32番 松 田 哲 也 33番 佐 藤 昇 34番 田 島 けんじ
35番 武 藤 まさひろ 36番 関 けんいち
4 出席説明員
区 長 青 木 英 二 副区長 荒 牧 広 志
企画経営部長 斎 藤 秀 一
情報政策推進部長 橋 本 隆 志
総務部長 竹 内 聡 子
危機管理部長 橋 本 知 明
区民生活部長 上 田 広 美
産業経済部長 酒 井 圭 子
文化・
スポーツ部長 勝 島 壮 介
健康福祉部長 保 坂 春 樹
(
福祉事務所長)
健康推進部長 佐 藤 壽志子
子育て支援部長 田 中 健 二
(保健所長)
都市整備部長 照 井 美奈子
街づくり推進部長 清 水 俊 哉
環境清掃部長 堀 内 雅 浩
会計管理者 千 葉 富美子
教育長 関 根 義 孝 教育次長 樫 本 達 司
選挙管理委員会事務局長 落 合 勝
代表監査委員 秋 丸 俊 彦
監査事務局長 小野塚 知 子
5
区議会事務局
局長 松 下 健 治 次長 関 田 まいこ
議事・調査係長 藤 田 尚 子 議事・調査係長 中 野 陽 子
議事・調査係長 小 川 友 理 議事・調査係長 米 村 かおり
議事・調査係長 佐 藤 康 典
第2回目黒区
議会定例会議事日程 第1号
令和6年6月17日 午後1時開議
日程第1 会期の決定
日程第2 一般質問
〇午後1時開会
○おのせ康裕議長 ただいまから令和6年第2回目黒区
議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
◎
会議録署名議員の指名
○おのせ康裕議長 まず、
会議録署名議員を定めます。
本件は、会議規則第117条の規定に基づき、御指名申し上げます。
9番 山 本 ひろこ 議員
33番 佐 藤 昇 議員
よろしくお願いを申し上げます。
◎諸般の報告
○おのせ康裕議長 次に、諸般の報告を申し上げます。
区長から、目黒区債権の管理に関する条例第6条第1項の規定に基づき放棄した債権について報告がありました。
次に、令和5年度の目黒区
繰越明許費繰越計算書並びに目黒区
土地開発公社、
社会福祉法人目黒区
社会福祉事業団、
公益財団法人目黒区
国際交流協会の令和6年度事業計画及び令和5年度決算に関する書類の提出がありました。
次に、監査委員から、令和6年4月分の
例月出納検査の結果について報告がありました。
以上の報告につきましては、いずれも文書を配付いたしました。
以上で報告を終わります。
これより日程に入ります。
日程第1、会期の決定を議題といたします。
――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎会期の決定
○おのせ康裕議長 お諮りいたします。
今期定例会の会期は、6月17日から6月28日までの12日間といたしたいと思います。
これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○おのせ康裕議長 御異議なしと認めます。
よって、会期は12日間と決定いたしました。
次に、日程第2、一般質問を行います。
――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎一般質問
○おのせ康裕議長 区政一般について質問通告がありましたので、順次これを許します。
20番
鈴木まさし議員。
〔
鈴木まさし議員登壇〕
○20番(
鈴木まさし議員) 私は
自由民主党目黒区議団・区民の会の一員として、質問通告に基づき、区政一般に対する質問を行います。
本年、4月21日に執行された
目黒区長選挙は、現職の青木英二氏が6回目の当選となりました。これから3年間で、スピード感と変革の意識を持って、さらにアップグレードした
目黒づくりにベストを尽くしていくと語っています。
そこで、大きく4点質問します。
第1点目、人口動向を踏まえた区政運営について。
青木区長は、5期20年の区政を振り返り、
リーマンショック、
東日本大震災、
新型コロナウイルス感染症の流行等、様々な困難に直面するたびに、区民の声と笑顔を原動力とし、困難を乗り越えてきたと御自身の
ウェブサイト等で語っています。
様々な困難を乗り切るための共通の課題が、持続可能な財政運営でした。優れた政策や人材がいても、財政が破綻すれば、全ての困難は乗り切れません。これまで、区長が乗り越えてきた困難は、突発的な事象に対する緊急対応でした。これから迎えようとしている困難は、
少子高齢化、
生産年齢人口減少という社会現象への対策になります。
区では、本年2月に、令和47年までの人口と世帯数の予測を行いました。さらに、将来の人口動向や、そのほかの要因を踏まえて、目黒区
中期経営指針を策定しました。この指針において、区の経営は、
人口減少等の社会変化が加速し、財政状況は不確実性の高い状態が続くとの危機感から、
財政シミュレーションを行い、EBPMを活用した
ビルド・アンド・スクラップで歳出を抑制することとしました。
そこで、1問伺います。
青木区長は、4月の区長選挙で、3年で辞職、区議選と区長選挙を同じ時期とし、退職金も全額カットすることで、1億円の削減を公約しています。また、持続可能な財政運営の実現に向けて、事業の
ビルド・アンド・スクラップも含めた歳出の抑制は示していますが、歳入の確保については、具体的な対策を示していません。
特に、税収の確保は重要であり、
生産年齢人口や年少人口の減少は、税収にも大きく影響するため、目黒区に定住したくなる対策、新たに目黒区に転入したくなる対策について、どのように取り組んでいくのか、方針を伺います。
第2点目、目黒区のDX推進について。
民間企業のDX、デジタルトランスフォーメーションが急速に進む中、令和3年9月に
デジタル庁が発足し、これを契機に
自治体DXの推進が活発化しました。
当初、
自治体DXは、地方自治体が
情報通信技術を活用して、
行政サービスの提供方法や
業務プロセスを変革し、住民の利便性や満足度を向上させるための取組でした。現在は、業務の効率化による
行政コスト削減、住民との
コミュニケーションツールとして活用、新たな
行政サービスの開発等、様々な目的で取り組まれています。
目黒区は、全国でもいち早く
新型コロナワクチン接種の
LINE予約を導入する等の取組により、
区公式LINE登録者数が18万人余りと、23区でトップ、世帯普及率100%超えになっています。一方で、
デジタル庁によると、令和5年4月1日時点で行政手続の
オンライン化の状況が、目黒区は達成率4%、23区の中で22番目と大きく後れを取っています。
そこで、1問伺います。
青木区長は、4月の区長選挙で、行かない、書かない、待たない、迷わない窓口の実現、いわゆる行政手続の
オンライン化の実現を公約しています。
オンライン化の過程では、
オンラインで受け付けた書類と窓口で受け付けた書類の、並行した対応が必要であり、人員配置を強化していかなければ実現が困難ですが、どのように進めていくのか伺います。
第3点目、目黒区の
自然災害対策について。
現在、我が国は
地震活動期に入っていると想定されており、元旦の
能登半島地震をはじめとして、各地で地震が頻繁に発生しています。目黒区でも、今、大地震が発生してもおかしくありません。
また、
地球温暖化の影響で、豪雨災害が激甚化、頻発化し、国土交通省が令和5年12月に発表した、令和4年の
水害被害総額は、6,000億円余りに上っています。目黒区では、令和元年10月12日に上陸した台風19号において、区政史上初めて避難勧告が発令され、東山中学校、菅刈小学校、大鳥中学校が
地域避難所として開設されました。
区では、これを契機に、防災体制の見直しと強化に着手し、
自然災害情報を確実かつ迅速に区民に発信するため、SNS等を活用した防災情報一斉
配信システムの導入、
災害対策本部の組織体制を機能別に対応するため、
インシデント・コマンド・
システム型組織体制の構築に取り組んできました。
そこで、1問伺います。
青木区長は、4月の区長選挙で、防災対策について、SNSやドローンを活用した迅速な災害対応を公約しています。区長を目指した動機も、目黒をもっと安全で安心して生活できるまちにしたいためと語っています。
能登半島地震では、長期間の断水で、飲料水とトイレの衛生用品が不足、新耐震基準の建築物が倒壊、道路機能の大幅な低下、
建築資材高騰と人手不足による
仮設住宅建設の遅れが、特徴的な課題として浮き彫りになりました。今後、
能登半島地震の状況、
都市型災害の特徴等を踏まえて、
自然災害対策はどの点を強化していくのか伺います。
第4点目、目黒区の
こどもまんなか社会について。
厚生労働省は、令和5年の我が国の出生数が、72万7,277人であったと公表しました。前の年から4万3,482人減少で過去最少となり、少子化に歯止めがかかりません。政府は、子ども施策の推進が少子化の改善にも寄与するものとし、令和5年4月に
こども基本法を施行しました。子どもの意見を聞き、子どもの視点に立った政策の推進で、
こどもまんなか社会の実現を目指しています。
本年、5月31日には、
こどもまんなか実行計画2024を決定し、
少子化対策では、児童手当の拡充等を盛り込んだ、総額3兆6,000億円で実施する
加速化プランを策定しました。
目黒区では、令和6年2月1日に、
公益社団法人日本青年会議所が取り組んでいる運動、
ベビーファースト宣言の趣旨に賛同し、目黒区の活動宣言を行い、4つの
アクションプランと主な取組を通じて、子
育ち子育て支援を推進していくこととしました。特に、子どもの意見を取り入れ、子どもの自主性が尊重される取組は、子ども条例を早くから制定した目黒区として重要になります。
そこで、1問伺います。
青木区長は、4月の区長選挙で、
子育て支援について、子どもが元気に遊べる公園の整備を公約していますが、
ベビーファーストを力強く宣言した区としては物足りません。
次年度から、新たな
子ども総合計画に基づく取組もスタートする中で、目黒区が子育て世代にとって魅力的なまちとなるよう、子どもの意見も聞きながらどのように取り組んでいくのか伺います。
以上、私の壇上での質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 鈴木まさし議員の4点にわたる御質問に順次お答えを申し上げます。
まず、第1点目、人口動向を踏まえ、目黒区に定住したくなる対策、新たに目黒区に転入したくなる対策を、どのように取り組んでいくのかについてでございますが、初めに、現在の日本全体の人口に目を向けますと、50代前半の
団塊ジュニアが、
人口ピラミッドの頂点となっており、来年には全員が75歳以上の
後期高齢者となる団塊の世代が、もう一つの頂点をつくっております。
生産年齢人口と言われる15歳から64歳までの人口は、1995年をピークに減少を続けており、
人口ピラミッドを見れば、今後も
生産年齢人口が大きく減っていくことは明らかとなっております。
当区については、現時点では、40代、次いで30代の人口が一番多くなっており、全国的な年齢構成とは異なっております。しかしながら、今年、区で行いました人口推計によれば、今後数年で、50代の人口比率が、30代、40代を抜いてトップになり、その後次第に60代の比率が高まり、人口の
ボリュームゾーンが、30代、40代から50代、60代にシフトしていく予測となっております。
目黒区の人口だけを見れば、すぐに極端な
生産年齢人口の減少が起きる予測とはなっておりませんが、日本全体の人口動態を見ると、
生産年齢人口の減少により、労働力の不足、国内需要の減少による経済規模の縮小など、様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念されるところでございます。このような事象の影響は、当然目黒区民へも大きく波及してまいりますので、人口動態を踏まえた区政運営を行うことは、大変重要な課題と認識しているところでございます。
当区が令和3年に策定いたしました基本構想では、20年後のまちの将来像を、「さくら咲き 心地よいまち ずっとめぐろ」と定めたところでございます。便利で治安がよく落ち着きのある住宅地と、にぎわいのある商業地とが共存する暮らしやすいまちであり、その住環境を維持し、社会や環境が目まぐるしく変化する中にあっても、いつまでも心地よいと感じることができるまちを目指すことを表明しております。
