令和 1年 9月 定例会(第3回) 令和元年 渋谷区議会会議録 第九号 九月十日(火)出席議員(三十四名) 一番 松本 翔 二番 岡 美千瑠 三番 中村豪志 四番 神薗麻智子 五番 橋本侑樹 六番 中田喬士 七番 小田浩美 八番 金子快之 九番 鈴木建邦 十番 斉藤貴之 十一番 一柳直宏 十二番 近藤順子 十三番 松山克幸 十四番 森田由紀 十五番 田中匠身 十六番 治田 学 十七番 堀切稔仁 十八番 須田 賢 十九番 斎藤竜一 二十番 下嶋倫朗二十一番 久永 薫 二十二番 沢島英隆二十三番 薬丸義人 二十四番 佐藤真理二十五番 吉田佳代子 二十六番 田中正也二十七番 牛尾真己 二十八番 丸山高司二十九番 木村正義 三十番 栗谷順彦三十一番 伊藤毅志 三十二番 岡田麻理三十三番 五十嵐千代子 三十四番 苫 孝二欠席議員(なし
)-----------------------------------出席説明員 区長 長谷部 健 副区長 柳澤信司 副区長 澤田 伸 会計管理者 藤本嘉宏 経営企画部長 星野大作 情報戦略担当部長 松本賢司 総務部長 大澤一雅 財務部長 佐藤哲人 施設整備担当部長 黒柳貴史 危機管理対策部長 山中昌彦 危機管理対策監 吉見 隆 区民部長 菅原幸信 オリンピック・
パラリンピック担当部長 安蔵邦彦 文化・都市交流担当部長 佐藤賢哉 福祉部長 藤野貴久
高齢者政策担当部長 鴨井純子 子ども家庭部長 植竹ゆかり
子ども総合支援センター長 松澤俊郎 健康推進部長 山川博之 都市整備部長 加藤健三
まちづくり推進担当部長 江端治朗 土木部長 齊藤和夫 環境政策部長 北原竜也 教育委員会教育長 豊岡弘敏 教育振興部長 鴨志田暁弘 生涯学習・スポーツ振興部長 木下毅彦
選挙管理委員会委員長 福田昭子
選挙管理委員会事務局長 倉澤和弘 代表監査委員 神田健一 監査委員事務局長
丸山喜弘-----------------------------------事務局職員事務局長 斉藤則行 次長 野島一純議事係長 松嶋博之 議事主査 根岸正宏議事主査 武田真司 議事主査 市川洋子議事主査 杉村洋子 議事主査
井上晴代----------------------------------- 令和元年第三回渋谷区
議会定例会議事日程 令和元年九月十日(火)午後一時開議日程第一 会期決定の件日程第二 同意第四号 渋谷区副区長の選任の同意について日程第三 議案第四十四号 渋谷区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例日程第四 議案第四十五号 会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例日程第五 議案第四十六号 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係条例の整理に関する条例日程第六 議案第四十七号 渋谷区印鑑条例の一部を改正する条例日程第七 議案第五十号
渋谷区立公衆便所条例の一部を改正する等の条例日程第八 議案第四十八号 渋谷区保育料等徴収条例の一部を改正する条例日程第九 議案第四十九号 渋谷区特定教育・保育施設及び
特定地域型保育事業の運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例日程第十 議案第五十一号
渋谷区立幼稚園条例の一部を改正する条例日程第十一 議案第五十二号 渋谷区
幼保一元化施設条例の一部を改正する条例日程第十二 議案第五十三号 幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例日程第十三 議案第五十四号 幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例日程第十四 議案第五十五号 令和元年度渋谷区一般会計補正予算(第二号)日程第十五 議案第五十六号 令和元年度渋谷区
国民健康保険事業会計補正予算(第一号)日程第十六 認定第一号 平成三十年度渋谷区
一般会計歳入歳出決算日程第十七 認定第二号 平成三十年度渋谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算日程第十八 認定第三号 平成三十年度渋谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算日程第十九 認定第四号 平成三十年度渋谷区
後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算日程第二十 議案第五十七号
神南分庁舎跡地複合施設(仮称)
建設電気設備工事請負契約日程第二十一 議案第五十八号
神南分庁舎跡地複合施設(仮称)
建設空気調和設備工事請負契約日程第二十二 報告第九号 健全化判断比率の報告について日程第二十三 報告第十号
株式会社渋谷サービス公社の経営状況の報告について日程第二十四 報告第十一号 渋谷区土地開発公社の経営状況の報告について日程第二十五 報告第十二号 一般財団法人渋谷区観光協会の経営状況の報告について日程第二十六 報告第十三号
株式会社渋谷都市整備公社の経営状況の報告について日程第二十七 報告第十四号 公益財団法人渋谷区美術振興財団の経営状況の報告について
----------------------------------- 開会・開議 午後一時
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○議長(下嶋倫朗) ただいまから令和元年第三回渋谷区議会定例会を開会し、本日の会議を開きます。 この際、会議規則に基づき、五番橋本侑樹議員、二十九番木村正義議員を本日の会議録署名議員に指名いたします。
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○議長(下嶋倫朗) 日程に先立ち、事務局長に諸般の報告をさせます。 〔
斉藤事務局長報告〕----------------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届け出の議員はありません。
----------------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は、次のとおりであります。 長谷部区長、柳澤副区長、澤田副区長、藤本会計管理者、星野経営企画部長、
松本情報戦略担当部長、大澤総務部長、佐藤財務部長、
黒柳施設整備担当部長、
山中危機管理対策部長、
吉見危機管理対策監、菅原区民部長、安蔵オリンピック・
パラリンピック担当部長、佐藤文化・都市交流担当部長、藤野福祉部長、
鴨井高齢者政策担当部長、
植竹子ども家庭部長、
松澤子ども総合支援センター長、山川健康推進部長、加藤都市整備部長、
江端まちづくり推進担当部長、齊藤土木部長、北原環境政策部長、
豊岡教育委員会教育長、
鴨志田教育振興部長、木下生涯学習・スポーツ振興部長、
福田選挙管理委員会委員長、
倉澤選挙管理委員会事務局長、神田代表監査委員、
丸山監査委員事務局長。
----------------------------------- 監査委員から令和元年五月末日現在、六月末日現在及び七月末日現在における例月出納検査の結果について報告がありました。
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○議長(下嶋倫朗) 私からも御報告いたします。 議員派遣の件の一部変更について御報告いたします。 本年六月十九日、第二回定例会において議決されました議員派遣の件の一部につきまして、本職において議決事項の一部を六月二十日及び七月二十四日に変更決定いたしましたことを御報告いたします。
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○議長(下嶋倫朗) 区長から発言の通告がありますので、これを許可いたします。 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 本日ここに令和元年第三回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案について御審議をお願いすることとなりました。 この機会に、当面する区政の課題について御説明申し上げ、区議会及び区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。 今年の夏は、梅雨明けが遅く、夏らしい季節が短かったようにも感じましたが、議員各位におかれましては、それぞれ地域活動や管外視察、選挙など、充実した大変お忙しい夏を過ごされたことと思います。 私は、今年、梅雨明け前の六月末から七月初めにかけて、かねてより招待を受けていた「ニューヨーク・シティ・プライド(NYC Pride)」に、毎年ゴールデンウイークに渋谷で開催されている「東京レインボー・プライド」の主催者の皆様と御一緒に初めて参加してきました。 「ニューヨーク・シティ・プライド」は、世界中のLGBTパレードの始まりと言われており、今年は、そのきっかけとなった「ストーンウォールの暴動」から五十周年という節目の年で、パレード参加者が十五万人、来場者が三百万人という史上最大規模でした。ニューヨークの街はいつにも増して盛り上がりを見せ、街中が
LGBTフレンドリーをあらわすレインボーに彩られていたのが印象的でした。
ニューヨーク市議会を表敬訪問した際には、二年前に本区に来訪された
リッチー・トーレス議員とも再会し、本区のダイバーシティの取り組みに対し、
ニューヨーク市議会から感謝状をいただくというサプライズもありました。 一方、同じく表敬訪問した国連では、「アジアの国々の中でも、日本と中国はLGBTの人権において、なかなか難しい国。渋谷区がLGBTの人権擁護を推進していることに感謝している」との話を伺い、誇らしく思うと同時に複雑な気持ちにもなりました。 また、一九九〇年に、LGBTの人とLGBTをアライする先生たちのグループの活動から始まり、今や全米最大のNGOとなった「グリセン(GLSEN)」に伺った際に、生徒や先生への支援、調査研究など、大変幅広い活動を行っていることを知り、教育分野におけるLGBTの取り組みについては、日本でやるべきことがまだまだ多くあると痛感しました。 今回のニューヨーク視察では、LGBTだけでなく、多様性を包含してまちづくりを推進している様々な団体も訪問しました。 「ハイライン」は、かつて放置され、荒れ果てていた貨物用の引き込み線路でしたが、市民が声を上げたことをきっかけに、最終的にすばらしい緑道公園に再生された、今やニューヨーク市民にも観光客にも愛されている憩いの場です。 ちょうど、笹塚・幡ヶ谷・初台の玉川上水旧水路緑道と同程度の長さでもあり、その建設の知見を、本区が進めている「ササハタハツ」の取り組みに生かすことで、より愛される緑道のビジョンが描けるのではないかと思いました。 また、渋谷でも年末に行っている「
カウントダウンイベント」の大先輩「タイムズスクエアアライアンス」にも行ってきました。 タイムズスクエアが世界的に有名な観光スポットになるまでには、清掃や防犯に地道に取り組んだ後に、歩行者優先の道路整備を行ったという長い苦労の歴史があったそうです。今や人々が安心して集える観光スポットになったタイムズスクエアからは、とても学ぶところが多いと感じました。アライアンスの皆様とも、「何かコラボレーションができたらいいですね」と盛り上がったので、是非とも何か形にできたらと思います。 さらに、ニューヨーク市観光協会は、民間や行政におけるLGBTに係る取り組みのハブの役割を担っており、
ダイバーシティ・アンド・インクルージョンを推進する立て役者であることを知り、彼らの持つプラットホームは、産官学民による社会課題解決を目指す本区にとって、非常に参考になると感じました。 そして、今回、行く先々で、渋谷区が掲げる基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」へ、強い共鳴の言葉をいただきました。それは、ニューヨークの人たちが、自分たちのシティプライドがダイバーシティにあると強く信じていることに由来する共鳴です。
ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの推進を通じて、成熟した国際都市を目指すという私たちのビジョンは間違っていなかったのだという確信を新たにしました。 加えて、お土産に持参した、シブヤフォントのタオルやYOU MAKE
SHIBUYAピンズ、オリパラピンズは、取り組みの背景も含めて大好評でした。 これまで以上に、いろいろな方々と手を携えて、共生社会づくり、まちづくりに取り組んでいこうとの思いを強くしたニューヨーク視察となりました。 次に、ハロウィーン対策についてです。 ここ数年のハロウィーンの時期における渋谷駅周辺地域の騒然たる混乱状況を改善するために、前回の定例会において「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」を上程したところ、多数の賛成を得て、同条例は可決成立しました。 ハロウィーン対策の基本となるのが、条例の骨子である公共の場所における飲酒の制限や各種迷惑行為の禁止、また、事業者に対する酒類の販売自粛の協力要請です。 現在、条例の骨子をどのように周知徹底し、実践するか、さらに、不足しているトイレの確保、ごみ対策、道路開放を含めた交通規制のあり方などについて、地元の商店街や町会、事業者や警察関係者などとの協議を続けており、東京都や民間事業者の協力を求めながら、実効性のある対策を検討し、今年のハロウィーンにおける安全・安心の確保に最善を尽くしてまいります。 次に、スタートアップ・
エコシステム拠点形成についてです。 現在、内閣府などが中心となり、「
スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」が進行中です。これは、簡潔に申し上げますと、自治体、大学、民間企業等がコンソーシアム(協議会等)を組成し、世界の都市に負けない起業しやすい拠点都市の形成を目指すというものです。 内閣府は、このような拠点都市を今年度末には、全国で二、三カ所選定し、制度面・資金面で集中支援するとしています。 本区は国際的にも知名度があり、IT企業が集積し、
スタートアップ企業の支援拠点やコワーキングスペースも数多くあるなど、スタートアップ・エコシステムの拠点都市として、最もふさわしい都市であると言えます。 今後、スタートアップ・エコシステムの拠点都市を目指し、庁内に検討組織を設置し、積極的に取り組んでまいります。 「東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会」まで、いよいよ一年を切りました。大会へ向けた開催準備に当たって、試行とその検証が行われています。選手も大会出場を目指して、合宿や国際大会への出場など準備に余念がありません。 こうした中、区内でも国際大会や「東京二〇二〇大会」のテストイベントが開催されます。十月十六日からは日本を含む世界ランキング上位八カ国による「
車いすラグビーワールドチャレンジ二〇一九」が東京体育館で、十一月十三日からは「
JAPANパラバドミントン国際大会二〇一九」が国立代々木競技場で開催されます。 両大会では、区民観戦や学校観戦を予定しています。来年の本大会を前に、世界トップレベルの選手のプレーを間近で観戦し、大きな声援を送っていただき「応援する文化」が根づくことを願っています。 次に、幼児教育・保育の無償化についてです。 本区は、これまで子育て世代の経済的な負担軽減のため、保育料の軽減並びに認証保育所の保育料の補助及び認可外保育施設の保育料の補助など、様々な施策に先駆的に取り組んでまいりました。本年十月から、幼児教育・保育の無償化が実施されますが、今後も国や東京都の施策との整合性を図りつつ、子育て世代の経済的な負担軽減に取り組んでまいります。 また、幼児教育・保育の無償化の実施に伴い、新たに手続が必要となる方もいらっしゃいますので、区ホームページなどや、利用されている各施設を通じて丁寧に周知を図ってまいります。 次に、「
新島青少年センター」についてです。 管外にある青少年施設として、長年区民に利用されている「
新島青少年センター」は、昭和四十五年の開設から来年で五十年を迎えます。これまで多くの青少年団体や御家族が宿泊利用し、東京都でありながらも離島ならではの自然体験ができる施設として多くの区民に愛されてきました。 しかし、築五十年を迎える当施設は、施設の老朽化や設備不足など、御利用される方に不便を感じさせる部分もあり、さらに、今年度末をもって土地賃貸借契約も満了を迎えます。 本区といたしましては、近年の利用状況から区民ニーズが十分にあること、また、これまでの新島村との交流を鑑み、土地の賃貸借契約を更新した上で、施設の建替えを含め、青少年施設としてのあり方を検討してまいります。 なお、今回の台風十五号により、宿泊棟の一部に甚大な被害があり、当面の営業に大きな支障が出ています。このことには、迅速な対応策を検討してまいります。 次に、教育における取り組みです。 まず、本区が進めるICT教育に関してですが、渋谷区教育委員会は、本年六月に区内企業五社と、
プログラミング教育協定を結びました。今後は各社と連携を図り、次年度から小学校で全面実施となる
プログラミング教育の実施に向け、それに係る授業支援やカリキュラム開発などを進めてまいります。また、十一月八日の「渋谷タブレットの日」においても、
プログラミング教育の授業を公開する予定です。 現在、区内の全小中学校は「日本教育工学協会」が実施するICT教育の意図的・計画的な活用を進めている学校を認定する「学校情報化優良校」の取得に向けた取り組みを行っています。既に八校の小中学校が認定を受けていますが、今後、全校での認定を目指し、本区が地域として「
学校情報化先進地域」の指定を受けることを目標としています。 次に、オリンピック・
パラリンピック教育の充実に関する取り組みです。来年の本大会では、区立幼稚園の五歳児、区立小中学校の全児童・生徒がいずれかの競技を観戦する計画を立てており、今月末には、実際に観戦する日程等が決定します。本大会は、海外から多くの来街者が訪れることから、多様性の理解や、おもてなしを考える機会でもあります。 今後は、実際に観戦する競技や参加国について調べたり、まとめたりするなどして、理解をさらに深めていくとともに、区民部と教育委員会が連携し、各小中学校で、横断幕の作成などのシティ・ドレッシングの取り組みを行います。 また、昨年度から始めた「Cheer up(チア・アップ)表彰」にも取り組み、応援することを通して大会や選手を支えていくことにつなげてまいります。 さらに、リアル観戦事業などの機会を利用して「ボランティア精神」の醸成を図り、オリンピック・
