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  1. 東京都議会 1998-05-22
    1998-05-22 平成10年行財政改革基本問題特別委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時九分開議 ◯内田委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。  本日は、お手元配布の会議日程のとおり、行政運営全般にわたる見直しについて、過日の委員会に引き続き質疑を行います。  発言を願います。 ◯山崎(孝)委員 質問させていただきます。  四月以降この特別委員会で集中審議を行ってまいりまして、今回で五回目を迎えるわけでございます。これまで、都政を取り巻く諸状況と今後の都政のあり方、そして次に、行政改革の課題と解決の方向について質疑を行ってまいりましたが、今回の質疑を経て、さらに、今後の行政改革の方向性等の取りまとめを行っていくことになると思います。  そこで、今回は、これまでの質疑を踏まえまして、行政改革の手順やスケジュールなど行政改革全体の枠組み、行政改革大綱の見直しと地方分権、それに組織の再編との関係について議論をしていきたいと思います。  我が党は、これまで、行政改革の取り組みについては単なる事務改善や内部努力にとどまらず、二十一世紀の東京の都市像を視野に入れて、行政運営のあり方を抜本的に改革することが重要だと主張してまいりました。そのためには、まず、都政を取り巻く社会経済環境の変化を的確にとらえて、新たな時代認識を確立するとともに、今後の行政課題と都政のあり方を明らかにしていく必要があると思います。四月三日のこの特別委員会では、こうした点を踏まえて、私が、長引く不況のもと厳しい対応を迫られている都内の中小企業の現状と産業政策について伺いましたし、野田委員からは、少子化の原因や社会への影響、その対策についてそれぞれ質問をいたしました。そして、都の果たすべき役割、今後の都の取り組みなどを明らかにしてきたところであります。  青島知事が本当に都民本位の都政を目指すならば、こうした社会経済環境の変化に伴って生じた新たな行政課題を念頭に置きつつ、行政改革への取り組みを進めることが肝心だと思います。青島知事は昨年第三回定例会で、都政改革の四つの課題として、自治と分権の確立、開かれた都政の実現、行政改革の推進、財政の健全化を掲げましたが、これらについても、この集中審議の中で取り上げてまいりました。我々が考える行政改革は、これら四つの改革を含めた都政のあり方そのものを見直す改革であります。行政改革イコール都政改革というのが当然の認識であると思います。  しかし、これまでの質疑を見ていると、本来、都政改革として一体的に進めるべき四つの改革が、どうもばらばらになっているように思えてなりません。これは自治と分権の確立、開かれた都政の実現が政策報道室行政改革の推進が総務局、財政の健全化は財務局といった縦割りの所管のため、連携がうまくとれていないのではないか。改革全体の進め方、四つの改革はどういう関係になっていて、どうつながっていくのか非常にわかりづらい。これで本当にうまく進められるのかどうか心配でなりません。  例えば、行政改革大綱の見直しと地方分権との関係でありますが、現行の行革大綱でも、自治と分権を改革の三つの方向の一つと位置づけており、区市町村への事務の移管などに盛り込むとしております。しかし、今回は随分状況が変わってきております。地方分権については、昨年の十月までに地方分権推進委員会の四次にわたる勧告が出されまして、政府もこの勧告を尊重して、地方分権推進計画を来週にも閣議決定する予定でおると聞いております。都でもこれらを踏まえて、東京都としての地方分権推進計画を策定するとともに、この計画に先立って、その指針となるべき地方分権推進計画大綱をこの夏に策定するというふうに聞いております。  一方、行政改革大綱についても、平成八年三月の大綱策定後の急激な社会経済状況の変化等に対応するため、行政運営のあり方を、新たな視点も加えて全般的な見直しを行うとしております。また、その見直しの方針を八月中に策定するというふうに、この委員会でも答弁がありました。さらに、行革大綱の見直しに当たっては、都政改革の柱の一つである自治と分権の確立を図るため、地方分権の動向も踏まえつつ、国や区市町村との役割分担の観点から取り組む、このようにも答弁をしているところであります。先ほど行政改革イコール都政改革であると申し上げましたが、その意味では、行政改革大綱都政改革大綱と考えるべきで、自治と分権の確立も当然に一体のものとならなければなりません。  そこで伺いますが、地方分権について、都として、この夏に地方分権推進計画大綱をまとめるということですが、八月の行政改革大綱見直し方針の中に、地方分権の検討内容は反映されるのでしょうか、お伺いいたします。 ◯幸田総務局行政改革推進担当部長 行政改革大綱の見直しは、社会経済環境等の急激な変化に的確に対応するため、行政運営あり方全般にわたりまして、新たな視点も加えて見直しを行うものでございまして、見直し後の大綱は現行大綱と同様、お話にもございましたように、自治と分権の確立、財政健全化、開かれた都政の実現などを含む都政改革全体の指針となるものと考えております。  自治と分権の確立は、こうした都政改革の大きな柱の一つでございまして、行政改革を進めるに当たりましては、地方分権の動きを的確に反映していくことが重要であると認識しております。したがいまして、行政改革大綱の見直しに当たりましては、別途策定する地方分権推進計画大綱の趣旨も取り入れて、八月中にその見直し方針を策定してまいります。 ◯山崎(孝)委員 地方分権については、四月十五日の本委員会で我が党の大西議員が、国と地方自治体との役割分担都道府県区市町村との役割分担等について、具体的に質疑を通じて明らかにいたしましたが、再度、確認もかねてお伺いしたいのですが、地方分権の検討は、国、区市町村との役割分担の見直しを行うということで理解していいのでしょうか。 ◯中島政策報道室地方分権担当部長 地方分権の検討を進めていくに際しては、国と区市町村役割分担の見直しを行う必要があると考えております。国の地方分権推進委員会勧告には、地方分権を推進し、国と地方公共団体の新しい関係を確立するために、国、都道府県、市町村の役割の見直しが示されております。近く策定される政府の地方分権推進計画は、その勧告を最大限尊重したものとなるというふうに聞いております。  都といたしましても、地方分権推進計画を策定することにしておりますけれども、その中には、政府の推進計画を受けた機関委任事務制度の廃止や、法令による権限移譲による国と区市町村役割分担の見直しに加え、条例による事務委託制度を用いた、地域の実情に応じた都から区市町村への任意の権限移譲も盛り込まれるものとなるというふうに考えているところでございます。 ◯山崎(孝)委員 役割分担の見直しということになれば、当然のことながら、国なり区市町村なり、相手方との協議あるいは合意が必要となるわけです。これは相当時間が必要になると思います。現行の行革大綱に掲げた区市町村への事務移管等についても、聞くところによれば、相当協議が難航し、当初の予定どおりにはもはや実現できないものが多い、そういう状況だと聞いています。区市町村にとってみれば、事務の移管に伴って確実に財源の手当てがなければ、事務を押しつけられるだけ、そういう形になるわけですから、そう簡単には区市町村も賛成できないのではないかと思います。  今回、国や区市町村との新たな役割分担の考え方に基づいて、個別に具体的な事務を整理すれば、ちょっと見当がつかないような相当な数に上るであろうと思います。対象となる事務を拾い上げ、その扱いについて折衝するとなると、これまた相当時間が必要となると思いますが、地方分権の今後の検討スケジュールはどのようになっていますでしょうか。
