大田区議会 2003-09-26
平成15年 第3回 定例会−09月26日-02号
平成15年 第3回 定例会−09月26日-02号平成15年 第3回 定例会
平成15年第3回定例会 大田区議会会議録 第11号
9月26日(金曜日)
出席議員(50名)
1 番 永井敬臣 君 2 番 神林 茂 君 3 番 近藤忠夫 君
4 番 田中一吉 君 5 番 河津章夫 君 6 番 川上智由 君
7 番 水井達興 君 8 番 小原直美 君 9 番 海老澤信吉君
10 番 松原秀典 君 11 番 高瀬三徳 君 12 番 鈴木章浩 君
13 番 安藤 充 君 14 番 岸田哲治 君 15 番 大森昭彦 君
16 番 松原茂登樹君 17 番 伊藤和弘 君 18 番 塩野目正樹君
19 番 湯本良太郎君 20 番 有川靖夫 君 21 番 田口 仁 君
22 番 溝口 誠 君 23 番 荒川善夫 君 24 番 高橋 博 君
25 番 飯田 茂 君 26 番 冨田俊一 君 27 番 清波貞子 君
28 番 古山昌子 君 29 番 渡部登志雄君 30 番 松本洋之 君
31 番 丸山かよ 君 32 番 犬伏秀一 君 33 番 野呂恵子 君
34 番 金子富夫 君 35 番 山崎勝広 君 36 番 岸田 正 君
37 番 都野圭子 君 38 番 沼田秀弘 君 39 番 田中 健 君
40 番 荒木秀樹 君 41 番 内田秀子 君 42 番 奈須利江 君
43 番 清水菊美 君 44 番 菅谷郁恵 君 45 番 金子悦子 君
46 番 和田正子 君 47 番 黒沼良光 君 48 番 藤原幸雄 君
49 番 渋谷 要 君 50 番 大竹辰治 君
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出席説明員
大田区長 西野善雄 大田区助役 小松惠一
大田区助役 齋藤 實 大田区収入役 木内悠紀夫
経営管理部長 江頭博彦 区民生活部長 林 一夫
産業経済部長 平野 壽 保健福祉部長 高橋幾夫
保健所長 大黒 寛
こども育成部長 中村文夫
まちづくり推進部長 小西恭一
都市基盤整備担当部長 山口健太郎
交通事業本部長 千葉胤彦 清掃部長 橋本満昭
大田北地域行政センター長 野田 隆
大田西地域行政センター長 清水 繁
大田南地域行政センター長 金澤 彰
大田東地域行政センター長 嶋 和臣
経営管理部総務課長事務取扱 経営管理部企画財政課長事務取扱
経営管理部参事 本間敏幸
経営管理部参事 大久保一成
教育長 細島コ明
教育委員会事務局次長 須藤常好
教育委員会事務局庶務課長事務取扱
教育委員会事務局参事 佐藤喜美男
大田区監査委員 大沼祐一 監査事務局長 佐藤智久
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出席事務局職員
局 長 池藤紀芳 次 長 澤田泰博
議事担当係長 大谷 隆 議事担当係長 齋藤千嘉子
調査担当係長 北村嘉常
議事日程第2号
平成15年9月26日 午前10時開議
第1
第 54 号議案 平成15年度大田区
一般会計補正予算(第2次)
第 55 号議案 平成15年度大田区
介護保険特別会計補正予算(第1次)
第 56 号議案 大田区組織条例の一部を改正する条例
第 57 号議案
大田区立男女平等推進センター条例の一部を改正する条例
第 58 号議案 大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例
第 63 号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
報告第 17 号 区の義務に属する
損害賠償額決定に係る専決処分の報告について
報告第 18 号
大田区立浜竹図書館改築その他工事請負契約の専決処分の報告について
報告第 19 号
大田区立洗足池小学校体育館改築その他工事請負契約の専決処分の報告について
第2
第 59 号議案 大田区手数料条例の一部を改正する条例
第 60 号議案 大田区特別区税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第 61 号議案
大田区立区民センター条例の一部を改正する条例
第3
第 62 号議案 大田区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第4
第 48 号議案 平成14年度大田区
一般会計歳入歳出決算
第 49 号議案 平成14年度大田区
職員厚生資金特別会計歳入歳出決算
第 50 号議案 平成14年度大田区
国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
第 51 号議案 平成14年度大田区
老人保健医療特別会計歳入歳出決算
第 52 号議案 平成14年度大田区
介護保険特別会計歳入歳出決算
第 53 号議案 平成14年度大田区
公有水面埋立事業特別会計歳入歳出決算
第5
議員提出第 8 号議案 大田区
居宅介護サービス利用料の助成に関する条例
議員提出第 9 号議案 大田区介護保険条例の一部を改正する条例
第6
議員提出第 10 号議案 大田区乳幼児の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第7
15第 89 号 大田区の交通不便地域に
コミュニティバス(ミニバス)の運行を求める陳情
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午前10時開議
○議長(川上智由 君) ただいまより本日の会議を開きます。
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○議長(川上智由 君) これより昨日に引き続き質問を行います。
34番金子富夫議員。
〔34番金子富夫君登壇〕(拍手)
◆34番(金子富夫 君) 大田の未来を展く会、金子富夫です。質問通告に基づき質問いたします。
その後の観光協会、観光事業について伺います。
第2回定例会で、観光開発について提案いたしました。既に八王子市の動きとして、8月28日の東京新聞に、道の駅候補地、八王子市滝山町の都有地に都内初の設置に向けて、都などに対して本格的な交渉に入ると書かれていました。我が区が都内で初めて道の駅を設置することで、その名を高め、先駆者としてその事業が評価を受けることになります。そして、そのことが区民や利用者の気持ちを大いに誘うことになるのであります。ぜひ実行に結びつけていただきたいと願うところであります。また、松竹の「釣りバカ日誌」撮影場所誘致にしても、その後どのように研究されているのか、あわせてお聞きいたします。
観光協会のパンフレットが届きましたが、会員集めに走るだけではなくて、むしろ研究課題を先行させなければならないと思います。これらの件についてどのような実施策を考えておられるのか、お聞きいたします。もしなければ、今後早期に、強力に提案をさせていただきます。
次は、行財政改革であります。
私は、
行財政改革等調査特別委員会に所属していますが、私の改革に対する取り組みについて次のことを提案いたします。初めに、切り詰め抜いた行政執行を行うべきだということ。次に、本当に見込める息の長い課税措置をとることについて。同時に、職員削減から生じる課題について提案いたします。
切り詰めることは大変なことであります。既に赤字経営が明白な施設や事業コストがかかり過ぎている施設など、多数存在しています。平和の森会館、伊豆高原荘、休養村とうぶ、
大田区民プラザ、
大田区民ホール、大田文化の森、生活センターなど、議員、理事者の皆様はご承知のことと思います。
今、申し述べた7施設の
ランニングコストだけをとっても約14億円に達しています。みすみす赤字経営を承知で、あるいは多額のコストがかかっているにもかかわらず、長い間放置しておくことは極めて重大であります。この際、区民のための厚生施設のほとんどを民間事業者へ譲り渡して、施設の運営、管理を自主的な方法で、自主的な収支に任せて、その施設貸し出しをするだけで、区民施設として新たな事業展開をしてはどうでしょうか。長く放置しておくと施設の老朽化が進み、貸し出すにも貸し出せないものになってしまう施設もあります。英断をすべきときであると思いますが、答弁をお伺いいたします。
次に、課税措置の検討であります。
地方分権一括法が成立以来、全国的に地方税の導入が検討され、その実行がなされています。私は、平成6年の第1回定例会で、羽田空港の航空運賃に地方税を課してはどうかと提案しました。当時は法律もなく、その手続も壁が厚く、非常に難しい状態でありましたが、今はできます。
羽田空港の
年間航空機利用者は6000万人。1人当たり100円課税するだけで毎年60億円もの
法定外普通税を徴収することができます。過去にも他の法定外税を検討されたようでありますが、なかなか実行に至っていません。この際、十分な議論をいただき、直ちに実行に結びつけてほしいものであります。9年ぶりに再び提案させていただきますが、石原都知事は英断を持って実行しています。過去の幾つかの答弁では、区長は今後の課題、検討、研究と申しておりますが、結果は一向に出ていません。大田区の課税対策への突破口としてお考えいただき、答弁をお願いいたします。
保育園、学校給食、公園管理など、職員の配置転換や削減をされようとしていますが、このことについては、もう少し考えるべきであると思います。施設の軽量化と違い、地方公務員法上の権限ある職員を減員して民間に託す方法は、手法が少々違うような気がいたします。職員同士の対立、職員と区民の対立など、多くの対立軸が見えています。本来、行政執行とは、職員が区民のために、内部にあっては職員が職員のためにあるはずであります。何かおかしくはありませんか。民営化いわゆる定量的、職員削減いわゆる定性的を一くくりにして定量的改革を行おうとしているところに問題があるのであります。職員を量として扱うのではなく、職員は個であり、質でありますから、私流には個と質を考慮した改革、そのことを定性的改革と表現し、これを念頭に置いて改革を断行していただきたいものであります。
職員の極端な削減や異動については、いずれ、3年後、5年後に組織疲労、行政疲労を起こすものと考えます。新日鉄やブリヂストンという大手企業で事故や火災が相次いだことをきっかけに、日本経済の屋台骨である製造業で生産現場を見詰め直す動きが始まり、ものづくりの原点が問われているところであります。公務員を削減することは、いずれは行政モラルの低下につながり、法律や条例に基づいた責任や行動が失われることにもなります。民間委託がふえれば、それだけ民間職員の疑似公務員化が進み、権限のない者や法律や条例を知らない者がふえて、区民に対して不合理、不条理な問題が発生するものと考えます。これが行政の疲労であり、組織疲労であります。
都庁アクションプランの中間まとめでは、都民や都議会の意見を踏まえ、常に組織、施設のチェックを機能させることで問題の解決を図るよう努力していることがわかります。この際、提案したいことは、行財政改革に伴うすべての問題をよい方向に導くために、議員、職員、学識経験者、区民、あらゆる分野の意見を求め、調整をして解決を求める
行財政改革調整委員会なるものを設立してはどうでしょうか。提案いたします。執行部局も区民も平等な立場で話し合うようにしてはどうでしょうか。今の方法は、各部局ごとで、かつ直接対話過ぎて、感情ばかりが先に立って、本来の話し合い、議論が希薄になっているものと考えています。
区長、議員の皆様に設置のお願いをいたします。私でよければ、
行財政改革調整委員会の委員長を買って出ますので、答弁をお願いして質問を終わります。よろしくお願いします。(拍手)
○議長(川上智由 君) 理事者の答弁を求めます。
◎経営管理部長(江頭博彦 君) 私の方から、羽田空港の
年間航空機利用者に
法定外普通税を課したらどうかというご質問をいただきました。行政改革関連に関しまして、羽田空港の航空運賃の課税ということにつきましてですけれども、これは
法定外普通税をというご提案でございますけれども、課税の目的とか、あるいは課税対象、負担の公平等の観点から、
法定外普通税の創設は考えておりません。
それから次に、行財政改革等調整委員会なるものを設置して、議員あるいは職員等のあらゆる総意を求めて調整するような機関を設けたらどうかということでございます。大田区が進めております改革でございますけれども、多様な活動主体との連携・協働ということを基本に据えて、区民や関係者の皆さんのご意見を伺いながら進めているものでございます。今後も、議会や区民等のご意見やお考えを区政に反映しながら、おおた
改革推進プラン21を進めてまいりたいと考えております。また、関係者の理解を得るべく努めてまいりますので、
行財政改革調整委員会のような委員会を設置する考えはございません。
私からは以上です。
◎区民生活部長(林一夫 君) 私からは区民施設の関係でお答えいたします。
赤字経営及び多額コストのかかる平和の森会館など7つの施設を民間事業者へ貸し出し、施設の運営管理を業者の自主性に任せてはどうかということですけれども、これらの施設につきましては、区民の方々に低廉な料金でもって文化活動の支援や健康増進の寄与などを行って、そういった目的がございます。そういうことで、なかなか収支を合わせるということは難しいと考えております。しかし、多額のコストがかからないよう、今後とも最少の経費で最大の効果を生むよう、経費の削減に努めてまいります。今のところ、施設を民間事業者へ譲り渡すということは考えておりませんけれども、地方自治法が今年一部改正されました。住民サービスの向上、行政コストの縮減を図るために、公の施設の管理につきましても、これは施設の利用の許可だとか料金の徴収、そういったものでございますけれども、民間事業者にできるという
指定管理者制度が導入されましたので、これを検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(川上智由 君) 産業経済部長、金子議員、答弁が残っておりますが、所定の時間が参りましたので、よろしゅうございますか。次にうつります。
○議長(川上智由 君) 次に、29番
渡部登志雄議員。
〔29番渡部登志雄君登壇〕(拍手)
◆29番(渡部登志雄 君) 質問に先立ちまして、本日4時40分ごろ、北海道で震度6弱マグニチュード8.0の地震が発生いたしました。火災、津波などの被害が出ております。北海道、東北の皆さん、お見舞い申し上げる次第でございます。
質問通告に従い、質問させていただきます。前向きな答弁をよろしくお願いいたします。
日経平均株価が1年ぶりに1万円台を回復し、人々のマインドが上向きになっていることは、今後の景気動向に大きく影響を与えるのではないかと思います。9月10日、財務省が発表した4−6月期の法人企業の全産業の設備投資は前年同月比で6.4%増と1年9か月ぶりにプラスと報告され、このままでいけば、今年度の企業業績は10から15%の増益になるのではないかと報道されております。また、内閣府が発表した4−6月期の国内総生産は、前期比で1%増、年率換算で3.9%増となり、成長率を大幅に修正いたしました。景気判断を上方修正したのは、企業の収益改善が続く中で、設備投資の回復傾向がはっきりしたこと、輸出が持ち直していることなど、株価の回復が企業経営者の心理を一層明るくしているのではないかと思います。
しかしながら、大企業を中心に回復の兆しはあるものの、中小企業にとっては厳しい冬からいまだに脱却しておりません。中小企業の回復にはまだまだ時間がかかります。特に資金繰りの面からは、自力では乗り越えるのが大変な状況にあります。区内の中小企業を回って、事業者の意見・要望を伺いますと、資金繰りを何とか助けてほしいと必ず言われます。長引くデフレによる売上高の減少に伴い、過去に投資した借金の返済が重くのしかかり、運転資金を貸してほしいと言っても、担保を出せとか、保証人を探せとか、結局断られるケースがほとんどである。それが実態であります。
そこで、お金を新たに借りなくても資金繰りが回る方法、すなわち中小企業の返済負担を軽減するために公明党が提案し、創設されたのが資金繰り円滑化借換保証制度であります。既存の保証つき融資の借り換えや複数の融資の一本化を認め、月々の返済額を減らすもので、今年2月10日からスタートいたしました。半年たった8月22日現在で、全国で約22万件、3兆3000億円に達しました。全国的に大変評判がよくて、借り換え一本化したおかげで倒産せずに生き残れたとか、これで仕事に全力を挙げられるといった喜びの声が出ております。
日本商工会議所からも、これで中小企業は救われたと評価されました。大田区も同じ時期に借り換え制度、経営改善一本化資金制度が発足されたわけであります。
そこで、大田区の融資制度についてお伺いいたします。
大田区は全国的に、東大阪市とともに中小企業のメッカであります。中小企業対策として、資金面でも他の区市町村にはない特別な融資制度など特徴があってしかるべしであります。
そこでお伺いいたします。一つ、本区の融資制度は、他の区市町村との違いはあるのか、特徴があったらお聞かせください。二つ、昨年12月に
一般運転資金限度額を1000万円から1500万円に拡大し、また本年2月に新たな借り換え制度、経営改善一本化資金制度を発足しましたが、その効果、実績をお答えください。3、中小企業者からは、もっともっと手続が簡単で使い勝手がよい融資制度にしてほしいとの要望がありますので、今後の融資に対する考えをお聞かせください。
次に、教育問題についてお伺いいたします。
今年の7月に起きた長崎市での殺害事件、すなわち4歳の子供を中学1年生が殺害した事件は大変なショックを与え、教育のあり方、家庭のしつけなど、論議を起こしました。今、教育界においては、教育制度の内容について、さまざまな改革や論議がなされております。例えば、小中一貫教育の推進、2学期制の導入、少人数指導の実施などはその一例であると思います。
大田区においても、昨年10月に大田区
教育推進プランを策定し、大田区の教育改革に意欲的に取り組んでいると伺っております。そこで、これから
教育推進プランに基づく大田区の教育の現状について、何点か質問いたします。
我が党の代表質問でも若干触れてありますが、まず第1に、習熟度別指導について質問いたします。
先般、文部科学省から出された「教育の構造改革」というリーフレットの中でもその必要性が述べられているように、学力向上の視点から習熟度別指導の重要性はさまざまなところで指摘されるようになってまいりました。大田区では、今年の4月から区長の英断で予算措置がなされ、小学校3、4、5、6年生の算数と、中学校の数学で習熟度別指導を実施しております。これほど大規模に実施している事業の成果はいかがでしょうか。子供たちは意欲的に算数や数学の学習に取り組んでいるのでしょうか。また、学力は向上しているのでしょうか。今後、教育委員会として成果の把握をどのように行っていくのか、お答えください。
第2に、不登校問題について質問します。
2002年度に30日以上小中学校を欠席した不登校の生徒数は約13万1000人で、前年度よりも約8000人減りました。5.4%の減であります。1991年の不登校の調査開始以来、初めて減少に転じたことが、8月8日、文部科学省で発表されました。もちろん、減ったといっても、まだまだ不登校数が高い水準にある状態は変わらないわけであります。中学校では37人に1人、すなわちクラスに1人の割合で不登校の生徒がいる計算になります。今までは不登校生徒が年々増加して社会問題化して久しかったわけですが、ここに来て減ったということは大変喜ぶところであります。
不登校が減った原因は、
スクールカウンセラーの配置など、対策が徐々に効果を上げているのではないかと分析されております。教育現場では、不登校生徒の数を減らすための努力をされてきたのではないかと思いますが、大田区の不登校の現状はいかがでしょうか。今年になって、大田区のある小学校で、いじめが原因で不登校になった生徒がいると聞いております。現在、その生徒はどのような状況なのでしょうか。また、その生徒が登校できるように、学校ではどのような対策をとっているのでしょうか。さらに、不登校生徒を減らすために、どのような対策をとっているのか伺います。
第3に、学級崩壊について質問いたします。
昨年、大田区のある中学校で、学級崩壊という問題が起こりました。現在は改善されていると伺っております。学校が荒れた原因の一つとして、先生に問題があったと言われているようですが、実際に何が原因だったのでしょうか。どのように改善したのか伺いたい。さらに、今後このような問題が起こらないように、どのような対策をとっているのか伺いたいと思います。
第4に、心身障害学級の増設について質問いたします。
推進プランの中に、
心身障害児教育の改善、充実の項目があります。心身に障害のある子供たちが、その能力や可能性を最大に伸ばし、社会的に自立できるようにするため、指導体制を整えることが述べられています。心身障害学級については、小学校に15校、中学校に8校設置されております。情緒障害学級は本年、志茂田小学校に新設され、小学校では嶺町小学校と合わせて2校になりました。情緒障害学級については、今後も増設が見込まれる分野であると思います。心身障害学級の増設については、小学校では大森西地区に1か所もなく、設置してほしいという声があります。特に、統合されて大きくなった開桜小学校に新設してほしいという希望があるようですが、新設も含めて、こういった要望に今後どのようにこたえていくのか、教育委員会の考え方を伺います。
第5に、教師のためのカウンセラー及び
スーパーバイザー制度について質問いたします。
子供たちも心の問題は年々増加しております。それらの問題に適切に対応するために、大田区では中学校全校と小学校の拠点校にカウンセラーを配置しております。
スクールカウンセラーは子供の心のケア等に対応し、いじめや不登校の未然防止や改善、解決にも重要な役割を果たしていると思いますが、一方、先ほどの教師の問題により学級崩壊が起こったと言われているように、現場の教師側の心のケアが大変必要なのではないかと思います。学校の教師を対象にしたカウンセラーの設置についてはどのように考えているのか、必要性を含めてお伺いいたします。
また、全国市町村によっては、カウンセラーをサポートする
スーパーバイザーを置いているところがあるようです。カウンセラーを十分に活用していくためには、
スーパーバイザーの役割が重要であると考えております。大田区にはこのような制度があるのでしょうか。また、制度の必要性について教育委員会ではどのように考えているのか、お聞かせください。
教育問題の最後に、マスコミで報道されております教育委員会不要論について質問いたします。
先日、埼玉県志木市が特区提案書の中で、教育委員会を廃止し、新たに教育長の諮問機関として審議会を置く提案をいたしました。また、東京の千代田区など一部の区市町村長が教育委員会不要論を唱えていることに対して、遠山前文部科学大臣が反論したという新聞報道がありました。
このように、教育委員会の存在、あるいはあり方について論議されていますが、大田区教育委員会としてはこの問題をどのように考えているのか、ご意見を伺います。
次に、JR大森駅周辺のまちづくりについてお伺いいたします。
大森駅周辺地域は、古くから商業・業務施設などさまざまな機能が集まり、区民の生活や娯楽、交流の場となり、文化や伝統をはぐくむ大田区の顔となっております。大森駅周辺のまちづくりを見ますと、来年1月には東海一丁目に念願でありました火葬場と葬祭場が併設される臨海斎場が開設されます。また、アサヒビール東京工場跡地の再開発が着実に進行しております。
さらに大田区では、昨年4月に中心市街地活性化基本計画を作成し、商業の活性化と市街地整備に取り組まれております。この事業は、国の8省庁の連携した支援のもと、地域住民の創意工夫により実施計画をつくり上げ、地域商店街のやる気を引き出すものであります。
そこで、大森駅周辺地域の人口世帯数の推移を見ますと、大森駅西口地区では人口が若干減少し、東口地区では人口が増加をしております。
次に、商業の現状を見ますと、店舗当たりの売り場面積は増加しているものの、年間販売額、商店数は大きく減少しております。商店街の方々にお聞きしますと、他の地域の商店街や大型店との競合が激しいとか、子供が後を継いでくれないとか、商店街経営者の高齢化、商店街への加入率の低下など悩みが多く、魅力ある事業が浮かび上がってこないとのことであります。
区としても、商業、商店街の活性化のために一層のリーダーシップを発揮してもらいたいと思いますが、まずは中心市街地活性化事業の進ちょく状況はいかがでしょうか。お伺いいたします。
一方、市街地整備の面では、大森銀座アーケード周辺地区は建てかえ期を迎えた建物が多く存在いたします。地区まちづくり推進要綱では、建物の不燃、共同化を計画しているものに対し、まちづくり専門家を派遣する制度がございます。土地の有効利用を図り、良好な都市環境の形成のために、区としてはどのように支援していくのか、お聞きいたします。
特に本年1月に等価交換が終了したハローワーク跡地を含めた入新井特別出張所街区は、中心市街地活性化基本計画でも、市街地整備改善事業の一つとして、住民サービスを基本とした機能の導入を考えるとなっております。実施計画においては、入新井特別出張所街区の整備については15年度基本計画策定となっております。入新井特別出張所や入新井図書館の改築だけでなく、幼児や若者からお年寄りまでが集うような複合的な新しいコミュニティ機能を導入した地域活性化の拠点として、また、活力ある商業のまちづくりとして再生すべきと考えます。大森の商店街再生のための商店や商店街の活性化を促す支援施設は大変重要と考えます。また、商店街と家庭とが連携し、地域で支える子育て支援施設の充実も求められております。
区長は、選挙公約の中で、暮らしを支える生活環境の充実として、入新井特別出張所街区の再整備を掲げられております。この1860平米の土地の価値を有効に活用し、大森駅周辺地域のにぎわいの核となるよう、地域の方々の意向も取り入れて、地域住民に喜ばれるような再開発を進めるべきではないかと思いますが、区長の考えをお伺いしたいと思います。
最後に、JR大森駅では、バリアフリー化が大変進んでおります。平成8年に大森駅北口歩道橋が完成し、上り下りのエスカレーターが設置されました。また、今年の2月には駅構内のエレベーターが完成し、下りのエスカレーターもでき、駅構内のバリアフリー化は大変な成果を上げました。
一方、駅ビルのある東口から改札口へ行く通路のバリアフリーが完備しておりません。東口への下りのエスカレーター及びエレベーターの設置を町会、地域の皆さんから大変要望されておりますが、JRや東急プリモとの協議はどの程度進んでいるのか、進ちょく状況を含めて大田区の方向性と今後の取り組みについてお伺いいたします。
人に優しい安心安全なまちづくりを今後も積極的に進めていただきたいことを要望して、質問を終わります。以上でございます。(拍手)
○議長(川上智由 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) 私からは入新井出張所街区の問題について、考え方をお示ししたいと思います。
