平成23年 6月 定例会 平成23年 小田原市議会6月定例会会議録(第5日)平成23年6月20日
-----------------------------------出席議員(28名) 1番 鈴木紀雄議員 2番 野坂 稔議員 3番 木村正彦議員 4番 小澤峯雄議員 5番
佐々木ナオミ議員 6番 植田理都子議員 7番 鈴木敦子議員 8番 安野裕子議員 9番 楊 隆子議員 10番 今村洋一議員 11番 鈴木美伸議員 12番 神永四郎議員 13番 井上昌彦議員 14番 大村 学議員 15番 横田八郎議員 16番 安藤孝雄議員 17番 木村信市議員 18番 田中利恵子議員 19番 奥山孝二郎議員 20番 小松久信議員 21番 大野眞一議員 22番 細田常夫議員 23番 加藤仁司議員 24番 武松 忠議員 25番 俵 鋼太郎議員 26番 井原義雄議員 27番 原田敏司議員 28番
関野隆司議員-----------------------------------説明のため出席した者 市長 加藤憲一君 副市長 加部裕彦君 副市長 大野速雄君 教育長 前田輝男君 企画部長 時田光章君 総務部長 柴田正光君 公営事業部長 日比谷正人君 市民部長 本多高弘君 防災部長 柳田治夫君 文化部長 諸星正美君 環境部長 井澤幸雄君 福祉健康部長 清水 清君
子ども青少年部長 川久保 孝君 経済部長 山崎佐俊君 都市部長 北村有一君 建設部長 柿本三夫君 下水道部長 飯塚高一君 会計管理者 伊澤秀一君
市立病院病院管理局長 桐生 薫君 消防長 木目田和義君 水道局長 柏木晴雄君 教育部長 三廻部洋子君 総務部副部長 和田伸二君 財政課長 鳥海義文君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 篠原 弘 副事務局長 宮代範幸
議事調査担当課長 松本俊代 総務係長 大木勝雄 議事調査係長 室伏正彦 議事調査係長
勝又光一-----------------------------------
○議長(加藤仁司君) ただいまから去る17日に引き続きまして小田原市議会6月定例会を開きます。 午前10時0分 開議
○議長(加藤仁司君) 本日の出席議員は全員であります。定足数に達しておりますので、これより直ちに本日の会議を開きます。
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○議長(加藤仁司君) 説明のための出席者は、お手元に配付した法第121条による出席者名簿のとおりでありますので、その報告を省略させていただきます。
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○議長(加藤仁司君) 17日に引き続きまして一般質問を行います。 2番野坂議員、登壇願います。 〔2番(野坂 稔君)登壇 拍手〕
◆2番(野坂稔君) おはようございます。光政会の2番野坂でございます。議長のお許しをいただきましたので、これから通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。 なお、一般質問につきましては、きょうで3日目であります。震災に関する質問も多くございます。重複する質問があろうかと思いますけれども、その点、ひとつ御容赦をお願いしたいと存じます。 はじめに、去る3月11日の東日本大震災によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された多くの皆様、そしてその御家族をはじめ、いまだ避難生活を余儀なくされておられます皆様方に対して、心からお見舞いを申し上げます。 未曾有の津波が起きて、既に3ヵ月が過ぎております。懸命な復旧・復興作業が続けられておりますけれども、道のりはまだ厳しい状況でございます。 さて、今回の大震災によって、小田原市は震度5強の揺れを記録いたしました。被害的には、水道管の漏水をはじめ、墓石やブロック塀の一部倒壊、建物のガラスが割れるなど若干の影響はあったものの、人的な被害はなく、まずは安堵したところでございます。一方、相模湾への大津波警報の発表によって、市内沿岸部に避難勧告が出され、一部では小学校に避難され、不安な一夜を過ごされたと伺っております。いわんや被災地の方々は、強い余震の続く中、電気もない避難所で身を寄せ合いながらの不安と恐怖は筆舌に尽くしがたいものがあったと想像いたします。 加藤市長は、震災後いち早く、本市と親交のある福島県相馬市の被災地に赴き、震災孤児等を支援する募金活動などの対応、さらには市内海岸部の現状を把握するための視察を実施し、津波やその他被災への対策を積極的に進められておられることに対し、市民の一人として大変心強く思うところでございます。 そこで、戦後最大と言われる被害をもたらした東日本大震災、地獄絵図のような被災地の惨状を目の当たりにしたときのお気持ち、また、本市の震災に強いまちづくりにかける市長の御所見をお伺いしたいと思います。 次に、本市はこれまで、地震による最大津波を3.3メートルと想定しておりました。今回の東日本大震災を受け、最大津波を10メートルとした対策を立てる、そういうことで報道されました。津波の想定等については、現在、国・県で検証作業が行われているようですけれども、その検討結果を待たず、独自に10メートルに見直した早い対応、これにつきましては高く評価するものでございます。 そこで、今回のこの10メートルの津波の高さの判断、これは何を根拠に定められたのかお聞かせいただきたいと思います。 今回の津波による犠牲者は、大半が高齢者また子供だと言われております。津波に対しては、いかに早く高台に避難するか、まさに時間との勝負でございます。高齢者などは限られた時間内で決められた避難場所に避難できない場合もございまして、緊急の避難場所を選定するなどの対策が急がれます。また、今回の大震災で発表された大津波警報による避難勧告に対して、沿岸部の住民の避難率はわずか1%だったと言われております。情報がしっかり伝わらなかったのか、市民の津波に対する意識の希薄さかわかりませんけれども、大変憂慮すべきことであります。特に津波が押し寄せると思われる本市の沿岸部には、市の4割に近い市民が生活しております。ましてや避難する高台も少なく、高齢者、子供、障がい者など、いわゆる災害弱者と言われる方たちの生命・財産を守ることは論をまちません。 そこで、夏までにまとめるとした津波に対する具体的な対策内容、また、現在の進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。 次に、市庁舎及び木造住宅の耐震補強について伺います。 今回の東日本大震災の報道を見ますと、津波被害に関心が集中しておりますけれども、地震による被害はそれだけではございません。そこで、市庁舎及び本市における木造住宅の耐震補強についてですけれども、市庁舎の耐震診断の結果は、震度6強の揺れで倒壊し崩壊する危険性があるとされております。神奈川県西部地震や東海地震発生の切迫性が叫ばれているにもかかわらず、あまり進展が見られていなかったように思われます。 市庁舎は防災復旧の拠点となるべき重要な施設であります。耐震補強は一刻の猶予も許されません。そこで、現在の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせをいただきます。 また、本市におきましては、昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を対象とした、個人住宅の耐震診断、耐震補強工事の補助制度を実施し、震災時の倒壊防止解消に努めておりますけれども、これまでの利用実績と、現在、強度不足と思われる住宅が市内には何軒あるかお伺いいたします。 次に、ブロック塀の倒壊防止策について伺います。 今回の震災で市内11ヵ所のブロック塀が倒壊し、住宅地では10メートル近くにわたって破片が散乱し道をふさいだと報道されております。通学路ではありませんでしたけれども、幸いけが人もなく済みました。過去に宮城県沖地震では、下校中の児童の多くがブロック塀の下敷きになって命を落とすという痛ましい事故も起きております。 そこで、小田原市では、これまで市内のブロック塀について調査をされましたか、また、特に危険と言われている大谷石の塀について、どこまで把握をしておられるのか伺います。 次に、本市では、
地震被害軽減化促進事業として、危険な塀等の撤去について助成制度を実施しておりますが、これまでの実績についてお聞かせ願います。 次に、市内の橋りょうの耐震性について伺います。 橋りょうの崩落事故につきましては、過去に海外で事例がございます。日本の技術力からすれば事故の起こる心配はないと信じるものでございますけれども、今回の観測史上最大級と言われる地震に見舞われた場合、崩落しないという保証はありません。 そこでお伺いいたします。小田原市には、市道を含め、県道や国道などさまざまな道路がありますが、災害時の輸送路などに架かる重要な橋は何橋架橋されていますか、また、既に耐震補強などの措置がされている橋はどのぐらいあるかお聞かせください。 次に、液状化に対してお伺いいたします。 今回の大地震で、液状化による被害は首都圏を中心に広範囲に発生し、県内では横浜市、川崎市で被害を受けました。幸いにも本市では液状化は発生しなかったようですけれども、神奈川県西部地震や東海地震などの震源の位置によっては、相当の被害を受ける可能性があると言われております。現在、本市には液状化マップはございません。市民からの問い合わせに対しては、県のホームページにある「e-かなマップ」に基づき回答をしていると聞いております。この「e-かなマップ」には、幾つかの地震ごとに液状化想定図として、液状化する可能性のある地域が地図上に表示されております。しかし、今回の地震の被害状況を見ますと、液状化が起こると想定された場所以外でも、液状化の現象が多く発生しているケースがございます。 そこで、今回の震災を受けて、液状化の想定を行った神奈川県は、どのような対応をされておられるかお尋ねいたします。 次に、老朽水道管の整備と災害時用飲料水の指定井戸についてお尋ねいたします。 東日本大震災を受けて、市営水道の配水管が一部破損し、漏水事故が発生いたしました。所管の迅速な対応によって復旧できたところでございますけれども、本市には、昭和初期の古い水道管が布設されているようでございまして、現在、耐震管への布設替え工事が行われているということを承知しております。 そこで、現在の進捗状況がどのようになっているのかお聞かせください。 また、今回の地震によって、市内の井戸水が枯渇したり、水の出が悪くなったという場所が多く発生しております。本市には、災害時用飲料水の指定を受けた井戸が相当箇所あります。今回それらの井戸に対して被災の確認を調査されましたかお伺いいたします。 次に、三保ダムの安全性についてお伺いいたします。 東日本大震災の報道では、津波による惨状と福島第一原発事故を大々的に取り上げておりますけれども、被災は沿岸部だけでなく、内陸部にも大きなつめ跡を残しております。福島県中南部にあるダムが地震直後に決壊し、濁流がふもとの集落を襲い、死者7人、行方不明者1人を出したことは記憶に新しいことだと存じます。酒匂川水系には三保ダムが存在しております。今後30年以内に87%と予想される東海地震、また東海、東南海、南海の3地震連動の発生の可能性も指摘されております。三保ダムが今回のような想定を超える地震に耐えられるのか、酒匂川沿いに住む住民は非常に不安を感じております。 万一、ダムが決壊するようなことがあれば、この地域は、海からの津波、またダムからの濁流によって甚大な被害をこうむることが予想されるところです。そうした現象を起こさないためにも、想定外の万が一に備える対応が急務だと思われます。 そこでお伺いいたします。県に対してダムの安全性の検証と酒匂川流域住民への周知方について実施を要請するお考えはありますでしょうか。 次に、小・中学校等の校庭での放射線量についてお伺いいたします。 福島第一原発事故による国の放射能汚染の情報等の対応に強い不信を覚えるものであります。今回、国民の強い意見・要望により、国は、学校における児童・生徒が年間に浴びる放射線量を20ミリシーベルトから1ミリシーベルト以下にすると発表いたしました。この突然の変更は何を根拠にしたものかわかりません。国は子供の立場に立って、外部被曝だけでなく内部被曝についても対応すべきだと思います。放射能に対する知識のない私たちには、本当にこれで子供たちの安全が担保されるのかわかりません。ただただ不安と恐怖が募るばかりであります。どの数値の範囲なら、子供たちが被曝せずに暮らし、校庭などでこれまでどおり元気に遊ぶことができるのか、国は科学的な根拠を具体的に示し公表すべきだと思います。そうでなければ保護者の不安は解消されません。 現在、県内の自治体では、放射線量の影響を受けやすい子供たちの健康を配慮し、独自で幼稚園、中学校等で放射線量を測定する動きが広がっております。そこで、本市における幼稚園、小・中学校等はどのような状況かお聞かせ願います。 次に、近隣の都県においては、グラウンドや農産物、汚泥、飲料水等から、また本市においても茶葉から放射性物質が検出されております。そこで、本市全般の測定結果についてどのような状況かお伺いいたします。 次に、災害時の情報伝達についてお尋ねいたします。 今回の震災では、
防災行政用無線などで広く市民に情報発信を行っていたということでございますが、
防災行政用無線については、場所や風向き、天候、こういうものによって聞きづらいところもあり、十分市民に情報が伝わったとは言い切れないところもあります。今回の震災で若干苦情の問い合わせがあったとも聞いております。 そこで、小田原市としては、
防災行政用無線のほかに、どのような手段で市民への情報提供を行っているのかお聞かせください。 また、
東日本大震災発生後の被災地の状況を見ますと、地域の情報を詳細に届けることができる
コミュニティFMの役割が再認識されております。
コミュニティFMは、災害時に臨時災害放送局の開設が認められた場合に、一時的に出力をより上げて放送することができるものです。小田原市においても、被害状況や復旧状況をいち早く市民に広く情報発信するために、臨時災害放送局を開設するお考えはなかったのでしょうか、その点、お聞かせください。 次に、太陽光発電の推進についてお伺いします。 本日の新聞には、太陽光発電の普及・推進を検討しているのは17都府県に上ると報道されておりました。東日本大震災の発災に伴う福島第一原発事故により、
原子力エネルギーへの依存を可能な限り低減していく方向に変わりつつあります。神奈川県知事は所信表明の中で、神奈川からエネルギー革命を起こすと太陽光発電の普及を明言されました。また、菅総理においても、国際会議の演説で、太陽光パネルを設置することを国際社会に公約いたしました。本市でも庁舎駐車場の屋根にソーラーパネルを設置するなど、環境への配慮と自然エネルギーへの取り組みを進めております。 そこで、1点目の質問ですが、太陽光など自然エネルギーへの転換には、コスト面、メガソーラーやパネルの設置用地、また電力買い取りなど多くの課題がございます。しかし、本市には、パネル設置に適した南斜面を有し、また、営農者の高齢化と後継者不足による休耕田や耕作放棄地も見受けられ、条件的には最適な環境だと思われます。当然のことながら地権者の使用同意が必要でありますけれども、本市としては、これらの土地を
自然エネルギーの用地として提供し、本市はもとより、県西地域に事業の普及拡大を促進していくお考えはおありでしょうか伺います。 次に、本市における
自然エネルギー再生に関する補助金制度については、どのような事業があり、利用実績はどうなっているかお尋ねいたします。 大変多岐にわたる質問でございましたけれども、よろしくお願い申し上げ、登壇での質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(加藤仁司君) 市長、登壇願います。 〔市長(加藤憲一君)登壇〕
◎市長(加藤憲一君) 2番野坂議員の御質問に順次お答えを申し上げます。 はじめに、東日本大震災を踏まえた震災に強いまちづくりについて御質問がございました。この大震災は、各地でつくり上げてきた災害想定や災害対策をはるかに超えた甚大な被害を広い地域にもたらしたわけでございます。この現実を踏まえ、これからは従来の枠組みによる災害対策を超えて、住民の命がしっかりと守られ、生存と生活が確保できるまちづくりを、それぞれの地域が直ちに始めなくてはならないと感じております。今後は、災害対策の強化、持続可能な暮らしの実現、被災地・被災者支援、この三つをいのちを守る三つの柱と考えまして、全庁的な情報共有を図りながら、さまざまな施策に「いのちを守る」という視点で横ぐしを通しつつ、真に安全・安心で、次世代に自信を持って渡すことのできるまちを目指してまいりたいと考えております。市議会議員の皆様には、さまざまな御意見、御提言をいただきますとともに、御理解と御協力を衷心よりお願い申し上げます。 次に、津波の高さの根拠についての御質問でございました。神奈川県では、神奈川県
津波対策推進会議のもとに
津波浸水想定検討部会を新設いたしまして、津波の規模の再検証を開始しております。本市では、こうした科学的検証を待つだけではなく、津波に対する対策を早急に進めるために、最悪と思われる津波の高さを10メートル程度とひとまず想定したところでございます。この高さは、県が想定しております神奈川県西部地震における津波の高さ3.33メートルを約3倍しているものでございます。また、東日本大震災におきましては、気象庁の発表による最大の高さの波が、相馬市の観測点における9.3メートル以上とされており、10メートルはこれを上回っていること、さらに、大津波警報の最大高さが10メートル以上であることなどを参考として想定したものでございます。 次に、津波に対する具体的な対策内容と進捗状況についての御質問でございました。海抜10メートルのラインと3階建て以上の建物を示した地図を作成いたしまして、これをもとに自治会の方々と実際に地域を歩き、避難に適した高台や建物、そこに至る避難経路などを示した地図を地域ごとに作成しているところでございます。今後は、公共施設だけではなく、避難対象となり得る民間の建物を津波避難ビルとして利用させていただきますため、建物の所有者と協議してまいりたいと考えているところでございます。また、教育委員会におきましては、小・中学校向けの
地震対応マニュアルについて暫定的な見直しを図っているところでございます。 次に、市庁舎の耐震化の進捗状況についてのお尋ねでございました。この市庁舎は平成21年度に耐震診断を行っておりますが、その結果の妥当性の確認のために、昨年度、
耐震診断評価取得を行ったところでございます。この評定結果をもとにいたしまして、耐震化の進め方、工法などについて、建築構造関係の専門家から数回にわたり意見聴取を行ったところでございます。専門家からは、耐震補強の工法や地盤調査の有用性等についてさまざまな助言をいただいてきておりますが、それらを踏まえ、必要とされるポイントに追加調査を実施し、地盤構成の再確認を行い、耐震設計の基礎資料といたしますため、この6月定例会で地盤調査に係る費用等の補正予算を提出させていただき、お認めをいただいたところでございます。 次に、市庁舎の耐震化の今後の見通しについての御質問でございました。11番鈴木議員の一般質問に答弁いたしましたとおり、今年度は庁舎敷地の地盤調査を行う予定でございまして、その調査結果を踏まえ、専門家の意見聴取を行いながら、最適な耐震補強工法の選定、発注方法などを検討いたしまして、年度内に市庁舎耐震化の方針を決定してまいりたいと考えております。来年度以降は、平成24年度から平成25年度に実施設計を行いまして、耐震補強工事は平成26年度に着工し、平成27年度の完了を目指しております。 次に、
耐震診断費補助金及び
耐震補強工事費補助金の利用実績と、強度不足と思われる住宅が市内に何軒あるのかとの御質問でございました。
耐震診断費補助金の実績は、平成18年度は15件で30万円、平成19年度は20件で40万円、平成20年度は10件で20万円、平成21年度は24件で94万8000円、平成22年度は26件で104万円となっております。
耐震補強工事費補助金の実績でございますが、平成18年度は3件で150万円、平成19年度は6件で300万円、平成20年度は10件で500万円、平成21年度は6件で294万2000円、平成22年度は10件で500万円となっております。いわゆる旧耐震基準でございます、昭和56年5月31日以前に新築されました木造住宅のうち持ち家につきましては、約1万2000戸と推計されておりますが、すべての建物が強度不足というわけではないと考えているところでございます。 次に、市内のブロック塀について調査を行ったか、また、大谷石の塀について把握しているかとのお尋ねでございました。平成元年度から平成4年度にかけまして、市内全小・中学校の通学路を対象にいたしまして、ブロック塀、大谷石等の危険な塀について調査を行い、平成10年度から平成12年度にかけて追跡調査を行っております。前回の調査から10年が経過しておりますため、再度、通学路における危険な塀の現状について調査する必要があると考えております。 次に、危険な
塀等撤去促進事業補助金の交付実績についての御質問でございました。交付実績につきましては、平成18年度は14件で217万3000円、平成19年度は12件で197万6000円、平成20年度は1件で25万5000円、平成21年度は4件で60万7000円、平成22年度は8件で81万2000円でございました。 次に、災害時の輸送路などに架かる重要な橋りょうの数とその耐震対策の状況についての御質問でございました。小田原市が管理しております橋りょうのうち、緊急輸送路に指定されている橋や、二級河川、国道及び県道などをまたぐ橋につきましては、重要橋りょうと位置づけておりまして、その数は105橋でございます。重要橋りょうのうち64橋につきましては、既に落橋防止等の耐震対策が実施されております。また、国・県及び
中日本高速道路株式会社が管理しております主要幹線道路の橋りょうは59橋ございまして、そのうち50橋につきましては、既に落橋防止等の対策がなされており、残る橋りょうにつきましては、おおむね平成24年までにすべて完了する予定であると伺っております。 次に、液状化について神奈川県はどのような対応を行っているのかとの御質問でございました。液状化につきましては、広域にわたるケースも考えられますことから、神奈川県が主体となって対策を進めております。東日本大震災により、県内に想定外の液状化現象が発生したことを踏まえまして、県では、5月補正予算におきまして液状化調査費として、液状化が発生した各地区の実態を解明するため、横浜市港北区小机などで土壌調査を行うと発表しております。 次に、老朽化した水道管の整備の進捗状況についての御質問でございました。東海地震や県西部地震の発生が危惧されている中で、老朽化した水道管を順次更新し、水道管の耐震化を積極的に進めているところでございます。平成22年度末現在で、本市が老朽管と位置づけている水道管の延長は約7万メートルでございまして、その更新につきましては、優先順位や経営状況を考慮し、できるだけ早い時期に更新してまいりたいと考えております。特に小田原駅東口周辺地区につきましては、昭和初期に布設した水道管が多く残っておりますことから、平成17年度から重点的に水道管の更新事業に着手しておりまして、平成24年度の完成を目標に事業を進めているところでございます。 次に、東日本大震災後に災害用指定井戸の状況確認を行ったかとの御質問でございました。災害用指定井戸のある24の地区自治会連合会ごとに2ヵ所ずつ抽出いたしまして、所有者に電話による聞き取り調査を行いましたところ、一時的に水の出が悪くなったというものが1件ございました。また、定期的に実施しております水質検査の際に、井戸に変化があった場合連絡してほしい旨お願いしてございますが、井戸崩れが1件と、一時的に水の出が悪くなったが1件の連絡がございました。今後も情報収集に努めてまいりたいと考えております。 次に、県に対して三保ダムの安全性の検証と酒匂川流域住民への周知についての御質問でございました。三保ダム管理事務所からは、東海地震、元禄型関東地震、南関東地震、神奈川県西部地震、神縄・国府津-松田断層帯地震、いずれの規模の地震が発生しても十分耐え得るように建設されていると聞いております。三保ダムの安全性の検証及び酒匂流域住民への周知につきましては、本市単独のことではなく、酒匂川流域の市町全体に関係することでございますので、流域の市町とも改めてお話をしてまいりたいと考えております。 次に、幼稚園、小・中学校等での放射線量の現状について御質問がございました。5月30日から6月8日まで、公立幼稚園、保育所、小・中学校、公園等59ヵ所66地点で空間放射線量率の測定を行いまして、毎時0.03~0.14マイクロシーベルトの結果を得ております。最も高かった空間放射線量率、毎時0.14マイクロシーベルトを、文部科学省の通知に基づく積算方法によりまして1年間に受ける放射線量に換算いたしますと、0.74ミリシーベルトとなり、国際放射線防護委員会の勧告による一般人の安全基準であります年間1ミリシーベルトを下回っているものでございます。今後も、測定頻度や測定地点の見直しを行いながら、測定を継続してまいりたいと考えております。 次に、放射能に関する本市全般の測定結果についての御質問でございました。農林水産物等に関しましては、生茶葉以外は暫定規制値を超えた放射性物質は検出されてございません。酒匂川流域の下水処理場から排出される汚泥につきましても、神奈川県が調査いたしましたところ、相模川流域の下水処理場から排出される汚泥と比較いたしまして、比較的低い数値を保っております。水道水につきましては、3月23日から毎週1回、放射性物質の検査を実施しておりまして、いずれも不検出という結果を得ております。また、空間放射線量率につきましては、市内各所で測定いたしました結果から、健康に影響のない範囲であると考えております。 次に、災害時の情報提供についての御質問でございました。災害時に正確な情報を素早く市民に提供することは、被害を最小限に抑えるためにも重要であると認識しております。2番野坂議員御指摘のとおり、
防災行政用無線は一部地域において聞きづらい場所がございまして、スピーカーの向きを調整するなど、その解消に向け努力してございます。市といたしましては、
防災行政用無線のほか情報発信の手段といたしまして、市のホームページ、小田原ケーブルテレビ、FM小田原、メールマガジンの防災メールなどさまざまな手段を活用してきているところでございます。 次に、臨時災害放送局の開設についての御質問でございました。2番野坂議員御指摘の臨時災害放送局は、災害で甚大な被害を受けた際に、被災者に向けて避難所の案内や市民の安否、インフラの情報などを発信することが目的で開設されるものでございます。東日本大震災では、5月27日現在、岩手、宮城、福島、茨城の4県で24局が開設されたところでございます。臨時災害放送局の開設につきましては、6番植田議員に御答弁申し上げましたとおり、本市では甚大な被害を受けておりませんでしたため、総務省関東総合通信局の指導により、臨時災害放送局を開設するのではなく、コミュニティ放送局の役割として緊急放送を行ったものでございます。 次に、太陽光発電を促進するために、休耕田や耕作放棄地を活用することについて御質問をいただきました。休耕田等を活用した小規模な太陽光発電システムの場合、国や県・市が取り組む補助制度の対象外になったり、電力買い取り金額が安くなるなどの課題がございます。しかしながら、県のソーラープロジェクトのように、遊休地を活用した大規模な太陽光発電の計画もありますことから、本市といたしましても、導入の可能性について検討してまいりたいと考えております。 次に、本市における自然エネルギーを活用いたしました発電システムに関する補助制度の内容とその実績についてのお尋ねでございました。住宅用太陽光発電システムの補助につきましては、平成23年度では、県と市が協調して1キロワット当たり2万8000円、上限9万7000円を補助いたしますほか、別に国からも1キロワット当たり4万8000円の補助を受けられることとなっております。実績につきましては、本市では平成12年度から市独自で住宅用太陽光発電システムの補助を開始いたしまして、平成22年度から県との協調により補助件数を拡大するなど、平成22年度までに延べ502件に対し助成を行ってきております。そのほか、小型風力発電や小水力発電システム導入費への補助制度がございますので、今後はさらに
自然エネルギーの普及・推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。 以上をもちまして、2番野坂議員に対する私からの答弁とさせていただきます。
