平成28年 9月 定例会−09月14日-01号平成28年 9月 定例会
平成二十八年第三回定例会
世田谷区議会会議録第十二号
九月十四日(水曜日)
出席議員(五十名)
一番 おぎのけんじ
二番 加藤たいき
三番 河野俊弘
四番 青空こうじ
五番 あべ力也
六番 ひうち優子
七番 上川あや
八番 すがややすこ
九番 和田ひでとし
十番 上山なおのり
十一番 石川ナオミ
十二番 高岡じゅん子
十三番 田中みち子
十四番 阿久津 皇
十五番 佐藤美樹
一、会議録署名議員の指名
二、会期の決定
三、諸般の報告
四、日程第一 代表質問
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午後一時開会
○上島よしもり 議長 ただいまから平成二十八年第三回世田谷区議会定例会を開会いたします。
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○上島よしもり 議長 これより本日の会議を開きます。
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○上島よしもり 議長 本日の日程はお手元に配付の議事日程のとおりであります。
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○上島よしもり 議長 まず、会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、
八 番 すがややすこ議員
四十二番 菅沼つとむ議員
を指名いたします。
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○上島よしもり 議長 次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会の会期は、本日から十月十八日までの三十五日間とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上島よしもり 議長 御異議なしと認めます。よって会期は三十五日間と決定いたしました。
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○上島よしもり 議長 この際、御報告いたします。
七月七日付で、大庭正明議員から議会運営委員を辞任したい旨の願い出がありました。委員会条例第十一条の規定により、同日付でこれを許可いたしました。
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○上島よしもり 議長 次に、七月二十八日に行われました
区民生活常任委員会、地方分権・本
庁舎整備対策等特別委員会、災害・防犯・
オウム問題対策等特別委員会における副委員長の互選の結果を事務局長に報告させます。
◎小田桐 区議会事務局長 御報告いたします。
区民生活常任委員会副委員長 桜井 稔議員
地方分権・本
庁舎整備対策等特別委員会副委員長
板井 斎議員
災害・防犯・
オウム問題対策等特別委員会副委員長
石川ナオミ議員
以上でございます。
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○上島よしもり 議長 次に、区長から招集の挨拶の申し出があります。保坂区長。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 平成二十八年第三回世田谷区議会定例会の開催に当たり、区議会議員並びに区民の皆さんに御挨拶を申し上げます。
まず、このたび、東北・北海道地方を襲った台風十号による風水害で犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表します。また、おけがをされた方々にお見舞いを申し上げます。ふるさと区民まつりに参加する交流自治体であり、大きな被害を受けられた岩泉町並びに宮古市に対し、当面、見舞金をお送りするとともに、職員の派遣など、現地の状況に応じた支援を行ってまいります。
さて、東京二〇二〇大会を見据えた取り組みについてです。
先日まで開催されていた
リオデジャネイロオリンピックでは、日本人選手ばかりでなく、世界中のアスリートの活躍に日本中が盛り上がりました。日体大出身で体操の内村選手を初め、世田谷区ゆかりの選手も多数出場し、金メダル三個、銀メダル三個、銅メダル四個、合計十個という輝かしい成績を残しました。また、現在開催されているパラリンピックでは、障害のあるパラリンピアンが大舞台で活躍する姿に大きな感動を得るとともに、勇気をいただいております。
区では、東京二〇二〇大会までの限られた時間の中で、スポーツに限らず、観光、国際化、文化・芸術、環境、福祉、教育など、さまざまな分野での取り組みを進め、世田谷ならではの魅力を発信するとともに、大会後も区民の未来に向けた大きなレガシーとなるよう、工夫を凝らしてまいります。
今回の
リオデジャネイロ大会には、五名の職員を派遣し、現地の様子を視察してまいりました。特に馬術競技を初め、アメリカ選手団のキャンプ地の運営や、外国人観光客へのホスピタリティーのあり方、さらには、数多くのボランティアの活躍ぶりなど、現場を視察しなければ見ることのできない貴重な体験を数多く積むことができたと報告を受けております。この視察の成果を、地元区として、東京二〇二〇大会に最大限生かしてまいります。
東京二〇二〇大会の参加国との間で交流を図るホストタウンの第二次登録で、世田谷区はアメリカ合衆国のホストタウンとなりました。アメリカ選手団のキャンプ受け入れを契機として、ホストタウンとして、今後、交流事業などを幅広く実施するよう、相手国との協議を進めていきます。
東京二〇二〇大会を教育の観点から見ますと、スポーツを通した国際交流や、
ボランティアマインドの醸成、目標を持って努力を重ね、ベストを目指す意欲の大切さ、多様性を尊重した共生社会の実現、世界の平和と発展に貢献しようとする態度を育成することなど、実に大きな教育的機会となり得るものと考えております。この好機を逃すことのないよう、全ての区立小中学校において、オリンピック・
パラリンピック教育を展開するなど、教育委員会と連携した取り組みを進めてまいります。
今後の取り組みの具体的指針となる二〇二〇年に向けた世田谷区の取組みの策定作業を進め、まずは素案を取りまとめました。今後、パブリックコメントを行い、来年一月に策定する予定です。
また、アメリカ選手団のキャンプ地となる大蔵総合運動場の陸上競技場スタンドを改築し、大会終了後も障害者スポーツなどでも活用できるように、全面的にバリアフリー化を実施いたします。さらに、東京二〇二〇大会に向けた訪日外国人へのサービスとあわせ、まちなか観光や災害時の情報提供を目的に、
公衆無線LAN環境の整備を平成二十八年度からの四年間で進めていきます。本庁舎や総合支所などの区の施設に加えて、馬事公苑周辺やアクセス経路の主要駅前などを対象に、段階的に整備を進め、広く活用を図ってまいります。そのため、大蔵運動場改築工事に係る設計費等及び
公衆無線LAN環境の整備費について、平成二十八年度第二次補正予算を計上させていただいています。
次に、
障害者差別解消法施行年に起きた深刻な事態と障害者福祉に関する政策課題について申し上げたいと思います。
痛ましく残忍で許しがたい事件が起きました。七月二十六日、神奈川県相模原市の障害者支援施設、やまゆり園で発生した障害者を狙った殺傷事件では、十九名のとうとい命が奪われ、二十七名の方が重軽傷を負い、いまだに癒えない傷に苦しんでおられます。障害者の人権と尊厳を根本から否定する言説を書き込んだ手紙を犯行予告のごとく衆議院議長にも届け、抵抗できない障害者を次々と狙った衝撃的な事件により、亡くなり、傷つけられた方々はもとより、全国の障害者や障害者を支えてこられた家族、障害者福祉の関係者の心も踏みにじる行為であり、強く非難するものであります。
二年前の
国連障害者権利条約の批准、そして、障害者差別解消法がこの四月に施行されたばかりの時点で、障害者の人権と尊厳を営々と築き上げてきた努力を全否定するような事件が起きたことに戦慄を覚えるとともに、これまでの時代の歯車を逆行させてはならないと考えます。障害者差別解消法の施行とは、差別的思考や行動を容認せず、事件再発を防止する社会にするための不断の努力を続けることであります。
障害者差別解消法が施行されてから五カ月が経過いたしました。区への相談、問い合わせは約五十件に上っています。区、民間事業者を問わず、差別的取り扱いや合理的配慮の提供に関する相談も多いのが特徴です。せたがやノーマライゼーションプランに掲げた「障害の有無に関わらず、誰もが住み慣れた地域で自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現」に取り組んでいきます。
また、八月十五日には、区内にお住まいの盲導犬を連れた視覚障害者の方が地下鉄のホームから転落し、亡くなるという事故がありました、事故後に、ホームの構造上、危険があることが、視覚障害者の方による現地調査でも指摘されました。障害のある方がこうした事故に遭うケースは決して少なくなく、区も、国や事業者と力を合わせて、障害者や高齢者などの社会的弱者の目線に立ったまちづくりをする必要があると改めて認識させられました。
今回の転落事故を受け、区では、視覚障害者団体の皆さんと意見交換を行いました。団体の方々からは、ホームドアがすぐに設置できないなら、点字ブロックの改善など、できるところからすぐに改善をしてほしい、そのため、区内の駅の点検を行っていきたいなどの御意見をいただきました。また、危険な場所での声かけは大事との指摘もあり、全庁職員に向けて、障害者への日ごろの声かけや安全への配慮を呼びかけたところであります。
医療的ケアが必要な障害児への対応について申し上げます。近年、医療技術や医療機器の向上により、医療的ケアが必要な障害児が在宅生活を送るケースがふえております。今年度、子ども・
子育て総合センター内に
障害児保育園ヘレンを開設いたしますが、さらに施策の充実を図るため、医師会、
成育医療研究センター、東京都等の協力をいただきながら、医療的ケアが必要な障害児とその家族の支援に向けた具体策の検討を進めていくことにいたしました。
次に、子育て支援の取り組みについてです。
去る四月十八日に厚生労働省で開催された待機児童解消に向けた緊急対策会議に出席し、世田谷区から、自治体独自の認可外保育施設への支援、民間の土地活用の誘導、さらに、企業風土や社会のあり方を問う働き方改革の三点について国に要望いたしました。
まず、自治体独自の保育施設への支援では、認証保育所や保育室など、認可外保育施設が子ども・子育て新制度に移行する場合の条件を緩和する等の変更が行われ、これまで支援の対象外だった認可外保育も国からの財政支援が活用できるようになりました。また、保育所用地を提供した土地オーナーへの税制上の優遇については、相続された土地を保育所や幼稚園向けに貸与する際の相続税や固定資産税の減免について検討が始まっていると報道がありました。厚生労働省を通して、税制改正の要望となるようでございます。
