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03月04日-一般質問-02号

  • "特別会計実業高等学校作業資金歳入歳出予算"(/)
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  1. 新潟県議会 1960-03-04
    03月04日-一般質問-02号


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    昭和35年  2月定例会 本会議昭和35年3月4日(金曜日)  議事日程 第2号    午後1時 開議 第1 第1号議案から第37号議案まで 第2 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1  第1号議案 昭和35年度一般会計歳入歳出予算  第2号議案 昭和35年度特別会計未亡人子弟教育費貸付金歳入歳出予算  第3号議案 昭和35年度特別会計母子福祉資金貸付金歳入歳出予算  第4号議案 昭和35年度特別会計県営港湾特定施設整備事業費歳入歳出予算  第5号議案 昭和35年度特別会計中小企業振興資金助成事業費歳入歳出予算  第6号議案 昭和35年度特別会計中小工業設備近代化促進事業費歳入歳出予算  第7号議案 昭和35年度特別会計地方産業育成資金歳入歳出予算  第8号議案 昭和35年度特別会計農業改良資金歳入歳出予算  第9号議案 昭和35年度特別会計県営地方競馬事業費歳入歳出予算  第10号議案 昭和35年度特別会計実業高等学校作業資金歳入歳出予算  第11号議案 昭和35年度特別会計災害救助基金歳入歳出予算  第12号議案 昭和35年度新潟県電気事業会計予算  第13号議案 昭和35年度新潟県営工業用水道事業会計予算  第14号議案 昭和35年度新潟県病院事業会計予算  第15号議案 特別会計の設定について(農林漁業近代化資金)  第16号議案 昭和35年度特別会計農林漁業近代化資金歳入歳出予算  第17号議案 新潟県財政再建計画の変更について  第18号議案 契約の方法について(亀田郷用排水改良事業外八件)  第19号議案 契約の方法について(繊維機械購入三件)  第20号議案 契約の方法及び締結について(繊維機械購入)  第21号議案 契約の方法について(鷲崎漁港修築工事)  第22号議案 契約の方法について(村上温海線道路改良工事外十三件)  第23号議案 契約の方法について(地盤沈下対策港湾工事外五件)  第24号議案 契約の方法について(地盤沈下対策海岸工事用物件購入外三件)  第25号議案 契約の方法について(新潟中央高校校舎改築工事外二件)  第26号議案 契約の方法について(警察官制服購入)  第27号議案 営造物の設置について(新潟養護学校)  第28号議案 営造物の廃止及び設置について(保健婦専門学院公衆衛生看護学校)  第29号議案 新潟県立保健婦専門学院入学考査料等徴収条例の一部改正について  第30号議案 新潟県職員定数条例等の一部改正について  第31号議案 新潟県地方警察職員定員条例の一部改正について  第32号議案 新潟県県税条例の一部改正について  第33号議案 当せん金附証票の発売について  第34号議案 起債について(一般会計)  第35号議案 起債について(公営企業会計)  第36号議案 起債について(母子福祉資金)  第37号議案 一時借入れについて 第一部及び第二部議案審査特別委員会設置委員指名の動議(高橋平治郎君提出) 日程第2 県政に対する一般質問丸山直一郎君、木島喜兵衛君、吉田吉平君)   ―――――――――――――――――出席議員(66名)       雲尾 東岳 君  木原 正雄 君  志田  保 君  丸山金太郎 君       中村  孟 君  後藤 清一 君  瀨水 淳英 君  三宅 進午 君       川崎 重吉 君  若槻  勉 君  二瓶田之助 君  小林 藤吉 君       吉岡喜三郎 君  小林 寅次 君  鶴巻辰次郎 君  横内權之助 君       木島喜兵衛 君  柏原 正雄 君  中澤 芳郎 君  遠山 作助 君       田邊 武次 君  市橋 長助 君  長谷川吉雄 君  相場 一清 君       外山勘兵衛 君  鈴木 精一 君  高鳥  修 君  山崎 和雄 君       高橋平治郎 君  戸田 文司 君  高橋 正治 君  塚野 清一 君       丸山直一郎 君  阿部 榮吉 君  平田 早苗 君  中川 よう 君       富樫又太郎 君  佐藤熊太郎 君  小野 清一 君  太古喜太郎 君       岩村時次郎 君  角屋 久次 君  旗野 進一 君  飯塚 宗久 君       佐藤 幸作 君  後明五郎作 君  小林 源一 君  高橋 重雄 君       岡田 幸平 君  水倉 新作 君  渡邊 常世 君  佐伯 利作 君       鈴木 太吉 君  高山 富三 君  長谷川多喜男君  岩間徳太郎 君       川室 道隆 君  氏田万三郎 君  武江 一則 君  吉田 吉平 君       高橋 虎夫 君  近藤 禄郎 君  金子 政治 君  小田長四郎 君       松井 源内 君  渡邊 喜八 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          北村 一男 君  副知事企業局長事務取扱 鈴木 武男 君  出納長         佐藤 辰雄 君  総務部長        吉浦 浄眞 君  民生部長        今井平三郎 君  衛生部長兼病院局長   君  健男 君  商工労働部長      長谷川 操 君  農林部長        野原  正 君  農地部長        藤塚 太郎 君  土木部長        佐藤 寛三 君  教育長         柴田 美稲 君  警察本部長       水野唯一郎 君  人事委員会事務局長   高橋 正雄 君  地方労働委員会事務局長 折笠 正義 君  監査委員        高浪 健藏 君   ――――――――☆―――――――― △午後1時39分開議 ○議長(山崎和雄君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 第1号議案から第37号議案まで ○議長(山崎和雄君) 日程第1、第1号議案から第37号議案までを一括議題といたします。   ―――――――――――――――――高橋平治郎君 ただいま議題となりました第1号議案から第37号議案までは、審査のため、第一部議案審査特別委員会及び第二部議案審査特別委員会を設置することの動議を提出いたします。なお、委員は、正副議長を除く全議員とし、その選任は議長の指名により行なわれんことを望みます。 ○議長(山崎和雄君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山崎和雄君) 御異議なしと認めます。よつて、動議のごとく決しました。 お諮りいたします。第一部議案審査特別委員会の定数は32人、第二部議案審査特別委員会の定数は33人とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山崎和雄君) 御異議なしと認めます。よつて、さよう決定いたしました。 次に、委員の指名は、お手元に配付いたしました委員名簿の通り、それぞれの委員会の委員に指名いたします。   ――――――――――――――――― ○議長(山崎和雄君) お諮りいたします。第1号議案から第37号議案までは、諸君のお手元に配付の議案付託表の通り第一部議案審査特別委員会及び第二部議案審査特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山崎和雄君) 御異議なしと認めます。よつて、さよう決定いたしました。   ――――――――――――――――― ○議長(山崎和雄君) 議案審査特別委員長、同副委員長互選のため、暫時休憩いたします。    午後1時41分休憩   ――――――――☆――――――――    午後1時42分開議 ○議長(山崎和雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 第一部議案審査特別委員長に塚野清一君、同副委員長に若槻 勉君、第二部議案審査特別委員長に飯塚宗久君、同副委員長に後藤清一君がそれぞれ互選されました。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 県政に対する一般質問 ○議長(山崎和雄君) 日程第2、県政に対する一般質問を行ないます。通告順により発言を許します。 丸山直一郎君。   〔丸山直一郎君登壇〕(拍手) ◆丸山直一郎君 私は、自由民主党を代表して、知事並びに関係当局に質問を申し上げたいと存じます。 まず、冒頭お伺いいたしたいことは、35年度の本県の財政規模公共事業完全消化の見通しについてであります。 北村知事が、就任以来5年間にわたつて、膨大な赤字を克服しながら、福祉県建設を目ざして努力を重ねた結果、ついに財政的危機に立つた県政を財政再建の軌道に乗せる一方、地理的悪条件に災いされた後進性から脱却するために、制度の改正あるいは行政措置の改善等に意を用いつつ、特に公共事業は年とともに増加いたして参りました。すなわち、公共事業費増加の趨勢を見ますると、昭和30年度33億、31年度は40億、32年度は41億、33年度は50億、34年度は58億に達し、この飛躍ぶりは、赤字で資金繰りに日夜苦悩しておつた当時と比べ、全く隔世の感があるのであります。全国的にながめた場合、本県の公共事業予算は33年度の普通建設費は全国第8位となつているが、うち補助該当事業は第5位を占めている事実、また、本県の財政規模のうち、投資的経費が全体の30%を占めるというきわめて高い比重を持つに至つたというこの2つの事実を考え合わせまするとき、知事初め県民がいかに後進性から脱却せんがために全精力をこれに集中してきたかということが、きわめて明瞭にうかがい知ることができると思うのであります。同時に、ここまで行政水準を引き上げ福祉県建設に営々として苦心を傾けられた知事以下県御当局に深甚なる感謝と敬意を表するものであります。 さて、明年度の予算においては、前年度より約30億を上回つた歳出予算となつてはおりますが、このうち公共事業は、国家予算や財源の見通し困難という観点から、その編成方針として、本年度現計のおおむね60%を目途として御計上に相なつておるのであります。仄聞するところによりますると、国の道路政策あるいは治山治水の国土保全政策等によつて、35年度は本年度現計よりおよそ2割方事業分量がふえると伝えられておりますから、公共土木事業に関しては、ここに提出されている予算はおよそ半分にしか当たらないと見ることができるかと思うのであります。少しく具体的に申し上げてみまするならば、35年度の土木部所管指定公共事業費は22億1,416万円で、このうち地盤沈下対策分を除きますと、15億5,178万円となりますから、年度半ばに、もうこれと同額が追加される。また一方、地盤沈下対策費は、これまた34年度並みだから、当初計上額のほかに15億3,321万円、合計30億8,500万円ほどがふえるのではないかと思うのであります。しかして、財源はどうかと申しますと、現在のままと仮定し、地盤沈下事業はかりに県市折半とした、ごく大づかみの見当で試算いたしますると、12億3,700万円の新たな県費財源が要るかと思うのであります。もちろん、県は予算編成にあたつて、将来の追加に備えて財源の見通しをつけ、しかも公共事業は現計の60%を計上されて提出に相なつたものと存じます。 さて、この公共事業は、いかに苦しい年であつても、かつて本県としましては返上したことがなかつたのであります。また、これは本県の県政の実態から見て当然でもあつたのでありますが、34年度に比べて、あまりにも県費負担の激増が目立つのであります。なるほど、一部分は起債でまかなわれるでありましようが、起債もきつい制約がありますから、大半は一般財源を充当しなければならないことは言を待たないのであります。そこで、これに見合うべき歳入に目を転じて検討いたしますと、一般財源の大半である県税と地方交付税は、この予算面では11億1,000万円の増加となつておるのであります。しかしながら35年度の実収見込みからすれば、経済拡大、景気好転の影響を受けて相当な伸びが予想されますから、この上幾分の自然増を期待すること、これまた常識上妥当でありましようが、特にここでお尋ねしておきたいことは、明年度1カ年間を見通して、この上さらにどのくらいの収入の伸びを予期しておられるかという点であります。年度開始前の今から、年度末までの収入の予想をすることは、まことに困難なことでありましようが、いやしくも、年間歳入の把握なくして仕事をすることほど危険なものはないのでありまして、議会の予算審議にあたつて、まずもつてこの財政の見通しをできるだけつまびらかにいたしたいために、あえて私は冒頭にこれをお伺いするものであります。まず6月県会ともなれば、公共事業を初めとして、県単事業の肉づけや職員給与費の補正、第二庁舎建築費、その他一般国庫補助の確定に伴つての各費目の補正追加等、数え上げれば、年度末の県財政規模は290億前後に達することが予想されるのでありまして、差引55億程度の追加は避けられない見通しを持つているのであります。