大田区議会 2021-02-24
令和 3年 第1回 定例会-02月24日-02号
令和 3年 第1回 定例会-02月24日-02号令和 3年 第1回 定例会
令和3年第1回定例会 大田区議会会議録 第2号
2月24日(水曜日)
出席議員(50名)
1 番 田中一吉 2 番 松原秀典 3 番 高瀬三徳
4 番 岸田哲治 5 番 大森昭彦 6 番 塩野目正樹
7 番 押見隆太 8 番 鈴木隆之 9 番 湯本良太郎
10 番 伊佐治 剛 11 番 深川幹祐 12 番 長野元祐
13 番 渡司 幸 14 番 高山雄一 15 番 海老澤圭介
16 番 松本洋之 17 番 岡元由美 18 番 勝亦 聡
19 番 広川恵美子 20 番 秋成 靖 21 番 玉川英俊
22 番 田村英樹 23 番 大橋武司 24 番 小峰由枝
25 番 椿 真一 26 番 田島和雄 27 番 末安広明
28 番 大竹辰治 29 番 清水菊美 30 番 黒沼良光
31 番 佐藤 伸 32 番 菅谷郁恵 33 番 福井亮二
34 番 荒尾大介 35 番 杉山公一 36 番 荒木秀樹
37 番 犬伏秀一 38 番 三沢清太郎 39 番 松原 元
40 番 須藤英児 41 番 植田智一 42 番 野呂恵子
43 番 北澤潤子 44 番 小川あずさ 45 番 庄嶋孝広
46 番 平野春望 47 番 奈須利江 48 番 馬橋靖世
第30号議案 大田区
介護保険条例の一部を改正する条例
第31号議案 大田区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備、運営等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
第32号議案 大田区
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備、運営等及び
指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
第33号議案 大田区
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
第34号議案 大田区
指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに
指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例の一部を改正する条例
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○塩野目 議長 質問に入ります。
鈴木隆之議員、田村英樹議員、清水菊美議員、須藤英児議員、野呂恵子議員、末安広明議員、大橋武司議員、松本洋之議員、岸田哲治議員、伊佐治 剛議員、
海老澤圭介議員、荻野 稔議員、黒沼良光議員、平野春望議員、奈須利江議員、奥本有里議員、
小川あずさ議員、松原 元議員、
三沢清太郎議員から通告がありますので、順次これを許します。
まず、8番
鈴木隆之議員。
〔8番
鈴木隆之議員登壇〕(拍手)
◆8番(鈴木隆之 議員)
自由民主党大田区民連合の鈴木隆之でございます。令和3年第1回大田区議会定例会に当たり、会派を代表し、質問をいたします。
新型コロナウイルス感染症は世界で猛威を振るい、我が国でもいまだ深刻な状況にあります。目の前の患者を救うために日々尽力する医療従事者、
感染拡大防止に奔走する保健所職員、細心の注意を払いながら高齢者に寄り添う介護従事者、全ての関係者の方々に敬意と感謝を表します。
また、本年3月11日で、あの
東日本大震災から10年となります。その節目の年に当たる本年2月13日、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生しました。この地震では、土砂崩れや火災、断水、停電、そして交通機関への影響などが確認されましたが、お亡くなりになった方がいなかったことは不幸中の幸いでありました。
特にコロナ禍においては、従来の災害応急対策に加え、二次災害への警戒として
感染拡大防止を念頭に置かなければなりません。今回の代表質問は、こうした社会情勢を十分鑑み、冒頭、感染症をはじめとした危機管理体制から伺ってまいります。
新型コロナウイルス感染症は、医学的に研究途中にあり、その対応については、国や東京都は専門家の意見を聴取しながら対応している状況にあります。先が見えにくい状況下においては、区民の生命や健康を直接守っていく私たち区レベルでは、医学的に的確な情報を確認し、考えられる最適な選択をしていかなければならないものと考えます。現在、区は、東邦大学との連携を強め、喫緊の課題である感染症の問題に医学的知見を踏まえた具体的な対応を実施することとしております。区では、高齢者の介護施設において感染拡大が続いている状況がありますが、感染状況が落ち着いた段階で、医学的見地に基づき、しっかりとした予防策を講じていれば、クラスターのリスクを防ぐことができるとの見方もあります。
区では、東邦大学との連携の実績の一つとして、例えば区の環境公社では、実際に現場を見て、専門的なアドバイスの下で
対策マニュアルを作成し、リスク低減策を徹底し、このモデルをベースに区の清掃事務所にも活かしていると聞いております。こうした実績も踏まえ、高齢者施設の現場と直接やり取りし、施設側の心配も伺いながら、医学的な見地から直接アドバイスするなども考えられ、こうした連携の延長が大田区モデルにつながるものと考えます。感染により重篤者が発生しやすい高齢者施設でのクラスターを抑えることが医療崩壊を防ぐことにもつながるものと考えます。今後、東邦大学との連携をさらに強化し、区民生活を守る対策をどのように講じていくのか、今後の展開を伺います。
ワクチン接種は、
医療従事者等への最初の接種が既に始められており、この後、高齢者、基礎疾患を有する方など、国の方針に則り、順次拡大していく計画となっております。ワクチンの種類、供給時期、供給量など、不安定な要素が多々ある状況と承知しておりますが、先日の本部会議では、
ファイザー社製を想定した集団接種を検討していることが把握できました。病院や公共施設といった集団接種の会場そのものの機能や受入れ数などの情報提供や予約方法、接種券のやり取りなど、区民が具体的にイメージできるよう、分かりやすく周知する必要があります。また、窓口や
コールセンターで丁寧に相談できる体制の整備も欠かせません。
ワクチン接種を受ける期間には、台風や集中豪雨が想定される時期と重なる場合のリスク対応や、
都議会議員選挙の会場とのやり取りの必要性も生じます。区民が安心して
ワクチン接種が受けられるよう、区は少しでも早く試行的なモデルでシミュレーションを実施し、問題点や改善点などを早急に洗い出し、そのうえで区民に広く広報していく必要があると考えますが、どのように進めていく方針か伺います。
本区に限らず、行政の取組がなかなか区民に伝わりづらい状況もあります。大切なことは、接種を希望する方が混乱することなく速やかに予約を行い、接種を受けることができる環境をつくることであります。このことは、区の職員はもちろん、我々議員もしっかりと頭に入れ、区民に相談されたときに適切に案内する必要があります。今後も本部会議を適時開催し、国や東京都からの情報や検討課題なども素早く議会にもご提示いただきますよう要望しておきます。
冒頭にも申し上げましたが、この3月11日で、あの
東日本大震災から10年となります。政府は、心のケアなどきめ細やかな取組を継続するとともに、本格的な復興、再生に全力を尽くしているところと承知をしております。
地震が発生した際、区民の意識には震災対策と感染症対策との両方がよぎり、不安を感じた方も多かったことと思います。特にコロナ禍においては、大規模な地震や台風、豪雨等の風水害時に多くの住民が避難する避難所を3密状態にすることのない
感染防止対策が重要となります。
東京都が示す
避難所管理運営の指針別冊、
感染症対策ガイドラインでは、例えば受入れの基本的な考え方として、せきや発熱のある方、濃厚接触者や自宅療養者などが示されております。また事前対策として、感染防止に資する避難行動等の住民周知や、より多くの避難先の確保などを示されております。
そこで伺いますが、コロナ禍における避難所開設、運営に向けた具体的な準備と区民への周知状況について伺います。
今は危機にあります。車の両輪として、この難局を乗り越えなければなりません。感染症対策は区民の命に関わる区として最重要課題であるからこそ、議会と区はより緊密に連携し、一日も早い収束に向けて、我々議会も区と連携して努力していく決意を表明し、次の質問に移ります。
次に、行財政運営について伺います。
令和2年を振り返りますと、
新型コロナウイルス感染症との闘いに終始した1年であったと言っても過言ではありません。区の感染状況は、都内の他自治体と比較し高い状況であり、保健所は、年末年始を返上して感染状況の把握を担い、区民生活の安寧を脅かす未曽有のウイルスに真剣に取り組んでくれており、こうした真摯な取組に改めて感謝を申し上げます。
こうした状況下で編成されました令和3年度予算案は、一般会計総額2937億7761万1000円、前年度比2.2%増の過去最大の当初予算案となっております。
新型コロナウイルス感染症や自然災害などの危機から区民の暮らしと経済活動を守り、「新たな日常」の実現に向けた変革を進める予算として、感染症対策をはじめ、四つの重点課題に優先的に対応し、新おおた
重点プログラムを着実に推進するなど、区長の強い思いが込められた予算案であると考えます。
そこでまず、令和3年度当初予算に込めた松原区長の思いを伺います。
昨年4月、そして今年に入り2度目の
緊急事態宣言が発出され、また休業要請や時短要請など、地域には様々な対応が求められました。特に2度目の
緊急事態宣言は、
社会経済活動を幅広く止めるのではなく、感染リスクの高い場面に絞って効果的、重点的な対策を徹底するものとされ、具体的には、飲食につながる人の流れの制限、飲食店に対する営業時間短縮要請、外出自粛の要請、テレワークの推進などが対策の柱となっており、これまでの知見を活かし、的を絞った対策としております。
区においても、東邦大学との連携による
官学連携プログラムとして
地域連携感染制御学講座を設置するなど、専門的知見に基づく政策形成や
感染症リテラシーの向上など、区民の命と生活を守るための区独自の取組を進めております。
感染症対策は、地方自治体それぞれの力量や発信力を問う機会ともなり、まさに地方自治の重要性が改めて浮き彫りにされたものと考えます。予算編成に当たっては、感染症対策だけにとどまらず、時代の変化に的確に対応するよう進める必要があると考えますが、区長の見解をお聞かせください。
現在、少子高齢化や経済の低下、地球温暖化への対応など歴史的な転換期に直面しております。多様性の中で
区民一人ひとりが持つ力を最大限に発揮できる環境を整え、都市としての成長につなげていくことが重要と考えます。
我が国の経済状況を見ますと、令和2年4月から6月期の実質国内総生産改定値の年率換算ではマイナス28.1%という戦後最大の落ち込みを記録するなど、感染症は未曽有の影響を与えています。また、区が公表した財政の見通しでは、決して楽観視できるものはなく、国による不合理な税制措置が繰り返されている状況もあります。
令和3年度当初予算では、特別区税及び特別区交付金を合わせた基幹財源は44億6000万円余の減となっております。
リーマンショック時を調べますと、現時点においては、基幹財源の
影響額そのものは限定的な状況にあります。これは、政府の持続化給付金や
雇用調整助成金、区の
新型コロナウイルス特別資金貸付金、大田区
社会福祉協議会の
総合支援資金などの成果であると言えるものと考えますが、こうした施策には終期があることも考慮しますと、令和3年度以降も数年のスパンで、その影響に留意する必要があると考えます。
そこで伺います。
新型コロナウイルス感染症への影響も勘案しつつ、区財政のたがを緩めることなく先を見通した財政運営が欠かせませんが、今後の財政運営の考え方について区長の見解をお伺いいたします。
いつの時代も、危機を乗り越えるのは人間社会の力であり、行政と議会、区民が思いを共有し、今後の区の区政運営を進めていくことを確認し、次の質問に移ります。
次に、DXの推進について伺います。この質問では、私の好まない横文字表記が多用されておりますが、質問の性質上、今回はやむなく使用することといたします。
感染症の拡大により行政の規制やデジタル化の遅れが露呈し、その対処が喫緊の課題となっております。このような課題の顕在化により、国は令和3年度予算において、デジタル化に関する内容を多く盛り込みました。東京都においても、デジタルトランスフォーメーション(DX)をてことし、都庁をデジタルガバメントに変える
バーチャル都庁構想を実現するなど、都庁の構造改革を進め、都政のクオリティ・オブ・サービスの飛躍的、継続的な向上につなげていくとしております。この改革には7つのコア・プロジェクトが選定され、ペーパーレスやはんこレスなどの徹底により、アナログ環境からオンライン・デジタルをベースにした環境へと転換する5つの
レス徹底推進プロジェクトや、都民、事業者があらゆる行政手続きをいつでもどこでも行える
オンライン環境を構築していくこと、ワンストップ・
オンライン手続プロジェクトなどがあります。どれも重要な取組であり、区としても推進すべき内容と考えます。
区は、
オンライン申請など非
接触型サービスの提供やウェブ会議の推進、充実を図り、業務の効率化では、RPA、いわゆるロボティック・プロセス・オートメーションを活用し、業務時間の短縮につなげるなど、
社会経済状況の変化に合わせ、サービス提供の在り方を変えるとともに、効率化を図っていることは評価できます。今後、さらに国や東京都のように行政のDXを力強く進め、区民がオンラインで各種申込み手続きが可能になることや、必要なサービスを行政に赴くことなく受け取れるよう改革し、区民の利便性や
行政サービスへの満足度の向上と合わせ、行政にとっても人的資源を有効活用できるなど、様々なメリットを生み出していくべきと考えます。
行政のデジタル化を積極的に進めていくことは、
行政サービスをはじめ、医療、福祉、教育、交通、災害時の避難などの安全対策にも活用できます。今後、区はDX、デジタル化に向けてどのような方向性をお考えか、お聞きをいたします。
次に、福祉についての質問に移ります。
初めに、
奨学金制度改革について伺います。今後の福祉政策は、
地域共生社会の実現が鍵となります。
地域福祉計画の基本理念「ともに支えあい 地域力ではぐくむ 安心して暮らせるまち」には、寄付文化の醸成も含むものと考えます。阪神・淡路大震災が起きた1995年は
ボランティア元年と言われ、
東日本大震災が起きた2011年には個人による寄付が1兆円を超え、コロナ禍においては、寄付する側がその思いに応じて寄付先を個別に選択するという我が国の寄付文化に変化の兆しが見えてきていると言われております。
区においては、区民になじみのある赤い
羽根共同募金や歳末たすけあい募金が毎年行われております。赤い
羽根共同募金は、昭和22年、戦争で打撃を受けた福祉施設や戦災孤児、生活困窮者の支援として始まったもので、歳末たすけあい運動は、昭和27年、戦後の混乱により生活に困窮する人々に対する物資の持ち寄り運動として始まりました。本区のこれら二つの募金総額は、毎年23区で断トツのトップとなっております。例えば令和元年は、赤い
羽根共同募金は約3870万円、歳末たすけあい募金は約4340万円、合わせて約8200万円に上り、地域の方々が行う様々な地域福祉活動に幅広く役立っております。
この寄付を集めてくれているのが自治会・町会の方々であることを忘れてはなりません。まさに区政が目指す地域力の結集と考えます。本区においても、地域活動や福祉目的の寄付として、地域力応援基金、勝海舟基金、福祉事業積立基金、そして子ども生活応援基金などがあり、今般、大学進学を応援する奨学金の基金についても提案がなされました。
奨学金制度も、これまで区が貸付けを行った方々が平成元年から現在まででも1万1260人に上ると伺っており、返済を完了された方を直近3年間で見ても、約3割の方は大田区外に居住をされているそうであります。例えば、返済があと1年か2年で完了する区外の方々、既に社会人となって15年、20年となった方々に対し、奨学金の返還後は、ぜひ区の後輩の子どもたちのために、無理のない範囲での寄付を呼びかける取組は意義があるものと考えます。
区の奨学金制度は、ここ数年で大きく変革を遂げてまいりました。給付型の創設、福祉人材確保のための減免制度、そして今年度はコロナ禍における臨時的な対応など、時代の変化に合わせた対応は評価しております。今回の
奨学金制度改革は、区の子どもたちの未来のためにどのように活かしていこうとしているのか、区長の思いをお聞かせください。
介護保険制度が2000年に施行され、20年が経過をいたしました。現在、来年度から3か年の計画となる大田区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画策定の最終段階にあります。その中で、区民にとって関心が高い課題の一つに、介護保険料があります。コロナ禍で経済的にも精神的にも苦しい状況が続いている一方、持続可能な社会保障制度のために、介護保険料の適正な設定は大変重要となります。やみくもに介護保険料を下げるだけでは必要な介護サービスを提供していくことは難しくなり、保険者である区の責務を果たすことが困難となってしまいます。
来年度からの介護保険料の設定は、介護給付費準備基金の適切な活用に加え、高所得層の方々に少しのご負担をお願いするなど工夫を凝らすとしております。介護保険料をなるべく抑えるためには、何よりも高齢者の皆さんが介護保険サービスを利用することなく、毎日元気に過ごしていただくことが一番よいことであり、そのためにも、フレイル予防が大切な施策になります。
そこで伺います。コロナ禍や目前に迫る2025年問題など難しい状況下にある中で、現在、策定を進めている大田区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画に込めた区の考え方と、より一層重要性を増す高齢者のフレイル予防施策について、今後の取組方針をお示しください。
次に、まちづくりについて伺います。
今は新型コロナウイルスによって、まちも経済も危機的状況にありますが、対策を講じつつも、収束後の未来に向けた積極的な投資も、コロナ禍で疲弊した区経済を復興させるうえでは極めて重要なことと考えます。まちづくりは日頃からの地道な取組が年月を経てから実を結ぶものであり、機能更新時期を迎えた大田区では、今まさに正念場を迎えております。
区は、これまで生活復興、経済復興の推進、国土強靱化や新しい生活様式にも対応するゆとりあるまちづくりの推進など、自治体経営とまちづくりの在り方の方針を掲げており、そのことは十分に理解をしております。その中で、先日行われた予算プレスにおいて、鉄道・都市づくり関連の着実な推進を打ち出し、都市づくりの新たな組織を構築したうえで、まちづくりを公民連携しながら進める方針を公表いたしました。この基幹事業となる新空港線整備に向けては、東京都知事への親書や会談、東急電鉄からの職員派遣、協議の場の開催など、できる限りの手だてを尽くし、早期整備に向けて取り組んでいると認識をしております。
しかし東京都では、政治的にあえて新空港線を動かさないようにしているとも見えます。それは、豊洲市場を江東区に受け入れてもらう三つの条件として、東京都が江東区に対し8号線を優先して整備すると江東区議会における発言からも読み取れます。さらに、答申で示された6路線以外となる品川地下鉄構想や臨海部地下鉄構想を進めるために交通政策審議会が開かれるとの新聞報道も気になるところであります。
新空港線が6路線にない品川地下鉄や臨海部地下鉄に後塵を拝することは、決して容認することはできません。コロナ禍という未曽有の窮地を乗り越え、都市が持続的な発展を遂げていくためには、時代に即したまちづくりを行っていくことが重要であり、その実現には新空港線とまちづくりの推進が必要不可欠であります。
そこで伺います。今回、組織改正による体制強化として、将来を見据えた持続可能なまちづくりを進める決意と受け止めますが、体制強化を含め、今後の鉄道都市づくりをどのように進めていくのか、区長の決意をお聞かせください。
さらに予算プレスでは、新空港線事業と合わせ、蒲田のまちづくりを公民連携などにより進めていくと公表いたしました。現在、蒲田のまちづくりの基本方針を示している蒲田駅周辺地区グランドデザインの改定作業を進めており、昨年の第3回定例会では、コロナ禍でも遅れが生じないようにまちづくりを推進するとの答弁がありました。現在、骨子案までの作成に至っている蒲田駅周辺地区グランドデザインを基に、今後のまちづくりを進めていくとありますが、具体的にどのようなまちを目指しているのか、また、今後どのように進めていくのかを伺います。