この問題につきましては、長年の時間をかけておりまして、登記所の移転から始まって、ハローワークを移す、そういう形の中で土地を拡大化して、核になるような施設建設を目指す、こういう方向で取り組んでまいりました。やっと土地の確保もできましたので、これからいよいよ実施段階に入るわけでございますが、当然のこととして、地域の皆さん方のご要望、また、立地条件からは大田区としての全員の皆さんのご活用、そういう視野を入れながら、何をつくり出すか。当然出張所と図書館は入り得るわけでございますが、それ以上のものが当然入れ得るわけでございますから、それらを含めて、積極的に地域の方々、議会の方々、ご意見を拝聴しながら取り組んでまいりたい。次期実施計画の中には何らかの形で表現をしていきたい、このように考えております。
◎産業経済部長(平野壽 君) 産業経済部の関係につきまして、私の方からお答えをさせていただきます。
まず、大田区の融資制度の特徴ということでございますけれども、信用保証制度を利用できない中小企業の方を対象とした損失補償つきの融資制度を設けている点でございます。小規模企業特別事業資金あるいは経営支援資金といったものが当たるわけでございます。
それからもう一つは、信用保証協会の保証つきの融資につきましては、すべて信用保証料を区の方で補助をしております。23区でも、この保証料を補助する制度を活用している区は少のうございます。
それから、一般運転資金の限度額の拡大、それから借り換え制度、経営改善一本化の制度の効果と実績という点でございますけれども、利用限度額の拡大につきましては、昨年の12月から今年の9月までで25件ございました。これは1000万を超える金額でございます。それから、借り換え制度の実績でございますけれども、これは今年の2月からで、運転資金で20件、9690万円、経営強化資金で68件、3億6980万円の実績がございました。経営改善一本化でございますけれども、これも今年の2月からでございまして、14件、1億490万円の実績がございました。こういった制度を拡大することによりまして、事業者の返済の負担が軽減され、円滑な資金調達に寄与できたものというふうに考えております。
それから、融資制度の簡便な手続化というお話でございますが、あっせん融資の手続の中では、事業の経営状況をきちっと把握をしていく必要がございます。それは、収益性であるとか、あるいは返済能力を見るためでございます。そういった認識のもとで、軽減化できる部分については、可能な限り、どういう方法が可能なのか検討していきたいというふうに考えております。
それから、中心市街地活性化事業の進ちょく状況でございますけれども、関連部局と連携をとる中で、ハード面、ソフト面で関係団体、商店街と一緒になって検討を進めてきております。それぞれ地域の抱える問題、課題のとらえ方に対しまして、さまざまな立場の違いからくる考え方の違い、認識の違いもございます。なかなかコンセンサスを一本化することが難しいという状態がございまして、地域でまとまった行動をとるところまでいっていないのが実情でございます。まちの機運の盛り上がりを求める必要がございます。まちの関係者とじっくり話し合う中で、地域特性を生かした活性化を探っていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
◎
まちづくり推進部長(小西恭一 君) 私の方からは大森駅周辺のまちづくりについてお答えします。
自主的なまちづくりを行う区民に対して、区が助成、支援する制度として、専門家派遣制度があります。この制度は、土地の有効利用を図り、環境を整備するために共同して耐火建築物を建築する場合、要件を定めて専門家を派遣するものです。大森駅周辺地域は、指定された容積をいまだに有効に使っていないところや不燃化率の向上のため、建物の共同化、協調化による建てかえを推進すべきというふうに考えています。都市計画道路の事業化動向をとらえながら、一体的な整備についてこの制度を活用したいというふうに考えています。また、大森駅地区には、東西それぞれにまちづくり協議会があります。まちの再整備に関して、数々の有効なご意見やご提案をいただいています。区としては、個々の共同化とあわせてこのまちづくり活動を支援してまいりたいというふうに考えています。
以上です。
◎
大田北地域行政センター長(野田隆 君) 大森駅東口に下りのエスカレーターとエレベーターを設置することでございますが、現在の経済状況の中では直ちに対応することが難しいということ、それから、品川寄り出入口のエスカレーターや駅ビルが利用できるということもございますので、現時点では設置についての関係事業者との協議は動いておりません。また、下りエスカレーター設置には機械スペースの確保ということがございまして、店舗面積の減少が伴うというふうな事情もございますから、実現に向けてはなお多くの課題が残っているかと思っております。今後、どのような条件が整えば設置が可能になるか、研究してまいりたいと思っております。
◎
教育委員会事務局次長(須藤常好 君) 私からは、教育問題につきまして9点ご質問をいただいておりますので、順次お答えをさせていただきます。
まず、習熟度別学習指導の成果についてでございますけれども、この習熟度別指導、例えば今まで2クラスで教えたものを三つに分けて教えるという少人数指導でございますので、やはり多くの学校で算数がわかるようになった、楽しくなった、また成果を上げつつあるという、そういう学校長よりの報告を受けております。ただ、ご案内のように、教育の成果というものはそう短時間ではかることは難しいわけでございまして、この学年末に向けて、その状況調査をしていく、こういう予定でおります。
それから、2点目の不登校の現状はどうかというご質問でございますけれども、14年度の調査では、前年度と比較しまして、小学校では残念ながらやや増加、中学校ではほとんど横ばいと、こういう状況でございます。
それから3点目に、不登校について、ご指摘の小学校につきましては、やはりプライバシーのこともございまして、個人が特定されるような形でのご答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、一般論として、4月に入学したばかりの1年生の不登校ということがございまして、指導には細心の注意を払っていかなければいけないというふうには考えております。対策といたしましては、何よりも担任教師の指導、この力をつけていく。また、担任1人では対応が困難だという場合には、学校として生活指導主任、あるいは教頭、校長が指導するなど、組織としての対応を図っていくということを考えております。
4点目に、不登校児童を減らすための対策についてでございますけれども、不登校と一言で申しましても原因はさまざまでございまして、一くくりではいかないというわけでございまして、その対策も一様にはまいらないわけでございますけれども、基本的には、やはり担任の教師が心を理解する、適切な支援の手を差し伸べるということが最も重要であると考えております。あわせて
スクールカウンセラー、あるいは適応指導教室、教育相談室、メンタルフレンドの派遣、こういった制度を複数兼ね合わせて対応をしていきたい、このように考えております。
5点目は、大森地区にある中学校が荒れた原因につきましてでございますけれども、この場合ですと、やはりその原因は学校全体の指導体制、教員の指導力が不十分だったと残念ながら言わざるを得ないというふうに認識しております。改善につきましては、まず学校全体で問題行動に取り組む体制を再構築したこと、それから、地域あるいは保護者の皆様方のご協力を得て生活指導に当たったこと、さらにはわかりやすい授業という授業の改善に努めたこと、こういったことから、現在では落ちつきを取り戻しております。今後の対応といたしましては、学校で日々の授業を充実すること、これが一番でございまして、次には生活指導に学校全体で取り組むことなど、体制づくりを進めていきたいというふうに考えております。教育委員会といたしましては、指導主事を順次定期的に派遣することなどを考えております。
6点目は、開桜小に心身障害学級をということについてでございますけれども、心身障害学級の定数というのは1学級で8人というふうに定められておりまして、ご指摘の開桜小学校への希望者はこの定数に比べますと少ないという事情もございますので、今のところ開設は考えておりません。ただ、今、国、東京都におきましては、特別支援教育という形での新しい心身障害教育の検討が進んでいるところでございますので、私どもとしては、それを踏まえて今後の対応を決めていきたい、このように考えております。
7点目は、教員の心のケアということにつきましてでございますけれども、教育委員会といたしましても、その重要性については認識をしております。現在は、東京都教育相談センターあるいは東京都教職員互助会の病院におきまして教員を対象とした相談室が設けられております。したがって、私ども独自で教員対象のカウンセラーを配置するという予定はございませんけれども、そのような専門の相談室を利用する、あるいは学校内で教頭、校長を中心としたサポート体制を全体として取り組むというのが基本ではなかろうかというふうに考えております。
8点目は、カウンセラーのサポート体制でございますけれども、そういった
スーパーバイザー制度は現在ございませんけれども、医学的領域、小児・精神科というような専門的な領域については、定期的にカウンセラーが専門の医師から助言を受ける体制を整えてございます。また、カウンセラーの専門性と資質の向上を図るために、研修会を年4回開催をしております。
最後になりましたけれども、教育委員会の不要論についてでございます。ご案内のように、教育委員会は地方教育行政の組織及び運営に関する法律というところで設置を義務づけられているところでございますけれども、教育の中立性を保つという観点からは、この委員会制度、一定の役割を果たしているものと考えてございます。ただ、制度というものは何であれ長所、短所がございますので、長所を伸ばし、短所をできるだけなくすように努力をしていく責務が私どもにあるというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(川上智由 君) 次に、28番古山昌子議員。
〔28番古山昌子君登壇〕(拍手)
◆28番(古山昌子 君) けさ、北海道で震度6弱の地震があり、被害が拡大しないかと心配です。この夏、久しぶりにふるさとの北海道に帰ってまいりました。旭川空港におりたときから空気が違っていました。青い空、美しい緑、それだけで、ふるさとはよいものだと思いました。
私は、小さいとき、東京にあこがれていました。東京には一流のものがある、そこで勉強したいと思い、上京してきました。何十年かたって地方の時代に入り、今は地方が輝いています。村おこし、まちおこしでいろいろな工夫がされ、よいものがたくさんできているのに驚かされます。
隣町では、町役場をリフォームして絵本の館ができていました。中にはたくさんの児童書が並び、毎週土曜日には読み聞かせ会もやっているそうです。また、私のまちでは、三浦綾子記念館があります。今回、初めて訪ねてみました。「氷点」を書いたとき住んでいた当時の建物を女史が執筆した「塩狩峠」の本の舞台となった塩狩峠に移築したものです。まちが譲り受け、シラカバ林の中に集会室とあわせて建っています。人口5000人の小さなまちですが、文化芸術を大切にしていると感動しました。
大田区に帰ってきて、富岡美術館の閉館は惜しまれてなりません。大田区の文化芸術の火が一つ消えたような気がいたしました。しかし、大田区における文化芸術活動は活発なものがあります。この夏、アプリコの地下展示室で開かれた「私の八月十五日展」は、漫画と作文によるすばらしい企画展でした。天皇陛下のお言葉があると、皆、ラジオの前に集まって感度の悪い音声に聞き入っている様子、やっとまちに明かりがともったとほっとしている女性の表情、スカートがはけると喜んでいる少女の姿など、庶民のささやかな安堵の気持ちが描かれていて、とても心を打つものがありました。
昨日の区長のごあいさつの中で、この展覧会のことを触れられておりましたが、戦争を体験された区長のご感想をお聞かせください。
また、毎年楽しみにしている大田区在住作家の絵画展がここで開かれております。どれも力作ばかりで見ごたえがあります。また、今年、大田区出身の神保秀光氏の作品展が開かれました。孔版の多色多工程による1枚1枚の手づくりによる作品は、美しい色彩で、また、それに添えられたエッセーはすばらしいものでした。代表作が区の美術の教科書にも載っているそうです。
私は、いつも、それぞれのすばらしい展示内容に比べ、アプリコの階段をおりた薄暗いロビーを通って会場に入るのは、とても残念でなりません。地下は目立たなく、わかりにくい場所です。それでも興味、関心のある方は鑑賞にやってくると思います。「私の八月十五日展」の入場者は何人ぐらいだったでしょうか。また、大田区在住作家の絵画展は毎年何人ぐらいお見えになるのでしょうか。
私は、これだけのすばらしい力ある芸術家がきら星のごとくおいでになるのに、常設場所がないのはとても残念でなりません。先輩の方々が美術館建設の提案を過去にされているようです。いつでも見たいときに一流のもの、よいものに触れる機会が必要です。最初は、空き施設を活用してアートギャラリーとしてスタートさせることはできないものでしょうか。常設展、企画展、絵画教室も開ける部屋もあり、若い芸術家がそこから育っていく夢のある場所、そして、だれでもが文化芸術を享受できる環境づくりをするべきです。
文化芸術立国日本を目指して、文化芸術振興基本法案ができました。文化による地域づくりへと自治体でユニークな取り組みができています。東京都は、ヘブンアーティスト事業を昨年から行い、若手の音楽家や大道芸人等に都庁前広場などを活動の場所として提供しています。千葉県市川市は、東山魁夷画伯の旧宅を初め複数の歴史的建造物を中心に、まち全体を博物館にとの動きが出てきています。大田区在住の方、あるいはゆかりのある方、大田区への思いのある方の展示スペースをつくり、気軽に芸術を楽しめるアートギャラリーをぜひ実現してください。
少子高齢化はますます加速度を増して進んでおります。大田区の状況も大変厳しい状況にあると思います。ある新聞の調査した世論調査では、「老後に不安」が79%、約10人に8人がそう思っています。老後の生活費として年金は信頼できないが、それが頼りであるとの結果が出ています。また、厚生労働省では、少子化対策プラスワンをつくって、少子化の流れを変えるための実効性のある対策が練られています。大田区として独自にさまざまな子育て支援策が考えられています。若いご夫妻が結婚をし、出産を迎え、そのお子さんが一人前の社会人に育て上げるまでの年代を横軸にした年代別の総合支援プランをつくってほしいと思います。その中で何が足りないのか、何が必要なのかが見えてくると思います。
その中で早急にやってほしいことがあります。出産育児一時金の委任払い制度の実現です。平成12年の予算特別委員会で、少子化対策、子育て支援という観点から、出産育児一時金35万円の前倒し支給について質問をいたしました。出生届が出ないと支給はできないとの答弁がありましたが、平成13年度4月から出産育児一時金の貸付制度としてスタートいたしました。出産育児一時金35万円の80%の28万円を貸し付ける制度です。出産には大変お金がかかるので、お母さん方には大変喜ばれていますが、手続が利用しやすいようになっていません。お母さんが出産予定日まで1か月以内、妊娠4か月以上で医療機関に一時的な支払いを必要とする場合との規定があります。妊娠85日以上の死産、流産も出産育児一時金の支給対象になるのに、今申し上げた規定を設けるのはつじつまが合いません。
また、もともと給付されるお金なので、全額前倒しで給付するか、あるいは各地で実現している委任払い制度を実現してください。委任払い制度は、出産育児一時金を受け取る権限を医療機関に委任することにより、当該医療機関に対し、自治体が出産育児一時金35万円を限度に支払う制度です。お母さんは退院するとき35万円を超えた金額を出産した病院に支払えばよいのです。逆に35万円以下で済めば、実際にかかった費用の残りの金額が自治体からお母さんに支払われます。
この制度を実現するには、医療機関との連携・協力が必要です。ある区では、提携する医療機関は大きい病院の名を連ねています。大きい病院は出産費用が50万円くらいかかり、高いです。また、助産院では36万円ぐらいで出産できるそうです。お母さんが選んだところが適用になると助かります。ぜひ、大田区の出生率を少しでも高めることになりますので、現在の仕組みを変えていただきたいと思います。
産業経済についてお尋ねいたします。
私の住む地域を回っていますと、町工場のご主人から大変厳しい声が寄せられています。部品の単価が下げられている。そんな値段ではできないと言おうものなら、ほかへ持っていくよとあっさり言われる。今、どこでも暇だよ、人件費の安い中国へ仕事が行っちゃっているよ、今まで10発注があったものが8になり、いきなりゼロ、工場を縮小しなくてはならない。借り換え融資制度ができましたよと言っても、お金は借りれば返さなくてはいけない、それより仕事くれなどと言われます。何とか解決策はないものかと、8月1日、産業経済部が主催する「勝ち残りをかけた挑戦、区内産業の再生」と題した財部誠一氏の講演会を聞きに行きました。お忙しい中、区長が駆けつけておいでになったと思いますが、講演のご感想をお聞かせください。
私は、長引く不況の中で生き延びるにはビジネスモデルを変えること、この言葉が頭に残りました。産業のまち大田区の町工場の長年積み重ねてきた技術とノウハウ、ビジネスモデルを変えれば、9000社から6000社に、そして、まだ減り続けているのを食いとめることができるものなのでしょうかと思いました。
墨田区にある岡野工業の例を挙げて話をしていました。岡野氏は、大企業の下請として1個何円の商売をしている限り、町工場はよくならない。景気の波に翻弄され、大企業の調整弁として生きていくしかないと言っている。大企業の下請ビジネスから大企業の研究開発を請け負う新しいタイプのビジネスモデルを構築し、成功したのが岡野工業だと。携帯電話の電池ケースから宇宙ロケットまでつくり、従業員わずか6人で、6億円を稼ぎ出すそうです。確かにすごいパワーです。しかし、今行き詰まっている町工場のご主人に、ビジネスモデルを変えなさいと言っても、そう簡単には変えられません。技術は持っていても、新しい製品の開発、販売経路まで手が回らないのです。ビジネスモデルを変えたり、生き残りをかけて再挑戦するには、専門家の手助けが必要です。
一つには、大田区には長年たたき上げた専門的な技術を持った方がたくさんおります。その方に町工場に出向いて相談に乗ってもらい、そして産学公で連携して、できるものはつなげてほしいと思います。
二つには、産業プラザPiOの下に都の城南地域中小企業振興センターがあります。町工場では買えない何千万もする機械が置かれています。町工場の技術の向上のために活用されているのでしょうか。その状況をお知らせください。
三つには、現在ある技術支援で生まれた技術を知的所有財産として確保するため、特許申請を速やかにできる仕組みと補助金等の制度を考えてください。
四つには、後継者問題も深刻です。第一パンの跡地に都立の単位制工業高校が来年オープンします。そこに、企業と学校が一緒になって生徒を育成する新しい職業教育の仕組みを取り入れたデュアルシステム科が誕生します。優秀な、そしてものづくりが何より大好きという生徒を入学させてほしいと思います。1年で10日ほどのインターンシップを3回、各大田区の町工場で就業体験をするようですが、受け入れる町工場はものづくりの後継者を育てていこうとの思いで教えてほしいと思います。また、区としては、町工場が生徒を受け入れやすい環境をつくってほしいと思います。協力企業数は何社くらいで、受け入れた企業への助成金等はあるのでしょうか。区の受け入れ体制がどうなっているか、お知らせください。
今年、羽田旭小学校の跡地に創業支援施設が誕生いたしました。次の大田区の産業をリードするようなすばらしい方が入居されたと思いますが、業種等その様子をお知らせください。
また、新規産業を起こしていく中で、大田ブランドを研究開発するよう、テーマを設けて取り組んでもらってはどうかと提案いたします。先日、公明党の同僚議員と一緒に佐世保に視察に行ってきました。産業の主力であった佐世保重工がなくなり、再生のための新製品の開発に取り組んでいました。伝統の瀬戸物を生かしての陶製のスピーカーを製品化したり、佐世保市の観光名所九十九島と元気がつくを掛け合わせてネーミングした元気つくも茶、長崎県の県花ツバキを初めてブレンドした健康茶をつくり、活路を見出そうという意気込みが感じられました。
大田区の製品は、パーツ、部品であり、その会社でしかつくれない自社製品が売りであるとのことです。さらに、それに加えて、熟練した技術をお持ちの方の力を駆使して、私たちの身近なところで使え、生活を便利にするもので、大田区のものづくりがつくった製品と誇れるものを、メード・イン・オオタの製品を開発してほしいと思います。創業支援施設ができたときがチャンスです。ぜひ実現できるように、場づくりをしてほしいと思いますが、お考えをお聞かせください。
次に、環境問題についてお伺いいたします。
毎月1回、多摩川をきれいにしようというボランティアグループが多摩川河川敷のごみ拾いをしています。私もできるだけ一緒に参加をしています。ボランティアの1人の方は、少年時代、多摩川に育てられた、きれいにして恩返しをしたいと毎回参加をしてくれています。45リットルのごみ袋に1人二、三袋のごみを拾います。その中には、花火の燃え殻、お弁当の食べた殻などありますが、多いのは缶ジュースの空き缶、ペットボトルです。河川敷に設置してあったごみ箱を片づけたので、ごみ箱からごみがあふれていることはなくなりましたが、あちこちに空き缶やペットボトルが投げ捨てられています。環境をきれいにするために、空き缶を投入すると代価が戻ってくる空き缶、ペットボトル回収機を導入することを提案いたします。
実際に実施している自治体の視察に行ってまいりました。商店街連合会が主体になっておりました。商店街の中のお店の前、スーパーの前、空き店舗を活用したお休みどころ、商店街の事務所の前にエコスポットとして、空き缶、ペットボトル回収機が置いてありました。おばあちゃん、親子連れ、会社員の方が、ビニール袋に空き缶、ペットボトルを入れて持ってきて、エコポイントカードに印字をしていました。500個で500円の商店会の商品券と交換してもらえるそうです。私が見ている前で、1人のご婦人の方が、エコポイントカードが満杯になり、満点と印字され、機械の置いてあるところで商品券と交換してもらっていました。
何か所かエコスポットを回ってみました。次から次とビニール袋に空き缶、ペットボトルを入れて持ってきており、好評のようでした。また、商店街で商品を購入して、レジ袋を要りませんと断ると、エコマネーをくれました。エコマネー1枚でエコポイント2となります。空き缶、ペットボトルは家庭からごみとして排出されると単なるごみとなってしまいます。大田区のリサイクル費用が約4億8700万円かかると言われております。何とかこの大田区のリサイクル費用を削減する意味でも、モデルとして自治体として実現をしていただければと思っております。
どうか、青空のような明快なご答弁をお願いいたしまして、私の質問を終了させていただきます。大変ありがとうございました。(拍手)
○議長(川上智由 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) 八月十五日展でございますが、ある区内の方のご紹介で、漫画協会の幹事役の森田拳次さん、この方と知り合いになることができました。そして、急な申し入れでございましたけれども、できるだけ実現しようと、そういう結論で、アプリコの空き室を確保して、あのような展覧会に結びつけさせていただきました。非常に多くの方がお見えになっておいででございまして、皆さんいろいろ感動を覚えられた。私も準備の段階と、そのほか展覧会に入ってから2度、合計3回行って、ごらんになっている方と雑談をしてまいりました。中には涙を流して語られる方もいた、非常に感動的な場面でございました。今後とも、人のつながりを大切にしながら企画をしてまいりたいと思います。
そういう意味合いからは、芸術に触れること、また若い芸術家を育てること、非常に大切であるという認識を私自身も持っておりまして、今日まで下丸子のプラザ、あるいはアプリコ、いずれもそういう展示ができるようなスペースとしても活用できる、多目的なものとしてつくらせていただいたわけでございます。しかし、それでは不十分で、美術館、あるいは特殊性のあるまちの小さな博物館、そういうものも点在していいんじゃないか。そういう点では、私はどうも顔を見ると貧乏人に見えるせいか、川端龍子さんにしても、熊谷恒子さんにしても、皆さん、何とかおまえ、管理してくれないかとちょうだいいたしたりしております。
しかし、やはり一つの拠点が要るなという思いは変わっておりません。どこに、どのように、それからどういう目的で、そういうことは常に念頭にありますけれども、今直ちにそれらのお答えをする段階にまで至っておりません。十二分に立地条件などを考えながら、いずれかの時期に、いわゆる美術館、そして文化活動の拠点、そういうものをつくりたい、こういうことは申し上げてきたつもりでございます。どうぞ今後ともご指導ください。
また、財部さんの講演会でございますが、元気出せというのが本来の趣旨で講演をお願いさせていただきました。経営者自体も意識改革をしないと、時代が変わっているのに旧態依然たるというのではなくて、成功事例などを出しながらお話をいただきました。
そういう中で、講演をお聞きになって、二、三の人と雑談をしておりましたが、経済環境のせいにしてしまうだけじゃ解決しないねとか、あるいは先ほどおっしゃったように、ビジネスモデルを変えない会社はつぶれちゃう。あるいは商売不振を他の条件に転嫁する、スーパーが出てくるからだめなんだ、そういうような言い方で問題が解決できるわけじゃない。我々としても精いっぱい、頑張れるところは頑張ろうというようなご意見を拝聴することができました。一定の成果はあったのかなと。ただ、すべての方がそのようなお気持ちに変わるかどうか、そこはご自身の問題ですから、そういうきっかけづくりにはなった、このように考えております。
◎区民生活部長(林一夫 君) 私からは、「私の八月十五日展」と、「大田区在住作家展」の毎年の入場者の人員についてお答えします。
「私の八月十五日展」は4日間で延べ3515人です。それから「大田区在住作家展」は、毎年8日間行っておりまして、大体約3800人ぐらいです。
それと、国保の事業の関係でございますけれども、出産育児一時金を全額前倒しで給付するか、あるいは委任払い制度を実現してほしいとのことについてですけれども、出産一時金は、ご存じのように、国保加入者が出産あるいは流産などをしたときに世帯主に対して支給をされるものです。支給要件としましては、出産などのときに大田区の国民健康保険の加入者でなければなりません。したがいまして、出産前に全額前倒しで支給することは、転出、転職などのケースも考えられますので難しいものと考えております。また、委任払いにつきましては、お話がありましたように、医療機関との連携・協力が必要となります。平成16年度以降の実施に向けて、今後、医療機関との協議を進めまして、実施可能な医療機関から導入したいというふうに考えております。
以上でございます。
◎産業経済部長(平野壽 君) 産業経済に関する部分について、私の方からお答えをさせていただきます。