このように、まちの魅力を高め、誰にとっても暮らしやすいまちであり続け、多くの方々から選ばれるための努力を続けていかなければならないという認識を、私は強く持っております。幸いなことに、現時点では多くの方々から、目黒区が住みたいまち、住み続けたいまちとして認知されていることが、目黒区世論調査などの調査結果で確認できるところとなっております。
当区では、50代の転入が増加している傾向がございます。さらに、定住意向のある若年層の増加も期待するところでございますが、実際に住み続けるところまで考えますと、23区内の
新築マンションの価格高騰が続いていることなどにより、物件購入のハードルは上がっている状況もございます。
いずれにいたしましても、人口動態は財政に大きな影響を与える要素でございます。
生産年齢人口を今後も維持できるよう、当区を居住地として選択する際の動機の一つとなるような、特色ある施策を展開していくことも重要となります。昨年度から導入いたしました、
データ分析基盤などを活用して、今後の人口動態を注意深く分析しながら、どのような施策が効果的であるか検討を続けてまいります。
次に、第2点目、公約に掲げた、窓口改革に関する行政手続の
オンライン化の進め方についてでございますが、まずはこれまでの本区の
手続オンライン化の取組経過について御説明させていただきます。
区では、令和4年4月に策定した目黒区
DXビジョンにおいて、DXの取組によって実現を目指す姿を9つ掲げまして、御質問の、行かない、書かない、待たない、迷わないの、いわゆる4ない窓口の実現に関しましては、主に目指す姿のうち、時間や場所に関係なく、いつでもどこでも区の手続や相談ができることと、窓口での手続は1か所で短時間に完了できることを達成するための取組として進めているものでございます。
4ない窓口実現の手法の一つである手続の
オンライン化を進めるに当たっては、区には非常に多くの種類の手続があるため、令和4年8月に、
オンライン化を進める基準を定め、まず国が全国的に
オンライン化を推奨する手続と、それ以外で主に区民が利用する手続のうち、申請件数の多い手続を優先的に取り組むこととし、その次に、主に事業者が利用する手続で申請件数の多い手続、その後にその他の手続というように、段階的に進めていく考え方を整理いたしました。そして、現在までこの考え方を基本として、全庁的に取組を進めているところでございます。
これまでの
手続オンライン化の実績につきましては、区民から区への申請件数の総数は、おおむね年間130万件程度である中、昨年度末時点で、約60万件程度が
オンラインで申請可能となっており、申請総数に占める
オンラインで手続可能な申請の件数は、約46%となり、区民の利便性向上という観点では、着実に進んでいるものと考えます。
一方で、議員御指摘のとおり、
デジタル庁が公開している
オンライン化の状況については、国が主にマイナンバーカードを利用して、
オンライン化を推奨する手続だけが切り出された実績となっており、この視点で見ますと、本区は23区中22番目という状況でございます。国の推奨する手続は、区民の利用件数の少ない手続もありますが、他区と比較しても遅れていることは、課題として認識をいたしております。
また、
オンライン化を進める上での課題の一つには、議員の御質問にもありましたとおり、
オンライン化実現のためには、現場の事務負担が非常に大きいということがございます。日々、
区民サービスを迅速・正確に提供しつつ、業務フローを見直していくということは、簡単なことではありませんが、昨年度実施した区の世論調査でも、DXの取組の中で、最も実現してもらいたいものは何かとの問いには、行政手続の
オンライン化がトップに上がっており、
区民ニーズが高く、さらに強化していかなければならない分野として、取組を推進していく必要があるものと捉えております。
そこで、今後の
手続オンライン化の進め方についてでございますが、申込みなどの手続の入り口部分の
オンライン化にとどまらず、
オンラインで受けたデータと窓口受付の情報とを効率的に処理できるように、デジタルを活用した内部の業務改革を合わせて実施することで、
区民サービスの向上と職員の
業務負担軽減を、同時に実現させていくことが必要であると考えております。
こうした業務改革は、当該業務に精通している各所管の職員が主体となって進めていくことが効果的であると考えますので、各業務の所管の取組を、
DX推進部門がしっかりと支援する円滑な
連携協力体制を組み、全体的なDXの推進を図っていきたいと考えております。
また、こうした取組を推進していく上では、
DX推進組織の体制強化を検討するとともに、職員のDXに関する
スキルアップを図っていくことも必要ですので、外部の専門人材を有効に活用しながら、即効性の高い実践的な
研修カリキュラムを通して、人材育成にも努めてまいりたいと考えております。
なお、今年度当初には、これまで以上に手続の
オンライン化を進めていくように、私から全庁的に指示を出しています。それに基づき、各所管では、今年度中に
オンライン化する手続を具体的に掲げる計画を策定しており、その中では、すぐに
オンライン化ができない手続については、その理由も明らかにするよう求めています。この計画を実行に移していく中では、私自身もその進捗状況を定期的にチェックするとともに、実行上の課題があれば、それを整理し、解決に導いていきたいと考えております。
次に、第3点目、今後、目黒区の
自然災害対策において、どのような点を強化していくのかについてでございますが、近年、全国各地で大型台風や集中豪雨、地震など、想定を超える大規模な自然災害が発生しており、特に地震につきましては、マグニチュード7程度の
首都直下地震が、今後30年以内に70%の確率で発生すると言われているところでございます。
区では、防災対策の基本である自助、共助、公助の考え方に基づき、様々な防災対策に着実に取り組んでおります。まず、防災対策の基盤となる自助の取組でございますが、区民の方に、自分事として災害対策を考えていただく機会を提供し、防災に対する意識向上を図ること。また、
防災関連機関との連携強化を目的として、令和5年度から、区民参加型の
総合防災訓練へと内容を刷新いたしました。
先月に行われた目黒区
総合水防訓練、めぐろ
水防フェスタにおきましては、
目黒川船入場調節池見学会や、東京消防庁のVR(
バーチャルリアリティ)
防災体験車、
土のう袋作製体験等の、実際に体験をいただくブースを多く出展をいたしまして、親子連れを中心として、昨年度実績を大きく上回る1,000人を超える区民の方に参加をいただきました。
次に、共助の取組でございますが、
避難所運営協議会未設立地区であった中目黒、上目黒住区エリアにおいて、町会・
自治会関係者等との意見交換、
設立準備会等を進めまして、
避難所運営協議会がそれぞれ令和5年度に設立されたところでございます。あわせて、コロナ禍において、訓練等がなかなか実施できなかった
防災区民組織の活動におきましても、
防災課職員がオブザーバーで実際の訓練にも参加するなど、継続的に助言、支援を行っております。
次に、公助の取組でございますが、平時の業務に存在しない
災害対策業務に、効果的で即応性の高い災害対応を実現するために、
災害対策本部の組織体制について、
インシデント・コマンド・システム型の
機能別組織体制へと移行し、本年4月1日から運用を開始しているところでございます。
御質問いただきました
自然災害対策において、どの点を強化していくのかについてでございますが、
災害対策基本法の基本理念に基づき、自助、共助、公助の防災対応を着実に進めていくこと、また過去の災害に学び、最新の防災技術や知見を取り入れて、常に防災行政をアップデートしていくことが重要であると考えております。
本年1月1日に発生いたしました
能登半島地震では、半島という地域特有の特徴がある一方で、過去の地震災害と共通する
避難所生活の環境改善や、被災状況の
情報把握等において、多くの課題も見られました。
避難所生活環境については、被災後の避難所における生活が長期化いたしますと、心身のストレスや肉体的な疲労などを原因とする、
災害関連死につながるおそれがあることから、避難所における
プライバシー確保や、
感染症対策を含む衛生環境の改善については、喫緊の課題であると改めて認識をいたしたところでございます。区では、本年度予算において、
プライバシー確保の
パーティション等を整備することとし、避難所の
生活環境改善について取組を進めており、
避難所運営に係る課題を踏まえ、資機材等の充実に努めてまいります。
また、
能登半島地震は、地形的な特徴から、
交通アクセスが限られた地域であり、道路等の交通網の寸断で、
防災関係機関などが支援に入れず、
被害状況等の情報把握や、
救援物資搬入が著しく遅れることとなったことから、ドローンによる被災地の
情報把握等の新しい防災技術の活用や方策が実施されました。災害時のドローン活用につきましては、立入り困難地域における被災状況の把握だけでなく、孤立した地域への救援物資の運搬、速やかな罹災証明の発行のための
住家被害認定調査など、様々な災害対応の場面において、活用されたところでございます。
このような状況を踏まえまして、住宅等の倒壊による道路寸断が起こる可能性が高い
都市型災害において、正確な情報把握を行い、被災地域への迅速かつ十分な支援につなげていくことも目的とした、災害時のドローン活用等について、防災対策に係る公約として掲げ、現在、技術と知見を持つ民間事業者と災害時における連携協力の締結に向けて、鋭意協議を進めております。
いずれにいたしましても、
自然災害対策につきましては、今まさに発生する可能性があり、区民の生命、財産、自由を守る最重要課題の一つであることから、基本計画の目標である、「安全で安心して暮らせるまち」目黒の実現を目指しまして、引き続き私が先頭に立ち、地域の方々とも一丸となって、総合的な地域防災力の向上に取り組んでまいります。
次に、第4点目、目黒区の
こどもまんなか社会についてでございますが、今年は児童の権利に関する条約が日本で批准されてから、ちょうど30年がたちました。目黒区では、この児童の権利に関する条約を踏まえて、子どもの権利の大切さ、子どもにとっての最善の利益を第一に考えた
子育て支援を行ってまいりました。
平成17年には、目黒区子ども条例を制定し、児童の権利に関する条例の理念に基づいて、子どもの権利が尊重され、子どもが自らの意思で生き生きと成長していく子育ちの大切さと、これを支える取組を明らかにしつつ、子どもたちが元気に過ごすことのできるまちの実現に取り組むことを、力強く宣言をいたしました。
先ほど、議員から御指摘をいただいた、子どもの意見を取り入れていくことの大切さも、児童の権利に関する条約第12条に明記されている意見表明権に基づき、目黒区子ども条例に定めており、目黒区の区政運営の根底となすべきものと考えております。区として、子どもの権利を尊重し、子どもの意見を聞きながら区政運営に反映していくということについて、児童の権利に関する条約の批准から30年を迎えたこの機を捉え、
ベビーファースト宣言の表明に当たり、改めて区の姿勢をお示しし、区民の皆様への周知、啓発を図るとともに、次期
子ども総合計画における新たな子
育ち子育て支援施策のスタートに向けた意識の醸成に努めているところでございます。
そうした中での、私のこれからの3年間における子ども施策の方向性でございますが、国・都におきます
少子化対策を含む、各種子ども・
子育て支援の取組と効果的に連動させながら、基礎自治体としての子ども施策を展開してまいりたいと考えております。
国においては、昨年12月に閣議決定されたこども大綱、そして本年5月に決定されたこども大綱を踏まえた具体的な実行計画である、
こどもまんなか実行計画2024では、
少子化対策、若者支援、子どもの貧困に関することに対する具体的な取組が示されております。また、都においても、チルドレンファーストの実現に向けて、018サポートの継続をはじめ、様々な取組が示されています。区においても、私が公約として掲げた取組はもちろんのこと、昨年8月にお示しをした、めぐろ子ども子育てサポート2023における取組を継続して進めてまいります。
