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03月17日-一般質問-06号

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  1. 新潟県議会 1950-03-17
    03月17日-一般質問-06号


    取得元: 新潟県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    昭和25年  2月定例会 本会議昭和25年3月17日(金曜日)  議事日程 第6号     午前10時開議  第1 質問  第2 議案第1号ないし第21号     第30号ないし第35号     第40号ないし第45号     第47号、発議第5号  第3 請願第1号ないし第45号、陳情第1号ないし第6号   ―――――――――――――――――本日の會議に付した事件  議案調査特別委員辞任の件  議案調査特別委員追加指名の件  発議第8号 積雪寒冷地方に対する税財制に関する意見書  発議第9号 供米報償物資の價格引下げ並びに不用配給品取換えに関する意見書  議案第51号 昭和24年度新潟縣歳入歳出追加予算  議案第52号 予算外義務負担について(白根上郷排水改良事業荒川沿岸用水改良事業)  議案第53号 條例で定める契約の締結について(白根上郷排水改良事業)  議案54号 條例で定める営造物の廃止について(縣立新潟保健所)  議案第55号 新潟縣農業改良事業條例設定について  議案第56号 公安委員の選任について  日程第1 質問出席議員  1番 須貝綱太郎 君  2番 雲尾 東岳 君  3番 田村 高作 君  4番 塚田淸一郎 君  6番 揖斐仙次郎 君  7番 鈴木吉治郎 君 10番 北村  基 君 11番 小林 寅次 君 12番 池田 栄松 君 13番 木原 正雄 君 14番 山田 正雄 君 15番 若月 文雄 君 16番 橋本 辰次 君 17番 布施 津三 君 18番 滝沢 正直 君 19番 酒井  登 君 20番 外川 藤藏 君 21番 上野 周吾 君 23番 佐藤 兵部 君 24番 高野六太郎 君 25番 大滝 正義 君 26番 川上 昌司 君 27番 村田種次郎 君 28番 野水 吉治 君 29番 小黑 岩人 君 30番 石月 省吾 君 31番 西川彌平治 君 32番 松木  明 君 33番 藤原 熊男 君 34番 内山 大三 君 35番 石黑 武久 君 36番 土田 杢平 君 37番 石塚 善治 君 38番 岩野定市郎 君 39番 大島 憲吾 君 41番 小笠原九一 君 42番 加藤長三郎 君 44番 山崎 和雄 君 45番 岡田 幸平 君 46番 兒玉龍太郎 君 47番 塚野 淸一 君 48番 島田 久吉 君 50番 村山吉五郎 君 51番 桑名 義廣 君 53番 丸山直一郎 君 52番 田卷 恒彦 君 54番 佐伯 利作 君 57番 沢口 久藏 君 58番 小田長四郎 君 59番 佐藤久次郎 君 60番 木村 新一 君 63番 高橋淸一郎 君 64番 寺尾  愛 君欠席議員  5番 吉岡喜三郎 君  8番 滝沢 一治 君 22番 貝瀨高重郎 君 40番 高沢三樹太郎君 43番 松井 源内 君 49番 飯塚 信太 君 55番 森山善治郎 君 56番 阿部 隆治 君 61番 吉田 吉平 君(公務出張)62番 中川 光男 君   ――――――――――――――――― △午後1時22分開議    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) これより本日の会議を開きます。本日の出席は議長のほか42名、欠席20名――2番、5番、7番、8番、12番、13番、17番、22番、25番、26番、40番、43番、49番、51番、55番、56番、57番、58番、61番、62番であります。   ――――――――――――――――― △諸般の報告    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 諸般の報告をいたさせます。   〔書 記 朗 読〕    第三部議案調査特別委員辞任届私は2月28日の本会議で昭和25年2月定例会における第三部議案調査特別委員に選任され本日まで審議を続けて來ましたが、私はその任でありませんから、この委員を辞任いたします。  昭和25年3年16日         新潟縣議会議員 小 林 寅 次 新潟縣議会議長 兒玉龍太郎殿発議第8号    積雪寒冷地方に対する税財制に関する意見書 右地方自治法第112條の規定により提出する。  昭和25年3月17日    提 出 者       松木  明  島田 久吉  西川彌平治       内山 大三  木原 正雄  山田 正雄       若月 文雄  土田 杢平  飯塚 信太       村山吉五郎  小田長四郎  吉田 吉平    賛 成 者       須貝綱太郎  外50名 新潟縣議会議長 兒玉龍太郎殿    積雪寒冷地方に対する税財制に関する意見書 本縣を含む積雪寒冷地方は産業の開発文化の普及が甚しく遅れ、而かも現行税財政制度は住民が窮乏しているにかゝわらず、他地方に比し極めて苛酷な税負担を蒙り刻下緊急なる経済再建を著しく阻害せしめるものがある。 曩に本縣議会は具体的改革法案に対し平和的新日本建設の見地から、意見書を政府に申達したが積雪寒冷地方に対する国税並に地方税負担の公平適正化と平衡交付金の合理的分配を図るため次の諸事項を関係法律案に徹底的にとり入れられんことを重ねて要望する。1、積雪寒冷による不可避な生活損耗並に農林商工関係事業における增嵩経費の極めて多大なる実状を明確に認識 し現行税制が殆んど右特殊事情を顧みる実態を是正するため新税制並びにこれが運用に際して適正なる軽減の施 策を講ぜられたい。2、價格並に供出につき強力なる国家施策の下に食糧增産に從事する農家の負担を強化し、更に多毛作地方に比し 單作地方が極めて苛酷な税負担となる固定資産税につきその法案の適正なる合理化を講ぜられたい。3、地方財政平衡交付金の算定に当つては特に恒年的なるが故に等閑視された積雪寒冷による行政費用の損耗及び 增嵩等を考慮すると共に、税制の欠陷に基づく住民の窮乏及び貧困なる自治体に対する財源附與の公正を期せら れたい。  右地方自治法第99條第2項により意見書を提出する。   昭和25年3月17日          新潟縣議会議長 兒 玉 龍 太 郎 衆議院議長     幣原喜重郎殿 参議院議長     佐藤 尚武殿 内樹総理大臣    吉田  茂殿 地方自治廳長官   本田 市郎殿 経済安定本部総裁  吉田  茂殿 外 務 大 臣   吉田  茂殿 大 藏 大 臣   池田 勇人殿 文 部 大 臣   高瀨莊太郎殿 厚 生 大 臣   林  讓治殿 農 林 大 臣   森 幸太郎殿 通商産業大臣    池田 勇人殿 運 輸 大 臣   大屋 晋三殿 郵 政 大 臣   小澤佐重喜殿 電氣通信大臣    小澤佐重喜殿 労 働 大 臣   鈴木 正文殿 建 設 大 臣   益谷 秀次殿 内閣税制審議会議長 塚田十一郎殿発議第9号    供米報償物資の價格引下げ並びに不用配給品取換に関する意見書右地方自治法第112條の規定により提出する。  昭和25年3月17日    提 出 者       雲尾 東岳  岩野定市郎  外川 藤藏       上野 周吾  佐藤 兵部  石月 省吾       小林 寅次  吉岡喜三郎  北村  基       木原 正雄  石塚 善治  大島 憲吾       高澤三樹太郎 加藤長三郎  田卷 恒彦       森山善治郎  澤口 久藏  小田長四郎    賛 成 者       須貝綱太郎   外44名 新潟縣議会議長 兒玉龍太郎殿    供米報償物資の價格引下げ並びに不用配給品取換に関する意見書 曩に政府は、昭和24年度米價決定に際し、経済安定の犠牲として、農民に生産費を割る低價格をもつて主食の供出を要請したのであります。 然し、その裏付に米價の一部として供出農民に対し報償制を採用し、低價格をもつて農民の必需物資を供給することを約束された。 よつて、縣下農民は血の惨む努力を続け早場米供出に精進し、更に供出割当全量を全国第1位に完納しました。然るに、昨秋來報償物資の名のもとに配給された衣料品、自轉車等は、市販價格と何等異るところなく、物によつてはむしろ割高のものであり、且つ、農村に不向のもの又は品質において農民の希望しない粗惡品もありました。ために、今や縣下120万農民は、善良なる農民の血と汗の努力と淳朴なる氣持を踏みにじるが如き措置に対し、不満となり引取拒否として爆発しています。 縣下に割当られた報償物資の額は、4億600万円余にのぼり、全国で実に56億円余の巨額となり、これらが農家経済に及ぼす影響は重大であり、かゝる事態の発生は主食供出を阻害する重大事であります。 政府は自らの責任において、速やかに左の措置を講じ、報償制度の趣旨をあやまらないように善処されるよう要望します。        記1、昭和24年度報償物資(過年度分を含む)については、全品目につき報償の趣旨に合致する價格まで値引きをし、 この差額を即時農民に拂戻すこと。2、農民の希望しない物資については、眞に希望する物資と取り換えること。 右地方自治法第99條第2項により意見書を提出する。  昭和25年3月17日          新潟縣議会議長 兒 玉 龍 太 郎 農 林 大 臣  森 幸太郎殿 大 藏 大 臣  池田 勇人殿 通商産業大臣   池田 勇人殿 経済安定本部長官 靑木 孝義殿   ―――――――――――――――――議案調査特別委員辞任の件    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) ただいま報告のうちにありましたごとく、小林議員から第三部議案調査特別委員辞任の申出がありました。これを許諾するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつてこれを許諾するに決定いたしました。   ―――――――――――――――――議案調査特別委員追加指名の件    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) つきましては第三部議案調査特別委員を辞任せられた小林寅次君を、第一部議案調査特別委員に指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長において第一部議案調査特別委員に小林寅次君を指名いたします。 ただいま17番議員が出席されました。   ――――――――――――――――― △日程追加の動議    ――――――――――――――――― ◆33番(藤原熊男君) 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、発議第8号及び第9号を一括議題とせられ、その審議を進められんことを望みます。 ○議長(兒玉龍太郎君) 33番の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。   ――――――――――――――――― △発議第8号及び第9号上程(第一読会)    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 発議第8号、積雪寒冷地方に対する税財制に関する意見書、発議第9号、供米報償物資の價格引下げ並びに不用配給品取換えに関する意見書、これを一括議題といたし、第一読会を開きます。 発議第8号及び第9号は緊急を要する事案と認められますので、委員会及び読会の審査を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて委員会及び読会の審議を省略いたします。   ――――――――――――――――― △採決    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 採決いたします。発議第8号及び第9号に対しまして原案通り御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて原案通り可決いたしました。 なおこの意見書は特別緊急処置を要しますので、議長においてその処置をとりたいと思います。 ただいま51番、57番、58番議員が出席されました。   ――――――――――――――――― △日程追加の動議    ――――――――――――――――― ◆33番(藤原熊男君) 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、本日追加提出になりました議案第51号ないし第56号を議題とせられ、その審議を進められんことを望みます。 ○議長(兒玉龍太郎君) 33番の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。   ――――――――――――――――― △議案第51号ないし第56号上程(第一読会)    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 議案第51号ないし第56号と一括議題といたし、第一読会を開きます。