神奈川県議会 > 2014-12-01 >
12月01日-11号

  • "県友会"(/)
ツイート シェア
  1. 神奈川県議会 2014-12-01
    12月01日-11号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    平成26年 第三回 定例会 △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027631-諸事項-出席議員等・議事日程-》         平成26年第3回神奈川県議会定例会会議録第11号〇平成26年12月1日 午前10時30分開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共100名       出 席 議 員                       西   村   く に こ                       渡   辺   紀   之                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       藤   代   ゆ う や                       原       聡   祐                       中   谷   一   馬                       栄   居       学                       楠       梨 恵 子                       芳   賀   よ う じ                       斉   藤   た か み                       飯   田       満                       若   林   智   子                       根   岸   孝   之                       谷   口   かずふみ                       三   橋   政   雄                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       守   屋   てるひこ                       柳   下       剛                       八   木   大 二 郎                       細   谷   政   幸                       さ と う   知   一                       浦   道   健   一                       青   山   圭   一                       市   川   よ し 子                       日   浦   和   明                       土   居   昌   司                       小   林   大   介                       城   田       学                       赤   野   た か し                       宗   像   富 次 郎                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       髙   橋       稔                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       内   田   み ほ こ                       長   田   進   治                       国   松       誠                       早 稲 田   夕   季                       岸   部       都                       合   原   康   行                       作   山   友   祐                       松   本       清                       久   坂   誠   治                       か と う   正   法                       軽   部   和   夫                       安   川   有   里                       山   本   俊   昭                       馬   場   学   郎                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       杉   本       透                       石   井   もとみち                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       嶋   村   た だ し                       木   村   謙   蔵                       寺   崎   雄   介                       長   友   よしひろ                       近   藤   大   輔                       山   口   ゆ う 子                       日   下   景   子                       曽 我 部   久 美 子                       塩   坂   源 一 郎                       飯   田       誠                       鈴   木   ひ で し                       赤   井   かずのり                       桐   生   秀   昭                       佐   藤       光                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       向   笠   茂   幸                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       古   沢   時   衛                       た き た   孝   徳                       齋   藤   健   夫                       安   藤       慶                       松   崎       淳                       相   原   高   広                       笠   間   茂   治                       川   上   賢   治                       藤   井   深   介                       国   吉   一   夫                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       大   村   博   信                       梅   沢   裕   之                       堀   江   則   之                       中   村   省   司                       久 保 寺   邦   夫                       茅   野       誠                       平   本   さ と し                       はかりや    珠   江                       豊   島   き よ し       欠 席 議 員                       山   下   昌 一 朗                       岩   本   一   夫       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           黒   川   雅   夫         同             吉   川   伸   治         理事            首   藤   健   治         政策局長          二   見   研   一         総務局長          中   島   栄   一         安全防災局長        和   田       久         県民局長          松   森       繁         環境農政局長        金   子   眞 理 子         保健福祉局長        中   島   正   信         産業労働局長        蛯   名   喜 代 作         県土整備局長        浅   羽   義   里         会計管理者兼会計局長    木   村   博   嗣         ヘルスケア・ニュー         フロンティア推進局長    佐 久 間   信   哉         政策研究担当局長      竹   本       治         広域連携担当局長      仲   村   吉   広         労務担当局長        中   田   泰   樹         マグカル担当局長      薄   井   英   男         拉致問題・国際戦略担当局長 大   竹   准   一         エネルギー担当局長     藤   巻       均         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       安   西   保   行         同  県立高校改革担当局長 山   本       博         警察本部長         松   本   光   弘         警察本部総務部長      猪   又       博         人事委員会事務局長     山   口   正   志         監査事務局長        朝   日   富 士 子         労働委員会事務局長     久   保   満 里 子         公営企業管理者企業庁長   北   村       明         企業庁企業局長       渋   谷   敏   裕   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          冨   田   輝   司         議会局副局長        髙   橋   創   一         同  議事調査部長     西 ケ 谷   孝   之         同  総務課長       森       清   司         同  議事調査部            議事課長       谷   川   純   一         同  議事調査部            政策調査課長     霜   尾   克   彦   ───────────────────────────────────────            平成26年第3回神奈川県議会定例会議事日程第11号                            平成26年12月1日午前10時30分開議第1 定県第 113号議案 平成26年度神奈川県一般会計補正予算(第3号)   定県第 114号議案 神奈川県債権管理条例   定県第 115号議案 神奈川県地域医療介護総合確保基金条例   定県第 116号議案 民生委員定数条例   定県第 117号議案 事務処理の特例に関する条例等の一部を改正する条例   定県第 118号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例   定県第 119号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 120号議案 神奈川県立かながわ女性センター条例の一部を改正する条例   定県第 121号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 122号議案 大気汚染防止法第4条第1項の規定による排出基準及び水質汚濁防止法第3条第3項の規定による排水基準を定める条例の一部を改正する条例   定県第 123号議案 かながわトラストみどり基金条例の一部を改正する条例   定県第 124号議案 神奈川県立花と緑のふれあいセンター条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 神奈川県立衛生看護専門学校条例の一部を改正する条例   定県第 126号議案 神奈川県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 127号議案 神奈川県県営上水道条例の一部を改正する条例   定県第 128号議案 工事請負契約の締結について(新庁舎改修及び増築工事(建築)請負契約)   定県第 129号議案 工事請負契約の締結について(新庁舎改修及び増築工事(衛生)請負契約)   定県第 130号議案 工事請負契約の締結について(平成26年度相模川流域下水道左岸処理場特別高圧受変電設備改築工事公共(その2債務負担)請負契約)   定県第 131号議案 工事請負契約の締結について(松田警察署新築工事(建築)請負契約)   定県第 132号議案 工事請負契約の変更について(一般国道134号擁壁改修工事請負契約)   定県第 133号議案 工事請負契約の変更について(都市計画道路安浦下浦線礎擁壁新設工事請負契約)   定県第 134号議案 工事請負契約の変更について(都市計画道路安浦下浦線深礎擁壁(北側工区)新設工事請負契約)   定県第 135号議案 工事請負契約の変更について(一般国道129号戸田交差点立体交差工事請負契約)   定県第 136号議案 工事請負契約の変更について(二級河川境川河川改修(護岸工)工事請負契約)   定県第 137号議案 工事請負契約の変更について(一級河川矢上川地下調節池中間立坑本体工事請負契約)   定県第 138号議案 工事請負契約の変更について(酒匂川流域下水道箱根小田原幹線管渠築造工事(その1)請負契約)   定県第 139号議案 工事請負契約の変更について(横須賀警察署新築工事(建築)請負契約)   定県第 140号議案 特定事業契約の変更について(花と緑のふれあいセンター特定事業契約)   定県第 141号議案 指定管理者の指定の変更について(藤野芸術の家)   定県第 142号議案 指定管理者の指定の変更について(芦ノ湖キャンプ村)   定県第 143号議案 指定管理者の指定の変更について(三浦ふれあいの村)   定県第 144号議案 債権の放棄について   定県第 145号議案 和解について   定県第 146号議案 調停について   定県第 147号議案 当せん金付証票の発売について   定県第 148号議案 地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款の変更について   定県第 149号議案 地方独立行政法人神奈川県立病院機構中期目標   定県第 150号議案 工事請負契約の締結について(本庁庁舎電気設備改修工事請負契約)第2 定県第 152号議案 監査委員の選任について第3 定県第 153号議案 収用委員会委員の任命について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027632--諸事項-諸報告等-》   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共94名 ○議長(向笠茂幸) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(向笠茂幸) 本職あて文書が提出されておりますので、書記に朗読させます。  〔書記朗読〕   ───────────────────────────────────────                                  政総第138号                               平成26年12月1日 神奈川県議会議長 向 笠 茂 幸 殿                         神奈川県知事 黒 岩 祐 治議案の提出について 監査委員の選任についてほかの案件を別冊のとおり提出します。   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027633-質問・答弁-嶋村ただし-代表質問①県政課題に対する知事の姿勢について②県経済の活性化について③保健医療福祉施策について④県政の重要課題について》 ○議長(向笠茂幸) これより日程に従い、審議を行います。  日程第1、定県第113号議案 平成26年度神奈川県一般会計補正予算外37件を議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  嶋村ただし君。〔嶋村ただし議員登壇〕(拍手) ◆嶋村ただし議員 私は自民党県議団を代表し、通告に従い、順次質問いたします。  質問に先立ちまして、一言申し上げます。  あすより国政選挙の公示となります。県政にとって、県民にとって、国が進む方向を決める大切な選挙であると承知しています。本県が目指す政策の後押しができる現政権のさらなる飛躍を望みまして、質問に移らせていただきます。  質問の第1は、県政課題に対する知事の姿勢についてであります。  初めに、国家戦略特区への対応について伺います。  本県全域が含まれる東京圏の国家戦略特区については、10月1日にようやく第1回目の区域会議が開催され、東京圏の区域計画の素案が示されたところであります。この素案には、いわゆる初期メニューと呼ばれる特定事業が位置づけられており、例えば、医療分野では、保険外併用療養、病床規制、外国医師の業務解禁が盛り込まれ、本県の提案もしっかりと反映されておりました。  また、規制改革事項として追加を検討すべき項目には、健康・未病産業、最先端医療産業、ロボット産業の創出など、本県の提案が多数盛り込まれており、これらの提案を規制改革事項とすべく、今後開催される区域会議において主張していただきたいと考えております。  さらに、知事が提唱するメディカル・イノベーションスクールについても、実施主体に神奈川県という記載はないものの、国際的な医療人材の育成のための医学部等の新設に関する検討という項目において、検討がなされるものと理解しております。  一方、国においては、追加する規制改革事項の議論が行われており、(仮称)地域限定保育士の創設が項目として挙げられたと承知しております。  このように国家戦略特区については、今後も規制改革メニューが追加されると考えますが、本県としては、こうしたメニューの活用はもとより、新たな規制改革事項の提案も積極的に行うことが必要であります。  そこで、知事に伺います。  先般開催された区域会議の成果について、どのように受けとめ、今後開催される次回の区域会議に向けて、国の動きも踏まえて、どのように対応していく考えなのか、また、知事が提唱するメディカル・イノベーションスクールの創設によって、どのような人材を育てていきたいと考えているのか、あわせて伺います。  次に、ヘルスケア・ニューフロンティアの国際展開について伺います。  今年10月と11月、知事は欧州を訪問しました。10月には、ヘルスケア・ICTの先進地域であるフィンランドのオウル市と同分野での協力に関する覚書を締結し、また、GCC、ライフイノベーション国際協働センターも、フランスの政府系機関との間で同様の覚書を締結しました。  さらに、11月には、友好提携先であるドイツのバーデンビュルテンベルク州とライフサイエンスを含む幅広い分野での協力に関する覚書を締結したと承知しています。これは、昨年11月のシンガポール、今年5月の米国に続き、新たに欧州においてヘルスケア・ニューフロンティアのグローバルな国際展開を拡大する第一歩であると評価しております。  しかし、重要な局面はまさにこれからであり、覚書により構築した現地とのネットワークを今後どのように生かし、具体的な成果にどうつなげていくかがポイントであります。これらのネットワークを発展させ、県内企業と現地との具体的なビジネス連携などを通じた産業化につなげ、県民の目に見える効果をどうもたらしていくか、今後の展開に期待しております。  そこで、知事に伺います。  ヘルスケア・ニューフロンティアを推進し、県民の健康寿命を延ばすとともに、本県のライフサイエンス産業のさらなる活性化を図るためには、海外の先進地域との連携が大変重要と考えますが、さきにGCCや県が覚書を締結したシンガポール及び米国とのその後の連携はどのように進んでいるのか、また、今回の知事の欧州訪問で構築した新たなネットワークも生かし、今後の国際展開をどのように進めていくのか、見解を伺います。  次に、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会への取り組みについて、2点伺います。  1点目は、事前キャンプについてです。  2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けて、本県はオリンピック・パラリンピックのための神奈川ビジョン2020を策定し、さまざまな取り組みを展開していることは承知しており、その中の一つに、事前キャンプの誘致があります。  事前キャンプは、海外チームの選手がコンディション調整を行って、万全の態勢で競技に臨むために実施されるものであります。事前キャンプの誘致は、まさにおもてなしの気持ちをあらわし、大会を成功に導くことにつながり、また、地域の知名度の向上、スポーツ振興、国際交流などの効果も期待できるため、ぜひ誘致に積極的に取り組むべきであると考えます。  そういう中で、本県がいち早く県内全市町村とともに神奈川2020事前キャンプ誘致等委員会を立ち上げ、県内の競技施設を取りまとめたパンフレットやホームページを作成し、情報発信していることは評価しているところであります。  しかしながら、事前キャンプの誘致については、全国で多くの自治体が関心を示していると聞いております。10月に時事通信社が実施したアンケート調査結果によると、都道府県の約7割が、誘致計画があると回答しており、今後、誘致合戦が繰り広げられることが予想されます。  また、10月には、大会組織委員会が日本全国の事前キャンプ候補地を紹介するガイドを作成することを明らかにしております。このような状況を鑑みると、本県における事前キャンプ誘致を実現するためには、戦略性を備えた積極的な誘致活動を展開する必要があります。  そこで、知事に伺います。  事前キャンプ誘致に向けて、ホームページやパンフレットをどのように活用して進めていこうとしているのか、大会組織委員会が作成する予定のガイドとの関係を踏まえて、知事の見解を伺います。  2点目は、県立体育センターについてです。  事前キャンプの誘致に関しては、まず、県立の総合スポーツ施設である県立体育センターの活用が考えられます。  県立体育センターは、陸上競技場、スポーツアリーナ、プール、球技場、テニスコートなど各種スポーツ施設のほか、ウエイトリフティング、ボクシング、フェンシング等の専門施設も有するとともに、医科学的にさまざまな運動能力を測定、分析する設備を備え、スポーツに係るさまざまなニーズに応えてきました。  しかしながら、設置から50年近く経過し、施設の老朽化が進んでおり、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けた県内アスリートの育成や事前キャンプの誘致、また、その後の県のスポーツ振興につなげていくためには、大規模な改修・整備が必要であります。  この件につきましては、さきの本会議における我が会派の柳下議員の一般質問に対し、教育長から、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会やその後のスポーツ振興に向け、アスリートのトレーニングセンターとして十分に活用できるよう、今後、県立体育センターの施設整備について、具体的に検討するとの答弁があったところであります。  この県立体育センターの施設整備の検討に当たっては、まず、県立の総合スポーツ施設としての役割や機能について、関係機関の意見も聞きながら進める必要があります。  一方、大会の開催まで6年を切り、県内アスリートの育成や海外チームのキャンプの誘致に結びつけられるよう、スピード感を持って整備を行うことが求められます。  そこで、知事に伺います。  県立体育センターの今後の役割、機能をどのように整理し、今後、大規模な改修、整備が見込まれる施設整備について、いつまでに、どのように検討していくのか、知事の見解を伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 嶋村議員のご質問に順次お答えしてまいります。  県政課題に対する私の姿勢について、何点かお尋ねがありました。  まず、国家戦略特区への対応についてです。  東京圏の区域会議は10月1日に開催され、区域計画の素案には医療分野の特定事業に加え、今後検討すべき規制改革事項として、健康・未病産業、最先端医療産業、ロボット産業の創出などが記載されています。  本県の主張はおおむね反映されたと受けとめていますが、大切なことは、本県の提案を今後策定される区域計画に特定事業としてしっかりと盛り込み、着実に実施することであります。そのために、次回の区域会議を含め、今後、民間事業者の皆様が国家戦略特区をより一層活用できるよう、規制改革事項の追加など、県として必要な調整を進めてまいります。  さらに、国においても、地域限定保育士を初め、規制改革項目のさらなる追加を目指しています。地域限定保育士は、本県に早ければ来年度にも導入する方向で検討を進めていますが、こうした本県にとって有益な項目については、今後も積極的な活用を検討していきます。  また、メディカルイノベーションスクールの創設によって育てる人材ですが、医療分野のイノベーションを実践する国際的な人材であります。医学はもとより、工学や経営学など複数の分野の幅広い知識を持ち、最先端医療の進展や未病産業の発展を担えるような人材、世界で通用する人材を育成したいと考えています。  東京圏で唯一、全域が指定されている自治体として、国家戦略特区の制度を最大限に活用できるよう、私みずからが先頭に立ち、スピード感を持って取り組んでまいります。  次に、ヘルスケア・ニューフロンティアの国際展開についてです。  ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みを進めるためには、健康や医療に関するすぐれた技術やシステムを本県から海外の市場に積極的に展開する、あるいは海外から全国に先駆けて県内に取り込んでいくことが大変重要であります。  そうした中で、昨年から今年にかけて、覚書を締結したシンガポール及び米国の2州とのその後の状況ですが、GCC、ライフイノベーション国際共同センターや県内企業が現地をたびたび訪問し、商談を行うなど、圧倒的なスピード感で具体的な連携が進んでいます。  先月、私も1年ぶりにシンガポールを訪問しましたが、現地では、県内企業が開発した医療機器の承認に向けた動きが進んでいます。さらに、シンガポールの保健省からも、こうした製品や技術の導入について前向きな意見をいただくなど、連携の進展に手応えを感じたところです。  また、私の米国訪問がきっかけとなり、今月14日には米国のNIH、国立衛生研究所の研究機関の一つ、NCATSと自治体として初めて連携し、再生医療の臨床研究やそのための人材育成をテーマとしたシンポジウムを横浜で行う予定です。  次に、今回の欧州訪問も踏まえた今後の展開ですが、今回の訪問では、ヘルスケア・ICTの積極的な先進地域であるフィンランドのオウル市、本県の友好締結先でもあるドイツのバーデンビュルテンベルク州と覚書を締結しました。また、フランスでは国会議員等と、スイスではWHO、世界保健機関の幹部と意見交換を行い、ヘルスケア・ニューフロンティアについて、私から直接説明を行ってきました。  この中で、フランス、WHOともに未病の考え方には大きく共感をいただき、例えばフランスの国会議員は、この言葉をフランスでも広めていきたいとおっしゃるなど、今後の展開に向けた土台をつくることができたと考えています。  こうして私が構築したシンガポールや米国、さらに今後、欧州にも広がるライフサイエンス分野での国際的ネットワークは、他に類を見ない本県独自の大きな強みであると考えています。今後も、この強みを生かして、引き続き私が先頭に立ち、最先端の医療の提供や未病を治す取り組みといったヘルスケア・ニューフロンティアの国際展開を一層強化してまいります。  次に、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会への取り組みについてお尋ねがありました。  まず、事前キャンプについてです。  事前キャンプ誘致には、既に多数の自治体が名乗りを上げていますが、10月には、大会組織委員会が一定基準を満たす施設をまとめて、国内の事前キャンプ候補地ガイドを作成することを明らかにしました。これは、いわば公式ガイドに相当するもので、最近のオリンピックでは恒例になっているようです。  しかし、各国競技団体は、このガイドだけから選ぶわけではありませんし、この公表は約2年後のリオデジャネイロ大会に照準を合わせるとのことです。このため、組織委員会のガイドには本県からもできるだけ多くの施設を載せるよう努めるとともに、本県独自の誘致策についてもしっかりと進めていきたいと考えています。  本県は東京に隣接しており、大会会場に近いことや、本番と同じ気候で調整できるなど、好条件にある上、神奈川というコンパクトなエリア内に数多くの競技施設や宿泊施設が集積しているという強みがあります。そこで、事前キャンプを誘致する本県独自の戦略として、個々の市町村、個々の施設ではなく、神奈川全体でまとまってエリアの魅力を強くアピールしていくこととしました。  こうした方針のもと、県内の全市町村と事前キャンプ誘致等委員会をいち早く設置し、11月には82の競技施設を英語で紹介したパンフレットと施設の詳細がわかるホームページを作成し、本格的に誘致を始めたところです。  具体的には、県内市町村の姉妹都市や各国の大使館、競技団体などに対してパンフレットを幅広く配布し、PRしていきます。私も、早速、先日訪問した国々でパンフレットを配り、ぜひ神奈川をよろしくとPRしてきたところです。  さらに、次のステップとして、神奈川の総合力をPRできるよう、ホームページに県内各地の観光や産業、文化などを盛り込み、充実するとともに、情報の多言語化も行って、本県が事前キャンプに最適な地であることをぜひアピールしたいと考えています。  次に、県立体育センターについてです。  体育センターは、昭和43年に、当時、東洋一とも言われた総合体育施設として開設されました。第2種公認の陸上競技場やスポーツアリーナなど、関東大会や全国大会が開催できる競技施設から、ボクシングなど専門競技まで対応できる広域的な総合スポーツ施設として多くの方々に利用されてきました。さらに、スポーツ医科学の機能を備え、県内アスリートの育成拠点としての役割も果たしています。  今後は、こうした役割に加え、健康寿命日本一の目標を達成するため、スポーツ医科学の機能を発展させ、運動、スポーツを通じて未病を治す取り組みの拠点としての役割が求められています。  また、2020年に東京パラリンピック競技大会が開催され、障害者スポーツへの関心がより高まることが期待されます。パラリンピアンを初め、障害者のスポーツ振興の場としての機能も必要です。体育センターには、施設の老朽化への対応とあわせ、こうした新たな役割や機能も求められており、抜本的な整備が急務と考えています。  そこで、今後のスケジュールですが、事前の調査、基本構想の策定から工事竣工までおおむね5年を要すると想定されます。東京オリンピックパラリンピック競技大会の事前キャンプ誘致を考えると、来年度のできる限り早い段階から専門的な調査を行う必要があります。  このため、調査に先立ち、早急に県、市町村、競技団体等で構成する検討会議を立ち上げ、体育センターの施設整備のあり方を検討します。そして、今年度中に検討結果を取りまとめ、早期に県立体育センターの整備に着手できるよう準備を進めてまいります。  答弁は以上です。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 ご答弁ありがとうございました。  知事のスピード感を持って対応するという答弁、これからもぜひスピード感というものを忘れずにとり行っていただきたいというふうに思っているところでございます。  それでは、再質問を一つさせていただきたいと思います。  国家戦略特区の対応について、再質問いたします。  国家戦略特区の対応については、理解をさせていただきました。しかし、新たな規制改革事項を提案していくには、民間事業者には限らないと思っています。地域振興や地域の活性化の実現に向けて取り組んでいる市町村も提案者にふさわしいと考えています。  そこで、市町村に対し、県としてどのように連携をしていこうと考えているのか、この点について、改めて、知事に伺いたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。  国家戦略特区への市町村の対応ということでありますけれども、県内の市町村に対しましては、地域の活性化を図る方策の一つとして、この国家戦略特区をぜひ活用していただきたいということで、県から事業提案を呼びかけてまいりました。現在も市町村ではさまざまな検討が行われていると承知しているところであります。今後、この国家戦略特区を推進するための斬新なアイデアといったものが提案されるということを、今のところ期待しているというところであります。  これまでに区域の決定や国の検討状況などにつきましては、市町村に速やかに情報提供するとともに、個別の意見交換、また神奈川県国家戦略特区推進会議の開催など、ともに議論する機会も設けてまいりました。  今後も引き続き、国の動向を踏まえまして、情報提供や意見交換など、適切な対応を図ることによりまして、まさに神奈川県は市町村と一体となって、国家戦略特区を最大限活用して、経済のエンジンを回すために努力していきたい、そう考えているところであります。  答弁は以上です。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 ありがとうございました。  それでは、要望させていただきたいと思います。  ヘルスケア・ニューフロンティアの国際展開についてでございますが、来年度、いよいよ神奈川県で重粒子線装置が運用されることになります。日本の医療技術力は高い、中でもがん治療としての重粒子線治療は、世界に先駆けて運用を開始したものと考えております。しかし、世界に目を向ければ、日本が取り入れなければいけない医療技術はたくさんあるというふうに痛感をしております。ヘルスケア・ニューフロンティアの実現に向けて、国際展開を図る上では、先進的な医療技術を導入することが大変重要であるというふうに考えておるところでございます。  今後とも、関係各国との科学的、技術的連携を深めていただいて、ヘルスケア・ニューフロンティアの一層の推進を図っていただくように要望させていただきます。  次に、事前キャンプ誘致についてでありますが、オリンピック・パラリンピックにおいて事前キャンプを誘致することは、本県の魅力を全国に、また世界中に発信する絶好のチャンスだと思います。  オリンピック・パラリンピックを開催するということだけでなく、事前に各国に神奈川はこういうところなんだよということを発信する一番のチャンスではなかろうかなというふうに思っています。また、各国とスポーツを通じて交流が深まり、新たな地域活性化につながれば、子供たちにとっても、世界で活躍するアスリートとの交流は、将来の夢を描く目標となると考えます。  今後も、全力で取り組んでいただきますように要望させていただきます。  県立体育センターについては、大変前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございます。  オリンピック・パラリンピックに対しての施設整備だけではなく、県立体育センターは、県内でスポーツをやる若者を含めて、競技者から目標となる施設にしていただきたい、神奈川の大会は県立体育センターに行くことだと、そこで優勝することだというような目標ができるような施設にしていただきたい、そのように思います。  以上、要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。〔嶋村ただし議員登壇〕 ◆嶋村ただし議員 質問の第2は、県経済の活性化についてであります。  初めに、かながわスマートエネルギー計画の推進について伺います。  太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が急速に拡大したことにより、電力の安定的な供給に支障が生じるおそれがあるとして、9月末に九州電力を初めとする四つの電力会社が、電力系統への接続申し込みに対する回答を保留すると発表しました。  こうした中、現在、国は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しについて議論を進めていますが、今後、再生可能エネルギーの導入を抑制する方向で制度が見直されると、「かながわスマートエネルギー計画」の推進に支障が生じることが懸念されるため、神奈川県議会としても、10月14日に再生可能エネルギー導入拡大を求める意見書を提出したところであります。  都市部では地価が高いことなどから、太陽光発電等の導入が相対的におくれていることを考慮し、固定価格買い取り制度は、導入のインセンティブが働く制度とすることが重要です。  また、県内においては、電力系統への接続制限の問題はまだ起きていませんが、電力系統の容量に余裕がある今のうちに、国、電力会社、発電事業者等と連携して、送電網の増強、蓄電池の導入、揚水発電の活用などの対策を講じていく必要があります。  特に、メガソーラーのような規模の大きな発電設備には、大容量の蓄電池を導入して発電出力の安定化を図ることが有効です。また、住宅においても太陽光発電設備とあわせて蓄電池を導入し、夜間も電気を自給自足することにより、電力系統に頼らない住宅が実現できます。このように、今後は太陽光発電設備と蓄電池をセットで普及させることが重要と考えます。  そこで、知事に伺います。  再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しや、将来、想定される電力系統への接続問題を考慮しながら、かながわスマートエネルギー計画を推進していく必要がありますが、今後どのような施策を展開していこうと考えているのか伺います。  