この追加財源中、県費所要額は、きわめて大ざつぱな計算でありますが十八、九億とし、起債を5億と仮定しましても、一般県費で13億ないし14億を充当しなければならないと考えるのであります。かように巨額の県費財源が確保できるかどうかという点、総務部長は、総務文教委員会で10億円くらいと申されておるのでありますが、この点について知事の所見を承りたいのであります。 ここで、さらに明らかにしておきたいと思うことは、財源調達が最悪の状態になつた場合、一般事業はともかくとして、公共事業完全消化の宿願を一部放棄せざるを得ないこともあり得るとの杞憂を持つものでありますが、この点について知事のお考えのほどを伺いたいと思うのであります。 第2にお尋ねしたいことに、毎年取り上げられる問題であるとはいえ、第1問とも深い関連を持ついわゆる県単事業、なかんずく県単道路橋梁事業についてであります。昨年12月の財政白書によりますると、維持修繕費を含めた県単の道路橋梁費財政再建第1年次の31年度が2億6,400万、32年度が4億400万、33年度が5億1,000万と大幅な膨脹を見せ、それだけに、公共事業実施と並行して道路橋梁の姿は逐次良好に向かい、福祉県への前進が喜ばれてきたのでありますが、34年度は一歩後退して4億6,400万円で、前年度より約5,000万円近く減額されている。しかして35年度当初では、概算3億5,400万円で、2割5分近くの減額であります。知事は、年度の進むにつれ、必ずや大幅な手直しをされて県民の要望にこたえて下さるものと信じておりまするが、いささか心配されますことは、この県単事業なるものは、その年の財政事情によつて、ときに伸縮されることは一応やむを得ないこととは考えまするが、この県単事業は、かゆいところに手の届いたいわゆるきめのこまかい仕事をして、地方民からきわめて深い関心と期待を持たれていることは言うまでもございません。知事の第2期におけるきめのこまかい手直し的行政施策としては、真に格好の仕事であると信ずるのでありますが先刻も申し上げましたごとく、県税を地方交付税で、すでに11億円余を増加計上されておりまするが、これをさらに上回つて入つてくると思われる財源の伸びのうちから、まず公共事業優先という施策順位から考えまして、はたして県単道路や橋梁に増収の余裕がどれだけ振り向けられるかという問題であります。公共事業完全消化と同時に、この県単事業もまた、ここにまで盛り上げてこられた努力の水準を低下させることがあつてはならないと思うのであります。翻つて、県下の自動車の車両統計で見ても、32年末を100として、2年後の昨年11月には69%も増加しておる。それだけこの道路橋梁の保持力と申しますか、耐久度を著しく縮めておる現状でありますが、ひとり耐久度の低下だけにとどまらず、やはり交通事故の一因ともなつていると思うのであります。農山村の一本の小橋梁でも、また、なだれによる危険個所の山腹を削る避難道路でも、その地方としてはまことに大切な工事でしかも数多くの地方がその恩恵に浴して幹線道路の補助的役割を果しておることは今さら申し上げるまでもないところであります。しかも、毎年度県に協力するという形で、交通業者や利用者から相当な財政的協力を仰いで、どうにか維持補修を続けているというのが実情であります。これを要約しますれば、公共事業完全消化もさることながら、関係地方民のきわめて強い切実な要望であるこの県単道路橋梁事業の水準向上の問題に対し今日の県財政の現実に立つていかに処理をなさるかをお伺いしたいのであります。 第3にお伺いしたいことは、本県の産業構造と県の財政力強化安定の方策についてであります。これまで申し上げてきたことは、当面する重点事業に、現在予想される財源をいかに配分して、事業と財源とのバランスを合わせるかという問題でありましたが、今度は高度の視野に立つて県の産業構造からかくなつている県の富力というものを、体質構成の一角を改革することによつて、県の富力、すなわち財政力により強化安定させる方策に向つて所信を申し上げ、その御所見をお伺いしたいのであります。ここに引用いたします数字は、昭和31年のもので、いささか古いようではありまするが、知り得る範囲では新しいものでありますことをお断わりしておきます。本県の総生産所得額のうち、第1次産業が占める割合は、全国平均19.6%に対して本県は28.3%、また第2次産業では、32.9%に対して本県は27%で、つまり原始産業依存度が高くて、しかも第2次産業が全国平均をかなり下回つておること、また一方、生産所得の人口1人当たりを見ても、全国平均8万2,000円に対して、本県はその85%で全国の29位となつている。また就業者1人当たりの所得額では、第1次産業では、全国の9万円に対して本県は7万5,000円で34位、第2次産業では、全国25万8,000円に対し本県は23万3,000円で21位という状況で、いかなる角度から見ても、残念ながら全国一の米産県の看板があるとはいえ、常に実質的には全国レベルのはるかに下におるということであります。このように原始産業に対する依存度があまりにも大きい結果として、県民所得、ひいては県の税収面にも大きな上昇線が見られないのであります。 具体的に申し上げますれば、個人事業税が、先般基礎控除の引き上げで12万円から20万円に改正された結果、従来の納税者4万2,000人から一挙に45%が脱落している。これは全国レベルよりもかなり上回つており、零細企業層が多いことを物語るのであります。さらに、人口1人当たりの個人事業税額の比較では、一そうはなはだしい格差が見られるのであります。すなわち、全国平均が268円であるのに、本県は172円で、36%も低くなつておる。また法人事業税はどうかと申しますると、33年度の全国の法人事業税総額973億のうち、本県は13億8,000万円で、わずかに1.4%にしか当たらない。しかも6大都府県が総額の実に62%を占めている実態は、産業構造から余儀なくされる税源の貧しさと偏在とが明白に知り得るのであります。要するに、県民所得の面から見ても、依然として後進県の地位から脱却し得ない状態と思うのであります。 そもそも、風とか雪のような自然現象でさえ、人知と科学の発達によつて、ある程度あきらめ的となつておつた県民心理を、今日では相当に転禍為福とする方向に考え方が変わつてきたと同様に、後進県なるがゆえに、自治体の財政力も自然の成り行き以上にはどうすることもできないといつた、消極的、無力な思想を切りかえるべきではないかと思う。県政の伸張発展は、財政力と不可分であることは申すまでもありません。換言すれば、県民所得の増進に寄与する施策、すなわち、財政力の拡大強化を基本理念とした施策とその推進こそ、最も喫緊の課題であると確信するものであります。(傍聴席で発言する者あり)これを一そう具体的な表現で申し上げますれば、近代的産業に属する大工場をもつと県内に多く誘致するように施策を集中することが必要ではないか。しかし、県では昭和26年度に工場誘致条例を設けてその推進をはかつてきておりまするが、誘致の実績が必ずしも満足な域に達しないうらみがあると考えます。ここで今日までの実績を翻つて考えてみますと、昭和26年度ないし33年度の9カ年間に条例の適用を受けたものが31社、この間に県が収入した法人事業税法人県民税は合計17億4,000万円でありまして、年平均にして1億9,300万円という少なからざる税収となつて、財政面に大きくプラスしているのであります。しかもこのほかに、それらの工場従業人員1万7,000人の年間給与所得は、31億をこえると推定されるのでありまして、大工場の誘致が県内産業の発展、県民所得の増進、県財政力の培養に、さらに農村余剰人口の吸収等、いかに大きな影響力を持つておるかということが立証できるのであります。 そこで本論に入りますが、しからば、本県の工場立地の適応条件はどうかということであります。まず自然的条件の適応性から申しますと、第1に、石油、天然ガス、石灰石等の地下資源がきわめて豊富であること、第2には、食糧と労働力に恵まれており、かつ勤労意欲が非常に高いということは何人も異論のないところでありますが、いまだにここに問題が残されておるのであります。すなわち、第1に適地入手が容易なりやいなや、第2は港湾、鉄道、道路等、輸送面の整備が適合するかいなか、第3には、電力の供給が十分な能力を持つておるかどうか、第4には、工業用水が豊富かつ整備されているかどうか、以上の4点に尽きるかと思うのでありまするが、これらの条件がそろつて、初めて企業側から行きましようという順序になるかと思うのであります。さて、工場誘致の適地の面では、所要面積が大きければ大きいほど、農耕地の転用買収に、また砂丘地帯にしても保安林の解除というギヤツプが存在して、円滑に進まないことが往々にしてある。また、原料資材、製品の輸送面においては、地理的条件の克服とその施策には、人並み以上の投資を余儀なくされるということも当然予想されるのであります。また、本県が有力な発電県でありながら、なおかつ県内の水力電気のみでは渇水時の補給に事欠き、過去において、しばしば苦い経験をなめてきたのでありまして、新潟市や商工会議所等、関係者の間に火力発電所の誘致運動が展開されつつあるのであります。また、工業用水の問題につきましては、本県が水資源に恵まれているとはいえ、一部上越工業地帯のバランスが特に最近逼迫しておりますためにこの方面の調査費が若干計上されておりまするが、これまた早急な促進、解決が強く望まれているのであります。これを要約しますのに、これら数点の試験課題に一つ一つ合格しなければ、工場誘致への及第点がもらえないということになるのでありますが、冒頭にも申し上げましたごとく、産業構造の改革による県民所得県財政力の飛躍増進という課題に対しましていかなる御抱負をお持ちであるか、また人為的立地条件の整備促進にいかようなる対策をお持ちになつておるかをお尋ねいたしたいのであります。 第4にお伺いしたいことは、県の企業会計において保有しているいわゆる内部留保資金の運用の問題であります。昭和33年度の県営電気事業は、豊水に恵まれ、前年度に比し1億8,400万円の増収を見ており、経営状態はきわめて良好といえるのでありまして、年度末剰余金から減債基金へ1億7,185万円を積み立て、33年度末では減債基金は2億一千八百余万円となつております。このほか、さらに法令の規定に従つて減価償却引当金あるいは修繕準備引当金等がありまして、同年度末には、これら内部留保資金の総額は9億六千八百余万円に達し、このうち発電所増強費水力発電地点開発準備費、胎内第一、第二発電所建設費あるいは県の一般会計への貸付など、いわゆる資金運用額が1億6,200万円ありますから、これを差し引いても、なおかつ8億600万円という巨額の手持ち資金を保有しておるのであります。企業会計では、今、胎内川筋の発電事業が建設の途上にありますから、借入債の減少などの事態に備えて、ある程度手持ち資金の余裕を存しておくことももとより必要のことでありましよう。また、機械設備や構築物件の維持修繕のために蓄積をしておかなければならない性質のものであることも、よく承知いたしておりまするが、さような本来の使命に運用される以外に常に一定部分の余裕層の金が保有されているということも、また事実でありましてこの余裕金は銀行預金として有利に運用されていると思われるのでありますが、この留保資金は、企業会計におきましては一つの財産であると同時にまた県の財産でもあるわけであります。地方自治は、地方の自主性を尊重しつつ、その地域の特殊性を発揮して、地方住民の福祉増進に寄与しなければならない建前を持つていることは言うまでもありませんが、やもすやると、国の施策や指導方針が、この地方の自主性に制約を加えたがる傾向も往々にしてうかがわれるのであります。こと財政に関しては、ある程度規制を加え、放漫に流れやすい財政処理を引き締めたり、自粛をしなければならないことはもとより当然でありまするが、相当に窮屈な仕組みになつておることは争われないところであります。本県の前途には、地盤沈下対策を初めとして、関屋分水、信濃川河状整理、1、2級国道の改良促進、地下資源の開発利用、鉄道電化や複線の促進等、枚挙にいとまないほど、経済基盤の拡充強化、福祉県への建設を目ざす重要問題が山積している状況でありまして、かかる際において、従来比較的安易にできた起債も、年々そのワクが伸び悩んで、大きな壁に突き当たつておる現況から考え合わせまして、この県の財政上の危急存亡という場面に直面していながら、目の前に血となり肉となる栄養源を、手をこまねいて、あえてこれを食わずに、みすみす健康回復、健康増進のチヤンスを逸していいかどうか。先刻申し上げましたごとく、資金本来の使命を犠牲にしたり、法令にそむいてまでやることは不合理でありましようが、いやしくも県の最も緊要な事業、県民福祉の増進上きわめて顕著と思わるれ事業にこれを運用するということにつきまして、特に知事がお考えをお持ちでありましたらお尋ねしたいと思うのであります。 第5にお伺いしたいことは、いわゆる高等学校のピーク対策であります。既往の実績から見ますると、高校の入学志願率は年々1.2%ずつふえてきておりまするし、合格率は大体77%前後に相なつております。かような現状のもとに推移するものと前提して、来たる昭和38年度から40年にかけてのいわゆる高校のピーク時を迎えることになるのであります。今かりに合格率を現状の77%に押えたとしましても、入学者急増のために、この間は毎年150学級をふやさなければならない結果が予想されるのであります。