◆2番(野坂稔君) 御答弁ありがとうございました。 災害に対して加藤市長の大変力強い積極的な姿勢、取り組み、並々ならぬ決意を伺い、改めて強い思いをしたところでございます。 そこで、津波に関して質問させていただきますけれども、本市では、御承知のとおり、10メートルという形で最悪を想定し見直す、既に自治会に職員等々を派遣してさまざまな取り組みを行っているところでございます。県においても、それぞれ市町村の要請を受けまして本格的な検証作業に入っていると、そういうふうなお話でございました。そこで、県の検証結果が万一本市の想定を下回った場合、市としてはその10メートルを下方修正するのか、それともその際については想定外の想定としてそのまま堅持していくのか、その点、お聞かせいただきたいというふうに思います。 また、いろいろ活動等を考えておられるように御発言をいただいたんですが、今回、神奈川県ではこの7月に相模湾沿岸部の市町合同で大規模な避難訓練を実施すると、そういうようなことが報道されておりました。今回の震災を受けまして、大変市民の防災意識が高まっているというふうに思うのです。ですからこの機会を逃さず、いろいろな訓練、また啓発・普及活動等々をやっていただきたいというふうに思うのですけれども、それが重要だと思うのです。ですから、本市としては今後どのような事業展開を考えておられるか、その2点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
◎防災部長(柳田治夫君) 2番野坂議員の再質問にお答えいたします。 2点ございました。まず一つ目が、県が今、再検証しておりますが、小田原市が現在、ひとまず10メートル程度ということで津波の規模を想定して対応をやっておりますが、県の検証結果が市の10メートルの規模を下回った結果が出てきた場合どうなるかというお尋ねだと思います。その場合には、小田原市としては、県の結果よりも小田原市の方が10メートルという、より安全側で検討して対策を立てて進めておりますから、県の方の検証結果が下回ったからといって、それに応じて下げてしまうというわけではなくて、より安全の方を見て進めていきたいと思っております。 それから2番目の津波対策の関係で、現在行っている対策以外にどのような取り組みがというような御質問だと思いますが、津波に対する地域住民の方の関心も大きく、津波避難訓練の実施の要望もたくさんありますことから、本年度の小田原市総合防災訓練では津波避難訓練を行う予定でございます。それからまた、自治会連合会等で行う防災訓練につきましても、津波避難訓練に取り組んでいただくよう働きかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆2番(野坂稔君) 津波の件もわかりました。やはり安全・安心というものは大事でございますので、しっかり対応していただくことをお願いしておきます。 それでは次に、庁舎の耐震化についてお尋ねしたいと思います。その前に、耐震診断等々の実績につきましては、説明を受けまして理解いたしました。先ほどの答弁でございますと、庁舎の耐震補強の工程的なものは、本年度、地盤調査、平成24・25年度で施工方法の検討、それから実施設計、平成26年度に着手、平成27年度の完成を予定していると、そういう説明がございました。実は、さきの新人議員の研修のときに、市民ホールの建設、それから地下街の整備のスケジュールを見ますと、その時期に庁舎の耐震補強の工事が重なるような状況だというふうに思っております。若干老婆心ですけれども、財政的に本当に大丈夫なのかなという、ちょっとそういう危惧をしております。いずれにしろ、この問題については今後いろいろ議論があろうかと思いますけれども、それはさておきまして、庁舎の耐震補強については、一刻も猶予できないわけで、ぜひ予定どおり着手していただき、平成27年度の完成をぜひお願いしたいと思います。 それから、時間的なことがございますので、ちょっとはしょらせていただきますけれども、市内の橋りょうの耐震性についてでございます。御答弁では、約6割が耐震対策の施工が済んでいると、そういうような状況でございました。平成24年度までに完了すると、そういうことでございますけれども、市道の簡易な橋、これについても見てみますと、やはり危険な部分が若干あるように見受けられますので、そういう調査も含めてお願いしたいというふうに、これは要望にとどめておきたいと思います。 それから液状化についてでございますけれども、何か御答弁を聞いておりますと、神奈川県にお任せの印象を非常に強く感じています。この液状化は都市型の災害で、新聞またテレビなんかを見ておりますと、厄介な被害をもたらしているわけでございます。液状化に対する調査、こういうものについては、技術的なこと、人的なこと、財政的なこともございまして、これまである程度県が対応してきたというふうに理解するわけですけれども、そういう意味からすると、これから市単独でやりますとはなかなか言えない部分があろうかと思います。市民の安心・安全な暮らしを守る、乱さないという意味からしますと、市としてもそろそろ何らかの取り組みを真剣に考えていかなければいけないのじゃないか、そんな感じを受けております。今回、市長をトップといたしまして、「いのちを守る小田原」推進会議が立ち上がったわけですから、ぜひその中で御検討いただき、独自の対策が打ち出せるようにできないものなのか、その点、御答弁をいただきたいと思います。
◎防災部長(柳田治夫君) 液状化についての再質問でございました。液状化の対策につきましては、先ほどの答弁でもありましたとおり、今まで、それぞれの市町の区域だけでなくて広域にわたるケースがあるということで、神奈川県が主体となって対策を進めてきておられます。県の方では、液状化の予測図を作成する、そのほか危険性の周知を図るといったようなことをされておるそうです。今回、県が液状化の予測図を作成しておったのですが、それ以外のところでも液状化が出たということで、改めて県の方が専門家を入れましてボーリング調査などをしまして、本当に前の対応でよろしいのかということを見ていくということですので、専門的なことは一応県の方にお願いしまして、その結果を待ちたいと思います。小田原市として単独でできることがあるかということにつきましても、県の方の動きを見まして、こちらもそれを参考にしまして対応を考えていきたいと思います。 以上でございます。
◆2番(野坂稔君) 答弁はわかるんです。広域でやるから県だということですけれども、いざ起きた場合に、実際に作業、そういうところを動き回るというか、そういうことをやるのは職員だと思うのです。ですからそういう意味からすると、ある程度、今回、「いのちを守る小田原」推進会議というものが立ち上がったわけですから、そういうところから多少でも議論をすべきではないのかということを私は伺っているんです。いかがでしょうか。
◎防災部長(柳田治夫君) すみません。説明が足りなくて申しわけありません。 県の方で対応していくのを見まして、専門的なことは県の方にお願いするしかないのですが、その情報を取り入れまして、市の方で対応できる部分は、お尋ねのありました「いのちを守る小田原」推進会議、そういったところでも情報を共有しまして対応していきたいと思います。よろしくお願いします。
◆2番(野坂稔君) ぜひしっかりした対応をとっていただきたいと要望させていただきたいと思います。 それから水道管についての関係です。説明でわかったんですけれども、老朽化の施設というのは配水管だけではないわけです。ポンプ、機械・電気設備、建屋、そういうものがあるわけです。そういう形で、これからは、こういう施設についても多少老朽化も進んでいるものもあろうかと思いますので、そういうものについてどのように今後進めていかれるか、御説明いただきたいと思います。
◎水道局長(柏木晴雄君) 水道施設の耐震化についての再質問がございました。2番野坂議員御指摘のとおり、水道局におきましても、老朽化した配水管だけでなく、配水池等基幹となる施設につきましては、耐震性の向上が必要であると考えているところでございます。現在、本市の中で最大の容量を貯留できます中河原配水池については、平成22年度から耐震補強工事を実施しておりまして、平成23年度末には耐震補強工事が完成する予定でございます。今後も、基幹となる水道施設につきましては、優先順位を定めながら計画的に耐震性の向上を図っていく予定でございます。 以上でございます。
◆2番(野坂稔君) わかりました。水は私たちにとって大変重要なものでございますので、ぜひひとつお願いしたいと思います。 それでは次に、三保ダムの安全性について質問させていただきたいと思います。御答弁の中で、十分対応ができると、そういうふうにお答えをいただいたわけですけれども、三保ダムについては所管が神奈川県でありますので、なかなか明確な御答弁はできないというふうに思っているのです。既に建設から40年近くが経過し、さらには断層が近くに走っているというようなこともお伺いしております。また、今回福島県のダムの決壊もあった状況の中で、流域の市民は大変不安を感じております。大変な不安を感じているわけです。そういうことで、市民の安全・安心を守る防災所管の長として、今回のような地震があっても、本当に県が言うように安全なんだろうか、そういうところが安全だというふうに言い切れるのかどうか、その見解をお聞かせいただきたいと思います。
◎防災部長(柳田治夫君) 三保ダムの安全性についての再質問でございます。先ほども答弁がありましたとおり、専門的なことはなかなか市の方ではわかりにくい部分がありますので、三保ダム管理事務所の方に確認したところでは、いずれの規模の地震が発生しても十分耐え得るように建設はされているという説明は受けてございます。ただ、2番野坂議員から御指摘がありますように、酒匂川流域住民の御心配も十分理解できることですから、今回のことを契機としまして、流域の市町と改めて話をして対応していきたいと考えております。 以上でございます。
◆2番(野坂稔君) 防災部長の回答、私は十分承知しているんです。くどいようですけれども、県では、ちゃんとした設計をしているんだ、安心だ、大丈夫だということを説明するわけですけれども、では福島第一原発を見ていただきたいと思います。安全だ、安心だと言っていたあの原子力発電施設が、結局ああいうありさまなんです。また、今回の想定をはるかに超えたあの大津波を見ていただきたいと思います。安全だと言われた防潮堤をはるかに越えていったわけです。安全です、心配ありませんと言い続けた結果、実は安心ではなかった。そういう結果が今回出てしまっているんです。ですから住民がいろいろ立ち上がる前に、ある程度行政として何らかの対応をすべきじゃないかというふうに思うのです。そういう意味で、ダム管理事務所に万一ダムが決壊した場合のシミュレーションがあれば、ある程度住民に公表して、一緒にそれぞれの避難だとかそういうものを考えていく、対策を考えていく、それも一つの方法ではないかというふうに思うわけです。ですからそういうシミュレーションができているのか、部長、そういうところはいかがでしょうか。
◎副市長(大野速雄君) 2番野坂議員からの御質問でございますが、私の方からお答えさせていただきたいと思います。 三保ダムの問題につきましては、やはり想定外の想定、ああいう大きな地震の後、津波の問題も起こってまいりました。当然、私たちももちろんそうですけれども、住民の皆さん方は大変不安に思っていると思います。そういうことで、このダムの問題につきましては、今防災部長がお答えしたような範囲で県とはやっておりますけれども、当然、2番野坂議員の御指摘のように、ダムの管理はダム管理事務所の方でおやりになっています。それから下流の酒匂川の管理につきましては、前線部隊としては小田原土木事務所の方で管理しております。昨年の9月の大雨のときも、私どもは小田原土木事務所の方とも連携をとりながらいろいろ対応してまいりました。日常、そういうことでいろいろな問題で協議しておりますので、今2番野坂議員御指摘のように、この不安をどのようにしたら住民が本当に共有でき、そしてどのような対応をしていったらいいのかということも当然考えないとなりませんので、御指摘のように、ダム管理事務所、それから小田原土木事務所、最終的には神奈川県の県庁の方になると思いますけれども、これから協議して、住民がどうしたらこの不安を解消できるのか、どのような対応をしていったらいいのか、どのような心づもりをしたらいいのかということを、県の方とも協議しながら対応してまいりたいと思いますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
◆2番(野坂稔君) 大野副市長の御答弁は理解をいたしました。そこで、先ほど御答弁いただいたように、今後、関係自治体と連携を密にしてというふうなお話がございました。できれば三保ダムの安全検証委員会のようなものを立ち上げて、それぞれの自治体が一体となって定期的に議論を進め、また、住民にダムの安全性というものをしっかりと周知していただきたい。そんなふうなことを要望させていただき、この質問については終わらせていただきたいと思います。 大変時間も過ぎてしまっておりますので、放射能関係については、ぜひ関係機関との連携を密にしながら、知り得た情報は迅速に市民にしっかりと公表する等、対応を考えていただきたいというふうに思います。 それから太陽光発電につきましては、今停滞している経済活動というものを活発化することはもちろんだと思いますけれども、雇用の拡大、さらには人口増にもつながるものだというふうに私は確信しておるところでございます。その意味で、ぜひ前向きに本市としても取り組んでいただくことをお願いさせていただきたいと思います。 各質問に対して的確な御答弁をいただきありがとうございました。今回の東日本大震災では、多くの尊い人命が失われました。私たちはこの犠牲をむだにしないために、また、小田原市民の生命・財産を守るためにも、今回の震災の教訓を今後の防災対策に生かしていかなければならないと思っております。その意味で、今回の地域防災計画の見直し作業につきましては、先ほどちょっと話がございましたけれども、全市民の英知を結集して、どこにでも誇れる実効性のあるそういうものに仕上げていただくことを切望し、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(加藤仁司君) 1番鈴木議員、登壇願います。 〔1番(鈴木紀雄君)登壇 拍手〕
◆1番(鈴木紀雄君) おはようございます。光政会の鈴木紀雄でございます。 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。 今回は、さきの東日本大震災に関連し、幾つかの質問を行ってまいりたいと思いますが、はじめに、この大震災で被災されました皆様と御家族、関係者の皆様に心からお見舞い申し上げます。また、被災地の一日も早い復興に向けまして、市民の皆様とともに力を合わせ、精いっぱい支援してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 既に、何人かの議員の方が同じテーマで質問されていらっしゃいます。できるだけ重複しないようにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 私は以前から、市民の生命と財産を守り、安心で安全なまちづくりをしていくのは行政の役割であり、そのために、行政は全力を尽くしていかなければならないと考えておりました。折しも、3月11日の東日本大震災の翌日、土曜日に発行されたある地元紙の「新たな小田原へ 未来(あす)への提言」という特別企画がございました。その特集の中で、私は、「市民の生命を守る小田原」と題しまして、地震や水防対策を例に挙げ、「絶対に犠牲者を出さない安心で安全な街・小田原の実現に向けて最優先で取り組んでまいります」というお約束を寄稿しておりました。自分自身、あまりのタイミングに驚き、身の引き締まる思いがしたのを覚えております。 それから既に3ヵ月を過ぎました。現地の状況をニュースなどで見るたびに、津波の規模は想像をはるかに超え、まさに日本沈没を思い起こさせるような恐ろしい光景に、これからの私たちの身にどう降りかかってくるのかと思うと心配でなりません。今回の地震も、地球的規模から見ると、小さな日本という国の一部の地域の出来事かもしれません。自然の力の前では人間などほとんど無力であると思い知らされたような気がいたしました。それでも、市民の生命や財産を守るために、行政としては最善を尽くし、被害を最小限にとどめていく努力をしなければなりません。今回の地震により、本市の防災対策は早急に根本的なところから見直さざるを得なくなってまいりました。 そこで、まずはじめに、市長は、このような規模の地震やこれに伴う津波などに対し、本市の防災対策を見直すとしていますが、どのような視点から見直そうとしているのか、また、市民の生命や財産を守ることについてどのように考えていらっしゃるのか、市長の見解をお伺いしたいと思います。 次に、去る6月2日、大震災を踏まえたまちづくり方針として、市長をトップとする「いのちを守る小田原」推進会議という組織を設置したと伺いました。大震災後3ヵ月足らず、地震の影響で市民生活などもまだまだ不安定な状況の中で、絶対に市民生活を守るという使命から見ると、早急な取り組みは当然のことなのかもしれませんが、いち早くこのような検討を進めてこられたことにつきましては評価したいと思います。 そこで、まず、この組織の設置の目的と概要などをお伺いしたいと思います。 それから、「いのちを守る小田原」推進会議は、市役所庁内の組織のようなイメージで受けとめられたのですが、災害対策はまさに市民とともに立ち向かっていかなければならないものと認識しております。このことについていかがお考えでしょうかお伺いいたします。 今回の大震災を教訓に災害対策を検討する上で、被災者への対応一つとってみても、例えば、一般市民のほか、学校の児童・生徒、そして乳幼児、高齢者、視覚・聴覚障がい者や車いすの利用者、帰宅困難者などのいわゆる災害弱者など、被災者の状況や規模などに応じたさまざまな対応や検討が必要だと思われます。このように、地震や津波による被害の程度やエリアなどによって、あらゆる角度からの検証や見直しが必要と思われますが、今後どのように見直しを行っていこうとしているのでしょうかお伺いいたします。 また、今回の防災対策の見直しの中で、特に津波の高さの想定を10メートルとしていますが、10メートルの津波が小田原海岸を直撃してきた場合、酒匂川流域を中心とした小田原の平野はどのような状態になると想定していらっしゃるのでしょうか。 次に、災害情報の発信方法についてお伺いいたします。 災害発生の前後における市民や被災者にとって、迅速で正確な災害情報は、東日本大震災にも見られたように、生死を分けるほど重大な問題です。そういう意味でも、市民や被災者に正確な情報を迅速に伝えることは、絶対おろそかにしてはならないものと考えます。
防災行政用無線は、緊急時における情報を発信する手段としては特に重要なものとなるわけですが、以前から、音が小さくて聞こえないとか、音が反響して家の外に出ても聞き取れないなど、多くの市民からさまざまな意見や苦情があったと思います。この
防災行政用無線の放送については、放送設備を増設して音の死角となる場所を解消したり、あるいはボリュームの調整などによってある程度は改善できるとは思いますが、どうしても豪雨の日の家の中では聞こえにくいという状況もあり、緊急時の発信方法としては不十分ではないかと思っております。 そこで、まずお伺いいたします。このような緊急時の情報発信の方法と、
防災行政用無線の状況について、市長はどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。 次に、その他の緊急情報の発信方法としては、防災メールや小田原ケーブルテレビなどさまざまなメディアの活用があると思います。特にFM小田原については、自動車のラジオでも聞くことができ、
防災行政用無線の受信機にかわる有力な手段だと思われますが、もっと市民の方に、緊急時の地域に密着した情報が得られるFM小田原の存在を認識していただき、日ごろから利用するようPRし働きかけていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。 また、現在では、電波法の関係で出力が制限されており、受信しにくい地域もあるようです。中継局の増設や電波の増強の検討など、今後の計画があればお伺いしたいと思います。 次に、広域避難所の見直しに関連しお伺いいたします。 小田原の海岸線は長く相模湾に面しており、海岸に近い住民も非常に多く、最大の心配事は津波であります。先日の大地震の際にも、海岸に近い地域の方の中には、実際に広域避難所へ避難された方もいらっしゃいました。今後、津波の規模を見直した場合、十分対応できる広域避難所としての整備が必要であると考えますが、現在の広域避難所の位置、施設・設備の規模、収納備品、受け皿としての組織、要員などについて、どのようにとらえ、どのように検討していこうとしているのかお伺いいたします。 次に、津波対策についてですが、2点ほどお伺いいたします。 先ほども申し上げたとおり、海岸に近い市民にとって最大の心配事は津波です。仮にすぐにでも津波が襲ってくることがわかった場合の市民の緊急避難場所としては、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。小田原の海岸地域では、想定される津波に対応できるような高台地域はほとんどありません。また、強い地震に耐えられ、想定される津波からも安全に避難できるような高層ビルの数も限られており、数万人規模の海岸に近い地域の住民は、どのように行動したらよいのでしょうか。 このような津波に対する緊急の一時避難施設として、一定の高さを備えた鉄骨づくりの新たな建築物を建設することはできないでしょうか。 次に、西湘バイパスの下部のトンネル通路に設けられている防潮扉に関連してお伺いいたします。 このことについては、6番植田議員が既に質問されており、一定の理解をしておりますが、この御答弁を踏まえまして、少し角度を変えてお伺いしたいと思います。 この防潮扉の開閉については、国府津以東の地区では地元の方が実施されており、小八幡以西の酒匂、南町にかけての地域では、消防士20名余りの方が、何班かに分かれ、1時間近くをかけて、すべての防潮扉の閉鎖に回っていると聞いております。気象予報などに基づいて事前に台風の高潮に備えるのとは異なり、津波来襲のわずかな時間に現地へ急行し、海岸付近にいる方の避難誘導や防潮扉の閉鎖作業に余計な時間がかかったり、津波の来襲が予測以上に早い場合など、現地に向かった多数の消防士の方が犠牲となってしまい、その後の救援体制にも大きな支障が出るのではないでしょうか。 防潮扉の閉鎖作業に迅速に対応し、被害を最小限にとどめるためには、状況にもよると思われますが、地元の自主防災組織や消防団の方などとの連携や協力体制で実施することなども検討できないかお伺いいたします。 次に、海抜表示板についてお伺いいたします。 この6月の補正予算で、海抜表示板を公共施設130ヵ所に300枚設置する予定であるとしています。市民全体に海抜の意識を持ってもらうという趣旨からすると、全体の設置枚数が少なくはないでしょうか。広域避難所などの公共施設ばかりではなく、各自治会ごとに数枚単位で、地域の方にとって、よく目立つ場所に設置しないと、効果的に市民の認識が高められないのではないかと思いますが、いかがでしょうか、また、今後この表示板を増設する予定はあるのかお伺いいたします。 続きまして、学校施設の放射線被曝対策についてお伺いいたします。 神奈川県内においても、放射線被曝の問題がクローズアップされてきており、特に幼児、児童・生徒に対する放射線の影響などを考慮して、学校施設等において放射線量を測定する動きが出てきています。福島第一原発事故による県内における現在の放射線量は、自然界の放射線量と比較しても人体への影響は微量であると言われてはいるものの、今後の動向を注意深く監視していくことは必要なことであると考えます。 そこでお伺いいたします。まず、これまでに市内において放射線量の測定はどのくらい実施してきたのか、その結果はどうであったのかお伺いいたします。 また、今後、適時適切に放射線量を測定し継続的に監視していくようですけれども、6月の補正予算で放射線量を測定するための測定器1台を購入する予定となっています。この放射線量の測定器の保有台数は現在どのくらいあるのか、また、今後の追加購入などは検討されているのかお伺いいたします。 また、学校プール、校庭、砂遊び場など学校施設等における放射線被曝対策について何か取り組まれているのかお伺いいたしたいと思います。 今後、幼児、児童・生徒たちが校舎などから外出を規制されるような事態になった場合、子供たちの夏場の暑さ対策として、各教室への扇風機やエアコンの整備が必要になってくるのではないかと思われますが、これについては何か計画があるのでしょうか。扇風機やエアコンについては、全校に短期間での対応は難しいと思われますので、これを機会に整備を促進したらいかがでしょうか。 続いて、公共施設や民間建築物の耐震診断と耐震補強についてお伺いいたします。 本市では、市民の建物の耐震診断や耐震補強工事を行うに当たりまして、補助制度がありますが、その概要と年間の利用件数はどのくらいありますでしょうか、また、補助金の額は最高どのくらいになりますか、東日本大震災の後の利用状況はいかがでしょうかお伺いいたします。 また、予算の枠によって希望しても補助を受けられないこともあるのでしょうかお伺いいたします。 続いて、公共施設の内装設備の耐震性等についてお伺いいたします。 従来、建物の装飾品や備品、設備などについては、建物の躯体となる構造物ではないため、建築基準法の基準もなく、耐震診断の対象から外されていたようであります。しかしながら、今回の大震災でも、つり天井やその他の内装品などの落下による被害者も数多くありました。 そこで、この本庁舎においても、一部では構造的な耐震補強工事を行うべきところもあると伺っていますが、内装設備としては、この議場におきましても、見ていただきますとわかりますように、大きなつり天井が設置されております。これは本当に安全かどうか気になるところであります。このほかにも、公共施設のつり天井や内装設備等に潜む危険については、あらかじめ検証し、未然に予防策を図ることによって、安心して市民が利用できるようにしていただきたいと思います。 次に、ブロック塀についてお伺いいたしますが、2番野坂議員への答弁もありましたので、一、二点確認させていただきたいと思います。 市内には、危険と思われるようなブロック塀がまだ見受けられますが、私たち素人の目では、なかなか危険な施設なのかどうか見きわめができません。そこで、本市では、危険ブロック塀対策として通学路での調査をしてこられたようですけれども、市内全般の巡回監視などを実施したことがあるのでしょうか、また、これらの危険と思われるブロック塀について、市ではどのように把握していらっしゃるのでしょうかお伺いいたします。 次に、交流都市等の支援についてお伺いいたします。 今回の東日本大震災の被災地の状況は想像を絶するものがあり、その被災地支援には単発的な支援活動だけではなく、5年、10年、それ以上にも及ぶ息の長い支援が必要であると思われます。このためにも、被災地以外の地域に住む私たちも、長期間の支援が続けられるよう、不必要な自粛ムードを払拭し、活発な経済活動を展開し、みずからが経済的体力をつけることも重要だと考えております。 広い被災地全体に支援の手を広げるということも必要ではありますが、現状では、支援金や支援物資がスムーズに被災者の手に届くまでには相当な期間が必要だとも言われております。そこで、さまざまな交流市町村などへ直接、重点的に支援を行うことは、効率的で迅速な対応が図られ、被災都市や被災者にも喜ばれるものと考えます。現在、昨年10月に全国報徳サミットが開催された相馬市を中心として、小田原市から支援の手を差し伸べていますが、支援先からは非常に喜ばれ感謝されていると伺っています。 そこで、全国報徳サミット参加の他の市町村や全国梅サミット協議会、全国城郭管理者協議会、全国特例市市長会など、本市が参加しているさまざまな交流組織を通じた相互支援について、組織やネットワークを活用した支援活動も必要ではないかと思いますがいかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。 最後に、節電対策に関連して1点お伺いいたします。 東京電力の福島第一原子力発電所の事故以来、計画停電に引き続き、この夏予想される電力不足に対応するため、市内各所でも節電が行われています。今回の節電対策により、国道1号沿線の街路灯は、交差点や横断歩道付近しか点灯しておらず、全体の二、三十%程度とわずかな点灯となっています。このため、横断歩道や交差点以外のところでは非常に暗く、歩道を歩く人の姿も見えず、自動車だけではなく自転車の走行にも非常に危険な状態です。また、国道1号沿線では、防犯灯がほとんどなく、まちの安全管理上の観点からも、まちの活性化の観点からも、この夜間の電力消費量の比較的少ない時間帯で、ここまでの節電が必要な措置なのかどうか。できることであれば、もう少しふやして点灯できないものか、街路灯の管理者と調整していただきたいと思いますが、見解はいかがでしょうか。 東日本大震災に関連しまして、安心で安全な小田原のまちづくりのため、幾つかお伺いいたしましたが、以上で登壇しての質問といたします。よろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(加藤仁司君) 市長、登壇願います。 〔市長(加藤憲一君)登壇〕
