大田区議会 2020-02-21
令和 2年 第1回 定例会−02月21日-02号
令和 2年 第1回 定例会−02月21日-02号令和 2年 第1回 定例会
令和2年第1回定例会 大田区議会会議録 第2号
2月21日(金曜日)
出席議員(50名)
1 番 田中一吉 2 番 松原秀典 3 番 高瀬三徳
4 番 岸田哲治 5 番 大森昭彦 6 番 塩野目正樹
7 番 押見隆太 8 番 鈴木隆之 9 番 湯本良太郎
10 番 伊佐治 剛 11 番 深川幹祐 12 番 長野元祐
13 番 渡司 幸 14 番 高山雄一 15 番 海老澤圭介
16 番 松本洋之 17 番 岡元由美 18 番 勝亦 聡
19 番 広川恵美子 20 番 秋成 靖 21 番 玉川英俊
22 番 田村英樹 23 番 大橋武司 24 番 小峰由枝
25 番 椿 真一 26 番 田島和雄 27 番 末安広明
28 番 大竹辰治 29 番 清水菊美 30 番 黒沼良光
31 番 佐藤 伸 32 番 菅谷郁恵 33 番 福井亮二
34 番 荒尾大介 35 番 杉山公一 36 番 犬伏秀一
37 番 三沢清太郎 38 番 松原 元 39 番 須藤英児
40 番 植田智一 41 番 庄嶋孝広 42 番 小川あずさ
43 番 平野春望 44 番 野呂恵子 45 番 荒木秀樹
46 番 奈須利江 47 番 北澤潤子 48 番 馬橋靖世
○塩野目 議長 質問に入ります。
鈴木隆之議員、勝亦 聡議員、菅谷郁恵議員、須藤英児議員、松本洋之議員、広川恵美子議員、奥本有里議員、庄嶋孝広議員、田中一吉議員、岸田哲治議員、海老澤圭介議員、杉山公一議員、小川あずさ議員、松原 元議員、植田智一議員、馬橋靖世議員から通告がありますので、順次これを許します。
まず、8番鈴木隆之議員。
〔8番
鈴木隆之議員登壇〕(拍手)
◆8番(鈴木隆之 議員)
自由民主党大田区民連合の鈴木隆之でございます。会派を代表し、質問をいたします。
初めに、連日報道されております
新型コロナウイルスに関してお聞きします。
本来であれば、次年度予算の概要から財政状況の見通しを軸とし各質問に入るところではありますが、羽田空港を擁する本区としては、他の自治体以上に危機管理体制が問われる課題であり、その重要性を鑑み冒頭に見解をお聞きいたします。
昨年12月末より、中国湖北省武漢市を中心として原因不明の肺炎患者が増加していることが判明し、今年1月に入り、
新型コロナウイルスによる感染症と報告されました。
コロナウイルスは世界的に流行を起こした
重症急性呼吸器症候群SARSや
中東呼吸器症候群MERSの原因としても知られております。第3回大田区
新型コロナウイルス感染症対策本部会議が行われた2月17日時点では、中国では6万8500例、国内においては53例の患者が報告されております。また、横浜港に停泊中のクルーズ船の乗員乗客3711名のうち355名が検査陽性との報告がありました。また、都内の陽性患者数は12名と、今後さらに増える可能性があります。
1月末より、複数回、武漢市の在留邦人のため
政府チャーター機が羽田空港に到着しました。症状のある方は、荏原病院を含む都内複数箇所の
感染症指定医療機関に搬送されたと聞き、不安に思っている区民も大勢おります。時間が経過するごとに感染が身近なものとなり、特に幼い子どもや高齢者のいる世帯ではさらに不安は募るものと思われます。対策が急がれる中、関係所管の方々は連日遅くまでその対応に追われておりますが、ご自身の体調にも十分にご留意をいただきながら、今後も職務に当たっていただきたいと思っております。
このように、
新型コロナウイルスの国内感染者が増加している中、空港や指定医療機関を持つ本区としてどのように受け止めているのか、正確さ、冷静さを保ちながらも区における対応はどのようにされているのかお聞きいたします。
17日には、政府からイベント等の自粛の報道がなされ、各方面でも大型イベントの見送りが検討されております。3万8000人規模で行われる予定であった東京マラソンも一般参加者の参加中止が決定をされ、ほかにも全国各地で各種行事の見送りが検討されております。冒頭にも触れましたとおり、本区は日本の空の玄関口である羽田空港を擁し、他を先行するほどの危機管理能力が問われる自治体であります。2月19日に行われた本区の対策本部会議では、3月末までの区主催のイベントの中止または延期が発表されました。区としては国や東京都と連携を密にしながら対策を講じることとなりますが、区単体で対応可能な対策を全て洗い出し、今まさに実行に移すべきであります。区長の第1の使命は、73万大田区民の生命と財産を守ることにほかなりません。イベントの中止から始まり、今後、多方面にわたり非常に苦しい決断を迫られる場面もあろうかと存じますが、今まさに行政と議会が強く連携しこの厳しい局面を乗り越え、区民の安全を確保していくことを要望して、次の質問に移ります。
続いて、危機管理の観点から、昨年日本列島を襲った台風15号、19号の被害を振り返り、今後の風水害を含む本区の災害対策に関してお聞きいたします。
昨年襲った台風15号、19号は日本列島各地に大きな爪痕を残し、区内一部地域でも甚大な被害が発生しました。さきの災害は、区民への素早い正確な情報の提供や、他の自治体との情報共有や連携など、多くの課題を残したものとなりました。昨年の災害を改めて振り返り、区長はどのようなご見解をお持ちでしょうか。議会でも、多くの議員がそれまでの対応の振り返りや反省も含めて、数々の提言がなされました。年々変化する気候の変動で、数十年に一度と言われる風水害がもはや毎年のように襲ってくることも予想される中、その対策は急務となっております。職員の防災力の強化や区の危機管理能力の向上も含めて、今後の備えに関してお聞きいたします。また、台風は数日前からおおよその進路が予想でき、震災と違って数日間ながらも一定程度の備えを講じる時間が与えられます。しかし、震災に関しては、いつ何どき襲ってくるか予想できず、日ごろの備え以外はありません。
近い将来、確実に首都圏を襲うことが予想される直下型地震も含め、これまでの震災対応とあわせた区の考えをお聞かせください。
次に、財政に関してお聞きします。
2020年、令和2年の日本経済は五輪開催でどのような動きがあるのか、開催後の反動についても経済に与える影響が懸念されるという見解もある中、これまで控えてきた建設案件のストックなどの需要もあるとともに、訪日外国人も大きく減少することはないとの見方もしておりましたが、ここのところの世界の動向に加え、現在拡大中の新型肺炎の影響の深刻化が経済活動に大きくマイナス波及するのではとの心配もあります。いずれにしても、世界が目まぐるしく変化しグローバル化する経済環境の中で、先を確実に読むことは難しい時代になったと思わざるを得ません。令和の新たな時代は、急速に進むICT化や少子高齢化、そして予測が難しい激甚災害に対する対応など、本区においても行財政を取り巻く環境を考えると、先行きが見えづらい状況の中でいかに安定的な行財政運営をしていくか、そして、区民の安心・安全、福祉の一層の向上に向けて取り組んでいくことが求められます。
令和2年度予算は、一般会計総額2873億8746万2000円、前年度比1.9%増の、次年度も過去最大の当初予算となっております。子育てや教育、防災対策や健康施策、そしてオリンピック・パラリンピックに至るまで四つを柱とし、防災力の強化、新しい世代の礎となる予算として編成されました。おおた未来プラン10年の成果を踏まえて新基本計画を策定する年に当たり、切れ目ない施策展開を図るため、喫緊の課題に対応するおおた重点プログラムを着実に推進するとし、防災対策を一層強化するなど、区長の強い思いが込められた予算であると考えます。次年度予算に関しては、これから
予算特別委員会が編成をされ、本格的な予算審議が始まろうとしております。我が会派も細部にわたって検証を行わせていただきますが、それぞれの指摘に対し真摯に耳を傾けていただき、最終日の議決に向けてご努力をいただきたく存じます。
そこで、まずは令和2年度予算案を編成し終えた所感と当初予算に込めた松原区長の思いをお聞きいたします。
次に、予算の財源について伺います。ふるさと納税の影響を受けつつも所得環境の改善や人口増などの要因により納税義務者が増加し、特別区民税の増収も見込まれる一方で、法人住民税の一部国税化などの税制改正により、特別区交付金の大幅な減収が想定されております。また、昨年の台風19号の経験を踏まえれば、防災・減災対策に必要な財源も確保していかなくてはなりません。公共施設の多くが機能更新を控えており、こちらも相当な財政負担が想定されております。
今後の様々な行政需要に対応するために必要な財源の確保について、基金や区債の活用を含めてどのような見通しかお聞きいたします。
令和2年度の予算を性質別に見たときに、近年の行政需要が顕著にあらわれていると考えます。待機児童対策や超高齢化社会への対応など、区として喫緊の課題に対応するために必要な予算、義務的経費である扶助費が対前年度当初予算比38億円余、4.2%増、予算全体に対する構成比が50%を超える予算となっております。今後もこの傾向は続くものと想定しておりますが、義務的経費の伸びに対して今後どのような財政運営をされていくのかお伺いいたします。
次に、本区のまちづくりに関してお聞きします。
初めに、新空港線に関してでございますが、新空港線は区の東西交通の分断解消等を目的に、昭和60年代から30年以上もの長きにわたって検討が行われてきている区の悲願の路線であります。国の答申198号において高い評価を受けてから間もなく4年を迎えようとしております。地域においてもその実現を待ち望む声も大きく聞こえております。この4年間の間に、羽田空港では本年3月からの新しい飛行経路の運行開始に向けた準備が着々と進み、羽田空港と都心とを結ぶJR東日本の
羽田空港アクセス線は、環境アセスに向けた調査を開始しました。羽田空港、そして大田区を取り巻く状況は日に日に変化をしてきております。昨年7月には、
まちづくり推進部内に新空港線・
まちづくり調整準備室が設立されました。新空港線は単に移動利便性を向上させるだけではなく蒲田駅周辺のまちのリニューアル、そして、区内の
沿線まちづくりにも大きな影響を与える事業であると捉えております。昨年11月には、蒲田駅周辺のまちづくり等に関する意見書が可決され、東京都及び都議会に対し、新空港線整備に対する区議会の強い思いを伝え、副知事及び都議会議長からは、「都としてしっかりと新空港線及び蒲田のまちづくりを進めていく」との発言をいただいたところであります。昨年12月に行われました鉄道とまちづくりに関する講演会においても、鉄道整備が沿線のまちを大きく変化させる起爆剤となることについて改めて理解したところであります。まさに新空港線の実現に向けた地元の気運は十分に高まってきております。
昨年末に東京都が公表した「未来の東京」戦略ビジョン2019においても、鉄道整備に関する記載がなされておりますが、6路線に加えて3路線が追加され、結果、ライバル路線が増えた形となりました。また、ビジョンには、関係事業者をはじめとする関係者との協議、調整を加速させ、調整が整った路線から順次事業着手と記載されております。私たちが意見書を提出した際、先ほどにも述べたように、副知事及び都議会議長から、都としてしっかりと進めていくと言われております。こうした中、区長はこれまでの答弁において、東京都との協議は最終局面を迎えている旨のご発言をされておりますが、東京都との協議がどのような状況で進んでいるのか見えておりません。また、先日の都議会第1回定例会における知事の施政方針において、多摩モノレールの箱根ケ崎方面の事業化に向けての調査を行うこと。8号線などの各路線については、戦略ビジョンにおいて取り組みの方向性を示したとされておりますが、新空港線に関しては一切触れられていないことは非常に残念でなりません。区議会としても全面的に応援をするので、今こそ区長が先頭に立って整備実現の道筋をつけるべきであります。
そこで、新空港線の今年度内の整備実現に向けた区長の取り組みに対しての決意と覚悟を改めてお聞きいたします。
また、新空港線を起爆剤として開発が進み蒲田駅東西が一体となることを考えたとき、利便性が高まると同時に新たな課題も考慮していかなくてはなりません。多くの人が蒲田を訪れ回遊し行き交う中で、人と公共交通機関、自転車やバイクなど様々な交通手段と、利便性はもとより安全性をしっかりと確保しながら整備を進めていく必要があります。
特に自転車に関しては全国的に事故が多発しており、自転車と歩行者の接触事故も発生し、その賠償額も多額になっております。数年前、
電動アシスト自転車を運転中にスマートフォンを操作していた20歳の女性が歩行中の70代の女性と衝突し、70代の女性が死亡したというニュースが流れました。昨年の第3回定例会では、自転車条例の改正を行い、盗難防止も含めた自転車対策に積極的な取り組みを始めております。東京都においては、改正されました東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例が令和2年4月の施行を予定しており、この条例では、
自転車損害賠償保険等への加入が義務化されることとなっております。今後、東京都の条例の周知及び
自転車損害保険等への加入の必要性に関する啓発に早急に取り組む必要があります。
4月の都条例の施行に向け区は積極的に取り組んでいただくとともに、今後の発展が見込まれ、住民だけでなく観光客を含む多くの外国人も訪れる可能性のある蒲田駅周辺の安全性に関しては、様々な移動手段とのすみ分けをしっかりと確保しながら共存していく必要があり、そのための地域の団体や企業との連携協定を並行して拡充していく必要があると考えますが、東京都の条例改正を踏まえた区の見解をお聞きいたします。
次に、新
海面処分場埋立地を含めた
中央防波堤埋立地の将来の展望に関して、また、
空港臨海部グランドビジョン改定も含めてお聞きいたします。大田区と江東区の境界問題が解決し、新たに大田区に帰属される土地と新
海面処分場埋立地の将来の展望についてまずお聞きいたします。現行の第8次港湾計画では、大田区に帰属される土地は埠頭用地、港湾関連用地として位置づけられており、東京圏の大消費地を支える輸入港の機能強化に大きな役割を担うこととなります。2017年度にY1バースが供用開始され、今後Y2バースの供用開始、さらにY3バースの整備が予定されていることから、生活に必要な関連用品等の輸入により都民の生活を支えるだけでなく、物流などの産業の活性化に寄与することが期待されております。また、将来の話として新
海面処分場埋立地の進捗状況に応じて、新たに大田区に帰属される可能性のある土地も存在します。空港臨海部は首都高速道路、東京港臨海道路等の道路網、埠頭や船着き場等の海上交通、羽田空港といった陸、海、空に大きなインフラを持っており、これらからアクセスできる
中央防波堤埋立地は大きなポテンシャルを持っております。さらに大田区のものづくり産業と連携する大規模な実証実験ができるイノベーションを生み出す実験フィールドとしての場も必要と考えております。
今後、大田区はどのように
中央防波堤埋立地を臨海部の中で位置づけ発展させていくのか、区の見解をお聞かせください。
次に、国道357
号東京湾岸道路多摩川トンネルの進捗状況について、こちらは令和元年第3回定例会において我が会派の議員より代表質問の中でも触れられました。また、先ほども
中央防波堤埋立地のまちづくりについて質問をしたところでありますが、今後、物流や産業など臨海部はさらに発展する可能性があり、このためこの地域の道路などインフラ整備は欠かすことができません。中でも国道357号は、東京湾岸道路の一部として神奈川県、東京都、千葉県の東京湾に接する各都市、港湾、埋立地に立地する都市機能を連絡する主要幹線道路であります。多摩川トンネルはこの道路の一部を構成し、東京と川崎、横浜を結ぶため、大田区臨海部のポテンシャルを最大限に引き出すことから、一刻も早い完成が求められております。関係各機関のご努力も功を奏し、先日、国土交通省から多摩川トンネルの準備工事に着手するとの公表もございました。
令和元年第3回定例会からこの間、どのような進捗があったのか、また今後の展望についてお聞きいたします。
次に、羽田空港の機能強化を含む空港跡地に関してお聞きいたします。国は、3月29日からの羽田空港の国際線増便に向けて新飛行経路の運用開始の準備を進めております。大田区は、羽田空港を抱える自治体として、これまで騒音対策や安全対策等の取り組みを国に働きかけ、環境影響等に配慮した対策が図られてまいりました。こうしたこれまでの取り組みについてどのように捉えているのか、また、今後、運用開始後には、新飛行経路の運航に関して区はどのような姿勢で臨んでいくのかお伺いいたします。
また、羽田空港の国際便が増便されますと、当然のことながら、欧米を中心により多くの外国人が羽田空港を利用することとなります。7月には東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催もあり、昨年開催されたラグビーワールドカップ日本大会を上回るにぎわいが期待できます。区長は、さきの挨拶におきまして、羽田イノベーションシティのまち開きが7月3日になると言及されておりました。まさに絶好のタイミングでの開業であります。この機会を逃すことなく国内外を問わず多くの方々が、空港に近接する新たなまち、羽田イノベーションシティを知る機会となり、区内への回遊のきっかけとなる重要な役割を期待するところでありますが、区長の羽田イノベーションシティにかける思いをお伺いいたします。
続いて、福祉分野に関して質問いたします。
私は、昨年の
予算特別委員会で、当時、区が策定の最終段階であった地域福祉計画に込めようとしていた区の考え方について質問をいたしました。その後、私も策定された計画書を拝見いたしましたが、今回の策定作業においては、計画をつくる際に一般的に行われるパブリックコメントや区民説明会だけでなく、推進会議委員と区職員が計画の周知・広報について話し合う広報会議のほか、3回にわたる意見交換会において、地域福祉推進の主役である民生委員、地域包括支援センターや地域福祉コーディネーターが話し合い、本区における地域福祉を推進するアイデア出しや気運醸成を図る手法がとられており、大田区の地域力を計画の中に取り入れようとする姿勢を感じ取ることができました。本区の様々な場面で地域福祉の向上に尽力し、実際に活動をしている地域の方と区の職員がともに話し合い、内容を高めていくことは非常に重要であります。
さらに、今回の計画の中には、区が市区町村の努力義務とした成年後見利用促進基本計画も包含して策定され、これから区長が推進しようとしている人生100年時代に対応していく計画策定であったと思っております。人口流入が続く本区でありますが、2025年、2040年問題と言われるように、これからさらに進行する超高齢社会や障がいのある方や生活に困難を抱える方々を支えていくためには、この計画の基本理念である「ともに支え合い 地域力ではぐくむ 安心して暮らせるまち」を目指し、区議会、区民、そして行政と協力し、地域力を活かした大田区らしい地域共生社会の実現を目指していかなくてはならないと考えております。
今回の計画では、複合課題に取り組む個別支援と、支援と共生の地域づくりの二つの取り組みを柱として、大田区版の地域共生社会の実現を目指すこととしています。これは、昨年末に厚生労働省の地域共生社会推進検討会が公表した最終取りまとめの中で、区市町村における包括的な支援体制の整備のあり方として示された、本人や世帯の属性にかかわらず受け止める断らない相談支援、社会とのつながりを回復する参加支援、地域における多世代の交流を確保する地域づくりに向けた支援と、その内容を一にするものと捉えております。さて、そろそろ計画策定から1年になろうとしております。
