• "全国信用協同組合連合会"(/)
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  1. 東京都議会 1998-11-17
    1998-11-17 平成10年財政委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時四分開議 ◯黒須委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。  本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、出納長室及び主税局関係の事務事業に対する質疑並びに過日の委員会で聴取いたしました主税局関係の報告事項に対する質疑を行います。  なお、本日は質疑終了まで行いますので、ご了承願います。  これより出納長室関係に入ります。  事務事業に対する質疑を行います。  説明の際要求のありました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯鎌田副出納長 先般の委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。  恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。  初めに、目次でございます。ご要求のありました資料は、ここに掲げた五点でございます。  次に、目次の次の一ページをお開きいただきたいと存じます。資料第1号、収納代理金融機関である信用組合の一覧でございます。  東京都の収納代理金融機関に指定しております信用組合の名称、本店所在地、店舗数につきまして、平成十年七月一日現在でお示ししてございます。  なお、信用組合の数でございますが、表の下の注に記載しておりますとおり、都内に本店がある信用組合は、平成十年七月一日現在、五十組合でございますが、収納代理金融機関としては、表の最後に記載しております全国信用協同組合連合会を含めまして、四十九の組合を東京都告示により指定しているものでございます。  このうち、本年の七月一日以降の異動につきましては、表の右の欄に記載してございます。既に、品川信用組合西南信用組合逓信信用組合、豊信用組合の四組合につきましては指定を取り消しております。また、本年十二月には、東興信用組合豊栄信用組合の二組合の指定を取り消す予定でございます。指定取り消しの理由は、これらの信用組合が、いずれも、経営不振等によりまして他の金融機関に事業譲渡後、解散されるためでございます。  次に、資料第2号は、公金取扱手数料でございます。  この表は、都の公金を取り扱っております収納機関の種類別に、窓口収納及び口座振替収納に要します公金取扱手数料をお示ししたものでございます。  まず、窓口収納の場合でございますが、指定金融機関につきましては無料となっております。指定代理金融機関及び収納代理金融機関につきましては、一件当たり二円でございます。郵便官署につきましては、法令の定めにより、取扱金額に千分の一を乗じた額に二十円を加算した金額が一件当たりの公金取扱手数料となっております。  次に、口座振替収納の場合でございますが、指定金融機関につきましては、一件当たり八円、指定代理金融機関及び収納代理金融機関につきましては、一件当たり十円、郵便官署につきましては、一件当たり十円となってございます。  なお、窓口収納は、都税、使用料、手数料など広く都の公金全般を対象としてございますが、口座振替収納につきましては、口座振替に適した公金として固定資産税や都営住宅使用料など、この表に記載の公金を対象としているものでございます。
     次に、資料第3号でございます。外国為替及び外国貿易管理法の改正についてでございます。  まず、1として、改正の概要でございますが、従来、外貨の売買や取引については、大蔵大臣の許可を受けた外国為替公認銀行を経由しなければできないこととされておりました。これを、本年四月一日から、金融自由化の一環として規制を緩和し、企業や個人が自由に外貨を取引することが可能となったわけでございます。  次に、2として、この規制の緩和による出納長室の保管現金の運用に対する影響でございますが、当室では、現在、一部に外貨預金を導入しております。しかし、公金の運用であるため、外貨預金については為替相場の変動による元本割れを防ぐ必要があり、いわゆる先物為替予約によって預託しております。このため、運用利率は結果として通常の円預金と同様程度の利率となっております。つまり、先物相場は、国内と海外との金利差を中心に、為替相場の見通しなどを反映して決まることから、外貨預金の表面上の金利が国内金利よりはるかに高くても、為替予約した時点における実質利回りは、国内金利とほとんど変わらないものとなるわけでございます。したがいまして、本年四月の外国為替管理法の改正による規制緩和は、現時点におきましては、公金の運用に与える直接的な影響はないと考えられます。  なお、参考として、いわゆる日本版金融ビッグバン実施の主なスケジュールを時系列に従って掲げてございます。後ほどごらんいただきたいと存じます。  次に、資料第4号は、歳計現金の推移(一般会計)でございます。  この表は、昭和六十三年度から平成十年度までの一般会計における歳計現金の推移を、各年度の四半期末の残高ごとにお示ししたものでございます。また、表の一番右の欄には、それぞれの年度における年間平均残高をあわせて記載してございます。平成十年度につきましては、第二・四半期の本年九月末までの残高をお示ししてございます。  なお、平成四年度の第三・四半期、平成五年度の第三・四半期、平成六年度の第二・四半期、第三・四半期のように、残高が極めて少ない時期は、基金などからの一時的な繰りかえ運用によりまして、歳計現金の不足分を補ってきたわけでございます。平成十年度につきましては、都税収入の大幅な落ち込みなどを反映し、資金状況も非常に厳しいものとなっております。  最後に、資料第5号は、財政調整基金で保有している株式数でございます。株式数は全部で七百八十三万九千百二十六株ございます。株式の額面は一株五十円でございますので、その総額は三億九千百九十五万六千三百円となります。  また、当該株式を取得するに当たり都として出資した額、つまり、財政調整基金として管理している現在高は、三億二千七百七十八万二千七百五十円となっております。  なお、この株式はいずれも銀行株でございまして、これを保有することについては、戦後の資金事情の困難な時期に、銀行との協調関係を維持し、資金調達を円滑に行うため、昭和二十三年十月に、当時の戦時災害復旧基金で富士銀行外六銀行の銀行株を取得したという経緯がございます。  以上をもちまして、ご要求のございました資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯黒須委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料とあわせて、事務事業に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯大木田委員 資料を要求しましたので、具体的に何点か質問をしたいと思いますが、その前に、私が質問をするという通告をいたしましたら、出納長室は、ここ六年間質疑がなかったということでございまして、谷口出納長になってから初めての質疑ということでありますので、しっかり質問をしたいと思っております。では、平成三年の出納長室の質問をしたのはだれかというと、私でありまして、この十年間ぐらい、私以外は質問をしていないという、輝かしい実績といいますか……  昨日、緊急経済対策が発表されました。橋本さんが総理になったときに、日本の株価は二万三百円でございました。百日ちょっと前に小渕さんが政権を握ったわけですけれども、そのときの日本の株価は一万六千二百円でありました。  小渕政権誕生については、冷めたピザだとかいろいろなことをいわれましたけれども、注目すべき海外の評価等を見ますと、イギリスのBBC放送が論評しているのが関心を呼んだわけでありますけれども、ちょうど「タイタニック」の船首、船の先のいすをただ並べかえているだけではないかというような感じで、間違いなく日本は「タイタニック」の様相を呈しているという評価でありました。アメリカ等の論評はバーチャルポリティーと。いろいろと打ち上げるけれども、なかなか実効はないではないかというようなことでありまして、特に昨日の緊急財政の問題についても、七月に減税をいっておりますけれども、十一月末に行う臨時国会には減税法案は出さないというようなことでありまして、きのう、きょうの株の動向を見ても、市場は織り込み済みといいますか、あれだけの過去最大の緊急財政出動というにしては、市場の反応が極めて鈍い。  これは、橋本内閣以来今日までずっと来ている、財政出動はいろいろと鳴り物入りでしますけれども、しかし市場の反応が鈍いという、この景気診断についての対応が極めて遅いということで、今スピーディーに処理しなければならないというところに、ビッグバンを行っていながらその対応が鈍いという、かなり日本の限界説といいますか、官僚の対応の、官僚機構の破断界という、そういうような状況で、どうにもならないところに来て、世界の急激な情報のスピードの速さ、変化の速さに対応できないというようなことがあるわけであります。  この財政問題についての所感はいずれ最後に聞きたいと思っておりますが、今回の資料の中で、四月にビッグバン、いわゆる外為法を改正して、都の財政にどういう影響があるかということが、私の最大の質問をしたいところであります。  というのは、日本は今まで護送船団という形でずっと来ました。そのために競争原理が働いてこない。ちょうど今から二十年前に初めて、金融自由化のはしりとしてMMCがありました。一億円以上の定期を組んだりするときに、MMCで、銀行から金利を提示していただいて、一番高いところにそれをするということで、私も昭和五十四年のときにMMCを買ったことがあります。三行から提示をいただきまして、それで一番高い──当時は金利が八・何%です。そういう経験もありますから、そういうようなことで、二十年前に金融自由化のMMCの経験もありながら、競争原理が働かないで護送船団にしがみついてきている。それで大海にこぎ出すビッグバンを行って、今本当に揺れに揺れているというのが金融界の実情であるというふうに思うわけであります。  要するに、競争原理を導入しながら進めていくということを、一つの例を通して冒頭話して、その感想も聞きますけれども、例えば流通機構というのはかなり競争原理がありますけれども、国内的にはそれが余りない。アメリカのコンテナをアメリカの西海岸から一万キロを日本に輸送して千ドルですよ。十二万円で来ます。それが外国港運の実績であります。日本国内にそれが着くと、東京から沖縄でも北海道でも千キロ以内ですけれども、十分の一の距離を運ぶのに当たって、内航海運に入ると十八万。一万キロで十二万、千キロ以内で十八万、こういう高コストの体質が、いわゆる護送船団といいますか、もたれ合いの中において国際競争に太刀打ちできない。そういう、日本の企業は国際競争で、自動車のように対抗しながら勝ち抜いている部分と、いわゆる護送船団で守られて守られて守られてきている部分とがありまして、それがもうどうにもならない限界に今来ているということであります。  国の経済規模が七十七、八兆でも、都庁も公営企業会計、特別会計を入れれば十二兆という、そこまでの大きな金額で、国際基準でいえば世界八位になるぐらいの国家に値する資金量を持っているわけであります。  それで、ビッグバンが行われて、出納長室の、具体的にはこれから聞きますけれども、どういうところが変わって、どういうところが変わらないのかということで、四月からスタートしたばかりでありますから、私は、まず冒頭聞いて、具体的にはその次に聞きますので、まず、ビッグバンが行われての変わったところと変わらないところを簡単に整理していただきたい。 ◯鎌田副出納長 ただいまお話しのように、金融ビッグバンがこの四月から始まったわけでございますが、いわゆる金融ビッグバンの三つの原則といいますか、フリー、市場原理が働く自由な市場、それからフェアということで、透明で信頼できる市場、それからグローバル、国際化で時代を先取りする市場、こういうことで、今その途上にあるわけでございます。  直接的に今出納長室で行っている資金管理に影響があるかというと、ただいまのところそうはございません。ただ、ここで金融再編等がございますので、それからもう一つは、それぞれ金融機関の体力と申しますか、そういうものがございますので、私どもの資金管理の仕方については、今までの統一的なものから少しずつ変えるようにやってきているところでございます。 ◯大木田委員 先ほど歳計現金の数字も示していただきましたものですから、具体的にちょっと聞いてみたいと思いますけれども、本当にバブルの絶頂期といいますか、資金量が豊富なときには、自然増収だけで四千億あったということでありまして、実に金利だけでも五百億を超えたというような、財政的には大変潤った時代もあったわけです。今は、先ほどの歳計現金の推移を見てもあれですけれども、この十年のときの金利が一番多かったときは金利収入が幾らあって、一番少ないときは幾らかという、まず、具体的なこの数字をちょっと聞かせてください。 ◯鎌田副出納長 資料4号で昭和六十三年度から歳計現金を記載してございますが、ただいまお尋ねの、この十年間で一番運用収入が高かったのは平成二年度でございまして、このときは五百四億ございました。この当時、ただいまお話ございましたようにバブルで税収が好調であり、また金利も高水準だったわけでございますが、バブルの崩壊によりまして、税収の減、それから低金利ということで、運用収入も大幅に減少してきております。実は昨年度、平成九年度が一番最低でございまして、十二億でございます。ですから、ピークの五百四億に比べますと、二・四%の水準でございます。ちなみに、平均の利率が平成二年度では六・八五%でございましたが、平成九年度では〇・四五%ということで、十五分の一に下がってきております。 ◯大木田委員 それでは、具体的に聞きますけれども、五百四億から十二億ですから、大変低金利の中で金利収入というのは少ないわけです。地方自治法によると、資金の運用については、安全かつ慎重な、しかし効果的な運用ということがあるわけですけれども、ビッグバンを踏まえて、金利設定ですね、例えばいろいろと、これだけの大きな資金を、短い期間であったとしても運用するわけですけれども、その運用方法と、どういうふうにして金利を設定しているのか、伺いたいと思います。 ◯鎌田副出納長 歳計現金の現在の運用方法と金利設定のお尋ねでございますが、ただいまお話ございましたように、歳計現金の運用は、地方自治法にございますように、最も確実、有利な方法で保管しなければならないということでございます。現在、長期的な低金利の状況と金融機関における格差等、金融システムが大変不安定でございまして、最近では、有利というよりむしろ安全、確実ということに重点を置いて、比較的短期の預金であります大口定期預金譲渡性預金等自由金利商品と呼ばれる預金を中心に行っているわけでございます。これは、歳計現金が支払い準備金という性格がございますので、比較的短期にやっております。  それから、金利の設定についてでございますが、この自由金利商品の預金利率につきまして、各金融機関から提示を求めております。それをもとに、金融情報専門誌あるいは日刊の経済紙、金利等の速報情報等の情報を収集、分析しまして、金融市場の利率の動向を把握しながら慎重に決めているわけでございます。これは、出納長室の中にレートを決定するための会議を一応設けてございます。結果として金利が、いわゆる公表されている同期間の譲渡性預金の売り気配値よりは常に上回っているというふうに現実にはなっております。 ◯大木田委員 それでは、ちょっと具体的に聞きますけれども、例えばある一定の金額があります、これを銀行に預けますというときに、A、B、Cという銀行名で、では、おたくは幾らの金利でこれを預かりますかという入札方式といいますか、それを提示していただいて決めているのかどうか。その場合、決めているときに、必ず銀行によって差があると思いますけれども、高いところと低いところと、若干それが出ないと金融の自由化の意味はないわけですけれども、その辺はどうなっていますでしょうか。 ◯鎌田副出納長 歳計現金の運用に、ただいまお話がございました入札というような競争原理を取り入れた方法がとられているかどうかということでございますが、競争原理の導入として、ただいま申し上げたような入札による引き合い、これによって預託する場合には、当然高い預託レートが期待できるわけでございます。そういう効果はあるのでございますが、こういう考えのもとに、平成八年度から、準公営企業の一部につきまして試験的に導入しております。  ただ、これをやっておるのですが、その結果としていろいろ問題が出てきておりまして、今の金融情勢から、高金利で提示をしてくれた金融機関が、なかなか一般市場からの調達が難しいということで資金不足を来している場合があるということで、いわゆる金融機関の体力という面から見ると、そういうところに預託資金が集中することについては、現在のこういう情勢の中では安全性に問題があるのではなかろうかという認識をしております。  それから、こういうことで特定の金融機関に仮に預託が集中するということになるとすれば、これまで行っております預託先金融機関との協力関係、これは何も預託だけではなくて、都債の引き受けですとか公金の収納等いろいろございますが、そういうところの協力関係の維持に支障が出るおそれもある。それからまた、歳計現金が非常に不足したときに一時借り入れを実行しなければならない、そういうときにも、特定のところだけ預けるということについては支障が出るのではなかろうかというような気がするわけでございます。  そうはいいましても、今後、これらの実績結果あるいは金融情勢を踏まえながら、金融ビッグバンが進んで金融システムが安定化すれば、競争原理を導入することによって、より有利な運用を図るということも大きな視点でございますので、公金の安全かつ効率的な運用に、そういうことも含めながら努めていきたいと思っております。 ◯大木田委員 今の説明は私はわからないわけではないのですけれども、基本には、公正な競争原理というものを常に念頭に置いて資金運用をしていただきたい。確かに、今高金利を提示して参入しようと。あるいは、それは非常に心配だという部分があります、事実。  山一証券が自主廃業したときに、債務超過ではないということで自主廃業したわけですけれども、日銀は日銀特融で一兆円入れました、債務超過でないということで。結果、一年たってみたら債務超過であるという事実ですね。長銀についていえば、長銀が非常にがたがたきたときに、かつて池田銀行といわれて池田総理がいろいろと面倒を見た経過がありましたから、その流れをくんだ宮沢さんが大蔵大臣になり、娘むこである池田さんが政調会長になって、絶対に長銀は債務超過していないということで、国会であそこまでやったけれども、最終的には債務超過であったということは、もうだれが見ても明らかだし、事実なんですね。  