また、大森駅周辺地区では、池上通りをはじめとする都市基盤施設と沿道まちづくりを推進する旨、予算プレスに公表されました。現在、大森駅周辺地区グランドデザインを基にまちづくりが動き出したと聞いておりますが、具体的にどのような状況であるのか、また今後どのように取り組んでいくのかを併せてお聞きをいたします。
次に、産業政策について伺います。
本区は産業のまちとして、全国そして世界に向け、メイドイン大田を提供し続ける高度なものづくり企業が集積しております。また、繁華街蒲田を中心に多くの飲食店が存在し、それら企業や店舗が密接に連携しているなど、多様な業種業態の集積が特徴となっております。コロナ禍により、こうした本区の地域経済も、今まさに未曽有の危機的状況に直面しております。このような困難の中を駆け抜けたと言ってもよいこの1年間の緊急経済対策を振り返りますと、議会とも対話をしながら、臨機応変にその時々の状況に応じ、スピーディーに施策を展開してきたものと受け止めております。区内の中小企業者からも、本区が先駆けて行った緊急融資あっせん制度をはじめとする各種施策に対し非常に高い評価を受けております。
経済対策は、まさに危機管理であります。危機管理は全てにおいてスピードと臨機応変な対応が求められることを改めて感じたところであります。
そこで伺います。昨年1年間を振り返り、様々な角度から展開してきた緊急経済対策について、区長はどのように総括されているのかを伺います。
一方、企業や事業者からは、先行きが全く見えない現状の中、悲壮感漂う厳しい声が聞こえてまいります。この間、区は融資あっせんのほかにも、飲食店に対する区独自の給付金支給やプレミアム付地域商品券事業、産業振興協会と連携した様々な緊急対策など、その時々の情勢と財政状況などを的確に捉え、重点的に財源投入することで効率的に緊急経済対策を講じてきたと思っております。しかし、これほどまでに疲弊してしまっている経済状況においては、基礎自治体である区がどれだけ頑張って経済対策を行っても、残念ながら、限られた財源の下では限界はあります。
まずはこのコロナ禍を何としても乗り切ることが最も重要となりますが、区政は未来に向かって常に進んでおります。来たるべきコロナ収束後に向け、区は先見性を持って持続可能な自治体経営を行う必要があります。落ち込んでしまった地域経済の復興、そしてニューノーマル、DX時代における新たな産業振興を考えますと、限りある財源をより一層、効果的、効率的に産業政策に振り向けていかなくてはなりません。区は常に変化している社会経済情勢をしっかりとつかみ、従来型の支援策とは異なる新しい手法も含めて制度設計をしていくべきと考えます。引き続き検討していくというレベルはもう終わりにし、夜明け前の今だからこそやっておくべきことがあります。補助、助成等の救済策は引き続き講じつつも、これからは生産力を上げる攻めの姿勢で臨んでいかなくてはなりません。
そこで質問します。現在の区内産業を取り巻く環境を総合的に捉え、コロナ収束後に展開する新たな産業支援策の考え方について、区長の見解をお聞かせください。
組織改正による体制強化として、産業調整担当課長の新設が予定をされております。区のこれまでの産業政策をさらに加速させ、新たな産業施策の展開を大いに期待をしております。また、昨年開設したハネダピオを最大限活用したオープンイノベーションの創出が区内産業の未来に向けた牽引役となるよう期待をしております。産業支援策は複雑多岐にわたり、多くの連携が不可欠となります。コロナ禍を経て、区の産業が新しい時代においても持続可能性を保持し、一層輝くことができる新たな政策を要望し、次の質問に移ります。
次に、教育について伺います。
新型コロナウイルス対策で教室の3密回避などのため、現在、小学校の35人学級に向けて準備が進められております。現行の1学級40人としている上限人数を引き下げ、全学年で35人とする方針であり、来年度から5年かけ、学年ごとに段階的に移行することとなり、大規模な引下げは約40年ぶりであります。来年度に小学校2年生を35人とし、令和7年度までに学年ごとに引き下げていくことになりますが、中学校については、今後の検討課題となっております。
また、少人数学級化に向けては、これまでも様々な角度から検証が行われてきており、現在でも多くの見解があるのは事実であります。しかし、現行の義務標準法では、教員基礎定数の算定根拠が学級規模に準じていることからも、今回の決定により、教職員定数改善計画策定に議論が再開されたことの意義は大きいと捉えており、新たな学校教育のステージとしての議論を期待するところであります。
一方で、本区の小中学校は、地域差こそあるものの、教室が不足傾向の学校もあり、今後の少人数化に向けてはハード面の問題も懸念されるところであります。現在、段階的に老朽化した学校の建築計画を進めておりますが、今回の35人学級化に向けて今後の計画に影響を及ぼすことはないのでしょうか。またその際、長い年月で計算をした場合、改築計画の財政的な課題を整理し、算出根拠を正確に把握しておく必要があると考えます。今後の改築計画も含めた35人学級化に向けた課題を区としてどのように捉えているか、見解をお聞きします。
冒頭にも質問いたしましたが、新型コロナウイルスの収束が見通せない今、この間、教育現場においても多大な影響が生じました。感染症対策だけではなく、休校期間を経て分散登校中に生じたカリキュラムの変更や短縮された夏休み、大きなものとしては移動教室や修学旅行など、学校生活を彩るすばらしい思い出づくりの機会が奪われたことは、子育てをしている世代の者として、例えようのない申し訳なさと無力さを痛感しております。
昨年から新型コロナウイルスと向き合ってきたこの間の対応をいま一度振り返り、これまでの対策の精査をしたうえで、今後の教育現場での対応に最大限活かしていく必要があると考えますが、今年度の教育現場における対策の総括と今後の課題と展望に関してお聞きいたします。
先月策定された大田区子ども・若者計画(素案)について伺います。
本計画は、子ども・若者育成支援推進法に基づくもので、健やかな育成と支援等について、総合的な子ども・若者育成支援のための施策を示し、各分野における施策、事業等が一覧化されております。大田区の子ども・若者が、急速に変動する社会でいきいきと過ごし、次代の社会を担っていく基礎をなすものであることから、本計画は重要な計画であると言えます。
子ども・若者をめぐる環境が多様化、複雑化し、子どもの貧困、いじめ、不登校件数の増加やひきこもりの長期化、高年齢化、児童虐待件数の増加等、社会生活を円滑に営む上で困難を有する子ども・若者の問題は、今、深刻な状況にあります。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会情勢の急激な変動をもたらし、人との触れ合いや体験的活動への制限や経済損失など、心身及び生活環境において、これまでにない様々な影響を与えております。複雑で多様な悩みを抱えている全ての子ども・若者が、かけがえのない幼年・若年期を健やかに過ごし、人生100年時代を生き抜いていく基礎を形成できるよう、今回の策定の計画では、対象年齢をゼロ歳から30歳未満まで、施策によっては40歳未満まで拡大しており、年齢にとらわれることなく、分野の垣根を越えた継続的な支援を行うための課題を明確化しているという点で、現行計画よりも内容、ボリューム共に充実した新しい視点を持つ計画となっております。
また、8050問題やひきこもりの高年齢化、長期化、若年無業者数の増加を含め、区はこれまで、複合的な課題について、茶話処事業や相談事業、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAでの就労支援事業等を行ってきました。こうした取組は評価する一方で、問題は顕在化して初めて
行政サービスにつながることが多く、このことが問題の解決を難しくしている要因となっているという指摘もあります。
特に学校を卒業してからについては、医療的ケアを必要とする前の段階や就労困難に至る前の段階における悩みについて気軽に相談できる体制が不足しており、また、ひきこもりの状態にある子ども・若者に対するアウトリーチなどが困難な状況にあるなど、困難を抱える子ども・若者は行政に接点を持ちにくいという問題があります。
今回策定の本計画素案に重点事業の一つとして示されている子ども・若者育成支援ネットワークの整備は、地域ネットワークの活用と分野の垣根を越えた相談体制の整備を実現するものとして、今後の育成、支援において非常に重要であると考えます。困難を抱える子ども・若者に対する切れ目のない支援の解決策として、ICTの活用を含め、気軽に相談できる相談体制の充実が必要であると考えますが、今後の区の相談体制の在り方について、どのようにお考えか見解をお伺いいたします。
以上、多岐にわたり質問をいたしました。令和2年度は、暗闇の中を手探りで歩くような1年でありました。しかし、この間を決して無駄にすることなく、これからの大田区を守り、未来を切り開くために培った経験と捉え、区民に勇気と希望を与える答弁をいただけますよう願いまして、以上で私の全質問を終了します。ありがとうございました。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 鈴木議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、東邦大学との連携により区民生活を守る対策をどのように講じていくかという質問でございますが、区はこれまで培ってきた東邦大学との連携を活かし、喫緊の課題である
新型コロナウイルス感染症から区民の命と生活を守ることを目的として、「
官学連携プログラム」を進めております。本プログラムの取組として、区の清掃事業が安定的に継続できるよう、大田区環境公社の感染症対策について専門的な視点に基づく助言をいただいたほか、「区民公開講座」や専門家が飲食店を訪れて店主との意見交換を行うなどの取組を行ったところであります。区といたしましても、重篤者が発生しやすい高齢者の感染を防止することが医療崩壊を防ぎ、ひいては73万区民の命と生活を守ることにつながることから、最優先に取り組むべき課題であると考えております。今後も、東邦大学との連携をさらに強固なものとして、双方の強みを活かした取組を継続的に進め、高齢者施設の感染対策を徹底してまいります。ポストコロナの時代を見据え、医学的な知見を踏まえた施策を着実に実行し、持続的な行財政運営モデルを確立するために、私が先頭に立って取り組んでまいります。
次に、
ワクチン接種に関するご質問ですが、区は、国の方針に基づき、早期に区民が安全にかつ安心して接種していただけるよう、現在、庁内一丸となり準備を進めているところです。ワクチンの供給時期、量など不確定な要素が山積する中、区は、システム開発や接種会場確保のほか、医療機関との調整等を続け、準備を進めております。区民の皆様が混乱なく安心して接種いただけるよう、現時点における様々な想定を行い、早急に対策をしてまいります。区民への広報ですが、区報3月1日号で65歳以上の区民の方へ3月末から順次、接種券や予約方法等の詳細をお知らせするほか、対象となるお一人お一人へ郵送をいたします。接種場所等の追加など変更点につきましては、区報臨時号や区ホームページなどで速やかに情報を分かりやすく広報してまいります。区は、区民への接種を速やかに開始できる体制をしっかりと整えてまいります。
次に、コロナ禍における避難所運営に関するご質問でございますが、感染が急速に拡大した事態を受け、区は、区民の皆様に対し、地震や風水害の際、自宅で安全が確保できる場合の居住継続や、親戚・知人宅への避難など感染防止に資する避難行動を検討していただくよう、区報等を通じて周知をしてまいりました。また、避難所の運営について、東邦大学の最新の知見を踏まえ、実効性のある感染症対策を検討し、標準マニュアルを策定しました。そのうえで、各避難所へ衛生資材を配備するとともに、避難所と同時に開設する補完避難所や、ウイルスに感染した自宅療養者を受け入れる施設を確保するなど、災害時の
感染拡大防止策を強化しました。さらに、各学校防災活動拠点では、感染症対策を踏まえた実地訓練や図上訓練に取り組んでいます。昨年の総合防災訓練に私自身も参加いたしましたが、これからの避難所運営は、避難してこられた方への健康調査や、間仕切りの設置など、これまでにはない作業が加わることを実感いたしました。いざというときの避難行動に不安を抱かせることがないよう、引き続き、区民への周知啓発や避難所運営訓練などを強化し、避難対策に万全を期してまいります。
次に、令和3年度予算編成への思いについてご質問をいただきました。
新型コロナウイルス感染症をめぐる状況は日々大きく変化しております。今後も引き続き予断を許さない局面にあります。こうした状況においても、感染症の危機を乗り越え、誰もが安全・安心に暮らし、活躍できる地域づくりを進めることが、区政を預かる私の重要な責務と認識をしております。予算の編成に当たりましては、今、最優先に対応しなければならない感染症対策や、暮らしと経済を支える施策、新たな日常に向けた
行政サービスの充実などを機動的に実施することを基本とし、さらに将来を見据え、区の発展の礎となる施策も積極的に推進することを方針といたしました。これらを実現していくため、収支不足が見込まれる中でも、いわゆるシーリング手法を用いず、全庁を挙げた事務事業見直しを進め、事業の効率化や実効性の向上を図るとともに、限りある財源を緊急的、重点的に取り組むべき施策に集中的に投入することとしました。具体的な施策として、感染症対策は、
ワクチン接種の実施体制の確保に加え、医療機関への支援など、また、子育て世帯からシニアまで生涯を通じ、いきいきと活躍できる環境整備や区内産業の活性化策など、暮らしと経済活動を支える施策、
行政サービスの利便性の向上に向けたデジタル化、さらに、住み続けたい都市環境を形成する施策も力強く進めていく考えでございます。
私は、この難局を乗り越えるため、様々な施策を令和3年度予算に盛り込みました。中長期的な見通しを踏まえた堅実な行財政運営の下で、区民の皆様の期待に応えてまいります。
次に、変化に対応する予算編成に関するご質問ですが、地方自治体の強みは、地域の実情を踏まえた特色ある政策を立案し、実現することであり、これを具現化する手法の一つが予算編成にあると考えます。特に、感染症対策などの新たな課題に対し、迅速かつ柔軟に対応することは極めて重要となります。令和3年度予算においては、事務事業見直しにより、財政の持続可能性を確保する一方、ポストコロナを見据えた新規事業も盛り込み、時代の変化に的確に対応するため、施策の新陳代謝を図ったところです。今後とも、中長期的な視点の下、区に求められる様々な課題への備えを講じ、時代の要請に沿う積極果敢な施策展開を図ってまいります。
次に、今後の財政運営に関するご質問ですが、区税収入を中心とした歳入は、景気動向などの影響により、大田区にとどまらず、全ての区で減少を見込む状況において、国による不合理な税源偏在是正措置も重なり、基幹財源の減収が見込まれるなど、区の財政状況は厳しさを増しております。また、感染症対策をはじめ、自然災害への備えや社会保障関係経費、区の発展の礎となる社会資本の整備など、区がなすべき施策に必要となる財政需要の増加も見込まれ、今後、区財政は厳しい局面となることが想定されます。このような状況にありましても、区民福祉の増進に向けて必要な施策を着実に進めていくため、事務事業の必要性、緊急性を検討し、新たな経営資源を捻出するとともに、基金や特別区債といったこれまで培った財政力を効果的に活用し、減収リスクに耐え得る堅実かつ柔軟な財政運営に努めてまいります。
次に、区のデジタル化に関するご質問ですが、国は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定し、「デジタルの活用により、多様な幸せが実現できる社会」、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」をデジタル社会の将来像として掲げております。現在策定を進めている「(仮称)大田区情報化推進計画」では、継続的な区民生活の向上に資する情報化政策を進めるため、区民ニーズに合わせた利用者視点による
行政サービスの提供、多様な主体との協働による地域課題の解決、効率的かつ信頼性の高い区政運営の三つの目標を定めております。目標達成に向けて、キャッシュレス決済の推進による区民サービスの向上や、情報通信機器の利活用に関する学習機会の提供、講座のオンライン配信など、誰もが快適に情報を活用することへの支援を進めてまいります。さらに、区内教育機関との連携による健康医療分野などの地域課題の解決のほか、
感染拡大防止等における事業継続の確保と業務の効率化など加速度的に進めることで、「新たな日常」の実現に向けて、誰一人取り残すことのない区民生活の向上を目指し、デジタル化を積極的に推進してまいります。
次に、奨学金制度についてのご質問ですが、子どもたちの誰もが、生まれ育った環境に左右されず、自分の可能性を信じて未来を切り開いていく力を育むことが重要です。これまで区は、経済的理由により進学に支援が必要な方に対し、貸付型奨学金を中心とした奨学金事業に力を入れてまいりましたが、令和2年度に高校等の給付型奨学金を創設するなどの見直しを行ってまいりました。また、故末吉氏のご寄付を基にした奨学金制度が終了することに伴い、令和3年度から区内外からの寄付を財源とする大学等給付型奨学金制度を開始する予定です。今後も、国や東京都の就学支援制度や経済的支援に対応する奨学金事業の在り方について、不断の検討を重ねてまいります。奨学金は、大田区の未来を担い、支えていく大切な子どもたちのための制度であります。引き続き、子どもたちが意欲を持って勉学に励み、社会人として活躍ができるよう、着実な修学支援を行ってまいります。
次に、「大田区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画」とフレイル予防の今後の取組についてのご質問ですが、
新型コロナウイルス感染症の影響や、2025年問題への対応は大変重要な課題であります。おおた高齢者施策推進プランは、「高齢者が住み慣れた地域で、安心して暮らせるまちをつくります」を基本理念として策定を進めております。先般実施いたしましたパブリックコメントでは、区民の皆様から100件もの多くの貴重なご意見をいただきました。この計画により、「大田区版
地域共生社会」の実現に向け、その礎となる地域包括ケアシステムのさらなる推進に取り組んでまいります。今後のフレイル予防の取組につきましては、これまで区が培ってきたノウハウを十分に活かしながら、新しい生活様式にも対応した取組が重要となります。高齢者施設をオンラインでつなぎ、離れた地域の利用者が相互の交流を体験したり、高齢者向けのスマートフォンやタブレット端末の操作教室を実施するなど、時代の変化に即した施策を積極的に展開してまいります。
次に、今後の都市づくりに関するご質問ですが、大田区は、鉄道網の発展に併せてまちづくりが進んできた経緯がございます。これまでも、鉄道沿線に商業、公共施設などの都市機能が集積した構造を活かしながら、人口減少や高齢化などを踏まえたまちづくりに取り組んでまいりました。今後とも、激甚化する自然災害への対応などから、安心・安全で住み続けられるまちづくりの実現に向け、取組を加速させる必要があります。そのため、鉄道事業者などとの公民連携により、様々な課題を共有しながら、集約型都市と公共交通ネットワークの再構築などの視点を踏まえ、耐震・不燃化などの市街地の更新はもとより、生活支援機能の再編、既存ストックの利活用などの取組を進めていくことが重要です。現在、これらの取組を踏まえた区の「都市計画マスタープラン」の見直し作業を進めており、令和3年度末を目途に改定する予定であります。このマスタープランの掲げる将来像の実現に向け、新たな組織体制の下、鉄道などの関係事業者と連携しながら持続可能な都市づくりを着実に推進してまいります。
