世田谷区議会 2016-09-14
平成28年 9月 定例会−09月14日-01号
平成28年 9月 定例会−09月14日-01号平成28年 9月 定例会
平成二十八年第三回定例会
世田谷区議会会議録第十二号
九月十四日(水曜日)
出席議員(五十名)
一番 おぎのけんじ
二番 加藤たいき
三番 河野俊弘
四番 青空こうじ
五番 あべ力也
六番 ひうち優子
七番 上川あや
八番 すがややすこ
九番 和田ひでとし
十番 上山なおのり
十一番 石川ナオミ
十二番 高岡じゅん子
十三番 田中みち子
十四番 阿久津 皇
十五番 佐藤美樹
十六番 小泉たま子
十七番 河村みどり
十八番 津上仁志
十九番 山内 彰
二十番 畠山晋一
二十一番 真鍋よしゆき
二十二番 上島よしもり
二十三番 大庭正明
二十四番 田中優子
二十五番 桃野よしふみ
二十六番 そのべせいや
二十七番 福田妙美
二十八番 高久則男
二十九番 安部ひろゆき
三十番 三井みほこ
三十一番 ゆさ吉宏
三十二番 江口じゅん子
三十三番 桜井 稔
三十四番 たかじょう訓子
三十五番 中村公太朗
三十六番 藤井まな
三十七番 岡本のぶ子
三十八番 平塚敬二
三十九番 板井 斎
四十番 山口ひろひさ
四十一番 石川征男
四十二番 菅沼つとむ
四十三番 中里光夫
四十四番 村田義則
四十五番 羽田圭二
四十六番 風間ゆたか
四十七番 中塚さちよ
四十八番 諸星養一
四十九番 佐藤弘人
五十番 高橋昭彦
出席事務局職員
局長 小田桐庸文
次長 望月敬行
庶務係長 小池 篤
議事担当係長 井上徳広
議事担当係長 水谷 敦
議事担当係長 長谷川桂一
議事担当係長 佐々木 崇
議事担当係長 下村義和
議事担当係長 月岡弘志
調査係長 谷澤真一郎
出席説明員
区長 保坂展人
副区長 板垣正幸
副区長 宮崎健二
世田谷総合支所長
内田政夫
北沢総合支所長
男鹿芳則
玉川総合支所長
小堀由祈子
砧総合支所長 寺林敏彦
烏山総合支所長
進藤達夫
政策経営部長 板谷雅光
地域行政部長 萩原賢一
総務部長 岡田 篤
危機管理室長 澤谷 昇
財務部長 本橋安行
施設営繕担当部長
松村浩之
生活文化部長 田中文子
スポーツ推進担当部長
五十嵐慎一
環境総合対策室長
菊池弘明
産業政策部長 花房千里
清掃・
リサイクル部長
松下洋章
保健福祉部長 金澤弘道
障害福祉担当部長
松本公平
高齢福祉部長 瓜生律子
子ども・若者部長
中村哲也
世田谷保健所長
辻 佳織
都市整備政策部長
渡辺正男
防災街づくり担当部長
関根義和
道路・交通政策部長
青山雅夫
土木部長 小山英俊
教育長 堀 恵子
教育次長 岩本 康
教育環境推進担当部長
志賀毅一
教育政策部長 工藤郁淳
総務課長 星 正彦
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議事日程(平成二十八年九月十四日(水)午後一時開議)
第 一 代表質問
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本日の会議に付した事件
一、
会議録署名議員の指名
二、会期の決定
三、諸般の報告
四、日程第一 代表質問
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午後一時開会
○上島よしもり 議長 ただいまから平成二十八年第三回世田谷区議会定例会を開会いたします。
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○上島よしもり 議長 これより本日の会議を開きます。
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○上島よしもり 議長 本日の日程はお手元に配付の議事日程のとおりであります。
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○上島よしもり 議長 まず、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、
八 番 すがややすこ議員
四十二番 菅沼つとむ議員
を指名いたします。
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○上島よしもり 議長 次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会の会期は、本日から十月十八日までの三十五日間とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上島よしもり 議長 御異議なしと認めます。よって会期は三十五日間と決定いたしました。
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○上島よしもり 議長 この際、御報告いたします。
七月七日付で、大庭正明議員から
議会運営委員を辞任したい旨の願い出がありました。委員会条例第十一条の規定により、同日付でこれを許可いたしました。
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○上島よしもり 議長 次に、七月二十八日に行われました
区民生活常任委員会、地方分権・本
庁舎整備対策等特別委員会、災害・防犯・
オウム問題対策等特別委員会における副委員長の互選の結果を事務局長に報告させます。
◎小田桐
区議会事務局長 御報告いたします。
区民生活常任委員会副委員長 桜井 稔議員
地方分権・本
庁舎整備対策等特別委員会副委員長
板井 斎議員
災害・防犯・
オウム問題対策等特別委員会副委員長
石川ナオミ議員
以上でございます。
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○上島よしもり 議長 次に、区長から招集の挨拶の申し出があります。保坂区長。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 平成二十八年第三回世田谷区議会定例会の開催に当たり、区議会議員並びに区民の皆さんに御挨拶を申し上げます。
まず、このたび、東北・北海道地方を襲った台風十号による風水害で犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表します。また、おけがをされた方々にお見舞いを申し上げます。
ふるさと区民まつりに参加する交流自治体であり、大きな被害を受けられた岩泉町並びに宮古市に対し、当面、見舞金をお送りするとともに、職員の派遣など、現地の状況に応じた支援を行ってまいります。
さて、東京二〇二〇大会を見据えた取り組みについてです。
先日まで開催されていた
リオデジャネイロオリンピックでは、日本人選手ばかりでなく、世界中のアスリートの活躍に日本中が盛り上がりました。日体大出身で体操の内村選手を初め、世田谷区ゆかりの選手も多数出場し、金メダル三個、銀メダル三個、銅メダル四個、合計十個という輝かしい成績を残しました。また、現在開催されている
パラリンピックでは、障害のあるパラリンピアンが大舞台で活躍する姿に大きな感動を得るとともに、勇気をいただいております。
区では、東京二〇二〇大会までの限られた時間の中で、スポーツに限らず、観光、国際化、文化・芸術、環境、福祉、教育など、さまざまな分野での取り組みを進め、
世田谷ならではの魅力を発信するとともに、大会後も区民の未来に向けた大きなレガシーとなるよう、工夫を凝らしてまいります。
今回の
リオデジャネイロ大会には、五名の職員を派遣し、現地の様子を視察してまいりました。特に馬術競技を初め、
アメリカ選手団のキャンプ地の運営や、外国人観光客へのホスピタリティーのあり方、さらには、数多くのボランティアの活躍ぶりなど、現場を視察しなければ見ることのできない貴重な体験を数多く積むことができたと報告を受けております。この視察の成果を、地元区として、東京二〇二〇大会に最大限生かしてまいります。
東京二〇二〇大会の参加国との間で交流を図る
ホストタウンの第二次登録で、世田谷区はアメリカ合衆国の
ホストタウンとなりました。
アメリカ選手団の
キャンプ受け入れを契機として、
ホストタウンとして、今後、交流事業などを幅広く実施するよう、相手国との協議を進めていきます。
東京二〇二〇大会を教育の観点から見ますと、スポーツを通した国際交流や、
ボランティアマインドの醸成、目標を持って努力を重ね、ベストを目指す意欲の大切さ、多様性を尊重した共生社会の実現、世界の平和と発展に貢献しようとする態度を育成することなど、実に大きな教育的機会となり得るものと考えております。この好機を逃すことのないよう、全ての区立小中学校において、オリンピック・
パラリンピック教育を展開するなど、教育委員会と連携した取り組みを進めてまいります。
今後の取り組みの具体的指針となる二〇二〇年に向けた世田谷区の取組みの策定作業を進め、まずは素案を取りまとめました。今後、
パブリックコメントを行い、来年一月に策定する予定です。
また、
アメリカ選手団のキャンプ地となる
大蔵総合運動場の
陸上競技場スタンドを改築し、大会終了後も
障害者スポーツなどでも活用できるように、全面的に
バリアフリー化を実施いたします。さらに、東京二〇二〇大会に向けた訪日外国人へのサービスとあわせ、まちなか観光や災害時の情報提供を目的に、
公衆無線LAN環境の整備を平成二十八年度からの四年間で進めていきます。本庁舎や総合支所などの区の施設に加えて、馬事公苑周辺やアクセス経路の主要駅前などを対象に、段階的に整備を進め、広く活用を図ってまいります。そのため、
大蔵運動場改築工事に係る設計費等及び
公衆無線LAN環境の整備費について、平成二十八年度第二次補正予算を計上させていただいています。
次に、
障害者差別解消法施行年に起きた深刻な事態と障害者福祉に関する政策課題について申し上げたいと思います。
痛ましく残忍で許しがたい事件が起きました。七月二十六日、神奈川県相模原市の
障害者支援施設、やまゆり園で発生した障害者を狙った殺傷事件では、十九名のとうとい命が奪われ、二十七名の方が重軽傷を負い、いまだに癒えない傷に苦しんでおられます。障害者の人権と尊厳を根本から否定する言説を書き込んだ手紙を犯行予告のごとく衆議院議長にも届け、抵抗できない障害者を次々と狙った衝撃的な事件により、亡くなり、傷つけられた方々はもとより、全国の障害者や障害者を支えてこられた家族、障害者福祉の関係者の心も踏みにじる行為であり、強く非難するものであります。
二年前の
国連障害者権利条約の批准、そして、
障害者差別解消法がこの四月に施行されたばかりの時点で、障害者の人権と尊厳を営々と築き上げてきた努力を全否定するような事件が起きたことに戦慄を覚えるとともに、これまでの時代の歯車を逆行させてはならないと考えます。
障害者差別解消法の施行とは、差別的思考や行動を容認せず、事件再発を防止する社会にするための不断の努力を続けることであります。
障害者差別解消法が施行されてから五カ月が経過いたしました。区への相談、問い合わせは約五十件に上っています。区、民間事業者を問わず、
差別的取り扱いや合理的配慮の提供に関する相談も多いのが特徴です。せたがやノーマライゼーションプランに掲げた「障害の有無に関わらず、誰もが住み慣れた地域で自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現」に取り組んでいきます。
また、八月十五日には、区内にお住まいの盲導犬を連れた視覚障害者の方が地下鉄のホームから転落し、亡くなるという事故がありました、事故後に、ホームの構造上、危険があることが、視覚障害者の方による現地調査でも指摘されました。障害のある方がこうした事故に遭うケースは決して少なくなく、区も、国や事業者と力を合わせて、障害者や高齢者などの社会的弱者の目線に立ったまちづくりをする必要があると改めて認識させられました。
今回の転落事故を受け、区では、
視覚障害者団体の皆さんと意見交換を行いました。団体の方々からは、ホームドアがすぐに設置できないなら、点字ブロックの改善など、できるところからすぐに改善をしてほしい、そのため、区内の駅の点検を行っていきたいなどの御意見をいただきました。また、危険な場所での声かけは大事との指摘もあり、全庁職員に向けて、障害者への日ごろの声かけや安全への配慮を呼びかけたところであります。
医療的ケアが必要な障害児への対応について申し上げます。近年、医療技術や医療機器の向上により、医療的ケアが必要な障害児が在宅生活を送るケースがふえております。今年度、子ども・
子育て総合センター内に
障害児保育園ヘレンを開設いたしますが、さらに施策の充実を図るため、医師会、
成育医療研究センター、東京都等の協力をいただきながら、医療的ケアが必要な障害児とその家族の支援に向けた具体策の検討を進めていくことにいたしました。
次に、子育て支援の取り組みについてです。
去る四月十八日に厚生労働省で開催された
待機児童解消に向けた
緊急対策会議に出席し、世田谷区から、自治体独自の
認可外保育施設への支援、民間の土地活用の誘導、さらに、企業風土や社会のあり方を問う働き方改革の三点について国に要望いたしました。
まず、自治体独自の保育施設への支援では、認証保育所や保育室など、
認可外保育施設が子ども・子育て新制度に移行する場合の条件を緩和する等の変更が行われ、これまで支援の対象外だった認可外保育も国からの財政支援が活用できるようになりました。また、保育所用地を提供した土地オーナーへの税制上の優遇については、相続された土地を保育所や幼稚園向けに貸与する際の相続税や固定資産税の減免について検討が始まっていると報道がありました。厚生労働省を通して、税制改正の要望となるようでございます。
働き方改革については、厚生労働省が組織を再編するという発表がありました。
待機児童対策は自治体だけの問題ではなく、政府や企業が子育て支援の役割を担うことが必要であり、特にゼロ歳から二歳の両親の労働環境に配慮することが重要と考えていますが、子育てと仕事を両立する働き方への転換を、国も自治体も企業も同時に実現すべきと考えています。
さらに、厚生労働省が
潜在的待機児童の自治体ごとの実態を発表しました。これまでは、待機児童数の発表数字がゼロであったとしても、育児休業の延長や自宅で求職中のケースを待機児童から除外している自治体も多く、発表された数値を比較するだけでは実態が見えない状態が続いていました。各報道機関でも、以前は、定義が不統一のまま、待機児童の一覧表による自治体間の比較をしていましたが、最近は、区から再三要望したこともあり、世田谷区の待機児童数には育児休業を延長した場合を含めているなどの注釈を入れる例がふえ、また、潜在的な待機児童――
隠れ待機児童の存在を指摘する報道も出てきました。厚生労働省も定義の統一の検討を始めると伝えられていて、今後は、客観的に待機児童の実態が把握できるよう、期待をしたいと思います。
世田谷区の人口は八十九万を超えて、ふえ続けています。平成二十七年の一年間の出生数は八千人を超え、自然増千五百八十四人、社会増六千百八十三人は、ともに二十三区最大でありました。五歳以下の子どもの数もふえており、十年前の三万六千人から四万四千人までふえてきております。
こうした就学前人口の増加により、子ども・
子育て支援事業計画策定時の人口推計と実際の人口との見直しが必要となってきました。現行計画では、三十二年四月時点において保育総定員数を一万九千九百十一人までふやす計画でしたが、ここに千六百七十三人上乗せをし、二万千五百八十四人まで定員の拡大が必要であると見込んでいます。同時に、保育定員の確保のためにできることはすぐに着手すべく、
待機児童解消に向けた具体策をまとめ、提案させていただきます。
まずは、区として、保育士等の処遇改善に向けた個人給付を実施します。
保育待機児童対策の中において、保育人材の確保は大きな課題です。国の
保育士処遇改善に先立ち、保育士一人につき、一カ月当たり一万円を支給し、保育士等の処遇改善に取り組んでまいります。
次に、
認証保育所等の利用促進を目的とした利用者負担の軽減についてです。支給対象世帯の範囲や補助の単価を見直し、認証保育所の利用促進と、認可保育園と比べて差のある利用者負担の軽減を図ってまいります。
さらに、長年、区独自事業として実施してきました保育室の運営費の改善についてであります。国の
待機児童解消緊急対策を活用し、新制度への移行を前提として、保育室の運営費改善を行うことにより、運営の安定を図るとともに、新制度への移行支援を積極的に行うことで、
認可保育園等をふやしてまいります。
また、本年六月に公布された
改正児童福祉法は、児童福祉の保障のために、国と地方公共団体との役割、責任の明確化、母子保健施策が児童虐待の発生予防、早期発見に資する旨の明記、虐待発生時に迅速、的確な対応が行えるよう、市区町村と児童相談所の体制、権限の強化など、子どもと家庭を取り巻く深刻な状況を踏まえた、大きな意味を持つ改正内容となっております。
また、児童相談所の設置について、特別区長会において、移管を希望する区は、特別区移管モデルの具体化検討の再調整やロードマップの作成を今月末までに行うこととしています。現在、区では、児童相談所を
総合福祉センター機能移転後の一部を利用して設置する方向で、一時保護所の設置や専門人材の確保、育成、
児童相談所設置市が行う十四の事務の実施方法等、詳細な検討を進めているところであります。
区民生活に密着した基礎自治体として、区のこれまでの実績と経験をもとに、児童相談所と
子ども家庭支援センターが一体となり、一元的かつ地域の支援を最大限に活用した総合的な
児童福祉行政の実現に向けて、他の移管を希望する区としっかり連携しながら、早期の
児童相談所移管を目指してまいります。
子どもの出生数が上昇傾向にある中、子ども・
子育て応援都市宣言が掲げた「子どもと子育てにあたたかい地域社会」を目指して、厳しい課題を一つ一つ乗り越え、子ども・子育て支援策を充実させていきます。
次に、
地域包括ケアの地区展開についてであります。
区内の認知症と疑われる方は、毎年約千人ずつ増加し続けており、本年四月時点で約二万一千人と、六十五歳以上人口の一二%を占めています。認知症は、早期対応と早期支援が重要であり、認知症の方や御家族に、今後の病状の見通しや、どのような支援を受けられるのかをわかりやすくお伝えすることが大切です。そのため、認知症の程度と日常生活の状況に合わせ、どのような支援やサービスがあるのかをまとめた
認知症ケアパスのガイドブックを作成し、この七月から
あんしんすこやかセンターなどで配付を始めました。認知症当事者の支援にかかわっている方や
認知症家族会の方々からは、症状の進行に合わせた支援や利用できるサービスが探しやすいなどの声もいただいています。
地域包括ケアの地区展開として、身近な
まちづくりセンターでの福祉の相談窓口を同じくこの七月から全区展開し、高齢者のみならず、障害のある方や子育ての相談なども寄せられております。
また、世田谷区の
地域包括ケアの地区展開が、厚生労働省などが推奨する多機関の協働による
包括的支援体制構築事業の先進的な取り組みとして、モデル事業に選定をしていただきました。国も、複合的な課題を抱える方への支援や、個人だけではなく、世帯の問題として捉え、多機関、他分野の方や地域の区民が参加して、その方への支援を包括的に行っていくことが重要であるとして、区の取り組みに注目をしていただいたものと受けとめています。
地域包括ケアシステムの推進では、来る十月から各地区で、医師が地区連携医として、
あんしんすこやかセンターで、医療と介護の連携を進めるため、医療的助言や
ネットワークづくりの支援を行う仕組みをスタートさせます。また、同じく十月から、認知症初期の方などを対象に、認知機能や身体機能が低下しても、口腔ケアがしっかり行える環境を整えることができるように、すこやか歯科健診を開始いたします。
福祉の相談窓口につきましては、より多くの区民に周知するために、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの協力もいただき、医療機関の窓口での広報など、さまざまな手法を駆使して、周知に努めてまいります。
次に、高齢者の見守りについてです。
区では、高齢者の安全安心の取り組みとして、
高齢者安心コール、民生委員ふれあい訪問、あんしん見守り事業、地区高齢者見守り
ネットワーク事業の四つの見守り施策に加え、水道局、東京ガス、区内生協等の事業者と支援が必要な高齢者の見守りに関する協定を結ぶなど、安全を守るための多様な施策に取り組んでおります。
七月には、区内の
株式会社みずほ銀行並びに
東京中央農業協同組合との間で、高齢者の見守りに関する協定を締結しました。これまでに協定を締結した事業者からは、支援の必要な高齢者の早期発見につながる情報が寄せられてくるなど、成果を挙げてきております。今後も、
協定締結事業者との定期的な連絡会を開催するなど、連携を密にし、引き続き地域の事業者の協力を得ながら、見守り体制の強化に取り組んでまいります。
次に、区民の健康についてであります。
区は、区民が生涯にわたり健やかで心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、平成二十四年度に十カ年にわたる
総合保健計画、健康せたがやプラン(第二次)を策定しました。このたび、中間評価を行い、平成二十九年度からの後期プランに改定をいたします。この間の調査や統計によると、区民の皆さんの健康に対する意識は高く、健康状況は比較的良好である一方、男性は糖尿病や心疾患、女性は骨・関節疾患、大腸がんなど、性別や年代で気をつけたい病気や症状に特徴があることや、健康に関心はあるが、実践に結びつかない人がいることなどがわかりました。後期プランの改定に当たりましては、新たに健康せたがやプラス1を提唱いたします。区民一人一人の考え方やライフスタイルを尊重しつつ、さらに健康によいことをプラスしようと呼びかけてまいります。
次に、街づくりにかかわる課題についてであります。
新たな世田谷区
都市整備方針では、将来都市像として、安全で快適な暮らしをともにつくる都市世田谷を掲げ、世田谷区が誇るみどりと安らぎのある住宅地の環境を引き続き保全し、みどりと水に恵まれた良好な住環境で暮らし続ける町を目指しています。
区では、住宅地での突出した建物の発生や建て詰まりによる密集化を抑制するため、平成十六年に、
住居系用途地域及び準工業地域に絶対高さ制限を導入するとともに、
低層住居専用地域に敷地面積の最低限度の制限を導入し、市街地の住環境保全に努めてまいりました。一方、近年、建築技術の向上や建築基準法の改正などから、住宅地に比較的高い建物が建つようになり、また、敷地面積制限のない住宅地では、敷地細分化などによる狭小敷地の増加が生じてきています。
そこで、区では、この間、
区民アンケート調査を初め、既存建物や土地利用状況などの調査を踏まえ、
