次に、小・中学校の
受け入れ体制については、就学相談を実施しています。就学、進学先等の決定については、専門家の意見をもとに保護者と十分協議しながら進めております。小・中学校の通常学級におきましても、発達障害などにより学習等の取り組みが難しい児童・生徒に対しては、必要に応じて介助員の配置を行っています。また、
特別支援学級でも介助員の配置を行っています。
最後に、今年度の新たな支援体制として、教育委員会の中に
特別支援教育推進チームを設置し、相談体制及び
学校支援体制を強化するとともに、臨床心理士を週2日配置しました。また、第三小学校へは、
通級指導学級の
たんぽぽ学級を新設しました。そして、
特別支援学級が設置されていない小学校9校へは、
リソースルームを設置し、発達障害などにより学習のおくれのある児童に対し、個別に学習指導を行うこととしております。
以上でございます。
6 ◯議長(手嶋精一郎君) 子ども部長。
7
◯子ども部長(米田裕治君) 公立保育園、学童クラブでは、支えの必要な気になる子どもを支援するため、平成19年度より、子ども支援事業そだちあいを開始いたしました。この事業は、
臨床発達心理士、言語聴覚士などの専門家である
支援アドバイザーが、保育園、学童クラブに定期的に巡回支援と保護者への個別相談を行うものでございます。平成20年度におきましては、この事業をさらに充実をいたしました。保育園では、1回の巡回時間を5時間から6時間に、そして学童クラブでは、巡回の回数を1回から2回にふやしてございます。また、保護者との個別相談につきまして、予備の回数を新たに設け、保護者の要望に柔軟に対応してまいります。
保育者自身がスキルを上げ支援できるようにしていくための職員研修を充実しております。この研修に民間保育園の保育士も参加をし、平成19年度では全体参加者数の3分の1の170名の参加がありました。保育園では、円滑にクラス運営が行われるように、困難なクラスに補助保育士12名を配置し、保育環境の充実を行っているところでございます。
支援アドバイザーからの助言・指導で子どもへの理解が進み、子どもたちの戸惑いや困り感ができるようになりました。相談を受けられた保護者の方は、子どもへ理解が深まり、子どもの状況を受け入れられるようになってまいりました。
このように、そだちあい事業により職員も不安から自信へとつながり、積極的に取り組んでいるところでございます。今後も関係機関との連携を深め、しっかりと取り組んでまいります。
さらに、学童クラブでございますが、学童クラブにつきましては、全員入所を行っております。その中には発達障害を持ったお子さんもいらっしゃいます。学童クラブでは、各クラブのその状況に応じ、加配職員を配置いたしまして、必要に応じた支援ができるようにしております。発達障害児は多様な特性を持っております。その育成についても多様な配慮が必要になります。特性の見方、配慮の方法について、そだちあい事業の専門家により職員への支援をいただき、育成に当たっております。
以上でございます。
8 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
9 ◯14番(馬場賢司君) それぞれの御答弁、ありがとうございました。
特に、御答弁いただいた中で、
小・中学校等の現状をお伺いする中で、日野市でも毎年増加傾向であるという、そういった状況もわかりました。また、そだちあい事業での支援体制、現状の放課後の支援について伺った中で、今後の新たな取り組みについて質問をさせていただきたいと思います。
発達障害児は、感情面や行動面でのコントロールが困難で、対人関係をうまく結べないということが一つあります。より豊かな人間関係を築くために、具体的で実践的な体験活動の中で、対人場面における適切な感情処理や行動の仕方を援助、指導していく仕組みとして、SST、ソーシャル・スキル・トレーニングという指導方法があります。これは現在、七生
特別支援学校の例でありますけれども、月1回、小学校3年生までを対象としたSST指導が、放課後の時間を活用して、今行われております。私も先日、どのような内容で行われているのか視察をさせていただきました。
このようなSST指導を主体とした放課後の取り組みについて、今、七生
特別支援学校では3年生まで実施しておりますけれども、保護者の皆様からは小学校4年生以上、また中学生でも、ぜひ実施をしてほしいと、そういった声をいただいております。現状、他市や都心まで行き、このようなトレーニングを受ける方もいらっしゃるということで、今後、日野市において、このSSTを主体とした専門的な指導、カウンセリング、また高校受験に必要な勉強などができる新たな放課後の支援を、ぜひ実施をしていただきたいと思います。今後、
すこやか支援センターも開設が予定されているという中で、それも含めた新たな支援についてお伺いをしたいというふうに思います。
10 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
11
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 現在、市長部局を中心に、教育委員会の
特別支援教育の動きとも連携を図りながら、
発達支援センター、仮称ですけれども、
すこやか子どもセンター開設に向けた具体的な検討が今年度から始まっております。昨年度までは、内部の関係部署での全体のハード、ソフト面の整備について整理をしてきました。それを基盤として庁内の
ワーキングチームを立ち上げ、検討資料を作成し、そして学識者、医師会代表、それから東京都の
発達支援センター、教育関係者、保護者である市民などの方々を委員として、検討委員会がことし4月からスタートしました。
発達支援センターに向けた基本方針を今年度中に取りまとめていく予定でございます。
その中で検討する内容については、主に3点の方向があると考えております。一つ目は、センターの核となる相談支援及び移行支援、それから二つ目は、そだち支援のための事業、三つ目は、啓発や人材育成などの基盤整備についてです。
先ほどお話がありました放課後支援のSST、ソーシャル・スキル・トレーニングプログラムについては、
センター機能の一つとして予定しているそだち支援という取り組みの中で、希望の家の療育事業なども含めて委員の皆様に検討をお願いしたいと考えております。今後
ライフステージに応じて、それぞれのかかわりが健康福祉部、子ども部、教育委員会の各部署であるわけですから、同じ視点で切れ目のない支援体制を市全体でもつくっていくことが必要だと考えております。また、市と保護者の方との共通理解のもとにこの事業は進めていくというふうに考えております。
以上です。
12 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
13 ◯14番(馬場賢司君) ありがとうございました。
七生
特別支援学校のSST指導では、1グループ5人ぐらいの人数で10分から15分単位という細かい時間配分の中で、最初のあいさつから
始まり自己紹介、集団でのゲームなど、指導員の方が子どもたちにしっかりとついた形で行われていました。この間に保護者の皆様は別の部屋で待機されているのですが、ここで保護者間でのいろいろな情報交換もできる、連携もとれるということで、親にとってもこのよう放課後の居場所というのは、大変にありがたいというお話も伺いました。私も、保護者間でいろいろとこう、情報交換できる、このことについては大変に大事な部分であるというふうに感じております。そういった意味で、今後、乳幼時期から義務教育まで一貫したSSTを受けられるような、他市に先駆けた放課後支援を実施していただき、学校の中でも先生と生徒が円滑にコミュニケーションできるように、また高等学校への進学、就労など、それぞれの進路を考える上での必要な学習支援など、保護者の皆様が安心できる
仕組みづくりを早期に検討していただきたいと強く要望しておきたいと思います。
また、御答弁にもありましたが、今回質問させていただいてもわかりますとおり、この発達障害児の支援に関しては、教育委員会、子ども部、健康福祉部と、いろいろな部署がかかわっております。そういった意味で、今後、市全体で総合的な視野での取り組みをしていただくとともに、保護者の皆様がわかりやすいような行政としての支援の仕組みをつくっていただくことも、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
最後に、市長より発達障害児の放課後の新たな居場所、支援ということについて、お考えをお伺いしたいと思います。
14 ◯議長(手嶋精一郎君) 市長。
15 ◯市長(馬場弘融君)
馬場賢司議員から、発達障害児の放課後の
居場所づくりをということで、今、鋭意進めております事業の状況等について御提言及び質問をいただいているわけであります。
私ども、全般的に見て、子どもたちのそだちの支援に一生懸命努力をしてきているところでありますが、この、いわゆる障害児という方々もいらっしゃいますが、もっと多く、いわゆる気になる子というのが大分数多くなってまいりまして、いわゆる通常の子と障害の子というふうに分けた対応では対応できないといいますかね、そういう部分が結構出てきております。その辺が一番苦しいところでございます。いわゆる気になる子がふえてきているというところでございまして、それについては、いわゆる施設にしっかり入っている、通っていらっしゃるお子さんだけでなくて、在宅で結構苦労しているんだけれども、もうみっともないからとかというふうなことで、話しにくいというふうなことで我慢しておられるというような方も随分いらっしゃいます。そういった方々も含めて、公は支えていかなければいけない、こんなふうに思っているところです。
特に、放課後の居場所ということになりますと、通常のお子さんであれば学童クラブに入っていただく、あるいは昨今、ひのっちというのもございますが、そういう中で、でも通常の学童やひのっちではちょっと無理なんだというふうなお子さんをどうするかというふうなことで、今、保護者の皆様方とも結構相談をしてですね、保護者の皆さんの協力といいますか、一緒にやっていただけるかどうか、その辺をしっかり確認した上で、何らかの形を立ち上げたいというふうに思っているところでございます。
いずれにしても、こういったことは、我々行政として、これからますます重要性を帯びてくるなあというふうに思っておりますので、今、議員御指摘のSSTですか、これもなかなか難しいかなあというふうに思いますが、例えば、希望の家等では、常駐じゃありませんけれども、ドクターが折に触れて対応していただいているというような状況もあるわけですが、やはり障害ないしは気になる子たちの対応については、やはり医療的な面の支援といいますか、それもしっかり形の中に組み込まなければいけないかな、こんな認識もございます。それらを踏まえて、議員御指摘のとおり放課後の、特に発達障害児あるいは、やや気になる子どもたちの対応について努力を続けてまいりたいと思います。
16 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
17 ◯14番(馬場賢司君) ありがとうございました。
発達障害者支援法が平成17年4月に施行されました。特徴は、今までは施策の谷間にいた、軽度と言われた障害のある人にも光が当てられるように改正されたことであります。今、
特別支援教育の充実でありますとか、また
すこやか支援センターの取り組みなど、ここでかなり支援が強化されております。
どうか、今後、この新たな放課後の支援も含めて、さらに充実された取り組みがされていくよう要望しまして、質問を終わらせていただきます。
18 ◯議長(手嶋精一郎君) これをもって6の1の質問を終わります。
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19 ◯議長(手嶋精一郎君) 一般質問6の2、保育園、学童クラブ、さらに子育てに安心の体制づくりを!──
待機児対策等について問うの通告質問者、
馬場賢司議員の質問を許します。
20 ◯14番(馬場賢司君) 子育て支援のさらなる充実を目指し、前段で保育園関連、後段で学童クラブの関連について質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
厚生労働省によると、保育園の待機児童数は、2007年4月1日現在で、1万7,926人、うち7割は0歳から2歳児となっています。子どもの預け先が見つからないため仕事をあきらめる母親などが依然として多く、潜在的な待機児童数はかなりの数に上ると見られています。このような現状を踏まえて、政府はことしの2月27日に、「新待機児ゼロ作戦」を発表しました。希望するすべての人が安心して子どもを預けて働くことができる社会を目指し、保育施策を質・量ともに強化をするものであります。
日野市ではこの間、保育園の
待機児童対策については、平成13年度より最重要課題として取り組まれており、今年度も120名の定員枠の拡大がされております。しかし、最近では、地域によって幼児人口がふえている状況もあり、今年度の保育所の申し込み数は、昨年度に比べ69件ふえ、945件、今、実際の待機児童も98名と伺っており、今後さらにまた
大型マンション等の建設などによって、何年間かは入所希望数がさらに増加傾向となっていくように感じています。中でも1歳、2歳児の早期の対策も求められています。私も、日ごろ若い保護者の皆様より、保育行政の充実を求めるさまざまな御意見、また御要望を伺っている中で、3点についての質問をさせていただきます。
まず1点目としては、今後、
保育所受け入れ枠の拡充がさらに必要であると思いますが、新たな民間保育所の開設についてお伺いしたいと思います。
2点目です。今年度、30人の定員枠が拡大されました。幼稚園と保育所の長所を取り入れた総合施設、
認定子ども園については、今後どのような展開をお考えであるのか、伺います。
3点目については、保育の質の強化、保育の多様化ということで、育児休業を生かした仕組みについて質問をさせていただきます。保育園は通常、4月入園で募集され、年度途中で入園を希望する場合は、退園者のあきを待つことになります。入園できるかどうか、希望時期の直前までわからない状況であり、多くの保護者は入園できずに職場復帰を延期したり、入園しやすい4月に合わせて育休を早目に打ち切る場合が多いということです。育休制度を生かし切れていない保護者が多いという、そういった現状であります。
そのような背景の中で、育児休業が終わるタイミングで子どもがいつでも入園できるよう、出産前から入園予約が可能な制度が実施できないかということであります。具体的には、出産前に
子育て相談員と相談しながらプランを作成し、出産翌日の審査を経て、入園月と入園先が内定していくような仕組みです。保護者にとっては育休の終了ぎりぎりまで保育園を探す必要がなくなり、安心して育児に専念できる効果があります。現在の状況では、待機児童の解消、これがもちろん最優先の課題、長期的な課題となっているわけですが、利用しやすい
保育サービス、保育のすそ野を充実、保育の多様化ということで、この新たな支援整備についてお伺いしたいと思います。
以上、3点について、よろしくお願いいたします。
21 ◯議長(手嶋精一郎君) 答弁を求めます。子ども部長。
22
◯子ども部長(米田裕治君) 1点目の待機児解消につきましてでございます。
日野市では、保育園の待機児解消を最重要課題として、平成13年度以降、民間の活力により認可保育園7園、分園6園、認証保育所3園、
認定子ども園1園の開設、そして保育室から認証保育所への移行3園などで、817名の定員を拡大し、また既設の保育園でも弾力化により定員を197名増員し、合わせて1,014名の定員を拡大して待機児解消に努めてきているところでございます。ここまでの事業展開は26市の中でもトップレベルと認識をしております。また、市内保育園での延長保育の導入、休日保育、年末保育の実施、病後児保育の2施設開設など、保護者の多様な保育ニーズにも対応してまいりました。
このような状況の中、子育てしたいまち、しやすいまちの子育て施策が指示を受け、日野で子育てをしたいと考える方がふえてまいりました。平成20年4月の待機児童数は98名でございます。昨年、平成19年4月の77名から、21名の増加となりました。この待機児の中でも特化をしている1、2歳児への対策が急務の課題と認識をしております。公立保育園において、この1、2歳児の定員の弾力化を検討してまいります。また、民間保育園につきましては、新子ども人口推計の結果から、UR事業による大幅な人口増加が予測される多摩平地区において、民間保育園2園の新設が必要と推計されました。今後は関係部署と連携をとりながら、乳幼児人口増加の一因であるURに対し、民間保育園開設について協議をしてまいります。
いずれにいたしましても、引き続き待機児解消に全力を尽くしてまいる所存でございます。
次に、
認定子ども園についてでございます。日野市では、保護者の就労状況にかかわらず、保育園でも幼稚園でも、同じ保育、教育が受けられる幼保一元化について長年にわたり調査・研究が進められてまいりました。平成20年4月には、日野市で初めて
認定子ども園である日野多摩平幼稚園が開園し、保育所部分の30名の定員が増員されました。公立園においては、平成17年4月より、あさひがおか保育園と隣接する第七幼稚園で共通の目標カリキュラムで保育を進め、小学校にスムーズに就学していくための日野市独自の幼保一元施設、あさひがおか幼児園を実施しております。現在、幼児園のさらなる充実発展のため、保育士及び幼稚園教諭により、この幼児園についてのプロジェクトチームを立ち上げ、さまざまな角度から議論を重ねているところでございます。幼児園の今後の方向性については、このプロジェクトチームからの提案をあわせ、国の動向も見据えながら対応してまいります。
