次に、資料第3号でございます。外国為替及び
外国貿易管理法の改正についてでございます。
まず、1として、改正の概要でございますが、従来、外貨の売買や取引については、大蔵大臣の許可を受けた
外国為替公認銀行を経由しなければできないこととされておりました。これを、本年四月一日から、
金融自由化の一環として規制を緩和し、企業や個人が自由に外貨を取引することが可能となったわけでございます。
次に、2として、この規制の緩和による出納長室の保管現金の運用に対する影響でございますが、当室では、現在、一部に外貨預金を導入しております。しかし、公金の運用であるため、外貨預金については為替相場の変動による元本割れを防ぐ必要があり、いわゆる
先物為替予約によって預託しております。このため、運用利率は結果として通常の円預金と同様程度の利率となっております。つまり、先物相場は、国内と海外との金利差を中心に、為替相場の見通しなどを反映して決まることから、外貨預金の表面上の金利が国内金利よりはるかに高くても、為替予約した時点における実質利回りは、国内金利とほとんど変わらないものとなるわけでございます。したがいまして、本年四月の
外国為替管理法の改正による規制緩和は、現時点におきましては、公金の運用に与える直接的な影響はないと考えられます。
なお、参考として、いわゆる
日本版金融ビッグバン実施の主なスケジュールを時系列に従って掲げてございます。後ほどごらんいただきたいと存じます。
次に、資料第4号は、歳計現金の推移(一般会計)でございます。
この表は、昭和六十三年度から平成十年度までの一般会計における歳計現金の推移を、各年度の四半期末の残高ごとにお示ししたものでございます。また、表の一番右の欄には、それぞれの年度における
年間平均残高をあわせて記載してございます。平成十年度につきましては、第二・四半期の本年九月末までの残高をお示ししてございます。
なお、平成四年度の第三・四半期、平成五年度の第三・四半期、平成六年度の第二・四半期、第三・四半期のように、残高が極めて少ない時期は、基金などからの一時的な繰りかえ運用によりまして、歳計現金の不足分を補ってきたわけでございます。平成十年度につきましては、都税収入の大幅な落ち込みなどを反映し、資金状況も非常に厳しいものとなっております。
最後に、資料第5号は、
財政調整基金で保有している株式数でございます。株式数は全部で七百八十三万九千百二十六株ございます。株式の額面は一株五十円でございますので、その総額は三億九千百九十五万六千三百円となります。
また、当該株式を取得するに当たり都として出資した額、つまり、
財政調整基金として管理している現在高は、三億二千七百七十八万二千七百五十円となっております。
なお、この株式はいずれも銀行株でございまして、これを保有することについては、戦後の資金事情の困難な時期に、銀行との協調関係を維持し、資金調達を円滑に行うため、昭和二十三年十月に、当時の
戦時災害復旧基金で富士銀行外六銀行の銀行株を取得したという経緯がございます。
以上をもちまして、ご要求のございました資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
◯黒須委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料とあわせて、事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
◯大木田委員 資料を要求しましたので、具体的に何点か質問をしたいと思いますが、その前に、私が質問をするという通告をいたしましたら、出納長室は、ここ六年間質疑がなかったということでございまして、
谷口出納長になってから初めての質疑ということでありますので、しっかり質問をしたいと思っております。では、平成三年の出納長室の質問をしたのはだれかというと、私でありまして、この十年間ぐらい、私以外は質問をしていないという、輝かしい実績といいますか……
昨日、
緊急経済対策が発表されました。橋本さんが総理になったときに、日本の株価は二万三百円でございました。百日ちょっと前に小渕さんが政権を握ったわけですけれども、そのときの日本の株価は一万六千二百円でありました。
小渕政権誕生については、冷めたピザだとかいろいろなことをいわれましたけれども、注目すべき海外の評価等を見ますと、イギリスのBBC放送が論評しているのが関心を呼んだわけでありますけれども、ちょうど「
タイタニック」の船首、船の先のいすをただ並べかえているだけではないかというような感じで、間違いなく日本は「
タイタニック」の様相を呈しているという評価でありました。
アメリカ等の論評はバーチャルポリティーと。いろいろと打ち上げるけれども、なかなか実効はないではないかというようなことでありまして、特に昨日の緊急財政の問題についても、七月に減税をいっておりますけれども、十一月末に行う臨時国会には減税法案は出さないというようなことでありまして、きのう、きょうの株の動向を見ても、市場は
織り込み済みといいますか、あれだけの過去最大の
緊急財政出動というにしては、市場の反応が極めて鈍い。
これは、橋本内閣以来今日までずっと来ている、財政出動はいろいろと鳴り物入りでしますけれども、しかし市場の反応が鈍いという、この景気診断についての対応が極めて遅いということで、今スピーディーに処理しなければならないというところに、
ビッグバンを行っていながらその対応が鈍いという、かなり日本の限界説といいますか、官僚の対応の、官僚機構の破断界という、そういうような状況で、どうにもならないところに来て、世界の急激な情報のスピードの速さ、変化の速さに対応できないというようなことがあるわけであります。
この財政問題についての所感はいずれ最後に聞きたいと思っておりますが、今回の資料の中で、四月に
ビッグバン、いわゆる外為法を改正して、都の財政にどういう影響があるかということが、私の最大の質問をしたいところであります。
というのは、日本は今まで護送船団という形でずっと来ました。そのために競争原理が働いてこない。ちょうど今から二十年前に初めて、
