昭和59年 12月定例会 本会議昭和59年12月11日(火曜日) 議事日程 第2号 午前10時 開議第1 県政に対する一般質問 ――
―――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(細貝幸也君、今井敬弥君、福島富君、金子一夫君、阿部信夫君、吉田六左 エ門君) ――
――――――☆――――――――出席議員(61名) 石井 修 君 斎藤 耐三 君 東山 英機 君 菊田 征治 君 白沢 三郎 君 滝口 庸一 君 大河原 勲 君 滝口 恵介 君 阿部 喬 君 中原 八郎 君 宮崎 光衛 君 増子 宏一 君 西川 勉 君 斎藤 林一 君 今井 良松 君 須藤 誠也 君 三富 佳一 君 丸山 保 君 水倉 庄市 君 中野 清 君 南雲 順一 君 星野伊佐夫 君 高橋 正 君 広井 忠男 君 馬場潤一郎 君 細貝 幸也 君 小笠原正男 君 五十嵐淑郎 君 猪股悌二郎 君 斎藤 勝夫 君 轡田 勝弥 君 高山 巌 君 中川 秀平 君 嵐 嘉明 君 目黒 武尚 君 布施 康正 君 小林 脩 君 小柳 新一 君 武田 武夫 君 古川 渉 君 岩村卯一郎 君 山岸 敏夫 君 高橋 十一 君 小林 静夫 君 祢津 文雄 君 遠山 作助 君 角屋 久次 君 帆苅 二三 君 渡辺 勇 君 梅沢 秀次 君 椿 利策 君 中川 良一 君 米山 繁男 君 今井 敬弥 君 石塚 光雄 君 竹内十次郎 君 吉田六左エ門君 高橋 虎夫 君 福島 富 君 金子 一夫 君 阿部 信夫 君 ――
―――――――――――――――議員以外の出席者 知事 君 健男 君 副知事 金子 清 君 出納長 笠原健一郎 君 総務部長 有磯 邦男 君
企画調整部長 大川 進 君 民生部長 田中 俊雄 君 衛生部長 服部 坦 君
生活環境部長 山崎 浩司 君
商工労働部長 高橋柵太郎 君
農林水産部長 山田 稔 君 農地部長 垣内 勝弘 君 土木部長 佐々木隆男 君
新潟東港開発局長 佐藤 俊雄 君 病院局長 織原 義男 君 企業局長 長谷川正明 君 教育長 久間 健二 君
人事委員会事務局長 網干 道雄 君 警察本部長 斉藤 隆 君
地方労働委員会事務局長 野沢 英雄 君
監査委員事務局長 佐藤 昭 君 ――
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△午前10時3分開議
○議長(岩村卯一郎君) これより本日の会議を開きます。 ――
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△日程第1 県政に対する一般質問
○議長(岩村卯一郎君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。通告順により発言を許します。 まず、細貝幸也君の発言を許します。 〔細貝幸也君登壇〕(拍手)
◆細貝幸也君 私は自由民主党を代表して、財政問題等、県政の当面する重要案件について質問いたします。知事及び関係部局長の簡明率直な御答弁をお願いいたします。 まず財政問題であります。最初に、12月補正について伺います。 本議会に提案されました補正予算額は、
災害復旧事業について、国の
進度率アップの方針に基づく補正を中心とした約16億6,000万円の小規模なものであります。これによって、59年度一般会計の累計額は7,428億円余となり、これは58年度の12月補正時に比べ0.8%増であり、昨年度の最終予算比でも1.0%の伸びにとどまったものであります。 本年度においても、所要経費はこれまでと同様、通年予算で編成されており、9月補正予算においては、異常豪雪に伴う災害復旧費の大幅補正とあわせて、初年度の復旧進度率のアップが実施されてきたところであります。今回はさらに、かつてない
初年度災害復旧進度を78%に高める方針がとられ、災害復旧費を中心に補正がなされているのでありますが、総予算の前年比伸び率が低率であることは、
財政危機宣言後の財政状況からして、
一般公共事業を初めとしての抑制された予算編成であると思うのであります。 災害復旧の重要性については申し上げるまでもなく、再度災害防止の観点からも進度を高め、早期復旧を図ることは大いに歓迎すべきものであり、また、
県内景気対策上からも効果を期待し得るところでありますが、今、降雪期を前にして、
年度内事業消化が万全かどうか、9月補正計上分の工事進捗とあわせて、まず伺いたいのであります。 また、伝え聞くところによりますと、国では、この初年度の
災害復旧進度をなお一層高める方向で検討されているようでありますが、これが実施された場合の予算上の対応と事業執行の見通しについて、あわせて伺います。 一方、昨年度においては、公共事業について、
総合経済対策による追加や
国庫債務負担等により事業の推進が図られ、総額約97億円に上る配分がなされ、
景気浮揚対策として少なからず効果を発揮したのであります。依然として建設、金属業種、特に中小企業における倒産が続く今日においては、昨年同様の対策が強く望まれるのでありますが、12月補正では、国庫補助の内示に伴う微調整にとどまっていることはまことに残念に思うものであります。今後において、翌
年度公共事業の前倒し等の措置がなされる見通しがあるかどうかをお聞きし、また、実現方について、
知事ともども県議会としても国に要請していかなければならないと存じているものであります。 次に、職員のベースアップの問題であります。 さきの
県人事委員会の6.44%の引き上げ勧告と、過去2年連続の見送りと抑制の後だけに、その取り扱いが注目されているところでありますが、
国家公務員給与の3.4%引き上げの方針と県の財政事情からして、知事は県職員についても国と同様の方針を出され、この給与改定案を近く追加提案されるようでありますが、この所要予算額並びに財源についてお聞きいたします。 また、関連してこの際お聞きいたしますが、給与改定における勧告制度の本来の趣旨を尊重し、また、職員の士気にもかかわる等、問題を多く含んでいると思われることから、これまでの抑制分について、もし国が年次計画的にしろ回復措置をとるならば、県も同様の措置をとる考えかどうか伺いたいのであります。 次に、今年度の最終の収支見通しについてお尋ねいたします。 本県経済も、緩やかながら回復傾向により、県税収入も調定ベースではありますが、10月現在で対前年比108.2%の伸びを示しており、また、普通交付税の当初見込みに比しての増加等の要因があり、一方において歳出の抑制努力がなされており、県財政もかなり好転の兆しが見えた感がするのであり、3年連続の赤字決算も、本年度は黒字に転換が可能かどうかであります。しかしながら、起債残高4,856億円を抱え、後年度財政も容易ならざるものがあり、そのためにも財調基金の推移を見守っているところであります。 そこで、本年度における単
年度実質収支の見通しはどうか、また、県税収入の見通しを含めてお伺いいたしたいのであります。 次に、昭和60年度
県予算編成方針についてであります。 県の来年度予算編成に当たっては、現在の国の予算編成の動向や
地方財政計画の内容等のいかんによるところが大きく、国庫依存度の高い本県財政にとって、この年末における国の予算編成の内容は最大の関心事であります。 国においては、
臨時行政調査会の答申を尊重しつつ、行政改革を推進しており、来年度の予算編成に当たっても、「増税なき財政再建」の基本方針のもとに、極めて厳しい措置がとられることは必至であります。特に、今最大の焦点となっている高率補助金の一律10%カットの問題であります。概算要求段階での9省庁に及ぶ削減計画による本県影響が35億円と見込まれており、これが実行された場合は、県予算編成上、容易ならざる事態を招くことが危惧されているのであります。 さらに、先般大蔵省は公共事業についても、国の補助率2分の1以上の
高率補助事業についての補助率を一律10%削減する方針を打ち出し、追い打ちをかけてきたのでありますが、全国屈指の
公共事業王国と言われ、国に依存して社会基盤の整備を急いでいる本県にとって、大きな衝撃となっているのであります。その上、昨日の新聞では、国会審議の円滑化を図るために、補助金削減に一括法案を提出する方針を固めたと報ぜられております。国は、補助率の削減によって国庫の負担を軽減し、一方、
財政投融資資金や公団資金を加えて公共事業総枠は拡大する、いわゆる地方へのツケ回し以外の何物でもないのであります。 知事は、国のこの方針についてどのようにお考えか、また、今後どのように対処する方針かをまずお聞きするとともに、この措置がとられた場合の
県財政影響額並びにその財源対策は可能かどうかについて伺いたいのであります。本議会として、また我が党としても、さきの公共事業以外の
補助金カットの問題同様、若干この推移を見ながら、かかる措置が撤回されるよう国に強力な要請行動を展開していかねばならないと考えているものであります。 次に、来年度の県政における重点施策についてであります。 来年度の当初予算編成に当たり、歳入面では地方交付税、県税ともある程度の伸びが期待されるが、反面、財源対策債の大幅な圧縮が考えられ、一方、歳出面では義務的経費の増高、病院、東港会計への助成、さらには国庫補助の一方的な見直しによる負担増により、財政状況は本年度以上に悪化する見通しであるとしており、編成方針としては、行財政改革の一層の推進を基本として、公共事業を初め各事業ともマイナス5%シーリングで臨むこととされたのであり、
赤字財政解消への強い決意がうかがえるのであります。 この中にあって、去る3日、知事は記者会見において、今年度に引き続き、来年度の県政最重点施策として、観光と企業誘致を2本柱に据え、予算枠にこだわらず積極的に推進していく考えを明らかにされたことは、私が昨年12月県議会において、山形県の企業誘致の実態と成果について一般質問を行った立場からしても大賛成であります。これらは、本県経済の活性化を図り、未利用資源の開発、地場産業の振興、雇用の拡大等、県民の期待はまことに大きなものがあり、実現に向けてぜひとも積極的な施策を展開されるよう望むものでありますが、知事のこれらに対する基本構想についてお聞きしたいのであります。 次に、財政問題に関連して若干お聞きをしたいのであります。 その1つは、不用、遊休財産の処分であります。県財政の再建が急務である現在、これら不用財産の処分も財源対策上重要であり、知事も鋭意努力をされているところでありましょうが、まず、本年度現時点における成果はどうか、また、年度末までの見込みはどうかであります。また、農改普及所については、いよいよ来年4月から新体制で出発するわけですが、この統廃合により、県として不用となる財産について、一部には関係市町村での活用計画により譲与等も考えられていると思いますが、その財産の処分見通しはどうかをお聞きしたいのであります。 次に、来年3月14日、いよいよ上越新幹線の上野乗り入れが目前に迫ったのであります。今まで以上に首都圏及び東海地区からの時間的距離が短縮され、本県への観光客の大幅な増加が期待されるのであり、次年度対策は別として、当面これを契機としての本県観光のイメージアップと同時に、誘客の促進を図る必要があると思うのでありますが、来年3月における主要計画について概要をお聞きしたいのであります。特に、来年は3月17日から筑波万博が開催されるわけですが、これらとの関係、見通し等についてもお伺いしたいのであります。 財政問題に関連して、最後に私学振興策についてであります。この問題につきましては、我が党の轡田議員が連合委員会において詳細な質問を予定しておりますので、私は知事の基本方針について若干お伺いいたしたいのであります。 我が党としては、学校教育において私学の果たしている役割の大きさとともに、公立学校に比して父兄負担が5.5倍に及ぶ現状を見るとき、私学経常費の助成拡充を強く望んでいるものであり、我が党の政調会としても、過日、文部省並びに党本部に増額方強く要請してきたところであります。文部省としても、来年度予算の厳しい中ではあるが、実質3%増の私学助成費の増額に向けて努力しているところであり、我が党本部の政調会としても、文部省予算における最優先、最重点事項として増額確保する旨、意思決定をしているものであります。 しかし、文部省の方針としては、従来から
経常費助成配分に当たっては、各部道府県の私学経常費に対する助成への熱意、すなわち額により傾斜配分しているもので、せっかく県が
国庫補助制度を補完する私学振興のための学校施設等の県単補助措置をしても、
経常費国庫補助の増額につながらない矛盾があるのであります。県単措置の中でも、私立幼稚園の特殊教育に対する助成のように、知事は国の改善を先取りして措置されるなど、その熱意に対し、我々は敬意を表しているものであります。 したがいまして、国に対し、まず第1に都道府県の財政力を勘案することはもちろんのこと、国庫補助を補完している県単助成制度及び額を十分考慮した傾斜配分を強く要請しておるのでありますが、これに対する知事の所見とあわせて、国が現行方策をとる以上、私学経常費に対する
県費上乗せ補助について知事の決意を促したいのでありますが、これについて明快率直な答弁を期待するものであります。 次に、県の行政改革と支庁廃止問題について伺います。 本県においては、県独自にやれる範囲で人を減らし、出先機関を整理統合し、係を減らし、また補助金の整理を実施し、成果を上げてきていることは、県民の血税の効率的使用の面からも大きく評価されるものであります。ここまで到達できたことは、君知事が県庁生え抜きの、だれよりも県行政に精通しているとの自負と同時に、大いにリーダーシップを発揮し、果断に対処してきたことによるものであり、また、我が党としても、行財政改革の重要性を認識し、全面的に知事をバックアップしてきた成果によるところであろうかと思います。 そこで、今後の行財政改革に当たっては、長期的展望に立った県のあるべき姿、機構、組織についての知事の望む方向をまず県民に明示していただきたい。そして、議会においても十分論議し、また、県民の理解と協力を得ながら前進する方策をとっていただきたいのでありますが、この点について知事の率直な御意見をお伺いしたいのであります。 次に、今回の上越及び佐渡支庁の廃止についてであります。 両支庁の廃止に伴う業務の執行体制については、本庁組織の拡充も含め、これを移管し、また、農政事務所、労政事務所の新設等により業務の処理体制を改善するとの方針により、それぞれ関係市町村の理解と協力を求めてきたのであります。結果として、時代の流れに抗し切れず、大勢としてやむを得ないとの意見のようでありますが、両地方を通じて我々が最も危惧するのは、山村僻地を抱え、離島というハンディキャップを負いながら、観光や商工業の振興を図り、地域の活性化対策が期待される今日、両地方における観光や
地域振興対策が後退するようなことがあってはならないと思うのであります。特に、佐渡については、離島という特殊性からくる諸条件は余り変わっていないのであり、
観光入り込みを見ても、新幹線影響の期待を裏切り、ここ数年むしろ減少傾向にある等、今こそ抜本的対策が求められているのであり、総合的な調整機能を有する県機構の存置を要望する声も強いのであります。 そこで、支庁が廃止される場合、近い将来において、特に観光、商工業振興のため必要があると認めた場合には、独立機関の設置など、十分考慮をされたいのでありますが、知事の温かい答弁をお聞かせ願いたいのであります。 次に、農業問題について、当面する二、三点について質問をいたしたいのであります。 本年稲作は、4年連続の不作から一転して、作柄は全国で作況指数108と、6年ぶりの大豊作に転じ、本県においても、作況指数106の豊作となったことはまことに喜ばしいことであります。これに伴い、ことしの米の収穫予想収量は、全国で1,184万トンと言われ、政府の需給計画を100万トン上回る結果となり、米の需給にも当面ゆとりができたのであります。 このような情勢の中ではありますが、本年春以来の米を取り巻く一連の経緯から、国では、さきの国会での米の需給安定に関する決議や、関係各方面からのゆとりある米管理の確保についての強い要望等を踏まえ、なおまた3度目の過剰を招かないよう配慮しながら今回の緩和政策をとり、昭和60年度の
転作等目標面積について、第3期対策の基本目標である60万ヘクタールの約4.3%に当たる2万6,000ヘクタール緩和し、57万4,000ヘクタールとすることを決定したのであります。 しかし、生産者団体では、緩和面積の大幅縮小、見直しを要望してきたにもかかわらず、微調整の範囲にとどまったとして不満を表明しているが、知事はどのように受けとめておられるか、まずお伺いしたいのであります。 この60年度の
転作目標面積について、各県への配分は去る11月20日に内示が行われ、本県については、今年度の
転作目標面積2万820ヘクタールに対して、全国で最高の緩和率である4.8%の1,000ヘクタールが緩和されたのであります。また、あわせて他用途利用米が2万3,000トン、面積に換算して約4,500ヘクタールが本県に仮配分されたのでありますが、この
転作目標面積及び他用途利用米の仮配分数値について、知事の所見をお聞きいたします。 次に、この
転作目標面積についての市町村に対する配分でありますが、どのように配分するお考えか、また、時期については可能な限り早期に行うべきであると考えておりますが、いつごろ配分されるか、お伺いいたします。 なお、本年度の転作等の取り組みについては、韓国米の返還問題や他用途利用米の制度変更等があり、また、転作条件の厳しい本県の実情にもかかわらず、生産農家の協力により目標を超えた達成が見込まれたのでありますが、来年度における
水田利用再編対策の推進方策などをどのように考えておられるか、お伺いしたいのであります。 また、他用途利用米については、価格が安いことなどの問題もあり、定着化について困難が予想される面もありますが、一方、本県のように米作を中心とした農業経営の実態から、転作規模の拡大に限界があること、及び水田の高い生産力を活用できること、並びに米生産の
総体的コスト低減につながることなどの利点もあり、また
加工用原材料米の輸入阻止の立場からも、この制度を活用し、推進すべきであると考えているものであります。 しかしながら、本年度の経緯から考えて、関係者が十分協議しながら推進することが重要であり、市町村配分に当たっても、市町村の意向を十分に尊重して実施すべきであると考えられるが、知事はこの点どのように考えておられるか、お伺いをいたしたいのであります。 次に、
良質米奨励金についてであります。 全国第1位の米産県として、しかも
良質米生産県である本県にとりまして、良質米生産に対する奨励補助金の役割はますます重要であり、決して臨調報告のように完全に定着したとは言いがたいのであります。 今年度においては、知事を初めとする米産県の強い要請により削減を阻止し、従来どおり維持されたのでありますが、来年度における情勢はまことに厳しく、国では
良質米奨励金の縮減を検討することとされているようであります。生産者の所得の確保と、良質米の安定確保の面からも、この継続維持について努力しなければならないと思うのでありますが、知事の所見と今後の対応についてお伺いいたします。 農業問題の最後として、飼料基地の問題について知事にお伺いいたします。 飼料基地を本県に誘致し、東港に設置することにより、配合飼料の安定的供給による畜産の振興と、また、
新潟東港開発計画の促進が図られることから、かねてより
全国農業協同組合連合会及び県経済連に対し、その設置方、県として積極的に働きかけているのであるが、その後の情勢はどうか、また、設置についての最終決定がいつごろの見通しであるか、伺いたいのであります。また、誘致されることとなった場合における工事着工時期等について、あわせてお聞きしたいのであります。 畜産の経営安定に欠くことのできない配合飼料については、その原料の供給基地が日本海側に設置されていないため、太平洋側からの供給を受ける関係で、輸送コストの面から、畜産農家の購入価格が割高となっているのでありますが、東港に基地が設置された場合、本県のみならず、富山県、長野県、山形県、秋田県等、隣接県への飼料の安定的な供給基地として、畜産の発展に寄与することが大きいと思われますが、畜産に及ぼすメリットはどの程度かをお聞きいたします。また、
飼料基地設置に必要な面積は5ヘクタール程度と聞いておりますが、その後計画に変更はないかであります。 最後に、設置が計画されている地域について、岸壁の造成等、今後の
港湾整備計画はどのようになっているかをお聞きいたしたいのであります。県議会としても、
飼料基地設置についてかねてから強く要望してきているところでありますが、この実現についてさらに積極的に働きかけていただきたいことを要望して、農業問題についての質問を終わります。 次に、東港開発の推進についてお尋ねいたします。
東港開発計画の見直しについては、去る9月定例会で発表されたところでありますので、今回は、今後の開発促進にとっての課題に絞って質問いたします。 第1点は、東港への企業誘致についてであります。 見直し後の開発にとって、東港への企業誘致の推進が最大の課題であり、この成否が、東港開発をして
県経済活性化の大きな原動力となるか、それとも、県民にとって大きな負担となるかのキーポイントと考えられるのであります。幸い、最近、先ほど質問いたしました全農の飼料基地や、2ないし3の企業の進出が話題となるなど、東港にとって明るい展望も聞かれ、企業立地課の新設や全庁体制での取り組み等、
企業誘致体制の強化の効果が発揮されつつあると受け取れるのでありますが、今後毎年度27ヘクタールずつ売却しなければならない計画となっていることもあり、さらに一層の努力が必要と思われるのであります。今年度の
企業誘致見通しとあわせ、知事の所見を伺いたいのであります。 次に、東港における
企業立地条件の整備についてであります。 企業誘致に際しては、売却価格と立地条件の
整備度合い等が、他県との競争に伍していくためには重要な要件であると思われるのであります。東港についても、売却価格の値引きを考えているやにお聞きしておりますが、どの程度の値引きを考えておられるのか、また、国道7号バイパスの早期整備等、周辺も含めた道路等の基盤整備についてどのように考えておられるのか、具体的対応策への取り組みについてお伺いいたします。 次に、第2点として、別行集落との交渉状況と、その見通しについてであります。 別行集落については、住民の協力もあり、移転のための変更協定を締結したと聞いており、また、今定例会にそのための補正予算も提案されておりますが、
東港開発見直し後、初めての集落移転ということから、その成り行きが注目されております。そこで、現在の状況と、今後の見通しはどのようになっているのか、また、計画見直し後の集落移転ということで、従前の移転と変わった点があるか、なお、今後の所要経費はどの程度になるかをお聞きしたいのであります。 最後に第3点として、除外地集落対策についてであります。 聖籠町蓮潟山ノ口及び甚兵衛橋の2集落については、
東港開発計画の見直しにより、計画から除外された集落であります。この2集落とも、移転を前提として、東港開発のため一部用地を提供し、中にはみずから代替農地を遠隔である町村に求めるなど、住民それぞれが東港に協力されてきたのであります。また、集落としても移転が前提であったことから、地域の環境整備や農地の公共事業等が保留されるなど、他集落に比し、基盤整備がおくれる結果となっているのであります。社会経済の変動により計画がおくれるとしても、集落移転は実施されるものと信じ、今日に至ったものであり、この20年来の2集落と東港開発との関係から、何らかの対策が必要ではないかと考えるものでありますが、知事の基本的なお考えをお伺いいたします。 また、この問題は、地元住民及び聖籠町との交渉抜きには考えられないと思いますが、その折衝の状況と今後の進め方についてお尋ねし、私の代表質問を終わります。(拍手) 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) 12月補正予算に係る
災害復旧事業についてでありますが、予算計上額に対応いたします11月末現在の工事進捗率は、57年災100%、58年災64.2%、59年災63.8%となっておりますが、特に59年発生災害につきましては、早期復旧を図る観点から、全体として査定額の74%程度を予算計上いたしたところであります。この復旧工事につきましては、これからの気象条件にも左右されますが、年度内に完成すべく、鋭意努力をしてまいりたいと考えております。また、国の予算内定見込みは、標準進度を大幅に上回り措置されておるところであり、今後追加があったといたしましても、若干の調整にとどまるものと判断しております。 次に、公共事業につきまして、本年度も昨年度と同様の前倒し等の措置が行われる見通しがあるかどうかというお尋ねでございますが、現時点におきましては、国が昨年度と同様の