議案の説明を求めます。岡田知事   ―――――――――――――――――知事追加議案説明    ―――――――――――――――――   〔知事 岡田正平君登壇〕 ◎知事(岡田正平君) 本日御提案いたしました第51号議案ほか5件につきまして申し上げます。いずれも昭和24年度中に特に緊急施行を要するものであるので、御提案申し上げた次第であります。なお第56号議案は、前任の公安委員のうち1名が満期となりますので、補充の適任者が見つかりましたつもりでございまして、御同意をいただきましたならば、選任をいたしたいと思う次第でございます。 会期の切迫の折柄、追加御提案を申し上げましてまことに恐縮でございますが、どうぞ愼重御審議の上、適当の御議決をくださるようにお願い申し上げます。 ○議長(兒玉龍太郎君) 先ほど御決定になりました発議第8号及び第9号、これの内容はこの際報告を省略させましたが、速記録には載させることにいたします。各位のお手元には内容が配つてあるはずであります。   ――――――――――――――――― △議案第56号委員会並びに読会の審査省略、採決の発議    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 議案第56号、公安委員の選任について、本案は人事問題でありますので、委員会の審査並びに読会を省略いたし、採決したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。   ――――――――――――――――― △採決    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 公安委員の選任について採決いたします。龍岡霞君の選任について同意するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて同意を與えるに決定いたしました。 ただいま13番議員が出席されました。   ―――――――――――――――――追加提出議案第51号ないし第55号第二読会に入るの動議    ――――――――――――――――― ◆33番(藤原熊男君) 第二読会に入るの動議を提出いたします。すなわち議案第51号ないし第55号は一応原案をとりまして、第二読会に入られんことを望みます。 ○議長(兒玉龍太郎君) 33番の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。   ――――――――――――――――― △議案第51号ないし第55号上程(第二読会)    ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 議案第51号ないし第55号を一括して議題といたし、第二読会を開きます。   ――――――――――――――――― △委員会付託の動議    ――――――――――――――――― ◆33番(藤原熊男君) 委員会付託の動議を提出いたします。すなわち議案第51号ないし第55号は、既設の議案調査特別委員会に付託せられ、その審議を進められんことを望みます。 ○議長(兒玉龍太郎君) 33番の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長は、第二部議案調査特別委員会に議案第51号ないし第53号、第三部議案調査特別委員会に議案第54号及び第55号をそれぞれ付託いたします。   ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 日程第1、質問に入ります。通告順によつて48番島田久吉君の発言を許します。   ――――――――――――――――― △質問    ―――――――――――――――――   〔48番 島田久吉君登壇〕〔拍手〕 ◆48番(島田久吉君) すでに3回にわたつて前質問者が歳入歳出その他縣政一般に及び熱烈な質問があり、さらに特別委員会におきましても十二分の檢討を加えられつつあるのであります。縣当局からもまた熱心の答弁があり、しかも以前の官僚知事であつたならば、縣会の期間中答弁が1回もあつたり、なかつたりというような実情でありましたが、岡田知事にはその都度民選知事の本領を発揮されて、一々答弁を続けておられますことに対しては、敬意を表するものであります。今や同樣余すところ任期は1箇年であります。この間それぞれ最後の任務の決算の必要があり、責任の完了もまた考えなければならないと思います。從つて私も二、三きわめて簡單に、そして率直にお尋ねをいたし、また希望も申し述べたいと思います。 第1に、縣民の生活の実態を考えられて、その負担軽減のために、知事は縣廳の行政機構改革断行をされたいと考えまするが、お考えをお聞かせを願いたいと思います。と、ここまで申し上げますれば、賢明なる知事にはもちろん考えているのだと申されましようが、すでに同僚桑名議員から行政簡素化のお尋ねもあり、また知事の御答弁も承りましたが、私の考えているところにちよつと触れていない点一、二をお聞かせを願えればと考えるのであります。昨年の2月縣議会においても私は知事に縣費急膨脹と、これがため縣民の担税力に及ぼす結果、さらに納税後、明日への活動余力の問題についてお尋ねいたしたのでありますが、さてわずか1年後の今日、今回の税制改革に伴い、縣民は余力問題どころでなく、まさに必死の現状であることは、各質問者口をそろえて申されている通りであります。ときもとき、中央での藏相放言が全国中小企業者に大きな反響を與え、そのまた部下の税務署は、地方農村において前年の縣の1割增産計画に対し、これありとして、さつそく徴税の基礎とし、さらに匿名供出までも堀り出して課税の対象にせんとして、農民の不満を買いつつあるというようなことも聞いているのであります。日々の新聞には厖大な滯納及び残酷なる督促の状況、生活苦の悲惨事の現われておりますることは、日夜知事もこれについて考えられていることであろうと思うのであります。私は今日の縣の舞台面積があまりにも廣くなり過ぎの感がいたすのでありまするが、この点知事は何とか縣民のため、この際断固機構を改革され、まずもつて部課の統合を行い、縣民負担軽減の第一歩を示されたいと考えまするが、御所見いかがなものでございまするか。去る10月縣議会において同僚瀧澤議員の質問に対し、知事はここ1年ぐらいは部の增設ということは自治法で許されないようでありますから、その範囲におきまして事務内容の分割と申しましようか、あるいは置きかえというようなことをもつて、そういうことの起きない機構をとつて行きたいと申されておりましたが、なるほど部はできませんが知事室ができた。しかもその後久保田副知事の説明では、同格の扱いとなるというようなお話でありました。次々と課の增設、名前はかわりましても部の增設、かようなことでは、ますます経費節減は不可能と考えられますと同時に、それぞれの部課の事務が拡張されますると、地方事務所の事務はもちろん、市町村においてまでも人員を增加しないと、これに応ずることができなくなることは、当然であろうと思うのであります。これが增員経費もまた厖大となりましよう。この際何とかその昔の3部長30課長に至らずとも、知事、副知事を除いた64名の部課長でなく、でき得る限り部課の統合を、御無理かは存じませんが、縣民も本年1年こそと必死の場合でありますので、特に重大決意のもとに断行されんことを希望するものでありまするが、一応知事の御所見を伺いたいのであります。 次に防災工事の今後にいかなる処置をとられるか、あわせて短期振興計画の実行について、土木部長にお伺いをいたしたいのであります。国の財政の規模が前年度より縮少いたしましても、復興予算の性格を強くした、いわく公共事業費や失業対策費は前年度の6割增したなど、新聞で拜見をいたしまして、たいへん喜んだのでありましたし、その後ラジオ討論会等にも二千数億円とか言われたように聞いているのであります。しかるに縣の歳入の実際面を見ますると、かんじんの道路、橋梁事業費の補助面、災害対策砂防補助費は著しい減額を示しているのであります。これはもちろん国会の関係もありましよう。しかしながら私は特に土木部長にお伺いをいたしたいのは、すでに御発表になりました土木短期振興計画による国庫補助工事の道路関係の25、6、7年計画費2億3,000万円、單独縣費工事としての雪害対策費3,200万円、さらに中小河川39箇川、77箇所5箇年計画の3億3,105万円、さらに砂防工事5箇年計画の6億円等の計画ガ立てられて、本縣のため大いに期待しておりましたところが、本年度の地すべり対策費の300万ほか、災害対策砂防費道路災害防除施設費治水堤防災害防除施設費等を見まするときに、はたしてその期間にその半分もの実行ができ得るかいないか、しかも中小河川の計画が完成いたしますれば、改良耕地が2,825町歩、造成耕地が264町歩、さらに人家が2,043戸も安全地帶におることガできる。さらに地すべり対策計画の完成には、その倍もの耕地、人家が救われるというこの計画は、ぜひ実行を願わねばならないと考えまするが、いかなる決心と実行方法をおとりになるか。最近の河港課係員の説明によりますれば、縣で出された130箇所の防災工事申請に対し、わずか13箇所すら認められていないというような実情を見まするとき、いささか心細さを感ずるものであります。1月9日渡されました砂防課の報告によつて見ましても、縣下の地すべり地帶のみでも659箇所、5,871町歩、84箇町村に及んでい、さらに1,143戸の人家が危險に頻しているという。從つてこの地域の廣大さが、全国の半数を占めて、第1位とあると示されてあるのでありますが、一体そのくらい有名な縣ならば、私は縣の本省への折衡いかんで、国が增額を納得しない理由がないと考えられるのでありますが、縣費をもつて地すべり対策砂防費を計上いたしまして、対策の実現もけつこうではありまするが、現在の状態を見まして、これのみではとうてい完成はおぼつかないと考えられるのであります。しかも全国1位の農倉である新潟縣に対しまして、国家がその大切な耕地や人家に考慮を拂はぬ理由がわからないのであります。さりとて、このまま默していられるはずもなく、1年遅れますると、遅れるほど、また災害も大きくなろうと思うのであります。ここに当局の熱意と今後の実行に対する最も勇敢なる御所見を伺いたいのであります。私どもは今日まで選出されて以來、災害のあと追いのみをやつて参つたのでありましたが、どうしても今後は、その復旧工事と同時に、これと並行して、防災工事の実をあげなかつたならば、いつまでたつても、縣は災害より免れることはできないと思うのであります。部長の、今後の防災工事に対して、あわせて短期振興計画の進行上についての覚悟をお伺いしたいのであります。 第3に、縣民直接の叫びである請願並びに陳情に対して――これはお尋ねと申し上げるよりもお願いをいたしたいのであります。昭昭22年、私ども選ばれまして出ました当時は、いささか少数ではありましたが、それにいたしましても、5月から12月までに採択された件数ガ30件、翌年の23年度には大いに勉強もでき、縣民の要望も厚くなりまして、採択件数ガ1月から12月までに127件、さらに24年度には1月から12月末までに各部の請願、陳情の受代件数ガ177件、採択が94件とあり、さらに今回出て参りました請願、陳情合せて66件、これはざつとの調査ではありまするが、これらの陳情、請願こそ、縣民直接の要望でもあり、懇請の現われであります。この採択になるまでには、中には大挙、しかも厖大な経費を使つて運動をされてあることも、毎回の委員会で直感しているのであります。これが縣会を通過せぬ場合は、議長はその理由を付しまして、紹介者を通じて出願者へ通告する議会規則は承知しておりまするが、今まで議会へ出ましたもので、通過しなかつたものはなかつたように考えられます。これが以前でありまするならば、各政党が通常縣会が終りますると、総花的の問題を選挙区へのおみやげにされたようでありましたが、民主政治の今日、これら請願、陳情は委員会の審議により、さらに縣の処理によりまして採択された責任のあるものであります。但しこれが採択後、執行部の処置及び結果につきましては、もちろん予算と照し合せて行うべきものは行い、計画すべきものは計画されてあることは承知いたしておりまするが、その進行状態及び完了の状態等、まことに関係の常任委員会以外私どもよく承知しておらないために、至つて不明な点がありまするし、また一面採択されないものといえども、せつかく縣民の熱望でありまするから、この請願や陳情というもので執行部に出ましたものは、今後これを忘られることなく、しさいに調査をされまして、お取上げになつて、御実行を願いたいのであります。そこで今日までのこの進行状態や、あるいは完了の実情を一応おとりまとめになられまして、でき得るならば、数字もこれに加えて、はつきりとお聞かせを願いたいと考えまするし、さらに來年の私ども與えられました任期の終りまでには、一括これをとりまとめられまして、決算書と同時に、明瞭にお示しくださるよう、今より希望を添えてお願いを申し上げたいのであります。 第4に総務部長に伺いたいのであります。歳出予算明細書表に本年も財産費として4,400万円も出ておりますので、これが年々の支出增額合計額というものは厖大な数字になつていると思うのであります。