金融自由化のはしりとしてMMCがありました。一億円以上の定期を組んだりするときに、MMCで、銀行から金利を提示していただいて、一番高いところにそれをするということで、私も昭和五十四年のときにMMCを買ったことがあります。三行から提示をいただきまして、それで一番高い──当時は金利が八・何%です。そういう経験もありますから、そういうようなことで、二十年前に
金融自由化のMMCの経験もありながら、競争原理が働かないで護送船団にしがみついてきている。それで大海にこぎ出す
ビッグバンを行って、今本当に揺れに揺れているというのが金融界の実情であるというふうに思うわけであります。
要するに、競争原理を導入しながら進めていくということを、一つの例を通して冒頭話して、その感想も聞きますけれども、例えば流通機構というのはかなり競争原理がありますけれども、国内的にはそれが余りない。アメリカのコンテナをアメリカの西海岸から一万キロを日本に輸送して千ドルですよ。十二万円で来ます。それが外国港運の実績であります。日本国内にそれが着くと、東京から沖縄でも北海道でも千キロ以内ですけれども、十分の一の距離を運ぶのに当たって、内航海運に入ると十八万。一万キロで十二万、千キロ以内で十八万、こういう高コストの体質が、いわゆる護送船団といいますか、もたれ合いの中において国際競争に太刀打ちできない。そういう、日本の企業は国際競争で、自動車のように対抗しながら勝ち抜いている部分と、いわゆる護送船団で守られて守られて守られてきている部分とがありまして、それがもうどうにもならない限界に今来ているということであります。
国の経済規模が七十七、八兆でも、都庁も
公営企業会計、特別会計を入れれば十二兆という、そこまでの大きな金額で、国際基準でいえば世界八位になるぐらいの国家に値する資金量を持っているわけであります。
それで、
ビッグバンが行われて、出納長室の、具体的にはこれから聞きますけれども、どういうところが変わって、どういうところが変わらないのかということで、四月からスタートしたばかりでありますから、私は、まず冒頭聞いて、具体的にはその次に聞きますので、まず、
ビッグバンが行われての変わったところと変わらないところを簡単に整理していただきたい。
◯鎌田副出納長 ただいまお話しのように、
金融ビッグバンがこの四月から始まったわけでございますが、いわゆる
金融ビッグバンの三つの原則といいますか、フリー、市場原理が働く自由な市場、それからフェアということで、透明で信頼できる市場、それからグローバル、国際化で時代を先取りする市場、こういうことで、今その途上にあるわけでございます。
直接的に今出納長室で行っている資金管理に影響があるかというと、ただいまのところそうはございません。ただ、ここで
金融再編等がございますので、それからもう一つは、それぞれ金融機関の体力と申しますか、そういうものがございますので、私どもの資金管理の仕方については、今までの統一的なものから少しずつ変えるようにやってきているところでございます。
◯大木田委員 先ほど歳計現金の数字も示していただきましたものですから、具体的にちょっと聞いてみたいと思いますけれども、本当にバブルの絶頂期といいますか、資金量が豊富なときには、自然増収だけで四千億あったということでありまして、実に金利だけでも五百億を超えたというような、財政的には大変潤った時代もあったわけです。今は、先ほどの歳計現金の推移を見てもあれですけれども、この十年のときの金利が一番多かったときは金利収入が幾らあって、一番少ないときは幾らかという、まず、具体的なこの数字をちょっと聞かせてください。
◯鎌田副出納長 資料4号で昭和六十三年度から歳計現金を記載してございますが、ただいまお尋ねの、この十年間で一番運用収入が高かったのは平成二年度でございまして、このときは五百四億ございました。この当時、ただいまお話ございましたようにバブルで税収が好調であり、また金利も高水準だったわけでございますが、バブルの崩壊によりまして、税収の減、それから低金利ということで、運用収入も大幅に減少してきております。実は昨年度、平成九年度が一番最低でございまして、十二億でございます。ですから、ピークの五百四億に比べますと、二・四%の水準でございます。ちなみに、平均の利率が平成二年度では六・八五%でございましたが、平成九年度では〇・四五%ということで、十五分の一に下がってきております。
◯大木田委員 それでは、具体的に聞きますけれども、五百四億から十二億ですから、大変低金利の中で金利収入というのは少ないわけです。
地方自治法によると、資金の運用については、安全かつ慎重な、しかし効果的な運用ということがあるわけですけれども、
ビッグバンを踏まえて、金利設定ですね、例えばいろいろと、これだけの大きな資金を、短い期間であったとしても運用するわけですけれども、その運用方法と、どういうふうにして金利を設定しているのか、伺いたいと思います。
◯鎌田副出納長 歳計現金の現在の運用方法と金利設定のお尋ねでございますが、ただいまお話ございましたように、歳計現金の運用は、
地方自治法にございますように、最も確実、有利な方法で保管しなければならないということでございます。現在、長期的な低金利の状況と金融機関における格差等、
金融システムが大変不安定でございまして、最近では、有利というよりむしろ安全、確実ということに重点を置いて、比較的短期の預金であります
大口定期預金、
譲渡性預金等の
自由金利商品と呼ばれる預金を中心に行っているわけでございます。これは、歳計現金が
支払い準備金という性格がございますので、比較的短期にやっております。
それから、金利の設定についてでございますが、この
自由金利商品の預金利率につきまして、各金融機関から提示を求めております。それをもとに、
金融情報専門誌あるいは日刊の経済紙、金利等の
速報情報等の情報を収集、分析しまして、金融市場の利率の動向を把握しながら慎重に決めているわけでございます。これは、出納長室の中にレートを決定するための会議を一応設けてございます。結果として金利が、いわゆる公表されている同期間の
譲渡性預金の売り気配値よりは常に上回っているというふうに現実にはなっております。