働き方改革については、厚生労働省が組織を再編するという発表がありました。待機児童対策は自治体だけの問題ではなく、政府や企業が子育て支援の役割を担うことが必要であり、特にゼロ歳から二歳の両親の労働環境に配慮することが重要と考えていますが、子育てと仕事を両立する働き方への転換を、国も自治体も企業も同時に実現すべきと考えています。
さらに、厚生労働省が潜在的待機児童の自治体ごとの実態を発表しました。これまでは、待機児童数の発表数字がゼロであったとしても、育児休業の延長や自宅で求職中のケースを待機児童から除外している自治体も多く、発表された数値を比較するだけでは実態が見えない状態が続いていました。各報道機関でも、以前は、定義が不統一のまま、待機児童の一覧表による自治体間の比較をしていましたが、最近は、区から再三要望したこともあり、世田谷区の待機児童数には育児休業を延長した場合を含めているなどの注釈を入れる例がふえ、また、潜在的な待機児童――隠れ待機児童の存在を指摘する報道も出てきました。厚生労働省も定義の統一の検討を始めると伝えられていて、今後は、客観的に待機児童の実態が把握できるよう、期待をしたいと思います。
世田谷区の人口は八十九万を超えて、ふえ続けています。平成二十七年の一年間の出生数は八千人を超え、自然増千五百八十四人、社会増六千百八十三人は、ともに二十三区最大でありました。五歳以下の子どもの数もふえており、十年前の三万六千人から四万四千人までふえてきております。
こうした就学前人口の増加により、子ども・
子育て支援事業計画策定時の人口推計と実際の人口との見直しが必要となってきました。現行計画では、三十二年四月時点において保育総定員数を一万九千九百十一人までふやす計画でしたが、ここに千六百七十三人上乗せをし、二万千五百八十四人まで定員の拡大が必要であると見込んでいます。同時に、保育定員の確保のためにできることはすぐに着手すべく、待機児童解消に向けた具体策をまとめ、提案させていただきます。
まずは、区として、保育士等の処遇改善に向けた個人給付を実施します。保育待機児童対策の中において、保育人材の確保は大きな課題です。国の保育士処遇改善に先立ち、保育士一人につき、一カ月当たり一万円を支給し、保育士等の処遇改善に取り組んでまいります。
次に、認証保育所等の利用促進を目的とした利用者負担の軽減についてです。支給対象世帯の範囲や補助の単価を見直し、認証保育所の利用促進と、認可保育園と比べて差のある利用者負担の軽減を図ってまいります。
さらに、長年、区独自事業として実施してきました保育室の運営費の改善についてであります。国の
待機児童解消緊急対策を活用し、新制度への移行を前提として、保育室の運営費改善を行うことにより、運営の安定を図るとともに、新制度への移行支援を積極的に行うことで、認可保育園等をふやしてまいります。
また、本年六月に公布された改正児童福祉法は、児童福祉の保障のために、国と地方公共団体との役割、責任の明確化、母子保健施策が児童虐待の発生予防、早期発見に資する旨の明記、虐待発生時に迅速、的確な対応が行えるよう、市区町村と児童相談所の体制、権限の強化など、子どもと家庭を取り巻く深刻な状況を踏まえた、大きな意味を持つ改正内容となっております。
また、児童相談所の設置について、特別区長会において、移管を希望する区は、特別区移管モデルの具体化検討の再調整やロードマップの作成を今月末までに行うこととしています。現在、区では、児童相談所を
総合福祉センター機能移転後の一部を利用して設置する方向で、一時保護所の設置や専門人材の確保、育成、児童相談所設置市が行う十四の事務の実施方法等、詳細な検討を進めているところであります。
区民生活に密着した基礎自治体として、区のこれまでの実績と経験をもとに、児童相談所と
子ども家庭支援センターが一体となり、一元的かつ地域の支援を最大限に活用した総合的な児童福祉行政の実現に向けて、他の移管を希望する区としっかり連携しながら、早期の児童相談所移管を目指してまいります。
子どもの出生数が上昇傾向にある中、子ども・
子育て応援都市宣言が掲げた「子どもと子育てにあたたかい地域社会」を目指して、厳しい課題を一つ一つ乗り越え、子ども・子育て支援策を充実させていきます。
次に、地域包括ケアの地区展開についてであります。
区内の認知症と疑われる方は、毎年約千人ずつ増加し続けており、本年四月時点で約二万一千人と、六十五歳以上人口の一二%を占めています。認知症は、早期対応と早期支援が重要であり、認知症の方や御家族に、今後の病状の見通しや、どのような支援を受けられるのかをわかりやすくお伝えすることが大切です。そのため、認知症の程度と日常生活の状況に合わせ、どのような支援やサービスがあるのかをまとめた認知症ケアパスのガイドブックを作成し、この七月から
あんしんすこやかセンターなどで配付を始めました。認知症当事者の支援にかかわっている方や認知症家族会の方々からは、症状の進行に合わせた支援や利用できるサービスが探しやすいなどの声もいただいています。
地域包括ケアの地区展開として、身近な
まちづくりセンターでの福祉の相談窓口を同じくこの七月から全区展開し、高齢者のみならず、障害のある方や子育ての相談なども寄せられております。
また、世田谷区の地域包括ケアの地区展開が、厚生労働省などが推奨する多機関の協働による
包括的支援体制構築事業の先進的な取り組みとして、モデル事業に選定をしていただきました。国も、複合的な課題を抱える方への支援や、個人だけではなく、世帯の問題として捉え、多機関、他分野の方や地域の区民が参加して、その方への支援を包括的に行っていくことが重要であるとして、区の取り組みに注目をしていただいたものと受けとめています。
地域包括ケアシステムの推進では、来る十月から各地区で、医師が地区連携医として、
あんしんすこやかセンターで、医療と介護の連携を進めるため、医療的助言や
ネットワークづくりの支援を行う仕組みをスタートさせます。また、同じく十月から、認知症初期の方などを対象に、認知機能や身体機能が低下しても、口腔ケアがしっかり行える環境を整えることができるように、すこやか歯科健診を開始いたします。
福祉の相談窓口につきましては、より多くの区民に周知するために、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの協力もいただき、医療機関の窓口での広報など、さまざまな手法を駆使して、周知に努めてまいります。
次に、高齢者の見守りについてです。
区では、高齢者の安全安心の取り組みとして、高齢者安心コール、民生委員ふれあい訪問、あんしん見守り事業、地区高齢者見守りネットワーク事業の四つの見守り施策に加え、水道局、東京ガス、区内生協等の事業者と支援が必要な高齢者の見守りに関する協定を結ぶなど、安全を守るための多様な施策に取り組んでおります。
七月には、区内の
株式会社みずほ銀行並びに
東京中央農業協同組合との間で、高齢者の見守りに関する協定を締結しました。これまでに協定を締結した事業者からは、支援の必要な高齢者の早期発見につながる情報が寄せられてくるなど、成果を挙げてきております。今後も、協定締結事業者との定期的な連絡会を開催するなど、連携を密にし、引き続き地域の事業者の協力を得ながら、見守り体制の強化に取り組んでまいります。
次に、区民の健康についてであります。
区は、区民が生涯にわたり健やかで心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、平成二十四年度に十カ年にわたる総合保健計画、健康せたがやプラン(第二次)を策定しました。このたび、中間評価を行い、平成二十九年度からの後期プランに改定をいたします。この間の調査や統計によると、区民の皆さんの健康に対する意識は高く、健康状況は比較的良好である一方、男性は糖尿病や心疾患、女性は骨・関節疾患、大腸がんなど、性別や年代で気をつけたい病気や症状に特徴があることや、健康に関心はあるが、実践に結びつかない人がいることなどがわかりました。後期プランの改定に当たりましては、新たに健康せたがやプラス1を提唱いたします。区民一人一人の考え方やライフスタイルを尊重しつつ、さらに健康によいことをプラスしようと呼びかけてまいります。
次に、街づくりにかかわる課題についてであります。
新たな世田谷区都市整備方針では、将来都市像として、安全で快適な暮らしをともにつくる都市世田谷を掲げ、世田谷区が誇るみどりと安らぎのある住宅地の環境を引き続き保全し、みどりと水に恵まれた良好な住環境で暮らし続ける町を目指しています。
区では、住宅地での突出した建物の発生や建て詰まりによる密集化を抑制するため、平成十六年に、住居系用途地域及び準工業地域に絶対高さ制限を導入するとともに、低層住居専用地域に敷地面積の最低限度の制限を導入し、市街地の住環境保全に努めてまいりました。一方、近年、建築技術の向上や建築基準法の改正などから、住宅地に比較的高い建物が建つようになり、また、敷地面積制限のない住宅地では、敷地細分化などによる狭小敷地の増加が生じてきています。
そこで、区では、この間、
区民アンケート調査を初め、既存建物や土地利用状況などの調査を踏まえ、都市計画審議会に設置した学識経験者による検討部会において、検証、検討を重ねてまいりました。このたび、建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの基本的考え方素案を取りまとめ、現在、広く区民からの意見を募集しているところであります。今年度、この基本的考え方を作成し、その後、都市計画として定め、適切に運用を図っていくこととしており、あわせて、区民主体の身近なまちづくりを一層進め、都市整備方針で目指す将来都市像の実現に向けて、取り組んでいきたいと考えております。
次に、世田谷区がけ・
擁壁等防災対策方針についてであります。
東京都では、土砂災害防止法に基づき、平成二十八年三月に
土砂災害警戒区域等を区内三十七カ所に指定しました。区では、崖や擁壁に関するソフト、ハード両面の今後の対策方針として、世田谷区がけ・
擁壁等防災対策方針を、本年十月を目指して策定いたします。土砂災害のおそれのある区域、避難所の場所などを、新たに作成するハザードマップを活用して、住民にお知らせするとともに、公共施設用地を含め、土砂災害を受けない、起こさない取り組みを区民とともに進めてまいります。
次に、生物多様性地域戦略についてです。
このたび、世田谷区版の生物多様性地域戦略である生きものつながる世田谷プランの素案を取りまとめ、現在、パブリックコメントを実施しております。生物多様性とは、さまざまな場所で、さまざまな生き物が互いにつながり、支えあって生きていることを言います。私たちの生活は、多様な生き物がかかわり合いながらつくる生物多様性の恵みに支えられています。世田谷は、国分寺崖線や多摩川などの自然環境に恵まれている一方で、宅地開発や農地宅地化などにより、生き物を支える多様な自然環境が減少し、生き物とともにあった暮らしが失われつつあります。住宅都市世田谷として、生き物と私たちがともに暮らしながら、生物多様性の恵みを次世代につなげていくために、国分寺崖線を守り育てる活動の推進、学校や地域と連携した生物多様性に関する体験学習機会の拡充など、区民とともに取り組む具体的計画の策定に向けて、引き続き検討を進めてまいります。
