世田谷区議会 2009-10-07
平成21年 9月 決算特別委員会-10月07日-05号
平成21年 9月
決算特別委員会-10月07日-05号平成21年 9月
決算特別委員会
平成二十一年
決算特別委員会
決算特別委員会会議録第五号
日 時 平成二十一年十月七日(水曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十六名)
委員長
大場やすのぶ
副委員長 岡本のぶ子
副委員長 中里光夫
石川征男
上島よしもり
小畑敏雄
宍戸のりお
下山芳男
菅沼つとむ
鈴木昌二
畠山晋一
山口ひろひさ
飯塚和道
市川康憲
杉田光信
高久則男
高橋昭彦
平塚敬二
諸星養一
稲垣まさよし
上杉裕之
風間ゆたか
重政はるゆき
すがややすこ
中塚さちよ
中村公太朗
西村じゅんや
藤井まな
岸 武志
桜井 稔
里吉ゆみ
村田義則
桜井純子
竹村津絵
山木きょう子
吉田恵子
大庭正明
小泉たま子
田中優子
唐沢としみ
羽田圭二
木下泰之
あべ力也
上川あや
ひうち優子
青空こうじ
出席事務局職員
議事担当係長 渡部弘行
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出席説明員
副区長 平谷憲明
世田谷総合支所
副支所長 池田 洋
生活支援課長 兎澤幹雄
保健福祉課長 髙木景一
健康づくり課長
上田仁志
北沢総合支所
副支所長 霜村 亮
生活支援課長 藤井栄次
保健福祉課長 加藤政信
健康づくり課長
畠山明美
玉川総合支所
副支所長 根津典史
生活支援課長 平井信和
保健福祉課長 伊藤美和子
健康づくり課長
松本加代
砧総合支所 副支所長 吉村靖子
生活支援課長 吉岡郁子
保健福祉課長 進藤達夫
健康づくり課長
大和田俊夫
烏山総合支所
副支所長 齋藤洋子
生活支援課長 渡邊裕司
保健福祉課長 鈴木 勲
健康づくり課長
池﨑 隆
保健福祉部 部長 佐藤健二
計画調整課長 永井 努
指導担当課 安水もと子
保健医療担当課長
田中文子
障害施策推進課長
山本登江子
障害者地域生活課長
金澤弘道
国保・年金課長
鶴見正子
保険料収納課長
清水昭夫
地域福祉部 部長 堀川雄人
地域福祉課長 木谷哲三
高齢福祉課長 松本公平
介護保険課長 石橋久哉
介護予防・地域支援課長
澁田景子
生涯現役推進課長
新保 信
子ども部 部長 藤野智子
子ども家庭支援課長
岡本逹二
児童課長 平澤道男
保育課長 工藤郁淳
要
支援児童担当課長
小堀由祈子
副参事 岩渕博英
世田谷保健所 所長 上間和子
副所長 松田隆夫
参事 木村博子
健康企画課長 幸田雅夫
健康推進課長 上村 隆
生活保健課長 淺見一雄
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本日の会議に付した事件
認定第一号 平成二十年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定
認定第二号 平成二十年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第三号 平成二十年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定
認定第四号 平成二十年度世田谷区
老人保健医療会計歳入歳出決算認定
認定第五号 平成二十年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第六号 平成二十年度世田谷区
中学校給食費会計歳入歳出決算認定
(
福祉保健委員会所管分に対する質疑)
────────────────────
午前十時開議
○
大場やすのぶ 委員長 ただいまから
決算特別委員会を開会いたします。
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○
大場やすのぶ 委員長 本日は、
福祉保健委員会所管分の決算審査を行います。
それでは、質疑に入ります。
日本共産党、どうぞ。
◆中里光夫 委員 おはようございます。それでは、日本共産党の質問を始めさせていただきます。
きょうは、まず最初に、保育の問題について質問をしたいと思います。
産休明け保育を区立保育園でも実施せよということを六月議会で質問してきました。法律が保障する産休は出産後七週間、五十六日であります。育児休暇がとれないという条件の場合、五十七日目から保育が必要になってまいります。現在の保育待機児の世田谷の現状では、年度途中からの入園というのはまさに絶望的であって、育児休暇をとれたとしても次の四月まで待てないというふうになれば、五カ月未満でも四月の時点で入園をさせなきゃいけない、こういう現実があります。
私は、六月の質問のときにも述べましたけれども、調べてみますと、都内二十区の区立保育園で
産休明け保育を実施していました。残りの二区はゼロ歳児保育そのものを行っていませんでした。ですから、区立でゼロ歳児保育を行っているのに産休明け、五十七日目からの保育を行っていないというのは、二十三区を見渡すと世田谷区だけということになっています。しかも北沢地域は、私立の認可園も含めて産休明けを実施している園がゼロです。北沢地域では、五カ月未満の子どもは認可園を選べない、選択できない、こういう事態になっています。北沢地域の
産休明け保育ゼロを直ちに解決、解消していくべきだし、そのためにも、まず、区の責任で区立保育園で
産休明け保育を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◎工藤 保育課長 ゼロ歳児の
産休明け保育につきましては、現在、
私立認可保育園の分園を含めまして十六園で実施をさせていただいております。また、生後七週から九週以降の早期ゼロ歳児の受け入れにつきましても、保育ママ、保育室、認証保育所の計八十三カ所で実施をしております。北沢地域でございますが、お話のとおり、現在ゼロ歳児の
産休明け保育を実施している園はございませんが、来年四月には民営化されます松原保育園での実施を予定しております。ゼロ歳児の早期受け入れにつきましては、新設される私立の認可保育園ですとか、分園、あるいは園の運営状況を考慮いたしまして、こういった施設に働きかけをしていきたい、そのように考えているところでございます。
◆中里光夫 委員 松原で始めるということで、ゼロは解消されそうなんですが、そもそも松原保育園は区立保育園だったわけで、区立保育園としてやっていくべきだと思いますし、この松原保育園を始めたとしても、北沢地域では
産休明け保育はたったの一園ですよ。広い地域の中で、私は代田に住んでいますけれども、例えば私の家から松原に通う、預けるということになると現実的ではないわけですね。ですから、さらにふやしていく必要があるし、そのためにも、私立にやらせるというのではなく区立でやるべきだと思いますが、いかがですか。
◎工藤 保育課長 現在実施している状況としましては、早期のゼロ歳児は区立では受け入れていないという状況があるわけですけれども、今後そういったニーズがあることも十分承知しておりますので、なるべく早くそういったニーズにこたえていく上でも、現在実施をしている私立園を中心にサービスの拡充を図っていきたい、そのように考えているところです。
◆中里光夫 委員 先ほど言いましたように、二十三区を見渡してみますと、世田谷以外の区ですけれども、ゼロ歳児保育をやっている多くの区立保育園で産休明けをやっているわけです。ゼロ歳児保育を現在やっているところから産休明け早期ゼロ歳児保育をやるということに対して、そんなに高いハードルがあるとは思えないんですけれども、なぜ世田谷区はやらないんですか。
◎工藤 保育課長 世田谷区の区立保育園では、基本的には五カ月ということでゼロ歳児を受け入れさせていただいているところですけれども、ご指摘のようなニーズにこたえていくことも、また一つ行政課題かなと認識しております。
開設当初では、例えば分園などでも、ゼロ歳児の早期というのはいきなりは開始できない、それは実際に保育をされている事業者の生の声でもあります。そういったケースでありましても、本園ではそういった受け入れをしているような場合につきましては、先々は早期のゼロ歳児保育も拡充していけるケースもあろうかと思いますので、そういったニーズについてはしっかりと伝えて、拡充の努力をさせていただきたい、そのように考えております。
◆中里光夫 委員 拡充の努力、検討するということなので、ぜひこれは積極的に推進してください。世田谷の保育園は区立保育園が一番数が多いわけですから、ここが担う役割は大変大きいと思います。
それでは次に、認可保育園の分園について伺っていきたいと思います。
この間、昨年までは大体毎年、認可保育園の分園を年に一つ三十人程度のものをつくるというようなペースで来ましたけれども、ことしに入って、一次補正、二次補正の中でたくさん保育園を新設する。その大部分が認可保育園の分園という形式をとっているようです。補正予算の予算書を私ももう一度見直してみましたけれども、一次補正のときは認可保育園の本園が一園、分園が三園、今度の補正予算のときは、分園ばかり五園となっていたようです。これまでは一園三十人程度のものだったんですが、ことしからは、規模も五十人から百人と随分大規模なものにもなってきている、今挙げたものだけでも五百人近くが分園でということになるようですけれども、このような認識で間違いないでしょうか、確認したいと思います。
◎岩渕 子ども部副参事 今おっしゃるとおりの予算で分園を進めております。
◆中里光夫 委員 新しい保育園ができる。その大部分が認可保育園の分園というふうにことしになって進んでいるということです。では、本園と分園で何か違いがあるのかというのが私は疑問に思いまして、調べたり、皆さんに聞いたりして確認していきたいと思うんですけれども、伺いましたら、認可保育園の分園というのは国の要綱で定められているようなんです。
その設置の目的のところには、「認可保育園の設置が困難な地域における保育の実施」と書かれています。原則は三十人未満だと。しかし、本園と一体的な運営ができれば三十人以上も可能だというただし書きがあります。それから、本園から通常の交通手段で三十分以内にあること。嘱託医や調理員は置かないことができる、置かなくてもよい。調理室や医務室も設けないことができるということのようなんですが、これは間違いないですか。
◎岩渕 子ども部副参事 分園の管理運営につきましては、本園の園長のもと、本園と一体的に施設運営を行うものとされております。面積や職員配置等につきましては、いわゆる最低基準につきまして本園と分園の差異はございませんが、いずれも基準を満たす必要があります。
委員おっしゃるように、一体的な運営があることを前提として、違いとしましては設備面で、調理室と医務室は分園では設けないことができるということや、職員配置につきましても、嘱託医及び調理員につきましては分園に置かないことができるとされております。しかしながら、区といたしましては、本園、分園の別によらず、保護者の皆様が安心してお子さんを預けられる保育を整備することが重要と考えておりまして、調理室、医務室等の設置につきましても、運営法人とも相談しながら、適切な保育環境の整備に努めてまいります。
◆中里光夫 委員 制度上違いが許されていて、分園という形式をとれば、普通に認可保育園の本園をつくるときよりも法律上の規制が緩くなっているということなんだと思います。特に人員配置であるとか、設備であるとか、こういうところで大きな違いがあるんだなということですけれども、ここで一つ確認したいんですけれども、なぜ世田谷区は分園による整備をこんなにも進めているのか、その理由を教えてください。
◎岩渕 子ども部副参事 分園を中心といたしました整備ということでございますが、このような待機児童が急増している現状に対しまして、第一にスピーディーに開設できるということが挙げられます。区内で認可保育所の運営実績のある法人を運営主体といたしますところから、新たな認可手続というものは必要といたしません。そのため、東京都に既に認可されている園の内容の変更と分園の設置ということで開設手続は完了いたしますので、法人の開設事務の負担も軽くするということが可能となっております。
一方、第二点目としまして、長期的には、本園に比べて将来的な就学前人口の減少に柔軟に対応できるという点がございます。将来、人口減少により恒常的な欠員が生じた場合、分園を本園に吸収することも一つの選択肢ととり得るため、このような状況に対しまして運営法人といたしましても、長期的な視点から経営の安定化にも資するというふうに考えております。
◆中里光夫 委員 通常、新たに認可するよりも手続上早くできるということのようですけれども、通常の場合と比べて、具体的にどのぐらいの期間が短縮されるんですか。
◎岩渕 子ども部副参事 申請自体は大きくは変わらないんですが、事業者選定等々を考えると、本園の場合にはトータルで一年半、あるいは二年程度の整備の期間を考えておりますが、分園につきましては、今回やっている例をかんがみますと、七、八カ月で整備を進めていくというような状況かと考えております。
◆中里光夫 委員 今回のように、待機児を一刻も早くという要求が非常に強い中で速くやるというのは大変重要だと思いますけれども、もう一つの、将来的人口が減ってきたときに云々というのがありましたけれども、そこをもうちょっと詳しく教えてください。
◎岩渕 子ども部副参事 将来的にお子さんの人口が減少した場合、分園につきましては、職員さんだとか、その配置を本園に吸収するというような考え方もということで、先ほどお話しした内容でございます。
◆中里光夫 委員 ということは、分園を廃止しやすいんだという意味ですか。
◎岩渕 子ども部副参事 将来的に、そういう選択肢もとることが本園に比べて容易だという意味でございます。
◆中里光夫 委員 そうしますと、区が今回分園の手法をとっているのは、一つは手続として早く進められる。もう一つは、将来簡単に廃止できるということでよろしいんですかね。
◎岩渕 子ども部副参事 将来的には畳みやすいといいますか、そういう時期に対して柔軟に対応できるというふうな回答でございます。
◆中里光夫 委員 そうしますと、長いこと使わないんだという思いでつくっているんじゃないかというのが少し心配されるところなんです。現在つくっている分園は、どういう基準やどういう姿勢で区がつくっているのか確認したいと思うんですけれども、まず一つは、先ほど人員配置や設備の面で、本園よりも規制が緩いというお話がありましたけれども、実際、今設置されたもの、それから、これから設置されようとしているものの施設長であるとか、看護師であるとか、栄養士とか調理師、こういった人員配置を通常の認可園と同様に配置させるということなのかどうなのか、そこを確認したいと思います。
◎岩渕 子ども部副参事 例えば今分園で進めております中でも、運営についての提案をいただきまして、本園と分園の距離がそれなりにあって、完結型といいますか、ゼロ歳から五歳ですと、例えば千歳台などでも看護師、栄養士、調理師をつけるという形で人員配置をしております。
◆中里光夫 委員 そうすると、今後設置するものも、そういった人員配置は認可と同じにする、させるということでよろしいんですか。
◎岩渕 子ども部副参事 整備の選定に当たっては、そのような条件を区としても働きかけながら進めさせていただきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 条件を働きかけながらというのがちょっとあいまいな感じなんですけれども、その条件を満たさなければだめだという姿勢で臨むということですか。
◎岩渕 子ども部副参事 本園と分園の距離にもよろうかと考えておりますが、例えば至近ですとやはり連携が深まる。ただ、距離的にある程度独立したものにつきましては、このような形での質を担保できるような条件で進めていくということでございます。
◆中里光夫 委員 近くに本園、分園がある場合は融通してもらうということのようですけれども、至近というとどのぐらいを考えていますか。
◎岩渕 子ども部副参事 今の基準では、通常の交通手段で三十分程度という形はございますが、行政区で同じ地区に配置されているという形であれば、そこら辺は至近かというふうに考えております。
◆中里光夫 委員 同じ地区ですか、
まちづくりセンターの単位ということですか。
◎岩渕 子ども部副参事 境界をまたぐこともあろうかと思いますが、今現在でも、分園の選定に当たりましては、そこら辺の距離につきまして十分動線を考えまして、交通手段だけではなくて、動線も含めての考えでございます。おおむねは、行政区で言うと地区レベルかなと考えております。
◆中里光夫 委員 それから、職員の配置基準であるとか面積の基準は本園と同じだというようなお話だったと思いますけれども、もう一度そこを確認したいと思うんですけれども。
◎岩渕 子ども部副参事 最低基準等々につきましては、本園、分園は同じ基準でございます。
◆中里光夫 委員 国の基準だけじゃなくて、都加算であるとかいろいろ加算の基準があると思うんですが、そこはきちんと完全に守るということですね。どうですか。
◎岩渕 子ども部副参事 質の担保ということにつきまして、そこら辺の基準を遵守するということでございます。
◆中里光夫 委員 それから、先ほど、将来畳みやすいという話がありましたけれども、例えば十五年から二十年もてばいいみたいな話が出ているやに、私も小耳に挟みまして、建物も軽量鉄骨を使った比較的早くつくれる建物だということなんですが、十五年から二十年もてばいいと、そんなことでつくっているんですか。
◎岩渕 子ども部副参事 分園につきましては、原則的に建物の構造として軽量鉄骨を使わせていただいております。軽量鉄骨の耐用年数は、肉厚にもよりますが、大体三ミリ程度で二十二年、三ミリから四ミリだと三十年程度ということで、おおむね二十年程度というふうに考えておりますが、機能的な面を申し上げますと、外観、内装、耐震性など、十分保育の質に耐え得るものかと考えております。
これまでもそういう形で軽量鉄骨を使った分園整備を進めておりますが、現状では、その点で支障を来しているというような問題点は生じていないと聞いております。
◆中里光夫 委員 鉄骨づくりといいますと、私は思い出しますのが、小学校の校舎の建てかえで、赤堤小学校の建てかえのときに、従来の鉄筋じゃなくて鉄骨に変わるということで父兄の方から大変心配の声が出されたといったことがあったんです。そのとき父兄の皆さんが心配していたのは、学校の場合ですけれども、鉄骨だと音が響くだとか、学校の環境としてふさわしくないんじゃないかみたいな心配があったということなんですね。そのとき、教育委員会の施設課の話ですと、防音であるとか、振動であるとか、耐震を十分にやるから大丈夫なんだということを盛んに言っていたのを思い出すんですけれども、そういった点についての対策はやっているんでしょうか。
◎岩渕 子ども部副参事 設置につきましては、設置の基準を遵守するということを申し上げた次第ですが、また、実際にことし至近で設立したものにつきましても、騒音対策等々、現場へ行っても、二階の音が、揺れてということはないと聞いております。また、それはお子さんの重量にもよるということだとは思うんですが、そこら辺の揺れはないと考えております。そういう面で、軽量鉄骨といいましても、単なるプレハブとは違って、それなりの品質を確保していると考えております。
◆中里光夫 委員 実は私、先日あるところを見せていただいたんです。確かに新しいところで設備も整って非常にきれいで、使い勝手もよさそうだったんですけれども、この軽量鉄骨ということがあったもので、私はちょっと気にしていたら、ちょうど給食の時間で子どもたちはおとなしかったんですけれども、少し歩いたり、走ったりというとポコポコ天井から音がするような状況もあったなということで、やはり今後そういった点を配慮していく必要があるんじゃないかなというのを感じました。
それから、寿命が二十二年から三十年ということですけれども、最初に言ったように、ことしだけで五百人分ぐらい保育園をつくっているわけですね。大量につくっているわけですけれども、これが二十年から三十年たったらみんな寿命になるということでは、もっと先を見通したやり方というのはできないものだろうかと。建築の早さとか、そういう点で違いが相当あるんですか。
◎岩渕 子ども部副参事 区といたしましては、必要な箇所に、委員がおっしゃる分園だけではなく本園の整備等についても計画してまいるつもりでございますので、分園の構想については先ほど申し上げたつもりですが、本園、分園バランスよく整備を進めまして、保育の質を確保しながら整備についても進めさせていただきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 今、本園、分園バランスよくということをおっしゃっていたんですけれども、私はそれは本当に大事だと思うんです。将来畳みやすいということで、二十年、三十年の寿命の建物を今どんどんつくっていくということだと、将来ちょっと心配だと思うんですね。将来子どもが減って、保育需要が劇的に下がっていくようなことが本当に起こるのかということを私はちょっと考えてみたいと思うんです。
ほかの所管ですけれども、ワーク・ライフ・バランスの計画も今つくっていますけれども、やはり働き方、そして生活の仕方というのはこれから大きく変わっていくと思いますし、保育に欠ける子だけじゃなくて、保育が利用できるようにしようという流れもありますし、そういう中で、単純に今目の前のことだけを見て、将来は需要が減るんだということじゃないと思うんです。とにかく今目の前の待機児を解決するために手っ取り早い方法をというような気がしてならないんですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
◎岩渕 子ども部副参事 子どもの視点から、保育の施設サービス、施設整備についても、そのような形で拙速ではなく取り組んでいるつもりですので、ご理解いただければと考えております。
◆中里光夫 委員 子どもの幸せを第一に考えるというのが、世田谷区も子ども条例がありますし、子どもの権利条約などもありますし、そこは大事だと思うので、しっかりやっていただきたい。
それから、来年は千二百人以上の整備をするという計画のようですけれども、これも分園中心ということになってくるのでしょうか。
◎岩渕 子ども部副参事 現在、予算査定で進めておりますが、これにつきましては本園、分園取りまぜて、あらゆる手法を考慮して計画を進めていくものでございます。
◆中里光夫 委員 やはり分園は比較的手続が短くできるということで、緊急避難的なものだと思うんです。今つくっている子ども計画後期計画だと、今後四千人分定員をふやしていくということですから、これは認可保育園の本園を中心に整備していくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎岩渕 子ども部副参事 分園の件につきましては、そのバランスを考慮しまして整備計画を進めさせていただきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 では、次の質問に移りたいと思います。代表質問で、新型インフルエンザ対策として国民健康保険の資格証や短期証の方に、早急に保険証を送付すべきだということを質問いたしました。これは私たちかねてから主張してきたんですけれども、この代表質問に対して、保健福祉部長はこんなふうに答弁しています。強毒性を想定した世田谷区新型インフルエンザ対策実践計画・地域医療確保計画(素案)において、優先事業に被保険者の資格及び被保険者証に関することを示しております。ご指摘の点は、その中で対応することを想定しておりますと、こんなふうに答弁をしているんです。意味がよくわからないんですけれども、これは強毒性のインフルエンザが発生したら保険証を送付するという理解でよろしいんでしょうか。
◎鶴見 国保・年金課長 今、委員お話しのとおり、強毒性を想定いたしました新型インフルエンザ対策実践計画・地域医療確保計画(素案)でございますけれども、この中で保険証の交付は区民の健康と生命を守るための事務事業として位置づけまして、優先事業に被保険者の資格及び被保険者証に関することを示させていただいております。転入や社会保険の離脱などによりまして国民健康保険に加入された場合の被保険者証の交付を始めまして、資格証の交付者への対応もこの中で想定をしております。
◆中里光夫 委員 よくわからなかったんですけれども、強毒性を想定した計画の中で、保険証に関する事務を優先的に行う必要がある、それは当然だと思うんですが、私たちが質問しているのは、資格証や短期証で手元に保険証がない人が速やかに医療機関に行けるように保険証を手元に送るべきだということを言っているんですね。送るかどうかということを、強毒性になったときに検討するということなんですか。
◎鶴見 国保・年金課長 今回の新型インフルエンザにつきましては、この間受診抑制につながることのないよう案内文を送付するなど、丁寧な対応を図ってまいったところでございます。委員のご指摘の件につきましては、強毒性を想定した中で対応してまいりたい、このように考えてございます。
◆中里光夫 委員 強毒性を想定した中で検討するということですけれども、そうしますと、強毒性のときには手元に保険証を送って配慮しなければいけないけれども、今は弱毒性だからそこまでやらなくてもいいというふうにも聞こえてしまいます。しかし、弱毒性だから医療機関にかからなくてもよいということにはならないと思うんです。今の新型インフルエンザでも、弱毒性とはいっても死亡者も出ています。報道もされています。弱毒性だとたかをくくって医療機関を受診しないということがあると、どんな危険が想定されるでしょうか。新型インフルエンザで医療機関にかからなかった場合どうなるか。
◎木村 世田谷保健所参事 今回の新型インフルエンザに関しまして、症状につきましては多くの方が軽症で終わっているところでございます。中には重症になられる方もおりますけれども、主には基礎疾患をお持ちの方が多いので、基礎疾患をお持ちの方はなるべく早く受診されることをお勧めしているところでございます。
◆中里光夫 委員 基礎疾患がない方でも亡くなっているような例が報道されていると思いますけれども、医療機関に行かなくてもいいということなんですか。それは自分で判断できるということなんですか。
◎木村 世田谷保健所参事 行かなくていいということではもちろんございませんで、その方のご症状の中で重篤といいますか、速く進行するような場合にはもちろん早く受診されることをお勧めしているところでございます。中には発熱して翌日には下がってしまう方もいらっしゃいますので、そういう方の場合は、ご本人のご判断の中、あるいは保護者のご判断の中で様子を見て、ご自宅でご療養できる方も中にはいらっしゃるかと思います。
◆中里光夫 委員 確率の問題といいますか、大したことなく済む場合もあるけれども、危険な状態になる場合もあるし、様子を見ながら判断ということもあるかもしれないですけれども、でも、現に亡くなっている方もいるわけですね。ですから、弱毒性だからといって大丈夫だろうなんていうことになったら大変なことになるんじゃないかと私は思うんです。
先ほど、短期証の方や資格証の方に今回は通知を出している、だから大丈夫だというお話もありましたけれども、そもそも保険証がなくて医療機関に行かないというのは、お金がかかると思うからなんですね。保険証がなくて医療機関にかかれば、医療費十割を窓口で払わなきゃいけないと思うから足が遠のくわけです。たしか資格証の人は三割負担でいいという措置が今回とられていて、発熱外来に来た場合は大丈夫だという通知を五月の時点で出していたと思うんですが、今対応が発熱外来ではなくなっていますよね。現在も資格証の方は三割の負担で大丈夫なんですか。
◎鶴見 国保・年金課長 現在、資格証明書をお持ちの方につきましては、一たん医療費の十割を支払っていただきます。そのうちの保険負担分については、申請していただきますと、特別療養費としまして後日給付をさせていただいております。
◆中里光夫 委員 現在は、資格証の方は、インフルエンザだと思って医療機関に行ってもまず十割払わなきゃいけないということなんですか。
◎鶴見 国保・年金課長 そのとおりでございます。九月二十五日に東京都よりインフルエンザの流行注意報が発令されたために、同日付で資格証明書を交付している世帯の方について、私どもで医療機関受診の方法等についてのご案内文書をお送りしたところでございます。
◆中里光夫 委員 短期証で手元に届いていないという場合はどうなるんですか。
◎鶴見 国保・年金課長 短期証で手元に届いていない方につきましても、保険証の資格はございます。保険証は、国民健康保険に入っているということの証明書ですので、もちろん保険証を提示して医療機関にかかるのが原則でございます。ただし、緊急やむを得ない事由によりまして保険証を提出できない場合によりましては、受診することは可能であると認識してございます。
◆中里光夫 委員 その緊急やむを得ない場合ということですけれども、七月に短期証の方に送った文書を私も読ませていただきましたけれども、この中には、医療機関にかかったら保険証の提出が必要ですが、緊急やむを得ない場合は云々かんぬんで受診できますという文章なんですね。これだと、やっぱり窓口で十割負担しなきゃいけないのか、それとも三割で負担するのか、こういうのがわからないと思うんです。それから、資格証の人は一たん十割負担しなきゃいけないというふうに戻ったということなんですけれども、やはりそういう心配があると医療機関への足が遠のくといいますか、受診抑制につながるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
◎鶴見 国保・年金課長 私ども、受診抑制につながらないような形でこれまで丁寧にご案内を送付するなどの対応を図ってまいりましたので、当面、引き続きこのような対応を続けていきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 では、なぜ強毒性のときは送付することを検討するんですか。受診抑制につながるからじゃないんですか。
◎鶴見 国保・年金課長 強毒性の場合には、緊急事態でございます。また、職員につきましても、出勤体制が約六〇%ということも見込まれておりますので、そのような中で最善の方法をということで想定してございます。
◆中里光夫 委員 なぜ緊急事態だと保険証を送付するというふうに検討の対象になるんですか。受診抑制になると考えるからじゃないんですか。
◎鶴見 国保・年金課長 今回の新型インフルエンザにつきましては、感染力は強いものの、季節性インフルエンザと同様に弱毒性でございます。現在、社会活動や区民活動に大きな影響を及ぼすまでには至っておりません。現在のところは、このように受診抑制につながることのないようにご案内を丁寧にお送りするなどの対応で続けていきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 通知をすることで受診抑制につながらないとはっきり言えるのであれば、強毒性だってそれで済むという話じゃないですか。しかし、強毒性の場合は緊急事態だということでそれを検討すると。新型インフルエンザは通常の季節性と同じだと言いますけれども、場合によっては命を落とす病気だからこそ、これだけ世界じゅうで大騒ぎしているわけじゃないですか。だから、この問題は弱毒性だから大丈夫というふうには決して言えないし、強毒性、弱毒性にかかわらず速やかに医療機関に受診してもらうためにも、保険証を手元に届けることは必要じゃないかと思います。早急にそれを行うべきだと思いますが、いかがですか。
◎鶴見 国保・年金課長 現在のところは、委員お話しのような対応は考えてございません。
○大場やすのぶ 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
────────────────────
○
大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク、どうぞ。
◆桜井純子 委員 生活者ネットワークの福祉保健分野の質問をさせていただきます。
まず初めに、母子家庭への支援についてお聞きいたします。
先日、区内の母子生活支援施設を視察してまいりました。ここの施設では、精神科医の方の相談が施設内で受けられるなど、母子双方のメンタル的なケアも手厚く、子どもの学習支援を行ったり、月に一度でしたけれども、お料理の企画があったり、住まいの確保以上に、施設の持つ人的なサポートの必要性を改めて実感してまいりました。
ことしの六月には母子生活支援施設サンライズ世田谷が廃止をされています。この施設の廃止が決まったときには、住まいの確保と同時に、母子家庭の自立、生活再建に対して人的なサポートも施設が担っているということを指摘いたしまして、母子生活支援施設のニーズがまだまだ高いという理由から、施設の存続を何とかできないかということを求めてまいりました。しかし、区の姿勢としては、地域で生活している母子の支援をソフト面で――人的なことだと思いますけれども、これで充実をさせていくんだということで、ハードの存続には着手しませんでした。
この六月に施設が廃止になりましたけれども、区がこの六月を迎えるに当たって、どのようにソフト面を充実したのかお聞きいたします。
◎岡本
子ども家庭支援課長 母子家庭の生活環境は、今般の切迫した社会経済状況を考えますと、ますます厳しさの度を強くしているものと、その支援の必要性を改めて認識しているところでございます。
お話にございました母子生活支援施設サンライズ世田谷につきましては、本年六月末をもって廃止となりましたが、この間区といたしましては、賃貸物件情報提供サービスの開始であるとか、母子家庭の高等技能訓練促進費給付事業の拡張など、居住支援、就労支援の取り組みを実施してまいりました。
◆桜井純子 委員 区は、ソフト面というところで充実をさせるということで施設を存続させなかったわけですね。私にとっては、母子生活を支えるための居住施設をつくれそうなところもいろいろあるなと感じていたんですが、それをしてこなかったわけですから、地域におきます区独自のさまざまな人的ケアというのをしっかりと早急に構築するべきだと思います。そういうふうにすると答えていますので、そのことについては、母子家庭への投資というのは子どもの環境をしっかりと守るという投資ですし、将来にわたる投資だと考えますので、しっかりとソフト面のケアを構築していくことを再検討することを求めたいと思います。約束をしたんですから、ちゃんとやっていただきたいと思っています。
母子家庭の平均所得なんですけれども、平成十八年の国民生活基礎調査によりますと、二百十一万九千円、この所得には児童扶養手当などが含まれております。暮らし向きについての質問では、苦しいという答えが八九・五%に上っています。昨年十二月には、児童扶養手当の受給者数が百万人を超えたということもあります。子どもの貧困が問題になり始めていますけれども、とりわけ母子家庭は経済的な困窮が本当に深刻な状態になっているということ。そして、子どもたちが高校進学を断念したり、中退を余儀なくされていることがあるということを繰り返し指摘してまいりました。
世田谷区では、平成十七年にひとり親家庭実態調査をしています。その調査によりますと、「子育てをしている中での心配事や悩み事は」という質問に七一・八%が経済的な負担があると答えています。そして、その次に自分の健康状態ということで、本当に経済的にも、働き続けるためにも母親が不安を持っているということがわかります。そして、その質問の中の「新しく仕事を始めるときに必要と感じる支援は何か」という質問に対しては、条件に合う仕事のあっせんというのが六七・六%、職業訓練中の経済的支援というのが五五・五%、就労活動中の子どもの保育というのが三三%になっています。
