平成28年 9月 定例会(第3回) 平成二十八年 渋谷区議会会議録 第九号 九月二十九日(木)出席議員(三十三名) 一番 斉藤貴之 二番 藤井敬夫 三番 一柳直宏 四番 近藤順子 五番 松山克幸 六番 田中匠身 七番 伊藤毅志 八番 治田 学 九番 吉田佳代子 十番 須田 賢 十一番 笹本由紀子 十二番 堀切稔仁 十三番 斎藤竜一 十四番 佐藤真理 十五番 下嶋倫朗 十六番 久永 薫 十七番 沢島英隆 十八番 岡田麻理 十九番 小柳政也 二十番 鈴木建邦二十一番 秋元英之 二十二番 田中正也二十三番 牛尾真己 二十四番 五十嵐千代子二十六番 丸山高司 二十七番 木村正義二十八番 染谷賢治 二十九番 栗谷順彦 三十番 古川斗記男 三十一番 薬丸義人三十二番 芦沢一明 三十三番 苫 孝二三十四番 菅野 茂欠席議員(なし)欠番 二十五番
-----------------------------------出席説明員 区長 長谷部 健 副区長 千葉博康 副区長 澤田 伸 会計管理者 久保田幸雄 経営企画部長 星野大作
情報戦略担当部長 松本賢司
庁舎総合対策部長 佐藤賢哉 総務部長 藤本嘉宏
施設整備担当部長 加藤健三
危機管理対策部長 黒柳貴史 区民部長 菅原幸信 オリンピック・
パラリンピック担当部長 安蔵邦彦 文化・
都市交流担当部長 船本 徹 福祉部長 柳澤信司 子ども家庭部長 松澤俊郎 健康推進部長 前田秀雄 都市整備部長 秋葉英敏 渋谷駅
周辺整備担当部長 須藤憲郎 土木清掃部長 大澤一雅 清掃担当部長 藤野貴久
教育委員会教育長 森 富子 教育振興部長 植竹ゆかり 生涯学習・
スポーツ振興部長 植竹ゆかり
選挙管理委員会委員長 小林八枝子
選挙管理委員会事務局長 倉澤和弘 代表監査委員 小野浩道
監査委員事務局長 丸山喜弘-----------------------------------事務局職員事務局長 斉藤則行 次長 藤田暢宏議事係長 松嶋博之 議事主査
根岸正宏議事主査 真下 弘 議事主査
武田真司議事主査 石川研造 議事主査
市川洋子----------------------------------- 平成二十八年第三回渋谷区
議会定例会議事日程 平成二十八年九月二十九日(木)午後一時開議日程第一 会期決定の件日程第二 諮問第六号 人権擁護委員の候補者について日程第三 議案第五十四号 渋谷区附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例日程第四 議案第五十六号
渋谷区立幼稚園条例の一部を改正する条例日程第五 議案第五十五号 渋谷区
借上げ等高齢者住宅条例の一部を改正する条例日程第六 議案第五十七号 平成二十八年度渋谷区
一般会計補正予算(第三号)日程第七 認定第一号 平成二十七年度渋谷区
一般会計歳入歳出決算日程第八 認定第二号 平成二十七年度渋谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算日程第九 認定第三号 平成二十七年度渋谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算日程第十 認定第四号 平成二十七年度渋谷区
後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算日程第十一 議案第五十八号 特別区道路線の廃止について日程第十二 議案第五十九号 特別区道路線の認定について日程第十三 議案第六十号 渋谷区基本構想について日程第十四 議案第六十一号 公の施設の区域外設置に関する協議について日程第十五 報告第七号 健全化判断比率の報告について日程第十六 報告第八号
株式会社渋谷サービス公社の経営状況の報告について日程第十七 報告第九号 渋谷区土地開発公社の経営状況の報告について日程第十八 報告第十号
一般財団法人渋谷区観光協会の経営状況の報告について日程第十九 報告第十一号
株式会社渋谷都市整備公社の経営状況の報告について日程第二十 報告第十二号
公益財団法人渋谷区美術振興財団の経営状況の報告について
----------------------------------- 開会・開議 午後一時
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○議長(木村正義) ただいまから平成二十八年第三回渋谷区議会定例会を開会し、本日の会議を開きます。 この際、会議規則に基づき、四番近藤順子議員、三十一番薬丸義人議員を本日の会議録署名議員に指名いたします。 日程に先立ち、事務局長に諸般の報告をさせます。 〔
斉藤事務局長報告〕----------------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届け出の議員はありません。
----------------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は次のとおりであります。 長谷部区長、千葉副区長、澤田副区長、
久保田会計管理者、
星野経営企画部長、
松本情報戦略担当部長、
佐藤庁舎総合対策部長、藤本総務部長、
加藤施設整備担当部長、
黒柳危機管理対策部長、菅原区民部長、安蔵オリンピック・
パラリンピック担当部長、船本文化・
都市交流担当部長、柳澤福祉部長、
松澤子ども家庭部長、
前田健康推進部長、
秋葉都市整備部長、須藤渋谷駅
周辺整備担当部長、
大澤土木清掃部長、
藤野清掃担当部長、
森教育委員会教育長、
植竹教育振興部長兼生涯学習・
スポーツ振興部長、
小林選挙管理委員会委員長、
倉澤選挙管理委員会事務局長、
小野代表監査委員、
丸山監査委員事務局長。
----------------------------------- 監査委員から、平成二十八年五月末日現在、六月末日現在及び七月末日現在における例月出納検査の結果について報告がありました。
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○議長(木村正義) 本職からも御報告いたします。 去る平成二十八年七月十九日、委員会条例第十三条の規定により、前田和茂議員の議会運営委員の辞任の許可をいたしました。 同日付で委員会条例第七条第一項の規定により、染谷賢治議員を議会運営委員に選任をいたしました。 また、七月二十二日、
東京都議会議員補欠選挙の候補者として届け出を行った前田和茂議員は、公職選挙法第九十条の規定により、渋谷区議会議員を辞職したものとみなされ、同日付で辞職しましたことを御報告いたします。 区長から発言の通告がありますので、これを許可いたします。 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 本日ここに平成二十八年第三回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案について御審議をお願いすることとなりました。 この機会に、当面する区政の課題について御説明申し上げ、区議会及び区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。 九月十八日、過去最大となる百五十九の国・地域から約四千三百人の選手が参加した第十五回
夏季パラリンピックが閉幕しました。 史上最高と評価されたロンドン大会に続き、
リオデジャネイロ大会での成功は、障がい者にとどまらず、マイノリティーに光を当て、マジョリティーの意識を確実に変えつつあると思います。我が国でも連日、各種メディアが、選手はもちろん、競技の解説や選手を支える多くの人たちを幅広く取り上げ、紹介するなど、前回の一九六四年東京大会当時からは、大きな変化が見られました。この半世紀は、まさに人々の心が開かれていった軌跡でもあると言えます。 数々の感動と勇気を与えてくれた選手の皆さん、それらを支えられてきた全ての人々に改めて敬意を表し、感謝します。 二〇二〇年東京大会では、区内競技会場で
ウィルチェアーラグビー、パラ・バドミントン、パラ卓球の三種目が実施されます。 今回、
リオデジャネイロ大会開催の機会を捉え、区議会では、
リオデジャネイロ・パラリンピックの運営等の調査のため、伊藤毅志議員を団長とする区議会議員三名、職員二名を派遣し、非常に厳しい日程の中、精力的に御視察され、その調査結果は、全員協議会において報告されると聞いております。ここに敬意を表しますとともに、その成果に期待するところです。 行政におきましても、関係部署の職員を現地に派遣し、視察させています。 ロンドンでは、
ウィルチェアーラグビーなどを開催した
自治体ニューハム地区を訪問し、子どもたちへの
オリンピック教育やスポーツ・文化振興のアプローチの仕方などを学ぶ一方、スポーツ施設で健常者も障がい者も交じり合い健康づくりをしている様子に、「日本とはまだまだ意識の違いが大きいことを実感した」との報告を受けました。 また、
リオデジャネイロでは、
ウィルチェアーラグビーとパラ卓球を視察し、「現地ボランティアのおもてなしの心を感じる大会運営や、競技会場での熱気を直接肌で知ることができた。区で壮行会を行った
ウィルチェアーラグビー代表チームの健闘もすばらしかった」とのことでした。皆様も御承知のとおり、この代表チームは、史上初となる銅メダルを獲得しましたが、とても喜ばしいことであり、区としても誇りとなるものです。 大会の運営やサポート体制のあり方、さらには大会後のレガシーの構築等、成果については報告書にまとめるとともに、広く区民と共有できるようにしたいと考えています。そして、区議会の調査結果もあわせ、本区においてこれらの経験を生かし、二〇二〇年東京大会の成功につなげるとともに、ここ渋谷から、人種や性別、障がいの有無などにとらわれない多様性を大切にする「ダイバーシティ・インクルージョン」社会に向けた意識改革を実現したいと思います。 「渋谷区基本構想」についてです。 現在の基本構想の策定から二十年が経過し、この間、人口構造の変動、渋谷駅周辺の整備や東京オリンピック・
パラリンピック開催を契機とした国際化の進展等、区政を取り巻く環境は大きく変化しています。また、本格的な少子・高齢社会、人口減少社会の到来を迎え、子ども・子育て支援新制度が導入されるとともに、医療・介護費用の増加、
ひとり暮らし高齢者の増加や認知症への対応などの課題が生じています。さらには、ICTの発展に伴い、スマートフォンやインターネットなど情報インフラが急速に普及する一方、長年にわたる経済の低迷等により、格差の問題が浮かび上がるなど、社会は常に新たなニーズと課題を生みながら変わり続けています。 そこで、このような加速度的に変化していく社会に適切に対応できるよう、本区の新たな未来像を描くとともに、今後の区政の基本的方向を検討していただくため、昨年十一月に公募委員六名を含む二十人の委員から成る渋谷区
基本構想等審議会を設置し、この八月三十日に答申をいただきました。 この間、審議会九回、小委員会三回、さらに二つの専門部会で精力的に検討が重ねられるとともに、区民説明会や
パブリックコメントを実施し、直接区民からいただいた多くの御意見が答申に反映されています。これまでの渋谷の歴史や伝統を踏まえながら、まさに渋谷という地域特性を生かした、渋谷区にしかつくることのできない内容になったと感じています。 市川会長を初め、審議会委員の皆様には、改めて心より感謝を申し上げます。 この基本構想案の内容ですが、まず、渋谷区の未来像を語る新たなフレーズとして、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」という言葉を掲げました。 私は、以前から申し上げておりますように、渋谷区をロンドン、パリ、ニューヨークと並ぶ、世界に誇れるような魅力あふれる成熟した国際都市にしたいと考えています。そのためには、「ダイバーシティとインクルージョン」の考え方をさらに普及・推進し、区民や渋谷区にかかわる多くの人々の意識を変えていくことが重要だと考えています。人々が持つ「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」というこの言葉は、その実現に向けた力強い象徴になると信じています。 また、基本構想案では、政策分野別にカテゴリーを七つに分け、それぞれの分野での未来の姿をわかりやすく表現しています。 例えば、「子育て・教育・生涯学習」の分野では、「それぞれの成長を、一生よろこべる街へ。」とし、あらゆる人が、「育つ人」であると同時に「育てる人」になり得ることから、全ての人が育つことと育てること、教わることと教えること、それぞれの喜びを感じられるようにすることを目指します。 また、「福祉」の分野では、「あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。」とし、どんな人も社会から孤立させず、全ての人々が支え合い、どんな人でも自分らしく生きていける共生の街を目指します。 同様に、「健康・スポーツ」の分野では、「思わず身体を動かしたくなる街へ。」、「防災・安全・環境・エネルギー」の分野では、「人のつながりと意識が未来を守る街へ。」、「空間とコミュニティのデザイン」の分野では、「愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。」、「文化・エンターテイメント」分野では、「あらたな文化を生みつづける街へ。」、「産業振興」の分野では、「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」としています。 これらのスローガンやビジョンは、渋谷区のこれから先の「あるべき姿」を示すものとして、夢と希望に満ちた明るい未来の創造に向け、大いに期待していただけるものになっていると考えています。 この基本構想案は、子どもからお年寄りまで、区民がいきいきと安心して暮らし続けられるまちづくりを進める上で、今後の区政運営の礎となるものです。 また、区民と渋谷区にかかわる多くの人々や企業、NPO、ボランティアなどはもとより、国内外からの渋谷を愛する全ての人々が支え合い、混ざり合って、渋谷の新たな価値を創造し、渋谷区が成熟した国際都市として成長し続けるための原動力となるものです。 本区では、既に御報告しているとおり、区政の課題を解決していくための手法の一つとして、地域貢献したいという区内民間企業や大学等とS-SAP(シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナーシップ)協定を締結し、それぞれが得意とする分野での強みを生かす取り組みを進めていますが、こうした行政と民間との協働は、今後、さらに重要性を増していくと考えています。 このようなことから、区議会の御議決後、新基本構想として、多くの区民へ周知を図り御理解をいただくとともに、渋谷区で学ぶ人、働く人、遊びに来る人、さらには世界に向けて、これからの新たな渋谷区を印象づけるメッセージとして積極的に発信していきたいと思います。 また、単なる理想ではなく、着実に実現していくために、同時に答申をいただいた長期基本計画に盛り込むべき施策の体系を踏まえ、今後十年間の施策の方向性を決める「長期基本計画」を策定してまいります。 あわせて、持続可能な行財政運営を確保できるよう、時代の変化に即応できる行政サービスを提供するための新しい働き方や新庁舎のあり方、区の組織のあり方についても検討を進めます。 次に、区議会と連携し、全庁を挙げて取り組んでいる「子育て支援」についてです。 まず、喫緊課題の一つである待機児童解消に向けた保育施設の確保・整備です。 十月には鶯谷町に認可保育園「ほっぺるランド渋谷」が開設されますが、さらに来年四月の開設に向けて、現在、上原地区で認定こども園一施設、氷川地区、初台地区、上原地区で事業者提案による認可保育園三施設の整備を支援しているところです。 今回、新たに本町地区において、来年四月に開設できるよう、本定例会に事業者提案による認可保育園の整備費等を補正予算として計上しました。今後は、これらに加え、既存の保育施設の改修等による定員拡大もあわせて行うなど、引き続き様々な手法を活用し、前定例会で申し上げた「平成二十九年度から三年間で千四百人規模の定員拡大」を実現してまいります。 本区では、これまでも保育施設の量的拡大とともに、良質な保育環境の確保に努めてまいりました。 良質な保育・教育の提供のもとになるのは、言うまでもなく質の高い人材の確保にあります。しかし、近年の都市部を中心とする全国的な保育需要の高まりに対する急激な施設整備の拡大は、それを支える保育人材の不足をもたらし、他自治体ではこれに起因する施設定員の縮小や開園時期の遅延などの話も聞くようになっています。 そのため、保育人材を確保し、その定着及び離職防止を図るための緊急対策として、新たに宿舎の借り上げ費用の一部を補助する「
保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」を実施することとし、必要な経費について、補正予算として計上しました。 本事業では、国や東京都の補助制度を活用するとともに、より実効性の高い制度となるよう、区独自の対策として、借り上げ費用や礼金に対する補助単価を上乗せするほか、転居に要する費用についても助成することとします。さらに、中堅保育士確保の観点から、国の補助制度の対象となっていない採用後六年目以降の職員も加えます。一方、これら支援策の対象を宿舎が区内にある場合に限定することで、保育従事職員の区内居住を促進し、閉園時の発災等、緊急事態にも迅速に対応できる体制の構築につなげ、民間保育施設における安全・安心かつ良質な保育の提供に資するものとしてまいります。 これらスピード感を持った待機児童対策と同時に、様々な保育・教育ニーズに対応したサービスの充実を図ることも欠かせません。 その取り組みの一つとして、このたび御寄贈いただいた土地を活用し、区内では初めてとなる小児科を併設した「病児保育施設」を初台地区に整備したいと思います。これにより、感冒等の疾病で集団保育が困難とされ、保育園に預けることができなかった児童も、安全・安心に保育できることになります。あわせて、従来の保育園では困難であった医療的ケアの必要な児童に対する「障害児保育」についても実施できればと考えています。 一方、区立幼稚園では、幼稚園教育と連続して園児一人一人に対応した教育・保育活動を行うことにより、園児の健やかな成長を図るとともに、子育て世代の就労支援ともなるよう、平成二十六年十月から本町幼稚園で、平成二十七年四月からは臨川幼稚園で、それぞれ「預かり保育」を実施してまいりました。 その実績を踏まえ、来年四月から広尾幼稚園を加え、区立幼稚園全園で預かり保育を実施することとし、本定例会に条例改正案を提出しております。 これらにより、区民の多様な
子育て支援ニーズに応えるための選択肢が充実するものと考えています。 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案三件、平成二十八年度
一般会計補正予算案一件、平成二十七年度
一般会計歳入歳出決算等四会計の決算審査、道路認定二件、その他議決事項二件、人事案件一件、報告案件六件を御提案しております。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
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○議長(木村正義) この際、区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 十四番佐藤真理議員。
◆十四番(佐藤真理) 今年の夏は、北海道では幾つもの台風に見舞われ、関東地方では竜巻の災害、九州では四月に起きた熊本地震の傷が癒えぬ中、大雨の被害に遭うなど、日本各地で自然災害が発生し、多くの方々の命が失われました。亡くなられた方に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われました全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。 さて、九月といえば、月、中秋の名月です。九月十五日は東京では曇り空で月をめでることはできませんでしたが、歌人、西行の歌に「いかばかりうれしからまし秋の夜の月澄む空に雲なかりせば」の一首がございます。 そこで区長にお願いがございます。私のこれからの代表質問に澄んだ空に浮かぶ月のごとく曇りなき御答弁をお願いし、渋谷区
議会自由民主党議員団を代表し質問させていただきます。 まず最初に、八月三十日に答申され、今定例会に議案が提案されている渋谷区基本構想について伺います。 基本構想とは、全ての区民が希望を持ち、豊かな生活ができるような魅力あるまちづくりを目指し、進むべき方向性を明らかにした渋谷区の長期的将来ビジョンです。 今回の策定に当たっては、数回にわたる審議会での議論を経て、区民に対する説明会やパブリック・コメント等も行われました。今後もあらゆる媒体を活用して周知に努めていただきたいと考えます。 区議会でも、総務委員会において数回にわたり報告を受け、質疑が行われましたが、活発な議論の中、意見を反映した修正もあったと承知しております。 今回の基本構想では、様々な分野の将来像が語られていますが、その中でも一番の重点課題は「子育て」と「教育」と考えられます。基本構想のカテゴリーA「子育て・教育・生涯学習」の中では、「渋谷はダイバーシティ&
インクルージョン教育の先進都市を目指します」としています。答申の中の長期基本計画に盛り込むべき施策においても重点とされており、「家庭、地域、教職員等教える側への
ダイバーシティ教育の推進」という項目も示されています。 今後、長期基本計画を策定し、さらに「実施計画二〇一六」についても速やかに計画の修正を進め、改めて「実施計画二〇一七」として三カ年計画を示すとしておりますので、具体的にどのような教育を実施されるのでしょうか。今回の答申については区長に出されておりますので、児童・生徒にされる教育と教える側への指導・研修について区長のお考えを伺います。 また、基本構想では、カテゴリーB「福祉」において、どんな人をも社会から孤立させないことを目指し、そのために人種、性別、年齢などの壁を越え、人と人とが助け合う「共助ネットワーク」を提唱し、こうしたつながりから、あらゆる個人や家族を支える基盤とするとしております。 少子・高齢化の進む中で、団塊の世代が七十五歳を超える時期となる、いわゆる「二〇二五年問題」があり、この二〇二五年には介護の必要性が高くなる七十五歳以上の高齢者は現在の一・三倍に当たる二千二百万人に急増し、六十五歳以上の国民の五人に一人に当たる七百万人が認知症になる可能性があると試算されております。 一方、自治体主体の合同就職説明会における介護職員のブースでは、「仕事の大きさに収入が見合わない」と言われることが多々あり、介護事業所は頭を抱えている状態と仄聞しております。これらの要因で、御家族の負担が増えるとともに、特に都心における介護難民の増加が深刻な問題となってきます。 一方、政府は、財政難を理由に要介護一、二の方に向けて、調理や掃除などの生活援助を介護保険の適用から外すことを検討しています。これは、御家族の自宅での介護負担を増やすことになっていくのではないでしょうか。その上、少子化で生産年齢人口(十五歳から六十四歳)が減ると、経済的負担も多くなり、税収の確保も難しくなることから、高齢化の問題はさらに大きさを増していきます。 「第六期渋谷区
高齢者保健福祉計画及び
介護保険事業計画」には、二〇二五年に向けての事業の拡大と推進が挙げられておりますが、国の計画の動向を踏まえ、基本構想を初めとする区で定めた他の計画とも調和を図らねばなりません。これらを前提に八年後の「二〇二五年問題」をどう乗り越えていくのか、具体的対策を含めて区長に伺います。 カテゴリーDでは、「人のつながりと意識が未来を守る街」として、地域防災力の向上が重点項目として挙げられています。 この中で、来街者も含んだ参加体験型防災訓練の実施並びに自主防災組織の育成等の推進が挙げられており、この方針に基づき、例年九月一日の「防災の日」に実施されていた「総合防災訓練」を、今年から平日開催では参加者が限られてしまうなどの理由から四日の日曜日に、内容も「防災フェス」としてリニューアルし開催されました。 本来、この「防災の日」は、昭和三十五年に内閣の閣議了解を経て、大正十二年九月一日に発災した関東大震災を忘れないための教訓として制定されました。例年、この時期は台風の襲来が多いとされる二百十日に当たり、「災害への備えを怠らないように」との戒めも込められています。 その趣旨を思うと、区長の思いは理解できますが、今回のフェスの内容は「総合防災訓練」というにはほど遠いものになってしまった感があります。イベントの色合いが濃く、相変わらず放送も聞き取りづらい開会式では企業の宣伝かと思われる時間帯があり、「これは防災訓練なのか、それともお祭りなのか」と、参加した地域の自主防災組織の皆さんからは厳しい御意見や苦情も多く上がったと認識しております。報告を受けた総務委員会でも厳しい意見が数多く上がったものと承知しております。 本来、防災訓練とは、自助・共助・公助の理念のもと、切迫している自然災害からいかに人命を守るのかを再認識するために、自治体として緊張感を持って行うべきものと考えます。何より基本構想の理念は、渋谷区に暮らす、そして集う人々のための地域防災力の向上であります。 初めての試みということもありますので、今回の経験を生かし、例えば午前中は防災訓練、午後は来街者も参加しての防災に関するイベントといっためり張りをつけた開催なども視野に入れた見直しも必要と考えますが、区長の所見を伺います。 また、今回、世界で最も先進のインクルーシブシティとして高い評価を得ているロンドン市を我が会派の議員が視察したことを踏まえて伺います。 二〇一二年オリンピック・パラリンピックロンドン大会は、ロンドン市内の街づくりの上で起爆剤の役割を果たしましたが、大会終了をもって完結したのではなく、四年を経た今でも着々と進化を続けております。現在も市内の道路や伝統的なつくりの駅のバリアフリー化、ストラットフォード・オリンピック・パーク周辺の再開発など、継続した街づくりが進められております。 翻って本区に置きかえてみれば、四年後の大会に向けて、渋谷駅周辺整備など再開発が進められておりますが、大会後にも渋谷はダイバーシティ・アンド・インクルージョンシティとして進化し、ロンドン、パリ、ニューヨーク、渋谷区、と区長の目指す理念を具現化していかなければなりません。 今回、渋谷区基本構想が議案として提案されたことを踏まえ、渋谷の未来像、どのようなビジョンをお持ちか、区長に伺います。 次は、成年後見制度について伺います。 認知症患者が五百万人を突破したとされ、超高齢化社会に突入している日本において、判断能力の衰えた高齢者の頼みの綱の一つが成年後見制度です。 先ほども述べましたが、団塊の世代が後期高齢者となる、いわゆる「二〇二五年問題」においては、認知症七百万人時代の到来が懸念されており、六十五歳以上の高齢者のうち五人に一人が認知症に罹患すると推計されております。約十年で認知症患者が一・五倍になることに伴い、後見人の需要も増加すると言われています。 本区においても、現在把握している認知症高齢者は約四千五百人、これは要介護認定者の認知症自立度Ⅱ以上の方であり、潜在的な方を含めるとさらに多い数値になると推測されます。 成年後見制度は、平成十二年、介護保険制度が導入された際、「判断能力が著しく欠如された方へのサポートが必要」として、民法の改正により成年後見制度の周知と活用の促進が図られました。 認知症、知的障がい、精神障がいなどの精神上の障がいによって判断能力の不十分な方が後見人を選ぶことで不利益を受けないよう、本人の権利や財産を守り、本人の意思を尊重した生活ができるよう援助するための制度です。 この成年後見制度には、老後や将来の設計ができるほど判断能力がしっかりした人が後見人を選任する「任意後見」と、老化や病気、認知症、知的・精神障がい等により判断能力が衰えた本人にかわって近親者などが家庭裁判所に申し立て家裁が後見人を選任する「法定後見」があります。この法定後見人には弁護士や司法書士が選任されることが多いと聞いております。 最高裁判所の調査によりますと、親族を含めた成年後見人の不正は近年増加傾向にありましたが、昨年は前年比で三百十件減少の五百二十一件、被害総額二十九億七千万円となっております。また、昨年の弁護士ら専門職の不正は前年より十五件増え、過去最高の三十七件、被害総額一億一千万円となっております。どちらにしても、本人が望まない不正が年間三十億円以上に上がっているという実態があります。ただし、これは事件化された件数であり、事件化されなくても後見人をめぐるトラブルは後を絶たないということです。 こうした後見人の不祥事により、後見制度の利用をちゅうちょされている方も多いのではないでしょうか。この実態を鑑み、多様なニーズに応えるための方策として、法人を成年後見人に選定することによってトラブルを減少させることができるのではないかと考えます。 法人後見のメリットは、親族間に紛争がある事件など、個人的に対応することが困難な事件にもチームで対応でき、経験上のスキルや情報交換による一定水準の業務が可能になる。また、法人であるため、長期間の後見業務の受任が可能になり、組織内のチェックにより不正事件のリスクが減少する等が挙げられます。 一方、法人後見のデメリットは、対面しているように「顔」が見えないので、本人との信頼関係を構築しにくい。組織による活動が可能になる反面、意思決定に時間がかかる等が挙げられます。 本区におきましても、「成年後見制度」の利用支援の充実を図るため、モデル事業として渋谷区社会福祉協議会が後見人の受任を行う「法人後見制事業」を実施していますが、今後、制度の適切な活用促進に向けて、渋谷区においても法人後見を本格的に実施すべきと考えます。 また、専門職である弁護士や司法書士に限りがある中、後見人不足解消のため、さらなる後見人の育成と活用に取り組むべきと考えます。 本区におきましては、渋谷区社会福祉協議会において市民後見人を養成する「社会貢献型後見人推進事業」を行っていると聞き及んでおります。市民後見人は、弁護士や司法書士などの資格は持たないものの、一定の知識や技術、態度を身につけた質の高い後見人候補者で、半年間に五十時間の研修等を受けて養成された方です。懸念される後見人不足問題解消につながると期待されますが、後見人候補者名簿の登録者が思いのほか増加せず、実際の受任件数がなかなか増えていかないのが現状です。それは、市民後見人がほぼボランティアに近い状況の中、渋谷区においては多額の資産を所有するケースが多いため、市民後見人への依頼が困難であることが原因と推測されます。 法人後見人制度の中にスタッフとして市民後見人を起用すると、さらに受注のキャパシティーを広げることになるのではないかと考え、法人後見人制度に市民後見人をスタッフとして起用することを提案させていただきます。 後見人がつくことで、判断能力の衰えた方の人生がどれだけ豊かになったのかということに評価の基準を置くべきです。認知症社会に即したシステムの構築が急務になっております。区長の見解をお聞かせください。 次に、主権者教育についてお尋ねします。 昨年六月に公職選挙法が改正され、制定以来七十年ぶりに選挙権年齢が満二十歳以上が十八歳以上に引き下げられました。世界的には選挙権を十八歳以上と定めている国が多数を占めており、中には十六歳以上の国もあると承知しております。 公職選挙法が施行され、施行後に公示された七月十日執行の参議院議員選挙から適用され、十八歳、十九歳の新有権者が初めて参加する選挙となりました。 今後の人口減少社会を見据え、有権者の世代別投票者数に不均衡が生じることを踏まえ、若年層の声を政治に反映し、将来の日本や地域社会を背負って立つ若者たちに少しでも早い段階から主権者として政治にかかわる意識を醸成するため、大変重要なことと考えます。 そのため、選挙管理委員会として、選挙のあるときはもちろん、選挙のないときも、常に啓発活動を行っていることと思いますし、教育委員会におきましても、主権者教育の重要性を認識し、重要課題として力を注いでいると考えます。 参議院議員選挙における東京都選挙区の十八歳と十九歳の平均投票率は五七・八四%で、他の世代を含めた全体の投票率五七・五〇%を上回っております。この高い投票率を維持するためにはどうしたらよいか。長期的展望に立脚した若年層への主権者教育の育成が必要です。 区内中学校では、実際に選挙で使われる投票箱と記載台の貸し出しを受け、模擬選挙を行ったり、ポスターコンクールを実施していますし、成人式の際には啓発用パンフレットの配布がされています。重要なことは、それらを一過性にせず継続することですが、この夏の選挙を経験して、日本の未来を担う若者たち、渋谷の未来を託す若者に今しておかなければならないことは何か。特に小中学校の社会科・公民的分野の指導要領の方針を受けて、どのように反映させて主権者教育を行おうとしているのか、教育長の考えをお聞きします。 その上、主権者教育は、政治の根幹に位置するものであると考えられます。選挙の大切さを、教育委員会は教職員に対しても具体的にどのように指導されていくのか。選挙権年齢が十八歳に引き下げられた前と後では異なると思いますので、あわせて教育長に伺います。 次は、子育てについて伺います。 待機児対策は喫緊の問題であると言われて久しいですが、残念なことに、「東京二十三区保育園マップ」によると、渋谷区の待機児数は、昨年ではワースト六位でしたが、本年はさらに順位が下がり、ワースト四位、三百十五人になりました。 このような状況を解消するために、本区では本年四月に、我が会派が提言した駅前などでの小規模保育事業の一環として、新宿駅にほど近い千駄ヶ谷地区に「キッズハーモニーNEWoMan」が開設されたことを初め、新設・拡大等を実施し、三百四十人の増員をいたしました。