都市計画審議会に設置した学識経験者による検討部会において、検証、検討を重ねてまいりました。このたび、建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの
基本的考え方素案を取りまとめ、現在、広く区民からの意見を募集しているところであります。今年度、この基本的考え方を作成し、その後、都市計画として定め、適切に運用を図っていくこととしており、あわせて、区民主体の身近なまちづくりを一層進め、
都市整備方針で目指す将来都市像の実現に向けて、取り組んでいきたいと考えております。
次に、世田谷区がけ・
擁壁等防災対策方針についてであります。
東京都では、
土砂災害防止法に基づき、平成二十八年三月に
土砂災害警戒区域等を区内三十七カ所に指定しました。区では、崖や擁壁に関するソフト、ハード両面の今後の対策方針として、世田谷区がけ・
擁壁等防災対策方針を、本年十月を目指して策定いたします。土砂災害のおそれのある区域、避難所の場所などを、新たに作成するハザードマップを活用して、住民にお知らせするとともに、公共施設用地を含め、土砂災害を受けない、起こさない取り組みを区民とともに進めてまいります。
次に、生物多様性地域戦略についてです。
このたび、世田谷区版の生物多様性地域戦略である生きものつながる世田谷プランの素案を取りまとめ、現在、
パブリックコメントを実施しております。生物多様性とは、さまざまな場所で、さまざまな生き物が互いにつながり、支えあって生きていることを言います。私たちの生活は、多様な生き物がかかわり合いながらつくる生物多様性の恵みに支えられています。世田谷は、国分寺崖線や多摩川などの自然環境に恵まれている一方で、宅地開発や農地宅地化などにより、生き物を支える多様な自然環境が減少し、生き物とともにあった暮らしが失われつつあります。住宅都市世田谷として、生き物と私たちがともに暮らしながら、生物多様性の恵みを次世代につなげていくために、国分寺崖線を守り育てる活動の推進、学校や地域と連携した生物多様性に関する体験学習機会の拡充など、区民とともに取り組む具体的計画の策定に向けて、引き続き検討を進めてまいります。
次に、男女共同参画についてです。
平成二十九年度からの十年間の新たな計画となる世田谷区第二次男女共同参画プラン策定に向け、区の男女共同参画推進会議を初め、学識経験者、関係団体、公募区民から成る検討委員会を平成二十七年七月に立ち上げ、検討を進めてまいりました。第二次男女共同参画プランは、男女だけではなく、多様性を含めた全ての人権が尊重され、参画できる社会を目指した計画として策定を進めております。
このたび、計画素案を取りまとめたことから、区民の皆様に呼びかけて、意見募集を行ってまいります。また、九月二十四日には、「誰もが輝く社会の実現に向けて」というテーマで、男女共同参画プランシンポジウムを開催いたします。その後、区民の皆様からいただいた御意見とあわせて、区や検討委員会において計画案を検討し、本年度中に新たなプランとして策定する予定です。
次に、平和の課題についてであります。
区は、平和を愛する区民の願いに応え、核兵器の廃絶と世界に平和の輪を広げていくことを誓い、昭和六十年八月十五日に平和都市宣言を行いました。昨年、太平洋戦争終結から七十年、平和都市宣言三十周年の八月十五日、平和の祈り像や平和の灯を初めとする平和関連モニュメントの集積する世田谷公園内に区立平和資料館を開館いたしました。このたび、昨年から公開しております常設展示室やライブラリーに加えて、企画展やワークショップ等を開催する多目的室が完成し、平和資料館は全館オープンいたしました。多目的室では、十二月二十六日までの間、太平洋戦争の戦前、戦中の新聞の切り抜きや、雑誌類、映画のポスターなどを展示する企画展「戦後七十年プラス1」を開催しています。
私は、平和都市宣言を行っている自治体の長として、これからも平和資料館を中心に、平和のとうとさを後世に伝えていくための取り組みを進め、区民の皆様とともに、次代を担う子どもたちにも平和を希求する思いをつなげてまいります。
本庁舎等整備基本構想素案の策定について申し上げます。
区民公募、無作為抽出の委員十三名に学識経験者七名を加えた二十名の委員で構成された本庁舎等整備基本構想検討委員会では、四月以降、四カ月にわたる熱心な議論を経て、八月八日に本庁舎等整備基本構想検討委員会報告書を区に提出していただきました。この議論の最中に、熊本地震の発生による行政施設の深刻な被災や、国立西洋美術館の世界遺産登録を通して、ル・コルビュジエの弟子として活躍した前川國男氏の仕事の継承についても話題になりました。
熊本地震の経験を踏まえ、災害対策の中枢としての重要な機能や、環境共生都市せたがやにふさわしい環境性能、区民サービスの効率的な事務執行、そして、区民交流、区民参加を充実するためのスペースの拡充など、求められる機能を十分確保しながら、同時に、長年親しまれてきた現庁舎等の空間特質をできるだけ継承すべきであるという御認識から、これまでのさまざまな議論を集約し、世田谷区の本庁舎等整備の方向性を示していただいたものと感謝しております。
今般、この報告書を踏まえ、区として、世田谷区本庁舎等整備基本構想素案を策定いたしました。特集号による
パブリックコメントの実施、今週末より五地域で実施いたします区民説明・意見交換会等を通し、区民の皆様に本庁舎整備の必要性について御理解をいただけるよう、取り組んでまいります。
本庁舎の整備は、二十一世紀半ばを長期にわたり区政を支える拠点の整備であり、また、多額の財政投入を必要とする事業でもあります。この事業を進めるためには、区民の御理解が不可欠であり、今後も、整備のプロセスそのものが区民の参加と協働によるものとなるよう工夫を重ねながら、平成三十二年度の着工を目指し、着実に取り組んでまいります。
教育について申し上げます。
一人一人の子どもと向き合い、全ての子どもの育ちを支える教育の充実についてであります。
学校に求められる役割が拡大する中、学校や教職員が置かれている環境はますます複雑化、多様化しています。こうした中、教員は、ますます多忙になり、教育本来の役割であるはずの子どもと向き合う時間さえ十分にとれないような状況が生まれています。このため、教育委員会では、教員が子どもとかかわる時間の拡充を第二次教育ビジョンのリーディング事業に掲げ、校務の負担軽減に向けた学校のICT化などの取り組みを進めてまいりました。
これらに続いて、現在、学校給食費の公会計化に向けた準備を進めております。現状では、各学校の教員が担っている給食費の収納管理を教育委員会に集約し、教員の事務負担の軽減を目指すものであります。区の特色ある給食事業である各学校の独自献立、自校調理などを維持しながら、平成二十九年度から区立中学校、平成三十年度から区立小学校の学校給食の公会計開始に向けて、取り組んでまいります。
また、太子堂調理場につきましては、築四十三年以上が経過し、施設が老朽化していますが、引き続き安全でおいしい給食を提供していくために、費用対効果を見きわめながら、大規模改修工事を進めてまいります。
次に、英語教育についてであります。
グローバル化の大きな潮流に加え、オリンピック・
パラリンピックを契機とした国際化の機運がより一層高まってきています。国は、先ごろ、平成三十二年度から実施予定の次期学習指導要領改訂に向けた審議のまとめ(案)を公表し、その中で、国際共通語である英語力の向上を日本の将来に向けた重要課題として位置づけております。これからの社会を生き抜く力を若い世代に身につけてもらうためにも、教育委員会では、小学校一、二年生については、区独自のカリキュラムを策定するとともに、小学校三年生から六年生までのカリキュラムについても、国のスケジュールを前倒しして取り組むこととしており、中学校における教員の英語指導力の向上や英語支援員の充実などとあわせて、こうした取り組みを区として支援してまいります。
次に、図書館についてです。
去る九月一日、世田谷図書館が世田谷合同庁舎一階にグランドオープンいたしました。世田谷図書館は、知と学びと文化の情報拠点にふさわしい新しい図書館として、くつろぎの空間創出や閲覧席の確保、開館日拡大や開館時間の延長等、図書館サービスの一層の充実を図っており、より多くの区民の方に利用していただきたいと考えております。
経堂図書館については、運営手法を業務委託から指定管理者制度に変更し、民間の柔軟な発想を生かした図書館運営を目指すべく、本定例会において、世田谷区立図書館の指定管理者の指定を提案させていただいているところであります。経堂図書館の特色である立ち寄り型図書館という点を、指定管理者によって、どう生かしていただけるのか、期待をしているところであります。
行政運営について二点申し上げます。
まず、公共施設等総合管理計画の策定についてです。
昨年度より、区が保有、管理する建物や道路、橋梁、公園などの公共施設を総合的に管理し、保全、更新する計画、世田谷区公共施設等総合管理計画の策定作業を進めています。このたび、計画の素案を取りまとめました。区議会の御意見を伺うとともに、十月には
パブリックコメントを実施し、年度内に案を御報告いたします。
次に、外部評価についてです。
世田谷区基本計画の進捗状況を、外部の視点から評価手法等の改善、検討を行うため、外部評価委員会を昨年十一月に設置し、熱心に議論していただきました。このたび、中間報告をいただきましたが、これまでの効率性や有効性に重きを置いた定量的な評価だけではなく、新たな評価軸の導入により、参加と協働がどのように進んでいるか、効果的な成果につなげるにはどうしたらよかったかという視点に立つことで、基本計画が目指している「参加と協働のまち せたがや」の実現に資することができるのではないかという内容になっています。区民ワークショップも開催し、新たな評価軸、参加と協働について、幅広い御意見をいただきました。いただいた御意見を今後の外部評価委員会の議論の参考とし、来年二月には最終的な提言をまとめられます。最終提言は平成三十年度スタートの次期新実施計画の策定に反映していきます。
平成二十九年度は、新実施計画の最終年度になります。新実施計画の改定を見据え、未来を見通して、新たな視点に立ち、これからの時代に即した施策につなげる各分野の事業を検討し、実施体制を整えてまいります。
決算及び補正予算についてであります。
本定例会で御審議いただく平成二十七年度各会計歳入歳出決算の概要について申し上げます。一般会計では、歳入は、特別区民税が前年度比で二十二億一千三百万円の増額となりました。また、地方消費税交付金については、前年度比で八十七億三千四百万円の増となりました。この結果、歳入総額では二千八百二十二億七千二百八十七万三千円、前年度と比較して五・五%の増となりました。歳出は、小中学校や区民センターなどの改築・改修経費や、私立保育園運営費等の社会保障関連経費、基金への積立金などが増額になったことにより、歳出総額は二千七百二十億九千二百十三万一千円、前年度と比較して六・一%の増となりました。
この結果、平成二十七年度決算の実質収支は七十二億三千四百七十八万九千円となっております。なお、年度末における基金残高は七百三十八億九千百四十八万八千円となり、昨年度に引き続き、特別区債残高、四百六十六億二千五百四十万五千円を上回っております。また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率につきましては、平成二十七年度においても、実質赤字はなく、実質公債費比率がマイナスとなるなど、引き続き健全な状況を維持しました。
次に、一般会計の補正予算案について申し上げます。
このたびの補正は、保育
待機児童解消に向けた対応、東京二〇二〇大会に向けた環境整備など、喫緊の課題や、B型肝炎ワクチンの定期予防接種化などの状況の変化に対応するための経費を計上するものであります。あわせまして、国民健康保険事業会計など四つの特別会計については、前年度繰越金の確定などに伴う補正を行っております。全ての会計を合わせますと、三十一億二千三百五十八万五千円の増額補正となっております。今後も、基本構想、基本計画の実現に向け、強固な財政基盤の確立、的確な財政運営に努めてまいります。
最後に、本定例会に御提案申し上げる案件は、世田谷区清掃・リサイクル条例の一部を改正する条例など議案三十一件、専決一件、認定五件、報告二十八件でございます。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御議決賜りますようお願い申し上げまして、挨拶といたします。
○上島よしもり 議長 以上で区長の挨拶は終わりました。
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○上島よしもり 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
〔望月次長朗読〕
報告第二十八号 平成二十七年度世田谷区財政健全化判断比率の報告外報告二十七件
○上島よしもり 議長 以上で諸般の報告を終わります。
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○上島よしもり 議長 これより日程に入ります。
△日程第一を上程いたします。
〔望月次長朗読〕
日程第一 代表質問
○上島よしもり 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。
まず、世田谷民進党・社民党を代表して、四十六番風間ゆたか議員。
〔四十六番風間ゆたか議員登壇〕(拍手)
◆四十六番(風間ゆたか 議員) 私たち世田谷民進党・社民党区議団は、ダイバーシティー、すなわち多様性を認め合う社会の実現を目指し、これまでも取り組んでまいりました。出生地や性別、障害の有無などで差別的な言動は許されるものではありません。七月二十六日には、相模原の障害者施設で、障害者に対して差別的な言動をとってきた容疑者による殺傷事件が発生しました。お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りするとともに、このような事件が二度と起こることのない社会にしていかなければならないと強く感じています。
この事件の容疑者は、社会的弱者を暴力的に排除するヘイトクライムの特質があったと考えていますが、私たちは、そのことばかりに目を向けるのではなく、背景にある諸課題についても目を向けていかなければなりません。この事件の容疑者が施設の元従業員であったことは、障害を持つ当事者や御家族などの関係者に大きな衝撃と不安を与えました。障害者福祉に注力をしてきた世田谷区としては、
障害者差別解消法や障害者権利条約を、区民に対して、より一層、普及啓発に取り組むべきです。
保坂区長は、インターネット上で、
障害者差別解消法や障害者権利条約を報道機関、特にテレビは時間をかけて伝えてほしいと主張していましたが、世田谷区の長として、これらの普及啓発につながる具体的な行動を起こすべきです。区の中庭には横断幕が掲示されています。職員や関係者を三百人集めてセレモニーをするのも結構ですが、それではなかなか普及につながりません。例えば障害者への理解を広めるためには、教育委員会や学校現場とともに、児童生徒への教育的な取り組みも有効です。また、区長みずから区内の障害者施設などの福祉現場にもっと足を運び、障害当事者やその家族が抱える不安や要望を把握するべきではないでしょうか。そして、障害者施設や介護施設で働く人たちの労働環境など、施設運営における人事労務領域の課題にも焦点を当てて、行政として新たな支援を検討する必要があると考えます。区長の見解を求めます。
そして、具体的に以下三点伺います。
まずは、先ほど触れました公教育現場における障害者理解教育を進めるという観点です。現在、区内の小中学校でも障害者理解の取り組みが行われていますが、その内容は学校によってばらつきがあります。特別支援級のある学校では、インクルーシブ教育を踏まえ、さまざまな取り組みがなされていますが、一方では、教室内で教員による指導のみというところもあります。児童でも、身体障害については、体が不自由であることを理解できたりしますが、知的や精神・発達障害など多様な障害については、学ぶ学年や教え方を検討する必要があると考えます。区教育委員会としては、多様性を認め合うダイバーシティー教育として、発達段階に応じた障害者理解教育を体系化し、全校で取り組んでいくべきであります。区教育委員会の見解を問います。
次に、支援を要する生徒や支援校卒業後の支援の拡充について伺います。
昨今、発達障害の傾向にある児童を含めると、支援が必要な児童生徒は増加傾向にありますが、中学校卒業後の支援体制強化が必要ではないでしょうか。特別支援校卒業後の支援体制については、対象者増加に伴い、就労支援現場の拡充や余暇活動などの居場所の増設も必要だと考えます。また、特別支援校に行かず、生きづらさを感じながら、高校や就労を継続できなかった若者支援のあり方もあわせて考えていく必要があるのではないでしょうか。区の見解を問います。
三つ目に、障害者団体の拠点でもある総合福祉センターと梅ヶ丘施設への移転について伺います。
現在、総合福祉センターが担っている障害者福祉については、その多くが梅ヶ丘施設に移行することとなっていますが、障害者当事者や利用団体の方々からたびたび耳にするのは、民間施設棟についての不安です。移管される内容や質の担保など、民間事業者がきちんと行えるのかなど、全く状況がわからないということです。区は、これまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。区は、事業者と利用団体それぞれとは意見交換をしているようですが、利用団体と事業者が定期的に意見交換できるような取り組みを行うべきです。
また、現在、総合福祉センターにある印刷機能やロッカーについては、利用団体にとっては欠かせないものとなっていますが、それらがどのようになるのか、いまだに明らかになっていないことについても不安の声を耳にします。これらはどうする予定なのでしょうか。私たちは、現在の総合福祉センターに残す努力をすべきと考えます。それが難しいようであれば、梅ヶ丘施設への移転、または近隣のほかの場所に整備するべきです。スペースがないからそのまま廃止ということがないという明快な答弁を求めます。
次に、官民連携と参加、協働の区政運営について伺います。
今回、突如として、区は官民連携方針を出してきましたが、この民とは何を指すのでしょうか。今回、提示された資料からは、民は企業を想定しているように見え、またもや利潤追求を目的とする企業に区が加担することになるのではないかという懸念を抱きました。参加と協働を標榜する世田谷区としては、町会・自治会だけでなく、市民活動団体やNPOと連携を進めてきており、学校法人や社会福祉法人などとも連携をしてきたわけで、民とは、何も企業ばかりを指すのではなく、これら全てを指していなければなりません。連携方針は、これらも想定したものであるべきです。区の見解を求めます。
世田谷区は、大きなお金の絡む官民連携という点では、二子玉川でのデジタルコンテンツ事業で痛い目に遭っており、同じ過ちを犯してはなりません。今回、想定している大きな企業がもくろむ利潤追求に加担するようなことがあってはならず、あくまでも役所だけでは限界となる区民サービスを連携によって拡充させることができるかという観点で判断することが肝要です。企業との連携に関する見解を問います。
また、協働という観点からは、保健福祉領域で行われている好事例を全庁的に広げていくべきではないでしょうか。これまで民との連携イベントといえば、その多くは、実行委員会方式か、区の主催で関連団体を使って行うものばかりでしたが、保健福祉領域では、例えば子育てメッセのように、企画段階から関連団体と職員が積み上げていき、その輪も毎年広がっていくような事例が幾つかあります。官民連携と参画、協働について、区の見解を問います。
次に、三軒茶屋の新たな行政拠点について伺います。
保坂区長は、二期目の選挙の際に、世田谷総合支所の三軒茶屋移転に着手しますと公約に掲げていましたが、今回、突如として、移転断念の方針という報告がありました。これまで検討段階での報告はなく、突然の断念というのは、世田谷地域の人たちへの約束をほごにするということでしょうか。五つの地域の中でも最多人口となる世田谷地域住民の利便性向上に向けて、少なくとも総合支所機能の部分的な移転は行うべきであり、断念と結論づけるのではなく、引き続き可能性を模索していかなければなりません。
世田谷地域の方々が利用する太子堂出張所窓口は、いつもあふれ返っている状況です。三軒茶屋は世田谷地域でも最も人が集まる場所ですから、多くの住民が総合支所に訪れなければならない不便を解消しなければ、たくさんの税金を投入して三軒茶屋に新拠点を整備する理解を得られるはずがありません。具体的には、現在の総合支所一階の窓口機能に加え、二階部分の福祉領域は、保育園の申し込みや各種相談に訪れる住民も多いことを鑑みれば、三軒茶屋にも窓口機能を設けるべきです。
今回、検討している三軒茶屋の新たな行政拠点は、キャロットタワーの隣にあるNTTの敷地が候補とのことですが、世田谷総合支所移転を断念しながら、外郭団体である産業振興公社や産業プラザが入居している三軒茶屋分庁舎を移転させるなどという話は、前述したとおり、到底容認できません。新たな拠点の機能は、あくまでも世田谷地域住民の利便性向上を優先すべきです。この新たな拠点については、今後、どのようなスケジュールで移転、機能を決定していくのか、あわせて区の見解を問います。
次に、世田谷区役所本庁舎について伺います。
本庁舎等の整備については、検討委員会の報告書がまとまり、基本構想素案が策定され、我々は、区としても一定の方向性が見えたのではないかと考えています。今後、区は、この報告書に沿って、基本設計の公募要件を策定していくことになりますが、我々は、これまでも主張してきたとおり、災害対策上、区民が集えるスペースを確保することと、訪れた区民の利便性、そして、働く職員の業務効率が向上する配置設計は、外せない要件だと考えます。区の見解を問います。
また、我々は、本庁舎等の整備については、区民参加をより進めるべきだと提言してきました。今週末と来週で区民説明・意見交換会が開催されますが、情報公開と区民参加は、新庁舎がオープンするまで継続的に取り組むべきです。今後、プロポーザルにおける事業者ヒアリングなどの選定過程では、区民も傍聴できる機会を設けるなど、区民参加と情報公開に努めるべきですが、区はどのように考えているのでしょうか。
そして、設計者選定委員会を設置する際、選定委員については、さまざまな分野の専門性を有する学識経験者に依頼することになろうかと思いますが、区長とお知り合いの専門家ばかりが名を連ねるといったことにならないよう注意する必要があります。区の見解を求めます。
次に、区民が集う区の施設について伺います。
