世田谷区議会 2014-10-09
平成26年 9月 決算特別委員会-10月09日-07号
平成26年 9月
決算特別委員会-10月09日-07号平成26年 9月
決算特別委員会
平成二十六年
決算特別委員会
決算特別委員会会議録第七号
日 時 平成二十六年十月九日(木曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十二名)
委員長 あべ弘幸
副委員長 津上仁志
副委員長 てるや里美
石川征男
上島よしもり
上山なおのり
宍戸のりお
下山芳男
新川勝二
畠山晋一
三井みほこ
山内 彰
和田秀壽
板井 斎
佐藤弘人
高久則男
高橋昭彦
平塚敬二
福田妙美
諸星養一
植田靖子
唐沢としみ
桜井純子
高岡じゅん子
江口じゅん子
桜井 稔
中里光夫
村田義則
風間ゆたか
中塚さちよ
中村公太朗
大庭正明
田中優子
桃野よしふみ
木下泰之
小泉たま子
あべ力也
上川あや
ひうち優子
佐藤美樹
すえおか雅之
青空こうじ
欠席委員(一名)
杉田光信
出席事務局職員
議事担当係長 小野貴博
出席説明員
副区長 板垣正幸
教育長 堀 恵子
教育委員会事務局
教育次長 古閑 学
教育総務課長 工藤郁淳
学務課長 岩元浩一
学校健康推進課長
吉田宗史
副参事 大澤正文
教育環境推進担当部
部長 杉本 亨
学校適正配置担当課長
須田将司
施設課長 安間正伸
教育政策部 部長 伊佐茂利
学校職員課長 秋元勝一
教育指導課長 齋藤 等
教育相談・
特別支援教育課長
小渕由紀夫
生涯学習・地域・
学校連携課長
林 勝久
中央図書館長 花房千里
副参事 滝渕正史
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本日の会議に付した事件
認定第一号 平成二十五年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定
認定第二号 平成二十五年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第三号 平成二十五年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定
認定第四号 平成二十五年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第五号 平成二十五年度世田谷区
中学校給食費会計歳入歳出決算認定
(
文教委員会所管分に対する質疑)
────────────────────
午前十時開議
○あべ弘幸 委員長 ただいまから
決算特別委員会を開会いたします。
────────────────────
○あべ弘幸 委員長 本日は、
文教委員会所管分の決算審査を行います。
それでは、質疑に入ります。
無所属・世田谷行革一一〇番、どうぞ。
◆
桃野よしふみ 委員 おはようございます。早速ですが、質問してまいります。
まず、きのう発売の週刊文春の記事より質問をいたします。
この記事によりますと、学校給食に中国食材がたくさん使われているという記事になっていまして、東京、神奈川の全市区を調査しましたという記事になっています。この中で、東京都内で最多の中国産食材を使っていたのは町田市で、それに続いて世田谷区だと。世田谷区は使用数二位で二十二品目が判明したということでした。中国産を一切使っていない学校がほとんどなのに、一部に中国産を多用する学校があるということで報道がされています。
早速、杉並区がこの記事を受けて行動を起こしたようでして、きのう発売の週刊誌だったんですが、きょうの朝刊に杉並区の
区立小中全校で給食中国産食材を不使用にしますということを杉並区は発表したそうです。保護者の不安を払拭するために中国産食材は使いませんということを杉並区が
週刊誌発売日に早速発表したということでした。
世田谷区として、まずこの週刊文春の記事の事実関係をどのように判断しているのかということと、加えて世田谷区はこの杉並区の対応を見てどのように考えられるのか教えてください。
◎吉田
学校健康推進課長 教育委員会における学校給食に使用する食材につきましては、文部科学省の
学校給食衛生管理基準をもとに作成しました、世田谷区の学校給食における献立作成及び衛生管理上の留意点に基づき、各校で選定しております。このうち、肉、野菜、果実類は国内産のものを選ぶこととしております。
今回週刊誌に掲載されました記事の中国産食材の使用実績につきましては、小中学校の
ホームページで確認したものと思われますが、缶詰等の加工品などであり、さきの衛生上の留意点を踏まえ、適切な食材を選定しておりました。
また、本日、新聞記事に都内の自治体の対応が掲載されておりましたが、特定の国の産地のみをもって使用しないこととすることは難しいと考えますが、加工品につきましても、コスト面を考慮の上、できる限り国内産の食材を使用していきたいと考えております。
◆
桃野よしふみ 委員 国が衛生管理上の基準を示していて、食材の産地は区が決めているという説明でした。その中で、肉、野菜、果実類は国産のものを選ぶというお話でしたけれども、そういった話でいうと、例えばタケノコについては国産のものを使わなければいけない。ただし、タケノコの水煮ということになれば、これは中国産でもオーケーですよということになっていて、タケノコの水煮かどうかわかりませんが、そういったものの中に中国産のものがたくさん使われているんで、世田谷区の中で給食食材の中に中国産食材がたくさん使われていますよと、そういう報道になったということでよろしいんですよね。
◎吉田
学校健康推進課長 委員のおっしゃるとおりです。
◆
桃野よしふみ 委員 そこでお伺いしたいんですけれども、肉、野菜、果実類は国内産のものを選ぶというふうに先ほど答弁がありましたけれども、これらを国内産のものに限っている理由というのは何なのでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 国内産の食材を使用していることの理由ですけれども、国内産の生鮮食品は、鮮度がよいこと、生産者が明確であること、残留農薬や食品添加物の使用基準が明確であり、また流通過程が短いことなどからこれらを使用する必要性が少ないことなどから、選定基準にしております。
◆
桃野よしふみ 委員 さまざまな理由で国内産を優先しているということだと思いますけれども、今の答弁ですと、その中で大事なポイントとして、残留農薬も含めて安全の面でも国内産は信用できるんだというようなことだと思います。そういったことであれば、冒頭触れていただきましたけれども、加工品についてもしっかりと明確な基準を示すべきだと思うんですね。
先ほど申し上げましたように、タケノコについては、生で食べるときは国産じゃないとだめだよと言っていても、それを皮をむいて水煮にしてパックに入れた時点で、これは中国産でもいいですよ。中国に限らずですけれども、どこのものでもいいですよという形になってしまうのは、考え方として少し合理性がないというふうに思うんですね。なので、その加工品についても一定の基準を示して、国内産のものがいいと思っているんであれば、そういうものを優先的に使っていきなさいということをもっと明確に示すべきだと思うんですけれども、お答えいただけますか。
◎吉田
学校健康推進課長 先ほど御答弁させていただいたんですけれども、加工品につきましても、今後、コスト面などを考慮の上、できる限りそうした基準ということについては検討していきたいというふうに思っています。
◆
桃野よしふみ 委員 杉並区の動きもありますし、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
あと、この新聞記事の中で大田区の例が出ているんですけれども、大田区では、学校給食には基本的に国産食材を使用するというふうに示していたそうです。にもかかわらず、区立小の一部で中国産食材を使っていたことがわかって、国産品への切りかえを検討しているというような記事もありましたけれども、世田谷区については、先ほどの示している指針が守られているのかどうか、そういったことについてはどういう
チェック体制になっているんでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 今回記事が出たことによりまして、改めて過去の
ホームページなどを通じて状況確認をさせていただきました。その結果として、先ほど御答弁させていただいたんですけれども、加工品については使用がありましたけれども、いわゆる生鮮については各学校は区の基準を守ってやっておりましたので、また改めて再度周知徹底して、安全でおいしい給食の提供に努めていきたいというふうに考えています。
◆
桃野よしふみ 委員 中国産に対する不信感というのは、一定程度あるというのは事実だと思うんですけれども、それに加えて、例えばBSEとか、口蹄疫とか、いろいろなリスクが、食材に関しては、中国に限らずいろんなところであるというのは事実だと思いますので、ぜひともきちっとした管理基準を定めて、合理的な基準を定めて取り組んでいただきたいというふうに思います。
続いて、太子堂の調理場について質問いたします。
平成二十五年十二月の
文教常任委員会で、
太子堂調理場を廃止して、
民間給食施設を活用する。現在と同等の給食を提供しつつコスト削減を行う。平成二十七年四月に
民間給食施設より給食提供を開始したいという報告がありました。その後、平成二十五年九月の決算委員会で他会派の質問に対して区は、
公募型プロポーザルでの事業者選定がうまくいかなかったと。年度内には具体的な方向性を示したいといった旨の答弁をしています。そもそも平成二十七年度、つまり来年度から委託方法が転換されるということでしたが、その後、この件について文教委員会の議事録を調べても、
太子堂調理場の話というのは出てこないわけです。その後、本件はどうなったのか教えてください。
◎吉田
学校健康推進課長 太子堂調理場の
民間給食施設を活用した取り組みにつきましては、給食をとめることなく調理場の機能を移転し、効率的な運営を行うため、
学校給食調理事業者が土地の確保、施設の建設、給食の調理、搬送、施設の維持管理を一括して担う仕組みを想定しております。昨年度、
小中学校給食提供業務委託として、
学校給食調理事業者を対象に、
公募型プロポーザルにおいて事業者を募集いたしましたが、世田谷区及び近郊において準工業地域、工業地域に用地の確保が難しいことなどの理由から選定には至りませんでした。
このため、
学校給食調理事業者だけでは限られた条件の用地を探すことが難しいことなどから、不動産、
リース会社等、
学校給食事業者に限らず、
学校給食調理施設の建設実績のある事業者と
学校給食調理事業者の合同による事業参入の可能性や、また民間が保有している既存の
学校給食調理施設を活用して、大規模改修、増築、設備投資等を行い、運営する可能性などについて、民間の意向の確認や調整などを進めているところです。
◆
桃野よしふみ 委員 まず、来年度からそういう業務委託に変えるというような形で進んでいたにもかかわらず、それが延期されているわけですよね。そういったことに関して、文教委員会でも明確にその内容に触れた報告がないということについてはおかしいと思います。調べると、新実施計画の中には延期しましたよと出ていますけれども、文教委員であればそこを目にするかもしれませんけれども、その他の議員がそんな細かいところまで一つ一つ注意できるかというと、それはやっぱり難しいと思うんですよね。大きなトピックスについては行政側から積極的に情報発信していただかないと、なかなかこの問題に触れるということが難しいわけですから、まずそこは強く指摘をしておきます。
それと、今の話の中で、世田谷区及び近郊で準工業地域、工業地域に用地の確保が難しいということがありました。その他の理由もおっしゃっていましたけれども、土地がなければ何もできないわけですから、土地がないというのは最大のポイントになってくるわけですけれども、世田谷区内及び近郊で、そういう土地がないと、準工業地域、工業地域がないというのはそもそもわかり切っていることだと思うんですけれども、そういうことがわかっていたにもかかわらず、これは一年かどうかわかりませんけれども、できなかったということについては、見通しが楽観的過ぎていたんではないかなと思うんですが、その辺について見解はいかがでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 先ほどお答えいたしましたが、現在、民間の意向の確認や調整などを進めているところです。昨年度、全国各地の自治体におきましても、公共施設の入札の不調が続きましたが、資材の高騰、人材不足、さらには
東京オリンピック開催に向けての民間需要等の高まりなど、民間企業を取り巻く経済環境も大きく変化しており、本事業への参入意欲が期待しづらい環境となってきておりますが、引き続き、経済性、効率性、可能性なども含めまして取り組みを進めてまいります。
◆
桃野よしふみ 委員 事あるごとに
オリンピックを理由に挙げる人が多いですけれども、そもそもその用途地域が限られているという話ですから、
オリンピックは関係ないと思うんですよね。これは見通しが甘かったというふうなことが紛れもない事実だと思いますけれども、そこを言っていても質問が滞ってしまいますので、先に進みます。
委託事業者が見つからなければ、
太子堂調理場の改築も視野に入れざるを得ないということになってくると思いますけれども、そうなると、改築の間、では、どうやって給食を提供するんだという問題が出てくるというジレンマもあると思います。今後、給食を継続していくためにどういった手法が考えられるのか教えていただけますでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 教育委員会では、全ての中学校で学校給食の自校調理化を目指して、改築に合わせ、順次
給食調理施設の整備を進め、本年四月には
世田谷中学校が
太子堂調理場から自校調理に転換いたしました。現在、
太子堂調理場は、中学校七校と改築校二校の給食を調理し、一日約三千五百食を提供しており、来年度は改築校が二校ふえ、約四千五百食の予定でその
受け入れ準備も進めているところです。
今後の
太子堂調理場につきましては、経済環境の変化による民間の動向等を踏まえ、これまでの民間活用の方針とともに、一方で、
太子堂調理場から提供を受けている中学校につきまして、既存の敷地内に新たな
給食調理施設の建設や既存の中学校の
給食調理施設を増築し、
親子調理方式活用の可能性、また改築校への安定した給食提供のあり方として、既存の調理場の改築等の可能性など、多角的な検討を進めているところです。
◆
桃野よしふみ 委員 区内の中学校の
給食調理施設を増築して、そこで引き受けていくと。
太子堂調理場がつくれない分、周囲の学校で引き受けるというようなお話でしたけれども、学校の敷地の広さだとか、学校の構造だとか、制約もありますし、そんな簡単にできるのかなというのが第一印象なわけです。おまけに、その増築工事をしている最中もあくまで給食は提供し続けなきゃいけないというのも大きなハードルなわけですから、そう簡単なことではないというふうに思います。それが一つの問題ですよね。
あともう一つ、
太子堂調理場は老朽化が進んでいるというのがそもそものテーマでした。近年の大規模改修を拾っただけでも、平成十六年、
電気設備工事で六千五百万円超、十七年度は二千五百万円、平成二十年度は五千万円と、非常に改修費用のかかる施設になってしまっているわけです。現に、区は現在の調理業務を続けるためには大
規模改修工事が必要であり、改修には多額の費用がかかり、改修中の適切な給食提供も困難なことから、
太子堂調理場を廃止し、
民間給食施設を活用するというふうにこれまで言ってきました。
区内の中学校の
給食調理施設を増築するということが、これも難しいと思うんですけれども、これを仮に進めるとしても、その準備が整うまでの間、
太子堂調理場の改修には多額のお金をつぎ込みながら、延命させていくということになるのか、また、それはどれぐらいの期間になるのか、どういう見通しなのか教えてください。
◎吉田
学校健康推進課長 学校の増築に当たりましては、学校の敷地面積と既存建物との関係におきまして、建蔽率、容積率の余地があるのか、建物の構造上、増築できるかなどの調査をする必要があります。このため、施設課など関係所管と連携し、検討を深めていきたいと考えております。
また、増築工事中の給食提供の方法につきましても検討する必要があると認識しております。さらに、
太子堂調理場につきましては、真空冷却機、食器洗浄機など、設備の更新が必要となってきている機器もございますが、現時点では大
規模改修工事は予定しておりません。
◆
桃野よしふみ 委員 ぜひ大規模改修が必要なく進めていただきたいと思いますけれども、それとは別に、先ほど
太子堂調理場の改築も視野に入れているというような答弁でしたけれども、この改築することについても、そもそもハードルがあるから、民間委託するということだったと思うんですけれども、これは改築するんだよということで方向転換するとすると、どういうハードルがあるんですか。
◎吉田
学校健康推進課長 仮に改築する場合は、建築基準法上の用途地域内の建築物の制限から、区の建築審査会、こちらは
第三者的行政機関になりますけれども、こちらにおきまして例外許可の同意が必要になるものと思われます。
◆
桃野よしふみ 委員 改築するにしても例外許可が必要だと、それは
第三者委員会ですから、区がつくりたいと言っても、だめだと、つくっちゃだめだと言われる可能性もあるということですよね。
これまでの答弁を聞いていると、さまざま難しい課題をクリアしていかなければいけない。委託事業者のめどがつかない中、給食をとめずに、この老朽化している
太子堂調理場を何とかしていかなきゃいけないということで、非常に綱渡りな状態で、なおかつ、改築ができるかどうかも、これは区が決めることではない、決められないということですから、非常に大きな問題だと思います。どういう手段をとるにしても、迅速に
一つ一つ決断をしていって、スピーディーに取り組んでいかないと、それこそ子どもたちが給食を食べられないということになりますので、次のステップに進まなければいけないと思いますけれども、今後、決断のタイミングを含めてどういうスケジュールを想定されているんでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 現在、これまでの
民間活用方針とともに、既存の調理場の改築等の可能性など、多角的な検討を進めているところです。このため、
政策経営部門や営繕部門とも連携、協議し、具体的な方向性をお示ししたいと考えております。引き続き万全な体制のもと、取り組みを進め、児童生徒に安定しておいしい給食を提供してまいります。
◆
桃野よしふみ 委員 スピード感を持って対応していただきたいと思います。
続きまして、学校の事務員について伺います。
区立小中学校の
学校事務職員費について伺いたいんですけれども、
区立小中学校には全校で東京都、事務職員が一名ずつ配置されていまして、加えて区費を使って一部の学校で事務員を配置しています。ただ、事務員の配置を見ていくと、これはどういう基準で配置されているのかってよくわからないんですね。
全十七クラス、児童数五百四十五名の松原小学校、同じく十七クラス、児童数五百十四名の赤堤小学校で区の事務員が配置されている一方、それよりも大規模な二十一クラス、児童数六百四十七名の東深沢小、二十クラス、児童数六百六十五名の千歳台小には区の事務員が配置されていません。これは当然お金をかけて配置していることですけれども、まずこの人件費はどれぐらいかかっているのか教えてください。
◎秋元
学校職員課長 学校にいる区職員の事務職員でございますが、小中合わせて今五十四名おります。正規職員と再任用職員等がおりますが、総額は約三億四千三百万円ほどになります。
◆
桃野よしふみ 委員 三億四千万円のお金がかかっているにもかかわらず、先ほど申し上げたように、どういう基準でどこに人がつけられているのかよくわからないんですけれども、これは配置基準というのはどういう形になっているんでしょう。
◎秋元
学校職員課長 現在、先ほど委員もお話がありましたように、全校に都の事務職員が一名、それから中学校には今全校、また小学校には二十四校に区の事務職員一名が配置されております。区の
事務職員配置の経緯でございますが、かつては、全小中学校に区の職員を配置しておりました。しかしながら、区の職員の定数の適正化が求められる中、平成十五年になりますが、小学校において十五クラス以下の比較的小規模な学校から順次区の事務職員の配置をやめておりまして、平成十九年度に現在の体制になっております。
委員御指摘のとおり、平成十九年度の時点から区の事務職員の配置校を変更しておりませんので、現在では、児童の増加ですとか、それから小学校一、二年生が三十五人学級が開始されておりますので、当時の基準では配置すべき学校に事務職員が配置されていないというような状況にもなっております。
教育委員会では、現在、第二次
教育ビジョンにおいて、教員が子どもとかかわる時間の拡充を掲げておりまして、既に学校における財務ですとか、人事などのシステム化、それから給食費の公会計化などに学校事務の効率化を検討しております。この取り組みの中で、事務職員の仕事の量ですとか、質の変化を見ながら、今後の区の事務職員の配置のあり方も検討してまいりたいと思っております。
さらに、区と都の事務員が併存するという状況に今なっておりますので、
地方分権改革の提案の中で、教員とともに、事務職員の人事権についても区への移管を要望しておりますので、困難な面はございますが、解消に向け、努力してまいりたいと思っております。
◆
桃野よしふみ 委員 配置基準はなく三億四千万円お金を使っているということですから、まずおかしいということです。それと、この事務員というのは、仕事の内容についても、何をやる人たちなのかというのがよくわからないんですね。
東京都から平成二十二年に世田谷区に通知が来ていまして、
学校事務職員の標準的職務について定めなさいと、事務職員は何をするべきなのか定めなさいと、仕事の内容を定めなさいとなっているんですけれども、これは平成二十二年に来ているんですが、区はこの基準を定めているのか、定めていないのか。平成二十二年ですから、四年半たっていますけれども、この間、どういう対応をしてきたのか教えてください。
◎秋元
学校職員課長 現在、区立の小中学校に置かれている事務職員の職務でございますが、文書、財務、人事を初めさまざまな庶務事務を担っておりまして、学校に配置しております職員数ですとか、学級数、また学校の経営方針などを考慮しまして、学校長が指定をしております。
このことから、学校ごとに都や区の事務職員の役割が異なっているということで、東京都におきましては、先ほど委員が言われたような通知を各区に出しております。
いずれにいたしましても、教員の事務の軽減、それに伴う教員の児童生徒にかかわる時間の拡充というのは、全国の教育委員会の課題でもありますので、世田谷区としましても、新たな
教育ビジョンのもとで取り組みを進めて、教員の負担軽減に努めてまいりたいと思っております。
◆
桃野よしふみ 委員 続きはまた別の場所でやります。
終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番の質疑は終わりました。
────────────────────
○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、無党派・緑、どうぞ。
◆木下泰之 委員 ノーベル賞を青色LEDをつくった三氏がもらいましたけれども、教育長としてこのノーベル賞受賞についてどういう御感想を持ちますか。
◎堀 教育長 大変うれしいことだと思っております。日本人三人が選ばれるというのは快挙だなということと、あの三人がそれぞれコメントを発しておりますが、三人三様、それぞれ個性あるコメントを述べていらっしゃいまして、そのこともおもしろいなと。
私どもは翻って、ガリレオコンテスト、ガリコンと言っているんですが、やっておりますが、子どもたちがそういう科学の分野に、今回は物理学ですけれども、関心を持っていただければなと思っております。
◆木下泰之 委員 今冒頭、教育長は三人の日本人というふうにおっしゃいました。正確に言いますと、二人の日本人と一人のアメリカ人です。中村修二氏は、まさに訴え、訴えられたことで、石もて追われたわけですよ。それで米国に行って、今回の快挙になったわけです。
それで、なぜこのことを申し上げますかというと、川場村の問題をきょう質問通告しておいたんですが、川場村の問題で、そこに不安を感じて行かない子、その家族も含めて大変な勇気のある選択だと思うんですよ。それに対して、教育委員会は終始一貫、そういう人たちは不安があるからとしか言わない。私は行かないことについて権利として認めよと言ったのは、本当にそれでいいのかということです。いかがですか。
◎岩元 学務課長 川場移動教室につきましては、これまでも御答弁させていただいておりますけれども、授業の一環ということで実施をさせていただいているところでございます。今、委員のお話のとおり、子どもたちが学校において、参加した子ども、参加しなかった子どもを分け隔てなく活動ができなければいけないということについては、十分配慮をさせていただいているところでございます。
◆木下泰之 委員 私は、区議会議員ということで卒業式に出席いたします。それで、小学校の卒業式、いわゆるシュプレヒコールというのがあるわけです。その中で、楽しい思い出の中に川場村というのが発せられて、いろんな子どもたちがその思い出を語るわけですよ。そうしますと、行かなかった子というのはすごい疎外感を味わうと思うんですね。そういったことについての教育配慮はどういうふうに考えているんでしょうか。
◎岩元 学務課長 子どもたちが六年間の小学校生活を送る中で、今委員お話しのように、川場村の移動教室に関しましては、大変大きな意義もありますし、子どもたちの思い出の中にあるものだというふうに私どもも理解してございます。そうした中で、全ての教育活動を通じまして、子どもたちに分け隔てなく教育活動を提供していきたいというふうに考えているところでございます。
◆木下泰之 委員 川場村移動教室は、小学校五年生の児童が川場村の豊かな自然の中で、村の生活や文化に触れ、二泊三日の初めての宿泊による集団生活を通じて、連帯感や責任感を培う大変意義ある事業でございますと、この前も一般質問に答えられているんですけれども、本当に豊かな自然の中で学ぶのにふさわしいところであるかというのは、非常に疑問があるところです。
それから、たとえ行かない方が少数であっても、多数の人たちがやっぱり行かないほうがいいのではないかと思いながらも、日本の独特の集団主義の中で引っ張られて行かざるを得ないという状況があります。そして、先ほどノーベル賞の話をしましたけれども、まさに今回の中村さんなんかは、集団主義には反して、その中で貫いた人ですよ。それから、ほかのお二人の方も極めてユニークな形で日本のあり方とは違うあり方でやられてきた。
そういうことを尊重するということを考えると、今川場村に行くことを押しつけていることがどれだけ教育上問題があるかということについて、私は教育委員会としてきちっと考える必要があると思います。そうしませんと、恐らく、後になって、川場村に行かせていたことというものが、教育上非常によくなかったということが気がつかれることだと思います。何か川場村に行くことが教育上よいことだと、マイナスばかりじゃないですか。教育長、そうは思いませんか。
◎堀 教育長 今回、木下委員からいろいろと御指摘、御意見をいただいておりますし、他会派からも、私ども区教育委員会と学校とで進めてきた情報提供のやり方にも問題が一部あったということがありまして、大変反省しておりますので、丁寧な情報提供に努めていきたいと思っております。
この件に関しましては、もう今回は四年目ということで、二〇一一年三月十一日以降、八月二十五日の区長をトップとする放射能関連会議で継続が決定されましたので、今、委員のお話にありましたような子どもたちへの配慮、保護者への不安ということを踏まえまして、判断したというふうに考えております。
したがいまして、四回目、いろいろありましたが、課題を一つ一つクリアして、子どもたちのための移動教室を進めてきたということですので、御理解いただきたいと思っております。
◆木下泰之 委員 先ほど区長をトップとする会議の中でそれは決めたんだとおっしゃったけれども、教育委員会は独立しているわけですよね。教育ということを考えた場合に、やはりこの事業は非常に教育にマイナスであると思います。行かなかった子の理由について、単に不安であるということを強調するということは、行かないことはよくないことだと言っているにすぎないわけですよ。行くことが正しいと。安全だということを断言しちゃっているわけですよね。そういう状況にありますか。科学的な見地から言っても非常に問題がある。
ヘレン・カルディコットさんの指摘もある。ヘレン・カルディコットさんの傘下の団体はノーベル平和賞までもらっていますよ。そういった中で、世界的にも議論のある中で行かせることは非常に問題がある。
私は、行かなかった子と、それから親たちが非常に頑張っているというふうに評価しますよ。そのことをちゃんと評価できるようになって、初めて教育の現場が豊かなものになる。権利としてきちっと認めることをぜひ考えていただきたい。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で無党派・緑の質疑は終わりました。
────────────────────
○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、新風21、どうぞ。
◆小泉たま子 委員 先日、現役の大学生の方たち何人かとお話をいたしました。そこで聞いてみました。お父さん、お母さんに怒られたことがありますか。どなられたことがありますかということです。ほとんど全員が怒られた経験がない、ましてやどなられるなど考えられないとのことでした。御両親が優しかったのか、本人が優秀だったのかわかりませんが、とにかく怒られる、どなられるという経験はしていないわけです。そのように育った若者たちが教員になって、難しい保護者対応をしなければならない。怒られるということで難しい立場に立たされるわけです。
教員志望の若者だけが強靭な精神を持っているとは思えないので、これまでとは違う研修なり、訓練が必要だと思うのです。何もどなられる研修というのではないのですが、コミュニケーションをうまくとっていく訓練、どなられてもかわせる訓練などがあえて必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
◎齋藤
教育指導課長 若手教員の現状につきましては、私も三月まで新宿区の小学校の校長をやっていましたので、実感しているところでございます。
今年度の初任者の宿泊研修では、八十人程度で実施したんですけれども、講義形式ではなく、少人数のグループで他校の初任者とコミュニケーションをとりながら、保護者対応の悩みですとか、自分の授業のあり方などの意見を交換するような、そういったような工夫をしております。
また、ベテランと若手を学校ではペアを組ませて、昔からの教師のあり方とか、心構えとか、そういうものを伝達するような、そういった工夫もしております。
教育委員会では、教員の資質向上というのはとても大事なことだと思っておりますので、今後も、若手教員の実態に応じた研修をして、自信とかプライドを持って取り組める教員を本気で育てていきたいと思っております。
◆小泉たま子 委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
私は何事も基本が大切と考えています。教育でいえば読み、書き、そろばんです。まずは基本となるこれらのことをしっかりと覚え込み、あるいは覚えさせ、その後は自分で意欲を持って学んでいく、このような姿がよいと考えています。しかし、このようなことを行おうとしても、まずは基本となる身体、基礎的体力というものこそが本当に大事だと思います。そこで、世田谷の児童生徒の基礎的体力が気になるわけです。
ここに平成二十五年度の児童生徒の体力調査報告書があります。まず、この結果を見て愕然とせざるを得ません。握力などは、小一から中三まで全ての学年が男女とも、国の平均はおろか、都の平均からも下回っています。持久走は、これは中学生だけですが、全ての学年で国の平均を下回り、都との比較でもほとんど同程度、あるいは下回っているという状況です。そのほかの項目もほとんどが国あるいは都の平均を下回っています。これからはまさに生き抜いていく力というものが大切になるはずです。そのためにも、基礎的な体力を何としても高めていく、そのために全力を尽くすという姿勢があって当然だと思います。
そこで、この報告書が重要だと思うのですが、この報告書の最後には、結果の活用が書かれています。この書き方が私は疑問です。教師の活用として、体育、健康に関する指導の基本方針を立てる資料として活用する。都や全国の平均などと比較することにより、自分の児童生徒の特徴などを知ることができる。これに基づいて指導内容の重点を決めたり、基本方針が妥当であったかどうかを評価するための資料として活用すると書かれています。この書き方は間違いはないでしょうが、しかし、こんな悠長なことをやっている場合なのかなというのが率直な感想です。
ここは、教育委員会として何としても、子どもたちの将来を考え、児童生徒の基礎体力の向上について全力を尽くす。皆さん方はお嫌いかもしれませんが、いわゆる数値目標を立てて、いわゆる全国平均を少なくとも追い越す。例えば東京
オリンピック・パラリンピックまでにというような大胆な取り組みをすべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
◎滝渕 副参事 委員お話しのとおり、体力は人間のあらゆる活動の源であるとともに、生きる力の重要な要素であり、子どもたちが体を動かす機会を質、量両面で充実を図り、体力向上に対する意欲を持たせることが大切であると認識しております。
教育委員会では、第二次世田谷区
教育ビジョンの中に、体力の向上と心身のたくましさの育成を位置づけ、学校や幼稚園などにおける体力向上や健康推進の取り組みを、家庭や地域と連携しながら進めているところです。具体的には、学識経験者や
区立小中学校長などを委員とした体力向上・健康推進検討委員会を設置し、体力の向上のための課題の整理や、学校や園が取り組むべき方向性、具体的な方策などを提言としてまとめ、十月三十日に開催する体力向上・健康推進シンポジウムでお示しする予定です。その後、さまざま御意見をいただきながら、具体策を詰めてまいります。