    ◯中島政策報道室地方分権担当部長 国と都道府県区市町村役割分担につきましては、今月末にも決定されると報道されております国の分権推進計画に盛り込まれることになると考えております。国の計画では、原則として平成十一年の通常国会に所要の法律改正案が上程される予定であるというふうに報道されているところでございます。そして、遅くとも平成十三年三月三十一日までに所要の法律改正を終えるということで閣議決定されているところでございます。  東京都と区市町村との役割分担につきましては、国の分権推進計画に盛り込まれるものについては、今述べましたとおりのスケジュールで進むということでございますけれども、都と区市町村の任意の協議によるものにつきましては、別途、協議が調い次第計画化していくことになると考えております。  いずれにいたしましても、本年七月末にも、基本的な指針を示す都としての東京都地方分権推進計画大綱を策定していきたいと考えておりまして、その後、国の法律改正の動向等に合わせまして、地方分権推進計画を策定していきたいと考えているところでございます。 ◯山崎(孝)委員 ことし一月に出された行政改革の取り組みについての中で、組織再編の基本的な考え方が述べられております。この基本的考え方が、八月にまとめられる組織再編素案のもとになるというふうに思われますが、そこでは、組織再編の基本的な方針として、第一に事業主体の選択を掲げ、まず最適な事業主体を選択し、効果的に事業を実施するため、民間や国、区市町村との役割分担を明確にしており、民間、都、国、区市町村のそれぞれの役割が簡潔に記してあります。次に組織の見直しを掲げ、組織を効果的、効率的に機能させるため、現在の行政目的別の細分化された局編成を見直し、総合化の観点から局を再編統合する、このように書かれているわけですが、ここでわかりにくいのは、この組織再編基本的考え方でも、国や区市町村との役割分担が述べられていることであります。  国や区市町村との役割分担は、地方分権組織再編とどちらでやるんだろうか、官民の役割分担行政改革の問題だが、国や区市町村との役割分担は、まずは地方分権の問題として整理するものだと思います。どちらにしろ、大事なことは、まず役割分担を行った後に組織の見直しを行うという順番だと思うんです。  東京都が真に果たすべき役割を確定させるには、民間に任せることができるものは民間に任せるという原則で、官と民との線引きをまず行い、さらに、官の領域で国や区市町村との線引きを行うことが必要だと思います。加えて、忘れてならないのは各局の役割分担ということになると思います。都政の課題の解決に向け、全庁的な視野に立った局の役割分担も明確にしなければならない。こうした手順で、最適な組織をつくっていくという流れになるはずだと私は思うんです。  だとすれば、八月中に出される組織再編素案は、その前提として、国、区市町村、民間との役割分担を踏まえたものとならなければならないと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 組織の再編は、行政運営の見直しを前提に検討すべきものとしておりますが、国、区市町村、民間との役割分担は、行政運営に極めて大きな影響を及ぼすものでありまして、組織再編に当たっても、考慮すべき重要な要素と認識をいたしております。八月に公表することとしております組織再編素案は、国、区市町村、民間との役割分担を踏まえて、都の事務分掌を再編整理した組織のあり方を提示するものと考えております。 ◯山崎(孝)委員 今申し上げたとおり、まず役割分担が十分にできるのか。行政改革大綱見直し方針というものの中に組織再編素案というものがある、それはその中の柱の一つだというふうにお答えがありましたけれども、国や区市町村、官民、その役割分担が明確化されなければ、私は、そうした方針だとか、あるいは素案だとかというものができるのだろうか、この点が不思議に思えてならない。  今、まず役割分担が大事だと申し上げましたが、これは都の役割を縮小するだけのマイナス志向を意味するものではありません。我々は、都の果たすべき役割は、引き算の残りのように、国と区市町村へ事務を渡して、余ったものが都の仕事であるとは考えておりません。都が取り組むべき課題はご存じのように山積しているわけで、東京都は全国自治体のリーダーとして、他の自治体に先駆けて将来の課題に積極果敢に取り組んでいく姿勢を失ってはならないということを、まず申し上げておきたいと思います。  最初に、行政改革大綱の見直しと地方分権の関係を取り上げ、次に、組織再編素案地方分権との関係を取り上げました。ここで、行革大綱組織再編素案との関係についても確認しておきます。  四月三日の特別委員会でも、私がこの点を明らかにする質問を行いました。その際、理事者側は、行革大綱の見直しは行政運営あり方全般を見直すものであり、組織再編はそのうちの大きな柱の一つである、こう答えております。組織再編が大綱の見直しの中に位置づけられることを明確に答えているわけですが、そうであれば、組織再編素案も当然行革大綱見直し方針の中に位置づけられるべきであり、組織再編素案だけが先にひとり歩きするように発表されるということはあり得ないはずであります。  冒頭に申し上げたように、これから取り組む行政改革が、単なる小手先の事務改善や内部努力にとどまらず、二十一世紀に向けた東京のビジョンや将来像を視野に入れた行政運営のあり方を抜本的に見直す改革であるとすれば、それを具体化する行革大綱の見直しも、こうした中長期的視点を踏まえたものでなければならない。理事者側が力を入れて進めようとしている組織再編も、ほかの行政改革と別個のものではなくて、大綱の見直しと一体に進められるべきであります。  今述べたことを総括する意味で伺いますが、行政改革大綱の見直し、地方分権組織再編素案の三つについて、それぞれのスケジュールと相互の関係を示していただきたい。 ◯浪越総務局理事 行政改革大綱の見直しと地方分権組織再編素案の相互の関連及びスケジュールについてのお尋ねでございます。  行政改革大綱は、先ほどお話にありましたように、自治と分権の確立、財政健全化、開かれた都政の実現などを含む都政改革全体の指針となるものと考えており、こうした基本的姿勢に立って行政改革大綱の見直しに取り組んでいるところでございます。したがいまして、行政改革大綱見直し方針地方分権推進計画大綱の趣旨も取り入れて、八月中に策定いたします組織再編素案行政改革大綱見直し方針を踏まえ、お示ししてまいります。  その後、行政改革大綱見直し方針に基づきまして、本年度中に行政改革大綱を見直してまいります。 ◯山崎(孝)委員 先ほどから私がいろいろご質問申し上げてまいりましたが、区市町村、国、官民の役割分担の明確化が果たして八月までにできるのだろうか。地方分権推進計画の大綱にしても、しっかりと行革大綱見直し方針の中に位置づけられるのか。なおかつ、八月中に組織再編素案を提示する。こういうような、八月にこだわる、かなり無理な形での理事者側の考え方が、従来この委員会でも示されてきておりまして、私からすれば、今回の一連の特別委員会の質疑、そしてまた今後各局同士の、あるいは局の内部の議論、あるいは全庁的な方針にしても、なかなか十分とはいえないと思います。  