さらに、平成二十九年四月以降には、五百人以上の定員数が拡大されると承知しております。 このように、保育所の整備拡大は着実に進められておりますし、空地が少なく地価の高い渋谷区において、担当者の方々が懸命に努力されておりますが、待機児童ゼロが達成されていない状況です。 東京都全体では八千四百六十六人と言われる待機児童の拡大に、昨日開会された東京都議会では約百二十六億円の補正予算が提出されました。 東京都議会では、まず五千人の待機児童解消策として、補正全体の約二分の一、六十億円規模の施設整備費が提案されました。これまでも国の整備費の補助基準額のうち、国、東京都、区が十六分の十五、事業者が十六分の一を負担することとなっていましたが、今回の新たな緊急対策では、国の基準額を超える事業者負担部分について、国の補助基準額の二五%相当を上乗せしました。また、年度内に着工する場合には、さらに加算率を引き上げて三〇%相当分を加算し、事業者の負担をさらに軽減することが提案されています。 この制度を活用して、区内の特色ある保育施設を参考にして、待機児童対策の施設整備を進めるべきと考えますが、区長の所見を伺います。 一方、施設整備を進める中で課題となるのが、用地、物件の確保と保育士の確保です。 まず、用地、物件の確保についてお尋ねいたします。 保育所に活用可能な民有地、物件の掘り起こしを行う国の「民有地マッチング事業」を推進するため、東京都では各区市町村で不動産情報の収集事業を行うコーディネーターの配置を行える予算が計上されます。この事業を活用し、例えば不動産連盟の渋谷支部などと提携し、整備候補地の情報収集や開発コンサルティング情報などの地域の実情に応じた様々な取り組みを進めるべきではないかと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、二つ目の課題である保育士の確保についてお尋ねします。 本定例会において新たな宿舎借り上げ制度に渋谷区の家賃相場に合った上乗せ助成を行うべき補正が組まれており、他区との差別化が図られていることは評価いたします。 待機児の増大とともに、保育士不足のために、保育士の争奪戦が起きていると聞き及んでおります。今春採用の求人倍率では、保育士一人に対し六十六倍とのマスコミ報道もありましたし、渋谷のハローワークでも、保育士一人に対し二十から三十倍の求人倍率です。 このような現状の中で、保育士の人材確保、定着の支援はどのようになっているのでしょうか。量を確保することは急務ですが、どの施設でも保護者が安心して子どもを預けられ、また子どもたちも健やかに育成するよう質の担保も求められると思いますが、区長のお考えを伺います。 次に、「子育て便利帳」についてです。 さきに述べましたように、区内の保育園の新設も多く、「子育て便利帳」の改訂回数も多いと聞いております。実際初めてこの便利帳を利用した方は、余りに多くの情報が満載のため、知りたい情報へ行き着くことも大変で、その上、活字が小さく、読みやすいとはとても言えません。最近は、ネットでの情報収集の方が多いので、私も実際渋谷区のホームページから子ども・教育の項目を経て「子育て便利帳」へ行き着き開きましたが、必要な情報だけを取り出すことはできませんでした。 現在、渋谷区ホームページのリニューアルも進行中と聞いておりますが、今のライフスタイルに合うように、スマートホン対応にすれば必要な部分を取り出せます。若い保護者の方々はすぐにネット検索される方が多く、その世代に合ったわかりやすく容易に知りたい目的部分へたどり着く検索が可能なシステムが必要と考えます。 「子育て日本一」の渋谷区に合うサービスの提供の充実を促進していくためにも、将来的に区民が事前から登録しておけば、その方に合った必要な情報を区からまず配信されるという方法も考えられます。 子育て便利帳についての所見を区長にお尋ねします。 次に、我が会派で前回の定例会において提言した保育の質の向上のため、病後児保育の設置についてです。 今回、代々木四丁目に病児保育施設を開設するとのことで、一歩前進したと考えますが、二十三区における病児・病後児保育施設で区内に一施設しか実施していない区は渋谷区とほかの一区のみです。渋谷区の広尾上宮保育園は病後児保育でしたので、今回初めて病児保育施設が開設されるわけです。 一概に病児保育施設といっても、小児科医、看護師、保育士といった専門職の確保が必要であります。区内初の病児保育施設開設に当たり、その展望をお聞かせください。 今回開設される認定NPО法人フローレンスでは、障がい児保育も行うとのことです。保育の受け入れ先が極端に不足している日本では、障がい児の母親の大半は仕事を諦めるしかないのが現実です。実際、障がい児の母親の常勤雇用率は五%という数字があります。 この事業者は、杉並区や豊島区において障がい児を預かる保育園を運営しており、医療ケアを必要とする重症心身障がい児等の保護者も就労しながら安心して子育てができる取り組みを行っていると仄聞しております。 統合保育の視点から、障がい児を受け入れるという事業者のノウハウを生かしながら、これまで保育園に預けることができなかった保護者も安心して就労を継続できるような取り組みを進めるべきと考えますがいかがでしょうか、区長に伺います。 最後に、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックに向け、渋谷区の対策について、何点か伺います。 先日、リオ・パラリンピックが無事閉幕し、日本選手団は金メダルこそとれなかったものの、
ウィルチェアーラグビーの悲願の銅メダルを初め、前回ロンドン大会を上回る二十四個のメダルを獲得するなど大健闘いたしました。 また、一方のオリンピックでも過去最高のメダルを獲得し、四年後に控えた東京での大会に向けて、機運の醸成に資するリオ大会であったと思います。 今回のリオ大会には、議会を代表してパラリンピックに視察団が派遣されました。我が会派からも二名参加し、強行日程の中、リオ・パラリンピック、前回大会開催地ロンドンと、実のある視察を行ってまいりました。詳細については、後日、全員協議会の場で報告することになっておりますが、現地で見聞きしたことにあわせ、その報告を踏まえて質問いたします。 初めに、ボランティアの活用を含めた大会へのサポートを渋谷区はどのように取り組んでいけるかについて伺います。 リオでは、大会に向けて組織委員会が募集した実働約四万人のボランティアが配置されたと伺っております。 ボランティア文化が定着していないことに加え、大会一カ月前に採用が決まり、研修が不十分だったことなどから混乱も多々あったそうですが、視察時には黄色と緑のユニフォームで明るく陽気に迎えていただきました。 他方、リオ市としては、有償ボランティアとして約千八百人を配置し、ブルーで統一されたユニフォームを着用し、(ちなみにこのユニフォームは協賛企業から提供されていると伺いました)ガイドスポット、いわゆる案内所を通常の十六カ所からさらに二十九カ所増設して、外国人を含め来街者へ対応しておりました。 対応言語は、ポルトガル語、スペイン語、英語の三カ国語で、とても多言語対応とは言いがたい状況でしたが、他方、大きな指をモチーフとした案内板を手にはめて案内したり、各国向けのパンフレットが八カ国語対応で発行されており、大変参考になりました。 実際に日本語対応のパンフレットを拝見しましたが、おすすめスマホアプリ、ランニング・ウオーキングおすすめコース、やさしいポルトガル語集、主要観光地、リオでやっておきたいこと等々、訪れた日本人には大変役立つ情報が満載です。 表記に多少違和感を覚えるところもありましたが、観光局によると、それぞれの大使館に監修を依頼して作成したとのことで、まさに多言語対応に即したものと考えます。 ただ、その場に同席した派遣団の添乗員は、オリンピック大会、パラリンピック大会を通じて、「初めてこのパンフレットを見ました」とのコメントがあり、各ガイドスポットで配置され適切に利用されていたかは、甚だ疑問でありました。 そこで、区長に質問いたします。 本区においても、四年後のオリンピック・パラリンピックを見据え、区内主要な場所にガイドスポットの設置を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。 さらに、このガイドスポット、特に大会期間中には訓練をした有人のスタッフを統一したユニフォームで配置し、来街者をおもてなしの気持ちで迎えることができたらと考えますが、所見を伺います。 また、観光情報を掲載した多言語対応の刊行物や一目でわかる指などをモチーフとした案内板など、是非区内大使館などの協力のもと、作成を考えてはいかがですか。区長の考えをお聞かせください。 次に、オリンピックに加えてパラリンピックでも区内の施設が会場となる本区で、改めてバリアフリーへの対応を伺います。 リオでは、お世辞にもバリアフリーはしっかりと整備されていたとは言えない状況でした。訪問したリオ市の観光局のヒアリングでも、担当者から地下鉄や専用移動バスBRTの整備など、交通インフラは大会開催のレガシーになるのではという成果に比べて、バリアフリーについては道半ばであるとの回答をいただきました。 実際に派遣団が利用した際、BRTが途中で故障してとまったものの、何もアナウンスや代替手段を講じることもありませんでした。また、どの路線においても利用客をさばき切れないほど満員で、車椅子での利用などとてもできない状況でした。 さらに、会場もスロープの勾配が急であるため、車椅子利用者がスムーズに移動することができず、パラリンピックの選手村でも坂が急過ぎて登れないとのクレームも数多くあったと仄聞しております。 その点、ロンドンでは最高のパラリンピックであったとの評価をそのレガシーとして実感いたしました。各施設での段差の解消や会場へのスムーズなアクセス、特に視察したキングスクロス駅では、特徴的な歴史的外観はそのまま残す、いわゆるファサード仕様ですが、改札口からホームまで同一レベルで移動できるようリニューアルされておりました。また、全てのタクシーが車椅子でそのまま乗降できるなど、先進のインクルーシブデザインが行かされておりました。 こうした街づくりを進めるディヴィット・ボネット氏と会食する機会を得、大きな示唆を受けることができました。ここで簡単にボネット氏の略歴に触れたいと思います。 彼は、自らもハンディキャップを抱えたバリアフリー建築家で、二〇一二年のロンドン大会においてオリンピック選手村のインクルーシブデザインをコーディネートし、宿泊施設の設計を手がけられた建築家です。 さて、その示唆というのは、ロンドン市の各施設にはアクセス・オフィサーという役職を持つ人が配置されております。日本でアクセスといえば、その施設に行く方法という程度の意味ですが、イギリスのアクセス・オフィサーの役割は、ハンディキャップのある方が快適に全てのことがスムーズに行えるために配置された方です。ハード面でいえば、段差解消など施設のアプローチなどのバリアフリー化、ソフト面でいえば、手話や字幕、ガイドサインなどを監修するもので、公的、民間を問わず、主要な施設には配置されているそうです。 街づくりを進めるに当たり、その街づくりに関係するそれぞれのアクセス・オフィサー、自治体、ディヴィット・ボネット氏のような博士号を持った建築関係者が集まり、協議しながら街づくりを進めていると伺いました。こうした制度が今やロンドン市がインクルーシブシティとして世界の先駆けとなり、高い評価につながっている大きな要因と考えるところです。 このことを踏まえ、質問いたします。 本区において施設整備をする上で、ハンディキャップのある方、その視点を有する学識経験者から助言を受けられる体制整備を構築すべきと考えます。例えば、現在進行中の新庁舎建設において、変更可能な改善点はないか、あるいは今後具体的に動き出す新宮下公園整備計画などの街づくり、施設整備に関係する審議会の構成メンバーに加わる。さらには、百年に一度と言われる渋谷駅周辺整備において、国、都、鉄道事業者、民間事業者、区などの協議の場において俯瞰した助言を求めるなど、こうした助言を今後の街づくりに生かすことができれば、まさにロンドン市に負けないダイバーシティ&インクルージョンシティ渋谷となるのではないでしょうか。区長の所見を伺います。 次に、二〇二〇年に向けての取り組みについて質問いたします。 今後、大会開催まで本区として、いかに機運を盛り上げていけるかが大切と考えます。区議会でも、五輪・パラリンピック対策特別委員会を中心に全議員の協力を得て、「くみんの広場」での啓発活動が今年も行われます。 また、事前練習に西原スポーツセンターを使用していただいた
ウィルチェアーラグビーの活躍には、練習を見学した小学生たちも心を躍らせたと思います。 今回のパラリンピックは、次が東京での開催ということもあり、メディアの扱いも大きくなり、少しずつ関心も高まっていくことと思いますが、これをいかにして継続しながら機運の醸成を続けていくかが重要になります。 例えば、本区に事前合宿や種々の大会の誘致をする、前東京大会のレガシーであるオリンピック渋谷音頭を子どもから高齢者の方まで踊れるように普及する。また、可能であればオリンピック・
パラリンピック開催中に「くみんの広場」を前倒しするなど、子どもたちを初め各年代の方々、渋谷を訪れる外国人を初め多くの来街者に興味を持っていただくための施策展開が必要と考えます。こうした取り組みを積極的に行うお考えはないでしょうか。区長の所見を伺います。
○議長(木村正義) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 渋谷区
議会自由民主党議員団、佐藤真理議員の代表質問に順次お答えしてまいります。 初めに、基本構想において重点課題である「子育て」と「教育」について、ダイバーシティ&
インクルージョン教育をどのように進めていくのかという御質問です。 まず、今定例会に御提案させていただいている新たな基本構想を策定する基本的考え方について述べさせていただきます。 現在の基本構想を策定してから二十年が経過し、社会が大きく変化したことで、現在の基本構想が想定していない状況が生じています。策定した平成八年は、バブルが崩壊して間もない時期であり、人口については住民基本台帳上で約十八万四千人で、その後、緩やかな減少傾向が続くと予測しておりましたが、しかし実際にはその後の人口は緩やかな増加を続け、現在の人口予測では、平成三十八年までは増加すると予測しております。 また、ICTの進展は、二十年前と大きく変化しており、新たな技術を活用してサービスを提供していくことは、区民の利便性を高める手段として欠かせないものとなっています。 このように、現状を改めて把握し、新たに生じている区民ニーズに対応できる将来像を描くことが必要となり、基本構想を改める時期となってまいりました。 このような状況を背景として、私は今後二十年を展望して、渋谷区がどのような方向へ進んでいくべきなのかを渋谷区
基本構想等審議会に諮問し、その答申に基づき、今定例会に基本構想を議案として提出させていただきました。 さて、新しい基本構想のもととなる価値観として大切な考え方としている「ダイバーシティとインクルージョン」の理念ですが、渋谷区が今後国際都市として成熟していくために、この理念の実践が進んでいるロンドン、パリ、ニューヨークなどのように、さらに多様な人々が集う街となることが必要です。そして、多様な人々が出会うことで、渋谷区の活性化が進んでいくと考えています。 議員の御質問にありますように、その理念の実現のため、教育面での取り組みも重要と考えております。 基本構想では、A「子育て・教育・生涯学習」において、人種、性別、年齢、障がいの有無を問わず全ての人々が一生を通じて育つこと、育てることを喜びと感じられるようにすることを目指すとしています。 また、答申における長期基本計画に盛り込むべき施策についても、重点として「ダイバーシティ&インクルージョンの教育の推進」を施策の方向性とし、一貫してこの理念を推進するものとしています。 基本構想策定に際して実施した区民意識調査においては、マイノリティー(少数派)が差別を受けることについて、八割近くの区民が解決に向けた取り組みが必要と考えているという結果もあります。 まず、学校については、教える側の教職員が
ダイバーシティ教育の基本的な考え方を学ぶことが必要であるとの認識のもと、校長、副校長、養護教諭など幹部職員に対する研修を実施しており、今後は一般教員を含めてダイバーシティやインクルージョンについての理解を深めていく研修を継続的に実施していく予定です。 また、児童・生徒に対する
ダイバーシティ教育については、人権教育として取り組んでおり、パラリンピック理解のための紙芝居の実施、パラリンピアンとの交流や
ウィルチェアーラグビーの体験、障がい者理解のためのダイアログ・イン・ザ・ダークによる暗闇体験などの取り組みを始めています。 今後も教育委員会と連携し、様々な形でダイバーシティ&
インクルージョン教育を推進してまいります。 次に、団塊の世代が七十五歳を超える時期となる、いわゆる「二〇二五年問題」をどう乗り越えていくかという御質問です。 団塊の世代全てが七十五歳以上になる二〇二五年には、高齢による認知症や疾病リスクが高まることにより、医療、介護、福祉サービスの需要が増加し、社会保障給付費が大きく膨らむ一方、高齢者を支える担い手が不足すると予測されています。 本区では二〇二五年問題を見据えて、第六期渋谷区
高齢者保健福祉計画及び
介護保険事業計画において、高齢者が住みなれた地域で地域の方と支え合いながら元気に暮らすための社会システムである地域包括ケアシステムの構築に向けて施策を展開しており、この実現に向けて全力を尽くしてまいります。 さらに、二〇二五年問題を乗り越えていくため、介護予防事業の拡充やボランティアの育成、技術開発が進んでいる介護ロボットの活用などにも取り組みたいと思います。 今後、次期計画の策定に当たっては、区民ニーズ調査を実施するとともに、国の動向を注視する一方、「新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策について」の答申にある「地域における共生型社会の実現」や「生活支援サービスの充実」等を取り入れてまいります。 「あらゆる人が、自分らしく生きられる街」を提唱する基本構想や、「渋谷区長期基本計画」と「渋谷区
高齢者保健福祉計画及び
介護保険事業計画」との整合性を図り、誰もが安心して住み続けられるまち渋谷を目指してまいります。 次に、防災についてのお尋ねです。 渋谷区総合防災訓練については、本年、「渋谷防災フェス二〇一六」とし、九月四日の日曜日に開催いたしました。 今回、休日開催とし、誰もが参加できる参加型の防災訓練と防災をテーマに、多くの展示ブースやステージを企画した結果、ファミリー層や子どもたちまで多くの皆様が防災について学ぶことができたと考えます。初めての試みの中で、しっかりと準備をしたところですが、議員御指摘のとおり、防災訓練とイベントのめり張りが足りなかったと承知しております。 来年度は、今回の経験を生かし、午前は緊張感のある防災訓練、午後は楽しく学べるイベントに分けるなど、自主防災組織の皆様とともに検討を深め、参加者本位のめり張りのある充実した内容の渋谷防災フェスを開催したいと考えています。 次に、新たな渋谷区基本構想を議案として提案していることを踏まえ、私の目指す渋谷の未来像についての御質問です。 新たな基本構想に基づき、私が目指すものは、渋谷区がロンドン、パリ、ニューヨークなどと並び称されるような国際都市として、今まで以上に成熟していくことです。議員の御意見にありますように、その進化を支えるものとして、これまでも推進してきたダイバーシティとインクルージョンの考え方を大切にしていきます。 かつてロンドンがパラリンピアンをリスペクトするということで人々の意識を変えていったように、パラリンピックを機会として区民を含めた渋谷区にかかわる人々に多様性を受け入れる意識を育てるとともに、多様な個性をお互いに認め合うことで、本来持つそれぞれの能力を最大限に発揮できるよう、まさにエネルギーに変えていくことが必要と考えています。 そのため、新たなスローガンを「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」としました。渋谷区が向かうべき方向性を明確にするとともに、区民、そして渋谷を愛する全ての人々に伝えて、長く響かせていきたいメッセージとしたいと思います。 また、新たな基本構想に基づき、何よりも区民がこれからも安全・安心に住み続けたいまちとして感じていただけることを目指していきます。 基本構想は、大きく七つのカテゴリーに分けて向かうべき方向を整理し、それぞれのあるべき将来の姿を示しております。 例えば「福祉」のカテゴリーでは、児童、高齢者、障がい者などを区別せず、どんな人をも社会から孤立させないというビジョンを示します。そして、このような社会をつくることに共感していただき、その実現のため全ての人々が支え合い、自分らしく生きていける共生のまちをつくっていくことを目指します。 次に、「健康とスポーツ」のカテゴリーですが、長生きできるまちであると同時に、長生きしたくなるまちになりたいというビジョンとなります。その実現のために、日常的な運動も楽しみで行うスポーツも暮らしに溶け込むようにすることで、運動習慣が生活の一部となり、楽しみながら健康になるということを目指します。 このように、一つ一つのビジョンを着実に実現していくことが、区民の日々の暮らしをより豊かにしていくことにつながると考えています。 今後は、基本構想における区政運営の基本姿勢にありますように、区民を初めその他の多様な人々や民間企業、NPOなどとも連携して区の問題解決を進めるとともに、柔軟さと機動性を兼ね備えることにより組織力を高めて、区が一丸となり、基本構想の実現に努めてまいります。 いずれにいたしましても、新たな基本構想の実現のための今後十カ年の中長期的プランとしての長期基本計画を審議会の答申でいただいた施策の方向性に沿って策定し、同時に現在の実施計画を見直し、より具体的な施策を明らかにしてまいります。 次に、成年後見制度についてのお尋ねです。 渋谷区社会福祉協議会では平成二十年四月、「渋谷区成年後見支援センター」を設置し、成年後見制度が積極的に活用されるよう環境整備や相談援助業務に取り組んでいます。 超高齢化社会を迎え、認知症高齢者やひとり暮らしの高齢者が増加する中、成年後見制度の需要はさらに増大することが見込まれます。 増大、多様化する後見ニーズに対し、市民後見人の養成やモデル事業として、社会福祉協議会が後見人の受任を行う法人後見を渋谷区における成年後見制度推進機関である社会福祉協議会が実施してきました。 社会福祉協議会では、親族や専門職から、個人後見の引き受け手がない、例えば親族関係が破綻していたり、精神的な疾患が原因で日常生活に関する課題を抱えている方々に対し、社会福祉士の資格を持つ職員がチームを組んで身上監護中心の後見人を担うことで、それぞれの方々の権利を擁護すると同時に、セーフティネットとしての役割も果たしています。 また、成年後見制度の前段階としてのあんしんサービス事業を実施している社会福祉協議会が後見の受け皿となることで、判断能力が十分あるうちに任意後見契約を結ぶことにより、息の長い支援を行うことができ、いつまでも安心して地域で暮らすことも可能となります。 今後、社会福祉協議会において法人後見を推進していくに当たり、議員御提案のスタッフとしての市民後見人の起用も、事案の軽重を判断しながら、その活用を視野に入れた上で社会福祉協議会が需要に応じた法人後見の充実に取り組むことができるよう支援を行っていきたいと考えます。 次に、区としての保育施設の整備に関して、二点のお尋ねです。 まず、議員から御提言のありました拡充された都の施設整備費補助制度を活用して、特色ある保育施設で区内の評価の高い施設を参考にした施設整備をすべきとのお尋ねです。 本区は、これまでの保育施設の整備に関して、都の施設整備費補助を活用しておりましたが、今回、建設コストの上昇に対応するための加算が都に創設される予定です。 従来の施設整備費補助に加え、補助基準額の二五%、もしくは三〇%の上乗せが行われることにより、設置事業者の負担が軽減されます。 また、割り増し分を活用する際に、各事業者の得意とする持ち味や、その事業者ならではの特色を生かした魅力的な保育施設整備のさらなる促進にも資するものと考えますので、拡充される制度についても積極的に活用してまいります。 今後も保育所整備を進める中で、子どもたちが一日の大半を過ごす大切な場所であることを念頭に、安全かつ快適な保育環境の確保を基本に、事業者と連携して機能性やデザイン性にも配慮した施設整備に取り組んでまいります。 次に、民有地マッチング事業を推進するためのコーディネーターの配置についてのお尋ねです。 民有地のマッチングは、これまでハウスメーカーや設計士からの提案が主なものでした。今後、さらなる保育所整備に必要な土地の掘り起こしを図るためにも、地域の不動産情報は必要であり、都の補助を活用したコーディネーターの配置を検討してまいります。 引き続き、スピード感を持った保育施設の整備実現に向け、区議会と連携を図っていきたいと考えております。 次に、保育士の確保、定着に向けた支援と質の担保についてのお尋ねです。 近年、都心部を中心に保育人材の確保が深刻な問題となっており、待機児童対策として保育施設の整備とあわせて保育人材の確保は喫緊の課題です。 私も区内の多くの保育運営事業者から、求人募集をかけてもなかなか保育士が集まらず人材の確保が切実な問題であるとの話も聞いております。保育士不足は、区内でも例外なく切迫した状況であり、本区としても直ちに緊急対策を打つべき課題となっております。 これとあわせて、単に量的な確保を図るだけでなく、本区はこれまで取り組んできた良質な保育環境を確保できるよう、質の高い人材を確保していく必要があることは、先ほどの区長発言で申し上げたとおりであり、議員御指摘のとおりです。 本定例会では、保育人材を確保し、その定着及び離職防止を図り、あわせて質の確保をするための緊急対策として、「
保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」の実施に係る経費について補正予算として計上しておりますが、人材確保に向けた自治体間競争が激しくなる中、本区としても区内の実情を反映しつつ、質の確保にも重点を置いたものとしております。 なお、この「
保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」の制度概要については、子ども家庭部長より答弁させます。 次に、「子育て便利帳」について、ホームページのリニューアルにあわせて現在のライフスタイルに合うようにスマートフォン対応にしてはどうか、また事前登録した区民へ必要な情報を配信することについてのお尋ねです。 「子育て便利帳」は、これまで紙ベースをメーンに、常時携帯できるコンパクトなサイズとして子育て情報を掲載、配布してまいりました。しかしながら、佐藤議員からの御指摘のとおり、ホームページから提供しているPDFは、この間の情報技術の発展に伴い、必ずしも現在のスマートフォン等からの情報取得には十分に対応しておりませんので、今後、改善してまいります。 現在、来春をめどに進めているホームページのリニューアル作業においては、スマートフォンからの閲覧を重視したデザインを取り入れ、必要な情報を取得、活用しやすいサイトにする予定です。その上で、「子育て便利帳」についても、読みやすい新たな情報コンテンツとして掲載する準備を進めているところです。 また、利用者登録に応じた情報配信につきましては、現在、S-SAP協定を締結した民間事業者とも検討を重ねており、例えば子どもの健診や予防接種のお知らせ等、区民の希望に応じた情報配信サービスが実現できるように作業を進めています。 次に、区内初病児保育施設の開設に当たり、その展望についてのお尋ねです。 私も現在子育てをしているところですが、子どもの病気や発熱時には保育園に預けることができずに、家族で苦慮した経験があります。仕事をしながら子育てをしていく上で、子どもが病気になった際の預け先の確保は、全ての保護者にとって切実な問題ということを、私も身をもって経験しております。 本区では、居宅訪問型の病児・病後児保育事業として、保護者が自宅でベビーシッター等を利用した場合に、その費用の一部を助成する制度を実施しておりますが、一方で、自宅での保育が困難な場合や看護師等による看護を受けながら保育が必要とされる場合もあります。 現在予定している病児保育施設は、緊急時の対応はもとより、日常的な医療面での指導や助言を受けるため、連携医療機関として小児科を併設し、さらに看護師や保育士を配置することにより、看護等が必要な児童についても安全かつ安心して保育を行うものとなっております。 また、保育時間中に体調不良となった児童を保育園から病児保育施設に送迎するなどのサービスも検討し、保護者の方々が安心して働ける環境づくりを進めていきたいと考えています。 病児保育施設については、着実に準備を進め、従来からの居宅訪問型病児保育事業とあわせて、様々な保育ニーズに対応したサービスの拡充を図ってまいります。 次に、障がい児保育について、事業者のノウハウを生かしながら、これまで保育園に預けることができなかった保護者も安心して就労を継続できる取り組みを進めるべきとのお尋ねです。 現在、区内保育施設では、障がいのある子ども一人一人の状況に応じた支援が行えるよう、子ども総合支援センター等と連携しながら、集団保育の中で保育を実施しております。 一方で、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸入や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要となる重症心身障がい児等については、医療的ケアを適切に行うための場所や看護師等の専門職の配置などの体系整備が必要となることから、保育園での預かりができない状況にあります。 こうした課題への取り組みとして、本区においても今年度から医療的ケアが必要で障がい等の程度から集団保育が困難な児童を対象に、児童の居宅で一対一で保育する事業を実施しております。 これまで、区内では医療的ケアを必要とする児童が長時間保育できる施設はなく、私もダイバーシティとインクルージョンの考え方からも、こうした施設の必要性を強く感じておりました。 今回、「(仮称)代々木四丁目保育施設」の運営事業者からは、障がい児の受け入れを積極的に推進し、統合保育の観点から、障がい児も健常児も同じプログラムを共有しながら、医療と連携した支援を行うことが可能であるとの提案を受けており、是非とも実現していきたいと考えています。 当該施設は、小児科が併設されることで、医療面での支援も可能となります。こうした施設としてのメリットや事業者が持つノウハウなどを最大限に生かしながら、これまで対応することが難しかった医療的ケアが必要な重症心身障がい児などの児童についても長時間保育が可能となる体制を整備し、全ての子どもが保育を受け、保護者が働くことを選択できる社会となるよう取り組んでまいります。 次に、東京オリンピック・パラリンピックのガイドスポットの設置等についての御提言に一括してお答えいたします。 まず、四年後のオリンピック・パラリンピックを見据えた区内の主要な場所にガイドスポットを設置し、大会期間中には統一したユニフォームの着用などを検討するという御提言です。 現在、渋谷区では渋谷駅前の通称「青がえる」ほか、二カ所の案内所、渋谷区観光協会のホームページや各種SNSを通じて観光案内をしているところです。 それに加え、ガイドスポットは有効な手段だと考えますが、丁寧な御案内のための多岐にわたる知識の習得や多言語対応などを考慮すると、今すぐの設置については難しいと考えます。 しかしながら、東京大会では競技会場周辺で大会ボランティア、主要な駅、観光スポットでは都市ボランティアによる各種案内が予定されている中で、渋谷区独自のボランティアの準備も視野に入れ、ガイドスポット設置やユニフォーム製作について、国と都の動向も考慮して検討を進めてまいります。 また、観光情報を掲載した刊行物については、現在、四カ国語(日本語、中国語、英語、韓国語)を用意していますが、今後も内容の充実に努めるとともに、わかりやすい案内板を掲出するために、国、都や関係機関と連携しながらも、おもてなしの心を念頭に入れて研究していきたいと思います。 次に、バリアフリーについてのお尋ねです。 本区では、建物、道路、公園など様々な施設において、その整備の都度、東京都福祉のまちづくり条例にのっとり、バリアフリーに配慮したまちづくりを推進してきたところです。 今後は東京オリンピック・パラリンピックに向けて、一層充実したバリアフリーを目指し、ダイバーシティ渋谷を実現したいと考えています。 そのためには、議員から例示のあった施設を含め、個別の施設に対する検討が必要であることはもちろんのこと、また面的、一体的なバリアフリー化を進めることが必要不可欠です。これを推進することを目的とした法律に高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー法があります。 このバリアフリー法では、高齢者、障がい者、妊産婦、けが人などの移動や施設利用の利便性、安全向上を促進するために、公共交通機関、建築物、公共施設のバリアフリー化を推進することとされています。 この法律に規定された「バリアフリー基本構想」は、旅客施設を中心とした地区や、高齢者、障がい者などが利用する施設が集まった地区において、公共交通機関、建築物、道路、都市公園などの面的、一体的なバリアフリー化を図ることを狙いとし、市区町村が作成するものです。 渋谷区