しかして縣有財産表中の有價証券額面と、貸付金及び預金面は数字が明瞭でございまするが、その他の土地建物や船舶、什器というようなものは、現在の財産價値はどのくらいと概算されておりまするか、またこれが扱いについてお聞かせを願いたいのであります。しかも186台という乘用自動車を初め、各種車兩を見ますると、いつの間に、どこから出たのかの感ある自動車もあるくらい增加しているのでありますが、それにしては18年前のいわく32年式というような骨董品に近いものがあるのであります。中には他に轉籍したのか、昨年あつたのが今年ないのもあるようでありますが、大部分は35、6、7年式が多い、一番新しい乘用車でも39年式ぐらいのもので、かようなものを、そのまま交換もせずにおりますると、燃料や修繕費だけでも非常な損失があると考えます。一般会計歳出に出ておりまする燃料費を通計してみましても、715万円余と見られます。さらに修繕費も310万円余、なおそれで足らないで、他からの借上料まで40万円も出ているのであります。いかに技師、技手、雇など、数多優良の技術者がおりましても、細心の注意を拂いましても、免れない損耗はしかたないということになろうと考えるのであります。縣民四苦八苦の現状、縣においてもでき得る限りの節約方法は講ぜられてほしいと考えまするし、第一全車兩に対する責任者はだれか。いま少しこれを有効に運営され、しかも私は、外客誘致の今日、遊覽車の1台ぐらいは整備して、送迎のために4台も5台も自動車を歩らせる等の不経済なことは、眞に考えるべきではないかと、かように考えられるのであります。これが統制をとられ、運営をよくされるならば、その不経済な燃料、修繕費の全力で1年に1台ぐらいずつの新車は優に買えるだけの節約ができ得ることを確信いたします。あまりこれはこまかく申し上げますと、自動車の宣傳になりますので、避けまするが、一応責任者並びに最近購入された方法や、運営方針などを――さらに縣有財産と申しましても、これは縣民の貴重な財産でありまするので、この際許される範囲御発表をお願いをいたしたいのであります。 最後に農地部長にお尋ねをいたしたいのでありますが、縣廳の前にも「愛の手を帰つた人に」という標語が出でおります。開拓問題に論及いたしましては、先般來高橋議員ほか熱心に質問がございましたが、私はその全般でなく、ほんの一言でありまするが、開拓地に優良な指導者の配置よろしきを得、また遇する道を開かれたいが、これに対する部長の所見を伺いたいのであります。縣下66箇所、1,349戸の開拓者のうちの6割5分は引揚戰災者であり、開拓未経験者であるといわれております。しかも生きんがためには、現下の物價指数の上からいたしましても、居を構えまするには、1戸少くとも十五、六万円の資金を要するので、住宅資金、あるいは開拓補助費というものを受けましたにせよ、これが運営は容易ならぬものであると考えられるのであります。もつとも中には北蒲原の出湯畑井組合のごとき、21年度の入植者22戸で、すでに1戸平均1町1反歩の開拓を実行しているということも聞かされているのでありますが、これはとりもなおさず、私はその指導者を得た結果であると考えられるのであります。けれども、大部分はそうは行きません。なかなかの経営難で、今後の生活維持をあやぶまれつつある現状を聞くのであります。先般佐藤議員の質問に、農地部長の名答弁はありました。けれども、集約農業をやるにせよ、合理化し、近代化した経営をはかろうといたしましても、それは中心となる指導者を得ねばならぬこと、申すまでもないのであります。同樣北蒲原の中條組合に近藤という方がおられるそうでありますが、この近藤氏の活動、実績などもまさに人を得たからであろうと思うのであります。これは部長の説明に合致した中心人物であると思うのであります。私は特に、知事さんも十分御承知であられようと思いまするが、中魚の津南組合のごときは1,200町歩という縣下有数の開拓地に、しかも北陸4縣ただ1つの開拓実験農場があるにもかかわらず、これが人を得ながら、その人を遇する道が開かれておりませんために、今まさにその中心人物は他に轉ぜんとしているのであります。世に適材適所ということがありますが、山奥深く、しかも豪雪地帶とここで申し上げましても、お話にならない、同じ縣下の新潟市は土ほこりが立つておりまするし、この開拓地のごときは、ここ10日間さらに降雪だということで、2メートル以上、3メートル近くの雪の中に活躍をいたしているのでありまするが、こういうところには、普通の人では指導者となつて長くおちついていただけないのであります。ただ褒賞をくれるとか、賞状をやるという程度でなく、こうしたところの職員の整備こそ、私は大いにお考えを願いたいのであります。さよういたしまして本縣のために、ぜひそのようなところを成功さしていただきたいと思いまするし、その他縣下66箇所中に、他にも十分あろうと思いまするガ、特にこの人事問題に対しては深く申し上げませんし、同時に申し上ぐべきでないかもしれませんが、前途ある靑年にぜひ明るみのあるお扱いを願いまして、この愛の手をしん底まで伸ばしていただくようにお願いをいたしたいと思うのでありまするが、農地部長さんの御方針を承りたいと思います。ともかくわれわれは税金はなるべく軽減をしろ、しかし仕事はうんとやつてもらわなければならない。成績を增加してほしいという二方攻めを縣にいたしまするので、縣といたしましても、容易ならない御計画であり、御実行であるとはうかがわれまするが冐頭に申し上げましたように、御同樣知事並びにわれわれ議員は余す1箇年におきまして、りつぱな結論を出さなければならない重大責任ガあろうと思いまするので、あえて以上を申し上げまして、私の質問といたしたいのであります。 ○議長(兒玉龍太郎君) 先ほど25番議員が出席されました。   ――――――――――――――――― △答弁    ―――――――――――――――――   〔知事 岡田正平君登壇〕 ◎知事(岡田正平君) ただいまの島田君からのお話にお答え申し上げたいと思います。島田議員のお考えと私の考えとに、ちよつと食い違いがあるかもしれませんが、私は任期中にどういうことをぜひやろうというようなことは毛頭考えておりません。常にできるだけの最善をやつて行きたい。これだけでありまして、あるいはそれは食かけじやないかどうかというようなことについては、私はできるだけ――それはやはり着物の前を合せて帶を締めると同じことでありますから、その心得は必要でありますが、任期中にできないから、いいことであつても手をつけないということではなく、また任期中でありましても、それをしまつするのに、むりがあるということはいかぬ、こういう考えを持つておりますから、私はその点少し島田さんとは食い違いがあるかと思うようでありますが、これは島田さんとはまた別にお話を申し上げてもけつこうだと、私はかように思つております。しかしながら日常のことについて、いわゆる行政の改革、從つてそれが縣民の負担方面にも及ぶから、これを考えろということは、実にごもつともの次第であります。御同樣今日税金その他のことについて困難をされていることは、御説明の通りであります。これは先般も私の方から申し上げましたと思いましたが、そうかといつて、ここではもちろん島田君の御意見も、仕事をストツクするという御意見ではないと私は信じております。よつてこれを最も有効的に、効果的に行くべきであると、こういう御意見と存じまして、私はお答えを申し上げるのでありますが、これはちよつと横道でありますが、税務署の方については、これは先般申し上げましたように、近來はその縣において、その税務署地区において、どれだけをとれというようなことは言わないことになつているそうであります。また特に縣といたしましても、税務署の方に過当のことのないようにという折衝は二、三にも及んでいるような次第であります。これらと結びついて舞台が廣過ぎるじやないかというお話でありますが、その点はここで島田君と私がお話を申しても――どの点ということの御指摘があれば、自分の考えを申し上げまするが、これは私は今日の場合、困難であつても伸びなければならない場合であるから、いやしくも縣の福利增進に関するものは、忍び得る程度において進んで行くべき方が当然ではないか、こういうように思つております。今日の場合、終戰後いろいろ物價の変動等ガありまして、そういう場合においては一般が少しく金融面とか、社会相というものを安易に見た点があるのではないかと私は思うのであります。今後におきましては、私の自分だけの考えでありますが、必ずすべての物價が低下して來る。非常な暴落の前兆で、決して私は今日が物價下落の締め口ではない、入口であるというように考えているのであります。これをどういうようにやつて行くべきかということは、非常にむずかしい問題で、いわゆる国際的にもこれが一番響く問題で、食糧を初めといたしまして種々の問題が起きるので、これらの点については今後大いに研究をし、また斯道の先見者の意見をも尋ねまして、また機会あるごとに縣議会の御意見も伺つて、私はその点になるべく誤差の少からんようにやつて行きたい。かように考えております。從つて他に活用をするという部面からいたしましても、この機構の改革、もつと簡素にしたらどうかという御意見でありますが、これは前議会のときに、どなたかに私は申し上げましたつもりであります。最も簡素にするについては、知事室というものと、私は生産部面、それから他の社会施設の部面と、総務部というような3つにわけたら一番よろしいという考えを持つておりましたが、これは行政の面から許されない点があるので、そのままにしておいたのであります。知事室を設けましたというのは、要するに各部面に関係のある、たとえば観光の事業、観光そのものは農林部にも関係がございます。また土木部にも関係がある。また商業部面にも関係があるというようなわけで、そういうものを多く取上げて、廣報、宣傳というような部面を取入れたようなわけであります。各部にまたがつているものを、ひとつ総合して行きたい。私は1室3部制を、言う通りにこの点は中央でも絶叫いたしましたが、たくさん課、部があるということはまつたくいけない。かように思つております。それで実際に臨みますると、それはお前に腕がないというように言われるかもしれませんが、非常に仕事がふえて來るのと、能率を上げるのには、やはりその部面でないといけないという考えを私は今持つております。これがいま10年ぐらいたちましたならば、島田君のおつしやるような線に私は近づき得る。かように考えておりますが、今日の場合ではかなり勉強してくれますけれども、むずかしい。島田議員は実際の商賣面について操作をされたのでありますから、そういうように縣の職員というものが全部訓練されて來ると、私は非常に能率が上り、またいろいろの機構というものも、そうむずかしくしなくともよかろう、かように思つております。しかしそれならば、そういうような人を入れたらどうかというと、そこにまた難点があることは、私が申し上げなくとも、島田議員は御承知のことであろうと思うのであります。そういう面でずいぶん困難な点もありますが、しかしながら仕事が次々と非常にふえて來ていることだけは、これはおおうべからざる事実であります。また昨今は、私に関する限りはやや下火になりましたが、民主主義になりましてから、直接の陳情でありますか、あるいは談判でもありましようか、地方の事情をよく聞かしてもらうことはありがたいのでありますが、そのためにまた時間を費すことが非常に多い。私は、地方事務所長に、その地方のことはできるだけ、縣のいわゆる出店であるから、御用を足すように、よく聞くようにということを、各町村長の諸君にも申し上げてくれ、また町村の民衆にもそういうことを言つてくれということを賴んでいるのでありますが、どうもなかなかそれがまだ徹底もいたしませんで、いわゆる何と申しましようか、非常にむだがある。また一面については非常に調べなければならない、調査が必要であるというようなことが、たいへんふえて來ているのでありまして、私自身も島田さんのおつしやるまでもなく、議員の方のお考えの通りに、はがゆく思つている点も確かにありますけれども、今それについてはせいぜい私は努力しておりますが、とうてい私は即今の間に、ここ何箇月の間に、あるいは1年の間に理想通りにできるということは申し上げられないのであります。私は知事になりましたときには、そういう考えもかなり持つておりましたが、さて実際に当つてみると、そうたやすく行かない、またこれには相当の時日と努力と訓練を要するということを私は覚悟いたしております。でありますから、縣の首腦部を初めとして最も精鋭なる人たちから、まず逐次御同樣のような氣持になつてもらうということを專念して、そうして能率を上げる。今日私は自分の信念におきましては廳員の諸君の数から行きまして、仕事の能率は――もちろん皆樣方からは御不満もございましようが、私は相当の能率は上つている。他府縣の縣廳を見ましても、私はその点については縣の幹部の諸君並びに廳員の諸君に感謝をしているのであります。しかしこれをもつて満足は私はもちろんいたしておりません。おりませんから、どうか早く役所の仕事も民主的に、能率的に行くように、あくまでも努力しなければならぬ。かように考えている次第でありますから、これには私はしばらく時日をおかしを願いたい。かように思つているのであります。 次には陳情、請願のことについて御指摘がございました。私は相当に処理しているつもりでありまするが、私どものところにはこういう請願がある、こういう建議があると参ります。