県立高等学校の全日制学級数は現在約1,000ばかりでありますから、まさに4割強という驚嘆すべき運命が目の前に潜在し、この処理は県財政上きわめて重大な課題であることは論を待たないところであります。しかし41年度以降は、一時的にふくれた生徒が逐次卒業するので、学校は漸減して、一定のレベルにとどまるのでありますが、それにしましても、四百数十学級の半分は恒久的にこれを継続していかねばならない必至の情勢であることを考えるべきであります。従いまして、このピーク期間に対処いたしますために恒久と臨時応急の両面の対策を立てることが必要であると思うのであります。このうち、臨時応急対策の一環として、35年度の高校建築計画に、現にそうした配慮が一部なされておることがうかがわれるのでありまするが、二百余に及ぶ恒久増に対しては、35年度以降、可及的すみやかに実施に移さなければ、とうてい間に合わないことがあると懸念されるのであります。申し上げるまでもないことでありまするが、かりにある地域に新たに学校を設置するということになりますると慣例的に地元負担が伴うことは避けられないのであります。適地の選定、買収、整地等にも少なからぬ苦心と時間を要することは、地元財源の計画調達の問題とともに、何人も容易に想像がつくのであります。従いまして、この計画の立案は、慎重かつ周到な研究考慮のもとに進められなければならないと確信するのであります。つきましては、以上申し上げました点について、どのような対策と御計画をお持ちでありまするか、当局の御意見をここにあらためてお伺いしたいのであります。 最後にお尋ねしたいことは、青少年対策の問題であります。警察本部の昭和34年中における少年警察活動状況という資料から見た、いわゆる問題少年だけの非行補導の数字を拾つてみますると、昭和30年の7,890名、31年の8,531名、32年の1万964名、33年の1万3,113名、昨昭和34年には実に1万6,474名と、まことにおそろしい増加が示されておるのであります。この事実は、県といわず、国といわず、大局的見地に立つてこれをながめた場合、真に冷汗三斗の思いをいたすのであります。もちろん、これには、そのよつて来たる複雑な原因がひそんでいるのでありまして、ただ単に、これら青少年自身にだけその責めを負わせるべきとがではなく、国や自治体、いや、もつと広く現在の社会全体の連帯責任に帰すべきことでありましようが、いずれにいたしましても、この不幸なる現実に対しては、県は県なりに、その立場において真剣にこの問題と取つ組んでいかねばならない重大問題と考えるのであります。青少年対策といえば、1つは、すでに非行に陥つた不幸なる青少年を指導補導を主とするいわゆる少年警察にゆだねる面と、人間形成を目ざす社会教育の最終的ねらいの立場との、常に2回を考えていかなければならぬと思うのであります。端的にいえば、社会教育活動は、青少年対策が内容的に大きなるウエートを占めていると考えるのでありますが、この問題は、これを実施するとなると、まことに広範かつ複雑でありまして、その実効を上げることは至難中の難事に属するものとは存じまするが、現在の県の分課機構から見て、この問題を取り扱つておるものには、社会教育課を初めとして保健体育課、児童課、厚生課、農業改良課、補導方面の警察本部等、いずれも目的を同じゆうして努力を傾けておられるのでありますが、これらの関係部課が常に横の連絡協議を特に密にしていくということは、実効を上げる上に絶対に必要なことと思うのであります。そこで、今日までの本県の取り扱いの実情と将来についてのお考えをお伺いいたしたいのであります。また指導にあたつては、その年度ごとに指導の対象をどこに求めるか、また指導の内容においても、重点をどこに置いて実施に移すかということを明確にしていかなければならないと考えるのでありますが、この点について御答弁をわずらわしたいのであります。まずもつて教育委員側にこの点はお願いをするのであります。 以上をもちまして私の質問を終わる次第であります。(拍手) ○議長(山崎和雄君) 念のために傍聴席の方に申し上げます。拍手その他言論に対する可否を表わす態度は、かたく禁じられております。これに反するときは退場を命ずることがありますから、御注意を願います。   〔知事北村一男君登壇〕 ◎知事(北村一男君) 丸山議員に答弁申し上げます。 私は、かつて公共事業完全消化ということを本議場及び委員会の席において申し上げたことがございます。でありますから、35年度のお約束はあまりしないように記憶しておりますけれども、従来約束しておりますから、従来の継続ということに御承知願つてもけつこうであろうと思うのであります。それで、まず公共事業は、御指摘のように大体去年の実績の6割を計上いたしました。これは55億見当に相なつております。それで、国の去年に比べてことしの公共事業の増加しました率は、20%と仰せになりましたが、ほぼその数字に近うございまして19.3と相なつております。本県の場合で31億程度の追加が予定されるわけでございます。これは私は完全消化をはかりたいと考えております。これをはかりますためには、7億円の一般会計を計上しなければならぬ。これは何によつて財源を求めるかと申しますると、県税で二、三億程度の増収をはかりたいと考えており、交付税で4億ないし5億、それから今後の剰余金で3億見当を予想いたしております。これで大体10億、これによりまして一般会計の財源として公共事業を消化して参りたい、かように考えておることを御承知願いたいと思うのであります。 県単事業の道路橋梁費などにつきまして、今後もちろん追加して参らなければならぬ。舗装もございますが、3億5,000万計上いたしました。本年度は4億5,000万を消化いたしましたが、今後、ことしは1億ないし1億5,000万程度の追加計上をいたしまして御審議をお願いしたい、かように考えております。 県民所得は、計算してみますると7万8,000円になつておる。これは丸山議員も御指摘の通り、決して多いとは申されません。申されませんが、原始産業あるいは第1次産業という言葉でいわれ、これは一面において、農業に対して所得の格差があるということをよくいわれますけれども、いわれながら、この所得の格差のある農業を継続いたしておりまするのは、これは新潟県が全国的に一番農民が多いのでありますけれども、これは皮膚でこういう農業というものはいいものだということを知つておる、つまり感じておる。というのは、なるほど平素は収入に格差がありますけれども、しかし、ほかの産業は、悪いときになると、がたがたになつてしまう、きのうまで非常によかつたのが、きようになると、がたがたになることがある。――安定度というものが高い。それで格差に当たるものは、ふだん保険料を払つておるのである。一番安全なのは林業なわけですが、こういうものはみんな安全であるから、保険料を払つておるのである。こう解釈すればあまり腹が立たぬじやないか、こういうふうに考えておるわけでございます。でありますけれども、そうだといつて、第2次産業の奨励とかあるいは誘致ということを怠つていいというわけではもちろんございません。これはやつていかんけりやならぬ。でありますれども、昔から農業が国の大本だなんてよくいわれまして、農本主義というのは百姓をだます手段なんて最近いわれてきましたけれども、私は、やはり農業も相当の重要な意義を持つておるものである。しかし今申したように、第2次産業、第3次産業というものは、これは奨励していかなければならぬ、こういうふうに考えております。 それから、本県の産業の近代産業への転換でありますが、いろいろの条件を備えなければならぬことは丸山議員の御指摘の通りである。あるいは交通関係とかあるいは相当の規模の工場敷地に対する準備でありますとか、あるいは電力の輸入とか、あるいは工業用水、こういうものに一生懸命に努力いたしまして、そして工場誘致を実現したい、かように考えて、今準備中でございます。 それから、県の企業会計の運用につきましては、よく企業局に従事する者とか、あるいはどこの仕事を持つておる者は、ともすると、この金は自分らの力によつてできたと誤解する向きがある。初めから誤解しないのだろうけれども、事が長きにわたりますと、われわれの手腕力量によつてこの金を作つたのだ。このことは私は企業局長である副知事にもよく言つております。こんなことはないのだ、諸君は県のおかげで、ただ金を扱わしてもらつているだけてはないか、諸君のもうけたものではない。だから、その意味から申しますると、丸山議員の御指摘になるように一たん緩急あるときには、これを吐き出して県に使わせんければならぬ、また県は当然使わんければならぬ、こう言うておりますが、ただ1つここに制約があるのは、これを許しますと、丸山議員も仰せになつたように、企業会計というものが不安定になつてくる。この点は警戒しなければならぬのでありまして、こういうことについてよく研究しております私としては、虎視たんたんとしてこの財源をねらつているのでありますけれども、いろいろの制約で今日までものになりませんが、しかし県庁の新庁舎を建てるとか、あるいは鉄道の利用公債を持つというような場合には、適当にこれを利用していくようにしておるというわけでありまして、そんなに覚えのあるほど金を使うことはないが、適当にこれを処理している、こういうことに御承知が願いたいと思うのであります。 それから、県立学校のいわゆるピーク時に対する対策というものは、実はこれはわが新潟県ばかりでなくて、全国の現象でありますので、私は過日国会の文教委員の諸君と打ち合わせいたしまして、そして何という名前をつけるかと言いましたから、38年以降の県立学校設置に対する臨時措置法とでも名前をつけたらどうですかと言うていますが相当研究をいたしまして、38年の対策として、何としたつて、県でこれを調達せいなんていつたつてできませんし、国から金をくれといえば、みんないやがりますから、金を貸してくれ、貸してもらうことに重点を置きまして、臨時措置的な法案を提出したいということで、私が、全国知事会のありましたとき、少し早く行けば、これは問題になつたでしようけれども、ちよつとおくれて行つたためにこれが提出できなかつたということで、この次に提案して、みんなの賛成を得て、文部省からこしらえてもらう、国会の方にも御尽力を願う、こういうことにしております。何しましても銭をこしらえることが一切の先決問題である。もつとも先生も重要でありますけれども、銭の方がその前に重要である、こういうように考えまして、金を作るように一生懸命に努力しておる、こういうことを御承知願いたいのであります。 それから、青少年問題につきましては、これは教育委員というふうにお尋ねがございましたが、私もこれに対しては相当研究している一人でありますので、私からも御答弁申し上げたい。これは私が子供をかわいがりまして、不良少年とか、肺病の子供とか、それから肢体不自由児とかいうものを何とかして平常の姿にできるだけ戻したい、こう努力していることは、私はあまり手前みそになりますから申し上げませんが、これは一生懸命に努力している。でありますから、そういう境遇にない一般の青少年の問題に対しましても、大きな社会問題として注目しなければならぬと考えておりますことは当然のことでございます。で、ことしも幾らでしたか、300万くらい予算を計上しまして、ただいま御審議を願つておるのでありますが、300万という金はあまり大きな金ではありませんけれども、しかしながら、これで、ことしを終わつたというわけではなしに、意義のあるように使うならば、少々は増額して御審議を願わんければならぬのじやないか、かように考えておりますので決してこれは冷淡無関心でないということを御承知願いたいのであります。 以上申し上げまして、答弁にかえます。(拍手)   〔教育長柴田美稲君登壇〕 ◎教育長(柴田美稲君) 丸山議員の御質問に対しまして、知事さんからいずれも御答弁があつたのでありますが教育委員会として考えておることをお答え申し上げたいと思つております。 まず、高等学校の生徒の急増対策でございますが教育委員会が現在まで努力をして参りましたのは、主として増加の計数がどういうところに落ちつくかということをまず正確に調べる必要があると存じまして、この点について再三調査検討をいたしまして今日に及んでおります。昭和38年度より急増をいたします高等学校志願者に対します対策につきましては、将来の本県の高等学校の志願率の向上ということをまず、考慮に入れる必要があると思いますと同時に、一方、現在の合格率はどこまでもこれを保持して参るという2点を中心にして、いろいろ考えておるのでございます。昨年末一応推定をいたしまして当時の総務文教委員会等で御公表申し上げたのでありますが、そのときの結論は、昭和38年度より40年度までの3カ年におきましては、その最もピーク時におきましては、420学級程度の教室が要るのではないかというふうに一応推定をいたしたのでございます。しかし非常に重要な問題でございますので、さらに調査を広げまして、現場の小中学校等を通じまして実際の志願者の状態を調査いたしました。全県数を調査いたしますと同時に、各地域の状態等も調査をいたして参つてみたのであります。現在到達いたしました結論といたしましては、前に公表申し上げました。従つてきよう丸山議員からも御引用になりました数よりも、なお100学級程度加算をする必要があるのではないかという結果に到達をいたしておるのであります。