◎市長(加藤憲一君) 1番鈴木議員の御質問に順次お答えを申し上げます。 はじめに、東日本大震災を受け、本市の防災対策をどのような視点で見直そうとしているか、また、市民の生命や財産を守ることについてどう考えるかといったお尋ねでございました。2番野坂議員の御質問にもお答えしたところでございますが、この大震災は、各地でつくり上げてきた災害想定や災害対策をはかるに超えた甚大な被害をもたらしたところでございます。私自身、実際に相馬市や南相馬市の被災地に赴き、現地を歩かせていただく中で、市民の皆さんの生命と財産を守ることの大切さ、そしてその難しさ、これを実感したところでございます。この現実を踏まえまして、今後は「いのちを守る」という視点に立ちまして、従来の枠組みによる災害対策を超えて、総合計画に位置づけたさまざまな施策におきましても、この「いのちを守る」という視点に基づいて横ぐしを通しつつ、真に安全・安心なまちを目指してまいりたいと考えているところでございます。 次に、「いのちを守る小田原」推進会議の設置目的とその概要についてのお尋ねでございました。ただいま申し上げましたように、「いのちを守る」という視点で、さまざまな施策に横ぐしを通していくためには、まずは全庁的な情報共有を行いまして、同じ方向に向けて動き出すことが重要となると考えております。そこで、市長である私と、両副市長、教育長、病院長、そして全部局長で構成いたします「いのちを守る小田原」推進会議を庁内に設置いたしまして、情報を一元化しながら、それぞれの役割を明確にしたものでございます。6月2日に開きました第1回目の会議では、冒頭で私から震災後のまちづくりに対する思いを述べ、その後、全員で意識共有を図った上で、さまざまな意見交換を行ったところでございます。今後は、推進会議の情報などをもとに、さまざまな場を通じ、個々の取り組みを進めてまいることとなります。 次に、推進会議は庁内組織のようなイメージであるが、災害対策は市民とともに立ち向かっていくべきと考えるがどうかというお尋ねでございました。実際にこれらの取り組みを今後進めていくためには、個々のニーズや置かれている状況、そして対応のための手法など、さまざまな情報を持っておられる市民の皆さんとともに考え、一体となっていくことが何よりも大切でありまして、これにより現状に即した、あるいは現場に即した、よりレベルの高い対策を構築することができると考えております。この推進会議そのものは、市役所内部の全部局で情報共有を行い、部局間での調整を行うためのものでございますが、その議論に際しましては、当然ながら、各部局が扱う分野や課題に即して、市民の皆さんあるいは議会の皆さんからの情報収集や御意見、また提案などを十分に踏まえたものでなければならないと考えております。いずれにいたしましても、ここでの情報や議論を踏まえまして、いのちを守るためのまちづくりを、市民の皆さんや市議会の皆さんとともに築いてまいりたいと考えているところでございます。 次に、地域防災計画についての見直しが必要と思われますが、今後どのように行っていくのかとの御質問でございました。平成17年度の地域防災計画の改定以降に、国・県から示されました計画や調査結果等及び市の総合計画等を反映させまして、より実践的なものにこのたび改定してまいる考えでございます。また、平成22年の台風9号、あるいは今回の東日本大震災のさまざまな教訓についても、計画改定の時点で可能な限り盛り込みたいと考えているところでございます。 次に、津波の高さを10メートルとした根拠、また、10メートルの津波が来た場合の小田原の想定についての御質問でございました。本市では、津波に対する対策を早急に進めますため、最悪と思われる津波の高さを10メートル程度とひとまず想定いたしました。この高さは、県が想定しております神奈川県西部地震における津波の高さ3.33メートルを約3倍しているものでございます。また、東日本大震災では、気象庁の発表による最大の高さの波が、相馬市の観測点における9.3メートル以上とされており、10メートルはこれを上回っていること、また、大津波警報の最大高さが10メートル以上であることなどを参考として想定したものでございます。実際の津波浸水予測でございますが、県では神奈川県
津波対策推進会議のもとに
津波浸水想定検討部会を新設いたしておりまして、津波の規模の再検証を開始しており、その部会の中で浸水予測も示されることになるものと考えております。 次に、緊急時の情報発信方法と
防災行政用無線の状況についての御質問をいただきました。
防災行政用無線につきましては、音の届かない地域や音の重なる地域を調査した上で設置しているものでございます。また、聞こえにくいとのお申し出のありました地域につきましては、スピーカーの向きや音量の調整を行いまして、できる限りの改善をこれまでも試みてきております。しかし、気象条件や建物に反響するなどの要因によりまして、市内全域にくまなく明瞭に放送内容を届けることが難しいというのが実情でございます。そこで、
防災行政用無線の補完といたしまして、防災メールの配信、FM小田原での放送、小田原ケーブルテレビでの文字放送、ホームページへの掲載、さらに広報車による巡回放送など、内容や状況に応じて複数の手段を講じているところでございます。 次に、市民に対して日ごろからFM小田原を利用するようさらに周知をしてはどうかとの御質問でございました。FM小田原は、通常は地域に密着した情報を、また、災害時には緊急放送としてこれに特化した情報を放送しておりまして、市民にとって貴重な情報収集の媒体となっております。市といたしましても、市民の多くが所持しておられるラジオやカーラジオを通して情報提供することは非常に有効であると考えておりまして、これまでも機会あるごとに周知を行ってまいりました。しかし、今回の震災を受けまして、さらなる周知の必要性を感じましたことから、いざというときにはFM小田原を利用していただくよう、広報紙や市のホームページなどで積極的に周知してまいりたいと考えております。 次に、FM小田原の難聴地域解消に向けた今後の計画についてのお尋ねでございました。FM小田原は、平成19年3月にコミュニティ放送局として国から認可を受けまして、出力10ワットで開局いたしましたが、電波の性質上、地形や気象状況によって聞きづらい地域もございました。そこで、さらなる可聴区域の拡大を図りますため、国と粘り強く交渉を行い、平成22年3月に出力を20ワットに引き上げますとともに、アンテナの向きを調整するなど対策を行ってきております。1番鈴木議員御発言のとおり、近隣市町に影響を及ぼしますため、電波法の関係で出力が制限されておりまして、これ以上の出力増強は難しいところでございます。また、中継局の増設につきましては、経費面等の課題もありますため、FM小田原株式会社とともに調査研究を行ってまいりたいと考えております。 次に、広域避難所の位置や施設・設備の規模などをどのようにとらえ、検討していくのかについて御質問がございました。津波に対しましては、まずは海岸から遠ざかり、高い場所へ避難するということが何より重要でございます。その後、津波の心配がなくなってから、住家の被害状況に応じて広域避難所に避難することとなります。しかし、東日本大震災後、津波対応の考え方が大きく変化してきておりますので、広域避難所の位置や施設などにつきましても、地域防災計画の改定の中で今後検討を行ってまいる予定でございます。 次に、津波に対する緊急避難場所についての御質問でございました。現在、海抜10メートルのラインと3階建て以上の建物を示した地図を作成いたしまして、これをもとに各地域の自治会の方々と実際に地域を歩き、避難に適した高台や建物、そこに至る避難経路などを示した地図を地域ごとに作成しているところでございます。今後は、公共施設だけではなく、避難対象となり得る民間の建物を津波避難ビルとして利用させていただきますため、建物の所有者と協議してまいりたいと準備を進めているところでございます。 次に、津波に対する市民の避難行動と、緊急の一時避難施設として新たに建築物を建設することについての御質問でございました。津波に対する避難行動といたしましては、市民みずからが直ちに高い場所に逃げるということが何より重要でございます。現在、津波に対する緊急避難場所の選定、その確認作業を行っているところでございます。今のところ、既存の建物を利用した避難場所の確保をまずは考えておりまして、新たに建築物を建設することについては検討してはございません。 次に、今回の東日本大震災による津波被害を踏まえ、今後、防潮扉の閉鎖作業について、消防職員だけではなく自主防災組織や消防団と連携して行う考えはないのかとの御質問でございました。本市の防潮扉の閉鎖につきましては、地震により津波注意報以上が発せられた場合や津波の発生が予想された場合などに閉鎖することになっておりまして、また、閉鎖に当たりまして、海浜の滞留者の確認や避難誘導もあわせて行っております。このため、防潮扉の閉鎖に当たりましては、迅速性や確実性が強く求められるものでございます。特にこのたびの東日本大震災のように、津波の到達時間が早い場合には、防潮扉の閉鎖が困難でございまして、地域住民は避難が最優先となりますことから、防潮扉の閉鎖につきましては、自主防災組織や消防団との連携は考えてございません。 次に、海抜表示板の設置枚数をふやす予定があるかとの御質問でございました。海抜表示板の設置につきましては、津波に対する市民への啓発とともに、津波避難の際の目安として早急に設置する必要がありますことから、まずは市の予算により公共施設を対象として始めていきたいと考えております。今後でございますが、現在作業中である避難計画によって位置づけられることになります避難経路沿い等、他の場所への設置につきましても取り組んでいく必要があると考えているところでございます。 次に、市内における放射線量の測定についての御質問でございました。市内の空間放射線量率につきましては、早急に現況を調査する必要があると考えまして、西湘地域県政総合センターで使用している機器の同型機種を1台借り受けまして、5月30日から開始し、まず、公立の幼稚園、保育所、小・中学校、公園等59ヵ所66地点の測定を行っております。今回の測定で得られました調査結果につきましては、先ほど2番野坂議員の御質問でお答えいたしましたとおり、最も高かった放射線量率でも、文部科学省が福島県に示しております学校グラウンドの利用判断の暫定基準、毎時3.8マイクロシーベルトの約30分の1でございました。また、1年間に受ける放射線量に換算いたしますと、国際放射線防護委員会の勧告による一般人の安全基準であります年間1ミリシーベルトを下回ってございます。今後も、測定結果を考慮いたしまして、頻度や地点の見直しを行いながら測定を継続してまいる予定でございます。 次に、現在の放射線量率測定器の保有台数と今後の追加購入の予定についてのお尋ねでございました。市には簡易的な測定器は数台ございますが、今回の測定で使用した機器と同程度の性能を持つ環境測定専用の放射線量率測定器は保有してございません。また、測定に当たりましては、同じ機器を用いて測定し、経過を観察することが重要でございますので、当面はこの1台で対応していくと考えているところでございます。 次に、外出規制されるような事態になった場合の夏の暑さ対策として、扇風機等の整備を促進すべきではとの御質問でございました。16番安藤議員の御質問にもお答えいたしましたとおり、学校の空調設備につきましては、保健室への設置が完了し、パソコン教室や特別支援教室、管理諸室等への整備を現在進めているところでございます。普通教室につきましては、天井扇風機の整備を進めておりまして、今年度の整備予定を含めますと、小学校は25校中11校、中学校は11校中3校となっております。学校への扇風機等の整備につきましては、近ごろの夏の暑さ対策として必要なことと考えており、なるべく早い整備に努めてまいりたいと考えております。 次に、耐震診断、耐震補強工事の補助制度についての御質問でございました。この補助金は、市民の方が所有し居住する木造住宅で、昭和56年5月31日以前に着工された一戸建て住宅等に対しまして、耐震診断等を行う経費の2分の1を補助しているものでございます。補助上限額につきましては、耐震診断は1件4万円、耐震補強工事は1件50万円となっております。平成22年度の補助実績は、耐震診断は26件で104万円、耐震補強工事は10件で500万円でございました。東日本大震災後の申請件数でございますが、5月末までで耐震診断は4件、耐震補強工事は1件となっております。予算額を超える場合は、補正予算で対応するものといたしております。 次に、議場のつり天井の安全性、公共施設の内装材や装飾品等に潜む危険性の調査、またその予防策についてのお尋ねでございました。本市議場の天井につきましては、庁舎管理の中で日常点検を行っておりますほか、建築基準法の規定に基づき、3年に一度の定期点検の際、目視による点検を行ってきたところでございます。また、庁舎建設時において、施工上の基準を満たしてつくられているものでございまして、一定の安全性は確保されているものと認識しております。同様に公共施設の内装材や装飾品等につきましても、各施設管理者において点検を行っており、必要な対策を講じてきているところでございます。しかし、天井や内装材に関しましては、法令による明確な耐震基準がないところであり、今回の東日本大震災において、天井が崩落する被害が相次ぎましたことから、国において、今年度中に天井落下防止に関する基準のあり方を検討する動きがありますため、それを注視し、必要とされる対策を行ってまいりたいと考えております。 次に、危険なブロック塀の把握、市内の巡回監視の実施状況についての御質問でございました。平成元年度から平成4年度にかけまして、市内全小・中学校の通学路を対象に、危険な塀の実態調査を行い、平成10年度から平成12年度にかけて追跡調査を行っております。前回の調査から10年が経過しておりますので、再度、通学路における危険な塀の現状について調査する必要があると考えております。 次に、被災地支援に関して、本市が参加している組織やネットワークを活用した支援活動も必要ではないかとのお尋ねでございました。1番鈴木議員の御指摘のとおり、市単独ではなく組織的に取り組むことで、支援物資や義援金を大量に一度に送れるなどのメリットがございます。しかし、今回の甚大な被災状況の中で直ちに支援を行うには、自治体ごとに職員数や財政面などの条件が異なりますこと、また共通の基準や支援方法、また役割分担を決めてから動き出すということが難しい状況にございました。そこで、まずは、本市と交流のある岩手県釜石市、宮城県多賀城市、福島県相馬市、南相馬市と連絡をとりまして、先方の依頼に基づき必要な支援を先行して行ってきたところでございます。今後は、時間の経過に伴いまして、被災地のニーズも多様化してまいりますことから、本市の加盟している組織やネットワークとも連携を図りながら、効果的な支援について検討してまいりたいと考えております。 次に、国道1号の節電対策についての御質問でございました。国道1号の道路照明灯の消灯は、電力不足に対する政府の方針を受けた国土交通省横浜国道事務所の節電への取り組みによるものでございますが、利用者の皆様には大変御不便をおかけしていると感じております。市といたしましては、市民の方から点灯の希望があった場合には、国へ連絡し、国はその都度、安全性等を勘案しながら、必要に応じて対応していただいているところでございます。いずれにいたしましても、節電につきましては、総力を挙げて取り組んでいるところでございまして、市民の皆様には御不便をおかけしておりますが、何とぞ御理解をいただきたいと考えております。 1番鈴木議員御質問の東日本大震災に関連してのうち、学校施設等の放射線被曝対策についての教育委員会所管分については、この後、教育長から答弁をさせていただきます。 以上をもちまして、1番鈴木議員の御質問に対する私からの答弁とさせていただきます。
◎教育長(前田輝男君) 1番鈴木議員御質問の、東日本大震災に関連した教育委員会における学校施設の放射能被曝対策につきましては、私の方からお答えいたします。 学校のプールや校庭、砂遊び場など学校施設における放射線被曝対策についての質問でございました。学校現場といたしましては、放射能について正しい理解をしていただくことが大切でありますことから、文部科学省が作成した教職員向け資料「放射能を正しく理解するために」及び保護者向けの資料「放射能で気をつけたいこと・保護者の皆様へ」といった冊子を5月17日に配布しております。また、国や県が行う空間放射線量や大気中の降下物、食品等の測定結果を受けまして、状況に応じて、各小・中学校、幼稚園に対し情報提供するとともに指導を行っております。なお、学校プールにつきましては、16番安藤議員の御質問でお答えいたしましたとおり、十分に清掃した後、新しい水を入れておりまして、基本的には安全であると認識しておりますが、プール使用時には念のため、水泳後、うがいや目の水洗い、体をシャワーでよく洗い流すことなどを指導しております。また、校庭や砂遊び場などにおいては、子供たちが土や砂を口に入れないように注意するとともに、外で遊んだら手や顔についた土や砂をよく洗い落とすよう日ごろから指導しているところでございます。なお、今月8日には、文部科学省から簡易放射線測定器「はかるくん」を借り受けまして、旧片浦中学校を含めた各中学校区に1台ずつ合計12台を貸与しており、中学校区の小学校と連携して活用しているところでございます。 以上をもちまして、1番鈴木議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。
◆1番(鈴木紀雄君) 御答弁ありがとうございました。それでは、幾つか再質問させていただきたいと思います。 「いのちを守る小田原」推進会議につきまして、全庁的な情報の共有ということで取り組んでいらっしゃるということでございます。まずは市役所内部で共通の認識に、また精力的に取り組んでいく必要があろうかと思いますので、この辺は情熱を持って取り組んでいただければというふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。 このような甚大な被害が想定される中で、市民の生命を守るために、行政としては一日も早く対応策を検討し、手を打つ必要があると考えております。今後の当面の対応として、いつごろまでに、どのような備えをしていこうとしているのでしょうか、計画があればお伺いしたいと思います。また、この対応策によってどの程度の効果が得られるとお考えでしょうかお伺いいたします。 これからの見直し作業につきましては、膨大な量となってくると思われますが、これらを迅速に解決していくために、相当な労力が必要となってくるでしょう。このための十分な人員体制や組織はできているのでしょうか。 私の目から見ますと、防災の担当部署は、前年度までの組織陣容とあまり変わらず、これらの重要かつ膨大な量の検討を行い、その対応策を具体化していくための組織陣容としては若干弱いのではないかというふうに懸念するところでございます。今後の組織の増強などを考えていらっしゃるのかどうかお伺いしたいと思います。 それから
防災行政用無線の屋外用の放送施設でございますけれども、気象条件や何かによって非常に聞きづらいというようなところがあろうかと思います。屋外用の放送施設については、現在、市内に何基設置されているのでしょうか。そして、そのほか移動型とか、あるいは建物内部の戸別受信機、こういうものはどういうところに何台ぐらいあるのでしょうか。また、
防災行政用無線の受信機にかわるような、簡易な携帯ラジオのような受信機があれば非常に便利ではないかなというふうに思います。どのくらいの価格で入手できるのか、そういうものがあるのかどうか、あわせてお伺いしたいというふうに思います。
◎市長(加藤憲一君) 1番鈴木議員から3点ほど御質問がありましたので、まず私の方から答弁をさせていただきたいと思います。 今後の災害対策ということで、津波等に対する当面の対応ということでお尋ねがございました。これについては、今般の議会の中でも再三御答弁申し上げておりますけれども、まずは津波対策を喫緊にやらなければならないということで、これに取り組んでいるところでございます。現在、自治会の方たちと共同作業で作成しております各地域ごとの緊急避難場所あるいは避難経路の地図、これは何としても夏ごろまでを目途に作成していきたいというふうに考えております。また、今回補正予算でお認めいただきました海抜表示板の設置、これもできるだけ夏ごろまでに設置していくべく、発注等も含めて取り組みができればと考えております。こういったことを通じまして、言うまでもないことでありますが、それぞれの、特に沿岸部に近い方たちが、自分たちが住んでいる場所の高さがどのぐらいなのか、あるいは、いざというときにどういうルートを通ってどこに逃げればひとまず大丈夫なのか、こういったことについての意識啓発、あるいはさまざまな意味での備えをしていただけるものと考えております。また、それに付随して、当然のことながら、新しい避難所の考え方、そういったものも派生して考えていく必要があると思いますが、これについては、作業に入れる状況になり次第、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上です。
◎副市長(大野速雄君) 防災対策の見直しにつきまして、組織の増強などを考える必要があるのではないかということに対しましては、私の方からお答え申し上げたいと思います。 1番鈴木議員御指摘のとおり、この議会でも、きょうは5日目でございますけれども、防災対策に対してこれからどうするのかと考えますと、それはやはり膨大な作業が予定されると思います。現在、今の体制でどのように見直していくのか、着々と準備を進めているところでございますが、御指摘のように膨大な事務量が予想されます。したがいまして、この防災の担当部署の対応でございますが、現在の作業を見ながら早目に、もしこれが難しいというような場合、この状況を見ながら対応してまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
◎防災部長(柳田治夫君) 3点目の、
防災行政用無線の屋外用の放送施設の数、それから戸別受信機の設置場所と設置数、それから価格について御質問がありました。私からお答えさせていただきます。
防災行政用無線につきましては、屋外スピーカーを214ヵ所設置しております。また、戸別受信機につきましては、市の出先機関、福祉施設、保育所、教育施設など523ヵ所に設置しております。戸別受信機の価格でございますが、1台当たり5~6万円程度でございます。 以上でございます。
◆1番(鈴木紀雄君) 御答弁ありがとうございました。 組織体制については、状況を見ながらというふうなお話もございました。しかしながら、きょうあす来るかもわからないような災害でございますので、本当にできるだけ早く早急にその辺のところを検討していただければというふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。そういう意味でも情熱を持って当たられたらというふうに思っております。 それから、この検討をされる上で、プロジェクトなどの特命チームを編成するというようなことも含めて、視野に入れまして検討していただければというふうに思っております。この辺も含めてよろしくお願いしたいと思います。 また、
防災行政用無線でございますけれども、いろいろな施設に戸別受信機というものが設置されているというふうに伺っております。523台ということでございますけれども、地域の皆さんとしては、できれば、隣近所であります自治会の組長のお宅などに設置されていると、非常に情報を入手しやすいのではないかというふうに思っております。せめて組長宅に設置するなどの方法が検討できないのかお伺いしたいと思います。
◎防災部長(柳田治夫君) 戸別受信機を各組長宅に設置する考えはないのかという再質問につきましてお答えさせていただきます。 戸別受信機につきましては、ただいま御答弁申し上げましたとおり、1台当たり5~6万円程度の金額でございまして、それに対して自治会の組の数が6000以上ありますことから、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。 以上でございます。
◆1番(鈴木紀雄君) 非常に高額だということはわかるんですけれども、テレビなども地デジの時代で、四、五万円で32インチのテレビが買えるというような時代です。こういう受信機はそんなに難しいものではないのではないかなというふうに思っておりますので、これらもメーカーなどともよく協議していただいて、安く購入できるようなこと、そうすることによって、市民全員がある程度情報を共有しやすくなるのではないかというふうに思いますので、その辺のところも工夫・検討していただければというふうにあわせてお願いしたいと思います。 それから本市の防災訓練は広域避難所ごとに分散して行われておるわけですけれども、より実践的で実効性ある防災訓練を考えた場合、全市一斉の防災訓練を実施したらどうかなというふうに思っております。そうすることによって、新たな問題点の検証などができるのではないかというふうに思っております。徐々に防災訓練の対象エリアを拡大しながらやっていくというようなことも有効であると思いますし、場合によっては年に1回と限らず、総合防災訓練を繰り上げるような形で防災訓練を実施していくというようなことも含めて検討していただければというふうに思いますけれども、この辺について御見解をお伺いしたいと思います。
◎防災部長(柳田治夫君) 防災訓練についての質問がございました。まず一つ目の、より実践的に全市一斉の防災訓練を実施することについてはいかがかという御質問だと思います。今年度は、桜井・報徳・富水・東富水、この4ヵ所の小学校で一斉に避難所運営宿泊訓練を実施する予定でございます。来年度以降も、自治会総連合と相談しながら、一斉に実施する訓練場所をふやしていきまして、最終的には全市一斉の防災訓練の実施を目指してまいりたいと考えております。 それから防災訓練の実施回数をふやすことについてという御質問ですが、防災訓練につきましては地域住民と共同で行っておりますことから、自治会長等の意見も聞いて対応してまいりたいと思います。 以上でございます。
◆1番(鈴木紀雄君) よろしく御検討をお願いします。きょう来るか、あす来るかわからないという、喫緊ということで御検討いただければと思っております。 それから防潮扉の関係なんですけれども、消防職員とか、あるいは市民の方の安全性を最優先で考えた場合に、先ほどのように、自主防災組織ですとか消防団の方との連携というのは考えていないということでございますので、逆に西湘バイパス下部のトンネル通路を最小限に減らすということも必要ではないかというふうに思われます。地元の方や
中日本高速道路株式会社などともよく協議し、思い切って幾つかのトンネル通路を廃止するということも検討してはいかがでしょうか、この辺についてお伺いしたいと思います。 それから建物の倒壊などによって被害が出るということで、絶対に被害者が出ないようなまちづくりというのを行っていってほしいというふうに思っています。今まで以上に耐震診断とか耐震補強の補助制度を市民へPRすることによりまして、手続の簡略化などを行い、市民の方に補助制度を積極的に活用してもらうということも必要ではないかと思います。今年度まだ1件というようなこともあるようでございますので、どんどんPRしていただき、市民の保有する建物の安全性が確保できるようにしていただければというふうに思います。建物の補強によって安心して暮らせるまちづくりということでお願いしたいと思っていますが、この辺について御答弁をお願いしたいと思います。
◎建設部長(柿本三夫君) 1番鈴木議員から西湘バイパス下部の通路の廃止について再質問がございましたので、私の方から御答弁申し上げます。 本市の海岸線につきましては、平常時は市民や来訪者にとって気軽に水に触れ合うことできる貴重な水辺空間となっておりまして、トンネル通路につきましては、大変有効に利用されているものと認識してございます。また、有事の際、浜辺へ散策に訪れている方や釣り人の避難経路としての機能も有しているものと考えてございます。1番鈴木議員御提案のとおり、津波対策としてトンネル通路を幾つか減らすことにつきましては、地元や