また、妊娠期から若者期まで切れ目のない支援体制の構築に向けて、令和7年度には、児童福祉と母子保健事業の連携による、こども家庭センターと児童虐待への連携強化のための東京都児童相談所サテライトオフィスを、鷹番保育園跡地に開設いたします。加えて、区立第二上目黒保育園の閉園に伴い、目黒土木事務所跡地に新たに開園する保育園には、児童発達支援の機能が加わるなど、時代に即した
子育て支援への取組が求められているところでございます。
こうした取組に対して、全ての子ども、そして子育て家庭が利用し、地域の方々と共に、安心して子どもを産み育てられる環境を整えていくことが、目黒のまちの魅力を一層高め、活力にあふれた、いつまでも心地よいまち目黒になると考えております。そのためには、様々な機会を通じて、子どもたちをはじめとして、できるだけ多くの方々の意見を伺いながら、子
育ち子育て支援施策に反映していく努力をしていかなければなりません。
新たな
子ども総合計画策定に向けて、昨年10月に実施した調査では、子どもを持つ保護者6,000人を対象として調査を行ったほか、子どもに対しては、従来からの対象人数を大幅に拡大して調査を行いました。加えて、今年度は、児童館において、子どもの意見を聞く機会を設けたり、区内の高等学校に御協力をいただいて、ヤングケアラーに関する意見交換、10代、20代の若者の意見を聞く機会を設けるなど、子どもたちの意見の反映に努めているところでございます。
区では、現在、令和7年度以降の若者応援プロジェクトの具体化に向けて、全庁的な視点での組織の再編に取り組んでいます。そうした新たな施策を進めていく上でも、次代を担う子どもたちの意見を継続的に聞く機会を設けて、政策に反映していくことは、次代を担う子どもたちの区政に関する関心を高め、まち全体の活性化に寄与するものと考えております。
いずれにいたしましても、議員御指摘にございますように、目黒区が、今後も子育て世代にとって、魅力的なまちとなるよう、多くの子どもたちの意見を聞きながら、目黒らしい区政運営を進めていくよう詰めてまいりたいと存じます。
以上、お答えとさせていただきます。
○20番(
鈴木まさし議員) それでは、順次、再質問をしていきます。
まず、人口動向を踏まえた区政運営についてですけども、せっかく区として人口と世帯数の予測というものをつくってきているわけですから、これをやっぱりいろいろと有効活用していってほしいと思います。
特に、人口対策の部分でいくと、やっぱり税収確保という面も踏まえながら、いろいろな対策をしていってほしいんですけども、先ほどの答弁の中でも、一つは定住の推進、それからもう一つ、新たに転入の推進と2つあるわけですが、定住に関しては、若い世代に限らず、本当に老若男女全ての世代の人たちが、目黒区にずっと住み続けたいと、そう思っていただきたいし、今もそう思っている人が多いかと思います。
そういう人たちが、ずっと目黒に住み続けていて、新たに若い世代も含めて転入を促進していくということになると、必要になってくるのが、住むところということになります、住居。住むところがそもそもなければ、転入を促進しても、入ってきても住むところがないということになるので、当然住居の確保も必要になってくるということになっていきます。
目黒区は、当然面積も狭いし、土地も少ないという、そういう地形の特性があって、なおかつもう一つ、目黒区のところでいくと、家賃が非常に高い。先ほど、ちょっと御答弁の中にも触れてる部分がありましたけども、賃料が高いと。なかなか若い世代には厳しい状況で、多分50代に人口の今ピークがあるというのは、ある程度一定の家賃が払える人たちが、やっぱり目黒区に来ているのかなというところも把握できるかなと思います。
そういう中で、じゃ、どうしていくのかということで、住居の数を増やしていくということであれば、そして賃料の部分も含めて戸建てというのはやはり高いので、考えていくとなると、やはり集合住宅というのは、一つ考えなきゃいけなくなっていくわけですね。その場合、一定の高さという部分も考えなきゃいけないし、それからコロナ禍になったときに、テレワークになって空間確保が必要だということで、今その見直しもやっているということになります。
あと、都市部で最近よくちょっと耳にする、注目されてるのが、完全分離型2世帯住宅というのが最近都市では増えてきていて、一戸建てであったり集合住宅なんかにもあるんですけども、2世帯が住んでいくという、一つの住宅の中に2世帯が住んでいくと。これが、今、都市の中では、少しずつ増えてきています。こういった、完全分離型の場合には、やはりただ間取りも必要になってくるので、空間の確保というのが必要になってくるということになります。
結局、何が言いたいかというと、人口対策をしていく、
生産年齢人口も含めて転入促進もしていく上で、住居をしっかり確保していかなきゃいけないという部分を考えると、やはり一部の地域、全てということを言ってるわけじゃないです、目黒区全域と言ってるわけじゃなくて、一部の適した地域では、高さ制限を緩和したり、あるいは容積率を見直すといった、住居が増えていく環境づくりというのも、考えていく必要があると思いますので、そこをお伺いしておきます。
続いて、DX、
自治体DXの部分で、行政手続の
オンライン化が遅れているという話をしました。その遅れている中身については、御答弁の中でいただきましたので、分かりましたけども、一般的にDXが進んでいない自治体に、やっぱり共通した課題があります。それは何かというと、一つが職員の理解不足。もうちょっと具体的に言うと、行政の手続のデジタル化というのは、いわゆる専門的な担当部署がやるもんだという意識が非常に高い。目黒でいえば、情報政策推進部になるかと思います。ここがやることであって、それ以外の部署に関しては、あまり自分たちが先頭に立ってやるものではないという、ちょっと意識が低い部分というのがあるかと思います。これが、実はDXを遅らせる共通の課題の理由の一つにもなっています。
一方で、例えば、そうじゃなくて意識が高い職員もいる。そういった意識の高い職員がどうなってるかというと、結局意識は高いけども、日々のやっぱり業務に追われていて、どうしても、そこのデジタル化というところをやっている場合じゃないということで、手がつかない。これが、非常に共通してる部分なんですね。
ただ、そこで意識を高めていくために、いろいろと全庁的にやっていただきたいんですけども、結果的には、先ほどの質問でも、デジタル化のときにはデジタルとアナログが同時進行しますので、手続も。同時進行するということは、一定の負荷はどうしてもかかります。どうしても、作業量が一旦重くなってきますが、そこをやっていかなきゃデジタル化は進まなくて、そこをやることで、最終的には業務が効率化して、業務の負担が軽減されるということになっていきますから、向かう目的というのをしっかりと明確化して、皆さんの仕事がすごく軽減されるんですよという目的意識を、しっかりともう一回意識づけして、だから一旦負荷は上がるけどやりましょうという、全庁的な意識を上げていただきたい。
その先に、次に出てくるのが、先進自治体なんかで今やっている、新たなサービスの登場という部分になってきます。例えば、具体的に言うと、神奈川県の例えば藤沢市だと、ドローンを活用して海岸のパトロールを今やっています。これは、防災部門がやることです、防災部門の取組。鳥取県では、ウェアラブル端末を利用した生活習慣改善指導というのをやっています。これは健康福祉部門がやっています、健康福祉部門。それから、不登校に関して、これ埼玉県ですけども、不登校の児童・生徒に向けて、3Dの教育メタバース環境、これを提供しています。これは教育部門がやっているということで、それぞれの部門が、このデジタルというものを活用して、新たなサービスを展開していくということをやっています。
なので、結果としては、
行政サービスのデジタル化も全ての部門に関わってくる、新たなサービスの開発も全ての部門に関わってくる。要するに、全庁的で、各所管課の職員の意識が上がっていないと実現していかないという観点から、いま一度、もう一度、しっかりと意識の向上に向けて区長から発信していただきたいと思いますので、質問をしておきます。
続いて、自然災害、ドローンの答弁もありました。私のほうからは、自然災害のところで1点、自治体間の受援・支援体制についてというところを再質問しておきます。
国のほうが、平成30年に応急対策職員派遣制度、いわゆる、みんな対口支援、対口支援と言ってますけども、こちらのほうを制度化しました。今、自然災害が起きると、この対口支援というのを使って、いわゆる被災した市区町村に対して、1対1の関係で自治体が割り当てられて、そちらに対して支援をしていく、支援・受援をしていくというものですけども、これは基本的に人的な支援です。人的な支援をする制度です。
能登半島の地震のときもそうでしたけども、今、目黒区は、金沢市とか輪島市に職員を派遣している、これ対口支援をしているということなんですが、一方で、もう一つ物資の受援・支援というのがあります。ここの物資の部分をどうしていくかということも、今回の能登の地震を見ていても明らかであって、特に都市部の地震の場合には、家屋の倒壊とかで道路が寸断されますから、そうすると輸送網が非常に麻痺して、物資もなかなか円滑に入ってこない。そうすると、近隣の自治体で一回備蓄して、そこから順次入れていくということになってきます。これ能登でも、目黒はたしか金沢市にまず一旦飲料水や携帯トイレを送って、金沢市から、順次、今度被災地に、輪島市とかに行っています。
そういった観点からも含めて、やっぱり近隣自治体と物資に関する協定というのが必要かと思います。目黒は今、その辺がまだまだ薄い。物資に関する防災協定といっても、当然交流実績もなければいけませんけども、交流実績がある自治体も近隣にはありますから、こういった対口支援とは別で、しっかりと物資に関する防災協定、近隣自治体と、ということを検討していただきたいと思いますので、伺っておきます。
子育てのところの再質問です。
子育て支援、大きく
子育て支援、1つ大きく、2つに分けると、子どもに向けた支援と、保護者に向けた支援、この2つがあって、これを両立させていって大きく
子育て支援になるということです。
まず子どもに向けた支援という部分で、先ほどから、子どもの声を聞く、子どもの意見を聞くということを、何度も何度も繰り返し、質問もし、御答弁もいただいているんですけども、じゃ、その子どもの声を実際に聞いていくに当たって、最初に何をしていったらいいのかというところに、これから入っていくことになるわけですけども、やはり最初にすべきことというのは、子どもが安心して声を上げられる環境づくり、これをまずつくっていかなければ、子どもは声を上げられません。
要するに、子どもが声を上げられる、そういう機会を設けたり、施設を設けても、安心して声を上げられなければ、声は上がってきません。じゃ、安心して声を上げられるって何かってなったときに、それは一つは、声を上げても批判されたり、あるいは、例えば仕返しされたりしないという、守ってもらえる、そういう環境がしっかりできているかどうかというのが一つ。
それからもう一つは、聞くだけで終わりであれば、声は上がってきません。聞いた後に、それについてどうしていったらいいのか、課題であれば、どうして解決していったらいいのかというその取組も、しっかりと伴走して意見交換をしていく。要するに、自分が声を上げれば、それが反映されていくんだなって思われる、そういう仕組みをつくっていくということ、この2つがしっかりとできていないと、なかなか子どもたちの声は機会を設けても上がってきません。
声を上げやすい、そういう環境をつくっている成功事例は幾つもありますけども、例えばSNSを活用すれば、匿名性を高めて意見を聞くことができるので、声が比較的多く上がってきたり、あるいは学校とか家庭じゃない場所、よく全国的に今多いのは児童館ですけども、目黒もやってるわけですけど、児童館とかそういったところで声を聞く。こういったことというのは、どんどんやっていってほしいんですけども、やはり今言ったとおり、安心して声を上げやすい環境づくりが必要になってきますので、まずはそういった拠点づくりをしていっていただきたいと思います。そこを一つ聞いておきます。