いやしくも議会の御意見は尊重して、これが処理に当らなければならぬということは、私は知事になる最初からそのことは申し上げまして、これは文書によつて処理をしているはずであります。お話がございましたから、でき得る限りこの始末方は早く差上げたいと思います。こういうことについてのいわゆる実現――と申し上げてははなはだ相済みませんが、実現が必ずしもよく行つておりません。おらぬというのは、結局金になる、金に関することなのでありますから、金さえありますれば、この請願、陳情の実現はさほど困難ではございませんが、みな金がかかるようなことでありますので、他の仕事とにらみ合せて、次の議会に提出する運びに行くものはやる、そうでないものは他のものとにらみ合せて、常に議会の方々と御相談を申し上げてやつているつもりであります。 そのほかに、総務部長に対する自動車のことも、おつしやる通りだと私は思つている。これは私は買いかえる、少し高くても早く古いのをやつた方がよろしい、こういうことについてその歩を進めました。ところがまた自動車を買うにも非常に困難を來したので、一時停頓したような事情もありますから、これは総務部長の方から申し上げます。 あとは農地部長の方と、それから土木部長にお尋ねになりました道路の復興、橋梁等、地すべりのことについては御指摘の通りだと思います。これは土木部長の方から詳しく申し上げますが、しかしこの費用について中央からの助成は、私はいずれの縣にも劣らないだけのものの獲得は――もちろんこれは縣議会のお力もありまするが、縣選出の国会議員並びに廳員の諸君の熱意によつて、私は国の許される範囲において多くこれは獲得してある。かように信じておるのであります。なお詳しいことは土木部長から申し上げます。   〔総務部長 石井淸吉君登壇〕 ◎総務部長(石井淸吉君) 島田さんから縣有財産のことにつきまして評價がないじやないかという御質問がありました。たいへん剴切な御意見をいただきまして恐縮に存じます。と申しますことは、お手元に差上げてありますところの財産書は、昔からの形でつくつてあります関係もありまして、お示しの通り有價証券というものにつきましては金額が明らかでありますけれども、建物、土地その他につきましては評價してございません。御意見ごもつともでありまして、今後――しかしこれはなかなか正確にやりますことは容易でない問題でありますけれども、ごもつともと存じまして、研究してなるべくそうしたいと存じております。なおどれくらいあるかということでございますが、最近の調べと申しましても、少し古いのでございまして、昭和23年に一応評價いたしました数字が手元にございますが、これによりますると、建物の評價額は13億ばかりであります。それから土地は2億5,800万円ばかりになつておりますが、この調査もどの程度の調査でありますか、今これ以上の資料がございませんので、申し上げかねますのは恐縮でありますが、今後お示しのようなことを十分考えまして、縣の財産の現状を明らかにするようにいたしたいと存じております。 それから自動車の問題でございますが、まことにごもつともでございまして、縣廳の車はみな老朽と申し上げてもいいのでありますが、ただ率直に申し上げまして、お話のようにこれを台数を減らしても、修繕費のかからないような、燃料をあまり食わないような新しい車に買いかえまして、能率の上るようにいたしたいという氣持は強く持つているのでありますけれども、二十何台あると申しましても、実際これが常に働いている関係もあり、また財政などの関係もございまして、今まで思い切つてこれを新しいものに買いかえるという措置に出ることができなかつたような状態であるわけでありまして、修繕費のかさむのを痛心しつつやつているわけでありますが、なお皆樣の十分御意見を承りまして、今後自動車の更新、運営の能率化につきましては、十分注意をいたして行きたいと思います。なお燃料費700万というお話でありましたが、これは予算にあげております燃料費は自動車ばかりの燃料ではもちろんないのでありまして、お手元に上げてあります分類表によりますと、縣全体で二千何百万になつているかと存じますが、これはすべての仕事をやります上におきまして、また縣の各事務所、各廨等におきますすべての燃料費を含んでいるわけでありまして、その自動車の燃料はその一部、今はつきりした数字は私は手元に持ちませんので、もし御入用ならば、あとで財政課の者から申し上げてもよいのであります。さような状態でありますが、それはとにかくといたしまして、自動車の更新、運営の能率化につきましては、御意見ごもつともであります。十分今後留意をいたしたいと思つております。なおこの自動車の取扱いはどこが責任者であるかというようなお話もございました。時間中は、大体お手元の財産書にございます課が主管課となりまして運営しておりますが、時間外その他特別の事情があります場合におきましては、知事室の秘書課におきましてこれを管理運営するという方法をとつているわけでございまして、この目的も自動車の運営を能率化したいという点にあるわけでございます。なお自動車を新しく考える場合において、遊覽バスとか、多勢乘るようなものを考えてはどうかという御意見もまことにごもつともでございまして、いろいろ自動車の問題では、相当の経費を使います関係もあり、能率と修繕費の節約と申しますか、その点について一段とくふをこらしまして、皆さんの御意見をよく承りまして、今後遺憾のないようにいたしたいと存じます。   〔土木部長 五十嵐眞作君登壇〕 ◎土木部長(五十嵐眞作君) 土木の関係の防災工事と、短期生産計画との関連についてお答え申し上げたいと思います。 御存じの通り、最近あるいはアイオン台風、あるいはキテイ台風、毎年相次ぐ災害によりまして、非常に大きな損害を惹起しているということにつきましては、まことに憂うべき事柄でございまして、一部には災害亡国論というような説さえ起きているくらいなのであります。こうした情勢におきまして、政府におきましても昭和25年度の公共事業予算につきましては、全体予算としては相当減額を見ているのにもかかわらず、公共事業予算については前年度の倍額というような措置をとつておられるのであります。しかもその倍にふえた予算はほとんど災害の防止と、復旧という面に振り向けられていることを考えてみますると、いかにその面に重点が置かれているかということが、よくわかると思うのであります。しからば本縣においてはどうかということにつきましては、実は災害の根本的な防止策といたしまして、治山と治水ということを縣政の重点の一つとして取上げるということに、縣としてもしているのでありまして、先ほど予算面が淋しいじやないかというようなお話のようでございましたが、実は国庫補助事業がまだ決定しておりませんので、前年度通りというふうな措置をとつた関係上、あるいはそういうふうに見えるかもしれませんけれども、先ほど知事からお話のありましたように、皆樣のいろいろな御協力のお蔭で、あるいは縣選出の代議士の皆さんのいろいろな御尽力のたまものでもあり、予算は相当ふえているのであります。24年度予算におきましては土木部予算が約16億であります。これが新年度におきましては大体20億を越える。こう私は考えているのであります。おそらく全国的に比較してみましても、何番目という程度の有数のものであろう、こう考えているのであります。これにつきましては、余分のことでありますけれども、土木行政を推進するというだけでなくして、失業対策その他にも非常に役立つものと期待しているのであります。 次に、しからば、災害防止の点についてはどうかということにつきまして、御説明申し上げたいと思います。御承知の通り新年度から災害復旧工事は全額国庫負担となつております。こういう面でも、いかにそういう面に力を用いられているかということが想像されるわけであります。今私どもの予定しております数字は、災害復旧費約7億と考えておりますが、これは全額国庫負担であります。なお河川の改修工事につきましても、前年度の2倍以上の予算を見込んでいるのでありまして、かつ新年度におきましては、柏崎の鵜川を新規事業として取上げられているのでありまして、この方面も相当活溌にやり得るのではなかろうかと、こう期待しているのであります。また砂防の問題につきましては、新年度38河川、約8,000万円の予算を予定しているのであります。しかもこれは先ほど申しましたように、最近相次ぐ水害の防止という点から、主として治水方面、治水砂防として使用されるというふうに考えているのであります。比較的利害関係が局地的である。局部的であるというふうな関係から、地すべり砂防につきましては、国庫補助が比較的軽くなつているということは、やむを得ないと思うのでありますが、これに対しましては、縣としましても新規事業としまして地すべり砂防費を計上いたしているのであります。もちろん十分な予算ではございませんけれども、初めての予算ではあり、十分効果的に使用して参りたい。こう考えているのであります。また土木関係の予算ではありませんが、農林部関係の予算としましてなだれ防止の対策費が相当計上されておりまして、この面におきましても、災害の防止ということに相当役立つものと考えられるのであります。いずれにいたしましても、災害は結局病氣と同じようなものでありまして、金をかけて元通り直してももともとであつて、決して以前よりよくなるというわけではありませんので、從いまして私どもといたしましても、災害の復旧はもちろんでありますけれども、未然の防止ということに力を尽して、皆さんの御期待に沿いたい、こう考えているのであります。 また短期生産計画との関連はどうかというお話でございましたが、昨年策定いたしました短期生産計画に織り込まれている治水計画とか、災害防止計画とかいうものがあるのであります。これは大体において計画と大差ない実行ができ得る。こう申し上げ得るのであります。と申しますることは、昭和24年度におきまして道路費が飛躍的な增額を見たのであります。25年度におきましては、先ほど申しましたような災害の防止という点に政府の公共事業予算の重点も置かれている関係上、治水費、災害復旧費が25年度におきましては大幅に增額されたのであります。從いまして土木行政において最も重要な部分を占めます道路費、河川費におきましては、短期生産計画とあまり違わない規模で実行しつつある。これからもできる見込みであるということを申し上げ得ると思うのであります。以上いろいろ御心配いただきました防災ということにつきましては、格別の関心を持つて努力いたしたいと考えているわけであります。何分よろしく御協力をお願い申し上げたい。こう思うのであります。   〔農地部長 佐藤辰雄君登壇〕 ◎農地部長(佐藤辰雄君) ただいまの島田議員の御質問にお答えいたしたいと思います。お話の通り現在開拓地に入つておりまする純粹入植者の大部分は、終戰直後におきまして外地から引揚げて來ました者、並びに戰災によつて郷里に帰つておりました人たち、大部分がほとんど裸一貫、しかも農業技術に至つて乏しい人たちなのであります。これらの人たちがあの荒地に入りまして、なれない仕事をやつておりますが、御承知のように、最近のような経済状態になつて参りましたので、非常に営農の点において苦しんでいることは、われわれも常に憂慮しているのであります。これが指導に対しましては、実は昨年度から相当強く手を打つているつもりなのでありまして、ただいまは技術者を14名おもなる地区に駐在さしてやつております。国としましては逐次この技術者を減らす方向にあるのでありますけれども、本縣の特殊事情をよく認識してもらいまして、本縣の場合はこの技術者は25年度も減員をしないということになつております。何せよ開拓地の仕事は、仕事が新たなだけに、それ專門の技術者を得るということは非常に困難でありますので、現在の技術者に特にいろいろな講習をいたしまして、そうしてその技術の向上をはかるように留意いたしている次第であります。つい今月の下旬にもまた1回招集をする予定にいたしております。なお農業改良普及技術員も数百名ございますし、この中には特殊技術にたけている人たちが非常に多いのでありまして、今度はこの普及技術員の関係と提携いたしまして、そうして優秀なる特殊技術をこの開拓地に持ち込んで指導していただく、こういう方向をとりたいと考えております。なお開拓地はその大部分が特殊土壞でありますので、土壞の基本的な性質をつかみませんと、指導が思うように参りません。それで試験場と提携いたしまして、特に技術者を1人試験場に開拓関係から派遣しておきまして、そうして各開拓地の土壞を徹底的にただいま調査中であります。これを基礎にいたしまして適切なる栽培指導を加えて行きたい。かように考えております。なお開拓地の農場は特殊でありますので、先ほど御指摘のありましたように、開拓実験農場に対しましては、25年度は特に力を注ぎたい。從來品種試験と肥料試験だけをやつておつたのでありますが、今度は大家畜、中家畜、小家畜を導入いたしまして、そうして家畜混同農場の経営形態を研究して行こう、家畜を利用して畜力の完全利用の研究をやつて行きたい。こんなふうな研究に今手を染めている次第であります。今年度は中家畜を開拓地に相当たくさん貸付を行いたいと思つて、今予算に計上しておりますし、なお副業が山地帶には必要でありますので、副業の講習、また食物にいたしましても、從來の米を主食とする観念から離れまして、畑作農家は自分のとつたものを中心にして惠まれた食生活をして行く、こういう点から考えまして、食生活の改善指導に力を入れたい。