パラリンピック教育を一層推進してまいります。 次に、渋谷公会堂についてです。 来る十月十三日に渋谷公会堂は「LINE CUBE SHIBUYA」として新たに開設する運びとなりました。当日は、午前中に開設記念式典を、午後には区内文化団体などによる開設記念イベントを予定しております。 また、開設後は、十月十六日から二十七日までの間で八日間、指定管理者による「こけら落とし公演」が行われるほか、翌月の十一月四日には、
こどもテーブル事業への寄附を目的とした区主催の
チャリティーイベントも予定しております。 今後も、本区の文化・芸術の発信拠点として、区民のみならず多くの皆様から愛されるホールとなるよう、指定管理者とともにしっかりと運営してまいりたいと考えております。 最後に、福祉についてです。 まず「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」についてです。 「シブカツ」は、プレシニア世代から
アクティブシニア世代の区民一人一人の人生を、豊かで充実したものにすることを目的に、七月一日に、渋谷ヒカリエ八階に開設しました。 シブカツの支援の柱は「学ぶ」「はたらく」「つなぐ」の三つです。「学ぶ」の支援では、新たな学びの場である「渋谷ハチコウ大学」の開校に向けて入学生を募集したところ、四百人を超える皆様から入学の申し込みがありました。シニア世代の学びに対する関心の高さがうかがえます。 現段階ではS-SAP協定を締結している八つの大学と二十社の企業との連携により、三十以上の講座がラインアップされており、今後も、
ハチコウ大学入学生の興味や要望に応えられるように、多様な講座を企画してまいります。 「はたらく」では、新たな働き方として、プロボノやクラウドワーキングを紹介するため、関係NPO団体等と協議を続けており、「つなぐ」では、専用のウエブサイトを開設して、社会活動の情報を提供するとともに、区主催のイベントなどの情報を一元化して区民の皆様にお伝えしています。 今後は「渋谷ハチコウ大学」の講座を充実させるとともに、区民が生涯を通じて元気に活躍できるように「はたらく」「つなぐ」の支援についてもあわせて推進してまいります。 続いて、障がい者福祉についてです。 今年は、例年より二カ月早く、九月三日から昨日の九日まで、渋谷ヒカリエを中心に「超福祉展」が開催され、四月の区長選挙で私が掲げた「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ。」を体現する取り組みが紹介されました。 その一つが、十一月にオープンする「
渋谷スクランブルスクエア」内のスーベニアショップにおける渋谷みやげの販売です。 ここでは、日本、東京、渋谷のカルチャーとライフスタイルを体感できる多種多様な商品が展開され、そこに「シブヤフォント」を使ったタオル、Tシャツ、手ぬぐい、ポストカードなどが加わります。 同じく本区独自の取り組みである「超短時間雇用(ショートタイムジョブ)」も、今年の超福祉展で注目を集めました。区内では昨年七月から、既にフラワーショップ、番組制作会社、商店街、公衆浴場などで超短時間雇用が実現しており、区役所内のコンビニエンスストアや飲食店でも、障がいのある人が超短時間雇用で働いています。また、本年四月からは、障がいの異なる六名の方々が、区の臨時職員として、超短時間雇用で資料の丁合い、郵便物の発送、パソコン入力などに従事しています。 こうした法定雇用率の対象とならない週二十時間未満の働き方については、国の研究会で議論が進んでおり、東京都も就労支援条例の制定を検討しています。本区としましては、これらの動向も注視しながら、障がいのある人が多様な働き方のできる先駆的な街として、超短時間雇用の拡大と制度化を目指してまいります。 また、はぁとぴあ原宿の隣接地に建設予定の「(仮称)神宮前三丁目障がい者施設」については、重症心身障がいのある方や、医療的ケアの必要な方も安心してサービスを利用できる施設として、本年四月から六月にかけて、
公募型プロポーザルにより事業運営提案を受け付け、七月に提案採用事業者を決定しました。「恵比寿西二丁目複合施設(仮称)」に続く新たな障がい者施設として、令和五年度の完成を目指しています。 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には条例案十一件、令和元
年度一般会計補正予算案一件、令和元
年度国民健康保険事業会計補正予算案一件、平成三十年度
一般会計歳入歳出決算等四会計の決算審査、契約案件二件、人事案件一件、報告案件六件を御提案しております。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
-----------------------------------
○議長(下嶋倫朗) この際、区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 二番岡 美千瑠議員。
◆二番(岡美千瑠) 渋谷区議会、自由民主党議員団を代表いたしまして、区長、教育長に質問いたします。 その前に一言、申し述べさせていただきます。 去る四月の統一地方選挙において初当選させていただいてから四カ月が過ぎました。本日、渋谷区議会自由民主党議員団を代表してこの場に質問に立たせていただくことに、晴れがましい思いに胸がいっぱいになるとともに、区民の皆様から託された重責に身の引き締まる思いがいたします。 渋谷区が活力にあふれた都市として成長し続けるには、都市間競争を勝ち抜き経済を活性化させることが課題です。 七月に発表された令和元年度年次経済財政報告によりますと、日本のGDPは平成の三十年間で過去最大となる五百五十兆円まで拡大しました。また、有効求人倍率は一・六倍を超えて四十五年ぶりの高水準となり、インバウンドは十倍となっております。 一方、労働力人口の減少と国内需要の縮小は、日本の活発な経済活動を中長期的に低下させると懸念されています。渋谷区の人口も、近い将来減少局面を迎え、本格的な少子高齢、人口減少社会が到来すると言われています。 将来にわたり持続可能な渋谷区を実現するためには、グローバルな視点を確保し、国際競争力を備えることで、活力にあふれ魅力ある渋谷として成長し続けなければなりません。 渋谷をロンドン、パリ、ニューヨークと並ぶ国際都市とするためには、二十三万人の全区民の生活の質をさらに向上させるとともに、少子高齢、人口減少社会の到来後も成熟した都市であり続けるための先駆的な施策を積極的に展開する必要があります。区民ニーズに応え、全ての区民が未来に希望を持ち、生き生きと安心して暮らせるまちを実現することは、渋谷区に求められる使命であると考えます。 このことを踏まえ、以下質問いたします。 初めに、東京二〇二〇年オリンピック・
パラリンピック競技大会について伺います。 東京二〇二〇年オリンピック・
パラリンピック競技大会開催まで十カ月余りとなりました。渋谷区としては、その先のレガシーを見据えた施策を着実に遂行していかなくてはなりません。 この世界が注目している本大会は、開催期間中だけでも多数の外国人が来日し、その多くが本区の観光名所であるスクランブル交差点や明治神宮などを訪れることになります。基本構想の重点項目にもなっている、区民や来街者の安全・安心の確保は、決して本大会に向けたものだけではなく、そのレガシーを継承していくものであると考えます。二〇一二年にオリンピック・パラリンピックが開催されたイギリスのロンドン市では、政府の主導による開催に向けたテロ対策などの防犯対策への取り組みが、その後の治安にも大きく寄与し、市民の安全確保や安心感を向上させ、観光客の増加にもつながっていると仄聞しております。 そこで、本大会に向けた準備の進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。 一点目は、インフラ整備についてです。 今年の夏もうだるような猛暑でした。オリンピック開催期間中の最高気温と平均気温を比較しましたところ、一九六四年五輪東京大会の年の比で平均一度、最高気温比較では二・五度も上昇しております。熱中症で倒れる人も少なくなく、都市の高温化は年々深刻な問題になっております。 本区では現在、環境対策型舗装工事を進めており、神宮前通りでは完成していると承知しておりますが、さらに本区として温度を下げる取り組みが必要に思います。遮熱性舗装の整備とともに、緑陰の活用やミスト噴射機の設置なども効果的かと思いますが、本区独自の取り組みとしてどのような対策を検討しているか、お伺いいたします。 また、公共サインについては渋谷駅や原宿駅、千駄ヶ谷駅周辺地区に百一の公共サインを整備予定であると承知しております。ピクトグラムを活用した見やすい公共サインながら、日本語と英語の二カ国語表示と伺いました。しかし、これでは世界中から訪れる多様な来街者のニーズに応え切れないと考えます。 今後は、現在、設置を進めているものに附属板を加える形で、視覚障がい者のための点字案内板や多言語表示のためのQRコードなどを追加する形であれば、費用を抑えつつニーズに応えた展開が可能かと思いますが、お考えをお聞かせください。 さらに、来街者や体調の悪い人、高齢者がまちを歩いていて困るのはトイレです。本区では「渋谷区トイレ環境整備基本方針」や「
渋谷区立公衆便所条例」に基づき、公衆トイレの整備を進めていることは存じておりますが、渋谷駅周辺などで誰もが使えるきれいなトイレを見つけるのは困難です。 そこで、S-SAP企業に協力いただき、協力いただける店舗にはトイレマークを設置するのはいかがでしょうか。整備費として補助金を支出しても、公衆トイレを整備するより費用も抑えられると思いますが、お考えをお聞かせください。 以上、本区の独自性を持ったインフラ整備の取り組みについて、区長の所見を伺います。 二点目は、観光振興についてです。 本区には多くの観光スポットがあり、本大会はその普及の好機です。渋谷の夜を楽しむナイトエコノミーの活性化や、さらに渋谷を深く知ってもらうための昼や夜のガイドツアーの増設、翻訳アプリの紹介などが必要だと考えます。多様な観光マップを整備していると承知しておりますが、紙のみならずQRコードでの読み込みができると、多言語展開も低コストでできるのではないかと考えますが、区長にお尋ねいたします。 また、海外都市に行ったとき、都市の豊かさと先進性を感じる指標の一つがフリーWi-Fiです。現在、本区ではフリーWi-Fiが三十四カ所設置されていると承知しております。一方、本区設置のもの以外にも、東京都や鉄道会社などの設置する多様なフリーWi-Fiがありますが、規格が統一されていないため、そのたびごとに利用者登録し、途切れるたびに新たなアクセスポイントにつなぎ直す必要があります。本大会を機に、渋谷区全域へのフリーWi-Fiのネットワークを構築することが、今後の観光振興に寄与すると考えます。 そこで、区長にお尋ねいたします。 以上、渋谷区を多くの来街者に知っていただき、快適に観光を行い、また訪れたいと思えるような観光振興の取り組みについて、区長の所見を伺います。 三点目は、バリアフリーについてです。 リアル観戦事業を推進するなど、パラスポーツへの気運は上昇しており、本大会では多くの障がい者の方も渋谷区を訪れることが予想されます。 平成二十七年第三回定例会で、我が会派からのバリアフリーに関する質問に、区長からの答弁で、「バリアフリーを考えるに当たっては、物理的なバリアの解消だけではなく、バリアがあっても人が介助することで乗り越えることができるなど、意識のバリアフリーが欠かせない。そのためには障がい者への理解拡大を進めることが大切で、バリアフリー情報の収集・提供システムづくりと同時に、助け合いの環境づくりの進め方についても調査・研究していきたい」と発言されておりました。 本区では平成三十年に発表された「バリアフリー基本構想」に従って整備を進めていることは承知しております。再開発が進む渋谷駅前では、車椅子の方や大きな荷物を持つ来街者も、段差や階段を使わずワンルートでアクセスできるアクセシビリティールートの整備が進んでいることは承知しておりますが、広く周知や広報を推進する必要があるのではないでしょうか。 一方、段差や坂道、高架橋の残る渋谷のまちの全ての公道において、物理的なバリアフリーを完全に実施するのは困難である現状を鑑みると、”意識のバリアフリー“の気運を高めていく必要があると思います。アクセシビリティールートの周知や意識のバリアフリーの気運醸成はどのように進めていく予定かお伺いいたします。 なお、パラリンピック観光の一環として、今後はアクセシブルツーリズムも検討が必要だと思います。これは、障がい者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々のニーズに応えながら、誰もが旅を楽しめることを目指す取り組みのことです。アクセシブルツーリズムの充実はオリンピック後も役に立ち、多様性推進の一助になるのではないかと思います。 そこで質問いたします。 以上、今後のバリアフリーの取り組みについて区長の所見を伺います。 四点目は、組織横断型のオリンピック対策本部の設置についてです。 多言語表示、インバウンド、大会開催期間中に地震などの大規模災害が発生した場合の対応や、外国人の安全・安心を確保するための多言語版でわかりやすい防災マップの整備など、組織を超えた多様な準備や情報の発信が必要になると考えます。既に本区においてはオリンピック・パラリンピック推進課が設置されておりますが、大きな目標の実現のためには知恵や経験を共有し、全庁的に取り組む必要があると考えます。 今回の代表質問に当たり、様々な部署に現状を確認させていただきましたが、取り組み部署が多岐にわたる一方、情報共有ができておらず、たらい回しになった部分もございました。私が全体像を把握するのが困難である以上、区民の方が情報を入手するのは、より一層難しいのではないかという印象を受けました。 部署ごとでは担当の方々が限られた時間と予算の中、真摯な姿勢で様々な取り組みを行っているのは評価いたしますが、今後は大会の成功と区政の透明化のためにも、情報の集約・共有・提供が必要です。組織横断的な対策本部を設置することで、今後、自然災害対応やテロ対策を一元的に所管する組織横断的な取り組みのモデルケースにもなるのではないでしょうか。各課からメンバーが集まり、全庁的に一元的所管する組織横断型のオリパラ対策本部やプロジェクトチームの設置が必要だと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、区民の生活の基幹となる、安全・安心なまちづくりについて二点質問します。 一点目は、避難所運営委員会の組織化と地域防災マニュアルの作成についてです。 政府・内閣府の本年三月の発表によると、南海トラフ沿いの地域において、今後三十年以内にマグニチュード八~九クラスの地震が発生する確率は七〇~八〇%とされており、大規模地震発生の切迫性が指摘されております。本区ではこのような大地震などに備えて、区立小中学校を中心に三十三カ所を一次避難所として指定するとともに、高齢者や障がい者など配慮が必要な人については、高齢者施設などを利用した二次避難所の整備を進めています。避難所は被災者の一時的な生活を確保するための施設で、高齢者や乳幼児、障がいのある方、妊産婦など様々な被災者の方々が安心した避難生活を送るための整備や運営を行うことが望まれます。 地域によっては、自主防災組織と施設管理者が避難所運営委員会を組織し、避難所運営にスポットを当てた訓練を行っていることは承知しております。しかしながら、現在、避難所運営や避難訓練の実施については、特別な予算付けは行われておりません。また、他の避難所との連携や共同訓練も実施されていないのが現状です。 また、区内全域には約八百人の災害時要配慮者の登録があることなどを踏まえ、日ごろから定期的に多様な訓練を実施していくことが必要と考えます。今後は、近隣避難所との合同訓練や災害時要配慮者の避難訓練などを実施するために、訓練メニューに応じて予算措置をとるなど、区は積極的に支援すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 また、現在、本区では地域防災計画が策定されていますが、避難所運営委員会の自主的な活動のためには、その地域の特性に合った避難計画や避難所運営、連絡協同体制などを地域の方々が検討し、共有することが大切です。そのため地域防災マニュアルの作成と作成委員会の設置が必要と考えます。当該マニュアルの作成においては、有識者やケアマネジャー、介護士や看護師、町会代表や地域の代表などを加えた話し合いの場を定期的に設ける必要があると思います。 加えて、避難所運営についてです。今年の七月、停滞する梅雨前線の活発化は、九州南部を中心に、記録的な大雨をもたらしました。このとき、避難指示・勧告は鹿児島・宮崎・熊本の三県で合計百九十六万人超に発令されたものの、避難指示対象者の避難率は、鹿児島市では一%にも達しなかったと報じられています。それは「避難しない=危機感の欠如」という単純な公式ではなく、避難所での生活をためらう人が多かったことが原因でした。 「スフィア基準」という国際赤十字などが設定した避難所の国際最低基準がありますが、今なお基準を満たしていない避難所は多くあり、二次健康被害も懸念されます。実際、東日本大震災では、災害関連死が千六百件以上報告されました。昨年は六月の大阪北部地震以来、災害が相次ぎ、たった三カ月の間に延べ八万二千七百七十三人が避難生活を余儀なくされています。有事の際に地域の方々が避難をためらうことのないよう、ストレスの軽減された質の高い避難所運営が求められていると考えます。 そこで質問いたします。 以上、有事に備えた避難所運営委員会の組織化や、災害時要配慮者を加えた避難訓練の実施、地域防災マニュアルの作成と委員会の設置、より質の高い避難所運営について、区長の所見を伺います。 二点目は、シティネットワークの形成についてです。 世界の大都市間では、温室効果ガスの排出削減など、気候変動に取り組むC40(シー・フォーティ)と呼ばれる「世界大都市気候先導グループ」のほか、U20(アーバン・トゥエンティ)やユネスコの創造都市ネットワークなど、多様な都市ネットワークの形成が行われています。