台東区議会 2014-06-10
平成26年第2回定例会-06月10日-02号
平成26年第2回定例会-06月10日-02号平成26年第2回定例会
平成26年第2回定例会 東京都台東区議会会議録(第6号)
●6月10日(火) (以下敬称略)
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出席議員(30名)
1番 鈴 木 純 2番 望 月 元 美
3番 東 久仁子 4番 本 目 さ よ
5番 早 川 太 郎 6番 冨 永 龍 司
7番 阿 部 光 利 8番 松 尾 伸 子
9番 小 髙 明 10番 石 川 義 弘
11番 髙 森 喜美子 12番 石 塚 猛
14番 水 島 道 徳 15番 鈴 木 一 郎
16番 堀 越 秀 生 17番 寺 田 晃
18番 秋 間 洋 19番 和 泉 浩 司
20番 太 田 雅 久 21番 河 野 純之佐
22番 青 柳 雅 之 23番 田 中 伸 宏
24番 小 坂 義 久 25番 小 菅 千保子
26番 橋 詰 高 志 27番 寺 井 康 芳
28番 木 下 悦 希 29番 伊 藤 萬太郎
31番 清 水 恒一郎 32番 茂 木 孝 孔
欠席議員(2名)
13番 君 塚 裕 史 30番 木 村 肇
欠 員 な し
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出席説明員
区長 吉 住 弘 副区長 生 沼 正 篤
教育長 和 田 人 志
企画財政部長 荒 川 聡一郎
総務部長 矢 下 薫 危機管理室長 石 野 壽 一
区民部長 西 島 久 雄
文化産業観光部長 太 田 清 明
福祉部長 田 邉 英 一 健康部長 清 古 愛 弓
環境清掃部長 齊 藤 充
都市づくり部長 奥 原 崇
教育委員会 神 部 忠 夫 企画課長 佐 藤 徳 久
事務局次長
財政課長 原 嶋 伸 夫 区長・広報室長 村 田 和 正
総務課長 内 田 健 一
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区議会事務局
事務局長 中 沢 陽 一 事務局次長 野 村 武 治
議事調査係長 行 田 俊 男 議会担当係長 櫻 井 敬 子
書記 市 原 理 江 書記 中 村 壽 秀
書記 松 江 勇 樹 書記 敷 村 和 也
書記 堀 場 奈保子
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議事日程
日程第1 一般質問
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午後 1時01分 開議
○議長(和泉浩司 さん) ただいまから、本日の会議を開きます。
あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員については、会議規則第136条の規定により、
28番 木 下 悦 希 さん 29番 伊 藤 萬太郎 さん
をご指名いたします。
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△日程第1
○議長(和泉浩司 さん) これより日程に入ります。
日程第1、一般質問を行います。
一般質問の発言通告がありますから、順次これを許可いたします。
20番太田雅久さん。
(20番太田雅久さん登壇)(拍手)
◆20番(太田雅久 さん) 自由民主党・無所属の会の太田雅久でございます。平成26年度第2回定例会に当たり、区長並びに教育長に質問をさせていただきます。
提案させていただく内容は、全て実現可能なものばかりですので、どうぞ即始動できるような目覚ましいエクセレントな答弁を期待して質問に入らせていただきます。
まず初めに、台東区の将来像について、長期的な視点から質問させていただきます。
質問の第1は、区の将来人口と区政のあり方についてであります。
今年度は吉住区政3期目の総仕上げの年であります。当初予算において、「にぎわい いきいき したまち台東」のさらなる実現に向けて、
長期総合計画並びに行政計画の中で目標達成に必要な事業に財政措置がなされておりますが、ぜひ
吉住区長先頭に、全職員一丸となって大願成就するよう、さらに努力を続けていただきたいと願っています。
先日、国の人口動向が発表されました。総務省が4月に発表した人口推計によると、在日外国人を含む日本の総人口は3年連続で減少いたしました。15歳から64歳までの
生産年齢人口は、32年ぶりに8,000万人を割り込むとともに、ゼロ歳から14歳、年少人口の割合は12.9%と過去最低を更新する一方で、65歳以上の高齢者の割合は25.1%と過去最高になりました。この総務省の推計結果は、本格的な少子高齢化の進行を裏づけたものとなっており、我が国が実質的な
人口減少社会を迎えたことを改めて痛感した次第であります。
一方、台東区に目を転じますと、人口は着実に増加を続けております。日本人と外国人とを合わせた総人口は、吉住区長誕生直後の平成15年4月時点では16万1,000人程度でありましたが、現在では19万人に迫る勢いとなっております。人口の増加の要因はさまざまあると考えられますが、全国で人口が減少していく中で、吉住区長が掲げられた「にぎわい いきいき 18万都市」が実現されると、当時どれだけの区民の方々が想像したでしょうか。当時、私も近くに寄せていただいていましたが、少し大きいことを言ってしまったかなという感は拭えませんでした。どなたが区長をやっても18万都市にはなったかもしれません。しかし、私は吉住区長の将来を見据えた先見性と、それに見合うもろもろの施策展開が
スローガン実現の大きな要因であると確信をしております。
そこで、8年かけて18万都市を実現したことを区長はどのように評価をされているのか、まず、区長の所見をお伺いいたします。
4月例月の
企画総務委員会に報告された
長期総合計画の基礎調査で、台東区の人口動向にかかわる将来推計が示されました。この報告書では、
国立社会保障・
人口問題研究所の推計に基づく国全体の人口は、今後減少の一途をたどっていき、東京の推計においても特別区全体の人口は、平成32年以降に減少に転じるとしてありました。全国においては、今後急速に少子高齢化が進行していき、平成22年におよそ3,000万人であった65歳以上の高齢人口は、平成52年には3,900万人近くまで増加し、平成22年に約1,700万人いたゼロ歳から14歳までの年少人口は、平成52年には1,100万人にまで減少していく見込みであります。
この結果、平成52年における高齢化率は36.1%となり、5人に2人近くが高齢者となる計算になります。国の動向ほど極端ではありませんが、特別区全体においても、確実に高齢者人口は増加を続ける一方で、年少人口が減少し続ける結果、平成25年には、高齢化率が27.8%となる見込みであります。国においても、特別区においても、この問題は避けて通れるものではなく、これからも将来に向けて長期にわたる大きな課題としてなることは間違いないところであります。
一方、台東区の人口はというと、今まで同様、今後さらに増加を続け、平成55年には21万人を突破することが明らかになりました。区が独自で行った推計結果では、台東区の場合は人口がふえ続けるだけではなく、人口構成においても国や特別区とは異なる動きとなる見込みであります。平成25年に約4万3,000人であった高齢者は、平成55年にはおよそ5万6,000人に増加をいたします。また、年少人口は、全国的には既に減少していますが、台東区では平成35年まで増加を続けた後に減少していきます。さらに
生産年齢人口は、平成45年まで増加を続け、平成55年においても平成25年時を上回る数字を示しています。この結果、区の高齢化率は、平成25年において23.3%と特別区全体を上回っており、その後も平成55年には26%とふえてはいきますが、特別区全体より低い割合となる見込みであります。
基礎調査の結果、台東区の場合、国や特別区に比べ
生産年齢人口の増加が大きく、少子高齢化は緩やかに進行していくことが判明いたしました。また、本区では単身世帯が増加し続けていること、中でも高齢者の単身世帯が増加している事実も判明いたしました。さらに
外国人居住者も今後かなりの勢いで増加していくことも見込まれております。
以上のように、今回の調査結果により、本区の人口動態が大変特徴的であることが明らかになりました。当たり前ですが、人口は自治体の礎であります。ですから、約30年後に現在より3万人多い21万人を超えるということは、もろ手を挙げて歓迎すべきであると考えております。
この推計をもとに策定される、新たな
長期総合計画については、全庁的に統一した見解を持つことが何よりも重要であると思っています。人口の増加を是とするならば、その増加に伴ったさまざまな行政需要も新たに発生してくるはずです。平成35年まで年少人口が増加するのであれば、
保育サービスの充実、
義務教育施設の整備も必要になります。また、ひとり暮らしの高齢者や外国人に対しても、サービスの拡充が求められると考えます。
現在、この基礎調査を踏まえ、各所管において子ども・
子育て支援事業計画を含む、(仮称)
次世代育成支援計画、
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画、また、
住宅マスタープランなど分野別の計画改定が並行して進められており、新たな
長期総合計画との整合性に留意しながら作業を進めているところであると聞いております。
そこでお尋ねいたします。こうした分野別計画の上位計画である新たな
長期総合計画の策定に当たっては、超長期的視点から、少子高齢化の進展を見据えた施策を推進していくとともに、人口増加や人口構成の変化にも着目した施策を適切に盛り込んでいくことが重要であると考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
次に、公共施設の整備についてお尋ねいたします。
区の将来人口と区政のあり方については、これまで申し上げてきたようにさまざまな角度から多くの議論をしていく必要がありますが、公共施設の問題も重要な課題であると認識をしております。今回は、区の将来人口に関連する視点から質問をさせていただきます。
公共施設の維持、保全、適正化については、現在、
行政経営推進プランに基づいて、施設の現状、施設白書の作成と基本方針の策定に取り組んでいるところだと思います。施設整備の取り組みは、着想から建築、さらに開設まで長い年月を要すると同時に、多くの財源も必要となるため、長期的な視点から財政状況を十分考慮し、適正に実施していくことが必要だと考えます。ぜひとも早急に基本方針を策定され、計画的に整備を進めていくべきだと考えています。人口統計・人口構成に見合う施設整備が、行政需要に応える最大のポイントだと思っています。
そこでお尋ねいたします。公共施設のあり方についての基本方針を策定するに当たっては、今回の
長期総合計画策定のため、基礎調査で行った人口増加という将来推計を十分に踏まえる必要があると考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
特に、先ほど申し上げたとおり、今回の将来人口の推計においては、台東区の人口が増加すること、さらに少子高齢化が緩やかに進行していくことが明らかになったわけですから、後ほど質問いたしますが、保育園や
義務教育施設、
特別養護老人ホームなどについても、人口構成の変化に十分対応できるような区の施設のあり方について、明確な方針をお示しいただきたいと思っております。
次の質問は、人口動向に沿った施策の計画をより詳細にわたってお尋ねしたいと思います。
まずは
高齢福祉施策の展望についてであります。
今述べたように、日本経済、地域社会を支える
生産年齢人口の割合が減少する一方で、いわゆる高齢者人口は右肩上がりにふえ、超長期的な視野から見ると高齢化率は40%に近い水準に達するという推計も示されています。段階を追っていく中で、特に団塊の世代が後期高齢者の75歳ぐらいを迎える2025年問題を見据えて、国ではこれまで
社会保障制度改革国民会議での議論を踏まえて、さらに
社会保障審議会において議論を重ね意見書を取りまとめるなど、将来に向けて持続可能な
社会保障制度の確立を目指し、検討が進められてきております。また、今後、急増する高齢者対策として、地域における
介護サービスの基盤整備や地域医療と介護の一体的なサービス提供など、
介護保険制度の見直しが進められ、現在、国会において地域医療・
介護改革法案の審議が行われております。こうした制度改正の検討が進められている中で、
認知症高齢者対策や、
特別養護老人ホームなど介護施設の整備、介護人材の確保など、さまざまな問題が山積しております。
本区では、国の人口推計とは大きく異なりますが、抱える問題は同様であると考えます。さまざまな課題を解決し、
介護サービスを充実していくことは大切なことでありますが、あわせて介護保険料の負担を初め社会保障なども鑑み、2025年を視野に福祉施策を考えていく必要があると考えます。来年度は
高齢者保健福祉計画を改訂する年であります。
そこで、新たな第6期の計画を策定するに当たり、これからの
高齢福祉施策を本区としてどのように進めていくのか、区長の所見をお伺いいたします。
次に、
特別養護老人ホームの整備についてお尋ねいたします。
山積する高齢福祉問題の中でも、大きな課題の一つが
特別養護老人ホームの問題であります。本区の人口推計では、国に比べ微増ではありますが高齢人口はふえていきます。その中で、加齢に伴い疾病による入院や治療、身体的機能の低下などにより、医療機関や
介護福祉施設への入所を必要とする方が増加していくことが想定されています。特に、
特別養護老人ホームに対する需要は高く、厚生労働省の調査によると、
特別養護老人ホームの入所希望者は全国で52万4,000人もおり、そのうち入所の必要性の高いとされる要介護4以上の方が8万7,000人ほどいることも明らかになりました。大都市部では施設不足の問題が長期にわたり大きな問題とされていますが、特別区においても同様に待機数が年々ふえているのが現状であります。
本区においては、平成25年度末時点で、
特別養護老人ホームに入所を希望したが、最終的に入所に至らなかった方が480人程度いると聞いています。現在、区内には民間も含め452床、独自に契約をしている区外施設には136床、合計588床がほぼ満床という状態であります。入所がかなわなかった方々には、一刻も早く安定した生活が営めるように、区としても万全な体制を整えてもらいたいと思っています。
社会保障制度との兼ね合いもあると思いますが、今後、
特別養護老人ホームの整備について、区としてどのような展望を持って推進していくのか、区長の所見をお伺いいたします。
次に、教育・保育施策についてお尋ねいたします。
本区の人口統計から見る子育て世代の特徴的なのは、
合計特殊出生率は近年1.0を上回り、特別区の水準を上回っており、特に35歳から44歳の団塊のジュニア世代と、その子どもたち、9歳以下の年少人口の増加率が高くなっていることと、集合住宅の開発増加に伴う転入者数の増加や出生数の増加が上げられます。人口増加率が大きい地域、また、人口が減少している地域、横ばいの地域と、地域別に見るとその状況がより鮮明になっています。各ブロックのゼロ歳から14歳までの年少人口の動向も同様の傾向を示しており、ブロックによる人口動向の差が顕著になってきています。
区全体を見ると、年少人口は平成35年まで伸び続け、それ以降は減少に転ずるとの推計が出されています。人口同様、年少人口も一定の時点までは、増加し続けることは喜ばしいことでありますが、超長期的に見るとさまざまな課題が見えてきます。そうした課題をしっかりと把握し、今後の行政施策に生かしていくこと、その判断を今、求められているのだと思っています。現在、本区では、
次世代育成支援地域協議会において、次期の
次世代育成支援地域行動計画の策定をするために検討されているところであります。
そこで、
子育て支援策の基本となる、(仮称)
次世代育成支援計画の策定作業が進んでいると思いますが、現在どの程度進んでいるのか、その進捗状況について区長にお聞きしたいと思います。
一方、全国では、子ども・
子育て支援法により、平成27年度から子ども・子育て支援新制度がスタートします。教育・保育を受ける子どもに、必要性に応じて認定制度が導入されるほか、教育・保育を提供する側には施設型給付と地域型給付として整理がなされ、東京都が地域の実情に合わせて運営し、区がこれまで招致してきた認証保育所については、国の制度であるこの給付対象には含まれないなど、
子育て支援制度の中では大きな改革が行われると考えています。この新制度の導入に当たっては、区が取り組む課題は多岐にわたっていると思いますが、システムの改修や法的整備、区民への周知など、まだ取り組む課題は山積しております。
そこで、現在の準備状況と今後のスケジュール、並びに課題になっている事項について教育長にお聞きしたいと思います。
平成29年度までに待機児童をゼロにするという国の大方針のもと、全国の自治体では、認定こども園、認可保育所、
小規模保育施設などの整備に余念のないところであります。先般開催された
次世代育成支援地域協議会に示された資料によれば、幼稚園需要については約100人の定員増、また、保育需要については約500人の増員を図ることになっています。その増員分と既存の定員とを合わせると、就学前の教育・保育の定員が5,300名にもなり、就学前人口の約7割に達することになります。待機児童解消や教育・保育環境の向上は、過去、現在、そして未来に向けても、長期にわたる大変重要な課題であります。施設整備の充実は喫緊の課題となるでしょう。しかし、将来起こる年少人口の減少も避けては通れない問題であります。今回の新制度の計画は、大量の施設整備の後に残る後年度負担や、先の需要減までを視野に入れたものでなければいけないと考えますが、教育長の所見をお聞きいたします。
保育環境の充実を図って、今年度は既に認可保育所1カ所、
小規模保育所2カ所の整備予算が計上されているにもかかわらず、今定例会に認可保育所1カ所、
小規模保育所1カ所を追加するための補正予算が提出されています。本来このような事業の予算は、当たり前ですが当初予算に計上すべきものであり、財政運営上から見れば異例なことであると考えます。また、先読みの悪さが露呈したとお思いの方もいらっしゃることでしょう。しかし、今回は現場で奔走している我々も待機児童の多さに驚きました。そのことを所管に申し上げた結果が、補正予算としてあらわれたのではないかと思っております。今回に限り、この対応の早さを高く評価をしたいと思っています。