したがって、そういうような状況をあれして、今非常に金融全体が、北拓の状況を見ましても、今後どれだけの再編と、いろいろなものが進んでいくかわかりません。六十兆用意しても、今の動向でいくと、これが生きたお金になるかどうかさえ非常に危ぶまれるというような状況でありますので、私は、公金を預かる立場としては、そうした慎重な姿勢は大事だと思いますけれども、これからは、ビッグバンを行った以上は、公正な競争原理ということを常に念頭に置いて資金運用をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。 ◯鎌田副出納長 ただいまお話ございましたように、金融ビッグバンがこれから進んでいくと、いろいろな影響──冒頭にも少し申し上げましたけれども、その際に考えられる影響として、リスク管理の徹底が不可欠になるのではなかろうか。これは、金融機関の競争が自由化によって拡大してくるということで、金融機関同士の経営状況に大きな格差が出てくるだろう。  一方、私ども公金の預金者としての自己責任の確立も大事になってくる、こういうことから、公金運用の安全性を見きわめることが必要になるだろう。そのために、金融機関の経営状況の分析ですとか、あるいは各種金融機関の情報が一層重要となってくるというふうに思っております。それから、公金運用における金融商品も多様化してくるだろう。これは公金運用の原則でございますが、元本保証の新規運用商品の開発が予想される。それから、金融機関自体も多様化、いわゆる銀行、証券、保険の垣根がなくなる、あるいは銀行の中でも普通銀行、信託銀行、長期信用銀行といった役割分担を図る、こういういろいろ影響が出てくると思います。  そういうことも総合的に勘案しながら、先ほどご指摘のございました公正な競争原理、こういうものも含めながら検討を続けていかなければならない、そういうふうに思っております。 ◯大木田委員 次に、財政調整基金で保有している株式をちょっと提示をしていただきましたので、これに関連して伺いたいと思います。  その前に、東京都はいろいろな方式で第三セクター方式というのをつくって、いろいろと監理団体等もあれしながらやってきているわけですが、私が前に総務委員会でも指摘しましたけれども、第三セクターをつくることはつくっているけれども、都の出資が、二〇%の株式を保有しているのと、四〇%と、商法でいう五一%以上保有しているという、そういう立て分けは全く考えないで、各局が必要な第三セクターをつくって、要するに、そのときの状況によって、都の保有株を二〇%に決めたり、あるいは三五%に決めたり、六〇%のものもありますけれども、アトランダムにやっている。私は、必要に応じて第三セクターをつくることはあってもいいと。しかし、体系的に、要するに人事権まで介入してやるのか、商法でいう五一%で切ってやるのか。そういうようなポリシーをきちっと持ってやらないと、必要だからつくる、必要だから株を保有する、それがたまたま二〇%だったというような状況で、一回これを整理しなさいというので、初めて、二〇%までの株の保有と、四〇%、五一%を超える株の保有ということで整理をしたということで、それも、指摘をされないともうずっとそのままになっておる。  その例が、この株も──これは、戦後のあの状況の中で株を保有した経過は私もよくわかっております。しかし、五十年過ぎて保有しっ放しになっているわけです。公的な機関に携わるところが、これで株の投資をして運用しているわけではないのであれですけれども、私は前から、この株というのは、財政が厳しいときには放出してもいいのではないかという見解を持っているのですけれども、ただ、今非常に銀行株が低いですから。今、株の時価でいいますとどのくらいの価値があるのか、まず、その辺のところをちょっと伺いましょう。 ◯鎌田副出納長 財政調整基金で保有している株の時価でございますが、最も新しい昨日の終値で計算してございますが六十五億、時価になっております。 ◯大木田委員 今の比率からいいますと、これで六十五億ですけれども、一番高いときに運用というか、一番高いときというのは幾らだったでしょうか。 ◯鎌田副出納長 最近で銀行株が比較的高かったのが平成八年九月三十日でございます。このとき、現在保有している七行の平均株価が千七百九十一円、先ほど申し上げました昨日は七百九十四円で、約千円の差がございますが、時価でいいますと、当時の八年九月三十日現在では百六十四億円でございます。 ◯大木田委員 第三セクターの保有している株と、この株は性格が違うわけです。それで、この株を都は運用してこれで何か利ざやを稼ぐというようなことをしているわけではありません。ただ経過として、そのときの事情で保有し続けているというだけのことでありますので、私は、これは問題提起だけしておきますけれども、必要かどうか、今後持ち続けるか一回検討をして、どうしても持ち続けなければいけないということがあれば、それはいいと思いますけれども、一回私は検討すべきだ。どうもいろいろ聞いているところによると、株を持っていることによって、天下りをするときの都の一つの背景としてそういうものが使われているというような話も仄聞しますけれども、そういうことはきょうは余りいいませんけれども、いろいろなことがうわさが立ってくるというような形であっては極めてまずい面もありますから、一度、何でこれを持ち続けるんだということを明確に検討すべきだ。  それで、なおかつ保有し続けるということであれば、それはそれなりの検討した結果ですから。ただ前から持っているからそのままそのままということでずっと、それで、どんどんどんどん担当者もかわるという形のままだけで、先ほどの第三セクターの株の保有ではないですけれども、要するに、つくることは必要だとつくって、体系的に整理して、そしてそれがどうなるかというようなことの検討が割となされないで、慣例慣例と、そういう形で先送りになってきているというような部分がありますので、一度検討すべきだと思いますが、どうでしょうか。 ◯鎌田副出納長 先ほど申し上げましたように、今いろいろ株価が変動しているときでございますが、そういうこともありまして、現時点では、銀行株の保有が資金運用の一つとして適しているのではないかということで保有をしているわけでございます。ただいまご指摘ございましたように、大変貴重なご提言でもございます。今後、株価の動向とか金融情勢等を注意深く見守りながら、財政当局とも連携をとりながら適切に対処したいというふうに思っております。 ◯大木田委員 次に、私の資料の中で公金の手数料について伺いました。いろいろとここに出ておりますけれども、まず、この手数料に基づいて伺いますが、総額として手数料はどのくらい払っているのか。念のために、上位三行というのはどうなって、どういうところにどのくらい払っているのか、それを伺いたいと思います。 ◯鎌田副出納長 公金取扱手数料の総額でございますが、平成九年度で二億五千九百万円でございます。このうち、金融機関に対しましては五千九百四十万で約二三%、郵便局が一億九千九百八十万円ということで、約七七%を占めております。  それから、上位三行でございますが、資料第2号の表にもございますように、一件当たりの金額が、例えば富士銀行、指定金融機関でありますと無料、その他の金融機関は二円ということもございまして、ただ、金額だけでいうのはどうかとは思いますが、一応上位三行、私どもの方で支出した銀行は、さくら銀行が五百四十万、東京三菱銀行が五百三十万、第一勧業銀行が四百八十万円でございます。最も取扱件数の多い富士銀行は、無料の部分がかなりございますので、低くなっております。 ◯大木田委員 今は銀行の大変低金利の中でありまして、この手数料はずっとこういう形で来ているということで、特に郵便局がずば抜けて多いわけですけれども、これについてはどうなのかなと思って、私も、今後、問題提起としてこれはいずれ分析をしてみたい、こう思っております。  いずれにしても、ただ、非常に銀行の低金利というのがいろいろなところにしわ寄せを与えているわけでありますけれども、これは直接ここの問題とは違いますので、角度を変えていきたいと思いますが、先ほどいいましたように、公正な競争原理といいますか……  それで、昨日の二十三兆、過去最大という割には非常に反応が鈍い、しかも減税は通常国会送りということの緊急政策の対応が出ております。ことしと来年度にわたっての政策でありますけれども、確かに、ここに来て、経済危機回避をしなければならないというところにはかなり認識が深まってきておりますけれども、ただ、やることが非常に対応がおくれているということで、臨時国会も十一月末というようなことで、外交日程があるから二週間というようなことになっております。  ただ、我々のところに来る相談では、やはりもう行き着くところまで来ているということで、貸し渋りの問題にしても、経済活動で仕事がないという問題にしても、失業の問題にしても、そこまで来ているというような形で、きょうあたりの新聞ですと、GDPに対して二・三%の伸びが期待できるとか、いろいろなこともいわれておりますけれども、私は、必ずしもこの景気の問題がそういうところにいっていないというような厳しい認識を持っております。  したがって、これはやってみて状況を見ないとわからないわけでありますけれども、この後、主税局がありますので、具体的な税収見通しについては主税局のところで突っ込んでいろいろと伺いたいと思いますが、谷口出納長に、昨日の緊急対策、あるいは今まで対応を行ってきて、非常に株も反応が鈍い、市場も織り込み済みだったりして、今の景気の状況、経済対策の状況を踏まえて、出納長の感想なり、あるいはお金を預かる立場としてご意見があれば伺っておきたい、こう思います。 ◯谷口出納長 大変難しいご質問で、それほどの見識があるわけではございません、個人的な感想ということでお許しをいただきたいと思いますが、私も、今回の措置につきまして各種の批判がある、時間がかかり過ぎとか経済の実態を反映していないとかいろいろあることはよく承知しておりますが、基本的に、大宗としては評価し得るものではないかというふうに考えております。  その理由は、一つには目標を明確に示したということ。従来こういうことは余りなかったわけでございまして、来年度プラスに転ずるというようなはっきりした目標を示したということ。それから、先般の金融制度とあわせまして、一応対策としての方向が出そろったということ。それから、何といっても二十四兆円に近い過去最大の規模の財政出動ということで、一応の評価をしていいのではないかというふうに考えております。  ただ、実際の効果がどうかということになりますと、これは経済の問題でございますから、心理的な要因もございますし、国際関係の影響もございますので、何とも申し上げられませんが、この対策を速やかにかつ着実に実施することによりまして、一定の成果があるものというふうに考えておりますし、また、ぜひ期待をしたいと思っております。  ただ、東京都の財政との関係で申しますと、仮にこの経済対策が効果を上げたとしましても、直ちに都財政に、税収に反映されるというわけにはまいらないこともございます。  また、盛り込まれております減税の方式によりましては、都政に重大な影響を与えるということも想像されますので、今後、政府の経済対策の実施効果を注意深く見守っていく必要があると考えております。 ◯黒須委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯黒須委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。  以上で出納長室関係を終わります。      ━━━━━━━━━━ ◯黒須委員長 これより主税局関係に入ります。  事務事業に対する質疑並びに過日の委員会で聴取いたしました報告事項に対する質疑を行います。  説明の際要求のありました資料は、お手元に配布してございます。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯北村総務部長 先般の委員会におきましてご要求のございました主税局関係の資料につきまして、ご説明申し上げます。  恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。  初めに、目次の次にございます一ページの要求資料第1号、償却資産の納税義務者数及び資産件数調べについてご説明申し上げます。  この表は、固定資産のうち償却資産にかかわる、昭和六十三年度から平成九年度までの各年度における一月一日現在の納税義務者数と資産件数をお示ししたものでございます。ここでの償却資産とは、減価償却資産から、固定資産税が課せられております家屋及び自動車税が課せられております車両を除いたものでございます。  次に、二ページの要求資料第2号、固定資産税収入額における償却資産割合調べについてでございます。  この表は、昭和六十三年度から平成九年度までの固定資産税収入額と、このうち償却資産分の収入額、及びこれが固定資産税収入額に占める割合を年度別にお示ししたものでございます。  最上段にあります昭和六十三年度を例にご説明申し上げます。  A欄にありますとおり、土地、家屋及び償却資産に係る固定資産税の現年課税分の収入額は五千八百九十七億三千三百万円で、このうち償却資産分は、B欄にありますとおり九百二十八億四千万円、固定資産税収入額全体に占める割合は、その右側の欄でございますが、一五・七%となっております。  なお、国有資産等所在市町村交付金などの交付金は、収入額に含まれてございません。  以下、平成元年度から平成九年度まで同様にお示ししてございますので、ごらんいただきたいと存じます。  次に、三ページの要求資料第3号、固定資産税・都市計画税の納付状況等調べについてご説明申し上げます。  初めに、上段の表、1、全期前納者数でございますが、この表は、平成九年度と平成十年度における固定資産税と都市計画税の納税義務者数をA欄にお示しし、このうち、第一期の納期限までに第一期から第四期までの税額が一括して納付された、いわゆる全期前納者数をB欄にお示ししたものでございます。  表の三段目は、B欄の全期前納者数がA欄の納税義務者数に占める割合をお示ししたものでございまして、その割合は、平成九年度が五九・二%、平成十年度は四二%となっております。  次に、下段の表、2、第一期分の納付状況でございますが、この表は、固定資産税と都市計画税の第一期分の調定額をC欄にお示しし、このうち督促状の発付までに納付されました収入額をD欄にお示ししたものでございます。  表の三段目は、D欄の収入額がC欄の調定額に占める割合である督促状発付前収入歩合をお示ししたもので、平成九年度は九四%、平成十年度は九三・九%となっております。  次に、四ページの要求資料第4号、督促状発付件数及び臨戸件数調べでございます。  初めに、上段の表1)、督促状発付件数調べでございますが、この表は、平成八年度及び平成九年度における一年間の督促状の発付件数、並びに平成九年度及び平成十年度における九月末現在までの督促状の発付件数を税目別にお示ししたものでございます。  最上段にありますとおり、法人都民税を例にご説明申し上げますと、平成八年度中の督促状発付件数は八万四千五百五十三件、平成九年度は八万四千六百九十二件でございます。また、平成九年度の九月末現在までの発付件数は二万九千六件、平成十年度の九月末現在までの発付件数は三万八千二百六十一件でございます。  以下、同様にお示ししてございますので、ごらんいただきたいと存じます。  なお、九月末現在の件数につきましては、固定資産税の納期の変更等がございました関係から、両年度の件数に乖離が見られるところでございます。  次に、下段の表2)、臨戸件数調べでございます。  表の左側に平成九年度における臨戸件数を、中央及び右欄に九月末現在における件数を、平成九年度と平成十年度についてそれぞれお示ししてございます。  次に、五ページの要求資料第5号、平成十年度及び十一年度都税収入見込み額に係る主要税目の算定根拠についてご説明申し上げます。  この表は、法人二税、繰入地方消費税、個人都民税及び固定資産税・都市計画税の主要税目別に、税収見積もりに用いる関連経済指標などについて、平成十年度の当初と現在の数値及び平成十一年度の予測値をお示しするとともに、参考として、平成十年度政府経済見通しの当初と修正の数値もあわせてお示ししたものでございます。  以下、この表に沿って、主要税目の算定の概要をご説明申し上げます。  初めに、法人二税についてご説明申し上げます。  法人二税の税収を見積もるに当たっては、確定申告に伴う税額と予・中間申告に伴う税額をそれぞれ分けて算定しております。