3点目の育児休業明け入園予約制度についてでございます。この育児休業明け入園予約制度とは、例えば10月に出産をし、その後保育園の入園を希望する場合、通常は比較的入園しやすい年度変わりの4月で育児休暇を切り上げて保育園に入園します。しかし、翌年10月に子どもが満1歳になるまで育児休暇を取得しようとする場合、年度途中の保育園の入園が困難となるので、事前に入園の予約をする制度でございます。この場合、4月から9月の間、保育園はあいたままの状態となります。現在、日野市におきましては、待機児98名でございます。待機児解消を最重要課題としておりますので、現状では、この制度につきましては困難ではないかと考えております。
ただ、いずれにいたしましても、この制度は、既に幾つかの自治体で導入をしていることは承知をしてございます。今後さらなる情報収集をしてまいります。
以上でございます。
23 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
24 ◯14番(馬場賢司君) 3点につきまして、ありがとうございました。
仕事と家庭の調和のワーク・ライフ・バランスに不満を持つ人の割合は、世界24カ国のうちで日本が一番多く、それに対する改善を試みたことがない人の割合は、同じく2位。それが少子化にも反映している可能性が高い。これは、世界24カ国1万4,000人を対象にした仕事と家庭の調和、ワーク・ライフ・バランスに関する世界意識調査の結果により明らかになっています。仕事と家庭の調和と少子化には相関関係があるということで、出産、子育てでは、経済的な負担の軽減や利用しやすい
保育サービスの充実がさらに求められております。中でも、女性の社会進出がますます進んでいくことが予測される中、女性が抱える不安を解消していく仕組みも重要であり、それが日本の社会の活性化につながるとも言われております。働く女性が輝ける環境を確立できるように応援をしていくようなサポートも不可欠となっている中で、今回取り上げたこういった制度も、ぜひまた前向きに検討していただきたいというふうに思います。
今、1、2歳児の待機なども深刻な状況であります。今後さらなる受け入れ枠の拡充、
保育サービスの充実など、子育て世代の皆様がさらに安心できる体制づくりを目指していただきたいと要望しておきたいというふうに思います。
それでは、後段の学童クラブについて質問をさせていただきます。3点について伺いますので、よろしくお願いいたします。
1点目は、第四小学校から約30分かけて万願寺学童クラブまで通う子どもたちの対策として、前回、3月の議会でも、四小学童の早期増設、分設等について取り上げてまいりましたが、今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
また、昨年の夏休みの期間のことですが、万願寺学童と四小の学校のプール等の移動が大変であったと、そういった保護者の皆様からのお話がありました。今回の夏休みの対応についても、あわせてお伺いします。
2点目は、仲田小学校の敷地内への学童クラブの設置についてお伺いいたします。現在、仲田小の児童は、ふたば学童クラブに通っております。ここは学校から離れた場所であり、建物も老朽化している現状であります。今、保護者の皆様からも、そのような要望を多数いただいておりますので、今後、ぜひ、検討をしていただきたいと思います。
3点目です。今年度より8カ所の学童クラブで、正規職員から嘱託職員の方がその役割を担う体制となっています。正規職員が不在となり、保護者の皆様からは、今後の子どもたちの育成環境等についてさまざまな声をいただいているところです。そういった声にしっかりと対応できる、保護者の皆様が安心できる学童クラブの体制というものを構築していくことが必要であると思いますが、いかがでしょうか。
以上、3点について、よろしくお願いいたします。
25 ◯議長(手嶋精一郎君) 子ども部長。
26
◯子ども部長(米田裕治君) 1点目の第四小学校学童の分設についてでございます。
四小学童クラブは、第四小学校に通う児童数の増加とともに利用者がふえている状況で、4月1日現在、92人と、大規模なものとなっております。また、第四小学校から20号バイパスを越え万願寺学童クラブへ21人の子どもが通っております。今年度はまず、万願寺学童クラブに通っている21人の子どものことを考え、四小横の第四幼稚園の保育室を学童クラブの育成室として使用したいと考えております。これに関連する改修経費を今議会で補正予算として計上し御審議いただいている状況でございます。幼稚園の主な活動は午前中でございます。学童クラブの主な活動は午後でございます。また、土曜日や夏休み等の休みのときには、学童クラブは育成がございますが、幼稚園は休みで、重立った活動は時間の分け合いが可能だと考えております。この件は教育委員会、そして第四幼稚園と話し合いを重ねて、去る5月21日に幼稚園保護者の方への説明会を開催いたしました。保護者からおおむね了解をいただいているところでございます。説明会の際にいただいた保護者の方からの意見を踏まえ、幼稚園児、学童クラブ児童の動線等の工夫をしてまいります。第四小学校と第四幼稚園のフェンスの出入り口、幼稚園の入り口の改修等を、この夏休みの期間を利用して行う予定でございます。第四幼稚園の学童クラブの使用は、9月1日からを考えております。
御質問の夏休みの件でございますが、万願寺学童クラブに通う四小児童ですけれども、夏休みの中で学校プール、補習、開放プールといった第四小学校で行われるものに参加する子どもについては、子どもたちの学童クラブの往復の負担を考え、朝から四小学童クラブ、これは四小敷地内にございますので、四小学童クラブで受け入れ、そのまま四小学童クラブで1日育成をするということを現段階では考えております。四小学童クラブの育成に当たっては、万願寺学童クラブの職員と四小学童クラブの職員でよく検討し、保護者の意向を踏まえた形で進めていきたいと考えております。
2点目の仲田小学校敷地内の学童クラブの設置でございます。仲田小学校に通う児童は、日野児童館2階のふたば学童クラブを使用しております。ふたば学童クラブは現在、44人の子どもが利用しております。新子ども人口推計で仲田小学校も今後児童数がふえると予想されております。ただ、仲田小学校は、学校の敷地が狭く、敷地内への学童クラブ設置については、なかなか厳しい状況と考えております。仲田小学校の隣地に建設を予定しておりますふれあいホールの中に学童クラブを設置できるかどうか、現在、庁内で検討しているところでございます。
3点目の8学童での職員配置に関する問題でございます。現在、学童クラブの職員体制は、八つの学童クラブで正規職員の配置がなされていない状況がございます。その学童クラブでは、非常勤嘱託職員が運営を担っております。学童クラブの非常勤嘱託職員は、経験と実績を持って今までも子どもたちの育成を行ってきた力量のある職員でございます。子どもの育成につきましては、正規職員も非常勤嘱託職員も差はございません。
さて、ここ近年、学童クラブのニーズが大きくなってきたことに伴い、非常勤嘱託職員の役割が大きくなってまいりました。そのため非常勤職員は、正規職員と同等に学童クラブの諸会議に出席を行い、学童クラブの運営の組み立てを行い、また情報の共有化を行っていきます。研修につきましても、正規職員とともに実施をし、スキルアップを図ってまいります。このことに伴い、非常勤嘱託職員の勤務時間、実はそれは正規職員の4分の3の時間で6時間勤務でございますが、この勤務時間を超えて勤務をする状況が発生をいたします。このことに対応するため、報酬の月額上限額を引き上げ、待遇改善を図るべく、今議会に非常勤のものの報酬に関する条例の一部改正を上程させていただいているところでございます。
さて、平成19年度よりひのっちも始まり、日野市では学童クラブ、ひのっち、児童館と、放課後の子どもたちのそだちを支える体制が整いました。一方、子どもの状況を振り返ってみますと、取り巻く環境が大きく変わってきてございます。かつて子どもたちは、大勢の子どもたちと体を使ったさまざまな活動的な遊びをしていました。時間を忘れ、夢中になって遊び込んでいました。今、それがなかなかできない。子どものときに子どもらしい経験ができていない状況がございます。子ども部では、今こそ子どもたちのそだちをしっかりと支えていかなくてはならないと考えています。そのため、子どもたちの放課後をどのように支えていくのかを検討するために、学童クラブ職員、これは正規職員、非常勤職員ともにです。児童館職員、ひのっちの職員で、仮称ではございますが、「放課後いきいきPT」を立ち上げます。これは、日野の子どもたちの置かれている状況をきちんととらえ、おのおのの職場で大切にしていることを出し合い、日野市として、放課後の子どもたちの何を大事にするのか、また、それを目指すために各職場は何を目指すのか、これを議論してまいります。このことを通じて、子どもたちを支える私たちの取り組みの質を上げてまいります。
以上でございます。
27 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
28 ◯14番(馬場賢司君) ありがとうございました。
1点、再質問させていただきたいと思いますが、今回の第四幼稚園内の1室での育成ということでありますが、今後新たな増設、分設というのは検討されていくのかどうか、お伺いしたいと思います。
29 ◯議長(手嶋精一郎君) 子ども部長。
30
◯子ども部長(米田裕治君) 第四小学校の児童数は、新子ども人口推計で今後も増加するという予想でございます。第四小学校の学童クラブ利用者の分設につきまして、どのような形で可能かということについて検討してまいります。
以上でございます。
31 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
32 ◯14番(馬場賢司君) ありがとうございました。
第四幼稚園内保育室での学童クラブの使用ということで、この間に早期の対応をしていただいたこと、仲田小地域については、ふれあいホール内での学童クラブ設置の検討ということ、また今回、(仮称)放課後いきいきプロジェクトチームの検討という新たな仕組みについても、それぞれ御答弁いただきました。子どもたち、保護者の皆様が安心できる体制について、ぜひ今後とも、放課後の、より一層充実された支援をお願いしたいというふうに思います。
最後に、昨年度からスタートした保育園、学童クラブ、児童館の耐震補強やバリアフリー化を進める施設整備計画について、今後の取り組みについてお伺いします。
33 ◯議長(手嶋精一郎君) 子ども部長。
34
◯子ども部長(米田裕治君) 保育園、学童クラブ、児童館につきましては、保育育成環境の向上、児童・生徒の安全・安心を目指し、施設改修計画を平成18年度に策定をし、平成19年度より実施をしております。当初、3カ年で全施設の改修を終える予定でございましたが、この財政状況を踏まえ、この計画をより確実なものにするために、4年計画に組み直しをいたしました。平成22年度までにすべての改修を実施いたします。保育園につきましては、平成19年度にひらやま保育園、あらい保育園、みさわ保育園の3園について、保育室、給食室、トイレ、園庭等の改修が完了いたしました。引き続き平成20年度は、みさわ保育園ともぐさ台保育園の施設改修を実施いたします。
いずれにいたしましても、平成22年度までの4カ年で、耐震補強も含めすべての改修を実施いたします。児童館、学童クラブの施設改修でございますが、平成19年度は、ひの児童館において赤ちゃんコーナー設置、トイレ改修、しんめい児童館では赤ちゃんコーナー設置、ロッククライミングブロック設置、トイレ改修、しんめい学童クラブでは育成室にクールダウンコーナー設置、みなみだいら児童館ふれっしゅでは、クライミングブロック設置、みなみだいら児童館ぷらねっとでは遊戯室の壁の補強、もぐさだい児童館では壁崖の修繕、一小学童クラブでは増築、クールダウン室整備、バリアフリー化を実施いたしました。基幹型児童館となるあさひがおか児童館は、平成19年度に大規模改修のための設計を実施し、今年度改修に入ります。また、栄町の児童館につきましては、本議会において、補正予算として工事費等の整備経費を計上させていただいている次第でございます。
以上でございます。
35 ◯議長(手嶋精一郎君)
馬場賢司議員。
36 ◯14番(馬場賢司君) ありがとうございました。
22年度までに耐震補強を含めてすべての改修が実施されるということであります。学校施設とあわせて、これら保育園、学童クラブ、児童館も、毎日子どもたちが過ごす、一つ一つ大切な施設でありますので、安全・安心の環境整備を今後しっかりと進めていただきたいと思います。
以上で、この質問を終わらせていただきます。
37 ◯議長(手嶋精一郎君) これをもって6の2の質問を終わります。
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38 ◯議長(手嶋精一郎君) 一般質問6の3、安全・安心の学校施設整備を!の通告質問者、
馬場賢司議員の質問を許します。
39 ◯14番(馬場賢司君) さきの中国四川省を襲った大地震では、多くの小・中学校が倒壊し、死亡した教員、生徒が全犠牲者の1割を超えるという、大変に大きな被害となりました。とりわけ安心と安全であるべき学校内の被災は、本来あってはならないことであり、今、全国的に学校耐震化の必要性がクローズアップされております。災害時、地域の防災拠点としての大切な役割を担う学校の耐震化は、待ったなしの状況となっています。こうしたことを教訓に、このほど学校耐震化を加速させるために、国の方でも地震防災対策特別措置法の改正が合意されております。改正案には、国庫補助率を2分の1から3分の2に引き上げ、地方交付税措置の拡充などが盛り込まれることになり、改正後は今年度予算から適用されるということです。
この間、日野市では、特に平成18年度、19年度と、重点的に耐震整備が行われ、19年度にも小学校2校、中学校3校の耐震補強工事が実施されており、全国的には昨年4月現在で、耐震化済みの校舎が6割未満という中で、学校の耐震化についてはかなり充実された取り組みがされております。しかし、今後、統廃合関連の学校であるとか体育館に関しては、まだ実施されていないところもあり、早期の対応が必要であります。そういったことを踏まえた中で、耐震の関係、その他学校施設整備について3点の質問をさせていただきます。
まず1点目として、体育館等の早期耐震整備が求められている中で、今後の取り組みについてお伺いします。また、今実施されている耐震補強工事は、この前の中国の地震もかなり大きい地震であったわけでありますけれども、どのぐらいの地震に耐え得るものであるのか、その辺の基準のようなものもあわせて確認をしておきたいというふうに思います。
2点目は、学校のトイレの改修についてお伺いします。平成14年度よりおおむね年間で2校のトイレ改修が順次行われており、ドライシステムの明るいトイレに改修されております。先日、改修後の四小のトイレも見させていただきました。学校のトイレに関しては、以前より臭気の問題、床、天井、壁、便器の汚れ等の問題があり、特に小学校1年生の保護者の皆様からは、家庭でもほとんど洋式という中で、子どもたちが使いづらいので、早期に改修をしてほしいという声も多数いただいております。全校での早期改修が求められておりますが、今後のトイレ改修整備についてお伺いします。また、今、学校の1系統ずつの改修が実施されていますが、それが終了された後、残されたトイレの改修が実施されていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。
3点目は、学校の今後の増築対応についてお伺いします。具体的に第四小学校について取り上げていきたいと思います。今回の補正予算で日野第四小学校校舎増築設計委託料が計上されているところでありますが、今後のスケジュール、また課題など具体的な内容についてお伺いします。
以上、3点について、よろしくお願いいたします。
40 ◯議長(手嶋精一郎君) 答弁を求めます。教育部長。
そう言えば、冬柴国土交通大臣も、住民を追い出すことはしないと、繰り返し述べています。これだけの重い権利を有する借り主に対して、UR都市機構は、しっかりとした理由も示さず、お金を出すから出ていってほしいということは本当にひどい話です。この住民の皆さんの願いは、この大好きな73号棟にずっと住み続けたいということです。この団地が我が団地なんです。ですから、住民の不安、不信をぬぐい、事実についてはっきりさせるために、一つは、UR都市機構に情報開示をさせて、皆さんが納得するまでUR都市機構に説明をさせること。もう一つは、耐震強度についてはっきりした上で、家主の責任で耐震対策を行わせる。このことが今、早急に求められています。
今回、73号棟と同様に、突然、UR都市機構から除却を言い渡された千葉市の幸町団地では、以前、耐震偽装問題と前後して、うちの団地は大丈夫なのかと問い合わせがUR都市機構に相次いだ時期に、団地の建物の安全性を証明してもらうために、UR都市機構を呼んで、幸町自治会で説明をさせたそうです。このとき、UR都市機構は、阪神・淡路大震災で傾いた2棟のUR都市機構の団地をスライドなどで紹介しながら、ピロティー部分が崩れ傾いた部分を起こす──すごい技術なんですけれども──起こす作業をスライドで見せて、今現在、皆さんが住んでいる住宅も、このように崩れることなく、命にかかわらないと、安心ですよということで説明をしたそうです。これは幸町団地の自治会長さんのお話です。