それから、中学校の新規卒業生の数は、41年度より漸減の傾向にはありますけれども、今後落ちつきまする比較的恒久的な率と申しますか、そういうものの中には、相当県内志願者がふえてくる情勢を取り入れて考えなければならぬと思うのでございます。元来が、本県の高等学校への進学率は他県に比してそう高くはなかつたのでございます。これが最近の情勢によりまして、だんだん志願率が上昇いたしておりますのでありまして、41年度より以降におきましても、半数程度のものは減らぬのではないとかいうふうに考えるのでございます。それで、前に申し上げました520教室くらいを増加いたしまして、その中の半数の260程度の教室は、これを恒久的な学級増のための施設といたしまして、それから半数の260教室くらいは、これを臨時的な施設として、現在学校が保有しております施設をフルに利用いたしまして、この急場を切り抜けたいというふうに考えている次第でございます。 なお、先ほど申しましたように、全県的な数字等も調べましたと同時に、地域別に調べる必要があろうと思つて、この辺も調べてみたのであります。すなわち、高等学校の配置が現在必ずしも地区的に均等化しておらないので、志願者の合格率は地区別に差がございます。この差をなるべく縮めまして、地域別の入学難の緩和をはかることを考えなければならぬと思うのでございます。従つて、前に申し上げました260教室の増設には、その地域の実情も相当に勘案いたしまして、今後学区を新設いたしますとか、教室の増築をいたしますとかということを考えなければならぬと思つております。今後は、この資料によりまして、適当な方策を得ますために専門委員会でも設けまして、そこで多数の、多方面の御意見を拝聴いたしまして、適当な案を得たいと考えておる次第でございます。重大な問題でありまするし、困難な問題でございまするが、なるべく早目に結論を得まして、知事部局、県議会等にもお願いを申し上げたいと考えておる次第でございます。 それから、教員の面でございますが、教員の面につきましては、本年度の異動なども、そのことを考えに入れまして、教員がその際に非常に不足をするということのないような計画を立てていくつもりでございます。現に今度の異動にも、そういうことをある程度反映させていきたいと思つておる次第でございます。 青少年教育対策につきましての御質疑がございましたが次の時代をにないます青少年の教育は、現下最も教育問題として重要な問題でございます。また、御指摘のように非常に深刻な問題をはらんでいるように思います。こうした青少年に対してわれわれの打ちます手といたしましては、まず組織化ということであろうと思つております。現在15才から24才までの青少年は、概数で約45万人くらいに相なろうかと思いますが、その青少年がどういう組織に入つておるかということを考えますると、地域青年団に15万人、青年学級に3万人、学生生徒が約8万、4Hクラブ、青農クラブ等が約4万、未組織なものが15万程度は残つておるかと思いまするが一日も早くこの組織の中にこういう人を取り入れまして、その場で大いに自治的な研修をして、成績を上げて参りたいと思いますと同時に、未組織の青少年に対しましては、ぜひ早く機構に入れるように努力いたしたいと対策を研究しておるのでございます。 それから、社会教育における青少年教育、これが非常に横の連絡をを失つておるのではないかというような御指摘でございましたが、私どもも、遺憾ながら努力はいたしておりますけれども、そういう点をみずから認めざるを得ない。ぜひこれは関係各方面が一致協力をいたしまして、共通な立場においてこの問題に当たらなければならないのではないかと考えております。それで今年度の予算にも、少額でありますが、青少年教育協議会と申しますか、青少年教育会議とでも申しますか、そういうものを起こしまして、青少年教育に関係のありまする行政機関の専門職を初めといたしまして、民間学識経験者も加えまして、この問題について十分な連絡をとり、そしてまた、そこで指導の方法を研究し、また指導の態度も、重点的な態度を研究いたしたいと考えておる次第でございまして、指導の対象をどこに置くかというようなお話でございましたが、私どもの委員会でいたしておりまする青少年対策といたしましては、どうしても先ほど申し上げました団体や学級にこれを置きまして、特に小団体におりまする指導者の育成学習活動の活発化等をはかつて参りたいと思つておる次第でございます。 それから、指導の重点というようなことはどう考えるかというような御質問でもあつたように思います。これにつきましては、従来とも、産業教育活動と関連をいたしまして、青年の自主的な協力な態度を育成しよう、あるいはまた、地域社会におきまするいろいろな生活課題と取り組むように指導をいたしまして、目的を達成いたしたいというような点で努力をいたして参りましたが、先ほど申し上げました青少年教育会議というようなものも――これはもちろん指導者の会議でございますが、――持まして、上から天下りなやり方でなしに、真に青少年の間から生まれて参りますような重点的な指導や教育を心がけて参りたいと思う次第でございます。 以上申し上げまして答弁にかえます。   〔丸山直一郎君登壇〕 ◆丸山直一郎君 簡単に、再質問でなくて、一言申し上げまして、知事から何か一言ありましたら、お答え願います。 私さつきの質問に、第1次産業、第2次産業という事柄について申したのですが、今御答弁をお聞きしておりますと、何か第1次産業をやめて第2次産業に振り向けていけ、というようにおとりになつた御答弁だと思います。そういう意味ではないのでありまして、第1次産業も本県の主要産業であるから、今までと相変わらず、もつとより以上にこれを育成していかなければならぬということは言うまでもないのでありますが、それだけではなく、むしろ第2次産業に向かつていま少しく開発の手を差し伸べて収入を増す方法についてのお考えは、こうお聞きしたつもりであります。もしさようにおとりでありましたら、御訂正を願いたいと思います。 それから、第2のことでは、企業会計のことに関しまして、内部留保資金の運用について伺つたのであります。その御答弁の中に何かそれを流用するのじやなくて、運用する、その金を一時用いていくということになると、その方面が不安定になるという心配があるというお答えでございましたが不安定を来たすということは一体どういうことか、この点をいま一度お聞きしたいと思います。 それからいま一つは、私青少年問題につきまして教育委員会側にお尋ねをしたのでありますが、知事がみずから進んで御熱意あるところの御答弁をいただきまして、非常に喜ばしく感じます。しかも最後に、なお今後とも相当な追加までしてこの問題を一つ徹底するようにやろうという御発言はまことに感謝にたえないのでありまして、この点はあらためてお礼を申し上げ、さらに大きな期待を持つのであります。   〔知事北村一男君登壇〕
    ◎知事(北村一男君) 丸山議員から誤解を避けるための御注意がございましたが、私は、御質問の趣旨を、第1次産業、第2次産業の区別をなさいまして、決して自分は第1次産業は軽く見ていいのだという考えはないのである、いま少し第2次産業を開発伸展せしむべきものだ、こういう意味で言うたのだ。まさにそういう意味にとりました。ただ、表現がちよつとまずいところがあれば訂正いたします。 それから、企業会計の不安定というのは、不安定は読んで字のごとく不安定でしてね。(笑声)別にどういう意味だといつてお尋ねになると、不安定の講釈をこれから申し上げるというわけには時間の関係で何ですが、ほかに流用などをいたしますると、いつでも申せば貸してもらえる、起債が思うように――お前のところは本来の目的に使わぬから貸せるわけにいかぬということで、どうも安定した基礎の上に立つて仕事ができない、こう申し上げるために不安定と申し上げたので、別段それ以外に意味がないのであります。   〔議長退席、副議長着席〕 それから最後に、青少年問題についてなお今後また追加して御審議を願うと言つたことに対して、お礼を言われましたが、これはお礼なんて言うてもろうては実は困るのでありまして、私は必ず計上すると申し上げたわけではない。(笑声)非常に意義があり、有効にこの金が使われたら、また考えて議会の方に御相談申し上げてもよろしいというのでありまして、これが消化されるには、やはり前提として議会の審議を経るということが必要なんでありまして、お礼を言つて下さるには時が早過ぎる、かように御了承を願いたいと思います。 ◆丸山直一郎君 第1点につきましては私は了解いたしました。第3点は、私は答弁を願つていなかつたのに、知事が進んで、おれもこの点については大へん関心があると言つて熱意をお示しになつた。その点に向かつて私はお礼を言つたのでありまして、金のことにつきますては私は別に言つた覚えはありません。   ――――――――――――――――― ○副議長(小野清一君) 次に、木島喜兵衛君の発言を許します。   〔木島喜兵衛君登壇〕(拍手) ◆木島喜兵衛君 社会党を代表いたしまして、代表的な御質問申し上げます。 35年度の当初予算の編成は、今までにない、あげるべきものを通年予算としてあげて、公共事業及び単県のみを残しておるところの形においては、きわめてすつきりしておる予算であると思うのであります。しかし、それだけに、また単県を組んでおりませんだけに、この予算は今日の姿で見る限りにおいて特色のない性格のない、そしてある意味では総花的な予算であると言えるでありましよう。もちろん、この無性格な予算が今日上程されておる範囲においては、私はこれを否定するのではない。何か大きな一発主義の予算や、ときにはスローガン的な予算よりも、むしろ、このような予算がいい場合も多分にあろうと思うのであります。ただ、ここで北村県政――北村県政と言うと、知事は怒るのでありますけれども、北村知事の第2期県政の中においての最初の当初予算でありますだけに、今後この単県をどうつけるかということが、今後の北村県政の方針というものを明確にする意味と今後この予算がどう伸びていくかということこそ、北村知事がどのように今後の県政を預かつていくかという方向につながつておるものであると思います。 そこで先ほど丸山さんもおつしやつた通り、私もまた本年の予算は大体285億ないし290億になるだろうと想定をし、かつ、それに見合うところの一般財源は大体15億を踏んでおります。先般新潟日報の座談会においても、私と自民党の政調会長の高橋正治さんとの間においても、財源の見通しは12億から15億と計算したのでありますけれども、大体そのような見通しが間違いないという前提、これではあるかどうかは、これから御質問申し上げるのでありますけれども、その前提に立つた場合において、今後の公共事業は、先ほど御答弁になつた通り大体7億くらいを使つての31億、そうすると、あとの七、八億ないし9億という一般財源というものをどこに使うか、どのような方向に使われるかということこそ、ことしの予算の性格が決定されると思うのであります。 従つて、私まず最初にお聞きしたいことは、今後の予算を――先ほどの丸山さんの御質問に対して、公共事業完全消化するという約束は、はつきりとはされないとおつしやたのでありますけれども、少なくとも公共事業を今日まで完全消化したところの新潟県の努力の歴史を顧みるならば、私はやはり原則的には公共事業完全消化するという形をとつていただきたいと思うのだけれども、なかんずくここで問題になるのは地盤沈下の問題でありましよう。地盤沈下の今日の高率補助が――それはどこまでも努力せねばならないけれども、もしも、それがだめなときにおいても、地盤沈下を完全に消化するかいなか、これは今日なかなか答弁には困難でありましようけれども、新潟市民及び県民の関心を考えるならば、この機会において、県民全体に知事の意思を明確に示してこそ、正しい県政のあり方と思うのであります。そういう意味で、公共事業を完全に消化するかどうか、そしてその他の単県事業において知事はいかなる性格を――先ほど私は無性格な予算だと申しましたけれども、この無性格な今日上程されておる予算を、いかなる方向に性格づけるかということを承りたいのであります。もちろん、性格と申しましても、そう簡単には言えないでありましよう。簡単には言えませんけれども、たとえば福祉県なら福祉県の方向としてこれこれの考え方、あるいは生産県ならば生産県としての生産の拡大のためにこれこれの考え方、あるいは目に見えない地ならし的と申しましようか、目に見えないけれども、実は案外目こぼしのある政治の盲点になつておるようなものがある。具体的な例を申しませんけれども、それらのものに中心を置くという考え方もありましよう。もちろん、単県の中には道路橋梁等の問題もありますけれども、こういう考え方のどこに性格を置くか、あるいは継続事業のうち、その継続を中心にやつていくならば、継続の計画的なものが早く進んでいくという考え方もあるし、あるいは継続事業を伴う新規に入るという考え方もありましよう。あるいは単年度だけのものにやつていくという場合もありましよう。今年度の比較的楽な――比較的でありますよ。昨年あたりと比べると比較的明るい見通しにあるときに、ことしの単県のつけ方について、まず承りたいのであります。 次は北村知事の第1期は、赤字を解消した福祉県のための努力を高くわれわれも評価してよろしいと思いますけれども、しかし第2期の北村知事のあり方として、私は、今までの努力のほかに、方向を変えて、今までの感覚的な政治から、もつと広範な計画的な政治へ、理論的な、総合的な県政へ方向が向けられることを強く期待したいと思うのであります。もちろん、長期の新潟県の県政のあり方、長期の展望に立つたところの政治を私は北村知事に求めたいのであります。