◯大木田委員 それでは、ちょっと具体的に聞きますけれども、例えばある一定の金額があります、これを銀行に預けますというときに、A、B、Cという銀行名で、では、おたくは幾らの金利でこれを預かりますかという入札方式といいますか、それを提示していただいて決めているのかどうか。その場合、決めているときに、必ず銀行によって差があると思いますけれども、高いところと低いところと、若干それが出ないと金融の自由化の意味はないわけですけれども、その辺はどうなっていますでしょうか。
◯鎌田副出納長 歳計現金の運用に、ただいまお話がございました入札というような競争原理を取り入れた方法がとられているかどうかということでございますが、競争原理の導入として、ただいま申し上げたような入札による引き合い、これによって預託する場合には、当然高い預託レートが期待できるわけでございます。そういう効果はあるのでございますが、こういう考えのもとに、平成八年度から、準公営企業の一部につきまして試験的に導入しております。
ただ、これをやっておるのですが、その結果としていろいろ問題が出てきておりまして、今の金融情勢から、高金利で提示をしてくれた金融機関が、なかなか一般市場からの調達が難しいということで資金不足を来している場合があるということで、いわゆる金融機関の体力という面から見ると、そういうところに預託資金が集中することについては、現在のこういう情勢の中では安全性に問題があるのではなかろうかという認識をしております。
それから、こういうことで特定の金融機関に仮に預託が集中するということになるとすれば、これまで行っております
預託先金融機関との協力関係、これは何も預託だけではなくて、都債の引き受けですとか公金の収納等いろいろございますが、そういうところの協力関係の維持に支障が出るおそれもある。それからまた、歳計現金が非常に不足したときに一時借り入れを実行しなければならない、そういうときにも、特定のところだけ預けるということについては支障が出るのではなかろうかというような気がするわけでございます。
そうはいいましても、今後、これらの実績結果あるいは金融情勢を踏まえながら、
金融ビッグバンが進んで
金融システムが安定化すれば、競争原理を導入することによって、より有利な運用を図るということも大きな視点でございますので、公金の安全かつ効率的な運用に、そういうことも含めながら努めていきたいと思っております。
◯大木田委員 今の説明は私はわからないわけではないのですけれども、基本には、公正な競争原理というものを常に念頭に置いて資金運用をしていただきたい。確かに、今高金利を提示して参入しようと。あるいは、それは非常に心配だという部分があります、事実。
山一証券が自主廃業したときに、債務超過ではないということで自主廃業したわけですけれども、日銀は日銀特融で一兆円入れました、債務超過でないということで。結果、一年たってみたら債務超過であるという事実ですね。長銀についていえば、長銀が非常にがたがたきたときに、かつて池田銀行といわれて池田総理がいろいろと面倒を見た経過がありましたから、その流れをくんだ宮沢さんが大蔵大臣になり、娘むこである池田さんが政調会長になって、絶対に長銀は債務超過していないということで、国会であそこまでやったけれども、最終的には債務超過であったということは、もうだれが見ても明らかだし、事実なんですね。
したがって、そういうような状況をあれして、今非常に金融全体が、北拓の状況を見ましても、今後どれだけの再編と、いろいろなものが進んでいくかわかりません。六十兆用意しても、今の動向でいくと、これが生きたお金になるかどうかさえ非常に危ぶまれるというような状況でありますので、私は、公金を預かる立場としては、そうした慎重な姿勢は大事だと思いますけれども、これからは、
ビッグバンを行った以上は、公正な競争原理ということを常に念頭に置いて資金運用をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
◯鎌田副出納長 ただいまお話ございましたように、
金融ビッグバンがこれから進んでいくと、いろいろな影響──冒頭にも少し申し上げましたけれども、その際に考えられる影響として、
リスク管理の徹底が不可欠になるのではなかろうか。これは、金融機関の競争が自由化によって拡大してくるということで、
金融機関同士の経営状況に大きな格差が出てくるだろう。
一方、私ども公金の預金者としての自己責任の確立も大事になってくる、こういうことから、公金運用の安全性を見きわめることが必要になるだろう。そのために、金融機関の経営状況の分析ですとか、あるいは
各種金融機関の情報が一層重要となってくるというふうに思っております。それから、公金運用における金融商品も多様化してくるだろう。これは公金運用の原則でございますが、元本保証の
新規運用商品の開発が予想される。それから、
金融機関自体も多様化、いわゆる銀行、証券、保険の垣根がなくなる、あるいは銀行の中でも普通銀行、信託銀行、
長期信用銀行といった役割分担を図る、こういう
いろいろ影響が出てくると思います。
そういうことも総合的に勘案しながら、先ほどご指摘のございました公正な競争原理、こういうものも含めながら検討を続けていかなければならない、そういうふうに思っております。
◯大木田委員 次に、
財政調整基金で保有している株式をちょっと提示をしていただきましたので、これに関連して伺いたいと思います。
その前に、東京都はいろいろな方式で第三
セクター方式というのをつくって、いろいろと
監理団体等もあれしながらやってきているわけですが、私が前に
総務委員会でも指摘しましたけれども、第三セクターをつくることはつくっているけれども、都の出資が、二〇%の株式を保有しているのと、四〇%と、商法でいう五一%以上保有しているという、そういう立て分けは全く考えないで、各局が必要な第三セクターをつくって、要するに、そのときの状況によって、都の保有株を二〇%に決めたり、あるいは三五%に決めたり、六〇%のものもありますけれども、アトランダムにやっている。私は、必要に応じて第三セクターをつくることはあってもいいと。しかし、体系的に、要するに人事権まで介入してやるのか、商法でいう五一%で切ってやるのか。そういうようなポリシーをきちっと持ってやらないと、必要だからつくる、必要だから株を保有する、それがたまたま二〇%だったというような状況で、一回これを整理しなさいというので、初めて、二〇%までの株の保有と、四〇%、五一%を超える株の保有ということで整理をしたということで、それも、指摘をされないともうずっとそのままになっておる。