次に、燃料電池自動車の普及促進について伺います。  この6月に、トヨタ自動車が水素で走る燃料電池自動車の販売を年内に開始すると発表しました。本田技研工業も来年度の販売を目指しており、日産自動車も2017年に市販を予定しています。  水素は、さまざまな方法で製造することができ、エネルギー効率が高く、環境負荷は低いことなどから、電気や熱とともに、将来の2次エネルギーの中心的役割を担うことが期待されています。  2015年は燃料電池自動車元年とも言われており、日常生活や産業活動で水素を本格的に利活用する水素社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出す年となります。知事も、昨年の4月に神奈川発水素革命と題したシンポジウムを開催し、いち早く燃料電池自動車の普及が水素社会の実現につながることを訴えました。  自動車産業は、本県の経済と雇用を支えている基幹産業の一つであり、世界に先駆けて燃料電池自動車の市場を創出していくことは、県経済の発展にとっても極めて重要であります。  一方、現状では、水素は天然ガス等の化石燃料から製造されているため、その過程でCO2が発生しています。今後、水素の本格的な利活用に向けて、技術開発の推進、コストの低下、インフラの整備など、多くの課題に取り組んでいく必要があります。  燃料電池自動車については、11月18日に、トヨタ自動車が販売価格を発表しましたが、723万6,000円と高価であり、購入を促進するには負担を軽減する必要があります。また、燃料電池自動車の普及には、水素ステーションの整備が不可欠でありますが、都市部は土地の価格が高いことなどから、整備は順調に進んでおりません。  そこで、知事に伺います。  年内に販売が開始される燃料電池自動車の普及を促進するために、県としてどのような施策を講じるのか、知事の見解を伺います。  次に、さがみロボット産業特区の取り組みについて伺います。  さがみロボット産業特区は、平成25年2月に地域活性化総合特区の指定を受けて以降、地域協議会を中心に、市町や経済団体、大学などとさまざまな議論を交わす中で、取り組みを進めてきたと承知しております。  本格的な取組開始からまだ2年弱でありますが、生活支援ロボットの実用化に向けた実証実験などは全国の企業等からも大いに注目されており、こうした取り組みに対する評価が、内閣総理大臣主導で設置されたロボット革命実現会議における知事の委員就任という形になってあらわれたものと認識しております。  さて、これまで当初の目標や計画を上回る勢いで展開し、既に商品化第1号も生み出してきたさがみロボット産業特区でありますが、来年度はいよいよ計画期間の折り返し点を迎えることになります。知事が言われてきた、ロボットと言えばさがみを広く全国に認識させる上での大きな山場であり、さがみで応援してきたロボットの市場への投入をさらに促進するとともに、家庭や社会の中にロボットが溶け込んでいくための道筋をつけていくことが重要であると考えます。  そうした観点も踏まえ、これまでの本会議では、さがみブランドの確立や、生活支援ロボットの社会システムへの組み込みなど、将来を見据えた提案を行い、知事からも前向きな答弁をいただいたところであります。スタートダッシュに成功したさがみロボット産業特区の取り組みを、次なる段階に向け再加速していくため、県において、これまでの取り組みを検証の上、中期的な取組方針を確立し、積極的に発信していくことが必要であります。  そこで、知事に伺います。  さがみロボット産業特区でのこれまでの取り組みをどのように評価し、今後どのように進めていくのか、特区の取り組み3年目に向けた知事の見解を伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県経済の活性化について、何点かお尋ねがありました。  まず、かながわスマートエネルギー計画の推進についてです。  この計画は、巨大な火力発電所等で電気をつくり、長い電力系統で住宅や事業所に送電する集中型電源から、電気を使う場所の近くで、太陽光発電など中小規模の設備で発電する分散型電源へとシフトさせ、エネルギーの地産地消を目指すものです。  昨今、全国的にはメガソーラーを中心に太陽光発電設備の導入が急増し、大量の余剰電力の発生が見込まれることから、電力会社が電力系統への接続を制限するという事態が発生しています。  一方、住宅や町において分散型電源を活用し、独立的にエネルギーの需給調整を図るスマートハウスやスマートタウン、こうした地産地消のシステムを構築すれば、電力系統に大きな負荷はかかりません。今回の事態を見て、本県の目指してきた方向性は間違っていなかったと改めて確信したところです。  そこで、今後は、エネルギーの地産地消に向けた取り組みをさらに加速させていきたいと考えています。具体的には、使用するエネルギーをみずから生み出し、エネルギー消費量を正味でゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ハウスやビルの普及促進を図っていきます。  また、地域内の住宅や事業所ごとに分散型電源の導入状況やエネルギーの使用状況を把握し、余ったエネルギーを融通するシステムの構築を目指します。こうした取り組みを積極的に展開していくには、情報通信技術と蓄電池の活用が不可欠です。県内には、そうした技術分野の有力企業が多数立地していますので、連携しながら、神奈川発のエネルギー革命を強力に推進してまいります。  次に、燃料電池自動車の普及促進についてお尋ねがありました。  燃料電池自動車は走行時に水しか排出しない究極のエコカーとして期待されています。また、燃料電池自動車の新たな市場の創出は、水素の製造や貯蔵等を含め、多くの関連企業に波及効果を及ぼすことから、地域の経済発展に極めて重要であります。  一方、今月の15日から一般販売が開始される燃料電池自動車の購入価格は、国の補助制度を活用しても500万円を超えており、ハイブリッド車や電気自動車と比較しても高額となっています。初期の段階で普及を図るためには、購入費用の負担を軽減する必要があると考えており、国の補助制度と連携した効果的な支援策を検討していきます。  また、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションは、県内では来年度当初までにガソリンスタンドと同様の定置式が3カ所、トレーラーに設備を搭載する移動式が3台整備される予定です。こうした水素ステーションの整備をさらに促進するには、利用できる土地や施設を確保することが重要であることから、政令市等と連携して、土地などの情報提供を行っていきます。  また、水素は爆発するのではないかと不安を抱く方もいらっしゃいますので、燃料電池自動車や水素ステーションの安全対策について、県の広報媒体や各種のイベントを活用して広く周知を図ります。  今後、燃料電池自動車の普及を促進するには、コストの低下やインフラの整備などさまざまな課題がありますので、昨年8月に設置したかながわ次世代自動車普及推進協議会を通じて、関係する自治体や企業と連携し、積極的に取り組みを推進してまいります。  次に、さがみロボット産業特区の取り組みについてお尋ねがありました。  初めに、これまでの取り組みの評価についてですが、さがみロボット産業特区では、生活支援ロボットの実用化と普及に力を注いできました。特に出口を見据えた製品化への支援や、誰もが参画できる開かれた場づくりに取り組んできたところです。  実証等に必要な規制緩和については、国との粘り強い交渉の結果、14項目全てで前向きの回答を引き出し、財政支援も2年間で約6億円を獲得しました。そして、重点プロジェクトや公募型実証実験支援事業等を含め、本年度末には当初目標の2倍に当たる42件の実証が実施できる見込みとなっています。  既に商品化第1号が生まれ、それに続くロボットの開発、実証も進むなど、私自身、思い描いたとおりの取り組みを、スピード感を持って展開できたと考えています。そして、国の成長戦略の一翼を担うことができたと自負しているところでもあります。  次に、今後の展開についてです。  生活支援ロボットの実用化に向けた取り組みが順調に進み、住宅展示場を活用したロボット体験施設や、鉄腕アトムによる広報でロボットを身近に感じてもらえるようになってきた今、私が次に目指すのは、市場の創出です。そのためには、さがみ発のロボットが生活や社会の中で用いられ、安定した需要を確保していくことが大切です。  そこで、今後は二つの取り組みにより、市場に送り出すための出口戦略を強化していきます。  一つは、介護施設等への導入の加速化です。実証実験や体験施設等を通じてロボットに触れる機会がふえ、介護関係者の関心が高まっています。この機を捉え、県がメーカー等からロボットをお借りし、多くの施設で試していただくなど、より実践的な形での導入促進を図ります。  もう一つは、ロボットを活用したさまざまな仕組みの改善です。例えば、救急搬送システムにさがみで実用化を進めている遠隔診断ロボットを組み込むことで、スピーディーな治療の実現や市場の開拓につなげることができます。そこで、介護・医療を初め、各分野で改革を推し進めているリーダー等と力を合わせ、具体的なシステム改善案を作成するなど、ロボットによる変革の可能性を追求していきます。  こうした取り組みを通じて、日常生活や社会のニーズにマッチした生活支援ロボットをさがみから続々と市場に送り出していけるよう、引き続き邁進してまいります。  答弁は以上です。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕
    ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 それでは、「かながわスマートエネルギー計画」の推進について、再質問をさせていただきます。  私は、2年前に代表質問で蓄電池の普及拡大について質問をさせていただきました。知事より前向きな答弁をいただいて、現在、HEMSとあわせた導入に対して支援を行っていることは承知をしておりますが、太陽光発電設備やエネファームと比べると、導入が少し後回しになっているような印象があります。  蓄電池は、太陽光発電の発電出力の安定化や災害時の非常用電源としての役割など、その有効性をより広く啓発する必要があると考えていますが、知事の見解をお伺いしたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  議員お話しのとおり、まさに蓄電池の普及というのは非常に重要なことだと私も認識しております。蓄電池は、太陽光発電設備等の創エネ機器やHEMS等のエネルギー管理システムと一体的に導入することによりまして、その効果を有効に発揮することができるものだと思っております。そこで、今後、こうした蓄電池の活用策や導入効果につきまして、県のホームページで具体的な事例を紹介するなど、積極的にPRしてまいりたいと考えています。  また、電気自動車の普及に伴いまして、搭載していたリチウム電池を低価格で再利用すると、こういった動きも出てきておりますので、企業と連携しまして、そういった新たな蓄電池の利用についても普及活動を行っていきたいと思っております。  答弁は以上です。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 ありがとうございました。  日本の電力の供給は世界一安定しているのではないかと私は思っています。  先般、私は自民党の県政調査でベトナムのハノイに行ってまいりました。ベトナムに進出している県内企業と話をしてまいりまして、ベトナムは経済成長著しいということはご承知だとは思いますけれども、神奈川もインダストリアルパーク構想を進めている施策の中で、現地の経済状況や企業の操業状況を知るいい機会であったと考えています。  そこで、進出している工場の社長にお話を聞きましたところ、視察先はハノイのタンロン工業団地でありました。ここは家賃が高いそうなんですが、企業進出が盛んであります。なぜかという理由の一つに、電力供給が安定しているというところだそうでございます。進出企業の後押しとなるには、インフラの整備、またベトナムであれば、ベトナム政府との相談窓口、そういったことが安心して操業できる環境を、特に中小企業には提供することができるのではなかろうかと思います。まさに、県経済の発展にも同様な考え方が言えると思っています。  本県で「スマートエネルギー計画」を進めて、再生可能エネルギーの普及拡大とエネルギー安定供給を目指していますけれども、こうした取り組みが安心な生活環境と新たな産業の創出を支えることにつながるので、今後ともスマートエネルギー計画の推進を図って、県経済の発展や県民生活の安定に努めていただきますよう要望します。  また、燃料電池自動車やロボット産業の取り組みについてですが、途上国からすれば、夢のような話だというふうに思っています。まず、神奈川が実用化することで、将来の途上国へも導入するきっかけができるように取り組みを進めていただきたいと考えます。  次の質問に移らせていただきます。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。〔嶋村ただし議員登壇〕 ◆嶋村ただし議員 質問の第3は、保健医療福祉施策についてであります。  初めに、保育士試験について伺います。  県内では4年連続で待機児童数が減少しているものの、なお1,000人を超える待機児童がおり、各市町村が待機児童ゼロを目指して、保育所の整備に懸命に取り組んでいると承知しています。  保育所の整備が進めば、それだけ保育士が必要になりますが、現状でも、首都圏などを中心に保育士不足が顕在化しています。中途退職が多いのがその主な要因でありますが、退職理由は、みずからの結婚・出産のほか、職場の人間関係、勤務体制、処遇面の不満などさまざまであり、県では、潜在保育士の再就職支援や現任保育士の処遇改善にも取り組んできました。  しかしながら、喫緊の課題である保育士不足への対応として、一人でも多くの保育士を確保するためには、新任保育士をふやす方策を検討していくことも重要であります。  保育士試験について、知事は、10月9日の定例記者会見において、本県独自で2回目の試験を実施する方向で検討していきたいとコメントされ、さきの本会議における答弁よりも一歩踏み込んだ見解を表明しております。  一方、国においても、年2回の保育士試験実施について、去る10月10日に開催された国家戦略特別区域諮問会議において、特区内の規制改革事項の一つとして、3年程度、当該都道府県内のみで保育士として通用する地域限定保育士の資格制度の整備が提案・了承されたと承知しています。  年2回実施により受験機会をふやし、保育士確保につなげるという方向性は理解いたしますが、2回目の試験を本県独自で実施することについては、保育の質の確保など課題も多いと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県で保育士試験を年2回実施することについて、国が新たに導入しようとしている地域限定保育士制度の活用などを含め、今後どのように進めていこうとしているのか、知事の見解を伺います。  次に、神奈川県家庭的養護推進計画の策定について伺います。  子ども・子育てをめぐる社会環境が大きく変化する中、全ての子供に良質な成育環境を保障し、子供を大切にする社会の実現が求められています。こうした中、県所管の児童相談所における児童虐待の相談受付件数は年々増加傾向にあり、平成25年度は2,484件で、平成21年度の1,365件と比較すると、この5年間で約1.8倍となっております。  虐待相談の中には、家庭での養育が適当でない場合もあり、保護者の適切な養育を受けられない子供たちには、社会全体で責任を持って健やかに育てていく必要があります。  乳児院や児童養護施設などによる社会的養護は、かつては死亡などにより保護者がいない、また生活困窮や病気などにより保護者が育てられない子供たちを保護する施策が主でありました。それが現在では、保護者からの虐待による後遺症など、心に傷を負っている子供への支援を行う施策へと役割が変化しており、できるだけ家庭に近い環境で安心して生活できるようにすることが求められています。  これは障害者福祉や高齢者福祉の分野でも、施設中心のケア体制から、より小規模で地域の中へと移行していった福祉全体の大きな流れでもあります。  このような状況を踏まえ、国は、原則としてできる限り、里親などの家庭養護を優先するとともに、児童養護施設などの施設養護もできる限り家庭的な養育環境の形態に変えていく方針を示すとともに、都道府県に対して、今後の児童養護施設などの小規模化や地域分散化の整備計画を策定するよう求めております。本県としても、平成26年度中に家庭的養護推進計画を新たに策定すると聞いております。  そこで、知事に伺います。  本県では、家庭的養護の推進に向けて、これまでどのように取り組んできたのか、また、どういう点に重点を置いて計画を策定するのか、知事の見解を伺います。  次に、健康寿命日本一に向けた健康診断受診率向上の取り組みについて伺います。  県民が長生きしてよかったというように思える社会の実現は、誰もが願うことであり、そのためには健康寿命を延伸することが重要であります。全国を上回るスピードで高齢化が急速に進行することが見込まれる神奈川県においては、特に重要な課題となっています。  そうした状況において、疾患の早期発見、早期治療のみならず、健康寿命の延伸にも資するがん検診や特定健診の健康診断の受診率を上げることは、効果的な対策の一つであると考えます。  しかし、本県の健康診断の受診率を見ると、決して高いとは言えず、特に、小規模事業所の従業員、女性などの被扶養者、市町村国保加入者などの特定健診は、受診率が低迷している状況にあります。  また、歯及び口腔内の健康は、しっかりかんで食べるために必要であり、歯科疾患が糖尿病や誤嚥性肺炎などの全身疾患と密接に関係していることが明らかになっており、全身の健康づくりのためにも、定期的な歯科検診の受診が求められています。  知事は、昨年の1月に健康寿命日本一を目指す、いのち全開宣言を発表し、また、今年の1月には未病を治すかながわ宣言を発表して、健康寿命を延伸するため、未病を治す取り組みを社会全体で強力に進めております。  この取り組みは、食、運動、社会参加に取り組むことを推奨するものでありますが、健康診断の受診率を向上させることも、健康寿命を延伸するためには不可欠な要素であり、取り組むべき課題であると考えます。  そこで、知事に伺います。  がん検診や特定健診、また歯科検診などの健康診断の受診率の向上を図っていくことは重要な対策であると考えますが、未病を治す取り組みを進めている知事として、どのように考えているのか伺います。  次に、子宮頸がん予防ワクチンの副反応に対する対応について伺います。  子宮頸がん予防ワクチンは、平成25年6月に国が接種の積極的勧奨の一時差し控えの勧告を行い、その扱いについては、現在も審議が続行中でありますが、ワクチン接種後の痛みに苦しむ方々にとっては、ワクチンとの因果関係が判明しないため、救済が進まない状況にあります。  この問題については、本年第2回定例会本会議において、我が会派の長田議員からの質問に対し、知事は、国の部会におけるこれまでの検討内容について情報を共有した上で、予防接種における救済制度のあり方などを議論していただくとの答弁がありました。  一方、国の部会では、今回の症状は心身の反応によるものと合意されたということでありますが、難病治療研究財団などが研究を行い、ワクチンの成分によって脳の炎症が起こっている可能性もあると指摘しております。  こうした動きがある中で、国では、子宮頸がん予防ワクチン接種後の痛みや運動障害の症状のある方々にも、より身近な地域で適切な診療が提供することができるよう、都道府県単位で協力医療機関を設定すると聞いております。  また、県内においては、横浜市が6月から独自の支援制度を設けて実施していますが、県内の9市議会では、国や県に対し、子宮頸がん予防ワクチン接種後の症状に対する医療支援を求める意見書が出されました。  県として、横浜市など予防接種の実施主体である市町村と同じ立場で医療費の支援を実施することの難しさは理解いたしますが、被害に対する何らかの取り組みが必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  予防接種研究会での議論や国等の動きを踏まえ、県として、今後どのように対応するのか、知事の見解を伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 保健医療福祉施策について、何点かお尋ねがありました。  まず、保育士試験についてです。  さきの本会議において、私は、保育士確保対策として、保育士試験は2回実施すべきと考えるが、保育士の質を確保する観点から、全国統一で2回実施するよう国に求めていく旨を答弁しました。その一方で、私は、国の動きを待つことなく、本県独自で2回目の試験を実施できないかと考えていたところ、10月に開催された国家戦略特区の会議で、地域限定保育士の制度創設が公表されました。  地域限定保育士は、保育士として働くことができる地域が、資格取得後3年間は制度を実施する都道府県のみに限定されますが、その後は全国で保育士として働くことができるという制度です。  今なお1,000人以上いる本県の待機児童を解消する上で、保育士確保は喫緊の課題であり、県全域が国家戦略特区に指定されているという本県の強みを生かし、この制度を活用した保育士試験を実施したいと考えています。  国は、地域限定保育士制度を含めた国家戦略特別区域法の一部改正法案をさきの臨時国会に提出しましたが、このたびの衆議院解散により、残念ながら廃案になりました。しかしながら、国は次の通常国会に再度、法案を提出し、速やかな法案成立を目指すと聞いています。  今後は、法案成立の動向を見ながら、なるべく早期に2回目の保育士試験を実施できるよう、国とも連携を図るなど、しっかりと準備を進めてまいります。  次に、神奈川県家庭的養護推進計画の策定についてお尋ねがありました。  保護者からの虐待などにより、家庭を離れて暮らす子供たちも、心身の健やかな成長のためには、できる限り家庭環境に近い安定した人間関係の中で育てられることが大切です。  県では、これまでも児童養護施設において、より家庭に近い環境で生活できるよう、8名程度の少人数で一つのリビングルームや浴室などを利用する、施設のユニット化を推進してきました。  また、より家庭に近い環境である里親での養育を推進するため、里親への研修を実施するとともに、乳児院や児童養護施設に里親支援専門相談員を配置し、里親からの相談などに応じています。しかし、現在、里親のもとで暮らす子供たちは全体の約1割にすぎず、児童養護施設のユニット化も約3割の施設が未実施です。  こうした中、国では、将来的に里親の割合を3分の1に引き上げるなど、家庭的養護を推進する方針を示しており、本県でも今年度中に、今後15年を見据えた推進計画を策定し、家庭的養護を推進してまいります。  この計画では、最も家庭環境に近い里親での養育を優先することとし、里親の開拓、里親支援の充実などに重点的に取り組むこととします。また、施設についても、全施設をユニット化するとともに、虐待による後遺症などにより、特別な支援が必要な子供たちへの専門的ケアの充実を図ります。  今後、議会からの意見も踏まえて計画を策定し、家庭を離れて暮らす子供たちが健やかに成長できる社会の実現を目指して、計画を着実に推進してまいります。  次に、健康寿命日本一に向けた健康診断受診率向上の取り組みについてです。  本県は全国を上回るスピードで超高齢社会が進展しており、このままでは現行の社会保障制度を維持することは困難な状況にあります。今後も社会保障制度を維持するためには、高齢になっても元気で生活できるよう、健康寿命を延伸することが必要です。そして、がん検診、特定健診、歯科検診などの健康診断は、みずからの健康状態を知り、がんや糖尿病などの早期発見・早期治療につながるものであり、受診率の向上は健康寿命延伸のためにも大変重要なものであります。  しかし、本県の健康診断の受診率は全国平均か、それを下回っている状況にあります。その理由として、健康だから、忙しいからという回答が多く、健康診断の重要性を理解していただく対策や受診しやすい工夫が課題であると認識しております。  そこで、県では市町村や企業等と連携し、歯科検診では8020運動推進員による普及啓発、がん検診については、がん患者の皆さんが定期検診を呼びかけるさまざまなイベントへの支援などを行っています。また、特定健診については、健診を土日や夜間に実施する市町村を支援しています。  一方、特に健康に無関心な方が健康増進の取り組みを始めることが重要であり、現在、県が進めている未病センター構想やCHO構想では、その効果的な方法について検討しています。  今後、未病を治す取り組みを浸透させ、個人の意識を高めながら、市町村や企業とともに受診につながる環境づくりを進めることにより、健康診断の受診率向上を図り、健康寿命日本一を目指してまいります。  次に、子宮頸がん予防ワクチンの副反応に対する対応についてです。  ワクチン接種後、さまざまな症状に苦しまれている方々のことを思うと、適切な治療により、一刻も早く症状が改善され、また、救済されることを願わざるを得ません。  そこで、県としても、治療を行う協力医療機関の選定と救済制度の改善に取り組んできました。協力医療機関については、国が都道府県ごとに1カ所選定を原則としていましたが、本県では、県医師会等に協力を求めた結果、11月に7カ所を選定することができました。  これらの協力医療機関では、痛みの治療だけでなく、整形外科や神経内科、産婦人科や心療内科などの各診療科が被害を受けた方の情報を共有し、さまざまな症状に対応できるよう検討を進めています。本県では、このように多くの医療機関を選定でき、地域で受診しやすい環境が整ったものと受けとめています。  また、救済については、依然として進んでおらず、多額の医療費を負担されている方もいることから、一刻も早く認定されるよう、神奈川から制度改善を求めるため、予防接種研究会で議論を行っています。研究会では、認定を受けるまでの負担が大き過ぎることや、相談できる場所がないこと、救済のスピードと認定の厳正さのバランスを考えた制度設計が必要なことなどについて意見をいただいております。引き続き、救済制度について協議をいただき、取りまとめた内容をもとに、国に対して提言を行う予定です。  県としては、被害者の方が適切な治療が受けられる環境を整えるとともに、医療費支援等、速やかな救済につながる制度改善を国に要望するなど、被害に遭われた方々の負担が少しでも軽減されるよう努めてまいります。  私からの答弁は以上です。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 それでは、受診率向上の取り組みについて、再質問をさせていただきたいと思います。  健康診断を受診されない方の中で、特に子育て中の専業主婦など、比較的若い女性の方々は家庭の健康を支えるキーパーソンであり、中心的な健康管理を推し進めている方々だと思いますが、実はご自身の健康診断の受診が後回しになっているのではないかというふうに思っています。  健康診断受診率を伸ばすためには、こういった比較的若い世代の女性の受診率を上げることが必要と考えますが、このような対策について、どう働きかけていただけるかを伺いたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  今、議員ご指摘のとおり、若い女性が後回しになって受診率が低くなっていると、これは非常に大きな問題だと、全くそのとおりだと思います。  例えば、がん検診につきましては、乳がん検診の受診を進めるピンクリボン活動、こういったものがあります。市町村のイベントでのがん検診普及啓発セミナーの開催のほか、イベント会場においてマンモグラフィー検診車を展示して、乳がん検診の普及を行う、このように若い女性も比較的簡単に受けられるような工夫をしているところであります。  また、現在、保健福祉事務所の保健師が企業や大学、高校に出向いて、女性特有の健康課題についての教育を行う、こういった出前講座も行っているところであります。  今後もこうした取り組みをさらに積極的に展開しまして、若い世代の女性の受診率向上を目指してまいりたいと考えております。  答弁は以上です。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 それでは、要望させていただきます。  受診率向上についてでありますが、知事もお取り組みをされていますリレー・フォー・ライフ・ジャパン、日本対がん協会の取り組みがございますが、ここの願いは受診率の向上、健康診断の受診率を上げるということが最大の重要課題というふうに言われています。  実は、私の地元の歯医者さんですけれども、通われた患者さんが歯医者さんを出るときに、はがきに自分の住所と生年月日を書いて歯医者さんに置いてくるそうです。半年たちますと、歯医者さんがそれを投函してくる。そうすると、患者さんは自分の筆跡のはがきで、受診をしてくださいというはがきが来るというようなことで、みずからがみずからの次の受診日を決めるというような取り組みをしている、非常にユニークな取り組みだというふうに感心をいたしました。  健康診断に対する意識改革というものは非常に大切だと思います。健康寿命日本一につなげる積極的な取り組みの一つというふうに思っています。知事の提言により、ぜひとも受診率日本一を目指していただきたいなというふうに思っているところでございます。  もう一つは、保育士試験についてですが、保育士不足は大きな課題であります。女性の就労についても貢献できる取り組みと考えますので、受験者が混乱することのないように丁寧な情報提供を要望をさせていただいて、次の質問に移ります。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。〔嶋村ただし議員登壇〕 ◆嶋村ただし議員 質問の第4は、県政の重要課題についてであります。  初めに、箱根火山対策について伺います。  8月の広島市での土砂災害以降、御嶽山の噴火や台風と、今年はとうとい命が失われた自然災害が多く発生いたしました。特に、御嶽山の噴火は大変痛ましい災害であり、今後の行政の火山対策に対し、大きな課題を示したと言えます。  本県では、火山と言えば、多くの観光客、登山者が訪れる箱根山の噴火が懸念されます。約3,000年前に大きな噴火があり、12~13世紀には小規模な水蒸気噴火があったものの、その後、大きな噴火の記録はないと伺っています。しかし、兆候がなかった御嶽山が噴火したように、箱根山についても、万が一噴火した場合に備え、十分な対策を行う必要があると考えます。  政府は、先日、御嶽山の噴火を教訓に、緊急的に行うべき取り組みを公表しました。我が自民党県議団においても、火山対策は重要な課題と認識しており、9月の本会議において、我が会派から、富士山火山対策について質問したところであります。  本県では、温泉地学研究所が約50年間にわたり、箱根山の観測、研究を続けており、他の自治体にはない取り組みであり、高く評価しています。しかし、噴火の兆候をより早期に把握するためには、観測体制のさらなる強化が必要と考えます。  また、箱根は多くの観光客が訪れるところであり、訪れる方々に、箱根山は火山であることをまず認識してもらうことが必要であります。さらに、被害防止のためには、観光客や登山者に迅速に正確な情報を提供する方策の検討、安全な避難のための避難計画の策定など、さまざまな課題があり、箱根山の火山対策を強化していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  御嶽山の噴火を教訓として、火山対策をより一層充実強化していくことが県民のニーズに応えることと考えますが、箱根山について、今後どのように火山対策を進めていくのか、知事の見解を伺います。  次に、海岸利用に関する課題への対応について伺います。  本県は、湘南海岸を初め、首都圏屈指のビーチリゾートエリアを有しており、県内外から多くの方々が訪れていますが、近年、海岸利用に関するさまざまな課題が生じています。  海水浴場については、海の家のクラブ化による騒音や風紀の乱れなどが大きな問題となっていることから、県では、海の家のガイドラインを作成し、昨年から、海水浴場組合に自主的な取り組みを促してきたところです。  昨年は、クラブ化を禁止しなかった逗子市などの海水浴場で問題が顕著となりましたが、今年は、全ての組合のルールにクラブ化の禁止が盛り込まれたことなどにより、おおむね沈静化しました。  中でも、逗子市では、条例で音楽や砂浜での飲酒を禁止することなどにより、家族連れも利用するような状況に改善されましたが、規制が緩やかだった鎌倉市に利用者が流れ、市に寄せられた苦情件数は倍増して、利用者マナーに起因する問題が顕在化したところです。  また、海水浴場を含めた快適な海岸利用を図るため、海岸清掃については、県と市町が共同して平成3年度に設立した公益財団法人かながわ海岸美化財団により、効果的・効率的に行われていると承知していますが、その一方で、海岸でバーベキューを楽しむ一部の方が、機材やごみを放置するなど、海水浴場以外の海岸利用においても、地域住民の生活に支障を及ぼす問題が生じています。  こうした海岸利用に関する課題に対応するとともに、海岸のにぎわいを維持し、今後の神奈川の海岸のあるべき姿を検討するため、県では、有識者などによる検討会を設置し、先般、提言を盛り込んだ報告書の提出を受けたと承知しています。  そこで、知事に伺います。  県では、検討会からの提言を受け、海水浴場を初めとした海岸利用の課題の解決に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。  次に、社会的問題となっている危険ドラッグ対策の推進について伺います。  合法ハーブやお香、アロマなどと称して販売される危険ドラッグは、麻薬や覚醒剤等と似た成分が含まれる極めて有害な薬物であり、使用後に意識障害や呼吸困難を起こし、救急搬送されたり、死亡したりする事例が相次ぎ、乱用者による車の暴走事故などもあとを絶たない状況が続いています。  県は、危険ドラッグ対策を強化するため、9月補正予算を組み、普及啓発や検査体制の充実強化を図ることとしたほか、迅速な対応を図るため、県として独自に薬物を指定すること、警察職員に販売店への立入調査権限を持たせること、及び罰則を設けるなどの実効性のある抑止力を持つ条例を制定することとしたところであります。  マスコミ報道によると、危険ドラッグの売買をめぐり、条例を設けて規制を強化している地域を避け、販売する動きが目立ち始めているとされ、東京から神奈川に流れてくることが危惧されています。こうしたことから、条例の制定作業は迅速に取り組んでほしいと考えます。  危険ドラッグの販売の広がりは、若者の弱い心につけ込んで浸透を図ろうとする卑劣な反社会的行為と言えます。こうした問題は、社会全体で一丸となって排除する取り組みを進めることが重要であります。  例えば、危険ドラッグの販売店舗は賃貸物件で開業することが多いという実態を踏まえ、不動産業界の一部から、危険ドラッグ販売店の排除に向けた取り組みの声が上がっています。既に、不動産業界と連携を図り、取り組みを始めた自治体もあると聞いており、こうした取り組みは販売店舗の出店に対し、抑止力になることが期待されます。  このようにさまざまな角度から、危険ドラッグを許さないという姿勢で取り組んでいくことが重要と考えます。  そこで、知事に伺います。  社会全体で危険ドラッグを排除しようとする官民一体となったこうした取り組みについて、知事の見解を伺います。  次に、グローバル社会を生き抜くための先進的な高校教育の推進について伺います。  現在、社会経済のグローバル化が進む中、今後、我が国の社会経済を新たな成長軌道に乗せるためには、世界を舞台に活躍できる創造的で、活力ある若い世代の育成が急務となっています。  こうした中、平成25年5月の教育再生実行会議の第3次提言では、小・中・高校段階におけるグローバル人材の育成について提言が示されました。これを受け文部科学省は、同年12月にグローバル化に対応した英語教育改革実施計画を策定し、今年9月の英語教育の在り方に関する有識者会議では、今後の英語教育の具体的な方向性が示されています。  また、科学技術に関する世界的な競争が激化する中、科学技術系の人材育成が急務となっており、政府は、さまざまな特区を打ち出しています。  本県では、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区やさがみロボット産業特区があることから、こうした特性を生かし、イノベーションを進めていくため、今後、小・中・高校段階を通して、グローバル人材育成を目標とした学校教育を推進していく必要があります。  県教育委員会では、今年9月に公表した県立高校改革基本計画(素案)の中でも、グローバル社会を生きる能力を伸ばす教育の推進や、個性を伸ばし、能力、専門性を高める高校教育の推進などが明記されており、例えば、国際的に認められている大学入学資格の取得が可能な国際バカロレアの認定など、グローバル人材育成に向けた外国語教育や理数教育に、ぜひとも取り組んでほしいと期待をしております。  そこで、教育長に伺います。  県教育委員会で現在進めている県立高校改革の中で、グローバル社会を生き抜くための先進的な高校教育の推進について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺います。  最後に、防犯カメラの整備拡充について伺います。  県内の刑法犯認知件数については、年々減少傾向にあり、治安水準は比較的平穏に推移しているところであります。しかしながら、女性を狙ったわいせつ事犯などは増加しているほか、全国的には、児童の連れ去り事件が相次ぎ、中には、殺人、死体遺棄にまで発展する痛ましい事件も発生するなど、県民の体感治安に大きな影響があったと思います。  県警察においては、安全で安心して暮らせる地域社会を実現するため総力を挙げて取り組んでおりますが、治安対策に対する県民の要望はいまだ非常に高い状態にあり、今後も引き続き強力に取り組んでいかなければなりません。  こうした中、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催され、世界各国から多くの大会関係者や観光客が来日し、首都圏に集中すると予想されます。世界に改めて日本の治安のよさをアピールする絶好の機会であります。そのためには、大会を成功裏におさめることが必要であり、首都圏の中枢をなす神奈川県の役割は非常に大きいと感じております。  我々自民党といたしましては、県民の安全と安心を確保するとともに、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けて、今から、治安基盤の整備拡充を図る必要があると考えております。  中でも、重要な治安インフラの一つである防犯カメラが犯罪の抑止、検挙に有用であることは、これまでの成果から明らかでありますので、県民の安全と安心を確保する県警察の役割として、民間への設置支援はもとより、みずから先頭に立って整備していくことが重要となります。  そこで、警察本部長に伺います。  2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会、さらには、急速に変化する社会情勢等をも踏まえ、今後、県警察として、どのように防犯カメラを整備していくのか、その方向について、警察本部長の見解を伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、箱根火山対策についてです。  