そこで、今年度予算が確定し、動き出して、まだわずか2カ月にもかかわらず、柔軟な対応で予算化に踏み切った区長の所見をお伺いしたいと思います。
また、その予算の実行を図る責任者でもある教育長に、その意気込みをお聞きしたいと思っています。
次に、
義務教育施設についてお尋ねいたします。
かつて本区は、年少人口の動向を踏まえ、学校の
適正規模適正配置を行いました。社会環境の変化やさまざまな要素の将来展望を見据え、子どもたちによりよい教育環境を提供していくことは、いつの時代にもプライオリティーのトップに位置づける永遠のテーマであると思っています。
就学前の人口と同じような推計が
基礎調査報告書で示された今、将来に向けた学校の課題について、さまざまな角度からの検討が必要だと考えます。例えば学校の配置、学区域の状況、年少人口の増加が見込まれる
地域教室確保の必要性、中学校の選択制の必要性など、教育環境の課題は山積されております。
長期総合計画に沿った教育施設のビジョンを示すために、もう議論がなされていると思いますが、将来の
義務教育施設のあり方について、教育長の所見をお伺いいたします。
次に、台東区
学校教育ビジョンについてお尋ねいたします。
台東区
学校教育ビジョンがスタートして2年目を迎えました。このビジョンは、台東区のまち全体を学びのキャンパスとして、学校、家庭、地域で将来のまちを担う人材を育成する人づくりを進めるものであります。その成果を豊かに実らすために、地域の理解、協力を得て、教育委員会と学校が一体となって推進していかねばならないものだと認識をしています。
私もこれまで、一般質問において教育長からご答弁をいただき、その意欲のほどは十分理解をしているつもりであります。しかしながら、学校現場に目を投じますと、子どもたちの学力・体力をいかにして向上させるか、IT教育の手法をどのように展開していくか、また、教員の資質や能力の開発、体罰の根絶、不登校など、まだ、教育現場にはあらゆる問題が山積しております。
そこでお尋ねいたします。2年目を迎えた台東区
教育ビジョンは、このような課題を踏まえ、今後どのように進めていくのか、今までの成果と今後の課題についてどのように対応していくのか、教育長の所見をお伺いいたします。
次に、2020年
東京オリンピック・
パラリンピックに向けた取り組みについてお尋ねいたします。
東京オリンピック・
パラリンピックの開催を6年後に控え、東京都は組織改正をして、本番に向けて着々と準備態勢を万全に整えているところであります。その東京都の動きを受けて、台東区では平成25年12月6日に開催された
東京オリンピック・
パラリンピック大会推進本部において、東京大会、競技大会に向けて、今後の取り組みについて基本的な方針を決定しました。また、東京都においては、東京大会の成功と、有形、無形の経験や価値観などの遺産、レガシーと言っておりますが、それを次世代に継承していくとしております。
台東区においても、東京大会に向けたさまざまな施策を着実に進めることで得た、そのレガシーを、次代を担う子どもたちへ確実に継承していくことが重要であると考えています。その施策を進めるに当たっては、基本的な考え方として示されたスポーツ、文化、教育、おもてなし、それらに加えて、関係団体と連携による安全安心な大会運営の5つの分野が中心になるのではないかと考えています。
台東区は、今回の大会でマラソン競技がかかわるだけで、競技が行われる施設はありませんが、
オリンピック憲章に掲げているスポーツと文化、教育が融合した取り組みや、本区の特色である、おもてなしの向上に関する取り組みなどを通じて、次の世代にレガシーを継承していってはどうかと考えています。
そこで、5つの取り組みを分野別に質問をさせていただきます。
まず、スポーツであります。
生涯1スポーツを目標に、健康的なライフスタイルを獲得し生活の質を高めていくには、スポーツを生活の中に取り入れることが必要であると思います。この実現に向けては、未来を担う子どもたちや、これまでの台東区を支えていただいた高齢者を初め、区民の誰もがスポーツに参加できる環境づくりが必要だと考えます。環境づくりにあわせて、参加選手たちとの交流の機会などをつくり、スポーツ振興に係る機運の醸成を図ることも有効であると考えます。
そこで、2020年の東京大会に向けた、これからの生涯スポーツの振興について、教育長に所見をお伺いいたします。
次に、文化についてです。
大会開催中はもちろんですが、それまでの6年間の間でも、古くから先人の方々が継承されてきた本区の有形、無形の固有の文化遺産など、本物に会えるまち台東区を世界に発信する絶好のチャンスであります。東京都の競技組織委員会においても、文化プログラムを作成し、日本文化の発信や文化交流の促進を図っていくとしています。
そこで、長い歴史のあるこの台東区で、さまざまな文化を味わうことができる、目で見て触れる参加型、体験型の案内や、民間の力もおかりして、国籍や世代を超えた対話や文化交流を深める取り組みを進めていくべきだと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
次に、教育についてお尋ねいたします。
長野オリンピックが16年前ですから、2020年の東京大会は、今の子どもたちにとって、日本で開催される初めてのオリンピック・
パラリンピックの競技であります。6年後の大会開催時には、成長した子どもたちが大会運営のスタッフやボランティアなど、ひょっとすると選手としてなど、さまざまな形で大会にかかわってくれると思っています。
東京都においては、オリンピック教育推進校の指定などにより、それに係る学習の機会を設けています。台東区においても、オリンピック教育推進校の活用に加え、オリンピックの理念や意義、スポーツの価値、また世界の国々の文化や歴史を学ぶ取り組みをさらに推進すべきと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
次に、おもてなしについてお尋ねいたします。
東京大会に向けて、この台東区には多くの来街者が訪れることだと思います。本区はこれまでも国際観光都市としておもてなしの向上を図ってきましたが、台東区全体が日本文化と多種多様な異文化の理解を進めることで、グローバルなおもてなしの心を持つまちとして、さらなる飛躍が可能であると考えています。
そこで、欧米やアジア、またイスラム圏のマナーなど、グローバルマナーの学習や日本伝統的なおもてなし文化の学習の機会を推進すべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
また、
パラリンピックという言葉は、1964年の東京大会の際に、初めて愛称としてつけられた名前であり、後に正式な名称になったということでもあり、再びその大会が東京で開催をされるということは、大変意義深いものを感じる次第であります。この際、その意義深さに沿って、関連業者と連携し、高齢者や障害者を含め全ての人が安全安心に快適に暮らせるまちを実現するために、ユニバーサルデザインやハード・ソフト両面のバリアフリー化の推進を図るべきと考えますが、その現状の認識と6年後に向けた展望について、区長の所見をお伺いいたします。
次に、2020年に向けた安全・安心についてであります。
東京大会開催時は、当然ですが、それに至るまで、いかなるときにおいても安全・安心は担保されていなくてはなりません。3.11以降、本区でもこの対策については万全を期してきましたが、2020年に向けては、今まで以上の国内外からの来街者がさらに増加することを想定すれば、特化した対策を講じる必要があると考えます。マラソンコースになり、多くの人が集まるということを想定すれば、ボストンのようなテロ対策も視野に入れなければなりません。災害時の壮大な帰宅困難者の対策も必要でしょう。抑止力の効果や犯罪の早期解決を期して、防犯カメラの設置も推進すべきでしょう。また、防災に関して言えば、繁華街、公園、文化ゾーン、寺町、また住宅街など、台東区には独自の生活環境が混在しているまちであります。
それぞれ、地域の災害は地域で防ぐ意識を深める、この地域防災力の強化は今回の安全・安心対策のかなめになると確信をしています。ぜひこれらの安全・安心対策を確実に推進していただきたいと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
次に、障害者施策についてお尋ねいたします。
これまでも事あるごとに、障害のある子どもたちの生活環境改善のために質問をさせていただきました。学童の預かりの延長、移動支援の問題など、そのたびに台東区は国の法律改正を待たずして、独自にシステムの変更を先駆的に行ってきたことに対し、高く評価をしたいと思っています。
今回は特に情報の管理、広報並びに新卒対策についてお尋ねいたします。
障害のある方は、生まれてから成長していく段階で、それぞれのステージで役所の機関とさまざまなかかわりを持って生活をしていきます。例えば保健所、子育て支援課、学務課、教育館、福祉課、松が谷福祉会館、また就労支援室などであります。その全ての機関で、初めて訪れた際に、今までの生育歴をその都度繰り返し説明をするそうであります。その都度説明するわけですから時間もかかるでしょうし、間違った情報が入るとも限らない、職員の長時間拘束は区民サービスの低下にもつながります。今後は個人情報の管理を徹底することにより、このような無駄な対応は撤廃すべきだと考えています。
生れてからそれまでの個人の積み上げたデータを所管で徹底して一元管理していただき、必要なときには照会でき、円滑な対応ができるようなシステムを構築していただきたいと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
次に、情報の発信についてであります。
墨田区の特別支援学校に通っている生徒のご家族の方からの要望の中で、学校の情報は入ってくるのですが、台東区が行っている福祉サービスやさまざまな制度についての情報の入手が難しいとの声がありました。所管でも学校などに働きかけているとのことですが、保護者の方には正確に伝わっていないのが現状であります。幼児期、学童期、成人とそのステージで使えるサービスが変わりますが、その情報が入ってこない、自分で働いて情報を得ようとすると、その、また生育歴の説明をしなくてはならないということで、ぜひ簡単に情報が入手できるよう手だてを考えていただきたいと思います。
例えば、ホームページや広報たいとうに加え、メールマガジンや郵便、SNSなどを活用して周知してはいかがでしょう。また、台東区在住の障害を持った方々のご家族を対象に保護者会などを開催し、周知に努めていただきたいと思いますが、区長の所見をお伺いいたします。
次に、障害者の新卒対策についてです。
学校を卒業する人数が年々増加しており、現状では毎年10名から16名の方が、社会人として学校を後にしています。障害をお持ちの方の行き先は限られており、就労施設が6施設で定員が110名、デイサービスが4施設で138名、就労支援室が3施設で38名、程度により入れる施設と入れない施設はありますが、全施設の合計定員が286名で、利用者数は284名ということであります。来年度は卒業生が13名予定されていますので、このままでは完全に定員オーバーになるのは間違いないところであります。人口統計から見ても、将来需要が高まることが想像できることもあり、早急にこの問題に着手すべきだと考えています。
そこで、就労支援施設、通所施設とも整備を拡充していかなくてはならないと考えます。それには民間も巻き込んで、施設の誘致を積極的に行うべきだと思っています。そして、新卒者、利用者の方々が、選択肢の少ない中でも、希望する施設を安心して利用できるように万全な対応を望みたいと思います。
新卒者対策については、今年度策定される第4期台東区障害福祉計画にも盛り込んでいくと思いますが、どのような位置づけで進めていくのか、区長の所見をお伺いいたします。
また、企業によっては、国の支援を有効に活用し障害を持った方の就労推進に努めていただいているところでありますが、台東区として何らかの支援をして、中小企業が障害者の就労支援に協力いただけるようなシステムを構築してはどうでしょう。そして社会参加の道筋が促進されることが、新卒対策の問題を解決する大きなテーマの一つになると考えますが、中小企業における障害者の就労支援について、区長の所見をお伺いいたします。
最後に、臨時福祉給付金事業についてお尋ねいたします。
経済成長の底上げと好循環の実現を図り、持続的な経済成長につなげるため、政府が施策に盛り込んだ経済成長パッケージの一環として2つの給付金が支給されることになりました。これらの給付金について、どちらか一つ受けることになりますが、この給付金事業は低所得者、子育て世帯に対する生活の支援として大切な制度でありますので、ぜひ給付金を受け取っていただきたいと思いますが、区長の所見をお伺いいたします。
また、犯罪を未然に防ぐためにどのように取り組んでいくのか、区長の所見をお伺いいたします。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 太田議員のご質問にお答えさせていただきます。
ご質問の第1は、区の将来人口と区政のあり方についてでございます。
まず、18万都市の達成に対する評価についてでございます。
人口は都市の活力の源泉であり、人口増加は本区の発展に向けて重要な意義を持つものと考えております。本区の人口増加は、近年の都心回帰の傾向に加え、中学生までの医療費無料化、認定こども園の開設などの子育て支援、区立台東病院の整備などの健康づくりの推進、福祉プラザ台東清峰会の誘致などによる福祉施設の充実、密集住宅市街地整備促進、建築物の耐震改修促進を初めとする安全・安心なまちづくりの推進など、これまで展開してまいりましたさまざまな施策の総合的な効果によるものと認識いたしております。
次に、人口動向を見据えた施策の取り組みについてでございます。
議員ご指摘のとおり、本区の人口は全国の傾向とは異なり、増加を続けながら緩やかに少子高齢化が進行していく推計となっております。新たな
長期総合計画の策定に当たりましては、このような将来人口の特性を十分に踏まえることはもとより、さらに長期的な視点に立ち、人口が減少に転じる局面をも視野に入れながら、基本構想のさらなる実現に向けた施策をバランスよく構築してまいりたいと存じます。
次に、公共施設の維持、保全、適正化に関する基本方針についてでございます。
私は、今回の人口推計の結果を受けて、区民の皆様が区有施設を安全で快適に、できる限り長く利用できるようにするためには、計画的に維持、保全を図っていく必要があると考えております。
そこで、現在の区有施設につきましては、長寿命化を図りながら計画的に更新を進めていくこと、さらに人口構成や区民ニーズの変化にあわせて、中長期的な視点から施設の再編を進めていくことを基本的な考え方とした上で、基本方針の策定を進めているところでございます。今後、区有施設の現況とあわせて、施設白書として取りまとめを行い、早期にお示しをしてまいります。
次に、今後の高齢者福祉施策についてでございます。
昨年度実施した高齢者実態調査では、区内に住む高齢者の半数以上の方が自宅で暮らしたいとの意向でございました。私は、これまで地域での自立した生活を支えていくため、地域見守りネットワークの構築や認知症高齢者の早期発見、診断の体制づくりなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
議員ご指摘のとおり、今後、ひとり暮らし高齢者の増加が見込まれていることから、これまで以上に地域の皆様や関係機関と連携、協力し、見守りや支援を行っていくことが大切であると認識いたしております。新たな
高齢者保健福祉計画では、住みなれた地域で生活できるよう、医療と介護の連携を初めとした地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みに力を入れてまいりたいと考えております。計画の策定に当たりましては、人口の将来推計等を踏まえ、サービスと負担のバランスを考慮し、中長期的な視点に立った施策の展開を図ってまいります。
次に、今後の
特別養護老人ホームの整備についてでございます。
議員ご指摘のとおり、今後、
特別養護老人ホームの入所を希望される方の増加が見込まれていることから、その整備は本区にとって重要な課題であると認識いたしております。そのため高齢者人口の推移や入所状況、国の整備方針などを踏まえ、現在のベッド数に加えて新たに176床以上を整備することを目標として定めたところでございます。本年4月には、新たに区内に
特別養護老人ホームを整備する民間の社会福祉法人に対する整備費補助制度を創設し、既に具体的な相談を受けているところでございます。今後は民間による整備を基本として、新たな
高齢者保健福祉計画に位置づけ推進してまいります。
ご質問の第2は、(仮称)台東区
次世代育成支援計画の策定についてでございます。
この計画につきましては、現行の台東区
次世代育成支援地域行動計画を引き継ぎ、子ども・子育て支援新制度を包含する計画として、
次世代育成支援地域協議会でご議論を重ねていただいているところでございます。また、昨年度は、保護者及び児童を対象としたニーズ調査を実施いたしております。その調査結果や人口推計を踏まえ、本計画のうち新制度にかかわる事業についての量の見込み及び確保方策について、本定例会にお示ししてまいります。今後、第3回定例会に向け、計画の中間のまとめ案を作成し、その後、パブリックコメントを実施の上、来年3月の策定を目指してまいります。私は、この計画に基づき、「子どもたちの笑顔にあふれ、にぎわいと活力のまち・たいとう」の実現を目指し、全力で取り組んでまいる所存でございます。
ご質問の第5は、補正予算についてでございます。
私は、「子育てするなら台東区」を掲げ、これまでも教育・保育環境の充実に努めてまいりました。しかしながら、本年度の保育園の待機児童数や次世代育成支援に関するニーズ調査の結果から、今後も保育ニーズは増加する傾向にあることが明らかとなっております。
そこで、そのような保育ニーズに迅速に応えるため、待機児童の解消に向けた、さらなる対応が早急に必要であると判断し、補正予算を提案させていただいたものでございます。今後も待機児童の状況や教育・保育ニーズを踏まえながら、適切に対応してまいります。
ご質問の第8は、
東京オリンピック・
パラリンピックについてでございます。
まず、文化の発信と交流についてでございます。
私は、オリンピック・