また、一方で、板橋区の高島平団地では現在、耐震強度が同様に不足しているために、耐震改修工事を行っています。73号棟と同様の2という分類に診断がされた棟が3棟あります。私は実際に、高島平に耐震改修工事の様子を見にいってきました。高島平団地は、高幡台団地の73号棟と同様に、11階建てがたくさん建ち並んでいる団地です。見にいったときは、その一つ、2の26の4号棟を工事していました。この工事では、住んでいる人が居住したままで、この高層棟の補強工事が行われていました。2の26の4号棟は、工期が19年2月から20年4月終わりまでですから、既に終了しているものと思われます。
阪神・淡路大震災でも大丈夫だったとUR自身が証明をして見せたUR都市機構の団地の耐震性能、また実際に、11階建てという高層棟の建物の補強工事を実際に終了させている、こういう事実。こういう事実があるにもかかわらず、危険だからとか、補強工事はできないと言うUR都市機構の除却の理由がどうしても納得ができません。住民の多くは、住み続けたいと願っています。ですから、必要であれば、高島平団地のように、URの責任でしっかりと補強工事をさせようではありませんか。そのために、日野市は、住民と一緒の立場でUR都市機構に対して、必要な耐震対策を行うように働きかけていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。
83 ◯議長(手嶋精一郎君) 企画部長。
84 ◯企画部長(高橋 治君) 先ほども申し上げましたように、日野市の立場としては、73号棟についての、なんですかね、除却にするのか、耐震補強工事をするのかということにつきましては、基本的にはURが決めていくことだと思います。
そこで、先ほど言いましたように、住んでいる住民の安全・安心、あるいはまち全体を考えた上で、いわゆる250戸の消失ではなく、同程度のですね、同規模の住宅の建設を望むということを希望しているところでございます。
以上です。
85 ◯議長(手嶋精一郎君) 大高哲史議員。
86 ◯1番(大高哲史君) 何度も言いますけれども、住民の皆さんは、除却・建て替えを望んでいますというふうには言っておりません。住民の方の署名運動の中身でもわかるように、またいろいろなお話をされる方の話を聞いても、皆さん、そもそもの説明の段階で、URの説明を納得し切れていません。で、合計4回の説明会が開かれましたが、ここでもたくさんの質問が出て、質問時間が超過しても、さらに質問したいという方が続々出ています。実際に手紙をURに対して書かれた方もいます。そして、新宿にあるアイランドタワー、URの入っているビルに行って、これはどういうことなのかと説明を求めに行った方もいます。こうしたことを見ても、どう考えても、URが言う、また日野市もおっしゃっていますけれども、除却前提の話というのはどうしても納得ができません。
今、時系列で私なりに整理しますと、そもそも初めに、除却方針を説明するのではなく、UR都市機構はまずは、耐震診断の性能についてこういうことだと、住民が納得するまで説明をしていただかないといけない。その上に立って住民は、実際に耐震性能がはっきりした時点で、この次のことに取りかかるわけです。その時点でまた、耐震性能を踏まえた耐震改修工事ができるのかできないのか、この段階に入るという順序だと思います。
UR都市機構は、さらに、お金の話や移転の時期などを提示していますが、そもそも住民の段階は、その段階にはありません。全体として、経過など細かく状況をわかっていただけたと思うのですが、市長からもぜひ、UR都市機構に対してしっかりと説明責任を果たさせる、また必要な耐震対策をするように働きかける、こうしたことができないでしょうか。市長の見解を伺います。
87 ◯議長(手嶋精一郎君) 副市長。
88 ◯副市長(河内久男君) 市長と今相談しまして、私、かわりに答えさせていただきます。全く同じ考え方です。
借地借家法で正面からいくのは、得策ではないんじゃないかなと私は思います。法律論ではいけないんじゃないかなと思います。法律論ですと、市が言うべきことというのがほとんど限られてきます。まずそういうことかなあと思います。基本的には、企画部長が答えましたように、73号棟は消滅する方法でない方法でしっかり対応してもらうというのが基本的です。この辺のところは2回ほど企画部長が言いましたんですけれども、御理解いただければありがたいなと思います。
それから今後ですけれども、大高議員が後半に説明を、考え方をお示ししましたとおり、情報の公開をすると。これは今の世の中、当然過ぎるほど当然のことだと思います。そんな中で、皆様方が納得いくような形が見出せるんであれば、それが一番いいと思っております。日野市の考え方は、73号棟が消滅するんじゃない方法を十分考えてほしいという立場でございます。
以上です。
89 ◯議長(手嶋精一郎君) 大高哲史議員。
90 ◯1番(大高哲史君) 副市長にですかね、はっきりとお答えいただきたいんですが、消滅しないようにということは、どういうことでしょうか。建て替えを前提に前回は部長、答弁されているということで、課長などとも打ち合わせをさせていただきましたが、日野市としては消滅させないということは……。取り壊さないということの確認をさせていただきたい。
91 ◯議長(手嶋精一郎君) 副市長。
92 ◯副市長(河内久男君) 物理的にですね、あそこを全部なくすのはだめだということを、今、日野市は、ここでお約束することはできないですよ。それはやっぱり、安全のことを、そこに住んでいらっしゃることの安全のことを考えると、それも選択肢の一つの中にあるわけですから、それを今から──それはノーということではありません。私はですね、このタイトルにもありますように、高幡台団地にずっと住み続けていきたいというタイトルがあるわけですね。そこの部分においては、市の立場は全く同じでございますよ。ですから、消滅ではないという方法でいろんなことが考えられるんじゃないでしょうか。だから、物理的にあそこを壊すのはだめだというところヘ入っていて、借地借家法から入るのには、ちょっと無理があるのではないでしょうかというお話を申し上げているわけでございます。
93 ◯議長(手嶋精一郎君) 大高哲史議員。
94 ◯1番(大高哲史君) UR都市機構は、なぜ、補強ができないの、という住民の問いにしっかりと答えを示せていません。今、日野市からも言われたように、UR都市機構には、すべての資料を出させてしっかりと説明をさせる。そのためにも、日野市は住民を守るため、いろんな形でバックアップをしていただきたいとお願いいたしまして、この質問を終わります。
95 ◯議長(手嶋精一郎君) これをもって大高哲史議員の一般質問を終わります。
お諮りいたします。議事の都合により暫時休憩いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
96 ◯議長(手嶋精一郎君) 御異議ないものと認めます。よって暫時休憩いたします。
午前11時42分 休憩
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午後1時11分 再開
97 ◯議長(手嶋精一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問8の1、学校選択制についての通告質問者、佐瀬昭二郎議員の質問を許します。
〔18番議員 登壇〕
98 ◯18番(佐瀬昭二郎君) それでは、通告に従いまして一般質問をいたします。
日野市が学校選択制を導入したのは、2001年度からです。その前の年に初めて品川区が導入し、日野市と同じ年に足立区が導入すると。ごく早い時期に日野市は導入したわけですが、それから7年たちました。この日野の学校選択制がどのようにこの間、機能してきたのか。学校選択制を導入したほかの、例えば品川区や足立区というような自治体と比べて、どのような特徴を日野市の学校選択制の運用というのは持っているのかと。それが問題、関心の一つであります。
もう一つは、今、全国各地で、地域に根差し、地域の教育力を生かした学校づくりを目指す動きが広がってきているんですね。日野市もそのような方向をとろうとしているんですが、この動きと、地域に根差す学校をつくるという動きと、学校選択制はどのように折り合いをつけることができるのか、あるいはできないのか。今、じっくりと考えるべき時期に来ていると思うので、そのような問題意識で質問をいたします。
まず、この7年間、日野市の学校選択制がどのように推移してきたのか、資料をいただきました。なかなか見やすい資料ですが、小学校についても、中学校についても、まとまった数の人々が自分の学区外の学校を選択するという動きが、地域的に偏っているというか、偏在しているという特徴があると思いますが、まず、その状況について御説明をいただきたい。
それから、その原因が何か、どういう対策を講じてこられたのか。
まず、その2点について御質問をいたします。
99 ◯議長(手嶋精一郎君) 答弁を求めます。教育部長。
100 ◯教育部長(栗原 修君) 1点目でございます。人数の関係になります。学区外の学校を選択されている率ですが、開始年度の平成13年度は、小学校で8.4%、中学校で5.3%でした。今年度の状況ですが、小学校は16.1%、中学校は17.0%でございます。今年度の地域的な特徴ですが、小学校では、日野第一小学校区から潤徳小学校に入学した人数が27人、日野第四小学校区から潤徳小学校に入学した人数が37人、仲田小学校区から日野第四小学校に入学した人数が27人でした。中学校では、日野第一中学校区から三沢中学校に進学した人数が69人いました。これらの地域のケースが、全体の選択率を引き上げる大きな要因で、これを除いた場合の選択率は、小学校で10.1%、中学校で10.6%となっております。
2点目の、その原因と対策ということでございます。日野第一小学校区と日野第四小学校区から潤徳小学校へ入学したケースと、日野第一中学校区から三沢中学校へ入学したケースには、いずれも万願寺五丁目、六丁目、石田一丁目、二丁目の、いわゆる調整区域及びその周辺の地域から入学した人数が多数含まれています。この地域は、潤徳小学校への通学距離も短く、また通学路の安全性も高いことから選択されたものと思われます。同様の理由から、三沢中学校も選択されたものと思われます。また、仲田小学校区から日野第四小学校に入学したケースは、大字日野1111番地の大規模マンションが、両校からほぼ同等の距離にあるために生じたケースであると思われます。
新子ども人口推計によりますと、万願寺、石田の調整区域の子どもの数は、今後も増加傾向にあるため、その受け入れ方策について、現在、検討しているところでございます。
以上でございます。
101 ◯議長(手嶋精一郎君) 佐瀬昭二郎議員。
102 ◯18番(佐瀬昭二郎君) どうもありがとうございました。
少しさかのぼってみると、ほかにも、特定の地域でまとまった子どもがほかの学校区の学校を選択するという動きがありました。例えば、日野第三小学校の子どもたちが東光寺小学校を選択すると。これは平成17年、2005年のデータですが、その年入学する子どもたちのうち、第三小学校区に住んでいる子どもたち41名が東光寺小学校を選択しています。ところが、次の年、2006年度のデータを見ると、これが5人に激減しています。理由ははっきりしていて、第三小学校は日野台地の上にありますけれども、その台地の下の地域が学校区になっていて、結構長い坂を上って学校に行かなきゃいけないと。学校選択制が始まって、平らなところを安全に行き来できる東光寺小学校をその地域の子どもは選んだと。それに対応して、さまざまないきさつがあるんでしょうけれども、学校区を変更したんですね。東光寺小学校を選択する子どもたちが住んでいる地域を──東光寺小学校の学区域に切りかえたために、41名が5名と、大きく変わっていると。そのことも含めて、ほかの地域に関しては、本当にほかの学校区の学校を選択する数字というのがぱらぱら散らばっているという状況です。
そこで、伺いたいんですが、学区外の学校を選択している──日野の場合ですよ──動機の多くが、通学距離、通学路の安全であると理解していいかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
103 ◯議長(手嶋精一郎君) 教育部長。
104 ◯教育部長(栗原 修君) 現在、選べる学校制度の希望校調査では、ブロック外を選択する際に、理由を書いていただいていますが、自宅から近い、通学しやすい、という記入が多く見られます。また、平成15年度の入学者に実施したアンケート調査では、複数回答ですが、小学校では、通学のしやすさや安全性を考えて、一番近い学校だから、子どもの友人関係によって、が主な選択の動機となっておりました。中学校では、本人の希望を尊重して、子どもの友人関係によって、あるいは、スポーツなど部活動の状況から、に続き、一番近い学校だから、通学のしやすさや安全性を考えて、が理由として挙げられていました。
以降、アンケートは実施しておりませんが、希望調査票から類推する限り、このアンケートとはほぼ同様の内容となっており、通学距離やその安全性が選択する際の考慮のポイントになっているように思われます。
以上でございます。
105 ◯議長(手嶋精一郎君) 佐瀬昭二郎議員。
106 ◯18番(佐瀬昭二郎君) これは、日野市の学校選択制がどのように機能しているかという場合の非常に大きな特徴だというふうに思います。同じ時期に学校選択制を導入した品川区や足立区とは全然、状況が違っています。
品川区では、中学に進学する子どもの25%が私立の学校を選択している、残りの子どもたちの30%が学区外の学校を選択していると言われています。つまり、子どもの50%が自分の住んでいる学区以外の学校を選択するという状況になっていて、文字どおりこれは、学校と地域との連携をとろうとする場合、その関係がどんどん希薄になってきているということを示していると思います。しかも品川区は、最初から勝ち組、負け組みたいな区分けがはっきりしているんですが、この制度を導入してから、品川区が区独自の学力テストを実施して、結果を発表するんですね。そうすると、勝ち組、負け組もですね、という表現が正しいかどうか、とりあえず言っておくと、その選択する動きというのがもっと激しくなって、成績上位校を希望する子どもがどんどんふえていると。2006年には新入生がゼロの中学校が出現したということになっています。
足立区でも、品川区と同じように、区独自の学力テストを実施して、その結果を発表したところ、やはり成績上位校に通学希望者が集中することになって、その傾向は今日まで拡大しながら固定化する方向で機能していると。
しかし、日野ではそうなっていないんですね。つまり、品川区や足立区などと比較して、日野市の場合、学校間格差の拡大につながるような選択の要因がほとんど働いていないように見えますけれども、これはなぜだというふうにお考えでしょうか。(「豊かな地域性がある」と呼ぶ者あり)
107 ◯議長(手嶋精一郎君) 教育部長。
108 ◯教育部長(栗原 修君) 日野市の場合、これまで述べてまいりましたように、通学距離や通学路の安全性が第一に考慮され、学区境の子どもたちが他学校を選択しているケースが多く見られます。また、日野第二小学校や滝合小学校のように、中学校に進学する際に、中学校区が二つに分かれる小学校については、選べる学校制度を使って、友人関係を理由として進学先を決めているケースも見られます。その他の選択理由として、進学状況がありますが、平成15年度に実施したアンケートでは、複数回答であるにもかかわらず、進学状況を考慮したとの回答は一、二%にとどまっており、学力を基準とした選択はほとんど見られません。ブロック外を選択する際の希望校調査でも、毎年、状況は同様でございます。このことは、選べる学校制度のもと、どの学校も基礎学力をつけることに力を注ぎ、卒業後の進路に大きな差がないこと、また、地域との関係を重視して、特色ある学校づくりに取り組んできたことによるものと思われます。選べるということに対する学校の努力の積み重ねの結果であり、現行制度は問題なく機能しているものと考えております。
以上でございます。
109 ◯議長(手嶋精一郎君) 佐瀬昭二郎議員。
110 ◯18番(佐瀬昭二郎君) 日野市内の小学校、中学校それぞれの学校が、よりよい教育条件を見出そうとして努力をされていると。それは私も大いに認めるところでございますが、日野のような学校選択制の機能の状況を生み出している要因は、ほかにもあるように思うんです。一つは、今日、社会問題化しつつある問題ですけれども、親の経済力が直接教育力につながってしまうと。所得の格差がどんどん国民の間で広がっておりますけれども、その親の経済力が、子どもが教育を受ける場合の条件を左右してしまう。それが固定化する傾向にあると。このままその状況をサポートする体制が整わなければ、世代間にわたってその関係が固定化しかねないということが問題にされています。ある一つのまちの中で、言ってみれば、その経済力の差イコール教育力の差という状況に近づいているわけですが、その状況が地域的に偏在しているとなると、まちの中で地域間格差が発生すると。学校の教育力をですね、選択をする大きな動機が生まれるということになりますが、日野の場合は、そのような地域的条件はまだないと。それが一つの条件だろうと思います。