次に、男女共同参画についてです。
平成二十九年度からの十年間の新たな計画となる世田谷区第二次男女共同参画プラン策定に向け、区の男女共同参画推進会議を初め、学識経験者、関係団体、公募区民から成る検討委員会を平成二十七年七月に立ち上げ、検討を進めてまいりました。第二次男女共同参画プランは、男女だけではなく、多様性を含めた全ての人権が尊重され、参画できる社会を目指した計画として策定を進めております。
このたび、計画素案を取りまとめたことから、区民の皆様に呼びかけて、意見募集を行ってまいります。また、九月二十四日には、「誰もが輝く社会の実現に向けて」というテーマで、男女共同参画プランシンポジウムを開催いたします。その後、区民の皆様からいただいた御意見とあわせて、区や検討委員会において計画案を検討し、本年度中に新たなプランとして策定する予定です。
次に、平和の課題についてであります。
区は、平和を愛する区民の願いに応え、核兵器の廃絶と世界に平和の輪を広げていくことを誓い、昭和六十年八月十五日に平和都市宣言を行いました。昨年、太平洋戦争終結から七十年、平和都市宣言三十周年の八月十五日、平和の祈り像や平和の灯を初めとする平和関連モニュメントの集積する世田谷公園内に区立平和資料館を開館いたしました。このたび、昨年から公開しております常設展示室やライブラリーに加えて、企画展やワークショップ等を開催する多目的室が完成し、平和資料館は全館オープンいたしました。多目的室では、十二月二十六日までの間、太平洋戦争の戦前、戦中の新聞の切り抜きや、雑誌類、映画のポスターなどを展示する企画展「戦後七十年プラス1」を開催しています。
私は、平和都市宣言を行っている自治体の長として、これからも平和資料館を中心に、平和のとうとさを後世に伝えていくための取り組みを進め、区民の皆様とともに、次代を担う子どもたちにも平和を希求する思いをつなげてまいります。
本庁舎等整備基本構想素案の策定について申し上げます。
区民公募、無作為抽出の委員十三名に学識経験者七名を加えた二十名の委員で構成された本庁舎等整備基本構想検討委員会では、四月以降、四カ月にわたる熱心な議論を経て、八月八日に本庁舎等整備基本構想検討委員会報告書を区に提出していただきました。この議論の最中に、熊本地震の発生による行政施設の深刻な被災や、国立西洋美術館の世界遺産登録を通して、ル・コルビュジエの弟子として活躍した前川國男氏の仕事の継承についても話題になりました。
熊本地震の経験を踏まえ、災害対策の中枢としての重要な機能や、環境共生都市せたがやにふさわしい環境性能、区民サービスの効率的な事務執行、そして、区民交流、区民参加を充実するためのスペースの拡充など、求められる機能を十分確保しながら、同時に、長年親しまれてきた現庁舎等の空間特質をできるだけ継承すべきであるという御認識から、これまでのさまざまな議論を集約し、世田谷区の本庁舎等整備の方向性を示していただいたものと感謝しております。
今般、この報告書を踏まえ、区として、世田谷区本庁舎等整備基本構想素案を策定いたしました。特集号によるパブリックコメントの実施、今週末より五地域で実施いたします区民説明・意見交換会等を通し、区民の皆様に本庁舎整備の必要性について御理解をいただけるよう、取り組んでまいります。
本庁舎の整備は、二十一世紀半ばを長期にわたり区政を支える拠点の整備であり、また、多額の財政投入を必要とする事業でもあります。この事業を進めるためには、区民の御理解が不可欠であり、今後も、整備のプロセスそのものが区民の参加と協働によるものとなるよう工夫を重ねながら、平成三十二年度の着工を目指し、着実に取り組んでまいります。
教育について申し上げます。
一人一人の子どもと向き合い、全ての子どもの育ちを支える教育の充実についてであります。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 再質問にお答えをいたします。
今のお話は大変重く受けとめました。学ぶ意欲、能力がある若者が、経済的理由により進学を断念するということがないように、安心して勉強できる環境を整備していくことは、急ぐべきことだというふうに考えています。また、誰もが進路選択ができる社会をつくっていかなければいけないと思っておりまして、大学に行かないという選択をすることも、これは自由ですけれども、大学に行くという選択が立場上、制度上できないというふうになりますと、事実上、身分社会に近い状態になり、これは非常に大きな格差、貧困の連鎖につながっていくというふうに思っております。
先ほどもちょっと触れましたけれども、文科省、国のほうでの議論がどのように展開していくのか、どういう具体策に実を結ぶのか、注目しながら、生活保護世帯の子どもたちも含めて、全ての若者が希望する進路を選択できる選択可能性が発揮できる社会を、地域をつくっていく。そのための議論を深めていきたいと思っております。
繰り返しになりますが、国の動向を注視し、子どもの貧困対策全体の中で、今御指摘の一人の若者の例も含めまして、必要な支援を検討してまいりたいと思います。
◆三十三番(桜井稔 議員) 今言われました高校三年生四十九人は来年卒業の人たちですので、今やっぱりどうしようかと。家庭の事情で行けるのかどうかすごく心配していますので、ぜひ早急な結論を出していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
もう一つ伺いますが、これは宮崎副区長に伺います。
事業系のごみ手数料の値上げについて、私は一般収集に出す事業者は個人商店や零細業者と述べました。ある業者は、一回のごみ出しで、四十五リットルの袋に目いっぱい詰め込んで、ごみ出しの回数を減らすということで努力をしておりますということです。同時に区も、二十九年度予算編成の依命通達ではこう書かれております。政府は雇用・所得環境を中心に大きく改善しているといいますが、一方で個人消費の伸びは鈍いため、区内の事業者、勤労者の景況感は依然として不安視する割合が多いと述べております。
商店街では、売り上げが上がらずに商売が大変だという声が蔓延しております。新実施計画での行政経営改革の考え方は、低所得への配慮、事業の政策目的を踏まえるとあります。ぜひこの手数料値上げについては検討していただきたいのです。見解を求めます。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 再質問に御答弁申し上げます。
事業系ごみ手数料の関係でございますけれども、今、通達の御紹介もいただきました。区内事業者の観点に立ちますと、今の景気がどういうふうに、不透明感が漂っている部分もございまして、決して楽観しているわけではございません。
そうは申し上げましても、先ほど部長のほうから申し上げましたが、この産業物の処理法の法に基づく部分の中で今回の御提案をしているわけでございます。そういう意味では、一定のルールを置いてこのような対応をしてきたということについては、ぜひ御理解をいただければと思っております。
ただ、先ほど部長のほうから答弁がありましたが、一つは、来年に向けてということで、まず丁寧な説明の機会はいただけるんじゃないかと思っていまして、これは鋭意努力したいと思っています。さらには、今の御提案でございますけれども、この値上げの問題ということの観点ではなく、このような状況の中でどのような対応が例えばできるのかできないのか、こういうことについての工夫策がとれるかどうか、こういうことについてぜひ検討させていただければと思います。
以上でございます。
○上島よしもり 議長 以上で桜井稔議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時五十六分休憩
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午後四時十分開議
○上島よしもり 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○上島よしもり 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。
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○上島よしもり 議長 代表質問を続けます。
自由民主党を代表して、四十一番石川征男議員。
〔四十一番石川征男議員登壇〕(拍手)
◆四十一番(石川征男 議員) 質問通告に従い、自由民主党世田谷区議団の代表質問を行います。
戦後復興から高度経済成長へと続く昭和時代の象徴的な出来事として語り継がれる一九六四年の東京オリンピック、抜けるような青い空、これ以上ない秋晴れとなった十月十日、当時、大学一年生であった私の目に映った国立競技場の聖火は、日本の成長を予感させるものでした。そして、今もなお鮮明な記憶として残るのは、家族とともにテレビに釘づけとなり、応援した東洋の魔女の活躍、女子バレーの金メダルです。まさに日本中が勇気と希望に包まれた瞬間でした。
時代は、昭和から平成へ、私たちの生活は劇的な変化を遂げましたが、同時に私たちが大切に育み、最も重んじてきた礼儀作法や人を思いやる気持ちなど、日本の心、日本人の気質が少なからず失われてきたようにも感じます。
さて、十七日間の熱戦に幕をおろしたリオオリンピック、そして今なお熱戦が続くパラリンピックで躍動する選手の姿は、時代を超えた今でも当時と同じように大きな感動となって日本中を駆けめぐっています。スポーツが持つ力の大きさを改めて実感するわけですが、特にオリンピックでは、金メダルに輝いた水泳や柔道、レスリング、体操、バドミントンを初め、多くの競技で過去最多、四十一個のメダルを獲得、中でも並みいる強豪国がひしめく中で、世界に衝撃を与えた陸上男子四百メートルリレーの銀メダルは、まさにチームジャパンが一丸となってなし遂げた偉業でありました。この四年に一度世界が注目するスポーツと平和の祭典が、半世紀以上の時を超え、いよいよ東京に帰ってきます。
我が会派は、平成二十五年九月、IOC総会での二〇二〇年東京大会決定以降、さまざまな観点から区の姿勢や施策の方向性などを伺ってまいりました。その一つが、平成二十六年第一回定例会の代表質問における事前キャンプの招致という具体的な提案であったことは、御承知のとおりであります。決定から三年、私たちは、二度目の開催となる成熟した国際都市東京として、アスリートファーストの大会準備とあわせ、まさに大会以降を見据えた区民ファーストの施策を展開していかなければならないとの責任の重さに、改めて身の引き締まる思いが込み上げてまいります。
そこで、まず初めに、東京二〇二〇大会に向けた取り組みに関し、改めて伺います。