この計画が5か年計画であることは存じ上げており、まだ計画の初年度ではありますが、今年度のこれまでにおける成果と、今後、複合課題を抱える区民をしっかりと支援していくためにも、区は地域包括ケアシステムの深化、推進をどのような方向性で進めていき、地域共生社会の実現につなげていこうとしているのか、区長のご見解をお聞きいたします。
続いて、介護保険施設の整備について質問します。現在、区の65歳以上の高齢者人口は16万7000人を超えております。特に75歳以上の後期高齢者が増加しており、平成30年度には65歳から74歳までの前期高齢者の数を追い越し、後期高齢者の数は現在8万6000人余となっております。要介護認定を受けている高齢者も3万人あまりいる中、後期高齢者の増加に合わせ、重度の要介護高齢者の方も増えていくことが見込まれます。
今後、さらに介護サービスの質と量をともに充実させていくことが求められる中で、区民の介護ニーズに応え、自宅での生活が困難になった要介護高齢者の生活を支えるとともに、家族による過度な介護負担を軽減するために、介護保険施設の整備について今後どのように取り組んでいくのか、区の考えをお聞かせください。
さて、福祉サービスの充実には、それに携わる福祉人材が何よりも重要であることは言うまでもありません。しかし、介護事業者や特別養護老人ホーム、障がい者施設を運営する側からは、深刻な人手不足が叫ばれております。施設によっては人員の欠員状態の中で、懸命に日々のサービスを提供している現状も見受けられます。先日公表された大田区の来年度予算プレス発表の資料を見ますと、大田区奨学金に新たな制度を創設するとあり、その中で人材確保型特別減免制度は、資格を有して区内の福祉関連施設などに勤める奨学金受給者を対象に、借り受けた最大半額を減免するという内容であります。私は、これまでの区議会定例会で奨学金に対する提案を何度かいたしました。平成28年第4回定例会では介護人材確保のために返還金を免除する制度を提案し、さらに、平成30年第4回定例会では高等学校等への進学予定者を対象とした奨学金を貸付型から給付型へ転換する提案も行いました。我が会派としても、次代の大田区を担う子どもたち、若者たちを応援することはとても重要であると考えており、会派同僚議員が引き続き奨学金について質問で取り上げた経緯があります。
この間、国や東京都の経済的負担軽減策はさらに充実が図られ、来年度からの支援の全体像も見えてきました。高等学校等においては、国が就学支援金を拡充し、東京都はそれを補完する形で私立高校授業料軽減助成をさらに拡大する予定であります。大学等においては、世帯の所得に応じて国は高等教育の授業料の減免と給付型奨学金を、東京都は都内の専門学校や都立大学の入学金等の減免に取り組む予定となっております。このような流れを受けて、区長は今定例会の開会挨拶で、高校等への入学予定者に対する給付型奨学金の創設や、福祉人材の確保に資する奨学金減免制度の創設について考えを述べられ、それらの条例案を上程されました。我が会派が数年をかけて提案を続けてきた内容が実現されることとなり評価をするものであります。福祉課題と教育的観点から横断的な政策の取り組みの展開を検討いただいていることに対し、今後に期待を感じるところであります。これからの行政課題はさらに複雑化することが予想されており、部局の垣根を越えて包括的な取り組みを行っていく必要があると考えます。
今回上程されました条例の内容については、今定例会での今後の審議となるわけでありますが、ここでは本区における今後の奨学金制度全体の基本的な考え方のほか、時代の要請に合わせた奨学金制度の変更を含めた本区における福祉関係をはじめとする人材の確保策、そして本区を支えるための人材育成の今後の大きな方向性について、区長のお考えをお聞かせください。
さて、いよいよ今年は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。前回、1964年の東京五輪では様々なレガシーが残りました。新幹線や大田区も走る首都高速道路、モノレールなどの社会インフラが整備されるとともに、大勢来訪される外国の方に言葉が通じなくてもわかる案内表示、すなわちピクトグラムでありますが、特にトイレの表示は前回の東京五輪をきっかけに世界中に広まったと言われております。今回の大会ビジョンの三つのコンセプトの一つに、多様性と調和があります。これは、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し共生社会を育む契機となるような大会にするという思いが込められているものです。我が国日本、そして開催都市であるこの東京も、障がいがある方も、ない方もともにこの大会を楽しむことで、互いの理解がより一層進むものと考えます。相互の理解を進めるためには、お互いに情報を伝え合うことが重要であります。今回の大会開催を好機と捉え、障がいのある方への情報保障やお互いの意思疎通への支援が活発になることを大いに期待するものであります。
先ほど申し上げた大田区地域福祉計画の巻頭で区長が述べられているとおり、地域の中で全ての人々が安心して暮らすためには、必要となる福祉サービスを利用するだけでなく、人と人とのつながりを大切にし、暮らしや生きがいをともにつくり、地域の助け合いによる福祉を推進していくことが大切となります。障がいのある方の中には、情報の収集や他者とのコミュニケーションに支援が必要な方もおられます。今回の大会を契機として、区民が障がいのある方、ない方との意思疎通への理解が進み、相互のコミュニケーションの活性化が未来にわたって進むことになれば、まさにそれも本区における大会レガシーになると言えることと思います。それを後押しするような方向性を区が示していくことも非常に重要と考えれば、まさにそれも区長が開会挨拶で述べられた本区における大会レガシーになるものと考えております。
次に、教育環境の整備と安全対策について質問いたします。
私は、平成19年に初当選して初めて行った一般質問が学校の安全対策でありました。当時は池田小学校の児童殺傷事件が起こった数年後であり、校内に不審者が侵入するというこれまでは考えられなかった状況が発生いたしました。記憶に新しいところでは、昨年、川崎市で児童が殺傷されるという非常に痛ましい事件もありました。登下校時の不審者の児童への声かけ、交通事故の発生など、児童の安全・安心対策の向上は喫緊の課題となっております。松原区長が掲げる地域力は、子育て、見守り、安全、助け合い、全てにつながる本区の政策の礎となっております。しかし、犯罪が年々凶悪、巧妙化していく中で、人的能力には限界があることも事実であります。そのためにも防犯カメラでの抑止力、ICタグによる登下校の見守りなど、あらゆるインフラを駆使して子どもたちを守ることも同時に整備、拡充していく必要があると考えます。教育委員会としてさらなる安全・安心に向けた対策が必要と考えますが、教育長の見解をお聞きいたします。
最後に、働き方改革についてお伺いいたします。
超高齢化社会が今後ますます進展することが確実視されている中、かつては夢物語だった人生100年時代もいよいよ現実のものになりつつあります。医療の進歩、健康寿命の延伸、それに伴う豊かな長寿社会の実現といずれも歓迎すべきことでありますが、少子化傾向についてはなかなか歯止めがかからない状況であり、我が国では今後、就労人口の減少による労働力不足が懸念されております。こうした中、生産性向上とワーク・ライフ・バランスの観点から、現在、多くの企業や公務職場で働き方改革に取り組んでおりますが、その多くは労働時間の削減にとどまっているのが実情であり、組織改革までは実現できていないと言われております。働き方改革の目的は、組織改革を通じた生産性の向上と従業員の生きがいの向上の両面の実現であり、さらに、企業であれば、その先には購入者や消費者の満足度があり、公務職場であれば住民福祉や生活利便性の向上があるはずであります。
ある民間シンクタンクの調査によれば、働き方改革に取り組む企業は全体の9割に増えた一方で、効果を実感する企業は5割にとどまっていると報告されております。漠然と残業時間の削減に取り組むのではなく、何を目的としどのようにすればそれを達成できるのか、また、何をもって達成と見るのか、働き方改革においては戦略的かつ計画的な視点が大変重要となります。大田区役所に目を向ければ、本区では平成29年2月に自治体初となるスマートワーク宣言を行いました。この中では、全庁で実施する改革として意識改革、業務の効率化、事務事業の見直しを3本の柱とし、20時退庁、ノー残業デーの実施をうたっております。そして、宣言にはスマートワークでスマイルライフとあります。宣言からこの間3年、職員にどれだけの笑顔が増えましたでしょうか。今こそ、これまでの取り組みを総括して、引き続き取り組むもの、必要があれば速やかに軌道修正をするなど、柔軟な対応と経営判断が強く求められております。スマートワーク宣言以降、時差出勤の導入や会議運営の効率化など一定の成果は見られるものの、誰にでもわかりやすくインパクトのある改革が不足しているようにも感じます。社会がますます多様化、高度化する中、行政の担う範囲は広がる一方で、もはや働き方改革は待ったなしであります。
これまでの成果と解決すべき課題についてお伺いするとともに、経営問題として今後どのように捉えていくのか、区の見解をお聞かせください。
改革においては、できるところから変えていくという考え方が重要であります。この考えのもと、身近なところにあって視覚効果も期待でき、また、経営的にも波及効果が大きい取り組みとしてオフィス環境の改善が挙げられます。デスク周りや通路をすっきりと見せる整理整頓、明るく機能的な職場をつくり出す椅子や机の規格変更やフリーアドレス、さらにはスマートフォンを使った効率性の高いスケジュール管理や連絡手段の改善など、企業では今や当たり前のように行っている取り組みも、なぜか公務職場では出遅れている感が否めません。一方、豊島区や渋谷区では庁舎移転を契機にオフィス改革に取り組み、職員同士の新たなコミュニケーションに資する快適で機能的な執務環境がつくられていると聞いております。現在の区のオフィス環境は、レイアウトや事務処理手順なども含めてアナログが全盛だった昭和時代と基本的には変わっておりませんが、今や世の中の仕組みはデジタル全盛であります。デジタル時代に対応したオフィス環境への移行は、まさに働き方改革を進める重点課題であります。オフィス環境の改善は見た目もわかりやすく、効果が見えやすい取り組みであります。職員はもちろん、来庁者にとっても快適に感じていただける職場づくり、生産性を高めるオフィス環境の整備は、働き方改革を通じて最終的には区民サービスの向上につながるものと考えますが、区長の見解をお聞かせください。
以上、多岐にわたり質問させていただきました。区長が思いを込められた令和2年度予算が一人でも多くの大田区民を幸せに導く予算になることを願い、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 鈴木議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、
新型コロナウイルス感染症に関する区の対応についてのご質問でございますが、国内でも感染経路の特定できない感染者が発表され、心配に思われている区民も多いと思います。大田区には羽田空港や
感染症指定医療機関である荏原病院がありますが、平時より会議や訓練を通じ感染症発生に備え連携しており、今回の事例においてもその関係を活かし対応しております。また、区は、大田区
新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、情報の共有、区民への周知等、今後の国内の感染拡大の状況に応じて適切に対応してまいります。先日の対策本部会議におきましては、私は感染拡大防止を図り区民の健康を守るため、3月末までの区主催のイベントについては原則中止もしくは延期とすることを決定し、指示いたしました。引き続き、国、東京都、関係機関とも連携を密にして、区民の安全・安心が守られるよう対策を進めてまいります。
次に、台風を振り返っての所感についてでございますが、台風15号は記録的な暴風に見舞われ、19号においては広い範囲で記録的な暴風雨になり、各地で大きな傷跡を残しました。本区におきましては人命が失われることはありませんでしたが、大規模な浸水被害などが発生し広範囲にわたり被害を受けました。今年度、新たに設置した防災対策基金を有効に活用して、被災直後から応急復旧活動に取り組み、現在も被災された方々の生活の再建に向け支援を続けております。しかしながら、台風19号の区の対応においては、避難場所の開設や情報の伝達などにおいて課題が残り、全庁を挙げて今回の経験を教訓として振り返りを行いました。現在の取り組み状況ですが、災害情報の一元管理や区民への適時適切な情報発信のための災害対策本部の情報通信体制整備、停電時の業務継続のための蓄電池配備など課題解決に向けて検討しております。さらに、危機管理能力の強化を図るためには職員の防災意識の向上が不可欠ですので、「防災士」の取得も支援してまいります。自然災害への対応の考え方として、震災時は被災してから避難行動をとり、風水害時は被災する前から避難行動をとることができるなどの違いはありますが、事前の防災対策の重要性は変わることはありません。私は、今回の経験を通じ、「区民の命を守るためには、区が備えを十分に整えるとともに、区民一人ひとりがみずから取り組む自助を理解していただき、災害時の行動へつなげていくことが重要である。」と強く感じております。
次に、令和2年度予算編成に関するご質問でございますが、今年は、いよいよ羽田イノベーションシティがまち開きし、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。令和2年度予算は、こうしたプロジェクトを契機とした事業への取り組みはもちろん、喫緊の課題である少子化・超高齢社会への対応や公共施設の更新など、区政の課題を着実に解決する予算として、四つの重点課題に優先的に取り組む予算といたしました。また、昨年の台風19号での経験を踏まえ、令和2年度の緊急課題として、令和2年度予算は、「防災力の強化・新しい世代の礎となる予算」とし、災害時においても、安全・安心なまちづくりを目指す予算編成といたしました。「安心して子どもを産み育てられ、未来を担う子どもたちの成長を応援する取組み」では、在宅子育て世帯への支援や待機児童対策の推進、小中学校の計画的な改築や体育館等の暑さ対策、ICT環境の拡充など、未来を担う子どもたちを切れ目なく応援してまいります。また、「生涯を通して誰もが健やかに元気に暮らせるまちづくり」では、フレイル予防や「キラリ☆健康おおた」の普及啓発、医療連携の充実を図るとともに、地域での活動拠点となる区民利用施設の整備などを進めてまいります。「住む人、訪れる人が、安全で安心して過ごせるまちづくり」では、水防対策の一層の強化、災害対策本部機能の充実、区民の防災意識の啓発、子ども向け防災対策を進めるとともに、環境対策では、屋外の喫煙対策、「おおたクールアクション」の推進、給食残渣のリサイクルなどの地球温暖化対策に取り組んでまいります。また、羽田イノベーションシティのまちづくりをさらに進めるとともに、新空港線の早期整備の実現、蒲田・大森や池上周辺地区のまちづくりなど、国際都市おおたにふさわしい安全で魅力あるまちづくりを推進してまいります。「東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした『おおた』の発展に向けた取組み」では、大会の開催に当たって気運醸成などの大会関連事業を進めるとともに、スポーツ推進事業の充実を図り、郷土博物館等での企画展、商店街の魅力・賑わい事業、産業交流拠点の形成など、「おおた」の発展に向けた取り組みを進めてまいります。私は、中長期的な見通しを踏まえた堅実な行財政運営を重視しながら、本予算に基づく取り組みを確実に進めることで、区の将来像をさらに現実的なものとし、73万区民の皆様の期待に応えてまいります。
次に、財源確保に関する質問でございますが、区の財政は、納税義務者の増等の影響による特別区民税の増や基金の適切な積み立て、特別区債の発行抑制と着実な償還などにより、健全な財政状況を維持しております。一方、令和2年度は扶助費が38億円の増となるほか、公共施設の維持・更新や防災対策など、今後想定される膨大な財政需要を勘案すると、決して予断を許さない状況にあります。私は、区政をお預かりする者として、区民の目線に立った事業の見直し・再構築や経常経費の節減に取り組むほか、特別区税のモバイルクレジット納付開始による区民サービス及び収納率の向上をはじめ、国や東京都の補助金や基金、特別区債の効果的な活用等により財源をしっかり確保することで、計画に掲げた事業や区民生活の安定に不可欠な事業に着実に取り組んでまいります。
次に、義務的経費の増加と今後の財政運営に関するご質問ですが、義務的経費につきましては、人件費及び公債費は平成21年度決算と比較しますと10年間で約111億円の減となっているものの、扶助費は約350億円の増となり、義務的経費全体では約239億円増の1345億円余となっております。特に扶助費につきましては、中長期的に増加が見込まれております。こうした状況に対応するため、基金と特別区債を有効活用するほか、国や東京都の新たな施策による補助金の動向を注視し、必要な財源を確保してまいります。また、これまで、フレイル予防事業や就労専門相談員による就労支援等、中長期の視点で扶助費の抑制にもつながる取り組みを進めてまいりました。今後も、健康づくりの新たな事業による取り組みも拡充してまいります。こうした介護予防の充実や就労の支援、健康づくり事業等を積極的に進めることで、区民サービスの質の向上を図りつつ、区財政への影響の軽減に努めてまいります。
次に、新空港線についてのご質問でございますが、新空港線の実現は、区内外の交通利便性の向上、羽田空港第1ゾーンの利用促進、蒲田駅周辺のまちの機能更新、多摩川線沿線のまちづくりなどの契機となり、区政の発展に大きく寄与する路線であります。昨年、区議会から東京都及び東京都議会に対して提出いただいた意見書は、東京都に対して大きなインパクトを与えることができ、私にとって大変心強い後押しになりました。現在、実務レベルでは、東京都をはじめとする関係者と合意形成に向けた協議を鋭意進めているとともに、協議が整い次第、整備主体をすぐに立ち上げる準備もあわせて行っているところであります。また、先日、今年度内の合意に向けた私の熱い思いを小池知事にお伝えし、東京都に対し、財源問題など課題解決への決断を促しているところであります。今年度も残りあと1か月あまりとなりましたが、引き続き私が先頭に立ち、関係者との協議、調整を加速させ、今年度内に合意形成が整えられるよう、不退転の覚悟を持って取り組んでまいります。
次に、自転車保険の加入義務化に関するご質問でございますが、区では、これまで様々なイベントや交通安全教室を通じて、
自転車損害賠償保険等への加入の必要性を区民の皆様へ広く周知してまいりました。本年4月からは東京都の条例改正によって、東京都内の自転車利用者に
自転車損害賠償保険等への加入の義務化が適用されます。区といたしましては、東京都の条例改正に柔軟に対応し、自転車の適正利用の促進に資する周知啓発の充実を目的に、本年3月に損害保険会社等と協定の締結を予定しております。引き続き、区民の皆様に対する周知徹底を図るとともに、民間団体とも連携し、自転車保険の加入義務化等に適切に対応してまいります。
次に、
中央防波堤埋立地のまちづくりに関するご質問でございますが、「東京港港湾計画」では、帰属される土地については、「中央防波堤外側コンテナふ頭」や港湾関連用地として増大する貨物量に対応していくこととなっております。このような港湾施設を基本としながら、大田区臨海部には多くの産業が立地していることから、これらとの連携やさらなる発展が重要となってくるため、適切な土地活用のあり方を検討していく必要があります。令和元年度から改定作業を始めている「空港臨海部グランドビジョン2030」では、