もう一つは、学区域の面積の問題です。ちょっとそれぞれの自治体の面積を小学校の数、中学校の数で割って平均の1学校当たりの面積を調べてみました。足立区と品川区と日野市です。小学校の場合は、足立区は72校あって、1学区の面積が0.74平方キロです。品川区は、38小学校があって、0.6平方キロです。日野市は、18の小学校で1.53平方キロ。品川区や足立区の2倍の広さを持っていると。中学校の場合、足立区は1学区当たりの面積が1.44平方キロ、品川区は1.34平方キロ、日野市は3.44平方キロ。足立区、品川区に比べて、2.5倍ぐらいの広さがあると。しかも、日野市の小学校1校当たりの面積、学区の面積は、品川区、足立区の中学校1校当たりの面積よりも広いんですね。だから、日野の子どもたちを抱える親にとっては、通学距離の問題、通学路の安全の問題というのはかなり深刻、切実な問題になっている。子どもたちの安全が脅かされるような事件が多発しておりますので、できるだけ短くて安全な通学路を選択するという形で、日野の学校選択制が機能していると。よくわかるというふうに思います。
で、同じことについて、品川区の小学校の現職の教員が、大阪のあるまちに行って、品川区の学校選択制について説明をするという、その文書を読みました。学校選択制の評価についてということじゃなく、距離の問題というか、面積の問題ですが、こう書いてあります。
「私の前任校は、目の前がA中学校、徒歩3分でB中学校、5分でC中学校、7分でD中学校、3分で第1人気のE中学校があります。」だから、小学校6年生の選択肢は、徒歩10分以内のところに5校、中学校があると。全然、いわば地勢的な条件が違うということがわかるわけですが、そういう意味では、学校の教育力だとか教育条件というようなことは、日野では選択をする場合の大きな要因になっていないわけですが、日野では、学校選択制を導入しようとしている人々が、本来、これが学校選択制のねらいだよ。学校選択制を実施するとこういうことになって、教育の質が全体として引き上げられるんだよと考えている本来のねらいのようには、学校選択制は日野では機能していないと。(「それはおかしいんじゃないの。へ理屈だよ」と呼ぶ者あり)今から御説明申し上げます。ゆっくりお聞きいただきたいと思います。
学校選択制を現在強力に推し進めようとしているのは、内閣府なんですね。内閣府のもとに設置された規制改革推進会議などが(「分権だよ、分権。中央集権じゃないでしょう」と呼ぶ者あり)どういうふうに言っているか。そうなんです。文部省は、分権に反すると言っているんですよ。どういうふうに言っているかというと、学校を選択するということを権利として認めるんだと。そうして、さまざまな選択が働くと、学校間の競争が促される。で、その競争の中で各校が切磋琢磨する中で、全体として教育の質が向上するんだと、こういうシナリオを描いているんです。品川区、足立区では、学校間の競争が激しくなるというところまではこのシナリオどおりにいっているけれど、この先はシナリオどおりにいっていないんですね。勝ち組と負け組が固定化されて、学校間格差が拡大するという事態が進行している。日野の場合は、学校間の競争が促されるところまでもいっていないんです。つまり、距離的な理由、通学路の安全上の理由で学校を選択するというのがほとんどであるわけですが、実はこの通学距離や通学路の安全を理由とする他学区の学校選択というのは、いじめを理由とする選択や、健康上の理由から近い距離でなければ耐えられないというような、そういうことを理由とする選択と並んでですね、学校選択制導入以前から可能な選択だったんです。そして、先ほどの御答弁にもありましたけれども、日野の場合は、四中、一中学区の子どもたちが潤徳に通ってもいいよという調整区域を設けるという形で、これは学校選択制が導入される以前からあった制度でけれども、調整区域の設定で対応するということでやってきたということなんですね。この日野における学校選択制の機能の仕方、特徴だと言ってもいいと思いますが、そのことが一体、どういう意味を持っているのかということについて、この後、少し考えてみたいと思います。
まず、学校選択制をめぐる動向を、どのような経緯で今日に至っているかについて、簡単に整理をしておきたいと思います。まず、1987年の5月、文部省が「臨時教育審議会教育改革に関する第3次答申について」という通知を出します。この通知に基づいて調整区域を設定することができるようになりました。そして日野でも、潤徳、一小、四小の学区について、現在ある新しい20号線よりも南の地域について、どちらに行ってもいいよという調整区域を設定することになったわけです。ここまでは文部科学省が設置した審議会の答申があり、それを受けて文部科学省が教育に関する方針を決定していくという流れなんですが、これ以降、その流れが変わっていきます。
1996年12月16日、行政改革委員会、内閣府に設置されたものですが、「規制緩和の推進に関する意見第2次」というのが出され、これを受けて1997年、次の年の1月27日に文部省が「通学区域制度の弾力的運用について」という通知を出すことになります。つまり、教育行政の外から学校選択制を推進しようとする動きが始まるわけです。この文部科学省の通知を受けて、まず最初に学校選択制の導入に踏み切ったのが品川区。それに次いで日野市、足立区というふうに、学校選択制を選択する自治体が徐々にふえていくという流れになっています。
ところが、最近になって、2005年以降、学校選択制を強力に普及しようとする内閣府と文部科学省の間に、若干のあつれきが生まれるようになっていきます。「規制改革民間開放推進会議」という、正式にはそういう名前ですが、この2005年12月21日に発表された第2次答申は、学校選択制について、学校選択制が文字どおり制度として根づくようにする。制度として確立するということが、まず、うたわれています。さらにそれを全国的に普及するんだと。
例えば、私が小学校、中学校時代を過ごした北海道の、今は安平町という名前になっていますが、小学校が町内に全部で五つあるんですが、駅が四つあって、駅を中心として形成されるコミュニティーに小学校が一つずつあるんですね。駅間距離は、北海道ですから10キロぐらいあるんですね。その残りの一つの学校は、人間よりも牛や馬の数の方がはるかに多いという酪農地帯のど真ん中にあって、ここも、小学校高学年が遠足で行くような距離。とても、こういうところで学校選択制を実施しますと言ったって、選択のしようがない。そういうところが、日本全体を見ればたくさんあると思いますが、この内閣府に設置された会議は、全国一律にこれを普及していくんだと、こう言ったわけですね。これに対して、この第2次答申が出されたのは、先ほど言いましたように、2005年の12月21日ですが、その次の日、12月22日の文部科学省初等中等局メールマガジンに次のような文書が載っています。
「規制改革民間開放推進会議の主張は、学校選択制の導入を全国的に義務づけるとことと同義であると考えられる。これに対して、文部科学省は、学校選択制を導入すべきか否かは、地域の実情を十分に踏まえ、各自治体が判断すべきであって、全国一律に義務づけることは適当ではない、と一貫して主張してきた」と。地方分権の流れに反するではないか、というふうに文部科学省が──文部科学省がこれまでやってきたことはすべてすばらしいなどと、私は思っていませんけれども、この限りにおいては、文部科学省はかなり筋の通った主張をして、抵抗しているんですね。地方分権の流れに反するし、また、地域の一体性を重視し、地域コミュニティーの中で子どもたちを健やかにはぐくんでいくという方針のもと、慎重な検討を重ねた結果、学校選択制を導入するのではなく、通学区域性を維持した方がよいと判断している自治体もあるというふうに、文科省の初等中等局メールマガジンは主張しています。
そして、ことしになって、昨年内閣府が実施した学校選択制についての調査結果がどうなったのかということが新聞で報道されました。5月23日の朝日新聞に載っています。内閣府が過去にも同じような調査を実施しておるんですが、例えばこれは2006年に実施した調査。その結果、導入して悪かった点は何ですかという質問に対して、多くの導入した学校は、通学距離が長くなり、登下校時の児童の安全の確保が難しくなったと言っています。それから2番目が、学校と地域との連携が希薄になったというふうに言っています。もう一方の状況としては、先ほどちょっと御紹介した、地域に根差す、地域の教育力に依拠した学校をつくっていくんだという流れが、今、広がりつつある。そのこととの関係で、学校選択制を選択する流れがどうなっているかというと、ことし5月23日の新聞報道によれば、導入率は小学校14%、中学校17%で、前回、2006年と変わらなかった。さらに制度導入を検討中、とした小・中学校も、いずれも18%台から9%台に半減したという報道がされています。
最初に申し上げましたけれども、学校選択制ということと、地域に依拠して、地域に根差して学校をつくっていくという営みが、果たして折り合いがつくのかどうかということが、全国の自治体、教育委員会でかなり問題になってきていると。大いに議論をされていると。政府はやれと。進めるから、はい、そうですかと簡単にそれに乗るわけにはいかないのではないかという議論が広がってきているという状況を反映しているのではないかと私は思います。
そこで、最後に、公立小・中学校と地域とのかかわりをどう考えるべきなのかということをめぐって質問をしたいというふうに思います。
今日、地域コミュニティーを再生するという課題が日本社会の大きな重要なテーマになってきていると思います。地域の防災力をいかに高めるのかと。阪神・淡路大震災のときにも、中越地震のときにも、中越沖地震のときにも同じように被害を受けたんだけれども、しっかりと地域でその被害を受けとめて、お互いに助け合うという関係を、力を発揮できた地域がある。で、それがうまくいかなかったところがある。そこから何を学べるのかということを、今、真剣に自治体の関係者も学ぼうとしていると思いますが、あるいは地域の福祉力をどう活用するのかと。この、今議会の質問の中でも、高齢者ボランティアをどう生み出していくのかという話が出てきましたけれども、地域の福祉力を活用し、行政が責任を果たすと同時に、地域の力と手を結び合って、福祉のシステムをつくっていくということが非常に緊急な課題として意識されてきている。地域の教育力を活用するということも、これも最近、非常に大事なことだと、そういうふうに言われてきて、そのことを背景にして、地域に根差した学校づくりという流れが生まれてきているというふうに思います。
先ほども紹介しました内閣府の学校選択制についての調査で、導入してまずかった点の第2位は、2回の調査でいずれも、学校と地域との連携が希薄になった、ということです。この点で、非常にはっきりと学校選択制について態度を表明している自治体があります。東京の世田谷区です。世田谷区は、東京都では先進的に地域に根差した学校づくり、地域の教育力を生かした学校づくりに精力的に取り組んできた自治体です。こんなふうに──これは世田谷区の教育委員会がまとめた「世田谷区教育ビジョン」というもので、これは一部ですから、もっと大部なものですが、地域に根差す教育、地域に根差す学校をつくるためのさまざまな教育プランがここに盛り込まれていて、今現在、第2次行動計画の段階までいっているんでしょうかね。次々と年次的にそれを実現する、実施に移すということをしていますが、この教育ビジョンの冒頭で、このように述べています。
「世田谷区は、すべての原点は教育にあるとの思いを持ち、熱意を持って教育活動に取り組んできました。長年にわたって地域と一体になり、地域とともに子どもを育てる教育を実践してきました。だからこそ、世田谷区では、いわゆる学校選択制を採用せず、すべての学校で地域との関係を守り育てながら教育活動の一層の充実に取り組むことにしたのです。」世田谷区は、学校選択制と地域に根差した学校づくりというのは、折り合わないというふうに判断をしたということです。地域に根差した学校をつくるためには、何を整備しなければいけないか。まず何よりも地域教育基盤を整備するんだということを言っています。地域が持っている商売上の専門性もあれば、物をつくる専門性もあれば、さまざまに学ぶことにかかわる専門性もあれば、農業を営むことにかかわる専門性もあると。そういう専門性、地域の教育力を組織していく必要があるんだということを言っています。
確かにこう言われると、品川区や足立区のようなところまでいってしまうと、とても地域で教育の基盤づくりをするなどということはできない。もし、足立区や品川区が今ですね、学校選択制をやりながら地域に根差した学校づくりを進めますなんていうことを言い出したら、大混乱が起こると私は思います。
このことに関連して、世田谷区の区長が、2004年の第1回世田谷区議会の定例会で、次のように述べています。
「私は以前、学校選択制は時代の流れであると考えておりましたが……(「日野市のことを言いなさいよ」と呼ぶ者あり)日野市のことも後でちゃんと言いますので。
私は以前、学校選択制は時代の流れであると考えておりましたが、区長になり改めて世田谷の持つ特性と地域の教育力の重要性を認識し、当面学校選択制は採用しないこととし、地域の方々と一緒に、地域に根差した教育を充実してまいりたいと考えております」と。世田谷の各学校や教育委員会の長年にわたる取り組みを見て、改めて考え方を変えましたというふうに言っているわけです。
さらに、2003年11月の世田谷区の政策評価委員会の会議で、世田谷区の教育委員会では、教育政策担当部長というのがいるようなんですが、この人が次のように言っています。
「例えば、品川区が非常に動かれておりますけれども、品川区の教育長がおっしゃられるのは、もう、中からの改革では動かないと。そうしますと、学校を変えていくのは外から変えなくてはいけない。外からのベクトルで変えなくてはいけないというので、例えば、学校選択制、学区域撤廃と明確な形を持たれています。その段階では、ある意味、地域コミュニティーは壊れているよという状況認識であろうと思っていますけれども、私ども世田谷は、そうではなくて、地域コミュニティーはまだあって、その中で学校をつくっていこうという大前提があります」と、このように述べています。(「いや、違うな。品川がかわいそうだよ」と呼ぶ者あり)
そして、今、日野市が、教育委員会が策定中の学校教育基本構想でも、地域に根差した教育、学校づくりが大きな柱として位置づけられています。平山小学校では今年度中に、地域の住民、保護者がですね、学校の運営に対して一定の権限を持ってかかわるコミュニティスクールが始められようとして、その準備が今、精力的に進められています。(「何が悪いの」と呼ぶ者あり)まあ、急がないでください。
そこで、質問です。学校が地域コミュニティー形成にどのような役割を過去で果たしてきたのか。また、現在どのような役割を果たすことが期待されているのか。教育委員会の御見解を伺いたいと思います。
111 ◯議長(手嶋精一郎君) 教育部長。
112 ◯教育部長(栗原 修君) 地域の方々は、いろいろな団体を通じてコミュニティーを形成しています。学校もその一つの媒体であり、大きな核であると思います。したがって、地域とかかわりながら学校が成り立ち、学校を核として地域が結びついているものと考えています。現在、学校は地域の防災拠点であり、地域活動の場でもあります。また、子どもを学校に通わせている保護者や子育て中の人が、学校を核とした人間関係やネットワークを形成する場でもあります。さらには、地区育成会、おやじの会、スクールガードボランティアやひのっちなど、子どもたちの育成に取り組んでいる方や、関心のある人たちが互いに活動していく接点でもあります。そして学校は、地域の活力の源となっています。児童・生徒は、福祉施設などでボランティアをしたり、職場体験や清掃活動を通して地域の方々と接しています。その子どもたちに接する地域の方々は、子どもたちから元気をもらっています。今後は団塊の世代の方々を含め、地域の方々がさまざまな形で力を発揮していく場として、学校がその役割を果たしていくことが期待されます。
以上でございます。
113 ◯議長(手嶋精一郎君) 佐瀬昭二郎議員。
114 ◯18番(佐瀬昭二郎君) 全くそのとおりだと思います。学校が地域コミュニティーの核として役割を果たすと。これは非常に重要な側面だろうと。もう一つの側面は、地域が学校をつくるという側面だろうと思います。地域を超えて学校を選ぶのか、地域で学校をつくるのかという問題になります。先ほど紹介した世田谷区の取り組みも、日野市で策定されようとしている構想も、地域で学校をつくっていこうというものです。
かつても、学校は地域でつくるものでした。1947年、日本の教育制度は、普通教育の制度を6・3制に移行しますけれども、新しく中学校をつくる必要が出てきたんですね。このときに、日野町──当時は、まだ日野町と七生村に分かれていましたけれども、日野町の初年度の中学校費は、住民の寄附によって賄われていた。税金じゃなくて。それから、七生村では学校建設費、中学校を建てる費用のすべてが地域の寄附によって賄われている。保護者じゃないですよ。そこに住んでいる人々が、その費用を負担をし合っている。私自身は、1950年代の小学校時代なんですが、市長も一緒だと思いますが、その当時は、子どもたちのために必要な教育器材などをPTAがみんなでお金を出し合って、整えていくというようなことが、ごく普通に行われていた。で、この関係を、地域で学校をつくるということはどういう意味なのかという議論が、もっともっと深まっていけばよかったと思うんですが、一方では、義務的に負担が割り振られるというふうに受けとめる向きもあって、だから1950年代中ごろから1960年代初めに、義務教育無償の実現を求める運動が全国的に広がりを持つというようなことにもなったんだろうと思います。今日ですね……(「だれがやったんだ」と呼ぶ者あり)全国のPTA連合会などが動いているんです。それはもう非常にはっきりしている。
