平成26年 第三回 定例会
△《本会議録-平成26年第3回-20140910-027579-諸事項-出席議員等・
議事日程-》 平成26年第3回
神奈川県議会定例会会議録第2号〇平成26年9月10日 午後1時開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共101名 出 席 議 員 西 村 く に こ 渡 辺 紀 之 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 藤 代 ゆ う や 原 聡 祐 中 谷 一 馬 栄 居 学 楠 梨 恵 子 芳 賀 よ う じ 斉 藤 た か み 飯 田 満 若 林 智 子 根 岸 孝 之 谷 口 かずふみ 三 橋 政 雄 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 守 屋 てるひこ 柳 下 剛 八 木 大 二 郎 細 谷 政 幸 さ と う 知 一 浦 道 健 一 青 山 圭 一 市 川 よ し 子 日 浦 和 明 土 居 昌 司 小 林 大 介 城 田 学 赤 野 た か し 宗 像 富 次 郎 亀 井 たかつぐ 佐 々 木 正 行 髙 橋 稔 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 国 松 誠 早 稲 田 夕 季 岸 部 都 合 原 康 行 作 山 友 祐 松 本 清 久 坂 誠 治 か と う 正 法 軽 部 和 夫 安 川 有 里 山 本 俊 昭 馬 場 学 郎 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 杉 本 透 石 井 もとみち し き だ 博 昭 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 嶋 村 た だ し 木 村 謙 蔵 寺 崎 雄 介 長 友 よしひろ 近 藤 大 輔 山 口 ゆ う 子 日 下 景 子 曽 我 部 久 美 子 塩 坂 源 一 郎 飯 田 誠 赤 井 かずのり 桐 生 秀 昭 佐 藤 光 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 小 川 久 仁 子 向 笠 茂 幸 持 田 文 男 竹 内 英 明 古 沢 時 衛 た き た 孝 徳 齋 藤 健 夫 安 藤 慶 松 崎 淳 岩 本 一 夫 相 原 高 広 笠 間 茂 治 川 上 賢 治 藤 井 深 介 国 吉 一 夫 松 田 良 昭 牧 島 功 大 村 博 信 梅 沢 裕 之 堀 江 則 之 中 村 省 司 久 保 寺 邦 夫 茅 野 誠 平 本 さ と し はかりや 珠 江 豊 島 き よ し 吉 田 大 成 欠 席 議 員 山 下 昌 一 朗 鈴 木 ひ で し 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 黒 川 雅 夫 同 吉 川 伸 治 理事 首 藤 健 治 政策局長 二 見 研 一 総務局長 中 島 栄 一
安全防災局長 和 田 久 県民局長 松 森 繁 環境農政局長 金 子 眞 理 子
保健福祉局長 中 島 正 信
産業労働局長 蛯 名 喜 代 作
県土整備局長 浅 羽 義 里 会計管理者兼会計局長 木 村 博 嗣 ヘルスケア・ニュー
フロンティア推進局長 佐 久 間 信 哉
政策研究担当局長 竹 本 治
広域連携担当局長 仲 村 吉 広
労務担当局長 中 田 泰 樹
マグカル担当局長 薄 井 英 男 拉致問題・
国際戦略担当局長 大 竹 准 一
エネルギー担当局長 藤 巻 均
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同 教育局長 安 西 保 行 同
県立高校改革担当局長 山 本 博 警察本部長 松 本 光 弘
警察本部総務部長 猪 又 博
人事委員会事務局長 山 口 正 志
監査事務局長 朝 日 富 士 子
労働委員会事務局長 久 保 満 里 子
公営企業管理者企業庁長 北 村 明
企業庁企業局長 渋 谷 敏 裕 ───────────────────────────────────────
議会局出席者 議会局長 冨 田 輝 司 議会局副局長 髙 橋 創 一 同 議事調査部長 西 ケ 谷 孝 之 同 総務課長 森 清 司 同 議事調査部 議事課長 谷 川 純 一 同 議事調査部 政策調査課長 霜 尾 克 彦 ─────────────────────────────────────── 平成26年第3回
神奈川県議会定例会議事日程第2号 平成26年9月10日午後1時開議第1 定県第 90 号議案 平成26年度神奈川県
一般会計補正予算(第2号) 定県第 91 号議案 同 年度神奈川県
中小企業資金会計補正予算(第1号) 定県第 92 号議案
幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例 定県第 93 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 定県第 94 号議案 附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例 定県第 95 号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例 定県第 96 号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例 定県第 97 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 98 号議案 認定こども園の要件を定める条例の一部を改正する条例 定県第 99 号議案 神奈川県
安心こども基金条例の一部を改正する条例 定県第 100号議案
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 101号議案 神奈川県子ども・
子育て会議条例の一部を改正する条例 定県第 102号議案
工事請負契約の締結について(地方港湾真鶴港沖防波堤整備(No.8ケーソン製作・据付)工事(その1)請負契約) 定県第 103号議案
工事請負契約の締結について(
商工高校新築工事(建築)請負契約) 定県第 104号議案 工事委託協定の変更について(神奈川県
総合リハビリテーションセンター整備工事委託協定) 定県第 105号議案 動産の取得について 定県第 106号議案 指定管理者の指定について(津久井やまゆり園) 定県第 107号議案 指定管理者の指定について(相模湖公園及び相模湖漕艇場) 定県第 108号議案 債権の放棄について 定県第 109号議案 訴訟の提起について 定県第 110号議案 損害賠償の額の決定について第2 認第1号 平成25年度神奈川県
公営企業決算及び神奈川県
病院事業決算の認定について ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成26年第3回-20140910-027580-質問・答弁-
桐生秀昭議員-
代表質問①県政課題に対する知事の基本的姿勢について②行財政問題について
③次世代育成支援について④県政の重要課題について》 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共96名
○議長(向笠茂幸) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(向笠茂幸) これより日程に従い、審議を行います。 日程第1、定県第90号議案 平成26年度神奈川県
一般会計補正予算外20件並びに日程第2、認第1号 平成25年度神奈川県
公営企業決算及び神奈川県
病院事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 桐生秀昭君。〔
桐生秀昭議員登壇〕(拍手)
◆
桐生秀昭議員 私は自民党県議団を代表し、通告に従い、順次質問いたします。 知事、教育長、警察本部長におかれましては明快な答弁を、また、議員の皆様にはしばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の第1は、県政課題に対する知事の基本的姿勢についてであります。 初めに、集中豪雨等による
土砂災害対策について伺います。 広島県では、8月19日深夜から20日未明にかけての局地的豪雨が引き金となって、大規模な土石流が発生し、多くのとうとい人命が失われるなど、甚大な被害を受けました。改めまして、お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。 我が党としても、広島市豪雨災害に関する
被災者支援募金を募り、9月8日には私たちも街頭に立ち、募金のお願いをしたところであり、一日も早い復興を心から願うものであります。 さて、近年、全国各地でゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨や台風に伴う大雨が頻発しており、土砂災害が相次いで発生しております。 本県においても、本年6月に、横須賀市において、大雨に伴う崖崩れが発生し、駐車中の車両が土砂に埋まるとともに、市道が1カ月間、全面通行どめになり、いまだに片側通行どめとなっております。幸いにも人的な被害はありませんでしたが、土砂災害が身近なところで、いつでも起こり得る、このことを再認識したところであります。 県がこれまで土砂災害のおそれのある危険箇所に対して、砂防ダムや
コンクリート擁壁などの
土砂災害防止施設の整備に努めてきたことは承知しております。 しかしながら、こうした施設整備には多くの時間と費用を要することから、多発する土砂災害による被害を最小限にとどめ、県民の安全と安心を確保していくためには、ハード対策に加え、
土砂災害警戒区域を指定することなどによる
警戒避難体制の整備や、県民への防災情報の提供といったソフト対策が極めて重要と考えます。 そこで、知事に伺います。 土砂災害に関し、
警戒避難体制の整備、ソフト対策について、どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、2020年
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会に向けての取り組みについて、2点伺います。 質問に入る前に、一言お祝いを申し述べます。
テニス全米オープンに出場した錦織選手。残念ながら、決勝で敗れてしまいましたが、日本人初、アジア人初の4大大会決勝進出は歴史的な快挙でありました。また、車椅子の部では、男子、国枝慎吾選手、女子、上地結衣選手がダブル優勝いたしました。2020年の東京五輪に向けても、スポーツ界全体の大きな弾みになると思います。 本年6月に
舛添東京都知事が、2020年
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会の会場について、近隣県の施設の活用を含めた計画の見直しを表明してから、その成り行きが注目されております。 前回の定例会で、東京都の会場見直しについて、知事が、積極的に最大限の協力をしたいと前向きな答弁をしたのを受けて、我が会派からは、県内にある施設の有効活用を働きかけてほしいと要望しました。 こうした中、9月1日に東京都が、ボート・カヌーなど、三つの会場については予定どおり建設すること、一方で、セーリングなど、3会場については引き続き検討することを表明したとのことであります。 報道によると、
大会組織委員会の森会長は、会場計画について11月までに決めなければいけないと語ったとのことであり、本県も時期を逃さず、県内施設の活用を都に働きかけるなど、対応を図る必要があると思います。 そこで、知事に伺います。 本県への競技会場の誘致について、現時点において、県としてどのように考えているのか、見解を伺います。 2点目は、
事前キャンプ誘致についてであります。 最近では、大会に向けて、機運を盛り上げていく具体的な動きが各方面で見られるようになりました。 例えば、
ナショナルトレーニングセンター拡充施設については、横須賀市が誘致委員会を立ち上げ、誘致活動を進めております。8月には、文部科学省の担当課長が現地視察に訪れたと伺っております。 地域の発展、また、スポーツ振興の観点から、誘致の実現に向け、大いに期待しているところであります。 また、機運醸成に向けて、そして、県民がオリンピック・
パラリンピックの感動を大いに感じることができる取り組みの一つとして、
事前キャンプの誘致があります。神奈川に
事前キャンプを誘致できれば、県民が大会を身近に感じるよい機会になると考えます。 県が本年7月に県内市町村とともに、神奈川2020
事前キャンプ誘致等委員会を設立したことは承知しておりますが、実現に向けては、さまざまな工夫が必要であると思われますし、誘致の動きが本格化する来年度以降は、さらに充実強化を図るべきであると考えます。 また、
事前キャンプ誘致が実現した暁には、交流等が一過性で終わることなく、その後に受け継がれるようにすることも重要な視点であります。 そこで、知事に伺います。
事前キャンプの誘致に向けて、今後どのような工夫をして取り組んでいくのか、見解を伺います。また、
事前キャンプの効果の継承について、どのように考えているのか、あわせて伺います。 次に、公営競技について伺います。 本県においては、競馬、競輪、二つの公営競技を実施し、過去、多額の収益金を繰り出してきましたが、平成12年度以降、繰出金は途絶えており、あり方が問われております。 まず、競馬事業についてであります。
バブル経済崩壊後、売り上げの減少が続き、平成12年度に川崎市とともに神奈川県川崎競馬組合を設立し、今に至っております。組合は、一時期、30億円を超える赤字を抱えていましたが、平成25年度決算見込みで、設立以降、初めて累積赤字を解消し、黒字になると伺っております。 こうした背景には、川崎競馬の正月開催の慣例化に加え、場外発売や在宅投票の拡充など、組合初め競馬関係者のご努力があったと承知しております。しかしながら、これで終わったわけではありません。むしろ、ようやくスタートラインに立ったと言えます。黒字を一過性のものとせず、維持し、最終的には地方財政への貢献を果たしていただきたいと考えます。 一方、競輪事業についても、売り上げの減少が続き、平成10年度に横浜市、横須賀市とともに神奈川県競輪組合を設立しております。 しかし、さまざまな経営努力を行っても赤字が拡大し、平成21年度末に約54億円にまで達したことから、その一因である花月園競輪場を廃止するとともに、国の同意を得て
事業収支改善計画を策定し、経営改善に取り組んでいると承知しております。この計画は、全国団体であるJKAへの交付金の支払い猶予とともに、史上初となる借り上げGⅢ開催という極めて特例的な措置が認められたものですが、この特例措置には期間があり、平成26年度、つまり今年度までとなっております。 特例期間終了後については、JKA交付金の支払いが生じるとともに、収入の約8割を占めるGⅢが開催できず、売り上げが大幅に減少する極めて厳しい状況を迎えます。 そこで、知事に伺います。 競馬、競輪ともに節目を迎えている今、構成団体として、今後、二つの公営競技のあり方について、どのような認識を持っているのか伺います。 次に、児童虐待防止の取組について伺います。 本年5月30日、
厚木児童相談所から厚木警察署へ行方不明を届け出ていた男児が、厚木市内の自宅アパートにおいて遺体で発見されるという非常に痛ましい事件が発覚しました。幼い子供が自宅に一人残されて衰弱死し、7年以上もの間、発見されなかったという事件が県内で起きたことに対し、我々は強い衝撃を受けました。 県では、事件発覚直後の本年6月2日に、学識経験者、弁護士、医師の外部有識者5名から成る第三者委員会を立ち上げて検証を進め、この8月27日には、再発防止に向けた五つの提言と国への要望が取りまとめられ、知事に報告されました。 検証報告書では、特に、当初の一時保護を解除した後の対応として、児童相談所の処遇会議で家庭訪問実施という援助方針を決定しながら、それが実行されなかったことが大きな問題であったとしております。まさに、報告書の指摘するとおりであります。 一方、報告書では、その背景として、児童虐待相談が増加する中、担当者が処理できる業務量の限界を超えており、児童相談所の体制が十分に追いついていなかったことが大きな要因と指摘しております。 我が会派では、この事件を受け、さきの第2回定例会でも、関係機関と連携して再発防止に取り組むよう指摘したところでありますが、今回、第三者委員会の提言に対して、県として責任を持って対応し、二度と惨事が繰り返されないよう取り組む必要があります。 そこで、知事に伺います。 検証委員会の提言を受け、児童虐待の防止に向けた児童相談所の機能強化について、今後、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 次に、危険ドラッグ対策について伺います。 合法ハーブやお香などと称して販売される危険ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグに関連した健康被害等の問題が顕在化しております。 国は、薬事法で指定薬物として規制に乗り出したことを皮切りに、類似の物質を一括して規制対象とする包括指定という手法を導入したほか、さらなる規制強化を進めております。 こうしたさまざまな取り組みがなされている中、本年6月24日には、東京都池袋で、危険ドラッグを使用した者が車を運転し、次々に8人の歩行者をはねて、1人の方が亡くなるという事件が発生しました。 これまでも、危険ドラッグの吸引が原因と見られる車の暴走による引き逃げ事故や、道路を横断中の女子高校生や、歩行中の小学生をはねて死亡させるといった痛ましい死亡事故がありました。 また、危険ドラッグを吸引した男性が自動車を運転して電柱に激突し、死亡する事故もあり、その後も、全国で多くの事故や、第三者を巻き込む交通事故が相次ぎ、大きな社会問題になっております。 危険ドラッグに係る対策は、これまでさまざまな取り組みがなされてきましたが、現状では、本県でも、危険ドラッグが潜在的に広まっているという懸念があります。 そこで、知事に伺います。 危険ドラッグ対策を進めるために条例の制定は有効と考えますが、条例の実効性を確保するため、知事はどのような内容を盛り込もうとしているのか、見解を伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 桐生議員のご質問に順次お答えしてまいります。 県政課題に対する私の基本的姿勢について、何点かお尋ねがありました。 まず、集中豪雨等による