もちろん、そう申しましても、金のないところに仕事はできないと知事はいつも申すのでありますけれども、まず比較的短期間の長期の見通しとすれば、先ほど丸山さんもおつしやつた通り、地盤沈下あり、関屋分水あり、あるいは38年をピークとするところの高校の問題があり、あるいは国体の誘致がある。これらは37年、8年、9年あたりが大体中心になつてくる。この中心になる時期にどつと大きな問題が寄せてくるけれども、今日のごとき一年々々の歳入を一年々々の予算に出しておつたのでは、これらの大きな問題を一挙に解決するところの時期は私は求められないと思うのであります。もちろん、これらの長期の計画というものは、国の地方政策あるいは経済の好不況がありますから、従つて、なかなか容易ではないけれども、しかしながら、県民は、金がないといつても、高校あるいは地盤沈下その他は要望するでありましよう。このときに――遠い将来の財政計画を見通さないでやつていくところに、岡田県政当時の赤字の原因の一つがあつたと思う。 従つて、今日私があなたに伺いたいことは、これらの大きな問題をかかえておる今日の中で、その財源を一体どこに求めていくか、しかも、きようはきようで政治をなさねばならない、この2つの矛盾をどう解決するか。私は、この解決の1つは先ほど丸山さんがおつしやたところの企業局の留保資金でもありましよう、また1つは、財政調整基金でもあろうと思いますけれども、私はそういう意味において申し上げたいのであります。先ほど丸山さんは、企業局の予算については留保資金をおつしやいましたが、実際に一般会計に流用できるのは、34年度の見通しが大体1億2,000万くらいと考えられますから、それらを入れて2億ないし2億5,000万でございましよう。もちろん、しかし、これを全部この来年度以降に考えられる地盤沈下その他の大きなものだけに使うといたしましても、先ほど知事が言つたいわゆる企業局内の調整的な資金を考えなければならない。それからもう一つは、通産省の一つの制限がありましよう。そこで知事にお聞きしたいことは、丸山さんの再質問でも、知事は一般会計に出せば起債が困難であると申しますけれども、しかし内部留保の金がよけいならばよけだけ、また起債が困難であるということもあり得る。そこであるいは、ときには水の出ないこともありますから、内部的な調整基金も必要でありましようが、減価償却費やあるいは減債積立金等を除いて一体どれほどの安定のための金が必要であるのか、その安定の金の必要である額がきまれば、それ以上は一般会計へ流すことができる。そしてその安定のための金というものは幾らか必要であるといたしましても、年々黒字の出るのが今日までの傾向でありますから、34年、35年以降においても、積み立てるものと一般会計に出すものとの比率も当然そこから計算されなければならない。そう考えるならば、先ほど北村知事は、専門家の私のことでございますからと申していらつしやいますけれども、明確なそういう数字が出てきやしないか。また先ほど丸山さんもおつしやつておられましたが、この県営発電は多目的なものだけに、治山治水という名目のために使うということであれば、通産省も多分認めざるを得ないのではなかろうか、だとするならば、地盤沈下も治山治水の一部ではなかろうか、そういう使い方もあるのではないかと思うのであります。こういう一時的に大きな問題が入つておるときに、毎年々々の予算は、毎年々々の予算の歳出が必要である。従つて、そういうための一つの資金源としてこれをどう考えるかという意味における企業局のものと、もう一つは、財政調整基金をどうするかという問題、この2つ以外に私は今日考えられないので、申し上げるのであります。財政調整基金は、神武景気当時、自治庁の指示によつて作つた当時には、私は反対いたしました。しかし、今日自治庁はこのような制約を加えておりません。従つて、その後積み立てを行なつておりませんけれども、今日積立金が1億1,600万円ほど、もちろん債券その他を入れるならば2億3,100万円あるのでありますけれども、これをこのまま寝せておくのは、今日の財政状態から見ても、まして今後起こり得る地盤沈下その他から考えるときに、まことに惜しい気がする。以上の歳出年次のために今までの積み立ての努力をさらに重ねると同時に、私はここに一つの思い切つた政策を御提示を申し上げたいと思うのであります。それは今日までの繰越金を財政調整基金に積み立ててはどうかということであります。これは思い切つたことでありますけれども、思い切つたことをやらずして、この三十七、八年ころの財政危機を乗り切れるかどうか。再び岡田県政当時の赤字県に転落するか、さもなければ地盤沈下を傍観視するかということを考えるならば、私はここに思い切つたところの政策を立てねばならぬのじやないかと思うのであります。 知事は、第1期に赤字解消を第一の政治目標にされまして、31年度には1億5,400万円32年度には4億6,500万円の黒字を出されました。これが33年度においては1億2,500万円ほどの単年度赤字になつて、3億4,000万円ほどになつて参つておりますけれども、しかしこの赤字は、この33年度だけで2億2,000万円ほど財政調整基金を積み立てておりますから、これを考えるならば、この年も単年度で1億くらいの黒字であつたと思うのであります。ただ、ここで私が申し上げたいことは、知事がこの黒字を出すために、ずいぶんと行政的な縮小をなさいましたために、県民は大きな犠牲を負つております。大きな協力をなしております。私は今そのことを言うのではないのでありますけれども、この犠牲のために、ときに首を切られたそのために、生活に苦しむ方もあり、あるいはそのために、大学に進学できなかつたところの子弟もありましよう。あるいは衛生部の予算が切られたために、病気にならずに済んだ人で病気になつた人もありましよう。そういう目に見えないところの県民の犠牲と協力の上に立つた黒字であるのであります。そしてこれは毎年繰り越しているけれども、この繰り越しを一般会計の中に入れて一体何に使つたかわからないということではなしに、これを思い切つてこの犠牲と協力の中に積み立てられたものを35年度の一般会計の中に入れずして、財政基金の中に入れて、三十六、七年に山となるところの財政危機――地盤沈下や高校のピーク時、関屋分水、これらのものに使つてはどうかと私は考えるのであります。 元来予算というものは、繰越金の多いことが望ましいことではない。その単年度ごとの歳入をもつて、その単年度ごとの歳出にすることこそが財政の原則ではないか。ここに繰り越されたことが、あなたの努力であり、県民の協力であつたとするならば、これを思い切つてその方に充てるならば、お互いあなたの功績も、県民の功績も、大きく実るのではないかと思うのであります。かくして今日あるところの積立金の2億3,000万と企業債の2億ないし2億5,000万、さらに今日の繰り越しの3億ないし3億5,000万を考えるならば、約8億の金が固まります。この8億の金をもつて今後考えられるところの財政危機に備えるところの基金としてはいかがかと私は考えるのでありますけれども、北村知事の見解を承りたいのであります。 次に、歳入の近い将来に見通せるところの重要な問題についてはこれとは別個にいたしまして、単年度の一般会計予算の中で、先ほど歳入について申しましたから、今度は歳出について、歳出の今後の長期の展望をお聞き申し上げたいと思うのであります。 県政というものは、県民がそれをよく理解し、共感をもつてみずからのものとして協力するものがあつてほしいと思うのでありまして、そのためにこそ、県政の将来の具体的な展望を県民に示されることが望ましいと思うのであります。政治はきようと、あすをどうするかということであります。きようはきようでなされなければならない、将来のためといつて、今日をゼロにすることはできない。といつて今日にすべてをかけまして、将来はどうなつてもいいというわけにいかない。きよう、あすをどう生かすかというところに政治の一つの問題がありましよう。従つて、そのために、県民が将来どうなるかという希望を持たせる、3年後にはどうなる、5年後にはどうなるという希望を持つた――今日苦しくとも、ことしはやつてもらえないでも、3年後、5年後にはこうなるという県政の展望があるならば、県民もまたこれに協力を惜しまないでありましよう。こういう長期の展望に立つたところの計画的な政治こそ、私は今日北村知事が第2期の県政を担当するにあたつて、最も必要なことではないかと思うのであります。 その第1は、本県において最もおくれております――他県はほとんど着手しておりますけれども、本県において最もおくれている総合開発計画の樹立であります。今日新潟県は、たとえば只見川とか姫川というような特定地域の総合開発を計画しておりますけれども、全県的な総合開発計画というものはきわめておくれている。これはなかなか容易な仕事ではないかもしれませんけれども、少なくとも北村知事時代において、百年の大計的な県政、前に進むところの計画をここにお作りになることこそ、望ましいのではないかと考えるのであります。たとえば新潟県でいうならば、村上を中心とするところの岩船、新発田を中心とするところの北蒲、あるいは新潟市を中心とする中蒲、西蒲、長岡を中心とする三島、古志、それから三条、加茂、見附を中心とする南蒲あるいは柏崎を中心とする刈羽、それから直江津、高田を中心とする上越あるいは魚沼、東頸城、東蒲というような山間地域、これらの地域別的な総合開発が、各府県においてはきわめて進んでおりますけれども、これらについての開発が、今日新潟県においてはきわめておくれている。こういう総合的なすべての事業をここに集中し、各部課が、とかくありがちなセクト的な計画を有機的な計画にし、公共事業も単県も、こういう青写真に表わした計画樹立をすべきことは、どうしても――今日まで各県が進んでやつており、その計画に合わせて、すべての予算、すべての機構をそこに集中しつつ、県民に希望を持たせて進みつつあるときに、新潟県がおくれている。これをまず立てなければならないと思うのであります。このためには、数年の調査研究あるいは討議を要しましよう。また、そのための機関の設置もあるいは必要かもしれませんけれども、どうが北村知事、本県百年の大計を、あなたのときにおいてこそ、お作りになつてはいかがかと思うのであります。日ごろ北村知事は、国際的政治家とおつしやつておられますけれども、これはソ連やハワイに行つてきたことが国際的政治家ではなしに、こういう大きな目を開いてこそ、世界の地方自治を担当する政治家、これはなるほどと思うような世界的な新しい提案をして、初めて国際的政治家になるだろうと思うのであります。どうかそういう大きな御構想をお持ち願いたいと思うのであります。 この計画のできることとまた別個に、今日県政全体の中で、各部課の計画的な事業について、私は私なりの調査を進めておりますけれども、少なくとも、たとえば北村知事が福祉県を建設すると称されてすでに三、四年になるけれども、北村知事の福祉県の完成したところの青写真はまだ発表されていない。もちろん福祉県の完成ということは、これはいうべくしてやれないことは、これはいうべくしてやれないことかもしれませんけれども、少なくとも、3年後にはこれこれのことはなしたい、5年後にはこれこれの福祉県になりたいという一つの目標と計画、長期の展望に立つた、しかも資金計画を合わせたところのものがあつてほしいと思うのであります。これには、もちろん市町村の協力も必要であります。たとえば糞尿処理とか、あるいは塵芥、簡易水道その他は、これは市町村の協力を得なければなりませんけれども、そういうものを合わせた一つの計画というものを、どうしてもお立て願いたいと思うのであります。 時間がありませんので急ぎますが、今福祉県の長期計画を申し上げましたけれども、それのみではなくしてもちろん各課がそれぞれ別々に何カ年計画を立てている。しかし、それは財政当局の了解を得ないものがほとんどである。もちろんこれは国との関係の計画においては、国の方針その他において3カ年計画が5カ年計画になり、5カ年計画が7カ年計画になることもありますが、県独自で、各課では何カ年計画でやりたいと考えているけれども、実は計画そのものが資金計画の裏づけがないために、ただ計画が机上プランとなつておつて、毎年々々ただ財政のつけられる範囲でやつている。そのために、3年のものが5年になり、8年になつているという結果になる。しかし、こういうことではならないのであつて、少なくとも各計画のうちの重点的なものについては、財政当局もこれを認め、計画的な行政をなしていかなければならないと思うのであります。これらの計画ができた場合の資金計画、これを毎年県会に参考資料として示し毎年の進捗程度、ときに変更の場合には変更を示されることこそが、県民が安定した県政の方向というものを見出すのではなかろうかと思うのであります。 長期の展望の中においては、先ほど丸山さんが言われた中においての農村の問題がございますれども、これは丸山さんが自民党の政治を否定することはできない悩みがおありになつて、やや焦点がぼけたと思うのでございますけれども、今日だれもが言う都市と農村の格差の原因が一体何があるか。ことに最近におけるところの技術革新の取り入れは、企業合理化と資本の集中を促進しております。そうして、この資本主義体制のもとにおいては、この技術革新というものを全産業に及ぼすこともできなければ、ましてや、これを国民全体の所得の増進の方向に向けるわけにいかない。