箱根山が最後に噴火したのは13世紀ごろであります。その後、現在に至るまで噴火の兆候は見られていません。しかし、万一に備え、住民、観光客、登山者の安全を守るため、県は三つの方向で箱根火山対策を進めます。  一つ目は、箱根山の火山活動の観測強化です。現在、温泉地学研究所では、箱根周辺部を含め、約30カ所で常時観測し、自動で異常検知を行っております。また、この観測データは気象庁に送られ、気象庁や国土地理院の観測データとあわせて24時間監視が行われています。今後も、気象庁などと連携した観測体制のより一層の充実強化を図っていきます。  二つ目は、箱根周辺の自治体や関係機関などと連携した対策の強化です。本年7月には、箱根町などの近隣市町、県や国、警察や自衛隊などの関係機関が箱根火山防災協議会を設置しました。今後は、この協議会において、万一に備えた具体的な避難計画の策定を進めていきます。また、避難訓練の実施や、避難施設の必要策などについても検討していきます。  三つ目は、積極的な情報提供です。観測結果や避難対策などについて、箱根町や関係機関と連携して、住民はもとより、観光客や登山者に対して、迅速かつ適切な情報提供を行います。  箱根山は美しい自然や温泉、またさまざまな観光施設があり、本県が世界に誇れる観光地の一つです。県は箱根町とも連携して、協議会での検討を加速し、観光客や住民の方などの安全と安心のため、しっかりと対策に取り組んでまいります。  次に、海岸利用に関する課題への対応についてお尋ねがありました。  海岸利用の課題解決に向け、県は本年3月に有識者などで構成する検討会を設置し、先月、私自身が座長から報告書を受け取りました。報告書では、よりよい海岸の実現には、安全・安心で快適な海岸づくりと、個性と魅力ある海岸づくりとの両立が必要であるとしており、私もこの考えに共感したところでした。  今シーズンの海水浴場の状況を見ますと、海の家のクラブ化は、県のガイドラインなどによる取り組みでおおむね鎮静化しましたが、一方、海岸での飲酒に伴う迷惑行為など、利用者のマナーが課題となりました。  報告書においては、こうした課題への対応についても取りまとめていただいています。具体的には、利用者を含めた海水浴場の新たなルールが必要であることや、ルールの作成に当たっては、県内一律ではなく、各海岸の特色を生かすため、地域ごとに協議会を設置して作成することなどの提言がありました。現在、この報告書をもとに庁内関係部局が連携して関係市町とも協議しながら、新たなガイドラインの作成など、今後の具体策を取りまとめているところです。  海岸利用の課題は、海水浴場以外でもバーベキューによるごみの放置など、多岐にわたりますので、各地域の実情に合ったさまざまな取り組みを実施し、その成果を検証しながら、よりよい海岸の実現につなげてまいります。  最後に、社会問題となっている危険ドラッグ対策の推進についてです。  危険ドラッグは、含まれている成分が明確でないため、身体へ及ぼす影響が予測できず、中には麻薬や覚醒剤よりも危険な成分が含まれている場合もあります。また、価格が安く入手が容易であり、若者世代を中心に広まりやすいことから、迅速な対応が必要となります。そのため、危険ドラッグを許さないという意識のもとに、行政だけでなく、県民運動として取り組みを進めていかなければならないと認識しています。  現在、県では、薬物乱用問題全般に対して、神奈川県薬物乱用対策推進本部を中心に施策を推進しています。また、普及啓発活動については、衛生関係はもとより、商工、教育関係団体など、官民182の機関、団体で構成する薬物クリーンかながわ推進会議が中心となって取り組んでいます。今後、この会議において、特に危険ドラッグに重点を置いた普及啓発を強化していきます。  このたび、不動産関係団体から、危険ドラッグ販売店の出店防止を図るための新たな取り組みが提案され、大変心強く感じています。  今後、県では条例を制定し、危険ドラッグの対策を強化する予定ですが、こうした新たな取り組みとも連携し、危険ドラッグの撲滅に向けた機運を一層高め、県民総ぐるみで対策を推進してまいります。  私からの答弁は以上です。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  グローバル社会を生き抜くための先進的な高校教育の推進についてお尋ねがありました。  グローバル化が加速する中、これまで以上に国際社会で活躍できる人材が求められています。こうした人材を育成するためには、何よりもコミュニケーション能力の向上を図ることが必要です。あわせて、資源を持たない我が国が、今後、持続的な成長、発展を遂げていくには、イノベーションの担い手として国際的に活躍できる科学技術人材の育成も求められています。  これまで、県立高校では、例えば横浜国際高校がグローバル・リーダーの育成を目指した国のスーパーグローバルハイスクールの指定を受け、英語による授業などを通して高いコミュニケーション能力を育んでいます。  また、厚木高校など、3校が国のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けています。科学的思考力を養うために、生徒みずからがテーマを設定し、実験を行うとともに、その結果を英語で発表するなど、世界に通用する科学技術人材の育成を図っています。  現在検討を進めている県立高校改革の中で、こうした取り組みをより一層進め、国等からの支援を受けられるスーパーグローバルハイスクールなどの指定校数を計画的にふやしていきたいと考えています。  また、国際バカロレアの認定については、導入に向けてそのカリキュラムに合わせた教育課程の編成や英語で授業を行うための人材確保などの課題を検討してまいります。  さらに、県内には、さがみロボット産業特区に参画する宇宙航空研究開発機構─JAXAや企業の先端的な技術研究所が多く立地しています。これらの研究機関で高校生が先端的な技術を学べる仕組みを設けるなど、県立高校と研究機関との緊密な連携を図っていきます。  今後の県立高校改革の中で、こうした取り組みを進め、神奈川から世界に果敢にチャレンジする人材を育成してまいります。  答弁は以上でございます。〔警察本部長(松本光弘)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 松本警察本部長。 ◎警察本部長(松本光弘) 防犯カメラの整備拡充についてお答えします。  県警察では、防犯カメラを重要な治安インフラの一つと位置づけ、自治体を初め、商店街や町内会などの民間の皆様に設置促進に向けた支援を積極的に行っております。また、県警察が主体となって川崎駅東口地区を初め、県内11地区に合計100台の防犯カメラを設置し、管理運用しております。  こうした防犯カメラの設置促進を初め、各種治安対策を推進した結果、刑法犯認知件数は平成14年をピークに順調な減少傾向を示しているところであります。本年も10月末現在5万6,587件で、昨年の同じ時期と比較いたしまして、マイナス8,041件と大幅な減少を見ております。  しかしながら、県民が強く不安に感じる、女性や子供に対するわいせつ事犯などが増加傾向にあるほか、県民ニーズ調査では、県行政への要望として、治安対策が6年連続して1位となるなど、体感治安の改善はいまだ道半ばの状況にあります。  こうした情勢に対処するためには、議員ご指摘のとおり、県民が安心して暮らすために重要であり、また、犯罪の抑止と検挙にも有用な防犯カメラの整備拡充を図ることが必要であると認識しております。  このような中、県内における防犯カメラの設置状況を見ますと、商店街や駅前など、人通りの多い場所に集中する一方、こうした場所以外では、設置が進んでいないというのが実情であります。防犯カメラの設置地域には、一種のすき間が生じていると考えております。  そこで、県警察といたしましては、町内会等が設置する防犯カメラに対するアドバイス等の支援をさらに促進するとともに、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催や超高齢社会の到来など、急速に変化する社会情勢に的確に対応すべく、防犯カメラの整備拡充に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 高校教育の推進について再質問をさせていただきたいと思います。  2020年に導入される学習指導要領の改訂を受け、小学校の5年生から英語教育を教科として学習して、さらに中学校では英語による英語の授業を行うということが検討課題とされております。  こうした動きを受けまして、高校においてはスーパーグローバルハイスクール以外にも、高い水準で行う英語教育の充実が求められると思いますが、教育長の見解を伺います。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 嶋村議員の再質問にお答えいたします。  今後、小学校での英語が教科化されますと、高校段階では小中学校での学習を踏まえた幅広いテーマについて、英語で発表、討論、交渉などができる、より高いコミュニケーション能力の育成が求められます。そのため、スーパーグローバルハイスクールの成果を他の県立高校に広げるとともに、英語によるプレゼンテーションやディベートに力を入れた教育活動、英検などの外部検定試験の活用を図るなど、英語教育の充実強化を図ってまいります。  答弁は以上でございます。〔嶋村ただし議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 嶋村ただし君。 ◆嶋村ただし議員 ご答弁ありがとうございました。  要望させていただきます。  7月に、ヘルスケア・ニューフロンティア調査特別委員会でシンガポールへ視察に行ってまいりました。現地の日本医師と会話をする機会がございまして、お話の中で、日本の問題点は何ですかという質問をさせていただきましたところ、一番の問題点は英語力であるというふうに指摘をされました。まさに、日本人は日本語を中心に勉強をしておりますが、グローバル社会、グローバル教育ということからすれば、英語という能力を発揮することが日本は必要だというようなことで、みずからの意志で世界で活躍する医師からのそうした言葉に胸を打たれたところでございます。  今後、国際バカロレアという大きな目標となる認定校を目指して取り組みをしていただくようになると思いますけれども、体制強化を含め、積極的に取り組んでいただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。  そして、防犯カメラにつきましては、大変前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございます。  本部長がおっしゃるとおり、治安維持というのは、県民の一番の願いであります。私も、以前から防犯カメラの性能については注視をしていたところでございます。カメラ目線というのは、一点を24時間見詰めて監視するという能力があります。警察官の努力には敬意を表しますが、やはりこういった有力な機材を使うということも捜査には重要ではないかというふうに考えています。  また、県内にある交番については、数多くあるわけで、交番に勤めていらっしゃる警察官の目線、そういったものを大事にして、地域に防犯カメラを設置するというのも一つの方法ではなかろうかと思います。  県民の治安の維持、そしてオリンピック・パラリンピックという一つの目標がありますので、治安対策には、これからも全力で取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕 ○議長(向笠茂幸) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向笠茂幸) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は60分後といたします。                  午後0時20分 休憩───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027634-質問・答弁-寺崎雄介議員-代表質問①県政の重要課題に対する知事の基本姿勢について②福祉・医療施策の推進について③県民生活を取巻く諸課題について》                   午後1時21分 再開  〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共82名 ○副議長(小川久仁子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(小川久仁子) 質問を続行いたします。  寺崎雄介君。〔寺崎雄介議員登壇〕(拍手) ◆寺崎雄介議員 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議会議員団を代表して、質問を行います。  しばらくの間、ご清聴よろしくお願いいたします。  早速、質問に入ります。  最初に、これからの神奈川県の役割について伺います。  本県は、全国で東京都に次いで2番目に人口の多い地方自治体であります。その財政規模も大きく、本年度予算は1兆8,000億円を超える過去最大規模になりました。  そのスケールメリットをいかんなく発揮して、県民に対して、その生活向上に資する施策が打ち出されるべきところであります。一方で、昨年度で終了した緊急財政対策の取り組みを見てもわかるとおり、県の行財政運営自体が常に危うい状況にあり、施策の総量や継続性も不安定な状況のまま推移をしています。  また、市町村と比べると、県民にとって、県は必ずしも身近な存在でないため、県民から、県は何をやっているのか、県はどんな存在なのかという率直な疑問の声を聞くことが多くあります。また、最近では、県は果たして今後も必要なのかという声すら聞くこともあります。  そこで、改めて県の役割を考えますと、大きく二つの側面があると考えます。一つは、広域的な施策を展開し調整するという役割であり、もう一つは、市町村を支援するという役割であります。しかし、それぞれに根本的な課題を抱えています。  まず、第1の広域的な施策を展開し調整するという役割については、県民の生活圏が拡大するとともに、ICTの進展などにより、生活スタイルや社会情勢が変化している中で、今の限られた県域の中だけで、果たして広域的な施策展開ができるのかということです。県もそうした課題認識を持っているからこそ、道州制を目指しているのだと承知しています。  第2の市町村を支援するという役割については、本県には、三つの政令指定都市、一つの中核市、五つの特例市のほか、財政力の高い市町村が多く所在していることから、県にどこまで市町村を支援する力が備わっているかが、改めて問われているということだと考えます。平成24年度のデータによると、県内33市町村のうち、実に21市町村は、県よりも財政力指数が高いという現状でもあります。  そうした中でも、県は、貴重な税金を県民からお預かりしています。その責任を県はしっかりと果たさなければなりません。また、県民からの関心も県政に持っていただけるように努力をしなくてはなりません。県が県民に対してできることは何なのか、あるいは、県は県民に対してどんな役割を果たしているのかということを、しっかりと明らかにする必要があると考えます。  そこで、黒岩知事に伺います。  地方自治体を取り巻く環境や県民生活のあり方が変化している中で、将来を見通して、県の県民に対する役割は何であると考えているのか、知事のお考えを伺います。  次に、第三セクターの改革について伺います。  これまでも第三セクターのあり方については、さまざまな視点で議論がされてきましたし、県民からも多くのご指摘をいただいてきたところであります。  そもそも第三セクターは、行政が行ってきた事業が、とかく硬直的で効率が悪かったことから、民間の知恵も取り入れようという発想で、半官半民をベースにして生み出されたものです。当初は、期待をされた効果を発揮した傾向もあったと考えます。  しかし、年月が経過するにつれて、その第三セクター自身もまた硬直化し、一方で行政は、行政改革の取り組みで、いわゆる経営感覚を取り入れようともしており、改めて、では、第三セクターとは一体何のためにあるのかという基本的な存在意義が、まさにゼロベースで問われなければなりません。  県は、現在も県主導第三セクター及びそれ以外の第三セクターに多くの補助金や負担金などを出しています。その原資が税金である以上は、常に支出が適正かどうか、検証を続けなければなりません。  県がこれまで第三セクターの見直しに着手してきたのは、主に短期的な財政状況が悪化したときでありました。悪いときには深くチェックを行いますが、多少財政状況が改善されると、その手が緩くなる、総じてその繰り返しだったという印象があります。  さて、第三セクターが批判を受けるのは、一般的にその経営状況や、いわゆる天下りなどが多いですが、最も重要な視点は、その事業が、本来的に県民生活に資する内容なのかどうかということです。また、県の展開する施策としっかりリンクしているのかということも重要です。加えて、その当該の第三セクターが、事業の担い手として最もふさわしいのかという視点も忘れてはなりません。  本定例会でも議論になりました神奈川科学技術アカデミーの実施するさまざまな研究や、世界の都市に事務所を展開する地球環境戦略研究機関等が行っている事業など、県民に直接還元されるのかどうか疑問に残るものもあります。  また、県主導以外の第三セクターについても、県が補助し、負担を行っている事業の内容が本当に効果的なものなのか、改めて検証が必要と考えます。  そこで、黒岩知事に伺います。  県主導第三セクターの事業について、一層厳しい評価を行うべきと考えます。また、県主導以外の第三セクターに対する補助なども、不断の見直しを行っていくべきと考えますが、あわせて知事のお考えを伺います。  次に、派遣労働・非正規雇用対策について伺います。  働くということは、生活の基盤であります。また、我が国では社会保障なども雇用に連動している面が多く、働くことが軸になり、個人と社会が安心して発展していくことができます。しかし、現状では、厳しい経済社会の中で、個人と家庭の生計を維持するのは、個人のみの努力では限界があり、雇用の確保と安定化に向けての県の施策展開は非常に重要であります。  仮に失業すれば収入の道が断たれ、生計が維持できなくなるとともに、所得税などの税収減と社会保障関係支出の増大を通じて、社会保障制度全体にも悪影響を及ぼすことが想定されます。  また、近年は、非正規労働者が増加の一途をたどっています。正規雇用を望みながら、そこにたどり着けない人が多くいます。学校を卒業したけれども、新卒で非正規という状況も珍しくなくなってしまいました。入り口が正規か、非正規かで、その後の生活は大きく変わります。  非正規の若者の多くはキャリアアップの機会に恵まれず、給料もなかなか上がらないことから、将来の人生設計が描けず、結婚して家族を持つことさえちゅうちょする状況にあり、非常に憂慮しております。  加えて、これまで限定的であった派遣労働を一般化しようという動きもあります。我が国の誇るセーフティーネットである正規雇用、終身雇用が大きく崩れつつあることに、私たちは強い危機感を抱いています。  また、労働市場の自由化により、派遣労働者を含む非正規労働者が増加している現状も看過できません。今必要なのは、非正規雇用から正規雇用への転換であり、派遣労働者をこれ以上ふやさないことです。  そこで、黒岩知事に伺います。  派遣労働者を含む非正規雇用者が増加している現在の情勢について、知事はどのような問題意識を持っているのか、また、県として、今後行っていく取り組みについて、あわせて考え方を伺います。  次に、子どもの貧困対策について伺います。  今年7月、厚労省が発表した子供の貧困率は、一昨年時点で16.3%と過去最悪を更新しています。非常に悲しい、ゆゆしき事態であります。経済をはかる指標は多くあります。株価が上がったのか、下がったのかもそうですし、GDPや貿易収支などもそうでしょう。しかし、何よりも、次の世代を担う子供たちが現在どのような状況にあるのかこそ、社会をはかる上で重要な指標であるはずです。  全国的な子供の貧困の問題は、基本的には神奈川県も同様の傾向であると承知しています。給食費が払えない、修学旅行に行くことができない、家計を助けるために、高校に行きながらアルバイトをしなければならない。また、奨学金で学校を卒業し、就職はしたけれども、社会に出た段階で、最初から奨学金数百万円の借金を背負っている、地域で切実な声を多く聞きます。  本県では、現在、神奈川県子供の貧困対策計画の策定作業を行っています。これまで、子供の貧困にかかわる施策は、それぞれの担当別に行われてきましたが、縦割りで施策を実施するだけでは、この問題の根本解決には至らないと考えています。  計画では、縦割りに横串を刺すよう、個別の施策がまとめて並んでおりますが、施策の立案と実施をそれぞれ部局別に行えば、結果として横断的な取り組みにはなりにくいと考えます。この計画をつくることによって、まさに関係部局が連携してクロス・ファンクションを超えて一体となった取り組みを行えるように、知事を筆頭に県の責任として取り組んでいただきたいと思います。  また、子供の貧困対策を一層進めるためには、今回の策定によりまして、これまで行ってきた施策の一つ一つが、より充実強化されることも重要であります。施策の総量をふやすことです。この計画策定をきっかけとして、子供の貧困対策を一層進めていかなければなりません。  そこで、黒岩知事に伺います。  計画の策定を踏まえて、子供の貧困対策を充実強化すべきと考えますが、今後の取り組みについて、知事のお考えを伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 寺崎議員のご質問に順次お答えしてまいります。  県政の重要課題に対する私の基本姿勢について、何点かお尋ねがありました。  まず、これからの神奈川県の役割についてです。  地方分権改革が進められる中で、県の役割については、平成12年に地方自治法が改正され、広域にわたる事務の処理、市町村に関する連絡調整及び市町村の補完という三つの機能が規定されました。  法改正以降、県から市町村への大幅な権限移譲が可能となる制度が整えられるとともに、指定都市、中核市、特例市という大きな権限を持った市が増加し、市町村合併も大幅に進みました。  こうして市町村が基礎自治体として強化される一方で、都道府県は空洞化するのではないかという見方も出ています。とりわけ本県は、平成22年に相模原市が三つ目の指定都市となり、中核市や特例市の誕生も相次ぐなど、全国で最も県の役割が問われる自治体となっています。  しかし、私は県の役割が縮小し、存在感がなくなっていくとは考えていません。県は、住民に身近な事務を市町村に移譲するかわりに、市町村域を超えるインフラ整備や産業政策といった広域的な事務や高度医療を初め、高い専門性と技術を要する事務に重点的に取り組み、役割をシフトしていくことが求められていると思います。また、こうした県の役割はますます大きくなっていくと考えられますし、広域的な政策を積極的に展開することが、県民一人一人の命を輝かせるという県の使命を果たすことになると考えています。  そうした中で重要なことは、こうした県の政策を県民に実感してもらえるリアリティーのあるものとして進めることであります。このような考えのもと、私は三つの特区を活用して、ライフイノベーションやロボット産業の振興、県西地域の活性化など、これこそ広域自治体としての取り組みであると言える政策に全力を挙げています。これらの政策は、国内にとどまらず、世界を視野に国際戦略も展開しており、まさに県にしか担えない取り組みであろうと考えています。  私はこうした取り組みを通じて、神奈川全体の経済のエンジンを回すなど、県民の皆様に県の政策の効果を実感していただき、県の存在を感じていただけるようにしてまいりたいと思います。  次に、第三セクターの改革についてです。  現在、県行政と密接な関連を持ち、県が主体的に指導を行っている、県主導第三セクターは16法人あり、第三セクター等指導調整指針に基づいて指導、調整を行っています。  具体的には、県民サービスの向上、収支健全化に向けた経営改善の二つの観点から、経営改善目標を法人みずからが策定し、その取組状況について、外部有識者で構成される県行政改革推進協議会第三セクター等改革推進部会において、毎年、評価をいただいています。  こうした外部有識者からの評価を踏まえ、例えば、神奈川科学技術アカデミーは産業化に結びつく出口戦略をしっかりと持って、血液中のがん細胞を検出する装置の開発を行うなど、県のライフイノベーション政策に密着したテーマでの研究開発に重点的に取り組んでいます。  また、地球環境戦略研究機関では、地域で環境教育を行うリーダー養成講座を県環境科学センターと連携して実施したり、地元中学生を研究機関に招いての環境教育など、地域に根差した事業にも取り組んでいます。  県主導第三セクターの事業については、県の施策との関連性を主眼に、第三セクター等改革推進部会でご意見をいただきながら、不断の見直しに取り組んでまいります。  次に、県主導以外の第三セクターに対する補助等についてです。  県は、緊急財政対策による取り組みにおいて、県主導以外の第三セクターを含む全ての団体への県単独補助事業についてゼロベースで見直しを行い、約38億円を削減したところです。緊急財政対策本部は25年度をもって解散しましたが、今後も引き続き、県主導第三セクター同様、補助対象事業等の効果を常に検証し、必要に応じて見直しを行ってまいります。  次に、派遣労働・非正規雇用対策についてお尋ねがありました。  総務省の就業構造基本調査によると、本県における平成24年の非正規雇用者数は約155万人で、この5年間に15万人増加しており、雇用者全体に占める割合も約4割と過去最高となっています。  非正規雇用は、正規雇用と比べて雇用が不安定で、将来の生活設計がなかなか描けないこと、賃金が上がらず、経済的にも苦しい、厳しい状況に置かれていることなどから、非正規雇用の増加は今後の社会経済基盤に大きな影響を及ぼす問題です。  そこで、県では横浜駅西口の、かながわ総合しごと館スマイルワークにおいて、ハローワークと一体となって、非正規雇用の方を対象に相談から職業紹介までの一貫したきめ細かな支援を行い、正規雇用に結びつける取り組みを進めています。  一方、企業側へは、毎年、私と神奈川労働局長が経済団体を訪問し、若年者の正社員としての雇用機会の拡大を要請しています。さらに、今年度から、39歳までの非正規雇用の方を対象に企画力、コミュニケーション能力、表現力など、実践的な能力を身につけさせて、正社員としての就職に結びつける人材育成事業を新たにスタートさせました。  今後も、派遣労働者を含めた非正規雇用の方に対する取り組みを着実に進め、全ての方が安心して働けるよう、雇用対策に全力で取り組んでまいります。  次に、子供の貧困対策についてお尋ねがありました。  本県では、これまでも総合計画に子供たちのための総合的な支援を掲げ、さまざまな施策に取り組んできましたが、子供の貧困という視点で体系化、総合化したものはありませんでした。  しかし、子供の貧困が拡大している中で、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図ることは極めて重要です。  そこで、本県では、今年1月に施行された子どもの貧困対策の推進に関する法律を踏まえ、子供の貧困対策を総合的に推進するための計画を今年度中に策定することにしました。  子供の貧困対策は、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援など、非常に多岐にわたります。このため、計画策定に当たっては、庁内各局が密接な連携をとって検討を進めるとともに、児童福祉審議会からも専門的な見地からご意見をいただいているところです。  児童福祉審議会の委員からは、せっかくよい支援メニューがあっても、生活に困窮している家庭は仕事や育児等で日中忙しく、相談窓口に出向くことすら難しいため、必要な支援の情報自体が届きにくい、むしろ気軽にパソコンやスマートフォンで情報が入手できるような工夫をしてもらいたいとの意見もいただいています。  そこで、県としては、計画で取りまとめた関連施策をホームページで一覧として提供するなど、情報提供をこれまで以上に工夫し、支援を必要とする子供たちに必要な支援が届くよう努めます。  今後、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していけるよう、計画策定後も庁内の連携体制を継続し、子供の貧困対策に全庁一丸となって取り組んでまいります。  答弁は以上です。〔寺崎雄介議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 寺崎雄介君。 ◆寺崎雄介議員 ご答弁を受けまして、質問者席から発言をさせていただきます。  最初に、神奈川県のこれからの役割についてです。  順番が前後しますが、二つ目で私が申し上げた市町村への支援ですが、先ほど、指定都市、中核市、特例市などを挙げながら、私は、県として市町村を支援する力が備わっているかが問われているという言い方をいたしました。  市町村は県の財政状況を一定理解しながらも、私が地域で聞く声は、それでも神奈川県という存在に期待をしている市町村は多くありますし、支援を求めているという点もあります。市町村の支援というのは、一つの柱として、これからもあり続けるということを一つ保障したいと思います。  もう一点の広域行政についてですけれども、広域行政はその名のとおり、広域、面積が広いという意味合いが大きいかと思います。広域行政、知事は特区を進められていて、これはうまく神奈川県全域が指定されるという成果になりました。加えて、例えば交通の問題であるとか、環境の問題であるとか、治安対策などもそうだと思いますが、まさに広域行政として取り上げて効果を生んでいかなければならない課題を捉えたときに、私は、次のステップとして、神奈川県一県だけでいろいろな政策を立案して取り組んでいくということが、一部では限界に来ている点もあるのかなと思います。  九都県市の首脳会議とか、山静神、いろいろな地方自治体同士の連携をされていますが、現状では、情報交換というんでしょうかね、情報共有というんでしょうか、総じてその段階におさまっているかなと思いますが、今後は共通の課題がある近隣の都県や、市町もひょっとしたら含まれるかもしれません。一緒に政策を研究して、一緒に政策を立案していくという作業も求められてくることがあろうかと思います。  都道府県の合併とか道州制とか、そういう制度論に走ることよりも、私は、今の制度でもできることというのは、広域行政でたくさんあると思いますので、ぜひ首都圏特有の課題について、一緒に対策を打っていくという次のステップに広域行政は向かっていかなければなりませんし、先進県神奈川の取り組みをお願いしたいと思います。  続いて、第三セクターについては、不断の見直しを県主導第三セクターについて、含めて行っていくというお話をいただきました。  先ほど例として取り上げました公益財団法人地球環境戦略研究機関、本年度も1億500余万円の補助金を出しています。私もこの事業の中身を、全てではありませんが、幾つか確認をし、以前、バンコクにあります事務所なども伺ったりして、この財団、機関がどういうことをされているのかというのを調査したことがあります。機関がやっている仕事そのものは、日本にとって、あるいは世界にとって非常に重要だなと思ったのですが、その話の中から神奈川という単語とか、神奈川という影が余り見られなかったという印象があります。  県として、税を支出してふさわしいのかどうか、あるいは多額の補助金、これはほかの団体もそうですので、県民の生活に直接還元されているかという視点で、ぜひ今後も不断の見直しを行っていただきたいと思います。  子供の貧困について、1点、提案を交えて質問させていただきたいのですけれども、今策定している計画の中に大きく、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労支援、経済的支援というふうに四つの柱立てがあります。これは、先ほども言ったように、それぞれの担当別で今まで行われていたものをここに合わせたと、合わせることによって、子供の貧困対策という視点で、一個一個の政策を見詰めていこうという流れだと承知をしました。  ここに書かれている支援というのは、子供が子供であるがゆえに、直接この政策が届く先というのは、保護者なり、親なりというところに行きます。これらの政策を展開したことが、本当に子供の貧困対策に結果としてつながったのかという成果の検証というものは、子供の視点で、子供の貧困の解消という視点で、含めて行われなければならないと思います。  それぞれの、例えば生活支援もそうですし、奨学金もそうですし、ひとり親家庭の支援など、こういうものを含めて、今までの評価の手法に加えて、子供の貧困対策だという視点で、事後評価をしっかりやっていただきたいと思いますが、知事のお考えをこの点で伺いたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  子供の貧困対策について、事後的な評価というものをしっかりやるべきではないかということでありました。確かに私もそうだなというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、子供の貧困という視点で我々は体系化、総合化して物事を見ていませんでした。しかし、現実問題として、子供の貧困というもの、これが本当に大変大きな問題になっているということの認識というのは、最近になって出てきている話であります。  そして、今ご指摘のありましたように、教育、生活、保護者に対する就労、経済的支援、こういったものをやっていこうと、今始まったばかりであります。ですから、これがしっかりとした対策になっていくためには、まさにやっていったことが一つ一つどのようになってきたかということを、しっかりと検証していく作業というのは非常に大事なことだと思っております。  答弁は以上です。〔寺崎雄介議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 寺崎雄介君。 ◆寺崎雄介議員 子供の貧困対策については、今お話しいただいたように、これからの計画策定、その後の評価まで含めて、知事のリーダーシップと責任のもと、全庁的に対応していただくことをお願いいたします。〔寺崎雄介議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 寺崎雄介君。〔寺崎雄介議員登壇〕 ◆寺崎雄介議員 次に、パラリンピックを契機にした障がい福祉の充実について取り上げます。  第1回のパラリンピックは、昭和39年、まさに東京オリンピックの年に我が国で行われました。それ以降、障害者スポーツの祭典として、障害者スポーツの増進と、障害者に対する理解促進、そして世界における障害福祉の向上に大きな役割を果たしてきたと認識をしております。  商業ベースに乗りにくい分、オリンピックと比べて、その宣伝や多くの人の関心を寄せていただく点に難しいところもありますが、だからこそ、本県行政として取り組むべきことが多くあると考えています。  パラリンピックは、出場するアスリートは無論のこと、その関係者、観客、世界中から集まる皆さんは、まさに障害者の社会参加に関心のある方ばかりです。第1回の東京パラリンピックが22カ国、375名の参加であったのに対して、一昨年のロンドンオリンピックでは、実に164カ国、6,740名の方が選手として参加されています。  神奈川県は長く福祉先進県と呼ばれておりました。しかしながら、近年の厳しい財政状況のもと、これまで行ってきた障害福祉施策についても、一定切り詰められてきた傾向があります。  障害者が健常者と同じように、学び、働き、暮らしていく、その当たり前のことがいまだ困難な状況にあります。パラリンピックの支援を表明し、世界から来られる方に、ぜひ神奈川に来ていただきたいと言っている本県であるからには、世界に向かって誇れる神奈川の障害福祉施策を、パラリンピックを契機として進めていただきたいと思います。  そこで、黒岩知事に伺います。  2020年東京パラリンピックを契機にして、障害者スポーツの振興や障害者の理解促進、そして県の障害福祉施策の充実に向けて、一層の取り組みが必要と考えますが、知事のお考えを伺います。  次に、健康寿命日本一を目指した高齢者の社会参画活動の推進について伺います。  神奈川県では、全国を上回るスピードで高齢化が進んでおり、いわゆる団塊の世代の方々が高齢期に入るなど、世界的に見てもこれまで経験したことのないスピードで超高齢社会を迎えています。  こうした超高齢社会においても、高齢者の一人一人が積極的に健康づくりや社会参加に取り組むことが重要であります。行政においても、高齢者が元気で生き生きと充実した生活ができるように、健康増進や生きがいづくりの取り組みを積極的に推進することが必要です。  とりわけ、高齢者がほかの世代とともに、社会の一員として、みずからの知識や経験を生かし、ボランティア活動などの社会参画活動を通じて活躍できるようにすることは、活力ある地域社会の形成にとっても大変重要であります。  県では、健康寿命を延ばし、誰もが高齢者になっても生き生きと暮らし、長生きして幸せだったという社会を実現するため、知事を筆頭に未病を治すかながわ宣言を行い、食、運動、社会参加という三つの視点から取り組みを進めています。健康寿命を延ばし、平均寿命と健康寿命の差を短くすれば、高齢者ご自身の生活の質が高まります。  こうした健康寿命日本一を目指す活動に、長年地域の中で取り組んでいただいている団体の代表格が、ご自身の健康づくりや趣味の活動のみならず、地域の美化活動、ひとり暮らしのお宅を訪問する友愛訪問の活動など、地域において多くの役割を担っていただいている老人クラブの皆様ではないかと思います。  昨今では、会員数も減少傾向にありますが、健康寿命日本一を目指す施策推進のためには、県や各市町村にも連合会が組織されている、全県的なネットワークがしっかりしている団体である老人クラブの皆様の役割が非常に重要だと考えます。  そこで、黒岩知事に伺います。  健康寿命日本一を目指す本県として、高齢者の社会参画活動としての老人クラブが担っている役割について、どのように認識をしているのか、また、今後の連携・支援策について、知事の考え方を伺います。  次に、がん患者への支援について伺います。  がんは、生活習慣の変化や高齢化の影響などから、国民の2人に1人がかかると言われ、今や国民的な病気であります。国も平成19年にがん対策基本法を制定し、都道府県へのがん対策推進のための法定計画の策定を義務づけました。  本県では、それに先立つ平成17年に「がんへの挑戦・10か年戦略」を策定して、がん対策を進めてきました。  本県のがんの罹患数、死亡数ともに増加傾向にある中、平成25年に策定した「神奈川県がん対策推進計画」に基づいて、県はがんにならないための取り組みやがんの早期発見、がん医療の推進など、5本の柱立てでがん対策を推進することされています。加えて、平成20年には「神奈川県がん克服条例」も制定されました。  さて、近年、医療技術の進歩によりまして、本県の5年相対生存率は60%を超える状況になっています。がんが身近な病気になるにつれ、これまで以上に多くの方が、がん患者として、みずからの病状や治療、さらには治療後の生活や就労など、多くの不安や疑問を抱いて生活を送っています。  地域でもさまざまな声を聞きます。放射線治療を受けた患者さんは、その帰り、非常につらい心身の状態にあります。しかし、一見、外目にはそう見えません。