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  1. 八王子市議会 2024-06-10
    令和6年_第2回定例会(第1日目) 本文 2024-06-10


    取得元: 八王子市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    〔午前10時00分開会〕 ◎【鈴木玲央議長】 ただいまから令和6年第2回八王子市議会定例会を開会します。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 これより会議を開きます。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 日程に従いまして進行します。  つきましては、日程第1、会期の決定を議題とします。  お諮りします。  本定例会の会期は、本日から6月26日までの17日間とすることに御異議ありませんか。                 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 御異議なしと認めます。  したがって、会期は17日間と決定しました。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 次は、日程第2、会議録署名議員の指名を行います。  本定例会における会議録署名議員は、会議規則第88条の規定により、議長において、第13番、岸田功典議員及び第14番、森重博正議員を指名します。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 次は、日程第3、議員の辞職についてを議題とします。  本件は、馬場貴大議員から議員の辞職願が提出されたものであります。  議会事務局長が辞職願を朗読します。                    〔事務局長朗読〕
      ────────────────────────────────────────────                     辞 職 願                                      令和6年6月10日  八王子市議会議長    鈴 木 玲 央 殿                                    八王子市議会議員                                      馬 場 貴 大  今般、一身上の都合により、令和6年6月10日付をもって八王子市議会議員を辞職したいので、地方自治法第126条の規定により許可されますようお願いいたします。   ──────────────────────────────────────────── ◎【鈴木玲央議長】 お諮りします。  馬場貴大議員の辞職を許可することに御異議ありませんか。                 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 御異議なしと認めます。  したがって、馬場貴大議員の辞職を許可することに決定いたしました。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 次は、日程第4、諸報告を議題とします。  まず、議会運営委員の辞任についてであります。              〔議会運営委員辞任許可報告書後編参照〕 ◎【鈴木玲央議長】 去る6月4日、岩田祐樹議員から議会運営委員の辞任願の提出がありましたので、八王子市議会委員会条例第11条第1項ただし書の規定により、お手元に配付しました議会運営委員辞任許可報告書のとおり、議長においてこれを許可しました。  したがって、同条第2項の規定により、報告します。  次は、議会運営委員の選任についてであります。               〔議会運営委員選任報告書後編参照〕 ◎【鈴木玲央議長】 閉会中における議会運営委員の選任につきましては、八王子市議会委員会条例第5条第1項ただし書及び第2項の規定により、お手元に配付しました議会運営委員選任報告書のとおり、議長において、第21番、小林秀司議員を選任しました。  したがって、同条第4項の規定により、報告します。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 次は、日程第5、議席の変更を議題とします。                〔議席の変更について後編参照〕 ◎【鈴木玲央議長】 お諮りします。  お手元に配付のとおり、議席を変更することに御異議ありませんか。                 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 御異議なしと認めます。  したがって、議席の変更は、そのように決定しました。  ただいま決定しました新議席に、氏名標を持って、それぞれ御着席をお願いいたします。                    〔各議員着席〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 進行します。  次は、日程第6、議員提出議案第3号、八王子市議会会議規則の一部を改正する規則設定についてを議題とします。                〔議員提出議案第3号後編参照〕 ◎【鈴木玲央議長】 本案について、提出者から説明願います。  この場合、説明時間は20分以内としますから、あらかじめ御了承願います。  第33番、西室真希議員。                    〔33番議員登壇〕 ◎【33番西室真希議員】 ただいま上程されました議員提出議案第3号、八王子市議会会議規則の一部を改正する規則設定について御説明を申し上げます。  本案は、令和5年4月に地方自治法の一部が改正されたことに伴い、本市議会の議会運営に合わせた所要の規定整備を行うものでございます。  速記法以外の方法でも会議録の作成を可能とすることをはじめ、現在も実際に行っている会議運営の手続を明記するなど、所要の規定整備を行うとともに、全国市議会議長会における標準市議会会議規則の一部改正による字句等の整理と同様の整理を行うものでございます。  何とぞ本案に御賛同いただきますようお願い申し上げ、提案説明とさせていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 提出者の説明は終わりました。  本案について、質疑はありませんか。                  〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 質疑なしと認め、進行します。               〔34番議員「動議」と呼び発言を求む〕 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 ただいま議題となっております議員提出議案第3号は、会議規則第37条第3項の規定により委員会の付託を省略されるよう希望します。                  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 ただいま第34番議員から動議が提出され、所定の賛成者がありますので、動議は成立しました。  したがって、本動議を直ちに議題とし、採決します。  ただいまの動議に御異議ありませんか。                 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 御異議なしと認めます。  したがって、委員会の付託を省略されたいとの動議は可決されました。  本案については討論の通告がありません。  これより議員提出議案第3号、八王子市議会会議規則の一部を改正する規則設定についてを採決します。  本案は原案のとおり決定することに御異議ありませんか。                 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◎【鈴木玲央議長】 御異議なしと認めます。  したがって、議員提出議案第3号は原案のとおり決定しました。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 次は、日程第7、一般質問を行います。       〔令和6年(2024年)第2回市議会定例会一般質問発言通告一覧表後編参照〕 ◎【鈴木玲央議長】 順次、質問を許可します。  この場合、質問時間は答弁を含め、60分以内としますから、あらかじめ御了承願います。  第13番、岸田功典議員。                    〔13番議員登壇〕 ◎【13番岸田功典議員】 自民党新政会の岸田功典です。発言通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。今回は、八王子の将来を見据えた医療対策について、小児医療などを中心に質問させていただきます。  いよいよ来年に2025年を迎え、全国的に後期高齢者が急増し、それに伴って寝たきり、独居の方たちも増え、介護人材不足など様々な問題、深刻な問題が懸念されます。その後は徐々に人口減少に転じて、全国各地の多くの自治体が今後衰退していくことが予想され、八王子市も2040年には人口が48万人になると予想されています。その中で、八王子市も多くの自治体のように衰退していくのか、それとも発展していくのか、今こそもう一度深く考えなければならないのではないでしょうか。  では、どうやったら八王子市が今後発展していくのか。それは、人口減少を食い止め、新たに若い世代に移り住んでいただき、そして、積極的に企業誘致をし、税収を上げることが重要で、本市もそのようにお考えだと思います。税収を上げる方法としては様々なことが考えられますが、まずは、観光都市として、インバウンドを中心として国内外からの観光客を増やしていって、しっかり市内で出費していただくこと、あるいは、本当の意味で住みやすいまちづくりを進め、若い世代の市民を増やすことが重要だと思われます。そのためには、八王子市がほかの自治体に比べてさらに魅力的なまちにならなければなりません。  では、どのようなまちが魅力的に見えるのでしょうか。やはり若い世代や子育て世代に魅力的に見えるのは、豊かな自然環境とすばらしい教育環境、そして、利便性の高い公共交通機関の存在や、ファッションやエンターテインメント性に富んだ大型ショッピング施設の存在などが挙げられます。ハード面ではインフラ整備の充実が必須ですが、これは非常に予算がかかります。それ以外のソフト面で考えると、魅力的なものとしては、市民の皆さんが絶対に必要としているものが充実していることがあるのではないでしょうか。その中でも、医療の充実は一番求められているものの一つであり、いつ何どき病気になってもすぐに受診できるような医療体制が整っていることは、一番の安心材料だと思われます。  初宿新市長が誕生して数ヵ月が経過しました。その間、既に積極的に医療、介護、福祉の充実に向けて動いていただいておりまして、市内2つの大学病院である東京医科大学八王子医療センター東海大学医学部付属八王子病院、そして南多摩病院の現場視察にも行かれました。また、小児科の実態を知るべく、小児科の先生方と小児医療について意見交換を行われ、小児救急の問題点などについても話し合われて、すぐに行動に移られております。また、災害医療対策や介護の充実のための駐車場問題についても積極的に取り組むなど、今までにないほど速いスピードで進んでいることを私も肌で感じておりまして、市長には深く感謝申し上げます。  若い世代から魅力的に見られるまちになるためにも、これからさらに医療、介護、福祉の充実を進めていただきたいですが、その中でも特に子育て世代が気にするのは、妊娠中や産後のお母さんたちへのケアの充実、そして、安定、充実した小児医療体制なのではないでしょうか。八王子市では妊婦へのケアや産後ケアが非常に充実しておりますので、これはさらに強化していただきたいと思います。小児医療については、日中診療できる小児科クリニックは多くありますが、夜間、休日など、いつ子どもが病気になってもすぐにかかれる医療機関があることが重要で、そのための小児救急と、重症の場合にすぐに入院できる小児病棟の確保が重要です。しかし、以前にも申し上げましたが、これは国の問題ですが、小児医療に対する診療報酬費が現実とかけ離れていてあまりにも低く、小児救急、小児病棟を維持するための採算がとれません。そのため、安定した病院運営を考えた場合には、小児救急や小児病棟をなくしたほうがよいと考える傾向が強く、全国の医療機関でもその動きが進んでおります。全国を見渡しても小児科の病院が非常に少ないのはそのためです。  だからこそ、未来の宝である子どもたちの命を守るためには、各自治体の行政の果たす役割が大きく、東京都立八王子小児病院がなくなってしまった後は、八王子市でも東京医科大学八王子医療センター東海大学付属八王子病院の2つの大学病院と南多摩病院を小児救急の中核と位置づけ、各病院も頑張ってくれておりますが、行政のサポートがあって何とか維持できております。将来の小児医療を考えたときに、この3病院が破綻したら小児救急体制は崩壊するわけですから、何としてもこの3病院を堅持することが非常に重要です。  そこでお伺いします。小児医療の充実において3病院はなくてはならない存在ですが、その位置づけと市側ではどのようにお考えになっているか、お答えください。  また、小児医療に限らず、夜間、休日に具合が悪くなる方も多い中で、救急というほどの病気じゃないけれども、風邪などの症状で気軽に受診して薬をもらえる一次救急の医療機関が必要です。そこでお伺いします。八王子市では昨年10月から夜間救急診療は台町の診療所から南多摩病院へ委託していますが、委託後の現状と今後に向けた課題についてどのように考えているか、お答えください。  また、若い世代を中心とした共働き世代が安心して仕事をするには、病児保育が充実していることが重要です。昔なら病気の子どもを自分たちの両親に預けたりできましたが、今は核家族化が進んだり遠く離れて暮らしていることも多く、簡単に預けられない家庭が多いのが現状です。そうなるとどちらかが休まなければならず、職場に対して気まずくなったり夫婦げんかの理由になってしまったりで、働く意欲も低下してしまいます。そのため、病児保育の果たす役割は非常に大きく、八王子市でも病児保育体制を強化することが魅力的なまちになる材料の一つであり、企業誘致を考えた際にも重要になってくるのではないでしょうか。  小児救急、小児病棟、病児保育の難しいところはオン、オフが激しいところであり、感染症が流行していない平和なときは需要が非常に少ないのですが、一たび感染症が流行するとどこも一気にいっぱいとなり、入院できなかったり預けられなくなったりします。極端に言えばゼロか100しかない状況下で患者数は変動しますので、民間でうまく運営するのは非常に困難であり、安定運営のためには行政の支援が必要となります。  そこで、病児保育についてお伺いします。八王子市の病児保育の現状と課題、そして今後の取組についてお聞かせください。  また、一たび感染症が大流行すると子どもたちはひどい場合には命の危険が伴いますが、そうならないための予防医療、つまりワクチン接種が重要となってまいります。ワクチン接種の目的のパネルをお示しします。ワクチンは、御存じのように、まずは個人の予防のため、そして個人の重症化予防のため、この考え方は今まであまり知られておりませんでしたが、コロナ禍を経て、かなり市民の皆さんに浸透したと思います。そして3番目は、個々が予防することにより、地域での集団感染を未然に防げる。そして最後ですが、子どもたちが感染することにより、看病のために保護者が働けなくなり、社会活動、社会機能が停止してしまいます。これは今回の新型コロナウイルス感染症で多くの方々が痛感されたと思います。これを防止するためにワクチンが必要です。ワクチンを投与することにより、子どもたちの感染、重症化が少なくなり、集団感染や地域での蔓延も防げて、結果的に小児の救急外来、小児病棟や病児保育を必要とする患者数を減らすことができます。また、ワクチン接種により、広く長い目線で見ると、地域の医療費削減にもつながります。  このように子どもたちの健康を守れ、費用対効果の高いワクチンですが、残念ながら日本はワクチン接種をメディアの影響でなかなかうまく進めてこられませんでした。以前から何度もお伝えしていますが、100%安全な薬、ワクチンは存在しません。そして、その中で、ワクチンを打った場合の利益、不利益を総合的に判断し、世界規模の目線で科学的に検証することが重要であり、そのため、多くの学術団体が安全性に最大限に配慮した上でワクチンの必要性を訴えてまいりました。しかし、一部のメディアが数百万人に一人で発症する有害事例をあたかも頻回に起きる危険なもののように取り上げ、国民を混乱させてまいりました。麻しん、風しんのワクチンについても、安全性の高いワクチンであったにもかかわらず、過去にその危険性について取り上げられ、間違った報道によって世論が動き、一時、接種が中止されていた時期もありました。  その麻しん、風しんワクチンについてですが、本市の麻しん・風しん混合ワクチンの取組として、接種率は東京都全体の接種率を上回っており、さらに、同定期接種の回数不足となっている18歳までの方に対して、市独自の接種を行ってまいりました。そして、今年に入り、東京都内において麻しん患者が確認されたとの報道により、感染への不安から予防接種を希望する方が増加しました。しかし、このタイミングで製薬会社の麻しん・風しん混合ワクチンの力価不足が判明し、自主回収の影響によりワクチンの供給量が不足しました。  そこでお伺いします。麻しん、風しんは小児においては命を落とす危険のある疾病であり、このような状況において小児への接種機会を確保するために本市ではどのような取組を行ったか、お答えください。  以上で私の1回目の質問を終了します。 ◎【鈴木玲央議長】 健康医療部長。 ◎【菅野匡彦健康医療部長】 私からは2問の御質問にお答えします。  まず、小児医療の充実における病院の位置づけと認識についてでございますが、東京都立八王子小児病院移転後の体制を確保するため、現在の東京医科大学八王子医療センター東海大学医学部付属八王子病院及び南多摩病院の3病院体制を整備いたしました。いかなる場合であっても子どもの命を守り、健やかな成長を支えていくためには、小児医療の充実は欠くことができず、3病院は大きな役割を果たしていただいております。一方、小児医療に対しましては、採算がとりづらい面もあるため、市として必要な財政支援を行っているところです。  次に、夜間救急委託後の現状と課題についてですが、八王子市夜間救急診療室は、二次救急医療機関である南多摩病院に委託することで、これまでの小児救急医療に加えまして、検査や治療が必要な方や入院が必要な方が他の病院を探すことなく速やかに適切な医療を受けることができるようになりました。今後も、利用者からの御意見を踏まえながら、医療機関と協力していくとともに、広報などを活用しながら広く周知に努めていくことが必要だと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 子ども家庭部長。 ◎【古川由美子子ども家庭部長】 病児保育の現状と課題についてでございますが、令和5年3月に実施しました市内保育所等の保護者を対象とした病児保育に関するアンケートから、施設定員数の不足、予約方法の煩雑さ、周知不足が課題と認識をしております。そのうち施設定員に関しましては、令和6年4月より、定員の増を目的として施設を1ヵ所追加しております。今後の取組になりますが、予約方法の簡易化としまして24時間予約可能なオンライン予約システムの導入ですが、令和6年10月を目指し、準備を行っております。 ◎【鈴木玲央議長】 保健所担当部長。 ◎【鷹箸右子保健所担当部長】 私からは、麻しん・風しん混合ワクチンの小児への接種機会の確保についてでございます。  子どもの命を守るため、八王子市医師会の協力を得て、小児の定期接種を最優先とすることを市内医療機関に対し周知いたしました。今後も医療機関と市が一体となり、接種機会の確保に努め、高い接種率を維持できるよう取り組んでまいります。
    ◎【鈴木玲央議長】 第13番、岸田功典議員。                    〔13番議員登壇〕 ◎【13番岸田功典議員】 種々御答弁いただきありがとうございました。  まず、病児保育についてですが、様々な問題点が指摘され、そして周知不足を認識されていること、そして定員数不足のために施設を1つ増やしたと伺いました。そして、予約の簡易化に向けて、10月から24時間予約可能なオンラインシステムの導入を進めていると伺いました。これはすばらしい取組であり、これを進めることにより病児保育の体制づくりがかなり強化されることが予想されますが、周知が足りないとせっかくのシステムも無駄になってしまいますので、周知徹底をよろしくお願いします。そして、先ほど申し上げたとおり、病児保育施設は感染症に左右されて非常に不安定な運営となるため、行政の支援が非常に重要となってまいります。病児保育が充実することにより、子育て世代、共働き夫婦が安心して仕事に行けるようになり、休まなくて済むようになります。このようなシステムづくりが実現できている自治体は少ないはずですので、これがうまくいけば、全国の先進自治体として今後の企業誘致にも非常に強い材料となるはずです。  そこでお伺いします。病児保育についてはますます需要が高まってくると予想されますが、今後の取組についてのお考えをお聞かせください。  さて、先ほど初宿市長が東京医科大学八王子医療センター東海大学付属八王子病院、そして南多摩病院に視察に行かれたと述べましたが、現職市長が現場視察に来てくださったことで、多くの現場スタッフが感激し、これからの八王子市の医療がさらに加速的に発展するのではと期待していると伺っております。  しかしながら、これも国の問題ですが、これからの全国各地の病院運営は非常に厳しい状況に置かれています。先日の診療報酬改定で診療報酬額は約0.8%上昇しましたが、その一方で、今までの診療報酬加算が打ち切られたりして、全体的に見ると見た目上プラスのように見えるだけで、実は以前よりもマイナスとなってしまいました。コロナ禍でもうけた病院が多いからという信じられない理由で進んでしまいましたが、これはとんでもない話であり、コロナ報酬でコロナ患者を受け入れていた病院は一時的に報酬が増えたものの、コロナ流行最初の時期からコロナ患者を受け入れてくれていた病院はお金が当初全く入らず大赤字で、倒産寸前のところも多くありました。しかも、コロナ患者を受け入れていたことによる風評被害で患者数が激減し、しかも危険な職務のためにスタッフの離職率も上がり、踏んだり蹴ったりの状態でした。それでも多くの病院は、国を信じ、使命感だけで、危険手当も何もなく、ただひたすら人命救助に従事してまいりました。それなのにこの対応でした。  しかも、現在、看護師が不足している医療機関は非常に多く、看護師確保のために紹介会社を利用したりするなど、多額の費用を必要としています。そのため、全国のほとんどの病院では、診療報酬が下がって全体の収益が下がった中で、人件費の高騰、物価の高騰の影響を受けて支出が増え続け、経営が非常に危うくなってきております。その上に今年4月から医師の働き方改革が導入され、医師ひとりひとりの勤務時間を減らすために人材を増やさなければならず、出費がさらに増えてしまっております。運営が危うい中で建設費なども以前に比べて非常に高騰しておりますので、今後、どこも新病院を建設するなど不可能に近い状態となってしまっております。また、男女平等の観点から女医さんが増えているのはいいことなのかもしれませんが、現実問題として病院で夜間に当直してくれる女医さんは非常に少なく、このままいくと将来的に多くの救急病院が勤務医不足で救急医療を維持できなくなる可能性が高まっております。早急に柔軟な対応に切り替えていかなければ、近い将来、多くの病院が破綻し、医療崩壊を起こすかもしれません。  市民の安全を守るためには安定した病院の存在は不可欠ですので、国の対応が遅いのであれば、各自治体がそれぞれ頑張るしかありません。そのためにはやはり行政の支援が必要であり、行政側と病院側でしっかりといい連携を組むことが重要であり、まずは現場を知っていただき、現場の問題点や課題を検証していただくことが重要です。  そこで、初宿市長にお伺いします。3病院を訪問され、じかに現場を見て、多くの現場スタッフの方たちとお話しされて、どのようにお考えになったのか、率直な御感想をお聞かせください。  小児医療についてですが、小児の命を守るにはワクチン接種など予防医療が非常に効果的で重要であることを述べさせていただきました。その中で、麻しんの感染を防ぐ本市の取組についても先ほど御答弁をいただきました。また、令和6年度より、百日ぜき予防の観点から、11歳、12歳の児童に対し3種混合ワクチンの特別接種を開始するなど、本市では先進的に取り組んでいただきましたが、百日ぜきを予防するには残念ながらまだ不十分であります。乳児の命を守る予防医療としては、小学校就学前の児童に対する3種混合ワクチンの接種が必要です。百日ぜきはただせきが続く病気と思っている方も多いかもしれませんが、乳児の命を奪いかねない非常に恐ろしい病気です。これについては以前から何度もしつこく申し上げておりますが、大切な大切な命を守るためですので、何とか再度御検討いただきたく存じます。  また、近年、RSウイルスの脅威が注目されており、RSウイルスのワクチンの妊婦への接種のほか、小学校6年生から高校1年生相当の男子への子宮頸がんワクチン接種なども全国各地で始まっています。小児の予防医療を取り巻く環境は日々進化しており、将来を見据え、予防医療を充実し、子どもの命を守り、子どもが健やかに育つ先進自治体を、本市の強みを生かして目指してもらいたいと思います。  最後に申し上げます。八王子市には市民病院がない反面、先ほどから述べておりますように2つの大学病院があり、三多摩のほかの自治体ではこのような恵まれた状況はありません。そして、二次救急に対しても積極的な市中病院も多くあり、救急医療体制もほかの自治体よりも充実しております。そして、行政と医師会の関係も非常に良好で、そういうこともあり、八王子市の健診事業は全国や世界からも注目されるほど充実したものとなっておりますし、糖尿病から腎臓を悪くして透析にならないような、腎臓を守るすばらしい取組も行われています。まず、この2つの大学病院にさらに頑張ってもらい、多くの優秀な医師を集め、がん治療や薬の治験を含めた先進医療をさらに充実させて、都心部同様の日本最高レベルの医療体制を構築することができれば、八王子市の市民の皆さんの安心につながりますし、最先端の医療を求めて都心部に行かなくて済みます。逆に八王子市に多く集まってくる可能性も十分にあります。そして、さらに小児医療を充実させれば、八王子市の医療は先進都市として、新型コロナウイルス感染症のときのようにモデルケースとして全国から注目される自治体になります。  八王子市の医療の力は先般のコロナ対策で証明できましたし、今まで構築してきた連携力、信頼関係を発揮できれば、八王子市を全国屈指の医療、介護、福祉の充実した都市にすることももはや夢ではありません。八王子市が国の動きを待ってから動く特徴のない平均的な自治体になるのか、あるいは、国よりも先行した医療事業をどんどん取り入れて全国のモデルケースになるのか、私は、どんどん積極的にいいものは国の動きを待つことなく推し進めていくべきだと考えます。そうすることが、八王子市をより魅力的なまちにすることができ、これからの未来につながっていくのではないでしょうか。  そこで、初宿市長にお伺いします。今までの小児医療などの話も踏まえての市長の八王子市の医療に対する思いをお聞かせください。  以上で私の一般質問を終了させていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 子ども家庭部長。 ◎【古川由美子子ども家庭部長】 病児保育の今後の取組についてでございますが、先ほど答弁いたしましたオンライン予約システムを活用していただくため、子育て応援サイトや市内保育施設等を通じて保護者の皆様に情報提供を行い、病児保育を必要とされる方が安心して利用できるよう進めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。                     〔市長登壇〕 ◎【初宿和夫市長】 第13番、岸田功典議員の一般質問に私から2点答弁をさせていただきます。  まず1点目、3病院を訪問した際の私の感想でございます。議員もお話しのように市民病院を持たない八王子市において、各病院がそれぞれの強み、そして特徴を生かした連携を行い、医療従事者の皆様が昼夜を問わず八王子市民の生命や健康、八王子市の宝でもあります子どもたち、そしてその御家族を支えてくださっている姿、さらには災害医療にも携わってくださっている姿に胸を打たれ、感謝を申し上げたいと思っております。そして、今でも続く新型コロナウイルス感染症に罹患された患者の治療にも働いている姿に頭が下がる思いであるとともに、改めて基本的な感染症対策の重要性を認識いたしました。  私はかつて都の新型コロナウイルス感染症対応の責任者として経口治療薬の治験にも取り組んでまいりましたが、八王子市の医療機関、医師、看護師、薬剤師などのチームワークのすばらしさを生かせたならばもう少し早く治験を終わらせることができたのではないか、そんな思いすら抱きました。さらには、私の力不足で実現ができなかったワクチン接種ができない方々への経口の予防薬にも取り組めた可能性すら感じたすばらしい3病院の訪問でした。  次に、八王子市の医療に対する私の思いでございます。医療の各分野のお話をしますと時間が足りませんので、特に未来の八王子市を担う子どもたち、小児医療関係に関して申し上げたいと思います。  小児が感染いたしますと命を落とす危険さえある病気を可能な限り防ぐ予防接種、これは八王子市が目指す予防医療の充実の柱の一つになるものと考えております。今年の4月、八王子市医師会小児科部会との会議におきまして、従来の小児本人に接種する方法のほか、海外における事例といたしまして、妊娠中の母親に接種することにより妊婦の体内でウイルスに対する抗体がつくられ胎児に引き継ぐ、いわゆる母子免疫の事例について説明がありました。ほかにも、小児けいれん時の救急搬送や発達障害に向けての施策について懇談を行いました。その中で、小児けいれん時の救急搬送に関しましては特に急を要することから、八王子消防署長、そして東京消防庁の消防総監などに直接掛け合って調整を始めたところでございます。  このように八王子市では、子どもたちが健やかに育つ環境整備のため、日々、小児医療の充実を目指し、多くの医師が専門性を発揮されております。八王子市として、医療従事者の方々からの声を、課題を先送りすることなく、解決のために取組を進めたいと思っております。さらには、八王子市の医療に寄与します企業誘致、特に今、AI、人工知能関連企業への八王子市の魅力を伝える活動を進めておりますけれども、これに加え、先ほど申し上げました八王子市の医療に寄与する医療関連企業、さらには製薬・創薬会社、こういった方々への誘致も積極的に取り組み、八王子市を医療、介護、福祉も充実した全国屈指の都市へ歩みを進めてまいりたいと思っております。 ◎【鈴木玲央議長】 第13番、岸田功典議員の質問は終了しました。  次は、第38番、石井宏和議員。                    〔38番議員登壇〕 ◎【38番石井宏和議員】 日本共産党八王子市議会議員団の石井宏和です。