町工場に出向いて開発、販売等の相談にというお話でございますが、財団法人の大田区産業振興協会の方で、受発注相談員が区内企業を巡回をしております。企業や大学等からの開発に伴う発注をこの活動によって結びつけているわけでございます。また、新製品・新技術の開発、あるいはそういった開発のニーズをくみ取りまして、ビジネスサポート事業、あるいは東京都の中小企業振興公社の窓口等につないでいるわけでございます。
販路の開拓という点でございますが、売れるものをつくるという観点が必要でございまして、マーケティングセミナー等も開催しているところでございます。今後も、より内容を充実した形で取り組んでいきたいというふうに考えております。
それから、PiOの1階、地下にございます城南地域中小企業振興センターの機械の利用というお話でございますけれども、14年度の実績で申し上げますと、機器の開放、実際にその場所に来て機械を使って物をつくっていただくということでございますが、4714件の利用がございました。そのうち大田区で2500件弱、率で申しますと50%を超える利用の実績がございました。
もう一つの機能といたしまして、つくったものを検査してもらうという機能がございますけれども、これについては6524件の利用がございました。大田区の利用分としては1750件ほどでございまして、27%を占めているところでございます。利用率としてはかなり高い利用になっております。
それから、知的所有権のお話でございますけれども、特許の戦略は国の重要課題の一つになってございまして、さまざまな取り組みがされているところでございます。大田区におきましても、大田区の工業技術開発支援事業で新製品・新技術開発の補助を行っているわけでございますが、この経費の中で特許申請費用も対象として組み込んで運用しているということでございます。
それから、単位制高校でございますけれども、これは企業と学校が連携をして人材を育成していく新しい職業教育の仕組みということでございます。生徒が企業で数か月間働くという訓練を行いまして、働いた分は学科の履修単位として認められるというものでございます。区といたしましても、学校側と連携をしながら、情報の提供などを行いまして、積極的に協力をしていきたい。現在53社が協力をしたいというお申し出があるそうでございます。来年の4月までには90社にふやしたいというお話でございます。企業への助成制度はございません。
それから、創業支援施設でございますけれども、新規創業19、新分野10、企業グループ1、大学関係3、合計33社がお入りをいただいております。インキュベーションマネジャーが2名、経営の方と、それから技術系の方を配置をいたしまして、その実態に合わせてサポートをしているところでございます。
それから、最後になりますけれども、メード・イン・オオタの製品をということでございますけれども、先ほど申しました受発注の新たな開拓、あるいはマッチングなどを通じて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(川上智由 君) 古山議員、答弁が残っておりますけれども、所定の時間が参りましたので、次に移ります。
次に、37番都野圭子議員。
〔37番都野圭子君登壇〕(拍手)
◆37番(都野圭子 君) 初めて質問させていただきます。民主党の都野圭子です。
今年は例年になく涼しい夏でしたが、その中でも熱く盛り上がったのが、昨日区長も触れられましたように、都立雪谷高校の甲子園出場という快挙だったと思います。私も初めて応援バスというものに乗りまして、甲子園まで行って、アルプス席に座って、炎天下、汗だくになって応援をいたしました。雪谷高校野球部は、都立ということで練習環境に恵まれず、専用グラウンドもないということですが、このたび、区長を初め関係者のご配慮により、東調布公園のグラウンドのあいている時間帯を使えるようになったそうでございます。私も地元住民の1人としてご配慮に心から感謝いたします。また、選手の皆様には、ぜひ次の大会でも大活躍していただくことを期待したいと思います。
それでは質問に移ります。最初に、東急多摩川線の現状についてお尋ねいたします。
先日、エイトライナー・メトロセブンの促進大会が行われ、私たちも参加をいたしました。総工費1兆円以上という大変スケールの大きな計画ですが、大田区民にとっても非常にメリットのあるものですので、早期の着工が望まれます。一方、長年の区民の悲願でもあります蒲蒲線については、運輸政策審議会によって2015年までに着手すべき路線とする旨の答申が出ております。実現に非常に期待が持てるのですが、具体的にはいつごろになるのでしょうか。既に関係当局に対する申し入れなど、区も早期着工に向けて努力をされていることとは思いますが、さらに強い働きかけをされるよう要望いたします。
また、19年度に開通予定の地下鉄13号線というのがあります。これは池袋−渋谷間の地下鉄ですが、これには東急東横線への乗り入れ計画があります。既に渋谷−代官山間の地下工事が予定されています。この路線を多摩川駅で東急多摩川線に接続、蒲蒲線、京急空港線へとつなぐことができれば、埼玉県から都心を経由し、羽田空港への広域的な鉄道軸が形成されることになります。このプランについては、既に国によって都市鉄道調査も行われております。羽田の国際化をにらみ、周辺鉄道の輸送力増強はもちろん、大田区民にとっても、利便性、経済効果の点で大いに期待できます。このプランが現実化されますよう、区としても関係当局に強く働きかけをされますよう要望いたします。
そして、ここで思い出していただきたいのが東急多摩川線の現状です。大正12年から平成12年まで、目蒲線として蒲田−目黒を直通で結んでいたこの路線は、地域住民の通勤、通学、外出の足として重要な交通手段でした。特に、沼部、鵜の木、下丸子駅の利用者は、都心に出るのに、蒲田方面に出るよりも目蒲線で目黒に出て山手線に乗りかえる、または田園調布で東横線に乗りかえる人が多かったのです。
3年前、東横線の複々線化に伴い、旧目蒲線は多摩川駅において多摩川線と目黒線に分断されてしまいました。沿線の利用者は、従来、乗りかえなしで目黒に出て山手線にアクセスしていたのですが、現在では多摩川駅で行きどまりですので、必ずここで一たんおりて、目黒線または東横線に乗りかえなくてはなりません。
多摩川線の多摩川駅は地下化されておりまして、乗客は地下の深い深いところから長いエスカレーターを2本乗り継がなくては、目黒、渋谷方面のホームに上ることができません。朝夕のラッシュ時には渋滞も起こっています。以前に比べ、都心に出るのにおよそ10分時間が余分にかかるようになりました。この駅にはエレベーターもあるのですが、ホームの一番端の非常にわかりにくい場所にありまして、しかも目黒、渋谷方面のホームに上がるためには、そのエレベーターを1度おりて、25メートルほど歩き、またもう一つ別のエレベーターに乗りかえるという、非常に使い勝手の悪いものです。多摩川駅の工事が着工される以前に、多摩川線から目黒線、東横線への乗りかえを同じホームでできるようにと区側から東急に申し入れがされたと聞いておりますが、残念ながら同じホームでの乗りかえは実現しませんでした。
沿線には高齢者も多くいらっしゃいます。足腰に不安を抱え、乗りかえの手間を思うと外出そのものが楽しくない、おっくうになってしまったという声も聞きます。区として、このような沿線住民の不便を訴える声に対し、どのような対応をとってこられたのか、あるいは今後どのような対応をお考えでしょうか。
現在、沼部、鵜の木、下丸子、武蔵新田など、多摩川線沿線各駅の利用者は1日およそ8万人います。沼部の駅を例にとりますと、小さい駅ですが、1日1万人近くの利用者がおりまして、朝のラッシュ時はそのうち7割近くの人が目黒、渋谷方面に向かいます。また、下丸子、武蔵新田地域では、大型マンションの建設ラッシュで、今後二、三年の間に沿線で3万人の人口増が見込まれております。昭和60年代に東急が旧目蒲線の廃止の決定をしたときとは状況が大きく変化しています。
区とマンション業者とは、駅周辺の駐輪場対策などで既に協議を始めているようですが、ぜひ東急とも話し合いの場を持って、今後の多摩川線の需要予測、現在の3両編成で十分なのかどうか、地下鉄13号線の開通、延伸、蒲蒲線の着工を待たずに、まず今から朝夕のラッシュ時だけでも目黒−蒲田直通運転が再開できないか、申し入れをしていただきますよう要望します。
以前、このことについて東急に問い合わせをしましたところ、旧目蒲線の線路はまだつながっているので、目黒−蒲田直通運転をやろうと思えば物理的には可能だが、横浜方面から目黒方面への電車の乗り入れ本数が多く、ダイヤ編成が過密なので難しいという返事でした。しかし、要はやる気と工夫ではないでしょうか。
現在、多摩川線沿線のまちでは、電車が不便になってしまったことの影響がじわじわと出てきております。商店街にシャッターが目立ち、アパートの空き部屋もふさがりにくくなりました。旧目蒲線の廃止については、過去にいろいろないきさつがあったことは十分承知しておりますが、いま1度、旧目蒲線沿線地域における鉄道を軸としたまちの活性化を区として真剣に取り組んでほしいと思います。区側のお考えはいかがでしょうか。
次に、保育園の民営化についてお尋ねします。
9月7日付けの朝日新聞東京版でも伝えられましたように、区内の保育園の民営化計画をめぐって、保護者の間に不安が広がっております。民営化される園は、園長先生以下先生たちは全員入れかわってしまいますし、保育の方針や雰囲気もがらっと変わることでしょう。ある程度の引き継ぎ期間を置いたとしても、当初子供たちがかなりのショックを受けるということは避けられません。
特に、西蒲田保育園、山王保育園については、民営化計画の発表が今年7月で実施が来年4月からということで、時間的にも大変厳しい計画になっていると感じます。今から保護者との連絡協議会を立ち上げ、業者選定作業を行い、引き継ぎを行いというのでは、余りにもスケジュールがタイトではないかという声が保護者の方たちから上がっています。よりよい民営化園をつくるため、じっくり時間をかけ、業者選定に保護者代表にも参加していただき、納得できる業者を探すこともできると思います。先生たちが頻繁に入れかわることがないよう、長く働ける職場環境を実現してほしいという声も出ています。
また、例えば民営に移行後も、子供がなれるまで以前の区立の先生に一定期間残ってもらうような方策が可能なのかどうかなど、時間に余裕があればこういったことを一つ一つ検討、考慮し、保護者の心配を取り除くことができると思うのです。
西蒲田、山王の二つの園は、大田での民営化園第1号になるわけです。今後の民営化を進める上でも、本当にいいものにしなくてはなりません。もう少し日程に余裕を持って進めていただくわけにはいかないのでしょうか。お答えください。
昨年度、民営化計画が発表されたときは、発表から実施まで十分な時間的余裕があったために、それほどの混乱は起こっておりません。また、その際に、民営化に当たっては在園児には影響が出ないようにするという原則が確認されていたはずです。
公立園、民間園の保育の違いですとか、職員の待遇の問題はもちろん重要ですが、それと同時に、行政の内部決定を実施する際、区民の理解を深めるためのきちんとしたプロセスを踏まないと、区民の間に行政に対する不信感が残ってしまいます。区立保育園は65万区民全体の財産でもあります。今後、協働、区民参画を積極的に進めていくためにも、区民の声には真摯に耳を傾け、臨機応変、柔軟な対応をとることが必要だと思いますが、その点いかがお考えでしょうか。
大田では、優秀で経験豊かな行政マンの方たちが効率的な行政を目指して努力されております。すばらしいことです。しかし、本当に区民の信頼を得るためには、優秀で効率的ということのほかに、もう一つ、愛が欲しいと思います。愛は親子や男女の間の愛だけではありません。会ったこともない見ず知らずの子供の心情を想像してあげること、1日10時間、親と離れて他人の中でひたすらお迎えを待っている子供の心細さ、その子を預けて必死で働いている若い親の気持ちを察し、理解するのも愛だと思います。行政を効率よく進めなくてはならない立場から見れば、一見むだに感じることでも、そのむだを主張し、求める親たちの立場も理解し、尊重しようとする姿勢を見せてほしいのです。
6月の第2回定例会において、小学生の安全を守るため、学童擁護員、いわゆる緑のおばさんの複数配備を求めるという質問がありました。それに対するお答えは、子供であっても自分の身は自分で守ることを教えよというものでした。私自身、3歳の娘を育てている最中ですが、このまま、ここ大田で子育てすることにちょっと不安を感じております。愛のある行政を大田に期待しますが、いかがお考えでしょうか。お答えください。
最後に、多摩川ラケットクラブ跡地利用についてお尋ねします。
行政と議会、住民の方たちの連携により、水と緑豊かな公園が誕生することになり、地域住民の1人として大変うれしく思っております。現在、検討委員会により、跡地の利用のあり方が住民主導で話し合われています。今年度中にはある程度の結論が出るということですが、委員会の途中経過をお知らせください。
また、以前、新聞報道もされましたように、東京23区内のあちこちで公園内の施設を勝手に利用して、入会金や運営費を取るサッカー教室が行われているそうです。名古屋のある組織というか団体が主催しているということですが、ラケットクラブでも毎週水曜日、その教室が開かれています。最近、参加者はかなり減ってきてはいるようですが、先週の水曜日に行きましたら、まだやっておりました。今後どのように対応していくのか、ほかの区の対応も見ながら、例えば新しい条例をつくるなどの対策をお考えでしょうか。お聞かせください。
ところで、ラケットクラブの中にはわき水がございまして、小川となって流れております。春先にはオタマジャクシがいっぱい泳いでおりまして、自然に親しむ機会の減っている最近の子供にとって魅力的な場所です。しかし、この小川の周りには立ち入り禁止の看板が幾つも立てられております。小川だけでなく、周辺のやぶや斜面も楽しい遊び場になると思うのですが、フェンスが設置され、自由に入れる場所は限られております。現在のところは、公園としては暫定利用ということで、仕方のない面もありますが、明らかに危険がないと思われる場所は自由に入れるようにすることはできないでしょうか。お尋ねします。
それと、敷地内にほかでは余り見られない希少な植物が生育しているとも聞いております。これについてはどのように調査、保護をしていく予定でしょうか。お知らせください。
もう1点、カラス対策について伺います。
ラケットクラブとすぐそばの多摩川台公園は、カラスの営巣地としてうってつけの場所になっております。多摩川台公園には、東京都が仕掛けたカラス捕獲用のトラップがあるそうですが、ラケットクラブの方も何らかのカラス対策が必要かと思います。現状と今後の予定をお知らせください。
最後に、ドッグランについて伺います。
ラケットクラブにドッグランを設置してほしいという声があります。以前、ニューヨークで見たのですが、まち中のそれほど広くない公園で、曜日、時間帯を決めて、敷地の一部をドッグランにして、ボランティアグループが管理をしておりました。いろいろな方法があると思いますので、検討委員会のご意見も踏まえながら、前向きにご検討いただければと思いますが、区としてのお考えはいかがでしょうか。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(川上智由 君) 理事者の答弁を求めます。
◎
こども育成部長(中村文夫 君) 私からは保育園の民営化についてお答えさせていただきます。
まず最初に、民営化を慌てずにもっと日程に余裕を持って進めていただきたいというご質問ですが、保育園の民営化計画につきましては、多様な活動主体との連携・協働を目指す基本方針によりまして保育園の見直しを行い、平成16年4月以降、7園の民営化を15年度の実施要領で新たに決定したところです。現在の2園の民営化に当たって、限られた時間の中ではありますが、保護者の要望もお聞きしながら移行に向けた準備を進めていきたいというふうに考えております。
次に、区民の声に耳を傾け、柔軟に対応していけというご質問ですが、ご指摘のとおり、在園者の保護者のご意見・ご要望には謙虚に耳を傾けていきたいというふうに考えております。同時に、これから児童を保育園に預けようとしていらっしゃる保護者の延長保育や一時保育などの多様なニーズにもこたえていく必要があるというふうに考えています。
16年度からの実施につきましては、良質な民間の力をかりて、一刻も早く区民の要望にこたえようとするものでございます。在園者の保護者の皆様には、今後も説明と協議の場を設け、理解が得られるよう努力していきたいと考えております。
私からは以上です。
◎
まちづくり推進部長(小西恭一 君) 私の方からは多摩川線沿線のまちづくりのご質問にお答えします。
多摩川線沿線地域は、大田区の工業発祥地の一つですが、近年、大規模なマンションが建設されるなど、住宅の進出が目立っています。工場や住宅の混在した地区は、住環境と工業系土地利用が共存できる周辺環境に配慮したまちづくりを推進する必要があります。駅周辺の商店街を考える場合は、生活環境の改善、都市機能の更新など都市整備的な面と、顧客満足度の高い個店やにぎわいのある商店づくりなど産業経済の面をあわせて考えていく必要があると思います。そうは申しましても、まずは商店街の方々の自助努力が大切と考えます。先生方にも多大なご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上です。
◎
交通事業本部長(千葉胤彦 君) 私からは、東横線複々線化事業に伴い、旧目蒲線運行系統の変更によります沿線住民の不便を訴える声に対し、どのように対応してきたのか、あるいは今後どのように対応するかというご質問にお答えいたします。
先生も既にご承知のとおりだと思いますけれども、複々線化の事業は、東急東横線の混雑の抜本的な緩和や都心へのアクセスの向上を図るということで、平成12年8月6日、目黒から武蔵小杉間を目黒線として、旧目蒲線を蒲田から旧多摩川園の折り返し運転とし、多摩川線として運行系統の変更がされたものでございます。この蒲田から旧多摩川園間の折り返し運転に関しましては、区といたしましては昭和63年の11月、また平成4年5月、そして平成11年11月に、3回にわたりまして区長名で東急電鉄に対し利便性の確保について要望してきたところでございます。この要望の内容について、二、三紹介させていただきます。
旧多摩川園の駅乗りかえに関しまして、多摩川駅に東横・目黒線の急行を停車させること、同じく多摩川駅で他線乗りかえ客の利便性確保のため、エスカレーターを増設すること、また、運行系統変更にあわせて、4両編成から3両編成の運行に関して、安全運行の確保に加え、現行輸送量確保のため、特にラッシュ時における運行本数を増発することなどを要望してまいりました。既に実現してございます。
今後の対応といたしましては、営団地下鉄13号線の東横線乗り入れ計画に伴う駅施設改善などが考えられますので、このような機会をとらえて、利用者にとってより一層の利便な駅になるよう、引き続き要望してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
◎
大田西地域行政センター長(清水繁 君) それでは、私の方から多摩川園ラケットクラブ跡地のご質問にお答えいたします。
初めに、多摩川園ラケットクラブ跡地の話し合いはどの程度進んでいるのかといったお尋ねでございます。これまで検討会では自然保護、ドッグラン、サッカー場やテニスコートなど跡地に関連しますさまざまな問題について話し合ってきました。さきの検討会では、貴重な自然資源を次世代に継承するとともに、自然保護を最優先に必要最小限の整備を検討するという基本方針を改めて確認しております。あわせまして、サッカー場などといった新たな個別の専用施設は設けないという方向性も確認しております。今後は、この方向性をもとに、既存施設を多様に活用するためのルールづくりや、これに必要となる最小限度の整備について、より具体的な検討を進めていく予定でございます。
公園の正式名称につきましては、今後、検討会の整備活用方針提案を受けて、できるだけ早い時期に一般公募を行い、地域住民の思いが反映される名称を選定していきたいと考えております。
次に、ラケットクラブ跡地で行われているサッカー教室でございます。この対応なのでございますが、ご指摘のサッカークラブが使用しているところは多目的広場でございまして、これは暫定的に開放している期間中であるため、原則団体利用はお断りしております。個人利用のみとさせていただいております。そのために、このサッカークラブに対しては、活動開始前から団体利用は承認しないということを説明しましたが、サッカークラブ側は自由利用であると主張して譲らず、活動を続行しています。この間、現場での説得を再三重ねておりまして、文書による指導等も行ってきました。その結果、当初30名の参加がありましたが、現在、5名程度に減っております。今後も地域の方々の理解を得ながら、引き続き団体側並びに参加者への説得を重ねてまいります。
また、新しい条例による規制とのことでございますが、ほかの区でも同様な問題を抱えておりまして、現行条例の解釈、運用を含めて、どのような対策が可能かということを検討してまいります。
次に、立ち入り禁止の看板が多い、もっと自由に入れるような場所をふやさないかということでございます。現在、立ち入り制限を行っているところは、未整備の箇所や危険性のあるところ、それから貴重な生物の生息場所などでございます。今後は、検討会の提案を受けつつ、自然環境として保護していく場所と自然との触れ合いや体験ができる場所とを区分して、バランスよく整備していきたいと考えております。
次に、貴重な植物の調査、保護のことでございますが、跡地の自然環境については、昨年から検討会のメンバーと職員で調査を進めておりまして、9月現在、樹木が約100種類、草花が約90種類、動物が約100種類が確認されております。中には、サワガニやキツネノカミソリなどといった貴重な動植物も確認されており、今後も区民の協力を得ながら、継続的な調査や保護活動を展開していきたいと思っています。
次に、ラケットクラブのカラス対策でございます。今年度、巣を8か所撤去しております。今後も営巣を確認した段階で撤去を行う予定でございます。
最後に、ドッグランをやってほしいという声があって、区としての考えはということでございます。検討会でもサッカー場やテニスコートとともにドッグランについても何度となく検討を重ねてきました。ただ、既にお断りしたとおり、限られた貴重な緑地空間を有効に活用するといった考え方から、新たな専用施設の設置は区も、また検討会のメンバーも考えておりません。ただし、専用施設は設ける方向にありませんが、犬の飼い主と他の利用者との公園の利用方法の調整を図っていくということは大事な課題だと考えておりますので、検討会の中でもこれから話し合っていきたいと思います。
私からは以上でございます。
○議長(川上智由 君) 都野議員、答弁が残っておりますけれども、所定の時間が参りましたので、次に移ります。
次に、49番渋谷 要議員。
〔49番渋谷 要君登壇〕(拍手)
◆49番(渋谷要 君) 私は、第1に、住環境を守るための建築行政、具体的にはワンルームマンションの紛争防止対策について、第2に、多摩川河川敷から発生する砂あらし防止策がどこまで進展しているかを質問します。関係理事者の積極的な答弁を求めるものであります。
第1の質問に入りますけれども、今、区内各地で中高層マンションが建築されています。大田区のものづくりの拠点である工場、特に大工場が移転し、その跡地にこれまた巨大なマンション群が建てられています。工業地域という用途指定を利用し、高さ制限緩和などを利用して高層マンションを建てているのです。その代表的なものが下丸子ガス橋付近の4工場跡、約2600戸という大高層マンション群です。環境にも、公共施設にも、地域や行政にも大きな影響をもたらすものです。開発者の利潤のために住環境、地域環境が侵されているのであります。これらの開発者には応分の負担を課せる必要があります。早期検討を求めるものであります。
毎年のように、大規模開発に資するため、国は都市計画、建築法規を改正し、昨年は都市再生特別措置法をつくり、東京一極集中の開発が行われようとしています。大田区は都心のベットタウン化させられているのであります。
さて、そのために中高層マンション建設と環境と生活権を守る地域住民との間で紛争が頻発しています。大森でも六郷でも田園調布でも、私の住む鵜の木でも、区内全域で起きています。昨年度、計画建築物の建築確認は木造で1830件、鉄筋コンクリートなど非木造が921件、全体で2751件でした。このうち、高さ10メートル以上の建築計画のお知らせ看板、すなわち標識設置は240件あり、住民からの苦情相談は76件、そして建築紛争になったのが39件でありました。ところが、区を頼りに紛争解決のためのあっせんはわずかに8件、調停はゼロでした。この数字を見る限り、区の対応が冷たかったのではないかと思います。
問題は、区民の住環境や生活と権利を守る法律や条例、指導要綱がありながら、住民側に作動していないところにあるのではないでしょうか。建築基準法は、第1条で国民の生命、健康及び財産を保護するとあり、大田区は中高層建築物紛争予防調整条例で、良好な近隣関係を保持し、地域における健全な生活環境の維持、向上に資するとしており、開発指導要綱では、無秩序な開発行為を防止し、良好な生活環境の向上を図るため、必要な指導を行うとしています。いかがでしょうか。この立場を堅持すること、そのために行政がある。担当部署があるのです。区の見解をお聞きします。
新たに中高層のマンションなどを建てようとする開発会社、建築主と良好な現在の住環境を守ろうとする住民との間にトラブルをできるだけ発生させないために、大田区の紛争予防調整条例があります。区が発行しているまちづくり推進部の事業概要書にもちゃんと書いてあります。紛争を未然に防止するためには、条例第4条を建築主が実行することだと言っています。私もこの条例の核心部分が第4条にあると確信しております。紹介しましょう。「条例第4条(当事者の責務)建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の建築を計画するに当たつては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない」と。この条文を建築主に徹底させることが区の事務、責務ではないでしょうか。第3条で区長の責務も規定しています。「区長は、紛争を未然に防止するよう努める」と。この立場に毅然として大田区が立つこと、みずから制定した条例を実施する行政長として、開発会社、建築主に良好な近隣関係を損なわないよう徹底指導することではないでしょうか。区の見解をお聞きします。
大田区中高層建築物紛争予防調整条例が昭和54年制定されました。私もこの条例制定の提唱者の1人として、この条例を全力で守りたいと決意しております。第4条は、建築計画のお知らせ看板、標識を立てる前の構想の段階で、現地を見、住民の意向を聞き、住民の声、要望を掌握して基本設計を作成して、紛争を未然に防止する、この指導のため区行政があるのではないでしょうか。それを、標識を立てなさい、建築計画概要書を持って説明しなさい、30日たったら建築確認申請が出せますよ、確認がおりたらすぐ工事ができますよと手続上の説明だけをしていたら、紛争を未然に防ぐという建築主の責務、自覚を感じさせず、法基準に合っていれば、住民の生活環境がどうであろうと建築ができる、紛争が発生しようと大田区は何も言わない、こうなってしまうのではないでしょうか。