総合経済対策を講ずるかどうか明らかではありませんので、今後の国の政策動向を見守ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、県としての対応が必要となった場合には、適時適切に所要の措置を講じてまいる考えであります。 次に、県職員の給与改定につきましては、人事委員会勧告を完全実施できないことはまことに残念でありますが、国に準じて給与改定を実施する考えであります。 この給与改定の所要一般財源は、概算で約52億円と見込んでおりますが、当初予算で1%分の約17億円は先組みいたしておりますので、今後の補正財源は約35億円となります。その財源は普通交付税を充当することといたしております。また、人勧の未実施分の取り扱いにつきましては、来年度の人事委員会勧告に反映されるものと思われますので、これをできるだけ尊重したいと考えております。回復措置を含めた今後の国の方針及び他都道府県の動向なども慎重に見守りながら対応してまいる考えであります。 また、本年度の収支見込みにつきましては、県税収入は、そのまま順調に推移すれば、最終的には1,500億円台に乗ることも予想されますので、今後除雪費等不確定な要素もなお多く残されておりますが、本年度の実質単年度収支は、前年度よりはかなり好転するものと期待しております。しかしながら、本年度予算は財政調整基金を44億円も取り崩すことを前提といたしておりますので、来年度予算の編成の厳しさを考え合わせますと、この取り崩し額をできるだけ圧縮することが、今後必要であると認識しております。 また、国の公共事業の補助率削減についてでありますが、御指摘のとおり、本県は過疎、山村、離島など、社会基盤整備のおくれた地域を多く抱えておる上に、海岸延長、河川延長も長く、また全国一の豪雪地帯でもあります。したがいまして、自主財源の乏しい本県にとりましては、公共事業の補助率削減は、他の補助金削減以上の打撃を受けますとともに、地域格差是正、国土の均衡ある発展という見地から見ましても、絶対に容認できないことと考えております。今後も、県の国家予算要望の最重点課題として取り上げるとともに、全国知事会等を通じたり、あらゆる機会を利用いたしまして、強力な反対運動を展開してまいりたいと考えております。 なお、公共事業の補助率削減に伴います本県への影響額は、土木、農地、農林全体で、直轄事業負担金も含めまして約80億円と見込まれ、生活保護費等補助金の10%カットによります18億円等も合わせますと、100億円を超すこととなり、その財源対策につきましては、国の地方財政対策の中で適切な措置がとられない限り、本県独自に財源を措置することは極めて困難であると考えております。 次に、60年度の重点施策でありますが、来年は上越新幹線の上野乗り入れ、関越自動車道の全線開通など、本格的な高速交通時代を迎え、首都圏との時間的距離が大幅に短縮されることとなり、観光客の増加とともに、企業誘致にもはずみがつくことが期待されておるところであります。そのため、まず観光につきましては、観光キャンペーンや記念イベントなどの誘客宣伝活動を、県、市町村、業界が一体となって積極的に実施するほか、受け入れ体制につきましても、一層の整備充実を図っていく考えであります。また、企業誘致につきましても、県内全般の地域の特性や立地条件、あるいは地域の意向等を十分把握検討し、地元企業の技術高度化や地場産業の構造改善と雇用機会の拡大が期待されるような先端技術産業や高付加価値型の企業を積極的に誘致する考えであります。そのため、さらに施策を充実してまいりたいと考えております。 次に、上越新幹線の上野乗り入れによる観光対策についてでありますが、上越新幹線が3月14日、待望の上野駅に乗り入れることにより、首都圏と時間的、経済的に一層近くなることから、これを機会に大いに新潟県をPRし、観光誘客の促進と物産の販路拡大を図る必要があると考えております。 また、国際科学技術博覧会の開催が来年3月から実施されることとなっておりますが、本県観光に少なからず影響を及ぼすことが予想されますので、この機会に上野駅乗り入れ記念行事として、東京都と連携し、「にいがたふるさとまつり」並びに「にいがたフェア」を開設するなど、本県の観光宣伝や物産の展示紹介を行い、東京都民の方々に、近くなった新潟と新潟色を強力に印象づけて、誘客に努力したいと考えております。 次に私学振興でありますが、御指摘のとおり、国庫補助金は、経常費補助金の額に応じて傾斜配分されております。県といたしましては、国に対し、全国共通単価の採用及び県単施設補助制度に対する助成制度の新設を強く要望いたしておるところであります。経常費助成の県費上乗せにつきましては、厳しい財政状況でありますので、学校の自助努力の成果を見ながら検討してまいりたいと考えております。 次に、県の組織機構のあるべき姿につきましては、社会経済情勢の将来展望や、県民の行政需要の変化等に的確に対応できる、簡素で効率的なものでなければならないと考えております。 県の組織機構改革の全体像を示せとの御意見でありますが、行政改革を実施するに当たりまして、従前のようにプロジェクトチームをつくったり、あるいは他県のように審議会等を設けて時間をかけ、論議を重ねて、仮に立派な案ができたといたしましても、私の従来の経験から、必ずしも満足すべきものとはならないものと考えております。それよりもむしろ、改善を要するものから、県議会を初め県民の理解と協力を得ながら順次実施し、一歩一歩着実にむだの排除を図っていく現在のやり方の方が、真の効果をねらった行革の方法だと判断しておるものであります。 次に支庁問題でありますが、さきの9月県議会以来申し上げているとおり、支庁を廃止いたしましても、住民サービスを低下させることなく、しかも、上越、佐渡両地域の振興がいささかなりともおくれを来すことのないよう、県の組織機構について万全の手だてを施すことといたしております。 御指摘のとおり、本県観光客の入り込み状況は、県全体では増加いたしておりますが、残念ながら佐渡が伸び悩んでおることは事実であります。今後はさらに佐渡全島が一丸となって、観光振興に対する認識を一層高めるとともに、積極的に取り組みが望まれるところであります。県といたしましても、従来にも増して地元と十分協議しながら、観光、商工業の振興を推進し、佐渡全島の発展を図るため努力いたしてまいる考えであります。 なお、観光、商工業振興のため、特定の地域に独立した出先機関を設けることにつきましては、これらをより広域的に推進する上からも、現在の情勢下では必要がないと考えております。 次に、明年度の
転作目標面積についてでありますが、農林水産省は、第3期の基本面積であります60万ヘクタールから2万6,000ヘクタールの小幅な調整緩和を行い、57万4,000ヘクタールにすることに決定いたしました。この国全体の緩和につきましては、農業団体と一体となり、当初6万ヘクタール以上を国に要請いたしましたが、その時点では作況予想が103%から105%でありました。それが最終的に108%の豊作となり、その結果、国の備蓄計画を満たして、なお約20万トンの余裕ができる見通しとなったことから、県としては緩和面積の2万6,000ヘクタールはやむを得ない措置であったと考えております。 次に、本県への明年度の
転作目標面積の緩和は1,000ヘクタール、緩和率で全国最高の4.8%が内示されました。この数値は、関係者が一体となった要請と、良質米の生産県であることが評価されたからであると考えております。 また、他用途米につきましては、昨年実績の120%に当たる4,500ヘクタールが仮配分されましたが、市町村を通じた希望量を集計した結果、十分仮配分量を確保できる見込みとなっております。 次に、市町村への目標面積の配分につきましては、国から配分された1,000ヘクタールについて、基本的には、昨年度既に配分済みの第3期基本目標面積に応じ、一律に軽減を行う予定であります。なお、市町村への配分時期につきましては、本年は国の配分決定が昨年より10日以上もおくれましたが、県といたしましては作業を急ぎ、昨年より早めて、今月の20日に配分できるよう努めてまいります。 次に、来年度の転作の進め方についてでありますが、本年度は、年度途中で他用途米の取り扱いが変更されるなど厳しい情勢の中で、農家を初め関係機関、団体の協力によって、県全体として目標を達成することができました。明年度におきましても、長期的な視点に立って、農産物需要の動向と地域の実態に即した転作の定着化を促進し、収益性の向上を図ることが最大の課題とされておりますので、より一層転作を進める条件を整備いたしますとともに、他用途米の円滑な推進などに重点を置いて、市町村、農業団体と一体となりまして推進する考えであります。 次に、他用途米の推進につきましては、価格が安いなどの問題もありますが、利点といたしましては、第1に、水田の高い生産力の活用ができること、第2に、結果として一般転作面積が縮小されること、3番目には、生産コストの低減が図られる等であります。したがいまして、農家の希望を中心としながら、この制度を活用することが必要であろうかと考えております。このような考え方から、明年度の約4,500ヘクタールの仮配分につきまして、農業団体とも協議を行いながら、各市町村の意向を十分尊重する形で配分を行う考えであります。 次に、
良質米奨励金についてでありますが、米の消費拡大と需給均衡を図るため、良質米生産は今後とも推進していく必要があります。そのためには、良質米生産の奨励措置は維持されなければならないと考えております。本年は、関係者の必死の努力により、幸いにも現行水準が維持されたところであり、本県分の交付額は、自主流通米の量の増加により、およそ108億円と見込んでおります。
良質米奨励金をめぐる環境はますます厳しくなってきておりますが、来年度におきましても引き続き立場を同じくする各県とも連携をとりながら、現行水準の確保につきまして、国に対し強く働きかけてまいる考えであります。 次に、飼料基地の東港誘致の問題でありますが、計画されております全農の飼料基地が東港に設置されますと、第1に、配合飼料の安定供給による畜産の振興が図られます。第2に、
新潟東港開発計画促進への大きな力となると考えております。したがいまして、県といたしましても、本年4月以降、関係部局が一体となって、誘致に全力を挙げてきました。また、去る11月30日には、私自身、直接全農へ出向きまして、首脳部と会い、設置について強く要望してまいったところであります。 現在の情勢では、全農は本県からの強い要請なども踏まえまして、新潟東港に設置する方向で検討を進められておるものと考えております。最終的には、来年1月下旬までに開催される関係の理事会での決定を経て、正式の方針が決まるものと考えております。また、設置する場合の着工時期の見通しでありますが、早ければ62年度中を目途に検討されておると聞いております。 次に、畜産に及ぼすメリットについてでありますが、計画されております備蓄サイロと配合飼料工場が設置されますと、輸送コストの節減と配合飼料工場の能率化などによりまして、畜産農家へ供給される飼料価格が現在よりも安くなり、かつ安定的に供給されるという実質的なプラスの面と、さらに畜産振興に向けての心理的なメリットも期待されるものと考えております。 次に、飼料基地に必要とする面積についてでありますが、現段階では、全体で6.6ヘクタール程度となる見込みであります。 また、飼料基地に関連する港湾施設の整備につきましては、岸壁等を含めて昭和61年度から始まる第7次港湾整備5カ年計画に組み入れて整備するよう、現在国と協議を進めておりますが、飼料基地の設置が正式に決まれば、その施設の設置時期に合わせまして、できるだけ港湾整備が間に合うよう努力してまいります。 東港への企業誘致の状況の見通しでありますが、工業構造の変化などもあり、決して容易なこととは考えておりませんが、民間の協力も得ながら、全庁的な取り組みの中で、最善の努力をいたしたいと考えております。また、本年度の見通しにつきましては、全農の飼料基地を含め、数社の企業と具体的な接触を図っておりまして、かなりの感触はあるものと判断しております。 次に、工業用地の売却価格につきましては、収支計画上、本年度1平方メートル1万6,000円を設定いたしておりますが、今後の企業誘致を有利に展開していくためには、個々の進出企業につきまして、投資規模や業種等を勘案の上、当分の間、原則として25%程度を限度に割引を実施していきたいと考えております。 また、東港周辺道路の整備状況と今後の対応策でありますが、国道7号につきましては、現在海老ケ瀬インターチェンジから東港インターチェンジ間が、暫定2車線で供用中であります。建設省では、このうち阿賀野川大橋を含む海老ケ瀬インターチェンジから濁川インターチェンジまでの4車線化を、昭和61年度までに完成すべく努力しているところであります。県といたしましては、従来から新発田までの早期開通を重点施策として、国に対し強く要望してきたところでありますが、供用区間の交通渋滞の状況にかんがみまして、新発田までの延伸とあわせまして、特に競馬場までの早期4車線化を促進されるよう、国に強く要望いたしているところであります。 また、国道345号につきましては、現在2車線または4車線で改良済みでありますが、東港との関連もありますので、今後の交通量の増大を考慮しながら、鋭意整備促進に努めてまいります。 次に、別行集落の移転問題でありますが、同集落の移転は本年度から開始し、61年度までにほぼ完了する計画となっております。59年度は、50戸のうち30戸の移転を予定し、12月上旬から個別交渉に入ったところでありますが、関係者のなお一層の協力を得ながら進めたいと考えております。 また、見直し後の初の集落移転で、従来の移転と変わった点があるかとのことであります。移転補償の基本的な方針は従前同様でありますが、基本協定の趣旨を忠実に適用し、円滑に移転が行われるよう住民の協力を求めてまいります。なお、同集落の移転に要する経費は、今後約30億円程度必要と考えております。 次に、除外集落対策につきましては、聖籠町内の他集落と比較いたしまして、おくれておる生活基盤や生産基盤の整備につきまして、公共事業の導入を基本に、町の理解と協力を得ながら、できる限り対応をしてまいりたいと考えております。また、この問題につきましては、既に聖籠町と協議をしておりますが、今後も町や集落との話し合いを継続する中で、町との役割分担を考慮しながら、導入する事業を選択してまいりたいと考えております。 以上で答弁を終わります。 〔総務部長有磯邦男君登壇〕
◎総務部長(有磯邦男君) 県有財産の処分についてお答え申し上げます。 本年度分といたしまして、現時点で147件、6億9,000万円の処分が確定しておりますが、年度末までには総体で約180件、11億6,000万円が処分可能と見込んでおります。 また、農業改良普及所の統廃合により廃止となる支所のうち、県の総合庁舎等を使用している支所を除く11支所の処分と処分後の利用計画については、地元市町村と話し合いを進めており、現時点では大部分の地元市町村が県から譲渡を受け、農業関係施設として活用する方向で検討を進めており、3月末までに結論を出す所存でございます。 以上でございます。
○議長(岩村卯一郎君) 細貝幸也君の質問は終わりました。 次に、今井敬弥君の発言を許します。 〔今井敬弥君登壇〕(拍手)
◆今井敬弥君 日本社会党を代表いたしまして、当面する県政の諸課題について、知事、関係部局長、県警本部長等に質問をいたしたいと思います。 まず第1番目は、来年度の予算編成をめぐる財政の問題でございます。 御案内のように、大蔵省は9月県会前に、60年度
国家予算編成方針の一つとして、国庫補助率の一律10%カットを打ち出しました。本県議会が直ちに、これは国の財政危機の地方への一方的転嫁にすぎず、明らかに財政秩序を乱し、厳しい地方団体の財政事情を無視するものとして、全会一致で反対意見書を採択し、大蔵省を初め関係各省庁部局に反対の陳情を行ったところであります。そして、10月下旬に地方六団体の反対のための大集会が東京で開かれましたが、大蔵省はこれを中止しようとする気配を見せておりません。 この10%カットの本県に対する影響は、生活保護費補助金等を初め、厚生省、国土庁、外務省、文部省、農林水産省、労働省、運輸省分を合わせると、16億3,691万6,000円の減となります。それのみならず、大蔵省は11月中旬、公共事業について国の補助率2分の1以上の
高率補助事業の補助金を一律10%カットする方針を固めたと伝えられます。これによる本県への影響は、59年度9月現計で、土木部、農林水産部、農地部関係で、合計63億673万3,000円の減となり、事態は容易ならざるものとなっております。 さらに問題なのは、大蔵省が国の直轄事業負担金について、地方団体の負担割合を、国が2分の1を超える金額の一律10%カットを志向していることであります。もともと国の直轄事業に県の負担金を課すること自体大きな問題であり、全国知事会もこれに反対をしておりますが、この負担割合をさらに地方に転嫁させようとするのですから、財政秩序を乱すこと大なるものがあります。本県に与える影響は、土木部関係負担金、治山事業負担金、農業水利改良事業負担金等で、合計23億7,115万4,000円の負担増となります。ざっと計算しただけでも、102億円余の補助金減ないしは負担増となって本県財政にはね返るのであります。 国が120兆円を超える巨大な赤字国債を抱えて、いわば財政危機にあることは百も承知のつもりです。しかし、わずか数年前、福田内閣による赤字国債政策が今日の禍根をもたらしたと言っても過言ではありません。そして、政府がこの巨大な赤字国債を解消するための具体的な処方せんを何も示すことなく、一方的に地方に転嫁することは極めて遺憾なことであります。 本年度の
地方財政計画は、地方財政の健全化に資するため、昭和59年度以降、原則として交付税特別会計における新たな借り入れはやめる。これにかわる各年度の地方財源措置として、当分の間、地方交付税交付金の特例措置を講ずること、財源不足額は交付税増と建設地方債の増発で補てんすることとし、地方にとっては極めて厳しいものの、地方財政の健全化の方向が志向されたのであります。県当局は、今、来年度予算についてマイナス5%シーリングの厳しい編成方針で進行中と伝えられておりますが、この国の102億円にも上る、いわば借金のツケ回しが影響してくることは必至と見なければなりません。 このような財政状況の中にあって、第1に、知事は、国のこのような措置に断固として反対すべきものと考えます。 第2に、国があくまでも10%カットを固執した場合、当然に地方交付税や起債の増額を要求し、その補てんを求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 第3に、補助金については一律にカットでなく、政策目的の終了した項目等を大胆に見直し、廃止すべきは廃止するという方向で国に提言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 第4に、知事は国に対し、同じ党派だからと遠慮するのではなく、地方の立場で率直に物申すべきではないでしょうか。国が、前に述べたように巨額の赤字国債を抱えながら、なお4年連続防衛費すなわち軍事費を突出させ、今や三木内閣時代に打ち出したGNPの1%枠を取り払う見直しを行おうとしていることは、地方団体の一員として見逃し得ない重大な問題ではないでしょうか。 第5に、外形課税の問題です。私が今から6年前に質問したことのある問題でありますが、幸い本年度の県税収入が上半期、前年度比8.2%増となり、40億円を超える増収見通しとなりました。これは当然人勧の完全実施等に向けられるべきものと考えますが、厳しい財政環境の中にあって、明るい話題の一つとなりました。法人事業税収入の好・不況による地方財政の不安定性は前から指摘されていたところであり、全国知事会は以前から外形課税の導入を要望してまいりました。 昭和52年、知事会は最終要綱案をまとめ、資本金5億円以上の製造業について実施したいという意向を示し、53年度は、法人事業税の性格の明確化、都道府県税収入の安定化、さらに法人における税負担の不均衡の是正等の観点から、法人事業税へ外形課税を導入すべきであると要望しております。その後、一般消費税の導入問題に絡み、多少足踏みした嫌いはありますが、57年、58年と同じような要望を知事会は出しているのであります。 本県における欠損法人は、58年2月1日から本年1月31日の期間で、分割法人が987、県内法人で1万8,154あり、うち資本金10億円を超える分割法人が114社もあります。知事は、全国知事会の方針に沿って、国に強く働きかけるべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。 第6に、来年度予算の重点をどこに置いて編成するかということであります。知事の記者会見によりますと、観光と企業誘致を2本柱にしていきたいということであります。それも結構でありましょうが、厳しい財政状況の中にあって、生活保護費を初めとする福祉行政や、あすの新潟県を背負って立つ青少年の健全育成のための教育面については、温かい配慮を加えながらの重点施策でなければならないと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 第7に、人勧に基づく人件費の追加補正等が予定されておりますが、その額、最終予算規模はいかほどの金額になるのか、県税収入の今後の見込み、県債残高の予測等をお聞かせいただきたいと思います。 第2番目は、生活環境部と佐渡、上越支庁の廃止問題について質問をいたします。この問題は、9月県会前に、事業見直し課や地元議員、市町村を飛び越えて、知事がいわば電撃的に意向を述べたため、知事与党から大きな反論が提起されたことは御案内のとおりであります。来年3月いっぱいで廃止するというのがこの提案であります。 まず、支庁の点です。 県当局によれば、道路交通事情の飛躍的改善、情報通信手段の発達等により、設置の必要がなくなったと言います。しかし、佐渡は海を隔てた離島だからこそ設置されたのであり、海路交通が飛躍的に改善されたとは、一体何を指すのでありましょうか。ジェットフォイルは冬季運休であり、一たび海が荒れれば、定期船さえ運休となります。また、いかに通信手段が発達したとはいえ、行政活動が電話やファクシミリで足りるというものでもありますまい。 総務部地方課によれば、公式に地方課が招集する会議が48回あると言われております。しかし、10市町村が県庁に出てくる回数はそれだけにとどまらず、各種の許認可や陳情、請願、打ち合わせ等、その回数をはるかに超えるものがありましょう。町村会の試算によると、支庁廃止により、交通費だけで年間800万円くらい負担増になると言われております。これこそまさに、国が10%カットを県に押しつけ、県は効率化を理由に、その負担を財政力の弱い町村に押しつけるものではないでしょうか。そして、この支庁廃止が今叫ばれている過疎化に一層拍車をかけるのではないかを恐れるのであります。 また、上越支庁の廃止は、その以南の糸魚川方面の県民に大きな不便をかけ、さらに東頸城地方の豪雪地、松代、松之山、大島の各町村にとっては、冬季の除雪確保が至上命令となるでありましょう。 県は、いずれも懇談会を開き、反対意見はなかったとし、あるいは地元議員の了解も取りつけたとしておりますが、弱小町村は、交付税配分等で県の助力を願う余り、不満を押し隠しているのが実情ではないでしょうか。地方課によれば、松代町等が支庁に日参する日数は、年間93日間あるとしておりますが、一体、両支庁廃止により、各関係町村の交通費がどれだけ負担増になるのか、お聞かせをいただきたいのであります。我々は、県民本位の県政を目指している立場からも、この問題はゆるがせにできない問題であり、知事の再考を煩わせたいと思いますが、所見をお伺いいたします。 次に、生活環境部の廃止問題です。 これは、公害対策基本法の制定並びに改正に伴い、国では環境庁、本県では47年4月に環境局が置かれ、やがて生活環境部となり、現在に至っておりますが、申すまでもなく、公害対策基本法にうたう県民の環境の保持と、典型7公害の防止に関する重要な役割を果たしているのであります。しかし、経済が安定成長に向かうにつれ、財界からは環境庁無用論が激しく打ち出され、環境庁が用意した環境アセスメント法案が政府部内でもまとまらず、幾たびか国会で提出されないまま流産していることは御案内のとおりであります。このような財界による環境庁無用論に沿って本県の廃止が打ち出されるとすれば、大きな問題としなければなりません。 現在、環境部局の独立型が東京を初め13都府県、生活環境部型が本県を含め11道県と、合計24県に上ります。衛生部に併合してしまう形は、人口の多い大県としては京都府ぐらいのものであります。現在、公害行政に携わっている人たちが、本当に県民の期待にこたえているか否かはともかく、本県には、かつては新潟水俣病の厳しい経験があり、鳥屋野潟の汚染、ヘドロ対策、産業廃棄物の処理等難問が山積しているとき、人員もほとんど減らない形で生活環境部を廃止することは、県民の要求に沿わないものと言わざるを得ません。この点についても知事の再考を促したいと思いますが、いかがでしょうか。 第3番目は、合成洗剤の規制と石けん使用推進の問題です。 11月1日付
