域住民は誇りといたしております。その意味におきまして、県としてこの文化的価値をより一層高め、維持していくことは、県民の郷土への愛着と誇りを醸成し、地域の活性化につながることからも重要なことと思いますので、次世代へ継承するための行政的措置を検討していただきたいと願うばかりですが、いかがでしょうか、知事にお伺いし、質問の最後とさせていただきます。 以上4項目にわたり質問いたしましたが、知事、執行部の皆様には、率直な御答弁を賜りますことをお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手)   〔知事泉田裕彦君登壇〕 ◎知事(泉田裕彦君) 金子議員の一般質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、国の介護療養病床削減に対する県の対処方針についてであります。 人の健康を守っていくということは、やはり公共団体の最も重要な役割の一つであるというふうに考えております。 国策の中で介護療養病床が削減をされていくと。その結果、他の施設に行き場所がなくなってしまう医療難民とか介護難民が生じるということがあってはならないと考えております。 このため、県といたしましては、受け皿となる施設の整備、これを確実に進めるという基本方針で対処してまいりたいと思います。また、民間で対応できない場合は、これに対して支援をしていくということの中で、決して介護難民、そしてまた医療難民が発生しないようにしてまいりたいと思います。必要な医療、介護サービスが継続して提供されるように最大限努力をしてまいります。 次に、医療ソーシャルワーカー配置の考え方についてであります。 入院をされた方が安心してまた社会の生活に復帰をしていくと、自立をしていくというためには、保健、医療、福祉、これを連携をさせていくということは極めて重要であります。 私も小さいころ入院したことがありますけれども、病院に入院をするということは本当に心細く、そしてまた、大丈夫なのかという不安に駆られるわけでございます。精神面を支えていただく方がおられることによってどれだけ助かるかということは、身をもって体験をいたしております。 大勢の方々がこの医療ソーシャルワーカーの配置ということに救われるということでありますので、ここの部分も対応を進めてまいりたいと考えております。 ちなみに、現在の状況ですが、がん診療連携拠点病院を初めとした県内各地域の中核的な17病院では、看護師、社会福祉士などがその任に当たられておりまして、すべての病院で合計53名のワーカーが配置をされているという状況であります。 より充実した医療ソーシャルワーカーの配置に努めてまいりたいと思います。 次に、農業問題についてお答えをいたします。 農産物直売所の充実についてであります。 議員御指摘のとおり、農産物直売所、これは新潟県にとって大変重要な役割を果たしていくというふうに期待をいたしております。 これは、6次産業化ということをかなり申し上げてきておりますが、その心は、やはり農業で家計を支えていけるような、そして夢を持てるような産業という形で育てていく必要があるということだと思っています。 3.11東日本大震災以降、お米は大変な値上がりをいたしております。60キロ、1俵2万7,000円前後という話も聞いているわけですが、せっかく生産者が丹精込めてつくり出した農産物、ここの値上がりした部分の付加価値が新潟県に還流しておりません。大都市部に存在をしている流通事業者とか精米事業者に利益が全部いってしまって、県内に還流をしていないということです。 やはり直売所等で1次産業だけではなく、加工する、さらには販売企画をするというところまで取り組むことによって、生産者の所得向上につながりますし、また、そこで働く多くの方々に新潟でお仕事をしていただく場を提供するということにもなると考えております。 加えて、消費者には産地のはっきりした農産物を提供することができます。まさに産地がはっきりする中で、お子さんに対する食の不安というものも解消できるということになるわけですので、安全・安心な農産物の購入の場としても社会的に大変意義が高いというふうに考えております。 県といたしましては、本県農産物直売所の一層の充実に向け、引き続き施設整備や経営にかかわる人材育成、情報発信などできることを行って支援を進めてまいりたいと考えております。 次に、直売ビジネスリーダーの育成についてであります。 