次に、「蒲田駅周辺地区グランドデザイン」を基にした今後のまちづくりについてのご質問ですが、区を取り巻く情勢と蒲田駅周辺におけるまちづくりの動向に変化が生じていることから、「蒲田駅周辺地区グランドデザイン」の改定作業を進めております。改定を進めるに当たって、まず、羽田イノベーションシティなどとの連携による「産業・ビジネスが育つまち」、次に、コロナ禍を踏まえた歩行者優先の「歩いてめぐり楽しめるまち」、最後に、震災などに対応する「災害に強いまち」など3点の取組を強化してまいります。そのため、蒲田駅周辺の基盤施設を一体的に捉えた整備方針を策定するため、関係事業者と検討を重ねております。また、鉄道沿線地域の都市づくりを強力に推進すべく新たな組織を構築することで、蒲田のまちづくりに必要不可欠な新空港線事業と、駅周辺のまちづくりとの連携をより強固に図ることが可能になります。今後も、「蒲田駅周辺地区グランドデザイン」の改定を進めるとともに、その実現に向けて区が一丸となって取り組み、関係事業者と連携しながら、利便性、機能性、快適性の高いまちを目指してまいります。
次に、大森駅西口の都市計画に関するご質問ですが、池上通りの拡幅整備と山王小路飲食店街の区域を一体的に整備する都市計画事業に着手します。令和2年12月、「都市計画変更素案説明会」を開催したところであります。今後は、令和5年度末に「都市計画事業認可」を取得する予定です。大森駅西口広場は、新たな都市計画施設を整備し、歩行者空間の確保と地域の防災性の向上に寄与してまいります。区は東京都と連携し、都市の機能更新を図り、安心・安全で快適な駅前空間の創造に向け、尽力をしてまいります。
昨年度の緊急経済対策の総括についてですが、新型コロナウイルス感染拡大は、区内産業に甚大な影響を与えました。私も、事業者の皆様から厳しい状況を伺い、区としてもできる限りの支援策を講じてまいりました。新型コロナウイルス対策特別資金は、他自治体に先駆けて受付を開始し、4月15日からはあっせんの上限額を5000万円に引き上げました。これまで件数の4分の1近くが上限額でのあっせんとなっており、限度額引上げの効果は大きいものであったと考えております。業種別に見ますと、製造業が最も多く、次いで卸・小売業、建設業、飲食業と続く割合となっており、様々な事業者の皆様がコロナ禍を乗り切るべく懸命に努力されております。このほかにも、大田区商店街プレミアム付地域商品券事業やものづくり工場立地助成事業の拡充、大田区産業振興協会による新製品・新技術開発支援事業の採択枠拡充など、積極的に事業者の皆様を支援してまいりました。一方で、国難であるコロナ禍への対応を区だけで担うことはできません。国や東京都が行う事業者支援施策ともしっかりと連携・役割分担をして、対策を行ってきたところです。一日も早い感染症の収束に向け、引き続き、関係機関等との連携を深めるとともに、区内経済の回復、発展に全力を挙げて取り組んでまいります。
次に、アフターコロナに展開する経済支援策の考え方に関するご質問ですが、区内産業を取り巻く環境は、今もって厳しい状況が続いております。引き続きこうした状況を乗り越える支援を行いつつも、アフターコロナを見据えた新たな取組についても、これまで検討を進めてまいりました。コロナ禍により、デジタルトランスフォーメーションによる社会の変革は飛躍的に加速しています。こうした流れに対応する一例として、昨年締結した公民連携協定に基づいて、遠隔操作ロボットをハネダピオの交流空間に設置いたしました。こちらを活用し、様々なコミュニケーションができる環境を提供し、オープンイノベーションの創出を支援してまいります。また、大きく変化したビジネスモデルに対応するため、オンラインを活用した取引機会の提供とともに、政府系金融機関と連携した事業承継支援の強化、新たな事業資金調達の支援策など、様々な取組も、現在、検討・調整を行っております。区が行う産業支援は、一過性であってはならないと考えます。将来を見据えた事業者の取組や創意工夫への支援を通じて、広く地域の課題解決に寄与していくことが重要であると考えております。引き続き、区内企業を支え、アフターコロナをしっかりと見据えた産業政策を積極的に講じてまいります。
次に、子ども・若者に対する今後の区の相談体制の在り方についてのご質問ですが、子どもの貧困、いじめや不登校件数の増加やひきこもりの長期化、新型コロナウイルスの感染拡大による社会経済情勢への影響など、子ども・若者を取り巻く問題はますます複雑多様化しております。人間関係や就労など、様々な悩みを抱えながら相談ができない、特に学校を卒業した後の若者に対し、一人ひとりの状況に適した重層的な支援をしていくことが必要であります。区はこれまで、部を超えて連携し、切れ目のない相談体制を構築してまいりましたが、問題が顕在化する前に、気軽に相談できる体制の整備が課題となっております。令和元年度内閣府における調査結果によりますと、子ども・若者が求める相談体制は、メールやSNSでの相談が対面での相談を上回るという結果が示されており、情報通信技術の急速な普及は、子ども・若者を取り巻く生活環境に大きな影響を及ぼしているといえます。こうした課題を解決し、子ども・若者が希望を持って未来を切り開いていく力を育むため、今年度策定予定の子ども・若者計画を着実に推進し、相談窓口の連携やICT活用により子ども・若者が気軽に相談できる総合的な相談体制の在り方について、今後も引き続き検討を重ねてまいります。
私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 35人学級に関するご質問にお答えいたします。
文部科学省は、公立小学校の学級編制を35人として、令和3年度から5年間をかけて段階的に引き下げていくこととしております。この35人学級の実施に伴い、教室数の確保が大きな課題と考えております。現在、区立小学校の全学級数は945学級あり、そのうち36人以上の学級数は全体の約15%となっております。この状況を基に、教育委員会では、今後の学級数の見通しを精査検討しているところでございます。改築計画のある学校につきましては、35人学級に対応した教室数を確保いたします。それ以外の学校につきましては、学校内の諸室の有効活用を図るとともに、増築などの方策を含め、効率的に教室を確保してまいります。一方で、35人学級のメリットを活かした学びとするためには、授業の改善を図ることが重要です。子どもたちがICTを日常的に活用しながら、学び直しや発展的な学習など、個別最適な学びとともに、子どもたち同士で学び合う協働的な学びを実現し、子どもたち一人ひとりが未来社会を創造的に生きていくための資質、能力を育んでまいります。
次に、新型コロナウイルス対策の総括と今後の課題と対応に関してのご質問です。
各学校では、コロナ禍の限られた状況の中でも教育活動を維持し、学校としての役割を果たせるよう最大限の努力をしてまいりました。子どもの学びを継続させるため、
感染症対策ガイドラインに基づき、様々な工夫を行ってまいりました。具体的には、感染症対策の徹底を図るため、施設の消毒や手洗い、マスク着用の徹底、机を向かい合わせにしないで食べるなど、子どもたちの新しい生活様式が日常的に定着してまいりました。また、子どもたちの学びを保障するために、長期休業の短縮や土曜授業を増やすこと、授業の内容を工夫して効率よく学習内容を補うことなど、学校は様々な努力を重ねてまいりました。その結果、学習指導要領に示された内容は、精選の結果、おおむね指導することができました。しかし、多くの子どもたちが楽しみにし、大きく成長する機会である修学旅行などの学校行事が行えなかったことは大変残念でございます。その中でも、運動会の競技を精選し、学習発表会を映像化して放映するなどの工夫により、子どもたちなりの達成感を味わえた学校行事もございます。その結果、子どもたちは一定程度の満足感や達成感を得ることができました。来年度は、宿泊行事などを実施できるように工夫してまいります。
一方で、今後の重点的な取組の第一は、ICTを活用した教育活動を一層推進することです。タブレットを活用し、個別最適な学びと協働的な学びを取り入れた指導方法を開発するなど、新たな学びを構築し実践できるように取り組んでまいります。また、学校が「楽しいと思える場」、「安心して発達・成長できる場」となりますように、社会全体で一人ひとりの子どもの心に寄り添い、フィジカルディスタンスを取りながらも、人と人との心の距離を縮めていくことが必要です。学校が保護者や地域の方との絆やつながりを深め、一体となって子どもたちの健やかな成長を図ってまいります。
○塩野目 議長 次に、22番田村英樹議員。
〔22番田村英樹議員登壇〕(拍手)
◆22番(田村英樹 議員) 大田区議会公明党の田村英樹です。公明党を代表し、質問通告に従い、順次質問をさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症の収束の鍵を握るワクチンについて、厚生労働省は米国
ファイザー社製を正式に承認し、まずは医療従事者向けの先行接種が始まりました。大田区では現在、保健所が中心となって感染症対策を行っておりますが、令和3年度からの組織編成で新たに保健予防調整担当課長を設置し、この
ワクチン接種実施に係る事務・調整を専門的に行うようになります。接種対象や順位、スケジュール、会場などの情報を区民に分かりやすいよう周知・啓発に努めていただきたいと思います。また、新しいワクチンゆえに安全性や副反応への懸念が報じられておりますので、区民の一人ひとりが納得し、判断できるよう、情報提供の強化も進めていただきたいと思います。
さて、令和3年度予算案について伺います。
新年度予算は、「
新型コロナウイルス感染症や自然災害などの危機から区民の暮らしと経済活動を守り、新たな日常の実現に向けた変革を進める予算」とのテーマで編成されました。
一般会計予算総額は2937億7761万円余、前年度比2.2%増、金額で63億9000万円余の増となっております。この令和3年度予算編成に込められた松原区長の思いをお聞かせ願います。
区が
新型コロナウイルス感染症対策として、これまで8次にわたる補正予算と予備費の活用により、PCR検査所の設置や各種資金の貸付け、地域の医療機関への支援、区立小学校へのタブレット端末の追加配備など、数多くの施策を積極的に実施してきたことを高く評価いたします。感染症の収束が見通せない中、区民生活に対する継続的な支援はもちろん、予測できない事態に対しても迅速な対応が求められる一方、令和3年度予算案の編成に先立って公表した今後の財政見通しは大変厳しい局面を迎えることが記されています。
新型コロナウイルス感染症により、特別区税などの基幹財源の減少が見込まれる中でも、区に求められる施策に的確に応えていくため、しっかりとした財源の確保が求められますが、この点について区の見解を伺います。
現時において、令和2年度からの3か年でおおむね580億円の財源不足が見込まれている中、全部局で1478件に及ぶ事務事業の見直し、再構築を行ったことは評価いたしますが、区民満足度の後退、特に福祉サービスの見直しについては必要最小限にとどめることが重要と考えます。予算編成の重点課題に掲げる誰一人取り残さないとの社会的包摂の理念や、SDGsの理念をしっかりと行政運営に活かしていただくよう要望させていただきます。
次に、本区における産業振興について伺います。
昨年来続いているコロナ禍により、区民生活はかつてないほどの甚大な影響を受けており、その難局を乗り越えるべく区は様々な支援策を講じてきました。産業分野では、新型コロナウイルス対策特別資金の新設から拡充を図り、中小企業への資金繰りを強力にサポート、また新製品・新技術開発補助金の増額や、コロナ禍において新たな取組を進める中小企業への支援、感染防止につながる操業環境づくり支援など、多様なメニューから区内産業を支える取組を展開していることを評価するとともに、引き続き経済状況をしっかりと捉え、時を逃さず、必要な支援を求めるところでございます。
一方で、こうした状況を打開する、いわば「ゲームチェンジャー」としての効果が期待されているのが、いよいよ大田区でも開始となる
ワクチン接種であります。冒頭に述べましたとおり、現在、大田区では73万区民への
ワクチン接種について、その体制づくりが進められています。1月下旬にはそのための職員として39名に兼務発令がなされ、さらにその執務スペースを確保するため、産業経済部が産業プラザPⅰOに一時的に移転するなど、緊急事態に対応しながら日常の業務に従事される全職員の方々に感謝するところでございます。いまだ予断を許さない状況の中ではありますが、区民の生命と財産を守るために行ってきた産業分野への一時的な緊急経済対策から、産業のまち大田の復興を掲げ、逆境をバネに新たな活力をつくり出していく事業展開が大変重要であると考えます。
そこで伺います。昨今の経済状況を鑑みると、令和3年度の税収は大きく落ち込むと想定されますが、このたび上程されました令和3年度予算案には、コロナ禍を乗り越え、区内産業をさらに発展させていくための区長の強いご決意が込められていることと思います。新年度予算案に込められた区内産業支援への区長の思いをお聞かせください。
昨年9月、新産業創造・発信拠点「羽田イノベーションシティ」が一部開業し、その中に設置されたハネダピオは、今後の区内産業分野の牽引役として、その効果や世界と地域をつなぐショーケースとしての展開に大きく期待するところであります。川崎市殿町地区と羽田空港をつなぐ(仮称)羽田連絡橋の整備はもとより、将来的には国道357号の延伸、そして新空港線の整備により、羽田地区は交流と物流の結束点となります。また、日本の玄関口である羽田空港に隣接するハネダピオは、日本中、さらには世界中からの注目を集めるだけのポテンシャルがあると思います。このハネダピオに集まる人、物、情報を区内事業者に確実に波及させるためには、区内事業者がこの場所に積極的に関わることも重要で、例えばIoT仲間まわしで中心となっているような優れた提案力や洞察力を持つ次世代の経営者と、オープンイノベーションやテナントゾーンの企業が持つ様々なアイデアや先端技術、ノウハウと連携することによって新たなビジネスチャンスが生まれます。ハネダピオについては、新産業を革新的に生み出す拠点としての機能をいかんなく発揮していけるよう、より戦略的な運営を改めて要望させていただきます。
そこで伺います。ハネダピオで生み出される様々なビジネスチャンスを、区内産業、特に若手経営者につかんでもらうため、どのようなビジョンをお持ちか伺います。
ものづくり産業の復興は、大田区の産業経済施策の一丁目一番地であると考えます。今後、ハネダピオと蒲田ピオとの連携により、新産業が大いに創出されていくことを期待し、次の質問に移ります。
次に、災害時における要配慮者のための避難所の在り方についてお伺いいたします。
一瞬で人々の命や暮らし、営みが無慈悲に奪われた2011年3月11日の
東日本大震災から今年で10年を迎えます。私たちはこれまで、全国で発災した大規模自然災害を教訓に様々な防災対策を講じてまいりました。大田区では、一昨年の台風19号上陸の経験から風水害対策の強化が図られ、令和3年度予算案にも、仲六郷や田園調布の水防活動拠点整備や、マイ・タイムラインの普及促進が計上されています。こうした整備とともに、大変重要な課題と考える要配慮者に対する避難所運営について伺ってまいります。
先日、障がいを持つご家族と暮らしている方から、災害時の避難所について様々意見交換をさせていただきました。大田区が「福祉避難所へ避難する際のお願い」として、高齢者、障がい者へ行っている啓発には、1、まずはお近くの学校に避難し、どうしても避難生活を送ることが難しい場合には福祉避難所へ移動します、2、障がいのある方、介助が必要な高齢の方など配慮を要する方1名につき、介助者1名で避難してください、3、避難する方が避難生活を送るうえで必要なものは持参してくださいとの3点が記載されています。
障害は様々ですが、お話を伺ったご家族が避難する際には、多くの衛生用品や着替え、服薬、身の回りの物など持ち出さなくてはならない必需品が数多くあり移動が困難、避難場所に多くの必需品を置くスペースの確保、非日常的な環境に置かれると自己コントロールが難しい、トイレの利用が制限されるため紙おむつ等のごみが多く出る等々、衛生面での管理も含めて、一般の避難者との共存の難しさを伺い、自然災害発災時に学校で開設する避難所などの在り方について、改めて整理、周知していく必要性を感じました。
そこで伺います。2011年の
東日本大震災では、福祉避難所の不足から、学校等の一般避難所に避難を余儀なくされた高齢者や障がい者が必要なケアが受けられないために亡くなる災害関連死が多く見られたことから、各自治体が作成する防災計画では学校避難所の運用について改善が図られてきましたが、この学校に開設される避難所の位置づけや要配慮者受入れのための避難スペースの運営体制について、大田区の現状をお示し願います。
大規模地震でも風水害でも、特に障がいをお持ちの方とそのご家族は、区内に設置される福祉避難所への避難を想定されますが、果たして、緊急時に早急に福祉避難所を開設し、受入れを行うための人員や資機材の確保には相当な時間がかかると考えますし、現下の感染症の対策なども鑑みると、二次災害、三次災害の発生も危惧されるところでございます。その観点から察すると、自然災害が発生、もしくは発生が迫った場合には、最寄りの学校に開設される避難所への避難が有効的であると考えるのがごく自然だと思います。学校避難所には、日頃から接している近隣の方々をはじめ、専門的な知識をお持ちの方や、同じような障がいをお持ちの方によるピアサポートなどの支援も期待が持てる一方で、合理的な配慮を必要とされる方々のエリアと一般の避難者との区分けや相談支援など、十分に検討していかなくてはならない視点もあります。
平成27年3月改定の大田区学校防災活動拠点標準マニュアルには、震災発生から時系列で各部門の役割や行動が明記されていますが、避難所班・要援護者支援担当の項目では、先に紹介した「福祉避難所へ避難する際のお願い」に記されている人数制限や持参される必需品の情報の記載はありませんし、災害時要援護者の分類は記されていますが、例えば避難者受入れのときに、その方が対象なのか対象でないのかを判断するための一助となるヘルプカードやマタニティマークの情報なども記載する必要があるのではないでしょうか。避難所を開設、運営する主体は地域力でありますので、大田区自立支援協議会での取組や福祉部局の施策がこうしたマニュアルにしっかりと反映されて初めて、実効的な避難所運営につながると考えます。
大田区では現在、大田区地域防災計画の見直しを進めていると伺っていますが、合理的配慮を必要とされる方々の避難所運営について、より具体的に運営主体である地域の方々への周知・啓発を求めますが、区の見解を伺います。
昨年12月、内閣府は「令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難のあり方について」の最終取りまとめを公表しました。中部地方から関東、そして東北の広い範囲で甚大な被害をもたらした令和元年台風19号では、自ら避難ができなかった多くの高齢者や障がい者の被害状況から、災害時の避難支援等を実効性のあるものとするためには個別計画の策定が有効であるとの方向性を示し、例えば日頃からケアプラン等の作成を通して要支援者の状況を把握している福祉専門職の参画を得ることや、個別計画を補完する意味でのマイ・タイムラインの推進などが明記されています。この個別計画につきましては、我が会派の広川議員、岡元議員も、これまで大田区内の避難行動要支援者数の現状を鑑み、様々な地域資源を活用しながら段階的に作成を進めるべきと訴えてまいりましたが、現時において、大田区における取組状況をお示し願います。
実際、ケアマネージャーが高齢者や障がい者のケアプランを作成する際に、災害時の個別支援をセットで計画して、避難計画により実効性を加えた災害時ケアプランの導入を検討している自治体もあるようです。災害は待ったなしでありますので、高齢者や障がい者を含む合理的配慮が必要な方々の避難所運営について、より実効性のあるものとなるよう要望し、次の質問に移ります。
次に、大田区のニューノーマルに対応したまちづくりについてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響は、まちの風景や人々の活動に大きな変化をもたらし、特に顕著に見られるのがショッピング、移動、ワークスタイル、イベントの4分野と言われています。これまでは店舗で購入するのが日常であったショッピングはオンラインに移行し、お金のやり取りでの非接触という観点からキャッシュレス決済も普及しました。また、リモートワークの推奨や、様々なイベントがリアルからオンラインでの開催へと変化したことから、まちを移動する人の数が減少しました。こうした現状も捉え、これからの大田区のまちづくりを進めていかなくてはなりません。大田区で活動する様々な人にとって、住みたい、出かけたい、にぎわいを創出するといった持続可能な都市空間を形成することで価値が上がり、収益が上がり、新たなにぎわいがつくり出されると言えるのではないでしょうか。