馬術競技の会場である馬事公苑周辺やアメリカ選手団の事前キャンプ地となる大蔵運動公園の整備を着実に行うことはもちろんですが、おもてなしの心を体現するボランティアの確保や大会を契機とした機運の醸成、国内外からの観光客誘致に向けた観光政策、さらに大会以降をしっかりと見据えた戦略等、四年後に向けた課題は山積しています。区でも、リオオリンピック・パラリンピックに職員を派遣するなど、現時点で可能な限りの準備を進めているように見受けられます。しかし、開催に至るまで待ち受ける多くの課題は、誰一人として経験したことがない困難なものと言っても過言ではありません。
本大会に向け、区政のさまざまな分野で区民の期待が高まる一方、期待に応えるだけの十分な結果が残せるのか、時間の経過とともに一抹の不安がよぎります。何度も申し上げているとおり、国や都との強固な連携はもはや必要不可欠であり、さらに、区のリーダーシップのもと、民間、大学機関等、さまざまな組織と連携した施策を数多くスピーディーに展開していくことが、アスリートファースト、区民ファーストの取り組みに向けた大きな成功要因の一つと考えます。
東京二〇二〇大会を契機に、大会以降も見据えた施策展開を区はどのように図っていくのか、また、馬事公苑周辺などの整備に向けても具体的な方針、指針をつくり、臨むべきと考えますが、見解を伺います。
あわせて、今後ますます重要となる区の国際化についても伺います。
さきの定例会においても、外国人旅行者や在住外国人の増加、そして東京二〇二〇大会を契機とした区の国際化に向けた方向性を確認したところですが、区内在住外国人への支援、外国人観光客誘致といった課題に関して見れば、大会はあくまでもきっかけにすぎません。むしろ大会以降、十年、二十年後も持続可能な息の長い支援策、政策展開が必要であると考えます。
昨年度策定した区の総合戦略では、魅力ある世田谷のブランド力アップの必要性について触れていますが、在住外国人への支援策の充実や観光客誘致を通じた国際化の推進は、国際都市として欠かせない多様性を受け入れる町のイメージアップとなり、結果、区のブランド力アップにもつながるものと考えます。
東京大会前後の盛り上がりを大きな契機として、リオやロンドンでの成功事例についても十分検証し、今から長期的視点に立った観光、外国人支援についての戦略的な政策展開は必須であると考えますが、見解を伺います。
さて、六月の第二回定例会以降、リオでの熱戦以外にも、国内外を問わずさまざまな激しい動きがありました。七月、バングラデシュでの卑劣きわまりないテロにより、邦人七名のとうとい命が犠牲となりました。その直後に、フランス南部のニースで、バスによる無差別テロが発生するなど、世界各地で頻発するテロ行為への強い憤りとともに、その不安と恐怖は日本でも現実に起こり得るものとして万全な対策を講じなければならないとの強い思いが込み上げてまいります。
また、イギリスでは、EU離脱を問う国民投票が行われ、僅差で離脱派が残留派を上回る結果となりました。これを受け、世界中のマーケットが敏感に反応するなど、今後の日本経済に与える影響ははかり知れず、引き続き注視する必要があります。
一方、国内では、世田谷区にとっても重要な二つの選挙が七月に行われました。一つは、自民、公明の政権与党に対し、民進党、共産党など野党四党が統一候補を擁立し、注目された参議院選挙であります。結果は、既に承知のとおり、消費税引き上げ延期を含め、道半ばであるアベノミクスを強化し、デフレ脱却を確実に実現してほしいとの国民の意思が明確に示されたわけですが、増税分を財源として見込んでいた今後の社会保障施策への影響は注視しなければなりません。
また、都民の信頼回復に向けた東京都知事選挙では、小池新都知事が誕生しました。リオオリンピック閉会式でリオ市長から五輪旗が手渡され、東京大会への決意を述べる一方、早速、築地市場の移転延期を決定するなど、みずから掲げた東京大改革を実行されているようですが、都区制度がしかれている中で、さきに申し上げた東京二〇二〇大会はもちろん、区政全般にわたり東京都といかに連携を強化し、あるいは他の二十二区と歩調を合わせながら、いかに対峙していくのか、その判断、決断が区の将来に大きく影響することは明らかです。新都知事の手腕もさることながら、今後も保坂区長の姿勢、言動、その一つ一つが大変重要になることは言うまでもなく、過去に散見された信頼関係を損ねる軽率な言動など、決して許されません。
そして、これまで何度も申し上げてきたとおり、区政に山積する重要課題の克服に向けては、将来を見通した緻密な戦略のもとで、繰り出す施策のバランスとスピードを欠くことなく、全ての取り組みが区民のためであることを忘れてはなりません。我が会派は、区政の停滞を招く言動や区民生活を顧みない自分ファーストの姿勢に対しては、今後もしっかりと対峙していく覚悟であります。
さて、今定例会は、保坂区政二期目のスタートであった二十七年度の決算議会でもあります。区長はリーダーとしての責務を十分果たされたのか、一票を投じた区民の期待に応え、区政全般にわたるさまざまな施策のバランスをとり、課題を克服するためにスピード感を持って適正に財源を投入してきたのでしょうか。
本年三月、この議場で可決された保坂区長の言動を改めるよう求めた決議は一つの答えであります。また、視点を変え、決算状況の特徴を見ると、本庁舎整備など、将来の財政需要に対する備えとして約百億円の基金積み立てを行ったことは、財政基盤確保の観点から当然のことであります。
一方で、予算編成の段階では、さまざまな課題に限られた財源を効率的、効果的に配分することを基本としながら、執行率は前年度比で一・六ポイント低下している状況です。私立保育園運営費や学校改築費など、民生費、教育費の執行率はともに九四%台と高い状況の中で、特に土木費の執行率が八四%台と低く、道路用地取得費などに多額の不用額が見られますが、未来を担う子どもたちへの投資とともに、その子どもたちの暮らしを守る都市基盤をしっかりと整備するというバランスに欠けているのではないでしょうか。
より多くの区民が享受できる施策、例えば安全で歩きやすい道路整備など、区民にとってバランスのとれた納得のいく予算執行であったのか、決算議会の初日に当たり、改めて二十七年度区政運営の総括を伺います。また、二十九年度予算の編成方針が示されましたが、二十七年度決算状況を踏まえ、予算編成にどう生かし、取り組んでいくのかあわせてお聞かせください。
さて、二十九年度予算に関し申し上げましたが、二十八年度予算は、区政史上最高額となりました。子どもや高齢者施策を初め、今後も増大する行政需要や本庁舎整備を初めとする公共施設の維持、更新が控えている中で、改めて将来にわたる行財政改革の取り組みに終わりはないと肝に銘じなければなりません。区でも、未来志向の行政経営改革と銘打ち、現状の取り組みのままでは将来の危機に耐えられないとの認識を示しておりますが、では、この未来志向という実態がつかみにくい表現を用いただけの行革で、今後も増大し続ける行政経費に耐えられるのか、事務事業の見直しなど、不断の取り組みにとどまらず、区長が積極的でない利用者負担の見直しを含めた区民の理解を得て行う行革も避け続けることはできません。そして、行革の取り組みこそ、さまざまなバランス感覚とスピード感が必要です。今後、どのように行財政改革に取り組むのか、具体的にお答えください。
続いて、公共施設に関して伺ってまいります。
地方の人口減少が危惧される一方で、区の人口は増加しています。この人口増化が保坂区長の手腕によるものなのか、あるいは人口減少を全国的課題として捉え、地方との共存共栄が叫ばれている中で、単純に歓迎してよいのかという疑問はさておき、とりわけ増加が著しい子どもや高齢者の行政需要に対し、将来にわたり行政だけで応えることが厳しいことは共通する認識であるはずです。
そこで、保育園や介護などの施設整備需要に対しては民間に公有地を貸し付け、施設整備は任せるといったこれまでも行っている民間活用の手法を一層進めていくべきと考えます。
また、一つの施設を将来需要の変化に合わせ、さまざまな使い方を想定し、可変的な施設として活用することも今後必要ではないでしょうか。例えば十年、二十年は、保育園を初めとする子育て支援施設として、その後は団塊の世代を見据え、高齢者施設へ転用する、あるいは施設本来の目的として使わない時間帯を活用し、地域の皆様に貸し出すなど、さまざまな機能を持った施設とし、あらかじめ整備することなどを検討すべきと考えます。あわせて見解を伺います。
この公共施設整備に関して、区では、今後三十年を展望した総合管理計画を策定しようとしています。高度経済成長期、大量に整備されたインフラの更新は、全国の自治体が抱える課題であり、学ぶべき先進事例もあるはずです。計画策定に当たり、どのような事例を参考にしたのか、そして計画の最大の目標は何か。言うまでもなく、公共施設は区民の財産です。十年、三十年と言わず、さらなる大計の覚悟で進めるべきです。見解を伺います。
また、施設の更新だけでなく、施設の使い方や利用者間のルールづくり、あるいは公平性の観点から、使用料などの利用者負担のあり方なども含め、幅広い区民の理解が欠かせません。このような視点を十分踏まえた上で、計画を着実に推進していくことが必要です。今後、公共施設が計画に沿って適切に保全、管理、更新されるために、庁内体制をどのように整備していくのか伺います。
次に、本庁舎等の整備についてです。
本年四月から七月の四カ月間、本庁舎等整備基本構想検討委員会において熱心な議論が集中して行われ、私も毎回傍聴させていただきました。私個人の感想は差し控えますが、先月、検討委員会からの報告書が、委員長から区長に手渡され、このたび、本庁舎等整備基本構想素案が示されました。我が会派は、昨年来、保坂区長の本庁舎整備に関する迷走を厳しくただしてまいりましたが、この場で何を申し上げても失った時間は戻りません。区長は検討委員会からの報告を受け次第、本庁舎整備の今後について決断すると明言されました。報告書は提出されました。合理的な手法でスピード感を持って、これまでのおくれを取り戻さなければなりません。現時点で何を決断されたのか、いまだ何ら決断していないのであれば、何をいつ決断しようとしているのか、今後の具体的なスケジュールとあわせて、明確にお答えください。
また、本庁舎整備の方向性をも左右する世田谷総合支所の移転に関し、引き続き、現在の本庁敷地内に整備する方針が示されました。世田谷支所の移転に関しては、交通至便な三軒茶屋を候補地として、適地を有する事業者とも協議を重ねてきた結果、実現にコストや人員面での課題が大きいことから断念したと聞いております。さまざまな角度から検討した上での判断であると思いますが、重要なのは、本庁敷地内に整備される支所機能や区の広域生活、文化拠点である三軒茶屋への行政機能の展開が、妥協の産物であってはならないということです。
現在地に残る世田谷総合支所の機能とあわせ、区が描く三軒茶屋における行政機能の今後の展開についてお聞かせください。
次に、子ども施策について二点伺います。
まず、保育待機児対策です。
全国的に少子・高齢化が進む中、区では、子育て世代の人口が伸びています。元気に遊ぶ子どもたちの姿を多く目にすることはかけがえのないものです。しかし、一方で、保育サービス需要の高まりにより、保育待機児数の不名誉な状況が続いているのも事実です。