通告に基づいて質問いたします。  初めに、命と環境を守る農業の支援を強化していただきたく、伺います。  日本の農業政策の基本になる食料・農業・農村基本法が、現在会期中の国会で、多くの関係者と野党が反対する中、25年ぶりに改定されました。この基本法は、1961年に施行された農業基本法を、環境の保護など農業や農村の持つ役割を高め、食料自給率を高めることなどを目的として、国民全体の法律に発展させ、1999年に制定されたもので、この新基本法に基づいて2000年から5年ごとに食料・農業・農村基本計画が定められてきました。この基本計画では食料自給率の向上の目標などが掲げられ、直近の計画でも2030年までにカロリーベースで45%に自給率を引き上げる目標になっています。  ところが、25年ぶりの今回の法改定では、これまで唯一目標に掲げていた食料自給率の向上を幾つかの指標の一つに格下げしてしまっています。そのことでますます食料を輸入頼みにしかねないもので、大いに問題です。また、凶作、輸入の減少等の不測の要因により国内の食料の供給が不足し、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に支障が生ずる事態などが発生するおそれがあると認めたときから必要な施策を講ずるものとする条項も加えられ、これに対応する食料供給困難事態対策法案も併せて提出されています。  日本の食料自給率はカロリーベースで37%にまで落ち込んでいます。それを当面45%に引き上げようとしていた大目標を取り去ってしまえば、さらに自給率が落ち込みかねません。6割以上の食料を輸入に頼っているということは、紛争や異常気象などで輸入が困難になったら、たちまち食べるものがなくなるということになります。実際に、穀物や肥料などの大産地であるウクライナがロシアに侵略されたことなどで小麦や化学肥料などが品薄になり、値段も高騰しましたし、高進する円安で輸入品が全て割高になってきています。こうしたことから、食料品の値段も続々と上がり、市民生活を直撃しています。実質賃金や実質年金が下がり、税や社会保険料などの負担は上がり、可処分所得が減り続けてきた中、食料品の値上げは市民の生活の質を落とし、健康を維持することにも支障が出かねないほどではないかと感じさせられます。  昨年、国連の食糧農業機関、FAOは、日本の飢餓人口を400万人と発表しました。5%未満の栄養失調者が存在する飢餓国という位置づけで、これは先進国で日本だけです。実際に日本で栄養失調で亡くなられる方も少なくありません。食料品を輸入に頼ることは生殺与奪権を外国に握られるようなもので、輸出する側の国の意向に振り回されかねません。言い値で買わざるを得ない場合や売り惜しみされる場合も想定され、実際にそうした事態も起きています。  食品を輸入に頼り続けることは、食の安全性を揺るがすことにもなりかねません。実際に、日本の食品の安全基準は様々な点で近年、緩和され、ヨーロッパ諸国などに比べて大分甘いものになってしまっています。2017年に除草剤、グリホサートの摂取限界値を小麦で従来の6倍、ソバで150倍に緩和するなど、輸出する側、特にアメリカの要求どおりに緩和した基準も多いと指摘されています。成長ホルモンや成長促進剤を投与した牛肉や豚肉、収穫時に農薬をかけた小麦や大豆などは輸入を認めない国も多い中、日本では有害性の情報も十分に共有されないまま消費されていますし、様々な懸念がある遺伝子組換え食品も十分に表示されず店頭に並んでいます。これらの食品は発がんなど実際に市民の健康被害にもつながっているのではないかと思いますが、市としてどうお考えでしょうか。まず伺います。  輸入に多くを頼っているという点では、種やひな、飼料や肥料、燃料などもさらに深刻です。農作物の生産に必要なこうしたものも輸入できなくなれば、生産そのものが困難になり、こうしたものを考慮すると日本の食料自給率は実は1割にも満たないとも試算されています。食品が十分に自給できず、生産資材も輸入に頼っている現状で、災害や異常気象などを含めて、これらの輸入が困難になる事態も当然想定しなければなりませんが、さきに述べたように、今国会にはこうした際の対応を定めた食料供給困難事態対策法案も提出されています。こちらの法案も衆議院では既に可決され、参議院に送られています。3割台の食料自給率の日本で輸入などが困難になった際、穀物を中心に農家に増産を要請し、その計画を出させ、さらに食料不足が深刻化したら芋などの生産を命じて、従わない農家には罰金も科せられるというものです。また、加工流通業者も取り締まる流通統制や、戦時下のような配給制度も実施されることにもなります。  直近の食料・農業・農村基本計画にはこうした食料供給困難時の米、小麦中心の作付案とその食事メニュー例、芋類中心の作付案とその食事メニュー例も記載されています。これによると、米、小麦中心の作付のメニューでは、御飯とうどんと焼き魚や果物は毎日食べられても、卵は13日に1個、焼肉は14日に1皿で、1人1日1,727キロカロリーになっています。芋類中心の作付のメニューでは、毎食サツマイモかジャガイモに、御飯は1日1杯、焼き魚や果物は毎日食べられても、卵は1.5ヵ月に1個、焼肉は23日に1皿で、1人1日2,546キロカロリーありますが、どちらのメニューでもビタミンやミネラルなどが不足する見通しです。また、どちらも牧草地なども転用し、可能な限り二毛作も行う計画ですが、連作などの障害も予想されます。こうした作付を農家に求めるわけですが、それぞれの経営を中断させたり過重な労働を求めたりするのは問題です。経営難や労働力不足で苦しまれている農家の皆さんに多大な負担をかけることになり、簡単には進まないと思います。そこで、この食料供給困難事態対策法で罰則まで定めて、農家に増産や作付品目の転換を強制しようというわけです。大変な努力で営農されている皆さんにとって不本意な作付を強制されるようなことは想像したくもないことでしょうし、離農すら促しかねないと思います。長く輸入頼みの生産財や電気代や燃料代の高騰に苦しまれている農家の皆さんにとって、将来不安をあおることにもなるこの食料供給困難事態対策法はどう影響するのでしょうか。市内の農業者にとって、こうした法律がどう影響するのか、市の考えを伺います。  飢えや食料供給困難事態を招かないようにするためには、農業を国の基幹産業としてしっかり位置づけ、環境の守り手としても、農家の皆さんの努力に十分に報いる農政に変えることが必要なはずです。そうした当たり前の方向に逆行するような今回の法改正、法提案には、多くの農家の皆さんや農業団体の皆さんから強く反対の意思が示され、共産党もほかの野党の多くも反対しています。  日本の食料自給率は、旧農業基本法が制定された1961年は79%でした。しかし、米の減反政策、牛肉、オレンジなどの輸入自由化などを経て、1990年頃に4割台に落ち込み、今に至っています。不測の事態にも備えて食料自給率を高めることは独立国として当然であり、多くの国はその努力をしています。農林水産省の試算で、カナダは220%、アメリカやフランスは120%ほどと輸出が上回り、ドイツは80%、イタリアが60%ほどです。環境を守る農業を盛んにするために、こうした国は様々な努力をしています。40%にも満たない日本は危機的です。  都道府県別で見ると、北海道は220%、秋田県は200%ほどですが、神奈川県は2%、大阪府は1%、東京都はゼロ%、より細かい数字としては0.47%ということです。こうした都府県では、特に災害を含めて食料の輸送も困難になれば、たちまち食べるものがなくなってしまうわけです。本市は東京都内では農業が盛んなほうですが、本市の自給率は現在どれくらいなのでしょうか。また、自給率向上のための取組をどのように進めてきたのでしょうか。お伺いいたします。  ここまで一括の質問とし、以下、一問一答で続けたいと思います。お答え願います。                  〔38番議員発言席へ移動〕 ◎【鈴木玲央議長】 保健所担当部長。 ◎【鷹箸右子保健所担当部長】 様々な懸念がある食品が市民の健康被害につながっているのではないかということにつきましては、日本の食品の安全基準は、内閣府に設置されている食品安全委員会が食品健康影響評価を行い、食品の安全性が確認できたものだけが食品として国内に流通しており、安全なものと認識しております。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 私のほうには3問御質問いただきましたので、順次お答えいたします。  まず、食料供給困難事態対策法が成立した際の市内農業者への影響につきましてでございます。まだコメントできる時期ではございませんが、法案が成立した際には、法の内容を精査し、国や都などの関係機関と情報共有を図り、動向を注視したいと考えております。  続きまして、本市の食料自給率についてでございます。市域ごとの農産物の詳細な統計が全て出ておりませんので断定はできませんが、あらあらの計算によりますと、およそ1%に届かない程度と把握しております。  そして最後ですが、本市の食料自給率向上への取組についてでございますが、地産地消の推進、学校給食への地場農産物の活用など、積極的な取組を実施してございます。今後もこれらの取組を継続していくことで、結果として本市の食料自給率の向上に結びつくものと認識しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 それぞれお答えいただきました。  食品の安全性の問題では、ある機能性表示食品による健康被害が多発していたことが話題にもなっています。企業側の都合のいいデータだけで機能性表示食品のお墨つきを与えたことが健康被害につながったわけです。EUなどでは、健康被害につながるおそれのあるものは警告し、認可しないなど、予防原則を徹底しています。成長ホルモンやラクトパミンなど、健康を害する疑いが濃厚な物質が含まれている食品などは、EUと同様に摂取しないことを基本にすべきだと思います。機能性表示食品の拙速な認可もアメリカの要求から始まったと言われています。食品の安全性を予防原則に立って保つことはもちろん、輸入頼みになることから輸出国の意向に逆らえないような国にしてはならないと思います。異常気象や災害や紛争などでたちまち食料危機に直面することにならないようにするためにも、食料自給率を向上させることが大切です。  本市の食料自給率は1%に満たない程度とのことです。東京都全体の自給率を少し引き上げている数字だと言えますが、寂しいものだと思います。目標から指標の一つに格下げされはしても、食料自給率は農業基本法で掲げられ続けるわけであり、その向上にやはり努めるべきです。本市としても、環境保全や防災などにも寄与する農業を守り、生産の増進も図って、自給率の向上も目指してほしいと思います。  食料供給困難事態対策法案については、参議院の参考人質疑などでも農家の営業の自由を侵害するのは明白だと言われており、農業関係者の多くも反対しています。まずは成立させないために私どもも努力しますし、農家の方に無理を強いるような事態を招かないよう努めたいと思います。  農業をさらに盛んにし、自給率を上げるためにも、今ある農地をフルに活用することが大切です。全国的に農家の働き手の高齢化が進んで、農家の戸数が激減していますし、本市でもこうした問題に直面していることと思います。せっかくの農地が十分に耕作されないでいるとすれば大きな損失と言えますが、本市での状況はいかがでしょうか。遊休農地の現状と活用の取組についてお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 令和6年4月現在、本市の遊休農地は15.2ヘクタールとなっております。現在の取組といたしましては、市ホームページやパンフレットで制度の周知のほか、JA等の関係機関からも呼びかけを行っているところでございます。また、農地所有者から相談があった際にも、農地バンクへの制度等の説明を行うなど、解消に向けた取組を実施しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 遊休農地にはそれぞれの事情があるわけですが、できるだけ耕作につなげていただきたく思います。諸外国が農業を環境保全や安全保障も含めて大切に保護し、農家の支援を手厚くしているのに比べて、日本の農政は農家に冷た過ぎます。農家が次の世代に後継者になってほしいと言えないような経営状況が一般的であってはならないと思います。安心して後継者に継いでもらえる農業にしていかなければならないと強く思います。しかし、また、家庭の事情などで後継者や担い手が見つからないという農家もあります。そうした農地も意欲のある農業者に耕作し活用してもらうためのマッチングも重要です。新規就農者でも農地を借りやすくするなどの法改正も行われ、本市でもこうした農地の貸借も活発に行われるようになってきているようですが、その現状と市の考えについて伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 全国的に農業経営者の担い手が不足しており、本市でも喫緊の課題であると認識しております。現在取り組んでいる農地バンク制度や農地中間管理機構の活用などにつきましては、貸手と借手の双方にメリットがあることから、引き続き農地活用の支援の一つとしてマッチングを行ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 そうした情報発信などを含めてさらに強めていただきたいと思います。  農林水産省の資料によれば、2000年に240万人だった基幹的農業従事者は年々減り続け、2023年には116万人と半減以下になってしまっています。しかも、その6割近くは70歳以上です。新しい農業の担い手を応援し、生産を担っていただかなければ、日本の農業はさらに衰退してしまいます。  先日、私はほかの議員の皆さんと、市内大谷町にある東京農業アカデミー八王子研修農場を見学させていただきました。果樹や山菜や花卉もある広い農場に、高い競争率の中、毎年5人の研修生が選ばれて通い、重機の扱いやハウスの組立てなども含めて2年間様々な作物を作って、包装もして販売するなど実践的な実習をしているとのことで、ちょうど販売されていたおいしい野菜も購入して味わうこともできました。卒業後は、営農計画を綿密に立てて、すぐに黒字経営を目指して就農されているそうで、農地を借りることも含めて卒業生の支援も続けられているとのことです。八王子市で順調に耕作面積を増やして営農されている方もいるともお聞きしました。こうした若い方を含めて余裕を持って営農できるよう、所得補償や価格保障などの支援の抜本的強化が必要だと思います。特に近年、円安の影響などで畜産や酪農の経営は赤字がほとんどになり、米農家の時給も10円にしかならないほどだということです。これでは持続的な経営ができません。アメリカやEU諸国などでも、公的な補助金が農家の収入の柱になっています。農家の経営が十分に成り立つよう、国の支援を抜本的に強化すべきではないでしょうか。市としてもそうした要請を国や都にも上げていると思いますが、その内容を含めて、市の考えをお聞かせいただきたいと思います。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 本市の農業を将来にわたり維持するには、生産に努力している農家の担い手としての位置づけを支援していく必要があると考えております。令和5年度には、担い手の育成支援策として、国に対し、認定農業者等が安定した経営向上を後押しする施策の拡充を図るよう東京都農業会議を通じ要請をしたところで、今後も農家経営の支援につながる要請を行ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 ほかの先進国は所得補償など手厚い支援を行っています。ぜひ様々なやり方で支援の要望を強く上げていただきたいと思います。  肥料、飼料などの高騰に加え、光熱費などの高騰も続いています。特に電気代とガス代は国の補助金が終わり、今月からまた値上がりすることになります。全般的な物価高騰対策としては、国の地方創生臨時交付金もこの間何次かにわたって交付され、市もこの交付金も使って、昨年度、上半期の連続する2ヵ月の電気代とガス代の合計額が前年度より7万円以上増えた事業者には5万円から10万円の支援金を支給しました。しかし、それだけ光熱費が増えた事業者は一部にとどまっていて、多くの事業者は対象外になりました。農家でも相当の規模の方以外は対象外になってしまっています。  この地方創生臨時交付金の推奨メニューには農林水産業における物価高騰対策支援もあり、国の調査によれば、昨年度、この交付金を充当した事業の12.2%がこの農林水産業支援でした。隣の町田市もこの交付金を活用して、肥料費の40%、飼料費と動力光熱費の20%などの合計額を農家に支援していますし、多摩地区の他市でも様々な農業支援が行われています。本市でも、光熱費や生産資材の高騰などに直面されている農家の方に広く支援すべきではないでしょうか。緊急支援策を市も講じるべきではないでしょうか。伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 光熱費などの高騰による農家の方々への支援策につきましては、農林業だけにとどまることではないため、国や都などの動向を注視しつつ、庁内関係機関と情報共有を図って、これまでも適切に産業界への支援を実施したところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 それが行き届いていないと言わざるを得ないと思います。市内の中小事業者に広く支援することも大切ですが、昨年の本市の支援メニューでは、光熱費の前年との差が2ヵ月で7万円以上という条件にしてしまったために対象外になってしまった事業者も多くありました。昨年度、町田市が中小事業者全てを対象にして、光熱費の額に応じて1万円から10万円の支援をしたことに比べても、支援の対象が狭かったと言わざるを得ません。この2年ほどの間に、町田市のほか清瀬市や武蔵村山市など多摩26市のうち16市が肥料代高騰などに対する支援を行うなど、多くの自治体が様々な農業支援策を行っています。本市でもぜひ中小事業者支援と農業支援を早急に講じていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  市内農家の経営の安定のためには、学校給食との連携をさらに深めることも大切だと思います。市民の皆さんの長年の要望を受けて、今年、ついに中学校でも全校で温かい給食が実現することになり、その分、食材の量も増えてきたわけですし、地産地消、地場野菜の活用も進んできたわけですが、その推移と現状についてお聞きしたいと思います。学校給食に関わる農家の数と地場野菜の使用率がどれだけ増えてきたのか、お示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 中学校給食が始まる前になりますけれども、平成20年度の調査におきましては、地場野菜の使用率は4%、学校給食へ参入している農家数は19農家でございます。最新の令和5年度におきましては、地場野菜の使用率は37.4%で、学校給食に関わる農家数は51件に増加しているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 目標の30%を大きく超えて地場野菜の使用率が増えていることは貴重だと思いますし、それだけ多くの方が努力されているということだと思いますが、教育委員会ではどのようにその取組を進めているのでしょうか。お伺いします。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 農家の皆さんが安心して野菜を生産できるよう、JA八王子と連携して学校給食野菜グループを立ち上げ、安定供給と使用率向上に向けた仕組みづくりを行っております。複数の農家の方々の意見を参考に、事前に購入量と収穫量を調整した作付を行うことで、より多くの野菜を購入することが可能となり、地場野菜の使用率が年々上昇しているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 お隣の日野市では、地場野菜を品目によって一定の補助金を上乗せして買い取り、農家を支援しています。本市でもこうした支援も検討していただきたく思います。近くの顔の見える農家で生産された新鮮な野菜を食べられることは、子どもたちの健康にも資すると思います。市の保育園のほうは地場野菜の使用率は数%程度とお聞きしています。そうしたところでも地産地消の取組をさらに進めることも求めたいと思います。よろしくお願いいたします。  農家の方以外にも農業に親しみたいという方も少なくありません。庭やベランダなどでの家庭菜園のほか、畑を借りて耕作したいという方も多く、本市ではひよどり山農園や市民農園を設けて御要望に応えてきました。近年は農家開設型の区画貸しの農園も増え、そのこともあってか、市民農園の閉鎖が続いて、今年度からは東中野だけになってしまったことは残念です。  そこでお伺いします。緑町や越野などの市民農園を利用されてきた方などに市はどう対応しているのでしょうか。農家開設型の農園の利用も順調に進んでいるのでしょうか。お答えください。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 閉園によって利用できなくなった方には、ひよどり山農園や農家開設型農園を案内しているところでございます。ひよどり山農園につきましては、駐車場やトイレ等、整備も充実していることから、代替としての役割は果たせていると認識しております。また、農家開設型農園は令和6年5月末現在で37農園、741区画が活用されており、年々増加傾向となっているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 こうした市民向けの農家開設型農園も市内にたくさんあり、そこで気軽に耕作できることも本市の魅力の一つです。はちおうじ農業塾では、2年間、土作りや野菜作りなどを学ぶこともでき、その後もこうした農園なども利用して農作業を続けられる方も多いとお聞きしています。また、1日、2日でも農業に親しみたいという方にも農業体験の機会が市内に様々あり、援農ボランティアの募集もあります。こうした魅力の発信も強めながら、市として農業の振興、農家支援をより大きく位置づけて実践してほしいと思います。この問題の最後に、その点についての市の考えをお聞かせいただきたく思います。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 農家を目指す担い手を確保するには、魅力ある農業経営が不可欠と考えております。そのためにも、安定した経営、農地の確保など、多くの課題に対し支援が必要と考えます。引き続き、東京都やJA等の関係機関と連携を図り、農業者に寄り添った支援を行ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 市民の皆さんが農業と様々な関わりを持ち、地産地消を進めるためにも、農家の皆さんの安定した営農が根幹になります。国を挙げて農業を大きく位置づけて支援すること、食料自給率を向上させることを改めて強く求め、本市としても農業支援を強化することを求めて、次に進みます。  続いて、公共交通の問題について伺っていきます。  面積が広く、丘陵や傾斜地も多い本市で、市民の足である公共交通を充実させ、発展させることは大切なテーマであり、多くの市民の切実な願いです。その基にもなる八王子市交通マスタープランの改定に向けた作業がちょうど今進んでいます。先日の都市環境委員会で改定案の素案も示され、8月からパブリックコメントにかけられる予定だと伺っています。この素案では、暮らし、活力、環境のバランスがとれた交通を目指すとするなど新しい視点も示され、多様な交通手段による移動の確保や福祉交通の充実、CO2削減に向けた取組の推進など、基本政策に挙げられていることなどは重要だと思いますが、2015年に策定された現在の交通マスタープランを今回、特に何を重視して改定しようとしているのでしょうか。これまでの評価や課題を踏まえて、特に重視している点についてまず伺いたいと思います。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 コロナ禍以降、公共交通利用者が減少し、現在においてもコロナ禍前の状況まで回復していない状況にあります。近年の生活様式の変化や本格的な人口減少が予想される今後においては、公共交通をいかに維持していくかが重要なポイントであると考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。
    ◎【38番石井宏和議員】 働き手の不足も懸念され、確かに公共交通を維持することもこれから簡単ではなくなってくるおそれもあると感じさせられますが、パブリックコメントも受けて、よりよいマスタープランにしていただきたいと思いますし、それを具体的な施策に生かしていただきたいと思います。  先日、私は本市の地域公共交通活性化協議会を傍聴させていただきました。そこでバスやタクシーの事業者の方から経営環境が厳しくなっていることなど近況の報告もあり、長時間労働を規制する法改正を受けて、今年から本市で運行しているバス会社がそろって早朝の時間帯などの路線バスの本数を減らす対応をしたことなどが報告されました。バスの利用者にとっても大きな影響が出ていると思われますが、市としてこのバス減便の影響をどう見ていらっしゃるのでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 社会環境の変化や路線バスの利用状況から事業者として判断されたことと捉えておりますが、持続可能な公共交通の維持に向け、今後は移動の際、自動車に頼らず積極的に公共交通を利用する市民意識のさらなる転換が必要と考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 事業者も本当に大変だと思いますが、バスの本数を減らすことで利用者離れが進めば、悪循環になってしまいかねません。これ以上の減便は避けていただきたく思いますし、そのためにも、市民の皆さんに利用してもらうことがやはり大切だと思います。そういう意味では、本市の貴重なコミュニティバスであるはちバスも便数を増やして運行間隔を密にしてほしいという要望も市民の皆さんから寄せられています。そうした努力も必要だと思います。  昨年度の地域公共交通活性化協議会では、このはちバスの再編に向けた検討報告書(案)が示され、質疑応答などが行われたことが、本市のホームページで公開されている議事要旨によっても確認できます。この議事要旨を見ますと、はちバスの路線も見直し、検討内容の革新性や綿密性に驚いている、駅には行かない、路線バスのよこ糸になるなど、すばらしい考えだと思うといった発言や、今回の検討の中で、結論としてシルバーパスが使えなくなったといった発言があったということです。そして、質疑応答を経て、最後のあとがきは調整となっているが、この内容で報告書を市に提出することが承認されたということです。駅には行かないことや、シルバーパスが使えなくなることなどは衝撃的です。私もこの議事要旨を読んで本当に驚きました。この検討報告書については、広く市民に公開して、市民の意見をさらに広く伺った上で実際の再編などの計画づくりを行うべきだと思います。  先日、私は、市の情報公開請求の手続を行って、この検討報告書(案)の開示を求めましたが、市は、政策形成の過程段階にあるためという理由で開示しないという返答でした。しかし、政策形成のためにも、広く市民の意見を聞くべきではないでしょうか。せめて概要だけでも現在までの検討内容を市民に示すべきではないでしょうか。いかがですか。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 現在、八王子市地域公共交通活性化協議会から提出された報告書に基づき政策形成を図っており、今後、適切な時期に市民の方々に周知する予定としております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 その政策形成のためにも、はちバス再編の考え方について、広く意見を聞くべきだと思います。検討報告書の公開を改めて求めます。  昨年の地域公共交通活性化協議会の議事要旨から読み取れる内容として、駅には行かず、路線バスのよこ糸になることなどがありますが、ということは、現在のはちバスの路線を大きく変更する方向ということになります。今の路線の利用者が不便にならないようにしていただきたいと思いますが、はちバス再編のルートについては、どのようなものにしていく考えなのでしょうか。市の基本的な考え方について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 検討報告書では、路線バスとの役割分担を明確にし、はちバスをよこ糸としてつなぐことが示されており、これに基づき、庁内関係所管と調整を進めておるところです。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 路線バスとの役割分担を明確にするということは大切だと思いますが、今の路線でも、北八王子駅と石川団地の間や、片倉駅と片倉台団地の間、長沼駅と長沼団地やNEC団地の間などは路線バスが通っていないわけですし、駅に行かないということにこだわる必要はないと思います。できるだけ市の全域をカバーしつつ交通空白地域を解消することが望ましく、運行の頻度も現状より増やすべきだと思います。ルートについても、市民の皆さんも様々な希望や案をお持ちだと思います。広くそうした声を聞きながらルートの再編を進めるべきだと思います。  また、シルバーパスを使えないようにするということについては衝撃的で、多くの市民の皆さんが反対されると思います。現在のはちバスの利用者の6割ほどはシルバーパスを利用されているとのことですし、シルバーパスが使えなくなれば、こうした方の利用控えが起きかねません。そのことで高齢者の外出、通院、社会参加などの回数が減り、健康維持に支障が出かねません。シルバーパスは使えるようにし続けるべきだと思いますが、検討報告書でははちバスのシルバーパスについてどう検討し、報告しているのか、概略をお聞かせいただきたく思います。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 八王子市地域公共交通活性化協議会ではシルバーパスに関する意見がありましたが、検討報告書では、これまでの運行実績で得られた様々な課題の解決に向け、必要な要素の一つとして捉えることが示されております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 シルバーパスを使えなくするようなことにはしないでいただきたいと思います。地域公共交通活性化協議会の議事要旨によれば、結論としてシルバーパスが使えなくなったとあり、シルバーパスが使えないということになると逆に高齢者の外出支援のネックになるのではないかと懸念したところであるといった発言もあったということです。はちバスでシルバーパスを使えなくすることも検討されていることは、まだほとんど知られていないと思います。知られれば、広く反対の声が広がることと思います。そうした市民の声を受けて、シルバーパスは引き続き使えるようにしてほしいと思います。  現在、はちバスでシルバーパスを使われた方の運賃について、東京都からの補償はありません。しかし、都内の自治体のコミュニティバスの中でも、一部の自治体のバスについては、民間の路線バスのように東京都が補償金を支払っています。