中央防波堤埋立地のポテンシャルを発揮するため、20年後の臨海部が目指すべき姿を学識経験者とともに検討しております。今後は、地域で働く方の意見や区民のニーズを聞き、それらを取り入れながら検討を進めてまいります。このビジョンは、東京都の既存計画や方針などとの整合を図りつつ、これらの計画などへ反映すべく調整してまいります。
次に、国道357号の多摩川トンネル整備の進捗状況に関するご質問ですが、空港臨海部のさらなる発展のために、国道357号の整備を強く推進していく必要があります。特に多摩川トンネルは、国道15号、産業道路などの交通分散を図るとともに、羽田空港周辺地域へのアクセス性の向上や拠点間の連携強化により、産業、物流等の効率化など国際競争力の強化を図ることができます。国土交通省に確認いたしましたところ、今年度に前倒しして補正予算が成立したことから、早ければ3月上旬に準備工事に着手する予定と伺っております。区は、引き続き国土交通省と連携しつつ、地域の皆様への丁寧な周知とともに、早期完成を目指してトンネル本体の工事に着工するよう働きかけてまいります。
次に、羽田空港の新飛行経路の運用開始に関するご質問でございますが、新飛行経路については、区民生活への影響が懸念されることから、これを重大なものと受け止め、取り組みを進めてまいりました。区は、国に対して3回にわたり、区民の皆様へのより丁寧な説明や騒音対策、落下物対策を含む安全対策等について要望してまいりました。その結果、国は各種の対策を講じてきており、書面により、新しい運用につきまして国と確認することができました。このことは、区民の生活環境を守る立場から、環境影響等の対策を図るよう、国に徹底して強く求めてきたことによるものと認識しております。運用開始後も騒音等の環境対策や安全対策などの確実な取り組みとともに、対策の強化及び徹底を国に要請してまいります。
次に、羽田イノベーションシティにかける思いについてのご質問ですが、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業につきましては、平成22年10月に策定した「羽田空港跡地まちづくり推進計画」から始まったものであり、長年の計画がいよいよ花開くこととなり、感慨もひとしおでございます。羽田イノベーションシティにおきましては、羽田空港に近接する立地の優位性を活かし、公民連携のもとにぎわいを生み出してまいります。加えて、区内波及をいかに創出できるかが大変重要でございます。このまちでの様々な取り組みが区内回遊のきっかけとなることはもとより、福祉や健康などの分野を超えた地域課題の解決につながり、区民の皆様の豊かな暮らしを実現できるよう、公民連携事業の長所を活かした施策を展開してまいります。
次に、地域共生社会の実現に向けた今後の方向性に関するご質問でございますが、誰もが「役割」を持ち、「生きがい」を実感できる地域社会は、「大田区地域福祉計画」が目指す姿そのものでございます。そのための環境整備と仕組みづくりは、区に課せられた重要な責務であります。今年度、地域づくりでは、地域活動への参加意識が浸透し、地域福祉を推進するコーディネーターが個別支援と地域づくりの両面にかかわり、人と人、人と地域資源をつないでまいりました。今後は、「大田区地域福祉計画」が目指す包括的支援体制の構築を実践するため、複合課題に対して複数の相談支援機関で切れ目なくつなぐ環境整備をさらに進めてまいります。こうした取り組みは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の大会ビジョンの一つである「多様性と調和」へと歩みを進めることにもつながっております。これからも、地域力を掲げる大田区らしい地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、介護保険施設の整備に関するご質問ですが、区では「おおた高齢者施策推進プラン」に基づき、施設整備を進めてまいりました。一方、要介護高齢者の増加等に伴い、依然として特別養護老人ホーム等の施設への入所を希望される区民の方は多くいらっしゃいます。こうした区民の介護需要に応えるため、新たに大森東地区の貴船堀に造成した区有地を活用し、特別養護老人ホームを整備するよう計画しております。令和6年度の開設を想定しており、地域交流も活発に行える地域に開かれた施設として整備支援を進めてまいります。今後も区は、高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域で継続して日常生活を営むことができるよう在宅サービスとのバランスを考慮し、計画的に介護保険施設の整備支援に取り組んでまいります。
次に、奨学金制度を含めた福祉人材の確保、育成に関するご質問でございますが、区は、国や東京都の支援制度が充実する本年4月を好機と捉え、変化に素早く対応するため、奨学金制度の見直しについて検討を進めてまいりました。まず、一定の要件のもと高等学校等に進学する方を対象に奨学金を給付することにより、安心して教育を受けられる環境整備の一助としてまいります。また、一定の資格を保有して区内施設等に勤める方を対象に奨学金の返還額を減免することにより、地域福祉の中核を担う専門性の高い人材の確保、定着を図ります。区は、基礎自治体として奨学金制度を活用し、地域を支える人材を確保するとともに、可能な限り子どもの将来、未来を育む公平な環境を整えてまいります。さらに、現在、地域共生社会の実現に向けた福祉人材の不足が課題となっております。今後、おおた重点プログラムに掲げた(仮称)福祉人材センターの設置検討について有識者等のご意見を伺いながら、機能構築を進めてまいります。これらの施策を着実に実施し、福祉人材の確保、育成、定着に取り組んでまいります。
次に、スマートワークに関するご質問でございます。我が国では現在、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「育児と介護の両立など働く方のニーズの多様化」などに直面しており、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲、能力を存分に発揮できる環境の構築が喫緊の課題となっております。そして、これらの課題解決のため、個々の職員の状況に応じて多様な働き方を選択できる社会の実現と、職員一人ひとりがよりよい将来展望を持てるようにすることが強く求められております。これを実現するため、私は全国に先駆けてスマートワーク宣言を行い、この間、様々な角度から取り組みを進めてまいりました。一方、働き方改革では、組織を構成する全ての職員が改革の目的や意味を理解し、自由な発想で自発的な業務改善へ取り組む意識や変化を受け入れる柔軟な組織風土の醸成と推進体制の構築も必要となってまいります。このような観点から、私は限られた経営資源の効率的かつ効果的活用を踏まえた「働き方改革」は、組織経営そのものであると考えております。働き方改革を進め、働きたい、働き続けたい、魅力ある大田区役所であり続けることで、優秀な人材の確保に加え、より質の高い区民サービスの提供も可能となります。区民の皆様の福祉の向上につなげていくために、引き続き私が先頭に立って、庁内の働き方改革を全力で牽引してまいります。
次に、オフィス環境の整備に関するご質問でございますが、働き方改革を進め、職員の満足度を高めることは、ひいては区民サービスのさらなる向上につながるものと考えております。そして、職員満足度を高める取り組みの一つに、オフィス環境の改善がございます。職員が公務を遂行するために毎日過ごす執務環境を機能的かつ効率的に見直すことは、業務効率向上の面はもとより、庁舎管理の面からも大変重要なことであります。また、働き方改革の基礎となる重要な取り組みでございます。このような考えのもと、今年度は「執務スペースの整理・活用」などの取り組みを進めてまいりました。企業や他自治体での取り組み事例も参考にしながら、庁舎移転せずともできるオフィス改善を目指して様々な角度から検討を重ねております。来年度以降もこれまでの検討を踏まえ、将来のICT機能の導入、拡大など、取り巻く環境の変化に柔軟に対応できるオフィス環境のあり方について一層検討を深化させてまいります。働き方改革の実現に向けて、区民サービスの一層の向上につながる大田区行政の顔となる職場環境づくりに引き続いて全庁を挙げて取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 さらなる安全・安心対策についてのご質問でございます。教育委員会では、これまでも児童の安全確保は最も優先すべきものと考え、その充実に努めてまいりました。しかしながら、児童の殺傷事件などを受け、さらなる安全対策の強化が必要であると考えております。新たな取り組みとして、小学校における不審者の侵入対策として、校門や学校内の死角にモニターつき防犯カメラを各校4台、順次配備することを計画しております。また、児童の登下校の見守りにシルバー人材センターの自主的な活動との連携を進めてまいります。このほか、小学校の通学路に防犯カメラ4台の増設や、交通事故の発生する危険が大きい箇所を中心に児童誘導員6名を増員するなど、児童の登下校時の安全確保を図ってまいります。引き続き、学校、家庭、地域が一体となって、通学路の安全対策や学校内の防犯体制の一層の強化に努めてまいります。
○塩野目 議長 次に、18番勝亦 聡議員。
〔18番勝亦 聡議員登壇〕(拍手)
◆18番(勝亦聡 議員) 大田区議会公明党の勝亦 聡です。公明党を代表して質問をさせていただきます。
現在、猛威を振るい国内でも感染が広がっている
新型コロナウイルスに対し、区民の生命と健康を守るため、松原区長のリーダーシップのもと、各部の垣根を取り除き全庁的な取り組みを要望いたします。そして、一日も早い終息を祈り質問に入ります。
まずは、令和元年度の予算が「防災力の強化・新しい世代の礎となる予算」とのテーマで編成されました。これまでの地域力や国際都市から、激甚化する災害対策や未来を担う次世代へ、具体的かつ積極的な取り組みを期待し、令和2年度予算についてお聞きいたします。
令和2年度一般会計予算総額は2873億8746万円余、前年度比1.9%増、金額で55億円増の積極的な予算編成となっております。まずお聞きいたします。この令和2年度予算編成に当たり、区長の思いをお聞かせください。
令和2年度予算編成に当たり、昨年、大田区を襲った台風19号の経験を活かし、防災関連予算について今年度補正予算を合わせて総計で30億5000万円余が計上され、その予算内容は、私ども公明党の要望が多く含まれていることを高く評価をいたします。区民の命と財産を守る大田区として、この防災関連予算に関してどのような視点での予算編成となりましたか、区長の見解をお示しください。
次に、京急蒲田駅西口のまちづくりについてお聞きいたします。
現在、京急蒲田駅西口の再開発が進んでおります。建設計画が進んでいる京急蒲田あすと商店街センターエリア内にある区の土地を活用した再開発ビルの中に、国際都市おおた協会が置き込まれることについて、地域住民の中に様々な意見があるようです。この場所には当初、保育園が置き込まれると大田区行政より説明があったようですが、その後、国際都市おおた協会が入るという形に変わったと聞いております。大田区議会公明党は、これまで国際都市おおた宣言のもと、区長とともに国際都市推進事業に取り組んでまいりました。地域住民の理解と協力が得られるよう丁寧な対応を期待します。
京急あすと商店街の中央に国際都市おおた協会が移転することで、京急あすと商店街の活性化につながる波及効果を区長はどのように分析されておりますか、お知らせください。
この協会の置き込みが予定されている再開発ビルは、地理的にも京急蒲田あすと商店街の中心に位置しております。区内商店街が厳しい状況の中、この場所の一部には集客力の高い大田区保有の美術品の企画展実施に活用を考えるべきではないでしょうか。また、京急蒲田駅コンコースにある観光情報センターとの連携も重要です。美術品は鑑賞することでその価値も高まります。交通の便もよく、羽田空港にも近いこの場所は最適と考えます。勝海舟記念館とともに、大田区の文化、教育の発信基地になることは間違いありません。区長の見解をお示しください。
次に、消費税見直しが区内産業、区内消費者に与えた影響についてお聞きいたします。
昨年10月、消費税が8%から10%に見直されました。この2%の大部分は、全世代型社会保障の充実に活用されるとのことで多くの方から理解をいただいております。この全世代型社会保障の充実により、幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化、そして前倒しで実施されている公的年金受給のための払込期間の短縮などに活用されております。この見直しにより消費が急激に落ち込み、景気が悪化するのではないかと多くの方が心配をされておりました。日銀が昨年12月13日に発表した企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業、製造業も業況判断指数(DI)が前回9月の調査から5ポイント悪化、大企業、非製造業の業況判断指数も1%悪化、そして10月の消費税見直しが企業マインドを冷え込ませたが、前回の見直しのときの2014年に比べると影響は軽微だった。見直し後、消費動向の反動もほとんどなく、東京五輪を控え大型テレビの売れ行きも好調で、東京秋葉原の家電量販店では、9月に見直し前の駆け込み需要があり、反動減が懸念をされていたが、ふたをあけてみれば10月の売り上げは前年並みを維持。また、見直し後の経済産業省によるキャッシュレス購入により、ポイント還元率を5%増やす独自のキャンペーンを始めた効果もあり、年末についても売り上げが好調だったと毎日新聞は報道しております。
今回の消費税見直しが区内産業に与えた影響とキャッシュレス決済について、区長はどのように分析しておりますか、お聞きいたします。
ある経済エコノミストは、今回の消費税見直しに対し、今回の税率見直しで国民負担は2兆円増えるのに対し、2.3兆円の経済対策が打たれている。軽減税率の導入をはじめ、プレミアム付商品券や年金生活者支援給付金、キャッシュレス決済時のポイント還元などきめ細やかな対策が打たれていることで、駆け込み需要と反動減は限定的となっており、滑り出しは順調に進んでいる。通常、税率引き上げ後は物価が上がるはずだが、今回はほとんど上がっていない。様々な対策で家計に対する打撃が抑えられたことの証左と言える。また、軽減税率については、税金を払うときの痛税感は、払った税金が後から何らかの形で還元されたとしてもなかなか消えないのが現実で、飲食料品などの税率を低くする軽減税率は、痛税感の緩和ということで一定の成果を上げている。また、将来、仮に税率を上げても飲食料品などの税率を抑えられる大きなインフラとしての基盤ができた点でも評価できるとしています。
今回の消費税の2%見直しによる社会保障の充実、そして、今回初めて我が国に導入された軽減税率について区長はどのように受け止めていられるのか、見解を伺います。
欧米では当たり前のように実施されている軽減税率を天下の悪法と言った一部野党は猛省すべきです。また、今回の消費税見直しと同時にキャッシュレスポイント還元制度が実施をされました。このポイント還元制度は、ご存じのとおり、クレジットカードや電子マネー、スマートフォンのQRコードなど、現金以外で買い物をすると2から5%分のポイント還元や値引きが受けられる制度となっています。ポイント還元制度の対象となる中小小売店で飲食料品を買った場合、消費税の軽減税率とあわせて痛税感は薄まる。こうしたメリットを背景に、日本経済新聞の調査では、4割の消費者が還元を機にキャッシュレスの利用に前向きになったといいます。事業者にとっても、ポイント還元制度はキャッシュレス化による精算時間の短縮などを進める上で有効です。気になるのは、このキャッシュレス決済でのポイント還元は2020年の6月までの予定となっています。2020年7月には東京2020大会があり、高揚感で景気も上向きになるでしょう。しかし、その後の景気の動向が気になるところです。
国は、マイナンバーカードを利用しての消費刺激策を考えているようですが、この国の制度を広報し、区民に周知する仕組みが必要です。区長が考えていることがありましたらお知らせください。
次に、HANEDA GLOBAL WINGS内にある第1ゾーンのまち開きについてお聞きいたします。
2020年の本年、いよいよ待ちに待った第1ゾーン第一期のまち開きが行われます。そして、その2年後、2022年には第二期工事が完成の予定です。本区は平成27年7月に第1ゾーン整備方針を発表し、その事業推進を進めてまいりました。この区域は、特区指定という他の区域にはない利点を活かした事業展開が可能とされており、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業に係る事業者選定委員会は、鹿島建設を中心とする構成員8事業者、協力会社20業者を選定いたし、この地を50年の定期借地として貸し出し、先端産業、文化産業に従事していただく準備が進められております。私たち公明党も、この地域が起爆剤となり、その波動が大田区中に波及されることを望んでおります。この土地は、鹿島建設を中心とした羽田みらい株式会社(SPC)に貸し出しているわけですが、SPCはその場所を活用しようとしている入居予定事業者と、現在、契約に向けた調整を進めていると聞いております。
まち開き後、50年間という長きにわたり羽田イノベーションシティがにぎわいを創出し続けていくことを大いに期待するものでありますが、そのためには、これまでにはない事業スキームや工夫が求められるところです。新たに生まれるまちの運営について、区長の考えをお聞かせください。
このまちに入居する企業、様々なイベントに参加するため、このまちを訪れる多くの方々と大田区がお互いウィンウィンの環境になることが大変重要であると考えます。この土地が、今後の大田区に最大限寄与することを期待し次の質問に移ります。
区内小中学生のSNS利用についてお聞きいたします。
近年、SNSを利用した小中学生が犯罪に巻き込まれる事件が全国で多発しております。昨年末においても、大阪市住吉区の小学6年生の女児が行方不明になり、栃木県小山市内で保護される事件が発生しております。報道によると、この事件で未成年者誘拐容疑で逮捕された容疑者35歳は、SNSを通じて女児に接触し誘い出したとされています。子どもがSNSのやりとりだけで顔も知らない大人と会い、事件に巻き込まれるケースは、警視庁によると、一昨年は18歳未満の子どもで1811人、統計をとり始めた2008年以降で2番目に多かったとしています。近年は小学生の被害が増えており、2018年は過去最多の55人、中学生は624人、高校生は991人でした。昨年9月には、千葉県内の小学校高学年の女児を誘拐したとして、茨城県内に住む29歳の男を未成年者誘拐の疑いで逮捕いたしました。男はSNSで、「親のところにいるのが嫌なら俺のところに来なよ」と女児にメッセージを送って家出させ、車で自宅まで連れ出したといいます。また、埼玉県では、30代の男がツイッター上に家出を望む書き込みをしている女子中学生に「相談に乗るよ」と返信して連れ出し、約40日間にわたって自身の借家に住ませたとして未成年者誘拐容疑で逮捕されました。SNSは有効な情報伝達手段です。しかし、その使い方を間違えば、子どもたちが大変な犯罪に巻き込まれてしまう危険性をはらんでおります。
区内小中学生の授業の中で、SNS利用について児童・生徒同士で話し合う場があるのか、また、その状況についてお知らせください。