     確定申告税額につきましては、上期は企業収益予測を用い、下期は企業収益予測がございませんので、かわりに鉱工業生産指数などの伸び率を用い、これらに国内総生産の伸び率も勘案して算定しているところでございます。  予・中間申告税額につきましては、過去の予・中間申告の傾向値に国内総生産の伸び率を勘案して予・中間申告割合を見込み、前年度税額にこの割合を乗じて算定しているところでございます。  まず、最上段にあります国内総生産についてでございます。当初予算を見積もった時点で使用した民間調査機関の国内総生産の伸び率の平均値は一・四%でございましたが、現在は大幅に下方修正され、マイナス二・〇%になっております。また、十一年度につきましては、マイナス〇・八%となっております。  なお、政府経済見通しは、当初二・四%でありましたが、現在はマイナス一・八%に下方修正しております。  次に、企業収益予測でございますが、民間調査機関が各企業にヒアリングして得たデータを集計して用いてございます。当初積算時における企業収益の伸び率は七・三%でありましたが、現時点ではマイナス一一・七%に下方修正されております。また、十一年度の予測はマイナス一二・七%となっております。  なお、東京の場合、非製造業の割合が高いなど全国平均とは業種構成が異なるため、この企業収益予測を東京の業種構成に置き直して用いているところでございます。  次に、鉱工業生産指数についてでございますが、先ほど確定申告税額の算定概要で申し上げたとおり、当初予算見積もり時点において、翌年度下期の企業収益予測を出している民間調査機関がございませんので、その代替指標として用いているものでございます。  なお、次の地方財政計画額及び前年度の補正後法人税額の数値も都の法人二税の税額と一定の相関関係が見られるため、参考としているところでございます。  次に、繰入地方消費税について申し上げます。  地方消費税は平成九年度に導入され、平成十年度から平年度化されており、算定の根拠となり得る課税データがないため、地方財政計画における全国の地方消費税の額二兆九千八百八十七億円に都の清算基準一二・一七%を乗じて算定したところでございます。  なお、十一年度予算につきましては、予算編成時期が早まったことから、地方財政計画を参考とすることができませんので、十年度の課税実績、名目民間最終消費支出等を基礎に算定する予定でございます。  次に、個人都民税でございますが、個人都民税は前年の総所得金額をもとに課税されますので、前年の現金給与総額や商業販売指数から所得の伸びを推計し、算定しております。  次に、固定資産税、都市計画税につきましては、課税データに基づいて算定できる安定的な税目でございます。変動の要因は、土地の評価額の増減と、家屋や償却資産の取得、滅失等でございますが、これらは、基準価格の変動率や民間設備投資の伸び率等を見込んでいるところでございます。  次に、六ページの要求資料第6号、主要団体の平成十年度税収見通しについてご説明申し上げます。  この表は、税収規模が一兆円前後の大阪府、愛知県、神奈川県について、現時点での見込み額を、総額と法人二税の別に、平成十年度当初予算額と比較してお示ししたものでございます。  A欄が現時点での各団体の見込み額、B欄が見込み額からC欄の当初予算額を差し引いた増減額で、あわせて増減率もお示ししてございます。C欄の右側には、平成十年度当初予算の九年度当初予算額に対する伸び率もお示ししてございます。  B欄をごらんいただきたいと存じます。大阪府は、当初予算に対しまして、総額で千八百五十億円程度の減収、愛知県は一千億円程度の減収、神奈川県は一千百五十億円程度の減収となっております。いずれも、東京都と同様、大変厳しい状況にございます。  最後に、七ページの要求資料第7号、税理士会等からの納税事務簡素化要望に対する取り組み状況についてご説明申し上げます。  最初に、法人都民税、事業税の申告書収受事務、いわゆる出張受付についてでございます。  都内には四十八の税務署がございますが、このうち二十五署を対象署とし、現在六税務署において出張受け付けを実施しており、残る十九署については協議中でございます。  次に、法人の設立届、異動届等の諸届け出用紙の統一化についてでございますが、現在、東京国税局と協議中でございます。また、各市町村につきましても、東京都市税務事務協議会を通じて意見の取りまとめをお願いしているところでございます。  最後に、申告書のA4判化についてでございますが、平成十年三月、地方税法施行規則が改正され、平成十年四月一日以降開始する事業年度から順次A4判化を実施しているところでございます。  以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯黒須委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料とあわせて、事務事業並びに報告事項に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯遠藤委員 それでは、何点かについて質問させていただきます。  本年度は、当初予算に比べまして、四千四百億あるいはそれ以上の財源不足が生ずるようになるようであります。先月十三日には、知事が緊急アピールを出す事態となっております。  その中で、主税局は緊急税収確保対策を進めていくということでありますが、その際、対策の中でも、徴収率を昨年より一%引き上げて九四%にすることが目標とされておりますが、その九四%の根拠について、まずお伺いしておきます。 ◯北村総務部長 緊急税収確保対策の目標数についてのお尋ねでございますが、都税の徴収率につきましては、バブル期までは、全国の地方税平均の徴収率とほぼ近い率で推移してまいりました。しかし、バブル崩壊後、都税の徴収率は年々大きく落ち込み、平成七年度には、全国の地方税平均が九四%であるにもかかわらず、都税の徴収率は九〇・四%まで落ち込む状況となりました。そこで、全国の地方税の水準である九四%まで都税の徴収率を引き上げることを目標にしたものでございます。平成九年度には九三%を達成し、本年度は九四%を目標としているところでございます。 ◯遠藤委員 四千四百億の財源不足に対して、主税局として緊急税収確保対策を打ち出しているわけでございますが、税収の落ち込み、滞納者の増加は、この厳しい経済状況から来ている。このような状況の中で、徴収率を上げることが目標とされれば、納税者にとって厳しい状況になるおそれがあります。  また、今答弁がありましたように、目標の九四%の根拠は、全国地方税の平均という話でございますが、それでは余りにも単純といいますか、そのようにしか思えない。東京都独自の事情等を十分に考慮した目標であれば、それなりの理解はできますけれども、今年七月の主税局長の通達でも、都民を取り巻く今日の経済環境は極めて厳しい状況にある、都民生活のあらゆる側面に深刻な影響を与えている、このような時代にあっては、特に納税者の経済状況等の実態をより詳細に調査するなど、各納税者の客観的な担税能力の把握に努めるとともに、納税者ごとにきめ細かく適切な対応等をする、親切で丁寧な事務運営に努めなければならない、このような通達からしても、この九四%の根拠はいかがなものかと思いますが、いかがでしょうか。 ◯北村総務部長 まず、目標の九四%についてのお尋ねでございますが、実は、全国の都道府県の徴収率は、平成八年度の場合ですと、九五・三%というふうに、今回の目標数値よりも高い水準でございます。しかし、東京都は固定資産税等の市町村税の一部も徴収しているということ、そして都市として経済環境の変化を大きく受けやすいということ、こういった東京都のさまざまな事情を考慮して、目標を九四%に設定したものでございます。ご理解をいただきたいと存じます。  また、局長通達に触れて、現在の滞納整理の状況についてのお尋ねでございますけれども、適正公平な税務行政を執行していくためには、滞納整理は欠かすことができない事務でございます。しかし、ご指摘のような現在の厳しい経済状況下にございましては、納税者にとっても困難な状況であるということは十分に承知しているところでございます。  そこで、徴税努力といっても一律に厳しい滞納整理を行っていくということではなくて、もちろん悪質な滞納者に対しては厳しく、また、納める力のある納税者にはきちんと納めていただきますが、納税者の状況等をよく把握し、個々の納税者の状況に応じて、分納や納税緩和措置の利用などきめ細かい対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。 ◯遠藤委員 税負担の公平を図る観点からも、徴収努力をしなければならない。ご案内のような経済状況の中で、税を払いたくても払えない状況にある、また、そういう納税者も少なからずいるということを念頭に置いて、きめ細かな対応をしていただきたい、こう思うわけであります。  また、税収確保もさることながら、それと並んで、地方公共団体として、より一層内部努力が必要ではないのか。まず、一般歳出の三分の一を占めている人件費の削減に努める必要があるのではないかというふうに思います。  先日の「広報東京都」には、都職員の給与の状況が紹介されておりました。その中で、都の職員の給与は民間企業の給与水準を適正に反映する仕組みになっているとありましたが、本当にそうなのかという疑問を私は持つわけであります。わずか〇・七九%とはいえ、プラスのベースアップの人事委勧告に疑問を持つ都民は少なからずともいるというふうに思うところであります。  また、都では、これまでもOA化を進めてきております。OA化は、都民サービスの迅速化を図るとともに、省力化を図ることが大きな目的でもあると思うわけであります。これまで、OA化の取り組み等によりまして、主税局におきましては、二千五百人の人員削減を行ったということを承知はしておりますけれども、全庁的にまだまだ定数削減の余地があるのではないかというふうに私は思うわけであります。  こうした内部努力は当然痛みを伴います。しかしながら、事態はそうした痛みを避けて通ることのできないところに来ていると思っています。しかし、この問題は主税局所管ではないようにも思いますので、この点は、また別の機会に触れさせていただきたいと思います。  次に、歳入の所管局である主税局としては、自主財源の確保が最も重要であると思います。国は、経済対策として七兆円規模の減税を行うとしております。景気回復が当面の最大の課題であることはわかりますけれども、地方公共団体の財政状況、とりわけ大都市の都府県の状況というのは非常に深刻であるわけであります。経済対策は国の責任で決定するものでありますけれども、地方公共団体にできるだけ負担のかからないようにすべきである。知事は、内閣総理大臣や自治大臣に会ったといわれておりますけれども、減税の補てんが地方交付税で行われるようになれば、不交付団体である都への影響は大変なものになってくる。減税が都財政に影響を及ぼさないように、都として、国から地方への税源移譲も含め、さらに強く国に働きかけるべきだというふうに考えておりますけれども、お考えをお伺いいたします。 ◯北村総務部長 先生ご指摘のとおり、都は地方交付税の不交付団体でございまして、減税に伴う減収相当額が地方交付税で措置される場合には、実質上財源措置とはなり得ず、今後の都の財政状況は一層困難な事態になることが懸念されます。  このため都は、八月より、知事を先頭に、一つは、恒久的な減税を行うに当たっては地方税への影響を最小限にとどめること、二つは、地方税の減収分に対しては、消費課税にかかわる国と地方の税源配分の見直しによる税源移譲を図ることなどにより、適切に財源措置を講ずることを国に対して要望してきたところでございます。国と地方の税源の配分については、今月下旬を目途に調整するとも伝えられていることから、都としても、引き続き国に対して要望活動を重ねているところでございます。今後とも、地方税源の確保に向けてさらに粘り強く取り組んでいきたい、こう思っております。 ◯遠藤委員 この種の要望というのは、一遍に解決する問題ではないと思いますし、ましてや、これは東京都だけの問題ではないと思います。答弁にあったように、粘り強く取り組んでいただくことを重ねて要望しておきます。  次に、景気が依然として厳しい、また、今のところ、来年景気が好転するという兆しもなかなか見えてこない状況にあるわけでありますが、一方、都財政の現状を見ると、税収の確保も強く求められている。主税局の置かれている立場は非常に厳しいものがありますけれども、このような状況の中で、税務行政はどのように進めていくべきか、進めるべきであると考えているのか、ひとつ局長のご見解をお伺いします。 ◯大塚主税局長 主税局の仕事は、どのような時代にありましても、適正公平に税を課税し徴収をしていくことが基本であります。特に都財政の厳しい現在、税務事務の執行能力を質、量ともにレベルアップいたしまして、税収を確保していくことが必要であります。その際大切なことは、納税者の皆さんと税務行政の関係は一過性のものではないということであります。長い期間にわたっての相互の信頼関係が税務行政のベースとなるということでございます。  そこで、本年七月、先ほど先生からお話のございました通達によりまして、現下の厳しい経済状況を踏まえ、きめ細かく適切な対応を行っていくよう、局内各部及びすべての都税事務所に指示をし、その徹底を図ってきたところでございます。  さらに、税制面におきましても、国からの税源移譲による大都市の行政需要に見合った自主税源の確保に努めるとともに、社会経済の構造変化に対応した地方税制のあり方について検討を行い、必要な制度改正を国に強く働きかけてまいります。今後とも、制度、執行の両面にわたって、納税者に信頼される、都民に信頼される税務行政の推進に努めてまいります。 ◯遠藤委員 この厳しい状況といいますか、時代の中での主税局の意気込みといいますか、それはよく理解をいたしました。今後、納税者本位で、血の通った税務行政にぜひ努力していただきたい、これを要望いたしまして、質問を終わります。 ◯松村委員 都市計画税の軽減措置問題について質問いたします。  昨年の事務事業質疑でも、固定資産税、都市計画税について活発な質疑が行われ、我が党はもちろんですが、各党も都市計画税の軽減措置の継続を積極的に求めました。  私も改めてその速記録を読ませていただきましたけれども、自民党委員からは、都内では商店の売り上げなどが極端に落ち込んで三分の一になっているところもある、もういつ店を畳むかと真剣に考えているときに、その負担が少しでもふえるような方向になると、そういう、店を畳むというような決断を下すきっかけとなってしまう、全体が冷え込んでいるのに税の方だけが上がっていくというようなことになれば、本当につらいことになってしまうので、平成十年、十一年、次のこの制度の改正までは、今までどおり都市計画税を二分の一にしておいていただかなければ都民の納得は得られないという趣旨の発言もされております。  我々も本当にそのとおりだと思っておりますし、また公明の委員からも、現在の景気状況というものを考えても、今これを見直すというのは実に不適当なやり方ではないかと思う、都民の負担感というものをきちっと考えていただいて、今こういうものは見直しを考えないというふうな思考にしていかなければならないのではないかということで、これも平成十年、十一年の考え方を伺っているのを私も読ませていただきました。  また、無所属会派の委員からも、ちょうどその当時行われていた都心五区の区民大会の模様の生々しい報告とともに、都民の切実な声に耳を傾けて、ぜひとも都民の負担というものに十分配慮して解決をしていただきたいという強い要望も出される発言もありました。  ここでの論議に明らかなように、各党とも、一年限りではない、この軽減措置の継続を求めていることは明らかであります。我が党もそういう立場から昨年も要求しました。  このように議会からも強い要望が出されておりますけれども、にもかかわらず、この軽減措置が今年度で適用期限切れとなって仮に廃止されることになれば、都民にとって、この深刻な不況の中での影響ははかり知れないと思いますが、まず、どれほどの影響が出るのかを伺いたいと思います。  そこで、一九九八年度の軽減額と、現在二十三区内の小規模住宅用地の都市計画税負担はどの程度の額なのかをお聞きいたします。 ◯西村税制部長 小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減額についてのお尋ねでございますが、平成十年度は総額で三百二十七億円を見込んでおります。また、平成十年度の小規模住宅用地に係る都市計画税の、これは一平方メートル当たりの平均負担額でございますが、二十三区においては百六十四円になっております。 ◯松村委員 三百億円を超える、三百二十七億円のこれがもしなくなれば逆に増加すると、この負担が生じるわけであります。また、今、二十三区は一平方メートル当たりで百六十四円ということですから、百平米だと一万六千四百円になります。二分の一の減税がなくなれば、約三万三千円ですね。今、小規模住宅地の平均と考えられるのが大体百三十平米と聞いております。ですから、都市計画税だけで、平均的にかかるあれが四万三千円近い、やはり大変な負担になるということが、今お聞きした額からもいえると思います。  東京都は、地価下落に対応した税負担の軽減されていく方向が打ち出されたとか、それから、他の都市との格差が出てきていることなどを制度見直しの理由にも挙げていますけれども、私もこの点を検討してみました。  一つには、最近の地価の動向は、区部の住宅地、これは新聞報道にもありますけれども、七月の基準地価は区部では三・一%の下落率であると報道されています。  私ちょっとここで、公示価格で課税基準が決まるということですけれども、やはり税制改正によって、基準地といいますか、最も低い、そういう価格で税制を見直すということは当然やはりやるべきだと思いますので、ここでは、九九年度においても、地価が下落した土地については、当然評価替えを、この低い方で行ってほしいということも強く要望しておきます。  そこで、仮に区部における基準地価格の下落率の三・一%を使って、来年度、九九年度、都市計画税がどうなるのか、ちょっと私、試算してみたのですけれども、先ほど答弁があった、ことしの百六十四円は来年度にどうなるかといいますと、昨年度の平均下落率は全都で大体五・六%、そして一平米当たりの平均負担額は、ちょっと私、事前に聞いたのですけれども、前年比で九円下がっていることをお聞きしました。ですから、これから類推しますと、九九年度、来年度は、ことしの九八年度の百六十四円が、アバウトですけれども、大体五円下がって百五十九円になるんじゃないかというふうに試算してみました。しかし、仮に今の都市計画税の軽減措置が廃止されれば、幾ら五円下がって百五十九円に下がるんだといっても、負担額は一平米当たり三百十八円です。これは九九年度に比べても一・九倍の負担増になるわけですね。この軽減措置を外せば、やはり二倍近い負担増が都民にはかかってくる。また、他の都市と比較して大体格差が云々ということがありますけれども、もちろんこの二分の一を外せば、断トツといいますか、他の都市との比較においても比べようのない負担増になることは明らかです。  それから、もう一つ見方を変えて、私、東京の税負担のあり方という点で一言申したいわけですけれども、東京都民の一人当たりの都市計画税の負担割合は、ここにちょっと資料がありますが、これは自治省の地方税に関する参考係数資料というのを拝見したら、この中に、いろいろな都道府県別の税収入等の種類別の数値がありました。人口一人当たりどうなっているのかというものですけれども、これによりますと、都道府県の大きいもの、例えば大阪は、全国平均を一〇〇とすると、都市計画税は大阪府民一人当たり一八五という指数なんですね。もう一つ、神奈川は、全国平均一〇〇に対して一六〇なんです、都市計画税の指数が。ところが、東京は二二六という、これを見ても、いかに都市計画税が東京においては重い税制になっているかということ。  それからもう一つ、これは議会局調査部の資料を私、見させていただきまして、昭和六十年、一九八五年と平成九年度、一九九七年度の数字を比べますと、例えば都民税はどのぐらいの増減比率かというと、昭和六十年度を一〇〇といたしまして、伸び率が一〇五・七%なんですね。ところが、固定資産税は二三五%、また都市計画税は一六八・二%。ですから、今の東京の全体の税収の中で、固定資産税とか都市計画税の割合がいかにふえているか、比率が高まっているか、ここに私は、今の都の税制のゆがみといいますか、を、こういう資料を見ても非常に感じております。  世界の流れからも、大体住むところに課税している国なんというのは、私のいろいろ知っている限りでは余りないわけですね。そういう意味で、私たちは、住むところに課税するのは間違っているという見解を従来から持っておりますし、また、事業用地に対する税は収益還元方式で行うべきだという主張をしてきました。ですから、少なくとも二百平米までの住宅用地や中小企業の事業用地に対する都市計画税の非課税は、当然の要求だと思っております。差し当たって、この二分の一の軽減措置は、私は、東京が全国に誇ってもいい制度として継続すべきだと思います。  そこで、東京都は、都民の負担感に配慮しなければならないと。今も局長から、やはり信頼関係がベースで、きめ細かく適切に対応しなければならないという答弁もありましたけれども、こういう都民の負担感に配慮して、都市計画税も軽減措置を延長したのだと思います。これは当然だと思いますし、では、今の都民を取り巻く経済状況が一体どうなのかということも、やはりきちっとした把握の上でなければならないと思います。  そこで、伺いますけれども、現在の経済状況についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。 ◯西村税制部長 直近の状況でございますが、政府の十一月の月例経済報告では、景気は低迷が長引き、極めて厳しい状況との判断が示されております。