中日本高速道路株式会社との協議も必要となりますことから、今後研究してまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
◎都市部長(北村有一君) 耐震診断と耐震補強制度の市民へのPRについての再質問については、私の方からお答えいたします。 いわゆる旧耐震基準ですけれども、昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅にお住まいの方に、平成21年度と平成22年度の2ヵ年、順次、ダイレクトメールを送付するとともに、「広報おだわら」や市ホームページで耐震に関する記事等を掲載しまして、住宅の耐震化の必要性について周知しております。さらに、社団法人神奈川県建築士会及び神奈川県建築士事務所協会の協力を得まして、市が主体となって無料耐震相談会を実施するなど、耐震化の促進を図っております。今後も、「広報おだわら」、ホームページ、あるいは無料耐震相談会等を通じまして、積極的に耐震診断、耐震補強の補助制度についてPRをしていきたいと考えております。 以上でございます。
◎防災部長(柳田治夫君) 耐震診断、耐震補強工事の補助制度の手続の簡略化の部分につきまして、私の方から答弁させていただきます。 補助金を交付するためには、内容についてしっかりと審査する必要があると考えております。提出していただく書類につきましては、申請時には、補助対象となるかどうか判断できる書類の添付、実績報告のときには、申請時の事業が反映されたかどうかわかる書類を添付していただいているところでございますが、いずれも必要最小限のものとしてございます。手続につきましても、申請書の提出、交付決定、工事の着工、実績報告書の提出、こういった流れになっておりまして、特段複雑なものではないと考えております。とは申しましても、現在、防災に関する市民の関心が高まっておりますので、市民に積極的にこういった補助制度を活用していただけるよう、さらに補助金につきまして周知・改善に努めていきたいと考えております。 以上でございます。
◆1番(鈴木紀雄君) 先ほど公共施設の内装設備等の耐震性について御答弁いただいたわけですけれども、公共施設のみならず、民間施設におきましても同様な状況があるというふうに思っております。さきの大震災において悲惨な被害を招いている状況を踏まえまして、この際、市民や民間事業者の保有する家屋あるいは建物についても、その所有者や管理者に対して、内装設備等の耐震対策を促すような指導や啓発をすることも必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。 また、先ほどもありましたように、建築基準法の規定や基準がないようであります。一方で、国ではそういうような内装設備等の基準について検討する動きも出ているようでございます。小田原市独自の条例で定めるとか、あるいは制度上そぐわないかもしれませんけれども、県西の中心都市として県西2市8町で連携したり、あるいは、場合によっては神奈川県全体で構造改革特区制度などを活用するなどして、何とかいち早く今後の附帯設備等の設置に関しての一定の基準や規制を設けて、安全なまちづくりを目指すことはできないでしょうか、御見解をお伺いしたいと思います。
◎都市部長(北村有一君) ただいま2点質問がございました。まずは、市民や民間事業者の保有する家屋・建物についても、内装設備等の耐震対策を促すような啓発も必要ではないかというような御質問でございました。民間施設である劇場、店舗、ホテルなどで1部屋が500平方メートル以上の空間を有する建築物については、その天井における耐震対策の状況を、建築基準法に基づき、建物所有者から市に定期的な報告を求め、市で指導しているところでございます。しかし、これら定期的な報告が義務づけられていない住宅などの建築物については、1番鈴木議員御指摘のとおり、周知が必要であろうと考えております。現在、耐震相談会等で、家具等の転倒防止等についても説明し、啓発を図っておりますけれども、これらにあわせて、天井等の内装設備の安全性確保についても説明するとともに、「広報おだわら」またホームページ等を通じて啓発に努めてまいりたいと考えております。 続きまして、2点目の、屋根がわら、エアコンの室外機等の話ですけれども、それらを条例化してやったらどうかというような御質問でございます。構造方法を含めて設備等の設置基準などのさらなる規制を設けるということを条例化するためには、その負担を市民に強いるわけですけれども、その根拠となる数値を求めるための膨大な調査研究が必要となります。また、構造方法の強化(付加)をかけることは建築主に過度の負担がかかります。それともう一つ、設計者、工事施工者、あるいはメーカーなどの理解も必要となってきまして、さまざまな課題があると考えております。しかしながら、やはり想定外の東日本大震災を受けまして、国土交通省でも天井などの安全基準の検討がされているということも聞いておりますので、それらの把握に努め、国の対応策も考慮に入れながら、あわせて、言われましたように県下特定行政庁の動向を見きわめて対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆1番(鈴木紀雄君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 先ほど、ブロック塀についての調査は通学路で調査されたというふうにお聞きしましたけれども、市内全般としてはどうなのか、あわせてお答えいただければありがたいと思います。 また、国道1号の節電対策についてですけれども、状況をよくごらんいただいて、まちの安全性という面では、非常に暗い状況もありますので、そこを踏まえて、再度国の方にも強く要望していただければというふうに思っています。よろしくお願いします。
◎防災部長(柳田治夫君) ブロック塀などの危険な塀の関係でございますが、過去、最初の調査、2回目の追跡調査、いずれも通学路の危険な塀の調査でございましたので、今後やるときには市全体ということも考えていきたいと思っております。 以上でございます。
◆1番(鈴木紀雄君) 本市の防災対策のさまざまな取り組みにつきまして質問し、また要望もさせていただきましたけれども、大震災はきょうあすにも襲ってくるかもしれません。のんびりと構えているのではなく、一日も早く、市の総力を挙げて、早急に対策を検討し策定し実行に移してほしいというふうに思っております。よろしくお願いします。 また、先ほども申し上げましたが、必要以上の自粛ムードというのは、本市の経済活動にも大きな影響があると思われます。被災地に対する長期にわたる支援活動を継続的に行っていくためにも、小田原地域の経済活動も活発に行い、我々自身も経済的な体力をつける必要があります。このことはすべての市民の皆さんにも御理解いただき、前向きに取り組んでいく姿勢を持っていただかなければならないものと思いますので、行政としても各方面へ積極的に働きかけていただくよう要望いたします。全庁的に、また市民一人ひとりが情熱を持って対応するように取り組んでいただきたいというふうに思っています。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(加藤仁司君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後1時30分といたします。 午後0時19分 休憩
----------------------------------- 午後1時29分 開議
○議長(加藤仁司君) 休憩前に引き続き再開いたします。 10番今村議員、登壇願います。 〔10番(今村洋一君)登壇 拍手〕
◆10番(今村洋一君) それでは、通告に従い順次質問をいたします。 はじめに、大きな1番目として、地方版企業の社会的責任(CSR)の導入について伺ってまいります。 CSRとは、企業が利潤追求だけでなく、従業員や消費者、地域、国際社会など企業活動を取り巻くすべての利害関係者(ステークホルダー)に責任を持たなければならないとする考え方であり、民間企業では、企業の理念の一つとして企業の社会的責任を果たそうとする動きが国内外で高まっております。 北海道釧路市は、平成20年、自治体では全国初の自治体版CSRである釧路市版CSR「釧路市役所の社会・環境等活動(CSR)推進指針」を策定しております。平成21年には「釧路市職員CSR通信」も創刊しました。市職員が果たすべき社会的責任を再認識し、市民に信頼される市役所を目的とし、公的活動ばかりでなく、私的活動においても信頼される市職員の活動を促しております。釧路市版CSRでは、①コンプライアンス(法令遵守)の徹底、②公務員倫理の保持、③公務員としての資質の向上、④環境への配慮、⑤仕事と家庭の両立の向上、⑥地域の一員として果たすべき役割の実践、⑦社会貢献に対する意識の醸成を挙げ、公的活動における行動指針、私的活動における行動指針を定め、地域、職場及び家庭の日常におけるCSRの浸透及び定着に努めております。中でも私的社会活動への関与として地域活動、青少年育成支援活動、福祉支援活動、まちおこし活動、清掃美化活動、災害被災地支援活動、国際奉仕活動、その他の社会活動などの取り組み項目が具体的に掲げられておりますが、指針の最後に、これを機会に公私のさまざまな分野において一層活発なものとなっていくことを期待するとしております。 小田原市も市役所としての「社会的責任の再認識」を大いに期待するものであります。そこで市長に伺いますが、企業の社会的責任であるCSRについて、市長の御見解をお伺いいたします。あわせて、小田原市版CSR策定の可能性について市長の見解を伺います。 さて、昨年11月には、国際標準化機構(ISO)によって、CSRの準国際規格とも言うべき「ISO26000」が発行されました。日本では、21世紀に入りCSRをめぐる議論が本格化し、大企業や経済団体がCSRを主導してまいりました。本業外の領域にも果敢に挑む欧米企業のCSRと比べ立ちおくれが指摘されましたが、近年やっと環境や貧困など地球規模で貢献する企業も出始め、近ごろでは地域に根を張る中小企業や大企業の支社、支店などによる地域貢献型のCSRが芽生え、地元自治体や市民団体などと顔の見える協働関係が築かれております。先駆的な取り組みとして注目されている横浜市や宇都宮市の「地域志向CSR」、京都商工会議所が中心となって進める「京のCSRガイドライン」、広島県の過疎地域におけるCSRの活動マッチングがあります。 地域密着型CSRは、企業にとっては地域社会や消費者との間で親密性を深め、結果的に業績の向上も図ることができ、一方、地域側も地元企業の業績アップで雇用・納税・取引の増加を期待できるほか、環境や文化、福祉などの面でも活性化を図る効果があります。地域文化のPR誌を従業員のボランティア活動として無料で発行・配布している札幌市の情報処理会社や、少子高齢化社会に対応するために子育てタクシーと介護タクシーを運行する奈良県内のタクシー会社などの事例もあります。 そこで、質問の(2)として、活力ある地域創出を目指し、顔の見える協働関係を生かした中小企業による地元密着型経営地方版CSRに向けた行政の取り組みについて、市長はどのように考えているのか、見解を伺います。 質問の大きな2番目として、本市の今後の防災対策について何点か伺ってまいります。 はじめに、(1)として、事業継続計画(BCP)の策定について伺ってまいります。 東日本大震災を機に、BCP(事業継続計画)が注目を集めております。BCPとは、地震のような大規模な災害やテロといった不測の事態が発生しても、企業や行政機関が重要事業を継続できるよう事前に立てておく計画のことであります。「事業継続」に重点を置いているところが、一般的な防災対策とは異なります。地方自治体においては、地域住民の生命、生活、財産の保護だけでなく、行政サービスの維持(保健や福祉への対応、緊急時、被災時における道路、水道、港湾等の復旧、整備など)といった観点から、BCP策定の取り組みが広がっております。総務省では昨年11月、「地方自治情報管理概要」の中で、情報システムに関する業務継続計画(BCP)の策定状況を公表しました。都道府県・市区町村単位の調査結果から、策定していない市区町村のうち「策定予定はない」とする市区町村が1095団体、66%にも及ぶことが明らかになりました。この事業継続計画の目標として次の事項が掲げられます。 ①として、災害発生時、迅速な状況の伝達、集合、人的被害の評価などを実施することで、従業員の初期対応能力を強化、②として、災害発生の現場において、被害拡大の阻止、状況の伝達、消防署との連携などを実施することで、現場の初動対応能力を強化、③として、災害宣言後、代替サイトへ移動し、関連機関への災害発生の報告、被害評価、業務復旧(手作業)、システム復旧後の業務復旧などを実施することで、業務復旧能力を強化、④として、災害宣言後、新規業務スペースの確保、緊急車両の手配、代替人力の確保など、業務復旧を支援する能力を強化、⑤として、災害発生時、予測できなかった復旧時間の経過など、異常発生による意思決定能力を強化、⑥として、災害発生後、マスコミへ向けての記者会見の訓練を実施し、危機広報能力を強化、⑦として、BCP訓練に参加してメンバーがBCPを活用しながら業務復旧の任務を遂行し、その結果を入力することでBCP訓練の履歴、成果を残すとともに、BCPの活用能力を強化するということがあります。 そこで、本市において、事業継続計画について今までにどのような検討をしてきたのか、また、このことに対して市長の考え方についてはどのようにとらえているのか、今後の策定についてはどのような見解をお持ちであるのかを伺います。 次に、(2)として、防災基準と情報発信啓発活動について伺ってまいります。 防災基準という言葉が正しいのかどうか、私自身も確信が持てないで使用しておりますが、3月11日に東日本大震災が発災いたしましたが、特にこの災害については津波被害と原子力発電所による二次被害が大きな特徴となっております。本市としても地域防災計画を見直すなどさまざまな対応をとられているところでありますが、津波の想定を10メートルと想定し準備を行われているようですが、この10メートルという数値は突然に出てきた感じがいたします。本会議で既に何人もの議員から質問が出て答弁もされておりますので、この基準と根拠についての質問については割愛をいたします。そして、この基準と根拠を決めたことに対しての周知に対してはどのような方法をとられたかについて伺います。 今回の調査で最大級を記録した大船渡市三陸町の綾里湾は、湾奥が狭くなるリアス式海岸特有の地形で、津波が湾奥に進むにつれ高さは増していきます。1896年(明治29年)の明治三陸津波でも38.2メートルと日本最大の津波を観測し、昭和三陸津波でも約23メートルから28メートルの津波が襲来しているという記録がございます。過去の津波が来たデータは、今後の津波想定の大きな参考になるものと考えますが、本市に今まで記録されている津波被害については、どのような記録が残っているかについて重ねて伺います。 今回の災害後に特徴的なことは、数字がひとり歩きをし、防災という視点で物を考えるときに、基準がそれぞれまちまちではないかということであります。放射線の数値についても、数字についてはどんどん発表になるわけでございますが、その数値は実際の生活の中でどのような数値であるのか、こういった説明が抜け、国の基準と測定値だけがひとり歩きをしている感が否めません。市長はきちんとした数値を市民に情報発信をしようとしていることは理解しますが、まずはそもそもの基礎的な知識を市民にきちんと発信すべきと考えますが、この点についての見解を伺います。 情報発信と啓発ということで、現在、ホームページ、広報が主体の発信であると思われます。市民講座に放射能問題を加えるとか、防災講演会として「今回の震災から学ぶべきこと」などをテーマにした啓発活動をされてはいかがかと思いますが、この点についての市長の見解を伺います。 また、今回の災害で、防災無線が聞き取りにくいという市民の声を数多く聞いております。MCA無線の導入もさることながら、市民が一番身近できちんと情報がとれるのはFM小田原であることもわかってまいりました。FM小田原の難聴地域、主に片浦地域であると考えますが、その地域用の基地局設置を推進するために、行政として国のさまざまなメニューを研究するなどして、情報の伝達がより具体的に進むような努力をしていくべきであると私は考えますが、この点についての市長の見解を伺います。 (3)として、海抜表示板のさらなる推進について伺ってまいります。 今回の補正予算で海抜表示板の設置が計上されました。公共施設に優先して設置するということでありますが、25年くらい前に小田原松風ライオンズクラブで設置した表示板が現在もきちんと残っているところもあります。今後は、海抜10メートル付近や、今回の予算では計上しなかった駅や福祉施設など市民がよく利用している場所への表示を行い、日ごろから自分のいる場所の高さを意識することが大切であると考えます。 そうはいっても市の限られた予算での今後の拡大を考えていくのではなく、民間に声をかけて資金を集めて、民間の力で海抜表示板の拡充を図っていくべきではないかと考えますが、この点についての市長の見解を伺いまして、登壇しての質問といたします。(拍手)
○議長(加藤仁司君) 市長、登壇願います。 〔市長(加藤憲一君)登壇〕
◎市長(加藤憲一君) 10番今村議員の御質問に順次お答えを申し上げます。 はじめに、企業の社会的責任と小田原市版CSRの策定についての御質問でございました。本市では、「新しい公共をつくる」という命題のもとに、市民や地域の力を核として、行政と協働しながら、さまざまな公共的機能を市全体で担うことのできる地域社会を目指しております。こうした地域社会の実現に向けた工程において、企業を含めた多様な主体が、課題解決の当事者として、力を発揮していただくことを大いに期待しているものでございます。その中で、市役所は、市民や企業等がさまざまな活動を行うに当たっての総合調整機能をしっかりと果たさなければならないとも考えております。現在のところ、10番今村議員御提案のような、小田原市版CSRを定める予定はございませんけれども、職員個人も地域住民の一人でありますことから、地域におけるさまざまな活動への自主的な参加など、職員意識の醸成に努めてまいりたいと考えております。 次に、中小企業による地域密着型経営地方版CSRに向けた行政の取り組みについての御質問でございました。現在、市内企業による清掃・美化、環境保全といったさまざまな地域貢献活動が行われております。このような活動は、これからも地域へ大きな役割を果たすものであると考えておりまして、本市では、CSRによる企業活動の誘致促進に向け、現在取り組みを進めているところでございます。特に、本年2月の企業市民まちづくり協議会におきましては、市内大手企業20社とCSRをテーマに意見交換を行ったところでございまして、私から、地域貢献を含めたさらなるCSR活動の推進をお願いしたところでございます。今後は、大手企業のみならず、市内の中小企業も含めたCSR活動を推進するために、その活動の周知を図るなど、本市において企業が地域貢献を積極的に展開していただけるよう支援をさせていただきたいと考えております。 次に、事業継続計画についてのお尋ねがございました。本市では、現在のところ、大規模地震発生に伴う事業継続計画は策定してございません。今までは、大規模災害の際は、まずは災害復旧に重点を置くべきであるとの認識でございましたが、今回の東日本大震災におきましても、自治体の役所機能が職員自身の被災や庁舎への被害によって大きく損なわれるという現実が明らかになりましたように、非常時に優先させる業務を定めておくことは極めて重要であり、策定の必要性を認識してございます。今後、策定について検討していくこととなりますが、中でも情報システムにつきましては、障害発生時の復旧方法や、システムを利用しない代替の事務処理方法などが重要になってくると考えております。このため、本市では情報セキュリティーポリシーの中で、緊急時対応計画を現在作成しているところでございます。また、情報システムの機器の破損や破損に伴うデータの喪失、通信回線の障害等に対しまして、耐震性にすぐれたデータセンターの利用、バックアップデータの遠隔地保管対象業務の拡大、また、重要なネットワーク回線の二重化、こういった対策は行ってきているところでございますが、情報システムに関する業務継続計画の早期策定に努め、災害に強い情報システムを構築してまいりたいと考えております。 次に、津波想定を10メートルとしたことの周知についてのお尋ねでございました。本市では、津波に対する対策を早急に進めますために、科学的検証を待つことなく、最悪と思われる津波の高さを10メートル程度とひとまず想定したものでございます。この津波対策といたしまして、実際に各地域の自治会の方と地域を歩きまして、避難に適した高台、建物、そこに至る避難経路などを示した地図を現在地域ごとに作成しているところでございます。この作業に先立ちまして、御協力をいただく自治会連合会の会長の皆様へ説明いたしますとともに、作業を進めている中でも、地域の方々に説明してきたところでございます。さらに、記者会見で早急に津波対策を実施していることをお知らせした経緯がございます。 次に、本市の津波被害の記録についての御質問でございました。記録によりますと、本市は数回にわたり大きな地震に見舞われておりますが、津波被害の記録はその中では少ない状況です。小田原市史には「関東大震災では相模湾内では熱海の10メートルを最高に、小田原市では1メートル前後と言われている」と記載されております。また、先般訪問いたしました独立行政法人港湾空港技術研究所の資料によりますと、1703年の元禄地震の際、小田原では5メートルの高さの津波があったとの記載がございます。 次に、情報発信する際の発信内容、発信の仕方についての御質問がございました。10番今村議員御指摘のとおり、市民に情報を発信する際には、誤解が生じないように、正確にわかりやすく発信することが重要であると考えております。そのためには、用語の定義や数値の意味を明確にし、現状や安全性について市民にわかりやすく比較できる数値等を示しながら、広報紙またはホームページ等で情報提供してまいりたいと考えております。 次に、防災講演会などによる啓発活動をしてはどうかとの御質問でございました。災害時におきましては、自分の身は自分で守る「自助」、お互いに助け合う「共助」が重要でございまして、市民に対してそのような防災意識の啓発を行うことは大変重要であると考えております。防災講演会につきましては、昭和54年度から実施しておりまして、現在は、神奈川県西部広域行政協議会防災部会として年1回、専門家から講演をしていただいております。また、市民グループ等からの申し込みによりまして、防災教室、生涯学習きらめき出前講座を実施しておりますが、東日本大震災後、市民の関心は大変高く、開催回数がふえているところでございます。今後、そのような市民の不安や関心にこたえるためにも、具体のテーマにつき、専門家などによる講演会等を企画実施いたしまして、啓発をさらに進めてまいりたいと考えております。 次に、FM小田原の難聴地域を解消するために、市として基地局の設置に向けた国のメニュー等の研究をしてはどうかとの御質問でございました。FM小田原をはじめとするコミュニティ放送局につきましては、難聴地域を解消するための基地局設置など、国のメニューが残念ながら今のところはございません。難聴地域の解消につきましては、FM小田原株式会社が取り組むことが基本であると考えておりますが、災害時における情報提供につきましては、公共性が高いものと認識しております。10番今村議員御提案の基地局の設置につきましては、1番鈴木議員にも御答弁申し上げましたとおり、経費面等の課題もございますので、FM小田原株式会社とともに調査研究をしてまいりたいと考えております。 次に、海抜表示板の今後の拡充に関する御質問でございました。海抜表示板の設置につきましては、津波に対する市民への啓発とともに、津波避難の際の目安として、早急に設置する必要がありますことから、まずは市の予算によりまして、公共施設を対象として始めるものでございます。今後でございますが、不特定多数が集まる駅や商業施設等、また、福祉施設などにも、所有者に御協力いただきながら、海抜表示板を設置してまいりたいと考えております。また、津波の避難経路が定まった時点で、経路沿いに設置を行うことなども検討していかねばならないと考えております。そういった際には、費用的な面を含めまして、民間の各団体等にも御協力いただけるような状況があるのであれば、ぜひともお願いしてまいりたいと考えております。 以上をもちまして、10番今村議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。
◆10番(今村洋一君) あっさりした答弁、ありがとうございます。 時間がたっぷりありますので少し再質問させていただきますが、まずはじめに、CSRと防災関係とちょっと分けさせていただきたいと思います。 CSRに関してなんですけれど、まず企業の関係の取り組みとして、今年の夏、電力不足が想定され、現実問題として15%をカットして節電するために、そのやりくりとして土曜・日曜は会社に出勤して平日休む、このような検討をされている企業もあると聞いております。それに対して、市が恐らくそういった要望を受けて、保育園関係の土日の開設、また、放課後児童クラブの土日の開設等を検討されていくと思うのですが、こういったCSRの話というのは、なかなか景気の悪いときとか、こういったときに話しにくいという側面はもちろんあるんだけれども、せっかく企業と行政が話し合う、そういった場面がある、こういったところから話し合いを進められてはどうかと思いますけれども、その点についてお考えを伺いたい。 それから、自治体版CSRについては、今のところ考えていませんという御返事でございました。だから逆に、少し議論をさせてもらいますが、自治体版CSRについて、釧路市のCSRを見てみますと、一番最初にコンプライアンスの徹底とあります。今、本市も不祥事を受けて、コンプライアンス推進委員会が設置されてさまざまな検討を始められております。ただ、コンプライアンスだけを前面に出して、不祥事があったからといって、そういったものを考えるのか、そうではなくて、公務員としてどういった倫理観を持つべきなのかとか、それから一番大事な市民へのロイヤリティー、公務員としてある意味当たり前に持っていなきゃいけない、市民へのロイヤリティー、地域の一員として何が貢献できるのか、こういったことをしっかりと議論しながら資質の向上を図っていく、こういったことがコンプライアンス推進委員会の中でも必要なことなのではないかと思うのです。この点について見解を伺いたいと思います。 それから、市長の肝いりで進めてこられています地域コミュニティの推進についても、いきなり地域担当制というのをなかなかしくことができない、こういった状況があります。今、モデルケースをいろいろやりながら積み重ねてきている、これが現状ではないかと思うのですけれども、そういった中で、今後、職員の地域担当制というものをもし目指していくのであれば、ここの自治体版のCSRをきちんと整備して、職員が地域にどうかかわっていくのかという交通整理をきちんと行った上で、行政と各地域のコミュニティを距離感がなくなるような形での工夫を少しして、地域コミュニティを進められたらどうかと、そういったことで今回CSRを提案させてもらいましたけれども、これについてのお考えを伺いたいと思います。 以上、3点をお願いします。