東京都でも、平成十三年にアジアの首都及び大都市が連携を強化することにより、国際社会におけるアジア地域の重要性を高め、各共通の課題に共同で取り組み、その成果をアジア地域の発展につなげていくことを目的とした、「アジア大都市ネットワーク二十一」という国際ネットワークを設立し、共同事業の推進などを行っていました。共通の課題解決のため都市間が連携し、ネットワークを構築することは有益です。 現在、二十三区では、防災ICTシステムの共同開発の話が進んでいると伺います。この気運を生かし、まずは広域災害の発生に向けて近隣区・周辺区との協力・協同体制の構築について、プロジェクトチームを立ち上げて検討に入れないでしょうか。特に防災のICTを活用したツールを共同活用し、防災ネットワークの情報共有ができれば、開発費用が抑えられるとともに、有事の相互支援連携強化が期待できます。得られた共同データはビッグデータとして分析し、課題解決に活用できると考えます。 東京都では九都県市広域連携を行っていますが、南海トラフ地震のような大規模災害のリスク分散のためには、遠隔市との連携も必要と考えます。お考えをお聞かせください。 また、防災に限らず共通の都市問題の情報共有や解決のためにも活用が期待できます。特に児童虐待について、本区ではこれまでも妊娠届提出時にアンケートを行い、妊婦に寄り添いつつ親身に相談に乗ることで、虐待の相談件数が平成二十九年度の百六十一件から平成三十年度は七十八件に減少したと承知しております。こうした取り組みの中で取得した子どもの情報は、個人情報の点から、現時点では自治体を超えて共有することが困難な状況です。児童虐待のおそれのある子どもについて、親が短期間で転居を繰り返すことにより実態が把握できず、昨年三月に目黒で痛ましい事件が起こったことは記憶に新しいところです。 他の自治体に先駆けて、渋谷から住まいが変わると途切れがちな子どもの情報の継続的な共有を行うシステム構築を行うことは有益だと思いますが、いかがお考えでしょうか。 以上、都市共通の課題解決に向けたシティネットワークの形成と、当該ネットワークを活用した近隣区、遠隔都市との連携体制の構築、児童虐待防止のため、自治体間での子どもの情報共有の取り組みへの活用について、あわせて区長の所見を伺います。 次に、成長を生み続け、全ての人の生活の質がさらに向上する街・渋谷実現のため、経済活性化について三点質問します。 一点目は、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」としての都市整備についてです。 政府・内閣府は本年三月に、今後のスタートアップ施策に関する戦略について、「Beyond Limits.Unlock Our Potential.~世界に伍するスタートアップ・エコシステムの拠点形成戦略~」を中間取りまとめとして発表しました。その後、六月にはスタートアップ・エコシステムの拠点となる都市をグローバル拠点都市として、全国から二~三カ所選定することを発表しています。 令和元年第二回定例会で我が会派からの質問に、区長からは「スタートアップ・エコシステムの拠点化の検討を進めていく」との答弁をいただき、先ほどの所信表明の中で「スタートアップ・エコシステム拠点都市を目指し、庁内に検討組織を設置し、積極的に取り組んでいく」と発言がありました。私は、IT企業やベンチャー企業が集積している渋谷こそ、国が目指す「世界に伍するグローバル拠点都市」に最もふさわしい都市であると思います。拠点都市に選定されれば、これまで以上に世界から注目されるだけではなく、区内の産業振興にも寄与するものと考えます。他の多くの都市も高い関心を寄せる中、グローバル拠点として日本をリードするのは渋谷区しかないと考えます。 公表されているスケジュールでは、来年の一月に公募があり、三月に拠点都市を決定するとされています。世界に伍するスタートアップ・
エコシステム拠点形成のためには、まず大学、革新性のある企業や名実ともに備わっている大企業、投資家や金融機関、マッチングコーディネート機関、優秀な人材を引き入れ、コンソーシアムと呼ばれる協議会等を形成することが必要です。当該コンソーシアム形成のため、どのような主体をどのように選定し、組み入れ、体制や創業環境を整備していくのでしょうか。本区がグローバル拠点都市として選定されるための具体的な取り組みについて、区長のお考えをお聞かせください。 二点目は、CSVのエコシステム形成についてです。 CSVとは、経済学者のマイケル・E・ポーター氏が二〇一〇年に提唱した概念で、Creating Shared Value(クリエイティング・シェアード・バリュー)の略称であり、共有価値の創出と訳されます。これまで言われてきたCSRが、寄附や社会貢献を通じて自社のイメージの向上を図ることであったのに対し、CSVとは、「企業が事業活動を通じて社会的課題に対応することで、企業と社会の両方に価値を生み出し、双方が持続的に発展すること」を基本思想としています。 日本には「三方良し」という概念があります。事業活動を、自分良し、相手良し、世間良しの三方を満足させるよう行わなければいけないという意味の言葉で、江戸時代中期、全国的規模でビジネス活動を行い、ときには海外へも進出していた近江商人の思想・哲学を伝えたものです。 欧米では経済効果と社会的価値の創出は相入れないものだと考えられてきましたが、パナソニックの創始者である松下幸之助氏も、「企業は社会の公器である」として、企業と社会は共存共栄すべきと述べるなど、日本の発展を支えてきた多くの企業経営において、CSVの基本思想は根づいておりました。 私は今後、渋谷区の持続的発展と課題解決のためには、CSVの実現とエコシステムの形成が必要であると考えます。本区では、地域の社会問題を解決しながら新しい価値をつくる”Inclusive City Shibuya“(インクルーシブシティ渋谷)を提唱していますが、今後は渋谷未来デザインとS-SAP協定をこれまで以上に生かし、多様な主体によるネットワーク形成と環境整備を行う必要があると考えます。 具体的には、まず一点目として、渋谷未来デザインにおいて、CSVの意識を明確に持ちながら活動し、社会問題解決に向けた問題意識やビジョンを共有・発信すべきだと思います。 次に、二点目として、S-SAP協定に参画する多様な主体が、それぞれの活動を推進しつつ連動し、互いに補完し合うため、定期的かつ継続的なコミュニケーションのための場を設ける必要があります。マッチングイベントの開催やマッチングコーディネートの支援プラットホームを整備することで、新たな事業展開を創造し、産官学民のさらなるネットワーク構築を進めることができると考えます。 そして、三点目として、地域特性を生かした環境整備を行う必要があります。先述のスタートアップ・エコシステム拠点都市としての都市整備を進めるとともに、社会起業家育成のための拠点整備や支援体制を構築します。さらに、ビットバレーと呼ばれている渋谷をICT分野における世界的技術拠点へ押し上げ、スマートシティを実現することは、便利な近未来都市を実現するばかりでなく、ICTやビッグデータを活用した都市問題解決につながり、資本のない者でも、志があれば世界に社会的事業を拡大するチャンスにつながると考えます。 実際、カリフォルニアでは、新進気鋭の社会起業家を中心に、大学や地域が協力するネットワークが形成され、地域独自のエコシステムが形成された結果、多くの社会起業家が誕生し、中には世界的企業に成長したものもあります。 また、バングラデシュでは、二〇〇六年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行から、様々な社会問題解決を図るグラミン・ファミリーと呼ばれる多角的なベンチャー企業集合体が発展し、多国籍企業や日本の企業も参加するグラミン・グループというエコシステムを形成し、貧困脱却の自立的なアプローチに貢献しています。 CSVエコシステムが渋谷で実現することは、本区のみにとどまらず、地球規模での課題解決に寄与する可能性を秘めています。”世界の渋谷“実現のため、渋谷未来デザインとS-SAP協定をこれまで以上に活用し、スマートシティなど環境整備を行うことで渋谷発のCSVエコシステムを形成することについて、区長の所見を伺います。 三点目は、ササハタハツについてです。 昨年度、ササハタハツでは「初台緑道マルシェ」など、地域住民を初めとしたフューチャーセッションに参加された方々から出された多様な意見やアイデアにより、住民主体の自発的なまちづくりプロジェクトが実施されてきたと承知しております。これらの取り組みは住民と行政による「協働のまちづくり」をさらに発展させた多様な主体による「共創のまちづくり」を実践し、まちの可能性を育んでいくための第一歩になると期待しております。 私は、ササハタハツまちづくりを進めることにより、地域住民のシティプライドを醸成するとともに、ササハタハツエリアにおける多くの商店街の発展など、地域経済の復興も大切な要素であると考えています。 今年度は、ササハタハツまちづくりを長期的な視点でまちの活性化とコミュニティ形成につなげる「まちラボ」について検討されていると思います。商店街を活性化していくためのササハタハツまちづくりの取り組みについてどのようにお考えか、区長の所見を伺います。 また、当該エリアには、玉川上水旧水路緑道及び神田川支流遊歩道が広がっています。先ほど「玉川上水旧水路緑道をニューヨークのハイラインの建設の知見を生かすことで、区民にも観光客にも愛される緑道としてビジョンを描けるのではないか」との区長発言がありましたが、玉川上水旧水路緑道や水道道路のみならず、神田川支流遊歩道もつなぎ、回遊型のヘルシーロードとして整備すべきと考えます。 当該ヘルシーロードは、クッション性のある路面やトイレ、休憩所などを整備することにより、高齢者が安心して歩け、地域の皆様がリハビリやマラソン、ウオーキングといった健康づくりの場として、安心して使えるよう活用できるのではないかと考えます。あわせて、子どもの遊具や土に触れられる区民農園のスペースを設けることで、子どもが自然に学ぶ場になります。また、区民が集う広場を整備・形成することにより、近隣商店街の活性化やイベントの促進に寄与するのではないかと考えます。 そこで区長に質問いたします。回遊型のヘルシーロード整備について、区長の所見を伺います。 次に、本区の財源課題の一つであるふるさと納税について質問します。 ふるさと納税についての我が会派からの平成三十年第二回定例会での質問には、「ふるさと納税制度で芽生えた寄附文化を活用して、地域社会の課題解決に取り組む質の高い活動を支援する資金であるソーシャル・アクション・ファンドのように、使用用途をNPOに特化した寄附制度の検討を行いたい」と、令和元年第二回定例会での質問には、「スタートアップ・エコシステムの事例も参考に、なるべく早期の実現に向けて引き続き検討を行いたい」と答弁がありました。 一方、ふるさと納税利用者の多い都市部の自治体では、税収減が膨らみ、本区でも平成二十七年度は約七億五千万円、平成二十八年度は約十三億円、平成二十九年度は約十七億円、昨年度に至っては約二十三億三千五百万円の税収への悪影響がありました。かねてから区長は、「返礼品の過当競争に加わることは、歳入確保のためとはいえ、賢明な策ではない」と繰り返し発言されており、本区の財政は堅調に推移しているのは承知しておりますが、わずか四年間で六十億円を超える税収減は看過することができない課題と考えます。 墨田区ではふるさと納税サイトを活用し、現在百八十九品目の返礼品を掲載しており、平成三十年度には三億超の税収を確保しています。渋谷区には様々な魅力とサービスがあります。本区独自の特産品やホテルの宿泊券のほか、ヒカリエの東急シアターOrb(オーブ)や渋谷公会堂の観劇券や貸し切り権利、ふるさと納税イベントへの招待、デジタル・サイネージやスクランブル交差点の大型ビジョンでの発信権利などなど、S-SAP協定締結企業や本区にゆかりの深い団体に協力いただき、有形・無形の様々な返礼品の可能性があります。特に本区ならではの無形の返礼品は、返礼品の過当競争に陥ることなく、さらなる経済効果を生むと考えます。 先ほどの所信表明の中で渋谷公会堂について、「
こどもテーブル事業への寄附を目的とした区主催の
チャリティーイベントも予定している」と発言がありました。このような寄附文化の芽生えを大切にしつつ、本区の特色あふれる多様な返礼品とソーシャル・アクション・ファンドやクラウドファンディングを両立させ、渋谷区ならではのふるさと納税モデルを確立することについて、区長の所見を伺います。 次に、誰もが誇りを持ち、輝きながら生き生きと幸せに活躍できる街・渋谷実現のため、福祉について四点質問します。 一点目は、地域包括ケアシステムの深化・推進についてです。 渋谷区基本構想の「福祉」のテーマでは、「すべての人々が支え合い、どんな人でも自分らしく生きていける共生の街」の実現をうたい、高齢者が住みなれたまちで質の高い生活を送るため、地域包括ケアシステムの構築を進めています。限られた財源の中、今後も高齢者が住みなれた地域で自分らしく住み続けられるようにするためには、専門家を登用した予防医療の充実が必要になると考えます。 特に、口腔内環境の向上は健康の第一歩です。本区では、早期から口腔機能の向上事業を行い、「口腔機能維持向上健康診査」や「摂食機能低下予防支援事業」を積極的に行っているのは承知しております。八〇二〇については、国が平成二十八年で五一・二%、都が平成二十八年度で五五・五%なのに対し、渋谷区では平成二十九年度には七一・二%という高い水準を達成しています。六月の「よい歯のつどい」には、八〇二〇を達成した百九十四人、九〇二〇を達成した三十四人が表彰されました。今後は人生百歳時代を見据え、歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士といった専門家が連携し、訪問看護や施設での定期的なケアを行うことが必要だと思います。 また、認知症高齢者の早期の支援については、専門医のみならず、専門看護師の育成や活用を増やし、認知症支援コーディネーターによる早期発見・対応が必要です。専門人材の連携と積極的な登用による予防医療の充実について、区長にお尋ねいたします。 さらに、地域包括ケアシステムは元来、高齢者に限定されるものではなく、障がい者や子どもを含む地域の全ての住民のための仕組みです。障がい者が同一施設内において介護保険サービスを受けるための共生型サービスの推進や、両親が亡くなった方や高齢化した方へのサポートは喫緊の課題だと思いますが、どのような対策を検討しているかお伺いいたします。 一方、介護の現場では人材不足が深刻です。待遇の改善として、後述の多世代型共生住宅への入居による住宅補助や、ショートタイム・ジョブを増やすことによる働きやすい環境整備など、介護人材の確保のための施策が必要だと思いますが、どのような対策を検討しているかお伺いします。 以上、専門人材の積極登用による地域共生社会の実現と、クオリティー・オブ・ライフの向上のための施策について、あわせて区長の所見を伺います。 二点目は、多世代共生型の暮らし方の推進についてです。 近年、多世代共生型の暮らし方というものが、ロシアでは”ユング・ウヌ・アルト“として、フランスでは”ホームシェア“として広がりつつあります。これは、多様な世代が助け合いながら暮らす暮らし方で、多世代共生を入居条件とした住宅を整備するとともに、コミュニティスペースを併設することで交流の場を設け、住民間のトラブルを調整し、交流イベントを企画するエリアマネジャーを配置することで実現しています。近隣でも、御茶ノ水のワテラスで、地域活動に参加することを条件に学生に安い賃料で住宅を提供する試みが行われており、一定の成果を上げていると仄聞しております。 現在、代々木二・三丁目の国有地の取得については、どのような状況でしょうか。代々木二・三丁目の国有地については、以前、区長より「使用目的は特養ホーム、保育園、住宅を考えている」と答弁をいただいておりますが、福祉の総合施設として整備すると同時に、多世代共生エリアとして整備を進めてはいかがでしょうか。 居住者間の助け合いや地域活動、災害発生時対策を条件とした若者や子育て世代の家賃補助や住宅整備を行うことで、地域に若い力を取り入れることができます。また、災害対策要員及び災害時対策介護要員への優先的入居を行うことで、危機管理対策や介護職員の人材不足に対する待遇改善に寄与することが可能です。 そこで区長にお尋ねします。 以上、渋谷区でも先進的な暮らし方を選択できる多世代共生型のまちづくりを進めることについて、また、区政策を推進するための住宅政策について、あわせて区長の見解を伺います。 三点目は、区民の福利施設としての管外施設の整備についてです。 今回、第二回定例会後、各所の管外施設を視察させていただきました。中でも新島は、竹芝桟橋から高速船でわずか三時間の距離ながら、都内と打って変わった豊かな自然環境が広がり、透き通る海の青さと白い砂浜のコントラストが印象的でした。その地に「