その例が、この株も──これは、戦後のあの状況の中で株を保有した経過は私もよくわかっております。しかし、五十年過ぎて保有しっ放しになっているわけです。公的な機関に携わるところが、これで株の投資をして運用しているわけではないのであれですけれども、私は前から、この株というのは、財政が厳しいときには放出してもいいのではないかという見解を持っているのですけれども、ただ、今非常に銀行株が低いですから。今、株の時価でいいますとどのくらいの価値があるのか、まず、その辺のところをちょっと伺いましょう。
◯鎌田副出納長
財政調整基金で保有している株の時価でございますが、最も新しい昨日の終値で計算してございますが六十五億、時価になっております。
◯大木田委員 今の比率からいいますと、これで六十五億ですけれども、一番高いときに運用というか、一番高いときというのは幾らだったでしょうか。
◯鎌田副出納長 最近で銀行株が比較的高かったのが平成八年九月三十日でございます。このとき、現在保有している七行の平均株価が千七百九十一円、先ほど申し上げました昨日は七百九十四円で、約千円の差がございますが、時価でいいますと、当時の八年九月三十日現在では百六十四億円でございます。
◯大木田委員 第三セクターの保有している株と、この株は性格が違うわけです。それで、この株を都は運用してこれで何か利ざやを稼ぐというようなことをしているわけではありません。ただ経過として、そのときの事情で保有し続けているというだけのことでありますので、私は、これは問題提起だけしておきますけれども、必要かどうか、今後持ち続けるか一回検討をして、どうしても持ち続けなければいけないということがあれば、それはいいと思いますけれども、一回私は検討すべきだ。どうもいろいろ聞いているところによると、株を持っていることによって、天下りをするときの都の一つの背景としてそういうものが使われているというような話も仄聞しますけれども、そういうことはきょうは余りいいませんけれども、いろいろなことがうわさが立ってくるというような形であっては極めてまずい面もありますから、一度、何でこれを持ち続けるんだということを明確に検討すべきだ。
それで、なおかつ保有し続けるということであれば、それはそれなりの検討した結果ですから。ただ前から持っているからそのままそのままということでずっと、それで、どんどんどんどん担当者もかわるという形のままだけで、先ほどの第三セクターの株の保有ではないですけれども、要するに、つくることは必要だとつくって、体系的に整理して、そしてそれがどうなるかというようなことの検討が割となされないで、慣例慣例と、そういう形で先送りになってきているというような部分がありますので、一度検討すべきだと思いますが、どうでしょうか。
◯鎌田副出納長 先ほど申し上げましたように、今いろいろ株価が変動しているときでございますが、そういうこともありまして、現時点では、銀行株の保有が資金運用の一つとして適しているのではないかということで保有をしているわけでございます。ただいまご指摘ございましたように、大変貴重なご提言でもございます。今後、株価の動向とか金融情勢等を注意深く見守りながら、財政当局とも連携をとりながら適切に対処したいというふうに思っております。
◯大木田委員 次に、私の資料の中で公金の手数料について伺いました。いろいろとここに出ておりますけれども、まず、この手数料に基づいて伺いますが、総額として手数料はどのくらい払っているのか。念のために、上位三行というのはどうなって、どういうところにどのくらい払っているのか、それを伺いたいと思います。
◯鎌田副出納長
公金取扱手数料の総額でございますが、平成九年度で二億五千九百万円でございます。このうち、金融機関に対しましては五千九百四十万で約二三%、郵便局が一億九千九百八十万円ということで、約七七%を占めております。
それから、上位三行でございますが、資料第2号の表にもございますように、一件当たりの金額が、例えば富士銀行、
指定金融機関でありますと無料、その他の金融機関は二円ということもございまして、ただ、金額だけでいうのはどうかとは思いますが、一応上位三行、私どもの方で支出した銀行は、さくら銀行が五百四十万、東京三菱銀行が五百三十万、第一勧業銀行が四百八十万円でございます。最も取扱件数の多い富士銀行は、無料の部分がかなりございますので、低くなっております。
◯大木田委員 今は銀行の大変低金利の中でありまして、この手数料はずっとこういう形で来ているということで、特に郵便局がずば抜けて多いわけですけれども、これについてはどうなのかなと思って、私も、今後、問題提起としてこれはいずれ分析をしてみたい、こう思っております。
いずれにしても、ただ、非常に銀行の低金利というのがいろいろなところにしわ寄せを与えているわけでありますけれども、これは直接ここの問題とは違いますので、角度を変えていきたいと思いますが、先ほどいいましたように、公正な競争原理といいますか……
それで、昨日の二十三兆、過去最大という割には非常に反応が鈍い、しかも減税は通常国会送りということの緊急政策の対応が出ております。ことしと来年度にわたっての政策でありますけれども、確かに、ここに来て、経済危機回避をしなければならないというところにはかなり認識が深まってきておりますけれども、ただ、やることが非常に対応がおくれているということで、臨時国会も十一月末というようなことで、外交日程があるから二週間というようなことになっております。
ただ、我々のところに来る相談では、やはりもう行き着くところまで来ているということで、貸し渋りの問題にしても、経済活動で仕事がないという問題にしても、失業の問題にしても、そこまで来ているというような形で、きょうあたりの新聞ですと、GDPに対して二・三%の伸びが期待できるとか、いろいろなこともいわれておりますけれども、私は、必ずしもこの景気の問題がそういうところにいっていないというような厳しい認識を持っております。
したがって、これはやってみて状況を見ないとわからないわけでありますけれども、この後、主税局がありますので、具体的な税収見通しについては主税局のところで突っ込んでいろいろと伺いたいと思いますが、