土砂災害対策についてです。 土石流や崖崩れなどの土砂災害から県民の命を守るためには、事前の備えとして、お住まいの地域の危険度を理解していただくこと、そして、実際の豪雨のときに的確な情報提供を行うことが大変重要だと認識しております。 そこで、県は地域の危険度を周知するために、
土砂災害警戒区域の指定に取り組んでおりまして、これまでに6,819カ所を指定しています。指定が必要な区域の総数を約1万800カ所と見込んでいることから、残りの約4,000カ所について、できるだけ早期の指定を目指してまいります。 次に、豪雨時における情報提供ですが、県は横浜地方気象台と共同で、市町村長による避難勧告の発令などに役立つよう、土砂災害警戒情報を発表しています。 また、今月4日には、広島の土砂災害を踏まえ、県と市町村の連絡会を緊急に開催し、避難勧告等の具体的な発令基準を策定していない市町村に対して、早期の策定を働きかけたところです。 今後とも、県民の安全・安心を確保するため、
土砂災害対策の充実に向けた意見交換を行うなど、国や市町村と緊密に連携して、土砂災害防止のためのソフト対策にしっかりと取り組んでまいります。 次に、2020年
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会に向けての取り組みについてお尋ねがありました。 まず、本県への競技会場の誘致についてです。 まず、これまでの取り組みの状況ですが、6月に東京都知事が整備費の高騰などを理由に会場計画を見直すことを表明したのを受けて、本県ではすぐに東京都に対し、ぜひ神奈川のさまざまな施設を活用してほしい旨をお伝えいたしました。 特に、カヌーとセーリングについては、50年前の
東京オリンピックの会場となった相模湖漕艇場と江の島ヨットハーバーがあり、可能性が高いと考え、何度も説明に伺い、アピールしてきました。 しかしながら、東京都からは、まず、選手村から距離が離れており、移動時間がかかり過ぎる、カヌー競技はボート競技と同一会場で行うが、相模湖はボート競技に必要な距離が確保できない、現在のセーリング競技は50年前より大規模になっており、江の島は施設の広さが足りないという大きな課題があると言われ、厳しい状況であると認識しています。 こうした中、東京都は、9月1日に議会特別委員会や
大会組織委員会の調整会議の場で、会場見直しの検討状況について報告を行いました。 これによりますと、カヌー会場は計画を変更しない方向であること、セーリング会場は現在の計画である若洲オリンピックマリーナについて、引き続き検討し、あわせて代替となる既存施設の調査検討も行うとのことであります。 このような経過から、セーリング競技については極めて厳しい状況にはあるものの、まだ本県開催の可能性がなくなったわけではないと考えております。そこで、選手村からの移動時間や施設の広さといった課題を克服する手段はないか、鋭意検討するなど、最後まであきらめずに取り組んでまいります。 次に、
事前キャンプ誘致についてです。 オリンピック・
パラリンピックの各国の
事前キャンプは、全国の多数の自治体がぜひ誘致したいと考えており、既に誘致合戦がスタートしていますので、本県でも戦略的に取り組む必要があります。 本県の強みは、東京都の隣にあって、選手村まで近いことや、大会本番と同じ気象条件で練習、調整ができるなど、地理的に有利である上に、県全体に数多くの練習施設や宿泊施設が近接して整っており、さまざまな競技種目や多様なニーズに対応できることです。そして、練習だけでなく、観光や食、文化など、幾つもの魅力が満載の地域であることです。 この神奈川の強みをまとめて情報発信することが誘致に効果的と考え、早速、県と県内全市町村とで
事前キャンプ誘致等委員会を設置し、神奈川というエリアに各国の競技団体の目を向けさせることに、一丸となって取り組むことにいたしました。 そこで、まずはいち早く情報発信するため、現在、基本的な情報を記載した英語版のパンフレットと県内の競技施設の詳細をお知らせするサイトを作成しており、でき次第、国内の大使館などの関係機関や姉妹都市などに積極的にアプローチしてまいります。 そして、次の段階として、観光、文化、産業など、県内各地域の魅力を掲載して、サイトを充実するとともに、情報の多言語化も進めるなど、誘致活動を強化、加速していきます。 次に、
事前キャンプの効果の継承についてです。
事前キャンプには、その国のメディアが多数訪れますので、地域の紹介を通して、知名度のアップや観光の振興が図られます。また、地域住民と外国選手との間でお互いの心に残る交流プログラムをしっかりと実施できれば、その後の継続的な国際交流にもつながってまいります。 そして、こうした盛り上がりによって、地域のスポーツに対する関心も高まり、地域全体の健康づくりにまで発展するという効果も期待されます。 そこで、このような流れを着実につくれるように、誘致等委員会において、市町村とともに、実り豊かで効果が継承されるような神奈川ならではの
事前キャンプのあり方をまとめ、外国チームの誘致に取り組んでまいります。 次に、公営競技についてお尋ねがありました。 公営競技は地方財政への貢献を重要な使命の一つとしており、これまで競馬競輪事業による収益金を県と3市全体で約1,500億円配分してきました。本県に限りましても、約915億円もの額を戦災復興や市町村振興に活用してきましたが、
バブル経済崩壊後は事業経営が厳しく、平成12年度以降、県を初め、構成団体への収益金の繰り入れが途絶えています。 そうした中にあって、神奈川県川崎競馬組合については、中央競馬の人気と相まって新たなファン層を開拓できたことや、南関東4競馬場の連携した取り組みなどにより、昨年度、組合設立以来、初めて累積赤字を解消し、6億円の黒字を確保できました。 しかしながら、組合の経営基盤はいまだに脆弱であり、今後、老朽化した設備の更新などのコスト増も見込まれますので、組合自身の経営基盤を強化し、安定的な黒字体質としていくことが必要であると認識しております。 次に、神奈川県競輪組合についてです。 議員お話しのとおり、全国団体である競輪振興法人JKAへの納付金の支払い猶予と、集客力のあるGⅢ競輪の開催という特例措置を受けて、5年間の経営改善努力を行い、今年度末に累積赤字を48億円程度にまで減少させることができる見込みです。 しかしながら、来年度以降は特例措置がなくなるため、赤字が再び拡大していくことが見込まれ、累積赤字解消のめどは立っておりません。こうしたことから、競輪事業から撤退することも視野に入れて、今後、競輪組合の構成団体である横浜市、横須賀市を初め、関係団体と協議を進め、年内に結論を得てまいりたいと考えています。 次に、児童虐待防止の取り組みについてお尋ねがありました。 厚木市内で発生した児童虐待死亡事件は、本県の児童相談所がかかわっていたにもかかわらず、虐待によって幼い命が奪われ、しかも、7年以上も発見されなかったという大変痛ましい事件で、改めて哀悼の意を表します。 今回の事件を受けて設置した検証委員会の報告書では、児童相談所の機能の強化に向けた体制整備について、二つの提言がありました。 1点目は、児童相談所の体制の充実強化です。
厚木児童相談所が今回の男児を一時保護した平成16年当時、本県では虐待事案に直接対応する児童福祉司を人口8万6,000人に1名配置していましたが、児童虐待相談件数の増加を踏まえ、今年度は4万6,000人に1名となっています。 しかし、本県の児童虐待相談件数は全国的に見ても多く、年々増加しているため、報告書では、国の児童福祉司の配置基準の中で最も高い人口4万人に1名を少なくとも配置すべきという提言をいただきました。 児童福祉司の充実は児童の安全確保や支援の強化に直結しますので、この提言を受け、職員配置など体制の強化をしていきたいと考えています。 2点目は、組織としての進行管理体制の整備です。 平成16年当時と比べますと、現在では、児童相談所の情報システムの導入や職員の教育指導を行うスーパーバイザーの配置など、体制強化に取り組んできました。しかし、今回の事件では、進行管理が担当者に委ねられ、組織として適切に管理ができていなかったと指摘されました。 こうしたことを踏まえて、さらに児童相談所の情報システムの検索機能と進行管理機能を改善するなど、組織としての進行管理の仕組みを早急に強化していきます。 今後、二度とこのような事件が発生しないよう、検証報告書の提言をしっかりと受けとめ、児童相談所の機能強化に取り組んでまいります。 次に、危険ドラッグ対策についてお尋ねがありました。 危険ドラッグに対しては、これまで啓発活動や販売店に対する指導、取り締まりを強力に進め、店舗の減少に効果を上げてきました。しかしながら、今年に入り、全国的に乱用者自身の死亡事案や、吸引後に車を運転し、通行人を死傷させる事件も起きています。 私は、悲惨な事件が二度と起きないよう、危険ドラッグの撲滅に向け、徹底的な対応を図っていきたいと思います。そして、県として、実効性のある抑止策を進めるために、条例の制定が必要と判断し、現在、三つの点を中心に検討しています。 一つ目に、人の身体に使用された場合に危害のある薬物を県として独自に指定し、その製造、販売、所持や使用などの行為を規制すること、二つ目に、違反行為に対しては、罰則規定を設けるとともに、警察職員にもこれらの薬物を扱う場所への立入調査等の権限を行使できるようにすること、三つ目に、乱用により、重大な健康被害が生じた、あるいは生じるおそれがある場合、含有成分を特定しなくても、製品の販売禁止等の措置を勧告できるようにすることであります。 こうした内容を条例案に盛り込み、今後、議会のご意見を伺いながら、条例の制定に取り組んでまいります。 答弁は以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 知事に再質問を2点ほどさせていただきます。 まず、児童虐待防止の取り組みについてであります。 知事から、今、ご答弁いただきました。検証委員会の提言には真摯に耳を傾ける、また、提言策の中の児童相談所が支援しているケースの進行管理は、担当者個人に委ねるのではなく、組織として進行管理をする、また、児童福祉司の配置基準も見直す、このような、今、提言に基づいた答弁がございました。 また、あわせて、児童相談所の設備の改善も私は必要なのかと、一言つけ加えておきます。大分老朽化しているところがかなりあるようであります。 昨今の子供を取り巻く環境は、我々の常識では考えられないような状況になっていると言わざるを得ません。社会全体で子供たちを守るんだという強い覚悟が必要だと私も考えます。 そこで、改めて、知事にこの虐待防止に向けた考え方を再質問させていただきます。 そして、もう1点、
東京オリンピック・
パラリンピックの本県への会場誘致についてお聞きします。 知事からは、セーリング競技はまだ希望を持って誘致したいと答弁がありました。ここへ来て、千葉県、埼玉県なども積極的な活動を展開して話題となっておりますが、神奈川は、多分、サッカーの準決勝は横浜の国際競技場でやるのかなと、こんな思いでありますが、一つでも多く神奈川に競技を持ってきていただきたい、県民の熱い期待もあると思います。 東京五輪の森会長も、11月までには見直し計画を決めなければならないと述べております。たまたま、私の尊敬している菅官房長官が、昨日、ある場所で、積極的にトライアスロンの招致をしたいというような発言が、けさの新聞報道にもありました。 我が県は海に囲まれた県でもあります。海に関係するセーリング、そして、国際大会などを行っているトライアスロンなども、招致をする具体的な種目であるのかなと私は考えますが、トライアスロンにつきまして、知事の考え方をお聞きしたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 まずは、児童虐待防止に取り組む姿勢について、改めての質問であります。 先ほど申し上げましたように、私は二度とこのようなことが起きないようにしたい、その決意を新たにしているところであります。 その中で、第一線で向き合っている厚木の児童相談所、その職員のもとを訪れました。そして、どういう状況なのかということをこの目で見て、職員とも意見交換をしてまいりました。 正直言って、県民の皆様からは大変厳しい目を向けられているという現状でありました。しかし、そんな中で、児童に向き合うという毎日は続いているわけでありまして、その職員たちが非常にひたむきに懸命に、そして明るく仕事に励んでいるという姿をこの目で確認して、非常に感動したところでもありました。 そういった彼らの姿勢といったもの、それを我々も支えられるような体制づくりというものをしっかりととっていくということが、非常に大事なことだと思った次第でありました。 続きまして、
東京オリンピック・
パラリンピックの会場でありまして、トライアスロンについてお尋ねがありました。 トライアスロンにつきましては、横浜、林市長が7月末の記者会見で、横浜市は世界大会の実績を持っていて、横浜で開催できればうれしいと、東京都から話があれば協力するという考えを示されております。 そこで、本県では、東京都に対しましても、県内のさまざまな施設の話とあわせて、地元横浜市の思いをしっかりと伝えるなどしてまいりました。そうした中、今、ご指摘もありました、本日の報道によって私も知ったのですが、菅官房長官が横浜でトライアスロンを成功させたい、何としても横浜で成功させたいと、招致したいと思っていると、ずばり発言されたということでありまして、大変心強くうれしく思っているところであります。 トライアスロンの横浜開催が正式に決定すれば、神奈川県全体としても大きな喜びであると思いますので、県としても積極的に協力していきたい、そう考えております。 答弁は以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 何点か要望させていただきます。 今の再質問、知事がオリンピック・
パラリンピックの中で、菅官房長官のトライアスロンの発言は心強く思っている、また、積極的に競技の誘致活動をしたいということで、再々質問はやめておきたいと思っています。 要望を何点か述べさせていただきます。 土砂災害についてでありますが、知事が述べられたように、まだまだハード面も完全ではない、まだ指定したい箇所も4,000カ所近くあるんだよと、こういう発言が今ございました。県内の市町村の中でも、また避難勧告発令基準を策定している市町村も22市町村ということでありました。 基準が明確になってくれば、基準に沿って災害のおそれが少しでもあるならば避難勧告を出すべきだと私も思います。空振りの心配をするよりも、犠牲者を出さないことが重要であると思います。また、住民は、空振りだった場合には幸運だったと考えるべきだと、私は今回の広島の災害を見て思いました。 しかし、神奈川県には、まだ土砂災害の避難所が指定されていない市町村が多くあると聞いております。また、避難先の確保、まだ基準がない市町村には、県も積極的に協力して策定すべきであると私は思います。強く要望しておきます。 また、公営競技でありますが、今、知事が述べられたように、公営競技は戦後復興や福祉向上など、地方財政へ多大な貢献をする一方、経営不振によって幕を閉じた地方公共団体、基礎自治体も多いと聞いております。 県の場合、競馬組合は努力の結果、25年度は6億2,500万円ほどの黒字ということでありました。これは収益金の繰り出しの提案よりも、基盤強化がまず優先で経営を安定させた上で考えるべきであろうと私も思います。 一方、競輪でございますが、花月園競輪場で独立して事業を行ってきました県、横浜市、横須賀市を構成団体とする一部事務組合として、事業運営の効率化を目的に、平成10年に設立されたということでありますが、しかしながら、景気の低迷、レジャーの多様化、ファンの高齢化により、売り上げ減少に歯どめがかかっていないということでありました。13年度から21年度までの3次にわたり経営改善計画を策定したと、単年度収支の改善も図ったが、累積赤字の解消には至らなかったというところであります。 これは、やはり私も撤退を含めた議論をするべきである、こういうことを要望しておきます。 最後に、危険ドラッグ対策について要望させていただきます。 知事は条例制定をする、強い知事の意思を答弁で伺いました。薬物の乱用の防止に関する条例ができているのは、1都5県が既にあります。神奈川県で、今、条例を制定してきちっと効果も発揮させたいという答弁でありました。 警察職員の立入調査権、罰則規定などの話は、今、入っていなかったかなと、このように思いましたが、しかしながら、この条例の中に神奈川らしさというのですか、まだ抜けて落ちているようなものがあるような気がします。日本一厳しい条例にすることを強く要望しておきます。 以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。〔