区は、紛争を未然に防止するため全力を尽くすのか、手続関係だけの指示をするのか、基本的見解をお聞きいたします。
手続関係もまた重要です。住民説明をする建築主の義務が条例第6条にあり、具体的には施行規則8条1項から5項までの説明、これは3号様式に書き込まなければなりません。4項関係の工事による危害の防止策、5項関係の建築に伴って生ずる周辺の生活環境に及ぼす著しい影響及びその対策をきちんと書き込まなければなりません。
最近多いのは施工者未定です。工事の危害防止策の具体的説明が省略されているのです。5項関係が一番の関心事なのに、生活環境に及ぼす影響もその対策も書かないケースが目立ちます。この報告書はそこが足りない、そこはどうするのか、施工者未定ならば、施工者が決まってから説明しなさい、それまではお預けだ、こう指導、指示するのが区の仕事ではないかと私は思います。どんな指示、指導をされているのかお聞きします。
質問を具体的にするために一つの例を出します。鵜の木三丁目に6階建て、高さ18メートル余、71戸のワンルームマンションが計画されています。開発会社、建築主は仮にT社と言っておきましょう。敷地200坪余、用途地域は第1種住居地域、容積率200%、2種高度の地域です。周囲はすべて戸建て住宅、前の持ち主は1世帯でした。当然、日影、プライバシー侵害、圧迫感、風害、通風阻害、入居者騒音、自動車騒音、隣地境界50センチ余しか離さず、防犯上も極めて問題。そして、ワンルーム特有の環境破壊等々が発生するのでしょう。これが環境破壊です。
ところが、T社は、条例第4条、建築主の責務、この責務感を全く自覚せず、話し合いも要望書の受け取りも拒否、説明会はやっと開いたものの、住民の声を聞こうとせず、けんか腰。施工者未定で工事の危害防止では意味不明の説明を連発、配布した建築概要説明書には、5項関係は電波障害の解消のみ。この地域は電波障害は既に同軸ケーブルで解消されております。この建物の名称がまた振るっています。鵜の木のど真ん中にありながら、仮称ではありますけれども、PH田園調布南マンションとつけられ、地域に激怒を呼んでおります。管理人は常駐ではなく日中8時間だけ。こんなワンルームマンションが出現したら、これまでの良好な環境を築いてきた地域が最も環境が悪い地域に変貌してしまうではありませんか。
関係住民だけの問題ではないと地元町会やPTAも協力しています。住民は、区にも毎日のように報告文書や指導を要請しております。住民エゴなどというのではありません。区条例の完全実施を区に求め、住民としてもやるべきことはやる。建築主にも話し合いの機会、説明責任を求めています。まさに紛争状態に今日ではなっております。
ところが、区ではどうでしょうか。この現状を打開するという手を打たず、条例4条の建築主責務の義務条項の指導をおろそかにし、手続上の指示にとどまって、期限が来たからといって説明が始まったばかりなのに建築確認申請の受理を行いました。紛争防止の労をとらず、まさにフリーパスの行為です。
昨日、T社が住民に案内して説明会を開くことになっていました。会場の町会会館には多数が集まりました。町会幹部もPTA会長を初め役員も出席していました。ところが、T社は、自分が招集しておきながら、すっぽかしました。こういう態度です。許されるでしょうか。
条例第4条の建築主責務、施行規則8条の4項工事の危害防止、5項の生活環境に及ぼす著しい影響とその対策、さらに、ワンルームマンション問題の環境破壊を直視した対策をきちんととることを区に強く求めるものです。いかがでしょうか。そのご意思をお聞きします。
ワンルームマンションには管理人、管理体制がとりわけ重要です。ところが、大田区開発指導要綱には、これまで50戸以上は常駐管理をしなさいという項目がありました。しかし、現行指導要綱からは消えてしまっています。だから、T社は、71戸にもかかわらず常駐管理はしない、夜間の管理はしない、はばかることなく言っているんです。なぜワンルームの管理条項を削除したのか、お聞きします。
私は、ワンルームマンションは駅前や商業系地域にはあっても住居系地域にはない方がよいと考えております。環境破壊が必至だからです。区でもワンルームマンションを住居系地域には制限、もしくは許可条件にしてください。検討を求めます。お答えください。
ワンルームマンションについては、東京の各区で規制の対策が進められています。豊島区では、新税ワンルームマンション税をつくりました。新宿区では、同一建物に高齢者が入居できるようにしました。渋谷区では、ファミリー世帯を入れるようにしました。このように制限対策が設けられているのです。ところが、開発業者は、大田区ではワンルームがどんどんできる、制限が少なく、格好の地域だと言うのです。こんなことを言わせていいでしょうか。ワンルームマンションについては開発指導要綱にゆだねていますが、今の開発指導要綱強化こそ必要なのではないでしょうか。なぜ、他区ではワンルームを規制しているのに、最も必要な常駐管理の義務づけを区は削除してしまったのか。その真意をお聞きします。私は、遡及適用を視野に置いて常駐管理を復活すべきだと考えます。答弁を求めます。
次に、多摩川の砂あらし防止について、どこまで進んでいるのかお尋ねします。
昨年、私が切実な住民の声を取り上げ、砂あらし問題を議会で質問しました。以来、関係理事者は実によく働きました。国土交通省京浜工事事務所を参加させ、地域住民も加え、河川敷占用の各私立学校の認識を新たにさせ、砂あらし防止の具体化を検討し、温度差はあるものの約束させてきました。区もみずからできるところから手をつけようと、世田谷と共同管理の多摩川の元巨人軍グラウンド上流部分の芝生の植栽、ガス橋上下流の区占用運動場の裸地化防止対策、丸子橋公園の整備など、よくやっていると思います。
今年は雨が多かったので、余り砂あらしが吹き荒れませんでしたが、晴天続きだったらどうだったでしょうか。私の提案は草を植えること、水をまくことでした。そして、各占用者が河川法の目的、河川が災害発生の防止、流水の正常維持、環境の整備と保全のため寄与すること、特にこの周辺環境を守ることに尽くすこと、これに執着することです。実効ある砂あらし防止がどこまで進められているのか、各占用者の自覚がどこまで高まったのか、散水施設の整備がどの程度準備されているのか、質問します。
砂あらしの原因となっている当該地は、区のグラウンドの次が攻玉社、その次が東京実業、明治学園、東京高校、麻布学園、都立三田高校、元東調布信用金庫の各グラウンドがありまして、日曜日を入れて週3回の一般開放日にしています。野球などしたいグループは各学校に申し込むことになっています。
ところが、ここで問題があります。三田高校は、みずからも余り使用していないせいか、財団法人河川環境管理財団に一般開放日の事務委託をしているのです。本来、区の占用地になるところの元東調布信用金庫は、何も表示せず、事実上の東調布軟式野球連盟の占用グラウンドとなっています。
昭和39年、40年に、当時の建設省は河川開放計画を発表しました。それまで河川敷は私人、私企業が占用していましたが、国土としての河川敷を広く公共利用にするという画期的な方針でした。基本的には地先自治体に、1、公園緑地及び広場、2、一般公衆の用に供する運動場として占用する、ただし、3として、児童生徒等が利用する運動場は引き続いて学校に占用させる等々でありました。こうして今日の区の河川敷運動場広場ができたのです。
三田高校のグラウンドについて質問します。この間の砂あらし防止では、場所が遠距離にあり困難という意見も述べられました。ほとんど自校利用がなく、他校に使わせたり、一般開放事務を先ほど申しました管理財団に委託していることは、占用者としての当時者能力を失っております。河川開放の目的に照らせば、地先自治体の大田区に占用を移転すべきでありましょう。
そこで、私は率直に校長先生に電話で話しました。先生は、利用実態の事実を認めながら、今後積極的に独自利用を検討している。しかし、それが難しいということであれば、地先自治体に占用を移転することになるでしょうと答えました。はっきり結論が出た段階ではありませんが、区としての考えをお聞きします。
以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(川上智由 君) 理事者の答弁を求めます。
◎
まちづくり推進部長(小西恭一 君) ワンルームマンションに関しまして、7点のご質問をいただきました。時間が切迫しておりますので、順次お答えしてまいります。
まず第1番目のご質問、法律、条例、要綱の目的にのっとった立場で区は行政指導せよということでございます。まことにそのとおりだと考えております。
第2番目のご質問、開発者に対して徹底指導せよとのご質問です。現在、条例にのっとり指導しており、このことについては今後もなお一層努力してまいります。
第3番目のご質問、紛争予防条例にのっとる区の指導の基本的な態度はどうなのかというご質問です。紛争予防条例は、基本的には、建築主が建築物を建てようとする際、近隣関係住民に対してとるべき手続を定めたものであります。そのことによって、お互いの理解とお互いの譲り合いを引き出し、紛争の予防に役立てようとするものです。条例の趣旨にのっとり、紛争の予防のために誠心誠意努力してまいります。
第4番、紛争予防条例において具体にどんな指示をしているのかというご質問です。書類につきましては、書き込むべきところはきちんと書かせております。ただし、施工者が書くべきところにおいて、施工者未定の場合は、相手から書類が出されれば受理しないわけにはまいりません。この場合はやむを得ないものと考えております。
第5番目は、具体にT社という会社が行った行為についてのご質問です。一般的に申しますと、あっせん、調停も視野に入れつつ、きちんとした説明を近隣関係住民にするよう、強く求めてまいります。
6番目のご質問、ワンルームマンションを住居地域においては建たないように制限、もしくは許可制にせよとのご質問です。現行の法体系の中でそれを行うとすれば、大田区の場合、住居系地域についてすべて地区計画を策定するとともに、許可の要件となる住民合意等の確認方法を定める必要があります。実際に行うことは非常に難しいと考えています。
さて、最後のご質問、常駐管理の問題についてです。その前に、まず大田区の開発指導要綱にありますワンルームマンションに対する規制につきましては、最小住戸面積、壁面後退距離、標識設置等さまざまに規定し、指導しており、他区と比べて遜色のないものと考えています。開発指導要綱は、平成8年度に社会情勢等の変化を踏まえ、行政指導の行き過ぎ是正という観点から見直しを行いました。その際、常駐管理を削っております。
近年、大規模ワンルームマンションがもたらす地域社会への深刻な影響が問題となっております。そのため、ワンルームマンションにつきましては、常駐管理の視点だけではなく、さまざまな観点から既に部内で検討を行っています。なお、先生が要望されました遡及適用については考えておりません。
以上でございます。
◎
大田西地域行政センター長(清水繁 君) それでは、私の方から実効性のある砂あらし防止策がどこまで進んでいるかといった質問にお答えします。
今年度に入りまして、この5月に地域の住民、学校等の占用者、それから国、大田区が一堂に会し、砂ほこり対策検討会が立ち上がりました。この会議はこれまで2回進んでおりまして、2回目の検討会で学校等の占用者から当面の対策として土壌の改良、それから散水の強化等を行うと。さらに、今年度から実施できるものは一部既に実施に入っているといった説明がございました。
また、中長期対策としましては、散水車を共同でリースする、あるいは効果的な土壌改良を検討する、さらに散水用水道給水管を共同で引き込む、こういったものの検討に入っているということでございまして、住民の方もおおむね理解を示しているところでございます。
区としましては、今後、学校等の各占用者による散水用水道給水管の共同設置計画が進むように、これに対する技術的なアドバイスを初め、占用者間、あるいは京浜河川事務所等関係機関との連絡調整を引き続き行っていきたいと考えております。
次に、余り利用されていない三田高校の占用中のグラウンドを区が占用したらどうかといったことでございますが、三田高校が使用しているグラウンドは、同校が現在活用計画を検討しております。今後も継続的に利用したいと聞いておりまして、また加えて、三田高校は独自に、または他の占用者と共同して、ほこり対策を強化していくといったことを住民に既に説明しているところでございます。したがいまして、区としては、今後各占用者の砂ほこり対策を充実させていくというような働きかけはしていきますが、現在のところ、三田高校にかわって区が占用していくということは考えておりません。
私から以上です。
○議長(川上智由 君) 会議が長くなりましたので、しばらく休憩いたします。
午後0時10分休憩
────────────────────
午後1時10分開議
○副議長(有川靖夫 君) 議長にかわり、副議長が議長の職務を行います。
休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、申し上げます。通告のあった質問時間に沿って質問、答弁をお願いいたします。
質問を続けます。46番和田正子議員。
〔46番和田正子君登壇〕(拍手)
◆46番(和田正子 君) まず、子育て支援について質問します。
大田区は昨年8月に平成14年度保育園の運営主体の多様化に関する実施要領を発表し、萩中保育園など6園の民間委託・民営化を行うことを公表しました。さらに、今年の7月、突然、新たに7園の保育園を民間委託・民営化することを明らかにしました。しかも、山王保育園と西蒲田保育園は来年4月実施という乱暴なやり方に、「性急過ぎる」、「もっと子供のことを考えてほしい」と不安と怒りの声が上げられています。
公立保育園の民間委託は、大田区が突然思いついたものではなく、国の方針に基づいて全国的に行われています。2001年7月、男女共同参画会議で論議された待機児童ゼロ作戦を中心とした「仕事と子育ての両立支援策の方針について」が閣議決定されました。待機児童ゼロ作戦では、2002年度中に5万人、2004年度までには10万人、計15万人の受け入れ児童数の増大を図る目標と、待機児童のいる市町村は公設民営保育所整備計画の策定に努めるとなっています。
さらに、厚生労働省は、本当は認可園を申し込んだのに入れず、国の基準を満たさない保育室や保育ママ、認証保育所などを利用してあきを待っている子供たちは待機児童とみなさないというように、待機児童の定義を改悪して数だけ少なく見せています。大田区の待機児童は、今年度4月現在164人です。これは改悪された数え方の数字で、従来の定義ですと194人です。昨年4月は190人でしたから、待機児は減っていないことになります。
全国でも同様に、幾らカウントの仕方を変えても待機児童はふえ続けています。今年4月の待機児童は、新しい定義では2万6000人、従来の定義では4万2800人と、どちらで集計しても過去最多となっています。待機児ゼロ作戦は既に破綻をしています。日本共産党は、定員の25%増しという詰め込み保育や、待機児童の定義を改悪しての待機児解消は真の解消でないことを指摘してきました。保育園の新設、増設こそが解決する方法です。
大田区には164人の子供たちが希望していながら保育園に入れないでいます。年度途中の今はもっとふえていると思います。日本共産党大田区議団と山口富男衆議院議員が厚生労働省に待機児解消の要望をしたときに、待機児が100人以上いる自治体は厚生労働省からヒアリングを求められ、大田区は、今年度は大規模マンションの建設によって1700世帯増が見込まれたと答えていることがわかりました。マンションの建設は事前にわかることであり、保育園などの区民施設はどのくらい必要なのか把握して対応しなければならないはずです。今後の緊急対応をどのように考えているのか、お聞きします。お答えください。
事情があって働かなければならなくなった2歳のお子さんを持つ方から相談を受けました。すぐにでも保育園に入園させたいが、認可園はあきがなくて入れない。認証保育所も見学したが、保育料が高くてとても預けられないと困っていました。
大田区は今、区立保育園の民営化に力を注いでいますが、区民の保育に関する要望の中で最も高いのは待機児解消です。区は、まず第1番に待機児解消に全力を挙げるべきです。また、待機児解消に認証保育所の増設で対応するつもりのようですが、保育料が高いため、だれでも利用できる施設ではありません。希望する区民の子供が平等に保育を受けることができるよう、権利の公平からも認証保育所ではなく認可保育園で対応すべきです。お答えください。
保育の分野を新しい市場にするために、企業の保育園をふやすことを自治体に押しつけています。企業が参入しやすくするために法律を変え、規制緩和を行ってきました。これまで児童福祉施設である保育園の設置・運営は自治体か公益法人にしか認められていませんでしたが、一連の規制緩和で2000年4月からは企業もできるようになりました。しかし、2000年度中に企業が設置した保育園は全国でわずか3か所でした。保育の分野に企業が参入できるようになったにもかかわらず進まなかったのは、企業が設置する保育園には建設費に対する補助金が出ないため初期投資が大き過ぎることや、日常的な運営から収益を上げたとしても使い方が自由にならないことなどが理由に挙げられます。
そこで、2001年11月に児童福祉法が改正され、自治体に対して公立保育園の民間委託を義務づける内容を持つ第56条の7が新たに加わりました。さらに、2002年3月に厚生労働省児童家庭局長から出された通知によって、民間施設給与等改善費が不要であれば、保育園の運営費を配当や役員報酬、他の事業に充てても構わないという、これまでの運営費の使途制限はなし崩しにされてしまいました。このように重要なことを国会の審議もなく通知で自治体に押しつけるやり方は重大な問題です。
今回の大田区の民間委託・民営化の進め方は、当事者である子供たち、保護者、職員を無視して突然発表されました。事前に何の相談もありませんでした。区民参画、区民との協働という姿勢からはおよそかけ離れている乱暴なやり方です。
この間、保護者に対しての説明会が何回か開かれ、私も参加しました。9月7日付けの朝日新聞では「保育園の民営化『不安』」の見出しで報道されました。来年4月から実施と発表された西蒲田保育園と山王保育園の保護者にとっては、昨年発表された園よりなぜ先になるのかという思いは、どんなに説明されても納得のいくものではないでしょう。
保育園は議会も行政も区民と一緒になってつくり、育て、守ってきた区の財産です。その保育園が大きく変わろうとしていることは、区民にとっても重大なことです。民営化する理由を当該保育園の保護者だけではなく、全区民向けに説明する責任があるはずです。民営化を庁内だけで決めるのではなく、保護者、職員、行政、議会などの代表で審議会をつくり、会議は公開で、より多くの区民の声が反映される民主的な進め方が必要です。そのためにも性急過ぎる来年4月の実施は取りやめるべきです。お答えください。
平成15年度保育園の運営主体の多様化に関する実施要領には、延長保育や休日保育などの区民要望は高く、それにこたえるため民営化を進めるとあります。しかし、こども文教委員会では、保育要求の調査はしていないと答えています。行政としては、事業を始めるとき、事前に調査をしてデータに基づいて行うのは当然のことではないでしょうか。特にニーズにこたえるというものについては、どの地域にどういうニーズがあるのか把握すべきです。今回の民営化・民間委託はなぜ調査もしないで始めるのですか。調査も根拠もない民営化はやめるべきです。お答えください。
区は、保護者への説明会でも委員会でも、民営化しても保育内容は低下させないと言っていますが、何を根拠に低下させないと言い切れるのでしょうか。保育サービス充実のための行動指針では、保育サービスを低下させないために、第三者評価システムを導入するとしていますが、第三者評価は保育園として当然やらなければならないことのチェックでしかなく、子供の心の成長を保障する保育の質ははかれません。
平成16年度区立保育園運営業務委託プロポーザル応募要項(検討素案) の中に、常勤保育士を各クラス1名以上配置することとあります。この職員配置も、国は、ゼロ歳児3人に対して保育士を1人配置するという最低基準上の定数を、従来は常勤だったものを2割までなら短時間勤務の保育士を当ててもよいと規制緩和し、その後も次々に規制緩和を行い、今では各クラス、グループに常勤1人いれば、あとは短時間勤務の保育士でよいというように最低基準を後退させてきました。
さらに、常勤とは勤務形態のことで、正規職員を意味しないと言い、大田区も基本的には同じ考えであると答弁しています。すべての職員が契約職員やパートタイマー、アルバイトでもよいということになります。実際、ピジョンランド雪谷保育園の職員の身分は、すべて嘱託社員です。
保育園の民間委託で経費削減を図る目的でしょうが、経費削減には人件費の削減が、人件費の削減には職員の雇用形態を正規から非正規にするのが最も効果的であることから、企業などへの民営化・民間委託は不安定雇用の職員が生まれることが予想されます。保育は人が人を育てる仕事です。長く働き続けられる保証があってこそ専門性の蓄積や豊かな経験で質を向上させていけるのです。パートや契約社員のような立場の弱い不安定雇用では、専門性の積み重ねや継続した保育ができない上に、子供の成長に必要なことも意見を言いにくくなります。
区長は、2002年度第3回定例会で我が党の代表質問に対して、営利企業といえども専門の方々、それらの経験と能力、それからやる気、そういうものをむしろ導入することによって、お互いのよいところを伸ばしていく、ひいては区民の利益につながると答弁していますが、専門性や経験、能力、やる気は、安定した雇用、働き続けられる保証があって初めて生かされるのではないでしょうか。お答えください。
また、契約社員や派遣社員などの不安定雇用がふえてきていることが大きな社会問題になっています。行政みずからが不安定雇用をつくり出していこうとするのは問題です。どのように考えているのか、お答えください。
先日、テレビ番組の中で、「今、私には既に子供がいますが、これから産む立場でしたら恐らく子供は産まないでしょう」と話した女性がいました。日本の国がますます子供を産み育てにくくなっていることのあらわれではないでしょうか。国も大田区も少子化に歯どめがかからない現状をもっと真剣に受けとめなければなりません。
経済企画庁が女性の管理職や男女間賃金格差の少なさなどを女性の働きやすさ指標として国際比較した結果、男女の就業機会が平等な国ほど出生率が高くなるということも明らかになっています。家庭生活と両立できる働き方にすることや育児環境を整えること、保育体制の拡充、子育てへの負担軽減と支援の充実を図ることなどが求められています。国の果たす役割は大きいですが、大田区でできることには最大限努力すべきです。大田区の少子化対策と、5年、10年後を視野に入れた子供育成の全体像をお聞きします。
下丸子地域には大規模マンションが建設され、順次入居が始まっています。学校や保育園などの区民施設の受け入れ体制が心配されていました。矢口西小学校は教室をふやすなど児童がふえたときのために備えましたが、今のところ予想していたより多くないようです。しかし、まだ建設中のマンションもありますので、世帯構成などを把握して対応しなければなりません。
学童保育室の入室状況は、今年の4月現在で下丸子児童館は定員40名に対して60名、下丸子四丁目児童館は定員40名に対して40名という状況です。保育園は、マンションがふえる中、下丸子四丁目にある長明保育園が今年度をもって閉園します。保育園の不足が心配されます。
また、最寄り駅である下丸子と武蔵新田の駐輪場は整備されるのか、放置自転車がふえるのが心配という声が駅近隣の住民や商店街から出されています。下丸子駅は今でも朝の通勤時は大変混雑しています。マンションへの入居が進みますと、さらにひどくなることが予想されます。下丸子地域の大規模マンション建設・入居に対しての保育園や学童保育室など区民施設の拡充と、下丸子、武蔵新田駅の駐輪場整備を求めます。お答えください。
以上で質問を終わります。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 理事者の答弁を求めます。
◎
こども育成部長(中村文夫 君) 私からは保育園の民営化に関しての保育園の今後の対応についてということでお話しをさせていただきます。
まず、大規模マンションの建設で今後の緊急対応をどのように考えているかということですが、保育需要に大きな影響を与えます大規模マンションの開発の場合は、大田区の開発指導要綱により事前協議制度があります。この事前協議の段階で、周辺の保育施設の状況を勘案しながら、開発事業者と新たな認証保育所の設置などについて協議し、対応しているところです。
次に、認証保育所の保育料が高い、また認証保育所を中心に整備をするのかというご質問ですが、待機児解消につきましては、保育サービスの充実のための行動指針の中で、認可保育所の低年齢児枠の拡大で150人、東京都認証保育所の増設で350人と計画しております。東京都認証保育所は、ゼロ歳児からの延長保育や夜間保育など認可保育園では提供できない保育サービスを提供しているものです。変則勤務や両親ともフルタイムで働く家庭にとっては利用しやすい保育施設と多くの区民の方々からご利用いただいているところです。また、保育料も、おおむね国の保育料徴収基準を上限として定められているものです。認可保育園に子供を預け、ベビーシッターなどを利用した二重保育の場合と比べ、必ずしも東京都認証保育所の保育料が高いものにはなっておりません。
次に、民営化は審議会を設置して進めてはどうかというご提案ですが、延長保育の拡大など保育サービスの充実については、既に区議会で請願が採択されています。また、待機児の解消などは日々区民の声としても強い要望が寄せられているところです。このため、区としては、先ほど言いました5年程度の保育サービス充実のための行動指針を策定し、その中で運営主体の多様化によりサービスの充実を図っているところです。子供の成長を考えますと、速やかな対応が求められているという課題だというふうに認識しております。
次に、行政としては事前にニーズを把握して取り組むべきだというご質問ですが、保育ニーズについては、日々の業務の中からでも十分に把握できるものというふうに考えております。16年度に民営化する蒲田駅周辺には、深夜や24時間子供を預かる民間未認可保育所が3か所あります。保育需要の高い地区というふうに認識しております。これらの施設を利用している人の中には、認可保育園のサービスでは十分に対応できない家庭が多くございます。入園できない待機児の状況や、仕事や病気の都合により延長保育、一時保育などを利用したいというご要望に十分おこたえできていない状況を承知しております。日々の業務を通じて保育サービスの改善が一刻も早く求められているというふうに考えております。
次に、保育士の専門性、やる気についてのご質問ですが、保育士の専門性は国家資格として位置づけられてきています。専門性を確保した職員が、各人の資質にふさわしい職務や責任を担い、それに対応する処遇を受ける能力主義的な雇用形態が民間では広がってきております。今回の民営化の事業者選定に当たっては、原則として年度途中の職員の交代は行わないなどの雇用の継続性にも配慮した規定をプロポーザル応募要項に織り込む予定となっております。優秀な職員、やる気のある職員が正当に評価され、継続して活躍できる保育園事業者を選定していきたいというふうに考えております。