今後は、平成二十七年度に実践モデル校を指定し、具体策の先行実践を行い、平成二十八年度からは、その先行実践をもとに、世田谷区の全校・園で取り組むべき実践を整理した上で、効果的なものについて全校で実施するなど、世田谷区全体の子どもたちの体力向上を図ってまいりたいと考えております。現在、それぞれの学校が特色ある取り組みとして取り組んでいるものを、区全体で共通して取り組むレベルに格を上げていくものでございます。
教育委員会では、今回の提言が、家庭、学校、地域での取り組みにより、健やかな身体、たくましい心を持った子どもの育成につながることを目指してまいります。
◆小泉たま子 委員 基礎体力がつけば、気力も生まれてまいります。本気で取り組んでいただくことを強く申し上げておきます。
次に参ります。先日の台風十八号の際の学校の対応なのですが、自治体によって取り扱いが異なっているようです。多くの自治体が既に前日、日曜の早い段階で翌日の学校の休校を決定し、マスコミ報道もされていましたが、世田谷区では、当日七時に決定し、連絡がなされたわけです。何とか授業を行おうと最後まで可能性を探っていたとも言えるでしょうが、学校現場、そして特に保護者としては、当日朝七時というのはやはり余りにも遅いのではないか。もう家を出ている保護者もおられたはずです。見直しが必要と思いますが、いかがでしょうか。
◎齋藤
教育指導課長 世田谷区では、これまで学校長判断としていましたが、本年六月にガイドラインを設けて、午前七時の時点で警報発令ということに決めました。それをその前の金曜日に通知していたところですが、今お話しのとおり、各家庭にはさまざまな状況がございますので、ガイドラインの内容とか、それから実態に即したものになるように、校長会等と情報交換しながら、課題を整理してよりよいものになるように取り組んでまいります。
◆小泉たま子 委員 お願いします。これで終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で新風21の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、減税世田谷、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは、質問しますけれども、先日、私のもとにメールが参りまして、区民の方だというので、いろいろ区政に対する御要望があるというので、お会いしたんです。そうしたら、区内に在住で、区内にある高校に通っていらっしゃる高校生の方でありました。
それで、幾つか区政の中で、高校生から見た困り事というんですか、さまざま何点か要望をいただいたんです。それは、やっぱりこの文教所管でお話しするのが一番いいかなと思いましたので、ここで質問という形でさせていただきたいんですが、その内容は、高校生が、例えば勉強しようと思ったときに、もちろんその学校の場で勉強ができるわけですし、自宅でももちろん勉強できるということですけれども、なかなか学校の中で自習をするといっても難しい。うちに帰っても、テレビがあったり、いろいろ誘惑があるので、なかなか勉強できないと。
では、今高校生はどこで勉強しているのかというと、図書館なんかで勉強したいと思っても、世田谷区の場合には大体の図書館は七時に終わってしまうということなんですね。それで、高校生の実態としては、ファストフードで勉強しているんですと。そうすると、ファストフードにただで入るわけにいかないから、毎日毎日それなりのお金がかかってしまって、勉強するのにすごいお金がかかるんですということなんですね。それを聞いて、確かにファストフードに行ったときに高校生が自習している姿っていうのはよく見かけますし、高校生からすれば、大変切実な問題だなと思いました。
それで、私も高校生ぐらいのときには公立の図書館を使って勉強したなという思い出があるものですから、世田谷区の図書館について改めてその開館時間等を調べてみますと、大概七時に終わってしまう。経堂の図書館だけ九時まであいているということでありますけれども、ほかの自治体を調べてみますと、新宿区の中央図書館、四谷図書館なんかは九時四十五分まで平日はやっている。都立から千代田区立に変わった日比谷の図書館、これは十時までやっているということなんですね。
どうも世田谷の図書館は、勉強しようという学生さん、もちろん自習室という形では今はなかなか開放していないということは存じ上げておりますけれども、何か調べものをして、ついでに勉強もしましょうという勉強意欲のある学生さんには、どちらかというと余り手を差し伸べていないというか、そういう実態なのかなというふうにすごく感じました。
高校生の言われることは本当に切実だと思うんですね。その上で、世田谷区の公立の図書館であったり、勉強する場として、どういうふうに学生に提供していくのかということを今後どういうふうに検討するのかということをちょっと伺っていきたいと思います。
◎花房
中央図書館長 現在、教育委員会では、基本計画及び第二次
教育ビジョンに基づきまして、新たな図書館像を示す第二次図書館ビジョンの検討を進めており、先日、素案を御報告したところでございます。
御案内のとおり、図書館の開館時間は、経堂図書館以外は午後七時までとなっており、それ以降に図書館を利用したいというニーズにはお応えできていない状況がございます。また、閲覧席は、現在全館で六百二十席ございますけれども、各図書館の状況によりましては、利用の多い土日や夏休みなどが不足している状況もございます。
今後、開館時間の延長や月曜開館などの運営体制につきましては、現在策定中の第二次図書館ビジョンの中でその実現に向けた検討を行ってまいります。また、図書館の改築や中央図書館の機能拡充の際には、学習室の設置など、子どもの学びを視野に入れ、検討を進めてまいりたいと考えております。
教育委員会といたしましては、今後も子どもたちの自主的な学びや自立を支援するため、図書館や学校図書館の充実に取り組んでまいります。
◆あべ力也 委員 学生は、小中学生とか幼稚園児とかだけじゃなくて、高校生というのは東京都の管轄になるのか、その辺の教育委員会の考え方はよくわかりませんけれども、いずれにしても、世田谷区民のそういう学生が、これは切実な問題だと思うんですね。ファストフードで勉強していて、お金がかかってというような発言を高校生がしているということについて、教育長、どう思われますか。
◎堀 教育長 私も休みの日にはファストフード店で本を読んでいますので、同じかなと思いますが、経済的な格差がありますので。ただ、私も図書館はできるだけ、今担当課長が話しましたように、開館時間も踏まえまして、今回第二次図書館ビジョンのほうで検討しておりますので、できるだけ早く実現していきたいと思っております。
若者はどこでも勉強してほしいなと思っておりますので、余りお金、コーヒー一杯百幾らで頑張れよみたいに言ってもらうとありがたいかなと思いますけれども、それは百円ではちょっとあれですけれども、そういうことも踏まえて、弾力的に勉強の場は、図書館だけではなくて勉強してほしいなと思います。
◆あべ力也 委員 教育長、あなた何を言っているんですか。この質問に関しては、その高校生は自分が聞いてほしいと言ったことに対して、世田谷区、そして世田谷の教育委員会がどう答えるのか、中継では見られないので、ビデオで見たいと言っていました。教育長の今の発言は一体何ですか。考えられないですね。
高校生が自分のお小遣いで、勉強しようと思って、ファストフードで少ないお金、お小遣いもない中からお金を出して大変なんですと。世田谷区は図書館が七時までしかやっていないので、勉強できないと。うちに帰って勉強するという環境がなかったりなんかする場合に大変困るんだと。私はすごい切実な問題だと思いますよ。それをコーヒー一杯、私はそれでファストフードで勉強することもあるので、そんな、おちょくった話じゃないですか。どういうことなんですか。教育委員会のトップでいてそんな感覚なんですか。全ての高校生に逆に今の発言は謝罪していただきたいと私は思います。そんな感覚だから子どものそういう気持ちがわからないんじゃないですか。まずは高校生の気持ちになって、いろんな政策をぜひやっていただきたいと思います。
○あべ弘幸 委員長 以上で減税世田谷の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 初めに、重度身体障害児に対する区立学校での介助について伺います。
この夏、ある肢体不自由の子のお母さんから御相談を受けました。お子さんは二分脊椎という病気を持って生まれ、外では車椅子を常用使用しているということです。来年、小学校への入学を控えておりますが、区立校に学校支援員が来るのは週一日、彼らが見るのは学校全体であって、一人の児童につくわけではありません。そのほかにサポート要員として学生ボランティアなどもつくけれども、足りない部分は親がつかなければならず、現在の仕事をやめるか、特別支援学校に行かせるしかない状況で、希望とは異なり悩んでいるというお話でした。
担当課に伺うと、重度障害のお子さんでも必ず親がつかなければならないわけではなく、ほぼフルタイムの介助を学校で用意できているケースもこれまでにあるということだったんですが、こうした切れ目のない支援体制がつくれるかどうかは、学校の教員配置や学生ボランティアの確保のいかんによっても変わるので、完全とは言えず、支援は一様ではないということでした。
そこで、都内二十三区、二十六市の状況を調べてみたところ、肢体不自由の子について、登校後から下校までの間、基本的に介助員をつけている、あるいは必要に応じて全ての時間に介助をつけていると答えた自治体が二区、三市ありました。具体的には、北区、目黒区、立川市、町田市、清瀬市の各区市なのですが、この学区域に住むか否かにかかわらず、ここまでシンプルに言い切れる制度的な担保を私は世田谷区教委にも求めたいと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 教育委員会では、障害のある児童生徒が在籍している学校に対しまして、児童生徒の安全配慮などを行う学校支援員、支援要員、大学と連携した大学生ボランティアと個別的な学習支援を行う非常勤講師などを派遣しております。派遣に際しましては、児童生徒の状態、各学校の施設面や体制面などを踏まえ、学校保護者と相談しながら、複数ある支援の制度を活用し、学校としてできる限りの望ましい対応を検討しております。
教育委員会では、今年度、これまでの学校支援員の制度を強化する学校包括支援のモデル事業に取り組んでおり、その成果を踏まえ、今後、制度の拡充を行ってまいります。
今後とも保護者の御意向を丁寧に伺いながら、障害のある児童生徒の学校生活の安全や学習などへの支援、指導の充実に取り組んでまいります。
◆上川あや 委員 ぜひむらなく充実をさせていただきたいと思います。
次に、いじめの早期発見に向けた児童生徒を対象に実施する調査についてです。
この春、区教委が策定をしたいじめ対策基本方針で、四つある柱の一つは早期発見ということだったんですが、いじめの実態を把握するために、児童生徒を対象に実施予定の調査の頻度を伺ったところ、各学期に一回、年三回の実施が早期発見の調査だと聞いて驚きました。余りにも低頻度です。
といいますのも、下関市では、各学校・学級で毎週一回アンケートを行っているんですね。今回は、下関市教育委員会からいただいたそのアンケートのサンプルを各校に示しているものをいただきましたので、パネルに起こしましたので、ごらんいただければと思います。
上が小学校高学年、中学生用で、下が小学校低学年用なんですけれども、基本的に尋ねているエッセンスは同じです。上から日付とクラス、名前、そして当てはまるものに丸をつけましょうということで、三つの設問があります。あなたは友達のことで困っていませんか、あなたの周りで困っている友達はいませんか、先生にお話ししたいことはありますかということで、自分自身についても、周りの子についてもイエローランプがともればわかるシンプルな調査です。
次のパネルに移りたいと思います。これはスマイルチェックシートというもので、縦方向は一週間ごとの期間を、横方向は楽しかったか、またつまらなかったかどうかというのをイラストで、笑顔から泣き顔までで示しています。
どちらも今の心の状況や周りの人とのかかわり合いをそれとなく知ることができますし、先生たちは常に困っている子がいないかどうかを気にしている。また、いじめている子がいないかも気にして見ているということを明確なメッセージとして伝えられるすばらしい取り組みだなと思いました。
所管課に伺いますと、世田谷でも学校独自に工夫されたアンケートの実践が一部の学校にあるそうですけれども、よいアンケートの内容は、ぜひサンプルとして示すなど、共有を図っていただきたいですし、その頻度を年三回ではなくて高めていただきたいと思います。区教委の見解を伺います。
◎齋藤
教育指導課長 いじめを早期発見するためには、教職員が日ごろから子どもたちが一人で悩んでいたり、トラブルを抱えていないかなど、子どもの少しの小さな変化やサインを見逃すことのないように、温かく子どもの様子を見守ることをまず基本としてございます。また、委員お話しのアンケート調査は、東京都が学期ごとに実施するのに合わせて年間三回行っているものでございます。
各学校では、このアンケートのほかに、学年会とか、職員会議、生活指導の打ち合わせなどにおいて、子どもの様子については、定期的に情報交換をして状況を把握するように努めています。さらには、子どもの状況を把握するために、適宜、学校の生活の様子を振り返るアンケート調査をやっている学校がございまして、教師と子どもの心のつながりを密にしているというような学校もございます。
このほか、本年度から小学校五年生と中学校一年生の全員に新たにスクールカウンセラーとの面談を実施しましたので、教育委員会といたしましては、こういった校長会、教育相談の研修会などを通して、いじめを防止するためのさまざまな効果的な取り組みを各学校に広めて、いじめの早期発見、対応に向けた取り組みを充実してまいりたいと思っております。
◆上川あや 委員 頻度を上げるおつもりがあるかどうかがわからなかったんですけれども、いかがですか。
◎齋藤
教育指導課長 そういった日常の振り返りを、東京都のほかの細かなアンケートなどについては検討して進めていきたいと思っております。
◆上川あや 委員 その結果をぜひ見させていただきたいと思います。
最後に、自殺念慮を持つことや不登校の経験割合が非常に高いという指摘を申し述べてきました性的マイノリティーの子どもたちの相談対応の実態把握調査です。もうこの質問は六回目になりますので、何が問題点なのかはよくおわかりだと思いますけれども、今度は性的指向についてもちゃんと調査をしていただけるのかどうかをお約束をお願いいたします。
◎齋藤
教育指導課長 昨年度、そうした調査を文科省も初めて実施しまして、本区も独自の調査を実施しておりますが、そこでは、自分の性に対する違和感があると認識している児童生徒を主な対象とした表現となっておりましたので、性的指向に関することについてはわかりにくいものになってございました。教育委員会では、今年度も同様な教職員に対する調査を実施する予定でございますが、その際には、性的指向を深めた調査内容としたいと思います。
校長会を通じて調査内容を伝える中で、児童生徒の相談に対応する教職員の意識啓発にもつなげて、より充実した調査になるように進めてまいります。
◆上川あや 委員 七回目の質問をしなくていいというふうに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、平成二十四年、五年、そして先日の一般質問に引き続き、通学路の安全対策について、ソフト面の対策、安全マップについて伺ってまいります。
先日、代沢の路上で通学路中の痛ましい事故が起きました。二度とこのようなことが起きないよう、今後も通学路の安全対策を徹底していかなければなりません。
平成二十四年四月に起きた京都府亀岡市の事故以降、緊急合同点検が実施をされ、ハード面では、ガードパイプの設置やカラー舗装の実施、またドライバーへの注意喚起の看板、信号機設置など、対策が随分進みました。平成二十六年九月一日現在、区が道路管理者として実施する箇所が百三十九カ所、そのうち九割の百二十七カ所が完了しており、残り十二カ所のうち、今年度中に六カ所を完了予定、残りの六カ所は警察との調整などで来年度以降に完了予定であります。
ソフト面では、以前から申しておりますが、危険箇所を点検する安全マップの作成、そして作成だけでなく、実効的な安全マップの活用が求められます。各学校の作成状況ですが、先日の一般質問の答弁では、各学校で緊急合同点検の対策実施状況を活用するなどして、それぞれの地域特性に応じて作成済みとのことでした。ここで、道路状況は生ものですので、通学路の点検、そして安全マップの見直しや更新を定期的に行うべきと考えます。現在の安全マップの作成状況、また見直しや更新の時期について伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 通学路の安全対策として、学区域内での危険箇所を点検する安全マップにつきましては、平成二十四年度に実施いたしました緊急合同点検の対策実施状況を活用するなどして、小学校六十四校のうち、ほぼ全校でそれぞれの地域特性に応じて各学校において作成しております。
今年度の安全マップの作成状況につきましては、通学路の点検を実施した学校が五十二校、既存のマップの見直し、更新などにより、安全マップを更新した学校が十五校、今年度中に作成を予定している学校が七校となっております。安全マップにつきましては、約六割の学校で、毎年または一年置きに定期的に見直し、作成しております。また、そのほかの学校につきましても、通学路の点検を実施し、既存のマップの内容に変更が生じた際には、新たなマップを作成しております。
教育委員会といたしましては、安全マップの作成について改めて徹底するとともに、校舎の一時移転に伴う通学路の変更や学校周辺の交通環境の変化などに応じて、通学路の安全点検及び安全マップの内容の更新が適切に実施されるよう、学校に働きかけるなど、通学路の安全対策が推進されるよう努めてまいります。
◆ひうち優子 委員 次に、マップの作成について伺います。
安全マップは、実際には子どもたちが活用するのですから、学校が主体ではなく、子どもたち、またPTAが主体となり、警察とも連携をして作成すべきと思います。例えば広島県の小学校では、子どもたちの交通安全への意識を高めるため、安全マップをつくりかえ、通学班ごとの地図に道路などの写真を張りながら、実際に危険な場所を保護者と点検し、車の通りが多く、スピードがあり危険などと気づいたことを書いていく取り組みを行っております。このように、実際に足で回って、実効的な安全マップを作成すべきと考えます。
また、警察署にも協力をお願いし、事故の多い箇所の情報を安全マップにも掲載する。また、マップ作成時には危険な箇所ではどのように対処すればよいのかアドバイスをもらうなど、警察と連携をして安全マップを充実していくことが有効であり、必要と考えます。見解を伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 安全マップの作成につきましては、約六割が主にPTAにより作成されており、学校とPTAの共同による作成が約三割、主に学校で作成しているものが一割となっております。PTAが主体となって作成している安全マップにつきましては、地域にお住まいの方ならではの視点で作成されており、警察から指導助言をいただくなどして、危険箇所の表示だけでなく、人から見えにくい場所は一人で行かないようにしようなど、安全に行動するための注意点までも盛り込まれております。また、カラー印刷や危険箇所等、ポイント地点の写真をふんだんに使用し、児童の目で見ても大変わかりやすいものとなっております。
学校で作成しているものは、児童みずからが危険箇所、安全箇所について話し合い、グループで学区域内の点検を実施し、写真などを活用して地図を作成するなど、安全についてみずから考える安全教育の一環として作成されているものが多く見られます。
また、PTAと学校が共同で作成しているものの中にも、PTAが作成したマップをもとに、児童本人が保護者とともに通学路等、学区域内の危険箇所等を確認し、危険箇所についてマップに書き込み、一人一人の安全マップとして完成させるといった工夫を凝らしたものもあります。
今後も、通学路の点検や安全マップの作成など、PTAを初めとする地域の方々に御協力いただきながら、学校、道路管理者、警察など、関係機関と連携し、通学路の安全確保に努めてまいります。
◆ひうち優子 委員 ぜひ実効性のある生きた安全マップを作成していただきたいと思います。
次に、安全マップの活用について、具体的な活用方法について伺います。
安全マップは作成するだけではなく、実際に活用できなければ意味がありません。例えば埼玉県越谷市の中学校では、交通安全の授業で班ごとに通学路をiPadで映して予想される事故を映像で流して議論させており、生徒が知っている場所をテーマに視覚に訴えると、生徒の食いつきが違ったとのことであります。
また、授業の中で安全マップをもとに通学路を歩いてみて危険箇所を確認する安全教育を行うべきと考えます。見解を伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 安全マップの活用につきましては、学校、家庭における安全教育に活用しているほか、PTA校外委員や地区ごとの登下校時の見守り活動などに活用されております。具体的には、新一年生の年度初めの通学路の確認、通学時の安全指導、保護者への説明や、このほかに地元警察等の御協力をいただいて学校で実施する、交通安全教室での安全指導の資料としての使用や各家庭に配布し、家庭でも危険な場所や自分でできる安全対策について親子で確認するなど、家庭での安全教育にも活用いただいております。
また、三年生の地域学習の時間や四年生の総合的な学習の時間において、児童が地域を探索し、現地で撮影した危険箇所、安全箇所の写真に安全、危険それぞれの理由を記載して地図を作成しております。
教育委員会といたしましては、こうした取り組みを通して、児童の交通安全に対する意識を醸成し、危険を予測し、回避する力を高めるなど、通学路による事件事故の事前予防対策として、引き続き安全マップの改定及び活用を推進してまいりたいと考えております。
◆ひうち優子 委員 二度と事故が起きないよう、ぜひよろしくお願いいたします。
以上で終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、未来あらた世田谷、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 私からも通学路の安全性についてまずお伺いしたいと思います。ちょっと違う観点でお聞きしていきたいと思います。
今回の事故を受けて、やはり二年前に合同点検でしっかりその対応箇所としてマークもしてきたのに、そのマークされていなかった箇所で事故が起こったということで、私の周りの保護者の方からも、やはり今の対応では不十分なのではないか、今の点検結果では漏れがあるんではないかという不安の声が上がっています。
そこでまず、改めて確認させていただきたいんですけれども、この二年前の対応、今マークしている対応箇所というのは、どのような基準や観点で抽出されたものだったのかお伺いしたいと思います。
◎吉田
学校健康推進課長 平成二十四年度に実施いたしました通学路の緊急合同点検につきましては、各学校において文部科学省による通学路における緊急合同点検実施要領に基づき、道路が狭い、見通しが悪い、大型車が頻繁に通るなど、危険があると認める箇所を抽出し、その危険箇所について、学校、PTA、道路管理者、警察などにより合同点検を実施いたしました。
点検の結果、対策が必要と判断された二百二十八カ所につきましては、関係機関と連携を図り、着実に対策を進め、平成二十六年九月現在百八十六カ所が対策実施済みとなっており、順次対策を講じているところです。
◆佐藤美樹 委員 この文科省による国のガイドラインに沿って点検を実施したけれども、その国のガイドラインだけでは、やはり特に世田谷の狭い道の状況とか、そういったものを前提としたガイドラインには当然なっていないところもあったと思いますし、そうした中で起こった事故なのかなという見方もできるかと思います。
そこで、今回池之上小学校の通学路においては、改めて総点検を実施して、対策を講じていらっしゃるというふうに伺っているんですけれども、例えば同じような通学路の条件、狭い割には抜け道になっている、あるいは狭い割に車の双方向通行で交通量が多いといった、その同じ条件の場所の区内の通学路においては、同じ対策を横展開というか、最低限そういうことは実施していただきたいという声があるんですけれども、この辺について見解を求めます。
◎吉田
学校健康推進課長 池之上小学校の通学路につきましては、先日の痛ましい交通事故を受け、九月三十日に学校、PTA、地域住民、道路管理者、警察、教育委員会等により、緊急合同点検を実施し、関係機関において現在具体的な対策を検討しております。通学路の安全対策につきましては、教育委員会では、日ごろより学校や保護者の方からいただきました御意見などについて、必要に応じて現地を確認の上、道路管理部門や警察等の関係機関にお伝えし、早急かつ具体的な対応を求めているところです。
今回の交通事故も踏まえ、児童が安全に通学できるよう、学校、PTAを初め、道路管理者や警察などの関係機関との連携を一層強化し、今後、池之上小学校で行われる対策なども生かして、通学路の安全対策に努めてまいります。
◆佐藤美樹 委員 池之上小学校で起きてしまったことを受けて、その対策をほかの小学校に生かすというのも、本当に悲しい思いがつきものだと思いますけれども、二度と再発させないためにもよろしくお願いしたいと思います。
次に、がらっとテーマが変わりまして、図書館についてお伺いします。
これまで図書館の民営化についてさまざま議論がなされてきていると思いますが、改めて今検討されている民営化の目的についてまずお伺いしたいと思います。
◎花房
中央図書館長 区立図書館への民営活力の導入につきましては、第二次図書館ビジョンの素案にもお示ししてございますが、区民の多様化するニーズを的確に捉えまして、図書館サービスの向上や効率的で持続可能な運営を行っていくことを目的としております。
具体的には、図書館の開館時間や休館日などの検討とあわせまして、地域図書館において各施設ごとに立地等の周辺環境や当該施設の改築、改修などの機会を捉えて、民間活力の活用などによる運営体制づくりを計画的に推進し、区民の利便性の向上や効率的な運営を確保してまいりたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 目的設定としては、まずは利便性の向上、効率化というところだというふうに伺いました。それで、おっしゃったように、多様化するニーズを捉えるというところが、そのプランを練っていくに当たって一番重要かなというふうに考えます。特に図書館の置かれている立地によっても、ニーズの傾向というのは当然異なってくると思いますし、例えば駅前の経堂図書館と駅からは遠い区民センターと一体となっているような図書館とでは、当然そこを使う人たちのニーズも異なると思うので、幾つかのパターンに分けて、その民営化プランというのも検討されたらいいのではないかなというふうに思います。
また、そのニーズの一つとして、一つ今回提案したいんですけれども、リタイアした、特に男性の行き場所として、図書館というのがリタイア後の外出先となりやすいというふうに、地域の図書館の人たちを見ていても、平日昼間にいる人たちの層として一つ感じているところです。こうした人たちは、地域にかかわりがないけれども、図書館には行っているというような層に対して、図書館に交流スペースのようなものがあれば、そこをきっかけに、そこから次の展開、新しいコミュニティーがもしかして展開していくかもしれませんし、地域とのかかわりにつながっていくかと思いますので、そうした場の創出については、こういった民営化の中でどう検討されるかお伺いしたいと思います。
◎花房
中央図書館長 お話しの退職者の方々の交流の場としての図書館でございますけれども、第二次図書館ビジョンの素案の事業方針の一つの暮らしや仕事に役立つ図書館では、退職された方を初め、さまざまな人々が集い、つながりを生む場づくりを掲げてございます。図書館では、静かに本を読みたい方や子どもたちへの読み聞かせの参加など、利用の目的は多様でございますが、利用者同士の交流を促す事業の実施や改築等の機会を捉え、人々が集うための交流スペースの確保なども考えてまいります。
日々の暮らしや地域でのさまざまな活動に対する支援を行い、一人でも多くの区民の皆様に役立つ図書館運営を目指してまいります。
◆佐藤美樹 委員 利便性の向上とともに、そうした場の創出もお願いしたいと思います。
以上で終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で未来あらた世田谷の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、みんなの党、どうぞ。
◆すえおか雅之 委員 きょうは、いじめをテーマに取り上げたいと思います。
平成二十三年十月十一日、滋賀県大津市内の市立中学校の当時二年生の男子生徒がいじめを苦に自宅で自殺しました。いわゆる大津いじめ自殺事件です。事件前後の学校と教育委員会の隠蔽体質が発覚し、問題視されました。本事件が誘引となっていじめ防止対策推進法が国会で可決されました。世田谷区でも、「せたがやホッと子どもサポート」の相談状況を見てみますと、平成二十五年七月から二十六年三月までの九カ月間で、実件数が百三十二件、延べ回数が七百八十一回、この中でいじめが二一・二%と最多です。このように、いじめの問題は、日本としても、そして世田谷としても大きな問題だと思います。
きょうのテーマは、いじめ防止条例というのを何で世田谷区で設けないのか、ここが一番聞きたいところなんですけれども、その前に片をつけておきたい問題が一つありますので、ちょっと済みません。
いじめ問題対策連絡協議会について、ちょっとここは尻切れとんぼになるとまずいので。
いじめ防止対策推進法は、第十四条一項で、地方自治体は、いじめ防止等に関係する関係機関及び団体の連携を図るために、条例の定めるところにより、いじめ問題連絡協議会を置くことができると規定しています。いじめ防止対策推進法は、いじめ問題対策連絡協議会を置くには、条例の定めによらなければならないとしているのに、世田谷区では、このいじめ問題対策連絡協議会を設置していますが、その法的な根拠は何に求めていますか。
◎齋藤
教育指導課長 本区では、いじめ防止等対策連絡会を要綱により設置しております。いじめの推進法の規定するいじめ問題対策連絡協議会の設置の狙いは、いじめ防止やいじめに対する関係機関のものを含め、実効性のある連絡協議の場を設けていくことと理解しております。
世田谷区におきましては、これまで同様の趣旨を持ついじめ防止等対策連絡会を設置して、いじめの防止に関係する機関や団体の連携に取り組んでまいりました。また、本年度には、その要綱を改正し、さらなる充実を図ることを予定していたことから、条例によるいじめ問題対策連絡協議会は設置せずに、これまでのいじめ防止の取り組みを拡充しながら進めていくという、そういった政策的な判断をしたというものでございます。
◆すえおか雅之 委員 この問題は、ちょっと問題の提起にとどめます。条例によりできるとしておいて、要綱で予定していたから要綱でつくりましたって、これは、そもそも、では、法が何で条例によりできるとしたのか、ここを本当は伊佐部長にも伺いたかったんです。
では、本題に入ります。
いじめ問題は、議会、さらには区民を挙げて積極的に取り組む問題です。いじめの問題は、いじめ防止対策推進法を前提とするにしても、その目的や基本理念、いじめ基本方針等につき、それで十分か否か、不足部分があるのではないかについて、議会の審議をする必要があったのではないかと思います。また、重要な機関の設置、運営に関しては、区民の代表である議会の関与が不可欠だと思っています。
さらに、いじめ基本方針をつくる前提として、広く区民の意見を反映する場をつくるべきではなかったのか。そのためにも、条例を制定して、その具体化としていじめ基本方針をつくる手順を踏むほうが、区民参加の機会を設ける意味でよかったのではないかと思っています。
以上より、いじめ防止に関する条例を制定し、その具体化として、いじめ基本方針をつくるべきでなかったのか、この点を質問します。
◎伊佐 教育政策部長 このたびのいじめ防止対策推進法の成立、施行を受けまして、いじめ防止対策の枠組みを条例により規定いたしました東京都ですとか、板橋区など三区の条例の内容については、私どもも承知をしております。その内容でございますけれども、おおむね、いじめの禁止ですとか、いじめの定義を初めといたしまして、自治体、学校、教職員や保護者の責務、それから自治体が関係機関と連携するための組織、いじめのあった際の調査組織などの規定を設けているという内容でございます。
世田谷区におきましても、委員お話しのとおり、いじめ防止対策の枠組みについて、条例という形のものは設けていないところでございます。その理由、背景については幾つかございまして、まず、世田谷区におきましては、いじめ防止対策推進法の成立、施行に先行いたしまして、法令の整備を含めまして、さまざまな取り組みを既に実施してきたという経過がございます。
具体的には、平成十三年に子ども条例を制定いたしまして、その条例の中に、いじめの禁止条項や関係機関との連携の条項があること。また、関係機関との連携組織として、先ほど御質問もございましたけれども、いじめ防止等対策連絡会を要綱で設置し、いじめの防止等に関係する機関、団体との連携に既に取り組んでいたこと。また、その構成の拡充を予定しており、これが私どもとしては法の趣旨に沿うものであるという認識であったこと。また、平成二十三年度には子ども条例を改正いたしまして、区長と教育委員会の附属機関といたしまして、子どものいじめを含めた権利擁護のために、調査権限を有する機関といたしまして、御案内のとおり、「せたがやホッと子どもサポート」を設置しておりまして、いじめの事実関係の調査などにその中立性、専門性などの活用が図れるという状況がございまして、事実上、法の求める実効性を確保できることがございました。
こういった三点になりますけれども、区の取り組みの経過を総合的に判断いたしまして、またいじめ防止対策に係る単独条例の制定には、子ども条例等の規定の関係整理もございましたので、いじめ防止対策推進法においては、地方自治体には策定することが努力義務となっておるいじめ防止基本方針を策定いたしまして、その中で、区としての防止対策の全体像をお示しするという考え方で政策的な判断をいただいたところでございます。