そういういろんな要素を持っているけれど、とにかく、かつて学校というのは、地域でつくるものだとういことがごく当たり前のこととして受け入れられた時代がある。今は、その関係がかなり希薄になってきているというふうに思いますけれども、地域の教育力に依拠して、地域に根差した教育を構築しようとする最近の動向は、学校教育に参加する権利に新しい光を注ぐものであるという動きだというふうに私は思います。「選ぶ」と「つくる」、この両者は、折り合いをつけることができる関係なのか。(「できる」と呼ぶ者あり)長い期間にわたり実施してきた日野の学校選択制を検証して、そのあたりのことについて明確な認識を、共通の認識を形成しておく必要があると私は思います。その点について、教育委員会はどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。
115 ◯議長(手嶋精一郎君) 教育部長。
116 ◯教育部長(栗原 修君) 日野市の選べる学校制度では、9割の方が本来の通学区域の学校を選んでいます。また、万願寺石田地区の調整区域のように、ある一定の地域の子どもたちが、区域外の近隣の学校を選択している傾向もございますが、全体的には地域を超えて学校を選択している状況にはなく、それぞれの学校を中心に、一定の範囲内で事実上の通学区域が形成されていると考えられます。地域に根差した学校をつくっていくということについては、選べる学校制度を維持していったとしても、特に問題はないと考えます。
以上でございます。
117 ◯議長(手嶋精一郎君) 佐瀬昭二郎議員。
118 ◯18番(佐瀬昭二郎君) 地域に根差した学校をつくっていくということについては、特に問題はないというのは、日野ではそのとおりだろうと私は思います。(「じゃあ、いいじゃない」と呼ぶ者あり)日野で地域に根差した教育の構想を大きな柱とする計画をつくって、それを実行に移せるのは、日野でそれが可能なのは、品川区、足立区のように、多くの子どもたちが他学区の学校を選択して、学校と地域との結びつきが希薄になるとともに、学校間格差が拡大、固定するという事態になっていないからだと。ここのところはしっかり押さえておく必要があると思います。今後、地域に根差した学校づくりを進めていく中で、一方で、日野市が実施している学校選択制をどうしていくのか。非常に重要な問題がそこにあると思いますので、ぜひ、しっかりとした検討を、今策定中の構想の検討の中で、しっかりと議論を深めていただきたいというふうに思っています。
以上が、質問ですが、最後に教育長の御所見を伺いたいと思います。
119 ◯議長(手嶋精一郎君) 教育長。
120 ◯教育長(加島俊雄君) 学校選択制と地域の関係を中心に御議論をいただいたというふうに思っております。
あわせまして、市内商工業の紹介や製品の展示など、市内産業の情報発信拠点として、また新選組のふるさと日野の観光情報発信拠点としても機能を持たせ、特色のある都市型の道の駅づくりとして検討を重ねていきたいというふうに考えております。
最後に、野菜不足の対応策ということでございますけれども、市内直売所の販売状況や、道の駅八王子滝山の例から見られますとおり、道の駅など大規模な販売拠点を開設する際には、市内産のみでの開設は非常に厳しいというふうに考えられております。その対応策といたしまして、例えば、このたび、防災姉妹都市協定を結びました秦野市や、新選組まつり、よさこいまつり、産業まつりなどで交流のある市町村との関係を生かしまして、新鮮な農産物を提供していただき、準地場産として直売所などで販売を行ったり、京野菜など一定の特産地からの一括提供による販売のほか、逆に日野市の農産物を販売していただいたり、いわゆる農産物の交流協定のようなものの可能性についても、新たな取り組みとして研究していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
145 ◯議長(手嶋精一郎君) 教育部長。
146 ◯教育部長(栗原 修君) 学校給食での取り組みについてお答えいたします。
学校給食は、安全・安心な食材の使用を基本として、できる限り国産のものを使用しており、平成12年度からはすべての小・中学校で、生産者の顔が見える新鮮な地元野菜を取り入れているところでございます。平成18年度の地元野菜の使用率は、15.7%でした。現在作成中の日野市食育推進計画の案の中では、その目標値を21年度に20%、23年度に25%掲げております。使用率を上げるために、今年度からコーディネーター制度を導入しました。この制度は、学校に収穫情報を伝えたり、学校や農家の要望や状況を把握することで、両者のつなぎ役となり、お互いが有益になるように細かな調整を行う、いわば御用聞きの役割を果たすものでございます。さらには、今年度に策定を予定しております食育推進条例で、学校の責務としてその取り組みを明記することにより、学校教育への地元野菜等の使用率の拡大を図っていきたいと考えています。
あわせて、現在、ニンジン、ナガネギ、リンゴが契約栽培の品目となっておりますけれども、この品目もふやしていきたいと考えております。使用食材の安全性については、平成14年に作成した学校給食食品安全衛生指針に基づき、チェックを行っています。また、給食現場において、地元産以外の使用食材の納品に際しては、製造、販売業者名、原材料の産地、製造年月日、期限表示等を記入し、毎日提出していただき、確認をしているところでございます。
地元野菜の学校給食での使用率を上げることは、フードマイレージにいう地産地消、輸送コストやCO2の削減につながると同時に、子どもたちにこのことの理解を図ることによって、環境教育にもなるものと考えております。将来を担う児童・生徒の健康な成長を願い、学校給食でできる限りの努力をしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
147 ◯議長(手嶋精一郎君) 秋山 薫議員。
148 ◯13番(秋山 薫君) ありがとうございました。
学校給食については、目標年次を定めてこれから拡大していこうということでございますので、そういう方向で、ぜひこれからも進めていただきたいというふうに思います。
地産地消については、フードマイレージを下げるのが一番の方法でございますので、ぜひ、それを学校の中でもやっていただきたい。できましたら、これからの検討課題になるかもしれませんけれど、教育の中で、これはどこのものなんだよということがわかるようなね、インターネットなんか調べたりと、ゲーム感覚で覚えるようなことも楽しいかもしれないなんていうことがありますので、そういう、産地を色分けするだとか、輸入品については色分けでわかるような形にするだとかというような、何か方策があれば、一緒に研究させていただければなというふうに思うところです。
それから、野菜の量をふやすということで、二毛作についてはほとんどのところでやられているということで、安心をしたところでございます。ぜひ、これからの中で、農家と援農ボランティアの関係もうまくいっているということでございますので、これから拡大する中で、いつかは土地が足りなくて、飽和状態になってくるのかなというふうに思っております。
言葉がちょっと質問の中で足りなかったんですけれど、防災協定と同じような形に農業の産物のそういう協定が結べればなというふうに提案をさせていだいたんですが、ちょっとこれは物流に携わる部分からいくと、うまくできるのかなということが一つと、あとは、JAさんの関係の絡み等があるかと思いますので、慎重に進めていただければなというふうに思います。これもことしの1月に、ちょっと縁あって茨城県の常陸大宮市というところに行ってきました。ここは、工業よりもやっぱり農業が盛んに行われておりまして、市役所の周りを見ても、緑の台地、まあ、冬でしたからそんなでもないですけれど、農地がいっぱいなんですよ。車屋さんなんかはよく、OEM教育、相手先ブランドで納めるという方法をやっておりまして、そのかわりその製品についての責任は、マークをつけるところが出すわけですね。例えば、茨城県だとかそういう、秦野市なんていう形で縁がつながっているわけですから、そこに行って、日野市はこういう形で野菜をつくるし、こういう安全基準があってということがもし言えるならば、それに合格すれば日野産ということで提供できるようなものがあるだとかいう、これはまるっきり新しい話ですし、どうなのかわかりませんけれど、ひとつ市民の食を守る、それから狭義での話かもしれませんけれども、市内での材料の供給ができる、準備ができる、それから関東で得られる、日本で得られる、それでもだめだったら世界にという話になるような形になっていけばいいかなというふうに思います。
食については、こちらの方も、市長も非常に興味があって、今年度のテーマにされているところもあるわけでございますけれど、その中でフードマイレージというのは、食の安心・安全だけじゃなくて、環境にもやさしい形につながるんだということでの、日野市でどういう形で細かい話で展開できるのかわかりませんけれど、新しい課題の中ということの中でですね、少しでも進めていただければなあという思いでございます。その提案に対する市長の思いなりありましたら、さわりでございますけれど、お言葉をいただければと思います。
149 ◯議長(手嶋精一郎君) 市長。
150 ◯市長(馬場弘融君) フードマイレージという新しい言葉でありますが、これに対する取り組みと現状の課題ということで、幾つか問われたわけですが、基本的には都市農業を守ろうということで、大分前から努力をしてきて、おかげさまで農業者、農業協同組合等のお力もいただいて、あるいは市民の御理解もいただいて、日野の農業、伸びているとは言えないかもしれないけれど、頑張っていただいているわけであります。大変ありがたいというふうに思っています。
それで、昨今ですね、食糧、農業の問題が劇的な変化を起こしつつあります。これは世界的にそうです。ちょっと前までは、たくさん農産物をつくっている、例えばアメリカであるとかそういうところは、買ってくれなければ困るんだというふうな認識で、日本にはどんどん受け入れてほしいと。牛乳なんかがいい例ですけれども、そういう形であったものが、昨今、ちょっと動きがおかしくなりまして、囲い込むというとおかしいですけれども、もう輸出をやめようというふうな動きすら出始めていまして、例えば、フランスも日本と同じように、あそこは米じゃありませんが、麦ですけれども、減反政策を結構やっていたんですね。たしかここで、ぱちっとやめたはずですね。それどころじゃないぞと。これからどうも人口はふえていくは、災害は多くなるはで、あちこちに援助だ何だかんだで食べるものが減ってくるんじゃないかと。そろそろしっかりと自分たちが食べるものだけは確保する必要があるぞという認識が、世界の食糧事情の現状であります。それらを踏まえて、特にアジアでは、ミャンマーの水害とか中国の大地震等を踏まえて、ちょっと難しい状況になってきているなあというふうに思います。
で、何か、官房長官ですか、日本も減反を考えようかとかというようなことを言って、どうのこうのというような議論になっていますけれども、今の日本の状況というのは、かなり真剣にこれも食糧の問題は考えないといけないだろうと。ひょっとすると、これまでとは180度違った視点で考えていかなければいけない。お金を出せば買えますよというふうなことが言えなくなってきていると。そうすると、江戸時代ではありませんけれども、1億の民が、日本国内、あるいは日本近海でとれるもので生きていくということを、そろそろ本気で考えなければいけない時代になった。そうなると、自給率といっても、単に日本国だけじゃなくて、日野市、あるいはこの近郊での自給率といいますか、どのぐらい食糧が手当てできるのかということをよく考えておかないと、いざという時にはえらいことになると。そんな点で、さらにこの都市農業もしっかりと頑張っていかなければいけないし、お米を食べる、あるいは学校給食でも米粉を使うとか、そういった作業もしていかなければいけないだろうというふうに思っているところでございます。
いずれにしても、給食も直売所も、あるいは地場産野菜の取り組みも、昨今の市民の皆さん、大変安全・安心に対して関心が高くなりまして、多少高くても、顔の見える安全・安心の食物を買いたい、食べたいという方が非常にふえてきているわけでありまして、これは、実は、お隣の中国でもそうでありまして、ですから、日本産のお米は非常に高くても売れるというふうな話が、今できているわけであります。そういうことで、食糧、あるいは農業に対する事情が随分変わってきて、ひょっとするとこれから10年ほどたちますと、農業をやる、あるいは林業をやるなんていうことは、ひょっとすると時代の最先端を行く事業になっているのではないか、そんな認識も、今、持っているところであります。市長会でも実は、環境問題の話し合い、シンポジウムがありまして、その中でも、農業とか、林を持っている、森を持っている地域というのは、これからはひょっとすると地域活性化の大きな素材を持っているというふうにお考えになった方がいいでしょう、というふうな発言もございました。大変印象深く聞いたところでありまして、議員御指摘のフードマイレージ、要するに食糧のトン数とそれから距離を掛け合わせた数字がどんどん下がるようにするという、要するに距離が下がってくれば下がってくるほどですね、その数値が下がるわけでございますので、できるだけ身近なところで調達をするというまちづくり、そういった仕掛けを、市民の皆さんと一緒につくっていくように努力をしたいと思います。これからも御指導いただきたいと思います。
151 ◯議長(手嶋精一郎君) 秋山 薫議員。
152 ◯13番(秋山 薫君) ありがとうございました。
以上で、質問を終わります。
153 ◯議長(手嶋精一郎君) これをもって秋山薫議員の一般質問を終わります。
お諮りいたします。議事の都合により暫時休憩いたしたと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
154 ◯議長(手嶋精一郎君) 御異議ないものと認めます。よって暫時休憩いたします。
午後3時05分 休憩
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午後3時30分 再開
155 ◯議長(手嶋精一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問10の1、公正、透明な生活保護行政のあり方について問うの通告質問者、奥野倫子議員の質問を許します。
〔10番議員 登壇〕
156 ◯10番(奥野倫子君) 生活保護行政について質問します。
3月議会でもこのテーマを取り上げましたが、その議論の到達点を踏まえて、今回はさらに、議論を深めたいと思っています。3月議会では、法律に照らしてどうなのか、という私の質問に対して、一つの保留もなく、原則としては、議員のおっしゃるとおり、という答弁でした。しかし、一方で、これらすべてについて、具体的な対応としては、ケース・バイ・ケースで、いろいろあり得るという趣旨の答弁もされました。これは、原則としては、法律どおりとしながら、現場では法律と違う対応をする可能性があるということなのか。もしそうであれば、大変な問題ですから、具体的な対応のあり方について、幾つかの点に絞ってお尋ねしたいと思います。
まず、生活保護の申請についてです。3月議会における部長の答弁では、生活保護の申請は、国民の権利であり、基本的に制限できるものではない、と認めています。しかし、その一方で、日野市は、国民の申請権の制限につながりかねない対応をしているということも、答弁で明らかになりました。すなわち、日野市では、1、事前相談を受けること。2、制度の説明を受けること。3、必要な書類をそろえること。以上、3段階を経ることが申請の事実上の条件になっています。
生活保護法では、まず申請を受け付ける。その後に必要な書類をそろえて、要否判定をして決定するとなっているわけで、日野市のような対応は、法律の趣旨に照らしておかしい、と3月議会で指摘しましたが、現在の対応を改める気はない、というのがそのときの答弁でした。法律上、書類をそろえての要否判定は、申請の後の手続であり、あくまでも保護開始、却下を決定するための要件です。申請の要件ではありません。
また、制度説明についても、事実上、必要最小限の説明は確かに必要でしょうが、これも申請の意思の確認のためであり、申請の要件ではありません。事前相談についても、相談の内容を見きわめるという目的自体は何ら異議はありませんが、これも申請の要件ではありませんし、申請の意思がはっきりしている場合は、申請を受け付けてから相談しても何ら不都合はないわけです。現実には事前相談をした後、相談者は必ず一たん帰されてしまい、相談をしたその日には申請させてもらえないという対応が、日野市においてまかり通っていることが大問題です。
第1問目として伺いますが、生活保護を申請する意思がはっきりしている場合には、まずは申請を受け付けるというのが正しい対応ではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
157 ◯議長(手嶋精一郎君) 答弁を求めます。
健康福祉部長。
158