これも議員御指摘のとおりでありますが、直売所が発展するかどうか、やはり人材にかかっているということだと思います。 これは、農家の奥さんがどうやったら消費者に喜んでいただけるか必死に考えながら、大変大きな年商数億円に至るような直売所をつくり出した例もありますし、また上越地方においてはJAの課長さんが頑張って、これもネスパスよりも売り上げの大きい直売所をつくり出したという事例もございます。 やはり人の熱意、それから能力というものを磨き上げることによって、大変多くの人がその恩恵を受けるということになると思います。 この直売所があることによって、直売所にかかわる人のみならず、これも議員御指摘のとおりですが、ここに納める生産者の暮らし及び家族の暮らしも含めて向上することが期待をされるわけでございます。 県といたしましても、経営感覚にすぐれたリーダーが必要だと考えておりますし、また新潟は多くの付加価値を都会に流出させているわけです。逆に言うと、ビジネスチャンスが新潟にこそあると。東京でこれ以上競ってもなかなか新たな新規参入は難しいですが、新潟でこの直売ビジネスをやれば、御本人にとっても大きなビジネスチャンスになり得るという認識を持っております。 引き続き人材育成、そして場合によってはヘッドハンティングも含めてこの直売所の発展のために県として努力をしてまいりたいと思います。 なお、具体的な施策については農林水産部長から御説明をいたします。 次に、米粉についての今後の取り組みについてであります。 議員御指摘のとおり、県としてこの米粉の販売、需要と供給をいかに結びつけて、そして多くの消費者に、生産者に喜んでいただけるか。また、製粉業者もビジネスになっていくのか、コーディネートしていくということが、その役割として重要であるというふうに考えております。 21世紀型の行政の典型であると。すなわち、補助金を出して権限と権力でだれかを縛るという20世紀型の行政と違う創造的な行政の一つの典型ではないかというふうに考えております。リーディングケースとなるような効果的な施策として取り組みを進めてまいりたいと思います。 加えまして、20世紀型行政になるのですが、同時に米粉関係者が事業活動を円滑にできるように、米粉関連施設の整備に県が直接的に支援をするということとあわせて、ぜひ取り組みを進めてまいりたいと思います。 具体的な取り組みについては、農林水産部長から御説明いたします。 最後に、白根の大凧合戦の文化的価値についてであります。 江戸時代から続く伝統、文化、また大変な技術だと思っております。自然と一体となり、風と一体となって、いかにあの大だこを絡めるかと。大変難しい技術、そしてまた、大だこをつくり上げるためには大変な技量が必要でございます。また、安全にたこ合戦をするための運営の方法ということも、これは伝統的な文化の一側面ではないかと思っています。そして、1回絡めたたこを両側から引いて、そしてまた、お互いの健闘をたたえ合うというすばらしい文化であると思っています。 これも議員御指摘のとおり、これはオーストリアの大使御夫妻に御参加をいただけ、そしてまた、焼失をしてしまった優勝旗が新たに復活をしたということで、大変喜ばしい年であったなというふうに考えております。 越後平野、弥彦山を背景に行われる白根の大凧合戦、本県の一大行事であり、初夏の風物詩でございます。 新潟市の無形民俗文化財にも指定されているところでありまして、このような魅力のある文化財を今後とも地域と一体になって磨きをかけ、さらに発展できますよう、県としても最大限努力をしてまいりたいと思います。   〔県民生活・環境部長中村稚枝子君登壇〕 ◎県民生活・環境部長(中村稚枝子君) 2点についてお答えいたします。 国民生活センターと消費者庁の統合についてでありますが、今回の見直しは、消費者行政全体としての機能強化と効率化を図る観点での検討と聞いておりますが、消費者の声の受け皿機能縮小のおそれも指摘されているところです。 県といたしましては、自治体に対する支援相談の充実・強化を図るなど、消費者生活相談の強化につながるよう見直しをしていくことが必要と考えております。 次に、市町村の消費生活相談体制等についてでありますが、現在、消費生活センター等の相談窓口は14市町で設置され、専門相談員は44名となっております。 消費者安全法施行前の平成20年度と比較すると、相談窓口は5市町、専門相談員は18名増加しております。 住民の安全・安心確保のため、市町村における相談窓口の整備や拡充、消費生活情報の収集や提供が重要と考えており、県としても引き続き市町村の支援に取り組んでまいります。   