就労に向けた職業訓練に対する給付事業などが拡充されてはきていますけれども、まず、この制度を活用しやすく、その周辺の制度を整えていくことも重要だと思います。就労支援のトータルの体制づくりが必要だと思いますけれども、例えば就労活動中の保育サービスについては、就労支援の一環としてひととき保育などを無料にするなど、緊急に取り組むべきだと思っています。また、仕事のあっせんについて言えば、要望の強い条件に合った仕事のあっせんというものに産業政策部との連携によって取り組むなど、全庁を挙げた連携体制でトータルな母子家庭、ひとり親家庭の就労支援に取り組む必要があると思いますけれども、区の考えをお聞きします。
◎岡本
子ども家庭支援課長 母子家庭の支援につきましては、安心して子育てと就業、あるいは就業のための訓練との両立ができ、自立した生活を営んでいただけるよう多面的な展開が求められております。
区といたしましても、ハローワークと連携した母子自立支援プログラム等、母子家庭の就業支援策を進める一方、保育サービスの量的拡大や一時預かりの整備等に努め、自立への足がかりを築いてまいりました。また、昨今の急激な景気の変化にかんがみ、来年四月の選考に向けては、保育園の入園選考において、保育に欠ける度合いが同程度である場合には、所得が低い方を優先する配慮段階を第四段階から第二段階に引き上げたところでございます。総合的な支援策につきましては、子ども計画後期計画策定作業の中で計画素案にも掲げてございますひとり親家庭の自立支援策の拡充において検討を行ってまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 子ども計画の策定に当たって、区はひとり親家庭の調査をしていると思います。それについてはまだ示されていませんけれども、そこにあることをしっかりと分析して、当事者の立場に立った支援策を構築していっていただきたいと思います。それと同時に、先ほど言いましたけれども、ソフト面の拡充を、六月までに本当は構築されていなくてはいけないものですので、それについては同時にやっていただきたいと思います。
また、母子家庭に対して情報が的確に届くかということもすごく重要なことだと思います。情報が手に入らないと支援をちゃんと受けることができません。今の母子家庭、若い人たちの状況を考えますと、例えば携帯のメールとか、そういうもので情報を得るということがありますので、メールマガジンなどを、ひとり親家庭バージョンというものをつくって発信するなど、時代に合った情報提供も必要だと思いますけれども、この点について区は取り組む考えはありますでしょうか。
◎岡本
子ども家庭支援課長 母子家庭支援に関する情報提供につきましては、主に現在、関連施策をまとめたチラシや広報紙、ホームページ等により広く実施する一方、児童扶養手当受給者への現況届に関する通知に就労支援策のチラシを同封する等、きめ細かい対応をしているところです。しかしながら、母子家庭をめぐる社会環境は厳しいものがあり、昨年、せたがや自治政策研究所と共同で行った少子化と就労助成の支援ネットワークに関する研究においても、子育てをするに当たって相談できる相手が、配偶者なしの場合はありに比べ少ないとの結果になるなど、積極的な情報提供や孤独感の緩和の必要性について認識しているところです。
したがいまして、今お話にあったような今後の自立支援の検討に当たっては、ひとり親家庭実態調査の分析を進め、仕事や子育てに日々忙しくされているひとり親家庭の方が受け取りやすい情報提供のあり方につきまして、また、当事者間の交流支援等につきましても考慮してまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 情報の提供の方法というのは、社会の中でどんどん変わっていっていますので、区の中でもメールマガジンを使っていますよね。しっかりとそこら辺を検証して、早目に取り組んでいただきたいと思います。母子家庭の支援策というのは、子どもの貧困をどうやってなくすかということ、子どもの将来をどういうふうに世田谷区が保障していくかということ、この一点が本当に大事なところですので、当事者の子どもの立場に立った支援策をつくっていっていただきたいと思います。
それでは次に、精神障害者の支援についてお聞きいたします。
年間の自殺者が三万人を超えて、自殺防止対策の一つとしてうつ病対策が進み始めています。区でも、うつ病の人を対象とした就労支援プログラムや家族の会などに取り組んでいらっしゃいます。また、東京都でも八幡山の中部総合精神保健福祉センターでも、うつ病を治療し職場復帰を目指すための就労復帰のプログラム、トライワークプロジェクトを行っています。このようなプログラムにつながることも、例えばうつ病の闘病には大切だと思いますけれども、まず大事なのは、病気になったときに早い段階で病気に気づいて、早目に治療を受けることが大事だと思っています。このことが社会復帰を早めることにもつながります。早期発見、早期治療が大切だということはどんな病気にも言えることなんですけれども、それにはまず、病気、とりわけ精神疾患というものが、正確な情報がなかなか出ていないということがありますので、そちらに対する理解が必要だと思います。
ある調査では、精神疾患を発症した家族がいる人の九〇%が、家族が病気を発症する前には精神疾患について学ぶ機会がなかったと答えています。知識が不足しているために、家族が異変に気づいても、医療機関につながるまでに長い時間を費やすことにもつながって、病気を重くしているということになっています。
精神疾患と一言で言っても幅広くて、統合失調症やうつ病だけではなくて、不安障害や人格障害、依存症、摂食障害など、本当に多岐にわたっています。例えば不安障害と言われますパニック障害などは余り知られていませんけれども、この疾患に悩まされている人は、百人のうち三、四人はいると言われていて、大変多い数です。この病気は、突然動悸でドキドキして過呼吸になって、自分は死んでしまうんじゃないかというような恐怖に駆られてしまうということがあって、それをパニック発作と言うんですけれども、こういうことが電車の中で起こったりすると、次に電車に乗ったときにまたこの発作が起きるんじゃないかという恐怖で電車に乗ることができなくなってしまうんですね。そういうことから社会生活に支障を来してしまって、結局は会社にも行けなくなってしまうような、そして職を失ってしまうような状況にもなります。家族にも怠けているんじゃないかと思われる。そして、その病気自体が、自分はどういう状況になっているのか本人自体もわからないということは、病気に対する知識が容易に手に入らない状況にあるということなんです。
だれもが病気に対する知識を簡単に得るような機会に日々の中で恵まれていくことが大事だと思います。病気の名称とか特徴などの基本的な知識、どういうところにかかったらいいかということなども、周囲の理解を得るためにも、そして本人が早急に医療にかかっていくためにも大事だと思っています。
こういった視点からも、精神疾患に対する幅広い知識をしっかりと持って、早目の対応を可能にする目的で精神疾患に対する知識の啓発に取り組む必要がありますけれども、区はどのように考えているでしょうか。
◎上村 健康推進課長 精神疾患、心の病につきましては、がんや循環器疾患と並ぶ三大疾患の一つと言われております。近年では統合失調症、うつ病、依存症、発達障害などのほかにも、今、委員が申されましたパニック障害や適応障害なども知られてきております。こうした心の病に対する理解を区民全体で深めていくことにつきましては、早期の治療、支援を進める上で区としても大変重要であると考えております。
現在、区では総合支所健康づくり課を中心にいたしまして、うつ病・自殺予防講演会を実施しております。これは昨年度十二回実施いたしまして、五百四十三名の参加者がございました。また、そのほかにも、思春期精神保健講演会や、アルコール・薬物の依存症セミナー、これはシリーズで開催しておるんですけれども、また、セラ・サービスの協力を得まして、会社や事業者に対しての出前講座も実施しております。
委員からご提案いただきました件につきましては、ご趣旨を踏まえまして、区民の方や関係機関と情報提供のあり方も含めまして広く論議しながら、計画的に進めてまいりたいと思っております。
◆桜井純子 委員 安心して病気療養を続けていくためには、経済的な支援も大変重要です。経済的な不安を持っていると、早過ぎる職場復帰をしてしまって病気の再発を招いたり、また、病気を深刻化させるような状況にもなりかねません。今ある経済的補助としては、うつ病などの精神疾患への障害者自立支援法による医療費補助制度というのがあります。この制度を利用すれば、診療代や薬代、カウンセリング料とか、場合によっては、先ほど言いました都の就労支援プログラムへの参加費などが、通常三割負担なんですけれども一割負担に減額されるということがあります。
この情報はどうやって得るんだろうということで、区のホームページを私は見ました。精神疾患のところに入っていくんですが、クリックをしていくと、結局この医療補助というのがどういうものなのか、どういう手続が必要なのか、どういう病気の人が受けられるのかといったことが全くわからない、本当に不親切な状況になっています。
うつ病などの精神疾患の方々が自分自身でこの情報をとっていくというのは、大変エネルギーの必要なことで、今ある区のホームページは、本当に病気を持っている人に必要な補助、その制度を使ってもらおうというような視点でできているとは思えません。このホームページの改善をしっかりとまず行っていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
◎上村 健康推進課長 ただいま委員からご指摘のありました自立支援医療の、精神の通院医療費のご案内の件でございますけれども、ホームページが簡素化し過ぎて非常にわかりにくくなっておりまして、大変申しわけございませんでした。直ちに修正に取りかからせていただきたいと思います。ホームページにつきましては、それをご利用される区民の方、病気をお持ちの方の立場に立って本当にわかりやすいものになっていく必要があると認識しております。
今後は、こういった医療費の制度のご案内にとどまらず、そのほかにも区で実施しております相談事業や講演会のご案内等もございますので、精神保健福祉全般に関しまして関係所管や関係機関がたくさんございますので、そちらと連携しながら保健所、あるいは健康づくり課のホームページをわかりやすく情報提供できるように努めてまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 この制度が本当は使えるはずの区民で、三割負担をずっと続けている方も結構いらっしゃるんだと思うんですね。ですので、ホームページを早急に改善していただけるということは本当によかったなと思っています。
ただ、改善すべきものは、今ホームページということで指摘をしましたけれども、それだけではなくて、この情報がホームページだけではなく、例えばメンタルクリニックなどに行ったときにも窓口でご案内があるということも大事だと思います。何人かの方にお聞きしたんですが、メンタルクリニックにかかったときに、この自立支援法の医療補助があるということのインフォメーションは現在ないということです。ですので、ぜひ医師会との連携をとって、世田谷区で医療にかかる方は、必要な医療補助をしっかりと受けられるように改善をしていっていただきたいと思います。ホームページの改善をするということと、あと、いろんな情報の提供についても改善をするとおっしゃっていたので、この点に関してもしっかりと取り組んでいただきたいことをとりあえず要望しておきます。
また、相談事業もすごく重要だと思います。メンタルクリニック、精神的な病院というのはなかなかハードルが高くて行くことができないということで、ちょっと不調なんだけれどもということで、地域の中で気軽に相談ができるような場所があると医療にかかるスピードと、自分自身の病気に対する認識も早まるのではないかと思います。
そこで、区の、精神的な心のケアができるような心の相談室というのがすごく重要になってくると思うんですが、現在のところ、インフォメーションとか日時の設定というところが、当事者に対して本当に来てほしいというものになっているのか、ご家族の方もすごく行きやすいような状況にインフォメーションがされているのか、場の設定がされているのかというと、私はどうかなと疑問に思います。ここら辺も改善をしていただいて、気軽に地域の中で精神的な不調に対していろんなアドバイスがいただけるようにするのが大切だと思うんですが、この点に関しては区はいかがでしょうか。
◎池﨑 烏山総合支所
健康づくり課長 各総合支所の健康づくり課では、区民の方が心の不調が気になるときにすぐに、また気軽にご本人やご家族がご相談いただけるよう、精神科医による心の相談や依存症相談を予約制で実施しております。日常的には、保健師による電話相談や面接相談も行っています。今後も、区民の方が安心して心の不調をご相談いただけるよう、「区のおしらせ」やホームページの内容の見直しを初め、五支所共通のチラシの作成など、さまざまな工夫を行い周知に努めてまいります。
◆桜井純子 委員 相談の部屋のあり方というのも含めて検討をして、改善をしていっていただきたいと思います。
生活者ネットワークからは、代表質問の中で障害をテーマにして、梅ヶ丘病院の跡地を考えたらいいんじゃないかということも提案させていただいています。そこに総合的なメンタルケアというか、メンタルに対する情報とケアなどができるような拠点をつくっていくということも一つの案だと思いますので、そのことについても指摘をさせていただきます。
それでは続きまして、高齢者虐待について質問をさせていただきます。
高齢者虐待防止法に基づきます対応状況等に関する調査結果を見ますと、平成十九年の全国千八百十六自治体で受けた高齢者虐待に関します相談・通報件数が一万九千九百七十一件です。平成十八年よりも八・六%増加をしている数字です。このうち虐待と判断された事例は一万三千二百七十三件、相談、通報の七一・五%で、平成十八年よりも五・六%も増加をしているという状況です。年々高齢者虐待が増加しているという結果なんですが、これは世田谷区でも同様な状況なのか、区の状況をまず教えてください。
◎松本 高齢福祉課長 高齢者虐待の区全体の状況でございますけれども、平成二十年度は相談件数が百二件ほどございました。これは十八年度が六十四件、十九年度が八十件でございますので、増加の傾向にございます。平成二十年度の数字の中で、実際に訪問などによりまして虐待と判断をした件数は六十九件に上っておりまして、この件数も三年間増加をしている状況でございます。
その内容、実態でございますけれども、平成二十年度では、身体的な虐待が四三%、それから、暴言ですとか態度による威圧などの心理的な虐待が三三%、経済的な虐待が一四%でございます。虐待を受けた方は、約八割が女性ということで、虐待をした方が、息子さん、娘さん、こういった方が約六割、そのほか配偶者の方が三割という状況でございます。虐待によりまして、生命ですとか、あるいは身体に危険が生じているということで、虐待をした方とされた方を何らかの形で分離するということに至った方が全体の四割です。六十九件のうちの四割ございました。十九年度と比べまして大変多くなっている状況でございます。
◆桜井純子 委員 世田谷区でも高齢者虐待がふえていることがわかりましたけれども、また、深刻な状態のものが分離ということになって、分離の数もふえているということで、この分離をどのタイミングでするのかということが、虐待を受けている方の命を守るためにはすごく重要なことだと思います。例えば子どもの虐待ということを考えますと、児童相談所に相談があったにもかかわらず、分離をする判断を誤って結局は大切な子どもの命が奪われるという事件が後を絶たないわけですね。この分離の判断をいつ下すかということが虐待対応、被害者の救済にはとても重要で、その判断は重い責任がかかってくるものだと思います。
この責任を果たしてどこがやっていくのかということが明確でないと、判断もしっかりとできませんし、迅速な対応ができないと思うんですけれども、この虐待対応の中の分離の判断は、どこが責任を持って現在行っているのかお聞きします。
◎鈴木 烏山総合支所
保健福祉課長 分離についてのお尋ねですが、高齢者虐待における分離については、ケアマネジャーや介護事業所等の関係者によるケア会議を行いまして、虐待により生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあると考えられる場合について、保健福祉課のほうで判断しております。
その分離の判断としましては、ケア会議の中で介護保険サービスや高齢者福祉サービスを利用しても状況が改善されない場合または虐待者がサービス等の利用を拒否しているような場合があります。さらに、身体的虐待や介護放棄では、医療的対応や栄養摂取を速やかに行う必要があることがあります。その場合は、緊急に分離措置をとることもあります。虐待対応での分離については、関係者と協力をしながら、高齢者の心身の状況を考慮し、保健福祉課が中心となって実施しております。
◆桜井純子 委員 九月に全国在宅診療所シンポジウムというのがありましたが、それで高齢者の人権をどう守るかという分科会に参加しまして、その中でなかなか分離に本人が応じないケースもあるということで、そういった場合は、日ごろから信頼しているケースワーカーとか、あと、お医者さんとか看護士さんのアドバイスだったらすんなり受け入れるということもあると聞いています。地域の中の医療機関とか、すべてのところと連携をしてしっかりと対応していっていただきたいと思います。
どのようなケースであっても、人生の最後をどのように本人が過ごしていきたいのかということを尊重するということがとても重要で、だれもがもちろん暴力の対象になることがあってはいけないわけです。人権を守って、人生の最後を自分らしく送れる、このことを区はサポートするんだと、分離の責任は保健福祉課だというふうに聞いていますので、五地域にありますよね。五地域がこういう考え方をしっかりと持って虐待に対するケア、そしてケースの分離という判断に当たっていかなくてはいけないと思うんですが、この判断、そして迅速な対応には、地域の中での強いチームワークも求められると思います。現場ではどのような対応になっているのかお聞きします。
◎鈴木 烏山総合支所
保健福祉課長 現場の対応なんですが、まず、分離を行う場合については、ケア会議で決められた役割分担に従いましてケアマネジャー、介護保険事業者、それから医療機関等と連携しながら対応を行います。ケアマネジャーとか介護保険事業者については、高齢者の身体状況の変化や虐待の状況の把握に努めまして、あんしんすこやかセンターと保健福祉課の職員は分離先の選定とか、受け入れの調整をしております。
分離をする際については、保健福祉課職員が高齢者を家庭などから身柄の保護を行いますが、虐待者の精神的状態によっては警察の協力を得ることもあります。高齢者を保護した後は、保健福祉課のケースワーカー、それから保健師等により、本人の身体や医療的状況の安定化を図るとともに、家庭における虐待状況等の改善の働きかけも行っております。
◆桜井純子 委員 先ほど虐待者として配偶者が三〇%ほどいるということもお聞きしました。こういったことを考えますと、例えばドメスティックバイオレンスに対する正しい知識を持っていないと、なぜ帰りたがるのかということがわかりません。そういった知識もちゃんと持って支援に臨んでいただきたいと思います。
虐待の予防と防止策ということも大事だと思うんですが、この点に関してはどのように取り組んでいるんでしょうか。
◎鈴木 烏山総合支所
保健福祉課長 現場の予防策等についてなんですが、高齢者虐待の増加が今後予想されますので、保健福祉課では、窓口等での相談の際に、高齢者福祉サービスまたは介護保険制度の正しい理解、そしてその利用の促進を図り、虐待の防止につなげていきたいと思います。また、認定調査の訪問等の際には、家庭での虐待の兆候を読み取るとともに、その兆候が感じられる場合については、後日ケースワーカーや保健師が訪問し、虐待の状況に陥らないように努めております。さらに、複雑な家族関係や養護者の精神状態等により高齢者虐待が発生することも多いことから、日ごろから介護保険事業者、民生委員、医療機関等と情報連携を図りながら、早期発見、早期対応に努力しております。今後もこの努力を続けていきたいと思っております。
◆桜井純子 委員 先ほども言いましたけれども、人生の最後のステージをどのように人権を尊重されて過ごしていくのかということに区は力をかしていくということですので、決してルーチンワークになって虐待を見過ごしたり、判断を誤ったりしないように、現場で日々研さんを続けていっていただきたいと思います。迅速な対応をしっかりと行っていっていただきたいと思います。
最後に、地域の福祉力向上に当たって、NPOとの協働を推進するということについてお聞きします。
これからの福祉の推進というのは、NPOなど民間との連携が欠かせないと思います。随分前ですけれども、世田谷区は新しい公共という言葉を打ち出して、地域福祉の推進というものに区民と協力して携わってきました。こういったところに新しく地域の福祉などを担うNPOが台頭してきて、今は四百近くもあります。こういうところの力をかりていくことが地域の福祉力を上げることには大事だと思うんですが、例えば社会福祉協議会では、住民活動計画の改定作業を進めていると聞いていますけれども、この計画に対して、NPOとの協働をどのように反映させようとしているのか、簡潔にお願いします。
◎木谷 地域福祉課長 社協の住民活動計画では、今までも協働は大きな柱の一つとしております。今回の改定で社協が実施した調査におきましても、社協の活動に対する理解が十分ではない、関係団体との連携協力が十分とは言えない。また、NPOなどのさまざまな担い手が活動に参加していく仕組みの構築が課題だというふうに挙げられて、協働を意識しております。区としましても、こうした問題を解決し、地域の福祉力の向上を図れるよう働きかけてまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 地域の中で福祉の力を上げていくためにもNPOとの協働というのが大事で、世田谷区全体では、NPOとの協働というのは各分野で進めるものとなっていますが、今後この福祉の分野では、NPOを対等なパートナーとして明確に位置づけていくこと、これを新しくやっていくことも、時代が変わっていっていますから大事だと思うんですね。この点を今後区はどのように進めていく考えなのか、これまでとはさらに進んだ連携体制をつくっていく必要があると思いますけれども、この点についてお聞きいたします。
◎永井 計画調整課長 世田谷区では、町会、自治会を初めといたしまして、多くの区民団体ですとかボランティア、NPO、企業等が福祉や教育、まちづくり、環境問題など、さまざまな分野で活躍しております。ちなみに、委託を含めまして、NPO法人との連携協力をしているものは二十年度で百九十件、うち保健福祉領域で百三十件ほどとなっております。保健福祉部の分野においても、各種計画のもとで、地域支えあいの推進の施策を進めておりますけれども、例えば高齢者の会食サービスであるとか、子育て広場であるとか、クッキングカーによる出前の食育講座等、こういった形で区とNPOとの連携協力は欠かせないものとなっております。
今後とも、私どもは区民の支えあい活動の広がりを図ってまいりまして、NPOを含めたそれぞれの団体の自主的な活動の特徴や成果を評価いたしまして、よりよい支援を進めることで区民、NPO等との行政とのパートナーシップによる地域の保健福祉施策を推進してまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 以上で生活者ネットワークの質問を終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
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○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、せたがや政策会議、どうぞ。
◆小泉たま子 委員 先日の総括質疑で他の会派から、東京で一番子育てしやすい町と区が言っているのはどのような意味かという質問があり、それに対して、一番子育てしやすい町を目指すということであって、今一番子育てしやすい町と言ったわけではないという言いわけのような答弁がありました。果たしてそうでしょうか。
今議会で各会派が問題としているのは、保育園待機児の人数の多さです。確かに保育園に入れないことは大問題です。保育に欠けている状態なのですから。しかし、子育ては保育園だけでなされているわけではありません。より多くの子どもが在宅で育ち、子どもの育ちにかかわるさまざまな問題は、この在宅のほうに問題があるということが、これまでの世田谷の課題であったわけです。そのことから、子ども部創立以来、保育園充実とともに在宅子育てに重点を置き、さまざまな施策を展開してきたはずです。
産前産後の子育て家庭を訪問するさんさんサポート、日本で初めての産後ケアセンター、これはベストマザー賞を受けたと報告がありました。さらには、これまた初めての取り組みである保育施設と子育て広場が一体となった子育てステーション、初めてできた認定こども園、成育医療センター内にできた二十四時間保育、病児保育機能、さらには発達発育支援組織、虐待予防のチームなど、今に至るまでさまざまな子育て支援施設と機能がそろっているのです。このような自治体がほかにどこにあるでしょうか。このようなことから、この世田谷が東京一、あるいは日本一子育てに充実した機能が整備された町であると言っても言い過ぎではないはずです。さらには、これらの整備一つ一つに議会も賛同し、要望し、協力し、議決していることからも、区も、議会もこれらの成果を十分に区民にアピールし、区民に理解いただくことが必要ではないでしょうか。子ども政策を単に保育園待機児問題に特化すべきではありません。先ほど申し上げましたように、保育園に通うべき子どもは全体の半分以下なのですから。
今回、子ども計画の後期計画が示されていますが、今申し上げたような世田谷のよい取り組みがより充実して展開されるようなことになっていないのは、一体どういうことでしょうか。全く理解できないことです。しかし、今現在、保育に欠ける子どもが急増し、その対策に全力を尽くすとするならば、さらに、区民の代表である議会が保育に欠ける子ども対策こそ最大の課題であるとするならば、そのことに全力を尽くすべきです。児童福祉法においても、保育に欠ける児童を欠けないようにするということは自治体の責務である、責任であるとされているのですから。
そこで問題があります。先日の総括質疑で市川委員が、保育に欠けている子どもが、認可保育園にも、認証などの無認可保育施設にも入れなかったときにはどうするのかと質問されました。答弁はよく理解できませんでした。さらに、これを踏まえて市川委員は、目黒方式、つまり特別手当を支給することを提案されました。これについては区長からも、目黒と世田谷では規模が違うから同じような対応はできないとの答弁がありました。役所の常識ではそうなるでしょうけれども、実際に子どもを預けなければならない状況に追い込まれている親にしてみれば、相変わらず困ったままの状態が続くのです。
さて、皆さんにも考えていただきたいのですが、どうしても子どもを預けざるを得ない、だれにも頼めないというときには一体どうすればよいのでしょうか。どうしてもといったときに考えられるのは、駅前などにあるいわゆるベビーホテルです。そのような施設がある以上、どうしようもないときには利用せざるを得ない場合もあるかと思いますが、区は、このベビーホテルなるものについてどのように今把握をし、どのように考えているのでしょうか。ちょっと伺ったところでは、区では認可保育園、認証保育所、保育室、保育ママをその範囲とし、それ以外のベビーホテルなどは都の管轄だとして全く区とは関係ないと思われているようにも思われるのですが、いかがでしょうか。これでは区は自分でできることだけをやっていて、できないところには関係ないというまさにお役所仕事をやっているように見受けるのです。
今回、子ども計画の改定に当たり、子ども青少年問題協議会より答申が出され、その中で、子どもの最善の利益を最優先するということが述べられておりました。この言葉自体、私としては違和感を感じると代表質問で申し上げましたが、区の附属機関の答申である以上、尊重しなければならないでしょう。そうであるならば、区の責務である、保育に欠ける子どもに対して、認可保育園でも認証を初めとする区の所管の認可外保育施設でも受け入れられない緊急事態をどうするのか。緊急的にでもベビーホテルの預かりも区が関与していく、このようなことが子どもの利益を何よりも最優先していくこととなると思いますけれども、いかがでしょうか、区のお考えを伺います。
◎工藤 保育課長 待機児解消につきましては、来年の四月に向けまして、まずは約九百名、また、二十二年四月までにはさらに約千百名の定員枠の拡充ということで、現在全力を挙げて取り組んでいるところでございますけれども、引き続き厳しい経済状況となっていることの影響などから、予断を許さないものと認識しているところでございます。
認可保育園に入園できなかった家庭への対応でございますけれども、認可外の保育室、保育ママ、認証保育所などの施設をご案内させていただいているところは委員ご質問のとおりでございます。また、ベビーホテルなど無認可の保育施設につきましては、保育の質ですとか、何にも増して安全性といったことも含めまして遵守すべき基準を満たしていないケースが多く、積極的に利用を進めるべき保育施設ではないと考えていることから、保護者の方が希望された場合のみ、都への届け出リストをお渡しさせていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、ご指摘いただきましたような事態が生じないよう、区としましては全力を挙げて施設整備に取り組み、計画の実現を果たしてまいりたいと考えているところでございます。
◆小泉たま子 委員 どうしてもどこかに預けなければならない状態に対して、ベビーホテルは質が悪いから紹介できないというのが今の答弁でしたけれども、世田谷の中での施設に対して責任を持たないということは、これは東京一子育てをしやすい町を目指すということにはならないと思います。ということで次に移ります。(「どっちなんだよ」と呼ぶ者あり)
区は、今回の後期子ども計画において児童館の重要性を打ち出しています。それでは、区は現在の児童館のどの機能を重視し、今後展開されようとしているのでしょうか。地域で活動されている方はほとんどご存じなのですが、児童館はそのスタッフによって全く性格、機能が変化してしまうのです。小さな子どもの遊びに重点を置くところ、小中学生のたまり場を目指すところ、より幅広く地域のコミュニティーセンターを目指して、多世代の区民の活動拠点を目指す児童館などさまざまです。それぞれ地域の特色があるわけですが、私の見るところ、地域特性というよりも、館長を初めとする職員の資質、やる気、関心の深さによると言わざるを得ません。このような状況の中で、児童館を核に据えた展開を行うということは、ちょっと信じられないことです。私は、児童館の実態をよく見ておられるのかと心配になります。
私は、世田谷の子育ての今後の中心となるべきものは、子育てステーションと認定こども園であると考えます。これこそが世田谷が先進的に取り組み、その成果も着実に出し、区民から支持されているものです。このことについて区のお考えを伺います。
◎平澤 児童課長 どのような機能を重視して展開していくのかということでございますが、児童館におきましては、ご案内のとおり現在でも子育て支援、遊びなどを通じた子どもの成長への支援を初め、地域連携を交えながら、さまざま取り組みを進めているところでございます。子ども計画後期計画の素案におきましては、子どもの成長を支援する地域の拠点として児童館の充実を図ることを重点取り組みの一つといたしたところでございます。
素案にもお示しいたしましたが、地域特性や児童館の特色を生かした子どもに魅力ある児童館運営、事業プログラムや交流活動の充実、他の広場事業等、子育て広場事業や関係機関との連携強化等による子育て広場事業の充実、民生・児童委員や青少年地区委員会、町会などの地域団体や児童相談所などの関係機関との連携の強化、この三つの視点を特に重視してまいりたいと考えているところでございます。
◆小泉たま子 委員 今までやっておられることを今並べられただけで、特に児童館を世田谷の子ども計画後期計画の中の中核とするということは、今の答弁からはうかがえません。私は、これからは幅広く支持されている子育てステーション、認定こども園を中心に取り組むべきだと考えます。
先ほど質問いたしました東京一子育てしやすい町を目指すということに対して、どっちなんだという声が聞こえましたので、ちょっと私は言葉足らずだったので、ここで申し上げますが、確かにさまざまな施策があります。私は、東京一、日本一頑張っていると思います。しかし、このベビーホテルに関しては、今はもう関係外だからそれはできないという、そのことに対して、もっと目指すものであるならば、もっと責任を持って、いい、世田谷らしいベビーホテル、世田谷方式のベビーホテルをきちっとつくっていくべきだということを含めて申し上げたわけで、私も時間がなくて大変焦っておりますので、言葉足らずでございました。そういうことです。(「わかりました」と呼ぶ者あり)安心しました。
次の質問に移ります。高齢者の日々の暮らしでの人間としての尊厳という観点から質問をいたします。
皆さんもごらんになったかと思いますが、先日、私も「おくりびと」という映画を見ました。あれは山形の鶴岡での撮影でございますので、特に私も関心を持って見ておりました。この映画は、ご遺体をお棺におさめる納棺師のことが描かれていて、とても感動的なものです。さまざま印象的な場面があったのですが、個人的に感動したのはご遺体をきれいにする場面で、体に白い布を覆いながら丁寧に全身をふいて清めていくところでした。このように扱っていただいているということに本当に私は感銘を受けました。人生の先輩に対する真摯な態度に心打たれました。
現実に戻ってみていろいろ調べてみますと、とんでもないことがわかってまいりました。区内の特養などでどのように入浴時に対応がとられているかと調べてみようと思いましたが、実態がなかなかわからないのです。入居者は、浴室で職員によって入浴をさせてもらうということなのですが、実際にどのような取り扱いになっているか本当にわからないんです。それでも探ってみました。タオルなどで隠すことはなく、全裸で入浴しているのがほとんどです。
逆に、浴室には入れないようになっていることから、第三者からは見られるおそれがないために安心であるとのことでしょうけれども、その密室の中では、体を直接人の目にさらすということについての配慮は全くないようなのです。銭湯と同じだからとも伺いましたが、私はこれは余りにもひどいことではないかと思うんです。人間としての尊厳にもかかわることです。介護の原点です。自分ならどうしてほしいかということに一人一人が思いを来し、仕事に取り組んでいただきたいわけです。
私が気になって、在宅の入浴サービスを受けておられる方、それから、特養に入っておられたご家族の方何人にもお話を伺うことができましたが、全くこのような配慮がなくて、ほとんどの方は亡くなられたお母様のことについてですが、非常に恥ずかしい思いでおふろに入り、私はおふろに入りたくなかったと、もう一人の方は拒否をしてずっとおふろに入らなかったという方もいらっしゃるようです。
職員の方は、言ってみればなれているということで体を物のように扱うのでしょうけれども、本人のほうは、体が自由になるわけでもなく、恥ずかしさを忍んで入浴する、このような事態は本当に悲しくて、残念なことだと思います。これは何とかならないでしょうか、区のお考えを伺います。