生活環境部長名で、「県機関における有燐合成洗剤の不使用及び洗剤の適正使用について」と題する依頼通知が発せられました。合成洗剤に関しては、人体に与える影響と水質汚濁の観点から、各県とも昭和55年度中に使用規制の施策を行っており、やっていなかったのは本県と山形県だけでありました。新聞がぎりぎりテールエンドの汚名を免れたと茶化すのも無理はありません。琵琶湖と霞ケ浦を持つ滋賀県と茨城県には、富栄養化防止のための条例が制定されております。そして、他県でも要綱で、主として有燐洗剤使用規制をしているのが23県に上ります。本県は、他県におくれること4年目にして、初めて依頼通知を出したことになります。 生活環境部の考え方は、現在数%の人しか有燐剤を使っていないので、条例や要綱で規制するのは大げさだということのようであります。しかし、これほど本末転倒の考え方はないのではないでしょうか。少なくとも、有燐剤の有害性が確認されて、各県とも競って規制に乗り出したのに、ただ傍観するだけで、市民、県民の自主性に任せるやり方はいかがなものか。そして、まだ数%の市民が有燐剤を使用していることこそ重要なのでありまして、ここにこそ行政が規制の手を広げなければならないと思うのであります。 さらに、今問題となっておりますのは、合成洗剤の主成分であるリニア・アルキルベンゼン・スルホン酸塩(略称LAS)の問題です。この点も、県当局は、県レベルでのきっちりした裏づけ資料がないと考えているようでありますが、なぜ公害研究所に何年も前から研究委託をしなかったのでしょうか。大変疑問なのであります。 さらに、厚生省は昭和48年11月、昭和48年度特別研究促進調整費による合成洗剤に関する特別研究計画を立案し、大阪市衛生研究所等、11研究機関がこれに参画をいたしました。これに参加した三重大学医学部の三上教授が、53年7月28日の毎日新聞に投稿しております。それによりますと、参加11機関は、京大、広大を除き、すべて合成洗剤の安全性を容認していないのに、この研究成果は公表されておりません。そして、催奇形性について成績の一致していない京大、広大、三重大に名大環境研を加え、4大学で昭和49年度特別研究が実施されましたが、種々の生体障害性、つまり毒性を複数の大学で実証したものの、奇形の概念をめぐって一致せず、結局、研究班長西村京大教授個人の名で催奇形性はないものという報告がなされ、これが都道府県衛生環境行政部門に流されたと言われます。昭和48年度の研究書は、この投稿の後、11月に三重大学の実験報告を除いて公表されております。ここでも、厚生省の政治性がうかがわれるのであります。 また、業界誌「合成洗剤研究」、58年9月発行の3号に掲載されている柳沢文徳東京医科歯科大学教授の「無燐合成洗剤の再検討」という論文を初め、種々の毒性報告がなされております。 環境庁は7日、6,811水域についての58年度公共用水域測定結果を公表いたしました。それによると、鳥屋野潟は前年度よりワースト順位が8位から6位に上がり、富栄養化の過程をたどっていることは間違いありません。この鳥屋野潟の水質汚染を清浄化するために、滋賀県に倣い、富栄養化防止条例をつくる意向がないかをお尋ねをいたします。条例をつくることが大げさだという考え方だけはやめていただきたいと思います。 また、県は公害研、大学等へ有燐合成洗剤についての委託研究を行い、LASを規制する条例や要綱を志向すべき意向がないか、あわせて合成洗剤にかわり、石けん使用を強く指導すべきだと思いますが、お考えをお尋ねをいたします。 第4番目に、改正風俗営業法施行条例と法の運用についてお尋ねをいたします。 まず、我々のこの法律等に対する基本的態度は、住宅地域またはその近隣において、夜間著しく騒音及び振動を発するような営業、及び個室付浴場、モーテル等の営業は、住民の要望と相まって強く規制されなければなりませんが、その規制に便乗する形で警察権力が肥大化し、戦前の臨検を想起させるような警察活動には反対であり、この法律、条例によって影響を受けるすべての人の基本的人権が保障され、営業の自由とプライバシーも尊重されなければならないということであります。 従来、風俗営業法は、法律はわずかな条文にとどめ、主要なエキスは条例に任せるという形式をとりました。東京と新潟の取り締まりが違っていて当然でありまして、地方分権という観点からも好ましい形式だと考えます。ところが、今度の改正法は、条例のエキスをほとんど全部吸い上げて、51カ条の法律に仕立て上げました。これはまた、一体那辺に理由があるのでありましょうか。警察庁のお偉方が、風営法改正を機会に、全国支配をもくろんでいるとの疑念がなければ幸いであります。 第2に、改正法は、個室付浴場、モーテル等を風俗関連営業とする新しい概念を設定し、これらについて警察官に立入権を認めたところに大きな特色があります。いわば性産業、欲望産業に法の網の目をかぶせようとするのでありましょうが、これが臨検の復活ではないかと、国会で大いに議論を呼んだところであります。 さらに、風俗営業については、新たに報告と資料提出義務が課せられます。国税庁でも、強制捜査のときは裁判所の令状が必要であり、従来、警察は例えばストリップ劇場の公然わいせつ容疑のときは、客として入場して実態を把握し、しかる後令状を取って捜査に乗り出すのが通例でしたが、それでは迂遠だとして、この権限を欲したのでありましようか。 衆議院では、次のような附帯決議を行っております。 警察職員の立入りに当たっては、次の点に留意して、いやしくも職権の乱用や正当に営業している者に無用 の負担をかけることのないよう適正に運用すべきであり、その旨都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底す ること。 1.報告又は資料の提出によってできる限り済ませるものとするとともに、報告又は提出書類等については、 法の趣旨に照らし必要最小限のものに限定すること。 2.本法の指導に当たる旨を明示する特別の証明書を提示するものであること。 3.本法の運用に関係のない経理帳簿等を提出させ又はみることのないようにすること。 4.立入りの行使は個人の恣意的判断によることがあってはならず、その結果は必ず上司に報告してその判断 を仰ぐものであること。このように附帯決議を行っております。 また、参議院では、さらに強く次のように決議をされております。最初のところは衆議院と同じでありますので省略いたしまして、 1.立入りの行使はできる限り避けることとし、なるべく公安委員会が求める報告又は資料の提出によって済 ませるものとする。(中略)本法の運用に関係のない経理帳簿等を提出させることのないようにすべきであ る。 2.立入りは、都道府県公安委員会の判断により行い、その結果は必ず上司に報告することとし、立入りの行 使に際しては、本法の指導に当たる旨を明示する特別の証明書を提示すること。このような附帯決議を行っているのであります。 つまり、立入権の行使はできるだけ避けるべきであり、本法に関係のない経理帳簿等の提出は慎むべきであると要請しております。警察本部はこの趣旨に沿って法を運用すべきものと考えますが、見解をお尋ねいたします。 第3に、改正法の目的に、少年の健全な育成への障害防止がうたわれました。そして、少年指導委員が新設されたわけでありますが、少年の健全な育成は警察でできるものではなく、むしろ、警察は後方にいて、家庭、学校、社会教育の緊密な連携の中での施策の実施こそ肝要と考えられます。その意味で、法が制定されたのはそれとして、少年指導委員の選任方法は、単に県警本部だけでなく、教育委員会、民生部の力をかりて選考委員会をつくり、警察OBに偏ることなく選任すべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。 また、その際、10月末現在、風俗営業は3,600ありますが、その選任の当初の人数、そして最終的な人数、年齢制限の有無等をお聞かせいただきたいと思います。また、この少年指導委員はボランティアであるものの、規定を見ると、少年を補導する強力な権限を持つと錯覚しかねない面がありますが、権限行使についてどのように講習をされるのでありましょうか。 第4に、営業所の管理者の規定は、条例から法律に移行いたしました。この法文ではかえってわかりにくくなっております。欠格者を除き、営業者が兼務できることを明示すべきでしょうし、ここにも警察OBの再就職先にならないかという国会の質疑がありました。県警本部長はどのようにお考えでしょうか。 第5に、法の4条1項3号は、暴力団関係者に対する不許可条項だと言われてきました。この条文で、果たしてそれらの人たちに対して不許可できるのか、国会でも議論になりましたが、お伺いをいたします。 第6に、法改正で51カ条に条文がふえましたが、だからといって警察官の増員はしないというのが警察庁の国会答弁であります。本県も当然これを遵守するものと思いますが、いかがでしょうか。 第7に、来年2月13日から改正法が施行されます。条文の増加に加えて難解になり、業者が理解するのに大変だと思います。業者に対する講習その他をどのように考えているのかをお尋ねをいたします。 第8に、前述したとおり、改正法により警察に大きな権限が与えられました。法と条例の施行、運用に当たって、衆参両院の決議に留意しながら、与えられた権限行使は必要最小限にとどめる用意があるか否か、お尋ねをいたしたいと思います。 第5番目は、警察に関連してお尋ねをいたします。 新潟市長に対する5,000万円の恐喝事件は、いまだ解決していないようであります。いわば公人に対する犯罪であり、しかも、犯人と接触可能の地点にいながら取り逃がしたことは遺憾であります。グリコ・森永事件を見るまでもなく、全国の消費者を人質に取る卑劣な犯罪を敢行する犯人捜査に非常な困難を伴うことはよく理解できますが、未解決事件を解決するのも警察に与えられた大きな責務であります。今後の見通しと、検挙の可能性をお伺いをいたします。 最後に、いろいろ論議を呼んだ白根市大鷲中学校の少年放火事件は、11月26日、新潟家庭裁判所で非行なしと不処分決定が下されました。放火事件の捜査は極めて難しい事柄の一つでありますが、当初から見込み捜査ではないか、物的証拠がないのではないかと言われてきたところです。無罪に当たる不処分決定を機会に、県警本部は、少年事件捜査のあり方、見込み捜査の禁止等十分に反省をし、今後に生かすべきだと考えますが、所見をお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) 国の補助率の引き下げについてでありますが、これまでも全国知事会等を通じましたり、あらゆる機会を利用いたしまして強力な反対運動を展開してきましたが、今後も年末の予算編成に向けまして、本県国家予算要望の最重点課題として取り扱ってまいる考えであります。 また、国が補助率の引き下げを実行した場合の地方の負担増につきましては、国の地方財政対策の中で適切な措置がされるべきものと考えておりますが、万一、国において措置がなされない場合、本県独自に財源を確保することは極めて困難であると考えております。また、このような補助金の削減は、個々の補助金ごとに補助目的等を吟味の上なされるべきであるという御指摘には同感でありまして、現在、自治省におきましても、同趣旨の申し入れがなされておるところであります。 国は、現在、臨調答申をもとに、「増税なき財政再建」に取り組んでおるわけでありまして、その財政再建のための確実な方法が必ずしも具体的に明らかにされておらないのは御指摘のとおりでありますが、防衛費の問題につきまして、国家安全保障の見地から、国において適切に対処されるべきものと考えております。 次に、事業税におきます外形標準課税の問題でありますが、課税標準に事業活動の規模をあらわす外形基準を導入することが適当であるとの観点及び税収安定化の見地から、従来より都道府県が要望してきたところであります。また、御承知のとおり、全国知事会におきまして、昭和52年に実施案を作成いたしましたが、諸般の事情から実施には至らなかったのであります。しかしながら、引き続き全国知事会の要望事項となっておりますので、今後ともその場を通じまして要望してまいりたいと考えております。 来年度の予算につきましては、現下の厳しい財政状況のもとで、財源の重点的、効率的配分を行うことによりまして、可能な限り県民サービスの確保を図りたいと考えておりますが、御指摘の点も含めまして、全般について十分検討の上、具体的な予算編成を行ってまいる考えでございます。 本年度の最終予算規模についてでありますが、県税収入は、このまま順調に推移いたしますれば、1,500億円台に乗ることも予想されますが、余剰が生じました場合には、来年度の予算編成が本年度以上に厳しい状況にあることを考慮いたしまして、財政調整基金の取り崩し額を減額する方向で検討しております。最終予算規模は、おおむね12月補正後と大幅に変わることはないと考えております。なお、本年度末の現債高は、前年度より349億円増加いたしました4,856億円になる見込みであります。 次に、佐渡支庁の廃止後の問題でありますが、市町村の負担を軽減する意味も含めまして、会議等につきましては、本庁から出向いて行うなど検討してまいりたいと考えております。また、支庁廃止が過疎化に追い打ちをかけるとのお説でありますが、支庁廃止後も、必要な出先機関は島内に設置いたしますとともに、本庁機能を強化いたしまして、離島振興、過疎対策など、地域振興について、より一層きめ細かな行政を推進するよう十分配慮してまいる所存であります。したがいまして、佐渡市町村の経費増にはならないと考えております。また、上越支庁を廃止いたしましても、必要な出先機関はそのまま合同庁舎に設置いたしますので、経費の増にはならないと考えております。 次に、生活環境部の問題でありますが、環境行政と衛生行政は、いずれも快適な生活環境づくりと、人々の健康保持を図ることを究極の目的としておるものであります。その業務の類似性、関連性は極めて緊密、密接でありまして、したがいまして、これら保健、環境行政を一体化した総合処理体制を確立いたしまして、関連施策の展開を図っていく方が、より効果的、効率的でありますので、環境3課と衛生部を統合し、新たに環境保健部を設置することとしたものであります。 また、さきの提案理由でも申し上げましたとおり、消費者行政は、広報、広聴行政と一体的に推進するため総務部に、交通安全対策業務は、交通問題の総合処理を図るため企画調整部に、それぞれ分掌させることにいたしたものであります。 次に、富栄養化防止条例につきましては、御指摘の琵琶湖や霞ケ浦は、水道用水、工業用水、農業用水として、流域を初め、広く県民の水がめとして機能しており、その利水障害対策は極めて緊急性が高く、このような観点から条例が制定されたと聞いております。 本県といたしましては、県下の湖沼の規模や利水実態等から判断いたしますと、現行法令の活用や必要な行政施策の実施によりまして、着実に対策を進めていくことが適切な処置であると考えておるところであります。したがいまして、条例を制定することは今のところ考えておりません。 〔
生活環境部長山崎浩司君登壇〕
◎
生活環境部長(山崎浩司君) 合成洗剤関係の質問にお答えいたします。 昭和55年に、合成洗剤の人体及び環境に対する影響並びに流通実態等につきまして総合的に判断し、当面消費者の利便を無視してまでも特別措置をする必要はないとの方針を定め、今日まで推移してきたものでございます。 しかし、その後における燐の測定結果から、鳥屋野潟など富栄養化水域の存在が明らかになり、国の施策とも相まって、閉鎖性水域の富栄養化防止を図る必要性が生じてきたこと、さらには、洗剤の技術開発等により、無燐洗剤が広く市場に流通してきたことなど、55年当時とはかなり状況が変わってきてございます。 これらのことから、今後有燐合成洗剤を不使用としても、消費者の利便に影響を及ぼすことなく、燐の排出抑制についての全県的な対応が可能であると判断いたしまして、従来からの洗剤の適正使用とあわせて、有燐合成洗剤不使用の方針を定め、県民に広くお願いすることとしたものでございます。 なお、県民への周知徹底につきましては、出先機関や市町村を通じてきめ細かな対応を図っているところでございまして、大幅な減少を来している有燐洗剤の使用実態等から、要綱の形をとらなくとも十分効果が上がるのではないかと期待いたしております。 次に、LASを含む合成洗剤の規制の問題についてでございますが、合成洗剤と石けんの人体及び環境影響につきましては、これまで多くの調査が行われておりまして、その結果、有燐よりは無燐という点では一致いたしておりますが、分解性、魚毒性、下水処理への影響及びBOD等の有機性汚濁の負荷など総合的に見ますと、石けんを使用すべきか、または合成洗剤を使用してよいのかという点では、必ずしも一致した意見はございません。 また、合成洗剤の人体等に対する安全性の問題につきましては、昭和53年に、通常の使用では問題はないとの国の見解が示されているところでございます。このようなことから、洗剤対策は、全国的に見ましても、ほとんどの都道府県におきまして、有燐洗剤のみを規制しているのが実情でございます。本県としましても、LASを含む合成洗剤そのものについて定説化した知見がない現状におきましては、条例、要綱等による規制は困難であると考えております。なお、合成洗剤の問題につきましては、今後ともさらに知見の収集及び検討の継続に努めていくことといたしております。 次に、鳥屋野潟の水質につきましては、有機性汚濁の代表的な指標でございますCODのこの数年間の結果を見ますと、毎年環境基準値の2倍の10ミリグラム・パー・リットル以上で推移しており、大きな経年変化は認められません。 また、湖沼等の富栄養化の指標でございます全窒素及び全燐につきましては、ここ数年低減化の傾向にありますが、昭和58年度におきましても、全燐で0.38ミリグラム・パー・リットル、全窒素で2.5ミリグラム・パー・リットルと、湖沼の環境基準で最も汚濁の高い第V類型をも大幅に上回っている状況でございます。 なお、有燐洗剤の不使用は、富栄養化防止に効果があると一般的に認められておりますが、合成洗剤から石けんへの切りかえは、必ずしも有機性汚濁に係る水質改善につながらないのではないかとも考えているところでございます。 以上でございます。 〔警察本部長斉藤隆君登壇〕
◎警察本部長(斉藤隆君) まず、改正風営法の運用と施行条例の問題につきまして、8点の御質問にお答えいたします。 第1点の、従来、条例で定められた事項の多くが法律事項となった理由は何かということでございますが、今回の法改正は、最近現行法が対象としている営業のほかに、あからさまに性を売り物にした産業等、善良の風俗及び少年の健全育成の上から問題の多い営業が増加しておりまして、現行法だけでは十分に対応し切れなくなりまして、風俗環境を害しているだけでなく、少年非行が激増している大きな要因の一つとなっておる。このため、今回の改正法は、このような少年非行の増大と、風俗環境の悪化という実情にかんがみまして、題名の変更及び目的規定の新設、風俗営業に関する規定の整備、風俗関連営業に関する規定の整備、深夜における飲食店営業の規制等に関する規定の整備などを行ったものであります。 特に法律に規定された理由といたしましては、昭和39年の風営法の改正の際、衆議院の地方行政委員会の附帯決議で、現行法体系の欠陥を根本的に再検討し、特に重要な規制事項については、これを法令または政令で定めることを要するなど、全般的に整備する必要があるという附帯決議がございまして、将来的な課題として改正の必要が指摘されていたことなどから、全国的に斉一に定めることが適当な事項については、法律事項としたものでございます。 第2点の、立ち入りの問題でございますが、立ち入りの問題につきましては、現行法の第6条にも規定されております。したがいまして、改正法によって新設されたものではございませんで、その趣旨は従来と変わっておりません。しかしながら、御指摘のとおり、衆参両院の附帯決議にもありますとおり、その運用には今後とも慎重な配慮をしてまいりたいと考えております。 第3点の、少年指導委員制度でございますが、この制度は、盛り場における少年の補導、環境の浄化などに民間の活力を導入するために新設された制度でございます。指導委員の選任手続につきましては、国家公安委員会規則で基準が示されることになっておりまして、現在警察庁で検討中と聞いております。本県におきましても、規則の内容を踏まえまして、適任者を委嘱することにしたいと考えております。 次に、選任される指導委員の人数でありますが、改正法が施行されます明年2月13日の時点で30名、60年度中に30名、さらに安定すると思います61年度中に60人程度、都合最終的には120人程度を考えております。 次に、指導委員の年齢制限でございます。年齢の制限はございませんが、資格要件の中に、健康で活動力を有することの条件がございます。これを踏まえて選任することになろうかと思います。 次に、指導委員の権限行使についての講習であります。指導委員の権限については、強制力は一切ございませんが、少年補導という重要な任務を内容としておりますので、その活動任務につきましては、事前に講習会を開催し、適正な活動が行われるよう、その徹底を図ってまいりたい、かように考えております。 第4点の、風俗営業の管理者についてであります。風俗営業の管理者の規定は、御指摘のとおり、条例事項から法律事項に移行しましたが、この制度の趣旨は、風俗営業の自主的な健全化の促進を図るためのもので、従来と変わるものではございません。職務内容も、営業者や従業員に対して必要な助言や指導を行うことと、営業所の構造、設備の維持、点検でございまして、警察OBとか専門的知識を有する者である必要は毛頭ございません。また、営業者がみずからを管理者として選任すれば、別に管理者を選任する必要はございません。 第5点の、暴力団関係者に対する不許可条項についてでございますが、御指摘のとおり、法第4条第1項第3号は暴力団排除の条項でございまして、これらの人的欠格事由に該当する者には、風俗営業の許可をしないことになりました。この認定方法は、一定期間における前科、前歴、罪種、罪数、暴力団等との関係について、警察の内部資料、前科照会の資料等によりまして判断していくことになります。 第6点の、法改正に伴う増員についてであります。改正法の条文は、従来の8カ条から51カ条になっておりますが、その多くは、従来の条例事項を法律事項として盛り込んだものであり、対象となる営業では、新たにゲームセンターを風俗営業に加えたこと、及び性を売り物とする新たな業態を加えて、風俗関連営業として、一括して規制の対象としたことなどがありますが、法の考え方や警察官の職務内容には、大筋において変わりはございません。したがって、法改正に伴う増員は必要ないというのが警察庁の考え方であり、私どももそのように考えております。 第7点の、営業者等に対する改正法施行条例の講習などについてでございます。今回御審議をお願いしております条例案を作成の過程におきましても、各市町村、関係官庁のほか、各業界の代表者の方々にお越しをいただきまして、要望、意見等を十分に伺って慎重を期してまいりましたが、施行後の運用につきましても、今回の改正が、従来の司法的な措置から行政的な指導等による対応を重視している趣旨にかんがみまして、業界に対する講習会、説明会などに努めてまいりたい、かように考えております。 最後の第8点の、警察権の適正な運用についてでございますが、このことにつきましては、今まで第1点から第7点まででも申し上げましたとおり、改正法並びに条例の運用に当たりましては、慎重な配慮をしてまいりたいと考えております。特に、今井議員の御指摘のように、衆参両議院の附帯決議もございますので、これらの趣旨に沿って、基本的人権を侵すことのないよう、一層慎重な運用に努めてまいる所存でございます。 次に、新潟市長に対する恐喝未遂事件の捜査についてお答えを申し上げます。 本件は未遂事件ではございますが、御指摘のとおり、いわば市民を人質に取った重大事件であると私どもも受けとめておりまして、所轄の西警察署はもとより、県本部からも応援して継続捜査中でございます。ただ、この事案は、電話によるたった1回の脅迫のみで、捜査資料が極めて乏しいことと、事件が報道されたことに伴いまして、その後犯人からの接触が全くなくなっておりまして、捜査によりまして一部容疑性のある人物も浮上してまいっておるのでございますが、決め手に欠けるなど、極めて厳しい状況にございます。しかしながら、この種の事件は検挙することが再発防止につながるものでございますので、さらに鋭意努力してまいりたい、かように考えております。 最後に、大鷲中学校の放火事件のお尋ねでございますが、本件の捜査につきましては、学校火災という事件の重大性と、その関係者の大半が中学生であるというところから、人権尊重はもちろんのこと、いろいろな面で慎重に捜査を進めてまいったところでございます。 そこで、火災原因等につきましても、放火、失火、電気火災か、あるいは行為者についても外部か内部の者か、そして出火場所、その時間帯等、多角的、総合的に検討をして捜査を進めた上で容疑者を浮上させたものでございますので、決して見込み捜査を行ったものではないわけでございます。 また、少年事件の捜査に当たりましては、従来から少年法の法令や規定に定めるところに従いまして、少年の健全育成の精神に基づいて行っているところでありますが、今回の家庭裁判所の不処分決定につきましては、決定理由を検討いたしまして、反省すべき点は今後の捜査に生かしてまいりたい、かように考えておるところでございます。 以上でございます。
○議長(岩村卯一郎君) 今井敬弥君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 午前11時48分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後1時3分 開議
○副議長(小林脩君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、福島富君の発言を許します。 〔福島富君登壇〕(拍手)
◆福島富君 私は日本共産党の立場におきまして、財政問題を初めといたしまして、当面いたします県政の幾つかの重要な点につきまして知事に御質問を申し上げたい、かように思います。 最初の質問は、行財政問題についてであります。 その第1は、生活保護費等に続いて公共事業の
補助金カットが打ち出され、しかも、公共事業のうち直轄事業にもカットが持ち込まれ、後進地域の補助率引き下げも行われようとしており、義務教育費、農林関係補助金のカット、廃止が広範に実施される動きとなっております。一体今日までに明らかになった補助金切り下げは、県及び市町村で総額どれだけの影響額となりましょうか、明らかにしていただきたいと思うところであります。午前中のお二方の質問の御答弁では県影響だけでありましたが、県影響並びに市町村影響、県全体の影響額を明らかにしていただきたいと思います。 また、公共事業の多い我が県の
補助金カット影響額は全国のトップクラスだと想定をされております。このような
補助金カットが本決まりとなった場合、県予算の編成は極めて困難な事態に直面することになると思いますが、知事の見通しをお聞かせください。 ところで、最近の知事の記者会見での発言で気になることがあります。去る12月3日の記者会見を報じた新聞によりますと、知事は、国の方針に何でもかんでも反対するわけにはいかない、認めるものは認めるが、本県の影響の深い過疎法、山村振興法などによる地域格差の是正策については断固反対していくと述べられたと報じております。私は、今度の一連の国の国庫補助率の一律引き下げ、地方負担転嫁は、地方六団体も共通いたしまして反対しているように、自治省も全面対決といっているように、何でもかんでも絶対反対すべきものだと思います。 この
補助金カットは、60年が地方行革元年と言われるように、財政圧迫を国から地方に集中する始まりであり、このようなやり方をいささかでも許せば、もっと大がかりな補助金削減、ついには地方交付税のさらに大きな圧縮にまで踏み込まれることになると思います。既に取りざたされているのであります。一方で軍事費拡大を聖域として、もう一方で、中曽根内閣は地方財政余裕論での圧迫を行おうとしておりますが、断じてこれは容認できないのであります。単なるつじつま合わせの財政不足を地方にツケ回すこのような一連の