電車の中にある優先席、座りたいけれども周りの目を気にして座れない。高齢者のマーク、妊娠されている女性のマーク、その横に、明らかにがん患者とわかる表記があれば、そういう声も聞きます。  また、がんにかかり、今後治療に入ると会社に報告したら、実質的な肩たたきに遭ってしまったという声も聞きました。治療自体も多くの負担がかかるがん、加えて生活面での困難に突き当たっている方がいらっしゃいます。  がんは、医学的には決して克服できない病気ではなくなりました。多くの方ががんとともに生きる時代になった中で、がん患者を支える社会の実現が重要であると考えます。  そこで、黒岩知事に伺います。  がんと診断された後の生活全般の支援など、がん患者を支える社会の実現に向けて、県が行うべき取り組みを何であると考えているのか、知事のお考えを伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 福祉・医療施策の推進について、何点かお尋ねがありました。  まず、パラリンピックを契機にした障害福祉の充実についてです。  障害者一人一人の人権が尊重され、障害者が活動の中で、社会とかかわりを持って生き生きと暮らせる地域社会の構築は、大変重要であると考えています。  県では、障害者がスポーツ活動を通じて社会参加を進められるよう、県障害者スポーツ大会の開催等に取り組むとともに、障害者が地域で身近にスポーツを楽しめるよう、障害者スポーツ指導員の養成などの取り組みを行っています。  今後、2020年のパラリンピック東京大会の開催に向けて、パラリンピアンの方々のお力をおかりして、パラリンピックへの関心を高めるとともに、誰もがスポーツを通じた健康づくりに親しむという観点からも、障害者スポーツの振興に一層取り組んでいきます。  また、障害者が住みなれた地域で安心して生活をするためには、県民の皆さんの障害や障害者に対する理解が欠かせません。そこで、県では、毎年12月の障害者週間に合わせて、障害者の手づくり製品の即売会のイベントを開催するとともに、ふれあいコンサートなど、市町村とも連携し実施する記念行事の周知を図っています。  また、公共交通機関や小売店など、接客対応が多い企業に対して、障害当事者等の講師を紹介、派遣し、障害者への理解や認識を深める取り組みについて、引き続き力を入れていきます。  県では、こうした取り組みに加えて、障害者の地域生活や日中活動の充実を図る地域活動支援センターの運営の支援や、障害者就業生活支援センターにおける就業相談や訓練など、障害者の生きがいを高め、自立と社会参加を促進する取り組みを行っていきます。  今後も、障害の有無にかかわらず、住みなれた地域で安心して暮らすことのできる、ともに生きる社会・神奈川の実現を目指して、障害福祉施策の充実に着実に取り組んでまいります。  次に、健康寿命日本一を目指した高齢者の社会参画活動の推進についてです。  高齢者が社会参画活動を通じ、地域社会の中で積極的な役割を果たすことは、未病を治す社会参加の取り組みとしても大変重要であります。  そこで、お尋ねの社会参画活動として、老人クラブが担っている役割についてです。  現在、県の約3,800の老人クラブには、約23万8,000人の会員が所属をしています。こうした組織力を生かして、老人クラブは地域のニーズに対応し、子供の見守りパトロール、ひとり暮らしの高齢者の方への友愛訪問活動を積極的に展開しています。このほか、スポーツなど健康増進や生きがいづくり活動についても、熱心に行っています。このように高齢者の社会参画活動を進めるために、重要な役割を担っていると認識しています。  次に、今後の連携・支援策についてです。  健康寿命日本一を目指した取り組みを進める上でも、全県的な組織力を有する老人クラブと連携することは大変効果的であります。そこで、県では、昨年度から神奈川県老人クラブ連合会に介護予防・生きがいづくり支援事業の実施を委託しています。  この事業は、高齢者の健康づくりをテーマに講義形式のゆめクラブ大学、健康体操の実践などにより普及啓発を図る福祉・健康まつりを内容とするものです。老人クラブの会員だけでなく、より多くの方に参加していただいており、昨年度は1万人以上の方のご参加をいただきました。超高齢社会を迎える中、高齢者の社会参画活動へのニーズも高まりつつあります。  老人クラブが地域における活動のより魅力的な担い手となるよう、今後も市町村と連携し、支援してまいります。  次に、がん患者への支援についてです。  がんは、がん検診の普及や医療技術の向上により、患者の半数以上が治る時代となっており、患者やその家族の生活や仕事への不安の軽減に向け、これまで以上に社会の理解と支援が必要になっています。  このため、県では、平成25年3月に策定した「神奈川県がん対策推進計画」において、がん患者への支援とがんに対する理解の促進を掲げています。現在、県内24カ所のがん診療連携拠点病院等では、院内の相談支援センターにがん専門相談員を配置して、がん患者のニーズに対してきめ細かい相談を行っています。さらに、NPO法人と協働して、がん体験者が生活上のアドバイスなどを行うピアサポート事業も、県内病院など6カ所で進めています。  また、生活を支える就労の問題について、県では今年10月から、県立がんセンターで社会保険労務士による継続就労や復職に係る相談をモデル的に実施しています。相談された方からは、大変よかったとの感想をいただいております。  今後、この取り組みを他のがん診療連携拠点病院等に広げるとともに、事業者に対する啓発リーフレットの配布や医療従事者への研修会を実施し、がん患者の就労について理解を深めてまいります。  さらに、次世代を担う子供たちががんやがん患者に対する理解を深め、健康と命の大切さについて学ぶため、今年度、県内の三つの中学校において、がん教育のモデル事業を実施しています。  今後もこうした取り組みを県民の皆様とともに推進し、がん患者に対する社会の理解を進め、がん患者とその家族を社会全体で支える体制づくりに進んで取り組んでまいります。  答弁は以上です。〔寺崎雄介議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 寺崎雄介君。 ◆寺崎雄介議員 ご答弁をいただきました。いただいたことにつきまして、この場で発言をさせていただきます。  最初に、パラリンピックを契機とした障害福祉の充実についてです。  どうしてもオリンピックの陰に隠れてしまうというか、テレビの放映などの時間も少ないなどということが、前回のオリンピックのときも少し話題になっておりましたが、これを東京で開催ができるということは、非常に日本にとっても、神奈川県にとっても喜ばしいことだろうと思います。  その反面、先ほども言いましたが、世界中から障害者に対する理解のある方がたくさん来られるということで、日本の、神奈川の障害福祉がどういう状況にあるのかということが、ある意味、世界に発信を、いい意味でも悪い意味でもされてしまうという緊張感もあろうかと思います。  障害スポーツについては、パラリンピックに出る方々は本当に世界レベルの皆様ですから、余り地域でなじみのあるというレベルではありませんが、一方では、例えば横浜には港北区に障害者専用の体育施設がありますし、大阪市の長居というところに私も行きましたが、大阪は2カ所、障害者専用の体育施設を持っておられまして、予約でなかなか場所がとれないというぐらい、その近所の方を含めて、広域からスポーツをやりに来られている方です。  印象的だったのは、もしこの施設がなかったら、スポーツをやっていましたかというような事を利用者に聞くと、恐らくやっていなかったという方がほとんどであって、神奈川県にも港北区にあるということを生かして、身近なところでの障害者のスポーツの進展を、パラリンピックを契機にして進めていただきたいと思います。  障害者に対する理解については、これは日に日に世の中に浸透しつつあると思いますが、いまだ不十分と思われる点もありますので、県としての取り組みをお願いします。  最後の障害福祉の充実について、知事から充実をさせていくというお話をいただきました。  さまざまな政策メニューを展開している中で、自立支援、自立に向けての社会での参加というふうに障害者施策は大きく流れておりますが、行政が直接できる取り組みとか、施設も含めて、さまざまな障害特性に応じてできる取り組みがあろうかと思います。これからもこのパラリンピックに向けて、障害者の福祉を向上させていけるように、ふやしていけるように、来年度以降も取り組みをお願いします。  がん対策について、一つ確認を含めて再質問させていただきたいのですが、先ほど私が例で挙げた、電車の中の優先席にマークがあればいいなという声であったり、肩たたきに遭うというのはもう法律に触れかねない行為ですので、よほどのことなんですけれども、一番理解をしていただくことが望まれている、ここに理解してもらえれば進むんじゃないかというのは、やはり企業を初めとする事業者だと思います。企業を初めとする事業者の皆さんに、しっかりとした理解をしていただくということが大事です。  先ほどリーフレットの配布というご答弁があったのですが、もう一歩、私は踏み込んでもいいし、踏み込むべきだと思います。こういう施策展開になると、どうしても縦割りになってしまいますけれども、企業を初めとした事業者というのは、今でも、例えば雇用のセクションの方であるとか、経済対策をやっていらっしゃるセクションの方であるとか、あるいは公共事業を発注していらっしゃるところもそうですが、企業とお互いにアプローチしている、やりとりしている部署というのはたくさんあるわけですね。  そういう機会を利用して、県として一歩踏み込んだがん患者に対する理解を広めていくこと、具体的な取り組みをしていただきたいと思いますが、リーフレットの配布以上の具体的な取り組みについて、知事のお考えを伺いたいと思います。  よろしくお願いします。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。  今、具体的にお話がありました、がん患者さんに対して、車内で優先席を設けたらどうだろうか、こういったあたりも非常に参考になるご意見、ご提案だと思います。  がんを取り巻く環境というのは随分変わったなと思います。ついこの間までは、がんといったことについて、本人に告知するかどうか、非常にデリケートな問題もありました。しかし、そんなことを言っていられないような状況になってきたというふうなことがあって、大きな社会の変化、圧倒的な変化があったなというふうに思っています。  そんな中で、我々の対応がなかなかそれについていっていないというのが正直なところだと思います。そんな中で、我々はできる限り、がん患者さんの社会復帰、それを支えるためにあらゆる現場からのご意見を伺いながら、的確に対応していきたいと考えております。  答弁は以上です。〔寺崎雄介議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 寺崎雄介君。〔寺崎雄介議員登壇〕 ◆寺崎雄介議員 次に、自治会、町内会など地域コミュニティーに対する支援についてお伺いいたします。  自治会や町内会は、区域の住民相互の連絡、環境整備、集会施設の維持管理など、良好な地域社会の維持及び形成に大きな役割を果たしています。地域コミュニティーは、このほかにも、婦人会、老人会、子ども会といった団体や、特定の目的を有する地区防犯組織や消防団といった団体もあり、地域の中で生活を営んでいく上で必要となる相互扶助や、地域において生じた課題の意見調整といった機能を果たしております。  また、民生委員や児童委員、体育指導員など、公的な職についても、自治会や町内会などの基盤をもとに選ばれることが多く、行政と実質的に一体となった役割を担っている面もあります。  さて、平成22年の夏以降、いわゆる高齢者の所在不明問題がメディアで取り上げられました。これは、東京都足立区で111歳とされていた男性が、実は30年前に亡くなられていたということが判明したことに端を発し、全国で同様の事例が相次いだものです。地域コミュニティーがきちんと機能していれば、このような問題は生じなかったのではないかという議論が巻き起こりました。  さらには、平成23年3月に発生した東日本大震災においても、地域コミュニティーの結びつきの強さが災害時の人命を左右するといった事例があり、災害対応の観点からも、地域コミュニティーの機能について関心が高まっています。  国でも、平成25年の第30次地方制度調査会の答申の中で、大都市圏の抱える課題として、独居老人や老老介護の問題など、家族やコミュニティーの機能の低下への対応も必要との記述もあります。  地域コミュニティーを取り巻く環境は悪化しており、加入率の低下、構成員の高齢化、担い手不足、住民の連帯感の希薄化などの要因が重なって、その機能が大きく低下しています。多くの自治会、町内会においても、こうした機能低下の状況が顕著にあらわれており、役員、会員の皆様からは、構成員の地道な努力だけでは、これまでのような活動を継続していくことは難しいとのご意見も聞きます。防犯灯の維持管理や行政情報の伝達などにも支障を来している状況とも聞きます。  県の施策を県民にしっかり届けるには、県職員がみずから現場に赴くだけでは限界があります。市町村の理解、そして今ある地域コミュニティーを通じての展開が重要となっています。地域コミュニティーの衰退は、県政にも大きな影響を与えます。  知事は、これまで県民生活に身近な県政と施策を目指してこられたと承知しています。だからこそ、これまでは市町村の仕事と半ば割り切られてきた地域コミュニティーの維持と再生、そして発展に向けて取り組んでいくべきと考えます。  そこで、黒岩知事に伺います。  自治会、町内会を初めとする地域コミュニティーの活動に対して、どのような認識を持っているのか伺います。また、県としても、自治会、町内会の活動に対して、支援策を講じるべきと考えますが、あわせて知事のお考えを伺います。  次に、基地負担の軽減と跡地利用についてです。  沖縄県に次ぐ第2の基地県である本県では、基地の整理・縮小・返還が進められてきました。戦後には160以上あった県内米軍基地は、現在では13まで減少してきました。多くの県民の声と、それに応えた県の取り組みの成果であると認識しています。  最近でも、本年6月には深谷通信所が全面返還され、9月には相模総合補給廠で一部返還が実現しました。また、上瀬谷通信施設についても、来年6月末までをめどに全面返還に向けた手続が進められ、キャンプ座間や池子住宅地区の一部、根岸住宅地区の全部についても返還が合意されています。  これらの返還が実現していけば、平成18年5月の在日米軍再編協議や、平成16年10月の横浜市内の基地に関する返還方針の合意に盛り込まれた返還も完了することになり、本県の基地対策は大きく前進したと言えると思います。  しかしながら、こうした返還が進む中でも、手放しでは喜べない事態も生じています。本年7月には、米海兵隊の輸送機オスプレイ1機が厚木基地に飛来し、東日本では初飛来となりました。その後、8月には4機が厚木基地において延べ22回の離着陸を行い、さらには、10月には横須賀基地にも1機が飛来し、再び11月にも3機が厚木基地に飛来し、この短期間で延べ18回の離着陸が行われています。  このようにオスプレイが毎月のように県内基地に飛来することは、県民から見て負担感が増しているという状況であると言わざるを得ず、残念に思っています。  加えて、黒岩知事を筆頭に、県として、地元自治体への的確な情報提供を求めているにもかかわらず、知事に対して、情報提供を一部抑制するかのような考えが米軍から示されたことは、遺憾と言わざるを得ません。  基地の返還が進むことは大変重要でありますが、一方で、新たな部隊や装備の展開により、残された基地の負担が増してしまっては何にもなりません。県民の負担が増加しないような具体的な取り組みが必要です。  また、基地の返還に当たっては、その返還がスムーズに行われることや、財政など地元市の過大な負担にならないこと、さらに、その跡地利用についても、地元市の意向に沿った形で利活用されることが重要であると考えます。  そこで、黒岩知事に伺います。  基地をめぐる最近の状況も踏まえて、現存する基地の負担軽減について一層の取り組みが必要と考えますが、知事のお考えを伺います。また、県として、跡地利用について、地元の意向に沿った支援を行うべきと考えますが、あわせてお伺いいたします。  次に、公立高校の定員計画について伺います。  全日制の高校に行くと当たり前に考えていた。しかし、結果として全日制には行けなかったという、子供と保護者の方から切実な声を聞くことがあります。学力の問題のみならず、希望する子供たちに応えるだけの定員枠が確保されていないからです。  この問題については、これまで我が会派として幾度も主張してきました。全日制の高校に通いたいと願う子供たちの期待に、県も応えなければなりません。  高等学校の入学定員計画については、公立と私立の設置者が協議をして策定しています。長く培われてきた公私の関係は、今後も重要であると考えていますし、何より全日制に進みたいという子供の願いに応えていくためには、公私が連携して取り組んでいく必要があります。  一方で、定員枠の拡大についての責任は、当然に公立である公立高校のほうに多く課せられていると考えます。かねてより、我が会派では高等学校の入学定員計画に関し、生徒や保護者の希望を最大限に生かし、生徒の視点に立った定員計画とするため、新たな方式を検討することや、全日制公立高等学校の受け入れ枠拡大について意見を述べてきました。  この結果、公立高等学校の受け入れ枠は、平成25年度以降、公立中学校卒業者が増加する中で拡大され、平成23年度に88.0%まで落ち込んだ進学率が徐々にではありますが、上昇に転じ、平成26年度入学者選抜では89.2%まで回復してきましたが、残念ながら、昨年度のデータでは、47都道府県のうち46番目という状況に変わりはありません。  毎年10月に実施されている公立中学校卒業予定者の進路状況についてによれば、公立の中学3年生のうち92%の子供が全日制高校への進学を希望していること、全国的に見ても、依然として本県の全日制進学率が低いことを考えれば、まだまだ生徒、保護者を初めとした県民の満足のいくところには至っていません。  生徒や保護者の希望をしっかりと受けとめて、一人でも多くの子供たちの全日制進学をかなえていくことが重要であります。  そこで、教育長に伺います。  全日制高校に入学を希望する生徒や保護者の声を真摯に受けとめて、今後の公立高等学校の定員計画を策定すべきであると考えますが、教育長のお考えを伺います。  以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県民生活を取り巻く諸課題について、何点かお尋ねがありました。  初めに、自治会、町内会など地域コミュニティーに対する支援についてです。  地域コミュニティーは、地域の中で共通の属性や仲間意識を持ち、相互にコミュニケーションを行っている集団と定義されており、家庭より大きく、自治体よりは小さい、公私の中間的な存在としてさまざまな機能を果たしています。  例えば、超高齢社会の中にあって、孤独死や社会的孤立といった深刻な社会問題が生じていますが、地域コミュニティーの活動が保たれていれば、その相互扶助機能によって地域の中で対処できると考えています。また、防災、防犯という観点では、地域のきずなが極めて重要となります。地域コミュニティーは災害発生時の円滑な避難や治安の維持など、地域をつなぐ役割を担っており、いざ災害という場面では、この役割が最大限に発揮されます。  このように地域コミュニティーの活動は、地域における暮らしの安全・安心の確保や地域の活性化に大きな役割を担っており、地域の課題解決に向けて、今後ますます期待が高まっていくものと認識しています。  次に、自治会、町内会に対する支援策についてです。  自治会、町内会は地域に根差した活動をしている団体ですので、その組織の基盤を強化し、振興する役割は基礎自治体である市町村が担っています。このため、県は自治会、町内会への直接的な支援は行っていません。  なお、県では、広域的な観点から、一般財団法人自治総合センターが実施しているコミュニティー助成事業の申請窓口となっており、自治会、町内会としての活動を支援する市町村から申請をいただいております。この助成制度は、コミュニティー活動に必要な備品や集会施設の整備など、地域のコミュニティー活動の充実強化を図るもので、今後とも市町村にその利用を促し、自治会、町内会の基盤強化に役立てていただきたいと思います。  最後に、基地負担の軽減と跡地利用についてお尋ねがありました。  本県には、都市部の人口密集地域に13もの米軍基地が所在し、航空機の騒音や事件・事故の不安など、県民生活に多大な影響を与えています。このため、県は、関係市とともに空母艦載機の移駐による航空機騒音の解消や移駐実現までの間の騒音対策、事件や事故の防止、事故発生時の原因究明など、多岐にわたる項目について、国に対し要望しています。  オスプレイについては、住民の不安が払拭されていない状況で飛来が続くことが住民の新たな負担につながる可能性があります。そこで、今後とも安全性について丁寧に説明することや、飛来について住民に適時適切に情報提供することを国に求めてまいります。県としては、関係市と連携して、引き続き積極的に基地負担の軽減に取り組んでまいります。  また、基地の返還や返還後の跡地利用については、地元自治体が基地の存在によって受けてきた長年にわたるさまざまな負担を考慮し、返還によるメリットが地元にもたらされることが重要です。  このため、返還手続中の基地や返還方針が合意されている基地について、早期に返還が実現することを求めるとともに、返還後、国有地を地元が活用するに当たって、財政上の優遇措置を講ずることなどを国に求めています。  さらに、こうした基地については、地元市が跡地利用に向けた取り組みの方針や跡地利用を具体化していくための計画を策定しています。県としては、これらの計画が実現し、地元の意向に沿った跡地利用が図られるよう、国への働きかけなど、必要な支援を引き続き行ってまいります。  私からの答弁は以上です。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  公立高等学校の定員計画についてお尋ねがありました。  高等学校の入学定員計画は、全日制進学率の向上を目指し、毎年度、公立と私学が協調して策定しています。平成25年度から、この定員計画は、公私それぞれがこれまでの実績や施設規模などを勘案し、責任を持って受け入れる生徒数を定員目標とする方式で策定しております。  このうち、全日制公立高校の定員目標については、毎年の県内公立中学校卒業予定者の動向を踏まえつつ、全日制への進学がかなわず、経済的理由により定時制に進学する生徒を可能な限り全日制で受け入れることを目指して定めてきました。平成25年度以降、この方式により、公立中学校卒業者の増加に対応し、全日制公立高校の入学定員の拡大を図ってきたところです。  しかしながら、全国的に見て、本県の全日制進学率が低いことは、引き続き課題であると認識しています。そこで、平成27年度に向けても、前年度より全日制進学率をさらに向上させることを目標として、公立中学校卒業予定者約7万人のうち、約4万3,000人を公立で受け入れる定員計画を策定しました。  今後、公立中学校卒業予定者数は現在の約7万人から、平成41年3月には約6万2,000人まで減少することが見込まれています。こうした中にあっても、県教育委員会では、今後の県立高校改革を踏まえ、引き続き公私間協議を通じて、全日制を希望する意欲と適性のある子供たちを積極的に受け入れることのできる定員計画の策定に取り組んでまいります。  答弁は以上でございます。〔寺崎雄介議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 寺崎雄介君。 ◆寺崎雄介議員 ご答弁をいただきました。ありがとうございました。  この場所から発言をさせていただきます。  最初に、公立高校の定員計画についてですが、平成27年度に向けて枠をふやしていくようにするということでした。今後とも、望む子供が入れる定員計画になるように、一層の取り組みをお願いしたいというふうに思います。  オスプレイにつきましては、オスプレイの安全性の話というのがよく新聞紙上などであるのですけれども、私が住民の方から聞くご意見は、安全かどうかということよりも、ああいう戦闘ヘリがすぐ市街地の上を飛んでいるという状態が非常に心配だという、まさに率直な声だろうと思います。  神奈川県は基地の返還に向けて長く取り組みを進めてこられました。先ほども挙げたように、ここに来て、その結果が実って多くの基地が返還されます。この流れがとまることのないように、引き続き知事を筆頭に取り組みを進めていただきたいと思います。  最後に、地域コミュニティーについてですが、私は、これからの神奈川県の役割についてという質問を冒頭にいたしました。そのときに、県民の中から、県というのは何をしているのか見えにくいという声、自分たちの近くにあるのかどうかわかりにくいという声を非常に日ごろから聞いています。こういう自治会とか、町内会に限らず、地域コミュニティーの中にいろいろな形で県が入っていくというのも、私は非常に重要なことだろうと思います。  知事が進めている健康寿命日本一を目指した取り組みについても、先ほど取り上げたがん患者の支援、障害福祉の充実、子供の貧困対策、全て現場の地域で起こっている課題でありまして、そこと市町村を間に入れて一線を引いてしまうというよりも、さまざまな工夫とやり方があると思います。  ぜひ地域のコミュニティーの中に入っていく努力を、県のそれぞれの部署の中で、県施策の中で行っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。〔拍 手〕 ○副議長(小川久仁子) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小川久仁子) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後2時34分 休憩───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027635-質問・答弁-赤井かずのり議員-代表質問①まち・ひと・しごと創生法の成立を踏まえた本県の体制について②災害情報のトリアージについて③長寿社会への対応について④子どもたちの心を育てる教育について⑤女性が活躍できる環境づくりについて》                   午後2時50分 再開  〔議会局長報告〕  出席議員 議長共73名 ○議長(向笠茂幸) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(向笠茂幸) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(向笠茂幸) 質問を続行いたします。  赤井かずのり君。〔赤井かずのり議員登壇〕(拍手) ◆赤井かずのり議員 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団を代表いたしまして、通告に従い、順次質問させていただきます。  知事並びに教育長におかれましては、明快かつ真摯なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いをいたします。  冒頭に、一言申し述べさせていただきます。  先般、11月22日夜に、長野県北部を震源とする最大震度6弱の強い地震があり、家屋の倒壊や多くの方が負傷されるなど、大きな被害がありました。被災された皆様にお見舞いを申し上げます。しかし、そのような中にあっても、お亡くなりになられた方がいなかったことは、不幸中の幸いであります。  報道によると、住宅が倒壊する被害のあった長野県白馬村の神城地区などでは、災害時の住民支え合いマップを作成し、あらかじめ災害時に手助けが必要な高齢者らの住まいを把握、地域住民で共有し、事前に誰が手助けにいくのかを準備していたことで、近所の人たちによる速やかな救助ができ、それが奇跡的に一人の死者も出さなかったことにつながったとありました。地域の強い絆が被害の拡大を防いだ事例でありますが、日ごろからの防災への備えと、そして高齢者を地域で支えることがいかに大切であるのか、改めて認識をさせられました。  このような視点などを踏まえまして、私は、県政の重要課題について、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。  質問の第1は、まち・ひと・しごと創生法の成立を踏まえた本県の体制についてであります。  平成26年9月に、内閣府に内閣総理大臣を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部が設置され、11月には、まち・ひと・しごと創生法案が可決されました。この法律は、我が国の人口減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への過度の人口集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある社会を維持していくことを目的とするものであります。  今後は、国において、人口動向を分析し、将来展望を示した長期ビジョンと、まち・ひと・しごと創生に関する基本的方向や具体的な施策が盛り込まれた総合戦略が策定されることとなっておりますが、都道府県や市町村においても、国の総合戦略を勘案した地方のまち・ひと・しごと創生総合戦略の作成に努めるよう求められております。  本県においては、県全体の人口増加は続いているものの、地域別に見ると、三浦半島地域圏や県西地域圏など減少に転じている地域もあり、将来的には総人口の減少が避けられない状況にあります。そのため、活力のある神奈川を維持し、将来を支える世代につなげていくため、今からまち・ひと・しごと創生、いわゆる地方創生を最重要課題と位置づけ、正面から取り組んでいく必要があると考えます。  法律でいう、まちとは潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会の形成、ひととは地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保、また、しごととは地域における魅力ある多様な就業の機会の創出であります。  これまでも人口減少対策については、さまざまな取り組みを進めてきたと承知しておりますが、地方創生については、今説明したように、さらに内容が広範多岐にわたることが想定されます。  また、政府も基本方針の中で、従来の取り組みの延長線ではない、次元の異なる大胆な政策を講じるとしております。そのため、県として、この地方創生にしっかりと対応するために、これまで以上に体制を強化して対応していかなければならないと考えるところであります。  そこで、知事に伺います。  今回のまち・ひと・しごと創生法の成立を受け、今後どのような体制で地方創生を推進していこうと考えているのか、知事の所見を伺います。  質問の第2は、災害情報のトリアージについてであります。  災害時に、できる限り早く、そして大勢の人命を救助するためには、情報を迅速かつ的確に収集することが、まず重要となりますが、最近、災害情報の取り扱いとして、トリアージを行うユニークな取り組みを行っている自治体があります。  このトリアージについてでありますが、そもそもは、災害現場において多数の負傷者が発生した場合に、ドクターや救急隊員などが治療の優先順位をつける作業のことであります。そして、災害情報に対して、トリアージを行うということでありますが、災害時に大量で多種の情報が短時間で集まってきた場合には、緊急性の高い案件が見落とされてしまう可能性があり、そういった重要な情報を見落とさないために、災害の案件ごとに緊急性を判断して、災害情報の見える化を図り、優先順位を決める仕組みのことをいいます。  既に取り組んでいる自治体では、土砂崩れや河川の氾濫などの災害情報にトリアージの考え方を適用し、主要道路の損壊状況や建物の倒壊数といった被害の程度、災害の種類によって細かくランク分けを行い、緊急時にどこを優先して対応するのかを判断する基準に活用しております。また、緊急性の高い順に赤や黄色で色分けをし、システムに組み込んで、瞬時に個別案件の緊急度を識別できるようにしております。  本県では、災害対策本部が立ち上がった場合に備え、市町村等関係機関からの情報収集、情報共有のために災害情報管理システムを整備するとともに、地上回線と衛星回線を使って二重化した防災行政情報通信網を整備し、情報の途絶がないようにしていることは承知をしております。  各市町村の一つ一つの災害現場の把握までは、県の役割ではないかもしれませんが、市町村等の情報や派遣要請を踏まえ、自衛隊の派遣要請や緊急消防援助隊など、広域応援の調整を行うためには、県内の各地域の被害の状況を把握しておく必要があります。  公明党神奈川県議会議員団としても、重要政策に自然災害対策の充実を位置づけており、県の果たす役割が重要であると認識しております。県としての役割を果たすためには、広域応援部隊が活動するための重要な情報を見落とさないように、市町村や関係機関から集められる災害情報について、トリアージすることにより見える化をしていくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  災害時に迅速・的確な応急体制を実施するには、重要な情報を見落とさないようにすることが不可欠であり、そのためには、災害情報のトリアージの仕組みを取り入れていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。  質問の第3は、長寿社会への対応についてであります。  初めに、高齢者を標準とするしくみづくりについて伺います。  高齢者を標準とする仕組みづくりにつきましては、昨年12月の第3回県議会定例会において、私から、今後の取り組みの方向性などの質問をさせていただきました。その際、知事から、今年度、平成26年度に策定する「かながわ高齢者保健福祉計画」などに反映し、神奈川の総力を挙げて取り組んでいくとの頼もしい答弁をいただいたところであります。  先般、11月25日、高齢者を標準とするしくみづくり検討委員会が取りまとめた意見書が、同検討委員会委員長から知事へ提出されました。意見書の冒頭には、高齢者を標準とするとは、今後、多数を占める高齢者を中心とした社会を目指すものではなく、社会のあらゆる仕組みについて、高齢者の視点に立ったものとすることが記述されております。  今後の超高齢社会を、高齢者の視点に立った社会へシフトすることは重要であり、中長期的ビジョンを持って取り組む必要があることは理解しておりますが、できるものは速やかに対応すべきではないかと考えます。  この意見書の中で、私が特に注目しましたのは、高齢者に優しいまちに係る情報の収集・発信・交換を行う場としてのかながわ高齢社会リソースセンター(仮称)の設置についての提案であります。介護や医療を初めとして、さまざまな問題をワンストップで受けられる相談窓口となり得る機能が必要なのではないかと以前から考えておりましたので、ぜひ具体化を図るべきと考えております。  また、その名称については、リソースセンターではわかりにくいと思われます。例えば、私の地元の平塚市では、高齢者よろず相談センターという名称の高齢者の総合相談窓口がありますが、この高齢者よろず相談センターは、地域包括支援センターのことであり、平塚市で呼び名を工夫しているところです。  この地域包括支援センターについては、その名称さえも聞いたことがない、初めて聞いたという方が私の周りにもおり、地域に根差していると言えるまでに至っていないのが現状であります。  そこで、知事に伺います。  この高齢者を標準とするしくみづくり検討委員会意見書について、県として、どのように受けとめ取り組んでいくのか、また、効果的に取り組んでいくためには、地域包括支援センターなどの認知度や高齢者を取り巻く実態を把握すべきと考えますが、知事の所見を伺います。  次に、認知症支援に関する今後の方向性について伺います。  認知症について、我が会派は重点的に取り上げており、私自身も認知症の方への支援がより充実するように力を尽くしてきたところであります。しかし、最近考えるのは、誰もが発症する可能性がある病気と言われて久しいにもかかわらず、ネガティブなイメージがなかなか払拭できないということであります。  認知症を発症することは、非常に不安なことです。しかし、逆に、認知症になったとしても、希望を持って生活できるのではないかと考えていたときに、印象に残る記事がありましたので、取り上げたいと思います。  まず、認知症が原因で行方不明になる方は、6月に公表された警察庁の統計では、平成25年に全国で1万人を超えました。そうしたときによく使われるのが徘回という言葉です。これを見直す必要があるのではないかという記事がありました。徘回とは、目的もなく、うろうろと歩き回ることと説明されますが、実際には、目的もなくということはなく、認知症の人の行動には必ず意味があり、徘回とレッテルを張ることによって、ご本人のことがよく見えなくなってしまう弊害を、言葉を見直すことで変えていけないかという内容でありました。  また、10月には、認知症のご本人たちが、そのご意見を社会に発信し、政策に反映させることを目指した当事者団体、日本認知症ワーキンググループが発足したという記事がありました。設立の背景としては、認知症の人は何もわからない、できないという偏見の影響もあり、これまでは、認知症の人が引き起こす問題への周囲からの対処として、医療や介護の施策が進みましたが、ご本人やご家族が希望を持ってよりよく生きるための支援体制が十分整ったとは言えないということがあるようです。  この二つの記事に共通するのは、認知症になっても、ご本人の意思が尊重されるという、ごく当たり前のことの大切さでありますが、そんな中、当事者の方が積極的に発言を始められており、新しい方向性が感じられる内容でありました。  本年11月6日には、認知症に関する国際会議において、安倍首相が、新たな認知症対策の国家戦略を策定するという方針を表明したところであり、認知症の人への支援についても、新たなステージへと入っていくのではないかと考えております。  そこで、知事に伺います。  認知症の発症への強い不安がある中、認知症になっても、ご本人の意思が尊重され、希望を持ってよりよく生きられるよう、今後の支援のあり方をどのように考えているのか、知事の所見を伺います。  次に、健康寿命日本一を目指す「食」の取組について伺います。  本県では、全国を上回るスピードで高齢化が進行することが見込まれておりますが、高齢になっても健康で生き生きと過ごすことは、県民の誰もが抱いている願いであります。したがって、これからの長寿社会に向けて、健康面で支障がなく、健やかに日常生活を送れる期間である健康寿命を延ばすことが重要となってまいります。  それは、高齢者の生活の質を高めることにつながり、我が党も地域包括ケアシステムを軸に、地域の特性に合った医療や介護基盤を目指し、平均寿命と健康寿命との格差の縮小に取り組んでまいりました。  また、公明党は活動寿命という概念を新たに提起しております。活動寿命とは、賃金を得るための労働に限らず、ボランティアや地域活動などを通して社会とかかわり、支え合いの社会づくりに貢献できる期間を指します。健康で、幾つになっても安心して働き続け、誰もが生涯現役として生きがいにあふれた生活を営むため、この活動寿命の延伸に取り組んでいるところであります。  そうしたことから、本県が掲げている健康寿命日本一を目指すという目標は、生命、生活、生存を最大に尊重する私たちの政策理念にも合致する最も重要な課題であると考えております。  