◆すえおか雅之 委員 その判断自体を議会にやらせろと言っているんですよ。議会がやらなきゃだめじゃないですか。行政機関の判断でいいといって議会を通さないって、こんなよろしくないことないでしょう。
あと、十三条の子ども条例と言うけれども、子ども条例にはいじめの定義すら入っていないんですよ。何がいじめかも決めていないんですね。
○あべ弘幸 委員長 以上でみんなの党の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 私は、学校跡地活用について伺います。
花見堂小学校の跡地活用検討ミーティングは、七月二十六日の最終報告をもって終了しました。当日は、夏本番の暑い一日でしたが、保坂区長と堀教育長が駆けつけ、お二人の前で、これまでの経緯についてスクリーンを使った説明がありました。花見堂小学校の元PTA会長さんが、地域区民の代表として、これまで皆さんで検討してきた内容を区民意見のまとめとして、またこれから策定する区としての活用方針に最大限反映していただくためのお願いと今後の決意表明を述べられ、皆さんでまとめた提案書を保坂区長に手渡しました。区長からは、今後、長い時間をかけて、皆さんの施設として新たな地域コミュニティーの拠点づくりができるよう、皆さんと一緒に意見交換をしながら進めていきたい旨の話をいただきました。
その後、全員で記念撮影が行われ、次年度以降に向けた今後の進め方についての意見交換を八つのテーブルに分かれて行いました。最後に、堀教育長が全体の講評を述べられて終了しました。
皆さんの意見では、このようなみんなで集まって議論する場を継続してほしいという声が多く出て、地域の皆さんの活力といいますか、何か私も今後に向けたエネルギーをいただいた感じがしました。
小学校の統合計画から始まり、保護者や地域の皆さんの子どもたちの学校に対する思いが錯綜する中で、子どもたちのことを最優先に考えた選択が、代沢小学校と山崎小学校への通学区域変更という苦渋の決断だったと私は受けとめております。
花見堂小学校は、平成二十九年四月からは改築工事中の代沢小学校の仮校舎として二年間活用された後に、新たな施設を二年間かけて工事を行い、新たな地域コミュニティーの拠点施設としてスタートします。保護者や地域の皆さんの思いや子どもたちの夢が形になることが新たな地域コミュニティーの第一歩だと私は思っています。
九月には、区として花見堂小学校の跡地活用方針の素案が公表され、素案には代田南児童館と地区会館の移転を中心に、新たな民間保育園の整備などがうたわれており、区民説明会や区民意見募集が行われました。区民説明会には、跡地ミーティングの参加者はもとより、大勢の方が参加され、これからのことについて前向きな意見が多かったように私は思います。
そこで質問をいたしますが、跡地活用検討ミーティングの参加者からも声として出ていましたが、花見堂小学校の跡地活用ミーティングを通じて培われた地域コミュニティーを今後どのように継続されていくつもりなのか、区の考えをお伺いします。
◎須田
学校適正配置担当課長 花見堂小学校の跡地活用検討ミーティングは、七月に行われました最終報告会をもちまして終了いたしました。この間、延べ五百人近くの方々に御参加いただき、子どもの声が聞こえる施設という意見を中心に、地域交流の場や多世代の交流といったような地域コミュニティーが形成されるような提案書として御意見を頂戴いたしました。
花見堂小学校の閉校という道を選択していただいた関係者の皆さんの心の痛みを忘れずに、子どもたちにとってどういう方向がよいかを考え、保護者や地域の皆さんの気持ちを大切にしていかなければならないと考えております。
九月には、花見堂小学校の跡地活用方針素案をまとめまして、区民説明会や区民意見募集を行ったところでございます。次年度は基本構想がスタートいたします。教育委員会から北沢総合支所へと引き継がれますが、ハード面だけでなく、地域の皆さんが施設運営にかかわれるような仕組みも視野に入れつつ、新たな地域コミュニティーの拠点づくりができるよう、今後も地域の皆さんと一緒に意見交換をしながら、丁寧に進めていきたいと考えております。
◆青空こうじ 委員 よろしくお願いします。
次に、花見堂に近い若林小学校の跡地活用についても伺います。
若林小学校でも跡地活用検討ミーティングが五月二十八日、第一回目が始まりました。五月の委員会で区から小学校跡地活用の検討状況ということで、教育施設を中心とした施設整備をする方向で検討を進めるという報告をいただきました。私も七月二十三日の夜七時から跡地活用検討ミーティングに参加させていただきました。花見堂小学校と同じように、若林地区の皆さんも、地域の将来について真剣に意見を出し合う。区と同様、ともに施設利用についてもどう進めていくかを意見交換されている姿が印象的でした。
若林小学校の跡地活用検討ミーティングは、スタートしたばかりですが、区として課題を踏まえながら、住民要望も取り入れつつ進めていくのは容易なことではないと思います。
そこでお伺いしますが、若林小学校の施設全体の整備計画をどのように考えているのか、区の考えをお伺いします。
◎須田
学校適正配置担当課長 若林小学校は、旧若林中学校の跡地利用の一環で、新校舎を建設し、移転するために、学校としての使用が平成三十一年三月に終了するために、学校跡地としての活用が始まります。若林小学校の跡地活用検討ミーティングは五月からスタートし、地域の方々、保護者、区の関係所管の職員が参加し、皆さんで意見を出し合い、学校跡地活用の方向性を検討するために行っております。
学校敷地内には国有地が存在しているため、区といたしましては、国と今後調整してまいりたいと考えております。残った土地の活用といたしましては、教育センターなどの移転を中心に考えておりますが、地域の方々の施設利用も視野に入れながら、花見堂小学校と同様に、跡地活用の素案としてまとめてまいりたいと考えております。
◆青空こうじ 委員 花見堂小学校みたいに丁寧に若林のほうをやってください。よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
────────────────────
○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。
◆和田秀壽 委員 それでは、自由民主党の文教領域の質問を始めさせていただきます。
きのう、この役所からうちに帰る途中、ちょっと遅くまで原稿をつくっていたので遅くなったんですが、帰り道に、まず区役所を出ますと、やたらと子どもの姿が町の中に多いなと。あれっと思って、そのまま自転車を走らせまして、駒沢公園を通っていくうちに、駒沢公園の中もすごいたくさんの親子連れがいたんです。一体きょうは何の日かなと思いながらもう少し走っていきましたところでやっとわかったのが、実はゆうべ皆既月食が、雲のすき間からですけれども、少し見られたようだということを後で知りました。夜の暗い道を帰るときに、何でいつもと違うのかなと、それがわかるまでに非常に時間がかかったんですけれども、親子でそうやってお月見というか、皆既月食を見られる姿というのは本当にいいなという感じでありました。
きょうは、家庭教育についての質問からまず伺ってまいりたいと思います。
控室のほうに毎月一回届く新聞の記事がちょっと目にとまりまして、その中の記事をちょっと読ませていただきますが、子どもの姿は大人の姿という記事でした。いじめ問題は、自己中心で、友人や仲間への思いやりの不足が発端となっている場合がある。携帯アプリのLINEによるいじめが社会問題化しているが、返事がもらえないから自分は無視されたと勝手に思い込み、返信しない仲間を排除することなど、まさに相手の都合を考えない身勝手な行動である。また、たとえいじめが悪いと思っていても、いじめられている側につくと自分もいじめられるという理由で自己保身に走ってしまう。他者のことを思いやることが大切と正しい行いは理解していても、実際には実行できていないことが多い。この子どもの姿は、家庭や地域で大人がやっている姿そのままである。結局今の大人が何をしなければならないか、あるいは何をしたらいけないのか、規範を守った行動ができていないのだ。まさに子どもの姿は大人の姿であると。
こういった記事が目にとまったんですが、まず家庭教育の取り組みについて伺ってまいりたいと思います。
私は、かねてから家庭でのしつけ、家庭における教育が重要であると申し上げてまいりました。もちろん学校での教育、とりわけ学力向上のためには先生の努力、授業の工夫が重要であることは言うまでもないことです。
ことしの予算特別委員会でも質問しましたが、四月から第二次
教育ビジョンがスタートし、目標の実現に向け、取り組みが始まったことと思います。第一期行動計画の四年間に力点を置いて、横断的に取り組む事業として八つのリーディング事業が設定されています。その中の一つに親子の育ちを支える家庭教育への支援があります。何はともあれ、教育領域のトップである教育長に家庭教育に対するお考えを伺いたいと思います。
◎堀 教育長 お話にもありましたとおり、今回の第二次
教育ビジョン・第一期行動計画のリーディング事業の一つに、家庭教育への支援というものを掲げさせていただきました。申し上げるまでもなく、家庭教育は全ての教育の出発点だと思っております。平成十八年度、改正教育基本法で新たに家庭教育の条項が設けられました。親が子どもの教育についての第一義的責任を有すること、また同時に国及び自治体の責務として保護者に対する学習の機会や情報提供など、家庭教育を支援するための必要な施策を講じることなどが規定されております。
御案内のように、少子・高齢化、核家族化、女性の就労の多様な広がり、虐待、いじめやネット依存など、家庭と子育てをめぐる社会的状況は大きく変化しております。また、現在いろいろ議論されておりますが、人口減少社会の到来という課題も生じております。
このような課題を一朝一夕で解決するには大変難しいと思いますが、しっかりと状況を分析して、子どもの発達段階に応じた福祉や保健等との連携による切れ目のない支援、あるいはワークライフバランス等の推進などの視点の取り組みが求められているのではないかと思っております。
教育委員会といたしましては、区の子育て支援施策と家庭教育支援が連携、協働して、子どもの育ちはもとより、親の学びの機会や場の提供などを支援し、親同士がコミュニケーションや交流を深めることができるよう、家庭の教育力の向上のための支援を充実してまいります。
◆和田秀壽 委員 第二次
教育ビジョンが実際にスタートしての教育長の家庭教育に対する意気込みが伝わってまいりました。
それでは、第二次
教育ビジョンでの家庭教育への具体的な取り組みをどのように進めているのか伺います。
◎林 生涯学習・地域・
学校連携課長 第二次
教育ビジョンでは、施策の柱の一つに、家庭における教育力向上への支援を掲げております。家庭における教育を支援しつつ、学校、家庭、地域が連携、協働して、地域とともに子どもを育てる教育を推進してまいります。
具体的な取り組みといたしましては、区立幼稚園、小学校、中学校のPTAに委託実施してございます家庭教育学級の見直しを行いました。その狙いといたしましては、PTA活動のさらなる活性化とより多くの方々に参加いただき、親同士がコミュニケーションや交流を深め、より豊かな子育ての輪を広げることを期待したものでございます。
具体的には、平成二十六年度から共通テーマを設定し、教育委員会や学校が積極的に取り組む教育課題について、家庭においても共有していただき、教育委員会と学校、保護者、PTAが連携し、一体となって取り組むことを目指してございます。
今年度のテーマでございますが、一点目がネット依存について、二つ目が子どもの体力向上、健康について、三つ目がいじめへの対応について、この三つの共通テーマを設定しておりまして、各学校では、年間おおむね三回程度実施する家庭教育学級のうち、一回は共通テーマから選択し、実施していただくこととしてございます。
このほか、家庭への支援といたしまして、スクールソーシャルワーカーの取り組みが重要となってまいります。教育委員会といたしましては、今年度、スクールソーシャルワーカーを増員し、問題を抱える家庭への支援の強化を図るなど、さまざまな視点から家庭教育の支援のより一層の充実を図ってまいります。
◆和田秀壽 委員 PTA活動のさらなる活性化や親同士のコミュニケーション、交流を深めるなどとして家庭教育学級に共通テーマを設定して話し合い、学ぶことは大変よい試みだと思います。
ところで、他区の取り組みなども気になりますが、家庭教育学級の先進的な取り組みについてはいかがでしょうか。
◎林 生涯学習・地域・
学校連携課長 他区では、社会教育施設などで公立、私立にかかわらず、地域の子育て家庭を対象として、乳幼児期や就学前の子どもを持つ保護者対象の学級を実施しているところもございます。また、休日などを利用した父親対象の学級や企業への講師派遣による家庭教育学級を実施している事例もございます。
世田谷区における家庭教育学級の大きな特徴は、全ての区立幼稚園、小学校、中学校のPTAに委託して実施しているところでございます。今年度の家庭教育学級の見直しにより、共通テーマを設定した取り組み、これにつきまして、文部科学省と東京都の家庭教育担当者が興味をお持ちになりまして、玉川中学校での家庭教育学級を視察されました。その玉川中学校では、共通テーマの一つであるネット依存についてを取り上げ、子どもたちが安全にネットを使いこなせるまでしっかりと見守ることができる保護者になるということをテーマとして実施されたものでございます。
中学生保護者のためのインターネットリテラシー講座として、講演とロールプレー、ディスカッションなどを含め三回の連続的な学習として実施されました。これで延べ百五十人程度の参加があり、大変好評だったということでございます。
今後とも他団体の例を参考にしながら、さらなる家庭教育学級の充実に取り組んでまいります。
◆和田秀壽 委員 このように、新たな取り組みとして共通テーマを設けた家庭教育学級の充実は評価できますが、もう一点、気になるのは、父親の参加がどうなっているのかという部分です。当然父親は仕事の関係で平日の日中はなかなか時間をつくることが難しいのが現実です。仕事を持っている母親ももちろんではありますが、そこで、家庭教育学級の開催に当たって、土曜日など、どのくらい休日に父親が参加できる工夫をしているのか伺います。
◎林 生涯学習・地域・
学校連携課長 先ほど教育長も申しましたけれども、平成十八年の改正教育基本法では、新たに家庭教育の条項を設け、父親、母親、その他の保護者が子どもの教育について第一義的な責任を有する旨が明記されました。家庭教育の基本的な機能といたしまして、生活習慣の取得、自立心の育成、心身の調和的な発達が掲げられております。また、子どもを取り巻く環境は、核家族化、少子化、地域との地縁的なつながりの希薄化等、複雑な状況にございます。こうした中、父母、家族が協力して子どもの健やかな成長につなげていくことがますます重要となっております。
委員御指摘のとおり、父親の参加の機会がふえるよう、家庭教育学級の土曜日、日曜日の開催がここ数年多くなっております。昨年度の実績では、全体でおおむね三百回ほど実施いたしましたが、そのうち三分の一程度が土日の開催となってございます。今後とも開催日時の工夫はもちろんのこと、参加の呼びかけや内容なども工夫した取り組みをPTAや保護者に働きかけまして、父親が参加しやすい環境づくりへの支援を進めてまいりたいと思っております。
◆和田秀壽 委員 新
教育ビジョンの四年間のリーディング事業の二番目、親子の育ちを支える家庭教育への支援の年次計画を見ると、二十六年度に「庁内の子育て支援、家庭教育に関する計画との連携検討」と記載されていますが、この具体的な取り組みを伺います。
◎林 生涯学習・地域・
学校連携課長 世田谷区全体で家庭教育を支援する取り組みにつきましては、平成二十年度に子どもの教育や健全育成にかかわる団体や町会・自治会、PTA、学校の代表者、産業界等による家庭教育支援推進会議を組織し、地域が一体となって家庭教育の重要性を認識し、その支援を推進する基盤を構築するための取り組みを進めてまいりました。この取り組みの一つといたしまして、家庭教育支援に関連する庁内所管の横断的な会議体として、家庭教育支援推進関係課連絡会を設置しております。
この家庭教育支援推進関係課連絡会は、現在、生活文化部、スポーツ推進担当部、子ども・若者部、世田谷保健所と
教育委員会事務局の課長級職員で構成し、家庭教育支援施策に関する情報提供や意見交換などを行いながら、家庭教育を支援する取り組みの推進を図っております。
教育委員会では、この家庭教育支援推進関係課連絡会を活性化させることが重要であると考えております。この連絡会の定期的な開催をベースに、福祉保健医療などの関係領域との連携、さらに地域と企業などとの連携を一層推進してまいります。
◆和田秀壽 委員 我が会派では、この夏、北陸三県、四都市へ教育分野の視察に行ってまいりました。その中の石川県金沢市の金沢市教育プラザという施設で、子どもに関する総合的な窓口で、教育、福祉が連携し、子どもの健全育成を支援する拠点施設を視察してまいりました。子育てのサポート、子どもにかかわるさまざまな相談、小中高の教職員、保育所、幼稚園の職員への研修と研究支援を行っている施設です。さらに、中核都市としては初めて児童相談所を県から移管しています。
世田谷区では、いろいろな面を考えれば、そのまま同じような施設をつくることは非常に難しいとは思いますが、子どもの教育について、とりわけ家庭教育については、ただいま説明のあった取り組みを着実に推進し、それぞれの所管がお互いに連携し、体系的な取り組みが行われるよう期待をいたします。
そこで、もう少し区長部局との連携について、具体的なイメージを伺いたいと思います。それぞれどのような取り組みをなされているのか、どのような仕組みづくりをしようとしているのか伺います。
◎林 生涯学習・地域・
学校連携課長 家庭教育支援推進関係課連絡会における具体的な取り組みでございますが、今年度は、区全体として家庭教育の推進に関連する事業の相互連携のあり方を検討することとしております。現在、庁内で実施しています事業の全体把握をするための調査を行っています。
一例でございますけれども、児童館の子育てひろばでは、乳幼児を持つ保護者に対する子育て相談や栄養、健康に関する事業をそれぞれの児童館で実施し、総体的に年間二百回程度実施しております。また、人権・男女共同参画担当課では、シングルマザーのほっとサロンなど、家庭教育に関係する事業を実施しております。
こうした調査結果をもとに、庁内で実施されている関係事業の情報提供、普及啓発や学習の機会の提供、事業の分類やその対象など、関係者が共通認識を持ち、家庭教育に関係する総合的な事業展開に向け、検討を進めてまいりたいと考えております。
◆和田秀壽 委員 次に、道徳教育について少し伺ってみたいと思います。
教育委員会のまず現状における取り組みについてですが、教育基本法において、教育の目的として人格の完成を目指すことが示されています。人格の基盤となるのが道徳性であり、その道徳性を育むことが道徳教育の使命であると思います。
私は、道徳教育は、人格形成の根幹にかかわるものであり、何事にも主体性を持って誠実に向き合う意思や態度、豊かな情操など、子どもたちが生きていく上で必要な生きる力のベースを育てていく大変重要なものだと認識しています。
しかしながら、文部科学省が設置する中央教育審議会では、現在の道徳の課題として、学校や教員によって指導の格差が大きいなど、いまだ不十分な状況であるといった指摘があり、マスコミ等でも報道されているように、今後、道徳を特別の教科として位置づけ、その一層の充実を図るものと聞いております。世田谷区でも道徳教育が重要であることは同様だと思いますが、そこで伺います。
世田谷区における道徳教育の現状をお聞かせください。
◎滝渕 副参事 教育委員会では、道徳教育の一層の充実を目指し、道徳授業の改善を中心となって担う道徳教育推進リーダーという役割を各学校に位置づけております。さらに、各学校の道徳教育を推進するために、道徳教育センター校を区内に三校指定し、道徳教育推進リーダーを対象とした道徳の授業研究や協議会を運営し、各学校の道徳の指導実践に関する情報交換なども行っております。
また、世田谷区の子どもたちにとって、身近な題材を取り上げた道徳指導資料集を毎年作成し、読み物資料の充実に取り組んでおります。さらに、今年度実施した道徳研修会において、文部科学省の教科調査官を講師に迎え、道徳の教科化に向けた国の動向や文部科学省が発行している「わたしたちの道徳」の読み物教材を使った指導などについて研修を実施し、理解を深めたところでございます。
◆和田秀壽 委員 よりよい道徳教育が、先進的に取り組んでいる学校の事例を通し、各学校でイメージできるよう、工夫して取り組んでいることはわかりました。しかし、先ほど申し上げましたように、中央教育審議会における課題認識としては、道徳の課題が、学校や教員による指導の格差が大きく、狙いが十分に達成できていない現状があるとの報告も見られます。また、子どもたちに道徳性を十分に育むに当たっては、言うまでもなく、学校だけの取り組みでは不十分であり、家庭や地域との一層の連携の強化が求められています。
そこで伺いますが、世田谷区の各学校における道徳教育の取り組み状況についてお聞かせください。
◎滝渕 副参事 各学校では、平成十四年度より道徳授業を地区公開講座という道徳の授業公開と保護者や地域の方々との意見交換会を開催し、道徳授業の質の向上を目指すとともに、子どもの豊かな心を育てるため、学校と家庭や地域社会が一体となった教育活動となるよう取り組んでおります。
また、池之上小学校では、東京都の人権教育推進校として、互いを尊重し、よりよく生きる児童の育成を研究主題として、教育活動全体で行う人権教育の研究を進め、情報発信を行っております。さらに同校では、道徳の指導教諭がおりますが、この指導教諭は、東京都教育委員会が本年度から位置づけた新しい職で、高い専門性とすぐれた指導力を持つ教員が、模範授業の公開と指導及び助言を行い、各学校の指導力向上に資する職責があります。
都内における道徳の指導教諭は、現在、本校の教諭一名のみです。この指導教諭が年間三回授業を公開し、世田谷区内小学校から集まった教員が道徳の指導について研修を深めております。各学校では、道徳教育推進リーダーが校内の教員が道徳の授業を実施する上での相談役を担い、道徳の時間に用いる教材や図書の準備、掲示物の充実、図書資料コーナーの整備など、自校の道徳教育の推進の中心となり、道徳の時間の充実を目指し、取り組んでいるところでございます。
◆和田秀壽 委員 文部科学省は、今後、道徳を特別の教科として位置づけを新たにして、道徳教育の強化について打ち出しています。
そこで伺います。今後、道徳の教科化はどのように進むのでしょうか。そして、教育委員会では、そこに向けて今後、どのように準備を進めていく予定でしょうか。
◎滝渕 副参事 文部科学省が中央教育審議会などにおいて、道徳の教科化に向けた検討が進み、これまでの道徳の時間が特別な教科という位置づけになる見通しが示されております。今後、文部科学省は、中央教育審議会の答申を受け、学習指導要領の改訂を行い、早ければ平成三十年度に実施が予定されております。
教育委員会では、今後、国の動向について十分に情報を収集するとともに、道徳の教科化に向けた準備会などを校長会とともに立ち上げ、世田谷区教育要領の改訂や指導内容、評価のあり方などについて、検討、準備を行ってまいりたいと考えております。
◆和田秀壽 委員 教育長の冒頭の答弁の中に、家庭教育は全ての教育の出発点であるというふうに申されました。私も川の流れによく子どもの成長を例えるんですけれども、まさに出発というのは川の源流、この川の源流は、まさに家庭教育だと思っております。その中流にこういった学校教育があって、やがて河口から海へ巣立って、社会に出ていくという、こういったイメージをいつも描いておりますが、家庭教育の大切さを、きょう改めて教育委員会の意気込みも聞きましたし、ぜひ充実させていただきたいと思います。
以上で午前中の自民党の質疑を終わります。
○あべ弘幸 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
──────────────────
午後零時四十分開議
○あべ弘幸 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党、どうぞ。
◆石川征男 委員 自由民主党、文教領域、午後の質問をさせていただきます。
小中学校の不登校について質問いたします。
不登校への取り組みにつきましては、さきの一般質問で我が会派の新川議員から小中学校の不登校問題と課題について質問したところですが、本日は少し視点を変えて何点か質問させていただきます。
まず、世田谷区の不登校対策については、これまでほかの自治体にも先駆けていろいろと取り組んできたことは承知しております。しかしながら、なかなか不登校の子どもたちの数が減っていかないという現状があります。毎年文部科学省が実施している学校基本調査の平成二十五年度の状況によりますと、不登校の児童生徒数は全国で約十二万人となっています。小学校が約二万四千人、中学校が約九万五千人ですが、前年度と比較しますと、小学校が約三千人増加、中学校が約四千人増加となっております。大変に厳しい状況であり、これまで以上に不登校への取り組みの充実を図る必要があると考えます。
全ての子どもは未来に向かい、世界へ羽ばたこうとしていく可能性に満ちたかけがえのない存在と思っております。しかしながら、不登校となった子どもたち本人も、また不登校の子どもを持つ御家庭にとっても、不登校の悩みの重さ、将来への不安はまことに大きいものがあります。
こうした中、教育委員会では、現在、不登校の子どもたちのために、城山と尾山台の二つのほっとスクールを運営しております。また、学校統合に伴う旧希望丘中学校の跡地に三つ目のほっとスクールを開設するとの計画があります。
そこで、ほっとスクールから学校に復帰した子どもの実績と旧希望丘中学校跡地での第三のほっとスクール開設に向けた進捗状況をお尋ねいたします。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 ほっとスクールでは、心理的な理由で登校できないでいる区内在住の小中学生に対し、児童生徒の体験活動と個別学習の支援、保護者、家庭への支援、児童生徒が在籍する学校との連携を行うなど、学校復帰に向けて取り組んでおります。
ほっとスクールでは、児童生徒の状況に応じまして、まず個別的な支援から入り、少しずつ集団的な活動に移行するなど、きめ細かい支援を行い、この三年間で二十四人が学校に復帰することができました。
教育委員会では、旧希望丘中学校の跡地に平成三十年度に建設する複合施設の中に、第三のほっとスクールを開設する予定でございます。今年度は、施設のハード面の基本構想に取り組んでおりますが、今後、不登校の児童生徒の学習面の支援の充実など、不登校の児童生徒が抱える課題解決のために、施設の内容面の検討を進めてまいります。
◆石川征男 委員 ほっとスクールではそのような支援をしているということですが、不登校の子どもたちが何を訴えているのかに心から耳を傾け、子どもたちにとって必要なサポートの方法をあらゆる角度から考え、学校にスムーズになじめない子どもたちも、明るく有意義な学校生活を送れるよう、十分な指導と支援をしてほしいと思っております。
次に、教育委員会が平成二十一年に取りまとめた世田谷区における不登校対策のあり方についてという報告では、教育委員会として今後取り組んでいくべき項目がたくさん挙げられております。一つ一つ大事な点だと思いますが、この中で不登校に対する理解、啓発活動という取り組みがあります。そこでは、不登校児童生徒の社会的な自立を図っていくには、当該児童生徒のみならず、その保護者に対する理解が不可欠であり、その必要に応じた支援が重要であるとあります。
不登校の子ども本人への支援が重要なのは言うまでもありませんが、本人の心理的な不安定が大きい時期には、例えばほっとスクールに行くよう誘ってみても、本人がなかなかその気になれないなど、本人に直接働きかけるのは難しいと聞いております。こうした時期には、やはり保護者を通して不登校の子どもの状況を改善するという視点も重要です。
また、不登校の子どもを持った親自身も深い悩みを抱えていることになりますので、親が孤立することのないように、そして親も子どもと一緒に不登校を乗り越えていけるよう、周囲が励ましたり、ケアをしたりすることも大事なことだと思います。
こうした点を踏まえ、不登校の子どもを持った保護者への支援について、教育委員会ではどのように取り組んでいるのかお聞かせください。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 不登校の子どもを持つ保護者への支援は、子どもへの支援とともに重要な課題であると認識しております。教育委員会では、不登校の児童生徒を持つ保護者同士が不安や悩みを語り合い、情報交換を行うとともに、不登校の子どもを持つ経験者の体験談を聞く不登校保護者のつどいを年十八回開催しており、平成二十五年度は、延べ百七十三人の保護者が参加されています。
不登校の児童生徒への支援の経験が豊富なコーディネーターが、不登校の児童生徒の対応への助言をするとともに、保護者の不安を軽減する場ともなっております。このうち、保護者の不安が大きい中学生の進路につきましては、七月、十月、一月の三回を進路特集と題しまして、一回目は、高校の種類や進路決定のポイント、入試日程などの情報提供、二回目は、都立高校の協力をいただき、学校紹介の実施、三回目は、直前対策として、入試直前にやっておくべきことや心構えの助言などを行っており、各回とも個別相談も実施しております。
また、ほっとスクールでは、学期ごとの保護者面談や日常的な保護者との情報交換などを通じて保護者への助言などを行っております。さらに、教育相談室におきましては、平成二十五年度は千三百六十件、一万六千九百八回の来室相談を行いましたが、そのうち三割は、不登校と登校渋りの相談でございまして、児童生徒と保護者それぞれに担当の心理教育相談員がつき、保護者に対しましては、児童生徒の心理面の支援への助言などを行うとともに、保護者自身の悩みや不安も傾聴し、保護者の心理面の支援も行っているところでございます。
◆石川征男 委員 教育委員会では、義務教育の九年間を一体として捉え、小中学校で同じ目標や指針をもって授業の質を高め、一人一人の持つ個性や能力を伸ばし、自立した個人として生きる基盤を培い、基本的な資質を養うために、小中学校で連携した教育に力を入れています。
また、地域とともに子どもを育てる教育の推進を目指し、全国に先駆け学校協議会を設置し、平成二十五年度には
区立小中学校全校を地域運営学校に指定しました。こうした方向性は間違っていないと思いますので、不登校の問題に対しても小中学校で連携して取り組むとともに、学校と教育委員会だけでなく、地域の力も取り入れて、地域全体で子どもを育むよう取り組んでいただきたいと思っております。
最後の質問になりますが、国の調査では、不登校の中学生の進学率は九八・四%であり、多くの不登校の中学生が高校などに進学しています。不登校の中学生が自分の進む道を見出し、新たなスタートを切ることは幸いでありますが、進学した先などでさまざまな困難なことに直面することもあるだろうと思います。
小中学校までは、学校も教育委員会もさまざまな支援をしてくれますが、卒業してしまうと、そのような支援がなくなってしまうのではないかという声も聞いております。義務教育終了後について、区の教育委員会でできることに限界はあると思いますが、不登校だった生徒が卒業後、悩みや困難を抱えたときに、どのような対応ができるのかお伺いいたします。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 不登校であった生徒が、卒業後の進路を見出し、中学校を巣立つときには、新たな生活を楽しく、有意義に送ってほしいと念願しながら送り出しますが、中には、進学した先で悩みや困り事を抱える生徒もいます。そうした生徒への対応でございますが、まず学校におきまして、卒業生が担任だった教員などに相談することがございます。また、ほっとスクールにおきましても、高校に進学した生徒が相談に訪れており、指導員が助言などをしております。
このほかには、「せたがやホッと子どもサポート」、「せたホッと」が原則十八歳未満の子どもの相談を受けており、また、高校生の相談につきましては、東京都の教育相談センターが、高校の転学、高校中退後のことなどについて、電話相談や来室相談を行っています。
区では、若者支援といたしまして、九月にひきこもり等で悩む中高生世代から三十九歳の区民とその家族の相談を受けるメルクマールせたがやを新設し、就労に向けた準備などの支援を目的としたせたがや若者サポートステーション等とあわせ、世田谷若者総合支援センターを開設しました。
今後、教育委員会といたしましても、子ども・若者部等との関係機関と連携して支援に取り組んでまいります。
◆石川征男 委員 子どもたちが、不登校も成長の一過程とし、乗り越えて、やがて自立し、社会で活躍していただくためには、学校、教育委員会、区、関係機関がしっかりと連携して取り組んでいくことが欠かせません。教育委員会では、第二次
教育ビジョンでも不登校への取り組みの充実を挙げていますが、若者支援という観点も視野に入れて、しっかりと取り組むことを要望し、次の質問に入ります。
次は、伝統文化に触れる時間の充実ということでお聞きします。
先日、ニューヨークに住んでいる友人が日本に帰ってきて、会いました。いろいろ話をしている中で、友人がアメリカの人から、おまえ、茶道を知っているかと尋ねられたとのことです。友達はもちろん知っているよと答えたら、おまえは真の日本人だねと言われたらしいんです。こういうことを考えてみると、国際社会でこれから活躍していく若い人たちに日本の伝統文化を少しでも身につけていただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。日本の伝統文化について、どのような教育をしているのかお聞きします。
◎齋藤
教育指導課長 国際社会の一員として、他の国々の人々と共存していくためには、日本人としての自国の伝統や文化を尊重する態度の育成は重要であると認識しております。
平成二十年三月に告示された現行の学習指導要領では、教育基本法の改正を踏まえて、伝統や文化に関する教育をこれまで以上に充実するように示されました。例えば国語科での古典の重視、社会科での歴史学習の充実、音楽科では唱歌、和楽器の指導の充実など、我が国の郷土の伝統や文化を受けとめ、それを継承し、発展させる教育の充実などでございます。