新島青少年センター」が設置されていることに、これまで渋谷区が培ってきた新島村との深い友好関係を感じました。 当該施設は来年三月に土地賃貸借契約が満了を迎えます。令和元年第二回定例会での我が会派からの質問に、区長から、「施設運営には厳しい部分もありますが、これまで培ってきた新島村との友好関係を尊重するとともに、的確なニーズ等の把握に努めながら総合的に検討していきます」との答弁がありました。 さらに、先ほどの所信表明では、「土地の賃貸借契約を更新した上で、施設の建替えを含め、青少年施設としてのあり方を検討する」との踏み込んだ発言がありました。昭和四十五年の開設から来年で五十年を迎えることから、当該施設は老朽化や設備不足が指摘されております。 また、先ほどの区長発言のとおり、先日の台風十五号により、宿泊棟に甚大な被害がありました。(写真掲示) これが昨日時点での被災後の建物の様子です。天井には穴があき、今後生活するのが困難な状態になっております。以下、合計三枚の写真を提示させていただきます。 今見ていただきましたとおり、このような状況を鑑みますと、早急な建替えが必要であると考えます。また、その際は青少年のみならず、広く区民が利用できる施設として活用できるようにすべきと考えます。例えばレクリエーションの場として、区が推奨しているボッチャやペタンク、スポーツ吹き矢といった新スポーツ推進のレクリエーションの場としての活用です。いずれも特別な設備を必要とせず楽しめるスポーツですので、アクティブ峰の原や河津さくらの里といった他の管外施設にも展開できます。青少年やシニアへの新スポーツの普及に寄与するとともに、大会を管外施設で開催することで、閑散期の利用率の向上も期待できます。的確な利用ニーズを把握した魅力的で多様なツアーの企画も有用だと考えます。 以上、新島の施設の建替えを早急に行い、新たな施設を広く区民の福利厚生のための施設として活用し、新スポーツや利用ニーズに応じたツアー企画を進めていくお考えがあるか、あわせて区長の所見を伺います。 四点目は、幼児教育と保育環境の整備についてです。 先日、私立保育園との懇談会に参加した際、発達障害児の専門家を求める声が多く上がりました。発達障がいが懸念されるお子様は多々いますが、職員にはその見極めが難しく、親御さんも受け入れがたい部分がある、園で日々顔を合わす専門家の声なら信頼してもらいやすく、臨床発達心理士など専門家に短時間でもいいので、日々常駐してもらいたい、との切実な要望でした。発達障害児のケアについては、子ども発達相談センターが専門家の巡回を行っているのは承知しておりますが、数カ月に一度の頻度であると伺います。私立幼稚園連合の園長会でも、発達障がいの子どもが増えていることに懸念の声が上がり、親御さんのみならず、職員が接し方に悩んだときに相談できる専門家の増員や研修を求める声を伺っています。 一方、人材不足も深刻で、「職員を研修に送り出す余裕がない場合も多い」とのことです。よりよい保育環境整備のためには、職員を確保し、質を高めるための施策が必要と考えます。eラーニングや遠隔授業など、受講しやすい研修形態の検討とともに、職員の待遇改善の一環としての住宅補助の期限延長や、モンスターペアレンツ対応に苦慮する若い職員向けのカウンセリングの導入、専門人材の増員や常駐のための施策の拡充が必要と考えます。 発達障害児の専門家の常設や職員の人材育成といった保育環境の整備について、区長の所見を伺います。 また、区長の公約のひとつに、渋谷区幼児教育プログラムの改定があります。海外の先進的な幼児教育を学びながら進めるということで、平成二十八年にはイタリア・スイスへ、平成二十九年にはニュージーランドに職員などの派遣が行われておりますが、現在の進捗状況はいかがでしょうか。当該視察の知見を生かし、どのような海外先進事例を導入したプログラムを検討しているのか、区長の所見を伺います。 最後に、渋谷区の未来を担う子どもを育む教育について四点質問します。 一点目は、ICT教育についてです。 本区では「渋谷区モデル」により、区内の公立小中学校に通う児童・生徒及び教員に一人一台のタブレット端末を貸与し、携帯電話と同じLTE回線を利用し、学校だけではなく、家庭においてもタブレット端末を利用した学習ができるようにしています。先日、国では「GIGAスクールネットワーク構想」を打ち出し、二〇二二年度中の整備完了を目指し、全ての小中学校を結ぶ十ギガ相当の超高速通信網の整備に乗り出すことになったと報道がありました。当該超高速通信網の整備が進めば、全国の大学や研究機関を光回線で結ぶ世界トップレベルの超高速通信網「SINET」を小中学校などの教育に活用することができるほか、インターネットを通じた遠隔教育の本格運用が可能となり、データ化された学習情報の個別指導への活用や、病児や不登校児の自宅学習、子どもごとの個別の才能を引き出すオーダーメイド教育など、学力向上とともに、子どもの新たな可能性を伸ばすことが期待されます。来年の八月に契約期間が終了しますが、今後、新たな基盤整備をどのように進め活用していくか、新しい「渋谷区モデル」はどのように構築する予定か、教育長の所見を伺います。 二点目は、
プログラミング教育についてです。 二〇二〇年からの新学習指導要領では、小学校で新たにプログラミング的思考の育成が求められています。一方、「ICT教育に関するアンケート調査結果」によると、今年の七月時点で
プログラミング教育を実施した小学校は三五・七三%ですが、その中で「
プログラミング教育が楽しかった」と回答した児童の割合は三六・四一%でした。 本区では特色ある学校づくりを推進し、ICT教育推進校として笹塚中学校を指定し、
プログラミング教育の充実を目指してきたと承知しております。先日、「
プログラミング教育事業に関する協定」が締結されましたが、S-SAP協定を結んでいる企業のノウハウを活用し、教育活動の充実を図る取り組みは評価いたします。他の地方自治体に先行して蓄積した渋谷区でのこれまでの経験を生かしつつ、外部人材や当該協定企業のノウハウを活用し、児童が
プログラミング教育に苦手意識を持つことなく、楽しく学ぶ手法を共創することが大切かと思います。今後の
プログラミング教育をどのように魅力的なものにしていくか、教育長に伺います。 三点目は、生きた教育の推進についてです。 混沌とした世界情勢の中、多様な価値観の交差する国際社会において、これからの児童・生徒には基礎学力の向上とともに、違いを尊重し受け入れ、主体的に課題解決を図り、生き抜くための諸能力の獲得が必要です。東京二〇二〇大会は、異文化や多様性理解の良い機会です。オリンピック・
パラリンピック教育については、先ほど区長から、渋谷区の子どもたちが競技を観戦する計画を立てていること、シティ・ドレッシングの取り組みを行うことについて発言がありました。実際に競技を観戦し、調べまとめることは、限りない人間の努力と可能性の理解につながると考えます。 また、本大会は国内外から多くの来街者が訪れることから、人間の持つ多様性や異文化の理解、おもてなしについて考える機会でもあります。人権教育の一環として心のバリアフリーを推進し、ユニバーサルデザインを意識した取り組みを行う良い機会になるのではないでしょうか。 また、主権者教育についてです。 四月には十八歳選挙権が導入された初の統一地方選挙が実施されましたが、その際の投票率は三七・四二%であり、七月の参議院議員選挙の四五・二七%に対し低い率となっており、地方選挙への関心の低さが懸念されます。 また、本区の十代の投票率は全国平均より高いものの、回を重ねるごとに投票率は低下しております。これはアイデンティティーの一環として、自分が生活する地域に対する愛情や関心の形成とも関連が深いように思います。若い世代の声を区政に届けるためにも、シティプライドを育むための教育を授業に組み入れ、子どもの生きる力を育成することが必要だと考えます。 オリンピック・
パラリンピック教育や人権教育、シティプライドを育む生きた教育をどのように推進していくか、教育長の所見を伺います。 四点目は、いじめ対策についてです。 本年七月、岐阜県岐阜市や千葉県野田市でいじめが原因と見られる子どもの自殺が相次ぐという、大変痛ましいニュースが報道されました。新年度や学期の改変時期は特にそのような悲しい事態が多く発生する時期でもあります。 東京都では、SNSを活用した相談窓口を設けるなどといった対策を進めており、本区では年に二回、いじめに関する調査が行われていると承知しております。九月に入り、夏休みも終わりましたが、新学期のスタートにあたり、何か対策は講じましたでしょうか。冒頭のような悲しい事件がこの渋谷区において起きることがないよう、いじめ防止のため、教育委員会ではどのような対策を練られているのか、教育長の所見を伺います。 以上につきまして、区長、教育長の答弁のほど、よろしくお願いいたします。
○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員の代表質問に順次お答えします。 まず、東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会について、インフラ整備について三点のお尋ねがありました。 まず、都市温度を下げる取り組みについてです。 温室効果ガスの影響による温暖化はもとより、都市におけるヒートアイランド現象も相まった気温上昇への対応は喫緊の課題です。特に、来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、選手、関係者や観客等、国内外から本区を訪れる多くの来街者を迎え、暑熱対策が急務です。そのため、現在区では、国立代々木競技場周辺道路の遮熱性舗装を進めており、今年度は公園通りや岸体育館前の道路等の整備をしていきます。加えて、東京都観光公社が進める暑さ対策推進事業の助成金を活用し、東京体育館周辺の歩道についても、来春の完成を目指して遮熱性ブロック舗装の整備と減熱ベンチの設置を進めているところです。 また、来街者によりさらなるにぎわいが見込まれる渋谷駅前については、同助成金の活用を図り、事業者の協力により遮熱性塗装や微細ミスト装置の設置が進められています。さらに、街なかに熱をためないヒートアイランド対策として、街路樹による緑陰の形成のほか、開発事業者等の協力も得ながら、建築物の壁面緑化や屋上緑化など緑の創出を進めることや、区所有の微細ミスト装置の貸し出し等を進めることで、会場自治体として積極的に暑熱対策の強化を図ってまいります。 次に、公共サインについてです。 議員の御質問の中にもありましたとおり、世界中から訪れる多様な来街者のニーズに応えることは重要です。また、議員御提言の、現在設置を進めている公共サインに視覚障がい者の方々のための点字を加えることや、多言語対応のためのQRコードなどの追加についての重要性も認識しています。 今後、費用を抑えるニーズに応えた展開をどのようにすべきかという点で、点字については、地図盤面の全面交換時に向けた研究課題として残りますが、まずは、多言語対応のためのQRコードの早期追加実施について検討してまいります。 次に、公衆トイレについてのお尋ねです。 本区はこれまで、「
渋谷区立公衆便所条例」に基づき、公衆トイレの整備及び管理をしています。また、利用者目線に立ったトイレ整備を推進するために、「渋谷区公共サインガイドライン」や「渋谷区トイレ環境整備基本方針」などを策定してきました。さらに、渋谷らしい取り組みの一つとして、昨年十月には公益財団法人日本財団と、Shibuya Inclusive TOILET(シブヤ・インクルーシブ・トイレ)に関する覚書を締結し、性別、年齢、障がいの有無を問わず、区民を初め渋谷区を訪れる全ての人が快適に使用できる公共トイレを、共同して設置することとしました。区内十八カ所のトイレを整備する予定です。 このように、公衆トイレの整備を進めてきていますが、東京二〇二〇大会を控え、さらに多くの方々が渋谷を訪れることを考えると、公衆トイレだけでは対応ができなくなる可能性があります。議員御提案のS-SAP企業の店舗へのトイレマークの設置は一つのアイデアだとは思いますが、店舗数が限られてしまいます。S-SAP企業に限ることなく一般の店舗にも連携を要請し、来街者のトイレ使用について協力店舗数の拡大を図るとともに、周知方法について検討を進めていきたいと思います。 次に、観光振興についてのお尋ねです。 東京都を訪れるインバウンドは昨年一千四百万人を超え、その中の約半数が渋谷区を訪れています。区では、インバウンドの受け入れ環境整備のため、観光Wi-Fiの設置、キャッシュレス導入促進、渋谷区観光協会によるマップの作成やガイドツアーの開催など、様々な取り組みを進めてきました。 東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会の開催に向け、国内外からさらに多くの来街者が見込まれますが、私は、この機会を区の観光振興に生かしていくため、御提案のQRコードを活用した多言語対応や、ナイトタイムエコノミーの活性化などに取り組み、大会後のレガシー創出につなげていくことで、国際成熟都市渋谷を実現したいと考えています。 フリーWi-Fiネットワークの構築については、各事業者間の技術的な調整や課題もあり、直ちには困難かと思いますが、技術の進化に後れることなく、東京都や民間事業者と連携をとりながら、区内全域の通信環境の向上に今後取り組んでまいります。 産官学民との連携を一層進め、多くの来街者をもてなし、安全に楽しく渋谷に滞在してもらえるよう、渋谷区らしい観光振興事業を進めていきます。 次に、バリアフリーについてです。 議員の御質問にあった、バリアフリー対応によるアクセシブルツーリズムの充実は、オリンピック・パラリンピック以降も本区が魅力を維持・向上し続ける上でも、また、本区が掲げる基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現のためにも、大変重要です。 本区は、バリアフリーを進めるために、「渋谷駅周辺地区バリアフリー基本構想」に示したとおり、建築物や道路などのハード面の整備を引き続き実施します。 また、議員御指摘の「意識のバリアフリー」への気運醸成を進めることについては、「心のバリアフリー講演会」を実施するなど、区民、事業者、区が一体となって障がい等に対する理解促進に取り組みます。 次に、アクセシブルツーリズムについてです。 本区は、障がい者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々も、気軽に渋谷区を訪れることができるような「心のバリアフリー」への取り組みとして、来年の東京二〇二〇大会に向けた区民や区独自ボランティアへのまちなかでの障がい者サポートなどの実践を重視した、「おもてなし講座」を進めています。 また、観光協会とも連携しながら、障がいのある人や高齢者も安心して観戦や観光を楽しめるよう、回遊しやすいルートなどの情報を収集し、渋谷の魅力とあわせて発信していきます。 次に、組織横断型のオリンピック対策本部の設置についてのお尋ねです。 議員御発言のとおり、区では二〇一六年四月より、オリンピック・パラリンピック推進担当課長を設置し、「ハンドボールや車椅子ラグビー等の区内開催競技のリアル観戦事業」「おもてなし講座」「パラリンピック紙芝居」など様々な事業を展開して、区民の大会に向けた気運を盛り上げるとともに、教育委員会と連携し、オリンピック・
パラリンピック教育にも力を入れてきました。このことは、オリンピック・パラリンピック組織委員会や東京都オリンピック・パラリンピック準備局などからも高い評価をいただいているところです。 そして、今年四月からは、課内に開催準備調整主査を置き、庁内関係各部署との連携、都組織委員会との連携、大会運営支援などについてさらに強化する体制とし、大会の準備に取り組んでいます。また、これまでも全庁的に情報共有が必要な場合には、臨時管理課長会を開催するなど対応していますが、有事の際に関連部署が速やかな連絡や行動がとれるよう、組織横断的な協力体制も検討していきたいと思います。 なお、大会期間中の災害やテロの発生に備えて、多数の外国人来街者に安全な避難行動を促すために、四カ国語で防災情報を提供する「渋谷区防災ポータルサイト」の案内などを盛り込んだ、多言語版の「防災マップ」を作成することも考えています。 次に、安全・安心なまちづくりについてのお尋ねです。 まず、避難所運営委員会の組織化と地域防災マニュアルの作成についてです。 議員御指摘のとおり、発災時には、高齢者や乳幼児、障がい者や妊産婦など様々な方が避難所に避難されますので、どなたにも優しい避難所の整備・運営が望まれます。そのため、各避難所に設置されている避難所運営委員会が活発に活動できるように、これまでの自主防災組織等への働きかけに加えて、財政的な支援や避難所運営訓練の強化など、さらに具体的な支援の実施について検討してまいります。 また、一人でも多くの要配慮者等の安全・安心を守るためには、地域や避難所ごとの状況に応じた必要な配慮を確認し、いざというときに速やかな対応がとれるようにしていくことや、要配慮者の避難支援プランのとおり実際に避難できるのか、避難経路等を確認しておくことが重要と考えます。 幼稚園の園児等の要配慮者等も含めた避難行動を定める地域防災マニュアルについては、避難支援プランを作成している自主防災組織と民生委員、見守りサポート協力員、地域包括支援センターなどによる連携の仕組みを活用し、作成の支援をしてまいります。 次に、避難所運営についてです。 区では、避難所における快適な空間を確保するために、三十三カ所の避難所の大部分を占める小中学校における空調の設置や、プライバシーに配慮したワンタッチパーティションの配備を進めています。また、妊産婦や育児中の女性等への配慮のため更衣室や授乳室の確保、乳幼児・高齢者・障がい者に配慮した居室の提供、ペットの同行避難のルールを定めたマニュアルの作成など、安心して避難所生活を送ることができるように取り組んでいます。 議員から御指摘がありました「スフィア基準」については、内閣府が平成二十八年に策定した「避難所運営ガイドライン」にも取り上げられ、「今後の我が国の避難所の質の向上を考えるとき参考とすべき国際基準」として紹介されるなど、快適かつ衛生的な避難所の設置基準と認識しています。今後は、これを参考として、より快適な避難所の環境整備を目指し、具体的な対策を検討してまいります。 次に、シティネットワークの形成についてです。 防災、児童虐待に限らず、都市間の情報連携は都市共通の課題解決を図る上で非常に重要な課題です。各自治体がデジタル化を推進すれば、全国的に情報連携が可能になると思われますが、現段階においては、特別区での情報連携を優先し、昨年度設置された特別区長会調査研究機構のプロジェクトで研究を進めています。 議員御提案の防災システムの共同化についても、その構築のあり方について、特別区区長会調査研究機構のプロジェクトで検討しています。特別区のスケールメリットを生かし、防災システムを共同運用することにより、開発コスト、運用コストを抑えられ、また、特別区間で広域的に災害情報を共有化することで、周辺区と連携した避難者誘導、帰宅困難者対策及び相互の協力体制等において、区民及び来街者の安全・安心に資することができます。 また、このプロジェクトとは別に、児童虐待対応においては、転居などで必要な支援が途切れないよう東京都と連携し、児童相談所や都内各自治体の子ども家庭支援センターをつないだ情報共有システムを、来年度の導入を目指して検討を開始するなど、情報共有のための環境整備を図っていきます。 いずれにしましても、都市間の情報連携は、議員の御提言のとおり、都市共通の課題解決にとって様々な効果が期待できることから、今後も積極的に取り組んでまいります。 次に、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」としての都市整備についてのお尋ねです。 冒頭の発言でも申し上げましたが、世界の都市に負けない起業しやすい拠点都市の形成を目指して、積極的に取り組んでいくつもりです。 本区は、IT企業やベンチャー企業の集積が国内ナンバーワンの都市であり、多様な人材と情報が集まります。また、多数のコワーキングスペースやインキュベーション施設でのネットワーク力も、国内トップの力を有するものと認識しています。 議員御発言のとおり、国が目指す「世界に伍するグローバル拠点都市」に最もふさわしい都市は渋谷区であると、私も確信しています。 今後、スタートアップ・エコシステムの拠点都市を目指すためには、大学や民間企業等を巻き込んだコンソーシアムの形成が必要です。具体的なコンソーシアムのメンバー等についてはこれから検討を進めていきますが、渋谷にはスタートアップ・エコシステムにかかわる数多くのプレイヤーが存在します。代表的なところでは、エッジ・オブやプラグアンドプレイなどがあります。 大学についても、本年十一月にオープン予定の