◎松本 高齢福祉課長 高齢者施設における介護に当たりましては、入所者の方の尊厳の保持ですとか、今お話がありましたように人権の尊重は最も基本的なことでございます。そういった観点から、さまざまな配慮を行うといったことが求められていると考えております。
入浴のお話でございますけれども、例を申し上げれば、区立の特別養護老人ホームのきたざわ苑では、安全の確保ということを最も重要視しながらも、プライバシーを守るということにも配慮しておりまして、他の入所者の目に触れないということ、あるいは時間を違えるようにするとか、同一の職員による介助を行う、こういったことに加えまして、今お話がありましたけれども、胸や陰部をタオルで覆い隠すといった心遣いをしていると承知しております。
高齢者施設などでのサービスに当たりましては、サービス提供のマニュアルを設け実施をしているわけでございますけれども、基本となる人権への配慮、それから、利用者の立場に立った介護が行われるよう、今後も第三者評価の受診ですとか、あるいは職員に対するさまざまな教育研修の支援を行ってまいりたいと思います。同時に、特別養護老人ホームにおきましては、施設長会を通じまして、ご指摘の点、それから人権の尊重といったことについて改めて確認をしてまいりたいと考えております。
◆小泉たま子 委員 自分だったらどうするか、自分だったらどうしてもらいたいか、これは先ほども申し上げましたが、福祉の基本なわけです。そういうことに関係なく、機械浴があったり、機械浴も仕方がない場合もあると思いますけれども、今は機械浴をやめて、本当に信頼関係の中で一対一でおふろに入れているところもふえてきております。そういうところからしても、楽しみのおふろが、恥ずかしくて入りたくない、とんでもないということにならないように、本当に楽しみなんですね。海外から帰ってこられて、日本に帰ってきて一番何がしたいと聞いたら、おふろに入りたいとほとんどの方が答えられるそうです。そのぐらいおふろというものは癒されるものです。先ほどご答弁がありましたけれども、心してきちっと伝えていただいて、世田谷からそういう人が出ないように、よろしくどうぞお願いしたいと思います。
最後に、世田谷の福祉の基本的姿勢についてお伺いをいたします。
これまで世田谷は福祉の先進都市であるとされて、私自身そう感じてまいりました。しかし、福祉の全体像を考えたときに、現在の区の進め方には疑問を持ちます。これまで区は、住みなれた地域で最後まで暮らしていく、そのために地域の支えあいを重視していく、このように申されてきたのです。
施策としては、在宅生活支援です。しかし、最後まで在宅で暮らしていける区民はそう多くはないはずです。そのために施設が必要なのです。つまり、在宅生活と言葉は適当でないかもしれませんが、施設生活のバランスがとれていること、これが福祉の先進都市世田谷のあるべき姿のはずですが、先日伺った話では、ほとんど施設の充実がなされていないことが判明いたしました。まことに残念なことですが、ここで原則に立ち戻り、在宅と施設のあるべきバランスを明らかにして、議会も納得し、早急に施設整備に入るべきだと考えますが、いかがでしょうか、区のお考えをお伺いいたします。
◎堀川 地域福祉部長 ただいまお話しいただきましたように、区の高齢者福祉の考え方につきましては、まずは在宅支援ということが基本であろうかと存じます。私どもは、第四期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の理念でも、高齢者が住みなれた地域でいつまでも安心して暮らし続けられる地域社会の実現を基本理念として取り組んでおりまして、さまざまな施策を展開しておるわけでございます。
そこで、施設のほうのバランスということでございますが、基本が在宅生活の支援でございますが、それとともに、お話にもございましたような点とか、あるいは身体の状況や家庭環境により在宅生活が困難な高齢者もやはりおいでになってくる。そのときのためにということもございまして、特別養護老人ホーム、それから老人保健施設、また認知症の高齢者グループなどの整備誘導に取り組んでおるところでございます。そういう意味では、十分にそういう施設の面の整備についても配慮しながら、全体の高齢者施策を進めてまいりたいと考えております。
◆小泉たま子 委員 何千万も入所金を払わないと入れないようなところばかりが世田谷区にいっぱい建っております。私の住んでいるところにもとても建っております。しかし、宇奈根でありながら二子玉川とか成城とかという名前がついて、非常に不思議な感じがいたします。よく考えてバランスのとれた施設をつくっていただきたい。
福祉は自治体の基本の業務です。その基本が子育てと高齢者対応両方で揺らぎつつあることがまことに残念なことだと思っております。さまざまなことを申し上げましたが、それぞれ所管として一生懸命やっていただきたいと努力を期待いたしまして、質問を終わりといたします。
○大場やすのぶ 委員長 以上でせたがや政策会議の質疑は終わりました。
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大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、社会民主党、どうぞ。
◆羽田圭二 委員 先日の一般質問に続きまして、人生前半の社会保障、区における
子ども支援等の考え方からまず最初にお聞きをしていきたいと思います。
日本の社会保障の特徴というのは、高齢者関係の比重が高く、子ども支援関係の比重が低いと言われているんですが、この点を最初に区に置きかえた場合、どのような数字になるのかをお尋ねしておきます。
◎岡本
子ども家庭支援課長 社会保障費を区に置きかえた場合というお尋ねです。
まず、国の社会保障の給付費で国は比較しておりますが、この中には雇用保険や年金給付などを含む国際比較上定められた基準により比較されたものということで、これをそのまま区に置きかえることはできません。
ただ、区の平成二十一年度の当初予算における子ども関係予算につきましては、子ども部の部分と、それから障害児、保健所等々の子ども関係分を合わせますと、約二百四十二億四千万円余りということで、予算総額に占める割合は約六・五%となっております。また、高齢施策関係予算につきましては、民生費分のほかに後期高齢者医療、老人保健医療、介護保険事業等の各特別会計分を合わせますと約六百二十三億円ということで、割合としては約一六・六%となっております。
◆羽田圭二 委員 これから高齢者の支援も、それから子ども支援も重要な柱だということは私どもも一緒だと思います。そこで、特に人生前半の社会保障という考え方には、子どもや若年層の支援がこれからの社会の中で必要だという考え方があるかと思います。社会保障を支える現役世代の安定した雇用と生活を保障することで、いわば持続可能な社会保障を推進するという視点であり、家庭の経済的事情によって子どもの教育を受ける権利が制限をされ、結果的には子どもの将来に影響を与え、貧困の連鎖がもたらされる、このことは避けなければならないわけです。
新しい政権のもとで、子ども手当だとか公立高校の無償化などがうたわれているわけですが、子どもにかかる費用については社会全体で支えていく考え方が重要なわけですが、この点について区の見解を改めて伺っておきます。
◎岡本
子ども家庭支援課長 世田谷区子ども条例の前文でございますが、「子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、世田谷区は、すべての世田谷区民と力を合わせ、子どもがすこやかに育つことのできるまちをつくる」ことを宣言しております。その意味で、区も同様に地域社会全体で子どもと子育てを支援していくことを基本に考えております。
◆羽田圭二 委員 最近、少子化社会白書というのを見たんですが、フランスの合計特殊出生率が〇八年で二・〇二という数字が報告されておりまして、その中でもともと欧州は家族手当など、いわば経済的支援を中心に行ってきた。ただ、九〇年以降、フランスにおいても保育サービスの充実、そして子育て、就労など、幅広い選択ができるように両立支援を推進してきているということが言われております。
ただ、日本の場合は、ようやく家族手当同様の子ども手当という考え方が出されてきた現状なんですが、この考え方の根底には、先ほども申し上げましたが、子育ては親だけの責任ではなくて、社会全体の責任だという考え方に基づいていると思うわけであります。来年度予算の考え方においても子育て支援を優先課題ということで、この点については評価をしたいわけですが、問題はその内容だと思うんですね。
これは先ほど来各会派からも出されておりますが、保育需要、この厳しい経済状況の中でこの期待にこたえていく必要があるということです。これは少し前の質問とも絡んでおりますが、区の説明では、年度内約九百人分施設拡充を図るとしているわけです。これは先ほど答弁もありましたが、所得の低い方への対応、それから、入園できなかったお子さんと家族への対応、この点を改めてどうしていくのかについてお聞きしておきます。
◎工藤 保育課長 来年度の待機児につきましては、現在認可保育園の分園設置を中心に整備を進めておりまして、解消に全力を挙げておりますが、引き続き厳しい経済状況であることの影響などから、予断を許さない状況であるという認識をしているところでございます。来年四月に向けましては、他の保育手段の選択ですとか会社への復帰を少しでもスムーズに、円滑にできるよう配慮をするため、入園の選考を一カ月ほど早めさせていただいたところでございます。また、昨今の急激な景気の悪化に伴いまして、保育園にお子さんを預けて働きに出なければならないご家庭、こういった状況等も踏まえまして、入園選考時の指数が同一であった場合の所得による優先順位を引き上げさせていただいております。
いずれにいたしましても、待機児となったご家庭のさまざまなご事情に少しでも配慮するとともに、引き続き丁寧な説明やご案内に努めてまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 先ほどのやりとりの中にもあったんですが、いよいよ入れないという問題が出ている。つまり、今お子さんが生まれても保育園に入れないという問題があるわけですが、これまで保育室や保育ママの活用ということが言われてきましたけれども、国の制度の変更で、保育ママについては新たにつくらないという考え方があるわけですね。この点について改めて区は考え方を変えるつもりはないのか、この点についてお聞きしておきます
◎工藤 保育課長 保育ママ制度につきましては、現在国のほうで、法改正を受けましてガイドラインの策定を進めているところと聞いております。予定ではことしの十二月に整備するということでございます。ガイドラインの内容としましては、事業実施するに当たりましての遵守すべき事項といった内容等も含まれていると聞いておりますので、こういったガイドラインの内容等も見据えた上で、区としての新たな取り組みを検討してまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 国の制度の変更という中で、世田谷独自でやるということが困難なのかもしれませんが、これまで区は独自で、国の制度変更の中でも努力してきた部分があるわけですから、その点については重ねて申し上げておきたいと思います。
次に、構造改革のもとで、この間国の社会保障費が毎年二千二百億円削られてきた。そういう中で、ことし三月には生活保護世帯の母子加算の全面的廃止があったわけですが、これも国の制度変更で、区もそれに乗っていかざるを得ないということだったと思います。
そこで、改めて伺いますが、母子加算の廃止の代替制度としての就労自立支援等々、その移行はどのような考え方に基づいて実施されたのかということをお尋ねいたします。
◎木谷 地域福祉課長 母子加算につきましては、国の社会保障審議会におきまして検討がなされ、母子加算を含めた生活扶助基準額は一般母子家庭世帯の消費水準より高いことから、自立母子世帯との公平の確保と生活保護を受給する母子世帯の自立を促進するため、平成十九年度にひとり親世帯就労促進費を創設するとともに、母子加算につきましては、三カ年計画で段階的に廃止することとされ、平成二十一年度で廃止されたものでございます。
◆羽田圭二 委員 六月議会での答弁の中でも、ひとり親世帯の就労自立支援、この収入確保ができるような取り組みを強めていくという報告がされていたんですが、しかし、ことし四月の母子世帯数三百一世帯、うち就労促進費支給世帯は八十世帯だと言われていると思います。残りの二百二十一世帯は就労には結びついていないということがわかっているわけですが、この数は多分半年たってもほとんど変わっていないのではないか。つまり、必ずしもその制度では行き届かない、くくることができないひとり親家庭が置かれている現状があると思うわけであります。この間の現場段階での認識も含めて区の対応を伺っておきます。
◎平井 玉川総合支所
生活支援課長 今お話がございました就労可能な母親に対しましては就労支援を行っておりますが、生活保護受給中の母子家庭は、その多くが障害、あるいは病気等により就労が難しい状況にあります。とりわけ精神的に不安定な母親も多く、育児が困難である、中には子どもの虐待につながるケースもあり、そのような母子に対しては、生活支援課の子ども家庭支援担当が中心となって生活保護ケースワーカーと連携し、さまざまな支援を行っております。
具体的には、健康づくり課の保健師と連携して、医療につながっていない方を医療につなげる。あるいは育児が困難な方に対しては、子どもを保育園に入園させ、保育園と連携しながら子どもの養育を支援したりすることがございます。具体例でございますが、例えば不登校の子どもが学校に行けるようにするため、職員が朝早く起こしに行って学校まで送り、登校の習慣が身につくよう支援したケースもございます。また、虐待の不安があるケースでは、夜遅くまでの対応が必要となることもあり、子どもに対して職務用の携帯電話を教え、いつでも電話してきていいからねと、子どもが安心していつでも相談できる体制をとったこともございます。
いずれにいたしましても、子どもたちが安心して健やかに成長できることが何よりも大切でありますので、今後とも引き続き子どもの成長、そして子どもとともに親が成長すること、その気持ちに寄り添いながら支援してまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 今お話がありましたように、障害、疾病などで就労できない事情を抱えている方が残っている方のほとんどだということなんですが、それだけにきめ細やかな個別の対応が今後も必要だと思うわけであります。今、具体に職員のさまざまな対応等も言われたわけですが、先日の総括質疑の際にも、ケースワーカーの増員、要するに福祉分野での人的配置の必要性、きょうは副区長が見えないところにいますけれども、ぜひこの点については踏まえていただきたいと思います。
それから、高齢者の住宅支援の課題です。
この問題は有料老人ホームにおける対応なんですが、区内には三十八施設あるということが先日のやりとりの中でありました。入居一時金が一千万から三千万円という施設も数多くあるわけですが、今後の施設支援のあり方を含めて検討が必要と考えるわけですが、区の見解を伺っておきます。
◎松本 高齢福祉課長 今お話がございましたように、有料老人ホームでございますが、利用料金が高額であるというような点もございます。区では、地域の重要な資源として位置づけを持たせていただいておりますけれども、現在、二十三区の担当課長会、部長会などでは、低所得者でも入居できる料金体系ですとか居室形態等を工夫するよう事業者に対して助言をする、あるいは協力を求めるといった仕組みづくりを構築することなどの議論を行っております。また、東京都においても、高齢者住宅、それから福祉施設等に関して、地価の高い東京において低所得であっても利用することができるような新たな施設基準を設定する必要性について指摘をし、国に要望しております。区といたしましても、このような二十三区での議論の進捗、それから、東京都の今後の取り組みなどとも連携をいたしまして、その対応策について検討してまいりたいと存じます。
◆羽田圭二 委員 現に民間が参入しており、施設がふえてしまっているという現状を認識した対応が必要だということは申し上げておきたいと思います。
高齢者の住宅整備の課題で、これも何度か申し上げたことでもありますが、既存の公営住宅等における高齢者世帯の増加という問題から、高齢者の安心を確保することが必要である。特に見守り体制の強化ということが言われてまいりましたが、この点について区の対応をあわせてお聞きしておきます。
◎松本 高齢福祉課長 公営住宅の中では、非常に高齢化率が進んでいるというところもございます。東京都でも、現在住まいに関するプロジェクトなどの検討も行われております。それから、区長会でも生活支援つきの住宅の拡充といったことについても要望しておりますけれども、区におきましても、高齢者見守りプロジェクトを地域福祉部の中に設けて現在検討をさせていただいておりますので、こういった中で安心確保、高齢者の見守りについての施策を検討してまいりたいと存じます。
◆羽田圭二 委員 福祉と都市整備のほうで連携をして、この高齢者住宅については検討していくということが言われておりますが、今後、住宅整備方針も確立をされていくわけですが、その連携をぜひ強めていただきたいと思います。
以上で社民党の質問を終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で社会民主党の質疑は終わりました。
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○
大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。
◆木下泰之 委員 点字のサービス及び点字についての役割について、保健福祉分野のセクションではどのように考えているのか、簡単でいいですから教えてください。
◎山本
障害施策推進課長 区では、平成二十一年四月に策定しました第二期障害福祉計画の中の重点的な取り組みの中に情報提供の仕組みの整備を掲げまして、例えば区の政策、あるいは行政情報などを載せています「区のおしらせ」等のカセットテープ版、点字版を作成し、障害者の方へ提供するなどしております。
◆木下泰之 委員 音声サービスも大事ですけれども、点字については特別な意味合いがあると思うんですよね。その辺についてはどう認識されていますか。
◎山本
障害施策推進課長 障害福祉計画の中におきましても、音訳のほうはもちろんのこと、点字につきましても普及検討ということで位置づけております。
◆木下泰之 委員 ユニバーサルデザインが大事だというふうに言われている中で、点字の役割というのは非常に大事だと思います。充実させていただきたいと思います。
それで、給田の光母寺が計画している墓地の問題について質問します。
何回か取り上げたんですけれども、これはまた競売にかかったんですね。最初は小原建設というのが光母寺の名を借りるような形でやっていたわけですが、これが十八年二月にUFJに差し押さえられまして競売にかかった。十九年十月に光母寺が十一億五千万円で落札したわけですけれども、払えず、一億円もの入札の手数料を裁判所に没収されてしまった。それで今度は、二十年九月一日に西京クリエートというところが六億一千万円余で落札して、今度はそれを二十一年三月十一日に光母寺が買ったということに一応なっているんですね。そしてまた、二十一年四月七日に標識を再度立てまして事業を進めようとしていたところ、七月一日にまたUFJに差し押さえられてしまった、それでまた競売にかかっている。
こういう状況の中で、問題は、四月七日に標識の再設置をさせたこと自体が非常に問題だったと思うんですよ。光母寺側に移転されたといっても、それは決して自分の持ち物ではないというか、つまり根抵当が入っているわけですね。なぜ標識設置を認めたんですか。
◎淺見 生活保健課長 墓地の申請の前段階といたしまして、事前周知という制度がございます。その中で四月七日に標識設置の申請が出て、それを受理したところでございます。
◆木下泰之 委員 競売にかかって何度も何度も複雑なことになってきているわけですが、そういうことについては調べているんですか、調べていないんですか。
◎淺見 生活保健課長 過去の例でありますと競売にかかっております。今回は改めて標識を設置して、新たな回と考えております。その中で、今回七月一日に差し押さえをされているという状況でございます。
◆木下泰之 委員 そうしますと、また標識の撤去を求めるということでよろしいですね。
◎淺見 生活保健課長 現在は、説明会等の申請前の事前の段階でございます。今後仮に申請があった場合には、墓地埋葬法、都条例、区の審査基準にのっとり公正公平に審査してまいります。
◆木下泰之 委員 もう既に光母寺のものではないんです。競売にかかる手続に入っているんですよ。そうなると、一たんはそれはちゃらになるんじゃないですか。前もそうしたじゃないですか。今回も撤去させるようにしなさいよ。いかがですか。
◎淺見 生活保健課長 現在は、先ほど申しましたように申請前の行政指導の段階でございます。
◆木下泰之 委員 だから、それは終わったと言っているんです。一たん光母寺のものじゃなくなったんですよ。もう一回、再度やるということになったら、仕切り直ししなきゃしようがないじゃないですか。
◎淺見 生活保健課長 現在差し押さえにはなっておりますが、所有は光母寺でございます。
◆木下泰之 委員 それから、結局この事業というのは根抵当がついているわけですよ。それをとるために、次の事業、つまり墓地計画をやることによって外すというのが前提になってずっと進んでいるというのが、どう見ても読めますよ。そうなりますと、区が果たしている役割というのは、区がお墨つきを与えればこれが進むという関係になっているんです。
どうもこの間の状況を見ますと、区がこれに対して非常に甘い。これだけ複雑な経緯を持って、名義貸しが歴然としているにもかかわらず、それについて引導を渡していないわけですよ。つまり墓地については、許認可と言いますけれども、許可と認可がありますけれども、許可のほうなんです。そうすると、区長は大きな権限を持って言えるわけですよね。そういうことについてなぜやらないのかということが一つ。
それから、もう既に建築セクションに建築申請が出ていますよね。しかし、他人の手に渡った土地の上に建てることになっている。それから、もともと建てる土地は立石建設が持っている土地もある。そういった中で建築許可だけおりちゃっているんですよ。もう一つ、環境セクションのほうでの環境審査もおりちゃっているんです。しかもこれには、私も説明会の前段のところに出席して、説明会は成立していないんですけれども、あたかも成立したかのように言って、いない人のものまで出してやってきているんですね。そういうめちゃくちゃなことをやっているわけですよ。引導を渡すつもりはありませんか。副区長、お願いします。
◎淺見 生活保健課長 差し押さえ等がありましても、申請予定者が説明会等を行っている段階では申請予定者に計画の中止等を求めることはできません。
◆木下泰之 委員 副区長に言いますけれども、これは区長の権限でやめさせることができるんですよ。つまり、そういう姿勢を示すことが大事なんですよ。申請している前にかかわらず、そういうことはいかがですか、副区長。
◎平谷 副区長 この権限は世田谷保健所長が持っております。私どもとしては、厳正、公正に対処してまいります。
◆木下泰之 委員 権限は区長だと思いますよ。区長がきちっとした対応をとればあきらめると思いますよ。そういうことをぜひやってください。終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後零時三分休憩
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午後零時五十分開議
○大場やすのぶ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
区民の会、どうぞ。
◆あべ力也 委員 まず初めに、歯科健診に関連をして質問してまいりたいと思います。
区内在住で、歯科医院を開業されている方からご相談がございました。自分のところの患者さんが、役所で行っている成人歯科健康診査を受けられないかということで来られる方がいらっしゃるということなんですね。ところが、その歯医者さんは歯科医師会に加入をしていないということでございまして、歯科医師会に加入をしていない歯医者さんが成人歯科健診を提供できないというような状況にあって、大変困ってしまうということなんです。
そういうお話を伺っていろいろ調べてみました。歯科医師会は、現在構成率が全体で六割程度で、四割が歯科医師会に加入していない歯医者さんだそうであります。それで、世田谷の歯科診療にかかわるさまざまな予算が歯科医師会に委託をされているという状況でありまして、成人歯科健診、乳幼児の歯科健診、そういうものを含めて約二億七千万円ぐらいの委託をしている。それと、歯科保健サービスの充実という内容で、これは一億八千万円ぐらいですか。合計で歯科関係は四億八千四百万円というような内容であります。
世田谷の歯科医療の周辺をいろいろ見てみますと、特にかかりつけ医を推進していこうということで、普及啓発事業等も行っているということでありまして、かかりつけ医に行ったら成人歯科健診が受けられないという現状であるのであれば、とても矛盾をはらんでいる状況なのではないかなと思うわけであります。こうした歯科医師会に加入をしていない歯科医師さんからのこういうお話に関して、世田谷区としてはどのようにお考えなのか。
また、今後、もちろん受け皿としての歯科医師会の役割ということで、契約をする上で団体さんのほうがやりやすいということなんでしょうけれども、介護保険の事業なんかの場合には、自分が受けたい歯科医師さんを選んで受けられる制度であるということでありますから、こうした保険診療に関しても、新たな仕組みづくりを検討していくことも可能なんじゃないかなと思うんですね。特に健康診断なんかの場合には、医師会との同じような委託契約をしているわけですけれども、医師会は構成率が八割を超えている中で、受け皿として世田谷区としてお願いをしているということであります。
歯科医師会は六割、四割の方が歯科医師会に所属をしていない現状であるということでありますから、区としても、歯科医師会に所属をしてない医師の方、もちろん税金も支払っていらっしゃるわけですから、医師会に所属をしている歯科医師さんと所属をしていない歯科医師さんとの二極化してしまうような政策を今やっていることに現状としてなってしまっているわけです。今後、歯科医師さんが言われるようないろいろそごがあるとすれば、どういう打開策があるのかについても含めてお答えをいただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
◎上村 健康推進課長 ただいま委員のほうからお話がございました成人歯科健診でございますけれども、こちらは歯周病予防等を目的といたしまして、世田谷区歯科医師会並びに玉川歯科医師会と委託契約を行いまして事業を実施しているところでございます。
契約の締結に当たりましては、本事業は四十歳からの五歳刻みの区民の方、約七万人ぐらいになるんですけれども、その中でも一定の受診率が毎年見込まれておりますことが一つ、もう一つは、区民の方が身近なところで受診できる体制を整備する必要があるということがございまして、世田谷区といたしましては、区内の歯科診療所のおよそ六割を超える診療所を会員として抱えられている両医師会と契約しているところでございます。
◆あべ力也 委員 ちょっと期待している回答をいただけなかったんですけれども、先ほど申し上げたように、区内の歯科医師さんというのは七百三十開業されている方がいらっしゃって、歯科医師会所属が四百五十六、未加入が二百七十四という数字をいただいておりますけれども、もちろん受け皿として歯科医師会が今までやってきた役割とか、そういうことはもちろん評価をしたいんですけれども、今後、そういう主張をされる未加入の医師の方もいらっしゃるわけですから、そういうことに配慮していただきたいと思います。
それで、同じ口腔ケアで、介護予防の一つとして口腔ケアというのが行われていますけれども、訪問診療も含めて年間の実績が十五人と聞いております。この現状は大変少ないと思うんですが、今後これはどういうふうにしていくのかお聞かせいただきたいんです。
◎上村 健康推進課長 お話にございましたように、訪問口腔ケアにつきましては、四十歳以上で外出が非常に困難な在宅の障害者や要介護の高齢者の方を対象に歯科医師が訪問して口腔のケア、あるいは健診等を行っているわけなんですけれども、最も重たい方のケアを行っていると認識しております。
◆あべ力也 委員 時間がなくて聞けない点もありましたので、今後シリーズでこの点はいろいろ聞いていきたいと思いますので、以上で質問を終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で区民の会の質疑が終わりました。
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大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 本日は、本会議に引き続きまして、世田谷区の聴覚障害者に対する情報保障を取り上げたいと思います。
現在、区の聴覚障害者に対する情報保障がどのレベルにあるのかということを論じるために、きょうはパネルをご用意しました。他区との差異が瞭然ですので、ぜひごらんいただきたいと思います。
これは平成二十年度の各区の手話通訳者派遣事業の実績を積み上げた棒グラフです。出典は東京都福祉保健局取りまとめの平成二十年度障害者福祉施策の概要というものです。一番左側が世田谷区、次いで江東区、練馬区、北区、大田区、板橋区と並んでいます。世田谷区の状況は、一番左にあるようにこの中では一番少ないんですね。昨年度で七百件となっています。一方、江東区は千四百二件、練馬区は千四百八十四件、北区が千八百八十三件、大田区が千九百八件、板橋区は二千三百五十九件ということで、いずれも世田谷区の二倍以上の実績。板橋区に至っては三倍以上の実績を持っているということになっています。
では、障害者の数が少ないのかというと、そんなことはないんです。この右下にそれぞれ聴覚・平衡機能障害者の数を今年度当初の数でそろえて表示をしています。ここで見ていただくとわかるように、世田谷区の障害者の数千七百四十四人、板橋区が千七百九十一人、大田区が千六百四十人、練馬区が千五百六十一人、江東区が千二百三十六人、北区は千百二十三人です。世田谷区の千七百四十四人に比べると大分少なくなりますよね。ところが、派遣実績はすべて世田谷区の二倍以上、ところによっては三倍ということなんです。世田谷区は、聴覚障害者の数が都内でもトップクラスであるにもかかわらず、極端に少ないということをぜひ考えていく必要があると思うんです。
世田谷区の派遣実績の中身を見ますと、この黄色の部分、「生命と健康」というものがおよそ半数、あとは「その他」に集約されていまして、そのほかの人間関係、あるいは住居や文化に対する派遣、福祉や職業に対する派遣、権利の保持というものに対する派遣はほとんど存在しないんです。でも、どうでしょうか。ほかの区を見ると、区の派遣制度を使って、人間関係や文化、そして職業、権利の保持、それぞれたくさん使用しているんですね。当区の「権利保持」への派遣は十三回、これに対して板橋区は四十四回。当区の「福祉・職業」に対する派遣は、昨年度四十六回、板橋区は百七十三回。当区の「住居・文化」に対する派遣というのは二十四回、板橋区は対して四百七十一回です。これを見ますと、いかに世田谷の手話通訳者派遣事業の実績数が少ないのかということが一目瞭然ですし、また、最低限の保障である「生命と健康」ばかりに派遣が偏って、ほかの文化的なこと、社会的な広がりを持っていないのかということがよくわかると思います。
区内の聴覚障害者の方々からは、区の制度は上限が小さ過ぎて、いざというときの備えを考えると使いたくても使えないという声が繰り返し上がっています。派遣実績がなぜこれほど少ないのか、派遣内容になぜこんなに偏りが出るのか、また、ここからニーズを潜在化させていないのだろうかということをぜひ検証して分析していただきたいということを考えています。いかがでしょうか。
◎山本
障害施策推進課長 聴覚障害者にとりましては、手話通訳はコミュニケーションのための大切な手段であると認識しておりますので、今後他区での利用実績や実態、あるいは文化活動などの分析を行いまして、利用者の潜在ニーズの把握に努めますとともに、改めて聴覚障害者の方へ制度周知を行いまして、利用促進を図ってまいります。
◆上川あや 委員 ぜひしっかりとお願いしたいと思います。
続きまして、区庁舎におけます手話通訳者の待機についてお伺いします。
現在区で行っている手話通訳者の待機サービスは、区役所の第二庁舎一カ所のみ、毎週金曜の九時から十五時の六時間に限られています。このため、耳の不自由な方の情報保障というのは、区庁舎までわざわざ来なければいけない。しかも一週間のうちサービスを受けられるのは六時間ということです。区政に対するアクセシビリティーという点でいうと非常に低いと思いますし、他の区民に比べると不公平なんじゃないのかなということを感じます。この時間、この区役所に来られない方については、前出の手話通訳者派遣事業の自分の枠をみずから削って頼まなければいけないそうです。これはやはり改善の必要があると私は思っているんですね。
参考までに、先ほど最も手話通訳者の派遣実績の多かった板橋区と比べてみます。板橋区では、板橋と志村の両福祉事務所に月曜日から金曜日まで、朝九時から夕方五時まで手話通訳者が待機をしている。加えて、赤塚福祉事務所にも週二回、午後いっぱい手話通訳者の待機があるそうです。このうち板橋福祉事務所は、本庁舎の中にあることから、庁舎内の部、課の枠を超えて通訳サービスを行っていると伺いました。月曜日には二人、他の曜日も一人、朝から晩まで入っているわけです。以上、手話通訳者の待機時間は三カ所、一週間の延べ待機時間は百十二時間ということです。本庁舎に限ってみても世田谷の七倍、他の福祉事務所と合わせると実に十八倍を超える情報保障が行われているんです。
同様に、先ほども挙げた江東区では、本庁舎と総合区民センターの二カ所に、週四日間手話通訳者がそれぞれ待機されているということで、一週間の延べ待機時間を計算すると五十六時間、二カ所です。世田谷区の状況と比べると九・三倍なんです。
世田谷区としてもアクセシビリティーの向上に向けてさらなる工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか。
◎山本
障害施策推進課長 聴覚障害者が区役所に相談に来られました場合に正確かつ迅速にコミュニケーションをとることは、ご本人の目的達成に大変重要なことだと思っております。今後も金曜日の待機等を周知するとともに、聴覚障害者への情報保障の充実に向けた対応を検討してまいります。
◆上川あや 委員 それぞれご検討のお約束をいただきましたけれども、部として今後どのように検討いただけるのか、部長からも一言いただければと思います。
◎佐藤 保健福祉部長 さきの本会議一般質問の中で委員のいろいろなお話を聞きまして、今後の検討課題というふうに答弁させていただいたわけですけれども、確かに聴覚障害者の皆さんにとって文化活動とか、そういったたぐいに積極的に取り組んでいただくということは重要なことと考えております。今のお話の因果関係も含めまして、委員のお尋ねの趣旨を踏まえまして、課題を整理しながら今後検討してまいりたいと考えています。
○大場やすのぶ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属の会、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、成年後見制度の活用について伺います。