教育委員会では、学習指導要領の改訂を踏まえまして、世田谷区教育要領を策定し、教育活動を行っておりますが、その教科「日本語」において、小学校五年生の学習として、道のつく茶道や華道など、伝統的な文化や芸術、芸能について、小学校六年生では、能楽や狂言について学んでおります。中学校三年生では、日本文化の領域で、衣食住を通して、日本の風土を生かした先人の工夫や努力などの日本の文化や伝統について学んでいるところでございます。
◆石川征男 委員 学校における茶道の取り組みの現状はどうか、また、外部指導員などの専門家を活用して進めていくべきと考えますが、御意見をお伺いします。
◎齋藤
教育指導課長 お話しの茶道に関しましては、小学校の社会科では、室町時代の文化の学習の中で、茶の湯の体験が例示されております。また、中学校では、教科「日本語」で地域の方などを外部指導員としてお招きして、茶道体験を行っている学校もございます。
例えば八幡中学校では、産業能率大学の茶室をお借りしまして、三年生の生徒全員が茶の湯の体験をしてございます。茶室での体験や茶道の先生から直接教えていただくことで、お互いを敬うことや主人がお客をもてなすといった茶の心を感じることができたや、いろんな作法にも意味があって、それを受け継がれているところがすごいといった生徒の感想も聞かれております。
また、中学校の部活動として茶道部を設けている学校も多くございます。駒沢中学校では、地域の方を外部指導員としてお招きして活動してございます。日々の練習を生かして、地域のデイホームを訪問して、地域の高齢者の方にお茶を振る舞い、交流を深めています。
また、梅丘中学校や喜多見中学校、駒留中学校などでは、羽根木公園で開かれるお祭りなどにおいてお点前を披露しています。生徒たちからは、たくさんの方たちにお点前を披露できてうれしかったなどの声が聞かれております。
上祖師谷中学校では、学び舎の小学校でサマースクールでの茶の湯の体験をやっておりますので、その補助として中学生が活躍するなど、日々の練習の成果を発揮してございます。
教育委員会といたしましては、今後も外部指導員など専門家のお力もおかりしながら、茶道などの伝統文化の指導を充実させてまいりたいと思っております。
◆石川征男 委員 答弁をお聞きしますと、多くの学校で外部指導員の方にお願いしているのがわかりました。
私も日本の文化を学ぶゲストティーチャーを招いてということで、中学校で茶道を指導したことがあります。普通教室に畳を敷いてお稽古です。最初は、正座をし、それから挨拶を始めました。二十人中五人ほど正座ができない学生がおりましたが、約八十分の講義でしたが、後日、学生から感想文をいただきまして、この感想文を読んでみると、少しは講義が役立ったのかなと思っております。
ちょっと御披露させてもらいます。茶室への入り方、お茶のいただき方等を教えていただき、本当にありがとうございました。それと掛け軸で白珪尚可磨という言葉から、高校、大学生、社会人になっても、ずっと学んでいかなくてはいけないなと思っております。今回は自分にとってとてもすばらしい授業でした。本当にありがとうございましたとか、非常に感謝のあれがあるので、やってよかったなと思っております。
ということで、では、ほかの伝統文化は、知識だけでなく、体験が大切であると、茶道以外の体験活動というのはどんなのがありますか。
◎齋藤
教育指導課長 日本の伝統文化についての学習など、児童生徒が日常生活の中で触れる機会が少ない学習については、講義形式で話を聞いて理解をするということだけでなく、やはり体験活動を通して学ぶことによって学習意欲も高まりますし、より理解を深めることができるというふうに考えてございます。
例えば小学校六年生の音楽の授業では、和楽器に親しむ活動を行っておりますが、その音色をCDで聞くということだけでなく、実際にお琴や三味線、尺八などを演奏する体験をしている学校がございます。また、中学校三年生の教科「日本語」の日本文化の領域では、浴衣の着つけ体験を行って、生徒が季節に応じた和服の工夫を実感したり、和服への興味が高まったというような事例があります。
また、そのほか全小学校六年生には古典芸能教室、そして全中学校三年生には歌舞伎鑑賞の教室を実施しておりますので、日本の伝統文化に直接触れる機会を設けてございます。実際に鑑賞した子どもたちからは、言葉が難しいからわからないかなと思ったけれども、意外とおもしろかったとか、花道や回り舞台の工夫を知ることができた。衣装やくま取りなどからは伝統を重んじていることを感じたといった感想が聞かれております。
教育委員会といたしましては、今後も子どもたちがさまざまな体験活動を通して、日本の伝統や文化に親しみ、学ぶことができるように充実を図ってまいりたいと考えてございます。
◆石川征男 委員 ふだんは、いつも教室で教科書を使って授業をしておりますので、ぜひとも伝統文化については、体験をできるだけ多くお願いしたいと思います。
以上をもちまして質問を終わらせていただきます。
◆新川勝二 委員 私からは、ビオトープ活用による環境教育についてということで、ビオトープの活用によります環境教育の重要性、さらに、ビオトープを含めた環境教育を実施する場の設定について質問いたします。
教育委員会の第二次
教育ビジョンでは、リーディング事業の中に、子どもたちが体験、体感する機会の拡充を掲げております。現状と課題を拝見しますと、高度情報化の進展などによりまして、知識基盤社会の中にある子どもたちが、自然体験学習や動植物との触れ合いなど、実物に触れ、感じ、生命の大切さなどを体験、体感する機会が少なくなったということを挙げております。
確かに、現代の子どもたちにとりましては、日常生活の中で、ゲームや情報通信機器など、バーチャルな世界の中で過ごすことがふえていると言えます。直接体験が減少すればするほど、生命のとうとさや自然のすばらしさなどの感情や感性が育ちにくくなるという状況ではないでしょうか。
今の時代ほど自然や生命に触れて、自然のすばらしさや生命のとうとさなどの感情や感性を育む機会の重要性が叫ばれる時代はかつてなかったのではないでしょうか。
さらに、異常気象の増加など、私たちの住む日本を含め、環境問題がこれほど深刻さを増している現状において、子どもたちに対して環境問題における課題を十分把握させるとともに、どのように行動すべきかを考える基礎を学ばせることも大切ではないかと考えております。
このように、子どもたちを取り巻く環境が厳しい状況である中、学校において環境教育を推進することは、これからの持続可能な社会を構築していく上で大変重要なのではないでしょうか。
学校において環境教育を推進するに当たっては、机上の学習にとどまらず、さまざまな体験を通して学ぶことが重要でございます。
教育ビジョンにも述べられているように、体験、体感によって学ぶことは、直接生きた学習となるはずでございます。
そこで、初めに伺いますが、学校における環境教育の重要性を教育委員会ではどのように考えているのでしょうか、お伺いいたします。
◎滝渕 副参事 子どもたちが環境保護の大切さについて関心を持ち、環境問題について考え、身近なところから主体的に行動する力を育てていくということは、これからの社会を生き抜く力を育むために、大変重要であると認識しております。
各学校では、社会科や理科を中心に自然環境を守ることの重要性について学習しております。小学校では、五年生の社会科で人々のさまざまな努力により、公害の防止や生活環境の改善が図られていることを学んでおります。また、中学校の理科では、身近な自然環境を調べる学習を通して、自然環境を保全することの重要性などについて学習しています。
例えば東玉川小学校では、校内緑化プロジェクトの一環として、希望する児童が土曜日に、保護者や地域の方々に御協力いただきながら、屋上や花壇で花や果実などの栽培活動を行ったり、二年生が生活科の時間を使って大切に育ててきた野菜を収穫したり、野菜や草花に親しむ機会として意欲的に活動しております。
教育委員会といたしましては、今後もこうしたさまざまな機会を通して、子どもたちが環境について考え、主体的に行動できるよう取り組んでまいります。
◆新川勝二 委員 教育委員会では、
教育ビジョンの中で、子どもたちが体験、体感する機会の拡充というものを掲げて、体験学習を重視しております。ビオトープなど、環境教育を実施するに当たりまして、体験学習として活用できる場が整備されているところもあると思います。
そこで伺いますが、学校では、そのような環境をどのように活用しているのでしょうか、お伺いいたします。
◎滝渕 副参事 第二次世田谷区
教育ビジョンの中では、知識基盤社会の中にある子どもたちが、自然体験学習や動植物との触れ合いなど、実物に触れ、感じ、命の大切さなどを体験、体感する機会がとても大切であるとしております。
委員お話しのとおり、ビオトープなどの子どもの身近にある環境をもとに学習することは、環境を守る意識を育てるために大変有効であると認識しております。例えば三軒茶屋小学校では、総合的な学習の時間に四年生が学校のビオトープを活用した学習をしております。児童がビオトープの雑草を抜いたり、そこにたまった泥を取り除くなどの手入れをするとともに、ビオトープで生きているヤゴやカエル、メダカなどの生き物を観察することを通して、自分たちの身近なところにいる生き物の豊かさに驚いたり、自然を大切にしていこうとする命の大切さに気づいたりすることができたと聞いております。
教育委員会といたしましては、今後も子どもたちが実物に触れ、感じ、体験する機会の充実に取り組み、自然への畏敬や命の大切さなど、他と共生する心や豊かな情操を育てるよう取り組んでまいります。
◆新川勝二 委員 次に、学校におけるビオトープの現状についてお聞きします。
児童生徒の多様な可能性を引き出す有効な学習室でもありますビオトープというのは、自然の美しさ、雄大さ、神秘性など、知識力でははかり知れないものが感性に響き、感動や畏敬の念をよみがえらせてくれます。自然そのものが教育力を持っていると言えます。
学校でビオトープをつくる場合、地域の自然を意識して、豊かで多様な生物が生息できるように工夫することが大切であると思います。校庭やその周辺の空き地、校地の一画を利用したタイプが一般的で多いのですが、樹林や樹林園の中に池や小川をつくったり、鳥の餌台や巣箱を設置したり、校庭全体の利用計画との整合性も図らなければなりません。また、水の供給方法や排水の検討、また児童生徒が事故を起こさないような安全配慮も必要となっております。子どもたちにとりましては、ザリガニなどとの接触はとても喜びますが、生態系のバランスも考えなければなりません。
これまで学校で環境教育にかかわる体験ができる場はどのように実現しているのでしょうか。また、ビオトープに取り組んでいる学校は何校ぐらいあるのでしょうか、お伺いいたします。
◎安間 施設課長 教育委員会では、第二次
教育ビジョンの施策の柱の一つとして、安全安心と学びを充実する教育環境の施設整備を掲げ、環境に配慮し、また、児童生徒の環境教育の機会となるような学校施設づくりを進めております。
現在、校内で生態観測ができるようなビオトープは、観察池として整備されているものや地域と学校が連携して整備したものなどがあり、今年度は、これらを活用したワークショップ等を十校で実施するというふうに伺っております。
また、松沢小学校は、改築時にビオトープを整備できるように、植樹と給排水設備までを整備いたしました。その後、地域や区内大学の御協力のもと、ビオトープを整備し、学校運営委員会の方が組織する団体で維持管理が続けられ、オタマジャクシが自然にふ化するなど、自然環境が再現されており、理科の学習などに活用されていると伺っております。
このほか、水辺はなくとも樹木が生い茂る築山のある学校もあり、生態観測などの環境教育に役立つものと考えております。
◆新川勝二 委員 学校改築におけるビオトープの事例、今後についてちょっとお伺いいたします。
既存の学校におけるビオトープは、学校によって種々、まちまちでございますが、その学校の歴史や経緯、特徴を持ってつくられ、活用されていることがわかりました。今現在も学校改築が太子堂小学校、多聞小学校を初め進んでおります。学校改築などにおいては、ビオトープなど生態観測ができる環境教育の可能な場所を設置する計画はあるんでしょうか。どのように進めていくのかお伺いします。
また、城山小学校の東側の烏山川のせせらぎ計画が二十八年度着工に向かっていると聞いております。所管が違いますが、城山小学校のビオトープ予定地が接しているので伺いますが、烏山川のせせらぎとビオトープとを一緒に考えられないかお伺いいたします。
◎安間 施設課長 学校改築におきましては、環境教育に寄与する施設整備を行っており、文部科学省のエコスクールの認定を受けております。その内容には、屋上緑化や校庭芝生、ビオトープなどがあります。現在、改築整備を進めている中で、来年度竣工する太子堂小学校にはビオトープを整備します。また、来年度改築工事に着手する城山小学校においては、せせらぎの整備を行う予定であり、いずれも隣接する緑道との調和を図りながら整備を進め、環境教育にも寄与していきたいと考えています。
特に城山小学校につきましては、みどりとみず政策担当部の水辺の再生事業と連携し、烏山川緑道と一部一体化したせせらぎの整備を行うため、緑道と連続した自然観察を可能にするものと考えております。
今後も、こうした事例のほか、各学校の特色を生かし、改築校基本構想検討委員会等において、地域の方々や学校長と話し合いながら、環境教育における体験の機会をふんだんに持てる学校施設整備を進めてまいりたいと考えています。
◆新川勝二 委員 大変結構なお話だと思います。ぜひともその実現する方針でいってもらいたいなと思っております。
次に、校庭芝生化についてお伺いいたします。
今年度も三校に校庭芝生化を整備すると伺っております。校庭の青々とした芝生の上で転げ回る子どもたちのうれしそうな笑顔は、私たちに大きな喜びを与えてくれます。子どもたちが手足をいっぱいに広げて体育の授業や遊びに取り組める場所であります。また、夏の校庭の温度の抑制や周辺への砂じんの飛散防止など、校庭の芝生化が順次進められていると思います。
私どもも広島へ何年か前に視察に行ったときに芝生化を勉強してまいりました。小学校や保育園の芝生化を実現しておりまして、高価と言われる維持管理費についても、地域の協力を得るなどして低く抑えて、土に比べて子どもたちのけがが少ないなど、芝生化の効果をうたっておりました。芝生の上で遊ぶのは楽しい、気持ちがいいと子どもたちの声が多いそうでございます。
世田谷区は、世田谷みどり33や学校の環境の向上、児童生徒の体力向上、または地域との交流の観点から推進していると伺っています。現在の状況はどうなっているのか伺います。
◎安間 施設課長 これまで教育委員会では、区の取り組みである世田谷みどり33における緑化の推進、また児童生徒の体力向上や環境教育に寄与することなどを目的として、校庭の芝生化を進めてまいりました。平成二十六年度現在、校庭芝生化を実施した学校は、小学校二十二校、中学校一校、幼稚園二園でございます。
委員より芝生の上で遊ぶ子どもたちのうれしそうな笑顔とお話しいただけましたように芝生化の利点は、特に低学年の児童が、体育授業や休み時間を利用した校庭での遊びを楽しみにし、楽しく運動ができ、体力の向上に寄与することやけがも少ないことを伺っています。
また、透水性、排水性がよく、雨上がりでも比較的早く利用できますし、砂ぼこりを吸い、ヒートアイランド現象の緩和に貢献し、環境学習にも役立つものと考え、推進しております。
◆新川勝二 委員 約三〇%強ですか、それぐらいに実現していると思いますが、私たちは校庭芝生化って簡単に言いますが、実際当事者にとってみれば大変な苦労をかけていると思います。しかし、これは子どもたちにとりましては、確かに、できれば本当にすばらしいなと思っております。
現在の芝生化の状況はわかりました。しかしながら、まことに残念なことでございますけれども、校庭を芝生化している小学校の数が、三〇%ですか、多いとは言えない状況にあると思います。まだまだ校庭芝生化の機運が高まっているとは言えない状況ではないかと思います。中には、関心を持ってこれから取り組もうとする学校もあるやに伺っていますが、どういったところに課題があると思いますでしょうか。
例えば芝の種類ですが、西洋芝の一種でバミューダグラス類のティフトンという芝がありますが、特徴としては、葉が細く柔らかい感触で生育が早く、摩擦からの回復が早く、また踏圧に強い性質があります。また、夏芝なので、冬場には冬用の種をまけばよいということだろう思います。
学校においては、養生期間で芝生の面を使えないといったような声も聞こえてまいります。それぞれの学校においては、全面校庭芝生化の学校とか、トラックの内側のフィールドに設置している学校、あるいはトラックの周辺部分に設置している学校、まちまちでございますが、それぞれの学校は、芝生の設置位置はそれぞれの考え、工夫の中で決めていると考えられますが、せっかくの校庭、せっかくの芝生でございますから、児童生徒の体力向上のためにも自由に使える期間が多いことが求められていると思います。
また、夏季期間の芝刈りであるとか、水まきといったような維持管理の負担感があると伺っております。学校の主事さんや教職員、学校によっては校長、副校長も芝刈りを行っているそうでございます。校庭芝生化は、保護者や学校を応援していただいている地域の方々、校庭開放を利用しているスポーツ団体の方々がおられますが、その方々との協力関係も活用して、かえって一つの楽しいイベント的なものになったり、地域との交流の場や学校への応援団的な意識の高まりとなっているようでございます。
しかし、費用の負担はどのようになっているか、また東京都の補助金、これはどうなっているのかちょっとお聞きします。
◎安間 施設課長 費用の負担との御質問でございますが、芝生化の整備、イニシャルコストでございますが、一般に平米二万円から三万円と言われておりますので、約千平米として二千万円から三千万円というふうになっております。
また、次年度からの維持管理費用でございますが、千平米級の中で、ウインターオーバーシードと言いまして、冬芝を播種するしないによって変わってきますが、やはりしない場合は一千万円台、冬芝を播種する場合は三千万円台になります。
ただ、補助金なんですが、これは都の補助金で、校庭芝生化に対して補助金事業となっておりますので、イニシャルに対してはほぼ十割、維持管理に対しては一〇から一五%ほどの補助金が充てられてございます。
◆新川勝二 委員 大変な補助金でございますが、これはいつまでという制限つきでございますか。
◎安間 施設課長 失礼いたしました。整備費用はもちろんイニシャル、初年度でございますが、維持管理費用については、次年度から三年間でございます。
◆新川勝二 委員 これからの高齢化社会にあって、健康の自己管理の必要から学校の応援にかかわっていただける住民の方々もおられると思います。これからも学校の環境の向上、児童生徒の体力向上、環境教育、地球温暖化防止、そしてみどり33の推進など、校庭芝生化の意義が高まっている中で、いろいろな課題がありまして、これを乗り越えて推進することは、いろいろな工夫や芝生化の推進のノウハウなどの共有、周知なども必要と考えますが、今後どのように進めていくのかお伺いします。
◎安間 施設課長 お話しのとおり、校庭芝生に対して、例えば夏芝にはティフトンを主体として、冬芝にはペレニアルライグラスを使用して、効率的な芝生の生育に努めております。播種や芝生を守る時期には、校庭の利用期間や活動の種類を制限することがございます。また、維持管理に手間を要することなどのほかに、校庭の広さと児童生徒数の関係によって、芝生の生育に影響するといったことが課題となっております。そうした中でも、今年度施工した三校のうち一校は、芝生化の利点に御理解をいただき、増設をした学校でございます。
今後も芝生化整備を継続してふやしていくため、芝生化の効果や適切な維持管理を周知することはもとより、設置場所や地域の方とのかかわり方などの工夫をするなどして、効果的な導入方法を研究してまいります。
いずれにしましても、芝生化等の緑化を推進し、子どもたちが自然と触れ合う場を提供できるよう努めてまいります。
◆新川勝二 委員 校庭の芝生化というと、我々は校庭のフィールド、トラックを含めて考えるわけですけれども、これは学校によっては、外周部とか、そういう取り組みとか、そういうもので考えるように思えてしようがないんですが、その点はどうでしょうか。
◎安間 施設課長 先ほども御説明申し上げましたように、芝生の養生期間の問題、いろんな活動の制限等の問題から、ただいま相談している学校の多くは、トラックの周辺部を芝生化していくようなところが多いと考えています。
◆新川勝二 委員 実際、子どもたちが跳んだり、はねたりする、そういう面積は、トラックとか、フィールドとか、そういう部分でつくってほしいなというふうに私どもは考えるんですね。聞くところによりますと、ある小学校では、せっかくフィールド部分に芝生をつくっても、それを利用されないで、入っちゃいけないというか、養生みたいにしているというようなことを聞いたことがあるんですが、その点はどうでしょうか。
◎安間 施設課長 いわゆる芝生化の養生の制限でございますが、その点につきましては、施設課とも連携をしながら、学校の側で運営にいろいろ配慮しているところでございます。学校のほうでは、いろんな行事が年間で予定されている中で、その行事とあわせる中で、その行事によっては、その行事を行うところに芝生が青々となるような、また夏休み期間を利用した養生であるとか、そういったことをそれぞれ学校ごとに工夫をして、私どももその相談に乗っておるところでございます。
◆新川勝二 委員 学校を改築するときにおいて、そういう取り組みもしたらどうかというようなことが当然考えられるわけですけれども、それがなかなか思うようにいかないということがあるんですが、どうでしょうか。
◎安間 施設課長 学校改築におきましても、当然学校緑化の計画の中で芝生化については議論されるところでございますが、学校改築において必ずしも全てが芝生化が実現するものではないという状況です。その中で、改築校、既存の学校にこだわらず、芝生化を推進してまいりたいというふうに考えております。
◆新川勝二 委員 最後になりますが、学校にはいろんな団体が入っているわけですけれども、この団体のために芝生化がおくれているというようなことはちょっと本末転倒じゃないかと思います。ぜひ推進してほしいと思いますので、よろしくお願いします。
あとは畠山委員にかわります。
◆畠山晋一 委員 初めに、キャリア教育、職場体験を通じてのこのキャリア教育について伺ってまいります。
そもそものこのキャリア教育というのが、今まさに子どもたちが生きる力を身につけて、社会の激しい変化に流されることなく、それぞれが直面するであろうさまざまな課題に柔軟かつたくましく対応して、社会人として自立していくことができるようにする教育ということで、これが平成二十三年から始まっているわけでありまして、特にキャリアと言っても、いろんな意味があるわけですけれども、この場合には経験値というものに例えられるのかなと。よく警察でいうキャリアって、あれはエリートって言われますけれども、それとはまた違う意味になっていまして、子ども、若者が経験を形成していくことのために必要な能力とか、態度の育成を目標とする教育的働きかけのキャリア教育。
その中で、世田谷区がとり行っているのが、中学校二年生、世田谷区立全中学校二十九校を対象にした職場体験、これが三日間にわたって、各事業所の協力をいただいて、職場体験を行っているという状況なんですが、初めに、まずその職場体験の現状、このことについてお伺いします。
◎滝渕 副参事 職場体験は、子どもたちの職業観、勤労観を育てることを目的とした体験活動として、区立中学校の二年生全員が区内外の事業所の御協力を得て三日間実施しているものでございます。事業所の選定に当たりましては、教育委員会などが作成しているリストを活用したり、学校から直接依頼したりしております。
職場体験の実施に当たりましては、事前に職業調べや自己の適性について考えたり、履歴書を書いたりという学習を十分に行った上で職場体験に臨むようにしております。
体験後、多くの学校では、職場体験で学んだことを新聞形式でまとめたり、保護者に向けて発表したりするなど、学習のまとめも重視しております。また、お世話になった事業所へのお礼状を書くことで、社会人としての礼儀などについて学んでいる学校もございます。
◆畠山晋一 委員 最初から最後まで丁寧にレジュメを自分から書いて、そして最後もお礼文を書くということで、きちっと締まりのある職場体験になっているものもあると同時に、長年行っていると、どうしてもマンネリ化といいますか、向こうも、事業所も御商売を営みながら、その貴重な時間を割いて、本来はその社員の方が一生懸命営業に回らなきゃいけない時間を子どもたちのために時間を割くというところで、非常にモチベーションのある社員もいらっしゃれば、なかなかこのモチベーションが理解できない社員もいらっしゃるという残念な状況もあるようですね。
ですから、この必要性や意義の理解が、実際成果も徐々に上がっているけれども、新しい教育活動を指すものではないとしてきたことによって、従来の教育活動のままでいいんじゃないかと誤解されたり、体験活動が重要という側面のほうから捉えて、職場体験活動の実施をもってキャリア教育を行ったものとみなしたりする傾向が指摘されていますと。一人一人の教員の受けとめ方や実践の内容、水準にはばらつきが出てきているという課題も出てきている。この状況の中で、背景には、キャリア教育の捉え方が徐々に変化してきているという経緯が十分にまだ整理されていない状況に今なってきているような話も伺っております。
その反面、これは渋谷区のほうなんですけれども、渋谷区の中学校さんが行っているある事業所がありまして、これはたまたまその事業所に勤めていらっしゃるのが、私の娘の同級生の父親で、その会社も当初はなかなかこの職場体験の意義が、社長自身は理解していたけれども、社員がなかなか理解していなかった。ところが、きちっとみんなでもう一回職場体験について考え直そうと。自分の子どもが来ているんだと。自分の子どもを育てるんだという強い意識を持ってもう一回やり直そうという思いをみんなで、社員教育を改めてやり直して、三百六十五日分の三日だけかもしれないけれども、子どもたちにとっては、生徒にとっては、本当の意味で大事な三日間だからしっかりやっていこうという捉え方をしたところがありました。
まさに真剣に、感動ができるような職場体験をやろうよということで、実はその方の職場体験をまとめたDVDをいただいたんです。BGMに格好いい音楽も入れたり、盛り上がった音楽を入れて、内容とすると、一つの商品を売るためにどれだけのコストがかかって、どれだけの努力を一人の社員がしているのかと。それを自分で子どもたちが理解をし、同時に、中間日に対しては、そのプレゼンテーションをつくるような努力をし、三日目には、顧客を呼んで、その呼ぶときにはみずから電話をかけて、お客さんに来ていただいて、自分でプレゼンテーションをして、売れるか売れないかは自分次第だ。また、その社員の協力をいただきながら、そのプレゼンテーションをして、最終的には、売れる場合もある、売れない場合もある。うれし涙を流すときもあるし、悔し涙を流すときもある。でも、ここのところ、みんな感動して帰っていくんだというんですね。それをまた親が店の外でそっと見ているらしいんですけれども、これもまた親も感動して、職場体験は本当にいい教育だなという思いをしてくださっているところもあるわけです。
ぜひとも、もう少しこういった体系化されている事業所のやり方を、多少マンネリ化されてきつつある事業所に対して、こういうふうに取り組んでいただけるとありがたいんですけれども、いかがでしょうかという働きかけを教育委員会としても改めてやっていくことが、貴重な三日間の大事な生かし方になるんではないかと私自身は感じたんですけれども、いかがでしょうか。
◎滝渕 副参事 職場体験は、多くの事業所の方々に御協力いただきながら、子どもたちはさまざまな貴重な体験をしているところでございます。例えば幼稚園や保育園で体験した生徒からは、園での仕事は子どもの成長に直接かかわることのできるやりがいのある仕事だと感じたですとか、また、商店で経験した生徒からは、お客さんからお礼を言ってもらったときにとてもうれしかったといった感想、また、消防署で体験した生徒からは、いつでも出動できるように訓練していてすごいと思ったといった感想など、働くことの楽しさや大変さ、責任、義務などを知り、これからの自分の生き方に向けて考えを深めることができているというふうに伺っております。
また、御協力いただいている事業所さんからは、子どもが仕事をするという意識をしっかり持って参加してくれているですとか、仕事をするということに対して前向きで積極的に取り組んでいた。子どもたちが意欲的に取り組んでいるのは、職場体験の前に学校がしっかり指導してくれているからですねといった感想などもいただくことができました。
教育委員会では、子どもたちの社会的、職業的な自立に向けて、この人間関係や社会を形成する力、課題に対応する力、論理的な思考力やみずから主体的に判断する力などを育むとともに、自分の役割、将来の生き方について考えることで、子どもたちにこれからの社会を生き抜く力が育成されていきますように、この職場体験の充実につきまして、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。
◆畠山晋一 委員 その充実を図るという意味で、ぜひ今度、そのDVDを差し上げますので、皆さんも感動していただいて、その感動を世田谷区の事業所にもそのノウハウを伝えていただきたい。感動と書いて、感即動く、人が動く。人が動くと書いて働くという形になるわけですから、これは全て結びついていることですので、ぜひとも各事業所間のより深い連携を、そして理解を進めていただくことを改めてこの職場体験には望んでまいります。
続いて、武道、ダンス、こちらが必修になるということで、平成二十四年度から中学校の学習指導要領の完全実施になった。この間、こちらの委員会やさまざまな場面でいろいろな質問や提案、道着のことですとか、教えられる講師の課題だとか、または安全面の対策が大丈夫なのかとか、いろいろな質疑、質問があったわけですけれども、あれから約二年がたっている状況にあるわけですけれども、武道またはダンス、こちらが必修になった上で、現状はどのようになっておりますでしょうか。
◎滝渕 副参事 武道やダンスは、現行の学習指導要領において、生徒に多くの領域の学習を十分に体験させるということを目的として、平成二十四年度より必修とされております。武道は、区立中学校において、柔道は二十五校、剣道が四校で実施しております。
教育委員会では、武道の授業が安全で適切に進められるよう、武道指導資料集を作成し、各学校においては授業で活用しております。さらに、教員の指導力向上を図るために、毎年柔道と剣道を専門とする大学の先生に御協力いただき、実技研修を行っております。
柔道では、危険が指摘されている大外刈りは行わず、わざをかけ合う練習では、あらかじめ何のわざをかけるか相手に知らせて、頭を打たないよう、例えば膝をついた時点で終了するというような取り組みも行っております。また、剣道では、防具を使わずに、基本動作や礼法を学ぶようにしております。
次に、ダンスについては、ヒップホップなどの現代的なリズムだけでなく、創作ダンスやフォークダンスなどの中から、各学校で内容を決めて行っております。ダンスにおいても、教育現場を中心に活動している団体の方を講師として招いて、実技研修会を実施し、教員の指導力向上を図っているところでございます。
◆畠山晋一 委員 柔道の話を聞いて、大外刈りはやらないと、背負い投げはやるんですかね。まあ、いいんですけれども、要は、柔道は、私自身も経験はなくて、高校に入って初めて柔道を経験させていただいたんですけれども、私はよかったなと思っています。何がよかったか、受け身。柔道はまずは受け身だと、頭を上げてしっかりと体でバランスをとるということをそのときに教えていただいて、その間、原動機付自転車に乗っているときに崩れたときに、倒れたときに、見事な受け身をとってけがをしないで済んだ。これもあのとき習った受け身のおかげだなということを実は自分で実感していますので、受け身って大事なんですよ。だから、中学校のときから受け身を習っておくというのは、私自身は自分自身の経験から大事な成果だとは思っているんですね。
剣道、こちらも礼に始まって礼に終わると。今柔道なんかもほとんどスポーツですよね。終わったら、ガッツポーズして、やったとやる。ある柔道家に聞いたら、これは柔道じゃないと。柔道も礼に始まって礼に終わるのだから、ガッツポーズするということは、相手に対する非礼だと。これは完全にスポーツだねということで、武道ではないけれどもという話も伺っているけれども、剣道はそれはないと。一本とってガッツポーズしたら、一本取り消しですから。
こういった日本の武道を学ぶ、大切な根本精神が入っている武道、こういったものをやっぱり教えるというのは、もう少しその辺をしっかりと教えてほしいと思うんですけれども、実際、その辺の部分を踏まえて、今現況として成果としてどのように捉えておりますでしょうか。
◎滝渕 副参事 柔道や剣道といった武道の授業で、生徒は正座をして心を静めることや伝統的な行動の仕方、礼法を実際に行うことについて真剣に取り組んでおります。体力の向上だけでなく、我が国固有の文化を実際に感じるとともに、相手を尊重することの大切さを学ぶ機会となっております。
また、ダンスでは、音楽に合わせて踊ったり、みんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい、互いの個性や表現を認め合って学習を進めており、生徒一人一人が自由な発想のもと、動きを考えて学習を進めることで、心が和らぎ、みずからを表現するようになったというようなことも聞いております。
生徒への指導におきましては、地域の方々に御協力いただいている学校もございます。経験のある地域の方々から、例えば武道では礼法を指導してもらったり、わざの模範を見せていただいたりするなど、こういったことも成果の一つと考えております。
◆畠山晋一 委員 武道、まさに武士の道と書いて、道です。日本には野球道があったり、求道精神なるものが我が国にはあるわけですから、ダンス道なんていうものももしかしたらできるかもしれない。実は世界大会などで日本のダンサーが世界一になっているという場面は多くあるわけですし、そういった意味では、こういった必修の科目の中でダンスを教えるのは大事なんで、ぜひとも課題について伺いたかったんですが、課題は多分教員の指導力です。ぜひとも教員の指導力を上げてください。
仮に生徒のほうが、小さいころから習っているから、もっと上手な場合もあったりしますから、逆に生徒が教員と一緒になって教えるというのもありだと思います。だから、上手に子どもを生かすのが教育ですから、それも考えながら、ぜひとも今後、この武道、またダンスの必修の充実に努めていただくことをお願い申し上げまして、自由民主党の文教委員会所管の質問を終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後一時四十六分休憩