それからもう一つは、保護者に向けた支援ということで、今、
子育て支援と一般的に言ってますけども、最近よくもう一つの言葉で耳にするのが、共働き
子育て支援という言葉です。共働き
子育て支援という言い方で政策を打っている自治体があって、ある新聞社が毎年調査している、共働き子育てしやすい街ランキングというのがあって、こちらの前回の調査の第1位が、千葉県の松戸市。この松戸市というのは、今回だけに限らず、もう常に常連で上に上がってくるんです。
一体、松戸市の何の取組が評価が高いかというと、子どもの一時預かり支援、ここが充実しています。子どもの一時預かりの充実、どこが充実しているかって、休日の一時預かり支援が非常に充実している。もう一つは、まつどDE子育てLINE、要するにプッシュ型の情報発信を、妊娠期から子育て期まで切れ目なくプッシュ型の情報発信をしています。
やはり、
子育て支援に魅力を感じる自治体というと、必ず最近出てくるのは、子どもの休日の一時預かりがあるかとか、プッシュ型の情報発信があるかということで、ぜひ目黒区も、特に共働き世帯が多いので、休日の一時保育施設は充実化をしていっていただきたいと思います。ぜひ、魅力をそこに感じていただけるので、こういったことも検討をしていただきたいと思います。
以上、再質問です。
○
青木英二区長 それでは、順次私からお答えを申し上げたいと思います。
まず、1点目についてですけれども、高さ、それから容積の問題です。家賃のお話も出ています。私ども、例えばファミリー世帯では、現在毎月2万円、3年間、18歳未満のお子さんのいる方には家賃の支援などを行っていて、約8,000万円以上の計上も行っています。
こういったソフトに加えて、ハードの部分でいう高さ制限、容積率についてですが、平成16年度までは、高さ、容積、これは用途によって定められていますから、平成16年度ぐらいが一斉の見直しの最後だった、私が区長になった直後だったと思います。それ以後は、一斉に行われておりませんで、御覧のとおり、地区計画等を定めながら、適切な容積率、建蔽率を、今、変更等も行ってきています。
容積率については、御案内のとおり、これは東京都の都市計画決定になりますので、容積率が全て使い切っていられるような状況がない、そういったことが散見されていますから、そういった点については、区長として、しっかりと東京都のほうに機会を見て申し上げていきたいと思います。
高さについては、目黒区としての都市計画決定ということになっています。先ほど、環境のオフィスのお話なども出ていました。だんだんOA機器などが出てきて、このオフィスの床の問題などが、先ほど快適性というお話がありましたので、そういった快適性なども求めるということで、私ども昨年度改定した都市計画マスタープランでは、私は、目黒区の高さの考え方を見直しをしていく、そういったことをお示しをしてございます。いよいよ来月から、私どもの考え方、今の現状の土地建物の状況などを、区民の皆さんにお示しをし、様々な御意見を伺ってまいります。そういった中で、今後目黒区としての高さがどうあるべきか、そういったことをきちんとお示しをしてまいりたいというふうに思います。
こういった容積率、それから高さ、こういったものを変更しながら、老若男女というお話がありましたが、文字どおりそういった方々が、目黒区を選び、住み続けていただくためのまちづくりに資する取組を進めていきたいというふうに思います。
それから、DXに対する職員の意識向上ですが、今大きく2つ申し上げたいと思います。
一つは、私のほうから、昨年度の3月4日の政策執行会議で、
DXビジョンを着実に進めていくために、それぞれ実行プランをきちんと所管で策定をする。そしてもう一つは、モニタリングといって、ただつくるだけではなくて、それを定期的に進捗状況を、私どもで言うとDX戦略課になるんですが、DX戦略課がそれの把握をしっかりして、それを区長に報告をしていくというモニタリング方式を取りながら、今言ったように、もう限られた区長としての年数ですので、スピードを上げてDXをしっかりと進めていきたい、そういったことを、全庁的に今指示をいたしているところでございます。
それから、3点目、支援・受援についてですが、今回私ども、御案内のとおり能登半島で大きな地震が起きたときに、友好都市、これは、金沢市は私ども友好都市ではありますが、防災協定は結んではおりませんが、私から市長には、とにかく何かあったら支援をさせてもらいますというお話をして、1月6日以降、4回にわたって物資を金沢市にお届けをしたのは、御案内のとおりでございます。
私ども、近隣幾つかの自治体、具体的に申し上げると、区民まつり等にもお見えになっている、そういった自治体と、必ずしも協定を結んでいなくても、日常の状況を顔の見える関係の中で、一つは、私どもで言えば、私のほうからSOSを出す、それから逆に言えば、日頃のお付き合いの中で、他の自治体から、ああそうだと区長の顔を思い浮かべていただいて、私のところにSOSの電話、どうなんだという、私が村山卓金沢市長に電話したのと同じように、また首長さんから電話をいただく。そういった人間関係、交流関係を常につくっていくということが、極めて大事ですので、今後、様々な形で近隣自治体とも交流をして、そういったことができる首長同士の関係をしっかりとこれからもつくっていきたいというふうに思っております。それは、いつ何どき起きるか分かりませんので、できるだけ早く、そういった関係をつくっていきたいというふうに思っているところでございます。
それから4点目、大きく2ついただきました。
一つは、お子さんたちの意見表明の様々な機会ということで、私どもも子ども条例の中でも、発言したことによって、表明したことによって、いろいろな大きなトラブルにならないように守るということをしっかりと踏まえながら、例えば児童館で意見を聞いていく、そういったことも、しっかりとこれからやっていくということを進めてまいります。
あらゆる機会で、それから10代、20代の皆さんの意見も、例えば
オンラインを通じて聞いていくとか、様々な仕組みを使いながら、しっかりとしたお声を聞いていく取組をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
それから、休日保育ですが、今、なかなか保育園そのものが、保育士さんの定員の確保というのも難しいので、私も松戸市のこの話はテレビも見ておりましたけれども、即目黒区でできるかどうか、これは十分検討してみていきたいと思いますが、例えば、私どもベビーシッターの取組、これは24時間365日されています。そういったものに対する支援の助成を、私どもしております。さらに、昨年8月につくりましためぐろ子ども子育てサポート2023の中では、このベビーシッターの利用年齢を、就学前から今3年生まで広げています。こういった形で、いつでもどこでも、そういう館に行かなくても、自らのお子さんの一時保育に準ずる形で、お預けをすることができる仕組みは設けてございます。
いずれにしても、こういった状況を見ながら、館としての一時保育はどうあるべきかというのは、しっかりと検討していきたいというふうに思います。
以上でございます。
○おのせ康裕議長
鈴木まさし議員の一般質問を終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
〇午後2時02分休憩
〇午後2時15分開議
○おのせ康裕議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、15番山村まい議員。
〔山村まい議員登壇〕
○15番(山村まい議員) 私、山村まいは、めぐろの未来をつくる会の一員として、事前の質問通告に基づき、7点の質問をいたします。
本年4月は、4年に一度の
目黒区長選挙がございました。実力派ぞろいの選挙であったと思いますが、有効投票数8万1,042票のうち、青木区長は、2万5,439票もの目黒区民からの信託を受けて当選されました。
質問の1点目から5点目は、
目黒区長選挙において青木区長が掲げられていた実績や公約、今後の区政について、6点目は財政計画・実施計画の見直しについて、7点目はさんまバスについて伺います。
まずは1点目、過去の実績として掲げられていた無電柱化の進捗について。
青木区長のウェブサイトにおいて、平成16年4月~平成20年4月に達成した実績として、電柱地中化整備計画路線37キロメートルのうち、4,639メートルを整備、達成率12.5%と記載があります。
この無電柱化の推進について、目黒区基本計画を見ますと、令和3年度末の達成率は12.5%、令和13年度末までの目標達成率は16.5%となっており、平成20年4月から令和3年3月まで無電柱化の達成率には変化がありません。十数年の間、無電柱化事業がストップしていたと思われますが、その理由、また、目黒区基本計画にて再び目標に掲げられた経緯について伺います。
続きまして、2点目、直近の実績として掲げられていたDX推進の進捗について。
令和2年4月~令和6年4月に達成した実績として、DXの推進と記載があります。DXの推進のうち、行政
手続オンライン化については、国が統一的に進める地方公共団体情報システム標準化のスケジュールとの調整もあり、具体的に進めることが難しい面もあったと認識しているところです。そのような状況の中、DXの推進について具体的に達成されたとする内容を伺います。
続きまして、3点目、公約で掲げられていた犬、猫の生命に関わる傷病の治療費助成について。
ペットを飼っている方にとって、ペットは家族であり、その存在は癒やしであるとともに生きる喜びにもなっています。個人の幸福度向上には大いに役立つ一方で、ペットを飼っていない方に恩恵はなく、ペットへの投資は、子ども、高齢者、インフラへの投資とは異なり、公共性に乏しい面もあります。
そこで、犬、猫の生命に関わる傷病の治療費助成について、ペットを飼育していない区民理解をどのように考えているのか。金額や要件など、具体的な内容は既に検討されているのか伺います。
次に、4点目、公約で掲げられていたプレーパークについて。
プレーパークは、これまで我が会派の議員からも長らく要望していたものであり、実現されるのであれば大変うれしく思います。ただ、これまでの質疑において、プレーパークの常設は難しいといった答弁がなされておりましたが、どのように実現される予定なのか伺います。
続きまして、5点目、目黒区民が区政に求めるものについて。
今回の選挙を通じて、目黒区民が区政に求めるものについてどのように感じられたのか、また、それを受けて、在任期間、どのように職務を果たそうと思われるか伺います。
続きまして、6点目、財政計画・実施計画の見直しについて。
目黒区では、令和3年3月に目黒区基本構想として区政運営の指針を定め、令和4年3月には、令和4年度から令和13年度までの10か年の総合計画である目黒区基本計画を策定するとともに、基本計画に定める政策を具体化する5年以下の行財政計画である実施計画・財政計画を策定しています。実施計画・財政計画は3年ごとに見直しを図るとしており、今は令和7年度~令和11年度版を作成するとともに、財政運営上のルールについても見直しを進めているところと認識しております。
そこで、課題認識の共有を兼ねて質問いたします。
現在、財政運営上のルールとして、学校施設整備基金、施設整備基金には決算剰余金の10分の1以上の金額を積み立てるとしています。その結果、令和5年度末で学校施設整備基金は243億円、施設整備基金は237億円見込みとなっており、一定の成果を上げております。
しかしながら、これから20年、30年の間、小・中学校の建て替えに1,700億円、その他の区有施設を合わせると2,000億円程度かかりますので、今の積立てスピードでは全然足りない、危機的な状況だと捉えています。
大企業の賃上げの勢いもあり、直近は区税収入も高い水準になるだろうと予想しますが、では、20年後はどうなるか。生まれてくる子どもの数が減っているので、労働人口は減り、区税収入も大幅に減る可能性があります。区有施設更新コストを将来に回さないためにも、今後見込まれるコストに合わせて予算を先取りするといった方法が求められるかと思いますが、今回の財政運営上ルールの見直し方針について伺います。