私もそのような認識でおります。 ◯松村委員 総務庁が九月の家計調査を発表いたしましたけれども、十一カ月連続個人消費がマイナスになっていると。これは戦後初めての事態です。こういう家計消費の冷え込みが、失業だとか倒産などあらゆる指標に影響を及ぼして、戦後最悪の記録を更新していることは、ご案内のとおりだと思うのです。国民の暮らしと営業は未曾有の危機に直面しているといってもいいと思います。  そしてまた、とりわけ東京がこの影響が最も厳しいということは間違いないというふうに思うのです。だからこそ都民も、この税の軽減といいますか、もちろん私どもは消費税減税を求めて国民運動と一緒にやっておりますけれども、そういうことを初め、また、直接この税の問題についても、先般も都心六区の大会、昨年の五区に比べて、台東区も加わっての都心六区の本当に熱い思いを、何とかしてほしいと、東京都知事に対しましても都市計画税の軽減措置の継続を強く求めているということは、ご案内のとおりだと思います。また、全都の青色申告会も、直接私たち議員に、その軽減措置を継続してほしいという要望も出されているところだと思います。  私、そういう意味で、私のところへ訴えがあった方を訪ねてみたのです。これは練馬の都税事務所のすぐ近くの方でした。大体土地が二百五十平米近くある、古くから住んでいる方なんですけれども、そういう一見余裕あるような方が税負担が全く大変なんですね。この方は、以前は自分で工場をやっていたけれども、もういかなくなって、今自分はパートに働きに出ている、清掃会社の運転などやっていると。そして唯一生計を立てているのは、工場であったところを今清掃会社の資材置き場として貸していると。この六月に新たな借り手、次の借り手が見つかって、十万円で、それでも前に比べて安かったそうですけれども、二カ年契約をした。ところが三カ月もたたないうちに、その清掃会社も今非常に仕事が減って厳しい、もっとほかに安いところがあるというので出ていくといわれて、不動産屋にも相談したら、今出ていってもらってもかわりの入り手が見つかりませんよといわれて、泣く泣く六万円で、六月には十万円で契約したのが、九月には六万円で契約せざるを得なかったということで、この方は、固定資産税と都市計画税合わせて約十九万円だそうです。本当に払いたくても払う金がないし、今までは、わずか八千円だけれども例の報酬制度の還付があって、奥さんも一緒に出てきて、本当に助かったけれども、それもなくなっちゃったじゃないですかということで、これ以上私たちが住み続けるためには苦しめるのをやめてほしいという、本当に切実な訴えを聞いてまいりました。  私は、九九年度以降も小規模住宅用地に対する都市計画税の軽減措置はどうしても継続すべきだということを強く要望したいと思いますけれども、このことについての所見を最後に伺います。 ◯西村税制部長 小規模住宅用地に係る都市計画税の十一年度以降の軽減措置の取り扱いについてですが、現在いろいろな観点から検討中でございます。 ◯松村委員 これは本当に各党が一致した強い要求であるということを私は確信しておりますし、ぜひ、そういう議会側の意向も酌み取って継続するよう再度要望して、終わります。 ◯織田委員 最初に、消費税の滞納についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  最近、消費税の滞納が多いという新聞記事をちょっと見かけたのですけれども、どのくらいなのか、掌握をされておれば、お聞かせいただきたいと思います。 ◯北村総務部長 最近の消費税の滞納の状況でございますが、平成十年九月二十四日に国税庁が発表しました平成九年度滞納整理状況によりますと、平成九年度末までの消費税、地方消費税の累積滞納額は五千百十二億円となっております。 ◯織田委員 この消費税の滞納は、九年度末にこれだけあるということであれば、当然地方の税収に大きな影響が出てくると思うわけでございますが、この辺のところは、地方消費税、その前の譲与税のときからどういうふうになっているのかわかりませんが、この辺の影響についてお伺いしたいと思います。 ◯北村総務部長 平成九年度に地方消費税が導入されました際、当分の間、地方消費税の賦課、徴収は国が消費税とあわせて行うということにされました。そのため、国が徴収した地方消費税は、まず都道府県に払い込まれ、さらに各地方団体の消費に相当する額に応じて都道府県間で清算する仕組みとなっております。ご指摘のとおり、地方消費税等の滞納があれば、国から都道府県への一定の範囲で払い込みが少なくなるという影響がございます。 ◯織田委員 九月末で五千百十二億円という額が滞納をされている。率直に、東京都にどのぐらいの影響があるのか、わかればお願いします。 ◯北村総務部長 ただいま先生おっしゃいましたように、消費税等の平成九年度末の累積滞納額は五百十二億円でございますが、国から公表されております地方消費税分の滞納額は四百九十億円となっております。これは、平成九年度の東京都の地方消費税の清算基準、これは全国の一二・二一%でございますが、それを乗じて求めた影響額は約六十億円ということになっております。 ◯織田委員 ちょっとその数字で、初歩的な問題で恐縮なんですけれども、例えば国税の方で五千百十二億円滞納されておりますというふうになっていますね。そうすると、地方消費税は一%分ですから五分の一。そうすると、地方分は千二十二億ぐらいになって、清算基準が一二・何%であれば、もう少しふえるのかなというふうに思うんですが、その辺のところはどうなんですか。 ◯北村総務部長 まことに申しわけございません。今、累積滞納額のお話をしましたときのけたを間違えておりまして、五百十二億円じゃなくて五千百十二億円、それに対する地方消費税分が四百九十億円ということで、それに対する清算基準の一二・二一%を乗じて六十億円ということでございます。まことに申しわけございませんでした。 ◯織田委員 そういう意味ではなくて、要するに、地方消費税と消費税に色がついているわけではないだろうと思うのです。その辺の理解は私が間違っているかもしれませんが、単純に考えた場合、そういうふうに思われるので、どうなのか。 ◯北村総務部長 消費税は五%ということになっておりますけれども、そのうち地方消費税が一%ということで、四百九十億円と申しますのは、一応国税当局の方から、現在の滞納額としてそれだけあるというふうに通知があるものでございます。 ◯西村税制部長 私の方からお答えいたします。  五千百十二億円は地方消費税全体の数字でございます。地方消費税につきましては、昨年度導入されたということで、内訳として四百九十億円、東京都分は清算基準の一二・二一%で六十億円ということでございます。 ◯織田委員 要は、その前の地方譲与税ですか、通年化されてない、地方消費税になる前の部分を計算に入れていないという、そういうような意味合いでしょうか。 ◯大塚主税局長 五千百十二億円というのは累積の滞納額でございます。ですから、ことし発生する消費税の滞納額と昨年の滞納額と、いわば合わせた数字。そのうち、要するにことし影響が出てくるものは、先ほど総務部長、税制部長がご答弁申し上げました四百九十二億円だと、そういう内容でございます。単年度ではないということでございます。 ◯織田委員 そういうことで、都への影響額は六十億円。これが、ことし平年度化されてどのぐらいになるのか、にわかにわかりませんが、今、都は財政的に大変だということで、主税局さん、特に緊急に対応されて、徴税の方の努力をやっておられるということでございますが、地方消費税については、国の方で一括して徴収をしていただいて都の方に回ってくるということで、そうすると、都の主体的な努力というものができるのかできないのか。また、こういう事態でありますから、私は何も取り立てるものは全部取り立てろということではなくて、やはり消費税の性格からいいますと、預かっているという性格の税でございますので、これは都民のためにも、できることなればきちんと徴収していただきたいというのが願いであろうかと思うのです。  そこで、この滞納整理ですね、国税の方の問題だといえば問題なんですけれども、この辺の対応について、都ができること、何か考えておられること、あるいはやらなければいけないというふうに思われていること、ありましたら、ご答弁をお願いします。 ◯北村総務部長 消費税及び地方消費税の滞納につきましては、国のみならず、東京都も極めて重大な問題と受けとめているところでございます。これまで、消費税につきましては、主税局では、制度の内容の周知という点に力を置いた広報には努めてまいりました。しかし、今後は期限内納付の促進というところに重点を移して、広報紙への登載、あるいはポスターの掲示、納税協力団体等への協力というものを図ってまいりたい、こう思っております。  また、東京国税局からの要望にこたえまして、この九月から、消費税滞納防止策の一つとして、物品購入等の競争入札への資格審査のための提出書類には、消費税の納税証明書を加えるというふうな取り組みもいたしました。今後とも、国税局と連携し、期限内納付の確保に努めてまいりたい、こう思っております。 ◯織田委員 次に、先ほどお話も出ました都市計画税の軽減措置。十年度は継続ということになったわけでございますが、今考えなければならないのは、一点、やはり景気の問題であろうと思います。国の方でも、さまざまな国民の負担をとにかく軽減して景気を立ち上げなければならないというような、こういう事態でありますし、あるいは年金保険料の改定というようなことについても、負担が重くなるということで凍結しようというような論議が出ている中で、これまで、都市計画税の軽減措置、いろいろな経緯があって、どの程度の水準になっているのか、地価とあるいはまた負担の割合がどの程度まで来ているのか。本来的にはどうなのかという論議はあろうかと思いますが、やはり今の時代というものを考えると、これまでやってきたことが急にぽんとはね上がって、これが、軽減措置を外されて二分の一が倍になってしまうということについては、相当の負担というふうに受けとめられる。これは私は、今の時点ではやるべきではなかろうと思っております。  もともと地価というものに対する、資産課税というものに対していろいろな論議がありました。暴騰してとんでもないようなところになって、今回の軽減措置とかさまざまな調整措置が生まれてきたわけでありますけれども、本来、地価の課税、資産の課税というのはどうあるべきかというものは、私はまだ結論が出ていない問題だろうと思います。したがいまして、一年一年とやってきたわけでございますけれども、ぜひとも、来年も小規模宅地に対する都市計画税の軽減措置は継続をしていただきたいというふうにご要望をしておきたいと思います。  その辺のところについて、重複になりますけれども、一言お願いします。 ◯西村税制部長 小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置についてでございますが、十年度につきましては、都民の税負担感に配慮いたしまして継続をしたところでございますが、十一年度については、先生のご指摘の状況もございますので、現在主税局で実施中の固定資産税、都市計画税の負担実態調査等を踏まえまして、十分検討の上、結論を得たいと考えております。 ◯織田委員 次に、個人事業税について若干お伺いをしたいと思います。  まず、個人事業税の課税の趣旨といいますか概要といいますか、さらに、法人事業税等と比較をして、こういう形の税ですよという特徴、これをちょっと教えていただきたい。
    ◯青木課税部長 まず、個人事業税は、事業者がその活動を行うに当たりまして、地方団体の各種の行政サービスを幅広く受けている、そういうことから、このために、行政サービスを実現するために必要な経費について広く分担すべきであるとの考え方に基づいて課税するものとされております。  また、法人事業税との比較でございますけれども、法人事業税は、原則として法人が行うすべての事業に課税されますのに対しまして、個人事業税では、事業の態様が大変さまざまでございます。そういうことから、明確に事業と認められる物品販売業など、法律に定める七十一の事業を行う場合に限りまして課税する、そういうふうにされておるところでございます。 ◯織田委員 個人事業税にかかわる事業主控除、これの性格は、どういうような性格というふうに位置づけられているのでしょうか。また、その控除の額ですね、要するにこれの改定の経緯、それをちょっとお伺いしたい。 ◯青木課税部長 まず、事業主控除の性格についてでございますが、少額の負担を避けるとともに、事業主報酬分の概算的控除であるというふうにいわれております。  また、その改正の経緯というご指摘でございますが、その額につきましては、物価水準の推移等を踏まえまして、逐次引き上げが図られてきたところでございます。最近におきましては、平成五年度に二百四十万から二百七十万円に引き上げられたところでございます。 ◯織田委員 今、少額の負担を避けるとともに、事業主報酬部分の概算的控除ということでございました。法人なんかと比べてみますと、給与関係費というのは、大体法人の場合は損金に全部入れられるというような形になりますし、個人事業の場合は、いわゆる専従者等でその部分が見られているというふうにいうわけですけれども、実態的に考えてまいりますと、二人、三人家内でやっているというような事業者につきましては、人件費の負担というのは、本人の部分も含めて非常に大きいわけですね。法人の場合は、例えば何百人いる、何十人いるという、そういう社員の給与というものが損金扱いにされる。ところが、個人事業者の場合は非常に規模が小さいケースが多いわけですから、一人事業主の方がそういう形で経費と見られないというような形になっているんだと思うのです。そういう意味で、事業主の報酬部分というものが、概算的に、これこれこれ分は人件費分ですよというような趣旨かと思うんですね。  そういうことを考えますと、今控除部分が二百七十万円、こういうような額になっております。先ほどのご説明ですと、平成五年、二百四十万から二百七十万に上げました、それで、これは物価に準拠をして上げさせていただきました、こういうことで、物価水準以上ですよというのが聞こえてくるような気がするわけなんですけれども、法人と個人という点で、事業主の給与分というものを──ボーナスは別ですよ──考えますと、いろいろな控除があるにしても、やはりちょっと少ないのではないのかなという気がいたします。  例えば、民間の平均の従業員の給与というものを考えてみましても、今では、平均二百七十万というレベルで給与費が見られているというようなことはちょっと少なかろうと思います。税制度の上で、さまざまな控除される部分、控除されない部分というものはあります。サラリーマンと比べれば、確かにさまざまな控除が使えますよというような点で有利かもわかりませんが、事は所得税の話ではなくて、事業税の話でございますから、事業税というレベルで物を考えていきますと、法人の社長さんの給与の部分と、それから個人事業者の概算的な控除という意味での二百七十万の事業主控除というものを比較していけば、これはこれで圧倒的な落差があると思わざるを得ないわけでございます。そういった意味からも、現行の二百七十万円の事業主控除は、大変な時期ではありますけれども、こういう面からいうと、もっと引き上げるべきだということを私は強く主張をしておきたいと思います。答弁は求めませんけれども、ぜひ検討をいただいて、これを国の方に申し上げていただきたいということを要望しておきたいと思います。  続きまして、償却資産税についてちょっとお伺いをしたいと思います。  今年度、個人事業者を対象にかなり広い範囲で、申告のお願いという文書が送付をされておりますが、これについては基本的にどのような取り組みを行っているということなんでしょうか。 ◯白戸資産税部長 現在当局で行っております償却資産の申告慫慂についてのお尋ねでございますが、ご案内のとおり、償却資産の課税におきましては申告制度が採用されておりまして、個人事業者の方々にも、償却資産を所有している場合には申告をしていただくことになっております。この申告及びその内容につきましては、現在必ずしも十分ではない状況がございましたので、当局におきましては、対象資産の早期、的確な捕捉を図り、一層の適正公平な課税事務の推進に取り組むことといたしました。このため、去る平成九年度から償却資産三カ年計画を策定いたしまして、全事業者に対しまして申告のお願いを送付する等により、申告慫慂を実施しているところでございます。  平成十年度におきましては、定期課税で一万一千百二十五人の個人事業者に対し、申告に基づき課税をしてまいりました。また、個人事業者の方々で償却資産の申告がなされていない方のうち約八万人につきまして、本年七月に申告のお願いを送付し、申告慫慂を行っております。十月末現在で約七割の方々から申告等をいただいております。これはまた、平成十一年度におきましても、税負担の公平の確保を図る見地から、同程度の申告慫慂を進めていくことを予定しておるところでございます。 ◯織田委員 確かに申告されている方と申告されていない方があってというようなことはあろうかと思いますが、もらった方は今随分びっくりしているという状況ではないかなというふうに思うんですね。  これまでは、そういう点は確かに法的にはそうだったであろう、忘れていた、あるいは気がつかなかった、あるいは小規模なものだからというようないろいろな理由があるんだろうと思うのですが、申告をしていなかった人が申告をしますと、一気に、最大五年間さかのぼって一括して税を払ってくれ、こういうふうにいわれて、今の時点でこれは時期が悪いというか何というか、今のこの大変な時期に、まじめに申告をしたら、五年間まとめてどんときちゃって、これはどうしたらいいんですかというような声も実は聞くわけでございます。これは後、来年も再来年もおやりになるということですから、今びっくりしている、来年も再来年もということになれば、ある程度進め方についても考えなければならない面があるんじゃないか。  ともかく、そういうふうに一括してどんとなった場合に負担が大きいので、これに対する何らかの配慮というものを今主税局さんの方でお考えになっているんでしょうか、どうなんでしょうか、その辺のところをちょっと……。 ◯白戸資産税部長 ご案内のとおり、償却資産の所有者には、地方税法の規定によりまして申告義務が課されておりまして、何らかの理由により申告がなかった場合におきましては、先ほども申しましたが、負担の公平等の観点から、本来申告すべき年度にさかのぼりまして、地方税法の規定によりまして、五年間の期間制限の範囲で遡及課税をすることとされております。  しかしながら、個々の納税者にとりまして、ただいまお話ありましたように、一括納税をすることにつきましては、非常に負担が大きい場合がございますので、納税方法等につきまして、納税者の事情を十分にお聞きし、一定の期間徴収を猶予し、分割納付を認めるなど、できる限りの配慮に努めているところでございます。また、申告制度の周知徹底につきましても、今後とも努力を重ねていくところでございます。  今後も、各納税者の担税力を客観的に把握しますとともに、きめ細かく丁寧な、親切で血の通った税務行政、これを進めていかなければならないと考えているところでございます。よろしくご理解のほど賜りたいと存じます。 ◯織田委員 本当に担税力によく着目していただいて、ひとつ無理のない執行をお願いをしたいというふうに思うんです。知らされなかったということは、いわゆるこちら側の怠慢でもあるわけです。まあ両輪ですから、行政の側はいただく、納税者の方がお払いをする、両方の力が相まって納税というのはきちっとできるわけですから、今までばーんとほっぽらかしておいて、それで急に出して、ほれ払えと。気がついたら五年前のやつまでさかのぼっている。よく聞けば延滞金までつくではないかというようなものもあるわけですね。  ですから、その辺のところは、本当にきちんと納税者の側に立って、なおかつ歳入所管局としての責任も果たすという、非常に難しいあれですけれども、ひとつお願いをしたいと思うんです。  今後の取り組みを伺いました。今後まだ二年、三年という形で続きます。こういうようなときには、何らかの形で、これだけ五年間さかのぼって──それは確かにいろんな面があります、経緯は。だけども、実態として突然に降ってくるというようなときには、そこに何らかの措置というものが私は必要なんだろうと思うんですよ。これはやはり人情というものだろうと思うんです。  そういう意味からいうと、例えば免税点を引き上げるとか、そういう措置がセットになってくれば、納税者の皆さんだって、それはそれでいいのかな、じゃお支払いしなければいけないのかなという気持ちにだんだんなってくるわけでございまして、そういう意味からも、現在の償却資産の免税点、百五十万円になっておりますけれども、これをまた引き上げるような、そういうご意見をきちっと国に申し上げて、何とかしていただきたいというふうに思うわけでございます。この辺についてのご見解はいかがでしょうか。 ◯白戸資産税部長 ただいまの免税点は百五十万ということでお願いしているわけでございますが、この免税点の高いか低いかというようなことにつきましては、私どもまだ、その判断をする材料を十分に持ち合わせていないところでございますが、おっしゃるような状況もございますので、今後とも、これらの点につきましては研究してまいりたいと存じております。 ◯坂口委員 それでは質問をさせていただきます。  まず、大変厳しい中、主税局としての事務事業を日夜執行されております皆様方に敬意を表したいと思います。  話を聞いておりましても、閉塞状態の中で明るい話題がなかなか出てこないということで、どことなく重苦しい空気が流れているというのが実態でございまして、質問する方も何かいま一つ元気よくできないという点がありますが、しかし、だからといって何もできないわけではありませんで、自己責任の分、そしてまた、それぞれの区市町村等にお願いする分、さらには、今も質疑の中で出されましたように、国等にやはり要望ないしは要求をしていくというようなことを含めまして、やるべき仕事は多々あるのではないかと思います。  まず、テクニカルな面で、努力をすればできるという方からお聞きしたいと思います。  昨年もこの委員会で既に行われているようでございますけれども、毎年同じような要望が、予算のご要望を聞かせていただく会、俗称ヒアリングの際に出てまいりまして、私の方からも、この際きちんと、進捗状況とこれからの展望を聞かせていただきたい、そんなふうに考えています。  それは、税理士会等から出ております要望でございまして、資料でも出していただきましたけれども、法人都民税、事業税の申告書の収受事務についてでございます。  資料を見ますと、一定の前進がありまして、それなりに努力をしていただいているということに、まず敬意を表したい、評価をしたいと思います。しかし、このような激動の時期にできるだけ納税者の負担を軽減する、納税者の立場に立って、どうこの事務事業が執行されなければならないかということを考えていくということは、大変重要だと思います。  そんなことで、今までの取り組みと、これからの展望についてお聞きしたいと思います。  その資料にもございますように、法人二税の出張受け付けというのは、現在、十九の税務署が協議中であるということのようでございますけれども、協議をしているだけでは前に進みません。検討中とか研究中とか行政用語がよく出てくるわけでございますが、ことし一体幾つできるのか、また将来に向けてどうなのかというようなことについて、まずお聞きしたいと思います。 ◯青木課税部長 現在、協議中の税務署、これは十九署でございます。東京国税局との調整をしつつ前進をさせるという形になってございまして、各税務署の状況、あるいは意向、これらの確認をお願いしているところでございます。  そして、今、先生ご指摘の十九署のうち、今年度はどのくらい実現できるのかということですが、現在、品川税務署、そして西新井税務署の二署につきまして、今年度中の実施に向けまして東京国税局との最終的な協議を行っているところでございます。  将来に向けましても、十九署、当面の対象ですが、努力してまいりたいと思います。 ◯坂口委員 先ほど申し上げましたとおり、一定程度の努力をなさっているということで、それは評価させていただくわけでございますけれども、品川と西新井二署ということでございまして、ちょっと数が少ないのではないかという気がしてなりません。  しかし、今後、十九署について詰めを、国税局と最終的な協議をしていきたい、最終的なといいますか、今後についても引き続き協議をしていきたいということでございますけれども、対象税務署が二十五と絞り込まれているということについては、どういう背景なんでしょうか。別の言葉でいいますと、なぜ全税務署でできないのかということになるわけでございますが、お答えをいただきたいと思います。 ◯青木課税部長 全税務署を対象としていない理由についてでございますが、実施に当たりましては、東京国税局との合意をまず得る必要がございます。東京国税局との間では、一つは地理的条件を考慮いたしまして、原則として、都税事務所から税務署までの所要時間が徒歩で十五分以上かかること、そして二つ目には、物理的条件といたしまして、税務署の中に受付スペース、これは税務署と都税が一緒に同じ場所で受け付けをする、そういう意味でございますが、受付スペース、これが確保できる税務署を対象として、現在、二十五の署を対象にして進めてまいっておるところでございます。  今後とも、当面の対象二十五につきまして、ただいまのご指摘にありましたように、納税者の方々の利便の向上を目指しまして、最大限の努力をしてまいる所存でございます。 ◯坂口委員 今、地理的条件または物理的スペース、そのまま聞けば、大変ごもっともな答弁をいただいたわけでございますが、しかし、物事、例えば税務署が隣同士にあったとしても、これは、一カ所へ行って、病院の中のいろんな手続ではありませんけれども、また次のところに行って、薬をもらうとか精算をするとか、なかなかやっかいなものですね。ですから、本当に納税をする方の立場に立てば、これは、たとえ税務署が隣であっても、つまり十五分なんかかからなくても、やはり同じ場所でできるというのがベストだと思うんですね。  そういう努力はやはりしなくちゃならないと思うんですね。今までのように、一年で例えば何カ所やりました。やるのに、これだけ全部四十八やりますと、例えば二カ所ずつやっておりましても二十年間かかってしまうとか、そんなことがあってはならないと思うんです。それぞれの基礎自治体に、すぐやる課とか、いろいろありますけれども、やはり最大限の努力をして、可能なところについては直ちにやる。スペースの問題もありますし、いろんな役割分担の問題もありますから、そういう協議は鋭意詰めないとまずいと思うんですが、やはりそのような利便性を図ってこそ、納税者の立場に立った事務事業の執行ということになるのではないかと思います。特段のといいますか、さらなるご努力をお願いしたいと思います。  第三問目は、法人の諸届け出用紙の統一化についてでございますが、これも何年か出ているんですね。私も気になっておりまして、どこまで進んでいるのか、これからの見通しはどうなのか、それについて、この際お聞きをしておきたいと思います。 ◯青木課税部長 諸届け用紙の統一化の取り組みの状況についてでございますが、去る九月の東京国税局との打合会におきまして、基本的には統一を図ることで合意に達しており、現在、鋭意協議を進めております。  また、都の市町村におきましても統一化していく方向で検討しておりまして、総務局行政部を通じ、東京都市税務事務協議会に各市町村の意向集約、意見集約を依頼しているところでございます。これも鋭意取り組んでまいる所存でございます。 ◯坂口委員 法人のいろんな届け出について、市町村との合意がまだ十分できてないということがあるようでございますけれども、法人の設立ですとか、または移動ですとか、それぞれ税務署や都税事務所や自治体で違うというのは、これは、先ほどいいましたような、それぞれにとってロスが大きいといいますか、納税をする側にとっても大変手間暇がかかることになりますし、それを受け付ける市町村や、または都税事務所や、国の出先の税務署にとっても、決していいことではないわけでございまして、事務管理の原則として、無理、むら、むだをなくすというようなことがあるわけでございますが、極めて基本的なことだと思うんですね。  そんなことで、この届け出用紙の統一化について、今、市町村との合意形成を図っているということを聞いているわけでございますけれども、その困難な理由というのは何なのかですね。  あわせて、先ほど東京都市税務事務協議会という名前が出てきたわけでございますけれども、意見集約をしているやに聞いているわけでございますが、いつまでに集約をして、いつから実施するのか、お聞きをしたいと思います。 ◯青木課税部長 まず、市町村との合意が困難な理由というお尋ねについてでございます。  市町村との諸届け用紙の統一化が困難な理由につきましては、これは一つには、東京国税局の所管税務署では全税務署の統一的な取り扱いをしたいというご意向が、東京国税局の方にございます。これが一つあります。  また、納税者の皆様の公平性、利便性を考慮した場合、私どもといたしましては、全市町村で実施することが大切、そういう意味での合意がぜひ必要と考えております。これは先生ご指摘いただいたとおりでございますが、このため、現在、総務局行政部を通じまして、東京都市税務事務協議会に各市町村の意見集約を依頼しているところであります。  今後、その統一的な見解を得た上で、東京国税局、そして私ども東京都と、さらに市町村との三者の間で協議を早急に進めていきたい、そのように考えております。  そして、その実現の目途といいますか、それはいつごろなのかというお尋ねについてでございますが、東京国税局との打ち合わせにおきましては、現在、基本的な合意に達しているところでございます。しかし、市町村につきましては、十一月末を目途に出されるというふうに行政部の方から伺っておるわけですが、市町村の統一見解を待つ必要があろうかと存じます。  今後、全市町村の合意が得られましたならば、直ちに、東京国税局、私ども東京都、そして市町村との三者の間で協議を進め、これはできるだけ早い時期に実施してまいりたい、このように考えております。どうぞよろしくお願いします。 ◯坂口委員 できるだけ早い時期ということでございますので、大体見通しを含めてどれくらいかということをお聞きしたわけでございますが、ここでは一応できるだけ早い時期にということでご答弁をいただいたということを確認させておいていただきたいと思います。  それでは、大きな課題の方でございますけれども、税収見通しについてのお話がありました。日本の経済が、いや、日本の経済だけではなくて、世界経済が大変大きく揺れ動いているときだけに、主税当局においても大変ご苦労をなさっているということは、よく伝わってまいります。  しかし、これをきちんとやりませんと、大変大きな問題が起こってくる。それは、本年度の税収見通しの誤り四千数百億円というようなものにも象徴されているのではないか。そうしますと、この後の処理といいますか、これが大変なことになってまいりますね。  ですから、なかなか名案はないと思うんですけれども、少なくとも来年度については、ことしの反省を踏まえた上で、誤りなきように、また正確性を期してやっていただく必要があるのではないか。災い転じて福となすという言葉がありますけれども、そのような姿勢でやっていただく必要があるのではないか、そんなふうに思います。それが、ある意味では自己責任というものであろうかと思います。  あわせて、その自己責任ということだけいっておりますと、何となく、信用収縮みたいな状態でございますし、萎縮してしまいます。先ほども出ましたように、国に対しても、いうべきことはきちんといっていく。いうならば、世界のいろんな景気変動、経済変動ありますけれども、ある意味では国の失政が招いた結果でもあるということであるわけでございますから、その辺は遠慮なく国に対して物をいっていくということが必要でしょうし、また、自己責任、自己努力ということでは、この財政委員会でもやらせていただきましたけれども、東京都として何ができるのか、行財政改革を含めて何ができるのか。  また、基礎自治体でも、まだまだやらなければならないことはあると思います。一例として、よく象徴的に申し上げるんですが、例えば、福祉施設をつくるには土地建物がない。そんなことはないんですね。子どもはどんどん減ってきておりますから、学校の統廃合が大きな問題になっているわけでございます。統廃合しないまでも、学校の空き校舎、空き教室を積極的に使う。地域の防災や福祉のために積極的に使う。または社会教育のために使う。やはりそういう発想の転換をこのときにこそしていかないと、みんなお互いに、ないものねだりといいますか、責任のなすり合いをするだけで、新しい展望は開けてこない、そのようにも考える次第でございます。  ですから、まず自己責任をきちんと全うした上で、国に対してもきちんと物を申す。そして、基礎自治体、特に都区制度改革というのは、大変大きな地方分権の課題が待ったなしで差し迫っているわけでございますから、区に対しても、または市などに対しましても、東京都としての役割をきちんとしていくということが大変重要なのではないか、そんなように思います。  そんなことを前提といたしまして、ちょっとテクニカルな内容にはなりますけれども、平成十年度の当初予算で法人二税を、これは代表質問でもやった内容であるわけでございますが、九年度の当初予算比九・二%という大変高い見積もりをいたしました。主税局長も変わってしまっておりますので、責任云々というようなことはあえて申し上げませんけれども、先ほど出していただきました要求資料第6号を見ましても、東京都の九・二%というのは、どう見ても、どういいわけをしようが、やはり突出をしていると見ざるを得ないと思うわけでございますけれども、まず、その辺についての局としてのお考えをお聞きしたいと思います。 ◯西村税制部長 平成十年度の都の法人二税の当初予算についてでございますが、九年度の当初予算額に対しましては、大阪府、愛知県及び神奈川県等に比較して、確かに高い伸び率とはなっておりますが、これは、比較のベースとなっております各団体の九年度当初予算額の水準によって影響を受けることになります。  そこで、十年度の当初予算額につきまして、既に確定しております八年度の決算額に対する伸び率で比較いたしますと、都の法人二税の伸び率はマイナス〇・五%と、この表にもございますように、他団体と比較して必ずしも突出していたということではないというふうに考えております。  また、今回、見込み額の当初予算との減収率で見ましても、東京都はマイナス一七・三ということでございますが、他団体と比較して突出しているということではないというふうに考えております。 ◯坂口委員 余り理屈をつけて否定しない方が僕はいいと思うんですね。素直に認めるべきは認めて、その反省の上に立って、これからどうするかということをきちんと分析をし、議論をした方がよろしいのではないかと思います。  しかし、若干、こういうふうに申し上げておりますと、八年度の決算対比でマイナス〇・五%ということで、それぞれそれほど突出していないということでございますけれども、平成八年度決算には、住専処理の関連の、先ほども償却の問題がいろいろ出ましたけれども、有税償却分の約一千九百億円というものが含まれております。これらを除いて比較いたしますと、やはり突出しているのではないかといわざるを得ません。ただ、これは、余りいっても実りが少ないわけでございまして、反省材料としてお聞きするわけでございますが、これについてどのような所見をお持ちか、お聞きしておきたいと思います。 ◯西村税制部長 ただいま、平成八年度の有税償却による増収の要因についてお話がございました。  有税償却の増収につきましては、東京都だけの問題ではございませんで、有税償却による増収額の大半を占めておりますのは大手の金融機関でございますが、押しなべて大都府県に全国的な企業活動を行っているということで、全国共通の増収要因であったというふうに考えております。  このために、増収額は確かに東京都分は他の自治体よりは多かったとは思いますが、十年度の当初予算を見込むに当たっての八年度の比較というのは意味があったというふうに考えているところでございます。 ◯坂口委員 何かわかったようでわからないような説明をするよりも、やはり謙虚に、実態を見た上で、その上に立って、これからの税収見通し、または、先ほど地方分権ということも申し上げましたが、財源対策、または税源対策をどうしていくのかということを主税当局にはぜひ考えてもらいたい、そんなふうに思います。  先ほども若干、地方消費税の問題についてご論議がありましたけれども、この地方消費税の見込みというのは、まあ昨年度は、初年度ということで混乱があったというのはやむを得ないと思うわけでございますけれども、今年度も大変な下方修正をしているわけでございますが、その原因は何でしょうか。 ◯西村税制部長 平成十年度の地方消費税の算定に当たりましては、根拠となります過去の課税データがございませんでした。そのために、地方財政計画を基礎として算定したところでございます。  地方消費税の減収要因でございますが、これにつきましては、現在、自治省におきましても究明中と聞いております。現時点で考えられます落ち込みの原因としては三点ございます。  一つは、民間の最終消費支出が、内需の低迷を反映して、当初見込みの一・七%からマイナス〇・九%へ、二・六ポイント低下しているということがございます。  二つ目は、先ほどもございましたけれども、消費税の収入ぐあいが、地方財政計画の見込みよりも相当に落ち込んでいるということがございます。  三つ目でございますが、平成十年度の地方財政計画額には、平年度化に伴います反動増が織り込まれておりますが、平成九年度に導入されたばかりの地方消費税には、この反動増を算定するための基礎となるデータがございませんでした。そのため、理論的に推計しております。この理論値と実績との間に乖離が生じているということではないかと思っております。 ◯坂口委員 先ほど申し上げましたように、国の内外とも大変な景気の後退、デフレスパイラルに見舞われ、さらには、この都庁内におきましては、財政健全化ということで、年度の初めには特別な財源対策を講じない中で十年度の予算を組むという大命題があったことは、ご承知のとおりでございます。  