谷口出納長に、昨日の緊急対策、あるいは今まで対応を行ってきて、非常に株も反応が鈍い、市場も
織り込み済みだったりして、今の景気の状況、経済対策の状況を踏まえて、出納長の感想なり、あるいはお金を預かる立場としてご意見があれば伺っておきたい、こう思います。
◯
谷口出納長 大変難しいご質問で、それほどの見識があるわけではございません、個人的な感想ということでお許しをいただきたいと思いますが、私も、今回の措置につきまして各種の批判がある、時間がかかり過ぎとか経済の実態を反映していないとかいろいろあることはよく承知しておりますが、基本的に、大宗としては評価し得るものではないかというふうに考えております。
その理由は、一つには目標を明確に示したということ。従来こういうことは余りなかったわけでございまして、来年度プラスに転ずるというようなはっきりした目標を示したということ。それから、先般の金融制度とあわせまして、一応対策としての方向が出そろったということ。それから、何といっても二十四兆円に近い過去最大の規模の財政出動ということで、一応の評価をしていいのではないかというふうに考えております。
ただ、実際の効果がどうかということになりますと、これは経済の問題でございますから、心理的な要因もございますし、国際関係の影響もございますので、何とも申し上げられませんが、この対策を速やかにかつ着実に実施することによりまして、一定の成果があるものというふうに考えておりますし、また、ぜひ期待をしたいと思っております。
ただ、東京都の財政との関係で申しますと、仮にこの経済対策が効果を上げたとしましても、直ちに都財政に、税収に反映されるというわけにはまいらないこともございます。
また、盛り込まれております減税の方式によりましては、都政に重大な影響を与えるということも想像されますので、今後、政府の経済対策の実施効果を注意深く見守っていく必要があると考えております。
◯黒須委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯黒須委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で
出納長室関係を終わります。
━━━━━━━━━━
◯黒須委員長 これより
主税局関係に入ります。
事務事業に対する質疑並びに過日の委員会で聴取いたしました報告事項に対する質疑を行います。
説明の際要求のありました資料は、お手元に配布してございます。
資料について理事者の説明を求めます。
◯北村総務部長 先般の委員会におきましてご要求のございました
主税局関係の資料につきまして、ご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の
財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
初めに、目次の次にございます一ページの要求資料第1号、償却資産の納税義務者数及び資産件数調べについてご説明申し上げます。
この表は、固定資産のうち償却資産にかかわる、昭和六十三年度から平成九年度までの各年度における一月一日現在の納税義務者数と資産件数をお示ししたものでございます。ここでの償却資産とは、減価償却資産から、固定資産税が課せられております家屋及び自動車税が課せられております車両を除いたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、固定資産税収入額における償却資産割合調べについてでございます。
この表は、昭和六十三年度から平成九年度までの固定資産税収入額と、このうち償却資産分の収入額、及びこれが固定資産税収入額に占める割合を年度別にお示ししたものでございます。
最上段にあります昭和六十三年度を例にご説明申し上げます。
A欄にありますとおり、土地、家屋及び償却資産に係る固定資産税の現年課税分の収入額は五千八百九十七億三千三百万円で、このうち償却資産分は、B欄にありますとおり九百二十八億四千万円、固定資産税収入額全体に占める割合は、その右側の欄でございますが、一五・七%となっております。
なお、国有資産等所在市町村交付金などの交付金は、収入額に含まれてございません。
以下、平成元年度から平成九年度まで同様にお示ししてございますので、ごらんいただきたいと存じます。
次に、三ページの要求資料第3号、固定資産税・都市計画税の納付状況等調べについてご説明申し上げます。
初めに、上段の表、1、全期前納者数でございますが、この表は、平成九年度と平成十年度における固定資産税と都市計画税の納税義務者数をA欄にお示しし、このうち、第一期の納期限までに第一期から第四期までの税額が一括して納付された、いわゆる全期前納者数をB欄にお示ししたものでございます。
表の三段目は、B欄の全期前納者数がA欄の納税義務者数に占める割合をお示ししたものでございまして、その割合は、平成九年度が五九・二%、平成十年度は四二%となっております。
次に、下段の表、2、第一期分の納付状況でございますが、この表は、固定資産税と都市計画税の第一期分の調定額をC欄にお示しし、このうち督促状の発付までに納付されました収入額をD欄にお示ししたものでございます。
表の三段目は、D欄の収入額がC欄の調定額に占める割合である督促状発付前収入歩合をお示ししたもので、平成九年度は九四%、平成十年度は九三・九%となっております。
次に、四ページの要求資料第4号、督促状発付件数及び臨戸件数調べでございます。
初めに、上段の表1)、督促状発付件数調べでございますが、この表は、平成八年度及び平成九年度における一年間の督促状の発付件数、並びに平成九年度及び平成十年度における九月末現在までの督促状の発付件数を税目別にお示ししたものでございます。
最上段にありますとおり、法人都民税を例にご説明申し上げますと、平成八年度中の督促状発付件数は八万四千五百五十三件、平成九年度は八万四千六百九十二件でございます。また、平成九年度の九月末現在までの発付件数は二万九千六件、平成十年度の九月末現在までの発付件数は三万八千二百六十一件でございます。
以下、同様にお示ししてございますので、ごらんいただきたいと存じます。