男女共同参画センターらぷらすは、その目的に沿った取り組みを行う区民たちが集う重要な拠点ですが、我々は、北沢タウンホールから移転することとなった際には、その進め方などについての問題を指摘してきました。その際、最終移転先を梅ヶ丘の総合福祉センターとすることで、利用団体からは一定の理解を得てきたと認識してきましたが、今回、突如として、その場所には児童相談所が入る案が提示されてしまいました。そして、らぷらすについては、最終移転先が未定という状況になり、このような区の進め方を大変問題視しています。らぷらすを利用している各種団体にしてみれば、約束はほごにされ、代替案も提示されず、区は男女共同参画自体を軽視しているのではないかと感じるのではないでしょうか。今回の強引な進め方については猛省し、今後、より丁寧に利用団体と協議を重ね、理解を得られるよう努めるべきですが、区の見解を問います。
続いて、今回、提示された施設利用料の見直しについて伺います。
区民が集う施設については、前の区長時代に、利用する方と利用しない方の公平性を保つという考え方に基づき、値上げが行われましたが、保坂区長になってから、その考え方は見直されたものと認識していました。それが、新実施計画において、「施策の見直しにあたっては、公正・公平とともに低所得者等への配慮の観点を踏まえながら、これまでの行政経営改革に対する考え方を適切に見直し」と表現されています。今回の施設利用料の見直しについては、平成二十二年度に策定された適正な利用者負担の導入指針自体を見直すということであれば理解できますが、そのような意図なのでしょうか。
私たちは、区の施設利用について、区の施策に沿って、支援対象となる区民が利用する場合には、もっと減免する制度にすべきと考えます。例えば高齢者が集う場合や市民活動団体が集う場合などは、まさに区が支援している取り組みと言えます。実際に、町会・自治会などの集会については、集会所利用料が免除されたりしているわけですから、まずはこの見直しを行うべきであり、税外収入や応益という考え方に当てはまるケースや施設を限定すべきです。また、人気が集中して借りにくくなっている施設については、優先利用制度など、登録団体制度を見直し、例えば区民健康村のように、区民と区外で利用料や予約開始時期を変えるなどし、より一層、区民をメーンに支援する制度に見直すべきだと考えますが、区の見解を求めます。
次に、保育
待機児童解消と保育の質の担保について伺います。
このたび、区が報告した保育待機児解消に向けた多様かつ大規模な取り組みについては大変評価しています。特に、整備目標値を引き上げたことは、潜在待機を含む
待機児童解消に本気で取り組む決意を感じます。整備数をふやすと同時に、担保しなければならないのは、保育の質の担保です。すなわち、預けられた子どもたちが健全に育まれていることを保つことが重要ですが、この半年以内に関東でも何件かの死亡事故が起こっています。特にことしの三月には、隣の大田区の
認可外保育施設で生後六カ月の女の子が亡くなる事故が起こっています。
認可外保育施設としては、それなりの実績がある施設だったようですが、近年は保育士がゼロという状態で乳児を預かるような保育がなされていたとのことです。
世田谷区でも
認可外保育施設がたくさんありますが、資格を持っている保育士の採用は困難をきわめ、流出に頭を悩ましているという話も耳にします。給与増が見込まれる区の助成対象施設に流れることは容易に想定できますが、世田谷区民でやむなく認可外に預けられている待機児も毎年一定数いるのが実情です。大田区のような事件が世田谷区で起こらないよう、
認可外保育施設勤務であっても、保育士には同様の助成をすべきではないでしょうか。その制度を設計すること自体のハードルが高いことは承知していますが、施設支援ではなく、保育士支援として個人の申請にするなど、支援できる可能性はあると考えます。区の見解を問います。
また、最近では、株式会社が運営する保育施設が増加していますが、先日、神奈川では、保育業界の大手企業が労働基準法違反で是正勧告が出されました。その是正勧告内容は、まさにいわゆるブラック企業の手口と同様です。この事業者は世田谷区内でも認証保育所を運営していますが、区は保育士の労働環境などを把握しているのでしょうか。労働基準法違反の疑いがある保育施設で酷使された保育士が二度とその職につかなくなるケースは多々あると耳にします。また、心に余裕がなくなった状態で子どもに接した際の悪影響も心配です。保育施設現場での労働基準法違反は、今の社会にとって大きな損失となりますから、区は、区内保育施設の巡回指導の際に、保育士の状況も把握し、予防策をとることも、質の担保という観点からは重要と考えます。区の見解を問います。
最後に、世田谷区立小中学校の均質性担保について伺います。
区立小中学校の指定校制度をとっている世田谷区としては、各学校によって教育環境や教育内容に大きな差異があってはならないという観点から、これまでにも均質性の担保を求めてきました。六年間単学級ということがなくなるよう、統廃合や学区の見直しを求めてきたことも、子どもの教育環境を重視してのことです。これについては、いまだに統合時期が未確定となっていた北沢小学校の問題がありますが、先日の委員会では、平成三十年度完全統合に向けて取り組んでいるとの報告がありました。また、ICT教育やいじめ対策の取り組みなどは全校で導入され、まさにハードもソフトも均質性を担保しようと取り組む姿勢を評価しています。さらに、今回、児童一人当たり校庭面積が極端に低い砧南小で第二校庭がようやく整備されるめどが立ったということは、この観点からも評価できることです。
前の教育長時代は、各学校の独自性という名のもとに、取り組みや環境にかなりのばらつきがあったと感じていましたが、区教育委員会は、現在、このような均質性を担保しようと取り組んでいるのか、改めて伺います。
というのも、今回、教育委員会から報告があった太子堂調理場改修工事期間の中学校給食の対応については、疑問を抱かざるを得ないからであります。五つの中学校で半年以上も弁当持参をさせる考えとのことですが、これによる弊害をもっと深刻に考えるべきではないでしょうか。遠足時の弁当持参とは異なり、半年も弁当持参が続くということは、各家庭の状況が弁当にあらわれてしまう可能性が高く、場合によっては、毎日の弁当を用意できない家庭があるかもしれません。弁当を持ってこられない生徒が不登校になったり、毎日の弁当内容によって、いじめにつながる可能性もあります。このような因子を教育委員会がつくるべきではありません。まだ期間はあるので、親子調理方式や仕出し弁当など、あらゆる方法を検討し、弁当持参は避けるべきです。区教育委員会の見解を求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 風間議員にお答えをいたします。
二〇〇六年、国連で採択された障害者権利条約は、障害者の人権や基本的自由を守り、障害者が持っている自分らしさを大事にしていくという考え方を基本にしています。そして、この条約に基づく国内法として、本年四月、
障害者差別解消法が施行されました。四月一日に行いました記念セレモニーでは、障害当事者や団体の皆さんと差別解消法施行を記念する黄色い風船、もう一つは、翌日が世界自閉症啓発デーでございましたので、同時に青い風船、二色の風船を上げながら、
障害者差別解消法施行ということをこれから普及させていくんだというスタートラインを刻んだわけであります。
こうした中、七月二十六日に、御質問にありました相模原市の障害者施設で殺傷事件が起きました。招集挨拶でも触れたように、人権や尊厳を――よりによって、この施行年に起きた事件ということで、大変許しがたい事件だと思っております。
事件発生の翌日、インターネットのブログのほうにも書きましたけれども、区のホームページを通して、事件を強く非難するとともに、障害者の人権尊重と安全確保を徹底していく、そして、
障害者差別解消法の趣旨を区民、特に児童生徒を含む若い世代に認識していただき、個人の尊重や多様性の尊重に関する意識の啓発に努めていくという内容を発信しています。
御質問にありました、もっと現場に赴いて課題を把握するべき、また、次世代の子どもたちにこそ啓発をという御指摘は、きちんと受けとめたいと思います。
障害者権利条約も
障害者差別解消法も、目指すところは、障害者の権利保障と共生社会の実現であります。そういったことし四月のスタートラインを形だけにせずに、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
これまで私も障害当事者の皆さんのお話を伺い、施設を訪問する中で、障害当事者の家族の皆さんの悩みや苦悩、また、施設でサポートに当たる職員とも意見交換をし、現場の苦労を目の当たりにしてきました。もっともっとこうした活動を続け、差別や偏見、国籍、性別にかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる社会の実現を目指していきたいと考えております。その先頭に立ってまいりたいと思います。
次に、官民連携についての御質問がありました。
区では、基本計画で「参加と協働のまち せたがや」を目指しており、これまでも区民、団体、事業者等と課題や情報の共有、多様な参加と協働によるまちづくりを進めてまいりました。具体的には、各地区で車座集会を二巡したことに加えて、各地の計画づくりの中で、区民説明会、意見交換会、タウンミーティング、ワークショップ、
パブリックコメントに加えて、公募や無作為抽出方式などの方法にも工夫を重ねてきました。また、官民連携の民については、御質問にあるように、民間企業のみならず、NPOや地域活動団体、あるいは学校法人や社会福祉法人、大きく地域に広がるさまざまな民の知恵と活動、その力と結び合っていくということが大変重要だと考えております。
招集挨拶で申し述べましたように、今回、外部評価委員会では、施策を進めるプロセスの中で、取り組まれていることを見える化し、参加と協働を新たな評価軸とする中間報告をいたしまして、まさに区の政策が、実際のところ、基本構想、基本計画で掲げていることと乖離がどのぐらいあるのか、実現していない部分がどうあるのか、とりわけ参加と協働はどうなのかという点について議論してまいりますので、こういった大きな枠の中で、官民連携についても位置づけてまいりたいと思います。
以上、二点、お答えしました。
〔板垣副区長登壇〕
◎板垣 副区長 私からは、二点についてお答えさせていただきます。
最初に、本庁舎整備の進め方についてでございます。
八月八日に四月から議論を重ねていただきました世田谷区本庁舎等整備基本構想検討委員会から報告書をいただきました。この検討委員会の報告書を基本に、これまでの検討経緯を踏まえ、このたび、区として、世田谷区本庁舎等整備基本構想素案を取りまとめました。今後、この素案に関する
パブリックコメント、区民説明・意見交換会、区議会における議論を経て、十二月には基本構想として策定してまいります。その後、直ちに設計者選定委員会の設置も含めた設計者選定に向けた準備に取りかかり、来年度早々には事業者の募集を開始し、半年程度をかけて設計者選定プロポーザルを実施し、二十九年度後半から基本設計に着手することを想定しております。これらのプロセスにおきましては、お話にありました情報公開、そして、区民参加と協働について、工夫して進める所存でございます。
次に、利用料見直しにおける区の考え方についてお答えさせていただきます。
区では、これまで行政経営改革の取り組みとして、適正な利用者負担の導入指針に基づき、利用者負担の見直しを行うことで、持続可能な財政運営を築くとともに、安定した施設運営、多様化する区民ニーズに対応してきました。このたびの使用料、利用料の検証及び見直しにおきましては、公正、公平とともに、低所得者等への配慮を基本として、施設区分ごとにさまざまな分析、検証を行っていくこととしております。
施設目的に即した公益的活動への減免についてのお話がありましたが、検証に当たりましては、そうした点も含めて、施設の目的や特性に応じたきめ細やかな検討を行う必要があると考えており、施設区分に応じて丁寧に行ってまいりたいと考えております。
適正な利用者負担の導入指針の見直しにつきましては、行政経営改革全体の考え方を適切に見直す中で、現在、検討を行っております区民集会施設の利用拡充と整合を図りながら、進めてまいります。
以上です。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 私からは、三点につきまして御答弁申し上げます。
最初に、三軒茶屋の新たな行政拠点について、二点ほど御答弁申し上げます。
区では、三軒茶屋周辺におきまして、交通至便性を生かした区民サービスの向上と同エリアでのさまざまな課題解決を図るため、世田谷総合支所の移転を含めまして検討を行ってきたところでございます。移転先といたしまして、区有地での適地がないことから、民間の所有地を候補地といたしまして、土地所有事業者に協力要請をいたしまして、協議を進めてまいりました。また、官民連携のあり方につきましても、本件の検討を進める中で研究を進めさせていただき、区にとりましても習得したものがあり、将来につなげていきたいと思っております。
当面の対応といたしまして、区民の皆様の利用率が高い近傍の太子堂出張所・
まちづくりセンターの狭隘の解消と窓口サービスの向上、三軒茶屋分庁舎の移転、再配置によります産業振興や雇用促進施策の充実に加えまして、災害対策機能を備えたいと考えております。
今後、引き続き、施設規模、コスト面等を考慮して、土地所有者との交渉を継続しまして、行政施設としての確保を念頭に置きまして、中長期的な視点では、総合支所と本庁舎の機能整理を図りながら、御指摘の福祉三課を含めまして、世田谷総合支所の課題につきまして検討を続けてまいりたいと考えております。
この件につきまして、スケジュールについてもあわせて御答弁申し上げます。
三軒茶屋におけます新たな公共施設整備につきましては、官民連携で事業を進めるため、土地所有事業者と施設整備手法、利用の条件、費用負担の方法、区との連携、協働のあり方など、ことしじゅうを目途に、協議を続行する予定でございます。区では、この間、庁内に検討組織を設けまして、世田谷総合支所の整備等の課題について議論を進めてまいりましたが、今後、同検討組織に三軒茶屋エリア全体におけます公共施設の配置をテーマに加えまして、議会などの御意見をいただきながら、検討を進めてまいります。
次に、らぷらすの移転につきまして御答弁申し上げます。
男女共同参画センターらぷらすは、北沢総合支所保健福祉三課の北沢タウンホールへの移転に伴いまして、本年十月一日に北沢タウンホールから太子堂一丁目の民間ビルへ仮移転し、仮移転後の平成三十二年四月以降に総合福祉センター跡施設に移転する予定としておりました。しかし、今般の児童福祉法改正によりまして、特別区は児童相談所を設置できることになったため、
総合福祉センター機能移転後の一部を利用いたしまして設置することを急遽検討しているところでございます。このため、らぷらすは、当分の間、仮移転先で運営を続けながら、早急に移転先を再検討してまいります。らぷらすの利用者や関係団体の皆様には、こうした事情もあり、丁寧に説明する機会を持つことができなかったことは、まことに申しわけなく、反省しているところでございます。
今後、本移転先の候補を早急に検討し、施設の機能拡充内容とともに、議会にお示しし、利用者や関係団体の皆様にできるだけ丁寧な説明を行い、御意見を伺いながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔堀教育長登壇〕
◎堀 教育長 学校現場における障害者理解教育とインクルーシブ教育について御質問いただきました。
教育委員会では、第二次世田谷区教育ビジョンの重点事業の一つに、ニーズに応じた特別支援教育の推進を位置づけ、その充実を図ってまいりました。これは障害者権利条約の批准や障害者基本法の改正、
障害者差別解消法の施行等を視野に入れ、取り組んできたものです。
御質問の障害者理解教育につきましては、自校に特別支援学級がある学校では、特別支援学級との交流及び共同学習や、都立特別支援学校に在籍する学区内の児童生徒の副籍制度による交流などを通し、子ども同士が一緒に学習したり、活動したりする取り組みが定着してまいりました。子どもたちは、障害や多様性の尊重について実感することができ、こうした交流の充実により、インクルーシブ教育システムの考え方を踏まえた教育活動を進めているところです。また、自校に特別支援学級を設置していない学校、例えば、ねづやま夢の学び舎――これは梅丘中、松原小、代田小ですが、このたびのリオ
パラリンピックで銀メダルを獲得したボッチャ競技を通し、光明特別支援学校の子どもたちとの交流を始めております。今後は、全ての小中学校が四年後の東京オリンピック・
パラリンピックに向け、各学校の教育課程に障害者理解教育を具体的に位置づけ、計画的に進めていく考えです。
教育委員会といたしましては、今後も、共生社会の形成に向けて、多様性を尊重する教育の充実を全校で推進し、障害のある方も安心して暮らせる社会を目指してまいります。
以上です。
◎松本
障害福祉担当部長 私からは、障害者施策につきまして、四点御答弁申し上げます。
まず、梅ヶ丘拠点民間棟への引き継ぎについてでございます。
区立総合福祉センターは、平成三十一年度の梅ヶ丘拠点施設の整備に伴いまして、平成三十年度末をもって廃止することが決まっており、これまで総合福祉センターが担ってきた機能の多くは、梅ヶ丘拠点施設の民間施設棟に移行する予定でございます。
機能の移行につきましては、昨年六月に取りまとめました機能・業務移行計画書に基づき、現在の指定管理者である公益財団法人世田谷区保健センターとともに、事業個々の移行手順、スケジュール等の詳細を詰めているところでございます。また、業務移行を円滑に進めるために、総合福祉センターでは、本年四月より梅ヶ丘拠点施設の民間施設棟の運営法人である社会福祉法人南東北福祉事業団から出向職員を受け入れ、実際の業務を経験してもらいながら、移行に向けて、関係機関等との関係づくりなどを行っております。
今後も、現行の指定管理者及び民間施設棟の運営事業者との情報交換を密に図りつつ、利用者や団体への説明と意見交換を丁寧に行いながら、不安がない形で、総合福祉センターの廃止及び機能移行が進められるよう、取り組んでまいります。
次に、総合福祉センターの印刷室の取り扱いについてでございます。
総合福祉センターの印刷室につきましては、先ほど申し上げました機能・業務移行計画書の中で、現在の総合福祉センターの一部を改修して、印刷機、点字プリンターを設置するとともに、障害者団体活動支援のためのスペースの確保を検討することとしております。印刷機や会議室は、障害者団体の活動において重要な機能と考えておりますので、総合福祉センター跡利用全体の機能も踏まえ、団体の御意見を丁寧に伺いながら、関係各部と具体的な検討を進めてまいります。
次に、特別支援学校卒業後の就労支援についてでございます。
特別支援学校卒業生の就職は、直接企業等に就職する場合と、就労移行支援施設に一定期間通所し、就職に必要な知識や技術を習得した後、就職する場合があり、近年は、卒業後、直接就職する生徒がふえていると聞いております。
障害のある方が働き続けるためには、就職後の定着支援が大変重要であり、就労移行支援施設から就職した方には、施設職員が企業への訪問等により就労状況を確認するほか、面接など、あるいは職場での働きやすい環境整備の働きかけなどを行いまして、定着支援を図っております。また、特別支援学校から直接就職した場合には、三年をかけまして、特別支援学校から就労支援センターすきっぷの分室であるクローバー及び分室そしがやに定着支援を引き継いでおります。区では、障害者が安心して働き続け、自立した地域生活が送れるよう、今年度、すきっぷ分室のクローバーに非常勤職員を増員しまして、定着支援の強化を図ったところでございます。特別支援学校とも連携を図りながら、引き続き就労支援の充実に取り組んでまいります。
最後に、特別支援学校卒業後の余暇活動について申し上げます。
障害のある方が企業での就業や通所施設での作業後にスポーツや文化などの活動を行うことは、心身の健康保持、他者との交流による社会活動の拡大、生きがいづくりなど、さまざまな効果があると考えております。現在、区内では、二つの法人が、施設通所者の余暇活動として、土日に独自のデイサービス事業を行っております。また、障害者就労支援センターすきっぷ分室では、企業等の就労者を対象とする料理や手芸などのサークル活動を支援しているほか、NPO法人が定期的に
障害者スポーツ教室を開催しているなどの例がございます。
一方、都議会におきましては、本年二月に障害のある青年・成人の余暇活動に関する請願を採択し、障害者総合支援法に余暇活動を明記することと、必要な予算措置を求める意見書を国へ提出しております。また、東京都では、今年度から障害者施策推進区市町村包括補助事業に青年・成人期の余暇活動支援事業を盛り込んでおります。区といたしましては、東京都の補助制度の活用も念頭に置きながら、すきっぷ就労相談室等でのメニューの充実、場の提供、障害者が参加できるさまざまな余暇活動に関する情報提供の方策等につきまして、就労支援センターや法人等とも検討し、障害者の余暇活動の充実に寄与してまいりたいと存じます。
以上でございます。
◎中村 子ども・若者部長 私からは、四点御答弁いたします。
まず、生きづらさを感じながら、高校や就労を継続できなかった若者の支援についてです。
区では、不登校やひきこもりなどの生きづらさを抱えた若者を対象に、居場所機能を備えた専門的な相談機関として、メルクマールせたがやを開設しております。これまで相談を受ける中では、六割以上が不登校を経験しており、不登校の延長でひきこもりに至ってしまう若者も多く、早い段階からの相談、支援が重要であることが見えてまいりました。
こうした現状を踏まえ、区は、今年度から、メルクマールせたがやにおいて、中学校卒業後に進学先での不登校や、就職しても早期の離職が危惧される場合など、卒業後を見通して、サポートが必要な生徒を支援するティーンズサポート事業を新たに開始しました。全区立中学校の生徒と家庭に本事業を案内するチラシを配布するとともに、養護教諭や教育相談調整会議の場で説明し、周知に努めているところです。今後、教育委員会との連携をより強化し、進学や就職で環境が大きく変化する状況において、多くの生きづらさを抱えた若者に対して、メルクマールの支援が切れ目なく行き届く仕組みを検討してまいります。
次に、保育
待機児童解消と保育の質についてお答えいたします。
初めに、認可外施設の保育士への処遇改善策についてです。
区は、ベビーホテルなどの無認可保育施設を利用する保護者に対して、東京都の指導監督基準を満たす施設に限り、本年四月より保育料の補助を開始しました。さらに十月からは、認証保育所の保育料負担軽減の拡充に合わせて見直しを図ることとしております。