先にも述べましたが、SNSの中で特にツイッターを利用して犯罪に巻き込まれるケースが多いと、ある教育評論家が言っておりました。その理由は、ワードの検索が容易にできるため、例えば「家にいたくない」とつぶやくと、そのワードから容易に検索できる仕組みになっており、犯罪をもくろんでいる者に検索されやすいとのこと。私もSNSをよく利用し、ツイッターもやっております。大田区においては公式ツイッターがあります。その利用価値の大きさについては誰もが認めているところであります。
その上で、区内小中学生がツイッターなどSNS犯罪に巻き込まれないため、保護者を含めて教育委員会が特に訴えていること、また、教育委員会として取り組んでいることがありましたらお知らせください。
次に、区の防災・減災、災害時の情報伝達方法について質問いたします。
台風19号は、これまで本区が経験したことのない甚大な被害をもたらしました。区議会公明党はこの経験を今後に活かすため、区民の皆さんの声や地域回りで知り得た情報をまとめ、松原忠義大田区長へいち早く緊急要望を提出させていただきました。その内容は、1、災害に関する的確な情報発信をすること、2、災害時のホームページの改善、3、水害時緊急避難場所を速やかに開設すること、4、避難者対応の基準を明確にすること(ペットも含む)、5、区民のさらなる自助意識の向上に取り組むことです。
まず伺います。この我が党の緊急要望に対し、区はこれまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか伺います。
本区は、令和元年12月25日に多摩川を管理する国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所長に多摩川における治水対策の促進に関する要望書を提出されました。その素早い対応に感謝申し上げます。我が公明党としましても、お隣の世田谷区議会公明党や都議会公明党と連携し、国土交通大臣宛てに多摩川河川敷堤防のかさ上げや強化、河道掘削等による河川水位の上昇抑制などを要望いたしました。緊急要望の第1にも掲げさせていただきましたが、区民への的確な情報提供は、災害時の最重要項目の一つです。そういった意味でも、災害時にダウンした大田区ホームページの早期改修を評価いたします。
その上で、災害時の区民への情報提供を区に問い合わせると、ホームページやツイッター、エリアメールで区民へ周知徹底していると回答されますが、しかし、高齢者にその声はなかなか届いていないのが現状であります。この高齢者を中心とする方たちには、災害時に情報をいち早く伝え安心していただく方法として、ラジオを活用した災害情報伝達の仕組みをつくることを要望いたします。ラジオは防災用品として扱われ、防災グッズの必需品となっております。私たちテレビ世代の人間と違い、多くの高齢者の方々は常時ラジオを活用し、様々な情報を入手しています。また、23区内にはローカルFMラジオ局と連携し、災害情報を提供している自治体があります。例えば、世田谷区、葛飾区、江戸川区などがそれに当たりますが、残念ながら大田区は連携しているラジオ局がありません。そのため、調査研究を重ねたところ、災害時に臨時的に放送局を開設する公共団体などに対し、応援する国の制度があることがわかりました。この制度は、阪神・淡路大震災を契機に1995年2月制度化されたもので、暴風、豪雨、洪水、地震、大規模火災などやその他による災害が発生した場合にその被害の軽減に役立つよう、被災地の地方公共団体など災害対策放送を行うのに適した団体が開設する臨時かつ一時の目的のために開設するFM放送局を、総務省が支援する仕組みです。放送免許は電話等により口頭で申請、後に書面を提出、免許を受けることが可能で、無料で放送設備の貸し出しを行っております。課題としては、放送局開設の際は、第2級陸上無線技術士以上の資格を有する無線従事者を確保することが必要となっておりますが、有資格者と災害時の雇用契約を行っていれば解決できると考えます。また、周波数についてはその都度変わるため、周知方法を検討することが必要です。これは、試験放送を事前に行えば周知も容易にできます。
これまで、現在継続中を含めると全国で50を超える自治体がこの制度を活用し臨時放送局を開局しています。例えば、昨年10月に大田区を襲った台風19号の際にも、東京都狛江市、長野県長野市で臨時放送局が立ち上がりました。ぜひ本区もこの制度を活用し、高齢者を中心とするいわゆる災害情報が伝わりにくい方々の生命と財産を守るための施策の実施を要望いたします。区長の見解をお示しください。
今回、来年度の災害対策予算を大きく予算計上いただきましたが、今後も思いもよらない災害時には、迅速かつ的確な補正予算を議会に示すよう、災害に強い大田区の構築を要望し、次の質問に移ります。
産後ケア事業について質問いたします。
厚生労働省が昨年12月に公表した人口動態統計の年間推計で、2019年の出生数が86万4000人となりました。2017年の日本の将来推計人口では、出生数が86万人台になるのは2023年で、推計より4年も早いスピードで少子化が進んでいることになります。我が国の深刻な少子化の実態を真摯に受け止め、あらゆる対策をさらに加速させていかなければならないと考えます。特に女性の心理的な負担を減らす取り組みが大切で、仕事と子育ての両立支援や父親の育児休業取得の促進のほか、産後ケアの充実など母親のサポート体制の強化が不可欠です。育児不安や孤立感を解消できずに十分な手助けを受けられない母親に対し、地域で実家にかわる機能を担うのが産後ケア事業です。産後ケア事業は公明党が各地で推進し、2018年度で全市区町村の38%に当たる667自治体が実施していますが、さらに全国に普及させるために、昨年11月29日、改正母子保健法が成立いたしました。公明党、自民党、立憲民主党の与野党でまとめた議員立法で、12月6日に公布され、2年以内に施行されることになりました。改正法では、産後ケア事業を母子保健法に位置づけ、各市区町村に対し、産後ケア事業の実施を努力義務と明記いたしました。実施に当たっては、子育て世代包括支援センターなどの関係機関と連携し、他の母子保健施策等との一体的な実施を促すことにより、妊娠期から出産後に至るまでの一貫した支援に努めなければならないとしています。国は、2020年度末までに子育て世代包括支援センターの全国展開を目指すとしていますが、現在23区では、本区を含め3区が未設置の状況です。
今回の改正法並びに子育て世代包括支援センター設置について区長の所見を伺います。
改正法では、出産後1年以内の母子を対象に心身の状態に応じた保健指導や療養に伴う世話、育児相談などを行うものと規定し、心身の不調のときなどの要件は設けられず、利用したい方、必要と思う方が利用できるようになります。また、対象月齢についても、現在、本区では、厚労省のガイドラインに基づき、出産後4か月までを対象としていますが、改正法では出産後1年まで延長しています。産後ケアの類型としては、宿泊型、通所型、訪問型があり、本区は訪問型を平成30年10月から、通所型は令和元年7月から、横浜市と川崎市の助産院、計3か所で実施しています。宿泊型は大きく2通りで、既存の病院、診療所、助産所の空きベッドを利用する場合と、厚生労働省令で規定する施設を新設あるいは既存の病院等に併設する場合です。法改正により、近隣の自治体でも産後ケアが推進されると、通所型についても希望者や月数引き上げによる受け入れ施設の拡大は困難と予想され、区内の施設整備が必要となります。現在策定中の令和2年度からの子ども・子育て支援事業計画に産後ケア事業を明記することで、新たな施設の整備に必要な補助が措置されるとも聞いております。
令和2年度予算案では、宿泊型の産後ケア事業816万円余が計上されていますが、宿泊型の産後ケアについて既存の空床利用、あるいは新たな施設開所など、どのような方向性で推進していくお考えか伺います。
また、東京都は来年度予算案にとうきょうママパパ応援事業として27億円を計上し、双子や三つ子などの多胎児を育てる世帯に対する支援事業の創設や、1歳までの子どもがいる世帯への産後ドゥーラ、ベビーシッター、家事支援ヘルパーなどの費用を補助するとしています。一方、待機児童対策としてのベビーシッターも十分でないとの懸念もあることから、家事育児サポーターの人材確保のための計画を立て、一日も早い事業の開始が望まれます。さらに、昨年12月に発表された「未来の東京」戦略ビジョンの中の子育てに全力で取り組む区市町村徹底支援プロジェクトに基づく補助事業が立ち上げられます。全力で取り組む、やる気のあるところには徹底して支援するとのことです。本区は、自信を持ってこの支援事業を勝ち取っていただきたいことを要望いたします。
次に、保育サービス定員の拡充についてお聞きいたします。
本区は、待機児童解消のため、毎年、保育サービス定員の拡充を行っております。松原区長は、令和元年第1回臨時会で先の大田区長選挙において掲げた公約について語られ、安心して子どもを産み育てられるまちの実現について、これまでの3期、12年間で新たに約7500人の保育サービス定員を確保いたしました。引き続き、保育園と学童保育の待機児童ゼロの実現に向けた取り組みを強力に進めるとともに、保育士人材確保を支援するなど、保育環境を整備してまいりますと力強くご挨拶されました。もちろん、私ども公明党も、松原区長とともに保育園や学童保育の待機児童ゼロを目指してまいります。
その上で質問をさせていただきます。先日、令和元年12月5日現在の保育園別、クラス年齢別の欠員リストを拝見いたしました。ゼロ歳児の空きはどの園もゼロ、しかし、1歳児になると欠員数は区全体で4名、2歳児になると区全体で45名、3歳児以上は年齢が上がるにつれ定員割れをしている保育園がほとんどであります。いわゆる定員に達していない状況です。ちなみに平成31年4月1日の待機児童数は116名で、その内訳は、ゼロ歳児42名、1歳児62名、2歳児12名で、3歳児以上の待機児童はいません。さらに言えば、平成30年4月1日の時点で、既に3歳児以上の待機児童はいませんでした。それでも平成31年4月1日現在の1年間の拡充人数は1459名で、そのうちゼロ歳から2歳の定員増は675名、全体の46%です。欠員のある3歳以上の定員のほうが増えています。このような傾向は私立幼稚園の経営圧迫も懸念されるところです。令和2年度の保育園の1次の結果が出ましたが、ゼロ歳から2歳はいまだ内定が出ていない状況であります。
区議会公明党は、これまでも欠員問題を取り上げ、ミスマッチ解消のためのニーズ把握の必要性、既存施設の活用や駅前保育園のサテライト方式の導入などを繰り返し訴えてまいりました。自公政権が進める全世代型社会保障の充実により、幼児教育・保育の無償化が始まり、保育の選択肢が広がっております。例えば、これまで認証保育園は保育料が高いということで入園をちゅうちょしていた保護者の考え方も変化してくると思われます。来年度の予算案では、令和3年4月に向けて12施設700名の定員拡充が計画されております。一方で、多数の欠員状態が常態化し、閉園を迫られている小規模保育所が少なくないとも伺っています。区は、このような不一致の状況を解消せず、今までどおり対象年齢ゼロ歳から5歳までの認可保育園をつくり続けるのでしょうか。認可保育園の定員割れは無駄な財政支出でもあります。区は、この保育を取り巻く環境変化を敏感に捉え、今後の保育サービスの方向性を検証する必要性があります。
現在の計画を見直すとともに、ゼロ歳から2歳までに特化した待機児童対策方針を早急に策定し、具体的な対応が必要ではないでしょうか。区長の見解をお示しください。大田区の未来を託す子どもの生活環境を整えることを要望し、次の質問に移ります。
手話言語、意思疎通条例制定についてお聞きいたします。
大田区議会公明党は福祉の党として、社会的弱者に光を当てる施策の提案を行ってまいりました。昨年行われた第4回定例会においても、我が党の秋成議員が手話をはじめとする情報コミュニティ条例の制定の検討について質問をいたしました。そこでは、障がいを持った方への情報取得や意思疎通の支援の必要性は、これまでも様々な面から訴えてまいりましたが、区におきましても意思疎通支援事業の拡充等、支援の拡大に取り組んでこられたことは一定の評価をしているところであります。しかし、円滑な意思疎通に向けたさらなる環境整備を目指すためには、区民や区内事業者の理解や協力が不可欠であり、今後は推進も必要になると考えます。
今年の夏には、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。この機を逃がさず、手話をはじめとした障がいのある方の多様な意思疎通支援の促進に関する基本的な考え方を示した条例の制定を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。区長の見解をお示しください。
次に、老い支度の推進についてお聞きいたします。
平成31年3月に策定された大田区地域福祉計画では、成年後見制度利用促進基本計画が包含され、区としての権利擁護推進に対する考え方が示されました。認知症や障がいなどにより物事を判断する能力が低下してきている方への支援は、大田区社会福祉協議会おおた成年後見センターを成年後見制度の推進機関として位置づけ、地域福祉権利擁護事業といった制度利用に至る前の取り組みも含めて充実が図られているところであります。しかし、制度の周知が図られるのに伴って増加する相談に対応するにつれ、判断能力が低下する前からかかわっていれば、相談者にとっても、支援する側にとってもよりよい対応ができたのではないかという課題意識が生まれると推察いたします。
人生100年時代を迎え、みずからの老後について考え備えることの重要性や関心が高まる中、区議会公明党は、昨年10月に老い支度支援を重点要望させていただきました。元気なうちから備える老い支度に向けた支援を進めるべきと、本日、改めて松原区長に要望いたしますが、区長の見解をお示しください。
次に、
新型コロナウイルスの区の対応についてお聞きいたします。
新型コロナウイルスが国内で猛威を振るい感染者が増加している状況であり、厳密な体制をとるため、国は2月1日より法律上の指定感染症とし、法律に基づいて検査や入院ができることになったと伺っております。それを受け、区は2月7日より帰国者・接触者相談センターを開設いたしました。これで区としての相談体制の一元化が確立できたと認識しております。これまで様々な相談が寄せられていると思いますが、その中で不安を払拭させるための職員の配慮や職員の相談体制等をお知らせください。
以上で大田区議会公明党の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 勝亦議員の代表質問に順次お答えさせていただきます。
令和2年度予算編成に関するご質問でございますが、今回、令和に入って初めての予算編成となりました。平成から令和に変わり、時代の流れを強く感じ、私たちの次の世代のために着実に区政運営を推進していかなければならないとの決意をこの予算に込めたところでございます。令和2年度は、新たな基本計画を策定する年に当たり、切れ目のない施策展開と新基本計画につなげていくため策定した「おおた重点プログラム」を着実に推進するとともに、予算編成方針では四つの重点課題を掲げ、優先的に取り組むことといたしました。具体的には、子育て・教育の充実といたしましては、特定不妊治療に取り組む方の負担軽減として治療ステージに応じた助成制度の創設や、助産施設での「宿泊型」産後ケアのサービスを新たに開始してまいります。また、区立小中学校全体育館と武道場に空調設備を整備するほか、令和2年度より本格的にプログラミング教育がスタートする小学校にタブレット端末を追加配備するなど、安心して産み、育て、学べる環境づくりをソフト・ハードの面から取り組んでまいります。健康・福祉の充実といたしましては、がん検診を受診したことのない方への啓発活動を推進するほか、元気なうちから老いへの不安などの相談ができるよう相談会を開催し、人生100年時代における老い支度を推進してまいります。そのほか、安全・安心のまちづくりとして感震ブレーカーの支給取付事業や食品ロス削減に取り組んでまいります。さらには、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の歴史をレガシーとして次世代に残すため、区民の誰もが手軽に楽しめる競技として「ボッチャ」の普及を推進してまいります。私は、このような取り組みを着実に進め、区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」の実現に向け、粉骨砕身、全力で取り組んでまいります。
次に、防災関連の予算に関するご質問でございますが、令和2年度予算では、今回の未曾有の台風の経験を踏まえ、区民の皆様の生命と安全を守るため、防災対策を一層強化いたしました。防災対策の強化に当たりましては、本部体制の強化と情報発信、災害対策備蓄物品・設備の充実、地域防災機能の充実、治水対策の推進の四つの視点で予算を編成いたしました。本部体制の強化と情報発信では、災害対策本部に停電に備えた蓄電池を設置するほか、新たな災害時情報通信体制を構築します。また、区民の皆様が速やかに避難行動に移れるように情報発信を強化してまいります。災害対策備蓄物品・設備の充実では、備蓄物品を充実するとともに、全区立小学校に防災ヘルメットの配備などを行います。地域防災機能の充実では、マイ・タイムラインの普及や地域防災の拠点であります特別出張所に災害用蓄電池を配備するなど防災機能を充実させてまいります。治水対策の推進といたしましては、仲六郷三丁目に水防資機材センターを建設し、排水ポンプ車を配備するなど、災害への備えをさらに強化してまいります。区民の皆様の安全・安心を確保するため、自助、共助の取り組みも支援しながら、全庁一丸となって防災対策のさらなる強化に向けて取り組みを進めてまいります。
次に、国際都市おおた協会の移転によります波及効果についてのご質問でございますが、区といたしましても、東京2020大会後のインバウンド需要を引き続き取り込んでいくことで、地域経済を切れ目なく活性化してまいります。京急蒲田駅は内外の観光客の利用が増えており、このことは大きなビジネスチャンスでございます。そこで、国際都市おおた協会は、外国語や国際業務に精通している強みを活かし、様々な形での商店街への貢献ができると考えております。また、地域や商店街のイベントにおいても、日本人と外国人との橋渡しをしてまいります。今後も地域の皆様のご意見を受け止め、関係部局を連携させながら、丁寧に開設の準備を進めてまいります。
次に、国際都市おおた協会の一部を活用した美術品の企画展実施に関するご質問でございますが、国際都市おおた協会の整備予定地は京急蒲田駅に近く、駅コンコースには観光情報センター、周辺には京急あすと商店街やビジネスホテルも多く、区民や観光客が訪れやすい集客力が高い地域でございます。国際都市おおた協会には、協会本部機能や多言語相談窓口のほかに、多目的に活用できるオープン展示スペースが設けられる予定です。議員ご提案の趣旨を踏まえ、絵画等の美術品を展示することなども施設の有効活用の一つとして検討してまいります。
次に、昨年10月の消費税率引き上げの影響及びキャッシュレス決済に関するご質問でございますが、消費税率の引き上げが区内産業に与えた影響については、現在実施しております区内産業実態調査を通じて実態把握に努めるとともに、鋭意、分析を進めております。国は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減は、前回の消費増税時ほどではないとしております。引き続き消費税率引き上げや、今般の
新型コロナウイルス感染症が区内産業に与える影響についても注視し、きめ細やかに対応してまいります。