桐生秀昭議員登壇〕
◆
桐生秀昭議員 質問の第2は、行財政問題についてであります。 初めに、県税収入と財政運営の見通しについて伺います。 平成26年度の県税収入については、景気の回復を反映して、県税全体で前年度当初予算額に対して大幅な増収となる1兆901億円が見込まれております。 この県税収入を見ていく上で、指標となる平成26年3月期の企業決算は、円安を追い風に、自動車や電気機器などの製造業が大幅な増益だったことに加え、スマートフォン市場の拡大や公共工事の増加などにより、非製造業も利益を伸ばし、産業全体で前期比プラス36.1%と、大幅な増益決算となりました。 また、こうした企業の業績改善を背景に、有効求人倍率が上昇傾向で推移しているほか、給与のベースアップの実施が相次ぐなど、雇用・所得環境も改善が進んでおり、企業にとっても個人にとっても、アベノミクスの効果が及んでいるものと考えます。 そうした中、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減により、個人消費が落ち込んでいるとの報道もあり、一部には、落ち込みは想定内との見方もあるようでありますが、こうしたことが、県税収入にもたらす影響が気になるところであります。 県税収入は本県歳入の約6割を占め、財政運営の基盤である重要な財源であることから、その動向を的確に把握することが極めて重要です。また、財政全般に目を向ければ、7月に公表された平成25年度決算見込みでは、3年ぶりに実質収支、単年度収支ともに黒字となり、今年度の地方交付税も臨時財政対策債の配分方法が見直され、大幅に増額されました。 そこで、知事に伺います。 これまでの税収動向を踏まえた今年度の県税収入の現時点での見通しと今後の財政運営について、どのように考えているのか、あわせて伺います。 次に、収入未済金対策について伺います。 平成25年度の県の収入未済額の見込みは、県税とそれ以外を合わせて350億円を超えております。県税関係については、4年連続で収入未済額の圧縮を図ったということですが、今なお300億円近い額が収入化されずに残っている状況であります。 これは、県税のうち、個人県民税について、所得税から住民税への税源移譲、いわゆる三位一体の改革により税収規模が拡大した結果、平成19年度以降、急増したことが主な要因であることは承知しておりますが、減ったとはいえ多くの収入未済額があることは事実であり、徴収対策を強化する必要があります。 一方、県税関係以外の収入未済金は、県がこれまで行ってきたさまざまな貸付金や奨学金などの返済が滞っていることによるものです。 ここ数年の推移を見ると、40億円台後半から50億円台へと増加しております。平成25年度の収入未済額についても、前年度に比べて約1億5,000万円増加するとのことであります。対策の強化は待ったなしの状況と言わざるを得ません。 県税関係以外の収入未済金については、第1回定例会において、我が会派から、収入未済金の削減に向けた取り組みについて質問し、知事からは、債権管理に係る条例について、今年度中の制定を目指すとの答弁がありました。 当局は条例制定の作業を進め、今定例会で債権管理に係る条例の素案が報告される予定と承知しております。 条例を制定するからには、収入未済金対策として、回収の強化を図る一方、回収不能が明らかな債権の放棄を進め、効率的に回収を行うことも大切と考えます。 現下の県財政を取り巻く厳しい環境を考えますと、県税を含む県の収入未済金について、これまで以上に実効性のある対策を講じながら、目に見える成果を上げることが何よりも必要であります。 そこで、知事に伺います。 今後、収入未済金対策について、どのように強化して取り組んでいくのか、見解を伺います。 次に、入札制度の改善について、2点伺います。 1点目は、建設産業の入札制度の改善についてであります。 現在、全国的に建設事業の入札不調が増加し、本県においても、年々、不調件数が増加しておりますが、今後、公共施設の安全・安心の確保対策のほか、
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会を視野に入れた社会基盤整備の推進がおくれる深刻な状況となることが懸念されます。 本年5月、国では議員提案による公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法の改正がなされ、法律の目的に、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成・確保の促進が追加されるとともに、公共工事の発注者の責務として、担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤の確保が掲げられました。 こうした法改正も踏まえ、建設関連業者の適正な利潤を確保する対策として、ダンピング防止のために設定されている最低制限価格率の引き上げを行うよう強く求めます。 また、昨年度、本県においては、建設関連業界を取り巻く厳しい現状を理解し、業界団体からの強い要望も踏まえ、いのち貢献度指名競争入札を創設したことは評価できます。 しかしながら、県民の安全・安心のほか、地域経済の発展を支える建設関連業界を中長期的に確保・育成していくためには、入札・契約制度のさらなる改善が必要であります。 そこで、知事に伺います。 品確法の改正も踏まえて、本県の入札・契約制度の改善について、どのように対応していこうと考えているのか、見解を伺います。 質問の2点目は、一般業務委託の入札制度の改善についてであります。 一般業務委託への最低制限価格制度の導入については、労働集約型で、かつ労働者が常時配置される業務について、平成21年度から庁舎建物等清掃に導入し、平成23年度からは、警備・受付や建物設備保守管理、そして総合建物管理に拡大されたところであります。 一方、消防施設保守管理などの保守点検に係る業種については、積算の大半を人件費が占める労働集約型の業務ですが、労働者が常時配置されるものではないために、いまだ最低制限価格制度が導入されておりません。しかしながら、県の管理する建物の消防施設の保守や点検は、施設を利用する県民の命や安全に直結するものであります。 そこで、知事に伺います。 消防施設保守管理のような、県民の命や安全にかかわる業種については、最低制限価格制度を導入することで、ダンピングの防止を図り、適正な業務の履行を確保する必要があると考えますが、ご見解を伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 行財政問題について、何点かお尋ねがありました。 まず、県税収入と財政運営の見通しについてです。 最初に、平成26年度の県税収入の動向についてです。 税収規模が最大の個人県民税は、7月に市町村から報告された定期課税の取りまとめ状況を見ると、ほぼ当初予算で見込んだとおりとなっています。また、法人二税は前年度に対し、100億円程度の増収を見込んでいますが、法人二税の約7割を占める3月期決算法人だけでも約80億円の増収となっており、これもほぼ当初予算の見込みどおりです。 このように個人県民税や法人二税が当初予算どおり推移していますので、個人消費の落ち込みや住宅投資の減少などの不安材料はありますが、現時点で当初予算に計上した1兆901億円の税収を確保できるのではないかと考えております。 次に、今後の財政運営についてです。 この3年間の緊急財政対策の取り組みと好調な税収に支えられ、25年度決算見込みは黒字を計上することができました。また、地方交付税についても、私自身、国に対して強く申し入れたところですが、今回、臨時財政対策債の配分が見直されたことにより、当初予算を312億円上回る762億円の交付税の決定を受けることができました。 しかしながら、これまでに大量に発行してきた臨時財政対策債による公債費負担の増大や、急速な高齢化に伴う介護・措置・医療関係費の増加が見込まれています。 また、現在の国と地方の歳出規模が4対6なのに、税収規模は逆に6対4と、ギャップが生じているなどの地方税財政制度上の構造上の問題もあり、本県財政をめぐる状況は決して楽観できるものではありません。 さらに、消費税率の引き上げや法人の実効税率の見直し、社会保障制度の改革など、不透明な状況があり、今後も国の動向を見きわめていく必要があります。 こうしたことから、引き続き慎重な財政運営を続けながら、手を緩めることなく、行財政改革を進めてまいります。あわせて、経済のエンジンを回すための成長戦略を加速し、税収増につなげることで、将来の世代にも責任を持てる安定した行財政基盤の確立を目指してまいります。 次に、収入未済金対策についてお尋ねがありました。 県の収入未済金は平成25年度末で、県税が296億円、県税以外の債権が57億円と多額に上っており、この未済金を削減することは、本県の財政運営上、大変重要な課題であります。 県税の収入未済金については、これまでも県税職員全員による自動車税の一斉滞納整理や差し押さえ不動産の公売の促進など、さまざまな対策を講じてまいりました。 特に未済額が大きい個人住民税については、市町村が徴収を行っていますので、県職員を4、5カ月、市町村に派遣する短期派遣制度により、市町村職員とともに滞納整理を行っています。 こうした対策により、県税の未済額はピーク時の平成21年度から25年度までの4年間で94億円を削減したところです。引き続き、短期派遣制度を中心に、市町村との連携を強化していきます。 さらに、今後、事業者が従業員の給与から個人住民税相当額を差し引いて直接納税する特別徴収の推進や自動車税をATMから支払えるような新たな対策に取り組んでいきます。 県税以外の債権については、仮称ですが、神奈川県債権管理条例を今年度中に制定し、この条例をもとに収入未済金対策を強化していきたいと考えています。 条例には、債務者へ速やかに督促することや、保証人への請求手続などを定め、未済金の回収に迅速、的確に対応していきます。 特に、支払い能力がありながら滞納している債務者に対しては、差し押さえ等の強制執行により、未済金が回収できるよう裁判所への支払い督促の申し立てなど、法的な措置を積極的に行います。 また、債務者の破産や所在不明などで、将来にわたり回収が見込めない債権については、放棄できることを定め、効率的な債権管理を行ってまいります。 こうした条例に基づく債権回収の取り組みや県税での新たな取り組みを通じて対策を強化し、全庁一丸となって収入未済金を削減してまいります。 次に、入札制度の改善についてお尋ねがありました。 まず、建設産業の入札制度の改善についてです。 今回の品確法の改正は、地域の建設業者の中長期的な育成・確保を目的として行われましたが、こうした視点は大変重要であると私自身も強く認識してきたところです。 県では、県議会と議論をしながら、こうした改正品確法の理念を先取りし、地域で頑張る企業を支える仕組みとして、いのち貢献度指名競争入札を創設し、今年度から県土整備局発注工事等で試行をしています。 今後の展開ですが、試行結果をよく検証した上で、来年度に向けて制度の運用に一層の工夫、改善を加えるとともに、県土整備局発注工事以外での試行の拡大についても検討していきます。 さらに、これまで入札契約制度は全国一律的な制度の運用を前提としてきましたが、今回の法改正では、事業の特性や地域の実情に応じた多様な入札・契約制度の採用を可能とする新たな考え方も導入されています。 そこで、今後、本県においても、神奈川の実情に合った新たな手法を検討するなど、入札・契約制度のさらなる改善に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、一般業務委託の入札制度の改善についてです。 現在、一般業務委託の入札については、業務の質の確保や雇用への影響に配慮するという観点から、庁舎建物等清掃など四つの業種に限定して、最低制限価格制度を導入しています。これは労働集約型の仕事の中でも、特に労働者が常時配置されている場合は契約金額の多寡が業務の質に直接影響することから、行き過ぎた価格競争を防ぐためです。 一方、消防施設保守管理やエレベーター保守、電気通信設備保守、汚水処理施設等保守の業種については、同じ労働集約型ではあっても、労働者の常時配置がないことから、最低制限価格制度を適用しておりません。 そうした中で、これらの業種について、ここ数年、落札価格が予定価格の30%前後の極端な低価格入札も見られることから、調査を実施することで質の確保に努めてきました。しかし、施設の保守管理において、過度の価格競争がさらに進めば、委託業務の質の低下を招き、ひいては事故につながりかねない懸念も生じます。特に多くの人が訪れる庁舎や県民利用施設については、利用される方の命や安全確保の視点からも、業務の質を維持することが重要です。 そこで、県民の命にかかわる施設の保守管理については、労働者の常時配置がない業種でも、最低制限価格制度の適用について検討してまいります。 答弁は以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 知事、ご答弁ありがとうございました。 再質問を1点させていただきます。 建設産業の入札制度の改善についてであります。 知事からは、いのち貢献度指名競争入札の県土整備局以外への試行拡大を図りたいという、かなり前進した答弁がございました。 入札制度の見直しというのは、私は終わりのないものと考えております。今までも黒岩知事になって、知事と県土整備局は緊密な連携をとりながら、公共調達の予定価格などの適正な設定を明確にしてきていることは承知をしておりますが、他局においては、なかなか一緒の方向に向いていなかったのかなと、そんなふうに感じたのは私ひとりではないと思います。 その中で、いのち貢献度指名競争入札の試行をもっと他局へ拡大していくと、これはかなり前向きな発言として伺わせていただきました。 そして、今まで、県でもそうだったと思うのですが、どちらかと言えば、競争性を高め、安ければいいという考え方だったと思います。ここで国も品確法を改正し、安全・安心の確保や、さらには新しい担い手の若手人材の確保や、また、きちんと利潤を確保できるよう予定価格の適切な設定など、発注者責任を明確化したのも大きな要素であったと私は理解しております。 そこで、地域の建設業者を中長期的に確保・育成していくために、県議会における議論を重ねながら、入札制度の見直しを継続していく必要があると私は考えますが、こうした不断の努力を行っていくことについて、知事のお考えを改めてお聞きしたいと思います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 入札制度の見直しについてのさらなるご質問がございました。 建設業者の皆さん、例えば、先ほど土砂災害の話もありましたが、さあ、土砂で災害が起きた、どうやって復旧するんだといったときに、真っ先に現場に駆けつけて、一生懸命その復旧のために努力されている皆さんがいらっしゃる。こういった面、これはまさに県民の安全・安心、まさに命を支える担い手だということを私は強く感じておりました。そういったことをしっかりとやってくださっている皆さんに対しては、いのち貢献度指名競争入札ということで、そういうことを踏まえた上での競争入札という仕組みを持ち込んだということでもありました。 今後の建設業界を取り巻く環境の変化を今後も的確に把握しながら、時代の要請に即した入札制度になるよう、不断の見直しといったものを、スピード感を持って行ってまいりたいと考えております。 以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