〔福祉保健部長若月道秀君登壇〕 ◎福祉保健部長(若月道秀君) お答えいたします。 本県の病院における、いわゆる医療ソーシャルワーカーの配置状況でありますが、療養中の患者の心理的問題の解決や社会復帰支援、退院援助等を行う専任のワーカーは、平成22年3月時点で県内132病院中108病院、割合にして81.8%、合計291人が配置されている状況にあります。 次に、本県における療養病床の現状についてでありますが、平成23年4月現在の県内の療養病床は5,157床、このうち介護療養病床は1,955床となっております。 介護療養病床につきましては、平成19年4月からの4年間で623床減少しておりますが、これらは設置者である医療機関の意向等により、医療療養病床や介護老人保健施設等に転換されたものであり、いずれも引き続き入院患者の方々が必要な医療、介護サービスを受けられるよう調整が図られているところであります。 次に、老人保健施設等の整備・拡充の状況についてでありますが、減少した介護療養病床623床の受け皿といたしましては、医療療養病床が295床、介護老人保健施設が254人分、有料老人ホーム、その他が74人分整備されております。 加えまして、通常の施設整備として、介護老人保健施設559人分、特別養護老人ホーム1,669人分が整備されているほか、小規模多機能型居宅介護施設が新たに74カ所整備されているところです。 今後とも国の交付金により設置した介護基盤整備のための基金等を活用しながら、地域における介護基盤の整備を図ってまいりたいと考えております。 次に、介護療養病床についての国の削減計画についてでありますが、ことし6月の介護保険法等の一部改正により、介護療養病床の廃止期限が6年間延長されたところですが、国の具体的な削減計画などは現時点では示されておりません。 次に、女性の喫煙対策の展開についてでありますが、本県においては若い年代、特に20歳代の女性の喫煙率が全国と比べて高い状況にあり、昨年度、県内の20歳代の女性を対象に行った調査によれば、喫煙を始めたきっかけとしては好奇心、友人の影響との回答が多く、一方で喫煙者の8割がたばこをやめたいと考えているとの結果が得られました。 この調査結果を踏まえ、今後は、若い女性が情報を得る機会の多い美容室やインターネットのサイトなどを利用し、たばこの害に関する知識の啓発、禁煙外来を持つ医療機関情報の提供に加え、女性の感覚や仲間意識に訴えたきめ細かな普及啓発を図り、禁煙行動に実際につなぐことができるよう支援に努めてまいりたいと考えております。 次に、女性特有のがん検診推進事業についてでありますが、この事業は一定年齢の女性に対し、子宮頸がん検診、乳がん検診の無料クーポン券や検診手帳を配付することにより、がん検診の意義や受診の必要性の普及啓発を目的とするものであります。 平成21年度の事業開始以降、基本的な枠組みは変わっておりませんが、検診の受診者数が平成21年度は大幅に増加しており、引き続きこの動きが継続するよう、県といたしましても市町村と一体となって受診促進の啓発に取り組んでまいりたいと考えております。   〔農林水産部長目黒千早君登壇〕 ◎農林水産部長(目黒千早君) お答えいたします。 農産物直売所の販売状況とその評価についてでありますが、国の調査と手法が異なるため、単純な比較はできませんが、本県調査による2010年の県内直売所の平均年間販売額は1カ所当たり1,732万円で、2006年の915万円に比べ約1.9倍となっております。 また、年間販売額1億円以上の大型直売所は21カ所で、2006年に比べ15カ所増加しております。 このことは、農産物直売所が消費者にとっては、新鮮で安全・安心、また特色のある農産物が購入できる場として、農家にとっては、有効な農産物の販路として着実に定着してきているものと認識しております。 次に、直売所出荷者への指導等についてでありますが、直売所は産地のはっきりした農産物を購入できる場として消費者に支持されており、御指摘のとおり、トレーサビリティーや原産地証明など産地や生産者の情報を伝えることは重要であると考えております。 これまでも直売所では一部で生産者名を表示するなどの取り組みが行われているところですが、情報発信はまだ不十分な面があり、今後は、栽培履歴や生産者のこだわりなど、消費者に伝えるべき情報や発信方法等について、県としても支援を行ってまいります。 