基本構想等審議会答申の中に、新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策としてバリアフリー基本構想が記されており、本区としても策定に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えています。 「バリアフリー基本構想」の策定に当たっては、有権者、当事者団体等の利用者代表、交通事業者、商業施設、行政関係者、施設設置管理者等から広く助言をいただきたいと思っていますが、議員からの御提言のあったハンディキャップのある方や、その視点を有する学識経験者にもこの取り組みの中で御助言をいただきたいと考えております。 次に、東京大会に向けて、そしてその後の未来を見据えた取り組みについてですが、今回の
リオデジャネイロ・パラリンピック大会において、各競技会場では、陽気で元気なブラジルの子どもたちが会場を大いに盛り上げ、選手を応援していたと視察報告を受けています。 私は、こうした競技観戦の経験が、今後、障がい者に対する意識を変え、共生社会づくりへとつながっていくものと確信しています。 そのために、議員御発言のとおり、東京パラリンピック大会に向け、障がい者スポーツへの関心を高め、機運醸成を継続することが重要であると思います。 これまでも、パラ競技を広く区民に触れて知ってもらうために、主に子どもたちを対象とした「パラリンピックPR紙芝居事業」や、「パラリンピック教育プログラム」を関係機関と連携しながら進めるとともに、地域のふれあいまつりなど、各種事業に積極的に参加しているところです。 今後も二〇二〇年に向けて、国や都の動向を注視しつつ、区としての機運醸成の施策を切れ目なく行っていきます。事前合宿や大会誘致は、区立施設の会場規模、アクセス面などの課題がありますが、次年度からは、特に障害者スポーツの迫力や躍動感を直接区民に伝える、例えば区内で競技観戦をできる機会をつくるとともに、これからも地域の行事に積極的に参加させていただき、障害者スポーツがさらに身近に感じられる取り組みをしていきます。 また、「オリンピック渋谷音頭」の普及につきましては、直近ではNHKスペシャルの番組と連動して、渋谷区が協力しながら、十月十日に文化村通り、109前、道玄坂周辺で開催の「TOKYOどこでも競技場@渋谷」の中において、渋谷区婦人団体連絡協議会が参加して盆踊り形式でお披露目すると聞いています。 そして、十月一日からは、各社会教育館で連絡協議会の御協力により、オリンピック音頭体験講座が五回にわたって開催されますが、今後も普及に向け努力をしてまいります。 最後に、くみんの広場の前倒し開催については、なかなか難しいと考えますが、御提案の趣旨も踏まえ、オリンピック・
パラリンピック開催にあわせた区独自のイベントも検討し、気運醸成を図りたいと思います。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(木村正義)
松澤子ども家庭部長。
◎子ども家庭部長(松澤俊郎) 私からは、「
保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」の制度の概要について答弁いたします。 本事業は、国や東京都の補助制度を活用した緊急対策であります。 現在の国及び東京都の制度では、保育運営事業者が保育士等のために宿舎の借り上げを行う場合に、月額八万二千円を補助基準額とし、この八分の七を補助する仕組みとなっております。渋谷区内の単身者向け住宅の平均家賃はこれを上回っていることから、区独自に上乗せを行い、家賃、礼金についても月額十万円を補助基準額といたします。 このほか、昨今、保育運営事業者においては、都心部において保育人材の不足が深刻化しているという状況を受け、広く人材を確保できるよう、転居に係る費用十五万円を上限として別途補助することとしております。 さらに、これまで国及び東京都の制度では、宿舎借り上げ支援の対象を、保育運営事業者に採用されてから五年目までの職員を対象としておりました。しかしながら、支援対象外となる採用後六年目以降には実質の手取り額が減少するおそれがあり、保育士等の定着及び離職防止といった面では課題が残ります。このため、保育士等の定着、離職防止の観点からより実効性を高めるとともに、中堅保育士についても確実に確保できるよう、採用後の年数にかかわらず補助制度の対象としてまいります。 なお、保育人材の区内居住の促進を図るとともに、災害等の緊急時にも迅速に対応できる体制を構築するため、これらの支援策の対象は区内宿舎に限定し、民間保育施設の安全・安心かつ良質な保育を確保してまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(木村正義) 森教育長。
◎教育長(森富子) 教育について、私には二点のお尋ねがございました。 まず、小中学校において、学習指導要領改訂の方向性を踏まえて、今後どのように主権者教育を進めていくのかとのお尋ねでした。 七月の参議院議員選挙では、公職選挙法の改正に伴い、十八歳、十九歳が初めて有権者として参加しました。投票率の結果からも、この年代層の選挙に向けた関心が高かったことがうかがえるのは、議員が御指摘されたとおりです。 文部科学副大臣のもとに設置された主権者教育の推進に関する検討チームでは、主権者教育は単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者としての社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身につけさせることを目的と位置づけています。 その力を育むために、これまでも学校では、特別活動における学級活動、生徒会役員選挙などの活動、職場体験、ボランティア体験、道徳教育などあらゆる機会を通して主権者教育を展開してまいりました。 主権者教育の中枢をなす社会科・公民的分野の学習では、暗記重視の教育となっているのではないか、また現実の具体的政治事象を取り扱うことが消極的ではないかといった御指摘がありました。 このたびの公職選挙法改正を受け、十八歳での選挙権行使を前提として、高等学校公民科の学びにつながるよう、小学校、中学校における政治や社会に積極的に参画する資質、能力の一層の育成が求められています。 平成三十二年度から完全実施される次期の学習指導要領では、主体的で対話的な深い学びの実現のために、あらゆる教科、学習活動においてアクティブ・ラーニングを取り入れた授業となる予定ですが、これは主権者教育の視点とも軌を一にするものです。 今後は、社会科の授業で現実社会の具体的な政治的事象を取り上げるとともに、模擬選挙など実践的な活動を取り入れてまいります。 また、社会科はもとより、各教科、総合的な学習の時間などにおいて話し合いや討論など、対話を通じて子どもたちが自らの考えを主体的にまとめていくような学習を進めるよう指導してまいります。 教育委員会といたしましては、新しい学習指導要領の趣旨を視野に入れつつ、選挙管理委員会と連携を図りながら模擬選挙などの活動も取り入れるなど、アクティブ・ラーニングに基づく主権者教育を推進してまいります。 次に、選挙の大切さに関する教職員への指導についてのお尋ねがありました。 選挙は民主政治の基盤をなすもので、民主政治の健全な発達には公明かつ適正な選挙が不可欠であり、選挙は国民一人一人にとって政治に参加する重要な機会です。加えて、選挙権年齢の引き下げは七十年ぶりのことで歴史的なものであり、まずは教職員自身がこのことを深く自覚することが必要です。 また、次期学習指導要領に通底する重要な視点として、これまでの「何を学ぶか」に加えて、「どう学ぶか」「何ができるようになるか」の三つがあります。 選挙の大切さを学ぶ学習では、選挙の仕組みを知るにとどまらず、将来、選挙権を持つ年齢になったら、民主政治に積極的に参画しようと積極的に投票する態度を育むことがこれまで以上に求められてきます。 教育委員会といたしましては、特に選挙についてどう学ぶかについての改善に向け、各学校での授業改善、とりわけ中学校でのアクティブ・ラーニングについて、指導室訪問などを通して具体的に指導・助言を行ってまいりたいと思います。 また、政治や社会に積極的に参画する態度の育成に資する教職員の指導力の向上をさらに図ってまいります。 以上、私からの答弁といたします。
○議長(木村正義) 佐藤真理議員。
◆十四番(佐藤真理) 区長、御答弁いただきましてありがとうございました。 ただ、一点だけちょっと気になることがあったので、再質問させていただきます。 介護職員の不足というところで、介護ロボットの採用を考えるということがありましたけれども、それは実用化されるのはまだまだ先の話だと思うんですけれども、国が外国人の方を採用し介護従事者にするということで、日本で養成し、そして病院あるいは施設に派遣するということにしておりますが、なかなか言語の問題であるとかあるいは慣習の違いということで、それが増えていかないし、中座してお国に帰ってしまう方も多いということを聞いておりますけれども、渋谷区では外国人の介護従事者の採用をされているのか、あるいはこれからしていく予定がおありなのか。 本当に介護従事者というのは不足しておりますので、その点をちょっとお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(木村正義) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 佐藤真理議員の再質問にお答えします。 外国籍の介護従事者の件ですけれども、今区内の公立で働いている方はいないというふうに伺っています。 今後どうかという可能性についてですけれども、もちろん資格があることですから、その資格がしっかりあるということが前提になりますけれども、特にそれについて妨げるものはないというふうに考えています。もう少し研究する必要もあるかなと思いますが、今はそういうふうに考えております。
○議長(木村正義) 佐藤真理議員。
◆十四番(佐藤真理) 区長、教育長、そして
松澤子ども家庭部長、前向きで丁寧な御答弁ありがとうございました。 今回の基本構想は、二十年の年月を経て、時代の変化に対応するために新たにつくられる基本的将来ビジョンです。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを控えてのまちづくりを踏まえて、今後は新たな基本構想実現のため、より具体的な長期基本計画を明示されていくことに力を注いでいただきたいと考えます。 また、主権者教育に関しましては、七十年ぶりの選挙権年齢引き下げということで、歴史的なものであるということですが、小中学校における従来の受動的教育ではなく、今後は能動的なアクティブ・ラーニングを取り入れた教育を推し進めるという御答弁に期待いたします。 あとは、子育て便利帳の改善、区民の希望に応じた子育ての情報サービスの提供、成年後見制度における法人後見の推進と市民後見人の起用、そしてリオ・パラリンピック大会の視察を行いました結果を踏まえた取り組みの行使など、いいお答えをいただきましてありがとうございました。 私ども渋谷区
議会自由民主党議員団は、区民に一番身近な政治として、今までもそしてこれからも常に切磋琢磨し、よりよい渋谷のために尽力することをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
○議長(木村正義) 議事進行上、暫時休憩いたします。
----------------------------------- 休憩 午後二時二十九分 再開 午後二時五十分
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○副議長(沢島英隆) 休憩前に引き続き会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 五番松山克幸議員。
◆五番(松山克幸) 私は、渋谷区議会公明党を代表して、長谷部区長に大きく六点にわたり、また
選挙管理委員会事務局長に一点の質問をさせていただきます。 質問に入ります前に、一言申し述べさせていただきます。 熊本地震から五カ月がたちました。また、この夏、台風十号を初め記録的な豪雨のため、全国各地で甚大な被害が発生しました。お亡くなりになった方々に深く哀悼の意を表し、被災された全ての皆様に対し心よりお見舞いを申し上げます。 自然災害の発生を防ぐことはできません。しかし、その災害に対応し減災に力を尽くすことはできます。私自身、その減災のために全力で働いてまいる決意です。 それでは、質問に入らせていただきます。 まず初めに、街の防犯についてお尋ねいたします。 男子四百メートルリレーの快挙など、歴代最多のメダルラッシュとなったリオ・オリンピック、そして
ウィルチェアーラグビーの大活躍など、いまや魅せるスポーツへと進化したパラリンピックが大感動の中、閉会いたしました。そして、いよいよ四年後の二〇二〇年、私たちの街東京へ、そして渋谷区へオリンピック・パラリンピックがやってきます。今、区民の皆様と四年後の東京オリンピック・パラリンピックの話題で本当に盛り上がる中、最後に口にされるのが街の防犯についての漠然とした不安です。 本年六月に、イギリスのグローバル情報誌「モノクル」が発表した「世界の住みやすい街ランキング」において、東京は昨年に引き続き第一位となりました。その中で、安心して夜遅くまで買い物ができる街として、渋谷区の表参道エリアの治安のよさが紹介されています。そして、そのランキングを見ると、治安のよい都市が上位に挙げられていることに気がつきます。 今後、渋谷区がさらなる国際都市となっている過程で、この治安維持は本当に大切です。是非四年後の東京オリンピック・パラリンピックに向け区民が安心していただけるよう、大変発信力のある長谷部区長には、断じて犯罪は許さないと発信し続けていただきたいと思いますが、街の防犯について、区長のお考えをお聞かせください。 次に、防犯カメラの設置についてお尋ねいたします。 安心・安全のまちづくりの具体的な取り組みとして、防犯カメラを増やし防犯力を高めることは大変有効だと考えます。 本年五月の夕刻、「泥棒に入られた」との連絡を受け、急いである区民の方の家に伺いました。ゴールデンウイーク中で留守かと勘違いした泥棒が二階から侵入、窓際で鉢合わせとなり「大変怖い思いをした」と話されました。たまたまベランダで洗濯をしていた隣の奥様が「泥棒」と大きな声で叫ぶ機転で、泥棒は何もとらず二階から飛びおり、通学路のある方向へ走って逃げました。気も動転し、「顔も余り覚えていない」とのことでした。その後、御近所の方々も集まってきて、そこで話題となったのが防犯カメラ設置の件です。 今、防犯カメラは、誰かがずっとモニタリングする必要はなく、映像を保存し、問題がなければ自動的に上書きするシステムも多く導入されています。また、防犯カメラの価格も下がっています。防犯カメラは、犯人を逮捕し、次の犯罪を防止する目的と、設置によって犯罪を未然に防ぐという二つの防犯効果があります。渋谷区は、大手警備会社との提携を図っており、犯罪を未然に防ぐという効果も大きいと考えますが、いかがでしょうか。 そして、誰もが安心して暮らせるまちづくりの一環として、まずは区の責任で通学路の防犯カメラの設置をしていただきたいと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。 次に、防災についてお尋ねいたします。 これまで、「防災の日」である九月一日に「渋谷区総合防災訓練」を実施してきましたが、これを九月の第一日曜日とし、本年は九月四日の日曜日に、避難場所としての役割を担っている代々木公園において、「渋谷防災フェス二〇一六」を開催しました。渋谷区民も、そして来街者も、それこそ子どもから高齢者まで、どなたでも防災訓練に参加し体験できる、そんな新しい取り組みを開始しました。そして、当日は約一万五千人もの方々が来場しました。 そこで、本年の結果と、そして課題を、また来年以降の「渋谷区防災フェス」をどのように取り組まれていかれるのか、区長のお考えをお聞かせください。 次に、被災地派遣を踏まえた取り組みについてお尋ねいたします。 熊本地震から五カ月が経過しました。渋谷区は発災直後、ほかの自治体に先駆け毛布などを熊本県の宇土市に送りました。私は、小学校、中学校の五年間この宇土市で過ごしました。その素早い対応に対し、本当に心より感謝をしております。さらに、区は職員を計七回にわたり震災現場に派遣しました。必ずや、現場を知った知恵が渋谷の防災でも大きく生かされていくものと信じます。 そこで、派遣により知った防災現場の中で、これは必要だと感じた新たな備蓄品や取り組みなどについて、区長のお考えをお聞かせください。 次に、街区消火器についてお尋ねいたします。 新たな備蓄品も大変大事だと考えますが、現在配備されているものをしっかりと生かせば、さらに防災力が高まるのではないかと思えるものがあります。それは街区消火器です。区内の道路上には、おおむね百メートルごとに、そして密集した住宅地では六十メートルごとに、この街区消火器が配備されています。 この消火器は円筒型のボックスに格納されていて、右側のとめ金をぱちぱちと外せば、確認シールはあるものの、誰でもいつでも使える状態になっています。これは、震災のとき同時多発的に発生する火災に対応するための街の消火器です。普通の火災はもちろん、油火災、電気火災にも対応する大変すぐれたものです。 しかし、区民の方々に話すと、存在は何となく知っているものの、自分が使ってよいのだという認識は少ないです。おおむね百メートルごとに設置ということは、自宅から前後左右五十メートル以内にはこの消火器が配備されているということです。火は小さいうちだったら私たちでも消火できます。一人一人が自宅の近くにある一カ所の消火器、「この消火器が自分でも使えるのだ」と知っていることが、防災力を格段に高めることにつながると思います。認識アップのため、取り組みについて区長の考えをお聞かせください。 次に、アレルギー対応食切り替えについてお尋ねいたします。 区長は本年三月の第一回定例会において、平成二十八年度内に全ての災害用備蓄食料をアレルギー対応食へと切り替える予算案が示され、議会で決定いたしました。震災時、医師の対応が大変と思われる中、備蓄食料の全てがアレルギー対応食となったことは、大変な安心につながります。 そこで、現在、備蓄食料のアレルギー対応食への切り替えの進捗状況と、それによって、これまでの備蓄食料の中には賞味期限がまだ十分なものも多数あると思いますが、食品ロスの観点から、どのように扱われるのか、区長の考えをお聞かせください。 次に、先ほど備蓄食料の中でも一部触れましたが、食品ロスについてお尋ねいたします。 渋谷区が取り組まれている食品ロス削減の中に、フードドライブ活動があります。フードドライブ活動とは、家庭で余っている食品等の未開封の、賞味期限が一カ月以上ある缶詰、インスタント・レトルト食品、調味料、嗜好品、乾物、飲料、乳児用食料、食料品、健康食品など持ち寄って、福祉団体やフードバンクなどに寄附する活動です。 渋谷区では、食品ロス削減や食品等の有効利用を目的として、渋谷区リサイクルバザール会場に一部ブースを設けて、このフードドライブの実施を始めました。そこで、現在までの実施状況と今後の取り組みについて区長の考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、ネウボラ(シブボラ)についてお尋ねをいたします。 我が会派の久永薫議員を皮切りに連続しての質問です。一歩でも前進をさせたいとの思いから質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ネウボラは、妊娠期から就学前までの子どもの健やかな成長、発達の支援はもちろんのこと、母親、そして家族全体の心や体の健康サポートも目的としています。 先日、フィンランド大使館協力のシンポジウムに参加しました。その中で、フィンランドでは妊娠の兆しがある時点で、病院ではなくまずネウボラへ健診に行くといいます。特に特徴的なのが、妊娠期から子どもが小学校に上がるまで基本同じ担当者、通称ネウボラおばさんが継続的にサポートするということです。 渋谷においても、家族の形態が多様化している中、いつでも身近に相談できる母親のような存在は必要だと思います。ネウボラの「ネウボ」とはアドバイス、「ラ」とは場所という意味であります。まさに子どもの誕生を一緒に喜び、そして切れ目のない、包み込むような子育ての支援を、地域がそして自治体が支えることは大変に大事だと思います。全国に先立ってハッピーマザー制度を行った渋谷だからこそ、渋谷らしい独自の渋谷のシブボラの推進を願ってやみません。区長の考えをお聞かせください。 また、第一回定例会において、我が会派の栗谷幹事長によって、フィンランドへの視察の提案をさせていただきました。区は本年八月、フィンランドに職員を視察派遣したと伺っておりますが、その調査報告について区長の御所見を伺います。 次に、渋谷の広報活動についてお尋ねいたします。 昨年、私の代表質問において、「しぶや区ニュース」のデザインを含めた刷新の提案をさせていただきました。本年四月よりしぶや区ニュースが刷新され全戸配布となり、わかりやすい、見やすいと大変に好評です。そこで、区の重要なお知らせに対しては防災フェス特集号など、号外の発刊も考えたらいかがでしょうか。 日本中から常に注目される情報発信地、渋谷区にふさわしい広報紙としてますます充実したものになってもらいたいと思いますが、区長の考えをお聞かせください。 次に、町会掲示板についてお尋ねいたします。 「しぶや区ニュース」は大変な情報源です。あわせて、ネットを閲覧しない区民の方にとって、地域の情報源となっているのが町会の掲示板です。しかし、街を歩くと古くなった掲示板も目立ちます。今月は雨天の日が多く、雨にぬれて見づらくなった掲示板をたくさん目にしました。そこで、掲示板の現状と今後の整備について、区長の考えをお聞かせください。 次に、わたしの便利帳についてお尋ねいたします。 「しぶやわたしの便利帳」は、全ての情報が網羅された大変便利な一冊です。私もよく手にとります。インターネットの利便性は検索にあると言ってよいと思います。「しぶやわたしの便利帳」においては、前半ページに項目別の目次があり、最後のほうのページには五十音順の言葉で検索できる索引があります。使いなれていくと便利なのですが、少しコツが必要にも感じます。例えば、ページの初めに検索関連を全てまとめ、公共活用ガイドは最後のほうに持ってくるなど、いずれにしても、初めて「しぶやわたしの便利帳」を手にした区民が情報に素早くたどり着けるよう、より整理された検索の工夫をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 また、二、三年ごとにリニューアルする「しぶやわたしの便利帳」は、まさに保存版の一冊なので、どこに置いても見つけやすいよう目立つ色で、表、裏、背表紙の統一感を図ってはどうでしょうか。是非とも御検討いただきたく、また、区長のお考えをお聞かせください。 次に、新庁舎におけるワンストップサービスについてお尋ねいたします。 最も身近な行政サービスは窓口の受付業務です。しかし、区民の高齢化も進み、書類の申請などは本当に大変です。そこで、わかりやすい説明で一つの窓口で一括して行うことができる受付業務、歩かせない、待たせない、立たせないのワンストップサービスの実施は非常に大事と考えます。利用者目線で業務を考えることは、行政サービスの根本であると思います。 現在の仮庁舎は、限られた空間ということもあり、理想とするワンストップサービスの実施は難しいことは理解しております。そこで、新庁舎におけるワンストップサービスのあり方についてなのですが、「しぶや区ニュース」の平成二十七年度二月二十七日号において、「一カ所でいろいろな手続が行える便利な窓口を実現します。窓口のワンストップ化(総合窓口)」の見出しで、新庁舎におけるワンストップサービスの取り組みへの決意が掲載されました。 その後、様々な検討がなされたと思います。そこで、「しぶや区ニュース」でのお知らせから約一年半が経過した今、具体的にはどのような申請、届け出がワンストップ業務となるのか。また、現在どのような検討状況にあるのか、区長のお考えをお聞かせください。 次に、期日前投票についてお尋ねいたします。 若者を初めとする有権者の投票率が低下傾向にある中、本年の参議院選挙から選挙権が十八歳に引き下げられました。有権者が投票しやすい環境を一層整備し、投票率の向上を図っていくことは喫緊の課題でもあります。総務省は、本年の参議院選挙で期日前投票は過去最多で、前回の一・二三倍になったと発表しました。その意味で、増えてきている期日前投票はとても重要だと思います。 期日前投票では、投票日当日に仕事や用務があるなどに該当すると見込まれる旨の宣誓書の提出が必要となります。期日前投票が増加していることを考え、この際、入場券の裏面に宣誓書を印刷してはどうでしょうか。投票者は、あらかじめ宣誓書を記入して投票時に持参するため、素早く投票ができます。また、期日前投票所の混雑緩和にもつながります。そして、担当者の負担軽減にもなると思うのですが、
選挙管理委員会事務局長のお考えをお聞かせください。 以上、大きく七点、それぞれの答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(沢島英隆) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 渋谷区議会公明党、松山克幸議員の代表質問に順次お答えいたします。 まず初めに、街の防犯について二点のお尋ねです。 昨今の渋谷区内の刑法犯認知件数は、区内警察署の御尽力により年々減少傾向にあります。とはいえ、平成二十七年度中の渋谷区内の犯罪発生状況を見ますと約五千八百件の犯罪が発生し、一日当たりにすると約十六件の被害が発生しております。 四年後の東京オリンピック・パラリンピックを控え、外国人を含め多くの観光客を受け入れるに当たり、開催都市の安全性がますます求められてきています。先日、新聞報道にもありましたが、渋谷警察署が、ビルのシャッターに落書きした外国人四人を器物損壊と建造物損壊で逮捕したと発表し、その被疑者らは、「渋谷は落書きオーケーの街」と供述していると報じられていました。区としては、落書き行為に対してオーケーではなく、明確にノーとアピールする必要があると判断し、対策を講ずるべく、渋谷警察署と連携し英語表記の落書き禁止のポスターを制作し、商店街に掲示し、啓発を行っているところです。 今後も防犯についての取り組みをさらに強化して、犯罪は断じて許さないと、機会あるごとに強くメッセージを発信してまいります。 次に、通学路の防犯カメラの設置についてお答えします。 松山議員御指摘のとおり、防犯カメラの設置によって犯人逮捕や犯罪抑止の効果があります。区では、現在区立小学校四校の通学路に防犯カメラ各一台、計四台を設置しておりますが、十分とは言えません。通学路における児童の安全確保のさらなる強化を図るため、平成二十九年度中に区立小学校十八校全ての通学路に、防犯カメラの台数を増やし設置してまいります。 続いて、防災について四点のお尋ねです。 まず、来年以降の防災フェスの取り組みについてです。 「渋谷区総合防災訓練」は、自主防災組織や関係機関の御協力を得て、これまで九月一日の「防災の日」に実施してきたところです。平日開催が多くなるため、お勤めの区民や子どもたちが参加しづらい状況がありました。そのため、幅広い世代の皆様にも参加していただきたいと考え、今年度は「渋谷防災フェス二〇一六」として、九月の第一日曜日に変更し、内容も大きくリニューアルをして実施いたしました。 内容につきましては、誰もが参加できる参加型の防災訓練にしたことや、防災をテーマに多くの展示ブースやステージを企画したことにより、ファミリー層や子どもたちまで多くの皆様が防災について正しく、楽しく学ぶことができたと考えています。また、この防災フェスを通じて、防災に熱心な企業やNPOなどと連携協力ができたと考えます。 一方で、初めてのこととはいえ、防災フェスの運営において自主防災組織の役割が不明確であったり、訓練の内容がわかりにくい、放送が聞こえづらい、これまであった中学生の参加がなかったことなど、課題が浮かび上がったことも承知しております。来年度は、今回の経験を踏まえ、よい点は伸ばし、課題があった点は改善しながら、さらに充実して開催したいと考えています。 次に、被災地派遣を踏まえた取り組みについてお答えいたします。 熊本地震で大きな課題となったのは、避難所の備蓄品のあり方です。飲料水や食料品以外に、紙おむつや衛生用品など日用品の需要が高いことがわかりました。現在も日用品の備蓄はしておりますが、発災後のフェーズに合わせた備蓄の充実をしていきます。 また、大量の支援物資を速やかに各避難所へ配送することが重要であります。そのため、他の自治体を初め災害ボランティア等の活用を図る受援計画を策定するとともに、有効な配送方法については民間事業者との協定締結を進めています。 さらに、避難所生活の長期化に伴い、体力的にも精神的にも疲労、消耗していくため、プライバシーの配慮等が必要となります。現在の避難所ボードではプライバシーの確保が十分でないため、今後、プライバシーの確保ができ、また設置しやすいものに更新することを検討していきます。 次に、街区消火器についてです。 街区消火器は、地震に伴う同時多発火災だけでなく、近隣の火災や車両火災などの初期消火に対応するため、おおむね百メートルごとに配備しています。区内には街区消火器が千七百本以上もあり、初期消火に役立つものでありますので、誰もが気兼ねなく御利用いただき、まちを火災から守っていただきたいと考えています。 街区消火器の認識をアップするようにとの議員の御提言ですが、現在、区のホームページで紹介しているところです。今後は、さらに区の総合防災訓練、地域の防災訓練、小中学校の防災訓練等あらゆる機会を通じてPRを行い、街区消火器の認知度を高める取り組みをしてまいります。 次に、アレルギー対応食についてのお尋ねです。 今年度、区では避難所で生活を送る全ての人が安心して食べることができるよう、備蓄食料を二十七品目の食物アレルギーに対応したアレルギーフリー食品に変更し、全ての避難所三十二避難所に配備、入れ替えをいたします。現在の進捗状況ですが、八月から入れ替えを始めて、年内を目途に、小中学校など各避難所への入れ替えを順次完了する予定となっております。 また、アレルギー対応食品への切り替えに伴い、賞味期限前の備蓄食料品については、食品ロスの観点からフードバンクに引き渡して活用してもらうこととしています。 次に、フードドライブについてのお尋ねです。 第二回定例会、貴会派の古川斗記男議員からも御質問いただきましたが、もったいないを基本にしたライフスタイルの推進は、区が積極的に取り組むべき課題と考えています。そのため、区では、まだ食べられる食品の有効活用を進めるため、家庭で余っている食べ物を集め寄附する活動、いわゆるフードドライブを区民団体と協議の上、区内各所で実施されているリサイクルバザールの会場で、六月より始めております。これまで地域交流センター恵比寿や、千駄ヶ谷区民会館など四会場で、お米や缶詰、お菓子など約三十キロを集め、フードバンクにお届けしたところです。 今年度は、地域交流センターや社会教育館などで、あと九回の実施を予定しておりますが、様々な機会を捉えて広く周知を行うことで、フードドライブ活動をより実効性のあるものにしてまいります。 今後は、今年度のフードドライブの実施結果を踏まえ、事業拡大を検討してまいります。また、環境教育や食育による児童・生徒、園児や区民への啓発、飲食店等の区内事業者への呼びかけを行うなど、各所管の連携とともに、「買い過ぎない」「つくり過ぎない」「食べ残さない」を基本とした食品ロスの削減にも取り組んでまいります。 次に、ネウボラ(シブボラ)についてのお尋ねです。 本区は、これまでも保健所、子ども家庭部、教育委員会等が相互に連携し、子育て支援を推進するとともに、平成二十六年四月には、子どもとその家庭が抱える問題に総合的かつ迅速・的確に対応する組織として、子ども総合支援センターを開設し、巡回相談や複雑な相談ケース等の対応を行うなどの取り組みを行ってまいりました。 また、この八月には子ども家庭支援センターを原宿へ移し、子ども発達相談センターと一体化したことにより、配慮が必要な子どもとその家庭、保護者に対するきめ細かい支援を可能にするなど、引き続き充実した相談体制の構築に努めているところです。 フィンランドへの派遣結果については、十月十八日の報告会に向け、詳細を取りまとめているところではありますが、子どもネウボラでは健診、面談を通じて家族の関係性や健康状態を把握し、支援が必要な場合には、医療・福祉の適切な専門分野と連携して早期支援へ結びつけていること、家族全員の健康増進のための取り組みや子どもの身体面、心理面、社会面での健全な発達への支援などが行われていたと聞いております。 こうしたフィンランドでの視察結果も参考にしながら、引き続き全ての子どもたちが健やかに成長していけるような、渋谷らしい独自のネウボラ(シブボラ)のあり方について検討を行ってまいります。 次に、渋谷の広報活動について三点のお尋ねです。 初めに、「しぶや区ニュース」について、防災フェス特集号など号外の発行も考えられたらどうか。日本中から常に注目されている情報発信の地、渋谷区にふさわしい広報紙としてますます充実したものにしてほしいとのお尋ねですが、本年四月より「しぶや区ニュース」はデザインの刷新とカラー化を行い、また、コミュニティFM「渋谷のラジオ」と連動した新たな区民参加型のページを設けることで、渋谷区版メディアミックスを実現してまいりました。 今後は、さらに区ニュース記事連動型の動画制作の検討など、より地域の活動や参加者の声の紹介など、区民参加型で双方向性のある紙面づくりに努めてまいります。 議員御提案の号外、特集号の発刊につきましては、本年度は区の主要な施策の計画、イベント情報等、リニューアルした区ニュースの増ページの中で掲載してまいりましたが、御提言も踏まえ、特に区民の関心の高いテーマについては、特集記事を組んでのタイムリーな発信も有効と考えますので、次年度の発行に向けて検討してまいります。 次に、町会の掲示板についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、町会の掲示板の広報機能は極めて大きく、また、掲示物の管理についても、町会の方が大変な御努力をされているものであると認識しています。現在設置されている掲示板約一千基のうち、老朽化したものについては順次更新しており、その結果、二割ほどにアクリル製の保護ボードが取りつけられております。特に強い風雨にさらされる場所に設置されているものについては、地域の御意見をよくお聞きしながら、この保護ボードを取りつけていくなど、今後も引き続き計画的に整備を進めていこうと考えております。 最後に、「しぶやわたしの便利帳」についてのお尋ねですが、「しぶやわたしの便利帳」は、区の情報を幅広く網羅した総合生活情報誌として、区民の皆様に御活用いただいております。制作に当たっては、すぐれた編集技術の活用と企業広告の掲載により経費節減も目的に、民間事業者との共同発行を行っております。また、誰もが検索しやすいように表紙にアイコンを設けるほか、わかりやすいレイアウトや、高齢者の方にも見やすいユニバーサルデザイン・フォントを使用しております。 次回のリニューアル時には、議員の御提言も踏まえ、さらに必要な情報を探しやすいインデックスの工夫や、デザイン・配色等ビジュアル面においてもより多くの方が見やすく、使いやすい便利帳となる工夫を重ねてまいります。 次に、新庁舎移転後の窓口におけるワンストップサービスの検討状況についてお答えいたします。 新庁舎では、二階と三階に申請と届け出、相談の手続を行う窓口を設置し、よりわかりやすく、便利で快適なワンストップサービスの提供を目指しています。その準備として、総合窓口の検討チームを立ち上げ、窓口業務の方向性を定め、現状業務の課題を抽出し解決策を検討しています。 現在の窓口では、議員御指摘のとおり、窓口で申請書の多さや各種申請のための移動の手間、手続にかかる待ち時間の長さなどが課題になっています。これらを解決するため、申請書に記載する住所や名前など重複する項目については、できるだけ一回の記載で済ませるよう申請書の統合によるワンライティングや、申請書の電子化を検討しています。また、窓口への集中と混雑を解消するため、住民票の写しや印鑑証明などはコンビニ交付を御利用いただくよう普及に努めるとともに、窓口に来なくても自宅のパソコンから申請し、郵送による受け取りが可能な電子申請の拡充も検討しているところです。 さらに、ユニバーサルデザインを取り入れ、動線に配慮したレイアウトで窓口をわかりやすくするなど、現在検討を重ねています。機能性を追求してまいりますが、あわせて職員による懇切丁寧な温かみのある窓口対応を徹底してまいります。 庁舎移転の前後を問わず、ICT技術を最大限に活用し、マイナンバーカードの普及促進に努め、可能なことは順次取り入れ、行政サービスのさらなる向上につなげてまいります。 以上、私からの答弁といたします。