続きまして、7点目、さんまバスについて。
目黒区では、移動に関する地域の困り事を解決するための取組に対する支援を目的として、令和2年6月に地域交通の支援方針を策定しました。その後、区内5地区で説明会やアンケートを実施し、令和3年3月に北部地区、東部地区、西部地区の地域交通運行ルートのイメージを公開しています。そして、令和6年3月26日より、東部地区において、区内初となる地域交通バス、さんまバスの実証運行を開始しました。
目黒カラーである紫色をベースに、サンマ柄の模様を車体にラッピングしたさんまバス、見かけたお子さんからは、「あ、さんまバスだ」とうれしそうな声が上がります。住んでいる人が目黒区に愛着を持つきっかけになることも期待できますので、目黒区のシンボルとして定着してほしいと願っているところであります。
一方で、地域交通バスを本格運行するに当たっては費用対効果の観点も求められ、区としても、実証運行を経て本格運行への移行及び廃止を含めた見直しを行うとウェブサイトに記載しています。
まずは、車両購入費、運行経費について。運賃をシルバーパス、定期は対象外として230円とした理由について。また、本格運行への移行、あるいは廃止とする判断基準について伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 山村議員の7点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、無電柱化事業がストップしていた理由と、目黒区基本計画にて再び目標に掲げられた経緯についてでございますが、国は無電柱化の推進方策の在り方について幅広く検討するため、平成29年1月から無電柱化推進のあり方検討委員会を設置し、無電柱化の推進に関する取組を実施し、進めております。
また、東京都は本年1月に発生した
能登半島地震の状況を踏まえ、5月に都・区市町村無電柱化検討会議を設置し、都市防災機能向上に向けて、都道及び区市町村道を含めた面的な無電柱化の計画的かつ円滑な推進を図ることとしております。
本区では、区道の無電柱化を総合的、計画的に推進するため、目黒区無電柱化推進計画を令和2年8月に策定いたしました。本計画では、防災、安全、景観に関する上位計画を踏まえた路線の重要性、道路幅員による事業難易度を踏まえた施工性、国道や都道、避難所等と連絡する路線の事業優先度の3つの指標から、区内の約37キロメートルを整備計画路線として選定し、現在、東邦大学病院前、都立駒場高等学校前及び目黒銀座商店街において、無電柱化事業に取り組んでおります。
議員お尋ねの無電柱化事業が十数年の間ストップしていた理由でございますが、平成22年度から26年度までの実施計画では、都立大学駅前と洗足駅前の路線を予定しておりましたが、平成23年度に定めた財政健全化に向けたアクションプログラムに基づき事務事業の見直しを行い、洗足駅前路線については先送り、都立大学駅前路線については事業の継続を判断して、平成26年度に無電柱化が完了しております。平成27年度からは東邦大学病院前に着手していることから、事業規模は縮小しながらも、継続して無電柱化事業に取り組んできたところでございます。
また、令和4年3月に策定した目黒区基本計画に再び目標に掲げた経緯でございますが、近年、電柱が倒壊し、大規模停電が発生する大規模地震や風水害が多発している中、都市防災機能を向上し、区民が安全で安心して暮らせるまちを実現するため、計画目標値を定めた上で、計画的に無電柱化事業を着実に推進する考え方を区としてお示しをしたものです。
いずれにいたしましても、無電柱化事業につきましては国や都の動向を踏まえ、現在、改定作業中の実施計画にも継続して位置づける方向で検討し、都市防災機能の向上を目指して計画的な事業の推進に努めているところでございます。
次に、第2点目、公約に掲げたDX推進の達成状況についてでございますが、達成した内容とともに、継続して進行中のものも含めて、大きく4つの視点で整理して御説明させていただきます。
まず1つ目は、ビジョンの策定と体制整備についてでございます。
私は、令和2年に区政再構築プロジェクトの中でDX推進に向けての検討指示を行いまして、令和3年に専門組織としてDX戦略課を立ち上げ、RPAなどのICTツールの実証実験等を行いました。そして、令和4年に区のDXの推進方針である
DXビジョンを策定するとともに、ビジョン実現に向けた体制を強化するために外部人材の登用を行い、DX推進に向けての本格的な検討、実行体制を整備してまいりました。
次に、2つ目は
区民サービスの向上策でございます。
昨日の6月1日号のめぐろ区報にも掲載させていただきましたが、主なものとして、手続案内サービス、
オンライン申請、証明書のコンビニ交付など手続に関するDX、そして窓口DXとして、戸籍住民課窓口の混雑情報サイトの開設やキャッシュレス決済の拡充などを進めるとともに、どこでもDXとして、
オンライン相談やLINEを活用したプッシュ型の情報提供などを進めてまいりました。また、デジタルディバイド事業として、高齢者向けにスマートフォン教室や相談会なども開催してきています。
3つ目には、庁内業務の効率化とデジタル人材の育成です。
庁内の業務改善となるBPRは、対象となる案件を集約し、一つ一つ業務の見直しを進めてきております。この中には、東京都で昨年開催されたDXアワードにおいてファイナリストまで進んだ案件もでてきています。そして、組織力強化という面では、各所管課でDXを支える職員のデジタル人材育成研修も進めてきています。
最後に、4つ目は地方公共団体のシステム標準化の取組です。
こちらも登用した外部人材を中心にプロジェクトマネジメント体制を組み、進めてきています。各システムの開発ベンダーのスケジュールが今後も計画どおりに進むかなど、気がかりな点もありますが、内部で実施すべき検討や作業は順調に進んでおり、他自治体と比較しても高い進捗率になっております。
このように、DX推進に関する取組についてはこれまでも積極的に進めてまいりましたが、全てが目標レベルに達しているわけではありません。最終的なゴールは、
DXビジョンに掲げる9つの目指すべき姿の実現を考えてまいりますので、遅れている部分はスピード感を持って取り組み、これからもデジタルを活用した区民生活の質の向上と庁内業務の効率化を拡充させてまいります。
次に、第3点目、公約で掲げている犬、猫の生命に関わる傷病の治療費助成について、ペットを飼育していない区民理解をどのように考えているのか、金額や要件など、具体的な内容は既に検討されているのかについてでございますが、この事業は目黒区動物愛護推進基金を活用して試行実施する考えでございます。この基金は、その財源が目黒区の動物愛護を応援したいという使途に対する指定寄附金であるため、動物愛護事業以外に活用することができません。令和5年度末現在、基金残高は2,200万円を超過しており、寄附者の動物愛護推進施策への期待が大きいことが推察されるところでございます。
一方、現在、区で実施している動物愛護事業は東京都医療保健政策区市町村包括補助事業を活用して実施しており、こちらにも基金を充当すると補助を受けることができなくなるため、基金は新規事業に活用する必要がございます。国民に対する公的医療保険制度と異なり、獣医療につきましては自由診療により、場合によっては数十万円あるいは100万円を超過するような症例もございます。そのため、治療費が高額のため支払うことができず、治療を断念するという事態も十分起こり得ることは想像に難くありません。
そういった現状の下、動物愛護推進基金の最もふさわしい使途を検討した結果、生き物の尊厳という原点に立ち返り、治療費を助成することで治療機会を拡幅し、生命尊重を第一義的な趣旨とした次第です。この助成金制度を通じまして、動物愛護の気風を招来することにより、動物愛護管理法第1条の目的にございますように、区民に対する生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する効果が期待がされ、動物を飼育しない区民の精神的素養向上にも寄与するものと考えてございます。
対象動物につきましては、飼育頭数が把握しやすく、飼育機会が最も多いと考えられる犬と猫で、様々な事情により保護する必要が生じた保護犬、保護猫を対象といたします。具体的には、区内で保護活動されている動物愛護ボランティアの方々やその方々から譲り受けた保護犬・保護猫を飼育する区民の方々に対し金額の上限を設けて、傷病の治療費助成を行う内容でございまして、現在、今年度後半の試行実施を目指し、金額や要件など、事業内容の詳細を鋭意検討しているところでございます。
次に、第4点目、公約で掲げていたプレーパークについて、どのように実現される予定なのかについてでございますが、プレーパークは冒険遊び場とも呼ばれ、屋外での自由な遊びを通じて得ることのできる体験と交流を通じて、子どもの自主性や主体性、社会性やコミュニケーション能力などを育み、子どもの成長を支援することを主な目的としています。また、自分の責任で自由に遊ぶをモットーに掲げ、可能な限り禁止事項をなくし、子どもたちが自由な発想で遊び、つくり上げていく遊び場で、その運営には子どもたちの行動を見守るプレーリーダーの配置が必須となっています。
現在、駒場野、東山、中央緑地及びすずめのお宿緑地公園では、公園のボランティア団体が日にちを決めて、地域の子どもたちの野外遊び場づくりの活動をしています。具体的には、炉や七輪を使っての火おこし体験、食事づくりや泥んこ遊び、樹木の間に設置したゴム製ひもを伝っての遊びなど行っております。区はこれまで、ボランティア団体に対して活動の場や必要な備品を提供しているほか、その公園で活動している他団体との交流の場を設定するなど、こうした活動の運営支援を行っているところでございます。
プレーパークの整備に当たりましては、子どもたちの遊び場や居場所、子どもの成長や非認知能力の向上など、目的を明確にするとともに、ニーズの把握と設置エリアや運営体制の確立について検討し、地域や利用者とも協議して、調整しながら進めていく必要がございます。また、運営に当たりましては、プレーリーダーの確保も含め、行政だけで担うことはできないことから、民間団体との公民連携による取組が不可欠であり、適切な支援体制の仕組みづくりが重要であると認識しております。
区におけるプレーパーク実現に向けた取組でございますが、今後、常設のプレーパーク設置を見据えつつ、現在、公園でボランティアの活動されている団体や、他の自治体等でプレーパークを運営している事業者にヒアリングを実施してまいります。その上で、継続的な活動を発展させての運営の可否や、プレーリーダーを配置しての活動が可能か確認してまいります。
さらに、住民参加を基本とした公園づくりの取組の中で、公園利用者や他の活動登録団体等からの意見の聞き取りを行うほか、プレーパークを利用する子どもたちのニーズや意見の把握に努めながら、プレーパークの実現に向けて着実に取組を進めてまいります。
次に、第5点目、目黒区民が区政に求めるものについてでございますが、令和6年4月21日に行われた
目黒区長選挙において、区民の皆様の信任を得て、改めまして区政運営の重責を担うこととなりました。今回の選挙におきましては、私は選挙カーは使用せず、歩いて区内を回り、政策ビラを直接手渡すことにより、より近い距離で区民の皆様から生の声をお聞きいたしました。
その中で改めて強く感じたことは、一つは、安全・安心を求めている方が多いということでした。第1回定例会でも御答弁申し上げましたが、私はこれまでの5期20年間の区政運営で基本方針としてきたことは、安全・安心で安定した区政運営に努めることでございます。この間、
リーマンショック、
東日本大震災、新型コロナ感染症の流行、ウクライナでの紛争など、大規模な危機的状況がありましたが、そのたびごとに迅速かつ柔軟に対応し、区民の皆様の安全・安心を第一に、その確保に努めてまいりました。その区政運営を評価いただいていることを強く感じました。