政府が進める一億総活躍の最大のターゲットは女性です。多くの女性が自身の能力を遺憾なく発揮し、安心して働くための保育サービス拡充策もさまざま示されています。こうした中、区では保育待機児対策担当参事を兼任する宮崎副区長を中心に、国に先んじた新たな独自施策の実施を含めた取り組みを進めています。このスピード感は一定の評価をいたしますが、財源確保の継続性や将来にわたる健全財政の維持など、懸念材料も少なからず見受けられます。
こうした施策の推進に当たっては、しっかりと将来を見据えた判断、決断が欠かせないわけですが、保育待機児解消に向けた取り組みを当面どのように進めていくのか、人口推計も加味しながら、将来に向けた取り組みの方向性とあわせ伺います。
二点目は、児童相談所の移管、設置についてです。
法改正を受け、区では、平成三十二年四月以降、できる限り早い時期に児童相談所の移管、開設を目指す方針を示しました。改めて申し上げますが、児童相談所とは、子どもたちを守り、命を救う責務を負うものです。移管、設置ありきで進めることなど決してあってはならない施設であり、その鍵を握るのは人材にほかなりません。さらに、財源を初め、移管に際しての課題が山積する中で、果たして真に機能を果たせる施設として開設できるのでしょうか。特に先ほど申し上げた人材については、東京都との交渉に頼っていては立ち行かなくなる可能性すらあるとの覚悟も必要です。加えて、関係行政機関との強固な連携など、これまで広域に都が担ってきた利点も見逃してはなりません。
意気込みだけでは、真に子どもたちの命を守ることはできないとの覚悟のもと、児童相談所移管、設置に向けた課題を克服する道筋を整理した上で判断すべきであると考えますが、特に人材確保策を含め、具体的にどう取り組んでいくのか伺います。
続いて、高齢者施策について伺います。
区では、この七月から地域包括ケアの全二十七地区での展開が始まりました。それぞれの地区で三者が連携し、区民の困り事に丁寧に応えているとは思いますが、一番多い相談が引きこもっている子どもの相談であるという声を聞くこともあります。さまざまな区民の相談に応えることは否定するものではありません。しかしながら、国が本来目指している高齢者施策としてどの程度対応が進められているのか、今後、十分な検証も必要です。
さて、子どもの人口がふえているとはいえ、高齢者人口比率がふえていることも直視していくべき事実であります。区では、二〇二五年に向け、特養千床を増床する計画としていますが、その担い手やサービスの質の確保はどのように進めていくのでしょうか。国においても、介護サービス従事者の待遇改善や介護離職者ゼロを掲げ、新たな取り組みが進められています。
今後、高齢化のスピードが区の予測をはるかに超えることも想定し、国の動きを機敏に捉え、質の高い介護サービスが提供できるよう、スピードを上げて人材確保や人材育成に力を入れていただきたいと切に願いますが、区の見解と対応についてお聞かせください。
次に、区が目指す町の将来像についてです。
近年、周辺区市では、地域特性を踏まえた絶対高さ制限の導入が進み、区でもこのたび、他区に先駆け、平成十六年に定めた建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの基本的考え方、素案を取りまとめました。
我が会派は、こうしたまちづくりの取り組みに際しては、区民の財産権にかかわる問題もあわせ持つことから、単にスピードだけでなく、関係する区民への説明責任を果たすなど、丁寧な取り組みが大切であると考えます。このたびの素案の特徴及び今度の進め方とあわせ、目指す町の将来像を伺います。
さて、先月末、台風十号の影響による岩手県や北海道を中心とした記録的な大雨により、またしてもとうとい命が犠牲となってしまいました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福とともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
このたびの災害は、台風上陸の可能性による十分な警戒の中で起きました。改めて自然災害の猛威を痛感するとともに、自治体の責務とは何か、その対応がいかに大事であるか、そして河川の氾濫や土砂による道路の寸断など、基盤整備がいかに重要かを再認識させられるものでもありました。私たちの暮らしを脅かす首都直下地震への備えの必要性は誰もが認めているところですが、中でも道路は、さきの熊本地震の例を見るまでもなく、災害から区民の生命、財産を守るために必要不可欠な都市基盤です。
全力で道路整備に取り組むと区長が明言されて約半年が経過するわけですが、まず全力で取り組んできたこの間の進捗状況をお答えください。
また、特に区内は狭隘道路が多く、改善を求める声はやみません。日常生活において不便な道路で済むならばまだしも、一度災害が起これば、不便な道路では済まされません。スピードを上げた狭隘道路整備の覚悟を伺います。
災害において自治体が大きな役割を担っていることは言うまでもありませんが、九十万に迫る人口を擁する世田谷区においては、全区的な対応はもとより、地域の特性に合った災害時の対応が不可欠です。現在、地域防災計画を策定中とのことですが、計画は実行できなければ何の意味もありません。特に被災直後の初動期対応では、区の職員はもちろん、町会・自治会、商店街、学校、企業、子どもや高齢者、障害者、あるいは区内を訪れ被災された方などさまざまな状況にある多くの方が錯綜し、混乱した状況下すら想定することも必要です。実効性のある計画とするための具体的な取り組みを伺います。
さて、政府が示した未来への投資を実現する経済対策では、中小企業・小規模事業者の経営力強化・生産性向上支援として、商店街の集客力向上支援等にも触れています。地方創生の推進は言うまでもなく、主役は地方、目指すは世界との志を持って地域の元気を引き出すものです。もちろん、国の制度や自治体の施策以前に、個々の事業者が高い志を持ち、みずからの力と創意工夫によって経営の刷新を図る努力が重要であることは承知しています。
我が会派は、今夏、札幌市郊外に位置する発寒北商店街の取り組みを視察してまいりました。「四十年後、札幌で一番住みやすい街へ」を合い言葉に、商店街の機能そのものを見直し、単に物を売るだけでなく、地域の困り事を商店街が窓口になって解決する仕組みをつくるなど、地域コミュニティーの担い手となるさまざまなサービスを提供する取り組みが行われておりました。町会・自治会はもとより、商店街を中心に人と人の交流が生まれ、町のにぎわいとなる。
産業政策を進める上で、こうした地域の中に根づいた活動を支援することも忘れてはなりません。また、先ほどの災害対策と同様、幾らビジョンや計画を策定しても、実効性が伴わなければ何の意味もなく、ましてや、区がみずから区内産業を支える施策の限界を決めてしまうようなことは許されません。国の経済対策を踏まえ、また東京二〇二〇大会への期待が高まる中で、どのように取り組みを進めていくのか伺います。
また、区内産業の振興、地域経済の活性化の観点で申し上げれば、公契約条例の存在も忘れてはなりません。条例施行から一年半が経過する中で、果たして区内産業、区内事業者の経営基盤の安定化が図られてきたのか。条例の目的でもある区内産業の振興と地域経済の活性化を図るために条例は有効に機能しているのか、さらに、条例制定の際に再三申し上げた大胆な入札制度改革による実効性ある取り組みは行われてきたのか、区の見解を伺います。
次に、教育政策についてであります。
国では、次期学習指導要領の改訂に合わせ教育改革が急ピッチで議論され、さまざまな教科の改善や新たな教育内容が実施されようとしています。また、急速に進む国際化の波は、オリンピック・パラリンピックの東京開催により、さらに大きな波となり、グローバル人材の育成として、小学校での英語の教科化なども進められようとしています。こうした中、私は、冒頭でも申し上げましたオリンピック・パラリンピックが子どもたちの目にどのように映り、その心にどう響くのか、大いに期待しています。
教育とは心を育てるものでもあるはずです。日本全国、そして世田谷の子どもたちにとってすばらしい東京大会になることを切に願うわけですが、この間、世田谷の教育を牽引してこられたであろう教育長、何かお考えがあればお聞かせください。
続いて、道徳の教科化について伺います。
以前、道徳性は、家庭や地域の生活の中で育まれ、また伝統文化である武道や茶道などを学ぶことで礼儀や作法を通し、心の成長を促す時代もありました。しかし、地域の人間関係の希薄化が進み、価値観の多様化も進む現代にあっては、学校が一定の役割を担っていかざるを得ない状況にあります。
私はまず、教育においては道徳教育の充実こそが必要であると考えます。道徳性を身につけた上で、初めて学力や体力が社会の役に立ち、健やかな地域社会が形成されます。国もようやく昨年、学習指導要領を一部改正し、特別の教科道徳として取り扱うことになっております。来年度には、道徳の教科書採択が行われ、本格的に道徳の授業に取り組まれるようですが、教育委員会では、この道徳の教科化をどのように捉え、どう進めていくのかお聞かせください。
次に、人口推計についてです。
子育て世代の人口増と相まって、区の児童人口は著しい増加となっていますが、区はどの程度想定できていたのでしょうか。例えば船橋小学校は十年前、芦花小学校は四年前に改築したばかりですが、周辺人口の急激な伸びにより、両校とも校舎を増築しなければならない状況です。この二校に限らず、区の小学校入学児童数の見込みは甘過ぎると言わざるを得ません。今後、教育委員会としてどのように児童人口推計の精度を上げていくのか伺います。
また、児童人口だけに限らず、高齢者人口についても、長寿命化している昨今の実情が反映されていないように思えます。人口九十万に迫る世田谷区においては、どの年代が増加するのか、そして減少するのかによって施策の方向性も変わることから、人口推計の甘さは区民の負担増に直結し、将来にわたる成長の妨げになることは明白です。今後、どのように人口推計の精度を上げて、どのように施策に反映していくのか伺います。
最後に、世田谷ブランドに関し伺います。
私は昨年、この壇上から区長に世田谷ブランドの魅力向上について伺いました。区長は、区民意識調査などのアンケートによる住みたい町、住み続けたい町という評価が世田谷ブランドであり、住みたい、住み続けたいという魅力は、みどり豊かなまちづくりや子育て、文化教育という施策の向上であると答弁されました。しかし、保育待機児数は変わらず、みどり33も達成は厳しい状況です。区長が語る魅力の向上は到底実感できません。
実は世田谷ブランドの力を一番理解していないのは保坂区長ではないでしょうか。世田谷ブランドとは、保坂区政が誕生する以前から既に確立されているものです。そして、区政運営において、いかに迷走を繰り返そうと、施策のスピード感を誤りバランスを欠こうとも、耐え得る力を持っている、それが世田谷というブランド力の力であります。しかし、その力も徐々に揺らいできているのではないかと危惧するのは、我が会派だけではないはずです。