○副議長(沢島英隆)
倉澤選挙管理委員会事務局長。
◎
選挙管理委員会事務局長(倉澤和弘) 私には、投票環境の一層の整備と投票率の向上を図るため、期日前投票の宣誓書を入場整理券の裏面に印刷し、有権者の利便性を図ったらどうかとの御質問でございます。 本年七月十日に執行されました参議院議員選挙は、選挙権年齢が十八歳以上へと引き下げられた初めての選挙でございました。消費税の税率の引き上げの延期、マスコミ報道などにより、有権者の選挙への関心が高く、本区における全体の投票率も五六・九二%と、平成二十五年七月の参議院議員選挙を五・四七ポイント上回っておりました。 期日前投票では、前回の一・二〇倍の二万二千七百十三人の方が利用され、この傾向は、その後に行われました東京都知事選挙及び
東京都議会議員補欠選挙においても同様でありました。また、期日前投票の周知浸透等により、投票所によってはスペースの狭隘などで混雑をし、足をお運びいただきました有権者の皆様をお待たせすることもあり、作業時間の短縮等による利便性のさらなる向上が課題の一つとなっているところでございます。 議員から御提案の、期日前投票の宣誓書を入場整理券の裏面に印刷し、有権者の利便性を図ることにつきましては、新たな費用の発生の有無や事務手順の見直しなど様々な角度からの精査が必要と考えておりますが、今後前向きに検討してまいります。 今後とも、小林委員長を先頭に選挙管理委員と一体となって、投票環境の整備と投票率の向上を図るため、一層の努力をしてまいります。 最後に、このたびの三つの選挙を無事故に執行できましたことは、区民の皆様はもとより、区議会、区長、教育委員会、また従事された方々の御理解と御支援のたまものであるということで、改めて感謝申し上げます。 以上、私の答弁とさせていただきます。
○副議長(沢島英隆) 松山議員。
◆五番(松山克幸) ただいまは区長並びに
選挙管理委員会事務局長に、本当に丁寧な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。 また、通学路の防犯カメラの台数を増やす、設置していただけるということで、区長も同じお考えをお持ちだということで、大変うれしく思っておりますので、本当にありがとうございます。 そして、シブボラにつきましては、我が会派も今後も研究を重ね、提案をさせていただきたいと思います。 私たち区議会公明党は、今小さな声を聴く力の旗を掲げ活動しています。もう一回言います。私たち区議会公明党は、今、小さな声を聴く力の旗を掲げて活動しています。質問は、いずれも区民の皆様からいただいた真の声であり課題であります。以前にも申し上げましたが、私たちが掲げる中道主義とは、その真ん中に人がいるということです。どこまでも人間が中心だという意味です。 渋谷区議会公明党は、これからも一人一人を大切にしながら、皆様のために全力で働いていくことをお約束して、私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(沢島英隆) 二十一番秋元英之議員。
◆二十一番(秋元英之) 私は、日本共産党渋谷区議会議員団を代表し、区長に質問いたします。 質問の前に一言申し上げます。 八月三十日夜に、台風十号の影響で、東北地方を中心に大雨に見舞われました。岩手県や北海道など各地で、河川の氾濫による浸水の被害が相次ぎました。ほかにも、今夏は全国各地で台風が猛威を振るいました。それにより亡くなられた方々に哀悼の意をあらわすとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。 また、九月九日、北朝鮮は五回目となる核実験を強行しました。核実験は、連続する弾道ミサイル発射とともに世界の平和と安定にとっての重大な脅威であり、累次の国連安保理決議、六カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙です。我が党は、この無謀な暴挙を厳しく糾弾するという態度を表明しました。軍事対軍事の危険な悪循環をさらに深刻にする道ではなく、対話による解決に徹することが何よりも重要です。核ミサイル開発を放棄させるために、北朝鮮を六カ国協議という対話のテーブルに着かせる。そのために中国を含む国際社会が一致して制裁の厳格な実施、強化を図ることなど、政治的、外交的努力を抜本的に強めることが重要です。 それでは、質問に入ります。 まずは、平和と憲法を守ることについてです。 昨年九月十九日に、圧倒的多数の憲法学者が違憲とし、各世論調査でも国民の半数以上が反対する安保関連法、戦争法が強行採決されました。一年たった今でも廃止を求める世論は高まり、九月十九日には全国各地で集会やデモが行われ、国会前には二万三千人が雨の中、参加しました。 安保関連法により、自衛隊の海外での武力行使や米軍など他国軍の後方支援を世界中で可能とし、日本が戦後長い年月をかけて維持してきた憲法九条の精神ばかりか、立憲主義、民主主義、平和主義が壊されようとしています。海外でのNGO活動などでも築き上げてきた日本の平和ブランドも損なわれようとしています。日本の自衛隊員が誰かを殺し、あるいは殺される、その危険の現実性が高まってきています。 十一月に派遣予定されている、内戦が続く南スーダンでのPKO活動での宿営地防護、駆けつけ警護などで最初の犠牲が出ることが懸念されています。そのため、犠牲が出る前に安保関連法の発動をとめるべきだと考えますが、区長の所見を伺います。 国際的な紛争や緊張を解決する上で何より必要なことは粘り強い対話交渉であり、武力を用いた解決手段は決してとってはなりません。その上でも、憲法九条を守ること、憲法遵守の精神は欠かせません。日本共産党は、野党共闘を進め、市民とともに立憲主義、民主主義を取り戻すために、安保関連法の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を訴え続けます。区長は、憲法違反の安保関連法の廃止を国に求めるべきです。所見を伺います。 安倍内閣は、改憲草案の中で憲法九条第二項を削除し、国防軍を創設する。国民の人権を制限する緊急事態条項を加えるなど、改憲により憲法を憲法でなくす動きを見せています。区長は、平和と命を守る立場から、憲法九条を遵守することについてはどのようにお考えですか。所見を伺います。 区長は、平和首長会議に参加していますが、核兵器の廃絶に関して今後はどのような活動を行うのでしょうか、お答えください。 非核平和都市宣言を行うとともに、今年の広島で開かれた原水爆禁止世界大会で宣言された、被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名を呼びかけたり、広島・長崎に小中学生を派遣し平和普及活動を行うなど、渋谷から平和を世界に発信する行動をとるべきと考えますが、所見を伺います。 続いて、区政の役割と税金の使い方についてです。 当区では現在、新しい基本構想の策定に取り組んでいます。そもそも基本構想とは、現在の基本構想の理念に「日本国憲法のもと地方自治権確立の観点に立ち、これからの区民生活と渋谷区の将来像を明らかにする」とあるように、地方自治の本旨に基づくことを明確にし、区民福祉の増進と、主人公である区民の参加を保障するものでなければなりません。しかし、今回の基本構想の策定に当たっては、これまで基本構想審議会は九回の開催、住民説明会は四回の開催で参加七十人だけです。パブリック・コメントは四月に実施されて、三十四件の意見が寄せられていますが、それを反映する審議会は開催されていません。この手順には、区民からも「パブリック・コメントでスケジュールを急ぎ過ぎの嫌いもある」との批判が寄せられており、現時点での策定は拙速であると言わざるを得ません。 例えば、板橋区では、基本構想審議会の招集前に、無作為抽出の公募区民九十人から成る区民検討委員会を三回開催しています。審議会は十三回開催し、中間答申に対するパブリック・コメントを実施した後、それらの意見を反映するための審議会も開催されています。 基本構想の策定については、じっくりと時間をかけて区民との会話のキャッチボールを行い、パブリック・コメントを十分に反映させ、区民福祉の増進と、主人公である住民の参加を保障すべきです。所見を伺います。 次に、税金の使い方についてです。 区は、現在の区民の生活状況がどうなっているのかを把握し、今後区政の未来はどこに視点を置き、どの方向に進み行政サービスを行っていくのか。それを区民に示す必要があります。 先日発表された「平成二十九年度予算編成方針について」の通達では、その前文の中で、現在の経済状況及び区民の雇用、収入に関する分析がありました。そこには、「日本経済が回復基調を維持し、雇用、個人所得は改善し、企業収益は高い水準にある」という内容がありました。しかし、経済は好転したのでしょうか。区民の雇用や収入が上昇したのでしょうか。私たちはそうした判断はできません。 それは、確かに大企業の収益、一部の富裕層だけを見れば収益が上がり、税収も上回る見込みが立つかもしれませんが、ここで申し上げたいのは、区民の暮らしの実態についてです。全国的に見た場合、求人が増えたと言われていますが、増えているのは非正規雇用で、正規社員が増えたわけではありません。働く人の三人に一人は非正規雇用という状況です。収入も実質賃金は、厚労省の統計を見ると、ここ五年連続してマイナスが続いています。格差の拡大で年収二百万円以下は二人に一人と言われています。これでは、経済の六割を支える個人消費も冷え込んだままです。 高齢者は、厚労省が行った生活基礎調査で貯蓄ゼロ世帯が一六・八%と、およそ六人に一人。五十万円未満を含めると二〇・七%に上り、まとまった備えのない中、たび重なる年金削減、社会保障の負担増で苦しんでいる方が多く存在しています。区内では、国民健康保険料を払えない人は、昨年度三割を超え、就学援助を受ける中学生も三五%を推移したままです。さらに、中小企業の倒産件数は、昨年一年間で百五十七件、七百七十一人が職を失いました。生活保護受給者は、八月末現在で二千九百九世帯、三千二百八十人と増加をしています。 このような状況から、到底経済が好転し所得が増えているとは言えません。むしろ「苦しい状態が続いている」というのが、私たちのアンケートからの多数の声としても出ています。 まず、この多くの苦しい区民の生活の実態を直視するところから、区政の方向性を考えるべきではないでしょうか。また、このような状況から抜け出す施策を行うこと、区民の暮らしや福祉を守る防波堤になることが、自治体本来の役割です。ところが区は、障がい者の福祉タクシー券、生活保護の四千円の冬季見舞金を削減する。ほかにも区民負担を増やすなど、福祉は後退しています。税金の使い方は今こそ、福祉・暮らし最優先へと切り替えるべきではないでしょうか。区長の所見を伺います。 国民健康保険料についてです。 国保料は十二年連続で値上げが行われており、四人家族で年収四百万円の世帯では一万六千四百八十五円の大幅な値上げで、年間保険料は三十九万一千七百四円と、一カ月分の給料がなくなります。苦情・問い合わせの電話は、本年度は料金通知発送後一週間で七百三十件ありました。先ほど申し上げましたが、現状三割が滞納しています。払いたくても払えない金額であることが、その理由ではないでしょうか。健康第一の自治体を目指す上で、根幹をなすのが医療保険制度です。国保料は、収入に見合った金額に値下げし、基準額を示した減免制度の周知徹底を行うべきです。区長の所見を伺います。 区民負担についてです。 区民負担は、国保料に限らず介護保険料・利用料、後期高齢者医療保険料などが改定のたびに値上げが繰り返され、大きな負担となっています。さらに、区民施設の利用時にも増えています。区民会館が地域交流センターとなったことで使用料が発生するケースも出ています。松濤美術館やスポーツ施設の料金も軒並み上がっています。自治体のやるべきことは、区民の芸術・スポーツ意識の向上、そこに触れる機会を増やすことです。一人でも多くの区民、高齢者、子どもたちに気軽に芸術・スポーツに親しんでいただくこととは逆行し、参加機会を遠ざけることになる値上げはやめるべきです。所見を伺います。 渋谷駅周辺再開発についてです。 渋谷ヒカリエを初め、渋谷駅南街区、渋谷駅桜丘口地区、道玄坂一丁目駅前地区、渋谷駅街区に高さ百メートル以上の林立するオフィス、商業施設等のビル、八棟以上の建設が予定されています。その全ての開発事業主体に東急電鉄、東急不動産が名を連ね、東急グループのための超巨大開発と言えます。 この渋谷駅周辺開発には、区は二〇〇一年度から二〇一五年度までに十一億三千万円以上の税金を投入してきました。西口広場と東口広場を結ぶ北側自由通路に、十五年間で二十億円が区負担分として支出されます。また、本来開発事業者が負担すべき南口自由通路の整備には、区が全額負担することになっています。これら開発計画には、明らかになった分だけでも総額約九十億円もの区民の税金が投入されようとしています。 生活に苦しむ区民が多い中で、本来は企業や鉄道事業者が負担するべきものを自治体が税金を使い、大企業の利潤追求を後押しする必要性はないと考えます。このことについて区長の所見を伺います。 開発地域の中で、特に桜丘地区では広範囲での再開発計画が進められています。事業費は千六百三十億円と発表されており、区はこの事業費に対し、計画では四十億円負担することが想定されています。 このエリアの中で長年飲食業を続けてきて、地域に愛され多くの常連客を抱えているオーナーは、「開発で休業し戻ってきても、店舗の面積が今より狭くなる上、まだ使える厨房機器を一旦処分しなければならなくなる。今から新たな資金などはとてもかけられない」と話しています。またある区民は、「桜丘地区の再開発ということで長年住んでいる借家を出るように迫られているが、高齢なので簡単に引っ越しなどできない。立ち退き話を持ってきた人に相談をしたが、都営住宅の申込書を持ってきただけで、入居に関して優先権はない。そう言われたまま二年近くも放置されている」と話しています。 商売、住宅に関する相談は多数寄せられています。オリンピックがあるから、開発だからということだけで追い出しを迫られているという区民の声が、開発の裏側には実態として上がっています。本来区のやるべきことは、長年商売を続けてきたり、住んでいた人たちを追い出すことに協力するのではなく、商売、住居を守ることではないでしょうか。住民が事業者に乱暴に追い出されるようなことなどなく、営業や居住が確保・継続できるように、区として指導すべきです。所見を伺います。 続きまして、保育について、待機児問題についてです。 本区では今年度四月の段階で、認可保育園を希望して入れなかった子どもは九百二十人でした。どこの保育園にも入れなかった子どもは三百十五人と、昨年よりさらに増えています。このほかに、潜在的な待機児を含めると、待機児問題は大変深刻な課題と言えます。 本区は、子育て世代も含め人口が増え、約二十二万人となりました。新しく区民となった世帯、本年度保育園に入れず困惑している世帯、今現在職場に復帰したくてもできないなど、潜在的に保育園を希望しているが入れていない世帯のためにも、今本気でこの問題に取り組まれなければなりません。 待機児を抱える区民から寄せられた声を幾つか御紹介します。 「来年も同じ状況なら、夫婦どちらかが仕事をやめなければならない。」「育児休暇をさらに一年延長なんかしたら、職場にはもう戻れない。」「転々と一時保育などのサービスを利用せざるを得ない状況だ。人格形成の一番大事な時期に子どもと保育士、保護者と保育士、安心して預けられる信頼関係がつくれない。」「保育園に入れた子どもとそうでない子ども、子どもの中でこんな格差が生まれてよいのか。」などです。 入園を希望する保護者の願いは悲鳴へと変わっています。ニーズ調査の結果からも、子どもを安心して預けて仕事に通えるように、質の高い保育の確保、認可保育園の増設が求められています。保育は区の責任で行うものです。また、待機児問題は質と量、両面から整備し、子どもを安心して産み育てられる環境をつくることは、区の責務です。待機児ゼロを達成するためには、まず潜在的な待機児も含め全面的に調査を行い、少なくとも、定員数を就学前の人口の五〇%である約五千二百六十八人分を目標設定し、認可保育園の増設を中心とした整備目標を明確にすることを提案します。区長の所見を伺います。 そして、今ある当面の計画を最大限前倒しにし、認証保育所や区立保育室などの認可外保育施設について、保育条件の向上のための支援を進めるとともに、認可保育園への移行を促進するための支援の拡充を国や都に求めることが必要だと考えますが、所見を伺います。 さらに、区が今進めている保育施設設置計画は、民間が中心になっています。区側が保護者の願いに応えるべく、区立保育園設置を中心とした整備を進めるべきと考えます。そして、今年の待機児はどう解消するのか。また、来年度の入園希望児はどのぐらい見込んでいるのか、所見を伺います。 我が党は、国有地、都有地、民有地の積極的な活用での保育園増設を訴え続けています。例えば、代々木二・三丁目の国有地、幡ヶ谷二丁目の都営住宅跡地、神宮前三丁目の国有地などは現在どのような状況で、計画や交渉が進んでいるのでしょうか。所見を伺います。 次に、保育士の処遇改善についてです。 民間の保育士は、都内では他業種より月額約十五万円低いと言われています。また、区内で民間と区立での賃金格差は、平均月収でおよそ十万円あることが、理事者の答弁から明らかになりました。 さきの区長発言で、家賃補助を実施する旨の内容がありました。処遇改善を進めることに踏み出したことは評価します。しかし、賃金そのものを改善しなければ、本来の処遇改善にはなりません。保育は、ベテランの保育士の経験の蓄積が非常に大事と言われています。そのためには、保育現場が安定した雇用先として継続して働けるように、処遇改善が必要です。継続して働く人が増えることで、保育の質の確保にもつながります。 民間の保育施設で働く人々に、当面月五万円の賃金の引き上げができるよう国に求めるべきです。区としても、独自に人件費引き上げのため運営費補助の拡充を進めていくべきです。所見を伺います。 続きまして、子育て支援についてです。 子どもの貧困につきまして、現在六人に一人が相対的貧困状態にあると言われています。単に貧困といっても、小中学生だけでなく高校中退者の就職や、収入の少ない若年で出産した世帯をフォローするなど、未来を担う子どもたちが生まれた境遇に左右されることなく、将来自立できるよう、この大きな社会問題は多角的に解決しなければなりません。 そこで、区が率先して子どもの貧困の実態調査、可視化を行うことが必要となります。横浜市などでは、子ども、若者、保護者への無記名アンケートを行っています。都内足立区では、他の自治体に先駆けて貧困対策に取り組み、不登校率、都立高の中退者数、虐待、朝食の摂取率なども含めて、細かく情報の取得分析が行われており、全庁的にプロジェクトを立ち上げ取り組まれています。当区では、子どものいる生活保護世帯の調査が行われていますが、さらに幅広い調査が必要です。十八歳までの子を持つ家庭を対象にした悉皆調査を行うべきと考えますが、所見を伺います。 また、当区でも貧困対策の第一歩を踏み出すために、専門家を交えた子どもの貧困対策プロジェクトチームを立ち上げることを提案しますが、所見を伺います。 さらに、具体的な施策として三つ質問します。 一つ目は、給食費の無償化についてです。 義務教育は無償が原則です。給食の時間は「食育」、教育の一環でもあります。昨年、第二回定例会のときに初質問させていただきましたが、その後全国的に実施が増え、三十七自治体となりました。給食費の無償化は子育て世帯に大いに喜ばれています。引き続き給食費の無償化を提案いたします。区長の所見を伺います。 二つ目は、就学援助についてです。 小中学校入学準備のための経済負担は、保護者の重い負担となっています。現在の就学援助の新入学学用品費は入学後の支給となっており、工面をするのに苦しむ区民がいるのが現状です。都内八王子市では、経済的負担軽減の目的から、来年度より入学準備金の支給を三月からにしています。当区でも、受け付けと審査判断を早める方向に検討することで、支給の前倒しはできるようになると思います。 また、当区の現在の新入学学用品費は、小学生二万三千七百四十円、中学生二万六千七百五十円ですが、ランドセルの平均価格は、日本ランドセル工業会の発表では四万二千円以上となっており、また中学生では、入学時に標準服や体操着などをそろえるのに七万円以上かかると言われています。このような実情も踏まえ、新入学学用品費の前倒し、就学前の支給を行うべきです。また、実態に合った単価の増額を求めます。さらに、就学援助の基準を生活保護基準の一・五倍に戻すべきです。この三点について区長の所見を伺います。 三つ目に、高校生の医療費無料化についてです。 高校生は、中学生よりも医療費の負担が高くなります。特に歯科治療では、昨年度の学校保健統計調査では、中学生の虫歯の割合が未処置も含め四〇・四九%に対して、高校生は五二・四九%と一二%も高い結果が出ています。治療費を気にして我慢をするようなことがあってはなりませんし、他の病気でも早期発見・早期治療が欠かせません。早期治療は、総合的な医療費抑制にもなります。子育て世帯の経済的負担を軽減させるためにも、高校生の医療費無料化を引き続き提案いたします。区長の所見を伺います。 続いて、防災対策の強化についてです。 四月十六日に発生した震度七を本震とする熊本地震から、半年が過ぎようとしています。被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。 日本共産党渋谷区議会議員団は、九月三日より被災地支援、視察に行ってきました。大地震からその視察の日まで、丸一日地震が起こらなかった日は二日しかないそうで、今でも住民の不安は続いています。今なお残る倒壊したままの家や、瓦れきの山、熊本市近郊の至るところで目に入る屋根のビニールシートが惨状を物語っていました。中でも、震源地とされる益城町では、被災後そのままといった状態で、橋や地面が一メートル以上もずれているといったところもありました。現地での聞き取りで、住民の方々が一番困っていることは住宅の問題でした。益城町では、再建どころか壊れた家の解体をすることに見通しが立たず、三十の業者が月に二軒程度解体するペースだそうです。そのために、解体に何年も待つことで、二年の仮設滞在期間が過ぎてしまう可能性が出ていることに、住民から不安の声が上がっていました。 このように、住宅再建の見通しが立ちにくいというのが被災者の切実な声ですが、現在の国の制度では、補助金は半壊で四十万円、全壊で三百万円です。ローンの残った家屋の修繕は自力ではまず困難です。国に、最低でも五百万円に補助を引き上げるよう求めていくべきと考えます。所見を伺います。 地震から、何よりも命、そして住まいを守るためにも、予防重視の防災対策が必要です。耐震化については、現在の国基準では耐震補強をする上での診断が、震度七クラスが一回の想定で行われていますが、熊本地震は震度七クラスが二回発生しています。それを教訓に、当区ではより入念な耐震対策を行うとともに、一棟三百万円程度かかると言われている木造住宅の耐震改修工事費の助成上限額を抜本的に引き上げ、低所得者の補助率を引き上げるべきです。区長の所見を伺います。 さらに、東日本大震災での本震における火災全百十一件のうち、原因が特定された百八件の中で過半数の五十八件が電気関係の出火によるものでした。電気火災対策を強化するためにも、感震ブレーカーの助成を実施するべきと考えますが、所見を伺います。 益城町以外の町や村にも行ってみると、住宅の、見た目は被害を受けてはいませんが、実は内部的に深刻なダメージを受けているところが多々ありました。甲佐町の造成地にできたある団地では液状化現象が発生し、家のほとんどが亀裂や傾きに悩まされていました。「傾いた家を水平に戻すには五百万円程度かかる」とのことでした。 区長は国に対し、液状化現象による被害者の救済対策を講じることを求めるべきです。また、当区でも液状化現象は調査の必要があります。今後は、この液状化対策についてどのように検討していくのか、所見を伺います。 最後に、羽田空港の新飛行ルートについてです。 国土交通省は、羽田空港の国際線を増便するための新飛行ルートを示しました。その後、他の自治体でも意見書の提出、市民反対運動が起こっています。渋谷区の上空には南風運用時の午後三時から七時の間に、幡ヶ谷と初台の間の上空約九百メートルから恵比寿上空約六百メートルを通過するルートに、一時間当たり十四便、代々木上空九百メートルから神宮前を通過するルートに、一時間当たり三十便が通過する計画です。 この計画により、区民の不安が広がっています。主に騒音、震動、落下物、飛行機の墜落、大気汚染、その影響による不動産価値の下落などです。騒音の影響は六十八から七十四デシベルと想定されています。これは、一般的に二メートル離れたところで人の会話が聞き取りにくくなると言われています。特に保育園、学校、病院なども含め、多くの施設で支障が出る可能性が高くなります。落下物に関しては、昨年度成田空港着陸便で五件確認されたことから、千葉県知事が国交省に申し入れを行っています。大気汚染に関しては、PM二・五も放出すると言われていますが、環境省は大気汚染のシミュレーションをまだ情報提供していませんので、影響は未知数です。ほかにも、都心上空では緊急時の着陸場所がない。広尾病院や麻布ヘリポートに向かうヘリコプターが飛行ルートに接近した場合は、飛行機よりも低い高度を飛ぶため、今よりさらに大きな飛行音となるなど、国交省の現時点での説明対策では、区民の不安を払拭するには至っていません。 渋谷区議会では、全会派一致で羽田空港の機能拡張計画について、区民の声を聞くよう意見書を提出しています。交通・公有地問題特別委員会では、区側の考えとして、この計画に対して区民との合意形成はまだできていないと答弁がありました。区民は、合意も納得もしていません。ところが、国交省は七月二十八日に行われた首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会で、「国及び関係自治体は、羽田空港機能強化にかかわる環境影響等に配慮した方策を評価した」などと取りまとめ、この計画を強引に進めようとしています。 この計画に際し、これまで国交省は、当区ではヒカリエでオープンハウス型の説明会を二回行っただけです。そのため、人伝いにこの計画を知り、怒りの声を上げる人が日に日に増えています。そこで、国交省に、強引に進めることには抗議し、区民の不安を取り除くためにも、教室型の説明会を、周到な告知を行った上で開き、そこで区民の声をしっかり受けとめるよう求めるべきです。所見を伺います。
○副議長(沢島英隆) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 日本共産党渋谷区議会議員団、秋元英之議員の代表質問に、順次お答えいたします。 最初に、安保関連法の発動をとめること、あるいは安保関連法の廃止を国に求めることについてのお尋ねです。 このことにつきましては、国政の場で議論されるべきものであると考えておりますので、そのような考えはありません。 次に、区として非核平和都市宣言を行うとともに、平和普及活動を行うなど、渋谷から平和を世界に発信する行動をとるべきとのお尋ねです。 本区は昭和三十五年に、恒久の平和と永遠の繁栄を願い「世界連邦都市宣言」を行い、加えて、平成十四年には「平和・国際都市渋谷の日条例」を制定し、十月一日を「平和・国際都市渋谷の日」として定めました。そして、世界の都市が国境を越えて連帯し、ともに核兵器廃絶への道を切り開こうとする平和首長会議に賛同し、昨年七月一日付で加盟しました。 このように、本区はこれまで確固たる平和の意思を示してきておりますので、改めて非核平和都市宣言を行う考えはありません。また、本区は、平和・国際都市推進事業として講演会の開催や、区民の皆さんと「平和・国際・文化」の輪を広げていくために、十月一日は施設の無料開放を実施するなど様々な活動を行っております。これらの取り組みは、区ニュースやホームページ等により周知をしておりますので、今後もこの方針で行ってまいります。 次に、基本構想の策定については、じっくり時間をかけて区民との会話のキャッチボールを行い、パブリック・コメントを十分反映させるべきであるとの御意見です。 渋谷区