渋谷スクランブルスクエアの十五階にオープンする産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」は、東京大学、東京工業大学、慶応義塾大学、早稲田大学、東京都市大学などが連携し、新しい価値の創造、クリエイティブ人材の育成を目指すことが公表されています。このような大学と連携することも考えられます。 さらに、渋谷未来デザインが加わることで、多様なジャンルの構成員からなるコンソーシアムが形成できるのではないかと思います。 本件については、さらに議論を深める必要があるため、産官学連携でプロジェクトチームを組成することとし、現在準備を進めています。 スタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市に選定されることは、基本構想の産業振興分野で掲げる「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」の実現に向けて、非常に重要な取り組みであると考えています。「グローバル拠点都市」の選定に向けて、今後も御支援をいただきたいと思います。 次に、CSVのエコシステム形成についてのお尋ねです。 私は、行政だけでは解決することが困難な課題であっても、民間企業、NPO、大学などと連携し、それぞれが持つ得意分野のリソースを出し合うことで、課題解決を図れることがあるのではないかと思っています。そのため、平成二十八年度に公民連携制度、S-SAP協定を創設しました。また、課題解決にとどまらず、渋谷のまちの未来の可能性をデザインする組織として、渋谷未来デザインを設立しました。 今回の議員御提案の渋谷未来デザインとS-SAP協定締結団体が協業し、多様な主体によるネットワークを形成することは、まさに私がこれから進めようとしていた施策と同じ考えです。 渋谷未来デザインの設立時の参画パートナーは、渋谷を含め十五社、S-SAP協定締結団体は、民間企業二十社、八大学になります。全国の自治体の中でも、これだけの企業、大学と社会課題の解決やまちの未来の可能性について、一緒になって取り組んでいけるプラットホームを持っているのは、渋谷区以外にはないのではないかと思います。 これからは、CSVの観点も重視した、渋谷ならではの産官学民のネットワークを形成していきたいと思います。 次に、ササハタハツについてのお尋ねです。 議員御発言のとおり、「共創のまちづくり」を実践することで、ササハタハツにかかわるあらゆる人々のコミュニティ活動を促進するとともに、商店街の活性化を通じて地域経済の振興に寄与するまちづくりを進めていくことが大切であると考えています。 ササハタハツまちづくりでは、都市の活力を高める経済活動や新たなサービスの担い手である民間企業の力を生かして、地域課題の解決やエリア価値の向上に取り組んでまいります。将来的には、ササハタハツエリアのPR活動やプロモートイベントの企画、まちづくりに関するセミナーを開催するなど、商店街に御協力をいただきながらまちの活性化を進めていきたいと考えています。 本年度八月三十日より、まちラボフューチャーセッションを開始しましたが、まちづくりの重要なセクターの一つである民間企業のノウハウやリソースと連携しながら、地域住民を主体としたまちの担い手の確保や、商店街の活性化にもつながるまちづくりプロジェクトを進めていきます。 次に、ヘルシーロードについてのお尋ねです。 玉川上水旧水路緑道の整備につきましては、ニューヨークのハイラインに肩を並べるような、世界に誇れる緑道を目指していきます。計画づくりには、関連分野で活躍するデザイナーやクリエイターなどを招き入れるとともに、地域の様々なステークホルダーを集め、ハイラインの知見も取り入れながら、地域の皆様はもとより世界中の人々に愛される緑道を整備していきたいと考えています。 この緑道を自由な発想で様々な方々に利用していただくことで、新たなコミュニティが生まれ、それが緑道からまちへと、さらには世界へと広がっていくことこそが、世界に誇れる緑道づくりであると考えています。 一方、議員御提案の玉川上水旧水路緑道、水道道路及び神田川支流遊歩道をつなぎ、回遊型のヘルシーロードを整備することにより健康づくりの場を創出していくことは、渋谷区が掲げる「十五キロ平方メートルの運動場」の考え方につながるものと考えています。 また、設置する子どもの遊具をインクルーシブな遊具とすることで、あらゆる多様性を受け入れ、その多様性をエネルギーと変え、集まる全ての人の力をまちづくりの原動力にして、「ちがいを ちからに 変える街」を創出するという、未来像へとつながっていきます。さらに、区民農園はそのあり方を再検討することで、野菜センター事業との連携の可能性があります。 いずれの提案も非常に魅力のあるものと感じていますが、当面は玉川上水旧水路緑道の整備に心血を注ぎ、回遊型ヘルシーロードの整備については段階的に検討していこうと考えています。 次に、ふるさと納税についてのお尋ねです。 私はこれまで、ふるさと納税による返礼品の過当競争に加わることには消極的でしたが、議員御発言のとおり、ふるさと納税に伴う減収額は毎年膨らみ続けており、もはや看過できるレベルではありません。 渋谷区には、国内外を問わず多くの来街者が訪れ、渋谷でしか味わえない魅力的な体験やサービスが数多く存在します。また、スクランブル交差点を初めとした多くの方を呼び寄せるスポットがあるなど、無数の可能性を秘めたまちでもあります。 今後の区政運営を持続可能なものとしていくためにも、この高いポテンシャルを無駄にすることなく、単なるモノにとらわれない、多くの渋谷ファンに喜ばれるような、渋谷ならではの体験、コト消費を提供したいと考えています。渋谷らしい返礼を提供することで、渋谷の応援団を増やしていく取り組みにつなげていきたいと思います。 現在、渋谷ならではの体験、コト消費について、全庁的に職員から企画アイデアを募集しているところです。渋谷区らしいふるさと納税とは何かということを、私も職員と一緒になって考えていくつもりです。 議員御提案の、有形、無形の返礼品の例も参考にさせていただき、実現に向けて検討を進めてまいります。 次に、福祉について、地域包括ケアシステムの深化・推進について三点のお尋ねです。 初めに、専門人材の連携と積極的な登用による予防医療の充実についてのお尋ねです。 議員御発言のとおり、健康に過ごしていただくため口腔機能の維持、向上は必須と考えており、本区では、高齢者に対しそのための事業を、渋谷区歯科医師会の協力のもと実施しています。 口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。かむ、飲み込むといった口腔機能が低下すると、安全に食事を摂取することが困難になることにより、免疫力が衰えたり会話がしづらくなるといった影響が出てきます。口腔機能を維持するため、歯科に携わる専門家が連携し、定期的なケアを行うことが重要だと思います。 また、区内特別養護老人ホームの入居者に対しては、歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士といった専門家が連携し、診察や入れ歯の調整などの口腔ケアを行っています。 他方、認知症は早期発見・早期対応が重要です。そのため、本区では、一番身近な高齢者の窓口である「地域包括支援センター」を認知症の相談窓口と位置づけています。加えて、認知症高齢者の支援のため、各日常生活圏域に設けた「機能強化型地域包括支援センター」四カ所に、看護師資格を有する認知症地域支援推進員各一名を配置し、圏域内の他の地域包括支援センターをサポートする体制を構築するとともに、同じく各圏域に配置した認知症サポート医と連携し、医療の観点からの相談者対応も行っています。 これらのファーストアプローチにより、認知症が疑われた方については、地域連携型認知症疾患医療センターとして東京都から指定を受けている、東京女子医科大学附属成人医学センターを初めとする専門機関へつなぐ体制を整えています。 一方、認知症支援コーディネーターには区保健師を充て、包括の後方支援を行うとともに、認知症が疑われる家庭を訪問し、適切な医療や介護につなげる役割を持つ、「認知症初期集中支援チーム」の取りまとめ役として活動しています。 口腔ケア、認知症対応では、各専門職が専門性を生かし業務を進めることにより、円滑な対応が図られていますが、今後、高齢者の増加が予測されることからも、三師会に対し、専門職の配置や育成についてお願いをしていきたいと思います。 引き続き、各分野の専門家と連携を図りながら、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく住み続けられるよう、きめ細やかな地域包括ケアシステムの推進に取り組んでまいります。 次に、包括支援についてのお尋ねです。 議員の御指摘のとおり、障がいのある人と家族の高齢化への対応は急務の課題であり、障がいのある人が親なき後も地域で暮らし続けるには、医療、介護、住まいなどの包括的な支援が必要です。 本区では、渋谷区長期基本計画において、高齢者、障がい者、児童等への新たな地域包括支援体制の構築を施策の重要な柱と位置づけました。これを受けて、渋谷区障害者福祉推進計画では、地域で暮らし続けるための取り組みとして、地域生活支援拠点への段階的整備と、障がい者福祉サービスから介護保険サービスへの円滑な移行を重点項目に掲げました。 このうち、地域生活支援拠点については、はぁとぴあ原宿と、その隣接地に建設予定の「(仮称)神宮前三丁目障がい者施設」を、本区における障がい者施設の中核と位置づけ、これら施設で介護、ショートステイ、医療相談、機能訓練などを利用しながら、住み慣れた自宅や地域のグループホームで安心して暮らしていけるよう、区内全域で地域生活支援ネットワークを構築してまいります。 また、障がい福祉サービスから介護保険サービスへの円滑な移行についても、その要となるプランを作成する相談支援専門員が、障がいと介護のそれぞれのサービスや制度について理解を深められるよう、本年一月に新庁舎五階に開設した「基幹相談支援センター」を中心に、相談支援専門員を対象とする研修や勉強会を開催しています。 本区としても、昨年度から東京都市大学と連携してスタートした、児童・障がい・介護の関係者が集う「渋谷福祉学会」などの機会を活用して、福祉の現場を担う方々とともに、障がいと介護のサービスや施設の相互利用について検討してまいります。 次に、介護人材の確保についてのお尋ねです。 介護人材の確保については、「第七期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」の中で重点施策と位置づけており、今年度は、これらの介護の事業を始めようとする人を対象に、入門的研修と区内の介護事業所とのマッチングを兼ねた介護講座や就職相談会を実施し、介護人材の裾野の拡大に向けた取り組みを強化していきます。また、区内の介護事業所に向け、経験年数や職層に合わせた人材育成研修として、リーダーの育成や現場のスキルアップ、職員のメンタルヘルスなどについて講座を開催し、働きやすい職場環境づくりを支援し、人材の定着を目指します。 今後は、さらに介護人材の確保、定着を推し進めるために、職員の住宅補助のほか、将来介護の担い手となり得る若年層を含めたより多くの人に介護の仕事をアピールする機会をつくるなど、多様な視点から実効性のある施策を検討してまいります。 次に、多世代共生型の暮らし方の推進についてのお尋ねです。 現行の渋谷区住宅マスタープランの計画期間が、令和二年度までであるため、今年度から基本構想及びまちづくりマスタープランに基づく改定作業に着手したところです。 改定に当たっての大きな課題は、単身の高齢者世帯の加速的増加です。このまま超高齢化を迎えるとコミュニティが衰退し、孤独死などが広がるおそれがあります。 議員御提案の、若者を含む多世代が助け合って暮らす暮らし方の構築は、実現すべき重要な課題だと思っています。現在検討している方向性は、スウェーデンなどで実施している共用のキッチンや交流スペースがあることで、家事や育児を助け合いながら暮らすコレクティブハウジングという住まい方です。助け合いの暮らし方を維持するためには、御紹介いただいたエリアマネジャーのような仕組みも必要となりますので、ロシアやフランスの事例も研究してまいりたいと思います。 このため、今年七月に立ち上げた住宅政策協議会に、コレクティブハウジングに詳しい専門家を部会長とする専門部会を設置して検討を進めています。実現に向けて、渋谷区において、家事や育児を交代で負担する暮らし方のできる人が、実際にどれだけいるのかといった調査を始めています。来年度作成する新たな住宅マスタープランにおいては、渋谷区で実現可能な多世代共生の暮らし方を取り入れたいと考えています。 代々木二、三丁目の国有地につきましては、取得に向けて国と協議中でありますが、取得でき次第、保育園や高齢者福祉施設とともに、多世代共生のモデルとなる区民住宅を整備したいと考えています。また、共生のためには、支える側の人材が必要ですので、若者や介護人材が一定の条件のもとで入居できる枠も設けたいと思います。 新たな住宅マスタープランの策定にあわせてモデル事業を実現することで、これまでにない先進的かつ多様な住み方を選択できる住宅政策を推進してまいりたいと考えています。 次に、区民の福利施設として、管外施設の整備についてのお尋ねですが、
新島青少年センターは、豊かな自然環境の中、青少年団体や小中学生を含む家族が、グループ活動や親子のふれあいを深め、青少年健全育成の場として多くの区民の方に利用されてきました。 施設は来年で開設五十年を迎え、建物の老朽化や設備不足などの課題もあり、また、土地の賃貸借についても今年度末をもって満了となるため、区は今後の施設運営について検討してまいりました。冒頭の発言でも述べましたが、区民の利用状況や新島との関係などを鑑み、
新島青少年センターの土地賃貸借契約を更新し、建替えを視野に検討しておりますが、現在の区民ニーズでは、青少年育成に限らず、ファミリーのレジャーや幅広い世代でのマリンスポーツ、さらには豊かな自然環境の中でのリフレッシュを目的とした利用などが含まれております。時代とともに青少年施設としての位置づけも変化しております。 今後は、施設のあり方についても検討を行い、民間の手法を取り入れるなど、現在の区民ニーズに即した宿泊施設として、さらには豊かな自然を持つ新島を体験できる施設として、より区民に喜ばれる運営を目指します。不足する設備等につきましては、施設を整備する中で解決を図り、新島の魅力を生かした事業展開についても検討してまいります。 また、今回の台風十五号の影響で一部の宿泊棟の屋根が剥がれるなど、甚大な被害が出ており、幸い人的被害は出ておりませんが、当面は営業する上で大きな支障がある状況です。建物等の被害状況を確認し、今後の営業については早急に検討し、対応を図ります。 次に、幼児教育と保育環境の整備についてです。 保育施設等に臨床発達心理士などの専門家を常設することについては、それぞれの園の状況、運営方針等により、保育施設等を運営する法人がその責任において対応していることもあると聞いています。 区としては、子ども発達相談センターで、区内の公立・私立を問わず未就学児通所施設の巡回訪問相談を実施しています。これは、日々の保育の中で発達の気になるお子さんへのかかわりについて、保育士等への助言・指導をするもので、平成二十七年度から行っています。今年度より心理士を二名増員、さらには心理士の資格を有した大学教授を新たにチーフアドバイザーとして配置し、体制を強化したところですので、この巡回訪問相談に加えて、現段階では区が常勤の専門家を配置する考えはありません。 職員の人材育成などの保育環境の整備については、現在私立保育園等の保育士への研修を、渋谷区私立保育園・認定こども園連合会へ研修業務を委託して実施しています。 実施方法については、受講者が集合する形式で実施していますが、グループワークや講師との質疑応答を行うことで、受講者の習熟度を高めることやモチベーション維持につながる研修内容であると考えているためです。 研修にeラーニングを導入することについては、受講機会の確保や保育現場の負担軽減などの効果があると考えられますが、eラーニングに適した研修内容や実施方法については、今後の研究課題としたいと思います。 また、保育従事職員の宿舎借り上げ事業については、国と東京都の制度であるため、その動向を注視してまいります。このほか、職員配置に関する保育事業者への補助制度については、保育の質の確保や職員の処遇改善に資するよう、国や東京都の制度を活用しつつ、保育事業者への支援を実施してまいります。 次に、幼児教育プログラムについてのお尋ねです。 渋谷区幼児教育プログラムの改定については、これまで「幼児教育」という表現を、幼稚園や保育園、認定こども園の小学校入学前の子どもたちを広く対象としたことが明確化できるよう、「渋谷区就学前教育プログラム」と表現を変更する予定です。 また、今回の改定に当たっては、様々な園に活用されるよう、公立・私立の幼稚園や保育園等の教員などを含めて検討を進めています。 本プログラムの改定のポイントは、国の指針等を踏まえ、幼稚園、保育園、小学校との接続に係る取り組みを充実させるとともに、海外での先進的な幼児教育を参考に検討しています。具体的には、子どもたちを新たな価値の創造者として捉え、作品等を積極的に展示するイタリアでの取り組み、自分の考えや思いを他者に伝え、認め合う場面を設定するニュージーランドでの取り組みなど、視察の成果を指導計画に反映してまいります。 引き続き検討を進め、九月末を目途に、この改定プログラムを踏まえた教員研修についても検討してまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(下嶋倫朗) 豊岡教育長。