補助金カットは、地方財政法初め関係諸法令に反することはもとより、地方行政権、地方財政権などの地方自治の根幹を侵害するものだ、私はこの立場に立っていただきたいのであります。知事はどう御判断をいただいておりましょうか、御見解をお伺いしたいのであります。 さらに私は知事に求めたいのでありますが、国の今の臨調路線の重大な誤りについて、踏み込んだ論及をされるときにもう今日来ているのではないかということであります。今の臨調答申によって進められる行政投資の流れは効率化であって、山村、過疎、豪雪、離島などの非効率はほとんど切り捨てて走り始めているのであります。臨調のもとで、東京などの都市圏への人口の流れは再び集中するようになり、過日の新聞も取り上げておりましたように、最近の行政投資は、関東、東海、近畿などの大都市に偏り始め、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州などの地方圏の影が急速に薄れ出し、特に昭和55年を境に大幅な後退が始まっているのであります。 新潟県の場合も、昭和55年が行政投資総額のピークで、9,405億円、全国総額の3.37%であったものが、3年後の57年には、実に8,243億円、2.87%と激減しているところであります。この逆転現象の中で、さらに、新潟県のような地方圏に追い打ちをかけるのが今回の
補助金カットであることは明瞭であります。過密過疎を解消し、公平で均衡のとれた国づくりという面でも、今度の一連の
補助金カットは一歩も引かず、完全な形で撤回を求める、この御決意をお持ちになっていただきたいのでありますが、知事のお考えのほどを伺います。 さらにお尋ねしたいのは、大蔵省とのやりとりで、
補助金カットは認めて、それを財政力の弱い自治体に再配分させるというこそくな動きが一部にあると伝えられていることであります。私は、このような地方財政制度や福祉、公共事業などの制度そのものを崩し、自治権すら侵すおそれのある
補助金カットとは、全面対決の道しかないと考えるものであります。重要な点でありますので、しかと知事の御見解を伺いたいと思います。
補助金カットについて最後にお尋ねしたいのは、知事は前定例会以降どのような反対運動をおとりになったのか、今後どのような不退転のお取り組みの方針と決意をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。 行財政問題の質問の次の点は、上越、佐渡支庁廃止問題、生活環境部廃止などの機構改廃の問題であります。 今回の支庁廃止案には、県民の多くが非常に厳しい批判を寄せていることは、知事も御承知と思います。過日の新聞投書にも、地方行革は果たしてこれでいいのだろうか、余りにも出先機関統廃合主義に陥っている、家畜保健所、蚕業指導所、農業改良普及所が消え、そこへ唐突な上越支庁廃止、住民に血の通うきめ細かな県政への道は遠くなるばかりだという、東頸城郡の住民の訴えが載っておりました。佐渡支庁廃止についても、いまだに相川町から強烈な支庁存置と離島振興の陳情が声を大にして続けられ、今定例会に先立って、私の自宅にも相川町の皆さんがおいでになりました。 私は、このような住民の納得しない、関係自治体の了承も得られないまま、県の出先機関廃止をなぜ急がなければならないのか、理解しがたいのであります。関係町村が納得しないまま、見切り発車での廃止の条例提案は異例のことであります。上越、佐渡支庁廃止は提案を撤回し、十分な地元合意をつくり上げるために努力をされるべきであります。 生活環境部の廃止、衛生部との合体による環境保健部への吸収は、県政における環境、公害行政の重大な後退につながることは必至であります。折から国の環境対策は、臨調答申のもとで財界、大企業の意見を取り入れて大幅な後退が始まっております。新潟県の生活環境部の予算を見ましても、県全体の構成比は急速に低下をいたしまして、昭和57年度で構成比0.6%が、58年度0.5%、今年度は実に0.4%と、圧縮が始まっているのであります。生活環境部は独立して存置して、先見性、総合性、広域性を持った公害、環境行政を進めるべきであると思います。 行財政問題の質問の第3は、公務員給与の引き上げについてであります。 今定例会会期中に県職員給与引き上げの条例提案が行われようとしておりますが、知事はなぜ人事委員会の勧告を尊重されないのか、しかと御見解を伺いたいのであります。
県人事委員会は6.44%の給与引き上げを勧告しているのに、知事は早々と国並みの3.4%以内にしたいと発表されております。これでは全くの国追随であり、57年度の引き上げ凍結、58年度の引き上げ幅抑制に続き、3年連続の不完全実施となります。人事院勧告制度は、もともと政府が憲法を無視して、公務員労働者から労働基本権を奪った代償措置として行われているものであります。だから、人事院総裁も本県の人事委員会委員長も、勧告の正当な実施を求めており、ことしは特にILOも、勧告は守られるべきだと申し入れているところであります。 公務員賃金の抑制は、県内経済の消費不況にも大きな影響を与えております。私が以前に調べたところでは、新潟県のような地方都市の場合、公務員給与が県民経済に与える寄与率は大きく、全国平均よりも3割近く高い結果が出ていたところであります。知事は、57年以降の値切り分も含めて、人事委員会勧告の早期完全実施に向けて全力を挙げられるべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いしたいのであります。 次に、私学助成についてお伺いいたします。 本定例会には、私学関係者が、49万4,000人を超える県民署名を添えまして、私学助成の大幅増額を請願いたしております。この請願署名は、私学助成の抑制、削減に対する怒りと、学費を据え置ける私学助成をとの、広範な県民の願いが込められたものであります。昨年は48万6,000人、ことしは49万4,000人と、私学助成大幅増額を求める2年連続しての50万人近い請願は、異例のことと言っていいと思います。知事はどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いしたいのであります。 臨調、誤った行革による私学助成の抑制、削減は、この4年間に私立高校の学費を22%も引き上げましたが、そればかりでなく、各学園の財政を極端に悪化させているのであります。一部の学校を除いた大部分の学校は、ここ二、三年来、毎年単年度赤字を続けており、その累積赤字が既に年間収入の3分の1から2分の1にもなっている学校さえ出ております。また、毎月の資金繰りのため、短期借入金も年間十数回、2億円から3億円にも及ぶ借り入れをして自転車操業、これが私学の実態であります。教職員の賃上げもベースアップなしの学校が多く、中には、理事会から賃金の8%引き下げの提案さえ出ているのであります。私学関係者は、助成金がさらに削減されるか横ばいが続くなら、そう遠くない将来にも、財政の面から崩壊の一歩を踏み出す学校が出ると警告しております。知事は、県内私立高校の財政状況をどのように認識していらっしゃいましょうか、まずお聞きしたいのであります。 また、私学学費を据え置くために、これまで公教育の一環を担ってきた私立高校の経営安定のために、県の私学助成、とりわけ全国最下位グループにある経常費助成の大幅な増額をすべきだと思います。昨年との比較で、今年度は4.3%も後退、減額になりました。これを復元するのはもとより、必ず上乗せをする。そして、新年度の予算編成を行っていただきたい、かように思いますが、知事の御見解をお伺いしたいのであります。 新聞報道によりますと、公費助成をすすめる会代表の陳情に対し、金子副知事は、私学もそれなりの経営努力が必要だと、自助努力を強調されたようであります。私学の自助努力とは、一言で言えば学費の値上げであり、教職員減らし合理化ではないでしょうか。しかし、学費値上げは生徒確保を困難にし、人減らし合理化は教育力を低下させ、学校への信頼を急速に失わせることにしかならないのであります。さらに、私学助成の抑制、削減のもとでの学費値上げは焼け石に水であり、学園財政の健全化に役立たないことは、ここ二、三年の学園財政悪化の経過を見れば明らかであります。私は、私学の発展と私学経営の安定は、私学助成増額以外にないということを、改めて強調しておきたいのであります。 私学問題最後の質問は、昨年11月26日付の私学審議会建議についてであります。 県の私学審議会は、私学はかつてない重大な時期を迎えているとの認識に基づいて、知事あてに私立学校振興のための建議を行いました。建議は、県内の中学校卒業生が、昭和64年をピークに、翌年から急激に減少していく事実を指摘し、私学みずからの努力を求めると同時に、それだけではいかんともしがたい難関も山積みしているとして、知事の積極的な総合対策を要請しています。特に、公私立間には、父母負担及び施設設備の充実等において格差が大きいので、これを縮小するための対策と助成措置を強く提言、要請しているのであります。君知事は、57年の9月定例県議会で、私学審議会の意見を聞いてまいりたいと私に明確に答弁をし、お約束をいただいておりますが、58年11月の私学審議会の建議を、知事は今後どのように具体化していかれるのか、お伺いしたいと思います。 次にお尋ねしたいのは、水資源問題についてであります。 去る11月26日、新潟・福島県議会水資源対策連絡会議が、異例ともいうべき東京で会議を持ち、尾瀬分水反対の国に対する要望書を採択するとともに、建設省、国土庁などに強力な要請行動を行ったことは、知事も御承知と思います。この日の会議では、利根水系や荒川水系での水資源開発計画の大幅なおくれに加えて、ことしの異常渇水から、尾瀬分水など、関東への分水の動きが強まっていることを確認し合いました。この日の会議の席上でも私は発言をして、警告をいたしましたが、今年度、国土庁が1,200万円の予算で広域水資源基礎調査を行おうとしていることであります。既に昨年5月の関東地方行政連絡会議で東京都代表は、関東の水不足対策は広域導水計画が必要であるとして、静岡県の富士川と新潟県の信濃川を名指しで取り上げ、広域導水計画を要望していたのであります。また、本年5月30日の同じく関東地方行政連絡会議でも、東京都代表は、広域導水の検討を図ることを国に要望していると発言をしていることであります。 このような関東勢や国土庁の広域導水計画の動きに対してお尋ねしたい第1点は、本県の水需要の基礎データを早く整備すべきではないかということについてであります。 第2点のお尋ねは、国土庁の広域導水計画調査は、どこを、どのように調査をするものなのか。どうも新潟がねらわれているようでありますが、できるだけ早くつかむ必要があるということであります。国土庁は、四全総策定に当たって、再び過密過疎を是認をする動きにあります。特に東京都への人口集中を是認する気配にあります。これに合わせた水資源の関東への分水を是認するおそれが極めてあるという見方を私はいたしております。 新潟県を取り巻く水資源問題で、もう一つ重要な動きがあります。それは、昨年の9月定例県議会で私が取り上げ、御質問申し上げた、ジャピックの関越総合水資源開発計画のその後の動向であります。ジャピックがこの10月に発行いたしました会報ナンバー5号によりますと、関越総合水資源開発計画の推進のために、ジャピックの水資源対策委員会は、関係省庁の関連調査への協力等の諸活動を行っていると伝えています。 また、関越技術研究会及び関越対策研究会は、関越水資源計画の推進のため、関係方面からの批判、意見等を集約し、対応策の検討を行うとともに、民間活力推進調査への協力、関係地域の公共団体、経済団体との連携を図り、また、水需要、電力需給の長期見通しと本計画への関係、事業化の方策、水需要の増加推移に応じた段階的開発等の検討を行っているとも報じられ、具体化の積み上げが行われているのであります。私は、このような不当きわまりない水とり計画は、初期の段階で根絶しなければならないと考えるものであります。既に県議会只見水系水資源対策協議会は、反対の意見表明をジャピックに本年3月に文書で送付いたしております。 私は、新潟県としてもこの計画の情報を逐一把握していくとともに、知事から、ジャピックのこの信濃川分水計画には絶対反対である旨の、きっぱりした態度表明を行っていただきたいと思いますが、知事のお考えはどうでありましょうか。 次に、東港問題について、東港開発から除外されました蓮潟山ノ口、甚兵衛橋集落の今後対策に絞りましてお尋ねいたします。 この2集落からは、9月県議会に、
新潟東港開発計画の縮小に伴う移転中止に関する陳情書が提出され、採択されました。知事は、この内容について陳情の願意を尊重し、誠意を持って2集落住民の要望にこたえていただきたいのでありますが、お考えのほどをお伺い申し上げます。 さらに、この陳情書では、2集落はもともと東港開発区域から除外を求めていたのに、都市計画決定の際に強引に線引きの中に含められてしまった経緯があると述べられているのであります。 私は12月初め、本定例会に先立ちまして、現地に参りました。昼間でありましたが、関係住民の方が休みをとって多数お集まりいただいて、私は感激をいたしましたが、皆さん方とひざを交えていろいろ懇談をいたしました。このとき出されました意見は、東港開発区域全体についての説明は、昭和38年の事業開始時にはなかったというのであります。宅地や農地が東港開発区域に入りますよというのは、用地買収の際か、都市計画線引きのときに初めて出てくる、こういう関係になっていたのであります。今回、開発除外になった蓮潟山ノ口、甚兵衛橋については、昭和45年の3月に県の都市計画の線引きが始まろうとしたとき、初めて正式な開発区域に入ることになる旨の説明が行われ、このとき住民代表は、県の都市計画審議会で反対の態度表明を詳細に行っているのであります。このときの資料によりますと、次のような陳述を行っております。 除外申請の第1は、大字蓮潟部落から分離したくないということであります。将来を考えるとき、数百年来 この方、大字蓮潟の住民として苦楽をともにしてきているのに、山ノ口、甚兵衛橋のみが切り離されるという ことの精神的苦悩は、言語に言いあらわすことはできません。部落民こぞって除外していただくことを希望し ておるのであります。 次に、今回の計画は10年計画と聞いておりますが、私どもの部落は百姓として農地に生きており、農地から 切り離されればどうなるのか、この地に将来とも安心のできる余生を送りたいというのが全部落民の声でござ いますので、ぜひ除外していただきたい。これは陳述された内容そのものであります。 蓮潟山ノ口、甚兵衛橋集落の反対を押し切って、無理やり市街化区域に含め、東港開発区域に取り込み、そして今度は、不要になったから除外と言う。これでは2集落の住民の立つ瀬はありません。この全経過は県の行政責任の上からぜひ明らかにして、今後の対策を立てる上での重要な参考にしていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。 次の問題は、具体的な各論であります。移転中止後、以前の営農に帰りたいと考えておられます農家に対して、長期低利資金貸し付けによる農地の買い戻しの道は検討できないのかどうかということであります。 また、聖籠町の町長さん初め町当局者にも、私、当日お会いしたわけであります。その席でも要望されておりましたが、2集落の農地や営農の指導、あるいは農地の計画のできる専門職員を東港事務所に配置してほしいということであります。迷惑をかけてきた除外2集落に、県の温かい営農再建の行政指導の手を差し伸べていただきたいのであります。 さらに、集落全戸の最も切実な願いは、住宅新改築について長期低利融資貸し付けを受けたいということ。その際、加えて県としての一定額の補助金支出は考えられないのか、ぜひ考えてほしいという強い要望があることであります。移転を予定したために15年以上も放置した住宅新改築は、今自力だけでやれないという状況に来ております。何らかの強力な助成策が待たれているのでありますが、知事のお考えはどうでありましょうか、誠意のある御答弁を賜りたいと思います。 次に、これが最後でありますが、前定例会に引き続きまして、鳥屋野潟問題について知事のお考えをただしたいと思います。 前回の質問で私は、鳥屋野潟整備は県の行政責任において立案、推進されるべきであって、既にその任務の終わった整備計画推進協議会を再発足させることによって県の責任を回避してはならないと、強力に御主張を申し上げておきました。しかしながら、先般強引に協議会の再発足が行われました。 さらに重大なことは、この協議会は、広く県民の自由で建設的な意見を反映させるものではなく、湖底地の私権抹消のための土地区画整理事業を前提とし、唯一の課題とするとされていることであります。これでは、正しい鳥屋野潟整備は進まないのであります。金脈温存の区画整理整備方針を改め、広く世論が高まっているように、潟は埋め立てず、自然を残し、私権が湖底にあっても、河川法上の権能で浄化や治水機能が確保できるという根本議論を、今こそ行うべきであります。今鳥屋野潟について協議をするというのなら、このような本格的な整備のあり方こそ取り上げられるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 第2にお尋ねしたいのは、前定例会で知事が示されました鳥屋野潟のヘドロのしゅんせつ、掘削についての県の照会と、これに対する建設省河川局長のお墨つき、正式には河川局長回答の問題であります。 県の照会では、「地権者の同意、所有権の取得の必要があるが意見を伺いたい」とし、河川局長からは、「貴見のとおりと解する」と回答されております。知事も御承知と思いますが、これにはトリックがあるとして、マスコミからも鋭い批判が寄せられてきております。私も、この県知事名の県からの照会文には重大な疑義を持つものであります。その主な内容は、次のとおりであります。 県の照会文では、河道に堆積したヘドロのしゅんせつ、掘削等の河川工事で、土地の形状を変更することとなるものを行う場合はどうかと河川局長に尋ねています。この場合の「河道」という言い方は、河川技術上の用語でありまして、河川法上の呼び方では「河川の敷地」とか「河川の区域」であって、私権との関係は、専門家の意見によっても「河川区域」で論じられているのであります。すなわち、「河川区域」については、前定例会でも議論がありましたように、河川法第6条で、流水の区域、堤防の区域、河川敷などの堤外の土地と3つに区分しているのであります。 昭和39年の新河川法成立のころに、その立案、国会提出、成立に直接に参画をされました、当時の建設省河川局次長であった鮎川幸雄氏がまとめられ、最近発行されました「水三法」という本の中で、鮎川氏は、河川と民有私権について、「河川区域」を3つに区分した上で、次のように明快に記述されています。すなわち、「流水の存する土地は、海没地域と同様に当該土地は滅失したものと考えられ、私権の存在を全く許さない地域である。換言すれば、無主物区域であり、河川管理権のみが働く地域と考えるべきである」とされています。また、堤外の土地については、「河川管理上必要な規制が行われるべき地域である」とされています。 さらに注目すべきことは、堤防その他河川管理施設の敷地の土地の区域についてのみ、「この区域については、原則として河川管理者が有償または無償で当該土地の権限を取得している」とされていることであります。 ここで重要なことは、「河道の浚渫、掘削等の河川工事」の場合は、明らかに堤防や河川管理施設のみは私権抹消を行って、県が所有権を持たなければならないが、流水の区域や堤外の土地については、河川の管理権によって工事を行い得るとされていることであります。なぜこのような河川法上の規定を無視した照会が行われたのか、明らかにしていただきたいのであります。 第3の質問は、ヘドロのしゅんせつは、河川法に基づく河川管理者の権能と責務において当然行われなければならない河川工事ではないかという問題であります。前定例会でも触れましたが、さらに踏み込んで詳しく触れます。 河川法第8条は、管理者の行うべき河川工事を定めており、それには次のように書かれています。「この法律において『河川工事』とは、河川の流水によつて生ずる公利を増進し、又は公害を除却し、若しくは軽減するために河川について行なう工事をいう。」となっているのであります。ここで言う、流水によって生ずる公利の増進、公害の除却というのは、河川法上の取り扱いは、自然的原因または人為的原因のいずれによるかを問わず、河川の流水によって生ずる災害を除却し、軽減するために行われる工事をいうとされています。この河川工事の一つとして、流水の疎通をよくし、河床の汚泥を除却するしゅんせつ工事等があると、明確に規定されているのであります。 このように、河川法第8条に述べられている河川工事は、河川の敷地の所有がだれであれ、公利を増進し、公害を除却しなければならない責務が管理者に義務づけられておる。ヘドロのしゅんせつは特に補償するまでもないことであり、この条項だけで十分に可能だと考えますが、いかがでしょうか、御見解をお伺いしたいのであります。 第4の質問は最後の質問でありますが、新しい提言を含めて質問を申し上げます。 ヘドロの下に堆積をしている土砂のしゅんせつは、土地所有者の同意が得られなかった場合は、事業認定を受けた上で、土地収用法に基づいて、土地の所有権はそのままで工事が十分にやれるという問題であります。これは御提言申し上げます。 御承知のように土地収用法は、第1条でありますが、「公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」という法律であります。 この土地収用法は、第3条で河川事業に適用されることを明らかにしており、また第7条では、土石砂れきを使用収用することができる。つまり、土地そのものの所有権を収用するのではなくて、所有権の上にある木とか、あるいは砂とか石とか、そのものだけを使用収用することが規定されているのであります。その場合には補償金を支払えばよいとされているのであります。法律の専門家の見解では、土地所有者が対抗策として審査請求や裁判を起こしたとしても、それは手続ミスさえしなければ心配はないと言われているのであります。 また、この土地収用法で土砂をしゅんせつする場合に、土地所有者が不明でも、第48条では、土地収用委員会が不明裁決を行い、補償金の供託手続をとれば十分に事業実施が可能とされていることであります。しかも、このような方法で土砂の補償をしたとしても、専門家の話ですと、鳥屋野潟で約四、五百万円で土砂の対価は解決するだろうと言われています。金もかからない一番いい方法はこれであります。私は、鳥屋野潟という貴重な自然資源を生かして使う上で土地収用法を活用することは、県民の大多数の支持と合意が必ず得られると確信するものでありますが、知事の御見解はどうでありましょうか。 以上述べましたように、鳥屋野潟整備は、河川法に基づく河川工事でヘドロ除却は可能であり、土砂のしゅんせつは土地収用法で十分可能であります。ヘドロや土砂の潟外処理は可能とする専門家の意見も大切にして、周りの水田を一時お借りして、ここで固化をして、潟外処理をすればいいわけです。こういう研究をしながら、遊水機能をさらに高めることができるでしょう。金脈を浮上させ、幾重にも整備事業を困難にしている土地区画整理事業に早く見切りをつけて、道理と展望のある方針を知事が早期に樹立されるよう強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) 国の
補助金カットの本県への影響額でありますが、国の事務レベルでは、多くの
補助金カットについて議論されておるようでありますが、現時点で内容が明確になっております生活保護費等の補助金の10%カット分、公共事業、直轄事業の10%カット分及び義務教育費のうち、国庫負担対象外となる旅費、教材費等の影響額の合計では150億円であり、このうち、県分が103億円、市町村分が47億円でございます。これらの