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桐生秀昭議員 知事、ご答弁ありがとうございました。 要望を何点かさせていただきます。 知事からは、一般業務委託の最低制限価格制度の設定に向けた取り組みを行っていただけるということに対しまして、知事の英断と評価をいたしたいと思います。 特に消防施設の保守管理業務は、知事がおっしゃるとおり、県民の命にも関係する重要な業務だと思います。設計の3割、4割で入札するような業者は、不良業者として排除していただくようなことを強く要望いたします。 また、県税収入と財政運営の見通しについてでありますが、楽観視はできないと、当然だと思います。消費税の増税により、個人消費が落ち込んでいるという現状もあります。そして、海外の不測の事態や不安要素もあると思います。輸出も下振れリスクが常にあります。私も、知事のおっしゃるように、慎重に見ていく必要があろうかと思います。 こうした県税収入がよいときほど、最悪に備えて最善を尽くし、先を見通して財政運営をしていただくよう要望しておきます。 そして、収入未済金対策についてでありますが、要望を1点述べさせていただきます。 債権管理に係る条例の制定でありますが、ご答弁のように、収入未済金額は多額にあがっており、25年度末までに県税が296億円、県税以外の債権が57億円とお聞きしました。収入未済金の回収と削減は本県の財政運営上、大変重要な課題であると思います。 この条例制定のポイントは、債権の回収に対していかに実効性を持つかだと思います。督促をしてもなお債務の履行に応じない場合は、保証人に対して履行を請求する、知事も法的措置を講じていきたいという話でありました。断固とした行政の対応、対策強化も必要であると思います。条例制定の意義は深いと思います。実効性のある条例を提案することを要望いたします。 以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。〔
桐生秀昭議員登壇〕
◆
桐生秀昭議員 質問の第3は、次世代育成支援についてであります。 初めに、子ども・子育て支援新制度について、2点伺います。 1点目は、認定こども園への移行に対する支援についてであります。 認定こども園は、幼児教育と保育を一体的に提供できる施設であり、来年4月からスタートする子ども・子育て支援新制度に際して、国は認定こども園への移行を推進していると承知しております。 一方で、国の新制度の制度設計がおくれ、制度の詳細がなかなか示されず、5月末にようやく、新たに制度化される子育て家庭の保護者に対する個人給付の公定価格の案が示されました。 新制度では、私立幼稚園が大きな影響を受けることとなりますが、国から示された公定価格の案に基づく試算をした結果、私立幼稚園が認定こども園に移行しても、十分な収入を得られず、移行後の園の運営に大きな支障を来すおそれがあることから、認定こども園への移行に不安を感じるという関係者の声を多く聞いております。 さらに、先般の新聞報道によれば、既存の認定こども園が新制度の移行に際して、多くの園が認定を返上し、認定こども園をやめることを検討しているとの記事もあり、新制度のスタート時に、認定こども園への移行を推進するどころか、現状よりも認定こども園が減少してしまうのではないかと危惧しております。 こうした私立幼稚園や認定こども園の関係者の不安は、認可保育所と比較して、園児の受け入れ規模や、保育料が園ごとに大きく異なっていることや、新制度の公定価格の仕組みが複雑で、非常にわかりにくいことが影響を及ぼしている面もあるのではないかと考えます。 新制度のスタートが半年後に迫る中で、まずは、私立幼稚園や認定こども園の関係者の声を受けとめ、新制度の内容を十分に理解し、少しでも不安を解消することが何よりも大事であります。 そこで、知事に伺います。 既存の認定こども園の新制度への移行や、私立幼稚園の認定こども園への移行をそれぞれの園が今後判断するに当たり、県として、どのように支援していくのか、見解を伺います。 2点目は、認定こども園に関する政令指定都市への権限移譲についてであります。 現在、指定都市の市域における認定こども園の認定権限は県が行っておりますが、新制度においては、指定都市内の
幼保連携型認定こども園の認可権限は、法により指定都市が持つこととなります。 一方で、幼稚園型認定こども園など、その他三つの類型の所管は県のままとなり、類型の違いにより指定都市と県に所管が分かれるなど、複雑な制度となるため、本県では、「事務処理の特例に関する条例」による指定都市への権限移譲に取り組んでいると承知しております。 昨年12月の定例会において、私から、法により権限移譲される
幼保連携型認定こども園以外の指定都市への権限移譲について質問をしたところ、知事からは、横浜市からは新制度がスタートする平成27年度から、認定こども園の認定権限の移譲の希望があり、横浜市以外の指定都市からも、希望があれば権限移譲を目指して取り組みを進めるとの答弁がありました。 本定例会には、
幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定事務を横浜市へ移譲するための「事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」案が提案されており、横浜市との協議が順調に進んでいると受けとめております。 そこで、知事に伺います。 認定こども園に関する権限移譲について、横浜市への権限移譲については、今定例会に条例改正議案が提出されているところでありますが、横浜市以外の指定都市への移譲はその後どうなったのか、伺います。 次に、小中一貫教育校について伺います。 本県においては、昨年の8月、神奈川の教育を考える調査会最終まとめにおいて、小中一貫教育校の導入の検討が報告され、これを受け、現在、県教育委員会では検討を進めていると承知しております。 国においても、今年7月初旬に、政府の教育再生実行会議から、安倍首相に対して、小中一貫教育の制度化などを含めた今後の学制等の在り方に関する第五次提言が行われました。 この提言に示された小中一貫教育は、小学校と中学校の9年間を一貫した義務教育に取り組むもので、これまでも全国各地で先進的な取り組みが実施されており、県内でも政令市などで取り組みが進められていると承知しております。 今後、本県において、子供たちが成長していくことができるよう、より効果的な小中一貫教育に取り組んでいくためには、国の制度化への動きを視野に入れつつ、本県の小中一貫教育校で何を目指すのか、揺るぎない理念を示すことが何よりも大切であります。 そこで、教育長に伺います。 県教育委員会として、神奈川らしい小中一貫教育校について、これまでどのような検討を行い、今後どう取り組みを進めていくのか、教育長の見解を伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 次世代育成支援について、何点かお尋ねがありました。 まず、認定こども園への移行に対する支援についてです。 子ども・子育て支援新制度では、私立幼稚園は現行の私学助成の対象施設として継続するか、新たに導入される給付対象施設の幼稚園、または認定こども園に移行するかを選択することとなり、大きな影響を受けることになります。 また、既存の認定こども園についても、新制度では給付対象施設となるため、認定こども園として継続するか、認定こども園を返上して私学助成の幼稚園に戻るかを選択することになります。 関係者からは、制度内容がわかりにくく、今後の対応について不安の声が上がっており、県ではこれまで新制度説明会や出前キャラバンなど、幼稚園や認定こども園を対象に制度説明に努めてきました。 一方、国の制度設計がおくれ、本年5月末に、ようやく各施設に給付される運営費の算定根拠となる公定価格の案が示され、あわせて、新制度移行後の収入見込み額の試算の計算ソフトが示されました。 このソフトを使って認定こども園関係者が試算したところ、収入見込み額が大幅に減少するケースがあり、運営を続けられないといった声が上がったことから、国では認定こども園の制度説明会を開催しているところです。 公定価格は定員数や地域などに応じて設定されているため、それぞれの幼稚園や認定こども園の実情により、収入見込み額が異なるなど、認定こども園への移行に向けた課題はさまざまです。 そこで、今後は収入見込み額の算出方法など、園ごとにきめ細かく対応するため、個別相談サポート窓口をつくり、認定こども園への移行に対して適切な判断ができるよう、県としてしっかりと支援してまいります。 次に、認定こども園に関する指定都市への権限移譲についてお尋ねがありました。 子ども・子育て支援新制度では、指定都市内において、認定こども園への四つの類型のうち、幼保連携型は新たに指定都市が認可権限を持ち、残りの3類型は引き続き県が認定権限を持つことになります。 このように新制度では事務権限が県と指定都市に分かれ、わかりにくい制度になることから、相談や申請の窓口を一元化するため、指定都市への権限移譲に取り組むことといたしました。 横浜市については、昨年12月から移譲に向けて準備を進め、協議が整ったことから、本定例会に「事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」案を提案させていただいたところです。 川崎市、相模原市についても、権限移譲に関する意見交換をしてきましたが、今般、横浜市同様に平成27年4月から権限移譲を受けたいとの申し出をいただきました。県では、現在、両市と調整を進めており、協議が整い次第、今後、改めて条例改正案を提案させていただきたいと考えております。 私からの答弁は以上です。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 小中一貫教育校についてお尋ねがありました。 小中一貫教育は、小学校から中学校への学びの連続性を確保することで、中学校進学に伴う環境の変化により、不登校が増加する中一ギャップの解消や9年間を見通した指導による学習意欲の向上など、その効果が期待されています。 本県でも、横浜市の西金沢小中学校などが小中一貫教育の取り組みを始めています。また、昨年8月の神奈川の教育を考える調査会の最終まとめで、小中一貫教育モデル校が早期に実現できるよう取り組む必要があるとの提案をいただきました。 こうした動きを踏まえ、県教育委員会では、今年7月に学識経験者や市町村教育委員会の代表者などを委員とする小中一貫教育校の在り方検討会議を設置しました。 現在、検討会議では、委員の皆さんから、神奈川らしい小中一貫教育校をつくり上げていくために、例えば、子供の発達や学びの連続性などについて、子供の視点に立って検討すること、インクルーシブ教育の考え方を取り入れていくこと、あるいは、地域のまとまりやコミュニティーを大切にすることといった基本的方向に関するご意見を頂戴しています。 今後は教育課程や指導の内容、さらには学校の組織や運営のあり方などについて検討し、今年度中に基本的方向と課題を明らかにした第1次報告を取りまとめます。そして、来年度には、教員研修や教員免許のあり方などを含めた最終報告をいただく予定としています。 また、こうした会議でのあり方の検討とあわせて、県教育委員会では各市町村の小中一貫教育に対するニーズを把握し、それに基づいたモデル校の設置を市町村教育委員会とともに検討していきます。 そして、国の動向も見据えながら、神奈川の子供たちにとって、よりよい学びの場となる神奈川らしい小中一貫教育校を市町村教育委員会と連携してつくり上げてまいりたいと考えています。 答弁は以上でございます。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 それでは、再質問を1点させていただきます。 認定こども園への移行に対する質問でございます。 知事からは、個別相談の窓口をつくり、不安の解消に努めたい、また運営費の補助の説明や、相談に乗りたいと答弁をいただきました。 幼稚園協会のアンケートでは、現在、認定こども園をしている園でも、認定返上して私立幼稚園に戻りたいとか、現状、私立幼稚園の70%近くは、新制度への移行はできないと聞いております。 問題になっている最大の要因は、今後、新制度へ移行した場合に、経営が成り立たないということであります。今まで私立幼稚園は、各幼稚園とも魅力ある幼稚園づくりなど、各園の特色を持って、授業料も千差万別でありまして、私学建学の精神の中で園経営を続けてきているわけであります。 今回の制度は、公定価格制度などで平均化しようとする意図が強過ぎ、運営費の確保等が不透明であるために混乱していると思われます。公定価格の単価は国の平成27年度当初予算の審議の中で検討され、来年年明けに最終的な額が示されると承知しております。 単価の決定に当たっては、施設の実情を十分に反映したものとなるよう、県としても、国に対して提案、要望をすべきではないかと思いますが、県としての考え方を知事に伺います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 公定価格の単価の決定に当たっては、施設の実情を十分に反映したものとなるべきではないか、そういうご指摘でありました。 先般、国から示されました公定価格の案といいますのは、平成25年2月に国が幼稚園や認定こども園などを対象にして実施した全国経営実態調査の結果から、園児1人当たりにかかる費用を算出し、その全国平均といったものをもとに設定されたものであります。 国の案では、この公定価格に施設所在地により差が設けられてはおりますが、本県のような都市部では、人件費を初めとして、より多額な運営経費が必要となってまいります。そのために、やはり公定価格にはそういった地域の状況というものを十分に反映すべきであると私も考えております。 こうしたことから、県としましては、これまでも公定価格の決定に当たっては、施設運営の実情や地域の状況を反映するものになるよう国に要望してまいりました。しかし、新制度の施行まで半年となりましたので、今後もさらに、国に対しては必要な提案、要望を積極的に実施してまいりたいと考えております。 答弁は以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 知事、答弁ありがとうございました。 要望を2点させていただきます。 今の認定こども園に対する知事の再答弁でありますが、知事も十分認識されているなという印象は受けさせていただきました。だとすれば、県も独自の支援策を考えるべきではないのかなと、こんな思いで、今聞いておりました。つけ加えて要望させていただきます。 そして、もう1点、小中一貫教育校につきまして、教育長、答弁ありがとうございました。 義務教育の小中一貫で何をなすべきか、目指すのか、いじめ・不登校など、中一ギャップの解消や、また学力アップと答弁をいただき、狙いは確認できました。 そして、12月ごろ、検討会議からの提言が出てくるとのことであります。まず、モデル校をつくり、各市町村との連携を大切にしながら、子供の成長に合わせた新しい9年制にしていただきたいと、このように思います。まず、モデル校をつくり、そして慎重に進めていくことを要望いたします。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。〔
桐生秀昭議員登壇〕
◆