自身の立場を守るためでなく、全ての政策、全ての決断が区民のためであり、区民を守るためであること、そして区政全般を見通し、バランスあるスピード感で区政を進めること、世田谷ブランドを守るために必要なことは明白です。御見解があればお聞かせください。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 石川議員にお答えをいたします。
まず二十七年度決算、そして二十九、予算方針についてお尋ねがございました。
二期目のスタートとなる平成二十七年度は、子どもから高齢者、障害者まで、幅広く切れ目のない多世代の暮らしを支え、育む施策と道路や学校施設など、都市基盤整備となるハードの部分の整備によって、安全安心を守り、育てる取り組みを総合的に進める予算というふうに位置づけて区政運営を行ってきました。二十七年決算を振り返れば、保育待機児対策を初め、世田谷版ネウボラ等の子育て支援の充実、地域包括ケアの地区展開、地域防災力耐震化促進などの災害対策の強化、ICT化の導入、学校改築など、教育環境の整備等に着実に取り組んでまいりました。また、約百四億円の基金積み立てにより、基金残高七百三十八億九千百四十八万八千円、そして特別区債四百六十六億二千五百四十万五千円と黒字の状況にあり、健全な財政運営と財政基盤確保の両面に努めたものと認識をしています。
二十九年度予算の編成に当たりまして、新実施計画の最終年度を迎えることから、この計画の確実な達成を押し上げていく年次に当たります。同時にこれまでの事業のあり方を点検し、枠にとらわれない柔軟で思い切った発想や手法の転換、また連携の強化など、未来を切り開く改革に庁内一丸となって挑戦をし、区民の暮らしに直結する重点政策の確実な推進に取り組んでまいります。
次に、公共施設等総合管理計画についてお尋ねがございました。
公共施設等総合管理計画は、既にさまざまな自治体で策定が行われています。しかし、日本中多くの自治体では、人口減少による施設需要の縮小を前提とした計画づくりをしておりまして、人口はふえている、そして子どもたちも、高齢者も含めて多世代共生の参加と協働のまちづくりを目指している当区においては、全国的にいえば非常に珍しいケースを示していて、そのまま全国のケースを参考にするというわけにはいきません。
計画の策定に当たって、人口増に合わせて、施設を漫然と増加していくのでは、これはいずれ財政負担が過大となってしまうことは明白でありまして、この施設の増加量をコントロールすることが重要と考えております。また、お話にあるように、その施設を有効利用する。クローズの時間をオープンにして、多くの方が使えるようにして、人口増に合わせた区民需要にも応えていくということも必要でございます。
計画の最大の目標は、将来世代に大きな負債を残さないということだと思います。そのために、半世紀後、五十年後にも区民サービスが低下をすることなく、財政の健全性を保つことができる施設総量の目標値を定めているところであります。今後、あらゆるインフラの長寿命化や区民参加による協働型運営など、創意工夫を図りながら取り組んでまいる所存でございます。
次に、本庁舎整備についてお尋ねがございました。
八月八日に、四月から議論を重ねてきた世田谷区本庁舎等整備基本構想検討委員会から報告書をいただきました。この報告書に至る経過とこの内容を尊重することに決め、このたび区として、世田谷区本庁舎等整備基本構想素案を取りまとめました。素案におきましては、災害対策の中枢としての機能や環境共生都市世田谷にふさわしい環境性能、区民サービスや効率的な事務執行、区民交流、区民参加を充実するためのスペース拡充など、新たな本庁舎に求められる機能や規模、工期の設定など、設計者が設計するための諸条件の大枠を示すことができたというふうに考えております。また、空間的特質の継承を含めた庁舎の形状等については、区として定めた諸条件を満たした設計者の提案をもとに決定していきたいと考えています。
今後、この素案に対するパブリックコメント、区民説明、意見交換会、区議会における議論も経まして、十二月には基本構想として策定をしてまいります。その後、直ちに設計者選定委員会の設置も含めた設計者選定に向けた準備に取りかかり、来年度早々には事業者の募集を開始いたしまして、半年程度をかけて設計者選定プロポーザルを実施し、二十九年度後半から基本設計に着手をすることを想定しております。
続いて、児童相談所移管についてであります。
今般の児童福祉法の改正を受け、区は区民に最も身近な自治体として、児童相談所と
子ども家庭支援センターが一体となり、一元的かつ地域の支援を最大限に活用した切れ目のない児童福祉行政を実現すべく、児童相談所の移管を目指しております。
区の児童相談所の設置場所については、
総合福祉センター機能移転後の一部を利用する方向で検討を進め、平成三十二年四月以降、できる限り早い時期に特別区間の連携を図りながら、複数区での同時開設を目指しているところであります。移管に向けては、一時保護所の設置や他の自治体との広域連携の仕組みの構築、広域的な多機関連携、財源の確保など、さまざまな課題があります。子どもの命を守る最前線となる児童福祉司や児童心理司など、専門人材の確保、育成が最大の課題になります。
専門の人材については、
子ども家庭支援センターの経験を積んだ職員等を充てるほか、有資格者を計画的に採用していきますが、児童相談所における現場経験が重要であることから、世田谷児童相談所はもちろんのこと、他自治体も含めた児童相談所に複数の区職員を派遣してまいります。さらに、開設当初は、都に対して協議を進めていく中で、円滑な運営が可能となる規模の専門人材の派遣を要請してまいります。移管に当たっては、何よりも子どもの利益、健康、安全、これを最優先に考え、都の協力を仰ぎながら、十分なケースの引き継ぎを行い、万全の準備をもって区児童相談所の円滑な開設を目指してまいります。
最後に、世田谷ブランドについてであります。
世田谷区民意識調査二〇一六によると、世田谷は住みやすい、今後とも住みたいと八割以上の方が回答されています。交通、買い物の利便性、みどり豊かな町並み、生活環境のよさなどが挙げられています。また、首都圏の約四千人を対象とした民間会社の調査で、住みたい自治体ランキングの一位ないし二位にランクインするなど、区内外を問わず、魅力ある町として得ている高い評価こそが世田谷ブランドであるというふうに思います。
そして、今日まで受け継がれてきた世田谷ブランドは、これまで長い時間をかけて多くの区民や事業者、そして区自身も汗をかきながらともに築き上げてきた成果であると認識をしております。この世田谷ブランドを守り、育て、次世代に引き継いでいくためには、基本構想、基本計画で描くみどりと水に恵まれた住環境や多様性を尊重して緩やかに共生する社会の実現を目指し、区政をより効率的、効果的に進め、政策を確実に推進していくことが重要だと思います。引き続き、区長としてリーダーシップを発揮し、区議会とともに車の両輪となりながら、区民、事業者等と連携し、将来にわたって区民が誇れる魅力あふれる世田谷の実現に向けて、一層力を入れて取り組んでまいります。
以上です。
〔板垣副区長登壇〕
◎板垣 副区長 私から、六点について御答弁申し上げます。順次答弁させていただきます。
まず、行財政改革につきましてでございます。
区を取り巻く社会情勢の変化、それに伴う区民ニーズの増加や多様化等に対応していくためには、安定した財政基盤の確立に向けたより一層の行政経営改革が欠かせないものと認識しております。区は、現在、新実施計画に基づいた行政経営改革に取り組んでおり、このたび使用料、利用料の検証及び見直しに着手したところでございます。
今年度の見直しにつきましては、新制度導入の結果を踏まえて検討した認可保育園等保育料のみとなりますが、それ以外の使用料、利用料につきましても、今年度と来年度でさまざまな視点からしっかりと検証を行い、見直しの必要性について適切に判断していきたいと考えております。引き続き、区民の皆様の御理解を得ながら、すぐに取り組むべき行政経営改革はスピード感を持って取り組むとともに、中長期的な財政基盤の確立に向け、実効性のある新たな行政経営改革の具体策を次期新実施計画の中でお示ししてまいりたいと考えております。
次に、公共施設につきまして、民間活用の手法を一層進めるべきとのことでございます。
今後の将来人口推計によれば、当分の間、年少人口、高齢者人口の増が見込まれております。それに伴い、保育施設や介護施設などの施設需要がますます高まるものと考えられます。いずれの施設も民間による整備を基本とし、公有地の貸し付けにより民間事業者を誘致して、区民の需要に応える公共サービスの拡充を図ってまいりました。今後も公共施設を積極的に複合化し、跡地に民間事業者を誘致することで、保育施設、高齢者介護施設、障害者施設等のさらなる需要増に対応していくことが重要であると認識しております。
また、従来の手法に加えまして、土地の容積率等を最大限活用し、保育園、介護施設といった民設公共施設と商業施設等の収益施設を複合的に整備し、町のにぎわいの創造や収益施設からの税外収入の確保など、官民連携型の取り組みも推進すべきと考えております。
次に、公共施設等総合管理計画につきましてでございます。
総合管理計画の長期的目標を達成するには、毎年度の数値目標を着実に達成することが重要であると考えております。そのためには、企画財政部門と施設営繕部門、道路公園部門が緊密に連携を図りながら全庁横断的なマネジメント推進体制をつくり、計画の進行管理を一元化することが重要であると考えております。
この推進体制のもと、例えば個別の施設の改築の際、計画に定められた施設規模や経費の上限内で整備を進められるよう、管理を徹底してまいります。また、社会情勢等の変化により、施設規模などをやむを得ず拡充する場合、全体目標に影響を及ぼさないよう、他施設の縮減や廃止なども含めて総合的な管理を行ってまいります。
次に、住環境の確保の件で、このたびの素案についてでございます。
世田谷区では、建築物の絶対高さ制限につきまして、平成十六年度に低層住居専用地域を除く住居系用途地域等に三十メートルまたは四十五メートルの制限を導入し、地区まちづくりの推進とあわせて住環境の保全に努めてまいりましたが、近年、建築基準法の改正等から比較的高い建築物が見られるようになり、新たな取り組みが求められるようになりました。こうした市街地の変化と実態を踏まえ、新たな都市整備方針で定める将来都市像の実現に向け、このたび、建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの基本的考え方、素案を取りまとめました。
本素案では、現在の二種類の高さ制限から、地域の特性や実態に応じてめり張りのある七種類のきめ細かい区分設定に戻すとともに、規制と誘導の考え方に基づき、緑化や空地の創出など、市街地の改善に貢献する建築を評価する特例制度を設け、良好な建築計画を誘導することで、建物の間に光と風、みどりがある町を目指したいと考えております。