──────────────────
午後二時五分開議
○あべ弘幸 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
公明党、どうぞ。
◆津上仁志 委員 それでは、公明党の
文教委員会所管分の質問を始めさせていただきます。
私からは、まず、危険ドラッグ対策について伺いたいと思います。
昨年三月に国立精神・神経医療研究センターが二〇一二年に実施した飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査について発表しました。この調査は、層別一段集落抽出法という無作為抽出方式で選ばれた全国二百三十五校の全生徒を対象に実施して、回答があったのが百二十四校、五万四千七百三十三名、この回答を集計した結果でした。
その結果というのは私はすごくショックだったんですが、百二十名の生徒がもう実際に危険ドラッグを経験したことがあるというふうに回答して、約八千五百名、一五・六%が危険ドラッグを入手できる方法を知っている、簡単に入手できるというふうに答えている。また、薬物乱用が低年齢化しているという認識はあったんですけれども、まさかここまで、中学生にまで被害が及んでいるという実態がこの調査で明らかになって、すごくショックだったんです。さらに、既に危険ドラッグを経験した百二十名のうちの七十二名は大麻を、また、七十四名は覚醒剤も経験しているというふうな調査の結果でした。このような信じがたい結果で、本当にショックなんですけれども、低年齢化だけじゃなくて、危険ドラッグが薬物乱用の入り口になってしまっている、そういう実態が明らかになりました。
危険ドラッグは、先日の生活保健課長の答弁によると、区内でも二店舗で実際に販売がされていると。また、皆さんも御存じのとおり、インターネットなんかでも簡単に入手ができるようになっていまして、子どもたちの身近にこういった危険な薬物が迫っているという現状に今置かれているところです。
区でも薬物乱用防止教室を全区立中学校で実施し、薬剤師会や警察などと連携した取り組みを行っていますが、児童生徒を取り巻く環境が大きく変化している現状を考えると、さらなる取り組みの強化が必要だというふうに考えています。危険ドラッグが薬物乱用の入り口になっている実態を考えると、危険ドラッグに特化した取り組みが有効と考えます。
国では、「賭博黙示録カイジ」などで有名な漫画家の福本伸行さんが合法ハーブ等と言って売られている薬物の恐ろしさを描いたオリジナル短編漫画を作成して、これを広報していますけれども、区でも、児童生徒に危険ドラッグなどの薬物の危険性を啓発するために、小冊子などの活用とか、あと、区内にもあるんですけれども、薬物依存リハビリ施設などと連携して、体験者から生の声を聞き、本当の怖さを知ってもらえるような、そういった取り組みが有効と考えますが、区の見解を伺います。
◎齋藤
教育指導課長 先日、世田谷区内でも、危険ドラッグ吸引者による交通事故が発生するなど、危険ドラッグを原因とした事件事故が身近なものとして発生し、大きな社会問題になっていると認識しております。
現在、薬物乱用防止教室では、その危険性の学習のほか、友達や大人から薬物を勧められたときの断り方をロールプレーで取り入れながら、実践的に考える学習などを行っております。
委員お話しの危険ドラッグの指導につきましては、これまでの薬物乱用防止教室や保健学習の指導内容としては明確な取り扱いとなっておりませんでしたので、警察などの関係諸機関から子どもや家庭向けの資料の提供を受けたり、あるいは薬物依存に関するNPOの団体職員による講演を実施しているというような、そういった先進的な学校の事例などを今後広めてまいりたいと考えております。
◆津上仁志 委員 今、課長がおっしゃったように、しっかりと取り組みを進めていただきたいんですけれども、さっきロールプレーをやられている学校もあるというふうなお話でしたけれども、それは非常に大事だと思うんです。仲のいい友達とかに断ったらどうなるかと想像するとなかなか断れないという現状もやはり中学生の子たちはあると思うので、実際、そう言われたときにこういうふうに対応できるというのを身をもって体験しておくというのは大事なことだと思いますので、ぜひ一部の学校じゃなくて、全中学校で実施できるような、そういう取り組みに発展させていただきたいなというふうに思います。また、区内にもそういった施設がありますので、ぜひ連携をとって、さらなる強化に努めていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、通学路の、私のほうは防犯上の安全対策について伺いたいと思います。
警視庁の不審者情報を見ると、児童生徒に対するものが大半となっています。また、発生時間を見ると、下校時間帯に集中している現状があります。その中には、物を投げられる、腕をつかまれたり、体をさわられるなど、直接的な被害も発生しております。
先月も太子堂のほうで児童が巻き込まれる、痴漢に遭うような、そういった事件も発生しておりますし、ちょっとレベルが違いますけれども、私も小学生の息子がいるんですが、その息子も、近くの公園のトイレを利用しているときに、全然知らない男性に、何もしなかったらしいんですけれども、どなられて、その日はそのまま寝込んでしまったという、そういった状況もありました。ですから、子どもたちにとって、知らないそういう人間に何かされるというのは非常に大きな精神的なショックを与えるんじゃないかなと思いますので、そういった実際に被害に遭われた児童たちへのケアも含めて、しっかりしていただきたいなと思います。
また、神戸市のほうでは、小学一年生の児童が殺害されるという痛ましい事件も発生しました。児童生徒を犯罪から守る取り組みを強化していく必要性が今増しているというふうに考えております。
まず、児童生徒が危険を察知できるよう、また、危険を回避するためにはどうすればいいかなどを考え、行動できるように区は取り組んでいると思うんですけれども、どういった取り組みをされているのか、まず伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 通学路の見守り活動につきましては、教員、主事による通学路の見守りのほか、小学校六十四校のうち八割以上の学校がPTAを初め、町会、商店街など地域の皆様の御協力をいただき、登下校時の見守り活動を実施しております。また、各学校では、PTAや地域の方に御協力をいただくなどして、通学路等、学区域内での危険箇所の点検を行い、地域特性に応じた安全マップを作成しており、このマップを使用して安全教室を実施するなど、安全教育に活用いたしております。
教育委員会といたしましては、こうした取り組みを通しまして、児童の安全に対する意識を醸成し、危険を予測し、回避する力を高めるなど、通学路における事件事故の予防対策として、引き続き安全マップの改定及び活用を推進してまいりたいと考えております。
◆津上仁志 委員 実際にこのお子さんたちが学校で取り組んでいることというのは安全マップの作成ぐらいなんですか。
◎吉田
学校健康推進課長 そのほかにも、授業を通じて、こうした安全マップ、例えば上級生、三年生、四年生などがつくったものを活用して、今度は一年生が実際に現場といいますか、通学路を歩いてみて、さらに点検して、アドバイスしたりとかというようなことも取り組みを工夫している学校もございます。
◆津上仁志 委員 どういった場所が危険で、不審者にはこういう者がいる、例えば車がとまっているところには近づかないとか、声をかけられても行き過ぎる、そういうことは多分授業の中でされていると思うんですけれども、実際にどうすればいいのかということを瞬時にわかって行動できるような取り組みをぜひ進めていただきたいなと思います。
先ほどお話にもありましたけれども、区では、小学校六十四校中八割の学校で、PTAとか町会、商店街さんなど地域の協力で登下校時の見守りを行っているということですけれども、残り二割ができていない。何らかの事情があってできないんだと思うんですけれども、そういった事情というんですか、理由というんですか、そういったもの。
あと、この登下校時ということですけれども、登校時は結構PTAの方も立たれたりとかされているんですけれども、下校時まで実際やっているかどうか。発生を見ると、朝よりもやっぱり夕方、放課後の時間帯が多いので、そのあたりは実際そういう地域の見守りがされているのかどうか、どういう状況になっているかをぜひ各学校で知っておく必要があると思うんです。区のほうでは、まだちょっとその辺がわからないということだったんですが、その辺について、私は、実態をまずしっかり調査して、どういった状況にあるか、それをクリアするにはどうしたらいいかという対策を立てていく必要があると思うんですけれども、その辺のお考えはいかがですか。
◎吉田
学校健康推進課長 教育委員会では、通学路の見守り活動の実態につきましては、東京都が実施する通学路におけるパトロール及び見守り活動に関する現況調査の調査結果を活用し、把握に努めております。委員のお話にありました見守り活動を実施している時間帯等までは内容に含まれていないため、今後、区独自に調査項目を追加するなどして、より詳細な実態把握に努めてまいります。
◆津上仁志 委員 しっかり実態をつかんでいただいて、その上で対策を考えていただきたいなと思います。
放課後の時間帯は、やはり学校だけではもう対応し切れませんので、地域の方の御協力が絶対に必要になるというふうに思います。地域の方に参加していただいている学校運営委員会とか、あと学校協議会などを通して協力をお願いしたりとか、また、地域振興課などは町会さんと連携していますので、そういった町会・自治会さんへ、地域振興課と連携しながら、御協力をお願いするなど、地域を交えた、取り込んだ見守りの仕組みを教育委員会も中心になりながらつくるべきというふうに思うんですけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 教育委員会といたしましては、今後とも、登下校時の見守りにつきましては、学校、PTA、町会などから構成されております学校運営委員会や学校協議会におきまして課題の提起を行うなど、保護者、地域のお力をいただきながら、また、関係所管とも連携して、より一層、御理解、協力が広がるように、学校とも連携して取り組んでまいりたいと思っています。
◆津上仁志 委員 また、地域で児童生徒を見守ることが防犯には一番いい、一番の対策だというふうに考えるんですけれども、しかし、子どもたちが出歩く全ての時間を地域で見守るというのも限界があって、不可能なことだと思いますので、そこを補完する意味でも、防犯カメラは犯罪抑止力も非常に高いと言われていますから、こういったものの設置というのも考えていかないといけないんじゃないかなと思うんです。
都でも、二〇一八年までに通学路へ六千五百台の防犯カメラを設置する想定で、設置費用の半分を負担する助成を始めました。しかし、設置費だけが対象のために、維持管理費とか更新のためのコスト、そういったものが含まれていないということで、今後、非常にコストがかかってくるということで、区の教育委員会は今、この制度をどうするかという、活用するかどうかという検討をしている最中だというふうに伺いました。
また、区のほうでは、来年度より町会・自治会も防犯カメラ設置助成対象として、商店街以外の場所への防犯カメラ設置を進めようというふうにしていると聞いています。先ほどと同様になりますけれども、学校協議会などの機会を通して、危機管理室とか地域振興課など区長部局と連携したような取り組みで、町会・自治会に通学路や死角になっているような場所に防犯カメラを設置していただけるように取り組むべきというふうに考えるんですが、見解はいかがでしょうか。
◎吉田
学校健康推進課長 防犯カメラの設置につきましては、教育委員会では、平成十八年度に区立小学校、平成二十年度には区立中学校の校門に防犯カメラ三百六台を設置し、児童生徒の安全対策の強化を図っております。また、委員のお話がありましたけれども、区長部局におきましては、平成十七年度より商店街への防犯カメラ設置助成を行っており、三十一団体で四百八台の防犯カメラが設置されており、この中には、通学路に設置されているところもございます。さらに、来年度からは、商店街だけではなく、町会・自治会へ補助の対象を広げていくと聞いており、より犯罪の抑止、または犯人の検挙に効果が高まるものと考えております。
区の防犯カメラの設置助成につきましては、校長会等を通じて、制度の周知に努めるとともに、教育委員会と区長部局の危機管理担当部門が連携し、お話にありました学校協議会に出向いて、制度の説明を行い、保護者や地域の方への理解、協力に努めるなど、より一層、本助成事業の活用により防犯カメラの設置が促進され、通学路の安全確保が進むよう努めてまいりたいと考えております。
◆津上仁志 委員 ぜひしっかり進めていただきたいと思います。
世田谷区は地域で児童生徒を見守っている、また、通学路には防犯カメラを設置して、不審者を近づけないような取り組みをしているということを内外にアピールすることで、犯罪者を寄せつけない、そういった町になってくると思います。しかし、防犯カメラとか防犯ブザーというのは、あくまでもそれらの活動を補助するための機械というふうに思います。一番大事なことは、子どもたち自身が危険を回避する能力をしっかり身につけていることと、あとは、地域でそういう大人の目で子どもたちを見守っていく、そういった見守りの目をたくさんつくっていくという活動がやはり大事だというふうに思いますので、その辺はしっかり教育委員会が中心になって、子どもたちを犯罪から守るということにぜひ力を入れて取り組んでいただきたいというふうに要望しておきます。
次に、平和教育について伺っていきたいと思います。昨年の第三回定例会でも提案をさせていただきましたが、再度、平和教育の充実について伺っていきたいと思います。
広島市では、講義中心の取り組みから参加体験型の学習に変更した平和教育プログラムの取り組みを例に挙げて、区でも児童生徒が主体的に取り組めるよう、具体的な指導方法や内容を体系化する必要があるというふうに指摘して、改善を求めましたけれども、区からは、社会科の副読本の改訂と指導事例の作成をするというふうにだけ答弁がありましたが、まず、その取り組みが今どうなっているのか、活用方法を含めて伺いたいと思います。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 児童生徒への平和教育につきましては、区独自に作成した社会科の副読本を使用した学校の社会科の学習や道徳教育などの中で、戦争時の様子と戦後の復興と発展の様子、国際社会のことなどを取り上げ、戦争の悲惨さと平和のとうとさ、国際協力などについて学習しております。また、教育委員会では、玉川小学校にありました平和資料室の運営や毎年夏の教育センターでの特別展示、中学校への巡回展示などに取り組んでまいりました。その中で、世田谷区における空襲の被害の状況、学校の先輩たちの学童疎開の様子、区内にあった軍事施設のことなど、児童生徒が住む世田谷で戦争時にあったことを紹介し、児童生徒が関心を持つような工夫もしてきたところでございます。
◆津上仁志 委員 学校での指導事例みたいなものをつくってというお話だったと思うんですけれども、その辺の活用とか、作成の状況とか、その辺はどうなんですか。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 既に副読本であるとか、指導事例もつくっておりますので、それは各学校で今活用しているところでございます。
◆津上仁志 委員 では、それを見ながら、先生たちがいろいろ考えて、今、各学校で取り組みを行っているということでよろしいんですよね。わかりました。
平和教育というのは、これまでの過去の戦争を振り返りながら、同じ過ちを犯してはならないと、ただ単に戦争に反対するという教育だけじゃなくて、身近に起こった暴力とか、今起こっている紛争について考えて、生徒同士でディスカッションして、みずからの平和についての考えを述べられるというか、発信できる、そういった子どもたちを育成していくことが本当の意味での平和教育ではないかなというふうに私は思っているんです。区でも、今、仮称せたがや平和資料館が、区民生活所管に移管されてしまいましたけれども、やはり中心となって、ぜひこのせたがや平和資料館を活用していただきたいなと思うんです。
ですから、前も提案しましたけれども、こういう平和資料館を活用した参加体験型の学習方法を体系化して、資料館に行って学んできたことを、戻ってきていろんなディスカッションをしたりとか、そういうふうなものを各学校の工夫だけじゃなくて、教育委員会がこうだという形で体系化したものを各学校で隔たりなくやれるというような取り組みにしていっていただきたいと思うんですけれども、そのあたりの区の考えはいかがでしょうか。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 来年八月に仮称せたがや平和資料館が開設されます。平和資料館の運営は区長部局となりますが、これまで平和資料室で取り組んでまいりました学校への巡回展示や出前授業、そういった学校と連携した取り組みにつきまして、平和資料館にしっかりと引き継いでいくとともに、平和資料館の事業方針検討委員会からも、過去の戦争のことだけではなくて、現在も世界でさまざまな紛争が続いている状況を踏まえた恒久平和に向けた取り組みが提言されております。また、平和資料館につきましては、今までの平和資料室にありませんでした多目的な活動ができるスペース、こういったところも備える予定でございます。
今後、平和資料館が幅広く区民に訪れていただけるように、児童生徒、保護者に対しまして、しっかりPR、案内をして、平和資料館と連携した平和教育を進めてまいりたいと考えております。
◆津上仁志 委員 体系的なものをやるというのはなかなか言えないということですけれども、平和資料館まで行くことがなかなか大変だと、前聞いたときはそういうお話もあったんです。
実際に平和教育を強力に進めているところというと、広島市とか長崎市とか沖縄市とか、いろいろあるんですけれども、特に広島市とか長崎市というのは、原爆の投下があった日、八月六日、九日を記念日として、その日は全小中学校の子たちが、登校日にして、それで登校して、そこでいろんな平和に関する取り組みを、式典をやったりとか、発表会をやったりとか、いろいろ学校によって違うみたいなんですけれども、そういう取り組みをしながらやっております。区でもぜひそういう日をつくって、この日は平和についてしっかり考える日なんだというものを明確にしながら、そこで平和資料館もしっかり活用していく、そういうふうな取り組みにぜひしていただきたいと思いますので、要望しておきます。
次に、
オリンピック教育について伺いたいと思います。
これも以前お聞きしたんですけれども、都教育委員会は今年度、
オリンピック教育推進校として、幼稚園、小学校二百十校、中学校六十校、高校二十四校、特別支援学校六校を指定して、来年度以降も指定校を拡充していく方針と伺いました。
推進校に指定されると、
オリンピック・パラリンピックの歴史や意義、理念などを学習する取り組み、参加した国や地域の文化や歴史などの学習、身近に住んでいる外国人との交流などによる国際理解を深める取り組み、オリンピアン・パラリンピアンと児童生徒との直接的な交流を通して、運動、スポーツにより一層親しむ取り組み、地域スポーツ大会やスポーツイベントなどの運営を支援する取り組み、運動、スポーツへの興味関心を高める体育授業などの内容、方法の改善や日常的な運動、スポーツの実践による健康増進に向けた取り組みの充実、地域との連携による運動、スポーツの魅力を生かした特色ある取り組み、運動神経を伸ばすコーディネーショントレーニング導入に向けた取り組みなど、これらを都の予算で実施して、都は各校に対して教育内容の計画づくりを支援する、そういうふうな制度というか、仕組みになっているようです。
また、この推進校を土台にして、参加国と学校がペアになって交流を深める一校一国運動、長野
オリンピックのときに実施されましたけれども、こういうものも進めるというふうに聞いています。
区では、指定を受けるかどうかは各小中学校が検討して、今年度は小学校七校、中学校三校が指定されたというふうに聞いています。
都の予算で
オリンピック選手との交流とか、運動神経を鍛えるトレーニングの実施とか、また、国際理解を深める取り組みなどが充実してできるようになる。ですから、区でも積極的に各学校が取り組めるように推進すべきというふうに思っているんですが、区の見解を伺います。
◎滝渕 副参事 二〇二〇年の
オリンピック・パラリンピックの東京での開催は、子どもたちのスポーツへの興味関心を高め、国際理解や障害者理解を深めたりするなど、次代を担う子どもたちにとって大変貴重な機会になると考えております。
現在、世田谷区では、委員からお話があったように、
区立小中学校のうち十校が東京都教育委員会から
オリンピック教育校として指定を受けております。
教育委員会では、
オリンピック・パラリンピックの開催に向け、スポーツ振興財団やスポーツ推進担当部と連携をいたしまして、
オリンピック教育やスポーツ関連施策の推進を図るための組織を立ち上げたところでございます。例えばスポーツ関係者、関係機関等との人的ネットワークを活用して、オリンピアン・パラリンピアンの学校派遣や地域のスポーツ大会、イベントの運営支援などに積極的に協力をしていただこうと検討しております。
教育委員会といたしましては、今後も、オリンピアン・パラリンピアンとの交流活動などを、子どもたちが大人になっても
オリンピック・パラリンピックが記憶として残るような活動を推進していけるよう、関係所管や機関と連携強化を図っていきたいと考えております。
◆津上仁志 委員 今、御答弁があったように、しっかりと所管を超えて取り組んでいただきたいと思います。
こんな身近で
オリンピックが開催されることというのは二度とないと言っても過言ではないと思いますので、この絶好の機会を逃すことなく――そうじゃないとおっしゃっていましたけれども、どうも私の印象としては、都がやる施策に区が乗っかっていくみたいな、そういうふうなイメージでどうしても見てしまったものですから、そうじゃなくて、区が
オリンピックを積極的に活用して、子どもたちが
オリンピック選手を目指すとか、そこまで夢の膨らむような取り組みをぜひ教育委員会が仕掛けていっていただきたいなと思いますので、これは要望して、今後期待しておきますので、よろしくお願いをいたします。
以上で私の質問を終わりまして、平塚委員に交代いたします。
◆平塚敬二 委員 それでは、私からは、いじめ防止対策とネットリテラシーの醸成についてまず伺ってまいります。
三月の予算委員会でも確認しましたが、昨年度の区が把握したいじめの件数は、小学校で四十件、中学校で二十二件です。やはり学校生活でのトラブルは誰にでも起こり得るものです。大事なことは、未然防止のために、傍観者をつくらない教育と早期発見、早期対応で深刻化させないことではないかと思います。
そこで、先行して世田谷区と同じいじめ防止プログラムを行っている藤沢市の状況を確認してみました。七校の中学校では、有志の生徒がいじめ問題に取り組むスクール・バディとして活動しています。スクール・バディとなる生徒は、バディトレーニングという専門的なトレーニングを受けて活動に参加します。また、毎月のミーティングで各クラスの様子を報告し合うことで、クラスの様子に気を配れるようになったり、バディルームという専門教室で他の生徒の相談を受けることで、友達の悩みを聞けるようになるなど、スクール・バディが主体的に活動することで、生徒自身の心の成長も期待されております。
その中の村岡中学校というところでは、二〇〇七年に市内で初めてスクール・バディ活動に取り組み始めました。現在のメンバーは、一年生が十二人、二年生が八人、三年生は三十七人、計五十七人で活動しているそうです。活動の中心となっている三年生の話では、今、文化祭に向けてビデオ作品をつくっていて、恋愛物とLINEを使ったネットのいじめに関するものを発表する予定だそうです。自分たちでつくった脚本をもとに、みんなで力を合わせて頑張っているそうです。また、学校の雰囲気がよくなることが大事との思いで、朝の気持ちを明るくしたいと、スクール・バディがみんなに声をかけるあいさつキャンペーンも行っているそうです。このプログラムの目的が、自分たちの学校はいじめを許さないとの気風を自分たちで自主的につくり上げていくことを目指すものであるならば、村岡中学校は成功されていると私は思います。
世田谷区においても、二十五年度より、いじめ防止対策推進法の施行を受けて、全区立中学校二十九校でいじめ防止プログラムを実施しております。昨年は、第一ステップである講演会を全中学校で実施しました。今年度は、第二ステップであるいじめ防止ワークショップに二十九校全校で取り組むと聞いております。
そこでお聞きしますが、いじめ防止ワークショップとはどのようなプログラムなのか、また、どこまで進んでいるのか、実施した学校での生徒の感想などがありましたら、お聞かせください。
◎齋藤
教育指導課長 いじめは、人の心を深く傷つけ、人権を侵害する、決して許されない行為であります。
本年三月に区と教育委員会が策定いたしましたいじめ防止基本方針では、学校の指導に加えて、児童生徒が主体的にいじめの未然防止やいじめの傍観者をなくすための取り組みを目指しております。
教育委員会では、法の制定に先駆け、平成十八年から桜木中学校で取り組んでいたいじめ防止プログラムの実績を踏まえて、全中学校でこの取り組みを開始したところでございます。
委員お話しのとおり、いじめ防止プログラムは全体で三段階の構成となっておりますが、第二段階のワークショップにおきましては、例えば生徒六人程度のグループに分かれて、それぞれの意見を出し合いながら、被害者役、加害者役、傍観者、それぞれの立場となったときに、自分だったらどうするかを考えさせたり、傍観者にならない自分のあり方を考えていくような取り組みをしております。また、人と人とのかかわり方について考え、人と人は入り込めないそれぞれの境界線があって、その上で自分の気持ちをいかに相手に伝えればいいのかなどについても考えていきます。今年度は、第一段階の講演会に加えて、全中学校において第二段階のワークショップを実施していく予定でございます。
終了した学校からは、いじめが起きたら、誰かにとめてもらうというのではなく、自分でもやめさせようとすることが大切だと思ったとか、自分の気持ちをきちんと伝えることは必要だと改めて感じたなどといった感想が聞かれています。
◆平塚敬二 委員 六人程度のグループでそういうワークショップをやっていくと。これは全中学校で今進めているところなんですけれども、早急にやっていただいて、どんどんそういう体験を積んでいただきたいなと思います。
次に、このいじめ防止プログラムは、最終的にスクール・バディというのを誕生させて、子どもたちが自分たちの学校を自分たちで守るというプログラムだと思っているんです。パイロット校としてスクール・バディを誕生させた桜木中学や他の中学校において、どのような変化が見られたのか、また、世田谷区における取り組み状況などがありましたら、お聞かせください。
◎齋藤
教育指導課長 いじめの未然防止には、いじめを生まない、許さないという学校づくりが重要でございます。そのため、第三段階のスクール・バディ・トレーニングの取り組みを通して、生徒が自校でどのように取り組めばよいかを主体的に考えさせて、その後のスクール・バディの活動につなげるように考えてございます。
例えば桜木中学校では、スクール・バディとなった生徒を中心に、生徒がいじめられる側といじめている側の気持ちを考えさせるようなビデオの映像を制作して、校内で発表する活動を行っています。また、いじめについての実態を生徒自身が調査して、その結果を校内に掲示して、いじめ防止を広く訴える活動なども行っています。毎週金曜日の昼休みに話し合い活動を行っているということですが、生徒自身が司会進行をしながら、いじめ防止の取り組みについて話し合いを進めるなど、いじめに対して主体的に考えて取り組む姿が見られるようになったと聞いてございます。
瀬田中学校では、スクール・バディとなった生徒が昼休みに学校の様子を見回ることで、いじめにつながる芽を未然に防止するように努めたり、図書室で相談窓口を開いて、たくさんの生徒が気楽に相談できる雰囲気を生徒みずからがつくったりする活動もしております。
◆平塚敬二 委員 桜木中学ではビデオをつくったりしてやっていると、また、瀬田中学校では相談室も開いているということなので、どんどんこれを進めていただきたいなと思うんです。
最後に、このいじめ防止プログラムを受けた子どもたち自身がいじめを許さない気風をつくることができるというのであれば、できる限り早い時期に二十九校全てでスクール・バディを誕生させていただきたいと思うんですけれども、春の答弁では、半分を目指しますと言っておりました。これは、こういった成功例も含めて、早急に進めるべきだと思うんですけれども、見解をお聞かせください。
◎齋藤
教育指導課長 今年度のいじめ防止プログラムの取り組みでは、全中学校の半分程度の学校で第三段階のバディトレーニングを行う予定で今計画を進めています。
今後は、スクール・バディ・トレーニングの後に主体的な活動を促すというような、活性化できるような働きかけが必要だと考えております。既にスクール・バディに取り組んでいる学校からは、教員が生徒に指導するだけではなくて、生徒が自主的に活動し、いじめを防止するという、そうした心を育てることや学校全体の雰囲気をつくっていくことができて効果があるというふうに聞いておりますので、教育委員会といたしましても、各学校の取り組み状況、活動に参加した生徒の感想や実際の様子、それからあと、実施上の課題など、そういったものを把握しまして、次年度以降の取り組みに生かしてまいりたいと思っています。また、そのほかいじめを把握するためのさまざまな総合的な対策がございますので、そういったことを進めてまいりたいと思っております。
◆平塚敬二 委員 時間的な問題で難しいというお話も聞いておりますので、しっかりとこのトレーニングを進めていただいて、させない雰囲気、学校の中にそういう雰囲気をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、いじめにもつながってしまうネットリテラシー醸成について伺います。
平成二十五年度の東京都の実態調査によりますと、小学生で携帯電話やスマートフォンを持っている児童は約六〇%、中学生の生徒では約七五%となっています。また、警視庁のコミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査結果によりますと、アクセス手段として、携帯電話を使った事犯が九割を占め、そのうち、スマートフォンを使ったものが八割を超えて、過去最高になったとのことです。このような状況の中で、ネットリテラシーの醸成やモラルを身につけることは子どもたちにとって大変重要だと考えております。
私は「大人が知らないネットいじめの真実」という題名の本を読ませていただきました。いじめの取材を始めて十年になる筆者が体験を通して、ネットいじめの実態と問題点を浮き彫りにして、いじめ事件の取材を続ける立場から新たな対応策等を提言するとともに、いじめの傍観者、被害者、加害者へメッセージを送るものとなっていて、大変に興味深く読ませていただきました。
この本の中で、ある中学校のネットいじめ教育の例がありました。愛知県のその学校では、二〇〇七年に全校生徒に対して実施したアンケートで、携帯電話の所持率は六六%、ネット上で嫌な思いを経験した生徒も三人に一人の割合でいました。内容としては、チャットで悪口を書かれたりとか、勝手に写真を撮られて多くの人に転送されたという内容だそうです。
そこで、日ごろからネットいじめに関する悩みを聞いていた養護教諭の先生が中心となって、携帯電話、ネットと中学生のコミュニケーションをテーマに行事を開催したそうです。当日は全校生徒と保護者、教師が出席、まず生徒たちが、ネットや携帯の利用によるトラブルを題材に寸劇を披露して、被害者や加害者の気持ちを表現したそうです。続いて、愛知県警サイバー犯罪対策室の担当者により、ネットや携帯を使った誹謗中傷、画像の転載などは、名誉毀損、肖像権の侵害といった違法行為に当たる場合があると警告。発信者が匿名であっても特定することは可能なので、もしもネットいじめなどの被害に遭ったら、警察に相談するようにと生徒に呼びかけたそうです。生徒の感想では、ネットや携帯の怖さがよくわかったというふうにありまして、情報モラルの向上にもつながったそうです。
世田谷区においても、中学一年生を中心に、保護者も対象として、専門会社に依頼して講座を行っていますが、この中学校のように、生徒や先生が中心となって、警察と連携して、全校生徒で取り組むことも大切と考えるのですけれども、区の見解をお聞かせください。
◎齋藤
教育指導課長 警察との連携につきまして、世田谷区では、いじめの防止対策に向けて、関係機関との連携のために世田谷区いじめ防止等対策連絡会を設けております。ここには、区内の四警察の関係の方や世田谷少年センターなどの警察関係の方も委員として委嘱して、いじめ防止、早期発見や対処に向けた取り組みを進めております。
ネットリテラシーの醸成につきましては、子どもたちのソーシャルメディアの使用機会がふえてきているということを踏まえて、いじめにつながるインターネットや携帯電話の利用について、適切に利用できるようにする取り組みとして大変重要であるというふうに考えております。
現在は、委員お話しの中学校一年生対象の講座を行っておりますが、そのほか、小中学校の子どもたちの犯罪被害防止や非行防止を目的としたセーフティー教室の中でも取り組んでございます。ここでは、警察から講師を招いて、インターネットや携帯電話、スマートフォンにかかわるサイバー犯罪とか、その被害の防止について御指導いただいておりまして、自分たちが日ごろ使用している機器の危険性についても考えさせるような取り組みをやっている学校もございます。また、小中学校の生活指導主任の研修会においては、各警察署の少年係の方に来ていただきまして、インターネットや携帯電話を使った誹謗中傷などのトラブルの事案などをお話しいただいて、それを子どもたちの指導に役立てるようにしてございます。
教育委員会といたしましても、今後とも、警察等の関係機関と連携を深めながら、インターネットの適切な使用やネットリテラシーの醸成を図ってまいりたいと思います。