そういう中で、ある意味では、この財政当局の方針に合わせるかのように、これだけの税収を見込まなければならなかったのではないかというような姿が、どうも浮かび上がってくると思えてなりません。  先ほど申し上げましたとおり、後戻りをしても余り意味がないように思われるわけでございますが、それらのところを謙虚に、虚心坦懐に振り返りながら、これからの税収の見通しをしていかなければならないのではないか、そこのところを申し上げたいのでございます。  この点を含めまして、税収の見込みを一割近くも―東京都の一割というのは大きいわけけですね。大変大きな額でございます―見誤ったことに対する局長の見解をお聞きしますとともに、これだけでは、先ほどいいましたように、閉塞状態から抜け出せないように思うんですね。時間が途中で切れてしまったわけですけれども、もうなくなってしまったんですが、財政を担当する方にも、ただ財務というルーチンワークをこなすという視点ではなくて、財、政と、めり張りをつけて、これからの構造展開や、または景気対策や、税収増を期待するような、政策的な見地から予算の執行をすべきではないかということを申し上げたつもりであるわけでございます。主税当局にも、ただ、入るをはかって出ずるを制するというような次元の論議だけではなくて、入るをきちんとはかるということも大変重要でございますが、あわせて国に対しても──まず、みずからきちんとやらないとまずいわけでございますが、国に対しても、地方自治体に対しても、いうべきはきちんという。  特に国との関係では、先ほど申し上げましたように、都区制度改革の問題、または公的介護保険も、実は、余り地方分権という視点からは論じられておりませんけれども、これは地方自治体がやる大変重要な事務事業になってまいります。  それから、私が象徴的にいうわけでございますが、例えば、相続税の軽減措置、先ほども固定資産税、都市計画税ありましたけれども、軽減措置については議論が盛んなんですが、税源そのものを地方税化するということについては、余り多くを地方自治体が発信してないんですね。特に物納の物件などは、地方自治体に大変密着した行政の守備範囲にあるわけですね。公園にするにしても、福祉施設にするにしても、道路にするにしても、大変、物納物件というのは重要なものでございます。  国税化されますと、今、ディスクロージャーの時代にエンクロージャーされてしまうわけですね。囲い込みが行われて、死に地になってしまう。こういうのはまさに愚の骨頂でございまして、まさにパラダイムの転換、シャウプ税制そのものを大胆に見直すような努力が必要ではないか。もっとずばりいえば、地方税化するぐらいの大胆な税制改革をしませんと、今の閉塞状態から抜け出すことはできないのではないかという気がいたします。もちろん間接税と消費税の配分などについてもしかりでございますね。  そういうもろもろの地方分権、大きくいえば、二対一の関係を一対二にしていく。人、物、金、それから権限ですね。そういったものを、国が一、地方が二にしていくような大胆な発言を、自治体のリーダーでございます東京都がいわずして、一体どこが代弁するかということにもなるわけでございまして、それらに対する局長のお考えと決意をあわせてお聞きしまして、質問を終わらせていただきます。 ◯大塚主税局長 大変幅広い、しかも難しいご質問をいただきました。  大きく申し上げると二つあったかと思うんですが、まず一つは、税収との関係、それからもう一つは、それだけではなくて、それを踏まえて東京都がどういう考え方に基づき、どういうふうな行動をするかという二点に分けてご答弁を申し上げます。  前段でございますけれども、これは都だけではございません、財務のお話ございましたが、それはそういうことだ、先生ご指摘のとおりだということではないんですけれども、現行の国、地方の仕組みは、税制度だけでは独立しておりません。国家財政、地方財政制度と、いわば密接にかかわり合っております。ちなみに、平成十年の地方財政計画における歳入総額は八十一兆七千億でございます。このうち地方税は三十八兆五千億、そのほか、交付税あるいは地方債等があるわけでございます。  こうした歳入の行き先としては、当然歳出があるわけでございますが、歳入だけで考えてみましても、地方税の動向は、いわば結果として交付税の額、それから地方債等の額、その見積もりに影響を与えることになるわけでございます。  したがいまして、現行の国、地方の仕組みを根っことするこうした仕組みから来るフレームとしての地方財政計画、さらには、都税である法人二税の基礎ベース、これは法人税でございます。その法人税、国税である法人税の動向につきましては、都の税収見込みを検証するに当たって無視することができない一つの要素となっておるわけでございます。  そういう意味で、テクニカルな──もうちょっとお許しいただきたいんですが、数字で検証いたしますと、平成十年度の法人二税を見込む際に、先ほど申し上げました地方税総額のうち、地方財政計画の法人二税、これは八兆四千三百億でございます。これに、都のこれまでのシェアを掛け合わせた額、これは、一度出した数字を、これで本当にいいのかどうかということで検証をいたしました。その結果、十年度当初の一兆八千五百億はまあまあの水準だったという事実がございます。  それからもう一つは、国は九年度の法人税額を、これは約十四兆七千六百億円に増額補正しているわけでございます。この増額補正をしたことがどうかというのがございますけれども、これに対する都の法人二税の割合においても、当時、ほぼ見合う水準にあったということでございます。  先ほど来、あしたに向かっての材料なんだということを何回もご指摘いただきました。率直に申し上げまして、これほどの景気低迷を、都としてはその時点では残念ながら予想し得なかったということでございます。  今、我が国は激動の時代を迎えております。主税局としては、ことしの経験を踏まえ、今後の税収見積もりに当たっては、そのことを十分認識して取り組んでいかなければならないと、かたく肝に銘じております。  それからもう一つは、やるべきことをやった上でいうべきこともいうと、シャウプ税制以来の税制、地方税制をこれから先どうすればいいのだというふうなお話もございました。  七兆円をめぐる例の一連の減税の今回の動きがございますけれども、その中で東京都は、知事を先頭といたしまして、いろいろと要望活動を進めておりますけれども、今回の最大の東京都の眼目は、税源移譲であります。  特に所得課税、それから消費課税、その税源配分を、地方の時代にふさわしい税制体系、税源配分にすべきだということで、夏ごろからになりますけれども、本当に組織を挙げての、主税局も同じでございますが、都を挙げ、主税局を挙げての要望活動を繰り返してまいりました。  これも先生ご存じだと思うんですけれども、国、地方を合わせた所得課税の総額というのは約三十兆円でございます。それから、消費課税の総額は十四兆円、さらに法人課税の総額は二十四兆円弱、これは十年度の当初の現計予算でございますが、全部合わせますと百兆円、この三つを合わせただけで百兆円近い、総体の国、地方を合わせた税総額がある。  このうち、いわば所得課税のベース、これを、いろいろな考え方はございますけれども、所得税から住民税に税源を移していただければ、それから消費税は、現行の制度はパーセントではなくて、全体の五分の一が地方消費税ということになっておりますけれども、そのうち総額についていろいろご議論があるのは承知でございますけれども、総額はともかくとして、配分を、五分の一を五分の二に変えていただきたい、そういうふうな要望を積み重ねてきているところでございます。  今後とも、シャウプ税制とはいいながら、先ほど歳入のときにも申し上げましたけれども、国、地方を通ずる税制度がございますので、なかなか難しいわけでございますけれども、力を尽くして、あるべき地方税制度の実現に向けて努力をしてまいります。今後ともご指導をよろしくお願い申し上げます。 ◯坂口委員 質問は終わりでございますが、主税局長初め主税局の皆さんに頑張っていただくために、また我々も、これはまさに政治の役割の部分もありますので、両輪となっていかなければならないという、そんな意味合いも込めまして、これは、平成五年の六月に国会で、衆参両院で地方分権の推進に関する決議というのがなされているんですね。これは東京都の資料でも公にされているものでございますけれども、このアンダーラインのついたところだけ読みますと、我々も地方分権に対していろいろな要望を国に上げてまいりましたけれども、この決議を見ますと、中央集権行政のあり方を問い直し、地方分権のより一層の推進を望む声は大きな流れとなっている。途中飛ばしますけれども、地方税財源の充実強化等、地方公共団体の自主性、自立性の強化を図り──途中また飛ばしますが、抜本的な施策を総力を挙げて断行していくべきである。いわれて、もうこれは五年ぐらいたっているわけですね。これは今、衆議院の方のを拾い読みしたんですが、参議院でも同趣旨の決議をしております。
     ですから、こういう論議をする段階から、機関委任事務を含めて、もう実行する段階に移っているのではないかと思います。具体的な税源または財源の移譲も含めまして、我々も、もう奪権ではないか。移譲──ただ待っているだけではなくて、責任をもってそれを受け取る。それで、自己責任でそれを執行していくというような姿勢が必要なんではないか、そんなふうにも考えているわけでございまして、我々も、それぞれの立場で、それぞれの党を通じて、国に対して働きかけていきますけれども、主税局におかれましてもぜひ頑張っていただきたい、そのことを申し上げまして、終わりにさせていただきます。 ◯黒須委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分程度休憩をいたします。    午後三時三十九分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時四十五分開議 ◯黒須委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯大西委員 先ほど来からいろいろな意見が出てまいりましたし、そして、それに対する主税局側の真摯な取り組みに対して、私どもも大変感銘を受けながら拝聴させていただきました。  我々議員も、今、冬の時代の中で、住民からは、あれをやってほしい、これをやってほしいと突き上げられ、そして議会へ勇んで来れば、金はない、金はないで、あれは削減、これも削減。そういう時代の中で、主税局も、ない懐から金をむしり取るわけにはいかないわけですから、そして、先ほど来の坂口理事の話ではないですけれども、地方税体系そのものも、我が大都市にとっては大変厳しい状況にもあるわけでございまして、そういった中で、私は、今日的な課題についてお尋ねするとともに、中長期的な立場から、やはりはっきりと、地方分権の時代を迎えている中で、これは、国から与えてもらうのではなくて、我々地方から分権をかち取り、地方税の改革をかち取っていかなければいけないわけで、さらに一層の努力をお願いをしながら、質問をしてまいりたいと思います。  まず初めに、我が党の遠藤副委員長からも質問がありましたけれども、国の緊急経済対策も昨日発表されて、七兆円の減税というのが確定してきているようです。それに伴って、我が党としても、これは都市の出身議員を中心にして国会のレベルで、こういった減税問題というのが地方財政に影響を与えないように、あくまで景気回復、減税問題は国の責任においてやりなさい、こういう主張はし続けているわけでございますけれども、一向にそれに対する明るい見通しは立っていないわけでございます。  そこで、七兆円規模の減税に伴って、東京都の税収不足というのが一体どのぐらいになるものかを、概略で結構ですから、今示し得る範囲でお示しをいただきたいと思いますし、また、これから四定で我が党も代表質問等行ってまいりますから、その場において、これらの数字についても明確な積算をされ、明確な見通しのもとに、十一年度予算に対する対応も考えていかなければならないと思うんです。この件についてお尋ねをまずさせていただきたいと思います。 ◯西村税制部長 このたびの七兆円規模の減税についてでございますけれども、国と地方の配分、減税の配分が決まってない段階でございますが、税収の比率を現行のままで減税が行われると仮定いたしまして試算いたしますと、東京都は二千三百億、それから都内区市町村は千五十億円もの減収の影響があるというふうに考えております。  このような事態になりますと、都財政も区市町村財政も破綻することが必至でございますので、そのような事態に陥ることのないように、地方に税源移譲を図るように、適切な財源措置を講じることを、先ほども局長から決意表明いたしましたように、今後とも力の及ぶ限り各方面に働きかけてまいる考えでございます。 ◯大西委員 この問題については、青島さんがとことこ行って、ただ弱々しくお願いをしたところで、国の政策というものを揺り動かすようなパワーを持ち得ないですよ。やはりこれはパワーポリティックであることは間違いないわけで、東京都のこうした主張をドラマチックに、ドラスチックに都民にもわかっていただき、そして主張していく。広範な一千二百万都民を背景として国に対して迫っていく、このぐらいの決意が必要ではないかと思うんですね。今後とも鋭意ご努力をお願いをしたいと思うんです。  もう一つは、これは率直に皆さんもお感じになっていると思うんですけれども、税収が上がらない、景気が悪くなる、そうすると、これはある意味では、生活に困っている方々もますます、さまざまな苦しい生活を強いられる。あるいは、そうした景気を回復をしていくためには思い切った景気回復策を打ち出していかなければいけない、しかし税収がない、こういった悪循環に陥っていってしまう中で、さまざまな不安が生まれ、さまざまな動揺が生まれて、厳しい状況になりかねないわけなんですね。  ですから、景気に左右をされない税体系なんていうのはあり得ないとは思いますよ。あり得ないとは思いますけれども、やはりこれらについて、私どもも積極的に研究をし、提言をし、努力をしていく必要があるんではないかと思うんですけれども、これは特に大都市みんな、神奈川県も大変、そして大阪府の横山知事も、ノックダウン寸前じゃなくて、もうノックダウンしてしまっているわけですね。  こういった大都市特有の状況というものがあるわけですけれども、都道府県の税収構造というのが景気に左右されやすい、そういったところにも、今回の厳しい財政状況の大きな要因があるのではないかと思うんですけれども、これについてお考えを聞かせていただきたいと思います。 ◯西村税制部長 都道府県の基幹税目は、法人事業税、法人住民税のいわゆる法人二税でございます。東京を初め、大阪、愛知では、税収に占める割合が四割近くにもなっております。  しかしながら、この法人二税の課税標準は、法人住民税が法人税額、国の法人税額、それから法人事業税が所得と、いずれも企業の業績次第であるということになっております。  都の場合、ピーク時の平成元年度と平成九年度を比較いたしますと、一兆円の落ち込みとなっておりまして、ご指摘のように、税収構造が景気に左右されやすいものとなっております。 ◯大西委員 こうした問題について、税体系について、やはり景気に左右されにくい税体系はどうあるべきか、それについてもやはり積極的な提言を、先ほどいったような姿勢の中で行っていくべきだと思うんですね。  そういった中で、大塚局長から先ほどご指摘がありましたけれども、平成八年度における都民一人当たりの国税、地方税を合わせた租税負担額というのは全国一位ですね。百九十一万円。これに対して実質の配分額というのは六十万円で、租税還元率はわずか三一・五%にすぎないわけですね。これを国税について見ると、もっと著しいんですね。都民一人当たりの国税負担額百四十万に対して、配分額は九万六千円、還元率、何と七%なんですね。都民の負担した税金が都民のために使われていない、こういう実情について、都民の心ある人たちからも大きな憤りが沸き起こっているわけですし、これは大きな問題だと思うんですね。  こうした点も踏まえて、都は、今後の地方税体系はどうあるべきかについて、どのようにお考えになっているのかをお聞かせいただきたいと思います。 ◯西村税制部長 地方団体間の財源格差、それを埋める手段として、地方交付税制度などによりまして、地域から上がった税収がその地域にそのまま還元されていないという実情にあることは、ご指摘のとおりでございます。  そもそも、現在、国と地方の歳出に占める地方の割合は約三分の二でございます。それに対しまして、租税総額に占める地方税の割合は三分の一となっております。今後、地方分権を推進する上で、この地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、地方税の充実を図っていく、それから税収の安定性を備えた地方税体系の構築を図っていくことが必要であると考えております。  こうした観点から、先ほど来申し上げておりますとおり、東京都は国に対しまして、所得税や消費税などの税源を国から地方に移譲するように要望しております。また、税収の安定化を図る観点からは、法人事業税の外形標準課税の導入を図ることも必要ということで、国に要望しているところでございます。 ◯大西委員 税の問題というのは、大変我々議員にとっても難しい、わかりにくい問題がたくさんありますけれども、それ以上に都民にとっても大変わかりにくいわけですね。都税事務所が我が東京都内にたくさん配置をされているわけですね。ですから、今、こういった東京都の抱えている税制の問題点、矛盾点、そして、こうあるべきだということについても、やはりもっと都民の広範な理解を得る必要があるんじゃないかと思うんですね。そして、それによって国政を揺り動かしていくような、そうした努力が必要じゃないかと思うんですね。  主税局の皆さんがどれだけご努力していても、あるいは、政策的な観点で知事サイドがどのように陳情をしても、それは多くは都民に伝わっていないんですね。マスコミだって取り上げるのはほんの一、二行程度ですよ。これではやはり、広範な意味での、今これを打開していかなければ東京都の財政は大変なことになるんだという危機感が沸き起こっていかないんじゃないかと思うんですね。  そういう意味で、ぜひ今後とも、こういった東京都が立ち至っている厳しい実情を都民に知らせながら、それに対して、こう我々は、東京都としては乗り越えていくんだというような施策についても明らかにしていく。  だから、今、マインド不況だ、国全体がそれをいわれているわけです。日本丸がどこへ行くかわからない。それに対して、政府・自民党が中心になって二十四兆円の緊急経済対策をきのう力強く打ち出したわけですけれども、まだまだこの反応はいまいちなわけですね。  しかし、東京都においてもそれはいえることだと思うんです。東京都、ただ法の範囲でこれしかできません、地方税体系がこれしかできません、だめです、だめです、全部国の責任ですといういいわけだけでは都民は納得できない。我々東京都としては、こういう問題点をこのように克服して、このような安定的な税収を確保できるような税体系をつくり上げるために努力しているんですということを示していくことが、やはり都民に対して、不安あるいは動揺から、希望と自信を与えていくことになるんじゃないかと思いますので、今後とも、取り組みについては積極的な努力をお願いをしたいと思います。  