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 生活保護の申請は、申すまでもなく、国民の権利でございます。基本的に申請権は制限できるものではありませんので、相談者の申請の意思を確認したときには、申請書を受理しなければならないことになっております。当然、受け付けいたします。ただ、申請を受け付けるに当たっては、当然、制度の仕組みを説明する、相談者の理解を得ることが重要です。つまり、保護申請後には、資産収入状況等受給要件の調査把握、その確認が行われること。また、保護を受けることになった場合の被保護者の権利及び義務等について、相談や申請の段階で周知しておく必要があります。当然、開始時調査を円滑に進め、制度の説明不足から生じるトラブルを避けるために、この説明は欠かせません。基本的立場はこれでございます。
一たん帰るというお話については、保護の相談の中で、保護の申請に──前回申し上げましたが、生活相談の中で、保護の申請について保護の申請に至らない、または別の道もあるのではないか、そういう対応の場合もあり得ますので、その場合は、保護の申請の受理とはまた別に考える場合もあるということでございます。
159 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
160 ◯10番(奥野倫子君) 部長は、実際の現場での対応は御存じで隠しているのか、それとも御存じないのか。5月の23日、私は、1人の方を窓口にお連れしました。生活保護の申請書、この申請書は、様式に規定がありません。自分で名前、住所、氏名、何のために受けたいのか、これさえ書けば、書式は構わず提出できるんです。申請書を書いて出しているのに、それを突き返しました。3日後に来てくれ。3日後に必要な書類を持ってきたときに、申請だという対応をとられました。はっきり生活保護を申請したい、本人が意思を示しているのに、そのときは、いや、生活相談だと言って帰される。結局、その時点で帰されているんです。こういう実態、私は議員になって10年以上たちますが、全部の、窓口へ私がお連れしたときの対応が全く一律、こういう対応を現場ではとられております。このことはお認めになりますでしょうか。
161 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
162
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 5月23日にどうであったかは存じません。基本的に3日で帰す。現象面はそうかもしれません。そういう場合もあるかもしれませんが、当然、その段階でお話を聞いた上で、生活相談の中で直ちに受理できない、もしかすると、生活保護の対象という形ではなくて、別の窓口へつなげる等の必要性の場合もあり得ますので、そういう意味での対応だというふうに考えております。
163 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
164 ◯10番(奥野倫子君) その5月23日の時点でも、じゃあ、保護の申請と、こういうことで、3日後に受理しましょうと、そこまではっきり言っているんです。だけど、申請はその受理のときだと。こういうことで帰されているんです。表向きには法律のとおりと言いながら、現場でやっていることは違う。このことをまずきちんと認めて、やっていることは法の趣旨に照らして逸脱している、このことをしっかりと認めてもらわないと先に進まない。やっていることを隠している間は、改善はされない。このことを指摘しておきたいと思います。こうした対応がまさしく、生活相談だといいながら、でも、相談した結果が、生活保護に、受給にふさわしい、そう判断したから3日後に必要書類を持ってきてくださいと言っているわけです。生活相談の段階で、ああ、生活保護の相談だ、はっきりした時点で申請は受け付ければいい。だけど、それを、いや、きょうは生活相談だと言って帰す。この帰す行為が、先延ばし、申請権の侵害。書類を提出して要否判定ができる受理のとき、生活保護受理のときにしか申請を認めない。これは権利の侵害。このことをきちんと認めないと、北九州のような、先延ばし、先延ばし、先延ばし。先延ばししている間に餓死するかもしれない。こういう状況が起こってくる。このことを認識しないと、生活保護行政は改善されない。このことを窓口、生活福祉課は、本当に自覚をしていただきたいと思います。
事前相談について再度お聞きしますが、生活保護を申請する意思がはっきりしている場合に、申請をしてもらった後でさまざまな相談を行うという手順をとって、何か不都合がありますでしょうか。答弁をお願いします。
165 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
166
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 議員のおっしゃるのは、原則です。基本的にはそのとおりにやっていきたいと思っております。不都合という点について言えば、要はその方の生活状況の中身を精査しない上で、申請だけ受理した場合に、要否判定で否になった場合の手続上の煩雑さ、その他問題が起きる可能性はもちろんありますし、申請者の意にそぐわない結果になるということもあり得ますので、その点が一つ不都合な点というふうになるかもしれません。
167 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
168 ◯10番(奥野倫子君) まさに行政の都合、手続上の煩雑さ、これが原因なんです。で、申請者の意に沿わない結果が出るかもしれない。それは申請の前に相談しようが、後に相談しようが、却下されれば意に沿わないんです。何の理由にもならない。もう冗談じゃないですね。申請を受け付けた後で、いろいろ相談に乗って、その結果、生活保護ではない、別の方法の方がよいと本人も判断すれば、申請を取り消せばいいだけのことで、事前相談を申請の前にしなければならない理由はどこにもありません。そうであれば、現在の手続の流れは改善されてしかるべきで、こだわる必要は全くないのではないでしょうか。
もう1点、3月議会の答弁でも、申請があった場合に、14日間で保護を開始するか却下するかを決定しなければならないが、14日間でできない場合に備えて、なるべく申請の時点では必要書類もそろえておきたいという意味のこともおっしゃっておりますが、全く取ってつけた理屈だと言わざるを得ません。行政の都合で本人の申請を先延ばしにすることは、申請権の制限に当たります。また、この理屈そのものが、法律に規定された手続を逸脱していると言わざるを得ません。いろいろ理屈をつけて、申請を受理する前に相談が行われ、書類がそろわないと申請させないことで、実質的な申請権の制限が行われていることをしっかりと認め、早急にこのような対応を改めるべきだと思います。
3月議会でも指摘しましたが、国会でもこの問題が大きく取り上げられ、福田首相も、申請権が侵害される対応はもちろんのこと、それが疑われるような対応も慎むべき、と答弁しているわけです。疑われるような対応もすべきではない、というのは大変重要な答弁で、疑いを持つ方がおかしい、と行政は開き直ってはいけないということです。日野市は、申請の先延ばし作戦で、日銭単位でも保護費を切り詰めようとしているために、市民の文化的で健康的な生活の保持がなおざりにされているとういことを、厳しく指摘しておきたいと思います。
2問目に入ります。生活保護費の対象となる範囲の問題について、1点だけ伺います。
生活保護を受けざるを得なくなる要因は、失業、病気など、さまざまですが、病気が主な原因となって生活保護を受けている場合について、いわゆるセカンドオピニオンを受けた場合に、それにかかった費用は保護費の対象となるのかという問題です。精神疾患を持っているKさんという方の具体的な事例の概要を述べます。
Kさんは、指定された病院での治療を続けていましたが、症状の改善が見られないだけでなく、別の症状もあらわれ、この点について何度も主治医に相談したが取り合ってもらえず、知人の紹介もあって別の医師に相談したのですが、日野市はこの分を保険外診療扱いということで、またセカンドオピニオンであるということで、医療給付を拒否しました。セカンドオピニオンという考え方は、比較的新しい考え方ですが、今日では、特にがんと精神疾患について、その治療方法及び診断をめぐって、セカンドオピニオンを求める有効性は広く認められています。また明文上、これを保護費の対象としない規定もありません。しかし、日野市においては、自立支援医療についても、生活保護についても、担当課によれば、セカンドオピニオンは認めていないそうです。
そこで、伺いますが、このセカンドオピニオンを求めた場合において、これにかかった費用について、現時点で保護費の対象とされていないわけですが、その理由は何でしょうか。お答えください。
169 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
170
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) セカンドオピニオンについてでございます。
生活保護法の第52条で、指定医療機関の診療方針、診療報酬については、国民健康保険のそれに倣うということになります。国民健康保険におけるセカンドオピニオンについて定義されています。まず、セカンドオピニオンの条件として、現在の主治医に、セカンドオピニオンを受けたい旨の申し出を行い、この申し出に基づき、治療計画、検査結果、画像情報等、他の医師が当該患者の診療方針についての助言を行うために、必要かつ適切な情報を添付した診療状況を示す文書を患者又は家族に提供し、それをもとに他の医師の助言を得る場合に認められるものです。よって、これらの条件を満たせば、生活保護の医療補助の対象となります。ただし、セカンドオピニオン外来を設け、自由診療となっている場合は、医療補助の対象とはなりません。
以上です。
171 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
172 ◯10番(奥野倫子君) では、今おっしゃった見解は、基準は、厚生労働省からの指導によるものなのか、三多摩共通のものなのか、日野市の独自見解なのか、お答えください。
173 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
174
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) いずれでもなく、生活保護法第52条に基づくということでございます。ローカルルールでも、何でもございません。
175 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
176 ◯10番(奥野倫子君) まず、国保では、重複診療について保険給付が認められない、と担当課が主張している点については、その根拠として、医学通信社から出されている「診療点数早見表」以下、2006年4月、診療報酬準拠という本のコピーを提供していただきました。こう書いてあります。
被保険者が同一傷病につき同日に甲、乙両医師に診療をうけた場合、又は甲医師の診療をうけている期間内に同一疾病に対し、更に乙医師の診療をうけた場合については、実情を調査のうえ、止むを得ない事情があるときは、これを給付する。
今読み上げた内容のどこにも、重複診療について、給付しないとは書かれていません。逆に、実情を調査の上、やむを得ない事情があるときは、これを給付すると書かれています。なのに、なぜ、この規定が、生活保護や自立支援医療の給付の、出さない根拠となるんでしょうか。お答えください。
177 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
178
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 今、セカンドオピニオンについて御質問をいただきましたが、重複診療についてということでよろしいんでしょうか。
セカンドオピニオンが成り立たない場合は、結果として重複診療になってしまうということでございますので、したがって、セカンドオピニオンについては、一定の条件を満たせば、したがって、主治医の許可があれば、生活保護で認めますので、その結果、それが認められない場合、つまり、主治医の了解が得られない場合は重複診療となってしまう、そういうことであると思います。
以上です。
179 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
180 ◯10番(奥野倫子君) その点については、また次に説明しますが、まずKさんについて、やむを得ない事情がなかったということなんでしょうか。
181 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
182
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) やむを得ない事情があったかなかったか、個別事例は、この場では申し上げられませんし、だれのことを言っているかわかりませんので、お答えしようがありません。
183 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
184 ◯10番(奥野倫子君) 個別自体がどうだったか、問題ないんです。やむを得ない事情があったかどうかは、別の医療機関でかかって、この医療機関がやむを得ない事情があったと判断しているわけです。それを日野市側が勝手に、やむを得ない事情がなかったと判断することはおかしいではありませんか。
もう1点、確認しますけれども、Kさんのセカンドオピニオンを認めない根拠として、担当課がもう一つ提示しているのが、今おっしゃった、診療情報提供料(II)という報酬です。これについても読み上げます。どう書いてあるか。診療情報提供料(II)これ、担当課が、これが根拠ですと言って、私にくださった資料のコピーです。
診療情報提供料(II)は、主治医以外の医師による助言(セカンド・オピニオン)を得ることを推進するものとして、主治医がセカンド・オピニオンを求める患者又はその家族からの申し出に基づき、治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報等、他の医師が当該患者の診療方針について助言を行うために必要かつ適切な情報を添付した診療状況を示す文書を患者又はその家族に提供した場合に算定できる。
これはですね、結局、診療情報を提供した側の主治医が加算をもらえるという規定でしかない。診療情報を持っていかないと、保険適用になりませんよということではない。この規定は、今読み上げたとおり、担当主治医が患者から情報をくださいと言われたときに、提供したら、提供したことに加算をしましょうということしか書いていない。これをね、この規定は、セカンドオピニオンが推進されるためにつくったと。平成18年につくったと。改定したと書いてある。セカンドオピニオンがもっともっと広まるようにという規定を逆手にとって、セカンドオピニオンを制限しようとしている。とんでもない話ですよ。
私は、複数の医療機関に確認しましたが、重複診療、あるいはセカンドオピニオンだからということで保険外扱いしたことはないし、返還請求されたこともない、という声や、皆保険制度のもとで、そんなことをやったら大問題だ。生活保護を受けている人だけセカンドオピニオンを制限するということになり、憲法第14条の平等権の侵害になる、という声などを伺いました。
以上のように、生活保護や自立支援医療において、セカンドオピニオンを対象としないことには、何一つ理由がないと考えますが、いかがでしょうか。
185 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
186
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 一般論として、要件を満たせば、生活保護法の医療においても、セカンドオピニオンの方は認められますので、問題ないと考えております。
以上です。
187 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
188 ◯10番(奥野倫子君) じゃあ、その問題ないということを、ちゃんと現場で徹底してください。これ、保険給付されなくなって、何度も窓口に行って、おかしいと言って、いまだに給付されておりません。しかも、ケースワーカーはこの事例、何にも調査せず、頭ごなしにセカンドオピニオンだからということで給付していない。こういう実態、ちゃんと調べて、やっぱり意思統一、何が正しくて、法にのっとっていて、何が違っているのか、今のどこを改善しなきゃいけないのか、きちんと、やっぱり生活保護行政、ここにきて、これだけ問題になっている中で、改善していきましょうよ。このことを、ぜひお願いしたいと思いますが、この医療給付を認めないというケース、発生しておりますが、是正を部長からも求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
189 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
190
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) いずれにしろ、状況確認はいたします。状況確認については、議員のおっしゃっていることの真偽も含めて確認いたしたいと思います。