最後に、もう一言申し上げておきますが、我々が行政改革の手順や進め方についてこれほどまでにこだわるのは、今を逃したら、行政改革を成功させるチャンスはもう来ないかもしれないという思いがあるからです。戦後の地方自治制度が確立されて以来、これほど行政改革の機運が高まり、また、地方分権を初め改革の環境が整ったことは今までなかったと思います。ようやくめぐってきた改革のチャンスを失敗に終わらせてはならない。そのためには、改革のための手順、そしてスケジュールも含めた戦略をしっかりと確立することが大切だと思うのです。行き当たりばったりで改革などということは到底できないわけでありますから、目先のことばかり考えないで、都政百年の計が台なしにならないような、時間をかけて、なおかつ議論も深めて、しっかりとした改革のための段取りをしていかなければならない。  それと、今回の質疑でも明らかになったように、四つの都政改革がそれぞれ別々に進んでいて、都として一体的に改革へ取り組んでいこうという姿が見えてきません。この辺は、手順というより、改革の進め方の問題だというふうに思います。所管の局がそれぞれ個別に関係者と調整しながら進めるという方法には、おのずと限界があると思います。本当に青島知事がリーダーシップを発揮して、全庁挙げた改革への取り組みを実施するつもりならば、それにふさわしい態勢整備も必要だ、こういう点をはっきりと申し上げておきたいと思います。  これから、八月以降も、より一層この特別委員会は重要になると思いますが、そうした視点で我々もこれからより一層議論を深めていきたいと思います。こうした点を申し上げて、きょうは私の質問をこれで終わりにいたします。 ◯三原委員 今日まで、この委員会で行財政改革基本問題の議論がしてこられたわけですけれども、基本問題というだけありまして、なかなか奥が深いというか、難しいというか、禅問答のようなところもありまして、かなり専門家でないとわからないのかなという感じもしたことがあります。  そこで私は、余り専門家でありませんので、極めて軽易な内容で恐縮ですが、特に組織再編の方向性というようなところにポイントを置いて質問をさせていただきたいと思います。  もともとは、都民のために、都民の幸せを願って政策があるわけでございまして、その政策を具体化していくために大勢の都庁マンがおられ、それにお金といいますか、財政が伴っていく、こういうわけでございますから、この都庁マンの集まりがすなわち組織、こういうことだろうと思います。したがって、わかりやすくいえば、都民のための政策を実現していくのは組織の力だ、こういうふうに申し上げてもいいのかな、こう思いますので、そこで、その組織を再編されるのならば、どういう方向性をにらんで再編しようと思っておられるかについてお伺いをしたいと思っているわけでございます。  平成十年の一月に組織再編基本的考え方が出されております。ただいま山崎理事からもその点にかかわる部分のお話がありましたので、若干重複するかもしれませんが、お答えをいただきたいと思います。  もともと政策は時代とともに変わっていく、こう思いますので、それを実現していく組織も時代とともに変わっていくべきだろうと思いますし、もちろん今日まで、そういうことを踏まえて都庁の組織もそれぞれ変化をしてきている、こう思います。私が申し上げるまでもなく、例えば戦後の焼け跡などから都市計画という考え方が出て、今や新しい時代のまちづくりというようなものに発展しているんだろう、こう思います。あるいは、大変大勢の引揚者の方を思うとき、住宅政策というものが出て、今日の公営住宅がさらに発展をして、都民住宅というような制度にまで伸びてきているのかな、こういうふうに思います。  あるいはまた、下水道事業は文化のバロメーターだというようなことをいわれまして、大変な勢いで整備を進めてまいりましたが、水道、下水道といったような事業は、ある意味で山を越しているのかもしれません。そうすると、これからそういう事業がどういう方向へ進むかということについて、かなり真剣に考えなければいけない、つまりそういう組織再編の中で議論がなされなければいけない、こう思っているわけでございます。  ただ、東京というのは、申し上げるまでもなく、世界に冠たる大都市でございますので、今、国や、あるいは全国的に議論をされております行政改革とか、それに伴う地方分権、さらには組織再編といったようなことが、東京でもそのまま一つの型にはまって議論をされていいかどうかというところに、一つは問題があると思っています。他の県で実行できても、東京では大都市であるがゆえになかなか難しいという問題がたくさんあります。これは、専門家の方は大都市事務というような言葉を使われるようでございますけれども、例えば交通とか水道とか消防とか、これは市町村事務に入るんだろうと思うんですけれども、東京の場合は、大都市の特殊性を考えて、都政がその事務をつかさどっているわけでございますし、恐らくこれからもそういったことはそう安易に、区市町村の事務にするよとか、民営化するよとか、民間活力を入れるよとかいうことは議論できないかなという部分もあります。  したがいまして、時代の要請としては、地方分権で、区市町村などに大幅に事務移譲していかなければならないんですけれども、東京都政の場合は、独自の事務というようなものを考えながら、区市町村への権限移譲役割分担を考えていかなきゃいけないということがあるわけでございまして、個別の事業をそれぞれ整理検討していけば、当然いわゆる大都市事務として行うべきものもあれば、地方分権を掲げて区市町村におろしていくべきものというのもあります。  そこで、事業ごとにそれぞれメリット、デメリットというのが当然あるわけでございますけれども、大都市事務として東京が担っていくべきもの、あるいは区市町村に事務移譲すべきもの、そういった役割分担組織再編の中でどういうふうにとらえていけばうまく生かされるか、組織再編の方向の中でその辺の役割分担をどう考えておられるか、まず伺っていきたいと思います。 ◯中島政策報道室地方分権担当部長 地方分権を進めていくに当たっては、分権推進委員会の勧告で示された原則に沿って、具体的に都と区市町村の間で今後どのような役割分担を行うのが適当かということにつきまして検討協議していく必要があると考えております。地方分権推進委員会勧告では、地方公共団体が処理する事務のうち、市町村において適切に処理され得る事務につきましては極力市町村が処理するよう事務の配分を行うという、市町村優先の原則が示されております。この考え方に基づいて、勧告では、都道府県から市町村への法令による事務の移譲すべき項目が示されております。  また、都道府県ごとに、地域の実情に応じて区市町村への権限移譲の仕組みが、条例による事務委託制度として勧告されております。これらにつきましては、近く決定される予定の政府の分権推進計画に当然盛り込まれるものだろうというふうに考えているところでございます。  都といたしましても、これらの考え方を踏まえて検討を行い、都の推進計画の中に、都と区市町村役割分担の見直しと区市町村への権限移譲を盛り込んでいくという考えでございます。 ◯三原委員 自治体の組織論というのは、基本的には地方自治法百五十八条ですか、そこに準拠しているということになると思うのです。申し上げるまでもないことですが、地方自治法は昭和二十二年に制定されて、百五十八条には、東京都は何局、何局を置けとか、道──北海道ですね、何部を置けとか、人口二百五十万以上の県は何部、何部を置けとか、とにかくそういうふうに限定的に、こういう部を置きなさいというようなことをうたっておるわけでございまして、もしそういうのをふやすときは自治大臣に協議しなければいけないと、はっきり枠をはめていたわけです。  