しかしながら、ベビーホテルなどの無認可保育施設は、児童福祉法第五十九条の二に基づき、事業の開始の日から一カ月以内に都知事に届け出を行うことで、誰もが施設を設置、運営することができ、東京都が指導監督権限を有することから、区では、こうした施設への財政支援は難しいものと考えております。また、保育士への直接給付の可能性については、研究をしてまいります。
一方、子ども・子育て支援新制度では、国も
認可外保育施設から認可への移行を積極的に進めることとしており、区としても、平成二十六年度より、移行を希望する
認可外保育施設に対して、移行のための調査費や、移行に係る改修費の支援を行ってまいりました。本年四月には、ベビーホテルからの移行事例も出ており、区としては引き続き、認可移行を希望する
認可外保育施設の支援に努め、保育の質の向上、保育士の処遇改善等を促進してまいりたいと考えております。
次に、労働基準監督署から是正勧告を受けた保育園に関する御質問です。
お話のありました保育事業者につきましては、区内では認証保育所一園を運営しております。
区は、認証保育所につきまして、東京都が実施する定期的な立入調査に同行し、東京都の実施要綱や実施細目で定める基準等の適合状況のほか、児童福祉法を初め、消防法や、お話しの労働基準法など、関係法令の適合状況についても、就業規則や雇用契約書、賃金台帳などを確認し、助言、指導を行っております。当該認証保育所につきましても、保育の質を確保する観点から、同様の指導等を行っておりますが、そうした中では、労働基準法違反のことは確認しておりません。
次に、保育施設がよりよい保育を提供できるように、保育士の労働環境について、区としての指導や支援が必要ではないかという御質問です。
区は、子ども・子育て支援新制度の対象となる
認可保育園等につきましては、児童福祉法及び子ども・子育て支援法に基づき、毎年度策定する指導検査実施方針及び実施計画において対象施設を定め、全施設を対象とした集団指導のほか、個々の施設を訪問する実地検査を実施しており、その中で、職員の配置や勤務条件等についても確認を行っております。認証保育所、保育室等については、年に三回程度の巡回指導相談を行っております。また、区が補助金を交付する財政支援団体として適正な補助金の執行が行われているかを確認する観点から、定期的に指導検査を行っており、その際、職員の配置や勤務条件についても確認を行っております。
世田谷区保育の質ガイドラインに記載してありますとおり、職員が安定して働き続けることができる労働条件が整備されていること、これが保育の質の確保の観点からも重要であると認識しております。今後とも、指導検査の機会に加え、巡回指導相談や研修等を活用し、職員が保育への意欲を持って、安心して子どもに接することができるよう、労働環境に関する相談や指導、支援に取り組んでまいります。
私からは以上です。
◎板谷 政策経営部長 私からは、官民連携に関し、二点お答えをいたします。
初めに、官民連携における民の捉え方についてです。
区を取り巻く環境は、高齢者人口の増加を初め、人口増に伴う待機児童問題や、公共施設の老朽化による建てかえや改修といった行政コストの増加が見込まれるなど、行政需要は、拡大とともに、多様化、複雑化してきており、その対応として、民間との連携を進めていくことも有効であると考えております。そのため、区民にとって、よりよい公共サービスを提供していくことを目的に、民間企業等との連携を一層推進し、官民連携に関する区の姿勢や考え方を示した世田谷区官民連携指針の取りまとめも行っております。
本指針における官民連携の民は、営利企業や財団法人、NPOといった法人格を有する民間団体等を想定しております。民間企業等からの柔軟な発想や手法の提案受け付けにより、公共サービスの幅が広がるなど、官民連携を推進することで、区民のよりよい暮らしにつながると考えております。
次に、企業等と連携する際の基本的な進め方についてです。
区では、官民連携を進めるに当たっての基本的な考え方として、官民連携に関する庁内外の中間支援の役割を果たす担当窓口を設け、民間企業等と丁寧なやりとりを行うことで、提案内容の精査や効果的な提案を引き出して、よりよい施策へとつなげ、対話による価値の創造を図ることを基本としております。
御指摘のとおり、企業の多くは利益を追求いたしますが、CSR――社会的貢献は、企業が社会とともに発展していくための活動でもあり、区としては、企業との連携の効果を最大限発揮できない状況から脱し、公共サービスの充実につなげ、体系化していく対等な関係を目指し、対話を通じた信頼関係の構築を目指してまいります。また、PDCAサイクル等による効果の検証及び改善を図るなど、公益性、公共性の確保を初め、官民連携を効果的、継続的に推進することで、区民にとって、よりよいサービスの充実を目指してまいります。
以上でございます。
◎岡田 総務部長 私からは、本庁舎の整備に関連しまして、設計者選定の公募要領、設計者を選定する委員の人選、また、プロポーザルの選考過程の透明性確保、この点について御答弁申し上げます。
設計者の公募に当たりましては、今回、区が策定した基本構想素案に盛り込んだ災害対策機能を初めとする新庁舎に求められる機能や庁舎の規模、工期、事業費など、設計者が設計するための基本的な条件を明示する必要があると考えております。また、今回の事業が、現在の敷地の中で解体、建設を繰り返す難易度の高い工事となることを考えますと、施工面でも十分なノウハウを持つ設計者を選定する必要があり、区が求める庁舎の設計能力とともに、施工計画の対応能力や提案の実現性などについても的確な評価をし、区にとって最も適切な設計者を選定する必要がございます。このためには、専門家の知見が必要だと考えており、その人選については、区として慎重に進めていきたいと考えております。
さらに、例えば他自治体では、設計者選定プロポーザルの審査の一部を区民に公開して行う公開プレゼンテーションを実施している事例もございます。こうした事例も参考に、今後、透明性、公平性を十分に確保できるよう、設計者選定のプロポーザルの選考過程を検討してまいります。
以上でございます。
◎岩本 教育次長 私からは、学校の均質性の担保に関しまして、二点お答え申し上げます。
最初に、均質性の認識や取り組みについてでございます。
区教育委員会では、第二次教育ビジョン・第一期行動計画において、世田谷九年教育で実現する質の高い教育の推進や、学びを充実する教育環境の整備などを施策の柱として、さまざま取り組みを進めております。お話にありましたとおり、学校の適正規模化の課題やICTを活用した授業の推進、教員の授業力、指導力の向上など、児童生徒が学校生活を送る上で、また、学習を進める上で基本的な条件となる環境の整備については、常に区立小中学校全体を視野に取り組むべき課題であると認識しております。
こうした観点から、これまで適正規模化・適正配置に関する第二ステップに基づく取り組みを進めるとともに、世田谷九年教育では、区独自で制定した世田谷区教育要領に基づく指導を行い、小中学校の教員が学び舎ごとに合同研修を行うなど、教員の指導力の向上に取り組み、区立小中学校全体の教育の質の向上を目指してまいりました。教育委員会として、今後とも、区立小中学校全体の基本的な教育環境の整備や質の向上を図りながら、各学校の特色ある教育を支援することが重要であると認識しております。
次に、太子堂調理場改修工事に伴う対応について御答弁申し上げます。
太子堂調理場については、施設整備の老朽化が著しいことから、昨年度、老朽度調査を行い、その結果を踏まえまして、大規模改修等を行うことといたしました。改修工事の時期につきましては、生徒等への影響をできるだけ少なくするため、学校改築に伴う搬入校がなくなる平成三十一年度とし、夏休みの八月から翌年三月まで工事を行うこととしております。
太子堂調理場から給食の搬入ができなくなる平成三十一年度の二学期、三学期の対応について、さきの文教常任委員会において、基本的には、家庭からの弁当持参とするとの考え方を報告させていただきました。この間の検討におきましては、これまで給食室の改修により一時的に弁当持参をお願いしてきた事例も踏まえ、対応をまとめたものですが、今回は期間が半年に及ぶことから、他自治体の事例を参考に、学校単位での仕出し弁当の活用などについてもあわせて検討してまいりました。
保護者や家庭の状況はさまざまであると認識しており、また、生徒の健康保持増進も重要であることから、例えば仕出し弁当給食など、生徒、保護者の選択肢を用意するなど、今後、さらに具体の検討を進め、改修工事中であっても、昼食の時間が従来どおり楽しく豊かな時間となるよう、取り組んでまいります。
以上でございます。
◆四十六番(風間ゆたか 議員) それぞれ答弁、ありがとうございました。
まず、三軒茶屋の新たな拠点ということで説明をいただきましたけれども、私が質問したのは、区長が公約に掲げていたということと、今回、断念をするという表現があったということがやっぱり気になっています。区長自身は、これは断念したという認識なのかどうかということをまずは伺います。
それから、障害者支援のところで質問をしました梅ヶ丘拠点の民間棟への移転ということについては、利用団体の方たちがどんな不安を抱えているのかということを区が把握することはやっていくという答弁だったと思うんですけれども、実際に、民間事業者に移行されることによって、今の質が担保されるのかどうか、また、その能力があるのかどうかということを心配されているわけです。となりますと、やっぱり直接対話できる機会というのを区がちゃんと設けていくことが必要だということなんだと思います。なので、区がちゃんと間に入って、三者間でそういった意見交換ができるような場を設けていく必要があると考えますけれども、そのあたりをやっていくことができるのかどうかということを改めて伺います。
もう一つは、先ほどお話があった、支援を要する中学生が、その後、特別支援学校に行く場合は、その後の支援体制もまだ整っていると思うんですけれども、普通学校に行った場合に、学校を続けていくことができなくて退学してしまう、自宅に引きこもってしまうというような人たちをどう支援していくかという観点で質問をしました。この点については、教育委員会と子ども・若者部、または障害福祉の領域できちんと連携をしていく必要があると思いますけれども、その体制をきちんととっていけるのかどうか、副区長答弁でお願いします。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 風間議員の再質問にお答えをいたします。
三軒茶屋の行政拠点について、とりわけ選挙時に世田谷総合支所の三軒茶屋移転に向けた着手ということを訴えてきた点についてお答えをしたいと思います。
まさに区民にとって交通の利便性が高い三軒茶屋地域に行政拠点を設けていくことは、世田谷地域の分権、あるいは自治の点からも、その必要性があるものと認識をいたしまして、こうした議論を進めてきたわけであります。今般、議会に御報告した三軒茶屋における公共施設の整備の内容についてのお尋ねだったわけですけれども、本庁舎整備の基本構想を間もなくコンクリートしなければならないという時期が迫っていることから、現時点で、民間事業者との交渉によって確保可能なスペースや、あるいはそのコストとの見合いで、実効性のある計画として、トータルに見て、判断をしたものであります。
三軒茶屋における窓口機能の拡充、
まちづくりセンターにおける福祉の相談窓口の強化、これは、現在、非常に出張所が多忙で、この三者連携のところがまだまだ課題があるというふうにも認識しております。また、分庁舎の移転による三茶しゃれなあどホールの整備や、雇用・産業施策の充実、とりわけ帰宅困難者などが考えられます災害対策機能の強化については、世田谷地域の住民の利便性の向上のため、現時点で優先して解決すべきだというふうに考えています。
しかし、引き続き、民間事業者との交渉を重ねて、区民や世田谷地域の住民にとってサービス向上につながる施設を整備し、支所機能の移転ということについて、中長期的な課題として検討をしていきたいというふうに思います。現時点の判断として示させていただいたということでございます。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 再質問にお答えします。
生きづらさを抱える若者支援の件でございますけれども、おっしゃるように、先ほどは子ども・若者部がメルクマールを中心にお答えしたわけでございますが、決してメルクマールせたがやだけで解決する問題ではないと思っています。したがいまして、出発点の教育から含めまして、それと、そこで受ける子ども・若者部、さらには障害全体の部分の中でのやっぱり理念がないと、そこはなかなか立ち行かないという観点がございますから、この三者がきちっと連携をとり、また、この件については、三部を挙げましたけれども――教育委員会を入れますと三部です――そこだけでもないと思います。そこはやっぱり区全体で支えていかなければならない課題だろうと思っています。そこをきっちり捉えて、連携していきたいと思っています。
以上です。
◎松本
障害福祉担当部長 私からは、梅ヶ丘拠点施設の民間棟への引き継ぎの質の担保、あるいは保護者の皆さん、利用者の皆さんの安心というようなお話の御質問をいただきました。
民間施設棟への移行ということは、当然に円滑な移行を前提としまして、利用者の方々が安心して移行できるということが前提になってまいろうかというふうに思っております。その点では、区のほうが総合福祉センターと民間事業者の調整役となって、円滑な移行ができるような会議ですとか、あるいは調整の役割を担っていきたいというふうに考えております。
また、総合福祉センターと民間事業者の間でも、個々の障害者の内容などが違いますので、利用者の御了解をいただいた上で、個人の情報の引き継ぎということがありますけれども、場合によっては、二人三脚で、ケアをされている障害者の方の情報ということをお伝えしながら、一定期間、一緒になって、その支援に当たるというようなことも予定をしているということを伺っておりますので、今後とも、区のほうが一定の調整機関の役割を果たしまして、円滑な移行ができるよう、努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆四十六番(風間ゆたか 議員) 続きは決算特別委員会で議論できればと思います。
終わります。
○上島よしもり 議長 以上で風間ゆたか議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時四十一分休憩
――――――――――――――――――
午後三時開議
○上島よしもり 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
代表質問を続けます。
日本共産党を代表して、三十三番桜井稔議員。
〔三十三番桜井稔議員登壇〕(拍手)
◆三十三番(桜井稔 議員) 日本共産党世田谷区議団を代表して、質問します。
初めに、さきに行われた参議院選挙について述べます。
参議院選挙は、自民、公明と補完勢力対四野党プラス市民という、野党と市民が力を合わせて戦う選挙となりました。こうした選挙共闘は、地方では行われてきましたが、国政選挙では初めて現実のものとなりました。全国の三十二の一人区全てで野党統一候補が実現し、十一の選挙区で勝利しました。統一候補は、多くのところで無党派層の六割、七割の得票を獲得し、各野党の比例票を大きく上回る得票をとるなど、共闘効果が発揮されました。市民と野党の共闘、ここにこそ日本の政治を変える展望があります。
日本共産党の綱領は、政治を変える道筋として、政策が異なる政党とも一致できるところで力を合わせ行動する統一戦線を大方針にしています。我が党は、市民と野党の共闘をさらに発展させ、安倍政権を退陣させ、安保法制廃止の新しい政府実現のために全力を尽くしてまいります。
安倍政権は、選挙で国民にひた隠しにしてきたさまざまな問題を、選挙後、一気に具体化してきました。戦争法、安保法制では、南スーダン派兵予定の自衛隊部隊に対する駆けつけ警護や宿営地の共同防護の実施訓練を開始しました。殺し、殺される深刻な事態が現実のものになりつつあります。憲法問題では、明文改憲に向けて、自民党改憲案をベースに、三分の二を政治の技術で構築していくと表明しました。また、三度にわたり世論の強い批判を浴びて廃案となった共謀罪法案を、テロ対策を口実に再び国会に提出しようとしています。さらに、社会保障の改悪や沖縄の米軍基地強行など、次々に進められようとしています。我が党は、このような安倍政権の暴走を食いとめるために、野党と市民と力を合わせ、全力を挙げる決意です。
それでは、質問通告に基づき、質問します。
核兵器禁止条約の実現に向けて、伺います。
私はまず、今回、北朝鮮が行った核実験の暴挙を断固として糾弾します。日本共産党として、即日、暴挙を糾弾する声明を志位委員長が発表しました。広島、長崎に落とされた原子爆弾は、一瞬のうちに子どもや女性、年寄りなど、多くの人を殺りくし、町を焼き尽くしました。その年のうちに二十一万人の命が奪われました。生き延びた人々も放射能による障害に苦しみ、心身に深い傷を負い、今なお苦しみ続けています。このような非人道的な兵器は二度と使ってはなりません。今回の北朝鮮の暴挙に対しては、国際社会が一致結束して、政治的・外交的努力を抜本的に強めることです。そして、何よりも世界から非人道的兵器、核兵器を廃絶することであります。
私は、この夏、広島で行われました原水爆禁止世界大会に参加してきました。大会では、ことし四月に被爆者団体から呼びかけられた国際署名を大きく広げることが確認されました。被爆者団体が呼びかけた署名には、「被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます」と記されています。署名用紙には、こう書かれております。「人類は今、破滅への道を進むのか、命輝く青い地球を目指すのか岐路に立たされています。二発の原子爆弾は、広島、長崎を壊滅させ、数十万の人々を殺傷しました。真っ黒に焦げ、炭になったしかばね、ずるむけの体、無言で歩き続ける人々の列。生き地獄そのものでした。もうこんなことは、たくさんです。核兵器は、人類はもとより地球上に存在する全ての生命を断ち切り、環境を破壊し、地球を死の星にする悪魔の兵器です。平均年齢八十歳を超えた被爆者は、後世の人々が生き地獄を体験しないように、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいと切望しています」との訴えです。
みずからが体験した生々しい被爆の実相を伝えることで、世界の人々の世論に訴え、核兵器を禁止、廃絶する条約を実現するための命がけの取り組みです。二〇二〇年のNPT再検討会議までに世界で数億人の署名を集めるとされております。被爆者の皆さんが訴え続けてきた被爆の実相が、核兵器が非人道的な殺りく兵器であることを世界に広げてきました。そして、昨年十二月の国連総会では、百四十カ国の支持で核兵器禁止条約を求める決議が上がりました。今、国際政治は、核兵器禁止・廃絶の条約づくりの方向に大きく動いております。
昨日から国連総会が始まりました。総会では、核兵器禁止条約の交渉開始をめぐる議論が最大の焦点になります。区長は、被爆者団体の方々が呼びかけた署名に賛同していただき、そして、世田谷の被爆者と心を一つに、区民に署名を呼びかけていただきたい、核兵器禁止・廃絶の条約づくりへ世田谷から力を尽くしていただきたい、見解を伺います。
次に、介護保険の問題について伺います。
安倍政権は、参議院選挙後、社会保障の切り捨てを次々と進めようとしています。七十五歳以上の医療費窓口負担を一割から二割に引き上げる、かかりつけ医以外の受診で新たな料金を徴収する、年金のさらなる削減、介護保険については、利用料を一割から二割に引き上げ、要介護一、二の生活援助サービスなどを保険給付から外すことなどです。区民の暮らしと福祉を守ることこそが自治体の役割です。安倍政権の社会保障切り捨てに対しては、区政が区民生活を守る役割を発揮すべきです。
安倍政権は、介護保険の要介護一、二の生活援助サービスを保険給付から外し、地域支援事業に移行させ、福祉用具貸与、住宅改修は全額自己負担とする方針を示して、来年の通常国会で成立させようとしております。区内で訪問介護の生活援助サービスを利用している要介護一、二の人は約二千六百人です。これらの人が地域支援事業に移ったら、どうなるでしょう。政府は、要支援一、二の訪問介護サービス、通所介護サービスを予防給付から外し、ボランティアなどによる新しい総合事業に移行させました。その取り組みの結果はどうでしょうか。当区を含めた多くの地域で必要なサービスの確保ができていません。
生活援助サービスを利用している人からも不安の声が上がっております。私の近所の七十七歳のひとり暮らしの男性は要介護一です。週一回はデイホームに行き、入浴をしています。また、別の日には、ヘルパーを利用し、部屋の掃除や買い物などをしてもらっています。年金暮らしのこの方は、これ以上、自己負担がふえるのはつらいと漏らしておりました。
生活援助が介護保険給付から外されれば、生活に大きな影響が出ます。また、自治体として必要なサービスの確保ができるのか、区はどのような認識か、伺います。
また、福祉用具貸与、住宅改修が保険給付から外され、全額自己負担になれば、サービスの利用を諦めざるを得ないという人も少なくないのではないでしょうか。地域の要介護二の方は、介護ベッド、マットレス、手すりや歩行器、浴槽の手すりなどを利用しながら、家族介護で生活しています。それぞれ月数百円で利用できています。これが全額自己負担になれば、負担ははね上がり、支払い切れないと不安の声を上げております。要介護一、二で福祉用具貸与のサービスを利用している方は、ことし三月時点で約五千人です。このサービスを利用している方の五割にも上ります。
要介護一、二の福祉用具貸与や住宅改修を全額自己負担にすれば、サービスの利用を減らさざるを得ず、介護の重度化につながるのではないでしょうか。区の認識を伺います。
区民生活に大きな影響が出る要介護一、二の保険給付外しをやめるよう、区長は国に求めるべきです。見解を伺います。
次に、介護保険の施設とサービスの整備について伺います。
区は、出張所・
まちづくりセンターの区域を日常生活圏域として、地域密着型サービスの整備を進めています。小規模多機能型居宅介護施設は、二〇二五年度をめどに、全ての地区に一カ所以上整備する目標を掲げ、この間、九カ所が整備され、二十八年度当初予算で、さらに六カ所分の整備予算が計上されました。地域密着型特養ホーム、グループホームは、全ての地区でどちらかの施設を整備することを目標に進めています。