かように考えておりますし、同時に実際にあえいでおります。開拓者の実態につきましても、堀り下げて研究の要があると考えまして、25年度には特に20戸の各階層の入植者を選びまして、そうして年間記帖していただきますと同時に、始終指導に参りまして、その実態を把握分析いたしまして、その欠陷、長所をつかみまして、今後の指導の資料にして行きたい。かように考えている次第であります。いずれにいたしましても、25年度は営農重点の指導で参りたいと考えておりますので、その点御了承を得たいと思う次第であります。一言御答弁を申し上げておきます。 ○議長(兒玉龍太郎君) 先ほど7番議員が御出席になりました。 ◆48番(島田久吉君) 簡單でありますから自席から……。知事初め各部長さんの詳細なる御答弁で、ほぼ了承をいたしました。しかしながら、まだいささか私の納得の行かない点もございますが、まだあとに質問者がおられますので、本日はこの程度で私の質問を打切りたいと思います。   ――――――――――――――――― ○議長(兒玉龍太郎君) 通告順に從いまして20番外川藤藏君の発言を許します。   ――――――――――――――――― △質問    ―――――――――――――――――   〔20番 外川藤藏君登壇〕〔拍手〕 ◆20番(外川藤藏君) 私は、二、三日前から心臟のぐあいが惡いので、先ほども注射をいたしたのであります。実はこの質問も打切りたいと思いましたけれども、せつかくでありまするから、時間の許す限りとは申し上げませんが、からだの許す限りにおきまして、知事さん並びに縣首腦部に対して御質問を申し上げたいと思います。 御提案になりました昭和25年度の予算におきまして、岡田知事の御説明によれば、一応当初予算の編成にあたりましては、政府の指導の次第もあり、現行制度によつて編成することといたし、すなわち現行縣税の12億8,600万円、配付税の昭和24年度実績11億二千余万円を一般歳入の基底といたしまして、これに事業執行に伴う特定財源の收入を加えまして、明年度の当初予算を編成することとした、かように述べておるのであります。さらにまた、本年度予算案は、現行制度による財源の全部を持ち出しまして、それを通年予算にしたのである。税制改革関係法案が国会を通過いたしまするとともに、あるいはまた平衡交付金の実施の傾向によつては、これに応ずるように、特に財源調達の面で更正を要する場合が予測できますので、その際はあらためて所要の手続をもつて議会にお諮りしたいから御了承願いたい。かように述べてあるのであります。シヤウプ新税制改革の途上にある過渡的現段階におきましては、一応了承するの余儀ない次第でありまして、この点論議の中心がないのであります。從いまして、先般來開催中でありました第一部委員会におきましても、ただ関係当事者から、今後実施されるべき新税法の大要と、それに伴いまして予想される縣税收入の御説明を拜聽したにとどまつているのであります。新税法によつて縣税として收入を見込まれる額は、その説明によりますると、附加價値税の5億8,600万円、遊興飮食税の2億5,000万円、入場税の1億2,600万円、これが縣税收入の骨骼をなしておるのであります。さらにこれに加えまして自動車税2,772万円、あるいは鉱区税の2,317万円、ないしは電柱税の1,315万円、そのほか雜税を加えまして、大体見込み得る税收は10億3,500万円と相なつているのであります。シヤウプ税制勧告の根幹は、もちろんドツジ声明に附帶するところの、すなわち税制の恒久的な改革であるのであります。なおまた行政の配分措置がそこに講ぜられることは、私が申し上げるまでもないのであります。すなわち中央集権の打破と地方自治の確立にあるのであります。そこでこの新税制を実施する場合におきましては、当然縣といたしましても、この実施面においては幾多の苦難のあることが想像されるのであります。もちろん町村におきましても、その感を深くいたしておりまするので、縣税の收入の面、あるいは町村の財政、税制のこの執行にあたりましては、縣当局といたしまして、十分なる指導が必要であることは申し上げるまでもないのであります。この点はしばらくといたしまして、私はこの縣税の各税目について、一応檢討を加えてみなければならぬと考えております。今後予想されるべきこの新税制による縣税收入額の見込みに対して、一応檢討を加える必要があるのであります。 すなわち附加價値税の5億8,600万円、これは申し上げるまでもなく事業税、特別所得税、それにプラス從來の取引高税といつたような、世界で初めて行われた税であることは皆さん御承知の通りでありますし、こうしてその中には、農業あるいは牧畜に関する事業税はこれをとらない。かように目下の段階においては規定されてあると承つております。ないしは林産業におきましては、地租との関連におきまして、これまた特別の措置が講ぜられるように承つているのであります。かような観点から考えてみまするときにおいて、私はこの税金の大部分は、農業以外の中小商工業者によつて負担されるという実態にあるではなかろうかと、かように考える。あるいはまた2億5,000万円の遊興飮食税においてもまたしかりであります。これらの施設はおうむね都会地にございまして、農村には比較的因縁の薄い施設に相なつておりまする関係上、これを利用いたしまする面は、おうむね都会の人である。いわゆる市町の人である。かく考えてみまするときにおいて、これまた農村とあまり関連がないという結論に到達いたすのであります。あるいはまた入場税においてもその通りであります。今日農村文化が発達したと言いますけれども、はたして農村に映画館あるいはその他の娯樂機関がいくばくありましようか。かように考えてみまするときにおいて、たまたま農村の靑年あるいは農村の婦人諸君が、映画娯樂を見ようと思いましても、それはおうむね都会へ行つて見るのでありますから、1年に何べんしかない。かように考えてみますると、この間接税もおうむね都会の人がこれを負担しなければならぬ、かように考えられるのであります。自動車税は、農村とは、全然とは申し上げませんが、ほとんど関係がない。ないしは電柱税あるいは鉱区税においてもその通り。かく考えてみまするときにおいて、10億3,500万円の大部分の縣税收入は、農村をのけた以外の人たちによつて、これが負担されているという結論に相なるのであります。そこで、ここにおきまして縣民の関心が大いに違つて來たのではなかろうか。すなわち商工業者によつて縣税の大部分が負担されるという考え方、さてそうした場合において、本縣の農政がはたしてどうなるであろうか。農民の立場からそうした考えが生れて來ることは、これはまた当然であります。この点につきましては、先般來議員によつてそれぞれ本縣の施策について、轉換する要はないであろうかという、きつい御質問のあつたこともまた拜聽いたしておるのであります。これにつきまして先般久保田副知事は、政策は決して商工業に重点的に轉換するわけには行かない。あくまでも農業と商業と並行なる態勢をもつて進めて行つてこそ、本縣の施策がそこにあるのである。かように申し述べられておるのであります。私はその所見に対していささか考え方を異にいたしておるのであります。もつと高度に考えなければならぬ、かように考えておるのであります。もちろん今日中小企業が非常な状態に陷つている。瀕死の状態に陷つている。これが打開についてはひとしく私は認めておるのであります。今日ただいま発案になりましたところの予算の内容を見ましても、あるいは発明奬励事業が取上げられております。あるいは貿易振興のためも相当の予算が盛られてあります。ないしは販路の拡張についても、その通りであります。あるいはまた共同施設に対する融資に3,000万円という画期的な予算も盛られてある。あるいはまた中小企業金融対策といたしまして1億円、あるいは信用保証協会の実施において4,000万円。これらいずれも中小企業の今日の状態を救済せんとする大いなる予算が盛られてあることについては、私は一応敬意を表するのであります。また縣民の一員といたしまして、かくあるべきことを私は主張する一人であるのであります。なかんずく、これが推進にあたりましては、試験研究機関の整備拡張にも非常に力を入れられておられる縣の施策に対して、一応敬意を表するのであります。 そこで私は、この金融対策について一応批判を持つているのであります。もちろん今日の中小企業に対する金融はどうしてもやらなければならぬ。しかしこれに対して一、二の批判の余地がないわけではないのであります。なぜかと言えば、縣のいわゆる歳計現金を融資をいたすことについて批判があるのであります。私はその批判に対して同調いたすわけではない。もちろんこれは適切なる施策であるが、これは恒久的の対策ではない。いわゆるカンフル注射の施策である。一時を救済してやろうという、恒久性のない対策であると私はかように考えている。むしろこの1億4,000万円を恒久的な施策に持つて行つてこそ、初めて久保田副知事が言われるところの農業と商業との並行の対策がここに得られると私は考える。これを現在中小企業の窮迫しておりまする立場から考えて見まするならば、この融資は当然やるべきものであると考えまするが、この融資のために、はたして商工業が起ち上ることができるか。あるいはこの融資のために、さらに重荷を担ぐのではなかろうか。すなわち商工業者に対して、この融資により自殺行爲を求めるのではなかろうか、かように私は心配をいたしておるのであります。でありますから、この融資は、当面の問題としては必要でありましようけれども、今日縣はさらに高度の立場に立つた施策をもつて、これにこたえられる用意があるかないか、この点を私はお伺いしなければならぬと考えているのであります。そこで私はさらにこれを農業の面について考えてみたいのであります。 農業は日本経済の支柱であるというところの、古今を通じての国策の基本観念を沒却することは、断じて許すことのできないことを、知事は御銘記を願わなければならぬのであります。建国以來日本は、農は国家の大本であると言つておる。まことに古い言葉ではありますけれども、日本の産業のあり方をはつきり明示いたしておるのであります。日本の産業の発展の過程を顧みまするならば、まず農業が起つたのであります。それから商業が起つたのであります。次に工業という順序に歴史は繰り廣げられたことは、私が申すまでもないのであります。この歴史的過程におきまして、農業が果した役割の具体的事実については、今その詳細を申し上げる時間的余裕を私は持つておりませんが、要するに農業こそ各種産業の基盤であり、日本経済の支柱であることは、だれがこれを否定する者がありましよう。一人としてこの事実を否定する者はないと考える。本縣におきましては、なおさらその観念を深くいたすのであります。新潟縣といたしましては、自他ともに穀倉としてこれを許されているのであります。本縣の産業が、ただいま申し上げたように、農業を基盤として発展して参つたことは明確な事実であります。本縣の農業生産行政の上におきまして、その置かれてあるところの立地條件というものは、御案内のごとく單作地帶、冷害地帶、雪害地帶として、きわめて不利な立場にあることは申し上げるまでもないところであります。しかるに縣民240万、その大半が農村人口であるというこの現実に鑑みましても、この不利な立地條件を克服して、今日の農業縣を建設した農村先人のことを考えると、それは苦鬪の歴史であつたと私は考えるのであります。しこうしてまた戰時中からの嚴粛なる供米制度は、経済的にはもちろんのこと、精神的にも農民に大なる苦しみを與えたということは、これまた明確な事実であります。しこうして本縣は、供米成績全国第1位を誇つたこと連続2年に及んでいると私は聞いております。その間における知事の施策並びに農林関係当局の努力には、まつたく敬意を表するものがあるのであります。反面、農村の犠牲において打立てられましたこの涙の栄光を、知事はもちろん縣民は忘れてはならないのであります。今や農村は経済的危機の嵐の中にあるのであります。かつ農村恐慌の不安は刻一刻としてその度を加えて参つているのであります。このことの詳細については後刻申し上げてみたいと思うのであります。本縣行政の重点をどこに置くか。万一その施策において岡田知事が一歩を誤つたならば、本縣の産業の全面的崩壞を來すことは、当然予測し得ることと私は考えるのであります。(「ヒヤヒヤ」)先ほども申しましたごとく、さきの久保田副知事の、商工業と農業が並行して行くべきだという、きわめてあさはかな考えに対して、私は御答弁を求めなければならぬと考えると同時に、知事の御所見も、また久保田副知事と同一であるかどうかということをお聞きしなければならぬ。すなわちその施策の根本的な観念について、私は十分に拜聽しなければならぬと考えるのであります。私は商業と工業こそ、これは並行に行くべき性格のものであると思う。しからば一体農業はどうか。産業の発展的過程の状態から見まするときにおいては、農業はあたかもレールのごときもので、その上を商業と工業とが相並行して初めて本縣の施策が全きものにある、かように考えておる。この点から知事並びに副知事より、十分施策実施に関する根本方式を承りたいと思います。 次に私は、農業恐慌と農村の経済危機に対する今後の基本的施策について承りたい。