たまたま平成三年に改正されて、そういった限定列挙みたいのは撤回されたようでございますが、それでも条文を見ると、例えば名称とか事務の内容とか、局とか部を増減したときは遅滞なく速やかに自治大臣に届け出ろと、相変わらず、その下に流れるというか、法律の精神に流れるものは、地方自治法にのっとって、旧来同様やらなきゃだめですよというようなことが生きているという感じがするんです。  実は私、ここが組織論の一つネックになっているのではないかという気がするわけです。もちろん地方自治法の精神は、住民サービスに重点が置かれていて、それがゆえに組織がどんどん大きくなる、つまり、公務員がふえて組織が肥大化するというようなことを抑えるといいますか、防ぐ、こういう意味で重要な役割を果たしてきたのかもしれません。あるいはまた、もっと別な考え方で、これはちょっと私がひがんで読んでいるのかもしれませんが、国が地方をコントロールしやすいように、行政の一体化を少し強要したんではないかなという気もするんです。  まさに、これが中央集権的な発想ということになるんだと思うのですけれども、ただ、戦後の混乱期に地方自治法を制定して、旧来の日本の政治体制とは全く変わる部分として地方自治の体制ができたわけですから、当時のことを思えば、こういうこともやむを得なかったのかなという気はいたさないではありません。しかし、もう戦後五十数年たちまして、今日は極めて民主的といいますか、あるいは行政などは公開型ですね、情報公開制度などもどんどん進んできておりまして、さらに地方分権ということで、国から都道府県、都道府県から市区町村へ、こういうふうに行政の流れが移ってきているわけでございますから、旧来の地方自治法にやや縛られたような組織の考えでいると、甚だしく将来に向かっては間違いではないか。  そこで、東京都は都独自の考え方を持って、都政の将来、二十一世紀よりももっとずっと先にまで続くこの都政を見据えて組織再編を論じてもらわなきゃいけないだろう、こう思うわけです。国の方も、一府十二省庁ですか、そういう案も出して今審議しております。なかなか議論があって、ここまでまとめるのも大変だったろうなという気もいたしますけれども、何も国に右へ倣えする必要はありませんが、いいところは取り入れたらいいと思います。しかし、どうも今までの地方自治法の精神で、ついつい国とどう整合するかというようなことばかり考えてしまうと、問題の、今から先の地方自治というものと少しずれてきてしまうのじゃないかなという気がするんです。  そこで、今までの組織が法律上限定列挙されて、それに準じてきましたが、改正された経緯もあって、これから都の独自の方向というのを見出さなきゃいけないし、そういうお考えであることは間違いないとは思いますけれども、そこをもう一度伺ってみたいと思います。 ◯山本総務局組織担当部長 都の組織再編に当たりましては、効率的な事業執行を目指す上で国との関係は重要でございますが、国の省庁再編も考慮すべき要素の一つでございますけれども、都の組織は都民福祉の向上を第一の目的として編成されるものでございまして、必ずしも省庁再編と連動させなければならないものではないと考えております。  都においては、環境と調和した循環型社会の形成、過密解消、混雑緩和、職住近接の都市政策の展開、都市型産業の振興など、大都市問題も念頭に置きつつ組織再編に取り組んでまいります。 ◯三原委員 都のお考えとしてはわかります。ここの委員会では余り細かいことを議論しないで、原則論でいこうということになっているんですけれども、細かく議論するつもりではないんですけれども、例えばの話で皆さんにお聞きしてみたいと思います。  今までの国の行政組織でいきますと、例えば農林水産省というのがありまして、これは申し上げるまでもなく、農業、林業、水産業を所管しておるわけでございますが、今度の国の方の再編でも、農林水産省はそのまま残るはずですよね。それに対して東京都はどうかなというと、労働経済局に農林水産部というのがございます。関係議員もおられたり、都民の方に申しわけないかもしれませんが、東京全体で見ますと、農業、林業、水産業というのはそんなに多いというわけではないと思いますから、労働経済局の所管の一部門ということでもいいのかなと思わないでもありません。  では、他の例で、通産省は今度は経済産業省となるそうでこざいますけれども、これはほぼそのまま残るわけですね。ところが、同じように労働経済局にある産業にかかわる部門というと、商工計画部と商工振興部と今二つあります。先ほど、東京では農林水産業は全体から見れば少ないかなと申し上げたんですけれども、逆に、産業というくくりでいけば、いわゆる中小企業とか商業とかというのは、大変なウエートを占めていると思うんです。そうすると、国と関連をつけて、国に倣う必要もないんですけれども、逆にいうと、東京の場合は、中小企業局というようなものがあってもしかるべきではないか。地方自治法の前の法律を見ても、中小企業のセクションについての説明なんてほとんどないわけですね。これは昭和二十二年ごろだからそれでよかったのかもしれませんが、今はやはり日本の経済は中小企業が支えている、あるいは、活力ある商店街をつくり出そうというようなことが大きな政策スローガンになっているわけですね。  そういうことを考えると、国でも経済産業省を残すというぐらいですから、ただ労働経済局の一部で所管するのではなくて、中小企業局というものをつくるぐらいの考え方の転換をして、再編成をしていかなければいけないのではないかと思うんですが、そういった都民の方向に向いた組織論というものについて、都は独自の立場で考え、判断を下していけるかどうか、その辺のお考えを伺いたいと思います。 ◯山本総務局組織担当部長 都においては、農林水産業の振興は重要施策の一部ではございますが、産業全体に占める割合と事務事業の規模等も勘案をしなければならないと考えております一方、中小企業振興施策は、地域経済の振興を図るという役割を踏まえますと、都における産業施策の中でも中心的課題であるという認識を持っております。  いずれにいたしましても、都の行政全体における位置づけ等を十分に考慮いたしまして、組織再編の中で検討してまいりたいと考えております。 ◯三原委員 都民の意向を十分酌んでいただいて、かつ、二十一世紀に向かうにふさわしい内容にしてもらいたい。当然のことですが、重ねて申し上げておきます。  しばしば組織論をやると、どうしても古い体質から抜けづらいという部分があると思いますので、千載一遇のチャンスといっては失礼かもしませんが、ここでやらなければ、再びチャンスは来ないよという気がいたしますので、重ねて、それは念を押しておきます。  そこで、政策を実行する、つまり事業の効率的なやり方ということについてお伺いしてみたいと思うんですが、今、大変厳しい経済情勢の中で、民間の企業は大変な努力をして経営をしているわけです。この大変厳しい経済情勢の中で努力をしておられるということを褒めては失礼なんですけれども、そういう状況の中で努力をしておられるやり方というのを、この組織再編のときにぜひ取り込んで、より事業の効率的な実施に向かって進めるようにすべきだと私は思うわけです。  私が申し上げるまでもないことでしょうが、例えば民間企業の場合ですと、不採算の部門があれば、すぐやめて、その事業から撤退する、決断が早いですね。それから、逆に、ある部門とある部門を合併させて体質を強化する、こういうやり方もあるんです。