◎教育長(豊岡弘敏) 私には、教育について四点のお尋ねがありました。順次お答えしてまいります。 まず、ICT教育についてのお尋ねです。 教育委員会では、タブレット端末の導入効果や課題を把握するため、ICT教育に関するアンケート調査を、これまで二回実施してきました。児童・生徒の調査結果では、学習に対する興味・関心の向上、自分の意見や考えが伝えやすくなったこと、他者の多様な見方、考え方が気がつきやすくなったことなどに効果が出ております。教員の調査結果では、タブレット端末を含むICT機器の環境に対する評価や、指導者用のデジタル教科書に対する評価が高い状況でした。 これらの結果は、現行の渋谷区モデルの特徴である児童・生徒、教員に一人一台のタブレット端末が貸与され、LTE回線により、いつでも、どこでも使える環境が整備されたことによるものと認識しております。そのため、新しい渋谷区モデルにおいても、このICT教育環境を前提とし、学校や家庭における、質の高い学びにつなげていきたいと考えています。 一方で、調査結果からは、学習ドリルや教員の負担軽減などについて課題が見られたため、これらの課題が解決されるようなシステムを構築することも必要と考えられます。 今後は、議員御指摘の国の構想も参考にするとともに、学校現場に支障が出ないようなスケジュール計画をし、新しい渋谷区モデルの検討を進めていきたいと考えています。 続いて、
プログラミング教育についてのお尋ねです。
プログラミング教育は、子どもたちに、コンピューターに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業につくとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としてのプログラミング的思考を育成するものです。このような力を身につけるには、これから多くの学校で、子どもたちが楽しかったと言える、魅力ある
プログラミング教育にしていくことが必要です。 教育委員会では、区内における
プログラミング教育の充実を目的とする
プログラミング教育事業に関する協定を締結し、カリキュラム開発に向けた準備を進めています。また、ICT教育推進校としての笹塚中学校はもとより、長谷戸小学校、常磐松小学校においても、論理的に考えていく力を育む
プログラミング教育の研究を行っています。放課後クラブやこども科学センター「ハチラボ」では、多様なプログラミング体験などの取り組みも進めています。 このように、
プログラミング教育のカリキュラム開発や授業研究など、今後も様々な取り組みを充実させ、
プログラミング教育を魅力的なものにしてまいります。 次に、生きた教育の推進についてのお尋ねです。 議員御指摘のオリンピック・
パラリンピック教育や人権教育、シティプライドを育むための教育は、異文化理解や子どもの生きる力につながるものと考えます。こうした教育活動は、学校の中だけで行われるものではなく、学校で習得した知識や技能等を生きた社会で活用したり、現実の社会の課題を学習内容として取り扱ったりすることで、より質の高いものとすることができます。 そのため、今後とも児童・生徒が社会とのかかわりの中で生きる力を育み、未来の渋谷を担う人材となるよう、また、各学校がコミュニティスクールとしての特色を生かし、地域の人材や資源を活用した教育活動が行えるよう支援してまいります。 最後に、いじめ対策についてのお尋ねです。 いじめは、子どもの生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼす人権侵害であり、絶対に許されない行為です。 議員御指摘のとおり、各学校では年間二回、いじめに関するアンケート調査を行っております。その結果については、全職員で共有するとともに担任やスクールカウンセラーとの面談につなげています。また、各校の生活指導担当者を対象に、いじめをテーマとする研修会の実施や、中堅・若手教員研修など、職層に応じた研修を実施し、教員のいじめ問題への対応力を高めています。 子どもたちが日々の生活を送る際に発生するトラブルや悩み、ストレス等について相談できるよう、区の教育センターや都の「LINE相談」窓口などについても周知をしています。さらに、教育委員会では、本年八月にいじめの未然防止等の対策を協議する会を開催するなど、今後もいじめ防止のための対策を講じてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(下嶋倫朗) 二番岡 議員。
◆二番(岡美千瑠) ただいま区長、教育長より、数々の提案に対して意をお酌みいただき、大変前向きで丁寧な御答弁をいただき、誠にありがとうございました。 以下、若干の所感を申し述べさせていただきます。 まず、東京二〇二〇年オリンピック・
パラリンピック競技大会の準備について、様々な取り組みを進めていただいていることに感謝いたします。今後とも、区の独自性を持った取り組みを進めていただき、組織の透明化と情報の集約・共有・提供のためにも、是非組織横断型の取り組みを進めていただきますようお願いいたします。 次に、経済活性化について、スタートアップ・エコシステム拠点都市としての整備について、積極的な答弁をいただきました。実現に向けた今後の取り組みに期待いたします。 CSVのエコシステム形成についても前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。 行政だけでは解決困難な課題に、多様な主体の得意分野を生かした産官学民協業の働きかけは重要です。また、その潮流の中での環境整備としまして、ビットバレーと呼ばれた渋谷をIT分野における世界的技術拠点へ推進し、スマートシティを実現することは、便利な近未来都市を実現するばかりでなく、都市問題解決にICTやビッグデータをも活用できると考えております。 是非、CSVの意識を明確に持ちながら活動いただき、多様な主体と協働し、都市問題解決に寄与するCSVエコシステムの早期形成を期待いたします。 多世代共生型の暮らしの推進については、実現すべき重要な課題であると答弁いただき、ありがとうございます。是非、代々木二・三丁目の国有地の取得を進めていただくとともに、新たな渋谷区住宅マスタープランの策定にあわせ、先進的で多様な住み方を選択できる新たな住宅政策を推進し、未来を見据えたまちづくりを進めていただきたいと思います。 教育につきましては、教育長に前向きな力強い答弁をいただきました。渋谷区の未来を担う子どもたちの健やかな成長のため、全力で取り組んでいただきますよう期待いたします。 最後になりますが、私ども渋谷区議会自由民主党議員団は、渋谷区の活力を向上させる先駆的な施策を積極的に推進し、全ての区民が希望にみちた明日を享受できる社会を実現するため、誠心誠意、最大限の努力をしてまいりますことをこの場にお誓い申し上げ、私の代表質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○議長(下嶋倫朗) 暫時休憩いたします。
----------------------------------- 休憩 午後二時五十分 再開 午後三時十分
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○副議長(岡田麻理) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 四番神薗麻智子議員。
◆四番(神薗麻智子) シブヤを笑顔にする会の神薗麻智子です。会派を代表して質問いたします。 質問に入る前に、一言述べさせていただきます。 先月の九州北部豪雨では、佐賀県の武雄市、大町町を初め大きな被害が発生いたしました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げます。 先週、横浜市でも、集中豪雨でJR横浜駅や戸塚駅が浸水する被害がありました。また、昨日未明、台風十五号が猛威を振るい、関東エリアでも停電や倒木、建物の破損などの被害がありました。関係の深い新島村でも、停電が続いたり建物が壊れるなど被害が大きかったと聞いております。被害に遭われた地域の一刻も早い復旧・復興を願っております。 昨年の西日本豪雨など、ここ数年、豪雨や台風による大規模な災害が全国で多く発生しており、三十ミリを超える大雨がおよそ三十年間で約一・七倍に増えています。大雨増加の一因として、地球温暖化との関係が疑われております。地球規模で起きている問題に向き合うとき、無力感を感じてしまうこともありますが、「Think Globally,Act Locally」(シンク・グローバリー、アクト・ローカリー)を信念に、百年先を見据え、地球規模で物事を考えながらも渋谷区で地道な実践をつくっていくことが明るい未来につながっていくと信じております。 渋谷区の掲げる基本構想である「ちがいを ちからに 変える街」の実現に向け、区民の皆様から負託を受けた議員として役割を全うしてまいります。 以上のことを申し上げて、質問に入ります。 まずは、残り一年を切った二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた環境対策について区長にお伺いいたします。 大会組織委員会は、二〇一五年九月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標、SDGsに貢献し、将来に引き継がれる取り組みを行うことを宣言しています。 二〇一二年に開催されたロンドンでは「廃棄物ゼロ」を掲げ、生ごみのコンポスト化やリサイクルの推進を積極的に行った結果、六二%の一般廃棄物と九九%の施設建設・解体時に発生した廃棄物がリサイクル、リユースされました。前回のリオデジャネイロでも3Rは重要視され、合計千百トンの廃棄物がリサイクル・リユースされました。 「渋谷区環境基本計画二〇一八」では「持続可能な仕組みづくりに取り組む」と発信しておりますが、オリ・パラへ向けてSDGsを実践していくことは渋谷区にとって非常に意義があることと感じます。 そこで、二点区長にお伺いです。 一点目は、食品ロスについてです。 日本では毎年約五百万から八百万トン、渋谷区では一日当たり約二トンの食品ロスが発生しております。渋谷区では「シブラン三ツ星レストラン」認証制度やフードドライブ、生ごみのコンポスト容器のあっせんなどを実践していますが、現状を踏まえると、活動をさらに加速させていく必要がございます。 そこで、オリ・パラを契機に、食品ロスに関する取り組みの積極的な周知や活動の拡大を提案いたします。 食品ロスやごみの削減、環境美化などに取り組む区内の飲食店を認証し、区のホームページでPRするシブラン三ツ星レストランがこの六月からスタートしております。八月末段階で六件の認証と聞いています。例えば、認証された店舗をより多くの方々に利用していただけるように、渋谷区観光協会と連携し、来街者向けに積極的にPRを仕掛けるのはいかがでしょうか。 フードドライブは、現在、常設で一カ所、あとはリサイクルバザール等のイベントで回収を行っています。杉並区では常設の受付が区内に十カ所あり、区民施設など目に触れやすい場所に設置されています。渋谷区でも、地域交流センターや提携した企業、店舗への設置はいかがでしょうか。 コンポスト容器のあっせんに関しては、現在、問い合わせ対応と聞いています。こちらも区報やウエブメディアで積極的に発信をし、各家庭や事業所へ案内を行うのはいかがでしょうか。 オリ・パラを契機にした食品ロスの積極的な周知や活動の拡大について、区長の見解をお伺いします。 二点目は、プラスチック消費の削減についてです。 マイボトルやマイ容器、マイバッグの利用促進を渋谷区として取り組むことはできないでしょうか。現在、キャットストリートでは、ごみを出さない経済循環を目指したプロジェクト「530week(ゴミゼロウィーク)」を実施し、マイボトルなどの持参促進や各店舗で給水所を設置するなど取り組みが広がっています。また、東京都水道局はTokyo Water drinking station(トウキョウウオーター・ドリンキング・ステーション)を推進しており、渋谷区でも二十一カ所が指定されています。都の設置する給水所や、マイボトル・マイ容器・マイバッグ対応をしている店舗などを渋谷区として発信し、利用促進を区民や来街者へ積極的に働きかける取り組みなどができるのではないかと考えます。 オリ・パラへ向けたプラスチック消費削減の取り組みについて、区長の見解をお伺いします。 続いて、渋谷区喫煙ルールについて区長にお伺いいたします。 四月から屋外の公共場所が終日禁煙となりました。違反者は過料の対象になることもあり、周知を促すビラ配りや、分煙指導員が巡回し、指導が始まっています。しかしながら、公園に「公園内禁煙」の黄色いのぼりが複数設置されているにもかかわらず、喫煙者の数は一向に減らない状況です。 そこで、森田由紀議員と私で約一カ月間、区の取り組みに関するアンケート調査をインターネット及び街頭で行い、二百三十四名の方から回答をいただきました。わかったことは、大きく二点です。 一点目は、改正された「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の認知がまだ広がっていないということです。東京都の屋内施設に関する喫煙を規制した受動喫煙防止条例は六七・二%の方が「認知している」と回答、一方で、渋谷区の条例に関しては三四・一%にとどまっていました。 二点目は、「喫煙スペースを各所にしっかり設置してほしい」という御意見が多かったということです。喫煙者、非喫煙者ともに御意見いただいたのが、「喫煙スペースをもう少し増やすことでしっかりルールを守れるのではないか」という声でした。 そこで、区長に二点質問です。 一点目は、現在行われている周知方法及び指導の現状と、今後の周知徹底について区長の所見をお伺いします。 また、配布されているチラシやのぼりなど、今後、外国からの来街者が増えることも想定し、英語などの外国語表記も追加していく必要があると考えます。外国語表記対応について、あわせて見解をお聞かせください。 二点目に、「渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例」で、一万平方メートルを超える建物の中には公共喫煙施設の設置が義務づけられておりますが、それだけでは喫煙スペースが足りないと考えます。一般開放可能な屋内喫煙所を設置する建築物の所有者等に対し、設置費及び維持管理費を助成する自治体もあります。例えば千代田区では、設置経費の初期費用、原則一回限り、七百万円の上限で一〇分の一〇を負担しています。維持管理費は年額二百四十万の五分の四を助成しています。渋谷区にも屋内喫煙所を設置するための助成金制度を設け、たばこ販売店やコンビニなど、喫煙者が日常的に利用する小規模喫煙所の設置を促進するのはいかがでしょうか、区長の見解をお聞かせください。 続いて、渋谷区管外施設について区長にお伺いいたします。 渋谷区では、過去二年間で檜原自然の家、山中高原学園、富山臨海学園が廃止となりました。子どもたちの成長を見守り続けてきた青少年施設が次々と閉じられていることに、区民の皆様からも「青少年活動への支援が削減されているのではないか」と不安の声を伺います。 また、一九七〇年に創設され来年五十周年を迎える
新島青少年センターは、これまで施設の耐震や補強整備等を行いながら運用を続け、渋谷区と新島村はお互いを助け合い、友好関係を築いてきました。一九八〇年に新島村から渋谷区へモヤイ像が寄贈、また、二〇〇〇年の伊豆諸島北部群発地震では、トンネルの崩落により孤立した地域の村民の方たちが「
新島青少年センターを避難所として活用した」と、先日の視察の際に感謝の言葉もいただきました。このように、災害時にも助け合うことのできる関係づくりの重要性を感じております。 区長発言で、新島村との賃貸借契約を更新した上で施設の建替えを含め青少年施設としてのあり方を検討するとありました。シブヤを笑顔にする会ではこれまでも
新島青少年センターの存続を訴えてまいりましたので、区長の発言を高く評価いたします。 我が会派から、これまでの青少年施設、宿泊機能に新たな価値をプラスして、都市と島の連携だからこそできる地域創生の事業について提案します。 ここ数年、ワーケーション、テレワーク、サテライトオフィスという三つの働き方が注目されています。ワーケーションは休暇中に旅先などで仕事をするという新しい働き方、テレワークはICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、サテライトオフィスは企業等の本拠地から離れた場所に設置されたオフィスのことを言います。 徳島県ではこの三つの環境づくりを実践し、全国十八カ所のお試しサテライトオフィスモデルに採択されたり、海外企業二十社以上のワーケーションを実施しているそうです。渋谷区の企業も、オフィスの多拠点化のため徳島県へ進出している事例もございました。 また、新島村も徳島県を視察され、村をあげてサテライトオフィスなどの推進を行うということでお話を聞いております。
新島青少年センターがよく利用される時期である七、八月の夏休みやゴールデンウイークは渋谷区の青少年やファミリー世帯への貸し出しを優先し、閑散期には多拠点で働く方々やワーケーションの企業などに積極的に利用してもらうことで、海と自然という豊かな資源を持っている新島と、たくさんの企業があり世界とも密につながりのある渋谷区が共同で新たな地域創生の形をつくれると考えております。 時代に即した施設の見直しや新しい価値づくりを検討し、地域活性化にもつなげていけたらと考えますが、