我が党は、全ての方が住みなれた地域で暮らし続けられる介護基盤として、全ての地区に地域密着型特養ホームの整備をと繰り返し求めてきました。これに対して区は、「入所者の御家族や友達もいらっしゃる住みなれた地域での生活が継続できるよう、地域偏在を解消し、希望する地域での入所ができるように特養整備の計画的な整備に取り組んでまいります」と答弁してきました。ぜひ身近な地区で特養ホームに入れるように実現していただきたい。そのために、地域密着型特養ホームの整備を進めていただきたい。全ての地区で地域密着型特養ホームを整備することを求めます。区の見解を伺います。
地域密着型特養ホームの整備に必要な土地の広さは約一千平米。大型特養ホームの四千平米と比べ、比較的小さな土地で整備ができます。整備のための土地の確保へ、国、都の公有地活用や区施設の跡地活用を積極的に進めるべきです。見解を伺います。
次に、来年度予算で、福祉サービスの課題解決に向けて、どう取り組もうとしているのか、区の見解を伺います。
我が党は、二十八年度予算に対して、保育園や高齢者施設などの積極的整備、子どもの貧困対策の推進など、区民の暮らしと福祉を大切にする前向きの予算、前区政で後退させられた特定健診、がん検診の無料化復活、就学援助の拡充、補助五四号線の見直しなど、自民党区政からの転換を進めるものと評価して、賛成しました。
区は、さらに、今回の補正予算で、保育士の処遇改善など、懸案となっていた課題の解決に向けて、足を踏み出しました。保育士の給与アップに向けた対策や保育室の運営費補助の増額、認証保育の保育料補助など、大変積極的です。ある保育室の職員は、低い賃金の中でも、よりよい保育をと頑張ってきた。しかし、生活が大変などの理由でやめていく職員も多くいた。賃金が上がり、補助金もふえ、よりよい保育のために一層頑張りたいと話しておりました。保育待機児解消に、保育の量とともに、質を大切にする保坂区政を高く評価します。
区長は、今議会の招集挨拶で、
障害者差別解消法が施行され、世田谷での障害者施策に向けた新たな決意と抱負を述べております。また、介護の充実、子どもの貧困対策も待ったなしです。区民の切実な願い、何よりも区民生活の実態から見れば、福祉施策充実の課題は道半ばです。来年度予算編成に向けて、さらなる充実を図るべきです。区長は、区民の福祉の充実の願いにどう応えようとしているのか、見解を伺います。
特に処遇改善が課題となっているのは保育分野だけではありません。介護の現場でも深刻な問題となっています。介護職員の離職率が高く、人材確保が難しい。低賃金と厳しい労働条件は、介護の質にも直結します。介護施設で働く二十歳代の男性は、手取りで月十七万円。給料が上がっていくのか、将来が不安。最近、パートの人がやめて、月の夜勤の回数がふえた。これでは体がもたないと訴えていました。保育士同様、介護士の処遇改善も急務です。保育士の処遇改善の施策を区長はどのような思いで行ったのか、また、来年度予算に向け、他の分野でも処遇改善の施策をさらに広げていくべきと思いますが、区長の考えを伺います。
次に、給付型奨学金の拡充について伺います。
区は、子どもの将来が、その生まれ育った環境に左右されることがないよう、子どもの貧困対策に総合的に取り組むとしております。現状の国の制度では、児童養護退所者の若者が未来に夢と希望を持って進学するという選択ができないとして、区独自で給付型奨学金を始めました。また、学業と生活を両立しながら自立していく支援として、住宅支援を行いました。一方、生活保護家庭の若者の大学進学率は約三割で、児童養護施設に次いで低くなっています。
さて、区内には、生活保護家庭で、来年春に卒業を迎える高校三年生が四十九人います。生活保護では大学進学が認められないという制度の問題があります。彼らが大学に行くためには、生計を分離し、学費と生活費はみずからが稼がなければなりません。児童養護施設を退所した若者への支援と同様に、彼らが経済的事情によって進学を諦めざるを得ない状況を変えられるよう、区の支援の拡充を強く求めたいと思います。親の支援が受けられず、大学を目指す若者に対して、区の給付型奨学金の対象を生活保護家庭にも拡充すべきと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、保健師の増員について伺います。
ことし七月から
地域包括ケアの全地区での実施が始まりました。
地域包括ケアの地区展開のために、総合支所の保健福祉三課のバックアップ体制を強化することは不可欠です。この間のモデル実施の報告書では、高齢者への対応だけでなく、障害がある方や母子家庭など、総合支所の保健福祉三課がかかわる相談がふえています。また、モデル地区での相談件数も前年度と比べ一・四倍にふえました。現場の保健師からは、
地域包括ケアの取り組みは積極的だが、仕事がふえ、地域の健康づくりのレベルアップなどの活動がしづらくなっているとの訴えが届いております。七月からは総合支所健康づくり課にネウボラチームを設置し、妊娠期からの切れ目のない支援を進めていきます。総合支所の保健師の増員は待ったなしです。
委員会に報告されました地区、地域の強化に向けた取り組みについてとの区からの報告文書では、高齢者、障害者、子育て家庭への支援に不可欠な人材、特に保健師の確保が急務になっていると書かれております。しかし、同文書では、限られた人材のより効果的、効率的な配置が必要と保健師の増員に向かっておりません。実際、総合支所の保健師は、保健福祉課や健康づくり課などで八十一人がいますが、人数は、この十年間、変わっておりません。区の保健師の増員は急務と考えますが、区は現状をどう認識しているのか伺います。そして、保健師の今後の増員計画はどうなのか伺います。
次に、本庁舎整備について伺います。
区は、これまでの経過を踏まえ、ことし三月に公募区民と専門家の二十人による検討委員会を設置し、委員会での議論と区民報告会を行ってきました。この検討委員会の報告を受けて、八月に本庁舎整備基本構想素案を公表しました。基本構想素案では、基本構想、基本設計、実施設計、工事など、全ての段階で区民参加を進めるとしています。そして、基本構想素案を示した区報特集号を発行し、「ご意見をお寄せ下さい」として、九月の区民説明・意見交換会への参加を呼びかけました。本庁舎整備は莫大な予算がかかり、区民の理解なしには進められません。区が全ての段階での区民参加を打ち出し、こうした形で実践に踏み出したことを評価します。
庁舎整備について、区民の理解はこれからです。現段階では、区民理解は得られておりません。本庁舎整備に向けた区民の理解は、これから進める五カ所の区民説明会にかかっていると思うが、区はどのような姿勢で説明会に臨もうとしているのか、見解を伺います。
この区民説明会での意見や
パブリックコメントの意見は、庁舎整備を進める上での決定的に大切なものとなります。また、庁舎で働く職員の声を聞くことも大切です。その中で、区民理解が十分に得られていないと判断した場合は、スケジュールにとらわれず、説明を続けるべきと考えますが、区の見解を求めます。
次に、区民負担の考え方について伺います。
区は、今議会に事業系のごみ手数料の値上げの条例を提案しています。また、十二月の議会に向けて、保育料の値上げの方針、さらに、使用料、利用料の検証見直しの考え方などが報告されております。新実施計画の行政経営改革の視点では、低所得者への配慮を基本とし、区民負担の見直しに当たっては、事業の継続性と政策目的を踏まえるとされています。しかし、区が示した使用料、利用料の検証見直しの方針では、利用する者と利用しない者との公平性を保つとの方向を示しています。これは、現在の新実施計画の区民負担の視点とは異なる、新実施計画以前につくられた適正な利用者負担の導入指針に基づいているからです。適正な利用者負担の導入指針は、新実施計画の視点で見直すべきではないでしょうか、見解を伺います。
また、今議会に提案されている清掃・リサイクル条例改正案は、事業系ごみ手数料を来年十月から一〇%値上げするとするものです。事業系のごみ手数料値上げは、二十三区と清掃一部事務組合で決められ、二十三区で一律に値上げされています。しかし、事業系ごみを一般収集で出す事業者の多くは零細業者ばかりです。事業系ごみ手数料の一律値上げは、零細業者への配慮から見て、いかがなものでしょうか。飲食店など個人商店や零細業者は、売り上げも厳しく、節約に努力しています。そこに一〇%値上げは大きな負担です。低所得者への配慮の視点に立ち、ごみ手数料値上げに際しては、区独自の軽減策を行うべきではないでしょうか、見解を求めます。
最後に、三軒茶屋駅南口のエレベーター設置に関して伺います。
東急電鉄は、三軒茶屋駅南口のエレベーター設置を、ことし十一月から工事を始め、二〇一八年度に完成し、使用を開始すると発表しました。三軒茶屋駅の地上と改札階を結ぶエレベーターは、地元住民の長年の願いであり、エレベーターができることに対して、皆さん、大変喜んでおります。
住民は、二〇一一年から署名の取り組みを始めました。三軒茶屋駅南口の五十段もある長い階段を苦労して使っている人から、エレベーターが欲しいという切実な声を署名として集め、世田谷区や国交省、そして、当事者である東急電鉄に届け、交渉を繰り返し行ってきました。東急は、三軒茶屋駅利用者の流動調査を行い、その結果、エレベーターが必要との認識を住民に表明しました。また、南口の歩道上にエレベーターの設置が可能かどうか、東急は歩道の地下埋設物調査などを行い、設置可能と住民に説明しました。そして、エレベーター設置の場所や工事の問題、エレベーターができるまでの駅利用者への支援の問題などが話し合われました。住民と東急が一つ一つの段階で話し合いを積み重ね、エレベーター設置に向かっていきました。私も、その都度、議会で取り上げてきました。また、区も東急に働きかけていただきました。三軒茶屋駅南口のエレベーター設置は、住民と議会、そして、区の取り組みの成果です。
区内には、今回の問題のほかにも、環八の歩道橋問題や交通不便地域のバスの運行問題、駅のホームドアの問題など、住民のさまざまな要求があります。そして、相手が国、都、民間事業者とさまざまです。区は、今後も、住民の立場に立ち、各機関、事業者に働きかけるなど、区民要求の実現に努力することを求めます。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 桜井議員にお答えをいたします。
まず、核兵器禁止条約の実現に向け、被爆者団体の方々が呼びかけた国際署名についてであります。
この五月、オバマ大統領が、現職のアメリカ大統領として初めて被爆地広島を訪問、歴史的な一歩が刻まれたと思います。核軍縮に向けた一進一退の行方に注目しているところです。
また、この四月から被爆者の方々が中心となって、核兵器禁止条約の制定に向けて二〇二〇年まで各国で数億筆を目指す署名運動が始まるなど、核兵器廃絶を願う、世界をつなぐ、また全国的な機運も高まり、市民が世界を動かすこの活動について、平和首長会議に参加している私自身としても広げていきたいと考えております。
世田谷区では、先月、愛称をせたがや未来の平和館とする平和資料館を世田谷公園内に全面オープンいたしまして、区としても核廃絶と世界恒久平和を誓った平和都市宣言に基づいて、かつての戦争を振り返り、戦争を繰り返さない決意を込めて平和事業にも積極的に取り組み、区民の皆様とともに、次世代を担う子どもたちにも平和を希求するその思いを継承していきたいと考えております。
次に、介護保険制度について見解を述べたいと思います。
政府は、骨太の方針を掲げ、経済・財政アクション・プログラムにおいて保険料の上昇等を抑制するため、次期介護保険制度改正に向け、関係審議会において検討し、本年末までに結論を出すと報道されております。現在、要介護一、二の方に対する生活支援サービス、福祉用具貸与などについて、給付の見直しや地域支援事業への移行、負担のあり方など、学識経験者、各種団体代表者、自治体関係者を委員とする社会保障審議会介護保険部会について議論が始まっているところであります。
区では、高齢化が進展し、要介護者が増加する中で、介護、医療の支援を必要とする高齢者が住みなれた地域で、尊厳を持って安心して暮らすことのできるように支えていくことが極めて重要な課題だと考えています。次期介護保険制度改正に向かう必要な情報を分析し、今後とも介護保険制度を持続可能なものとして、区民、事業者等と連携して高齢者の地域生活を支えることができるよう、議会とも協議しながら、第七期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定に取り組んでいく所存でございます。
次に、来年度予算編成について福祉充実の課題というお尋ねをいただきました。
広い意味で福祉とは、暮らしやすさだと考えております。誰もが子育て支援から障害福祉、また高齢者福祉まで、生活の質を保ちながら、孤立することなく、地域で支えあい、尊厳を持って生きる基盤が世田谷の魅力につながると考えています。
区では、
地域包括ケアシステムの構築を進めており、この七月から
まちづくりセンター、
あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会が連携した福祉の相談窓口を全地区で展開し、区民の身近な相談を受け、迅速に支援に結びつける取り組みを進めているところです。また、認知症を初めとした高齢者人口の増加や就学前人口の増加による保育
待機児童解消に向けた取り組みを初め、子育て支援の充実のため、世田谷版ネウボラの充実や
児童相談所移管に向けた検討も進めております。また、障害者差別解消の実現や健康づくりにも全力を挙げたいと考えています。
今後、梅ヶ丘拠点整備について、これまでの検討のステップを踏まえながら、健康づくりや人材育成、高齢者や障害者の在宅生活支援などの機能を持つ保健医療福祉の拠点として整備をし、区民の在宅生活を支える取り組みを進めてまいります。保健医療福祉の基盤の整備や人材育成等を中長期的な展望を持って計画的に進め、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる世田谷を目指してまいりたいと思います。
また、来年度予算編成について、
保育士処遇改善について、また、介護関係の人材確保についてもお尋ねをいただきました。
保育士の処遇改善は、保育の質を守りながら保育定員を拡大し、待機児童を解消するために大変重要なことであると考えています。平成二十九年四月に二千二百名の保育定員の拡大に伴って約四百名の保育士が新たに必要となります。国でも二十九年度より処遇改善策の検討をしているところでありますが、これに先立って保育士や看護師に月額一万円を上乗せする区独自の処遇改善に取り組むことにいたしました。この取り組みによって、保育士が安定的に就労できる環境を整備し、ひいては潜在化している有資格者を保育現場の就労に結びつけていくために、一つの自治体の取り組みにはまだまだ限界があると考えております。
先般示された厚生労働省の平成二十九年度予算概算要求や都の補正予算において、保育人材の確保のために、例えば宿舎借り上げ支援の拡充などの具体策が示されています。区独自の支援策とあわせて、引き続き、国や都にも、一時的な措置にとどまらない、全産業労働者平均で約十万円ほど低いと言われている保育士の恒久的な処遇向上について要望を行うなど、保育の質の維持向上と着実な保育定員の拡大に取り組んでまいります。
そして、介護の分野ではどうかということですが、同じように、介護人材の確保も焦眉の課題です。区内の介護事業者からも職員採用に苦慮していると聞いています。一方、現在、区内の特別養護老人ホームで人材不足から入所定員を削減するという状況はございません。しかし、今後の高齢化社会の進展により、介護サービスを充実していく中、介護人材確保の問題はますます深刻になると認識をしております。
介護保険制度の持続的可能性を担保するため、介護の現場での労働環境の改善や処遇改善によって人材を確保し、介護の質を保つことが必要となります。また、国では、新しいキャリアアップの仕組みを構築、平成二十九年度から介護保険制度のもと、月額平均一万円相当の処遇改善に取り組む方向で準備が進められていると聞いております。区では、こうした国の方向性を踏まえるとともに、区の実態を把握した上で、都の人材確保支援事業も活用しながら、今まで進めてまいりました介護初任者研修費助成や福祉人材育成・研修センターの事業などをさらに充実させ、人材育成の強化を図りながら、処遇改善へ取り組んでまいりたいと思います。
最後に、給付型奨学金の対象拡大についてお尋ねがございました。
児童養護施設退所者等奨学基金の創設に当たりまして、子どもの貧困解消の視点から、児童養護施設の退所者だけではなくて、ひとり親家庭や生活保護世帯、生活困窮者など、対象を幅広く捉えて検討を行いました。その中で、親からの虐待、生まれ育った家庭環境から心に大きな傷を持ち、経済的にも、精神的にも本来頼ることのできない、親がいない児童養護施設あるいは里親を離れた若者が最も困難な状況に置かれていると考え、せたがや若者フェアスタート事業をスタートさせたわけでございます。九月九日現在で区内外の皆さんから千三百五十九万円に上る御寄附をいただいているところでございます。子どもたちが大学や専門学校などへの進学を安心して選択できる環境をどうつくっていくべきかについて、一自治体の取り組みを超えて、幅広い視点での議論が必要であると考えています。
平成二十九年の文部科学関係の予算概算要求におきまして、給付型奨学金の創設を含む大学奨学金の充実が盛り込まれており、予算編成過程を通して、この内容について、今後結論を得るとされていますので、区もこうした動向を注視しながら、御提案のありました生活保護世帯についても、子どもの貧困対策全体を議論する中で必要な支援を検討してまいりたいと考えております。
〔板垣副区長登壇〕
◎板垣 副区長 私からは、新たな区民負担につきまして、適正な利用者負担の導入指針について見直すべきとのことについて答弁させていただきます。
区はこれまで持続可能な財政基盤を築くことを目的としまして、平成二十二年に策定しました適正な利用者負担の導入指針に基づき、利用者負担の見直しを行ってまいりました。このたびお示しした使用料、利用料の検証及び見直しの基本的な考え方として、新実施計画に基づき、施策や事業の継続性と政策目的を踏まえて、公正公平とともに低所得者等への配慮をすることを基本としております。
適正な利用者負担の導入指針の見直しにつきましては、行政経営改革全体の考え方を適切に見直す中で、現在進めております区民集会施設の利用拡充の検討と整合を図りながら進めてまいります。
以上です。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 私からは、三点につきまして御答弁申し上げます。
最初に、国の要介護一、二に対するサービスの検討につきまして御質問がありました。御答弁申し上げます。
介護保険制度では、区民の自立支援に向けましてサービスの提供に取り組んでいるところでございます。高齢者の増加に伴う介護保険給付が増大する中で、介護保険料が増加し、保険給付のあり方が課題となってきております。本年七月に開催されました社会保障審議会介護保険部会では、要介護一、二の方への支援のあり方として、主に訪問介護におきます生活扶助、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修につきまして、それぞれ議論が行われているところでございます。
要介護一、二の方への訪問介護では、掃除や一般的な調理、配膳などの生活扶助の比率が高くなっておりまして、介護人材が不足する中で、専門性などに応じた担うべき業務の役割の見直しが必要であると言われております。部会におきましては、介護保険の理念であります自立支援や介護保険制度の持続可能性を踏まえ、検討が行われております。
区といたしましては、必要かつ適切なサービス提供によりまして、利用者の重度化予防や生活が守られるよう、国の動向を注視するとともに、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定の中で検討を進めてまいりたいと考えております。その際には、必要なサービスの量の確保、供給体制につきましても、十分留意してまいります。
次に、保健師の増について二点御質問いただきました。あわせて御答弁申し上げます。
保健師は、地域保健対策の主要な担い手としての役割を果たしてきたところですが、そのあり方も、区民に対しまして直接的なサービスの提供から、関係機関との連携を密にした総合的な調整、各種保健医療福祉計画の策定への関与等、マネジメント能力も求められているところでございます。この七月からは
地域包括ケアの地区展開、妊娠期からの子育て家庭を支える切れ目のない支援、世田谷版ネウボラをスタートし、保健師の役割もさらに重要性を増しまして、保健師の確保は喫緊の課題であると認識しております。
保健師の人員状況でございますが、平成二十八年八月現在では、常勤保健師百名、うち総合支所では八十一名の保健師が配置されておりまして、この十年間で見ますとほぼ同数で推移しております。今後、さらに区民の暮らしを守る専門職としても、保健師に求められる役割は増大すると考えられます。現行の体制の強化と新たな課題に対応できるよう、需要数を見きわめまして保健師の人材確保に努めてまいります。あわせまして、保健師としての専門能力と行政能力の向上を目指し、地域の課題に的確に対応できるよう人材育成に努めてまいります。
以上でございます。
◎瓜生
高齢福祉部長 私からは、二点御答弁いたします。
まず、要介護一、二の住宅改修、福祉用具貸与の自己負担についてでございます。
介護サービスにおける福祉用具貸与、特定福祉用具販売ではその費用の一割または二割、住宅改修では二十万円を上限としてその一割または二割が利用者の自己負担となります。本年七月に開催された社会保障審議会介護保険部会では、要介護一、二の方への福祉用具、住宅改修について、利用者の自立支援、状態の悪化の防止、介護者の負担軽減等を踏まえ、利用者負担のあり方について検討がされております。また、利用に当たっては、利用者が適切なアセスメントとケアプランに基づき利用できるよう、サービス担当者会議のみならず、地域ケア会議の活用などについても検討がされております。
区では、これまでも福祉用具や住宅改修について、利用者の実態に沿って適切なサービスが提供できるように、職員と専門家のチームによる訪問調査や事業者等を対象とした講演会等を行っております。国の検討状況を見ながら、今後も適切なケアプランに基づき、重度化を防ぎ、利用者が自立した在宅生活を継続できるように取り組んでまいります。
次に、二十七地区の全てでの地域密着型特養ホームの整備についてでございます。
定員二十九人以下の地域密着型特養ホームや小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスは、住みなれた地域で生活を送るために大変重要なサービスと認識しております。地域密着型特養ホームは、定員三十人以上の特養ホームに比べ、比較的小さい土地で短い工期で整備が可能ですが、本体施設のサテライトや併設事業がないと経営が厳しいという課題がございます。