それから、徹底したリストラとか原価主義、さらには、必要な人材をヘッドハンティングですね、スカウトしてきて、重要なポストにぽんとはめて仕事を一気に成功させる、こういうやり方もある。あるいは、私も不勉強ですけれども、専門的ないい方で分社化というようなやり方、あるいは独立採算制の導入というようなやり方もありますし、おのおのの、部門部門の組織を個性化していく。今までのような、ずうっと創業何十年というような単一志向でいくのではなくて、全く新しい感覚でやってみる。あるいは異業種交流、そういうものから新しい発想、商品を開拓する、こういうことをやっておりまして、その結論は何かというと、企業はとにかく利益が出なければ、つまり成果が上がらなければ、すぐ方針を変える、成果主義とでもいいますかね。  実は、ここのところが行政でも重要なわけで、一たんやり出したらば、なかなか方向転換ができない。成果はそこそこ上がっているようだから、切りづらい。こういうことになってしまうんですけれども、私は、むしろ今の企業の生き残り策を参考にして、思い切った組織再編、つまり施策の点検をやって、それに伴って組織の再編をしていくべきではないかという気がします。もちろん、今日まで都庁内でも大変な努力をしておられますから、それは一個一個取り上げてご説明すれば、立派な評価を下さなければいけないと思いますけれども、町の人から見ますと、十年一日といいますか、相も変わらず親方日の丸でいいなあという感じなんですよね。皆さんは、血の出るような努力をしておられるということを私どもも理解もいたしますが、やはり都民の目から見ると、我々、会社で厳しい思いをして生き残ろうとしているのに比べれば、都庁の人たちは、あるいは公務員はといういい方かもしれませんが、まだまだ実に気楽なものである。何かあっても、会社は倒産して給料をもらえなくなるけれども、役所の何かが倒産して、給料をもらえなくなったというのはないじゃないかと。  我々は毎日のごとく、そういう都民の皆さんからの厳しいご指導を受けているわけでございまして、そういうことを考えますと、事業の実施部門を強化して、旧来型から脱皮したものにしなきゃいけない、新しい発想を導入して組織を再編していくべきだ、こういうふうに思うんです。専門的にいうと、事業成果を検証してなどという言葉を使っておられますけれども、そういうことを前提とした組織の再編を本格的にやるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 民間企業が現在試みているような視点からの見直しを行うべきではないかというご質問でございます。  ご指摘のとおり、民間企業では事業部制や分社化などの導入によりまして、事業に最もふさわしい体制や制度を整備いたしまして、効率的な経営を図っているところでございます。これらは、いずれも一つの企業あるいはグループの中にあって、経営単位として独立した組織と位置づけられております。都における組織再編においては、効率的な事業執行を確保するばかりでなく、事業成果をも検証するという観点から、民間企業をも参考にしつつ、今後とも検討してまいりたいと考えております。 ◯三原委員 その各事業部門を強化していくということで、一つ皆さん方から提起されています組織再編の基本的な考え方の中で、事業実施部門の強化という項目があります。これには、事業の目標を明示し、その成果を公表する組織として事業本部制を導入するなど、事業実施部門の強化を図る、こううたってあるんです。  そこで、ちょっと参考に伺っておきたいんですが、事業本部制ということはどういうことなのか。私などは、特別会計などでやっている病院とか埋め立てとか、あと市場などもそうですが、そういった事業は、ある意味で事業本部制でやっていて、新たに導入するなどというのではなくて、既にやっていて、それが効果的かどうかという方をむしろ議論すべきではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 事業本部制につきましては、政策立案部門と事業実施部門との組織的分離によりまして、それぞれの機能を充実、高度化すること、事業の目標を明示し、その成果を公表すること、組織を評価するなどの方法を導入し、効率性やサービスの質の向上を図ることなどを内容とするものと考えております。  また、ご指摘の病院事業等の事業は、損益計算により経営成績が明らかになるなど、これらの要件になじむものがあると思われますが、事業本部はどのような事業を担うべきかにつきましては、事業内容だけでなく、規模なども勘案する必要があろうかと考えております。今後も、各方面と議論を重ね、検討をしてまいりたいと思います。 ◯三原委員 事業本部制は、そういう言葉で議論するのがいいかどうかわかりませんが、もうどしどし導入して、もっといえば、独立採算制でいくという──企業じゃないですから、採算性はないかもしれませんけれども、それぐらいでいかないと、本当の組織再編にならないと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  そこで、組織再編を検討されるに当たって、このことだけはぜひ都庁マンの皆さんにわかってもらいたい、あるいは公務員の皆さんにわかってもらいたい、こういうことがあるんです。ちょっと言葉が適切でないかもしれませんから、適切でない言葉だったらお許しをいただきたいと思うんですけれども、それは国民の、あるいは都民の皆さんがみんな一度や二度は感じたことがあるんですが、これは役所の縄張り争いといいますか、あるいは縦割り行政のために出てくるたらい回し行政とでもいいますか、都民、国民から見ると実に残念な、しかし、これは役所の人から見ると、結構まじめで正しい話になっているみたいなので、ぜひこの際申し上げておきたいと思ったのでございます。  縦割り行政の弱点といえば弱点ですし、また、縦割り行政はそれなりに効果のある部分もあると思うんです。組織論でいけば、特に行政組織の場合は、洋の東西を問わず、縦割り組織になるのはやむを得ないのかなと思います。しかし、その結果として、縄張り争いといいますか、たらい回しというか、そういう事態が起きるわけです。甚だしきは、国の省庁と都道府県の局、部、そういったところが仕事の関係で、あるいは法律上のつながりで連携していますから、国の省庁を都道府県の局とか部が代理して、縄張り争いの代理戦争みたいなことをやっている場合だってあるんですよ。皆さん方は、そんなことはないよというような顔をして聞いておられますけれども、実は間違いなくあるんです。  私自身も、長いこと国会議員の秘書を経験して、その間にそういう縄張り争いみたいなことを随分見聞きしてまいりましたし、都会議員にさせていただいてからでも、それに類することがありました。先輩方のお話などを聞いてみますと、ある局からは、ぜひ私の局でこういうふうにやらせてもらいたい、また、ある局からは、ぜひこういうぐあいにして私の局でやらせてもらいたい、両方の局が、手柄話といっては失礼かもしれませんが、議員にその政策の調整を頼むみたいなことがあって、まことに表に出せない恥ずかしい話だなという気がいたします。これは、一番上に知事がおられて、副知事があって、局長さんがおられてということになっているんですから、そういった大幹部職員の調整能力の不足というか、最終的には青島知事のリーダーシップの欠如というようなところまでいってしまうと思うんですけれども、そういう実態が実はありますので、ぜひこれは組織再編のときに一掃してもらいたいと思うんです。  もうちょっと具体的に申し上げて、なるほど、そういうことはあるよということを理解してもらいたいと思うんですけれども、山崎理事さんがおられますが、江東区に新木場というところがあります。