そして、もう一つ感じたことは、区民の皆様の私が掲げた公約への強い期待でございます。特に3年で辞職、その後不出馬とすることにより、区長と目黒区議会議員の同日選挙を実現することについては、多くの肯定的な意見をいただきました。
また、大きく5つの分野で新たな公約を掲げました。1つ目は子ども・教育・福祉、2つ目は、安心・安全、3つ目は広報・DX・区役所改革、4つ目は環境・緑・動物愛護、5つ目は地域力アップでございます。これら5つの分野で目黒区をさらに安全・安心で住み続けたいと思ってもらえるよう、めぐろアップグレードプランと銘打ち、幾つかの施策を掲げましたが、その施策に期待するという声も数多く聞きました。以上の取組により、当選できたものと考えております。
私の区長としての総決算とも言える6期目は、3年間でこれまで以上にスピード感を持って取り組む必要があると認識しており、当選後、最初の政策執行会議において、部長級職員に対し、スピード感を持って取り組む旨の指示を行いました。今後も安全・安心で安定した区政運営を継続するとともに、区民福祉向上のため、現状に甘んじることなく、新たな施策の実施、公約の実現に全力でチャレンジしてまいります。
次に、第6点目、財政計画・実施計画の見直しについてでございますが、実施計画は基本構想・基本計画の実現を図るための具体的な計画で、5か年の計画を3年ごとに見直しを図ることとしてございます。また、財政計画は、計画的な財政運営を進めるため、中期的な財政収支の見通しを立てるもので、実施計画と同時に策定してございまして、今年度は令和7年度から11年度までの5年間の改定を行うこととしてございます。
今後、学校施設の更新や市街地再開発をはじめとした長期的なビッグプロジェクトが本格化していくとともに、複雑多様化する行政課題への対応など、経営資源を投入して対応しなければならない課題が増えている一方で、先行きの見えない社会情勢やふるさと納税など、国の不合理な税制改正などにより、区の財政状況は依然として不確実性の高い状態が続いてございます。
そうした状況を受け、改定に当たりましては、長期計画や本年2月に定めました
中期経営指針も踏まえ、持続可能な行財政運営を行うため、社会経済状況の変化や新たな行政課題に対応していく事業を明らかにし、基本構想の実現を図ることを基本的な考えとしてございます。
中期経営指針では、中期的な財政収支見通しを踏まえながら経営に当たることが必要であるとし、
財政シミュレーションを行いましたところ、今後は、歳入が大幅な増額とならない限り、積立基金の残高は減少傾向となる一方で、特別区債残高は増加が続くという状況となってございます。
こうした状況を踏まえ、今後の財政運営につきましては、現行の財政運営上のルール2とルール3の見直し、区有施設見直し方針に沿った固定資産の売却、EBPMを活用した
ビルド・アンド・スクラップの3点の対応策を検討する必要があるとしてございます。
議員御質問の財政運営上のルールの見直しの方針につきましては、先ほどの3点の対応策のうち、現行の財政運営上のルール2とルール3の見直しの検討を財政計画の改定とともに進めていくことが重要であると認識してございます。
現行のルール2では、御指摘のとおり、学校施設整備基金や施設整備基金への積立ては決算剰余金を基準として行っており、将来想定される負担への対応策としては課題となってございます。バックキャスティングの考え方により、将来必要となる経費について、公会計の固定資産台帳を活用して推計するなど、様々な視点で積立ての基準を検討するとともに、ルール3の起債の効果的運用につきましても、積立基金とバランスを取りながら検討を行い、未来を見据えた持続可能な行財政運営に向けた財政基盤を築いてまいります。
次に、第7点目、さんまバスについてでございますが、1問目の車両購入費につきましては、さんまバスはCO2排出削減を考慮して小型EVバスを採用しており、1台当たり約3,400万円で3台購入しているため1億円余となり、充電設備費は約600万円となっています。この車両購入費については、運行事業者となる東急バス株式会社が直接購入をし、区はその費用から東急バスが受ける国や東京都の補助金を減じた金額を補助しています。
運行経費は、ドライバーの人件費や電気代、車両やバス停の維持管理費などを含めた金額として、東急バスから年間約2,800万円の見込額が示されています。区は、東急バスが年度末に各費用を集計して請求する金額から運賃収入等を減じた金額を補助することとしています。この運営経費については、都の補助制度を活用し、区の負担額を減らす予定としています。
2問目の運賃を230円とした理由につきましては、区内で運行する路線バスの利用者が負担する運賃との整合を図り、区内のほかの地域との公平性を鑑み、東部地区のルート沿線の町会や住区などの方々で設立した協議会で検討して設定したものでございます。
シルバーパスについては、東京都シルバーパス条例に基づいて実施されているもので、自治体等からの依頼を受けて、乗合旅客を運送する運行系統は対象外となっています。このため、特別区で運行しているコミュニティバス等のうち、約3分の2の区はシルバーパスを導入していない状況となっています。シルバーパスが利用可能な区ではその運賃分を区で負担しており、財政負担が課題となっていると聞いています。東急バスの共通定期券は採算性の観点から導入していませんが、回数券や1日乗車券など、運賃の割引制度を設けていますので、御利用いただければと思います。
3問目の本格運行への判断基準の考え方につきましては、客観的なデータが継続的に得られることから、乗車定員に対する利用者数の割合を示す利用率が55%以上あること、運行経費に対する運賃収入の割合を示す収支率が50%以上であること及び実証運行に伴う利用者等の意見として、継続運行していく目安となる満足度の3つの項目で評価するものとしています。
以上、お答えとさせていただきます。
○15番(山村まい議員) 御答弁ありがとうございました。
再質問としては、最初の質問の1点目、無電柱化について、5点目、区民が区政に求めるものについて、6点目、財政計画・実施計画の見直しについて、7点目、さんまバスについての4点、5問になります。
再質問1点目、無電柱化についてです。
平成20年4月から事業が完全にストップしていたというわけではなく、平成23年度に定めた財政健全化に向けたアクションプログラムに基づき、事業規模を縮小したという事情がありながらも、継続的に取り組まれてきたとのこと、御説明ありがとうございました。無電柱化については、着手から完了までの期間に長い年数が必要ですので、進捗率への反映にはタイムラグが生じるものと理解いたしました。
財政健全化アクションプログラムが一段落したところで、国や都の動向を踏まえて目黒区無電柱化推進計画を策定し、目黒区基本計画において計画目標値を定めたとの話でしたが、再質問としては、計画目標値を定めた令和4年度以降の状況と今後の方針について伺います。
続きまして、2点目、目黒区民が区政に求めるものについてです。
選挙を通じて感じた区民の皆様の思い、そして6期目となる在任期間に対する区長の思いについて、御説明をありがとうございました。安全・安心で安定した区政運営、そして公約実現へのチャレンジの2つが大きな主軸になっていると理解いたしました。
公約の一つとして、区長は、3年後に引退することで、区議会議員選挙と区長選挙の日にちがずれている、このゆがみを正して、区長と区議会議員の同日選挙を実現されると宣言されています。これは現職でなければ実現できないことでありますので、私はその旨を高く評価いたします。
再質問は、引退される3年後についてです。御自身が引退された後の区政についてどのように考えられているのか。また、区政運営を安定させるために後継者を育成される予定はあるのかについて伺います。
経営者であれば、自身の引退後も企業が存続できるよう、後継者を育成します。区政は企業経営とは異なりますが、区政運営を安定させるために後継者を立てるということは自然なことだと私は思いますので、現時点でのお考えを伺います。
続きまして、3点目、財政計画・実施計画の見直しについて。
持続可能な行財政運営とするため、現行の財政運営上のルール2とルール3の見直し、区有施設見直し方針に沿った固定資産の売却、EBPMを活用した
ビルド・アンド・スクラップの3点の対応策を検討していくこと、そして、財政運営上のルール2とルール3の見直しとしては、バックキャスティングの考え方により、将来必要となる経費を推計していく。起債については、積立基金のバランスを取りながら効果的に運用していくなど、様々な視点で検討していくことについて承知いたしました。
再質問としては、今後の想定される費用について伺います。
現状ですと、区有施設更新コストは2,000億円ほどと見込まれておりますが、インフレによる資材価格や人件費増加により、区有施設更新に係るコストは今後も増加すると予想されます。区有施設更新コストについては、直近で見直す5年間だけではなく、さらにその先の未来を考えた予測が必要になってくるかと思いますが、どのように考えられているか伺います。
続きまして、4点目、さんまバスについて。
シルバーパスは対象外となっているのは、そもそも東京都シルバーパス条例において地域コミュニティバスが対象外となっており、自治体判断により地域コミュニティバスで利用を可とした場合には、自治体が運賃分を負担することとなり、財政負担が重くなる旨、御説明ありがとうございました。車両購入費として3台でおよそ1億円、運行経費として年間2,800万円とのことですので、採算性の観点からも必要な判断であったと思います。
また、本格運行への判断基準について、利用率55%以上、収支率50%以上、そして満足度、この3項目で評価するとの御説明もありがとうございました。さんまバスの定員が36名ですので、目黒区総合庁舎から目黒区総合庁舎までの1周ぐるりとしたときにおよそ20人、目黒区総合庁舎から目黒駅までの片道ですと、10人くらいが目安であるのかなと理解しました。
まず、事業を開始する前に目標指数を定めて、本格運行への移行及び廃止を含めた見直しを行うということを明示している区の姿勢を私は高く評価します。一方で、私はさんまバスが目黒区のシンボルとして定着してほしいと願う一人ですので、今後できれば本格運行に移行してほしいと思いますので、再質問として2問伺います。
1問目は、ウェブサイトにおいて、実証運行期間は最大3年間と記載されていますが、利用率、収支率が振るわなければ、最短で3年間で打ち止めになる可能性はあるのかどうか。
2問目として、利用率、収支率の目標値が達成すれば本格運行になる旨をバス停などにかわいく提示するなどして、利用者の関心を引くなど、利用率、収支率をアップさせるために工夫される予定はあるのかどうかです。
以上、再質問を終わります。
○
青木英二区長 まず、無電柱化についてですけれども、今後について、令和4年度以降ですが、今の大橋の東邦大学病院の前、これ大橋Ⅰ路線として今進めていまして、ここで車道の工事、令和7年度に終わると完了。それから都立駒場高校の前が大橋Ⅱ路線という形で、令和6年度に歩道の工事が終われば、これで終了ということになります。
それから、この目の前の目黒銀座商店街については、令和4年度、5年度で詳細設計が終わりました。これから令和6年度着工、それから民間の宅地に管を入れる引連設計を行って、工事を進めていきます。
それから、役所の出口のところについては、今年度、詳細設計をして来年度着工し、ともに通りと私ども区役所の脇は令和11年度に終わるという計画を持ってございます。
それから、今後についてですけれども、今回、能登半島の地震でも電柱がやっぱりたくさん倒れたところは、非常にこの支援が遅れています。一方、輪島市をはじめ、20キロぐらい全て無電柱化したところは非常に順調にいっているということは、まさにこの防災の上、復旧の上で無電柱化が大切だということの証左だというふうに思います。
長期間、時間がかかります。夜間工事、それから埋設物も多いので、1メーター当たり100万円ぐらいかかりますけれども、こういった防災上の観点もしっかりと、復旧の点からも見て、私ども令和2年度に定めた無電柱化推進計画をしっかり進めていきたいと思っております。