二〇〇九年九月現在、全国の高齢者人口は約二千九百万人で、総人口の二二・七%、その中で一般的に二割の方が要介護の状態にあり、そのうち半分の方に判断能力の低下が見られると言われております。世田谷区に置きかえると、六十五歳以上の高齢者約十五万三千人の二割、その半分の約一万五千人に何らかの判断能力に問題があると言われております。かなり多い数字であります。また、最近では、高齢者だけの老老介護、認認介護がふえ、それに伴い、介護疲れで無理心中を図るといった事件もニュースで目にするようになりました。
認知症になってしまった際の最大の問題点の一つとして、判断能力がなくなってしまい、例えば日常生活上のさまざまな契約や財産の管理、また介護の手配など、自分のことを自分で決められなくなってしまうことであると思います。その結果、悪徳商法にだまされ、自分の意思に反して高額な品物にサインをしたり、財産を他人にとられてしまったりという例が多くあります。そのため早急な対策が必要と思いますが、その対策の一つとして、成年後見制度を活用し、法的にきちんと支援することが必要であると思うんです。
成年後見制度は、判断能力が不十分であっても、後見人が本人の財産を本人のために使えるようにプランを立て、それに基づき財産管理や福祉サービスなどの契約を行い、さらには福祉サービス、介護保険サービスなど、今受けているサービスが本当に本人の生活条件に合っているかを常に考え、本人が個人として尊重され、安全安心に生活を過ごすことができることを常に考えてくれる法的な制度です。この制度をうまく利用することが認知症になったとき、また、認知症への予防のための一つの対策であると思います。
そこで、世田谷区は、区民成年後見人の養成など、成年後見制度に先進的に取り組んでいると聞いておりますが、ここで改めて、成年後見制度とはどのような制度か、活用状況も含めて簡単に教えてください。
◎木谷 地域福祉課長 成年後見制度には大きく分けて二つの仕組みがあります。既に判断能力が不十分なために自分自身で法律行為を行うことが難しい場合に、家庭裁判所が適任と思われる成年後見人を選任する法定後見制度と、今は元気だけれども、将来、判断能力が衰えたときに備えてあらかじめ任意後見人を決め、公正証書で契約をしておく任意後見制度です。
法務省の発表では、全国では平成十九年度末で十二万九千人が成年後見制度を利用され、年々利用者がふえている現状にあります。後見人の約七割が親族で、残りが弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職です。今後も高齢化や制度の浸透に伴い、成年後見制度を利用する方がふえるものと思われ、成年後見人の確保が課題と認識しております。
◆ひうち優子 委員 この制度を活用すれば、先ほどのような事例も、たとえ自分の意思に反して高額な品物にサインをしても、財産譲渡にサインをしても、後見人により取り消しが可能なのです。また、この制度は、判断能力があるときにあらかじめ後見人をつけることもできます。これから超高齢化社会になる上で大切なことは、自分の将来は自分で決定し、安心して一生を暮らせることであると考えます。そのためには、成年後見制度のうち、任意後見制度という法的な仕組みを活用し将来に備えるべきと考えます。すなわち、判断能力があるうちから信頼できる人を探して契約をしておき、支援してほしいことも話し合って決めておきます。そして、いざ判断能力が不十分になったときには、その方に財産管理や身上監護をお願いする任意後見制度こそ活用する価値があると思います。しかし、せっかくのいい制度ですが、余り正確な内容が知られていないのが現状であります。宝の持ち腐れになっていると思います。
そこで、伺います。区ではより多くの方に任意後見制度を利用してもらうためにどのような支援策を行っているのでしょうか。
◎木谷 地域福祉課長 お話にありました任意後見制度は、将来認知症などで自分のことができなくなったときに備えて、今のうちに財産管理や介護の手配をしてくれる人を決めておきたいという要望におこたえするものです。この場合、後見人になってほしい方と事前に十分に話し合っておくことが必要です。また、後見が開始されるのは、本人の判断能力が不十分になり、本人や親族等が申し立てを行い、家庭裁判所によって任意後見監督人が選ばれてからになります。このため、後見人を定めてから後見が実際に開始されるまでには相当の時間が経過することが考えられます。場合によっては十年、二十年先ということもあります。
このようなことから、一たん決めた後見人を変更したいということや、また、任意後見制度を悪用した事故もございまして、制度を利用される方が制度の趣旨や仕組みを十分理解し、自己責任を明確に認識しておくことが大変重要です。区では、これらの点を含めまして、成年後見支援センターの相談窓口などを通じて、制度の普及と正しい理解の促進に努めているところでございます。
◆ひうち優子 委員 自分の将来は自分で守る、特に任意後見制度は、うまく活用できれば判断能力のあるときに自分の将来を自分で決めることができるすばらしい制度であると思います。しかし、先ほどの答弁にもありましたが、この制度を悪用して事故が起きていることも事実です。例えば、判断能力が衰えつつあるときはまだ裁判所に申し立てをしていないので、その期間は判断能力が衰えているにもかかわらず、判断能力があるとみなされてしまいます。それを悪用し、その間に財産譲渡の契約にサインをさせられ、だまされてしまうケースもあります。よって、まず任意後見制度とはどういう制度かを知ってもらう、いい面も悪い面もすべて知った上で制度のいい面を活用することが大切であると思います。
ここで、この制度を普及させるために、例えば「区のおしらせ」、広報板、ホームページなどを活用し、区民の人に向けてもっと積極的な広報、アプローチが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
◎木谷 地域福祉課長 区ではこの間、成年後見制度の推進のために成年後見支援センターの設立、区民後見人の養成講座の実施、総合支所保健福祉課やあんしんすこやかセンターと連携を図った相談体制の充実、シンポジウムの開催などの取り組みを進めてまいりました。これらの活動が評価され、全国でも先進の自治体としてたびたびテレビや新聞などでも報道され、多くの自治体からの視察も受けてまいりました。区としてはこれまでの成果を踏まえ、引き続き成年後見支援センターの体制の充実を図り、相談体制の強化や区民後見人の養成を進めるとともに、パンフレットや広報、シルバー情報などを通じて成年後見制度の普及啓発の強化に努めてまいりたいと思います。
◆ひうち優子 委員 成年後見制度はまだ敷居が高いというイメージがあります。しかし、今後認知症がふえる中、今実際に区内で約一万五千人の人が何らかの判断能力に問題があると言われています。よって、積極的にアプローチしていただけることを要望します。
○大場やすのぶ 委員長 以上で世田谷無所属の会の質疑は終わりました。
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大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 区の情報誌「GAYAGAYA」について質問します。
区では、私、中高年世代の方を対象とした情報誌「GAYAGAYA」を年四回発行されています。私は電車の中で読むことが多いんですが、皆様も読んでいるでしょうか。最近では、区内の駅に設置されたマガジンラックにさまざまな魅力あるフリーペーパーが置かれていることが多いですが、「GAYAGAYA」はその中でも大変読みやすく、中高年の方たちにいろいろな情報提供をするための大変よい取り組みだと私は思っています。
毎回、区内在住の方にスポットを当ててインタビュー特集を組まれています。今月発行された七号では、俳優の柄本明さんが出ています。これまで出たタレントさんの中では、仲代達矢さん、竹下景子さん、カメラマンの浅井慎平さんもいました。また、「GAYAGAYA」の企画や取材は、区内に住んでいる区民のスタッフの方たちにボランティアでお願いしていると聞いております。こうした情報誌がよその自治体でも発行されているものなのかお伺いしますが、その点は区は把握しているのでしょうか。また、区は「GAYAGAYA」をどのように評価し、今後どのように展開しようとしているのかお伺いします。
◎新保 生涯現役推進課長 「GAYAGAYA」についてでございますが、都内や首都圏の自治体で類似の情報誌を発行していると把握してございます。その中で「GAYAGAYA」につきましては、企画や取材、執筆を区内在住の五十歳代から七十歳代の公募区民スタッフに担っていただきまして、発信される情報が中高年世代の読者に一体感を感じていただけるものになっていると考えております。
区民読者からは、情報内容が豊富で手軽で読みやすい、あるいは余り内容を知らなかった地域活動やボランティア活動などに興味がわき、活動に参加したいなど、ご好評をいただいております。地域活動の担い手育成の役割を果たすなど、区といたしましても一定の効果を上げているものと認識してございます。さらにより多くの方々に「GAYAGAYA」を手にとっていただけるよう工夫してまいりたいと考えてございます。今後も、地域活動を実践している中高年世代の活躍を具体的に紹介するなど、読者の方々が地域活動等に参加したいという意欲を持てるように伝えてまいりたいと考えてございます。
◆青空こうじ 委員 よろしくお願いします。
次に、児童虐待についてお伺いします。
先月の新聞に、全国の児童相談所の所長さんが児童の虐待による心身の被害程度を初めて調査したという記事が出ていました。それによると、虐待を受けたと判断した児童の約二%が、暴行による大けがや育児放棄による栄養失調など、生命の危機があったそうです。幸い世田谷区内には一件もありませんでしたが、中には性的虐待で妊娠したケースもあったそうです。そして、加害者は何と実のお母さんや実のお父さんだったそうです。私は保護司をしていて、少年院や刑務所、更生施設などに行きますが、社会に適応できない少年は家庭環境に問題があるケースも大変多く、中には児童虐待を受けて子どもの心に大きな傷を残して育ち、その結果、対人関係をとることが難しくなってきて社会に適応できないことから、犯罪や非行を起こしてしまったケースも少なくありません。もっと早く家庭環境が変わっていたら問題は解決したのではないかと思います。子どもの生命や人生を守り、健やかな子どもの成長のためにも、児童虐待を予防するとともに、児童虐待の早い時期に家庭環境を変えていくような対応をすることが重要だと私は考えております。
そこで、通告や相談、死亡事例など、世田谷区内の児童虐待について、現在どういうふうになっているのかお伺いします。
◎小堀 要
支援児童担当課長 平成二十年度の新規受理した虐待相談は三百十件、養育困難の養護相談は二百四件で、前年度比では虐待相談は約二五%増加しております。また、二十年度末での継続相談数でございますが、虐待が四百三十八件、養護相談五百八十五件で、前年度比は全体で約一六%増加いたしました。二十年度の虐待通告は、近隣、知人から四十件、学校などの関係機関から二十七件と、子どもに日ごろから接する地域住民や関係機関からのものが多く、虐待予防への関心の高まりを感じております。虐待による死亡事例は世田谷区においては起きておりません。
◆青空こうじ 委員 児童福祉法や児童虐待防止法の改正により、児童虐待の通告や相談窓口が平成十七年度に区に設置されてから関係機関や区民への周知が進んで、児童虐待の対応が増加しているところですが、児童虐待に対応する区の予防策や対応策について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。
◎小堀 要
支援児童担当課長 区では、十九年度から児童虐待のないまち世田谷を重点施策に位置づけまして、児童虐待の対応策や予防策に取り組んでおります。具体的な対応策ですが、生活支援課と健康づくり課で相談支援を行っております。新規相談後に会議を開き、必要に応じて子どもの安全確認と状況調査を行い、援助方針と継続的な支援を組み立て、要保護児童支援協議会を活用して、関係機関と連携し支援しております。また、児童相談所と定期に、基準ごとに進行管理を行い、支援の漏れがないように努めております。要支援児童担当課では、専門職種で構成いたしました児童虐待対策支援チームを設置いたしまして、総合支所の専門的サポートを行っております。
予防策でございますが、関係機関の実務者を対象といたしました研修を実施し、人材育成に取り組むほか、区民向けの講演会等で予防と普及啓発を実施しております。また、予防や早期発見などのために、乳児期家庭訪問事業や産後ケア事業など、育児不安を抱える親への支援を充実いたしまして、周産期からの早期支援の強化に取り組んでおります。さらに、養育困難な親の指導といたしまして、平成二十年度後期より、子育てがうまくいかない、つらいと感じている親を対象といたしました親講座やペアレントトレーニングを開始いたしました。
◆青空こうじ 委員 つい先月ですか、親子で車に乗っていて、子どもたちにスーパーに行かせて肉とお米をとってこいと言う親がいるということを新聞、テレビでやっていました。もし子どもたちがやらないと、家に帰ってから暴力を振るったり、それから食事をとらせないということがあります。区内でもそういうことのないようにくれぐれも注意してほしいと思います。
以上で質問を終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
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大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。
◆上島よしもり 委員 それでは、自由民主党の質問を始めさせていただきたいと思います。
まず初めに、梅ヶ丘病院跡地に関連して幾つか質問してまいりたいと思います。
区では、住みなれた地域で安心して暮らし続けることのできる地域社会の実現を基本理念としまして、地域の特性に応じた多様で柔軟なサービスを提供し、また、基盤の整備などにこれまで力を入れてきております。
そういう中で、今まである程度力を入れてきたところでございますが、今回梅ヶ丘病院跡地を活用することで、いろいろな足りない部分を大きく埋めることができる大事な機会だと我々はとらえております。そういう中で、介護や医療が必要な状態になっても、自宅や住みなれた地域で生活するために、病院と在宅を問わず切れ目のない医療提供体制を整備していく、また、福祉と医療が連携してさまざまなサービスを提供していくという形をこれからつくっていくことが重要なわけでございます。そこで、梅ヶ丘病院跡地にどういったものをつくっていくかという課題の中で、実際、今在宅の福祉を進めていくに当たって、現状できることをまずやっていくということが基本だろうと思っております。
そこで、在宅での医療や介護のサービスと、症状の急変時などの区民の安心安全を支える後方支援機関としての病院との連携が非常に重要になってまいりますが、この点はどこまで進んでいるかお聞かせいただきたいと思います。
◎田中
保健医療担当課長 世田谷区では、第四期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づきまして、福祉と医療が連携し、高齢者が在宅等で安心して療養できる体制の構築に向けた取り組みを推進しております。いざというときに入院、治療を受ける病院との連携や、入院先から在宅へのスムーズな復帰のためには、在宅での医療、介護サービスと入院先医療機関との情報共有が不可欠でございます。区と医師会等との関係者で設置しております医療連携推進協議会及び他職種のサービス担当者が意見交換を行う実務者連絡会では、ケアマネジャーを中心とした在宅のサービス担当者と病棟看護師や医療ソーシャルワーカー等の病院関係者とで情報共有のあり方を中心に検討を進め、退院モデル事業を実施するなど、連携関係の構築に努めているところでございます。
◆上島よしもり 委員 そのような進め方をされているようですけれども、在宅をやっていく上で訪問医療とかは非常に重要なところなんですけれども、現状既に厳しいとの声を医療関係者から私はよく聞きます。いわゆる急性期病院から退院後に、ある程度の期間療養したり、また症状が悪化したときに入所できる療養病床が必要ではないかということがよく言われていますけれども、私は、そういう意味では、今、世田谷区の現状を考えたときに、十分であるかどうかというのは非常に疑問であると考えております。
そこで、この療養病床については、平成十八年度の医療制度改革で、国のほうで介護保険適用の療養病床の廃止を決定するなど、療養病床の再編を進めてまいりました。実際、この間療養病床の再編については多少変更もあったわけでございますが、療養病床の再編を含めて、今後の状況がどのように移り変わろうとしているのかというのが、今回世田谷区が梅ヶ丘病院跡地で何をつくっていくかと関連してくる話だと思うんですが、その辺はどのようにとらえているかお教えください。
◎田中
保健医療担当課長 ご指摘のように、医療制度改革で療養病床の再編成というものが打ち出されたわけでございます。削減する病床については、老人保健施設、ケアハウス等への転換を想定していたところですが、現在も療養病床は三十三万床程度あると言われておりまして、転換は余り進んでいないと認識をしております。
また、東京都は人口十万人当たりの療養病床数が比較的少ないこと、また、高齢化の進展により急性期医療を終えた後も医学的管理が必要な患者の増加が見込まれることなどの理由から、都内の療養病床を十八年度当時の約二万一千床から、二十四年度末には約二万八千床にふやす計画といたしました。区の現状を見ますと、平成十八年度の医療制度改革当時五百二十二床であった療養病床は、現在六百九十六床というふうに増加をしております。療養病床の再編期限とされている二十三年度末を控えまして、現在は医療機関が今後の方針等を見きわめる段階であると認識をしております。
◆上島よしもり 委員 これから病院等がどのように判断して用意されていくかということが重要なんですけれども、そういう意味では、今のお話ですと、東京都における病床数は、人口に対して少ないというお話があったと思います。それでこれからふやしていくということでありまして、その中で実際これから病院がふやしていけるかどうかにかかっているんです。現状、世田谷区内ではふえているというお話もあったんですけれども、私はこれが本当に基準に達するかどうか、もしくは基準に達したとしても、本当に世田谷区の在宅の福祉といいますか、安心して暮らせる福祉医療が確立できるかというのは大変難しい問題ではないかなと考えております。
実際、東京都の保健医療計画では、世田谷区というくくりではなくて、区西南部保健医療圏という、渋谷区と、あと目黒区が入るんですかね、この三区の中で決められているそうなんですけれども、これは基準病床数を超える見通しがないと言われているようでございまして、そういう意味では、区として療養病床を検討していくことが自然というふうに客観的に言えるのではないかと私は思います。
そこで、これから大もとの住みなれた地域で安心して暮らし続けることのできる地域社会の実現に向けて、世田谷区として療養病床の再編の検討をぜひ検討の中に加えていただくということを再度申し上げたいと思いますが、副区長のほうでは、その辺はどのようにお考えでしょうか。
◎平谷 副区長 ただいま田中が申し上げておりますように、療養病床に関しましては、一たん国がいわゆる削減計画というのを設けた、その中で東京都はその権限においてむしろふやすべきだという推移がございます。一方、新たな政府の中では、いわゆる削減計画を凍結するという議論もされているやに伺っておりますが、いずれにしても、今、上島委員がおっしゃっていただいておりますように、梅ヶ丘病院跡地の一つの課題として今後検討させていただきたいと思っております。
◆上島よしもり 委員 実際、今療養病床に入られている方の中には、療養病床に入らなくても、例えばケアハウスであるとか、区としてもいろいろ準備をしようとしている老人保健施設であるとか、そこで対応できる方もいらっしゃるかもわかりません。そういう意味では、現状をいろいろ分析しながら、検討をしっかりと進めていっていただくことをお願い申し上げます。
それではもう一つ、梅ヶ丘病院跡地の中で災害時の医療対策として掲上されております件についてお尋ねしてまいりたいと思います。
世田谷区地域防災計画では、災害時に傷病者の医療救護を行うため、区内で二十カ所、医療救護所というのを設定しております。必要な医療器具及び医薬品を備蓄するとともに、状況に応じて医薬品ストックセンターを世田谷区民会館に設置するといった医薬品等の備蓄・供給体制を現在計画しているということでありますけれども、この梅ヶ丘病院跡地利用調査研究では、四つの拠点の一つである健康を守る拠点の役割として、特に災害や健康危機の発生に備える薬品や物品の備蓄管理を行う災害時等の医療対策を掲げております。この災害時等の医療対策とは、具体的にどのような内容を想定しているのでしょうか、お聞かせください。
◎田中
保健医療担当課長 今、委員がご指摘の世田谷区地域防災計画で定めます医薬品等の備蓄・供給体制に加えまして、災害時には、かかりつけ医等の身近な医療機関での災害時対応を支援するための薬品や区民生活に必要な常備医薬品等の確保が必要となると考えております。また、新型インフルエンザの発生や流行に備えて必要とされる感染防護具や医療器材の備蓄など、健康危機への備えもますます重要になると考えております。
このため、都立梅ヶ丘病院跡地利用調査研究では、こうした災害や健康危機管理等に対応した薬品、物品の確保のための拠点の整備が望ましいという考え方をお示ししたものでございます。
◆上島よしもり 委員 初動期における、特に応急医療器具、医薬品などを私はまず中心に据えるべきだと思っております。今、避難所である学校において、学校で使っているものをそのまま使うというふうになっておりますけれども、多分、実際災害時になればそれでは足りなくなることは目に見えておりますので、その点、内容については過去の災害から学びながら、また専門家、関係者、医療関係者との協議の上でしっかりとした備蓄体制をつくってもらいたいと思います。
また、その中で医薬品の備蓄となりますと、取り扱うための資格が必要であったり、専門知識が必要になるわけですが、そのまま備蓄しておいても、医薬品というのも時間が過ぎますと使えなくなってしまうということもあり得ます。そういう意味では、ランニングコストといいますか、ストックする上での管理方法も非常に重要になってくると考えます。こうした施設を運営する場合の医師会や薬剤師会といった関係団体との協力が、私はこれから非常に重要になってくると思います。その運営に当たって仕組みづくりというものを工夫していただくべきと考えますが、その辺はいかにお考えでしょうか。
◎田中
保健医療担当課長 区では、区内医師会及び薬剤師会と災害時の医療救護活動についての協定書を締結いたしまして、医師会には医療救護所における傷病者への応急処置を、薬剤師会には傷病者等に対する調剤及び服薬指導、医薬品の仕分け及び管理等、さらに、不足する医薬品の調達、納入等への協力をお願いしてございます。
このような医師会、薬剤師会との協力関係を踏まえながら、梅ヶ丘病院跡地における薬剤備蓄等を含む災害時の医療対策の仕組みにつきましては、今後、議会、地域保健福祉審議会、関係団体等のご意見をいただきながら検討してまいりたいと考えております。
◆上島よしもり 委員 よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。新型インフルエンザが猛威を振るっているところですが、一部ではどうやら山を越えたのではないかという声もあります。先日テレビを見ておりましたら、このウイルスが安定をし始めているという専門家の話もありまして、いわば季節性インフルエンザと余り変わりなくなってくるのではないかといったことも聞かれております。実際、この新型インフルエンザの今日的状況については、区としてはどのようにとらえていらっしゃるかお教えください。
◎木村 世田谷保健所参事 今回の新型インフルエンザにつきましては、まさに今現在流行中ではございますけれども、従来の発生が懸念されておりました鳥由来ではございませんで、豚、鳥、人の遺伝子がまじり合いましたウイルスというふうに言われております。このように新たに発生いたしましたウイルスにつきましては、人から人に拡大していく中でさらにウイルスが変異いたしまして、病原性などが変わっていく可能性があります。しかし、今回の新型インフルエンザにつきましては、現在のところは変異の可能性が低いということが言われているところでございます。
◆上島よしもり 委員 相手は生き物でもありますから、さまざまな見方というか分析があると思いますけれども、いずれにしましても、備えとしては予防接種を希望する声というのは非常に高いのが今の現状だと思います。特に子どもを持つ家庭や疾患を抱えている方々の中では、この希望の声というのは多いと思います。
そこで、先般ようやく国からワクチン接種の手順が示されました。報道もなされているところですが、混乱のないよう、区としてもどのような人がいつからどこで予防接種を受けられるかという基本的な広報などを行っていくべきと考えます。
そこで、どこでというところについては、医療機関と調整を行っていく必要もあると思います。かなりタイトなスケジュールになると思いますが、今後の取り組みについて区の予定をお聞かせいただきたいと思います。
◎木村 世田谷保健所参事 先日、新型インフルエンザワクチンにつきましては、国の説明会がありました。ワクチンの実施主体につきましては国であり、優先接種対象者に接種を行うために、区や医師会等の協力のもとに、国が実施を希望する医療機関と委託契約を締結いたしまして、予防接種の受託医療機関が決定されるということになっております。区民の対象者の方がスケジュールに沿って身近な医療機関で受けられますように、区は医師会等との協議を既に始めておりますところで、早急に調整を図っているところです。
◆上島よしもり 委員 しっかりと進めていっていただきたいと思いますが、あわせて今回の新型インフルエンザワクチンの目的、効果、またリスクや費用などについても適切に情報提供を行う必要があるかと思います。特に子どもに関しては、ほかの予防接種との組み合わせをどのように行うべきかといったさまざまな不安もあろうかと思いますが、その辺の情報提供についてはいかにお考えでしょうか。
◎木村 世田谷保健所参事 今回の新型インフルエンザのワクチンの目的につきましては、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、そのために必要な医療を確保することであり、一定の効果が期待されているところです。ただし、感染防止や流行の阻止の効果は保証されているものではありません。また、予防接種のリスクにつきましては、まれではありますが、重篤な副反応も起こり得ると言われております。国内産につきましては、季節性インフルエンザと同程度、輸入ワクチンにつきましては、有効性や安全性につきましては現在の時点では不確実な面があり、国が引き続き安全性について情報収集を行っているところでございます。
そのほか子どもに対しまして、ほかの予防接種との関係や、また費用面などにつきまして、広報紙やホームページを活用しまして、あわせて医療機関や関係機関の協力を得ながら必要な情報を提供してまいりたいと考えております。
◆上島よしもり 委員 今、国産と輸入というお話がありましたけれども、新聞報道でも、輸入のものについて少し危険性があるというような報道もある中で、国産をぜひとも打ってもらいたいという人が出てくる可能性があると思うんですが、そういった整理はどういうふうに行っていくとお考えでしょうか。
◎木村 世田谷保健所参事 ワクチンの流通につきましては、国が製造されました、あるいは海外から輸入しましたワクチンを買い上げまして、順次販売業者に売り払い、卸業者、医療機関へと流通していく過程になっております。そのような中で、需要と供給のバランスはございますけれども、まず優先者が先になりまして接種を行いまして、その過程の中でどの程度ワクチンが余るか、あるいは足りないかということがございまして、流通調整をいたしますのは、基本的には国や東京都のほうが行うことになっております。そのような中でもし国産のワクチンが、余るというのは正確な言い方じゃないかもしれませんけれども、余りました折には、希望者の方にも接種ができるようになると思われます。
◆上島よしもり 委員 特に子どもをお持ちの保護者に関しては、できれば国産という声が出てくるのではないかなと思います。その辺、医療機関を含めて混乱のないように対応をお願いしたいと思います。
あと、これは極端な例ですけれども、最近、大変家庭の収入が減って、お医者さんになかなか行かすことのできない家庭も出てきているというようなことも言われております。世田谷区では医療費が無料ということで、通常その辺の大きな影響はないと思うんですけれども、この新型インフルエンザのワクチン接種に際して、こういった低所得者に対する助成というものも多少考えていっていいのではないかなと思います。
特に今回の新型インフルエンザの一番怖いところとしては、初期段階に多少の時間放置されてしまって、あるとき急変して、一気に死を迎えてしまうということが海外の事例でも出ています。そう考えますと、やはり予防接種をしたり、また、適切な対応をしていただくことが重要だと思うんです。そういう意味では、低所得者に対する助成というものを一つ考えていってもいいのではないかなと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
◎木村 世田谷保健所参事 低所得者につきましては、国は非課税世帯の負担を軽減できる財源措置を行うということを示しております。非課税の方の把握は実際上はなかなか困難なことではございますけれども、区におきましても、国の意向を踏まえまして、低所得者の方がそのために接種が受けられないということがないように、低所得者の方への負担の軽減につきまして現在既に検討を始めているところでございます。
◆上島よしもり 委員 よろしくお願いいたします。
それともう一つ、関連してですけれども、今回の新型インフルエンザは肺炎を起こしやすいということが言われております。高齢者の場合なんですけれども、インフルエンザにかかると肺炎球菌による細菌性の肺炎を合併して重症化したり、また、死亡につながったりといったことが多いと聞いております。そういう中で、ぜひ区としてもワクチンの普及啓発と費用の助成というものを考えていっていいと私は考えますが、区の見解はいかがでしょうか。
◎木村 世田谷保健所参事 現在、新型インフルエンザの感染が拡大しているところでございますけれども、これに季節性のインフルエンザの感染も重なりまして高齢者にもインフルエンザによる感染が広がり、肺炎による重症化が心配されているところでございます。このような高齢者の肺炎予防のためには、肺炎球菌ワクチンが有効であることにつきましては認識しているところでございます。しかし、効果につきましては五年以上あるとは言われておりますが、副反応の問題から、日本では生涯に一回しか接種できないなどの課題もあります。今後とも肺炎球菌ワクチンの普及啓発に取り組みますとともに、高齢者肺炎球菌ワクチンの公費助成につきましては、改めて重要な課題として検討していきたいと考えております。
◆上島よしもり 委員 最後、質問ではなくて要望なんですけれども、公明党の高橋委員から何度も質問が出ておりますけれども、精神疾患に対する早期発見の問題なんですが、これについてはいろいろな観点からしっかりと進めていっていただきたいと思います。既に区でもかなり進めてきていただいているところでありますが、私からは、できるだけ多くの方に、本人、家族はもちろん、学校関係者が理解を深めていっていただくという意味で精神保健ガイドブックというものを作成して、あらゆる機会に精神疾患について知っていただくということをお願いしたいと思います。ぜひその辺、質問はいたしませんが、検討していただくことをお願い申し上げまして、石川委員にかわります。
◆石川征男 委員 自民党二番バッターで質問させていただきます。
介護支援についてお伺いします。
介護を必要とする高齢者を介護している方の支援について。
私の地元の商店街でこのようなことがありました。長い間お店をやっていたのですが、先日、店を閉めることになりました。そのお宅は、五十歳代の息子さんと八十歳代の親御さんの二人暮らしですが、お店を営んでいた息子さんに店を閉める理由を聞いたところ、親御さんの介護のために、店を売って多摩のほうへ移るとのことでした。また一つシャッターがおりてしまい、まことに残念でございます。
この方のように介護のために仕事をやめざるを得ない状況になってしまうのは、高齢者の介護を考えるとき、これでいいのかなと疑問を持たざるを得ません。その方は、親一人と当人の二人家族ですが、他に手助けしてくれる方もいないため、やむなく店を売って、住まいと生活費を捻出して介護に専念するとのことでありました。
ほかにも脳梗塞で倒れた親の介護のために、シャッターを閉めたまま再開のめどが立たないお店もあります。このままでは商店街もさびれていってしまいますし、地域の活性化が損なわれてしまいます。住みなれた地域で住み続けていただく環境をつくるという世田谷区の考えのようにはなかなかいかないものです。
本来、介護保険制度というものは、こういうことにならないようにするための制度であると思いますけれども、こういう現実を見ると、制度だけでは足りないようにも思いますし、制度をよりよいものにしていく必要があると思います。
介護保険制度も平成十二年度からスタートして十年目を迎えたが、今の話を聞いて介護保険制度の現状をどのようにお考えですか。
◎石橋 介護保険課長 介護保険がスタートして十年目ということでございますが、介護保険制度の創設によりまして、高齢者介護のあり方は大きく進展したものと認識しております。また、平成十七年度の制度改正では、予防重視型システムへの転換、地域密着型などの新たなサービス体系の確立などの見直しが図られ、十八年度から実施されております。しかしながら、お話にございましたように、介護者の負担軽減など多くの難題に取り組み、努力することが求められている状況にあるものと認識しております。
利用者やその家族にとってよりよい介護保険を実現するためには、在宅支援の強化、ケアマネジメントや介護サービスの質の確保、向上などが強く求められております。こうした状況を踏まえ、区では世田谷区の独自施策として、二十四時間随時訪問サービスを実施することを初め、在宅支援のさまざまな施策に取り組むとともに、ショートステイや小規模多機能型のサービスを効果的にご利用していただけるように基盤整備に努めてまいります。
◆石川征男 委員 次に、介護保険サービスの量の充実、質の向上、人材や設備の基盤整備などは、これから団塊世代の方々が後期高齢者になる二〇二五年ごろには、大変な量のサービスや施設などが必要になるわけですから、今からそれに向けて知恵と工夫を持って取り組む必要があると思うのです。
先ほどのお店の例でも、特養などの施設に入れればお店を閉める必要もなかったのかもしれません。私はこれまでもサテライト型の特養整備などの提案をしてきましたが、施設整備、それを支える人材の確保などは喫緊の問題であるわけですから、区としても一生懸命に取り組んでいるとは思いますが、ぜひ精いっぱいの努力をしていただきたいと思います。
そこで、提案でありますが、民間活用で特別養護老人ホームを世田谷区の用地である三浦学園にでも誘導してみたらいかがかと思います。いかがでしょうか。