ここは、いわゆる臨港地区という網をかけてやっていますから、港にかかわるといいますか、港湾行政にかかわる部門で使おうということでしょう。ところが、現在の木材事情ですか、そういうことから考えて、新木場の人たちが、木材だけを仕事としてやっていくにはなかなか大変だ、もうちょっと応用動作をやりたいと。しかし、臨港地区という網がかかっていますので、ほかに転用できない。そこで、都市計画局に、何とか網を外していただきたいという運動を一生懸命しておられますよ。都市計画局は、東京都のまちづくりということを考えますから、新木場の人たちの木材市場の事情が変わったんだから、もう少し方向転換をするためにお役に立った方がいいなあと思っているんでしょうね。ところが、港湾局の方は、港湾行政ということだけでいきますから、したがって、運輸省の顔をちらちら見ながら、いや、そう簡単に臨港地区の指定は外せませんよと、こういう議論になってしまうんです。それでは、港湾局は運輸省の代理人なのかということになってしまいますので、本当に都民の立場に立ってみれば、どれがいいんだと、すぐわかるはずなんです。そこがいまだに局と局とのせめぎ合い、その裏には、どうも運輸省や建設省との絡みがあるということを暗に感ぜざるを得ない。  もう一つ、もうちょっと小さい話で、わかりやすい話をいたしますけれども、厚生省は、看護婦さんの人材がなかなか確保できない。そこで、ナースバンクという事業をやっています。各道府県に一カ所ずつ、東京の場合は、大都市ですから二カ所ですね。看護婦さんの再就職について受け付けますよ、または再就職をごあっせんいたしますよと。これは、労働省の職業紹介事業なわけですよ。だけれども、看護婦さん等の特殊勤労ということがありまして、ナースバンクという制度でいこうということで労働省も納得したんでしょう。他府県に一つずつ、東京とどこかは二つですか、東京は渋谷と立川にナースプラザというのをつくったんです。  ところが、私の地元は足立区で、足立の方から渋谷まで行くというと、一仕事。だれが考えても、もうちょっと下町側にも一カ所あってもいいなと考えますね。そこで、東京都の衛生局は、足立区にたまたまいい施設があるので、足立区にナースプラザをもう一つ開設したいと、厚生省と相談して、いいねということになった。ところが、労働省はだめだと。各県に一つなのに、東京は特別に二つにしてあげたんだから、三つ目なんかだめなんですよと。  そのときに衛生局は、労働省に頼む話ですから、労働経済局の職業安定部へちゃんとお話をして、労働省へお話を上げておいてくださいと。わかりましたということになったんでしょうけれども、労働省は、こんな書類が来ましたよなんて、郵便配達みたいなものですよ。送っただけだから、ただ来たよと。東京都が何を考えているかは伝わっていない。それで許可がおりないんですよ。すっかり衛生局は頭を抱えてしまいまして、たまたま私は地元の問題だったから気がついたので、これはおかしいよ、これだけ都民が熱望している問題を、衛生局が厚生省と連携して一生懸命やっているのに、どうして労働経済局は労働省とタイアップして東京都の後押しをしてくれないのと。  いろいろああだとか、こうだとかお話はしておりましたが、私が感じたのは、邪推かもしれませんけれども、労働経済局の皆さん方の中には、地方事務官制度などもあり、労働省と直接つながっているお仕事もありますから、ナースプラザを一つ出すと労働省の職業紹介業務が減っちゃうわけですから、したがって、どうも顔は労働省の方に向いていたんじゃないかな、こう思えてならないんです。つまり衛生局は厚生省とタイアップし、労働経済局は労働省とタイアップして、何のことはない、お互いの権益を守る国の代理戦争をやっていたわけですね。  しかし、衛生局や厚生省のご努力、また労働経済局の皆さんのご理解もあって、最終的にはナースプラザを足立につくれることが実現いたしましたが、こんなことを私なんかが委員会で口角泡を飛ばして議論しなきゃいけないなんて、全然考えられませんよ。都民にいったら笑われますよ、何を役所はやっているんだといって。  事ほどさように、現在の組織体制でいくと、国の代理戦争のごとき縄張り争いが今でもあるということを、ぜひ皆さんにわかってもらいたいと思うんです。  そこで、組織再編をするのならば、その辺のところをまず念頭に置いてしっかりやってもらわないと、本当の意味の組織再編にならない、こう私は思うんですが、いかがでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 ただいま縦割り行政の弊害について、実例を含めてご質問がございました。縦割り行政の弊害につきましては、調整に手間取り、意思形成に時間がかかること、組織目標や組織の利害にとらわれ、全庁的な視点に欠けること等があると認識いたしております。  私どもが取り組んでおります組織再編は、都の行政運営のあり方を見直し、都民サービスのより一層の向上を図るべく、都の組織課題の解決に向けたものでございます。よろしくお願いいたします。 ◯三原委員 今のお答えで、何十年来のごたごたがすっきりなくなって、全員が都民の方に顔を向けていただけるかどうか……。まだ大分、中央の方へ顔が向いている人が残っちゃうなという気がしないでもありませんけれども、ぜひこの点だけはよろしくお願いします。私どもも、この次、具体案が出てくれば、そういうことを含めて、もっと突っ込んで議論をしていかなきゃいけない、こう思っています。  とはいいましても、ある程度、専門分野の人たちがきちっと組織をつくって、これはちょっと特別なんですよというようなのがなくてはならない部門もありますから、それはそれで強化していただければいいと思いますけれども、一般論でいうとそういうことだということをぜひ理解してもらって、検討してください。  それから、平成十二年の四月に都区制度改革ができて、当然、新しい事業が二十三区の方に移っていく問題があります。したがって、今ここで組織再編の議論をやっていて、案が出たりして一年後ぐらいに固まってきたとしても、平成十二年四月には、また変えるというような話になりかねないんですね。  そこで、平成十二年の法改正で二十三区にかなり事務事業が移管されるということを踏まえて組織再編のことをご検討なさっていると思うんですが、その辺を参考に教えてください。 ◯山本総務局組織担当部長 今回の組織再編に当たりましては、都区制度改革あるいは地方分権の動き等を視野に入れまして再編を行う考えでおります。 ◯三原委員 平成十二年四月の都区制度改革の実現は、この東京における大都市行政の大きな変わり方でございますし、他の道府県にはないことでございますので、ぜひひとつそれを見据えて、まさにこれまた千載一遇のチャンスですから、地方分権をしっかり含んだ組織再編をしていただきたい、こう思います。  いろいろ組織再編の方向性ということで質問させていただきました。まだまだもっと深い議論があるのかもしれませんけれども、一般論、原則論ということでございますので、十分な議論にならなかったかもしれませんが、最後に、この組織再編を含む行政改革の総責任者ともいうべき、あるいは実行部隊長ともいうべき総務局長さんの、組織再編の方向性はこうだというお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。 ◯木宮総務局長 昨年の十月に当特別委員会が設置をされまして、今日まで、実に精力的かつ集中的にご議論をいただいてまいりました。