新島青少年センターの今後について区長の見解をお聞かせください。 次は、子育て支援について大きく三点、区長に質問いたします。 まず、大項目一点目、渋谷区子育てネウボラについてです。 この五月からネウボラの取り組みがスタートし、オープニングイベントの開催やアンバサダーの認定、四月から八月末の段階で約百二十件の妊婦面接、それを受けて出産後の育児パッケージも送付がスタートしたと聞いております。 前出しましたアンケート調査では五〇%以上の方がネウボラの取り組みを認知されており、短い期間で多くの方に浸透している状況がうかがえます。 今後さらに準備すべき点ということで、渋谷区子育てネウボラについて区長に二点質問します。 一点目は、子どもや御家庭の情報を複数部署で連携するための「ネウボラ電子カルテ化」についてです。 ネウボラの取り組みは、産前・産後の面談を行う保健師を起点に、多くの関係者が横断して御家庭や子どもたちの成長を見守ることに大きな価値があります。第二回定例会でも、区長の答弁に「母子健康保健情報のシステム化について検討する」とありましたが、それを実現するためには面談や健康診断、予防接種等の情報を一元管理し、関係する担当者が入力、閲覧できるシステムが必要になります。また、保育園や幼稚園、学校、放課後等デイサービス、子ども家庭支援センター、子ども発達相談センター、今後、設置予定の児童発達支援センターなどからも情報入手や提供が必要となるでしょう。 京都府南丹市では、児童虐待を防止するために、市役所や学校などの関係者が情報共有できるクラウド型のシステムを二〇一九年七月より導入しています。従来は紙ベースで十日以上要していた出欠状況の確認、取りまとめなども、アプリへの画面入力だけで完結するようになったということです。例えば「今日も児童に会えなかった」という学校からの報告を市の担当者が夕方に参照、学校と緊急度を相談した上で、その日のうちに児童の自宅を訪問して状況確認ができているようです。 母子健康保健情報のシステム化の準備状況、上記お伝えしたように、母子の健康保健情報に加え複数関連箇所からの情報を収集し、連携できるようなシステム構築になればと考えますが、区長の所見をお聞かせください。 二点目は、ネウボラの全体計画についてです。 十八歳までの子どもたちのいる御家庭をサポートする渋谷区子育てネウボラにおいて、子どもの成長に合わせ御家庭がどう変化するかを踏まえ、働きかけていく必要があります。特に、子どもたちにスペシャルニーズがあったり御家庭が不安定で虐待の可能性があったり、ひきこもりや不登校の問題を抱えている場合など、相手からの情報を待つのではなく積極的な働きかけを行い、状況を改善していくことが必要です。 一方で、ある程度子育てが軌道に乗った御家庭に対しては、頻度の高いきめ細やかなフォローというよりは、多くの方々が欲する情報を提供し、必要があれば相談先があるという体制が有用と考えます。例えば、発達段階に合わせた子どもへの対応方法、保育園や幼稚園の情報、小学校や中学校の情報などは多くの保護者が欲しています。インターネットの普及に伴って子どもたちが誤った性に関する情報を手に入れる機会も早まっていますので、年長くらいから命や性に関することを保護者と一緒に学ぶ機会が必要という声も多く聞こえています。 妊娠期から十八歳までの御家庭と子どもたちの発達段階や想定される活動を踏まえ、専門家や支援を実践している方、担当部署を入れて委員会を立ち上げて、全体計画を設計すること、全体計画に関しては区民にも公表し、今後どういった支援がネウボラを通じて行われるのかを認識いただく必要があると考えますが、区長の見解をお伺いします。 大項目二点目、認可保育園の質の保証について区長にお伺いいたします。 六月に発表された待機児童数は九十二名ということで、昨年度の百五十一名から大幅に削減されています。今年度もさらに認可保育園の定員を四百三十六名拡大し、多くの共働き世帯が仕事を継続して行える環境をつくっており、子育て世帯からも評価をもらっています。 一方で、多数の新設園ができているため、保育園の質を一定水準以上に保つ努力を渋谷区としてしっかり行う必要があります。現状、東京都と合同の実地調査や巡回指導の担当を配置、私立認可園に関しては合同で研修会を設定するなどの対応を進めているかと思います。 そこで、区長に三点質問です。 一点目は、以前、議会でも提案がありました「保育の質ガイドライン」の策定についてです。 前出のネウボラでも全体計画が重要とお伝えしましたが、保育の質保証に関しても同様と認識しております。「保育の質ガイドライン」があることで、急激に増える民間の私立園と渋谷区が目線をしっかり合わせ、渋谷区の子どもたちを育てていけると考えます。また、保育園の自己評価の活動にもつながりますし、運営に協力する保護者や地域とも視線を合わせて取り組みが行っていけます。 世田谷区、豊島区、足立区など、二十三区内でも設置する自治体が増えています。渋谷区においても保育の質ガイドラインの策定が必要と考えますが、区長の見解をお聞かせください。 二点目は、区独自の巡回指導の強化についてです。 現在、渋谷区では保育巡回指導アドバイザーと指導検査担当の事務職員が一名ずつ、園長経験者四名の合計六名が巡回していますが、世田谷区では看護師、栄養士といった複数の専門職も入り巡回指導のチームをつくっています。渋谷区の巡回指導の現状と今後の方向性、看護師や栄養士などの複数の専門職の配置が検討できるか区長の見解をお聞かせください。 三点目は、保育士研修のオンライン化です。 渋谷区でも場を活用した研修会を行っていますが、保育士は現場があるため、全員が必須で研修参加というのが難しい現状です。そこで、ICT先進地域でもある渋谷区ならではの取り組みとして、eラーニングの講座を生かした研修を促進するのはいかがでしょうか。区長の所見をお伺いします。 大項目三点目、スペシャルニーズのある子どもたちの移動支援について区長に御質問します。 これまでも、要望を受け、スペシャルニーズのある方たちへ向けた移動支援の充実が進んでいます。スペシャルニーズ児童・生徒への移動支援については、特別支援学校の小学部、中学部及び高等部の自宅と学校間の通学、学校の送迎バス停留所までの送迎、また、放課後等デイサービス事業者や放課後クラブへの送迎も相談できることになっています。 特別支援学校だけではなく、特別支援学級あるいは通常学級に在籍しているスペシャルニーズ児童・生徒たちにも同様に移動支援を求める声が上がっています。区内にある放課後等デイサービスを利用する際も、送迎支援をしている事業所が少なく、療育的な要素を必要とされる児童・生徒を持つ保護者の送迎負担が大きいのが現状です。特別支援学級や通常学級に在籍するスペシャルニーズ児童・生徒へ移動支援の拡充をお願いできないでしょうか、区長の見解をお伺いします。 また、移動支援のヘルパーの確保も困難と聞いておりますので、シブカツのハチコウ大学などで移動支援ヘルパー養成講座を設置し、積極的に発信する働きかけも必要と考えます。ヘルパー養成の取り組みについてもあわせて区長の見解をお伺いします。 次に、高齢者の見守り施策について区長及び教育長に質問します。 渋谷区でも六十五歳以上の高齢者人口が二〇一三年から二〇一七年で四万三百二十二名から四万二千五百六十一名に増加しています。また、単身世帯の人口が全体の六五%を占めることから、今後、ひとり暮らしの高齢者が増えることも想定されます。 二〇一七年に発表された「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査結果報告書」には、ひとり暮らしが三四・四%と最も多く、次いで夫婦二人暮らしが三二・四%でした。御家族がいない方をどう見守っていくかは今後、重要な課題になってきます。 現在、「セーフティネット見守りサポート事業」のように人の力を生かした見守りと、IoT・Beacon(アイオーティー・ビーコン)を活用した宅外での認知症の方の見守りサポートの実証研究も進んでいると聞いております。 質問が二点ありますが、一点目は区長に質問です。 宅内での見守りサポートということで、ロボットを利用した見守りもできるのではないかと考えます。愛媛県西条市では、音声認識AIを内蔵した見守りロボットを設置し、離れて暮らす家族との連絡や介護予防の運動動画の情報を提供したり、ロボット自体が決まった時間に声かけをするなどの実証研究を行いました。遠方に住む御家族との「コミュニケーションが気軽にとれたこと」「ロボットとの会話に癒やされる」という声も出ており、高齢者の暮らしのクオリティー・オブ・ライフの向上にもつながっているということでした。 新たな高齢者の見守りのツールとして、宅内にAIロボットを設置する仕組みを整える助成を行うなど検討いただけませんでしょうか、区長に見解をお伺いします。 二点目は、教育長に質問です。 現在、区内複数箇所に設置されているオレンジカフェと中学生をつなぐ仕掛けができないかという提案です。 渋谷区の中学一年生は、認知症のサポーター講座を各校で受講しています。ここで得た知識を講座のみで終わらせるのではなく、社会活動の一環としてオレンジカフェでボランティアを行うことによって知識を生かす活動につなげるなど、今年度施行しているシブヤ科の取り組みも踏まえて実施できませんでしょうか。次世代を担う中学生と高齢者の方々の交流は、世代の分断をなくし、ちがいをちからにするまちづくりという意味において大変重要な取り組みと認識しています。教育長へ見解をお伺いします。 教育について、大項目四点を教育長に質問いたします。 まず大項目一点目、小中学校のICT教育の推進についてです。 渋谷区では、二〇一七年九月より全児童・生徒へLTEタブレットを貸与しています。次年度の九月でリース期間が切れ、新しい契約をどうするか、まさに検討されている時期かと思います。先日八月二十九日の文教委員会でも、「校務システムが教員の負担軽減になっていない」「ドリル学習ソフトの肯定回答が少ない」「新指導要領に対応した改革が必要」といった報告を受けました。 また、二〇一七年四月に公募があった文部科学省、次世代学校支援モデル構築事業及び総務省、スマートスクール・プラットフォーム実証事業へ参加し、二〇一九年三月に報告が出ています。 スマートスクール・プラットフォームとは、教員が蓄積する出欠や保健情報、成績情報が管理されている校務系のシステムと、児童・生徒も利用する授業・学習系システムを安心・安全かつ効率的に情報連携を行うための実証研究です。渋谷区として得られた成果は、「複数データの分析から通常の対面では発見しづらい生徒の様子を把握、指導を充実できた」点、「個人情報の対応方法を確立できた」点、「セキュリティを担保しながらビッグデータを運用し、生徒や学校の様子を具体化できる連携システムの枠組みを構築できた」点と認識しております。 多くの自治体で学校のICTに関する予算の獲得が難しい中、全児童・生徒へのLTEタブレットの導入、そしてその両輪としてスマートスクール実証研究へのチャレンジを行い、未来の学びへ向かう環境を学校現場と自治体が協力してつくっていることは大きな成果であり、評価いたします。 全国をリードする渋谷区モデルのさらなる発展へ向けて、五点、教育長に質問いたします。 一点目です。 今後、タブレットや学校のICTシステムがさらに活用されていくために、日常的なコミュニケーションソフトがあったほうがよいと考えます。 現在、全国五千校ある高等学校の約半数が利用している学校ICTソフトで、活用率が上位の学校群は全校の教員、生徒の八〇%以上が毎日活用するといったログが出ています。大きな要因は二つで、一つはコミュニケーションツールがあるということ、もう一つは保護者にも利用してもらうということです。どうしても協働学習、ドリル学習のツールのみだと利用する場面は限定されます。一方で、コミュニケーションは毎日行われますので、データで送受信することで業務が効率化できます。 スマートスクールの実証研究で、大阪市は、児童・生徒たち自身で心の天気を毎日つけてもらうことで、状況を把握した担任や養護教諭が生徒に声がけをするといった取り組みがなされていました。将来、顔認証の技術が進歩すれば、児童・生徒の健康状態がわかったり出欠をとったりということが児童・生徒がタブレットにアクセスするだけで可能になります。 また、保護者にも学校ICTを活用いただくことで、さらにICT化を進めることができます。既に区立認可保育園を中心に御家庭と園を連携するアプリが導入され、お知らせや書面、欠席や遅刻などの連絡もデータでのやりとりに移行されました。 そういった環境を経験した保護者が、小学校へ上がった途端、欠席連絡が連絡ノートになります。連絡ノートを学校に届けるまでに保護者同士が朝からやりとりをして受け渡しをお願いし、また夕方以降に依頼した御家庭へ受け取りに行かねばなりません。しかも、病気の子どもが一人でいるのが嫌だという場合は、感染リスクがある中、受け渡しの御家庭に連れていくこともあります。下の兄弟がいる場合はその兄弟を連れて移動したりと、保護者の負担がかなり大きいという声が上がっています。 教員の業務効率化という意味においても、紙の印刷や配付、回収、データ集計などの業務を削減することが可能です。学校ICTの取り組みとして、児童・生徒、保護者とのコミュニケーションツールの導入を検討いただけないでしょうか、教育長の見解をお伺いします。 二点目です。 文科省が二〇一九年六月に、新時代の学びを支える先端技術推進方策を発表しました。そこで提唱されている学びにおける時間、距離などの制約を取り払うという取り組みでは、遠隔技術を活用し、多様な人々との学び合いの機会をつくることもICT活用の具体的な効果とされています。 二〇一八年六月定例会で田中匠身議員がテレビ会議システムを使ったフューチャールームの構想を提案した際、教育長からは「海外派遣事業で訪れた現地校と交流が可能になるなど教育効果が期待されますので、今後、費用面などを調査し導入について研究してまいります」という答弁をいただいておりましたが、その後の進捗状況をお知らせください。 三点目です。 推進方策の柱の一つに「個別に最適で効果的な学びや支援」があります。現在は学習アプリ内で完結する仕組みですが、全国的な学力テストの結果を踏まえ、個別・最適化された学習コンテンツを、学力や学習状況に合わせて問題を提供する「アダプティブラーニング」の仕組みを導入することで、さらなる学習効果が上がると期待されています。「アダプティブラーニング」の仕組みを導入することについて、教育長の見解をお聞かせください。 四点目です。 さらにもう一つの柱「可視化が難しかった学びの知見の共有やこれまでにない知見の形成」があります。現在、協働学習用のアプリが導入されていますが、発信された教員の指導教材や生徒たちの発表内容は授業の実践知になります。このような指導や学習の履歴をビッグデータとし、自動的、継続的に収集、分析、共有することが可能です。指導や学びに関するデータ活用について、教育長の見解をあわせてお聞かせください。 五点目は、二〇二〇年度から新指導要領に入ってくる
プログラミング教育についてです。 既に渋谷区では、六月に締結された「Kids VALLEY(キッズバレー)未来の学びプロジェクト」に協力いただきながら、各社のコンテンツや専門性のある社員派遣など、次年度へ向けての準備が進んでいる状況かと思います。特に小学校の教員は、専門外の取り組みということで非常に不安を抱えているのではないかと思います。現場の教員の業務負荷をかけずに安心してスタートするためには、各社のアプリケーションの内容と、指導目標や目的を踏まえた渋谷区独自の指導カリキュラムや指導案が必要と考えます。また、学校へ派遣される講師やサポート役の社員に関しては、学校現場や児童・生徒への理解、学校カリキュラムの把握などの研修機会が必要と考えます。 新指導要領における
プログラミング教育に向けた準備状況について、教育長にお伺いします。 大項目二点目、小中学校のコミュニティスクールについて教育長へお伺いします。 今年度、渋谷区では全小中学校のコミュニティスクール化が完了します。子どもたちの無限大の可能性を未来へ向けて開いていくためには、御家庭や学校だけではなく、地域の力を合わせていくことが重要と考えます。 現状では、多くのコミュニティスクールの学校運営協議会は、学校長の発信する学校経営方針や活動について承認し、相互の連絡活動にとどまっています。そのような中、設置第一号の松濤中学校のコミュニティスクールの仕組みを教えてもらったところ、大変進んだものになっていました。学校運営協議会に学校支援本部が実行部隊として併設されており、さらには活動支援をするための資金を育英基金で集め、運用しています。 また、コミュニティスクールの運営に力を入れている品川区でも、学校運営協議会に当たる校区教育協働委員会に併設して学校支援地域本部が設置され、その間を地域コーディネーターが連携しています。地域コーディネーターのデスクを職員室に設け、教員とのコミュニケーションをしっかりとれる体制をつくっています。 そこで、教育長に四点質問いたします。 まずは一点目です。 学校運営協議会が承認や連絡会としての役割にとどまることなく、意思決定機関として機能するため、シブヤを笑顔にする会が提案してきた裁量予算を実現いただいたことは高く評価いたします。ただ、今年度、一校当たり二十万円と設定されていますが、各校の課題は一律ではありません。学校運営協議会の提案内容に応じて増額できる仕組みにすればコミュニティスクールも活性化すると考えますが、教育長の見解をお伺いします。 二点目に、渋谷区のコミュニティスクールとしての目指すべき方向性を教育委員会として提示し、学校支援本部の設置や予算を捻出する育英基金などの設置について各学校と議論いただきたいと思います。教育長の見解をお聞かせください。 三点目は、地域コーディネーターに関して、区の臨時職員としての設置、職員室へのデスク設置を検討いただけないでしょうか。学校のカリキュラムや行事、運営協議会での決定事項を踏まえ、学校支援本部のマネジメントをするという時間のかかる仕事になります。地域コーディネーター同士の情報交換や合同研修、学校との物理的な連携も必要です。現在の各学校における地域コーディネーターの活動状況と今後の地域コーディネーターに対する費用の予算化、活動支援について教育長の所見をお伺いします。 四点目です。 今年度より、シブヤ科ということで、シティプライドを醸成する取り組みが施行されています。総合学習の時間の一部を使って渋谷をテーマに各校が取り組むシブヤ科ですが、代々木中学校が「ちがいを ちからに 変える」をテーマに中学一年生から段階的に取り組んでいると聞いております。地域にいらっしゃる元教員の方が取りまとめ、渋谷区で活動する社会人とプロジェクトチームをつくり、教員とともにプログラムの設計や事業運営を行っているようです。まさに、シブヤ科のような社会教育をベースにした取り組みこそ地域の力が発揮されると感じた事例でした。 その際、ボランティアファシリテーターに事業を一緒に行ってもらうためには、指導案を踏まえたファシリテーション技術を身につけてもらう必要があるとプロジェクトをされた方々から要望が出ていました。これは先ほど質問したプログラミング連携でも同様なのですが、学校の授業に複数の地域の方や社会人の方が入っていただくとき、小中学生向けのファシリテーション技術を体得していただいた上でかかわっていただくほうが教員や地域コーディネーターとの連携もしやすいのではないかと思います。 例えば、S-SAP協定を結んでいる青山学院大学では、社会情報学部でワークショップデザイナー育成プログラムを実施しています。プログラムを渋谷区の小中学生を支援するボランティア向けに簡易的に設計いただくことも検討できるのではないでしょうか。 学校にかかわるボランティアへの研修の設置を教育委員会でまとめて実施することに対して、教育長はいかがお考えでしょうか、所見をお聞かせください。 大項目三点目、放課後クラブについて教育長にお伺いします。 放課後クラブに関しては、六月の第二回定例会でも森田議員より質問いたしました。 