パラリンピック開催都市として東京の注目度が高まる中、世界各国から訪れる方々に対して、文化芸術に触れる機会を提供し、文化の交流を図る取り組みを行うことは重要であると考えております。本区におきましては、下町風俗資料館で下町の生活文化を、また、江戸下町伝統工芸館ではたくみのわざのすばらしさを、そしてアトリエ店舗ではものづくりの体験を海外から訪れる方々にも紹介、提供しているところでございます。また、民間事業者においても着物体験や茶道体験など、外国人の方に日本の伝統文化を体験していただく取り組みが行われております。私は、2020年の
東京オリンピック・
パラリンピックに向けて、区民の皆様や事業者等と連携を図りながら、議員ご提案の参加・体験型の事業や文化交流を深める取り組みを進めてまいります。
次に、おもてなしについてでございます。
私は、国際観光都市を標榜する本区といたしましては、区民一人一人がおもてなしの心を持って観光客に接することが大変重要であると考えております。このため、本区では各国の文化や宗教上のマナーを理解し、日本の伝統的なおもてなしの文化を学ぶために、おもてなし講習会を開催しております。また、生涯学習事業として、茶道や
華道等の日本文化を学ぶ講座も実施しているところでございます。今後も
東京オリンピック・
パラリンピックの開催を好機と捉え、台東区全体がおもてなしの心を持てるように、より一層の学習機会の充実を図ってまいります。
次に、ユニバーサルデザインやバリアフリー化の推進についてでございます。
全ての人々が暮らしやすい環境にしていくため、区内のユニバーサルデザインやバリアフリーを進めることは重要な課題であると認識いたしております。現在、台東区バリアフリー基本構想に基づき、鉄道駅、道路、公園等を初め、区民や来街者の皆様がご利用になる施設につきましても、ハード・ソフト両面での特定事業の実施に取り組んでいるところでございます。
東京オリンピック・
パラリンピックの開催に向けて、区内各所のユニバーサルデザインやバリアフリーが早期に進むよう関係事業者に強く働きかけ、全ての人々に優しいまちの実現に取り組んでまいります。
次に、安全・安心についてでございます。
まず、帰宅困難者対策につきましては、これまで帰宅困難者の受け入れを行う一時滞在施設等を指定したほか、帰宅困難者用の備蓄品を整備するなどの対策を進めてまいりました。また、街頭防犯カメラにつきましては、平成15年度から補助制度を創設し、町会や商店街に対して現在まで約670台に対する助成を行い、設置を促進してまいりました。
東京オリンピック・
パラリンピックに向けましても、東京都や警察、消防等の関係機関と情報を共有しながら、地域特性に応じて治安対策や地域防災力の強化を図り、安全・安心対策を確実に推進してまいります。
ご質問の第9は、障害者施策についてでございます。
まず、個人情報の管理についてでございます。
議員ご指摘のとおり、障害者の方のライフステージに沿った情報管理と関係機関における情報共有については、大変重要なことと認識いたしております。これまでも区といたしましては、特別支援教育推進協議会や発達障害児の育成にかかわる関係機関連絡会などを通じて、福祉、保健、教育の関係機関による情報の共有を図ってまいりました。
議員ご提案の障害者の方々の個人情報を一元管理するためのシステム構築につきましては、個人情報の保護に配慮しながら、保護者の意向を踏まえ、関係機関で情報を継続できる仕組みや方法について検討してまいります。
次に、施策の周知についてでございます。
障害福祉サービスの周知を行うことは、大変重要と考えております。これまでも広報たいとう、障害者のてびき等による周知や、学校と連携、協力しながら、学校福祉説明会などを行ってまいりました。しかしながら、区外の学校に通学されている方には、必ずしも十分に必要な情報が伝わっていないことも事実でございます。そのため、新たに区内での保護者会の開催や電子媒体の活用など、今後一層、障害福祉サービスの周知に努めてまいります。
次に、新卒者への対策についてでございます。
新卒者の進路につきましては、これまで在学中から学校の進路担当の教諭と区内障害福祉施設の職員との連携により、受け入れ施設の対応をしてまいりました。
議員ご指摘のとおり、区内の福祉的就労施設や生活介護施設が将来不足することが見込まれており、施設整備が必要であると認識いたしております。今後、新卒者数の推移や障害程度等を勘案しながら、現在策定中の第4期障害福祉計画の中で検討、対応してまいります。また、障害者の一般就労につきましては、現在、区の障害者就労支援室において、一般企業等への就労を支援するために、職業相談や職場開拓などの支援を行っております。
議員ご提案の中小企業が障害者の就労支援に協力していただける仕組みにつきましては、国の税制度や労働政策など多くの解決すべき課題もあり、今後、東京都など関係機関と連携しながら調査、研究してまいります。
ご質問の第10は、臨時福祉給付金等についてでございます。
まず、これまでの取り組み状況と今後の進め方でございます。
これまでコールセンター開設を初め、広報たいとう特集号の発行、区公式ホームページの活用など、給付金に対する問い合わせに的確に応じる態勢を整備するとともに、情報の発信に努めてきたところでございます。また、台東区町会連合会、民生委員・児童委員、介護保険事業者などに協力を依頼し、幅広く事業の周知を進めているところでございます。今後は、今月末より対象となる方に申請書をお送りいたします。7月1日からの申請受け付けの開始に向け、引き続き確実に申請していただけるよう進めてまいります。
次に、犯罪被害の防止についてでございます。
給付金を口実に、振り込め詐欺等の犯罪が懸念されるため、区民の皆様が犯罪に遭わないよう警察署とも連携し、被害防止を呼びかけるチラシを町会へ配布するとともに、広報たいとう、たいとう安全・安心電子飛脚便などにより注意喚起を図ってまいります。私は、このような取り組みを通じて、給付金を円滑に支給できるよう進めてまいります。
その他のご質問については教育長がお答えいたします。
○議長(和泉浩司 さん) 教育長。
(教育長和田人志さん登壇)
◎教育長(和田人志 さん) 太田議員のご質問にお答えをさせていただきます。
まず、子ども・子育て支援新制度についてでございます。
平成27年度から始まる子ども・子育て支援新制度につきましては、去る4月に関係する法令の一部が公布され、開始に向けた準備が本格化しております。現在、制度実施に係るシステム構築や必要な条例等の整備の検討を行っているところでございます。今後、秋に始まる来年度の幼稚園、保育園等の入園申請手続に先立ち、子育て家庭に対して、新たに導入される保育の認定手続について周知を図るとともに、円滑な実施に向けて準備を進めてまいります。
課題といたしましては、議員ご指摘の事項がございますが、とりわけ人材と施設の確保、認証保育所への支援、さらには教育・保育に係る質の維持・向上が重要になってくるものと考えております。教育委員会といたしましては、引き続き必要な対応を遺漏なく行ってまいります。
次に、就学前人口の需要を見据えた幼児教育・保育施設の整備についてでございます。
教育委員会では、これまでも区民が安心して子育てができる環境づくりを進めるという観点から、区内の教育・保育ニーズや待機児童の状況を的確に判断した上で、認可保育所、認定こども園、認証保育所など、多様な手法で施設整備を進めてまいりました。
議員ご指摘のとおり、子ども・
子育て支援事業計画の策定に当たり、後年度負担や人口減少を視野に入れることは大変重要なことと認識いたしております。そのため、同計画におきましても、推計された教育・保育ニーズの変動に対しては、区立幼稚園の学級編制や緊急保育室等で適切に対応することとしております。今後も子ども・
子育て支援事業計画を踏まえつつ、将来的な教育・保育ニーズを見きわめながら、効率的、効果的な施設整備を進めてまいります。
次に、補正予算についてでございます。
教育委員会といたしましては、本年度、保育所の整備として認可保育所1カ所、
小規模保育所2カ所を年度内に開設するための準備を進めております。しかしながら、区長の答弁にもありましたとおり、本年度の待機児童の状況に加え、次世代育成支援に関するニーズ調査の結果から、今後も保育ニーズの増加が見込まれております。そのため、来年度、認可保育所及び
小規模保育所、各1カ所を年度当初から開設できるよう準備を進めるため、補正予算をお願いしたところでございます。今後も、子ども・
子育て支援事業計画を踏まえつつ、待機児童の状況や教育・保育ニーズをしっかりと見きわめながら、認可保育所、認定こども園、
小規模保育所など、多様な手法で、効率的、効果的な施設整備を進めてまいります。
次に、年少人口の動向を見据えた
義務教育施設のあり方についてでございます。
義務教育施設である小・中学校につきましては、子どもたちの確かな学力の育成と生きる力の基礎を培う場として大変重要であると認識いたしております。そのため、教育委員会といたしましては、年少人口の動向を踏まえ、学校別に長期的な就学児童・生徒数の推計を行いながら適正な学級編制を行うとともに、学校における必要な改修や教室整備などを適切に行い、児童・生徒に対する良質な教育環境の提供に努めてまいります。また、魅力ある教育活動を充実し、子どもたちの意欲を尊重することができる学校選択の利点を生かすとともに、学校と家庭や関係者との連携を一層密にして、保護者や地域の期待に応える学校づくりを推進してまいります。
次に、台東区
学校教育ビジョンについてでございます。
学校教育ビジョンのこれまでの成果として、学びのキャンパスプランニング事業では、上野の山の文化施設を初めとした区内の地域資源、人材を活用した多様なプランを学校園が積極的に取り入れているところでございます。また、ICT教育の推進では、デジタル教科書の動画等を活用することにより、実際に体験することが困難な活動を疑似体験できたり、短時間で具体的な説明が可能になったりという効果があり、児童・生徒が興味関心を持って学習に取り組んでいるところでございます。さらに、教員の資質、能力の向上では、スーパーティーチャー育成講座を修了した教員、保育士が、自己の成果を学校園内に広めたり、今年度の区主催の研修の講師等、推進役として大いに活躍しているところでございます。
今後の課題につきましては、豊かな心づくりの推進において、各学校園が抱えるいじめ、不登校などの生活指導上のさまざまな課題を共有し、全ての子どもたちが生き生きと学校生活を送れるよう、教職員の研修を深め、家庭や地域と連携しながら、さらに健全育成の充実を図っていく必要があると認識いたしております。今後も
学校教育ビジョンに掲げた理念を実現するために、さまざまな事業展開を通じて、台東区にふさわしい教育の実現を目指してまいります。
次に、2020年
東京オリンピック・
パラリンピックに向けた取り組みについてでございます。
まず、大会に向けたこれからの生涯スポーツの振興についてでございます。
議員ご指摘のように、生涯を通じてスポーツ活動を生活の中に取り入れることは、健康や生きがいづくりにとって大変重要であると認識いたしております。そのため、本区では、台東区スポーツ振興基本計画に基づき、誰もが気軽にスポーツに親しめるよう、スポーツひろばを実施するなど、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。
2020年
東京オリンピック・
パラリンピックの開催は、区民の皆様がスポーツへの関心を高める絶好の機会であると認識いたしております。これを契機といたしまして、著名なアスリートによるスポーツイベント、スポーツ教室の開催など、スポーツに親しめる環境づくりを行い、生涯を通じて健康に地域で生き生きと暮らせるよう、生涯スポーツの振興に努めてまいります。
次に、オリンピック・
パラリンピック教育の推進についてでございます。
区内全小・中学校では、既にオリンピック教育推進校を初め、道徳教育や体育指導などを通して、オリンピック・
パラリンピックの歴史や意義、スポーツのすばらしさや異文化理解を深める学習などに取り組んでおります。特に、講道館を創設した本区ゆかりの嘉納治五郎氏を題材とするなど、国際人として世界に貢献する大切さを学ぶとともに、こころざし教育の中でも、不撓不屈の精神や公徳心、相手を思いやる気持ち、あわせておもてなしの心情を育ててまいります。さらに、子どもたちが将来、大会運営や競技の主人公として活躍することを期待し、学びのキャンパスプランニングの活用や東京都のアスリート派遣事業などを積極的に取り入れてまいりますが、今後はどの学校園においてもオリンピック・
パラリンピック教育を教育課程にしっかり位置づけ、意図的、系統的に推進できるよう、その大綱として区独自の台東区オリンピック・
パラリンピック教育プランを策定し、取り組みの一層の充実を図ってまいります。
○議長(和泉浩司 さん) 21番河野純之佐さん。
(21番河野純之佐さん登壇)(拍手)
◆21番(河野純之佐 さん) たいとうフロンティアの河野純之佐でございます。一般質問に先立ち、桂宮親王殿下のご薨去の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。
それでは、平成26年第2回定例会におき、大きく4点にわたり一般質問をさせていただきます。
この任期中では、恐らく質問の機会も最後になりますので、この3年間、重点にしたテーマや具体的な提案などを質問させていただきますが、お許しをいただき、区長並びに教育長には誠意ある答弁をお願いいたします。
初めの質問は、台東区の安全・安心の向上についてです。
甚大な被害をもたらした東日本大震災発生から、あすで3年3カ月が過ぎようとしております。私も被災地の支援などで何度か現地に伺い、そのたびに一刻も早い復興を願うとともに、本区の安全・安心の向上や区民の生命、財産を守ることの重要性を痛感してきました。そのため、さまざまな機会を通じ、災害対策の意見や提案をさせていただきました。本区としても地域防災計画の改定など、災害対策の充実に努めたことにより、安全・安心が着実に向上したことは評価をしておりますが、まだまだやるべき課題はあります。大震災の教訓を踏まえた災害に強い台東区や区民が安全・安心に暮らせる生活環境づくりに、今後も全力を注いでいかなくてはなりません。過日の5月初め、都内で震度5弱の地震が発生しましたが、このレベルの地震は東日本大震災以来です。その後も体感できる地震は発生し、首都直下地震への備えを一層充実することは重要な課題であります。
そこで2点を質問します。
震災による区民の被害を最小限に抑えるため、地域防災計画の中で目標を定め取り組むことになっています。これまでどのような取り組みを進めてきたのか、また、今後はどのように充実を図っていくのか、伺います。さらに、昨年の一般質問で、地域防災計画の進捗管理について、区長より、防災会議を通じ進捗管理を行うとの答弁をいただきました。その後の状況と計画達成への決意を伺います。
次は、防災都市づくりの視点からの質問です。
東京都が5年ごとに作成する地震に関する地域危険度測定調査が、昨年の9月に公表されました。この調査は、建物の倒壊及び火災についての危険性を測定し、例えば台東区東上野何丁目といった町丁目単位で公表をしております。建物倒壊危険度、火災危険度、総合危険度の3つの項目からなり、都内の危険度の高い町名100位までのランキングが公表されていますが、残念なことに、区内37の町名も含まれております。現在、防災整備地域に位置づけた谷中・根岸地域を重点的に取り組んでおりますが、それ以外の危険度が高い地域に対しても効果的な取り組みを実施し、危険度が高い町名を極力減らすようにするべきではないでしょうか。
そこで、この調査の結果について、本区はどのような評価をしているのでしょうか。そして、5年後の次の調査まで、本区の評価が改善するよう中期的な視点で対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、首都直下地震を想定したさまざまな資料が公表されております。これらは大変有効と考えますが、どのように活用し、防災都市づくりの施策展開を図っているのでしょうか。さらに、安全で安心して住めるまちを築くため、これまでの取り組みと今後どのような決意で取り組んでいくのか、区長の所見を伺います。
次に、子どもに対する安全対策と防犯カメラについてです。
本区は、子どもへの安全対策は多角的に行っておりますが、本年度から、東京都は公立小学校の通学路に防犯カメラを設置する治安対策の強化に取り組みました。世界一安全な東京を公約にした都知事の意向を反映させた施策だと思いますが、プライバシー保護の問題もあり、設置については各自治体の判断に委ねられております。子どもへの変質行為などの被害状況は相変わらず後を絶ちません。
そこで、まず、この事業に対しての本区の考え、また取り組む姿勢について、教育長の所見を伺います。
さらに、子どもの安全でいえば、通学路にとどまらず公園や広場もあります。公園内での不適切な利用、深夜の器物破損など、治安の悪化を懸念されている住民もおります。しかし、現在、公園は憩い、そして休息の場であることから、プライバシー保護を重視し防犯カメラの設置は行っておりません。防犯カメラは適切な場所に設置すれば、犯罪抑止効果があると言われております。カメラやシステムの価格が安価になり、また、カメラ設置を求める区民の声が高くなりつつ、今後普及が加速することが予測されます。区全体としての防犯対策として、プライバシーに十分配慮しながら、公園などを含めた公共の場における防犯カメラの適正な設置をするべきと考えますが、区長の所見を伺います。
質問の2点目は、台東区の南部地域の人口増と教育・保育施設の整備についてです。
この3月、台東区
長期総合計画策定のための
基礎調査報告書が示されました。それによると、平成15年から平成25年の間で最も人口が増加しているのは区南部地域であり、集合住宅建設に伴う人口増加が主な要因とされています。年齢別では、特に30歳から39歳の子育て世代、それに連動してゼロ歳から14歳の子どもの増加率が最も高い数値になっています。そして、この傾向は平成55年まで推移すると報告書は推計しています。子育て世代や子どもたちが増加することは、区の活性化や地域コミュニティの隆盛につながることであり、大いに喜ばしいことです。しかし、心配されることは、この地域の教育・保育施設の整備が追いついていくのかということであります。近年、就学前児童の施設整備については、待機児童が多いこの地域を中心に進められており、今回の人口推計に基づくと、さらにこの地域に重点的に施設を整備していくことが求められます。
そこで、子ども・子育て支援新制度を踏まえ、就学前の子どもたちが大きく増加しているこの地域において、教育・保育施設の整備を急ピッチで進めるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