基本構想等審議会は、区民からの公募による委員六人、町会や民生委員など地域団体の代表の方々七人、学識経験者七人で構成されており、これまで活発な御審議をいただいてまいりました。説明会での御意見やパブリック・コメントの結果についても、審議会委員全員に資料を提供しており、御意見をいただき、その結果を反映した最終答申案が第九回目の審議会において、全員一致で答申として承認されております。この答申に基づき、新たな基本構想を議案として提出させていただいております。 次に、税金の使い方についての御質問です。 まず、福祉・暮らし最優先へ切り替えるべきとのお尋ねですが、これは前回の第二回定例会でも同様の御質問があったかと思います。区の予算は、多岐多様にわたる区民の区政に対するニーズに応えるべく編成したもので、区の事業はいずれも重要な課題に対処したものです。少子高齢化のような構造的な課題については、持続可能な制度設計を行い、新たな課題にも迅速に対処するなど、全体に目を配ったもので、決して偏ったものとは考えておりません。限られた財源で変化する区民ニーズに的確に対応するためには、ふんだんに事業の改善見直しを行うことが不可欠です。 議員は、福祉の一部分のみに着目し、あたかも本区福祉全体が後退しているかのようにおっしゃられますが、平成二十八年度予算においては、予算総額が減少する中、施策の柱「区民の福祉の増進」に関する予算はむしろ拡大しております。 次に、国民健康保険料についてのお尋ねですが、国民健康保険料の算定方法は、法令により基本的な考え方が定められています。さらに、二十三区においては統一保険料という枠組みの中で一般会計からの繰り入れを行い、医療費の伸びに伴う値上げ幅を圧縮してきており、引き下げを行う考えはありません。また、保険料の減免制度については、年度当初に全ての加入世帯に発送している「国保のしおり」で周知し、適切な運用に努めています。 次に、値上げによる負担増についてのお尋ねです。 施設の使用料は、税金で運営される施設については負担の公平の観点から、利用した人に一定の受益者負担を求めるものです。議員御指摘の地域交流センター、松濤美術館、スポーツ施設については、施設の位置づけ、展示等の内容の向上、施設の利用形態、利用時間等を近年見直したものであり、基本的に使用料の値上げを意図したものではありません。区施設の使用料については、利用実態の変動を勘案しながら、より公平な負担のあり方を検討していきたいと考えています。 次に、渋谷駅周辺再開発に税金を投入すべきでない。また、桜丘口地区の再開発について、商売、住居を守ることについてのお尋ねですが、平成二十八年第一回区議会定例会で、貴会派の五十嵐議員に丁寧にお答えいたしましたが、渋谷駅周辺のまちの課題を解決し、都市の機能を高め、地域に貢献する公共性の高い事業については、渋谷区としても補助金などの支援をするものと考えます。 また、桜丘口地区の再開発に対する御質問については、平成二十七年第四回区議会定例会で貴会派の菅野議員にもお答えいたしましたが、渋谷駅桜丘地区の市街地再開発事業については、現時点では地権者のほとんどが再開発事業に参加する意向であると聞いています。この再開発には、住宅を約百七十戸建設する予定となっており、地元地権者を含む多くの住民の方々が、将来に向けて渋谷に長く住み続けられるための開発を目指しているものと考えています。 次に、保育についてのお尋ねです。 まず、待機児童問題について三点と、国有地などの活用についての質問に一括して答弁いたします。 保育施設の整備目標設定については、冒頭の発言にも述べたように、平成二十九年度から三年間で千四百人程度の定員拡大を目指しており、人口動向を踏まえながら保育所の整備に努めてまいります。 次に、認証保育所は、園との直接契約により様々な就労形態に対応し、保護者の選択肢を広げることに寄与しており、また、区立保育室は、待機児童解消のために緊急整備したものです。これらの認可保育園への移行については考えておりません。 次に、区の保育施設整備については、区有地の提供や区立保育園の建替えも含めて実施しておりますが、保育事業者等からの提案についても、引き続き積極的に活用してまいります。また、国有地や都有地の活用については、区民ニーズも踏まえ、区全体の施設計画の中で検討してまいります。また、来年度の入園希望児については、過去の申込者数の推移や出生数も増えていることから、増加が見込まれますが、これからも様々な手法を用い、待機児童解消に努めます。 次に、保育士の処遇改善についてのお尋ねです。 国では、平成二十九年度予算要求において、保育人材の二%の処遇改善のほか、保育士としての技能・経験を積んだ職員について、全産業の女性労働者と賃金差がなくなるよう、四万円程度の追加的な処遇改善を実施する動きがあります。また、本区においては都の補助制度を活用し処遇改善を行っているため、区独自の支援を行うことは考えておりませんが、こうした国の動向については引き続き注視してまいります。 次に、子どもの貧困について、実態調査及びプロジェクトチームのお尋ねでありますが、本区では、本年から子ども学習支援員を配置し、生活困窮者世帯を対象に訪問や面談を行う中で実態調査を行っており、アンケート調査ではわからないことを把握できるよう努めております。また、関係所管の連携の中で対応しておりますので、現時点では悉皆調査やプロジェクトチームを立ち上げる考えは持っておりません。 次に、学校給食の無償化についてお尋ねがありました。 渋谷区では、経済的負担の軽減が必要な世帯に対しては、既に就学援助により給食費の支給を行っており、無償化が実現されております。さらなる施策の必要につきましては、これまでも申し上げてまいりましたとおり、今後総合的な子育て支援の検討を進める中で判断していきたいと考えております。 次に、就学援助について、新入学学用品費の就学前の支給と単価の増額。また、認定基準の拡大についてのお尋ねがありました。 まず、新入学学用品費の支給時期については、就学援助の対象者を現に区立小中学校に在籍する児童・生徒の保護者としていること。また、対象者の認定審査に当たっては、当該年度の住民税額を確認していることから、現行の支給時期としているものです。また、その支給単価につきましては、就学援助制度の趣旨や目的を踏まえ、適切に設定されているものと考えております。したがいまして、現在支給時期の見直しや単価の増額を図る考えは持ち合わせておりません。 次に、高校生の医療費無料化についてのお尋ねでありますが、本区は中学生まで無料化しており、子育て世帯へ経済負担の軽減策は、総合的見地から検討すべきであり、拡大する考えは持っていません。 次に、住宅再建の補助拡大についてのお尋ねです。 個人の財産について、どこまで支援するかは国の総合的な判断になりますので、今後の国の対応を見守りたいと思います。 次に、耐震改修工事の助成についてお尋ねです。 民間住宅の耐震化は、所有者によって行われることを基本としていますが、渋谷区としては、区民の生命と財産を守るために、木造住宅の耐震化の助成を行っています。木造住宅の耐震化助成ですが、一般の方は百万円、六十五歳以上の高齢者は百五十万円を限度に助成を行っています。また、今まで所有者が住んでいることが要件でしたが、所有者の親族が居住している場合は助成の対象にするなど、要件の緩和も進めています。したがいまして、助成額や補助率を引き上げる考えはありません。今後も、渋谷区耐震改修促進計画に基づき、着実に耐震化を実施していきます。 次に、感震ブレーカーの助成についてお答えいたします。 平成二十八年第二回区議会定例会代表質問で、貴会派田中正也議員にお答えしたとおり、感震ブレーカーについては、簡易型から分電盤型までいろいろなタイプがあり、取りつけ方法や費用負担などそれぞれのメリット、デメリットについて、さらに研究をしてまいります。 次に、本区の液状化現象対策についてお答えいたします。 東京都防災会議がまとめた、平成二十四年の首都直下地震等における東京の被害想定、及び平成二十五年の渋谷区地域防災計画の修正にあわせて実施した渋谷区震災対策基礎調査により、既に本区の液状化に関する調査は行われております。本区の液状化による被害想定は、全壊が四棟と推定されており、全体では〇・〇一%と極めて被害の少ないことがわかっております。渋谷区の震災対策は、液状化よりも揺れ、火災による被害を想定した対策を中心に検討してまいります。 次に、羽田空港の新ルートについてのお尋ねです。 国土交通省は、昨年七月以降、新たな飛行経路となる渋谷区などの関係自治体を会場として、二回にわたりオープンハウス型の説明会を開催してきました。国土交通省は、こうした説明会で住民の意見や関係自治体の要望を踏まえ、今年の七月に環境影響等に配慮した方策を策定しています。この方策では、低騒音機の導入を促進するなどの環境対策や、落下物を未然に防ぐための点検整備の徹底、航空機をチェックする新たな仕組みの構築等の安全対策、より幅広い理解が得られるよう丁寧な情報提供と市民窓口の設置、新たな騒音測定局の設置などを進めるとしています。 区としては、羽田空港の新機能強化については、区民が不安を感じている騒音の影響や落下物などの安全対策について、国が引き続き責任を持って丁寧に区民に説明し、対応することを要望しております。 以上、私からの答弁といたします。
○副議長(沢島英隆) 秋元議員。
◆二十一番(秋元英之) 再質問をさせていただきます。 今回、大きく六つのテーマで質問をしました。その二つ目の税金の使い方についてです。 区民の暮らしの実態が大変厳しい状況にある中で、税金の使い方を福祉・暮らし最優先へと切り替えるべきと申し上げましたが、納得のいくお答えはいただけませんでした。 自治体の役割は区民福祉の増進です。ところが、福祉を削り区民負担を増やし、その一方では、本来企業や鉄道事業者が出す開発費用に、九十億円もの区民の税金を投入する。これでは、区民から逆立ち区政だと指摘されてもやむを得ません。区民の重い負担となっている国保料について、十二年連続で値上げが行われていることは、大変深刻な問題です。 区内で六十代半ばの運送業を営む夫婦と子ども一人の三人で暮らしている人は、昨年度年金のほかに得られた収入は七十万円でした。保険料の請求では、均等割軽減を受けても年間約十一万円です。年金とあわせ二百万円以下の収入で暮らすこの家族にとって、この金額は重い負担です。奥さんは入退院を繰り返す障がい者、娘さんは軽度の知的障がい者です。この人は、「死ぬまで働くつもりでいるが、余りにも負担が大きい。自分が動けなくなったら一家心中しようと家族で話し合っている」、そう語っていました。 このような話からも、国保料がいかに重い負担になっているかがわかります。改めて国保料の値下げについて所見を伺います。また、料金通知書類発送時は、条例上の申請減免に関して、就学援助の申し込み時のように、対象となる収入基準がわかるような資料も同封すべきです。あわせて所見を伺います。 子育て支援のところでの給食費無償化と高校生の医療費、就学援助につきまして、昨年第二回定例会で区長は、「財源があればやりたい」と発言しています。私たちは、子育て世帯の経済的負担軽減は、自治体の役割の本旨からしても優先的に行うべきと考えます。給食費無償化は二億七千万円、医療費無料化は六千四百万円で実施すべきです。これらについても改めて所見を伺います。 保育につきまして、都内の保護者、保育士有志がつくる団体、「ママ・パパ・保育士 都議会へ」は、二十七日に都知事宛てに要望書を提出しました。区内からも、公的保育・福祉を守る渋谷実行委員会から要請が区長宛てに出されています。その内容は、認可保育園の増設や保育士の処遇改善、基準の切り下げによる待機児童解消は行わないなどです。こうした切実な声に応えるために、保育の質の確保、保育士の処遇改善を実現させるためにも、区が責任を持って認可保育園の増設を行うべきだと考えます。改めて所見をお伺いします。
○副議長(沢島英隆) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 日本共産党渋谷区議会議員団、秋元議員の再質問にお答えします。 まず、保険料についてですが、保険料率については二十三区で共通で運用しているため、独自の保険料を設ける考えはありません。改めて申し上げておきます。 そして、高校生の医療費についてですけれども…… 〔「減額制度の周知」の声あり〕
◎区長(長谷部健) それはもう先ほどのお答えと一緒です。 〔「違うじゃない」の声あり〕
◎区長(長谷部健) 医療費について、中学生まで今現在無償化しているところです。これを高校生についてまで伸ばすということは、もうずっと申し上げているとおり、現時点では考えていない。これは変わっていません。 最後に、認可保育園について。これもずっと言われていることですが、今保育施設が足りないという、待機児童が多い状況に対して、ここにこだわるだけではなくて、あらゆる手段を講じて待機児童対策に当たりたいというふうに考えております。 以上で答弁といたします。
○副議長(沢島英隆) 秋元議員。
◆二十一番(秋元英之) 最初にした質問の中で、国保料の書類通知に関することなんですが、同封していただきたいといった資料に関しては、それは就学援助の申し込み時なんかでもあるような、収入基準がわかるような資料も同封してくださいと、そういう内容の発言だったので、それについて御答弁をお願いします。
○副議長(沢島英隆) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 秋元議員の再々質問に答弁いたします。 一番最初の答弁とやはり変わらないんですけれども、周知については、国保のしおりでやっていくということで、制度の概要と窓口相談についてで御案内をしている、この現状をしっかりやっていくということに変わりないです。御理解いただければと思います。
○副議長(沢島英隆) 秋元議員。
◆二十一番(秋元英之) 今後も、日本共産党渋谷区議会議員団は、福祉・暮らし最優先の区政、住民が主人公の、住民の声が届く区政の実現に向けて全力を挙げてまいります。 以上で質問を終わります。
○副議長(沢島英隆) 議事進行上、暫時休憩いたします。
----------------------------------- 休憩 午後四時二十一分 再開 午後四時四十分
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○議長(木村正義) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 この際、会議時間の延長をいたしておきます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 七番伊藤毅志議員。
◆七番(伊藤毅志) 私は、シブヤを笑顔にする会を代表して、大きく九点、区長並びに教育長に質問をさせていただきます。 まずは先般行いました
リオデジャネイロ市、ロンドン市のパラリンピック競技大会等の視察を受けて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックでの渋谷区の取り組みについて五点伺います。 御承知のように、区議会では視察団を結成し、九月十一日から十八日までの八日間、パラリンピック競技大会が行われている
リオデジャネイロ市、並びに前回二〇一二年オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されたロンドン市を調査視察のため訪問しました。舛添前東京都知事辞任の遠因ともなった海外高額視察費の問題が地方議会にも波及し、今回の視察は区民やマスコミの注目を浴びる中で行われるものでしたから、団員一同気を引き締めて、まずは事故なく、そして視察の成果が四年後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを迎える渋谷区に還元できるよう、精力的に視察日程を消化しました。 今回の視察に当たり、快く送り出していただいた区民の皆様、予算を計上いただいた渋谷区、そして視察に際して最大限のエールと協力をいただいた木村議長を初め区議会の仲間たちと区議会事務局の皆さんに心から謝意を伝えます。 一点目は、パラリンピックの機運醸成、いわゆる盛り上げについてです。 二〇一二年のロンドン・パラリンピックが史上最高の大会であったと言われるゆえん、それは区長がよく言及する「ミート・ザ・スーパーヒューマン」のPRメッセージ動画に象徴されるような事前からの機運醸成策、また、それを小中学校の教育プログラムにのせたことにより子どもたちのパワーでその家族までを巻き込み、パラリンピックのチケットを完売させ、大会を盛り上げたこととされています。 今回、私たち視察団は、「あまりチケットの売れ行きが芳しくない」と言われていたリオ・パラリンピック会場が果たしてどういう状況になっているのかを不安に思いつつ現地入りしました。 初めに視察したのはリオセントロパビリオンで行われている、東京大会で渋谷区が競技会場となっているパラ卓球でした。厳しい荷物検査などセキュリティチェックを受け会場入りしてみると、ほとんど観客が入っておりません。一割から二割の入りで、閑散としている感じです。「おい、本当に大丈夫かい」と心配になってしまいました。しかし、その後、やはり渋谷区が競技会場のオリンピックパーク内で行われている
ウィルチェアーラグビー、隣接する競泳会場を回って一安心。どちらも会場は七割程度が埋まり、大いに盛り上がっていたのです。後で聞けば、卓球は午前中の早い時間のため観客が少なかったとのことでした。 区長は常日ごろから、「東京オリンピックの成功はパラリンピックの成功あってこそ」と発言され、渋谷区が競技会場となる
ウィルチェアーラグビー、卓球、バドミントンを積極的に応援されていますが、今後四年間で具体的にどのような機運醸成策をお考えか伺います。 また、前回の質問でも提案をしましたが、区民、民間、学校、役所などを網羅した「渋谷区オリパラ応援会議」を立ち上げるべきだと考えますが、御所見を伺います。 二点目は、ボランティアの育成についてです。 リオ・パラリンピックを視察して私が一番感心した点、それは現地ボランティアの陽気さ、人懐っこさ、親切さでした。何か物を尋ねようとすると、すぐに数人のボランティアがにこにこしながら寄ってきて、親切丁寧に、そして明るく教えてくれます。我々が日本人だと知ると、ボディランゲージとあらん限りの知っている日本語を話してくれますし、その姿勢には感動すら覚えました。 ボランティア育成には、リオ市観光局の担当者に話を伺ったところ、オリンピック・パラリンピック会場に配置されている組織委員会が募集した約四万人のボランティアとは別に、千五百名程度がリオ市によって配置されているとのことです。彼らは主にまちの中での交通の案内などを担当していますが、市から一定の語学研修を含めたトレーニングを受け、有償ボランティアとして働いています。 東京大会のボランティア育成・募集に関しては、組織委員会や東京都が主導していくことは当然ですが、渋谷区としても今のうちからボランティア人材の育成を始めるべきです。前回、私は英語教育を受けている中学生のボランティアバンク登録を提案しました。私のもとへは意欲ある区民の方から、東京大会でボランティアを行いたいが語学が不安という声が複数寄せられています。 今回は、別の切り口で提案します。渋谷区で東京大会ボランティア向け英語・中国語・韓国語講座などを立ち上げてはいかがですか、伺います。 あわせて、「渋谷のラジオ」で「おもてなし英語講座」を始めるのもおもしろいと思います。広範なラジオリスナーが全てボランティアになる可能性が出てくる企画だと考えますがいかがでしょうか、区長の御所見を伺います。 次に、ニューモビリティとしてのセグウェイ利用について伺います。 このことについては前回定例会で、当会派、田中匠身議員から、観光振興策として提案させていただきました。その後、シブヤ笑顔のメンバー一同でセグウェイ公道ツアーの実証実験を行っている二子玉川ライズを視察、敷地内でのレクチャーの後、セグウェイに乗り、実際に歩道から横断歩道を渡って公園内などを周遊したのです。まさにセグウェイこそ近未来のモビリティ、空飛ぶじゅうたんにでも乗っているような心地でした。 さて、今回のリオ・ロンドン視察では、両都市のオリンピックパークを視察しましたが、どちらも敷地は広大であり、ある程度の健脚を持たなければ猛暑の中を歩くことは難しいと感じました。もちろん、リオではゴルフカートのようなものをボランティアが運行し、歩行困難な方の移動を手伝っていましたし、ロンドンのオリンピックパーク内では電動車椅子の貸し出しが行われていました。しかし、それは障がいを持っている人や歩行がかなり困難な方への対応策となります。歩くには歩けるけれども、長い距離や暑い中はしんどいという多数の観客へのサービスに、自転車だけでなくセグウェイも使えれば本当に助かると思うのです。 例えば、オリンピック・パラリンピックの期間中、東京体育館から国立代々木競技場までの競技会場の移動は歩道をセグウェイで、車道は自転車でという仕組みをつくってみてはいかがでしょう。区長は田中議員の質問に対し「区の管理地から始めて、公道を利用したツアーを実現したい」との答弁がありました。年度内、実験を行うとの話もお聞きします。改めて、セグウェイ運行に向けての進捗状況と決意を伺います。 四点目は、民泊のルールづくりについてです。 今回のリオ視察では、競技期間中のホテルなどアコモデーションの状況についても調査したいと考えていました。リオで私たちが宿泊したホテルは林立する高層マンションの一棟を利用した二十平米弱の部屋、決して広いとは言えません。ホテル並びにツアー関係者に、このホテルとリオでの宿泊状況を尋ねたところ、ショッキングな事実がわかってきました。この建物はもともとマンション、コンドミニアム兼用の利用がされていること、それをかなりの高額で旅行会社がオリンピック・パラリンピックの期間中に借り上げていること、オーナーはその間、カリブ海クルーズに出かけたりサンパウロに避難をしていたりするそうです。私たちが今回宿泊した施設は実は、ホテルという名前ですけれども、民泊だったことになります。 この狭い部屋が高級ホテル並みの値段なのかなと思うと唖然としますが、単純にこの部屋代が旅行代金にはね返ってくる計算です。「そんなにリオもアコモデーション、宿泊施設が不足しているのか」と聞くと、「いわゆる一流ホテルに関しては、期間中ほとんどがIOC、IPCに押さえられていて、その関係者のみの宿泊に限定されてしまう」とのことでした。このような状況は、四年後の東京大会の期間中に再現されることは容易に想像ができますし、下手をすればもっと部屋の値段が高騰しないとも限りません。 現行の民泊については多くの問題を抱えていることは十分に承知しています。しかし、渋谷区でも関係者が合意できる適切な民泊ルールをつくらなければ、世界からお客様を迎えての大会を行うことはできないと感じます。渋谷区が進めている民泊ルールの進捗状況について区長に伺います。 この質問の最後に、インクルーシブデザインについて提案します。 私たち視察団一行は、リオ市に続き、二〇一二年オリンピック・パラリンピックレガシー調査のためロンドン市を訪問、ロンドンオリンピック選手村の設計を担当し、インクルーシブデザインの権威と言われるボネット博士を訪ねました。ボネット博士からは、一八五一年のロンドン万博時につくられた「博覧会通り」を、二〇一〇年に彼が改良にかかわりどのようにバリアフリーロードに変えたかを現地を歩きながら説明していただき、その後、場所を変えての懇談会では、インクルーシブデザインの重要性を力説されました。 インクルーシブデザインとは、高齢者や障がい者、外国人など従来デザインプロセスから除外されてきた多様な人々をデザインプロセスの段階から巻き込んでつくり上げていくデザイン手法と言われています。懇談の中でボネット博士からは、「渋谷区では障がい者がまちづくりや行政に意見するような仕組みがあるのか」と尋ねられ、「各障がい者団体が連合会をつくって行政への予算要望を行うとともに、連合運動会なども行っています」と答えると、「エクセレント!」と発言された上で、「その団体に道路の設計や区施設のデザイン段階から参画してもらえれば、なおよい。それがインクルーシブデザインです」とアドバイスをいただきました。 考えてみれば、障がいを持つ方の目で見て、意見をデザインに反映することこそ本当の意味でのバリアフリー、ユニバーサルデザインができ上がるのは道理です。今後、渋谷区でも附属機関である都市計画審議会やまちづくり審議会など、将来的には防災会議や教育委員会にも障がい者団体関係の方に参画していただきたいと考えますが、このことについて区長の所見を伺います。 次に、新宮下公園等の整備と渋谷駅周辺のエンターテインメント、まちづくりの新しい組織形態について伺います。 本年七月、私は、宮下公園エリアを活動範囲に含む「渋谷・東地区まちづくり協議会」の代表の方々とともにニューヨーク、マンハッタンの視察に出かけました。目的は、新宮下公園設計のコンセプトモデルとなった公園、「ハイライン」の調査視察、そのほか新宮下公園整備の参考となる公園事例の視察、ニューヨークのエンターテインメント事情の調査、その一環として、世界で一番有名なニューイヤーカウントダウンを主催している組織、タイムズスクエア・アライアンスに長谷部区長の親書を持って伺い、渋谷、タイムズスクエアでのカウントダウンパートナーシップの申し入れなども行ったところです。 はじめに視察した「ハイライン」は、高架鉄道跡を再開発し公園に転用したもので、高さ的に現在の宮下公園にそっくりです。全長二・三キロの中には手入れの行き届いた様々な植栽、オブジェやベンチエリアなどうまく配置されています。公園を横切る全ての道路から、公園へは階段などを使いアプローチできるようになっていて、切れ目のない歩行者ネットワークが形成されています。また、公園に隣接して商業施設やシティホテルなども建設されているため、平日の昼間にもかかわらず往来の多さに驚かされました。 「ブライアントパーク」は、一九七〇年に、荒廃した公園を、後に説明しますがパークマネジメントを行う組織BIDの管理・運営にかえ、公園を視認性の高い開放的なつくりに改良、安全・安心を感じられるようにしました。また、一日八回の巡回清掃、ホテル並みの公衆トイレ、四千五百個以上の可動式の椅子、丸テーブルの配置、年間を通してのイベントの開催などによってイメージを一変させ、ニューヨークの名所へと進化させたのです。 また、「ユニオンスクエアパーク」では、グリーンマーケットと呼ばれる青空市場と複数のストリートパフォーマーを見、マジソンスクエアパークでは、あの恵比寿駅前に進出して連日長蛇の列をつくる有名ハンバーガーショップ、「シェイクシャック」の第一号店を視察、試食しました。ニューヨークのいろいろな秀でた公園の特徴を是非新宮下公園にも入れられないかと、強く認識した次第です。 現在の宮下公園はスポーツ機能が充実し、多くの利用者に愛されています。新宮下公園についてもスポーツ公園の機能は維持しつつ、「ハイライン」のような誰もが歩きたくなるような仕組みづくり、「ブライアントパーク」に見られる可動式の椅子、テーブルの配置と超きれいな公園の整備、週末には「ユニオンスクエアパーク」のようにファーマーズマーケットが渋谷川暗渠部分のスペースで開催できないか、そして、「シェイクシャック」とまではいかなくとも、公園内におしゃれなカフェなどを配置できないかを伺います。 また、ニューヨークで見たどの公園も、天然芝の広場やスペースがあり、市民がくつろいでいました。新宮下公園においても天然芝スペースを検討できないかをあわせて区長に伺います。 私たちは、渋谷のエンターテインメント充実という観点からもニューヨークでの調査を行いました。 さきに述べたように、日米カウントダウン提携の要請を初め、アメリカの最大手興行社である「ミュージックシアター・インターナショナル」を訪問し、ニューヨークの最新エンタメ事情をヒアリングし、本場のミュージカルなども観劇しました。大体の内容はわかりました。うそです。 さて、翻って渋谷区です。長谷部区長は就任当初より「ロンドン、パリ、ニューヨーク、渋谷区」と渋谷を世界に誇る成熟した文化都市にすることを標榜され、今回提案の基本構想でも「文化・エンターテインメント」を一つの大きな柱に挙げています。そして、「渋谷区歩行者天国・年末カウントダウン等を考える会」を立ち上げられて、かねてから地元商店街等が要望している歩行者天国の復活、東京オリンピック・パラリンピックに向けた、渋谷から世界に渋谷の文化や情報、にぎわいを発信するイベントについて検討が重ねられていると伺っていますが、現在の進捗状況はどのようになっているかお示しください。 また、地元にとってはまだ決してウェルカムとは言えない状況にある十月末のハロウィン、年末のカウントダウンへの対策についても伺います。 三点目に、まちづくりの新しい組織形態について質問します。 先ほど「ブライアントパーク」の運営組織として御紹介したBIDですが、「ビジネス・インプルーブメント・ディストリクト」と訳されます。意味はよくわかりません。スルーしてください。 BIDとは、特定のエリアを対象に、地権者から集められる負担金をもとにエリアマネジメントを行う組織で、「タイムズスクエア・アライアンス」やほかの公園運営の多くもBIDによって運営されています。その活動内容は、治安維持、清掃、防犯、マーケティング、広報、イベント開催などとなっています。課金はニューヨーク市が不動産の評価額によって行い、運営は負担金拠出者中心の理事会を意思決定機関とする民間非営利団体が行います。職員は、「タイムズスクエア・アライアンス」の場合、百五十名、私たちが話を聞いた副代表は市警察のOBとのことでした。 先ほど質問した渋谷駅中心地区や新宮下公園において各エンタメを運営し、区や東京都、警察や消防、各事業者間を調整しつつ、地域を管理できるBIDのような団体が将来的に渋谷にも必要ではないかと考えますが、区長の御所見を伺います。 次に、渋谷区役所仮庁舎の跡地活用と、「ケアコミュニティ・原宿の丘」建替えについて伺います。 昨年三月、「明日の美竹を考える会」から桑原前渋谷区長に対し「美竹の丘・渋谷アネックス検討結果について」という要望書が提出されました。「明日の美竹を考える会」は、美竹の丘コミュニティ委員会委員長を代表に、近隣各町会長並びに役員、まちづくり協議会代表幹事、役員などによって構成される組織で、平成三十年度に供用が終了する仮庁舎の跡地には、地域としてどんな施設が必要かを協議する会です。 要望書提出に当たり、議論の中で、まず必要のない施設として、一、供用終了後の仮庁舎の躯体、これですね。二、仮庁舎の建設前にあった家庭菜園が挙げられました。次に、大いに必要な機能として、一、地域スポーツの拠点、防災拠点としてのアリーナ、二、温水プール、トレーニングジム、三、ラジオ体操など地域活動拠点としての広場スペース、四、旧渋谷小学校のレガシー整備が挙げられ、あれば便利な機能として、美竹の丘と連動した特別養護老人ホーム機能、六、美竹の丘とやはり連動した幼稚園機能を持った認定こども園などとなりました。これら必要な機能を現第一仮設庁舎部分に入れ込んだプランが美竹の丘・渋谷アネックスです。 要望書を提出した際、桑原前区長からは「庁舎建替えに御協力いただいた地域の皆様に感謝する。旧渋谷小学校体育館や家庭菜園を犠牲にして仮庁舎を建てさせてもらうのだから、跡地利用については最大限地元要望を尊重する」との言質をいただきました。 この地域要望については長谷部区長も当然御存じとは思いますが、地域では、仮庁舎供用から既に一年が経過し、新庁舎建設も順調に進んでいる状況で、「仮庁舎供用終了後の考えが渋谷区から聞こえてこない」との不安の声も聞くようになってきました。このことについての渋谷区のお考えを区長に伺います。 次に、「ケアコミュニティ・原宿の丘」建替えについて伺います。 「ケアコミュニティ・原宿の丘」も、やはり統合校であった旧原宿中学校の跡地をほぼそのまま利用し、地域包括支援センター、高齢者サービスセンター、教育センター、コミュニティ施設、屋上ビオトープなどが入っています。また、盆踊り会場やラジオ体操会場としても利用される地域になくてはならない施設となっています。 しかし、統合後の校舎利用も既に二十年近くが経過し、耐用年数を考慮しても、そろそろ建替えの検討に入る時期だと思われます。地域の原宿・神宮前地区まちづくり協議会でも分科会ができ、この件をテーマに議論が深まっているとも聞いています。ケアコミュニティ・原宿の丘の今後について何か構想などお持ちでしょうか、区長の御所見を伺います。 次に、「ウォームブルーデー」についてお伺いします。 これは、国連が定めた世界自閉症啓発デーである毎年四月二日に、世界中のランドマークをコンセプトカラーであるブルーに染め、啓発イベントを開催することで全世界の人たちに自閉症を理解してもらおうという取り組みで、今年は百五十七カ国が参加し、日本国内でも四十四都道府県でイベントが行われたそうです。本区においては、女優の東ちづるさんが代表を務め、まぜこぜの社会、多様性社会を目指す一般社団法人Get in Touchの方々が中心となって、区役所仮庁舎を青くデコレーションしたり、区役所を起点にして青く飾った車やバイクで区内を走行したほか、ハチ公前や