それから、2点目の後継者等についてですが、まず今、私の頭にあるのは、区民の皆さんにお約束した目黒のための大仕事も含めて、3年間ということで、スピードアップで進めていくということになります。
後継者というのは、これは私が3年で辞めた後、これは優秀な人材、多種多彩な方が立候補して、その中に山村議員も入っている可能性だって十分あるかもしれませんので、そういった方がもう多士済々、大いに議論を展開して、その中から一番最適な方を区民が選ぶ、もうこれが民主主義の大原則ですので、そういったことになるように、私もそのとき優秀な方に一票を投じてみたいという程度のお話にさせていただきたいと思います。
それから、財政の問題でこの非常に重要な課題で、今、私ども令和3年に24校の学校の改築で1,700億円、令和4年度に改定した区有施設の見直しで2,000億円ぐらいということですけれども、実際、積算してみると、はるかにそれを超える状態が続いています。これは言うまでもなく、例えばウクライナへのロシアの侵略等、それから日米金利差の円安、歴史的な円安、こういったことが相まって非常に物価高騰になっております。
今日の議運で説明した補正でも、中目黒スクエアのエレベーターについては、債務負担行為の追加もお願いするというような状況に置かれています。こういった中で、まず私ども区有施設の見直しについては、令和8年度までが現在の計画でありますので、しっかりと今後この時期を捉まえて、今後どういった財政状況に、指針もつくっておりますので、こういったことも踏まえて、どういった形で私ども今後の財政計画をしっかりとつくっていくかについては、この時期を今申し上げたように捉まえて、しっかりとした対応をしてまいりたいというふうに思っております。
最後は、さんまバスでございます。
私も、毎朝登庁して区長車を降りるときにさんまバスが止まっていますので、はらはらどきどきしながら、どのぐらい今日は乗っているのかなということの繰り返しです。気持ちは議員と全く変わりません。
○おのせ康裕議長 はまよう子議員の一般質問を終わります。
次に、9番山本ひろこ議員。
〔山本ひろこ議員登壇〕
○おのせ康裕議長 山本ひろこ議員の一般質問に際しましては、書画カメラにより、補助資料を表示することを許可しましたので、御了承願います。
事務局をして補助資料と同一内容の資料の配付をさせますので、お待ちください。
それでは、山本ひろこ議員、質問を始めてください。
○9番(山本ひろこ議員) 目黒区議会立憲民主党、山本ひろこです。質問通告に基づき、一般質問をいたします。
大きな1点目、
少子化対策と公立中学校の在り方について。
(1)目黒区の
少子化対策について。
厚生労働省によると、2023年度の日本の出生数は過去最少の72万7,277人、2024年度の出生数は、1月~3月のペースでいくと70万人を割り込む可能性もあると予測されています。合計特殊出生率も1.2と過去最低、東京都に至っては0.99と1を下回る結果となりました。にもかかわらず、令和6年度の目黒区人口・世帯数の予測からすると、目黒区の14歳以下の子どもの人口は国勢調査ベースで、令和7年3万3,550人がピークですが、3万人を切るのは令和37年と約30年後であり、目黒区において少子化は当面生じません。
一方で、
団塊ジュニアの我々が40歳前後であった10年前、保育園不足が社会問題として噴出しました。共働き家庭の多い目黒区では、子どもが増えると保育園や学童が足りなくなるという問題が生じるため子どもが増え過ぎると困る。一方で子どもが減り始めると、せっかく増設した保育所や学童が定員割れをしてしまうため減り過ぎても困る。つまりは、数としては現状維持が最も運営しやすいわけです。
このように、全国的な少子化に反して、目黒区では当面少子化は生じないことを前提として、それでも目黒区として
少子化対策をすべき理由を伺います。
(2)区立中学校への進学率減少について。
内閣府の調査では、未婚化、晩婚化、晩産化により出生率が低下し続けているといいますが、結婚していて出産可能であっても子どもを1人しか持たないという選択をする夫婦が増えています。国立社会保障・人口問題研究所が実施した出生動向基本調査によると、理想の数の子どもを持たない理由として最も大きいのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(56.3%)でした。
しかし、実際には不思議な現象が起こっています。
経済的理由で子どもを産み控えしているにもかかわらず、学費無償である区立中学校への進学率は下降の一途をたどっています。平成25年で55%、令和5年で48.3%と、10年間で7%も下がっています。「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という理由で子どもを増やすのが難しいという一方で、8割の子が高額な塾費用をかけて受験し、5割の子が学費の高い私立中学校等に進学するという矛盾が生じているのです。周りより課金をして、周りより、よりよい教育環境に行かせたいという思いがあるからこそ教育にお金がかかり、子どもを増やすことをためらうというのが現実ではないでしょうか。
目黒区としても、中学校の魅力づくりとして現場努力で様々な取組をされているのは承知していますが、減少傾向が変わらないのは、そうした取組が目黒区内の保護者にとって区立中学校がよりよい教育環境だという選択肢に入ってこないからではないでしょうか。目黒区立中学校への進学率減少の流れに対し、どのように受け止めているのか伺います。
(3)10年先を見据えた学校計画について。
受験大国の韓国では、合計特殊出生率が0.72と減少傾向が止まりません。家庭における経済的、時間的余裕がなければ中学校受験は厳しいですが、子どもの数が増えるほどその環境をつくり出すことは難しくなりますので、受験が過熱するほど少子化、産み控えの波は加速しがちです。
8割近い子が受験するという状況では、受験合格すればよい環境を手に入れられるというようなムードができてしまい、さらに受験傾向が強まってしまいます。こうした二極化を子どものうちから感じさせてしまうことは非常によろしくないと思います。
公立中学校の大幅な魅力づくりをして、目黒区では受験の必要がないほど公立中学校の環境が非常によいというムードに変えていくべきではないでしょうか。さきに
少子化対策の意義を問いましたが、私はこうした二極化を緩和をすることこそ、都心における少子化の根本対策だと考えます。
一方で、地元の学校に通っているという接点がなくなれば、地域との交流は一気に減少します。それゆえに地域コミュニティが崩壊しつつある現状では、区立中学校の進学率を上げる意義は非常に大きいと考えます。区立の中学校として、地元の町会や住区との協働を積極的に進めていくことで、地域コミュニティの再生にもつながっていくと思いますし、地元愛にもつながると思います。
区立中学校の進学率向上のために、単なる地域割りという昭和の思考を脱して、学校ごとの特徴を際立たせる。例えば英語に特化した学校、高校への特別推薦枠を持つ学校など、それぞれが特徴あるスーパー中学校となり、学区を超えて個性に応じた学校を選べる環境こそが、今後10年先を見据えた真に魅力のある区立中学校の在り方になるのではないかと考えますが、区の意向を伺います。
(4)中学校の魅力づくりとしての連携型中高一貫校について。
現在、目黒区では区立中学校のさらなる魅力づくりに向けた適正規模の確保策として、第七中学校と第九中学校、第八中学校と第十一中学校の統合を進めています。しかし、第一中学校については、生徒数の規模はこれらの統合対象の学校と同様に小さいものの、統合は予定されていません。第一中学校に進学する生徒の多くは駒場小学校出身ですが、駒場小学校の区立中学校進学率は、令和2年度で33.9%、令和3年度で37%と、極端に低い数字を出していました。
そこで、中学校の大きな魅力づくりの一つとして、第一中学校と隣接をしている都立駒場高校とを連携型の一貫校にする検討はできないでしょうか。
図1を御覧ください。
中高一貫校には3種類あります。1つ目が、一つの学校として中学校を前期、高校を後期と位置づける完全な一貫校。2つ目が、別々の学校組織だけれども中学生全員がエスカレーター式に高校に進学できる併設型中高一貫校。これら2つは設置者が同じでないとできません。
一方で、3つ目は設置者が別であっても構わない形式の連携型中高一貫校です。特別推薦枠というような形で、一般受験とは異なる優先的な入学枠があるものです。特別推薦枠は学校によって異なりますが、例えばお隣の渋谷区の広尾中学校では、都立広尾高校への10名程度の特別推薦枠があります。
特別推薦枠といっても条件はありますので、全員が上がれるというわけではありませんが、駒場高校に進学しやすいということは大きな魅力になるのではないでしょうか。
単クラスは脱したとはいえ、依然として小規模校である第一中学校の特徴ある魅力づくりとして、何よりも目黒区として特徴のある学校づくり、スーパー中学校の先行事例として、人気の進学校である駒場高校と第一中学校の連携型中高一貫校を検討できないか、伺います。
続きまして、(5)学校施設更新を見据えた連携型中高一貫校について。
先ほどは、連携型中高一貫校におけるソフト面のメリットを提案しましたが、こちらはハード面でのメリットについての提案です。
目黒区では、平成26年に策定した目黒区区有施設見直し方針にのっとり、施設の更新時、大規模改修、建て替え時には、事前調整の上、多機能化、集約化、複合化をした建て替えが検討されています。第一中学校は、生徒数が少ない割に目黒区で一番大きな校庭を持つ学校ですが、学校施設更新計画によると、今後10年前後ぐらいで第一中学校も建て替えが予定されます。一方で、駒場高校に併設する旧芸術高校は老朽化が激しく現状での転用はできないため、閉校後10年以上そのままとなっています。
では、土地の隣接状況を見てみましょう。
御覧いただいている資料の緑の部分が第一中学校、オレンジが駒場高校、紫が旧芸術高校です。どれもぴったり隣接しています。そして、芸術高校の跡地も結構な面積があることが分かるかと思います。土地のない目黒区で、ここが10年以上も未活用になっているのは非常にもったいないと思われます。
この跡地には、芸術高校だっただけにホールや講堂などもあるようなのですが、既に老朽化でそのままでは転用できません。
区有地、都有地と管轄はそれぞれ異なりますが、広大な土地を持つ第一中学校と旧芸術高校跡地を併設する駒場高校が中高一貫校として連携することで、それぞれの土地の一部を中高で共同活用できる施設として整備し合うことも可能ではないでしょうか。
中学校の魅力づくりばかりお伝えしてきましたが、人気の進学校である駒場高校側にもメリットがないわけではありません。先行して、私立も含めた高校無償化を始めた大阪府では、公立高校の半数近い70校が定員割れをしており、今後大きく数を減らす可能性があると報じられています。
本年度から高校無償化を始める東京都でも、今後公立高校のニーズが激減する可能性があります。今は進学校として人気の駒場高校も、さらなる魅力づくりが必要になってくると思われます。ハード面においても双方にメリットがあることを考慮し、中高一貫校を前提とした施設整備につき、都との協議を進められないか伺います。
続きまして、大きな2点目、地方自治法の改正案への見解について。
地方自治法の改正案が、先月28日の衆議院総務委員会で賛成多数で可決されました。本改正案は、感染症の蔓延や大規模災害など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示ができるとした特例を盛り込んでいます。
しかし、こうした補充的指示権の要件や範囲も不明確で、おそれがあるなどの判断は全て各大臣に一任されています。閣議決定のみで発動可能となっており、時の内閣の恣意的な判断で自治体に指示が行える余地があり、濫用が懸念されます。
国民の安全に重大な影響を及ぼす事態という曖昧な基準で、個別法の根拠なしに、国から自治体への指示ができるようになれば、地方自治の本旨を損ないかねないと考えられますが、目黒区長としては本改正をどのように受け止めているのか、伺います。