おおた都市づくりビジョンでは、将来の都市構造について、東海道軸、京浜臨海軸、新空港線軸を設定し、それらが交差する蒲田、大森、羽田空港周辺、臨海部の4地域をスクエアと位置づけており、それらのまちづくりのまさに第一歩と言える新空港線事業の推進は大変重要であると考えます。
この事業の進捗により、建設業、運送業、鉄鋼業、交通インフラなど様々な事業が動き、その動きに連鎖して地域の商店、小売、飲食、物販などに波及し、そのにぎわいがやがて区へも還元されていくといった流れが生まれることを考えると、新空港線事業は単なる大規模開発ではなく、大田区の将来に向けた重要な事業であることは明らかであります。そのためにも、大田区としてしっかりとしたビジョンと事業計画を示していくことが大切です。
そこで伺います。おおた都市づくりビジョンで掲げる大田区の将来像について、松原区長のお考えをお聞かせください。
国土交通省は昨年8月、新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性についての論点整理を公表しました。いくつかの意見では、老朽ストックのサテライトオフィス等へのリニューアルや、ゆとり空間や高性能な換気機能を備えた良質なオフィス空間の提供、まちづくりと一体となった総合的な交通戦略を推進、適切な密度の確保等新しい街路空間の考え方の導入、公的避難所以外の公共施設、民間施設、ゆとり空間など多様な避難環境の確保など、それぞれの分野、環境においてニューノーマルの考え方がインプットされています。
私たち公明党はこれまで、JR蒲田駅東口と西口をつなぐ自由通路、それに続くペデストリアンデッキで結ばれた公共施設の整備やJR蒲田駅と一体となった宿泊施設、自転車駐車場を基本とした交通環境の整備、また、JR大森駅東西口のまちづくり、京急・東急沿線のまちづくり等々、区内で生活、活動される方々の利便性や安全性の向上に資する再生事業の推進を訴えてまいりました。今、未聞のコロナ禍の時代を経験し、こうしたまちの再生事業にもしっかりとニューノーマルを取り入れて進めていく必要があると考えます。しかし、まちづくりは区独自で完成するものではありません。国や東京都との行政連携、民間事業者の高い技術力や提案力を結集してつくり上げていくものであります。また、多くの部分で基準や規制等の見直しも必要となるでしょう。こうした観点から、本区における都市づくり計画にもニューノーマルをインプットしていく必要があると考えますが、公民連携の視点等も踏まえて、区の見解を伺います。
今後、都市計画マスタープランや、令和4年3月を目途に改定が検討されている蒲田駅周辺地区グランドデザインにも反映していくよう要望させていただきます。
令和3年度の予算の中に、鉄道・都市づくり関連事業の着実な推進として7億5767万1000円が計上されました。説明資料には、「激甚化する災害に備えた国土強靱化の取り組みの一環として、新空港線事業と併せた蒲田地域の機能更新、ポストコロナの視点から取り組む大森地域の整備や、下丸子や池上などの鉄道沿線地域の都市づくりを一体的に進めるため、まちづくり推進部から独立して、新たに鉄道・都市づくり部を設置し、事業を強力に推進します」とあります。
私は、昨年3月の予算特別委員会のしめくくり総括において、区長就任4期目をスタートされた松原区長の新空港線事業にかける思いと、私たち大田区議会公明党も同様の価値観を持ち、ともに協議、協力を惜しまず、引き続き臨んでいく姿勢をお伝えいたしました。新年度予算に計上された新部の設置を見て、1年前の区長の思いは現在に至って何ら変わりはないものと感じることができました。
アフターコロナを踏まえたまちづくりを進めるためには、コロナが収束してからスタートを切るのでは遅すぎます。先ほど申しましたとおり、今この時期に行政連携、公民連携の土台をしっかりと構築していかなければならないと考えます。今回の鉄道・都市づくり部の新設は、まさにアフターコロナを見据え、ニューノーマルに対応したまちづくりを進めていくために体制の強化を図っていくもので、大変評価するところでございます。特にまちづくりを進めるための大きな推進力となる鉄道整備を一体的に進めていくという姿勢は、区の長年の悲願である新空港線の実現と、その沿線のまちづくりが推進されることと期待するところであります。
そこで伺います。今回、鉄道・都市づくり部の新設などの組織改正をすることで新空港線事業をどのように進めていくのか、区の見解を伺います。
引き続き、新空港線事業の早期実現に向け、行政と議会が同じベクトルで取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げ、次の質問に移ります。
次に、本区における観光施策について伺います。
大田区には、全国にその名が広まるような観光名所はそう多くないながらも、地域に目を向けると数多くの神社仏閣や、それにまつわる伝統行事、23区内でも有数の銭湯、昨年一部開業した羽田イノベーションシティを含む羽田空港エリア、多様な食の文化もあります。また、水辺や桜並木のような豊かな自然環境、大田ブランドのものづくり産業など、実はそうした観光資源が区内のあちらこちら、しかも身近なところに存在するのが大田区の魅力だと思います。その一つ一つの資源に光を当て、つなぎ、見せ方を工夫して発信することで、国内外からのアクセスを増やすこともできるのではないでしょうか。
世界的に収束の兆しが見えないコロナ禍において、数年前から伸びてきたインバウンドの取り組みが全く見込めない中、区内の産業を筆頭に、飲食、小売業などの経済復興に必要な人の流れ、物の流れ、お金の流れを誘導していくために観光施策の充実は大変効果的であると考えます。現状ではなかなか区内観光に資するイベントや講演などに大きな制約が求められ、非常に厳しい状況であることはご案内のとおりですが、そういうときだからこそ、令和2年度の観光・国際都市部の目標に掲げた職員が一丸となり、ベストを尽くし、共創し、発信していくという目標に向け、現在職員のお一人おひとりが、高い目的意識を持って区内の観光資源の集約に取り組んでいらっしゃると伺いました。
そこで伺います。これまで区内観光施策、インバウンド施策等に力を入れてこられましたが、改めて区が観光施策に取り組む意義について、松原区長の見解を伺います。
観光庁が2020年4月に発表した2019年旅行・観光消費動向調査によると、国内における旅行消費額27.9兆円のうち、日本人国内宿泊旅行17.2兆円、61.4%、日本人国内日帰り旅行4.8兆円、17.1%で、全体の78.5%が日本人の国内旅行となっていて、訪日外国人旅行については4.8兆円で全体の17.2%を占めている状況です。国は2020年に4000万人、2030年に6000万人の訪日外国人観光客の誘致に取り組んできましたが、現在のコロナ禍において、日本人の旅行消費額が国内関連の総消費額の78%を超えている点に注目すると、区民、都民、そして国内の多くの方たちが行ってみたくなるまち大田をつくり上げていくことも重要と言えるのではないでしょうか。大田に訪れる方々が短時間でも区内を歩き、そこで発見する地域の小さな魅力をつなぎ合わせていくことで、旅行者オリジナルの観光マップが完成します。例えばそうして出来上がった、もしくは作成途中の観光情報をインターネットを介して共有することができれば、新たな情報発信にもつながるのではと考えます。
東京都は昨年10月から、オンラインツアー造成支援補助金の給付をスタートし、都内事業者への支援を行っています。働き方改革やリモートワークの促進で、ますますネット環境での情報収集・提供、バーチャル体験などの利用が増している昨今、行政が仕掛ける新しい観光施策が求められているのではないでしょうか。
そこで、コロナ禍の影響により
インバウンド復活が当面望めない中、区として現在どのような観光施策に取り組んでいるのか、お伺いいたします。
大田区は、一般社団法人大田観光協会が実施する事業を支援し、民間視点での区内経済の活性化、地域活性化を取り入れた観光事業振興を行うことを目的に、令和3年度は4249万7000円、前年度比マイナス435万8000円の補助が予算計上されています。この減額予算についても事務事業の見直しが図られたものと思われますが、昨今の観光動向をつぶさに捉え、ぜひ大田区へ行ってみたくなる事業を力強く推進していただきたいと思います。そのためには、大田観光協会の登録会員数の増や自主事業による収益構造の見直しを図っていくことも重要で、それによって協会の弾力的な運営が可能となり、ひいては大田区の観光施策の充実につながっていくものと思います。
昨年11月28日に行われたおおたオープンファクトリー2020では、羽田イノベーションシティと区内ものづくり企業とをオンラインでつなぎ、アバターロボットを用いた次世代型工場見学が試行されましたが、この新しい取組は、大田の産業と観光の両面において可能性を大きく開いたと言え、今後の展開を期待するところとなりました。こうした新しい取組を重ねながら、コロナ禍の収束を見据え、今後、大田区としての観光施策をしっかり構築していく必要があるのではないでしょうか。
そこで伺います。今後、大田区が観光協会とともにどのように観光施策を進めていくのか、区長のお考えをお聞かせください。
以前、大田区にお住まいだった方々にお話を伺うと、皆そろって「住んでよかった」とおっしゃるそうです。そうした方々の中には、機会があれば懐かしい大田のあのまち、この店へ寄ってみたいと思いをはせ、観光情報やSNSをチェックされている方もいらっしゃいます。これまでも観光課、観光協会、観光情報センターのそれぞれのホームページが発信する情報について、その量や内容について幾度か質問をさせていただいてまいりましたが、区内に訪れてくださる方々の目線、ニーズをしっかり把握し、適宜改善を図り、内容の充実に努めていただきたいと申し添え、次の質問に移ります。
次に、大田区の教育施策についてお伺いいたします。
昨年12月22日付けで、教育委員会教育長に小黒教育長が再任されました。先に行われた教育行政に関する所信表明を伺い、大田の宝である子どもたちの健やかな学びの環境づくりへの強い思いを感じ取ることができました。おおた教育ビジョンで掲げる「豊かな人間性をはぐくみ、未来を創る力を育てる」とのスローガンに即し、引き続き教育施策の着実な推進をお願い申し上げます。
さて、政府は本年2月2日、公立小の全学年で35人学級を実現するための義務標準法改正案を閣議決定いたしました。国政において公明党は、令和2年6月に当時の安倍総理に対し、30人以下の少人数の学級編制を可能とするべきと提案、政府はこうした提案を踏まえ、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針に、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備が明記され、分科会での議論につながっていきました。一方、大田区ではこれまで、少人数学級の利点は理解するものの、現実問題として教員や教室空間の確保、また既存校舎の施設改修に係る予算措置について等の課題が多く、積極的に取り入れるには困難な状況もありました。今国会での審議が待たれるところでございますが、今後は35人学級を整備していくための根拠が法的に定められることから、大田区においても計画的かつ着実な推進に期待をするところであります。
少人数学級は、学習理解度の差はもちろん、何らかの障害を抱えて、丁寧なケアが必要なケースや、ギフテッドと呼ばれ特異な才能を持ちながらも学校で十分に認められないケース、また、いじめや不登校、家庭の貧困問題など様々なケースを持つ児童・生徒への対応などがきめ細かくできるメリットがあると考えます。
そこで伺います。児童・生徒の一人ひとりに光を当て、個々の特徴を活かす教育の在り方が求められている中、おおた教育ビジョン折り返しとなる新年度からの教育方針について、改めて教育長のお考えをお伺いいたします。
GIGAスクール構想に基づき、大田区立小では、令和2年度中に児童・生徒へのタブレット端末の配備が完了いたします。収束の兆しが見えないコロナ禍において、自宅療養となる児童・生徒にとって、また保護者にとっても、タブレット端末により家庭学習が提供されることは安心感にもつながるのではないでしょうか。また、日常の授業においてICTを活用していく中でも、調べ学習や疑似体験、アクティブラーニングへの活用など、その使途の広がりに期待をするところであります。一方で、ICT機器を安全に運用するために、これまで区議会公明党として、情報リテラシーの重要性やICT機器を活用する教員のスキル向上、また環境整備についても様々提案、要望をさせていただいてまいりました。
小学校学習指導要領解説の中で、「情報活用能力は、世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」と位置づけられています。今、大田区では、対話的な学びを通して子どもたちが自ら考える能力を引き出す教育を積極的に進めてくださっておりますが、さらにICT機器を有効活用することによって、さらに効果的な指導が期待されるところであります。この点について、教育委員会としてどのように取組を進めていくかお伺いいたします。
少人数学級について、単に学級の人数が減ることにより、相対的に学力の向上につながるとは言い切れない部分も否めず、むしろ学力に影響するのは教員の能力によるところも多いのではないかという意見もあります。しかし、学級の人数が減ることで、児童・生徒の一人ひとりに関わる時間がつくれることから、子どもたちの得意、不得意を教員がうまく引き出し、総じてモチベーションの向上につながることも期待されます。
2月3日、2020年度採用の教員試験で、公立小学校の採用倍率が過去最低の2.7倍となったと報じられました。多忙を極める教員の就労環境を案じ教員志望が減ってきているとの見方もありますが、今後の教員確保に向けた取組も重要となってくるのではないでしょうか。そういった観点から、教員数のほか、研修、養成の機会確保や多様な補助教員の確保なども都と連携して進めていただきたいと思います。
そこで伺います。教員採用の倍率が年々下がっていることから、限られた人員の中で、教員の質の低下について懸念されています。先ほどお話ししました新たに学校の教育活動においてICT機器を活用していくことも踏まえて、大田区においてはどのようにして教員の資質、能力の向上を図っているのかお伺いいたします。
35人学級の実現に向けて、現状の校舎容積からの教室数の確保や設備的な課題、また増改築に伴う新たな設計仕様の見直し、さらには公共施設との複合化など検討課題は多くありますが、良好な教育の環境整備の推進を改めて要望させていただきます。
ここまで、令和3年度予算、ハネダピオから生み出される新産業、要配慮者のための避難所の在り方、ニューノーマルに対応したまちづくり、区の観光施策、35人学級の導入の6点にわたり質問をさせていただきました。区民満足度向上のため、大田区におかれましては、引き続き最大限の取組を進めていただきますよう要望させていただきます。以上で、大田区議会公明党の代表質問を終了いたします。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 田村議員の代表質問に順次お答えさせていただきます。
まず、令和3年度予算編成に関するご質問ですが、
新型コロナウイルス感染症は感染の広がりも見られ、いまだ収束の見通しが立っておりません。こうした状況において、令和3年度予算の編成では感染症対策など喫緊の課題への対応を最優先に、将来にわたって安全・安心に暮らし、活躍できる地域づくりを確実に進め、区民生活を全力で守り抜くとの決意を、この予算に込めたところでございます。これらを具体的な施策として新おおた
重点プログラムに取りまとめ、着実に推進するための予算を編成いたしました。
具体的には、感染症対策では、ワクチンの早期接種に向けた体制を整えるほか、入院患者を受け入れる医療機関への支援やPCR検査体制を確保してまいります。子育て・教育では産後家事、育児援助や小中学校の児童・生徒へのオンライン学習環境の整備、給付型奨学金の拡充による高校や大学等への進学支援など、産み育てやすい切れ目ない施策を展開します。高齢者支援では人生100年時代における生きがい・健康づくりの推進や老い支度の相談体制の充実など、区内産業活性化支援では受発注相談事業による区内中小企業の支援など、
行政サービスにおける利便性の向上を図る施策ではデジタル化を推進します。災害対策では、仲六郷、田園調布地区に水防活動拠点を整備するほか、マイ・タイムライン普及の強化を図ります。さらに、公共施設や都市基盤施設の維持・更新のほか、新空港線整備を契機としたまちづくりなど区の発展に向けた取組も進めてまいります。これらの施策を積極的に展開し、区長としての責務を確実に果たしてまいります。
次に、財源の確保に関するご質問ですが、
新型コロナウイルス感染症によります地域経済活動の停滞などの影響から、特別区税や法人住民税などを原資とした特別区交付金の減収を見込んでおります。一方、少子高齢化への対応や自然災害への備え、社会資本の整備など、引き続き財政需要が増加することも想定しており、必要な財源の確保は大変重要であります。令和3年度は、歳入確保に向け、各種税や国民健康保険料などの納付手続きにおけるキャッシュレス決済を拡充するほか、クラウドファンディング等を活用し、大学進学予定者への給付型奨学金を創設する取組などを進めてまいります。また、予算執行段階におけるコスト意識の徹底など一層工夫を凝らすとともに、基金、特別区債など、これまで培った財政対応力を戦略的に発揮し、財政規律を遵守しながら、安定した
行政サービスの提供に努めてまいります。
次に、新年度予算に込められた区内産業支援への思いに関するご質問ですが、令和3年度はコロナ禍の影響で非常に厳しい予算編成になりました。そうした中でも、新おおた
重点プログラムに位置づけた産業振興施策を中心に重点的に予算配分を行いました。昨年オープンしたハネダピオでの取組のほか、産業のまち大田を支える区内事業者を支援するため、地域に好循環をもたらす大田区ならではの産業の発展に向けた取組を進めてまいります。
それぞれの事業予算等は予算特別委員会の場でご審議をいただくこととなりますが、現在の困難な状況を乗り越えていくことはもちろん、アフターコロナに向け、前を向いて頑張る皆様を積極的にサポートしていくため、産業支援に対しては、厳しい財政状況の中でも最大限の予算配分をしております。区内企業の98%以上は中小企業・小規模事業者で構成されています。こうした皆様がこのコロナ禍を乗り越え、次なるステップに安心して踏み出していけるような支援が必要です。今後も常に関係機関の動向を把握し、社会状況の変化があれば新たな支援策もちゅうちょなく講じるなど、区内産業を全力で支えてまいります。
次に、ハネダピオでのビジネスチャンスを若手経営者につかんでもらうためのビジョンに関するご質問ですが、不確実性が増す今般の
社会経済状況においては、今後維持、発展していくために、持続可能な社会づくりに寄与する取組に参画することで、自社が持つ強みを発揮できる領域を果敢に開拓する動きが見られます。ハネダピオは、そうした企業が取り組む新たな取引創出につながる環境へ参入する機会の場であり、この場に区内事業者に積極的に関わっていただくことを期待しております。特に異業種との連携に意欲的な若手経営者がハネダピオでの実績を積み上げていただくことで、さらに多くの区内企業の参画につながり、区内産業の活性化という好循環を生むことと考えております。ハネダピオは、今後、段階的に新たな取組などを実施していく予定でありますが、羽田空港に隣接するポテンシャルを最大限に活かすことが重要と考えております。日頃から連携している東京商工会議所や大田工業連合会、大田区商店街連合会など、区内産業団体における若手の皆様からも強い期待の声が届いております。こうした多様な声をしっかりと受け止めながら、運営体制の構築に区は全力で取り組んでまいります。
次に、避難所及び要配慮者スペースについてのご質問ですが、区は震災などの突発的な大規模災害時に、まず区立小中学校等に避難所を開設し、その後、準備が整い次第、福祉施設等に福祉避難所を開設するよう計画しております。福祉避難所は、学校等での避難所生活の継続が困難な方の避難施設として位置づけております。また、風水害時に区立小中学校に開設する水害時緊急避難場所では、避難行動要支援者や自ら避難先を確保することが困難な方等を受け入れることとしております。さらに、風水害時においては、災害の状況に応じて開設可能な福祉避難所を水害時緊急避難場所と同時に開設するなど、要配慮者の災害対策を強化いたしました。学校等に設置する避難所の一般避難スペースで避難生活を送ることが困難な方を対象とした要配慮者スペースにおいては、段ボールベッドやフロアマットなど要配慮者向けの備蓄品を配備いたしました。また、要配慮者スペースを担当する職員を新たに配置し、障害特性に応じた災害情報の提供や見守り等、要配慮者に寄り添った対応を行います。今後も避難所を運営する地域の皆様と連携しつつ、要配慮者スペースの運営体制の構築に取り組んでまいります。