次に、消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として実施しましたキャッシュレス・消費者還元事業ですが、大田区におきましても約3900店が登録しております。キャッシュレス決済の普及は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、外国人観光客を受け入れる環境整備が求められる中、必須の取り組みであります。また、キャッシュレス決済にとどまらず、区内産業が今後も持続的に発展するためには、環境変化に適切に対応していくことが重要であり、区では令和2年度に全国的にも先進的な取り組みであります「(仮称)スマート商店街実証実験事業」の実施を予定しております。引き続き区内産業を取り巻く環境変化に適切に対応し、産業振興施策を推進してまいります。
次に、消費税率引き上げによる社会保障の充実及び軽減税率についてのご質問でございますが、国は、消費税率引き上げによる増収分は子育て世代のためにも充当し、全世代型の社会保障に転換するとしております。社会保障の充実と安定化は、皆で支え合い、誰もが安心して生活できる持続可能な社会の実現に寄与するものでございます。一方で、消費税は、商品、製品の販売などの取引に対して広く課税されるものであり、国は、消費税率引き上げに当たって経済に影響を与えないよう全力で対応するとしました。このような中、消費税率引き上げ前後の需要の平準化や家計への影響の緩和などのため、幅広い消費者が購入している飲食料品等に係る消費税率を据え置く軽減税率が導入されました。こうした国の政策と連動させるため、区におきましても、非課税者、子育て世帯向けのプレミアム付商品券を発行し、地域における景気の下支えに取り組んでまいりました。区は、引き続き我が国の経済状況や国、東京都の動向などを注視しながら、区民の皆様の暮らしの安定につながる政策に取り組んでまいります。
次に、マイナンバーカードを利用した国の消費刺激策に関する区の広報についてのご質問でございますが、国の動向を注視し、区報やホームページ等を活用して効果的な広報を実施するとともに、マイナンバーカードを交付する際の説明を充実させることなどにより、区民の皆様が国の消費活性化策を円滑に利用できるよう支援してまいります。
次に、羽田イノベーションシティの運営についてのご質問でございますが、現在、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業における第一期事業は、公民連携事業として着実に整備を進めております。羽田イノベーションシティでは、先端産業と文化産業に加え、エリアマネジメントを含む共通事業を展開することで、まちのにぎわいや区内への波及を創出することとしております。区は、こうした目的の具現化に向け、各種事業における効果や区内波及が創出されているかモニタリングを実施してまいります。加えて、結果につきまして羽田みらい開発と共有し、確実に改善につなげられる体制を構築することで、50年を通してまちの発展を創出してまいります。
次に、災害に対する緊急要望への現時点での対応状況についてでございますが、災害時の情報発信につきましては、区ホームページへのアクセス集中による閲覧障害を解消するため、回線及びサーバー機能を強化する等、強靱化を図っております。また、システムの再構築を行い、防災行政無線電話応答サービスの伝言速度を通常の会話と同程度にし、現在より聞き取りやすくする予定でございます。次に、水害時緊急避難場所につきましては、可能な限り震災時に活用する小中学校などを開設することにより、区民の皆様にわかりやすくいたします。次に、避難者対応についてですが、災害時要配慮者の受け入れにつきましては、小中学校など受け入れ環境が十分に整っていないなどの課題もあることから、福祉避難所を早期に開設することを検討しております。また、犬や猫などペットの受け入れにつきましては、原則、受け入れる方向で考えております。基準の見直しをしております。最後に、自助意識の向上についてでございますが、災害時に自分の命を自分で守る「自助」は何よりも大切でございます。地域の災害リスクを知っていただくため、ハザードマップを全戸に配布するとともに、引き続きマイ・タイムライン講習会などを実施してまいります。
次に、災害時の区民への情報提供についてのご質問ですが、災害発生時においては、区民がみずからの命と安全を守る最善の行動につなげるため、区は防災に関する情報を的確なタイミングで発信することが非常に重要でございます。昨年の台風19号を受けて、区では、ホームページのアクセス集中に対応するため、回線の増強と閲覧者用のサーバーを設置し、区民に確実に情報が届くように速やかに改善策を講じてまいりました。議員お話しの臨時災害放送局についても、ラジオは操作が簡単で持ち運びもしやすく、災害時の情報発信媒体としての有用性は認識しております。今後も災害時に備え、区と協力関係を結んでいる区内の放送事業者などとも連携を密にしながら、様々な媒体を活用し、情報伝達手段の多重化、多様化を推進してまいります。
次に、母子保健法改正と子育て世代包括支援センターについてのご質問でございますが、令和元年11月の母子保健法改正により「産後ケア事業」が母子保健法に位置づけられ、その実施が区市町村の努力義務に規定されました。また、改正母子保健法では、児童福祉法に関する事業と連携をすることなどにより、妊産婦及び乳児に対し一体的に支援を提供するものとされております。区は、これらの法の趣旨を踏まえ、令和2年7月から宿泊型を実施するなど、心身のケアや育児のサポート等のサービスを充実させてまいります。子育て世代包括支援センターは、地域ごとに様々な機関が連携、情報を共有し、妊娠期から子育て期にわたるまでの多様なニーズに対して総合的相談支援を提供する機能を果たすものでございます。区は、令和2年4月に、子育て世代包括支援センターを設置し、健康政策部とこども家庭部がより強く連携することにより、母子保健施策と子育て支援施策が一体的に提供できる機能を整備してまいります。
次に、産後ケアの質問でございますが、区は産後ケアの訪問型を平成30年10月から、また、日帰り型を令和元年7月からそれぞれ開始いたしました。宿泊型につきましては、現在、産後ケア事業の日帰り型を実施している助産院3か所で令和2年7月の開始を目指して準備を進めております。産後ケア宿泊型の開設支援につきましては、実施場所の修繕費として国及び東京都の補助事業がございます。この補助を活用して空床を利用した宿泊型の実施の意向がある医療機関と調整をしております。産後ケアを必要とする区民の方がより身近なところで利用できるよう、今後も事業を充実させてまいります。
次に、保育園待機児童対策についてのご質問ですが、新年度予算案の編成に当たりましては、人口統計や前年度の入園申込状況に加えて、妊娠届提出時に行っている保育利用意向調査の結果を踏まえ、特別出張所の区域ごとに保育サービスの需要予測を行いました。その結果、大森西、馬込など七つの地域で大きく保育定員が不足すると予想されたことから、既存施設を有効活用する定期利用保育を含め12施設700人の保育サービス定員の拡充を計画いたしました。3歳児以上の定員の余裕については、約半数が新規開設園のものであり、増加している3歳未満の子どもの持ち上がりにより今後縮小する見通しです。また、小規模保育所については、令和3年度までにその全てについて連携園を確保できる見通しであり、今後、利用が高まるものと期待しております。しかしながら、一部の地域を除いて待機児童は少数分散化の傾向があり、多数の定員をまとめて確保する認可保育園の開設は区切りの時期を迎えると考えており、令和3年度以降は、小規模保育所や無償化後も入園申請に変化の見られない認証保育所への勧奨強化や保育ママの拡充などにより、待機児童解消を目指してまいります。
次に、障がいのある方への意思疎通支援に関するご質問ですが、障がいのある方が正確な情報を得て円滑なコミュニケーションをとれるようにすることは、地域で安心して生活するうえで重要でございます。障がい者総合サポートセンターでは手話通訳者が常駐し、手話通訳者の派遣や多様な相談を受け付ける体制を整えております。これまで障がい者施策推進会議や自立支援協議会等において、障がい者団体や関係機関の方々と情報取得や意思疎通支援の重要性について検討してまいりました。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催となる本年は、障がいのある方への理解をさらに広げる気運を醸成していく上で絶好の機会であります。今後、手話をはじめとした意思疎通に関する条例の制定について、区民や関係団体等の意見をしっかりと聞きながら進めてまいります。
次に、老い支度に関するご質問ですが、安心した老後のために備えることへの関心は年々高まっております。地域の方からも、住まいや財産管理に関するお悩みやどこに相談したらよいかわからないといったお話を伺うことがございます。こうした老いに対する漠然とした不安を抱えている方や、多岐にわたる心配事をお持ちの方がいらっしゃいます。安心した老後に向けて老い支度を進めていくためには、ご本人の意思が尊重されることと元気なうちから備えることが最も重要でございます。区はまず、将来への不安を整理しながらみずからが望む暮らし方に向けた備えができるよう、定期的な相談会を開催するなど、相談体制の整備を進めてまいります。あわせて、区民の皆様に老い支度への関心を持っていただけるよう、周知啓発に努めてまいります。また、ニーズに沿ったサービスの充実に向けて民間活力との協働を進め、老い支度に関するネットワークを築いてまいります。取り組みを進めるに当たっては、大田区社会福祉協議会と連携して切れ目なく支援してまいります。
次に、帰国者・接触者相談センターについてのご質問ですが、帰国者・接触者相談センターは、
新型コロナウイルスに感染の疑いのある方を診療体制等の整った医療機関に確実につなぐための調整を行う相談窓口として、現在、保健所感染症対策課に設置し運営をしております。相談件数も都内での陽性者数の報道がされて以降急激に増加し、中でも区民からの相談は、せきや発熱が続いたり外国人と話をしたりしたことから感染しているのではないかと不安に思い、受診したほうがよいかなど尋ねるものが多く見られます。相談センターの職員は相談を受けるに当たり、安心していただけるよう、よくお話をお聞きし、感染が疑われる場合は、受診先の医療機関を調整の上案内するなど、適切に案内対応をしております。また、相談センターの運営に当たる職員につきましては、感染症対策課の保健師が主に従事するほか、地域健康課の保健師がローテーションで応援従事するなど、事務職も含めて応援体制を構築することで、円滑な相談体制を整備したところでございます。
私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 SNSに関する授業についてのご質問ですが、犯罪に巻き込まれないためにも、子どもたちがSNSについて正しく理解し、適切に使えるようにするための情報モラル教育が大変重要であると考えております。各学校では、トラブルや犯罪に巻き込まれないように学校ごとにSNS学校ルールを策定しております。策定に当たりましては、子どもたち自身がSNSのルールづくりを行うなど、SNSの使い方について主体的に話し合う機会をつくることで情報モラルの向上を図っております。また、情報モラル教育は様々な教科に位置づけられており、総合的な学習の時間などでは、インターネットの学習を行う際に危険なサイトに接続しないことなど、具体的な指導をしております。今後もこうした指導を継続することで情報モラル教育の推進を図ってまいります。
次に、保護者への啓発など教育委員会が取り組んでいることについてのご質問でございます。子どもたちがSNSに関連した犯罪に巻き込まれないためには、保護者の理解、協力は不可欠なものでございます。教育委員会では、平成28年度から全ての区立小中学校におきまして、毎年1回、保護者向け情報モラル研修会を開催しております。保護者の情報モラルに関する意識を高め、適切なネット使用などの啓発を行っております。また、来年度は小中学校の抽出校におきまして、子どものSNSの使用状況など情報モラルに関する実態調査を行います。この調査結果に基づきまして、具体的な指導につなげてまいります。このほか、専門家による児童・生徒向けの情報モラル教室を開催する予定でございます。引き続き、児童・生徒とともに保護者に対しても情報モラルに関する啓発を行い、SNSに関連した犯罪に巻き込まれないようにするための取り組みを進めてまいります。
○塩野目 議長 会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。
午後3時2分休憩
――
――――――――――――――――――
午後3時25分開議
○塩野目 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。32番菅谷郁恵議員。
〔32番菅谷郁恵議員登壇〕(拍手)
◆32番(菅谷郁恵 議員) 日本共産党大田区議団の菅谷郁恵です。代表質問を行います。
まず初めに、区民の命を守るための緊急課題について質問します。
第1は、新型肺炎(
コロナウイルス)の感染についてです。大田区でも感染患者が出ました。一日も早い回復を望むものです。国内でも、新型肺炎で死亡者が出ました。観光バスの乗務員やタクシー運転手さんが感染したように、人から人への感染が報告されており、感染拡大防止のため、十分な対応が求められます。同時に、潜伏期間中にほかの人に感染する可能性も指摘されています。国内の医療や検査の体制をさらに強化する必要があります。
区民の方からは、国や区に電話したけれども、何回かけてもつながらない、店頭からマスクが消えた、消毒液もないなどの声が寄せられ、日本の危機管理の弱さが見られます。また、特区民泊で外国人を受け入れているが、ネット予約で確認のしようがない、大丈夫なのか。中国人ということだけで、学校などでいじめられないかなど敏感になっています。区民の動揺にも応えるため、緊急の対策を求めるものです。
区民の電話相談は、土日、夜間含めて相談体制を強化すること、医療機関のところで感染患者が出たことにより区民への影響が出ないよう対策をとること、また、検査は保険適用されないので、受診できない高齢者もいらっしゃるのではないでしょうか。区長の施政方針演説で、基礎疾患をお持ちの方や高齢者などリスクの高い方への対策もさらに重要になってまいりますとあります。検査を無料にするなど、特段の配慮を求めます。また、公立病院を独立行政法人化することは、感染症や救急医療など採算がとれないことをやらなくなりますから、雪谷にある荏原病院を独立行政法人化しないよう、小池都知事に求めることです。
大田区は、蒲田、大森、羽田・糀谷、田園調布の4か所にあった保健所を1か所に統合したことが保健所機能を弱体化させました。感染症対策課の保健師さんは10人、そのほか本庁、各地域健康課、各地域福祉課などに保健師さんが配置されていますが、高齢者対応、精神障がい者のアウトリーチ、母子対応など仕事内容が多岐になってきています。派遣された保健師さんたちなど職員の感染防止対策と、新型肺炎など感染症に対応できるための保健所の体制強化、また、今回の新型肺炎について、保健師を含めて増員し、特別な体制を求めるものです。
第2は、羽田空港増便、新飛行ルートの問題です。1月30日から始まった新飛行ルート、南風時の実機での飛行が終わりました。本運用を本格的に実現するためと、管制官の手順確認を行うために乗客を乗せた実機飛行確認です。地域の方々から、これまでに聞いたことがないほどの音の大きさだ、ばんばん飛んでいる、安全性は大丈夫なのか、これからずっとこの音に苦しまなければならないのかなど、実際飛び始めて、中止を求めたい声が寄せられています。
計画によれば、南風運用のときは午後3時から7時の時間帯に、B滑走路から羽田地区川崎コンビナート上空へ1時間当たり20便が離陸します。A・C滑走路への着陸は都心上空から城南島、京浜島上空150メートル以下で飛行し、1時間当たり約44便になります。また、着陸時の降下角度は3.0度が3.5度に引き上げ、世界のパイロットは3.5度の急降下をほとんど経験したことがなく、危険だと言われています。また、人口密集地に近い空港は世界にありませんし、川崎市の石油コンビナート上空を飛ぶのですから、事故が起きたら大災害になります。旧羽田空港の沖合移転が決まった際、航空機は海から入り海に出る、内陸は6000フィート以下では飛ばない、京浜島上空は飛ばない、石油コンビナート上空は飛ばないなどが守られてきました。今回の増便、新飛行ルートは、このルールを一方的に破棄するもので許されません。
また、増便は大気汚染の問題からも深刻です。気候変動に直結するからです。昨年9月の国連気候行動サミットで、16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが、人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけていると世界に訴えたことは大きな反響を呼びました。2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を1.5度に抑制する努力目標を設定し、そのために21世紀後半までに人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする方向性を打ち出しました。この冬は、経験したことのない世界的暖冬とも言われ、今年の夏はもっとすごい暑さになるのではないか。15号、19号のような台風も必ず来るなどの声が出ています。このような地球温暖化の中でさらに増便をすれば、飛行機から出る排気ガスやCO2が大量に増え、大気汚染と地球温暖化を促進します。これまで、羽田飛行場でのCO2発生量について区に問い合わせても、国際民間航空機関、ICAOが把握していると、区民の声に向き合おうとしていません。
地球温暖化の影響は区民の生活に直結します。増便による環境変化を区は把握すべきです。お答えください。
また、増便と新飛行ルートについて、これまで区長は、国に対してさらに安全対策を求める、区民に対して丁寧な説明をすることを求めると表明してきました。しかし、区民が一番求めているのは、危険性の問題、騒音の問題、落下物の問題です。国は様々な対策を出していますが、抜本的な解決になっていません。最大の対策は、増便をしないことです。増便と新飛行ルートについて、今からでも国に対して中止を求めることです。お答えください。
次に、平和の問題で質問します。
さて、昨年11月、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が来日し、被爆地長崎と広島で行った発言は、核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか。人道及び環境の観点から核兵器の使用がもたらす壊滅的な破壊を考えなくてはなりません。核兵器禁止条約を含め、核軍縮と核不拡散に関する主要な国際的な法的原則に則り、たゆむことなく迅速に行動し、訴えていきますであり、核禁止条約の発効への不退転の決意が国内外に多大な感動と共感を広げています。
これまで党区議団は、平和首長会議に参加している区長に対し、核兵器禁止条約廃絶の先頭に立って役割を果たすよう繰り返し求めてきましたが、大田区平和都市宣言をしている、花火の祭典など記念事業をしていると並べていますが、それでは役割を果たしていません。
平和首長会議は、被爆者の存命のうちに核兵器廃絶を実現したいと願い、2003年に2020年までの核兵器廃絶を目指す行動指針「2020年ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」を策定し、具体的な取り組みとして、国連、各国政府に対する要請、核兵器禁止条約の早期締結を求める署名活動など8項目を掲げて行動しています。今年は戦後75年、核兵器廃絶を目指す行動指針の最終年度、被爆者の方々も、命があるうちに核兵器のない世界にしたい、核兵器禁止条約を日本が締結するのを見届けたいと言いながら、無念にもお亡くなりになる方が毎年増えています。