戰後の深刻なる食糧不足が、欧州大陸及びアジヤの諸国に限りない不安をもたらしてから5年に相なつておりますが、いまだ世界のある地域には飢饉の脅威去らないのであります。さりながら、一面他の国々においては、食糧の過剩による経済不安がいよいよ深刻となつて参つて來たと傳えられているのであります。食糧の国際的割当を行つて参りました国際食糧緊急委員会も、昨年の秋廃止されたことは耳新しい事実であります。これはすなわち世界的な食糧過剩の現実を物語つていると考えるのであります。すなわち欠乏と過剩、まつたく相反する現象が、それぞれの地域でそれぞれの人を悩ましているという事実は、現代世界の持つ大なる矛盾の一つであると考えるのであります。食糧過剩国であるアメリカの例は、私が申し上げるまでもなく御存じのことと思います。1949年、すなわち昨年から本年に持ち越されましたアメリカの食糧はどのくらいかというと、8億ブツシエル、1億6,000万石と称ぜられているのであります。しかも農産物の價格は、昨年は12%下落いたしておりますが、なお本年は10%下落すると予想せられていると聞いております。この事実は12日の朝日新聞が明確に報道いたしております。かような状態でありまするがゆえに、余剩農産物の海外ダンピング政策をとらなければならぬというのが、アメリカの今日の食糧事情である。ことに米農務長官の談によりますると、1月末現在のアメリカにある馬鈴薯は5,000万ブツシエルといわれているのであります。政府はこの5,000万ブツシエルの馬鈴薯をどうするか。結局始末におえないから、くれてしまえという計画を立てているということも、報道されているのであります。かくのごとくアメリカにおきましては、非常に食糧が過剩な現況にあるのであります。從いまして、これに対する対策といたしまして、あるいは作付の制限をやり、あるいは販賣の制限をやるということが論議されていることも承つております。なお生産過剩の国はまだたくさんあります。カナダにいたしましてもしかり、オーストラリヤにしてもしかりであります。あるいはアルゼンチン、タイ、ビルマ、これらいずれも食糧過剩の国であります。ことにわれわれ注目しなければならぬのは、かのソ連でさえもパンの配給制を廃止していることであります。あるいはまた食糧の輸入国であるイタリア、フランスにおきましても、パンの統制を撤廃いたしております。かようの状態に相なつておるのであります。しこうして、御案内のごとく日本には375万トンの食糧が輸入される。もちろん日英通商協定もできており、日タイ通商協定もできておる。かような現況になつておる。今日の新聞をごらんになればわかりますが、あまり食糧がたくさん入つては困るからというので、政府は316万トン程度にしてもらいたいと、あちらに要請しようとしておるのであります。輸入食糧により、食糧事情の前途が非常に明るくなつたということは、国民的に喜ばしいことでありますけれども、そのことによつて將來の日本の農業経営の面は非常な不安と暗黑に包まれるのではなかろうかということを心配しているのであります。これも今日の新聞で散見いたしたのでありますが、日本政府は供米制度、食糧管理制度の大改革をやろうということまで考えて、あちらに伺いを立てているのであります。要するに国際情勢からいつたならば、食糧は非常に多くなつておる。かようなことを考えてみまするときに、日本農業の上にこれはおそるべき重圧となつて來ることが当然予想されるのであります。 さらに、農民の直接経済の面について檢討をいたしてみまするならば、過去においては過重な超過供出に非常に苦しめられ、しかもその米價は非常に安かつた。あるいはまた6・3・3制度の実施のために、負担が非常に重くなつた。ないしは自治体警察を置いたことにおいて、これまた負担が非常に重くなつた。これらは現実いずれも農村経済を非常に圧迫いたしたのであります。なかんずく税金の問題においては、いまさら私が申し上げるまでもなく、農村という農村は、ほとんど全部の金を税金で吸い上げられて、まつたく無一物であり、あすの再生産さえできないという現状になつているのであります。しかも農村においては、引揚者、戰災者、復員者をかかえているという状態にあるのであります。このために農村の人口が3割ふえているということも事実であります。(拍手)こういう非常な状態にあるのであります。今にしてこの農村を救済しなかつたならば、日本の農業、新潟縣の農業は一体どうなるか。この間私は知りましたが、農業手形が21億円融資されるという非常に朗らかなお話を承りまして非常に愉快に思いました。しかしこれも中小企業に対する1億4,000万円の融資と同樣、今後の経済界において、將來この農業手形がなせるかどうか。私はこの農業手形は結局は農村を自滅に導くのではなかろうかという懸念を持つているのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)しかも私は、これらの事実は、あるいは農民を昔の農奴に還らしめるのではなかろうかと、非常に心配しているのであります。ここで私は一応知事にお願いを申し上げておかなければならぬ。この農業手形は、日本銀行からは1銭6厘で出て來る。それを農協は2銭6厘で貸す。その差8厘である。これは非常に大きいので、せめて1銭6厘でただちに農民の手に渡るよう、何とか知事にお考えを願えないか。これらについても承つておかなければならないと考えるのであります。かような状態から考えまして、新潟縣の農業は非常に窮迫した状態にあることを、知事は十分御認識を願いたい。ことに知事の予算説明によりますと、縣民経済の大半を占める農林業関係について、將來懸念される農業恐慌にも備えて、生産增強については合理的経営の科学的処理方策を指導する必要が痛感されるので、生産增強、品質改良及び技術普及の経費として2億七千六百余万円を計上した。かように申し述べておられるのであります。しかしながら私は、知事さんのお考えについて、さらに一応お聞きしなければならぬ。農業恐慌、農村危機は今現実の問題であつて、將來來るであろうと懸念されるなどという、なまやさしい問題ではない。現実が恐慌であり。農村危機であるということを、知事さんから明確に御認識願わなければならぬ。 しこうして私は、予算の面について一応檢討を加えてみなければならぬのであります。予算の面においては、なるほど金額はある程度伸びてはおりましようけれども、從來とつて來た予算樣式と大したかわりがない。いわゆる淸新味がない。農業危機を救うという根本的の施策が一つも盛られていない点、私は遺憾の意を表さなければならない。しかも総花式である。もう役人一人々々の予算であるというふうに私は考える。穀倉新潟縣の農業をどう持つて行くかという根本的の施策が非常に欠けていると思う。この点知事さんからよく御了解を願わなければならぬと考える。もちろん農地改革は無血革命といたしまして、りつぱに行つたのであります。ことに本縣のごときは、農地改革が非常にスムーズに行つたのであります。さりながら、かつてマツカーサー司令官はどういうことを言つたか。日本の農地改革は、今後零細農に陷らぬように注意しなければならぬという示唆を與えている。外国の農地改革は、少くとも農地の解放と同時に、経営の合理化等あらゆる面がそこに敎えられておりますけれども、日本の農地改革は、ただ解放をする面だけでしかない。かかるがゆえにマツカーサー元師が、今後零細農にならないように注意せよという示唆を與えていることは皆さん御承知の通りである。そこでここに何とかして偉大なる政策を考えてもらわなければならぬ。何といつても農業の根本的施策は、まず土地改良にあることは申し上げるまでもない。社会党の本原君は口をすつぱくして言つており、私も木原君の御意見には賛同いたしておりますが、ただここでさらに取上げななければならぬ大きな問題は、交換分合であると私は考えるのであります。縣の予算を見ますると、377万円を計上されております。御承知の通り、日本の農業新潟縣の農業というものは、労働の生産性をあげなければならない。日本の農業の状態から見ますると、1人の農夫が2人分の食糧しかとつていない。アメリカの農夫は、1人で34人の食糧をとつているというこの現実を考えても、交換分合がいかに必要であるかということは、喋々するまでもない。しかるに377万円の交換分合の経費はどういうふうに使われているか。事務費の一部を取除いたものは、全部市町村の農業調整委員会に補助金として出しており、きわめて消極的な、きわめて他力本願的な仕事をしているのであります。もちろん今日は民主主義の時代であるから、町村の農業調整委員会が交換分合に向つて一大邁進をしなければならぬことは当然であります。しかし農村というものはさよう簡單には参らぬ。御案内のごとく、半日歩いて行くところにあつても自分の田圃というものは大事で、それを交換分合しようと言つても、なかなか承知してくれない。あるいは農業調整委員あたりにしましても、自分のところはなるべくうまくやりたいという人たちがややもすると多い。だから377万円でもつて適当にやれ、自発的にやれといつても、なかなか容易なことではない。かようなことで、はたして本縣の交換分合ができるとお考えになるか。この点知事から承りたいのであります。 次に私は、畜産行政について、農林部長、農地部長にお聞きしたいのであります。なるほど人工授精のために430万円、家畜衞生のために960万円を計上いたしまして、いずれも畜産の生産增強のために、施策を講ぜられている点については敬意を表します。しかしながら、現在の状態はどうでありましようか。豚1頭5,000円で買つたものが、今日一体いくらで賣れるか。農村は大体100文程度で賣れるという予定でもつてやつたのに、28文でしか賣れない。ほとんど投賣り同樣であります。この現実を知事は一体どう考えるか。ただ、ふやせふやせといつても、ふやした結論が、これではばからしいから投賣りしてしまうという実情を知事はよく御存じになつているか。農林部長は御存じになつているか。たまには農村の実態を把握するために農村に來てもらいたい。この点については、社会党の小林君も、委員会においてるる述べられましたが、私も5,000円で買つて、豚を10頭飼つているが、えさが高いために持ちこたえられないで、やむを得ず28文で賣つた体験を持つているのであります。なるほどふやす点についての施策は十分に考えておられますが、生産品の処理、加工に対して何らの手を打つていないことは、私はまことに遺憾であると思う。生産のために430万円ないし960万円出しておられるのに対して加工、利用、販賣の面においてわずか180万円しか出していないというこの事実、これでバランスが合うとお思いなるかということを、私ははつきりお伺いしなければならぬのであります。あるいは加工処理の方面について、何か適切な御施策をお考えになつているのであるか、この点もお聞きしなければならぬのであります。 次に水田裏作について一応承らなければならぬのであります。水田裏作につきましては45万円を計上いたしております。知事は多角経営、有畜農業、いろいろの面についてお話になつておりまするが、この水田裏作こそ、私は多角経営の一環として、最も重要視しなければならぬ問題であると思います。この点について、一昨年來菜種栽培を非常に普及なさいました。私は三島郡でありますが、三島郡、古志郡の一角、あるいは西蒲原におきましては、この縣の施策に相呼応いたしまして、あのごとくに菜種栽培を進めたのであります。これは私は大きな知事の功績であり、農林部長の施策よろしきを得たものと考えまするが、いよいよますます裏作の土地利用が重大視される今日におきまして、45万円で足りるとお考えになるのかどうか、この点も明確にお知らせを願わなければならぬのであります。 次に、いも類の作付轉換の新方向についても伺わなければならぬのであります。まだはつきりはいたしませんが、いも類統制もほどんと撤廃の城に達しております。このいも類の統制が撤廃された後において、この作付轉換をどこへ持つて行くか。これは非常に重大な問題であると考えるが、今回の予算面においては、そのことが何も出ておりません。この点について、かつて私は農林委員会において農林部長にも自分の所見の一端を述べたことがある。たいへん重大な問題であるから、これをどうしますか。私をして言わしむるならば、これは大豆の增産をやれということを言つた。大豆は轉作しやすいから、まず大豆をおつくりになつたらどうか。幸い新潟縣は佐渡みそという特産物を持つているから、これによつて新潟縣みそとして特産の名声をとるようにしたらどうか。それから油を搾り、みそ、しよう油をつくる。こういう点でいも類の作付轉換は、決して難事ではないということを申し上げたにもかかわらず、今度の予算においてはそのことが何も取上げられておらない。このことについて私は、知事並びに農林部長の御所見を承らなければならぬのであります。そこで、裏作の菜種と大豆の問題とかみ合せるときにおいて、そこに油脂研究機関の設置が当然必要になると思う。米ぬか油の統制撤廃は間近になつております。新潟縣は米ぬかの油を搾るのに過去何年か苦鬪いたしておりましたけれども、最近の情報によれば、すでに統制の撤廃が間近になつている。これらのことを含めまして、本縣の油脂産業をもう少し活溌にしなければならぬ。御承知の通り、新潟縣には三百幾つの油脂製造業者がおりますが、いずれも中小企業の仲間でありまして、今日は氣息奄々たる実情に相なつておるのであります。