本市としても、まずは東京都にシルバーパス利用者分の補助を求めるべきではないでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 東京都市長会を通じて毎年実施している東京都予算編成に対する要望の中で、重点要望事項として東京都に対して要望書を提出しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 シルバーパス利用者分の補助を求める内容で、東京都市長会要望で一致して求めていることは重いわけですから、さらに強く求めて、ぜひ実現させていただきたく思います。  2022年の共産党都議会議員団の調査によれば、シルバーパスは都内5区10市1村のコミュニティバスで適用されています。本市を含めて、日野市、多摩市、町田市、調布市など、多摩地区でコミュニティバスがある23の市のうち、半数近くはシルバーパスで乗れるということです。都内全体でもコミュニティバスの4割ほどはシルバーパスで乗れるということです。こうした自治体とも力を合わせて、シルバーパスの適用を続けながら、東京都にその分の支援を求め続けていただきたいと思います。また、東京都は、コミュニティバスの新規導入や再編、車両更新などの費用については補助を行っていますが、こうした補助の期間の延長なども引き続き求めていただきたいと思います。  東京都のシルバーパスについては、住民税非課税の方などは年間1,000円で取得できますが、それ以外の方は年額2万510円と大きな負担になっています。こうしたパスを設けている自治体は多く、敬老パスと呼んでいる自治体も多いのですが、名古屋市では年額1,000円、3,000円、5,000円のどれかですし、横浜市では無料から3,200円、4,000円、7,000円など8つの区分の負担額になっています。東京都のシルバーパスも1,000円の次に所得に応じて3,000円や5,000円程度の負担にしてほしいという要望が根強くありますし、共産党の都議会議員団はシルバーパス無償化の提案も行っています。本市からも市民要望に沿って東京都にシルバーパスの低廉化の要望を上げていただきたく思いますが、そこはどうでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 シルバーパスの利用料設定は現状2段階で、価格差が大きく、中間所得者層への対応が必要であるため、東京都市長会を通じて、東京都に対しまして新たな利用料軽減枠を設けるよう毎年要望しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 こちらも東京都市長会要望として毎年要望されているということですから、ぜひその要望を強めて実現していただきたいと思います。  東京都のシルバーパスは多摩都市モノレールには適用されていません。また、橋本行きなど県境を越えるバスにも適用されていません。本市の市民にとって、こうした路線への適用も大きな要望になっています。それらも都に求めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 多摩都市モノレールや都県境を通るバス路線へのシルバーパスの適用につきましては、状況を確認し、必要な対応を検討していきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 これらもぜひ要望していただきたいと思います。間もなく都知事選挙にもなりますが、それがこうしたシルバーパスに対する市民、都民の切実な要望の実現の契機になることも期待します。  横浜市や川崎市などの政令指定都市をはじめ、全国で多くの自治体が独自の敬老パスを持っています。都内でも港区は70歳以上の方にコミュニティバスやシャトルバスに無料で乗れる敬老パスを発行しています。本市でも、はちバスのシルバーパス適用を続けながら、その分の都の財政支援を求め、シルバーパス取得費用の低廉化も求めるのがまずは本筋だと思いますが、東京都がこうした要望に背を向け続けた場合など、本市独自の敬老パスを創設することも考えるべきではないでしょうか。いかがですか。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 はちバス再編の目的は、利便性の向上など、これまでの運行実績で得られた課題解決であり、シルバーパス単独での議論は考えておりません。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 はちバスのシルバーパス適用をやめるような判断をしてほしくないと繰り返し訴えたいと思いますが、もしもそんな提案をしようとするのであれば、シルバーパスに代わる独自のパス、高齢者の優遇制度を創設すべきだと思います。  本市の姉妹都市である小田原市は、交通不便地域で相乗りタクシーを定期運行し、そうした地域にお住まいの高齢者で運転免許証を持っていない方に1万6,800円分のタクシー・路線バス共通助成券を配付する実証事業を行っています。また、仙台市は、地下鉄やバスなどの運賃の9割を補助するチャージ式の敬老パスを発行しています。神戸市は、敬老パスの利用で地域コミュニティ交通の運賃を子ども料金と同様に半額にしています。ほかにも様々な自治体で独自の敬老パスを運用しています。本市でも、こうした検討も進めながら、まずははちバスの東京都のシルバーパス適用を続け、東京都への要望を強めることを重ねて求めます。  はちバス以外に、本市も、小津町、高尾紅葉台自治会、打越町旭ヶ丘団地で住民主体の地域交通事業を続けています。今年はこの地域交通事業導入ガイドラインも改定されたわけですが、主な変更点について、続いて伺いたいと思います。御説明ください。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 地域交通事業は、地域の皆様が主体となって取り組む事業です。今回の変更は、地域の皆様にとってより分かりやすく活用しやすい手引書となるよう、地域の皆様の役割や具体的な行動等を新たに示した内容となっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 地域住民が主体になって進めることがやはり大事だと思いますが、隣接する地域で協働するなど、もう少し広域的な地域交通サービスを立ち上げることも検討すべきではないでしょうか。  先日の総務企画委員会の行政視察では、室蘭市のデマンド交通の実証実験などについても伺ってきまして、ショッピングセンターやバスターミナルからの相乗りタクシーや、ある地域内に細かく乗車スポットを設けて、その間はどこでも乗り降りできるタクシーのサービスなど好評で、採算ベースに乗せる手応えもあったとのことでした。本市でも、狭隘道路や急坂などがネックになって、はちバスの運行も難しい地域もあり、こうした地域では、乗合タクシーやワゴン車などを基本に、新たな地域交通の仕組みを考える必要があると思います。その際、例えば暁町三丁目から小宮公園を通って富士見町や大谷町を回るルートなど、やや広域的にサービスを講じることも必要になってくると思います。そのためには広域的な地域住民の話合いも必要になり、市からそうした提案をしていくことも必要になると考えます。はちバスを補完する広域的な地域交通サービスも含めて、市の人口の6%ほどにもなる交通空白地域の解消に努めるべきだと思いますが、交通空白地域の解消のために、市はどのように努力していく考えなのでしょうか。伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 路線バスの運行が困難な交通空白地域においては、はちバスの運行や地域交通事業に取り組んでおりますが、さらなる解消に向けては、地域交通事業の充実など、様々な輸送資源の活用が必要と考えており、今後もこれら取組を進めていきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員。 ◎【38番石井宏和議員】 様々な資源の活用が必要ということですが、高齢者や子育て世帯をはじめ、市民の社会参加や外出を支え、健康増進にも寄与する公共交通の充実、特に交通空白地域の解消は喫緊の課題です。運転に不安がある方の免許証の返納を促すことにもつながります。広域的な対応など、市としてもさらに創意と熱意を持って、交通空白地域を解消し、公共交通を発展させていくよう求めます。  以上で私の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 第38番、石井宏和議員の質問は終了しました。  次は、第6番、浜野正太議員。                    〔6番議員登壇〕 ◎【6番浜野正太議員】 立憲民主・市民の会の浜野正太です。  我が国経済は三十数年停滞を続けておりますが、このたび、デフレ完全脱却のための総合経済対策において、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、小渕内閣以来25年ぶりに定額減税が実施をされることとなりました。一方で、実質賃金は25ヵ月連続でマイナスとなっております。民のかまどがにぎわっているという実感はまだ感じられません。東京都とは違い、我が市の財政は潤沢というわけではありませんし、見通しがよいというわけでもないようですが、その根本は、景気が上向いているという期待感が民にないことです。  経済学の父、アダム・スミスいわく、近代経済学の原理は、政治が経済にできるたった一つのことは民間の邪魔をしないこと、言い換えれば、民間が経済活動をしやすい環境をつくることだけだ、だから、余計なことはしないのが唯一最大の仕事だということです。20世紀の経済学者の代表であるジョン・メイナード・ケインズは、アダム・スミスを最も尊敬すべき経済学者と絶賛をした上で、限られた状況、つまり不況のときは、政府は少しばかり民間の後押しをしてもよいということであります。両氏の主張は対立という二者択一ではなく、基本と応用の関係です。  教育も働き方も同様ではないでしょうか。子どもの自主性を尊重するのが原則ではありますが、子どもだけではできないこともありますので、ちょっと後押しをしてあげる必要があります。働き方についても、現場を尊重しつつ、現場のラインだけでは解決できない課題に対しては事務方のスタッフがサポートを提供する。このあんばいは極めて難しいものではありますが、そうすることで成長や適正化がおのずと実現するのが理想であるということを念頭に、通告に従い一般質問をさせていただきます。  1つ目、夏休みの過ごし方についてであります。  7月になると1学期が終わり、小中学生は約40日間の夏休みとなります。子どもにとっては、学校に通う日々とは打って変わって、毎日起きる時間に決まりがあるわけでもなく、授業の時間が定められるわけでもなく、全く違う日常がスタートすることとなります。私たち大人にとって夏休みは誰しも経験をしてきたものではありますが、時代の変化によって子どもたちの環境は大きく変化してきていると感じます。かつては外で遊んできなさいといろいろな家庭で言われてきたかと思いますが、近年は、防犯意識の高まりもあり、子どもを1人で外に放り出すということは少なくなってきているものと思います。外で遊ぶということに慣れていない子どもたちの姿を見るにつけ、この時代の変化を実感させられます。スマートフォンの普及などによる生活習慣の変化、両親の共働きや経済的理由も要因としてあるわけですが、学校というルーチンがない夏休みの期間は子どもたちにとって特殊な期間であるということは、異論のないところではないでしょうか。  保護者にとっても、1年の中で特別な期間となります。お盆に旅行を計画したり、実家へ帰省をしたり、海水浴やバーベキューなどの非日常的な期間の過ごし方をどのようにプランニングするか、そして子どもたちにどのような体験や経験を積ませてあげるか、様々に思案を重ねているのではないでしょうか。同時に、夏休みとは、保護者にとっては試練の日々の始まりでもあります。義務教育期間だけでも9回夏休みがあります。できるだけのことをしてあげたいと思う一方で、ふだんは学校に任せている多くを家庭でマネジメントする必要があるというのは、大きなプレッシャーでもあります。女性の専業主婦ないし男性の専業主夫の家庭においては、毎日の食事をどうするか、共働きの家庭においては、学童保育のサポートもありながら、おじいさん、おばあさんのサポートを受けながらと家庭の在り方は様々ですが、共通しているのは、どうしようか、何をすべきかというシンプルな悩みだと思います。  教育を受けさせる義務は保護者と、間接的には行政とにあるわけですが、一時的には保護者にあり、それが基本です。大変重責を担うわけですが、家庭だけで抱え込んでしまっては全ての課題を解決できないかもしれないという点を踏まえ、いろいろな方策を駆使しながら、ちょっとだけ後押しをするという応用的な視点も重要であると思うところであります。既に行政で実施をしている公共施設などを活用したイベントもあるかと思います。すぐに思いつくのは、図書館や科学館、陸上競技場や公園などであります。  そこでお伺いをいたします。夏休み期間中に行われている生涯学習施設におけるイベント開催状況及びその周知方法についてお伺いをいたします。  また、私などが児童だった当時は、各小学校でプールを実施するなど、夏休み中とはいえ学校に行く機会がそれなりに多かったように記憶をしております。校庭についても今よりおおらかに利用できた印象がありますが、プールの運用については見直しがされており、また、防犯の観点から施錠体制が整備されるなど、環境の変化があります。学校という空間は、保護者にとって比較的安心安全が確保された空間です。八王子市公式LINEからは、全市における不審者情報が決して低くない頻度で届いております。外で遊んできなさいと軽々に言えない現代においては、学校は一つのよりどころであることから、その役割は大きなものであると感じております。共働き世帯では、学童保育のお世話になることも大いにあるかと思います。そうではない家庭においては、夏休みの間、学校に入れる機会が限られてしまっているのではないでしょうか。学期中であれば放課後子ども教室が実施されているということもありますが、夏休み中については状況が変わるものと思います。  そこでお伺いをいたします。夏休みについては、体験、経験の機会を確保ということだけではなく、子どもの居場所という視点も必要かと思います。小学校施設を活用して開催している放課後子ども教室が夏休みにも開催されている小学校区があると伺っておりますが、実施状況をお教えください。  次に、体験格差についてお伺いをいたします。2010年代から取り上げられるようになった言葉であると承知をしておりますが、これは教育格差と関連して取り上げられることがあるものとまた承知をしております。収入の格差や家庭環境の差が学歴をはじめとした教育格差につながっていることはしばしば報道等で取り上げられていますが、体験の格差についていえば、特に夏休みの期間に顕著に表れるのではないでしょうか。  令和4年度に市が実施をした八王子市子どもの生活実態調査報告書にこの体験格差についての記載があります。ここ数年はコロナの影響もありましたが、生活困難度別、あるいはひとり親、ふたり親と比較を見てまいりますと、一様にこれに相関があると見てとれるところであります。ここで取り上げられておりました遊園地やテーマパークに行くこと、あるいはバーベキュー、昆虫採集などをするということは、いかにも夏休みに体験するものというイメージがありますが、子どもたちの独力だけでは実施するにはやや荷が重いところでもあります。これらは比較的プライベートなイベントではありますが、これをやらなかったからといって直ちに体験格差を生じるということではないかと思いますが、これこそ後押しをする場面ではないでしょうか。  そこでお伺いをいたします。夏休みにおける子どもの体験格差の解消に向けた取組についてお伺いをいたします。  次に、市役所の働き方についてお伺いをいたします。令和5年度は、コロナ禍が終わり、社会生活も平常運転に戻ったタイミングでありました。この間、非常にまれな業務の執行体制であったかと承知をしておりますが、職員の方々の働き方という点でどのような影響があったのか考えてまいりたいと思います。  公金を預かる市役所としては、効果・効率的な行財政運営を目指す、そして、無駄遣いはなるべく避けるべきというのが命題であります。働く方々の視点からも、もちろん仕事は大切である一方で、家に帰れば家の役割が、そして個々人の趣味や余暇のための時間も同様にそれぞれ大切なわけでありますので、なるべく残業は避けるというのが理想であるかと思います。他方、コロナ禍や災害等、行政には働かざるを得ないタイミングがあるというのも事実です。理想としては残業はゼロであるべきと思いますが、現実がそううまくいくわけではないという中で、スタッフの方々においては、統計的な観点から日々善処、改善が行われているのではないでしょうか。  そこでお伺いをいたします。新型コロナウイルスの影響は令和2年1月以降に出てきたものと承知をしておりますが、コロナ禍の影響が出る前の平成30年度と直近の令和5年度の時間外勤務とその変化の要因についてお伺いをいたします。  また、財政的な視点から、いわゆる残業代は少ないにこしたことはありません。さきの定例会においても多くの方々が言及をされておられましたが、今後、厳しい財政状況の中でいかに行政運営をしていくかを考えなくてはなりません。人件費に手をつけるべきというわけでは決してありませんが、残業代についてはおおむね少ないほうがよいと考えます。そこで、1年間の時間外勤務手当金額の総額について、確定をしております令和4年度決算額をお伺いいたします。  次に、育児休業、介護休業の取組についてお伺いをいたします。育児休暇については前年の定例会でも御質問をいたしましたが、育児休業、介護休業に共通しているのは、家庭の事情で取得をするということであります。お伺いをいたします。育休、介護休暇などの現在の取得状況についてお伺いをいたします。  以上で1回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 生涯学習スポーツ部長。 ◎【平本博美生涯学習スポーツ部長】 2点の御質問にお答えいたします。  まず、生涯学習施設における夏休み期間中のイベントの開催状況及び周知方法についてでございますが、本市では、生涯学習センター、こども科学館、図書館などの生涯学習施設において、夏休み期間に児童・生徒が参加できるイベントや講座を毎日のように実施しております。これらのイベント情報は、市の広報はちおうじやホームページ、SNSなどで広く周知しているほか、施設ごとのイベントを一覧にした夏休みイベントカレンダーを作成し、小学校を通じて児童の御家庭にも周知しているところでございます。  次に、夏休み期間における放課後子ども教室の実施状況についてでございますが、夏休み期間における放課後子ども教室は、令和5年度は12小学校区で実施をしておりました。令和6年度は19小学校区で実施する予定となっております。 ◎【鈴木玲央議長】 子ども家庭部長。 ◎【古川由美子子ども家庭部長】 夏休みにおける子どもの体験格差解消についての取組についてですが、令和4年度に実施しました子どもの生活実態調査の分析結果につきましては、令和5年度に調査報告書を全庁に共有したほか、管理職向けに研修を実施し、体験格差についても共有を図っております。夏休みの体験につきましては、市ホームページの生涯学習関連イベント等で紹介するほか、子育て応援サイトのイベント情報にも掲載することで、子育て家庭に情報を届けやすくしているところでございます。このほか、夏休みのひとり親家庭のお子さんを対象とした調理実習や体験活動を行うイベント、なんでもチャレンジなどの取組も実施しております。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 私からは、市役所の働き方に関する3点の御質問にお答えいたします。  まず、平成30年度と令和5年度での時間外勤務時間についてですが、コロナ禍前となる平成30年度の1人当たり1ヵ月平均8.5時間に対し、令和5年度では11.6時間となっており、増加している状況です。また、この主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症が第5類に移行したことに伴い、イベントや対面式による会議が再開されたことや、住民税非課税世帯への臨時特別給付金などの国や東京都の施策を受けて事務量が増加したことなどによるものと考えております。  次に、1年間の時間外勤務手当額等の総額ですが、令和4年度の時間外勤務手当及び休日勤務手当の総額は11億7,566万円となっております。  最後に、育児・介護休暇などの取得状況ですが、令和5年度に育児休業を取得した職員の割合は、男性が68.8%で、女性は100%となっております。また、介護休暇、短期の介護休暇、介護時間のいずれかを取得した職員は、合計で、男性121人、女性49人となっており、取得者は年々増加しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第6番、浜野正太議員。                    〔6番議員登壇〕 ◎【6番浜野正太議員】 種々御答弁をいただきました。生活実態調査を基に情報共有を図っているとのことで、ぜひともこの調査を有効に活用していただくことを期待しております。体験格差や生活実態といった大きなテーマについては、一度の調査で終わりということではなく、今後とも定期的に情報共有をはじめ調査等を要望いたします。  また、SNSの発信も部としてされているということで、拝見させていただきました。すくてく・はちおうじの個別の発信については今後も期待をしているところでありますので、更新頻度を高くすることや、単に情報を羅列するのではなく、SNSですので、いいねやコメントなどの反応をもらえるようにすることや、所管外のイベントであってもリポストすること、過激な発信で炎上する必要は全くありませんが、インプレッションを増やすことなど、工夫を重ねていただきますようお願いを申し上げます。  令和5年度イベントカレンダーについて、拝見をいたしましたところ、毎日複数のイベントを企画されているということで、子どもたちと保護者でよくよく話し合う姿が目に浮かびます。また、利用料について、無料のもの、低額のもの、実費相当額の負担という良心的なイベントが多く見受けられました。子どもたちにとっては、100円、200円というのは大金であります。図書館は当然無料で使えるわけでありますが、科学館や陸上競技場など、低額とはいえ子どもに負担を求めるという考え方については検討が必要ではないでしょうか。もしこれが貴重な税収という捉え方であれば考え方の相違ではありますが、そうではないのであれば、自己責任論を押しつけるべきではない未成年に対する受益者負担は配慮があってもよいのではないでしょうか。今後、課題として市側で御認識、御検討いただければ幸いです。  さて、我が家でもこのカレンダーを見ながら興味関心のあるイベントをピックアップしてみました。ある程度読み書きができるようになる高学年以上の児童・生徒であれば、自分自身で考えて夏休みの予定を立てることになるだろうと思いましたが、他方、低学年ということで想定をしてみますと、文字による情報はやや無味乾燥と感じるのではないかと思う部分もありました。個々のイベントについてはチラシを作成するなどされているかと思いますが、せっかくカレンダーを作成いただいているわけでありますので、チラシを挟み込む、あるいは写真、画像による情報を充実させるなど、今後改善を期待するところであります。  市では夏休み期間に生涯学習センターやこども科学館など施設において様々なイベントや講座を実施しているということでしたが、具体的にどのようなイベントや講座が実施されていらっしゃいますでしょうか。お伺いをいたします。  また、一方で、子どもたちの居場所という意味で、放課後子ども教室の開催も一定程度あるということでした。実施校の増加は歓迎をするところであります。保護者として、外で遊んできなさいというフレーズに代えて、放課後子ども教室に行ってきなさいともし言うことができれば、時間的な余裕を持って子どもに接することもできるのではないでしょうか。現状では未実施校も多くあるところであります。開催日についてもまちまちであるそうですが、ひとまず学校に行けば遊べるかなと子どもたちが一様に感じる体制にはまだ至っていないという印象であります。放課後子ども教室については地域主体で実施をされているものでありますので、担い手という点で大きな課題もありますが、お伺いをいたします。今年度は実施小学校区が増加しているということでした。今後も実施小学校区を拡大してほしいと期待をいたしますが、市の考えをお聞かせください。  また、国では、男性育休取得率について、2025年度までに50%との目標を掲げております。高い目標であるという印象を受けるところですが、市役所においては既にクリアをされているということで、短くなりがちな取得期間に着目をするなど、なお一層率先して取組の推進をしていただくことを期待しております。  さて、育休についてはスタートダッシュが重要であり、夫婦で分けて取得をする、あるいは一緒に取得をするなど、家庭状況に応じた対応があり得ますが、制度については年々変更があるなど、過渡期にあるものとも思います。育休の価値観自体の変遷があるとはいえ、いざ自らが当事者になったときには、制度を理解することに思いのほか苦労があることも事実であります。育休は準備の期間がある程度あるわけですが、他方、介護休業については十分な準備ができるかどうかはケース・バイ・ケースであり、介護の在り方も多種多様であり、家族構成、サポートをどのように考えていくか、多くの不安が付きまといます。これは、私も祖母が介護を受けておりますが、身内の誰も事前に知識のない中で暗中模索をしているのではないでしょうか。そして、デリケートな問題でもあり、職場内での相談体制の大切さに思いを致します。  そこでお伺いをいたします。休暇の取得促進のためにどのような取組をしているのかお教えください。
     また、次に、いわゆる残業時間については、コロナ禍前と比較したとき、やや増加をしているとのことでした。令和2年度から令和4年度はコロナ禍、保健所をはじめ、一定程度残業が増えることはやむを得ないのだろうと想像しておりましたが、全体として捉えるとその影響が小さくなった前年度との大差がないというのは、疑問の残るところです。時間外勤務はなるべく削減をする方向性ではあるかと思いますが、お答えをいただいた平成30年度のほか、令和元年度は10.6時間、令和2年度は9.6時間、令和3年度は10.7時間、令和4年度は11.1時間と、新型コロナウイルス感染症の影響は全体としては微増の要因だったのかもしれませんが、平成30年度と令和5年度を比較して約10%増えているという点は、課題として共有をさせていただきたいと思うところであります。  必要があれば残業はせざるを得ないわけでありますが、10億円を超える残業代というのは財政面からも負担となること、また、今回、個別の部署についてはお聞きをいたしませんが、過去にお聞きしたところによれば、個々の職員の中には極端に残業が過多となっている方もいらっしゃると伺っております。個々の方へのサポートについては八王子市職員安全衛生委員会で対応されるかと思いますが、部署ごとの残業の傾向は一定程度見えるところもあるかと思います。職員個人にしわ寄せが行くことは、個人への期待という面もあるのかもしれませんが、組織としては責任を感じるべきところであります。部署間での不足の人員、余剰の人員をフレキシブルにマッチングさせることができれば理想的ではありますが、直ちに実行できるものではないという点も踏まえつつ、管理職の方々におかれましては、困ったときには抱え込まないこと、そして、声を上げる勇気をお持ちいただきたいと願う次第であります。  そこでお伺いをいたします。時間外勤務を増やす要因として、お答えもいただきました国及び都の政策により臨時的に増加する業務があるそうでございますが、どのように体制を確保しているのかお伺いをいたします。  以上で2回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 生涯学習スポーツ部長。 ◎【平本博美生涯学習スポーツ部長】 2点の御質問にお答えいたします。  まず、夏休み期間中に生涯学習施設で実施しているイベントや講座の事例でございますが、令和5年度の実績といたしまして、生涯学習センターでは、夏休みプログラミング体験講座、親子陶芸教室など小中学生向けの講座を19講座、こども科学館では、石垣島天文台との連携イベントや野鳥講座、アマチュア無線体験会など21のイベントなどを実施いたしました。また、図書館では、小中学生を対象とした一日図書館員など体験型のイベントを行いました。なお、図書館では、夏休み期間中は通常より30分早い9時30分に開館し、児童・生徒が過ごせる居場所の一つとしての機能を充実させております。  次に、夏休み期間における放課後子ども教室の拡大についてでございますが、放課後子ども教室は、地域の方々によって組織された実施団体によって、地域の実情に応じて運営している取組でございます。そのため、夏休み期間中の実施、開催日数などにつきましては、各実施団体の皆様で計画をしていただいているところでございます。今後も、地域の実施団体から開催の希望があった場合には、市も支援をしながら、実現に向けて取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 休暇取得促進のための取組についてですが、休暇制度については、結婚、出産、介護などライフステージごとに整理し、手引としてまとめ、職員ポータル上に公開し、職員が置かれている状況に応じて確認できるようにしております。 ◎【鈴木玲央議長】 経営改革担当部長。 ◎【小山等経営改革担当部長】 国や都の政策などによる臨時的に増加する業務への対応についてお答えいたします。  年度途中の増員は、臨機応変に対応することが困難なため、臨時業務の仕事量を想定する中で、必要な体制を考え、可能なものは業務委託や会計年度任用職員を活用するほか、庁内応援や、場合によっては専門のプロジェクトチームを設置して対応しております。 ◎【鈴木玲央議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。                                     〔午前11時57分休憩〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                     〔午後1時00分再開〕 ◎【美濃部弥生副議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続行します。  第6番、浜野正太議員の第3回目の質問を許可します。                    〔6番議員登壇〕 ◎【6番浜野正太議員】 それでは、休憩前に引き続き、質問を続行させていただきます。  ここまでお聞きをしてきたように、幾つものイベントの用意がある中で、子ども自身、保護者、行政と利害が必ずしも一致をするわけではない、3者が三位一体となって充実した夏休みを送っていただきたいと思うところではあります。繰り返しにはなりますが、教育を受ける権利は子どもにあります。その中で、夏休みというのは学校に通うことのない1年の中で特殊な期間であり、ふだんできない体験をすることができます。行政のサポートが必要ないお子さん、保護者の方もいるかもしれませんし、必要な方もいるかもしれない中で、基本は自主独立であること、そして、困ったときには行政に後押しをしてもらうという応用とのバランスを常に意識していただきたいと思う次第です。  