なお、九月末現在の件数につきましては、固定資産税の納期の変更等がございました関係から、両年度の件数に乖離が見られるところでございます。
次に、下段の表2)、臨戸件数調べでございます。
表の左側に平成九年度における臨戸件数を、中央及び右欄に九月末現在における件数を、平成九年度と平成十年度についてそれぞれお示ししてございます。
次に、五ページの要求資料第5号、平成十年度及び十一年度都税収入見込み額に係る主要税目の算定根拠についてご説明申し上げます。
この表は、法人二税、繰入地方消費税、個人都民税及び固定資産税・都市計画税の主要税目別に、税収見積もりに用いる関連経済指標などについて、平成十年度の当初と現在の数値及び平成十一年度の予測値をお示しするとともに、参考として、平成十年度政府経済見通しの当初と修正の数値もあわせてお示ししたものでございます。
以下、この表に沿って、主要税目の算定の概要をご説明申し上げます。
初めに、法人二税についてご説明申し上げます。
法人二税の税収を見積もるに当たっては、確定申告に伴う税額と予・中間申告に伴う税額をそれぞれ分けて算定しております。
◯大木田委員 それでは、逆に今度は、十一年度はマイナス〇・八という見通しを立てておりますけれども、このマイナス〇・八という見通しは、例えば、昨日発表された政府の経済対策や、あるいは、さっきいった二千三百億円の減税が行われた場合、東京都に影響が出るというようなこと等はこの数字の中には織り込んでいるんでしょうか、どうでしょうか。
◯西村税制部長 そのことについては一部しか織り込んでございません。
◯大木田委員 そうしますと、ことしの税収見通し、当初予算では四兆六千二百億の税収見通しを立てたわけですけれども、四千四百億マイナスということになりますと、四兆一千八百億になるわけですけれども、これが発射台になって来年度の予算編成のときの税収見通しになるわけですが、例えば、減税が行われると二千三百億がなくなるということになると、四兆一千八百億からさらに二千三百億、今のままの経済情勢が推移したということを仮定した場合、そういう認識でいいんですか、それは。
◯西村税制部長 減税分の影響は別といたしまして、経済状況の影響については、ご認識のとおりだと思います。
◯大木田委員 減税が別ということになりますと、四兆一千八百億のこのままの推移の中に、さらに所得税、法人税の減税の二千三百億ががくっと入ってくる。あるいは、経済情勢がさらに悪化すれば、さらに影響を受けるということになると、来年度の税収見通しは、四兆円を確保できるかどうかということも大変大きな懸念材料になるぐらいの厳しい状況になるのではないかという認識に立ちますけれども、それはどうですか。
◯西村税制部長 減税の影響等についてはまだ決まっておりませんが、四兆円というところについて確保するのは非常に厳しいという先生のご指摘、まあそういう状況だろうというように思います。
◯大木田委員 先ほど、大西委員からも税のいろんな検討をすべきだという提言がありましたが、ここで私も一つだけ提言をしておきます。
というのは、消費が非常に伸びないという一つのことで、今、日本の預金が──日本は三つ世界一があるんですね。一つは、預金が千二百七十兆で世界一なんです。それから、長寿で世界一なんですね。教育水準が世界一なんです。
まあそれはあれなんですけれども、千二百七十兆のうちの六五%の預金が、六十五歳以上の人が預金しているんです。だから、お年寄りが比較的金を持っている。持ってない人もいるんですけれども、比較的持っているということなんですね。
それで、今、贈与税が、年間六十万以上あれすると贈与税がかかるんですよ。だから、持っているお年寄りが、マゴにも衣装というんで、二十ぐらいの子どもにも二百万ぐらいぽんと一年にやっても贈与税がかからないという、そういうことをしないと──昔、贈与税六十万決めたときから随分変わっているわけです。僕は二百万ないし三百まで広げるべきだと。お年寄りはもう、持っていても使わないだけなんですから。ですから、若い二十ぐらいの孫さんになると、何でもお金があれば買いたい時期ですよ。そこの人が買い始めれば──だから、四十歳の子どもさんでも、子育てに一番忙しいときに、生前贈与の六十万というハードルを払って、二百万ないし三百万までは年間いいですよと。
これはまあ東京都が決めることではありませんから、今後、国に申し入れるときに、ぜひこういう内容、発想を──国は、宮沢大蔵大臣も、知恵がないということをいってますから、いろんな知恵を出し合ったやつを、ぜひ国にも提言していただきたいと思いますが、いかがですか。
◯西村税制部長 東京都の
財政委員会でそういうご提言があったということについて、折に触れて申し上げたいと思います。
◯大木田委員 こういう税制も、いろいろと私、今いろんな目配りをしながらやってますけれども、かなりやはり、今の時点で変えたら知恵が出るなということで、相当ありますよ。もっというとあるんですけれども、これはまた次のときにいいますけれども、少しだけ開示しましてね。
それはそれとしまして、例えば、そういう消費をどう喚起するかというような知恵も、いろんな角度から検討していくという形で進めていかないとだめだと。最近は、発想も、ちょっと角度を変えていいますけれども、要するに、今まで日本は、戦後一貫して、パイを大きくすることに努力してきたんです。ところが、それは右肩上がりという表現なんですけれども、バブル崩壊後、右肩下がりになったんです。だから、パイが縮小するだけじゃなくて、
ビッグバンが行われて、あらゆる分野で今、パイが二つになる現象が起きているんです。
例えば、介護保険制度が導入されるということは、医療機関の一つのパイが二つになるんです。医療と介護、この関係が二つになるんです。それから、
ビッグバンが行われて、海外のさまざまな資本が日本に入ってきて、提携やいろんなことが行われてくるということになると、その中における経済活動が非常に変わってくるわけです。
そうすると、税を取るという、捕捉する段階でも、そういう社会状況の変化の中における捕捉の方法をいろいろと検討していかないと、要するに、今までの発想だけで、パイが一つで、そのパイが大きくなるか小さくなるかということだけの発想でいろんなものに取り組んでいたのでは捕捉できないような状況になってくるわけでありますから、今、パイが二つになるような変化の軸が起きているということで、二つになったやつが大きくなれば、それは結構なことなんですけれども、二つに割れている状況で縮小している。