さらに、就学前の人口の増加は、将来的には小学生の増加に直結していきます。区南部地域の小学校では、児童数が増加している中、特に蔵前小学校の児童数の伸びは著しいものがあります。学級数も当然ふえ、現在の小学校のレイアウトではもはや限界になり、将来の児童数増加を考慮すると、教室の確保が極めて困難になるのは明らかです。現在でも学区域内では、大型集合住宅の建設が数カ所で進められております。
そこで、蔵前小学校については、改築などの抜本的な対策を早急に進めるべきと考えますが、教育長の決意を伺います。
質問の第3点目は、住宅施策の柱と基本的な考えについてです。
私は、住宅施策は台東区が将来に目指す理想の姿を実現させるとても重要な施策だと認識しております。現在策定中の新しい
住宅マスタープランでは、本区が抱える課題やあるべき将来像をしっかり反映するべきと考えます。本区は現在、核家族化が進み、ファミリー世帯の住居が減り、ワンルームの増加により本区の魅力である地域や住民の連帯感が希薄になっております。今後は、台東区の地域力をさらに一層高めていくことは重要であります。そのため、家族のあり方に着目し、3世代が住める台東区を合い言葉に、3世代の家族が近居あるいは同居することを支援する必要があるのではないでしょうか。
また、日ごろから家族や多世代間が交流できるような仕組みや機会を提供し、きずなを築くことで地域づくりを着実に推進し、みんなで支え合うまちにしたいと考えております。少子化や高齢化の社会において、子育てや親の介護の問題など、3世代近居や同居を求める人がふえており、このような方々を支援することにより、ファミリー世帯の転入を促進するほか、子育てや介護問題の軽減など、複数の効果が期待されます。
そこで、
住宅マスタープランの方向性の柱に、地域コミュニティの再生と家族間の支え合う住宅環境の整備を位置づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、本区では平成55年においても人口が増加するという基礎調査での将来推計が出ております。この結果により、住宅施策は大きな転換が必要になるのではないでしょうか。
住宅マスタープランの策定の基本的な考えについて、区長はどのように考えているのか、所見を伺います。
最後の質問は、2020年に向けての台東区の取り組みについてです。
オリンピック・
パラリンピックの決定後、東京都などは急ピッチで動き出しています。本区はその取り組みなどをこの12月に示す予定ですが、将来的に区民にとり、そして台東区にとり、よい取り組みはスピード感を持って積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
そこで、私から具体的な提案をいたします。
この4月から東京都教育委員会は、オリンピック・
パラリンピックの歴史や意義などを学ぶオリンピック教育をスタートさせました。区内では計6校がオリンピック教育推進校として事業展開を既にしております。小・中学生の若い世代は、大きな夢の舞台で競技選手として、大会運営者として、そしてサポーターとしてなど、あらゆる場面で中心人物として活躍できる可能性が十分にあります。そのため、今後は全ての学校においてオリンピック教育推進校の取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。そして、今後は国際化の流れが一層加速すると予測します。子どもたちが国際交流を深める機会や外国人へのボランティアの経験は非常に貴重であります。
そこで、英語力の一層向上を図るため、台東区らしい独自の教育施策を展開するべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
次の提案は、江戸通りの魅力ある総合的な整備です。
オリンピック競技開催で、本区が会場になるマラソンコースは江戸通りと聞いております。マラソン競技は全世界のメディアから注目を浴び、街並みが全世界に配信されます。江戸通りを景観の向上、緑化の推進、屋外広告物の統一など、総合的に美しく、環境に配慮した整備を行い、魅力ある街並みにすることは、東京五輪が終わった後にも本区にとり価値ある創出になります。国道である江戸通りは、国や東京都との連携なしでは進められないことは承知をしておりますので、ぜひスピード感を持って関係機関や地元に積極的に働きかけ、取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
最後の提案は、ランニングの環境の整備です。
江戸通りと並行する隅田川親水テラス整備が進められ、本年度末に蔵前橋から白鬚橋までの通行が可能になると聞いております。これまで隅田公園から白鬚橋までの河川管理区域に整備されたランニングコースは広く区民に利用されておりますが、さらなる利用者の拡大に向け一層の充実を図るべきと考えます。具体的には、ジョギング、ランニングができるよう、ロッカー、シャワー等を備えたランニングステーションを設置し、既存のランニングコースも再整備し、区民の健康増進に寄与する環境づくりも十分に考えられます。隅田川を活用したランニング環境は、他の場所では得られない大きな魅力となるし、オリンピック、マラソン競技に対する区民の意識や関心などが大いに高まり、一石二鳥と考えます。隅田川を生かしたランニング環境の整備について、区長の所見を伺い、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 河野議員のご質問にお答えさせていただきます。
ご質問の第1は、本区の安全・安心の向上についてでございます。
まず、地域防災計画のこれまでの取り組みについてでございます。
区では、区民の皆様の被害を最小限に抑えるために、たいとう区安全・安心ハンドブックの全戸配布を行うとともに防災フェアを開催するなど、防災意識の啓発を行ってまいりました。また、D級可搬ポンプやスタンドパイプの整備を進め、地域の初期消火体制の強化も図ってまいりました。さらに、女性の更衣などに配慮したプライベートテントなど、避難所の備蓄の見直しを行い、町会や避難所などの防災訓練につきましては、より実践的なものとなるよう取り組んでまいりました。今後はこうした取り組みに加え、防災普及指導員による出前講座の充実やD級可搬ポンプを実際に区民の皆様が操作する訓練などを実施することで、被害を最小限に抑えるよう、意識の啓発と防災行動力の向上を図ってまいります。
次に、地域防災計画の進捗管理についてでございます。
今年度開催の防災会議では、風水害対策の修正を実施するとともに、計画全体の進捗状況の調査を行う予定でございます。これに加え警察署、消防署、陸上自衛隊との意見交換会などにおいて個別の進捗状況を確認するとともに、医療関係団体との災害時医療に関する会議などを通じて、関係機関との連携、情報共有を深めております。今後も地域防災計画に定めた防災対策を着実に進め、災害に強い台東区の実現に向け、積極的に取り組みを進めてまいります。
次に、地域危険度測定調査についてでございます。
地域危険度測定調査の結果は、大地震への備えを考える際の指標の一つであり、倒壊、火災及び総合の危険度上位の100位に本区の37町丁目が入っていることは、重要な課題と受けとめております。この調査結果を有効に活用し、防災都市づくりの実現に向けて、耐震化、不燃化など、不断の取り組みを実施していく考えでございます。
次に、中期的な視点での対策についてでございます。
市街地の防災性の向上を図るためには、重点的かつ効率的に優先度に応じた取り組みを進めることが重要と考えております。この考えのもと、木造密集地域においては、建築物の不燃化を促進し、また、耐震化については、区内全域にてその推進を図りつつ、特に倒壊危険度のランクが高い地域では、耐震改修に係る助成額を割り増しするなど、優先度に応じた事業展開を実施しております。
次に、資料の活用についてでございます。
国や都の資料については、防災都市づくりの施策展開に有効であると認識いたしており、地域防災計画を初め、さまざまな計画の策定や事業の実施に活用しております。特に、国及び都が公表した首都直下地震による被害想定では、本区でも建築物の大規模な市街地火災が発生する可能性が高いことが示されており、木造密集地域における、不燃化特区制度の活用、新防火規制の導入などの施策を展開しております。
次に、これまでの取り組みと今後の展開についてでございます。
区ではこれまで、さまざまな規制誘導策を講じて防災都市づくりを進めてまいりましたが、今年度より木造住宅の耐震診断に係る費用の全額助成など、耐震化の事業を拡充するとともに、木造密集地域においては、不燃化建てかえや老朽建築物除却に対する新たな助成など、取り組みの強化を図っております。これらの事業を着実に実施し、早期に防災都市づくりの実現を図ってまいります。
次に、防犯カメラについてでございます。
街頭防犯力メラの設置につきましては、平成15年度から補助制度を創設し、町会や商店街が防犯のために設置する場合は、その経費の助成を行い、設置の促進を図ってまいりました。ご提案の公園などを含めた公共の場への防犯力メラの設置につきましては、プライバシーの保護を初め、地域特性や地域の皆様への配慮、映像データの盗難防止対策など、多くの課題がございますので、先進自治体の取り組み等について情報収集しながら研究してまいります。
ご質問の第3は、住宅施策についてでございます。
まず、
住宅マスタープランの柱についてでございます。
私も、議員と同様に家族が互いに支え合い、地域のコミュニティが活発であることは、安心して住み続けられるまちの実現につながるものと認識いたしております。区ではこれまでも多様な世代が定住できる住まいづくりや地域コミュニティと地域活力の維持向上をマスタープランに掲げ、良好な住環境の整備に積極的に取り組んでまいりました。現在策定中の新たなマスタープランにおきましても、家族間の共助や地域コミュニティの活性化といった視点を踏まえ策定に取り組んでまいります。
次に、
住宅マスタープランの基本的な考えについてでございます。
人口の増加は、住宅施策において考慮する要素の一つでございます。一方で、本区では住宅数が世帯数を上回っており、住宅の老朽化や空き家対策、マンション維持管理の適正化など、行政に求められる施策は住宅の量の問題から住宅・住環境の質の向上へと変化しております。私は、現在策定中の新たなマスタープランにおきましても、本区に住みたい、住んでよかったと思っていただけるまちづくりを念頭に、安全で魅力のある良好な住宅、住環境の実現に向けて取り組んでまいります。
ご質問の第4は、2020年に向けての本区の取り組みについてでございます。
まず、取り組みの進め方についてでございます。
2020年を目標とした施策を展開するに当たっては、事業の実施期間や実施時期を考慮した検討が必要でございます。したがいまして、早期に取り組むべき事業につきましては、私もできるだけ早く必要な対応を図ってまいります。現在、2020年に向けた取り組みを整理し、新たな
長期総合計画に反映するよう検討を進めているところでございます。引き続き東京都や
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会組織委員会などの関係機関と連携しながら、東京大会の開催を地域のさらなる活性化や区民生活の一層の向上につなげられるよう取り組んでまいります。
次に、江戸通りの整備についてでございます。
オリンピックのマラソンコースに江戸通りが決定すれば、世界中の注目を集めることから、江戸通りの総合的な整備は、国際観光都市台東として重要であると認識いたしております。江戸通りは、国が管理していることや屋外広告物の規制等、都の権限に係る事項もあり、国や都との協議が必要になります。本区といたしましては、江戸通りの総合的な整備の実現に向け、国、都に働きかけてまいります。
次に、隅田川沿いのランニング環境の整備についてでございます。
議員ご提案のとおり、隅田川を活用したランニング環境の整備は、マラソン競技に対する関心の高まりや、さらには健康づくりの上においても大変重要であると認識いたしております。今後は隅田川親水テラスと連動したランニング環境の整備について、河川管理者である都とも協議しながら検討してまいります。
その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。
○議長(和泉浩司 さん) 教育長。
(教育長和田人志さん登壇)
◎教育長(和田人志 さん) 河野議員のご質問にお答えさせていただきます。
初めに、子どもの安全対策と防犯力メラについてでございます。
現在、通学路における登下校時の児童の安全確保対策につきましては、教員や学校安全ボランティアによる見守り、子どもの安全巡回パトロール、こども110番の設置、防犯ブザーの配付などを実施し、万全を期すよう取り組んでいるところでございます。
東京都の補助事業を活用した防犯力メラの設置につきましては、現在行っている通学路の見守り活動を補完するものとされております。教育委員会といたしましては、本区内における街頭防犯力メラの設置状況を踏まえるとともに、新たなカメラの設置や運用方法について、学校、保護者、地域、警察等の関係者と十分に協議し、子どもたちの安全確保のさらなる強化につなげてまいりたいと存じます。
次に、台東区の南部地域の人口増と教育・保育施設の整備についてでございます。
まず、保育所等の整備についてでございます。
教育委員会では、区全体の待機児童対策として、本年度中に認可保育所1カ所、
小規模保育所2カ所を開設し、来年度につきましても、認可保育所及び
小規模保育所、各1カ所を年度当初から開設できるよう準備を進めるため、補正予算をお願いしているところでございます。
南部地域につきましては、平成22年度以降、認可保育所2カ所、共同型家庭的保育施設2カ所、区設保育室1カ所を整備してまいりましたが、依然として待機児童数が多くなっている状況でございます。今後の保育所等の整備につきましては、子ども・
子育て支援事業計画を踏まえつつ、待機児童数や施設の配置状況、教育・保育ニーズをしっかりと見きわめながら、柳北保育室の受け皿となる認可保育所を南部地域に誘致するなど、効率的、効果的な施設整備を進めてまいります。
次に、蔵前小学校の施設整備についてでございます。
蔵前小学校につきましては、本区の南部地域の年少人口の増加に伴い、児童数は年々ふえてきております。学級数も創立時から3学級ふえており、これまで活用可能な場所を部分改修するなどにより普通教室を確保してまいりました。しかしながら、本区の今後の人口推計によりましても、蔵前小学校の児童数や学級数は増加すると存じます。現在の校舎内の配置を考慮いたしますと、将来にわたり普通教室を新たに確保していくことは、部分改修では限界があると認識しているところでございます。児童数に見合った普通教室を確保することは最も重要な課題の一つでございます。現在、どのような整備手法で対応していくかということにつきまして、さまざまな観点から鋭意検討しているところでございますので、よろしくお願いいたします。
次に、2020年に向けての台東区の取り組みについてでございます。
まず、オリンピック・
パラリンピック教育についてでございますが、区内全小・中学校では、既に道徳教育や体育指導、こころざし教育などを通して、オリンピック・
パラリンピックの歴史や意義、スポーツのすばらしさや異文化への理解、おもてなしの心などを育てております。さらに教育委員会では、台東区オリンピック・
パラリンピック教育プランの策定を予定しており、全校が取り組める体制を強化してまいりますが、今後もオリンピック教育推進校の指定も活用しながら、さらなる充実を図ってまいります。
次に、英語力の向上についてでございます。
2020年に向けて、本区を訪れる外国人観光客はますますふえていくことが予想されます。本区におきましては、全小・中学校に外国人英語指導員を派遣し、小学1年生のときからネーティブスピーカーの英語に触れる機会を通して、臆せず外国人とコミュニケーションを図ることができるように指導しております。既に学校によっては浅草の雷門や仲見世などで、外国人観光客の方々にインタビューなどをしたり、他の観光地に赴いて外国人に台東区のよさを英語で伝える活動を行ったりするなど、インターナショナルな交流ができる取り組みをしております。今後も、さらに台東区が世界有数の観光地である強みを生かして、子どもたちがおもてなしの心をもってまちの名所を案内したり、日本の伝統的な文化を伝えたりするなどの触れ合い活動も工夫しながら、英語力のさらなる向上を目指してまいります。
○議長(和泉浩司 さん) それでは、ここで10分間休憩いたします。
午後 2時35分 休憩
──────────────────────────────────────────
午後 2時48分 開議
○議長(和泉浩司 さん) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
15番鈴木一郎さん。
(15番鈴木一郎さん登壇)(拍手)
◆15番(鈴木一郎 さん) たいとう21の鈴木一郎です。一般質問を行わせていただきます。
私の今回の質問は、受動喫煙防止対策についてですが、2020年の東京
パラリンピック・オリンピックに際して、年間約4,400万人の来街者に対する受動喫煙防止対策は、とても大切なことと考えます。
そこで、公共施設や飲食店などに対する、本区での受動喫煙防止の取り組みについて、区長にお伺いします。
さて、これから、私の所見でありますが、幾つかの視点からたばこについて述べさせていただきます。
WHO、世界保健機構が提唱している、たばこ規制枠組条約は、約180国が批准しております。我が国は180国のうちの19番目の批准国でありますが、しかし、批准した内容は、いまだに完全に履行されておりません。状況は最悪です。その国は、わずかアフリカの一部の発展途上国と我が国と北朝鮮だけです。来る2020年に東京
パラリンピック・オリンピックが行われますが、IOC、国際オリンピック委員会とWHOは、たばこの煙のない環境にするための協定を結んでおります。これまでのオリンピック開催都市と日本以外の開催予定都市、全てが受動喫煙防止のための法的措置を確立しております。
それでは、なぜ日本だけがおくれているのでしょうか。健康の面からもたばこの有害性は証明されております。たばこ税収は年間約2兆円ですが、たばこだけで日本で1年間に約13万人の方が亡くなっております。喫煙により発生する医療費や火災などの経済損失は、先ほどたばこ税で2兆円と申し上げましたが、医療経済研究機構の試算では6.3兆円もの損失です。