県では、この健康寿命日本一を目指すため、本年1月に未病を治すかながわ宣言を発表し、食、運動、触れ合いや交流を進める社会参加という健康づくりに最も重要な三つの取り組みを提唱し、県民、行政だけでなく、企業等も一緒になって、社会全体で未病を治す取り組みを進めることとしております。これら三つの取り組みの中でも、特に食は、食べるという人間の生命の基本となるもので、お年寄りから子供まで、全ての世代にわたる健康づくりのための最も重要なものであります。  本県でも、医食農同源の考え方で食への取り組みが進められておりますが、いかに本人が食習慣改善の必要性を自覚し、行動するかが重要であると考えているところであります。  これは本県だけでなく、全国的な課題でもあるため、国や他県においても、食に関する新たな取り組みが検討、実施されております。例えば、福井県では、健康長寿で幸福度日本一の福井県の食卓をヘルシーにをキャッチフレーズに、健幸美食の認証制度が実施されております。  この制度は、主食・主菜・副菜がそろっていることや、1食分の塩分が3グラム以下、また揚げ物は衣が全体重量の40%を超えないなどの認証要件を設定し、飲食店や惣菜店のメニューを認証して公表するというユニークな取り組みで、大変興味深いものであります。  また、国では、健康・医療戦略の中で、日本人の長寿を支える健康な食事の基準を策定し、基準を満たした食事の普及促進のための仕組みを構築するとしており、本年10月に、健康な食事の基準と、それをあらわすマークが公表されたところであります。  なお、国において最終報告書をまとめたのは、日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会ですが、神奈川県立保健福祉大学の中村学長が座長となり取り組まれたと伺っております。  このような背景も踏まえ、本県においても、より一層の食にかかわる取り組みの充実が必要と考えております。  そこで、知事に伺います。  健康寿命日本一を目指す取り組みの中で、最も重要である食に関する取り組みについて、県民の食習慣の改善などにつながる効果的な取り組みや、積極的な普及啓発策が必要と考えますが、県としてどのように進めていこうと考えているのか、知事の所見を伺います。  質問の第4は、子どもたちの心を育てる教育についてであります。  初めに、子どものインターネットの長時間利用について伺います。  先般、11月23日~24日、県立神奈川総合産業高等学校で開催された青少年のためのロボフェスタ2014は大変盛況であり、本当にすばらしい内容でありましたが、今回、何よりも感銘を受けたことがありました。それは、子供たちが本当に興奮し、目を輝かせて、ロボットのある日常という近未来に思いをはせていた姿であります。  このような実際に目で見て触れる体験、これはインターネットなどでは得ることができない大切なこと、これを子供たちに伝え、その健やかな心を育てることにつながっており、そんな中、昨今の子供とインターネットの問題について、改めて考えさせられたところであります。  近年、スマートフォンやソーシャルメディアが急速に普及したことにより、私たちの身近には、常に情報通信機器がある時代になりました。そのような社会環境を背景として、子供たちのインターネットの利用状況も大きく変化しております。  このような中、本年10月10日に行われた知事と政令3市の市長による4首長懇談会の席上、神奈川県内の小・中・高校生から抽出した約1万3,000人を対象として実施された子供たちのネット利用に係る実態調査の結果が報告されております。  この実態調査では、ほとんどの子供たちが、ゲーム機、スマートフォンや携帯電話、パソコンなどの情報端末を利用して、インターネットに接続できる環境にあることが明らかにされ、特にスマートフォンの所持率については、中学生では50%以上、また高校生に至っては既に90%を超えているという実態が示されました。  また、子供たちを取り巻くこのようなインターネット環境を背景として、中学生で21.8%、高校生では40%の生徒が1日5時間以上も、これらの情報通信機器を使用しているという状況も浮き彫りにされております。  このように子供たちが長時間にわたってインターネットを利用することは、基本的な生活習慣の乱れや、いわゆるネット依存に向かっていく入り口になることも懸念されるため、しっかりとした対策を講じていくことが必要であります。  そのような中、今年度のかながわハイスクール議会2014の政策提言を受けて、高校生による情報議会を設置して、高校生がソーシャル・ネットワーキング・サービス、いわゆるSNSに関する教材を作成し、教員向けの講座を実施すると伺っています。こうした取り組みも、子供たちのインターネットの長時間利用の防止につながっていくのではないかと考えております。  一方、子供たちがインターネットを正しく利用するためには、家庭が果たす役割が非常に重要となってきております。  岡山県では県が主導し、県内の小中学校に午後9時以降、スマートフォンや携帯電話を親に預け、利用を制限する統一ルールを本年11月からスタートさせました。そして、周知に取り組んでおります。この統一ルールそのものに強制力はありませんが、積極的な取り組みとして評価できると考えております。  本県においても、子供たちへの指導だけでなく、保護者に対する周知や啓発が必要であり、取り組みの充実が求められてきております。  そこで、教育長に伺います。  子供たちのインターネット利用時間の長時間化を予防することなど、適切な利用方法に関する子供たちへの指導や保護者への啓発に、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。  次に、いのちの授業について伺います。  本県では、子供たちが自分や他者の命を尊重し、夢や希望を持って生きることの大切さや、他者を思いやる心を育むことを目的に、地域や学校などのあらゆる大人が子供たちにかかわって行う百万通りの「いのちの授業」を展開しております。  各学校においては、これまで各教科や行事などで行われていたさまざまな実践を、いのちの授業という観点で捉え直して授業を行うことで、子供たちの命を大切にする心を育んでおり、県教育委員会では、事例を収集し、ホームページ等で紹介していることは承知しております。  私自身、子供たちや若者がみずからの命を絶ったり、他者を傷つけたりするような報道を聞くたび、言いようのない悲しみや心の痛みを感じます。自分と他者の命を大切にする優しい心を育み、友人や周囲の人たちに対して思いやりのある行動ができるようになるためには、子供たちが学校だけでなく、さまざまな機会を通じて命とは何かについて考えることは大変重要なことであると考えております。  例えば、本県では、動物愛護の観点から命を大切にするという取り組みの一つとして、犬の殺処分ゼロ継続宣言を知事が発表されました。私が訪問した神奈川県動物保護センターでお話を伺ったところ、収容された犬の殺処分ゼロを達成するために、さまざまな工夫をなされておりました。  具体的には、新たな飼い主を探すため、トリマーの方が犬をきれいにカットしてホームページで紹介したり、しつけ教室やふれあい教室を実施して正しい飼い方を啓発したり、県庁本庁舎の公開日には登録ボランティアに譲渡会の場所を提供するなど、さまざまな取り組みで動物の命を守っておられました。  このような取り組みについても、多くの子供たちが知ることで、いのちの授業の一つとなると考えます。学校に限らず、さまざまな方々がさまざまな場面でいのちの授業に取り組むことで、多くの子供たちに命を大切にする心を育んでほしいと考えております。  そこで、教育長に伺います。  神奈川県が進めているいのちの授業の取り組みに対する効果について伺います。また、いのちの授業をより多くの方に知っていただき広めていくために、今後どのように取り組もうとしているのか伺います。  質問の第5は、女性が活躍できる環境づくりについてであります。  初めに、女性が輝く神奈川の実現について伺います。  国においては、女性の活躍の推進を成長戦略の重要な柱としており、生産年齢人口の減少によって低下している労働力を、女性の高い能力と労働力で補い、経済成長への軌道を描こうとしております。  この成長戦略を成功させるためには、女性の活躍をいかにして実現していくかが鍵であります。国は女性が輝く日本、女性が輝く社会を掲げて取り組んでおりますが、これを実現するためには、待機児童の解消、女性役員・管理職の増加、職場復帰・再就職の支援、子育て後の起業支援その他、多岐にわたる対策が必要となってきます。  先日の衆議院の解散に伴い、女性活躍推進法案が廃案になったこともあり、現時点で国の対策の詳細は定かではありませんが、女性の活躍を支援するための取り組みが重要であることは明らかであります。  女性の活躍に期待する思いは、黒岩知事と我々で共有されていると認識しております。女性を登用し、女性が生き生きと働き、女性の力で神奈川の力を引き出す、そんな神奈川づくりをやりたいと、知事も対話の広場などで話されていたと記憶しております。  また、本年10月の欧州訪問では、フィンランドのオウル市で働く女性の皆さんと意見交換をされたとのことであり、生き生きと活躍しているフィンランドの女性たちのすばらしさに触れ、神奈川もぜひそのように向かっていってもらいたいと感じられたとのことでありました。知事として、女性が活躍する神奈川について思い描かれているビジョンもおありと思います。  公明党の50年ビジョンでも女性が輝く社会を掲げております。女性が生き生きと社会に参加し、活躍できる社会構築のためには、仕事と家庭の両立支援、あらゆる分野における意思決定の過程に女性が参画することなどを通じて、その持てる力を最大限発揮できるようにすることが重要です。  また、妊娠、出産、子育ての各ステージに応じた継続的で切れ目のない支援も不可欠となっています。切れ目のない支援を行う母子支援地域拠点の整備、普及も望まれております。ちなみに、さきに知事が訪問したフィンランドでは、このような施設をネウボラというそうです。  女性の活躍を支援するための本県の施策を挙げると、県職員については総務局、子ども・子育て支援については県民局、就業支援については産業労働局、出産支援や介護支援については保健福祉局、学校教育は教育局と県民局など、多くの局にまたがっております。  本県では、その推進のため、部局横断的な庁内体制として、副知事をトップとした人権男女共同参画施策推進会議を設置し、年に数回程度議論をしていると伺っておりますし、これらの施策や推進体制は、かながわ男女共同参画推進プランに基づいており、施策の進捗状況が毎年度公表されていることは承知しております。  しかし、実際のところ、県庁という巨大な組織体の中では、各局が互いの事業を承知し切れていない場面もあり、連携がとり切れていないのではないかと感じます。今後、各局の取り組みに横串を刺し、より効果的に動ける体制を整えていくことが重要となります。  また、国では、女性活躍担当大臣を設置して対策を進めておりますが、体制を整備するという意味では、本県においても検討すべきと考えております。  そこで、知事に伺います。  女性が輝く神奈川の実現に向け、女性が力を発揮できるようにするための今後の施策展開についてどのように考えているか、また、今後、本県において女性の活躍を支援する施策を推進するため、女性支援担当の理事などの責任者の設置や、組織の体制強化を検討すべきと考えますが、知事の所見を伺います。  最後に、子どもを生み育てるための環境づくりについて伺います。  現在、急速な少子化の進行、核家族化や共働き世帯の増加といった家族形態の多様化、地域社会の希薄化などにより、地域において妊産婦やその家族を支える力が弱くなってきており、出産、育児に取り組む親の孤立化や、仕事と育児による過剰な負担など、妊娠、出産、子育てを取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。  こうしたことから、妊娠、出産や子育てを行う世代の若い夫婦を孤立させない支援体制の整備など、妊娠、出産しやすい環境づくりに早急に取り組んでいく必要があると考えます。  また、我が国の母子保健の今後の方向性を示し、国民の健康づくり運動、健康日本21の一翼を担う健やか親子21では、安心して子供を産み、ゆとりを持って健やかに育てるための家庭や地域の環境づくりを重要なテーマとして掲げております。  しかし、内閣府が実施し、今年9月に公表された母子保健に関する世論調査の結果を見ると、妊産婦であることを知らせるためのマタニティマークの認知度が低く、特に男性では約6割が知らないとの実態が明らかになりました。  また、小児救急電話相談である♯8000番についても約9割が知らないなど、妊産婦等にとって優しい環境づくりが進んでいないことを示す現実の一つが浮き彫りとなったところであります。  安心して子供を産み育てるための環境づくりは、少子化対策としても重要であり、日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略においても、若者が結婚し、子供を産み育てやすい環境づくりに全ての政策を集中するとの提言が出されております。  この中でも、特に、子供を産み育てやすい環境づくりを進める上で、出産直後の母親への精神的・身体的なサポートを行う産後ケア対策は喫緊の課題であり、早急に制度を確立する必要があることなどから、前定例会において、産後ケア体制の支援強化を求める意見書を決議し、国に提出したところであります。  これらの取り組みについて、子供を産むなら神奈川、子育てするなら神奈川という目標を掲げている本県において、県内33市町村が同じように取り組めるよう、県として人材育成や体制整備等に取り組んでいく必要があると考えております。  そこで、知事に伺います。  妊産婦や若い子育て世代が安心して妊娠、出産に臨めるよう、マタニティマークの周知など、県民に対する情報提供の強化や、妊産婦等に優しい環境づくりを進めるため、県として、どのような役割を果たしていこうと考えているのか、知事の所見を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 赤井議員のご質問に順次お答えしてまいります。  初めに、まち・ひと・しごと創生法の成立を踏まえた本県の体制についてお尋ねがありました。  人口減少問題につきましては、5月に日本創成会議・人口減少問題検討分科会から、自治体の消滅可能性を指摘する人口推計が発表されて以降、各地で改めて重要な課題と認識されたところです。  この人口減少問題は、対策が多岐にわたりますので、私は県だけでなく、県民、企業、市町村を巻き込んだ県民議論を行い、若い方を初め、多くの方に自分自身のこととして真剣に受けとめてもらうようにすることが重要であると考えています。  そうした考えのもと、まず、庁内で幅広く議論を行うため、8月に全部局が参加する人口減少対策検討会を設置しました。また、各市町村ごとの状況をきめ細かく把握し、それぞれの地域に合った対策を検討するため、地域県政総合センター単位で市町村との意見交換を始めました。  さらに、民間企業の若い方と県職員が交流を図る場でも議論を行うとともに、11月には、少子化対策から人口減少社会を考えるをテーマに対話の広場を開催し、多くの高校生にも参加いただき、私が直接、県民の皆様と意見交換を行いました。  そうした中で、11月21日、まち・ひと・しごと創生法が成立しました。都道府県は、平成27年度中に人口について現状分析を行い、将来を見通した地方人口ビジョンと地方創生のために講ずべき施策を定めた地方版総合戦略を立てることが努力義務とされました。そこで、県としましても、法の趣旨を受けとめ、地方創生にしっかりと対応できる体制を強化することとしました。  具体的には、庁内に部局横断的に対策を立案する地方創生プロジェクトチームを設置するとともに、8月に設けた人口減少対策検討会を地方創生対策調整会議に発展的に改組し、戦略的、機動的に検討を進めていく全庁的な体制を整えたところです。  今後は、こうした体制のもとで、地域特性に応じた神奈川らしい対策を講じることができるように、しっかりとした検討を進めてまいります。  次に、災害情報のトリアージについてです。  災害発生時に県民の生命・財産の被害を少しでも減らすためには、救出救助などの応急対策を迅速かつ的確に実施することが必要です。しかし、災害時に集まってくる情報の中には、一見して緊急性や重要性が判断できないものが混在するのが一般的です。そのため、災害情報の優先順位をつけるトリアージは非常に重要であります。  県内で大規模災害が発生した場合、災害対策本部のもとに、安全防災局長をトップとする統制部を設置します。ここで種々さまざまな災害情報を整理し、応急活動方針案を立案し、本部長である私に具申がなされます。そのため、安全防災局では、毎月、統制部の設置訓練を実施し、さまざまな条件のもとで情報を識別し、処理する能力の向上に努めています。また、県庁全体の災害対応力を強化するため、私も参加した災害対策本部訓練も毎年実施しています。  しかし、大規模災害時には通信途絶などにより、重要な災害情報は待っているだけでは集まらない可能性があります。そこで、地域県政総合センターに設置される現地災害対策本部から職員を市町村に派遣し、衛星電話等を活用して情報を収集することとしています。  また、本県には、情報トリアージの高い能力を身につけた自衛隊OB職員を複数採用しております。災害時における県職員の情報トリアージ能力をさらに向上させるため、自衛隊OBの能力を活用した訓練を行っていきます。  今後とも、真に重要な情報を見落とさず、適時適切な情報トリアージが行えるよう訓練を積み重ね、県としての災害対応能力の向上に努めてまいります。  次に、長寿社会への対応について、何点かお尋ねがありました。  まず、高齢者を標準とする仕組みづくりについてです。  先月25日に検討委員会から提出された意見書では、高齢者を支えられる側から支える側にといった考え方や、体が弱っても快適に暮らすため、水平移動ができるまちづくりを進めることなど、ハード面での提言がありました。この他、ソフト面では、携帯電話やスマートフォンなどのICTを活用して情報革命のメリットを積極的に取り組むなど、さまざまな角度から提言をいただいています。  県としては、直ちに施策化できるものは速やかに実現し、議員からお話のあったリソースセンターについては、具体化に向けて検討を進めていきます。  また、介護や高齢者福祉施策は市町村が主体となって取り組むため、市町村に対しても提言の内容を積極的に情報提供し、連携して高齢者を標準とする仕組みづくりを進めます。  次に、地域包括支援センターなどの認知度や高齢者を取り巻く実態の把握についてです。  県内市町村が実施した調査では、地域包括支援センターの認知度が低くなっています。今後、支援を必要とする高齢者が増加する中で、地域の身近な相談機関として認知度を高めることが重要ですので、市町村や関係団体と連携し、さらにPRに努めてまいります。  また、高齢者を取り巻く実態について、市町村では介護保険事業計画の策定に当たり、高齢者等に対する詳細な実態調査を実施した上で、施策に取り組んでいます。  県では、市町村が実施している調査や年齢別要介護認定者数などを高齢者の実態把握に活用しています。さらに、広域的な観点から、介護予防の取り組みなどの実態把握に努めていますので、引き続き必要な調査について検討し、実施してまいります。  次に、認知症支援に関する今後の方向性についてです。  認知症になっても、ご本人の意思を尊重しながら、穏やかに安心して暮らし続けることができるよう支援することが大切です。そのためには、周囲の方の認知症に対する理解を進める必要があります。  そこで、県では、平成17年度から認知症サポーターの養成に取り組み、本年9月末現在でその数は約24万8,000人に上っています。しかし、最近は認知症であると診断された直後は、不安から絶望に陥る人が多く、この段階での支援が必要であるとの課題が国のオレンジプランで指摘されています。  こうした課題に対する取り組みとして、国では、今年度、医療や介護の専門職によるチームが、認知症の人やその家族に早期にかかわり、支援する認知症初期集中支援推進事業を創設しました。県内では、現在、茅ヶ崎市がこの事業開始に向け準備を進めており、県も市の検討作業へ職員を派遣させ、事業への助言や専門医との調整などにより支援しています。  こうした認知症初期段階の支援や認知症サポーターの養成を拡充し、認知症の方とその家族が地域住民の理解と協力のもと、住みなれた地域で安心して暮らし続けられる神奈川を目指してまいります。  次に、健康寿命日本一を目指す食の取り組みについてです。  食は命の源であり、運動や社会参加と並んで、未病を治し、健康寿命日本一を達成するための基本となるものです。  そこで、県では、生活習慣病などを改善し、若い人も高齢者も元気で健康に暮らせるよう、医食農同源をテーマに食生活の改善につながる取り組みを進めています。  具体には、保健福祉施策において、学生サークルが料理研究家と協働して、県産農産物等を活用した生活習慣病予防に役立つメニューの開発をしました。また、栄養指導と健康を維持、増進する作用が期待される機能性を持つ農林水産物の普及啓発を行う栄養ケアステーションを大学内や県内スーパーマーケットに開設しています。  来年4月から、国でも日本人の長寿を支える健康な食事の基準や普及マークの運用を開始する予定となっています。これらを県内スーパーマーケット等で構成する神奈川・食育をすすめる会などと連携しながら、県民の皆さんへ普及していきます。  さらに、漢方の考えに基づき、パソコンやスマートフォンで気軽に体質チェックができる未病チェックシートを開発し、この結果をもとに体質に適した食材情報を提供しています。県西地域活性化プロジェクトでは、この未病チェックシートを使い、温泉施設やホテルなどで未病を治す食事を提供するモデル事業を実施しています。  今後も、健康寿命日本一の達成に向け、市町村、企業、団体とも連携し、食に関する取り組みを推進してまいります。  次に、女性が活躍できる環境づくりについてお尋ねがありました。  まず、女性が輝く神奈川の実現についてです。  本県は、全国に先駆けて昭和57年に婦人総合センター、現在のかながわ女性センターを開館するとともに、「かながわ女性プラン」を策定し、女性の活躍を推進する政策をリードしてきました。  以来、女性が能力を発揮できる社会づくりに向け、政策の方向性を全庁で共有した上で、さまざまな施策を展開してきたところです。しかし、いまだ結婚や出産を機に離職する女性が多いことなど、女性が能力を発揮できる社会の実現に向けては、多岐にわたる課題があります。  こうした課題を解決していくためには、女性を直接支援するだけでなく、女性のキャリア形成に向けた企業経営者や男性の意識改革、さらには若者が能力を発揮して豊かな人生を築くためのライフキャリア教育など、幅広い取り組みが求められます。  そこで、来年4月にオープンする(仮称)かながわ男女共同参画センターで、企業や男性、若者に重点を置いた取り組みの強化を図っていきます。  引き続き、こうした取り組みを進めるとともに、国が今年10月に決定した全ての女性が輝く政策パッケージも参考にしながら、子育て支援、労働環境の改善など、女性が輝く神奈川の実現を目指してまいります。  女性の活躍を支援する施策の推進に当たっては、現在、部局横断的な体制として、人権男女共同参画施策推進会議を設置して、副知事をトップとして取り組んでいます。引き続き、この推進会議を中心に各局の連携をより一層強化し、総合的に施策を展開してまいります。さらに、今後、施策を進める上で必要であれば、推進体制のあり方について検討してまいります。  最後に、子供を生み育てるための環境づくりについてです。  少子化や核家族化、地域社会のつながりの希薄化などにより、地域において、妊産婦やその家族を支える力が弱くなっています。そのため、妊産婦に対する周囲の人たちの理解促進や地域で互いに助け合い、妊産婦やその家族が安心して子供を産み育てることができる情報提供や環境づくりを進めていくことが重要です。  そこで、県では、妊娠、出産に関する正しい知識の普及啓発や、周囲の方々に妊産婦への理解を深めてもらう情報提供を行っています。具体的には、保健福祉事務所が高校や大学、企業等へ直接出向き、妊娠・出産の仕組みなどをわかりやすく説明する出前講座等を実施しています。  また、妊産婦であることを示すマタニティマークの認知度を高めるため、ホームページへの掲載や鉄道等でのポスター掲示などにより、周知に取り組んでいます。  今後も、出前講座の拡大や、企業と連携してショッピングセンターなど、県民の皆様に身近な場所でのマタニティマークの普及啓発などの情報提供を強化していきます。  次に、妊産婦に優しい環境づくりについてです。  妊産婦が安心して子供を産み育てるためには、妊娠、出産、育児への不安や負担を解消するための体制が必要です。そこで、県では、保健福祉事務所で妊娠・出産等に関する相談支援を行い、特に不妊、不育については、不妊・不育専門相談センターを設置し、対応しています。また、市町村での相談事業を充実するため、母子保健担当者等に対する研修を実施しています。  現在、国では、全国の市町村に妊娠期から子育て期にわたる総合的相談や支援を行うワンストップ拠点や、出産直後の母親をサポートする産後ケアなどの体制の整備を検討しています。  県として、今後、市町村や関係機関等と連携して、ワンストップ拠点の整備や総合的な相談支援を行う保健師や助産師などの育成に取り組んでいきます。  また、来年度は本県において、妊産婦等への切れ目のない支援体制の構築など、母子保健の課題を議論する健やか親子21の全国大会が開催されます。この大会には、全国から母子保健の第一線で活躍する1,000人以上の保健師や助産師などが集まります。こうした場での議論も生かして、全ての妊産婦や家族が安心して子供を産み育てることができる環境づくりを推進してまいります。  私からの答弁は以上です。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  子供たちの心を育てる教育についてお尋ねがありました。  まず、子供のインターネットの長時間利用についてです。  情報社会の進展により、いつでもどこでも簡単にインターネットを利用できる時代になり、学校においても、子供たちがみずから調べて学習する場面などで活用しています。その一方で、スマートフォンの普及により、子供たちがソーシャル・ネットワーキング・サービス―SNSやネットゲームなどに費やす時間が多くなってきたという実態があります。こうしたスマートフォンの長時間利用により、学習に身が入らなくなる、人間関係が希薄になるなど、さまざまな課題が顕在化してきました。  そこで、小中学校では、総合的な学習の時間や技術家庭、高校では教科の一つである情報の授業を通して、スマートフォンなどの適切な利用について学習する機会を設けています。  また、子供たちがスマートフォンなどを利用する場合は、親子で利用のルールを話し合うことが大切です。県教育委員会では、県民局などと連携し、家庭でのルールづくりの参考となるリーフレットを、小学校4年生や中学校1年生の保護者に配布することで、家庭での適切な利用を促してきました。  さらに、今年度から、ハイスクール議会で提案のあったSNSの利用にたけた高校生たちによる情報議会を設置し、生徒みずからが教材を作成するとともに、講師となって教職員に研修する取り組みに着手しました。  この情報議会の中では、インターネットの長時間利用の問題についても議論される予定です。高校生みずからが話し合い、ルールづくりに取り組むことが期待されます。そして、その成果を県立高校だけでなく、市町村教育委員会にも提供し、小中学校での活用を働きかけていきます。  今後とも、県教育委員会では、これからの情報社会を生きる子供たちに、単にインターネットの利用を制限するのではなく、スマートフォンなどと上手につき合えるモラルとスキルを身につけてもらえるよう取り組んでまいります。  次に、いのちの授業についてです。  いのちの授業は、学校や地域の活動を通して、子供たちにかけがえのない命の大切さに気づいてもらい、人を思いやる心を育むことを目的とした取り組みです。具体的な取り組みとして、例えば小学校では、理科の授業で、メダカの卵が孵化する様子を観察し、生命の誕生のすばらしさを学んでいます。  また、昨年度から、いのちの授業を受けて感動したことを綴った作文を募集し、その中で、特にすぐれた作文を書いた児童・生徒と授業を行った方を表彰するいのちの授業大賞を実施しています。  これらの取り組みの効果ですが、いのちの授業大賞に応募いただいた1,914もの作文は、そのどれもが命の大切さについて、子供たち自身が真剣に考えたものでした。例えば、農業高校の生徒がみずから育てたブロイラーの解体実習を通して、命の重さを改めて感じたことなどがつづられており、この取り組みを通じて、命を大切にする心が子供たちに着実に育ってきているものと考えています。  また、幼稚園、小学校から高校、さらには特別支援学校で、今年10月末までに、いのちの授業に取り組み、県教育委員会に実例を報告いただいた学校は、昨年度の259校から628校にふえております。  今後は、地域においても、この取り組みを広げていくために、より多くの方にいのちの授業のすばらしさを知っていただく必要があります。そこで、県教育委員会では引き続き、いのちの授業の取り組みをホームページ等で広く紹介していきます。  また、テレビ局と協働し、いのちの授業大賞の表彰式をテレビで紹介するなど、周知してまいります。さらに、PTA団体等との連携により、多くの保護者が集まるさまざまな機会を活用して、いのちの授業大賞をお知らせしたり、作品集を配布していきます。  こうした取り組みにより、学校はもとより、地域や家庭においても、さまざまな方により、いのちの授業が実践され、子供たちにさらに命を大切にする心が育まれるよう一層の推進を図ってまいります。  答弁は以上でございます。〔赤井かずのり議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 赤井かずのり君。 ◆赤井かずのり議員 知事、教育長、答弁ありがとうございました。  長寿社会への対応につきまして、3点ほど再質問させていただきます。  まず、高齢者を標準とする仕組みづくり、先ほどリソースセンターを前向きに検討していただくということで、ご答弁ございました。ありがとうございました。  その際、その事業の内容だけでなく、その名称のわかりやすさ、これがやはり問題になると思います。先ほど申し上げましたように、我が党が福岡県で調査をしましたら、地域包括支援センターという名称すら知らないのが55%の方、こういうような話もございました。また、平塚市ではよろず相談センターという名前に変えているという話もございました。  高齢者がイメージしやすく、わかりやすい名称について、ぜひ検討していただきたい、これがまず第1点でございます。  それから、2点目が認知症の支援に関する今後の方向性ということで、認知症、かつては痴呆症というふうに言っていました。この言葉はもう既に認知症という形で認知されているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、高齢者に対する理解、徘回という言葉、これも今、さまざまなところでいろいろな言葉で言われております。例えばひとり歩きとか、お出かけといった他の言葉に言いかえようと、こういうような動きも出ています。  そういう意味で、高齢者への理解を深めるためにネガティブな表現の言葉、これをポジティブな表現に変えていく、こういうことが必要なんじゃないかというふうにも思うのですが、その辺のご見解を伺います。  3点目ですが、認知症のご本人たち、先ほど申し上げましたように、当事者団体が立ち上がりました。これらの方々からさまざまな話もちょっと伺いました。そうしますと、自分たちの活動を広げる、そしてまた、県としての連携を深める、非常に大事であり、自分たちもぜひ期待をしている、特にその中にありましたのが、認知症のサポーター養成講座、先ほど知事からもサポーター養成講座は非常にふえてきているという話もございましたが、まだ、神奈川県は率で言いますと、全国で最下位に近い、こういうような状況であります。非常に少ない人数です。そういう意味で、この認知症のサポーター講座等に当事者団体の方、この方々を講師としてお迎えをする、こういうようなことも必要なのではないかというふうに思うのですが、この3点についてお願いいたします。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、ご質問にお答えしてまいります。  まずは、リソースセンターといったもの、なかなかわかりにくいというご指摘がありました。確かに私もリソースセンターだけではよくわからないなということを感じます。せっかくこういうセンターをつくるということでありますので、皆さんにその名前を聞いただけでイメージがぱっと膨らむような、そんな名前をしっかりと検討していきたいと、そんなふうに考えております。ぜひいいアイデアがあったら、ともに考えたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次のご質問も言葉の問題でありましたが、認知症という言葉、かつては痴呆症という言葉でありましたけれども、認知症という言葉、最初はなかなかなじみがなかったですけれども、こういう言葉というのは、ずっと繰り返し使っているうちに自然に我々も受けとめることができるようになってまいりました。しかし、これは国レベルで行われた検討でありました。  先ほどご指摘がありました徘回という言葉、この言葉は確かにネガティブなイメージだということでありまして、では、どんな言葉に置きかえればいいのかということでありますが、どうでしょうね。私もいろいろ考えていますけれども、ひとり歩きとか、お出かけといった言葉で、そういうふうにネガティブなイメージを全く消してしまうほうがいいのかどうなのか、そういったあたりも実は考えるべきかなという気がいたします。  徘回する老人を抱えた家族みたいな言い方をすると、その家族に対して非常に大変なんだなという感じがいたしますけれども、ひとり歩きをする老人を支える家族、お出かけをしている老人を支える家族というと、その問題点が逆に伝わらなくなってしまう可能性もあるなといった中で、どういった言葉がいいのかといったこと、これは皆さんとともに考えていく大きな課題であるというふうに思っております。  それから、認知症ご本人の方たちの当事者団体、活動されているわけですけれども、その方たちを講師としてお呼びするのはどうだろうか、こういう話がありました。  私はかつて認知症をテーマにした映画を見ました。その中で、まさに認知症のご本人が講演をされているという、そんなシーンが実はありました。これは確かに有効な手段であるかなというふうに私自身も思っておりますので、こうしたこともぜひ検討していきたい、そんなふうに考えております。  答弁は以上です。〔赤井かずのり議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 赤井かずのり君。 ◆赤井かずのり議員 ありがとうございます。  なかなかすぐにその言葉にかわる、徘回にかわる言葉だとか、リソースセンターにかわる言葉だとか出てこないと思いますが、私どもも考えたいと思いますけれども、知事のユニークな発想でぜひまた考えていただければと思います。  それでは、何点か要望を申し上げます。  まず、認知症を前向きに暮らす知恵とか、工夫という言葉ですが、慶応大学の井庭准教授、この方が旅のことばというものをまとめました。認知症とともによりよく生きるためのヒントということで、パターン・ランゲージという、こういう手法を活用しています。これは世界初めての試みとして、先月の国際学会で発表されたそうですけれども、パターン・ランゲージというのは、建築学の言葉だそうです。例えば、望ましいデザインとは何かというような抽象的な言葉ではなくて、これをわかりやすい言葉で言いあらわすという、例えば小さい広場がある、人が座れる階段がある、これが望ましいデザインなんだ、望ましいデザインとは何かといったときに、こういうことなんだと、具体的に示してあげる、言葉でイメージが具体化されることで、専門的な分野だとかが非常に理解しやすくなる、こういうふうなことだそうです。  認知症の人が生き生きと暮らす実践的な工夫やコツ、これは複雑で一言ではあらわしにくい、そういう意味では経験として個人に蓄積されている、そうしたものを広く紹介、共有するために有効なことであるそうです。人生の新しい旅が始まる、こういうふうにもこの准教授はおっしゃっております。前向きに受けとめるという点では、非常に大事だと思いますので、こういうような点も今後考えていただければと思います。  それから、教育長、インターネット、それから、いのちの授業ということで、非常にありがとうございました。  岡山県で利用制限のルール、小中学校では午後9時以降、スマートフォンなどを親に預けるという、こういう統一ルールを全国で初めてこの11月に決めたそうです。強制力はないということですが、一つの積極的な取り組みということで検討していただければというふうにも思います。  また、かながわハイスクール議会2014の政策提言で、教員向けに高校生が研修講座を開催する、これも非常にユニークな試みだと思いますが、その中でこの利用制限のルール等についても、さまざまなものが出てくると思いますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。  また、いのちの授業につきましても、これは知事が提案されて、25年度には2,000通の応募、今年度、26年度は3,000通の応募があったというふうに伺いました。非常にすばらしい内容だと思います。特に犬猫の虐待、これが犯罪につながるというふうにも言われております。命を大切にする、こういうようなことを子供たちに伝えるということは非常に大事だと思いますので、さまざまな方法をもって、特にこのいのちの授業を大きく啓発していただきたい、宣伝をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  そして、最後に、女性が活躍できる環境づくりにつきまして、知事は女性の活躍については積極的に取り組まれている、これは十分承知をしております。また、フィンランドの様子、これも伺いました。しかし、現実問題として、神奈川県の女性の管理職の割合、これが現在、平成25年4月1日現在で総管理職1,067人のうち92人、8.6%、平成26年4月1日現在、1,048人のうち100名、9.5%、政府の方針では2020年までに30%という、これは非常に厳しい目標だと思いますが、特に警察の関係等も入っているということで、非常に厳しいかなと思いますが、体制整備とともに、女性の活躍、これを積極的に支援、これについてよろしくお願いいたします。  以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(向笠茂幸) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向笠茂幸) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後4時1分 休憩───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027636-質問・答弁-日浦和明議員-代表質問①ふるさと納税について②県施設における電力調達について③民間人材の幹部登用について④地域福祉支援計画の改定及び地域福祉計画の策定支援について⑤高齢者の生きがいづくりについて⑥保育所の適正な運営に向けた指導監査について⑦安全・安心まちづくりについて⑧エボラ出血熱対策について》                   午後4時16分 再開  〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共67名 ○副議長(小川久仁子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(小川久仁子) 質問を続行いたします。  