次に、民営化によって不安定雇用の職員が生まれるのではないかというご質問ですが、民営化によって不安定雇用が生まれるとは一概には言えません。働く側からも家庭環境や年齢、仕事に対する考え方によって多様な雇用や勤務形態の導入が求められている時代です。保育園運営においても、先ほどのプロポーザル要項に雇用の継続性についてうたうまでもなく、保育の一定の質を確保するためには、専門性の確保と雇用の継続性は必要なものと考えていますが、多様な雇用形態の導入と相反するものというふうには考えておりません。
次に、少子化対策の5年、10年後を視野に入れた全体像をというお尋ねですが、既に長期的な視点については大田区長期基本計画であるおおたプラン2015でお示しをしております。このプランに基づきまして、こども育成部では、保育サービス充実のための行動指針などの指針を作成し、さまざまな施策を展開しているところです。また、今回策定に入ります次世代育成支援行動計画の中で、従来の保健福祉分野からの取り組みだけではなく、幅広い視点から取り組みの方向性を検討していきたいと考えております。
最後に、下丸子の大規模開発の関連についてのお尋ねですが、下丸子地域の保育需要につきましては、これからも入居状況を把握し、適切な対応をしてまいりたいと考えています。具体的には、この10月、武蔵新田に東京都認証保育所が開設されます。また、下丸子四丁目のマンション内に東京都認証保育所を1か所開設する予定になっております。また、来年4月からは学童保育としまして矢口西小学校にフレンドリー事業を開始予定となっております。
以上です。
○副議長(有川靖夫 君) 和田議員、答弁が残っておりますが、所定の時間が参りましたので、次に移ります。
次に、17番伊藤和弘議員。
〔17番伊藤和弘君登壇〕(拍手)
◆17番(伊藤和弘 君) 自由民主党大田区民連合の伊藤和弘でございます。本日初めて質問をさせていただきます。
私は、この蒲田の庁舎の議場で質問することになるとは夢にも思っておりませんでした。以前の大森にあった本庁舎の議場では、傍聴席で発言をして追い出されたことはありましたが、今回、地元を初めたくさんの方々のおかげで、ここで発言をさせていただくことになりました。過去を教訓として、今後の大田区のために、今まで以上に声を出していきたいと思っております。どうぞ先輩議員の皆さん、そして区役所の皆さん、末長いおつき合いをお願いいたします。
それでは、第1回目の質問でございますので、今回は地元大森の課題に絞って質問させていただきます。
私は、大森で生まれ、育ち、ずっと大森で生活をしてきましたので、地域の人たちの思いや考え方、望みというものを肌で感じることができると思っています。この大森というところは、大きな歴史と伝統を持ったまちであります。JR大森駅は明治9年6月12日の開業で、日本じゅうでも鉄道開通後5番目の駅だということです。しかし、今、大森駅前はしっかりと整備されて、歴史や伝統が生かされているとはとても言えません。東口の放置自転車問題や、東京海上ビルの中の私道がメーンストリートとして使われていることなども改善されなければなりませんけれども、特に山王口の駅前については、昭和22年に制定された都市計画道路が全く実施されていないために、実際に利用者の人たちは不便なだけでなく、とても危険な状態になっています。実現のめどが立たないのであれば、計画を取り消すなり変更するなり、何らかの手を打たなければいけないのではないかと思います。大森駅周辺の整備についてどのようなことを考えているか、具体的にお答えください。
大田区長期基本計画では、大森駅周辺は蒲田駅周辺と並び二大中心核と位置づけられています。この地域をしっかりと活性化させていくことは大田区の施策の方向性に合致し、この地域に暮らし、また働く人たちにとっても大きな望みであります。
中心市街地のまちづくりを見ますと、アサヒビール東京工場跡地の再開発では、長期基本計画にあるように複合的な土地利用が進み、住宅建設と業務ビルの建設が既に始まり、まちのにぎわいに寄与することと地元区民は大いに期待しております。また、商業施設について、集客や雇用の面でより多くの期待感を寄せております。さらに、大型商業施設が進出すると、区内はもとより近隣区からも買い物客が大いに来店し、大森のにぎわいに寄与することと確信しております。
そこで、区長または助役にお伺いいたしますが、アサヒビール跡地前の大森北二丁目交差点には大森駅からの横断歩道がございません。横断歩道橋は昭和45年建設で、しかも老朽化しており、ほとんど利用されておりません。お年寄りや体の不自由な方にとって、上り下りがある歩道橋より平面で移動できる横断歩道の方が歩行者に優しいと考えます。去年12月の障害者の方とのバリアフリー点検でも、車いすでは交差点を渡る手だてがなく、横断をあきらめたと聞いております。近隣の横断歩道は約30メートルも離れており、区民は歩道橋の下を歩いて渡っているのが実態であります。歩道橋を改修してのバリアフリー対策で費用をかけるより、歩道橋を廃止して横断歩道を設置する方が費用対効果の面でも有効であると考えます。現在、大森本町、そして大森北二丁目の区民の方々は、大森駅方面に向かうときに大変不自由を強いられています。大田区として、この交差点の改良についてどうお考えなのか、お答えください。
次に、本年1月に交換が終了したハローワーク跡地を含めた入新井特別出張所街区は、長期基本計画では、特別出張所、図書館、コミュニティ施設など多様な機能を備えた地域活性化の拠点として再生することとなっています。現在、大森駅東地区近代化協議会では、地域のPTA、町会、商店街、幼稚園、保育園、地元企業、図書館利用者から約200名のアンケートをとり、地元の人々に喜ばれる施設の導入を検討しております。
そこで、私は、大森の活性化の拠点として、ここに子供を中心とした施設を建設することを提案いたします。これは安心できる育児機能、地域と触れ合う集会機能、いつでも学べる図書館機能、身近なサービスを提供する特別出張所機能とを近隣の施設も含めて総合的にとらえて計画していくべきものと考えています。また、この運営や維持管理についても、地元区民や意欲のある方々が自主的に行うもので、民間活力の導入等整備手法も考え、例えば、地元住民、商店街、また専門家やスポンサーなどを含めた人たちでTMOをつくり、その設備で収益を上げ、自立することができるようにします。行政に頼らず自立できるぐらいでなければ、とても地域の活性化にはなりません。私は、地域の多くの一般の人たちとの話し合いを通して、住民の方たちの非常に高い責任意識というものを感じ取っております。自分たちの応分の責任を持って、自分たちが努力してまちをつくっていくんだという意欲を大切にしていただいて、住民とともに計画をつくっていただきたいと思います。この場所が大森駅周辺地域のにぎわいの核となるよう、地域の方の意向も取り入れ、地域住民に喜ばれるような再開発を進めるべきと考えます。区長のお考えをお伺いいたします。
さて、今年はいよいよ大田に観光協会が設立されて、観光という新しい視点が大田にも取り入れられる節目のときであります。多くの人たちを迎えられる可能性のあるところとして大田臨海部があります。広大な土地と空、そして周囲は水に囲まれていて、まさに陸、海、空とそろった都内でもまれに見る好条件を持つ地域であります。この地域を一大観光地域に育てられるかどうかが将来の大田の姿に大きくかかわってくるのは確実であります。この地域が大きな可能性を持った非常に大切なところだという認識を持っているのであれば、間違っても迷惑施設の集合場所にしたりしてはいけません。くれぐれも安易な提案は避けるべきであります。また、東京都の土地だからと知らんぷりをするのではなくて、大田区内であるのは間違いないわけでありますから、大田区のためになり、なおかつ東京全体にとっても喜ばしい地域にしていく必要があります。
では、具体的に何を持ってくれば大田のためになるかというと、私はここに、仮称ですが、大田スポーツの森をつくり上げることを提案いたします。今、既に大田スタジアムという大変すばらしいスタジアムがあることもあり、同じようにプロの試合や最高レベルの試合が開催できる競技場で、しっかりと十分な観客席やアリーナを持った室内競技場とその関連施設をつくり上げます。もちろん柔道を初めとする日本に必要な武道を支えていくための武道場もあるべきだと思います。羽田から至近ということもあって、全国から各種のチームが訪れやすい地域であり、全国的に大田スポーツの森を認知してもらうことも可能であると考えます。大田区に限らず、東京じゅうやもっと広い範囲の人たちが訪れることを考えると、東京都としてもこの構想に協力していただけると確信しております。土地の利用や使い方について柔軟な対応をしてもらえれば、この大田スポーツの森構想も決して不可能ではありません。
そして、もう一つ、島と島との間の運河を利用して観光スポットにつくり上げることもできると思います。今年委員会で視察した小樽のような運河を整備して、多くの方たちが楽しくくつろげるような地域にすることも可能ではないでしょうか。また、羽田空港からの連絡船も通して、水辺を利用した観光船ができれば、なお充実した観光地となるでしょう。もちろん埋立地の目的として、首都圏の流通拠点という必要性もまた理解をしております。臨海部の有効利用という観点から、流通の部分と観光の部分のすみ分けをきちんとして、全体像を考える必要があるのではないでしょうか。大田区として臨海部をどのように位置づけ、今後どのように役立てていくつもりなのか、お答えください。
現在、既に大田スタジアム、城南島キャンプ場、野鳥の森公園などすばらしい施設があります。また、来年1月には臨海斎場もオープンします。また、もちろん城南島、京浜島には多くの会社や工場があります。そういった施設や、今後もさまざまな開発が行われていくと思われる臨海部ですが、何分にも交通の便が悪過ぎます。働く人たちは、自分たちの会社や組合でバスをチャーターするなどして何とか対処しておりますが、公共交通としては路線バスがおよそ1時間に1本しかなく、せっかくの施設を利用しない大きな原因になっています。臨海斎場のオープンに合わせて多少の増便を予定していただいているようですが、将来のことを考えると、もっと積極的な対策をとる必要があります。
そこで、現在の大田区を取り巻くさまざまな環境を考えて、今、最もふさわしい施策として、大森と臨海部を結ぶLRT――これは最新式低床路面電車というものですが――の敷設を提案いたします。
では、今なぜ路面電車なのかというと、幾つかの理由があります。一つ目に、大森−臨海部という非常に短距離交通ということです。コースにもよりますが、全長約6キロ程度になると思いますが、この距離では高速運転の必要がありません。高速でも低速でも所要時間にさほど差が出ないからであります。また、地下鉄と違って車内から景色が見えることで多少の乗車時間は苦にならないのではないかと思います。
2番目はコストの問題です。一部交通量の多い道路との交差は地下や高架も考えられますが、一般に道路への敷設の場合、キロ当たり地下鉄が200から300億円、高架式が100から150億円かかるのに対して、LRTだと約20から30億円と低コストであります。また、停留所もエレベーターやエスカレーターが必要なく、簡単なものなので、他のものより建設費がかかりません。また、ほとんどの駅を無人駅とすることで人件費もかかりません。
3番目には輸送量ですが、バスなどに比べて1車両当たりの輸送量は1.5倍から2倍ですが、さらに連結することで大量輸送も可能であります。
4番目には環境問題です。電車ですから、もちろん排気ガスは出ません。さらに、電気さえも太陽電池を車両に組み込み自家発電とすることで架線も要らなく、線路にも通電していないので、景観も壊さず、安全性の高い方式が間もなく実用化されると聞いております。
5番目にはバリアフリーな乗り物ということです。乗車口の高さは最低20センチと停留所の段差も少なく、ホームへも短いスロープで十分に上がれます。気軽な移動手段として、障害者や高齢者の方だけでなく、多くの人にとっても利用しやすいものであります。
6番目は、単なる交通手段としてでなく、LRT自体が観光資源になります。今、日本国内だけでなく、世界じゅうで導入の動きが広がっています。イギリス・マンチェスターでは、低床式ではありませんが、路面電車の交通網の大幅な拡充を図っておりますし、旧東欧諸国では、長年にわたり交通機関として主要な役割を果たしております。日本国内の盛り上がりとしては、既に数回の全国路面電車サミットが開催されていて、今年も来週函館で開かれます。以前からずっと参加している関係で私も招待いただいたので、参加してくるつもりでございますけれども、当日は国土交通省を初めとする各省庁の担当者、各自治体、各鉄道事業者たちと一緒になって一堂に集まり、その効果的な姿を話し合うということが行われます。そして、実際にいろいろな地方で導入がされています。中には世界でも最先端の車両を取り入れた地域もあります。
特に大森地区にLRTが導入されれば、まちのランドマークとして都市イメージのアピールができます。マスコミも今、都市に、特に東京都内のどこにLRTができるか、大きな関心を持って待っています。既に三、四年前になりますが、読売新聞の見開きページ全面に私と今同僚の塩野目君とが一緒に載せていただいたこともあります。他の地域に先駆けて導入することで注目度が上がります。そういったことでたくさんの人が訪れ、まちの活性化に大いに役立つものと考えます。
7番目として、市街地の交通量を抑えるということです。自動車にとっては邪魔なものとしてとらえられている路面電車ですが、市街地や観光地に関しては、人優先のまちをつくっていくことを考えて、歩行者や買い物客、観光客にとっては望ましい姿だと言えます。また、臨海部に大きな駐車場を整備して、他の地域からの車をとめて、LRTに乗りかえて目的地に向かっていくことで、都内に入る、また通過する車両を減らすことができます。これはパーク・アンド・ライドという考え方で、やむを得ずに都市部まで入って、そして高い駐車場代金を払っている人たちにとってもありがたい制度です。また、都内の車両流入量を減らすという東京都の考え方とも合致するものです。その上、LRTの利用率も上がってきます。
以上、こんなに多くの利点を持っているLRTを導入することができる条件がこの臨海部にはそろっています。この条件を持っているからこそ提案するわけですが、この施策をぜひ思いっきり進めていくことが将来の大田区にとって非常に大きな意味を持つと確信をしております。大田区としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
たっぷりと時間を残させていただきましたので、じっくりとお答えをいただきたいと思います。
以上、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) 私からは入新井特別出張所街区の再生問題についてお答えをいたしたいと思います。
伊藤議員がこの場で私とお話しするようになろうとは考えておりませんでした。まち中でいろいろと区役所移転問題について熱気あふれるご意見を拝聴したことを懐かしく感じております。区役所の跡地の活用等につきましても、その後いろいろとご意見をちょうだいし、今の文化の森の姿になっておるわけでございます。そういう点から大勢の方にご支援をいただいて、入新井を代表し、また大田区の将来を考え、ただいま貴重なご意見をちょうだいいたしました。
私は、入新井特別出張所街区については、先ほども渡部議員にお答えいたしましたとおり、土地の確保の問題なども含めて、長年にわたって建物の移転、また土地の確保、そういうことを進めてまいったわけでございます。したがって、ぜひ地域の皆さん、また大森の拠点という立場から、よりよい施設をつくり出して皆さんのご期待にこたえたい、このように考えております。
その中で、ただいまご提案は、子供を中心とした施設という点でご提案をいただいたわけでございますが、当然、私ども、プランニングし、基本方針を定めたら、地域の皆さん方あるいは議会の皆さん方にも十二分にお話し合いを進め、そして施設建設の方向に向かってまいりたい、このように考えているわけでございます。
その中で、ただ単に施設をつくって維持管理にお金がかかるだけではいかがなものか、もうちょっと知恵を働かせて、施設の運営、維持管理等、地元の方々なども参加した民間活力の導入、そういう形で運営をすることが望ましいのではないか。私もそのような形を望んで、今、区民との協働、そういうことを訴えているさなかでございます。ぜひその節はご協力を申し上げたい、このように考えます。ぜひ費用対効果、区民の皆さんにとっても本当に効果的ないい施設ができたと喜んでいただけるようなものをつくり上げるべきだ、こういう使命感に燃えております。どうぞ今後ともご意見を地域からもまとめ、また議会の中でもお取りまとめいただきまして、ご意見としてご提案いただきますようお願いを申し上げたいと思います。
私からは以上でございます。
◎助役(齋藤實 君) 大森北二丁目交差点におけます歩道橋の撤去、それから新たに横断歩道を申請するということについては、区の考え方は伊藤議員さんと全く同意見でございまして、昨年の11月、区長名で大森警察署長あてに本件については要望書を提出をしてございます。そして、その結果として、現在この案件は警視庁の方に上がっておりまして、本年の7月に担当課長が警視庁へ行きまして、直接区の考え方を申し上げております。しかし、交通管理者としての警視庁は、歩道橋の撤去は原則認めないという非常に厳しい考え方を持っておりまして、現在協議は難航しております。しかし、いずれにしても、あそこ、いわゆる大森駅周辺の開発状況を考えますと、やはり人の流れ、あるいはバリアフリーの関係から、歩道橋よりもはるかに平面の横断歩道の方が望ましいという考え方は全く変わっておりませんので、引き続き強力に協議を進めていきたいと考えております。
以上です。
◎
まちづくり推進部長(小西恭一 君) 私の方からは、大森山王口都市計画道路の問題と臨海部の将来構想、この2点についてお答えします。
まず、大森山王口都市計画道路についてですが、本年3月、都区合同で検討しました「区部における都市計画道路の整備方針」中間のまとめというのが出されました。ご存じの方も多くいらっしゃると思います。その中で、東京都の道路整備の課題として整備の長期化が挙げられています。お尋ねの補助28号線についても、優先整備路線に掲げながら、意見の調整がつかず、整備が実施されてこなかったものです。このような道路は東京全体で数多くあります。中間のまとめでは、活力、安全、環境、暮らしの4点から検証を加えた後、将来ネットワークの構築や事業優先度の検討を行うこととしております。本路線につきましても、区で同様の作業を行い、必要性の検証を行った後、地域との共生の観点から、活力をそぐことのない道路整備のあり方を皆さんとともに考えていきたい、かように考えております。
次に、臨海部の将来構想についてです。
大田区の臨海部は、@首都圏における流通の起点、A都市に必要な施設や市街地で操業困難な産業などが立地する場所、B海や自然に親しめる貴重な空間と位置づけています。今後は羽田空港の再拡張、それに伴う国際化の動向を十分生かして、大田区の産業活性化に役立つ土地利用を誘導すべきと考えています。先生ご提案のプロの最高レベルの試合が見られる大田スポーツの森構想は、私も実はプロスポーツが大好きなもので、すばらしいものだというふうに思っていますが、その実現には乗り越えるべき課題が数多くあるというふうに思いますが、しかし、関係機関とも協議しながら可能性について研究してみたいと、このように考えております。よろしくお願いします。
◎
交通事業本部長(千葉胤彦 君) 私からは、臨海部の将来的な開発の中で、大森と臨海部を結ぶLRTの導入について、区としての考えを聞かせていただきたいとのご質問にお答えさせていただきます。
LRTはライト・レール・トランジット、いわゆる新交通の路面電車の優位性につきましては、ただいま先生ご指摘のとおり、定時性、輸送力、また整備コスト、環境負荷、車両構造のバリアフリー化など、大森と臨海部を結ぶ新交通としてはすぐれているものと十二分に認識してございます。ただ、その整備に当たってでございますけれども、その導入の走行空間の確保一つを考えてみましたとしても、既成市街地の道路面に単線で約3メーター、複線で約6メーターの専用軌道の道路容量の確保など、道路交通渋滞への影響が考えられます。さらには需要面、また、あるいは収支、採算などの事業性や整備、また運営への財源の確保など大変厳しい課題がございます。ご提案のLRTに関しましては、現在、計画を検討している区もございます。また、あるいは他の自治体の事例や、架線不要の車両の実用化の開発なども進んでいるようでございますので、そういった情報を収集しつつ、臨海部の開発による需要喚起とあわせて、まちづくりと一体となった交通政策の一環として引き続き研究してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
○副議長(有川靖夫 君) 次に、12番鈴木章浩議員。
〔12番鈴木章浩君登壇〕(拍手)
◆12番(鈴木章浩 君) 自由民主党大田区民連合の一員として、今期も株主である区民の側に立ち、激動の時代の中で、大田区という株式会社をいかに経営していくべきかという視点を持って、正しい意見を述べさせていただきます。改選後初めての質問であり、今定例会は14年度決算の審査を踏まえたものでもあることから、区民とのかかわりも含め、今後の区政運営全般について、まず幾つか通告に従い質問させていただきます。当たり前のことでありますが、区長並びに関係理事者の明快な、やる気のある答弁を期待いたします。
現在の我が国を取り巻く国際情勢は、これまでの一国平和主義が全く通らない密接な関係の上に成り立っており、国際社会の中の日本という考え方を抜きにしては何も語ることができないものであります。現実にイラク戦争後の泥沼化、自爆テロとその報復攻撃の連鎖により、パレスチナとイスラエルの国家共存の最終解決を目指すロードマップの事実上の崩壊で中東情勢の混乱は深まる一方であり、東ティモールに続き、アチェ独立運動の激化や北朝鮮問題の深刻化など、世界全体がここに来て何か不穏な空気に包まれており、我が国もそれなりの貢献が求められる中で、きちんとした日本国家としての対策が必要となってきております。
また、世界経済では、その牽引役である米国において、イラク問題の混迷による外交面のほころびが経済政策にも飛び火して、赤字は2年連続で過去最大となるなど米国経済の減速が懸念され、世界的な供給構造の変化を含め、再び世界経済が失速、収縮の危機に瀕しており、現在は株価上昇で景気回復の期待が広がっている我が国も、米国経済が息切れし、株価が下がれば、再び不良債権を抱える銀行経営を圧迫し、金融不安に陥ることにもなりかねません。
その上、先日のメキシコのカンクンでの世界貿易機関の閣僚会議が象徴的なように、戦後各国の努力で、特に米国と欧州の音頭で前進してきた自由貿易体制が、経済的事情も反映してかつてない試練に直面しており、2国間や地域間による自由貿易協定偏重に進めば、新ラウンド継続への熱意が失われ、そのことがさらに保護主義の台頭を許すことになり、先進国と途上国の対立はますます深刻な度合いを含め、途上国の貧困が社会不安を募らせ、テロに揺れる世界を誘発させるといった事態を引き起こすことになってまいります。このことは、自由貿易体制で最も利益を得てきた我が国にとって重大な問題であり、社会不安が国際経済に与える影響も少なくありません。
こうしたことを見ても、各国は今まで以上に緊密な連携が必要になってきており、お互いの役割に合った貢献を求められてきております。そして、その中に自立した国家としての国益に合った戦略が絶対になくてはならないのであります。
戦後、我が国は右肩上がりの社会において、政治選択の唯一絶対の尺度とされた憲法を不磨の大典化し、日本はどうあるべきかという国家観を構築せずに今日に至っており、そのことが今まさに日本が内憂外患の危機に陥っている原因となっております。国家観とは国のアイデンティティーであります。そして、国のアイデンティティーとは何か、試行錯誤の中から国のあり方を問い続けていくことによって成熟した国家へと成長していくのであり、その努力なくして国益に合った戦略など構築できるはずもありません。そして、そのためには、まず私たち一人ひとりが日本を国家たらしめる日本国民としての気概を持って、よりよき国家を目指す強さを持っていくことであります。
作家の五木寛之さんは、「日本人は自信喪失の段階を超えて、日本人であることに嫌悪し始めている。しかし、今、日本人とは何かを考え直そうという動きが出ている。一番大事なのは、精神的な不良債権、心のデフレを解決することである」と述べられております。このことをあえて述べさせていただいたのは、うっせきした国民、区民の心、現状を理解し、それを地方自治体の政策形成の要素にしていくことはとても大切なことだからであります。実際に国も地方自治体も密接に関係しており、全くかけ離れた問題と感じられることでも、共通の認識により、現実の中でお互いが政策形成を図っていくことが国民、住民にとって大変有意義なことであります。現在は、かつてのように地方自治体は国の政策の執行機関ではありません。地方自治体は現実の住民生活を向上させることが仕事であります。だからこそ地方自治体の仕事すべてに政策が必要になるのです。
区長は大田区を安心・輝き・潤いのあるまちにしようと新長期基本計画おおたプラン2015を掲げ、計画事業の推進に当たって、より効率的な財政運営を進めるとともに、区民との協働によりこの計画の実現を図っていこうとする3か年の実施計画を策定し、本年がその最終年度になっております。現在の実施計画は、長期基本計画を「いつもいきいき安心生活づくり」「みんなはつらつ輝き地域づくり」「どこもさわやか潤い都市(まち)づくり」「新しい区政の進めかた」の4つの計画に分け、その目的に対して個々の手段が予算的裏づけを持って策定されております。しかし、その段階になると、財源的問題もありますが、なぜかこの計画で長期基本計画の目標が達成されるのかと感じられます。
私は、右肩上がりの時代が終わったこれからの計画策定には、単に政策体系にとらわれ過ぎることなく、区長の政策的意思を強く示していくべきであると思っております。今後、これまでの取り組みを精査し、新しい編成方針が通知されるわけでありますが、選挙公約で述べられていた総仕上げとなる実施計画を策定していくのにどのようなお考えをお持ちでいるのか、お伺いいたします。
また、魅力ある都市空間整備において、実施計画にも出ております桜のプロムナードの整備事業は絶対推進すべきであると思っております。現在は東雪谷五丁目付近までの整備が完了しておりますが、水と緑のネットワークづくりの一環として、これはまさに区長のすばらしい実績でありますが、桜と水をテーマにした緑道整備は、大森地域においてふるさと浜辺整備事業計画とリンクさせて取り組んでいくことに意味があります。ぜひとも、だれもが住みたい、住んでいてよかったと思える大田区づくりのために鋭意取り組んでいただけますよう要望いたします。
また、自治体の政策形成過程として最も大きな比重を占めるのは予算編成過程であります。現在のような厳しい区財政の上では、大幅な投資的予算を組むことは困難でありますが、区民を元気にする一番の要素は、行政も努力していると感じさせるような区民との信頼関係の構築であります。そのための政策形成が重要であります。今後の予算編成の中で、現在区長が考えておられる目玉となり得るものがありましたらぜひお聞かせください。