あらゆる分野で今そういう現象が起きているということですから、そういう変化に対していろいろと──さっきいった大都市税制の研究、私は大都市税制というのはきちっとやらなければいけないと思っていますけれども、そういうことも検討すべきだと提言しておきますけれども、いかがでしょうか。
◯西村税制部長 世界経済、それから社会状況の変化に応じまして、税の捕捉が困難になるのではないかというお話と、あわせまして、ますます税収見込みも難しくなるという実感をいたしました。
今のご提言ですが、大都市税制研究会におきまして、今後の税制のあり方につきまして、幅広く検討課題として取り組んでまいりたいというふうに考えます。
◯大木田委員 それから、先ほど、要求資料の第5号の下の方でもちょっと関連していきますけれども、基準地価の対前年変動率が、ことしはマイナス七・二で、来年もマイナス五・二というふうになっていますけれども、要するに、これは、来年の地価は下がり続けるという見通しの数字ですか。ちょっと伺っておきます。
◯西村税制部長 そこにお示ししてございますのは、地価の変動率ということで、実績でございます。したがって、十一年度の評価額については反映されるというふうに考えますが、十一年度以降の地価の動向については、それではわかりません。
◯大木田委員 先ほども地価の話が出ておりましたから、要するに、東京都で今眠っている土地が百兆円なんですよ。渋谷区一区分ぐらい眠っているんですから。ですから、日本の場合は、ざる豆ということがあるんですよ。ざるの中に豆入れて、片方に向くとこうなって、片方向くとこうなる。バブルで地価高騰すると一斉に歯どめをかけてしまう。歯どめをかけっ放しで、今度は、景気は悪くなってもそのまま解除しないというような、極端から極端でいろいろと変動する傾向があるんですけれども、ですから、そういう意味では、さっきの大都市税制の中においても、地価税の問題も含めて、あのバブルのときに確かに、これ以上いったらどうかという懸念があって、いろんな提言があって、そのときもいろんなこと、思い切って歯どめをかけました。ブレーキをかけました。しかし、それがきき過ぎてしまって、その後にっちもさっちもいかないという……
ですから、ことしの年末から来年にかけて、経済、景気動向は行きつくところまで行くんじゃないかというほど厳しい状況に今落ちていっておりますがね。ですから、そういう意味では、先ほどからもあれですけれども、一番東京都が税収の厳しいあれを受けているわけですから。
いいときに、バブルの絶頂期には自然増収が四千億あった。あの四千億で東京国際フォーラムができたし、江戸東京博物館もできたし、東京芸術劇場もできて、大変結構だと思いますけれども、今度、四千億だったのが四千四百ですから、マイナス四千の、四百底割れしているわけですよ。その底割れが、これが本当の最終底割れかどうかということはまだわからない。もう一つの底割れがあるんじゃないかというぐらい、私は認識しているんですけれども、そういう状況の中で、税制の面で見直すべき点は、思い切って国にも提言しながら──まあ東京都単独ではできない部分が多いんですけれども、これほど変動を受ける大都市の税体系の状況ですね。これについては、いろいろと国とも、税制改正をこれから踏み込んでやるということになっておりますので、今いわれているような日本の税制のゆがんだ部分いろいろありますけれども、特に大都市におけるそういう課題も積極的に検討してもらうようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◯西村税制部長 国税、地方税を含めた税制の今後のあり方については、先生ご指摘のとおりでございますので、その辺を踏まえて十分検討してまいりたいと思います。
◯大木田委員 それから、平成十一年の税収見通しを立てる一つの──いろんな経済機関がさまざまな分析を試みておりますけれども、今、主税局の方で、平成十一年度の日本経済の動向、それをもとにして税収見通しも立てるわけですけれども、各研究機関が今どんな平成十一年度の分析をしているか、わかる限りで結構ですから、いっていただきたいと思います。
◯西村税制部長 税収見込みに当たりまして参考としております経済指標等についてですが、民間の経済機関が来年度の日本経済をどういうふうに見ているかということで、二、三申し上げますと、まず、不良債権問題を背景とする信用収縮圧力が解消される可能性が乏しいというふうにされております。また、雇用調整及び倒産の増加により失業率が高水準で推移するために、家計所得の伸びも期待できず、個人消費も低調に推移する。それから、外国の関係でございますが、アジアの金融不安等によりまして、アジア向けの輸出が今後も不振を続けるとともに、アメリカ経済も失速の可能性が払拭できないということで、三年連続のマイナス成長となる可能性が高いというのが大方の見方になっております。
◯大木田委員 今、アメリカ経済の話がちょっと出ましたけれども、来年のアメリカ経済がどうなるかというのが、私は最大の焦点だと思っております。ことしは、ロシアがだめになって、ヨーロッパあるいは中南米も含めて、アジアはアジアで単独でだめになって、こうなったわけですけれども、アメリカが辛うじて、一時株が七千五百ドルまで行きましたけれども、昨日九千ドルをまた回復したということで、これがアメリカの経済の底の強さといいますか、力強さという一つの評価もできるんですけれども、ただ、このままアメリカ経済が好調でいくという見通しは、大方の人が立ててない。いずれということで、来年度のいつごろからアメリカ経済が下降になるかというようなことが一つの大きな課題になっているんですけれども、アメリカ経済が崩れれば、来年度は最悪の事態に世界経済が突入をするという厳しいシナリオに入ると思うんですよね。
私は、前にもちょっとお渡ししましたけれども、日本経済再生のシナリオということで、第一段階として、二〇〇〇年までに危機回避をする、それから二〇〇一年から二〇一〇年までに安定成長路線の確立をする、それから二〇一〇年から適正成長路線への移行ということで、具体的に第一段階としては、一つ目は強力なリフレッシュ政策、二つ目が