このことが、やがて都市と農村との所得の格差をつけている原因であることを丸山さんがお突きにならないところに、丸山さんの立場があると思うのでありますが、これはやがて社会党の天下になつたときに解決するとしまして(笑声)、しかし、本県の中においてその問題を考えると、これは少なくとも工業部門と農林漁業あるいは中小企業とのこの格差をどうするか、失業者の増大、農村の2、3男の就職の問題をどうするかということは、今日本県だけではなかなか困難であるとはいえども、われわれはまたこの問題を放置するわけにいかない。 この農村と本県の経済の二重構造をいかに解決するかという本県だけの構想を持つならば、私はここに2つの問題が提示されると思うのであります。その1つは、農林漁業の転換の方向を大胆に明示することであると思うのであります。もう一つは、先ほど丸山さんが工場の誘致を言つておられましたけれども、これは単なる工場の誘致ではなしに、工場の適正配置によるところの農村進出であると思うのであります。 第一の農林漁業転換の方向は、あまりこまかいことを言わず、思い切つてこれを共同化することにきめつけて、そうして、そこにすべての予算というものを集中しなければならぬのではなかろうか。耕地の集団化、家畜経済団地、畑作特産団地、桑園の集団化、農業の機械化、米の乾燥施設の共同化、こういう共同化に集中することによつて、今日の小農的な技術、生産力の限界――ときには小農的技術は農機具の発展とともに、所得と矛盾する場合さえ出てくる。これを思い切つて共同化のためにすべて集中する。かくして農業の転換をはからなければならないと考えるのであります。私は農業の専門家でありませんけれども、今日大きな立場に立つて大きな転換の方向を明示しなければならない、こまかいことだけをやつておつて、分散してやつておつたのでは今日の財政状態の中においては成功がおそいのではないかと考えるのであります。その立場に立つて、今回その措置として農林漁業近代化資金があげられている。これもまた共同化の方向の中において使われてこそ意味があると思うのでありますが、その方向に使われるのかどうか。同時に、ここに2,000万円のワクにおいてはどうにもなりませんが、これを何年間に何億の資金のワクとして今後の共同化を進めていかれるつもりであるか、これを承りたいと同時に、今日まで知事の公約の一つとして単県農山漁村振興費を、昨年の9,000万円を2,000万円程度に詰めていらつしやいますけれども、これは陳情ぶんどり予算という感が深くされます。といつて、この予算に味もありますので、2,000万円程度にとめて、今後はこれを共同化のための一般財源としてお使い下さることが望ましいと思います。 今申しました本県経済の二重構造の一つは、農山漁村のこの共同化と、もう一つは工場の適正配置でありますが、この工場の適正配置は、これは英国においては労働党が天下を取つたときには、法律によつて田畑に道路を作り、ガス・水道をしき、労働者の住宅を建てて、そうしてそこに工場を、農村に工場を適正配置しております。アメリカにおいても、過去10年間においてその工場の90%が5万以下の都市に設置せられている。この理由の一つは、土地が農村において安いということであります。あるいは労働力の問題、あるいは道路の経済的価値の変動、今日アメリカにおいては80里以内ならばトラツクの方がいい、経済的だと言つておりますけれども、こういうようなことを考えましても、直ちに――先ほど丸山さんへの答弁ではあなたもそういう方向をねらつておいでになるようでありますが単に新潟県に工場を誘致するということではなしに、この世界の方向というものをお感じになつて、工場誘致の方向を小都市中心の方向に持つていつて、そして県民の所得の伸長と平均化をはかることこそ、大きな方針ではないかと思うのであります。 本県におきましても、既開発地域の工業生産の集中を排除いたしまして、低開発地域あるいは産業衰退地域の中心地への工場配置の転換こそ望ましいのではないか。ことに本県の工場誘致のほとんどがガス産業でありますために、このことは比較的容易でありましよう。ことに今後の探鉱が進むならば、ガスの全県的な生産が考えられます。その上に、この方向の方針を堅持せられることこそ、新潟県が百年の大計――新潟県が後進県といわれますけれども、どの県にもまして、各地に工場があるところの最もすぐれた県になると思うのであります。その場合においての系統産業、地元資本を中心とした産業、こういう点を特に中心にお考えになつて、県民所得の平均化、農家経営の近代化、人口雇用問題の合理化等をあわせてお考え願いたいと思うのであります。しかし、これは全県的に一斉にできないでも、ある立地条件のいいところに集中して、逐次全県的に及ぼすことも可能でありましよう。どうかこういう意味においての大きな構想をお考え願いたいと思うのであります。あともう簡単に2つ3つこまかい問題をお聞きします。こまかい問題といつても大きいのですが、1つは、競輪を中止すると言つていらつしやいますけれども、中止というのは、これは再び実施する意思があるときにおいてこそ、中止という言葉があるのであつて、もはや実施する意思がないならば、中止ではなしに、廃止であります。あえて廃止をせずに、中止をして、廃止の条例を提案せられないところの意思は一体どういうところにあるのか。再び実施をするという考え方があるのか。社会悪というものを認めて、再び実施しないとするならば、他の府県やその他のことを顧みることなく、他の範となる――力強い北村知事でありますから、あなたみずからが自信と勇気を持つて、思い切つてこれを廃止なさることこそ、最も賢明であり、県民すべてが希望することであると思いますが、廃止する御意思なきやいなや。 それから、先ほど高校の問題については丸山さんからお話がありましたから、簡単にいたしますけれども、知事は新しく高校を建ててもいいと新聞に発表されましたが、今後建てる県立高校の地元負担をどうお考えになるのか。今日まで県立移管をしてきたもの、あるいは今日県立移管を希望しているものは、県立高校としての体裁を充分に整うまで地元が完全に建築をして、その後において県に移管するところの条件を出してはどうか。その条件をそのまま今後、38年をピークとするところのこの高校建築にも適用するとするならば、今日新潟あるいは燕、見附、村上等に、地方から高校建築の希望が出ておりますけれども、これも、すべて地元が校舎からグランドから、机もいすも作らねば県立高校を作らないとおつしやるのでありましようか。これを1点だけお伺いいたします。 以上でおわります。(拍手)   〔知事北村一男君登壇〕 ◎知事(北村一男君) 木島議員に答弁申し上げます。 御指摘のように単県事業を全部あげておらないが、しかしながら相当部分はあがつておりまして、これによりまして、いわゆるきめのこまかい政治を完遂するに今後の予算計上を待つて行ないたいと考えております。何をやるかというと、これはもう前に申し上げましたが、公共事業完全消化のために一般財源がなお7億を必要といたしております。それから道路、橋梁、舗装、これにも相当の金額が必要であるし、それからただいまもお尋ねがございましたが、高校の増改築、こういう面におきまして相当の資金を必要といたしておりますので、これは逐次今後計上して参りたいと考えております。 それから公共事業の消化が困難の場合に、それでも地盤沈下対策事業を行なうかというのは、これは今県の希望、市の希望を中央に申し出ておりまして、非常に微妙な関係にありますので、まずこんなことはすぐわかるから、今お答えしない方がいいのではあるまいか、こういうふうに感じておることを御了承願つてどうかこのことは読み取つていただいて、私があとで木島議員にこの辺の微妙な関係を御説明申し上げることで御了承を賜わりたいと存じます。 それから、非常に財政の御心配をしていただいて、企業局の金の問題、これは丸山議員も御質問がございましたが、企業局長からの私に対する答弁の注意書きを読みますと、公営企業としての発電事業は、利益を得て一般会計に入れることは表向き許されていない、すなわち、余剰金があれば、電力料金を下げるべきであるとの建前を通産省はとつている。従つて、積立金に積んでいる。従つて、積立金に積んで有効適切に利用する程度である、こういうことでありましてね、これを企業局から引つぱり出して一般会計の中に入れて使うことに対しては、いろいろはばかるところがある、こういうことを申しておりますことも、この際付言して御了解をいただきたい。しかし、これはまた政治力というものがありまして、(笑声)こう言うても必ずしもこれができないということでもない、私はそういうふうに解釈をいたしておりまして、特に木島議員の御指摘のように、今県が一大事に直面しているのに、一方に積立金を残しておいて、これは使えないのだ、あとで起債なんて許すとき、お前のところはむやみに金を使つたじやないかなんて言つて責められると困るから、これをはばかつて使わぬということは、私はあり得ないと考えておる。なんとなれば、企業局といえども、新潟県企業局である。県を離れて会社であるわけはない。こういう点から考えると、県の危急存亡のとき、なお歯ぎしりをしてでも、これを使えない理由はない。これから上は政治力でありまして、(笑声)これは俗僚がこれを処理するというわけに参らぬ。ときがきたらば、私は必ず処理するということで御了承いただきたいと思うのであります。 それから、公共事業の消化の困難のときでも、地盤沈下対策事業は優先的にやつて参りたい、こういうふうに考えております。 それから将来洋々たる希望を持ち得るようなものであれば、みな県民が協力する、こういうことで、それは何だというと、総合開発計画を発表して、県民に将来希望を持たせることである。これは全面的に賛成であります。ただし、あの総合開発なんて、いまだかつて――木島さんは方々見てきて、みんなやつていると言うけれども、私が見たところでは、一つも実現しておらぬ、こういうことで、はなはだあなたと意見が対立するようでありますが、私はかつて国の総合開発審議会の委員をしておりましたが、一つとして実現をしない。世の中で名前がよくて実現しないものは総合開発である、(笑声)私はかように考えておる。であとますから、わが新潟県でやるときは、実現の可能性を持つ総合開発計画を推進して参りたい、かように考えておることを御了承賜わりたい。 それから、福祉県はいまだかつて完成しないという表現でございまして、また事業はなつておらぬということでありますが、よくお調べにならぬから、こういうことを仰せになるのではないかと私は考えておる。福祉県にはまだなりません。しかしながら、福祉事業で完成したものは決して1つ2つではございません。またやりつつある仕事もございます。しかしながら、その計画について、毎年議会に対して報告をして県民皆様に喜んでもらつたり、激励していただくような措置は、仰せのように必要であると考えますので、その措置はとりたい、こういうふうに考えております。 それから、農村には各種産業との間に格差がある。これはもう仰せの通りでございます。だから、いわゆる第2次産業を興して、農業では共同化をはかつて参らなければならぬ。工場などは適正配置をやらんけりやならぬ。これはもうその通りでありまして、今後はそういうふうに進めて参りたい。一向今までやらんかつたわけではありませんが、今後はそういうふうに特に進めて参りたい、かように考えております。 そのほか、まだ落していると考えますので、ありましたら御指摘願いたい。(木島喜兵衛君「競輪」と呼ぶ)それは今お答えいたします。競輪は各方面の委員が、競輪の弊害を是正して、今後存続して参りたい、こういうような結論を出しております。しかし、私はこれはだめである。というのは、競輪の弊害が魅力になつておるのである。審議会で弊害というのが、競輪を好む人の魅力になつておる。でありますから、これはいわゆる弊害を排除すれば、結局競輪はおのずからやんでいくと私は考えておる。でありますけれども、政府もそれを認めて、今後競輪の弊害を排除することに努力する。こう言うておりますので、これは実施せんけりや実際廃止と同じなんでありますけれども、あのとき廃止してくれんけりやよかつたのにと、あとで言われると困りますから、こんなに弊害がなくなつて、ほんとうにおもしろいスポーツになつたが、しかし県ではやめてしまつたから、なくなつたと言われると困りますので、(笑声)これは実施はしない。しかし廃止でもない。こういうことで、当分議会の方でも御研究願うとともに、これはやめてしまつては味がなくなつてしまいますから、味のあるうちに、これはやらないが、一つ研究をする、こういうことにお願いをしたいと思うのであります。また適当な時期が参りましたら、私は廃止なりあるいは実施なりについて、一つ議会の方と御相談申したい、かように考えておりますから、当分このままで推移させていただきたい。 それから最後に、高等学校の地元負担の問題でありますが、高等学校新設のときは、これはどうも従来の例から見ると、施設の基準を具備するところまで、めんどうを見ていただいたものでありまして、ある時期までこれは―― 一時にみな殺到してきますから、こういうわけになりますけれども、ある時期まで待つてもらうことができれば、私はこんな金は――金のことだから、いつでももらうときはいいのですが、いいのですけれども、もらいたくない。でありますけれども、やはり何件か出ておつて、私の方はぜひ38年に間に合うようにしてくれと殺到してこられると、そう県にも財源がありませんので、やはり出して下さる方のものを先に片づけたいという気持になること、これまた実にやむを得ないと考えております。