2月1日現在、核兵器禁止条約の早期締結を求める署名は、全国で29万6650筆集まっています。松原区長は、核兵器禁止条約の早期締結を求める署名をして核兵器廃絶の先頭に立つことです。お答えください。
次に、2020年度予算についてです。
大田区が発表した2020年度予算は、昨年度比54億9500万円余増の2874億円です。大田区は、おおた未来プラン10年の成果を踏まえて策定する新基本計画につなげていく予算として2020年度予算を位置づけ、これまでの実績を活かした課題解決をさらに展開するとともに、地域力を結集し、新しい世代の礎となる予算として、1、安心して子どもを産み育てられ、未来を担う子どもたちの成長を応援する取組みなど4項目の重点課題に取り組むとしています。
2月17日、内閣府が発表した2019年10月から12月期の国内総生産、GDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.6%減、年率換算で6.3%減と大幅に落ち込みました。日本経済の6割を占める家計消費は落ち込んだまま、労働者の実質賃金は安倍第2次政権発足後、年収で10万円も減り、家計消費は25万円減です。さらに重大なことは、昨年10月から消費税10%にしたことが、深刻な消費不況が続き、格差と貧困が広がり、暮らしと営業は大変になっています。
今、区民の実態はどうでしょうか。消費税増税の前でも大田区の景況、2019年7月から9月期は、製造業、小売業は来期もDI指数がGで最悪状況です。さらに国民健康保険料の値上げ、年金給付は毎年削減、異常な物価高騰で区民から悲鳴が上がっています。生活保護者が1万3447世帯1万6346人、就学援助は小学生4870人、16.6%、中学生2620人、23.9%、区民の所得は納税者の平均で2018年営業所得は421万5000円、消費税増税分にも追いつかず、ものづくりのまち中小零細企業経営者や勤労者が一段と厳しい状況にあります。
地方自治体の役割は、まず国の政治が悪いときこそ防波堤になって区民の命、暮らし、営業を守ることです。しかし予算編成に当たって、昨年7月24日、川野、清水両副区長名で出された2020年度予算編成、組織・職員定数の基本方針についての通知では、A事務事業の最適な実施方針の追求として、健全財政を堅持しつつ、費用対効果を踏まえたスクラップ・アンド・ビルドを徹底するとともに、RPA、AIなどICTの活用や自治体単独では解決が困難な課題に対しては、地域を構成する様々な主体とも認識を共有しながら連携、協働による取り組みを一層進めるなど、事務事業の最適な実施方針を追求するとしています。結局、効率化の名のもとに職員の削減と小さな政府づくりを目指すものです。
予算の中には、認可保育所整備など待機児童の推進、小中学校体育館等空調設備の整備、高校生への給付型奨学金の創設、人材確保型区奨学金減免制度、特別養護老人ホーム大森東整備計画、大腸がん検診無料化、不妊治療の助成、感震ブレーカーの支給取付事業、学校避難所に段ボールベッドの配備など、区民の要求が反映し、評価できるものがあります。
しかし、今議会に施設使用料を値上げする条例改正が提案されています。3年前、施設使用料値上げの提案は、1998年から17年間上げていなかったこと、利用する人としない人との不公平感があり、利用する人に応分の負担をしてもらう、いわゆる受益者負担という考えです。3年前には、激変緩和として最大25%の負担増を行い、約8割の区分でそれぞれ54施設、総額2100万円の値上げ、今回は指定管理者の分を除いて値上げする方針で、総額8000万円、前回の4倍になります。
区長、公共施設はみんなが利用できるものです。地方自治法第244条は、1、「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。」、2、「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」、3、「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」としています。公共施設は、住民自治と住民生活に役立つものとして、多くの区民に利用されてこそ、その目的が達成されるのではないでしょうか。また、使用料値上げの根拠に人件費と減価償却費を上げていますが、区民の税金で建てた公共施設をなぜ納税者の区民が負担しなければならないのでしょうか。受益者負担に人件費も減価償却費も含むのは、租税で賄うべきを二重に区民負担させることで、地方自治法違反の疑いがあるのではないでしょうか。
受益者負担を理由にしての値上げをしてはなりません。値上げしたら、利用できない区民が出てきます。一人でも多くの区民に公共施設を利用してもらう立場に立ち、値上げをしないことです。お答えください。
公共施設の再編では、総務省が自治体に公共施設等総合管理計画を求めており、床面積1割削減の公共施設削減計画を区は国の言いなりで進めています。さらに、PPPによって企業が参画し、PFIによって建設、維持管理、運営等に民間の能力や資金を活用するとして、結局は民間事業者に公共施設運営による利益を提供することになります。新年度予算にも、大森西地区公共施設整備計画や田園調布公共施設の整備計画が出されています。複合化によって、例えば羽田保育園では1歳児クラスの部屋の中に大きい太い柱ができて、子どもの姿が見えにくくなってしまう、園庭が狭い、プールがない。仲六郷保育園は園庭が狭くなるなど、子ども最優先の設計や施設でなくなってしまいます。大森西保育園を複合化に入れることは中止を求めます。
複合化するに当たって、将来人口が減少するからと言っていた理由も、大田区の人口統計では、今後40年間増え続けます。公共施設は1か所にまとまってあるのではなく、より身近で、便利で、安全でが区民の期待するところです。公共施設の削減や統廃合でなく、増やすことです。お答えください。
次に、新空港線についてです。
区長は、新春のつどい挨拶で、
まちづくり推進部内に新空港線・
まちづくり調整準備室を設立しました。また、党区議団が反対したにもかかわらず、昨年の第3回定例会では、新空港線の早期整備と蒲田駅周辺のまちづくりに関する蒲田駅周辺まちづくり等に関する意見書を議決し、区と区議会が両輪となって取り組んでいく姿勢を示したの発言は、強引で一方的で許せません。私が先頭になって進めるという発言は、追い詰められているからです。区の進めるまちづくりは、品川や川崎のような大型店やビルが立ち並ぶ、どこに行っても同じ特色のないまちづくりです。先日、東京駅と羽田空港を結ぶJRアクセス線構想も発表されています。新空港線は不要ではないでしょうか。
区長は、アクセスがよくなる、防災のためなど理由をつけてきましたが、結局、地域住民には電車が通過し待つ時間が長くなり、便利にならない路線にどうして大切な税金を莫大につぎ込む必要があるのか、区民は理解できません。新空港線計画は中止することです。お答えください。
次に、区民の命にかかわる防災対策についてです。
台風15号、19号は、区内に大変な被害をもたらしました。区長は、新年挨拶で、水害時緊急避難場所の開設、運営や情報発信方法などについて、多くの課題が残りました。また、今年の出水期、台風シーズンの備え、防災対策の強化にしっかり取り組んでまいりますと述べています。新年度予算には、災害対策本部の充実や区民、事業者の防災意識啓発としてハザードマップなどの全戸配布などが組まれています。党区議団は、予算要望の中で、防災対策については、台風15号、19号などの教訓から、被害想定に見合った水害時緊急避難場所の拡充を含め整備点検を行うことや、要援護者の支援強化など29項目を求めています。
台風時、豪雨や強風で防災行政無線が聞こえない、何を言っているかわからないという声が多く出されています。江東区は、災害情報をコミュニティFMで受信する防災用ラジオを全世帯、27万世帯に配布する予算15億円を発表しました。大田区でも、コミュニティFM局をつくって大田区の対策強化を求めるものです。お答えください。
次に、保育について質問します。
新年度予算では、待機児童対策として総額56億8425万円余の予算で、2021年4月を目途に12施設の認可保育園を開設し、700名の定員拡充を目指すものです。党区議団は、子育て世代の支援として、希望する保育園に入るためには、不承諾数に応じた認可保育園の増設で待機児童の解消を求めてきました。
おおた未来プラン後期計画では、2018年、待機児童をゼロにする計画が達成できず、実施計画で今年度中に待機児童ゼロにすると先送りにしました。先日、新年度の認可保育園入園の発表が行われましたが、待機児童ゼロの目標が達成できたのか、また、不承諾数についてお答えください。
次に、産業経済費についてです。
産業経済費予算は56億3199万円で、予算全体の2.0%です。昨年より増えている主なものは、南六郷創業支援施設大規模改修工事費用4億8575万円、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成約7億7000万円、産業プラザの改修費用などです。
1人親方の町工場では、昨年夏、ものすごい暑さの中で大型クーラーが故障しても取りかえられませんでした。仕事が全く来ない日もある不安定な毎日、仕事が来たと思ったら単品や、1日で仕上げてほしいというような複雑な仕事が増えています。大田区は、リーマンショック後の2009年、全庁の横断的組織として経済対策をより機動的かつ協力的に実施していく組織、緊急経済対策会議を設置しています。産業の集積を維持するセーフティーネットを早急に構築することが今求められています。
大田区では、現在の急激に悪化する景気の中で、家賃を払えず廃業する、または廃業せざるを得ない中小業者、中小企業が続出しています。大田区の製造業の8割を占める従業員9人以下の小規模事業所を直接支援する家賃補助制度が必要と考えます。大田区工業の強みである高度な技術集積を守る、この観点からの施策の拡充が必要だと考えます。従来の枠にとらわれない直接支援を行うことです。
さらに、今回の新型肺炎の影響で従業員を休ませている中小企業もあります。区内の中小企業の雇用を守るため、かつて行われた、景気の悪化から生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業主がその雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練または出向させた場合に、手当もしくは賃金の一部を助成する中小企業緊急雇用安定助成金制度を行うことです。国、東京都にも働きかけ、区内中小企業がさらに使いやすくするよう、大田区独自の上乗せなど対策拡充を求めます。お答えください。
次に、教育についてです。
予算は340億円余、全体の11.8%です。主な予算は、学校整備の改築費用55億円、ICT教育の環境整備、幼児私学費13億7000万円余です。また国は、昨年末、突然教員の働き方改革と称して1年単位の変形労働制導入を決めました。忙しい時期は1日10時間まで労働まで認め、夏休みなどに労働時間を減らして平均して1日当たり8時間におさめる制度です。これは、教育現場の長時間労働を無制限、ただ働きする制度に助長するものです。本当の働き方改革は、少人数学級で正規の教員を増やすことです。
さて、都の予算を活用して、新年度予算には、働き方改革として全ての区立小中学校に教員支援員がつきましたが非常勤職員です。子どもたちの教育環境と働く人たちの環境をよくするためにも、非常勤対応でなく、正規教職員の配置を求めます。お答えください。
次に、補正予算についてです。
公共施設整備積立基金、防災対策基金、新空港線整備資金積立基金へそれぞれ10億円ずつ積み立てました。特に新空港線整備資金積立基金は、2019年2月、総務財政委員会で、一定の目標額は60億円、根拠は第三セクター資本金のために積み立てているとの答えです。今年度も補正で10億円の基金積み立てをすると、今年度末最終見込みで68億円になります。どこまででも際限なく積み立てる構えです。さらに積み立てるのは約束違反です。お答えください。
次に、全世代型社会保障についてです。
政府の全世代型社会保障検討会議は、2019年12月19日現在、原則1割の75歳以上の高齢者の医療費窓口負担に2割負担を導入することや、兼業、副業などの推進を盛り込んだ中間報告をまとめました。最大の特徴は、従来の社会保障改革に雇用改革を組み入れていることです。具体的には、生涯現役社会として、労働者や国民に高齢になっても可能な限り働き続けることを求め、年金制度も改悪していくものです。長く働かせるためには健康が前提として、病気の予防や健康づくりに取り組ませ、なるべく社会保障を使わせないようにしています。自治体にインセンティブ、財政優遇を与えて予防と利用抑制を競わせる方向を強め、給付抑制のために制度を利用しない、させない取り組みです。しかも、その内容は自己責任、家族の責任、地域の責任を拡大し、公的責任を縮小していくものです。国がやるべきことは、若者や高齢者、障がい者などを分断して競わせることでなく、その時代時代で各世代に必要とされる医療、介護、年金を保障していくことです。政府は、憲法に基づいて健康で文化的な生活を全ての人が営むことに責任を持つことですから、社会保障を切り捨てる全世代型社会保障は中止させるしかありません。
国保の問題です。
党区議団は、所得の1割を占め、高過ぎる国民健康保険料について、国に対して国庫補助金引き下げをやめ、区民負担を増やさないように求めること、生まれたばかりの赤ちゃんまで均等割に加えることは地方自治体の裁量でやめること、第1子から減免制度する条例提案を行い、区民の暮らし、健康を守る立場に立った国保制度にするよう求めてきました。国保料は今でも高いため、加入者の大半を占める非正規雇用、低所得者の労働者や年金生活の高齢者は高額負担を強いられています。しかし、今年の国保運営協議会は、平均1028円の値上げ提案で、さらなる負担増を示しています。提案では、均等割額を上げて低所得率を下げたので、低所得で多子世帯ほど負担が増します。国は、国民健康保険料の値上げを抑えたり、引き下げたりするために、一般会計から国保特別会計に独自に公費繰り入れを行う市区町村に対し、国からの予算を減らすペナルティー措置を2020年度から導入する方針であり、許せないものです。しかし、厚生労働省の国会答弁では、公費繰り入れは自治体の判断でできるとしているのは、自治体独自の施策を禁止すれば憲法が定める地方自治体の本旨を侵すことになるためです。安倍政権が憲法の趣旨に反して、公費削減の圧力を強化するのは問題です。
また、自治体が条例を通じて行う被災者支援、子ども、生活困窮者など、国保料の独自減免に充てる公費繰入金は赤字に分類せず、20年度以降もペナルティーの対象としない方針です。子どもの国保料均等割部分について、東京都清瀬市、最大5割減額、昭島市は第2子を5割減額、埼玉県富士見市では第3子以降を全額免除などが実施されました。国の言いなりではなく住民生活を守る防波堤に大田区がなることを求めるものです。
全国知事会が公費負担による国保料の抜本的軽減が必要として、定率国庫負担割合の引き上げ、子どもの均等割保険料の軽減を要求しています。大田区も値上げしないよう対策をとることです。お答えください。
区民の方々から、国民健康保険料が払えず、担当から督促の電話があり、納めなければ延滞金を徴収すると言われた。また別の男性は、滞納金が34万円、借金して返した。理由を聞くと、自宅のローン返済中、自宅が差し押さえられると住むところがなくなってしまうというのです。これまで国民健康保険料は延滞金徴収をしていませんでした。しかし、区は2年前、国保の広域化から延滞金徴収が始まったことがわかりました。2018年度決算では、延滞金徴収は441世帯109万円余です。督促から10日すれば差し押さえの通知が届くのです。相談がしにくい、区民の実情に寄り添う姿勢がなく、私たちのところに相談が来るような状況です。
そこで質問します。大田区の国民健康保険条例22条には、延滞金について加算して納付しなければならないとありますが、国保が広域化されるまでは、22条2を適用し延滞金は徴収しませんでしたし、2019年度現在、23区中16区は徴収していません。区はなぜ延滞金を徴収するようになったのか、区民が困っているときこそ、地方自治体の役割に立ち、大田区は延滞金徴収をやめるべきです。お答えください。
国保滞納者への制裁措置として国で制度化された資格証や短期証の発行は、患者が持つ医療を受ける権利を侵害し、滞納者へのペナルティーは社会保障の原則に反するもので、党区議団も発行しないよう求めてきました。今回、横浜市で資格証に続いて短期証もゼロになりました。国会での追及があり、改善もありますが、資格証、短期証の発行は、事務手続きが煩雑になり、人手と経費がかかり、中止しました。どうしても払えない世帯に対して保険料の滞納を続けさせることは適切な対応ではありません。払えない保険料であれば保険料の滞納処分を執行停止にして、その資力に応じた当年の保険料を払ってもらうことがよっぽど合理的です。
大田区の今年1月末現在、短期証発行は1705世帯、資格証発行は535世帯です。短期証や資格証を発行することは中止することです。お答えください。
次に、介護の問題です。
大田区には要支援1、2の訪問と通所を新総合事業に移行したことにより、必要とするサービスが切られてしまった方が増えています。2011年に脳梗塞を起こした左半身に後遺症が残っている男性は、昨年12月8日の面談でサービスを打ち切りますと言われました。これからは自分で買い物をして、リハビリをやっている場所まで来てくださいという案内だったそうです。その男性は、家の中を自分ではやっと歩けますが、自宅にひきこもったら歩けなくなると、つえをついてリハビリを行っている特養ホームまでの道のり約500メートルを何回も休みながら片道1時間もかかって行ったけれども、もう無理だと断念したそうです。また、別の女性は、ヘルパーさんをお願いしたら見つからなかったということもありました。介護保険料を納めながら、希望する介護が受けられない状況で、ますます悪くなっています。憲法25条を逸脱しているひどい状況です。
介護保険事業第7期に入り、当初予算で地域支援事業のうち介護予防・生活支援サービス事業費が2018年から20年の3年、毎年下がっています。それだけ支援を受けられなくなっているのです。サービスの打ち切りはやめることです。また、第7期の終了に当たって42億円の基金があります。第8期介護保険事業計画において、第1段階から第3段階までの介護保険料を免除することができますので、実施すべきです。お答えください。
次に、人権保障とジェンダー平等についてです。
世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数が2019年、日本は153か国のうち121位となり、過去最低を更新しました。経済、教育、健康、政治の4分野のデータから作成され、特に低いのが経済参画117位、政治参画125位です。経済政策では、男女の賃金格差の是正をすること、仕事の内容や性別に区別なく同じ報酬を払う同一労働同一賃金を書き込むことです。政治分野では、国会議員に占める女性の割合は1割、閣僚も女性は数人です。政治における男女共同参画法、企業の管理職への女性の登用を促進する女性活躍推進法の実施は待ったなしです。
また、夫婦同姓を法律で義務づけている国は世界で日本だけです。氏名は個人の人格の象徴であり、それを強制的に変えさせられるのは、憲法が定める個人の尊厳に反します。選択制夫婦別姓は、1996年に法制審議会が夫婦別姓も選べるように民法を改正すべきと答申しましたが、自民党が抵抗し、国会で1回も審議されていないのは異例です。国連からも何度も勧告を受けています。