金融システムの安定化、三つ目が改革の方向を明確にして二十一世紀のビジョンを示す。第二段階としては、一つは高雇用、二つは物価の安定、三つが社会保障充実に必要な経済成長率を確保する。第三段階としては、一つは地球環境との共生、資源・エネルギーの制約、持続可能な発展、新産業革命、二十一世紀のシステムを明確にする、ということを提言しているんですけれども、昨日の政府の対策では、第一段階の部分のみを、再来年二〇〇〇年の限られた部分で、短期、中長期という段階でいえば、短期のとりあえずの対策を出したということなんですけれども、こういう短期はもちろん大事なことなんですけれども、中長期にわたっての政策が示されないままに、マインドが冷えて、要するに先行き不透明というような形で、人々のいろんな買い控え等が進んでいるわけですけれども、この二十三兆九千億という政策が、今後、都税収入にどのような影響があるか、伺っておきましょう。
◯西村税制部長 昨日決定されました
緊急経済対策、減税を含めて二十三兆九千億円の都税収入への影響についてということでございます。
政府はこれによりまして、向こう一年間に二・三%、GDPを押し上げるということをここに明記しているところでございます。しかし、今回の対策では、三十兆円といわれる需給ギャップを埋めるには力不足で、九九年度のプラス成長は微妙であるとする民間調査機関の評も出ております。
主税局といたしましては、しかしながら、この
緊急経済対策によって、少なくとも危機的な状況は回避されるのではないかというふうに考えているところでございます。
◯大木田委員 主税局の見解は、そういうことはあれですけれども、私は、二十三兆九千億、デフレギャップが三十兆でも、これは、現在のまま推移した場合はそうなんですけれども、政府の対応が後手後手なものですから、その間に非常に厳しい状況で、手を打ったときにはもっと下降に陥っているという状況で、先ほど、民間の経済予測の中で、三年間にわたってマイナス成長であるという予測は、私は当たるんだろうと思うんですね。
そういう方向に今、間違いなく入っているというふうになってきますと、来年度の税収確保というのは非常に厳しい状況になってくるのではないかということで、最大のことは、とにかく景気を回復をする、景気対策をどうするかということが最大で、この前も財務局のときに、来年の一定で都としても思い切った景気対策を含めた補正予算を組むことが大事であるということを強く主張したわけですけれども、大分時間もたってきましたので、最後に局長の──いろいろと今議論のやりとりがありまして、要するに、景気の非常に厳しい局面で、さらにその局面が続いているというような状況で、現在における日本経済のこの今日の状況、それから、それが来年度にも続いていくわけでありますけれども、さまざまな今の状況がありますけれども、それに対する、主税局長としてどういう認識を持ち、主税局として財政、財源をどう確保しようとしているのか、その決意も含めて、場合によってはもう少し質問するかもしれませんけれども、とりあえず……
◯大塚主税局長 るる大木田先生からご指摘、ご指導いただいておりますけれども、確かに今、日本の経済は極めて厳しい状況にあるということは、そのとおりでございます。いわば、先生からもお話がございましたけれども、右肩上がりの経済はもう終焉を迎えた。パイが二つに割れて、割れたパイがそれぞれ縮小するというふうな比喩もいただきました。そういう意味では、我々は時代の大きな転換点に今立っているというふうに考えております。
社会経済状況、急激に変化をしております。経済環境も含めて変化をしております。いわば、税制を含めて、仕組み、税制の構造を含めまして、過去の蓄積、それから過去のノウハウ、過去の経験だけでは、いわば物事に適切に対処していくことが難しい時代だ、そういう時代に我々は今立っているという認識を持っています。
そういう時代の中でどうやって税収を確保するのだというお話でございますけれども、大西先生からもお話ございました。確かに、分権の流れというのは、これは一つの流れとして、とうとうとした流れがございます。
しかしながら、その分権を担保する現行地方税財政制度の具体的な改革は、まだ、いわば端緒についたばかりでございまして、言葉は先行しておりますけれども、まだまだ中身がない。いわば課税自主権一つをとってもそうでございますけれども、そういう中で、当面私どもがやれることは、正義の旗のもとに、分権の流れを踏まえた正義の旗のもとに、国に向かって、大都市連合を含め、それから都民の広範な支えをばねにしまして、国に働きかけを強めていく、本気で働きかけを強めていく。そうすることによって、とりあえず、あるべき税制の根幹部分を何とか構築をしていくこと、これが一つでございます。
それから、もう一つは、こうしたいわば先行きが不透明で閉塞感に満ちた時代でございますので、このような時代だからこそ、一定の展望を持って──どういう展望を持つか、これが大事だと思うんですけれども、その一定の展望を持って、現在の状況を、あらゆる手段を講ずることによって克服するように努力をする。そうすることによって都民の負託にこたえることが、与えられた力は少のうございますけれども、それが主税局の使命だというふうに認識しております。
主税局といたしましては、制度、それから、先ほど来、
財政委員会でも出ておりますけれども、制度執行の税務行政全般にわたりまして、柔軟かつ機敏、かつ可能な限りの先見性を持って、時代状況に即した運営を心がける所存でございますので、先生方のご指導、ご鞭撻のほどをぜひよろしくお願いを申し上げます。
◯黒須委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業並びに報告事項に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯黒須委員長 異議なしと認め、事務事業並びに報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で
主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十五分散会...