区では、二〇二五年を目途とする、介護施設等整備の基本的な考え方といたしまして、特養ホーム千人分の整備を目指しており、整備が進んでいる地域密着型特養ホーム三カ所を含め、区内での整備のめどが立っております。特養の整備に当たりましては、公有地の活用などにより、整備を着実に進め、十人程度の少人数のユニットケアにより、家庭的な雰囲気の中で生活が送られるよう、また地域との交流が図られるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
◎板谷 政策経営部長 私からは、区民の暮らし、福祉を守るための国、都の公有地活用、区施設の活用についてのお尋ねにお答えをいたします。
区では、区政が直面する喫緊の課題に対応するため、一つの手法として、これまでも国有地や都有地などの公有地を積極的に活用して公共施設の整備に取り組んでおります。具体的には、国家公務員宿舎削減計画による廃止宿舎の跡地等の国有地を活用した都市公園や私立認可保育園の整備、特別養護老人ホームの整備、都営住宅の建てかえ事業に伴う創出地を活用した施設整備、道路代替地などの区有地を活用した施設整備などがございます。
今後も引き続き、お話しのありました高齢者施設の整備、保育待機児解消や老朽施設の更新、みどり33などを推進するため、区有地活用を初め、国や都など、関係機関と積極的に協議を行い、公有地の活用に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
◎岡田 総務部長 私からは、本庁舎整備に関連しまして、本庁舎整備に向けた区民の理解を得る取り組みについて御答弁を申し上げます。
本庁舎等は、区民共有の財産であることから、本庁舎等の整備には、区民の理解が不可欠であると考えております。特に本庁舎等の整備の必要性、必要な機能等については、今般、区として策定した素案の段階で区民の皆様に丁寧に御説明をする必要があると考えております。
こうした観点から、今回、「区のおしらせ」特集号を発行し、
パブリックコメントを実施するとともに、今週末より五地域で区民説明、意見交換会を予定しているところです。区民説明、意見交換会におきましては、本庁舎等整備の必要性について、写真などを含めた資料により、わかりやすく丁寧に説明するとともに、ファシリテーターによる意見交換を行うなど、区民の皆様から多くの御意見をいただけるよう工夫をしていきたいと考えております。
区民の皆様からいただきました御意見につきましては広く周知するとともに、十一月には基本構想の案、十二月には基本構想を策定し、平成三十二年度の着工を目指してまいります。素案にお示ししたとおり、本事業については、今後もそれぞれの段階でその過程を公開し、区民への説明を含め、適切な区民参加の方法を工夫していく必要を考えております。区民とともにつくる本庁舎整備となるよう最大限の努力をしてまいります。
以上でございます。
◎青山 道路・交通政策部長 私からは、三軒茶屋駅南口のエレベーター設置について御答弁いたします。
三軒茶屋駅南口のエレベーターにつきましては、世田谷区が平成十八年三月に三軒茶屋駅周辺地区交通バリアフリー基本構想を策定する際に実施いたしましたアンケート等においても、多くの方々が整備を望まれており、基本構想を策定する際の学識経験者、道路管理者、交通管理者、鉄道事業者などで構成される協議会におきましても、その必要性が議論され、基本構想において継続的に取り組む課題として位置づけられた経緯がございます。
当時より、国道二四六号の歩道は、歩行者が非常に多い割には歩道幅員が狭く、複雑な地下埋設物など、整備には多くの課題があり、現在も設置の困難さには変わりはございませんが、区は駅を利用する多くの方々の利便性などを考慮いたしまして、東急電鉄や道路管理者等と連携しながら、粘り強く協議検討を重ね、今回の工事に至ったものでございます。
区といたしましては、今後とも区民の皆様からのさまざまな御要望に対し、それぞれの要望内容を精査の上、各関係機関と連携し、課題解決に向け、取り組んでまいります。
以上です。
◎松下 清掃・
リサイクル部長 私からは、事業系ごみ手数料の件につきまして御答弁申し上げます。
商店や会社などの事業活動から出たごみは、廃棄物処理法の規定によりまして、事業者の責任において自己処理する、あるいは許可業者への委託により処理することが定められております。そのため、自治体によっては、事業系ごみを収集していない市町村もありますが、区内には小規模事業者も多く、ごみ量が少ない場合、許可業者への委託が難しいことなどから、区は少量の事業系ごみは、事業系有料ごみ処理券を張っていただき、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせて区で収集をしているところでございます。
なお、産業廃棄物は、処理施設の多くが民間であり、事業系一般廃棄物と比較して料金が高くなる傾向がございますことから、区が一般廃棄物と産業廃棄物を同一料金で収集することは、中小規模の事業者様への支援にもつながっているものと考えております。今回の廃棄物処理手数料の改定でございますが、現行の手数料と実際に要する経費との間に生じている乖離を解消するために行うものでございまして、例えば毎日二キログラム程度のごみを区の収集にお出しになるという場合、月二十日間で約百四十円の値上げとなるものであります。
この手数料改定について、区内事業者の皆様にお知らせする際は、区のごみ収集よりも安価に御利用いただける事業系リサイクルシステムや事業系廃棄物夜間収集についてもあわせて御案内申し上げ、平成二十九年十月の改定まで、約一年をかけて丁寧に周知してまいりたいと考えております。御理解をいただきたいと存じます。
以上でございます。
◆三十三番(桜井稔 議員) 区長に伺います。
私は給付型奨学金の拡充について伺いました。生活保護家庭の高校三年生、今四十九人いるということで、この人たちにも対象を広げるべきと述べました。そのうちの一人の例を紹介しますが、その三年生は、親から虐待を受け、世帯分離している高校生です。その子は、勉強がよくできて大学にも行きたいと言っておりますが、高校では学費を区から借りて通っていますが、高校を卒業したら、その返済が出てくる。大学に行きたいけれども、生活保護では認められないので、大学の学費と生活費を稼がなければならない。その上、高校で借りている借金も返さなければならないということであります。大変な状況だと言っておりました。区長はこういう生徒をどう見ているのか、ぜひ支援をすべきと思いませんか、伺います。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 再質問にお答えをいたします。
今のお話は大変重く受けとめました。学ぶ意欲、能力がある若者が、経済的理由により進学を断念するということがないように、安心して勉強できる環境を整備していくことは、急ぐべきことだというふうに考えています。また、誰もが進路選択ができる社会をつくっていかなければいけないと思っておりまして、大学に行かないという選択をすることも、これは自由ですけれども、大学に行くという選択が立場上、制度上できないというふうになりますと、事実上、身分社会に近い状態になり、これは非常に大きな格差、貧困の連鎖につながっていくというふうに思っております。
先ほどもちょっと触れましたけれども、文科省、国のほうでの議論がどのように展開していくのか、どういう具体策に実を結ぶのか、注目しながら、生活保護世帯の子どもたちも含めて、全ての若者が希望する進路を選択できる選択可能性が発揮できる社会を、地域をつくっていく。そのための議論を深めていきたいと思っております。
繰り返しになりますが、国の動向を注視し、子どもの貧困対策全体の中で、今御指摘の一人の若者の例も含めまして、必要な支援を検討してまいりたいと思います。
◆三十三番(桜井稔 議員) 今言われました高校三年生四十九人は来年卒業の人たちですので、今やっぱりどうしようかと。家庭の事情で行けるのかどうかすごく心配していますので、ぜひ早急な結論を出していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
もう一つ伺いますが、これは宮崎副区長に伺います。
事業系のごみ手数料の値上げについて、私は一般収集に出す事業者は個人商店や零細業者と述べました。ある業者は、一回のごみ出しで、四十五リットルの袋に目いっぱい詰め込んで、ごみ出しの回数を減らすということで努力をしておりますということです。同時に区も、二十九年度予算編成の依命通達ではこう書かれております。政府は雇用・所得環境を中心に大きく改善しているといいますが、一方で個人消費の伸びは鈍いため、区内の事業者、勤労者の景況感は依然として不安視する割合が多いと述べております。
商店街では、売り上げが上がらずに商売が大変だという声が蔓延しております。新実施計画での行政経営改革の考え方は、低所得への配慮、事業の政策目的を踏まえるとあります。ぜひこの手数料値上げについては検討していただきたいのです。見解を求めます。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 再質問に御答弁申し上げます。
事業系ごみ手数料の関係でございますけれども、今、通達の御紹介もいただきました。区内事業者の観点に立ちますと、今の景気がどういうふうに、不透明感が漂っている部分もございまして、決して楽観しているわけではございません。
そうは申し上げましても、先ほど部長のほうから申し上げましたが、この産業物の処理法の法に基づく部分の中で今回の御提案をしているわけでございます。そういう意味では、一定のルールを置いてこのような対応をしてきたということについては、ぜひ御理解をいただければと思っております。
ただ、先ほど部長のほうから答弁がありましたが、一つは、来年に向けてということで、まず丁寧な説明の機会はいただけるんじゃないかと思っていまして、これは鋭意努力したいと思っています。さらには、今の御提案でございますけれども、この値上げの問題ということの観点ではなく、このような状況の中でどのような対応が例えばできるのかできないのか、こういうことについての工夫策がとれるかどうか、こういうことについてぜひ検討させていただければと思います。
以上でございます。
○上島よしもり 議長 以上で桜井稔議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時五十六分休憩
――――――――――――――――――
午後四時十分開議
○上島よしもり 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
────────────────────
○上島よしもり 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。
────────────────────
○上島よしもり 議長 代表質問を続けます。
自由民主党を代表して、四十一番石川征男議員。
〔四十一番石川征男議員登壇〕(拍手)
◆四十一番(石川征男 議員) 質問通告に従い、自由民主党世田谷区議団の代表質問を行います。
戦後復興から高度経済成長へと続く昭和時代の象徴的な出来事として語り継がれる一九六四年の東京オリンピック、抜けるような青い空、これ以上ない秋晴れとなった十月十日、当時、大学一年生であった私の目に映った国立競技場の聖火は、日本の成長を予感させるものでした。そして、今もなお鮮明な記憶として残るのは、家族とともにテレビに釘づけとなり、応援した東洋の魔女の活躍、女子バレーの金メダルです。まさに日本中が勇気と希望に包まれた瞬間でした。
時代は、昭和から平成へ、私たちの生活は劇的な変化を遂げましたが、同時に私たちが大切に育み、最も重んじてきた礼儀作法や人を思いやる気持ちなど、日本の心、日本人の気質が少なからず失われてきたようにも感じます。
さて、十七日間の熱戦に幕をおろしたリオオリンピック、そして今なお熱戦が続く
パラリンピックで躍動する選手の姿は、時代を超えた今でも当時と同じように大きな感動となって日本中を駆けめぐっています。スポーツが持つ力の大きさを改めて実感するわけですが、特にオリンピックでは、金メダルに輝いた水泳や柔道、レスリング、体操、バドミントンを初め、多くの競技で過去最多、四十一個のメダルを獲得、中でも並みいる強豪国がひしめく中で、世界に衝撃を与えた陸上男子四百メートルリレーの銀メダルは、まさにチームジャパンが一丸となってなし遂げた偉業でありました。この四年に一度世界が注目するスポーツと平和の祭典が、半世紀以上の時を超え、いよいよ東京に帰ってきます。
我が会派は、平成二十五年九月、IOC総会での二〇二〇年東京大会決定以降、さまざまな観点から区の姿勢や施策の方向性などを伺ってまいりました。その一つが、平成二十六年第一回定例会の代表質問における事前キャンプの招致という具体的な提案であったことは、御承知のとおりであります。決定から三年、私たちは、二度目の開催となる成熟した国際都市東京として、アスリートファーストの大会準備とあわせ、まさに大会以降を見据えた区民ファーストの施策を展開していかなければならないとの責任の重さに、改めて身の引き締まる思いが込み上げてまいります。
そこで、まず初めに、東京二〇二〇大会に向けた取り組みに関し、改めて伺います。
馬術競技の会場である馬事公苑周辺や
アメリカ選手団の事前キャンプ地となる大蔵運動公園の整備を着実に行うことはもちろんですが、おもてなしの心を体現するボランティアの確保や大会を契機とした機運の醸成、国内外からの観光客誘致に向けた観光政策、さらに大会以降をしっかりと見据えた戦略等、四年後に向けた課題は山積しています。区でも、リオオリンピック・
パラリンピックに職員を派遣するなど、現時点で可能な限りの準備を進めているように見受けられます。しかし、開催に至るまで待ち受ける多くの課題は、誰一人として経験したことがない困難なものと言っても過言ではありません。
本大会に向け、区政のさまざまな分野で区民の期待が高まる一方、期待に応えるだけの十分な結果が残せるのか、時間の経過とともに一抹の不安がよぎります。何度も申し上げているとおり、国や都との強固な連携はもはや必要不可欠であり、さらに、区のリーダーシップのもと、民間、大学機関等、さまざまな組織と連携した施策を数多くスピーディーに展開していくことが、アスリートファースト、区民ファーストの取り組みに向けた大きな成功要因の一つと考えます。
東京二〇二〇大会を契機に、大会以降も見据えた施策展開を区はどのように図っていくのか、また、馬事公苑周辺などの整備に向けても具体的な方針、指針をつくり、臨むべきと考えますが、見解を伺います。
あわせて、今後ますます重要となる区の国際化についても伺います。
さきの定例会においても、外国人旅行者や在住外国人の増加、そして東京二〇二〇大会を契機とした区の国際化に向けた方向性を確認したところですが、区内在住外国人への支援、外国人観光客誘致といった課題に関して見れば、大会はあくまでもきっかけにすぎません。むしろ大会以降、十年、二十年後も持続可能な息の長い支援策、政策展開が必要であると考えます。
昨年度策定した区の総合戦略では、魅力ある世田谷のブランド力アップの必要性について触れていますが、在住外国人への支援策の充実や観光客誘致を通じた国際化の推進は、国際都市として欠かせない多様性を受け入れる町のイメージアップとなり、結果、区のブランド力アップにもつながるものと考えます。
東京大会前後の盛り上がりを大きな契機として、リオやロンドンでの成功事例についても十分検証し、今から長期的視点に立った観光、外国人支援についての戦略的な政策展開は必須であると考えますが、見解を伺います。
さて、六月の第二回定例会以降、リオでの熱戦以外にも、国内外を問わずさまざまな激しい動きがありました。七月、バングラデシュでの卑劣きわまりないテロにより、邦人七名のとうとい命が犠牲となりました。その直後に、フランス南部のニースで、バスによる無差別テロが発生するなど、世界各地で頻発するテロ行為への強い憤りとともに、その不安と恐怖は日本でも現実に起こり得るものとして万全な対策を講じなければならないとの強い思いが込み上げてまいります。
また、イギリスでは、EU離脱を問う国民投票が行われ、僅差で離脱派が残留派を上回る結果となりました。これを受け、世界中のマーケットが敏感に反応するなど、今後の日本経済に与える影響ははかり知れず、引き続き注視する必要があります。
一方、国内では、世田谷区にとっても重要な二つの選挙が七月に行われました。一つは、自民、公明の政権与党に対し、民進党、共産党など野党四党が統一候補を擁立し、注目された参議院選挙であります。結果は、既に承知のとおり、消費税引き上げ延期を含め、道半ばであるアベノミクスを強化し、デフレ脱却を確実に実現してほしいとの国民の意思が明確に示されたわけですが、増税分を財源として見込んでいた今後の社会保障施策への影響は注視しなければなりません。
また、都民の信頼回復に向けた東京都知事選挙では、小池新都知事が誕生しました。リオオリンピック閉会式でリオ市長から五輪旗が手渡され、東京大会への決意を述べる一方、早速、築地市場の移転延期を決定するなど、みずから掲げた東京大改革を実行されているようですが、都区制度がしかれている中で、さきに申し上げた東京二〇二〇大会はもちろん、区政全般にわたり東京都といかに連携を強化し、あるいは他の二十二区と歩調を合わせながら、いかに対峙していくのか、その判断、決断が区の将来に大きく影響することは明らかです。新都知事の手腕もさることながら、今後も保坂区長の姿勢、言動、その一つ一つが大変重要になることは言うまでもなく、過去に散見された信頼関係を損ねる軽率な言動など、決して許されません。
そして、これまで何度も申し上げてきたとおり、区政に山積する重要課題の克服に向けては、将来を見通した緻密な戦略のもとで、繰り出す施策のバランスとスピードを欠くことなく、全ての取り組みが区民のためであることを忘れてはなりません。我が会派は、区政の停滞を招く言動や区民生活を顧みない自分ファーストの姿勢に対しては、今後もしっかりと対峙していく覚悟であります。
さて、今定例会は、保坂区政二期目のスタートであった二十七年度の決算議会でもあります。区長はリーダーとしての責務を十分果たされたのか、一票を投じた区民の期待に応え、区政全般にわたるさまざまな施策のバランスをとり、課題を克服するためにスピード感を持って適正に財源を投入してきたのでしょうか。
本年三月、この議場で可決された保坂区長の言動を改めるよう求めた決議は一つの答えであります。また、視点を変え、決算状況の特徴を見ると、本庁舎整備など、将来の財政需要に対する備えとして約百億円の基金積み立てを行ったことは、財政基盤確保の観点から当然のことであります。
一方で、予算編成の段階では、さまざまな課題に限られた財源を効率的、効果的に配分することを基本としながら、執行率は前年度比で一・六ポイント低下している状況です。私立保育園運営費や学校改築費など、民生費、教育費の執行率はともに九四%台と高い状況の中で、特に土木費の執行率が八四%台と低く、道路用地取得費などに多額の不用額が見られますが、未来を担う子どもたちへの投資とともに、その子どもたちの暮らしを守る都市基盤をしっかりと整備するというバランスに欠けているのではないでしょうか。
より多くの区民が享受できる施策、例えば安全で歩きやすい道路整備など、区民にとってバランスのとれた納得のいく予算執行であったのか、決算議会の初日に当たり、改めて二十七年度区政運営の総括を伺います。また、二十九年度予算の編成方針が示されましたが、二十七年度決算状況を踏まえ、予算編成にどう生かし、取り組んでいくのかあわせてお聞かせください。
さて、二十九年度予算に関し申し上げましたが、二十八年度予算は、区政史上最高額となりました。子どもや高齢者施策を初め、今後も増大する行政需要や本庁舎整備を初めとする公共施設の維持、更新が控えている中で、改めて将来にわたる行財政改革の取り組みに終わりはないと肝に銘じなければなりません。区でも、未来志向の行政経営改革と銘打ち、現状の取り組みのままでは将来の危機に耐えられないとの認識を示しておりますが、では、この未来志向という実態がつかみにくい表現を用いただけの行革で、今後も増大し続ける行政経費に耐えられるのか、事務事業の見直しなど、不断の取り組みにとどまらず、区長が積極的でない利用者負担の見直しを含めた区民の理解を得て行う行革も避け続けることはできません。そして、行革の取り組みこそ、さまざまなバランス感覚とスピード感が必要です。今後、どのように行財政改革に取り組むのか、具体的にお答えください。
続いて、公共施設に関して伺ってまいります。
地方の人口減少が危惧される一方で、区の人口は増加しています。この人口増化が保坂区長の手腕によるものなのか、あるいは人口減少を全国的課題として捉え、地方との共存共栄が叫ばれている中で、単純に歓迎してよいのかという疑問はさておき、とりわけ増加が著しい子どもや高齢者の行政需要に対し、将来にわたり行政だけで応えることが厳しいことは共通する認識であるはずです。
そこで、保育園や介護などの施設整備需要に対しては民間に公有地を貸し付け、施設整備は任せるといったこれまでも行っている民間活用の手法を一層進めていくべきと考えます。
また、一つの施設を将来需要の変化に合わせ、さまざまな使い方を想定し、可変的な施設として活用することも今後必要ではないでしょうか。例えば十年、二十年は、保育園を初めとする子育て支援施設として、その後は団塊の世代を見据え、高齢者施設へ転用する、あるいは施設本来の目的として使わない時間帯を活用し、地域の皆様に貸し出すなど、さまざまな機能を持った施設とし、あらかじめ整備することなどを検討すべきと考えます。あわせて見解を伺います。
この公共施設整備に関して、区では、今後三十年を展望した総合管理計画を策定しようとしています。高度経済成長期、大量に整備されたインフラの更新は、全国の自治体が抱える課題であり、学ぶべき先進事例もあるはずです。計画策定に当たり、どのような事例を参考にしたのか、そして計画の最大の目標は何か。言うまでもなく、公共施設は区民の財産です。十年、三十年と言わず、さらなる大計の覚悟で進めるべきです。見解を伺います。
また、施設の更新だけでなく、施設の使い方や利用者間のルールづくり、あるいは公平性の観点から、使用料などの利用者負担のあり方なども含め、幅広い区民の理解が欠かせません。このような視点を十分踏まえた上で、計画を着実に推進していくことが必要です。今後、公共施設が計画に沿って適切に保全、管理、更新されるために、庁内体制をどのように整備していくのか伺います。
次に、本庁舎等の整備についてです。