なぜ日本だけがおくれているのでしょうか。そこには、たばこ産業の深い構図があります。明治時代以来、富国強兵のもと、租税徴収のためにたばこ産業が利用されてきました。これら全てを管理しているのが旧大蔵省、現在の財務省です。たばこ税を確保し、たばこ利権を守るために財務省はたばこ事業法、日本たばこ産業株式会社法、たばこ耕作組合法、この3法を堅持しております。
例えば、たばこ事業法では、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することとありますが、自由主義経済の先進国であるこの国において、財務省はたばこが持つ担税力、税金の徴収する力に期待し、利権構造を築いております。また、独占企業でもあるJTは、財務省からの天下りも多く、海外や国内の企業を次々と買収し、国策会社という性格を持ち続けております。ちなみに、JT株の配当金、年間配当ですから、当然のように出ますが、これは全て官僚の天下り先の公益法人に融資される財源であります。一般の人にはわかりませんが、特別会計財政投融資に全て繰り込まれております。
先ほど述べましたように、WHOのたばこ規制枠組条約と日本のたばこ事業法は、健康の側面から完全に対立しております。
そこで、台東区では、平成16年1月14日に台東区歩きたばこ防止対策懇話会が開かれました。喫煙マナーについて会合が開かれましたが、健康の面からは全く不十分でした。その後、平成19年12月1日に、区長がなされたと思いますが、たいとう健康都市宣言が上梓され、これの内容は、一人一人の自覚と健康的な生活習慣を実践し、区民と地域社会と区が一体となって健康施策を積極的に推進することを誓い、健康都市を宣言するとあります。しかし、幾つかの地方自治体でもたばこの税収はいろいろありますが、本区も、たばこ納税協力者との意見交換を通じて情報収集を図り、たばこ税の収入の確保に努める、そういう事業実績シートの項目があります。そのための予算として、2010年度3,611万円、2011年度3,681万円、これは軽自動車税徴収、これは本当に微々たるものなんですけれども、この経費も含まれてはおりますが、人件費やたばこ販売促進用として本区では支出されております。たいとう健康都市宣言とは、これも相入れない施策が行われております。たばこによる医療費の増大を考えますと、私たちはどうなんでしょうか。健康で幸せに暮らすほうを優先するでしょう。
話が少しそれましたが――いや、もう少しそれます。私の質問の論点は、区民の一人一人が健康になれば本区も豊かになり、地方自治の確立もたやすくなるということです。いわゆる地方分権が早く進むということです。今、5人に4人は非喫煙者、たばこを吸わない方です。肺がんの患者も台東区では多く、やはり健康施策の一環として受動喫煙防止対策は喫緊の課題です。千代田区並みの路上禁煙、いかがでしょうか。台東区もこのぐらいの施策を行うべきだと思います。
保健所も禁煙政策を行っておりますが、全庁、全役所的に、特にスポーツ施設のある区の公共施設、生涯学習センターなど、これ年間約60%の稼働率ですが、ミレニアムホール、こういう場所で、キャラクターが実はあるんです、受動喫煙防止推進キャラクター、けむたいぞう君、これは本区にあります。けむたいぞう君にご登場いただいて、ミレニアムホールで喫煙防止の大キャンペーンを行ったらよいと思います。
重ねて、私の質問、2020年の東京
パラリンピック・オリンピックに際して、年間約4,400万人の来街者に対する受動喫煙防止対策は重要と考えます。公共施設や飲食店などに対する本区での受動喫煙防止の取り組みについて、区長のご所見をお伺いします。
最後に、健康の面から重ねて言えば、肺がんによる死亡率、呼吸器疾患の罹患率、子どもたちのぜんそくなど、本区でも受動喫煙による弊害は多く、歩きたばこ、バイクたばこ、企業の部屋の中で吸えない喫煙者が路上で副流煙をどんどん広めております。たいとう健康都市宣言がありながら、喫煙場所の多くが区民や台東区を訪れた人が通る場所にあり、また、飲食店の受動喫煙防止対策も進んでおりません。オリンピックには観光客を堂々と健康都市としてお招きでき、おもてなしができるような本区であることを切に願います。
そこで、全くこの国では生かされていないという法律、2003年施行の健康増進法25条、これを読んで私の一般質問を終わらせていただきますが、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店、その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければいけないんです。
以上、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 鈴木一郎議員のご質問にお答えさせていただきます。
受動喫煙防止対策についてでございます。
たばこ規制枠組条約は、現在、日本を含め約180カ国が締結しており、受動喫煙防止対策の推進は、
東京オリンピック・
パラリンピックに向けて、外国からの観光客の多い本区としても重要な課題と認識いたしております。
本区では毎年、世界禁煙デーにあわせ、受動喫煙の健康影響に関する普及啓発事業を行っており、昨年度は子どもへの喫煙防止教育を実施いたしました。また、飲食店につきましては、関係団体と連携し受動喫煙防止に向け、専門家による講演会などを実施してまいります。今後も引き続きさまざまな視点から受動喫煙防止対策を推進してまいります。
○議長(和泉浩司 さん) 8番松尾伸子さん。
(8番松尾伸子さん登壇)(拍手)
◆8番(松尾伸子 さん) 台東区議会公明党の松尾伸子でございます。会派を代表し、一般質問をさせていただきます。区長、教育長におかれましては、前向きなご答弁をいただけますよう、お願い申し上げます。
初めに、産後ケアについて、2点伺います。以前、小菅議員、本目議員からも質問がありましたけれども、私からも重ねて質問させていただきます。
近年、核家族化が進み、出産直後から面倒を見てくれる人がいない、また、地域コミュニティの希薄化に伴い相談相手がいないなど、さまざまな生活環境で孤立しがちな産前産後の母子への支援体制、特に、産後間もない母体へのケアが大変重要であると考えております。
元来、母性本能は女性が持ち備えているものと一般的には考えられていますが、実は産後、お母さん自身が、夫や家族などの支援者に手助けしてもらい、大切にされる受容体験により脳内物質のオキシトシンなどが分泌され、初めて我が子をいとおしいと思えるようになると、京都大学の山中教授は述べていらっしゃいます。
妊娠から始まり、出産直後の女性の体の中では、ホルモンバランスや骨盤の変化などにより、急激な大変革が起こっています。昔から、床上げまで3週間は心身ともに休養が必要だと言われているのはそのためです。この産後1カ月間のお母さんの心身は大変不安定で、産後うつや育児不安に最も陥りやすい時期なのです。また、赤ちゃんにとっても、この1カ月間の母子の相互の関係について重要な期間であります。児童精神分析者、ボウルビィ氏は、親子関係の質が、個人の長期的で社会的かつ心理的健康を本質的に決定づけるものであると述べられています。その意味からも、良好な母子の愛着形成を促進するためには、産後1カ月の支援が重要になってくるわけです。
ところで、出産間もない母親の家事、育児を支援する専門職として、産後ドゥーラという民間資格があります。ギリシャ語で他者に寄り添う経験豊かな女性という意味を持つドゥーラは、民間の訪問型の支援として、助産師もこの活動に積極的にかかわっています。財団法人ドゥーラ協会のメーンテーマは、母親もすくすく育つ世の中にです。全ての女性が産前産後を心身ともに健やかに過ごすための知識や情報及び家族や地域社会とのつながりを持つことをビジョンに掲げ、産後の家庭を訪問し、家事や育児のサポートをし、育児に対する不安感に耳を傾け、必要に応じて専門機関につなげるなどの支援を行っています。
世田谷区の武蔵野大学産後ケアセンター桜新町の利用者110名を対象に行われた調査によりますと、89.1%が核家族であり、利用した動機としては、家族の援助が受けられないが1位で、利用者全体の74%以上が30歳から39歳の方でした。また、育児技術に対する不安は、授乳についてが80%で最も多く、病院、産院では、一通り教えていただいても、最近は入院期間が短くなり、産後直後、帰宅してから、本当に授乳がうまくいくかどうかということに不安を抱きながら退院していることが多いのです。
厚生労働省の人口動態統計調査によると、第1子出生時の母親の平均年齢も年々高齢化し、2012年では平均年齢が30.3歳と報告されました。一般的に30代は20代の女性に比べると、体力の低下は著しいものがあると言われております。また、高齢出産の場合、支援者となる両親も当然高齢化しており、なかなか手助けが受けにくい場合が多くなります。特に住宅密集や集合住宅が多い都会での子育ては、子どもが泣きやまないこと1点とってみても、母親はいたたまれない思いに落ち込み、本当はかわいい我が子にもかかわらず、逆に子どもを負担に感じる精神状態に陥りやすい方もいらっしゃいます。このときの隣近所に対する母親の神経の使い方は相当なものです。私自身もこのような思いをし、心を痛めた経験があります。
産後直後の急激な環境の変化の中で、ゆっくりと話を聞いてもらえる相談相手も少なく不安な状況の中で、育児や家事も思うようにできず、いらいらが募り、ひいては虐待などのリスクへ移行してしまう要因となる可能性を秘めています。やはり子育ては、親育てから。まず母親が安心して育児に集中でき、母親自身もゆっくりとすくすく育つ環境を整えることで、母子関係の自信が生まれ、子どもも健全に育つことができるのです。
このような背景による中で、本区においては、産後4カ月までの乳児家庭全戸訪問を保健師や助産師が行ってくださっています。主に育児不安の軽減や産後うつへの対応などを行っていただいているところですが、今後、産後直後1カ月が心身の状態も不安定で、育児不安に陥りやすい時期であることから、まずは全戸訪問の時期を早めていただき、早期の産後ケアの体制を整えていただくことで、産後うつや虐待などを未然に防ぐことができると考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
2点目に、母子健康手帳交付の際に、出産や産後に支援を受けられる人がいるかどうかなどの状況がわかるような、保健師や助産師による面談を実施することが大変重要であると考えます。現在、母子手帳は妊婦さんの利便性を考えて、戸籍の窓口や出張所などで交付されていますが、せめて母子手帳交付の際に、産前産後の生活環境がわかるようなアンケートをその場で実施していただき、保健所での助産師などのアドバイスが速やかに受けられる相談体制を整えるべきではないかと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、介護予防について、2点伺います。
初めに、高齢者の居場所づくりについて質問いたします。
超高齢化が進み、ひとり暮らしの高齢者や高齢世帯が増加しています。年齢を重ねても元気で生きがいを持ち、住みなれた地域で生き生きと暮らしていきたいと願う高齢者はたくさんいます。そして、身近な場所で近隣の方と接点を持ち、いつでもお互いの様子を確認して、助け合い、支え合うことができる人と人とのつながりの形成は、介護予防を考えていく上で大変重要な生活支援に位置づけられると考えます。しかし、現状では、家に引きこもりがちになり地域で孤立してしまうおそれも危惧されます。
そこで、介護予防の観点から、日中、高齢者が気軽に立ち寄ることができ、お茶を飲みながらおしゃべりをして、楽しく過ごすことのできる居場所づくりを推進していくことが必要であると考えます。
越谷市では、行政が中心となり、商工会と社会協議会の協力を得て、蒲生駅前商店街の空き店舗を活用した、「ふらっと」がもうが平成23年にオープンしています。ここでは、地域に触れ合い、助け合いの輪を広げ、にぎわい創出のための越谷地域支え合いサービス事業を行っています。この事業では、高齢者や育児中などの支援が必要な方に、地域の事前に登録した元気な高齢者がサポートスタッフとして、日常生活のちょっとしたお手伝いを行うことで、サポートスタッフに対し謝礼として500円分のささえ愛商品券を地域の商店で使用していただくことで商業振興にもつながっているとのことです。また、ここでは地場産の新鮮野菜の販売、手芸品の展示コーナーや気軽に立ち寄れる談話コーナーを設け、交流の場所となっています。昨年は2店舗目が誕生し、2015年度には3カ所目が開設予定とのことで、高齢者の居場所づくりの拠点となっています。
また、新潟県内では、地域の茶の間と言われる居場所が2,000カ所以上あり、多くの高齢者の交流の場になっています。この地域の茶の間は、新潟市在住の女性が始めた有償の助け合い活動の事務所が、自然発生的に子どもからお年寄りに至るまで、世代を超えた交流の居場所となったことから始まりました。平成15年には常設型のうちの実家が開設され、ここに行けばいつでも人に会い、話ができ、人と一緒に食事をとることができます。また、ひとり暮らしの男性が地域から孤立しやすい傾向にある状況がありますが、ボランティアなどの社会的活動も行っていますので、目的が明確で、人づき合いや近所づき合いが苦手な方でもほかの人の役に立てるということから、男性の参加意欲が高いとのことです。今後、高齢者の社会参加型の活動を進めていく上で、さまざまなきっかけづくりが大切になってくると思います。
本区においても、社会福祉協議会において、ボランティアや地域での自主的な活動に対して支援を実施していただいていることは十分認識しているところであります。しかし、継続的で、日中、常に立ち寄ることができ、お互いの状況を確認し合える高齢者の居場所づくりの推進が必要であると考えます。区内各地域においても、自由な発想で取り組んでみたいと思う方々もおり、日中、気軽に通える場所が欲しいとの高齢者のニーズも高まっているところであります。
国では、
介護保険制度の改正に向けて検討が進められ、その中で、地域包括ケアシステムを整備していくとしています。本区においても、それを受けて、現在新たな
高齢者保健福祉計画策定がなされていくところでもあり、今後、地域力を活用した高齢者の生活支援の場として、高齢者の居場所づくりの自発的な活動の支援について進めていくべきであると考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
2点目に、認知症早期発見のためのチェックサイト導入について伺います。
近年、認知症が原因で、行方不明者が増加し、数年ぶりに発見されたというニュースが報じられました。認知症は、早期発見、早期支援が重要な鍵になることは言うまでもありません。都の新たな推計によると、都内の認知症高齢者は38万人を超え、平成37年には約60万人に急増するとのことです。
こうした中、東京都では、先日、認知症の早期発見、診断、対応を進めていくために、東京都健康長寿医療センターの知見を活用して、自分でできる認知症の気づきチェックリストを作成し、認知症を簡易チェックできる仕組みをつくりホームページに掲載しています。今後、このチェックリストを掲載したパンフレット、「知って安心 認知症 認知症の人にやさしいまち 東京を目指して」を区市町村に配布し、地域における認知症の普及啓発の取り組みをしていくとのことです。
また、国分寺市では、ことしの5月29日より認知症簡易チェックサイトの導入を開始いたしました。このチェックサイトは、パソコンやスマートフォンなどで簡単に認知症チェックができ、また予算的にも、人口規模によって違いますが、初期設定費用が2万円から5万円、毎月の管理費用は2,000円から5,000円と低額になっています。東海大学医学部の市村先生の監修に基づき、公益社団法人認知症の人と家族の会の協力により作成されたもので、家族向けの「これって認知症?」とご本人向けの「わたしも認知症?」があり、簡単な設問に答え、結果によって心配な方は、こちらへ相談してくださいと、地域包括支援センターや関係機関が明確に表示してあり、連携がとりやすくなっています。認知症のごく初期と認知症の始まり、あるいは進展する可能性のある状態などを、本人とご家族が簡単に予測できるように考案されています。認知症への正しい認識や理解を深めていくためにも大変有効なツールであると考えます。
そこで、本区においても認知症簡易チェックサイトを早急に導入すべきであると思いますが、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、移動式赤ちゃんの駅について伺います。
近年、野外などでの各種イベントや防災訓練のときなど、乳幼児を連れたお母さんの参加しやすい環境を整えるため、授乳やおむつがえに自由に使える移動可能なテントや、折り畳み式のおむつ交換台などの移動式の赤ちゃんの駅を無料で貸し出す自治体がふえています。最近、乳幼児を連れたお母さんにとって、外出する際に、何かと気を使うことがたくさんあり、授乳のときくらい安心してリラックスできる場所があるといいなという声を伺います。また、イベントなどで授乳やおむつがえのスペースが確保されていれば、気軽に参加しやすいということでした。
大阪狭山市では、市内で開催されるイベントや小学校の運動会などに、乳幼児連れのお母さん方から安心して参加できると喜ばれているそうです。橋本市でも平成25年秋より導入されています。また、横浜市の元町商店街では、2009年2月から土日、祝日など、商店街の歩行者天国が実施される時間帯に、移動式の授乳・おむつがえ専用車両、ポペッツタウン号が登場しているとのことです。マイクロバスを改装したもので、車内にはカーテンで仕切られた授乳コーナーが2つ、おむつがえ用ベッドが2つのほか、ミルク用のお湯も用意されており、無料で利用できます。
また、区としては、震災など緊急時の備蓄品にパーテーションなど、プライバシーを確保できる備蓄がされていることは認識していますが、緊急時においても、赤ちゃん連れのお母さんにとって、おむつ台があり、安心して授乳できるスペースがあり、一定のプライバシーが保たれるものとしては大変有効と考えますが、このような野外や屋内でもお母さんと赤ちゃんのプライバシーを保つことができ、安心して利用できる移動式の赤ちゃんの駅導入について、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、待機児童対策について伺います。
昨年より、安倍首相は、保育需要がピークを迎える2017年度までに待機児童をなくす方針を打ち出しております。2015年度からは、子ども・子育て支援新制度がスタートする予定で、それまでの2年間でできる限りの手を打つということです。