神宮通公園などで関連イベントも開催されました。長谷部区長を先頭に渋谷区もこの取り組みに協力し、啓発の一助となったことを評価いたします。この様子は、テレビや新聞などのマスコミでも取り上げられたので、区民だけでなく、多くの人が自閉症を知るきっかけになったと思います。 本会議冒頭の区長発言で、長谷部区長は「ここ渋谷から人種や性別、障がいの有無などにとらわれない、多様性を大切にするダイバーシティ・インクルージョン社会に向けた意識改革を実現したい」と話されていました。Get in Touchのメンバーも、ここ渋谷をウォームブルーデーの情報発信拠点とし、他区へ広げていきたいと考えておられます。是非この取り組みは来年以降もさらに力を入れていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。特に、来年四月二日は日曜日、啓発イベントを開催するにはぴったりです。区長の御所見をお伺いします。 ところで、今年初めて三月末の土日に仮庁舎を青く飾ったのですが、事前の周知が足らず、区の関係者でさえ「月曜日に役所に来てみてびっくり」という人が多かったのではないでしょうか。同様の取り組みを行った世田谷区では、早い時期から区民に周知し、平日の開庁時に区職員、さらには来庁者の方々にも参加してもらって区役所の飾りつけをしたと聞きます。本区においても準備段階から区職員が積極的に参加できる環境を整えるとともに、「しぶや区ニュース」などで事前に告知をして、区民や来庁者の皆さんにも参加をしてもらってはいかがでしょうか、あわせて御所見をお伺いします。 次に、渋谷のラジオについてお伺いします。 本年度より本放送が開始された渋谷のラジオ、まちのスターを紹介してくれるなどコミュニティラジオとしての地域密着、区民参加で、リスナーも着実に増えています。また、渋谷のラジオのもう一つ大きな役割として、災害時の情報提供が挙げられます。通常のAM・FM放送と異なり、渋谷区に特化した放送局ですので、いざというときに区内の建物や道路、橋りょうなどの被災状況、さらに帰宅困難者支援や避難所などの正確な情報をリアルタイムに提供することができます。 ところで、この渋谷のラジオですが、受信できないという声を耳にします。コミュニティFMですので出力は二十ワットに制限されています。平坦なところでは問題ないのでしょうが、渋谷のように谷地形で高層ビルも多いまちでは、どうしても電波が届かない地域が生じてしまいます。この対策としては、公式アプリをインストールすればスマホやタブレットで聞くことができますが、私のようにガラケーを使っている人やシニアの方々にとってはですね、身近なラジオが遠い存在になってしまっています。やはりラジオである以上、八十七・六メガヘルツに合わせれば区内どこでも誰でも聞くことができるものであってほしいと考えますし、ましてや災害時には、コミュニティラジオにとってそれは必須の要件であるはずです。 災害時の役割を担う以上、本区も電波配信を行う中継局の整備に協力するなどして早急に電波の届かない不感地域を解消すべきだと考えますがいかがでしょうか、区長の御所見を伺います。 次に、原宿駅舎の改築等について質問します。 JR東日本は本年六月八日、原宿駅に新たな駅舎を建築する改良計画を発表しました。これは二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、原宿駅が競技会場である国立代々木競技場の最寄り駅に当たり、乗降客の増加が見込まれること、現行の原宿駅舎のバリアフリー対応が遅れていることから、現行の表参道口にかえ明治神宮口に新しい駅舎を建築、明治神宮側の臨時降車ホームを内回り専用ホームとして利用しようとするものです。 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックへの対応として、駅舎を改良し利用客をスムーズに誘導するとともに、バリアフリー化やトイレの混雑緩和を図ることは必要だと考えます。今後ともJR東日本には、この改良工事については地域の声をよく聞きながら進めてほしいと考えますが、問題は、四年後に使われなくなる現行の駅舎がどうなるかという点です。 現駅舎といえば、一九二四年、大正十三年に竣工し、現在、都内に残る一番古い木造駅舎となっています。洋風のつくりが神宮の森の緑とマッチしているという理由から「関東の駅百選」にも選ばれ、地元・原宿っ子のシンボルとして長年親しまれてきました。JR東日本や渋谷区に宛てては、地元・神宮前地区町会連合会からは原宿駅舎保存に関する要望が提出されています。原宿、神宮前の町会連合会の記念誌も表紙は原宿ですし、見開きもレトロなたたずまいの原宿駅と、本当に地元に愛されている駅舎でございます。 私はリオ・ロンドン視察中で参加できませんでしたが、九月十五日に行われたJR東日本による工事説明会でもこのことに関する質問、要望が相次いだものの、JRサイドからは明確な返答がなく、説明会が紛糾したとの話も聞きました。 私自身も親しんできた原宿駅舎は、何らかの形で次世代に継承するべき遺産だと思います。やはり大正時代に建築された東京駅丸の内駅舎は補強保存され、新駅舎へと生まれ変わりましたし、歌舞伎座だって、歴史ある歌舞伎座の表玄関を復元しつつ新しいビルに建て変わりました。近くでは、表参道ヒルズにも旧同潤会アパートの面影を残す同潤館が建築、今や歴史的建造物のスクラップ・アンド・ビルドはあり得ない手法だと思うのです。 長谷部区長にとっても、子どものころからなれ親しんでこられた原宿駅舎です。渋谷区として駅舎保存に向けた取り組みについて伺います。 また、「地域の原宿・神宮前地区まちづくり協議会」では、「原宿駅舎を渋谷区の有形文化財に指定できないか」という声も上がっています。あわせて御所見を伺います。 次に、シニアの健康づくりについて伺います。 区長は、この仮庁舎の少し上に「パン・オ・スリール」というとてもおいしいパン屋さんがあるのを御存じでしょうか。--ありがとうございます。実はこのパン屋さんのイートインコーナーを使って、毎週一度、高齢者向けの体操会が開かれているのです。レギュラーメンバーは地元・渋谷第一町会婦人部の九十九歳から八十六歳までのシニア四名、特に決まったネーミングがないので、私たちは親しみを込めて「四ばば体操」などと呼んでいます。体操の先生は旧こどもの城のインストラクターの方で、基本、椅子に座りながら上半身や下半身を動かし鍛えます。客足が一段落した金曜日の午後三時ごろから体操が始まり、体操が終わったら紅茶を飲みながら懇談をする一時間半程度が参加者にとってはとても楽しいようです。 先日、リフレッシュ氷川で、当会派、小柳政也議員が荒川区で視察し渋谷区に紹介した「ころばん体操体験会」がシニアクラブ連合会渋谷ブロックで行われ、私も見学に行きました。この体操も、やはり椅子やセラバンドというゴムチューブを利用した体操で、「ころばん体操」を全区的に取り入れている荒川区では、この体操を週に二回、なるべく細分化した地域内で行って効果を上げているとのこと。まさに「四ばば体操」のイメージそのものです。 渋谷区でも「渋谷版ころばん体操」の研究を進めているとも聞きました。是非今後、渋谷版のシニア向け体操を開発するとともに、できればそれを町会単位レベルで実施していき、シニアの健康づくりをサポートできないかと考えますが、いかがでしょうか、区長の見解を伺います。 次に、子どもの居場所、「子どもテーブル」について伺います。 子どもの居場所づくりをつくるための施策については、当会派では岡田麻理議員がリーダーとなり、平成二十八年第一回定例会では薬丸幹事長から、第二回定例会においては田中議員から質問させていただきましたが、引き続き進捗について伺います。 区ニュース九月十五日号に「お腹も心も満たしてくれる、地元の食堂。渋谷区の『こども食堂』へ、ようこそ」をタイトルに、恵比寿じもと食堂の皆さんが表紙となり、「ずっとも食堂」とともに紹介もされていたのは記憶に新しいところです。区内各地で子どもたちのためにこうした活動に取り組まれている皆さんに、心よりの敬意を表します。 このように、各団体個人で独自に活動されているところもあるようですが、可能な限り区としても、場所の提供などこうした活動をサポートしていくべきだと考えます。 第二回定例会で田中匠身議員の質問に対し、「代官山ティーンズクリエイティブ、かぞくのアトリエ、社会教育館など調理室を備えた施設は、「子どもテーブル」を実施するに当たり大変適した施設であり、空き時間等は「子どもテーブル」の実施のため最大限活用していく考えです」との答弁をいただきました。また、「景丘の家」や商店街の空き店舗などを子育て支援の拠点づくりの場としても提案してまいりました。 まずは区関連施設とあわせて、これら景丘の家や商店街の空き店舗活用法、区のサポート体制についてのその後の進捗を伺います。 また、先般、セコム、LINEに続いて渋谷区がソーシャルアクションパートナー協定を締結した京王電鉄とのメニューには、笹幡地域での「こども食堂」の運営がありました。企業がCSR活動として「こども食堂」の運営に携わっていくことで、安定的な運営が見込まれます。実現に向け積極的に協議を進めていくべきだと考えますが、御所見を伺います。 また、「子どもテーブル」と渋谷区とのかかわりについてはどのようにお考えでしょうか。私は、地域的に空きが出るところについては、是非渋谷区の事業としてかかわってほしいと考えます。その場合、運営については青少年対策地区委員会が事業との親和性が高いと感じますが、御所見を伺います。 以上、子どもの居場所、「子どもテーブル」について区長に質問いたします。 最後に、教育について二点、教育長に質問します。 一点目は毎度おなじみ、特色ある学校づくりについてです。 かなり古い話になりますが、私は平成六年から七年にかけて設置された「渋谷区立学校児童生徒減少問題審議会」に委員として参画し、平成九年の神南小学校、原宿外苑中学校開校という渋谷区で最初の学校統合にかかわりました。当時の学区域制の中、神南小学校からのみ生徒の供給を受けられなくなった松濤中学校が旧特殊学級も含め全校生徒五十一名という大変厳しい状況に置かれた中、当時の学校関係者、同窓会が生き残りをかけて提案したプランが松濤中学校の学区域解消と英語教育校の指定でした。これが後に教育委員会の松濤中学校の英語教育重点校指定、渋谷区全体での学校選択希望制導入につながりました。 おかげさまで松濤中学校は現在のように息を吹き返しましたが、私は一連の流れに身を置く中で、特色ある学校づくりの重要性を骨の髄まで痛感しました。ですからしつこいくらいに毎回、代々木中学校はスポーツ重点校がいいですよとか、原宿中学校は地域特性を生かしましょうよ…… 〔「外苑」「原宿外苑」の声あり〕
◆七番(伊藤毅志) すみません、原宿外苑中学校は地域特性を生かしましょうよとか、笹塚中学校はこのままで大丈夫ですかとか質問、提案してきたのです。代々木中学校については、渋谷区スポーツ等部活動強化校に指定し、連合陸上記録会や渋谷ニュー駅伝で確実に結果を出している点、高く評価いたします。また、原宿外苑中学校や笹塚中学校についても近々、必ず教育委員会が学校、地域とともに確固たる特色を打ち出していただけるものと固く信じているところです。 さて、今回伺うのは、既に都市型中高連携教育校として十三年目を迎えている区立広尾中学校と、都立広尾高校との連携強化策についてです。 このことは、本年第一回定例会で当会派、薬丸幹事長から質問させていただきました。教育長からは「広尾ふれあいコンサートなど行事の交流だけではなく、中学生と高校生が同じ授業を受け、高校生が中学生をサポートしたり、中学生が高校生にプレゼンテーションをしたりするなど授業を通した交流も行っている」との答弁をいただきましたが、それでもまだ交流、連携が足りないと感じます。 私は、その理由の大きなものに、広尾中学校、広尾高校敷地内にある学校間を遮るネット状の柵を挙げたいと思います。 現行、両校の行き来は中学校の若木館裏の交流門と呼ばれる裏木戸を通じてのみになっています。これでは真の交流や連携が生まれないと思うのです。この際、思い切って両校を隔てる障壁、私の言うところの「ひろお・ベルリンの壁」を取っ払ってはいかがでしょうか。一定のルールの中、両校の交流が活発化すれば、教育効果や一体感というソフト面、校舎の建替えなどハード面でも思わぬよい化学変化が生じてくる気がするのです。この点について教育長の御所見を伺います。 もう一点は、中学生の自転車通学解禁についてです。 先日、子どもを学校選択希望制を使って学区域外の区立中学校に通わせている親御さんから、「公共交通機関を使って通学をさせているが、ハチ公バスで登校できたら便利。ハチ公バスの始発時間を早められないか」という要望を受けました。私は、その場では「福祉バスとしての機能で走らせているハチ公バスですから、登校のために始発時間を早めるのはどうですかね」とお答えをしましたが、なるほど、学校選択希望制を使って自宅から離れた地域の中学校に通う場合の対応策は、何か考えなきゃいけないなと思ったものです。 今月三日に鉢山中学校で開催された渋谷区主催、スケアードストレート方式の交通安全教室に参加しました。これは怖い思い、ひやっとする体験を通じて啓発効果を高める教育手法で、具体的にはスタントマンによるリアルな交通事故再現という技法を取り入れたものです。その場では中学生たちが渋谷警察署の交通課の指導で、自転車での二人乗りやスマホのながら運転を行い、その行為がどれくらい危険かを体験します。今回、最後には中学生全員が「自転車の交通ルールを守ります」「スマホのながら運転は絶対にしません」と復唱、我々観客や渋谷署員の前で全員が約束してくれました。 そこで、はっと閃いたのです。彼らのようにしっかり交通ルールを守れるのであれば、公共交通機関利用にかえて自転車通学ができるよねと。現行、東京二十三区内の中学校で自転車通学が認められていないのは存じています。しかし、自転車族議員の伊藤毅志としては、そろそろ中学生の自転車通学、認めてもいいのではないかなと考えてしまうのです。教育長の見解を伺います。
○議長(木村正義) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) シブヤを笑顔にする会、伊藤毅志議員の代表質問に順次お答えします。 まず初めに、東京オリンピック・パラリンピックについて五点のお尋ねです。 一点目のパラリンピックの機運醸成についてですが、私は、議員御発言のとおり、オリンピックの成功はパラリンピックの成功があってこそと考えており、その第一歩はパラ競技を広く区民に触れて知ってもらうことです。そのために、現在は主に子どもたちを対象としたパラリンピックPR紙芝居事業や、パラリンピック教育プログラムを関係機関と連携しながら進めるとともに、
ウィルチェアーラグビー壮行会など区民の皆さんとパラリンピアンが触れ合う機会をつくっています。 今後も二〇二〇年に向けて、国や都の動向も注視しつつ、区としての機運醸成の施策を切れ目なく行っていきますが、特に次年度からは、区内パラリンピック競技会場種目を中心に障がい者スポーツの迫力、躍動感を直接区民に伝える、例えば区内で競技観戦ができる機会をつくるなど、さらに身近に感じてもらう取り組みをしていきます。 また、議員の御提案のように、区民、民間、学校など様々な団体、機関と行政が取り組みの方向性や情報を共有し、連携協力していくことは重要です。したがいまして、まずは渋谷区内のスポーツ、地域、商工観光などの関係団体連絡協議会を開催し、大会準備と機運醸成を推進していきたいと思います。 次に、ボランティアの育成についてのお尋ねです。 私も視察した職員から、「現地のボランティアはとても陽気で、笑顔で迎えてくれておもてなしの心を感じた」との報告を受けました。 東京大会では、大会組織委員会の大会ボランティアが約八万人、東京都の都市ボランティアが約一万人と予定されていますが、渋谷区独自でのボランティアも準備していく必要があると思っています。このボランティアには、おもてなしの心とある程度の語学力が重要になると考えています。そのために、今年度は商店街などとも連携し、英語を使った「おもてなし関係者スキルアップ講座」を開催する準備を進めています。 また、議員御提案の「渋谷のラジオ」を活用することも有効だと考えますので、どのような方法で実施できるかを検討してまいります。 次に、セグウェイ運行に向けての進捗状況と決意についてのお尋ねです。 セグウェイは老若男女問わず安全で運転しやすく、世界中で利用され、まさに次世代の乗り物であり、様々な可能性を秘めた新たな交通手段、ニューモビリティだと私は考えています。 現在、渋谷区では改修前の宮下公園や都立代々木公園など、比較的運行距離がとれ、かつ歩行者交通量の少ない場所を活用した実験に向け関係部署と協議を行っています。年度内の社会実験としての試行を目指すとともに、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、今後、公道での運行を視野に入れつつ、様々な場所での活用を検討してまいりたいと思います。 民泊ルールづくりについてです。 渋谷区が進めている民泊ルールの進捗状況についてのお尋ねです。 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを控えて、本区では世界各国からさらに多くの外国人旅行者をお迎えし、区民の皆さんと一緒に渋谷ならではのおもてなしを進めていきたいと考えています。 一方、民泊については議員御指摘のとおり様々な課題があり、これまで申し述べてきたとおり、区民の皆様の安全・安心を守ることが重要です。今後もサービスの実態について必要な情報を把握し、居住者、マンションの管理組合、警察とも連携して適正な対応を行っていくことが必要です。 現在、国において、通常国会に向けて民泊に係る新法の制定を予定しているところです。本区においても、民間を含め様々な関係機関と意見交換しながら、日本の文化や生活を直接体験するといった国際交流の推進や、商店街とも連携した地域の活性化につながる渋谷ならではのおもてなしのあり方について研究を始めているところです。 また、渋谷区
基本構想等審議会において、民泊については世界へ発信する観光振興の視点から、新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策として地域に配慮したルールに基づくものとするほか、「バケーションレンタルの推進」についても答申をいただいているところです。これらの御提言も踏まえて、今後も引き続き安全・安心の確保をしながら、ダイバーシティ、インクルージョンの視点から、地域と一体となり、渋谷のまちの魅力を直接感じ取っていただけるルールを検討していきます。 次に、インクルーシブデザインについてのお尋ねです。 インクルーシブデザインとは、ロンドンで議員がヒアリングされたデビット・ボネット博士を中心として提唱されている考え方だと伺っております。これについては議員の御報告を改めてじっくり伺い、研究させていただきたいと思います。 私も議員の御提案のとおり、区政のあらゆる場面に障がい者団体に参画していただきたいと思っています。これまでも、道路整備に当たって障がい者の意見を聞いて行った例があるとも聞いております。また、渋谷区自立支援協議会には障がいのある当事者に入っていただき、障がい者保健福祉について建設的な御提言をいただいております。今後は区の様々な附属機関の委員として委嘱をすることを初め、区の基本構想のダイバーシティ、インクルージョンの理念に基づき、区政全体に多様な障がい者に御参加いただき、当事者の意見が反映できるように図ってまいりたいと考えています。 次に、新宮下公園等の整備計画についてのお尋ねであります。 まず、伊藤議員を初め「渋谷・東地区まちづくり協議会」の代表の方々には、新宮下公園の整備に向けて先進的な公園の導入例が多いニューヨーク、マンハッタンを視察され、今回、新宮下公園への様々な御提案をいただき、感謝しております。 新宮下公園等の整備につきましては、「緑と水の空間軸の形成」、「地域のにぎわいの創出」及び「公園機能の確保」等を目的とし、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、老朽化した宮下公園と渋谷駐車場を一体的に整備するものであります。 現在、宮下公園と渋谷駐車場等の都市計画決定に向けた手続に入ったところであり、十月六日には都市計画素案の意見交換会を開催する予定です。したがいまして、新宮下公園の整備内容や利活用の方法につきましては、現在多様な検討を進めてきているところであり、今回議員からいただいた提案や地域の皆さんの意見も参考にしながら、新しい宮下公園を世界に誇れる、地域のにぎわいをつくり出す、魅力ある立体的な都市公園として整備してまいりたいと考えています。 次に、歩行者天国の復活等についてのお尋ねです。 渋谷区においては、これまでも様々なストリートカルチャーによる文化の発信がまちの魅力を形づくってきました。伊藤議員の御質問にもあるように、基本構想の中で渋谷区をエンターテインメントシティと位置づけており、歩行者天国や路上イベントなどによりさらなるストリート文化の発信が実現し、そのことが渋谷のまちの価値をより高めると考えています。 歩行者天国については、現在、警視庁管内で行われている歩行者天国はイベントや出店ができず、歩行者の通行のみを認めるものであるため、イベントや出店を希望する地元商店街等の要望を踏まえた形で、道路使用によるイベントとして平成二十九年度以降の定期的な実施に向けて、渋谷警察署を初めとする関係機関との協議を進めてまいります。 東京オリンピック・パラリンピックに向けたイベントについては、十月十日の体育の日にNHKのスペシャル番組と連動して、渋谷区が協力しながら、文化村通り、109前、道玄坂においてパラリンピック競技のデモンストレーションなどを予定しているところです。 年末カウントダウンについては、昨年末に発足した「渋谷区歩行者天国・年末カウントダウン等を考える会」において、親会と呼ばれる全体会、関連の分科会などを合計十数回開催し、渋谷警察署、警視庁、地元町会、地元商店会、鉄道、バス、タクシーなどの交通事業者、大規模店舗などと協議を継続しており、渋谷区として、今年末には実現したいと考えております。 次に、ハロウィン対策についてです。 ここ数年、ハロウィンの渋谷のまちには仮装姿の若者たちが仮装パーティを楽しむために数多く集まり、その結果、翌朝、至るところにごみが大量に散在する状況となっていました。 昨年、こうした状況を少しでも改善するため、渋谷駅周辺にごみを分別回収するエコステーションの設置、着替え・メイク場所の提供、清掃ボランティアの支援など対策を講じたことで一定の成果を生み出しました。本年はエコステーションの設置場所を増やし、着替え・メイク場所を駅の近くに設置し、清掃ボランティアの支援を拡大するとともに、新たに仮設トイレの設置を行い、マナー啓発活動を行うなど、ハロウィン対策を強化してまいります。 次に、まちづくりの新しい組織形態についてのお尋ねです。 議員御質問のとおり、BIDとは一定の対象エリアについてエリアマネジメント団体に資金的な裏づけを与え、持続的なまちづくり活動を支援する仕組みです。 ニューヨークのブライアントパークにおいても、公園とその周辺の地域を対象エリアとし、そのエリアにおける不動産所有者からニューヨーク市がBID税として徴収して、民間のエリアマネジメント団体であるブライアントパークBIDによる公園の運営・管理費やまちづくり活動の費用などに充てるものです。 ニューヨークにおけるBID制度をそのまま日本で運用することは税法上の難しさがあるのですが、税以外の原資としてエリア内の土地所有者からの分担金やクラウドファンディングのような内外からの寄附金など、新たな手法を多角的に研究し、行政機関と民間企業のさらなる連携により公園や地域を管理できる仕組みづくりを、今後検討してまいります。 次に、渋谷区役所仮庁舎跡地の活用と、「ケアコミュニティ・原宿の丘」の建替えについてのお尋ねです。 まず、仮庁舎跡地の活用についてですが、新庁舎及び新公会堂の工事の工期は、アスベスト及び土壌汚染対策への対応のため全体で四カ月延長し、新庁舎については当初、平成三十年六月の竣工予定だったところ、平成三十年十月竣工予定と変更しています。そのため、仮庁舎の使用期間については、当初、平成三十年度の半ばまでと見込んでおりましたが、工期延長に伴い、使用期間の見直しをしているところです。 今後、基本構想を踏まえて長期基本計画を策定してまいりますので、その過程で区全体の施設の利用計画を見据えながら、仮庁舎第一庁舎の跡地の活用については適切な時期に検討を進めたいと思います。 検討に当たっては、いただいた御意見を参考にしつつ、周辺環境の状況を見きわめながら将来の財政負担を考慮し、総合的に判断してまいります。 次に、「ケアコミュニティ・原宿の丘」の今後の構想についてのお尋ねです。 「ケアコミュニティ・原宿の丘」の建替えについては、当初、特別養護老人ホーム整備の候補地の一つとしてその可能性を検討してきたところですが、建替えに際し道路づけなどの物理的な課題があることから、その実現は難しい状況です。 しかしながら、旧原宿中学校を改修し、複合施設として活用している現在の旧校舎は築後五十年以上を経過しているため、建替えの必要に迫られているのも事実です。したがいまして、現在の地域コミュニティの核となっている機能や地域防災の拠点となっている現状を考慮しつつ、今後、基本構想や長期基本計画を踏まえ、地元の声や行政需要等を総合的に勘案しながら、この地域に必要な施設について検討を進めてまいりたいと考えています。 次に、ウォームブルーデーについてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、ウォームブルーデーは国連が定めた世界自閉症啓発デーの四月二日に、世界中のランドマークをブルーに染めることで自閉症への理解を進めようという取り組みです。本区では、今年初めて一般社団法人Get in Touchさんの活動を後援し、区役所仮庁舎でのディスプレイや駐車場からの啓発パレード等に協力いたしました。貴会派の薬丸議員はボランティアとして御参加いただいており、積極的な御活動に頭の下がる思いです。 これが御縁となり、同法人代表の女優、東ちづるさんには今年五月に行われた渋谷区障がい者団体連合会三十周年記念大会の記念講演で「障がいの有無を問わず、誰もがまぜこぜになれる社会をつくろう」という力強いメッセージをいただき、区内の障がい者団体にも共感と勇気を与えていただきました。 今年は初めての取り組みであり、仮庁舎で何ができるかという手探りから始めた試みであったため、議員御指摘のとおり事前周知が不十分な面がありました。来年度以降は、Get in Touchさんと一層の協力を深め、さらに力を入れていきたいと思います。 また、職員が準備に加わり、事前に区ニュース、ホームページ、渋谷のラジオ等で周知することで、多くの区民の方々に御参加いただけるように工夫してまいりたいと思っています。 次に、「渋谷のラジオ」について、早急に電波の届かない不感地域を解消すべきとのお尋ねです。 「渋谷のラジオ」は、地元のスターの紹介や情報交換など区民参加型の番組によりリスナーも増え、地域コミュニティの連携・強化に役立っております。 議員御指摘の電波の届かない不感地域があるということですが、コミュニティFMは放送エリアが区市町村単位に限定されているため、送信出力についても総務省の厳しい制限が課されているところでもあります。このため、「渋谷のラジオ」の開局に当たっても、放送事業者が総務省の指導に沿い、アンテナの設置場所等電波送信の方法について調整したものであります。 議員御提言の災害時における区民への適切な情報発信手段の確保は、防災の観点からも重要でありますことから、今後は放送事業者や総務省と送信方法等、電波の届かない不感地域解消のための必要な改善策について協議を行ってまいります。 次に、原宿駅舎の保存の取り組みについてのお尋ねです。 大正期に建てられた西洋建築風の現駅舎は、木造では都内で最も古く、地元住民だけではなく国内外の多くの人々に親しまれた原宿のシンボルです。 原宿駅舎の保存については、地元の町会、商店街から保存の要望書が区に寄せられていますし、渋谷区としてもJR東日本に駅舎の保存要望を伝えています。また、九月十五日に神宮前隠田区民会館で行われた原宿駅の工事説明会でも、参加者から駅舎の保存を求める要望が数多く寄せられました。JR東日本からは明確な回答はありませんでしたが、六月の原宿駅改良計画発表の際、JR東日本の社長が「保存か解体かについては、渋谷区や地元関係者の意見を聞いて検討したい」と述べたと報道されておりますので、駅舎の保存については地元の要望を真摯に受けとめていただきたいと思っています。 また、原宿駅舎を渋谷区の有形文化財に指定できないかとの提言ですが、渋谷区の文化財に指定する際には所有者の同意を得なければならないとされていますので、指定については今後の課題とさせていただければと思います。 今後も旧駅舎の保存については地元関係者と一体となって取り組んでまいりますので、御理解を賜りたいと思います。 次に、渋谷版のシニア向け体操を開発するとともに、それを町会単位レベルで実施し、シニアの健康づくりをサポートできないかとのお尋ねです。 先日、議員が見学し、貴会派の小柳議員が視察された「荒川ころばん体操」は、転倒防止に特化した体操であり、本区職員も実際に体験し、実績や効果について調査したところです。 他方、本区の高齢者向けオリジナル体操は、転倒防止はもちろん、認知症予防や口腔機能低下予防など高齢者の介護予防につながる体操として、健康はつらつ事業やシニアいきいき大学を受託している渋谷区サービス公社と連携し、年度内を目標に開発を進めています。渋谷の観光資源を体や言葉で表現したり、明るいリズミカルな曲調を取り入れるなど独自性を盛り込むことにより、区民に親しめる体操としたいと考えています。 完成後は、渋谷区シニアクラブ連合会の協力により体操の普及啓発を図るとともに、多くの高齢者が気軽に通える区域で体操を定期的に開催し、高齢者の健康づくりと介護予防をサポートしてまいります。 次に、「子どもテーブル」については一括してお答えいたします。 現在、本区が進める「子どもテーブル」は、地域による子育て支援という理念のもと、食事の提供のみならず、学習支援や親の養育支援を含めた総合的な子育て事業です。本区では渋谷区社会福祉協議会と連携し、「子どもテーブル」が区内全域で周知されるよう、専用のホームページの開設準備を進めています。また、当会が所有する「景丘の家」については老朽化が目立つことから、改修等を行った後、「子どもテーブル」の拠点とするよう要望しております。 「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」ですが、本区と渋谷区内で活動する企業や大学などが連携して、地域課題を解決することを目的として締結するものです。議員の御指摘どおり、「子どもテーブル」については協定企業から地域への貢献活動として支援していただくことは、事業の安定的、効率的な運営に資するものであり、積極的に協議等を進めていく考えです。 今後、パートナーとなる企業へと拡大していく中で、食事の提供や学習の支援、さらには空き店舗の活用など、それぞれの企業等の特性を生かし様々な形で支援をいただけるよう、この仕組みを活用してまいります。 次に、空白地域の対応については、区民の皆様や各団体などから食事の提供や学習の支援など、「子どもテーブル」の活動に協力したいとの声が本区へ寄せられています。こうした地域の皆様のお力を集結し、また、本区の関連施設を活用することで、その解消に努めてまいります。 あわせて、地域の実情を把握する民生児童委員や青少年対策地区委員会など、地域との連携を密に、地域による子育て支援を大きく推進していく考えです。 いずれにいたしましても、本区は次世代を担う子どもたちの健全育成のため、「子どもテーブル」が区内全域で実施されるよう支援に努めていく所存です。
○議長(木村正義) 森教育長。
◎教育長(森富子) 教育について、私には二点のお尋ねがございました。 まず、区立広尾中学校と都立広尾高校の交流・連携を強化するため、両校の間にある柵を取り払ってはいかがかとのお尋ねです。 渋谷区では特色ある学校づくりを推進しており、区立中学校では理数教育重点校の鉢山中、教科教室型の上原中、スポーツ等部活動強化校の代々木中、英語教育重点校の松濤中、渋谷本町学園中に続き、原宿外苑中では地域の教育資源を生かし、グローバル人材の育成に資する教育活動を中心に行っております。また、笹塚中学校では、ロボットを用いたプログラミング学習を先行的に取り入れるなど、アクティブ・ラーニングを重視した教育活動を積極的に展開しています。教育委員会としましても、こうした学校独自の取り組みを引き続き支援してまいる所存です。 広尾中学校と広尾高校の中高連携も特色ある学校づくりの一環であり、今年度も昨年度以上に充実した取り組みが進んでいます。本年度は、例えば今週の火曜日には広尾高校を会場に理科の交流事業を実施しておりますが、授業交流のようなソフト面だけではなく、柔道場などの施設も共有することでハード面での交流も深まっており、今後、広尾高校のオリンピック・パラリンピック教育の授業を広尾中学校の体育館で実施する予定です。また、昨年度よりバドミントン部を中心とした部活動交流も開始し、今後は卓球部、ダンス部、テニス部等でも中高の垣根を超えた新たな連携を計画中でございます。 さらに、教育効果の点では、中高双方の教員による中高交流授業を全教科で実施することにより、中高の教員が協働して中高生を指導するなど様々な形態を工夫するようになり、生徒の意識啓発だけではなく、教員の指導力向上、意識改革にもつながっております。そして國學院大學内で本年十二月十一日に実施される予定のNHKハートフォーラム「パラリンピアンがやってきた! リオの感動を東京へ」という番組においては、両校の生徒がともにボランティアで参加するなど、校地の枠を超えて連携の輪が着実に大きく広がっております。このことからも、今後も連携を強化していけると考えております。 次に、中学生の自転車通学解禁についてのお尋ねです。 渋谷区では、現行の通学区域制度は残したまま、渋谷区内の全域から入学したい学校を選ぶことができる学校選択希望制を採用しており、この制度を活用して、区内中学校には通学区域外からも通学してくる生徒が大勢います。本制度を活用する場合には、通学途中における事故等については自己の責任であること、毎日の通学を考え、無理のない距離にある学校を選択すること、さらには自転車による通学は認めていないことについて事前に合同学校説明会等で説明するとともに、渋谷区立中学校案内に明記し、各家庭に配布、周知しているところです。 自転車通学に関しましては、議員の見解のように、通学の利便性が向上する、学校選択の幅が広がるなどの利点もあるかと思います。しかしながら、一方で、重い通学かばんを携えて自転車を運転することの危険性や、駐輪場確保が困難であるといった施設面、駐輪場からあふれた自転車の放置防止など近隣への配慮面等、様々な課題があります。特に安全面においては、生徒自身が事故に遭う場合もありますが、生徒が事故を起こしてしまうという被害、加害の両面について考慮しなければなりません。昨年度、教育委員会には放課後での交通事故の報告が九件ありましたが、そのうち八件が自転車に関係するものであり、そのうち六件が自分が自転車を運転している際に起こした事故です。 このような状況に鑑み、教育委員会といたしましては、自転車通学を許可することは現在のところ考えておりません。しかしながら、交通事故防止、安全対策等に関して、議員が御指摘していただいたとおりスケアードストレート方式による交通安全教室のさらなる充実も含めて、引き続き各学校に対して指導をしてまいります。 以上、私からの答弁といたします。
○議長(木村正義) 伊藤毅志議員。
◆七番(伊藤毅志) 区長、ほぼ百点満点の御答弁ありがとうございました。 しかし、一点だけ気になる点があってですね、この仮設庁舎、仮庁舎の今後の跡地利用の点です。 今の答弁を聞かせていただくと、どうも奥歯に物が挟まったような表現に聞こえます。区全体の施設の利用計画を見据えてですとか、適切な時期に検討を始めたいとか、何か周辺環境の状況を見きわめてだとか財政負担を考慮しだとか、何だかやるんだかやらないんだかわからないような、確かにここは隣が第二……、まさにこの場所が児童会館の跡地ですから東京都の土地で、隣がまた美竹公園で、私ども会派でもずっとこの美竹公園は東京都から買って有効的に一体として使うべきだということも言い続けていますから、そういうことなんかも考えられて判断に迷っているのかなというふうに思います。 ただ、よく覚えておいていただきたいのは、第一仮庁舎についてはですね、厳然に渋谷小学校の体育館、「ケアコミュニティ・美竹の丘」の体育館を一時、新庁舎を建設のためだからといって地元の方たちは我慢して、運動をふだんしている施設を供出していることがあるので、このところだけ忘れずに、是非真摯に考えていただきたい。これはお願いをしておきます。 教育長、七十五点の答弁ありがとうございました。でも、気持ちは伝わってまいりました。 広尾中学校の私の言うベルリンの壁ですけど、教育長の話を聞いて、三メートルぐらいある壁が一・五メートルぐらいに見えたかなというふうに、低くなったかなという気がしますけれども、根本的に、あの壁を取ってしまったらもっともっと、いろんなことをしなくても交流の実が上がっていくんじゃないかというふうに思いますので、引き続きその点に関しては会派でも要望していきたいというふうに思っています。 そして自転車通学解禁の件ですが、実はこれは会派の中でもこれ言ってもいいか悪いかというのは議論があったりもしました。それで、調査してみると現場の学校なんかはとても、これやったら先生なんかももたないというような話も聞きましたので、ただ、でも誰かが頭出しをするというか、これをやろうというふうに言わないと、結局、幾らスケアードストレート方式のやつをやってもですね、もっともっと身になるためには、こういうことを見据えてやっていけば実のある交通安全教室になるんじゃないかというふうに思いますので、今、現段階ではもうできないという答えは仕方がないというふうに思うんですけど、将来に向かってですね、是非自転車が安全な乗り物になって生徒たちが通学に関しても乗れるように私たちは努力していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。 後の文がありますので、読ませていただきます。 今回、
リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの閉会式での東京引き継ぎセレモニーを見て強烈に感じたこと、それは、今この渋谷が本当に世界中から注目されている都市だということです。オリンピック閉会式でスーパーマリオに扮した安倍首相がマラカナンスタジアムにあらわれるシーン、ドラえもんが地球を串刺しにして掘った土管は渋谷駅前のスクランブル交差点が起点。びっくりいたしました。パラリンピック閉会式でパフォーマンスを披露した義足モデルのギミコさんは、渋谷区が共催する超福祉展のレギュラーメンバーですし、視覚障がいを持つ檜山晃さんは神宮前・ダイアログ・インザダークのアテンドとして活躍されております。そしてフィナーレを飾った曲がピチカート・ファイヴの「東京は夜の七時」これは「渋谷のラジオ」のテーマソングみたいなものですし、まさに渋谷系満載のプログラムだったと思いました。 私たち視察団は今回、リオ、ロンドンにおいて、オリンピック憲章で規定されている文化プログラムの調査も行ってきました。その中、リオ・オリンピック開会式からパラリンピックの閉会式までの間をテレビや現地で見るにつけ、オリンピック・パラリンピックとはスポーツの祭典であるとともに文化の祭典であるということも再認識をさせていただきました。 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、世界から渋谷区への期待はますます膨らんでいくものと思われます。今後は、基本構想に位置づけられたエンターテインメントシティとしても渋谷区はその価値を高めていく努力が必要です。是非とも二〇二〇年には渋谷独自のエンターテインメントが世界から「すばらしい文化プログラムだ」と言われるようであってほしいと思います。私としては、ノーボーダーの参加型音楽祭「渋谷ズンチャカ!」ちょうど二〇二〇年の開催予定日は東京パラリンピックの最終日に当たります、が、そのように育ってほしいと考えるところでもございます。 ともあれ、私たちシブヤを笑顔にする会は、引き続きスポーツや文化、子育てや福祉、まちづくりでみんなの笑顔づくりに邁進していくことをここにお誓いし、質問を結ばせていただきます。 ありがとうございました。
○議長(木村正義) 三十二番芦沢一明議員。
◆三十二番(芦沢一明) 民進党渋谷区議団を代表して、区長と教育長に質問します。 台風十号を初めとする自然災害により、この夏から秋にかけて多数の人命が奪われました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、一日も早い復旧・復興を願うものです。 まず私は、渋谷区政が直面している緊急課題に関して大きく四項目、区長にお尋ねします。 最初に、深刻な状況が続く待機児童対策について五点伺います。 区が発表した四月一日現在の待機児童数は三百十五人。今年度、受け入れ児童数を三百六十名の拡大を目指しながらも、ニーズの増大、多様化が著しい状況にあります。加えて厚生労働省が今月公表した都内で認可園に入れなかったいわゆる隠れ待機児童が、四月現在で約一万九千人、区市町村が公表してきた待機児童数八千四百六十六人の約二・二倍に上ることが明らかとなりました。渋谷区においても五百七十四人とされています。 この内訳である育児休暇を延長した人、求職活動を休止した人、兄弟姉妹で別々の認可園を指定されたために入園を諦めるなど特定の希望園だけを待ち続ける人、認証保育所や保育ママなどを利用している人などがそれぞれ何人になるのかを御説明ください。そして、傾向をどのように認識しニーズに応えていく方針なのか、御所見を伺います。 この定例議会に提出された補正予算案では、待機児童問題を前に進めようという意欲が示される事業が強く打ち出されております。賃借物件による保育所開設に対する施設整備費と賃料の補助は、地価、家賃の高い渋谷において、区だけでは追いつかない施設整備に民間の力を引き出そうというものであります。 しかし、制度の性質からいって、民間からの提案や申し出を受けて事業化を進めることになりますから、現段階でどこにどんな計画があるのか、議会にも保護者、区民にもなかなか明らかにならない、周辺住民には本決まりになるまで知らされないといった問題もあります。計画を知らされてから唐突だと反発が出てあつれきを生んでいるケースも見受けられます。保育施設の必要性や開設に至るプロセス、予算づけの仕組み、民間事業者が担う場合の運営形態なども含め、地域の理解を得て待機児童対策を進めるためにも、近隣説明には区も前面に出る必要があると思います。 来年度から三年間で千四百人規模の定員拡大を先ほども表明されましたけれども、現在構想中の施設整備はどの地域に何カ所あり、新年度には何名分の施設の具体化が図られる御予定なのか、是非お示しいただきたいと思います。 保育従事職員の宿舎借り上げ支援事業は、不足している保育人材確保に区も本腰を入れていこうというもので、有効な対策として効果が期待されるものです。一方で、事業者負担を伴うものとなれば、活用に二の足を踏む事業者が出ないか心配もあるところであります。私は、大阪市が導入したような、保育士を呼び込むための就職時の現金給付など直接的な支援策もこれから必要になってくると考えますけれども、区長にこの点、御所見を伺いたいと思います。 東京都の小池新知事が九日、定員五千名増を目指す待機児童解消のための緊急対策を打ち出しました。国の対応もそうでしたが、従来とは違った、区の実情や努力をサポートする姿勢への転換が図られることを期待するものです。代々木公園の保育施設整備についての都の対応にはもどかしさを感じてきたわけですけれども、都有地の提供もまだまだ余地があると思います。ところが、「活用できる都有地情報の提供充実」といった中途半端な表現にとどまっています。例えば代々木四丁目の旧清掃事務所分室のように、区に譲渡された用地の用途指定などもその解除時期の繰り上げができないか、都に対する働きかけも強めるべきではないでしょうか。 目玉として打ち出された空き家の活用も、権利関係や安全確認など、都がどこまで支援してくれるのか明確になっておらず、緊急対策としての効果がどこまで上がるのか課題も多いと思います。区長として都の今回の方針をどのように受けとめ、何を求めていくのかを伺います。 区長は待機児童の解消に、これまであらゆる保育資源の活用で臨んでいくことを強調されてきましたが、八月末に発した来年度予算編成方針では「施設整備に限ることなく保育需要に応える多様な施策展開を検討」との表現があります。待機児童が増加し続けているという現状を考えれば、施設の確保も従来以上の対応が求められると考えますが、ここであえて打ち出された多様な施策とは何を指しているのでしょうか。 今後は施設確保に、例えば従来の枠組みを超えた民間の協力を求めていくために、川崎市が手がけた大規模マンションの建築時に小規模保育スペースの確保や整備協力金を求めていくといった手法は考えられないでしょうか、区長の見解をお示しください。 次に、高齢者介護の課題についてです。 十六日に開かれた敬老大会には、悪天候の中を大勢の高齢者の皆さんが参加され、お元気な姿を見せてくれました。区長も挨拶で「元気をいただいた」と述べておられました。 今、区内では地域全体で高齢化社会の支え合いの仕組みを築いていく試みも進められており、七月からは認知症サポーターの講習を全区立中学校の生徒、教職員が受講する事業も始まっています。こうした取り組みも、懸案の地域包括ケアシステムを構築していく一助になるものと期待するものです。 しかし、高齢者介護に関しては、国の制度改変にかかわる課題が区には突きつけられています。 まず、要支援の高齢者向けの訪問介護、通所介護が介護保険事業の対象から外され、区市町村に移管される問題です。渋谷区では、利用者が従前どおりの水準のサービスを受けられるよう対応してきたところですが、来年四月の制度移管後の対応を心配する声も強くなっています。とりわけ渋谷区では、要介護認定を受けた高齢者の約四割が要支援で占められており、影響は極めて大きいものがあります。 さらに、要介護一・二の高齢者に対しても、厚生労働省が来年の法改正を目指し、家事援助など訪問介護の生活援助サービスを対象から除外する方針で検討を進めています。これが方針どおり実施されれば、生活援助サービスの利用者負担は一挙に十倍にはね上がるとの試算もあり、大打撃となります。 特別養護老人ホームについても、旧本町東小跡地施設の整備が進められ、開設が待たれるところであります。 昨年四月からの法の施行規則の改正により入所要件が厳格化され、原則要介護三以上とされたため、全国的には申し込み者の減少が出ているようであります。東京都高齢者福祉施設協議会が七月、都内の特養老人ホームへのアンケート結果を明らかにしたところでは、四百五十七施設中、回答した二百四十二施設における平均の待機者数が二十五年十一月の三百六十人から昨年十一月には二百九十六・三人と一七・七%減少しているとのことでありました。表向きの待機者が減っても、入所できない要介護高齢者が増えれば問題解決にはなりません。当区は今後とも、これまで対応してきたように機械的な対応は避けることを求めておきます。 区の介護サービスの水準を守るためにも、国の制度改正による介護サービスへの影響にどのように対応されるのか、区長の御所見をお尋ねします。 先ほども出ておりましたけれども、「しぶや区ニュース」の九月十五日号では、食事や居場所づくりなどの支援に取り組む「じもと食堂」などの皆さんの活動が大きく取り上げられていました。地域のこうした取り組みが、「子育てを社会全体で」という風潮を広げていくことにつながることを願ってやみません。 貧困層の増大、固定化を初め家庭の経済的困難によって子どもの進路選択の幅が狭められてはならない。区もこうした見地から、子どもたちを支援する役割を担うべきであると考えます。前回の本会議質問では、区長は「まずは実情を把握することから行いたい」との答弁でありましたが、その後どのような対応をされてきたのかを伺いたいと思います。 子どもの居場所づくりや学習、食事、健康面での支援など、「子どもテーブル」など既に区や地域で取り組まれているものもありますが、生活保護世帯、就学援助世帯、ひとり親家庭など苦労を余儀なくされている御家庭には、子どもたちにかかわる様々なニーズがあると思います。負の連鎖を断ち切るためにも、ニーズの調査、把握と支援の具体化に早急に努めていただきたいと考えますが、区長の答弁を求めます。 渋谷上空を通過する、羽田空港の機能強化に伴う新飛行経路案について伺います。 渋谷区議会では、第二回定例会で羽田空港新飛行経路案の安全上の課題等に関する意見書を国土交通大臣宛てに議決し、区民の不安解消に努めること、安全上の課題等について区民から出された意見を真摯に受けとめて対応することを求めてきました。区長も昨年の第四回定例会で、我が会派の治田議員の求めに対し、住民に対し多様なやり方で十分に周知がなされるよう国土交通省に強く求めること、区ニュース等で周知徹底する、あらゆる機会を捉えて伝えていくと力強く答弁されてきました。 いまだ騒音や圧迫感、安全面など不安の解消がなされたとは言えない現状にあると考えますが、区長会の場などを初めとして、この間どのように取り組んでこられたのかを御答弁いただきたいと存じます。 この議会には、二十年ぶりの改定となる基本構想案が提案されています。渋谷区政を取り巻く環境の変化を認識し、二十年後の渋谷区の未来像を描く言葉として「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」が打ち出されました。内容についての細かな議論は委員会での審議に委ねたいと思いますが、新基本構想を踏まえ、具体策が体系的に打ち出される長期基本計画の策定はどのような手順、スケジュールで進めていく考えなのかを伺います。 新基本構想とともに、渋谷区も変わるんだというメッセージを区民に明確に発信するとともに、第一線で行政サービスに従事する職員がその意義や内容を十分に理解することが不可欠であると思います。冒頭発言では、新しい働き方や区の組織のあり方についての検討に言及されています。将来的には、短時間勤務あるいは在宅勤務の導入など、区の職員にも多様な働き方を取り入れていくことが問われてくると考えますが、その意図するところを御説明いただきたいと存じます。 長谷部区長の掲げるダイバーシティとインクルージョンをこれからの渋谷区政にどう位置づけ進化させていくのかという観点から、三つの課題への対応を伺います。 まず、障がい者福祉に関してです。 差別解消法が施行され、自治体の役割も一段と問われるようになってきたと思います。啓発はもとより、区政自身が障がい者やハンディを抱えた人たちとともに歩む姿勢を明確にしなければならないと思います。 福祉作業所の製品の販売促進、二十五年からは物品、役務の障がい者就労施設などからの優先調達指針も定められ、区の記念行事や施設の開設披露の際の記念品などにも活用されるようになってきました。これまでの成果と課題について区長に伺います。 今月は、障がい者雇用支援月間であります。肝心の区における障がい者雇用をどのように推進するのかという問題があります。現状は、全職員のうち二・五六%という状況であり、法定雇用率二・三%は何とかクリアできているものの、特別区長会の目標、三%にはいまだ届いていない状況にあります。 身体障がい者はもとより、知的障がい者、精神障がい者の雇用も含めて早急に改善を図るべきであると考えますが、区長の答弁を求めます。 次に、国際化への対応についてです。 我が会派の鈴木議員が本会議で要望した多言語教育にかかわる講演会、これが昨夜、「美竹の丘・しぶや」で開かれました。国際都市としての内実を整えていくためには、二〇二〇年を見据えた観光客誘致にとどまらず、実際に渋谷に生活基盤を置いている定住外国人にとっても心地よいまちづくりが進められなければなりません。登録外国人は、二十七年四月現在で百十二カ国、九千二百二十六人に上っていますが、保育、教育、介護、健康を初め様々な要望がありながら、それを吸い上げていく姿勢に欠けていたのではないかと思います。定住外国人の言語教育に関するニーズに応えられる保育・教育環境の整備や外国人の雇用にもつながる介護サービスの構築なども課題として考える必要があるのではないでしょうか。 定住外国人の方々のための施策にどう対応しているのか、区長の御所見を伺います。 国際都市としての真価が問われるのが、特定の人種、民族を差別、排撃するヘイトスピーチへの対応です。当区議会も意見書を提出して制定を要望してきたヘイトスピーチ対策法が六月に施行されました。この法律は「差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。」とし、自治体にも取り組みを促すものとなっています。明日には、法務省と東京都など自治体との協議も初めて行われます。 差別のない社会を目指す取り組みが自治体に求められているのは、各地で繰り広げられてきたヘイトデモの多くが自治体の管理する公園や道路、集会施設などを舞台に行われてきたからです。当区もその舞台となってきました。 法施行後の六月五日、川崎市で計画されていた集会は、市長が公園使用を不許可とし、市民の抗議によって中止に追い込まれました。一方で、同日の午後、区立宮下公園で行われた集会は予定どおり実施されました。私も一部始終を見てまいりましたけれども、集会の名称は特定の政党に反対するデモとされ、主催者も特定の外国人団体の解体を掲げたものでありました。警察が終始、法の趣旨の遵守を呼びかけたことから、スピーチやコールの内容は従来よりも抑制されたものでありましたけれども、参加者のプラカードなどは変わらず、どう見てもヘイトデモそのものでありました。大音量には、沿道の外国人観光客などが顔をしかめていたのも目の当たりにしたところです。 ヘイトスピーチ対策法の施行を受けて、啓発や教育はもとより、公園や集会施設の使用許可にも新たな対応が必要となっているのではないでしょうか。区長の御見解をお示しください。 大阪市は新たな条例をつくり、発言者名の公表なども含めた対応に踏み切り、注目されています。当区も二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催区ということも踏まえ、まさにダイバーシティとインクルージョンを進化させる意味からも、ヘイトスピーチを許さない、多様性を尊重した共生社会を目指す新たな条例を検討すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 次に、防災について伺います。 熊本地震の発生から間もなく半年がたとうとしています。私は先月、全国の超党派自治体議員約三十名とともに熊本市、益城町の被災状況を見てまいりました。 震度七の地震が立て続けに二回発生、震度六弱以上の地震が七回発生したというのはいずれも観測史上初めてのことであり、発生から十五日間の余震は千二十八回を数えました。特に益城町は、一万三千四百五十世帯のうち家屋の被害が甚大であり、全壊二千七百十三、半壊二千八百八十五、一部損壊が四千五百七十七と計一万百七十五棟に上っています。損壊した建物がずらりと並ぶまち並みを目の当たりにしたとき、胸が締めつけられる思いがいたしました。 益城町では、罹災証明で半壊以上と判定された家屋について、七月から公費負担による解体・撤去を初め、約三千軒について三十年三月までに終了することを見込んでいます。 被災状況を説明してくれた県の担当者によれば、発災直後から職員を派遣してくれた渋谷区を初め、「各自治体からの支援が大きな力になった」とのことであります。その数は、県外から最大で七百二十一人、短期・中長期の派遣合わせて累計で五万人を超える職員が支援に駆けつけたとのことであります。宇土市など市庁舎が打撃を受けたように、災害時には行政機関も組織、人員、施設などが被災するということを考えれば、自治体相互の職員派遣など協力関係の強化が求められていると思います。 かねてから私は、災害時の業務継続計画、BCPの早期策定を繰り返し求めてきました。発災後、全ての行政サービスを一挙に再開することができない状況となれば、戸籍や保健衛生、高齢者介護、障がい者支援など中断することができない分野の業務をいかにして継続させていくのか、そのために人員や体制をどう集中させていくのかが大きな課題であります。 長らく手がつけられてこなかったわけですけれども、この業務継続計画、長谷部区長のもとでようやく今年度から策定に向けた動きが出てきたわけでありますが、現在までの進捗状況と課題、スケジュールについて区長の報告を求めます。 次に、パラリンピック支援についてであります。 冒頭発言において区長も触れられていました
リオデジャネイロ・パラリンピック大会における選手の活躍は、多くの人々に勇気と希望を与えたと思います。二〇二〇東京大会では
ウィルチェアーラグビー、卓球、バドミントンの三競技が地元開催となるわけですが、大会の運営やサポート体制、世論喚起など様々な課題に取り組んでいかなければならないと思います。意識改革と区長は言われましたが、二〇二〇大会を契機として確実に渋谷区政は変わったと言えるようなものにしたいと思います。 当区は、
ウィルチェアーラグビー代表選手の練習会場としてスポーツセンターを提供したり、区立小中学校あるいは園をオリンピック・パラリンピック教育推進校として指定し、選手と子どもたちとの交流機会も積極的に設けてきました。この渋谷区の取り組みも非常に注目されているところです。 今後の支援、サポートの強化についてですが、パラリンピック代表選手たちの活動が依然として困難な状況のもとで続けられていることが、元日本代表らで構成する日本パラリンピアン協会のまとめた調査結果で明らかになりました。それによると、選手の競技活動に関する経済負担額は平均で年間百四十七万円と依然として重くなっていることとあわせて、練習場所に関して、二割の代表選手が障がいを理由に施設利用を断られたり、条件をつけられたりする経験をしているとのことです。「床に傷がつく」などの理由で、バスケットボールやラグビーなど車椅子競技での利用拒否が多く、視覚障がい者や知的障がい者も「事故やけがに対応できない」、「危ない」などとして利用を断られた例があったということです。 今後も、選手や競技団体などの希望により練習会場の提供などの支援を続けていくこととあわせて、障がい者スポーツの振興と、障がいやハンデを抱えた人たちにも使い勝手のよいスポーツ施設の運営を進めていくためにも、団体登録の要件の在住、在勤、在学の既存の要件を超えた区分の新設など、改善に踏み切ることを求めたいと思います。区長には今後の支援、サポートについて、教育長には施設運営の観点から、それぞれお答えいただきたいと思います。 最後に、医療と健康に関して伺います。 東京都の地域医療構想では、当区は目黒区、世田谷区を含む区西南部に位置づけられています。実際は、救急医療も含めて新宿区や港区の医療機関を受診する区民も多いのではないかというふうに思っています。 夜間救急外来にかかわる問題にどう対応していくのかという課題について伺います。 現状は、救急車の出動件数が増え続けている中で、そのうち軽症患者が五二%を占めていること、そのために現場着の所要時間が平均八・五分となり、十年で二・二分延びていること、救急車一台の出動にかかるコストが四万二千四百二十五円に上っているなどの問題があります。 救急医療は風邪や下痢、捻挫など軽症患者を扱う一次救急、入院や手術を要する重症患者の治療に当たる二次救急、心肺停止など生死にかかわる症状を扱う三次救急に区分されますが、平日夜間の一次救急医療機関がないのが渋谷エリアの課題であり、そのために二次、三次の医療機関に患者が集中してしまうという問題があります。 渋谷区が取り組んできたのが、医師会の協力を受けた区民健康センター桜丘における休日診療事業と夜間診療事業です。日曜・祝休日・年末年始・夜間診療は土曜日も開設されていますが、平日の夜間の対応をどうするのかという問題があります。特に高齢化の進展により、渋谷区の高齢者は半数がひとり暮らしか老老世帯で占められるようになってきており、自力で見てくれる医療機関を探し、そこまでたどり着くには移動面でも困難があります。障がい者のいる御家庭も同様でしょう。こうした方々の心配やニーズに応えていくことも重要だと思います。 最近、若い医師の方々などが平日夜間の往診診療に取り組もうという機運も出ており、情報提供や広報などの面で区も協力してはどうかと考えますが、区長の御所見を伺います。 次に、都立広尾病院の再整備にかかわる問題です。 この問題は、渋谷区民の生活にも直結する課題だと思います。 当初は現在地での再整備の計画が進められてきたところ、青山病院、こどもの城跡地に移転をして「首都災害医療センター(仮称)」として整備することが打ち出されたことから、地元区民や医療関係者からは懸念する声が聞こえています。 例えば出産の場合、渋谷区国保で支給される出産育児一時金は四十二万円に対し、広尾病院の場合は四十万円程度、JR東京総合病院が六十万円から七十万円、日赤医療センターでは七十万円から九十万円という状況であります。低廉な費用で十分な診療が受けられる広尾病院の移転は、利用する区民に与える影響が極めて大きいと思います。 区長はこの問題、どのように状況を把握され、東京都からの説明はなされているのか、この点、御報告をいただきたいと思います。 次に、日本で増加している慢性の難治性疾患とされる摂食障害への対応について伺います。 摂食障害は、体重が異常に減る拒食症、神経性やせ症、いくら食べても満足感が得られず暴飲暴食発作を繰り返す過食症、神経性大食症に大別されますが、ストレスが主な原因であると考えられています。日本で顕在化している患者数は二万人ですが、潜在的な患者数はその十倍にも上ると言われております。厚労省の調査研究班によれば、女子高校生の拒食症有病率は千人に三人であるということです。過激なダイエットなどがもてはやされ、摂食障害患者の増加を引き起こしているとも言われています。 拒食症では、重度の場合、栄養失調が原因で七から一〇%が死に至るとされており、精神疾患の中でも最も高い致死率であり、早急な対応が必要です。成長期では身長の伸びがとまったり、嘔吐している人が胃酸で歯を失うこともあるとされています。特に、骨密度が決まるのが十四歳から十五歳と言われ、この時期に栄養が足りないと骨粗鬆症になりやすくなることが心配をされます。 拒食症も過食症も、病気にかかると自己評価の低下、抑鬱、自傷行為、自殺企図などの問題行動につながったり、学業や仕事、社会的活動や対人活動が著しく阻害されてしまうことから、早期発見、早期治療が重要とされています。ところが日本では、この病気がまだ十分に認識されていないことから、周囲の無理解にさらされ、当事者が追い込まれてしまうことも起きています。 区としては、摂食障害に関する正しい理解を広げるための啓発、相談窓口の広報、特に小中学生への教育と相談活動の強化が必要であると考えますが、区長、教育長にそれぞれ御所見を伺います。 最後に、空間放射線量調査について区長に伺います。 五年前の福島第一原子力発電所の事故は、電力事情の逼迫だけでなく、放射性物質の飛散という形で東京都内にも影響を与えたわけです。渋谷区では、保護者、区民の不安に応えるためにも、給食食材の放射線検査を行い、子どもたちの健康に与える影響を第一に考える対応を続けてきたことは評価されるものだと思います。あわせて子どもたちが日常的に使用する小中学校や公園などの施設においても空間線量の測定調査を実施し、数値の高いところでは土壌の入れ替えなども対応されてきたところであります。 空間線量は、当然のことながら安定しているものではなく、雨の影響などで放射性物質が集まってホットスポットを形成する可能性もあり、子どもたちの安全を確認し、保護者、区民の安心を確保するためにも、五年前に測定した地点における線量調査を改めて実施することを求めたいと思いますが、区長の答弁を求めます。 以上、よろしくお願いいたします。
○議長(木村正義) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 民進党渋谷区議団、芦沢一明議員の代表質問に順次お答えいたします。 初めに、待機児童対策について五点のお尋ねです。 まず、いわゆる隠れ待機児童についてのお尋ねですが、一部の報道機関等で報道されている五百七十四人という数値は、本年四月一日現在、認可保育園に入園できなかった八百八十九人から待機児童数として公表している三百十五人を差し引いた数値となっております。この待機児童数三百十五人には、育児休業中と求職活動を休止中の方も含まれております。 一方、五百七十四人の内訳といたしましては、第一希望の保育園のみを希望されている方六十人、区立保育室や認証保育所等の認可外保育施設を利用している方五百十四人となっております。これらの認可外保育施設は一定の保育水準が維持されたものであり、待機児童対策として寄与しているものではありますが、施設を利用している方々は、いずれも認可保育園の入園を希望されている方となっております。 区立保育室などは、三歳児以降の受け皿の確保といった課題も認識しているため、利用されている方々の気持ちもしっかりと受けとめながら、今後も保育施設の整備を図っていく必要があると考えています。 次に、新年度の施設整備についてのお尋ねですが、平成二十九年度中には、「まちのこども園代々木上原」や「代々木公園原宿門保育施設」、また氷川地区、初台地区、上原地区では事業者提案による認可保育園三園の整備を進めております。このほか本定例会に補正予算として上程している「本町二丁目保育施設」、「代々木四丁目保育施設」の整備により、現段階では認可保育園での定員拡大は七施設で合計五百五十人程度を予定しているところです。 また、今後はこれらに加えて、既存の保育施設の改修等による定員拡大もあわせて行ってまいります。 なお、これの施設整備に当たっては、議員御指摘のとおり、近隣住民の皆様の御理解を得られるよう努めながら進めてまいります。 次に、保育人材確保についてですが、現金給付などの直接的な支援策についての御提案ですが、まずは本定例会でも補正予算として上程している
保育従事職員宿舎借り上げ支援事業の事業効果を踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えています。 次に、東京都の待機児童解消のための緊急対策についてですが、これまでも都有地の活用については私自身、積極的に東京都に働きかけを行っておりました。今回の緊急対策では、清掃事業等の事務事業移管で都から区市等に譲与された財産について、無償で速やかに用途変更を承認するとの方針も示されており、本区においても保育環境や費用対効果等を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えています。 また、その他の対策につきましては、渋谷区
議会自由民主党議員団、佐藤真理議員にお答えしたとおり、施設整備費補助制度の拡充などは保育施設整備のさらなる促進に資するものと考えますので、積極的に活用してまいります。 次に、予算編成方針における多様な施策についてのお尋ねですが、大規模な施設整備による待機児童対策とあわせて、地域型保育事業の一つである小規模保育事業や、保育を必要とする子どもの居宅において保育を実施する居宅訪問型事業など、少人数単位での保育事業の活用についても検討してまいります。 また、議員御提案の大規模マンション建設時の取り扱いですが、既に東京都において、一定規模以上の都市開発に当たっては事前に関係する区市町村と地域の子育て支援整備の必要性等について協議し、適切に計画に反映することとされております。既に新橋地区の大規模マンション開発において、この制度を活用し、二十人程度の保育所を設置する予定です。本区においてもこうした制度の活用を含め、多様な手法による総合的な待機児童対策を進めてまいりたいと考えています。 次に、国の制度改正による介護サービスの影響にどのように対応されるかのお尋ねです。 昨年閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」の中では「公的保険給付の範囲や、内容について検討した上で適正化し、保険料負担の上昇等を抑制する。このため、次期介護保険制度改革に向けて、高齢者の有する能力に応じ、自立した生活を目指すという制度の趣旨や、制度改正の施行状況を踏まえつつ、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等や、その他の給付について、給付の見直しや、地域支援事業への移行を含め検討を行う」としています。このことを踏まえて、現在、社会保障審議会介護保険部会では、軽度者への支援のあり方について議論がされております。 本区においては、引き続き国の動向に注視しながら「渋谷区版地域包括ケアシステム」の構築を図り、必要なサービスを必要な人に継続して提供することで、誰もが安心して住み続けられるまち渋谷を目指してまいります。 次に、子どもの貧困実態調査についてのお尋ねでありますが、議員御指摘の子育てを社会全体でという風潮を広げていくことは、様々な困難に直面する子どもたちへの課題対応にとって最も大事な視点であると考えています。 先ほどシブヤを笑顔にする会、伊藤毅志議員にお答えいたしましたが、本区が進める「子どもテーブル」は食事の提供のみならず学習支援や親の養育支援を含めたものであり、地域による子育て支援を理念とし、貧困の課題へも対応していきたいと考えています。 「子どもテーブル」を検討するに当たり、本年度、子ども青少年対策課では、共働き世帯で放課後クラブに通う会員を対象に食事面と学習面でアンケート調査を行ったところです。実態の傾向は、お子さんへ食事を提供することが困難な場合の理由として、経済的な要因でなく、仕事の帰りが遅いなど時間的な要因が大きいとの声が多く、また、地域コミュニティの活性化の視点から、「子どもテーブル」の実施を求める声も多く寄せられました。 この調査とは別に、生活福祉課では子ども学習支援員が生活困窮世帯へ訪問や面談を行う中で実態の把握に努めており、家庭環境内にDVなどの根深い問題のあるケースがあった場合には、速やかに子ども家庭支援センターや教育センターとも連携し、対応を図っているところです。 今後とも、子どもたちの実態やニーズを把握し、喫緊の課題については迅速に対応してまいります。 次に、羽田空港の新飛行経路案について、どのように取り組んできたかというお尋ねです。 羽田空港の機能強化、国際線の増便について、国土交通省は渋谷区において、オープンハウス型による二回の住民説明会を開催してきました。区では区ニュースやホームページで説明会の周知を図るとともに、町会や商店会へ説明会の案内をしました。また、国土交通省が住民向けに発行している「羽田空港のこれから」のニュースレターを町会や出張所の窓口で配布してきました。 このたび国土交通省は、説明会の住民の意見や関係自治体の要望を踏まえて、今年の七月末に環境影響等に配慮した方策を策定しています。本来、羽田空港の機能強化は国の施策であり、国が責任を持って住民に説明すべきと考えますが、区としてその方策と新たな飛行経路案を区民の皆さんにさらに広く知っていただくため、区ニュースの九月十五日号で紙面を割いて掲載したところです。 羽田空港の機能強化に関しては特別区長会にも報告がされ、私から「区民への丁寧な説明をお願いしたい」と区としての意見をきちんとお伝えしてきました。 今後、国土交通省は環境影響等に配慮した方策に基づき、騒音等の環境対策や落下物等の安全対策に取り組むとしています。区としても、国土交通省との情報共有を図りながら、区民が不安を感じている騒音の影響や落下物などの安全対策について国が責任を持って丁寧に区民へ説明し対応するよう、引き続き求めていきたいと考えています。 次に、新基本構想に基づく長期基本構想の策定についての御質問です。 長期基本計画は、新たな基本構想の実現を図るための十カ年の中長期的な施策プランであり、最上位の行政計画です。渋谷区