また、保護者等への周知について、市のホームページやSNSなどでの発信を既に行われているということでしたが、この点については鋭意改善を目指していただければと思います。情報を送り出すに当たっては、公式の発信というのももちろん大切ですが、口コミによる情報共有も大切なところです。SNSでは、いいねの数やリポストなど、実際に参加された方からのコメントなどが重視をされる世界です。アマゾンや楽天といったいわゆるバーチャルマーケットでは、出品者の説明もさることながら、ユーザーの評価が判断の重要な要素となります。そして、それは誰でも簡単に閲覧することができるという透明性が重要です。そうした点から、市の発信にもアンケートの要素が入ると改善のきっかけとなるのではないでしょうか。ソフトの工夫というのは、お金もそれほどかからず、なおかつ大きな効果を期待できるものですので、イベントは個別にアップをする、あるいは複数回発信をするなど、ぜひ積極的に発信の工夫を積み重ねていただき、市民の皆さんの評価を積極的に受けていただくように、そして、その中で評価のよい、悪いといったものを見定めながら、充実すべき事業、あるいは減らすべき事業が見えてくるのではないでしょうか。  そこで最後にお伺いをいたします。夏休みは、児童・生徒にとって様々な体験ができる1年の中でも特に思い出に残る大切な時間であると考えております。そうした夏休みの過ごし方について、メッセージも含めて、保護者等への発信をどのように考えているのか、お伺いをいたします。  また、経営改革という観点からも、残業の削減は大切であることを重ね重ね申し上げます。全庁的な取組として今後の工夫を御期待申し上げたいと思います。  一つ事例を御紹介させていただきます。愛媛県が主催をしている取組で行革甲子園というものがあります。自治体間でアイデアやノウハウを共有し、自らの取組に活用していくことで行政改革のさらなる推進を目指すものであり、これまで6回の開催実績があります。その中で取り上げられた事例として、パソコン強制終了で業務効率アップというものがあります。大阪府寝屋川市において、就業時間を過ぎると業務用パソコンが強制終了する長時間労働抑制システムを全庁で導入したそうです。就業1時間前には、パソコンの画面右下に使用可能時間と、残業する場合には事前に申請が必要というお知らせが30分ごとに表示をされるそうです。申請せずに定刻を20分経過すると、1分ごとにパソコンの画面いっぱいに警告画面が表示をされ、30分後には強制的に電源が切れるそうです。部下からの申請を上司が承認すれば、申請した時間までは通常どおりパソコンを使用することができます。寝屋川市では、この取組以前に、庁舎の一斉消灯や、会議時間は1時間以内、終業1時間前以降の庁内問合せの禁止、庁内照会は1週間以上の回答期限を設けるといったワンタイムルールの徹底を実施していたそうですが、思うように効果が出ず、全庁的にこのシステムの導入に踏み切ったそうです。この取組は、愛知県大府市や滋賀県大津市でも導入をされているそうです。一斉消灯など、我が市でも既に部分的に実施をしていることもあるかとお聞きをしておりますが、さらなる工夫ということで、参考にしてみてはいかがでしょうか。  こうした事例は庁内のマネジメントにおいては有効であると考えますが、他方、御答弁をいただいたように、国及び都の政策への対応は臨時的なこともあり、バランスをとるのには御苦労されているものと存じます。この点について、市の計画や業務の構築の在り方など、既に行われていることもあるかと思いますが、いつまでにどれくらい結果を出すことを目指すのか、今後注目をしてまいりますが、最後にお伺いをいたします。臨時的な組織も含めて、時間外勤務削減に向けた取組についてお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 生涯学習スポーツ部長。 ◎【平本博美生涯学習スポーツ部長】 夏休みの過ごし方についての保護者等への発信についてでございますが、夏休みは、児童・生徒が学校を離れて、家庭や地域で自主的、自律的に生活する意思を育むことができるよい機会であり、生涯学習施設におきましても、夏休み期間ならではの体験型イベントや講座を数多く実施しております。これらのイベント情報は、保護者の方々に知っていただくことにより、子どもたちの参加を促し、充実した夏休みを過ごすことや、将来の生涯学習にもつながるものと考えており、多様な手段での情報発信を心がけております。今後も、アンケートなどで参加者の満足度やニーズを調査するなど、検証と工夫を重ね、よりよいイベントや講座の開催と効果的な発信に努めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 経営改革担当部長。 ◎【小山等経営改革担当部長】 時間外勤務削減の取組についてお答えします。  時間外勤務を削減するために必要なことは、当然のことではありますが、業務量の総量を減らすことだと考えております。八王子市経営計画では、令和12年度までに令和5年度と比べ業務量を10%削減することを目標に掲げております。そのために、現行のプロセスや担い手を検証し、業務の遂行方法を再構築するビジネスプロセス・リエンジニアリングを各所管で現在進めており、その上で、デジタル・トランスフォーメーションに積極的に取り組み、業務の効率化を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第6番、浜野正太議員の質問は終了しました。  次は、第12番、立川寛之議員。                    〔12番議員登壇〕 ◎【12番立川寛之議員】 自民党新政会の立川寛之です。それでは、発言通告に従いまして一般質問を行います。今回は、人口減少社会を見据えたまちづくりと八王子市高齢者計画・第9期介護保険事業計画について、質問と提案をさせていただきます。  まず、人口問題についてですが、本年4月24日に、民間の有識者で構成される人口戦略会議から地方自治体「持続可能性」分析レポートが発表されました。同様のレポートは今から10年前、平成26年に、同じく民間の有識者グループである日本創成会議が消滅可能性自治体を発表し、当時座長を務められた増田寛也さんが著した「地方消滅」という本はベストセラーになり、各方面に衝撃を与えたことは記憶に新しいところです。ここでいう消滅可能性自治体とは、基準年から30年後に、若年女性、いわゆる20歳から39歳までのことをいいますけれども、この若年女性が50%以上減少する自治体のことであります。この通称増田レポートを契機に、政府では平成26年12月にまち・ひと・しごと創生法を施行するとともに、同年12月27日にまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、併せて創生総合戦略を閣議決定し、これを基に各地方自治体では地方版総合戦略を策定することとなりました。本市においても平成27年10月に人口ビジョン及び総合戦略を策定し、以後、2度にわたる改定を経て、現在では八王子未来デザイン2040と一体化した形となっております。こうして全国津々浦々で地方版総合戦略が策定され、人口減少問題に向き合ってきた10年間でありました。  今回の人口戦略会議のレポートでは、消滅可能性自治体の数は10年前の896自治体から744自治体へと減少し、一見すると、これまでの取組が奏功した形となっています。しかしながら、分析レポートの基となっている国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、国際人口移動の仮定で、外国人の入国超過数が平成29年の前回推計のときは約7万人であったものが今回は16万4,000人と倍増しており、その結果として人口減少の傾向が改善しているという見方が示されております。しかしながら、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本人女性の出生率の仮定値、これは中位推計ですけれども、こちらは前回推計の1.4よりも低い1.29まで低下しているという形になっていまして、とても楽観視できる状況にはないと言えます。  さて、今回のレポートの特徴としては、自立持続可能性自治体、そしてブラックホール型自治体といった新たなカテゴリーが加わって、各自治体の人口特性を9つに分類しています。分類に際しては、人口の移動が伴う推計とともに、移動がないと仮定した封鎖人口による推計を示しており、各自治体が人口減少対策を立てる上で参考になる分析がなされている点がポイントであろうかというふうに言えます。今回のこのレポートの分類において、本市はその他の自治体ということでD-1)と分類されています。この結果を受けて本市の実態をどのように分析しているのか、前回の日本創成会議が発表したレポートとの比較も含めて、本市の見解をお伺いしたいと思います。  続いて、八王子市高齢者計画・第9期介護保険事業計画についてであります。  本計画の基本理念、誰もが安心と希望をもって歳を重ねられる、未来につながるまち、これは、第8期計画の「いつまでも「望む生活」を送ることができる生涯現役のまち八王子」を継承して、非常にポジティブな理念となっております。これについて興味深い調査結果があるんですけれども、令和4年に、アメリカの研究者による、全米の50歳以上の約1万4,000人をサンプルとして、老化を前向きに考えることと身体的な健康や心理的幸福との関係を調査した結果が発表されています。これによると、老化に対する満足度が最も高い人は、満足度が最も低い人に比べて4年間の追跡期間中に死亡リスクが43%も低いという結果が出たとのことであります。また、老化に対する満足度が高い人は慢性疾患のリスクが低く、認知機能も優れており、睡眠障害は少なかった。さらに、そのような人は身体活動量が多い傾向にあって、仲間が多くて、楽観的で、より強い目的意識を持っていたとのことであります。したがって、ポジティブに老いを迎えることは健康を維持するためにも重要であり、第9期計画の基本理念は理にかなったものであるというふうに私は評価しております。  第9期計画において掲げられている施策の柱、出逢い、つながり、支えあう地域づくり、やりたいこと、なりたい自分をあきらめない環境づくりは、誰もが避けることのできない老いを前向きに捉えていくという理念が伝わってくるもので、高齢者のウエルビーイングを追求していくという姿勢を表現したものだというふうに捉えております。  また、第9期計画の外形的な特徴としては、ロジックモデルを前面に打ち出し、各施策の意図やつながりが見える化されている点が挙げられると思います。昨今、根拠に基づく政策立案、EBPMの重要性が叫ばれておりますが、EBPMを推進するための基本中の基本、それがロジックモデルであります。本計画では、施策ごとにロジックモデルを作成し、各事業が中間アウトカム、最終アウトカムにどれだけ寄与しているのか、それを見える化しており、大変評価をしているところであります。  他方で、計画の内容に目を向けてみると、第9期計画では、基本理念、3つの施策の柱の下に16もの施策目標を展開していくこととされております。こちらについて、第8期計画との違いを踏まえた上で、本計画の特徴はどのような点にあるのか、市の見解をお伺いして、1回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 人口戦略会議の分析レポートについてでございますが、本市は人口移動仮定の若年女性人口減少率がマイナス17.7%となっており、2014年に日本創成会議が発表した数値と比較すると、10.6ポイント改善をしております。しかし、御質問者から御説明がありましたように、外国人人口の増加の影響があると考えられることから、実態としては大きく改善されたものではないと分析をしております。また、今回新たに示されました出生と死亡だけの要因で人口の変化を仮定した封鎖人口につきましては、若年女性人口減少率がマイナス44.7%と、人口特性別分類の変更基準値となる50%に近い数字となっており、本市の近年の出生率の低下傾向が反映されているものと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 第9期介護保険事業計画の内容の特徴についてですけれども、第9期計画では、第8期計画と比べまして、取組を強化する3つの課題を優先的に解決するために8つの重要テーマを設定している特徴がございます。重要テーマは、地域包括ケアの拠点であります高齢者あんしん相談センターが十分に力を発揮し、高齢者自身が主役となり、社会と緩やかにつながりながらフレイル予防に取り組むなど、高齢者が地域に支えられながら、やりたいこと、なりたい自分を諦めないで暮らしていくことを目指す点を中心に据えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第12番、立川寛之議員。                    〔12番議員登壇〕 ◎【12番立川寛之議員】 それでは、2回目の質問をさせていただきます。  人口動態について、市の御答弁では決して楽観視していないという点で、危機意識を共有できたものと理解いたしました。人口推計は出生率、生残率、そして純移動率、さらには出生男女比といったパラメーターによって5歳ごとのコーホートの動態を分析したものであって、数ある統計の中でも最も信頼性の高いものとされています。そのため、示された結果はかなりの確度を持って将来起こり得る未来を示しているものであり、危機意識を持って立ち向かわなければなりません。私なりに人口戦略会議の分析データを基に多摩地域における本市の位置づけを見てみたところ、移動仮定では多摩地域26市の中で下から5番目、封鎖人口では下から9番目であり、決して高いポジションにいないことが分かります。また、御答弁でもありましたとおり、移動仮定での減少率はぎりぎり20%未満、封鎖人口でも何とか50%を切っているという状態であって、人口特性別9分類ではD-1)に分類されているものの、分類上のボーダーラインに限りなく近く、言わばブラックホール型自治体であるB-2)というカテゴリーに近いものと言えるのではないかというふうに考えています。したがいまして、自然減対策とともに社会減対策も併せて必要な自治体であるというふうに私はこの八王子市を捉えているということになります。  人口戦略会議では、レポートの公表に先立って、本年1月に人口ビジョン2100を発表しています。ここでは、人口減少に立ち向かい、持続可能な社会をつくっていくために、定常化戦略と強靱化戦略を両輪として回していくことが必要であるというふうに提言しております。このビジョンにおける定常化戦略とは、人口減少のトレンドを緩やかなものとし、2100年において人口8,000万人で安定させようという戦略であります。一方で、強靱化戦略は、人口減少の流れは数十年にわたって続くことは不可避であり、人口減少に社会システムを適用させながら、成長力のある社会を築く戦略であるというふうにしております。かつて国の地方創生総合戦略では、出生率の改善を図って、人口減少に歯止めをかける積極戦略と、一定の人口減少は避けられない中で、効果・効率的な社会システムを再構築していく調整戦略を推進するというふうにされていましたが、これに近い考え方であると言えると思います。  そこでまず、本市における人口定常化戦略について考えていきたいというふうに思います。本市の総合戦略では、2060年時点で人口の8割を維持するという目標を立てておりました。これはまさに定常化戦略と言えるものであります。とはいえ、短中期的に出生率を劇的に改善することは困難であることを考えますと、本市が人口定常化を目指すには、子育て世代にとって魅力的なまちを目指し、人口の流入を増加させていく必要があるわけです。ただし、我が国の人口が縮小していく中で定住人口を増やすということは、いわゆるゼロサムゲームになってしまうというような指摘もあります。  一方、国が進めてきた連携中枢都市圏構想では、中心市が地域経済を牽引し、生活関連機能を向上させることによって、人口減少社会においても圏域として活力ある社会経済を維持することが目的とされており、この構想に関しては、3大都市圏は除かれているものの、都内唯一の中核市である本市としては、こうした概念を踏襲し、リーディングシティとして多摩地域を牽引していくことが求められているのではないかというふうに考えています。したがって、多摩地域全体を活力ある圏域としていくために本市が定常化戦略を打ち出していくことは、決して部分最適を希求したものではないというふうに私は考えております。  そうした考えの下で人口戦略会議のレポートに立ち返ると、移動仮定での若年女性の人口をどう確保していくかが重要となります。近隣で数値の上で成功している自治体をピックアップしてみると、千葉県流山市があります。流山市の若年女性人口減少率は、移動仮定においてはプラスの2.4、封鎖人口ではマイナスの20%とされており、自立持続可能性自治体とカテゴライズされております。同市はかねてより子育てしやすいまちとして成功例とされてきています。そこで、本市の子育て施策と流山市の子育て施策を私のほうで比較検討してみました。そうしたら、実は本市の子育て施策は、見劣りするどころか優れている点が多いことが分かりました。実は先日も流山市さんに本市の子育て施策について視察に訪れてきていただいています。そうしたことからも示されているかと思います。具体的には、国基準を上回る保育士の配置、または認可保育所や認定こども園における保護者負担軽減策については、流山市よりもはるかに充実しております。また、それ以外でも、保幼小連携の取組、または医療的ケア児の受入れなど、本市のほうが先進的な取組を実施しており、決して劣ってはいない、そのように私は考えました。  このように本市の子育て施策は極めて充実しているにもかかわらず、では、なぜ人口動態で大きな差がついてしまっているのか。これは、私の仮説では、本市と流山市の差はマーケティング戦略によるところが大きいというふうに私は考えております。流山市は、まだシティプロモーションという言葉が注目されていなかった頃、平成16年にマーケティング課を創設し、本格的な取組を開始しました。同市のマーケティング戦略では、定住人口を増加させることを目標に掲げ、憧れのまち流山を実現するために、知名度とイメージの双方を上げていくことを主眼として取り組むこととして、そのために訴求対象をDEWKS、Double Employed With Kids、30代から40代の共働き子育て世代に絞って様々なプロモーションを仕掛けてきたことが奏功していると言えます。ただ、間違えてはいけないことは、これまでも本市議会においても議論がなされてきたかと思うんですけれども、マーケティング課を設置するといったような議論も確かにありました。ただ、大切なことは、組織をつくることではなくて、戦略を持つことだと思っています。そういった意味において、本市においてもブランドメッセージを策定するなどシティプロモーションには力を入れてきておりますけれども、今後はターゲットを絞って訴求するなど戦略的な取組を行っていく必要があると考えますが、市の見解をお伺いしたいと思います。  次に、強靱化戦略について考えていきたいと思います。さきに述べたとおり、人口減少の傾向は数十年続くことは不可避であります。仮にこの瞬間に出生率が劇的に回復したとしても、昨今の第1子を出産する平均年齢は31歳になっているということで考えると、単純計算で30年先ぐらいまでは人口増加が見込めないということになります。そのため、人口が減少していく社会に対して社会経済システムを適用させていく必要があるわけです。これは決してネガティブな意味ではなく、縮小する社会に適応していきながらも、経済成長をもたらしていく社会を構築していこうということにほかなりません。  実は、IMF、国際通貨基金のデータから読み取ると、人口増加率と1人当たりのGDPには相関関係はなく、つまり、人口減少下においても、新たな需要を生み出し、経済成長していくことは可能であるというふうに言えます。昨今、あるコンサルティングファームが出版した書籍で、強靱化の戦略のヒントになる価値循環という考え方が示されておりました。それは、人、物、金、データという4つのリソースを循環させることで付加価値を生み出し、さらに、グローバル成長との連動、リアル空間の活用・再発見、仮想空間の拡大、さらには時間の蓄積が生み出す資産という4つの機会、オポチュニティーを掛け合わせることで付加価値を増幅し、経済成長を実現させるというような概念であります。  これになぞらえて本市のほうの政策に落としてみたいと思うんですけれども、今後、人口減少下においても拡大するグローバル経済、グローバル市場、それとDXの推進、併せて既存ストックの活用、価値の再発見という機会と本市の地域資源を掛け合わせて、今回は産業振興、公共交通、そして住宅政策という分野で提案を行いたいと思います。  まず、産業振興についてです。我が国だけでなく、先進国は近い将来に人口減少基調に入っていきますが、その一方で、世界の人口は2030年代に85億人、2050年には97億人になるというような推計がなされており、グローバル市場は成長の一途をたどります。今後、国内市場が縮小していく中で、産業政策としても、国内だけではなく海外市場を見据えるべきだというふうに考えます。先日、東京ビッグサイトで開催されたSustainable High City Tech Tokyo、略してSusHi Tech Tokyo 2024というイベントがありまして、そちらに私は視察をしていきました。会場には世界中のスタートアップ企業が一堂に会し、さらには各国の企業誘致策をアピールするブースなどが出展されており、非常に活気のあるイベントでありました。国内の自治体も結構頑張っていまして、大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアムとか、福島イノベーション・コースト構想推進機構、さらには仙台市などがブースを出展し、独自の誘致戦略やスタートアップ支援プログラムを英語で海外に向けて発信していました。このように、既に先進的な自治体は海外市場に目を向け始めているわけです。今後、本市の産業政策においても、市内企業の海外進出、海外企業の誘致、さらには海外からの高度人材の確保といった戦略が必要と考えますが、市の見解をお伺いいたします。  一方で、重要なリソースである人に目を向けますと、これまで我が国の雇用慣行は終身雇用でありましたが、生産年齢人口の減少に伴って、今後は人材の流動化が一層激しくなることが想定されます。そこで、発想を転換し、これまでの企業単位における終身雇用から社会あるいは地域としての終身雇用を目指すという戦略も重要なのではないかというふうに考えております。つまり、各人が必要なスキルを身につけ、企業内にとどまらず地域内で還流していく仕組みを構築していくということであります。そのためには、市としても産業人材のリスキリングまたはリカレント教育を支援していく取組が必要ではないかというふうに考えます。  例えば、先日、総務企画委員会で視察させていただいた札幌市さんでは、札幌市イノベーション推進コンソーシアムの事業として、中小企業におけるAI人材の育成を目的に札幌AI道場を開催していました。ここでは北海道大学の存在がキーになっており、AIに関する知識を学ぶだけでなく、実際のものづくりまでを行う実践的なプログラムでありました。本市も21大学が存在する学園都市ですから、大学の知見を生かしたリスキリングプログラムを開発して、本市企業向けに展開することも可能ではないかというふうに考えております。ぜひ本市においても産業人材の育成に注力していただきたいと思いますが、今後の事業展開について市の見解をお伺いしたいと思います。  次に、2つ目の機会、DXの推進です。昨今、2024年問題と言われているとおり、物流におけるドライバー不足が深刻化しており、公共交通においても同様で、本市においてもバス路線の廃止や減便といった現象が既に表出してきております。労働規制の問題もありますが、生産年齢人口の減少に伴い、産業界において人材の獲得競争が激化していることも拍車をかけていると考えます。  その一方で、我が国においては、人口の減少とともに高齢化という問題に向き合わなければなりません。特に本市の周辺丘陵部にある住宅団地では高齢化率が極めて高くなっており、移動支援の必要性が高まっています。国土交通省は、公共交通におけるデジタル実装を進め、官民の共創により地域交通のリ・デザインが必要であるとしています。今後は本市においても公共交通網の再構築、リ・デザインが必要であり、その切り札として、デジタル技術を活用したMaaSの取組を推進してもらいたいと考えております。  さきの総務企画委員会で視察させていただいた北海道室蘭市では、1970年代から半世紀で人口が半減、高齢化率は40%近くになっており、この危機意識を持った中で、いち早くMaaSの実証事業に取り組んでいます。現状、公共交通による人口カバー率は約8割ではありますが、一方で、人口減少に伴って、利用者の減少、ドライバー不足により、現状の公共交通を維持していくことは困難との判断に至ったと、そのことに起因しているわけであります。室蘭市では、昭和40年代に整備された丘陵部の住宅団地にフォーカスし、交通事業者、大学、市の共創により実証実験を展開、そして収支のめどが立ったとのことでありました。本市においても、今後、高齢化の進展により公共交通問題は顕在化していくことと思います。リ・デザインをするに当たっては、交通空白地の概念についても、単にいわゆる300メートルという物理的な距離だけで考えるのではなく、そこに住まう方々の特性、例えば高齢化率、または免許の返納率、そういったファクターも加味して検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。  そこで、デジタル実装を前提とした上で、人口減少社会を見据えた公共交通網の在り方についてどのように考えているのか、市の見解をお伺いいたします。  次に、既存ストックの活用と価値の再発見という視点です。総務省による令和5年住宅・土地統計調査では、空き家率が13.8%、空き家の戸数は900万戸と、いずれも過去最高となっております。東京都は、空き家率だけで見れば11%と平均値以下であるものの、実数は全国一の90万戸でありまして、極めて深刻な状況であると言えます。こうした中で、既存ストックを活用して新たな価値を生み出す取組が重要となると同時に、高齢化が進展していく我が国においては、高齢者が安心して暮らすことができる住まいを生み出すことも重要であると考えます。  そこで、先日、神奈川県藤沢市にあるノビシロハウス亀井野というところを視察してまいりました。この事業を展開する会社の社長とお会いしたんですが、まだ30代の女性の社長です。この方は、単身高齢者が賃貸住宅を借りようとしても大家さんから断られてしまうケースが多く、住まいの確保に苦慮しているという課題に直面して、このノビシロハウスを構想したとのことでありました。とてもユニークな取組で、入居者が少なくなっていた既存のアパートをリノベーションするとともに、隣地に建物を新築して、そこにはクリニックであるとか訪問看護、それとコミュニティスペースとしてのカフェを併設していて、住民だけでなく地域の方々との交流を生み出すような、そんな施設となっていました。仕掛けとして、全8戸ある賃貸ルームのうち、最低1戸は若者を入居させ、その若者にソーシャルワーカーとしての機能を持たせています。その条件としては、若者については家賃を半額にする代わりに、定期的に他の入居者の方々と、LINEでも電話でもいい、何らかの形でコンタクトをとること、それと月に1回コミュニティスペースのカフェでお茶会、交流会を開くこと、これらを条件としているわけであります。その結果として、現在2名の大学生が入居し、その方々が、別に有資格者じゃないんですけれども、ソーシャルワーカーとしての機能を果たしてくれているわけです。その副次的効果でこのノビシロハウスの住人だけで自治会組織をつくったとのことで、まさにコミュニティの拠点となっておりました。  本市においては、かつて11万人いた学生が今では9万5,000人と減少傾向にあります。その結果として、学生向けの集合住宅の空き家化が想定されます。一方で、賃貸住宅を借りたくても借りられない高齢者の存在があるわけで、こうしたミスマッチを解消するためにも、本市の第9期介護保険事業計画にも掲げていますが、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいと住環境が整っている、こういう政策目標を実現するために民間の活力を生かしていただきたい。その上で、既存ストックの活用を誘導する取組が必要ではないかというふうに考えております。このように、政策目的を明確化した上で、それに合致したリノベーションを行っていく、そんなようなことを誘導するための支援制度を構築してはどうかというふうに考えますが、市の見解をお伺いいたします。  続いて、第9期介護保険事業計画についてです。さきの答弁では、高齢者が地域に支えられながら、やりたいこと、なりたい自分を諦めないで暮らしていくことを目指す、そこに重点を置いているとのことでありました。共助の仕組みである介護保険制度を持続可能なものとするためには、高齢者が自らの存在価値を実感しながら暮らしていける社会をつくっていく必要があると考えます。3年間の計画期間中にその実現に向けて一歩でも前進していただきたいと思っております。そこで、第9期計画の各重要テーマに関する取組について、幾つか提案をさせていただきます。  まず、介護保険事業の根幹とも言える高齢者あんしん相談センターについてです。昨年の第3回定例会において私は、厚生労働省の調査結果を基に、あんしん相談センターの業務の重要度と負担感が乖離しているということを指摘させていただいて、負担軽減策として、介護予防支援業務を軽減させるための具体的な提案をさせていただきました。今回の制度改正では、負担軽減策として、予防支援業務を分散化するために、居宅介護支援事業所が予防支援業務を実施できるような法改正がなされております。ただ、果たしてこれがどこまで実効性があるかは計画期間中に検証する必要があると考えますが、この改正に限らず、あんしん相談センターが重視すべき総合相談機能や多職種連携に一層注力していくためには、さらなる負担軽減が必要と考えています。  そこで、第9期介護保険事業計画において、あんしん相談センターの負担軽減については計画期間中に具体的な検討を行うとされておりますが、その方向性についてお伺いしたいと思います。  次に、介護保険サービスの供給量についてです。今回の報酬改定では、訪問介護等の基本報酬が下げられております。これは、社会保障審議会の議論を経て国が決定したもので、本市としてはいかんともし難い問題であることは承知をしております。しかし、社会保障審議会の議事録を読んでみますと、厚生労働省は、改定の主な理由として、訪問介護事業所の収支差率がプラスであることを理由の一つとしており、さらに、基本報酬は下げたとしても処遇改善加算によってカバーできるというような説明をしております。本市が第9期介護保険事業計画を策定するに先立って行った調査では、要介護2以下の居所変更率は8%となっており、軽度の認定者の一定数の方々が在宅での生活を諦めて施設へ移ってしまったことを意味しています。今後はこの割合を下げていく、つまり要介護状態の方が住み慣れた場所での暮らしを継続できる方向性であると考えるわけですが、在宅生活を支えるのは、まさに訪問介護をはじめとした在宅サービスであります。  しかし、本市の在宅生活改善調査では、不足しているサービスとして、訪問介護は約45%、夜間対応型訪問介護は32%、定期巡回・随時対応型問介護看護に至っては34%と、軒並み訪問系のサービスが不足しているというような実態が見えております。