次に、障がい者をはじめとした要配慮者に対する避難所運営に関する周知・啓発についてのご質問ですが、学校防災活動拠点の運営主体となる自治会・町会をはじめとした地域の皆様に、要配慮者のために必要な避難所における支援について、ご理解、ご協力いただくことは重要でございます。今年度実施した大田区総合防災訓練では、要配慮者を受付で把握し、要配慮者スペースに円滑に誘導するための手順を地域の皆様と検証しました。また、避難所で障がい者や高齢者に対応する際に配慮が必要なことなどをまとめたマニュアルを、一部の学校防災活動拠点会議において配付し、地域の皆様への周知を始めました。引き続き、地域の方々に避難所での配慮が必要な方への理解が浸透するように周知・啓発を強化してまいります。
次に、個別計画の取組状況についてのご質問ですが、災害時に自ら避難することが困難な方が適切に避難行動を取っていただくための対策を講じることは重要です。これまでも区は、在宅人工呼吸器使用者を対象に個別支援計画の作成を進めております。今年度はさらに、多摩川の氾濫時に甚大な被害が想定される区域の低層階にお住まいの避難行動要支援者を対象に、区職員がヒアリングを実施いたしました。このヒアリングにより、公助が必要な方を把握し、個別の支援につなげていくよう取り組んでおります。一方、要配慮者本人やご家族に避難行動の計画を作成していただくため、今年度初めて、要配慮者のためのマイ・タイムライン講習会を4回開催し、106名が参加されました。今後さらに、高齢者や障がい者の皆様のご意見を受け止め、地域において様々な分野で活動している皆様と連携して、避難行動要支援者の避難の実効性を確保していくよう、災害対策を推進してまいります。
次に、おおた都市づくりビジョンに関するご質問ですが、おおた都市づくりビジョンは、大田区都市計画マスタープランの具体化に向けた展開を図るため、大田区を取り巻く周辺動向の変化を踏まえ、平成28年度に策定いたしました。さらに都市づくりビジョンの概念を引き継ぎながら、現在、都市計画マスタープランの改定に取り組んでいます。しかし、コロナウイルス感染症拡大への対応が始まり、その後、
緊急事態宣言が発令されるなどの経過があり、現在も収束の見込みが立っていないことから、これまでの生活様式を大きく変えるような状況が発生しております。
そのため、現在改定中の都市計画マスタープランの中で、都市づくりビジョンの将来像である東京圏の一翼を担う広域拠点性の向上はもとより、新空港線整備を契機とした沿線のまちづくりと、地域の活性化等を継続して位置づけ、実現に向けて加速させてまいります。加えて、多様化するライフスタイルへの対応や、3密を回避するゆとりあるまちづくりなどを計画に位置づけてまいります。そして、コロナ禍においても、区民の皆様が安心して住み続けられる持続可能なまちづくりの実現などを都市づくりの戦略として掲げ、着実に取り組んでまいります。
次に、公民連携の視点等を踏まえた都市づくりに関するご質問ですが、現在改定中の都市計画マスタープランでは、拠点整備などの部門別方針と七つに分けた地域別方針を策定していくこととしております。その中では、蒲田・大森駅周辺地区などの各地域のまちづくりでも、これまでの安全・安心なまちづくりや地域の魅力の向上は継続したテーマとしております。これに加えて、改定作業では、ゆとりある都市構造への再編などポストコロナの視点等を考慮してまいります。特に蒲田や大森などで都市の機能更新を図る際は課題が山積していることから、国や東京都、鉄道関連事業者はもちろんのこと、地域の皆様のご意見などを基に議論を重ねながら都市づくりを進めていく公民連携の視点が必要不可欠であります。そのため、鉄道・都市づくり部として新たな組織を立ち上げ、その組織が公民連携のリーダーシップを取りながら、コロナ禍においても多種多彩な活動が展開できる安全・安心で活力あるまちづくりを進めてまいります。
次に、新空港線に関するご質問ですが、新空港線の整備は何としても実現させる必要がある事業でございます。東京都から提案があった協議の場において、都区合意に向けた検討を鋭意進めており、去る1月22日に第2回目を開催したところであります。鉄道整備と沿線まちづくりの部署を統合させる今回の組織改正により、協議の場での検討事項であるまちづくりの要素を加味した事業の構築について、スピード感を持って進めていきたいと考えております。今回の組織改正を大きな推進力として、引き続き新空港線の早期実現と沿線のまちづくりについて、私が先頭に立って全力で取り組んでまいります。
観光に関する三つのご質問ですが、初めに、区が観光に取り組む意義についてですが、観光は関連産業の裾野が広く、かつ経済波及効果が大きい重要な成長戦略の一つです。本区は羽田空港をはじめ、活気ある商店街、ものづくり産業の集積など、東京の縮図とも言える様々な地域特性を持つまちです。また、区内には、交通網や宿泊施設等、観光に必要なインフラも十分に整備されており、大きな強みとなっております。区はこうした環境を活かし、区への愛着心醸成、地域の魅力向上、区内経済活性化を図るため、平成20年度に大田区観光振興プランを策定後、観光課を設置し、観光施策の取組を強化しました。27年度には観光情報センター及び区公式観光サイトの開設等により、積極的な情報発信にも努めております。これらの取組により区の認知度は向上し、区内宿泊者数も着実に増加してまいりました。平成30年度は観光振興プランを10年ぶりに策定し、新たな視点も加えた観光施策を展開しております。現在、コロナ禍という厳しい状況にありますが、区は愛着心の醸成、区内経済・地域活性化のため、今こそ観光施策に取り組む意義があると確信をしております。
次に、現在区としてどのような観光施策に取り組んでいるのかというご質問ですが、日本政府観光局によりますと、訪日外客数は、令和2年4月末、前年比マイナス99.9%と激減し、現在も
インバウンド復活の見通しは立っておりません。しかし、このような状況にあっても、昨年7月22日から12月14日まで実施したGo Toトラベルの消費押し上げ効果は約1兆4600億円との推計があり、国内消費意欲は依然健在と思われます。区はこの消費意欲を消費行動につなげるべく、区民や区外来訪者を対象としたマイクロツーリズムの推進及び国内のMICE誘致に注力しております。
具体的な取組として、マイクロツーリズムについては、観光情報センターを推進拠点に、区内回遊を促すイベントを動画配信、展示や区内名産品販売などオンラインと実物を融合させながら実施し、愛着心の醸成及び区内経済・地域活性化に努めてまいりました。MICEについては、中小規模の学会・団体等へ区内誘致を積極的に働きかけております。今後はこれらの取組に加え、情報通信技術の効果的な活用を図り、より多角的な区内回遊策を推進してまいります。
次に、区と大田観光協会との連携のことについてですが、観光協会は民間主体で設立され、区はこの民間視点を持つ協会事業への支援を通じ、区内経済と地域の活性化を目指しております。今年度のおおたオープンファクトリーはオンラインで開催したところ、斬新な企画が話題となり、NHKニュース等で報道されました。これも長年、協会が事務局を担ってきたことで実現した新たな取組でございます。一方、協会の会員数増加や自主事業推進は協会の組織強化にとって必須の取組であり、会員募集に当たっては、今後は区も応援してまいります。自主事業推進については、今回初めてオープンファクトリーを観光庁からの事業費を得て実施しました。今後も財源確保に努めていただくとともに、事業委託等への転換を図り、協会の自主事業強化を促してまいります。
観光施策の推進は、区は多角的視点から観光施策を立案し、協会は民間視点から事業を行うという役割を担っています。両者の強みを活かし、「新たな日常」に的確に対応した取組を通じて、大田区ファンを増やし、コロナ収束後の区内経済・地域活性化に向け、観光施策を力強く進めてまいります。私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 初めに、教育ビジョンについてのご質問です。コロナ禍にあっても、おおた教育ビジョンの実現を目指すことは重要であると認識しております。おおた教育ビジョンでは、ビジョン1として、「社会の変化に主体的に対応し、未来を創る力を育成する」ことを掲げておりますが、「コミュニケーション能力」、「論理的、科学的な思考力」、「情報活用能力」、「ともに生きる力」、「健康増進・体力向上」などの力は、予測不可能な時代において、生きる力として一層重要であると実感しております。新年度は、家庭においても学びが進められるICT環境を整備するとともに、ICT機器を活用して課題解決する情報活用能力の育成を充実してまいります。
また、子どもたちの孤立化が大変に心配される状況であることを踏まえ、人との絆を深め、社会性を高める「ともに生きる力」の育成に努めてまいります。教育委員会は、これまで以上に学校における教師や友だちとの信頼関係を築き、身近な地域の人々とのつながり、また、多様で広い社会とのつながりを創出して、おおた教育ビジョンの実現に向けて取り組んでまいります。
次に、ICT機器の活用により、子どもたちが自ら考える能力を引き出す学習についてのご質問です。子どもたちの自ら考える能力は、ICT機器を導入することによって、さらに効果的に指導できるものと考えております。現在子どもたちの自ら考える能力を引き出す学習を実現するために、学校では課題解決学習に取り組んでいます。子どもたちが自ら課題を発見し、様々な情報を収集し、友だちと考えを交流し、整理、表現するという一連の課題解決学習の中で、子どもたちの自ら考える力を育んでおります。今後は、この一連の課題解決学習において、1人1台のタブレット端末を活用し、多様な情報収集が可能となります。また、収集した情報をタブレットを使って比べたり、共有したりする学習実践を積み上げてまいります。さらに、教室前方の電子黒板に子どもたちのタブレットから送られた一人ひとりの考えを映し出し、課題についての意見を学級全体で比較検討するという学習形態についても実践を積み重ねてまいります。区内小中学校の全ての学級においてICTを活用し、子どもたち一人ひとりの自ら考える能力を高めてまいります。
次に、教員の資質、能力の向上に関するご質問です。教員採用の倍率が年々下がっている中、教育委員会においても、教員の資質、能力の向上は喫緊の課題であると考えております。区においては、校外、校内における研修を充実させ、教職員の資質、能力の向上に努めております。とりわけ新たなICT教育推進の課題を踏まえ、専門員の設置を考えております。これは、教育管理職経験を持つ専門員が各学校を巡回し、校長に経営的な視点からICT教育に関する助言を行い、新学習指導要領に示された資質、能力の育成を図るものです。こうした取組により、ICTを最大限に活用しながら、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、子どもたちの多様な個性を最大限に活かす「協働的な学び」の充実を図ってまいります。
○塩野目 議長 会議が長くなりましたので、しばらく休憩といたします。
午後3時6分休憩
――
――――――――――――――――――
午後3時25分開議
○塩野目 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。29番清水菊美議員。
〔29番清水菊美議員登壇〕(拍手)
◆29番(清水菊美 議員) 日本共産党区議団を代表して質問をいたします。
まず初めに、2月13日、最大震度6強の福島県沖地震が発生いたしました。10年前の3.11の余震とのことですが、家屋等の一部損壊1600棟以上で、コロナ禍の中での避難生活と復旧活動で苦労されている皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。国は、この復興に苦労されている皆様に、全ての方々のなりわい、生活の復興のために、一刻も早い支援を求めます。
また、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森 喜朗前会長による女性蔑視発言に厳しく抗議します。辞任で終わりではなく、このような発言が許されない社会となり、性別に関係なく誰もが自分らしく生きられるジェンダー平等社会の確立に、日本共産党は全力を尽くします。
質問に入ります。
1月22日、核兵器禁止条約が発効されました。人類史上初めて、国際法で核兵器が違法となりました。この条約は、核兵器の開発、取得、貯蔵、使用、威嚇の全ての局面を禁止するものです。区内に住むある被爆者の方は、「私は核兵器をなくしてほしいと運動を続けてきました。こんなにうれしいことはありません。いろいろと思い出します。見知らぬ大勢の方々が署名してくれました。一緒に運動し、志半ばで亡くなった仲間の顔も浮かんできます。日本政府の条約批准を求めて、これからも運動していきたい」と語っておられました。発効日翌日の多くの新聞紙上では、条約の重要な意義を強調するとともに、条約に背を向ける日本政府の姿勢を厳しく批判しています。
菅首相は、禁止条約より核抑止力の維持・強化と言っていますが、米国の核の傘に依存する硬直した姿勢を改めるべきです。そして、このような姿勢も違法となります。加盟して保有国に核廃絶を迫ることこそ、被爆国の責務です。日本政府に核兵器禁止条約への署名批准を求める意見書決議をしている自治体は、2020年12月28日現在、都道府県区市町村合計1788のうち519自治体で29%です。世論調査では、参加すべきと答えた人は72%でした。第4回定例議会で、我が党代表質問に区長は、「引き続き、基礎自治体として平和関連の各種事業を着実に進めてまいります」と答弁しました。しかし、世界は大きく変わりました。
伺います。核兵器のない世界を目指すとした平和都市宣言にふさわしい区長として、唯一の被爆国である日本政府に核兵器禁止条約を署名批准するよう意見を上げることを求めます。お答えください。
次に、新年度予算はコロナ対策を最優先とする、今やるべきことは何かについて伺います。
日本共産党大田区議団は、区民アンケートを実施しております。1月下旬から約25万世帯に配布が始まり、連日返信されてきており、現在約4600通となっております。ご協力をいただいた区民の皆様に、お礼を申し上げます。
現在集計中ですが、アンケート項目の「暮らしについて」では、悪くなったと答えた方が多く、理由のほとんどが新型コロナウイルス感染拡大と消費税増税です。「大田区政へのご意見」の欄では、給付金の再支給を求める記述が目立ちます。中には品川区の例を示して、なぜ大田区でできないのかと書かれた方も大勢いらっしゃいました。特に若い20代30代の要望が強いのが特徴です。また、新型コロナ感染症対策については、医療・保健所体制の強化、PCR検査の拡充、保障と一体の休業補償、科学的根拠に基づく正確な情報提供をと続き、強い関心がうかがえます。新空港線についての項目では、蒲田のまちの活性化に期待するが、今のタイミングではないのではないか、コロナ対策が先ではないか等の意見が大変多く見られます。
区は、新年度予算編成に当たって全庁一丸となって全事務事業を見直し、コロナ感染症対策を喫緊の課題に掲げて区民の命、安全を守る取組の予算としていました。しかし、大田区の新型コロナウイルス感染陽性者数の状況は、2月23日現在5998人となっており、収束の見込みはまだまだ見えません。
感染防止対策が必要です。さらに、我が党のアンケートでも、区が行った中小企業の緊急調査でも、コロナ感染症の影響が区内のあらゆるところに出ている中で、どこにどのように予算をつけるのかが今問われております。
大田区新年度予算一般会計総額2937億7761万1000円で、前年度比2.2%増です。歳出で区民の要望が実った予算には、コロナ患者を受け入れる医療機関に1人10万円、PCR検査センター、新型コロナ
ワクチン接種事業、水防活動拠点整備、建物被害認定調査モバイルシステム、住宅リフォームの助成拡充、認知症検診事業、医療連携型グループホーム支援、電子図書館事業、給付型奨学金創設、産後ケアの充実、不登校特例校分教室、保育サービスの充実等があり、評価します。
しかし、蒲田駅前広場の再整備34億8533万6000円、鉄道・都市づくり関連事業7億5767万円、ハネダグローバルウイングズのまちづくり8億6837万円、新空港線整備主体1億8000万円などの大型開発、また、公共施設の複合化計画として、新蒲田13億円、大森西二丁目3億1703万円、入新井地区3億4052万円、田園調布地区4億9871万円、蒲田西地区35億9391万円などの予算が組まれ、総額は100億円を超えております。蒲田駅東口初期整備には賛成しておりますが、コロナ禍の新年度に、土地開発公社から旧三和ビル跡地購入等の32億1553万6000円の予算の計上が今必要でしょうか。また、公共施設の小中学校改修は単独で行うことを求めてきましたが、区は引き続き小中学校の改修を複合化、大型化としています。工期は長期化し、費用も増大します。コロナ禍において、新年度はこのような大型開発や公共施設の複合化は一旦凍結、見直しを求めます。
中でも、新空港線についてです。今定例議会に提案された第8次補正予算で、10億円を新空港線整備資金積立基金に積み立て80億円にしようとし、新年度予算では、また第3セクター設立準備のために1億8000万円を計上しています。昨年9月3日の東京都の協議の場で、1、乗り換えの利便性の向上、2、沿線開発の動向、3、事業費の縮減、これらの検討を踏まえて需要予測や収支採算性などを精査して、都区負担の考え方を整理して2回目以降を開催するとなりましたが、都と区の間には大きな隔たりがあり、合意の見通しはあるのでしょうか。また、新年度の組織改正では、コロナ禍において職員体制が大変厳しく全庁を挙げて対策に奮闘されているときに、鉄道・都市づくり部を新設し、新空港線・沿線整備担当課長を新設するとしています。
コロナ禍で社会は大きく変わりました。オリンピック今年の夏開催に反対の世論は80.1%、全世界がコロナ感染拡大で、当面はインバウンドの客も見込めません。そのような中、JR羽田空港アクセス線は事業認可され、具体化が進んでおり、ニュース報道で話題になっています。これらの情勢から、新空港線は乗降客数、黒字転換年等、大きく変わるはずです。
さらに、まちづくり推進部が発表している「コロナ禍を踏まえたまちづくりの取組みについて」の新空港線整備を契機に蒲田のまちづくり事業は、コロナ対策を早期に実施した場合の第2段階、国土強靱化への取組の強化となっており、区の財政状況、コロナの収束時期などから複合的に展開し、適切かつ効果的に実施となっています。今は第2段階とは到底言えません。区長は、本会議第1日目、16日の施政方針演説で、新空港線については何も語りませんでした。区民に説得も説明もできていない中での新空港線計画は撤回を求めます。区財政は厳しいと予想している中、新空港線計画のための積立金70億円、さらに第8次補正で10億円を増やすことはやめ、コロナ対策に回すことを求めます。
伺います。新年度予算の第3セクター設置のための1億8000万円、新空港線計画の予算はコロナ対策に回すことを求めます。お答えください。
次に、感染症対策で最も過酷な業務となっており、厳しい状況が続いている保健所について伺います。
現場の職員の皆様には、心より感謝をしております。しかし、職員は兼務発令で地域保健課からの応援や、事務職が事務やトレーサーの補助に当たっています。交代勤務を敷き、まさに綱渡りのような体制です。さらに
ワクチン接種の大事業が始まります。新年度の組織改定ではワクチン担当係長が新設され、さらに保健師、看護師、助産師は会計年度職員として募集されようとしております。73万区民に安全にワクチンが接種できるよう、十分な体制が求められます。新年度の予算のコロナ対策は全額国費の
ワクチン接種が中心で、PCR検査については無症状の方への社会的な検査等の積極的な予算が組まれていません。ワクチン頼みで
感染防止対策がおろそかになってはいけません。
東京都は1月22日以降、保健所の逼迫と医療崩壊を防ぐためとして、濃厚接触者の追跡は行わなくてもよいという方針を出しました。大田区保健所はそれを受け、子どもは重症化しない、保育園等でクラスターは発生していないと保育園は陽性者が出ても休園とせず、小中学校においても濃厚接触者疑いの検査をしない方向になりました。自治体によっては保健所は引き続き濃厚接触者の追跡をし、感染拡大を食い止める活動を続けている区もあります。大田区保健所が行っている検査数は減少しています。2月14日では47件、陽性者は9人、19.1%となっておりました。しかし、クラスター発生は件数も規模も拡大しています。