日浦和明君。〔日浦和明議員登壇〕(拍手) ◆日浦和明議員 日浦和明でございます。  まず、ご報告です。みんなの党は解党しまして、なくなってしまいましたけれども、新会派名は県友会ということで、県友会神奈川県議会議員団を代表しまして、通告に基づきまして、順次質問をさせていただきます。  知事におかれましては、明快かつ前向きなご答弁のほどよろしくお願いいたします。  質問の第1は、ふるさと納税制度についてでございます。  県では、全庁を挙げて緊急財政対策に取り組み、この2年間で1,600億円の財源不足を解消することはできましたが、来年度当初予算編成に向けては550億円の財源不足が見込まれるなど、本県の財政状況は引き続き厳しい状況にあります。  そうした中、近年、歳入確保の手段の一つとして、ふるさと納税が脚光を浴びております。ふるさと納税は、都道府県や市町村に対する寄附金のうち2,000円を超える部分について、一定額まで所得税や個人住民税が控除される仕組みです。  この制度は、都市部に偏在する人口、税収の地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対して、格差是正を推進するための制度として検討されたものです。歳入の地方間格差を是正する制度としては、地方交付税の仕組みがありますが、ふるさと納税は、県民の一人一人のまさにふるさとに対する思いを込めた寄附金という形を用いることに特徴があり、我が国における寄附文化の醸成という観点からも意義ある制度だと言えます。  一方で、他の自治体に寄附することで、寄附した方が住んでいる自治体の個人住民税、県でいえば個人県民税が控除されることになります。つまり、そこには、収入を得る自治体と収入を失う自治体が存在することになります。  総務省の発表によれば、平成25年度に都道府県と市町村への寄附を行い、寄附金控除を受けた方は全国で10万人を超え、寄附金額は実に130億円を超えております。また、寄附に伴う控除の額も都道府県民税分が18億円、市町村民税分が27億円という規模となっております。  近年、このふるさと納税が話題となる機会がふえておりますが、それは主に寄附に対する地域産品等のお礼の品に着目したものでございます。一定額以上の寄附をいただいた方に対して、お礼の品として地域の名産品等をプレゼントすることで、そうした名産品のアピールが期待できます。  本県では、このお礼の品を実施していなかったため、私は、本年の3月の予算委員会で、お礼の品の実施について質問し、知事からは、特典つきの寄附については、新たに生じる財政負担以上のメリットを得られるかどうか、精査して考えてみたいという答弁をいただいたところでございます。  しかし、こうしたお礼の品も度が過ぎれば、そもそも寄附という趣旨を逸脱し、究極的には控除の基礎額となる2,000円余りの手数料を払って名産品を購入するということにもなりかねません。  総務省でも、特産品の送付については適切に良識を持って対応するよう、各自治体に求めているところであります。ただ、こうした問題を抱えながらも、国ではふるさと納税の控除額の引き上げや、現在必要とされている確定申告手続の省略など、この制度を大きく後押しするような見直しを検討しているところであります。  ふるさと納税がより使いやすく、より節税効果が高いものとなった場合、納税者にとって、より魅力ある制度になりますし、一方、地方にとっては歳入の確保に加え、お礼の品の広報効果も期待されることから、今後、お礼の品の競争が激化していくことも想定されます。  見方によっては、ふるさと納税制度は、そして、その拡大は、地方自治体における税または寄附金の分捕り合戦といった仕組みを内包しているものだと言えます。その影響を考えた場合、都市部であり、909万人もの人口を有する本県においては、当然のことながら、大きな影響を受けるのではないかと懸念するところであります。  そこで、知事にお伺いします。  制度拡大が検討されているふるさと納税について、本県の影響をどのように考えているのか、また、その影響に対してどのように対応するのか、知事の所見を伺います。あわせて、さきの予算委員会で質問したふるさと納税のお例の品についての検討状況についても伺います。  質問の第2は、県有施設における電力調達についてであります。  本県財政を取り巻く環境はいまだ厳しい状況にある中、新たな行政需要に対応していくためには、さまざまな手法を駆使し、財源確保を図っていくことが必要であります。知恵と工夫による歳出削減の取り組みは、ますます重要となってきます。  こうした状況の中、私は歳出削減に向けて、新電力、いわゆるPPSからの電力調達の必要性を訴えてまいりました。従来、電力の小売は東京電力や関西電力のような一般電気事業者のみ認められておりましたが、平成12年3月の電気事業法の改正以降、一定規模の電力の小売が段階的に自由化され、PPSも電力の小売が可能になったところでございます。  平成17年4月以降は、契約電力が原則50キロワット以上のユーザーが対象となり、よりPPSが導入しやすくなりました。また、本年6月には、平成28年をめどに全面自由化を実施する改正電気事業法が成立し、電力調達における自由化は我が国で大きな流れとなっております。  本県では、平成16年度以降、本庁舎を初めとした一部施設においてPPSを活用していましたが、PPSの供給能力の問題等もあり、PPSが導入されたのは大口の需要が見込まれる一部の大型契約に限られたものでした。  そこで、私は平成24年2月の一般質問において、多くの施設を有する県がPPSの利用を拡大するためには、PPSの供給能力の問題を考慮しつつ、中長期的な観点、視点から、民間事業者が入札に参加しやすい仕組みづくりをする必要があると訴え、PPSに係る競争入札の拡大について質問をしたところであります。  県においては、その後、仕組みが見直しされまして、多くの施設においてPPSの導入が進み、今年度においてもPPSの導入施設に広がりが生まれております。この取り組みは、経費削減に大きく貢献したと聞いており、財源捻出のためのよい事例となったのは大変喜ばしいことであります。  東日本大震災を踏まえ、電力需給を取り巻く環境が変わり、最近でも再生可能エネルギーの買取制度の見直しが議論されるなど、社会的にもエネルギー問題が大きくクローズアップされております。  PPSの導入に当たっては、さまざまな課題があることは承知しておりますが、こうした大きな流れをイメージしつつ、個々の課題をクリアし、今後もPPSを活用すべきと考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  PPSの導入に当たり、県施設ではこれまでどういった工夫を行ってきたのか、また、これから平成27年度に向けて、どういった取り組みを図っていこうとしているのか、知事の所見を伺います。  質問の第3は、民間人材の幹部登用についてです。  行政の根幹をなすのは人であり、県において優秀な人材を確保することは、県民サービスの維持、そして、向上にもつながる重要な課題であります。  近年、県の行政職員では、民間企業経験者の採用も多いと聞いておりますが、こうした民間企業経験者も長きにわたって行政に従事することで、立派な行政マンとなってしまいます。長く行政事務に従事し、知識と経験を備えた職員を育成し、いわば、行政の基本体力をつけることも大切でございますけれども、一方で、行政と民間との間にあるそれぞれの常識の垣根を越えた発想も必要だと考えます。黒岩知事は、これまでも新たな発想で果敢なチャレンジを行ってきましたが、県庁全体がそうした体質に変わるにはまだ時間が必要ではないかと考えます。  行政を取り巻く環境は日々目まぐるしく変化しております。県民ニーズや行政課題は今後もますます高度化、複雑化、そして専門化していくことも想定されていますが、こうした問題に対して、県としてしっかり柔軟に、そして速やかに対応していく必要があります。  そのためには、管理職層に民間人材の登用を積極的に行うことが効果的であると考えます。それにより、民間人材の高度な専門性、あるいは行政では発想し得ない柔軟で新しいアイデア等の活用が期待され、さまざまな課題に迅速かつ明確に対応していくことができるものと考えます。また、県職員がともに仕事に取り組むことで、組織に刺激を与え、職員の資質向上にもつながるものと考えます。  黒岩県政の4年間においても、民間人材を任期付職員として幹部に登用してきたものと承知しております。知事はこの4月で一旦その任期を終えるわけでございますが、行政における民間人材の登用は、今後も引き続き必要な重要な課題であると考えます。  そこで、知事に伺います。  県がこれまで取り組んできた民間人材の任期付職員としての幹部登用について、どのような成果があったと考えているのか、また今後どのような幹部登用を図っていこうとしているのか、知事の所見を伺います。  質問の第4は、地域福祉支援計画の改定及び地域福祉計画の策定支援についてです。  県では、平成17年3月の「神奈川県地域福祉支援計画」の策定以来、誰も排除しない、誰も差別されない、共に生き、支え合う社会づくりを基本目標に掲げ、きょうに至るまでこの計画に基づき、地域福祉を推進しております。  この計画は社会福祉法第108条に基づく地域福祉支援計画として、広域的な観点から地域福祉推進のために市町村が策定する地域福祉計画の達成を支援するために策定する任意の行政計画であります。  一方で、この計画は、高齢福祉関係の計画や障害福祉関係の計画など、他の個別計画との整合を図りながら、それらの計画では対応が難しい狭間の福祉ニーズや各計画に共通する横断的事項を扱うなど、地域の視点から統合を図った意義深い計画であり、県の総合計画を補完する個別の計画としても位置づけられております。  このような重要な位置を占める現在の地域福祉支援計画でありますけれども、平成22年3月の改定以来、今年度を最後に5年という計画期間を終わろうとしております。  現状を鑑みるに、現在の計画を策定した平成22年当時と比べ、高齢化は着実に進展し、地域では要援護者、要介護者が増加しております。また、高齢化と核家族化の進展に伴い、家庭や地域の相互扶助機能の弱体化、地域住民の相互の社会的つながりの希薄化が進み、孤立死、孤独死の顕在化や障害者の親亡き後の生活不安、生活困窮者の自立など、生活上の支援を要する人々の増加が課題となっております。  また、この5年間に、生活困窮者自立支援法や医療介護総合確保推進法が成立するなど、制度面でも地域を取り巻く環境は大きく変わろうとしております。  こうした状況を踏まえると、現行の地域福祉支援計画は改定することは当然のこととして、時代のニーズに合った形で内容を改めることが必要と考えます。  また、県内市町村の地域福祉計画の策定状況を見ると、残念ながら、県内でも4町村ではいまだ策定されておりません。地域福祉計画は、今後の地域福祉を総合的に推進する上で大きな柱になるものであり、県内全ての市町村が策定することが望まれます。  こうした観点から、県の地域福祉支援計画を時代のニーズに合った形で改定し、市町村に示していくことが大変重要であると考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  今年度、最終年度を迎える地域福祉支援計画の改定の方向性について、知事の所見を伺います。また、全ての県内市町村が地域福祉計画を策定するよう、県として、積極的に働きかけるべきと考えますが、あわせて所見を伺います。  質問の第5は、高齢者の生きがいづくりについてです。  県では、10月29日に、高齢者の生きがいづくりに関するアンケートの集計結果を公表いたしました。アンケートに回答してくださった方の年齢構成を見ると、50代から70代の方が73%を占めており、退職後の生活を意識する年代、また、団塊の世代を含め、今まさに第二の人生を過ごされている年代の方からご意見をいただいているのがわかります。  このアンケートによると、高齢期の生きがいづくりのための活動を行うために、魅力ある地域活動のグループがあれば参加してもよいと答えた方が62.3%であり、高齢者の地域活動への参加意欲が高いことがうかがえます。  一般的に、高齢者が集まる地域活動の場として老人クラブがありますが、このアンケートによると、老人クラブに加入してみたくないと答えた方は71.3%にも上りました。その理由ですが、加入を希望しない方のうち、37.8%が、自分は老人ではないので、加入する気持ちがないと答えています。  一方、高齢者の生きがいづくりに関する自由意見としては、やりがいのあるもの、仕事のような役割がほしいといったご意見や、誰とでもつき合える地域に期待といったご意見をいただいております。  つまり、今、高齢期を迎えている方、あるいはこれから高齢期を迎えようとしている方々には、生きがいづくりの活動の場として、今の老人クラブの仕組みではなく、新たな高齢者層の関心や価値観、ライフスタイルなどに合致した活躍の場を求められているのです。  定年退職後の人生を生きがいを持って過ごしていただくためには、高齢者の役割について、固定的なイメージを崩すことが効果的であると考えます。例えば、高齢者は人から支えられるもの、あるいは高齢者の仕事はこういうものといった、固定的なイメージの払拭であります。  実際に、団塊の世代の方々や、私の身近にいるご年配の方を見ても、お年寄りと呼ぶには抵抗がある、非常に若々しく、活動的な方々も数多くいらっしゃいます。また、さきのアンケート結果にもあるとおり、50代、60代の方でも、意識としてまだまだ現役であると思っている方も多くいらっしゃいます。  今、地域では、若者が減る一方、社会環境の複雑化・高度化により、地域のニーズや求められている人材が多様化しています。高齢者の役割の固定的なイメージを外すことによって、高齢者の社会参加、地域参加が促進され、高齢者にあっては、生きがいを持ち、満たされた人生を送ることが、また地域にあっては、高齢者の知恵と知識、そしてパワーを活用した課題解決と地域の活性化が期待されるのではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  会社を定年退職後の人生を生きがいを持って生きていくために、高齢者の役割をどのように考え、今後、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。  質問の第6は、保育所の適正な運営に向けた指導監査についてです。  今年5月8日に日本創成会議・人口減少問題検討分科会が消滅可能性のある市町村を発表し、全国に衝撃を与えました。人口減少社会への対応は、今や、国レベルでの最重要課題ですが、本県においても対応を図っていかなければならない重要課題であります。  人口減少社会に立ち向かうには、晩婚化、出産の高齢化への対応、家計の経済力確保、ワーク・ライフ・バランスの推進など、取り組むべき課題は多岐にわたっておりますが、大きな課題として、子育ての問題があるかと思います。  核家族化が進み、共働き世帯がふえる中で、働きながら子育てを行うには、保育環境の整備は必須です。県内の各市町村では、待機児童ゼロに向けて取り組んでおり、昨年度には横浜市が待機児童ゼロを達成しました。保育施設という観点から言えば、市町村の取り組みの成果もありますけれども、量的に拡大してきているかと思います。  一方で、子ども・子育て支援新制度について、消費税増税の延期などもありましたが、現時点では当初の予定どおり、来年4月からスタートされるものと見込まれております。新制度では、全ての子供、子育て家庭を対象として、子育て支援の質の向上と量の拡充を図るとされております。  この新制度では、これまで認可保育所の利用が難しかったパートタイム労働など、いわゆる短時間就労の子育て家庭に対しても、保育サービスが提供されることとなっており、保育サービスへの需要が大幅に増加すると考えられます。  こうした保育サービスへの需要の増加に対応して、本県においても、これまで以上に認可保育所の整備等に取り組んでいく必要がありますが、施設整備に当たっては、単に保育サービスの量が確保されるだけではなく、質もしっかりと担保されることが極めて重要であります。  認可保育所は、子供たちが長時間過ごす生活の場となります。幼い子供を預ける親の立場を考えても、安全で安心な場であることは無論のこと、質の高い保育を受けるという観点からも、適切な運営が求められます。  現在、認可保育所に関しては、都道府県や政令市、中核市が設置認可権限を持ち、施設の指導監査を行っておりますが、新制度への移行に伴い、制度が複雑化する側面もあります。今後も保育サービスの質を確保していくためには、認可保育所に対する指導監査はますます重要となり、中でも市町村との連携・協力が重要になってくるものと考えます。  そこで、知事に伺います。  来年4月からスタート予定の子ども・子育て支援新制度において、認可保育所に対する指導監査にどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  質問の第7は、安全・安心まちづくりについてです。  県では、平成16年度に知事部局にくらし安全指導員を設置し、県内各地域で防犯教室を開催し、県民が犯罪に遭わないための注意点を直接県民に啓発するなど、全国的に見ても大変ユニークな取り組みを行っております。  また、平成17年4月に施行した「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」に基づき、県は県民一人一人が、自分の安全は自分で守る、自分たちのまちは自分たちで守るという防犯意識を持って、日常生活でできる防犯対策を進める県民総ぐるみの運動の展開とあわせて、県民への普及啓発や自主防犯活動団体の育成などを進めてきました。  このようなくらし安全指導員の活動や条例に基づく取り組みは、県民、そして地域を巻き込んだ取り組みとして、高く評価するところです。しかし、最近は、本県を初め、全国的に子供や高齢者が被害者となる犯罪が増加しているように感じられます。  今年7月の岡山県倉敷市での小学5年生の女子児童の誘拐監禁事件に続き、9月には神戸市で小学1年生の女子児童が誘拐され、殺害されるという大変痛ましい事件が発生いたしました。本県でも、今年の2月には、相模原市中央区で小学5年生の女子児童が連れ去られる事件が発生しており、多くの県民が不安を抱いたことかと思います。  一方、まことに残念なことですが、県内では振り込め詐欺も多発し、その被害者は大半が高齢者となっております。県内の振り込め詐欺の被害は、10月末現在、1,258件、被害総額は約37億円で、過去最悪の被害額となった昨年を上回る状況となっております。こうした状況を踏まえ、県では、10月に、知事の振り込め詐欺犯罪防止特別宣言を行い、振り込め詐欺の撲滅に取り組んでいることは承知しております。  こうしたことを含め、私は県民の安全・安心に係るこれまでの本県の取り組みを大いに評価するところですが、県内外で痛ましい犯罪が発生し、県民の安全・安心が脅かされている状況を考慮しますと、これまでの成果を踏まえた上で、安全・安心まちづくりの新たな展開を考える時期に来ているのではないかと考えます。  県民が安心して暮らせる社会の構築は、県民からのニーズも高く、大変重要な課題であり、これまでの成果を生かした上で、地域からの取り組みをより一層充実する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  県として、これまでの安全・安心の取り組みをどのように評価し、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、知事の所見を伺います。  質問の第8は、エボラ出血熱対策についてです。  エボラ出血熱は平成26年3月以降、西アフリカの3カ国、ギニア、リベリア、シエラレオネを中心に流行が続いています。11月16日までに報告されたエボラ熱の疑い例から確定例までの患者数は1万5,145名おり、そのうち死亡者数は5,420名となっております。  エボラ出血熱は治療法が確立されておらず、致死率が高い感染症ですが、主として患者の体液に触れるといった直接的な接触がなければ感染しないとされております。病気に関する知識を持ち、しっかりした対策を行うことで感染を防ぐことができると言われておりますが、現実問題として、感染者はふえ続けている状況にあります。感染者は西アフリカの3カ国以外の国々でも確認され、マリ、スペイン、アメリカなどの広範囲に及んでおり、事態は深刻な状況となっております。  アメリカでは、11月16日現在で4名の症例が確認されておりますが、そのうち2名はエボラ出血熱の患者の看護に当たっていた医療従事者であったと言われております。危機管理が徹底されているアメリカでも、このような二次感染が発生したという点においては、世界にも衝撃を与えた事件だったと考えます。  日本でも、10月には西アフリカに滞在歴がある方、11月にはリベリアから帰国した方と、ギニア国籍の方が医療機関に搬送され、検査を受けました。幸いにも、いずれの方もエボラ出血熱のウイルスは検出されませんでしたが、世界のグローバル化が進展している現在、いつ我が国においても患者が発生するか、予断を許さない状況でございます。  寒際、日本への外国人の入国者数は、平成25年は約1,126万人と過去最高になりました。もちろん、多くの外国の方々が日本に来られるということは、ビジネスや観光など、さまざまな面から大いに歓迎すべきことでありますが、しかし、同時に感染症流入のリスクも高まるという側面もあります。  そのためには、流入防止に向けた対策が重要になります。一義的には海外からの感染症流入防止策は、空港等における検疫体制の強化など、国における水際対策が重要となります。しかし、発熱症状があっても、国が求めているように、所管の保健所に届け出をせず、一般の病院にかかってしまい、結果として国内に流入してしまう懸念もあります。もし、本県に感染者が入ってきた場合、県は感染者の治療や感染の拡大を防ぐために、速やかな対応が必要になります。  そこで、知事に伺います。  エボラ出血熱感染者が本県で発生した場合、県としてどのように対応するのか、知事の所見を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 日浦議員のご質問に順次お答えしてまいります。  初めに、ふるさと納税についてお尋ねがありました。  ふるさと納税は、住民が、例えば出身地の自治体に寄附をした場合、確定申告を行うことで、寄附者個人が所得税と住民税の控除を受けられる制度です。結果として、今住んでいる自治体から寄附を受けた自治体に税が移転したような効果が生じるため、ふるさと納税と呼ばれています。したがって、寄附を受けた自治体の収入はふえますが、一方で、寄附をした方の住む自治体の税は減ることになります。  平成25年度のふるさと納税による本県への影響は、個人からの寄附が約5,000万円であるのに対し、控除を受けた県民税は約1億6,000万円となっているので、差し引き1億1,000万円のマイナスと推計しています。  現在、県は積極的に寄附を募るため、県の施策をPRし、これに賛同していただける方が寄附しやすいように、県への寄附を総称して、かながわキンタロウ寄附金と名づけ、一元的に発信しています。  この結果、平成25年度は個人の方と団体からの寄附を合わせ、総額2億6,000万円もの寄附をいただきました。この寄附のうち、例えばまなびや基金への寄附は、県立学校の改修工事に活用するなど、生徒たちの教育環境向上に役立っています。  また、民間企業とのコラボにより寄附を集めるかながわキンタロウ☆ブックキフも今年2月にスタートし、10月末時点で125万円に達しました。これからもこのような取り組みにより、積極的に寄附を募ってまいります。  次に、寄附者へのお礼の品の検討状況についてです。  寄附者へのお礼の品の送付は、全国の半数を超える県において行われており、地域振興の観点や寄附を集める手法として、一定の効果があると考えます。一方、東京圏や大阪圏などの大都市圏では実施していない都府県も数多くあります。  本県としては、ふるさとや応援したい地域に寄附をするというふるさと納税の趣旨に照らし、特産品ではなく、魅力ある政策、施策を展開し、それを積極的に発信することで、より多くの方が県を応援したい、寄附したいと思っていただけるよう努めてまいります。  次に、県施設における電力調達についてお尋ねがありました。  厳しい財政状況の中、電気料金の節減のため、県は平成16年度に新電力、いわゆるPPSと契約を始め、さらに平成25年度以降、PPSからの電力調達を本格化させています。PPSからの電力調達に当たっては、事業者からヒアリングを実施し、その結果を踏まえ、多くの事業者が入札に参加しやすいよう工夫を図っています。  具体的には、電力使用量の少ない施設単独で入札を実施するのではなく、1契約当たりの契約電力が500キロワット以上となるよう、10から20施設程度にグルーピング化する工夫を行いました。  また、PPSは夜間に確保する電力のコストが高いため、夜間使用電力の多い施設への入札には消極的な傾向があります。そこで、グルーピング化に当たっては、夜間使用電力の多い施設と少ない施設を組み合わせています。  さらに、2月に行っていた入札時期について、PPSが民間企業と契約交渉を本格化する前の1月に前倒ししました。こうした取り組みの結果、平成25年度には245施設で約1億5,000万円、26年度には274施設で約2億7,000万円の電気料金の節減につながっています。  次に、27年度に向けた取り組みです。これまで夜間使用電力が多く、PPSからの電力調達が難しかった警察署52施設について、知事部局の施設と組み合わせ、3グループ化することで、電力使用量を平準化し、新たに入札対象としました。  現在、来年度の電力調達に向け、11月末から、順次、入札公告を行っています。既に入札した県立学校と合わせ、入札対象は26年度に比べ63施設と増加し、県施設の約95%に当たる337施設で入札が可能となっています。こうした取り組みを継続し、電気料金のさらなる節減につなげていきたいと考えています。  次に、民間人材の幹部登用についてお尋ねがありました。  本県は、平成15年4月に「任期付職員の採用等に関する条例」を制定し、これまで20名の民間人材を任期付の幹部職員として採用しています。  私が知事に就任してからも、農林水産品ブランド戦略の担当課長、観光プロモーションの担当課長、温泉地学研究所長、産業技術短期大学校長の四つの管理職ポストで任期付職員を採用しています。  こうした民間人材の採用により、例えばブランド戦略と観光プロモーションの分野では、かながわフェア2013in台湾等を開催し、海外でのビジネスチャンスの拡大や台湾からの観光客の誘致を図っています。また、産業技術短期大学校では、企業が即戦力として求める人材を育成するカリキュラム編成が行われるなど、採用の成果があったと考えています。  こうした民間人材の登用により、企業のマネジメントやマーケティングなどを県行政に取り入れ、県民ニーズに即応した施策を推進することは大切です。  そこで、来年4月の採用に向けて、ICT推進の分野で、システム開発担当の課長を引き続き民間から募集するなど、今後も必要に応じて民間人材を幹部に登用していきたいと考えております。  次に、「地域福祉支援計画」の改定及び地域福祉計画の策定支援についてお尋ねがありました。  急速に高齢化が進む中、住みなれた地域で誰もが安心して生き生きと暮らしていくには、人と人との支え合いを基本とする地域福祉を一層推進していく必要があります。  現行の地域福祉支援計画は、市町村が進める地域福祉の取り組みを広域性、専門性、先駆性などの視点から支援するため、平成22年3月に策定しました。そして、この計画に基づき、民生委員、児童委員活動の支援や地域支え合い活動の普及促進などに取り組んできました。  この間、地域福祉を取り巻く状況は、高齢化の急速な進展に伴う要援護者の増加、孤立死、孤独死など、人間の尊厳にかかわる問題の顕在化、生活困窮世帯の増加など、多くの新たな課題が明らかになっています。こうした課題の解決のためには、地域住民を初め、関係団体、行政が連携し、これまで以上に地域の総合力を発揮していくことが不可欠です。  そこで、次期計画では、今後取り組むべき重点事項として、福祉人材の確保、定着対策の強化、認知症の方や家族等への支援、生活困窮者の自立支援など、地域福祉を一層推進するための新たな支援策を盛り込んでいきたいと考えています。  また、策定に当たっては、市町村や社会福祉協議会はもとより、民生委員、児童委員など、活動の担い手となる方々の意見をお聞きし、課題を共有した上で、取り組むべき方向性を明らかにしていきます。あわせて、全ての市町村に対し、共有した課題をもとに市町村計画の策定を働きかけ、ともに生き、支え合う社会の実現を目指してまいります。  次に、高齢者の生きがいづくりについてお尋ねがありました。  急速な高齢化の進展により、介護や支援を必要とする高齢者は増加していますが、一方、要支援、要介護認定を受けていない、いわゆる元気な高齢者は高齢者全体の約84%を占めています。  内閣府が平成25年度に行った高齢者の地域社会への参加に関する意識調査では、グループや団体で自主的に行われている何らかの活動に参加したいと思っている割合は約73%となっています。このように多くの高齢者は健康で活動的でありますので、みずからの経験、知識を生かしながら、生きがいを持って暮らすことが健康寿命を延ばすためにも大変重要であります。  そこで、今後は高齢者にも地域社会を支える一員となって、積極的に地域の課題解決に向けた役割を果たしていただくことが一層期待されています。今後、高齢者が住みなれた地域において自立した生活を送るためには、地域包括ケアシステムの構築が重要な課題となっており、その担い手として豊富な経験と知識を有する高齢者の活用が不可欠であると認識しています。  そこで、高齢者の皆さんに自治会を初め、老人クラブや民生委員、ボランティア、NPOなどと連携、調整を行う生活支援コーディネーターとして活躍を期待しています。  また、人生90年時代を前提とすれば、定年退職後において十分な期間を持てることから、就労や趣味、生きがいなど、新たな挑戦を行う機会として、ポジティブに捉えることも重要です。  今後、県としても、高齢者の方々が定年退職後にも健康で元気に超高齢社会に貢献していただく、あるいは人生に生きがいを持って暮らしていただけるよう人材育成や情報提供など、さまざまな支援を行ってまいります。  次に、保育所の適正な運営に向けた指導監査についてお尋ねがありました。  来年4月からスタートする子ども・子育て支援新制度は、子育て支援の量の拡充とともに、質の向上を目指しており、保育サービスの質を確保していく上で、保育所への指導監査は重要であると考えています。  都道府県と政令・中核市は、保育所の設備や職員配置数などの基準を条例で定めた上で、その基準に基づき設置を認可しています。さらに、設置後の保育所に対して、基準を遵守しているかどうかについて指導監査を行っており、新制度への移行後も引き続き都道府県と政令・中核市が指導監査を行います。  一方、新制度では、サービスを提供する保育所は、その費用を政令・中核市を含めた市町村から給付金として受け取ることになります。そして、この給付金の会計処理や施設情報の提供などが適切に行われているかについては、全ての市町村が保育所の検査や指導を行うことになります。  今後、政令・中核市以外の市町村にある保育所に対しては、県が設備等の基準の遵守という観点から、市町村が適正な給付事業の実施という観点から、それぞれ指導監督に当たることになります。  このため、県は市町村と十分に協議し、より効率的かつ適切な指導監査体制を構築する必要があります。そこで、新制度移行後は、市町村との役割分担を踏まえ、情報共有など、市町村と緊密に連携しながら、認可保育所の指導監査を実施し、より適正な運営と保育サービスの質の確保を図ってまいります。  次に、安全・安心まちづくりについてお尋ねがありました。  県は、「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」に基づき、地域と一緒になって、安全・安心まちづくりを進めてきました。昨年の県内の刑法犯認知件数は約7万7,000件で、戦後最悪であった平成14年の約19万件に比べ、約4割にまで減少しました。  今年10月末時点の刑法犯認知件数も、昨年より12.4%少ない約5万6,000件となるなど、犯罪は確実に減少しています。この10年間、県民総ぐるみで進めてきた安全・安心まちづくりの取り組みは、県警察の取り組みと相まって成果を上げていると認識しています。しかし、県民ニーズ調査を見ても、県行政への要望事項の第1位は治安対策であり、引き続き県として取り組むべき重要な課題と考えています。  さらなる安全・安心まちづくりを進めていくには、自主防犯活動団体を中心に、各地域が主体的、継続的に防犯の取り組みを進める必要があります。そこで、県では、新たに活動を始めた方や、活動を充実させたい方に対するさまざまな講座の充実に努め、地域の防犯人材の育成を進めていきます。  また、自主防犯活動を担う人材の裾野を広げるために、引き続きセーフティかながわユースカレッジにより、若い世代の加入を促進していきます。さらに、市町村や自主防犯活動団体がより効率的、効果的に活動を進めることができるよう、市町村や団体をつなぐネットワークづくりを図っていきます。  人づくりや地域のネットワークの形成などの支援を組み合わせることで、地域がその実情に応じて進める取り組みを一層推進していきます。今後とも、地域の主体的な取り組みをしっかりと支えていくことで、犯罪のない安全で安心なまちづくりを県民総ぐるみで進めていきます。  最後に、エボラ出血熱対策についてお尋ねがありました。  エボラ出血熱は、西アフリカを中心に死者が5,000人を超え、依然として予断を許さない状況にありますので、日本国内への流入の可能性がある前提で万全の準備をしておく必要があります。  国は水際対策を強化し、西アフリカの流行国からの帰国者や入国者を全て健康監視の対象としています。発熱等の症状が見られた場合、エボラ出血熱の疑いのある患者として扱い、特定または第1種感染症指定医療機関に移送し、検査を行うことになります。  しかし、空港や港で異常がなかった人が県内で発熱等の症状があらわれた場合には、県や保健所設置市で自宅待機の要請や第1種指定医療機関である横浜市立市民病院へ疑いのある患者として移送することになります。  この際、重要なのは、入国後、発熱した人や水際対策ですり抜けた人からの感染拡大や移送の際の従事者への二次感染を防ぐことです。そこで、県では、11月6日に保健所などの関係機関を集めた研修会を開催し、感染拡大防止のため、関係者とともにエボラ出血熱に関する専門的知識を共有いたしました。  ここでは、移送手順の確認に加え、従事者が身につける個人用防護具の着脱など、安全な移送を速やかに実施できる具体的な訓練も行いました。また、疑いのある患者の全身を覆うアイソレーターやエボラ出血熱に対応した個人用防護具を購入し、感染防止策を強化しています。  11月19日には、米軍とともに、キャンプ座間の基地内で疑いのある患者が発生したという想定で、厚木保健福祉事務所が参加し、隔離された疑いのある患者への聞き取り、横浜市立市民病院への搬送など、実動訓練を行い、スキルアップを図りました。  このように県としても、県内で患者が確認された場合を想定し、県民の皆さんの安全が確保できるよう、今後とも体制の強化に努めてまいります。  私からの答弁は以上です。〔日浦和明議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 日浦和明君。 ◆日浦和明議員 知事、答弁まことにありがとうございました。  それでは、まず再質問をさせていただきたいと思います。  まず、ふるさと納税についてでございますけれども、新聞等で菅官房長官のふるさと納税に関する記事が出ておりましたけれども、現行では、住民税の1割程度が上限で税額控除をされる仕組みになっておりますけれども、これを2割程度まで上限を引き上げるというふうに発言をされております。  また、現行では確定申告をみずから行う必要がありますけれども、今後、そういった確定申告をしなくても控除を受けられるように制度を変えていくというふうに発言をされておりました。  現在では、みずから確定申告をしなくてはならないので、実際に寄附している方の3割程度しか税の控除を受けていないというふうに言われておりますが、これが確定申告をしなくてもよい制度になれば、ほとんどの方が税額控除を受けられるということになるわけです。面倒な確定申告をする必要がなくなれば、ますます寄附される方も、寄附金額も増加して、結果、県税収入がますます減少していくことになると思います。  仮に本県の納税対象者となる方の1%、約7万5,000人になりますけれども、税額金額が1万円と考えた場合、本県としては7億5,000万円の住民税が減ることになります。住民税のうち、個人県民税は4割でありますので、県税としては3億円の減収になるということになります。  私は、非常にこのふるさと納税の制度に危機感というものを覚えております。地方創生という名のもと、多くの地方選出の国会議員が地元にお金を落とそうと考えて、積極的にこのふるさと納税の拡大を図ろうとすると私は思います。だからこそ、地方と都市部での激しい税収の分捕り合戦になることを、本当に私は危惧をしております。だからこそ、神奈川県としてもふるさと納税の方向性だけははっきりと決めるべきだと私は思います。  神奈川県は、先ほどの答弁は積極的にそういったお礼の品を出すというよりは、県の魅力で勝負をするということだと思いますけれども、もしそういう観点から考えるのであれば、私はこのお礼の品というものをなくす方向にもっていく必要があるのではないかと、ますますこういった神奈川の税収が取られていくような環境になるというのが、私は本当に心配でなりません。  その辺、知事の考え方をもう一度お聞きしたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  私は、ふるさと納税というのは画期的な税制だと思っています。税金というのはそもそも国であるとか、地方自治体が皆さんからいただいて、それを配分するという、こういうものでありますけれども、ふるさと納税の主体というのは、納税者にあるわけですね。自分があるものを選択して、それによってそちらにお金を回していくという、こういう制度でありまして、これは私は非常にすばらしい制度だと思っているところであります。  結果的には、神奈川県の場合には、先ほど申し上げましたように、この制度でいきますと、神奈川県は損をしているという状況にはなりますけれども、しかし、これは大きな寄附のあり方そのものの全体の中で考えるべきだというふうに思っているところであります。  その中で、神奈川県も先ほど申し上げましたように、寄附文化というのを根づかせていくために、さまざまな形で寄附を募っておりまして、そちらのほうではどんどん寄附が集まっているということであります。  こういったことについて、これからそれをもっと拡大していきたいという官房長官のお考え、それも理解できるところでありまして、神奈川県としては、そういう特産品をお礼に渡すなどという、そういうことじゃなくて、神奈川県の全体の魅力を高めて、神奈川県はすごいなという中で、みんなで支援していこうという、そういう大きな戦略のもとに、こういった制度を生かしていきたい、そう考えているところであります。  