そのご質疑の中では、行革全般にわたって、体系的かつ総合的にいろいろなご指摘、ご提案もいただいたところでございます。  都の組織につきましては、私どもとしては、都政として都民に対して何をどういう体制でやるかということを示すという意味で、都民サービスの基盤であり、また視点を変えれば、行政に携わる私たち職員を律し、どう行動するか、そういう行動の枠組みを決めるという意味でも、事業執行の礎といいますか、基礎的なものであるというふうにも認識をしているところでございます。そうした姿を、多くの都民の皆さんが注視しているこの特別委員会でご議論をいただいてきたわけでございまして、極めて有意義なことであるというふうに考えて認識をしているところでございます。  都政は、申すまでもなく、議会と執行側とが車の両輪として相協力をして築き上げていくべきものであるというふうに考えておりまして、この委員会でのご質疑を通して種々賜りましたご意見、ご提案を、極力、組織再編素案に生かしていくように努力をしてまいりたい、かように考えております。 ◯渡辺委員 若干、質問をさせていただきます。  前回、当委員会でこれまでの行政改革の流れを振り返って、きょうは民間活力の導入について質問をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  その中で、都の行政改革路線が七九年の財政再建委員会の報告にさかのぼることが明らかになったわけです。しかも、その当時は、まだ部分的であっても残されていた自治体の本来のあり方に基づく考え方が、今ではかなぐり捨てられて、行革といえば、専ら都民サービスの切り下げが推し進められようとしていることも浮き彫りになったわけであります。  私は、前回委員会以降、改めて都の行政改革の歴史について調べてみましたが、都の財政再建委員会が、今日の行政改革大綱と、それに基づいて出された財政健全化計画の原点とするならば、その源流に、前鈴木都知事が座長を務めてまとめられた「新しい都市経営の方向」、いわゆる都市経営論というものがあるわけであります。この都市経営論については、例えばそれは──それはというのは自治体のことをいっているわけですが、それはあたかも、株式会社において経営者が株主から信託を受け、資本を預かって事業を経営し、それを監視するというのと極めて似通ったものがあると書かれております。この立場に立てば、経営者が企業をどう効率よく安上がりに経営し、いかに商品を高く売り、利益を上げるかということが、自治体経営の見本とされてしまうわけであります。  しかも、この「新しい都市経営の方向」の前文の中で、当時の財団法人日本都市センター理事長の島野武氏は、この最終報告は、今日、試行錯誤の中にある都市自治体の経営について、我が国で初めてまとめられた唯一の教科書、都市経営の憲法ともいうべきものだとまでいっているのであります。  私は、そこで本日は、こうした経営論の効率性とか採算性の追求、具体的には第三セクター方式、民間委託、原価主義、市場原理という形で自治体運営に持ち込まれた結果、都民施策にどのような影響が生まれてきたのか、これについて伺いたいと思います。  そこで、住宅行政について伺います。というのは、この分野が都民施策の中でも最も早く、かつ露骨に都市経営論の考え方が持ち込まれたところであり、市場原理の導入が行われた結果、都民との矛盾を激しくしている分野だからであります。  まず、財政健全化計画実施案でも見直しが提起された都民住宅ですけれども、応能応益的な制度を取り入れた今日の制度発足から、わずか五年程度でなぜ見直しが必要となったのか、最初にお聞かせいただきたいと思います。 ◯木内財務局主計部長 都民住宅制度でございますけれども、これは平成二年に制度が発足いたしまして、その後、社会経済環境が大きく変わる中で、制度の発足のときに考えていたような家賃水準というものも相当程度低下しているわけでございまして、そうした民間の流れの中で、都民住宅をめぐる環境もまた変わっているわけでございます。そんな意味で、都民住宅制度のもとにおける東京都あるいは住宅供給公社の役割や、制度のあり方というものについて見直しを図ったものでございます。 ◯渡辺委員 財政健全化計画の中に、見直しの理由ということで幾つか挙げられておるわけですが、今、答弁になかったんですけれども、現行制度のままで現在の計画規模、これは八年から十七年度で十年間ということになっていますが、約五万二千戸を供給するということになると、制度発足以降の財政負担は二兆円を超えると見込まれると。こういう二兆円を超える財政負担に耐えられないというのが、私は本音ではないかというふうに思っております。  私も、現在の都民住宅制度は根本的に見直しが必要であると思いますが、その方向は、都が考えているような都民住宅そのものからの撤退ではないわけです。都内の住宅環境は、バブル当時と比べて、地価が下がって、分譲価格や民間家賃が若干下がっていることは確かだと思います。しかし、都民住宅が対象とする世帯の圧倒的部分は、公営住宅対象階層から都民の平均収入程度、いわゆる収入分位でいうと二五%から六〇%、収入では四百万から七百万円程度の都民であります。世帯構成も、子育て世帯であり、ファミリー世帯なのであります。しかも、都民住宅の申し込みを見ると、圧倒的多数が下の層であり、低所得者層なのであります。これらの世帯にとって、一定の基準を満たし、負担可能な家賃の住宅を都内で見つけることは簡単ではありません。しかも、都心部でこれらを見つけることは、至難のわざだといわれておるわけです。  都や公社施行からの撤退を打ち出しましたけれども、制度上からも法人施行型が供給可能な地域は、多摩地域や区部でも周辺部に限られているわけですから、都や公社の役割が薄れたなどということは全くないというふうに思います。  いずれにいたしましても、都の都民住宅見直しの本音は財源対策であることは確かだと思いますし、今年度から最終家賃を見直しして、家賃の上昇率を引き下げるなどの若干の制度の手直しを行いましたが、問題の根本的解決にはほど遠いものであります。なぜこのような破綻が起きて、そして、この根本的解決が図られないのか、このことが最大の問題であります。  我が党は、これまで繰り返し、都民住宅制度そのものが市場原理に基づいてつくられているために、さまざまな制度的欠陥を持っており、居住者にとっても、供給する側の東京都にとっても、ゆるがせにできない根本的な矛盾があることを制度の導入時から指摘してまいりました。  それは第一に、都民にとっては、入居時は確かに家賃が低く抑えられていても、毎年五%ずつ値上がりする、これは、ことしから若干引き下げられましたが、当初計画では、二十年で倍の家賃になってしまう。最終的に契約家賃にたどり着いたときには、家賃の負担率が、一千万円の収入の世帯より五百万円程度の収入世帯の方が高くなってしまう。当時、我が党が行った試算では、平均の賃金上昇率を差し引いても、上の収入層の世帯は、スタート時の二十数%から負担率が下がって一七%ぐらいになるのに、下の階層の世帯は一六%から出発して三〇%までになってしまう。収入の三割が家賃に消えてしまう。これでは、本当に住み続けられることはできるわけがありません。  だから、せっかく当せんしても入居を辞退したり、空き家が生まれても、傾斜家賃が適用され割高な家賃になるために埋まらないなど、都民住宅の制度的欠陥があちこちで露呈しているのであります。  もう一つは、都財政運営にかかわる問題として、実施案が認めているように、家賃補助の後年度負担が莫大になるということです。