桐生秀昭議員 質問の第4は、県政の重要課題についてであります。 初めに、国家戦略特区への対応について伺います。 アベノミクスの成長戦略、いわゆる第3の矢の核とも言われている国家戦略特区は、日本の経済の新しい扉を開く、そして我が国の将来の希望をつくり上げていくためのプロジェクトであり、本年5月に、本県を含む東京圏を初め、全国で六つの区域が指定され、本県は、全域が国家戦略特区に指定されました。 全域が指定されたことは、県経済のエンジンを回すまたとない機会であり、我が会派としても強く期待しているところであります。 国家戦略特区では、それぞれの特区ごとに国家戦略特区担当大臣や関係地方公共団体の長などで構成する区域会議が設置され、これまでに4区域において区域会議が開催され、特区において取り組む特定事業が盛り込まれる区域計画について議論が進められております。 そうした中で、いまだに東京圏の区域会議は開催されておりません。国家戦略特区の取り組みを世界に向けて発信していくためにも、やはり我が国最大の経済圏である東京圏において取り組みが進められ、規制緩和が進むという具体的な成果を出していくことが不可欠であると考えます。 諸般の事情はあると推察しますが、いまだに区域会議が開かれない東京圏の現状を、我が党としても憂慮しているところであります。 このような中で、8月1日に、県は神奈川県国家戦略特別区域推進会議を開催いたしました。この会議は東京圏の区域会議が開かれない中で、区域会議に先立って、市町村や事業者など県内の関係者が一堂に会して、一致団結して取り組むことを確認するとともに、区域計画に盛り込む事業などについて、情報共有や意見交換を行うために、黒岩知事の強いリーダーシップのもとで開催されたものと聞いております。 今後も、こうした流れをとめることなく、本県としてしっかりとアピールするとともに、多くの県内事業者が国家戦略特区の制度を活用して事業展開できるような区域計画をつくり上げていく必要があります。 そこで、知事に伺います。 神奈川県国家戦略特別区域推進会議をどのような狙いで開催したのか、また、この推進会議の成果を、今後開催される区域会議にどのようにつなげていこうと考えているのか、見解を伺います。 次に、未病産業の創出について伺います。 本県では、超高齢社会を乗り越えるため、最先端医療・最新技術の追求と未病を治すという二つのアプローチを融合することで、健康寿命日本一と新たな市場・産業の創出を目指すヘルスケア・ニューフロンティアを推進しております。 このうち、新たな市場・産業の創出については、未病産業を本県発の新たな産業として位置づけているところであり、未病産業の創出は、超高齢社会における成長産業として、日本経済の活性化を推進する強力なエンジンとなるとともに、新たなヘルスケアシステムの創造につながるものと期待しております。 一方、国においても、昨年6月に閣議決定された日本再興戦略の中で、健康寿命延伸産業の育成を取り組みの大きな柱と位置づけ、2030年の市場規模が現在の16兆円から37兆円に拡大すると試算するなど、非常に大きな期待をかけております。 このような中、本県では、先月22日、未病産業の創出に関心を持つ64の企業等の参加のもと、未病産業研究会が設立され、未病産業の創出に向けた取り組みの第一歩がスタートしました。 未病産業という新たな産業を創出するためには、未病の概念の普及にとどまらず、民間事業者が有する技術を引き出し、イノベーションを起こすための工夫が必要と考えます。こうした状況において未病産業の創出を実現していくため、企業を初め関係者の知識や経験、アイデアの融合が必要不可欠であり、未病産業研究会の設立は意義あるものと認識しております。 そこで、知事に伺います。 今後の未病産業の創出に向けた意気込みや、今般設立した未病産業研究会による取り組みを、どのように未病産業の創出につなげようと考えているのか、見解を伺います。 次に、健康管理最高責任者構想、いわゆるCHO構想について伺います。 超高齢社会を迎え、社会生活環境の急激な変化等に伴って、糖尿病、がん、心疾患、脳血管疾患等に代表される生活習慣病の増加等の課題に直面しており、特に、社会保障費の増大への対応には、生活習慣病の発症を予防し、健康寿命の延伸を図ることが極めて重要であります。 国では、今年の6月24日に、昨年6月に閣議決定した日本再興戦略の改訂版、日本再興戦略改訂2014-未来への挑戦-を閣議決定し、その中の戦略市場創造プランで、2020年までに国民の健康寿命を1歳以上延伸することを成果指標として設定しました。 このように健康寿命の延伸は、全国的な重点課題の一つであります。神奈川県では、昨年5月に、有識者や行政で構成される、健康寿命日本一戦略会議を設置し、健康寿命延伸に向けたあらゆる方策を検討し、地域からの展開として、未病センター構想、組織からの展開としてCHO構想を大きな柱とし、戦略的な取り組みを進めております。 CHO構想に関しては、昨年の第2回定例会において、我が会派から代表質問を行い、知事から、企業や団体がCHOを設置し、従業員等の健康管理を積極的に進める構想であること等、基本的な考え方について答弁がありました。 CHO構想の推進は、ガバナンスが働きやすい組織を通じたアプローチということで、健康寿命延伸に向け、有効な施策と考えます。 CHO構想では、健康情報のICT化に係る課題への対応を図ると聞いております。これは、日本再興戦略改訂2014で進めることとしている、健康・医療分野におけるICT化に係る基盤整備に通じるものと期待しております。 そこで、知事に伺います。 健康寿命日本一の達成のための大きな柱であるCHO構想の推進について、今後どのように進めていくのか、見解を伺います。 最後に、振り込め詐欺対策について伺います。 県警察では、振り込め詐欺の摘発強化に向け、専門部署を新設する旨の新聞報道がありました。 振り込め詐欺の被害は、本年に入っても増加傾向にあります。被害者の多くは高齢者で、これまで必死になって家族を支え、老後のためにと地道に財産を蓄えて、第二の人生を過ごしている善良な県民が卑劣な振り込め詐欺の被害者となっております。 被害者の中には、振り込め詐欺の手口は知っていたにもかかわらず、被疑者の巧妙なだましの電話に息子であると信用し、高額な現金を一瞬のうちに奪われてしまい、しかも被害に遭ったことを家族にも打ち明けることができず、苦悶の日々を送るなど、財産的被害のほかに精神的被害を伴い、体調を崩す方もいらっしゃると聞いております。 一方、振り込め詐欺という犯罪は、被害者と対面することなく、電話などで被害者をだまし、指定した預金口座等に送金させたり、受け子と呼ばれる組織の末端被疑者が、被害者から直接現金を受け取ることによって、高額な現金を手にすることができるなど、まさに犯行グループにとっては、ローリスク・ハイリターンの犯罪と言えます。 振り込め詐欺の手口は年々巧妙化しており、県民の平穏な日常生活を守り、治安維持を担う警察においては、振り込め詐欺の抑止に加えて、このような悪質な犯罪を繰り返す犯行グループの検挙を含む諸対策を一層強力に推進していくことが極めて重要であります。 そこで、警察本部長に伺います。 神奈川県内における振り込め詐欺の被害の現状と県警察のこれまでの取り組みについて伺います。また、振り込め詐欺の犯行グループ摘発に向けた県警察の今後の取り組みについて、あわせて伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、国家戦略特区への対応についてです。 国家戦略特区については、今年の5月に、本県全域を含む東京圏を初めとして、全国で6区域が指定されたところです。 私はアベノミクスの第3の矢の核とも言われる国家戦略特区に強く期待しており、国の求めにいつでも対応できるよう準備を進めてきましたが、指定から既に4カ月が経過しても、東京圏の国家戦略特別区域会議はいまだ開催されていない状況です。 神奈川県は準備万端整っているのに、なぜ開かれないのか、もう待てない。国家戦略特区に本気で取り組む神奈川県の決意を示すため、区域会議とは別に、県内市町村や特区で事業を展開しようとする民間事業者の方にお集まりいただき、本県独自の神奈川県国家戦略特別区域推進会議を8月1日に開催いたしました。 私は、この推進会議を開催したことで、神奈川が一枚岩であること、そして、事業者からの具体的な提案もあり、すぐにでも事業を進める用意があることを内外に強くアピールすることができたと考えています。 今後の対応ですが、区域会議の早期開催を国に働きかけることはもとより、推進会議で示された民間事業者のすぐれた提案を、一つでも多く東京圏の国家戦略特別区域計画に盛り込む必要があります。 私はこうしたミッションにスピード感を持って取り組み、区域計画の早期の策定、そして早期の事業化を目指すことで、経済のエンジンを力強く回していきたいと考えています。 次に、未病産業の創出についてです。 本県では、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みの中で、超高齢社会において成長産業となり得る神奈川発の未病産業の創出を掲げ、健康寿命の延伸と経済の活性化を目指しています。 一方、国においても、7月に閣議決定された健康・医療戦略の中に、本県の提言により、初めて健康・未病産業の創出という言葉が盛り込まれました。 こうした中、未病産業研究会の設立は、超高齢社会を乗り越えるに当たって、歴史的な出来事であると言っても過言ではありません。会員の事業者の方々とともに、ぜひとも世界に躍進する神奈川発の未病産業をつくってまいります。 研究会では、こうした意気込みを具体的な形にするために、未病産業の新たな市場を切り開いていく先駆的なモデル事業を実施し、事業者間の連携を強めていくことで、未病産業の創出につなげてまいります。 さらに、国家戦略特区の活用や未病の戦略的拠点を目指す県西地域における取り組み、健康管理最高責任者、CHO構想との連携など、政策を総動員して未病産業の創出に全力で取り組んでまいります。 最後に、CHO、健康管理最高責任者構想についてです。 CHO構想は、企業や団体等が従業員やその家族の健康づくりを企業理念に取り入れ、経営責任として、従業員等の健康マネジメント、健康経営を進めるものであり、組織から未病を治すアプローチであります。 具体的には、ICTの活用により、個人や組織全体の健康課題を見える化し、目標を設定して、個人の健康増進と企業の労働生産性の向上を図ることで、組織価値を高めるものです。 このCHO構想の取り組みを広く企業に普及するため、CHOを導入している企業やICT企業、健康関連企業と県、大学、市町村による検討体制を10月に立ち上げることとしました。ここでは、CHO構想の普及策や従業員等に健康増進の取り組みを促す効果的な方法、健康データの活用方法、方策等について、8月に発足した未病産業研究会とも連携をしながら検討していきます。 こうした取り組みを通じて、CHOを採用する企業を県内全域に拡大し、健康寿命日本一を目指す取り組みを充実してまいります。 私からの答弁は以上です。〔警察本部長(松本光弘)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 松本警察本部長。
◎警察本部長(松本光弘) 振り込め詐欺対策についてお答えいたします。 県内の振り込め詐欺の現状につきましては、本年8月末現在で認知件数は1,078件と、前年同期比で412件の増加となっており、被害の総額も約32億300万円と、前年同期比で約9億4,700万円の増加となっております。 こうした中で、県警察では、このように多発する振り込め詐欺の撲滅に向けまして、抑止と検挙の両面から対策を強化してまいりました。 まず、抑止対策につきましては、被害者の大多数を占める高齢者の方々に対して、県や関係機関・団体と連携した広報活動のほか、振り込め詐欺等被害防止コールセンターによる注意喚起等の取り組みを推進しております。 また、金融機関との連携により、本年8月末までに昨年の倍増となる789件の被害を水際で阻止いたしましたが、さらに成果を上げるため、高額な現金引き出しを申し込む高齢者の方に対して、預金小切手の振り出しを推奨するなど、被害防止対策を進めております。 次に、検挙対策については、だまされたふり作戦の積極的な実施によりまして、受け子と呼ばれる末端被疑者の検挙と、その者たちの上位に位置する犯行グループ中枢の摘発を重点に取り締まりを進めており、本年8月末現在で昨年同期と比べて、37件34人多い、190件97人を検挙しております。 しかしながら、残念なことに、検挙の増加を上回る勢いで認知件数がふえ続けている現状に変化はございません。末端被疑者である受け子に対する捜査に加えまして、犯行グループの中枢まで捜査を進める必要が一層高まっております。 そこで、県警察では、9月17日をもって犯行グループの活動拠点の摘発、解体を図るため、100人規模のプロジェクトチームを立ち上げることといたします。 このプロジェクトでは、県警察の各部門から情報を集約するとともに、犯行に使用された携帯電話の解析などを行う実態解明班や、そこから割り出した犯行グループの活動拠点の積極的な摘発、解体を進める拠点対策班などの専門チームを新設いたします。 こうしたことにより、県警察では、県民の振り込め詐欺被害を減少させるため、犯行グループに対するより一層強力な取り締まりを展開してまいります。 以上でございます。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 それでは、知事に再質問を1点させていただきます。 健康寿命日本一を目指した取り組みの、CHO─健康管理最高責任者構想であります。CHO、チーフ・ヘルス・オフィサーということでありますが、このCHO構想で私は大切なことは、理念とか狙いとか、また企業が、CHOは具体的に何をやるかを鮮明にする必要があると思います。そのことをはっきりさせないと、実効性のある取り組みにならないと思いますが、知事のお考えを再質問させていただきます。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 CHO構想を進めるために、具体的に何をするのかということでありますが、実はこの前から県庁でも始めておりまして、歩数計をみんな持っております。けさから私は7,788歩歩いておりますけれども、これをパソコンにピッとやると、このデータがそのまま画面に上がります。これをずっと積み重ねていくと、例えばどれぐらい運動しているかといったデータが全部見えるようになってくると、こういったことをスタートしながら、健康管理に対して一生懸命やっている職員に対して、これは誰がやっているか、全部見えてまいります。順位づけもできますから。こういったものでインセンティブをつけていくというふうなことをしながら、全員の職員を健康のほうにもっていこうと、こういう取り組みを既に県庁も始めているというところであります。 さまざまなアイデアが実はあると思います。こういったことで、それぞれの組織組織で検討していただいて、うちはこんなことをやっているんだ、あんなことをやっているんだというアイデアをどんどん提供し、交換するということによって、健康寿命を目指していくという具体的な方策が一つ一つ浮かび上がってくるものと考えております。 答弁は以上です。〔
桐生秀昭議員発言の許可を求む〕
○議長(向笠茂幸) 桐生秀昭君。
◆
桐生秀昭議員 知事、そして県警本部長、ご答弁ありがとうございました。 知事の今の答弁でございますが、あくまでもこのCHO構想は企業にいろいろなことを委ねていくということだと私は認識しております。大企業を中心にまず進めていくというお話も伺っておるわけでありますが、神奈川県内は中小企業のほうが多いわけで、この辺まで徹底していくには大変だと思いますが、効果的なインセンティブを出していくとか、与えていくとか、こんなことも一つの手段ではないのかなと、要望させていただきます。 県警本部長からは、振り込め詐欺対策について、いわゆる今までばらばらに詐欺捜査を行っていたのを、署も一体となって情報集約して、効率的に捜査していくと、また組織化していくということでありますので、検挙のためのプロジェクトの成果を一層上げていただくことを強く要望いたしたいと思います。 そして、意見でありますが、未病産業の創出についてであります。 知事の答弁からは、事例発表会を行いながら、モデル事業をやっていくとの答弁でありました。どんな展開になっていくか想像も私はできません。未病産業の創出は、知事の並々ならぬ提案であると思っています。本県発の新たな産業づくりでもあります。県も仕掛けだけするのか、あとは企業に委ねるのか。会派としても新たな産業の創出に向けて注目をしていきたいと、このように思っております。 国家戦略特区についてでありますが、知事の本気度はキーワードとしてわかりました。もう待てないというのが知事のキーワードかなと、このように今聞いたところであります。安倍総理も、国家戦略特区のキーワードはスピードと実践であり、2年以内に集中改革をして成果を出したい、こう言っているわけであります。 県も規制緩和の対象が県全域になるわけで、東京圏の早急な区域会議を開催し、特区において取り組む特定事業の議論が早く進められますことを心から要望いたします。 以上をもちまして、私の代表質問を終了させていただきます。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕
○議長(向笠茂幸) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向笠茂幸) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後2時52分 休憩 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成26年第3回-20140910-027581-質問・答弁-作山友祐議員-代表質問①県政の基本的な課題について②喫緊の県政課題について③災害対策について④教育について》 午後3時10分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共88名
○副議長(
小川久仁子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(
小川久仁子) 質問を続行いたします。 作山友祐君。〔作山友祐議員登壇〕(拍手)