本年四月から七月の四カ月間、本庁舎等整備基本構想検討委員会において熱心な議論が集中して行われ、私も毎回傍聴させていただきました。私個人の感想は差し控えますが、先月、検討委員会からの報告書が、委員長から区長に手渡され、このたび、本庁舎等整備基本構想素案が示されました。我が会派は、昨年来、保坂区長の本庁舎整備に関する迷走を厳しくただしてまいりましたが、この場で何を申し上げても失った時間は戻りません。区長は検討委員会からの報告を受け次第、本庁舎整備の今後について決断すると明言されました。報告書は提出されました。合理的な手法でスピード感を持って、これまでのおくれを取り戻さなければなりません。現時点で何を決断されたのか、いまだ何ら決断していないのであれば、何をいつ決断しようとしているのか、今後の具体的なスケジュールとあわせて、明確にお答えください。
また、本庁舎整備の方向性をも左右する世田谷総合支所の移転に関し、引き続き、現在の本庁敷地内に整備する方針が示されました。世田谷支所の移転に関しては、交通至便な三軒茶屋を候補地として、適地を有する事業者とも協議を重ねてきた結果、実現にコストや人員面での課題が大きいことから断念したと聞いております。さまざまな角度から検討した上での判断であると思いますが、重要なのは、本庁敷地内に整備される支所機能や区の広域生活、文化拠点である三軒茶屋への行政機能の展開が、妥協の産物であってはならないということです。
現在地に残る世田谷総合支所の機能とあわせ、区が描く三軒茶屋における行政機能の今後の展開についてお聞かせください。
次に、子ども施策について二点伺います。
まず、保育待機児対策です。
全国的に少子・高齢化が進む中、区では、子育て世代の人口が伸びています。元気に遊ぶ子どもたちの姿を多く目にすることはかけがえのないものです。しかし、一方で、保育サービス需要の高まりにより、保育待機児数の不名誉な状況が続いているのも事実です。
政府が進める一億総活躍の最大のターゲットは女性です。多くの女性が自身の能力を遺憾なく発揮し、安心して働くための保育サービス拡充策もさまざま示されています。こうした中、区では保育待機児対策担当参事を兼任する宮崎副区長を中心に、国に先んじた新たな独自施策の実施を含めた取り組みを進めています。このスピード感は一定の評価をいたしますが、財源確保の継続性や将来にわたる健全財政の維持など、懸念材料も少なからず見受けられます。
こうした施策の推進に当たっては、しっかりと将来を見据えた判断、決断が欠かせないわけですが、保育待機児解消に向けた取り組みを当面どのように進めていくのか、人口推計も加味しながら、将来に向けた取り組みの方向性とあわせ伺います。
二点目は、児童相談所の移管、設置についてです。
法改正を受け、区では、平成三十二年四月以降、できる限り早い時期に児童相談所の移管、開設を目指す方針を示しました。改めて申し上げますが、児童相談所とは、子どもたちを守り、命を救う責務を負うものです。移管、設置ありきで進めることなど決してあってはならない施設であり、その鍵を握るのは人材にほかなりません。さらに、財源を初め、移管に際しての課題が山積する中で、果たして真に機能を果たせる施設として開設できるのでしょうか。特に先ほど申し上げた人材については、東京都との交渉に頼っていては立ち行かなくなる可能性すらあるとの覚悟も必要です。加えて、関係行政機関との強固な連携など、これまで広域に都が担ってきた利点も見逃してはなりません。
意気込みだけでは、真に子どもたちの命を守ることはできないとの覚悟のもと、
児童相談所移管、設置に向けた課題を克服する道筋を整理した上で判断すべきであると考えますが、特に人材確保策を含め、具体的にどう取り組んでいくのか伺います。
続いて、高齢者施策について伺います。
区では、この七月から
地域包括ケアの全二十七地区での展開が始まりました。それぞれの地区で三者が連携し、区民の困り事に丁寧に応えているとは思いますが、一番多い相談が引きこもっている子どもの相談であるという声を聞くこともあります。さまざまな区民の相談に応えることは否定するものではありません。しかしながら、国が本来目指している高齢者施策としてどの程度対応が進められているのか、今後、十分な検証も必要です。
さて、子どもの人口がふえているとはいえ、高齢者人口比率がふえていることも直視していくべき事実であります。区では、二〇二五年に向け、特養千床を増床する計画としていますが、その担い手やサービスの質の確保はどのように進めていくのでしょうか。国においても、介護サービス従事者の待遇改善や介護離職者ゼロを掲げ、新たな取り組みが進められています。
今後、高齢化のスピードが区の予測をはるかに超えることも想定し、国の動きを機敏に捉え、質の高い介護サービスが提供できるよう、スピードを上げて人材確保や人材育成に力を入れていただきたいと切に願いますが、区の見解と対応についてお聞かせください。
次に、区が目指す町の将来像についてです。
近年、周辺区市では、地域特性を踏まえた絶対高さ制限の導入が進み、区でもこのたび、他区に先駆け、平成十六年に定めた建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの基本的考え方、素案を取りまとめました。
我が会派は、こうしたまちづくりの取り組みに際しては、区民の財産権にかかわる問題もあわせ持つことから、単にスピードだけでなく、関係する区民への説明責任を果たすなど、丁寧な取り組みが大切であると考えます。このたびの素案の特徴及び今度の進め方とあわせ、目指す町の将来像を伺います。
さて、先月末、台風十号の影響による岩手県や北海道を中心とした記録的な大雨により、またしてもとうとい命が犠牲となってしまいました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福とともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
このたびの災害は、台風上陸の可能性による十分な警戒の中で起きました。改めて自然災害の猛威を痛感するとともに、自治体の責務とは何か、その対応がいかに大事であるか、そして河川の氾濫や土砂による道路の寸断など、基盤整備がいかに重要かを再認識させられるものでもありました。私たちの暮らしを脅かす首都直下地震への備えの必要性は誰もが認めているところですが、中でも道路は、さきの熊本地震の例を見るまでもなく、災害から区民の生命、財産を守るために必要不可欠な都市基盤です。
全力で道路整備に取り組むと区長が明言されて約半年が経過するわけですが、まず全力で取り組んできたこの間の進捗状況をお答えください。
また、特に区内は狭隘道路が多く、改善を求める声はやみません。日常生活において不便な道路で済むならばまだしも、一度災害が起これば、不便な道路では済まされません。スピードを上げた狭隘道路整備の覚悟を伺います。
災害において自治体が大きな役割を担っていることは言うまでもありませんが、九十万に迫る人口を擁する世田谷区においては、全区的な対応はもとより、地域の特性に合った災害時の対応が不可欠です。現在、地域防災計画を策定中とのことですが、計画は実行できなければ何の意味もありません。特に被災直後の初動期対応では、区の職員はもちろん、町会・自治会、商店街、学校、企業、子どもや高齢者、障害者、あるいは区内を訪れ被災された方などさまざまな状況にある多くの方が錯綜し、混乱した状況下すら想定することも必要です。実効性のある計画とするための具体的な取り組みを伺います。
さて、政府が示した未来への投資を実現する経済対策では、中小企業・小規模事業者の経営力強化・生産性向上支援として、商店街の集客力向上支援等にも触れています。地方創生の推進は言うまでもなく、主役は地方、目指すは世界との志を持って地域の元気を引き出すものです。もちろん、国の制度や自治体の施策以前に、個々の事業者が高い志を持ち、みずからの力と創意工夫によって経営の刷新を図る努力が重要であることは承知しています。
我が会派は、今夏、札幌市郊外に位置する発寒北商店街の取り組みを視察してまいりました。「四十年後、札幌で一番住みやすい街へ」を合い言葉に、商店街の機能そのものを見直し、単に物を売るだけでなく、地域の困り事を商店街が窓口になって解決する仕組みをつくるなど、地域コミュニティーの担い手となるさまざまなサービスを提供する取り組みが行われておりました。町会・自治会はもとより、商店街を中心に人と人の交流が生まれ、町のにぎわいとなる。
産業政策を進める上で、こうした地域の中に根づいた活動を支援することも忘れてはなりません。また、先ほどの災害対策と同様、幾らビジョンや計画を策定しても、実効性が伴わなければ何の意味もなく、ましてや、区がみずから区内産業を支える施策の限界を決めてしまうようなことは許されません。国の経済対策を踏まえ、また東京二〇二〇大会への期待が高まる中で、どのように取り組みを進めていくのか伺います。
また、区内産業の振興、地域経済の活性化の観点で申し上げれば、公契約条例の存在も忘れてはなりません。条例施行から一年半が経過する中で、果たして区内産業、区内事業者の経営基盤の安定化が図られてきたのか。条例の目的でもある区内産業の振興と地域経済の活性化を図るために条例は有効に機能しているのか、さらに、条例制定の際に再三申し上げた大胆な入札制度改革による実効性ある取り組みは行われてきたのか、区の見解を伺います。
次に、教育政策についてであります。
国では、次期学習指導要領の改訂に合わせ教育改革が急ピッチで議論され、さまざまな教科の改善や新たな教育内容が実施されようとしています。また、急速に進む国際化の波は、オリンピック・
パラリンピックの東京開催により、さらに大きな波となり、グローバル人材の育成として、小学校での英語の教科化なども進められようとしています。こうした中、私は、冒頭でも申し上げましたオリンピック・
パラリンピックが子どもたちの目にどのように映り、その心にどう響くのか、大いに期待しています。
教育とは心を育てるものでもあるはずです。日本全国、そして世田谷の子どもたちにとってすばらしい東京大会になることを切に願うわけですが、この間、世田谷の教育を牽引してこられたであろう教育長、何かお考えがあればお聞かせください。
続いて、道徳の教科化について伺います。
以前、道徳性は、家庭や地域の生活の中で育まれ、また伝統文化である武道や茶道などを学ぶことで礼儀や作法を通し、心の成長を促す時代もありました。しかし、地域の人間関係の希薄化が進み、価値観の多様化も進む現代にあっては、学校が一定の役割を担っていかざるを得ない状況にあります。
私はまず、教育においては道徳教育の充実こそが必要であると考えます。道徳性を身につけた上で、初めて学力や体力が社会の役に立ち、健やかな地域社会が形成されます。国もようやく昨年、学習指導要領を一部改正し、特別の教科道徳として取り扱うことになっております。来年度には、道徳の教科書採択が行われ、本格的に道徳の授業に取り組まれるようですが、教育委員会では、この道徳の教科化をどのように捉え、どう進めていくのかお聞かせください。
次に、人口推計についてです。
子育て世代の人口増と相まって、区の児童人口は著しい増加となっていますが、区はどの程度想定できていたのでしょうか。例えば船橋小学校は十年前、芦花小学校は四年前に改築したばかりですが、周辺人口の急激な伸びにより、両校とも校舎を増築しなければならない状況です。この二校に限らず、区の小学校入学児童数の見込みは甘過ぎると言わざるを得ません。今後、教育委員会としてどのように児童人口推計の精度を上げていくのか伺います。
また、児童人口だけに限らず、高齢者人口についても、長寿命化している昨今の実情が反映されていないように思えます。人口九十万に迫る世田谷区においては、どの年代が増加するのか、そして減少するのかによって施策の方向性も変わることから、人口推計の甘さは区民の負担増に直結し、将来にわたる成長の妨げになることは明白です。今後、どのように人口推計の精度を上げて、どのように施策に反映していくのか伺います。
最後に、世田谷ブランドに関し伺います。
私は昨年、この壇上から区長に世田谷ブランドの魅力向上について伺いました。区長は、区民意識調査などのアンケートによる住みたい町、住み続けたい町という評価が世田谷ブランドであり、住みたい、住み続けたいという魅力は、みどり豊かなまちづくりや子育て、文化教育という施策の向上であると答弁されました。しかし、保育待機児数は変わらず、みどり33も達成は厳しい状況です。区長が語る魅力の向上は到底実感できません。
実は世田谷ブランドの力を一番理解していないのは保坂区長ではないでしょうか。世田谷ブランドとは、保坂区政が誕生する以前から既に確立されているものです。そして、区政運営において、いかに迷走を繰り返そうと、施策のスピード感を誤りバランスを欠こうとも、耐え得る力を持っている、それが世田谷というブランド力の力であります。しかし、その力も徐々に揺らいできているのではないかと危惧するのは、我が会派だけではないはずです。
自身の立場を守るためでなく、全ての政策、全ての決断が区民のためであり、区民を守るためであること、そして区政全般を見通し、バランスあるスピード感で区政を進めること、世田谷ブランドを守るために必要なことは明白です。御見解があればお聞かせください。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 石川議員にお答えをいたします。
まず二十七年度決算、そして二十九、予算方針についてお尋ねがございました。
二期目のスタートとなる平成二十七年度は、子どもから高齢者、障害者まで、幅広く切れ目のない多世代の暮らしを支え、育む施策と道路や学校施設など、都市基盤整備となるハードの部分の整備によって、安全安心を守り、育てる取り組みを総合的に進める予算というふうに位置づけて区政運営を行ってきました。二十七年決算を振り返れば、保育待機児対策を初め、世田谷版ネウボラ等の子育て支援の充実、
地域包括ケアの地区展開、地域防災力耐震化促進などの災害対策の強化、ICT化の導入、学校改築など、教育環境の整備等に着実に取り組んでまいりました。また、約百四億円の基金積み立てにより、基金残高七百三十八億九千百四十八万八千円、そして特別区債四百六十六億二千五百四十万五千円と黒字の状況にあり、健全な財政運営と財政基盤確保の両面に努めたものと認識をしています。
二十九年度予算の編成に当たりまして、新実施計画の最終年度を迎えることから、この計画の確実な達成を押し上げていく年次に当たります。同時にこれまでの事業のあり方を点検し、枠にとらわれない柔軟で思い切った発想や手法の転換、また連携の強化など、未来を切り開く改革に庁内一丸となって挑戦をし、区民の暮らしに直結する重点政策の確実な推進に取り組んでまいります。
次に、公共施設等総合管理計画についてお尋ねがございました。
公共施設等総合管理計画は、既にさまざまな自治体で策定が行われています。しかし、日本中多くの自治体では、人口減少による施設需要の縮小を前提とした計画づくりをしておりまして、人口はふえている、そして子どもたちも、高齢者も含めて多世代共生の参加と協働のまちづくりを目指している当区においては、全国的にいえば非常に珍しいケースを示していて、そのまま全国のケースを参考にするというわけにはいきません。
計画の策定に当たって、人口増に合わせて、施設を漫然と増加していくのでは、これはいずれ財政負担が過大となってしまうことは明白でありまして、この施設の増加量をコントロールすることが重要と考えております。また、お話にあるように、その施設を有効利用する。クローズの時間をオープンにして、多くの方が使えるようにして、人口増に合わせた区民需要にも応えていくということも必要でございます。
計画の最大の目標は、将来世代に大きな負債を残さないということだと思います。そのために、半世紀後、五十年後にも区民サービスが低下をすることなく、財政の健全性を保つことができる施設総量の目標値を定めているところであります。今後、あらゆるインフラの長寿命化や区民参加による協働型運営など、創意工夫を図りながら取り組んでまいる所存でございます。
次に、本庁舎整備についてお尋ねがございました。
八月八日に、四月から議論を重ねてきた世田谷区本庁舎等整備基本構想検討委員会から報告書をいただきました。この報告書に至る経過とこの内容を尊重することに決め、このたび区として、世田谷区本庁舎等整備基本構想素案を取りまとめました。素案におきましては、災害対策の中枢としての機能や環境共生都市世田谷にふさわしい環境性能、区民サービスや効率的な事務執行、区民交流、区民参加を充実するためのスペース拡充など、新たな本庁舎に求められる機能や規模、工期の設定など、設計者が設計するための諸条件の大枠を示すことができたというふうに考えております。また、空間的特質の継承を含めた庁舎の形状等については、区として定めた諸条件を満たした設計者の提案をもとに決定していきたいと考えています。
今後、この素案に対する
パブリックコメント、区民説明、意見交換会、区議会における議論も経まして、十二月には基本構想として策定をしてまいります。その後、直ちに設計者選定委員会の設置も含めた設計者選定に向けた準備に取りかかり、来年度早々には事業者の募集を開始いたしまして、半年程度をかけて設計者選定プロポーザルを実施し、二十九年度後半から基本設計に着手をすることを想定しております。
続いて、
児童相談所移管についてであります。
今般の児童福祉法の改正を受け、区は区民に最も身近な自治体として、児童相談所と
子ども家庭支援センターが一体となり、一元的かつ地域の支援を最大限に活用した切れ目のない
児童福祉行政を実現すべく、児童相談所の移管を目指しております。
区の児童相談所の設置場所については、
総合福祉センター機能移転後の一部を利用する方向で検討を進め、平成三十二年四月以降、できる限り早い時期に特別区間の連携を図りながら、複数区での同時開設を目指しているところであります。移管に向けては、一時保護所の設置や他の自治体との広域連携の仕組みの構築、広域的な多機関連携、財源の確保など、さまざまな課題があります。子どもの命を守る最前線となる児童福祉司や児童心理司など、専門人材の確保、育成が最大の課題になります。
専門の人材については、
子ども家庭支援センターの経験を積んだ職員等を充てるほか、有資格者を計画的に採用していきますが、児童相談所における現場経験が重要であることから、世田谷児童相談所はもちろんのこと、他自治体も含めた児童相談所に複数の区職員を派遣してまいります。さらに、開設当初は、都に対して協議を進めていく中で、円滑な運営が可能となる規模の専門人材の派遣を要請してまいります。移管に当たっては、何よりも子どもの利益、健康、安全、これを最優先に考え、都の協力を仰ぎながら、十分なケースの引き継ぎを行い、万全の準備をもって区児童相談所の円滑な開設を目指してまいります。
最後に、世田谷ブランドについてであります。
世田谷区民意識調査二〇一六によると、世田谷は住みやすい、今後とも住みたいと八割以上の方が回答されています。交通、買い物の利便性、みどり豊かな町並み、生活環境のよさなどが挙げられています。また、首都圏の約四千人を対象とした民間会社の調査で、住みたい自治体ランキングの一位ないし二位にランクインするなど、区内外を問わず、魅力ある町として得ている高い評価こそが世田谷ブランドであるというふうに思います。
そして、今日まで受け継がれてきた世田谷ブランドは、これまで長い時間をかけて多くの区民や事業者、そして区自身も汗をかきながらともに築き上げてきた成果であると認識をしております。この世田谷ブランドを守り、育て、次世代に引き継いでいくためには、基本構想、基本計画で描くみどりと水に恵まれた住環境や多様性を尊重して緩やかに共生する社会の実現を目指し、区政をより効率的、効果的に進め、政策を確実に推進していくことが重要だと思います。引き続き、区長としてリーダーシップを発揮し、区議会とともに車の両輪となりながら、区民、事業者等と連携し、将来にわたって区民が誇れる魅力あふれる世田谷の実現に向けて、一層力を入れて取り組んでまいります。
以上です。
〔板垣副区長登壇〕
◎板垣 副区長 私から、六点について御答弁申し上げます。順次答弁させていただきます。
まず、行財政改革につきましてでございます。
区を取り巻く社会情勢の変化、それに伴う区民ニーズの増加や多様化等に対応していくためには、安定した財政基盤の確立に向けたより一層の行政経営改革が欠かせないものと認識しております。区は、現在、新実施計画に基づいた行政経営改革に取り組んでおり、このたび使用料、利用料の検証及び見直しに着手したところでございます。
今年度の見直しにつきましては、新制度導入の結果を踏まえて検討した
認可保育園等保育料のみとなりますが、それ以外の使用料、利用料につきましても、今年度と来年度でさまざまな視点からしっかりと検証を行い、見直しの必要性について適切に判断していきたいと考えております。引き続き、区民の皆様の御理解を得ながら、すぐに取り組むべき行政経営改革はスピード感を持って取り組むとともに、中長期的な財政基盤の確立に向け、実効性のある新たな行政経営改革の具体策を次期新実施計画の中でお示ししてまいりたいと考えております。
次に、公共施設につきまして、民間活用の手法を一層進めるべきとのことでございます。
今後の将来人口推計によれば、当分の間、年少人口、高齢者人口の増が見込まれております。それに伴い、保育施設や介護施設などの施設需要がますます高まるものと考えられます。いずれの施設も民間による整備を基本とし、公有地の貸し付けにより民間事業者を誘致して、区民の需要に応える公共サービスの拡充を図ってまいりました。今後も公共施設を積極的に複合化し、跡地に民間事業者を誘致することで、保育施設、高齢者介護施設、障害者施設等のさらなる需要増に対応していくことが重要であると認識しております。
また、従来の手法に加えまして、土地の容積率等を最大限活用し、保育園、介護施設といった民設公共施設と商業施設等の収益施設を複合的に整備し、町のにぎわいの創造や収益施設からの税外収入の確保など、官民連携型の取り組みも推進すべきと考えております。
次に、公共施設等総合管理計画につきましてでございます。
総合管理計画の長期的目標を達成するには、毎年度の数値目標を着実に達成することが重要であると考えております。そのためには、企画財政部門と施設営繕部門、道路公園部門が緊密に連携を図りながら全庁横断的なマネジメント推進体制をつくり、計画の進行管理を一元化することが重要であると考えております。
この推進体制のもと、例えば個別の施設の改築の際、計画に定められた施設規模や経費の上限内で整備を進められるよう、管理を徹底してまいります。また、社会情勢等の変化により、施設規模などをやむを得ず拡充する場合、全体目標に影響を及ぼさないよう、他施設の縮減や廃止なども含めて総合的な管理を行ってまいります。
次に、住環境の確保の件で、このたびの素案についてでございます。
世田谷区では、建築物の絶対高さ制限につきまして、平成十六年度に
低層住居専用地域を除く