議員お話しのように、本取り組みは敷地利用に対する制限となることや建築物の高さにおける既存不適格も生じることから、多くの区民の皆様にこの取り組みを知っていただけるよう、「区のおしらせ」やホームページと、
区民アンケート調査に御協力いただいた皆様への意見交換会の御案内を初め、出張所及び
まちづくりセンター、図書館に本素案の閲覧場所を設置するとともに、都市計画課及び総合支所街づくり課に個別相談窓口を開設してまいります。
区といたしましては、引き続き丁寧に進めていくとともに、都市づくりビジョンの将来都市像、安全で快適なくらしをともにつくる都市世田谷の実現に向けまして、取り組んでまいります。
次に、道路整備について、道路整備の取り組みについての御質問でございます。
熊本地震の発生、またはこのたびの台風被害を目の当たりにしまして、道路が区民の安全と安心を支える重要な都市基盤であることにつきまして、改めて認識を深めているところでございます。道路整備につきましては、これまでも区政の重要課題として注力してきたところでございますが、道づくりプランに基づく道路ネットワークの整備をさらに着実に推進する観点から、区では、本年四月の組織改正により、道路事業の推進体制を強化いたしました。新たな体制におきましては、外部委託を活用して、大型集合住宅の用地取得、調整を軌道に乗せるなど、成果も見え始めているところでございます。用地取得には地権者の御理解と御協力が必要不可欠でありますので、具体的な生活再建などを提案し、粘り強く交渉に取り組んでいるところでございます。
区といたしましては、世田谷道づくりプランに基づき、今後とも区内の道路ネットワークの整備に邁進してまいります。
最後に、狭隘道路整備のスピードアップにつきまして御答弁申し上げます。
区では、この間、幅員四メートル未満の狭隘道路の拡幅整備を行っており、平成二十七年度には約五千五百メートル、これまでにも三十年余にわたりまして合計百十七キロメートルの整備実績を積んでございます。しかしながら、平成二十三年度の土地利用現況調査より、狭隘道路は区道だけでも総延長の約四分の一、約二百八十八キロメートル残っていることを確認しております。狭隘道路は、災害時の避難ルートや緊急車両の通行経路の確保という観点から、早急に解消すべき課題であると強く認識しております。
区では、狭隘道路をより効果的に拡幅整備するため、平成二十三年度から建てかえのある敷地前の拡幅だけではなく、お隣や向かい側の敷地の権利者にもお声がけしながら、連続した区間を一括整備する取り組みも行っております。現在、この連続した整備をさらにスピードアップすることも念頭に、新たな整備促進策を検討しているところでございます。
今後とも狭隘道路の早急な解消に向けてPRに努めるとともに、戸別訪問して働きかけるなど、関係所管が連携しながら全力で取り組んでまいります。
以上です。
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 私からは、五点につきまして、順次御答弁申し上げます。
最初に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会について二点御答弁申し上げます。
まず、大会以降を見据えた施策展開と会場周辺の具体的整備方針についてでございます。
区では、現在、今後の区の取組みの具体的指針となる二〇二〇年に向けた世田谷区の取り組み「東京二〇二〇大会後を見据えて」の策定を進めており、来年一月に取りまとめる予定でございます。本指針では、観光、スポーツ、国際、文化・芸術、環境、福祉、教育など八つのテーマと取り組みの方向、そしてそれぞれの具体的な取り組み案をお示しさせていただきました。今後も策定に当たりましては、産業団体や区内大学、学識経験者等を集めた懇談会と検討会からの意見やアイデアを反映するとともに、今後、パブリックコメントを実施し、区民の方々からも意見募集を行う予定でございます。
馬事公苑周辺などの整備につきましては、本年度設置いたしました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会庁内推進本部のもとに、専門部会として会場周辺整備部会を設けておりまして、今年度中に馬事公苑周辺の魅力向上に向けた馬事公苑界わいまちの魅力向上構想をまとめてまいります。
今後、二〇二〇年までの限られた時間の中で、商店街や町会・自治会、NPO団体や大学等とも連携を図りながら、実現可能な取り組みから着実に実行し、大会後のレガシー創出を見据えた施策を展開してまいります。
続きまして、長期的な視点に立った観光、外国人支援の施策展開についてでございます。
東京二〇二〇大会に向けましては、大会終了後のレガシーまでを見据えた施策の展開が重要であると認識しておりまして、観光客誘致や外国人旅行者の支援等についても、その取り組みが、大会終了後、在住外国人支援、最終的には多文化共生社会の実現につながるものでなければならないと考えております。例えば現在、新たな取り組みとして、在住外国人の視点で作成した町歩き、買い物、料理体験などのミニツアーを来訪する外国人の方々も御参加できるよう企画し、実施に当たりましては、国際化に御賛同いただける区民や事業者の方々にボランティアスタッフとして参加いただく仕組みを検討しているところでございます。こうした取り組みから生まれた区民同士のネットワークを東京二〇二〇大会に生かすとともに、大会終了後の外国人支援にもつなげていきたいと考えております。
取り組みに当たりましては、区内大学、商店街等、さまざまな組織と協働、連携し、一つの取り組みから多くの効果が得られるような戦略的な視点を大切にしてまいります。そして、着実な多言語対応、生活支援とあわせ、在住、来訪者を問わず、異なる言語、文化を背景とする方々が住みたい、住み続けたいと思ってもらえる魅力あるまちづくり、区のブランドアップにつながるさまざまな国際化施策をオール世田谷で展開してまいります。
続きまして、世田谷総合支所の機能、三軒茶屋における行政機能についてでございます。
世田谷総合支所の三軒茶屋の移転につきましては、区民サービスの向上と同エリアでのさまざまな課題の解決を目指し、検討を行ってまいりました。移転先として、区有地がなく、民有地を候補として、土地所有事業者と協議を進めるとともに、官民連携のあり方につきましても、本件の検討の中で研究を進めさせていただき、将来につなげていきたいと考えておるところでございます。
まず、当面の対応といたしましては、太子堂出張所の狭隘解消と窓口機能の充実により、地域住民の利便性向上を図るとともに、帰宅困難者支援機能や災害対策機能の強化、老朽化する三軒茶屋分庁舎の移転とあわせて、産業振興や雇用促進施策の充実、利用しやすい区民集会施設の整備などを考えております。
先ほど他会派のほうに区長のほうから答弁を申し上げましたが、この世田谷総合支所の移転につきましての将来展望については、先ほど区長のほうから申し上げたとおりでございます。今後、施策規模、コスト面等を考慮いたしまして交渉を継続いたしまして、極力行政としての確保を念頭に置きまして、中長期的な視点として、世田谷総合支所と本庁舎の機能整理を図りながら、世田谷総合支所の課題についても検討を続けてまいります。
なお、本庁敷地内に整備する世田谷総合支所につきましては、世田谷区本庁舎等基本構想素案におきまして、配置計画等で世田谷総合支所の独立性や支所としての一体性に十分配慮することといたしたところでございます。
次に、保育待機児解消に向けました当面の取り組み、さらには、将来への方向性についてのお尋ねでございます。
現在、就学前人口の増加によりまして、現行の保育施設整備計画の見直しを行っているところでございます。新たな人口推計では、平成三十一年度において、現行の推計に比べ、就学前人口が約三千四百人増加する見込みとなっております。こうした状況を踏まえまして、平成三十一年度におきまして、約千七百人程度の定員を上乗せし、約二万一千六百人分の保育所の定員を確保することを検討しております。
また、本年四月には、三歳児以降の待機児童がほぼ解消されたことから、今後は、ゼロ歳から二歳の低年齢児を対象とした保育施設整備に重点的に取り組んでまいります。あわせまして、国に先駆けまして、保育士確保のための個人給付を実施するなど、ソフト面での施策展開も図りまして、保育待機児解消に向けた取り組みを全力で進めてまいります。一方、保育総定員の拡大に伴い、運営費の増加が想定され、財源の確保や健全財政の維持について、非常に大きな課題であると認識しております。
区は、認可外保育施設の新制度移行や利用者負担の見直しを進めるとともに、国や東京都に対しまして、賃料補助の増額や公有地の賃料の軽減など、財政支援を求めてきたところでございます。先般発表されました国と東京都の待機児童対策におきましては、これまで区独自あるいは特別区長会を通しまして要望してきた事項を受けとめてもらっております。引き続き、国や都のさまざまな対応策や補正を含めた予算内容を十分検証していく中で、議会とも御相談の上、最も効果的な世田谷区にとって最善策を組み立ててまいります。
最後でございますが、区内産業の活性化と商店街支援でございます。
区では、平成二十六年度から四年間の産業振興計画に基づきまして、商業、工業、農業の枠組みにとらわれず、福祉、環境、建設なども含めた多様な産業の育成を図りながら、区内産業全体の振興に取り組んできております。その中で、国の経済対策にも挙げられております地域活性化の拠点としての商店街の集客力向上支援策は、区内産業活性化のための重要施策の一つであると捉えております。今年度は、プレミアム付区内共通商品券の発行支援、まちゼミ、まちバル事業への助成、外国人観光客向けの指差し会話シートの作成支援などの商店街振興事業に取り組んでおります。
区内産業の活性化を目的としたさまざまな産業振興施策に取り組むに当たり、その指針となる産業ビジョン及び産業振興計画も平成二十九年度をもって一つの区切りを迎えます。そのため、平成三十年度以降の次の十年を見据えて、新たな区の産業ビジョン及び産業振興計画の策定を今年度から進めております。次期産業ビジョンの期間では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会を迎える時期と重なります。このタイミングを大きく生かす上で、学識経験者や産業団体、消費者など、さまざまな立場の方々から御意見をいただき、地域における産業の課題解決に向けた創造性、実効性のある産業ビジョンを策定し、区内産業全体の活性化につなげてまいります。
以上でございます。
〔堀教育長登壇〕
◎堀 教育長 オリンピック・パラリンピックが子どもたちの心に与える影響について、教育政策の視点から御質問いただきました。