191 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
192 ◯10番(奥野倫子君) ケースワーカーは、保険適用外だから認めない、こう言いました。でも、別の医療機関は、保険適用しています。保険適用にふさわしいと認めているから保険適用しています。なのに、ケースワーカーは一方的に、保険外診療だと。保険内で適用しているのに、その事実を無視して、保険外適用だ、だから出さない。こんな冷たい行政がどこにあるでしょうか。こういう事実があるわけですから、しっかり改善をしていただきたいと思います。
次、3問目にまいります。ホームレスの方への対応について、質問します。
3月議会の答弁では、ホームレスの方への対応について、生活保護の場合は、居住地保護の原則、すなわち、本人がどこにいるかを定めて保護するという原則があり、ホームレスの方の場合は、宿泊施設等にまず移っていただいて、保護をかけるというやり方を原則にしているが、場合によっては、カプセルホテルへの一時的な宿泊を求めるといった対応もしており、支障はない。現実的な対応が必要、と述べています。まず確認しますが、ホームレスの方については、施設に入るということが生活保護を受ける要件なんでしょうか。そうだとすれば、その法律上の根拠は何でしょうか。答弁をお願いします。
193 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
194
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 正確に言うと、ホームレスが生活保護を求めた場合、ホームレスの状態では、居住地がありません。したがって、居住地に移っていただくために、転宅費用が出せるかどうかという要件の話になります。その点については、厚生労働省社会援護局長通知第6-4-(1)のキの別添ということで、まずホームレスの方については、居宅生活ができるかどうかを総合的に判断しなければならない。その場合、その基準は金銭管理の能力、健康管理、家事家庭管理、安全管理、身だしなみ、対人関係、コミュニケーション等です。これが全部フル項目という意味じゃなくて、その辺を総合的に判断してということになります。通常、ホームレスの状態ですと、今申し上げた1から6の要件について、確認することは難しいので、施設入所をしていただいて、そこにおいて、今言った要件についての確認をする。その上で転宅費用を出す出さないを判断するということになっております。
以上です。
195 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
196 ◯10番(奥野倫子君) 今の部長の定義は古いです。今のホームレスというのは、もう、河原で一定期間、住居なしで過ごしていた方ばかりではありません。暴力団に脅かされて、アパートを出ざるを得なくなった。夫から追い出された。いろんなケースで、これまでちゃんとアパートや自宅で定住生活ができていた方についても、必ず一律施設に入れないと、保護につなげない。こういう対応がされています。ここを問題にしています。施設に入らないと、生活保護は受けられないんだよということで誘導して、本人に選択権は与えない。これは本人が施設は嫌だという権利があるのに、その嫌だということを、最初から、保護を受けるには施設に入らなきゃいけないんだよと言われたら、その権利を奪うということになるわけです。ここを問題にしているわけです。(「権利だけ主張しちゃいけない。義務だってあるでしょう」と呼ぶ者あり)
で、ホームレスの方の場合に、施設への入居が保護を受けるための要件になるということは、法律上根拠がありません。今も、根拠はおっしゃることができなかった。局長通知でしか言えなかった。そういう規定はありません。生活保護法では、居住地のない人には、ちゃんと住居を確保する。こういう規定があるのに、この権利を本人の意思とは無関係に、一律に本人の意思とは無関係に施設に入居させることを条件にしか生活保護を受けさせない。こういうやり方は、法を逸脱しています。このことを、ぜひ改善をしていただきたいわけですね。
日野市においては、居宅生活ができるかどうかを見きわめるために、一律にまず施設に入所してもらうという対応をしています。アパートを確保するには、必ず施設に入らなければならないということは、先ほど申し上げました。こうした施設への入所が本人の意思に反する場合は、どう対応するのでしょうか。(「監禁するわけじゃないんだから」と呼ぶ者あり)お答えください。
197 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
198
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 先ほど事例に出されました、例えばDV被害者等については、急迫した保護が必要です。そのために、シェルター等、いわば施設を使って保護するということがあります。それから例外的に、友人宅等に一時的に場所を置いてという場合の保護の道もあります。その点で、なるべくお話をして、事情を理解していただいて、こちらがバックアップをする、支援をするのでということで、施設入所を了解していただくというふうに考えております。
以上です。
199 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
200 ◯10番(奥野倫子君) DVだけじゃなく、もう出ていけと。別に暴力は振るわれていない。もう出ていけといった場合ね、そういう方でもとにかく一律施設、住居が確保できない人は一律施設。本人は施設は嫌だと言っても、一律施設という対応がなされているわけですけれども、こうした施設への入所が本人の意思に反する場合、これは生活保護法にのっとって、こういうことは改善していかなきゃいけないわけですけれども、日野市の実際の対応はどうなっているかといいますと、施設に入所しないと保護は受けられないと申請者に迫ることで、施設入所を承諾させています。これでは施設入所が、生活保護を受ける前提条件になり、実質的に施設への入所を強制することになるわけで、明文をもって強制的な施設入所を禁止した法律の趣旨に著しく反することになります。施設への入所が生活保護の受給の要件であるかのような対応は、是正すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
201 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
202
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 施設入所を要件として保護の要否というふうには考えておりません。ただ、保護の要件の中に、居どころ、居住地を定めなければならない。居住地を定めるためには、今現在、居住地がない方については、どうしても居住地に結びつける、そのためのステップがあります。その中の一つとして施設があるというふうに考えております。
以上です。
203 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
204 ◯10番(奥野倫子君) この間、これまで問題なく自立して生活してきた方についても、そのステップを踏まなくても全然大丈夫な方についても、一律入所させております。私もそういう方、何人も知っております。本人に施設入所以外に選択の道がないという説明しかされていないし、施設は嫌だと意思表示をしているにもかかわらず、本人の意思とは無関係に入所させられている状況があります。(「住まいはあるの」と呼ぶ者あり)入所後、施設入所を承諾している場合については、部長のおっしゃるとおりで、全然構わないんです。ただ、入所は嫌だと言っている人を、入所しないと生活保護を受けさせないよと言って、入所させている。ここに私はすごく問題を感じるわけですね。
で、日野市がここまで施設入所にこだわる理由は何なのか。これまできちんとアパートで自立して生活をしていた人についても、まず一定の住居で暮らせることができるのかどうか見きわめなきゃいけない。こう言って施設に連れていくわけですけれども、このこだわる理由は何なのか。
私、この間、ずっと見てきて、二つのことが考えられるというふうに思いました。1、施設へ入所したのと同時に、保護費が都費に移るからです。つまり、市負担分がゼロになります。2、施設は一定期間がたてば出ることができると言われたからこそ、入所したにもかかわらず、一たん入所すると、本人が日野以外にアパートを借りると言うまで出られない、という対応が日野市によってとられています。そのため、本当は日野に住みたいのに、環境が整っていない施設から出たいがために、ケースワーカーが持ってきた他市の不動産物件に飛びついてしまうという状況があります。こうして日野市の負担を減らすことができるのです。3月議会の答弁で認められたように、ホームレスの方の対応については、特に憲法に規定された居住、移転の自由を侵害してはならない。また、施設への入所は強制してはならないということを、現実の対応においても貫くように強く求めます。
4番目の質問に移ります。生活保護に関する最後の質問として、保護の打ち切りについてお聞きします。
ここで問題にする打ち切りというのは、生活が困窮しているという状態が改善されて、その結果、保護の要件がなくなったという場合のことでは、もちろんありません。生活困窮の状態は変わらないのに、保護が打ち切られる場合についての問題です。
まず、そもそも生活保護を受ける必要性に変化がない場合に、本人の意思に反して保護を打ち切るということは認められるでしょうか。認められるとすると、それはどのような要件が備わった場合でしょうか。また、その場合には、どのような手続が必要でしょうか。答弁をお願いします。
205 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
206
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 保護の打ち切り、廃止については、さきに議員がおっしゃいましたように、収入が保護基準を上回った場合、これはまあ別です。それ以外には、法第27条の福祉事務所の指導、指示に従わない場合、それから居住実態がない場合、これについては、保護の廃止の要件となります。ただし、この場合、当然、事前に口頭及び文書での指示により、弁明の機会を与えた後、職権により廃止するということが、法第62条の3において規定されております。
以上です。
207 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
208 ◯10番(奥野倫子君) 3月議会の答弁では、本人の意思に反した施設への入所及びその継続は、法律に反するものであり、したがって、本人の意思に基づく施設への入所と、それを前提にした指導、指示違反による保護の停廃止は、行ってはならないという私の主張に対して、部長は、原則としてはおっしゃるとおり、と認めていらっしゃいます。
ところで、保護の打ち切りをめぐって、具体的に次のような事例があります。この件については、情報開示請求によって行政が開示したAさんの資料に基づいて、何点か再質問したいと思いますが、まずは問題となる事実の概要について、簡単に述べておきます。
この方は、昨年9月1日より、本人の意思に反して施設への入所及びそこでの居住の継続を余儀なくされましたが、昨年12月5日に、いよいよいたたまれなくなって施設を飛び出しました。その後、ケースワーカーは、12月26日にしか本人と連絡をとらず、電話口で戻れ戻らないの問答をした中で、戻らないと保護を切るぞと伝えたにもかわらず、戻らなかったという理由で打ち切っております。結論的には1月15日に、12月5日の寮を出た時点にさかのぼって保護を打ち切るという決定が行われました。この決定について、担当課の資料によれば、本人が承諾しており、都に相談した結果、廃止を決定、とあります。しかし、Aさんは、1月15日の廃止決定の10日前の1月4日には福祉課を訪ねていたにもかかわらず、ケースワーカーは、もう保護は打ち切ったからと、Aさんを追い返しています。本人は、施設は出たいけれども、生活保護を打ち切られると困るということで、訪ねていったわけです。私も間に入り、保護は再開されましたけれども、1カ月分を返還請求されました。本人が打ち切りに納得していません。このケースでは、打ち切りの決定について、書面による意思の確認や通知などが一切なされておりません。したがって、当事者間で主張の食い違いがある問題について、言った言わないのやりとりになり、客観的な事実の認定が大変困難になっております。
3月議会でも指摘しましたが、政府の通達においてさえも、保護の停廃止の決定については、4段階に分けて文書による指導や通知も求めています。これは、保護を打ち切るということがそのまま生存権を脅かす行為になるという認識が根底にあるからにほかならず、それだけ慎重に進めるように求めているわけです。
こうした点を考えるならば、このケースの打ち切りに至る経過及びその決定の仕方については、手続上、大きな問題があると思います。また、手続上の問題だけではなく、実質的な判断としても、この打ち切りが正当なものであったのかどうかについては、私は大きな疑問を持っています。生活保護が必要である状況は、全く変わっておらず、そのことは当然、担当課も認識していたはずですし、2カ月の打ち切られた期間も、保護の必要性があったということは、その後、保護が再開されたことをみても明らかです。保護の必要性を認めながら、保護を打ち切るということが許されるのかどうかという問題です。
改めて伺いますが、今回のケースの場合、保護の打ち切り決定に至る経緯は非常に乱暴であり、実質的にもその決定は不当なものだったのではないでしょうか。手続上は、文書による意思の確認、通知などは最低限必要なのではないでしょうか。答弁をお願いします。
209 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
210
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 個別具体的なケースのお話でございます。当然、そこの資料を取り寄せられたということですが、そこに書かれていること、書かれていないことたくさんあります。その辺の個別事情について、しんしゃくして答えなければならない。ただ、それは、この場で答えるべきではないので、それについてはお答えすることはできません。
以上です。
211 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
212 ◯10番(奥野倫子君) Aさんは、2カ月後に保護を再開されています。その間の収入もありません。Aさんの生活に困窮している状況は、継続をしていたということは認めますでしょうか。答弁をお願いします。
213 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
214
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 委員のおっしゃる、今、この場でお話ししている論理展開の中では、それは認めるというふうになります。
以上です。
215 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
216 ◯10番(奥野倫子君) とういうことであれば、やはり乱暴な打ち切りだったということは言えるではありませんか。生活に困窮している状況は変わっていない。例えば、先ほど言ったような指示違反があった、あるいはそこに住んでいなかった、寮から飛び出てしまったという状況があった。でも、そういう状況をもってしても、乱暴な打ち切りはするなと、これが法律なんです。生活に困窮している状況は変わらないのに、乱暴に打ち切ってはならない、これが法律の真髄なんです。
で、Aさんが無断で施設を出てしまったのは、施設への入居の継続が本人の意思に反していたためであり、本人からの再三の訴えを担当課が拒否し続けたのが原因であり、その点を棚に上げて、Aさんが施設に不在だったということのみをもって保護を打ち切るということは、不当ではないでしょうか。Aさんは、生活保護を受けて7年目になりますが、同じアパートの暴力団におどされて引っ越さざるを得なくなり、施設に入るまでの5年間は、お掃除の仕事につきながら、不足分を保護支給されていました。施設に入るまでの5年間、出てからのこの3カ月間、アパート暮らしをしておりますが、何の支障も出ていません。しかし、施設の方は、そうはいきませんでした。施設内では、次から次へとさまざまなトラブルが起こり、軽い知的障害のあるAさんは、そのトラブルに巻き込まれやすいということがあり、次第に不眠、難聴、情緒不安定になってしまったのですが、私も何度か同席し、施設から出してくれと泣いて要求するAさん、一緒に私も、ぜひ出してくれというふうに窓口に頼んだわけですね。しかし、それは彼女のわがままだとされて、聞き入れられませんでした。日野市はAさんに対し、文化的ではない生活、健康的ではない生活を行政として強いたことになります。1月15日の時点で、ケースワーカーは保護を打ち切りました。しかし、1月4日の時点でAさんは、その前の12月26日に切るぞと言われてびっくりして、何とか関係を修復しようと思って窓口に訪れている。なのに、1月4日に訪れているのに、もう保護は切ったと言って、帰している。これが指導ですか。生活保護の指導は、本人の立場に立って、関係を修復しましょうという立場になるんではなくて、一方的にもう切ったからと帰すことが、日野市の生活保護行政ですか。これがケースワーカーの指導ですか。指導に従わなかったからといって、切ったと言いますけれど、この指導自体が何なんですか。(「わからないよ」と呼ぶ者あり)