◆作山友祐議員 議長のお許しをいただきました。民主党・かながわクラブ県議団を代表しまして、通告に従い、順次質問いたします。 知事、教育長並びに警察本部長におかれましては、明確なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様方におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問に入ります前に、一言申し上げます。 気象庁により命名された平成26年8月豪雨により、全国各地で甚大な災害が発生しました。特に、先月、広島県を襲った局地的な豪雨による大規模な土砂災害では、多くの方がお亡くなりになり、今なお避難生活をされている方が多くおられます。お亡くなりになった皆様方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 質問に入ります。 初めに、中期財政見通しの作成について伺います。 本県では、平成25、26年度の2年間で見込まれた1,600億円の財源不足を解消するため、緊急財政対策本部を設置し、緊急財政対策に全庁挙げて取り組んできました。その結果、1,495億円の財源を確保し、景気回復に伴う税収増も加え、当面の財源不足対策にめどがついたため、緊急財政対策本部を昨年度末に解散しました。 県民、市町村、関係団体を巻き込み取り組んできた緊急財政対策は、一つの区切りがついたと言えます。確保された1,495億円のうち746億円は、職員や議会の人件費総額の抑制によって生み出されたものであり、職員の皆さんの協力の上に成り立ったものであります。 今後の本県財政を考えますと、急速に進展する高齢化に伴い、介護・措置・医療関係費はさらに増加することが確実であり、公債費についても、臨時財政対策債が28年度まで延長されたことから、今後も確実に増加が見込まれる状況にあります。さらに、老朽化した公共施設の維持修繕コストへの対応など、本県の財政状況は、緊急財政対策を終了したとはいえ、楽観できる状況ではありません。 本県では、これまでも、平成12年3月に財政健全化の指針を、平成17年3月には財政健全化の基本方策を作成するなど、県民の皆様に対して本県の将来にわたる財政収支を示すとともに、それに対する対応もあわせて示してきました。 しかしながら、現状は、新たな中期財政見通し、こういったものは示されていません。我が会派では、これまでの議会の質疑の中でも、中期財政見通し作成の必要性について取り上げてまいりました。中期財政見通しは、現状の財政状況を踏まえた上で、将来の財政状況を見通すことにより、今後の財政運営の方向性を定め、財政健全化に向けた道筋を明らかにするために、その作成が必須であると考えます。 そこで、知事に伺います。 今後の財政運営の基礎ともなる中期財政見通しの作成について、どのように考えているのか、所見を伺います。 次に、ヘルスケア・ニューフロンティアの推進について伺います。 県は、この4月にヘルスケア・ニューフロンティア推進局を設置し、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みを積極的に展開しています。 これまでの県の積極的な情報発信により、県民や企業にも、徐々にこの取り組みが認識されつつあると感じていますが、県民や企業にさらに理解を深めていただき、具体的にどのような恩恵がもたらされるのかを実感していただくためには、目に見える具体的な取り組みをより一層推進していく必要があります。 そうした中、先月22日に未病産業研究会が設立されました。ヘルスケア・ニューフロンティアでは、健康寿命日本一と新たな市場・産業の創出という二つの大きな柱を目標に掲げていますが、未病産業研究会の設立は、まさにこの新たな市場・産業の創出を具体化していく重要な取り組みであると考えています。 この研究会には、さまざまな業界から多数の事業者が参加するなど、未病産業の創出に対する産業界の期待の大きさを感じさせるものとなりました。 また、テレビや新聞などで大きく取り上げられ、県民や企業に対しても大いにPRされたところであります。 この取り組みは、我が会派が従来から一貫して主張してきたヘルスケア・ニューフロンティアの見える化を一歩進めるものであり、歓迎したいと思います。 今後も、こうした取り組みを着実に実行していくことが、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みに対する県民や企業の理解につながるものであります。 そこで、知事に伺います。 未病産業の創出は、県民や企業に対してどのようなメリットをもたらすと考えているのか、また、この取り組みをどのように県民や企業に周知していくのか、あわせて伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 作山議員のご質問に順次お答えしてまいります。 県政の基本的な課題について、2点お尋ねがありました。 まず、中期財政見通しの作成についてです。 県では、全庁一丸となり、緊急財政対策に取り組んだ結果、今年度までの財源不足を解消できたことから、緊急財政対策本部を昨年度末に解散いたしました。 しかしながら、本県財政を取り巻く環境は、介護・措置・医療関係費や臨時財政対策債に伴う公債費の増大など、いまだに厳しい状況にあります。この厳しい財政状況が続く本県にとって、中長期的な展望を持って財政運営を行うことは大変重要なことと考えております。 これまでも県は24年3月に3年間の中期財政見通しを作成し、緊急財政対策の中でも義務的経費の将来推計をお示しするなど、取り組んできました。さらに、昨年度は、維持修繕コストの将来推計を明らかにした公共施設の見える化を行うなど、中長期的な視点からの県の財政状況を積極的に公表してきました。 しかしながら、今後の財政運営に極めて大きな影響を与える消費税率の引き上げや法人実効税率の見直し、社会保障制度の改革など、国の制度改正の動向が不透明な状況にあります。したがいまして、現時点では中期財政見通しを作成することは難しいものと考えております。 今後、消費税率引き上げや、それに伴う社会保障制度改革の内容が明らかになると考えられますので、そうした動向を見きわめながら、新たな中期財政見通しの作成について検討してまいります。 次に、ヘルスケア・ニューフロンティアの推進についてお尋ねがありました。 一つ目は、未病産業の創出による県民や企業に対するメリットについてです。 まず、県民にとっては、未病を治すことにつながる具体的な商品やサービスなどが提供されることで、未病に対する理解が進み、未病を治す具体的な行動を起こしていくことが容易となります。 例えば、排せつガスを分析してデータ解析する機能がある健康管理機能つきトイレシステムや、少量の血液採取により、がんのリスクを評価するサービスなどを活用することで、身近に未病のチェックができるようになり、未病を治す取り組みが一層促進されます。 また、企業にとっては、成長が期待される未病産業という新たな分野にいち早く参入することができます。さらに、日本国内はもとより、今後、超高齢社会を迎える世界の国々においても、先駆者としてビジネスチャンスを獲得していくことができます。 二つ目は、未病産業の創出に係る取り組みの周知についてです。 この取り組みに関心を持ち、理解を進めていただくためには、未病産業を具体的な形にして、見える化していくことが非常に重要です。そこで、未病産業研究会におけるモデル事業などを通じ、成功事例を生み出すなど、具体的な産業化を図ってまいります。 また、6月に登録された商標ME-BYOの活用や、10月に開催されますBioJapanへの出展、さらに、来年秋に国内外の有識者等を招聘して箱根で開催する予定の未病サミットなどを通じ、未病産業を積極的に発信してまいります。 今後も県民や企業の皆様の理解を広げていくため、私自身が先頭に立って、未病産業の創出に向けた取り組みを着実に推進してまいります。 答弁は以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 ご答弁ありがとうございました。 要望と再質問をさせていただきます。 まず、中期財政見通しの作成についての要望であります。 言うまでもありませんが、施策を展開していく上では、直近の状況だけで判断することなく、長期や中期の見通しをしっかり立てた上で、そういった上での実施が必要であります。そういった中で、全ての政策、施策の根幹をなす財政問題に関しては、しっかりと中期の財政見通しを作成し、県民にも示す必要があると考えています。 確かに消費税の税率引き上げや社会保障制度などの問題、こういった不確実な要素もあって、見通しを作成できないといった事情もわかります。しかしながら、そうした事情の全てが解消されるのを待つのではなく、大きな要素が判明した機会などを捉えて、なるべく早期に中期財政の見通しを作成し、県民に示していただくように要望させていただきます。 再質問であります。 ヘルスケア・ニューフロンティアの推進についてでありますが、未病産業研究会に関して質問いたします。 今回の未病産業研究会の設立に対する参加企業の反応はどういったものであったのか、また、今後この研究会を、法人化などを含めて、どういった組織形態で運営していこうと考えているのか、あわせて伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 未病産業研究会の設立に関する企業の反応ですけれども、実は私もこの未病産業研究会の設立総会を見て、大変驚きました。70社近い企業が参加されて、しかも、その業種が多岐にわたっていて、そして今ここから新しい産業が始まるんだという大変な熱気というものを感じたところでありました。確かに大きな期待といったものがあったということは、間違いないなと思います。 企業からアンケートやヒアリングなどを行う中で、ビジネスマッチングでありますとか、資金面での支援とか、規制緩和に対する要望、これが多く寄せられておりました。今後この研究会を運営していく中で、それぞれの要望に対して着実に対応していきたいと、そう考えているところであります。 続きまして、研究会の今後の運営形態についてであります。 この研究会について、さまざまな企業からの参加を得て、柔軟で自由な発想と運営により、未病産業という新たな産業を創出していくことを目的にしております。ですから、現在のところは、法人化などは想定しておりません。当面は現行の任意団体として運営して、しっかりとまずは成果を出していくということに注力をしたいと考えております。 答弁は以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 ご答弁ありがとうございました。 今、企業側からの熱気がすごかった、そういったお答えでありましたが、もちろんこういった新たな産業に参入することによって、いわゆる仕事が生まれていけば、雇用も当然生まれます。そして、県民にとっては健康の増進に大いにつながりますもので、しっかりとこうした研究会を通じて進めていっていただきたいことを要望いたします。 以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。〔作山友祐議員登壇〕
◆作山友祐議員 危険ドラッグ対策について伺います。 合法をうたい、ハーブやお香などと称して販売される、いわゆる危険ドラッグは、健康被害や2次的な犯罪が多発するなど、重大な社会問題になっています。また、その深刻性は日々増しており、県内でも交通事故などの事件が多発し、危険ドラッグの規制強化は喫緊の課題と言えます。 我が会派では、平成24年第3回定例会で規制条例の制定を本会議で主張し、以降、継続的にその必要性と内容について提言を行ってきました。 今回、黒岩知事が条例制定を決断されたことは高く評価するところです。県民の英知を結集し、実効性のある条例となるよう、今後の検討過程では、会派として、積極的に提案を行っていきたいと考えています。 さて、条例に求められる効果としては、県内での販売禁止や販売実態の把握といった対処を迅速化させることであります。具体には、危険ドラッグを指定薬物として指定し、製造、販売、所持、使用を禁止することが重要であります。また、実効性を担保するためには、違反者に対し、一定の罰則を科すことも必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 危険ドラッグの製造、販売、所持、使用を禁止することについて、どのように条例に盛り込んでいくつもりなのか、また罰則規定についてどのような考えを持っているのか、知事の見解を伺います。 次に、児童虐待防止に向けた取組について伺います。 本年5月に厚木市内で発覚した幼児虐待死亡事件は、幼い子供が一人、自宅に残され、衰弱死し、その後、7年以上も放置されていたという、余りにもショッキングな出来事で、社会に大きな問題を投げかけました。 この事件では、平成16年10月に
厚木児童相談所が迷子になっている男児を一時保護し、解除するに当たり、家庭訪問を行うこととしていましたが、家庭訪問が行われないまま、事件が発生してしまいました。 この事実は、大きな問題として指摘せざるを得ませんが、その後、平成20年以降に児童相談所が何度か家庭訪問を実施し、その結果、居住実態がなく、男児の行方がわからなくなっていることにも気づきながら、その情報が児童相談所の中にとどまっていました。 厚木市教育委員会においても、小学校入学前の保護者説明会に保護者が出席しておらず、さらに当該児童が入学しないといったことは、明らかな異変であったにもかかわらず、児童相談所を初めとした関係機関への情報がなされませんでした。 今回の事件では、このように子供にかかわる機関がそれぞれで異変を感じながらも、お互いの情報が共有されていなかった。もし、情報共有がなされていれば、強い危機意識を持って、早い段階で明るみに出ていたのではないかと考えています。 関係機関の情報共有と連携の仕組みとしては、児童福祉法で要保護児童対策地域協議会が位置づけられており、厚木市においても平成18年6月にこの要対協は設置されています。 しかし、今回の児童の情報は、この要対協に提供されることはありませんでした。仕組みをつくっても、活用されていないのでは意味がありません。 この事件を検証するために、県は第三者委員会を設置し、先月27日には報告書が取りまとめられましたが、その報告書においても、要対協のケースとして取り扱う必要があったと指摘されています。 そこで、知事に伺います。 児童虐待の防止に向けて、地域の関係機関の連携が図られるように、県としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 次に、児童相談所の職員を支える体制について伺います。 厚木市内で発覚した幼児虐待死亡事件における検証報告書の中では、地区担当の児童福祉司1人当たりの担当ケース数として、30~50ケースを目安として考えていくことが望ましいとされていますが、当時の担当者は、虐待ケースを中心に150ケースくらいを抱え、実際、その中には緊急性を要するケースや、対応困難な保護者への長時間の対応を要するケースも含まれ、担当者個人が業務として対応できる範囲を大きく超えていたと指摘されています。 その後も、児童虐待相談対応件数が年々増加傾向にあることに加え、今回の事件のように、これまでの社会通念では想定し得ない事態が発生するなど、現在も児童相談所における虐待対応は、引き続き厳しい状況にあると言えます。 特に、児童相談所の虐待対応においては、子供の安全確保を最優先にして強制的に介入する役割と、介入した後にもとの家庭に子供を安全・安心に戻していくために家族再統合を支援する役割の両方があります。 このため、現場の職員が虐待を行った親との信頼関係を築き、継続して支援を行っていくためには、粘り強いかかわりが求められており、職員には、精神的にも大きな負荷がかかっていることが懸念されます。 児童相談所が虐待対応の専門機関として、その機能を十分に発揮するためには、必要な人員体制の確保や専門性の向上に加え、職員が高いモチベーションを持って業務に当たれるよう仕組みを整えることが大切であると考えます。 そこで、知事に伺います。 児童相談所で虐待事案に直接対応する職員一人一人を、組織として支援することが必要と考えますが、今後、県としてどのように取り組んでいく考えか伺います。 次に、振り込め詐欺などの特殊詐欺対策について伺います。 県内における特殊詐欺の被害は、一向におさまらない状況にあります。 特殊詐欺とは、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の4類型の総称である振り込め詐欺に加え、近年増加しています従来の振り込め詐欺には該当しない金融商品等取引名目の詐欺、ギャンブル必勝情報提供名目の詐欺、異性との交際あっせん名目の詐欺、その他の名目の詐欺の4類型を加えた計8類型の犯罪の総称です。 これら特殊詐欺の特徴は、被害者に電話をかけるなどして対面することなく、不特定多数の方から現金をだまし取る犯罪であり、電話やインターネットを利用した県民の身近なところで発生する新しい犯罪と言えます。 特殊詐欺の中でも、振り込め詐欺はその被害が特に深刻となっており、昨年の1年間で、県内では1,340件の振り込め詐欺が発生し、被害額は過去最悪となるおよそ41億円を記録しました。 今年に入っても被害に歯どめがかからず、7月末現在での県内の振り込め詐欺被害は、発生件数が前年同期比386件増の962件、被害額が前年同期比約9億5,000万円増のおよそ28億円となっており、件数、被害額ともに昨年を上回るペースとなっています。特に、被害額は、統計をとり始めた平成16年以降最悪の被害となっています。 振り込め詐欺の中でも、オレオレ詐欺は、高齢者が子や孫を思う親心につけ込む最も卑劣な犯罪であり、被害者の方々は、多額の現金を失うことによる財産上の被害だけでなく、老後の蓄えを奪われたショックや、家族からの非難などの精神的な被害も大きいと伺っています。 実際に被害に遭われた高齢者の多くは、オレオレ詐欺について、その手口などに対する認識はあるものの、いざ自分のところに犯人からの電話がかかってくると、気が動転し、犯人の巧みな話術や演技で現金をだまし取られてしまうとのことです。 