また、信用調査会社が実施した老人福祉介護事業の倒産調査では、本年1月から4月に倒産した件数は全体で51件、うち訪問介護は22件となっており、経営環境の厳しさが見てとれます。こうした客観的な情報を見るにつけ、私は今回の訪問介護等に対する報酬改定の影響を非常に懸念しております。そこで、市は訪問介護の基本報酬の改定の影響をどのように捉え、今後、在宅サービスをどのように充実させていくのか、その方向性についてお伺いしたいと思います。  さて、9期計画では、施策目標10として、それぞれのライフスタイルに合わせて社会参加を行っていることを掲げています。フレイルの予防には、運動、栄養、社会参加が3大要素であり、特に社会参加が最も重視されているわけですが、本市においても、高齢者の社会参加を推進するために、はちおうじ人生100年サポートブックの配布をはじめ、高齢者サロンへの支援等を行うなど、社会参加を促進する取組を行っています。しかし、本市が令和4年に後期高齢者を対象に実施した調査では、口腔機能と聞こえの機能が低下すると社会との関わりが少なくなっているという結果が出ております。9期計画がリリースされた段階では、様々な機能低下がその後の要介護状態につながるリスクについて分析を進めるとともに、困難を抱える方の社会参加支援について検討するとされております。9期の計画期間はまだ始まったばかりであるとはいえ、検討の方向性については何らかの仮説を持っているのではないかと推察いたしますが、現時点ではどのような施策を考えていらっしゃいますでしょうか。市の見解をお伺いいたします。  9期計画では、施策目標の12として、望む暮らしの再獲得(リエイブルメント)が可能になっていることを目標に掲げ、前期計画を継承してリエイブルメントを軸にした自立支援、健康習慣づくりを推進するとしています。その中心となるのは短期集中予防サービスであり、その効果については、サービス終了時に心身状態が向上した方の割合は43%であることから、立証されていると言えます。しかし、短期集中予防サービスの利用率は10.4%と、決して高い割合ではありません。今後、短期集中予防サービスの利用を一層推進していくために、新規認定時に短期集中予防サービスへとつなぐ仕組みづくりが重要であると昨年の第2回定例会で提案をさせていただきました。  そこで、計画期間の始まりに当たって、短期集中予防サービスへつなぐ仕組みについてどのように具体化をされたのか、市の見解をお伺いいたします。  また、社会参加、リエイブルメントとともに重要な要素はセルフマネジメントと考えており、第9期計画の中でもセルフマネジメントは自立支援、重度化防止の中で位置づけられております。本市ではこれまでもてくポによるセルフマネジメント支援を行っておりますけれども、これは単にポイントを付与するだけではなくて、将来的には、官民が一体となったウエルネスプラットフォームを形成すること、つまり、健康維持につながる民間サービスと連携をして、多様な保険外サービスを創出していくことを目的としています。総合事業の対象者となる前に高齢者の皆さんが自ら健康状態を維持していくためには、多様な保険外サービスが存在し、自分に合った活動を選択できる環境を整えることが重要と考えます。  その一つの例として、明治安田厚生事業団体力医学研究所が開発したSOFT、スローオンラインフィットネスが高齢者あんしん相談センターとの協働によって、現在では市内35ヵ所で行われています。これは、博士課程まで修了した研究員が集まっている有能な体力医学研究所が開発したプログラムで、スローエアロビクス、スロートレーニング、脳トレが一体となった、高齢者にとって無理なく行っていただけるプログラムであります。エビデンスもあって、抑鬱状態や睡眠不良の改善といったメンタルヘルス効果や、最大歩行速度は8.9歳の若返りに相当する効果を上げています。これまでも本市では八王子けんこう体操などを普及してきた経緯がありますが、こうしたものは決して二者択一ではなくて、市民にとって多様な選択肢があることが、自分に合ったセルフマネジメントの実践につながると私は考えております。今後、市としてもこのSOFTを積極的に普及していただきたいと思いますが、市の見解をお伺いいたします。  以上で2回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 ターゲットを絞ったシティプロモーションの必要性についてでございますが、本市では、八王子市の魅力や目指すまちの姿を表すブランドメッセージのほか、情報発信ツールとしてシティプロモーションサイトや子育て応援サイトを設け、市内外の方に広く本市の魅力をお伝えしております。人口減少社会を見据えたシティプロモーションを推進していく上では目標とターゲットの明確化は重要であると考えており、現在、これらを踏まえたシティプロモーション基本戦略の策定にも着手をしております。今後もマーケティング手法を踏まえた効果的なプロモーションに取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 2点の質問に順次お答えします。  初めに、海外を意識した産業振興の戦略についてですが、日本の人口減少が予想され、また、ますますのグローバル化が進む中で、企業が海外展開等を意識することだけではなく、我々行政も海外を意識した視点を持つことが重要であると考えております。令和4年度から実施していますHachiojiイノベーションプログラムでは、海外の先進事例を知り、企業の経営に生かすことで、イノベーションを創出し、世界に挑戦する企業の成長を支援しているところです。今後においても、海外のビジネス動向にも着目し、グローバルな視点を持って産業振興を進めてまいります。  次に、産業人材の育成についてです。生産年齢人口の減少、働き方の多様化などにより、働く方々の流動化が進む中、産業人材力の強化は重要であると考えております。現在、産業人口の育成として、中小企業新入社員の合同研修会やはちおうじ未来塾など、官民が連携し、新たなチャレンジや、さらなる知見を得るための学びの場の創出の取組を実施しています。今後は、複数の企業などで同時に働く、いわゆる副業人材の活用、大学等と連携した産業人材のリスキリングやリカレント教育の促進など、時代の変化に合わせた市内の産業人口の育成を行ってまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 人口減少社会における公共交通網の在り方についてですが、顕著な人口減少が生じていない本市においても、既に公共交通利用者の減少やバスの減便等、公共交通の維持そのものが難しい状況に移行しつつあり、今後予想される本格的な人口減少社会に向け、公共交通を維持することが喫緊の課題と捉えております。現在改定中の八王子市交通マスタープランの中でも、デジタル技術を活用した持続可能な交通環境づくりや公共交通利用者の増加につながる様々な施策を掲げており、高齢化率も踏まえた持続可能な公共交通の実現に向けた取組を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 それでは、高齢者施策6問についてお答えします。  まず、既存ストックの活用を誘導する取組についてですけれども、第9期計画では、高齢者であることや身寄りがないことなどが住まい確保の障害となりにくい、そういう環境づくりを目指しております。そのため、まず、高齢者の暮らしと住宅確保について、政策分野を超えた情報連携を強化いたします。また、その連携によりまして共有しました地域の課題を解決する取組について、御紹介のありました事例も参考にしながら研究を進めてまいります。  次に、高齢者あんしん相談センターのさらなる負担軽減ですけれども、本市では、センター間の相互調整や後方支援を担う基幹型の地域包括支援センターを設置しています。この基幹型センターについて、より一層の人材育成と資質向上を図りまして、市役所内の各部署が連携して高齢者あんしん相談センターを支えていく体制の構築を進めております。そこでの議論を踏まえまして、高齢者あんしん相談センター業務のDXを推進するなど、センター職員の負担軽減と機能強化に取り組んでまいります。  次に、在宅サービスの充実についてですけれども、介護サービス充実に当たりましては、ヘルパーの高齢化など人材不足が深刻な問題となっております。最重要課題であります介護人材の確保に向けまして、今回の報酬改定の影響も見定めながら、必要な報酬設定について、引き続き国に働きかけてまいります。さらに、令和6年度の事業者向け経営課題解決支援事業では、サービスの安定供給に向けまして、特に支援が必要なサービス種別を絞り込み、事業者ヒアリングや課題分析を経て伴走支援を実施する予定としております。  次に、聞こえに困難を抱える方の社会参加支援についてですけれども、聞こえづらさに起因する要介護リスクを低減し、高齢者の社会参加を促進するためには、早期に耳鼻咽喉科の受診につなげることが必要であると考えております。そのため、例えば耳鼻咽喉科の受診が必要な補聴器の購入に対して補助金を支給し、経済的なハードルを下げることで購入の促進を図るなどの取組も考えられます。  次に、短期集中予防サービスにつなぐ取組についてですけれども、このサービスの活用には、ケアマネジャーや高齢者あんしん相談センター職員の理解が必須でありますので、介護予防ケアマネジメントガイドラインを令和6年3月に改定しまして、リエイブルメントの考え方の周知啓発を強化いたしております。さらに、サービス利用前の適切な状態評価がリエイブルメントの鍵になりますので、令和6年度から、高齢者あんしん相談センターとは、専門職による状態評価の活用率に応じまして報酬を支払う、いわゆる成果連動型委託契約といたしております。  最後に、SOFTの普及についてですけれども、本市は、令和5年度にSOFTを開発しました明治安田厚生事業団体力医学研究所と事業協力について覚書を締結いたしまして、地域データ分析などの御協力をいただいているところでございます。令和6年度からは、この取組を共同研究として発展させまして、多くの方が同時にプロの指導を受けられるSOFTの普及を既存の取組に加えて積極的に進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第12番、立川寛之議員。                    〔12番議員登壇〕
    ◎【12番立川寛之議員】 それでは、3回目の質問させていただきます。  それぞれ御答弁をいただきました。順序を入れ替えて、まず第9期計画についてであります。高齢者あんしん相談センターの負担軽減については、業務のDX化などを進めるとのことでありました。しかし、介護予防支援業務の負担感が大きいという調査結果がありますので、市独自にアンケートを実施するなど、引き続き検証を続けていただきたいというふうに思います。訪問系事業所については、伴走支援を実施するなど、事業者に寄り添った支援を実施するとのことでありました。今後も介護サービスの需給バランスを見ながら、例えば代替サービスとして何を整備促進していくのか、そうした戦略性を持って適切なサービス供給に努めていただくよう要望いたします。  さて、社会参加について、一つの例として、補聴器の購入に対する補助金を支給する、それで経済的なハードルを下げる方策が示されておりました。一方で、国立長寿医療研究センターの調査によれば、難聴と認知機能の関係について、認知機能の一部である知識力と情報処理のスピードが低下しやすいという結果が出ておりますが、補聴器の使用そのものが知識力に影響するのか、または積極的に補聴器を使用する人の特徴として知識力が保たれやすいのかは明らかではありませんというふうにされております。また、他の専門機関の論文においても、欧米の研究において結果はまちまちで、さらなるエビデンスの蓄積が必要とのことでありました。財源に限りがある中で、終期を設定できないばらまき的な補助制度を安易に進めるべきではないというふうに考えており、例えば、市全体で補助金制度改革をしっかりと進めていただくことを前提とした上で、ある程度その支援策を絞っていく、そのようなことが必要なのではないかというふうに考えております。社会参加との関係性、認知症との因果関係について、専門的な研究機関を交えた検証を行うなどの取組を併せて行うことは、聞こえに困難を抱える方の社会参加の促進に向けて意義のあることというふうに考えます。これについて市の見解をお伺いいたします。  さて、短期集中予防サービスについては、高齢者あんしん相談センターのケアマネジャーにおける推奨割合が57.5%となっており、まだまだ十分とは言えないというふうに思っています。今後さらなる理解を深めていただきたいと思いますが、あんしん相談センターとの委託契約において成果連動型委託契約を始めるとのことで、仕組み化の大きな一歩であるというふうに評価をいたします。また、望む暮らしの再獲得のためには、短期集中予防サービスだけではなく、通常の介護サービスの質的向上が重要となります。  一つ紹介させていただきたいんですが、先進的な取組事例として兵庫県川西市の取組があります。川西市では介護度改善インセンティブ事業を令和5年度から展開しており、ADLの改善度が高い上位3事業所を表彰するとともに、報奨金まで交付しています。また、利用者側に対してもADLの評価の改善点が上位5人の方に対して表彰をする、そんな事業を展開しています。このような形で、少しでも介護サービス事業所の質を高めていただくような工夫も必要なのかなというふうに思っております。  加えて、一般の高齢者に対しても短期集中予防サービスをはじめとする総合事業の趣旨やリエイブルメントの可能性を啓発することも大切であるというふうに考えます。例えば、てくポのアプリの中に総合事業の理解を深めるようなコンテンツを組み込んで、それを受講したらポイントが付与されるといったインセンティブを絡めていく、そんな工夫も必要ではないでしょうか。このように、高齢者あんしん相談センター、そして介護サービス事業所、さらには利用者、これらが三位一体となって重度化防止に取り組むという体制づくりにぜひ取り組んでいただきたい、このように思います。  先ほど人口減少への対応策の中でデジタル実装による公共交通のリ・デザインの必要性を述べましたが、それは介護分野においても同様と考えます。その意味でも、今後もデジタル技術を積極的に活用した予防の取組を推進していただきたいと考えておりまして、その代表例ではてくポがありますけれども、これについてはさらなる機能の拡充をお願いしたいと思います。  一方では、保険外サービスや一般介護予防の選択肢の多様化にも一層取り組んでいただきたいと考えます。その一つとして、先ほども紹介しましたSOFTを取り上げさせていただいたわけですけれども、現在実施している35ヵ所以外にも実施を希望されている地域が10ヵ所ほどあるというふうに聞いています。しかしながら、体力医学研究所の方々のマンパワーにもやはり限界があります。現在、同研究所では、課題解決に向けてSOFTプログラムのデジタルコンテンツ化に取り組んでおり、各地域においてWi-Fiなどの環境を整えることによって一気に普及させることが可能と考えます。例えば、無線ルーターを高齢者あんしん相談センターに貸出用として配備して、通いの場に貸出しを行うといった方策を検討してもらいたいなというふうに思います。保険外サービスの多様化を推進する観点から、セルフマネジメントに資するプログラムのさらなる拡大を進めるべきだというふうに考えますが、市の見解をお伺いいたします。  次に、人口減少社会を見据えたまちづくりについてであります。  それぞれ御答弁をいただきました。我が国は、世界的に見てもどこの国よりも早く少子化、そして高齢化が進んでいる国であります。そういった意味で課題先進国であるとはいえ、OECDのデータを見比べてみたところ、アジアや欧米の出生率の動向を見てみると、かつて成功例と言われた、例えば北欧の国なんかもそうなんですけれども、出生率の低下傾向が見えます。今後到来する人口減少社会に対してどのようなソリューションを見いだしていくのか。各自治体が真剣に向き合い、地域から解を導き出すという気概が求められているんだと私は思っております。  人、物、金、データという4つのリソースを循環させ、グローバル視点と地域資源の再発見といった要素を掛け合わせることで付加価値を創造するという視点で、本日は幾つかの分野において政策提案をさせていただきました。いずれも社会課題に立脚した新たなビジネスを創出するということにほかならず、その解決に向けて公民それぞれが主体的に取り組む必要がありますし、さらにいえば、行政の中においても、もうもはや単一の部署で解決できる課題は少なくなってきていることから、組織内での共創も必要だというふうに考えます。今後、本市においても、人口増に依存せずに、地域の活力を持続可能なものとする成長戦略、付加価値を高める戦略を描いていただきたいと考えます。そのためには、前例にとらわれず、企業や大学など民間の知恵を最大限活用した共創の取組を進め、人口減少という難局に立ち向かっていただきたいと思いますが、最後に市長の決意をお伺いして、私の一般質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 それでは、介護予防につきまして2点お答えいたします。  まず、聞こえに困難を抱える方の社会参加の支援についてですけれども、早期に耳鼻咽喉科の受診につなげるには、様々な取組が考えられます。その取組の中で補聴器の利用促進を図る場合には、耳鼻咽喉科医師や認定補聴器技能者などの専門家からのアドバイスを参考にしまして、使用前後の行動変容の調査など、介護予防、フレイル予防への効果検証や取組の持続可能性についても視野に入れて検討を進めてまいります。  次に、セルフマネジメントに資するプログラムの拡大についてですけれども、市では、通いの場の一つである高齢者サロンについて活動費の補助を行っておりますが、この制度について、見守りや介護予防などの機能充実を意識した見直しを進めております。補助の見直しに当たりましては、SOFTなど高い介護予防効果が期待できる活動など、多くの選択肢の中から利用者が自分に合った活動を選ぶことができる点も重視しながら、補助制度全体の中で総合的に検討してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。                     〔市長登壇〕 ◎【初宿和夫市長】 第12番、立川寛之議員の一般質問に私から人口減少への対応についてお答えを申し上げます。  日本の総人口が平成20年、2008年をピークに、平成23年、2011年以降、一貫して減少している中、令和7年、2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢期となりまして、日本が超高齢社会になる2025年問題、ちょうど昭和100年になります、社会保障費の増加や働き手不足などの社会問題に対応し、持続可能な八王子を構築する必要がございます。八王子市ではこれまでも、企業や大学等の協力により、市民サービスの向上や子どもたちへの支援など、様々な取組を進めてまいりました。引き続き、企業をはじめ、大学などの研究機関や地域で活躍している団体など、多様な主体との共創により、魅力ある暮らしやすいまちづくりを進め、人口減少社会に対応してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第12番、立川寛之議員の質問は終了しました。  次は、第16番、冨永純子議員。                  〔16番議員発言席へ移動〕 ◎【16番冨永純子議員】 市議会公明党の冨永純子でございます。発言通告に従って一般質問を行います。よろしくお願いいたします。  初めに、難聴高齢者の支援について質問いたします。  高齢になるに従って耳が聞こえにくくなるのは、誰にでも起こり得ることです。日本老年医学会の高齢者難聴10年間追跡調査の報告によりますと、40代から難聴は徐々に進み、60歳以降に急増するとしております。その割合は、60代前半では5人から10人に1人、60代後半になると3人に1人、75歳以上では7割以上という結果であります。聞こえは、人とのコミュニケーションをとるために重要な役割を果たしております。話し声が聞こえない状態をそのままにしていると、コミュニケーションがとれず、孤独感に陥ったり人と会うことが嫌になって、自宅に引き籠もったりする原因になります。さらに、背後から近づいてくる車の音が聞こえない、災害時の緊急通報がうまく聞き取れないなど、命に関わる危険を伴うこともあります。最近では、難聴を放置することによって脳の認知機能が低下し、認知症になりやすくなるという研究報告も出ております。  厚生労働省は、令和2年、各自治体の高齢難聴者の存在を把握するために実態調査を行っております。この事業の背景に、認知症の要因の一つとして難聴が指摘されており、難聴がQOLや認知機能に影響を与え、介護予防や生活の質を維持していく上でも重要なテーマであるとしております。本市では、毎年75歳以上の方を対象に健康アンケートを実施しており、大変多くの方に御協力いただいております。この健康実態調査では、聞こえに対するアンケートも行っています。  初めにお伺いいたします。本市では難聴が高齢者の方にもたらす影響をどのように認識しておられるか、お聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 令和4年度に後期高齢者を対象に行いました調査では、聞こえづらさを感じている高齢者は社会との関わりが少ないことを示唆する結果が出ており、フレイルに陥るリスクが高まると認識しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 聞こえづらさを感じる方はフレイルリスクが高まるということでした。フレイル予防となる難聴高齢者の支援は大変に重要であります。  聞こえを補助する機器に補聴器と集音器があります。補聴器は、それまで聞こえていた音や声が聞き取りにくくなってしまったときに、音を補って聞こえやすくする、厚生労働省が認定している医療機器です。それに対して集音器は、補聴器と似た形状のものもありますが、手軽に聞こえの補助をするものであり、オーディオ機器に分類されております。本市でも、声が聞き取りにくい来庁者に対して骨伝導式集音器をお貸しして、聞こえのサポートを行っております。医療機器である補聴器の一番のポイントは、個々の聴力に合わせて細かな調整を行うことができるという点です。私ごとではありますが、十数年前に耳の病気にかかり、かなり進行していたため大きな手術となり、現在、右耳はほとんど聞こえておりません。手術後、補聴器を作り、使用しております。骨伝導式の集音器も持っております。私の場合、全ての音が大きく聞こえるため、かえって聞きたい人の声が聞きづらくなってしまいます。補聴器の性能はとても進化して、デジタル化されており、最先端の補聴器にはAIや音声強調機能が搭載されております。単純にノイズをカットするだけでなく、環境に合わせてノイズを調整し、人が本来持っている聞こえの機能に近い形で音を補ってくれる優れた医療機器です。  先ほど申し上げたように、加齢によって多くの方が加齢性の難聴を発症する可能性があります。難聴によって様々な支障を来す前に補聴器を早期に利用し、QOL等の低下を防ぐことは大変に重要であります。補聴器を選択する際、どんなに高価で優れた補聴器であっても、その人にぴったり合った補聴器でなかった場合、途中から装着を断念する人も少なくありません。医療機器として認定補聴器技能者のサポートを受け、補聴器に慣れていくためのリハビリテーションを二、三ヵ月かけて行い、必要な音が100%入るよう、適切な治療がとても大切です。補聴器に対する正しい理解への取組は大変重要であります。補聴器活用に対する本市の御所見をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 日常生活の中で聞こえづらさを感じている高齢者が早期に補聴器を使用することで、社会参加活動につながり、介護予防、フレイル予防に効果的であることについて周知啓発する必要があると考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 補聴器使用の周知啓発でだけではなく、先ほど申し上げた認定補聴器技能者のサポートやリハビリの重要性も伝えていただきたいと思います。  東京都は、加齢性難聴に対して、これまで高齢社会対策区市町村包括補助の一部として補聴器の購入費補助を行っておりました。加齢性難聴に対して都議会公明党は、補聴器の適切な使用は、日常での事故や社会的な孤立の防止、抑鬱や認知症リスクの軽減、そして社会参加が進むことによる健康寿命の増加にもつながると指摘し、補聴器補助についてさらなる支援の強化を求めております。そして、令和5年第4回定例会では、包括補助から単独補助に踏み切るべきである、また、補助基準額の設定においては、ある程度の機能を有する補聴器の購入を想定した金額に設定すべきであると、補助に対する強化を提案いたしました。その提案を受け、令和6年度より包括補助から切り離し、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業として個別事業化されました。  令和6年度予算等審査特別委員会において、我が会派の委員より、初宿市長に補聴器助成について質問させていただきました。初宿市長より、東京都の補助制度の変更を踏まえて、制度設計など実施に向けた検討をしっかり進めてまいりますという大変前向きな御答弁をいただきました。その後の検討状況をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 東京都の補助制度の変更に伴いまして、加齢性難聴の早期発見、早期対応に係る経費が補助対象となったことを踏まえ、高齢者に聞こえのセルフチェックを実施していただくなど、早期に耳鼻咽喉科受診につなげる手法を検討しているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 これまで、加齢性難聴に対する早期発見、早期対応の重要性、そして補聴器の有用性を述べてまいりました。早期に難聴高齢者の支援を実施していただきたいと思います。今後の制度設計に向けて、市の課題認識をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 補聴器を継続的に使用していただくためには、定期的な調整、メンテナンスの必要性を高齢者本人が理解した上で補聴器を使用していただくことが必要となります。しかし、継続的な使用に関する費用につきましては補助の対象外となっておりますので、安定的に事業を実施するためには財源の確保が課題であると考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 最後に植原副市長にお伺いいたします。八王子市における高齢者の補聴器助成の実現に向けて、副市長のお考えをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 植原副市長。 ◎【植原康浩副市長】 高齢者の皆さんが生活への意欲を持ち続けるためには、社会参加を困難にする障壁を取り除くことが必要であると考えております。今後も引き続き、聴覚などの機能低下がその後の要介護状態につながるリスクについて分析を進めるとともに、困難を抱える方の社会参加支援に積極的に取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 積極的に取り組んでいただくと力強いお言葉をいただきました。早期助成に向けて強く要望させていただきます。よろしくお願いいたします。  次に、公園整備について質問いたします。  子どもから御高齢の方まで、幅広い年齢層の方が気軽に訪れ、愛される公園は、都市公園法に基づいて適正に整備されております。公園維持管理費は、国や地方公共団体の財政制約が深刻化しているため、年々捻出が困難になってきております。全国の都市公園の面積は60年前と比較し約25倍となり、管理をする自治体にとって大きな負担になっているとの調査研究もあります。本市においても、昭和39年当時の公園緑地等は15ヵ所、面積約14万7,000平方メートルでした。昭和40年代以降の大規模戸建て住宅団地やニュータウン開発など、市街地の拡大とともに公園緑地の整備も進み、令和4年度末で936ヵ所、面積約593万平方メートルになっており、60年間で約40倍に増加しております。本市の公園緑地は全国平均25倍に比較して約40倍に増加しており、かなり高い増加率になっております。公園緑地が計画的に配置され、自然と調和した大変よい市街地の環境であることを示すものではありますが、その一方で、多くの公園を管理するに当たり、課題もあると思われます。御所見をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 数多くの公園緑地を管理していく上での課題といたしまして、年数を経過した遊具等の老朽化や、大きく成長した樹木の倒木や枝の落下による事故など、特に利用者の安全確保に関わる維持管理につきましては定期的、継続的に行う必要があり、相当の人員体制や費用を有しているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 本市には、930を超える公園緑地のうち、主に街区内にお住まいの方が利用することを目的とする街区公園は500ヵ所以上あります。都市計画法に基づいて設置されて提供された小規模公園は、維持管理上の問題を抱えているのではないでしょうか。930を超える公園緑地のうち、公園課直営が130以上、指定管理者は800ヵ所の管理を担っております。公園課の管理業務を行う中で、市民からの苦情、要望の件数が年間2,600件余りと伺い、大変驚きました。私は樹木の剪定に関する御要望を度々いただきますが、樹木の剪定に関する苦情はどのくらいあるのかお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 令和5年度に公園課に寄せられた要望、苦情のうち、樹木の剪定、伐採に関するものは約580件で、全体の2割強となっております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 樹木の剪定に関して約580件、指定管理者800ヵ所を加えたら相当の件数ではないでしょうか。先日、市民の方から、御自宅の敷地内まで公園の樹木が伸びてきており困っているとの御相談をいただきました。樹木はキンモクセイでしたが、かなり御自宅側に入り込んで、駐車している車にも一部触れるくらい伸びておりました。御相談者から、年に何回か草刈りに来ているようだけれども、樹木の状態は見ていないのかと疑問を投げかけられました。そして、既に枯れてしまった木もずっとそのままで、近隣の子どもさんが木に登って危険であると御指摘を受けました。この公園は指定管理者が管理する公園です。指定管理者に公園緑地の多岐にわたる管理業務の全般を、包括的に一定の裁量を与えながら維持管理を委任するものであると認識しております。樹木の手入れについてはどのように決められているのか、お伺いいたします。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 樹木の剪定、伐採につきましては、指定管理者が年間のスケジュールを作成し、箇所、本数、時期を定めて実施しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 指定管理者が定める樹木管理計画について、その適正を見極めることが市の大事な役割だと思います。