いわゆる新潟縣を油の産地たらしめるという見地からいたしまして、これらの生産者のとつた油を2次加工いたし、優良な油を出すということのために油脂研究機関の整備拡張が必要であると思うが、これらに対して御所見があるかないか、承らなければならぬのであります。 そのほか優良品種の增産について相当の経費をかけてありますが、なおかつ隣りの富山縣から1,000石の原種を買わなければならぬという現況に相なつておるのであります。こういう点について、知事はなるべく買わないでよいような施策をお考えになる意思があるかないか。 そのほか、こまかしく申し上げますとたくさんありますが、省略いたしまして、要するに今申し上げたこれらの事実から考えまして、農業恐慌に対する本縣の施策をどこに置くか、農村危機打開のためには、どこに基本方式を置かれるかということをお聞きしたい。 さらに、知事はモデル部落、モデル町村、モデル保健所と、モデルという言葉をこの予算面にたくさん使つているが、少くともこの時期に、穀倉として自他ともに許す新潟縣は、その施策の面において、日本のモデル農業縣としての実績をあげてもらうように、研究御努力を願いたいということを特にお願い申し上げまして、今までの御質問にお答えを願いたいのであります。 最後に私は敎育問題について、知事並びに敎育長に承りたいのであります。なかんずく高等学校の問題について承ります。憲法第26條には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく敎育を受ける権利を有する。」と規定されております。しかもまた第2項には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通敎育を受けさせる義務を負ふ。」というふうに規定されて、いずれにも敎育の機会均等が明確に現われていることは御承知の通りであります。そこで本縣の高等学校敎育におきましては、学区制を設けましてその実をあげつつあることには敬意を表しまするが、私は昨年來高等学校の再編成についていろいろ物議、世論が起きて参つたこの事実に対して、一応お尋ねをしなければならぬと同時に、それに対する敎育長の明確なる御所見を承らねばならぬのであります。高等学校は、以前は57校であつたが、幸いにして6箇校整理されまして、51校になつたのであります。しかしながら整理統合とは一体どういう意味か。ただ整理するだけが整理統合の本質では決してない。整理すべきは整理し、統合すべきは統合し、新設すべきは新設してこそ、初めて整理統合の実があがると、かように考えている。しかるに敎育長の今までのやり方は遺憾ながら整理のみをもつて整理統合と考えておられるように私は拜見いたすのであります。御承知の通り縣下において高等学校を必要とする熱烈な叫びのあることを、あなたは御存じになつているはずである。すなわち三島郡においては西越の高等学校、南蒲原においては見附の高等学校、あるいは小出の高等学校、白根の高等学校、こういう4つの高等学校が地元の非常な熱意のもとに浮び上つて來ていることは御承知の通りと思います。(「まだある」と呼ぶ者あり)まだたくさんありますけれども、熱意を持つているのは主としてこの4つであります。この場合私は例を西越の高等学校にとつてみたいと思います。西越の高等学校においては、定時制をしいてやつていることも御承知の通りである。西越を中心といたしまして、南は刈羽郡の石地あるいは内郷、三島においては寺泊、大河津、島田、桐島、出雲崎、この8箇町村よりぜひとも西越に高等学校をつくつてほしいという熱烈なる要望があることは敎育長も御承知になつているはずである。その人口は5万1,943名ありまして、私は学区制をしいてさしつかえない地域だと考えているのであります。しかも現在その地域から、あるいは柏崎の高等学校、あるいは卷の高等学校へ、汽車にいたしまして約1時間、その汽車まで來るのに1時間以上もかかつて出て來なければならぬというそれらの人たちが、現在272人おります。朝4時ごろから起きて柏崎あるいは卷、あるいは三條、こういうところに通つておりますので、この地点にぜひともひとつ高等学校をつくつてもらいたい。ただいま通学しております272名は、おうむね有産階級の人です。比較的金のある階級の人たちなのでありまして、それ以外の人は行きたくても行けないというあわれな現実に相なつているのであります。しかもこの8町村について、本年度の入学志願者の数を調べてみますと、全日制については174名、定時制については124名あるのであります。でありますから、この見地から考えても、私はあそこに学校をおつくりになつても、決して心配はない、かように考えているのであります。(「與板はどうなる」と呼ぶ者あり)そのことはあとで申し上げます。條件といたしまして、西越におきましては、定時制の現在の高等学校を全部提供する――村は相当の設備を持つておりますので、それを全部提供することと、なお新制中学校の校舍が12敎室あるが、これも出しましよう。屋外運動場の拡張についても相当の用意と覚悟を持つております。さらに本年度の設備その他の資金として200万円くらい提供いたしましようと、敎育長に向つて進言し、熱烈な要望をいたしておるのであります。しかるにこれに対しまして、高等学校の再編成ができないうちはだめだというふうに、お断りを食つております。あるいは設備が不十分だという意味で、これもお断りを食つております。なお與板の高等学校の問題について非常に御心配になつているが、先日の新聞をごらんになればおわかりになると思う。120名の募集人員のところ、49名超過をいたしております。1学級增加してとつている。かかる現況に與板の高等学校があることを石黑議員も御認識をしてもらいたい。さらに多くの応募人員が予想されるので、長岡鉄道の電化を急いでいるのであります。この長岡鉄道については、知事はかつてその会社には深い関連をお持ちになつておりますから、非常に御認識があると思うが、そのために三島の全町村あげてこれに賛同いたして、われらの鉄道である。われらの学校通学のために、われらの産業復興のためにと700万円の增資を確定いたしております。そうして1,000万円になつたら、ただちにこれを電化しようという氣運にまで到達いたしておる。かくのごとく、いずれの方面から考えましても、その熱意においては欠けるところが一つもない。しからばこれができない原因は一体どこにあるか。設備においては十分なりという議員の話もあります。知事は常にこういうことを言つておられる。お互いにとも汗をかこうじやないか、お前たちこういうことをしてもらいたかつたら、お前たち自身も汗を出してくれ、おれも汗をかくから民主主義の行き方は諸君の熱意にあるということを始終言つているが、かくのごとく設備まで出してやろうというにかかわらず、もつと熱意を出せというのか。どのくらい汗を出したならばこの高等学校ができるのか。(笑声)この点を明確にお聞きしなければならぬ。さらにまだお聞きしたい点がたくさんありますけれども、からだのぐあいが惡いので、この辺に一応いたしておきますが、基本的な問題について承りたいのであります。(拍手) ○議長(兒玉龍太郎君) 先ほど26番議員、12番議員が出席になりました。   ――――――――――――――――― △答弁    ―――――――――――――――――   〔知事 岡田正平君登壇〕 ◎知事(岡田正平君) 外川さんの御高説をゆつくり拜聽さしていただきましたが、私は財源のことにつきましては、おつしやる通りだと思つております。從つてこれをどう振り向けるかというようのことで、いわゆる縣税が商工業方面に重くなつたから、農の方を軽んずるというような考えは毛頭ありません。從つて外川君の指摘される今後日本は農によるべきか、工によるべきかというようのことは、私はこれから申し上げますが、おそらくこれは、だれでも断言はおできにはなりますまい。非常にむずかしい問題であります。世界においてこれは何人も断言できない。私はかように信じております。私は今日の農業は、あくまでも食糧の自給自足を建前にして行くべきものである。こう思うのであります。しこうして農業の改良は、あくまでも協同組合組織で行かなければいけない。外川さんは、助成金でよいとおつしやるが、助成金も限度がある。私はかように思います。あくまでも農業を基盤として自給自足をするようにして、この商業というものをその上にのつけて――レールということはあなたのお説の通りであります。土地改良から農村の文化ということに力を入れて、あくまでも農業の效率をあげて行かなければならぬが、それにはどうしても土地改良が必要であります。また今日農村の文化施設には非常に力を入れなければならぬが、これは協同組合の力でなければ私は絶対にできないという確信を持つております。いたずらに助成金をやるというようなことはむしろそれを誤らしむるものと思う。農地の交換分合もお説の通りまつたく同感であります。しかしながら自給自足を根源として、そうして輸出し得るところの日本の特殊の農業生産ということにまた力を入れなければならぬ、かように思うのであります。この農業については、世界的の動向に常に目を入れて行かなかつたならば、おつしやる通り私は非常に危險がある。こう思うのであります。ただ、あなたのおつしやるの農に重きを置くか、商工業に重きを置くかということについては、今申し上げた通り何人も断言はできまいと私は信じております。これは單に日本の食糧事情だけでなく、おそらく世界いずれの国におきましても、商工によるべきか、農によるべきかということは、最後の場合においての――今日日本においては比較的それが立てやすい。なぜならば、憲法において戰爭を放棄している。その点においてやや立てやすいが、他の国においてこの分岐点をはつきりと言い得るものがあつたならば、私はいかなる人とも論戰を試みたい。かように思つております。 農業の方面においての経済的危機、これもおつしやる通りであります。しかし、これは農業だけでなく、特殊の人を除くほかは、今日ほとんど危機にあると思う。私に遠慮なく言わしめるならば、あの農産物が非常に高かつた、あるいは織物等が高かつた当時、当事者が安易に考えていたのが非常に間違つていた、かように考えます。そのときに引締めてかかつたら、かようのことはない。その当時も私は言つたことがあるのでありますが、このままで行く道理がないということを、私は考えておつたのであります。しかし今日危機に至つておるので、やはり縣としてもあなたのおつしやるように、できるだけ多く救済の手を差伸べたいが、それのみに注ぐというわけにいかないことは、あなたも御存じの通りである。私はかように思つております。ある限度のものをそれに向けるとしても、一方が強くなれば、一方は軽くなるにきまつている。そのバランスをとるのが私どもやあなた方の役目じやないかと考えている。これを單純に考えて、一つの線に向つて進めて行くということはきわめて危險じやなかろうかと思う。あなたは非常に遠くおもんばかつて憂えておられますが、その一面においてまた簡單にお考えになつておりはしないかという危惧の念が、お話を伺つているうちに生じたのであります。この点につきましては、私どもはできるだけ両方軽重となく、バランスのとれるようにやつて行きたいと思つております。これはやはりあなたの御指摘になつた総花式ということになるが、一つの基盤がはつきりできましたときには、私は重点的に行くべきものじやないかと思う。お互いに困つているときには、不十分ながらがまんして行かなければならぬ。今はこういう時期じやなかろうかと思うのであります。 さらに畜産といも、油脂、優良品種、農村の施策、これはそれぞれの部長から申し上げます。 最後にとも汗の問題、その通りであります。その通りでありますが、これは今私の手を離れまして敎育委員の方で、あれはどうする、こうするとおつしやられても、これは私もいたし方がないのであります。この点御承知おきを願います。   〔副知事久保田才次郎君 登壇〕 ◎副知事(久保田才次郎君) 最初に、この前の高橋さんの、農業政策を重視すべきか、商工政策を重視すべきかという御質問に対して、私が答えた事柄を、レールと機関車の関係で説明すれば、非常におもしろみのある政策だということで、おほめにあずかつただろうと思うのでありますが、そう言わなかつたために、非常に貧弱だということを言われました。実は外川議員と私は大体において考えが同じであります。從つてあなたが、自分の意見が貧弱であるということをおつしやつたではないと思います。これは私の表現方法が貧弱であつたので、内容は同じでありますが、これからひとつ申し上げたいと思います。 つまりあなたのおつしやるように、世界の食糧事情、日本の農村事情、新潟縣の農村事情、これは実に危機に瀕しております。從つてこれに対する対策は從來にも增して重視すべきである。これが1つ。それから次に、日本の経済の発展段階についてあなたはおつしやいましたが、世界いずれも同じような径路を経ております。そうしてただいま知事が言われましたように、そういう径路を経ておつても、これが今後どうなるかということは、現在の国際情勢から判断できません。從つて断定的には言えませんけれども、從來はかような径路をたどつて來たのであります。そこで現在の新潟縣の商工業に対する対策を考えますと、もう少し重視しなければならぬのではないか、こういうことを私は考えるのであります。從つて農業政策は重視すべきも、また商工政策も今後はさらに重視すべきである。こういうことを申し上げたのであります。