◆平塚敬二 委員 大事なのは、全ての学校でやることだと思うんです。そういう学校もありますというと、やっていない学校もあるんだなと思っちゃうんですよね。先ほど言いましたけれども、小学生でも六割が持っているんですよね。ですから、早い段階で、保護者も含めて、こういう状況ですよということをちゃんとお知らせすることが大事だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、不登校対策についてお話しさせていただきたいと思います。
世田谷区内の小中学校における不登校児童生徒数は、平成二十年度は三百八十四名、二十一年度は三百九十四名、二十二年度は三百八十七名、二十三年度は三百八十七名、二十四年度は三百三十名と三百名台、もうほとんど四百名に近い数で推移しております。
今までの取り組みとしては、担任の先生やスクールカウンセラー、養護教諭の先生が訪問して対応されていますし、また、心の友人として、お兄さんやお姉さんのように接してくれる青年、メンタルフレンドを家庭に派遣して、学校生活への復帰を目指しています。昨年は、このメンタルフレンドの件数は十二件、延べ二百五十二回派遣されたそうです。それでもなかなかこの問題が解決しない課題を区はどのように認識しているのか、まずお聞きします。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 国では、病気や経済的理由以外で年間三十日以上の欠席があった児童生徒を不登校としております。
区立小中学校における状況といたしましては、委員お話しのように、残念ながら、依然、三百人を超える不登校の児童生徒がいます。
不登校の児童生徒に対しましては、各学校で児童生徒が不登校の状態に至ったさまざまな要因や背景などを踏まえ、学校の管理職や学級担任、養護教諭、スクールカウンセラーなどが教育相談室の助言なども受けながら、一体となって対応しているところでございます。また、教育委員会では、ほっとスクールの運営や総合教育相談室の不登校相談窓口での相談受け付け、大学生等が不登校の児童生徒宅を訪問するメンタルフレンド派遣、不登校保護者のつどいの開催、教育相談室での来室相談や電話相談などにより、不登校の児童生徒とその保護者の支援を行っているところでございます。
課題でございますが、なかなか学校に復帰できずに不登校が長期にわたってしまうケースや小学校低学年からの不登校の児童が見られるようになるなど、不登校の児童生徒の状況の変化への対応が求められる点がございます。また、経済困難や養育困難など、家庭の福祉的課題が背景にある不登校など、これまでの教育や心理の面からの対応のみでは解決が困難な不登校への対応も課題となっております。
◆平塚敬二 委員 さまざま対応されても、なかなか学校に来てくれない。最終的には、やっぱりいろいろ家庭の事情、福祉的な課題等が背景にあるということも聞いておりますし、今までの教育の面からでは、なかなか難しいということを今お聞きしました。
そういった意味におきまして、福祉的な課題を抱えた児童生徒には、総合教育相談室のスクールソーシャルワーカーというのが福祉分野に関する知見を用いて、児童生徒や家庭の環境へ働きかけ、関係機関との連携、調整を行って、児童生徒とその保護者及び学校を支援しているということなんですけれども、昨年の実績で見ますと、実は家庭への支援は四件になっているんです。スクールソーシャルワーカーの数は去年まで一人しかいなかったんですけれども、今年度は三名にふやしていますので、ぜひ家庭への支援というのをお願いしたいと思うんです。
そこで、他自治体のスクールソーシャルワーカーの活用事例を調べたみたところ、埼玉県では、不登校や発達障害等の問題を抱える児童生徒、その家庭に対して、家庭訪問を中心に働きかけを実施して、直接家庭で相談することで、より個別の状況を把握することができ、微妙な心理状況も察知することが容易となり、そのために、学校や市の福祉部などの関係機関と連携を図る際、より適切な状況把握と働きかけが可能となっているとありました。また、学校との信頼関係の醸成に一定の効果を上げており、教室復帰する児童生徒がふえているとの報告もありました。
私は、まさにこの世田谷においても、スクールソーシャルワーカーが積極的に家庭訪問を行って、問題解決に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 スクールソーシャルワーカーは、福祉の知見やネットワークを活用し、児童生徒とその保護者の環境の改善を図るなど、いわば教育と福祉のかけ橋となる専門職でございます。
不登校に対しましては、総合教育相談室で実施しております不登校相談窓口での相談や学校からの支援要請を受けて活動しております。スクールソーシャルワーカーは、不登校について、家庭の福祉的課題解決の観点から情報を整理し、学校や関係機関等とネットワークをつくり、児童生徒や保護者の不安や不満、焦りなどといった思いを酌み取りながら、児童生徒が置かれた環境にアプローチし、必要な場合には、学校と連携しながらの家庭訪問にも取り組んでおります。
具体的な対応といたしまして、複雑な家庭環境を背景に不登校になっている児童について、スクールソーシャルワーカーが子ども家庭支援センターに働きかけたことで家庭訪問が行われ、今後の道筋が立った、不登校を起因として、これまで学校とのかかわりを拒否してきた保護者にスクールソーシャルワーカーが働きかけたことにより、保護者と教員が面談に至った、膠着状態にあったケースへの働きかけにより、スクールソーシャルワーカーが親子と面談し、ひきこもりであった生徒がほっとスクールに通うようになったなどがございます。
これまでスクールソーシャルワーカーが対応してきました不登校の事例では、不登校が相当期間経過しているケースも多く見られます。今後は、できる限り早期の不登校への対応も含めまして、教員やスクールカウンセラー、関係機関と緊密に連携しながら、不登校を初め、児童生徒、家庭が抱えるさまざまな課題解決の支援に取り組んでまいります。
◆平塚敬二 委員 まさにスピード感だと思うんですよね。長期化しちゃうと、これがまた戻ってくるのがなかなか大変になってしまうので、ある程度の段階で、早く家庭に訪問していただいて、そういうお話を聞きながら、どこへつないで、どういう対応をしたらいいのかと。一例は、親のそういった悩みを医者とつないで、お母さんを医者につなぐことによって改善したことによって、子どもが学校に来られるという話も私は聞いています。そういう事例もあると思いますので、早目にそういう対応をしていただいて、一人でも多くの方が帰ってこられるように努力していただきたいと思います。
最後に、問題解決の取り組みとして、心理的理由等により不登校の状態にある児童生徒を対象に、対人関係の中で対応できる能力を養い、自立できるよう支援するほっとスクールというのがあります。また、ほっとスクールでは、個人対応から集団生活に移行することによって、対人関係や集団生活への適応力を高めて、学校生活への復帰を目指しています。昨年は約六名が何とか学校に帰られたというふうに聞いております。
そこで、私は、川崎にある特定非営利活動法人フリースペースたまりばの話を伺いました。この団体は、二〇〇六年から財団法人川崎市生涯学習財団とともに、指定管理者として、川崎市子ども夢パーク全体を管理運営しています。特にフリースペースえんでは、不登校の児童生徒の居場所であり、百二十平米のワンルームの中には小さな台所や冷蔵庫や食器棚、手づくりのいろりや木の切り株の椅子があって、えんでは、子どもたちが今やりたいことを実践する。みんなが一緒に御飯を食べ、演奏して、好きなように遊ぶ時間を手に入れることで、子どもは次第に元気になり、元気になれば、自分の人生を決めたいと考えるようになって、結果として、これまで多くの子どもが学校に復帰しているそうです。
子どもたちのその後の進路追跡調査によると、約九割以上が高校段階から復帰しているそうです。また、プレーパークでの遊びや毎日のお昼御飯づくりを通して、仲間とのつながりができて、自分はここにいていいとか、自分は一人ではない、生きている価値があるというふうに思えるようになって、自己肯定感や自尊感情が生まれていき、学校の方針になじめないとか、障害があるなどの理由で、教育と福祉のはざまに落とされていた子どもたちが、えんの時間を経て、高校や大学、専門学校へ進学、また就職、事業を始めるなど、さまざまな形でえんを巣立って、元気に生きているということでした。また、巣立った後も、ボランティアとしてえんの活動を助けに戻ってくる卒業生も多いと伺いました。
世田谷区においても、希望丘中学校跡地に今後予定されている第三のほっとスクールにおいては、民間のノウハウを活用して、より多くの居場所を求めている児童生徒の受け皿になって、本当に復帰していただけるように取り組んでいただきたいと思うんですけれども、区の見解を求めます。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 不登校の児童生徒を支援するNPOなどの民間団体は、従来から多数の団体が活発な活動をしており、子どもの心のゆとりを重視する団体や学習を重視する団体など、それぞれに特徴的なノウハウや民間相互の広範のネットワークを持っています。教育委員会といたしましても、こうした民間の力をいただくことは、不登校への対応に大きな力になると考えております。
教育委員会では、旧希望丘中学校跡地に平成三十年度に建設される複合施設内での第三のほっとスクール開設を予定しており、今年度は施設の基本構想の策定を進めているところでございます。
お話しの民間活用につきましては、これまでも定期的に不登校にかかわる民間団体との連絡会を継続してまいりました。これから第三のほっとスクール開設に向けた具体的な構想を検討してまいりますが、こうした機会などに、不登校の長期化、低学年化に伴う児童生徒の学習面や進路面などの課題解決なども視野に入れまして、区の不登校対策への御意見をいただきながら、相互に連携してまいりたいと考えております。
◆平塚敬二 委員 今、お答えがありましたように、不登校の長期化、あと低年齢化、これは本当に大変な問題だと思います。最終的には、生きる希望というんですか、子どもたちが本当に頑張れるというところまで押し上げていただきたいと思いますので、この取り組みもしっかりとお願いして、私の質問を終わり、板井委員にかわります。
◆板井斎 委員 学校図書について伺います。
平成二十二年の予算委員会で学校図書について質問しました。そのときの趣旨をまとめると、一番、小中学校で年平均一億三千万円の図書を購入しているが、各校ばらばらに注文していて、結果として、その購入先の八割、約一億円が図書館流通センターからの購入になっていること。二つ目、購入した冊数から割り返すと、一冊の単価は千四百円となり、年間九万冊の図書を購入している。また、購入した冊数と同じだけ廃棄している。三、購入については現場任せで、どのような目的で購入しているか、購入した本でどのような教育的な効果が上がっているか検証されていない。四、任意団体である世田谷区立小学校教育研究会の学校図書教育部会が行っている夏休みに薦める本は過去五年間で二百一冊の本を紹介しているが、購入先である出版社の上位六社が四五%を占めているなど、そういった問題を四点質問しました。
これらの問題に対処するために、学校図書館の所蔵書籍のデータベース化を行えば、客観的でより効果的な選書や教員の指導にも役立つと考えられます。
世田谷区では、第二次子ども読書活動推進計画及び同第一期行動計画には、学校図書館の情報化を進め、資料を充実しますと記載されています。現在、図書館ビジョンの策定を進めていますが、学校図書の貸し出し情報管理や図書館情報とのネットワーク化など、どのような仕組みを構築するのか、将来的な全体像を示すべきであります。
質問から四年が経過しており、その後の検討状況について伺います。
◎滝渕 副参事 全ての区立学校の学校図書館に配備しております学校図書電算システムは、平成二十三年度に緊急雇用創出事業を活用し、蔵書の電子データ化を行い、整備したもので、現状では、各学校の図書館の蔵書管理に活用し、蔵書の点検や蔵書の除籍の効率化に役立っております。
このシステムは、各学校での教育活動に使用するインターネットと接続している教育ネットワークを通して、学校間をネットワークしており、他校の蔵書状況を確認することができます。また、このシステムには、児童生徒ごとに図書の貸し出しを管理する機能を含んでおりますので、今後、運用のあり方を検討してまいります。
◆板井斎 委員 二十二年の予算委員会で取り上げて、二十三年度に早速、電算化の第一歩である蔵書の整理、入力をしたと。それから、将来的には児童生徒ごとの図書貸し出しを管理する機能を含んでいる。そこから先が進んでいないんですよね。進んでいない理由として、貸し出し情報管理の実施に当たっては、個人情報の観点でハードルがあるというふうに聞いていますが、伺います。
◎滝渕 副参事 先ほど申し上げましたように、学校図書電算システムはインターネットとつながっているところから、本システムで個人情報を扱う場合は十分なセキュリティーの確保が必要となります。引き続き関係所管とも精力的に協議をしながら、貸し出し機能の活用に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
◆板井斎 委員 では、何が問題なのかと今はっきりおっしゃらなかったので、私は調べたんですけれども、この学校図書の蔵書目録を電子化し、各学校同士の検索もできると。ただ、貸し出し情報管理の電算化はできていないと。それは今、個人情報というふうに言いましたけれども、個人情報保護条例で言うと、第七条、思想、信条及び宗教に関する事項、社会的差別の原因となる事実に関する事項、犯罪に関する事項、こういったものは収集してはならないと書いてあるんです。同十七条には「実施機関は、収集禁止事項に関する個人情報を電子計算機に記録してはならない。」と書いてあるわけです。要するに、この壁を越えないと借りかえが、どの子が何冊借りているとか、どういう本が一番人気があるとか、そういったデータベースをちゃんと読み解いて、次の政策に生かしていくことができないということなんです。
しかし、よく調べてみると、国会図書館、都立の図書館、都立中学校は既にデータベース化をやっているんです。おまけに、文科省は二十四年五月の学校図書館の現状に関する調査をやっていまして、データベース化をした学校は、小学校で六四・一%、中学校は六五・一%になっている。もう既にやっているんですよね。だから、ほかの自治体はこの壁を乗り越えて、既にもうそうやって電算ベース化して、教育に生かしているわけですよ。そういうことがされていないということは、個人情報云々と言いながら、その準備が進んでいない。要するに、怠慢というか、おくれている理由はそういうところにあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、教育長、どうですか。
◎堀 教育長 今、第二次図書館ビジョンを策定中なんですが、その中の柱の一つに、今回、学校図書館の充実ということを掲げております。
委員のお話がありましたように、私も学校を回ってみまして、もうパソコンも入っておりますし、蔵書管理はなされているということは確認してきました。
御指摘のように、個人情報という壁があるということですが、教育上、どこに問題があるかということも今回の図書館ビジョンの中で検討していきたいと思っておりますし、具体的に壁をクリアしていきたいと思っております。
今回の学校図書館については、区立図書館との連携ということも考えておりますので、それらの課題を解決して、子どもたちが本に親しむ環境をつくっていきたいと思っております。
◆板井斎 委員 いずれにせよ、全国的にはもう六〇%を超える学校がこういう形で子どもたちの読書傾向を把握しながら、個に応じた読書指導がなされているし、読書傾向を新しい図書の購入に生かしている、こういうことを既に行っている学校が多いわけです。
先ほど言いましたように、選書や購入については、蔵書の偏りをなくしたり、読書傾向を把握して、客観的なデータを用いて買うべきであると。私も二十二年のときに幾つかの学校を回って、購入している状況を聞きましたけれども、中には、一部の職員の恣意的な思いや業者の勧めで購入しているケースもありましたし、こんなことは絶対に許されてはならないと思います。
大阪府では、学校図書館活性化ガイドラインを作成し、選書の基準を設けています。恣意的じゃなくて、やはり教育目的にかなった購入をしなきゃいけない、こういうふうにしているところもたくさんあるわけですけれども、区として、検討に値するんじゃないでしょうか、伺います。
◎滝渕 副参事 学校図書における蔵書の管理や選書につきましては、教育委員会が作成した学校図書館運営マニュアルに基づいて、各学校の判断で行っております。各学校では、司書教諭が中心となって、学校図書館目録や出版社の紹介目録などを参考にしながら、分類等に偏りがないよう選書し、購入しているところでございます。
学校図書の選書に当たりましては、さまざまな図書目録などの資料の活用のほかに、委員お話しのように、児童生徒の貸し出し傾向などを客観的に把握するためのデータの活用なども考えられます。教育委員会といたしましては、第二次世田谷区図書館ビジョンの素案において掲げている充実した学校図書館づくりを進めるために、中央図書館の専門職員のノウハウを生かし、組織的に選書を行う仕組みについて検討するとともに、児童生徒の読書傾向に応じた選書となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆板井斎 委員 しっかりとやっていただきたいとしか言いようがないんですけれども、そういった取り組みが、学校任せと言えば聞こえがいいですけれども、ある意味では好き勝手というか、業者が持ってきて、子どもたちが手にとった本を買っているとか、そういった学校も、その当時は指摘していますけれども、そういったことのないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思うんです。
それから、先ほど言った任意団体である世田谷区立小学校教育研究会の学校図書教育部会が行っている夏休みに薦める本、これは今言ったように、結果的には、買った後も教育効果が検証できていない現状の中で、任意団体が推薦して、それを世田谷区の教育委員会が――教育委員会は独立団体ですよ。それが推薦したと同時に、学校も図書館も購入して、その当時、四十冊の推薦本を購入すると、全体的には千五百冊が購入されていて、しかも、推薦された出版社の上位六社で四五%を占めている。特定の出版社を結果的には応援していることになるし、各学校には百万円以上を超える図書費がついているわけですよね。ですから、そういった本をまず活用するべきであって、こういうことを独立性を保たれている教育委員会が行うということは非常におかしなことであるので、これは廃止を求めますが、いかがですか。
◎滝渕 副参事 委員御指摘の夏のお薦め本は、長い夏休みに子どもたちが想像力をかき立て楽しむことができる物語ですとか、各教科と関連した発展的な内容の本に出会わせることなどを目的として、区立学校教員の自主的な研究団体である世田谷区立小学校教育研究会、世田谷区立中学校教育研究会のそれぞれの学校図書館部の教員が、中央図書館の職員や各学校図書担当教員の推薦リストなどをもとに、それぞれ児童生徒の発達段階に応じながら、ジャンルなどに偏りが出ないように配慮しながら選定したものでございます。しかしながら、夏のお薦め本の選定に当たり、委員の御指摘のような点があれば改善していくべきであると考えており、今後、その実施のあり方も含め検討してまいります。
◆板井斎 委員 伊佐部長、今のでよろしいんですか。
◎伊佐 教育政策部長 私の立場も、今、滝渕のほうから申し上げた、同じ考え方でございます。
◆板井斎 委員 では、そのようによろしくお願いいたします。
次に、幼児教育についてお伺いしますけれども、ことしの予算委員会で、平成二十五年度版の福祉総合事業概要の数字を使って、二十五年度に保育園に入れなかった子どもが八百八十四名、私立幼稚園に希望しながら入園できなかった子どもが千百十五名、そして、三歳児から五歳までの子どもで、在宅で子育てされていると思われるか、どのような状況で子育てされているかわからないお子様が千二百二十四名いるということを指摘しました。私たちは幼児教育の大切さをこれまでずっと主張してまいりましたので、その所管の、前回は福祉領域の質問でしたので、教育委員会としては、この状況をどう考えているのかお伺いします。
◎大澤 副参事 教育委員会では、区立幼稚園の充足状況に加え、子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査結果や、あるいは私立幼稚園の充足状況、また保育サービス待機児の状況等について、区長部局からの情報提供を通し、子育ての状況等の把握に努めているところでございます。
委員御指摘の在宅での子育て状況の把握につきましては、教育委員会の取り組みとしての範疇を超えますので、教育委員会独自に新たな調査を行うことには限界があるというふうに考えております。ただ、今後、区立幼稚園の認定こども園の用途転換を進める上で、認定こども園としての運営や体制、子育て支援機能の検討などに当たっては、状況把握は必要と認識しておりますので、区長部局とも相談してまいりたいと考えております。
◆板井斎 委員 ぜひお願いですけれども、小学校入学前に入学予定校連絡票というのを保護者は教育委員会に出すわけです。その中に、就学前はどういうような状況でいたのかということをぜひ記載していただくような工夫もしていただければ、そういった状況が確認できるのではないかというふうに思います。あるいは小学校に入ってからサンプル調査でもいいので、やっていただいて、教育委員会のほうでそういった状況をぜひ確認していただきたいというふうに要望しておきます。
それから、先般、区立幼稚園用途転換等計画及び区立多聞幼稚園の用途転換の基本的な考え方が示されました。平成十五年、熊本区長が就任直後、区立幼稚園の使命が終わったと宣言し、廃止を表明してから十一年が経過しました。公明党は、区立幼稚園には新たな使命と役割があると主張し続けましたが、ようやくここまで来たというのが実感であります。
そこで、区立多聞幼稚園の用途転換では、区立幼稚園が初めて認定こども園になりますが、その意義について、教育委員会の認識を確認したいと思います。
◎大澤 副参事 今回取りまとめました区立幼稚園用途転換等計画では、区立幼稚園の用途転換後の運営形態につきましては、民営化を基本としております。用途転換計画におきまして、公私の役割や地域での子育て支援の充実の観点から、区の幼児教育の役割として、幼保一体化の推進を初め、小一プロブレムに対応した幼保小の連携及び小学校への円滑な接続、幼児教育の充実を図るための研修や研究の場、また、配慮を必要とする子どもに対する区としての取り組みの確保、各地域における身近な子育て支援機能としての役割を果たしていくなどを目的に、多聞幼稚園を含め五園を区立認定こども園へ用途転換してまいります。
特に今お話がありました最初の区立認定こども園になります多聞幼稚園につきましては、今後の幼保連携型認定こども園への移行も見据え、認定こども園カリキュラムの実践と検証、幼保小の連携のモデル園などとして、今後の区の就学前教育のさらなる充実に向けた取り組みを行ってまいります。
◆板井斎 委員 教育と保育のカリキュラムなどの実践の場及び検証の場とするということでしたので、大いに期待をしております。
そこで、新教育センター内における幼児教育センターの機能が開設されるのが三十二年四月であり、多聞幼稚園が用途転換するのが二十八年四月であります。そこで、用途転換する前の一年半、用途転換後から幼児教育センターが開園するまで四年間、そして、開園後の取り組みの経過をたどっていくわけですが、その期間ごとの取り組みについて確認したいと思います。
◎滝渕 副参事 教育委員会では、世田谷区の幼児教育の充実や幼稚園、保育園、小学校の一層の連携の強化、就学前の乳幼児を持つ保護者への子育て支援などを目的として、幼児教育センター機能の検討を進めております。
平成二十八年度に先行して区立多聞幼稚園が区立認定こども園に用途転換することに伴い、本年四月に公示されました幼保連携型認定こども園教育・保育要領の内容を踏まえた新たなカリキュラムや研修計画の策定などに取り組んでまいります。
今後は、就学前教育の支援機能や関係職員への研修、保護者からの多様な相談への対応など、幼児教育センター機能をしっかりと踏まえた新教育センターの設置に向け、
教育委員会事務局内組織改正も視野に入れつつ、その整備に向けた検討を進めてまいります。
◆板井斎 委員 組織改正も視野に入れてということでしたので、整備を万全にして進めていただきたいと思います。
教育長に伺いたいんですけれども、代表質問で私は、改めて世田谷区独自のカリキュラムを視野に入れた区独自の幼児教育をやっていただきたいというふうに申し上げました。教育長も御存じのとおり、平成十八年十二月に約六十年ぶりに改定された教育基本法に伴って、幼児教育の大切さが明文化されました。そして、位置づけられたと思うんですけれども、改めて教育長の見解を伺います。
◎堀 教育長 昨年、
教育ビジョンの策定ということもありまして、京都の幼児教育センターを視察してまいりました。こどもみらい館、子育て図書館とセットになっているということもあって、また、館長といいましょうか、センター長が小児科医の方でいらっしゃいまして、子育て中のお母様方が大変真剣にお話を聞いているというような光景を見てまいりました。
お話しのように、幼児教育は人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期ですので、就学前教育に力を入れていきたいと思っております。今回の第二次
教育ビジョン・第一期行動計画のほうにそれを掲げておりますので、今、るる滝渕副参事のほうからありましたが、その視点を視野に入れて検討していきたいと思っております。
◆板井斎 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
そこで、新教育センターの機能の中で、特別教育支援にもぜひ力を入れていただきたいと思います。教育上、特別の支援を必要とする幼児に対して、障害による学習上、または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な教育を行うことは重要であります。就学前の障害児教育について明確に位置づける必要があると思いますが、見解を伺います。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 配慮を要する幼児の教育につきましては、区立幼稚園の用途転換等計画の中にも盛り込まれておりますので、これまでの幼稚園、保育園での取り組みを生かしまして、課題と位置づけまして、新教育センターの課題、機能の中で検討してまいります。
◆板井斎 委員 区立の幼稚園もこれまで非常に高い教育を行っていましたので、それを引き継ぐ形で実践していただきたいと思います。
以上で文教所管の公明党の質疑を終わります。ありがとうございました。
○あべ弘幸 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク・社会民主党、どうぞ。
◆てるや里美 委員 生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団の文教所管の質問を始めます。
まず初めに、スクールソーシャルワーカーについて伺います。
文部科学省は来年度、いじめや虐待、不登校などの対策の一環として、全国の公立小中高校に配置するスクールソーシャルワーカーを現在の三倍の約四千二百人と大幅に拡充する方針を固めました。また、安倍首相も、今後五年間で一万人にふやすと表明しています。
子どもが抱える問題は家庭に起因する場合も多く、このような場合、家庭環境を調整し、必要によっては、福祉関係機関、児童相談所、医療機関などと連携して解決していくことが必要です。特に虐待、発達障害、ひきこもり、自傷他害の行為、精神疾患等の場合、校外の機関との連携は不可欠です。教員だけでは、こうした解決のために外部との連携を継続的に行っていくことは難しく、いじめや不登校、虐待は年々ふえている中、学校や家庭への支援体制構築のためにも、スクールソーシャルワーカーの必要性はますます高まっています。さらに、八月に閣議決定された子供の貧困対策大綱においても、学校を窓口として、貧困家庭の子どもや家族を早期に生活支援や福祉につなげるためにスクールソーシャルワーカーの配置を推進し、学校で活用できる体制を構築し、教育相談体制の充実を図るとしています。
子どもの問題は複雑化し、深刻化している中、まずは、いかに早期に課題を発見するかが何より重要です。そのためには、スクールソーシャルワーカーが学校に何度も足を運び、子どもと信頼関係を築いていくとともに、小さなことから課題を発見する目が大切です。
まず初めに、子どもたちの課題発見のためにどのように取り組んでいるのか、また、今年度よりスクールソーシャルワーカーが三人に増員されましたが、それにより改善された点について伺います。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 スクールソーシャルワーカーは、全ての児童生徒の人格のよりよき発達を目指すとともに、学校生活が有意義で興味深く充実したものになることを目指し、学校だけでは支援が難しい児童生徒の問題の解決を支援する福祉の専門職でございます。世田谷区では、不登校相談窓口となる総合教育相談室に配置しており、心理教育相談員と連携しながら、学校支援として学校訪問を行い、実際に児童生徒の様子を見たり、保護者と面談するなどして、児童生徒、家庭の経済困難など福祉的課題を把握し、課題解決の支援に取り組んでおります。
平成二十五年度の活動状況といたしましては、九十四名の児童生徒の支援を行い、学校や関係機関への訪問活動は百七回、福祉、医療などの関係機関との連携回数は百六十九回でございました。
今年度からスクールソーシャルワーカーは三名体制となりましたので、担当地域を設けまして、スクールソーシャルワーカーごとに担当する学校も決めて、よりきめ細かく学校訪問を実施し、何かあったら行くというだけではなくて、常日ごろから学校とコミュニケーションを持って、信頼関係を築きながら、支援ニーズの把握を進めているところでございます。
◆てるや里美 委員 課題解決のためには、学校や家庭、子ども家庭支援センター、「げんき」や「せたホッと」、児童相談所、医療機関など、他のさまざまな機関との連携が不可欠です。そのために、どのように地域の中のさまざまな資源と連携のネットワークを築いているのか伺います。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 スクールソーシャルワーカーは、児童生徒の環境の改善を目指し、子ども家庭支援センターや生活支援課、児童相談所などの関係機関や学校と連携しながら、児童生徒、家庭を支援する取り組みを進めております。また、このほかに、関係機関との連携といたしましては、個々のケースの支援にかかわる会議に出席し、スクールソーシャルワーカーの立場から提言したり、要保護児童支援協議会など、子ども支援にかかわる関係所管の会議や事例検討会などにも取り組んでおります。
こうした中で、長年、関係機関が個別に関与をしながらも、なかなか改善の動きが見られなかったケースで、スクールソーシャルワーカーが関係機関を結びつけて、改善のきっかけづくりが図られたケースもございます。引き続き関係機関との連携を密にして、児童生徒、家庭の課題解決の支援に取り組んでまいります。
◆てるや里美 委員 スクールソーシャルワーカーに求められていることは、家庭や学校、部活、塾などでの人間関係など、子どもに関するあらゆる情報の収集、学校と家庭との仲介やサポート、人間関係の調整、地域のさまざまな資源やサービスの紹介やつなぎ、理解を進めるための教員研修やPTAなどへの講義、また教師のメンタルケアなど、多岐にわたっています。
世田谷区に配属された三人は全員、国家資格である社会福祉士です。注意力や分析力、調整力など、高い技術が求められ、精神的負担も多い職業でありながら、雇用形態は非常勤で、官製ワーキングプアと指摘されています。
この仕事は、子どもや家庭などと長い時間をかけて信頼を築いていくことが必要であり、解決に時間がかかる場合も多く、また、解決した後も長期にわたるフォローが必要です。不安定な雇用条件の中で、スクールソーシャルワーカーのスキルアップや継続して子どもを支援することができるのか疑問です。
名古屋市では、常勤職員として採用を始めたとのことです。世田谷区でも、仕事を長く続けられ、安定した生活のもとで、子どもたちへの安定した支援ができるような雇用形態とすることが必要です。また、スクールソーシャルワーカーは、本来は学校への配置が望ましく、さらなる増員が必要です。見解を伺います。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 スクールソーシャルワーカーの雇用についてでございますが、世田谷区では、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する者で、過去に教育や福祉の分野において活動実績があり、年齢満二十二歳以上六十四歳以下の条件で採用しております。身分につきましては、世田谷区教育委員会任用の非常勤職員で、月十六日勤務を基本として年百九十二日の勤務、健康保険、厚生年金保険等の社会保障と有給休暇、介護休暇、育児休業等の制度がございます。
国の平成二十七年度の概算要求では、教育と福祉をつなぐ重要な役割を果たすスクールソーシャルワーカーを現在の千五百人から、委員がお話をされた、さらに五年後には一万人にしていくとされておりまして、スクールソーシャルワーカーへの高い期待が示されております。
早くからスクールソーシャルワーカーを配置してきました当教育委員会といたしましても、児童生徒、家庭の課題解決支援のため、取り組みをさらに拡充させてまいりたいと考えております。
◆てるや里美 委員 介護休暇、育児休業等の制度があるということですが、実際は無休であり、また、スクールソーシャルワーカーの雇用形態についてはさまざま課題が指摘されています。ぜひスクールソーシャルワーカーの雇用形態について検討をお願いいたします。
次に、学校のエネルギー対策について伺います。
まず初めに、デマンドコントロールシステムについて伺います。
デマンドコントロールシステムとは、三十分ごとに施設全体の電力使用量を監視し、警戒域に達したら、教室のエアコンに制御をかけ、輪番で三から五分間とめることで電力使用のピークを下げる方法です。学校などの施設は、その年の最大需要電力量、すなわちデマンド値で一年間の電気の基本料金が決まります。このデマンド値の制御により電気料金を大幅に節約することができます。世田谷区でも昨年九月より、このデマンドコントロールシステムを二校に導入しました。一年間過ぎ、モデル実施の検証結果について伺います。