補助金カットによります地方の負担増分は、地方財政対策の中で適切に措置されるべきものでありますが、万一措置がなされない場合は、予算編成は極めて困難になると考えております。 補助金の見直しは、個々の補助金ごとに、国、地方の役割分担を明確にした上でなさるべきものであり、その整理がなされた後、財政力の低い地域の補助率をどうするか等が検討されるべきものと考えておりますが、今回のような一律カットが実施された場合には、本県のように財政力が低く、過疎、山村、離島など、社会基盤整備のおくれている地域を多く抱えております県が取り残されることになるとともに、61年度以降、さらに地方への負担転嫁が拡大するおそれもあることは、御指摘のとおりであります。したがいまして、これまでも全国知事会等を通じましての反対運動のほかに、県選出国会議員の方々、あるいは来県された関係大臣などにも、機会あるごとに反対の申し入れを行っておりますが、今後も、本県国家予算要望の最重点課題として取り組んでまいる考えであります。 次に、支庁の廃止の問題でありますが、先般、住民を代表する地元関係市町村長に対して県の考え方を説明いたしまして、理解と協力を願い、あわせて地元の御意見をいただくなどいたしたところでありますが、大方の市町村長から、支庁廃止は時代の要請であり、やむを得ないものとして御了解をいただけたものと理解しております。また、県民の意思を代表する県議会で議決をいただいてから実施いたしますので、見切り発車とは考えておりません。 次に、生活環境部に係る組織改正につきましては、保健、環境行政の総合的推進を図る中で、特に環境、公害行政の重視を一つの柱としているものであり、複雑化している公害問題を集中的に処理する組織体制に改めるなど、むしろ充実強化に配慮しているものであります。 次に、県職員給与改定につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、国に準じて改定を実施する考えであります。人事委員会の勧告は、基本的には尊重したいということに変わりはありませんが、結果として完全実施できないことは、まことに残念なことと考えております。 また、公務員賃金の県内経済への寄与率についてでありますが、県内公務員の全従業者数に占める比率、あるいは県内雇用者所得に占める公務員の所得の比率などは、おおむね全国平均並みになっておると思われますので、特に全国に比べて公務員賃金の県内経済への寄与率が高いことはないと思われますが、大都市圏と比較した場合には、高いものになっておると予測しております。 次に、国、県の厳しい財政事情の中で、人勧の完全実施に向けて財源対策に努めながらも、国の方針及び他都道府県の動向を見守りながら対処してまいる考えであります。 次に、私学助成の請願でありますが、50万人近い県民の多数の方々が私学に対して大きな期待を寄せておられるものであると受けとめております。私立学校が財政的に苦しい現況にあることは承知いたしておりますが、みずから経営改善に努める必要もあると認識いたしております。経常費助成の増額につきましては、学校の自助努力を見て、今後検討したいと考えております。 また、私立学校審議会の建議についてでありますが、公私間の格差を縮小するため、経常費助成に加えて、県単で計画的に施設助成を行っておるところであります。今後も建議を十分尊重してまいりたいと考えております。 次に、水需要の基礎データの整備でありますが、本県の将来における水資源を確保するとともに、尾瀬分水、関越総合水資源開発計画等の広域利水の動向に対処するためにも、長期的な観点に立った水需要計画の策定が必要と考えております。現在、基礎資料の収集や算定方法の検討を進めておるところであります。御承知のとおり、水の需要予測や供給量を把握することは容易ではありませんが、早期に資料を整備し、計画を策定するよう、鋭意努力しておるところであります。なお、その概略については、来年度中には取りまとめたいと考えております。 次に、国土庁の広域水資源基礎調査についてでありますが、この調査は、広域利水に当たっての水需給の状況、水利用に関する経済的、社会的諸条件、技術的手法等について基礎的な調査を行うものでありますが、現在のところ、調査地区等は未決定と聞いております。なお、調査方法、調査内容等については、今後とも把握に努めてまいります。 次に、日本プロジェクト産業協議会の関越総合水資源開発計画につきましては、民間資本の導入等で困難性があることから、当面は特に目立った動きはありませんが、最近の機関紙によりますと、この計画の推進を図るため、関係省庁の調査に対する協力等について検討しておる旨、報ぜられており、その動きに注目していく必要があると考えております。本県といたしましては、貴重な水資源をさらに活用し、県政の発展を図ることとしており、この計画には従来から不賛成を表明してまいりましたが、今後とも同協議会の動向に注目しながら、適時適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、東港における除外集落対策についてでありますが、陳情の趣旨につきましては承知いたしております。今後、町の協力を得ながら地元集落と接触を図る中で、県として対応すべき範囲や、導入すべき事業の選択等について検討したいと考えております。 次に、昭和45年の都市計画線引きに際しまして、当時の開発進捗状況等により、除外2集落の住民から市街化区域編入反対の意思表示があったことは聞いておりますが、当時の東港開発の必要性から決定したものでございます。 次に、農地の買い戻しにつきましては、既存の制度資金の活用を基本に、今後検討してまいりたいと考えております。なお、農地及び営農指導の職員については、現在、現地事務所に配置してありますが、今後、必要に応じ、関係部局との連携を随時図らせる等、対応してまいりたいと考えております。住宅新築に対する助成の要望につきましても、制度資金の活用を主体として検討したいと考えております。補助金等は考えておりません。 次に、鳥屋野潟整備計画推進協議会での潟の公有化の議論についてでありますが、同協議会は、整備計画の推進を図るためには潟内私有権の抹消が必要であるとして、種々協議検討の結果、昭和56年4月に、潟内私有地の所有形態や地権者の所在状況等の実態を総合的に判断いたしまして、土地区画整理方式が最良であるとの結論に達したものであります。したがいまして、これ以上の実行可能な案がない限り、この結論は変わることがないと考えております。 次に、河川区域の取り扱いについてであります。河川法では河川区域を3つの区域に分けておりますが、河川工事を行う場合に河川管理者が権原を取得しなければならないというのは、どの区域についても言えることであります。私権とのかかわりでは、別々の取り扱いをいたしておりません。 次に、ヘドロのしゅんせつは、河川管理者の行う河川工事によって行い得るのではないかとの御指摘でありますが、河道に堆積したヘドロのしゅんせつ、掘削等の河川工事で、土地の形状を変更することとなるものを行う場合、この実施に当たっては、当該土地が民地であれば、地権者の同意、所有権の取得等により、河川管理者が権原を取得する必要があるというのが建設省の見解であります。 次に、ヘドロの下の土砂のしゅんせつについてでありますが、一定計画に基づいて河川工事を行う場合、工事施行のため直接必要な土地はすべて取得するというのが河川管理者の方針であり、土石砂れきのみを収用するということは考えておりません。 以上で終わります。 〔福島富君登壇〕
◆福島富君 再質問を3点申し上げたいと思います。 財政問題につきまして、強力に運動を行うというお話をいただいたのでありますが、問題は、間もなく12月末の政府原案の決定の時期を迎えるわけでありまして、それまでの間に本当にこのように理不尽な、不法、不当だと私は思いますが、補助金のカット問題、まさに地方権益だけにしわ寄せを集中するこういうことについて、全面撤回を求める動きは容易ならざるものがある、こう思います。 報道等を見ましても、恐らく最後は大蔵と自治省の政治折衝になるだろう。これまでの数年間の地方財政の政府原案決定劇というのは、まさに足して2で割っているんです。私はこれを恐れるんです。この場合に、制度そのものの根幹を破壊をする、地方財政の根幹を破壊する、この認識を知事に持っていただきまして、ぜひ全面撤回を求めるために、知事に内閣総理大臣官邸の前に座り込めということは私は申し上げないけれども、本当に不退転の、可能な行動をおとりいただかないといかぬ。 今申し上げている質問の根幹は、つまり、政治妥協なんか図ってもらっては困る内容だ、その点を知事から政府の関係省庁にしかとお伝え願いたいと思います。県議会も、本日終わりますと、議運でこれについての再度の意見書採択が全会派によって決定されて、強力な行動展開を本日御決定いただく予定のようでありますが、これが第1点であります。 あとの2つの点は、鳥屋野潟の問題についてであります。 今、56年4月、答申をもらって、区画整理しかないんだという御答弁がありました。実行可能な案がない限り、この案しかないとおっしやった。ところが、これは非常に矛盾するわけですが、この間無理にお開きになった協議会は、区画整理以外には検討しないとなっている。知事が今おっしやったように、実現可能な案があるのではないか。県民の中では、その意見が非常にたくさん出ている。そういうものを、今私は、その協議会じゃなくて、別の場所でやってもらいたいんですが、協議して、もっといい方法を探し出すということがあっていいのではないか。区画整理が唯一の課題なんだというのが、この間の協議会に報告をされた内容になっているわけです。私はそこのところを実は求めている。知事がお答えになった実現可能な案が必ずあるはずです。もっとやりやすくて、県民全部の合意の得られるいい案があるはずです。こういう重要な潟整備の機運が市民、県民からわき起こったときに、なぜその検討をおやりにならないのか、このことを私はお尋ねをしているわけです。これが2点目。 最後3点目は、私は知事のお手元に「週刊朝日」をお届け申し上げた。知事は政務多忙で、こういう雑誌はお読みにならぬと思いますが、私は週刊誌は好きでありまして、たくさん読むようにしております。これは11月2日号の「週刊朝日」に載ったものでありますが、ここにはこう書かれてあるんです。最後のページでありますが、赤点がついておりますが、早稲田大学教授の篠塚昭次という方が、「私権があるからヘドロの浚渫をさせないなどというのは、私的所有権の乱用にあたる可能性が強い。」これは、記者の方が鳥屋野潟について尋ねたものです。「同意を求める手続きは必要だが、同意を得られなくてもやむをえないでしょう。土地収用法で対応できます」、専門家がそうおっしゃっているわけです。これは一番簡単な方法。 さらに、建設省の河川審議会専門委員を務めたこともある、名前を隠されている法学者は、「『河川区域内の常時水面下にある土地に、通常の意味での私権はありません。土地として全く使用できない土地なんだから、そこの所有権なんてむしろ虚有権とでも呼ぶべき権利ですね。そんなところを浚渫しても私権の侵害にはなりません。浚渫に際して補償を払うにしても涙金程度で十分ですよ』とはっきりいう。」最後にこう結んでいるんです。「新潟県当局の施策もおかしい。またそれをバックアップしようとする建設省もおかしい。だれがどう考えてもおかしいことが、いつまでまかりとおるのだろうか。」なんであります。共産党の福島富が言っているだけではなくて、鳥屋野潟のやり方はおかしいんじゃないか。これが唯一区画整理の方法しかないんだなどということはおかしいんじゃないか。ヘドロのしゅんせつは、どこだって河川法でやっているんです。こういうことがなぜ明々白々に根本議論が行われないのか、これをお尋ねしたいのであります。 以上であります。 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) まず、財政問題であります。先ほど申し上げましたように、知事会等を通じ、また、機会あるごとに努力をしておりますが、特に最終段階になってまいりましたので、来る19日、県選出国会議員全員にお集まりいただきまして、来年度国家予算要望をいたしますが、その際に、特に最初の1ページを使いまして、この問題を最重要案件として、全員の御協力をお願いすることにいたしております。 次に、鳥屋野潟の区画整理方式の問題でありますが、私は、前市長を長とする協議会があらゆる点を勘案、研究いたしまして、区画整理方式が最もよい方法、他に方法はないという結論を出したと聞いております。したがいまして、それ以外の最もよい方法、本当に実行可能な方法があれば、それはその方法で構わないかもしれませんけれども、今までのところ、そういう方法はないと私は聞かされております。 また、週刊誌等の問題でありますが、私どもとしては、建設省の方針どおりにやる考え方でございます。 〔福島富君登壇〕
◆福島富君 もう一回、再々質問でありますが、1点だけ、最後の鳥屋野潟の御答弁についてであります。 私はここに、今度は12月2日付の地元の新聞、新潟日報を持ってまいりました。鳥屋野潟整備推進協議会について論評した社説であります。一部分ですが、「鳥屋野潟問題は一度原点に戻った論議をすることも必要だ。」と書いてある。これは私は県民の声だと思います。それから、こうも書いてある。「問題を抱えた区画整理方式を強引に推進することには疑問がある。協議会再開までの経過をみても、奇異な感を抱く市民も多いと思うからだ。市民のための公園づくりは、後世に悔いを残さないようなものにしたい。」あるいはまた、こうも書いている。「ここへきて鳥屋野潟は公園化するよりも、自然の形で残した方がよい、という意見も強まっている。そうした意見にも十分耳を傾けたい。現在の姿のままヘドロ処理を進め、過剰分の汚れは下水道対策や市民の協力で減らしていくことはできないか、といったもの」であります。県民の声がこれだけ出ているじゃないですか。根本に立ち返った議論を今こそやる、そして、もっと簡便にして、金脈浮上させないで、市民、県民が願う政治方針があるのであります。 特に私は、きょう提言をいたしました土地収用法、これは新しい提言でありますが、これによって土砂が財産権を持つとすれば、その部分だけは対価補償をすれば、土地収用法で十分可能だ。今351号線の栃尾地内のトンネル掘削で、県では土地収用法で権利と所有権の調整を図っておられる。同じことを鳥屋野潟で土地収用法でおやりになれば、いとも簡便。この方法が御検討願えないのか、このことを最後に御質問申し上げます。 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) 鳥屋野潟問題は、先ほどもお話し申し上げましたように、関係市町村が協議の結果、この方法がよいと決定されて、答申をいただいたものであります。したがって、関係市町村が、これよりいい方法があるということで決定いたしますれば、それに従う。いずれにいたしましても、公共事業というものは、関係市町村が真剣に取り組まなければ成功の可能性はないわけでありますので、関係市町村の意向を重視してまいりたいと考えております。
○副議長(小林脩君) 福島富君の質問は終わりました。 次に、金子一夫君の発言を許します。 〔金子一夫君登壇〕(拍手)
◆金子一夫君 私は公明党の立場で、当面する県政の諸問題について、あらかじめ通告をいたしておきました順序に従い、知事、関係部長並びに教育長に質問をいたします。 初めに、県の財政問題についてお伺いいたします。これは今までも質問のあったところでございます。 60年度国家予算の年内編成を目指して、大蔵省は現在その作業を行っているわけでありますが、予算編成作業の目安になる歳出の骨格を、ほぼ今年度当初予算並みの約52兆7,000億円に抑え、この線に沿って各省庁の概算要求を削減するとともに、歳入の確保にも全力を挙げるというのであります。 既に8月末の概算要求の段階で、財政難を理由に、地方自治体への高率補助金の一律1割削減を打ち出したのに対し、全国的な反対運動が起こり、本県議会においても、国庫補助負担率引き下げによる地方負担転嫁反対に関する意見書を関係省庁に提出したところであります。9月定例会の一般質問において、これに関連して、公共事業費も大蔵省は聖域ではないとしている、もし削減されるなら本県に重大な支障を来すとして、知事の御見解をお伺いいたしましたところでありますが、知事は、公共事業の絶対額が多い本県にとり大打撃となるので、削減されることになれば、その削減分については、本県にとって不利にならぬ形で、
地方財政計画の枠組みの中で補てん措置がなされるよう要望していくと御答弁をいただいているわけであります。 既にその時点から予想されていたこととはいえ、公共事業にまで範囲を拡大することを明らかにし、国の補助率2分の1以上の
高率補助事業の補助率を一律1割削減する方針を固めたわけでありますが、県の財政当局が試算した本県への影響額は、土木部関係42億円、農地部関係11億7,000万円、農林水産部関係9億4,000万円で、総額63億1,000万円に上る見通しであり、とりわけ、道路16億円、圃場整備10億円と、大きな打撃が予想されるのであります。公共事業以外の高率補助金の一律1割削減により、約35億円の影響があるところへ、さらに追い打ちの状態であり、県の財政当局の言をかりて言えば、削減分に対する財源の補てん措置がなされないとなると、本県の来年度の予算編成を根本的に変えざるを得ないという重大な局面に立たされておるのでありますが、知事は、60年国家予算の編成の作業が大詰めを迎える中で、どの程度の情報をつかんでおられるのか、また、どのような見通しを持っておられるのか、お伺いいたします。 さらに、大蔵省は、後進地域に関する公共事業の特例補助を見直す方針を固めたと聞いておりますが、これによる本県の影響はどの程度なのか、あわせてお伺いいたします。 具体的には、財政力指数が0.46未満の都道府県が、
災害復旧事業などを除く補助事業及び直轄事業を実施した場合、通常の国庫負担割合を最高25%をかさ上げする形で支給している補助率差額支給制度の支給限度額を、今回5%程度引き下げようというものであります。大蔵省は、制度が創設された当時と比較すると、地方税収は安定し、地方の財政事情は改善されたと判断し、見直そうというもので、本県は現在まで8%支給を受けていたものであります。 これら一連の補助金の一律1割削減による地方負担転嫁に反発している自治省は、補助金削減よりも、地方への一般財源化を図るなど、国庫補助金の整理合理化を推進すべきであるとの意見書をまとめ、大蔵省に提示をしているのであります。意見書によると、国庫補助金に対する基本的な考え方として、本来地方の自主性にゆだねるべき補助金は、一般財源に移行することが基本であり、国と地方の機能分担のあり方を見直すことなく補助率を一律に削減することは、国の財政負担を地方に転嫁するにすぎないと主張しているのであります。 その上で、保健所運営費など職員設置費補助金を廃止して、一般財源化する。また、地方団体の事務事業として同化、定着化している福祉事務所事務費補助金や結核予防費補助金、あるいは奨励的補助金を廃止して一般財源化する。さらに、集会施設など、住民の身近な公共施設整備に対する補助金は廃止して、地方団体の自主性にゆだねる。児童手当、保育所などの制度、施策を抜本的に見直すことなどを求めているのであります。この自治省の意見書に対し、知事の御所見をお聞かせ願いたいと思うのであります。 次に、本定例会で追加提案になる県職員の給与改定についてであります。 政府は、さきに人事院が国会や内閣に、国家公務員の給与を平均6.44%引き上げるよう勧告をしたにもかかわらず、昨年、一昨年に引き続き完全実施を避けて、3.37%に抑制しようとしているのであります。本県におきましても、既に人事委員会から国に準じた6.44%の勧告が出されているにもかかわらず、国並みのアップ率とするとの方針を打ち出しており、3年連続完全実施が見送られることになるわけであります。 今さら申し上げるまでもなく、人勧制度は、労働基本権制約の代償措置として設けられたものであり、勧告を軽視して抑制措置をとったりするならば、制度そのものが形骸化するおそれがあります。また、その結果、職員の生活水準は低下し、勤務意欲の減退をもたらし、モラルや士気にも悪影響を及ぼし、ひいては県内経済へも悪影響を及ぼすと考えられますが、その点についてお伺いいたします。 次に、当面する教育問題についてであります。 我が国の教育水準は世界各国の中でも極めて高く、また、教育に対する国民の関心も広く、強いものがあります。これはまた、高学歴社会の進行と深いかかわり合いを持っており、特に最近では、学校教育だけにとどまらず、社会のあり方の変化による人々の新しいライフサイクルに応じ、職業、教養、趣味、家庭、健康、スポーツ等多面的な必要性と欲求から、生涯にわたっての教育を志向する傾向も強く見られるようになっているのであります。国民一人一人にとって、今や物心ともに豊かな生活を送っていくためには、より質の高い教育を生涯のさまざまな時期において受けることが不可欠の前提となると言っても過言ではありません。 しかし、現実に立ち返ってみますと、こうした志向と裏腹に、私たちの周囲には、我が子に対して無責任で放任的な親や、逆に過保護で、細かいところまで干渉する家庭も多く見受けられるのであります。また、社会全般の風潮も、刹那的で享楽的な面が強くなり、さらに、人々の間の思いやりの気持ちも薄く、凶悪事件の頻発にも驚かないといった、感情の鈍磨が少なからず見られるのであります。 このような状況と対応するかのように、子供や青年の姿にも、数多くの憂慮すべき点があらわれているのであります。そして、学校での落ちこぼれや校内暴力、遊び型非行、性的非行の蔓延等、問題行動の一環として論議されない日は一日としてないのが現状であります。これに対して、家庭や学校や関係機関で、それぞれの立場から必死の取り組みがなされているわけでありますが、総体的に見るならば、いまだ確たる処方せんが描かれていないのが現実であります。 そこで、近年問題になっている高校における中途退学について取り上げてみたいのであります。 本年1月の文部省の調査で、57年度における高校の中途退学者の数が10万人を超えたのであります。さらに、58年度においては10万2,000人、全国の高校生470万6,000人に対して2.17%に当たるのであります。進学率94%、義務教育ではないのだから、2%程度の中退者が出ても不思議ではないかもしれませんが、10万人は高校100校分であります。本県におきましても、58年度の公立高校の中退者は1,197人、在籍生徒数8万2,695人に対して1.45%、毎年高校が1校消えてなくなっている勘定であります。しかも、中退者数も中退率も年々上昇を続け、一度も下降傾向があらわれず、本県においては、52年の0.73%に対し、58年は1.45%と2倍になっているのであります。全国の中には、これは大阪府立の全日制普通科高校でありますが、58年度に1年生の約4人に1人が中途退学し、中退率が24.1%を記録したのであります。本県におきましても、中退者の50%が1年生であります。 この高校中退者の中退の理由につきましてはさまざまな要因が挙げられるわけでありますが、かつては中退の主役は定時制高校で、理由も、家庭や経済的な事情が主なものでありましたが、40年代に入って職業高校に移り、さらにここ数年は普通高校、とりわけ序列が低いとされている学校で深刻な問題となっているのであります。 第1に考えられることは、学業不振、いわゆる落ちこぼれと、それから、不良行為での自主退学でありますが、これは学校の体面を考える教師の側からの追放作戦、自主退学という名の強制退学が多いと言われているのであります。最近では学校生活、学業不適応が急激にふえ、また、進路変更も年々増加しているのであります。学校生活、学業不適応の背景にあるものは不本意入学であります。偏差値による進学先の振り分けによって、志望校でない学校に回されて、目的を見失い、失望や挫折感から中退に向かうのであります。一方、進路変更は専修学校や各種学校への転校が中心で、資格や技術の取得を目指す積極的中退と見ることができるのであります。このほか、中退の理由はさまざまで、一概には指摘は不可能であります。年々増加する高校中退の実情は憂慮すべき問題でありますが、本県の実態はどうか、また、どのような認識をしておられるのか、お伺いいたします。 さきに申しましたように、最近では学業不振や非行でない理由での中退が増加している事実は、高校教育がそれらの生徒の欲求にこたえていないのではないかとも考えられるのであります。既に全国では幾つかの実験が行われており、兵庫県におきましては、履修科目希望調査を実施し、その結果、普通科の生徒が職業系の科目と芸術系の科目を希望することを把握した上で、高校の多様化に取り組んでいるのであります。現在、104校中93校に職業科目を導入し、じわじわと多様化を進めておるのであります。 また、埼玉県では昨年とことし、普通校と職業校に全く新しいタイプの大型総合高校をつくり、数年以内に芸術高校を設置して、県下への波及効果をねらっているのであります。また、長野県では、魅力ある高校づくり事業を発足させ、効果を上げております。これは、各校がそれぞれパソコン、陶芸、音楽器材などを取り入れた目玉授業やクラブを創設することにより、生徒の多様化に対応しようというもので、県下33校をモデル校に指定して、本年4月からスタートし、好評のようであります。 本県におきましても、第4次総合教育計画を策定し、特色ある学校づくり推進事業を実施しているところでありますが、これらの点をあわせて成果のほどはどうか、お伺いいたします。 次に、観点を変えて、最近いろいろな社会問題を起こしているサラ金問題でありますが、悲劇を生み出す最大の原因は高金利であります。サラ金の被害者が、当初予想もしなかった利息の支払いに追われ、ついにお手上げになるのが何よりの例であります。高金利という化け物、金利の基本を、世間では意外と知らない人が多いようであります。「たばこ銭で緊急10万円を融資」などの宣伝に乗せられてしまうわけでありますが、日歩20銭であれば、10万円で1日200円、宣伝文句どおりであります。しかし、日歩20銭は、利率に直すと、月利6%、年利73%であります。 一昔前までは、高校の数学の時間で複利計算の公式を教えていたのでありますが、ここ10年、進学重視の学習指導が定着してから、高校の数学の教科書からは排除されておるのであります。したがって、最近は、借金をしながら、自分の借りた金の利息の計算ができず、サラ金業者にいいようにもてあそばれているケースが生じているのであります。全国サラ金問題対策協議会では、「クレジット・サラ金時代の学校教育を考えるつどい」を開き、サラ金による悲劇の防止、救済のため、学校での金利計算など消費者教育を取り入れるよう、文部省など関係機関に働きかけていくとしておりますが、このことに関する御所見をお伺いいたします。 次に、禁煙教育についてお伺いいたします。 我が国における成人喫煙率は、昭和50年代前半まで、男性が約80%、女性が約15%、1人1日の本数は、男性が約24本、女性が約16本と言われております。しかし、昭和41年の男性喫煙率83.7%をピークに毎年減り続け、昭和58年の調査では男性が66.1%と、たばこ離れが進んでおるのであります。 さて、たばこを吸う人は、たばこの害を承知の上で吸っておられると思うのでありますが、その害が目に見えて具体的に体感できないので、つい習慣に流されて吸っておられると思うのであります。たばこの害については、第1にニコチンの毒性、第2に血圧との関係、第3に肺がんとの関係が挙げられておるのであります。 ニコチンの毒性については、わずか60ミリグラムの微量を人体の血管内に注射すれば、人間は死んでしまうのであります。1本のたばこから純粋にニコチンを分離すると、約120ミリグラムと推定されておりますので、人間2人分ということになります。 また、1本のたばこの中に発がん性物質が2,000種類も含まれておると言われており、特に肺がんとの関係は密接であります。本県におきましても、59年の新規県単事業として、肺がん対策事業を推進しておるところでありますが、これは、本県におけるがん死亡率が、57年には脳卒中を抜いて死因の第1位となり、その中で肺がんによる死亡率が年々高まり、男女ともに第2位、将来は第1位となると見込まれていると言われているところからであります。 肺がん検診の際、一般群と高危険群に区分するわけでありますが、高危険群の第1に、50歳以上の男女で喫煙係数600以上の者が挙げられているのであります。喫煙係数とは、1日の喫煙本数と喫煙年数を掛けて出すのであり、年齢の低い時代から多く喫煙すれば、確実に危険状態となるのであります。 たばこと寿命のかかわり合いについては、40年から厚生省研究班が、40歳以上の日本人26万5,118人について観察を続けており、たばこを吸わない人に比べて、19歳までに喫煙を開始した人の肺がん死亡率は約6倍であり、いずれのデータを見ても、たばこを吸う人は種々の病気にかかりやすく、本数の多い人ほど寿命が短く、病気にかかる率も高くなっていると報告をしているのであります。 さて、非行の低年齢化が叫ばれている昨今、社会環境の変化に伴って起きてくるひずみは、さまざまな形で生徒の健康問題に大きな影響を与えておるのであります。県警の調査によれば、不良行為少年の補導状況の中で、喫煙不良行為はおおむね35%であり、小学生の補導も8件数えられ、高校生では飛躍的に増大しているのであります。 ところで、教育現場での喫煙問題は、主に非行面でのみ論じられ、たばこが健康をいかに阻害するかという教育の面が欠落しているのであります。十分な知識を持たない段階で喫煙がなされ、それが習慣化し、ついにやめることができなくなっているのであります。したがって、好奇心でたばこを吸う時期に、たばこの害について正しい保健教育をする必要があると思うものであります。 煙害追放、嫌煙権確立を目指して、世界的にも禁煙運動は高まりを見せており、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア、スウェーデンなどでは、何らかの形で法律による喫煙制限、宣伝の禁止、自動販売機の設置の規制が定められているのであります。このように、世界の先進国のほとんどが、たばこの害から国民の健康を守るための積極的施策を行っているのであります。 本年に入って我が国でも、高校生の喫煙実態調査が学校保健研究会で行われたり、第1回禁煙教育夏期研修会が東京で開催されたり、文部省でも禁煙教育のための教材づくりを開始するなど、禁煙教育はようやく動き始めたとの感を強くしているわけでありますが、本県において禁煙教育をおやりになるお考えはないか、また、どのように認識しておられるか、お伺いいたします。 次に、農政問題についてお伺いいたします。 59年産水稲の作況指数108の豊作が確実視されるや、国は、減反緩和見直しを事あるごとに唱え、注目されていた60年度の米の減反緩和面積を、当初減反目標の4.3%に当たる2万6,000ヘクタールにとどめることで最終決着をさせたのであります。本県におきましても、作況指数106、水稲予想収穫量80万7,200トンを受けて、60年度の