NHKで放映されましたが、和歌山県では国の言いなりにならず保健所の統廃合をほとんど行わなかったため、昨春、日本で最初の病院クラスターが発生した際、PCRを県独自の判断で大規模に実施し、早期に収束させました。墨田区では検査センターを持っていたため、検査技師がPCR検査は得意ですと大規模な社会的検査が可能となりました。墨田区保健所長は、「検査、検査、検査、少しでも検査を緩めてはいけない」と発言しています。世田谷区は区独自の財源を確保して、PCRの社会的検査の大規模実施やプール方式を先んじて実現し、それが大きな動きにつながっています。
日本共産党は、一貫して4つの保健所を1か所に統合したことに反対してきました。区長は、「数は減ったけれども機能強化してきた」と答弁していますが、それは当たらないことが、現在のパンデミックの収束に至らない大田区の実態が示しているのではないでしょうか。
伺います。保健所体制の拡充をすること、専門家の正規職員の増員をすること、お答えください。
ノーベル生理学・医学賞受賞者の一人、東京工業大学名誉教授の大隅良典さんは、コロナの最大の特徴は、無症状の感染者がどんどん感染を広げてしまうこと、早く見つけ出さなくては感染拡大を止められないと、PCR検査の拡大が遅まきながらももっともっと増やすことを主張されています。区内の高齢者施設、保育園・学童、学校、医療機関へのPCR検査拡充は喫緊の課題です。
まず、高齢者施設です。区内の特養糀谷25人、特養多摩川で67人のクラスターが発生しています。入所者の家族などの面会は許されていません。なぜ感染が広がっているのか。無症状の陽性者が職員の中にいた可能性が考えられます。感染防止に血のにじむような努力を続けている全職員を支えることが、今何より必要です。高齢者は重症化しやすいため、高齢者施設の利用者職員には定期的なPCR検査をすべきとの東邦医大、舘田教授のアドバイスを受け止めるべきです。国も東京都も予算を出すとしています。しかし、検査をして陽性者が出たら現場の体制が取れないことを心配して無症状者が検査を受けない事態が心配されています。世田谷区では広く社会的検査を広げ、昨年12月18日時点で介護施設3619人中53人が陽性でした。あわせて区は、検査した結果、施設が人手不足になる場合に備えて、介護施設が協力して職員を派遣し合う覚書を交わすことを積極的に調整しています。
伺います。高齢者施設の感染防止と命を守り、区内の医療崩壊を食い止めるため、区長が先頭に立ち、高齢者施設全利用者、全職員へのPCR検査を実施すること、さらに陽性者が出たら事業が運営できないことを危惧してちゅうちょする事業者が出ないよう、世田谷区のようなバックアップ体制を取ることです。東京都には、週一、二回の定期的な検査ができるよう費用の要望をすることを求めます。お答えください。
次に、保育園等についてです。乳幼児には発達や心身に影響があるため、マスクを着けさせていない施設がほとんどです。保育士は、食事の介助やおむつ替え、抱きしめたり、抱っこしたり、遊んだりと、保育で密は避けられません。おもちゃ、椅子、テーブル、トイレなどなどの消毒を欠かさず、業務量が激増した保育士は常に感染の不安にもさらされています。「安心して保育がしたい、そのためにPCR検査を定期的に受けさせてほしい」、保護者は「持病がある家族もいる、子どもが保育園でコロナに感染したらと思うと不安」という声があります。
伺います。陽性者が出ても、子どもは重症化しないと、濃厚接触者としない、また、職員も症状がなければ検査をしないという大田区の対応を見直し、保育園、学童全ての職員のPCR検査を定期的に公費で行うことを求めます。お答えください。
次に、区内の医療機関の現状についてです。区長が動画で話されているとおり、厳しい状況が約1年続いています。昼夜を分かたず命がけの医療を続けてくれている区内全ての医療従事者の皆様に、心から感謝します。区内医療機関でもクラスターが発生しています。大森日赤病院は患者43人、職員71人、松井病院は患者13人、職員7人、また、公社荏原病院はコロナ患者専用病棟になっております。その結果、それぞれの病院は外来、入院、救急の受入れの中止や制限が行われております。区内では救急車を呼んでも受け入れる病院探しに時間がかかり、救急車がなかなか動けない事態が起きています。ある方は、救急車が来ても受入先が決まらず、2時間以上かかり、やっと処置だけは千代田区で、その後、入院は台東区の病院となりました。1分1秒を争う心臓や脳血管の病気では、まさに命に関わります。
医師、看護師等は以前からの人手不足がさらに悪化し、笑顔は消え、友人や家族との会食を控え、1年にわたるストレスは計り知れません。また、経営が厳しく、減収補填のために借金をせざるを得ない事態で、賃金もボーナスも上げることができず、結果、離職が増え、さらに人手不足の悪循環となっていると聞いています。今後、
ワクチン接種の際も多大な苦労を区内医療機関にお願いすることになります。コロナ患者受入れ1床10万円の予算は評価いたしております。
そこで伺います。区内の全ての医療機関へ定期的なPCR検査の費用の支援、そして、全ての医療従事者に慰労金の支給をすること、そして、区独自でも減収分の補填で医療崩壊を防ぐことを求めます。お答えください。
次に、区内中小企業への緊急支援について伺います。
新年度予算、産業経済費60億3046万9000円で、前年度より3億9847万円の増となっていますが、ほとんどは中小企業融資が昨年度より約9億円増です。区の産業振興は、ハネダピオ、イノベーションシティ中心です。区長は16日の挨拶で、「本区の強みは、我が国の産業を支えてきた高度なものづくり産業の集積地、蒲田、大森、都内有数の商業・繁華街で、地域に根づく力強い産業力」と発言されました。しかし、区内の中小企業のコロナ禍においての厳しい実態は、大田区が行った影響調査、この調査はオンラインのみで行われ、対象が限定されていて問題も多いと言われていますが、その調査でさえも、「先が見えない」30%、「現在よりさらに今後悪化するだろう」23.9%でした。ある町工場の社長は「塗炭の苦しみ」と語っています。この実態、区長はどこまで感じているでしょうか。そして、どんな商売も苦しいのに支援が全くない八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、洋服店などなどは閉店が後を絶ちません。コロナ危機から区内中小・零細業者を救うために、今こそ公助の直接支援が必要です。それらが地域経済を守ることにつながります。区長は、「大変厳しい環境に直面しているが、必ず
新型コロナウイルス感染症を克服し、元気な経済が戻ってくると確信しております」と挨拶されました。ならば、その実現に必要なことがあります。
伺います。国に持続化給付金、家賃支援金の再度の支給を求めることです。コロナの影響を受けて減収となった全ての事業者へ、区独自の直接支援を行うことです。お答えください。
23区内でも最も大きな支援を行っているとしている融資について伺います。融資の返済開始が近づいてきています。しかし、コロナ感染第3波の中、
緊急事態宣言も延長され、先行きも見えず、収入も上がっていない事業者が多い中、据置期間を1年間延長すべきです。お答えください。
次に、コロナ禍における生活保護について伺います。
コロナ感染により生活が厳しくなった区民への支援は、昨年3月25日から本年2月4日時点で、区社協福祉資金、緊急小口資金、
総合支援資金、生活支援費5303件、JOBOTA生活困窮自立支援事業471件、住居確保給付金949件となっています。現在これらの支援が打ち切られたら、生活の支えは生活保護になる方が多くなると思います。2020年6月時点で区の生活保護受給世帯は微減でしたが、今後は増加することは確実ですし、増えなければ命に関わる事態になりかねません。「生活保護は権利である」と安倍前首相は国会で答弁されました。健康福祉委員会で我が党が要望しましたが、大田区の生活保護のホームページでは、「権利である」と掲載されました。小田原市のパンフレットのように、申請相談のパンフレットも、安心して生活保護の申請ができるような様式に変更することを求めます。
新年度予算では、生活保護費の扶助費が4億9047万3000円の増となり、1.3倍の生活扶助の件数増予測となっています。しかし、大田区人事計画には、生活保護担当職員の増員が見当たりません。現状でも、ケースワーカーが約100人担当という激務が強いられ、メンタルヘルスが問題となっています。職員の心身を守り、生活保護が必要な区民への支援ができる大田区とすべきです。
伺います。生活保護の受給が必要な人の増加に見合った職員増を行うこと、生活保護は権利であると安心して申請ができる広報をさらに強めることです。お答えください。
生活保護が必要なのにちゅうちょする方に、親族に生活保護を受けることを知られたくないという方がいます。日本共産党小池 晃参議院議員の質問で、「扶養照会は義務ではない」と厚労大臣が答弁しました。2020年9月11日厚労省の事務連絡でも、相談段階における扶養義務者の状況の確認について、扶養義務者と相談してからでないと申請を受け付けないなど、扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行うといった対応は不適切であるので改めてご留意願いたいとなっています。
伺います。国会の厚労大臣の答弁のごとく、大田区においても生活保護の申請の際、親族への扶養照会は見直し、担当職員はじめ庁内職員に確認することを求めます。お答えください。
次に、国民健康保険について質問します。
日本共産党区議団は2月9日、区長に緊急申入れを行いました。長期化するコロナ禍及び再度の
緊急事態宣言の下、区民生活は疲弊しています。昨年12月、都の国保運営協議会は、国の仮係数による来年度国保料率算定結果を報告し、来年度は今年度と比べて4335円値上げとの試算を示しました。国は保険者努力支援制度にペナルティ措置を導入し、繰入れ解消のための各自治体の健全化計画公表や、保険料収納率引上げの具体化等、値上げと徴収強化を迫っています。東京都も、来年度国保運営方針改定案で、保険者努力支援制度を活用しながら、医療費適正化や収納率向上を推進とし、保険料徴収指導員の派遣等で各自治体の繰入金解消を求めています。
これ以上の保険料の値上げと徴収強化は、コロナで困窮する加入者の生活苦を増大させます。本来、国の責務として負担格差を是正し、皆保険制度を守る必要があります。そして、それを促す地方からの要請と独自対策が求められています。この間、立川市、瑞穂町、武蔵村山市の国保運協は保険料の据置き答申を出しました。さらに、小金井市、日野市では、来年度保険税の値上げの諮問を見送っています。江戸川区では値上げ幅を圧縮しました。大田区も、コロナ禍において、あらゆる努力で高過ぎる保険料を何とか改善するという姿勢に立ち、区民の命と健康を守る立場に立つことです。新年度国保会計を見ますと、延滞金の予算を1343万円見込んでいます。昨年度は109万円でした。払いたくても払えない区民がさらに増える見込みで、12から13倍の延滞金を見越していることになります。何と冷たい対応でしょうか。
20日に大田区国保運営協議会が開かれました。所得割率で0.11ポイントの引上げですが、基礎分、支援金分の均等割額は800円引下げとなり、5万2800円が5万2000円となりました。コロナ感染拡大の影響を踏まえた結果ですが、人頭税と言われている子ども一人ひとりにまでかかる保険料の均等割減免について、我が党は一貫して廃止を求めてきました。今回の800円の値下げは、高い保険料に苦しむ多くの人々の声が反映したもので、一定の評価をしますが、単身の低所得者が若干下がるものの年収300万円以上は値上げの傾向です。さらに、介護分が大幅に上がったために、40歳から64歳のほとんどの世帯が値上げとなっております。
ここで伺います。来年度保険料については、困窮する加入者の実態を考慮し、値上げではなく引き下げること、または据置きを求めます。お答えください。
均等割については、全国知事会、23区区長会の要望はじめ、世論が大きく国を動かし、国が2022年度から未就学児については均等割を減免すると決めました。大きく評価できます。
そこで伺います。子どもの均等割減免は2021年度から前倒しを求めます。財源は国や都に求めること、さらに2022年度からの区負担分4分の1を国に求めるとともに、対象年齢や軽減割合の拡大を求めます。お答えください。
コロナ禍において、昨年度より30%減収となった加入者は、国保保険料の減免申請ができます。大田区申請数は3302件と国保運営協議会で報告がありました。しかし、申請は大変面倒で、オンラインが苦手である人や、そもそも減免ができることを知らないという区民も多いと思います。広く周知し、申請の相談には、区民に寄り添った対応を求めます。しかし、申請の締切りは2月26日、終了直前です。新宿区は締切りを3月31日、板橋区は3月25日としています。大田区でも延期することを強く求めます。
さらに伺います。国保減免の対象から漏れているフリーランス等雑所得の確定申告をしている方について、国に対象者として要請すること、あわせて区独自の対応を検討することを求めます。お答えください。
次に、教育について伺います。
教育費予算316億4858万円のうち、国が進めるGIGAスクール構想の実現のため、教科用システム運用費28億6757万4000円、ICT教育推進専門員の新規配置765万2000円は、教育費の約1割弱を使う事業です。児童・生徒1人1台のタブレット配付については、現場の教員からの要望ではなく上からの指示、研修などは未定、こなしきれないなどの声が上がっております。家庭学習の位置づけも強めていますが、環境が十分な家庭ばかりではなく、仕事などで一緒に見守ることができない親もおり、教育格差が広がるのではないかと危惧されております。
今年度は新型コロナ感染のために休校から始まり、いつもなら12か月かけて教育課程を進めるのに、10か月でと、どの学年も急ぎ足で、様々な我慢を続けてきた子どもたちに今何が必要なのかを考えれば、やはり少人数学級の実現ではないでしょうか。
第3回定例議会で我が党の代表質問で、一斉休校の後の10人から20人程度の分散登校の経験は、少人数で学習する教育のよさが子どもからも教師からも上がり、心身のケアが必要な子どもに少人数教育が一番いいのではと質問しましたが、小黒教育長の答弁は、「分散登校は、あくまで感染症対策の一環として3密を避けるため」と答え、「区独自に講師を配置し、算数、数学、英語について習熟度別少人数指導を展開し、きめ細やかな指導ができるようにしております」と答えました。
学校は学力を上げるためだけではありません。子どもたちが昼間、安全に安心して生活するための居場所で、感染予防などの公衆衛生や生活に必要な知識や情報を提供する福祉的な機能を持ちます。少人数学級化は、それらの充実につながります。我が党が提案しましたが、現在小学校1・2年、中学校1年は35人学級ですので、小学校3年生を35人学級にするには、今年度の児童数から試算しますと59校で14クラス増になります。中学2年では28校で11クラス増で、全校で増えるわけではありません。教室は少人数指導で使用したり、倉庫などに転用している教室の見直しができるのではないでしょうか。教員については、他自治体のように、少人数指導のための加配教員を活用することもできます。
区が少人数学級に踏み出さない理由として、小黒教育長は、「公立の学級編制は、学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を基に、東京都教育委員会が定める学級編制基準に基づいて実施している。国や東京都の動向を注視する」と答弁しました。しかし、その教育長が言っている法律は、第3回定例議会の後の12月、文部科学相と財務相の折衝で、全学年の学級編制を法改正で35人にすることが決まりました。
少人数学級を求める全国市長会、全国都市教育長協議会、日本PTA全国協議会、全国連合校長会、教職員組合などなど幅広い声が財務省を包囲し、孤立させることで、40年ぶりの法改正をこじ開けたのです。現場の教員の誰もが少人数学級を求めているのは周知の事実です。保護者も、地域も、子どもたちが毎日楽しく学校に通えて、落ちついて生活できる学校を求めています。2月15日国会で日本共産党畑野君枝議員の質問に、菅首相が国会で、首相として初めて、「中学校にも少人数学級を検討する」と答弁もしています。第3回定例議会時と状況は大きく変わりました。
そこで伺います。新年度は小学校3年生、中学2年生の35人学級を区独自で行うことを求めます。お答えください。
国は、小学校2年生から小学校6年生の学級編制標準を、5年かけて1学年ごと引き上げると言っています。新型コロナ対策で教職員の長時間労働は深刻化し、離職が増え、教員志望が減るという悪循環を止めるためにも、35人学級を5年間でなく一刻も早く行い、さらに中学校まで広げ、20人程度学級編制を目指すべきと国に意見を上げることを求めておきます。
コロナ禍において、教員の実態は感染防止に神経をすり減らし、毎日の消毒等で業務量は増え、長時間労働が続いています。いつもと違う学習や、楽しみにしていた様々な行事の中止など、大きなストレスを抱えている子どもたちに寄り添って奮闘してくれています。大田区保健所が、小中学校においても、1月7日以前は濃厚接触者の疑いと児童・生徒、教職員にPCR検査をしていたのを見直したことで、教員も、児童も、家庭も不安が広がっています。自費でPCR検査をしている教員もいるそうです。陽性の児童の濃厚接触者が陽性となるクラスターも発生しました。
教員、児童・生徒のコロナ
感染拡大防止策として伺います。小中学校教職員への定期的なPCR検査を行うことを求めます。世田谷区などの他区で実施をしております。保健所に見解を求めるのではなく、大田区教育委員会としてお答えください。
次に、高齢者も現役世代も安心できる自治体福祉の確立について質問します。
貧困と格差が広がり、高齢者と家族が抱える問題が複雑化する中、この間、厚労省も困難を抱えた高齢者を積極的に老人福祉法に基づく措置制度で救済するよう自治体に呼びかけています。また、親の介護のために離職せざるを得ない多くの現役世代が出ていることも大きな社会問題です。区は、おおた高齢者施策推進プランを作成中ですが、高齢者が地域のつながりにより互いに助け合い、地域住民をはじめ多様な主体が互いにつながり助け合うまちづくりと、共助を強調しています。また、機能強化、介護予防・生活支援では、これまで支えられていた人が支える側に回っていく循環を推進しますと、現状維持だけでも大変な高齢者に、自らが努力して共助をせよと言っています。大変現実的ではない自助を促しています。自助と共助を優先にしたおおた高齢者推進プランを見直し、高齢者が安心して住み続けられるために、区が何が必要かについて伺います。
公助の役割として、地域包括支援センターがあります。しかし、現状は、この地域包括支援センターの業務はひとり暮らし高齢者支援をはじめ、総合事業、認知症の支援の拡充、シニアステーションの運営など膨大な業務となっています。職員の負担増は免れず、区民のサービス低下にもつながりかねません。現在22か所で、今後、西蒲田地区で1か所増とのことですが、16万人を超える大田区の高齢者人口からも、1か所当たり3000から6000名程度の国の指標から見ても不足です。
伺います。自助と共助で高齢者福祉の推進を図るのではなくて、高齢者を支える公助としての役割と責任から、地域包括支援センターの設置を少なくとも28か所に増設することを求めます。お答えください。
介護保険第7期事業では、大田区でも要支援1・2を総合事業として通所・訪問サービスを介護保険から外し、様々な問題が出ています。党区議団が行った介護事業者へのアンケートでは、「大田区は、特に卒業というやり方で介護保険外しがひどい」、「ヘルパーの仕事が減った」などの実態がありました。また利用者からも、「デイサービスの回数が減らされたのは納得いかない」、「状態がよくなっていないのに卒業と言われた」などの声が寄せられました。
昨年10月22日、厚生労働省老健局が、総合事業対象者の要介護への拡大を、法律改正ではなく省令改定しました。そして、保険者の判断に委ねるとしております。自治体が本人の同意を強引に取付け、サービスの後退や打ち切りをのませる事例が起こる可能性が心配されています。ますます介護サービスが打ち切られようとしています。さらに菅内閣は、75歳以上に年収200万円以上の人の医療費窓口負担を2倍化することを閣議決定し、高齢者をさらに苦しめようとしています。