◎市長(加藤憲一君) 10番今村議員から再質問いただきました。短く答えたつもりはないんですけれども、簡潔に答えさせていただきました。私から、3点のうち2点は答えさせていただきたいと思います。 まず、自治体版CSRの策定をされてはどうかということに関して、その中身として、そもそも今本市が直面しているコンプライアンスの件、また、今後地域の人たちとさまざまな協働をやっていく上での市民や地域に対するロイヤリティーの話を挙げられました。これについては、CSRということを、明確にそれをくくる枠組みとして持っているわけではございませんが、当然のことながら、我々がもういや応なしに直面してしまったコンプライアンスの問題、また、これからの地域運営において、もう避けて通ることのできない地域の皆さんとの協働、これをしていく上では、それぞれの個々のテーマの枠組みの中で、そういう議論は当然庁内でもし、また、職員にもそれについて周知徹底を図ってきたところでございます。ですから、どういう言い方でくくるかということはあるんですけれども、内容については、当然それらに対応していく必要があると思っています。今回、釧路市でやられているCSRのケースを参考にしていただいて、御紹介いただきましたし、そういう形のくくり方がわかりやすいということもあるかもしれません。また、これから地域との協働をやっていくという文脈において、より明確にやるということが小田原の場合はいいのかもしれません。そのあたりの手法と進め方については、今後検討させていただくとしても、私自身も、これから本格的に地域でのいろんな活動が立ち上がっていく、この局面で職員に対して、市民の皆さんと一緒に地域で歩んでいく職員の資質、あるいは組織の中でのそういった方の位置づけ、こういったことをやはり整理してまとめて提示する必要があるというふうに思っておりましたので、今回の質問をまた御参考にさせていただきながら、その具体の取り組みは進めたいというふうに考えております。 あともう一点、地域コミュニティです。職員の地域担当制というものに移行する前に、そういった整理が必要ではないかということでございます。これは、今少し答弁がかぶりましたけれども、全くそのとおりだと思っておりまして、先般2月にも実は庁内で、それに先立つ庁内の職員向けの研修を行っております。これは「市民とともに地域社会を紡ぐ新しい職員像」ということで、庁内での研修を行い、法政大学の長田先生等にお越しいただきまして議論したところであります。先ほどと話が重なりますが、CSRという表現、これは用いておりませんけれども、地域社会あるいは市民の皆さんに対する市職員としての貢献や責務、こういったことは、この間、総合計画の策定作業あるいは自治基本条例の策定プロセス等を通じて、再三再四職員にもいろんな形を通じて伝えてきたところでありますが、今後は、その具体の行動ということも含めて、職員等に提示をし、明示的に進めていく必要があると考えておりまして、まさにそういった局面になっていくかなというふうに考えているところでございます。 私からは以上です。
◎経済部長(山崎佐俊君) それでは、企業へCSRの導入を提案するよい機会ではないかという御質問に対しましては、私からの御答弁とさせていただきます。 東日本大震災は、工場の被災、計画停電の実施と企業の業績へ大きな影を落としているところでございます。また、今回の節電対策につきましては、企業の操業への大きな妨げとなりまして、各企業がその対策に大変苦慮しているところでございます。CSR活動による地域貢献は、本市のまちづくりにおいても重要なものと考えておりますので、東日本大震災の影響や経済状況を考慮した上、時期を見まして企業へCSR活動の幅広い取り組みを提案するとともに、CSR活動が円滑に推進できますよう環境づくりにも努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆10番(今村洋一君) まず、経済部長がお答えになった方からですが、様子を見ながらということでしょうね。企業がどういった状況、こういった状況、こういう厳しい状況、そういった中で、話ができる状況を見ながらやっていこうと、こういうことだと思うのですけれど、ここから先を考えていくと、電力状況がそう急に改善されるとは思えません。なかなか難しい状況が続いています。そして、世界経済状況だってそう簡単に好転の兆しは見えない。アメリカもかなり今弱くなってきていますから、そういう意味では、企業がいつの時点でよくなるのかということを見定める方のが難しいのではないか。だから、そういう意味では、今一番厳しい状況かもしれません。厳しい状況だからこそ、そもそもどういうものを企業としてやるべきなのか、また、企業がどういったときでも普遍的にやれる社会貢献というのはどういうものなのか、こういったことを少し最初の段階からゆっくりと議論を始めるには、逆に今の方がいいと私は思いましたので、今回、こういう話をさせていただきました。これは意見にさせていただきます。できるだけ早くやった方がいいと思いますので、よろしくお願いします。 それで、市長の答弁もCSRがどうこうというのではなくて、どういうふうにパッケージしていくかと、全体のパッケージの問題なんだというお話ですが、そういう意味において、形をつくるのかつくらないのかという議論が多分出てくると思うのですけれど、でも市長は、自治基本条例で市民と行政との協働の仕組みをある意味パッケージ化したんです。パッケージ化しなくてもいいという議論もいっぱいありました。でも、そういった中で1回パッケージ化して、きちっと形を示しました。そういった形の中で、今、施行を待っている日々ですけれども、そういった自治基本条例の中で幾つか議論が出てきたのが、行政に対するきちんとした方向性が示されていないではないかと、こういった意見も数多くの市民の方からいただいたことを私も覚えております。ところが、この自治体版CSRをきちんと整備しますと、そういう意味ではきちんとしたパッケージになるわけですから、市民が見ても何が見ても、行政の職員がどう市民とかかわっていくのかという、相対のルールづくりがきちんとできてくるのではないか、そんなようなことを考えて今回提案させてもらったわけですけれども、それについての市長の見解を伺いたいと思います。
◎市長(加藤憲一君) 10番今村議員御指摘のとおり、自治基本条例というのは、まさに市民の皆さんと我々行政、そして、市民の皆さんの中には、大きな意味ではいわゆる一般の市民の方もあれば、事業所も入り、また、いろんな団体も入る、そして、議会の皆さんにもその関係の中に当然入っていただいているということで、それぞれの地域の上にまつわるプレイヤーのそれぞれの責務と義務、そういったものを規定しております。確かにそういった中で、その比重が市民の方に寄っている。特に行政の方については記載が少ないということは、この間議論の中で指摘されてきたところでございます。そういったことも含めて、先ほどの答弁でも少しお話しいたしましたけれども、具体にこれから市民との本格的な協働が始まる、地域の中に職員が出ていくといったときの、この職員のいろんな意味でのマインドの話、具体のアクションの話とかも含めて、記述が残念ながら自治基本条例の中には当然できておりません。正直、職員の中にも、では地域に職員が出ていったときに、どういう仕事になっていくのか、地域との協働が進んでいったときに、今想定しているものだけで済むのかどうか、この辺も庁内での議論が十分かといえば、まだまだできてはいないというふうに思っています。こういったことも含めて、この局面で、今年さまざまなモデル事業がまだ動いている段階の局面で、地域で職員が働くということの具体の想定、また、それにまつわるいろんな事前の役割認識といいますか、そういったものを含めて、私はパッケージ化をしていく必要があるというふうに思っています。ただ、そのときにCSRという看板をつけるのかどうかということはあるにせよ、そういうものの必要性は恐らく同じように感じさせていただいておりますので、ぜひまたいろいろ御指導いただければ幸いでございます。 以上です。
◆10番(今村洋一君) 釧路市のCSRを見ますと、今市長がおっしゃったように、ある意味小田原市でもほとんどやっていること、これをきちんとパッケージとしてまとめられている。そういうような感想を私も持ちましたので、今後、今市長の答弁にありましたように、これからの動きを私の方でも見させていただくということでお願いしたいと思います。トータル的に最後にまた聞きたいので、この質問はとりあえずここまでといたします。 そして、防災関係について再質問をいたしますが、まず、BCPの関係です。今回、CSRとかBCPとか略語が多くて大変申しわけないんですが、東日本大震災の今回の大きな教訓として、たくさんあるんですけれども、そういった中で一番私が感じたことは、罹災証明がなかなか出ない、それによって非常に困っている、義援金も配られない、行政の人数が足りない、こういった状況の中で、災害が起きたときに復興をいち早くしていくためには、行政が素早く立ち上がる、また、避難民の方もできるだけ平常な生活に一日も早く戻る、このためには、災害の後にきちんと業務が継続される仕組みを平時から用意しておく、これが必要だと思って今回この質問をさせてもらったわけです。特に罹災証明等の発行でBCPというのは、各シナリオをつくって、そのシナリオごとに訓練ができる。例えば、津波がだーっと来たときにどうするか、省庁が水没したときにどういう対応をしていくのか、こんなようなことを一つ一つのシナリオで訓練ができる。平塚市は、神奈川県西部地震を想定して、またその中に津波が来るという想定の中で、BCPの策定を考えているようであります。本市としても、一日も早いこういった訓練が必要であると思いますけれども、再度見解を伺いたいと思います。 それから、津波の想定については、今回この議会で市長は何回も答弁されましたので、私も頭の中に刷り込まれました。10メートルにしたという理由はよくわかりました。そして、記録に残るのは5メートルが最大だということもよくわかりました。今回、実は38メートル近くの津波が来たところは、明治のときに37.9メートルの津波が来たところなんです。だから、巨大な、想定外なと言いながら、過去の一つのデータの枠の中での津波、ある程度オーバーはもちろんしましたけれども、そういったことではないかと思います。津波の高さについては、神奈川県の調査結果、要するに結論が出るのを待っている、こういった状況だと思います。さっき防災部長からもありましたけれども、10メートルの津波を想定して準備しておけば、とりあえず小田原市としてある程度の準備ができるのではないか、そういった想定でいくというのもわかりました。ところが、一つ確認しておきたいことが、この津波の構造、市長は横須賀まで行って勉強されてきましたけれど、藤沢とか茅ヶ崎というのは海底の形が遠浅なんです。遠浅の海底の形と、小田原のように少し入っていくとすぐ深くなる、こういった海底の地形の変化に対して、津波がどういう影響を与えるのかという、こういった結論も神奈川県の方から出るのでしょうか。これについて再度伺いたいと思います。 それからFM小田原についてですが、基本的にお金がかかるのでなかなかできませんよということでしょう。ただ、国のメニューを使うなどしてという、この「など」というのが私の一つの今回みそでございまして、国のメニューがないというのは、ちょっと調べればわかることなんです。そういった中で、国の補助メニューを使えるのかどうか、使えないのか、ここのフィルターしっかりとかけた方がいいと思うのです。そういった中で、まず今どう情報をきちんと発信していくかというと、防災メールなんかは非常にここのところ早くなってきました。ぽんぽんぽんぽん情報が入ってくるようになりました。しかしながら、この防災メールで対応できる人はいいんです。メールなんかが使えない人たちに対しては、要するに各地震で
防災行政用無線が全部倒れて役に立たないという実績があるわけですが、そうなると、実際の災害のときには、恐らくFM小田原が果たすべき役割というのは非常に大きなものになってくると思うのです。だから、そういったところで、実は、小田原市というのはFM小田原の出資者でもあるわけです。だから、行政としてではなく出資者として、もう少し小田原市の皆さんにきちんと情報を伝える、FM小田原の充実を推進していく使命があると思うのですけれども、これについての見解を再度伺いたいと思います。 4点目として、海抜表示板のことですが、去る3月11日に東日本大震災が発生しました。たしか13日の夕方だったと思います。市長のお声かけで、その当時の正・副議長と自治会総連合の三役さんが、防災対策会議のメンバーと意見交換会を行いました。その席上で、私の方から、津波対策の一環として、住んでいるところの高さがわかるものを明示したいですねというお話をしました。それが早速こういった形で実現したことに対しては、非常に評価していますし、喜んでいるわけですけれども、その拡充については、これから民間の力をかりればかりるほど多分皆さんの要望に対してこたえることができると思いますので、私自身も努力してまた御協力していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 なお、今回調べましたら、小田原市は平成16年から基準点の整備に着手して、毎年地域を決めて地籍調査を行ってきました。この結果として、市内に高さを持つ点が7000点あるんです。7000点あるということは、今、海抜表示板は300ヵ所やりましたが、すぐそばに高さがありますから、すぐ移動するだけで高さが表示できるんです。だから、そういったことでは、かなり整備が進んできているんだという認識をぜひ持っていただきたいと思います。経費もかなり少なくて済むと思います。 そして、その地籍調査の中で、ちょっと気になるのが、この地籍調査というのは官地を決めていく作業ですから、水没しようが土砂崩れでわからなくなろうが、片づけ次第すぐその形が復旧できるんです。今、宇宙衛星から電波を持ってきていますから、それはそれでいいのですけれど、一番心配な5メートル付近のところがまだ地籍調査が進んでいなくて、エリアごとに毎年やられているようなんですが、そういう意味では、海抜の低い、こういった地域を急ぐべきではないかと思いますけれども、これについてのお考えを伺いたいと思います。 以上、4点をお願いします。
◎市長(加藤憲一君) 10番今村議員から4点ございました。まず1点目のBCPの関係で、私から答弁させてもらいます。 災害時に役所機能がストップしてしまうということは、17年前の阪神・淡路大震災のときにも長田の区役所に行ったときに、全く動いておりませんでしたし、まず、そこの反省に立って、中越地震のときに川口町の役場に行ったところ、川口町は、たしか足立区だったと思いますけれども、職員さんが直ちに入っておりまして、一定の事務はきちんとこなせるようになっていたということで、大きな改善をされているというのを拝見しました。また、今回は全く次元の違うひどい災害の中で、御承知のとおり、マスコミの報じているとおりでありまして、幾つもの自治体が職員の被災ということで庁舎自体もなくなってしまうという状況に置かれています。こういう中で、こういう現実、これは我々だけではなく多くの市民の皆さんも認識していますので、先ほども御答弁いたしましたけれども、非常時の優先業務を定める等をする業務継続計画、この重要性は認識しております。これについては、とにかくできるだけ早期に策定していく必要があるというふうに思っていますけれども、今回の地域防災計画の全面見直しの作業と並行してこの作業は進める、あるいはそれを受けて、それと整合のとれた形での計画づくりというものを進めてまいりたいというふうに考えております。 私からは以上です。
◎副市長(加部裕彦君) 10番今村議員の再質問のうち、3番目のFM小田原の問題について、私から御答弁申し上げます。 御質問の趣旨は、FM小田原の難聴対策、それに対して出資者としての市の今後のかかわり方と申しますか、そういう御質問であったと思います。FM小田原は、御案内のように毎日の地域情報の発信や、災害時には、地域に密着したきめ細やかな災害情報を提供する基幹メディアとしての役割を担っているわけでございまして、また、御指摘にもございましたが、停電時でも使用できるラジオの特性によりまして、災害時の情報伝達の面で大変有効でありますことから、少しでも難聴地域の解消に努める必要があると考えております。これは過日、FM小田原の役員会でもこういった議論がまたなされました。FM小田原といたしましても、どういう方法があるのかと、一つは基地局を増設するという方法も当然ございます。費用の面もございますけれども、そのほか御指摘になりましたが、東日本大震災を受けての国の動向もやはり研究していかなきゃならないと考えております。いずれにいたしましても、例えば、基地局の設置が最も有効であるということになれば、その整備を行うことが望ましいですが、費用面の問題も含めまして、これはFM小田原株式会社と協議もしながら、市としてどのような協力や支援ができるか、これは真摯に取り組んでまいりたいと考えております。 以上です。
◎副市長(大野速雄君) 10番今村議員の御質問のうち、地籍調査事業について、海抜の低い地域から事業を進めるということが、効果があるのではないかということでございますので、私の方からお答え申し上げたいと思います。 この地籍調査は、国土調査法に基づきまして実施しております。本市では、平成19年度から国・県の補助金を活用しながら、道路や水路などの官民境界、先ほどお話がございましたように、官民境界を先行的に調査・測量を行ってきております。10番今村議員の御指摘のとおり、地籍調査を実施することによりまして、災害復旧時に境界を迅速かつ正確に復元できるということから、大変重要な事業というふうに認識しております。今後は、お話がございましたように、おおむねJR東海道本線を境とした海抜10メートル以下、いわゆる海抜の低いところでございますが、その地域を優先的に取り組んでまいりたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。 私からは以上です。
◎防災部長(柳田治夫君) 私からは、2点目の津波の高さは海岸の状況により違いが出てくるのではないか、それと神奈川県の方で、そういったことの再検証が一緒に含まれているのか、そういったことにつきましてお答えしたいと思います。 今回の東日本大震災を受けまして、過日、市長とともに横須賀市にあります独立行政法人港湾空港技術研究所を訪ねて、津波について御教示をいただいてきました。この港湾空港技術研究所は、厳しい気象条件にさらされる港湾構造物の研究を実施しておりまして、世界最大級の造波実験施設を保有しております。当日のお話では、遠浅の海岸とは違いまして、本市のように海岸線からすぐに深くなっているところでは、津波のスピードは速いが、上下動のみであることが多いということでありました。それからまた、津波は浅い方へと向かっていく特徴があるということでございました。いずれにいたしましても、神奈川県の
津波浸水想定検討部会では、専門家などによりまして、技術的見地から津波の規模、浸水範囲等について再検証が行われておりますので、御指摘のありました海岸の違いなども含めまして、想定がされると考えております。その成果を待ちたいと思っております。 以上でございます。
◆10番(今村洋一君) 防災に関しましては、一番最初に市長に答弁していただきましたように、自助・共助を求めていくのであれば、情報を的確に市民に提供することによって、自助・共助を行う市民がきちんと的確に判断できる、こういった形での情報伝達をしっかりとさまざまな手法をとりながら検討していくべきだと思います。そういった意味で、BCPなんかもこれから地域防災計画の見直しの中で検討していくという御答弁でしたけれども、これが、BCPの研究というか、具体的な策定になっていくのか。今、総務省で新しい形で罹災証明がすぐ発行できるような被災者支援システムというのも開発されてきました。阪神・淡路大震災のときにつくった西宮バージョンみたいですけれども、それが今度大きくなってきますと、クラウドコンピュータを使った自治体クラウドなんていう発想も今出てきております。そういった中で、できるだけ費用がかからず、小田原市としてきちんと市民に情報が提供でき、また、事業継続において、小田原市としてきちんと準備できる、そういったシステムを一日も早く導入していただきたいことを要望しておきます。 最後に、トータル的に質問をさせていただきたいというか、市長の考え方を伺いたいんですが、今回、実はCSRについては、さまざまな質問をするのを迷った部分もあるんですけれど、たまたまこの不祥事が出て、市長がコンプライアンス推進委員会を設置して、二度と不祥事を起こさないんだという思いはいいんですけれど、選挙を終えて、職員なんかと接して感じていること、また、ここ一、二年感じていることなんですが、どうも無事に安全に大過なく、言い方は悪いですけれど、そういう仕事のされ方をしている職員の方が非常に多いと感じるんです。だから、このコンプライアンスというと法令遵守で、不祥事を起こさないんだ、がんがんやればやるほど、皆さんは安全に仕事をするようになる。要するに、できるだけ問題を起こさないというか、冒険をしないというか、ここにチャレンジをしていかないというか、そういった気持ちが強くなるのじゃないか、私は今回そういった懸念を持って質問させていただいています。それはある意味、市長の思い自体が職員に伝わらないという歯がゆさを市長も感じていらっしゃるのかもしれないけれども、では公務員の原点は何なのか、市民に対して何ができるかということが原点だと思うのです。先ほど、1番鈴木議員の質問にもありました国道の道路灯の問題があります。国は節電で消す、それは国の方針としていいですよ。ところが、市民の生活の中で、不安な場所、防犯上危険な場所がいっぱいできてきているんです。それに対して、さっきの市長の答弁は、市民から声がかかり次第、国の方に言うようになっている。そうじゃないでしょう。市民のためを思うなら、まず行政の職員がきちんと現地を歩いて、安心・安全のまちづくりと市長がおっしゃっているんだから、そういったことがまずできない、そこに今の職員の一番の問題があるような気がするんです。だから、コンプライアンスも結構だけれども、その前にもっと原点をきちんと見詰めるべきではないか、そういうふうに思うわけです。市長は、何かこの間火種の話もされたそうですけれども、市長の思いはあるんだと思うのです。だから、それをどう職員に伝えていくのか、それが伝わってないがために、形をつくるのはいいですけれど、中身が伴わなければ仕事自体が変わらないし、市民の不満というのは解消されていかない。そのように思うわけですけれども、最後にそのコメントを市長にいただいて、質問を終わらせていただきます。
◎市長(加藤憲一君) なかなか回答の難しい御質問でございます。コンプライアンスの強化、これはもう避けて通れないことでありますので、本当に変な話ですけれど、はしの上げおろしも含めて、それは本当に気をつけなければいけないということ、これはもう徹底せざるを得ないです。ただ、私は、そのこととさまざまな現場の課題に対して臆病になることとは、必ずしもイコールではないですし、イコールであってはならないというふうに思っています。そのことが、今10番今村議員御指摘のようなことが、コンプライアンスを徹底する余り、萎縮してしまうことでいろんな課題にこたえられないような職員がふえているということであれば、これはやはりそういったことを意識した私の呼びかけ方も、さらに強くしていかなければいけないというふうに思いました。私の考えは、基本的に課題がたくさんある現場に入っていって、そこで市民の方と一緒に動くことの中で、おのずと課題がわかるわけですから、何をすべきかという職員の使命感も、だれかに言われたからそうするのじゃなくて、現場にある課題に対応することに当然なるので、そういうことの中で、職員のこれから求められる資質とか能力というものは、おのずと涵養されていくものだというふうに思っています。そういう現場や、これまでの仕事の中からまだ全般的にそちらにだーっと行っていないということもありますが、まだまだ足らない中では、まだ守りに入ってしまうような局面があるのかなというふうに、今、非常に耳の痛い思いで聞かせていただきました。今後、そういうことも十分踏まえて、とにかくチャレンジをして、職員は果敢に攻めていかなければ、市民の皆さんからの信頼も得られないし、また、協働という大きな成果も得ることができないということも含めて、これは私ども執行部も含めて、そういった思いを共有するように努めて、私からも情報発信をし、また呼びかけをしたいというふうに思っております。よろしくお願いします。ありがとうございます。
○議長(加藤仁司君) 8番安野議員、登壇願います。 〔8番(安野裕子君)登壇 拍手〕
◆8番(安野裕子君) それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 月日がたつのは早いもので、
東日本大震災発生から、はや100日経過いたしました。このたびの東日本大震災で犠牲になられました方々へ哀悼の意を表しますとともに、被災地の一日も早い復興を心から願っております。 それでは、大項目1点目といたしまして、災害に強いまちづくりに向けての諸課題についてと題して、小田原市民の命を守るための自助・公助・共助に関する施策について、何点か質問させていただきます。防災に関しましては、既に何人もの方が質問されております。重複する部分もあるかと思いますが、御容赦願います。 最初に、「安心手帳」などの普及についてお伺いいたします。 「安心手帳」は、障がい者の個人情報が記入してあり、障がい者が外出先で手助けが欲しいときに、相手の方に見せるだけで意思の疎通ができるように工夫された手帳です。手帳には、視覚や聴覚・肢体・知的などの障がいの種類や程度、その方の身元や連絡先、かかりつけの病院や薬の情報などが記入されており、1回分の薬や筆談用のノートも入れることができます。この手帳を使っておられる方の感想を伺ったところ、「障がい者にとってコミュニケーションをとることは難しいが、この手帳があれば安心して外出できる」とおっしゃっていました。また、災害発生時においては、特に「安心手帳」は障がい者の方の手助けになることと思います。障がい者は、目や耳などが不自由なために情報を手に入れることがとても困難であり、だれかに状況を教えてもらう必要があります。また、自分一人で身の安全を確保できないことが多いので、だれかに手助けを求めなければなりません。避難所においては、自分の状況を避難所運営委員さんに説明しなければなりません。しかし、災害発生時の混乱の中で、障がい者がうまくコミュニケーションがとれるかどうか心配です。そこで、とっさの場合にうまくコミュニケーションをとる手段として、「安心手帳」は大変有効であると思います。 さらに、避難所での医療救護体制を進める上でも、「安心手帳」は大変有効であると思います。東日本大震災においては、避難所へ医療スタッフが到着するまでに1週間かかった地域があったと聞いています。その間に、避難所では持病がある方や高齢者などが体調を崩してしまいました。医療スタッフは到着するや否や、即時の医療救護体制をとる必要がありました。しかし、被災者のかかりつけの病院なども被災したため、カルテがありませんでした。そこで、一人ひとりの問診から始めたので、相当な時間がかかったようです。もし、健康状態や常用している薬の情報などが書かれたものがあったならば、もっとスムーズに治療に取りかかることができたのではないかと思いました。 そこで、小田原市における障がい者への「安心手帳」の普及状況についてお伺いいたします。また、防災の観点からも、避難所などでの医療救護体制を円滑に進めるために、障がい者だけではなく「安心手帳」のような機能を備えたものを広く市民に普及していったらどうかと思いますが、市長のお考えをお伺いいたします。 中項目2点目といたしまして、情報伝達手段の改善と充実についてお伺いいたします。 地震や津波などの災害発生時に、市民が正確な情報をスピーディーにつかみ、的確な行動をすることにより、身の安全を確保して被害を減らすことができます。しかし、情報伝達のおくれにより二次災害などを引き起こすことも考えられます。したがって、市民に正確な情報をスピーディーに提供することは、行政の重要な役割であると思います。それでは、情報伝達手段の改善と充実について3点お伺いいたします。 まず、
防災行政用無線放送についてですが、これは、たくさんの人が地域の情報を聞くことができ、屋外にいても、停電時においても聞くことができる有効な情報伝達の手段です。しかし、市民からは聞き取りにくいという声も上がっています。そこで、3月11日の地震以降、
防災行政用無線放送に対して、市民からの苦情や要望は届いているのかどうか、また、それらを踏まえて改善策をお考えになっているのかどうかお伺いいたします。 2点目は、小田原市の防災メールについてです。これは、携帯電話で地域の情報を早く手に入れることができ、とても便利です。また、聴覚障がいの方にとっては貴重な情報源です。しかし、3月11日においては、登録していた市民の方の携帯電話に第一報が入ったのは、地震発生から約1時間半後でした。そこで、3月11日において防災メールの配信所要時間はどれくらいかかったのか、また、その後、改善策を講じられたのかどうかお伺いいたします。 3点目は、
防災行政用無線放送の戸別受信機についてです。市内の高齢者や障がい者福祉施設、保育所及びデイサービスなどをしている介護サービス施設には、大勢の災害時要援護者がいます。災害発生時には、これらの施設では速やかに情報を手に入れて対処しなければなりません。その場合に
防災行政用無線放送で情報を得ることになりますが、地域によっては聞き取りにくいところもあります。しかし、戸別受信機があれば
防災行政用無線放送をはっきりと聞き取ることができるので、これは有効な手段であると思います。そこで、これらの施設における