転作目標面積は、本年度より1,000ヘクタール少ない1万9,820ヘクタールとなったのであります。ゆとりある米の需給計画を進めるため、大幅緩和を目指していた本県の願いもむなしく、小幅の緩和に落ちついたのであります。天候に左右されやすい米の作柄は、予測が難しい面もありますが、今回の豊作だけで米不足が解決したと見るのは、少し早計過ぎると思うのであります。 振り返ってみて、本年の米不足はやはり異常であったと言えるのであります。過去4年間の冷害続きの上に今春も低温続きで、5年連続の不作が懸念され、おまけに53年産米の臭素問題で加工原料米の不足を来し、その対策として、生産者団体の反対を押し切って、韓国米輸入に踏み切ったのであります。そして、それに関連し、農林水産大臣は、減反緩和は作況指数を見て弾力的に対処したいという談話まで発表せざるを得なくなったのであります。端境期に入ってからは、農水省は本県など生産県へ幹部を派遣して、新米の早期出荷を要請する事態になり、さらに、他用途利用米の主食転用、そして、不足する加工原料用米の拠出、青刈り稲の格上げなど、混乱は極に達し、総じて生産者にとっては不満の残る結果となったと思うのであります。そこで、最近の農政に対して農民がどのように考えているか、意識調査を実施して、農政に反映させてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 さきにも述べましたように、本年の米不足は異常な状態であったわけでありますが、59年産米の作柄が豊作であったことから、農水省は、これから1年間の米需給は安定したと言い切っているのであります。確かに、このままいくと59年産米の生産量は1,184万トンに上り、主食用計画需要量1,045万トン程度と、早食いの過剰分45万トン、加工用米20万トンを差し引いても、70万トン強が来年度に持ち越される計算になり、国が当初予定していた55万トンの在庫から、約15万トン強の過剰が発生することになるのであります。 そこで大蔵省は、第3次過剰発生を避けなければならないとして、減反緩和に反対をしているのでありますが、本年の豊作は、夏以来の天候回復、病害虫の発生減少など自然条件が重なり合っての結果であり、また、農家のたゆまぬ努力のたまものと高く評価をしなければならぬと思うのであります。近年の世界的な異常気象などから考えるとき、来年も同様の好条件に恵まれるとは思えず、稲作は、天候によって100万トン以上も生産量が上下する不安定要素を前提に考える必要があろうと思うのであります。 さらに、農水省は、60米穀年度の主食用需要量を655万トンと低目に見積もっていますが、本年も660万トンの計画に対し、実際には20万トン多い680万トンに上ると見られ、大幅な修正を余儀なくされているのであります。20万トンの見通しが狂えば、一転して55万トンの備蓄は危うくなってしまうのであります。したがって、まず、米の需給不足の再発防止について配慮することを最優先させなければなりません。それには、従来の単年度均衡を基本とした需給計画を改め、中長期的な完全需給体制をとるべきであると思いますが、この点についてお伺いいたします。 次に、制度2年目を迎える他用途利用米4,500ヘクタールの本県分への配分が内示され、県は農業団体との協議に入ったと聞いておりますが、市町村への配分の仕方を初め、生産者への理解の取りつけなど、新たな課題が出てきているのであります。他用途利用米の配分に当たっては、少なくとも4,000ヘクタールを上回る配分をと要請を続けてきた経過もあり、県としては積極的に受け入れる方針でありますが、これをいかに市町村に配分するかが問題であります。既に受け入れる余地のない地域、まだ余裕のある地域など、どのように対処されるのか。さらに、他作物に積極転換してきた農家、市町村の不公平をどうするのか。また、安い米を導入することは、良質米産地として将来的に見て不利なのではないかという、先行きを懸念する声などにどう対処されるのか、お伺いいたします。 さらに、初年度当初の2.3倍の他用途利用米の導入により、生産体制での組織化も新たな課題であります。集落単位による多収品種の集団栽培、集団調整ができれば、初年度のような銘柄米出荷は避けられるのであります。他用途利用米は、農家の負担が極力少ない形で消化ができることが大切でありますが、そのためにも多収品種開発、実態に見合った価格の設定など、生産条件の整備が急務であるとの農業団体の声も聞くわけでありますが、これに対してはどのように考えられ、どのように対処されるのか、あわせてお伺いいたします。 次に、県都をめぐる諸問題についてお伺いいたします。 まず、鳥屋野潟問題についてであります。 11月30日、3年半ぶりに再開された鳥屋野潟整備計画推進協議会により、県の公園化計画は実質的に動き出したのであります。長い間動きのとれなかった鳥屋野潟問題が、地域住民の関心の高まりの中でスタートしたわけでありますが、推進協議会の内容は、マスコミの報道から見る限り、波乱含みであったようであります。いわく、「再開に疑問の声続出」「波乱含みのスタート」「県の言いなりにならない 新潟市長が表明」「前途多難の再スタート」「性格づけは後回し」「提言だけの役割で会長就任を受諾?」などであります。 また、席上、新しい協議会として発足した方がよいのではないかとか、再開継続しているのはおかしいとか、この会は一体何をするのか等々疑問が飛び出し、協議会の性格についても、執行機関とも、諮問、答申という結論の出る審議会とも異なるとの県の説明に、疑問が解消したとして会長就任を受諾した新潟市長は、協議会終了後の記者会見で、首長が助言機関の会長になるのは率直に言ってまだ疑問と思っていると発言し、県の言いなりにはならないとも言っているのであります。まことにわかりにくく、前途多難を感じざるを得ませんが、知事のこの推進協議会に対する基本的な考え方と、さらに、今後どのような進展を望んでおられるのか、お伺いいたします。 次に、鳥屋野潟水質浄化の問題でありますが、鳥屋野潟水質汚濁対策行政連絡会議では、さきに1回目の生活雑排水対策分科会を開き、新潟、亀田、横越の3市町村に対し鳥屋野潟水質改善のガイドラインを示し、3市町村はこのガイドラインに基づいて、60年度に独自の生活雑排水処理計画を作成するということであります。さきの有燐合成洗剤不使用と洗剤の適正使用について県民の協力を求める通知とあわせて、その成果を期待するものであります。県の示したガイドラインによると、流域を市街化区域と市街化調整区域に分け、さらに市街化区域は、向こう10年以内に下水道が敷設される地域と10年以上かかる地域に分け、発生源対策とあわせて処理施設を設置しようというものであります。 ここで、これらの処理施設の建設について、事業主体は3市町村になるわけでありまして、この日の会議でも、財源の補助を県に要望する声があったと聞いておりますが、財源の措置についてはどのように考えておられるか、お伺いいたします。 さて、鳥屋野潟の周辺は、新潟市の市街地と亀田、横越の農村地帯を抱えておるわけでありますが、農村集落の雑排水対策として、土壌式浄化法を採用してはどうかと考えるものであります。土壌式浄化法は、地表面1メートルぐらいの土壌に生息する土壌動物、土壌微生物、植物根などを活用し、また、土壌そのものが持っている物理的、化学的性質を利用して、汚水、汚泥を浄化しようという工法であります。古来から、土を掘って汚物を埋めておくことは、最も確実な汚物処理法でありました。全国では、兵庫県和田山町を初め、数多くの効果例があるのであります。安価で確実なこの方式を用いてはどうかと思いますが、お考えをお伺いいたします。 次に、新潟市の北部を流れる阿賀野川にかかる橋とラッシュ時の交通渋滞の問題であります。 阿賀野川以北は、新潟東港の開発や住宅団地の開発が進み、国道345号線にかかる松浜橋のラッシュ時の交通渋滞は深刻であります。このことは、他の阿賀野川大橋や泰平橋でも同様のことが言えるのであります。県警交通規制課の調査によると、午前7時から8時までの1時間で渋滞距離は、松浜橋で2.2キロ、阿賀野川大橋で5.3キロ、泰平橋で0.7キロになっておりまして、新潟市内に入るには四、五十分かかるという難所であります。地元住民からも切実な要望が10年ほど前からいろいろな形で出されておるわけでありますが、松浜橋の拡幅や新橋の架橋も含めて、どのように対処されるか、お伺いいたします。 最後に、新潟港港湾計画に対する問題であります。 信濃川と関屋分水に挟まれた、いわゆる新潟島の再開発の問題は、新潟市民にとって最も関心のあるところであります。新潟港の港湾計画は47年7月、港湾審議会を経て決定され、その後の経済社会情勢の変化、東港地区の開発計画の見直し等により、57年6月に、65年を目標年次とした港湾計画の改定が行われたのであります。その後、西港地区についても全面的な港湾計画改定の作業が進められておるわけでありますが、背後都市との整合性、万代橋下流橋の問題、万代島再開発、養浜事業等の問題を含んだ計画の改定作業の進捗状況はどうか、また、改定の骨子は何か、そして、いつごろ明らかになるのかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) 国の補助率削減による補てん措置についてでありますが、現在のところ大蔵、自治両省の間では、補助率削減そのものを認めるかどうかで、論議は全く平行線をたどっておるようでありまして、具体的な補てん措置についての交渉にまで至っていないようであります。しかしながら、万が一補助率の削減がなされた場合、当然地方財政対策の中で、その財源について適切な措置がなされるべきものと考えております。 また、補助率差額の支給制度についてでありますが、後進地域開発特例法による補助率の上乗せ等につきましては、いわゆる行革関連特例法により、57年度から本年度までの3年間、6分の1カットが行われておるところであり、現在大蔵省では、その特例法をさらに延長する意向であると聞いております。もし延長された場合には、本県も当然その影響を受けるわけでありますが、従来から、このカット分につきましては交付税で完全に補てんされ、実質的な影響はないように措置されておりますので、今回も同様の方法で補てん措置がなされるべきものと考えております。 また、自治省の意見書についてでありますが、この内容は、従来から全国知事会等において要望されてきたものでありまして、本来地方の自主性にゆだねられるべきものは、一般財源に移行することを基本として、国庫補助金の整理合理化がなされるべきであるという意見でございます。 次に、県職員の給与改定につきましては、国及び他の都道府県の動向、県の財政状況等を勘案いたしまして、総合的に検討した上で国に準じて改定を実施することにしたものであります。人勧の完全実施ができないことはまことに残念であり、県内経済への影響も予想されますが、今回の改定は、国及び地方を通ずる厳しい諸情勢のもとでやむを得ないものと考えております。 次に、農政に対する農民の意識調査でありますが、本県では、県農政を推進する上で、毎年当面する課題を選定して、御要望の趣旨も含めた農政調査を実施しておるところであります。この調査の中で、項目により必要とする事項については、農業者の意向調査も行っておりまして、特に本年度の調査においては、複合経営についての意識調査を行う中で、
水田利用再編対策についての農業者の意識も調査して、現在取りまとめ中であります。今後も、農政推進の資とするため、必要な農政調査を計画的に実施していく考えでございます。 次に、米の需給計画についてでありますが、本年の米需給は、4年連続の不作から、近年にない逼迫した情勢にあったところでありますが、幸い本年産米が豊作になったことにより安定基調に回復し、60年10月末には、計画を上回る60から70万トンの在庫を持ち越す見通しとなっております。米の供給は、全量国内産米で自給する方針は堅持すべきであり、今後は、需給事情の多少の変動にも弾力的に対応できるような食管制度の運用がなされなければならないと考えております。国民の主食である米の安定供給のためには、ゆとりのある需給操作は不可欠であり、そのためには適正水準の在庫は常に保有しておる必要があると考えておりますので、今後とも供給不安が生ずることのないよう、国に対して必要な要望を行ってまいりたいと考えております。 次に、他用途利用米についてでありますが、確かに本年度は、途中で取り扱いが変更されるなどの混乱があり、麦や大豆などの転作実施農家との間に不公平感を残しました。しかし、水田の高い生産力を活用できること、結果として一般転作の縮小につながること、また、生産コストの低減につながる等のことから考えますと、取り組み方法によっては利点もありますので、農家の希望を基本としながらこの制度を活用すべきものと考えております。このような考え方から、明年度約4,500ヘクタールの仮配分に当たりましては、昨年当初配分を改め、市町村が希望する量を十分尊重する方式で行う考えであります。 鳥屋野潟整備計画推進協議会でありますが、整備計画の推進を図るため、関係機関の連絡調整と潟内私有権の処理についての指針を得ることでありまして、その性格は執行機関ではなく、鳥屋野潟整備に関する協議、検討及び連絡調整のための会議であり、その具体的な運営などについては、今後、協議会で諮られ、進められることになっております。当面の協議、検討事項といたしましては、鳥屋野潟整備に関する幅広い合意形成を図ることにありますが、今後は、その目的に即して、鳥屋野潟整備に関する諸問題全般についても論議していただきたいと考えております。 松浜橋の拡幅についてでありますが、現在、一般国道7号新新バイパスの阿賀野川大橋が、昭和61年度に4車線化で供用開始される見込みでありますので、松浜橋付近の交通量は相当緩和されるものと思われます。県といたしましては、その後の交通量の推移を見ながら、総合的な交通体系の中で検討してまいる考えであります。 新潟西港の港湾計画改定は、今後の対岸貿易の拡大、物流の増大並びに背後地の再開発、さらには新幹線、高速自動車道の伸展など、物流拠点としての新潟港への新たな役割と要請に対処するため、東港の見直しを含めて、現在、新潟港開発技術調査委員会を設置の上、検討に入っておるところであります。改定の骨子は、貨物量の増大とコンテナ化、フェリー化への対応や、臨港道路の交通緩和、万代島等の背後地の再開発などが主要なものとなりますが、具体的な内容につきましては委員会で検討願うことにいたしており、最終的には昭和61年2月の地方港湾審議会に諮り、決定する予定にいたしております。 以上でございます。 〔
農林水産部長山田稔君登壇〕
◎
農林水産部長(山田稔君) 他用途利用米の生産条件の整備などについて、お答えを申し上げたいと思います。 お話にもございましたように、価格の問題、品種の開発などにつきまして、私どももまだまだ幾つかの問題があろうかと考えております。 県といたしましては、県の農協中央会が国に強く要望をいたしております問題がございます。その1つは、主食用米以下の新しい規格の設定によりまして、他用途米の実質的な値段の引き上げにつなげる問題がございます。第2の問題といたしましては、多収品種、さらには超多収品種の早期開発の要望、こういった要望を理解いたしながら、今後も国に要望を進めます一方で、まだ相当な面積が残っております青刈り稲、保全管理、休耕田、こういったものからの他用途米への移行を進めながら、生産の集団化を図るなどの指導を進めてまいりたいと考えております。 また、品種の問題につきましては、国でも多収性品種の開発に努めておりますが、本県の農業試験場におきましても、これまで国内育成の17の品種、系統につきまして、検討試験をやってまいりました結果、最近になりまして、この中から、本県の気候、土壌に適合いたしました多収性の2ないし3の有望な系統が認められたところでございます。これらの品種につきましては、来年度からさらに現地試験を進めまして、今後の他用途利用米の円滑な推進に役立てたいと考えております。 以上でございます。 〔教育長久間健二君登壇〕
◎教育長(久間健二君) お答えいたします。 高等学校の中途退学の実態についてでございます。昭和58年度でございますが、公立の全日制におきましては、御質問にもありましたように、1,197人、全生徒数の1.45%でございます。定時制におきましては238人で、全生徒数の9.5%でございます。私立高等学校につきましては、424人でございまして、全生徒数の3.0%となっております。 公立高等学校につきまして、57年度の全国平均で比較いたしますと、全国では全日制1.4%、定時制15.8%、全体では2.0%になっておるのに対しまして、本県は、全日制1.32%、定時制10.70%、合計で1.61%という状況になっております。 次に、学年別では、これも御指摘がございましたように1年生が最も多く、58年度におきましては、公立高等学校におきまして51.0%が1年生でございます。私立高等学校におきましては58.5%となっております。1年生、2年生、3年生という順序になっておるわけでございます。 また、過去3カ年の推移を見ますと、公立の全日制におきましては、56年度1.30、57年度1.32、58年度1.45と、増加傾向にございます。私立高等学校におきましても、57年度2.7%、58年度3.0%と増加しております。定時制におきましては、56年度12.25%、57年度10.7%、58年度9.5%と、漸減をいたしております。 退学の理由につきましては、家庭の事情、学業不振、非行関連、健康上などが考えられますが、これを一つの理由に特定することが難しく、いろいろな原因が複雑に絡み合っておるのが実態でございます。教育委員会といたしましては、地域、生徒、学校の実態に応じた教育課程を編成するなど、魅力ある学校づくりに今後とも努力してまいりたいと考えております。 次に、中途退学に関しまして、魅力ある高校、多様化に即応できる高校についてのお尋ねでございますが、現在は、生徒の能力、適性、進路等が多様化しておりますし、学校への不適応現象等も見られることなどから、これらに即応した高等学校教育が求められていることは、御指摘のとおりと考えます。 このため、各学校が、学習指導要領の趣旨に基づき、地域や生徒の実態に即した指導に努め、創意を生かした特色ある学校づくりを実現していく必要があると考えております。各学校におきましては、生徒が目標を持ち、意欲的な学校生活を送るよう、多様な教育課程を編成するとともに、クラブ活動の充実、勤労体験学習の実施等、いろいろな取り組みをしておるところでございます。 教育委員会といたしましては、習熟度に応じた学習形態の推進、基礎学力向上指導書の作成、配布、学校カウンセラー養成事業の充実のほか、昭和58年度から特色ある学校づくり推進事業を実施し、創意工夫をこらした新たな教育活動や学校運営を目指す学校に対しまして、必要な設備等を重点的に整備しているところでございます。 3点目は、消費者教育を学校教育の中にもっと取り入れるべきではないかというお尋ねでございます。 経済社会の発展に即応いたしまして、消費者の利益を擁護、増進し、消費生活の安定及び向上を確保することは重要な課題でございますが、社会の複雑化により、多くの問題を抱えているところでございます。このため、国ベースにおきましても、消費者保護会議等で、中学校及び高等学校学習指導要領に基づき、関係教科において、消費者保護の問題、物価問題等に関する教育が適切に行われるよう、提言も行われているわけでございます。 現在、消費者教育関係につきましては、義務教育段階では、小学校の家庭、中学校の社会、技術家庭科等を中心に行われておりまして、家庭生活の中での経済的な側面の理解、金銭収支の記録を工夫して計画的に生活を実施すること、消費生活における物品の流通、消費の立場、こういう観点から指導を行っております。高等学校段階につきましては、現代社会、政治・経済及び職業科目等で、消費者保護の立場から、消費生活における商品の選択、金融、契約等の問題について指導を行っているところでございます。 教育委員会といたしましては、関係部局とも協議の上、これらの小、中、高の関係教科を総合した指導資料を作成するなどして、指導内容の徹底に一層努めてまいりたいと考えます。 4点目のお尋ねは、禁煙教育についてでございます。 御指摘のとおり、成長過程にあります未成年者の喫煙は、心身の健全育成を阻害する大きな要因と言われており、喫煙の有害性についての教育は重要な課題であると認識しております。喫煙の害に関する教育につきましては、現在、中学校、高等学校の保健学習の中で、嗜好品と健康障害という観点で取り扱っておりますほか、生活指導等を通じて指導しておるところでございます。今後につきましては、文部省で計画しております小、中、高一貫した指導法及び教材の研究事業の動向に合わせて、県教育委員会といたしましても研究、検討を進めてまいる所存でございます。 以上でございます。 〔
生活環境部長山崎浩司君登壇〕
◎
生活環境部長(山崎浩司君) 鳥屋野潟浄化対策事業に対する財源措置について、お答えいたします。 このことにつきましては、御指摘のとおり、鳥屋野潟水質汚濁対策行政連絡会議の検討過程におきましても、関係市町村から要望がなされております。そうした市町村の意向を踏まえながら、現在、新年度予算編成の中で検討協議しているところでございます。 次に、生活雑排水対策として、土壌式浄化法を用いてはどうかというお尋ねでございますが、御案内のごとく、水質浄化にはいろいろな方式がございまして、浄化施設の立地条件等を考慮し、土壌浄化法も含め、最も適当な方法を用いるべきものと考えております。
○副議長(小林脩君) 金子一夫君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。 午後2時46分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後3時5分 開議
○議長(岩村卯一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、阿部信夫君の発言を許します。 〔阿部信夫君登壇〕(拍手)
◆阿部信夫君 私は民社党の立場で、当面する県政の諸問題につきまして、あらかじめ通告をいたした順に従い、知事並びに関係部長に質問いたしたいと思います。 まず最初に財政問題についてお伺いいたしますが、財政問題については各党から質問が出されておりますので、私は単刀直入にお伺いさせていただきます。 まず最初に、12月補正で16億6,110万4,000円を含め、県予算は総額7,428億4,167万4,000円となるようでありますが、今後の税収見込みを踏まえ、県財政の最終規模はどのくらいと予想されているのかお伺いいたします。 第2は、県職員の給与改定についてであります。
県人事委員会は去る10月16日、6.44%の引き上げを勧告し、この完全実施を強く求めているところであります。さきに国が3.37%の方針を示したことから、県も国の方針に沿う形で作業が進められているとのことであります。もしこれが事実とすれば、人事委員会そのものの存在の見直しにかかわることにもなりかねませんが、委員会の勧告の意義と給与改定の提案はいつごろ示されるのか、改めてお伺いしておきたいと思います。 第3は、大蔵省が60年度予算編成の中で、公共事業について、国の補助率2分の1以上の