以上で、壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 山本ひろこ議員の2点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
なお、1点目の第2問から第5問までにつきましては、教育委員会所管事項ですので、教育長からお答えをいたします。
まず、第1点目、
少子化対策と公立中学校の在り方についての第1問、目黒区の
少子化対策についてでございますが、6月5日発表の国の人口動態統計では、出生数は最少を更新し、4万人以上減少の72万7,000人余、合計特殊出生率も前年をさらに下回る1.20となりました。一方、死亡者数は約7,000人増加の157万5,000人余で過去最多となりました。日本の人口自然減は、過去最大の84万8,000人余となり、急速な人口減少に歯止めがかからない状況がございます。また、東京の合計特殊出生率は0.99と、都道府県別で全国最低となってございます。
全体の人口減少がさらに進めば、現在の社会保障制度の維持に深刻な課題が生じ、市場の減少による経済成長の停滞を招くなど、区民の生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
こうした背景などから、区では基本計画に定める5つの基本目標のうち、1つ目の目標に「学び合い成長し支え合えるまち」を掲げ、政策の一つに子育て子育ちへの支援を据え、安心して子どもを産み育てられる環境整備に取り組んでいくこととしております。
また、現在、区では
子ども総合計画の改定に取り組んでおり、改定に当たっては
こども基本法に基づき、国のこども大綱を勘案して取り組むこととしております。こども大綱は、
少子化対策基本法に定める少子化に対処するための施策を含んでおり、区の
子ども総合計画も少子化の状況を踏まえたものとしていく想定としてございます。
次に、第2点目、地方自治法の改正案への見解についてでございますが、今般の地方自治法の改正は地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の運営の合理化及び適正化並びに持続可能な地域社会の形成を図るとともに、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係を明確化するため、所要の措置を講じるものとされてございます。
この改正のうち、御質問に関する部分は、現行の国と地方公共団体との関係等の章とは別に新たな章を設け、特例を規定するものでございまして、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度において、これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものでございます。
本件改正について、様々な意見が出されていることは報道等により承知しているところでございます。
例えば、全国知事会においては、本年3月1日に本件改正の閣議決定が行われることを受けて、知事会会長コメントを発表しており、国の地方公共団体に対する補充的な指示については、今後も起こり得る想定外の事態に万全を期する観点からその必要性は理解するとしております。
国の自治体に対する補充的な指示は、目的を達成するために必要な最小限度の範囲で、自治体の自主性や自立性に配慮して行われるべきことは当然のことと考えております。また、実際に指示が行われる場合には、国の責任において自治体に対してのみならず、国民全体に対して十分な説明が行われることが最も重要であると考えております。
以上、お答えとさせていただきます。
〔関根義孝教育長登壇〕
○関根義孝教育長 山本議員の第1点目の第2問から第5問につきましては、教育委員会所管事項でございますので、私から順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、
少子化対策と公立中学校の在り方についての第2問、区立中学校への進学率減少についてでございますが、区立中学校に在籍する生徒数の割合を示す在籍率は、平成21年度以降55%台で推移しておりましたが、平成27年度以降は低下が続いている状況でございます。
参考までに都内の状況を申し上げますと、東京都教育委員会の公立学校統計調査報告書によれば、公立小学校卒業者の都内私立中学校への進学率は、都内平均及び区部平均とも近年上昇傾向にあり、令和4年度の卒業者においては都内平均が19.8%、区部平均が25.0%となる中で、目黒区は39.4%と、都内では文京区、中央区、港区に次ぐ4番目の高さとなっております。
このような状況の中で、各区立中学校では一人でも多くの子どもたちが入学し、生徒一人一人が確かな学力、豊かな心、健やかな体を育み、個人として自立し、社会の一員としてそれぞれの分野でたくましく生き抜いていく力を身につけることができるよう、日々努力と工夫を重ねるとともに、その情報発信に努めているところでございます。
教育委員会といたしましては、区立中学校ならではの特色として大きく3点あると捉えており、1つ目は地域との相互のつながり、2つ目は生徒、保護者の多様性、3つ目は学区内の小学校、さらには幼稚園、こども園との連携であります。
これからも、各校がこういった特色を生かしたよりよい学校教育を展開できるよう、学校、保護者、地域との連携の下、創意工夫を凝らした教育行政を進めていくことにより、区立中学校の進学率を高めることにつなげてまいりたいと存じます。
次に、第3問、10年先を見据えた学校計画についてでございますが、教育委員会では、先ほど述べました区立中学校としての3つの特色を踏まえながら、将来を見据えた学校教育の充実に向けた施策展開に取り組んでおります。
具体的な取組の一端を申し上げれば、区立中学校のさらなる魅力づくりとよりよい教育環境の整備のため、令和7年4月の目黒南中学校、目黒西中学校の同時開校に向け、学校、保護者、地域との連携の下、生徒・児童が参加しての新校の学校づくりが進んでおります。
また、区立小学校で研究と実践を重ねてまいりました40分授業午前5時間制の成果を踏まえた中学校における45分授業について、今年度から第一中学校及び東山中学校の2校が文部科学省の研究開発学校の指定を受けて、先進的に取り組んでおります。
さらに、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進によって、保護者や地域住民等が学校運営に参画し、相互に連携・協働して、地域とともにある学校づくりと、学校を核とした地域づくりとを進めていくための体制整備を、令和7年度から各小・中学校、園で順次実施してまいります。加えて、部活動の地域連携の充実及び地域移行の実施に向けて、区内の関係団体等との協力手法等について、調査・検討を進めております。
教育委員会といたしましては、これらの着実な取組を通じて、地域と学校がパートナーとして連携協働する中で、子どもたちを将来の地域社会を支える人として育むことができるよう、区立中学校の特色を生かした教育活動を一層充実させてまいります。
次に、第4問、中学校の魅力づくりとしての連携型中高一貫校についてと、第5問、学校施設更新を見据えた連携型中高一貫校については、相互に関連する事項でございますので、まとめてお答えさせていただきます。
第一中学校と都立駒場高等学校との連携型中高一貫校の検討についてでございますが、第一中学校の令和6年度の学級数は6学級、生徒数は189名となっており、区立中学校の統合方針に掲げるところの望ましい学校規模である、学級数で11学級以上、生徒数で300人を超える規模は満たしていない状況ではございますが、令和3年12月に改定した統合方針におきましては、隣接する東山中学校及び目黒中央中学校が望ましい学校規模を維持していることから、当面は統合の対象としない旨の考え方を示しております。
中高一貫教育校につきましては、3つの種類がございまして、1つ目が区内に所在する都立桜修館中等教育学校のように6年間を前期課程と後期課程に分けて、一つの学校で一貫教育を行う中等教育学校でございます。
2つ目が、都立中学校と都立高等学校を接続して6年間の一貫教育を行う併設型中高一貫教育校でございます。
3つ目が、既存の中学校と高等学校とが教育課程の編成や教員、生徒間交流等の連携を深める形で一貫教育を実施する連携型中高一貫教育校でございまして、連携型中学校から連携型高等学校へ進学する際の入学者選抜については、中学校長からの推薦に基づく選抜方法を取ることも可能となっております。
この連携型中高一貫教育校につきましては、東京都が平成14年10月に策定した都立高校改革推進計画・新たな実施計画において、その設置を計画し、区部に3校、多摩地域に1校、島嶼地域に2校の計6校が平成15年度及び16年度に設置され、現在に続いております。
その後、東京都における中高一貫教育の取組の成果や課題を検証した都立中高一貫教育校検証委員会報告書が平成30年4月に公表されました。
その中で、連携型中高一貫教育校の検証総括では、中学生による高等学校の授業体験や中学生と高校生との生徒間交流などの連携活動は一定程度実施されているとする一方、島嶼地域を除く、区部及び多摩地域の連携型中高一貫教育校では、連携型中学校から連携型高等学校に進学する生徒が実績として少ないことから、中学校と高等学校の教育の接続を意図した教育課程上の連携の難しさが指摘されております。
こうしたことから、第一中学校の魅力づくりとしての連携型中高一貫校設置の取組につきましては、その効果は限定的なものであるとの認識を持っております。
なお、先ほど申し上げましたとおり、第一中学校では本年度から従来の50分授業を45分授業とする研究開発学校として文部科学省の指定を受けたことから、創意工夫を生かした先進的な学校づくりを推進しているところでございます。
教育委員会といたしましては、引き続き隣接中学校の生徒数の動向も注視しつつ、第一中学校の魅力づくりに向けて支援していくとともに、今後の学校施設更新に当たっては学校、保護者、地域の意見を丁寧に聞きながら、魅力ある学校づくりという視点を持って進めてまいります。
以上、お答えとさせていただきます。
○9番(山本ひろこ議員) 御答弁ありがとうございました。
1点だけ、再質問をしたいと思います。
連携型の中高一貫校についてですけれども、今答弁いただいた中では、生徒間の交流は一定なされているものの、中学校から高校に上がる生徒数が少ないために効果が限定的であると、島嶼部を除いてはそんな感じであるという御回答がありました。
でも、この連携というところが、学校同士で一緒に行事をやるとかそういうことであれば、既に第一中学校と駒場高校の間では現場努力でできていると聞いております。部活や防災訓練などを合同でしてみたり、イベントに招待し合ったりと、様々努力されているそうです。
ただ、そういったことは望ましいことであっても、それを理由に学校選びの基準とする家庭が果たしてどれぐらいあるでしょうかといったところです。全員が全員上がれるということはないにしても、優先枠として特別推薦枠というような形で、人気の進学校である駒場高校に進学しやすい条件があるということは、今の子育て家庭にとっては大きな魅力の一つになると考えますが、改めてお伺いします。
○関根義孝教育長 第一中学校については、統合の対象とはならないという状況の中で、別の方途で魅力を高められないかという課題認識は以前からございます。
それで、その中で連携型中高一貫校という評価については先ほど申し上げたとおりなんですけれども、この枠組みだけにとらわれることなく、また同時にあらゆる選択肢を排除することなく、第一中学校も生徒数、学級数の回復も見られ、駒場高等学校との連携協力も進んでいることは、これは把握しておりますので、これから様々な検討を重ねていきたいと、このように考えております。
以上です。
○おのせ康裕議長 山本ひろこ議員の一般質問を終わります。
本日は、これをもって一般質問を終わります。
残りの一般質問は、次の本会議で行うことといたします。
次の本会議は、明6月18日午後1時から開きます。
以上で本日の日程は終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
〇午後4時26分散会...