次に、地元食材を生かした加工品の開発、販売拡大についてでありますが、県では「食のにいがた」新商品開発事業等を通じて、県産農産物を使用した加工品の開発や生産者と実需者のマッチングを支援しております。 これまでもル レクチエや茶豆、にいがた地鶏などを使用した商品が開発されたところです。 今年度も引き続き売れる新商品の開発に向け、にいがた産業創造機構とも連携しながら、生産者や加工業者等の取り組みを支援してまいります。 次に、直売ビジネスリーダーの育成についてでありますが、直売所の発展に向けて、これまで需要に応じた生産指導や表示の適正化等、主として出荷者に対する指導を実施してまいりました。 しかしながら、本年2月、食のプロデュース会議において、議員御指摘のとおり、すぐれた直売ビジネスリーダーの育成が必要との提言をいただいたところです。 これを踏まえ、今年度から新たに店舗経営や経営戦略立案のノウハウを学ぶとともに、優良直売所での現地研修を含む実践的な人材育成セミナーを開催することとしております。 次に、米粉の新商品開発についてでありますが、県では商品開発経費の一部を助成することで、県内企業の米粉商品開発を促しており、その結果として米粉入り生パスタ、米粉100%のパン粉などの新商品が開発されております。 また、大手の食品メーカーなどに県産米粉の利用を提案し、即席めんなどヒット商品も生まれております。 さらに今年度は、家庭消費や実需需要拡大につながるプレミックス粉や小麦アレルギー対応商品の開発を支援することとしており、多様な分野で新商品が開発されるものと期待しております。 次に、米粉商品の流通販売ルートについてでありますが、国では多様なルートを通じて米粉を普及するため、食料自給率の向上を目指すフードアクションニッポンの取り組みを食品メーカーや小売店、外食産業などと一体となって推進しております。 県におきましても、スーパーやコンビニなどによる家庭向けの販売や外食産業やホテル、旅館、観光施設などでの利用、食品メーカーや中食産業での利用など、多様な需要の拡大を目指し、これらの関係者に対する提案を行っております。 また、米粉の用途は今後新たな広がりを示す可能性がありますことから、これに伴い、米粉商品の流通ルートも多様な分野に広がっていくものと期待しております。 次に、製粉業者と生産農家とのつながりについてでありますが、県ではR10プロジェクトの推進に当たり、県内の米産地と県内製粉業者との結びつけを行っており、県内で生産されている約1万トンの米粉用米はすべて県内で製粉されております。 しかしながら、今後さらに需要拡大に取り組む中で、引き続き県内製粉業者が県産米を使用するためには、新潟米のトップブランド力による付加価値のついた米粉商品の生産、販売を支援していくとともに、低価格の需要にこたえるための多収品種の導入や低コスト栽培技術の普及にも取り組んでまいりたいと考えております。 次に、米粉用米の技術開発についてでありますが、県では全国を牽引する微細製粉技術や米粉加工技術を開発するとともに、米粉用米として加工適性の高い多収性品種の選定や低コスト栽培技術の開発などにも取り組んでいるところであります。 引き続き県が主体となり、にいがた発「R10プロジェクト」を支える先進的な技術開発を進めてまいりたいと考えております。 次に、米粉についての今後の取り組みについてでありますが、県では米粉のコーディネーターとしての体制強化を図るため、昨年11月に米粉普及推進室を設置し、県内の米産地、製粉業者と食品関連企業との結びつけや幅広い分野、業態での利用促進の取り組みを行っております。 さらに、米粉の商品開発や普及効果の高い拠点的な米粉処理加工施設の整備について、経費の一部を助成することにより直接的な支援を行ってまいります。 ○議長(村松二郎君) 金子恵美君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(村松二郎君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(村松二郎君) お諮りいたします。 次会は、明7月5日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(村松二郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(村松二郎君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後4時58分散会...