高率補助事業について補助率を一律10%削減する方針を固めたことが新聞に報道されました。本県は、道路、河川、海岸線の延長も長く、また耕地面積も広いことから、全国屈指の公共事業県となっており、当局の試算によれば、総額63億円に上ることが明らかとなっています。また、これ以外の厚生省関係を中心とした一律10%カットを含めますと、本県への影響はまさに甚大なものとなるわけであります。来年度の県予算編成を前にしてどのように対応されるお考えなのか、また仮に公共事業関係の削減が実施されることになれば、県は60年度の予算編成方針として、5%カットの緊縮基調で作業を進められているとも聞いていますが、これとの関係はどのようになるのか、あわせてお考えをお伺いしたいのであります。 次に、国際青年の年を迎えるに当たってお伺いいたします。 1979年第34回国連総会は、昭和60年を「国際青年の年」とすることを決定しました。この決定がなされた背景は、地球上における今日と未来の青年の直面する状況に対する関心が世界各地で高まってきたからだと言われております。資料によれば、1975年の世界の青年人口は7億3,000万人でしたが、21世紀初頭には11億8,000万人となり、現在の60%増になることが予想されています。しかもその増加の状況は、今日の開発された国では5%増であるのに対し、開発途上国では80%増と見られ、この増加率のアンバランスが世界の経済成長や社会の発展に重大な影響を与えることになり、教育や失業など、青年にかかわる問題を一層深刻化させることが予想されます。 こうした背景のもとに、国連では、人類の未来の形成にとって青年の直接参加が極めて重要であること、平和の理念、人権及び基本的自由の尊重、進歩と発展等の諸目的への人間的連帯及び献身を青年の間に普及する必要性があること、今日の世界における青年の役割及びあすの世界に対する青年の要求により多くの注意を傾けながら、青年のニーズと向上心を評価し、かつ国家発展のための諸活動への積極的な参加の機会を青年のために拡大することが現代的課題であることなどを世界各国の人々が認識する必要があるとして、参加、開発、平和の3点をテーマとして、1985年、すなわち来年を国際青年の年と定めたということであります。 本県でも、最近の青少年の非行が増加しつつある中で、青少年が社会におけるみずからの役割と責任を自覚し、広い視野と豊かな情操を培い、心身ともに健やかに成長することを願って、青少年健全育成強調月間を設定して、一人でも多くの県民からこの運動を通じて青少年の健全育成に対する理解を深めてもらうことを目的として、11月を行事実施期間として、諸活動を展開されたようであります。 その中で、当然のことながら、国際青年の年を迎えるに当たって、その準備の一環として、国際青年の年の普及、啓発用ポスター、チラシ等の配布を10月中に関係市町村や団体に配布済みである旨、過日の委員会で明らかになりました。また、国際青年の年を迎えるに当たって、知事を議長とする国際青年年新潟県推進会議の設置など、基本的な対応姿勢が明らかになったところであります。 しかし、これまでも、国際婦人年、国際障害者年等、スタート年は別として、次年度からは一般行政の中に押し込まれ、その目的や意義も忘れ去られやすいのが現状ではないかと思います。青少年の健全育成は、口を開けばだれでも主張するところでありますが、それが単発的であったら、その目的も効果も半減してしまいます。青少年は次の県政を担う大切な人材でありますので、県行政においても、片手間で対応することなく、腰を据えて今後の対応をすべきであるとの考えから、以下質問いたしたいと思います。 まず最初に、知事を議長とする国際青年年新潟県推進会議の目的や運営、構成等については理解いたしましたが、それは来年だけでその任務が終了するというものであるかどうかお伺いいたします。 第2は、重点目標にも記載されておりますように、私は、青年及び青少年団体の社会への積極的な参加を促進し、青少年みずからの経験を通して社会の一員たる自覚と連帯を深めることが最重要課題であろうと考えます。したがって、その目的を遂行するために、より具体的な施策方針が望まれているところでありますが、県はどのようにして諸青年団体と接触を図られようとしているのか、お伺いいたします。 第3は、神奈川県の国際青年の年を迎えるに当たっての対応について視察する機会を与えられ、大変勉強になりましたが、県内事情の相違があるにせよ、取り組み方がより具体的であり、国際青年の年の運動を県内各地域ごとに推進するため、その中心となる組織づくりを広く県民に呼びかけ、門戸を開放して有志の集まりの輪を広げ、今や立派に自主運営がなされているやに拝聴し、感動いたしました。今後も引き続き積極的な姿勢で前向きな検討がなされ、青年自身の課題に取り組む決意を会長は述べておられました。 本県の場合も、民生部長の説明で、青年団体12団体で国際青年の年推進協議会を設置して運動の展開を図っているとのことでありますが、その対応姿勢について把握しておられますかどうかお伺いいたします。また国際連合は、各国は官民一体の国際青年の年国内調整委員会を設置して云々とあるように、自主的な運営が図られるまで県行政も指導的立場で介入していく姿勢が必要であると私は考えるものでありますが、お考えをお伺いしたいのであります。 次に、鳥屋野潟問題についてお伺いいたします。 鳥屋野潟整備計画問題は、9月定例会でも活発な論議が住民の声を反映してなされたところであります。私が今さら申し上げるまでもなく、このまま放置するならば、政治への不信が一層高まるばかりで、鳥屋野潟の公園計画どころか、地域関係住民の声を無視することになり、その成り行きが注目されているところであります。 知事は過日、鳥屋野潟の整備計画に対して、一歩前進させるために、これまで中止していた推進協議会の再開を発表され、急速に鳥屋野潟整備計画問題が促進されるものと私どもは御期待申し上げておりましたが、新聞報道によれば、再開であるのか新協議会であるのか、協議会は一体何をするのかをめぐって論議が展開されたと報じております。これでは先が思いやられるので、率直に知事に質問申し上げますので、明快な御答弁をいただきたいと存じます。 第1は、協議会のメンバーの選任でありますが、どのようにして選ばれたのか、また、その人たちに対して協議会設置の趣旨、目的を徹底してお話しされたのかどうか、お伺いいたします。 第2は、若杉市長が協議会の会長に就任しておられるようですが、若杉会長と事務局ペースで進めたいとする県との間に確執のあるような報道がなされておりますが、これでは何のための協議会なのか私どもは疑わざるを得ません。その真相についてお伺いいたします。 第3は、なぜ県は再開、第5回にこだわっているのかであります。協議会の論議も、新しい協議会として発足した方がよいのではないかとか、継続しているというのはおかしいとか、疑問が飛び出したようですが、県の事務局は終始一貫再開であり、第5回協議会だと説明しているようであります。こんなことが基本的に食い違っていてはお話になりません。関係地域住民は、県と市の確執を望んでいるのではありません。鳥屋野潟の整備計画を一日も早く促進していただきたいことがねらいでありますので、どちらの言い分が正しいのか論争するよりも、県の事務局と若杉会長との間のコミュニケーションを図る必要があると考えるものですが、お考えをお伺いいたします。 第4は、この協議会の目的は何であるかであります。初めて協議会に参加した委員の中から、この協議会は何をやるのか、初めて参加したが結論を出そうというのか等の質問が出たと報道されております。もちろん、第1回目でありますので、今後の運営方法について次回で論議がなされるでありましょうが、県としての真意についてお伺いいたします。 第5は、若杉会長が協議会終了後の記者会見で談話を発表された中で、県と市の分担は当然あるわけであり、区画整理の手続をめぐっては県から具体的な手の内を見せてもらっていない、地権者の腹はどんなものか当然見きわめるし、県の言いなりにはならないと言っておられますが、これでは、県として市に対して何を望んでいるのか、協議会の存在すら無意味なものとなるのではないか、気になるところであります。鳥屋野潟整備計画問題について県と市の意見が相違のある中で、果たして協議会再開の目的が達せられるのかどうか、地域関係住民の切望に対して県と市が縄張り争い的になっているとしたら、これは大変なことであります。その辺の真意についてお伺いいたします。 この問題の最後に、知事は3日の記者会見でこの問題に触れ、協議会の方針が出た後の対策として、市の担当者が本気になって取り組んでもらわなければ事業の遂行はできない、事業そのものは県だが、地権者との折衝、地元との話し合いは市がやるべきであると談話を発表しておられます。私もそのとおりであると考えます。しかし、先ほどから協議会の運営やその目的をめぐって新聞報道にしか接しない私は、何か釈然としないものがあります。今日まで鳥屋野潟の地権者の問題が絡んでその開発が大きくおくれ、関係地域住民のひんしゅくを買ったこの問題を、県と市がその役割分担を明確にしても、果たして解決できるかどうか私は疑問であります。むしろ、県と市が一体となって問題に対応しなければ、鳥屋野潟の整備計画はまたも暗礁に乗り上げるのではないかと心配するものでありますが、知事のお考えをお伺いしたいのであります。 次に、心障者通所授産施設事業についてお伺いいたします。 国の財政、県財政の悪化から、これまで聖域とされてきた福祉の面にも、福祉の見直しという名のもとで手が加えられようとしています。特に障害者を持つ父兄の場合、また障害者施設の責任者、指導員にとっては、今後の国、県の温かい対応を望んでいるところであります。国際障害者年も、過ぎ去れば台風と同じように忘れ去られがちであり、財政の窮迫は、その気持ちがあったとしても、背に腹は変えられずで、結局は聖域も財政の悪化に勝てずということになります。 県はさきに、障害者施設として、県立コロニー白岩の里の建設を初め、社会情勢の変化から他県に先駆け、ミニコロニーの建設、通所授産施設の充実強化を図るなど、福祉施設の設立には常に前向きで取り組んでこられたことは、父兄を初め関係者にとってまことに喜ばしいことであります。しかし、県の直接的な施設だけでは障害者を平等に取り扱うことができず、したがって、市町村立や私立の施設にその大半を委ねていることも、これまた事実であります。 過日、民生部障害福祉課の招集で、心身障害者通所授産事業連絡会議の席上で明らかになったところでありますが、これらの施設に県費助成がなされているところの事業所が14施設、事業所でありながら県費助成のないところが12カ所あると聞きました。これでもまだ収容できず、自宅で施設のできるのを待っている障害者も多くいると聞いております。 障害者は、医学の進歩があるにせよ、残念ながら増加する一方で、その対策が強く望まれているところであります。障害者を持つ父兄も、従来のように県市の施設に頼るだけでなく、手をつなぐ親の会や、有志で少人数の施設をみずからの力によって設立し、その運営に当たり、懸命な努力をしている姿も、私はこの目で視察して承知しております。県の立場でこれらの施設に対して何をなすべきかも考えているものであります。知事は、数年前に私が福祉施設の面で質問したところ、まず父兄が積極的な姿勢をとることが必要で、足りない分を国、県が手だてするとの趣旨の弁明をなされましたが、通所授産施設はまさに知事の趣旨どおり、父兄が先頭になり、企業、ボランティアの協力のもとで、今日涙ぐましい努力がなされているものと確信しております。そこで、知事に幾つかの質問をいたします。 第1は、知事は来年度予算編成を前にして5%シーリングを発表されましたが、これら通所授産施設の県費助成金をその対象外としていただきたいということであります。県財政の悪化の時期ではありますが、施設の運営に当たり、現在でも親の出費はかさむばかりで、施設そのものの維持が困難になるおそれがありますので、十分御配慮を賜りたいと考えるものでありますが、お考えをお伺いしたいのであります。 第2は、施設の指導員の問題であります。施設にはそれぞれの特徴があり、職員を採用せず、父兄が交代で入所者の世話活動をしている事業所もありますが、大部分の施設は職員を採用し、その職員を中心として父兄が助手的存在となって日常社会復帰のための指導を行っているのが通例であります。問題は、職員の人件費とその将来にわたる身分保障についてであります。どこの施設も、県費助成金、市町村助成金はほとんど人件費を賄うのが精いっぱいであって、その他の運営資金は父兄の負担で賄っているのが現状です。 そこで、今後検討していただきたいことを申し上げますが、各施設の職員について県の基準を設け、それに該当する者は、教育委員会の制度の中にある教員ではないが、実習助手として待遇が若干低下するとしても、地方公務員並みに身分を保障する制度がありますが、そういう考え方を活用していただけないものかということであります。そうすることによって、各施設の職員採用に当たっても優秀な人材が集まり、施設の内容も一段と充実するのではないかと考えられます。お考えをお伺いしたいのであります。 第3は、障害者の老後の対策についてお伺いいたします。高齢化社会時代を迎え、健常者の対応にもいろいろ問題があるように、ましてや障害を背負った老後対策は極めて難しい問題であろうと思います。しかし、障害者福祉問題を取り扱うに当たって避けて通ることのできない重要な問題でありますので、県の基本方針について、お考えをお伺いしたいのであります。 第4は、心身障害者通所授産事業については、小規模施設で、該当者が自宅から通所して訓練を受ける場として非常に重要な意味を持つものであり、中間施設として今後もその充実強化を図りたいとの障害課長の方針が示されました。私は全く同感であり、莫大な県費を使って立派な施設をつくることも必要でないとは言いませんが、そう大きな県費を使わず、小規模の授産施設をつくることこそ父兄も望むところであり、その施設に公平に県費助成を行うことがよりベターであると私は考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。あわせて、前にも意見を申し述べましたが、県立白岩の里の見直しや、県の施設と小規模施設とのかかわり合いについて、どのような基本的なお考えをお持ちになっておられるのかお伺いしたいのであります。 最後に、米をめぐる問題についてお伺いいたします。 今年度は、異常豪雪によって、本県転作物の柱の一つとなっている麦は、一部で雪を克服した優良事例はありますが、全般的には相当被害をこうむったと聞いておりますし、また他用途利用米については、取り扱いの途中変更があって一時混乱し、さらに、4年続きの不作から米の需給が逼迫するなどの背景があって、転作に取り組む上では非常に厳しい条件が重なったことは、御承知のとおりであります。それにもかかわらず、団地化率の向上、保全管理、青刈り稲転作の大幅な減少に加え、目標達成率が104%を確保されたことにつきましては、協力した農家を初め、関係機関に対し深く敬意を表するところであります。 さて、60年度の転作の推進についてでありますが、本県は、私が今さら申し上げるまでもなく、稲作の比重が高く、良質米の主産県ではありますが、反面、湿田や山間地の水田も多く、必ずしも転作条件には恵まれているとは考えられません。しかしながら、それらの条件整備を進めながら、地域営農と結びついた転作を、今年度の実績等を踏まえて推進する必要があるのではないかと考えます。 その基本となるのが
転作目標面積でありますが、国は、去る11月20日、
水田利用再編対策の円滑な推進、特に他用途利用米の定着を図るため、目標面積を今年度より2万6,000ヘクタール緩和することを決定し、各県に内示しました。それによれば本県の軽減は1,000ヘクタールとなっており、全国最高の緩和率である旨伺っております。今回の調整措置は、秋口までの米不足の状況、また韓国米の輸入などの背景を考えますと、大幅緩和の期待が大きかっただけに、不満足という声も聞かれます。しかしながら、今年産米のまれに見る全国的な豊作によって、予定の在庫積み増し量以上が確保されることになりますと、一時的な大幅緩和が結果して、過重の転作となってはね返ってくることが懸念されますので、やむを得ない措置とも受けとめられます。 そこでお伺いいたしますが、知事は国の内示を受け、本県の緩和面積は全国最高であり、しかも他用途利用米について、今年度の実績や要請を考慮した数量が仮配分されたことで、実際の転作面積は1万5,000ヘクタール余りとなり、良質米主産県としての立場が考慮されたことから、それなりに評価できるという談話を発表されました。一方、村山農協中央会長は、韓国米輸入に端を発した米の需給逼迫問題は、稲作農家や消費者に大きな不信と不安を与えたことから、転作面積の大幅縮小見直しを要求してきたが、今回の調整量は要求にほど遠いとの談話を発表されました。本県への目標面積の配分に関して、行政は評価、関係団体は反発とも受けとめられる談話は、それぞれの立場から考え、やむを得ないと思いますが、今後の転作や他用途利用米への取り組みに影響があっては困りますので、この問題について知事のお考えをお伺いいたします。 第2は、国から内示された目標面積及び事前売り渡し申込限度数量はどういう方法で市町村に配分されるのか、また、昨年は全国農業生産対策中央協議会が11月9日に行われ、本県は12月21日に各市町村に配分しましたが、これに対し今年は、全国の会議は11月20日であり、おくれているようでありますが、本県は昨年どおり配分できるかどうかお伺いいたします。市町村にとっては重大な関心事であり、また、農家への配分を早目に行うことは、集落内の話し合いを十分行うことが可能となり、このことが転作の質的向上に大いに役立つと考えるものでありますので、お考えをお伺いいたします。 第3は、他用途利用米についてであります。明年度の他用途利用米の仮配分数量は2万3,000トン、面積に換算して約4,500ヘクタールということでありますが、これは、今年度の最終配分約3,700ヘクタールに対して20%増の規模であり、稲作面積の約3%を占めることになります。したがって、良質米の主産県であることを配慮しながら、安定した数量確保ができ、しかも生産農家の所得増に結びつくよう指導する必要があると考えます。そこで県は、明年度以降の他用途利用米について基本的にどう取り組むのか、また指導方針はどうか、お伺いいたします。 最後に、他用途利用米の今年度の集荷実績と見込みについてお伺いいたします。他用途利用米は、当初配分、追加配分を経て、青刈り稲からの移行措置が講ぜられ、米価決定に関連して主食用への転用が決まりましたが、1カ月後にはその割合が20%になるなど、取り扱いの途中変更で混乱したわけですが、このことで転作推進への不信を招き、また約束違反であるなどの不満を生みましたが、行政の側面的な協力などによって、かなり集荷は進んでいるという報道がなされております。私が心配しますのは、関係者の集荷努力にもかかわらず、不幸にして未集荷量が生じ、集荷量に応じてカウントされる面積の減少で、目標未達成市町村が出ないかということであります。集荷の目標の期限は12月末日となっておりますが、最終的には集荷数量はどの程度と見込まれておられるのかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) 今年度の最終財政規模についてでありますが、県税収入の伸びなどで余剰が生じましたときは、財政調整基金の取り崩し額を減額したいと考えておりますので、12月補正後の規模と大幅に変わることはないものと考えております。 次に、県職員の給与改定の問題でありますが、国に準じて実施する考えでございます。人勧制度については、中立的専門的立場からの勧告であると理解しておるところであり、できるだけ尊重したいということは変わりはありませんが、本県の財政事情や、国、他県の状況等から結果として勧告を完全実施できないことは、まことに残念なことと考えております。また、給与条例の改正案及びこれに伴う予算案につきましては、今議会中に追加提案したいと考えております。 公共事業を初めとした補助率引き下げの動きに対する対応については、現在国が検討をしておるような一方的な地方への負担転嫁が実行に移されないよう、現在全国知事会等を通じて反対運動を行っているところでありますが、さらに、年末の予算編成に向けて、本県国家予算要望の最重点課題として強力な反対運動を展開してまいる考えであります。また60年度予算は、このような補助率の引き下げが行われないことを前提に、現在編成作業を進めておるところであります。
補助金カットが実行されました場合の地方負担の増加分は、地方財政対策の中で適切に措置されるべきものでありますが、万一適切な措置がなされない場合は、予算編成は極めて困難になるものと考えております。 次に、県といたしましては、国際青年年の事業を推進するため、庁内組織として国際青年年新潟県推進会議を設置いたしましたが、組織としては、国と同様に、昭和61年3月31日をもって廃止する予定であります。しかしながら、国際青年年は、これを契機として青年がみずからの人格的な成長を図り、社会の発展向上に貢献することを目的としておりますので、その後はこの運動を青少年総合対策本部に引き継ぎ、趣旨の達成に努力してまいりたいと考えております。 次に、青年団体との接触でありますが、国際青年年のテーマには参加が取り上げられており、本県における国際青年年事業の推進方針にも、青年及び青少年団体の社会への積極的な参加を促進し、青年みずからの経験を通して社会の一員たる自覚と連帯感を醸成することが重点目標の一つに掲げられており、青年及び青少年団体の自主的活動が国際青年の年の基本であると考えております。したがいまして、事業の推進に当たりましては、各青少年団体が、地域に根ざした課題との取り組みを通じまして、国際青年年の趣旨に沿った活動を展開するよう期待しているところであります。 このため、県レベルでは、12の青少年団体等で構成される国際青年の年新潟県推進協議会が既に設置されておりますので、県としては、これを支援するとともに、青少年団体が中心となって国際青年年事業が積極的に進められるよう十分連携を図っていくことといたしております。また、広域市町村圏には、各青少年団体と連携を密にするため地区推進会議を設置し、市町村においても、それぞれの青少年団体と連携しながら、国際青年の年の趣旨に基づいた事業を推進することといたしております。 次に、国際青年の年新潟県推進協議会への対応姿勢でありますが、国際青年の年新潟県推進協議会は、県及び青少年育成新潟県民会議の支援のもとに本年6月17日に設立されましたが、同協議会は、広く県内の青少年及び青少年団体等が結集し、国際青年年に関連する国・県関係機関、団体等の活動と呼応いたしまして、国際青年年の趣旨に沿った活動を推進することを目的としておるのであります。同協議会は、民間団体として自主的な運営を目指しており、既に広報啓発のため、資料の作成配布や巡回キャラバン活動等の実施、記念論文及びテーマソングの募集を行っております。県としては、青少年育成新潟県民会議と共同して今後とも必要な支援を行うほか、一層連携を密にし、国際青年年事業を推進してまいりたいと考えております。 次に、鳥屋野潟整備計画推進協議会のメンバーについてでありますが、協議会の再開でありますので、学識経験者につきましては、もともとその個人を対象として属人的に選任しておりますので、これらの方々につきましては、留任をお願いいたしたものであります。また、その他の行政機関の長または職員の方々につきましては、充て職的な意味で選任したものでありますので、現在その職にある市町村長及び職員の方々に就任いただいたものであります。 また、これらの方々に対しまして、事前に再開の趣旨等を十分説明いたしてきたところであります。協議会の再開に際しましては、当初その性格等につきまして、若杉市長の意見はありましたが、協議会の場において事務当局の説明に了解されており、協議会の性格なり、協議会の今後の進め方について、意見の相違はないと思っております。 次に協議会の再開の論議でありますが、県といたしましては、その目的から判断いたしまして、今まで中断しておりました協議会の再開が最も自然であると考えたものであります。今後、県といたしましては、新たに設置されました幹事会の場を活用しながら、協議会の運営に万全を期す所存であります。 次に、この協議会の目的についてでありますが、その目的とするところは、鳥屋野潟整備計画の推進を図るため、関係機関の連絡調整と潟内私有権の処理についての指針を得ることにあります。当面の協議・検討事項としては、鳥屋野潟整備に関する幅広い合意形成を図ることにありますが、今後は、その目的に即して、鳥屋野潟整備計画の推進に関する具体的諸問題について論議していただきたいと考えております。鳥屋野潟整備については、県及び新潟市とも従来から十分協議を行っておるものであり、御指摘のような意見の相違はございません。 最後に、県と市との役割分担でありますが、一般的に、県が事業主体となります公共事業の施行に当たりましても、地元の市町村が用地取得、地元関係者との調整を行っておるものであります。また、組合施行の土地区画整理事業につきましても、地元市町村がその指導及び事務の代行を行っておるのが実態であります。したがいまして、鳥屋野潟整備事業につきましても、地元の新潟市等の全面的な協力を得ながら推進してまいる考えであります。いずれにいたしましても、困難な公共事業を実施するには、関係市町村が真剣に取り組まなければ、成功はおぼつかないと考えております。 次に、心身障害者通所援護事業の助成でありますが、在宅福祉の充実を図り、障害者の社会参加を促進するため、収容施設と家庭との中間に位置する通所施設が重要な役割を果たすものと考えております。したがいまして、厳しい財政環境下ではありますが、財源の重点的、効率的な配分に留意しながら検討してまいりたいと考えております。 次に、指導員の配置についてでありますが、現行の制度では措置費支弁施設のみが対象とされておるため、実施主体が保護者団体である任意施設に配置することは困難であります。したがいまして、これらの施設については内容の充実に努力し、できるだけ早い機会に措置費支弁施設に移行できるよう指導してまいりたいと考えております。 障害者の老後対策についてでありますが、障害者は健常者に比較して老化現象が早く、社会適応力も衰える傾向があり、現実的な対応としては、在宅福祉の充実を基本として、障害の種類や程度を参考にしながら、老人福祉施設や救護施設を含めた各種施設の機能に合った処遇を行っておりますが、総合的な老年層の処遇のあり方について、現在中央で鋭意検討中であり、基本的にはその動向を見ながら対応していく考えであります。 通所援護事業は、施設と家庭の中間施設として主要な役割を果たしておりますので、利用定員15人を標準として県費補助を実施しており、今後ともこの程度の規模以上のものを対象としていく考えであります。また、コロニーにいがた白岩の里は、施設機能、入所対象者等から、一部で入所が長期に及ぶ場合もありますが、極力短期の収容により指導訓練を行い、家庭復帰や社会参加を目指すことにいたしております。このように白岩の里を含めた県内入所施設は、心身障害者を収容して訓練を行い、通所施設等への移行や社会参加、家庭復帰のための施設として位置づけ、通所援護事業は、施設と在宅の中間施設として機能しており、その役割は相互に補完し合っているものと考えております。 次に、米をめぐる問題でありますが、まず昭和60年度の