今回の選挙において、区長は、さきの総裁選で圧勝した小泉総理同様に、区民の圧倒的支持を得て再選されました。心から敬意を表します。しかし、残念なのは、ほかの地方選挙も同様でありますが、その投票率の低さであります。なぜ住民に一番密接な選挙でありながら、こんなに関心が低いのであろうか。これは区報をごらんになっている方が少ないことにも関係していることであります。これまで幾度となく言われていることでありますが、仕方ないでは決して改善されません。株主である区民に関心を持ってもらうことは、民間企業にとっても大変重要なことであります。例えば、区民満足度調査として区内各施設でアンケートを実施したり、区のホームページを楽しく、わかりやすく改善し、毎日区政に関する新しい情報を発信したり、電子メールをさらに活用するなど、区民の関心の高まりが数値によって裏づけられるような取り組みを期待いたします。見解をお伺いいたします。
「民、信なくば立たず」。これは故三木武夫元総理が座右の銘にしていた言葉でありますが、区民との協働、役割分担が叫ばれる今日、このことにとんちゃくするかしないかで区民満足度、区民参加の度合いが大きく違ってまいります。今回の選挙で区長は住民自治を進める区民協働推進条例の制定を掲げておられましたが、きちんとしたルールづくりをしていくことは大変重要なことであり、新宿区や、その他条例を制定した自治体において、制度的に保障することにより、まちづくりや基本構想の素案づくりなど積極的に参加するようになったと伝えられております。しかし、その一方で、計画策定までの時間と労力が今まで以上にかかるというデメリットも聞かれます。大田区において実際に区長はいつごろに、どのような内容の条例をお考えか、お伺いいたします。
バブルが崩壊し、各企業が生き残りをかけた大競争時代に入り、それぞれが既存の概念にとらわれない発想の転換を図り、必死に取り組んでおります。2000年3月期で5900億円もの連結赤字を計上し、倒産の危機に瀕していた日産を、ルノーからの資本注入と大改革により翌年に2823億円もの経常利益をたたき出し、奇跡的再建を果たしたカルロス・ゴーン氏、彼はリバイバルプランの中で、生産優先のツケが名門凋落の原因であるとし、徹底したコスト意識と緻密な合理化政策により、2万1000人もの人員整理を柱とする再建計画を実行し、また、ブランド力アップと社員のやる気を引き出す現場主義により、会社を内部から変えていきました。彼はみずからの著書の中で、「企業を弱体化させる因子は必ずと言っていいほど内部の構造にあります。企業が危機に瀕しているとしたら、それは上層部が下の意見を吸い上げていなかったせいだと考えられます」と述べております。私は、この言葉はさらなる改革が必要な大田区にとって大変参考になるものと思っております。
大田区も平成6年より区長を先頭に全庁的に事務事業の見直しが行われ、適正化、プラン21合算で本年9月現在1055名もの人員削減を行い、それによる経費削減効果も累計で439億円余と実に評価すべき結果を残しております。今後も特に保育園、児童館、区立幼稚園、図書館などでさらなる適正化を図り、また、今まで以上に職員のやる気を引き出していくような組織の活性化にも力を入れていくべきであります。組織が活性化していけば、仕事をする職員の満足度も高まり、その結果、提供するサービスの質が上がるとともに、効率化にもつながってまいります。そのために、職員一人ひとりが行政施策や事務事業改善に関して提言していけるような職員提案制度を確立すべきであります。地方分権の進展に伴い、政策形成に向けた職員の提案能力はますます求められており、制度的には存在しても、実際には形骸化して活用されていなかったということが起きないようにしていくことが大切であります。
例えば、佐賀市では、報奨金制度まで設けた結果、過去10年間でわずか1件しかなかった提案が翌年には50件に急増し、提案内容も業務に反映されるようになり、大変効果を発揮しております。大田区ではこのような制度があるのかも含め、見解をお伺いいたします。
また、職員の自発的取り組みとして、さわやか区役所推進委員会が立ち上げられました。これはかねてより指摘されていた窓口業務の改善を含め、サービスの質の向上のために熱意のある職員の方々が立ち上げた組織であり、称賛すべきものであります。スタートしてから1年がたち、現在の状況、成果、今後の計画についてお伺いいたします。
また、意欲のある職員を適材適所配置していくことは、組織の活性化や効率化のためにも必要なことであり、職員がみずから希望する部署、ポストに応募できるような庁内応募制の導入も検討すべきであります。実際に札幌市が2年前に同市が重点施策に掲げるIT関係と映画ドラマのロケを誘致するフィルムコミッションの2つの業務で、IT関連は係長級と係員、フィルムコミッションは推進組織の牽引役となる係長級職員を、また、昨年には川崎市でISO9001の知識を使って保険年金業務を扱う課長級の専門職を、神戸市では国民体育大会を担当する係長級職員をそれぞれ募集したりと、人口50万人以上の自治体で53.6%の導入率があり、大都市ほど多く導入されております。私は、行政ニーズが多様化している現在、専門の人材や従来の枠組みにとらわれない自由な発想の人材の発掘を目的として、大変有効な制度であると考えております。
大田区でも、昨日の区長答弁にもありましたように、ITの活用について独自の大田区行政情報化ビジョンを策定し、積極的に取り組まれておりますが、ぜひともこうした例も参考にすべきです。えっ、この人がという方が隠れた才能を発揮してくれるかもしれません。見解をお伺いいたします。
さらに、このことは、行政組織の主要なポストへの民間登用にもつなげていくべきであります。政策形成の段階で結果責任が生じず、ともすると事業執行そのものが目標で、コスト意識を持たないこれまでのやり方を大きく変えていくものと思っております。特に財団法人など、その設立趣旨からして、単なる行政の出先機関、天下り先にしておくのでなく、自由な発想で、やる気を持って取り組んでいけるような裁量権を広げるべきです。それでなくとも日々本当にご多忙な両助役が、昨日の河津議員の質問にもありましたように、たばこの吸い過ぎと過労により健康を害することのないよう早急に検討すべきであります。
逗子市では、公募により選ばれた元大田区の学校長であられた野村昇司教育長が学校現場で培われた経験を生かし、積極的に取り組まれており、そうした動きは全国の自治体にますます広がっております。区長の見解をお伺いいたします。
行政が本来の機能を果たすためには、政策形成と行政改革の両方をにらんだ経営感覚を磨いていくことが必要であり、その有効な手法が行政評価であります。評価の出発点は、公共的な価値をあらわす目的と、それを実現する手段を体系化するという作業であり、現在の仕事が手段であるとすれば、必ず目的を明確にすることであります。そして、そのことが評価の本質であり、政策形成の大もとであります。このように、予算を使って何を生み出そうとしているのか(アウトプット)、そして、どのような成果(アウトカム)を期待しているのかを明らかにすることが重要であります。つまり、評価によって現実の政策や仕事の実態が把握され、問題点が明らかになり、行政改革に結びついてまいります。そして、この行政評価が政策形成と行政責任をつなぐ大変重要なかぎになるわけであります。
大田区でも、プラン21に示されたように、積極的に事業評価システムの整備に着手されており、さらに外部行政経営診断の実施や外部監査制度の検討など前向きに説明責任が果たされ、チェック機能の補完として大変評価できるものでありますが、政策形成能力を高めていくという観点においては、まだ幾分物足りないものを感じます。
私は、公共部門における行政評価システムの構築は、営利を目的とした民間企業と違い、@アウトカムの統制不可能性、A職員による操作の危険性、B費用対効果、C現行事業の正当化、D行政需要と政策優先順位への対応能力の低下、E説明責任と行政改善との非両立性など特有な課題が内在しており、現在の運用の困難さは認識しておりますが、政策形成能力の向上があって初めて説明責任にたえ得るものになると思っております。区長は今後どのようなお考えで行政評価システムを充実、活用させようとしているのか、お伺いいたします。
米国、英国など多くの先進諸国で、成果目標に応じた予算配分と目標達成度の評価という制度が導入されてきておりますが、予算配分に成果を反映させて、各部局の裁量を広げ、政策形成能力を高めていくインセンティブにしていくことは、大変有効なことであると思われますが、見解をお伺いいたします。
また、現行の制度の中でも、単年度会計の弊害を改善するために、各部の節減効果としての余剰予算の繰り越しを認めるなど検討すべきであります。
行政活動の根幹は予算編成にあると言われますが、目的と手段との関係があいまいで、成果(アウトカム)との因果関係がつかみにくいとの問題がある中で、千代田区は来年度から施策に数値目標を取り入れ、具体的な目標達成時期を示したマニフェスト的予算を編成し、また、予算配分も2年にわたって枠を明示し、5%の枠で繰り延べ、前借りができるように、政策形成能力を高めていける積極的な取り組みを行っております。大田区は大田区の独自のやり方があると思いますが、ぜひ参考にすべきであります。見解をお伺いいたします。
自治体間の競争が激しさを増す今日、各自治体はさらに自立が求められております。分権型社会はその程度まで進展してきております。もはや全国の自治体は均質ではありません。その要因を分析するのは困難でありますが、さまざまな要素によって自治体ごとの力量に違いが出ているのは確かであります。そして、より高く分権を体現している自治体が地域住民に頼りにされており、そうした信頼感により自治体のポテンシャルもより高くなっていくわけであります。区長を先頭にして、職員が一丸となった粘り強い前向きな取り組みを期待いたします。
次に、これからの教育改革について質問いたします。
今日の教育は、明治の学制発布、戦後の教育制度改革に続く第3の教育改革の時期にあると言われ、1947年の施行以来、1度も手を入れられていない教育の憲法である教育基本法を改正しようとする答申も中央教育審議会により出されております。また、平成14年4月から小中学校で内容を3割減らした新しい学習指導要領や学校の完全週5日制が実施されました。
大田区教育委員会でも、こうした時代の変化に対応していくため、平成14年2月、教育目標と教育方針を改訂し、この目標と方針に基づき
教育推進プランを策定し、教育政策の指針として示しました。私は、学校教育を取り巻く環境が大きく変わっていく中、新たな目標を明確に掲げ、わかりやすく大田区としての方針を示されたことは大変評価できることと思っております。ただ、どんなにすばらしい目標を掲げても、まさに教育は人であり、子供たちに接する教師の資質とやる気次第で大きく違ってしまうということであります。また、現在の日本のような教育社会主義的な学校教育が限界に来ている中で、実際に学校や教師の努力に期待するものはとても大きいと言えます。
今、学校の自主性や主体性の尊重がうたわれ、そのために学校長の強いリーダーシップの発揮が望まれております。変化の激しいこれからの社会にあっては、没個性的で現状維持的な学校経営では立ち行かなくなることは明らかであります。国を挙げての教育改革論議もこうした背景があってのことですが、教育改革、とりわけ学校教育の再生は急務と言われて久しくなります。例えば、特色ある学校づくりや開かれた学校と言われるようになってから既に20年もたっていますし、基礎・基本の徹底、個に応じた指導、考える力の育成等の事業改善に対する要請、そして指導力の向上、管理職、教員の意識改革なども同様であります。
一方、こうしたたび重なる要請やスローガンにもかかわらず、多くの学校が旧態依然とした様相から容易に脱皮できないまま今日の状況に至っていることは紛れもない事実です。学校は変わらなければという認識を学校みずからが持ちながらも、結局は変わることができずにいるのです。
先日、私は、ある都立高校の集会に出席いたしました。そこで私は信じがたい光景を目にいたしました。何人かの生徒が教師の話も聞かず、ガムをかみながらひたすら話をしているのです。しかも、それを見ている教員の方々が何も注意をしていないのです。そこに通っている6割近くの生徒が大田区内の中学校の卒業生であるそうですが、なぜこんなに教育現場が変わってしまったのでしょうか。
この原因は、戦前の教育の否定から始まった国の教育政策の失敗によるものと言えます。個を重視した自由放任教育が、個と背中合わせのもう一つの価値観、個を支える社会について教えてこなかったことによるものであります。このことは、1983年12月5日付けの「出席停止等の指導について」という初等中等教育局長による通知により、出席停止に教育的配慮をするようにという驚くべき指導、また、1990年9月27日付けの「人間味あふれる温かい指導について」という同局長通知により、出席停止による欠席も不登校による欠席も出席としてうその報告が平然と行われるようになり、さらに、このことにより校則の積極的見直しが指導されるようになり、その後、この校則緩和の指導が繰り返し出されるようになったのです。
ついには1991年3月20日付け、全国の中学及び高校校長に対して日常の生徒指導のあり方に関する調査研究報告が配布され、校則の内容は絶えず積極的に見直さなければならない、校則見直しを思い切って進めてよい、頭髪、服装、校外での生活のような個人の身体にかかわることや、好みや趣味の範ちゅうに入ることなどまで校則で定めるものではないとした指導がなされました。このときから校内では茶髪やガムをかむなどは当たり前になり、生徒が限りなく自堕落になっていったのです。それでも懲りずに校則緩和の指導を出し続けている事実にはあきれるばかりと言えます。
また、1947年以降、GHQによる占領政策の一環として行われていた悪意に満ちたゆとり教育が、不幸にも日本の教育を動かしていた国と日教組の双方により推進され、1995年に当時の文部省と日教組が歴史的協調路線に転じた後も、翌年には隔週の週5日制が実施されるなど、このゆとり教育は見直されることがないまま今日に至っております。この間、少子化と、だれもが進学できる時代になり、子供たちの学ぶことへの意欲はどんどん失われてまいりました。これが学力低下につながる原因であると指摘されており、今日の改正がまた学力低下を助長するようになるのは火を見るよりも明らかであります。昨年、指導要領と同時に出された「学びのすすめ」は、まさに国の教育をつかさどる文部科学省の迷走であり、このことは現在の文部科学省が現場の教育を指導する立場のものでないことの証左であります。
教育は国家百年の大計と言われておりますが、21世紀の大田区のためにも、今がまさに大切であり、現在、教育行政にかかわっている方々の責任は重大であります。大田区の教育は、私たちが責任を持つという気概が不可欠であります。大田区の教育、今のままでいいのでしょうか。問題がわかっていても変わることのできない現実、これは一言で言えば、学校がまさにぬるま湯につかった状態だからであります。ぬるま湯につかった状態の中で変えようとしても変わることができないのは当たり前であります。
このような現実を直視し、私は、旧態依然とした学校経営から成果重視型の学校経営に転換していくべきであると考えております。つまり、学校の経営主体である学校長が、教育という営みを前提にした取り組みから教育マネジメントとして学校経営に当たるということであります。そして、そこには教育委員会のスタンスも課題となってまいります。
さらに、このことの管理職への動機づけとして、あくまでも経営論的発想に根強い抵抗感を示す学校の体質そのものを変えていく目的で、学校選択制の導入を真剣に検討すべきであります。私は、選択制をとったとしても、地域の学校という位置づけに変化が生じることはないと確信しております。なぜなら、子供の時代に身近な友人と地域で遊ぶことの大切さを多くの保護者が認識しているからであります。それよりも、保護者が昭和16年に国民学校令が施行されて以来失った教育の権利である選択権を持つことにより、家庭、地域との連携に欠かせない親の義務を再確認でき、そして教育参加の意識を高めたりと、開かれた学校の発展として実に有効であると思っております。
また、この制度は、課題が山積している教育現場において、明確な目的を設定することにより、教師の悩みを解消し、逆に競争原理が働くことにより資質の向上にもつながってまいります。そのほか、区有財産の有効利用と教育環境の充実としての適正規模・適正配置への見直しに対し、明確な説明責任が果たされ、区民納得のもとでの取り組みになっていくものと考えております。見解をお伺いいたします。
また、政策には評価がつきものであり、その評価が子供、保護者、地域のニーズにこたえるものになっているか、また、具体的に成果を上げているかが問われております。私は、公立学校としての信頼は具体的成果の提示なくして考えられるものではないと思っております。こうした評価制度の目的は、単なる学校間の比較やランクづけでなく、各学校が主体性、自立性を発揮し、評価結果を学校改善に向けて積極的に活用できるようにすることにあります。こうした新しい評価制度を導入することにより、教員の意識改革を図り、経営体という視点から学校経営を見直すことで教育活動の成果を基盤とする学校づくりを推進していけるものと思っております。
さらに、評価結果を地域に公表していくことにより、地域の学校に対する見る目が変わり、また関心が高まり、地域、家庭、学校の連携による開かれた教育の達成に向けて実に有効であると考えられます。ぜひ大田区として、各学校の成果が学校選択制の貴重な資料となり得るよう、相対的評価がなされるような明確な学校評価制度を構築すべきであります。見解をお伺いいたします。
最後に、大森ふるさと浜辺整備事業について質問いたします。
この事業は、大田区長期基本計画におけるウオーターフロント軸の拠点として、海と川の結節点である特色を生かし、緑豊かな親水空間の整備を行う目的で、昭和56年度に策定した東京ガス公有水面埋立整備事業がそもそもの始まりであります。その後、平成12年3月に平和島運河埋立工事として公有水面埋立免許を取得し、平成12年6月より埋立工事を着手しております。この平和島運河埋立事業により出現する人工海浜、人工干潟を有する公園造成地は、@公園、緑地の確保、A都市防災機能の強化、B人と海の接点の回復、C水域環境の改善など、さまざまな目的で計画されております。
そして現在、区民が利用しながら育てていく公園として、区民参加による公園づくりのあり方を検討するワークショップ、大森ふるさとの浜辺公園を考える会を立ち上げ、昨年11月より本年3月にかけて計6回の検討会を開催いたしました。そして、そこでの提案を受け公園利用計画をまとめました。計画は順調に進ちょくしており、来年度には埋立工事が、そして19年度には公園の整備も完了し、潤いある空間づくりとして、区長の長年の願いが間もなく実を結び、さらに区民参加による計画整備ということで、大変意義ある喜ばしいことであると考えております。
また、この事業区域における水質は、環境調査報告書によりますと、化学的酸素消費量(COD)、溶存酸素(DO)、浮遊物質量(SS)の3調査項目とも昨年同様問題がないということでありますが、このエリアは内川の河口に当たるもので、内川の浄化状況と密接な関係があります。現在、内川は、大森西四丁目のJR線路下より河口までの1.3キロの河川で、現在では水源を持たない河川として、東京湾の潮の干満だけで水が流動しているもので、まとまった雨が降った後の気温が高い日などは水が黄色く濁り、異臭を発するときもあり、酸欠により大量の魚が上がり、地域の方々の苦情が大変寄せられております。これはこの付近の下水道整備状況が合流式であるためで、下水管の許容を超えた分の汚水がどうしても内川の方へ流れてしまうために生じる現象であります。
現在、この付近は、水防対策としての下水管の処理能力を補完するための貯留管として馬込幹線整備に着手しており、本年度完成に向け取り組まれておりますが、この貯留管が完成すると内川への汚水の排水が行われなくなるのか、お伺いいたします。そして、実際に内川の水質の影響を事業区域の水質がどの程度受けると考えているのか、お伺いいたします。
私は、ふるさと浜辺整備事業は約60億円と大変な予算と年月を費やして取り組んでいる、まさに夢の事業であると思っております。だからこそ、内川の浄化及び川沿いの緑道整備を含めた取り組みが意義あるものと考えております。内川の状態が今のままで公園整備が完了しても、親水公園に行って水遊びをしようと思う方は少ないのではないでしょうか。ぜひともだれもが納得できる喜ばれるような事業にすべきであると思います。見解をお伺いいたします。
また、内川の清流復活のために、森ヶ崎水処理センターで排水している浄化水を利用することはできないのでしょうか、お伺いいたします。
ふるさと浜辺公園は、人工海浜約400メートルを持った親水公園として計画されておりますが、今、城南島海浜公園などの砂浜の流出状況などを見て、この人工海浜の維持管理に年間どの程度の予算を考えているのでしょうか、見解をお伺いいたします。
以前、B工区の埋め立てに当たった五洋建設株式会社がかつて整備した大阪湾の浜辺整備などで、当初見積もりをはるかに超えた維持管理費が発生し、問題になっているという記事が出ておりましたが、ぜひとも何年たっても多くの区民に喜ばれるような大森ふるさと浜辺公園にしていただきたいと要望し、また、象徴的な区民との協働の場として、区民が誇れる公園整備となることを心から願い、私の全質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) 私は、選挙公約で述べたことについてどのように具現化していくのか、この問題についてお答えをいたしたいと思います。
その前に、区役所が株式会社で、区民が株主という表現がございましたが、経営感覚を持って取り組めという部分では私はその意見にも賛成ですが、全面的にそういう感覚で区役所は運営はできない。というのは、やはりマイナスの要素の部分を私どもは補てんをしなければならない。区民の生活を安定に乗せるという、そういう採算ベースには必ずしも乗らない分野、そういうものも区の最も大切な部分としてあるわけでございますので、その辺はぜひご理解を賜りたいと思います。
そして、平成12年に基礎的自治体として位置づけられました。私どもといたしましては、やはり地域特性を生かして自主性のある政策展開を行える、そういう立場に立ったわけでございますけれども、必ずしも財源的な裏が十二分に備わっているという状況にはない。平成18年、また制度改革があるわけでございますけれども、清掃の問題などを含めて、そういうところをとらえながら、やはり財源の問題、権限の問題、そういうことを真に自主性、自立性を持って対処できる自治体、そういう方向に変えなければいけない、こういう認識に立っております。
そういう中で政策展開をするときにやはり一番大切なことは、我々の自治体としての地域社会、ここの特性をどのように生かすか、また区民の皆さん方が何を望んでいるか、そこに力点を置かなければいけないのであろう、このように考えます。農村と都会、おのずから違います。23区にあっても居住環境の多いところ、生産環境の多いところ、あるいは官庁街みたいな業務系で占められているところ、それぞれ特徴を持って行政展開が行われてしかるべしと、このように考えます。
そういう点から私が申し上げてまいりましたのは、長期計画の中の安心・輝き・潤いという表現でございますけれども、それを具現化するために、昨日もお話しいたしましたが、大田区の緊急プログラムというのを近く発表し、その中では、特に産業と子育て、教育と雇用、この4分野を重点の施策として取り上げて、平成15年の半ばから18年、したがって、16年から18年が3か年計画と言っていますけれども、その前段からもう既にそういう取り組みを開始しよう、こういう認識に立っております。そして、3か年計画はローリング計画でございますから、そういうものにも当然今の考え方を反映して、そして地域社会づくりに結びつけたい、そのように考えているわけでございます。当然のこととして、財政状況がどうなるか、その裏打ちでございますから、これらについても的確な判断をし、効果的な事業執行に結びつけられるようにしてまいりたい、このように考えております。
次に、ご提言の中に桜のプロムナードの話がありましたが、これは3年、5年で終わる話でございませんで、かなりレンジの長い、いわゆる理想的な問題として取り上げて、着実に一歩ずつ前進させる。30年、50年後にはそうなってほしい、こういう願いでございます。そのためには逐年積み上げていかなければいけませんから、私どももその考え方は変えないつもりでございます。
平成16年度予算の編成に当たりましては、ただいま申し上げました取り組むべき課題としては、産業の再生と活性化、地域の子育て支援の問題、それから教育における支援の問題、雇用における創出の問題、そういうような観点をぜひ重点に置きたい、このように考えております。来年度から18年の3か年のヒアリングといいますか、実施計画をつくるためのヒアリングはこれから入るわけで、知恵のある、ここに並んでいる部課長さんが個々に研究し、創意工夫を凝らした職員とともに努力した成果を出していただく、それを取捨選択する、優先順位をつける、そういうことで予算編成、実施計画を練り上げてまいりたいと思います。また、議会側の意向も十二分に尊重しなければなりません。どうぞご意見をお聞かせいただきたいと思います。
そのためには、やはり私どもの目標としていることは、区民の皆さん方が、先ほどおっしゃったように、当事者、責任者としては「信なくば立たず」、その意思は同様に持って取り組んでいきたい。だれが反対と言っても、これだけはおれはやりたい、そういうものはありますから、そういうものはぜひ打ち出してまいりたい、このように考えております。
そこで、区民との協働ということも、それらの課題実現のためには、どうしても基礎的な土台として構築しなければ、いわゆる経費だけかければ何かができるというような形でなくて、お互いに手をつないで大田区をよくしよう、こういう認識で今後の行政は展開すべきだと思っておりますから、今、パートナーシップ会議で区民公募委員さんも入っていろいろとご議論いただいております。その区民活動との連携・協働に係る基本方針、報告をちょうだいしましたら、その内容を骨子として協働推進条例、名称はまだ必ずしも決めておりませんけれども、そういうものをお出しして策定をいたしたい、このように考えております。あくまでも協働を推進していく上での基本理念、また区民の皆さん方の活動団体とか企業とか、あるいは区の責務とか、そういうような役割を十二分に盛り込んだ形で条例化を図りたいものだと、このように考えております。
私からは以上にさせていただきます。
◎経営管理部長(江頭博彦 君) それでは私の方から、まず最初に、区民満足度調査として区内各施設のアンケートを実施するとか、あるいは区のホームページを楽しく、あるいはわかりやすく改善しろとか、あるいは電子メール等での区民の意見や苦情について迅速に対応するようにしたらどうだろうかということのご質問をいただきました。区といたしましては、区政に関する世論調査を実施しているところでございます。これは隔年で実施しております。これも区民の方に公表しているところでございます。また、ホームページは平成9年に立ち上げて、昨年度は63万9000件余のアクセスがございました。また、電子メールも平成9年からお受けしておりますが、ご意見・ご要望等、平成14年度につきましては1800件あり、速やかにご返事を申し上げているところでございます。今後も区民の皆さんに迅速に、またわかりやすく区政情報をお伝えするために、ホームページの充実や、あるいは読みやすい区報づくりに取り組んでまいりたいというふうに思います。