答弁は以上です。〔日浦和明議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 日浦和明君。 ◆日浦和明議員 知事、答弁ありがとうございました。  このふるさと納税の問題は非常に難しいと思いますけれども、ふるさと納税のお礼の品という部分で、また制度が拡大していくと、私は県税収入というものが本当に心配でならないです。  どちらにしても、これからこの制度がどのように進んでいくか、衆議院選挙が終わったら見えてくると思いますけれども、今後、県としてどのようなあり方をするべきか、ぜひとも検討をしていただきたいというふうに思います。  ほかもちょっと要望したかったのですけれども、時間がなくなりましたので、これにて私の質問は終わらせていただきたいと思います。  まことにありがとうございました。 ○副議長(小川久仁子) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小川久仁子) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後5時15分 休憩───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027637-質問・答弁-笠間茂治議員-代表質問①さがみロボット産業特区について②まちづくりに係る諸課題について③地域における医療体制整備や暮らしやすい社会づくりについて④基地対策について⑤地域産業の活性化について》                   午後5時30分 再開  〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共85名 ○副議長(小川久仁子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(小川久仁子) 質問を続行いたします。  笠間茂治君。〔笠間茂治議員登壇〕(拍手) ◆笠間茂治議員 議長のお許しをいただきましたので、私は県政会神奈川県議会議員団の代表として、通告に従い、順次提言を交えながら質問をさせていただきます。  知事におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆さんにおかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。  質問の第1は、さがみロボット産業特区についてであります。  生活支援ロボットの実用化を図り、県民の安全・安心と地域経済の活性化を目指すさがみロボット産業特区では、これまで重点プロジェクトなどの取り組みを通じ、さまざまな企業が進めるロボットの開発を支援してきたことは承知しています。  そうした取り組みを私は高く評価していますが、県内中小企業のロボット産業への参入を進め、関連産業の裾野を広げていくためには、ロボット開発に携わる企業の支援と同時に、これまでかかわりの薄かった企業の参入をもっと促していくことが重要と考えます。  ロボット産業への参入には、新たにロボットを開発する方法と、既存の製品を改良してロボット化を図る方法があります。しかし、ロボットを一から開発するには、開発すべきロボットの市場調査、ロボットを構成するさまざまな技術の集約、実証実験の蓄積、生産体制の構築など、数多くの課題を乗り越える必要があり、中小企業が単独で進めるにはハードルが高いのです。  そこで、私は、これまでの取り組みに加え、既存製品のロボット化という視点でロボット開発を推進していくことを提案したいと思います。中小企業には、企業間のネットワークで得意な分野を補い合って、さまざまな依頼に応じたり、製品を効率よく生産するための治具をみずから開発するなど、問題が見えれば、それをみずから改善、解決する力があると考えます。  そのような中小企業の特徴を生かし、例えば普通の掃除機が自動掃除機へと進化したように、彼らの開発意欲を刺激する具体的なテーマを設定することで、既存製品のロボット化を促すことが効果的であると考えます。  そもそもロボットは、感知、判断、駆動の3要素を組み合わせたものをいうとされています。さまざまな機器にこの3要素を組み込み、人の役に立つロボットを生み出す可能性、アイデアはまさに無限大です。  そうしたロボット化を図るテーマの設定に当たっては、例えばロボットアイデアコンテストを実施して、子供の自由で新鮮なアイデアを集め、それを中小企業がロボット開発に活用するといったことも考えられます。これにより、多くの人にロボットへの興味を持ってもらうと同時に、中小企業がロボットにかかわりやすい環境をつくり、ロボット産業の裾野を広げる効果も期待できます。  私は、既存製品のロボット化というハードルが低いやり方であれば、誰もがロボットメーカーになれる可能性があると考えています。大田区の中小企業を中心に開発された下町ボブスレーのように、さがみロボット産業特区の取り組みを通じ、県内から続々とロボットメーカーが生まれ出ることを期待するものです。  そして、さまざまな製品のロボット化を進めることで、ロボット関連産業の振興や裾野の拡大、関連産業の集積を一段と加速し、将来はさがみの地において、生活支援ロボットを軸とした新たなものづくり産業が創出されるよう、取り組みを進めていただきたいと思います。  そこで、知事に伺います。  既存製品のロボット化を推進するなど、これまでロボットにかかわりの薄かった県内中小企業のロボット産業への参入をさらに促進すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。  質問の第2は、まちづくりに係る諸課題についてであります。  まず、「かながわのみちづくり計画」の推進についてであります。  自動車専用道路を初めとする幹線道路ネットワークは、県民生活の利便性の向上や地域経済の活性化、さらには、災害時における県民の安全・安心の確保にも寄与する重要な社会基盤です。  近年、予算や人員の確保は大変厳しい状況ですが、道路は都市のまちづくりの根幹となるものであり、今後も必要な予算や人員の確保に努め、着実に整備に取り組まなければなりません。  本県では、今年度中にはさがみ縦貫道路の全線開通が予定されています。また、新東名高速道路など、県内の自動車専用道路の開通が順次予定されており、国や高速道路会社が進める自動車専用道路の整備とともに、県は、新たに整備される自動車専用道路への円滑なアクセスを確保するインターチェンジ接続道路の整備や、地域の交流、連携を支える交流幹線道路網の整備を推進しています。  こうした道路の整備は、かながわのみちづくり計画に基づき、計画的に取り組んでいることは承知しています。この計画では、平成28年度までの計画期間内に整備推進や供用などを図る箇所を整備推進箇所と位置づけ、着実に整備を進めています。また、事業化検討箇所として、地元や関係機関と調整しながら事業化に向けた検討、調整を行う箇所を位置づけています。  事業化検討箇所には16カ所が位置づけられており、これらの道路は、産業経済活動の活性化への対応や、観光地へのアクセス性の向上など、地域にとって重要な道路です。16カ所の検討状況には、それぞれ違いがあると思いますが、地元市町と連携を強化し、各箇所の課題に応じた検討を進め、事業化に向けて取り組む必要があります。  そこで、知事に伺います。  かながわのみちづくり計画に位置づけられている事業化検討箇所について、これまでの検討状況と、今後、事業化に向けてどのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、空き家対策についてであります。  総務省が公表した住宅・土地統計調査の速報によりますと、本県において、平成25年には空き家率が過去最高を記録し、私の地元、綾瀬市においても、空き家が非常にふえてきたと実感します。特に昭和40年代に開発された大規模団地では、一斉に入居した同世代が高齢化し、子供が独立して、独居老人もふえているので、今後さらに空き家がふえていくことが懸念されます。  高齢者が多い地域では、高齢者が集まる憩いの場や、高齢者を支援するNPOの拠点なども必要となり、空き家をこのような地域にとって必要な施設として活用することも有効です。そのため、例えば、持ち家に独居老人が住んでいる場合、親族がNPOや不動産店などと、その住宅が活用可能かどうかなどをあらかじめ検討しておくことにより、空き家となることを防ぐといった方法もあります。  さらに、仮に空き家となった場合でも、その土地を活用して、将来に地区レベルの再開発や区画整理の種地とするなど、まさに具体的なまちづくりにつなげていくことも考えられます。  このように空き家問題を地域のまちづくりの問題として捉え、地域の将来を見据えて考えていくといった視点も、今後ますます大切になるのではないでしょうか。  地域の空き家対策については、一義的には市町村が担う必要があることは承知しています。しかし、市町村は、当面、放置された空き家への対症療法的な対応に追われ、なかなか地域のまちづくりといった視点まで広げて空き家対策に取り組むことは難しいのではないかと危惧しています。  また、空き家の活用については、行政よりも民間事業者のほうがアイデアや経験を持っています。そうした団体などからのノウハウを、空き家対策に生かしていくことも大事なことではないかと思っています。  そこで、知事に伺います。  今後、県は、空き家対策について、どのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。  質問の第3は、地域における医療体制整備や、暮らしやすい社会づくりについてであります。  まず、医療の偏在など地域医療をめぐる課題への対応についてであります。  県民が住みなれた地域で健康に生活していくためには、誰もが必要なときに身近な場所で適切な保健医療サービスを受けられることが求められており、県は市町村や医療関係団体と連携し、全県で同様の保健医療サービスを提供できるよう医療提供体制の整備に取り組んでいく必要があると考えます。  救急医療については、県は県内全域において比較的軽症の患者を対象とした初期救急から、重篤・重症患者を対象とした三次救急まで、県民が症状に応じた適切な医療が受けられるよう、総合的な体制の充実を図っていく役割を担っています。  しかし、県内を地域別に見た場合、高度で専門的な医療を提供する救命救急センターを初め、救急医療機関の配置については偏在があり、周産期救急医療や小児救急医療を担う医療機関についても、充実度に差が生じているという課題があります。  また、県内の医師数については年々増加しているものの、産科や小児科などの特定の診療科の医師不足や、地域による偏在が課題となっています。  例えば、私の地元である綾瀬市においては、病院が一つしかないことから、隣接する大和市や海老名市に患者が流出している状況となっており、救急病院も当該病院のみであり、県央地域は県内の二次保健医療圏で唯一救命救急センターが存在しない地域でもあることから、救急搬送は厳しい状況に置かれています。  さらに、県央地域の医師数については、厚生労働省の調査によると、人口10万人当たりの医療施設従事医師数が県内で最も少なく、県内で最も多い地域の半分以下という状況になっており、内科、外科、小児科、産科、婦人科といった主要な診療科においても県の平均を下回っている状況となっています。  県では医療をめぐるさまざまな課題に対応するため、「医療のグランドデザイン」や「保健医療計画」などを策定し、さまざまな事業に取り組んでいますが、まだまだ解決されていない多くの課題が残っていると認識しています。  そこで、知事に伺います。  地域における医療提供体制や診療科による医師の不足や偏在などの諸課題に対して、その解決に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見を伺います。  次に、国民健康保険の都道府県への運営移管についてであります。  国民健康保険は、給与所得者が加入する被用者保険と比べると、高齢者が多く、医療費が高い、所得水準が低い、保険料の負担が重いという構造的な問題があります。国民健康保険は被用者保険と異なり、保険料の事業主負担がなく、また保険料は賦課限度額により頭打ちとなることから、所得の比較的高い層の負担が必ずしも所得に応じたものとなっていません。その分、中間所得者層の負担は重くなって限界に近づきつつあります。  保険料の伸びを抑制するため、市町村は生活習慣病予防などの保健事業や医療費適正化に取り組んでいます。しかし、国民健康保険財政の赤字のため、多額の法定外繰り入れをしている市町村にとって、財源の確保や人材育成は大きな課題であり、今後とも全ての市町村が医療費適正化に十分に取り組めるかどうか、懸念されているところです。  また、医療費は年齢構成や医療提供体制によって市町村間で差があります。それは保険料の市町村間の格差につながっていると思われ、県内の1人当たり年間保険料は、最高と最低では約1.6倍の開きがありますが、こうした医療費の差は市町村の努力だけで解決できるとは思えません。  このような課題を抱える市町村国民健康保険の運営は、社会保障制度改革プログラム法により、平成29年度を目途に、都道府県が財政運営、市町村が保険料の賦課徴収や保健事業を担うこととなりました。具体的な仕組みは国で検討中ですが、移管後には県が責任を持って保険財政の運営に当たり、医療費や保険料負担の伸び方が過度にならないようにしなければなりません。  そのためには、現在のように、市町村に任せたまま保険料や医療費適正化の取り組みに格差がある状態を続けるのではなく、県が指導力を発揮して、保険料を県内で均一化するとともに、全ての市町村が生活習慣病の予防などの健康増進対策に、より一層取り組むことのできる環境をつくるべきであると考えます。  そこで、知事に伺います。  国民健康保険の移管に当たっては、県が指導力を発揮して、市町村が医療費適正化に積極的に取り組めるような仕組みにすべきと考えますが、国が検討している移管後の仕組みについて、県としてどのように考え、国に働きかけていくのか、知事のご所見をお伺いします。  三つ目は、高齢者が生きがいを持って暮らしていける社会についてであります。  本県では、高齢者が急速に増加する中で、県民のおよそ4人に1人が高齢者となる、これまでに経験したことがない超高齢社会を迎えています。急速な高齢化の進展により、介護や支援を必要とする高齢者も増加するが、高齢者の8割以上は元気な高齢者と言われており、実際に、私の周辺を見ましても、多くの高齢者の方々が元気で活躍をされている印象があります。  例えば、私の地元の綾瀬では、グラウンド・ゴルフが盛んに行われておりますが、ほかにも、テニスや野球など、もっと激しいスポーツに取り組んでいる方もおられ、皆さん、とても楽しんで活動されています。  また、絵画や陶芸などの芸術活動にじっくりと取り組んでおられる方や、最近ではデジタルカメラも随分普及していますので、コンテストに応募するなど、写真撮影にとても熱心な方も多くいらっしゃいます。  このほか、市民農園などを見ましても、毎日通われ、農家の方に教わりながら工夫をして、かなり本格的に野菜づくりをされている方など、多様なライフスタイルを実践されている方がふえています。  このように高齢者が元気で生きがいを持って暮らしていける社会としていくことは、大変重要なことと考えます。県では、健康寿命を延ばし、高齢者になっても誰もが生き生きと健康に暮らし、長生きして幸せだったという社会を実現するため、今年1月、未病を治すかながわ宣言を行い、食、運動、社会参加という三つの視点から取り組みを進めています。  元気な高齢者が増加する中、健康寿命日本一に向けて、健康増進に視点を置いた取り組みはもちろん重要ですが、あわせて、社会参加、それから生きがいづくりにも、より目を向けていく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  超高齢社会を迎える中、高齢者が生きがいを持ち、社会参加しながら暮らしていける社会としていくために、どのように考え、取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第4は、基地対策についてであります。  まず、厚木基地に関する取り組みについてであります。  厚木基地については、空母艦載機の移駐による騒音問題の解決が最も重要な課題ではありますが、平成25年1月に、移駐が3年程度遅延し、平成29年ごろになるとの見込みが国から示されています。厚木基地周辺の騒音被害を考えますと、移駐のこれ以上の遅延は許されず、一刻も早い実現が必要です。  同時に、厚木基地の地元では、米空母艦載機が移駐した後の厚木基地の姿について高い関心があり、これに応えていかなければならないと考えます。具体的には、移駐後、米軍による基地使用はどうなっていくのか、また騒音はどう変化し、国の騒音対策事業はどうなっていくのかという点について情報を収集し、地元住民に提供していく必要があります。  また、厚木基地の将来について、騒音問題だけでなく、基地周辺の状況にも目配りをしていくことが大切です。一例を挙げますと、基地の周辺では、騒音対策事業の一環として土地所有者の申し出により、国による土地の買い入れが行われており、現在、国有地の中には、フェンスで囲まれ、利活用されていない土地もあります。こうした基地周辺の状況についても、まちづくりという観点から、将来像を示していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  厚木基地に関して、空母艦載機移駐の早期実現に取り組むことはもとより、移駐後の厚木基地の姿も見据え、しっかりと情報を収集するとともに、将来像を示していく必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、これからの基地対策についてであります。  神奈川県内の基地に関しては、本年6月に深谷通信所が返還され、また、9月には相模総合補給廠の一部も返還が実現しました。今後も上瀬谷通信施設が来年6月末までを目途に返還手続に入ることが合意され、キャンプ座間については、座間市域での病院建設に向けた準備が進められるなど、一部返還に向けた手続が進んでいます。  一方で、これまで計画されていたこれらの基地返還が一段落することにより、将来的には、これまでのように基地が返ってこなくなるのではないかと推測されます。また、特に最近、我が国周辺の安全保障環境は厳しさを増しており、日米両国政府は日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの改訂に向けた協議や日米共同訓練の実施など、防衛体制や抑止力の強化に向けた取り組みを進めています。  日米安全保障条約に基づく在日米軍の抑止力の重要性は言うまでもありませんが、こうした国際情勢の影響等により、基地の返還が遠のき、さらには地元の基地負担もふえていくのではないかと危惧しています。  こうした情勢のもとでも、基地の返還を進めるとともに、返還されるまでの間は、地元の基地負担を軽減させるための取り組みが必要だと考えます。また、基地負担の軽減については、地元自治体との共同使用や基地との交流の一層の促進など、日米両国政府が進めている安全保障政策と両立するような基地負担軽減策を打ち出していくことが、広域自治体としての県に求められています。  そこで、知事に伺います。  我が国周辺の安全保障環境が厳しさを増し、日米の防衛協力がより一層進められようとしている中で、県として、基地の返還や基地負担軽減策をどのように進めていくのか、知事のご所見を伺います。  質問の第5は、地域産業の活性化についてであります。  まず、地域商業の活性化に向けた取り組みについてであります。  近年、大型店のスーパーや家電量販店、コンビニやドラッグストア等々、チェーン店等の進出がふえ、小売店が厳しい状況です。例えば、ドラッグストアは食料品も売っているし、スーパーでは衣料品も売っています。これでは小売店は閉店せざるを得ません。  特に、県央地区は厳しいと感じています。近くの商店街は、空き店舗が目立ち、地元に店がないので、職場近くや駅周辺で買い物をして、地元で買わなくなってしまっています。小売店は、対面販売が魅力で、店主も地元の人というのが本来の姿ではないでしょうか。大型資本の店ばかりになると、地域とのつながりがなくなり、まちとしてもコミュニケーションがなくなり、寂しさを感じています。  県が出前講座やアドバイザー派遣など、さまざまなメニューで商店街のにぎわいづくりを支援しているのは承知していますが、小売店そのものがなくなってしまった商業の空白地域はどうしたらいいのでしょうか。消費者、特に高齢者にとっては毎日の生活が不自由なだけでなく、地域からにぎわいが失われ、商業者も育ってきません。このため、地域の中には、商店街が住宅街で出張販売を行ったり、団地で青空市場を開催することなどに取り組んでいる例もあります。  しかしながら、地域商業の活性化を図るためには、小売店がない地域に商業を呼び込み、育てていくようなモデルを、行政や関係機関がかかわって生み出していくことが必要です。特に、野菜や魚といった生鮮食品を扱う店舗は地域商業のかなめであり、こうした店舗を地域で支えていくべきと考えます。  例えば、出店の第一歩として、朝市やイベント等に若手商業者に出店してもらい、何度か出店するうちに常連客がふえ、自立していけるめどが立てば、空き店舗を紹介して地域に定着できるような取り組みは若手商業者の育成にもつながります。  無論、こうした取り組みは地域のニーズをよく聞きながら進めていく必要がありますので、市町村や商工団体と連携を深めていくことが重要ですので、市町村等の広報紙への掲載や、公民館などの公共施設や公園の利用許可など、行政がより積極的に支援することで、より大きな効果が期待できます。  そこで、知事に伺います。  地域商業を活性化するため、県としてどのように取り組んでいくのか、知事のご所見を伺います。  次に、企業的な農業経営体の育成についてであります。  本県は、決して広くない県土に900万人を超える県民が生活し、都市化が非常に進んでいます。こうした中、平成25年の本県の農地面積は2万ヘクタールで全国45位、県土面積に占める農地面積の割合は8.3%と全国34位にとどまっており、狭隘で点在する農地を基盤にせざるを得ない本県農業は不利な条件下にあります。  そうした状況にあっても、本県の農業者は、高い技術力を生かし、収益性の高い都市農業を展開しています。平成24年の野菜の生産量は約28万トンで、これは県民260万人分の年間消費量に相当しています。また、梨など果実は61万人分、牛乳は136万人分、豚肉は57万人分もの生産量を確保しており、新鮮で安全・安心な食料を県民に供給する上で、大変大きな役割を果たしています。  しかしながら、本県においても農業の担い手の高齢化や減少は深刻化しており、農業就業人口は平成12年の4万2,904人から、平成22年には2万8,331人と、10年で34%と大幅に減少している状況にあります。それゆえ、近い将来、県民に十分な生鮮食料の供給ができなくなってしまうのではないかと危惧しているところであります。  このような状況の中、将来にわたって安定的な農業生産を確保していくためには、何よりも収益性の高い農業、言いかえれば、もうかる農業を展開していくことが重要であり、意欲、能力のある農業者を企業的な農業経営体に育成したり、企業等の農業参入を積極的に促していくことが必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  将来にわたって収益性の高い都市農業を推進するため、企業的な農業経営体の育成等について、県として、どのように取り組んでいこうと考えているのか、知事のご所見を伺います。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 笠間議員のご質問に順次お答えしてまいります。  まず、さがみロボット産業特区についてです。  さがみロボット産業特区では、今後成長が期待されるロボット産業に、より多くの中小企業等が参入できるよう、さまざまな取り組みを進めてきました。その一つが、神奈川版オープンイノベーションであり、現在、147社が参加しています。  ここでは、それぞれの企業が自身のすぐれた技術を持ち寄り、外部の技術専門家のコーディネートを受けながら、共同開発を目指しています。既に5件の共同プロジェクトが立ち上がり、うち2件は実証にたどり着くなど、一からの研究開発に比べ、スピード面、コスト面で大きな効果があらわれ始めています。  こうしたロボット開発に加え、今回、既存製品のロボット化というご提案をいただきました。例えば、畑の雑草を抜き取る除草機にセンサーや判断機能をつけることで、農作物を避けながら、全自動で雑草や小石を取り除く自動除草機への展開などが考えられます。  このように開発済みの製品とセンサーやICTといった技術を組み合わせ、コストを抑えながら機能を強化できる点には大きな魅力を感じます。また、これまでロボット産業を遠い存在と感じていた企業に、身近で手が届くものと実感していただくきっかけにもなると考えます。  そこで、今後、さがみロボット産業特区では、産業技術センターを中心に、既存製品のロボット化を支援してまいります。  具体的には、ロボット化を目指す中小企業も気軽に神奈川版オープンイノベーションに参加できるよう、商工会や商工会議所を通じて積極的に呼びかけていきます。そして、最適な技術を持つ他の企業とのマッチングを進め、既存製品のロボット化の成功例を生み出していきます。  こうした実績を積み重ねることで、より多くの県内中小企業が安心してロボット産業に参入し、成長による恩恵が得られるよう、引き続き精力的に取り組んでまいります。  次に、まちづくりに係る諸課題についてお尋ねがありました。  まず、「かながわのみちづくり計画」の推進についてです。  県は厳しい財政状況のもと、選択と集中を図り、効率的で効果的な道路整備を進めるため、平成19年にかながわのみちづくり計画を策定しました。現在は、平成24年に改定した計画に基づき、引き続き、着実に道路整備を進めています。  この計画では、平成28年度までを計画期間とし、77カ所の整備を推進することにしています。あわせて、整備の効果は高いものの、事業費が膨大なことや、地域の理解が得られないことなど、課題の解決に時間を要する16カ所を事業化検討箇所としています。  この事業化検討箇所については、箇所ごとに課題が異なるので、県は地域の実情を把握している地元市町と検討する場を設けるなど、課題の解決に努めてきました。その結果、関係機関や地元との調整が整った大井町の金子開成和田河原線など2カ所を事業化しました。  残る14カ所についてはいまだ課題が多く、現時点では事業化に結びついていませんが、この中でも広域的な幹線道路ネットワークとして重要な箇所については、早期の事業化を図るべきと考えています。このため、県はこうした箇所を中心に、地元市町とより一層連携を強化し、重点的に検討を深め、計画期間である平成28年度までの事業化に向けてしっかりと取り組んでまいります。  次に、空き家対策についてお尋ねがありました。  本県の空き家は平成25年の住宅・土地統計調査によると約49万戸で、5年前に比べて約6万戸ふえています。また、平成22年の国勢調査では、持ち家に住む75歳以上の単身世帯が約10万世帯あり、将来的には空き家の増加につながることが見込まれます。  放置された空き家の増加は、防犯や衛生、景観上の問題など、地域全体にさまざまな悪影響を及ぼすことが懸念されます。こうした空き家の適正管理については、県としても、市町村に放置空き家対策の情報を提供するなど、適切に取り組んでいるところです。  一方、このように空き家を負の遺産として捉えるだけでなく、逆転の発想に立って、地域のまちづくりの資源として活用していくことも重要です。そこで、県では、例えば横浜市栄区で空き家を交流サロンとしてまちづくりに活用している先進事例などの情報を収集してきました。また、そうした具体的な事例を題材とした講座を開催し、まちづくりの担い手を養成しています。  今後は、このような事例を掲載したハンドブックを作成し、市町村のまちづくりに活用していただくよう情報提供していきます。  さらに、空き家を除去した後の土地を集約し、公園にするなど、将来のまちづくりに活用する方策についても、市町村とともに研究していきます。  県は、こうした取り組みを通じて、地域のまちづくりにもつながるような空き家対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、地域における医療体制整備や暮らしやすい社会づくりについて、何点かお尋ねがありました。  まず、医療の偏在など、地域医療をめぐる課題への対応についてです。  医療を取り巻く地域の課題に対し、県はこれまで「保健医療計画」や「地域医療再生計画」を策定し、総合的な取り組みを進めてきました。具体的には、救急医療や周産期医療の充実に向けた取り組みや、医師を初めとする医療従事者の確保対策などの課題に対応する事業を実施してきました。  しかし、救命救急センターの設置や診療科別の医師の配置数などを見た場合、二次医療圏ごとにその充実度に偏りがあることから、今後、一層地域の実情に応じた取り組みを推進する必要があると認識しています。  そこで、医療介護総合確保推進法に基づく新たな財政支援を活用し、医療従事者を確保するための事業等を実施する経費を、今定例会に補正予算として提案したところです。また、地域で不足している医師の確保については、医師の地域偏在解消に取り組むコントロールタワーとしての地域医療支援センターを来年度設置できるよう、このたび検討を開始しました。  さらに、来年度は団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据え、今後、地域ごとに必要となる医療を推計し、適切な医療提供体制を構築するため、地域医療ビジョンを策定することとしています。この地域医療ビジョンは、地域ごとに目指すべき医療提供体制と、これを実現するための施策を具体的に示し、平成28年度から事業に着手する予定です。  こうした新たな財政支援の活用や地域医療支援センターの設置、そして地域医療ビジョンの策定等を通じて、県内の各地域で必要とされる医療提供体制の実現や医療人材の確保に向け、県医師会や県内の医科大学等と連携して、着実に取り組みを進めてまいります。  次に、国民健康保険の都道府県への運営移管についてです。  将来にわたり、国民健康保険、いわゆる国保制度を維持していくためには、医療費や保険料の増大を抑えることが重要です。そのためには、高齢になっても健康でいられるよう、健康寿命を延ばす取り組みが大切です。  国保の移管に向けた国と地方との協議でも、中間整理で、医療費適正化と保険料に関する方向性が示されています。具体的には、県が市町村ごとの医療費をもとに、市町村から納めていただく納付金を示し、市町村はこの納付金に基づき、住民の保険料率を定めるというものです。  この仕組みは、医療費の伸びを抑えられれば、納付金の額に反映され、住民の保険料負担が軽減されることになるため、市町村が医療費適正化に積極的に取り組むインセンティブが働くとされています。その結果、市町村ごとの医療費や保険料の格差の解消が進むとされています。  しかし、この仕組みだけで医療費の伸びや保険料の増大を抑え、格差の解消が図れるということには疑問があります。具体には、加入者の年齢層が高くなることで、医療費の負担が増していくことは、市町村の努力では解消しきれないことです。また、市町村が医療費適正化に取り組み、医療費を削減できても、その分、国からの負担金が減らされてしまい、インセンティブが働かないといった課題もあります。  そこで、国保の移管に当たっては、必要な財源の確保とともに、市町村や県が医療費適正化に取り組めば、それを財政的に評価するような仕組みを構築するよう、引き続き国に働きかけてまいります。  その上で、県としても、生活習慣病を改善するための保健指導のモデル事業や、未病を治すなど健康寿命を延ばす取り組みを積極的に進め、市町村を支援してまいります。  次に、高齢者が生きがいを持って暮らしていける社会についてです。  高齢者が健康で生きがいを持って暮らすことは、健康寿命を延ばすことにもつながり、大変重要であります。そのため、県では、高齢者の日ごろのスポーツや文化活動の成果を発表する場として、平成17年度以来、ゆめかながわシニアフェスタを開催してきました。このうち、スポーツ大会では、平成26年度は16種目で約3,000人の参加が見込まれ、美術展では5部門で424点の応募がありました。今後、全ての団塊の世代の人々が高齢者となることから、これまで以上に種目を拡充し、参加の機会を提供する必要があります。  県では、昨年、全国健康福祉祭、愛称ねんりんピックの本県開催を誘致した結果、2021年度の開催が決定しました。ゆめかながわシニアフェスタはねんりんピックの出場選手の選考も兼ねていますので、ねんりんピック開催に向けて、より魅力的な開催内容となるよう種目の充実、拡充などに取り組んでまいります。  こうしたスポーツや文化活動を通じて社会参加をすることが生きがいになります。また、高齢者がこれまでの社会生活で得た経験や知識、専門性を活用することが、社会へ大きく貢献するものと考えます。超高齢社会が進展する中、高齢者になっても生き生きと健康に暮らし、長生きして幸せだったという社会を実現するため、今後も県民の皆さんの健康増進や生きがいづくりへの機運を盛り上げ、取り組みを進めてまいります。  次に、基地対策についてお尋ねがありました。  まず、厚木基地に関する取り組みについてです。  厚木基地の空母艦載機については、平成18年の在日米軍再編協議で岩国基地へ26年までに移駐を完了すると合意して以来、本県としては、騒音問題の抜本的解決策になるものと期待し、その着実な実現を繰り返し求めてきました。  ところが、移駐期限が迫った25年1月、突如、移駐の延期について国から説明がありました。私は、地元にしっかりと情報提供が出される新たな枠組みが必要であると痛切に感じ、地元市とともに、国へその設置を強く働きかけました。その結果、25年5月に厚木飛行場からの空母艦載機の移駐等に関する協議会が設置され、現在は、この協議会を通じて、岩国基地における施設整備状況などの情報が国から受けられるようになりました。  県としては、これ以上、移駐が遅延しないよう、引き続き移駐等協議会を通じて進捗状況をしっかりと確認するとともに、自治体や地元県議会議員等で構成する厚木基地騒音対策協議会を通じて、一日も早い移駐の実現を求めてまいります。  また、県や地元市としては、厚木基地周辺地の将来像を描くためにも、移駐後の基地がどのように使用されるのか、騒音等がどのような状況になるのか知る必要があります。しかしながら、この点に関して、現時点では国から明確な回答が得られていません。  29年ごろとされる移駐時期も徐々に近づいていますので、早期の情報収集に努めるとともに、地元市と連携して、厚木基地の将来に向けて必要となる対策を検討し、国に対応を求めていかなければならないと考えています。  特に議員お話しの基地周辺に点在する国有地については、現在、地元市が適正な維持管理等を国に要請していますので、今後、地元市の意向に沿った利活用が図られるよう、県としても国に働きかけてまいります。  次に、これからの基地対策についてです。  これまで本県では、基地の整理、縮小、早期返還を進めるに当たり、遊休化している基地、住民福祉・都市整備のための公共施設用地として緊急に必要とする基地、周辺住民に多大な障害を与えている基地について、特に重点的に返還を求めるということを基本としてまいりました。  米軍基地については、時とともにその使用状況が変化してきており、現在、安全保障環境が厳しさを増し、新たな日米の安全保障協議が進められている中で、どのような変化が起きるのか、注視していく必要があります。  県としては、地元市とともに、それぞれの基地の使用状況についてしっかりと情報収集し、これまでの基本にのっとって、まずは遊休化する土地や施設を的確に把握し、地元市の意向や利用計画にも配慮しながら、返還を働きかけていきます。  また、基地が返還されるまでの間の負担軽減策として、米軍と地元自治体との基地の共同使用は有効な方策だと考えます。例えば、来年2月、逗子市では池子住宅地区の一部を共同使用して、自然公園を開園する予定となっており、市民からは歓迎されています。他の基地についても、基地負担の軽減に向けた共同使用の活用について、地元市から意向が示されれば、その実現に向けて国へ働きかけを行ってまいります。  次に、地域産業の活性化についてお尋ねがありました。  まず、地域商業の活性化に向けた取り組みについてです。  地域の小売店は、住民の日々の生活を支える大切な存在です。しかしながら、経済社会環境の変化に伴い、小売店は年々減少しているため、今後は地域みずからが意欲ある商業者を呼び込み、育成していくことが大変重要であります。  一方、商業者が新たに店舗を構えることは、買い物客のニーズの把握や場所の確保、資金の調達などの課題もあり、ハードルが高いのが実情です。こうした中、議員からご提案いただいた、まずは地域の朝市などに出店するという手法は、新たな商業者を呼び込む上で大変効果的であると考えています。  例えば、大磯町で毎月開催されている大磯市は、町外からも多くの方が出店しており、商業者が買い物客の反応を直接感じる場として活用されています。そして、開業を志す方には、地元商工会が空き店舗の紹介を行うなど、新規出店を応援しています。この取り組みにより、既に多くの方が町で実際に開業し、大きな成果を上げています。  そこで、県としても、朝市が新規開業のきっかけとなるよう、その開催を支援していきます。具体的には、まず、朝市に対する地域のニーズを把握するため、市町村や商工団体等から情報収集を行います。また、朝市の仕組みに精通し、県内各地で朝市をサポートしている、かながわ朝市ネットワークと連携して、商業者に対し朝市への出店を働きかけていきます。その上で、地域のニーズと出店希望者を結びつけ、朝市への出店を実現するとともに、成功事例を県のホームページ等で広く発信し、朝市の開催を後押ししていきます。  こうした取り組みを通じて、市町村や商工団体等と一体となって、意欲ある商業者を支援し、地域商業の活性化を図ってまいります。  最後に、企業的な農業経営体の育成等についてお尋ねがありました。  企業的な農業経営体の増加や、企業等の農業参入の進展は、経営の継続性や合理性を高め、資金導入力が増して規模拡大が容易になるなどの効果があります。そこで、県としても積極的な取り組みを進めているところです。  まず、企業的な農業経営体の育成についてです。  農業技術センターでは、毎年度、法人化の意欲を持ち、一定の経営規模や技術を持った農業者を10名程度選定し、法人化に向けた支援を実施しています。具体的には、まず、法人化に向けた所得目標や、生産拡大方策などを経営計画として策定することを普及指導員が支援します。さらに、販路の開拓や雇用労働者の安定確保などの課題を解決するため、中小企業診断士や社会保険労務士などの外部専門家がアドバイスを行い、年間農作物販売額2,000万円以上を目指す企業的農業経営体の育成を図っています。  次に、企業等の農業参入についてです。  かながわ農業アカデミーが実施している就農支援ワンストップサービスでは、県内で農業参入を希望する企業やNPO法人等に対し、生産販売計画の策定や農地の確保など、参入に必要なさまざまな支援を行っています。  このサービスを利用して参入した企業等の中には、周囲の農業者から信用を得て農地を預かり、経営規模を拡大している例も含まれています。今月16日には、そうした成功事例を広め、さらに多くの企業等の参入を促すためのセミナーを開催します。  県では、本年9月から農地の貸借を円滑にするための農地中間管理事業も開始していますので、この制度も活用しながら、農業者や企業のニーズに応じたきめ細かな支援を行い、県内農業の推進役となる農業経営体の育成を進めてまいります。  答弁は以上です。〔笠間茂治議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 笠間茂治君。