そのつり合いをどうするかということは、またその情勢に応じてかわることでありますので、要するに從來よりも重視しなければならぬということを申し上げたのであります。さようお含みを願いたいと思います。 それから商工政策のうちで中小企業対策でございますが、これもこの前の答弁で申し上げた通り、現在中小企業が困つておりますのは技術がまずいこと、経営がまずいこと、商品の販賣に困難があること、こういうことがおもな原因であり、さらに最後には金融問題が一番困難なことである。從つて試験所の拡張とか、博覽会、物産陳列所を開くとか、それからまた共同施設をしまして合理化するというようなことは、25年度の予算に御提案申し上げてありますので、ごらんくださればおわかりと思います。 次に金融の問題でありますが、金融問題は、縣の歳計現金を貸すだけではほんのカンフル注射にすぎないではないかとおつしやいますけれども、かりに現在言われておる、本年の末ごろには景氣が上向いて來るではないかという予想が当るとすれば、これから先年末ごろまでは、非常に苦しい時期である。そのときに業者がつぶれないで済むということは、結局金の問題であります。從つて縣はあらゆる手を使つて、この金融対策は講じなければならぬ、こう思うのであります。それの恒久対策を考えろとおつしやるわけでありますが、今申し上げたような対策が、われわれの考えているせいぜいのものである。縣費を対象としてはせいぜいのものである。こう考えております。なおそれ以外によい対策があつたらお示しを願いたい。ただしこれは縣費を使つてという意味でありまして、縣費を使わないでやる施策ならば、いろいろ方法がありますけれども、縣費を使うならば、われわれが考えますところでは、これ以上のことはないということでやつているのであります。 それから最後に、少し意見の違いますことは、今後縣税は大部分都会の者、商工業者が納める。從つてあなたのお考えでは、もう少し商工政策を重視すべきであるという結論になるだろうと思うのであります。私は商工政策を重視するということについては今申し上げたような次第でありますので、決して反対ではないのでありますけれども、ただ税を納める者が商工業者であるということから、農村と全然関係がないかというと、決してそうではない。中小商工業者によつてつくられる。あるいは賣られるものは、結局その消費者は農家である。本縣の大半が農民であれば、農家でこれを買う。そうすれば、つくるもの、賣るものの税金は、やはり消費者が負担するということになりますので、商工業者が納めたから、この金は全部商工業者のために使わなければいかぬというお考えは、やはり間違つているではないか、縣税というものは、それによつて縣民全体の施策を考えて、均衡のとれた予算をつくつて実施すべきものである。こう考えるわけであります。 以上私がこの前高橋さんにお答えしたことの補足的な説明になりますが、申し上げて御答弁にいたします。 ○議長(兒玉龍太郎君) 先ほど2番議員が出席せられました。 ◎知事(岡田正平君) 先ほどの金利のことは私今ちよつとわかりませんから、金庫の方に聞いてみまして、できるだけ努力したいと思います。   〔農林部長 岡村淑一君登壇〕 ◎農林部長(岡村淑一君) 外川議員の日本特に新潟縣における経済の基盤は農業にあるという御高説を、私は敬意をもつて拜聽いたした次第であります。御質問の二、三の点を私からお答えいたします。 畜産行政につきまして、今日一部畜類におきまして生産過剩の状態を呈しておりまするが、これは加工利用奬励の点におきまして、縣当局も指導が十分でなかつたこともありまするがけれども、農民各位におきましても、戰後の混乱状態におきまして、自己の農家の立地性を十分に考えなかつたという点にも、相当理由があると思います。今後の行き方につきましては、農林常任委員会等において、いつも私から御協力願つておりますように、特に立地に即した、また農業経営の一環としての畜産、こういう考え方から畜類の導入に努力する覚悟であります。豚の点につきまして御指摘になりましたが、まことに一部そういう状態を呈しております。また牛乳におきましても、乳牛が相当に增加いたしまして、すでに戰前におけるような乳量を産出し、近く日に100石程度の生産が予定されております。今日牛乳処理工場はすでに不足を來しております。下越地区においてはこれらの工場もまつたくないという状態でありますので、本日も酪農大会を開きまして、これらの問題につきまして研究を重ねておるような次第であります。しかし養畜につきましては、御承知のように戰前の昭和5年から9年ごろの肉類の消費実数からいたしますると、今日の数量はまだ半量にも達しておらない状態でありますので、これらの增殖につきましては、立地性を考慮した上にますます增加して行かなくてはならないと思われる次第であります。 次に裏作の問題であります。これも私どもとして非常に経費の点は少いのでありますが、これによつて新潟縣の裏作を発展せしめるということに努力をいたすと同時に、これらに伴いまする土地改良等につきましても、農民の方々の十分な御援助を得なくてはならないと考えております。なおいも類の統制解除につきまして、他に轉作の問題が起つて來ておりまするが、昭和25年度の作付計画といたしましては、大体昨年度の1割減の状態で生産計画を立てております。それによりまして、本年の政府のいも類買上げ数量は、昨年の事前割当供出数量の約半量に当つております。その残りの分につきましては、主食とさらに家畜の飼料等にこれを向ける計画でおります。1割の作付轉換につきましては、農家の希望に從つてこれを行つておりまするが、現在のところでは蔬菜への轉換が一番多くなつております。その他私どもといたしましては、御指摘のありました畑作の改善に最も有利なる大豆作、あるいは桑園への轉換、それらのものを農家にお勧めしておる次第であります。 なお油脂工業につきましては、本縣は非常にりつぱな工場をたくさん持つておりますが、この材料が十分に生産されないという状態であります。幸い外川議員の関係されております油脂增産協議会等におきましても、強力に未利用資源の利用等をあわせ考えまして、これらの油脂資源の確保に努力されております。これら民間の協同体に一段の御援助を願つて行きたいと考えておる次第であります。 なお優良品種につきましては、これは生産を確保する上において最も必要な面になりますので、ただいま計上してありまする経費では不足と思われますが、これも農民各位の御協力によりまして、その効果をあげ得られると私は信じている次第であります。ともかく外川議員の申されるように、非常に重大な農業の轉換期に際会いたしておりますので、私どもといたしましては、今まで主軸を食糧行政に注いでおつたのでありますが、これと並行的に一般農業行政への轉換と申しますか、十分力を注ぎまして、憂えられつつある農村恐慌に対しまして、先ほど知事からもお話の共同体制をとり、合理的経営による生産費の軽減、御指摘の労働生産性を高める。こういう方面に、現在持てるあらゆる科学施設とわれわれの指導陣を動員いたしまして、今後に備えたいと覚悟いたしておりますので、何分の御協力を願いたいと存ずる次第であります。   〔敎育長 堀部健一君登壇〕 ◎教育長(堀部健一君) 高等学校新設の候補地が、縣下で数箇所あげられておりますうち、西越もまた立地條件にきわめて惠まれておりますことは、敎育委員会が確認をしております。特に地元のほとんど例のないほどの御熱意に対しては、深く敬意を表しております。何分地元の寄附以外にも、縣費を相当多額に要しますし、また他の候補地との緩急先後についても一応研究をする必要もありますので、25年度には発足をいたしかねましたが、今後できるだけ早く調査研究を進めたいと思います。敎育委員会が立案はいたしますけれども、敎育予算の実質的な権限は知事さんが握つておいでになりますので、その方面とも十分連絡をとつて御希望に沿いたいと思います。 ◎知事(岡田正平君) 先ほどのがわかりましたから、ここでちよつと申し上げます。日銀から1銭6厘で出ております。おつしやる通り中金が1銭9厘とつて、そこで3厘さやが出ます。さらに信連の方へ2厘上げておりますから2銭1厘、それから單位協同組合、これで3厘とつておりますから2銭4厘、こうなるのであります。御指摘の通りです。ちよつと中のが多いようです。これは事務費ですからロハというわけには参りかねますが、できるだけこの幅を狹めるようにやつて行きたいと思います。少しお待ちください。できるだけ努力してみたいと思います。 ◆20番(外川藤藏君) 農地部長の交換分合に対する御所見を伺います。   〔農地部長 佐藤辰雄君登壇〕 ◎農地部長(佐藤辰雄君) 外川議員の御質問にお答えいたしたいと思います。 御質問の通り、土地改良と農地の交換分合は、何といつても農業経営の基盤をなす大きな仕事だと考えております。それで交換分合を相当強く徹底的にやつて参りたいと考えておりますが、御承知のように、現在の法律ではこれを強制するようになつておりません。理解を求めて、そして希望がまとまつたところで、これを実施して行くという建前になつておるのであります。從つてまず第1番目には、そうした氣運を釀成することが必要である。それで本年度はまず趣旨の普及宣傳、交換分合の必要はゆえんを徹底させる点につきまして、重点を置いて行きたい。そしてぼつぼつと各郡から一、二箇所ぐらいずつ、ぜひおれの村はやつてくれというような希望が出て参りまするので、そうした希望の熱烈な村をつかまえまして、重点的に指導を加えて、言いかえればモデル的の交換分合を実施する。そうして逐次これを一般に普及して参りたい。かように考えております。御指摘の通り、交換分合によつて労力の浮くことは非常に多いのでありますが、同時にまた一面、労力だけでなしに、今後の農業経営の形態をどうするかという問題が大きくなつて來るのであります。たとえば二毛作をやつて行くにしましても、全体が二毛作の可能な地ではありません。また土壞もお話のごとく違つてまいります。從つて交換分合をやりまするには、今後の農業経営の形態に即応するような配分をやらなければならぬ。二毛作のできる農地をやはり各農家に均霑するように考慮しなければならぬ。また災害という面から、1箇所のみに集中しますと、非常な弊害が出て來るので、これらも考えなければならぬ。從つて計画は非常に緻密を要しますので、早急に大規模にやるということは困難だと思うのであります。まず理解を求めつつ、土地改良と並行して交換分合をやることが一番簡單でありますが、土地改良をやりましたあとには換地処分をしなければならぬ。從來の換地処分は自分の土地と同じ面積をもらうというのでありましたが、それを少しかえまして、交換分合の趣旨と合致するような配分をして行く、それが一番簡單でありますので、その点から着手したい。そうして逐次交換分合の理解が高まつた上で、土地改良の伴わない交換分合を強く押し進めて行きたい。かように考えております。從つて経費の点につきまして、本年度は普及宣傳を主とした計上をやつておりまするが、逐次普及の度合いとにらみ合せまして、実際に実行いたしまする予算を、縣の予算の許す範囲におきまして追加計上して、この仕事の円滑を期して参りたい。かように考えております。一言御答弁申し上げました。 ◆20番(外川藤藏君) いろいろ知事さん並びに副知事さん、各部長から御答弁がありまして、大体了承いたしました。知事から何だか敎えられたような氣持がいたします。かえつて質問をされたようなことですが、これに対して一々応酬するのも、私からだのぐあいが惡いので、この辺で質問を打切りますけれども、最後にちよつとお聞きしたいのは、敎育長から、十分調査をいたしました上で、縣がこれを財政的に認めてくれるならば、こういうお話を今承りましたが、調査研究の結果、さしつかえないということになつたならば、はたして縣としては、それに応じて財政的御用意をしてくださるかどうか。この件について総務部長さんにちよつとお伺いいたします。   〔総務部長 石井淸吉君登壇〕 ◎総務部長(石井淸吉君) ただいまは具体的な問題のようでございますが、先ほどの敎育長の御返事は、研究をしてみまして、ぜひ必要とあらば予算の要求をするというようなお話に承りました。そういうぜひ必要だという見解に基いて、予算の要求があつた場合にお前はどうするかという御質問のようでありますが、今はその結果を見ませんというと、具体的な御返事はできないと思います。これは議会ともいろいろ御相談をいたしまして決定されることで、來年以後の問題でございますので、今計上いたしますということは申し上げかねます。御了承を願います。 ◆20番(外川藤藏君) 大体これで終りましたから、質問を打切ります。   ――――――――――――――――― △散会の動議    ――――――――――――――――― ◆33番(藤原熊男君) 残余の日程を延期し、本日は散会せられんことを希望いたします。 ○議長(兒玉龍太郎君) 33番の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(兒玉龍太郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決定いたしました。明18日午後1時本会議を開きます。日程は提出議案全部及び請願、陳情といたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後3時54分散会...