次に、職員提案制度の関係についてのご質問をいただきました。大田区には制度としての職員提案制度はございません。しかしながら、我々の方としましては、区における施策や事務事業の改善においては、日常の業務を通じた中で、職員のみずからの提案や、あるいは創意工夫等に基づくものが多くあるというふうに認識しております。また、我々の方からも課題を出しながら、それぞれ職員の英知を集めて計画等を策定させていただいております。職員提案制度につきましては、一定の成果があるということは認識しておりますけれども、職員の改善提案を具体的に反映させるような組織風土が醸成されることが一番大切なのではないかというふうに考えております。
次に、さわやか区役所の関係についての一連のご質問をいただきしまた。さわやか区役所につきましては、昨年は職場ごとに推進体制を整えるとともに、職員自身による自己チェックを行うことで取り組む意識の醸成を図ってまいりました。また、10月にはさわやか区役所強調月間ということを設定させていただきまして、来庁された区民の皆さんにサービスのアンケートをお願いしました。改善の余地もあるところもございますけれども、おおむね良好な結果であるというふうに受けとめております。
また、本年につきましては、引き続きさわやか区役所推進体制を継続し、サービス向上に向け職員が一丸となって取り組んでいく予定でございます。また、来月は強調月間を予定しておりますし、区民の皆さんに満足いただけるよう各課で目標を定め、取り組んでいく予定でございます。
また、区の職員でございますけれども、50名ほどが阿波踊りの連をつくって、それぞれ地域の中で活躍させていただいております。これは地域の活性化にも寄与しているものと思いますし、また、身近な区役所の一助となっているというふうに認識しております。今後もさわやか区役所の実現に向けて職員が意識改革が図れるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。
次に、適材適所の配置をして、庁内公募制度を導入すべきじゃないかということでございます。現在、職員の異動につきましては、希望する部署を申告する制度をとっております。その希望に基づきまして、当然、適材適所ということで人員配置を行っているところでございます。特定の業務の推進組織やプロジェクトなどに従事する職員を公募する庁内公募制度は、職員の人材育成や組織の活性化に有用な制度と認識しておりますので、実施方法については今後検討してまいりたいというふうに考えております。
次に、行政職の主要なポストに公募による民間人の登用についてということでございます。民間の経営感覚やコスト意識を取り入れた区政運営を推進していくことは重要であるというふうに考えておりますし、また、主要ポストへの民間からの登用についても検討すべき課題であろうというふうに思っております。ただ、行政ニーズとのかかわり合い、それからいかなる分野にどのような形で人材を求めるべきか慎重に判断して、今後どのような方策が可能なのかどうか研究してまいりたいというふうに思っております。
次に、政策形成能力を高めていくために、行政評価を充実させるべきではないかというご質問をいただきました。行政評価につきましては、平成13年度から2年間にわたる準備、試行を経て、今年度から本格実施をさせていただきました。事務事業評価についての今年度の特色といたしまして、各部局において自主性を発揮するとともに、経営的な視点で行うということで取り組みました。14年度に実施した事業の評価については、間もなく公表する予定でございます。当然、今後は評価結果を翌年度の計画立案や、あるいは予算編成に反映できるようなシステムとして政策形成能力を高めていきたいと考えております。
次に、先進諸国で成果目標に応じた予算配分と、あるいは予算配分に成果を反映させて、部の裁量を広げ、政策形成能力を高めていくべきではないか、これは大変有効なことではないのかというご質問をいただきました。我々としても、行政評価制度あるいは外部行政経営診断を取り入れておりまして、目標の達成度や効率性、効果等を評価する手法を取り入れております。区は、各部が提案した施策等を必要性、効果、緊急性、もちろん財政状況等を総合的に判断して、事業の進ちょく状況とその成果も考慮に入れながらこれまでも予算編成を行っているところでございます。当然として健全な運営が行われているというふうに思っております。目標とその成果をより反映させる予算編成のあり方については、今後十分研究する課題の一つだと思っております。
最後になりました。千代田区の例を出されたマニフェスト的予算の編成ができないだろうかというようなことでございます。これはそれぞれの各区で独自取り組んでいるというふうに思いますけれども、その取り組みの状況は承知しているところでございます。この部分につきましても、予算制度上の問題も考慮しながら、これからの予算編成のあり方について研究してまいりたいなというふうに考えております。
私からは以上です。
◎
都市基盤整備担当部長(山口健太郎 君) 私からは内川の浄化と下水道整備についてのご質問にお答えをいたします。
初めに、内川についてでございますけれども、大雨が降りますと近くの下水道幹線から流れ出た汚濁水の一部が流入してくるわけでございまして、先ほど先生からお話があったとおりでございます。結果としては臭い、濁る、魚が死ぬ、こういったような現象が発生しておるわけでございます。先ほど先生からもお話がありましたけれども、そういったことで、現在、当該地域の雨水等を受け入れる貯留管として新たに馬込幹線、容量が約3万トンでございますけれども、こちらを建設してございます。したがいまして、これが完成いたしますと内川への負担が相当程度軽減されるということで、現状よりは当然改善されるというふうに考えてございます。
それから、2点目でございますけれども、内川の清流復活のため、森ヶ崎水処理センターの浄化水を流すことができないか、こういったお尋ねでございます。ご提案につきましては、内川が東京湾の潮の満ち引きだけで水が流れている。流れているというよりは、むしろただ動いていると言った方がいいのかもしれませんけれども、そういった海辺の大変短い河川でございます。したがって、そういった特殊要因等も十分考慮に入れて、潮の影響など事業効果を十分検証していく必要があるんじゃないかなというふうに考えてございます。加えて、恐縮なんですけれども、事業実施に必要な用地の確保、こういった問題も出てくるかと思います。したがって、当面は、先ほど先生の方からもお話がございました馬込幹線の整備、それからいろいろ合流式改善ということで既存施設の整備改善を現在進めておりますので、そういったことを引き続き取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
以上です。
◎
大田北地域行政センター長(野田隆 君) ふるさとの浜辺整備事業につきまして積極的なご評価をいただきまして心強く思いました。ありがとうございます。
まず、内川の水質が浜辺の方に影響するのかというご指摘についてです。大半は今
都市基盤整備担当部長がお答えをしたとおりになりますが、要は河口部の水が行ったり来たりしているということでございますので、今回の河口部における人工干潟や人工海浜の整備による水質環境の改善ということが内川の方にもよい影響を及ぼすというふうに期待をしております。また、馬込幹線の完成によりまして豪雨時の下水流入が抑制されますので、こうしたこともあわせて、よい効果を期待できるというふうに考えております。
次に、浜辺の整備事業と内川の整備を同時に進めていくべきだというご指摘でございますが、確かに両者を一体のものとして進めていくのが理想であるというふうに考えます。ただ、河川改修整備は多くの費用と時間のかかる大事業でございます。計画的に取り組む必要があるというふうに思います。内川につきましては2級河川ということで、東京都がこれを担当することになりますので、こうした計画的な整備を都に対して現在も強く働きかけているところでございます。
一方で、ふるさとの浜辺公園の整備事業につきましては、順次段階的に行っていく考えでございまして、その過程で多くの方々の理解と協力を得ていかなければということで、区としては十分に説明を尽くし、区民の皆様との協働による公園づくり、公園の利用を実現していきたいと考えておりますので、ご指導いただきたいというふうに思います。
また、公園の維持管理費用をどのように見込むかということでございますが、現在、この公園についての設計作業を進めているところでございまして、公園整備とその維持管理の具体的内容についてはこの中で決めていきたいと考えておりますが、適切な水準となるように検討してまいります。また、その際、他の人工海浜の事例を十分に参考としながらこの作業を進めていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
◎教育長(細島コ明 君) 私から教育についてご答弁申し上げます。
ただいま臨時教育審議会あたりからの文部科学省による教育行政の流れ、また今日の教育の置かれる現状というものをとらえられまして、特に学校の選択制、それと学校評価制度創設というお尋ねをいただきました。お答えをさしあげたいというふうに思います。
まず、学校選択制でございますが、議員ご指摘のように、競争原理、市場機能を重視した学校の活性化の手法であるわけであります。ただ、学校を活性化させるためにはいろいろな方法がございます。現在、大田区では、教育委員会のリーダーシップのもとに、校長会と連携・協働いたしまして学校の活性化というものを進めているというのが今のやり方でございます。現在、推進プランも実現しつつありますし、成果が出ているところでございます。
あわせまして、保護者の皆様には推進プランの施行状況とか、そういう情報を幅広く提供いたしておりまして、教育サービスの受け手、顧客としての学校経営に対する監視、けん制役をお願いしている、そういうような仕組みが現在大田区のとっている活性化策の基本的な部分――ほかいろいろございますが――になってまいります。
今度、実際に、他区で学校選択制をとっているところがたくさんございますが、どうなっているかということをご答弁申し上げます。
小学校では、23区中、現在――23区だけの話ですが――14区実施しておりません。小学校については、23区中14区が実施しておりません。実施しているのは9区だけなんですね。9区の中でも5区については隣接の学校、あるいはブロックという単位で、すごく地域というものを大事にしてやっているというのが小学校の選択制のむしろ主流になっております。このあたり、大田区でも長期基本計画の中で、ご指摘いただきましたように、特に小学校は地域がつくるものという位置づけを与えておりますので、そのあたりは考え方が一緒なのかなというふうに感じているところでございます。
それから、選択の実施率について見ますと、例えば、区内全域で選択制をしいている区の例として江東区があるんですけれども、14年度から実施しております。その結果を見ても、小学校では約16%、それで中学校では21%という数字が出ております。実は大田区では、ご存じのように指定校の弾力的運用を図っておりまして、その数字は、小学校で17%、中学校で21%という数字になっております。したがいまして、この両者を比較してみても、現在私どもがとっている指定校変更の制度というものが選択制とほぼ同率でございますので、ほぼ同一の機能を果たしているということが言えるところでございます。ほかにも理由がたくさんございますが、現在のところは選択制の導入は私どもでは考えておりません。
また、小学校の第2次適正化計画でございますが、子供たちのよりよい教育環境の整備というものは教育委員会の重要課題であるというふうに認識をいたしております。答申を踏まえまして、今後、速やかに第2次計画を検討して実施していきたいというふうに考えているところでございます。
次に、学校評価制度というものについてご提案をいただきました。現在の段階でございますが、何度もご答弁申し上げますが、
教育推進プランに基づいて新たな教育メニューを全校で定着させるということに全力を注いでいるところでございます。成果も上がってきていると思います。評価を学校の中で次のアクションに結びつけなければ意味がないわけでございますので、そういう意味では、校長、教頭、主幹、教諭という校内の組織が確立しておりまして、自律的に活動がなし得る体制がつくられていないとなかなかうまくいかないということになってまいります。現在は全校長に学校経営方針というものをまず出させております。また、校内組織の確立という点では、主幹職というものが徐々にふえつつありますので、そのあたりが定着すればきちっとした校内体制ができるのかなという認識を私は持っております。今、改革の時代でございますので、いろんな教育メニューを進めております。それが定着する、また校内組織もきちっとした形で確立する、やはりそれが二つの下地になると思います。その上に立って学校評価制度というものを考えていきたい、よりよいものをつくっていきたいという基本的考え方を現在持っております。
学校評価制度といってもいろいろございまして、例えば、評価の主体から見ても、専門的教育研究者が行うもの、あるいは学校同士でやるというのもあります。それから教育委員会が評価を行う、それから教育サービスの受益者である保護者、場合によってはお子さんが行う、それから例えば地域の方々が――現在もそれをやっておりますが――行うもの、いろいろなものがございます。また、評価項目をどのようにやるのか、そういう論点も多々ございます。そういったものをいろいろ組み合わせながら、客観的なよりよい学校評価制度の構築に向けて、次のステップとして取り組みを図って進めていきたいというのが現在の考え方でございます。
以上でございます。
○副議長(有川靖夫 君) 再質問を許可します。
◆12番(鈴木章浩 君) 今、教育長からご答弁をいただきまして、理解してはいるんですけれども、今まで問題がありながら、20年その問題がずうっと続いてきているところには何かしらの問題があると思うんです。目的はわかっていて変わることができない。それは手段を幾つか変えていく中で、その手段が効果が出ないときには次のことも考えていく視点を持つことも大事だというふうに思っております。今、
教育推進プランで成果が出ているというお話がありました。私もそのように感じてはおります。ぜひ、その成果を大事にしながらも、新たな手段というものを考えていくような、そういったことも視野に入れて取り組んでいただきたいなというふうに思います。
以上です。
○副議長(有川靖夫 君) 次に、32番犬伏秀一議員。
〔32番犬伏秀一君登壇〕(拍手)
◆32番(犬伏秀一 君) 小沢一郎党首を見捨てた大田区議会自由党の犬伏秀一でございます。残念ながら、自由党所属国会議員30名すべてが民主党に合流されたことは、政権奪取の大義を掲げても国民の納得できるものではありません。私は、昨日の解党とともに無所属となりましたが、自由党の名のもとに投票していただいた有権者の信にこたえる意味でも、会派名は大田区議会自由党を継続してまいります。
さて、今回も区民の常識とかけ離れた区役所、学校の非常識について、区民にかわり、ふざけるなという気持ちで質問してまいります。
第1点は、退職時に昇給し、退職金額を多くする名誉昇給についてでございます。本件は、我が同志上島義盛世田谷区議会議員が指摘し、報道により都民の注目を集めることになったものであります。
大田区においては、定年、勧奨、死亡の理由により退職した職員は、全員、功績顕著な者に適用される名誉昇給が行われております。平成14年度は死亡3名、勧奨26名、定年99名の合計128人にこの制度が適用され、名誉昇給しなければ退職金の総額は31億8127万円余であったのに、名誉昇給により32億2960万円余となりました。差額は4834万円余りであり、退職職員1人当たり平均37万7666円が増額されたのであります。本年度は129人の退職が見込まれ、名誉昇給が行われると、4419万円が増額されることになります。退職金は全額都区財政調整金に算定されますので、大田区の負担はありませんが、財政調整金も結局のところ税金であります。
私は先日、大田区の中堅企業の定年退職者の慰労会に参加いたしました。60歳まで精勤された実直そうな社員さんは、感謝の言葉を述べ、900万円の退職金を受け取りました。この金額は区内中小企業では破格であります。ところが、大田区職員定年退職金の平均支給額は2400万円余り。制度として存在しているのでありますから、退職金それ自体を非難することはできません。しかし、名誉昇給は何としても理解できません。
私は以前、特別昇給が毎年33%の職員に行われており、3年すると100%、つまり全職員が特別昇給の恩恵にあずかるような制度は本来の趣旨に反すると質問いたしました。また、区外施設の職員にまで大都市圏勤務者にのみ支給される調整手当12%を支給していることなど、納税者たる区民の理解を得ることができない制度は、職員団体が何と言おうとも即刻廃止すべきであります。
既に豊島区では、11月1日より名誉昇給廃止を区長が明言をされました。大田区における名誉昇給廃止のお考え、支給理由がないと答弁された後も今でも支給を続けている区外施設勤務者の調整手当についてお考えを伺います。
次に、しつこく給食について質問いたします。
去る9月19日午後1時ごろ、私は、区内小中学校教員が休日に部活動や地域行事に参加した場合、日額1200円の手当のみでは余りにもかわいそうと各学校に実態調査に参りました。ちょうど給食が終わった時間でしたので、職員室にも給食の食器が置いてありました。何の気もなしに「食器は何枚でした」と教員に伺うと、2枚でした。「私が赴任して以来、食器は2枚でしたから、これは大田方式だと思っておりました」と、このベテランの先生は答えられたのです。理事者の皆さんもあきれた、あの食器2枚事件はまだ解決していなかったのです。
平成7年、学校給食の食器をアルミから見ばえも質感もある強化磁器(コレール)に変更した際、労働強化反対の区職員労働組合と学校教育部は、当面、3枚使用すべきを2枚でよいという密約を結びました。そして平成13年4月、私の指摘で3枚使用に改善されたはずでありました。
本来の調査目的であった教員の処遇改善はとりあえず棚上げして、大田区じゅうの小学校に調査をいたしました。その結果、2つの事実を発見いたしました。この日給食を実施していた小学校は、委託校13校、直営校45校の合計58校でした。直営校45校すべては食器を2枚しか使っておらなかったのに比べ、民間委託校では11校が適正に3枚使っており、2校が2枚使用でした。これが1点目の事実です。
2点目の事実は、直営校のうち44校が、そして民間委託校のうち7校は大田区の
標準メニューを使用していたのです。直営校には9校に、そして民間委託校には全校に東京都職員の栄養士が勤務しており、23校に栄養士が勤務していながら、7校しか独自メニューを作成していないのです。もちろん栄養士の仕事はメニュー作成だけではないでしょうが、驚きでした。公務員たる栄養士は毎日何をしているのでしょうか。区の
標準メニューを使用するなら栄養士の配置は不要ではないでしょうか。
この日の区の
標準メニューは、チーズトースト、牛乳、コーンシチュー、グリーンサラダでした。これを2枚の食器で済ませてしまうのです。どうするか。食パンの上にチーズを乗せて焼いたチーズトーストをトレーの上に直接置くのです。もし皆さんがハンバーガーショップでトレーの上にハンバーガーをむき出しで置かれたらどうでしょうか。食は文化です。我が国は食べ物を慈しみ、大切にする文化を堅持してまいりました。発達段階の小学生が、洗うのが嫌、重いのが嫌というわがまま公務員の犠牲になっているとしたら、かわいそうでなりません。
直営校と同じメニューを出していた民間委託校では3枚の食器を使用しておりました。明らかに公務員の怠慢と断じられると思います。民間委託校の調理員さんは自給850円、退職金も名誉昇給もありません。区の調理員は年収700万円以上、退職金2000万円以上です。さらに驚いたことに、民間委託校では4枚の食器が使用されており、実際、私の長女の学校では4枚使用しているようです。
細島教育長は、学校教育部長として、平成12年11月30日、そして平成13年3月1日、定例会において、4月1日より完全に3枚を使わせると約束をされました。どうなっているんでしょうか、お答えください。本来であれば、ここに大田区職員労働組合を呼んで答弁してもらいたいぐらいであります。
たかが給食の食器、しかし、ここに公務員のおごりの象徴があるのです。今、保育園の民間委託の議論がされておりますが、反対を叫ぶだけでなく、公務員だからできることを職員がみずから語るべきです。そして、本当に変わらなければなりません。もしできないというなら、現業公務員の職場はすべて民間委託を即刻実施すべきです。どうか、給食調理員に限らず、全庁全職員が区民の、納税者の視点に立っていただくことを望み、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 理事者の答弁を求めます。
◎経営管理部長(江頭博彦 君) それでは私の方から、大田区における名誉昇給廃止の考え及び支給根拠がないと明言された後も支給を続けている区外施設勤務者の調整手当についての考えを伺うというご質問です。
退職時の特別昇給は、職員の長年にわたる功績に報いることを趣旨として設けた制度でございますが、制度そのものが社会常識にそぐわないものと認識しており、見直しに向けては早急に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
それから、区外施設勤務者の調整手当の支給率については、特別区共通基準となっていることから、区独自で見直すことは困難な部分がございます。引き続き、問題意識を持っておりますので、他区との調整を図ってまいりたいというふうに考えております。
私の方からは以上です。
◎
教育委員会事務局次長(須藤常好 君) 学校給食の食器の使用枚数についてでございますけれども、確かにご指摘のとおり、平成13年3月1日のご質問、4月以降は正常に3枚使用することで理解してよろしいかというご質問に対し、当時の部長が、ご質問のとおりご理解いただいて結構でございますというふうにご答弁を申し上げております。ただ、その意味するところは、必要があれば3枚使うということでございまして、どんなメニューでも、2枚で済むところを3枚必ず使うというふうには考えておりません。しかし、改めて調べてみますと、その必要性の認識でございますけれども、2枚で済ませず3枚用いるべき、そういうふうに思われるものもございます。例えば果物の扱いでございますけれども、皮をつけたバナナを、むいて食べるわけですから、トレーにそのまま置くのはいいとしても、リンゴは皮をむいてございますので、直接口に入れるものでもあり、少々不格好でもおわんに入れる。こうした点について、改めて関係する学校の校長、また調理関係職員を集めまして指導を徹底してまいりたい、このように考えておりますので、よろしくご理解のほどをお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○副議長(有川靖夫 君) 犬伏議員、再質問を許可します。
◆32番(犬伏秀一 君) 具体的に10月1日から適正に3枚使用すると理解してよろしいか、お伺いします。
◎
教育委員会事務局次長(須藤常好 君) 3枚にする必要があれば3枚使います。
○副議長(有川靖夫 君) 次に、33番野呂恵子議員。
〔33番野呂恵子君登壇〕(拍手)
◆33番(野呂恵子 君) 今、日本の子供たちを取り巻く環境や子育ては大きな転換期を迎えております。核家族化で育児ノイローゼになる母親、そして虐待、労働形態の多様化、出産後も働き続ける女性の増加等で、乳幼児の保育の整備と安心が何よりも求められております。
かつて高度経済成長期の日本は多くの労働力を必要とし、幼稚園や保育所の増設が相次ぎました。教育と福祉という異なる分野の2つの施設を運営する団体は、就学前の乳幼児を1人の大切な人間として育てる視点から、相互に幼保一元化への歩み寄りを示しました。全国私立幼稚園連合会は、憲法、児童憲章、児童福祉法の観点から、幼稚園と保育所との二元性は幾多の矛盾や問題点を持っていると。そして、全国保育協議会は、乳幼児に対する処遇の原則が福祉と教育の不離一体であるとするなら、保育制度は一元化の方向へ進むべきであるとし、必要に応じて幼稚園にも保育の機能を持たせるべきだとしました。これは、それぞれのよさを認め合い、互いにその機能を生かしながら歩み寄り、日本の子供たちの健やかな発達を願った第一歩でした。
ところが、40年を経た今日、幼保一元化論は、当初の子供をどのように育てるかという前提を見失い、姿を変えて取り組まれ始めております。幼稚園には調理室がないことを理由に保育所の調理室設置義務の廃止。保育所だけでなく全国の幼稚園が反対し続けてきた株式会社など企業を幼稚園にも参入させる。3歳未満児を幼稚園にも入園させる。そして、保育所が長年反対してきました直接入所契約制度を実施する。そして、何よりも保育所への国庫補助負担金を一般財源化することは、児童福祉法24条の自治体の責務という意味を薄めてしまう懸念があります。待機児童ゼロ作戦のかけ声のもとで取り上げられた幼保一元化は、結局のところ、認可保育所という機能が解体させられていく危険性を伴って進められております。
そして、もう一方で公立保育園の民間委託・民営化。こうして日本の児童福祉は、子育てが困難をきわめている時代に、少しずつ自治体の手から放たれようとしております。
そのような中、来年4月の区立保育園民間委託が提案されましたことは、余りにも無謀ではないのでしょうか。確かに区立保育園のさらなる自助努力が求められますし、すばらしい実践をしている社会福祉法人や民間がありますから、その力を生かしていくことは大切です。しかし、幾ら民間の力をかりると申しましても、乳幼児や父母への安心を担保するのに8か月という短い期間でどうして成功することができるでしょうか。
昨年、私はこども文教委員でしたが、7月15日に報告された保育サービスの充実のための行動指針、そして、8月9日に提出された平成14年度保育園の運営主体の多様化に関する実施要領についての報告の中で、理事者は次のように説明いたしました。基本的には、入所申し込みをする前に民営化する保育園について保護者にお知らせをする事前告知を原則といたしたいと考えています。したがいまして、既に入園している児童に影響のないよう、平成17年度以降、ご案内の6園について掲示しておりますが、順次民営化を図っていきたいと考えています。運営を引き継ぐ法人につきましては、法人の提案内容を審査しまして、区長が決定いたします。決定の時期は、民営化の前年の夏に行う予定です。
つまり、こども育成部では、少なくとも夏には事業者を決定しないと4月の委託には間に合わないと十分ご存じでいらっしゃった。これは前年の上池台児童館委託の経過からもそう判断されていたと思いますし、今回のような無理な日程は考えておらなかったと理解いたしますが、これがなぜ突然12月事業者決定という日程を示してきたのか、私には理解しかねます。