次に、この税収難のときに、この税金やめてしまえというのはいいにくいことなんですけれども、しかし、今、これから二十一世紀に向けて、必要なものは要求をしていく、既にもう必要でなくなったものについては勇気を持って見直していく、こういうことも必要ではないかと思うんですね。  その典型的な例が、特別土地保有税ではないかと思うんですね。これはもうご承知のように、右肩上がりの時代、しかも土地の倍々ゲームの中でバブルに踊った時代、ああいう時代の中で、地価を安定しよう、安定させよう、そして安定した地価の中で都民に優良な住宅や何かを提供していこう、こういった施策ではなかったかと思うんですね。今まさに、そういう意味では、この時代の中で、特別土地保有税は再検討すべき時期に来ていると思うんですね。  そこで、特別土地保有税の創設の経緯もお聞かせいただきたいと思いますし、概要や、今、都の税収でどのぐらいの金額になっているのか、そして、先ほど申し上げましたように、地価抑制の役割は既に終わっているこの土地保有税について、当局の基本的な考え方をお聞かせをいただきたいと思います。 ◯西村税制部長 初めに、特別土地保有税につきましては、先生、今ご指摘のありましたような投機的取引の抑制等を図ることを目的にいたしまして、四十八年に創設されました市町村税でございます。二十三区の区域につきましては、特例として東京都で課税しているものでございます。  その概要でございますが、面積二千平米以上の土地の取得または保有に対しまして、土地の取得額を課税標準といたしまして、保有分については一・四%、取得分については三%の税率でそれぞれ課税することとされております。また、保有分につきましては、地価の下落に対応して、当分の間、課税標準を地価公示価格の全国変動率を用いて修正することとされております。なお、平成九年度の東京都の特別土地保有税の収入額は九十三億円でございました。  この特別土地保有税について、既に役割を終えているのではないかというご指摘でございますが、これにつきましては、土地をめぐる諸情勢に応じまして常に見直しがされてきたところでございまして、平成十年におきましても、投機的土地取引が鎮静化している、あるいは地価の下落傾向が続いているというようなことから、課税対象となります基準面積の見直し、あるいは、ミニ保有税の完全廃止などが行われたところでございます。  今後につきましては、ご指摘のような土地政策の全般の方向を踏まえまして、土地税制全体の中で検討されるべきものと考えております。最近の新聞報道によりますと、政府の税制調査会におきましても、見直しの方向で検討される模様でございます。 ◯大西委員 それと、そういった見直しを必要とする税金の中で、もう一つ、私も最近感じているんですけれども、新増設にかかわる事業所税の問題ですね。これは今、労経局の資料や何かによっても、東京都内の事業所数というのはどんどん減ってきている。新たに事業所を設けようとする場合、二千平米を超えるものについては、たしか一平米当たり六千円ぐらいの税額がかかってくる。これは相当に重い税金ですよね。  それに伴って、やはり今一番、東京都が政策的に必要としていることは、事業所を減らすことではなくて、ふやすことであり、都民の雇用の場を確保することであって、そして企業の活性化を図っていくことであるわけですね。  そういった意味では、この新増設にかかわる事業所税、これは、ちょうど昭和五十年代の初めころの一極集中の高度経済成長に伴うさまざまな弊害に対して対応していこうということで、都市に対する事業所の抑制策としてこういった税金も導入されているわけですけれども、この問題についても、これは要望にとどめますけれども、今後、鋭意検討をして、こういった見直すべきものについても、東京都は、入るものは一切抱えておく、しかし、あれをちょうだい、これをちょうだいではなくて、やはりきちっと見直しも適切に行っていくべきではないかと思うんです。  最後になりますけれども、いずれにしても、二十一世紀と申しましょうか、もうあと二年ですからね。中長期的な角度から東京都政としてあるべき税制を再構築していくために、やはり今こそ勇気ある行動が必要ではないかと思うんですね。  そういった場合に、よく一都三県のサミットですか、が行われたり、全国知事会というのは全国レベルの問題ですけれども、大都市特有の──大都市の府県は、税制についても東京と同じような共通の問題を抱えているわけですね。こういった場合にやはり、東京、愛知、大阪、これらの三大都市圏には、全国の人口の三〇%、そして国民総生産の五〇%が行われているわけですね。  この都市の住民たちが今さまざまな、税制度一つをとってみても、国との対比の中で、矛盾の中であえいでいるわけです。ですから、そういう意味では、東京都の要望活動にとどまらず、こういった大都市の都府県ともしっかりとスクラムを組んで、大都市税制はこうあるべきだというきちっとしたビジョンを打ち立てて、そして、大都市の、三〇%を超える都市住民を背景にして、国に対して迫っていく、そういう姿勢も必要ではないかと思うんですね。  私どもとしては、自治体のトップランナーとして、本来、東京都のリーダーにはこういった強力なリーダーシップを必要としていると思っているわけですけれども、まあそれ以上はいうと、何か政治演説になってしまいますから、これ以上は申し上げませんけれども、大塚局長も、我が都政の中で大塚ここにありということで、財務、税制畑の中で大変なご努力をいただいて、大きな期待が集まっているわけですから、最後に大塚局長の決意のほどをお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。 ◯大塚主税局長 ご期待に沿えるかどうか、心もとない世界もあるわけでございますけれども、力及ばずとも全力を尽くして頑張りたいというふうに思っております。それを前提に、先生のご質問にお答え申し上げます。  ご指摘のとおり、社会経済の構造変化にいわば制度面の手当てが追いつかず、さまざまな矛盾が生じていることは、税制もまた例外ではございません。国と地方の税源配分のあり方など、地方税財政制度の根幹にかかわるもの、あるいは法人課税、あるいは固定資産税、都市計画税のあり方、あるいは、先ほど来、先生からご指摘のございました当面の役割を終えた特別土地保有税の見直しなど、制度と実態の乖離から生ずる課題は山積をしております。  都としても、今後の地方税制のあり方について、学識経験者等で構成する大都市税制研究会を活用する等、体系的、専門的な調査研究を行い、国に提言するなど、山積する課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいります。  また、大都市連携に関する、さらに一歩踏み込んだ貴重なご提言をいただきました。今回の七兆円規模の減税措置と関連する地方税源の確保、これはもとよりでございますけれども、先生ご指摘の二十一世紀に向けた地方税体系の再構築に向けて、ご提言を踏まえ、都議会のご協力をいただきながら、志と悩みを同じくする大都市、この大都市との連携強化を今後とも図って、何とか目的を果たすために力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 ◯浅川委員 今、大変な不況の中で、中小法人が不況の嵐の直撃を受けているといっても過言ではないというふうに思います。そういう中で、一生懸命仕事をして稼いで、税を払いたくても払えない、こういう赤字法人がふえている、こういう実態もあるというふうに聞いております。  こういう中で、先ほど来いろいろご質疑ありますように、税制のことについては、外形標準課税というようなことも大変切迫をして、いろいろ政府の税調などでも議論をされているということも伺っています。非常に影響も心配されておりますので、その点についてお伺いをいたします。  初めに、都内の資本金別の赤字法人の割合はどれくらいか、お伺いをいたします。 ◯青木課税部長 資本金別の区分を五つの区分で申し上げさせていただきます。  平成九年度で申し上げますと、資本金一千万円以下の赤字法人の割合は七三・五%でございます。そして、一千万円を超え一億円以下では五一・一%でございます。さらに、一億円を超え十億円以下では四三・五%、十億円を超え五十億円以下では四一・〇%でございます。さらに、五十億円を超える法人では四〇・五%となっております。なお、全法人の平均では六八・八%でございます。 ◯浅川委員 大変な大企業でも四割が赤字法人ということも、不況の状況を示しているというふうに思いますが、それにしても、一千万円以下の法人で七三・五%が赤字法人である、税金が払いたくても払えないというようなことは、深刻な状況だというふうに思います。  こうした全体的な状況の中で、外形標準課税については、政府の税制調査会で昨年あるいは一昨年と答申などに盛り込まれて、具体的な外形基準につきましては、利潤、給与、利子、地代などを加算した所得型の付加価値税方式、これを例示して検討作業が進められております。  この所得型付加価値基準の導入については、さまざまな問題が指摘をされております。特に、今お答えいただきました赤字法人の場合には、所得なき課税、こういうことになって、赤字法人の多い中小法人、中小企業、中でも小売業とかサービス業などに対する影響が非常に大きいのではないかということが懸念されておりますが、この点についてはいかがでしょうか。 ◯西村税制部長 法人事業税に外形標準課税を導入する場合は、その外形基準に何を使うかが極めて重要でございます。  これまでの税制調査会の検討経緯や、事業の活動量を的確にあらわすということで、今お話しのございましたように、利潤、給与、利子及び地代等の所得型付加価値を中心としながら検討していくこととしております。  その際に税負担がどうなるかということでございますが、これは、付加価値に占める利潤の割合や、赤字法人につきましては、赤字額の大きさ等によりまして税負担に変動が生じることなど、これからさらに検討を深める必要があるとされております。  ただ、導入の際には、一定の経過措置を講じるほか、中小企業に対しても十分な配慮がなされるものと考えております。 ◯浅川委員 経過措置とか中小法人に対する配慮という程度では済まない問題ではないかというふうに危惧をいたします。  そこで伺いますが、具体的なシミュレーションというのはなかなか難しいとは思いますけれども、中小法人に対する影響について、情報収集とか、あるいは調査などを行った経過はあるんでしょうか。 ◯西村税制部長 東京都といたしましては、税収の安定化のために外形標準課税の導入が必要と考え、国に要望しておりますところから、その外形標準課税に当たって、先ほど申し上げましたような、何を外形の基準にしたらよいか等については、調査を進めているところでございます。  ただ、都として、現段階では、的確なシミュレーションを具体的にする条件がまだ整っていないというふうに考えております。それは、税制調査会でも、負担緩和措置として、所得課税部分をどのくらい残すかというような問題もあるからでございます。 ◯浅川委員 先日、税理士の皆さんから予算要望を伺いました。その中で、外形標準課税についてのシミュレーションを行ったそうであります。七千件を調査して、中間報告だとしていますが、黒字法人では平均百万円の負担増、赤字法人では百二十万円の負担増になるという結果が示されております。これについては、東京都からも問い合わせがあったということであります。こうした報告なども含めて、情報収集や、あるいは実態調査というのを行っていただきたいというふうに思うんです。これは要望いたします。  先ほども、大都市税制研究会ですか、今もご答弁で、何を外形の基準にするかということでは、都も調査をしているということでありますが、そういうことを含めて、ぜひ研究していただいて、中小法人に対する負担にならない、あるいは、今の景気の状況を考えれば、そういうことについてはやはり控えるということも含めて、ぜひ研究していただきたいと思うんです。  私が、負担に対する配慮とか経過措置で済まないというふうに申し上げました点ですが、この点では、所得型付加価値税方式では、企業の規模別に税負担に大きな変動が生じることや、中小企業ほど大きな負担増になる、こういう問題が指摘されております。大阪経済大学の梅原英治教授は、現行の法人事業税と外形標準課税の総体が変わらないとして、税率を求めて税負担を比較していますが、資本金が大きいほど減税になるという、そういう結果も示されております。  政府税調でも、外形標準課税を導入すれば、法人税の表面税率の引き下げにもつながるということを明確に述べております。実際、税調の小委員会で石弘光一橋大学教授は、小委員会の委員長ですが、広く薄く課税することは元気な企業を伸ばす上でプラスになる、こういうふうに発言したと、この春、伝わっております。  黒字で元気な大企業が減税になって、赤字で元気のない中小企業が増税になる、これでは、やるべきことが逆さまだというふうに私たちは思いますし、今、中小企業で元気な企業というのを探すのは本当に大変なことであります。  こういうような問題が具体的に指摘されているわけですが、このことについてはどのようなご見解でしょうか。 ◯西村税制部長 ただいまのお話ですが、いろいろなところで検討されている結果についてのお話だと思いますが、一定の仮定を置いた試算に基づくものだというふうに考えます。  外形標準課税に当たりまして、仮に所得型の付加価値を採用した場合ですが、税負担額は、必ずしも資本金の大小で決まるものではなく、あくまでも各企業の事業活動の規模に応じて決まるものだというふうに考えております。  また、税収の増減につきましては、採用する外形基準や業種構成、その他の経済状況等によって異なると考えられます。一概に、黒字法人に有利、あるいは大法人に有利ということではないというふうに認識をしております。 ◯浅川委員 一概に有利でないというふうにいわれますけれども、こうした研究資料や、あるいは、先ほど紹介した税理士会の皆さんの調査、これでも、例えば、所得が大きくなる階層ほど実際には減税になるというふうな数字も示されております。  調査をいろいろされるというふうにいわれましたので、ぜひこの点は具体的に調査をしていただいて、先ほど来申し上げておりますように、中小法人に大変な負担になるようなこと、こういう方向での都としてのあり方といいますか、取り組みはぜひやめていただきたいというふうに思うんです。  私たちは、外形標準課税をすべてだめだといっているわけではありません。今、優遇税制のもとで、大企業の税負担が抑えられているとか、あるいは銀行や証券業界が不良債権の処理などで所得がないとみなされて、法人二税、こういうのを全然払っていない、庶民から見ればとても納得できないような問題も多々あるわけです。  こうした問題を解決する上でも、例えば、先ほどもご答弁ありましたけれども、所得課税と外形標準課税の組み合わせだとか、いろんなことがあると思うんです。  私たちは、外形課税でいえば、資本金、以前にも申し上げましたけれども、これについては、例えば十億円以上を充てるとか、引当金や準備金など内部留保に課税する、こういう立場にこそ都として立つべきではないかというふうに思うんです。  今、あちこちから責められて、税収上げなくちゃならない。お気持ちは大変よくわかりますけれども、主税局として、税収さえ上がれば、都民にどういう影響があっても何でもよいというのではなくて、中小法人に大打撃になるようなこういう税制については改めるような立場に立って、政府に申し入れて、あるいは要望していただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。 ◯西村税制部長 先ほども申し上げましたが、法人事業税への外形標準課税の導入は、決して税収を上げるためではなく、税収を安定化させるためにぜひ必要だというふうに考えております。  こうした点を踏まえまして、また、将来を含めた、あるべき地方税制を構築する観点に立ちまして、東京都としては、中小企業の負担にも配慮しつつ、導入を図るよう国に要望しているところでございます。 ◯浅川委員 税収を安定化させるということは、税収を上げるということなんでしょう。景気に左右されるからと、そういう意味だというふうに思いますけれども、そういう点では、不景気で、今、中小法人払えないわけですから、安定化というのは負担増につながるわけですよ。  こういう点も、いろいろ議論があって、さきの臨時国会では首相が、今後検討していかなければならない課題ではあるけれども、現下の最大の課題である景気回復、あるいは中小企業における現在の経営状態を考えると、来年度の税制改正においては取り上げることはない、こういうふうに答弁されておりますが、この答弁は、今の状況を考えれば、私は当然のことだというふうに思います。  当然、主税局もそのことは承知されていると思いますが、こうした経過や、政府の対応についてはどのようにお考えでしょうか。 ◯西村税制部長 外形標準課税に関する首相のお考え方、あるいは国会の状況についてでございますが、外形標準課税の導入は、今後の課題としては十分検討しなければならないとされながらも、現下の経済状況にかんがみまして、景気回復を最優先とする政府の経済対策等の関連で、審議が先送りされているというふうに聞いております。 ◯浅川委員 今のご答弁ですが、今、外形標準課税、これを行えば消費税の二の舞になることは明らかだというふうに思うんですね。  先ほどの税理士会でも、これについては反対だという声が上がっておりますし、聞くところによれば、東京商工会議所でも反対という意見が上がっているそうであります。  主税局が、先ほどいいましたように、税収を安定的に確保したいという気持ちはわかりますが、これ以上負担増を伴うような、あるいは中小企業に負わせるような、そういう増税というのは私たちは認めるわけにはいかない。政府でさえ来年度やらないというふうにいっているわけでありますから、今の時期に、また所得型の付加価値税という、こういう内容については、東京都として国に要望すべきではないということを強く申し上げて、質問は終わります。 ◯大木田委員 最後でございますので、時間をかけて質問したいと思います。  税収見込みが四千四百億円減収であるということが大変な反響を呼んで、現実問題としていろいろ動いているわけですけれども、果たしてそれで済むのかどうかということで、私ちょっとデータを調べましたら、昨年の四月―六月でマイナス一五・三、七―九がプラスになって三・五%、十―十二がマイナス三・二、ことしになって、一―三がマイナス三・六、四―六がマイナス六%、まだ七―九が出ていませんけれども、これは今、状況どうなっているか、わかりますでしょうか、この数字。 ◯西村税制部長 GDPの各期の状況につきましては、今先生ご指摘のとおりでございます。七―九月については、まだ示されておりませんが、十二月中旬に公表されるというふうに聞いております。 ◯大木田委員 七―九がまだ出ていないので、あれなんですけれども、この一年間の平均をしてみますと、マイナス五%でございます。マイナス五%ということは、GDPが年間五百兆ですから、二十五兆円のマイナス。デフレギャップで三十兆、こういわれておりますけれども、こういう実態ですね。  四千四百億の減収といいますか、税収不足がいわれておりますけれども、昨日の二十三兆九千億を超えた緊急財政の対策でどうなるかということもありますけれども、私は、四千四百億税収確保するというのは、相当努力をしないと、四千四百億のマイナスをさらに拡大する懸念もあるのではないかと思いますけれども、四千四百億の税収不足で済むかどうか、これを伺っておきたいと思います。 ◯西村税制部長 四千四百億円程度の税収不足を見込ませていただいたわけですが、この減収の見込みに当たりましては、直近の実績をもとにいたしまして、各経済指標、変動の状況を踏まえまして、そして、今後の経済環境の見通しも、現時点で可能なものを可能な限り織り込んで算定したものでございます。  そういうことで、今後、大規模な金融破綻が生じない、あるいは世界経済において金融通貨市場の大きな混乱がないことを前提に、これは政府の経済見通しでもそういう前提で見込んでいるわけですが、この前提が崩れるような事態になれば別ですが、現段階では、減収額は四千四百億円程度でおさまるし、少しでもこれを圧縮しなければならないというふうに考えております。 ◯大木田委員 資料要求いたしましたので、ちょっと。  ことし政府は、一・九%の成長率と見ておりましたけれども、経済企画庁、堺屋長官になってから下方修正をいたしまして、マイナス一・八と。東京都では、この要求資料の第5号でマイナス二と。政府の下方修正よりも、さらに、大都市は厳しいということを考慮したんだろうと思うんですけれども、マイナス二というふうに見ておりますけれども、こういう根拠はどういうところの根拠でしょうか。 ◯西村税制部長 政府の見通しを下回りますマイナス二・〇%というふうに見込んだ理由でございますけれども、これは、民間経済研究機関の見通しなどを参考に東京都主税局として見込んだところでございます。