◎松本 高齢福祉課長 区の特別養護老人ホーム整備の基本的な考え方といたしましては、社会福祉法人による整備誘導によることとしておりまして、整備に対しまして補助制度を設けているほか、大都市の土地取得の困難さといったことも整備が進まない一つの状況でございますので、用地費補助の復活など、そういった支援策について国・都へ要望をさせていただいているところでございます。
今お話のございました民間の事業者で三浦の健康学園のというようなお話でございますけれども、他県、他自治体での世田谷区民向けの特養を整備することに関しましては、事業者がどのようにお考えになるかということがございます。同時に、それぞれの県、自治体の意向、地元の計画、こういったことの整合性の問題、それから世田谷区民の優先利用枠ということを設けることは、介護保険の制度上、確保できないというのが現状でございますので、こうした課題、制約、こういったことを考え合わせますと、今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。
◆石川征男 委員 現実には非常に難しいことかもしれませんが、私が申したいのは、そのくらい柔軟な、大胆な発想で今後の高齢社会を乗り越えてもらいたいという思いなのです。職員の皆さんの工夫と行動を期待いたします。
次に、高齢者福祉の問題で質問をいたします。
認知症高齢者への対応です。私の母も百歳を超え、かなりの認知症が出てまいりました。地域でも認知症のことで悩んでいる方やご家族の方が数多くいらっしゃいます。先ごろ実施された全高齢者の実態把握調査の集計が進んでいると思いますが、先日の速報について伺うと、何らかの認知症機能の低下がある高齢者は、質問のうちの一項目に該当する方が在宅で二万四千人、また、認知機能低下が疑われる項目、きょうが何月何日ですかというのがわからなくなるなど三つの項目すべてに該当する人が四千人いるそうです。
認知症については、これまで予防型行政ではありませんが、認知症にならないようにということで取り組んできたと思います。しかし、認知症になってしまう方がいるのも現実です。実態調査の結果のように、これだけの方々が認知症とすると、在宅で生活するための支援というものも必要ではないかと思うのであります。これまでは認知症対応というグループホームの整備ということがあったと思いますけれども、施策全体が整理されたものはなかったように思います。
地域で認知症の方やそのご家族が安心して暮らすために、認知症施策についてはどのように区はお考えですか。
◎澁田 介護予防・地域支援課長 認知症につきましては、その予防とともに認知症高齢者の尊厳の確保及び介護家族の支援が大きな課題でありまして、そのための体制整備が急務であると認識し、区はこれまで認知症予防プログラムの普及による認知症の予防、それから身近な地区ごとでの家族会の開催や心理相談による介護者の負担軽減、三つ目には、講演会などによる認知症の理解のための普及啓発に主に取り組んでまいりました。
今年度は、さらに、十月から区内二十七カ所のあんしんすこやかセンターで認知症に関するもの忘れ相談を開始しまして、身近な地域における相談体制を整備したところでございます。
区といたしましては、今後とも認知症グループホームや認知症デイサービスなどの地域密着型サービス拠点の整備を図りますとともに、認知症に関する相談やケアの提供を担う職員の人材育成をより一層充実させせるなどしまして、予防からケアまでの総合的な対策に取り組んでまいります。
◆石川征男 委員 また、十月よりあんしんすこやかセンターでもの忘れ相談を開始したとのことで、地域の方々にとっては認知症のことで困ったときに、どこに相談したらよいのかわからない方も多いことから、こういう相談窓口ができたことは大変結構なことだと思います。しかし、あんしんすこやかセンターは、いつ行っても忙しくしております。現状では、実態把握事業や地域の方々との連携などの事業で手いっぱいであると聞いております。認知症の相談窓口は設けたけれども、二枚看板になっただけでしっかり相談できないのでは、あんしんすこやかセンターにはなりません。
文字どおり、あんしんすこやかセンターにするためには、何でもかんでもあんしんすこやかセンター任せとならないよう、区全体の体制として、総合支所保健福祉課との役割分担や連携も必要となると思いますけれども、区はどのようにお考えなのかお聞かせください。
◎澁田 介護予防・地域支援課長 認知症の対策につきましては、今年度区では関係機関による認知症地域連携会議を各地域ごとに立ち上げてまいりました。この連携会議では、あんしんすこやかセンターを初めとしまして、保健福祉課の職員や認知症デイサービスやグループホーム、訪問看護事業所の職員等が、認知症に関する地域のさまざまな課題を共有し、事例検討などを通して知恵を出し合いまして、より的確な支援ができるよう取り組んでおります。
また、認知症高齢者への対応では、ご本人の拒否がありましたり、ご家族の理解が得られないなど、対応が困難なケースも増加してきておりますので、あんしんすこやかセンターをバックアップする体制としまして、各総合支所保健福祉課とも連携し、認知症高齢者への的確な対応を図り、支援体制の整備に一層努力してまいります。
◆石川征男 委員 区全体としてのあんしんすこやかセンターの役割や区の関係部署との連携の考え方をお答えいただきました。
あんしんすこやかセンターは、認知症を初め、高齢者福祉全般についても地区における相談窓口の役割を担っています。しかし、地域の方々が家族やご近所の高齢者について相談したいときに、あんしんすこやかセンターの相談窓口にたどり着けなければ、せっかくの相談窓口も意味がありません。あんしんすこやかセンターと地域の連携事業を通し、あんしんすこやかセンターの役割とその活動内容を地域の方々に知ってもらう取り組みもあわせて必要であると考えます。
あんしんすこやかセンターも地域に入って、高齢者の見守り活動のPRを進めていると思いますが、あんしんすこやかセンターが地域の方々により知っていただくため、どのような活動を行い、見守り事業をどのようにつなげていくのか、今後の取り組みをお聞かせください。
◎進藤 砧総合支所
保健福祉課長 あんしんすこやかセンターを地区の方々により知っていただくための取り組みといたしましては、地区のミニコミ誌でのあんしんすこやかセンターの活動を紹介していただいたり、地区の敬老会ですとか、町会等のイベントにあんしんすこやかセンターが参加いたしまして、出張相談会などを実施させていただく、また、あんしんすこやかセンターの活動を紹介させていただくというようなことを行っています。また、
まちづくりセンターでのはつらつ介護予防講座を開催するというような取り組みも行っております。
特に商店街や商店にあんしんすこやかセンターの名前の入りました高齢者の見守り協力店のステッカーを張っていただくとともに、商店に来店された方に対しての見守りをお願いするという取り組みをしておりまして、その来店者の様子によっては、あんしんすこやかセンターをご案内していただき、地域での早目の気づきと見守り、相談の体制に取り組んでいるところでございます。
保健福祉課といたしましても、毎月のあんしんすこやかセンターとの連絡会の機会に、あんしんすこやかセンターと地域の警察の生活安全担当ですとか、消防の救急担当との意見交換の機会を設けたり、「区のおしらせ」の地域版でのあんしんすこやかセンターの活動紹介など積極的なPRに努め、あんしんすこやかセンターが地域にとってより身近な相談窓口となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆石川征男 委員 地域には、介護施設、介護サービスや医療、福祉など多くの専門機関の方々がいて、その方々が実際に介護保険や福祉サービスの提供を通じて、個々具体的な高齢者福祉事業に携わっています。支援の必要な高齢者やその家族が地域で安心して暮らせることを支えるためには、あんしんすこやかセンターや総合支所保健福祉課だけでなく、地域の医療機関や介護事業者などを初めとするさまざまな関係機関の専門職の方々が連携し、協力して高齢者を支える取り組みを展開することも重要であると思います。
地域でもこうした専門職の方や関係機関との連携等にどのように取り組んでいるのか、今後の進め方をお伺いします。
◎進藤 砧総合支所
保健福祉課長 砧地域では、平成十九年に地域の医師とケアマネジャー、あんしんすこやかセンターが参加しました高齢者を地域で支えるための専門職によるネットワークづくりを目指した合同の包括ケア会議を開催しております。介護保険や高齢者福祉に関する情報共有と意見交換を行っております。この取り組みも本年で三年目を迎えておりまして、六回実施いたしましたが、現在は歯科医師や薬剤師の方の参加もいただき、参加する関係機関、専門職の方々も充実してまいりました。
今後は、さらに高齢者を支える地域の町会、自治会、商店街などの関係機関の方々にも参加いただき、予防からケアまでを含めた地域で高齢者を支えるネットワークの充実に結びつくよう進めていきたいと考えております。
◆石川征男 委員 あんしんすこやかセンターと総合支所保健福祉課だけでなく、地域の関係機関が高齢者福祉にかかわり、連携することは、高齢者の方やその家族が地域で安心して暮らせるためにも必要な取り組みの一つであると考えます。また、これから高齢者人口がふえる中で、高齢者である認知症の方の対応やその介護者である家族の支援といったことについて、早急に体制整備や対応策を検討されることを要望しておきます。
次に、保健福祉サービス全体に関することでお伺いいたします。
平成十二年度の介護保険制度の導入以来、民ができることは民にとの考えのもと、保健福祉サービスの民間への移行が進んできております。事業者同士の競争や民間独自のノウハウによってサービスの向上や運営の効率化が図られることは、区民にとっても望ましいことであると考えます。しかし、事業者が利益の追求だけに走り、肝心のサービスの質が低下してしまうのでは、元も子もありません。
区は、区民に最も身近な自治体として区民の安全と安心を守らなければなりません。保健福祉サービスの質の確保は、まさに区民の安全と安心に直結する問題であります。このことを踏まえ、区は地域保健福祉推進条例により、外部の専門家による苦情審査会やサービス向上委員会を設置し、また、保健福祉サービスの質の向上を実施計画に掲げ、第三者評価受審等の取り組みを進めていると認識しております。
特に今年度、保健福祉サービスに係る事業者指導を総括する所管として、保健福祉部に新たに指導担当課を設置いたしました。これは、さらに充実した取り組みに向け、体制を整備しようという区の決意のあらわれと理解しております。
福祉・介護サービスは、利用者の選択による事業者との契約に基づいて提供されるようになりました。私は、サービスの質の向上は、まずは事業者の負うべき役割と思います。そして、利用者を守る視点からも、利用者が事業者を選ぶときやサービスの契約内容を理解できることや、利用者の被害事故が起こらないように防止されること等、救済できるような仕組みが必要であると思います。それこそまさに区のやるべきことではないかと思います。
それでは、区は具体的にどのように保健福祉サービスの質の確保を図ろうと考えているのか、区の姿勢をお聞きしてまいります。
区として保健福祉サービスの質の確保に最も重要なことは何であり、またサービスの質自体を高めるため、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
◎安永 指導担当課長 保健福祉サービスの質の向上についてでございますが、指導担当課では、高齢者、障害者、子ども等の分野での民間事業者の担い手の拡充に合わせまして、サービスの質の確保、向上を図るため、サービスの質の保証システムと情報提供の環境づくりを二本柱に関係所管と連携して取り組みを進めております。
ご質問にありましたサービスの質の確保に最も重要なことは、行政がサービス内容のチェックや事業者指導によりサービスの質自体を高めること、区民が質のよいサービスを適切に選択できる環境を整備することの二つが挙げられます。こうした事業者への対応の視点と利用者の立場に立った視点を、関係所管との連携をもとに総合的に推進することが重要と考えております。
◆石川征男 委員 取り組みについてお話しいただいたところですが、これまでも言われてきましたその大きな柱となる事業者指導にどのように取り組もうと考えておいでですか。
◎安永 指導担当課長 事業者指導を進めるに当たりましては、施設、人員配置、会計等の点検のほか、サービスの提供内容や利用者の満足度についてもチェックを行い、サービス内容などの改善に向けて指導助言をしていく必要があると考えます。事業者指導につきましては、法的な指導権限が東京都に属する場合がございますが、区は区民に最も身近な自治体としまして、サービスの質の確保を図るため、法的な指導権限に基づく指導だけではなく、改善に関する助言や事業者全体に対する啓発、情報提供など幅広く取り組みを進めてまいります。
◆石川征男 委員 事業者を指導するということは、権限があるとかないとかの話ではなく、区民の受ける保健福祉サービスの質の向上をさせるために、区としてやるべきことがあり、事業者指導と一言に言っても、指導から情報提供まで幅があるということです。今後もきっちりと取り組んでいただきたいと思います。
では、その他の重要な何本かの柱の内容ですが、苦情対応、事故対応、評価を通じたサービスの質の確保にそれぞれどのように取り組もうとしておいでですか。
◎安永 指導担当課長 利用者、ご家族から寄せられる苦情やご相談は、サービスの質を判断するための手がかりとして大変重要です。また、事故は幾つもの要因が重なった結果生じるものでございます。広い視野から多角的に事故原因を究明し、これに対して対応策、予防策を検討することにより、効果的にサービスの質の向上を図ることができます。今後も、苦情や事故への対応をサービスの質の確保に結びつけるため、さらに幅広く苦情を収集するとともに、苦情や事故報告の内容を分析し、それを現場にフィードバックすることにより改善に役立ててまいります。
また、評価につきましては、外部の視点からサービスを点検することにより、欠けている点を明らかにし、改善に結びつけることができます。サービスの質の向上のためには重要な手法でございます。区では、引き続き第三者評価の受審を促進するとともに、評価自体の質を高めるための取り組みや評価結果をサービスの質の向上に結びつけるための活用方法を検討してまいります。
◆石川征男 委員 事業者指導、苦情、事故対応、評価の仕組みがうまくそれぞれの役割と機能を果たしていくことが重要であるとは理解しました。最初にお答えになりました質のよいサービスを選択できる環境整備の取り組みはどのようなものかお聞きします。
◎安永 指導担当課長 区民がよりよいサービスを選択できる環境を整備するには、区民が知りたい情報をわかりやすく提供していくことが必要です。このため、区では事業者の方々の協力も得ながら、本年度、介護サービス情報ガイドと認証保育所ガイドを発行いたしました。
介護サービス情報ガイドは、国の公表制度に基づきまして公開されております介護サービス情報を、利用者の視点から特に必要な項目を抽出しまして、区民が介護保険サービスを選ぶ際のポイントとしてわかりやすく示したものでございます。認証保育所ガイドは、保護者がよりよい保育サービスを選択できるよう、既に公表されております保育所情報と事業者情報を認証保育所の協力によりまとめたものでございます。これらは事業者の視点から、事業者みずからの情報が公表されることによりまして、サービスの改善につながるなど、サービスの質の向上が図られると考えております。今後も区民が利用しやすい情報提供の仕組みづくりを進めてまいります。
◆石川征男 委員 ただいまのお答えの情報提供の環境づくりでは、事業者の協力も必要だと伺いました。情報の公表の仕方については、すべての事業者に当てはまることですが、利用者のサービスの選択に必要な情報を提供していくのは、区と事業者の役割と考えております。事業者情報をどのように公表していくか大きな課題だと思いますが、今後も区民のサービス向上のために進めていただきたいと思います。そして、事業者指導、苦情、事故対応、評価の仕組みとそれぞれの役割と機能を生かしていくことが望まれます。
今後は、これまでの説明をいただいたこうした考えをどのように実現していくのかお聞かせください。
◎安永 指導担当課長 サービスの質の向上につきましては、サービス向上委員会、苦情審査会での意見を踏まえまして、庁内関係所管で構成しますサービス向上検討会で事業者指導、苦情対応、事故対応、評価の柱立てに沿って検討を行い、順次取り組んでまいります。取り組みの中には、組織体制の整備や人材育成を要するものもございますので、中期的な見通しを持って進めてまいります。
◆石川征男 委員 小さな政府を目指し、改革を進めてきた行政にとって、サービスの質の確保は民間だけには任せておけない、官にとって重要な仕事であると思います。また、これは区民の目線に立たなければできない、お役所仕事ではとてもできない仕事であります。ぜひ皆さんに区民の目線に立って検討を進めていただき、二年かかろうが、三年かかろうが、じっくり腰を据えて取り組んでいただき、区民が安心して質の高いサービスを利用でき、すぐれた仕組みをつくり上げていただきたいと思います。
最後に、きょうの委員会で、私は、介護の問題を初め福祉サービスの質の確保について質問いたしました。福祉の分野においてもたくさんの制度やサービスがあり、またその変化が激しい状況の中で、行政の方々のご苦労は大変なものがあると思います。しかし、それだからこそ、今行政に求められる役割もその重大さが増していると言えるのではないでしょうか。
一方で、先ほどほかの会派の質問にもありましたが、地域で福祉を進めていくために、行政ばかりでなく、NPOを初め地域でともに暮らす住民の力が欠かすことができないと私は考えております。こうした意味で、まさに今地域の福祉力の向上が求められているのではないでしょうか。
何度も言うようですが、高齢化は今後もさらに進み、高齢者の数はどんどんふえていきます。それとともに、福祉を必要とする人たちも増加するのは目に見えています。行政自身の対応力を高めることはもちろんのこと、今申し上げた地域の福祉力の向上にも力を入れていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
◆鈴木昌二 委員 私は、元気な高齢者のための施策についてこれからお伺いしていきたいと思います。
皆様ご承知のとおり、高齢者は今後ますます医療の充実とともに急増していくことは確かなことであります。世田谷区では、現在約二百四十人もの方が百歳以上であります。今年度じゅうに百歳以上になる方を含めますと楽に三百名を超える人数であります。
また、先ごろ総務省が敬老の日に合わせて、高齢者人口を発表しました。それによりますと、我が国の六十五歳以上の人口は昨年よりも八十万人増加し、二千八百九十八万人に上るそうです。女性は二五・二四%、四人に一人、男性は一九・九九%、五人に一人が六十五歳以上であります。また、世界保健機構による平均寿命の統計では、日本女性の平均寿命は、世界女性の平均が六十八歳のところ八十六歳で世界第一位、日本男性は、世界の男性が六十四歳のところ七十九歳で世界第三位、男女の合計では八十三歳となり、ことしも世界一の長寿国となりました。申すまでもなく、我が国は世界に類を見ない長寿国なのであります。人生五十年時代ははるか昔のこと、人生九十年、百年時代を迎えつつあるのです。
長生きができることは、国が平和で豊かであることのあかしでもあります。そうしたときに考えなくてはならないのは、元気な高齢者は豊富な知識や技術を持つ労働の資源であり、定年退職後の人生を趣味やスポーツに消費するだけではなく、地域に貢献する社会の担い手であってほしいものであります。
高齢社会というと、介護の問題や医療の問題などが社会問題として取り上げられますが、私は少し角度を変えて、長寿の秘訣ということについて考えてみたいと思います。
そこでお伺いしますが、区では百歳を迎えた方をお祝いする訪問事業を実施しているそうです。聞くところによれば、管理職が手分けしてお宅を訪問するそうですが、そこではさまざまなお話を伺うことがあると思います。百歳訪問を実施して、長寿の秘訣や元気の源のようなお話というものはなかったでしょうか、お聞きしたいと思います。
◎新保 生涯現役推進課長 毎年九月に高齢者の長寿と健康をお祝いしまして、その年度内に百歳、八十八歳、七十七歳を迎える方に慶祝品の贈呈を行っており、その中で、百歳で訪問のご希望がある方のところへ、区長、副区長や地域福祉部の管理職がお伺いをしております。私は四人の方のお宅にお邪魔をいたしまして、ご本人やご家族とお話をさせていただきました。皆さんとてもお元気でいらっしゃって、本当に百歳の方なのかしらとびっくりしたのが第一印象でございます。
お話を伺う中で、ほぼ共通していましたのは、日ごろから細かいことは余り気にせず、おおらかに生き、くよくよしない。テレビやラジオでニュースを見聞きするなど世間の大きな動向には気を配る。また、食べ物に関しましては、好き嫌いをせずにいろいろなものをバランスよく召し上がる。近所を散歩されたり、家の中を歩くなど適度な運動をする。こういうようなことがご長寿の秘訣なのかなと感じた次第でございます。
◆鈴木昌二 委員 お聞きすると、やはり知力とか、体力、頭を使って体を動かすことが大切ということなのでしょうか。私は、あるお寺のご住職さんが長寿のお話をされたのを思い出しました。一つは、心配しなさいということなのです。ただし、読み方が違うというんです。心配りと読みなさいということなんです。二点目は、病身と病気を分けなさい。身体の病なのか、気の病なのか整理しなさいということです。最後の三つ目は、運命と宿命を分けなさい。お話によると、宿命は変えられないそうであります。ただし、運命は自分の考えや努力で、お酒を慎むとか、いろいろな場面も含めて変えることができるということです。
また、私の知り合いの方で、NPO団体の活動をしている八十歳を過ぎた方がおられますが、この方は長年学校の先生などをされた後に、六十五歳から福祉の仕事につかれました。それを「六十五歳からの挑戦~福祉へのお手伝い~」としてこのほどまとめられました、その冒頭にこう書かれております。世の中には、定年退職してから何もせず、年金暮らしをしている方がいます。もう一度何かやってみたらいかがですかということです。
話は長くなりましたけれども、このことについて何かお考えがあれば。
◎堀川 地域福祉部長 ただいまのお話の最後の六十五歳になられてからの、学校の先生でいらっしゃったんですかね。それから、新たに六十五歳から福祉の仕事につかれて、また現在も八十歳でNPOで活躍されているということで、本当に大変すばらしいお話、人生の先輩かと存じます。
これからの世の中と申しますか、やはりご自身が生きがいを持って元気な日々をお暮らしになること、それとあわせてその地域社会への貢献をいただく、このような高齢者の方がふえてくることが、やっぱり二十一世紀の日本に必要なことではないかなと考えております。
◆鈴木昌二 委員 先ほどのご答弁のように、百歳を迎えられた方々には、それぞれ長寿の秘訣というのがあるわけであります。我々もそれを見習いつつ、自分なりの長寿の秘訣を見つけ出さなくてはならないと思います。
私は、以前このようなことも聞きました。人生には二つなすべきことがあり、その一つはもちろん仕事であります。そしてもう一つは、長寿の仕事であるというのです。つまり長寿、生きること、それ自体がその方にとっての仕事であること、そして社会にとって資源であること、そういう意味と私は理解しております。
哲学めいた話ばかりしてきましたが、決算委員会ですので、行政に立ち返って伺います。区では、平成十八年度に生涯現役推進課を設け、啓発紙の発行などをしておりますが、生涯現役ということの意味と位置づけ、この間の成果というものをどのようにとらえられているのかお伺いいたします。
◎新保 生涯現役推進課長 生涯現役とは、ずっと仕事や地域活動を続けておられたり、友人等に囲まれて文化やスポーツなどで楽しく暮らすなど、高齢者がそれぞれご自身の経験や知識を生かして、いつまでも生き生きと暮らしておられることととらえております。
このような観点から、生涯現役推進課では、町会、自治会やNPO、大学等と協働して取り組む世田谷生涯現役ネットワークを立ち上げ、生涯現役フェアを毎年実施するほか、地域デビュー体験講座等の実施を通して、地域参加のきっかけづくりに努めてまいりました。また、生涯現役の社会づくりに向けた区民への普及啓発が重要であるとの視点から、生涯現役ハンドブックや情報誌「GAYAGAYA」などにより、健康や生きがいづくり、地域参加等の情報提供や意識醸成の取り組みを進めてございます。
このような取り組みを通して、新たに地域活動に参加をし、生き生きと地域で活躍する中高年世代の区民がふえてきているなど、一定の成果を上げているものと考えております。
◆鈴木昌二 委員 生涯現役ということと長寿ということは、ある意味共通項だと思います。大切なことは、一人一人が長寿社会においてどう生きていくか、そして社会の一員でどうあり続けることかということであるわけです。
そうしたときに、生涯現役推進課が目指すべきところは一体どのような高齢者の生活や生き方を描いていらっしゃるのでしょうか。また、生涯現役推進課が行政として今後どのような役割を果たしていこうとされているのかお伺いしたいと思います。
◎新保 生涯現役推進課長 生涯現役推進課では、高齢者の方々がお持ちの経験や知識を地域活動を初め、さまざまな場面で役立てて、みずから地域での支え合いを担っていただいたり、生きがいを持って生き生きと暮らしていただくことを目指しております。
今後の役割といたしましては、中高年区民の皆様への多様な地域情報の発信や地域活動を体験する生涯大学特別コースを初め、幅広い講座、講習などにより、高齢者の地域活動や文化、芸術、スポーツなどに参加する機会の充実、またふれあい・いきいきサロンなどの地域支え合い活動への支援などに取り組み、高齢者の生きがいづくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
◆鈴木昌二 委員 長寿社会をどう生きるかということは大切な問題であると思うわけであります。
一般のサラリーマンの方は六十歳で定年を迎え、六十五歳まで何らかの形で働いたとしても、その後十五年から二十年、三十年の人生が待っているわけであります。その間どのように生きるかによって人生が全く違うものになると思うわけであります。
私は幾つかの例や言葉を申し上げましたが、長寿ということは単に長いということだけではないと思います。一人一人の方が元気で自分の人生に挑戦しながら生涯を全うしていただくために、生涯教育から生涯学習へ、さらに生涯現役へ、日本の社会構成力、生産力の確保のためにもなります高齢者の社会的役割、位置づけがしっかり構築されますことを望み、次に移ります。
次に、福祉と文化、福祉と教育の関係についてということで、障害者施策について質問してまいります。
平成十八年度に障害者自立支援法が施行され、障害者施策も大きく転換したわけであります。先ほどは長寿の秘訣ということで長寿をいかに自分らしく、社会のために生きるかということについて申し上げてきましたが、障害のある方についても、一人一人の方が自分らしく生きるということは大変重要なことであります。長寿の秘訣も障害者が自分らしく生きるということも、ある意味共通かとも思われます。
私は、これまで福祉の原点にかかわるお話や福祉や教育といった縦割りの分野で物を考えるだけではなく、物事を総合的に考えるべきであるといったことを申し上げてきました。その一つに、障害はハンディではなく、個性であるという考え方があるということもお話しさせていただきました。それは、施策や条例に従って障害者を支援するというだけの考え方でなく、障害者一人一人の個性に適応した支援のために、きめ細かく施策を活用するという理念を認識してほしいということであります。
障害者が自立した生活を送るためには、福祉施設やサービスも必要でありますが、地域の理解やサポート、そして当事者の生きがいがどれほど大きな力になるかということであります。地域の中では、福祉や教育、文化などという行政の縦割りの壁はありません。障害者がその人らしい生き方をすることは、その人にとっての歴史であり、文化であります。
そこで伺いますが、区ではこの四月から新たに世田谷区障害福祉計画をスタートさせているわけですが、この中では障害者が自分らしく、また社会のために生きるということについて、どのように考えておられるのかお伺いしたいと思います。
◎佐藤 保健福祉部長 区では、世田谷ノーマライゼーションプランを策定しまして、これをもとに安心して地域で自立した生活を継続できる社会の実現を基本理念としまして、ご案内の第二期世田谷区障害者福祉計画を策定したところでございます。
委員のお話のように、障害はハンディではなく、個性であるということ、それから地域の理解やサポートの中で障害者自身が生きがいを持つこと、これは大変重要なことだと認識しております。この計画の中では、障害者支援の輪を地域社会へ広げる、それから、総合的な支援のために多様な人と組織をつなげる、それから、互いを尊重するために他者への理解を深めるという三つの基本的な視点を位置づけております。
今後ともこの三つの視点をしっかり踏まえまして、計画に基づきまして、例えば障害者の就労、あるいは文化活動の支援、それから障害理解の促進などを総合的に進めることによりまして、障害者お一人お一人が地域社会でともに生き、社会参加やこの生活の充実を図れるよう一層支援してまいりたいと考えております。
◆鈴木昌二 委員 今のお話のように、障害のあるなしにかかわらず、自分なりに生きるということは重要なことであります。障害のある方がいかに生きがいを見つけ出し、自分の持てる能力を発揮していくかは、まさに人生の根源であるわけであります。
しかし、障害者にとっては自分らしく生きるということについては、それなりの支援が必要だと思いますし、地域の方々の理解ということが不可欠であると考えております。
その生きがいの一つは、障害者の文化活動というものがあると考えております。障害者の中にもすばらしい能力を持った方が実はたくさんいらっしゃいますし、スポーツのほうで言えば、残念ながら東京オリンピックの再来はなりませんでしたが、オリンピックとパラリンピックが並び立つ時代となり、障害のある方々にも、世界的な大きな目標があるわけであります。
しかし、文化活動というと、非常に多様性もあることから、なかなか注目が及ばないようにも思われますが、先ごろアメリカで開催された国際ピアノコンクールで、東京都出身の辻井伸行さんが優勝しました。彼は生まれながらの全盲ですが、二歳のときからピアノを弾き始め、二十歳にして国際コンクールで健常者にまじって優勝するという快挙をなし遂げたわけであります。ピアノは生きがいであり、人生そのものであると語っています。こうして見ると、障害者の文化活動や生きがいづくりということは、非常に大きな意味を持つものだと思うわけであります。
そこでお伺いいたします。障害者の文化活動や生きがいづくりの支援ということについて、具体的にどのように取り組まれておられますか、お聞きいたします。
◎山本
障害施策推進課長 せたがやノーマライゼーションプランでは、障害者は地域社会の一員であり、新しい価値を創造する主体であるとも位置づけております。また、プランの事業計画では、障害者の作品を区民に展示、披露することを支援することによりまして、障害理解を促進するとともに、障害者自身の創作意欲が高まることを目指しております。具体的には、子どもたちの作品展、世田谷美術館で行うアート展、障害者週間に行う作品展と障害者の方の発表の場を提供しております。
また、区は、総合福祉センターに交流レクリエーション事業を委託しておりまして、障害者を対象とした手工芸サークル、将棋サークル、プール教室を開催し、また、障害者と地域住民を対象としましたふれあい音楽会や親子で楽しむいやしのコンサートなども実施するなど、障害者が生きがいを持って地域で暮らしていただけるよう支援してまいります。
◆鈴木昌二 委員 障害者の文化活動や生きがいづくりということにもぜひ光を当てていただきたいと思います。
もう一つ、福祉と教育という観点で伺いたいと思います。
障害者が地域で生活するためには、地域でともに生活する区民の皆様が、障害者を理解するということが大変重要なことであります。障害者自立支援法が施行されて三年が経過し、見直しをという声もあるようですが、制度や環境が変わっても変えてはならないのは福祉の心であると思うわけです。
福祉ということの意味を辞書で調べてみました。福は、読んでのとおり幸せということであります。福祉の祉という字は、幸せを願う、祈るという意味なのであります。また、幸せになることを祈るということで、福祉ということは、高齢者や障害者だけに向けられる言葉でもなく、生活するすべての人が願う人生そのものの姿なのであります。それだけに、障害があっても地域の中でともに、そして自立して生活することに大きな意義があるわけであります。
私は、これまでも福祉の原点にかかわるお話をしてまいりました。人を育てるのは人で、さまざまな経験を共有する人の中で人は育っていく。地域の中では、福祉や教育といった縦割りの分野で考えるのではなく、仲間として同じ枠組みで考えるべきであると考えております。本来、福祉や介護、教育というものは国が画一的に決めるものではなく、自分自身や家族、親類などが主体的にかかわって決め、実践し、その上で足りない部分を行政が関与すべきものだと考えております。
自分たちで自立した生活を送るための取り組みは、大変重要なものだと思います。しかし、そうした活動や障害者の生活が地域の中にあるのだということを地域の方々が理解をしていることが最も大切なのであります。また、障害は一部の人の問題ではありません。すべての人に起こり得る問題であって、区民の皆様が自分自身のこととして障害者のことを考える、そういったことが必要なのだと思うわけであります。それが福祉なのであります。
この福祉の心を区民の皆様に広く伝えていく、理解していただく、これこそ行政の果たす役割だと思いますが、区の考えをお伺いいたします。
◎山本
障害施策推進課長 区では、障害者が地域で自立した生活を送っていく上で、地域社会全体の障害理解が必要不可欠なもので、障害者施策の推進において最重要視されなければいけないことだと考えております。区は、障害のある方の福祉についての関心と理解を深めるために、広報紙等を活用して啓発を図りますとともに、障害者週間には区民ふれあいフェスタを開催し、障害のある方のコンサートや作品展、あと障害者施策の生産品販売等を通しまして、障害施策への理解が深まるよう取り組んでおります。
また、今年度は啓発紙といたしまして、第二期障害福祉計画を小学校高学年の方が理解できる内容とするよう、障害者団体の意見を入れながら作成しているところでございます。
今後も障害者についての理解を深め、区民、事業者との連携協働による仕組みを構築していく中で、ノーマライゼーション社会の実現を目指しまして、積極的に区としての役割を果たしてまいります。
◆鈴木昌二 委員 法がどのように変わっていこうとも、また制度がどのように変わろうとも、障害者の一日は、その生活の休みはありません。障害者の文化活動など、障害者自身の表現が多くの方に伝わる機会がふえ、障害者への理解が一層深まることを要望しておきます。
私が本日質問で申し上げた長寿の秘訣、生涯をどう生きるかということ、それから障害者の文化活動や生きがいづくりの支援ということは、決して別々のことではないのであります。やりたいこと、できること、やらねばならないこと、それをいかに自分らしく気持ちよくやるかということ、そしてその結果として、いかに社会の一員として地域に貢献していくかが大切であろうと申し上げたかったのであります。
世代による価値観の違いや多様性はますます進んできておりますが、社会として忘れられない、忘れてはならない心、そしてさまざまな人が地域社会で生活をともにしているんだということを申し上げたかったのであります。