防災行政用無線放送の戸別受信機の設置状況についてお伺いいたします。また、未設置の施設などに戸別受信機を設置すべきであると思いますが、お考えをお伺いいたします。 中項目3点目といたしまして、市民とともに考える防災計画についてお伺いいたします。 災害から市民の命を守り、まちを守るためには、市民と行政がともに知恵を出し合い、手を携え合って取り組みを進めていくことが肝心であると思います。そこで、提案も含めて3点お伺いいたします。 最初に、災害時要援護者の支援についてお伺いいたします。
東日本大震災発生時において、高齢者や障がい者などの災害時要援護者がどのような状況であったのか、また、介護や医療の関係者、民生委員などが支援の取り組みをした中で、どのような問題点があったのかを把握することは重要なことであり、今後の小田原市における取り組みの参考になると思います。そこで、小田原市は被災地支援に職員を派遣していると伺っていますが、被災地の現状報告から、市長は災害時要援護者の支援に関する課題についてどのようにとらえておられるかお伺いいたします。また、それらを今後どのように災害時要援護者支援マニュアル等に反映していこうと考えておられるのかお伺いいたします。 2点目といたしまして、災害図上訓練DIGや避難所HUG(避難所運営ゲーム)の導入についてお伺いいたします。私たちは、東日本大震災の教訓から、地域のつながりの大切さやマンパワーの強さを学ぶことができました。この教訓は、小田原市の防災計画に生かすべきであると考えます。 さて、今年度から市は防災訓練のあり方を見直すことにし、地域の実情に合わせた顔の見える防災訓練を支援していくと伺っています。年度当初予算では、炊き出し訓練の道具などを貸し出すということでしたが、もう一歩進めて、地域の自主防災組織のメンバーの手による、その地域に必要な防災計画づくりを手がけてみたらどうかと提案させていただきます。 災害図上訓練DIGとは、三重県で市民向けに考案された防災訓練で、ゲーム感覚で地図に川や海岸線などの自然条件や、避難所、防災倉庫、危険箇所、防災リーダーの家、災害時要援護者のいる家などを書き込んでいき、地図を見ながら、災害が起きたときはどうすればよいか、何に気をつけないといけないか、事前に必要な備えは何かなどをグループで話し合う訓練です。また、避難所HUGとは、静岡県が考案した避難所運営を皆で考えるゲームです。避難者の年齢や性別、国籍や個人の抱える事情が書かれたカードを避難所の平面図に配置して、部屋割りを考え、炊き出しや仮設トイレの配置などを考えていきます。これらは地域固有の問題点の発見や避難所のきめ細やかな運営につながり、地域の人々が防災について具体的なイメージを共有するという効果が期待できます。本市においても、自主防災組織の訓練として導入してみたらどうかと思いますが、お考えをお伺いいたします。 3点目といたしまして、市民との情報の共有についてお伺いいたします。東日本大震災以降、毎日のように日本のどこかで余震が続いており、市民は大地震と津波に対して強い不安を抱いています。今、行政は、今年の夏を目途に、津波対策として避難所の確保やマップの作成に取り組んでいると伺っていますが、その間にも災害は発生するかもしれません。もし今、津波が来たらどこへ避難したらよいのかということが市民にとっての最大の関心事です。したがって、そのような市民の不安にこたえるために、行政の取り組みについての説明や意見交換をする機会を設けて、情報を共有することが必要であると思いますが、お考えをお伺いいたします。 中項目4点目といたしまして、津波対策についてお伺いいたします。 津波は、陸地に近づくと速度が遅くなり、後ろの波が次々と前の波に追いついてくるので、波の前面が前のめりになり、大きな壁となって襲いかかるので破壊力が大きいと言われます。3月11日の東日本大震災はマグニチュード9.0で、津波の溯上高は岩手県宮古市重茂半島で38.9メートルあったそうです。1896年の明治三陸大津波を上回る大津波でした。この先30年間の地震発生確率に関しては、東海地震87%、東南海地震60%、南海地震50%と言われており、小田原市においてもいつ何どき大地震と大津波が発生するかもしれません。 さて、小田原市の海岸線を走る西湘バイパスが一定区間堤防のようになっていますが、海岸への出入り口がトンネルになっており、そこに防潮扉があります。これは高潮や津波を防ぐためのものです。防潮扉の付近の住民は、大津波のときにこの防潮扉が頼りになるのかどうか心配しています。そこで、防潮扉はどのような構造で、どれくらいの強度があるのか、また、3月11日において、津波注意報が発令されてからすべての防潮扉を閉めるまでの所要時間は、どれくらいかかったのかお伺いいたします。 次に、海岸の砂浜の砂が堆積して高く盛り上がり、西湘バイパスとの段差が少なくなっている箇所があります。そのため、津波が来たら波が一層高くなり、西湘バイパスを乗り越えて押し寄せ、被害は甚大になるのではないかと周辺の住民は心配しています。被害を少なくするために、砂浜の対策を講じるべきであると思いますが、それについてのお考えをお伺いいたします。 大項目2点目といたしまして、家族介護者の支援についてお伺いいたします。 小田原市の高齢者の現状を見ますと、平成22年度の実績では、65歳以上の高齢化率は23.5%であり、要支援・要介護認定者の数は、介護保険事業が始まった平成12年度と比較して約2倍強に増加しています。そして、小田原市高齢者実態調査及び介護保険利用者等調査によれば、高齢者一般のアンケートでは、在宅介護を希望する方が約55%いました。一方、居宅介護サービス利用者のアンケートによれば、介護している方の状況に関しては、性別は女性が約7割を占めており、年齢別では60歳代が最も多く、60歳代と70歳代、80歳代を合わせると約66%になり、全体の約3分の2を占めています。既に老老介護の傾向になっています。本市におきましては、介護予防事業に力を入れていますが、これからさらに高齢化が進むことを考えますと、介護を必要とする方の人数は今後もかなりふえてくると予測できます。したがって、在宅介護を支えている家族介護者にスポットを当てて、きめ細やかな支援策を展開していくことが重要であると考えます。 そこで、1点目といたしまして、家族介護者の支援策の一つである家族介護者交流事業の実績と今後の課題等についてお伺いいたします。まず、家族介護者交流事業の事業内容及び案内状送付者の人数と参加状況について、次に、参加者からはどのような感想や意見があったのかお伺いいたします。さらに、この事業の今後の課題として挙げられる点は何か、また、それらの課題解決に向けての取り組みについて、どのように考えておられるのかお伺いいたします。 2点目といたしまして、外出時のトイレ介助についてお伺いいたします。加齢に伴って何らかの障がいが発生してくると、1人で外出することに自信が持てなくなり、つい引きこもりがちになってしまいますが、高齢者にとって外出して社会参加することはとても大切です。それによって心身ともにリフレッシュすることができ、リハビリ効果も上がるからです。ところが、小田原市高齢者実態調査及び介護保険利用者等調査によれば、居宅サービス利用者のうち、外出日数を「月に1~2日」もしくは「ほとんど外出しない」と答えた方は約24%もありました。そして、その方たちが外出するのに困っていることの一つに、外出先のトイレがバリアフリーになっていない点が挙げられていました。その点については、介護している家族の方からも、本人のためにはいろいろなところへ連れていってやりたいが、外出先でのトイレのことを考えるとやめてしまうという話を聞いています。障害を持つ高齢者がもっと社会参加ができるように、また、介護をする人の負担を少なくするためにも、トイレのバリアフリー化を進めるべきであると思います。そこで、高齢者がよく利用する公共施設や地区公民館において、トイレのバリアフリー化はどれくらい進んできたのかお伺いいたします。 また、家族などが付き添って外出する場合、トイレの介助で困ることがあります。それは、認知症の方の介護で異性のトイレに入らなければならないときです。周囲の人に誤解されはしないかととても気を使うことがあります。そこで、介助していることがわかるようなグッズや「介助者もどうぞ」というステッカーなどを工夫できないかどうかお伺いいたします。 以上をもちまして、登壇しての質問を終わります。(拍手)
○議長(加藤仁司君) 市長、登壇願います。 〔市長(加藤憲一君)登壇〕
◎市長(加藤憲一君) 8番安野議員の御質問に順次お答えを申し上げます。 はじめに、災害に強いまちづくりに向けての諸課題について何点か御質問をいただきました。まず、障がい者の「安心手帳」の普及状況についてでございますが、「安心手帳」は、障害者相談支援事業を行っておられるNPO法人が、ボランティアの一環として作成及び普及を行っていただいております。しかしながら、所持者数は、平成23年6月1日現在130名でございまして、普及率は、障がい者の数全体の8454名に対し、1.5%にとどまっていると聞いております。なお、市では、今年度の新規事業といたしまして、「安心手帳」とおおむね同じ内容を記載する「救急要請カード」を、75歳以上の高齢者約2万3000人及び重度の障がい者約2000人に対して、民生委員児童委員を通じて配付を始めたところでございます。 次に、「安心手帳」のような機能を備えたものを広く市民にも普及させるべきではないかとのお尋ねでございました。災害に備えて、「安心手帳」のように個人ごとの情報を準備しておくことは有意義なことでございまして、今後、どのような形態が使用しやすいかなど、調査研究してまいりたいと考えております。 次に、
防災行政用無線についてのお尋ねでございました。3月11日の東日本大震災以降、
防災行政用無線が聞き取りにくいという御意見は多数いただいております。
防災行政用無線のスピーカーは、音の届かない地域や音の重なる地域を調査の上、設置しているものでございます。また、聞こえにくいとの申し出のあった地域につきましては、スピーカーの向きや音量の調整を行いまして、できる限り改善を試みております。しかしながら、気象条件や建物に反響するなどの要因により、市内全域にくまなく明瞭に放送内容を届けることが実際には難しいのが実情でございます。そこで、
防災行政用無線の補完として、防災メールの配信、FM小田原での放送、小田原ケーブルテレビでの文字放送、ホームページへの掲載、さらには広報車による巡回放送など、内容や状況に応じて複数の手段を講じております。 次に、防災メールの配信時間についての御質問でございました。3月11日当日の防災メール第一報は、災害対策本部開設後に、最初に市の放送した
防災行政用無線と同じ内容を配信しております。防災メールが登録者に届くまでには、配信システムの処理時間と各ネットワーク会社を経由して登録者までメールが届く時間とがございます。3月11日の場合ですが、約7000人の登録者に対し、システムが配信処理を開始してから終了するまで約40分かかっております。システムの処理が終了してから登録者の手元にメールが届くまでの時間は、電波状況や各ネットワーク会社の通信制限などに左右されており、市ではこれを把握できておりません。配信システムの処理時間の短縮は、以前から課題となっておりましたことから、4月の市ホームページのリニューアルに伴いまして、システムを更新しております。現在は約1万2000人の登録者に対し、約5分で配信処理を終了しているところでございます。 次に、施設における戸別受信機の設置状況についてのお尋ねでございました。現在、福祉施設や介護サービス施設には16ヵ所、幼稚園、保育所等には47ヵ所に設置済みでございます。福祉施設や介護サービス施設につきましては、特に多数の災害時要援護者が存在するため、正確かつ迅速な情報提供が必要でありますことから、戸別受信機が未設置の施設などにつきましては、
防災行政用無線の聴取状況を確認しつつ、配置の検討等をしてまいりたいと考えております。 次に、災害時要援護者に関する課題と小田原市災害時要援護者支援マニュアル等への反映についてのお尋ねでございました。本市では、岩手県、宮城県、福島県などの被災地に市職員を派遣いたしまして、この間、さまざまな支援活動を行ってきております。福島県相馬市には、現在も市民ボランティアとともに職員2名をローテーションで派遣しているところでございます。テレビや新聞などによる情報と合わせまして、実際に被災地を訪れた職員の話なども踏まえますと、災害時要援護者に関しましては、広域避難所において健康状態が悪化してしまったり、必要な医療が継続できなかったり、あるいはサポートするスタッフが不足していたりと多くの課題が浮き彫りとなっております。災害時要援護者支援マニュアルの見直しにつきましては、今後、予定しております小田原市地域防災計画の改定とあわせて着手したいと考えておりますが、その際には、今回のさまざまな経験を実践的に生かしていきたいと考えております。 次に、自主防災組織の訓練として、災害図上訓練DIGや避難所運営ゲームHUGの導入についての御質問でございました。自治会連合会や単位自治会、避難所運営委員会での防災訓練は、地域住民の皆さんが主体となって内容を企画しておられます。地域では、消火や応急救護、防災資機材の取り扱い訓練などを反復して実施しているところでございますが、8番安野議員から御提案のございました図上訓練を取り入れておられるところもございます。災害図上訓練や避難所運営ゲームは、発災時のシミュレーションとして、また、自助・共助の精神を深めるということにおいては有効な手段だと認識しておりますので、自主防災組織に今後紹介してまいりたいと考えております。 次に、市民との情報共有についての御質問でございました。津波避難対策といたしまして、緊急に避難できる場所を確保する必要がありますことから、本市では海抜10メートルラインと3階建て以上の建物を調査し、これをもとに現在自治会の方と、避難に適した高台や建物、そこに至る避難経路などを示した地図を地域ごとに作成しているところでございます。この地図作成に当たりましては、実際に自治会の方々と地域を歩き、意見交換を行い、情報を共有しながら実施しているものでございます。今後も、地震や津波の対策につきましては、地域住民の皆さんとの連携を図ってまいりたいと考えております。 次に、津波対策についてのお尋ねでございました。はじめに、防潮扉の仕様及び強度についての御質問でございました。本市が管理している防潮扉は、平成3年度から平成5年度までの3ヵ年計画で整備いたしましたもので、小八幡海岸から御幸の浜海岸までの約5キロメートルに23基設置しております。防潮扉の仕様につきましては、すべてアルミニウム合金製ゲートでありまして、手動となっており、海岸や海浜までの西湘バイパス下にある隧道などの形態から、両開きが9基、片開きが11基、引き戸式が3基となっております。また、ゲートの厚さにつきましては、約15センチメートルから20センチメートルでございまして、高さについては、最も高いもので2.4メートルとなっており、ゲートの耐圧につきましては、7メートルの高さの波に耐えることができる設計となっております。 次に、東日本大震災に伴う防潮扉の閉鎖までの所要時間についての御質問でございました。6番植田議員に御答弁申し上げましたとおり、3月11日の14時46分の地震発生後、14時50分に相模湾に津波注意報が発令されたため、消防本部では、東分署、本署及び南分署に防潮扉の閉鎖を指示いたし、直ちに消防隊等が出場いたしました。防潮扉の閉鎖に伴う出場から閉鎖までの所要時間でございますが、東分署が22分、本署が50分、南分署が50分となっております。 次に、西湘バイパス付近の砂浜の対策についての御質問でございました。本市の海岸につきましては、山王川から東側を神奈川県県土整備局小田原土木事務所が、山王川から西側を神奈川県環境農政局西部漁港事務所が管轄しており、砂浜の管理を行っております。8番安野議員御指摘のとおり、地域住民の方が不安に思う気持ちは理解できますことから、今後、地域住民の要望として神奈川県に伝えてまいりたいと考えております。 次に、家族介護者交流事業の実績等についての御質問でございました。家族介護者交流事業は、家族介護者の精神的負担を軽減するため、リフレッシュや介護に役立つ内容の講演会と、家族介護者同士の情報交換ができる交流会の2部構成で実施しております。平成22年度につきましては、訪問看護ステーションの看護師を講師に招きまして、高齢者に起こりやすい症状や在宅介護で気をつけることなどをテーマとした講演会と交流会という内容で、
地域包括支援センター圏域ごとに計5回開催しております。参加状況につきましては、平成22年度実績で、案内状送付者数280名に対し、参加人数42名で参加率15.0%でございました。 次に、参加者の感想や御意見についての御質問でございました。講演会等の内容につきましては、介護体験者の講演会、介護保険制度や認知症などの勉強会、介護技術に関する勉強会などを希望される御意見が多うございました。また、交流会につきましては、同じ介護者の生の声が聞けてよかった、参考となることが多く非常に勉強になった、意見交換ができて楽しかったなど、約9割の方から交流会に参加してよかったとの感想をいただいております。 次に、家族介護者交流事業に係る今後の課題と、その解決のための取り組みについてのお尋ねでございました。家族介護者交流事業の課題につきましては、事業への参加人数が少ない状況にございますので、より多くの方に御参加いただけますようソフト面の充実を図る必要があると考えております。そこで、今年度から、家族介護者交流事業の参加者が直接、地域包括支援センターの専門職に介護の悩みを相談でき、介護者に対する必要な支援につなげることができるよう、地域包括支援センターごとに開催しております家族介護教室開催事業との同日開催といたしまして、より充実した形で実施することとしたところでございます。 次に、高齢者がよく利用する公共施設におけるトイレのバリアフリー化についてのお尋ねでございました。お体の不自由になった高齢者を含め、だれもが利用しやすいトイレ、いわゆるユニバーサルデザインに配慮した仕様のトイレは、高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律や、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例の規定により、不特定かつ多数の方が利用される一定の施設への設置が進められているところでございます。そのような中、本市の施設につきましては、ユニバーサルデザインに配慮した仕様のトイレを39施設に計63基設置してございますが、引き続き、施設の新設や改修等の機会をとらえて対応してまいりたいと考えております。 次に、地区公民館におけるトイレのバリアフリー化についての御質問でございました。過去5年におきまして、地区公民館の建設もしくは修繕に係る補助金を交付したのは37館でございます。このうち、財団法人自治総合センターのコミュニティ助成事業により建設費補助金を交付し、新築した公民館3館につきましては、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例の規定によりまして、いずれもバリアフリー対応のトイレを設置してございます。また、地区公民館修繕費補助金を交付したもののうち、トイレ改修を行ったのは4館となっております。 次に、トイレの介助をしていることがわかるようなグッズやステッカーの普及についての御質問でございました。8番安野議員御指摘のとおり、特に認知症の方の介護者は、介助していることがわかりにくいことから、介護者である旨の表示を一定の形で表示することで、無用なトラブルの発生等を軽減できるものと考えております。一方で、高齢者の生活は必ずしも市域にとどまらないことから、こうした取り組みを有効に機能させるには、ある程度広域で導入する必要もあろうかと考えております。いずれにいたしましても、本市としても、介護中である旨のサインの導入については有益なものと考えておりまして、先進自治体の取り組みなども参考にしつつ、県とも調整をしながら、今後、研究を進めてまいりたいと考えております。 以上をもちまして、8番安野議員の一般質問に対する答弁とさせていただきます。
◆8番(安野裕子君) 一定の御答弁ありがとうございました。それでは、大項目2点目の家族介護者の支援策についてから再質問を何点かさせていただきたいと思います。 まず、家族介護者交流事業についてですが、今後の方向性として、さらに充実した事業展開に期待いたしますが、1点心配なことがあります。今まで実施してきた家族介護者交流事業の参加者の感想などでは、同じような立場の人との交流により気持ちが通い合い、励みになっていたようです。今後、家族介護教室とあわせて開催することになりますと、介護における知識を得ることは充実すると思いますが、参加者の層が広がりますので、家族介護者同士のつながりが薄まってしまい、精神的負担を軽減するという事業目的が果たせるのかどうか心配いたします。その点についての御見解をお伺いいたします。 それから、家族介護者が心身ともに疲れ切ってしまい、共倒れになるのを未然に防ぐことが大切であると思います。そのためには、家族介護者を孤立させないようにする配慮が必要であり、家族介護者交流事業もその一つであると思っております。そこで、むしろ出席できない方へスポットを当てて、その方たちの実態を把握すべきと考えます。困っていることや要望などについて、何かの機会にあわせてアンケート調査を行ったらどうかと考えますが、いかがでしょうか。 次に、外出時のトイレ介助に関してお尋ねいたします。アンケートによれば、介護認定を受けている方も、地域の老人クラブや自治会の集まりに参加しています。そこで、市民の身近な施設である地区公民館のトイレのバリアフリー化に力を入れるべきと考えます。現行の補助金制度は、地区公民館の大型修繕にあわせてトイレを改修することはできますが、トイレだけでは対象になっていません。そこで、トイレのバリアフリー化を進めるために補助金制度を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、お願いいたします。
◎福祉健康部長(清水清君) 家族介護者交流事業について2点の再質問は、私の方から答弁させていただきます。 まず、家族介護教室との同時開催によりまして、家族介護者交流事業の目的は達成できるのかと心配されてのお尋ねがございました。先ほど市長から御答弁申し上げたとおり、家族介護者交流事業の目的は、介護者の精神的負担の軽減を図ることであり、在宅介護のスキルアップに資する講座を開催する家族介護教室とは対象となる方が若干異なることは、8番安野議員御指摘のとおりでございます。一方で、適切な介護手法等を学ぶことで、結果的に介護者の精神的・肉体的な負担が軽減されるものというふうに考えておりまして、そういうことで、両事業が全く別個、独立して機能しているものではないというふうにも思っております。また、今年度から地域包括支援センターの専門職も参加していただき、相談等に対応するとともに、介護者に対する必要な支援につなげていけるよう事業の充実を図っております。いずれにいたしましても、介護者同士のつながりは重要な要素であるというふうに認識しておりますので、家族介護教室との同日開催による相乗効果が発揮されますよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。そういうことで、できるだけ参加者もふやしてまいりたいというふうに考えております。 それから次に、交流事業に出席できない家族介護者へのアンケート調査、これを行うべきではないかというお尋ねがございました。家族介護者のみを対象としたものではございませんけれども、今年の3月に実施いたしました高齢者実態調査及び介護保険利用者等調査の調査結果では、家族介護者の意見も大変多く見られ、介護者・被介護者を含めた高齢者の現段階での状況把握は、この調査におきまして、ある程度実施しているものというふうに考えております。現在、この調査結果を踏まえまして、来年度から始まります第5期おだわら高齢者福祉介護計画の策定を進めているところであります。いずれにいたしましても、地域における高齢者支援体制の充実を図るためには、家族介護者の支援、意見の把握は大変重要であるというふうに認識しておりますので、家族介護用品支給事業など、こういったさまざまな機会をとらえまして、家族介護者のニーズの把握に努めてまいりたいというふうに思っております。 以上でございます。
◎文化部長(諸星正美君) 地区公民館改修費補助金制度につきましての御質問については、私から御答弁させていただきます。 この改修補助金制度につきましては、地区公民館の建物の修繕に対しまして、100万円から300万円までの修繕費に対しまして、その30%を上限として補助するものでございます。この改修の実績につきましては、先ほど市長からの答弁の中にもありましたけれども、トイレの改修ですとかスロープの設置など、バリアフリーやそれに準ずる改修もございますが、一方で、屋根ですとか耐震の対策ですとか、あるいは空調などの設備の面ですとかさまざまでございまして、これは地区公民館の施設の状況によるものでございます。そのようなことから、今後は、まずトイレの改修状況を含めました地区公民館の現状の把握をさせていただきまして、8番安野議員の御指摘の点を踏まえて、地区公民館が、高齢者をはじめ、障がいをお持ちの方々にも利用しやすい施設となるよう努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆8番(安野裕子君) 先ほどの家族介護者のことなんですけれど、実態把握ということで、部長の方は、さきのアンケートによりまして、ある程度の実態は把握できているという御認識のようですが、これは大変残念に私は思っております。実は、そのアンケート用紙が、どなたが回答したかというものがはっきりと出ていないんです。ですから、御本人、介護を受けていらっしゃる方とか、御本人が書かれたものなのか、御本人の意見を家族が代筆したものなのか、それとも、家族の介護をしていらっしゃる方が御自分の気持ちとして回答したものなのか、そこが明確になっていないんです。私もまとめたものを拝見いたしました。ある程度、多分これは家族介護者の御意見じゃないかなというようなことで、大枠のところはわかりますが、やはり、アンケートをとられますときには、回答者がだれであるかということは明確にしてアンケートをお出しになった方がよろしいのじゃないかと思うのです。小田原市の高齢者福祉介護計画も、3年ごとに策定していく期間がございます。そういうときに、事前に実態調査などなさるときには、ぜひ家族介護者独自のアンケート用紙もつけて、実態を把握されるというように実施していただきたいなということ、これは要望いたします。それで、当面、それ以外の機会を見つけて、アンケートの調査をしたいということですので、ぜひ実施していただきたいと思います。 それから地区公民館等のトイレのバリアフリー化のことなんですけれども、今回の総合計画におきましても、これから到来する超高齢社会を見据えてのさまざまな施策が考えられています。そういうことを考えますと、超高齢社会への対応ということで、この地区公民館の果たす役割というものが今までとは変わってくるのではないかと私は考えております。より身近な高齢者の外出できる施設というように位置づけが変わってくる。では、そういうところのトイレとか、そういう問題はどうするのか。これは今までの枠組みの中でのトイレの補助制度の考えではなくて、やはり将来をきちんと見て、もう一度検討していただきたいと思います。 とにかく、高齢者はやがて何らかの障がいを持つことになります。当事者のためにも、家族介護者のためにも、生活空間のバリアフリー化は進めていくべきだと思います。おだわら障がい者基本計画には、各所管が推進すると定めてありますので、全庁的に共通認識を持って、まず、現状の確認と対応をそれぞれの所管課で取り組んでいただきたいと思います。また、民間の商業施設などにも働きかけていただきたいと思います。これは意見として申し上げます。 次に、災害対策のことについて何点かお伺いいたします。まず、「安心手帳」などの普及についてですが、先ほどの御答弁を伺っておりまして、「救急要請カード」というものも、今後、市内の高齢者の方とか障がい者の方にも交付していくというようなことだったんですけれども、基本的に「安心手帳」と「救急要請カード」とでは比較しまして機能が違うんです。共通点としては、医療救護の対応のときに便利という共通点はあります。しかし、相違点もあるんです。「安心手帳」は、私が冒頭に申し上げましたように、相手の方に見せるだけで、この方は例えば聴覚障がいをお持ちなんだなとか、そういうことが相手の方にわかるので、コミュニケーションが図れる、ましてや、いざというときには、一々御自分の事情を説明しなくても、速やかに自分のお願いしたいことなどが相手の方に通じるという、そういうメリットがあるんです。ですから、障がい者の方へは引き続きぜひ「安心手帳」の普及を続けていただきいと、これは要望いたします。 それから、「救急要請カード」のことについても御答弁がありました。ケアタウン構想の「救急要請カード」を75歳以上の高齢者や災害時要援護者の障がい者の方に今配付しておられますが、これによって救急車での対応がとても円滑になると思います。よい発想であると思います。そこで、これを少し改善して充実させたら、津波などの災害時にも通用すると私は考えます。今、配付しているものは、自宅に張っておくカードと、それから携帯するカードと2種類あります。携帯するカードには、かかりつけの医者までの情報しか入っていません。東日本大震災のとき、津波が発生したので、かかりつけの医者のカルテが流されたと聞いています。そこで、「救急要請カード」に常用の薬を記入する欄を加える、また、チャックつきの袋にカードと1回分の薬を入れておくなどの工夫をすれば、津波などの災害時にも使いやすくなると思いますが、いかがでしょうか。