    ◯大木田委員 それでは、逆に今度は、十一年度はマイナス〇・八という見通しを立てておりますけれども、このマイナス〇・八という見通しは、例えば、昨日発表された政府の経済対策や、あるいは、さっきいった二千三百億円の減税が行われた場合、東京都に影響が出るというようなこと等はこの数字の中には織り込んでいるんでしょうか、どうでしょうか。 ◯西村税制部長 そのことについては一部しか織り込んでございません。 ◯大木田委員 そうしますと、ことしの税収見通し、当初予算では四兆六千二百億の税収見通しを立てたわけですけれども、四千四百億マイナスということになりますと、四兆一千八百億になるわけですけれども、これが発射台になって来年度の予算編成のときの税収見通しになるわけですが、例えば、減税が行われると二千三百億がなくなるということになると、四兆一千八百億からさらに二千三百億、今のままの経済情勢が推移したということを仮定した場合、そういう認識でいいんですか、それは。 ◯西村税制部長 減税分の影響は別といたしまして、経済状況の影響については、ご認識のとおりだと思います。 ◯大木田委員 減税が別ということになりますと、四兆一千八百億のこのままの推移の中に、さらに所得税、法人税の減税の二千三百億ががくっと入ってくる。あるいは、経済情勢がさらに悪化すれば、さらに影響を受けるということになると、来年度の税収見通しは、四兆円を確保できるかどうかということも大変大きな懸念材料になるぐらいの厳しい状況になるのではないかという認識に立ちますけれども、それはどうですか。 ◯西村税制部長 減税の影響等についてはまだ決まっておりませんが、四兆円というところについて確保するのは非常に厳しいという先生のご指摘、まあそういう状況だろうというように思います。 ◯大木田委員 先ほど、大西委員からも税のいろんな検討をすべきだという提言がありましたが、ここで私も一つだけ提言をしておきます。  というのは、消費が非常に伸びないという一つのことで、今、日本の預金が──日本は三つ世界一があるんですね。一つは、預金が千二百七十兆で世界一なんです。それから、長寿で世界一なんですね。教育水準が世界一なんです。  まあそれはあれなんですけれども、千二百七十兆のうちの六五%の預金が、六十五歳以上の人が預金しているんです。だから、お年寄りが比較的金を持っている。持ってない人もいるんですけれども、比較的持っているということなんですね。  それで、今、贈与税が、年間六十万以上あれすると贈与税がかかるんですよ。だから、持っているお年寄りが、マゴにも衣装というんで、二十ぐらいの子どもにも二百万ぐらいぽんと一年にやっても贈与税がかからないという、そういうことをしないと──昔、贈与税六十万決めたときから随分変わっているわけです。僕は二百万ないし三百まで広げるべきだと。お年寄りはもう、持っていても使わないだけなんですから。ですから、若い二十ぐらいの孫さんになると、何でもお金があれば買いたい時期ですよ。そこの人が買い始めれば──だから、四十歳の子どもさんでも、子育てに一番忙しいときに、生前贈与の六十万というハードルを払って、二百万ないし三百万までは年間いいですよと。  これはまあ東京都が決めることではありませんから、今後、国に申し入れるときに、ぜひこういう内容、発想を──国は、宮沢大蔵大臣も、知恵がないということをいってますから、いろんな知恵を出し合ったやつを、ぜひ国にも提言していただきたいと思いますが、いかがですか。 ◯西村税制部長 東京都の財政委員会でそういうご提言があったということについて、折に触れて申し上げたいと思います。 ◯大木田委員 こういう税制も、いろいろと私、今いろんな目配りをしながらやってますけれども、かなりやはり、今の時点で変えたら知恵が出るなということで、相当ありますよ。もっというとあるんですけれども、これはまた次のときにいいますけれども、少しだけ開示しましてね。  それはそれとしまして、例えば、そういう消費をどう喚起するかというような知恵も、いろんな角度から検討していくという形で進めていかないとだめだと。最近は、発想も、ちょっと角度を変えていいますけれども、要するに、今まで日本は、戦後一貫して、パイを大きくすることに努力してきたんです。ところが、それは右肩上がりという表現なんですけれども、バブル崩壊後、右肩下がりになったんです。だから、パイが縮小するだけじゃなくて、ビッグバンが行われて、あらゆる分野で今、パイが二つになる現象が起きているんです。  例えば、介護保険制度が導入されるということは、医療機関の一つのパイが二つになるんです。医療と介護、この関係が二つになるんです。それから、ビッグバンが行われて、海外のさまざまな資本が日本に入ってきて、提携やいろんなことが行われてくるということになると、その中における経済活動が非常に変わってくるわけです。  そうすると、税を取るという、捕捉する段階でも、そういう社会状況の変化の中における捕捉の方法をいろいろと検討していかないと、要するに、今までの発想だけで、パイが一つで、そのパイが大きくなるか小さくなるかということだけの発想でいろんなものに取り組んでいたのでは捕捉できないような状況になってくるわけでありますから、今、パイが二つになるような変化の軸が起きているということで、二つになったやつが大きくなれば、それは結構なことなんですけれども、二つに割れている状況で縮小している。  あらゆる分野で今そういう現象が起きているということですから、そういう変化に対していろいろと──さっきいった大都市税制の研究、私は大都市税制というのはきちっとやらなければいけないと思っていますけれども、そういうことも検討すべきだと提言しておきますけれども、いかがでしょうか。 ◯西村税制部長 世界経済、それから社会状況の変化に応じまして、税の捕捉が困難になるのではないかというお話と、あわせまして、ますます税収見込みも難しくなるという実感をいたしました。  今のご提言ですが、大都市税制研究会におきまして、今後の税制のあり方につきまして、幅広く検討課題として取り組んでまいりたいというふうに考えます。 ◯大木田委員 それから、先ほど、要求資料の第5号の下の方でもちょっと関連していきますけれども、基準地価の対前年変動率が、ことしはマイナス七・二で、来年もマイナス五・二というふうになっていますけれども、要するに、これは、来年の地価は下がり続けるという見通しの数字ですか。ちょっと伺っておきます。 ◯西村税制部長 そこにお示ししてございますのは、地価の変動率ということで、実績でございます。したがって、十一年度の評価額については反映されるというふうに考えますが、十一年度以降の地価の動向については、それではわかりません。 ◯大木田委員 先ほども地価の話が出ておりましたから、要するに、東京都で今眠っている土地が百兆円なんですよ。渋谷区一区分ぐらい眠っているんですから。ですから、日本の場合は、ざる豆ということがあるんですよ。ざるの中に豆入れて、片方に向くとこうなって、片方向くとこうなる。バブルで地価高騰すると一斉に歯どめをかけてしまう。歯どめをかけっ放しで、今度は、景気は悪くなってもそのまま解除しないというような、極端から極端でいろいろと変動する傾向があるんですけれども、ですから、そういう意味では、さっきの大都市税制の中においても、地価税の問題も含めて、あのバブルのときに確かに、これ以上いったらどうかという懸念があって、いろんな提言があって、そのときもいろんなこと、思い切って歯どめをかけました。ブレーキをかけました。しかし、それがきき過ぎてしまって、その後にっちもさっちもいかないという……  ですから、ことしの年末から来年にかけて、経済、景気動向は行きつくところまで行くんじゃないかというほど厳しい状況に今落ちていっておりますがね。ですから、そういう意味では、先ほどからもあれですけれども、一番東京都が税収の厳しいあれを受けているわけですから。  いいときに、バブルの絶頂期には自然増収が四千億あった。あの四千億で東京国際フォーラムができたし、江戸東京博物館もできたし、東京芸術劇場もできて、大変結構だと思いますけれども、今度、四千億だったのが四千四百ですから、マイナス四千の、四百底割れしているわけですよ。その底割れが、これが本当の最終底割れかどうかということはまだわからない。もう一つの底割れがあるんじゃないかというぐらい、私は認識しているんですけれども、そういう状況の中で、税制の面で見直すべき点は、思い切って国にも提言しながら──まあ東京都単独ではできない部分が多いんですけれども、これほど変動を受ける大都市の税体系の状況ですね。これについては、いろいろと国とも、税制改正をこれから踏み込んでやるということになっておりますので、今いわれているような日本の税制のゆがんだ部分いろいろありますけれども、特に大都市におけるそういう課題も積極的に検討してもらうようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯西村税制部長 国税、地方税を含めた税制の今後のあり方については、先生ご指摘のとおりでございますので、その辺を踏まえて十分検討してまいりたいと思います。 ◯大木田委員 それから、平成十一年の税収見通しを立てる一つの──いろんな経済機関がさまざまな分析を試みておりますけれども、今、主税局の方で、平成十一年度の日本経済の動向、それをもとにして税収見通しも立てるわけですけれども、各研究機関が今どんな平成十一年度の分析をしているか、わかる限りで結構ですから、いっていただきたいと思います。 ◯西村税制部長 税収見込みに当たりまして参考としております経済指標等についてですが、民間の経済機関が来年度の日本経済をどういうふうに見ているかということで、二、三申し上げますと、まず、不良債権問題を背景とする信用収縮圧力が解消される可能性が乏しいというふうにされております。また、雇用調整及び倒産の増加により失業率が高水準で推移するために、家計所得の伸びも期待できず、個人消費も低調に推移する。それから、外国の関係でございますが、アジアの金融不安等によりまして、アジア向けの輸出が今後も不振を続けるとともに、アメリカ経済も失速の可能性が払拭できないということで、三年連続のマイナス成長となる可能性が高いというのが大方の見方になっております。 ◯大木田委員 今、アメリカ経済の話がちょっと出ましたけれども、来年のアメリカ経済がどうなるかというのが、私は最大の焦点だと思っております。ことしは、ロシアがだめになって、ヨーロッパあるいは中南米も含めて、アジアはアジアで単独でだめになって、こうなったわけですけれども、アメリカが辛うじて、一時株が七千五百ドルまで行きましたけれども、昨日九千ドルをまた回復したということで、これがアメリカの経済の底の強さといいますか、力強さという一つの評価もできるんですけれども、ただ、このままアメリカ経済が好調でいくという見通しは、大方の人が立ててない。いずれということで、来年度のいつごろからアメリカ経済が下降になるかというようなことが一つの大きな課題になっているんですけれども、アメリカ経済が崩れれば、来年度は最悪の事態に世界経済が突入をするという厳しいシナリオに入ると思うんですよね。  私は、前にもちょっとお渡ししましたけれども、日本経済再生のシナリオということで、第一段階として、二〇〇〇年までに危機回避をする、それから二〇〇一年から二〇一〇年までに安定成長路線の確立をする、それから二〇一〇年から適正成長路線への移行ということで、具体的に第一段階としては、一つ目は強力なリフレッシュ政策、二つ目が金融システムの安定化、三つ目が改革の方向を明確にして二十一世紀のビジョンを示す。第二段階としては、一つは高雇用、二つは物価の安定、三つが社会保障充実に必要な経済成長率を確保する。第三段階としては、一つは地球環境との共生、資源・エネルギーの制約、持続可能な発展、新産業革命、二十一世紀のシステムを明確にする、ということを提言しているんですけれども、昨日の政府の対策では、第一段階の部分のみを、再来年二〇〇〇年の限られた部分で、短期、中長期という段階でいえば、短期のとりあえずの対策を出したということなんですけれども、こういう短期はもちろん大事なことなんですけれども、中長期にわたっての政策が示されないままに、マインドが冷えて、要するに先行き不透明というような形で、人々のいろんな買い控え等が進んでいるわけですけれども、この二十三兆九千億という政策が、今後、都税収入にどのような影響があるか、伺っておきましょう。 ◯西村税制部長 昨日決定されました緊急経済対策、減税を含めて二十三兆九千億円の都税収入への影響についてということでございます。  政府はこれによりまして、向こう一年間に二・三%、GDPを押し上げるということをここに明記しているところでございます。しかし、今回の対策では、三十兆円といわれる需給ギャップを埋めるには力不足で、九九年度のプラス成長は微妙であるとする民間調査機関の評も出ております。  主税局といたしましては、しかしながら、この緊急経済対策によって、少なくとも危機的な状況は回避されるのではないかというふうに考えているところでございます。 ◯大木田委員 主税局の見解は、そういうことはあれですけれども、私は、二十三兆九千億、デフレギャップが三十兆でも、これは、現在のまま推移した場合はそうなんですけれども、政府の対応が後手後手なものですから、その間に非常に厳しい状況で、手を打ったときにはもっと下降に陥っているという状況で、先ほど、民間の経済予測の中で、三年間にわたってマイナス成長であるという予測は、私は当たるんだろうと思うんですね。  そういう方向に今、間違いなく入っているというふうになってきますと、来年度の税収確保というのは非常に厳しい状況になってくるのではないかということで、最大のことは、とにかく景気を回復をする、景気対策をどうするかということが最大で、この前も財務局のときに、来年の一定で都としても思い切った景気対策を含めた補正予算を組むことが大事であるということを強く主張したわけですけれども、大分時間もたってきましたので、最後に局長の──いろいろと今議論のやりとりがありまして、要するに、景気の非常に厳しい局面で、さらにその局面が続いているというような状況で、現在における日本経済のこの今日の状況、それから、それが来年度にも続いていくわけでありますけれども、さまざまな今の状況がありますけれども、それに対する、主税局長としてどういう認識を持ち、主税局として財政、財源をどう確保しようとしているのか、その決意も含めて、場合によってはもう少し質問するかもしれませんけれども、とりあえず…… ◯大塚主税局長 るる大木田先生からご指摘、ご指導いただいておりますけれども、確かに今、日本の経済は極めて厳しい状況にあるということは、そのとおりでございます。いわば、先生からもお話がございましたけれども、右肩上がりの経済はもう終焉を迎えた。パイが二つに割れて、割れたパイがそれぞれ縮小するというふうな比喩もいただきました。そういう意味では、我々は時代の大きな転換点に今立っているというふうに考えております。  社会経済状況、急激に変化をしております。経済環境も含めて変化をしております。いわば、税制を含めて、仕組み、税制の構造を含めまして、過去の蓄積、それから過去のノウハウ、過去の経験だけでは、いわば物事に適切に対処していくことが難しい時代だ、そういう時代に我々は今立っているという認識を持っています。  そういう時代の中でどうやって税収を確保するのだというお話でございますけれども、大西先生からもお話ございました。確かに、分権の流れというのは、これは一つの流れとして、とうとうとした流れがございます。  しかしながら、その分権を担保する現行地方税財政制度の具体的な改革は、まだ、いわば端緒についたばかりでございまして、言葉は先行しておりますけれども、まだまだ中身がない。いわば課税自主権一つをとってもそうでございますけれども、そういう中で、当面私どもがやれることは、正義の旗のもとに、分権の流れを踏まえた正義の旗のもとに、国に向かって、大都市連合を含め、それから都民の広範な支えをばねにしまして、国に働きかけを強めていく、本気で働きかけを強めていく。そうすることによって、とりあえず、あるべき税制の根幹部分を何とか構築をしていくこと、これが一つでございます。  それから、もう一つは、こうしたいわば先行きが不透明で閉塞感に満ちた時代でございますので、このような時代だからこそ、一定の展望を持って──どういう展望を持つか、これが大事だと思うんですけれども、その一定の展望を持って、現在の状況を、あらゆる手段を講ずることによって克服するように努力をする。そうすることによって都民の負託にこたえることが、与えられた力は少のうございますけれども、それが主税局の使命だというふうに認識しております。  主税局といたしましては、制度、それから、先ほど来、財政委員会でも出ておりますけれども、制度執行の税務行政全般にわたりまして、柔軟かつ機敏、かつ可能な限りの先見性を持って、時代状況に即した運営を心がける所存でございますので、先生方のご指導、ご鞭撻のほどをぜひよろしくお願いを申し上げます。 ◯黒須委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  事務事業並びに報告事項に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯黒須委員長 異議なしと認め、事務事業並びに報告事項に対する質疑は終了いたしました。  以上で主税局関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後四時五十五分散会...