◎安間 施設課長 デマンドコントロールは、電気式エアコンを数台ずつ一定時間停止させることで、電力の最大デマンドを抑制し、ピークカットすることによって、電気料金を削減できるものと認識しております。
教育委員会では、昨年度、経堂小学校と代沢小学校のエアコン取りかえに伴い、デマンドコントロールを設置しました。一年が経過した分析として、見込みですが、最大デマンド値を約十五から三十キロワット削減でき、効果は年間約二十二万円から四十六万円で、設置費用は約四年から八年で回収できる想定です。
しかしながら、課題といたしましては、現在入れていないメンテナンス契約を結んだ場合、費用が一校当たり年間約十万円となり、設置費用の回収期間が長期化します。もう一つの課題は運用面においてですが、経堂小で冬にエアコンがオフになった際、送風が寒く感じられ、デマンド制御を外した事例がありました。
今後も、運転データを蓄積することで、より効率的な運用方法について検討を進めてまいりたいと考えています。
◆てるや里美 委員 葛飾区では、小学校四十九校、中学校二十四校の七十三校でデマンドコントロールシステムを導入しました。導入以前の平成二十二年度と二十五年度を比較すると、契約電力は二〇%減り、一年間の基本料金の節減額は約三千四百万円です。
デマンドコントロールシステムの導入は、費用削減だけでなく、このシステムや電気料金削減の仕組みについて、職員や生徒への理解を進めることで、さらに節電に取り組むなど、環境教育にも生かしていくことができます。二十五年度の小中学校の電気代は六億二千六百万円です。小さな試みでも、みんなで取り組めば大きく違ってきます。
世田谷区でも効果が認められたとのことですが、今後、他の学校へも積極的に導入を進めていくべきです。見解を伺います。
◎安間 施設課長 現在、学校のエアコンは、電気式エアコンとガス式エアコンがほぼ半々で設置されており、同じ学校内でも電気式エアコンの使用年数が異なる場合があったり、デマンドコントロールに対応できない機種もございます。デマンドコントロールを適用するためには、このような各学校におけるシミュレーションが必要となります。また、適用条件といたしましては、デマンドをつけることのできる電気式エアコンの台数が一定以上であること、各学校のエアコンの老朽化が進んでいることから、その取りかえ工事のタイミングとうまくかみ合うことが必要となります。
今後は、エアコンの取りかえ時期に、その学校に適切か否か判断して設置を進め、一層の電気料金削減に努めてまいりたいと考えております。また、今後も一層、学校エコライフ活動や教育委員会で組織するエネルギー削減計画推進会議と連携して、再生可能エネルギーを児童生徒たちの環境教育に生かしてまいりたいと考えています。
◆てるや里美 委員 世田谷区の避難所にガソリン式発電機とガス式発電機を配備していますが、合わせても、非常時発電できる時間は一日分にも満たないのが現状です。昨年十二月に発表された首都直下地震の被害想定によると、電力の復旧は六日間とされていますが、二十三区の停電率は最悪の場合、地震発生から一週間後でも五割のままと想定されています。国は、再生可能エネルギーを活用した災害に強く環境負荷の小さい地域づくりのために、特に災害時避難所となる学校については、全ての学校へ再生可能エネルギーの導入が必要としています。
杉並区は現在、改修、改築の予定のない全小中学校に来年から三年間で太陽光発電設備と蓄電池の配備を進めます。ことし八月に東京都より、十分の十の補助率で地震や台風等による大規模な災害に備えるために避難所等への再生可能エネルギーや蓄電池設備等の導入を支援するグリーンニューディール基金の応募がありました。しかし、今回の導入規模は、最小限必要な機器利用分として三から十キロワットと小規模だったこともあり、応募を見送ったと伺っています。
世田谷区でも、災害対策のために、小規模でも太陽光発電システムと蓄電池を各学校へ標準装備していくことが必要です。見解を伺います。
◎安間 施設課長 学校施設は、教育の場としてだけでなく、災害時には地域住民の避難所となることから、災害対策を視野に入れた再生可能エネルギーの必要性は高く、今後も積極的に導入を進めるべきであると認識しております。
学校施設における再生可能エネルギーの活用方式として、現在、太陽光発電設備を災害時にも利用できる自立コンセントを十五校に設置しております。また、さらなる災害対策として、蓄電池の設置が考えられますが、蓄電池は定期的な交換が必要となり、費用対効果の検証が必要となります。
今後も、災害発生時の避難所運営を考慮した学校施設整備に努めてまいります。比較的小規模な蓄電池、また、今後の装備の導入につきましては、幅広い情報収集に努めるとともに、関係所管と協議を進め、検討してまいります。
◆てるや里美 委員 国も導入を進めるために、さまざまな補助金を用意しています。積極的な導入を求めます。
次に、デートDV防止の取り組みについて伺います。
区民生活所管での質問にも取り上げましたが、世田谷区では、昨年度より中学生向けデートDV防止啓発小冊子を作成し、中学三年生全員に配付しています。ただ、配付だけでなく、きちんと理解を進めていくことが必要です。
まずは、学校でのデートDVについての学習について、また、その反応について伺います。
◎齋藤
教育指導課長 人権・男女共同参画担当課から配付いただいているデートDVに関する小冊子『「デートDV」ってな・ん・だ・ろ・う?』は、委員お話しのとおり、区立中学校三年生全員に配付されておりまして、昨年度、区立中学校四校でデートDVの防止を狙いとした出前講座を実施した際にも、この小冊子を活用してございます。生徒は、デートDVが人権侵害であることを理解した上で、一人一人がかけがえのない存在として尊重されることや、互いを尊重し、よりよい人間関係を築くためのコミュニケーションのあり方などを学べるように作成されております。
受講した生徒からは、自分のためだけでなく、人のためにも、このような知識を持つことが大事だとか、自分と相手では感じ方が違うということを理解しなければならないとか、精神的な話も暴力になることがあると聞いて、確かにそうだと思った、何かと違うと思ったことは友達に相談したり、友達が被害に遭ったら、相談に乗って手助けしたいなどの声が聞かれています。いただいた小冊子にある具体的事例により、自分や友人関係を見詰め直して、これからの行動の抑制にもつながったと聞いております。また、高校への進学に向けたさまざまな気持ちの整理にも役立ったということも聞いてございます。
◆てるや里美 委員 まだたったの四校ということですけれども、平成二十五年度らぷらす学校出前講座まとめを読ませていただきました。講座を通して、中学生でもデートDVを見聞きしたり、その当事者になっていることが明らかとなり、中学生へのデートDV講座の必要性が示されています。交際経験がある高校生、大学生の約四割がデートDVの被害経験があるという結果もあり、決して他人事ではなく、自分が被害者にも加害者にもならないために、また、DVや虐待の予防のためにも、全員がデートDVについて理解しておくことが必要です。デートDVの講座は、お互いを尊重する関係づくりとして、人権教育としても大変重要です。中学校の教員も高い頻度でデートDVを見聞きし、また、約二割が相談を受けています。子どもから相談を受けたときの対応は慎重さが求められ、教員一人一人が課題について把握し、きちんと理解しておくことが大切です。他の自治体でも、全学校で講座を行うところもふえてきています。
全中学校での出前講座の実施、また、教職員やスクールカウンセラーの研修にも積極的に取り組んでいくことが必要です。見解を伺います。
◎齋藤
教育指導課長 出前講座は、デートDVについて学ぶことはもとより、広く人権に関する生徒の感覚や意識を高めるものであり、いじめや虐待などの防止にもつながるものと考えております。
デートDVは、親密な関係の中で起きる暴力であるがゆえに、被害に対する認識が薄いと言われており、発達段階を踏まえた防止教育が必要と考えております。
本年度は、男女共同参画センターらぷらすに御協力をいただく予定の二校に加えまして、新たに教育指導課から依頼する区立中学校においても、デートDV防止を狙いとした出前講座を実施するなど、昨年度以上に実施校数をふやしてまいりたいと考えております。また、デートDVの防止をテーマにした研修につきましては、五月に
区立小中学校の管理職を対象にした人権教育の研修会において実施いたしました。デートDVについての理解を図るとともに、世田谷区のデートDVの取り組みや相談に関する窓口の説明なども行っております。
教育委員会といたしましては、デートDVの防止のためにも、人権教育を一層推進していくことや、教職員対象の人権教育研修の内容の一つとしてデートDVを取り上げるなど、教員が身近な問題として理解し、児童生徒の状況を正しく把握するための研修会等の充実を図ってまいります。
◆てるや里美 委員 次に、放射能対策について伺います。
まずは日光林間学園について伺います。
ことしの夏、日光林間学園で子どもたちが歩くところを測定してきました。確かに奥日光は〇・〇四から〇・〇八マイクロシーベルトと、線量は世田谷区と変わらないものの、日光だいや川公園は〇・一一から〇・二二マイクロシーベルト、中には〇・二七マイクロシーベルトと、世田谷区の基準である〇・二三マイクロシーベルトを超えるところもありました。
やはり子どもたちが歩く場所、特に昼御飯を座って食べるなど、長く滞在するようなところは、世田谷区も子どもの安全のために測定すべきです。また、林間学園で見学場所を選ぶ際に参考になるように、こうした情報を提供し、また、日光市などへ対策を求めていくことが必要です。見解を伺います。
◎岩元 学務課長 日光林間学園は、小学校六年生が日光東照宮などの世界遺産を初め、戦場ヶ原などのラムサール条約に登録される湿地などの大自然の環境に恵まれた中で、二泊三日の校外学習を通しまして、連帯感や責任感を培う、夏季休業期間中に実施させていただいている大変意義のある事業でございます。今年度の実施に当たりましても、日光市の放射線量の測定結果などを確認させていただきますとともに、日光市に直接お伺いをし、日光市の状況の情報などもお聞きして、安全に実施できるものと判断して実施をしてございます。
日光市におきましては、毎週、市内の主な観光地の放射線量の測定を行いますとともに、日光市内を一キロメートル四方に区切りまして、山岳部などを除いた五百三十八カ所で測定を行い、放射線量マップを年四回公表してございます。最新の放射線量マップ、本年四月から六月の間に測定した結果では、五百三十八カ所のうち三カ所で〇・二三マイクロシーベルトを超える場所がございましたけれども、いずれも日光林間学園ではほとんど学校が訪れる場所ではないというところでございます。
なお、お話しの日光だいや川公園につきましても、県営公園でありますので、栃木県が平成二十六年七月二十日の測定結果を公表しておりますが、平均で毎時〇・一四マイクロシーベルトとなってございます。
子どもたちが滞留する場所をきめ細かく測定すべきというお話でございますけれども、日光市や栃木県の取り組みなどの状況を確認しながら、また、委員お話しの点につきましては、日光市に情報提供させていただきたいというふうに考えてございます。
◆てるや里美 委員 学校への情報提供についても伺います。
◎岩元 学務課長 日光林間学園の実施に当たりましては、引率教員を対象とした事前説明会を開催させていただきますとともに、宿泊施設を初め、東照宮ですとか、また、ハイキングをします戦場ヶ原などを、子どもたちが実際に活動する行程、内容を踏まえて、安全対策、事故防止、また、学習目的などの視点で確認する実地踏査を一泊二日で実施しているところでございます。
こうした中で、放射線量の測定結果の情報については、教育委員会より日光市、また、栃木県が取り組んでいる状況などについて情報提供させていただきますとともに、この一泊二日の教員の現地実地踏査の際に、現地で日光市の担当者から直接放射線に関する説明を行っていただくなどの情報提供に努めているところでございます。
今後とも、丁寧な情報提供を行い、安心して参加していただける日光林間学園の運営に努めてまいります。
◆てるや里美 委員 旅館で提供される食事に漂白剤、pH調整剤、リン酸塩、亜硝酸ナトリウムなど、さまざまな添加物が使われています。世田谷区の給食は、できる限り不必要な食品添加物や遺伝子組み換え食品の使用を避けるなど、安全安心な給食を提供するための基準を設けています。旅館で出される食事についても同様な基準とすべきです。見解を伺います。
◎岩元 学務課長 日光林間学園で提供いたします食事につきましては、宿泊する旅館組合などで、栃木県の厳格な放射線等の検査の結果で合格した食材を提供させていただき、また、産地の公表などについても情報提供をしているところでございます。また、アレルギー対策につきましても、成分表を公表させていただくなど、事前のアレルギー調査に基づいて、代替の食事などの提供を行っているところでございます。
今の食品添加物のお話につきましては、学校給食では、学校給食法で定めます
学校給食衛生管理基準に基づきまして、食品の選定において、有害もしくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤、その他食品添加物が添加される食品については使用しないこととされてございます。
食品添加物の使用を減らすべきという御提案でございますけれども、日光林間学園においては、宿泊施設の調理機能の制約などもございまして、学校給食と同一条件で調理を実施することは難しい面もございます。また、参加費につきましては、全額保護者負担となっておりますので、費用面なども含めまして、食材発注などで工夫ができることがないかなどにつきまして、日光林間学園の運営委員会とも相談しながら、旅行業者、宿泊施設等に働きかけてまいりたいと考えています。
◆てるや里美 委員 次に、福祉保健所管でも質問いたしましたが、学校の給食食材単品の放射性物質検査について伺います。
まず初めに、この検査の目的について確認いたします。
◎吉田
学校健康推進課長 区立小中学校における給食の放射性物質検査は、児童生徒や保護者に安心していただくことを目的として、給食の丸ごと検査と牛乳の検査を平成二十四年四月から実施しております。
給食の丸ごと検査及び牛乳の検査におきましては、平成二十四年度当初から現在まで放射性物質は検出されていないことから、平成二十六年度より給食の丸ごと検査の回数を見直し、新たに、牛乳に次いで児童生徒の摂取量が多いお米の検査を十一月から行うことを年度当初には計画しておりました。しかしながら、現在においても、放射性物質の健康への被害を心配する区民などの要望もあるため、給食丸ごととお米の検査に加えて、食材ごとの
単品検査をふやして実施することにより、児童生徒を放射性物質から守るため、安全な給食を提供するとともに、保護者の皆様の不安を解消することといたしました。
◆てるや里美 委員 来月から
単品検査を開始しますが、十一月の検査で何を検査するのか、そして、その品目を選んだ根拠について伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 教育委員会では、学校給食用食材の納入業者に対し、安全安心な食材を納入していただくようお願いしております。その中で、今回の
単品検査の食材の選定につきましては、給食で使用する食材のうち、牛乳、お米に次いで摂取量の多いジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどの食材と季節ごとに出回る、その時期が最もおいしい旬の食材を基本とし、さらに、保育園と重複しないように考慮しております。
今回の
単品検査は、保育園において、ニンジンとミカンを予定していることから、小中学校においては、ジャガイモとリンゴを検査対象の予定としています。ジャガイモは、摂取量の多い食材のうち、本年六月に栃木県が実施した検査において、微量ながら放射性物質が確認されたこと、また、果樹は放射性物質を蓄えやすく、リンゴは旬の食材として学校給食で使用頻度が多い食材でもあり、本年一月に宮城県が実施した検査において、微量ながら放射性物質が確認されたことから選定予定としております。
さらに、区で実施する区内流通品の検査や区民持ち込み食品検査のほか、さまざまな機関で、生産、出荷、流通の各段階で検査がなされておりますので、そのような検査結果を把握しつつ、全国の検査で基準値あるいはその二分の一を超える放射性セシウムが検出された食材も含めて選定することとしております。
◆てるや里美 委員 答弁にもありましたが、全国の検査で基準値あるいはその二分の一を超える放射性セシウムが検出された食材も含めて選択するとしているのなら、例えばシイタケや魚、また、放射性物質が検出されやすいサツマイモやクリなどを選定すべきではないでしょうか。三学期の検査では、子どもを放射能被曝から守るという目的であることを十分考慮し、意味のある検査とするために、放射能汚染が懸念される品目や産地のものを選定することを改めて要望します。
次に、公表について伺います。
常任委員会の報告では、検査対象になった学校のみとしていましたが、どのように公表していくのか伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 検査結果につきましては、区の
ホームページにおいて公表することとしており、あわせて検査対象校へも報告いたします。また、委員からお話がありました検出されなかった場合にも、検査対象以外の学校の担当者にも周知するとともに、さまざまな機関が公表している食品の放射性物質の情報を注視し、状況に変化があれば情報共有を図り、安全安心な給食の提供に努めてまいります。
◆てるや里美 委員 以上で質問を終わり、高岡委員に交代いたします。
◆
高岡じゅん子 委員 昨日に引き続き、子どもが安心して歩けるまちづくり、道づくりについて質問いたします。
昨日の都市整備所管とのやりとりでは、地域からの要望があれば、子どもたちの安全のため、できる限りの対策を国や都、警察などと連携し実現していくとの回答をいただいております。
ハード整備として、歩車分離が望ましいのは当然です。しかし、世田谷区の道は道幅自体が狭く、歩車分離の対策が実現できる箇所は本当に限られているのが実情です。さらに、最近は、カーナビゲーションが多くの車に採用され、少しでも近い道、渋滞を避けられるルートを求めて、通過車両が住宅街に入ってきています。池之上小の通学路の都道も、この一年、小田急線の踏切がなくなったことにより通過車両がふえていたと言われています。
町や交通の状況は年々変化しています。交通量や道路整備など、地域の変化についての情報をPTA、地域と共有し、常により安全な経路を見つけ、場合によっては通学路の設定変更を検討していく必要があると考えます。区の見解を伺います。
◎吉田
学校健康推進課長 通学路の設定につきましては、各学校がPTA、地域住民、警察等の意見を聞くなどして、地域の実情に即した原案を作成し、学校から申請のあった原案をもとに、教育委員会が現地調査を行い、必要に応じて、道路管理者、警察等と連携し、設定を行っているところです。また、学校近隣の交通環境の変化、児童の分布の推移、通学区域の変更などにより、通学路の変更、新設等が必要となる場合につきましても、同様の手続で学校の申請により新たな通学路の設定や変更を適宜行っております。
平成二十六年度におきましては、既に八校、十件の通学路について、既存の通学路の交通量の増加やより安全に通学できる道路が新たに開通した等の理由により、変更、新設等の申請があり、教育委員会が現地調査を実施し、新たな通学路の設定を行ったところです。
通学路の安全対策につきましては、引き続き道路管理部門や警察等の関係機関に早急かつ具体的な対応を求めるとともに、各学校においては、既存の通学ルートを改めて再確認し、必要に応じて、より安全な通学ルートに通学路を再設定するなど、児童が安全に通学できるよう、学校、PTAを初め、道路管理者や警察等の関係機関と連携し、より一層の安全確保に努めてまいります。
◆
高岡じゅん子 委員 各学校のPTAと実施している通学路点検は地域の実情を把握するために非常に重要な活動です。長年、通学路として使い、通学路としてのハード整備を進めてきた場所であっても、最近、ヒヤリハットの事例を見かけたというような町の変化を捉えた情報に特に注目し、既存ルートの再確認を進めてください。
この後、改築のため、仮校舎への登校や適正配置に伴って、通学路を変更することについて質問する予定にしておりましたが、時間がなくなってまいりましたので、少しはしょらせていただきます。
特に新しい通学路をつくるに当たっては、地域とともに交通安全の意識を向上していくことが大切だと考えます。昨日、学校における交通安全教室を地域の方に公開し、子どもの交通安全の問題を地域全体の課題として考える機会にしてはという提案をいたしました。交通の担当部署から、地域ぐるみの交通安全への取り組みにつなげていきたいという回答を受けています。各学校で行われる交通安全教室を地域に公開するなど、地域との連携強化に役立てていくことを要望いたします。
地域の理解と協力のもと、交通安全、そしてまた、防犯の二面から徹底的に検討し、新しい通学路をつくっていく、選んでいくことを要望いたします。
防犯については、さらに、環境を整えるだけではなく、子ども自身が自分を守る力を高めるということが必要です。そこで、防犯教育について質問していきます。
十月一日のNHK「クローズアップ現代」、「どう守る?子どもの安全~相次ぐ〝連れ去り〟事件~」という番組で、地域の人がスタッフとして多数参加する体験型防犯教室の例が紹介されていました。静岡県で行われているこの防犯教室は、もちろんいざというときに声を出す、走って逃げるなど、子ども自身が体を動かし、身につけていく体験型の教室です。さらに、子どもを狙う犯罪者の行動を科学的に分析し、子ども自身に不審な人を見分ける目を育てようとしていること、防犯教室の実施に子どもを取り巻く多くの地域の大人が参加していることが防犯教室として一歩進んだ点として感じられ、世田谷区でもこのような防犯教育活動が必要ではないかと感じました。
特に信頼できる地域の大人の顔を覚え、安心してよい状況を地域のベースとしてつくることで、見知らぬ人、怪しい行動をしている人に、この人は危ないと子ども自身が察知できるように育てていく地域ぐるみの活動に感銘を受けました。
このような防犯教室を世田谷でも実施することができないかと考えます。区の見解を伺います。
◎滝渕 副参事 児童の連れ去りなど、子どもが被害者となる事件の発生を未然に防止し、子どもを犯罪の被害から守るためには、学校や家庭、地域が連携した安全管理体制等の整備や犯罪被害を防止する教育の充実を一層推進していく必要があると認識しております。
世田谷区では、全
区立小中学校を地域運営学校に指定し、地域の方々とのつながりを重視しており、学校運営委員会や学校協議会を中心とした子どもの登下校の際の見守りパトロールや挨拶運動、地域清掃の活動など、さまざまな場面で子どもたちの安全に気を配っていただいております。例えば深沢小学校では、地域の見守り隊である駒沢ヒーローズの方々を朝会に招き、全校児童に紹介するとともに、交流する機会を設けていると伺っております。
今後も、教育委員会では、区立各小中学校が学校運営委員会や学校協議会などとも連携しながら実施する防犯に向けた取り組みを支援し、子どもの犯罪被害の防止に努めてまいります。
◆
高岡じゅん子 委員 先ほど交通安全教室のあり方についても申し上げましたように、地域の大人と小中学生が同じ安全教室に参加し、危険に対する認識を共有することは、安全な地域づくりに大きな意義があると感じます。防犯についても、学校の取り組みに地域の参加を呼びかけるなど、連携をさらに深めていくように要望いたします。
先ほどセーフティー教室について他会派からも質問があり、御回答をいただいておりますので、防犯についてのもう一問の私の質問については省略し、最後に、平和教育の推進について質問いたします。
私たち会派では、代表質問においても、外国人を標的とし、人権を踏みにじるヘイトスピーチや障害者差別などの問題を取り上げ、全ての教育活動を通して、人権教育を推進するとした
教育ビジョンの目標を再度確認させていただきました。平和は人権が守られるための不可欠の要素です。
第二次
教育ビジョン・第一期行動計画には、平和教育が個別に位置づけられてはいません。しかし、人権教育の不可欠の要素として、また、国際化が進み、国境を越えた相互依存が高まる二十一世紀の社会に生きる力の育成、ESDの観点からも、平和の価値や意義を児童生徒に確実に伝えていくことが必要です。
平和教育について、教育委員会の見解を伺います。
◎滝渕 副参事 教育委員会では、これからの社会を担う児童生徒が国際社会の一員として平和について学ぶことは大切であると考えております。
区立小中学校における平和にかかわる学習は、例えば小学校では、社会科で我が国の国際協力の様子や国際連合の働きを調べるとともに、我が国が果たしている平和な国際社会を実現するための役割を学習しています。また、中学校でも、社会科の公民的分野において、日本国憲法における平和主義について理解を深め、世界の平和を確立することの大切さなどを理解する学習を行っています。さらに、中学校の道徳の時間では、世界の中の日本人としての自覚を持ち、国際的な視野に立ち、世界の平和と人類の幸福のために日本人としてできることを考え、教育活動全体を通して、思いやることや世界の人々への貢献ができるよう取り組んでおります。
教育委員会といたしましては、児童生徒が持続可能な社会の形成者として成長する上で、平和教育は、児童生徒が多様な人々や社会との関係を築くためにとても大切であることを実感できる重要な学習の一つと考え、一層の充実に取り組んでまいります。
◆
高岡じゅん子 委員 あすにでも憲法第九条がノーベル平和賞を受けるかもしれないと報じられています。これは日本国民が戦後六十九年間、平和主義の理想を掲げてきたことにより、憲法前文にあるとおり、国際社会において、名誉ある地位を占めることができたと言えるのではないでしょうか。憲法の平和主義など、一つ一つの教材を大切に、平和教育を進めていただくことを要望します。
来年の夏、世田谷公園内に仮称せたがや平和資料館が開設されます。来年以降のこの平和資料館の平和教育への活用について伺います。
◎小渕 教育相談・
特別支援教育課長 仮称せたがや平和資料館の事業方針検討委員会からも、子どもたちの作品の展示などの提言がされております。平和資料館としっかり連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
◆
高岡じゅん子 委員 児童や生徒が主体的に平和を学んでいくために平和資料館を利用し、また、教育部署からさまざまな働きかけを子どもたちにできると思います。新しい平和資料館の活動と連携し、新たな平和学習活動を組み立て、平和教育をより充実していくことを切望いたします。
以上で生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団の文教所管の質問を終わります。
○あべ弘幸 委員長 以上で生活者ネットワーク・社会民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時五十七分休憩
──────────────────
午後四時三十分開議
○あべ弘幸 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
日本共産党、どうぞ。
◆中里光夫 委員 それでは、日本共産党の文教分野の質問を始めます。
まず最初に、教育委員会制度の改革について質問をいたします。
安倍政権の教育制度改革は、当初、教育委員会廃止を狙っていました。しかし、各方面からの批判を受けて、教育委員会制度自体は残りました。教育委員会制度が残ったということは、行政委員会制度が維持されたということです。
行政委員会制度というのは、戦後の行政改革の中で生まれました。教育だとか警察だとか選挙、こういった特定の政治勢力が支配することが望ましくない、こういう分野などに行政委員会は設けられています。教育ならば教育委員会、警察は公安委員会、選挙は選挙管理委員会などであります。首長が事を決するのではなくて、複数の委員が合議して事を決める、委員一人一人に権限はなくて、委員会としての権限を保つ、こういう仕組みであります。
教育行政を行政委員会というふうにしたのは、戦前の教育の反省からです。教育の自主性を尊重し、教育内容への政治介入を避けるため、こうした制度がつくられてきました。教育委員会が従来どおり、教育行政の最高意思決定機関、行政委員会としての仕組みを残した、変わらずに残された。教育の自主性を守り、教育の内容への政治介入を避けるためにこの制度が残されたのは重要なことだというふうに思います。このことについての教育長の見解を伺います。
◎堀 教育長 来年四月から教育制度改革が実施されますが、これは滋賀県大津市で起きた事件をきっかけに、教育委員会の責任体制等々が問われたことがスタートかなと思っております。
この間、今お話にありましたように、教育委員会は行政委員会でなくなるのかどうかということでいろいろ注視しておりましたが、教育再生実行会議、中教審の答申等々で、校長会とも意見を交換したりして、現在の体制がどうなるかによって、我々の教育行政が変わってくるだろうというような意見交換もしてまいりました。本年六月にいわゆる地教行法が改正されまして、御案内のように、教育委員会の執行機関としての独立性は維持されたということでございます。
教育行政は、国と地方公共団体、区長と教育委員会がそれぞれ適正な役割及び相互協力のもとで、公正かつ適正に行われなければならないと考えておりますので、今回の改正によりまして、私ども教育委員会がさらなる充実というんでしょうか、しっかりと信頼される制度、教育行政を展開していかなくてはいけないと思っております。
◆中里光夫 委員 法改正のお話が出ました。今回の法改正で、二つの点で、首長が教育に介入していく、そういう仕組みが導入されたというふうに見ております。この二つの点というのは、一つは、全ての自治体で教育の基本計画である大綱というものを策定することが義務づけられました。その大綱を策定する権限は首長に与えられたという点が一つであります。もう一つは、従来の教育委員長を廃止して、新教育長というものに権限を集めると。従来、教育委員長というのは教育委員会の中の互選で決めていたわけですが、新教育長については首長が直接任命する。こういう二つの点の大きな変更がありました。
教育委員会の自主性を尊重する考え方を将来にわたって担保する仕組みをこの世田谷の中でつくっていく、考えていくということが大事だと私たちは思っております。例えば教育長の選任に当たっても、従来、教育委員会内で教育委員長や教育長を互選していた。そこに倣って、いきなり区長が教育長を選任するというのではなくて、教育委員会が区長に教育長を推薦し、その推薦を受けて、区長が議会へ同意審議を諮る、例えばこういう仕組みをつくれないでしょうか。検討するべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
◎工藤
教育総務課長 今回の教育制度改革では、教育委員会の執行機関としての独立性を維持する一方で、教育長の任期を従来の四年から三年に期間短縮するということとともに、地方公共団体の長が直接教育長を任命するといったような内容を定めております。こうした背景としましては、選挙で選ばれた地方自治体の長がその任期中に少なくとも一回は教育長を任命することで、地域住民の民意を教育委員会に伝えられる仕組みとしたいということであるというふうに受けとめております。
いずれにしましても、地方自治体の長の権限に関する内容となりますので、法の趣旨等も踏まえ、適切に対応されるものと考えております。
◆中里光夫 委員 首長の権限に関することだということでありますけれども、ぜひ協議をしながら、こういった仕組みを検討して、世田谷独自に教育の自主性を担保する、そういう検討を進めていくべきではないかというふうに思います。
この新しい制度のもとでも、教育の自主性を守る、教育内容への政治介入を避けると。この問題で、区長は本会議の答弁で教育委員会との連携を一層図りながらも、執行機関としての主体性、独立性を尊重することは重要だと考えていますと、こう答弁しております。これは大変重要な答弁だと思います。新しい法律ができたもとで、あえて区長がこういった表明をしたと。これに対して教育長は、どう受けとめ、どう具体化していくのか、そのことが問われているんじゃないでしょうか。例えば主体性や独立性を尊重するために、先ほど二つ言ったうちのもう一つの大綱の問題でも、
教育ビジョンとの関係をどうしていくのか、ルール化するなどの検討も区長サイドとの議論をしながら進めていくべきではないか、こんなふうに思います。
教育の自主性を守り、教育内容への政治介入を避ける、そのためには、主体である教育委員会の側の意思と取り組み、これは大変重要だと思います。教育長の見解、そして決意を伺います。
◎堀 教育長 今回の制度改正に関しましては、かなり時間がありましたので、先ほどもお話ししましたように、校長会、教育委員会とはもちろんいろんな形でお話をしてきました。区長とも、一定の形ができてから意見交換をしてまいりました。御案内のように、区長は教育ジャーナリストという肩書もお持ちでしたから、教育委員会についても一定の考え方を持っております。したがいまして、教育行政に対しての自主性はもちろんお持ちですので、今後は、総合教育会議、それから大綱、それと私どもがつくっております
教育ビジョン等々をそれぞれ意見交換しようという形になっておりますので、来年四月の法施行前に教育委員会と区長で十分な意見交換をして、お互いが世田谷の子どもたちのためにいい環境をつくるためのありようというんでしょうか、それを見定めていきたいなと思っております。
したがいまして、先ほども申し上げましたように、私どもの教育委員会がさらに信頼のある教育委員会として頑張らねばならないというふうに思っております。
◆中里光夫 委員 先ほど課長のほうから答弁であったように、区長がかわったときに、任期中に必ず新しい教育長を選ぶ機会があるというようなお話もありましたけれども、将来にわたって、教育委員会の自主性を守っていくために、ぜひ今の段階でルールづくり、どういうふうにそれを守っていくのか、そういった検討を区長サイドとも相談しながら進めていただきたいというふうに要望しておきます。
それでは次に、行革についての質問に移ります。
保坂区政の行革が今議会で各会派から議論をされております。我が党は、新実施計画での行革方針に低所得者への配慮の視点が明記された、民間活用の視点に質の確保というのが加わった、そして利用者負担の視点が変わった、こういったことで、熊本前区政の行革計画から一定の変化があったというふうに評価をし、過去に行った行革についても新たな視点で見直すべきだということを求めております。