保育需要と供給に開きが生じていることから、本区においても共同型家庭保育の拡大や小規模保育の誘致など、積極的に取り組んでいただいていることは高く評価しております。しかしながら、本年4月の時点でも、残念ながら待機児童が出ている実態があります。今後も景気の動向とワークライフバランスのニーズの高まりからも、待機児童が増加し続けることは必至であり、今後の対策は緊急の課題となっております。
さて、デンマークでは出生率が先進国でも上位にあり、子どもたちは望まれて生まれ、皆、国の宝である。次の社会を担う大事な人材であるとの国の方針を立てています。女性の就労率も約78%と世界的にトップであることから、安心して子育てができるシステムが確立されています。まず、母子手帳が交付されますと、すぐに保健師が動き出し、初産の場合、出産予定日前に家庭訪問して出産前の心得などを伝え、同時に保育園の希望先を聞くところから始まるそうです。1歳までに7回訪問するとのことです。もちろん待機児童はゼロを目指していて、希望する保育園が定員を超えるというときには、自治体が責任を持って保育ママをあっせんし、森の幼稚園なども活用しています。早目早目のニーズ調査により、人口推計と保育需要を先取りする制度になっています。
そこで、本区においても待機児童対策の一つの打開策として、待機児童対策を速やかに進めるに当たり、少しでも早く保育ニーズを把握する手だてとして、母子健康手帳の交付数を活用することについて、教育長のご所見をお伺いいたします。
以上で質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 松尾議員のご質問にお答えさせていただきます。
ご質問の第1は、産後ケアについてでございます。
産前産後の母子の支援体制を整えることは、母親の心身の健康と子どもの虐待予防のために重要であると私も認識いたしております。現在、区では、保健師や助産師による乳児家庭全戸訪問を実施し、産後2カ月までに、おおむね3分の2程度の家庭を訪問しております。今後もできる限り、早期に訪問につなげることができるように努めてまいります。
また、議員ご提案の母子健康手帳交付の際に、産前産後の状況が把握できるアンケートを実施することは、早期に支援が必要な家庭を把握するために有効な手段と考えます。今後、母親の産前産後の支援をより充実させるため、それぞれの状況に合わせたきめ細やかな相談体制を整備してまいります。
ご質問の第2は、介護予防についてでございます。
まず、高齢者の居場所づくりについてでございます。
高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続ける上で、地域の人々による見守りや支え合いは大変重要であると認識いたしております。これまで老人クラブの活動を初め、区で行ういきいき自主活動支援事業や社会福祉協議会によるふれあいサロン事業などを通じて、高齢者の自主的な活動を支援してまいりました。
議員ご提案の住民主体で行う高齢者の日常継続的な居場所づくりにつきましては、介護予防や生活支援の観点からも、重要な役割を果たしていくものと考えております。こうした活動に対する支援につきましては、今後研究してまいります。
次に、認知症簡易チェックサイトについてでございます。
認知症高齢者の増加が今後も見込まれる中、区では認知症コーディネーターを配置し、認知症の方を早期に発見し、状況に応じて適切に医療や
介護サービスにつなげるため、その支援体制の整備を進めているところでございます。
議員ご提案の認知症を簡易にチェックできる方法につきましては、ご本人や家族の気づきを促す有効な手段の一つであると考えております。今後、都が作成した認知症チェックリストやパンフレットなどを活用するとともに、他の自治体での先進事例などを参考にしながら、認知症高齢者の早期発見に向けた取り組みを推進してまいります。
こ質問の第3は、移動式赤ちゃんの駅についてでございます。
本区では、授乳やおむつ交換のできる場所を区有施設の改修等にあわせて整備し、乳幼児を連れたお母さんのプライバシーに配慮してまいりました。また、これらの場所がある区内の公共施設等の情報につきましては、ホームページ等を活用し、周知しているところでございます。
議員のご提案につきましては、イベントや防災訓練実施時に有用であると考えますので、今後導入に向けて検討してまいります。
その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。
○議長(和泉浩司 さん) 教育長。
(教育長和田人志さん登壇)
◎教育長(和田人志 さん) 松尾議員の待機児童対策についてのご質問にお答えをさせていただきます。
待機児童対策を進めるに当たり、保育ニーズをなるべく早く適確に把握することは重要なことであるとの認識は、議員と同様でございます。教育委員会といたしましては、次世代育成支援に関するニーズ調査や保育所申請者数の推移などから、保育ニーズの把握に努めているところでございます。
議員ご提案の母子健康手帳により、保育ニーズを把握することにつきましては、交付数が必ずしも保育ニーズに一致しないなどの課題もございますが、活用方法について研究しながら、的確な保育ニーズの把握に努めてまいります。
○議長(和泉浩司 さん) 9番小髙明さん。
(9番小髙 明さん登壇)(拍手)
◆9番(小髙明 さん) 日本共産党の小髙明です。日本共産党台東区議団を代表して、大きく4点について質問いたします。
安倍首相の暴走がとまりません。初めに、区民の生活を脅かすこの暴走に関連して、3点について区長の認識をお伺いします。
第1回定例会の我が党の代表質問に対し、区長は、国会で決定される国政の方向性を基本に区政運営を進めるのが私の役目と答弁されました。それでは、地方自治法第2条にある地方自治の責務、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること、これはどうなってしまうのでしょう。区長の責務は、この地方自治法にのっとり職務を遂行することであり、国の方向性を受けて、その下請を行うのが自治体の長の役目だという認識は誤りだと言わざるを得ません。しかし、区民から直接選出された区長として、区民の命と暮らしを守る立場から、国政の方向がどのようなものであるのか、きちんと認識を示すことは必要であります。
1点目に、解釈改憲による集団的自衛権行使容認についてお伺いします。
先月15日、安倍首相は、これまでの憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認に道を開く考えを表明しました。これは、従来の自由民主党政権の解釈を投げ捨て、日本をアメリカと一緒に海外で戦争する国に変えることにほかなりません。この間の国会の議論で、安倍首相の狙いが、自衛隊の兵たん活動、後方支援の活動を戦闘地域まで行って行うことにあることが明らかになってきました。これは戦後日本の平和発展を支えた憲法第9条の平和主義を放棄するものであり、軍国主義の復活につながるものであります。
区長、台東区は、平成7年に平和都市宣言を行い、次のように述べています。私たちは世界で唯一の被爆国民として、戦争による罹災経験をみずからが持つ都市の住民として、平和のとうとさを全世界に強く訴え、戦後50年のことし、改めて日本国憲法に掲げられた恒久平和に向けて努力することを誓い、ここに台東区が平和都市であることを宣言する、としています。
日本共産党は、戦前のあの侵略戦争に文字どおり命がけで反対した唯一の政党として、日本の若者が戦争で殺し合い、血を流すことになる集団的自衛権の行使には、断固として反対します。区長、安倍首相が目指す集団的自衛権の行使は、日本を海外で戦争する国にする危険な道だと思いますが、いかがですか。平和都市宣言をした台東区の区長としての認識をお示しください。
しかも、安倍首相の私が責任者だという論法は、近代政治の大原則である立憲主義を否定するものと言わざるを得ません。政府権力の横暴から国民を守り、政府にたがをはめるのが憲法の役割です。時の首相が憲法の解釈を勝手に変更するなど、許されるわけがありません。
朝日新聞、そして日本経済新聞の世論調査では、解釈改憲による集団的自衛権の行使に反対の声は55%、51%となっており、賛成は30%にも達していません。国民が解釈改憲による集団的自衛権の行使に反対していることは明らかです。それに加え、これまでの自由民主党幹事長経験者である野中廣務さん、古賀誠さん、加藤紘一さん、そして改憲論者である小林慶應義塾大学教授などは、共産党の機関紙しんぶん赤旗に登場し、安倍首相の暴走を批判しています。区長、集団的自衛権行使容認は、立憲主義に反するものと思いますが、いかがですか、認識をお示しください。
2点目は、原発の再稼働についてです。
安倍内閣は、4月にエネルギー基本計画を改定し、原発再稼働、輸出を進める意思を明らかにしました。これに反対する毎週金曜日の首相官邸前抗議行動は100回を超えました。時事通信の世論調査では、原発ゼロを志向する声が84%と圧倒的であることを示しています。
5月21日、福井地裁判決は、原発の本質的な危険性を認め、大飯原発の再稼働を差しとめる判決を言い渡しました。判決は、人の命を基礎とする人格権を最も重視し、これを超える価値をほかに見出すことはできないと明確に指摘をしました。関西電力が生存権と電気代のコストをてんびんにかけて論じること自体、法的には許されないと厳しく批判をしたのであります。この判決では、原発事故による被害が及ぶ範囲を最悪250キロと想定をしています。東京は福島原発から250キロ圏内にあるばかりでなく、新潟の柏崎刈羽原発、静岡の浜岡原発、茨城の東海原発からも250キロ圏内であります。区民の命と暮らしを守るべき自治体の責任者である区長が、この判決を正面から受けとめ、福島原発事故の収束を最優先する立場から、政府に再稼働反対の意見を申し出るよう求めるものです。見解を伺います。
3点目は、消費税の増税に伴う負担から区民を守ることについてです。
この間、我が党区議団は、景気を悪化させ、区民の暮らしや中小業者の営業をますます困難にする消費税増税に一貫して反対してきました。ところが区長は、増税分は社会保障に充てられると安倍首相の言い分そのままに消費税増税を容認してきたのであります。
4月からの消費税の引き上げによる区民の負担は深刻です。電車、タクシーなどの交通料金、日常の生活用品の買い物など、毎日、値上げを実感しています。その上、来年10月からの消費税10%への増税が実施されたら、区民の生活や営業は成り立ちません。区長、区民を守る立場にあるあなたが、消費税10%に断固反対すべきと考えますが、どうですか、区長の認識をお伺いします。
次に、8%への値上げから区民を守るために一つの提案をいたします。
この間、区の消費税相談窓口にも区民の声が寄せられています。そうした声に区がしっかり耳を傾け、少しでも区民負担を和らげる施策を早急に打つべきであります。私は予算特別委員会で、おむつ券に増税分を上乗せするように求めましたが、区長答弁は、現時点では考えておりません、引き上げの影響につきましては、今後把握に努めてまいります、というものでした。
そこで、今回は福祉タクシー券について伺います。
現在、月に額面3,500円支給をされています。500円券が5枚、100円券が10枚です。消費税増税後、タクシーの初乗りは710円から730円に上がっています。走行キロ数のメーター料金も上がっていますから、福祉タクシー券は実質的な給付の切り下げになっています。体に障害のある人の貴重な移動手段である福祉タクシー券は、値上げの端数分を充当できるように、100円券単位の追加支給を行うべきと考えますが、いかがですか、答弁を求めます。
大きな2点目として、商店街対策について質問します。
大型店、スーパー、コンビニ等の進出や消費税の増税等によって、商店の営業はますます深刻になっています。上野、浅草の商店街は多くの来街者でにぎわっていますが、売り上げには結びついていません。まして、近隣型の商店街では空き店舗が目につきます。2年前に策定された台東区産業振興プランでも、近隣型商店街では約7割で売り上げが減少、同様に7割の商店街で空き店舗が見られ、その数はさらに多くなっているとの調査結果が出ています。このような事態の原因について、産業振興プランの報告書では、観光客が減少した等、上げていますが、今日の状況に至った根本原因については触れられていません。
浅草北部の皮革履物産業に壊滅的打撃を与えた輸入自由化や大型店舗法改悪による大型店の進出、消費税の導入とその後の増税など、台東区の産業や商店の営業に多大な影響を及ぼす動きに、区がどういう態度をとってきたのかが問われなければなりません。区は時代の流れだから仕方がないと、何ら手を打たず、国や都の方針を容認してきたのです。これらは吉住区長の時代ではありませんが、今回の消費税増税は関係ないでは済まされません。
区長、区民の暮らしを守ることはもちろんのこと、商店街の現状を前進させるために何点か提案します。
まず、都の制度を実態に合った制度に改善、充実し、申請を簡素化するなど、現場で苦労している職員の声を都に反映するよう申し入れるべきであります。また、街並み環境整備支援事業、商店街街路灯のLED化のように、同趣旨でありながら補助率の違うものを一本化するなど、改善と同時に、都の制度だけの活用ではなく、自己資金の乏しい商店街にも区独自の制度を打ち出すなど、もっと商店街対策に財政を投入すべきではありませんか。商店街の活性化は、区税収入にも直接はね返ってまいります。いかがでしょう、区長の所見をお聞かせください。
台東区商店街連合会において、新会長が、魅力ある個店の導入、近隣型に必要な生鮮三品の店への支援、足元から学んでいくための講演会や知恵出し会議など、積極的な姿勢を打ち出しています。イベント中心の財政の使い方ではなく、こうした区商連の皆様とも、これまで以上に連携し、知恵を出し合い施策に反映すべきと考えます。区長の決意をお聞かせください。
さらに他区との共同なくして成り立たない商店街について質問します。
谷中銀座商店街の玄関口、夕やけだんだんは荒川区です。商店街の一部も荒川区となっており、台東区だけでは対応できません。ここも区境にある壁が剥げ落ちた空き家が文字どおり商店街の入り口にありますが、ここも荒川区です。荒川区とも共同して、この場所が何とかなれば、来街者や商店街が切望している公衆トイレや谷根千地区の簡易な案内所の設置も可能になります。この問題はしばしば取り上げてまいりましたが、これまで荒川区とどのような協議を行ってきたのか、現状はどのようになっているのか定かではありません。何よりも危険な建物をこのまま放置しておいて、通行人に被害が及ぶかわかりません。事故があってからでは遅いのです。早急に対処すべきではありませんか。また、よみせ通り商店街も片側は文京区です。商店街の活性化のための協議を行い、文京区とも協議を進めるべきです。それぞれ答弁を求めます。
次に、自立支援センターについて伺います。
自立支援センターは、特別区内の路上生活者に対する支援事業を行う施設として、その一時的な保護及び就労による自立と社会生活への復帰を目指し、東京都と特別区が共同で運営しています。
自立支援センターでは、ハローワークが面接を行うなどの支援を行っていますが、施設内での生活の遵守事項として、施設内外の飲酒はしない、無断外泊、無断外出はしない等が求められています。平成12年度に台東区と新宿区に開設され、都内5カ所に拡大をされています。台東、文京、北、荒川の4区で構成する特別区の第2ブロックでは、持ち回りでセンターを運営し、来年1月に台東区が二巡目の施設を開設する予定となっております。新しい自立支援センターは、北上野1丁目の旧台東清掃事務所跡地に建設が予定され、地元との協議も進められています。近隣からは不安と懸念、反対の声も聞かれます。地元代表が参加した協議会が開かれていると聞いていますが、建設に当たっての地元からの要望、施設開設中の諸問題の解決、跡地利用等と見切り発車をしないよう、誠意ある協議を行い、納得ずくで開設することを要望しておきます。
さて、事業の開始から14年、この間、開設当時の路上生活者数5,800人は、現在1,100人と5分の1に減少しています。入所者の若年化も進み、自立支援センターの役割の変化も指摘をされています。25年度、文京寮には前年度からの入所者を含め、台東区からは126名が入所し、その対象の理由を見ると、就労、自立で退所した人が51名、生活保護が10名、そのほかに38名は任意、無断、強制退所、期間満了によるものとなっています。これらの情勢の変化をどのように受けとめ、自立支援センターの実績をどのように評価しているのか、区としての二巡目に入るに当たっての課題は何なのか、どのように総括したのか、区長の認識を伺います。
この新しい自立支援センター開設準備のさなか、自立支援担当課長が兼務になり、その業務を保護課長が担当することになりました。生活保護や自立支援業務には、以前は課長級の副参事も配属されており、課長3名で執務をしていました。それがこの4月に、課長が1人となり、130人近い職員を抱え、全都一の保護率、8,000の生活保護世帯を取り扱っています。それに加えて、地元との協議という質の違う仕事もやらなければならない、自立支援センターの開設準備です。これまでも保護課は、厚生労働省や東京都からケースワーカーの大幅な欠員が問題視されてきました。今回は管理職までそれが広がっていると言わざるを得ません。福祉行政の軽視そのものではないんでしょうか。福祉行政の根幹を担う保護課のあり方について、区長はどのように認識しているのか、また、このような人事管理には問題があると思いますが、どうか、見解を伺います。
最後に、受動喫煙の防止と喫煙マナー向上について伺います。
5月31日は世界禁煙デーでした。生涯学習センターで、「子どもの目線から見た、タバコ」のキャンペーンが行われ、蔵前小学校の児童がつくった「タバコを吸うのが怖くなる箱」が展示されていました。たばこの箱に見立てた、その箱から児童の感性による表現として、あけるな、死ぬぞ、あなたのせいで他人も病気になります等のメッセージが書かれ、強いインパクトを感じました。
日本共産党区議団には、公園は禁煙にしてほしい、歩きたばこは危険なので取り締まってなどの声が寄せられています。昨年、ある公園を禁煙にしてほしいとの区民の声を受け、区に要望したところ、区は灰皿を撤去し、公園内禁煙の呼びかけポスターを掲示するなど、速やかに対応しました。しかし、区は公園について喫煙を規制してはいません。灰皿を設置してある公園は10カ所あります。児童遊園は原則禁煙ですが、2カ所に灰皿があります。受動喫煙から最も守らなければならない子どもが多く利用する公園、児童遊園がこの状態です。また、現在、区が設置している23カ所の喫煙スポットですが、その多くがタクシー乗り場や鉄道駅入り口、商業施設に隣接するなど、多くの人が行き来する場所であります。区民ばかりでなく、おもてなしの心で迎えなければならない来街者の多くも受動喫煙を余儀なくされています。区長、受動喫煙についてどのように認識していますか、受動喫煙を防止していく方針についてどのように考えていますか、考えをお示しください。