許しがたい犯罪であるオレオレ詐欺ですが、警察による取り締まりの強化や、行政、金融機関などによる注意喚起が進む中で、犯人の手口もより巧妙に取り締まりの網をくぐるものへと変化しています。 具体には、以前は主流であった現金振り込み型のオレオレ詐欺が大きく減少し、現金手渡し型、宅配便利用型のオレオレ詐欺が増加するとともに、市町村の職員等をかたり、医療費の還付等に必要な手続を装い、ATMを操作させて現金を振り込ませる還付金等詐欺など、新たな手口による振り込め詐欺が増加しており、昨年以降、県内で発生し、深刻な被害をもたらしている振り込め詐欺の多くも、こうした新しい手口の詐欺であります。 県としても、県警察等と連携し、被害の拡大を防止するため、さまざまな取り組みを行っています。しかし、振り込め詐欺被害が危機的といってもいい状況にあるということを考えれば、県民に振り込め詐欺防止のための強烈な注意喚起を行う必要があります。 そこで、知事に伺います。 振り込め詐欺を防止するためには、これまでの取り組みに加え、本県の安全・安心まちづくりの規範として制定された「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」に基づき、知事による犯罪防止特別宣言を行い、県民に対する強いメッセージを出すなど、取り組みを強化する必要があると考えますが、県として、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 喫緊の県政課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、危険ドラッグの規制条例についてです。 危険ドラッグについては、薬事法で薬物を指定して、その製造、販売、使用や所持などの行為を禁止し、違反した場合の罰則規定を設けています。また、薬物の指定方法として、同じような構造を持つ薬物を一括して規制する包括指定制度も導入されました。 しかしながら、化学構造の一部を変えた薬物が出回るなど、規制が追いつかない状況です。こうした問題に速やかに対処するためには、県条例でも独自に薬物を指定し、販売や使用などの行為を禁止する仕組みが必要です。 また、罰則規定については、違反行為の禁止を担保するために有効な措置であります。そこで、薬物の製造、販売、使用や所持などの行為だけでなく、立入調査を拒否した場合や、知事の命令に違反した場合にも罰則規定を設けることで、実効性を確保したいと考えています。 県内における危険ドラッグの規制が効果的に進むよう、今後、議会のご意見を伺いながら、条例の制定に取り組んでまいります。 次に、児童虐待防止に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 まず、警察や学校など関係機関との連携についてです。 平成16年に児童福祉法が改正され、市町村や警察、学校、児童相談所など、児童の保護にかかわる関係機関が情報を共有し、連携して支援を行うため、市町村に要保護児童対策地域協議会を設置することが定められました。 これを受け、県内の全市町村で協議会が設置され、各児童相談所が協議会の運営に助言を行うなどの支援を行ってきました。厚木市でも、平成18年6月に協議会が設置されましたが、今回の男児の情報は7年以上の長期間にわたり、協議会に集約されることはありませんでした。 そこで、今回の事件を踏まえ、6月と9月に、市町村、県の知事部局、教育局、警察本部の関係課長による会議を開催し、協議会での情報共有の徹底を図るとともに、保育所や学校との連携の先進的な仕組みを周知しました。 また、今回の事件を受けた検証委員会の報告書でも、厚木市で新たに定めた協議会への情報集約基準を例に挙げ、協議会への情報集約及び連携した対応の徹底が提言されました。 そこで、今後、県は各市町村の協議会の効果的な取り組みを調査して、他の市町村でも活用できるよう情報提供するとともに、各協議会で情報集約や機関連携を行う際の基準をあらかじめ定めるよう働きかけていきます。 また、警察との連携については、この4月に警察本部から派遣された警察職員1人を児童相談所に配置するなど、強化してきましたが、今後、警察と児童相談所が共同で立入調査の研修を行うなど、一層の連携を進めます。 さらに、県は広域的、専門的な立場から、市町村の保健師などに対する研修やスクールソーシャルワーカーとの連絡会などを通じて、市町村や学校との連携を強化していきます。 今後、こうした関係機関との連携により、児童虐待の防止にしっかりと取り組んでまいります。 次に、児童相談所の職員を支える体制についてです。 児童虐待相談が増加傾向にある中、県は児童相談所の職員数をふやすなど、体制強化を図ってきました。しかし、虐待対応では、緊急性を要する事案や対応困難な事案も多いため、職員一人一人に過重な負荷がかからないよう、職員を支える体制が必要です。 このため、虐待事案の進行管理や担当者への教育指導を行う職員としてスーパーバイザーを配置し、担当者が一人で抱え込まないような組織体制をつくってきました。また、児童福祉司や児童心理司など、同じ業務を担当する職種ごとに、課題や悩みを共有し、解決策を話し合えるような研修会を定期的に実施しています。 今回の事件を受け、まず、児童福祉司とともに虐待通報への初期対応などを行う虐待対応協力員を全児童相談所に緊急に配置し、児童福祉司を補佐する体制を強化したところです。 今後、さらに児童相談所の情報システムを改修し、一人一人の児童福祉司が担当するケース数の上限を設定できるようにするなど、業務量をより適切に管理できる仕組みを検討していきます。 また、担当者が日常業務で抱える不安を軽減し、精神的な安定を保つことができるよう、スーパーバイザーに対する専門的な研修を実施し、担当者を支える役割を強化していきます。 こうした取り組みにより、児童相談所の職員一人一人が能力を十分に発揮できるよう、組織として職員を支える体制づくりにしっかりと取り組んでまいります。 次に、振り込め詐欺などの特殊詐欺対策についてお尋ねがありました。 オレオレ詐欺に代表される振り込め詐欺は、子や孫を思う情愛につけ込んだ卑劣な犯罪であり、決して許されるものではありません。 県内の振り込め詐欺の被害額は昨年、過去最悪であった平成20年を超え、今年はさらに昨年を上回るペースで拡大しています。 そこで、今年度は県や各種団体で構成する神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進協議会の重点テーマとして取り組んでいます。しかし、手口も悪質化、巧妙化していることから、私は大いなる危機感を抱いていたところであり、取り組みをさらに強化してまいります。 県では、ソフトバンクテレコムなど3社と協定を結び、迷惑電話チェッカーという機器を最大5,000台、この9月から市町村を通じ、高齢者世帯などへ最長2年間無料で貸し出します。 また、県警察においては、振り込め詐欺摘発を強化するため、今月から専門部署を新設します。さらに、公安委員会と協議の上、10月には振り込め詐欺犯罪防止特別宣言を出し、県民総ぐるみで振り込め詐欺の防止に取り組んでまいります。 答弁は以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 ご答弁ありがとうございました。 幾つか要望と再質問をさせていただきます。 まず、振り込め詐欺などの特殊詐欺対策についてでありますが、前向きなご答弁をありがとうございました。 この条例に基づく犯罪撲滅宣言は、条例制定後、1度しか出されていません。そのただ1度が、本県において振り込め詐欺の急増を受けて、平成20年6月に「振り込め詐欺」犯罪防止特別宣言を行ったものであります。 そのときは、県警察においても、振り込め詐欺撲滅対策推進本部を設置して、被害の防止に向けた県民に対する注意喚起等の取り組みや、抑止に資する犯人の検挙活動に力を入れるなど、さまざまな対策を推進してきました。 その結果、犯罪防止特別宣言を行った翌21年には、対前年比で認知件数では72%の減少、被害額では74%の減少といったすばらしい実績を上げられました。 今回も、知事がおっしゃったこういった特別宣言とあわせて、関係機関と強力な取り組みを推進していただくことにより、前回にも増した実績を上げていただけるように強く要望いたします。 次に、危険ドラッグの規制条例についての要望であります。 我が会派におきましても、この条例の制定には、従前からたびたび提案しており、今回の知事の決断には大変期待しております。条例を制定することによりまして、薬事法の穴を埋めることにもつながり、危険ドラッグの撲滅に向けて大きく前進することであります。 ただ、薬事法自体も、次々に出てくる新たな薬物に対して、法改正がなされていきます。条例に関しても、その役割にふさわしい危険薬物の最新状況に即時に対応できるような、そういった規定を盛り込んでいただきたいと要望いたします。 再質問でありますが、児童虐待防止に向けた取り組みについてさせていただきます。 児童福祉法に基づいて市町村が設置する要保護児童対策地域協議会に関しては、設置すればいいということではありません。要保護児童対策地域協議会が実際に役立ち、機能していくものにするためには、当然、事務局となる市町村の役割が大変重要でありますが、市町村によっては、専門職の職員数が十分いないことや、そもそもの財政基盤が弱いことなど、限界があることは承知の上です。 このため、市町村がその役割を果たしていくためには、国の支援も必要だと思っています。いろいろな関係機関との連携といったご答弁もありました。こういった児童虐待の防止に向けた関係機関の連携強化のためには、やはり国に対しても、財政面の支援などを強く求めていく必要があると思いますが、この点に関して知事のお考えを伺います。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 この要保護児童対策地域協議会、これがしっかりと機能するためには、財政的な支援も必要だろうということであります。まさに、私もそのとおりだと思っております。 そのために国の支援が必要だということで、この9月5日に副知事が厚生労働省を訪ねまして、児童虐待の防止に向けた緊急の要望を行いました。その中で、市町村の相談窓口の整備、人材の養成、確保のために適切な財政措置を行うことなども要望しております。これは検証委員会の報告書の中でも指摘されている点であります。 児童虐待防止のためには、国の支援は非常に重要なことであると思っておりますので、引き続きさまざまな機会を捉えて国に働きかけていきたい、そう思っております。 答弁は以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 ご答弁ありがとうございます。 くしくも、神奈川がこういった話題の中心になってしまいました。ぜひとも国とも連携することによって、各市町村、関係機関との連携を図り、この児童虐待防止に向けた取り組みを一層推進していただきますようにお願い申し上げます。 以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。〔作山友祐議員登壇〕
◆作山友祐議員 続きまして、災害対策について伺ってまいります。 まずは、土石流災害の防止について伺います。 近年、各地で局地的な集中豪雨が相次いで発生しています。このたび、広島市を局地的に襲った集中豪雨により、広範囲に土石流等が発生し、多くの人命が失われたことは痛惜の念にたえません。 この広島市での集中豪雨では、8月19日深夜から雨が降り始め、特に激しい雨が20日未明に集中し、安佐北区三入では午前4時半までの3時間に観測史上最大となる217ミリメートルの降雨を記録し、平年の8月1カ月分の雨量143ミリメートルを大きく上回りました。 また、本県においても、昨年4月6日には、気象庁の海老名観測所において、観測以来最大値となる1時間に102ミリメートルの降水量を観測するなど、記録的な大雨を経験しました。 今一番危惧するのは、こうした頻発する集中豪雨により、一瞬にしてとうとい人命や家屋等の貴重な財産を奪う土石流災害が、本県においてもいつ発生するかわからないということです。 また、新聞などを見ますと、甚大な被害が出た広島での被災地周辺において、砂防ダムが整備されている下流域では、人的被害や建物の損壊が出ていなかったとの報道もあり、改めて砂防ダムの重要性を認識したところです。 県では、土石流災害を防ぐため、砂防ダムの整備を進めていますが、公共事業費の増額には限度がある中で、工夫を凝らし、効率的に整備を進めていく必要があります。 そこで、知事に伺います。 土石流災害から県民の安全・安心を守るため、砂防ダムの整備について、どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、災害派遣医療チームについて伺います。 9月は91年前に関東大震災が起こった時期であり、各地で防災月間や防災週間が定められ、防災訓練等も盛んに実施されています。 本県でも、先月31日に、小田原市においてビッグレスキューかながわが開催され、神奈川県や小田原市のみならず、自衛隊、消防、警察、医療機関などの関係機関による実動訓練が行われました。 防災計画や防災訓練における最大の目的は、災害発生時に県民の命を守ることであり、救出された傷病者を迅速に治療する医療救護体制の充実は必要不可欠なものであります。 本県では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災における検証等を踏まえ、平成24年12月に「神奈川県医療救護計画」を改定し、医療救護体制とその活動内容を明らかにしました。 この計画では、大規模な災害が発生した場合、直ちに医療救護本部が設置されますが、そこにおいては、私が平成24年9月の本定例会において設置を提言しました災害医療に精通した災害医療コーディネーターが、さまざまな医療チームの受け入れ、派遣調整、傷病者の搬送調整等を行うなど、医療救護本部の機能強化が図られたところであります。 災害時に活動するさまざまな医療チームのうち、発災直後から72時間までの人命救助ができる可能性の高い時期に中心的な役割を担うのが、通称DMATと言われる災害派遣医療チームであります。そして、このDMATを保有するのが災害拠点病院であり、災害時の傷病者治療の中核的な役割を担っています。 県内には33の災害拠点病院がありますが、平成26年3月に新たに10の災害拠点病院がDMATを保有したことで、現在は、県内全ての災害拠点病院でDMATを保有しています。 全ての災害拠点病院でDMATを保有したこと自体は、もちろん歓迎すべきことでありますが、重要なのは、このDMATが災害発生時に迅速に活動できる体制になっていることであります。 DMATは、医師や看護師などのように、直接、傷病者の治療に携わる者3~4名と、ロジスティックという後方支援業務を担う者1~2名の合計5名で構成されています。DMATを保有したとしても、このような隊員のスキルが維持されなければ、本当に災害が起こったときに、実効性の高い活動はできませんし、そもそもDMAT隊員が転勤などで転出してしまえば、チーム自体が成り立たなくなる可能性も出てきます。 そこで、知事に伺います。 神奈川県内の全ての災害拠点病院が保有している神奈川DMATの体制を充実していくため、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 次に、警察本部における大規模災害対策について伺います。 東日本大震災から3年半の月日が経過しました。現在も県警察においては、福島県に機動隊を派遣し、福島第一原子力発電所の周辺地域における各種治安対策活動を実施し、被災地の皆様の安全・安心の確保に努めているということであります。 県警察では、東日本大震災発生以降、本年8月末までの間で計217回8,368人、延べ10万5,706人の警察職員を、被災地である岩手、宮城、福島の3県に派遣したとのことであり、警察職員及びそのご家族のご労苦に対して、改めて敬意を表するところであります。 そのような中、本県では、災害に強く安全で安心して暮らせるまちづくりを推進しています。県警察においても、大規模災害などから県民の命を守るため、災害時の即応体制の強化に取り組んでいます。 9月1日の防災の日には、相模原市において、九都県市合同防災訓練が実施されました。この訓練には、県警察からもおよそ100人の警察職員が参加し、関係機関・団体等との連携の深化を図ったところであります。 首都地域の九都県市が連携・協力した各種防災訓練は、防災関係機関のレベルアップはもとより、県民にとっても、災害についての認識を深める有意義な機会でありました。 先月発生した広島県における大規模土砂災害の際には、被災県の広島県警察のみならず、他府県警察から派遣された警察部隊が、懸命に救出救助活動を実施している状況が報道されていました。 これらの警察部隊は、東日本大震災の教訓を踏まえ、国内における大規模災害発生時に、長期間の派遣にも対応可能な体制を構築するために創設された警察災害派遣隊であると伺っています。 