介護保険料はこの20年間で、基準月額3070円から6000円へと約2倍になりました。責任は国庫負担を減らしてきた国にありますが、大田区にもできることがあるはずです。17段階所得の上限は、大田区は2500万円ですが、世田谷区では3500万円となっています。大田区の課税標準額3000万円から5億円以下の方が1709人、5億円超えの方は9人おられます。応能負担を広げ、低所得者の保険料の引下げ、所得の多い人の段階を増やすことです。
2月19日区長が追加提出した第8期介護保険事業の保険料の条例改正では、基準額は値上げせず、所得段階第4段階を値下げし、14段階以降の保険料の値上げで応能負担を強めたことは、我が党が一貫して要望したことで評価できます。
伺います。さらに低所得者への保険料の引下げを行うために、第7期で積み立てられた介護給付費準備基金約50億円の全額を使うことです。また、17段階の所得2500万円で上限となっている保険料の所得区分をさらに広げることを求めます。お答えください。
現在介護を巡って問われている目前の大問題は、コロナ危機への対応です。要介護の高齢者への感染予防は、ただでさえ過重だった介護事業者の労働を一層過酷にし、離職が後を絶たず、人手不足で介護事業の運営を厳しくしております。
そこで伺います。コロナ禍で倒産廃業が増加している介護事業者への減収分の補填を区独自で行うことを求めます。お答えください。
コロナ禍で苦しむ住民の課題を解決するのは、住民に最も身近な自治体の現場しかありません。大田区長もその立場に立つことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 清水議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、核兵器禁止条約についてのご質問ですが、菅首相は1月22日の参議院本会議においても、昨年11月の参議院での答弁に引き続き、我が国の立場に照らし核兵器禁止条約に署名する考えはないとして、署名についての考えを明らかにしています。また、核兵器のない世界を実現するためには、核兵器を保有する国を巻き込んで核軍縮を進めることが不可欠であり、立場の異なる国々の橋渡しに努める決意であるとして、条約発効後も日本政府としての考えに変わりがないことを示されました。区といたしましても、これまで繰り返し申し上げているとおり、区民の皆様とともに平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくという趣旨に沿って、平和都市実現のため、引き続き基礎自治体として平和関連の各種事業を着実に進めてまいります。
次に、新空港線の予算に関するご質問ですが、令和3年度予算は、「新たな日常の実現」に向けた変革を進める予算と位置づけ、4つの重点課題を掲げるとともに、区の発展の礎となるまちづくりを着実に推進する観点から、鉄道・都市づくり関連事業は非常に重要であります。特に新空港線につきましては、事業を進める上でその財源の確保も必要不可欠であります。現在、コロナ禍で打撃を受けた区民生活及び区内経済の早期の復興に全力を注いでいるところです。その一方で、持続的に区を発展させるため、国土強靱化に取り組むことも非常に大切なことです。さらに、ポストコロナ社会を見据え、都市政策にも取り組む必要があります。その一翼を担うのが新空港線であります。加えて、新空港線は単なる鉄道整備だけではなく、まちづくりと連携して行う事業であることから、地域の活性化に大きく寄与するものです。以上のことから、新空港線の予算を他の事業に回すことは考えておりません。
次に、保健所の体制拡充などについてのご質問ですが、区は新型コロナ感染症の感染拡大に対し、これまで保健所内の保健師のみならず、福祉部の保健師を兼務配置し、人員体制を強化するなど対応しております。また、電話相談窓口の業務の一部を外部委託し、さらに緊急対応として、全事務務事業の見直しによる経営資源の再配分を行い、感染症対策課をはじめ、優先度の高い施策を実施する所属へ人員を再配置しました。加えて、年末年始における感染急拡大を受けて、各部局の職員による応援体制を取り、一段と体制を強化するとともに、専門資格を持つ会計年度任用職員の配置を予定しております。保健師の増員につきましては、適切な確保に努めており、引き続き区民の安全・安心のために、全庁一丸となって全力で取り組んでまいります。
次に、高齢者施策のPCR検査及び事業者支援等に関するご質問ですが、コロナ禍の厳しい状況において、介護従事者の感染リスクに対応すべく、東京都では特別養護老人ホーム等の施設に対し、検査資材の配布をするなど、広域的かつ面的な対策が講じられております。区も、東京都との共同による
感染拡大防止対策推進事業を通じ、PCR検査について必要な対策を取っています。事業者へのバックアップ体制につきましては、利用者の生活を守る上で必要な場合は区として応援体制を取りますが、現在まで区に対し、介護従事者の応援要請等はなく、対応が必要な状況には至っておりません。各事業者が適切な対策を講じながら事業を継続しているものと捉えています。東京都への要望につきましては、高齢者施設における
新型コロナウイルス感染症対策強化事業により、反復的なPCR検査の実施が可能となっており、必要な措置が取られているものと考えています。このことについては、区としても各施設に周知しております。
次に、保育園等の職員へのPCR検査の実施に関するご質問ですが、PCR検査は完全なものではなく、陽性であっても陰性と判定されることもあることを念頭に、検査の範囲を決定し、得られる結果に基づき対応することが重要です。区はこれまで、陽性者が発生した施設へ全例調査を行い、保育園等においては濃厚接触とは認められない場合もPCR検査を実施してまいりました。年末年始からの患者数急増のため、暫定的に濃厚接触者以外の検査は実施しておりませんでしたが、今後は感染者数の状況により対応方針を変更する考えです。今後も感染を広げないため、引き続き適切に対応してまいります。
次に、医療機関へPCR検査の費用の支援に関するご質問ですが、まずは日々献身的に患者への対応をしていただいている医療従事者の皆様に、心から感謝を申し上げます。区は、患者発生のあった医療機関についてPCR検査を幅広く実施することを方針としてまいりました。今後、新型コロナワクチンの接種が開始され効果も見込まれます。よって、現時点では定期的なPCR検査を実施する考えはありません。
次に、医療関係者への慰労金を含め病院への支援に関するご質問ですが、病院の経営が厳しい状況や医療従事者の労をねぎらう目的から、国や東京都は必要な支援を講じてきました。区は、陽性患者の入院を受け入れている病院への支援、加えてコロナ患者の病床を確保する支援を行っており、慰労金支給や病院への補填をする考えはありません。区は、引き続き区民の健康と安心を守るために全力で取り組んでまいります。
次に、コロナ禍における事業者への支援に関するご質問ですが、国内で初めて感染者が確認されてから1年余りが経過し、この間経済活動に大きな制限がかけられ、区内事業者の皆様に非常に大きな影響が生じてきております。中小事業者に対する支援策といたしましては、国においては持続化給付金や家賃支援給付金などが、また東京都においては
感染拡大防止協力金や飲食店・宿泊施設等への感染症対策支援といった直接的な支援が実施されてまいりました。区といたしましては、国や東京都などが行う支援と同じ目線ではなく、地域における新たな経済循環の創出や
感染拡大防止の効果をより一層高める支援等を行ってまいりました。現在、新規感染者数は減少傾向にありますが、まだまだ予断を許しません。引き続き、国や東京都の動向を注視するとともに、区内産業支援に全力で取り組んでまいります。
次に、融資あっせんに伴う据置期間の延長に関するご質問でございますが、新型コロナウイルス対策特別資金については、あっせん金額が770億円を超えるなど多くの区内事業者の皆様にご利用いただいております。昨年4月の大幅拡充に伴い、元金据置期間も6か月以内から12か月以内に延長したことで、少しでも事業環境の維持、回復にお役立ていただけているのではないかと考えております。一方で、返済期間を108か月以内としている中で、据置期間のさらなる延長を行うと、実際の返済期間が短くなることから、1回当たりの返済金額が増加し、かえって事業者の負担が増えてしまうことも考慮しなければなりません。融資あっせんは、最終的には金融機関と利用者の間で返済に係る条件等をご調整いただく必要がございます。これらを総合的に勘案し、区といたしましては据置期間のさらなる延長を行うことは考えておりません。
次に、生活保護の人員体制及び広報についてのご質問ですが、社会福祉法において生活保護法の適用を受ける被保護世帯数により、ケースワーカーなどの現業員の人数が標準として定められております。この標準の人数を踏まえ定数算定したうえで、各生活福祉課に職員を配置しております。また、生活保護制度の周知に関しましては、必要な場合はためらわず相談に来ていただくよう区のホームページにおいてご案内してしているほか、生活再建・就労サポートセンターJOBOTAでは、経済的な問題、就労などについての問題など相談対応をしており、相談内容に応じて、区の生活福祉課に対応を引き継いでおります。今後も、社会情勢や被保護世帯数の動向を的確に把握し、適正な職員配置に努めるとともに、必要な方が生活保護を受けられるよう周知を進めてまいります。
次に、生活保護の扶養照会に関するご質問ですが、生活保護法では、扶養義務者による扶養は保護の前提条件とはされておりません。福祉事務所では、国の通知に基づき扶養照会を行っておりますが、その際には、DV関係者をはじめ、社会福祉施設入所者や、長年、音信不通の方等には扶養照会を行わないようにしております。また、生活相談の段階で職員から親族への扶養照会が保護の要件であるかのような説明は行っておりません。今後も国の動向を注視し、適切に対応してまいります。
次に、国民健康保険料に関するご質問ですが、まず来年度の保険料についてですが、現在、特別区では共通基準に基づき均等割の割合を低く抑え、所得の低い方の負担に配慮したものとしております。また、独自の激変緩和を実施し、被保険者の負担抑制を図っております。来年度の保険料算定に当たりましては、
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特殊な社会情勢に鑑み、区財政の状況や長期的な財政規律の確保も視野に入れ、今年度同様の激変緩和を維持した保険料案を、2月20日の大田区国民健康保険運営協議会に諮問し、原案を適当と認める答申をいただきました。保険料の負担軽減の在り方につきましては、制度の趣旨を踏まえ、都内保険料水準の統一を将来的な方向性としている23区の中で、引き続き対応してまいります。
次に、子どもの均等割保険料についてですが、均等割保険料は国民健康保険制度から等しく利益を受けることに対する応益分として被保険者にご負担をいただいております。子どもの均等割保険料の軽減につきましては、これまでも特別区長会として国へ要望してまいりました。国は、今国会において、子どもの均等割保険料の軽減措置を含む健康保険法等の一部を改正する法律案を提出しております。財源は国2分の1、都道府県4分の1、区市町村4分の1の負担割合の案が示されております。均等割保険料の在り方につきましては、国の制度の中で検討すべきものと考えております。区としては、今後も国の動向を注視し、状況に応じて特別区長会を通じて国へ要望してまいります。
次に、保険料減免についてのことですが、新型コロナウイルス関連の保険料減免は、昨年4月7日に閣議決定された緊急経済対策の一つとして設けられたものでございます。今年3月31日までの納期限を迎える保険料で、勤務形態にかかわらず、事業収入の減少などが対象となっております。対象の拡大については、今後の状況に応じて特別区長会を通して国へ要望してまいります。なお、区では保険料減免について様々な広報媒体を通じて周知に努め、国の財政支援の中で減免を行っております。区独自の保険料減免につきましては、他の被保険者との公平性の観点から困難と考えております。区では、様々な事情により納付が困難である場合は、徴収の猶予などの相談や関係機関のご案内を行っており、引き続き丁寧に対応してまいります。
次に、地域包括支援センターの整備に関するご質問ですが、区が設置する地域包括支援センターは、高齢者の方々の総合相談支援の窓口であるとともに、地域の多様な関係者と連携・協働を行い、生活課題の解決に取り組んでおります。区は、地域包括支援センターを地域包括ケアシステムのさらなる推進を図るための中核的機関と位置づけ、機能強化、整備を進めております。整備については、おおた高齢者施策推進プランに基づき、18特別出張所の日常生活圏域ごとに、高齢者人口などの地域特性を踏まえた配置を進めており、令和2年4月には馬込地区に新たに地域包括支援センターを整備し、現在区内の22か所に設置しております。令和3年度においては、蒲田西地区に新たに1か所の整備を検討しております。区は、今後も計画に基づき適時適切に整備を進めてまいります。
次に、介護保険制度に関するご質問ですが、本日、区議会宛てに
介護保険条例の一部を改正する条例について提案をさせていただきました。今回の改正では、改正介護保険法施行令が4月1日付けで施行されることが決定したことに伴い、区といたしましても、その内容に準拠した所要の改正を行い、また、計画期間が令和3年から令和5年までとなることに伴う改正、保険料に係る改正などを提案し、区議会においてご審議をいただくことになっております。今回の
介護保険条例の改正案を取りまとめに当たりましては、厚生労働省が設置している社会保障制度審議会の議論の動向や基礎自治体に求める姿、また介護報酬の改定幅など、国の動向を見極め、持続可能な介護保険制度となるべく提案をさせていただきました。保険者である区といたしましては、介護保険制度に対する運営責任があり、今後も関係法令を遵守し、適切に対応してまいります。
介護事業者の収入に関するご質問ですが、
新型コロナウイルス感染症の感染者が国内で確認され1年が経過しましたが、いまだ収束が見通せず、介護事業者を取り巻く経営環境が大きく変化いたしました。この間、区は、国、東京都とともに連携しながら事業者の経営の安定化などに努め、事業者の減少などにより必要な介護サービスを受けられない方が生じないよう努めてきたところです。その結果、大田区に対し、経営難を理由に廃業を届け出た事業者はこの1年間顕著な増加は見られず、各種施策の成果が出ている結果と考えております。区内の介護事業者の経営状態には引き続き注視し、国、東京都と緊密に連携を図り、事業者を支えてまいります。このため、現時点では介護事業者の減収に関する大田区独自の支援については考えておりません。私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 小学校3年生、中学校2年生の35人学級の導入に関するご質問ですが、現在国においては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の改正の準備が進められております。改正案におきましては、令和7年3月31日までの間における学級編制の標準について、第2学年から第6学年まで段階的に35人とすることを旨として、毎年度、政令で定める学年及び文部科学大臣が定める特別の事情がある小学校にあっては40人とするとの経過措置規定が設けられております。こうした点を踏まえますと、国においても、学級編制の標準の引下げは段階的な導入が現実的と判断されたものと認識しております。したがいまして、35人学級を早急に推進することは困難であると考えております。
次に、教職員に定期的にPCR検査を行うことについてでございますけれども、学校において、2月15日現在、児童・生徒、教職員合わせて156名の陽性者が発生しており、このうち教職員は28名となっております。学校では陽性者が出た場合には、保健所の指導の下、感染防止に万全を期しており、現在まで集団発生は確認しておりません。また、国の感染症対策本部による「
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、感染が拡大している地域においては、医療・介護従事者など関係者に対する幅広いPCR検査の実施に向けて取組を進めるとしております。このことから、現時点におきましては、教育委員会といたしましては、感染が疑われる者に対しPCR検査を実施する現在の対応を継続してまいります。今後、国や都の動向を注視し、保健所の指導の下で
感染防止対策に安全を期してまいります。
○塩野目 議長 次に、40番須藤英児議員。
〔40番須藤英児議員登壇〕(拍手)
◆40番(須藤英児 議員) 令和大田区議団、須藤英児です。
初めに、サーズ・コブ・ツー、いわゆる新型コロナウイルスの感染で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の治療や研究に当たる医療従事者や研究者の方々をはじめ、社会を支える全ての方々に深く感謝いたします。新型コロナウイルス感染者が日本国内で確認されてから1年と1か月になりますが、社会への影響は甚大で、新興感染症に対する予測と対応、感染防御の難しさを日々考えさせられます。我々大田議会は、命と生活を守る対策を日々考え続けなければなりません。
では、会派を代表して、
新型コロナウイルス感染症関連、安全なまちづくりを軸に、八つの質問をします。
質問1、感染症対策の事前の備え。
新型コロナウイルス感染症をはじめ、感染症の大流行は災害と言えます。特にコロナウイルスやインフルエンザウイルスなどのウイルスは遺伝情報が変異を繰り返すため、常に新たな大流行を予測し、備え、被害を最小限に抑える減災の観点が必要です。昨年、令和2年1月、国内で新型コロナウイルスの感染者が発見されて以降、国内でマスクが不足し、7倍から10倍の高値で取引されていた時期もありました。遡ること11年前の平成21年5月、神戸で新型の豚インフルエンザウイルスの国内感染が確認されたときも、すぐに近畿地方でマスク不足が始まり、マスク不足の状況は数日で全国に広がりました。必要なものを必要なときに必要な量だけつくり供給する、原則在庫を抱えない現在の日本の流通体制では、今後も起こり得る世界的な感染症の大流行への対応は難しく、有事の際、感染防御関連商品の入手困難な状況が予想されます。
そこで伺います。今後起こり得る新規の感染症の拡大に備えて、サージカルマスク、N95マスク、ゴーグル、フェイスシールド、ガウン・エプロン、ニトリル手袋など、個人用防護具と消毒液など、感染防御に必要なものは一定量確保しておくべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
質問2、全校一斉休校要請から1年、教訓を次に生かす。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い急遽決まった令和2年2月28日からの全校一斉休校要請への対応、卒業式、入学式への対応、学校再開後は限られた日数でのカリキュラムの消化への対応と、多くの試行錯誤の中で教育委員会の果たしてきた役割は大きく、その実績を高く評価しております。
そこで伺います。今回の数々の経験とその対応は、新たな感染症の大流行だけでなく、毎年起こる季節性インフルエンザによる学級閉鎖の回避、大災害による臨時休校への対応など、得られた多くの教訓を次に生かすことができると考えます。1年間を振り返り、できたこと、できなかったこと、分かったことなどをお聞かせください。
質問3、リスクと向き合う教育。私たちの周りには様々なリスクがあり、それらと向き合って生きていかなければなりません。時にはリスクと知りながらも、便益を得るためにあえてリスクを伴う判断、行動も余儀なくされることもあります。大地震による津波などの自然災害、外国からの武力攻撃、各種犯罪、交通事故、感染症、食中毒、発がん性物質、危険生物など、知っているか知らないかが生死を分けることも多くあります。
例えば津波、10年前の東北地方太平洋沖地震による
東日本大震災では、岩手県、宮城県、福島県を中心に2万人以上の方が津波の犠牲となり、9割以上の方が溺死で亡くなりました。