◎福祉健康部長(清水清君) 「救急要請カード」に関連し、カードに常用薬の欄を加えたり、チャックつきのケースに1回分の薬をカードと一緒に入れておく、そういった御提案を含めた再質問は、私の方から答弁させていただきます。 「救急要請カード」の実施方法や記載内容等につきましては、実際に戸別訪問をし、配付していただく民生委員、この方と何度も何度も協議を重ねました。そして、検討してきた結果、ようやく合意し、今月から配付いただいておるところでございます。これは個人情報だとかいろんな問題がございまして、民生委員さんも非常に難しいことも言われました。私の方は、とにかく災害要援護者の水道(みずみち)をつけたいということでお願いし、配付いただいておるところでございます。今後、配付された皆さんから、民生委員さんを通じて、さまざまな意見が寄せられると思います。それら意見を参考にし、それからまた、今8番安野議員からの御提案も含めまして、さまざまな点を検討させていただきたいと思います。改善できる必要な点があったら、改善していこうというふうに思っております。まずは、要援護者の登録をしていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひ、8番安野議員もその辺の啓発をよろしくお願いします。 以上でございます。
◆8番(安野裕子君) 命を守るための自助の方策として「安心手帳」などの普及について質問させていただきました。報道によれば、避難所で体調を崩した方が大勢いらっしゃいました。速やかな医療救護体制をとるためには、治療のための情報を早く提供することが大事です。みんなが「安心手帳」のようなものを持っていれば、問診の時間が短縮できます。ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。 次に、情報伝達手段の改善と充実についてということで2点お伺いいたします。まず、防災メールについてですが、防災メールの登録をさらに普及させていくために、今、行政としてどのような取り組みをしているのかお伺いします。また、携帯電話を持つ高齢者がふえてきましたが、登録などの手続が苦手な方が多いようです。市民としては、携帯電話の機種変更をするときに、防災メールの登録を販売会社に代行してもらったら、もっと便利です。携帯電話の販売店に御協力をお願いしてみたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。 それから
防災行政用無線放送の戸別受信機についてですが、
防災行政用無線放送が聞き取りにくい地域もありますので、それを補完する方策も考えるべきではないでしょうか。南足柄市では、防災無線放送が聞き取りにくい場合の対策として、昨年度まで県の補助金を利用して戸別受信機設置補助制度を実施していました。市民と法人7100戸に配付したそうです。そこで、介護事業サービス事業者にまだ設置が推進されていないようなので、設置推進に向けて、スピーディーに対応すべきと思いますがいかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。
◎企画部長(時田光章君) 防災メールの関係で2点ほど再質問がございました。私の方から御答弁させていただきます。 本市では、防災メールを含めまして、七つのメールマガジンを配信しております。このメールマガジンの周知方法としましては、「広報おだわら」の15日号、この裏表紙の方に毎月掲載しております。1日号でも随時掲載しておりまして、また、市のホームページでも内容や登録方法についての情報を掲載し、御案内をしているところでございます。さらに、チラシを用意いたしまして、市の公共施設の方の窓口に配架しているところでございます。あわせて、各地区自治会に設置されています掲示板など、ここに掲示してもらうように、約470枚のポスターを配布いたしまして、掲示を依頼しております。なお、防災メールにつきましては、小田原新聞販売組合の協力によりまして、本年春に、登録についての案内を新聞に折り込むとともに、防災教室を開催した際にも周知を図っているところでございます。 2点目のメールマガジンの登録を携帯電話販売店に代行してもらうことができないかというような御質問でございますけれども、市内の主な携帯電話販売店に照会しましたところ、店員が直接来店者の携帯電話を操作して、特定のメールマガジンの代行登録をするといったようなことにつきましては、個人情報の保護の関係で行うことができないというような回答でございました。しかし、8番安野議員の御提案の防災メールは、非常に普及をした方が情報伝達に役立つということはわかっておりますので、携帯電話会社の店舗の中に、この防災メールの登録方法をわかりやすく記載をしたチラシなどを配架していただきまして、周知について携帯電話販売店の協力を求めてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
◎防災部長(柳田治夫君) 再質問の3点目、介護サービス施設への戸別受信機の設置につきまして、早急に対応すべきではないのか、そういった御質問がありました。市内には、介護サービス施設が多数、ざっと100ヵ所程度あるようでございます。そのすべての施設に早急に対応することはなかなか難しい状況でございます。しかしながら、こういった介護サービス施設には、確実に情報提供を行う必要があると思われますことから、
防災行政用無線の聴取状況を確認しつつ検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆8番(安野裕子君) ありがとうございました。 それから次に、市民とともに考える防災計画のうち、災害時要援護者の支援について再質問いたします。 被災地と同様に、3月11日の地震発生後、小田原市においても混乱があったそうです。障がい者の方が受け入れ可能な避難場所を探すのに苦労したと聞いています。また、介護サービス事業者は、デイサービスの利用者を自宅に帰すべきかどうか判断を迷ったそうです。民生委員さんは安否確認に忙しかったと聞いています。また、計画停電で在宅医療の対応に困ったなどが挙げられています。まだまだその他たくさんの問題があぶり出されてきました。このたびの経験をいかに生かしていくのかということが肝心であると思います。そこで、災害時要援護者支援マニュアル等を見直す際には、当事者や支援に当たる関係者とともに進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、先日、神奈川県小田原保健福祉事務所が、管内要援護者の関係者を対象に情報交換会を行いました。テーマは、3月11日の地震発生時に、地域での現状はどうであったのか、また、そこから見えてくる課題についてでした。そして、情報交換会の事前アンケートや交換会の参加者の意見がまとめられているようです。これらの情報は、支援マニュアルをつくるときに貴重な資料となると思います。そこで、神奈川県小田原保健福祉事務所は情報をたくさん持っているようなので、連携をとることが大切と考えますが、いかがでしょうか。
◎副市長(加部裕彦君) 8番安野議員の再質問のうち、小田原保健福祉事務所との連携につきまして、私の方から御答弁申し上げます。 小田原保健福祉事務所は、災害時における保健衛生対策を中心的に担っていただくことになっておりまして、特に、メンタルケアや入浴サービスなどの専門的な支援につきましては、市内の特別養護老人ホームなどの民間社会福祉施設とあわせまして、小田原保健福祉事務所の御協力をいただくことになっております。小田原保健福祉事務所とは、各種健康相談事業を連携して実施いたしますほか、研修会や連絡調整会議を開催するなど、常に連携を図っております。常日ごろからの連携と情報共有が「いざ」というときのために効果を発揮すると考えておりまして、さらなる連携強化と、小田原保健福祉事務所が有します広域的な視点での多種多様な情報を、本市の災害時要援護者支援に生かすよう今後とも努めてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。
◎福祉健康部長(清水清君) 私の方から、災害時要援護者支援マニュアルなどの見直しに際しまして、関係者との連携の再質問をお答えさせていただきます。 災害時要援護者支援マニュアルを見直す際には、福祉健康部を中心にいたしまして、庁内関係部局が連携し、高齢者や障がい者、子供、あるいは妊娠中の方など、要援護者にかかわる事業者や団体などから御意見を伺うなど、現場の声を生かした形で見直し作業を進めていきたいというふうに考えております。 以上でございます。
◆8番(安野裕子君) ぜひ現場の声を反映して、本当に実効性のあるマニュアルにしていただきたいと思います。 それから県の小田原保健福祉事務所との連携のことなんですが、あちらの方では、先進的な事例についても情報を持っておられるようですので、そういうものも参考にしながら連携をとって取り組んでいただきたいと思います。 それから、市民とともにこの防災について考えるということ、これはとても大事なことだと思います。災害図上訓練とか避難所運営ゲームに関しましても、すごく具体的な実際にあったことをみんなで考えるという、そこが大事だと思うのです。例えば、災害図上訓練にいたしましても、避難経路のところに、この辺は看板などの落下物があるのじゃないかとか、ここの道路がもしだめだったら、ではどこへ回ろうかとか、そういうリアルタイムのシミュレーションができると思うのです。それから、避難所運営ゲームに関しましては、例えば、今回の震災の報道を見ますと、女性たちが着がえるときのこととか、それから洗濯物はどこに干したらいいのかとか、そういう本当に細かいことまでみんなで考えることができるということで、非常に有効であると思いますので、ぜひこれを普及していただきたいと思います。 それから津波対策についてお伺いいたします。防潮扉のことなんですが、3月11日は、消防隊員が津波対応ということで急いで防潮扉を閉鎖されましたが、それを経験して見えてきた課題とは何かお伺いいたします。
◎消防長(木目田和義君) 防潮扉の重ねての御質問に私の方からお答えをさせていただきます。 御質問の要旨は、今お話があって、私ども消防職員が今回の大震災で防潮扉の閉鎖業務に当たっていることから、見えてきた課題ということでございますが、御案内のとおり、消防の職員につきましては、地震による津波、あるいは台風による高潮等々の状況で、防潮扉の閉鎖業務に当たっているわけでございます。災害の形態によりまして、これは異なるわけでございますが、防潮扉を閉鎖させる指示を出すのか、あるいは職員の安全管理上、職員を撤退させる、いわゆる閉鎖業務に当たらせないと、こういう判断を瞬時に我々幹部が命令をしなければならないわけでございます。当然、今回のような大きな地震に伴っての津波の到来ということが仮にあれば、これは職員の安全管理上、私の方といたしましては職員の撤退を優先するということでございますが、それにつきましても、その判断をいたします情報の取得をいかに早期に取得するか、テレビ・ラジオは当然でございますけれども、県の防災行政通信網、これらも駆使して我々が入手して、それを一瞬のうちに判断をして、全部署に一斉に命令・指示を出すと、こういうことが必要になってまいりますし、現場との時差が生じないような態勢をとる必要がございます。そういう意味では、指揮命令系統を徹底するように再度確認を図ったというのが、1点目でございます。 それから2点目でございますが、地震が発生いたしましたときに、防潮扉を担当いたします部署、具体的には本署、東分署、南分署とございますが、これらの部隊がいわゆる火災、救急、救助ということで、他の活動で出動している場合がございます。そういう状況の中で、防潮扉を閉めるということは、なかなか時間的にも物理的にもできませんことから、消防本部の職員も含めて十分連携をとった中で、現場に直行できるような柔軟な部隊編成ができるようにということでの対応も、これは改めて確認いたしたところでございます。いずれにしましても、我々は防潮扉23基を担当いたしますので、職員の安全管理も含めた中での迅速な対応を、改めて消防本部内で協議いたしたところでございます。 以上でございます。
◆8番(安野裕子君) 速やかな体制ということで、またいろいろと検討していただきたいと思います。また、防潮扉のことにつきましては、さきに何人もの議員が質問しておられますので、また地域とよく協議の上、今後のことをお考えいただきたいと思います。防潮扉を閉鎖するときに、砂浜に津波が来るのではないかと心配して様子を見にいらした市民の方もいらしたというような話も聞いております。防災教育というものが実は大事なのではないかなというふうに私は考えております。防災教育を受けていることによって、身の安全を守れるということもありますので、それについても今後の課題としてぜひ取り組んでいただきたいと思います。 それから、津波に関しまして、標高10メートル以上の地域であっても、河川の沿岸は津波の被害に遭うのではないかと心配する声があります。大きな河川だけでなく、例えば、酒匂堰のような小さな河川は大丈夫なのかと心配する声も多くあります。県の想定見直しをする際には、それらの点についても見直しをして、市民へ情報を提供していただきたいと思います。これは要望させていただきます。 最後に、まとめといたしまして、私、この防災のことで質問を手がけていく中で、福祉、医療、介護の横の連携、また、地域住民の自発性や地域の助け合いなどについて、改めて考えさせられました。防災という切り口で一つ一つの課題に取り組んでいけば、ケアタウンになっていくのだなあとつくづく感じました。防災とまちづくりに関して、市長の見解をお伺いいたします。
◎市長(加藤憲一君) 8番安野議員おっしゃるとおりでありまして、この防災対策の強化、そして、特に災害弱者と言われている方たちを地域でどうやって支えるのか、あるいは何か事が起きたときに、地域の中でだれがどういう役割分担をしてやっていくのか、こういうことを地域ごとに突き詰めていくと、それは顔の見える地域というものを改めて、お互いの命を助け合うという視点からつくり直すということにほかならないわけでありまして、これはまさに逆のアプローチといいますか、福祉の立場からやっていったことと全く同じところにたどり着くというふうに私も思っております。当然のことながら、日ごろから地域の中で何らかの社会的なサポートを必要とする方たちというのは、災害時には災害弱者になるということでありますので、ある意味、当たり前といえば当たり前のことなんでありますけれども、地域の方たちにいろんな投げかけをして、例えば、福祉の取り組みについて協力をお願いしますよといったときに、そのことだけで参加していただける方と、なかなかしていただけない方がいるというのが、実際地域の中には現実としてありますけれども、殊、防災については、この局面においてはどなたもが関心を持って参加ができる、どんな立場の方もそれなりに地域の中で役割を持ち得るわけでありますので、その延長線上にお互いの顔の見える地域をつくる、役割分担をする、あなたはこれをやって、あなたはこれをやってねというようなことをやっていく。そのことが、結果的には福祉という意味でも非常にすばらしい地域づくりにつながるということでありますので、今回は、言い方は悪いですけれども、この機会をとらえて、そういう視野を持って、この防災というものにもしっかり取り組んでいく。これが、いわゆるいのちを大切にする持続可能な地域であるところのケアタウンというものにもきっとつながっていくだろうというように思っていますので、そのような視点で取り組んでまいりたいというように思っています。 以上です。
◆8番(安野裕子君) 今、この防災対策ということで、防災部だけではなくて、各所管がさまざまな取り組みをしております。そういうことを職員さんたちが共通理解するということが大事ではないかと思います。今、市長のお考えを職員さんたちに、もっとコミュニケーションを図って浸透させていただきたい。そして、職員さんたちに、今やっていることがこういうまちにつながるんだということをよくお話しして、励ましてあげたいと思うのです。職員さんは日々の業務で大変忙しく、負担を感じておられるようです。その点について、市長に私からもお願いしたいと思います。 これで質問を終わります。
○議長(加藤仁司君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後4時といたします。 午後3時43分 休憩
----------------------------------- 午後3時59分 開議
○議長(加藤仁司君) 休憩前に引き続き再開いたします。 27番原田議員、登壇願います。 〔27番(原田敏司君)登壇 拍手〕
◆27番(原田敏司君) 通告に従い質問いたします。 第1の質問は、東日本大震災を教訓にして災害に強いまちづくりの推進を求めたいということです。 はじめに、このたびの大震災により被災された皆さんに心から哀悼の意を表するとともにお見舞い申し上げます。 さて、今年3月11日にマグニチュード9.0という日本の観測史上最大の地震が発生し、東日本の太平洋沿岸部は巨大な津波で壊滅しました。また、千年に一度と言われる巨大地震・大津波は東京電力福島第一原子力発電所を襲い、世界を恐怖に陥れる原発事故を招きました。さらに、千葉県、茨城県では深刻な液状化も引き起こしています。この国難とも言える未曾有の災害に遭遇し、被災地救援、復興支援に当たるとともに、その発生が予測されている神奈川県西部地震や東海地震などに備えることが強く求められています。 そこで、一つ目に、津波を考慮した防災対策の見直しについて伺います。 私の住む南鴨宮地域は、海に近く、酒匂川沿いにあることから、住民の間に津波に対する不安が高まっています。日本共産党小田原市議団は、緊急に市民の声を集約し、加藤市長に要望書を提出いたしました。津波に関しては、海岸に近い広域避難所については早急に見直しを図ること、3階建て以上、とりわけ沿岸部では5階建て以上の強固な鉄筋コンクリートの建物を避難場所として確保すること、そして避難訓練の見直し・強化などの津波対策を要望いたしました。この要望書に対して加藤市長から、本市の津波などの防災対策について、「本市としては、海岸や河川の近くにある、一時避難可能な建物の洗い出しのために必要なデータを収集しているところであり、その確保等の対策については、早急に着手する予定で事務を進めています。また、広域避難所については、現在、地震、風水害、津波などに対して同一の場所となっていますが、災害の種類によっては課題もあると考えられることから、今後、再検討を進めてまいります」との回答がありました。これまで津波について、市民はもとより、小田原市も防災対策の対象としてほとんど考えてこなかったものと思いますが、東日本大震災を機に、いや応なしに津波を考慮せざるを得なくなったと言えます。 そこで伺います。まず、アとして、津波を考慮した広域避難所のあり方や住民の適切な避難誘導などについて、今、どのように研究を進め、見直しを図ろうとしているのか、そして、具体的な方向は見いだせてきているのかどうか伺います。 次に、イとして、3階建て以上の強固な鉄筋コンクリートのビルを緊急津波避難施設として確保し、将来的には津波避難ビルを設置することも検討すべきではないかと思いますが、市の取り組みの現状と今後の課題についてどのように考えているのか伺います。 ちなみに津波避難ビルとは、近くに高台などがない平坦な地において津波に耐えられる頑丈な鉄筋のビルを、津波から緊急避難するための施設として指定したものです。全国では137自治体で1790ヵ所指定されています。 次に、ウとして、下水道処理場などライフラインの耐震化及び津波対策を行うことについて伺います。 国土交通省は、震災直後、全国で124の下水道施設やポンプ施設が停止し、4月15日時点でも63施設が稼働停止していること、そして、有識者委員会が、本格復旧に際しては、下水道処理場に海水が入らないように防護壁を設けるなど津波対策を進め、今回の震災と同規模の災害でも最低限の下水処理が続けられるよう求めたと報じています。下水道処理場の多くは、海沿いに設けられていることから、津波に被災しやすく、小田原においても県や市の処理場は最も危ない場所にあります。下水道処理場をはじめ浄水場、その他ライフラインの損傷をどれだけ少なくするかが、被災後に衛生面で劣悪な状況に陥る可能性の高い市民生活や、その後のまちの復興に多大な影響を及ぼします。県とも協議し、下水道処理場や浄水場、その他ライフラインが巨大地震・大津波にどれだけ耐えられるのか点検し、耐震化、津波対策を検討し、長期的視点に立って計画的に実施していく必要があるのではないでしょうか。 二つ目に、防災訓練の見直しについて伺います。 今度の震災において、地震発生後、津波に対し直ちに避難行動をとったか、とらなかったが生死の分かれ目になったと見られています。津波が来たらいち早く高いところに逃げる、その意識が市民の中にしっかり根づいているかどうかが決定的に重要だと言えます。防災訓練は、市民にその意識を根づかせる重要な啓発の場となります。今度の大震災を機に、小田原でも防災訓練の中に津波対策を組み入れる必要があるのではないでしょうか。 そこで、アとして、過去に小田原市で津波対策の防災訓練を行ったことはあるか。イとして、総合防災訓練の中に津波対策を取り入れることも必要ではないか。ウとして、津波に被災するおそれが高い地域においては、地区防災訓練に津波対策を取り入れるよう指導するなど、防災訓練の見直しが必要ではないか。以上、市長の見解を伺います。 三つ目に、防災教育の見直しについて伺います。 大震災で被災したある中学校の話ですが、一たん避難した広域避難所に津波が迫ってきているのを見て、中学生がとっさの判断で小学生を連れて、さらにその上の高台に避難し、全員助かったという事例がありました。この中学校では系統的に津波の避難訓練を行ってきたとのことです。一方、校庭に40分近くとどまり避難するのがおくれ、津波にのまれ、多くの児童と教師が命を落とすという痛ましい事例もありました。このことは日ごろの防災教育と避難訓練が大事だということを証明しています。今度の大震災により、小田原においても学校で津波を考慮した防災教育が必要となってきているのではないでしょうか。 そこで、アとして、市内の小・中学校において防災教育はどのように行われ、その中で防災訓練は行われているのか。イとして、津波に被災するおそれのある小・中学校においては、学校ごとに津波対策を確立し避難訓練するなど、防災教育を見直す必要があるのではないか。以上、市長の見解を伺います。 四つ目に、地域防災計画の見直しは専門家の意見を仰ぐよう伺うものです。 来るのか来ないのかわからない巨大地震・大津波ですが、今度の大震災の最大の教訓は、たとえ千年に一度の確率とはいえ、過去に起きた巨大地震・大津波は必ず来ると考え、備えなければならないということではないでしょうか。専門家は、1000年以上昔の869年に今回と同規模の貞観の津波が発生していたこと、そして今回の津波が起きる可能性を示唆していました。 小田原の過去の津波としては、1498年の明応の地震による大津波が知られています。この津波は、房総半島から紀伊半島にまで及ぶ巨大なもので、このとき鎌倉の大仏殿が流され、浜名湖が海とつながったと言われています。また、明応の津波は、北条早雲が伊豆の堀越公方と戦っていたときに起きた津波で、早雲が津波に乗じて堀越公方を攻め滅ぼし、戦国大名として飛躍する基礎を築いたことでも有名です。過去の最大の津波を知ることにより、防災対策を立てることも可能となりますが、それには、地質調査を行い、過去の津波の痕跡を調べるなど専門家の協力が必要です。地域防災計画の見直しは、専門家の意見を仰ぐべきと思いますが、市長の見解を伺います。 第2の質問は、原子力発電から自然エネルギーへの転換を国に求めるべきではないかということです。 東日本大震災の大津波により、東京電力福島第一原子力発電所の非常用電源が喪失し、冷却水の不足による核燃料棒の露出、メルトダウン、そして翌12日に1号機、14日に3号機の水素爆発と瞬く間に最悪の事態に陥りました。世界を震撼させたこの原子力事故は、チェルノブイリに匹敵する「レベル7」に至り、原発から半径20キロメートル圏内の住民が長期にわたり避難生活を強いられることとなりました。国会で津波による事故発生の可能性を質問され、専門家からも指摘されてきたにもかかわらず、東京電力と国は、原発は安全と主張し、津波対策を怠ってきましたが、その責任は重大です。今や原発の安全神話は完全に崩壊し、原発の見直しは世界の流れとなっています。 そこで伺います。一つ目は、世界一危険と言われてきた浜岡原発を運転停止にとどめるのではなく、廃炉にするよう国に求めるべきではないかということです。 静岡県御前崎に立地する中部電力浜岡原発は、今後30年以内に起きる可能性が87%と予測されている東海地震の震源域の中心に位置し、活断層も走っていることから、世界一危険な原発と言われ、住民から運転停止を求められてきています。菅首相は浜岡原発の運転停止を中部電力に要請し、中部電力もこれを受け入れました。ただし、津波対策が施されれば運転を再開するというものです。福島第一原発3号機は、地震の振動により圧力容器の冷却水を循環させる配管が損傷していた可能性が強まっています。地震の振動により壊れたとなると、浜岡原発の安全性は保障されません。福島原発は小田原から300キロメートル離れていますが、それでも放射性物質が飛来しました。浜岡原発は小田原から120キロメートルです。事故を起こしたら甚大な影響を受ける可能性があります。 そこで、アとして、浜岡原発の危険性について、市長はどのように考えておられるか。イとして、浜岡原発を運転停止にとどめるのではなく、廃炉にするよう国に求めるべきと思いますが、市長の見解を伺います。 二つ目に、最終的にすべての原子力発電所を停止し廃炉にすること、そして、自然エネルギーへの転換を国に求めることについて伺います。 ドイツが福島原発の事故を機に、2022年までにすべての原発を停止することを決め、原発見直しが世界の流れとなってきました。ドイツやフランスは地震がなく、アメリカも地震のないところに原発があります。地震大国日本はあまりにも危険です。福島の原発事故以後、日本においても定期検査で運転停止している原発に対して、再稼働に難色を示す自治体が急増しています。現在、国内に54基ある原発のうち、稼働しているのはわずか17基ですが、それも定期検査でおよそ1年後にはすべての原発が運転停止する可能性も出てきました。危険な使用済み核燃料の処理も技術的に確立しておらず、100万キロワット級の原発だと、年間、広島型原爆約1000発分も核廃棄物が精製され、ふえ続けています。青森県六ヶ所村の再処理工場もトラブル続きで見通しが立っていません。 そこで、アとして、原子力発電の危険性について、市長はどのように考えておられるか、イとして、最終的にすべての原子力発電所を停止し廃炉にすること、そして自然エネルギーへの転換を国に求めるべきと思いますが、市長の見解を伺います。 三つ目に、小田原市の自然エネルギー普及・促進の強化について伺います。 小田原市は、2000年に地球温暖化対策の一環として小田原市地域新エネルギー計画を策定し、10年計画で太陽光発電をはじめ、自然エネルギー導入の普及・促進に取り組んできました。 そこで、アとして、小田原市地域新エネルギー計画を取り組んできた結果、どのような成果が得られたのか、イとして、今度の福島原発事故を機に、市としても