また、8月の委員会で同僚議員が質問したときに、部長は、平成17年度まで時間がありますので、今回は計画的にやらせていただく。来年の4月という話ではないわけですから、よろしくその辺ご理解をいただきたいと思いますと述べておられました。ですから、この時点でも、
こども育成部長は計画的に区民との協働ということを大切にと考えておられたと思うのです。そういたしますと、とても今年7月に提案して4月実施というのは同じ立場の部長の発言とも思われません。
大田区長期基本計画の安心・輝き・潤いを実現するためにも、また区民との協働ということを全庁的に打ち出して、職員も研修に励んで日々努力している今だからこそ、来年4月の民間委託を1年間延期していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、民間委託は山王、西蒲田保育園だけではなく、大田区全体の問題です。今年4月1日現在、待機児164名、全国で40番目に多い自治体という課題もありますから、区民、父母、専門家等さまざまな立場の方を交えての区立保育園民間委託検討会を立ち上げていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
次世代育成支援対策推進法第8条3項には、市町村は、行動計画の策定に住民の意見を反映させるため、必要な措置を講ずるものとすると明記されている時代です。そんな時代の中で、区民との協働のようやく出始めた若葉をつむことのないよう訴え、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 理事者の答弁を求めます。
◎
こども育成部長(中村文夫 君) 大田区の区立保育園の民間委託、来年4月、見送っていただきたいというご要望ですが、昨年度の実施要領で17年4月から民営化を予定する6園を公表しています。しかし、地域や区の窓口を通じて、延長保育や休日保育、一時保育の速やかな実現を求める区民要望は以前にも増して高いものがあります。そこで、今後お子さんを入園させたいと思っている多くの方々に可能な限り早い時期に保育サービスの充実、拡大を実現すべきであると認識し、16年4月から民間委託を実現することを決定しました。スケジュールについては、これまで民営化を行ってきた他の自治体を参考にし、4月実施が可能であると判断し、現在全力で取り組んでいるところです。
また、民営化に当たっては十分住民と協議を行えというご質問ですが、民間委託を行う保育園につきましては、保護者説明会、また代表者から成る連絡協議会を設置して、その中で情報提供や十分な説明を行い、意見交換、ご要望を受けながら、区民の方々のご理解、ご協力を得られるよう努めてまいりたいと思っています。
また、民間委託を実施後は、実際の保育園運営をよりよいものとする場としまして、保護者の皆さんと職員が参加する保育運営委員会を設置してまいりたいと考えていますので、ご理解いただきたいと思っています。
私から以上です。
○副議長(有川靖夫 君) 野呂議員、再質問を許可します。
◆33番(野呂恵子 君) 昨年のこども文教委員会で部長ご自身が――8月の委員会でした。4月ということを、やはり業者決定は夏に行って、十分な期間、保護者にもその事業者を見学していただくとか、そういうことを含めて答弁なさっていたかと思います。そしてまた、今、早急にやることではないからということは17年度計画のことでしたけれども、そういった視点からも、せっかく出始めた区民との協働という芽を大切にして、大田区のすべての子供たちの安心を育ててほしいと思います。
それからもう1点は、他の自治体を参考にしたとおっしゃいましたけれども、どこの自治体でしょうか、ご答弁願います。
◎
こども育成部長(中村文夫 君) 昨年は8月というお話をしましたけれども、昨年の場合は十分時間がありますので8月ということでありました。今年の場合は、来年4月ということを想定しますと、その中での最短距離を考えますと秋でも十分、12月という段階において最終決定をしても大丈夫だという最終的な判断をしたわけです。
それから、ほかの自治体ということでありますが、尼崎市だとか八千代市とか、そういったいろんな自治体を参考にしまして、横浜市でも今、来年度4月実施ということで現在事業者選定の作業を行うということになっていますので、そういった事例を考えますと、大田区でも十分やれるというふうに判断をしました。
○副議長(有川靖夫 君) 以上で質問を終結いたします。
〜
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○副議長(有川靖夫 君) 事務局長に諸般の報告をさせます。
〔池藤事務局長朗読〕
1 議案の訂正について
────────────────────
平成15年9月26日
大田区議会議長
川 上 智 由 様
提出者 清 水 菊 美 菅 谷 郁 恵
金 子 悦 子 和 田 正 子
黒 沼 良 光 藤 原 幸 雄
渋 谷 要 大 竹 辰 治
議案の訂正について
先に提出した議員提出第10号議案大田区乳幼児の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について次の表のとおり誤りがありましたので、訂正方許可願います。
┌────────────┬─────────────────┬────────────────┐
│ 訂正箇所 │正 │誤 │
├────────────┼─────────────────┼────────────────┤
│ 条例文6行目 │「乳児及び幼児(以下「乳幼児という│「乳幼児及び幼児(以下「乳幼児」│
│ │。」) │という。)」 │
└────────────┴─────────────────┴────────────────┘
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○副議長(有川靖夫 君) 次に、議案の訂正について申し上げます。
ただいま事務局長に報告させましたとおり、議員提出第10号議案 大田区乳幼児の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について、訂正願が提出者より提出されました。お手元に文書を配付しております。議長において許可したので、ご了承願います。
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○副議長(有川靖夫 君) これより本日の日程に入ります。
日程第1を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第1
第54号議案 平成15年度大田区
一般会計補正予算(第2次)ほか8件
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○副議長(有川靖夫 君) 理事者の説明を求めます。
◎助役(小松惠一 君) ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第54号議案は、平成15年度大田区
一般会計補正予算案(第2次)で、今回の補正は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ3億7375万6000円を増額いたしました。この結果、補正後の歳入歳出予算の総額は、それぞれ1898億7856万2000円となります。歳出で増額する主な内容は、コミュニティ商店街整備事業補助、都心共同住宅供給事業、区立運動場管理運営費などでございます。歳入で増額する主な内容は、地方消費税交付金、特別区交付金などでございます。歳入で減額する内容は、地方譲与税、交通安全対策特別交付金、繰入金でございます。このほか、債務負担行為の補正を2件お願いしてございます。
次に、第55号議案は、平成15年度大田区
介護保険特別会計補正予算案(第1次)で、今回の補正は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ9億9557万5000円を増額いたしました。この結果、補正後の歳入歳出予算の総額は、それぞれ253億243万9000円となります。
次に、第56号議案は、大田区組織条例の一部を改正する条例案で、地方自治法の改正に伴い、この条例の根拠として引用している条項を改めるため改正するものでございます。
第57号議案は、
大田区立男女平等推進センター条例の一部を改正する条例案で、男女平等推進センターの施設等の使用について、登録団体による優先使用を廃止し、区民一般に公開された事業を行う団体に優先使用を認める制度に改めるため改正するものでございます。
次に、第58号議案は、大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例案で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正に伴い、一般廃棄物処理業の許可に係る要件を整備するほか、業の許可の取り消し等に関する規定を整備するため改正するものでございます。
第63号議案は、選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例案で、公職選挙法の改正に伴い、期日前投票における投票管理者、同職務代理者及び投票立会人の報酬を新設するため改正するものでございます。
報告第17号は、区の義務に属する
損害賠償額決定に係る専決処分の報告で、経理管財課所属庁有車による交通事故ほか2件について報告するものでございます。
報告第18号は、
大田区立浜竹図書館改築その他工事請負契約の専決処分の報告で、契約金額を当初の2億2155万円から2億1975万4500円に変更いたしました。
報告第19号は、
大田区立洗足池小学校体育館改築その他工事請負契約の専決処分の報告で、契約金額を当初の1億6852万5000円から1億6861万9500円に変更いたしました。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○副議長(有川靖夫 君) 本案については質疑の通告がありませんので、報告第17号から報告第19号に至る3件を除き、いずれも所管総務財政委員会に付託いたします。
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○副議長(有川靖夫 君) 日程第2を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第2
第59号議案 大田区手数料条例の一部を改正する条例ほか2件
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○副議長(有川靖夫 君) 理事者の説明を求めます。
◎助役(小松惠一 君) ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第59号議案は、大田区手数料条例の一部を改正する条例案で、住民基本台帳法の規定に基づく閲覧用住民一覧表の閲覧手数料を引き上げるため改正するものでございます。
第60号議案は、大田区特別区税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案で、軽自動車税に関する申告書の様式を定める規定を整理するため改正するものでございます。
第61号議案は、
大田区立区民センター条例の一部を改正する条例案で、大森西区民センターの第一集会室を廃止し、知的障害者授産施設に転用するため改正するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○副議長(有川靖夫 君) 本案については質疑の通告がありませんので、いずれも所管生活産業委員会に付託いたします。
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○副議長(有川靖夫 君) 日程第3を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第3
第62号議案 大田区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
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○副議長(有川靖夫 君) 理事者の説明を求めます。
◎助役(小松惠一 君) ただいま上程されました第62号議案は、大田区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例案で、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の改正に伴い、補償基礎額及び介護補償の額を改定するほか、規定を整理するため改正するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○副議長(有川靖夫 君) 本案については質疑の通告がありませんので、所管こども文教委員会に付託いたします。
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○副議長(有川靖夫 君) 日程第4を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第4
第48号議案 平成14年度大田区
一般会計歳入歳出決算ほか5件
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○副議長(有川靖夫 君) 理事者の説明を求めます。
◎収入役(木内悠紀夫 君) ただいま上程されました平成14年度各会計歳入歳出決算につきましてご説明申し上げます。
まず、決算の内容につきましては、このような厚い資料になってございます。そこで、お手元のところにA4判1枚の「平成14年度大田区各会計歳入歳出決算」参考資料を提出してございますので、これに基づきまして説明させていただきます。
まず最初に、第48号議案、区一般会計でございます。予算現額1902億4796万円でございまして、この額は平成14年度の最終補正予算額1901億6150万6000円に平成13年度の繰越明許費の8645万4000円が加わったものでございます。歳入総額は1875億9484万5595円、歳出総額につきましては1823億7199万5446円、歳入歳出差引額につきましては52億2285万149円でございます。この中から平成15年度への繰越明許費繰越額でございます1億5026万4000円を除きました残りが平成14年度の実質収支額でございまして、50億7258万6149円でございます。このうち財政基金への積立金が25億3629万4000円、平成15年度への繰越財源といたしまして25億3629万2149円でございます。
次に、第49号議案、職員厚生資金特別会計でございます。予算現額2億5263万8000円、歳入総額につきましては2億1791万96円、歳出総額につきましては2億1383万8000円、歳入歳出差引額につきましては407万2096円でございます。
第50号議案、国民健康保険事業特別会計につきましては、予算現額515億1332万6000円、歳入総額につきましては499億7530万4813円、歳出総額につきましては498億1235万9220円、歳入歳出の差引額につきましては1億6294万5593円でございます。
次に、第51号議案、老人保健医療特別会計でございます。予算現額は583億2155万3000円、歳入総額につきましては567億8332万6738円、歳出総額につきましては549億1204万4592円、歳入歳出差引額につきましては18億7128万2146円でございます。
第52号議案、介護保険特別会計でございます。予算現額は246億6097万8000円、歳入総額につきましては245億4542万2084円でございます。歳出総額につきましては239億6618万34円でございます。歳入歳出差引額につきましては5億7924万2050円でございます。
次に、第53号議案でございます。予算現額につきましては9億470万1000円、歳入総額につきましては9億470万5059円でございます。歳出総額につきましては9億231万7986円でございます。歳入歳出総額の差し引きにつきましては238万7073円でございます。
以上、特別会計の歳入歳出の差額につきましては15年度への繰り越しとさせていただきます。
以上で説明を終了させていただきます。ご審議の上、ご認定賜りますようよろしくお願いいたします。
○副議長(有川靖夫 君) 本案については質疑の通告がありません。
◆17番(伊藤和弘 君) 副議長、17番、議事進行の動議について。
○副議長(有川靖夫 君) 17番伊藤和弘議員。
◆17番(伊藤和弘 君) 本案については、この際、委員47名から成る決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査されることを望みます。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○副議長(有川靖夫 君) ただいまの決算特別委員会設置の動議につきましては、所定の賛成者がありますので、動議は成立いたしました。
17番伊藤和弘議員の動議にご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(有川靖夫 君) ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員は、委員会条例第6条第1項の規定に基づき、お手元に配付いたしました決算特別委員名簿のとおり副議長より指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(有川靖夫 君) ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
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決 算 特 別 委 員 名 簿
神 林 茂 議員 近 藤 忠 夫 議員 田 中 一 吉 議員
河 津 章 夫 議員 水 井 達 興 議員 小 原 直 美 議員
海老澤 信 吉 議員 松 原 秀 典 議員 高 瀬 三 徳 議員
鈴 木 章 浩 議員 安 藤 充 議員 岸 田 哲 治 議員
大 森 昭 彦 議員 松 原 茂登樹 議員 伊 藤 和 弘 議員
塩野目 正 樹 議員 湯 本 良太郎 議員 有 川 靖 夫 議員
田 口 仁 議員 溝 口 誠 議員 荒 川 善 夫 議員
高 橋 博 議員 冨 田 俊 一 議員 清 波 貞 子 議員
古 山 昌 子 議員 渡 部 登志雄 議員 松 本 洋 之 議員
丸 山 か よ 議員 犬 伏 秀 一 議員 野 呂 恵 子 議員
金 子 富 夫 議員 山 崎 勝 広 議員 岸 田 正 議員
都 野 圭 子 議員 沼 田 秀 弘 議員 田 中 健 議員
荒 木 秀 樹 議員 内 田 秀 子 議員 奈 須 利 江 議員
清 水 菊 美 議員 菅 谷 郁 恵 議員 金 子 悦 子 議員
和 田 正 子 議員 黒 沼 良 光 議員 藤 原 幸 雄 議員
渋 谷 要 議員 大 竹 辰 治 議員
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○副議長(有川靖夫 君) お諮りいたします。当特別委員会の副委員長は、委員会条例第7条第1項の規定に基づき、2名といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(有川靖夫 君) ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
なお、本日の会議終了後、正副委員長互選のため、決算特別委員会を本議場において招集いたしますので、ご了承願います。
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○副議長(有川靖夫 君) 日程第5を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第5
議員提出第8号議案 大田区
居宅介護サービス利用料の助成に関する条例ほか1件
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○副議長(有川靖夫 君) 提出者の説明を求めます。
〔47番黒沼良光君登壇〕(拍手)
◎47番(黒沼良光 君) ただいま上程されました議員提出第8号議案、第9号議案について、提出者8名を代表しまして提案理由の説明を行います。
2つの議案は、いずれも介護保険に関するものであります。今年度は介護保険制度が開始されて4年目になり、3年に1度の制度の見直しがされた年度ですが、さまざまな問題点が明らかになっています。その中で、依然として保険料、利用料が低所得者にとって重い負担となり、利用率が4割台にとどまっています。都内23区の流れは、低所得者に対する独自減免制度が23区中21区にまで広がっています。
議員提出第8号議案 大田区
居宅介護サービス利用料の助成に関する条例は、低所得者に対し、居宅介護サービスの利用者負担を軽減するため条例を制定するものです。
議員提出第9号議案 大田区介護保険条例の一部を改正する条例は、低所得者の介護保険料を引き下げるため条例を改正する必要があるので提出するものです。
いずれも区民の願いに沿うものと思いますので、ご審議の上、ご賛同の決定をくださいますようお願いいたしまして、提案理由説明とさせていただきます。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 本案については質疑の通告がありませんので、いずれも所管健康福祉委員会に付託いたします。
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○副議長(有川靖夫 君) 日程第6を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第6
議員提出第10号議案 大田区乳幼児の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
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○副議長(有川靖夫 君) 提出者の説明を求めます。
〔46番和田正子君登壇〕(拍手)
◎46番(和田正子 君) ただいま上程されました議員提出第10号議案 大田区乳幼児医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について、提出者を代表して提案理由の説明を申し上げます。
この条例案は、乳幼児を児童と改め、医療費の助成対象を満6歳から満7歳に、小学校1年生まで拡大することによって保護者の負担を軽減し、児童の健全な育成及び保健の向上に寄与するため条例の一部を改正するものです。
よろしくご審議、ご賛同いただきますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。(拍手)
○副議長(有川靖夫 君) 本案については質疑の通告がありませんので、所管こども文教委員会に付託いたします。
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○副議長(有川靖夫 君) 日程第7を議題といたします。
〔池藤事務局長朗読〕
△日程第7
15第89号 大田区の交通不便地域に
コミュニティバス(ミニバス)の運行を求める陳情
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○副議長(有川靖夫 君) お諮りいたします。本件については、交通問題調査特別委員会に付託したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(有川靖夫 君) ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
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○副議長(有川靖夫 君) 次に、請願・陳情の付託について申し上げます。
今回受理いたしました請願・陳情は、ただいま交通問題調査特別委員会に付託いたしました15第89号を除き、お手元に配付いたしました付託表のとおり、それぞれ所管常任委員会に付託いたします。
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平成15年第3回定例会 請願・陳情付託表【第1号】
平成15年9月26日付託
総務財政委員会
15第 80 号 北馬込一丁目7番の法務省住宅跡地を大田区で取得し区民のために活用することを求める陳情
生活産業委員会
15第 78 号 大田区民センター・レクリエーションホールの冷房化を求める陳情
15第 88 号 大田区の工業集積を守るための陳情
15第 90 号 大田区における年金収入の実態調査を求める陳情
15第 91 号 年金切り下げなどから年金生活者・高齢者の生活を守るための意見書採択に関する陳情
健康福祉委員会
15第 79 号 矢口養護学校卒業後の通所授産施設の新設に関する陳情
15第 81 号 在宅酸素療法患者への医療費助成、電気代補助についての陳情
都市整備委員会
15第 75 号 タクシー乗り場の設置を要望する陳情
15第 76 号 臨海トンネルの開通にともなう交通量の激増によって招来される、交通渋滞、排気ガスの大幅増加による地域住民の被害を早急に解決するよう求める請願
15第 77 号 南馬込五丁目周辺の法・条例等の緩和に関する陳情
15第 84 号 小林児童公園(東矢口三丁目)の整備とトイレの設置を求める陳情
15第 92 号 日本たばこ産業株式会社「大田区東矢口三丁目社宅」敷地に関する陳情
こども文教委員会
15第 82 号 東京都教育委員会へ「これからの東京都の心身障害教育の在り方について」十分な検討を求める意見書を提出することに関する陳情
15第 85 号 区立保育園民営化計画の実施時期に対する修正を求める陳情
15第 86 号 区立保育園民営化計画の実施方法の修正を求める陳情
15第 87 号 区立保育園の民間委託業者選定及び新体制へ移行する方法に関する陳情
15第 93 号 区立保育園民営化のルール作成に関する陳情
15第 94 号 民営化検討および運営の実施に関して父母(保護者)の参画を前提とした計画の検討を求める陳情
15第 95 号 保育園運営事業者・法人の選定、民営化園の管理運営および業務・業績評価に関する陳情
15第 96 号 区立保育園の平成16年4月の民営化に関する陳情
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○副議長(有川靖夫 君) 以上をもって本日の日程全部を終了いたしました。
お諮りいたします。明9月27日より10月5日までは委員会審査のため休会とし、来る10月6日午後1時に会議を開きたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(有川靖夫 君) ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんから、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後3時52分散会...