学校改築の問題がこの行革と絡んで、議会でも議論になっております。学校を改築する際、校庭にプレハブの仮校舎を建てる、これが一般的な方法です。保坂区長は著書の中でも、プレハブ仮校舎を使わないなどの手法により、これまでと比べて十三億七千万円の経費削減につながる見通しですというふうに言っております。
平成二十六年度予算の予算概要の中の「仮設校舎の工夫、改築手法の見直しによる改築工事経費の削減効果額」というところがあります。この中に、太子堂小、城山小、東大原小、若林小、代沢小の五校を挙げて、その効果額の合計が十三億七千万円というふうになっております。加えて、深沢中を改築でなくリノベーション、大規模改修による長寿命化で七億五千万円の削減効果、合わせて二十一億円の削減効果があるというふうにしております。
この学校統廃合に合わせた改築の際に、隣接する一方の学校を仮校舎として使って、プレハブを建てない、これは普通のことじゃないかと、とりたてて軽減したとは言えないんじゃないか、こういう指摘がありました。
そこで確認しますが、これまで区内で学校統廃合を行ったときの改築などのやり方はどうだったのか、確認します。
◎安間 施設課長 御質問の事例は学校統合に関連したものと捉えておりますが、教育委員会といたしましては、学校統合に限らず、最終的に仮設校舎をつくらない手法で進められるようであれば、子どもたちの良好な教育環境の維持を最優先に考え、そのように対応しております。しかし、現実的には、統合の進捗によりケース・バイ・ケースであり、それは総括質疑の際に他会派からの質問に対し板垣副区長が答弁しておりますように、選択肢の一つとして考えております。
学校を統合する場合の進め方となりますが、三宿中の場合は、旧新星中と旧池尻中との統合ですが、旧新星中の大規模改修を行った後に統合し、第一ステップの船橋希望中は、校舎の老朽化に伴う学校改築を同時に行ったため、片方の校舎を改修工事し、一部仮設校舎を建設し、世田谷中は改修工事のみを行いました。今回の統合校、第二ステップのB地域、東大原小、守山小、北沢小の件ですが、守山小の場合も、校舎の老朽化に伴う学校改築を同時に行うため、また、統合の進捗もあり、片方の校舎を改修工事し、一部仮設校舎を建設する予定で考えております。
教育委員会といたしましては、何よりも子どもたちの良好な教育環境の維持を最優先に進めていきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 学校統廃合と改築は別の問題で、そのときに改築のタイミングかどうかというのは個々のケースだと。三宿中のときのように、統合したけれども、大規模改修で改築しない、そういう場合もあったと。しかし、世田谷中や船橋希望中など、改築をする場合は、一方の学校を改築中の仮校舎として使用する、こういう方法がとられてきたと。これは熊本前区政のときから計画され、実施されてきた。これは事実だと思います。
一方、統廃合でできた空き校舎を統廃合の対象以外の近隣の学校の改築に活用する、これは従来の手法を発展させた新しい発想、新しい試みです。旧若林中の場合は繰り返し活用することになっています。太子堂小の場合は、統廃合でもなく、使用中の中学校の空き教室を活用する。これは全く新しい発想だというふうに思います。このやり方でいきますと、子どもの通学路が長くなるというような問題もありますけれども、この安全対策をしっかり徹底していただきながら、こういったことを進めていただきたいと思います。
それから、リノベーションによる建物の長寿命化についても、新しい取り組みとして注目をしています。区長が言う行政改革というと、ともすると、身近な事業経費の削減や区民の負担増の議論になるが、大きな予算を必要とする事業の骨格を見直し、従来なかった視点で、事業手法の合理化と効率化を図ることで財源を捻出する。これは当然のことですし、この努力は評価したいと思います。そして、ここでつくった財源で、教育、そして区民サービス、福祉、こういった分野の向上に力を入れる、これが自治体本来の仕事であるというふうに思います。ただ、行革の評価については誠実であるべきだということを申し添えたいと思います。
それでは次に、学校図書館の質問に移りたいと思います。
他会派からもこの質問がありました。学校図書館の充実、特に学校司書の配置について質問したいと思います。
学校図書館の充実といいますと、私自身の記憶で言いますと、数年前に教育委員会が教育フォーラムを開いて、そこで、山形県鶴岡市の五十嵐さんという学校司書の方を招いてお話をした。私はそれを聞きまして、大変印象に残っています。テレビでも紹介されていたようで、映像も紹介されていましたが、学校図書館のカウンターが子どもたちでごった返している、そういう状況も見せていただきました。図書館が変わることで、授業が、そして子どもたちが大きく変わったんだというお話でした。大変印象的でありました。
世田谷の学校図書館はどうかというと、臨時職員、アルバイトの職員が年間百日だけ配置されるという当時の状況と今も変わっていないということのようです。学校図書館を充実させようというのは全国的な流れになっています。
教育委員会として、学校図書館の位置づけ、意義をどう考えているでしょうか。
◎滝渕 副参事 学校図書館は、子どもたちが教育活動を行っていく際に非常に重要な場所だと考えており、その一層の充実が求められているというふうに考えております。
◆中里光夫 委員 学校図書館法が改正されました。学校司書の配置が国や地方自治体の努力義務として法制化をされました。この法制化の意義と、そして世田谷の現状について、教育委員会はどのように認識していらっしゃるでしょうか。
◎滝渕 副参事 子どもが多くの時間を過ごす学校の図書館で読書活動を推進するとともに、学習、情報センターとしての機能を充実させていくこと、児童生徒の教育活動を豊かにすることが必要であるという認識をしております。第二次図書館ビジョンの素案において、学校図書館の充実を掲げているところでございます。
現在、区立学校の学校図書館は、主に学校図書館の司書教諭及び学校図書館事務臨時職員が運営に当たっております。司書教諭は多くが学級担任との兼務で、学校図書館の事務に従事できる時間の確保が十分ではないということ、それから、事務臨時職員は学校図書館で勤務する時間に限りがあるという現状がございます。
教育委員会では、現在、玉川小学校と桜木中学校を学校図書館の研究開発校として指定し、臨時職員の任用日数を百日から二百日にふやすなど、学校図書館の充実に向けたあり方の検証を行っております。また、学校図書館の一層の充実に向け、研究開発校における成果なども踏まえながら、子どもの読書活動の推進拠点にふさわしい人的な措置、人材育成について具体的な検討を進め、運営体制の充実を図っていきたいと考えているところでございます。
◆中里光夫 委員 今の答弁ですと、法改正の趣旨を受けて、学校司書の配置ということが法にもきちんと規定されたということを受けて、今後、世田谷で学校司書の配置を充実させていく、ふやしていく、そういう捉え方でよろしいでしょうか。
◎滝渕 副参事 委員お話しのとおり、今後、人的な措置、人材育成について具体的に検討を進めてまいる中で、運営体制の充実を図っていくということを考えているところでございます。
◆中里光夫 委員 そう言いながら、学校司書はふえてこなかったわけであります。学校の建築の分野などで大きな行革の効果も出すという話が先ほどありました。この行革の成果をしっかりと生かして、学校司書をふやしていくべきではないでしょうか。なぜふやせないんですか。
◎滝渕 副参事 先ほども申し上げましたように、現在、学校図書館における勤務といたしましては、学校図書館事務臨時職員として任用をさせていただいているところでございます。先ほど申し上げましたとおり、臨時職員ということで、任用、その他の規定がございますので、その現状を踏まえ、より一層の充実に向けて、現在、検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆中里光夫 委員 臨時職員、アルバイトということですけれども、臨時職員であるためにいろんな問題が起こってきた、これまでもいろいろ指摘もされてきたんだと思います。現場では、やはり年間を通して、同じ人に働いていてほしいんだけれども、臨時職員ということで、短期間で人が入れかわってしまうということであるとか、年間百日ということですから、授業がある日はいつでも図書館があいているというふうにならないような現実があるということであります。
私はちょっと試算してみました。このアルバイトを非常勤職員に置きかえたらどうかと。人事課のほうにも問い合わせして確認したんですが、非常勤職員の場合、週に四日間、大体五十数週ですから、年間二百日ぐらい、一年契約で配置できると。その人件費というのもお聞きして、ざっと計算してみたんですが、全校の学校司書をアルバイトから非常勤に切りかえて、年間二百日、週四日というふうにした場合に、年間の予算に大体プラス一億円ぐらいでできるんです。大きな行革もやったという話があるわけですから、ぜひ学校の教育の充実ということで、大変重要な問題だと思います。
専任、専門の学校司書を通年配置する。いつでもあいている当たり前の学校図書館を世田谷で目指していくべきだと思いますが、今後の取り組みはいかがでしょうか。
◎伊佐 教育政策部長 既に第二次の図書館ビジョンの素案の中でも、学校図書館を充実させたいということで方向性を出させていただいています。滝渕のほうからも答弁させていただきましたけれども、今は臨時職員の日数を倍増させて、効果検証というのに取り組んでいます。
私どもといたしましては、今後のことを考えたときに、学校図書館の一層の充実に向けて、子どもの読書活動の拠点、あるいは、要するに教育活動を支える図書館機能の充実という観点で、それにふさわしい人的な措置、それが非常勤か、また別のやり方も含めまして体制づくりの検討を今しておりますので、そういった方向に向けて、今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆中里光夫 委員 アルバイトを二倍にするケースを試すとか、いろいろ取り組んでいくというお話でありますけれども、先ほど他会派からも選書の問題であるとか、コンピューターシステムの話だとか、学校図書館にかかわるいろんな仕事があると。私はやっぱりそこに専門に対応する職員をしっかり配置するというのは大事だと思うんです。臨時職員、アルバイト職員ですと、短期間で入れかえていかなきゃいけないということもありますから、ぜひ非常勤職員なども検討していただいて、充実を図っていただきたいと要望しておきたいと思います。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
次に、図書館の民営化の問題、この議会でたくさん議論されております。この民営化の問題について質問をしたいと思います。
我が党は、区立図書館は民営化すべきでないというふうに考えております。なぜ民営化すべきでないのかと。いろいろ問題点がございます。よく挙げられるのが個人情報の問題です。個人情報が守られるのかと。利用者が何をどう読んでいるのかというのは、その人のプライバシーに属する大変重大な個人情報だと。これは図書館の世界では常識であります。民間事業者が個人情報を不正使用した、こういう事例も過去起きています。カードを使って個人情報を営利のために使うようなことはないのかと。今、ネット販売などを利用しますと、購入履歴の情報が集積されていって、営業販売に活用されている、こういう問題がございます。
今、共通番号制度というのが議論をされています。税と社会保障の一体化という話でありますが、この中で、共通番号カードというのも同時につくるという話が出ております。この共通番号カード、ICカードの中に、自治体が独自にいろいろな情報を加えることができると。世田谷区が出しております資料の中で、例えばというところで、自治体の追加情報のところに図書カードというふうに書かれているんです。
皆さん、例えば図書館を民営化して、指定管理者なりなんなりして、そこの運営を丸々民間の企業なりが行うと。そういうところがこのICカードを扱って、個人情報を取り扱うわけです。それが、先ほど言ったような、漏えいするんじゃないか、営利に活用されるんじゃないか、そういう心配というのはあるんじゃないかと思います。
この共通番号は再来年一月スタートです。このカードなどの問題についても、当然、検討を進めていると思うんですが、いかがですか。
◎花房
中央図書館長 今の個人カードのことにつきましては、現在、検討してございまして、スタート時期にどうするかという、そこまでの検討にはまだ至ってございません。
それで、区立図書館では、個人情報保護の観点から、個人の貸し出し履歴は図書等が返却されれば消去する運用となっておりまして、現在、経堂図書館は窓口業務など業務の一部を民間事業者に委託して運営してございますけれども、区の個人情報保護条例等を遵守させるとともに、図書館の個人情報に関する運用の適正化についても指導を徹底している状況でございます。
◆中里光夫 委員 共通番号制度の中で――この共通番号というのも調べてみるとすごいんですね。自治体だけでおさまる話じゃないわけです。税にかかわる問題ですから、給料を払う、そして納税をする会社に番号を届け出して、税情報などをその番号で扱っていくわけです。そういう情報の中にさまざまな個人情報が加わっていくと。当然、この共通番号に――扱いでいろいろ検討するという話でもありますけれども、この図書カードを使うとなれば、当然、そういった情報もリンクしてくるというふうになるわけですが、その辺の検討状況は今どうなっているんですか。
◎花房
中央図書館長 例えば共通カードは子どもが持たなかったり、持たない方もいらっしゃるということもございますし、今、図書館利用カードで利用していただいております全体の利用状況等をこれから細かく分析して検討していかなければいけないという認識に立ってございます。
◆中里光夫 委員 ユネスコ公立図書館宣言というのがあるんです。ユネスコが出しています。公共図書館は原則無料だと、そして、地方及び国の行政機関が責任を持つんだと、それは特定の法令によって維持され、国及び地方自治体により経費が調達されなければならない、こう書かれています。そして、蔵書、サービスは、いかなる種類の思想的、政治的、あるいは宗教的な検閲にも、また、商業的な圧力にも屈してはならない、こうあります。公共図書館を考える場合の大変重要なポイントだと思います。
今日の世界共通の公共図書館の理念、これはまさに、図書館は民主主義の土台であり、地域コミュニティーの中心の施設だという強い意識があると思います。
日本でも一九五〇年に図書館法が制定され、その中で、無料の原則、専門的職員、司書の配置などの公共図書館の理念が盛り込まれています。公共図書館のサービスの目標は、いつでもどこでも誰でも、つまり、地域に住む全ての人々に知る権利、学ぶ権利を保障する、本を初めとする資料や情報を提供していく、ここに最大の役割があるわけです。そして、そのことによって、国民の社会教育活動を充実させていくということであります。
図書館の民営化で、蔵書及びサービスに商業的圧力がかかることがないのか、図書の選書や廃棄に影響が出ないのか、個人情報は守られるのか、そして、経費節減だと、安上がりの、安い人件費で働く労働者に置きかえが進むのではないか、こういうさまざまな問題が指摘されております。
公立図書館、区立図書館が目指すべきは、資料の充実、専門職が調べ物などレファレンスサービスを充実させる、そのための経験豊かな職員を配置する、地域の活動と十分な連絡をとって、その場を提供する、これが公共図書館としてのサービス……。
○あべ弘幸 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 引き続きまして、世田谷民主党、どうぞ。
◆風間ゆたか 委員 世田谷民主党の質疑を行います。
今回の
決算特別委員会では、子どもの安全対策ということをかなり重点的に私は質疑をしてまいりましたけれども、それは時間があれば、もうちょっと聞きたいことがあります。
まず初めに伺いますのは、障害に対する理解です。
先日も総括の際にお話として出したのは、神戸の長田で起こった痛ましい事件。容疑者は障害者手帳を持っているという報道もありましたし、ネットの情報では、精神障害者向けの薬の投与があったというような情報も散見したわけですけれども、そういう情報ばかりが先に流れてきますと、子どもを育てる親としては、障害を持っている方に対しての偏見みたいなものが広がっていくんではないかと不安視されている保護者も私の周りにもやはりいるわけです。そういった、単に恐れるのではなく、実際に学校現場の中にも障害を抱えている児童がいるわけですし、場合によっては障害を抱える保護者の方もいるかもしれない。そこに偏見がないように、早いうちから障害者への理解というのを行っていく役割が学校にはあるのではないかと私は思うんです。
ただ、学校現場での障害者理解の教育という観点でいくと、見た目でわかる、例えば身体障害者に対して、親切にしてあげようとか、そういうような教育は見られるわけですけれども、見た目でわからない障害、特に精神障害ですとか、場合によっては軽度の知的障害であるとか、発達障害ということに関しての理解はまだまだ進んでいないのではないかなと感じるわけですけれども、世田谷区の小中学校の現場で、保護者に対してと子どもたちに対して、障害者理解の教育はどのようになっているか教えてもらえますか。
◎齋藤
教育指導課長 学校教育の中におきましては、特別支援学級の児童生徒が通常の学級の生徒とかかわり合いながら、ともに学ぶ交流及び共同学習を進めております。ともに活動していく中で、互いの理解が深まるようにということを狙っているところでございます。また、さらに、都立の特別支援学校に在籍の児童生徒が、自分の住む地域の小中学校の児童生徒と一緒に交流し、触れ合いながら、ともに過ごす副籍制度も通して、障害理解を深めていくということを狙っております。また、保護者への理解、啓発としましては、各小学校のPTAが主催する家庭教育学級の機会なども生かして、障害について考える機会を設けている学校もございますので、こうした事例も広めながら、保護者、地域への障害理解の啓発を進める必要があるかと考えております。
◆風間ゆたか 委員 特に私が提案したいなと思うのは、家庭教育学級の――私も保護者として、PTAの委員をやっていますし、同じ委員のメンバーの中からは、発達障害に関しての勉強会をやりたいなんていう声も実際にあったりしたので、そういった関心がある保護者の方々はやっぱり自分から学ぼうという方も多いと思うんですけれども、それこそ、精神障害、知的障害、発達障害、この違いが何かもわからない保護者も結構いるのではないかなと。そういう方々が何でそういう障害を抱えることになったのかということと、そういう方たちがどういう言動をするのか。また、そういう人たちに対して、身近にいた場合に、どのように接していけばいいのか。一方で、子どもの安全対策ということを考えたときには、障害を持っている持っていないにかかわらず、やはり安全教育も子どもに対しては親としてもやっていかなければならないと思うんです。
そう考えたときに、なかなか難しい問題だとは思いますけれども、保護者向けに、学校として、例えば保護者会の一部の時間を使うだとか、そんな形で、障害者理解の機会だとか、教育の機会だとかということを特に小学校の保護者向けにできないかと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
◎齋藤
教育指導課長 今、委員お話しのように、そうした機会を設けるというのは大事なことだというふうに考えております。先ほど申し上げました家庭教育学級というのは、やるやらないというところがあるかと思うので、委員のお話にあったように、多くの人が触れる、参加できる機会の中でどのようにしていくかというのは今後また考えていかなきゃいけないかなと思います。
◆風間ゆたか 委員 ぜひより多くの保護者がそういった理解を深めていくということが重要だと思いますので、教育委員会としても検討してもらえればなと思います。
次に、中学生になると、やはり精神的にかなり不安定になってくる。不登校もふえると聞いていますし、ほかの会派からもかなりこれまでに質問、要望がありましたけれども、場合によっては、精神障害の傾向が見られる、そんな生徒が出てくるというふうにも耳にします。実際に自分が学校に行きたくなくなってしまっただとか、それが進んでいくと鬱の傾向になっていくだとか、場合によっては、それは中学校のときではないかもしれないですけれども、社会に出てから鬱の症状が出てくる若者が今大変多いと。
そうなったときに、まず、精神障害って割と誰でも気軽に自分がなり得るんだということを知っておくということ、また、そうなったときに、自分自身で考え込まないで、例えば世田谷区には「せたホッと」もありますし、そういった相談をすることから始めるだとか、精神障害に対する理解を深めるような教育、学校教育の中でそれをやっていくなんていうことも必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎齋藤
教育指導課長 お話しのとおり、中学生になりますと、大変心が揺れ動く時期だというのもあるかと思います。そうした中学生の心身の発達とか、心の健康ということは、現在では、保健体育の授業においては少し取り組んでございます。中学生のときはストレスを感じたり、あるいはストレスということが心身に影響があるというようなこととか、あるいは心の健康を保つためには、そういった不安とかストレス、そうした心の問題に対して、どのように適切に対処する必要があるのかというようなことについて、機会を設けて指導しているところでございます。
◆風間ゆたか 委員 次に、主に発達障害に関することで、いじめ対策とあわせて、発達障害に対する理解といいますか、もう一歩進めていく必要があるんではないかと私は感じていますけれども、先ほどほかの会派からもありました、特にいじめの要因はいろいろあるかと思います。ただ、最近、現場の先生たちからよく上がってくる報告でも、ちょっとした発達障害の傾向のある児童が、それこそ、いじめの対象になりやすかったりですとか、逆にいじめの加害者側になる傾向もあったりというような報告を大分受けていますし、文科省の資料なんかを見ていると、そういう傾向が大分増加してきているようにも見受けられます。
世田谷区は、いじめ対策は、今、中学生に対してはプログラムを全校で実施ということであるかと思いますが、そういったいじめの始まりというのは、もう既に小学校の低学年から始まっていたりだとか、それが指導力の不足している教員のクラスだったりすると、学級崩壊につながっているケースなんかも私は大分見てきましたけれども、小学校における発達障害の理解ですとか、いじめ対策、関連づけて何かやっているのか、また、今後考えていることがあれば教えてください。
◎齋藤
教育指導課長 今、委員がお話しのことは大変重要なことだと私も考えておるところなんですが、最初にお話がありましたように、足が不自由であるとか、目が不自由であるというようなわかりやすい、見えやすい障害についての理解というのは、小学生にとっても、小学校の教員にとっても、指導する機会ということは捉えやすい。実際問題、車椅子体験ですとか、アイマスク体験とか、そういうことでもできるところなんですが、発達障害について、小学生にきちんと理解させるというのは実際には大変難しいというのが現状と認識しておりますので、先ほどありましたように、結局は、ともに活動する中で、交流なりなんなりする中で、お互いの個性も含めて、そうしたことを理解し合って、お互いいろいろと違いもあるけれども、その違いを認め合うというような人権的な配慮なども含めて指導していくのが大事だなと思っております。(発言する者あり)
◆風間ゆたか 委員 そうですね。今、そういう聞こえてきた話でもありますけれども、やっぱりお互いを認め合うということがすごく重要ですが、現場の先生がその障害に対してきちんと理解しているということがすごく重要ですし、もう一つは、やっぱり保護者がちゃんと理解している。
私が受ける相談でも、学級崩壊の傾向にあると、その理由になった児童はこういう子なんだと、こういう子を何とかしないと、それを抑える先生の指導力不足が原因だなんていう相談を受けるんですけれども、よくよくそのクラスなんかを見に行くと、やはり発達障害の傾向のある児童が問題を引き起こしているなんていうケースをよく聞きますし、実際見るわけです。だけれども、そこはお互いが認め合うだとか、保護者として、自分の子どもに対して、どういうふうに接していったらいいかというような日ごろのコミュニケーションもやはり重要だと思いますので、大変難しい問題だと思いますけれども、教育委員会としても、今後検討して、一歩でも進めてもらえればなと思います。
最後に、安全対策というところで一つ確認しておきたいのが防災訓練です。特に引き取り訓練について、総括でも少々話を出しましたけれども、先日、
文教常任委員会で視察した際には、土曜日に防災訓練を学校で行っていて、見事に皆さん引き取りに来ていて、その直後に台風があって、スムーズに引き取りができたというようなお話を伺っていて、ぜひ世田谷でもそうあってもらいたいなと思うわけです。
私が保護者として前回行ったのは平日だったんですけれども、やっぱりまばらだったので、何とか土曜日でより多くの保護者が引き取り訓練に参加できるような環境をもうちょっとつくっていけないかなと思いますけれども、現状と今後の展望を教えてください。
◎滝渕 副参事 社会状況の変化などから、平日に子どもの通う学校の引き取り訓練に参加することが難しいという保護者の方がふえているという実態も踏まえ、引き取り訓練の実施につきましては、日程を含めて工夫することが必要であると認識しております。
これまで多くの学校では、九月一日の防災の日に引き取り訓練を行ってまいりましたが、東日本大震災以降、各家庭への周知や連絡体制の確立を新年度のできるだけ早い段階で行う必要性があるというところから、現在では、半数以上の学校で一学期の土曜日に設定するようになってまいりました。
教育委員会では、子どもの安全確保を最優先に考え、非常時に保護者に子どもを確実に引き渡すことができるよう、各学校の引き取り訓練の実施状況を把握しながら、実施方法などを含め、さらに検討してまいりたいと考えております。
◆風間ゆたか 委員 よろしくお願いします。
中村委員に交代します。
◆中村公太朗 委員 本日、最後になりますが、今話題になっています図書館の民営化について、僕も議論に参加をしていきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず確認したいんですけれども、この間の議論を聞いていますが、民営化をする方向だということでよろしいんですね。
◎花房
中央図書館長 第二次図書館ビジョンの素案でもお示しいたしましたように、計画的に進めてまいりたいと考えてございます。
◆中村公太朗 委員 これだけいろんな観点からの意見があって、変えなきゃいけないよという中で、硬直化したこれまでの行政目線からではない、民間のいろんなノウハウを含めた改革というのは必要だろうなと思っていますし、期待をしています。
ただ、一方で、よく例に出てきますけれども、武雄だったりとかのCCCを使ったものというのは、それをそのままパッケージとして世田谷でできるかというと、あくまでそれはその地域の実情に従ったパッケージなんだろうなと、それは世田谷に当てはまらないんじゃないかなという懸念はあるんです。
端的に言えば、来館者は三・六倍にふえました。一方で、貸し出し図書数は一・六倍です。経済効果がすごいですよと。これまで、これからオープンするところも含めて、今、六自治体がCCCと一緒に共同して図書館をやるということになっていますけれども、はっきり言って、観光地化をしているような感も否めないわけです。それは恐らくその当自治体にとってはメリットなんだと思います。ただ、一方、それは世田谷に当てはまるのかといえば、そうではないだろうなと思うんですよね。
だから、もちろん民営化、民間の力を使って、よりよい魅力的な図書館をつくっていくことは重要だし、やっていかなければいけない一方で、話題になることを――話題って、いい意味で話題になることもあると思うんですけれども、宣伝効果で、結局、区外の人が来たけれども、世田谷区は別にほかに観光地があるわけでもないので、経済効果も上がらないよということになってしまってはいけないと思うわけです。やっぱりそこはあくまで世田谷区民のサービス、利用者の便利になっていかなければいけないということだと思うんですけれども、まず民営化をするに当たって、何を目的にしていくという観点なのかを伺います。
◎花房
中央図書館長 区立図書館への民間活力の導入につきましては、素案でお示ししましたとおり、区民の多様化するニーズを的確に捉え、図書館サービスの向上や効率的で持続可能な運営を行っていくことを目的にしてございます。
◆中村公太朗 委員 もうちょっと明確に言ってもらいたかったなと思いますが、とにかく見るべき方向というのは区民の利用者であって、これまで以上の多くの区民に本を借りてもらう。そして、今借りている人に対しても、もっと多くの本を読んでもらうということが第一目的なんだろうなと僕は思っていますので、その観点からいろいろと注目をしていきたいなと思っています。
また、もう一点だけ。これはまだ民間業者の委託先も決まっていないので、何とも答えづらいと思うので、指摘だけしておきます。武雄の例ばかりとって恐縮なんですが、あれは初年度赤字なんですよね。五千万円の赤字です。一億一千万円の委託料で、実際は一億六千万円かかって、五千万円の赤字。これは武雄で言えば、市ではなくてCCCが負担をしたということですけれども、これが恒常化していくと、追加で補正予算で入っていくというようなことも、これまでの行政体質からするとあり得るかなという気もしているので、がやがや館の例もありましたが、余り安い中で、後から追加で結局高くついちゃったよみたいなことも懸念としてはあるので、そういうことが絶対ないような形で、民間委託をする際の検討材料にしていただけたらなと、これは指摘をしておきます。
時間もないので、きょうは一つだけ提案をしたいなと思っています。区民の利用者が便利に使うということを視点に入れた中で、一つ、宅配サービスをやったらどうかなと思っています。ツタヤ、CCC、武雄の例で言えば、五百円払うとどこでも返送可能なバッグを一緒にもらって、買ってというんですか、それに入れて送り返すことができると思うんです。
いろいろと図書館の本を借りる人――世田谷区って結構裕福だから、買えちゃうじゃないと言う人もいるんですけれども、聞いたら、お金がなくて買えないよという人もいますが、実際、世田谷区でたくさん本を読む人って、読み過ぎていて、家に買っていったらとんでもない量になってしまうと。家が傾くんじゃないかじゃないですけれども、本当にそれだけすごく読むハードユーザーの方もいらっしゃる中で、やっぱりすごく大量に借りていくと。ただ、予約が、今度十一月から十五冊になりますが、仕事を一方でしていると、予約したものをとりに行けないことも多いということで、それがあれば、より本を借りられるんだろうなという声をいただきました。
開館時間の延長という問題もありますけれども、それは単純に人件費が多分かかっていくと思うんですよね。着払いに関しては、この部分を――本来は、今目指しているのは、運営自体を民間委託していくんだと思いますが、将来的にはそれでいいと思いますけれども、そこから派生するサービスの一つでいいと思いますが、宅配すること、サービス自体だけでも切り分けて民間委託できるんじゃないかなと思っているんです。もちろん着払いですから、区の負担はありません。数百円払って、借りる人がいるかいないかの問題だと思いますが、潜在需要は僕はあると思っていますので、いずれにしても、リスクがない中で、導入してもいいんじゃないかなと思っています。
世田谷区に限定をすれば、小さい範囲の中で多くの配達をするということは単純にコストも下げられますから、恐らく配達、着払いの金額自体も相当安価に、武雄の例はヤマトが多分提携しているんですけれども、もうちょっと小さな、それこそ区内業者でもいいのかもしれませんが、提携したら安くできるんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
◎花房
中央図書館長 現在、区立図書館では、委員お話しの配送サービスは行っておりませんが、障害者や図書館の利用が御不自由の区民の方に対しまして、職員による御自宅への配本サービスを実施しております。昨年度は七百件の御利用がございました。
教育委員会としては、これからの図書館サービスは、お話しのように、これまで以上に効果的かつ効率的な観点からの検討が求められていると考えております。今後も、できるだけ図書館に足を運んでいただけるよう、御提案も含めまして、開館時間の延長やその他もあわせて、第二次図書館ビジョンの策定の中で具体の検討をしてまいりたいと考えてございます。
◆中村公太朗 委員 僕はいろんな議論があると思いますし、この図書館ビジョンの中で、コミュニティーの核にしていくと書いてある、それは結論としてそうなればいいなとは思いますよ。ただ、余りにいろんな機能、目標を掲げて、そもそもの目標、目的自体が達成されないのであれば、それは本末転倒だと思っていて、まずは本をいかに借りやすくして、いかに数を回転させていくか、読んでもらうかということがまず第一義的で、その上で、さらにスペースとして、図書館に足を運んでもらえて、コミュニティーが、ほかの活動もできてみたいなことはプラスアルファであってもいいとは思いますが、やはりまずは本を。
今、眠っている本も多いわけですよ。世田谷区はすごく本があるじゃないですか。回っているのは多分その一部だと思います。それを利用者が、借りたいなと思う人がいかに借りやすくしていくかということ、いかに本を回転させていくか、役立たせていくかということですよ。眠っていたら、その財産は何の意味もありませんから。ということをまず第一に考えて、この宅配サービスというのをぜひやったらいいと思うんですよね。少なくとも借りる本の数はふえると思いますよ。この構想がうまくいけば、世田谷区もリスクはないんですよ。ぜひ検討していただきたいと思います。
最後に、教育長、どうですか。
◎堀 教育長 おっしゃるように、図書館に対してはいろいろ要望をいただいておりますので、頭がいっぱいになりますが、できるだけ効率的な、区民の皆さんが利用しやすい、借りやすいというんでしょうか、それを基本にしていきたいと思っております。
○あべ弘幸 委員長 以上で世田谷民主党の質疑は終わりました。
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○あべ弘幸 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後五時二十七分散会...