私は常々、警察組織は、自衛隊にない地域密着性と消防にない全国展開力をあわせ持った災害対応における最強の実力部隊であると認識しています。 また、松本警察本部長におかれましては、東日本大震災の発生当時、被災県の福島県警察本部長として、発災によって、4人の警察職員を亡くし、1人が行方不明という中で、全力で陣頭指揮に当たられたという過酷でありながら貴重な経験をされていることも承知しています。 そこで、松本警察本部長に伺います。 警察災害派遣隊構築の経緯、その任務及び活動実績について伺うとともに、本県が被災県となった場合、他の都道府県から派遣されてくる応援部隊の受け入れ態勢についてどのように取り組んでいるのか、あわせて伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 災害対策について、何点かお尋ねがありました。 まず、土石流災害の防止についてです。 先月の広島や昨年の伊豆大島などで、近年、全国で土石流による災害が発生しており、県民の命を守るためには、土石流をしっかりと受けとめる砂防ダムの整備が大変重要だと認識しています。 県内には、土石流の発生するおそれがあり、下流域に住宅が5戸以上、または学校、病院といった公共的な施設の立地している渓流が705カ所あります。下流域の住宅等を土石流から守るためには、それぞれの渓流に複数の砂防ダムを設置する必要もあり、対策には多大な費用と時間を要します。そのため、砂防ダムを設置した渓流の数は約3割にとどまっています。 しかし、想定される土石流の規模や住宅の立地状況などに応じ、優先度の高い渓流から整備を進めることで、土石流災害への安全度を着実に高めてきています。 また、従来の砂防ダムは豪雨時にせき止めた土砂がその後もたまったままでしたが、その土砂を平常時の水の流れで下流に通過させる、いわゆる透過型砂防ダムの活用を進めています。この形式では、土石流を受けとめるスペースを、経費をかけずに自然の力で回復できるため、新規整備だけでなく、既存の砂防ダムの改良にも適用しています。 今後も優先度の高い渓流から砂防ダムの整備を計画的に進めるとともに、砂防ダムの機能の維持向上にも工夫を凝らしながら、土石流対策を効果的、効率的に推進してまいります。 次に、災害派遣医療チーム、通称DMATについてです。 DMATについては、隊員のスキルの維持向上という質的な面と、より多くのチームの育成という量的な面から充実に取り組む必要があります。 まず、質的な面から、県ではおおむね2年に1回、DMAT隊員の研修の機会を確保しています。この研修では、被災現場におけるトリアージのほか、搬送途上における航空機内の治療、活動現場における無線機等の通信手段の確保を行い、専門性の向上を図っています。 また、研修とあわせ、発災直後の混乱の中で迅速な医療救護体制を確立するため、毎年、県や関東ブロック単位で定期的に訓練を実施しています。さらに、ビッグレスキューかながわなどで自衛隊機を活用し、広域搬送の拠点となる厚木飛行場から他県に患者を搬送する訓練を実施するなど、総合的な現場対応能力の向上を図っています。 次に、量的な面では、県内33の災害拠点病院のうち、6病院が複数チームを保有していますが、今後3年間でこの病院数を倍増し、核となる病院については、チーム数のさらなる増加を目指します。 さらに、8カ所の災害拠点病院においては、県内の被災地のみで活動できる神奈川DMAT-Lを配置していますので、このチームに広域医療搬送の研修を受講していただくことで、DMATとして活動できるよう育成してまいります。 このように質的・量的の両面からさまざまな取り組みを進め、DMATの一層の充実を図ってまいります。 私からの答弁は以上です。〔警察本部長(松本光弘)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 松本警察本部長。
◎警察本部長(松本光弘) 災害対策についてお答えいたします。 警察災害派遣隊は、東日本大震災の教訓から、大規模災害発生時に全国警察から直ちに被災地に部隊を派遣させ、災害に幅広く対応できる体制を構築する目的で、平成24年に発足した部隊であります。 部隊は、直ちに被災地に派遣する即応部隊と、長期間にわたる派遣を可能にする一般部隊に分けられます。 即応部隊の任務は、被災者の救出救助や行方不明者の捜索、道路交通の確保、ご遺体の身元確認などであります。一方、一般部隊は、派遣が長期にわたる場合、治安の維持、交通対策、避難所等における相談活動など、被災地のニーズを踏まえた幅広い警察業務を行う部隊であります。 活動実績につきましては、8月20日に発生した広島県土砂災害において、本県から初めて警察災害派遣隊延べ700人が出動したほか、全国警察からも延べ約9,000人の部隊が災害活動に当たりました。 次に、本県が被災県となった場合の県外部隊の受け入れ態勢についてでありますが、県外部隊に救出救助活動などの警察活動に専念してもらうため、本県において、県外部隊の支援を行う部隊を編制いたします。この支援を行う部隊が、県外部隊の地理案内や宿舎、食事、給油などの手配及び部隊の連絡調整に当たります。 議員からお話しいただきましたように、東日本大震災発災当時、私は福島県警察の警察本部長をしておりましたが、発災直後から全国警察の応援を受けまして、非常に心強く感じたものであります。また、災害対策に当たりましては、警察組織というのは、全国展開ができて、なおかつ地域との密着性もあるということも痛感いたしました。 本県警察といたしましては、大規模災害発生時に迅速な活動により、一人でも多くの方を救えるように、より高度な救出救助訓練などに励み、部隊活動の練度の向上に努めてまいります。 以上でございます。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 ご答弁ありがとうございました。 幾つか要望させていただきます。 まず、土石流災害の防止についてでありますが、砂防ダムの有効性、今、優先順位をつけてしっかりと整備をしている、そういった取り組みについては理解いたしました。今回の広島の災害などを見ますと、県民の砂防ダムへの整備の期待感も大きくなっているものと思います。そういった意味におきましても、確実な進展を要望いたします。 次に、災害派遣医療チームについて要望させていただきますが、ご回答ありがとうございました。DMATについて、しっかりと質と量、こういったものをふやし、安全と安心を守っていく、そういったお答えを頂戴しました。 今回はDMATについて質問させていただきましたが、DMATからJMATにつなぐ医療のリレーも大変大事なことであります。この点も含めた体制の整備に努めていただきますようお願いを申します。 最後に、警察災害派遣隊についてであります。 松本本部長、ご答弁ありがとうございました。 私も、東日本大震災に際しての福島県での警察官とそのご家族の手記「ふくしまに生きる ふくしまを守る」を拝読させていただきました。あの大震災に立ち向かった警察官やそのご家族、壮絶なまでの責任感と行動には胸を熱くさせられ、頭が下がる思いでありました。 本県が万が一にも被災した際には、やはり警察の存在は県民にとって何よりも心強いものであります。 本部長はこの本の後書きにおいて、警察官たちのことを、黙々と活躍する陰の英雄、アンサングヒーロー、ヒロインという例えを使って表現をされていました。私も、災害において駆けつけるこうした彼ら、彼女らは間違いなく英雄である、そういったものであると感じております。 今後とも、どうぞこうした派遣隊をしっかりと整備をしてくださいますようにお願いいたします。 また、今回の広島の災害を見ましても、災害の対応には警察官一人一人の士気の高さももちろんですが、やはり装備の充実が欠かせないものと感じました。その持てる力を、現場において最大限に発揮するための機器や装備の充実も進めていただきますことを要望させていただきます。 以上です。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。〔作山友祐議員登壇〕
◆作山友祐議員 教育について伺います。 県立高校改革の推進について伺ってまいります。 本県の学校は、これまでも各地域の特色やさまざまな資源を生かして教育の充実に努めてきました。また、地域住民や保護者も、地元の学校づくりに協力するとともに、学校の場を地域の行事や交流に活用するなど、学校と地域が双方向で神奈川の子供たちの教育に力を合わせ、また互いに学校を拠点として触れ合い、地域における教育やスポーツ、文化の拠点として、まさに地域とともにある学校づくりに取り組んでまいりました。 しかしながら、近年、少子・高齢化や地域によっては過疎化が進む中にあり、地域のあり方が変貌し、子供たちの姿も以前と比べて見かけることが少なくなり、外で遊ぶ子供の姿を見かけるのがまれな地域も見られ、かつてどこでも見られた子ども会のような組織も少なくなっているなど、少子化に伴う影響がさまざまな形で地域にあらわれています。 県立高校におきましても、かつては1学年10クラスから12クラスもあり、集団の中で生徒は切磋琢磨し、豊かに学び合い、また学校行事や部活動などを通じて、活力ある学校づくりの主役であり、豊かな人間性も育んできました。 現在、少子化が進む中、県立高校も1学年6クラスという学校も多く、かつての生徒の半分しか在籍していない状況が見られます。他校との合同チームで部活動の大会に出場するなど、教育活動にも支障が出ていると伺っています。 これからの教育活動や学校運営を活性化し、より発展させていく上では、これまで以上に地域の教育力を生かし、地域とともにある学校づくりを推進していくことが必要であると考えます。 そこで、教育長に伺います。 県教育委員会で現在進めている県立高校改革において、少子化の進展を踏まえ、今後どのように地域とのきずなを強める学校づくりに取り組んでいくのか、所見を伺います。 次に、平和教育の推進について伺います。 人類初の世界大戦となりました第1次世界大戦の開戦から、今年は100年を経ました。今日の世界においても、民族や宗教間の対立により各地で紛争が続いており、生命や財産、家族を奪われるなど、戦禍に苦しむ人々が多くいます。 さらに、戦争や紛争は難民を生み、環境を破壊するため、世界各地には貧困や差別に苦しむ人も数多くいます。だからこそ、私たちは、平和な世界の実現に向け、あらゆる努力を払うことが求められています。 こうした中、第2次世界大戦終結から今年で69年がたち、戦争を経験した方が高齢化していく中で、戦争の悲惨さを後世に伝えることができる方が減っており、ますます戦争の記憶が風化していってしまうことが懸念されます。 しかしながら、こうした過去の戦争体験について学び伝えていくことは重要であり、継続して取り組んでいく必要があります。特に子供たちには、戦争や平和についてきちんと教え、戦争の悲惨さを語り継ぎ、平和のとうとさ、ありがたさをしっかりと伝えていかなければなりません。 平和教育については、これまでも学校教育の中でさまざまな形で取り組まれていることと思いますが、若い世代を中心として、平和のとうとさ、大切さに対する意識の希薄化が懸念される中、これまで以上に子供たちが戦争や平和について考える機会を設けることが大変重要であります。 そこで、教育長に伺います。 平和教育について、これまでどう取り組んできたのか、また、今後どのように展開していこうと考えているのか、所見を伺います。 以上です。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 まず、県立高校改革における地域とのきずなを強める学校づくりについてお尋ねがありました。 県立高校はこれまで地域の人々の交流の場として、体育館などの施設を提供したり、公開講座を開催するなど、開かれた学校づくりに取り組んできました。また、高校生の多様化する教育ニーズに対応するため、地域にある企業、大学の施設などを活用させていただき、キャリア教育を充実するなど、連携を深めてきました。 近年、少子・高齢化が進み、地域では美化活動や福祉活動、さらには防災活動などの担い手不足が顕在化しており、これまで以上に県立高校の生徒や教職員の協力が期待されています。 一方、県立高校も以前と比べ、生徒数の減少に伴い、教職員の数も減少していることから、通学路の交通指導や防犯指導など、生徒の安全・安心を守る活動に地域の一層の応援が必要となってきました。 地域との連携をより進めていくためには、今後、学校と地域がお互いに日ごろから協力して迅速に対応できる仕組みが必要です。 こうした中、一部の小中学校では、保護者や自治会、商店街など、地域の方々と学校関係者が一つのテーブルにつき、学校運営について協議する学校運営協議会を設置しています。このいわゆるコミュニティ・スクールは今後の地域との連携を強める仕組みとして効果的なものと考えています。 そこで、教育委員会では、検討を進めている県立高校改革の中で、家庭や地域、学校関係者が協働して学校づくりや地域づくりに取り組む神奈川らしいコミュニティ・スクールの積極的導入を検討していきます。 そして、県立高校が新たなコミュニティーの拠点として、地域と強いきずなで結ばれ、より信頼される学校となるよう努めてまいります。 次に、平和教育の推進についてお尋ねがありました。 現在、神奈川の子供たちは、各学校で学習指導要領に基づき、社会などの各教科や道徳、総合的な学習の時間など、さまざまな場面で平和について学んでいます。 例えば、小学校の社会科では、日本国憲法の前文にある平和への誓いを学び、感想などを話し合うことを通して、平和の大切さについて理解を深めています。 中学校では、夏休み中の課題学習として、終戦記念日などを題材に、一人一人が戦争や平和について調べ、平和な社会に向けた自分なりの考えを授業の中で発表する取り組みも行っています。 また、約8割の県立高校では、修学旅行で沖縄や広島、長崎を訪問しています。その際、過去の戦争の悲惨さなどについて、戦争を体験した方から直接話をお聞きしています。 しかし、実際に戦争を体験された方の高齢化が進み、その切実な思いに子供たちがじかに触れることが難しくなってきました。そこで、今後、県立高校では、過去の戦争体験者に加えて、紛争があった地域に派遣された国際協力機構─JICAの職員などに、その地域で起きた悲惨な出来事や復興の困難さを直接話してもらう機会を設けていきたいと考えています。 また、平和に関するさまざまな学習を通して、知識として平和が大切であることを理解しても、その知識をこれからの社会生活に生かしていくためには、子供たちが主体的に考え、判断できる力を身につけていく必要があります。 そのために、授業の中で、グループで話し合い、それらの内容を発表し合うなど、子供たち一人一人がみずから考え、平和に対する意識を高める取り組みを充実させていきます。 こうした取り組みを着実に進めることで、次代を担う神奈川の子供たちに平和のとうとさをつないでまいります。 以上でございます。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 教育長、ご答弁ありがとうございました。 1点、再質問させていただきます。 県立高校改革の推進におけるコミュニティ・スクールの導入でありますが、本県の県立高校では全く新しい取り組みであると思いますが、この導入を進める上で、どういったことを課題として考えていらっしゃるのか、改めて伺います。〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 作山議員の再質問にお答えいたします。 高校は、生徒の通学区域という関係から、小中学校に比べますと、地域とのつながりが弱いということがございますので、コミュニティ・スクールの導入に当たりましては、まずは地域の方々や保護者の方に、その目的や仕組みについてしっかりと十分なご理解をいただくこと、これが課題だと思っております。 今後、地域の方々や保護者の方のご意見も伺い、神奈川らしいコミュニティ・スクールの導入の検討を進めてまいります。 以上でございます。〔作山友祐議員発言の許可を求む〕
○副議長(
小川久仁子) 作山友祐君。
◆作山友祐議員 ご答弁ありがとうございました。 ぜひとも進めていただきますように要望いたします。 最後に、平和教育の推進についての要望でありますが、多々ご答弁をいただきました。平和を伝えていくといった上で、子供たちの修学旅行や学習を通して教えているということでありました。 しかしながら、平和というものは守るものではなく、つくり出すものであります。平和とはどういうものか、教育ビジョンの中に位置づけを図るなど、対応を考えていただければと思います。 以上になります。ありがとうございました。〔拍 手〕
○副議長(
小川久仁子) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(
小川久仁子) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○副議長(
小川久仁子) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、明11日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後4時26分 散会...