東日本大震災の教訓は、津波が来る前に早く高いところに逃げることです。大田区に住んでいれば津波とは無縁で、人ごとと感じている方も多いのが現状でありますが、たまたま沿岸近くにいて津波に巻き込まれる可能性はあります。また、318年前の元禄地震と同様の相模トラフを震源域としたマグニチュード8以上のプレート型の大地震が想定外の規模で発生し、想定外の規模の津波が発生する可能性もあります。津波が来る前に早く高いところに逃げる。例えば大森第三中学校の敷地は海抜5メートル、ここから裏山に当たる佐伯山緑地の上部まで上がれば、海抜22メートルの高さまで逃げることができます。海抜22メートルは、大田区の友好都市東松島市が、津波で浸水被害を受けた野蒜地域のまち機能の高台移転のために新たに造成した野蒜ケ丘地区と同じ海抜であります。大地震が発生し、海の近くにいた場合、迷わず津波が来ることを想定し、早く高いところに逃げる。高台がなければ高い建物でもよいので、早く高いところに逃げる。具体的なイメージが具体的な行動につながり、命が守られます。
危険生物としては蜂が要注意です。大田区内で普通に見られるスズメバチやアシナガバチに刺され、毎年国内で20人前後が蜂毒アレルギーによるアナフィラキシーショックで亡くなられています。リスク教育は、恐怖を押しつけるのではなく、丁寧に易しく、子どもたちが納得するような説明がより効果的だと言われています。
そこで伺います。生涯を通じて子どもたちが生き残るために必要なリスクと向き合うための教育に力を入れるべきと考えます。区の考えをお聞かせください。
質問4、羽田空港や多摩川など地域を知る教育。現在、大田区内の小中学校では、地域を知る教育として、羽田空港、大田市場、ごみ処理場、多摩川について学んでいるとのことですが、より地域を知る教育に力を入れるべきと考えます。特に羽田空港や多摩川からは多くのことを学ぶことができます。羽田空港で働く方は約5万7000人、そのうち大田区民は約1万8000人で約32%を占め、74万人の大田区人口の約2.4%を占めます。これは、息子や娘の小中学校のとき、クラスに1人は羽田空港関係者を親に持つ子どもがいたことからも納得できます。大田区を知らない方にも、羽田空港を持つ大田区と説明すると、大抵の方には位置を分かっていただけます。また、航空機の出す音から、音は波であることを理解できれば、音の大小、音の高低、音色、音の屈折、音のドップラー効果なども、より明確にイメージできます。
多摩川から学ぶことも多いです。多摩川は山梨県にある笠取山から羽田沖まで1都2県30市区町村にまたがり、西から東に全長138キロメートルの長さを誇る一級河川です。令和元年台風19号の大雨により多摩川の水位は上昇し、その影響により大田区も700棟以上の浸水被害があったことは記憶に新しいことと思いますが、遡ること47年前の昭和49年にも、大田区内で40棟以上の浸水被害がありました。このとき狛江市では多摩川の堤防が決壊し、民家19棟が多摩川に流失し、「岸辺のアルバム」というドラマが誕生しました。多摩川の最下流部に位置する大田区は、過去に何度も増水による浸水被害に遭っていて、さらに高潮による浸水被害のおそれがあることも知る必要があります。
また、多摩川では多種多様な生き物の存在を確認できます。空を見上げればチョウゲンボウなどの鳥類、草原にはトノサマバッタなどの昆虫類、川中にはテナガエビなどの甲殻類を確認することができます。また、川の水を採取しプレパラートを作成すれば、様々な動物プランクトンや植物プランクトンを顕微鏡観察することができます。私も小学生の頃は、多摩川でクサガメを捕まえたり、鯉の吸い込み釣りをしたりしました。多摩川を知ることで災害の脅威や多様な自然環境を学ぶことができます。
そこで伺います。大田区に約1万8000人が働く羽田空港、災害や自然環境を学べる多摩川など、身近な地域を題材にした教育にもっと力を入れるべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
質問5、
区民一人ひとりが考える避難行動。8年前、3万人出場の東京マラソンに参加したとき、トイレが原因で最後尾から出発、スタートゲートをくぐれたのは先頭の出発から30分遅れでした。結果3万人の群衆を800メートル移動させるのに30分も必要なことを身をもって体験いたしました。平時でも困難な群衆の移動、人口の集中する都市部において、大地震発生時や大型台風接近時の避難行動には多くの時間が必要で、混乱と困難を伴います。平成24年に出された東京湾北部地震による大田区の被害想定では、蒲田駅周辺の帰宅困難者人数は5万6149人で、さらに地域住民を合わせると、蒲田駅周辺だけで10万人以上の人であふれることが想定されます。
台風や前線に伴う大雨など進行型の災害の場合、避難行動はあくまでも私たち区民が主体となり、考えて行動し、それを行政が全力で支援する体制が理想的です。これは、令和3年2月2日に流域治水関連法案が閣議決定されたことにより、さらに推進されると考えています。自宅の災害リスクをハザードマップなどで確認し、被害が予想される場合は、接近時期や規模を想定し、家庭ごとに避難行動計画を立て、自宅内で垂直避難するか自宅外へ避難するかなどを早めに考え判断し行動する、早め早めの対応が必要です。区では令和元年度から、区内各地でマイ・タイムライン講習会を開催し、令和2年度から要支援者向けのマイ・タイムライン講習会を開催するなど、
区民一人ひとりが考える避難行動の普及活動に力を入れていて、極めて有効な啓発活動と考えます。ただし、毎年台風が通過し、大きな影響を受けている沖縄県では、マイ・タイムライン講習会は開催されていないとのことです。それは、沖縄県では台風接近数日前から、各自が台風に対する避難行動計画を立てることは当たり前のことだからです。このことは、私も沖縄県に何度か伺い、実感しております。大田区でのマイ・タイムライン講習会の普及活動は今年3年目、まだまだ粘り強く継続する必要があると考えます。
そこで伺います。大田区も、沖縄県のように当たり前になるまで
区民一人ひとりが考える避難行動への取組を繰り返し続けるべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
質問6、地震災害に強いまちづくり。現在、東京都に甚大な被害を及ぼす大地震の主たる想定は、東京湾北部を震源とするマグニチュード7クラスの断層型の東京湾北部地震でありますが、相模トラフを震源域とする海溝型の元禄型関東地震も要注意です。海溝型の元禄型関東地震の想定はマグニチュード8クラスで、地震エネルギーは、東京湾北部地震の30倍以上です。神奈川県と隣接する大田区は甚大な被害が発生する可能性があります。
現在の大都市東京は、大正12年の関東地震による大規模被災後につくられた災害に強い復興まちづくりにより、大幅に改善されました。幹線道路の整備、逃げ遅れ防止と災害時の避難場所として、都内各所に大規模公園を整備してきました。しかし、大田区は関東地震での被害が少なかったため、幹線道路の整備や大規模公園の整備が不十分だったと感じます。道路の整備や大規模公園の整備には長い時間がかかりますが、一つ一つの建築物の耐震化、不燃化を進め、大田区中の建築物を壊れない建物、燃えない建物で占め、大田区中を壊れない、燃えないまちにすることはできると考えます。
平成7年の兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災発災以降、区は公共建築物の耐震化に取り組み、他区に先駆けて区立小中学校の耐震化を進めてきました。また、民間建築物に対しても、助成制度や各種の啓発活動により耐震化を進めてきました。大田区の住宅の耐震化率は平成21年度末の79.2%から平成29年度末で88%まで向上し、現在ではさらに上昇しているものと思われます。これまで区がリーダーシップを取る形で公共建築物の耐震化に取り組んできた姿勢は評価できます。今後、昭和56年以前の旧耐震基準の建築物は築40年以上となり、より一層除却、建て替えへの流れは加速すると思われます。これからも、除却、建て替え、または耐震改修工事の推進により建築物の耐震化率をさらに高めることは必要です。
ここで伺います。コロナ禍の中でも区民の命に関わる防災対策は着実に進める必要がありますが、建築物の耐震化は所有者の責任で進めるものです。長期化する
新型コロナウイルス感染症の影響の中で、各家庭の経済状況なども異なり、それぞれの建築物所有者のご事情に応じて様々な選択肢を提示し、現実的な解決策につなげていく必要があります。経済的、年齢的なものや、建て替え意向など個別事情を踏まえた相談業務を強化し、コロナ禍の今こそ、
区民一人ひとりに寄り添って不安を解消しながら耐震化を進める取組が必要と考えますが、区の考えをお聞かせください。
なお、昭和56年以降の新耐震基準の木造建築物のうち、平成12年の建築基準法改正前に建てられた建築物は、平成28年熊本地震においても倒壊例が報告されており、耐震性に課題があります。こうした新耐震基準の建築物にお住まいの方に対しても、不安を解消していただくための相談業務は欠かせません。こうした方を含め、区では区民の不安を解消するための相談業務にしっかりと対応していただくことを強く要望しておきます。
質問7、耐用年数を迎える公共施設の対応。大田区公共施設等総合管理計画によると、区の公共施設のうち、築30年以上経過した施設が65%を占めており、特にこらぼ大森や北蒲広場は築50年を過ぎている状況です。学校施設をはじめ、区内の公共施設は昭和30年代から50年代を中心に、高度経済成長期の人口増加に対応して建てられた施設が多く、あと十数年後には耐用年数を迎えます。
そこで伺います。公共施設の更新に合わせたサービスの提供方法や維持管理の在り方、複合化などにより発生した跡地の活用について、区の考えをお聞かせください。
質問8、最後に大森駅西口広場の都市計画事業について。私の生まれ育った大森駅西側地区、70年以上にわたって未整備となっていた補助第28号線と大森駅西口広場の都市計画は素案が作成され、法令に基づく都市計画手続きがスタートする段階まで来たことを非常にうれしく感じております。開発予定地である山王小路飲食店街、通称地獄谷周辺は、私が小学生のとき泥警などの遊び場であった頃とあまり景色も変わらず、懐かしさと、今でも親しみを感じています。消防団員として何度も巡回警戒をさせていただきましたが、現状、防災・防犯の点で心配な点は多いです。
そこで伺います。大森駅西口広場の都市計画事業に向けて、防災・防犯の点で改善や向上を図るべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
質問は以上ですが、令和3年2月13日の福島県沖地震、令和元年台風15号の教訓を生かし、大きな揺れや強風を想定した各家庭での屋根や塀の対策を模索し、提案をしていきたいと考えています。以上です。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 須藤議員の代表質問に順次お答えさせていただきます。
まず、感染症流行に備えてマスクなど感染症対策物品の備蓄についてのご質問でございますが、区は、新型インフルエンザや現在継続している
新型コロナウイルス感染症のように新たな感染症の流行に備え、以前より保健所職員が患者や施設の調査時に必要な防護服について、エボラウイルス病のような一類感染症で使用するタイプから簡易なタイプまで備蓄しております。また、新型インフルエンザなど予防接種の実施の際に、すぐに接種体制が取れるよう注射器10万本、マスク約14万枚などの衛生資材も備蓄しております。今回の
新型コロナウイルス感染症流行の経験を踏まえ、感染対策に関する物品の備蓄が重要と再認識しております。今後、感染拡大を防止するために必要な物品の種類や量に関して改めて検討し、適切に対応してまいります。
次に、避難行動の啓発についてのご質問ですが、近年、海面水温の上昇など温暖化による影響が地球規模に及び、大田区におきましても、かつて経験したことのないほどの大量の雨が短時間に降ることが多くなっています。このような想定外の先の読めない気象変化から大切な命を守るためには、区民の皆様にも、風水害を「我がこと」として捉えていただき、自ら考え判断し行動するという習慣を身につけていただくことが不可欠です。
区は、区民の方々に災害時の避難行動をご自身で考えていただくための取組の一つとして、令和元年度からマイ・タイムライン講習会を実施しています。私も参加しましたが、時系列に沿って災害時の行動を考えるという点で、災害対策本部長として、本部の設置や避難場所の開設時期を確認するよい機会となりました。令和3年度は、こうした取組を継続するとともに、自宅等でも効果的に学習していただけるよう、大田区版マイ・タイムラインの作成支援動画を作成し、ホームページに掲載することで、全区民への周知啓発をより一層加速してまいりたいと考えております。区民お一人おひとりが風水害への備えを自ら考えるという習慣が、若い世代から高齢者まで幅広い世代に定着し、自然災害への備えが普段の生活の中に浸透するよう、あらゆる機会を通じて、粘り強く取り組んでまいります。
次に、建築物の耐震化に関するご質問ですが、区では令和元年度から開始した木造住宅除却工事助成の対象住宅約2万1000戸に対し、順次制度チラシを配付し、希望者に対して個別相談を行っております。相談の際には建築物の耐震性に関することに限らず、改修費用や工事後の生活面に関する相談もございます。愛着のあるご自宅を建て替えや耐震改修するには、所有者自身がどのような住宅に今後住み続けるのか、一定の決断をしていただく必要があります。区では、建物所有者が納得して耐震化に踏み込めるよう、個別事情を踏まえた耐震化の提案を行っています。子ども世帯との同居をお考えの方には、木造住宅除却工事助成を活用した二世帯住宅への建て替えをご提案し、現在の建物に住み続けたいという方には、耐震改修助成を活用したリフォームをご案内しております。また、経済的に建物自体の耐震化が難しい方には、耐震シェルター助成などもご案内しております。引き続き、建物所有者の立場に寄り添い、個々のニーズに応じて様々な助成制度をご紹介するなど、丁寧な相談業務を通じて、首都直下地震から区民の命を守る耐震化の取組を進めてまいります。
次に、公共施設の整備に関するご質問でございますが、区が保有する公共施設につきましては、学校施設をはじめ施設全体の約半数が築40年を経過しております。今後の公共施設整備に当たりましては、こうした現状や人口構成の変化、多様化・高度化する区民ニーズに加え、中長期的な財政見通しも的確に捉えながら、計画的、安定的に取組を進めていく必要があります。
こうした中、区では、地域包括支援センターと特別出張所の複合化をはじめ、特別出張所を中心に公共施設を複合化・多機能化することで、区民からの様々な相談や手続きをワンストップで提供するなど利便性の向上を図ってまいりました。さらに、計画的な修繕計画に基づく建物の維持管理に加え、公共施設の更新に当たりましては施設の建て替えのみならず、建物の耐用年数の延伸を図る長寿命化改修を併用することで、財政状況を踏まえた施設の維持保全を進めてまいりました。また、公共施設整備により発生しました建物や土地などの跡地につきましては、周辺地域の公共施設の整備状況などを踏まえ、着実に有効活用を進めております。今後も引き続き施設の適正配置の実現や施設の集約及び有効活用など、大田区公共施設等総合管理計画にて位置づける五つの柱を中心に公共施設整備を進めることで、効果的・効率的な施設マネジメントによる区民サービスの維持向上を実現してまいります。
次に、大森駅西口広場の都市計画事業に関するご質問ですが、大森駅はJR東日本の単独駅では都内トップクラスの乗降客数を誇りますが、大森駅西口には駅前広場がなく、災害時の避難道路に指定された池上通りも十分な歩道幅員がない状況であります。さらに、山王小路飲食店街の区域においては、小規模敷地の木造建築が建ち並び、緊急車両が地形的に進入できないなど避難場所として活用できる広場空間が不足し、災害時の危険性が高いことから、現下の防災・防犯面において焦眉の課題があります。
そこで区は、平成23年に策定した大森駅周辺地区グランドデザインに基づき、地域住民の皆様とまちづくりの検討を重ねたうえ、令和2年12月、都市計画変更素案説明会を開催し、都市計画事業の実施に向けて第一歩を踏み出しました。大森駅西口広場については、区が主体となって山王小路飲食店街の区域に新たな都市計画施設を整備し、オープンスペースを確保することにより、災害時における帰宅困難者の一時滞留空間や救護場所に活用するなど、都市の機能を高め、地域の防災・防犯の向上に寄与してまいります。私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 学校における
新型コロナウイルス感染症対策に関するご質問です。教育委員会では、子どもたちの命と健康を守ることを最優先に考え、感染防止と学習保障の両面で家庭との連携を図りながらこれまで対応してまいりました。
まず、できたことといたしましては、学校における感染拡大の防止が挙げられます。教育委員会が策定した「大田区立学校における
新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」の中で、具体的な活動場面ごとの感染症予防対策等を示し、それに基づく教育活動を行うことで学校での集団発生を防ぎました。一方できなかったこととしては、臨時休業期間における子どもたちの学習保障が挙げられます。今回、ホームページやユーチューブでの動画配信等を通してICTを活用した学習支援を行いましたが、ICTの環境整備の途上であったことから、オンラインによる学習や子どもの状況確認など、一部不十分な点もあり、臨時休業中は思うように教育活動を前に進めることができませんでした。現在、小学校は1人1台のタブレット端末の配備が終了し、6月には中学校にも配備が終了する予定ですので、今後は今回の経験を他の災害等にも活かしてまいります。また、分かったことといたしましては、このコロナ禍におきましても、しっかりマスクをつけるなど感染防止に努めることで、学校での感染を防ぐことができるということでございます。これからも感染防止に努めながら、コロナ禍を超えて新たな教育活動を創出してまいります。
次に、リスクに向き合うための教育に関するご質問でございます。まず、リスクに対して正しく理解を深めることが大切であると考えております。現在、各学校では、安全教育を推進するための実践的な指導資料である安全教育プログラムを活用して学習を行っております。地震、火災などの災害発生時や交通事故、または病気、けが等についてのリスクに対して理解を深めております。加えて、様々な訓練を通して、子どもたちが生涯にわたって自らの安全を確保できる力を身につけています。
防犯などについて学ぶセーフティ教室や薬物乱用防止教室を年1回開催するとともに、交通安全教室や着衣泳なども実施しています。また、月1回の避難訓練では、災害時の状況を想定した訓練を実施しております。例えば地震発生時を想定し、児童・生徒が防災ヘルメットを頭にかぶり、落下物から頭部を保護しながら避難するというような訓練も行っております。ほかにも、不審者対応、Jアラート発報時、火災発生時などを想定した訓練を実施しております。さらに、毎月の安全指導では、自然災害だけではなく、生活安全や交通事故防止についても指導しております。今後も子どもたちに災害や事故、犯罪の危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育成してまいります。
次に、羽田空港や多摩川など身近な地域を題材にした教育についてのご質問です。おおた教育ビジョンにおいて、「地域の特色を生かし、学校・家庭・地域が連携・協働して子どもを育てる」をビジョンの一つに設定してございます。このビジョンに基づき、区立小中学校では、地域の特色を生かした教育活動を展開し、地域を知る教育に力を入れております。区が誇る羽田空港は、小学校3年生の社会科で「わたしたちの大田区」という学習の一環として、社会科見学で多くの学校が訪問しております。また、多摩川近隣の学校では、自然環境を教材とした生活科や理科、総合的な学習の時間での学習を行っております。例えば3年生の総合的な学習の時間では、多摩川ウォッチングを行っており、多摩川の自然についての理解を深めています。その中で「ガサガサ体験」という名称で、実際に多摩川に出かけ水生生物の観察をする活動をしております。また、ライフジャケットを着て多摩川に入り、採れた生き物を育てながら観察しております。引き続き、地域の特色を生かした教育活動を重視し、我がまちおおたに対する理解を深めながら、愛情を育んでまいります。
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○塩野目 議長 本日はこれをもって質問を打ち切り延会とし、明2月25日午前10時から会議を開き、質問を続行したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩野目 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって延会といたします。
午後5時1分延会...