住居系用途地域等に三十メートルまたは四十五メートルの制限を導入し、地区まちづくりの推進とあわせて住環境の保全に努めてまいりましたが、近年、建築基準法の改正等から比較的高い建築物が見られるようになり、新たな取り組みが求められるようになりました。こうした市街地の変化と実態を踏まえ、新たな
都市整備方針で定める将来都市像の実現に向け、このたび、建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの基本的考え方、素案を取りまとめました。
本素案では、現在の二種類の高さ制限から、地域の特性や実態に応じてめり張りのある七種類のきめ細かい区分設定に戻すとともに、規制と誘導の考え方に基づき、緑化や空地の創出など、市街地の改善に貢献する建築を評価する特例制度を設け、良好な建築計画を誘導することで、建物の間に光と風、みどりがある町を目指したいと考えております。
議員お話しのように、本取り組みは敷地利用に対する制限となることや建築物の高さにおける既存不適格も生じることから、多くの区民の皆様にこの取り組みを知っていただけるよう、「区のおしらせ」やホームページと、
区民アンケート調査に御協力いただいた皆様への意見交換会の御案内を初め、出張所及び
まちづくりセンター、図書館に本素案の閲覧場所を設置するとともに、都市計画課及び総合支所街づくり課に個別相談窓口を開設してまいります。
区といたしましては、引き続き丁寧に進めていくとともに、都市づくりビジョンの将来都市像、安全で快適なくらしをともにつくる都市世田谷の実現に向けまして、取り組んでまいります。
次に、道路整備について、道路整備の取り組みについての御質問でございます。
熊本地震の発生、またはこのたびの台風被害を目の当たりにしまして、道路が区民の安全と安心を支える重要な都市基盤であることにつきまして、改めて認識を深めているところでございます。道路整備につきましては、これまでも区政の重要課題として注力してきたところでございますが、道づくりプランに基づく道路ネットワークの整備をさらに着実に推進する観点から、区では、本年四月の組織改正により、道路事業の推進体制を強化いたしました。新たな体制におきましては、外部委託を活用して、大型集合住宅の用地取得、調整を軌道に乗せるなど、成果も見え始めているところでございます。用地取得には地権者の御理解と御協力が必要不可欠でありますので、具体的な生活再建などを提案し、粘り強く交渉に取り組んでいるところでございます。
区といたしましては、世田谷道づくりプランに基づき、今後とも区内の道路ネットワークの整備に邁進してまいります。
最後に、狭隘道路整備のスピードアップにつきまして御答弁申し上げます。
区では、この間、幅員四メートル未満の狭隘道路の拡幅整備を行っており、平成二十七年度には約五千五百メートル、これまでにも三十年余にわたりまして合計百十七キロメートルの整備実績を積んでございます。しかしながら、平成二十三年度の土地利用現況調査より、狭隘道路は区道だけでも総延長の約四分の一、約二百八十八キロメートル残っていることを確認しております。狭隘道路は、災害時の避難ルートや緊急車両の通行経路の確保という観点から、早急に解消すべき課題であると強く認識しております。
区では、狭隘道路をより効果的に拡幅整備するため、平成二十三年度から建てかえのある敷地前の拡幅だけではなく、お隣や向かい側の敷地の権利者にもお声がけしながら、連続した区間を一括整備する取り組みも行っております。現在、この連続した整備をさらにスピードアップすることも念頭に、新たな整備促進策を検討しているところでございます。
今後とも狭隘道路の早急な解消に向けてPRに努めるとともに、戸別訪問して働きかけるなど、関係所管が連携しながら全力で取り組んでまいります。
以上です。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 私からは、五点につきまして、順次御答弁申し上げます。
最初に、東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会について二点御答弁申し上げます。
まず、大会以降を見据えた施策展開と会場周辺の具体的整備方針についてでございます。
区では、現在、今後の区の取組みの具体的指針となる二〇二〇年に向けた世田谷区の取り組み「東京二〇二〇大会後を見据えて」の策定を進めており、来年一月に取りまとめる予定でございます。本指針では、観光、スポーツ、国際、文化・芸術、環境、福祉、教育など八つのテーマと取り組みの方向、そしてそれぞれの具体的な取り組み案をお示しさせていただきました。今後も策定に当たりましては、産業団体や区内大学、学識経験者等を集めた懇談会と検討会からの意見やアイデアを反映するとともに、今後、
パブリックコメントを実施し、区民の方々からも意見募集を行う予定でございます。
馬事公苑周辺などの整備につきましては、本年度設置いたしました東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会庁内推進本部のもとに、専門部会として会場周辺整備部会を設けておりまして、今年度中に馬事公苑周辺の魅力向上に向けた馬事公苑界わいまちの魅力向上構想をまとめてまいります。
今後、二〇二〇年までの限られた時間の中で、商店街や町会・自治会、NPO団体や大学等とも連携を図りながら、実現可能な取り組みから着実に実行し、大会後のレガシー創出を見据えた施策を展開してまいります。
続きまして、長期的な視点に立った観光、外国人支援の施策展開についてでございます。
東京二〇二〇大会に向けましては、大会終了後のレガシーまでを見据えた施策の展開が重要であると認識しておりまして、観光客誘致や外国人旅行者の支援等についても、その取り組みが、大会終了後、在住外国人支援、最終的には多文化共生社会の実現につながるものでなければならないと考えております。例えば現在、新たな取り組みとして、在住外国人の視点で作成した町歩き、買い物、料理体験などのミニツアーを来訪する外国人の方々も御参加できるよう企画し、実施に当たりましては、国際化に御賛同いただける区民や事業者の方々にボランティアスタッフとして参加いただく仕組みを検討しているところでございます。こうした取り組みから生まれた区民同士のネットワークを東京二〇二〇大会に生かすとともに、大会終了後の外国人支援にもつなげていきたいと考えております。
取り組みに当たりましては、区内大学、商店街等、さまざまな組織と協働、連携し、一つの取り組みから多くの効果が得られるような戦略的な視点を大切にしてまいります。そして、着実な多言語対応、生活支援とあわせ、在住、来訪者を問わず、異なる言語、文化を背景とする方々が住みたい、住み続けたいと思ってもらえる魅力あるまちづくり、区のブランドアップにつながるさまざまな国際化施策をオール世田谷で展開してまいります。
続きまして、世田谷総合支所の機能、三軒茶屋における行政機能についてでございます。
世田谷総合支所の三軒茶屋の移転につきましては、区民サービスの向上と同エリアでのさまざまな課題の解決を目指し、検討を行ってまいりました。移転先として、区有地がなく、民有地を候補として、土地所有事業者と協議を進めるとともに、官民連携のあり方につきましても、本件の検討の中で研究を進めさせていただき、将来につなげていきたいと考えておるところでございます。
まず、当面の対応といたしましては、太子堂出張所の狭隘解消と窓口機能の充実により、地域住民の利便性向上を図るとともに、帰宅困難者支援機能や災害対策機能の強化、老朽化する三軒茶屋分庁舎の移転とあわせて、産業振興や雇用促進施策の充実、利用しやすい区民集会施設の整備などを考えております。
先ほど他会派のほうに区長のほうから答弁を申し上げましたが、この世田谷総合支所の移転につきましての将来展望については、先ほど区長のほうから申し上げたとおりでございます。今後、施策規模、コスト面等を考慮いたしまして交渉を継続いたしまして、極力行政としての確保を念頭に置きまして、中長期的な視点として、世田谷総合支所と本庁舎の機能整理を図りながら、世田谷総合支所の課題についても検討を続けてまいります。
なお、本庁敷地内に整備する世田谷総合支所につきましては、世田谷区本庁舎等基本構想素案におきまして、配置計画等で世田谷総合支所の独立性や支所としての一体性に十分配慮することといたしたところでございます。
次に、保育待機児解消に向けました当面の取り組み、さらには、将来への方向性についてのお尋ねでございます。
現在、就学前人口の増加によりまして、現行の保育施設整備計画の見直しを行っているところでございます。新たな人口推計では、平成三十一年度において、現行の推計に比べ、就学前人口が約三千四百人増加する見込みとなっております。こうした状況を踏まえまして、平成三十一年度におきまして、約千七百人程度の定員を上乗せし、約二万一千六百人分の保育所の定員を確保することを検討しております。
また、本年四月には、三歳児以降の待機児童がほぼ解消されたことから、今後は、ゼロ歳から二歳の低年齢児を対象とした保育施設整備に重点的に取り組んでまいります。あわせまして、国に先駆けまして、保育士確保のための個人給付を実施するなど、ソフト面での施策展開も図りまして、保育待機児解消に向けた取り組みを全力で進めてまいります。一方、保育総定員の拡大に伴い、運営費の増加が想定され、財源の確保や健全財政の維持について、非常に大きな課題であると認識しております。
区は、
認可外保育施設の新制度移行や利用者負担の見直しを進めるとともに、国や東京都に対しまして、賃料補助の増額や公有地の賃料の軽減など、財政支援を求めてきたところでございます。先般発表されました国と東京都の
待機児童対策におきましては、これまで区独自あるいは特別区長会を通しまして要望してきた事項を受けとめてもらっております。引き続き、国や都のさまざまな対応策や補正を含めた予算内容を十分検証していく中で、議会とも御相談の上、最も効果的な世田谷区にとって最善策を組み立ててまいります。
最後でございますが、区内産業の活性化と商店街支援でございます。
区では、平成二十六年度から四年間の産業振興計画に基づきまして、商業、工業、農業の枠組みにとらわれず、福祉、環境、建設なども含めた多様な産業の育成を図りながら、区内産業全体の振興に取り組んできております。その中で、国の経済対策にも挙げられております地域活性化の拠点としての商店街の集客力向上支援策は、区内産業活性化のための重要施策の一つであると捉えております。今年度は、プレミアム付区内共通商品券の発行支援、まちゼミ、まちバル事業への助成、外国人観光客向けの指差し会話シートの作成支援などの商店街振興事業に取り組んでおります。
区内産業の活性化を目的としたさまざまな産業振興施策に取り組むに当たり、その指針となる産業ビジョン及び産業振興計画も平成二十九年度をもって一つの区切りを迎えます。そのため、平成三十年度以降の次の十年を見据えて、新たな区の産業ビジョン及び産業振興計画の策定を今年度から進めております。次期産業ビジョンの期間では、東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック大会を迎える時期と重なります。このタイミングを大きく生かす上で、学識経験者や産業団体、消費者など、さまざまな立場の方々から御意見をいただき、地域における産業の課題解決に向けた創造性、実効性のある産業ビジョンを策定し、区内産業全体の活性化につなげてまいります。
以上でございます。
〔堀教育長登壇〕
◎堀 教育長 オリンピック・
パラリンピックが子どもたちの心に与える影響について、教育政策の視点から御質問いただきました。
平成三十二年、二〇二〇年は、私ども教育委員会にとって幾つかの点で起点となる年です。この年は、東京でオリンピック・
パラリンピックが開催され、また、次期学習指導要領がスタートする年度に当たります。ことしの夏、文科省は、次期学習指導要領の審議のまとめ案を出し、学習指導要領の目指す二〇三〇年、さらにその先の豊かな未来を築くために教育の果たす役割を提示しています。この十年から二十年で今の仕事の半数近くが自動化し、さらに二〇四五年には人工知能AIが人間社会を超えるなど、社会は大きく変容していくことが予測されています。この間、教育委員会は、オランダやフィンランドの海外視察等を行い、社会の変容を見据えた教育について、第二次教育ビジョンを策定し、その推進に取り組んでまいりました。
御質問の東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピックでは、馬術競技がこの世田谷で行われ、またアメリカの
ホストタウンとしての取り組みもあります。日本はもとより、世界中にさまざまなメディアを通して世田谷の情報が発信されます。子どもたちの交流やおもてなしなどの一連の取り組みが子どもたちの心に大きな出来事として残り、それは自信や誇りにもつながるよき契機になるとも捉えています。
グローバル化、情報化、技術革新等が子どもたちの生き方に大きな影響を与える時代が確実に到来します。教育委員会は、子どもたちが新たな時代にそれぞれの未来をみずから切り開く力、いわゆる生きる力を身につけられるよう、東京二〇二〇大会の取り組みも踏まえ、さまざまな視点から教育政策の拡充に取り組んでまいります。
以上です。
◎松村
施設営繕担当部長 私からは、行政需要の変化に合わせた可変的に活用のできる施設の整備についてお答えいたします。
将来人口の動向とともに、今後の施設需要も非常に予想しづらい状況の中、区の財政を健全な状態に保ちつつ、必要な公共施設の量と質を確保するためには、議員の御指摘のとおり、その時々の施設需要を踏まえ、必要に応じて用途の転用が行いやすいなど、柔軟に対応できる施設整備が求められております。
具体的な対策といたしましては、建物の構造体と内装設備を分離することで、間仕切り壁の変更や用途の転用などに柔軟に対応できるスケルトンインフィルの手法を取り入れることも考えられます。また、今後は、一つの施設の空き時間を有効に活用できるよう、施設内のセキュリティー区分や利用動線を明確に分割し、主たる目的以外にも施設を活用する多機能化を行うなど、戦略的な施設整備を検討してまいります。
以上です。
◎瓜生
高齢福祉部長 私からは、高齢者施策を担う人材育成・確保策について御答弁いたします。
区では、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、誰もが住みなれた地域で住み続けられるよう、住まいを初め、医療、介護、介護予防、生活支援が身近なところで利用できる
地域包括ケアシステム構築に取り組んでおります。介護サービスの充実に向け、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス、認知症高齢者グループホームや特別養護老人ホームの整備を計画的に進めております。
介護サービスが増加していく中、質の高いサービスを提供するためには、介護人材の確保、育成、質の向上が欠かせません。区では、世田谷区福祉人材育成・研修センターでハローワークと連携した就職支援や知識、技術の習得、専門性の向上などを目的とした研修を実施しております。また、介護の基礎的資格となる介護職員初任者研修費助成を行っており、昨年度までに約八百三十人の方が利用されました。この事業のフォロー調査では、区内事業者への就労の動機となっていると多くの方が答えており、また、区内で介護の仕事を継続している割合が高いことから、大きな成果を上げていると認識しております。
キャリアアップの支援や処遇改善の取り組みを国や都も進める中で、区としてもその動向を注視しながら新たな取り組みを構築するなど、介護人材の確保、育成の支援策を総合的に推進してまいります。
以上でございます。
◎澤谷 危機管理室長 私からは、地域防災計画の実効性のある具体的な取り組みについて御答弁いたします。
地域防災計画につきましては、平成二十九年一月の防災会議に向けて案を取りまとめた上で、報告、審議して、三月に公表する予定でございます。
地域防災計画は、区の災害対策の基本となる計画ですので、具体的な取り組みとしましては、震災時初動期職員行動マニュアルやその他各種マニュアルの整備を進めていくことが重要です。計画やマニュアル等の検証は、主に防災関係機関等と連携しまして、本部運営訓練の実施や災対各部でのマニュアル検証などを通じて、着実にステップアップできるよう、全庁挙げて取り組んでいく必要がございます。
一方で、避難所運営マニュアル標準版の修正も平成二十九年度に予定しており、総合支所と連携して、避難所運営にかかわっている方などの御意見もいただきながら、作業を進めてまいります。
今後も、区としましては、震災時初動期職員行動マニュアル、震災復興マニュアルや避難所運営マニュアルの修正並びに計画やマニュアルを実施するための取り組みを着実に進め、被災地の教訓等を反映し、訓練等を実施して検証するなど、具体的な取り組みを進めてまいります。
以上です。
◎本橋 財務部長 私からは、区内産業を支える施策の推進につきまして、公契約条例の実効性ある取り組みについて御答弁申し上げます。
区は、区内産業を支える施策を推進するため、契約・入札制度の面におきましても、区内産業の振興と地域経済の活性化を図ることは重要であると認識しております。
こうしたことから、平成二十七年四月の公契約条例施行後の一年半の間に、公共工事前払金の支払い限度額の引き上げ、最低制限価格制度における設定範囲の見直し、工事請負契約における現場代理人の常駐義務緩和の対象拡大のほか、分離分割発注による受注機会の確保、総合評価競争入札方式における地域貢献への評価など、八項目の多岐にわたり着実に制度改革に取り組んでまいりました。
今後も、この八月に取りまとめられた公契約適正化委員会の答申を踏まえ、区議会を初め、関係団体の御意見をいただきながら、引き続き、実効性のある契約・入札制度の改革に取り組み、より一層の区内産業の振興と地域経済の活性化に努めてまいります。
◎工藤
教育政策部長 私からは、道徳の教科化について御答弁申し上げます。
議員お話しのように、子どもたちの道徳性の育成につきましては、家庭や地域と連携しながら、学校の道徳教育が担う役割は大変重要であると認識しております。これからの時代を生きる子どもたちには、高い倫理観を持ち、人間としての生き方や社会のあり方について多様な価値観の存在を認識し、他者と協働しながら、よりよい方向を目指す資質、能力を備えることが求められております。
平成二十七年三月の小中学校の学習指導要領の一部改正により、小学校では平成三十年度から、中学校では三十一年度から特別の教科道徳となることから、本区では、これに先駆け、世田谷区教育要領を改訂して周知するとともに、今年度から全ての小中学校で試行的に実施をしております。
教育委員会といたしましては、教科化される道徳について、全ての教員が授業のあり方などを正しく認識できるよう、道徳教育推進リーダーを中心とした研修会の開催や道徳教育研修センター校による先進的な授業の公開、指導事例集の作成などに取り組み、準備を計画的に進め、道徳教育の充実を図ってまいります。
以上でございます。
◎志賀
教育環境推進担当部長 私からは、今後、教育委員会としてどのように児童人口推計の精度を上げていくかについて御答弁申し上げます。
教育委員会では、毎年向こう六年間の児童生徒数及び学級数の短期的な予測を行っております。平成二十三年からは、このデータ等をもとに、向こう二十年間の児童生徒数及び学級数の中長期的な予測を重ねて行い、より精度の高い人口推計を目指し取り組んでおります。御指摘の環八周辺の小学校におきましては、改築工事を行った後に児童数がふえ、教室が足りなくなるといった状況も生じておりまして、必要に応じて改修・増築工事を行っている状況です。
区の人口動向の特性といたしましては、転入転出の流動性が大きいこと、また都心回帰現象などの社会経済状況の変化などの影響を受けやすいことなどから、人口推計予測は非常に難しいテーマであると考えてございます。
教育委員会といたしましては、区長部局と連携しながら人口推計の精度を高めることに努めるとともに、今後の学校改築に当たりましては、将来需要をしっかり見きわめ、複合化も視野に入れながら、適正な規模の改築に努めてまいります。
以上です。
◎板谷 政策経営部長 私からは、人口推計についてお答えをいたします。
区では、平成二十六年度を初年度とする区の中長期的展望を描いた世田谷区基本計画の策定に合わせ、平成二十六年二月に将来人口推計を実施したところです。しかし、御指摘のとおり、人口増加の傾向は続いており、将来人口の推計値が実態値と乖離のある状況となっております。将来の世田谷区を支える担い手とも言える、いわゆる生産年齢人口の推計値に特に乖離が見られますが、これは二十代を中心とした転入超過がより一層進んでいることによるものです。
人口推計は、施策の形成や運営における基本的指標であることから、推計の精度を向上させることは重要と認識をしてございます。人口動向についての認識を庁内で共有するとともに、施策の検討に際しては、人口推計を庁内全体で活用できる環境を整える必要があると考えております。
今後の人口推計に当たりましては、人口動向が社会状況の変化の影響を受けることを踏まえ、転入転出率や出生率の上昇、一層の長寿命化など、多面的な要素を考慮に入れる必要があると考えております。従来の推計手法も含め、推計方法の精査や外部の専門の知見も得ながら、引き続き人口動向の分析を継続し、来年度策定予定の新実施計画に反映してまいります。
以上でございます。
◆四十一番(石川征男 議員) さまざま御答弁いただきました。その中で、児童相談所の移管、設置についてであります。
先ほど最も鍵を握る人材に関して伺いましたが、都の協力を仰ぎながらという心もとない答弁でした。都の協力が前提のようですが、二十三区の足並みがそろっていない中で、本当に都の十分な協力が得られるのかどうか、また人材以外にも大変な課題が山積みです。再度申し上げますが、意気込みだけでは子どもたちは守れません。
児童相談所を設置した自治体は、相談、調査、診断、援助、地域支援、養育家庭支援、一時保護預かりを初め、これ以外にも十四項目に上る事務事業を行う責任を請け負いますが、現時点でしっかりと精査できているのかどうか、さらに移管された場合、警察を初めとした関係行政機関との広域的な連携を区が担えるのか。もちろん財源の問題もあります。先ほどの区長の答弁からは全く見えてこない多くの困難な課題、厳しい状況があることを申し上げ、引き続き決算委員会でも伺ってまいります。
以上で終わります。
○上島よしもり 議長 以上で石川征男議員の質問は終わりました。
これで本日の代表質問は終了いたします。
────────────────────
○上島よしもり 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。
なお、明十五日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十分散会...