転作等目標面積については、今年の作況が最終的に108と全国的な豊作になり、来年10月末の在庫量が備蓄計画量を上回る60から70万トンとなりましたので、緩和面積が2万6,000ヘクタールと小幅になったことは、やむを得ない措置と考えております。 この中で、幸いにも本県は、良質米の主産県であることなどが配慮され、全国最高の4.8%の緩和率でありましたので、それなりの評価をしたところであります。県農協中央会村山会長の真意も、昭和60年度の国全体の緩和量は不満であるが、県及び議会の強力な要請もあって、結果として全国最高の緩和率を確保したことについて、農業団体も深く感謝をしておるとの話を受けておりますので、基本的な認識に相違はないものと考えております。 配分等の問題は、
農林水産部長から答弁させます。 〔
農林水産部長山田稔君登壇〕
◎
農林水産部長(山田稔君) 初めに、来年度の目標面積などの配分についてお答えを申し上げます。 国から軽減をされました1,000ヘクタールにつきましては、昨年度に既に配分済みであります第3期の基本目標面積に応じまして、公平一律な軽減を行いますとともに、所要の調整を行いまして、明年度の市町村別の目標面積とする予定でございます。 また米の限度数量につきましても、基本的には、目標面積と連動させながら配分をいたします。その配分の時期につきましては、国の各県配分は、お話にもありましたが、昨年よりも10日以上おくれたのでございますが、本県では、県の農業生産対策協議会での協議、検討をいただきまして、今月の20日に全市町村の担当部課長会議を開催して、その場で各市町村に説明、配分をし、協力をお願いする予定にいたしております。 次に、他用途利用米の取り組みなどについての問題でございます。 お話しのように、明年度の取り組み数量2万3,000トン、約4,500ヘクタールの仮配分を受けたところでございますが、この市町村への配分は、市町村や農家の希望を中心にして行うことといたしております。また、県といたしましては、現行の他用途利用米制度が転作の一環として位置づけられておりますこと、したがいまして、収益性の低い青刈り稲や保全管理、休耕田からの移行を誘導すべきものであること、さらには、生産方式や品種問題を中心とした多収技術を検討することなどを考慮しながら、農業団体や市町村と一体となりまして、今後とも円滑な推進に一所懸命努めてまいる所存でございます。 次に、本年度の他用途利用米の集荷の見通しについてのお尋ねでございます。 関係者の努力と大方の農家の御協力が得られまして、11月末現在、集荷計画数量は1万6,928トンでございますが、これに対しまして、検査済みの数量は1万5,822トンでありました。集荷率で93.5%となりました。集荷期限の今月末までには、約2割の主食転用分も含めまして、ほぼ目標数量を確保できるものと見込んでいるところでございます。 以上でございます。
○議長(岩村卯一郎君) 阿部信夫君の質問は終わりました。 次に、吉田六左エ門君の発言を許します。 〔吉田六左エ門君登壇〕(拍手)
◆吉田六左エ門君 私は、県政会の立場に立って、県民一人一人の幸せを念じながら、あらかじめ通告いたしました3つの問題についてお伺いをしようと思いますので、適切なる御答弁をちょうだいしたいと思います。また、親愛なる議員諸公におかれましては、私がきょうの最終の番でございまして、これで終わりでございます。ひとつ暫時御清聴をお願いしたいと思います。 1つとしまして、雪と新潟空港の管理についてお伺いしたいと思います。 また六左エ門は新潟空港についての発言かということで恐縮でございますが、県政の発展と県民の利益のために、多額の県費をも投じてきた新潟の空の玄関新潟空港が、冬場になると雪が理由の欠航続出をそのまま許容していいのか、その論議とあわせて御質問をいたします。 新潟空港は、佐渡のそれと違って、運輸大臣の管理する第二種空港でありますので、本来であらば、衆議院の運輸委員会あたりで、どなたかが質問するのが筋だと思いますが、あえてそれを知事にお尋ねするゆえんは、新潟空港関連が毎年度県政の重点施策に位置づけられていることによります。 11月のさる日であります。私は、都内の人様のお宅で、ある上場会社の重役の方と同席をいたしました。その方が、新潟はもう寒くなったでしょうね、この冬は雪はどうですかねと私に問いかけられ、新潟空港には参りましたよ、2月にはと申されます。どうなさいましたと伺うと、大阪から新潟へ飛んだのに、滑走路に雪が積もって着陸できなくてねというお話でした。 私も、冬の国内線の予約が気象条件のため欠航でだめになった体験はありますが、目的地の上空まで来て、滑走路の除雪がなっていないので引き返したという経験はありません。彼は御年配であり、新潟の冬の寒さは嫌だとおっしゃる方ですから、新潟の空の玄関を再び冬、訪れることはないかもしれません。 私は、帰路、新幹線の中で思いました。彼の会社が万が一地方へ工場新設するとしても、2月の大阪便にうんざりしただけで、新潟県への進出はしょっぱなから考えられないだろうなと。こんなことは私の杞憂であってもらいたいと願います。新潟空港の冬の供用態勢は、遺憾ながら除雪などの面で、県民に対して裏切りではないかと思う節があります。 御承知のように、新潟空港は、昔からA滑走路が冬に弱いということから、B滑走路を季節風に強い補助滑走路としてつくったのが昭和38年であります。その補助滑走路がジェット機時代に向かっていつの間にか主滑走路になって、今やA滑走路はジェット機には使えない補助滑走路に変わっております。ですから、夏でも冬でも、新潟空港の場合は、ジェット便にとっては滑走路は1本しかないのと同じになるわけであります。冬季、雪の降る日には、たった1本のB滑走路、幅45メートル、長さ2,120メートルだけを忠実に除雪を繰り返しさえしておれば、雪のため着陸不能などあり得ないはずであります。 昨年12月から本年3月までの冬場の4カ月間に、国内定期便の運休と先ほどの実例のような着陸不能の便数を合算すると161便にも及び、1,734全便の1割近い欠航率であります。このうち雪という理由、すなわち降雪とか、除雪作業中とか、路面凍結とかいうことでの欠航便が131便で、全便の7.6%という比率を占めます。ハバロフスクやソウル線の定期便や臨時便の国際線の場合も、雪を理由とする欠航がやはり7%近い14便であります。 新潟空港は、気象条件の最も悪い冬場に、特に海難や事故で活躍してもらわなければならない海上保安庁や自衛隊の救難隊の小型機も使用することになっております。それらが滑走路の除雪が悪くて飛べなかったというような例は、統計が入手できなくて申しわけありませんが、民間航空同様あったはずです。仕方がないから足の遅いヘリコプターで間に合わせたという、人命救助の面でゆゆしきこともあったのではないかと思います。 ここで御質問でございます。空港管理もその雪対策も、県の権限にも義務にも属さないことでありましょう。しかし、県内の道路除雪は、国と県と市町村と、道路管理者は違っても、一体となってその万全を期しています。空港は道路ではありません。しかし、冬場の滑走路除雪の可否によって定期便の運航が左右されるということは、新潟県への評価をそれによって左右されるものだと思います。県は、運輸省に対して、雪と空港管理の関連について、この冬以降善処を求めるよう強く申し入れ、協力もすべきだと思います。 もちろん運航の安全は大切であります。雪の種類や積雪量、それにブレーキングアクションなど、技術的分野の基準を犯してまで欠航便を減らせというのではありません。雪国新潟の空港が、朝8時半から夜の6時半までわずか10時間の運用時間に、除雪機材が足りないとか、業者や人夫が下請の下請のために、45メートルの幅で、2,120メートルのわずかな路面の除雪ができないので、定期便も飛べないということでは困るということなのです。定期便さえ飛べないなら、新潟港外で海難があっても、救難隊や保安庁のプロペラ飛行機など飛べるはずがない。それで助かる命も助からないでは、私は大変なことだと思います。どうしてもこのことは運輸省とばっちり協議をしてもらいたいのであります。 第2点として、ガンセンター新潟病院の病理・研究部門の充実についてお伺いいたします。 9月定例会におきましては、医療についてはまるで門外漢であることをはばからずに、新ガンセンターについて御質問を申し上げました。幸いに、知事がドクターであられることもあって、理解しやすい御見解をいただきました。そのことをいろいろの場所や会場で仲間や知り合いの皆さんにお聞かせをいたしました。ところが、何人かの方々から、「やあ六左エ門、大御苦労だったで。しかし、肝心な次のことだけは重ねて知事さんによく聞いてくれや」と念を押していく問題が幾つかありました。その中から、がん患者の身内の方からの切実な訴えとドクターの専門的な要望の2つについて申し上げ、知事の御見解を賜りたいと存じます。 1つ目は、がん患者の受け入れ態勢についてであります。まず結論から申し上げますと、ガンセンターに入院の順番を待っているがん患者、本人がそれを知らないにしても、ガンセンターで治療を受けたいと希望している入院待機組はおびただしい数だそうであります。ところが、総合病院であるから、がんと関係ないほかの診療科のベッド数が多いが、この辺が何とかならないかというお願いであります。 県は、新ガンセンター建設のために、54年度からガンセンター新潟病院整備基本構想委員会を設置して、3年間にわたる検討の結果、2年前に、その基本構想として、16診療科、450床、延べ面積2万7,450平方メートルの建設規模を確定され、既に工事に着手されたわけであります。 しかし、ベッド数は現在でも436床、すなわち436人だけは入院できるわけですが、新しい病院は、わずかにふえて450床でしかありません。その診療科ごとの分配は、実は不勉強でまだ承知していませんけれども、今の病院は、436のうち、内科が122、外科が85、整形外科62、産婦人科54等々となっているようですが、新しくなっても、診療科も増すことであり、配分比の大きな変化はないと思います。 しかし、新ガンセンターに対する県民の期待は非常に大きいのであります。62年にでき上がれば、がん患者ならだれでも入院できるのだくらいの願望は高いと思います。そして、やがてがん告知の障壁も時代とともに変化し、がん保険の普及もがん専門病院の必要をますます高めるに違いありません。 ところが、今でも、薄々がんと気づいている方さえも、入院できないで自家治療も多いそうです。しかしこの状態は、外科の患者に置きかえれば、傷口をふさがないで血が吹き出している外傷患者を、何の手当てもせずにほったらかしているのと同じことだとあるドクターから聞かされました。それは大変なことであります。基本構想は確定しているとしても、3年後の社会はさらに急速な変貌があるでしょう。それも見据えた上で、どうかこの訴えの御検討を賜りたいと思うのであります。 2つ目は、病理・研究部門の併設充実についての要望であります。肺病は死ぬものとあきらめていた昭和初期に、既に東京の大学にはがん研究所があったと伺っています。今や肺結核は不治の病ではないのに、がんの病理はきわめられていません。聞くところによると、がん研究は非常にお金がかかるそうであります。そして、臨床で忙しいドクターの方々は、次々と発表される新しい研究結果や薬剤に目まぐるしく追い回されていると申される方もおりました。 重ねて申すまでもなく、県立のガンセンター新潟病院ががん治療に先進的な実績を残したことは偉大でありました。やがて2代目のガンセンターが臨床治療だけでなく病理・研究部門を併設、充実することができるならば、20年後の新潟県民は、恐らく議会においても、君県政の先見と英断をたたえるでありましょう。このことも基本構想の手直しが必要かもしれませんが、内閣総理大臣もがん対策に本腰を入れるような御時世になりました。ぜひとも御検討をお願いしたいのであります。 第3点といたしまして、国際交流関係事業の充実と職員の海外研修についてお聞きいたしたいと思います。 中国残留日本人孤児第6回訪日調査団の第1班黒龍江省関係者45名が先月22日に、次いで、第2班遼寧省関係45名は29日に到着されました。新聞やテレビが連日感動のドラマを伝えてくれましたが、県内でも、お二人が佐渡の林さんであることがわかり、そのニュースのときには、私もテレビに向かって拍手を送りました。しかし、時の流れを責めてもどうにもならないことです。それよりも、こんなに近い国でありながらなぜ孤児の情報を早くから知ることができなかったのか、そこに国際交流の重要さが論議されなければならないと思うのであります。 さて、そこで、県政の立場での国際交流関係事業について、3点ほど御見解を伺いたいのであります。 1つ目は、林御姉弟の帰られた中国黒龍江省との友好県省提携協定にかかわる事業についてであります。県は、本年度の新規事業として、黒龍江省との経済交流調査や、留学生、研修生の受け入れなどを通して、経済交流の可能性を模索したり、文化、科学、技術の交流を深め、友好親善関係を促進されていることは、非常によいことであります。過日は、知事の畑でとれた白菜を現在留学研修中の8名に差し上げたことがニュースになっていましたが、よくまあ畑づくりするお暇があるもんだと私は驚いた次第でありますが、(笑声)こういうことこそ友好親善のきずなになるのだと私は思っております。 最近、この協定が結ばれてから、双方ともに千客万来の感があり、まさに国際交流が具現化されているようであります。しかも、つい二、三年前までは考えられなかったことが突然に県の重点施策に加わってきたことを、私は奇異にさえ思うのであります。なぜそんなことを申すかというと、実は私の父の古い知己で、中国と国交回復もない時代から中国大陸と交易をしていた方があります。それは、あの広大な中国の東北の一部である黒龍江省ではなく、当時「赤い中国」と呼ばれていましたが、その方の化学工場で生産された肥料を輸出しておられました。やがて国交も回復するだろうさ、その日になったら利益も上がるだろう、それまでの礎としてと、それこそ政経分離を地でいきながら、多少の犠牲には目をつぶって頑張ってこられました。しかし、今や中国は重工業国になりつつあり、その先輩の努力は今実を結んでいるかというなら、そうではありません。 黒龍江省はその中国の一部であり、直行空路があるならば本県と最も近い省であります。私たちも学ぶものも多いとは思いますが、しかし、先様が本県に期待し、得ようとするものは、当面、より多いのではないかと思います。問題点はここにあるのです。越後の人間はそうでないはずですが、日本人の特性と言われる熱しやすく冷めやすい作用が、万が一にもこの協定に基づく事業に及ぼすようなことがあると大変であります。近い国であるだけに、先様の期待が仮に大きければ大きいだけに、今年度進めている各種の事業が、来年度も再来年度も確実により以上に進められなければならないはずであります。 来年度予算を論議するのではありませんけれども、予算緊縮の際に一律カットでは済まされない性格の事業であると思います。また、調査団とか視察団の受け入れが現在以上に頻繁になった場合、知事や議長への表敬訪問は別にしても、実務的、専門的な分野の対応での事務量や予算増もばかにならないと思います。 他県では、国際的な交流協定に基づく対応のために、全庁内一体化された部署を設けて合理的に運用しているところもあるように伺っています。戦前の満蒙開拓団員を多く送り出した本県としては、そのゆかりの地黒龍江省と末長く落ちついた雰囲気で今の交わりを深め続けていくことができるよう、格段の御検討をお願いしたいのであります。 次は、ハワイ州を含む南北アメリカ大陸に住む新潟県移住者とのかかわり合いのことであります。政府内部には、海外在住日本人にも選挙権を与えようという方向づけさえされている昨今であります。県政は今、遠い親類よりも隣近所が大切であることから、黒龍江省とおつき合いを深めていることは、先ほど申し上げたとおりまことに結構であります。 しかし、県当局は、日本列島に次いで多くの日本人が住んでいるブラジル国などの県人に対しては、つとに気を配っていただき、ハワイ、ブラジル、アルゼンチンの県人会には、ささやかながら運営費の一部を助成されたり、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンの県人子弟を対象に県費留学生制度も創設してから、はや10年以上になり、帰国した留学生はもちろん、現地県人会の方々から大変に感謝されているようであります。 ところで、過日、自民党の遠山作助先輩先生に、来年、ブラジル県人会代表が新庁舎竣工祝賀団としてやってくるから、お父さんに御協力頼むよと、ポンと肩をたたかれました。私がブラジルへ行ったことがないためか、一丁前扱いしてくださらないで、お父さんに頼むよと言うのであります。(笑声)家に帰って忠実に父に伝えますと、家族会で国内旅費の補助金でも集めるのじゃないか、わかったと言っておいてくれやと父は言いました。このことは御返事として遠山先生にはまだ申し上げてありませんが、(笑声)国際交流というのはなかなか大変なんだなとつくづく思います。 そこで、過日の新潟日報に、ブラジル県人会が基金を設け、県人会発展の基礎にしたいと伝えています。11月のブラジル県人会便りによれば、ブラジル全土の県人有力者にも檄を飛ばしているということであります。世界一インフレの国で基金なんぞ不安なと思うかもしれませんが、あのくらいの大型インフレになりますと、日本の目減りと違って、インフレ率に従って政府が調整するものだから、預金の元金も自動的にインフレアップするといううまい仕掛けだそうであります。 ここでのお願いは、その基金についてであります。先月6日、徳島県の三木知事はサンパウロ州のモントーロ知事と姉妹州県友好協定を締結され、教育、文化、スポーツなどの具体的な交流活動を進めることになったようであります。他県のまねをしようというのではありませんが、議会の議員有志で中南米議員団もできており、その点、理解と御協力は得やすい条件下にあろうと思います。ブラジル県人会の募金委員会からお願いがありましたら、額の多少ではありません、気持ちよく幾らか御出資できるよう御配慮をお願いしたいのであります。 最後に、職員の海外研修の実施についてのお願いであります。県職員の中には、おれは中国、シンガポール、ビルマと8年もいたなどという猛者がたくさんおられました。しかしこれは、ジャルパックによる旅行ではなくて、第2次世界大戦の従軍経歴なのであります。侵略戦争に加担したのだとなじるお方もあるかもしれませんが、一人の人間としては貴重な体験でありましょう。私が知っているそれらの方々は、特徴のある仕事をやり、上手に職員を使いこなした人物が多かったと思っております。しかし、年齢的に今や皆県庁のOBであります。 こんな例を引きながら職員の海外研修の勧めはいささかそぐわないかもしれませんが、これほどの大世帯の県庁であります。ブラジル、アルゼンチンまでとは申し上げませんが、年々職員は減員して少数精鋭になるはずの体制の中で、職員研修が従前どおりでは、県民の幸せはもたらせません。せめて国際交流事業の今年度予算の半分でもよい、新年度予算編成作業でぜひつけてください。必ずためになります。これを発言する以上、私は私なりの私案を持っていますが、控えます。議員だったらおれもそう言うよというような部課長さんがここにずらりと並んでおられるような気がいたします。長岡藩の米百俵を例えるまでもなく、年間1,000万円で県に人材が育つということなら、県民のだれが非難しましょうか。知事の御勇断を切望し、これで質問を終わります。(拍手) 〔知事君健男君登壇〕
◎知事(君健男君) さきの豪雪によりまして、新潟空港の国内、国際便の運航上、例年になく大きな影響がありましたことは御指摘のとおりであります。空港の管理者である運輸省においては、これまで除雪体制の整備を図ってきたところでありますが、新潟空港の場合、航空機の離発着の安全性を確保するため、滑走路上の雪を常時3センチメートル、雪質によりましては1.3センチメートル以下に保たなければならず、間断ない降雪を見た今期の記録的大豪雪は、空港にとりまして最悪の事態となり、その中で、欠航便を極力少なくするために懸命な努力が続けられたところでありますが、結果として、かつてない高い欠航率を示すに至ったのであります。 このことは、雪国における空港の除雪のあり方について改めて幾つかの課題を残したことも事実であり、これを機に、空港では除雪機械を更新したほか、今後の対応についても検討しておると聞いております。新潟空港は、日本海側有数の拠点空港であり、今後その発展が期されておる空港でもあります。降雪により機能の低下を招くことは新潟空港のイメージダウンにもつながることから、除雪体制の一層の強化についてさらに強く関係当局に働きかけてまいる考えでございます。 次に、ガンセンター新潟病院の問題でありますが、まず入院待機患者の出ない体制とすべきであるとのお尋ねであります。現在、当院のみならず、他の病院においても相当数の入院待機患者を抱えておると仄聞しておりますが、県内のがん医療につきましては、当院のみならず、他の県立病院や地域の病院との連携を強めながら対応すべきものであります。当院の運営に当たりましては、診療の各分野におきまして、がん患者を優先して対応すべきものと考えております。 次に、病理・研究部門の充実についてでありますが、御案内のとおり、がんの研究は、有機的な連携のもとに、大学や国立がんセンター等においては、基礎的、先端研究分野を担当すべきものであり、地方がんセンターである当病院にありましては、具体的な臨床研究や、国から当院が対がん10カ年総合戦略として指定された「胆道がん発生の地域特異性とその対策」のような、地域性のある研究を進めることが使命であると考えております。したがいまして、研究体制のあり方についても、当院の医療スタッフ挙げて参画する体制とすべきものと考えております。いずれにいたしましても、そのあり方については慎重に検討してまいる所存であります。参考までに申し上げますと、ガンセンターのがん患者の占有率は59%であります。これは、がんは宣告をしないのを原則とする現在、地方がんセンターのあり方としては概ね60%程度が理想とされております。 次に、中国黒龍江省との交流事業につきましては、昨年8月、友好県省提携協定を締結いたしましてから、これまでに留学生や技術研修生の受け入れを初め、数次にわたる視察団が本県を訪問しております。また、当県からも幾つかの視察団が黒龍江省を訪れ、熱誠あふれる歓迎を受けるなど、相互理解と友好交流を進めておるところであります。私もかねてから、国際交流は末長く地道に、そして着実に進めるべきものであるとの認識を持っており、今後ともその認識に立って交流を図ってまいりたいと考えております。 ブラジル県人会に対しましては、現地における県人会活動の育成を図るため、新潟県海外協会を通じて県費助成を行っておるほか、高齢者に対する表彰、県費留学生及び技術研修生の受け入れ事業等を実施しておりますが、今後とも引き続き実施してまいる所存であります。ブラジル県人会で、子弟交流などの諸事業を積極的に行うため基金制度創設の動きがあることは、新聞報道により承知しておりますが、県の財政事情も極めて厳しい状況にありますので、正式に協力要請があった場合には、その内容を十分検討した上で考えてみたいと思います。 次に、職員の海外研修についてでありますが、本県におきましても、昭和54年度から海外派遣研修を実施し、諸外国の行政制度や社会生活の実態を直接見聞させることにより視野を広め、技術、知識の向上を図るとともに、その研修成果を県政の運営に反映させることを期待して、毎年度十数名の職員を選抜し、派遣しておるところであります。今後も、この海外派遣研修の拡充強化も含めまして、さらに実効のあるものとなるようにしたいと考えております。 以上で答弁を終わります。
○議長(岩村卯一郎君) 吉田六左エ門君の質問は終わりました。 ――
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○議長(岩村卯一郎君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。 ――
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○議長(岩村卯一郎君) お諮りいたします。 次会は、明12月12日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岩村卯一郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――
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○議長(岩村卯一郎君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。
△午後4時26分散会...