平成三十二年、二〇二〇年は、私ども教育委員会にとって幾つかの点で起点となる年です。この年は、東京でオリンピック・パラリンピックが開催され、また、次期学習指導要領がスタートする年度に当たります。ことしの夏、文科省は、次期学習指導要領の審議のまとめ案を出し、学習指導要領の目指す二〇三〇年、さらにその先の豊かな未来を築くために教育の果たす役割を提示しています。この十年から二十年で今の仕事の半数近くが自動化し、さらに二〇四五年には人工知能AIが人間社会を超えるなど、社会は大きく変容していくことが予測されています。この間、教育委員会は、オランダやフィンランドの海外視察等を行い、社会の変容を見据えた教育について、第二次教育ビジョンを策定し、その推進に取り組んでまいりました。
御質問の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでは、馬術競技がこの世田谷で行われ、またアメリカのホストタウンとしての取り組みもあります。日本はもとより、世界中にさまざまなメディアを通して世田谷の情報が発信されます。子どもたちの交流やおもてなしなどの一連の取り組みが子どもたちの心に大きな出来事として残り、それは自信や誇りにもつながるよき契機になるとも捉えています。
グローバル化、情報化、技術革新等が子どもたちの生き方に大きな影響を与える時代が確実に到来します。教育委員会は、子どもたちが新たな時代にそれぞれの未来をみずから切り開く力、いわゆる生きる力を身につけられるよう、東京二〇二〇大会の取り組みも踏まえ、さまざまな視点から教育政策の拡充に取り組んでまいります。
以上です。
◎松村 施設営繕担当部長 私からは、行政需要の変化に合わせた可変的に活用のできる施設の整備についてお答えいたします。
将来人口の動向とともに、今後の施設需要も非常に予想しづらい状況の中、区の財政を健全な状態に保ちつつ、必要な公共施設の量と質を確保するためには、議員の御指摘のとおり、その時々の施設需要を踏まえ、必要に応じて用途の転用が行いやすいなど、柔軟に対応できる施設整備が求められております。
具体的な対策といたしましては、建物の構造体と内装設備を分離することで、間仕切り壁の変更や用途の転用などに柔軟に対応できるスケルトンインフィルの手法を取り入れることも考えられます。また、今後は、一つの施設の空き時間を有効に活用できるよう、施設内のセキュリティー区分や利用動線を明確に分割し、主たる目的以外にも施設を活用する多機能化を行うなど、戦略的な施設整備を検討してまいります。
以上です。
◎瓜生 高齢福祉部長 私からは、高齢者施策を担う人材育成・確保策について御答弁いたします。
区では、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、誰もが住みなれた地域で住み続けられるよう、住まいを初め、医療、介護、介護予防、生活支援が身近なところで利用できる
地域包括ケアシステム構築に取り組んでおります。介護サービスの充実に向け、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス、認知症高齢者グループホームや特別養護老人ホームの整備を計画的に進めております。
介護サービスが増加していく中、質の高いサービスを提供するためには、介護人材の確保、育成、質の向上が欠かせません。区では、世田谷区福祉人材育成・研修センターでハローワークと連携した就職支援や知識、技術の習得、専門性の向上などを目的とした研修を実施しております。また、介護の基礎的資格となる介護職員初任者研修費助成を行っており、昨年度までに約八百三十人の方が利用されました。この事業のフォロー調査では、区内事業者への就労の動機となっていると多くの方が答えており、また、区内で介護の仕事を継続している割合が高いことから、大きな成果を上げていると認識しております。
キャリアアップの支援や処遇改善の取り組みを国や都も進める中で、区としてもその動向を注視しながら新たな取り組みを構築するなど、介護人材の確保、育成の支援策を総合的に推進してまいります。
以上でございます。
◎澤谷 危機管理室長 私からは、地域防災計画の実効性のある具体的な取り組みについて御答弁いたします。
地域防災計画につきましては、平成二十九年一月の防災会議に向けて案を取りまとめた上で、報告、審議して、三月に公表する予定でございます。
地域防災計画は、区の災害対策の基本となる計画ですので、具体的な取り組みとしましては、震災時初動期職員行動マニュアルやその他各種マニュアルの整備を進めていくことが重要です。計画やマニュアル等の検証は、主に防災関係機関等と連携しまして、本部運営訓練の実施や災対各部でのマニュアル検証などを通じて、着実にステップアップできるよう、全庁挙げて取り組んでいく必要がございます。
一方で、避難所運営マニュアル標準版の修正も平成二十九年度に予定しており、総合支所と連携して、避難所運営にかかわっている方などの御意見もいただきながら、作業を進めてまいります。
今後も、区としましては、震災時初動期職員行動マニュアル、震災復興マニュアルや避難所運営マニュアルの修正並びに計画やマニュアルを実施するための取り組みを着実に進め、被災地の教訓等を反映し、訓練等を実施して検証するなど、具体的な取り組みを進めてまいります。
以上です。
◎本橋 財務部長 私からは、区内産業を支える施策の推進につきまして、公契約条例の実効性ある取り組みについて御答弁申し上げます。
区は、区内産業を支える施策を推進するため、契約・入札制度の面におきましても、区内産業の振興と地域経済の活性化を図ることは重要であると認識しております。
こうしたことから、平成二十七年四月の公契約条例施行後の一年半の間に、公共工事前払金の支払い限度額の引き上げ、最低制限価格制度における設定範囲の見直し、工事請負契約における現場代理人の常駐義務緩和の対象拡大のほか、分離分割発注による受注機会の確保、総合評価競争入札方式における地域貢献への評価など、八項目の多岐にわたり着実に制度改革に取り組んでまいりました。
今後も、この八月に取りまとめられた公契約適正化委員会の答申を踏まえ、区議会を初め、関係団体の御意見をいただきながら、引き続き、実効性のある契約・入札制度の改革に取り組み、より一層の区内産業の振興と地域経済の活性化に努めてまいります。
◎工藤 教育政策部長 私からは、道徳の教科化について御答弁申し上げます。
議員お話しのように、子どもたちの道徳性の育成につきましては、家庭や地域と連携しながら、学校の道徳教育が担う役割は大変重要であると認識しております。これからの時代を生きる子どもたちには、高い倫理観を持ち、人間としての生き方や社会のあり方について多様な価値観の存在を認識し、他者と協働しながら、よりよい方向を目指す資質、能力を備えることが求められております。
平成二十七年三月の小中学校の学習指導要領の一部改正により、小学校では平成三十年度から、中学校では三十一年度から特別の教科道徳となることから、本区では、これに先駆け、世田谷区教育要領を改訂して周知するとともに、今年度から全ての小中学校で試行的に実施をしております。
教育委員会といたしましては、教科化される道徳について、全ての教員が授業のあり方などを正しく認識できるよう、道徳教育推進リーダーを中心とした研修会の開催や道徳教育研修センター校による先進的な授業の公開、指導事例集の作成などに取り組み、準備を計画的に進め、道徳教育の充実を図ってまいります。
以上でございます。
◎志賀
教育環境推進担当部長 私からは、今後、教育委員会としてどのように児童人口推計の精度を上げていくかについて御答弁申し上げます。
教育委員会では、毎年向こう六年間の児童生徒数及び学級数の短期的な予測を行っております。平成二十三年からは、このデータ等をもとに、向こう二十年間の児童生徒数及び学級数の中長期的な予測を重ねて行い、より精度の高い人口推計を目指し取り組んでおります。御指摘の環八周辺の小学校におきましては、改築工事を行った後に児童数がふえ、教室が足りなくなるといった状況も生じておりまして、必要に応じて改修・増築工事を行っている状況です。
区の人口動向の特性といたしましては、転入転出の流動性が大きいこと、また都心回帰現象などの社会経済状況の変化などの影響を受けやすいことなどから、人口推計予測は非常に難しいテーマであると考えてございます。
教育委員会といたしましては、区長部局と連携しながら人口推計の精度を高めることに努めるとともに、今後の学校改築に当たりましては、将来需要をしっかり見きわめ、複合化も視野に入れながら、適正な規模の改築に努めてまいります。
以上です。
◎板谷 政策経営部長 私からは、人口推計についてお答えをいたします。
区では、平成二十六年度を初年度とする区の中長期的展望を描いた世田谷区基本計画の策定に合わせ、平成二十六年二月に将来人口推計を実施したところです。しかし、御指摘のとおり、人口増加の傾向は続いており、将来人口の推計値が実態値と乖離のある状況となっております。将来の世田谷区を支える担い手とも言える、いわゆる生産年齢人口の推計値に特に乖離が見られますが、これは二十代を中心とした転入超過がより一層進んでいることによるものです。
人口推計は、施策の形成や運営における基本的指標であることから、推計の精度を向上させることは重要と認識をしてございます。人口動向についての認識を庁内で共有するとともに、施策の検討に際しては、人口推計を庁内全体で活用できる環境を整える必要があると考えております。
今後の人口推計に当たりましては、人口動向が社会状況の変化の影響を受けることを踏まえ、転入転出率や出生率の上昇、一層の長寿命化など、多面的な要素を考慮に入れる必要があると考えております。従来の推計手法も含め、推計方法の精査や外部の専門の知見も得ながら、引き続き人口動向の分析を継続し、来年度策定予定の新実施計画に反映してまいります。
以上でございます。
◆四十一番(石川征男 議員) さまざま御答弁いただきました。その中で、児童相談所の移管、設置についてであります。
先ほど最も鍵を握る人材に関して伺いましたが、都の協力を仰ぎながらという心もとない答弁でした。都の協力が前提のようですが、二十三区の足並みがそろっていない中で、本当に都の十分な協力が得られるのかどうか、また人材以外にも大変な課題が山積みです。再度申し上げますが、意気込みだけでは子どもたちは守れません。
児童相談所を設置した自治体は、相談、調査、診断、援助、地域支援、養育家庭支援、一時保護預かりを初め、これ以外にも十四項目に上る事務事業を行う責任を請け負いますが、現時点でしっかりと精査できているのかどうか、さらに移管された場合、警察を初めとした関係行政機関との広域的な連携を区が担えるのか。もちろん財源の問題もあります。先ほどの区長の答弁からは全く見えてこない多くの困難な課題、厳しい状況があることを申し上げ、引き続き決算委員会でも伺ってまいります。
以上で終わります。
○上島よしもり 議長 以上で石川征男議員の質問は終わりました。
これで本日の代表質問は終了いたします。
────────────────────
○上島よしもり 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。
なお、明十五日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十分散会...