なるべくもらいたくないが、これはどうももらわぬで済ませるというわけにも参りませんので、そういうふうに緩急よろしきを得た措置をとつて参りたい、かように考えておりますことを御了承賜わりたいと思います。 ◆木島喜兵衛君 答弁が1つ落ちております。繰越金と財政調整基金の答弁が落ちております。   〔知事北村一男君登壇〕 ◎知事(北村一男君) 剰余金は、来年度の一般財源に予定して使つてしまいたい気持であります。でありますから、これは一緒にしない方が便利である。 それから積立金は、不慮の際、思い切つて使いたいというのでありますから、これは使わぬで済ませることができれば、来年度に使うとかなんだとかいう目的をきめないで、積立金のままやつて参りたい。 それから企業会計の積立金は、先ほど申し上げたように県庁の新しい庁舎を作つたり、鉄道の利用債に引き当てましたり、それから、これはまだはつきりきまりませんけれども、新潟駅前の帝石ビルに入るとすれば、いろいろ金がかかりますから、そういうとき使いたい、こういうふうに考えております。   〔木島喜兵衛君登壇〕 ◆木島喜兵衛君 再質問いたします。 私の最初にお聞きしたことは、36、7、8、9年ごろを中心として、地盤沈下や関屋分水、高校のピーク時、あるいは国体だというふうに、異常の歳出が予想されておる。その時期の財源をどうするかということを前提としてお聞きしたのです。毎年々々財政は豊かではない。しかし、そういう異常の歳出がある一定の時期に固まつてくるときのことをどうするか。そのときに単県はゼロでいい、その他のものはすべて犠牲にするというわけにはいかない。そのために企業局のこの剰余金を何とかここに使えないか。あるいは財政調整基金というものを積み立てておいて、このときに使うことをしなければ、あなたが努力したとおつしやるこの赤字解消が、再びまた赤字県に転落するのではないかというおそれを持つたら、私はそういうことを申したのであります。繰越金は来年度使う、企業局の金は、先ほどの御答弁では、局長以下をしかつておるとおつしやるけれども、局長の御答弁をお読みになつたのでありますが、かつて浚渫船をお作りになつたときのように、別の金を、なるべくかどの立たない金を使つてそれに引き当てた、そういう金をこちらに持つてくればいいのでありますけれども、そういう措置を講じないで、それでこの36、7、8、9年と地盤沈下、国体、高校、関屋分水というあなたの大きな公約があるときに、これらのときに、どうして一体それらの問題と対処されるのか、この長期構想を私は承つておるのであります。 それから御答弁の中で、総合開発については、私の言葉足らずもありますけれども、たとえば直江津なら直江津の港を中心にして――これは私の郷里で恐縮でありますけれども、(笑声)あそこには天然ガスや石油や石灰石が近くにある。従つて、あの地帯を工業地帯とする方針であれば、それはどの範囲を考えてそのためにどういう道路、橋梁を作るか。先ほど丸山さんは、それは電力と機械と交通云々とおつしやいましたが、それだけではない。そのためには住宅が要る。商店街をどうするか。学校をどうするか。あるいは公衆衛生をどうするか。こういういろいろな問題を総合的に考えなければならない。そういう意味においての総合開発計画というものもあり得ると思うのです。そこでそういうふうに集中して有機的に利用しなければならないが、ただ先ほど申し上げた通り、いわゆる只見川とか、あるいは姫川とか、特定地域の総合開発という意味ではなくてと申し上げたはずでございます。 それから福祉県については、あなたはまだ調査していないとおつしやつておられますけれども、そう調査していないわけではない。しかし、これらも毎年々々ただ思いつきのごとき感――これは感ですよ。しかし、そういう思いつきではなしに、3年後にはこれこれのことをする、5年後には養老院を幾つにする、精薄施設は何年と何年にはどうするというような計画を示しなさい。そうして3年後には新潟県の福祉県というものはどういう姿になる、ということを示していただくことが望ましいというのであります。一つ一つぽつんと、できるとか、できないとかいうことではないのであります。(「吉田君が待つているぞ」と呼ぶ者あり)吉田君が待つているそうですから、これで終わります。(笑声、拍手)   〔知事北村一男君登壇〕 ◎知事(北村一男君) まだ今後高校の建設、関屋分水、国体誘致と、いういう金を使う道なんか幾らでもあるんですよ。それで、こういうのに積立金をくずして使うとか、まだございましよう、福祉県の建設のためにも使つてもよかろうと思いますが、そのために、今なお積立金を増加していかなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、何も積み立てることが目的ではなしに、将来効率的に使うのが目的である、こういうことを御承知いただきたい。 それから、総合開発の意味はわかりました。まあ、たとえば、今木島議員は直江津を例にお引きになつたから、みなちよつとどうかと思つておりますけれども、私はりつぱな御意見であると考えております。これは、やはりそこまで――総合開発というのは、今おつしやつたような開発されたところに住宅を建てることまで、いわゆる総合開発の中には入つておらぬから、ちよつと不審に思つたのだけれども、あなた式の総合開発、そういうものであれば、了承いたしました。(笑声、拍手)   ――――――――――――――――― ○副議長(小野清一君) 次に、吉田吉平君の発言を許します。   〔吉田吉平君登壇〕(拍手) ◆吉田吉平君 県政会を代表いたしまして、県民とともに知事に対し県政の主要問題につき、その所信をただすものであります。 まず知事は、昭和35年度当初予算の提案説明にあたり、前任期4カ年は赤字克服と県民サービス第一主義を根幹とし、それに心血を傾注してきたと言つておられるが、われわれもその事実は認め、県民多数もまたその功を多として、感謝の表われが北村の再選となつたのではないでしようか。さて、第2期以降においては、変転きわまりない地方行政制度の中にあつて、行政水準の維持向上に対する県民の熱烈な要請に対して、いかにしてこれにこたえるかと常に心を砕かれて、その結果、平素知事が念願しておられる福祉県の建設に向かつて努力邁進する覚悟と言つておられますが、そのようにしていただきたく、県民はみずからの代表としてあなたを知事として選んだものと考えられます。 県政のすべてが、県民福祉を根幹として施策を執行することは言を待ちません。また知事は、県民福祉の増進について、低所得者患者対策、ガンセンターの建設、あるいは各種保護、援護政策の強化並びに公的諸医療機関の整備拡充をするべく、それぞれの予算措置をなしたと言つておられます。これらの施策もまた一応けつこうなことでありますが、これは、すべて事柄が起き、あるいは発生してからの事後対策でありまして、福祉県建設の根本ではないのであります。いわゆる福祉県とは、県民のすべてが健康にして文化的生活を営むことのできる地域社会でなければならないこと、言うまでもないのであります。言いかえますと、健康の根源であります青空と清浄な空気、そして安息を享有しつつ、県民一人一人のお財布の重さがより重くなり、みんながにこにこ笑い顔で毎日を送つているという、まことにけつこうな県をさすのでありまして、いわゆる公害を除き、県民所得の増加をはかる施策がすべての根幹であることが、福祉県建設の根本でなければなりません。県民貧富の差別もなく、だれもが享有し、かつ保有するところの清浄な空気並びに安息することのでき得る権利を害する公害を防止する問題に関して、私は岡田知事のときの土木部長五十嵐氏に、天然ガス採取による地下水くみ上げのための公害をただしたことがあるのでありますが、当時の答弁としては、全く心配無用との答えであつたのであります。その後、公害の根本的考え方から、おりに触れ、所管部課長に向かつて公害の防除対策をただしたのでありますが、そのつど、しかるべき御回答で終わつて参つたのであります。そこで、これが対策の必要性から、公害関係に対し、いささか調査いたしましたところ、次のようなことが明らかになつたのであります。 すなわち、昭和27年12月、ロンドンで亜硫酸ガスを含むいわゆるロンドン・スモークが2日間続き、このため気管支炎あるいは肺炎等の呼吸器疾患が激発して、4,000人に上る市民が死亡して、国際的に公害に対する注意を喚起した事件がありました。このような事件の惹起する可能性は、ひとり英国だけではなく、わが国におきましても、煤塵については人体への許容量が1平方キロ当たり10トンといわれているにかかわらず、最近東京都衛生局の調査によりますと、この基準を10倍以上も上回つている地域があることを警告しております。 次に、わが国の公害に対する法的規制について述べますと、第一に私法的規制については、民法上、公害は利害の相対立する私的紛争の司法的解決という形で、過失主義の原則に基づく不法行為の問題として、すなわち、損害賠償請求事件として処理されてきました。また除害の問題は、妨害排除、妨害予防として、所有権等の物権の効果としての物上請求権の形が認められてきたのであります。これを判例において見ますと、著名事件として、話は古うございますが、信玄公旗立ての松事件、すなわち信玄公が旗を立てたという松の木が、国鉄機関車の煤煙のために枯死したというので、その所有者が国に対し損害賠償の請求をなし、大審院法廷において大正8年3月3日、すなわち今を去る41年前の昨日、勝訴の判決があつたのであります。判決のおもな理由としては、権利の行使というが、故意または過失により他人の権利を侵害した不法行為があつたということでありました。このようなことからして、当時すでに予防法の存在したことをあげることができるのであります。公害条例と若干関連を持つたものとしては、最近佐賀地裁における防音施設の施工を求めた事件で、福岡県の公害防止条例の定める騒音の取り締まり限界を参考としたものが注目に値いするものであります。 なお、わが国の公法規制について見ますと、煤煙関係法令に関しては、古くは明治21年大阪府令「旧市内ニハ煙突ヲ立テル工場ノ建設ヲ禁ズ」、その他大阪府煤煙防止規則、東京市汽缶取締令、昭和11年警視庁規則、煤煙防止規則などがあつたのであります。 現行規制法規については、大気汚染防止関係では次の通りであります。昭和26年運輸省令第67号、道路運送車両の保安基準第31条、道路交通取締法施行令、昭和28年政令第261号第17条等で、いずれも自動車等運転走行中において、煤煙悪臭のあるガスまたは有毒ガスの発散を規制いたしたものであります。公衆浴場法第2条第2項、すなわち構造設備が公衆衛生上不適当であると認めるときは許可を与えないことがある。建築基準法第48条、第54条、すなわち住居地域または産業地域等、用途地域の指定と、その地域内の建築の制限及び第88条、煙突、広告塔、高架水漕、擁壁、その他これらに類する工作物で政令で指定するものについて保安上、衛生上の規定をする等があるにすぎず、しかも、このうち訓示的なものが多く、また大気汚染原因の大部分を占めるところの工場煤煙に対する規制は全く存在しておらないといわなければなりません。 騒音関係につきましては、いわゆる軽犯罪法第1条第14号、公務員の制止をきかずに人声、楽器、ラジオの音を異常に大きく出して静穏を害し、近隣に迷惑をかけた者は拘留または科料に処する。また建築基準法中に申しました住居地域内における地域住民の安寧を害すおそれのある場合の規制、不許可、また第52条に基づく地方公共団体の文教地区建築条例を制定した場合の規制、これは東京都、兵庫県のみが制定されております。特別都市計画法、防衛庁訓令に基づく教育施設騒音防止対策工事補助金の交付に関する訓令、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律及びその施行令、すなわち学校病院等の移転防音工事等の補償等。道路運送車両法第41条、道路交通取締法第20条及び同施行令第20条、軌道法等がありますが、騒音の実態から、これらの法令では取り締まりの実効を期待することは困難であり、特に汽車や電車については全く根拠がないのであります。 水質汚染に関しては、ようやく工場排水等の規制に関する法律、公共用水域の水質の保全に関する法律が、それぞれ昭和33年に制定されたようなわけで、国においても公害に対する統一的な法令が整備されていない実態から、地方公共団体に付与されている条例制定権に基づく法的規制によつて公害の予防的対策をはかろうとするために、現在次の自治体において、それぞれ公害防止に関する条例が制定されておるのであります。 東京都におきましては、東京都工場公害防止条例を昭和24年に、東京都煤煙防止条例を昭和30年に、また神奈川県、大阪府、福岡県等は公害防止に関する条例を昭和26年から30年の間に制定いたしており、なお静岡県におきましては、目下事業場公害防止条例を継続審議中であります。なお、また騒音防止条例制定済みの地方公共団体は、千葉県、広島県、福岡県、長崎県並びに東京都、神戸市、尼ケ崎市等であります。また変わつているところでは、川崎市で、市の埋立地を購入して工場を建設しようとするものに対して、煤煙防止設備をすることを売却条件にしております。 以上、公害条例制定あるいは行政指導をしている府県の条例並びに指導は、いずれもその住民をして清浄の空のもとにその生活の静穏を保持し、もつて住民の福祉をはかるを目的としているものであります。 