以上をもちまして、自民党区議団の質問を終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時四十一分休憩
――――――――――――――――――
午後三時十五分開議
○
大場やすのぶ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
公明党、どうぞ。
◆岡本のぶ子 委員 ただいまから公明党の質問に入らせていただきます。
初めに、高齢者福祉の観点からお伺いいたします。
本区における平成二十年度の高齢者人口の推移によりますと、七十歳以上の高齢者人口のうちひとり暮らし高齢者は一万一千六百九十一人、高齢者のみ世帯は一万三千六百三十二人、合わせて二万五千三百二十三人となっております。区は、本年度に入り郵送による高齢者実態調査をし、今後、そのデータの分析から高齢福祉の進展を図っていくわけですが、我が党は常々地域の見守りの強化を訴えてまいりましたので、本日は具体的な見守りの担い手の一つとして有効な配食サービスの拡充を取り上げさせていただきます。
本区では、地域の支え合いという点を視野に入れた安否確認を目的として、ボランティアの方を通じてひとり暮らし高齢者、高齢者のみ世帯への配食サービス事業を実施しております。本区が取り組んできたこの配食サービス事業の利用実績を見ますと、先ほど申し上げた二万五千三百二十三人の高齢者からはほど遠い千人足らずの方々の利用となっております。また、五年間の推移を保健福祉総合事業概要から見てみますと、平成十五年度の配食数が三十一万一千五百八十三食だったのに対し、平成二十年度には二十二万八十四食へと、高齢者の人口が年々増加しているにもかかわらず、五年間で九万一千四百九十九食もの大幅な減少となっております。これは何か制度利用への変更点が影響してのことでしょうか。区の見解をお伺いします。
◎松本 高齢福祉課長 今お話しのとおり、平成十五年度と平成二十年度を比較していきますと、配食サービスの食数はかなり減少しております。その制度的な背景ということでございますけれども、平成十五年度に厚生労働省から高齢者が健康で自立した生活を送ることができるよう、食の自立という観点から十分な状況調査、アセスメントでございますけれども、これを行った上でホームヘルパーによる食事の準備ですとか、介護予防の観点からの可能な範囲でのご自身での調理、それから配食サービスの活用など、自助努力とともに制度、サービスを計画的に活用していただきたい、こういったことを求める内容通知がございました。
これに基づきまして、区では、平成十六年度から希望者のアセスメントの中で食の自立支援を進めるということに取り組ませていただいたのと同時に、一方で民間の配食サービスも大分事業者がふえてきたということも加えまして、サービスを利用される方が減少してきたのではないか、このように考えております。
◆岡本のぶ子 委員 私はこの夏、全盲のご主人と認知症の九十代の奥様の二人で暮らすお年寄りご夫妻にお会いしました。既に介護サービスを利用され、朝食と夕食はヘルパーさんにつくっていただいているのですが、なかなか口に合わないこともあり、週に二日程度は区の委託事業である配食サービスを利用することをお勧めしました。しかし、週四日以上申し込みをしないとそのサービスが受けられないことがわかり、年金暮らしのご夫妻にとって配食サービスと介護ヘルパーさんによる調理補助との組み合わせの費用を考えると、残念ながら申し込みをすることができませんでした。
ここでお伺いします。まず、区の委託事業である配食サービスの現在の利用条件をお伺いします。
◎松本 高齢福祉課長 区の配食サービスの利用の条件でございますけれども、六十五歳以上のひとり暮らしの方、または高齢者のみの世帯の方で、病気などによりまして、毎日の食事が調理できない方、あるいは買い物などが困難な方、それから近くに食事などをおつくりいただけるご親族などの方がいない、こういったすべての要件に当てはまることが対象となっております。あわせまして、ご利用に当たりましては、食事の提供とともに、安否の確認ということを目的にさせていただいています関係で、週四日以上のご利用をお願いしているということがございます。
◆岡本のぶ子 委員 最近、また地域でお会いした八十六歳になるご婦人は、介護予防のためにも自分で食べたいものを自分の目で見て、新鮮な野菜やお魚を買って今まで調理してきた。ただ、だんだんお米を買うにも、牛乳を買うにも、重たくておうちに持って帰ることが非常に困難になっていると先日もおっしゃっていました。やはり先ほど制度の話がありましたけれども、週に数回だけでもいいから、区の配食サービスを利用したいという声が年々多くなってきております。
なぜ区の配食サービスと申し上げているかというと、それには見守りということと、あと料金が民間よりも安いんですね。そういったことで、先ほどの申し込みの条件が週四日分以上頼まないといけないとか、さまざまな条件が総合的にそろわないと申し込みができないというのは、平成十五年のアセスメント以降、約五年たった今、高齢者の方の生活形態とマッチしていない状況も生まれているのではないかと思います。
配食サービスを利用したいと考えるお年寄りが今後一人でも多く利用し、日中独居のお年寄りも含め、見守りのネットワークに入ることができるよう、区の委託事業の申し込み条件の緩和やサービスの拡充が求められます。さらに、区内で配食サービスに従事されている民間事業者の方々にもご協力をいただき、見守りネットワークの構築が求められますが、区の見解をお伺いします。
◎松本 高齢福祉課長 先ほど申し上げましたとおり、区の配食サービスは、食事の提供と同時に安否の確認ということを目的にさせていただいています。この夏に利用者の方にアンケートをとらせていただいた中では、おおむねサービスそのものには満足をいただきながらも、配達時間の配慮ですとか、あるいは献立へのご要望などもございます。それから、事業をお願いしている施設のほうからのご意見としては、認知症の方への対応に苦慮されているというようなお話もございます。そのほか、日曜日、祝日などが未実施であることとか、日中独居への方のサービスといったことも課題となっております。
あわせまして、民間の配食サービスの事業者との連携というようなお話でございますけれども、高齢者の安否の確認、見守りということをあわせて、民間でも今配食サービスを含めたさまざまな事業が行われております。民間の場合ですと、もし急変の場合は救急車などを手配されたり、ご家族に連絡をとるというようなことがございますが、区と今民間事業者との間での情報提供の協力の取り決めというのは特段ございません。
現在、地域福祉部の各課を中心に、見守り施策についてのプロジェクトチームを設けて四つの視点からの検討をさせていただいております。民間事業者との連携のところにつきましては、現在新聞販売店との連携による協定の締結といったことに向けての調整などを進めておりますけれども、こういったことも含め、あわせまして、現在進めております見守り施策のプロジェクトの中で、サービスの充実、それから事業者との連携、こういったことについて検討を進めさせていただければと存じます。
◆岡本のぶ子 委員 次に、本区として昨年本格実施をした介護支援ボランティア制度についてお伺いします。
まず、この事業を実施するに至った経緯と目的をお聞かせください。
◎石橋 介護保険課長 経緯と目的でございます。平成十九年五月、国の地域支援事業実施要綱が改正され、介護保険制度における地域支援事業を活用し、高齢者のボランティア活動を支援することが可能となりました。これを受け、当区では、多くの高齢者がみずから介護支援等のボランティア活動に参加することにより、地域に貢献できるような取り組みを進めることといたしました。平成二十年四月に、施設の職員の指導や助言のもとでボランティア経験のない方々も安心してボランティア活動ができるよう、特別養護老人ホームなどの施設から介護支援ボランティア活動をスタートさせたところでございます。
この制度は、高齢者が社会参加、地域貢献を行いながら、みずからの健康増進、介護予防に積極的に取り組むことができるようにするとともに、要介護、要支援高齢者に対する区民の主体的な地域の支え合い活動を助成支援することを目的としております。
◆岡本のぶ子 委員 今後、団塊の世代の方々が大量に定年退職を迎え、地域に入ってこられるわけですけれども、この地域支援事業である介護支援ボランティア制度を利用し、地域力を大いに発揮していただき、さまざまなボランティア活動に参加していただくことが、みずからの介護予防のためにもとても効果的であると考えています。そのためには、気軽にボランティアに参加できる仕組みづくりが重要と考えますが、今後、介護支援ボランティア制度は、ボランティア登録をされる方々をどのように獲得していくのか、地域の支え合い活動にどうつなげていくのか、そのお考えを伺います。
◎石橋 介護保険課長 介護支援ボランティアの登録者をふやしていくためには、さまざまなPRが必要でございます。例えばボランティア活動に関する記事を掲載した情報誌を発行するなど、一層区民への周知等に努めてまいります。また、ボランティア活動の対象となる施設を拡大するとともに、ボランティアの趣味や特技を生かした活動や話し相手、イベント参加など、さまざまなボランティア活動を対象として、高齢者の活躍の機会を広げ、地域の支え合い活動を促進していきたいと考えております。
今後、ボランティア交流会や受け入れ施設連絡会を開催し、ボランティアや施設側のご意見も伺いながら、さらに活動の活性化を図ってまいる所存でございます。
◆岡本のぶ子 委員 先ほど取り上げさせていただいたお年寄り向けの配食サービスの事業も、民間の方は別にして、自主事業を含めますと、すべてボランティアの方がその担い手となっていらっしゃいます。やはり生きがいを感じ、地域の見守りを日常的に取り組んでくださっている、そういう方々へのさらなる応援といいますか、今、実はそのボランティアさんたちも高齢化が進み、なかなか担い手が集まらないというお悩みを抱えていらっしゃいまして、全国的にいうと、自主ボランティアの配食サービスがなくなってしまっているという状況もあります。
そういう意味では、ここで提案なんですけれども、今介護事業所に限って実施しているこの介護支援ボランティア制度、まずボランティアさんの育成というところから含めまして広げていくためにも、地域の支え合いに参加している配食サービスなどの団体も視野に入れて進めていくことが重要ではないかなと思いますけれども、区の見解をお伺いいたします。
◎石橋 介護保険課長 ご提案の配食サービスにつきましては、現在区で進めております高齢者の見守りの施策の一つであり、その効果的な活用が求められているものと認識しておりますので、ボランティアポイント制度の活用も含め、高齢者見守りプロジェクト検討委員会の中で検討するとともに、事業者から配食サービスの状況、あるいは意向を伺ってまいりたいと思います。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、他会派の総括質疑でも取り上げられましたが、薬物乱用防止に関してお伺いいたします。
本区における薬物依存に関する相談件数は年何件くらいになりますでしょうか。
◎上田
世田谷総合支所健康づくり課長 薬物依存の相談は、区では
世田谷総合支所と烏山総合支所の健康づくり課で依存症相談として実施しております。相談は、予約制で月二回、専門の医師による個別相談を行っております。平成二十年度の実績でございますけれども、両総合支所合わせて四十一回ほど実施し、アルコールやギャンブルなど四十四件の相談がございました。このうち薬物依存は四件でございます。
◆岡本のぶ子 委員 本年二月から三月にかけてボランティア団体の方が、世田谷に住む十代から三十代の若者二千百十六人に薬物緊急実態調査アンケート形式で実施された結果を伺い、大変に衝撃を受けました。そこには、二〇〇七年国立精神・神経センターの調査による住民調査や大学生の調査の二倍以上に当たる六・九%の人が使用経験ありと回答し、約二割の青年にとって薬物が身近な存在であることが明らかにされておりました。
また、そのアンケート結果を発表するイベントで特別講演をされた夜回り先生こと水谷修氏が、世田谷が薬物密売地として、六本木、八王子の次に多いという事実を知っていますか、薬物汚染は世田谷でも深刻になりつつあるんですとの言葉に、薬物汚染が芸能界だけでの問題ではなく、本区にとって深刻な問題ととらえ、今こそ学校、家庭、地域と政治、行政が一体となって社会全体で取り組む課題であると実感いたしました。
例えば薬物で悩み、苦しんでいる人たちがいらした場合、家族だけで単に悩んで時間を費やすことがないよう、相談体制の充実が望まれますが、区の見解をお伺いします。
◎上田
世田谷総合支所健康づくり課長 薬物依存につきましては、なかなか相談につながりにくいという側面がございます。本人、家族、友人など、気軽に参加していただける依存症講演会を保健所と
世田谷総合支所・烏山総合支所健康づくり課で実施しております。さらに、依存症からの回復は、家族の理解、協力が必要と言われておりますことから、家族支援のための講座への取り組みも進めております。平成二十年度は、区全体で依存症講演会を六回、家族支援講座を九回実施し、参加者は計三百三名でした。この参加者のうち薬物依存関係者は十七名でございました。
今後も薬物依存の家族や友人などから個別相談につながるよう、案内チラシの内容、配布方法、開催場所、時間などを工夫し、充実してまいりたいと思っております。
◆岡本のぶ子 委員 今、若者たちが好奇心から薬物に手を出してしまっている背景には、薬物の恐ろしさ、薬物使用は犯罪であることがきちんと若者たちに伝え切れていない状況があると思います。
さきの東京都議会第三回定例会において、我が党の栗林のり子都議会議員の薬物乱用防止対策への初質問に対し、今後一〇〇%すべての公立学校において薬物乱用防止教室や薬物乱用を取り上げたセーフティー教室を必ず年一回実施するよう指示してまいりますとの答弁が教育長よりありました。本区においても、都の動きに呼応して、今後、薬物乱用防止へのさらなる普及啓発とともに、具体的に教育現場での薬物乱用防止教室等の意識啓発が重要と考えますが、区の見解をお伺いします。
◎幸田 健康企画課長 薬物乱用者の多くは、ほんのちょっとした好奇心から安易に使い始めてしまうと言われております。小中学生のときから薬物による弊害の恐ろしさを周知啓発していくことが非常に重要になります。学校では、小学校六年生、中学三年生の保健体育の授業の中で、また警察官や元麻薬Gメンを講師に、薬物乱用防止教室やセーフティー教室などの取り組みを通じまして薬物の根絶に向けた規範意識の向上に取り組んでおります。
一方、地域の総合支所では、小学校の高学年にビデオなどを利用した薬物乱用防止教室を二十年度は四校九クラス、中学校では一校一クラスで実施いたしました。このほか毎年区内の中学生を対象に、薬物乱用防止のポスターと標語の募集を行っております。この取り組みは、薬物乱用防止推進世田谷地区協議会が実施しているものでございまして、今年度は区内の十八校からたくさんの力作が集まりました。現在十四日まで玉川高島屋に作品を展示しまして、多くの方々にごらんいただいているところでございます。
今後とも教育現場と連携をとりながら薬物乱用防止の周知啓発に努めてまいります。
◆岡本のぶ子 委員 次に、心肺蘇生に大きく貢献するAEDに関して質問させていただきます。
去る八月二十三日、世田谷区女性消防団員が実施した上級救命救急の研修会に参加をしました。その際、多くの女性団員の方から、実際に緊急時に居合わせ、心肺蘇生対応をする際、区内のどこにAEDが設置されているのかよくわからない、また、公共施設や地域に設置されているAEDはだれの許可を得れば借用できるのかわからないなどの声が寄せられました。
現在、区では公共施設への設置状況を地図に掲載していますが、都度更新された情報がすぐに入手できるよう、ホームページなどで設置箇所データの案内が必要と思いますが、いかがでしょうか。
また、最近では、AEDの普及啓発活動が進み、商店街や民間事業者などでもAEDの設置が進んできておりますので、外部登録情報と本区のホームページをリンクさせ、地域ごとにAEDの設置状況が把握できるマップなどが区のホームページ上で参照できるとよいと思いますが、区の見解をお伺いします。
◎幸田 健康企画課長 AEDにつきましては、職員が常駐しています区民会館、区民センターなど、不特定多数の方が利用する施設に配備を進めてまいりました。十月一日現在、区内の区立施設では、小中学校を含めまして約二百二十九カ所に今配備しております。
お話のAED設置施設の情報につきましては、ホームページに各地域別に一覧としてご案内を今させていただいております。また、厚生労働省では、地域の住民や救急医療にかかわる機関が、あらかじめ地域のAEDの設置場所を把握して、必要な際に迅速に使用できるように、日本救急医療財団ホームページへの設置場所登録について今呼びかけをしております。現在、この財団のホームページには、区内の私立学校や商店街など九十件以上の登録が行われておりまして、世田谷区におきましても、区立施設についての登録の調整を今行っているところでございます。
今後、世田谷区のホームページ等で医療財団のホームページを紹介するなど、AEDの有効活用に向けて情報の共有を図り、区民の皆様への提供に努めてまいります。
◆岡本のぶ子 委員 ただいまの答弁の中で、区内二百二十九カ所公共施設に設置されているとのことなんですけれども、調べてみると、現在、区民の方々の中心拠点ともなる地区会館へのAEDの設置は四十六カ所中十六カ所、区民集会所に至っては三十一カ所中五カ所、大変少ないことに驚きました。
まずこの本区における公共施設へのAEDの設置基準、メンテナンスの基準があるようでしたら、お伺いします。
◎幸田 健康企画課長 AEDにつきましては、適切な管理が行われなければ人の生命及び健康に重大な影響を与えることから、区ではAED配置に関する考え方を定め、職員等が常駐している不特定多数の方が利用する施設に設置を進めてまいりました。また、AEDは薬事法に規定します医療機器に指定されていることから、本年四月に厚生労働省より担当者による稼働状況の日常点検やバッテリーパッドなどの適切な管理を徹底するよう、注意喚起と周知徹底を図るよう通知があったところでございます。
このように、メンテナンスにつきましては、この通知に基づき、改めて設置施設の担当所管に、担当者による日常的な点検を行うよう指示し、また、有効期限の表示など、的確に交換が行われるよう対応しているところでございます。
◆岡本のぶ子 委員 今の地区会館の例でとりますと、
世田谷総合支所管内十一ある地区会館の中で、六カ所の会館が要は無人と言われる、職員の方がいらっしゃらない会館で、そこには団体の利用数が年間延べ九千団体に上っているということなんです。また、無人といっても、世田谷区は町会と協定を結んで、毎日地区会館の施錠、開錠を依頼しており、特に午前、午後、夜間の三交代時には約一時間ずつちゃんと町会の方がいらっしゃるという、無人といっても全くいないということではないということから、メンテナンスも、朝かぎをあけたときに見れば済むということもあります。
もちろん盗難ということが一番心配ということもあるかもしれませんけれども、盗難に関しても、例えば工夫で、AEDを入れる箱を、よく外に消火器が今区として設置しているのがありますよね。ああいう箱をAED用にまた用意をして、例えばその箱をあけるとバーっとブザーが鳴るとか、会館内にワーっとすごい音が鳴り響くようにするとか、持ち去ることが不可能であるというやり方もあるでしょうし、もしくは大手の会社と契約をして、メンテナンスを含めて管理してもらうというリース契約等も考えられると思うんです。やはりお金にはかえられない大切な数分間で命を守ることができる、そういうAEDの設置だと思いますので、ぜひ今後多くの高齢者の方が集う地区会館、区民集会施設への設置を計画的に進めていくべきと考えますが、区の見解をお伺いします。
◎幸田 健康企画課長 地区会館や区民集会所につきましては、現在児童館や出張所などの併設施設を含めまして、やはり常時職員がいる施設に配備をしているところでございます。繰り返しになるかもわかりませんが、適切な管理が行われなければ、人の生命及び健康に重大な影響を与える医療機器であること、また救命の必要時に管理不備によりその性能が発揮できないことのないよう、適切な機器の管理が重要でございます。現時点では、職員が常駐していない施設への配備につきましては、機器の管理などから厳しい状況と考えております。
◆岡本のぶ子 委員 大変後ろ向きなご答弁だったんですけれども、ぜひ地区会館、区民集会施設等の所管とよく話をしていただいて、その必要性、また改善策、そこは検討していただくことを要望しまして、高橋委員にかわります。
◆高橋昭彦 委員 十分間ぐらい時間をいただきましたものですから、ちょっとやらせていただきたいと思っておりますが、昨年のこの場、昨年の決特で、先ほど上島委員からも話をいただきましたけれども、思春期精神病症状様体験、PLEsというものについて取り上げました。思春期の心の問題、精神保健の早期介入システムをつくるように求めてまいりました。昨年この場で私からは、統合失調症は一生涯で百人に一人がその病気に苦しむというふうに言われていると。疫学研究では、諸外国で成人型精神疾患を罹患している二十六歳の成人の半分、五〇%は既に十五歳までに何らかの診断基準に該当していたというふうに言われている。このことを重要視して、三重県津市や長崎市や高知県で中学生を対象にアンケート調査を行ったんだということなんです。
これは、思春期世代への心の問題に早期に介入することの重要性を認識しなければいけないという考えから、十代を対象にした精神保健医療の手薄い我が国の現状を変えなければ大きな社会経済的損失につながると、だから、早期に介入しなければいけないというふうに踏んで、始めたと言われています。
我が国の精神科医療と精神保健福祉の課題をまず整理してみますと、我が国は、この精神疾患ということに対して推定受診者数は三百万人と言われています。約四十人に一人というふうに言われているんです。四十人に一人はこういうことで悩んで受診をした経験があるというんです。
この精神疾患というのは、若年層を中心にあらゆる層において社会経済的な損失となっている。特に統合失調症の発症年齢は十代から二十代に集中しているというふうに言われている。未治療期間が短いことが、その後重症化することが少ないことがわかってきたけれども、治療開始がおくれているのが現状だと。我が国では、発症から治療開始まで平均約十四カ月かかっているということがある。精神科以外の医療機関、行政等の相談機関、学校において、早期発見、早期支援の意義がまだまだ十分認識されていないという問題もある。
また、最も問題が起こる家庭に、夜間、休日にサービスが届いていないというのも大きな問題であるというふうにまとめて整理してみますと、さまざまな問題がまだまだあるというところがあります。
さて、世田谷区において、昨年取り上げさせていただいたことにおこたえいただきました。そして、学校、教育委員会、総合支所、保健所など、子どもに関する部署を集めて、ことしの八月二十五日に第一回世田谷区思春期精神保健対策連絡会というものを立ち上げていただいた。いよいよ対策に踏み出していただきました。何より大変評価をするものでありますけれども、さて、重要なのは、これをどういうふうにしていくのか、これから何をするのかということが一番大事になってきます。
まず伺いますが、世田谷区思春期精神保健対策連絡会のねらいについてご答弁いただきたいと思います。
◎上村 健康推進課長 昨年の第三回定例会から討論が続いておりますので、連絡会の前に基本的な考えを述べさせていただきたいと思いますが、思春期にある子どもたちの心と体なんですけれども、やはりバランスが崩れやすく非常に不安定な状態になりやすい状況がございます。また、お話がございましたように、精神疾患の前駆症状と言われるものが出現する場合もございます。したがいまして、精神保健に関する支援が大変必要な、大切な時期だというふうに考えております。このため、学校や保健福祉の関係部署、さらには医療機関など、地域の関係機関が連携してやはり支援していく仕組みが必要であると、このように認識しております。
ご質問のございました思春期精神保健対策連絡会でございますけれども、その第一歩といたしまして、思春期の子どもたちが心の健康を保って健やかに成長していく、これを支援していくための相談の体制や支援の体制の整備を図ることを目的といたしまして設置したものでございまして、お話にございましたように、八月の一回目の連絡会では、教育の現場と保健福祉の現場の職員がお互いに取り組みの状況を情報提供し、また意見交換を行いまして、子どもたちの心の健康につきましての情報の共有を図ってきたところでございます。
◆高橋昭彦 委員 ぜひこの情報交換をして、各部署でそれぞれやってきたことをしっかりまとめ上げていただいて、今後どうするんだということを、何をすることが一番大事なのかということをぜひまとめ上げていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
実は先日、松沢病院の岡崎院長のところへ諸星幹事長と一年前と同じように伺ってきました。そして、この思春期における精神保健について考えをお聞きしてまいりました。三重県の津市や長崎市、高知県での学校での調査もそろそろまとまるそうでございます。調査ができるということは、世田谷区でも一番いいことなんだろうというふうに言われていましたけれども、岡崎院長は、中学校の現場で起こっていることをつぶさによく見ていくと、この実態というのは見えてきますよというふうに言われていました。どういうことかと申しますと、保健室の支援が重要なんだと言っていました。
ある中学校で調べましたら、半年間で一年生の約六〇%に当たる生徒が何らかで保健室へ来ているというんです。二年生になると少なくなる。三年生になるとまた若干ふえてくるというんです。これだけこの保健室の来場者といいますか、来る生徒が多くなってくる。いろんなことで来るわけですけれども、その中で、どういうことで来るのかということを調べていくと、半分は精神的な問題であるよというんです。精神的な問題、これは養護教諭はまずどうするか。丸投げをしてしまうか、みずから抱え込んでしまうという状況に今なっているというのが現状だよというような話をされていました。
もう一つ必要な観点というのがありました。もう一つは、中学生に対して心の問題を知らせるということが大事なんだと。中学生は初めに相談するのは友人だというふうに言われています。友人関係を一番大事にする。メールもすぐ返事しないといけないというようなぐらいに友人関係を大事にしているというんです。中学生の間の中で、まず中学生自身に知らせなければいけない。今中学生の心の問題というのは非常に大事になってきている。いじめの問題もあり、今話のあったドラッグの問題もあり、自殺のこと、不登校のこと、そしてこの精神保健のことをまずは教えるということが非常に重要になってくるんだよというような話がありました。これは文教でまた諸星幹事長にやっていただきます。
こういうことが重要だということを考えて、三重県では、特別支援チームというのを構成しましたと、保健室支援なんですという話をしています。養護教諭を支援するんだと。それはどういうことかというと、保健師や精神科の医師、またソーシャルワーカーなどが毎週保健室へ来た子どもたちの状況をつぶさに検証するんだと。そして、早期支援チームと定期的に会合を開いて問題を把握するんだと。そして、その子に対してどうしたらいいかということを的確に判断をして、訪問したり、面談をして、まずは生活状況、QOLの改善に努めているんだという話がありました。この精神保健分野を強固にすることによって確実に重症化を抑えられるというような状況になっていくはずだというふうな話をしていました。ここは非常に重要なことだなと思っております。
また、これは文教にもつながることですので、そこでもまた幹事長にやっていただきますけれども、まずは、世田谷区において保健師がこの養護教諭を支援するなどの精神疾患の早期発見と早期支援の取り組みをやっぱりつくらなければいけないと思うんですけれども、お考えを伺いたいと思います。
◎上村 健康推進課長 ただいまのご質問並びにご提案いただきました件でございますけれども、今後は、先ほどの連絡会のもとに、学校現場のほうの養護教諭と、また、保健師などで作業部会を設けまして、具体的な世田谷区内での事例の研究を進めさせていっていただきたいと思っています。また、国や都が行います専門的ないろんな調査、あるいは家族会が行います調査等も参考にしながら、作業部会連絡会の中で、顔の見える実践的なネットワークづくりと申しますか、思春期の子どもたちへの相談事業の充実やあるいは支援の仕組みづくり、これを進めてまいりたいと考えております。
また、あわせまして、相談に当たる職員のスキルの向上が大切だと思いますので、そういった研修会等も企画してまいりたいと思っております。
また、精神疾患の早期発見、早期支援につきましては、やはり地域の区民の方の理解が大変大事だと思っておりますので、機会をとらえまして、精神疾患に対する普及啓発につきましても、なお一層力を入れてまいりたいと考えております。
◆高橋昭彦 委員 重要な案件ですから、ぜひ強力に進めていただくことを要望いたします。よろしくお願いしたいと思います。
では、かわります。
◆高久則男 委員 私から初めに、在宅療養の支援ということについてお聞きいたします。
平成十九年度、区で行った介護保険の実態調査によりますと、高齢者全体の五七・五%が現在の住まいで、生活を続けながら介護を受けたいと回答しております。また、家族の家や身近な地域の介護つき住宅、身近な地域のグループホーム等を加えた住みなれた地域で暮らしを希望する高齢者は七〇%近くなると出ておりました。在宅で継続して療養生活が可能となるように介護サービスの重点的な提供、円滑な医療サービスを行っていくことが真に必要になります。
世田谷区においては、高齢者の在宅生活を支えるために、介護保険サービス、区民による地域の支え合い活動とともに、区独自の配食サービスや、また住宅改修費助成などを行っております。また、十九年度からは在宅医療電話相談サービスを開設いたしました。それとともに、医療連携推進協議会も設置し、かかりつけ医の推進や医療と福祉の連携の仕組みを今進めているところであります。
まず最初にお聞きしたいんですが、今在宅医療電話相談サービス、これは今非常に世田谷区民の方以外にもケアマネとか、また専門的な方からもいろいろ電話は入っているというふうに聞いておりますが、この在宅医療電話相談サービスの現状と今後の進め方について、初めにお聞きいたします。
◎田中
保健医療担当課長 在宅医療電話相談センターは、医療制度改革による療養病床再編の動向を受けまして、在宅療養や入院先の相談を受ける専門相談窓口として設置したものでございます。さまざまな情報提供や病院、施設とのネットワークづくりを行うとともに、相談事例を医療連携推進協議会での検討などに活用しております。
最近は、今お話にもありましたように、あんしんすこやかセンターやケアマネジャーからの相談も多く、援助者と言われる方々への支援も重要だと認識しております。今年度はこれまでの相談事例をまとめた事例集を作成いたしまして、相談対応のために蓄積してきました病院や施設に関する情報等とともにあんしんすこやかセンターに提供することにより、身近な地区での相談体制の強化に取り組んでいるところでございます。
電話相談センターは、平成十九年度開設以来、本年で三年を経過いたしますので、これまでの実績を踏まえ、現在今後の取り組みについて検討しているところでございます。方向性といたしましては、相談内容、対象者の拡充を図るとともに、ケアマネジャーと援助者への支援を強化いたしまして、福祉と医療の連携を一層推進することを考えております。
◆高久則男 委員 在宅生活を支えていくためには、安心して必要な介護と医療を受けられる環境整備がまず必要でありまして、そういった地域で療養生活を支援していくために、福祉と医療の連携、そしてまた人材の育成、また情報の共有化、そういったものが絡み合ってこそなし得るのではないかと思っております。
世田谷区では、医療連携推進協議会というのを設置して、医師、歯科医師、病院、ソーシャルワーカー、ケアマネジャー等が参加して、在宅療養支援のための実務者連絡会で医療と福祉の連携の仕組みがつくられていると聞いておりますが、現在どのような頻度で開催して、実施している成果についてお聞きいたします。
◎田中
保健医療担当課長 医療連携推進協議会では、医師会に加えまして、平成二十年度からは歯科医師会、二十一年度からは薬剤師会の参加も得まして、年に数回の頻度で開催をしております。また、今年度からは課題検討を集中的に行うために、医師会、歯科医師会、薬剤師ごとに部会を設け、各分野の検討を行っているところでございます。
また、この医療連携推進協議会の下部組織でございますが、実務者連絡会では、各サービス事業者団体の代表が集まりまして、まずは顔の見える関係づくりを優先し、情報交換や意見交換を行っているほか、共通課題を検討し、在宅を支える仕組みづくりも進めてございます。年二回程度開催しておりまして、平成二十年、二十一年度には、医療、看護、介護の連携に関するモデル事業の検討も行いました。さらに、今年度の医療、看護、介護の連携に関するモデル事業の実施に当たっては、現場の意見を反映するため、公募いたしましたケアネジャーと病院のソーシャルワーカーとの検討会を開催するなど、さまざまな職種の方々との率直な意見交換を通し、真に区民に必要とされる支援のあり方について検討を進めているところでございます。
◆高久則男 委員 また、世田谷区では二十四時間、先生が往診対応するということで、在宅療養支援診療所が約百カ所あると聞いております。この在宅療養診療所におきましては、まず当然お医者さんだけじゃなくて、在宅を支えるために訪問看護師の確保というのはこれから非常に大事になってくるというふうに思っております。在宅生活を支える意味で訪問看護師の確保、これが今非常に厳しいと言われておりますが、その確保、そしてまた育成というのをどのように今図っていくご予定か教えてください。
◎田中
保健医療担当課長 医療を必要とする方の在宅生活を支えるためには、かかりつけ医が訪問看護師と連携することが必要でございますが、訪問看護師は深刻な人材不足の状況にあるというふうに聞いております。区では、育児等で離職をした看護師の有資格者に働きかけ、復職につなげることが有効の方法の一つであると考えています。このため、福祉人材育成研修センターで人材発掘講演会を開催し、そこに参加した看護師資格者へ働きかけるとともに、専門的な講座や体験研修を実施する予定でございます。
実施に当たっては、学校のPTAなどへもPRするほか、医療機関などへのPRも計画しております。さらに、東京都の看護師復職支援や区内の訪問看護ステーション管理者会とも連携をいたしまして、さまざまな働きかけを行ってまいりたいと考えております。
◆高久則男 委員 この在宅療養診療所がしっかりと機能していくためには、やはり介護士の存在が必要であり、また二十四時間体制でしっかりと見ていけるような体制が非常に重要だと思っております。
世田谷区では、夜の十時から朝の七時まで夜間対応型訪問介護というのを実施しております。これは夜間いつでも介護が必要なときに、コールセンターを通じてヘルパーを呼ぶことができ、あらかじめ日時を決めて行う訪問介護では対応できなかった介護ニーズに対応して、要介護者の在宅生活を支えていく重要なサービスに今なっております。この夜間対応型訪問介護の今の現状、また今後このサービスをどのように進めていくご予定かお聞きいたします。
◎石橋 介護保険課長 このサービスは、当区が全国に先駆けて実施したナイトケアパトロールの事業が平成十八年度の制度改正に伴い介護保険法に基づく地域密着サービスとして位置づけられ、全国に広がったものでございます。