基本構想等審議会に新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策について諮問しており、区民への説明会及びパブリック・コメントを実施して、区民から多くの御意見を反映していただいた答申に基づいて策定するものです。 答申では、基本構想の七つのビジョンを実現するための施策の方向性と区政運営のあり方について、体系的に整理していただいています。 今後のスケジュールですが、答申の示す方向に沿って施策の項目別に計画の内容を具体化し、一月中に策定の予定です。 次に、新しい働き方や区の組織のあり方について、私の意図するところについてのお尋ねです。 新たな基本構想には「ダイバーシティ&
インクルージョン教育の先進都市」や、共生のまちをつくるため「福祉のあらたな仕組みづくりを目指す」等、他自治体の模倣や前例踏襲の構えでは到底実現できない高い目標、方向性が全編にわたり示され、これらのビジョン実現に当たって、職員一人一人の取り組みにはチャレンジ精神がおのずと求められます。このため、今後の区政運営においては、これまで以上に刻々と変化する行政ニーズに即応する柔軟さと機動性を兼ね備えた組織が不可欠であるとともに、より創造的な職場環境であらねばならないと考えます。 これら組織・職場環境の改善は、レイアウト上の制約の大きい仮庁舎においては一定の限界がありますが、新庁舎における業務開始に向けては既存の概念にとらわれることなく、新基本構想の実現に資する組織改編や新たなワークスタイル、オフィスデザイン導入等、鋭意検討を進めていきたい、そのように考えています。 次に、ダイバーシティとインクルージョンについて、まず障がい者福祉についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、平成二十五年度より渋谷区による障がい者就労施設等からの物品等の調達方針を定め、毎年度の渋谷区内の障がい者就労施設等からの優先調達実績をホームページ等で公表しております。 二十七年度の実績は六百二十万円で、二十六年度に比べ約三六%の増額となりました。特に物品では三倍以上の増額となっており、内容は、敬老大会の祝い菓子や新規施設の開設式典の記念品として購入したものが多くなっております。一方、金額の大きい役務については、二十六年度は約二九%増額であったものが二十七年度は約一七%の増額にとどまったため、今後は役務、例えば清掃や花壇植栽の委託等の業務を増やしていくことが課題となっています。 区が優先調達することにとどまらず、障がい者就労支援施設の仕事を増やすためには、業務の幅の拡大や技術の向上も必要です。今年度の新規事業としては、プロダクトデザイナーにコーディネートをお願いし、新製品開発や販売促進について、作業所と区内のデザイン学校の学生等と協働して取り組む仕組みをつくっているところです。このことにより、障がい者の仕事の受け入れを社会全体に広げていきたいと考えております。 なお、本区におきましては、仮庁舎内における障がい者就労支援施設の弁当販売、公園を利用した弁当、軽食の販売を後援し、引き続き支援してまいりたいと思っています。 次に、区における障がい者雇用の推進についてのお尋ねです。 私は日ごろから、一人一人の個性を伸ばし、差別のない、多様性を尊重する社会を目指して区政を運営しており、障がい者の雇用についても拡大に努めたいと考えています。 職員の採用については競争試験を原則とし、特別区人事委員会が一括して採用選考を行っております。今年度の選考から、身体障がい者の採用選考の受験資格において「自力により通勤ができ、かつ介助者なしに職務の遂行が可能な人」という条件が削除され、対象者の拡大が図られました。徐々にではありますが、障がい者の雇用の多様性が広がってきておりますので、区としてもさらなる雇用に向けて取り組んでまいります。 次に、定住外国人のための施策についてどのように対応していくかとのお尋ねですが、日本人と外国人が同じ地域においてともに快適に過ごしていくためには、まず外国人が日常生活で必要とする情報の多言語化を進め、本区の発信する情報が広く定住外国人の方に届くことが肝要です。この観点から本区では、これまで行政情報の多言語化を積極的に進めてまいりました。「しぶやわたしの便利帳」の多言語版、英語・中国語・韓国語「LIVING IN SHIBUYA」の刊行や、区ニュース英語版、ホームページの多言語化等はこうした取り組みの一環であり、加えて本庁舎に英語通訳を配し、また、外国人に対する日本語教育の機会を提供するなど、多角的に対応を図ってきたところです。 しかし、グローバル化が進展する中で、外国人の快適な日常生活を実現していくにはさらに一歩前進することが必要です。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会に向けた機運の高まりを背景に、観光だけでなく、定住外国人の増加も想定されているところです。言語、習俗、生活習慣など外国人の一層の多様化を見据え、情報の受発信体制を工夫していくとともに、議員の御発言にあるような保育や教育、雇用の問題等に関して機会を捉えて研究を進め、区に居住する外国人、区を訪れる外国人が安全で安心して滞在することのできる環境の整備を目指してまいります。 次に、いわゆるヘイトスピーチ対策法の施行を受けた、公園や集会施設の施設許可についてのお尋ねであります。 私は、言論、表現の自由は保障されるべきものでありますが、偏見や差別的な意図に基づく暴言、いわゆるヘイトスピーチにつきましては決して許されるものではないと考えております。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるに当たり、多様性を大切にする渋谷区としても大きな課題であると認識しています。 議員の御質問にもありました六月五日の宮下公園での集会については、人種差別的なスピーチをする内容の使用申請は行われておらず、現実にそうした内容の集会は行われませんでした。 今後の対応ですが、公園の使用許可につきましてはヘイトスピーチ対策法の趣旨にのっとり、これまでどおり申請の際には必要に応じてヘイトスピーチでない旨の確認を行うとともに、申請内容から明らかに公園の管理上、支障があると想定される場合については、使用不許可も視野に、警視庁と連携しながら対応してまいります。 次に、ヘイトスピーチを許さない、多様性を尊重した共生社会を目指す新たな条例検討の御提案です。 議員の御質問にもありましたが、国において本年六月、ヘイトスピーチ対策法が施行され、国全体として差別のない社会の実現へ取り組んでいるところです。 渋谷区においては、これまで「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を制定するなど、性別、人種、障がいの有無などにとらわれず多様な個人を尊重し合う社会の実現に努めております。また、本議会に提出をいたしました新しい基本構想案においても、人々の多様性、ダイバーシティを受け入れ、さらにその多様性をエネルギーにかえていくことを基本的な価値観としております。 本区としては、法律の趣旨に沿って引き続き人権侵害に関する相談を広く受け入れるとともに、人権尊重の意識啓発を進めてまいります。 議員御提案のヘイトスピーチに関する新たな条例については、表現の自由との関係で検討すべき事項も多いため、今後の研究課題とさせていただきます。 次に、災害時の業務継続計画の策定に向けた進捗状況と、課題及びスケジュールについてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、発災時には、発生した災害に対処するための業務と、通常業務のうち災害が発生しても継続すべき業務の両方に対応していかなければなりません。業務継続計画には、災害時に行政自らも被災し、職員、施設、設備などの資源に制約が出てくる状況の中で、業務に必要な人員を振り分け、効果的に災害に対処するとともに、いかに早く復旧し、正常化するというのが目的であります。 現在、業務継続計画等を策定すべく、発災時における職員の参集状況などの基礎調査を行うとともに、災害時にどの業務を優先するか洗い出しと優先順位づけを行い、限られた人員を、バランスをとりながら有効に業務に振り分けていくかを検討していきます。 特に、熊本地震では受援計画が策定されていなかったことで、他の自治体やボランティア等からの応援がうまく活用できなかったことや、支援物資等の配送が滞るなど、課題が残りました。この受援計画がしっかりと策定されていないと、業務継続計画による復旧、正常化の足かせとなるため、今回、受援計画の策定にも取り組んでまいります。 また、業務継続計画に基づいて、発災から復旧までの時間軸の中で職員が従事する業務を具体的に示す職員行動マニュアルについても策定してまいります。 いつ起こるかわからない首都直下型地震であることを考えると、早急に業務継続計画を策定することが必要であり、当初三年間とした策定の工程をできる限り短縮し、早期に素案をまとめ、計画の策定を完了させる努力を行ってまいります。 次に、東京大会に向けて、パラリンピック代表選手への今後の支援、サポートの強化についてのお尋ねです。 今回の
リオデジャネイロ・パラリンピック大会は、障がい者にとどまらずマイノリティーに光を当て、マジョリティーの意識を確実に変えつつあると思いますが、日本でのパラリンピック代表選手の練習環境に課題があることも認識しています。それを踏まえて、本区では今後もパラリンピック代表選手への支援、サポートをしてまいります。具体的な内容につきましては、今回、視察に派遣したオリンピック・
パラリンピック担当部長に答弁させます。 次に、医療、健康を守る取り組みについて四点のお尋ねに順次お答えいたします。 最初に、夜間救急外来にかかわる問題についてです。 夜間などの急な受診の必要性を減らすためには、身近な地域で予防も含め、ふだんから気軽に何でも相談できるかかりつけ医を持っていただくことが最も重要であると考えております。このため、本区ではかかりつけ医制度の推進に努めているところです。詳細につきましては、専門的な観点からの答弁が必要ですので、健康推進部長より答えさせます。 なお、議員御提案の個別医療機関のみを行政が紹介することは適切でないと考えますので、御理解いただければと思います。 次に、広尾病院の再整備についてのお尋ねですが、広尾病院は区内有数の病院であり、区民の利用も広尾地域に限らず、広範囲から相当数あるものと考えられます。本区内での移転であるとはいえ、これが実現するとなれば病院の位置が大きく変わることになり、区民生活に与える影響は小さくありません。 都立病院の運営につきましては、移転問題を含め東京都の専管事項でありますので、病院移転を進めるに当たっては、現在立地している広尾地区や移転先の渋谷地区等を中心に住民の意見、要望をしっかり把握し、それらを反映していくよう都に要望してまいります。 次に、摂食障害への対策についてのお尋ねです。 摂食障害は、食事量や体重の変化を気にかけて気分が不安定になるなど、食事に関連した行動にフォーカスが当てられがちですが、その背景には様々な複合的要因を抱えるケースも多く、たくさんの方が現在も病気と向き合っている状況だと思います。 本区といたしましても、保健師が不安や辛い気持ちに寄り添い、いつでも保健所などで相談に応じておりますが、さらに本人や周囲の方々が疾病を正しく理解することが重要だと考えております。 このことにつきましても、詳細については専門的な観点からの答弁が必要ですので、健康推進部長より答弁させます。 次に、空間放射線量調査についてのお尋ねです。 本区はこれまでも、福島原子力発電所放射線物質飛散に対する区民の皆様の不安を解消するために努めてきました。事故の起きた平成二十三年には、区立、私立の保育園、幼稚園、幼保一元化施設、区立小学校・中学校、区立公園などで空間放射線量調査を実施いたしましたが、いずれも基準内の数値でした。この結果に基づき、放射能工学や疫学の専門家による渋谷区放射能健康影響検討会において、日常生活には影響のないレベルであることを確認し、そのことを講演会でもお知らせしたところです。 また、現在も区内保育園、区立幼稚園、幼保一元化施設と区立小学校の給食食材の放射能測定を実施しておりますが、結果は不検出であり、区ニュースやホームページで公表しています。 なお、東京都の環境放射線測定結果によれば、放射性物質は不検出であり、福島第一原子力発電所事故による放射性物質の飛散については確認されていません。 地表や空間における放射性物質は、時間とともに減少していくものです。そのため、新たなホットスポット発生の可能性は非常に低い確率ですが、まだ御不安な区民並びに保護者の方がいらっしゃるということですので、安全の再確認という意味で、区立小中学校に加えて保育園、幼稚園、公立公園で空間放射線量調査を実施し、公表いたします。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(木村正義) 安蔵オリンピック・
パラリンピック担当部長。
◎オリンピック・
パラリンピック担当部長(安蔵邦彦) 私からは、東京大会に向けてパラリンピック代表選手への今後の支援、サポートの強化についてお答えいたします。 今回、私がリオに視察に行かせていただいた中で印象的だったものの一つとして、ブラジルの子どもたちが自国以外の試合でも、選手たちを熱心に応援する姿、そしてそれに応えて選手たちも懸命にプレーしていたことでございます。 日本の選手も頑張っていましたが、議員御指摘のとおり、日本ではパラリンピック選手の日ごろの練習環境にまだまだ世界との差があり、競技力向上において、東京大会に向け大きな課題があると思います。 こうした中で、渋谷区が他の自治体に先駆けて練習場所の確保が難しい
ウィルチェアーラグビー、バドミントンの日本選手代表へ場を提供していることに、各競技団体からも、定期的、継続的な場で練習や選手育成を計画的に行えると感謝の言葉をいただいているところでございます。今後も二〇二〇年東京大会に向けて練習会場の提供を継続していくとともに、練習会をできるだけ多くの区民の皆様に見ていただき、障がい者スポーツの迫力や躍動感、これを直接伝える機会を増やしていきたいと考えます。 さらに、選手の学校訪問やイベント出演などにより子どもたちや区民との交流の機会を広げ、障がい者スポーツや各種競技への関心を高めます。そのことにより、二〇二〇年の国内パラリンピック競技試合を満員の観客で応援し、選手たちを激励できればと思います。 以上、私からの答弁といたします。
○議長(木村正義)
前田健康推進部長。
◎健康推進部長(前田秀雄) 私からは、医療、健康を守る取り組みにつきまして二点答弁いたします。 初めに、夜間緊急外来にかかわる問題についてです。 区長が述べましたとおり、夜間の緊急外来受診を減らすためには、かかりつけ医を持つことが重要でございます。かかりつけ医は日常的に診療や健康管理を行うことから、早期から治療を開始することができます。また、患者の病歴や体質、常用している薬剤などを把握しているため、急に具合が悪くなっても的確に相談に応じることができます。さらに病院で専門的な治療や検査、入院が必要となった場合でも病院と連携し、迅速に治療を進めることができ、結果として救急での受診を減らすことにつながります。 このようなことから、議員御指摘の高齢者、障がい者の方々についても、身近な地域でのかかりつけ医制度の活用が有効でございます。 このため、本区におきましては渋谷区医師会と連携し、地域包括支援センターや在宅相談医療窓口においてこの制度を推奨しているところです。登録されている区内の在宅診療医療機関は三十七カ所あり、そのほかにも、病状に応じて往診を行っている診療所もあると聞いております。 また、かかりつけ医がいない場合でも、とりわけ高齢者の方は体調面が心配になると救急車を要請してしまう傾向があることから、病状や病院の受診の必要性の有無についての相談ができる体制を整えることが重要でございます。東京消防庁救急センターでは、短縮ダイヤル♯七一一九を設け、電話で二十四時間いつでも相談できる体制を整えており、本区のホームページでも周知をしております。 いずれにいたしましても、医師会や関係機関とさらに連携を深め、区民の皆様が安心して受診できる体制の推進に努めてまいります。 次に、摂食障害への対策について答弁いたします。 摂食障害は、食事の量や食べ方など食事に関する行動に問題があり、体重や体型の捉え方などを中心に心と体の両面に影響が及ぶ病気で、社会・文化的要因、心理的要因、家庭環境など様々な因子が複雑に影響し発症に至ります。また、その治療については患者へのカウンセリングや患者の家族への支援、栄養療法や栄養管理などを一体的に行う必要があることに加え、疾病の特性上、生命の危険を伴うことがあるため救急医療の体制整備も求められるなど、専門的な対応が必要となることから、現在、国が主導してその環境整備を行っているところです。 このように、専門性の高い疾病であることを鑑みまして、本区におきましては先ほど区長が述べました保健師による相談に加えまして、さらに精神科医師による精神保健相談を入り口として門戸を広く開放しつつ、必要に応じて専門機関である東京都立中部総合精神保健福祉センターへ紹介するなど相談体制を総合的に構築し、摂食障がいに対応しております。 加えまして、患者数の多い思春期層がこの病気を知り、正しく理解することが大切と考えております。このため、今後も引き続き教育委員会と緊密に連携することにより、疾病教育と相談窓口の二本の柱を維持し、思春期層の心の健康増進に努めてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(木村正義) 森教育長。
◎教育長(森富子) 私には二点のお尋ねがありました。 まず、パラリンピック支援の中で、施設運営の観点から団体登録の要件について、区分の新設など改善をしていくことが必要ではないかとの御提言です。 現在のスポーツ施設の状況は、利用する団体の登録要件が少なくとも半数が区内在住・在勤・在学者であることとし、体育館などについてはおおむね八割から九割程度と高い利用率が続いております。限りある区の施設ですので、ライフステージを見通した地域スポーツ振興の観点からも、まずは障がいの有無にかかわらず、区民を中心とした利用を促進すべきと考えています。 また、パラリンピック後のスポーツ施設運営を考えるときに、一部の団体についてのみ登録要件を緩和あるいは新設し、区外者利用を認めた場合、他の一般団体についてなぜ区外者の利用を認めないのかといった議論になることも想定しなければなりません。 しかしながら、教育委員会としましても、渋谷区の、パラリンピックを中心に東京オリンピック・パラリンピックを成功させるように取り組んでいくことは間違いありません。そして東京オリンピック・パラリンピックを通過点として、その後のことも考えていく必要があることは議員の思いと同じものがあります。 今後、障がい者を含む区民のスポーツに関する意識調査を実施する予定でありますので、その結果を踏まえて、区長部局とも調整しながら、今、求められるパラリンピック支援を進めてまいります。 次に、摂食障害への対策についてのお尋ねです。 摂食障害は、主に拒食症と過食症の総称であり、依存症の一種でございます。拒食症や過食症を発症する時期は圧倒的に思春期が多いことや、患者の大半が十代から二十代の女性であることから考えても、教育委員会といたしましては、摂食障害に関する理解、啓発において学校教育の果たす役割が重要であると考えております。 学習指導要領上は摂食障害の記述がないため、直接的に授業で扱うことは現在のところは難しい状況ですが、関連的に小学校体育の保健領域及び家庭科の学習、また、中学校保健体育の保健分野及び技術・家庭科の家庭分野において、食事の重要性、心と体の成長の関係性、不安や悩み、欲求やストレスへの対処の仕方などを学習しております。特に、栄養素を考えながら毎日規則正しく三食食べることが、体の発育だけでなく心の発達にも効果的であることを学んでいます。 また、食育の観点からも、日々の給食指導を通して栄養を考えてバランスよく食事をとることの重要性について指導していることが、摂食障害の未然防止につながっています。 さらに、不安やストレスなどを感じたときには、担任だけではなく全教員で対応できるような相談体制を整備したり、全校に配置しているスクールカウンセラーを活用した相談活動も強化し、子どもたちの心の健康を保つように心がけているところです。とりわけ身体測定などで身長や体重を定期的に計測し、一人一人の子どもの発育の状況をつぶさに把握する立場にいる養護教諭の役割も、摂食障害の未然防止、早期発見には極めて重要です。 学校に対しては、引き続き食の重要性や相談体制のさらなる充実について指導をしていくことで、心身の健康の保持・増進に加え、摂食障害の未然防止やその兆候の早期発見、早期対応に努めてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(木村正義) 芦沢一明議員。
◆三十二番(芦沢一明) たくさんの項目を質問して、おおむね前向きなお話もいただいたわけであります。 優先調達、物品調達、役務のほうも拡充をしていくという姿勢、明確にしていただきましたし、ヘイトスピーチ、これは許さないんだという区長の姿勢もこの場で明確になったというふうに思いますので、具体的な対応も期待をしたいというふうに思いますし、放射線量調査もやるというお話をいただいて、これも期待をしたいというふうに思います。 四つになりますか、もう一度聞きたいところがございますので。区長には三つです。 待機児童の問題で、都有地の問題ですけれども、東京都の方針ですけど、代々木の清掃事務所分室跡については用途指定の解除というお話があったということですけども、具体的にそのほかの想定というか、話がある都有地について、提供についても今回の方針で進むということなのかどうか。これはどこまでお答えいただけるかわかりませんけれども、進展をするというふうに期待をしていいのかどうか伺いたいというふうに思います。 それから障がい者雇用について、これは職員の採用の仕組みから難しい部分があって、身体については、これは一部緩和というか、前に進むというお話なんですけれども、知的障がい、精神障がい者の方々についても区のいろいろな行政サービスの場で御活躍いただける余地というものは、もう少し何か工夫できないのかどうか。直ちに常勤で働いてもらうという仕組みが難しいことはあるかと思いますけれども、いろんな形態で様々な分野、担っていただくというのがこれからの渋谷区のこの姿が、私はふさわしい形だというふうに思いますので、この点、お答えをいただきたいと思います。 それから夜間往診について、個別の医療機関、区が紹介するのはふさわしくないということですけれども、私は何も特定の医療機関を宣伝してくださいということをお願いをしたわけではなくて、かかりつけ医というお話はあったけれども、それは当然だと思うんですけれども、平日の夜間について医療機関を探すのが難しい方々が、やはり高齢者の世帯だとか障がい者のいる御家庭、あるというふうに思いますので、そういうニーズがあるだろう、それに応えていくということも必要ではないかというふうにお聞きをしたわけですので、この点、もう一度伺いたいと思います。 教育長にはスポーツ施設の点、意識調査をなされるということでありますけれども、それにも期待をしますけれども、現状でなかなか利用率高いからそれ以外、障がい者団体という枠を、障がい者スポーツという枠を加えると、前にもね、こういうやりとりこの場でしたと思うんですけれども、そういう発想ではなくて、私は何で必要かといえば、障がい者スポーツにかかわる団体、グループの皆さんは在住とか在学とか在勤とかいうくくりではチームの構成ができ得ていないという話も、実際、委員会で
ウィルチェアーラグビーの方々からもお話を伺う中で、やはりそういう方々の練習場所の提供というものは必要ではないかなというふうに思っているわけでありまして、これはどうも今、利用率が高いから、新規の余地がないからなかなかそこに入れるのは、加えるのは難しいですよという発想では、私はいかがなものかなというふうに思いますので、もう一度この点、教育長にお答えをいただきたいと思います。 以上四点になります。よろしくお願いします。
○議長(木村正義) 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) 芦沢一明議員の再質問に順次お答えします。 まずは都有地のことについてですけれども、一言で言えば進展させたいというふうに思っているというところです。都知事も今、新しくかわりましたし、都の体制も新しくなりました。今までも継続して交渉してきたことがもう一回やり直しになることも、もしかしたら出てくるかもしれません。今の新しい体制に対してですね、もう既にコンタクトを始めていますけれども、これからも継続してコンタクトして、進展させるように進めていくつもりでいます。 あとは、精神障がいの方を含めての雇用についてですけれども、今この場ですぐにそうしたいということは、なかなかちょっと難しいとも思っていますが、課題としては当然受けとめていますので、どういった形で、正規の雇用が難しいのでしたら臨時もありますし、いろんな形があるんじゃないかと思います。ちょっとこれは研究課題というか、これからの課題というふうにさせていただければと思います。 かかりつけ医については、現状に詳しい保健所長のほうからお答えさせます。
○議長(木村正義)
前田健康推進部長。
◎健康推進部長(前田秀雄) 夜間往診についての御質問でございます。 先ほど述べましたとおり、基本的には、やはり夜間での往診をできるだけ少なくするという状況をつくるということが私どもの務めだと考えております。その中で、例えばどうしても応急に必要だという場合につきましても、できるだけまず、議員御指摘のようにいきなり病院に行くのではなく、何らかの形で御相談をいただくということが重要かと思っています。 そういう形で、一般的な形で御相談いただいた中で、議員のお話のあった様々な形で夜間往診をしている医療機関が御紹介されるということについて、否定するものではございません。 ただ、夜間往診というのは保険診療上一万五千円から一万七千円付加される…… 〔「聞きづらいからもうちょっとマイクに近づけて」の声あり〕
◎健康推進部長(前田秀雄) すみません。 一万五千円から一万七千円ぐらい付加されるということでありますので、御本人にとっても、できるだけ夜間診療をせずに済む状況をつくっていくことが大事だと思いますので、その点を踏まえつつ、最終的に夜間往診が必要な場合、一次診療で済む場合につきましては、議員の言われるような医療機関を受診されるとか往診されることを妨げるものではございません。
○議長(木村正義) 森教育長。
◎教育長(森富子) 芦沢議員の再質問についてお答えをしたいと思います。 現在のところは、繰り返しになりますが、区民中心という原則は原則として維持しつつも、近隣区の障がい者と一緒になって団体を構成する場合については、個別具体的事情を適切に判断した上で利用を認めるということで対応してまいりたいと考えております。 以上、答弁とさせていただきます。
○議長(木村正義) 芦沢一明議員。
◆三十二番(芦沢一明) 再質問にお答えをいただいて、ありがとうございます。区長はこれで結構です。 健康推進部長ですね、よく聞き取れなかったんですけれども、そんなに高い往診でないところもあるやに私は聞いていますので、いろんなニーズにきちんと相談をした場合には応えていけるような体制は、とにかくつくっていただきたいというふうに思います。これはやっていきますよというお話に私は聞こえたんですけれども、もう一度、再確認をしたいというふうに思います。 それから教育長、さっきよりも大分前を向いていただいて、非常にありがたいんですけれども、近隣区ということではなくて、せめて近県ということでね、それぐらい、関東一円でチームを構成している人たちも現にいるわけですので、この点、前を向いていただいたんで、さらに前に向いていただければありがたいというふうに思います。 この二点だけもう一度聞かせてください。
○議長(木村正義) 芦沢議員、健康推進部長と教育長、再々ですね。
前田健康推進部長。 マイクの前でしゃべってください。よく聞こえないから。
◎健康推進部長(前田秀雄) 滑舌悪くて申しわけございませんでした。 先ほどおっしゃいましたとおり、私どもといたしましては、できる限り夜間往診のなくて済む状況をつくりたいと、それが御本人のためかというふうに考えておりまして、その点をまず第一義的に推進しているというところであります。 そうした中で、どうしても夜間往診が必要な状態である場合につきましては、これはそうした御相談の窓口の中で、夜間往診がどうしてもできるということを御紹介するということもあるかと思っております。
○議長(木村正義) 森教育長。
◎教育長(森富子) 再々質問にお答えしたいと思います。 個別具体的事情を適切に判断した上で利用を認めることで対応してまいりたいと考えております。 以上、答弁といたします。
○議長(木村正義) 芦沢一明議員。
◆三十二番(芦沢一明) 再度の御答弁ありがとうございました。 教育長はよく御理解をいただいたというふうに思いますので、これは当事者の皆さんの役に立つために、是非前向きな対応をお願いしたいと思います。 健康推進部長のお話も、よくわかったような気がするわけですけれども、夜間往診しなくてもよい状況というのは、これは当然のことなんですけれども、そういう必要性、どうしてもやっぱり心配だからお医者さんに診てほしいよという人たちはいるというふうに思いますので、その方々のニーズに応えていく努力をするのも、私は、これは保健所の務めではないかなというふうに思います。 この点を申し上げて、残りの時間は明日、幹事長がそこでサインを送っていますので、委ねたいというふうに思います。 以上で終わらせていただきます。
○議長(木村正義) 以上をもって区政一般に関する質問を終わります。 これから日程に入ります。 日程第一を議題に供します。 〔藤田次長朗読〕
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△日程第一 会期決定の件
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○議長(木村正義) お諮りいたします。 本定例会の会期は本日から十月二十七日までの二十九日間とすることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(木村正義) 御異議ないと認めます。 よって、会期は二十九日間と決定いたしました。 日程第二を議題に供します。 〔藤田次長朗読〕
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△日程第二 諮問第六号 人権擁護委員の候補者について
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○議長(木村正義) 提案理由の説明を求めます。 長谷部区長。
◎区長(長谷部健) ただいま議題となりました諮問第六号は、人権擁護委員として法の規定するところにより、森下利江氏を推薦するため提出するものであります。 よろしく御決定いただきますようお願い申し上げます。
○議長(木村正義) これから質疑に入ります。質疑はありませんか。質疑なしと認めます。 本件は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(木村正義) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから日程第二を採決いたします。 本件については区長諮問どおり支障ない旨、答申することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(木村正義) 御異議ないと認めます。 よって、森下利江氏を区長諮問どおり支障ない旨、答申することに決定いたしました。 お諮りいたします。 本日の会議は議事の都合により延会することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(木村正義) 御異議ないと認めます。 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決定いたしました。 次回の会議は明九月三十日午後一時に開議いたします。 なお、日程は当日、文書により御通知いたします。 本日の会議はこれをもって延会いたします。
----------------------------------- 延会 午後七時十四分
-----------------------------------右会議の経過を記載し、その相違ないことを認め署名する。渋谷区議会議長 木村正義渋谷区議会副議長 沢島英隆渋谷区議会議員 近藤順子渋谷区議会議員 薬丸義人...