台東区でたばこの吸い殻を含むポイ捨て禁止条例が施行されて17年たちます。この間、多くの区が対策を強めています。歩行喫煙は12区で禁止、路上喫煙は18区が禁止、うち10区が過料などの罰則を設けるようになりました。台東区は10年前、歩きたばこ防止に向け懇話会を開催しましたが、その結果は、たばこ販売事業者が設置する喫煙スペースとの分煙を推進する、マナー向上キャンペーンを継続するなど、現状維持の方針でありました。この懇話会には医療関係者は入っておりません。
一方、千代田区では、区道での路上喫煙を、エリアを決めて2,000円の過料を徴収、エリアを随時広げ、4年前に実質全域禁煙にしました。公園にも踏み込みました。和泉公園では禁煙が大きく表示され、同時に喫煙スポットを囲みでつくっております――整備しています。区長の認識が明確になり、自治体の基本方針が一貫すれば、受動喫煙防止や喫煙マナー向上への波及効果は大きくなります。
我が党区議団は、受動喫煙防止や歩きたばこ、ポイ捨てについての区民的な認識を一大喚起することを提案いたします。その中で、飲食店など事業者への完全分煙化対策、歩きたばこやポイ捨てについても罰則を含む規制について、そろそろ正面から提起すべきではないでしょうか。あわせて、喫煙スポットを確保することも必要です。たばこメーカーやコンビニに喫煙スポット整備の責任をもっと果たさせ、受動喫煙をしないように囲い込んだ施設をつくるなど、人が集まるところは避けるなど、対策を講じるべきであります。区長、区民の健康を守るとともに、
東京オリンピックで海外の方をおもてなしするためにも、受動喫煙防止と歩きたばこ、ポイ捨て防止について、区長が基本方針を示し、区民的討論を呼びかけるべきではないでしょうか、区長の所見を求めます。
以上、誠意ある答弁を求めて、日本共産党台東区議団の質問を終わります。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 小髙議員のご質問にお答えさせていただきます。
ご質問の第1は、安倍首相の政治姿勢についてでございます。
まず、集団的自衛権行使容認についてでございます。
集団的自衛権行使につきましては、憲法のあり方も含め、現在、政府・与党間での協議を初め、さまざまな議論がなされており、今後、国会において、さらに議論されていくものでありますので、それらの動きを見守ってまいりたいと存じます。
次に、原発の再稼働についてでございます。
原発の再稼働の可否に当たっては、私は安全性の確保や事故防止への対応が最も重要であると認識いたしております。今回、福井地裁判決が出されましたが、原発の再稼働に当たっては、重大事故対策などの安全面を強化した新基準のもと、原子力規制委員会において審査が行われているところでございます。原発再稼働につきましては、今後も原子力規制委員会や国などの動向を注視してまいります。
次に、消費税率引き上げに対する対応についてでございます。
消費税率の引き上げにつきましては、社会保障と税の一体改革に必要な財源確保のため実施されるものと認識いたしております。また、引き上げに当たっては、国において、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、適切に判断されるものと考えております。
次に、福祉タクシー券の追加支給につきましては、給付事業全体にかかわることでございますので、引き上げによる区民生活への影響をさまざまな観点から注視してまいります。
ご質問の第2は、商店街対策についてでございます。
まず、商店街等に対する区独自の支援についてでございます。
区では、これまでも東京都と連携して商店街活性化に取り組み、効果を上げてきたところでございます。自己資金の少ない商店街等に対しては、助成事業だけではなく、必要に応じて、指導、助言を行うとともに、東京都中小企業振興公社のさまざまな事業を紹介するなど、きめ細やかな支援を行っております。区独自の支援につきましては考えておりません。
次に、台東区商店街連合会との連携についてでございます。
区では、これまでも日ごろより連合会と積極的に意見交換を図り、さまざまな課題に対して、適宜適切に支援を行っているところでございます。今後とも引き続き連合会と連携を図り、商店街活性化に取り組んでまいります。
次に、関係区との協議についてでございます。
まず、荒川区に対しましては、ご指摘の建物について、以前から情報提供を行い、解決に向けて協議を行っているところでございます。また、文京区につきましては、よみせ通り商栄会の街路灯の設置や改修などについて、連携して商店街の支援を行っております。今後とも関係区と適切に連携を図り、商店街活性化に努めてまいります。
ご質問の第3は、自立支援センター等についてでございます。
まず、事業の総括についてでございます。
平成12年、都と特別区は、都区協定を締結して自立支援センターを開設し、共同で路上生活者対策事業を進めてまいりました。このような中、都と特別区は、23年度に今後の展開についての総括を行い、路上生活者の人数は減少しているという一定の効果を確認する一方で、インターネットカフェ等に滞在し、路上生活となるおそれのある若年層が増加しているなどの課題が確認されました。今後も多様なニーズに向けた自立支援を推進する必要から、自立支援センターの役割は増大し、同センターにおける巡回相談事業や緊急一時保護事業、自立支援事業など、一貫性のある効果的な支援をさらに充実させていく必要があると考えております。こうしたことから、区といたしましても本事業の推進に力を注いでいるところでございます。
次に、保護課についてでございます。
生活保護は、国が、健康で文化的な最低限度の生活を保障する生存権に基づくものであり、生活が困窮している方のセーフティーネットとして大変重要なものでございます。また、生活保護にならないための支援や、生活保護からの自立支援も同様に必要不可欠な施策と考えております。私は、本区の地域特性等を踏まえ、さまざまな視点から総合的に生活困窮者のための取り組みを進める必要があり、保護行政は大変重要なものと認識いたしております。また、このたびの管理職の兼務につきましては、保護行政の推進に加え、山積する区政の課題に的確に対応するため、全庁的な調整のもとに発令したものでございます。
ご質問の第4は、受動喫煙の防止と喫煙マナーの向上についてでございます。
まず、受動喫煙についての認識についてでございます。
先ほど、鈴木一郎議員のご質問にもお答えいたしましたとおり、受動喫煙防止は、外国からはもとより、来街者の多い区として重要な課題と認識いたしております。受動喫煙を含むたばこの健康への悪影響について、正しい情報を発信していくとともに、公共の場における受動喫煙防止対策については、国や都の動向を踏まえ、引き続き検討してまいります。
次に、歩きたばこ等に対する対策についてでございます。
本区は、喫煙者と非喫煙者の双方が共存できる分煙を方針とし、歩きたばこの防止を初め、喫煙者のマナー向上を積極的に推進してまいりました。これまで、喫煙スポットの整備、路面表示シートの設置、マナー指導員の配置、大江戸清掃隊によるキャンペーンの実施などの総合的な施策展開により、喫煙者のマナーの向上や区民による清掃美化活動の拡大が図られるなど、大きな成果を得ております。私は、今後ともマナー向上対策の強化に努めてまいる所存でございます。
○議長(和泉浩司 さん) それでは、ここで10分間休憩いたします。
午後 3時55分 休憩
──────────────────────────────────────────
午後 4時07分 開議
○議長(和泉浩司 さん) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
29番伊藤萬太郎さん。
(29番伊藤萬太郎さん登壇)(拍手)
◆29番(伊藤萬太郎 さん) たいとうフロンティア、伊藤萬太郎でございます。
まず、命と健康についてお尋ねをいたします。
欧米先進国においては、先進医療技術は医学界として幅広く積極的に取り入れております。まずは、医師が病気にならないための日常の健康管理や予防医学など複合的な視点で診察に当たります。そして、身体の機能強化のために医食同源、東洋医学、漢方薬、サプリメントなどを幅広く活用しています。さらに症状としてあらわれた場合の局所療法は最小限にとどめ、病気の根本的原因を取り除くために、血液の流れや免疫細胞を強化して、体を傷つけずに根本から病気を自力で治すような体質をつくっていくのであります。
日本の医学界は、今こそ先進諸国並みの新しい多角的先進医療体制を築くべきだと思います。特に西洋医学の医師に対して、日本人は、昔から医は仁術として必要以上に畏敬の念を持たされてきました。したがって、患者側からは無抵抗で、かつ従順で、自分の病気に対しても質問の余地すらありませんでした。しかし、時代も変遷し、私たちは民主主義国家の一員として、医療に対しても個人の意思を明確に伝え、権利を行使できる社会的仕組みをみんなでつくっていくべきと思います。それこそがかけがえのない私たちの命と健康にかかわることなのです。
そこで、家族ががんなどの死に至る確率の高い病気にかかったとき、患者も家族も苦悩と悲痛の日々を過ごします。そして、医師の一言一句に一喜一憂し、まないたのコイの心境で入院の日々を数えます。一方では、わらをもすがる思いで助かるすべを模索しています。そのようなとき、例えば海外では広く使用されている未承認の抗がん剤などを使いたいと思っても、日本では簡単に使えません。無理に使った場合、一般的な治療も含めて保険が適用されず、かなりの高額な費用の100%が患者負担になります。ただし、例外的に厚生労働省の先進医療制度があって、新しい治療法を対象に安全性や効果を有識者会議が審査し、認められた場合にのみ保険適用の対象とされます。しかし、そこで認めた場合でも、適用外の未認可の医療費は患者負担です。これが現在の混合診療の制度であります。また、この審査が半年以上かかり、治療できる医療機関も限定されますので、審査会を通るのを待っていて、とうとう命を失う場合が多いと聞いております。
そこで、政府の規制改革会議が混合診療の対象範囲の拡大をする提言をし、このたび厚生労働大臣と行政改革担当大臣が6月下旬に取りまとめる新たな成長戦略の骨子案に明記することで合意をいたしました。それが選択療養制度(仮称)です。海外でも使用されている抗がん剤なども早く使えるようにする、信頼性の高い学術論文で、効果が認められたなどの条件つきで、重篤な患者に限り国の先進医療以外にも拡大をする。さらに審議期間の短縮、医療機関の増大も図る。しかし、難病患者団体や日本医師会や健康保険組合側も効果や安全性の不確かな医療が広がりやすく、健康被害が多発するおそれがあるなどの理由で、まだ反対意見は多いようです。もちろん安全面を十分に配慮し、効果に対しては根拠ある治療法を担保することを前提にすべきとは思います。しかし、この新制度が助かることのない命を助け、治療不能とされた病気が治ることはとうといことだと思います。
人の一生は1度、命は1つだけであり、患者と家族にとって切望する悔いなき治療が真の愛情だと考えます。大局的には国の医療費軽減にも寄与することになるはずです。医師と患者が納得した治療方法を幅広く取り入れる、命と治癒不能とされる病を救う、この選択療養制度(仮称)は時代の流れだと考えております。混合診療制度の拡大に対しての区のご見解をお聞かせください。また、この問題に対して、区の医師会などとの意見交換をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、健康診断基準の見直しについてお尋ねをいたします。
健康診断の結果、健康であるか、再検査をする必要があるかの健康基準値は、人それぞれに適正数値にかなりの差があることを常に感じております。報道によりますと、このたび日本人間ドック学会と日本健康保険組合連合会から、血圧や肥満度の健康診断の数値基準を緩める方向が示されました。
国内で人間ドックを受けた人を調べたところ、学会は2011年に人間ドックを受けた約150万人のうち、たばこを吸わずに持病がないなどの条件を満たす約34万人を健康な人といたしました。そこから5万人を抽出して、27の検査項目の値を見たところ、従来は130未満を異常なしとしていた収縮期血圧は147でも健康だった。85未満が異常な人だった拡張期血圧も94で健康だった。血圧やコレステロールの数値基準が高くても健康だった。受けて、学会では新基準を6月に決めて、来月の4月から運用することになったと報道がございました。すなわち、平均的に危険域を設定することは無理がある。基準値を緩和することが必要だと考えております。まさに今までは、多くの人たちがこの数値により病気のレッテルを張られ、無用な治療を行って医療費の無駄遣いを行ってきたと考えます。その治療のために、また副作用的に違う病気を発症させてきていたのではないかと思います。
この数値基準の改正で、病気予備軍の意識が変わり、健康な人たちが増加してくると考えます。病は気からと書いて病気と読むのです。まだ、学会も健康保険組合連合会のほうも不確定の部分はあるようですが、新基準値の実施により、治療不要な対象者はかなりの数に至り、医療費の大幅な削減にも期待できると思います。区としての数値基準に対するご見解と、区の健康診断の対応についてお尋ねをいたします。
次に、医師の診断と薬剤の処方の公的チェック体制についてお尋ねをいたします。
医師の誤診を防いだり、不必要な薬の投与を停止したり、制限をしたりできれば、無駄な薬の大量投与や副作用も防ぐことになります。ちなみに、全世界の薬品の3分の1を日本が消化しているというデータがあります。
現在、がん研有明病院では、薬剤師外来が設置されて、医師が診察する前に薬剤師が、薬を飲めているか、副作用で困っていないか、また、医師の処方までチェックが及び、医師に薬剤の種類の提案も行います。医師とは別の目で薬の副作用や生活上の問題を見てもらい、より安全になり、医師の負担軽減にもなると医師の中でも好評と聞いております。ちなみに、薬剤師には、医師が処方した薬に問題がないかチェックをする監査権という責任と権限もあるそうです。がんのみならずほかの重篤な病気に対しても、薬剤師を中心とした薬剤師外来設置を全国の総合病院が設置すべきと考えております。
そこで、このたび設置をされた保健所の患者の声相談窓口をもっと強化、拡充すべきと考えております。医師が患者に対し、納得できる診断と十分な説明をする義務責任、インフォームド・コンセント、主治医が患者の依頼でほかの医師に診断書を渡して診断ができるセカンドオピニオンやジェネリック薬品の活用を相談の柱に据えて、区民への周知、啓発を図り、患者側が医師の診断、治療や薬剤の処方が適正であるかをチェックできる相談機関にしていくことが時代の要請と考えております。多種多様な成熟社会の医療事情を反映して、これらの機関の必要性を感じています。ご見解をお聞かせください。
次に、御徒町駅東側地区整備についてお尋ねをいたします。
北口では、9階建ての吉池本社ビルが完成し、ユニクロやGU、ユザワヤなどが入り、春日通り側の歩行者駅前広場もゆったりと北口の憩いの場としてうれしく利用されております。パンダ広場も平成12年11月に完成以来、各種イベントが次々と催され、ますます存在感を増してきています。松坂屋も昨年6月に東館がリニューアルオープンし、本館も今、改修工事を進めております。さらには、昨年の8月に松坂屋南館の建てかえ計画が発表されました。それによりますと、地上23階、地下2階の高層ビルであります。地下は食品売り場、1階から6階までパルコが使用し、7階から10階まで映画館のTOHOシネマズが入り、12階から22階まで賃貸オフィスとなります。まさに夢とロマンの壮大な計画で、4年後の平成29年秋に完成の予定と報告がなされました。そして、御徒町駅南口そのものの改良工事も着々と進行しており、平成28年2月には全て完成の予定であります。さらには、秋葉原側の高架下には、若者のクリエイターのまち、AKI-OKA ARTISANも盛況を極めております。
このように、公私ともにこの地域は整備計画が進み、すばらしいまちづくりが進行しています。しかし、駅東側の地域一画はほとんど地区計画も整備計画もなく、特に真ん中にある広大な区有地1,360平方メートル、410坪が公的には放置状態であります。この土地は、昭和52年、都電の変電所跡地として区が取得して38年が経過をしています。
そこで、この地区の仲御徒町中町会やジュエリータウンなどの関係者がここを種地として再開発計画を模索し、3年前より準備を初めて、平成24年4月14日に御徒町駅東側区域まちづくり協議会を設立いたしました。過去にこの土地は活用の計画もなく、長い間、駐輪場、駐車場として暫定的に活用されてまいりました。先月までは吉池の仮店舗として使われてまいりました。そこで、この4月以降は、区としての利用計画が決まっていないと聞いております。この御徒町駅東側区域まちづくり協議会は、この空地を中心によりよい地域発展を目指し、数多くの会議を積み重ねてまいりました。区のまちづくり推進課も毎回出席いただいております。そこで、本格活用の場合、今後どのような手順を踏んで、どのくらいの期間をめどに整備計画を進めるつもりでしょうか。あわせて、協議会とはどのような協議を進めていくおつもりでしょうか、お尋ねをいたします。
そして、この協議会は、隣接する国道の昭和通りに関して一つの要望を求めて活動しております。現在JR駅南口と昭和通りを結ぶ道路の取りつけ位置に、東京メトロ、日比谷線の新しい仲御徒町駅出入り口の工事が進んでいます。そこの位置から御徒町公園に突き当たる道路に結んで、昭和通りへの横断歩道を設置してほしいという要望です。また、現在、御徒町交番から昭和通りの横断歩道の真ん中に、上野方面に向けて自転車駐輪場がございます。あの周辺の放置自転車は、多慶屋の買い物客も絡めて相当数あり、通勤客の自転車置き場も不足しております。
そこで、横断歩道ができれば、高速道路の高架下の自転車駐輪場を約2倍に延伸できて、新設仲御徒町駅にもJR御徒町駅にも、ともに利便性が高まります。特にこの新しい出入り口には、今までの4カ所の出入り口にはないエレベーターが設置されることになっています。特に車椅子の利用者も横断歩道からホームにおりることができることが可能になります。一方、現在の異常的な多慶屋の買い物客や春日通り交差点の通行人の混雑も平均的に分散されます。また、御徒町台東中学校の生徒たちや多くの外国人などを含む買い物客、地域住民の災害時の安全性が劇的に高まります。過去には首都高速ができる前、横断歩道橋も設置されていたと聞いております。