自然エネルギーの普及・促進を抜本的に強化すべきと思いますが、市長の見解を伺います。 第三の質問は、大震災による不況が深刻になる中で、中小企業支援策を抜本的に強化すべきではないかということです。 東日本大震災は日本経済に大打撃を与え、被災しなかった地域にも深刻な影響を及ぼしました。経済産業省は、3月の鉱工業生産指数は前月比15.3%の落ち込みで、リーマンショック時を超え、過去最大の落ち込みとなり、4月も「依然として停滞している」と発表しました。小田原箱根商工会議所は、小田原市議会議長あての要望書の中で、「震災後に開催した緊急融資相談会での相談状況等によりますと、小田原・箱根地域の中小企業の経営状況は大変厳しいものがあり、先行きに全く予断を許さない状況が差し迫ってきております」と記し、支援を要望しています。まさに中小企業の存続が危ぶまれています。 そこで、一つ目に、効果的な中小企業支援策を打ち出すためには、実態をよく把握する必要がありますが、そのことに関連し、アとして、小田原市の地域経済に大震災の影響がどのようにあらわれているか、また、そうした状況の中で、市は中小企業の要望にどのようにこたえているのか、イとして、中小企業の置かれている状況をより正確に把握するため実態調査を行うべきではないかと思いますが、市長の見解を伺います。 二つ目に、中小企業の団体等との懇談と意見、要望の聴取について伺います。 東京の大田区や北海道の帯広市など、中小企業の支援に熱心な自治体は、必ず中小企業の団体と綿密に懇談し、意見や要望をよく聞き、一体となって支援策を考えています。 そこで、アとして、小田原市は中小企業の団体との懇談をこれまでどのように行ってきているのか、イとして、不況が一層深刻になる中で中小企業の団体等との懇談を密にし、意見、要望を聞き取り、支援策を抜本的に強化すべきと思いますが、市長の見解を伺います。 三つ目に、住宅リフォーム助成制度の導入を求めたいということです。 全国商工団体連合会の調査によると、全国で住宅リフォーム助成制度を実施している自治体は、昨年10月末時点で175自治体であったものが、今年度330自治体へと急速に広がっています。神奈川県でも、昨年は葉山町のみであったものが、今年になってから相模原市、厚木市、寒川町、そして県西地域としては初めて湯河原町が導入しました。さらに直近の話としては、隣の南足柄市の加藤新市長が所信表明において、住宅リフォーム助成制度の導入を表明しました。私は多くの市民と業者から意見を伺ってきましたが、住宅リフォーム助成制度の導入を願う声が本当に多く、市民の切実な要求であると確信しています。 そこで、不況がますます深刻になる中で、小田原市も地域経済活性化のために住宅リフォーム助成制度を導入するよう真剣に検討することを再度求めますが、市長の見解を伺います。 以上で1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(加藤仁司君) 市長、登壇願います。 〔市長(加藤憲一君)登壇〕
◎市長(加藤憲一君) 27番原田議員の御質問に順次お答えを申し上げます。 はじめに、津波を考慮した広域避難所の見直しと、適切な避難誘導についてのお尋ねでございました。災害発生後の火災の延焼等から身を守りますことや、災害で住家を失った市民の避難場所として、各小学校を広域避難所として指定しております。しかし、東日本大震災後、津波対応の考え方が大きく変化してきておりますので、地域防災計画の改定の中で広域避難所についての検討を行う予定となっております。津波に対しましては、直ちに海岸から遠ざかり、高いところへ避難することが何より重要でございまして、市民みずからが津波に備えるための意識啓発を図るため、まずは市所有の施設に海抜表示板の設置を行うものでございます。 次に、津波避難ビル確保の取り組みと今後の課題についての御質問でございました。現在、海抜10メートルのラインと3階建て以上の建物を示した地図を作成し、これをもとに自治会の方々と実際に地域を歩き、避難に適した高台や建物、そこに至る避難経路などを示した地図を地域ごとに作成しているところでございます。今後は、避難対象となる民間の建物の所有者に御協力をいただく必要があると考え、準備をしているところでございます。 次に、下水道施設の耐震化及び津波対策についての御質問でございました。寿町終末処理場の耐震化につきましては、耐震診断を行っており、この結果に基づきまして、平成10年度から平成12年度に耐震補強工事を実施しております。一方、津波対策につきましては、現在、国や県において、今後の地震、津波対策のあり方についての検討や、津波の規模などについて再検証を行っている状況にあり、引き続き、国や県の動向を注視してまいりたいと考えております。 次に、今回の大震災を機に防災訓練の中に津波対策を組み入れる必要があるのではないかとの御質問でございました。平成19年度に小田原漁港で、神奈川県や相模湾沿岸市町と合同による相模湾沿岸津波対策訓練を実施いたしました。津波に対する地域住民の方の関心も大きく、津波避難訓練実施の要望もありますので、本年度の小田原市総合防災訓練では、津波避難訓練を行う予定としております。また、自治会連合会等で行う防災訓練につきましても、津波避難訓練に取り組んでいただくよう働きかけをしてまいりたいと考えております。 次に、地域防災計画の改定について津波の専門家の意見を取り入れるべきではないかとのお尋ねでございました。現在、神奈川県では、神奈川県
津波対策推進会議のもとに、
津波浸水想定検討部会を新設し、津波の規模の再検証を開始しております。この部会では、津波の専門家による検討がなされますことから、本市の地域防災計画に、その検討結果を反映させてまいりたいと考えているところでございます。 次に、浜岡原発の危険性についてのお尋ねでございました。27番原田議員御指摘のとおり、浜岡原発につきましては、東海地震の想定震源域の中に立地しており、事故が発生した場合、国土の中軸というべき首都圏から中部圏にかけて被害が拡大し、その影響は甚大にならざるを得ないと考えております。 次に、浜岡原発を廃炉にするよう国に求めることについての御質問でございました。浜岡原発につきましては、十分な安全対策を講ずることができないとすれば、小田原市民の命を守る上で、廃炉の検討を国に要請することも必要であると考えております。 次に、原子力発電の危険性についての御質問でございました。原子力発電は、化石燃料に依存しない発電手段として、電力供給上重要な役割を担ってきておるわけでございますが、一方で、その災害が発生した場合の影響の大きさや、核燃料の処理方法の困難さなどがかねてより指摘されてきたところでございます。地震大国と呼ばれる日本におきましては、より安全な技術による電力供給が望ましく、いずれは再生可能な自然エネルギーなどによって代替を目指すべきものと考えております。 次に、原子力発電の危険性を踏まえて、すべての原発を廃炉にし、自然エネルギーへの転換を国に求めるべきではないかとの御質問でございました。5番佐々木議員へお答えいたしましたとおり、現在、国では東日本大震災や原発事故を踏まえまして、原子力政策の見直しを含めたエネルギー戦略の見直しに着手しておりますことから、本市としては、当面その対応を見守ってまいりたいと考えております。また、本市では、NPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんを行政戦略アドバイザーとして招聘するなどし、新たな地域エネルギー政策の検討を始め、市域の特性を生かした自然エネルギー活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、小田原市地域新エネルギー計画の成果についての御質問でございました。5番佐々木議員へお答えいたしましたとおり、小田原市地域新エネルギー計画は、平成12年に策定し、太陽光発電や低公害車などの新エネルギー導入目標や、おだわらエコスクール事業、広域交流拠点整備事業などの重点施策メニューを設けて取り組んできたところでございますが、計画による成果という点では、十分なものとは言えないと考えております。 次に、自然エネルギーの普及・促進への取り組み姿勢についてのお尋ねでございました。私の市長就任以降、地域の自然環境や資源等を生かしたいわゆるクリーンエネルギーの可能性については、さまざまな視点から研究に取り組んできたところでございます。今後も、本市といたしましては、太陽光発電システムの普及につきましては、今まで以上に推進してまいりたいと考えているほか、小水力発電の設置の可能性、また、木質バイオマスの導入可能性等についても検討してまいりたいと考えております。また、先ほどお答えいたしましたように、NPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんをアドバイザーとして招聘するなどしながら、本市における新たなエネルギー政策の検討を始めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、本市の特性に合った
自然エネルギー活用のあり方について、取り組みを強化し、検討を進めてまいる予定でございます。 次に、大震災による地域経済への影響と市内中小企業への支援についてのお尋ねでございました。東日本大震災により、計画停電の実施やイベントをはじめとする各種事業の自粛、消費マインドの減退等から、経済活動に深刻な影響があらわれております。市内の中小企業におきましても、商工会議所や金融機関等関係機関・団体等への聞き取りや窓口での相談等から、5月以降、一部改善の兆しはありますものの、依然として大変厳しい状況にあると認識しております。こうした中、本市では資金繰り支援といたしまして、市融資制度の対象者の拡大、上限額の引き上げを行いますとともに、本定例会でお認めいただきました中小企業信用保証料補助金の増額、さらにはプレミアム商品券事業を実施するなど、中小企業への支援を行っていくことといたしております。 次に、中小企業等の実態調査の実施についての御質問でございました。東日本大震災以後、中小企業の状況やニーズ等を把握し、支援策を講ずるため、小田原箱根商工会議所をはじめ商工業団体等と意見交換を行ってきております。また、関係機関と連携いたしまして、市内の中小企業を訪問し、現状やニーズを把握いたしますとともに意見交換をさせていただいております。商工会議所や金融機関等は、中小企業からの相談を受け、常に現状やニーズをとらえておられますことから、中小企業の現状やニーズの把握につきましては、引き続き、これら関係機関・団体等との連携を密にしながら対応してまいりたいと考えております。 次に、中小企業団体との懇談の状況についてのお尋ねでございました。本市では、中小企業の状況やニーズ等を把握しまして、支援策を講ずるため、小田原箱根商工会議所をはじめ、商工業団体等と意見交換を行ってきております。東日本大震災後も、地域経済への影響や対応等につきまして、小田原箱根商工会議所や小田原市商店街連合会等との懇談を行いますとともに、企業市民まちづくり協議会を開催いたしまして、今後の節電計画への対応等について意見交換を行ってきております。また、団体に限らず、西湘テクノパークやテクノランド小田原など、市内の中小企業を訪問いたしまして、意見交換もさせていただいているところでございます。 次に、中小企業団体との懇談の実施についての御質問でございました。ただいま御答弁申し上げましたとおり、中小企業の状況やニーズ等を把握し、支援策を講ずるため、小田原箱根商工会議所をはじめ商工業団体等と意見交換を随時行っております。本定例会でお認めいただきました補正予算のうち、中小企業信用保証料補助金の増額、プレミアム商品券事業の実施につきましては、こうした商工業団体等との意見交換を通じ、効果の見込める事業として行うこととしたものでございます。引き続き、関係団体・機関等との連携を密にしながら、中小企業の状況やニーズをとらえ、効果的な施策を実施してまいりたいと考えております。 次に、住宅リフォーム助成制度についてのお尋ねでございました。厳しい財政状況の中、限られた財源を有効に活用し、最大限の効果を得ることが行政の果たす責務と考えておりますことから、各種事業は、その目的や費用対効果、広範な効果等を考え実施してきております。こうしたことから、広く中小企業者が活用できる支援策や、本市の地域の生産力の向上、多くの交流人口獲得につながる事業等をこれまで展開しているところでございます。27番原田議員御提案の住宅リフォーム助成につきましては、住宅関連の限られた業種が対象となることや、類似の助成事業が既にありますことなどから、地域経済活性化策としての導入は考えていないところでございます。 27番原田議員御質問の東日本大震災を教訓にして、災害に強いまちづくりの推進をのうち、防災教育の見直しにつきましては、この後、教育長から答弁申し上げます。 以上をもちまして、27番原田議員の御質問に対する私からの答弁とさせていただきます。
◎教育長(前田輝男君) 27番原田議員の質問のうち、教育に関する部分につきましては、私からお答えいたします。 はじめに、小・中学校において、防災教育がどのように行われているのかとの質問がございました。各学校におきましては、日ごろから児童・生徒に対して、さまざまな機会を通して防災意識を高めるよう注意喚起するとともに、各学校で定めます防災計画に基づきまして、避難訓練をはじめとした防災教育を実施しております。また、教育委員会では、平成19年度に防災パンフレット「地震だ!そのときどうする」といったものを作成しまして、全小・中学校に配布し、防災教育の際に活用するよう指導しております。防災訓練につきましては、小・中学校ごとに各校で定めた防災計画にのっとりまして、主に地震や火災の発生を想定して実施しておりますが、今年度は、東日本大震災を受け、その被害状況を教訓といたしまして、海岸に近い学校では、津波災害を想定した訓練を行っている学校もございます。 次に、津波に被災するおそれがある小・中学校について質問がございました。本市では、海抜10メートル以下の学校は、小学校が7校、中学校が3校で、合わせて10校となります。東日本大震災以降、学校現場では津波に対する危機意識が高まっておりまして、教育委員会では、津波対策を含め、学校における災害対応について各校長と意識の共有を図るとともに、津波を想定した当面の対応について、校長会とともに協議を重ねているところでございます。また、各学校がそれぞれ策定している計画につきましては、校長会や教育委員会との協議を踏まえまして、見直していくこととしております。いずれにしましても、児童・生徒の安全を確保していくため、教職員一人ひとりが意識を高め、日ごろから防災教育を徹底して行う必要があると考えております。 以上をもちまして、27番原田議員の質問に対する私からの答弁とさせていただきます。
◆27番(原田敏司君) 御答弁いただき、項目ごとに順次質問いたします。 まずはじめに、津波対策について伺います。 津波の話となると、どうしても非現実的な話と受け取られがちですけれども、三菱総合研究所の科学・安全政策研究本部は、「宮城県の石巻市以南の平坦な海岸線を有する地域では、過去の地震において大きな津波を経験しておらず、自治体が作成したハザードマップにおいても浸水予想区域は限定的であるため、大津波がやってくるという認識がなく、避難の意識が低かったり、想定した避難場自体が津波被害を受けたりして被害が拡大したものと考えられる」と分析しています。この分析は、小田原の現状にぴったり当てはまると思います。常日ごろから市民に対する啓発をしっかり行い、津波に対する警戒心を養うことが今求められています。そういう意味で、地域防災計画の見直しは、市民を交えて行うことが大事ではないでしょうか。広域避難所や避難ルートの見直しや防災訓練について、地域ごとに状況が全く異なりますので、地域の実情に合ったきめ細かなものにしていく必要があると思います。そのためには、自治会やできるだけ多くの住民が地域防災計画の見直し作業に参加し、住民の知恵を結集して計画を仕上げていくことが必要ではないでしょうか。そうすることにより地域防災計画が住民に周知徹底され、住民も身近に感じるのではないでしょうか。地域防災計画を地域住民の協力を得て見直すことについて見解を伺います。 次に、津波避難ビルについてですが、内閣府がまとめた2005年の津波避難ビルの指針では、津波から生命を守る可能性の高い手段を地域内に少しでも多く確保する姿勢が最も重要と指摘しています。そこで、例えばの話ですが、今、西湘バイパス酒匂インターの近くに、新規にスーパーマーケットを出店するための工事が行われていますが、こうした場合に、津波避難ビルとして活用できるように、民間事業者に協力をお願いするといった取り組みが、今後の課題として考えられるのではないかと思うのですが、いかがお考えになられるか、見解を伺います。 下水道処理場については、市の処理場をできるだけ早く廃止して、神奈川県の酒匂川左岸処理場に機能を集約し、県の処理場の津波対策を行うということも考えられますが、見解を伺います。 小・中学校の防災教育とともに、保育園や幼稚園の避難をどうするのかという問題もあります。保育園や幼稚園についてはどう考えているのか、以上お伺いいたします。
◎防災部長(柳田治夫君) ただいまの再質問のうち、最初の2点につきまして、私の方からお答えさせていただきます。 まず、地域防災計画の見直し作業に地域住民を参加させることについて再質問がありました。地域防災計画の改定の手法といたしましては、庁内や防災関係の各機関等と調整を行った上で、防災会議に諮り、法で定められている県との協議を行ってまいります。地域防災計画を補完するような形で、より具体的な計画やマニュアルなどといったものがございますが、そういったものを改定したり、新たに作成することが考えられます。その一つといたしまして、本市では、海抜10メートルのラインと3階建て以上の建物を調査し、これをもとに現在自治会の方と、避難に適した高台や建物、そこに至る避難経路などを示した地図を地域ごとに作成しているところでございます。この地図作成に当たりましては、実際に自治会の方と地域を歩き、意見交換を行い、情報を共有しながら実施しているものでございます。今後も、地震や津波の対策につきましては、地域住民との連携を図ってまいりたいと考えております。 2点目といたしまして、津波避難ビルとして活用できるように、民間事業者に設計的にも考慮してもらうといった取り組みについての再質問がございました。津波避難ビルとして利用させていただくため、建物の所有者に協力をいただこうと考えておりますが、その建物について、法令で定める基準以上の強度や設備とすることは、民間事業者への経費的な負担が大きくなることから難しいものと考えております。 以上でございます。
◎下水道部長(飯塚高一君) 寿町終末処理場の左岸処理場への集約化などについての再質問については、私の方からお答えさせていただきます。 寿町終末処理場を県の左岸処理場へ集約化することにつきましては、地震や津波対策においても重要であると認識しておりまして、できる限り早期に実現するよう取り組んでいるところでございます。また、県の処理場の津波対策につきましては、新たに
津波浸水想定検討部会を設置いたしまして、現在、想定している津波の規模等について再検証を行うとともに、国の動向等を踏まえながら、今後、検討する状況にあるというふうに県の方からお伺いしております。 以上でございます。
◎
子ども青少年部長(川久保孝君) 保育所の避難対策について、私が御答弁させていただきます。 各保育所では、3月11日の大震災以降、被災地の状況等を踏まえ、これまでの避難場所や避難方法等の見直しを行っております。特に海岸線に近い保育所では、津波の際の避難場所を再検討するとともに、津波を想定した訓練の実施を行っております。現在、市全体で避難場所の見直しを行っておりますことから、その調整結果を踏まえ、改めて避難経路等の見直しを行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
◎教育部長(三廻部洋子君) 幼稚園の避難をどう考えているかとの御質問につきましては、私から御答弁申し上げます。 市立幼稚園につきましては、市内小・中学校と同様、東日本大震災以降、津波への対応について危機意識が高まっておりまして、まずは、全園でそれぞれ近くの小学校の屋上、または最上階へ避難する訓練を実施、あるいは予定しております。また、津波が発生した場合、実際どこにどう避難したらよいか等について、現在、園長会においてもさまざまに検討いたしているところでございます。 以上でございます。
◆27番(原田敏司君) 南鴨宮は海抜6メートル台です。7メートル以上の津波が来たら、酒匂川の堤防を越えてしまいます。津波は河川を伝わって内陸部の奥深くを襲ってきます。沿岸部同様、中村川、森戸川、山王川、早川などの河川周辺部も大変危険です。昨年、国は宮城県沖地震の30年以内の発生確率を99%と予測し、今度の大震災が起きました。東海地震は87%です。東海、東南海、南海の三つが連動する巨大地震の発生もあり得ない話ではありません。津波避難ビルを設けたり、下水道処理場の耐震化、津波対策などは簡単にはいかないと思いますが、必要だと思います。そうした津波を考慮した災害に強いまちづくりということで、30年、50年という長期的な視点に立って、津波避難ビル等を設置していくということ、こういう考え方についてどうお考えになるか、見解を伺います。
◎市長(加藤憲一君) 27番原田議員から津波避難ビルを長期のスパンの中で計画的に考えてはどうかという御提案というか御質問でございました。これにつきましては、現在、特に沿岸部、海抜10メートルラインより低いところのエリアを中心に、実際に避難ができる場所があるのかどうかというものの確認、あった場合にどういう避難ルートで避難するのかという、こういった作業をやっております。27番原田議員がどのようなものを想定しているかあれですけれども、今の段階の中でできること、これは、いつ来るかもわからない津波に対して、とにかく現状の中でどう対応できるかということをまず見きわめることだと思っておりますので、新築というよりは既存の建築物で津波避難ビルに適応ができるものというものを、まず我々は見いださなければなりません。その中でも、当然のことながら公共施設の方から着手し、そしてそこで足らなければ、民間の方たちにお願いをすると、そういう段取りになっていこうかと思っています。また、それでも足らないと、要は、地域の中で既に建っている建造物では皆さんの避難場所を提供し切れないということになった場合には、今おっしゃるように、長いスパンの中で、そうゆっくりはしていられないと思いますが、しかるべき高い場所というものを何らかの形でつくっていくことが必要になってこようかと思います。ただ、今の段階では、現状の既設の建物でどの程度のキャパシティーがあるかということを、まず緊急に見きわめなければならないと思っていますので、そういった作業から着手しているところでございます。 以上です。
◆27番(原田敏司君) 津波避難ビルについては、NHK等のマスコミも、それによって多くの人の命が救われたと、一定の効果があったことを報道しています。小田原の海辺には津波避難ビルに適した鉄筋ビルが意外と少ないということもありますので、今後、ぜひ検討していっていただきいと思います。 それから原子力発電所の問題ですけれども、先ほど市長から、浜岡原発についてはやはり大変危険だと、将来的には廃炉にしていくことも必要だという答弁がありました。また、原発についても危険で、将来的にはなくしていく方向が望ましいという答弁がありました。自治体の長の姿勢というのは、やはり今与える影響が大変大きいと言えますので、市長、ぜひこの立場で世論を喚起していっていただきたいというふうに思います。 また、
自然エネルギーについても、小水力発電あるいはバイオマスなど、市としても積極的に取り入れる方向で研究・検討していきたいという答弁がありました。これについても、ぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいというふうに要望いたします。 それでは次に、中小企業の支援策についてですが、効果的な中小企業支援策は、実態や中小企業の要望等を把握することによって初めて可能となると思います。系統的な実態調査と懇談による意見、要望の把握を強く求め、これは要望としておきます。 次に、住宅リフォーム助成制度についてですが、昨年9月の私の一般質問に、市長は小田原市が住宅リフォーム助成制度を導入しない理由として、貸付利率の低い中小企業経営安定緊急資金を実施していること、住宅関連の限られた業種が対象となっていること、木造住宅の耐震診断、改修工事や障がい者向け住宅改良費、水洗化工事費に対する助成等、住宅リフォーム助成とよく似た制度を実施していることなどを挙げています。まず、住宅関連に限られた業種が対象となっているということですけれども、小田原市が既に実施しているという木造住宅の耐震診断、改修工事、それから障がい者向け住宅改良費、そして水洗化工事費に対する助成などは、これは皆、住宅関連に限られた業種そのものではないでしょうか。したがって、住宅リフォーム助成が住宅関連に限られた業種が対象になっているというのは、私は理由として成り立たないと思います。それから、木造住宅の耐震診断、改修工事、障がい者向け住宅改良費、水洗化工事費など行っているからということですが、それらは住宅リフォームのごく一部にすぎず、住宅リフォームは対象がはるかに広く、多くの可能性を持っています。また、木造住宅の耐震診断、改修工事等の助成制度と住宅リフォーム助成制度をあわせて活用することも可能です。決して片方をやっているから、もう一方はやらなくていいというものではないと思います。そして、住宅リフォームは仕事おこしをする、この大変深刻な不況の中で仕事おこしをするための制度であり、資金融資はその仕事を行うための助成ということで、これも互いに補完するものであって、両方の助成制度があってこそ、より効果があると言えるのではないでしょうか。住宅リフォーム助成制度は、市民に大変歓迎され、活用されています。波及効果も5倍以上と地域活性化につながります。住宅リフォーム助成制度をなぜ導入しないのか、私にはその理由がわかりません。その点について、再度、市長の見解を伺います。
◎経済部長(山崎佐俊君) 住宅リフォーム助成制度につきましてのお尋ねにつきましては、私からの御答弁とさせていただきたいと思います。 本市の住宅政策に係る各種助成事業につきましては、防災対策やバリアフリー化などそれぞれ推進すべき施策の目的に沿って行われているものでありまして、住宅関連業種への支援を目的としたものではございません。先ほども市長から御答弁申し上げましたとおり、限られた財源を有効に活用するため、目的や費用対効果、広範な効果等を考え、事業を実施していることから、地域経済活性化施策として住宅リフォーム助成制度の導入は考えておりませんので、御理解いただきたいと存じます。
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○議長(加藤仁司君) この際、申し上げます。本日の会議時間は、会議規則第10条第2項の規定により、これを延長いたします。
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◆27番(原田敏司君) 私は、本当の理由は財政上の問題じゃないかというふうに思っています。それなりに大きな予算を組めば、より経済波及効果は上がり、地域経済の活性化にもつながります。確かに財源の確保はそう簡単ではないと私も思います。ただし、導入している自治体も、制度の中身はさまざまで予算規模もさまざまです。それぞれの自治体の状況に合わせて実施しているようです。仕事がなく、生き残ることが大変難しくなっている中小零細企業のために、小田原市の実情に合わせた住宅リフォーム助成制度の導入を、ここで本当に真剣に検討していただきたいのですが、いかがですか。
◎副市長(加部裕彦君) 27番原田議員の重ねての御質問でございますが、住宅リフォーム助成制度を実施している自治体があるということは承知をしておりますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、本市では、限られた財源を有効に活用するために、目的や費用対効果、広範な効果等を考え、事業を実施しているところでございます。中小企業支援策ということでございますので、まさに今27番原田議員おっしゃいましたように、それぞれの自治体に応じた対策をやはりとっていく必要があるということは全く同感でございます。そういう意味では、本市といたしましては、中小企業の資金繰り支援として、市の融資制度の対象者の拡大、上限額の引き上げを行いますとともに、本定例会におきましてこれをお認めいただきましたが、中小企業信用保証料補助金の増額、プレミアム商品券発行事業などを実施するなど、そういった形での中小企業支援策の支援を行うということにしておりますので、ぜひ御理解を賜わりたいと思います。
◆27番(原田敏司君) 昨年まで神奈川県内で葉山町だけだったのが、今年になって相模原市以下五つの自治体が導入、あるいはこれから導入するという状況が生まれていることをよく考える必要があると思うのです。そのことを指摘して、繰り返すようですけれども、小田原市も住宅リフォーム助成制度をぜひ導入するよう強く求めて、私の質問を終わります。
○議長(加藤仁司君) 以上で本日予定しておりました一般質問はすべて終了しましたので、あす21日午前10時から再開することにいたします。 なお、改めて再開の御通知をいたしませんので、御承知ください。 それでは、本日はこれをもって散会いたします。 午後5時0分 散会...