指定管理者は、利用頻度の高い公園以外の小規模の公園では、指定管理期間5年間の中で樹木の剪定は1回から2回の割合がほとんどであり、草刈りについては年に5回程度行われていると伺いました。少なくとも年5回は公園整備に入る機会があるということになります。その作業の結果を市はどのように把握しておられるのか、お聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 各指定管理者から四半期ごとに提出される事業報告書や、年3回行っている現地のモニタリング等で、回数や面積、本数など管理状況を確認しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 予算上、十分な回数を確保するのは難しいかもしれませんが、だからこそ1回の作業の質が求められると思います。指定管理者に対してもう少し要件をつけるべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 公園内の樹木は、園内や周辺の良好な環境の確保、また、倒木や枝の落下による事故防止の観点からも、継続的な適正管理が不可欠であると認識しております。今後、公園の規模、樹木の種類、生育状況、周辺環境等に応じた樹木管理がより適正に図られるよう、指定管理者に一定の裁量を与える利点にも配慮しながら、要求水準の表現方法について調査研究を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、インクルーシブ遊具設置についてお伺いいたします。近年、都市公園は、様々な人が違いを認め合い、共に暮らす社会の実現に向け、新たな発想や試みによるインクルーシブ的な視点での公園が求められてきております。インクルーシブ遊具は、あらゆる子どもたちが分け隔てなく一緒に遊べるように、また、子どもの持つ潜在的な能力を成長させるよう配慮した遊具であることが特徴です。  私は以前、発達障害や肢体不自由の子どもの支援に携わっておりました。子どもたちは外で遊ぶことが大好きで、お弁当やおやつを持って公園に遊びに出かけることは楽しみの一つでした。肢体不自由な子どもは車椅子に乗って移動しますが、公園の遊具で遊ぶことは困難です。だっこできる子どもは私の膝に乗せ、一緒にブランコに乗り、もっと高く揺らしてとはしゃいだ声、笑顔は今でも思い出します。  インクルーシブ遊具は、車椅子や歩行器に乗ったまま揺れる、滑るなど、楽しみながらバランス感覚を養うことができます。機能性に大変優れている一方で、通常の遊具に比べて大変に高価なものだと聞いております。インクルーシブ遊具設置については、東京都は、誰でも遊べる児童遊具広場の整備として、令和2年に都立砧公園にみんなのひろばを、令和3年には都立府中の森公園にもり公園にじいろ広場を整備しております。八王子市の都立陵南公園でも、インクルーシブ遊具の設置に向けて本年5月から工事に着手しており、9月には市内初めてのインクルーシブ遊具が設置されます。  私は、障害のある子どもたちが公園遊具で遊べる機会を願って、2年前よりインクルーシブ遊具の設置を求めてまいりました。その思いを受け止めてくださり、令和5年度にインクルーシブ遊具の実施計画に293万8,000円を計上し、遊具設置に向けて鋭意取り組んでくださいました。これまでの取組について確認をさせていただきます。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 複数回のワークショップを開催し、特別支援学校や障害者団体などから御意見を伺い、それらを基に、上柚木公園におけるインクルーシブ遊具整備の実施設計を行っております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 上柚木公園を選定とお聞きし、足を運びました。陸上競技場やテニスコート、ソフトボール場、多目的広場が併設した21ヘクタールに及ぶ総合公園です。インクルーシブ遊具設置を計画している場所の児童遊具は、複合遊具や横幅のある滑り台など、他の公園より種類豊富に遊具がそろっており、インクルーシブな環境で遊べる大変魅力ある公園を選定してくださり、高く評価しております。  改めてお伺いいたします。インクルーシブ遊具整備の場所として上柚木公園を適地として判断したのはどのような理由からでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 インクルーシブ遊具の設置場所につきましては、一定の広さが確保できる空間があるほか、出入口や駐車場、トイレなどの便益施設からの移動のしやすさが重要であり、また、都立陵南公園や八王子駅南口集いの拠点においてもインクルーシブ遊具の整備が予定されており、全市的な配置の観点からも上柚木公園が適地であると判断したものであります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 インクルーシブ遊具の整備に向け、意見交換に参加した方々をはじめ、地域の方々も大変心待ちにしておられると思います。他事業の優先度や厳しい財政状況の中、令和6年度については先送りになったと伺っており、大変残念なことであります。今後どのようにインクルーシブ遊具の整備をしていかれるのか、お聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 インクルーシブ遊具の整備については、関連団体や地域住民からの関心や期待が高まっているものと認識しております。引き続き、市内の公園緑地等を取り巻く様々な課題に対し、施策の緊急度や重要度を整理するとともに、整備実施に向けた調査研究を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 公園管理においては、大変厳しい財政状況の中、運営しておられることは承知しております。他の自治体では、インクルーシブ遊具設置を目指して、財源確保に向けクラウドファンディング等を活用しております。このような手法も有効と考えますが、市の御所見をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 クラウドファンディングやふるさと納税は、財源確保の有効な手段の一つであると考えております。また、国や都が実施している補助事業の活用も含め、様々な手法を調査研究してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 今後、特にトイレ施設のバリアフリー整備が課題になってまいります。上柚木公園のより快適な環境が整ったインクルーシブ広場としての可能性も期待しております。  最後に、初宿市長にお伺いいたします。全ての子どもの健やかな成長に遊びは大変に重要であります。上柚木公園内のインクルーシブ遊具の整備に向け、市長の意気込みをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 インクルーシブ広場でございますが、障害の有無や国籍などにかかわらず、あらゆる子どもたちが一緒に遊び、互いの違いを理解し合い、支え合いながら遊ぶ場所でございまして、その整備の重要性については認識しているところでございます。市民の皆様や社会的にも関心や期待が高まる中、八王子市東部地域の新たな魅力づくりにもつながるよう、課題を一つ一つ整理しながら、早期実現に向け鋭意取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員。 ◎【16番冨永純子議員】 ぜひ早期実現に向けてよろしくお願いいたします。  以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
    ◎【美濃部弥生副議長】 第16番、冨永純子議員の質問は終了しました。  次は、第15番、日下部広志議員。                  〔15番議員発言席へ移動〕 ◎【15番日下部広志議員】 市議会公明党の日下部広志です。それでは、発言通告に従いまして質問を行います。  まず初めに、シニアクラブについて伺います。  公益財団法人全国老人クラブ連合会のホームページによりますと、1962年、昭和37年に同会が設立され、老人クラブ活動が全国的に広まりました。これは、高齢者の社会参加を促進し、生活の質を向上させることを目的としていました。1963年、昭和38年には老人福祉法が制定、同年より老人クラブへ国から補助が開始され、その後、社会保障制度が徐々に整備をされていきました。これにより、高齢者の生活は安定し、老人クラブ活動も活発化していきます。1960年から1998年にかけて、高齢化の進展、老人福祉政策の充実、地域コミュニティへの関心の高まりなどを背景に、全国の老人クラブのクラブ数、会員数は増加傾向にありました。特に1998年、クラブ数は約8万8,000、会員数は約887万人に達し、ピークを迎えております。しかし、1998年以降は、核家族化、ライフスタイルの多様化、若年層の地域活動への参加意識の低下などが要因となり、老人クラブの活動が減少傾向に転じ、2023年末にはクラブ数は約7万5,000、会員数は約440万人まで減少しています。これらのことから、全国の老人クラブは高齢社会の進展とともに発展をしてきましたが、近年は社会の変化に伴い、その規模が縮小していることが分かります。  それではまず、八王子市のシニアクラブについて、最新のクラブ数と会員数について伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 令和6年4月1日現在で、補助対象数は161クラブ、会員総数は9,901名でございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 本市では2002年、平成14年の292クラブをピークにクラブ数、会員数の減少が続いております。先ほど御答弁いただいたように最新の数が161クラブとのことですが、2023年度公表されていた数が169クラブでしたので、今年度に入り既に8クラブが活動を停止されているということだと思います。会員数もここ数年は毎年1,000人前後減少し、ついに最新の数字では1万人を切りました。クラブ数、会員数の減少が続いておりますが、その要因、課題について、市としてはどのように考えておられますか。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 減少の要因といたしましては、新規会員の減少や、クラブ運営に係る書類作成、会計等の事務処理の負担により役員の成り手が不足しているため、役員の負担軽減や後継者の育成が課題であると考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 まさに御答弁いただいた要因に関して、特に会計事務に関わる出納簿等に関してたくさんの御意見をいただいております。過去の議事録を見てみますと、他の議員からもクラブ側の負担軽減を求める質問が出ており、市側の答弁でもそのような声があると答えられておりますが、そういった御意見に対して、これまで市は具体的にどのような対応を行ってきたのでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 補助金の交付申請や実績報告の書類につきましては、記載欄のうち、市が把握している項目についてあらかじめ印字しておくことで、各クラブが記載しなくてはならない項目を少なくしております。事務手続のうち簡素化できない部分につきましては、各クラブに配付している八王子市シニアクラブハンドブックに詳しく掲載するとともに、問合せがありました場合には職員が丁寧に説明している状況でございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 市側でも申請書類などに関して負担軽減となるよう様々対応していただいていると思いますが、とにかく市に提出する資料が多くて大変だという意識はまだまだクラブの方にはあると思います。市として確認すべき資料があることはもちろん理解をしておりますが、提出する側の目線で、例えば重複した内容がないか、もっと簡素化することができないかなど、引き続き対応、検討していただきたいというふうに思います。出納簿に関しては、年に1回、市に提出を行ってチェックを受けますが、そこで申請が通らなかった場合、そのことを考えると会計責任者の方のプレッシャーが非常に大きくて、資金は既に使ってしまっているし、その分のお金をどう工面したらいいのか困ってしまい、中には自腹でお支払いされたという方もいらっしゃいました。そういった理由から、新しい取組をすることに対してちゅうちょしてしまい、これまでどおりの無難なイベントが活動のメインとなってしまっているとの声もいただいております。また、成り手不足が影響し、会計を担う方々が年々高齢化をしており、中には80歳代の方が会計を担当されているクラブも数多くあります。エクセルの関数を使って自動計算をすれば簡単かもしれませんが、パソコンを利用するのは現実的に難しい、まだまだ手書きで出納簿を提出されているクラブも多いと聞いております。  そこでお伺いします。シニアクラブにおける補助金の返還率、返還金額の平均について、現状の数値を教えてください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 令和5年度の実績では、返還対象数は169クラブのうち41クラブで24%、返還金額は173万8,070円で、返還金額の対象1クラブ当たりの平均は4万3,000円となっております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 シニアクラブでは、月額定額補助が7,500円、プラス人数補助、150円掛ける世帯数の金額を補助しております。余った金額は返還の義務があり、毎年の出納簿の提出が必須となっています。返還が多いからいい、悪いという単純な話ではありませんが、実際にはクラブ全体の4分の1が補助金を返還しているこの現状で、果たして各クラブの自由な発想で会員の方が望んでいる活動ができているのかどうか、検証する必要があると思います。  そしてもう1点、よく言われるのが、町会・自治会会計との違いです。シニアクラブの会員の方で町会にも所属をしていらっしゃる方は大勢おられます。特にシニアクラブの役員をされる方は、町会でも何らかの役をお持ちの方も多いです。両方所属している方からは会計作業の違いについての御意見もお聞きします。ちなみに、町会・自治会へは、年間で均等割が1万円、プラス世帯割り250円掛ける世帯数の金額を交付金という形で交付をしています。シニアクラブでは、余った金額の返還、出納簿の提出が必須となっていますが、町会・自治会は年度末の市に対する出納簿の提出等は必要ありません。  当然、交付金と補助金で処理方法が異なることは理解をしていますが、そもそも、町会・自治会は交付金、シニアクラブは補助金と、その違いはどういった理由にあるんでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 町会・自治会につきましては、地方自治法によりまして、町または字の区域、その他、他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体と規定されております。一方、シニアクラブにつきましては、老人福祉法におきまして、老人福祉を増進するための事業の振興を行うものとして位置づけられております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 シニアクラブへの補助金を町会・自治会と同様、交付金にすることはできないのでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 交付金は、市からの一定要件の資金供与により、補助事業者が労力等の負担提供を伴いながら、協働により公共・公益性のある活動を展開するものとされております。一方で、補助金は、公益性のある活動であっても、補助事業者等の自主性、任意性が高い活動を補い助けるための金銭給付とされておりますので、シニアクラブの活動に対する市からの金銭給付は補助金に該当いたします。そのため、交付金として支出することはできません。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 確かにシニアクラブは設立の当初、自主性、任意性が高い活動、例えば市民活動の場だったり仲間づくりの場として発足をしました。ですが、一方で、少子高齢化が加速度的に進んでいく社会にあって、例えばひとり暮らしの高齢者への声かけや安否確認など、地域の見守り活動の担い手として、子育て中の家庭へのサポートや小学校等で子どもたちとの交流イベントなどを開催し、地域の子育てを支援する子育て支援の担い手としてなど、町会・自治会と同様に十分公益性のある活動も既に行っていただいております。実際に行政側もそういった活動に対する担い手として期待をしている面も大きいのではないでしょうか。今回は交付金として支給することはできないという御答弁でしたが、先ほど紹介した側面も十分に考慮して、今後の補助金、交付金の在り方をぜひ検討していただきたいと要望させていただきます。  老人福祉法が制定され60年が経過し、社会情勢の変化に伴うシニアクラブの役割、在り方が問われる時期に差しかかっています。シニアクラブに対して市からアンケートなど、これまで実施されたことがないとお聞きしていますが、現場の方の声を直接聞き、市としての考え、今ある課題をどのように解決していくのか、整理するときが来ているのではないでしょうか。市内の全シニアクラブの方からじっくりとお話をお聞きし、これからどう進んでいくべきなのか、アンケートを含めヒアリングを実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 これまでも、シニアクラブからの意見を参考に様式の簡素化を図るなど、シニアクラブの皆様の声を聞いてまいりました。今後はより幅広く、シニアクラブが抱える課題の把握ができるよう、アンケートなどの実施手法について検討してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 会計事務作業が大変だから、クラブを解散することは簡単だけれども、何とか今いる会員の方のために、シニアクラブ存続のため頑張っておられる方、また、町会・自治会とシニアクラブの二足のわらじで、担い手不足のため業務を一手に引き受け奮闘しておられる方、現場には必死で何とかしようと活動している方がたくさんいらっしゃいます。アンケートに関して、一日も早くスピード感を持って実施をしていただき、現場の声を丁寧に聞いていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  これからあらゆる分野でデジタル化が進み、少子高齢化に伴い、業務の省力化、効率化を図るため、対面で紙ベースでの資料提出から、スマホなどを活用したデジタルでの提出に移行していきます。そういった意味で、今後、シニアクラブの組織運営を行う上でデジタルデバイド対策は非常に重要になると考えますが、市の考えをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 現在、市とクラブの間では、紙に書くことを基本として手続を行っております。実績報告書の審査では領収書の原本の提出を求めておりますので、デジタル化が困難な部分は残りますけれども、手続のデジタル化によって双方の利便性の向上や負担軽減が期待できると考えております。一方で、早期のデジタル化は、現在クラブの運営を担う役員の方々の負担やシステム導入による運営経費の増加など、懸念される場合がございますので、効果的・効率的なDXの推進について調査研究を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 デジタル化が進むことで、今課題となっています出納簿の管理、また、市への申請書提出などがかなり負担軽減されるのは間違いありません。また、これからシニアクラブに加入してこられる世代の方は、デジタル化が当たり前の世代になってきます。次世代のシニアクラブの在り方も今から積極的に検討しつつ、取組を進めていただきたいというふうに思います。  それでは、シニアクラブに関する質問の最後に市長にお聞きします。超高齢社会、価値観の多様性の時代にあり、これからのシニアクラブに行政が期待することをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 地域貢献、健康づくりや生きがいづくりなどの活動を通しまして、社会参加を積極的に実施してくださっているシニアクラブでございますが、介護予防や健康長寿につながる重要なパートナーであると認識をしております。今後も高齢者が地域で生き生きと暮らすことができるよう、社会参加の選択肢として御活躍いただけることを期待しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 市長の言葉にもありました高齢者が地域で生き生きと暮らすことができるための選択肢として、シニアクラブは非常に重要な組織であると私も思います。シニアクラブが果たす役割は時代とともに多岐にわたり、様々な役割が期待をされています。各クラブが独自の活動内容を自由に検討し、地域の高齢者が本当に望んでいることを実行できるよう、行政はパートナーとして応援をしていく。その中から超高齢社会を乗り切るための活力が生まれてくるのではないでしょうか。シニアクラブの取組については、これからも引き続き注目していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  それでは次に、教育現場におけるデジタル活用について伺います。  児童・生徒に1人1台端末を配付し、GIGAスクール構想が開始され、4年が経過しました。本構想の目的は、多様な子どもたちひとりひとりを誰一人取り残すことなく、個別最適化された学びを学校現場で持続的に実現させることにあります。その目標に向けて、本市では八王子市版GIGAスクール構想を掲げ、2020年度から2025年度までのロードマップを作成されております。具体的には、2020年度が、主要機器の選定、通信環境整備などの準備期、2021年度から2023年度は、実際に授業でタブレットを活用し、改善を繰り返しながら活用促進を図っていく開始期・活用期、そして2024年度、2025年度は、これまでの実績をさらに充実させ定着を図っていく定着期とされております。いよいよ今年度より計画上では定着期に入るわけですが、まず、八王子市版GIGAスクール構想の開始期・活用期のこれまでの取組状況についてお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 八王子市版GIGAスクール構想の開始期・活用期では、各学校での実践例を情報教育主任研修や八王子市GIGAスクール情報ポータルサイトで共有し、改善を図ることを繰り返しながら、効果的な活用場面での活用推進を図ってまいりました。開始期・活用期の3年間の取組を通して、児童・生徒、教員のICT活用技能が向上し、全教員がICT機器を活用した授業を実施することができております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 それでは、開始期・活用期の取組から見えた定着期に向けての課題はどのようなものがありますか。また、今後どのように進めていこうと考えておられますか。 ◎【美濃部弥生副議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 児童・生徒、教員のICT活用技能が向上し、小学校ではドリル型学習コンテンツの活用、中学校ではオンライン上での共同編集や情報共有を行う活用が多いことが明らかになりました。一方で、まだ十分に使いこなせていない教員にICT活用指導力を高める必要があるという課題も明らかになっております。今後は、定着期に向けて、教員全体のICT活用指導力の向上や、児童・生徒がお互いの意見を瞬時に共有し、考えを深めるような双方向型の授業の実施など、効果的な活用を推進してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 私の子どもは現在小学校6年生なんですが、学校でタブレットを使っている?というふうに先日聞いてみました。そうすると、日光市に、6月の末ですかね、修学旅行に行くから、タブレットを使って1人1つのテーマでプレゼン資料を作って発表するよというふうに言っていました。昔は班ごとに、大きな模造紙にペンで書き込んで、写真を貼って発表者を決めてというふうにやっていたなと懐かしく思い返しながら、今は本当に便利になったなというふうに感慨深いものがあります。以前よりは着実に活用が進んでいると実感をしています。  一方で、先ほどの答弁でも、先生方へのICT活用指導力を高める必要があるというふうにもありました。先生方も時間を調整しながらICT活用に関して研修などを受講されているとお聞きをしておりますが、ICT支援員の増員も課題解決のために必要だと思います。やはり、分からないこと、不明点を気軽に相談できる方がそばにいるということは、デジタル化を進める上では特に重要です。今回は質問とはしませんが、ICT支援員の方の増員については、学校現場でのICT化を定着させるためにも、推進していただきたいと強く要望させていただきます。  ICT活用を進めていく上でもう1つ重要な設備が通信環境となります。幾ら高性能なタブレットがあったとしても、接続ができない、速度が遅いなどストレスがたまると、そもそも使わなくてもいいかと現場でもなってしまいます。今年の4月24日、文部科学省より、学校のネットワークの現状についてという調査結果が公表されました。文部科学省が定めたインターネットの通信速度の推奨値を満たしている学校が全体の2割しかなく、残りの8割では十分な環境が整っていないという結果となっています。しかも、全体の約6割の自治体で、ネットワークが遅い原因に関する調査、アセスメントをそもそも実施していないと、ある意味で衝撃的な結果となっています。2022年3月の文教経済分科会でも学校施設の通信環境について質問させていただきましたが、本市では、学校へ端末導入後にタブレットを一斉に使用すると接続しづらい状況が発生するとのことで、原因の調査を行っていただきました。その結果、通信方式の変更などを実施していただきましたが、まず確認の意味で、どのような対応を行ったのかお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 令和3年度にインターネット回線がつながりにくい原因を調査しましたところ、既存のプロバイダー環境では回線が混み合っているといった事象が判明しましたので、令和4年度に接続方式を別の方式に変更しまして、改善を図ったところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 少々専門的な話になってしまいますが、従来の接続方式であったPPPoE方式からIPoE方式に変更されたと伺っています。これまで、インターネットに接続するためにはNTT網の終端装置を必ず経由する必要があり、ここが混雑していたために速度低下が発生していました。そこで、通信方式をIPoE方式に変更することで、終端装置を介さずに直接インターネットに接続できるようにしたということだと理解しています。このような通信方式の変更を行い、対応を行った結果、学校現場では実際に問題が改善されたのでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 令和4年度の時点におきましては、従前と比較しまして回線がつながりやすくなったことは確認しているところですけれども、やはり学校の立地条件や児童・生徒数もまだまだ課題として残っていると捉えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 確かに方式を変更したことで改善をしたということは間違いないと思いますが、一方で、タブレット端末を一斉に学校で使用するとアクセスしづらい状況というのは今でも続いているという声も聞いております。一斉にネットワークに接続しないように、先生方が利用時間を調整しながら使用している学校もあるようです。まだまだ根本的解決には至っていないというふうな状況だと思います。  つながりにくい原因の大きな要因の一つとして、学校で契約している通信回線の最大通信速度があります。現在、学校施設では光回線を契約していると聞いておりますが、最大通信速度は何Gbpsを契約されているのでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 現在は1Gbpsで対応しているところですけれども、学校現場においては、学習用端末を活用する上では一定の通信速度は確保できているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 文部科学省では、同時に全ての授業において多数の児童・生徒が高頻度で端末を利活用する場合の推奨帯域を公表しております。例えば全校生徒数が420人の場合、推奨帯域の実測値は468Mbpsとしています。この実測値というのが重要なポイントです。先ほどの答弁では1Gbpsで契約されているとのことでしたので、一見すると十分な帯域が確保されているように思いますが、本市はベストエフォート型で1Gbpsの契約となっています。このベストエフォート型は、速度や品質を必ずしも保証しておらず、あくまで理論上の最大値を意味します。個人利用であれば十分ですが、やはり一斉に多くの人が接続するような環境では十分ではありません。現行の1Gbpsから10Gbpsへの契約変更や回線数の増設などの対応が今後は必要です。実際にタブレット端末を利用しているときの帯域の実測値をお聞きしたかったのですが、現状ではデータがないとのことでした。実測値が分からなければ、正しい通信環境整備はできません。現状を把握する上では非常に重要な数値となりますので、今後調査をお願いしたいと思います。  ネットワークに関しては、2020年3月の予算等審査特別委員会でSINETの利活用についても質問をさせていただきました。SINETとは、国立情報学研究所が構築、運用する、日本全国の大学や研究機関をつなぐ学術情報ネットワークです。超高速で高いセキュリティが確保された通信環境として、2022年4月から従来のSINETをさらに発展させたSINET6の本格運用が始まっています。このSINET6を小中学校の教育現場で活用できないのか、その可能性についてお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 SINET6につきましては、調査をしているところですけれども、高速で大容量な回線であるということは確認できております。一方で、現在の教育ネットワークの回線費用と比較しますとかなりの負担増が見込まれることや、各学校におきましても現時点でその主軸であります大学や研究機関とのデータのやり取りを行うということが未確定であるため、現状では活用するには至っておりません。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 検討時の資料を頂きましたが、SINET6を市内全ての小中学校で利用する場合の年間利用料が最低でも1億2,000万円するとのことでした。現在の通信利用料が約2,000万円とお聞きしていますので、かなり割高となり、採用を見送られたというのは確かに理解するところですが、鎌倉市では、横浜国立大学と連携協定を結び、SINETへの接続を可能にし、通信環境の整備を行っています。