現在、放課後クラブ全体の運営に関するアンケート調査は準備いただいていると聞いております。今後、経過や結果に関しては文教委員会を通じて御報告いただきたく存じます。 今回は、特に夏休みに関する質問を二点、教育長にお伺いします。 一点目は、今年度予算化された統括コーディネーターについてです。 夏休みの放課後クラブの活動プログラムの充実のため、コンテンツ提供などを行ったと聞いています。どのようなコンテンツが実施され、放課後クラブの事業者や子どもたちの反応はいかがでしたでしょうか、教育長の所見をお聞かせください。 また、次年度へ向けてはどのような運営を検討しているのか、前出した学校設置の地域コーディネーターとの連携を行うのか、有料のコンテンツに関しては予算化するのか、統括コーディネーターから上がっている現時点での困り事などあわせてお聞かせください。 二点目は、長期休暇の昼食提供についてです。 私自身も小学校一年生の保護者として渋谷区の小学校にお世話になっていますが、夏休みに入る直前、保護者たちのつながるLINE上で大きな話題になっていたのが、夏休み中のお弁当をどうするかということでした。そして、その声は個人的なLINEグループだけではなく、オンライン上で政策実現を目指すサービスや署名を集めるサービスでも「何とかしてほしい」という声が多く上がっている現状です。特に夏場は食中毒の問題もあり、とても気を使ってお弁当をつくっている保護者がほとんどで、毎日のことともなるので心身ともに負担が大きいという声が上がっていました。 また、先日の文教委員会での放課後クラブ視察の際も、長期休暇の昼食提供について質問が出たと会派で報告を受けております。過去の文教委員会や議会質問でも議題に上がっています。具体的なニーズを受けて、市販のお弁当持ち込みの許可やクッキング教室の実施がされていますが、根本的な解決には至っておりません。 共働き世帯の増加に伴い、既に他自治体、例えば奈良市や八王子市、葛飾区などで長期休暇の放課後クラブや学童保育での昼食提供への挑戦が始まっています。葛飾区では、二〇一八年度から弁当配達マッチングサービスを利用した昼食提供を行っています。もともとは企業や団体向けの配達サービスだったものを学童保育用にアレンジしたもので、保護者のスマートフォンやパソコンなどを利用して注文から支払いまでウエブ上で行えるので、放課後クラブ事業者も、決められた時間に受け取り児童への手渡しをする業務だけで完結します。このサービスは、二〇一九年度に二十三区中七区で広がっています。 是非渋谷区でも他自治体の事例を参考にしながら、保護者が弁当をつくる以外に長期休暇の昼食提供サービスを選択できるよう検討を進めていただきたいと思っておりますが、教育長の見解をお聞かせください。 最後の質問として、不登校対策について教育長にお伺いします。 自殺総合対策推進センターの二〇一八年の発表によると、直近十年間の通学適齢期の自殺者数を見ると八月下旬から九月上旬が多いと発表されています。また、文科省の不登校の学校調査では、約十四万四千人程度の児童・生徒が不登校であると発信があります。 一方で、「不登校児童・生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行うときも指導要録上出席扱いとすること、及びその成果を評価に反映することができる」という通知が、二〇〇五年に文科省から教育委員会に発令されています。渋谷区においても、けやき教室やフリースクールの出席を学校の出席扱いにする、そういった取り組みが進んでいます。 しかしながら、不登校の児童・生徒に関しては、御家庭から出ることが難しい方もいます。二〇一七年の渋谷区教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行状況の点検及び評価報告書においても、教育相談やけやき教室につながっていない児童・生徒が多く存在していることへの問題提起が上がっています。 ネットを利用した在宅学習ができ、文科省の出席認定要件を満たす取り組みも始まっています。ネット上に担任がいて、子どもたちの学習進捗に対してサポートをし、学校との連携も行います。ネットでのフォローアップをきっかけに、街の元気学校ということで、地域に出て大人たちと学ぶ場もつくっています。 場に来ることが難しい児童・生徒たちのため、事例でお伝えしたようなオンラインでのフォローアップや出席認定ができないかと考えています。これは全児童・生徒にタブレットを導入しており、地域にこどもテーブルなど子どもたちのサポートをできる居場所がある渋谷区だからこそできる取り組みではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 以上、区長、教育長の答弁のほどよろしくお願い申し上げます。
○副議長(岡田麻理) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) シブヤを笑顔にする会、神薗麻智子議員の代表質問に順次お答えいたします。 東京二〇二〇大会に向けた環境対策についてのお尋ねです。 初めに、食品ロスについてのお尋ねです。 本区は「渋谷区環境基本計画二〇一八」に基づき、食品ロス削減の組織としてフードドライブやもったいないマーケットを実施しています。さらに、食品ロスに関する普及啓発のリーディングプロジェクトとして、今年度から--失礼しました、先ほど「組織」と言ったけれども、「取り組みとして」ですね、失礼しました。取り組みとして、フードドライブやもったいないマーケットを実施しています。 さらに、食品ロスに関する普及啓発のリーディングプロジェクトとして、今年度から、食品ロス削減等に取り組む飲食店等を認証する制度、「シブラン三ツ星レストラン」を開始したところです。認証店のPRについては、現在、区のホームページ上で掲載していますが、議員から御提案がありました渋谷区観光協会と連携したPRの拡大は、認証店舗をより多くの人に知っていただくのはもちろんですが、食品ロスに関する区民意識啓発を図るとともに、他の飲食店舗の自主的な取り組みを促進するのに有効であると考えますので、今後、具体的な企画等の検討を進め、継続的なPR力の向上に努めていきたいと考えます。 次に、フードドライブの常設場所の拡大については、現在、地域交流センター等区の施設では、紙パックや食品トレーなどの他の資源回収の拠点場所となっているためスペース等の課題がありますが、今後、民間施設を含め、常設箇所を増設できないか検討してまいります。 最後に、コンポスト容器のあっせんについては、今後、区ニュース、ホームページやツイッターなどに掲載するなどオウンドメディアを活用し、広く皆様に周知してまいります。 いずれにしても、区は東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会を契機に持続可能な社会を形成するために、区民、来街者、事業者の意識醸成を図り、さらなる食品ロス削減に向けて取り組んでいきたいと考えます。 次に、プラスチック消費の削減についてのお尋ねです。 プラスチックごみが漂着ごみ、海洋汚染により生態系に大きく影響を与え、世界的に問題となっています。レジ袋やペットボトルに見られるプラスチック製品の消費は削減していかなければなりません。 「渋谷区環境基本計画二〇一八」「渋谷区一般廃棄物処理基本計画」において、リデュース、リユースに重点を置いたライフスタイルへの転換をうたっておりますが、その実現のためには区民や来街者に広く普及啓発をしていく必要があります。 委員御指摘のプラスチック製品をもらわない、使わない取り組みの一つであるマイバッグ、マイボトルやマイ容器の利用を促進することは、プラスチックごみ削減に有効と考えます。本区ではこれまでエコバッグを推奨し、くみんの広場等で配布するなど普及啓発に努めてきました。今後はさらにマイボトルやマイ容器を取り入れながら、環境シンポジウム、もったいないマーケット、親子バス見学会などあらゆる機会を捉えて区民、来街者等に普及啓発し、プラスチックの消費削減に取り組んでいきたいと思います。 次に、渋谷区喫煙ルールについて二点のお尋ねです。 まず、現在の周知方法及び指導の現状と、今後の周知の徹底についてのお尋ねです。 渋谷区喫煙ルールの周知については、ホームページ掲載はもちろんですが、公用車による巡回広報、ポスター、チラシを作成し区施設や町会掲示板へ掲出をしたほか、区内鉄道事業者に配布し掲出を依頼しています。現在は区内十五カ所の駅及びその周辺において、九月末までの予定で、チラシの配布等により重点周知キャンペーンを行っています。また、渋谷駅前については駅前大型ビジョンを活用し、多くの来街者に対する一斉周知を図っています。さらには、この四月より大幅に増員した分煙対策指導員により区内全域を対象とした巡回啓発、個別指導も行い、加えて八月からは違反者からの過料徴収も行っており、禁煙ルールの徹底を図っています。 今後につきましては、新たに路線バスでの車内放送の実施や、夜間・深夜帯における委託事業者による路上喫煙の注意指導を行う予定です。 次に、配布チラシ等の多言語対応についてのお尋ねです。 現在、駅前での啓発キャンペーンで配布しているチラシについては「路上での喫煙禁止」「過料徴収」等の内容の一部を英語並記対応しています。また、路上に啓発のためのシートを張っているところですが、こちらは来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向け増加する外国人来街者対応として、四カ国語対応のものを大幅に増やし、普及啓発を行っています。 今後もあらゆる時機を捉えつつ周知徹底、普及啓発を図り、喫煙ルールをより実効性のあるものとします。 次に、屋内喫煙所設置助成金制度の御提案です。 本区には喫煙場に適した場所が少なく、路上等での受動喫煙を生じさせない閉鎖型の喫煙所設置場所の確保が課題です。その取り組みの一つとして、モヤイ像喫煙所のコンテナ型喫煙所への変更を予定していますが、議員御提案の屋内への喫煙所設置の助成制度は、この課題解決に非常に有効であると考えます。コンビニエンスストアなど喫煙者が日常的に利用している店舗に喫煙所が設置されることで、路上喫煙者が減るとともに吸い殻のポイ捨て防止にもなり、事業者責務として環境美化の確保に寄与するものと考えますので、制度創設に向けて検討を進めたいと考えます。 次に、
新島青少年センターの今後についてのお尋ねですが、冒頭の発言で述べ、また渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員の代表質問でお答えしましたが、
新島青少年センターは、今年の夏においても抽せんの上、多くの区民の利用があるなど非常に人気の高い施設であります。また、渋谷駅南口のモヤイ像の寄贈に始まり青少年団体や消防団などの交流、さらに新島における災害時の避難場所としての活用など、新島村と渋谷区は長年にわたり深く交流を続けてきました。 このような状況を鑑み、今後の
新島青少年センターにつきましては、土地賃貸借契約を更新し、老朽化した建物や施設の設備不足などに対しては、施設の建替えなどを視野に検討しております。 施設の設立当時と比較し社会環境は大きく変化しており、青少年施設としてのあり方についても見直しを図る時期と考えています。今後の施設運営については、時代に即した宿泊施設となるよう区民ニーズの的確な把握に努め、民間を活用した運営手法や、さらには議員御提案の企業のサテライトオフィス利用など、豊かな自然環境を持つ新島と世界につながりを持つIT企業の多い渋谷区とのお互いの特性を生かした連携事業も含め、新しい施設が有効活用できるよう検討を行ってまいります。 次に、渋谷区子育てネウボラについて二点のお尋ねです。 まず、ネウボラ電子カルテについてです。 議員御指摘のとおり、妊娠期から十八歳までの子どもと家庭を支援するに当たり、関係機関が必要な情報を迅速に共有することは大変重要であると考えます。 そこで、まずは現在、紙ベースで行っている母子保健関連の記録を一元管理し、ネウボラ関連部署である地域保健課、三カ所の保健相談所、子ども家庭支援センター、子ども発達相談センターで情報共有を可能とする新しい母子保健システムを、「
神南分庁舎跡地複合施設(仮称)」の完成時までに導入するため、準備を進めております。 特に支援が必要な要保護児童については、母子健康保健情報のほか保育園や学校などの関係機関情報を迅速に収集して対応に当たっており、これらについては現在、子ども家庭支援センターがシステムにより管理しています。そのため、今後は新しい母子保健システムを基盤に子ども家庭支援センターの情報と必要に応じてリンクを図るなど、渋谷区子育てネウボラの目指す子どもと家庭の支援に必要な情報が迅速に関係機関で一元的に共有できるよう、段階的にシステム構築を進めてまいります。 次に、「渋谷区子育てネウボラ」の全体計画についてです。 渋谷子育てネウボラは、フィンランドの妊婦と乳幼児を対象としたネウボラと、就学後の子どもと家庭を対象とした家族ネウボラを参考に、これまでの区の支援体制を統合した上で新たな体制を構築するものです。 そこで、手始めに本年五月から教育センターと子ども家庭支援センターの相談部門を統合し、就学前から就学後も引き続き相談支援が行える体制を整えました。また、区立小中学校については、今年度から教育相談員と子ども家庭相談員が一緒に全学校を訪問して、支援が必要な子どもに係る情報共有や支援方針の確認を行います。 今後は義務教育終了後の子どもと家庭についても、子ども家庭支援センターが中心となって、教育センターの相談事業である若者サポートを活用しながら思春期の子どもと保護者を支援していきます。 これからも妊娠期から十八歳までの子どもの発達段階に応じた相談支援の充実に努めてまいりますが、全体計画については子ども・子育て会議の場を活用するなどして検討していきます。 次に、認可保育園の質の保証について三点のお尋ねです。 まず、「保育の質ガイドライン」についてです。 他区のガイドラインでは、国の保育所保育指針などとの整合性を図りつつ、保育を実践するに当たっての各区の保育方針などが主な内容として記載されています。本区では、今月改定予定の「渋谷区就学前教育プログラム」において本区が考える幼児教育、保育の内容について示していますので、このプログラムを活用して保育の質の向上を図っていきたいと考えています。 次に、巡回指導について。 本区では、区立保育園の園長経験者等五名と、保育中の事故防止や事故発生時の対応などについて助言、指導を行う保育巡回指導アドバイザー一名により巡回指導を実施しています。昨年度は全園を一回以上訪問していますが、新設園については特に重点的に巡回し、それぞれ六回以上訪問しています。 また、今年度は東京都の保育施設の指導検査部門に研修のため職員一名を派遣しております。 今後も保育の質の向上のための体制を強化していきたいと考えており、その中で、看護師などの専門職の配置については検討してまいります。 次に、保育士研修のオンライン化についてですが、研修におけるeラーニングの活用については、先ほど渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員にお答えしたとおり、受講機会の確保や保育現場の負担軽減などの効果があると考えられますが、eラーニングに適した研修内容や実施方法については今後の研究課題にしたいと思います。 次に、スペシャルニーズのある子どもたちの移動支援についてのお尋ねです。 本区は障害者団体連合会の御要望などを踏まえ、渋谷区障害福祉推進計画に基づき移動支援事業の充実に努めてまいりました。このうち子どもの移動支援については、一人で通学することが困難であっても教育を受けられるよう、特別支援学校の在学生を対象とする通学支援を平成二十七年十月から段階的に導入し、現在は小学部、中学部、高等部の児童・生徒が対象となっています。 一方、個々の希望や成長に応じた教育を選択し、区立小中学校の特別支援学級や通常学級へ通学するケースも増えていますが、一人で通学できない子どもは保護者が登下校に同行する必要があり、保護者に病気や仕事の事情が生じると子どもの通学が困難になってしまいます。したがって、本区としては、個々の子どもの教育の充実に加え、保護者の支援を含めて渋谷区障害福祉推進計画の重点項目に掲げた「通学支援の充実」を、今後も具体的に検討してまいります。 また、通学支援は登下校時における短時間の利用が中心で、支援者のガイドヘルパーの確保やマッチングが困難であることから、地域での活躍が期待されるプレシニア世代やアクティブシニアの方々にも区主催のガイドヘルパー養成研修へ積極的に参加いただけるよう、議員御提案のシブカツでの開催についても実現に向け検討を進めてまいります。 次に、高齢者施策について、宅内での見守りサポートにロボットを活用してはどうかとのお尋ねです。 ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が増加傾向にある中で、多様な手法による見守り体制の構築が急務であると考えています。 本区では、毎年九月に七十五歳以上の全ての高齢者を民生委員が訪問し、敬老祝い金をお渡ししながら生活調査を実施しており、このときに心配なケースとして判断した方については地域包括支援センターと情報共有を行うとともに、必要に応じて見守りサポート協力員による日常的な見守りにつなげています。 しかし、日々の見守りを人的対応のみで続けるには限界があることから、AIロボット設置など新たな見守りツールの導入は、この課題解決に大変有効だと思います。 議員御提案の愛媛県西条市が導入を進めているAIロボットは、利用者を見つけると御家族に写真を送信するほか、利用者がロボットに話しかけると応答する、またロボットから利用者に話しかけられる機能などを有していることから、利用者への癒やしの効果とあわせて離れて暮らす御家族の安心感につながっているものと思います。 本区は今年六月、「地域社会的課題の解決の取組みに関する協定」を株式会社ソニーと交わし、今後、AIロボット・アイボを活用したひとり暮らし高齢者の方への見守りについての実証を進めていきます。アイボを活用した見守りに関しては、セコム株式会社と連携したシステム構築により、急変時の迅速な対応などさらなる見守りの強化を目指しています。 一方、AIロボットはコスト面に課題があることから、仕組みや助成制度の構築についてあわせて検討してまいります。 引き続き高齢者及び御家族の不安解消及び安全の確保と負担軽減のため、様々な技術を積極的に取り入れ、誰もが安心して住み続けられる渋谷区の構築に努めてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○副議長(岡田麻理) 豊岡教育長。