利用者は平成二十年度の実績で四百二十八人の利用があり、ことしの七月の実績では三十八人が実際にサービスを利用しております。利用登録者は九月末現在で二百九十五人でございます。このサービスは、利用者宅に設置されるケアコール端末を押すだけで事業所のオペレーションセンターとつながるため、利用者の不安解消に資するもの、いわば見守り機能を持つものであり、このサービスの普及に努めてまいりたいと考えております。
また、今年度区では、夜間対応型訪問介護から二十四時間随時訪問サービスへ拡充する独自施策を実施しておりますが、これを介護保険制度としていくための課題について、さらに詳しい調査、分析を行いたいと考えております。
◆高久則男 委員 今お話があったように、二十四時間随時訪問サービス、これは介護保険の対象外ということであるにもかかわらず、今世田谷区で一割負担でやっているということでございますので、こういった制度も本当に利用しながら、在宅生活をしっかりと見ていける体制というのをつくっていただきたいというふうに思っております。
それでは次に、高齢者の見守り事業の推進について何点かお聞きしたいと思っております。
先日、高齢者の見守りについて、六十五歳以上の高齢者、約十五万三千人全員を対象に実態調査を実施しております。これは六十五歳以上の高齢者の状況を把握し、見守りや支援の必要な高齢者の早期発見に役立てながら、予防型の支援体制の充実を図る目的であると聞いております。
まずお聞きしたいんですが、この実態調査について十五万三千人のアンケート調査で見守りの必要な人の全体像が何か見えてきたことがあれば教えてください。
◎澁田 介護予防・地域支援課長 七月に実施いたしました全高齢者実態把握調査は、九月一日の時点で約十一万人のご回答をいただいているところでございますが、現在入力、集計作業を進めております。ご回答いただきました高齢者のうち、このまま放置すれば介護が必要になる可能性が高い高齢者を特定高齢者候補者というふうに呼んでおりますが、この方が約九千人となる見込みでございます。
全体像といたしましては、一つは、元気高齢者、二つ目は、閉じこもりや生活機能の低下がある緩やかな見守りが必要となる高齢者、三つ目は、老老介護やサービス拒否などがありまして、専門職がしっかり見守りをする必要がある高齢者それぞれの割合ですとか、あるいは生活状況、健康状態などを今後分析、把握してまいります。
◆高久則男 委員 ありがとうございます。
先日、高齢者の見守り事業ということで、基本的な考え方がこの間出されました。その中では、今後、世田谷区では高齢者見守り事業と四つの見守りに分け、体系化していくということで出ております。一つは、早目の相談のための見守り、二つ目は、地域の緩やかな見守り、そして三つ目、スタッフでしっかり見守り、四つ目、安否確認のための見守りということで、四つのこの角度から見守りが出ておりました。
具体的に、では、だれが見守るのか。これも今読んでいると出ているんですけれども、大きな意味では、地域住民であり、町会、自治会や民生委員さんとかあんしんすこやかセンターや行政などがしっかりと見守っていく。大きな意味ではあろうかと思いますが、また、だれを見守るのか。大きな意味では、当然世田谷区の高齢者十五万三千人全員をしっかりと見守っていくというのが必要だというふうに思っておりますが、ここでちょっとお聞きしたいんですが、この四つの見守りは一体だれが中心になって担っていくのかというのをちょっとお聞きします。
◎木谷 地域福祉課長 高齢者の見守りにつきましては、高齢者見守り事業を地域福祉部による全般的な進行管理のもとで、今お話がございましたように、四つの見守りに体系化をして、それぞれの見守りに応じた対応を図ってまいります。早目の相談のための見守り、安否確認のための見守りは、高齢者の生活上の異変に気づいた近隣の区民、新聞販売店や商店等の事業者からの通報等に対しましては、あんしんすこやかセンターが初期対応を図り、まず状況把握を行い、保健福祉課と相談しながら緊急性や現状を考慮し、それぞれの問題に応じて解決を図ります。
高齢者虐待や措置を含む緊急的な対応、あるいは困難なケースへの対応が必要な場合は、総合支所の保健福祉課を中心に、あんしんすこやかセンターの専門職等により、スタッフでしっかり見守ってまいります。
また、日常生活に不安のある高齢者等には、あんしんすこやかセンターが中心となり、ご近所や町会、自治会、民生委員等の皆様のご協力をいただきながら、社会福祉協議会とも連携をして、地域の緩やかな見守りを行えるように調整を図ってまいりたいと考えております。
◆高久則男 委員 今いろんな角度から見守りをちょっとお話しいただきましたが、基本的にはあんしんすこやかセンターがこの見守りの中心となって、行政の保健福祉課というのはあんしんすこやかセンターをしっかり支援する立場にあるというように思えますが、私は逆にこの保健福祉課が二十七カ所にある地区拠点におりてきて、あんしんすこやかセンターと一緒に連携して現場でしっかりとやっていくことが十分必要なんじゃないかなと思っております。そういった意味から、高齢者の見守りをする保健福祉課の役割は重要であると思っております。
まずお聞きしたいのですが、今この保健福祉課はどのような役割を担っているのか、また、あんしんすこやかセンターへの支援はどういうふうに考えていらっしゃるのかお聞かせいただければと思います。
◎髙木
世田谷総合支所保健福祉課長 保健福祉課の役割の第一でございますけれども、近隣の住民や民生委員の方たちから通報がありまして、生活上の異変が察知される場合の緊急時の対応をあんしんすこやかセンターと連携して行うということが第一でございます。例えば警察への通報ですとか、親族などと連絡を取り合いながら安否確認を行って、身体状況によっては医療につなげていく。福祉サービスにつながっていない場合などは、福祉緊急対応として当面の生活維持を図っていくということがございます。
そして、役割の第二でございますが、高齢者虐待が疑われたり、あるいは認知症の進行など、問題を生じている困難ケースにつきまして、適切な保健福祉サービスにつなげるということでございます。
あんしんすこやかセンターを含んだ関係者によるケア会議を保健福祉課が中心になりまして開催をいたします。具体的なケアプランの提案ですとか、今後の対応方針を決定いたしまして、必要に応じて施設入所などの措置を実施してまいります。
あんしんすこやかセンターの支援ということでは、地域ケア連絡会を毎月開催しておりまして、区からの情報提供、あるいはあんしんすこやかセンターとの情報交換を行っております。それから、今年度から、これも毎月一回なんですが、保健福祉課で地区を担当いたします職員によりますあんしんすこやかセンターの巡回指導というのを行っておりまして、この中で業務の確認、あるいは個別ケースに対する相談、助言を行っています。
今後、このあんしんすこやかセンターと日常的な情報共有を図り、意思疎通を深めることで、支援の必要な高齢者の早期発見、それから適切、迅速なサービス提供に結びつくように努めてまいりたいと思っております。
◆高久則男 委員 あんしんすこやかセンターというのは、高齢者の総合的相談とか、見守りネットワーク、また認知症の予防とか、権利擁護だとか、いろいろな多岐にわたった仕事をされています。しかし、今の各センターの運営というのは平均四・八名と聞いていますが、少人数でやることはたくさんある、多忙をきわめているのが現状だと思っています。
今後、あんしんすこやかセンターの人的、財政的なバックアップがなければ、今これからやろうとしている高齢者の見守り事業というのはなかなかできないんじゃないかというふうに私は思っておりますが、今後あんしんすこやかセンターをどう人的にバックアップして充実させていくか、ちょっとお聞きいたします。
◎澁田 介護予防・地域支援課長 高齢者の在宅生活を包括的に支える地域包括支援センター、世田谷区におきましてはあんしんすこやかセンターと呼んでおりますが、これまで高齢者実態把握から在宅療養まで、幅広く途切れのない相談支援を行いまして、地区の拠点としての役割を果たしてきております。
今まであんしんすこやかセンターの体制につきましては、地区の特性に応じて運営法人が人員体制を充実してきておりまして、区のほうではセンターがその機能を十分に果たせるための人材育成や地域との連携体制、施設環境の整備に取り組んでまいりました。今後は、今回の調査の分析結果も踏まえまして、実態把握の手法や関係所管との役割分担など、業務の改善を図り、効率的に業務を行うことに合わせまして、各センターでの人員配置などのあり方についても検討し、各関係所管課とも調整してまいりたいと考えております。
また、バックアップ体制についてもより一層の充実を図ってまいりたいと存じます。
◆高久則男 委員 やはり結構しっかりとバックアップ体制をつくらない限りにおいては、このあんしんすこやかセンターが発展できないかと思います。
今あんしんすこやかセンターは、いろいろと区内の公共施設の複合、合築に合わせて新たに中核拠点に持ってきているというようなことは出ておりますが、まだこの流れというのは数カ所にしかすぎませんので、ことし十月に
まちづくりセンターが発足したわけでありますから、既存建物においても速やかにこの併設する検討というのを開始すべきであるというふうに思っておりますので、これは要望にとどめておきます。
それでは、時間が大分来てしまったもので、特定健康診査について何点か質問させていただきます。
平成二十年度から特定健康診査がスタートいたしました。これは医療費が増大し続ける昨今においては、医療費の抑制の上からも重要な施策であり、それ以上に健康な体を維持していく上でも、世田谷区民にとっても必要不可欠な施策であります。そういった中で、今後、さらなる受診率を上げていく上で広報活動というのは必要でありますが、それ以外に制度的に何らかの措置はどうかということで質問したいと思います。
私の住んでいるところは世田谷区の東部に位置して、近くには目黒区とか渋谷区とかが隣接している地域であります。現在、例えば世田谷区民が目黒区とか渋谷区で特定健康診査を受けるとなると、今のところできない状態になっております。しかし、歴史的には今杉並区のほうとは特定健康診査を受けられるような状況になっておりますというのは聞いております。具体的に、この杉並区と特定健診の制度の相互乗り入れをしていた歴史的経緯というのを教えていただければと思います。
◎鶴見 国保・年金課長 委員お話しのとおり、従来の基本健診におきまして、平成十五年七月から杉並区と相互乗り入れを開始いたしまして、それぞれの区民がお互いの区の指定医療機関でも受診できるようにしておりました。既にほかの近隣区と相互乗り入れをしていた杉並区より働きかけがあったのを機に、区境に居住していらっしゃる区民の利便性を考慮し、実施することとしたものでございます。そのため、平成二十年度から新たにスタートしました特定健診におきましても、事業を開始しました当初から、当区と杉並区とで調整を図りまして、受診票の様式の違いなどがありましたが、委託先の医師会の協力も得ることができまして、二十年九月より相互乗り入れを開始いたしまして、今日に至っているところでございます。
◆高久則男 委員 具体的に、例えば世田谷区で受診している杉並区民、また杉並区で受診している世田谷区民の人数はおわかりでしょうか。
◎鶴見 国保・年金課長 二十年度の実績でございますが、杉並区の指定医療機関で受診された世田谷区民の方は、特定健診で三百名、そして七十五歳以上の長寿の健診でございますが、こちらの方が二百名いらっしゃいました。また、当区の指定医療機関で受診されました杉並区民の方は約千名でございました。
◆高久則男 委員 結構いらっしゃるなというふうに思いました。
私も、目黒区とか渋谷区の間で相互に特定健診を乗り入れることを、そういった要望もたくさんいただいておりますが、具体的にそういったことについてどうかお聞きしたいんですが。
◎鶴見 国保・年金課長 目黒区や渋谷区などの近隣区との相互乗り入れの拡大につきましては、区民の利便性と特定健診の受診率向上のための大変有効な方策であると認識しておりますが、現在のところは、健診項目や受診券の有効期限の違いなどもあり、実現に至っていない状況でございます。今後、課題等を整理しまして、相互乗り入れの拡大について検討してまいりたいと考えております。
◆高久則男 委員 将来的には全国どこでもできるような体制をとるとか、また、土日、夜間とか、そういったものもしっかりと体制を確保して受診率の向上につなげていけることを要望させていただきます。
最後に、母子家庭支援についてちょっとお聞きいたします。
何問かあるんですが、かなり時間もせっぱ詰まってしまいましたので、まず、この間私、日曜日の夜、テレビを見ておりまして、NHKの「セーフティーネット・クライシス」というものだったと思うんですけれども、小学校に行くのにも、例えば熱があるのに学校に来る、病院に行けないんですよと。また、食事をしないで学校に来るお子さんがいるとか、ドキュメンタリーの一番最後には、やっぱり母子家庭のところが出て、小さいお子様二人を抱えたお母さんが出てきて、保育園にも入れられない、こういった状況がどうなんだという話で終わっていたかと思います。
そういったものを考えながら、子どものセーフティーネットをしっかりと構築していくことがやっぱり世田谷にとって非常に重要な施策であると私は思いました。また、その意味でも、今世田谷区で行っている母子家庭の支援施策というのは、優先度の非常に高い施策ではないかと思っておりますが、世田谷区において、母子家庭支援はどういった位置づけ、どういったふうに優先度を見ていらっしゃるかお答えいただけますか。
◎岡本
子ども家庭支援課長 今日の厳しい経済状況の中で、母子家庭の生活環境も一層困難な状態にあると認識をしております。こうした中で、区はこれまでも母子家庭の自立支援ということで、さまざまに取り組んでおりますが、現在お示ししております後期子ども計画の素案の中では、重点取り組みとして、支援を必要とする家庭のサポートにひとり親家庭の自立支援策の充実を位置づけております。有効な自立支援策の検討に引き続き力を注いでまいります。
◆高久則男 委員 本当に今経済的にも、また……。
以上で終わります。
○大場やすのぶ 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時十九分休憩
――――――――――――――――――
午後四時三十五分開議
○
大場やすのぶ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
民主党、どうぞ。
◆中塚さちよ 委員 今回の
決算特別委員会では薬物依存が一つのトピックとなっていますけれども、私からはまず最初に、身近な薬物依存としてニコチン依存症に対する区の禁煙推進の取り組みについて質問をさせていただきます。
たばこが覚せい剤などと同じ薬物依存に入ると言いましたら、うちの会派からもたばこが薬物依存だなんてと大変驚かれました。驚くのも無理はないと思いますけれども、ニコチン依存は、WHO、また国立精神・神経センターにおきましても、大脳の快楽中枢に作用し、身体的依存を引き起こすということで、麻薬や覚せい剤と同じ薬物依存症の一種とされております。
さて、平成二十年度決算を見ますと、たばこ税収は前年度に比べて減少しております。これは近年の健康志向の高まりや若い世代のたばこ離れということがあるようです。JTの調査によりますと、二〇〇八年の男女平均喫煙率は二五・七%、男性三九・五%、女性一二・九%で、全体としては十三年連続で下がっているということです。しかし、女性の喫煙率は二年連続で上昇しているということが示されています。
ここで看過できないのが妊産婦の喫煙という問題です。たばこというと分煙という声が聞こえてきそうですけれども、おなかの赤ちゃんだけ分煙というわけにもいきませんので、やっぱり禁煙に取り組んでいただくことが大事です。区では、妊婦さんへの禁煙の推進について具体的にどういう取り組みをしているのでしょうか。
◎上村 健康推進課長 妊産婦の喫煙につきましては、早産や流産、また二千五百グラム未満で生まれる低出生体重児、あるいは乳幼児死亡などのリスクを高める要因になることが明らかにされております。また、受動喫煙による健康被害やたばこを乳児が誤って飲み込んでしまう事故、こういったものから、胎児あるいは乳児を守るためには、まずご家庭内での禁煙あるいは分煙及び理解と協力が不可欠であると考えております。
こうしたことから、総合支所健康づくり課におきましては、出産前につきまして、母親学級や両親学級におきまして、専用のパンフレットやチラシ、こういったものを活用いたしまして、妊婦やご家族の禁煙を促すように努めてきております。
また、今年度からは両親学級の土曜開催を年十回実施いたしまして、参加率の向上にも努めております。
◆中塚さちよ 委員 母親学級、両親学級などで取り組んでいただいているということですが、これは平成二十年で参加者が大体対象にできる妊婦さん全体の約三分の一強しか参加されていません。妊婦健診ですと受診率が九四%となっていますので、妊婦健診の際に働きかけることはできないのでしょうか。
◎上村 健康推進課長 ただいまご質問いただきました妊婦の健康診査でございますけれども、これは妊婦の健康リスクを把握しながら、より安全な出産へ導く予防策として国の指針に基づきまして全国の医療機関で実施されておるものでございます。したがいまして、区が検査項目等に直接働きかける機会もなかなか限定されているものというふうに考えております。
しかしながら、一方では、妊婦の方が通院されてございます産科の病院やクリニック、こういったところでも母親学級等が開催されまして、厳しく禁煙の指導がされている、こういう実態にあるというふうには聞いております。
◆中塚さちよ 委員 ぜひいろいろな機会を活用していただきたいと思います。
妊娠中たばこをやめたという人でも家でこっそり吸っていたり、あと、出産後にスモーカーに戻ってしまう人が少なからずいるそうです。胎児はもとより、生まれたばかりの赤ちゃんもたばこの煙から逃れることができないので、この受動喫煙という一種の虐待とも言えるようなことから守っていくためにも、出産前から出産後まで継続的に禁煙について支援をしていく体制づくりをしていただきたいと思います。
本区では、乳児期全戸訪問というのをやっております。これは子育ての悩みを聞いたり、子どもの発育の状況を調べたり、虐待を早期発見したりするという目的もあるそうですので、訪問すれば喫煙している、していないは一発でわかると思います。そういう機会を活用したり、三、四カ月の健康診査といったところでも禁煙を推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎上村 健康推進課長 ただいま出産後の禁煙の指導の取り組みにつきまして、生後四カ月までに行っております乳児期の家庭訪問事業、これについてご質問がございましたけれども、この事業につきましては、昨年度の実績は四三%でございました。目標が四五%ですけれども、今年度は七〇%を目標に事業を今推進しているところでございます。お話がございましたように、この事業におきましては、授乳だとか、そういった子育ての相談に当たりながら支援をしていくといった目的で、世田谷区におきましては、保健師や助産師等の専門職が当たって事業を実施しているところでございますけれども、その中で、禁煙についても指導を行ってきているところでございます。
また、あわせまして、同様な時期に行われます乳児健診のほうでございますが、こちらのほうは九五%の受診率がございますので、そういった乳児健診の時期もあわせまして、禁煙への継続的な支援を行ってまいりたいと、このように考えております。
◆中塚さちよ 委員 乳児期全戸訪問は、やはりこの主要事業の成果ですと四〇%の達成率ということですので、たばこもそうですけれども、本当にいろいろな意義のある全戸訪問なので、ぜひ達成率が上がるようにお願いしたいと思います。
禁煙のサポートとしましては、禁煙外来が保険適用になっております。この禁煙外来は、私も驚いたんですけれども、かなり成果が上がっているようです。先月、禁煙に関する学術集会がありましたので、行ってきたんですけれども、そもそも禁煙外来の適用になる人というのは、吸う人の中でもかなりのヘビースモーカーの人たちですが、そういう人たちでも最低の計五回の禁煙プログラムを受ければ、約半数が一年間禁煙を継続できているというのが二〇〇六年から二〇〇七年の一年間のレセプト検証の結果となっております。五回以上の受診回数をふやせばふやすほどやめられる割合もどんどん上がっていくということでした。
禁煙外来には、継続的に行くことで薬ですとか、そういったことを処方してもらえるだけではなく、先生や看護師さんが禁煙を続けられるように熱心にサポートをしてくださいます。周囲の応援というのは、禁煙を続けるのに大事なことで、一人でつらい思いをすることなく、禁煙に取り組むことができるというメリットもあります。
また、このニコチン依存というのは、ニコチン依存症の方は、ほかにもいろいろな精神疾患でクリニックなどにかかっている割合も高いということですので、周囲のサポートというのはいろいろな意味で大事になっております。また、最近は、ニコチンガムやニコチンパッチ以外にも錠剤を服用する治療方法ができてきまして、これがパッチよりも手軽で、皮膚のアレルギーの心配もないということで、特に女性に受けがよく、治療の成績もパッチと同程度か、それを少し上回るということが学会で発表されていました。こうしたことはまだまだ一般に知られておりませんので、ぜひこうした最新の学会の知見などを取り入れてパンフレットなどに応用するなど、禁煙外来のPRを充実していただきたいのですが、いかがでしょうか。
◎幸田 健康企画課長 たばこには依存性があるため、禁煙は難しいとされています。このことから、平成十七年四月から一定の条件が満たされれば保険診療が認められるようになりました。医療機関での禁煙治療はたばこをやめたいがやめられない方にとっては非常に有効であるということも実証されているところでございます。区では、これまで禁煙の普及啓発としまして、各種健診や電話でのご相談等を実施しているところでございますが、今後は保険適用などの情報提供にも努めてまいります。
◆中塚さちよ 委員 区でもいろいろつくっていらっしゃるパンフレットも見せていただいて、なかなかいいなとは思いました。禁煙や受動喫煙の問題は、周囲の環境づくりというのがとても大事で、札幌市では、市と関係機関が連携をして、これから出産を迎えるカップル向けの受動喫煙の害について説明をしたビデオをつくったりして活用していくということです。また、最近では、芸能人というのはやはり非常に影響力が大きいですけれども、ヘビースモーカーだった和田アキ子さんが禁煙に成功して本を出したので、いろいろなそういった芸能人の登用というのもアイデアだと思います。しかし、覚せい剤はいけないというビデオに出ていた芸能人が覚せい剤をやっていたという事件もありましたので、広報は慎重にご検討いただき、効果的なPRやツールの開発に取り組んでいただきますよう要望いたします。
続きまして、老老介護、家族介護の支援ということについて質問させていただきます。
我が会派では、実態把握のための全戸訪問を求めております。また、私も毎回この予特や決特といった質問の機会において、現金給付ですとか、せたがや介護支援ボランティアポイント制度の家族介護への適用、傾聴ボランティアの派遣など、いろいろと提案をしてまいりました。毎回毎回こういった質問をさせていただくのは、やはり現行の介護保険制度では在宅で介護をしている人たちが施設給付を受ける人たちよりも経済的な負担という意味でも、介護の負担という意味でも、より大変な立場に置かれているという現状認識から来ております。
世田谷介護支援ボランティアポイント制度は、本日も話がございましたけれども、これは在宅で老老介護を頑張っていらっしゃる方々にしたら何の助けにもならない制度です。高齢者であっても、他人の介護のために研修を受けて、ボランティアに出かけられるということは、体力的にも精神的にも余裕があるということが前提だと思います。そういう人たちがポイント分の介護保険の減免が受けられるということを考えると、同じ高齢者でも家族に要介護者を抱えて、老老介護で疲れ切ってそういう余裕のない人にこそ、もっと手厚く温かい支援が必要なのではないかと思わずにはいられません。
そう思っていましたら、本日、堀川部長より、まずは在宅支援と力強くおっしゃっていただいておりました。施設で足らないから、家であるものを使ってやっていてくださいではただの在宅で、在宅支援ではありません。区は在宅支援といったときに具体的にどこに力点を置くのか、どんな人たちが対象で、どんなサービス、どんなサポートに力を入れて取り組もうと思っているのか、堀川部長、答弁をお願いいたします。
◎堀川 地域福祉部長 在宅支援ということでございますけれども、まず私ども今実態把握調査をやっておりますが、その中で介護保険を認定を受けてお使いになっている方、それから、今分析しておるんですけれども、恐らくは本当はサービスを受けられるのが適当な方も受けていらっしゃらないような方もいらっしゃるのではなかろうかと、そういうあたりを、今後実際の訪問調査なども行いながら実態を把握していきながら、しっかりとサービスを提供する。
それから、例えば行政のサービス等を拒絶されるような方、認知症が入っていたりするような方もいらっしゃるわけでございます。それから、認知症が入って、実際ご本人では介護サービス等を使えないというような方もいらっしゃる。そういう方に対してきちんと支援をしてサービスをつなげていくとか、そういうような今サービスが十分にいかれていないところにつなげていくというのが、実態調査に続けての今後の行いたいことの一つでございます。
それともう一つは、今の介護サービス、それとともに区でやっている福祉サービス、そういうものをより充実して、ご本人もご自宅での介護の生活がよりよいものになって、またそれがご家族の負担の部分のところを軽減していくようなサービスの充実をやっていくと、そのあたりで在宅支援というものをしっかりやっていきたいと思っております。
◆中塚さちよ 委員 私もこれまで介護のいろいろな現場で働いてきましたけれども、やはり施設入所は最後のいろいろな手段としてもちろん必要ですけれども、できる限り長く地域や住みなれた自宅で暮らしていくことのほうが、本人にとってはやはりいいのではないかという方向性は、部長と私も一緒だと思っておりますので、在宅支援ということをぜひよろしくお願いいたします。
昨年来、この決特のところでは、補充の日に家族介護支援について質疑をしたところ、きめ細かく地域で家族の交流会などを開催していくといったようなご答弁がありましたが、今回の主要事業の成果のところではそのあたりのことが細かくは書かれておりません。家族介護の支援の取り組みのその後の展開についてお聞かせください。
◎澁田 介護予防・地域支援課長 区では、特に介護が困難な認知症高齢者の介護をする家族に対しまして、認知症のケアに関する情報や交流の機会として、認知症家族交流会や家族のための認知症講座などを実施しまして、家族の孤立感や心理的負担の軽減を図っております。
今年度は、今まで家族会がなかった玉川地域に九月から、烏山地域には十一月から家族会を立ち上げ、また、新規事業としまして、七月から家族が日常の介護を抱え込まず、楽に介護に取り組めるための臨床心理士による認知症高齢者家族のための心理相談というのを開始いたしましたが、これも予約が今のところ埋まってきているという状況でございます。
今後とも、家族介護支援の充実に取り組んでまいります。
◆中塚さちよ 委員 心理相談の予約もすごく埋まっているということですので、悩みを抱えている方々が多いと思います。こちらで場所をつくるというだけではなく、ぜひ出向いて、その現場の実態を目で見て話を聞くという形の支援をお願いしたいと思います。
他区では、認知症高齢者の家族会の活動がどうも我が区よりも活発なところもあるようで、新聞にも取り上げられております。杉並区では、区が家族介護者をサポートするボランティアの養成講座を開催して、ここで育成したボランティアを家族介護者の会に派遣しています。杉並は、私たち世田谷区よりも狭いですけれども、介護者の会は十五カ所もあります。目黒の家族会たけのこでは、認知症の方ご本人もその家族会に連れてくることができて、その間はボランティアさんが見守りをしてくださいます。認知症の方同伴で箱根に一泊旅行も実現したということでした。
うちの区では、家族で介護をしている方が旅行に行きたいと思っても、その間のショートステイもなかなかとれないという現状がありますので、ぜひ在宅介護の方々でも、旅行に行ったり、自分の時間を持つことができるようなくらいの家族会やボランティアの育成などを充実していただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
◎澁田 介護予防・地域支援課長 ふえ続ける認知症高齢者に対しまして、その尊厳を守り、支え合いながら住みなれた地域で暮らしていくために、一人でも多くの方が認知症の方や家族の応援者になれるよう、平成十八年度より認知症サポーター養成講座を実施してまいっております。昨年度末で受講された方が延べ四千三百三十三人となりまして、認知症の正しい知識の普及や地域での支え合い活動に取り組んできております。しかしながら、認知症のご家族の方の具体的な支援につなげるためには、つなげる仕組みとより専門的な研修が必要であると考えております。
今後は、現在進めております認知症サポーター養成講座を受講した方に、さらに研修を行いまして、あんしんすこやかセンターとも連携を図りながら、家族にかわり話し相手になったり、見守りを行うなど、一歩進んだサポーター養成の仕組みを検討してまいります。
◆中塚さちよ 委員 杉並区の介護者支援の会のホームページを見ますと、トップページに「『介護』で忙しい時ほど、この会に出られなくなるということを私たちは知っています」と書かれています。介護が大変だと来られないという実態を知っていますよというメッセージを伝えるだけでも、家族の方々にとっては慰めになると思います。もちろん区の職員の皆様もそんなことは知っていらっしゃると思いますが、残念ながら、今までのうちの区の姿勢ではそういったことが伝わってきません。今後ともぜひ必要とされているところに届くような支援をお願いいたします。
最後に、重度障害者のホームヘルプについて質問いたします。
本区では、この平成二十年から支給量を在宅のホームヘルプの時間をふやして、一日十七時間まで認められておりますけれども、重度訪問介護というのは、単価が安く、しかも仕事の内容が大変なため、人手不足や採算が合わないといった理由でサービスを提供している事業所が少ない現状にあるようです。第二期世田谷区障害者福祉計画を見ても、重度訪問介護はサービスの指定事業者が八十八事業者ある中で、実際に提供した実績がある事業者は三十八カ所にとどまっていることからも、そのことがうかがえると思います。
さらに介護の人材不足が深刻化している中、これまで派遣されていたヘルパーさんを断られて、特に土日などは割り増しがないから働き手が集まりにくく、もう半年間土日はヘルパーさんに一切来てもらえていないといった声もお聞きしています。ノーマライゼーションという観点からも、障害のある方、重度の方は土日は家に引きこもっていなければならないという現状は改善されなければいけないと思います。
区はこのような現状についてどう認識しているのでしょうか。事業者に実態を聞いたり、調査をしていますか、教えてください。
◎山本
障害施策推進課長 障害者自立支援法の介護給付の一つである重度訪問介護につきましては、平成二十一年八月現在八十六名の方のご利用がありまして、担っている事業者さんは区内、区外合わせまして六十一事業者となっております。
区では、平成十九年度に障害者自立支援法実態調査を行いまして、事業者の収入状況や人材育成の取り組み内容などを把握しておりまして、その結果に基づいて、総合支所保健福祉課におきまして適宜、きめ細かく事業者の状況などを把握しているところでございます。
◆中塚さちよ 委員 ぜひ現状を把握する、そして改善するために何が必要なのかを明らかにしていただいて、具体的な支援に結びつけていっていただきたいと思います。特にこの重度訪問介護の利用者さんの中でも、在宅のALS、筋萎縮性側策硬化症という難病の患者さんがおります。人工呼吸器をつけて暮らしておりまして、頭や意識は全く健康ですが、全身の筋肉が動かないため、歩くことも、食べることも、話すこともできなくなってしまいます。人工呼吸器ということですから、トラブルが起きたら即命にかかわりますから、二十四時間にわたるたんの吸引などを含めた医療ケアが必要となってきます。低単価なのに、高いこうした医療的な知識、技術や体力が必要なので、特に介護者の確保が難しい状況にあります。
そして、区によってはALS、在宅人工呼吸器を利用しているこうした難病の患者さんについては、一日十六時間とか、十七時間ということではなく、人工呼吸器の患者さんには二十時間認めているという区もあります。
目黒区に至っては、そもそもこの一日十六時間ですかと聞いたら、十六時間て何のことですかと言われました。障害者のホームヘルプについて一日何時間というような考え方はしないで、個々のニーズに応じて決めているということです。現場のケアマネさんにもお聞きしましたが、目黒区ではケアプランを立てるときに、介護保険が何時間まで、障害者だと何時間までという枠は考えるな、その人にとって何時間介助が必要なのかということを考えてケアプランを立てろと言われるそうです。そしてもちろん、のべつ幕なく何時間でも認められるわけではないそうですけれども、これが本来あるべき障害者のケアマネジメントのやり方だと思っております。
厚生労働省が定めたガイドラインでも、生活ニーズに基づいたケア計画に沿ってサービスを提供する必要があると定められております。区では、今までもこうしたALS患者さんなどを訪問調査して、具体的に生活を見てこられていると思いますけれども、こうした方々のニーズについてどう考えているのでしょうか。十七時間で十分だとお考えなのですか。区の障害者のケアマネジメントのあり方についてご答弁をお願いいたします。
◎山本
障害施策推進課長 重度障害者の方が地域生活で必要な支援を受けるためには、ホームヘルパーの派遣の充実などが重要だと認識しております。
お尋ねのALSの患者さんの方でございますが、委員お話しのように、手足やのど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がやせて力がなくなっていく病気で、区内では四十五名の方が、東京都難病医療費助成等の事業の対象となっております。区では、こういった重度の方々にホームヘルプを派遣する場合、要綱に基づきまして派遣しております。例えば入浴の介助など一人での介助が難しい場合には二人での介助を認めるなど、ご本人の状況に合った形でやっております。
◆中塚さちよ 委員 実際には、現実には世田谷区ではこうした患者さんに十七時間以上のサービスが認められているという話は私は聞いておりません。いずれにしても、介護従事者が足りないことには解決できない問題だと思います。平成二十一年度予算には重度訪問介護の人材育成に予算が組まれて研修が行われているということですから、こうした施策が本当に実際に現場で介護に携わる人がふえる、そうしたことにつながっているのか、難病の患者さんのQOLの向上に役立ったのか、そうした効果検証が必要だと思っております。
今後もこのことについては注視をして質問してまいりますので、そのつもりでお願いしたいと思います。
以上で終わりまして、すがややすこ委員と交代いたします。
◆すがややすこ 委員 それでは、総括質疑の続きで、保育園と学童の今後の計画ということで質問をしてまいります。
まず、総括質疑のときには、平成二十二年度、来年度の計画がまだ具体的になっていないというところで、どうなっているのかというような質問をさせていただきました。区の答弁では、