Aさんは、アパートでなら自立して暮らせていたのに、しかも本人は、施設は嫌だと訴えていたにもかかわらず、施設へ誘導し、入ったら入ったで、人とコミュニケーションがとれないということを理由に、アパートでの自立はまだ無理だ。先ほどの、この人は地域で生活が可能かという要件にひっかかるという理由で、閉じ込められていたわけですね。Aさんが日野市から受けた対応というのは、まさしく行政による知的障害者に対する虐待以外の何物でもないことを、厳しく指摘しておきたいと思います。
生活保護行政は、憲法第25条の生存権を具体的に保障するものです。したがって、市が行う生活保護行政は、生存権として基本的人権の中核に位置するものに直接かかわる大変重大な仕事だと言えます。そして、その具体的な運用は、生活保護法が規定しており、生活保護行政は、この法律の精神を具体化するものでなければなりません。具体的な対応においてこそ、法の理念が生かされなければならないのです。
しかし、一方で、日本の生活保護行政は、ヨーロッパと比較すると、大変おくれた状況にあります。それは、日本では生活保護を基本的人権の保障として、しっかりととらえ切れていないからだと思います。行政機関が具体的な対応において、基本的人権としての生活保護という姿勢をあらゆる場面で貫くように強く求めて、この質問を終わります。
217 ◯議長(手嶋精一郎君) これをもって10の1の質問を終わります。
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218 ◯議長(手嶋精一郎君) 一般質問10の2、高齢者の負担をどう軽減するか──今求められている高齢者福祉施策について問うの通告質問者、奥野倫子議員の質問を許します。
219 ◯10番(奥野倫子君) 高齢者施策について質問します。
この10年間、高齢者に関係するさまざまな制度は、大きな変更が相次ぎました。社会保障については、平成12年度からの介護保険制度の実施や、この間連続して行われた医療制度の変更、そしてこの4月からは、後期高齢者医療制度の実施です。さらには、東京都の高齢者医療制度の変更もありました。これらの制度の変更は、すべて自己負担の増加を伴うものでした。また、税制についても、大きな変更がありました。老年者控除の廃止などによって、収入は変わらないのに、所得がふえることになり、所得税、住民税が重くなりました。また、計算上、所得額がふえたことは、国保税や介護保険料の引き上げにそのままつながるケースも多くありました。
まず、伺いますが、自公政権のもとで、こうした制度変更が次々と行われたわけですが、高齢者の生活は、この間の制度変更によって楽になったのか、苦しくなったのか、この点についての認識を伺いたいと思います。
220 ◯議長(手嶋精一郎君) 答弁を求めます。
健康福祉部長。
221
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 急速な少子高齢化が進む中で、社会保障費の増加傾向に歯どめをかけるために、介護保険、医療制度、税制の改正等が実施され、これまで高齢者に配慮されていた費用負担についても、所得の多い人には、現役並みの所得の人については、負担をまた、一定の年金収入等のある人については、その額に応じた負担をするというような制度がなされました。その結果、額の多少はありますが、高齢者全般について、生活費上の経済的負担はふえているものと認識しております。
ただ、その中でも、特に低所得者については、それぞれの制度に応じた一定の特例措置等を設けるなど、配慮はしてきたと思います。
以上です。
222 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
223 ◯10番(奥野倫子君) この2年ぐらいだけをとっても、数日の間に、市役所に1,000件規模の苦情や問い合わせが殺到するという事態が3回もありました。また最近では、マスコミでも、高齢者の生活が立ち行かなくなっている状況をリアルに報道する場面が多くなっています。高齢者の生活が自公政権のもとで、大変厳しい状況になってきているというのは、もはや議論の余地のないところだと思います。
次に、では、高齢者の生活が大変苦しくなっているもとで、担当部署としては、自治体としてどのような施策の実施が最も求められていると感じているでしょうか。答弁をお願いします。
224 ◯議長(手嶋精一郎君)
健康福祉部長。
225
◯健康福祉部長(大坪冬彦君) 今後の高齢者への施策ということで回答いたします。
だれもが、健康で生き生きとした生活を送ることを望んでおります。そのために、要介護状態とならないように、介護予防、健康事業が必要になってきます。また、介護が必要となったときには、住みなれた地域の中で、介護保険のサービスや家族の介護を受けながら生活していきたい、そういう希望も多くありますので、それについてもこたえていきたいと思っております。そのために、優先すべき保健福祉サービスとして、特別養護老人ホームや短期入所施設の整備、往診やかかりつけ医、歯科医、訪問看護など、医療の充実、在宅サービスの充実等を図っていく必要があるというふうに思っております。
以上です。
226 ◯議長(手嶋精一郎君) 奥野倫子議員。
227 ◯10番(奥野倫子君) 高齢者の皆さんの不安や怒りの最大の原因は、この間のすべての制度変更によって、経済的な負担が一気に重くなったという点にあります。もともと大変貧しい水準でしかない年金が、ふえるどころか減っているのに、負担だけは重くなる。そうなれば、生活を切り詰めて何とかやりくりするしかないわけです。しかもこの4月から、後期高齢者医療制度が実施されて、政府が行った恣意的な調査でさえも、大都市圏では低所得者の8割が負担増になったことが判明しました。さらに、ガソリンや小麦などの世界的な値上がりによって、文字どおり、ありとあらゆるものの値段が上がっています。高齢者をめぐるこうした状況のもとで、自治体の高齢者施策として最も求められていることは、経済的な負担を軽減する施策であると考えます。
私は、馬場市政になって12年目を迎えているわけですが、この市政が行ってきた高齢者施策は、全体としてこれとは全く逆の方向であったと考えております。馬場市政のもとで、現金給付は時代おくれ、高齢者へのばらまきはまかりならん、という合唱のもと、敬老金や健康管理手当、入院見舞い金、理美容券などを次から次へと削減、あるいは廃止してきました。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)これらの施策は、高齢者の経済的な負担を軽減する役割を果たしてきたわけで、そうした制度の後退は、その分、高齢者の負担を重くすることを意味します。また、介護保険の利用料負担に対する市独自の助成制度についても、助成の必要性は、ますます高くなっている状況であるにもかかわらず、これを打ち切ってしまいました。
では、馬場市政のもとで組まれてきた、あるいは執行してきた高齢者予算はどの方向を向いていたでしょうか。この10年間で比較すると、日野市の高齢者人口は、2万1,000人から3万2,000人に1.5倍にふえています。ところが、高齢者にかける経費は、介護保険会計繰出金なども含めて比較して、10年前、40億円だったものが、20年度予算では34億5,000万円に、つまり8割に減らされているのです。市税収は決して減っていないもとで、自然増分のみをカットした小泉内閣以上の厳しい高齢者予算の切り捨てが押しつけられてきたのです。
市長に伺いますが、高齢者の経済的負担を軽くする施策の展開こそが、最も求められているのではないでしょうか。敬老金や健康管理手当、介護保険利用料助成制度など、高齢者を経済的に支援する施策の必要性はますます高まっており、こうした制度は、廃止、削減ではなく、復活と充実の方向こそが求められているのではないでしょうか。答弁を求めます。
228 ◯議長(手嶋精一郎君) 市長。
229 ◯市長(馬場弘融君) 少し長くなるかもしれませんが、せっかく御指名をいただきましたので、思いのたけを含めて御答弁申し上げたいと存じます。
奥野議員から、高齢者の負担をどう軽減するかということで、今求められている高齢者福祉施策について問うと、こういうことでございます。
高齢者の方にも、まあ、長寿というふうな言い方の方がいいんでしょうかね。私はもともと、老人という言葉をもっとちゃんと使った方がいいんじゃないかなというふうに思いますが、高齢者というふうな形になりますが、いろんな方がいらっしゃいます。たくさんの財産をお持ちで、たくさんの収入をお持ちでという方もいらっしゃいます。いい生活をしていらっしゃる方もいるわけであります。一方では、高齢化に従って、だんだん支えが今まで以上に必要になってきたという高齢の方もいらっしゃるわけですね。できるだけ我々行政は、支えの必要な方には、手厚く対応していこうと。ただ、まだできるぞ、元気でやっていられるぞという方には、大変恐縮だけれども、これまでもお世話になったけれども、これからもよろしくお願いをしたいと。これをお願いをしていくというのが我々の務めではないかと、常々思っているところであります。
よく議員は、憲法の規定を引用されますので、私も常々、憲法は、これは前の市長のころにいただいた「ポケット日本国憲法」でありますが、常に持ち歩いてポケットの中に入っておりますので、拳々服膺しているわけでありますが、大事なところがあるんですね。第12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」ということもしっかり書かれているのでありまして、そういう意味では、今議員が御指摘になりました介護保険にしても、これだけ高齢者の数が全体的にふえてくる中で、みんなにこれを差し上げますよという施策ではなくて、できる人は御負担をいただきたいという形をとる。自立をまず求めていく。あるいは自立だけで足らなければ、お互い同士、共助で支え合っていただく。そういう仕掛けをつくっていく。最後に、どうしようもないところをセーフティーネットとして公が支えていくというふうな仕掛けに、今、変わりつつあるわけであります。そのことを、ぜひ、まずお考えをいただきたいというふうに思うわけであります。
でありますから、例えば、議員は今、どんどんお出しなさいよと。どんどん優しく差し上げなさいよ。私も、ここに黄金の山があるのであれば、どうぞ、どうぞって、こういうふうに差し上げることができる、お約束ができるわけであります。ところが、昨今の経済の状況、あるいは世界の状況、分権についてのいろいろ国の状況等を踏まえますと、そうは簡単に、はい、わかりましたということが言えないわけです。きょうは、議員は、高齢者の福祉について、私どもにそういう要望が出されているわけですね。あるときには障害者の福祉である、あるときには児童福祉である、いろんな、ある面では、学校がぼろぼろだというような形で、それぞれが言われるわけでありまして、それぞれをおっしゃるとおりに、こういうふうにやっていますと、そこに自分の持っている持ち分、パイがなくなってくるわけであります。
で、議員は恐らくそれを、じゃあ、起債をしなさいとか、国の責任でお願いをしなさいと、こういうことでしょう。では、地方自治体の起債も、国の起債も、今、どういう状況ですか。先進世界でも珍しいくらいに起債をたくさん抱えているのであります。であるけれども、かなりの方が、それなりに基金、貯金をお持ちですから、それで何とか対応するという意見もありますが、かなり厳しい起債をして、つまり、後年度の方々に、若い方々、あるいはひょっとすると、まだ生まれていない方々へ負担を押しつけているわけであります。
我々行政というのは、過去の歴史も大事にしなければいけないけれども、今の人にも一生懸命やっていく。しかし、次の世代に、今より以上によい生活ができるような仕掛けを残していかなければいけない。今いる人が全部使っちゃって、後は野となれ山となれという行政は、責任ある立場では、できないわけであります。そういう意味で、議員がそれぞれのポイントをおつきになって、それぞれのポイントに、この点が問題だということを言われることは重々理解いたしますが、それが全部できないからといって、何をやっているんだっていうふうに言われてしまいますと、これは全体のバランスの中で、行政運営、財政運営をする立場とすれば、とてもではないけれども、対応できない。このことは申し上げておかなければなりません。
そういう中でありますが、さきの質問の中にもありましたけれども、どうも議員の御指摘は、あるポイントをついていけば、どんなポイントでもそうなんですね。あるポイントをつけば、100点の仕事っていうのはないですよ。どんなポイントをつかれても、うまくても80点とか70点になるわけですから、30ぐらいは幾らつっついてもですね、そこばっかりつっつけばそれだけで終わってしまいます。でも、ぜひ考えてほしいんですね。例えば、戦後の日本がこれまで平和であったように、これまでの日野の行政が、いろいろ言われながらもきちっとですね、伸びてきているように、そういう全体としての評価をいただいた上で、だけども、この部分だけは少し、もう少し直した方がいいのではないか。そういう、もう少し優しい言い方をしていただきますと、我々も職員も、意欲が出るのかなあというようなことを感じたところです。
特に、きょうの前段の質問では、余りにもですね、一生懸命やっているケースワーカーとか、私は、日野のケースワーカーはよくやっていると思いますよ。よくやっているのを、ああいう言い方をしてしまうと、どうも元も子もないのではないかなあというような感じがあります。せっかく将来のある議員のことでございますから、先々の自分の成長もお考えになって、もう少し優しい、配慮ある物言いをもって議会に臨んでいただければありがたい、うれしいなあというふうに思うところでございます。
そういった点を踏まえまして、私ども、初めに申し上げました、戻りますけれども、どうしても支えの必要な高齢の方については、その事情、事情に応じて、医療的な面、介護的な面を含めてでありますけれども、しっかりと対応するような仕掛けにしたいというふうに思っておりまして、これまでもやってきましたけれども、これからも努力をしていきたいというふうに思っているところであります。特に、後期高齢者の医療制度、今、長寿というふうに名前が、総理大臣の一声で変わったようでございますが、これについては、これは、議員は御承知かどうかわかりませんが、前にも申し上げました。初めて広域の連合ができて、この仕掛けになるんだというお話があったのは、昨年の8月ごろのことであります。市長会でお話が出たときに、ある市長さんと私が発言を求めてですね、何だ、これはと。まず東京いじめだと。あるいは三多摩バッシングではないかということ。それと、もっともっと国や東京都が責任を持つべき制度ではないかと。こんなものはなくして、むしろもとに戻した方がいいじゃないか。このぐらいの議論もあったわけであります。それらを踏まえて、我々東京都の市長会ほぼ全員で舛添厚生労働大臣にお会いをして、直訴をして、何とかせいと。これからも頑張れというふうなことでお願いをした経緯もあるわけであります。
つまり、私ども、今議員の御指摘ですと、何かとっても冷たい市長で、年寄りはいじめてばっかりいることを、この十数年間やってきたというふうなお話でございますが、ぜひ、そういう面もあったかもしれないけれども、全体として見れば、一生懸命配慮して、お金が苦しくなる中で、パイが小さくなる中で努力をしてきましたので、その辺については、御理解をいただければありがたいというところでございます。
いずれにいたしましても、まず現金給付の事業については、議論はあったかもしれませんけれども、老人クラブ連合会を初めとして、事前にしっかりとお話を申し上げ、こういう形に使わせていただきますので、ぜひ御理解をいただきたいということで、前もってですね、随分前もってお話を、何回も何回もさせていただいているところでございますし、確かにあの制度、お金をいただければだれだって嫌だという人はいません。私どものところにも、昨年の9月の後ですね、このぐらいの厚さのあるお礼状が来ますよ。今どき日野市だけですよ、こんなことをやっていただけるのは。ありがとうと言って、本当につたない筆で書いてくる人もいるわけでありますが、だけれども、もうそれもやれないと。先ほど申し上げたように、かなり資産をたっぷり持っているそういう方も含めて、あのお金は出ているのでありまして、そうではなくて、どうしても必要な方々に、必要な施策として展開をしていきたいということでございますので、ぜひ御理解をいただいて、優しく、優しく御議論をいただければ大変ありがたいと思います。
以上でございます。
230 ◯議長(手嶋精一郎君) これをもって奥野倫子議員の一般質問を終わります。
=============================================
231 ◯議長(手嶋精一郎君) 本日の日程はすべて終わりました。
次回本会議は6月9日、月曜日、午前10時より開議いたします。時間厳守で御参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後4時32分 散会
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