    ◆笠間茂治議員 自席からの発言をお許し願いたいと思います。  知事におかれましては、大変丁重なるご答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。  私といたしましては、今、ご答弁の中で、大変大筋よく理解ができました。しかし、2点だけ要望をさせていただきたいと思います。  まず、1点目は「かながわのみちづくり計画」、これの推進についてでありますけれども、特にその中の事業化検討箇所の問題でございまして、事業化検討箇所の中でも、広域的に重要な箇所については、目標を持ってしっかりと取り組んでいくというような状況で進められていると、これについては評価をいたしますけれども、特に広域化の中でも、私の地元、綾瀬で今進めている都市計画道路寺尾上土棚線という、42号線のバイパスですけれども、これを重要な箇所と捉えて、3市の勉強会が開かれておりますけれども、ぜひ29年度の東名のインターチェンジの供用までの間に、できれば28年度中に事業化を決定していただいて進めていただくよう、何とかお願いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  もう一つは、今ご答弁いただきましたけれども、本県での担い手育成、特に農業の担い手育成、喫緊の課題ということでございまして、これをするには、やはりもうかる農業、今答弁にもありましたけれども、できれば農業の拡大ができる意欲的な農家にそういった場を提供できるような支援をしながら拡大を図っていただき、さらには企業的な農業会社も設立をできればしていただいて、そうすれば、多くの方々が雇用の場として新たに農業に参入できるのではないかということもありますし、当然、後継者の方はその経営者として積極的にこれから跡を継いでいけるのではないかということですので、この最後の企業化に向けての支援ということについては、広い視野でぜひ捉えて進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。 △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027638-質問・答弁-飯田満議員-代表質問①人口減少社会に向けた対応について②行政改革の取組について③次世代自動車の普及促進について④箱根山の火山災害対策について⑤教育委員会制度について⑥スポーツ行政の所管組織の一元化について》 〔飯田 満議員発言の許可を求む〕 ○副議長(小川久仁子) 飯田満君。〔飯田 満議員登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕 ◆飯田満議員 議長のお許しをいただきましたので、維新の党神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。  知事並びに教育長におかれましては、明快かつ前向きな答弁をよろしくお願いをいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いをいたします。  質問の第1は、人口減少社会に向けた対応についてであります。  今年7月、内閣官房にまち・ひと・しごと創生本部設立準備室が発足され、政府内に人口減少に対する危機意識の高まりが一気に加速することとなり、第2次安倍改造内閣の発足と同時に、安倍首相を本部長としたまち・ひと・しごと創生本部、いわゆる地方創生本部が設立しています。  これまでも人口減少に関連した政府水準での公表については、経済財政諮問会議において、50年後に人口1億人台維持とした人口指標が示されたのみで、地方創生本部の設置は、政府内における人口減少問題に対する本気の危機意識のあらわれと受けとめております。  政府が閣僚ポストの設置や法案提出など、本腰を入れて人口減少問題に動き出したのは、本年5月、政府提言機関、日本創成会議の人口減少問題検討分科会が独自の将来推計人口をもとに算出した消滅可能性都市、いわゆる増田リストが公表されてからであります。  この増田リストでは、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計をもとに、このまま人口減少問題を放置すれば、主として、2010年に1億2,806万人だった人口が、2050年には8,708万人、2100年には4,959万人と90年の間で現在の約40%、明治時代ごろの水準にまで人口が急減するとされ、特に、2010年から2040年にかけて、20歳から39歳の若年女性人口が5割以上減少する市区町村は896カ所で全体の49.8%に達し、そのうち、2040年で1万人を切る市町村は523カ所で、全体の29.1%に上るとされています。  同時に、日本創成会議の公表によれば、神奈川県内の三浦市、二宮町、大井町、湯河原町の4市町では若年女性の流出が続き、仮に出生率が上がっても、将来的な人口減少に歯どめがきかず、消滅の可能性がある自治体とされ、また、松田町、山北町、箱根町、真鶴町、清川村の五つの町村では、2040年時点で人口が1万人を割り、消滅の可能性がさらに高い自治体とされています。  政府のまち・ひと・しごと創生本部が11月に示した長期ビジョン骨子案では、合計特殊出生率1.8程度を、2060年に人口1億人を維持するための目指すべき水準としています。また、9月末現在、全国自治体では、北海道、沖縄など17道県で出生率、京都、兵庫など7府県で出生数の数値化した目標設定がされ、徳島県、三重県では今年度中に数値目標を設定するとしています。  一方、厚生労働省発表の平成25年人口動態統計によれば、本県の出生率は1.31と全国44番目の低さとなっており、これまで本県では、出生率や出生数の目標設定はされていないと承知いたします。  また、2010年の国勢調査を踏まえた本県の新たな人口推計の総人口は、転入者数の減少などの理由により、前回の推計から1年前倒しとなる2018年の913万4,000人をピークに、その後2040年には858万2,000人、2060年には759万7,000人に減少していくことが見込まれております。  このように本県においても人口減少問題は極めて重要な課題であり、次世代に責任を負う世代としても、出生率や出生数の目標を設定した上で、今から人口減少に歯どめをかける施策展開が必要であると考えています。  そこで、知事に伺います。  これまでに経験のない少子・高齢化社会を迎え、近い将来、人口減少社会へと突入する本県として、人口をどの時期にどの水準で維持していく考えなのか伺います。また、出生率や出生数などの目標を設定するべきと考えますが、あわせてご所見を伺います。  質問の第2は、行政改革の取り組みについてであります。  先日、安倍総理大臣は、先月発表された7月から9月期の実質GDP速報値が年率換算で1.6%減となり、景気回復のおくれが鮮明となったことなどを踏まえ、来年10月からの消費税率10%への引き上げを1年半先送り、平成29年4月に実施する方針を示し、その判断については国民に信を問うとし、衆議院を解散しました。  この消費税率10%への引き上げについては、我が党は今後の社会保障経費の増大等に応じて、いずれ消費増税が必要となり得ることを否定はしないが、増税の前にやるべきことがあると、かねてより申し上げてまいりました。  先月、国において、維新の党、みんなの党及び生活の党の3党は、消費税率を10%に引き上げる前提条件として、国会議員の定数の削減や歳費の削減、国家公務員の給与削減などの措置を講ずることとし、その上で、賃金上昇率や完全失業率も確認して、引き上げの実施を検討するものとした消費増税凍結法案を共同で国会に提出したところであります。  さて、このような消費税増税に対する国の動きがある中で、本県の財政状況に目を向けてみると、来年度予算編成において、現時点では既に約550億円の財源不足が見込まれている上に、急速に進展する少子・高齢化に伴う介護・措置・医療関係費等の大幅な増加や、公共施設の老朽化対策にも多額の費用が生じることが避けられないなど、今後の財政運営はより一層厳しさを増していくことが予想されております。  本県の厳しい財政状況の中で、消費税の一部が県の貴重な財源であることは承知をしている一方で、将来の消費税率引き上げによるさらなる負担に対する県民の理解を得るためには、本県としては、財源不足の穴埋めを消費増税だけに期待するのではなく、今後も積極的に行政改革に取り組んでいく姿勢を示していくことが必要不可欠であると考えます。  とりわけ、さきに行われた緊急財政対策の取り組みのうち、中長期的課題については行政改革推進本部に引き継ぎ、取り組むこととなっていますが、これらの課題解決に向け、県有施設や補助金の見直しなどを、今後も継続的に進めていくことが何より重要であります。  また、そのためには、緊急財政対策本部が本年3月に解散し、一区切りしたところではありますが、行政改革への取り組みに緩みが生じるようなことは決してあってはならないと考えます。  そこで、知事に伺います。  緊急財政対策本部が解散した本年3月以降、行政改革にどのように取り組んできたのか伺います。また、今後の行政改革への取組姿勢について、知事のご所見をあわせて伺います。  質問の第3は、次世代自動車の普及促進についてであります。  小資源国家である我が国のエネルギーの源は、その多くを海外からの輸入に頼らざるを得ない状況であります。東日本大震災の甚大な被害とその影響により電源の喪失、東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生によって原発が停止した結果、化石燃料への依存度は高く、震災前の6割から9割に急増するとともに、電気料金の高騰、エネルギーコストの増加など生活環境にも影響を及ぼし、貿易収支も2013年には過去最高の約11兆5,000円の貿易赤字となり、経済にも大きな影響を与える結果となってしまっております。  我が国のエネルギー政策は、長期的、総合的かつ計画的な視点で、エネルギー政策の遂行を確保する必要があるとされ、2002年にエネルギー政策基本法が制定され、総合資源エネルギー調査会の意見を聞きながら基本計画を策定、見直し、変更を重ね、本年4月に第4次基本計画の中で、安定供給と地球温暖化対策に貢献する水素等の新たな二次エネルギー構造への変革として、初めて水素社会の実現への取り組みが計画に盛り込まれたことは、まさに水素元年として、水素社会を加速させる準備が整いつつあると考えます。  一方、本県では、本年4月に、新しいエネルギー体系を具体にした計画「スマートエネルギー計画」を策定し、再生可能エネルギー等の導入加速化や安定した分散型電源の導入拡大など、五つの基本政策に従って施策を展開しているところであります。  計画では、2030年には県内に年間電力消費量、対2010年比で15%削減し、その年間電力消費量に対する分散型電源による発電量の割合を45%にする目標が示されております。  これまで推進してきたソーラーパネルの設置については、重量等の課題が示され、知事は、その課題解消として軽量かつフィルム状で壁面に設置できる薄膜太陽電池を全面的にサポートするとし、太陽光をエネルギー源としたソーラーパネルに対し、今後も県が補助することで普及につなげたいとしております。  同時に、スマートエネルギー計画では、安定した分散型電源の導入拡大に向けた取り組みとして、水素エネルギーの導入を掲げています。2017年度までに、ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する家庭用燃料電池エネファームを4万2,000台導入することを目標としていますが、既に普及が始まっており、また究極のエコカーとして、今月15日から市場販売が開始される燃料電池自動車についても、県は公用車としていち早く導入するなど、水素という二次エネルギーに対し、今後の初期普及への取り組みに期待が集まるところと理解いたします。  また一方で、本県は前知事時代から、電気自動車の普及促進や急速充電器設置等の社会インフラに補助金を投入するなど、民間企業の協力を求めながら、県行政の重要施策として取り組みを実施してまいりました。電気自動車の普及や関連インフラ整備等にこれまで約10億円の公費を投入し、普及を支え、一定の役割を果たしてきたことは評価をしているところであります。  水素という新たなクリーンエネルギーの出現、実用化によって、世論の高まりや行政の政策的取り組みが開始されることは理解いたしますが、燃料電池自動車の普及に当たっては、電気自動車の普及に向けた取り組みを参考にするべきと考えます。  そのため、まずは本県として、電気自動車の普及に向けた取り組みの政策効果をしっかり検証した上で、燃料電池自動車の普及に向けた取り組みに生かすことが必要と考えます。  そこで、知事にお伺いします。  これまでの電気自動車の普及の取り組みについて、政策効果の検証と評価についてご所見を伺います。また、電気自動車の普及に引き続き取り組むことも、次世代自動車全体の普及を考えた場合に重要と考えますが、燃料電池自動車との優先順位をどのように考えているのか、あわせてご所見を伺います。  質問の第4は、箱根山の火山災害対策についてであります。  戦後最悪の火山災害となった御嶽山の水蒸気噴火の発生から2カ月余が経過しました。死者57名、そして、自衛隊など延べ1万5,000人以上が投入され、行方不明者の捜索が行われてきましたが、今なお6名の方が行方不明のまま、捜索活動が一旦打ち切られたことは、行方不明となっている方、ご家族、関係者の方々の心中を察するに、痛恨のきわみであります。改めて、お亡くなりになられた方々に対し、哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。  この御嶽山噴火による火山災害は、我々に何を教えているのか。火山噴火は予兆なく発生するものだ、どんなに風光明媚な観光地でも活火山の上に安全神話などない、自然と共存するからには安全対策は万全にしろ、御嶽山噴火の報道を見聞きするたびに、その教訓を生かせという強いメッセージが心に突き刺さってまいります。  本県にある箱根山は、県内唯一の活火山です。観光地としての箱根は、国内はもとより海外からの来県者を含めると年間約2,000万人もの観光客でにぎわいを見せ、正月の風物詩となっている東京箱根間往復大学駅伝、通称箱根駅伝は、箱根の芦ノ湖を終起点とした人気のレースとして多くのファンを魅了し、また、江戸時代には東海道を監視するために箱根に関所が設けられ、その関の東側が関東と呼ばれたことでも知られています。  しかし、老若男女、国内外の人々から愛される箱根山は、歴史をひもとくと火山噴火を繰り返し、現在の箱根山の形状に至っていることは言うまでもありません。日本列島の東側に位置する太平洋プレートが沈み込むことでマグマを発生させ、おおむね1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山を気象庁は活火山と定義づけ、現在では110の活火山が我が国にあり、世界の活火山の約7%を占めています。  箱根山は、今から約40万年前に火山活動を始めた活火山としても知られ、これまでに最も大きな噴火は約6万5,000年前、浅間山や屏風山などの外輪山で火山活動が始まり、噴火によって噴出した軽石は約60キロメートル離れた横浜市南西部にまで達したことがわかっています。  また、箱根山の最後の噴火は、裏づけとなる歴史的な記録は存在しないとしつつも、12世紀後半から13世紀ごろ、今から約700年から800年前の鎌倉時代に起きたことが推定されるとしています。  現在の箱根山は、温泉地学研究所の観測によれば、2001年には、大湧谷で体に揺れを感じる地震が30回、体に感じない地震を含めると約4,000回を超える群発地震が発生しました。また、2013年にも大湧谷で体に揺れを感じる地震が9回、体に感じない地震を含めると約2,000回の群発地震が発生しています。  また、GPSによる地殻変動調査では、基線長の小田原から裾野間で、2001年から2013年の群発地震の影響と考えられる地殻変動はおよそ10センチとされ、活火山においては、こうした詳細な観測状況を注視していく必要性があると考えます。  今年9月27日に水蒸気噴火した御嶽山について、噴火の予測におけるさまざまな議論があることは承知していますが、活火山噴火を予兆する火山性地震など、決定的な噴火の判断は難しいとされています。  現在、箱根町や周辺自治体、神奈川県、横浜地方気象台、警察、防衛省などで組織する箱根火山防災協議会が設置され、今後、噴火を想定した避難計画を策定するとしています。噴火という有事における観光客や登山客の安全対策についての重要性は、私も同じ認識であります。また一方で、観光や行楽地として気軽に訪れる箱根山は活火山であり、突発的な噴火も起こり得る可能性があることを、観光客や登山客などに知っていただくことも重要であると考えます。  そこで、知事にお伺いします。  マグネット神奈川と題して、箱根の観光名所に国内外の観光客を集客している本県として、箱根山が火山であることについての周知が十分とは言えない状況にあると感じています。箱根への来訪者に対する周知についての見解をお伺いします。  質問の第5は、教育委員会制度についてであります。  昭和23年に旧教育委員会法によって制定された教育委員会制度は、昭和31年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、それまで実施されてきた教育委員の公選制が廃止され、以降、58年の年月が流れ、今年6月、歴史的大転換となる法改正案が参議院で可決、成立し、平成27年4月1日から施行されることになっております。  この法改正は、安倍内閣が政策の重点課題として掲げる教育の再生を実現させることを目的に、地方公共団体の首長が、教育、文化等の振興に関する包括的、総合的な大綱を定め、大綱策定に関する総合教育会議を設置するとともに、任命にあっては、責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築の観点から、教育委員長と教育長の職を一本化した新教育長を、地方公共団体の首長が地方議会の同意を得て直接任命し、委員会を総理するなど新たな制度改正に至っています。  現行の教育委員会制度は、地方公共団体の首長が非常勤である教育委員を任命し、合議制の執行機関である教育委員会が、組織のトップである教育委員長を選挙、及び常勤の教育長を任命するということで、教育委員長と常勤の教育長の違いや責任所在のわかりにくさ、いじめ等の重大事態の発生に対して迅速な対応が必ずしも図られていないこと、また、地域の民意が十分に反映されているとは言えない現状や地方教育行政に問題がある場合、最終的に責任を果たせる組織体系、制度になっていないなどの課題が多く山積した状態にあります。  この法改正で、教育行政における迅速な危機管理体制の構築、公選職でもあり、地域の民意を代表する立場にもある首長と教育委員会の連携強化が図られること、そして、法改正にかじを切るきっかけとなった、2011年10月、当時中学2年生の男子生徒が同級生らのいじめを苦に自殺した大津市いじめ自殺事件における市教育委員会のような問題体質の改善や重大事態の事件に対して、再発防止のために文部科学省が教育委員会に指示できることとなりました。  あえて言うならば、国会における我が党の主張は、現行の教育委員会制度を廃止して、選挙で選ばれた首長に権限と責任を一元化し、首長が独善的な手法により教育現場を混乱させることがないよう外部監査機関を設けるなど、現行法の対案を国会に提出しましたが、残念ながら否決されてしまっております。  このたびの新たな教育委員会制度では、地方公共団体の首長が新教育長を任命することから任命責任については明確になってまいります。同時に、これまでと同様に、議会の関与として、知事の新教育長の任命に当たっては議会の同意も必要であることから、議会にも一定の責任があるものと考えます。  大津市のいじめ事件で、教育委員会の隠蔽体質や責任者の所在が不明確だったことが明らかになったように、この法改正の主眼は、新教育委員会制度で最終的な責任者をはっきりさせることが柱となっております。しかし、新たな制度では、責任体制の明確化が明記されてはいるものの、重大事態が発生した場合の損害賠償訴訟の相手は首長であり、本当の意味での責任者の所在は不明確であると言わざるを得ません。  そこで、教育長にお伺いいたします。  教育委員会の委員として、現在の教育委員会の内情を知る立場だからこそ、今後の教育行政にふさわしい制度として教育委員会はどうあるべきなのか、ご所見を伺います。また、新たな教育委員会制度に対するご所見をあわせて伺います。  最後の質問は、スポーツ行政の所管組織の一元化についてであります。  平成17年10月、文部科学省の諮問機関でもある中央教育審議会が、新しい時代の義務教育を創造すると題した答申の中で、首長と教育委員会との権限分担をできるだけ弾力化していくことが適当である。このため、教育委員会の所管事務のうち、文化、スポーツ、生涯学習支援に関する事務は、地方自治体の判断により、首長が担当できるようにすることが適当であると答申が示され、その後、平成20年4月に施行された、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律では、地方公共団体の長が、スポーツに関する事務のいずれか、または全てを管理し、執行できることが明確になりました。  その結果、地方公共団体でもスポーツ振興とまちづくり、観光、地域経済の活力創出などスポーツとタイアップをし、総合的な政策マネジメントの一環として、長崎県や岡山県を筆頭に、大分県、福島県、東京都、徳島県など全国3分の1の都道府県や基礎自治体で関連組織の再編が進み、教育行政に置かれていたスポーツ行政組織が知事部局に移管を遂げております。  また、昨年9月、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催が決定し、開催地の隣県でもある本県のスポーツ振興や競技施設など、スポーツ全般に果たす役割は大きく、特に本番の競技会場となる競技施設や事前・直前キャンプ及びアスリート育成など、今後スポーツに関する行政の関与、政策アクターはますます重要になってまいります。  県は、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催に向けて、世界に誇れる神奈川の姿を世界に発信するため、昨年10月、黒岩知事を本部長とした五輪のための神奈川ビジョン2020推進本部を設置し、今年8月にはオリンピック・パラリンピックのための神奈川ビジョン2020を策定しました。  このビジョンが掲げる、神奈川からオリンピック・パラリンピックを盛り上げていく取り組みを初め、県民スポーツの発展のためには、スポーツに関する事務、事業を知事部局に一元化する組織体制を構築し、効果的、効率的な行政執行体制の整備、県民のスポーツ活動の支援や、市町村、地域と一体化したスポーツ施策支援の窓口のワンストップ化が、今後、県に求められるニーズであり、県が担うべき役割であると考えます。  私は、以前からスポーツ競技とスポーツ施設は一体であり、本県のように所管するセクションがばらばらでは、神奈川のスポーツの発展は見込めないと主張してまいりましたが、これまでの議会で、スポーツ行政の一元的な組織を設置する方向で検討すると積極的な答弁をされてきたことは高く評価したいと思います。  そこで、知事に伺います。  総合的なスポーツ行政の推進体制の整備として、スポーツ関連セクションの一元的な組織体制について、今後どのようなスケジュールで進めていくのか伺います。また、いつを目途に設置しようと検討されているのか、あわせて伺います。  以上で、私の第1回目の質問を終了いたしますが、答弁によっては、再質問させていただきます。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 飯田議員のご質問に順次お答えしてまいります。  初めに、人口減少社会に向けた対応についてお尋ねがありました。  まず、本県の目指すべき人口水準についてです。  先般、まち・ひと・しごと創生法が成立し、都道府県や市町村には人口減少対策を講じて、少なくとも2040年までを見通した長期の地方人口ビジョンを策定することが求められています。また、その策定に当たっては、まず国が目指すべき人口水準を盛り込んだ長期ビジョンを示し、都道府県と市町村はそれを勘案して、それぞれのビジョンを策定することになっています。  そのため、本県として目指すべき人口水準を設定する場合は、国が目指す人口水準と、それを設定する考え方を十分勘案するとともに、県内市町村それぞれが目指す人口水準や人口減少対策の方向性と整合を図ることが必要です。したがいまして、県としては、今後示される国のビジョンを分析した上で、市町村とも十分議論しながら、本県の目指すべき人口水準をどのように設定するのか検討していきたいと考えています。  次に、出生率や出生数などの目標設定についてです。  何らかの客観的指標となる目標を設定することは、県全体で一つの方向を向き、一丸となって進めていくためには有効なものと考えます。しかし、出生率と出生数という目標は、女性への出産の押しつけにならないかとの意見や、産むか産まないかは個人の自由であり、国や自治体が口を出すべきではないという意見もあり、慎重に考える必要があります。  また、他の目標を設定する場合でも、人口減少問題は対策が広範な分野にわたることから、県だけでなく、県民の皆さんや企業、団体、市町村を巻き込んだ県民議論が必要だと考えています。  そうしたことから、今後も丁寧な議論を重ねる中で、出生率や出生数の目標設定の是非も含め、客観的指標を定めることについて検討してまいります。  次に、行政改革の取り組みについてお尋ねがありました。  本県は、平成24年に神奈川県緊急財政対策本部を立ち上げ、全庁一丸となって緊急財政対策に取り組んだ結果、25、26年度に見込まれた1,600億円の財源不足を解消することができました。  本部は本年3月に解散しましたが、その後も緊急財政対策の中で掲げたロードマップに沿って、県税事務所の再編統合や津久井馬術場の廃止などを着実に実施してきています。さらに、国際研修センターや丹沢湖ビジターセンターなどについても、今年度末の廃止に向け、現在、関係者等と調整を進めております。  次に、今後の行政改革への取組姿勢についてです。  緊急財政対策により、当面の財源不足にめどをつけるとともに、安定した行財政基盤の確立に向けた第一歩を踏み出したところです。しかしながら、現在の国と地方の歳出規模は4対6なのに対して、税収規模は逆に6対4とギャップが生じており、地方には仕事量に見合った税財源が保障されていません。  また、義務的経費の割合が歳出の8割を超えるなど、本県の財政構造は極めて硬直化したものとなっています。こうした財政構造の根本的な問題が解決されないことから、本県は依然として厳しい財政状況が続いております。  そのため、これまでも地方税財政制度の抜本的な改革を国へ求めてきましたが、今後もこうした取り組みを継続してまいります。  さらに、県独自の取り組みとして、業務を効率化して時間を生み出し、県民サービスの向上につなげるために、本年6月にはスマート県庁大作戦の実施を決定し、職員の意識改革、ICTの活用、業務プロセスの見直しなどに取り組み始めました。  今後も引き続き、行政改革推進本部のもとで、県有施設、県単独補助金の見直しのロードマップ等の着実な推進と、県債管理目標の達成といった中長期的課題に取り組み、手を緩めることなく、不断の行政改革を進めてまいります。  次に、次世代自動車の普及促進についてお尋ねがありました。  まず、これまでの電気自動車の普及の取り組みに関する政策効果の検証と評価についてです。  県は、電気自動車の普及を促進するため、2014年度までに3,000台の普及を目指すという目標を掲げ、導入費用に対する補助を行い、あわせて、急速充電器の設置費用への補助等も行ってきました。その結果、電気自動車の導入台数は2012年6月に3,300台を上回り、前倒しで目標を達成しました。さらに、2013年度末には5,500台を超え、都道府県別の台数としてはトップとなっています。  このように電気自動車の販売が開始された初期の段階で、補助金を集中的に投入し、需要を創出したことにより、市場が広がって価格の低下が進み、実質的な普及につながったと評価しています。  次に、電気自動車と燃料電池自動車との優先順位についてです。  電気自動車と燃料電池自動車は、ガソリン車にかわる次世代自動車として期待されていますが、本格的に普及するにはそれぞれ課題があります。電気自動車は航続距離が230キロメートル程度と、ガソリン車と比較して短く、また充電に要する時間が急速充電器を使っても約30分と長いことなどから、導入の伸びが緩やかになっています。  一方、今月から発売が開始される燃料電池自動車は、航続距離や燃料の補給時間はガソリン車並みですが、価格が700万円を超え、非常に高価であり、さらに水素ステーション1カ所の整備に5億円程度かかるため、整備が順調に進んでいません。  こうした課題の解決に向け、現在、世界の自動車メーカーと関連企業が研究開発や技術開発にしのぎを削っており、その進展に伴い、それぞれの優位性を生かして普及が進むと見込まれています。  そのため、次世代自動車の普及に向けた県の施策としては、電気自動車と燃料電池自動車とに優先順位をつけるのではなく、両方の普及を促進していく必要があると考えています。  そこで、導入が進んでいる電気自動車については、引き続き普及啓発に取り組み、販売が始まる燃料電池自動車については、初期需要を創出するための支援を検討してまいります。  次に、箱根山の火山災害対策についてです。  箱根山が最後に噴火したのは13世紀ごろです。その後、現在に至るまで、噴火の兆候は見られていません。しかし、万一に備えて県民や観光客、登山者の皆さんに箱根山について知っていただくための取り組みを進めています。  まず、日ごろからの観測情報の発信です。県の温泉地学研究所では、箱根山を常時観測しています。最新の観測結果は温泉地学研究所のホームページで公開し、広く情報提供を行っています。  平成25年1月に群発地震が増加したときには、ホームページに地震の状況を発表し、県民の不安解消に努めました。今後とも、観測結果を広く知っていただけるよう、情報の発信に努めます。  もう一つが、県を含めた関係機関が連携して、箱根火山について周知を図っていくことです。  箱根町では、平成16年3月に箱根町火山防災マップを作成し、町内全ての住民や観光施設、宿泊施設に配布し、周知を図りました。本年7月に箱根町が事務局となって設置した箱根火山防災協議会では、旅館組合など多くの関係者が連携し、さまざまな課題を議論しています。観光客に対する啓発についても協議会での議論を生かしながら、県としても積極的な情報提供に努めます。  箱根山は県内外を初め、国外からも大勢の方が訪れる観光地です。訪れる方々が安心して箱根山を楽しんでいただけるよう、そして、万一の場合にも被害を最小限にとどめるよう、周知に積極的に取り組んでまいります。  最後に、スポーツ行政の所管組織の一元化についてお尋ねがありました。  これまで、スポーツ振興については教育局を中心として、スポーツ施策総合推進本部で全庁横断的に取り組んでいます。また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、この8月にはオリンピック・パラリンピックのための神奈川ビジョン2020を策定しました。このビジョンには、大会を盛り上げていく取り組みのほか、県内アスリートの育成や障害者、高齢者スポーツの推進、運動・スポーツの実践による健康寿命の延伸を目指すことなどを盛り込んでいます。  こうしたことから、今後、競技スポーツはもとより、オリンピック・パラリンピックの成功に向けた支援と、本県の地域振興や健康寿命日本一にもつながるさまざまなスポーツ施策をより一層総合的に推進する必要があります。  そこで、スポーツ行政を一元的に所管する体制の整備を図ってまいりたいと考えています。国でもスポーツ庁設置に向けた動きがありますので、スポーツ振興に関する国の取り組みも見据えながら、スポーツ行政を所管する組織体制について検討してまいります。  なお、私自身の任期も来年4月22日までですので、現時点で具体的なスケジュールをお答えすることは難しいものと考えております。  私からの答弁は以上です。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  教育委員会制度についてお尋ねがありました。  まず、今後の教育行政にふさわしい制度として、教育委員会はどうあるべきかについてです。  教育は、子供たちの価値観の形成に直接影響を与える営みです。そのため、個人的な価値判断や特定の党派的影響力から中立性を確保する必要があります。また、教育は子供の健全な成長、発達のため、一貫した方針のもと、継続的、安定的に行われることが求められています。さらに、専門家のみが担うのではなく、広く民意を踏まえて行われる必要があります。  こうしたことから、私は今後の教育委員会制度のあり方として、教育の中立性や継続性、安定性が確保され、さらには民意が十分に反映される制度であることが望ましいと考えております。  次に、新たな教育委員会制度についてです。  新制度においても、教育委員会は引き続き独立した執行機関として位置づけられており、教育の中立性などが図られたものと認識しております。  一方で、新制度では、首長が議会の同意を得て直接任命する教育長が教育委員会の責任者となります。また、首長が総合教育会議を設置し、教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、教育委員会と協議、調整し、大綱として定めることとされました。  これらの制度改正により、責任の所在がより明確になるとともに、地域の民意を代表する首長との連携が強化されたものと受けとめています。  今後、県教育委員会としては、これまで以上に知事と活発な意見交換を行い、神奈川の子供たち一人一人が、さまざまな可能性を将来に向けて大きく伸ばしていくことができる教育を推進してまいります。  以上でございます。〔飯田 満議員発言の許可を求む〕 ○議長(向笠茂幸) 飯田満君。 ◆飯田満議員 知事、それから、教育長から答弁をいただきました。  自席から発言をお許しいただきたいと思います。  余り時間もありませんので、意見、要望にとどめさせていただきたいと思います。  まず、箱根山の火山災害対策についてでありますけれども、箱根山というのは県内唯一の活火山でありまして、だからこそ、温泉地というものが生かされるわけでありまして、これから活火山というものと我々が共存をしていかなければいけないのだということだと思います。万が一という事もあるというふうに我々は考えなければいけませんので、箱根山というのが活火山なんだということに対して、訪れる観光客、登山客に周知をしていかなければならないと思いますので、そこは今後の検討を見守っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  それから、スポーツ行政の組織体制の一元化でありますけれども、知事、ありがとうございました。体制の整備を図ってまいりたいということでありますが、質問の中でも申し上げましたけれども、スポーツ競技と施設は私は一体で考えていかなければいけないと思うのです。ばらばらであっては、これから県民のスポーツに対するニーズというのは違ってまいりますので、一体として考えていただいて、全てワンストップで、そこで物事が解決するような仕組み、体制というものを、知事、次の任期にいらっしゃった折にはぜひお願いをしたいと思います。  それから、人口減少社会に向けての取り組みですけれども、人口減少の前に65歳以上の高齢者人口ですが、総人口に占める割合というのが今24.1%でありまして、超高齢社会というのは、我が国はもう到来しておりますし、本県においても、やはり超高齢社会がどんどん進展をしてまいります。そして、一方で、深刻なのは人口減少でありまして、この人口減少、政府は50年後、総人口1億人を維持するために長期ビジョンと向こう5年間の総合計画をつくるということを、先ほど知事の答弁でもありましたけれども、言っております。そして、来年度は全国都道府県、市町村において、人口ビジョン、総合戦略の策定が努力義務とされましたので、ぜひ県の総合計画の中にこの人口減少に向けた人口の目標設定、そして出生率を中に盛り込んでいただくよう要望いたしまして、終わらせていただきます。 △《本会議録-平成26年第3回-20141201-027639-諸事項-提案説明・採決-》 ○議長(向笠茂幸) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向笠茂幸) ご異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(向笠茂幸) 次に、日程第2、定県第152号議案 監査委員の選任について及び日程第3、定県第153号議案 収用委員会委員の任命について、以上一括して議題といたします。  議案の朗読は省略いたします。〔本会議録別冊128頁参照〕  知事の説明を求めます。  黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) ただいま提案いたしました人事案件2件について、ご説明申し上げます。  まず、監査委員の選任についてですが、識見を有する者のうちから選任されております長峯徳積君が11月30日をもって任期満了となりましたので、その後任として太田眞晴君を選任したく、地方自治法第196条第1項の規定により、同意を求めるものです。  次に、収用委員会委員の任命についてですが、現委員の本間春代君が12月24日をもって任期満了となりますが、引き続き同君を再任したく、土地収用法第52条第3項の規定により、同意を求めるものです。  よろしくお願い申し上げます。 ○議長(向笠茂幸) お諮りいたします。  日程第2及び日程第3につきましては、この程度で採決いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向笠茂幸) ご異議がないと認めます。  よって、採決いたします。  採決は区分して行います。  まず、日程第2、定県第152号議案 監査委員の選任について、原案にご同意の方はご起立を願います。〔総員起立〕 ○議長(向笠茂幸) 総員起立により、原案のとおり同意することに決しました。  次に、日程第3、定県第153号議案 収用委員会委員の任命について、原案にご同意の方はご起立を願います。〔総員起立〕 ○議長(向笠茂幸) 総員起立により、原案のとおり同意することに決しました。   ─────────────────────────────────────── ○議長(向笠茂幸) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  お諮りいたします。  明2日から12日までは休会いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向笠茂幸) ご異議がないと認めます。  よって、そのように決しました。  次回の会議は、12月15日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。                  午後7時23分 散会...