鎌倉市教育委員会の方のインタビュー記事では、SINETを利用し、学校からは世界が変わりましたと声をもらっていますと成果が紹介されておりました。教育のデジタル化を進める上で、通信環境整備は最重要事項であります。他の自治体での事例も参考に、最適な教育現場の通信環境整備に取り組んでいただきたいと思います。本市の考えをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 八王子市版のGIGAスクール構想を推進するに当たりましては、通信環境の整備が重要なことと認識しております。引き続き、学習用端末のつながりやすさなどの環境整備における対応策について検討を続けてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 これからさらに教育現場でのタブレット活用が進んでいきます。それに比例して、電子教科書、動画視聴など、教育現場でのデータ量はますます増加をしていきます。ストレスなく快適に活用できる通信基盤の整備は、現場の先生方の努力だけでは限界があります。行政が未来の投資として教育現場のライフラインとして整備すべきです。先ほどは通信環境整備は重要であるとの答弁をいただきました。児童・生徒はもちろん、現場の先生方も含めて、学校関係者全員がストレスなく活用できる環境を一日も早く整備していただきたいと思います。回線の最大通信速度の見直しや契約回線の追加など、通信環境改善に向けての検討、実施をよろしくお願いいたします。  それでは最後に、NEXT GIGAに関して伺います。NEXT GIGAとは、文部科学省が推進しているGIGAスクール構想の次の段階を表す言葉です。GIGAスクール構想では児童・生徒1人1台の端末などの環境整備を実施しましたが、NEXT GIGAでは、これらの環境をさらに活用し、個別最適化された学びや新しい学びの実現を目指しております。  八王子市ではグーグルのクローム端末を一括購入し配付をしていましたが、間もなく5年を迎えることから、タブレット端末の更新時期となります。NEXT GIGAを見据え、これまで実際に現場で活用したタブレット端末、OSに関しての検証も必要となります。OSに関しては、本市ではグーグル社が提供するクロームOSの採用を決定しましたが、マイクロソフトのウィンドウズ、アップルのiOSと、様々な種類があります。そこでまず、八王子市としてクロームOSを採用した理由をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 令和2年度の学習用端末の導入時に既に立ち上がっておりましたICT機器を活用した教育について検討を行う情報教育推進委員会から様々な意見の聞き取りを行いました。その中で、起動の際に早い、OSの更新時に時間がかからない、そういった御意見を参考にしまして、クロームOSを採用したところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 現場の先生たちからは、端末の使い勝手についてどういった御意見があったでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 令和5年に教員に対しましてICT活用指導力セルフチェックを行った際には、落としても壊れにくい、キーボードが一体型のため画面が傷つきにくい、児童・生徒が扱うには端末本体が少し重い、そういった様々な意見がございました。今後もアンケート調査などを実施しまして、意見集約を行ってまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 アンケート調査はぜひとも実施していただきたいと思います。使ってみて、実際の使い勝手はどうだったのか、どういった課題があったのかをしっかりと検証していただきたいと思います。その上で、私が学校関係者に直接お聞きしたところでは、クロームOSは仕様上、オンライン認証しないと各種アプリにアクセスができません。一定のセキュリティは担保される一方で、ネットワークにつながらないオフライン状態だと何もできない状況になることもあり、学びを止めないという観点からは、この部分は解消すべき課題だと思います。オフラインでも子どもたちの学びを止めないために、NEXT GIGAで採用するOS、端末の選定は再度しっかりと実施をしていただきたいと思います。NEXT GIGAの環境整備に関しての市の考えをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 学校現場における実情や情報推進教育推進委員会でいただいた意見等も参考に、次期学習用端末のOSの更新、端末使用時の通信環境の整備につきましては、引き続き検討を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員。 ◎【15番日下部広志議員】 NEXT GIGAの端末更新の補助要件の一つとして、ネットワーク環境整備計画の策定が求められています。子どもたちはもちろん、先生方にとってもストレスなく利用できる環境が整うよう、学校施設の通信環境整備をはじめ、NEXT GIGAへ向けての着実な取組を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  以上で私の一般質問を終了します。ありがとうございました。 ◎【美濃部弥生副議長】 第15番、日下部広志議員の質問は終了しました。  会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。
                                        〔午後2時57分休憩〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                     〔午後3時30分再開〕 ◎【鈴木玲央議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続行します。  第28番、市川克宏議員。                    〔28番議員登壇〕 ◎【28番市川克宏議員】 日本共産党八王子市議会議員団の市川克宏です。それでは、発言通告に従いまして一般質問を行います。  介護保険制度が始まり23年が経過する下で、本市の高齢者計画・第9期介護保険事業計画は今年度から実施をされます。誰もが安心と希望をもって歳を重ねられる、未来につながるまちに向けて、介護保険事業について考えたいと思います。  初めに、2020年度から2022年度における介護保険特別会計の決算状況を見てみたいと思います。3年度を通じて歳入の保険料徴収率はほぼ100%徴収しているものの、歳出である保険給付費は平均で9割台、地域支援事業は平均で8割台の執行状況にあります。また、特別会計は毎年度黒字決算であり、基金積立金は年度ごとに上昇し、9割台の後半を維持しています。利用者に必要な介護サービスが提供できているのか、直近3年の決算における市側の評価と課題についてお伺いいたします。  さて、介護保険制度が導入されましたが、介護の社会化を掲げ、高齢になってもひとりひとりが人間らしく豊かに尊厳を持って暮らしていくこと、介護を必要とする誰もが必要な公的介護サービスを自由に選択できるという当初の理念から程遠いものとなっています。高過ぎる保険料、利用料負担は、3年ごとの見直しによって値上がりを続けています。多くの利用者は介護保険料が天引きされ、どれだけの利用料を負担できるか心配しながらサービスを利用しています。利用するサービスが制限され、自由に選択ができなくなってきています。要介護認定により、利用者自身、その家族が必要とするサービスが受けられないとの悩みがあります。介護サービスを提供する介護事業所は介護報酬が低く固定化され、事業所運営が厳しい状況になっています。また、介護労働者の高齢化が進み、人材不足の問題があります。  そして、介護保険制度の高齢者の自立支援という理念がすり替えられてしまいました。高齢者の自立を支える新しい介護制度は、2000年の厚生白書によると、介護保険制度では、要介護状態になった者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう必要なサービスを提供することとされ、単に身の回りの世話をすることを超えて、高齢者の自立支援を理念としている。こうした理念は、住み慣れた地域での生活を続けることができるよう、自立を支える多様な在宅サービスを重視していると述べていました。必要なサービスを利用しながら、その人らしく生活していくという意味の自立から、自立イコールサービスが要らない状態とされ、2017年の法改正で、自立支援等に成果を上げた自治体に対し、成績に応じて交付金を傾斜配分する保険者機能強化推進交付金制度が創設されました。この交付金制度は、保険者である市町村による高齢者の自立支援、重度化防止の取組や、都道府県による保険者支援の取組を推進することを目的としています。さらに、2020年度から介護保険保険者努力支援交付金を創設し、介護予防、健康づくり等に資する取組を重点的に強化することにより、これらの取組を強化されました。高齢者の自立支援、重度化防止等に取り組み、成果を上げた自治体に国が努力に応じて交付金を渡す仕組みです。目標を達成させるため特別に報奨金を出すので、財政的インセンティブとも言われるゆえんがここにあります。自己評価が大半とはいえ、自治体の仕事に対して通信簿並みの点数をつけさせ、保険制度とは別枠の支援金を支給するのですから、この支援金で自治体を特定の方向に誘導しようというところに、利用者の介護保険からの自立、卒業を促すことを助長するためになっていないか、こういう懸念があるわけです。  そこで伺います。本市において、保険者機能強化推進交付金と介護保険保険者努力支援交付金は、それぞれ直近の3年で毎年約1億円の交付金を受けています。交付金目当てに必要なサービスの抑制になっていないのか。交付金に対する考え方と、利用者と交付金の関係について、市側のお考えをお聞かせください。  本市の介護給付準備基金は、本計画期間に発生する余剰金を積み立てる一方、給付費の不足が生じた場合に取崩しを行うなど、被保険者に安定して保険給付を提供するよう努めるとしています。基金は毎年増加傾向にありますが、基金の活用は保険者である自治体の判断であり、保険者の抑制もその一つです。同時に、サービス提供の拡充、本市の特徴に特化した活用など、基金に対する今後の市の所見をお伺いいたします。  次に、地域支援事業、特に総合事業についてお伺いいたします。地域支援事業は、高齢者が要介護状態になることを予防するとともに、要介護状態になった場合においても、住み慣れた地域で日常生活を送れるよう支援する事業です。地域支援事業は、大きく分けると、介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業、任意事業の3つによって構成されています。2017年度から全ての自治体で実施している総合事業は、従来の介護給付を自治体の事業に移行することによる給付の縮減、元気な高齢者が担い手として制度へ参加することによる健康維持、さらに補助金縮減に対する財源補填を主な狙いとして制度化された経緯があります。  そこで伺います。本市の総合事業に対する評価と課題についてお聞かせください。  2020年度に行われた厚生労働省の介護予防・日常生活支援総合事業の実施状況に関する調査結果によれば、サービスを実施している市町村数のうち、従前相当サービスを実施している市町村数は、訪問型で1,607市町村で全体の92.3%、通所型で1,611市町村で92.5%です。緩和した基準によるサービスAを実施している市町村は、訪問型で893市町村、51.3%、通所型で938市町村、53.9%であり、次いで短期集中予防サービス、通所型サービスCを実施している市町村が多く、673市町村、38.7%でした。このように、総合事業の実態は、国が期待する多様なサービスよりも従前相当サービスが圧倒的に多いことが分かります。本市もやはり同様の結果となっております。  そこでお伺いいたします。本市の利用者は、訪問、通所の住民主体のサービスが増加傾向にはあるものの、総合事業の主題である介護予防に対し有効であるのか、市側の評価をお聞かせください。  2023年の制度改革では結果的に継続審議とはなったものの、給付と負担の見直しをめぐる検討は、保険料の徴収やサービス給付の対象年齢を引き下げるか、2点目に、ケアマネジメントに利用者負担を導入するのか、3点目に、要介護1・2の方への訪問介護と通所介護を介護予防・日常生活支援総合事業に移行するのか、いずれも負担増と介護給付の縮減として議論をされました。要介護1・2の訪問介護、通所介護を市町村の総合事業へ移行し、保険給付から外すことについて、要介護1・2を移行して総合事業の報酬が下れば、介護の担い手確保は困難となる、保険料だけ納めて保険給付が受けられない、文字どおり国家的詐欺になる、こうした声で、全国老人福祉施設協議会など介護8団体が反対声明を行いました。  そこでお伺いいたします。本市の現状の下、国が画策する要介護1・2の保険給付外しに対し、将来にわたって介護が必要な人に適切なサービスを提供できるのか、市側の見解を伺います。  10年後に介護サービス運営の中核を担う人材の適任の候補はいるか、介護事業所・施設にこう尋ねたところ、4分の1を超える27%が「いない」と回答したことが厚生労働省が行った調査で分かりました。「いない」が最も多かったのは訪問介護で、全体の3分の1に上ります。介護職員の不足感を見ると、全体で「大いに不足」が19.9%、「不足」が29.2%、「やや不足」が31.1%、この3つで80%を超えています。著しい人手不足がなぜ起きたのか。この二十数年来、訪問介護の基本報酬が下がり続けてきたからです。第9期介護保険事業計画では、介護人材が2040年には市内で約2,000人不足するとして、特に訪問系サービスの高齢化が著しく、正規職員の占める割合が低いため、訪問介護職員の確保、育成については優先的な支援が必要としています。介護人材が十分に確保され、やりがいを感じながら無理なく効率的に働いていることを施策目標としておりますが、生活支援ヘルパー応援加算をはじめ、介護の職の魅力発信、表彰という事業を展開することにとどまっています。介護職員の処遇が改善されているのか。仕事に見合った給料がもらえていると感じる介護職員の割合を今計画中に調査と、後手後手の感も否めません。本市の介護サービス事業者への支援など、本市独自の取組の状況についてお伺いいたします。  次に、介護保険限度額についてです。医療保険では、医療機関に直接保険証を示せば保険診療を受けられます。その人に必要な医療を提供できるわけです。一方、介護保険は、介護認定に基づき、ケアマネジャーが利用者のケアプランを作成しますが、多くの場合は、介護保険を利用できる金額、区分支給限度額が決められており、その限度額を超えない範囲でケアプランを作成しなくてはなりません。例えば本市では、要介護1の場合、月額約16万7,000円の範囲内でしか、必要なサービスは受けられません。限度額を超えれば全額自己負担になります。介護保険は、その人に必要な介護サービスを提供できない、抑制してしまっている制度上の欠陥があります。住み慣れた地域で元気に過ごしたいという利用者、家族のためにどういう支援が必要だろうか。  介護保険よりいち早く在宅福祉に力を入れている長野県泰阜村在宅福祉の事業を紹介したいと思います。泰阜村は人口1,622人、うち高齢者は村の4割になると言われています。1975年から在宅福祉に力を入れ、泰阜村在宅福祉事業の理念として、社会の発展、村の発展に尽くした高齢者に幸せな老後と最期を提供するのは行政の責任、使命、村の責任であるとし、高齢者福祉の中心に在宅福祉という考え方を据えております。1984年から村独自の在宅事業が開始をされ、当時、無料で訪問ヘルパーサービスなどが提供されていました。しかし、2000年から介護保険制度が始まり、利用者の自己負担、また限度額という仕組みができたことによって、サービスよりも利用料を心配する高齢者が増え、施設志向が強くなる中で、高齢者が村で過ごし続けたいという思いを実現するために、必要なサービスは必要なだけ提供する上乗せ給付という事業が始まりました。  そこで伺います。本市の9期計画の基本理念に誰もが安心と希望をもって歳を重ねられる、未来につながるまちを掲げ、基本理念の実現に向けた施策目標の一つに、住み慣れた地域で、状態に応じた必要な介護サービス等が提供されているとしています。必要なサービスは必要なだけ提供する泰阜村の取組について、市側の所見をお伺いいたします。  次に、介護保険と総合的なまちづくりについてです。改めて、高齢者福祉計画・介護保険事業計画の基本的性格についてですが、老人福祉法と介護保険法に基づく計画です。昨年から共生社会の実現を推進するための認知症基本法も計画に加わりました。ここで考えたいのは、繰り返しになりますが、本計画の誰もが安心と希望をもって歳を重ねられる、未来につながるまちをどう実現していくのか、このことです。老人福祉法の事業は一般会計で行うので、広く事業展開ができます。しかし、介護保険法は特別会計の枠組みでの事業展開にとどまり、どうしても限界があります。また、本計画が掲げる未来につながるまちの実現には、医療、そして介護にとどまらない広い施策展開が求められると思うんです。  そこで、武蔵野市の取組を紹介したいと思います。武蔵野市では、住み慣れた地域で本人の意思に基づいて安心して生活が続けられるような支援に向け、保健、医療、介護、福祉、そして教育など、あらゆる組織や人が連携し、体系的かつ実効性の高い事業を総合的に実施していくために、武蔵野市健康福祉総合計画を上位計画として策定をし、地域福祉計画と高齢者福祉計画・介護保険事業計画、障害者計画・障害福祉計画、健康推進計画を位置づけております。このことによって、分野横断的な課題を重点的に取り組み、抽出し、そして健康福祉分野の施策を総合的に推進できるようになったそうです。また、武蔵野市高齢者福祉総合条例では、市は、高齢者が住み慣れた地域で、安心していきいきと暮らせるまちづくりを推進することを基本理念とし、高齢者福祉の増進を図ることを目的としております。本条例を自治体政策に置き換えますと、高齢者のための住宅や雇用、健康、医療、介護予防や生涯学習や交通体系となります。本条例を策定した背景には、介護保険制度だけでは高齢者の生活の一部しか担えない、高齢者の生活を支える総合的なまちづくりの目標が必要との問題意識があったそうです。また、高齢者に社会の中で安定的に生活していただくため、健康や介護以外の部分では、所得、雇用と社会参加、生きがい対策と住宅という部門でバランスのとれた政策を行う必要があったとのことも伺ったところです。  そこでお聞きします。介護保険の枠にとどまらない総合的なまちづくりの観点は、本市の介護保険施策の視野を広げた取組に寄与できないだろうか。市側の所見をお伺いいたします。  以上で1回目の質問といたします。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 それでは、介護保険に関わる9つの質問にお答えします。  まず、介護サービス提供に関する市の評価と課題についてですが、ここ数年、コロナの影響で利用者がサービスを控えていた状況の中にあっても、介護給付費は9割台半ば以上、地域支援事業もおおむね9割の執行状況であることから、必要な方に必要なサービスを十分提供できていると認識しています。今後の課題につきましては、介護人材の確保や介護保険制度の持続可能性の確保であろうと考えております。  次に、保健者機能強化推進交付金につきましては、各市町村が行う自立支援、重度化防止の取組に関する評価指標の達成状況に応じて交付されるものです。本市では、地域支援事業の保険料負担分に充当しているほか、一部を一般会計の介護予防等に資する事業に充当し、利用者の介護予防に関するサービスの充実に活用しております。  次に、介護給付費準備基金についてですが、第9期計画における保険料の算定につきましては、3年間で必要とされる標準給付費や地域支援事業の事業費を算出した上で、基金を約33億円活用することで保険料の上昇を抑制しています。基金につきましては、保険料の上昇抑制はもとより、計画期間中の臨時の報酬改定や不測の事態に備えるために使うこととしております。  次に、総合事業に対する評価と課題ですが、本市における総合事業は、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう、地域の実情に合わせて多様な担い手による様々なサービスを提供できていると、このように評価しております。第9期計画の期間におきましても、引き続き、リエイブルメントを軸にした自立支援、重度化防止を推進するとともに、人材の裾野を広げていくことも必要であると考えています。  次に、住民主体のサービスの予防効果ですけれども、訪問型は介護保険サービスだけでは対応できない柔軟な支援が可能で、高齢者の望む暮らしを実現するための多様なニーズに対応しており、さらに、支援する側にとっても、地域の中で役割を持って活動することが生きがいとなって、介護予防につながると考えております。また、通所型につきましては、体操や趣味など、講座の内容についてリハビリ専門職が専門性を生かした技術的助言を行い、介護予防効果の向上に取り組み、体力測定、アンケートでは、身体機能の向上や社会参加の促進につながるとの結果が出ています。  次に、適切なサービス提供についてですが、本市では、要介護状態になっても住民も含めた多様な主体で高齢者の暮らしを支えられるよう、一つの選択肢として総合事業も利用できる体制を整えています。専門職による介護から住民主体による助け合い、また、自分で取り組む介護予防まで、ひとりひとりの望む暮らしを尊重しながら、豊かな日常生活が継続できることを目標に、総合事業の各取組のさらなる充実を図ってまいります。  人材確保に関する本市独自の取組ですが、総合的な介護人材対策を第9期計画の施策をまたぐ重要テーマに位置づけまして、介護事業所の経営課題解決に向けた伴走支援や資格取得支援など、人材確保と生産性向上を両輪とした取組を精力的に進めてまいります。  次に、限度額の上乗せ支給につきましては、介護保険は、真に必要なサービスを総合的、一体的に提供することで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを基本理念としており、その費用については公平に負担する制度になっております。法で定められた限度額を超えた給付につきましては、応能負担や現役世代との負担のバランスなど、制度の持続可能性を確保するという観点から、利用者による負担が適切であると考えております。  最後に、高齢者の生活を支える総合的なまちづくりについてですが、八王子市では、最上位計画である八王子未来デザイン2040にひもづく分野別の計画としまして高齢者計画・第9期介護保険事業計画を位置づけております。その上位計画となる地域福祉計画のほか、障害者計画、地域医療計画、都市計画マスタープランなど、様々な分野別の計画と理念や施策の調和を保ち、密接に連携を図っております。この仕組みによりまして、高齢者を支える総合的なまちづくりを進めることができると考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第28番、市川克宏議員。                    〔28番議員登壇〕 ◎【28番市川克宏議員】 それでは、2回目の質問を行います。  衆議院厚生労働委員会は今月5日、介護・障害福祉作業所の処遇改善に関する決議を全会一致で議決しました。4月実施の介護報酬改定で訪問費が引き下げられたことに対し、引下げ撤回と報酬再改定を求める運動が広がり、異例の決議となりました。決議では、介護・障害福祉従事者は重要な職責を担っていると指摘し、他の産業の給与水準と比べて低い状況だとして、優れた人材の確保、サービス提供体制を整備するため、報酬改定などの影響について、介護事業者等の意見を聞き、速やかで十分な検証を行うとしています。また、賃金などの処遇改善に資する施策を検討し、必要があると認めるときは必要な措置を講ずるべきだと政府に求めております。このことは、訪問介護事業者の4割近くが赤字の中、報酬を引き下げれば経営が立ち行かない、事業者や利用者からの不満と改善を求める声であります。こうした情勢の下、本市の介護保険施策を考えてみたいと思います。  初めに、特別会計から見る本市の介護保険についてです。介護保険制度は、介護の社会化を掲げながらも、利用者負担、保険給付の上限設定をはじめ、必要なサービスが受けられない仕組みがあり、3年ごとの見直しでさらに制度が使いづらく、利用者、事業者への負担が重くなっています。現在の執行状況でおおむね必要なサービス提供ができているとの評価でありますが、2023年度の市政世論調査においても、高齢者福祉、介護サービスに力を入れてほしいと望む声が5年連続1位であることからも、市民、そして利用者の実感として、現在の介護サービスのさらなる充実を求めていること、制度の限界へいかにして地元自治体で取り組んでいくのか、利用者、事業者、そして住民の協働で図っていただくことを求めるものであります。  保険者機能強化推進交付金等インセンティブ交付金導入の経緯ですが、2017年6月9日に閣議決定された骨太方針、経済財政運営と改革の基本方針にも、インセンティブ交付金、保険者機能強化推進交付金は以下のように記されていました。保険者機能の強化に向けた財政的インセンティブの付与の在り方について、地方関係者等の意見を踏まえつつ、改正介護保険法に盛り込まれた交付金の在り方を検討し、早期に具体化を図るなど、自立支援、重度化防止に向けた取組を促進する、つまり自立支援、重度化防止がこの交付金の目的と改めて強調し、インセンティブの導入にも触れているわけです。また、それぞれの交付金に係る評価指標では、基準を緩和した介護予防、生活支援サービスの推進や、高齢者の就労活動への促進を促す指標など、介護保険にかかる費用の抑制を促し、財政的インセンティブによって自治体独自の施策展開に支障を来すものであると考えます。  本市は、地域支援事業の保険料負担分へ充当しているほか、一般会計の介護予防等に資する事業に充当し、利用者の介護予防に関する取組の推進を図るとしていますが、介護予防に絞られ、取組が欠如しているのではないか、このことを申し上げたいと思います。住み慣れた地域で元気に過ごしたいという思いを実現するために、医療と介護へ取り組むとともに、地域の介護保険事業の質向上に資する活用を求めたい、このように思います。  総合事業は、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるために、多様な担い手による様々なサービスを提供するとの市の見解でありますが、制度設計からして、従来の介護給付を削減すること、財源補填を主な目的としていることに最大の問題があります。介護給付を受けないように努力するのは利用者の考えであって目標であり、自治体や保険制度の目標ではあってはならないと考えます。介護保険制度の原則は、介護が必要な人は適切な給付が受けられる制度だからです。利用者が何を望んでいるのか、そのためにどのようなアプローチで実施をすべきか、自治体が市民、利用者に対して直接的に健康であることを強要し、要介護度の改善を義務づけることは、できるものではありません。事業を進めるに当たって、利用者にとって安心と希望を持って未来につながる介護事業に取り組んでいただきたいと思います。  次に、介護人材についてです。財務省のレポートでも、介護系の職種及び保育士の所定内給与の水準は産業系よりも相当低いとしています。介護人材の不足の原因はこのことからも明白です。今年度から東京都は、介護職員の処遇改善事業として、居住費の高さなど、東京都独自の実情を鑑み、介護業界からの人材流出に歯止めをかけるために、国の見直しが講じられるまでと限定ではありますが、介護職員に対し月1万円の支援を行う介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業を始めました。介護職員への直接的な支援は、行政の視点で欠かせないものとなっています。介護現場を持続可能にするには、やはり介護の現場の賃金、労働条件の引上げです。同時に、利用者への負担増、保険料の上昇に連動させることとならないよう、現在の介護保険給付の25%にとどまっている国庫負担割合を50%に引き上げることも必要であります。  国は介護人材の確保を強調していますが、その内容は、ボランティアや無資格者などに依拠し、給付を削減し、人材不足を補おうというものです。こうしたやり方では、介護の質や利用者の尊厳を守ることに逆行し、介護労働者の処遇改善の足を引っ張るものと考えます。介護労働の専門性を確保し、介護職の社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善が図られてこそ、介護分野への入職意識も高まり、人材確保も前進します。本市においては、現在の総合事業における生活援助への加算にとどまらず、本市独自に介護従事者を支える真剣な議論と対策も講じていただくことを求めたいと思います。  次に、介護保険限度額を超えた在宅ケアの提供についてです。本市の限度額を超えるサービス給付事例はないとは聞いておりますが、介護保険制度の実施主体である本市が、限度額を超えた場合における介護サービス、在宅ケアを9期計画の具現化として、限度額の上乗せ支給を一般財源の活用で実行が可能であると考えるものです。限度額を超えた給付について、持続可能な財政運営を行うに当たり、法定限度額内の給付で行うべきであり、超えた分は自己負担とすべきとの考えが示されました。市が考える持続可能とは介護保険制度の持続可能であり、利用者へのサービス提供、誰もが安心と希望を持って年を重ねられる本市の基本理念を持続的に行うものではないと思うんです。制度に利用者を当てはめる考えで9期計画の理念や目標は実現できないことを申し上げたいと思います。  介護事業者等で多くの読者を持つシルバー新報の座談会では、元泰阜村村長の松島貞治氏は、介護保険制度でカバーできるのは50%程度、あとは何ができるかを常に念頭に置いてきたと述べています。私はこの発言に感銘を受けました。もちろん制度の責任は国にあるでしょう。しかし、制度の不十分さを認識し、その上で自治体で何ができるか、地域からの変革こそ、今の地方自治に求められる政策展開だということを申し上げたいんです。  介護保険と総合的なまちづくりについてですが、八王子未来デザイン2040をはじめ、地域福祉計画など、本市の様々な分野別計画と理念や施策の調和を保ち、高齢者の生活を支えるという考えです。しかし、今回の質問のテーマでもございますが、介護保険の歴史、実践を通じて、介護保険制度だけではやはり高齢者の生活の一部しか担えないんです。だからこそ、介護保険の枠にとどまらない総合的な、そしてまちづくりの視点を求めたいし、また、介護保険制度でカバーできない部分を本自治体で何ができるかを常に念頭に置いて、やはり八王子ならではの介護保険施策を改めて求めたいんです。  この質問の最後に伺います。国の介護保険制度の限界と問題は明らかです。また、ますますその弊害が顕著化している中、本市ならではの保険者としての機能と役割が問われているのではないかと思うんです。今後、地域から、介護保険施策の展開は、利用者、住民、そして事業者と共に本市が力を合わせた地域支援事業の展開を図るとともに、繰り返しになりますが、地元、この八王子ならではの特色ある介護保険施策の展開を期待したいと考えています。誰もが安心と希望を持って未来につながる本市のまちづくりに当たって、理事者の御見解を伺い、私の一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 植原副市長。                    