この要望は、昭和通りが国道のため、当協議会と台東4丁目西地区開発準備組合と御徒町二丁目町会の3団体が東京国道事務所に要望書を持参しております。また、警視庁と東京都へも要望活動を行っています。台東区政、さらにバックアップ体制をお願いしたいと思います。この要望に対する現在の進捗状況と、区のご見解をお願いいたします。
最後に、外郭団体のあり方について伺います。
昨年の決算特別委員会の総括質問などにおいて、我が会派の議員より外郭団体のあり方、指定管理者制度について質問をさせていただきました。社会福祉事業団や芸術文化財団など、外郭団体のあり方については、平成19年に財政支援団体検討会において最終報告が示され、5年以上が経過をしております。社会の情勢も変化し、区が外郭団体に求めている役割も最終報告のあり方から変化してきています。改めて外郭団体についてのあり方を検討すべき時期に来ており、全庁的な検討会をつくり議論すべきと考えます。
また、多くの外郭団体が非公募で、区有施設の管理を受託している指定管理者制度についても、制度が開始されから10年が経過しました。指定管理における外郭団体の扱いや区有施設の管理運営主体についての再検討、委託料や指定期間、継続特例等の見直しも必要である旨、提案させていただきました。区長からは、指定管理者制度の見直しについては、選定開始前までには内容を精査し、必要な改定を実施する予定であり、外郭団体については行政課題の変化に対応して、そのあり方を検証、検討することが必要で、外郭団体における指定管理者制度の適用の是非については、外郭団体のあり方とあわせて検討していく旨の答弁をいただいております。
今年度は約30施設の指定管理者の選定が行われる予定であり、指定管理者の多くが外郭団体です。外郭団体のあり方の検証、検討については、どのような形で検討が行われ、今後どのように進めていくのかをお尋ねいたします。
以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 伊藤議員のご質問にお答えさせていただきます。
ご質問の第1は、命と健康についてでございます。
まず、混合診療制度についてでございます。
治療効果が見込めるのであれば、可能な限りあらゆる治療方法を使って病気を治したい、命を救いたいというのは、ご本人やご家族にとってまさに切実な願いでございます。保険診療と保険外診療を併用する、いわゆる混合診療については、本年5月に政府の規制改革会議においてその拡大が提言されました。拡大に関しましては、安全性、有効性等が確認されていない医療を助長するなどの懸念があり、現在でも賛否が分かれている状況でございます。今後さらに国において議論が行われることが予想され、また、こうした改革は国民健康保険制度に影響を与えることから、その動向を注視してまいりたいと考えております。また、必要に応じ医師会等の関係機関にもご意見を伺ってまいります。
次に、健康診査基準の見直しについてでございます。
健診の基準値の範囲の考え方につきましては、本年4月に日本人間ドック学会などから公表されたデータは、あくまでも中間報告であり、今後さらなる検討がなされるものと考えております。また、区の健診における対応につきましては、健診項目の判定値は国の基準に基づき実施しております。健診の基準は、その信頼性を大きく左右するものと認識いたしておりますので、今後も国の動向を慎重に見きわめながら、適切に健診事業を進めてまいります。
次に、患者の声相談窓口の強化についてでございます。
区では、4月より患者の声相談窓口を設置し、区内の診療所等で行われている医療に関する相談や苦情をお受けいたしております。治療内容や薬の処方などの疑問につきましては、相談内容に応じて、インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンについてご説明し、医師への相談方法等に関するアドバイスを行っております。また、ジェネリック医薬品につきましても広報やパンフレット等機会を捉えて、普及啓発に努めているところでございます。
主な相談内容等の実績につきましては、医療関係者や弁護士等を構成員とする医療安全推進会議を通じて、医師会等にもお伝えし、医療の安全安心と質を高めてまいります。
ご質問の第2は、御徒町駅東側地区の整備についてでございます。
まず、上野5丁目の区有地についてでございます。
議員ご指摘の当該区有地は、周辺のまちづくりに資する用地として活用するための貴重な区有財産でございます。まずは、東側地区全体をどのようなまちにするのかを協議会が中心となって検討していただき、その上で当該区有地の活用についても検討していくことが適切と考えており、こうしたことを踏まえながら、区有地を含めたまちづくりについて、協議会を初め地域の方々と協議してまいりたいと考えております。
次に、昭和通りの横断歩道設置についてでございます。
ご指摘の箇所の横断歩道につきましては、国や東京都の見解は、周辺状況を踏まえると、現状では設置することは難しいと聞いております。一方、御徒町駅周辺地域は、駅南口の整備や東京メトロ仲御徒町駅の出入り口にエレベーターの設置が計画されるなど、東側地区の交通状況も変化してきていると認識いたしております。今後、東側区域を取り巻く状況の変化を注視するとともに、地域の皆様とも相談してまいりたいと考えております。
ご質問の第3は、外郭団体のあり方についてでございます。
外郭団体を取り巻く環境は、指定管理者制度への民間事業者の進出の拡大や国における第三セクター等の抜本改革に関する動きなど大きく変化しております。このような環境の変化に対応するため、外郭団体のあり方を見直していくことは必要であると考えております。そのため、現在、庁内に検討組織を設け、各団体が担う役割や業務の範囲など今後のあり方について検討を進めております。来年5月を目途に方向性を示してまいります。また、今年度の指定管理者の選定手続につきましては、必要な見直しを行ってまいります。
○議長(和泉浩司 さん) 16番堀越秀生さん。
(16番堀越秀生さん登壇)(拍手)
◆16番(堀越秀生 さん) 地方議会なので多くは語りませんが、今、日本の国政は大きな問題を抱えていて、国の最上位法である憲法の意義が、その96条が掲げた硬性憲法の意味もないがしろにされて、一内閣の権力を得た私人によって変更されようとしています。これはワイマール憲法下で形なりにも改正手続にのっとって法改正を行った、あの独裁者ヒトラーもしなかった暴挙です。今こそ、次の時代を担う子どもたちのために、我々地方議会、地方自治体にかかわる者は、平和な日本を維持するために精進しなければなりません。
それでは、たいとう21、会派を代表して質問をさせていただきます。
きょうは、区長の地方分権、財政課題への政治姿勢について質問いたします。
まずは、この4月からみんなの党・無所属クラブと一人会派であった民主党、木村議員が一緒になり、我々の会派は6人で会派たいとう21として新たなスタートを切りました。吉住区長を初めとする行政職員の皆様、そして台東区議会の皆様、よろしくお願いいたします。
今まで我々6人は、是々非々で議会に臨み、区民の立場に立って、時には行政提案事項に反対することもありましたが、今後も区民主導、政治主導の区議会を目指して頑張ってまいります。我々は右翼でも左翼でもなく、みんな仲よくで頑張ってまいります。
さて、我々が住む台東区では、お祭りの季節も大方過ぎ、下町七夕まつりやうえの夏まつりが行われる暑い夏を待つばかりとなりました。そんなふうに暦の上で数々の行事を持つ台東区について、人々はどんな思いを持っているのでしょうか。
先日、たまたま区役所4階の廊下を歩いていたら、総務課の前にこの4月に入庁した職員に向けた庁内広報紙が張られていて、そこには彼ら、彼女らが抱く台東区への思いが書いてありました。上野、浅草には伝統文化がある、人情、下町を感じることができる、風情のある街並みを守っていきたい、日本有数の観光地など、なるほどと思いました。そして、新入職員の多くがそのように台東区を捉えていることに、伝統ある台東区議会の一員として誇りにも感じました。
最近では、区長が長年頑張ってこられたフィルム・コミッションなどの成果もあり、映画やドラマといったさまざまな媒体を通して台東区の伝統文化、下町人情、古きよき街並みというものも世に広く知られることになりました。それに伴い、今を時めく俳優さんや芸能人も多く訪れ、どうでもいい話ですが、我々の世代の絶対的アイドル、小泉今日子さんが「あまちゃん」で、台東区で撮影されたことが個人的には何よりうれしい出来事でした。正直、区議会生活15年、こんなうれしいことはありませんでした。
余計な話はさておき、このような伝統文化、下町人情、古きよき街並みを持つ台東区は、どのような方々によって支えられているのでしょうか。そこにはもちろん区民、地域の自治会組織を守る町会、町会連合会、学校には生徒と学校をつなぐPTA、民生委員や青少年委員、それからリーダー研修、老人会といった地域ボランティア、地域産業振興においては商店街連合会や観光連盟、そして台東区の医療と健康を支える医師会、歯科医師会、薬剤師会、また、高齢者や障害がある方を支える地域福祉の各種団体、このように台東区の各地域、コミュニティを支える人々、団体を屋台骨として、私たちの台東区行政、区議会は民主主義を制度的に保障しているのです。その過程では、確かにきれいごとばかりではなく、もめごとや実現が難しい要望、陳情も多くあります。しかし、その手続の面倒さこそ、地方自治には立憲主義に基づく民主的な地方自治が制度的に保障されているのです。国が変わろうとする今こそ、皆さんと一緒にこのことを再度、深く考えていきたいと思います。
皆さんご承知のとおり、私たちの台東区は、特別地方公共団体の一種で、市に準ずる地方公共団体として地方自治法第281条第1項に、東京都の区として規定されています。当然のことながら、都の区という法文が示すとおり、都区制度が施行されてから長年にわたって、我々台東区議会、台東区行政の先輩方は、東京都の下部団体として位置づけられた区の存在に甘んじながらご苦労されてこられました。そして、その苦労の果て、平成12年に地方分権改革の一環として、台東区を初めとする23区は基礎的な地方公共団体として規定されたのです。
実は、これは単なる都区制度の改変だけではなく、我々の台東区にとっては非常に重要な意味がありました。なぜなら、それまで台東区は、我が国、日本国の最上位法である憲法93条第2項に定められた、地方公共団体には当たらないと解されてきていて、ようやく平成12年度の都区制度改革によって、母体である東京都から相当程度の独立性を確保することができたのであります。ただ、もちろん今でも吉住区長や和泉議長が区長会や議長会で苦労されているように、都区間の主要5課題の流れの中で、山積する問題や特別区独自の課税自主権の問題など、特別区である23区はまだまだ地方自治体として多くの課題を抱えています。しかしながら、だからこそ我々台東区議会は、そして何より区長を先頭とする台東区行政職員は、地方自治における行政サービスの安定とその財源を確保するため、真の地方分権社会を目指して日々精進していくことが重要であると痛感する次第であります。
そこで、改めて、地方議員の一人として、地方分権という問題を考えてみました。私が強く感じたのは、結局、真の地方自治とは、地方自治体がみずからの財源と責任に基づいて、行財政運営を行うことにより実現できるものではないかということであります。そして、そのためには国と地方の役割分担を明確にして、その役割に見合った権限と地方財政の拡充が重要であるということです。まさに、このことこそ明治時代から日本の行政システムや政治が培ってきた中央集権国家の疲弊を改善し、新たな成熟国家としての地方分権社会が営まれる要諦だと確信いたします。しかしながら、国は、平成20年度の税制改正以降、地方にある税で地方自治体間の財政調整などを賄っているのが現実で、その構図は真の中央からの権限、財源移譲には結びついていません。区長は、この権限移譲や地方税財源の拡充について、いかにお考えでしょうか、ご所見をお伺いします。
次に、地方分権社会を希求する地方議会にとって、実際の国の政策における問題点を指摘したいと思います。
昨年12月、平成26年度税制改正の大綱が閣議決定され、国は、この税制大綱で法人事業税の復元を一部にとどめ、法人住民税の一部国税化に踏み切りました。そもそも、ことし4月の消費税値上げなどを通して、国は社会保障のための消費税率引き上げによる地方財源の増収を図るとしていたのに、その一方で、法人住民税の国税化という相反する税制を施行したのです。また、国の指針によれば、消費税の地方分は税率8%段階で1%から1.7%にふえると示されながら、これによって地方交付税交付団体は、税収増で交付税が減るのに対し、東京都などの不交付団体は税収が純増にあり、自治体間で格差が広がると指摘されてきました。
そのような中、東京都が法人住民税の国税化に反対してきた経緯から、政府は新たに法人事業税の約半分を国税化して再配分する地方法人特別税を税率8%段階で縮小、10%段階で廃止する方針だとも言われています。これはまさに、あめをやるからチョコレートをよこせというような矛盾した財政政策であり、真の地方分権とは相反する動きであり、社会保障の充実により、深刻な待機児童対策を図り、高齢者福祉にも重点を置きたいと考えている東京都、台東区にとっては、国に裏切られたという感さえあります。
このような中、実際、消費税率引き上げと法人住民税の一部国税化による本区への財政的な影響はいかばかりか、ぜひ試算も含め、区長にお聞きします。そしてさらに、区長は今後予定されている消費税8%から10%への移行時においての、さらなる法人住民税の国税化について、どのような意見を国などに表明し、あるいは都に表明し、この問題に取り組んでいくのでしょうか、ご所見をお伺いいたします。
それでは、最後の質問に入ります。
長年、東京都や東京都議会並びに特別区長会などが国に対して反論してきたのに、ある意味、国がイメージとして固定化してきた東京富裕論という問題について、区長のご所見をお伺いします。
今後、東京都はもとより、我々が住む台東区においても、さらに続く高齢化の対応にかかわる都市的な問題、あるいは税収が潤沢だった当時に多く建てられた公共施設のメンテナンス及び改修といった大都市東京ならではの課題を多く抱えています。
そのような中で、政府・自民党が法人住民税の一部国税化、約6,000億円を推進してきたということは、今まで東京都議会が東京都と地方の財政における格差是正論に対して、地方間格差は交付税で考慮すべきとか、都市政策の需要が独自にあるなどといった反論と明らかに矛盾があると言えます。この点に関して、東京富裕論の名のもとに、政府・自民党が推進してきた法人住民税の一部国税化について、特別区長会でも反対してこられた吉住区長は、都心6区に位置する台東区の首長として、いかにお考えでしょうか。我々台東区並びに台東区民のために、区長がその政治の中で思っていらっしゃる熱いその意思というものを、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
以上で、私の質問は終わります。最後までご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(和泉浩司 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長吉住 弘さん登壇)
◎区長(吉住弘 さん) 堀越議員のご質問にお答えさせていただきます。
まず、権限と責任に見合う地方税財源の拡充についてでございます。
地方分権改革につきましては、これまでの一連の改革により、国と地方の協議の場の法制化や地方公共団体の自治事務について、国が法令で事務の実施やその方法を規定する義務づけ、枠づけの見直し、条例制定権の拡大など、一定の成果が上がっている事項もあると認識いたしております。しかしながら、権限に見合う十分な財源が確保されておらず、税源移譲等による財源措置が適切かつ確実に図られていないと考えております。
次に、法人住民税の一部国税化への対応についてでございます。
まず、本区財政への影響についてでございます。
消費税率が8%に引き上げられたことに伴う増収分につきましては、消費動向の変化を考慮せずに試算いたしますと、平成27年度が約18億円、28年度が約26億円の増収になると推計いたしております。一方、法人住民税の一部国税化による特別区交付金の減収分の推移は、27年度が約10億円、28年度が約20億円の減収になると推計いたしております。
次に、今後の取り組みについてでございます。
このたびの国税化に対しましては、特別区長会において、国や東京都選出の国会議員の方々などに対して要請を行うとともに、全国の市町村長などに国税化反対に理解を求めるための提起を行いました。また、台東区議会、特別区議会議長会においても、国に対して意見書を提出していただきましたが、残念ながら方針の転換には至りませんでした。
消費税10%段階におけるさらなる国税化の動きに対しましては、5月の特別区長会総会において、今後の対応について議論が行われ、都民や地方の理解が得られる新しい方策を展開するなど、アクションを起こしていく必要があると確認したところでございます。今後とも特別区長会が一体となって、議長会や都とも緊密に連携を図りながら、さまざまな機会を捉え反対に向けて取り組んでまいります。
次に、東京富裕論についてでございます。
東京は地方と比較して財源が豊かだとする東京富裕論は、本来、国の責任で解決すべき地方財源の問題を、地方自治体間の税収格差の問題にすりかえるものであると考えております。私は特別区長会の副会長在任時に、東京富裕論への反論の取りまとめを行いました。特別区には、企業の集中や人口流入等により、交通、都市基盤、福祉など膨大な行政需要があり、税収のみで東京が富裕だとする主張は、到底容認できるものではないと考えております。今後とも特別区が一体となり、都とともに必要に応じて大都市東京の状況を訴えてまいります。
○議長(和泉浩司 さん) 以上で、一般質問は終了いたしました。
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○議長(和泉浩司 さん) これをもって本日の会議を閉じ、散会いたします。
午後 4時45分 散会
議長 和 泉 浩 司
議員 木 下 悦 希
議員 伊 藤 萬 太 郎...