1月25、26日、朝日新聞が実施した全国世論調査で、選択制夫婦別姓について69%が賛成、反対24%を大きく上回っています。自民党支持層でも63%が賛成、反対は31%です。大田区議会にも陳情が出され、継続になりましたが、議論を深めるときです。
日本でも、Me Too、With Youなど、性暴力をなくし、性の多様性、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、SOGIの性的指向と性自認を理由とする差別をなくし、誰もが尊厳を持って生きることができる社会を求める運動が広がっていることは、人類の歴史的進歩を象徴し、希望あることです。
ジェンダーは、私たちの身近にあふれています。男は泣くな、女はすぐ感情的になるなど、男、女はこうあるべきという見方、考え方を生まれたときから家庭、学校、地域、職場など様々な場で自分の中に取り込み、生きてきました。これが様々な性差別の温床になり、生きづらさになっています。ジェンダー平等とは、対等な関係性をつくっていこうという考え方です。
先日、来年中学に入学するお子さんを持つ保護者から、子どもがスカートを履かず、小さいころからスラックスを着用していた。中学の制服でもスカートだけではなくスラックスを選択させてほしいとのご意見でした。また、制服に限らず、トイレの使用、移動教室などの入浴など様々な検討が必要です。港区では、トランスジェンダーなどが身体の性別にかかわらず、職場や学校で制服などを自由に選択できるよう、男女平等参画条例を改正する方針を固めたと報道もありました。また、世田谷区、中野区でも制服、標準服選択可能になりました。大田区では、連合審査会での佐藤区議の質問に、教育委員会が相談に応じると答えていますが、個別対応でなく、区として周知して、このことをみんなが実感することです。
大田区でも、教育委員会の個別対応でなく、制服、標準服の選択を可能にすることを求めます。お答えください。
都は、東京オリンピック憲章にうたわれている人権尊重の理念の実現を目指す条例、いわゆる人権条例を自民党などを除く圧倒的多数で可決しました。さらに、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画を発表し、その内容は、セクシュアルマイノリティー当事者への性差別だけでなく、性的指向、性自認を理由とした差別の解消という全ての人にかかわるものです。党区議団は、昨年第3回定例議会にパートナーシップの条例を提案しました。
大田区立男女平等推進センター条例は、設置、第1条として「男女平等参画社会の実現に資する」と一言あるだけで、センター使用に関するものです。港区は、男女平等参画条例改正にLGBTカップルを公認する制度も盛り込む計画だと聞いています。パートナーシップ条例や制度のある自治体は、2015年に渋谷区、世田谷区で始まり、30自治体に広がっています。600組が利用しています。大田区でもジェンダー平等にかかわる条例や計画をつくり、実施するときです。お答えください。
以上で質問を終わります。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 菅谷議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、保健師の感染防止対策についてのご質問でございますが、
新型コロナウイルス感染症への対応の一環で、保健所の保健師は、帰国者の健康状態確認等の業務に従事をしております。その際、感染防止のため必要な防護具の着用を徹底するなど、職員の安全確保措置を講じております。区は、平成9年4月にそれまで4か所に分散しておりました保健所を1か所に集約した後、平成28年度に効果的な感染症対策を推進するため、地域健康課の感染症対策業務を新設した感染症対策課に集約いたしました。この指揮命令系統の一元化により、感染症など広域的で緊急な課題に迅速に対応するとともに、その基盤となる情報を一元管理し、健康危機管理機能を強化いたしました。今回の
新型コロナウイルス感染症に対応するため、感染症対策課の保健師が主に相談支援等の業務に従事するほか、地域健康課の保健師がローテーションで応援従事するなど、事務職も含めて応援体制を構築することで、円滑な相談体制を整備したところでございます。
次に、増便による環境変化を区が把握し、どのように対策をとるのかというご質問でございますが、航空機が排出する二酸化炭素削減については、「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」において、世界的な枠組みが定められております。それによりますと、国内航空の二酸化炭素は各国の排出量に計上し、各国の責任において削減に取り組むこととなっております。我が国におけます航空分野の二酸化炭素排出対策は、新機材導入による燃料効率の改善、航空交通システムの高度化による運航方式の効率化、バイオ燃料など代替航空燃料の普及促進に取り組むとされております。さらに、経済的な手法として、国内排出量取引制度についても検討するとされております。このように、航空機の二酸化炭素削減は、国及びICAOの責任のもとで取り組みが進めていくものと理解をしております。
なお、区は新飛行経路の運用にかかわり、国に対し、航空機による大気汚染等の環境影響に関する情報を公開するよう要請し、その結果、国では、大気汚染の状況について今年度中に測定するとともに、運用開始後も測定しホームページ等で公表する予定でございます。区といたしましては、区民の生活環境への影響について、これらの数値の把握に努めてまいります。
次に、新飛行ルートの運用についてのご質問でございますが、増便に伴う新飛行ルートの運用は、国の航空政策ではございますが、区は、国に対し、騒音対策や安全対策等を強く要望し、各種の対策が図られております。国際線着陸料の料金体系の見直しによる低騒音機の導入促進、南風時のB滑走路からの出発機の便数削減や長距離国際線の制限、機材制限等が講じられております。また、落下物対策を含む安全対策においては、部品欠落の報告制度拡充や「落下物防止対策基準」の義務づけ、駐機中の機体チェックの強化などが取り組まれております。運用開始前にこれらの対策が図られてきましたが、今後も国に対し、さらなる対策の強化を強く求めてまいります。
次に、核兵器に関する署名についてのご質問でございますが、日本政府は、これまで核兵器のない世界を目指し、毎年、「核兵器廃絶決議案」を国連総会に提出するなど、実践的な取り組みを進めてまいりました。昨年12月の国連総会本会議においても、日本政府が提出した「核兵器廃絶決議案」は、様々な立場の多くの国々の支持を得て採択され、現実に即した取り組みと理解をしております。
区は、昭和59年、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言を行いました。この宣言を行った区の責務は、区民の皆様とともに、平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことであります。この趣旨に沿って、平和都市実現のため、基礎自治体として平和関連の各種事業を着実に進めてまいります。
次に、公共施設の使用料に関するご質問でございますが、受益者負担の適正化は、サービスのコストに対する負担の公平性を確保する観点から重要でございます。前回、平成29年度に統一的な施設使用料の算定についての基本的な考え方をお示しし、改定を行ったところでございますが、今後、原則4年ごとに見直しを行うとしており、今回、令和3年度の改定を予定しているものでございます。また、前回の改定後、施設の利用率については、改定以前の状況をおおむね維持しており、今後も社会経済状況の変化を踏まえ、公共施設の使用料の適正化に向けて継続的に取り組んでまいります。
次に、公共施設の適正配置に関するご質問でございますが、公共施設の更新においては、将来の人口構成や行政需要の変化、地域のまちづくりと連動した施設の適正配置が重要でございます。そのため、地域ごとの将来を見据えた公共施設の整備を進め、また、公共施設の多機能化を進めることで、施設の集約及び有効活用を図り、さらなる区民の利便性向上や地域の活性化などを目指します。今後も効果的、効率的なマネジメントにより、将来を見据えた持続可能な公共施設の整備に取り組んでまいります。
次に、空港線についてのご質問でございますが、新空港線は、区にとって重要な事業であります。新空港線が整備されることで、区内の東西移動の利便性が大きく向上するとともに、羽田空港と副都心や埼玉方面との新たな鉄道ネットワークが構築され、東京圏全体の交通ネットワークが補強されます。また、蒲田駅周辺のまちの機能更新や多摩川線沿線のまちづくりをあわせて行うことで、大田区のさらなる発展にもつながります。さらに、首都直下型地震をはじめとする大規模災害時の代替ルートとしての役割も担い、都市機能の強化にも大きく貢献します。現在、今年度内の関係者合意に向け、東京都と鋭意協議を進めており、協議が整い次第、速やかに整備主体の設立を行ってまいります。以上のことから、新空港線の中止は考えておりません。
次に、コミュニティFM局の開設についてのご質問でございますが、コミュニティFMは、生活情報の発信や有事の際には防災情報を発信するなど活用されております。区といたしましても、災害時のラジオの有用性は認識しておりますが、運営スタッフの確保や平時におけるコンテンツの運用など様々な課題もあります。現在、区では、ホームページやツイッター等のほか、区民安全・安心メール、デジタルサイネージなど多様な媒体を活用しながら災害情報を迅速に発信しております。今後も多様な媒体を相互補完的に活用しながら、適時適切な情報発信を行ってまいります。
次に、保育園待機児童対策についてのご質問ですが、今月7日に通知した令和2年度認可保育園第一次利用調整結果での保留数は1313人で、昨年度より258人減少しております。厚生労働省は「保育所等利用待機児童数調査要領」を定め、認可保育所等に入所できなかった児童のうち、認証保育所や幼稚園に入所した児童、特定の保育所等を希望した児童や保護者が育児休業を取得した児童等を除外するとしており、また、利用申請の二次受付から申請される保護者もおられることなどにより、待機児童数の確定は毎年5月ごろとなっております。現在、二次利用申請者の利用調整のほかに、保育ママの申請受付や認証保育所等の案内強化などを行っており、新年度に向け、引き続き個々のニーズを踏まえた適切な保育サービスにつなげる努力を重ねてまいります。
次に、中小企業緊急雇用安定助成金制度等に関するご質問ですが、中小企業緊急雇用安定助成金制度につきましては、平成25年4月から雇用調整助成金に整理・統合されております。この雇用調整助成金について、国は、今般の
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、支給要件を特例で緩和する措置をとり、1月24日以降の休業などから適用しております。区は、既にホームページ等を活用して、この特例措置の周知を図っているほか、
新型コロナウイルス感染症の流行による影響を受ける、または受けるおそれのある中小企業、小規模事業者を対象として、融資や経営上の相談などを受ける相談窓口を設置し、事業者からの相談に対応しております。引き続き、
新型コロナウイルス感染症の流行が区内産業に与える影響を注視して、国や東京都と連携しながら対応してまいります。
次に、新空港線整備資金積立基金に関するご質問でございますが、本事業を進めるうえで、地方負担のうち、大田区負担分並びに利便増進法に基づく整備主体となる株式会社の設立資金等などの財源として確保する必要があります。少子高齢化が著しく進行する中、社会保障などの義務的経費が今後一層増加することが想定され、持続可能な区の発展には、将来を見据えた計画的な投資が必要であり、そのため財源確保が重要になってまいります。現在、新空港線の協議は大詰めを迎えており、協議が整い次第、速やかに事業着手する予定でございます。新空港線事業を円滑に進めるうえで、新空港線の予算確保は重要となるため、後年度の区の財政負担軽減のために積み立てを行うものです。引き続き、基金を効果的に活用することで、安定した財政運営に取り組んでまいります。
次に、国民健康保険に関するご質問について順次お答えします。
まず、子どもの均等割保険料についてですが、保険給付に必要な財源は、公費と保険料を賄うこととしており、制度から等しく利益を受けることに対する応益分として、ご負担いただいているところです。特別区では、所得割と均等割の賦課割合を58対42と、均等割の割合を低く抑え、所得の低い方の負担に配慮したものとなっています。また、保険料の低所得者対策として、均等割保険料を軽減する措置のほか、災害その他特別の事情のある世帯には、保険料を減免することが国の制度として設けられております。均等割保険料のあり方については、国の制度として検討すべきものと考えております。なお、全国市長会の総意として、子どもに係る均等割保険料を軽減する支援制度を創設することについて、国に要望しております。今後も国の動きを注視してまいりたいと考えております。
次に、国民健康保険料の延滞金についてですが、納期限までに保険料を完納していただけなかった場合は、延滞金が加算されます。延滞金は、納期限までに適正に保険料を納めていただいている多くの被保険者との公平性を考え、設けられているものです。なお、災害等やむを得ない事情がある場合には、延滞金の減免を行っております。延滞金は、公平性の観点とともに、納期限までに保険料を納めていただくよう促す意義も有しており、今後も適正に実施してまいります。
次に、短期証等についてでございますが、国民健康保険は、被保険者が相互に支え合って成り立っている制度です。保険料は、被保険者の医療費に充てられる大切な財源です。短期証、資格証明書は、負担の公平を図る観点から設けられているものです。保険料を滞納された世帯に、納付勧奨を重ねても納付いただけない場合には、6か月間有効の短期被保険者証を交付します。この保険証でも通常どおり一部負担で医療機関に受診することが可能となっております。さらに、特別の事情がないにもかかわらず、保険料を滞納している被保険者に対しては、資格証明書を交付し、医療機関でお使いいただいております。短期証等は、納付計画の見直しを行う機会となっており、納付相談の際には、生活状況をよくお聞きし、丁寧に対応してまいります。
介護保険事業に関するご質問ですが、介護保険特別会計の地域支援事業では、介護保険法の趣旨に基づき、元気高齢者の介護予防から、重度化防止・自立支援まで切れ目のない支援を目指しております。そのため、平成30年度からは一般介護予防事業を拡充しております。介護予防・生活支援サービス事業においては、介護事業者からの専門性の高いサービスに加えて、住民を主体とする多様なサービスを充実し、適切な支援に取り組んでまいります。また、介護給付費準備基金は、3年ごとの介護保険事業計画の計画期間中における介護保険給付や地域支援事業に要する費用の不足に備え、特別会計の剰余金を積み立てています。政府は全世代型社会保障を通じ、社会保障制度を持続的な制度とすることを今後の方針として明確化しました。区民に安定したサービス提供を継続することは、保険者としての大きな責務です。関係法令を遵守し、適切に判断してまいります。
次に、ジェンダー平等にかかわる条例や計画についてのご質問ですが、区は、男女共同参画基本法に基づき、大田区男女共同参画推進プランを策定し、誰もが認め合い、女性が活躍できる社会の実現に取り組んでおります。性的少数者、いわゆるLGBTの方々につきましては、差別や偏見を受けることのないよう、区民向けにLGBT問題を特集した区報を発行するとともに、人権上の悩みをお持ちの方には、人権擁護委員による人権身の上相談を行っております。来年度は、令和3年度から5年間を計画期間とする次期男女共同参画推進プランを策定する予定であり、このプランに基づき事業を推進してまいります。
私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 教員支援員の配置は、非常勤対応ではなく正規職員の配置を求めるとのご質問でございますが、来年度は東京都の「スクール・サポート・スタッフ配置支援事業」の補助金を活用しまして、教員支援員を新たに区立全小中学校に各1名配置する予定でございます。この教員支援員は、東京都の補助要綱では、非常勤であること、児童・生徒に直接対応するような業務は除くことが条件となっておりますが、教員の負担軽減を図る効果が期待できます。引き続き、児童・生徒への指導や教材研究等に注力できる体制整備に努めてまいります。
次に、標準服の選択に関するご質問でございますけれども、教育委員会は、心の性と体の性が一致しない生徒が標準服に対して心理的負担や不安を感じることがあると考えてございます。教育委員会では、生徒と保護者の意向に沿った標準服の対応ができるよう、校長会や人権教育研修会で指導、助言しております。各学校では、教育委員会の指導、助言をもとに、標準服に関しては、生徒と保護者の意向に沿って個別の対応を行っているところでございます。
○塩野目 議長 次に、39番須藤英児議員。
〔39番須藤英児議員登壇〕(拍手)
◆39番(須藤英児 議員) 令和大田区議団、須藤英児です。
初めに、
新型コロナウイルス、COVID−19による感染症で亡くなられた方にお悔やみ申し上げます。感染されて重症化した方の一日も早い回復を願います。
新興感染症に対する予測と対応、感染防御の難しさを考えさせられます。我々大田区議会は、命を守る対策を日々考え続けなければなりません。
では、会派を代表して、災害対応を軸に八つの質問をお伺いいたします。
1、災害時の命を守るための自助の強化について伺います。
平成7年、阪神・淡路大震災で亡くなった方は6343人、当日に亡くなった方は5036人、発災1時間以内に亡くなった方は3842人です。地震発災当日の亡くなった方の76%、およそ4人に3人が発災1時間以内に亡くなっています。阪神・淡路大震災の教訓は、大きな揺れが来ても、各自の備えと各自の命を守る行動が重要で、何が何でも生き抜く、死なない対策を立てることです。それには、自助が重要です。自助とは、自分で自分の身を助けること、他人の力を借りることなく自分の力で切り抜けることです。
阪神・淡路大震災のとき、瓦れきの中からの救出の8割以上は、家族や地域の力によるものと言われています。しかし、高齢化が進む都市部では、大規模災害時の救助、救出を地域力に頼ることは危険です。阪神・淡路大震災クラスの大地震を考えたとき、第一に自分が助かり、そのうえで多くの方を巻き込んでの共助ができれば、より多くの方を助けることができると考えます。
まず、地震対策として各自が自分の住む家屋と向き合い、各自で耐震診断、必要があれば耐震化のための処置をする、これは自助です。燃えやすい家屋であれば不燃化対策を進めること、これも自助です。建物の耐震化と不燃化を進め、壊れない、燃えないまちにすれば、犠牲者を大幅に減らすことができます。屋根や壁も各自で責任を持って点検、修理をすること、これも自助です。瓦やトタンなどの落下は死亡事故につながります。屋根や壁の災害発生後の修復は職人不足で困難になり、生活再建が遅れます。人手の確保できる平時に点検・修理をすることは、災害時にできる重要な自助です。各自で自宅周辺や通勤通学ルート、通勤通学先の建物の災害時の危険度を把握しておくことも重要な自助です。特に自分が住む土地のリスクを正確に把握するために、各自で地盤や地理的条件を調べておくべきです。谷や沢を埋めた造成地は大地震発生時に液状化を起こすことがあります。過去の浸水被害の歴史を知ることも不可欠です。