本県の公害の現状を調査するため、各保健所及び市町村に対してそれぞれの管内の公害状況の調査を依頼し、その報告並びに苦情申し込み等は、2月末現在において回答のありました13市町村だけの報告で46件、保健所よりの報告によります公害に関する苦情は、14保健所に対し約900件の多きに上つておるのであります。そのおもなるもの二、三の内容を申し上げますと、高田保健所管内では、日セル新井工場の汚水放出並びに工業用水のくみ上げのため水質変化並びに渇水、またカーバイト工場から発生する煤煙及び原石投入時に発生する騒音による公害、新津保健所管内、帝石の採油に伴う鉱毒水の放出のため農作物に対する公害、長岡保健所管内の中越道路鋪装会社の作業場アスフアルト・プラントの加熱時に発生する刺激性ガス、ピツチ等を燃料とするための煤煙、ミキサー騒音が住民に多大の迷惑をかけており、7年間も紛争を続けておるということであります。これは私この間隣の部屋で聞いておりましたが、小林藤吉君が、廊下を通して隣の部屋まで聞こえるような大きい声を出してこのことを言うておつたことを、私は覚えております。(笑声)柏崎保健所管内では、理研工業の煤煙のため付近の住民は夏季に窓を開放することができず、困却しているという。夏は暑いのに、窓をあけることができない。こんな困つたことがありましようか。同時にここから発生する有毒性ガスが生理的障害となつているというのであります。新潟市におきましては、パルプ工場の悪臭ガスが風向きによつては全市域をおおい、また硫酸会社の亜硫酸ガス並びに江東地区工場から放出される汚毒水の及ぼす公害等々、目に余るものであるのであります。(「まだあるのか」と呼ぶ者あり、笑声)燕を申しましようか。(笑声)お声がかかれば、もうどこの地域でも申し上げます。(「高校の試験場じやないぞ」と呼ぶ者あり、笑声)その他県下各保健所に対して、養鶏、養豚のふんや飼料から生ずる悪臭、あるいは製材工場、木工工場、古綿打ち直し工場の粉塵、クリーニング工場の煤煙による苦情等が申し込まれていることが報告されておるのであります。 これらの公害問題に対処する本県の行政指導といたしましては、各保健所ごとに設置されている公害対策協議会に持ち込まれた苦情の公害源に対する措置を協議し、事業場等にその改善策を勧告する程度にすぎない状態でありまして、県内公害の悪影響のありさまは、経済的、医学的、生物学的、教育上また地区美観保持上、並びに公共の衛生もしくは各般にわたるものと推測されるものであります。事業場と住宅、または工業と農業との間に、過去から紛争を引き継ぎ、さらに最近の産業の伸展と都市人口の集中化とによるところの新たな紛争を惹起させながら、公害問題は、資本主義経済の中にあつての企業対住民の利害関係の未整調を露呈しているということが言えるのであります。知事は、この未調整を未調整のままとしておくことなく、早急に本県の実情に即したところの施設基準及び取り締まり方法あるいは許可の整備、法制化をなし、県民健康保持の根源である青空のもとに、しかも清浄な空気の中に県民生活の静穏を保持することこそ、福祉県へ通ずる一方の道筋ではないかと私は考えるのであります。 次に、県民のお財布の重さを増す方法を考えなければなりません。知事は常に、お金のないのは首がないのにひとしいとよく言われます。全くその通りであります。金がなくて何の文化的生活、福祉県でありましようか。知事は、去る34年度の県政を振り返つて、県財政のアンバランスに加え、7月以降の県下各地に発生した相次ぐ水害と伊勢湾台風による被害のため、県財政に一抹の暗影を見たが、県民各位の不屈の努力と農民各位の不断の努力と研究の結晶により史上未曾有の大豊作を記録した上に、一般経済界の立ち直りにより、ようやく好況のきざしを見せ始めたことは、まことに喜びにたえないと言つておられます。これは全く事実その通りであり、県民ひとしく心から喜んでおるのであります。しかし、このまま豊作酒に酔いしれていていいものでしようか。昨作7月、経済企画庁の発表による国民生活の生活水準指数の地域別分析によりますと、全国平均を100とし、東京が最高の190強、以下大阪、神奈川県等6大都府県が6位まで占め、全般的に工業、すなわち第2次産業の盛んなところの指数が高いことがわかり、反面、産業の少ないところの水準が低く、本県は東京の半分以下、85強という、まことに寒心にたえないありさまであります。また本年2月、本県統計課発表の33年度の県民所得の報告書によりますと、前に述べました企画庁発表の数字と大差ない結果でありまして、その理由には、さまざまの要素がありましようが、一番大きな原因は、農家人口が多く、しかもその所得が非常に少ないためだということでありまして、この2つの統計調査が示すごとく、本県の施策を、大きく商工業振興に積極的に乗り出すとともに、小農的な技術を中心とする生産力はもはや頂点に達し、その上このような小農生産のもとでは、農機具等による効果も頭打ちとなり、むしろ農家経済に矛盾と破綻を来たすおそれがあるやに思われます。でありますから、この際何らかの方法で現状の農業構造を革新しながら、農業人口を2次ないし3次産業部門へ吸収しなければ、県民の総所得が他県並みか、それ以上に達することは望めず、本県と他県との経済力の格差は現在より多くなり、まことに憂慮にたえない次第でありまして、いわゆる後進県の汚名を返上することまた不可能であります。このような状態は、県内においても、農業対商工業との間にも同じようなことが言い得るのであります。農政通の知事に何とかいい革新策を編み出していただきたいものであります。 そこで商工業振興策でありますが、知事が、未利用資源並びに天然ガス、または石油等の開発促進をはかり、企業誘致を行ない、そうして工業の拡大生産額の増大をはかることは、県民所得伸長を期する上にも重要なことと考え、港湾整備改修及び工業用水の調査を促進するため、それぞれ意を用いられたことは、全面的に賛意を表するものであります。これが立地条件から大別いたしますと、第1に新潟港を中心とした地区、次に直江津港を中心とした地域が考えられるのでありますが、特に最近、貿易の自由化あるいは日ソ貿易の促進に伴う日本海時代来たる、日本海、湖水化等々から、日本海における国際港としての新潟港の使命は大へんに大きなものでありまして、新潟港の背後地帯である福島県、長野県、山形県、群馬県等にも大きな影響を与え、また三国国道の開通を機会に関東方面との交通に意を用い、交通路を改善し、新潟港を中心とした一大経済圏を作り、対岸貿易に備えることこそ、新時代に対する本県の新たな、大きな施策といわなければなりません。 それには、まず新潟港がその使命をになうだけの整備を必要とすることはいうまでもありません。その整備計画に対しては、その部分的なことはときどき耳にいたしますが、総合的整備改修計画の発表を聞いたことがないのであります。これは聞いたことがないというのは、北村さんが知事になられてからのことであります。かつて数年前、河口分流あるいは関屋分水案との論争は、当時の社会経済情勢の上に組み立てられた新潟港改修整備10カ年計画の上に論争がなされたのであります。よつて知事は、関屋分水を行なうという腹を決定した以上、すみやかに関屋分水を含めたところの、今日の情勢に適合したところの改修計画を県民に示し、県民の納得の上に世論の支持を得られるならば、おのずからまた道は開け、本県のダイヤモンドといわれている新潟港地区にますますみがきがかかり、その価値を増し、その活用において商工業は振興し、県民の利するところは大きなものといわなければなりません。いわゆる県民所得の増大となる一方策と考えられるのであります。 以上のように、公害問題の防止に対する立法措置並びに農村経営の革新的施策と相俟つて、商工業振興施策の総合的政策を確立してこそ、真に県民をして健康にして文化的生活を営むこと、すなわち福祉県の根幹の確立だと私は思うのでありますが、知事さんのお考えはどうであるかということを、私は県民とともにお尋ね申し上げるのでありますから、私にだけ返事するということではなくて、私のうしろには250万県民がいるのだから、県民に答弁するのだ、こういう気持で、しつかりした御答弁を私はお願いしたいと思います。 以上であります。(拍手)   〔知事北村一男君登壇〕 ◎知事(北村一男君) 吉田議員に答弁申し上げます。 ただいま公害の事実対策を引例なさるのに、福祉県というものは、事後対策であつて、起きたものをどうするかという対策であつて、これはいわゆる予防的措置ではない、こういうような御説明がありましたが、これはごもつともであります。私もそこまで手を伸ばさなければ相ならぬと考えておりますが、これはなかなか言うべくしてできない。しかし、ただいま御指摘になりました煤煙であるとか、騒音あるいは汚毒水、こういうものは全く公害でございまして、よくこの防止について考えなければならぬ、これはもう全く御指摘に同感でございます。この煤煙とか公害防止に対しては、千葉県、広島県、東京あるいは川崎市にも条例がある、こういう御指摘でございますが、本県におきましても、決してこれに無関心だということではございませんで、今調査をし、あるいは研究して、準備がなれば、これは条例を作つて行政指導に乗り出さなければならぬ、こういうふうに考えております。すなわち苦情の処理をする、こういうふうに考えております。そうして、つまり福祉県の最後の目的である、健康にして豊かな国民を養成するようにしなければならぬ、これはもう御意見と同一でございます。これは不日条例について御審議をわずらわしたい、かように考えていることを御了承賜わりたいと思うのであります。それから、財布が軽くてはしようがない。これは私もそう思つておるのです。個人的には重くなるわけにはいかないが、県民皆様の財布をできるだけ重くしたい、こういうふうに考えております。そのためには、農業ばかり一生懸命に奨励してもしようがない、これはいろいろの実例から見ても、農業というものは財布が軽いようにできているのだから、一つ商工業を盛んにしなけりやならぬ。これも多くの人が言いますから、間違いがないと私は考えておりますが、このお答えは木島議員にもいたしましたけれども、これはやはり農業というものがないと、しんが締まらない、こういうふうに考えますので、これは農業を盛んにし、内容を充実させながら、商工業も一生懸命にやつていかんけりやならぬ、こういうふうに考えております。その商工業を盛んにするには、新潟、直江津などに重点を置くようにという御希望はごもつともでございます。その新潟港の整備計画について、私の話を聞いたことがないという御指摘ですが、この間お聞きにならんかつたですかね。私はもう何度もこの問題について申し上げているつもりであります。まだ土木部長は私に言うてきませんが、今県にも、関屋分水後における新潟港のあるべき姿というものを研究しなけりやならぬ、それには人的構成をどうした方がよろしいか。新潟県には顧問として前の前の港湾局長であつた黒田工学博士を頼んでおりますから、黒田博士の御意見も承るとともに、新潟中心、直江津中心に――直江津はこの次にということで吉田議員もあまりこの問題に触れなかつたようでありますが、私はやはり直江津の港は、直江津中心の方々が整備その他お考え下さる、新潟のことは、いろいろここに学識経験者が多うございますから、そういうような方々から一つ――多くの審議会とか調査会というのは、並び大名ばかりで、実質の仕事をされない傾向があるが、この問題は真剣に努力して、港湾の整備計画を立ててもらいたい、こういうふうに考えておりますので、人選も今真剣に考えておりますが、なかなか役人というものは思うほどはかがいかないものでしてね、(笑声)私の希望するように参つておりませんが、さりとて一向やらぬわけでもない、(笑声)こういうことで、がまんをしながら督励をしておる。これは必ず吉田議員の仰せになるような、御満足のいくような整備計画ができ上るものと信じて疑いません。でありますから、これはしばらくお待ちを願つて私どものやり上げた仕事をごらんいただきたい、こういうふうに考えております。 大体答えたつもりでありますが、もしまだ落ちておりましたら、御指摘をわずらわしたいと思います。 ◆吉田吉平君 自席から再質問いたします。 大体知事の今の御答弁においてやや満足するものでありますが、公害の予防条例、公害条例、これはお金は百もかからないで、ほんとうに県民の健康を保持する基本が打ち立てられるという、まことに経済的な施策なのであります。これは県は一文もお金が要らないのであります。ただ公示をするとき印刷費くらいは要りますが、あとはただなのでありますから、これは早急におやりになることを私は希望いたします。 農業の問題につきましては、これはなかなか大きな問題でありまして、これから始めますと、あす、あさつてまでかかりますから、一応ここで打ち切つて、いずれかの機会にゆつくりやりたいと思つております。 港の計画につきましては、おつしやる通り何か進めておられるそうでありますが、これまた早急に計画を作られんことを希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事北村一男君登壇〕 ◎知事(北村一男君) 了承いたしました。(拍手)   ――――――――――――――――― ○副議長(小野清一君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(小野清一君) 本日の議事日程は終了いたしました。次会は明3月5日午前10時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後4時32分散会...