私立認可保育園を中心に整備をしていくということで、来年は一千百人定員数をふやさなければいけないと思うんですけれども、基本的には私立の認可保育園の分園というのを中心に整備していくということでしたが、問題点としては、請け負う社会福祉法人さんがいるのかであるとか、区内に保育園を整備する場所がもうないんじゃないかというような問題点があるかと思います。そういったところを含めて保育園の計画についてご答弁をお願いいたします。
◎岩渕 子ども部副参事 ご案内のように平成二十二年度につきましては、約一千百名分の整備を目標として全力を挙げて取り組んでおります。現在、整備用地につきましても、予算設定の中で新年度整備につきまして今整備中でございます。運営事業者の件につきましては、連盟のほうもまだまだ熱意がございまして、ご協力いただくというような状況でございますので、引き続き全力を挙げて計画の達成に向けて全力を尽くしていきたいと考えております。
◆すがややすこ 委員 そういった中で、今年度、平成二十一年度の認証保育園の計画が未達成なんですよね。予算書を見てみますと、三十三カ所から三十九カ所にふやすということで、六カ所増というふうに予算ベースではなっていたんですが、区の方向性として認証保育を計画していた部分を、今話した私立の認可保育園にシフトしてきているというような話がありましたので、保育の受け入れ枠数に関しては、そちらのほうでカバーしているのかなというのはあるのですが、やはりその認証保育園の整備ということであれば、多様な保育ニーズにこたえるというところで、基本的に認証保育園も重要な保育施設の一つだと私は思っております。
平成二十二年以降の認証保育園の整備ということに関してなんですけれども、とりあえず今は、認証保育園の仕組みが東京都がもともと考えたもので、駅から五分以内とかという、基本駅近に建てるというような決まり、お約束事みたいなのがあると思うのですが、世田谷区として認証保育園自体は東京都は手放しているわけですから、世田谷区として駅から五分以上離れていても、駅から遠くても認証保育園を整備するということもできるかと思うんです。それについては、世田谷区としてどのようにお考えでしょうか。
◎岩渕 子ども部副参事 認証のお話でございますが、今年度の整備の背景としましては、この待機児急増を受けまして、区では安心子ども基金を活用させていただきまして、昨年度の整備計画のうち、本年度の整備分四百八十五でございましたが、その計画を改めて、ご案内のように、九百人の定員枠拡大を目指すこととしております。このことは、ご案内のとおりですが、当該基金の活用におきましては、認可保育園整備補助を主軸としておりますので、また、認証保育所の整備につきましても、ある意味、認可基準を満たすというような条件がございますため、区としても整備の手法を認可保育園の分園を基本としたものでございます。この結果、認証保育園につきましては、当初六カ所ということでございましたが、現状では平成二十二年四月一日開設予定の子育てステーション玉川内の認証保育所一園をさせていただいている次第でございます。
また、ご質問の認証の規定でございますが、従前の開設基準は、ご指摘のように、駅から五分以内というようなことでございましたが、このことにつきましては、やはり駅至近ということで適応する不動産物件が大変少ないということで設置が困難であるという状況から、駅から十分圏内の範囲に拡大し、駅周辺にかかわらず三百戸以上の大規模な集合住宅の開発事業者が設置する場合も対象とするなど、区では昨年度よりいち早く制度の枠を拡大しております。
委員のご指摘のように、多様な保育という視点からは、実績と信頼のある民間事業者等による認証保育所の活用も大切と考えております。今後の待機児童、あるいは多様な保育ということでの動向を見据えて、ご指摘のご提案についても課題としてまいりたいと存じます。
◆すがややすこ 委員 ぜひよろしくお願いします。
それで、今のご答弁の中にありましたけれども、確かに駅近だと不動産物件は少ないし、高いんです。なかなか認証保育園をやりたくても参入しづらいというような現状もあるかと思います。ですから、今ご答弁がありましたので、いいですけれども、ぜひそういったことについても積極的に区として進めていっていただきたいというふうに思います。
また、安心子ども基金を活用して来年度も整備をしていくということになると、認可保育園が中心になるというお話でした。今世田谷区の認可保育園というと、区立、それから私立の認可保育園ですと、社会福祉法人が基本なんですね。他区では、株式会社の認可保育園というのもあるんですが、世田谷区として株式会社の認可保育園についての考え方をお聞かせください。
◎岩渕 子ども部副参事 今の認可保育園につきましては、平成十二年度の国の規制緩和によりまして、従前地方公共団体でありますとか、社会福祉法人に認可保育園というのは限られていたわけですが、ご指摘のように、運営主体につきましては、学校法人、NPO、株式会社とも認められるようになったという背景がございます。
区では、これまでも民間事業者を含めた多様な事業主体によりまして、保育サービスを展開しておりますが、現在区内の認可保育園で株式会社が運営するという施設はございません。区立保育園の民営化に当たり作成したガイドラインにおきましては、株式会社民営化の運営主体の対象とはしておりません。平成二十二年度には区立の保育園の民営化に関する評価、検証を予定しておりまして、その過程の中で本件につきましても今後検討してまいりたいと考えております。
◆すがややすこ 委員 次は、学童なんですけれども、総括のときに問題提起をさせていただいたのは、今保育園をふやしているので、学童保育のほうもふえていく、そして学校の大規模化とかいうことも含めて、学童、新BOPが今指導員の不足なども含めていっぱいいっぱいであるということなんですけれども、現在、学童、新BOPの大規模化ということについて、区としては今後どのように対応していくのかお聞かせください。
◎平澤 児童課長 現在、地域によりまして、小学校大規模化が進んでおり、新BOPにおきましても、ことし七月現在で六十四の全新BOPのうち、七十名を超える規模の新BOPが二十二カ所となっているなど、大規模化が進んでいる状況でございます。
新BOPの活動の場所といたしましては、普通教室二教室分程度の専用スペースに加え、学校と調整しながら、校庭や体育館を使用しているほか、さらに学校の状況や新BOPの活動に応じまして、図書室、ランチルーム、多目的室等も使用するなど、柔軟な施設運営を行っているところでございます。
大規模化の対応でございますが、大規模でスペースが狭隘な新BOPにつきましては、各学校の状況を踏まえながら、活動スペースの確保の検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますし、指導員につきましても、配置の充実のあり方について検討を進めてまいりたいと思っております。
◆すがややすこ 委員 区のほうで学童とか、新BOPということは、教育委員会と連携してこれからやっていかなければいけないことですし、今後の区政の重要な課題の一つであるというふうに考えています。今ご答弁があるとおり、積極的に学童の大規模化ということについても、世田谷区として議論していただきたいと思います。
それで、以前にも質問させていただいたんですけれども、学童保育ということですと、民間にもあるんですね。東急沿線、田園都市線沿いだと、各駅に今民間学童が整備されていたりするんです。その民間学童への支援ということについて、基本的に世田谷区としてはこれまでは出すなら出してくださいというか、来るなら来てくださいというお話だったんですね。ただ、やっぱり学童の大規模化ですとか、学校の大規模化、こういうことを考えると、そういう姿勢だけではだめなんじゃないかなというふうに思います。例えば商店街の空き店舗ですとか、学校の近くの土地とかを区が確認して、民間事業者さんに案内してあげるですとか、そういった支援もあるかと思いますし、また、これは一歩踏み込みますけれども、開設のときに補助する仕組み、こういったことも考えられるのではないかと思います。これらについての見解をお聞かせください。
◎平澤 児童課長 学童クラブ事業につきましては、都の要綱に基づく事業として届け出れば開設可能でございまして、これに当たるのは、現在区内では二カ所ございます。ほかに区で把握している範囲ではございますが、学童保育機能を備えた民間株式会社のアフタースクールが三カ所、私立大学附属施設やNPOによる放課後の預かりのサービス、そのほかに塾に併設した放課後スクール等がございます。これらにつきましては、今後精査する点もあろうかというふうに考えております。
いずれにいたしましても、民間の展開も重要でございます。民間事業者との連携、協力の可能性について議論、検討してまいりたいと、このように考えております。
◆すがややすこ 委員 今後検討していくということですので、ぜひ開設の補助ですとか、また、いろいろな手法についても世田谷区として検討していただきたいと思います。
なぜこの民間ということに私がこだわるのかということですけれども、やっぱり民間の保育施設にしても、学童というか、アフタースクールということに関してもすごくサービスがたくさんある、多様化しているんですね。料金もそんなに高くないんですよ。その民間学童ということでいえば、例えば塾と併設しているですとか、英語教室だったりとか、いろいろなその付加価値をつけて保護者の子育てに対する教育心をくすぐるというような民間企業さんが、今世田谷区内にもたくさん進出してきている。
一方で、認可保育園ということで、先ほど株式会社の認可保育園についてどうなんだというような質問をさせていただきましたが、以前は株式会社の保育園というと、やっぱり営利目的でというイメージが強くて、世田谷区としても余り積極的でなかったし、私も基本的にちょっと株式会社の認可保育園てどうなのというような思いはありました。ただ、今の株式会社を経営している認証保育園を見てみますと、やっぱり質とか、サービス内容に関しても、かなり上がってきているというふうに思うんです。
そういったところで、保育園と学童は、子どもを預かるという意味では基本同じじゃないですか。民間さん、いろんなところでやっているんですけれども、そこの保育園に預けていて、小学校一年生になりますよね。そうしたら、引き続き預かりますよというような保育園もあるんです。なので、株式会社とか、民間の保育園であれば、いろいろなサービスができますし、そういう意味でも、今後民間の保育園をふやしていくということが必要なのではないかなと思います。例えば学校の近くだったりとかというところで整備をしていく必要性もあるかと思います。そういうことについての区の見解をお聞かせください。
◎工藤 保育課長 今委員のお話のありましたように、新たな発想による新たなサービスの提供といった点につきましては、まさに民間事業者が最も得意とするところであると考えております。こうした意味合いからも、現在、区が新たに整備を進めております民間社会福祉法人による認可保育園などでは、在宅子育て支援に係る新たなサービス提供などができないかということで、そういったことにも期待をしておりまして、区といたしましても、積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えているところです。
◆すがややすこ 委員 以上で保育園と学童の質問は終わりまして、次に、視覚障害者の質疑をさせていただきます。
この件は、企総所管で生活者ネットワークさんのほうからも選挙広報を視覚障害者の視点でというような形で質疑があったんですが、全般的に選挙広報であるとか、「区のおしらせ」も今抜粋が送られるみたいな感じらしくて、全然充実していないんですね。なので、そういった区が発行するものについて、視覚障害者の方たちの視点でこれから引き続き拡充していかなければいけないかなと思います。それについてご答弁をお願いいたします。
◎山本
障害施策推進課長 社会の急速な情報化の中で、情報は重要な資源の一つでございますので、視覚障害者の方の情報提供、大変重要であると認識しているところでございます。
◆すがややすこ 委員 では、引き続きそれは拡充してください。
それで、もう一点、移動支援なんですけれども、視覚障害者の移動支援というと、今社会参加で月に三十時間、日常生活を伴うものについて二十時間ということで、その利用目的が決められた形で時間が決まっているんですよね。移動支援があるんですよね。だけれども、やっぱりそうすると、視覚障害者の方たちにとっては、社会参加をいっぱいされる方もいらっしゃるかもしれないですけれども、日常生活でもっと使いたいという方もいらっしゃって、その二十時間と三十時間を分けないで、トータルで五十時間利用できるようにできないかというお話がありました。だから、足立区とかは月に六十四時間移動支援があったりするんですけれども、世田谷が今二十時間と三十時間、トータル見て五十時間ということでやっていますから、その利用枠を撤廃して、それでトータルでどういうときにでも五十時間使えるようにできないかということを思うんですが、区としてどのようにお考えでしょうか。
◎山本
障害施策推進課長 視覚障害者の方の移動支援につきましては、平成二十年度に利用状況を踏まえまして、社会参加を進めるために従来の二十時間を三十時間にしまして、また新たに日常生活上、必要不可欠な移動を利用目的に加えまして、二十時間を追加しまして、委員おっしゃるように、合わせて支給時間を五十時間に拡充したところでございます。
日常生活上必要不可欠な利用といいますのは、公共機関や金融機関の手続に伴う外出、それから冠婚葬祭の出席とか、親族へのお見舞いなどとしておりまして、平成二十一年七月、一カ月でとりますと八名の方がご利用されているところでございます。
社会参加、あるいは余暇活動での利用とか、日常生活上不可欠な利用という目的ごとの時間数ではなくて、合算して利用できるようにという、このご提案でございますけれども、今後、利用実態等も調査しまして、課題、いろいろあるかと思いますので、整理しながら検討してまいりたいと考えております。
◆すがややすこ 委員 やはり視覚障害者の方に限らず、障害者の方たちは、外に出て、社会参加ですとか、いろんな方たちと触れ合うことってすごく重要だというお話をどの方もされています。特に視覚障害者ですとか、あと、先ほども質疑がありましたけれども、聴覚障害者の方たちというのは、同じ障害を持った方たちと集う場所があることによって、その方たちの精神的な安定にもつながっていくというようなお話がありました。今、二十時間と三十時間の枠を撤廃していくということについて、区が検討していくということでしたので、ぜひその視覚障害者の方たちの視点で一日も早い利用枠の撤廃をお願いしたいなというふうに思います。
以上で視覚障害者の質問は終わります。
私の持ち時間が残り三分になりましたので、最後、一点質問させていただきたいと思います。
保育に戻りまして、保育室の件です。保育室に支給されている補助金について質問させていただきたいと思うんですが、これも企総の藤井議員が補助金の質問をしているんですけれども、区の補助金交付団体二百十八件あるといって、それぞれその要綱にのっとって支給しているということだったんですね。
なぜこの質問をするかというと、ことしの五月、区から保育室に出す補助金の支給がおくれたんですよ。毎年毎年支払っているものが、区が保育室に出すときにちょっとおくれてしまったといったようなことがありました。それで、保育室にとっては、区からの補助金も大変大きな資金源というんですか、運営資金になっているわけですから、区からの補助金がおくれることというのは、結果、そこから働いている方たちに対しての給料がおくれたりとか、そういうことにもつながっていくということだと思います。
それで、いろいろその背景はあるのは十分理解しているんですが、やはりそういうときには、世田谷区が、補助金がおくれるということであれば、先にやっぱり保育室に言うべきだったと私は思うんです。いろいろ精査しなければいけないので、時間がかかりますよというようなことを先に保育室に案内すれば、保育室のほうだって対応できたはずなんですよ。それを支給日になっても支給されないというような対応だったので、ちょっとそれについては世田谷区の対応を私は問題視したいなと思っているんです。この件についてのご答弁を二分以内でお願いいたします。
◎工藤 保育課長 保育室に対する補助金につきましては、昨年度包括外部監査を実施いたしまして、そこの中での指摘を受けております。昨年度末にこうした状況を踏まえまして、執行状況の確認方法を見直しまして、補助金の実績報告時に添付書類として財務諸表等の提出を求め、決算書と予算書の額を照合するなどして、繰越金の取り扱いに関するチェックを強化したところでございます。詳細のご説明は割愛しますが、慎重に書類の確認を行う必要がある中で、最大限迅速なチェックを行いまして、交付請求から二十日以内という規定、これはあらかじめ保育室にも提示してあるわけですけれども、この規定に基づきまして適切に執行をさせていただいたところでございます。
しかしながら、区といたしましても、保育室の年度当初の資金繰りの困難さと保育室の事情等は十分に理解しているところでございますので、今後、保育室の事情にも配慮した補助金交付の仕組みとなるよう見直しを検討してまいりたいと考えております。
◆すがややすこ 委員 上杉委員とかわります。
◆上杉裕之 委員 では、本日最後の質問をさせていただきます。
毎日のように政権交代後、いろいろな基本的な政策が各大臣から発表されていますけれども、政権交代したんだなという、その風をすごく報道の中で感じさせていただいているわけですが、ちょっと前の新聞で、九月三十日の水曜日、東京新聞の夕刊を見ていましたら、第九面に「廃止表明の自立支援法、安心できる制度を」という見出しで、どう変わる新政権スタートというシリーズの中での紹介記事でした。内容は自立支援法について、障害者本人たちから訴訟を起こされているということなんですけれども、それについて実情が述べられていて、そして同じ日、埼玉地裁で自立支援法訴訟、国側が方針転換と。今までは争う姿勢を示していたけれども、長妻大臣が方針を転換して、今後は訴訟方針が決まるまで猶予してくださいというようなことを言っているようです。ただ、その後、猶予を認めるというか、それには応じないみたいな原告側の話も聞いていますけれども、いずれにしても切迫しているということが示されているのではないかと思っています。
さて、本区におきましても、その政権交代の息吹を感じさせてほしいなと思うわけですけれども、やはり大上段に構える部分と小手先の部分と両方必要なのではないかと思うんです。それで、何といっても日本の場合は、国法はオールジャパンに施行されて、そして実際に実行するのが区市町村というパターンが多いわけですから、自立支援法もそういう形になっているわけです。そうすると、やはり執行部としてぜひ国の動きを見ていただきたいと思うんです。
そうすると、では、今連立与党の中核であります民主党は何を言っているかというところになるわけでありますけれども、この二〇〇九年四月八日に発表がありました。障害者政策プロジェクトチーム、PTが障害者制度改革について政権交代で実現する真の共生社会ということで、政権交代の六カ月前にこういったものを出しているわけです。その中身を簡単に紹介すると、一つは、障害者制度改革推進法案というのを出しますよと。これは内容は、障害者権利条約というのがあります。簡単にいうこと、これを施行するんだということなんです。それに基づいていろんな国法も見直していくということを言っているわけです。もう一つは、自立支援法などは廃止して、障害者総合福祉法(仮称)にしていくということを言っているんです。
それで、世田谷区は今まで福祉先進の都市ということでやってきまして、るる説明しませんけれども、今はせたがやノーマライゼーションプランが走っているということになっているわけです。今までの世田谷区がずっと取り組んできたいろんな理念が盛り込まれて、具体化されているのがこの計画だということでありますけれども、さて、そこで大上段に構える部分ですけれども、国連の障害者権利条約です。これを眺めたときに、さて、世田谷区の今までやってきた基本理念とどうあわせていくかという部分があるんですけれども、これについて区の執行部の見解をお聞かせください。
◎山本
障害施策推進課長 国連障害者権利条約は、障害者の権利及び尊厳を保護、促進するための包括的、総合的な国際条約であり、すべての人に保障される権利が障害者にもひとしく保障され、障害者の尊厳、自立、差別及び社会への参加等を一般原則としております。
この条約では、すべての障害者のあらゆる人権と基本的自由を完全に実現することを一般的義務とするなど、締結国に重い責任を求める内容となっております。条約は、国が署名をし、その後、関係法令の整備をし、そして批准をすることで効力が生じるものと理解しておりますが、日本は署名はしたものの、いまだ批准はされていない状況でございます。したがいまして、区といたしましては、国において批准に向けた国内法の整備がなされました時点で、この法律に基づきまして、改めて検討することになるかと考えております。
◆上杉裕之 委員 待ちの姿勢だというふうに聞こえましたけれども、その障害者権利条約、あるいは民主党が出そうとしている障害者制度改革推進法の中身の一つを紹介しますと、先ほどから出ている政治とか、選挙への参加を一層確保する。視力障害者の話が出ていましたけれども、あれがよい例でしょうけれども、やはり貴重な一票を適切に投じたいということからすると、いろいろと資源が整っていないといけない、選挙公報を早く見れないんだから、早く聞きたいとか、あるいは点字で知りたいとかいうことなんでしょう。なかなか行き渡らないというようなことが言われていましたが、こういったことが、その条約あるいはその推進法案の中に書いているわけですよね。やっぱりそういうことをあらかじめ批准に先行して、区の基本政策といいますか、こういったところを一つ一つ、これはうちのこれに該当するよなということでチェックしていくという視点で見直しを図っていくということについてはどうお考えでしょうか。(「同じ答えだよ」と呼ぶ者あり)
◎山本
障害施策推進課長 国連障害者権利条約につきましては、国でございますが、平成十九年九月に署名しておりまして、批准に向けて今後必要な法整備等が行われると思われますけれども、現時点では、まだ不確定な部分が多いのが現状でございます。区としましては、国の方針が示されれば、その方針に基づきまして区の方向性を定めていくものと考えておりまして、今後の国の動向に注視してまいりたいと考えております。
◆上杉裕之 委員 先ほど同じ答えだという声が聞こえましたけれども、まさしく予測されたとおりだったのかもしれません。でも、あえてやはりここで伺いたいんです。この障害者自立支援法廃止して新法を制定する運びだという中で、条約を完全に履行していくとなると、当然区市町村、基礎的自治体が実施主体のものが多いわけですから、相当な負担がかかる。そうすると、人、物、金、権限、資源といったものがいろいろ必要になってくるんじゃないかと思うんです。
そういったことをこれから私はこの新しい内閣に伝えてはどうか思うんですけれども、先ほどの障害者制度改革推進法案というものの根本は、形をつくるということなんですね。内閣の中に新しく推進本部をつくる。その中で、ここはちょっとじっくりなんですけれども、おおむね五年ぐらいかけて、そういった国内法を施行できるように、勉強して、障害当事者の話を聞いてやっていきたいということがあるんですけれども、それこそ当事者といえば、地方自治体、基礎的自治体もそうなわけですから、その声を上げていこうという考えについてはどうでしょうか。
◎山本
障害施策推進課長 新聞報道によりますと、厚生労働大臣が障害者自立支援法については廃止後の仕組みづくりが整った段階で廃止に踏み切るという方針がございまして、その仕組みづくりを検討する考えを示されております。
条約につきましても、まだ国が国内法の整備等の方向性を示しておりません。区としましては、条約におきましても、それからあと、障害者自立支援法につきましても、今後の国の動向に沿って検討することになるかと考えております。
◆上杉裕之 委員 私のほうでは、先ほどの大上段に構えたところという視点をやっぱり持っていただきたいと思いますし、先取りしていただきたいと思うので、そのあたり、基本姿勢なので、そういう姿勢でもって、区の理念をなるべく前へ、前へと進めていただきたい。むしろオールジャパンの中で、この世田谷が基礎的自治体の中で一番進んでいると、具体論は世田谷に聞けみたいなことになってくるとうれしいなと思っています。
さて、それでは、具体論に少し入ってまいりますけれども、たまたまなんですけれども、昨年、私、民主党を代表しての代表質問、暮れにさせていただきましたけれども、そのときにインスペクター制度というものを提案させていただきました。これは別にどこかに書いてあったわけではなくて、自分の頭で考えたことなんですが、たまたま五カ月後に、先ほどの民主党の障害者政策プロジェクトチームが出した報告の冒頭のところ、その新しい推進法案の基本的考え方の第一番目にモニタリング機関を設置しますということをうたっています。つまり権利条約を国内の中で実施をする。促進、保護、そして監視をしていくことがこの条約で求められていると。その観点から、この制度改革の実施状況を調査、審議し、もう一つ、勧告するためのモニタリング機関を設置するということを言っているんです。まさしく、これこそ勧告まで含めているというところがインスペクター制度と発想がまた同じなわけであります。
さて、そのインスペクター制度について代表質問させていただいて、その後、政権交代も行われまして、代表質問から一年近くたちましたので、その後、執行部としてどのぐらいこのインスペクター制度について考察が深まったか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
◎安永 指導担当課長 インスペクター制度は、第三者機関に事業者の査察をお願いする制度でございます。行政が第三者に直接依頼するか、あるいは第三者評価のように資格を認定し、その有効な自由な活動に任せるかの二つの考え方がございます。
区では、この間、サービス向上委員会の答申、苦情審査会の諮問結果、第三者評価制度の受審などを通じまして質の向上に取り組んでまいりました。本年四月には事業者指導を総括する所管として、指導担当課を設置し、質の保証のシステムの確立のために事業者の支援、指導を取り組んでおります。
現在、その取り組みの一環としまして、介護保険事業では、指導基準に基づきます事業者のチェックや指導、また保育事業では、巡回指導相談などを実施しております。現在、これらの取り組みを参考に、事業者指導のための検討に進んでおります。
今後、ご提案のインスペクター制度の趣旨を踏まえ、研究し、これから先のことを考えながら、さらに見きわめていく予定でございます。
◆上杉裕之 委員 見きわめていく予定というお言葉が聞こえたので、より前回の代表質問より前向きに考えていただけるのかなと思います。
それで、そのサービス向上委員会とか、苦情審査会、ある種第三者評価制度、こういったものは今ある制度ですよね。やってきたというはずなのに、例の小田急ムック、こういったものが起きた。それは区は事業主体ではないから、ああいった事業者さんがおやりになったことじゃないかというふうに思われるわけでしょうけれども、もっと直接インスペクター制度でやる場合は、直接その場に入って、予約なしに入っていって、二日でも、三日でも、四日でも、五日でもじっと事業を見る。特に監査ということではなくて見ていく。そうすると、その事業、制度の問題点というのがやっぱり浮かび上がってきて、その事業者が問題があるのか、そもそも制度に起因するのかといったことが明らかになると思うんですね。
そういった意味で、先ほどの勧告という部分を申し上げましたけれども、この勧告も今ある制度の中で適切にやってくれということにとどまらずに、国の制度というものを変えていこうじゃないかということで、内閣に物を申すような形で考えていっていただければうれしいなと思いますので、インスペクター制度、さらに考察を深めていただいて、とりわけその指導担当課が新設されていますので、ここの機能の充実を期待しております。
引き続きまして、今度は大上段からだんだんと小手先になりまして、小手先というのは悪い言葉じゃないと思います。本当に目の前の具体的な現実に取り組んでいくという趣旨で聞いていきますけれども、さて、ちょっと時間もだんだんタイトになってまいりましたので、手短に参ります。
今までの自立支援法体制下の施設運営で伺うんですけれども、法外施設から法内化へということを私も訴えていたのですが、それがどのぐらい法内化した、そして事業収入と区の負担額はどう変わったのかをお聞かせください。
◎金澤
障害者地域生活課長 障害者自立支援法の施行により、障害者施設等は平成二十三年度までに同法に規定される新体系事業に移行することになっております。現在、区内の障害者施設等は、区立、民立合わせて約七十あり、二十一年九月末の時点で五十二施設、八割弱が新体系事業に移行しております。このうち、法外施設の民営福祉作業所や精神障害者共同作業所等から新体系事業に移行して法内化した施設は十七ございます。
◆上杉裕之 委員 次に、法外施設の時代とそれから法内化後の事業収入ということについてお伺いしたいのですが。
◎金澤
障害者地域生活課長 法外施設のときと法内化後の事業収入の比較では、平成二十年四月に法内化し、平成十九年度と平成二十年度の決算が比較できる民営福祉作業所と精神障害者共同作業所が九つございます。これらの施設の決算書によると、すべての施設で事業収入がふえており、平均で約二五%増となっております。
◆上杉裕之 委員 それでは、さらに伺いまして、その収入源という部分で、その補助金、そういったものが区から出ている部分、その都加算とか、国が基金を設置して加算しているところがあると思うんですけれども、区の負担部分について、真水がどうなったかお聞かせください。
◎金澤
障害者地域生活課長 九施設では、法外施設のときは都及び区の補助金を主な収入として運営されていましたが、法内化した後は、障害福祉サービス費を主な収入とし、都の補助金や区から重度者支援加算等の補助金を受けております。
障害福祉サービス費は、国が二分の一、都及び区が各四分の一の負担割合が規定されており、区が負担する障害福祉サービス費と都補助を除いた区の補助金の合計額は、法外施設のときの区の実負担額よりも減少しております。
◆上杉裕之 委員 ということは、大きく見て法内化は、区財政を楽にしたと、区一般の負担、区民全体の負担を和らげたというふうに評価できると思うんです。そこの点はよかったなと思うんです。
さて、今度は施設の中、職員とか、利用者とか、そういったところを見ていきたいと思うんですけれども、その利用人数というようなあたりはどうなんでしょうか。
◎金澤
障害者地域生活課長 法内化した九施設では、全体として延べ利用者数が若干増減してございます。これまで都が規定した補助上限額に合わせて定員十九名までの運営を行ってきた施設が、法内化に伴って定員をふやすとともに、柔軟な受け入れを行うようになったためと考えられます。
◆上杉裕之 委員 引き続いてその職員体制、それの増減みたいなものはいかがだったんでしょうか。
◎金澤
障害者地域生活課長 職員体制については、二十年度に五施設が常勤職員をふやし、三施設が同数、一施設が減となっていました。さらに、二十一年度を見ると、十九年度と比較して六施設で常勤職員をふやし、三施設が同数でした。事業収入の増加を背景に、常勤職員をふやし、職員体制の強化が図られていると考えております。
◆上杉裕之 委員 となりますと、今度、職員がおおむね増強されているという中で、その給与とか、その水準とか、あるいは事業費、それがどういった形になったということでしょうか。
◎金澤
障害者地域生活課長 各施設では法内化に当たり、就業規則や給与規程の整備を行っております。ベテラン職員の退職等により、人件費支出が減った施設もありますが、全体では人件費は伸びております。また、二十一年度に行われた障害福祉サービス費の改定や処遇改善事業により、二十一年度の職員給与は二十年度よりもさらに上がっていると考えられます。なお、事業費は減少した施設もありますが、障害者の働く場として位置づけを明確にするために行事内容を見直したなどの理由で、事業収入の不足を理由とするものではありませんでした。
◆上杉裕之 委員 では、今度は施設運営そのものが区民である利用者の方々にとって果たしてどうだったのかなと思うんですけれども、その前に、それを支える事業者側として法内化したことによってデメリットがなかったかどうか、その運営が厳しくなかったどうかということなんですけれども、特によく聞くのが、事務的な負担がふえているとか、残業しているんじゃないかとか聞くんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
◎金澤
障害者地域生活課長 法内化のデメリットということで申し上げますと、今回の事例を見る限り、法内化した施設の事業収入は増加し、職員体制が強化される傾向がございます。新たに国保連合会への請求等の事務はふえておりますが、現時点では事業者にとって法内化による大きなデメリットは出ていないと考えております。
◆上杉裕之 委員 あと、事業収入ということでいうと、東京都からの負担というか、超過負担の実態をお聞かせください。
◎金澤
障害者地域生活課長 東京都からは、小規模作業所等新体系移行支援事業としまして、利用者一人当たり月額一万九千六百円の補助がございます。
◆上杉裕之 委員 次に、国のほうはいかがでしょうか。
◎金澤
障害者地域生活課長 先ほど申し上げましたが、国のほうは障害福祉サービス費の二分の一が国の負担となっております。なお、今回処遇改善事業というのも行われております。
◆上杉裕之 委員 その処遇改善事業の期間といいますか、何年度までそれが措置されるのかお伺いいたします。
◎金澤
障害者地域生活課長 処遇改善事業ですが、二十三年度までとなっております。
◆上杉裕之 委員 というわけで、東京都にしても、国にしても、その永続性がないというわけですよね。そういった中で、やっぱり施設を経営している事業者というのは不安だろうなと思うんですけれども、それがもうちょっと補助金とかなくても安定した経営ができるような、安心して経営できるような体制にしてあげなくてはと思うんですが、そのあたりの区の見解はいかがでしょうか。
◎金澤
障害者地域生活課長 補助金によらず、事業者が安定した運営を行っていくためには、障害福祉サービス費の額の改定等が考えられますが、これは利用者負担や自治体の財政にも影響を与える課題であり、制度のあり方も含めて広い視点から議論されるべきものと考えております。
◆上杉裕之 委員 以上、障害者施策とそれからその実態についていろいろとお伺いしました。
私、先日、障害を持つ方の親御さんと会ってお話をしたんですけれども、先ほどの障害者権利条約みたいな理念的なこと、それについては理念条例をつくるとか一つずつ実現を図ってくれないかと。例えばここに一冊の本がありますけれども、「条例のある街」と、これは障害者差別を禁止する千葉県の条例をどうやってつくったかという当事者の本です。ぜひこういったことを研究していただきたいというふうに思いますし、また今も法内化の影響というのを聞いていきましたけれども、その施設利用者の側から自立支援法になってプラスの施設もあったろう、でも、マイナスに合わせられた、標準的なところに合わせられたという声もあります。そのあたりを……。
○大場やすのぶ 委員長 以上で民主党の質疑は終わりました。
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大場やすのぶ 委員長 以上をもちまして本日の質疑はすべて終了いたしました。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後五時四十八分散会...