防災訓練として、助け出す訓練は大事です。しかし、これからは自助として各自で行う助け出されずに済むための訓練が必要です。例えば自宅の脱出ルートを確保する訓練、玄関前までは何が何でも逃げる訓練を行うなどです。震災時でも水害時でも災害に合わせた避難場所、避難所、そして避難ルートの確認を各自でする、これも自助です。高齢の方、身体が不自由な方、災害情報を入手することが苦手な方は、近隣住民に有事のときは助けてほしいと伝えておくことが自分の命を守ることにつながります。これも自助です。風水害対策として、自宅のリスク、気象情報、各自で情報収集し、いつ、どこに避難するか決めておくなど、避難するまでの各自の行動を決め、各自の事情に合わせた行動計画をつくるマイ・タイムラインの作成、これも自助です。
風水害時に情報収集をうまくできない方、1人で避難することができない方などを地域の力で助ける共助は大切です。しかし、より多くの命を守るためには、各自から始められる自助の徹底が必須と考えます。命を守る取り組みは、自助の強化が第一に重要だと思います。区の考えをお聞かせください。
2、防災・減災のための連携対策について伺います。
令和元年第4回定例会で、三沢議員による代表質問で出た防災・減災のための大田区、世田谷区、川崎市による広域連携の進捗状況はどうなっているでしょうか。災害発生3日前に水門などの防災施設の点検を行うなど、各自治体の事前防災計画、タイムラインの情報共有が対応の遅れ防止のために不可欠だと思います。また、消防、警察、自衛隊、民間団体など他の団体との連携も必要だと思います。
民間同士の連携の話です。令和元年台風19号被害後、川崎市、世田谷区、大田区内の有志による多摩川流域の災害復旧支援チームができ、私もたびたび世田谷区や川崎市の復旧支援活動や情報交換会に参加してきました。3地域の民間レベルでの連携は、確実にスタートしています。
大田区として、防災・減災のため、他自治体や他団体と連携しての対策などありましたらお聞かせください。
3、公共インフラの防災対策について伺います。
先日、友好都市である長野県東御市を訪問時、令和元年台風19号被害として、千曲川増水による橋の崩落現場を見てきました。東御市では、7か所も橋が崩落したとのことです。
我が大田区でも、橋の防災対策は重要であると考えます。災害時、橋が落ちると傷病者の搬送ができなくなり、援助物資も届かなくなります。また、橋は水道管などもあり、これらが寸断されると生活復旧が大幅に遅れます。そこで、橋など公共インフラの防災対策に関する区の考えをお聞かせください。
4、被災後の生活再建のための連携について伺います。
いつ起こるか予期できない地震災害や台風シーズンに日本のどこかで大きな被害を出している風水害、これらの自然災害に対して発災後、迅速に柔軟で実効性の高い支援体制をいかにつくれるかが課題となっています。その支援体制の一つとなる災害ボランティア活動は、個々の自発性、奉仕性に基づく活動ですが、被災された地域の住民をはじめ、ボランティア団体、NPO、農協など各種団体、企業など幅広い方々との協働の取り組みです。実際の災害ボランティアセンターでは、ボランティアの受け付けとともに、家屋内外の片づけや清掃、災害ごみの運び出しなど、被災者のニーズを把握し、マッチングを行っており、平成7年、阪神・淡路大震災では約217万人、平成23年、東日本大震災では約156万人、平成28年、熊本地震では約11万人、平成30年7月豪雨災害では約26万人に上る災害ボランティアが活動に参加し、復旧・復興への大きな力となっています。
災害ボランティアによる支援は、自助で対応できない方を対象に、いわゆる災害の初期段階において、自宅の生活空間の確保など力仕事を中心とした生活再建のお手伝いがその多くを占めます。一方、実際の災害では、高齢者や障がいのある方、子どもなど社会的に弱い立場にある方々に特に大きな被害をもたらすことが多く、生活再建に向けては、初期段階から平時に向けた一貫性のある支援が問われています。特に大規模災害時においては、分散避難の中でコミュニティが失われ、結果として被災者の孤立化が生じ、孤立死やアルコール依存、生活困窮に陥るケースも少なくありません。こうした方々に寄り添い、生活再建を支える福祉的支援が重要であると考えます。
災害ボランティアセンターを運営する中心的な存在である大田区社会福祉協議会は、生活福祉資金の特例貸し付けや福祉関係専門職のネットワークを活かした支援など、その強みを活かした活動にも取り組んでいます。被災後の生活再建を支える福祉的支援については、今後一層、社会福祉協議会との連携が欠かせないと思います。区の考えをお聞かせください。
5、災害時の訪日客対応について伺います。
昨年10月の防災安全対策特別委員会の視察で関西国際空港を持つ大阪府泉佐野市を訪問したとき、平成30年台風21号による発災当時の対応について伺いました。関西国際空港では、高潮による滑走路の浸水やターミナルビルの浸水、さらに関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突し、連絡橋が壊れ、一時孤立状態になりました。関西国際空港に行けない300人の訪日客が泉佐野駅であふれ、泉佐野市職員が多言語で説明し、バスによるりんくうタウン駅ビルへの移送、アルファ化米や水、毛布を配布し、1泊、滞在受け入れを行ったそうです。
年間400万人以上の訪日客を受け入れる世界とつながる羽田空港を持つ大田区、災害時の訪日客対応策などありましたらお聞かせください。
6、災害ごみへの対応について伺います。
平成7年の阪神・淡路大震災、平成28年の熊本地震など、地震の揺れにより壊れた建物のごみ、建物内の家具や食器、家電製品など大量の災害ごみが発生しました。阪神・淡路大震災により兵庫県内の被災地域、10市10町において発生した災害ごみは、住宅・建築物系と道路・公共公益系を合わせ約2000万トンです。わずか10数秒間の地震で、兵庫県一般廃棄物の8年分に相当する災害ごみが発生したと言われています。住宅全壊約8600棟、半壊約3万4000棟の被害を出した熊本地震は、熊本県一般廃棄物の5.5年分に相当する約311万トンの災害ごみが発生し、そのうち、人口74万人の熊本市の災害ごみは熊本市の一般廃棄物の6年分に相当する約151万トンでした。
平成30年7月豪雨災害により、多くの家屋で浸水被害が生じた人口約48万人の岡山県倉敷市では、35万トンの災害ごみが発生しました。全国的に大きな被害を出した令和元年台風19号、大田区も700件以上の風水害があり、水に浸かった家具や食器、家電製品など大量の災害ごみが発生し、災害ごみを早く処理することが早い復旧につながることを大田区内の被災現場で見ていて痛感いたしました。地震災害でも風水害でも発生する災害ごみ、災害の規模に比例して、量も増えていきます。
地震災害は建物の耐震化を進め、倒壊家屋を減らし、建物の不燃化を進めることで建物などの災害ごみを減らせます。建物内の家具や家電の固定化により、家具や食器、家電の災害ごみは減らせます。風水害による災害ごみは、大型の台風など予想経路・日時が事前にわかれば、各自のマイ・タイムラインの中で家具や家電を1階から2階に上げることも災害ごみ削減につながります。
大地震や記録的な大雨による河川の氾濫など実際の災害の規模やそのときの状況により、発生する災害ごみの組成や量は大きく変わるため、災害ごみの想定は困難です。しかし、大規模災害発生後、災害ごみを早く円滑に処理することは区民の衛生的環境の確保のために不可欠で、生活の復旧、再建に大きく影響いたします。迅速、効率的に大量の災害ごみを処理するためには、私たち区民側も意識の上で変わらなければいけない点が多々あると思います。区の体制とあわせて区の考えをお聞かせください。
7、これからの友好都市との関係について伺います。
大田区は秋田県美郷町、長野県東御市、宮城県東松島市の三つの友好都市を持ち、文化、教育、スポーツ、産業の分野で交流を深め、災害時の協定も取り交わしています。
美郷町は清浄な水が豊富で、六郷のカマクラや300年以上続く七夕行事など美郷町ならではの伝統文化行事がたくさんあります。また、バドミントンが盛んな地域で、施設も充実していて、スポーツを通じた交流もできます。今年はまれに見る雪不足で六郷のカマクラなど中止せざるを得ない状況でしたが、例年は豪雪地帯であり、除雪ボランティア隊として大田区から伺うこともできると考えられます。大田区の高畑小学校と秋田県六郷小学校の交流はより深まっていると聞いています。
東御市には、昨年12月に大田区議会として伺い、令和元年台風19号の被災現場を案内していただき、発災後の対応、復旧活動についての説明も受けました。橋や道路などの公共施設、リンゴやブドウなどの農産物に大きな被害が出たが、早めの避難行動と危険な地域に住まない地域特性が人的被害を減らしたこと、長野市に向けて災害地支援ボランティアバスを派遣したことなど、大変勉強になりました。そのほか、高地トレーニングのできる室内温水プールや湯の丸スキー場のこと、土壌特性を活かしたマスカットなどの食用ブドウ、ワイン用の良質ブドウ栽培のことなど、興味深い情報をたくさんいただくことができました。
東松島市は、9年前の東日本大震災以降、大田区から東松島市へ延べ1万1353人が復旧・復興支援活動に参加し、両区市で災害時相互応援協定も締結され、平成24年から毎年行われている大田区&東松島市絆音楽祭など、市民同士の交流が深まり、平成28年11月に友好都市になったと聞いています。私自身、復旧支援活動を通じて、東松島市の皆様から防災・減災に対する備えや地域の復旧・復興について多くを学んでいます。また、東松島市は音楽活動の盛んなところ、東日本大震災の起こった年も休まず行われたとっておきの音楽祭イン東松島市は、東松島市の中心部、矢本のまち全体がステージとなったすてきな音楽祭、大田区でもまち全体で盛り上がれる音楽イベントがあったらよいなと思いながら、毎年伺っています。
東松島市は、日本三景、特別名勝松島の一角を占める奥松島などの観光スポットを持ち、毎年開催される航空祭では、航空自衛隊松島基地所属のブルーインパルスによる展示飛行を楽しむことができます。皇室献上品に何度も選ばれる上質の海苔や大粒で味の濃いカキなど、おいしいものもそろっています。
美郷町、東御市、東松島市の三つのすてきな友好都市、文化や教育、スポーツ、産業、防災などの情報交換を含め、もっと互いに行き来し、刺激し合うべきです。
そこで伺います。これからの友好都市との関係、区としての考えをお聞かせください。
8、自然やスポーツを楽しむための区外施設の活用について伺います。
スポーツを見る、スポーツをする、楽しむなど、地域資源、自然環境などの観光要素を付加し、地域の活性化を目指すスポーツツーリズムについては、経営戦略として様々な自治体が工夫を凝らしています。スポーツツーリズムの趣旨は、まさに地域の交流人口の増加を目指すものです。
一方、
公益財団法人日本交通公社の旅行年報2019における日本人の旅行市場の概況で、旅行形態としては、個人で実施する観光旅行やスポーツ旅行の形態が全体の45.3%を占めています。そこで、私たち大田区民がスポーツ、観光を楽しみ、自然に親しめる機会を得られる施設では、平成30年度の利用率51.95%の休養村とうぶ、43.92%の伊豆高原学園、指定保養施設ではグリーンピア津南の人気が高い状況です。区が広報した1月の湯の丸スキーツアーは、ちょうど新雪が降り、天気に恵まれ、参加者からは、楽しめた、リフレッシュできたという好評を得ています。
私も今年の1月に新潟県で毎年開催されている大田区区民スポーツ大会のスキー競技に参加する予定でいましたが、まれに見る雪不足で大会が中止になり残念に思っています。休養村とうぶのある東御市は、パウダースノーが楽しめるスキー場の中に高地トレーニングのできるプール施設が新設され、より魅力を増しています。そこで、大田区として、自然やスポーツを楽しみ、地域の魅力を味わい、健康を増進する区外の施設の活用における区の考えをお聞かせください。
人生100年時代、各自が自立し、災害などへの備えをしつつ、友好都市との交流を深めたり、スポーツや観光などを楽しんだり、幸せを実感できる大田区であればと願います。以上です。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 須藤議員の代表質問に順次お答えしてまいります。
まず、命を守る取り組みは自助の強化だと考えますがいかがでしょうかというご質問でございますが、災害による被害をできるだけ少なくするためには、一人ひとりがみずから取り組む自助、地域や身近にいる人たちが助け合う共助、区をはじめ行政が取り組む公助が重要でございます。その中でも基本となるのは、一人ひとりが自分の身の安全を守る自助でございます。災害時のみならず、日ごろから自分が住んでいる地域の災害リスクを知っておくことや、家具の置き場所や耐震など、自分の家の安全対策、水や食料を備蓄するなど、災害に備えておくことが大切でございます。今回の台風19号の経験から、区が防災対策を強化するとともに、区民一人ひとりに自助の重要性を知ってもらうためにも、ハザードマップの全戸配布やマイ・タイムライン講習会の開催など、様々な機会を活用してまいります。
次に、今後の防災・減災のための連携、対策についてでございますが、これまでも国が主催いたします多摩川流域大規模氾濫減災協議会では、大田区、世田谷区、川崎市、東京都、神奈川県など、多摩川流域の自治体において、各自治体の治水対策をはじめとした情報交換を行ってまいりました。今回の台風19号によります多摩川流域の大規模な被害を受け、協議会の中に多摩川下流部減災対策部会が設置され、大田区をはじめ、下流部の自治体が今後の対策の方向性について協議し、ハード・ソフト両面から多摩川治水対策に取り組むこととなりました。また、世田谷区、川崎市とは台風19号以降に継続して連絡をとり合い、被害の状況や支援の内容を共有しています。そして、3自治体連名で、治水対策について国へ要望してまいります。今後は避難情報の発令などについても連絡をとり合い、対応を行っていくことを確認しました。このように、近隣自治体をはじめ、関係機関との連携を強化し、災害対策を充実してまいります。
次に、公共インフラの防災対策に関するご質問でございますが、区では、橋梁の耐震整備や道路の無電柱化等、公共インフラの防災対策に計画的に取り組んでおります。橋梁につきましては、緊急道路障害物除去路線や鉄道等をまたぐ橋梁などを防災上重要な橋梁に位置づけ、架け替えや耐震補強を優先的に進めております。さらに、今年度見直しを実施しています耐震整備計画においては、臨海部へのアクセス等を考慮し、防災対策の強化を図ってまいります。また、無電柱化につきましては、基本方針の策定を進めており、さらに計画的かつ効果的な無電柱化を推進してまいります。引き続き、橋梁や道路などの公共インフラの強靱化を計画的に進め、災害に強いまちづくりを一層推進してまいります。
次に、被災後の生活再建を支える福祉的支援についてのご質問ですが、大規模な災害時においては、家族の支えや地域の互助機能などにより、生活を維持できていた方であっても、孤立や心身機能の低下、生活困窮状態に陥るなどの事例も生じており、被災後の中長期的な支援は重要でございます。このため区は、総合相談窓口による対応をはじめ、応急仮設住宅の確保、職業のあっせん、税金や保険料等の減免、必要な各種資金の貸し付け、義援金品の配分など、生活の安定と再建に向け、被災者へ寄り添った支援を実施することとしております。被災後の生活安定に向けては、それぞれの窓口で被災者のご不安を捉えつつ、切れ目のない支援を行う必要があります。とりわけ、お話の大田区社会福祉協議会は、被災直後に円滑なボランティア活動が行われるよう、調整役として中心的な役割を担う一方で、お話の生活福祉資金のほか、要支援高齢者の生活サポート・見守り活動を支えるボランティアの確保、育成、地域福祉の推進に寄与する活動への助成制度など、生活支援に対する様々なノウハウを日々積み上げております。区は引き続き、被災者の生活再建に向けた支援の充実に努めるとともに、災害時も支え合う共生の地域づくりに向け、重要なパートナーとなる大田区社会福祉協議会に求められる役割を十分に果たせるよう、必要な支援を講じてまいります。
次に、災害時における訪日客対応のご質問ですが、大田区においでになる観光客の皆様が安心・安全に区内観光をお楽しみいただくことが観光振興にとって重要であると考えております。平成30年度に策定した新大田区観光振興プランでは「観光危機管理による安心・安全な観光都市への取組」を主要な柱の一つとしております。観光案内サインの避難所名やサイト等で発信する緊急時にとるべき行動につきましても、多言語で周知を図っております。また、大田区観光情報センターは、平常時からハザードマップを配備するなどし、昨年秋の台風時には、観光客等からの区内の災害現況及び避難状況の問い合わせ対応を行いました。さらに今年度末には、非常用電源と携帯電話充電器、災害に関する情報をリアルタイムに掲示し発信できるデジタルサイネージの導入を予定しております。今後も国、東京都、関係機関との情報交換を密にし、訪日観光客が区内で快適に滞在できるよう、観光振興施策の充実を図ってまいります。
次に、災害廃棄物の迅速・効率的な処理に関するご質問ですが、災害廃棄物も通常のごみと同様、清掃工場など東京23区清掃一部事務組合の廃棄物処理施設において処理することになります。このため、災害時においても、区民の皆様には排出段階から可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみの適切な分別を徹底していただくことが、迅速かつ効率的な処理、ひいては早期の復旧・復興につながります。区は、特別区における災害時の共同処理体制を構築し、共助としての災害廃棄物の処理の体制を整備してまいります。また、区民の皆様にも自助の取り組みとして、災害廃棄物の適正な分別、排出についてご理解いただくよう、周知を図ってまいります。
次に、友好都市3都市との今後の関係と考え方についてですが、友好都市の自然環境や沿革、交流状況を踏まえ、相互に発展する関係を深めていくことが重要と考えております。これまで、「OTAふれあいフェスタ」への各都市の参加や、「友好都市ふれあい広場」が毎年盛大に行われており、区民・市民レベルの交流が定着しております。3都市とこれまで育んだ友好関係のもと、自然、文化、教育、産業等、各都市の魅力や特徴を活かした交流を一層推進し、ともに豊かな地域社会を築いてまいります。
次に、区外施設の活用についてのご質問でございますが、区は、区立保養施設である休養村とうぶ、伊豆高原学園を中心とした区外施設を活用し、区民の健康増進と余暇の充実に努めております。休養村とうぶは、北アルプスを望む信州の豊かな自然に囲まれた施設で、冬のバスツアーは近くの湯の丸スキー場や菅平高原スキー場でウインタースポーツを楽しむ方に好評をいただいています。スポーツ団体の合宿所としても多くの方にご利用いただいており、地元・東御市民との交流試合など、友好都市提携により育んできた貴重な交流の場となっております。東御市には昨年、高地トレーニングの施設が新設されました。この施設とともに、近年増加しているワイナリーなどをめぐる観光の拠点としても保養施設の魅力をより一層区民の方へPRしてまいります。区は、区民の皆様が生涯にわたりスポーツを楽しみ、人との交流、自然との触れ合いの中で余暇を楽しめる区外施設となるよう努めてまいります。私からは以上です。
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○塩野目 議長 本日はこれをもって質問を打ち切り延会とし、2月25日午前10時から会議を開き、質問を続行したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩野目 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって延会といたします。
午後4時58分延会...