〔副市長登壇〕 ◎【植原康浩副市長】 八王子市の特色ある介護保険施策の展開についてお答えいたします。  高齢者計画・第9期介護保険事業計画では、市民や専門職、企業など様々な主体との連携により、ひとりひとりの望む暮らしを支えるとともに、八王子ならではの総合的な介護人材対策や、介護の認定、給付の適正化などの施策を推進することとしております。それらに取り組むことで、計画の基本理念である誰もが安心と希望をもって年を重ねられる、未来につながるまちの実現を目指してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第28番、市川克宏議員の質問は終了しました。  次は、第34番、久保井博美議員。                    〔34番議員登壇〕 ◎【34番久保井博美議員】 市議会公明党、久保井博美でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  まず、市営住宅管理について伺います。  令和6年元日に起こった能登半島地震の影響で石川県内でお亡くなりになった方の人数は、6月1日の時点で245人、災害関連死を除くと230人と報道されています。その死因で最も多かったのは、倒壊した建物の下敷きになったことなどによる圧死で、全体の約4割、次いで窒息や呼吸不全が約2割とのことでした。国の建築基準法で定められた旧耐震基準が建築確認に適用されていた昭和56年5月31日以前に建てられた住宅の比率は、石川県珠洲市が65%で全国で一番高く、能登町は61%で2番目でした。さらに、過疎地では高齢化のため耐震率が低く、平成30年時点で全国の住宅耐震化率約87%に対して、能登半島地震の被災地の住宅耐震化率は約5割にとどまっていたということが被害を大きくした原因となってしまいました。  さて、昨年の第2回定例会で私は市営住宅の管理運営について質問をさせていただきました。本市の市営住宅は旧耐震基準で建てられたものも多く、特に市営長房団地はその老朽化が顕著であり、早急に管理計画の見直しと具体的な対策を進めていただくよう市に求めてまいりました。現在も地元の住民からは、団地全体が暗い、物騒だ、建物が古くて床がへこんでいる、ネズミが出る、空き室に不法投棄が絶えないなど不安の声とともに、住民は減っていくのだから治安は悪くなる一方だ、私たちは一体どうなるのかと切実な訴えが寄せられています。  そこでまず、市営長房団地の管理の現状と課題についてお伺いします。  本市の市営住宅整備・管理計画によりますと、市営長房団地には、今後入居募集を行わない団地があります。耐用年数が満了になっており、老朽化が進み、用途廃止あるいは再整備の対象になっている住宅です。市営長房団地の今後入居募集を行わない住宅の入居状況を伺います。  今後入居の募集をしないことが決まっている団地は昭和30年代に建てられたもので、築60年以上です。住んでいる方の暮らしの安全安心が十分確保されているとは言えません。建物の耐震性はもちろんのこと、住人が減っていくことにより治安が悪化していくという面からも、一刻も早く安心できる安全な住宅を確保しなければなりません。長房団地管理における市のこれまでの取組について伺います。  次に、ビジネスケアラー支援についての質問に移ります。  今、家族の介護をしながら働くビジネスケアラーが増加しています。2025年には団塊の世代の方々が全て75歳以上の後期高齢者に到達し、親の介護というリスクを抱える働き手が急拡大している背景があるからです。総務省によりますと、2030年には、全国で家族を介護する833万人のうち、約4割に当たる318万人が仕事をしながら家族等の介護をするビジネスケアラーになると予測しています。それに伴い、1年間で介護のために離職した人の数も増えてきています。2022年にはその5年前より7,000人増え、全国で10万6,000人に上ったと公表されています。老いていく親を自分の手で介護したい、介護は自分で行うものであるとの考え方は、まだまだ多いのが現状です。介護離職者の年齢は、最も多いのは60歳代前半ですが、働き盛りの40歳代で約1万7,000人、50歳代は約3万4,000人を超えていると言われています。  介護離職はどのようなことをもたらすでしょうか。介護が始まると、介護保険サービス利用料や医療費や通院費、おむつ代や、場合によっては介護食など、ある程度の費用がかかってきます。その上で会社の収入がなくなるということは、家計がさらに厳しい状態になります。給料収入がなくなり、一生涯の収入が減ることになりますので、退職金や年金にも影響します。キャリアが途絶え、再就職が難しくなります。社会とのつながりがなくなり、介護者との距離が近くなり過ぎます。これは、社会から孤立してしまうことにつながり、介護鬱状態や虐待が起こりやすい状況になってしまいます。また、50代、60代の働き盛りの重要なポストで働く社員の離職は、会社にとっても大きな痛手となります。介護離職の問題は、本人がどのように仕事と介護を両立していくかという個人の問題ではとどまらず、企業や国全体で取り組まなければいけない社会問題になっています。  離職を防ぎ、仕事と介護を両立するための支援制度は育児・介護休業法で定められています。対象の家族1人につき年間最大93日間取得でき、その期間、賃金の3分の2ほどの介護休業給付が支給される介護休業や、対象の家族1人につき年間5日間、時間単位でも取得できる介護休暇のほか、短時間勤務や残業免除の制度があります。公明党はこれまでも国会質問などを通じて仕事と介護の両立支援に取り組んできました。介護休業の取得率が低いことや、介護の相談窓口を知らない人が多いことを指摘し、情報の周知啓発や企業への支援を進めるべきなどと主張。こうした訴えを受け、介護離職防止に向けた法改正がされながら制度の充実が進んでまいりました。しかし、総務省によりますと、2022年の調査で、介護をしながら働く人のうち、介護休業や介護休暇を利用した人は11.5%にとどまっているとのことで、介護を理由に離職をする人も増加傾向にあるという事実は先ほど申し上げたとおりでございます。  では、本市におけるビジネスケアラーの現状はどうでしょうか。まずは、身近な本市の職員の現状に着目したいと思います。事前に、本市における介護休暇等の制度を利用している職員の方はどれくらいいるのか、近年の動向を伺いました。本市職員数として公表されている正規職員は令和5年で2,911人、そのうち実際に介護をしている職員の数は正確には把握されていないため、介護をしている職員に対する制度の利用率については正確には分からないということでしたが、本市では、短期の介護休暇、介護休暇や介護時間、これら3つの制度を利用している職員の方は令和5年度では合計170人であり、令和4年度に比べて2割ほど増えているとのことでした。気になりますのは、介護の制度は利用していないけれども実は介護をしている家族がいるビジネスケアラーや、現在、家族の介護までは至っていないけれども高齢の家族を抱えているビジネスケアラー予備軍などの存在です。  ここで伺います。介護休暇等の制度利用者以外で家族の介護をしながら働いている職員についてはどのように把握をされているのか伺います。  また、本市では現在、仕事と介護の両立支援に関する取組について、どのように行っておられるのか伺います。  ここまでを一括質問とし、以降、一問一答で質問してまいります。                  〔34番議員発言席へ移動〕 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 3点の御質問をいただきましたので、順次お答えいたします。  まず、市営長房団地の現状と課題についてですが、現在、長房第一団地と第二団地には低層住宅43棟、中高層住宅7棟があり、合計で382戸を管理しており、入居者数は268世帯、412人となっております。課題としましては、施設の老朽化や入居者の高齢化、コミュニティの希薄化などがあるものと認識しております。  次に、今後入居募集を行わない住宅への入居状況についてですが、長房団地第一団地・第二団地の中で今後入居募集を行わない住居戸数は43棟232戸あり、現在、148世帯、222名の方がお住まいになっています。  次に、長房団地におけるこれまでの取組についてですが、施設管理の面では、長房団地の中高層住宅の外壁改修や受水槽改修を行うなど、適切な維持管理を図っております。また、入居管理の面では、令和5年度に長房団地に居住されている方に対してアンケート調査を実施し、居住環境に対する考え方等の把握を行ったところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 2点の御質問にお答えいたします。  まず、家族の介護をしながら働いている職員についてですが、令和5年度に正規職員を対象にアンケート調査をした結果からは、「日常的に介護をする状況にある」が3.8%、「日常的ではないが介護をサポートする状況にある」が14.8%という回答結果であることから、およそ2割の職員が介護に関わっているものと認識しております。  次に、本市職員に対する仕事と介護の両立支援についてですが、介護休暇などの制度を整えるとともに、その休暇の手引を職員がいつでも確認できるよう、職員ポータル上でデータで公開しております。また、制度を利用しやすくするために作成した周知用のチラシを窓口で配布しているほか、電話などによる問合せ内容に応じて制度の説明を行っております。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 種々御答弁ありがとうございました。市営長房団地において、全体で382戸を管理されており、268世帯、412人が入居されている。課題は、施設の老朽化、入居者の高齢化とコミュニティの希薄化とのことでございます。実際に地元町会長さんにお伺いしたところ、その高齢化は大変深刻です。70歳以上の方で7割を占めており、独居の方も多い。自治会の活動もだんだんとできなくなっているため、防災や防犯における大きな不安を抱えているとおっしゃっていました。また、全体の約半分以上の222名、148世帯もの方が、今後入居募集をしない棟にお住まいとのことです。安心できる住宅確保に早急に取り組まなければなりません。御高齢者がほとんどなので、時期が遅くなればなるほど、転居をする体力も低下していきます。  そこで、昨年度、本市は入居者の意向を把握するアンケートを郵送し、調査が行われました。市営長房団地の住民に対して実施されたアンケートの目的と内容について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 アンケートは、令和8年度に改定する市営住宅整備・管理計画の基礎資料とするもので、建築から50年以上が経過し、老朽化した市営住宅に居住する住民の意向調査を目的としたものです。内容としましては、移転に関する意見、移転希望先の団地などの項目について調査を行ったところです。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 では、その住民アンケートの結果について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 移転に関する設問では、長房団地の住民の方の約81%が引き続き住み続けたいと回答しており、その主な理由は、高齢など身体的に負担、利便性がよい、家賃が安いといったものでした。また、移転希望先の団地に関する設問では、元本郷団地を希望される方が最も多く、次いで泉町団地という結果となっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 8割もの方がここに住み続けたいという結果に、正直驚きました。建物の老朽化や治安の悪さなど様々な不安な状況を抱えていても、それでも住み慣れたこの地域を離れることの不安、引っ越すことの大変さのほうが勝っており、住み続けたいという方がほとんどという結果です。  では、住民アンケートの結果を踏まえた課題についてどのように捉えておられるか伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 市として安全で安心な生活環境を提供するためには、老朽化する団地から移転していただく必要性も感じているところですが、多くの住民の方が引き続き住み続けたいとの意見であったことから、現在居住する方の状況や意向を踏まえた丁寧な対応が検討課題であることを改めて認識したところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員
    ◎【34番久保井博美議員】 安全で安心な生活環境を提供するため、老朽化している団地から移転していただく必要性を感じておられるのであれば、今回のアンケートの結果で見えてきた住民の皆さんの移転に当たっての不安要素を払拭していく対策を早急に打ち出し、皆さんに示して、安心して移転できるよう促していただきたいと思います。  長房団地における今後の取組の方向性について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 現行の市営住宅整備・管理計画では、長房第1団地・第2団地を新たな手法による再整備とするものと位置づけており、令和8年度に改定する計画において、公営住宅需要世帯数の推計などを基に、長房団地全体の今後の具体的な取組について方向性を定めていきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 まずは全体的な市営住宅管理計画の方向性を示していただきました。さらに、具体的な取組についてはどのようにお考えでしょうか。例えば、移転先の選択肢として都営長房団地を加えられないでしょうか。今回の住民アンケートで示された移転先の候補は5つ。1、市内の他の市営住宅9ヵ所。2、市内の借り上げ市営住宅、これは、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅として貸し出す住宅ですが、現在は市内にはまだ確保されておりません。3、今の市営住宅が建て替えられたら住み替える。4、自ら民間住宅を探して退去する。5、その他という選択肢になっていました。  長房地域には市営団地の近くに大規模な都営住宅があります。都営長房団地です。ここなら、住み慣れた長房地域にそのままいることができます。近くへの移転であれば、引っ越し自体の負担も軽くなります。全棟エレベーターつきの住宅で、団地内には多くの方が歩いていける商業施設もあります。路線バスも通っていて、利便性は悪くありません。もちろん公営住宅ですので家賃の心配もありません。今、市営住宅に住み続けたいとおっしゃっている方々も、長房の都営に移れるのならと安心することができ、移転することを前向きに考えていただけるのではないでしょうか。ぜひ市営住宅における用途廃止住宅解消のための受皿として、都営団地に優先的に入居できる仕組みを確保できるように東京都に働きかけ、協力を求めていただきたいと思います。市営住宅整備・管理計画における用途廃止や再整備住宅の今後の取組について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 用途廃止や再整備を進める上では、アンケート結果を踏まえ、移転先として家賃が同程度であることや利便性にも配慮することなど、居住する方にとって経済的、体力的にできるだけ負担の少ない住宅の確保に取り組んでいきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 都営長房団地は、南団地のほうに令和6年度、今年度着工予定で、あと2棟、161戸建設されるという情報も入っております。実は、私たち家族も都営団地の建て替えに伴い転居した経験があります。築40年が過ぎた老朽化した建物から安心して安全な住宅に移ることができることに、希望に胸を膨らませて引っ越しの準備をした記憶がございます。長房団地以外の他の地域も含め、用途廃止、再整備の住宅が解消するように、今後、安全に住み続けることができる転居先を確保し、さらには、引っ越しの手法や費用についても安心して移転することができるよう対策を進めていただき、市営住宅の住民の皆様が希望を持てるような支援をお願いしたいと思います。  最後に、本市の市営住宅管理計画の見直しを含めた今後の取組について、市民の財産と命を守り、暮らしの安心安全を確保するため、市民に寄り添いながら市営住宅環境の整備を早急に進めていただきたいと思います。市の御決意を中邑副市長に伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 中邑副市長。 ◎【中邑仁志副市長】 ここ数年、社会環境の変化によって、住宅を取り巻く状況というのも大きく変わってきているものと認識してございます。市営住宅整備・管理計画の改定に当たりましては、施設の長寿命化や環境配慮、居住環境の向上による既存ストックの活用をはじめとして、民間賃貸住宅による公営住宅の機能補完、こういったものも含めた幅広い視点を持った上で、住宅に困窮する市民の方に健康で安心して暮らしていただけるよう見直しを図るとともに、計画に掲げる施策の早期実現を目指してまいりたいと考えてございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 ぜひよろしくお願いいたします。  続きまして、ビジネスケアラー支援について伺います。  本市は、制度を利用していない職員も含め、介護状況を問うアンケートを実施したとのことでした。では、この職員の介護状況を把握するためのアンケートの結果と評価について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 アンケート結果では、介護に関する休暇制度について、知らない、詳しく内容は知らないと回答した職員は6割以上であり、また、その理由として、7割以上が介護する状況にないためと回答しております。一方で、介護することが急に起こったため制度について十分に調べる時間がなかったとの回答もあったことから、介護に直面する前の段階から制度について知ってもらうことが必要であると考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 今の自分には関係ないと思っていても、突然介護に直面する場合もあります。今お答えいただいたように、そうなる前に、介護に関する知識や仕事と介護の両立のための制度が知識として全ての職員の方に伝わっていることは非常に大切です。先ほどの御答弁では、現在、市の職員が仕事と介護を両立するための支援として介護休暇などの制度を整えており、その手引を職員がいつでも見ることができるようデータで公開している、また、チラシを作成し窓口で配布したり、電話などでの問合せがあれば制度についての説明を行っているとのことでしたが、アンケート結果からも、より積極的な形で介護の情報を周知すべきではないでしょうか。  2025年、育児・介護休業法が改正されます。40歳となった従業員に介護休業などの両立支援制度を周知するよう、事業主に義務づけられることになります。また、従業員が家族の介護に直面した際には、個別に制度利用の意向確認なども行わなければなりません。介護に直面していない職員にももっと積極的に介護制度等について周知をしていただきたいと思いますが、今後の取組を伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 制度について理解している職員が増えることは取得促進にもつながると考えられることから、令和7年4月1日に施行される改正育児・介護休業法の趣旨も踏まえ、介護に直面する前の早い段階で両立支援制度等に関する情報提供に努めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 介護に直面する前の段階でというところが非常に重要なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。  さて、11月11日は何の日か御存じでしょうか。2008年、厚生労働省より発表された介護の日です。これは、介護について理解と認識を深め、介護従事者、それらを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進する観点から、高齢者や障害者に対する介護に関し、国民への啓発を重点的に実施するための日とされています。本市でも、介護の日を中心に、介護予防や介護制度についての周知啓発イベントなどを市民向けに行っています。例えば、この介護の日に合わせて介護離職防止のための支援制度に関するチラシを全職員の方に配るなど、本市の職員に向けての啓発を行ってはいかがでしょうか。今後、法改正のことも踏まえて、今、介護が必要でない職員の方へも積極的な周知をよろしくお願いいたします。  本市は、福祉部高齢者福祉課主催の仕事と介護の両立のためのセミナー・相談会を2年前から開催されています。まず、仕事と介護の両立のためのセミナー・相談会の目的とこれまでの取組内容について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 まず、事業の目的でございますけれども、家族介護者支援といたしまして、高齢者あんしん相談センターが介護離職予防の相談窓口であることの周知の一環といたしまして行っております。また、これまでの取組ですが、社会保険労務士によるセミナーや、高齢者あんしん相談センター職員などによる個別相談会も行っております。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 では、このセミナー・相談会の参加者数の実績と参加者のお声を伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 令和4年度には2回開催いたしまして、34名の方に参加いただきました。令和5年度は2回の開催で、25名の方に御参加いただいています。参加者の方からは、セミナーと個別相談の両方があってよかったですとか、相談会の助言がとても力になったといった感想をお寄せいただいたところです。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 私も昨年の7月にこのセミナーのほうに参加させていただきました。社会保険労務士の先生が、基本的な介護保険サービスの仕組みと、仕事と介護の両立のための休業制度などを事例を交えて分かりやすく解説しておられ、その後、質疑応答の時間がありました。そして、第2部として、個別の相談会では、参加者が高齢者あんしん相談センターの職員の方に直接相談されていました。大変意義あるセミナーなのですが、1回の開催で20人という定員に対して、参加者が定員に達していたのは初めの開催だけでした。内容がとてもいいものなので、もう少し広く多くの方が参加できるような工夫をしていただきたいと感じます。このセミナー、相談会の開催のお知らせはどのように行っておられますでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 市の広報やホームページ、チラシによる周知のほか、LINE、フェイスブック、エックスといったSNSを活用した情報発信、それから、介護事業者専用の情報発信サイトでありますケア倶楽部への掲載により周知を行っているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 市の広報紙やSNSなど、広く市民にお知らせいただいているとのことですが、介護離職を防止するためのセミナーですので、もう少し労働者に向けてしっかりと発信していただくことがさらに必要ではないでしょうか。例えば商工会議所やハローワークなど、多く労働者が集まりやすいところへもポスターの掲示などの協力を求めるなど、周知に努めていただきたいと思います。  今、介護を必要とする家族がいないという人へも、いざそのときが来たとき、どこへ相談に行けばいいのかを知っておいていただくことが大変重要です。より多くのビジネスケアラーにあんしん相談センターの認知度を向上させるための今後の取組について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 まずは、高齢者あんしん相談センターがビジネスケアラーの相談窓口であるということをより多くの方に知ってもらう必要があると思っております。そのためには、先ほど来の周知方法はもとより、民間企業から協力をいただくなど、これまでの仕組みにとらわれない情報発信の工夫をしまして、認知度を高めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 働いている方がより多く、介護離職を防ぐために必要な介護の知識を得られるよう、引き続きお願いいたします。  では、市内の企業で働くビジネスケアラーへの支援についてお伺いしていきます。まず、市内の事業者に対する仕事と介護の両立支援に関する現在の取組について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 例えば東京都労働相談情報センターが主催する労働セミナーについて、事業者への周知や、また、本市のホームページで介護休業、介護休暇などの諸制度について情報を提供しているところでございます。また、仕事と家庭の両立応援就職面接会をハローワーク八王子と共催し、仕事と介護の両立を支援しているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 仕事と家庭の両立応援就職面接会をハローワーク八王子と共催で行っておられるということですけれども、これは働く人にとっては大変意義のある就職面接会だと思います。しかし、あくまでも、協力してくださる事業者は既に仕事と育児や介護の両立に理解があり、既にそのための支援制度を取り入れていると思われる企業です。このような企業が今後さらに増えていくことが望ましいのですが、現状はどうでしょうか。全ての企業の状況を把握することは難しいかもしれませんが、企業の介護離職防止の取組について、現状を調査してみてはいかがでしょうか。実態調査を行うこと自体が企業に対して仕事と介護の両立支援について知っていただく機会になるとも考えられます。事業者の仕事と介護の両立に関する取組状況について、実態調査の実施についてのお考えを伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 厚生労働省が令和3年度に国内企業に対して行ったアンケート調査、令和3年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業など、既に国内企業において実施した先行調査研究がありますので、今のところ市内企業の状況を把握する上で参考としているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 国のアンケート調査を参考にされているということですが、この厚生労働省のアンケート調査は、従業員数51人以上の法人格を有する民間企業のうち、従業員規模別に割りつけて無作為に抽出された5,000社を対象としています。この調査結果によると、会社の規模が小さいほど仕事と介護の両立制度の必要性を感じていないということが読み取れます。本市は中小企業が多いということから、これらの介護にまつわる制度の周知が企業に行き渡っていない可能性が高いという認識を持つ必要があると思います。  今年3月、経済産業省は、仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインをホームページに公表しています。経済産業省が出しているこのガイドラインを活用することは、市内の企業において介護の制度を周知する上で有効になると思いますが、市としての活用について伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 事業者が従業員の仕事と介護の両立を支援するために取り組むべき事項や背景が示された指針として捉えております。本市としても、経営層に向けて、このガイドラインの活用を積極的に促すことで、企業活動の充実や安定的な人材確保を図っていただくよう、市内の経済団体とも連携し、周知を進めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 ところが、このガイドラインは31ページに及ぶかなりしっかりした内容になっています。ガイドラインを活用してくださいと事業者に促すだけでは、事業者によっては負担を感じる場合もあるのではないかと懸念されます。大成建設という会社は、社員向けに、介護にまつわる情報の冊子とともに、仕事と介護の両立相談シートを作成しています。見開きの左側で休暇、休業や勤務の制度を紹介、右側に社員が働き方や介護への考えを記入できる欄を設け、そのままケアマネジャーに渡せるようになっています。ガイドラインの活用や来年法律で義務づけられる従業員への介護制度などの周知を事業者に任せるだけでなく、例えば先ほどの本市が行っている仕事と介護の両立のためのセミナー・相談会のチラシを配布し、周知したり、家族の介護について相談に行くべきかどうか簡単にチェックできるような家族の不安チェックシートを市独自で作成するなど、市として企業の状況に応じて取り組みやすいように事業者を支援していただきたいと思います。  最後に、初宿市長に伺います。介護しながら働く市民を支え、介護離職を出さないために、福祉と産業振興の両面から、これからの取組を強化していただきたいと考えます。市としての御見解をお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 高齢者人口の増加とともに、介護保険制度上の要支援、要介護認定者は増加しており、今後、団塊の世代が後期高齢期に入ることに伴いまして、その傾向は続くことが見込まれております。介護者はとりわけ働き世代で企業の中核を担う労働者であることが多く、企業においても、管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくありません。そうした中、介護は、先ほど議員がおっしゃられたとおり、突然問題が発生することや、介護を行う期間や方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となることもございます。このため、八王子市は、地域住民や福祉の支援機関、事業者など、様々な主体が世代や分野を超えてつながることで、様々な状況の方にとって働きやすく、多様かつ柔軟な働き方ができる地域共生社会の実現に努めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員。 ◎【34番久保井博美議員】 どうぞよろしくお願いいたします。  以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ◎【鈴木玲央議長】 第34番、久保井博美議員の質問は終了しました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 以上で本日の日程は全部終了しました。  次回の本会議は明6月11日午前10時に開きます。ただいま御出席の方々には改めて通知しませんから、御了承願います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 本日はこれで散会いたします。                                     〔午後4時49分散会〕...