     そこで私が問題にしたいのは、都民住宅の契約家賃が市場家賃、つまり近傍同種の民間家賃を前提にしているために、家賃補助、つまり契約家賃と実際の居住者の負担分との差額は、東京都の負担分だけで、二十年間で一戸当たり一千万円にも上るとされているんです。これに加えて、共同施設部分への補助金、民間の場合は、優良民間賃貸住宅制度を使った場合の利息の補助という形で資金が投入されています。都営住宅の場合は、おおむね中層一戸が、建設費だけで約一千六百万円程度で、国の補助がその二分の一来ますから、都の負担分は半分の約八百万円としますと、その起債の利息を考えたとしても、都民住宅の一戸分の建設費と同じになるわけです。したがって、公設公営で建設すれば建物自体が資産として残るのに、都民住宅では、三十年後には契約解除となって建て主のものとなってしまうんです。  そこでお聞きしますけれども、我が党がこのことを既に導入当時から繰り返し、常任委員会等を通じて指摘してきたんですけれども、なぜそのときに根本的な検討が行われなかったのか、お答えいただきたいと思います。 ◯木内財務局主計部長 都民住宅についてさまざまなご指摘がございましたけれども、認識を同じゅうしないところもありますので、若干の反論も含めて述べさせていただきたいというふうに思います。  都民住宅につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、地価が高騰する、そういう中で民間の家賃が上がっていく、そういう時代背景の中にあって、地価の大幅な上昇が家賃の水準になるべく影響しない、反映しないというような仕組みを取り入れていこうということで、平成二年に発足したわけでございます。その後、先ほど申したように、さまざまな経済環境の変化の中で、家賃水準が低下を来してくる、あるいは都民住宅の民間での供給も進んでくる、そうした中で、東京都が先導的に都民住宅をつくっていくということの役割も相対的に低くなった。さらには、先ほど先生もご指摘になったような入居者負担、毎年五%上がっていくという仕組みがどうだろうかということもあって、それを緩和する必要がある。そんなことから、今回見直しを行ったわけでございまして、そうした見直しは、都民住宅をめぐる環境の変化に対してこたえたものだというふうに私どもは考えているわけでございます。  それから、都民住宅の家賃についてもお言葉がございました。  都民住宅の家賃につきましては、その限度額は近傍の家賃よりも低くなっているわけでございまして、それぞれの入居者の負担を設定するに当たっては、入居者の所得ということを基準に設定しているわけでございまして、それぞれの所得に応じて負担が適正になるように、さまざまな配慮を加えているところでございます。  それから、都民住宅について、いわゆる都施行型の都民住宅を引き続きというお話であろうというふうに理解させていただきますけれども、現在の都民住宅、民間の施行するものについても、共同施設の整備等についての補助を東京都が行うことによって、家賃限度額を可能な限り引き下げるという努力を現に行っているところでもございます。東京都が直接建設し管理するという、いわゆる都施行型の都民住宅については、先ほど申したような民間の都民住宅の整備が進むこと、あるいはそうしたことを背景として、都の先導的な役割が低くなってきた、そんなことを踏まえて、それら都施行型の都民住宅については収束をしていくということで、今回見直しをしたものでございまして、そんなことのご質問であったかと思いますけれども、私どもの考え方については、そうしたものであることもよくご理解をいただきたいと思います。 ◯渡辺委員 いろいろいわれましたけれども、環境の変化が出てきたということからの見直しだと、こういうような話が強調されているわけですが、しかし、若干下がっているということは、これは事実として認めますけれども、実際に今、民間の住宅、純然たる民間住宅ということで入れるかというと、厳しくてなかなか入れるような状況ではありませんよ。そういう中で、都民住宅というものがそれをフォローするということでつくられた。しかし、その都民住宅でさえも、今申し上げたように、やはり高くてなかなか入れないというのが現実なんですよ。環境変化があったにしても、現実は今申し上げたような状況なんです、実際には。ですから、そういうことを踏まえて、しかも、なおかつその見直しの理由としては、やはり東京都の持ち出し分が非常に大きくなるという、何といったって、これについては認めざるを得ないんじゃないですか。私はそういうことで申し上げたわけなんです。  都民住宅の家賃限度そのものを引き下げたということがありますけれども、引き下げたということはあるにしても、それでもなおかつ高い。これは一般の、先ほども申しましたけれども、本当に所得階層の下の方の方々からしてみれば、限度額を下げたからといったって、入れるような状況じゃないということは、これはもうはっきりしているんです。  そういう意味で、もう一つお伺いしますが、先ほどもいいましたけれども、私たちが常任委員会でこの問題を取り上げて、いわゆる再検討を要求してきたんですが、これには一向に耳を傾けないということで今日まで来たということですね。今年度から見直したといいますけれども、近傍同種の家賃という市場家賃の考え方──市場家賃の考え方ですよ、これそのものは改められたんですか。お聞きいたします。 ◯木内財務局主計部長 都民住宅の家賃について、先ほども申し上げましたけれども、近傍の家賃水準よりも現実に低くなっているというふうに考えております。かつ、入居者の負担額を設定する際においては、入居者の所得を基準として家賃水準を定めているところでございまして、今、先生のお話、公営住宅については一定の基準を超えた場合の近傍家賃を参考にしたような、超過家賃といいますか、そんな制度が今回、法令の改正に伴って取り入れられたわけでございますけれども、都民住宅につきましては、あくまでも本人の所得といいますか、そんなことをベースにして家賃の限度額が設定されているのが今日の制度でございます。 ◯渡辺委員 都営住宅においても、都民住宅においても、やはり市場家賃というものを前提にしているということは厳然たる事実なんです。ここでその問題についてだけ議論をするわけではありませんから先に行きますけれども、市場家賃を前提にした考え方ということで、これを改めない限りは、私は問題は解決しないというふうに思うんですね。都民住宅から撤退を望んでいないということは、先ほど私が申し上げたとおりです。今求められているのは、負担可能で、しかも長期に住み続けられる公的な住宅の供給だと思っています。ですから、この問題の解決の方向ということでいえば、この都民の願いに沿った方向で図られるべきであって、また、私はそういうものにこたえることは十分可能だというふうにいいたいんです。  金がかかるといって撤退するんではなく、それこそ原価を安くするやり方、こういうものを研究する、家賃の引き下げ、中所得者、サラリーマン世帯、ファミリー世帯が安心して住むことのできる都民住宅に仕組みを変えればいいと私は思います。わかりやすくいえば、例えば、都民が自分で住宅を建てるときに、自己資金をどれだけ用意できるかでローンの額が全然違ってくる。自己資金が用意できないサラリーマン等の場合は、結局借入資金と同じくらいの利息を払うことになりますが、これと同じなんですよね。都民住宅も、建築費の補助が共用施設だけに限られているために、資金のほとんどが銀行からの借り入れで、その利息の返済は莫大なものになります。家賃補助といっても、実際は高い金融機関からの借金の利息がかなりを占めているわけです。  そこで、原価そのものを圧縮するための方法として、あらかじめ建設費に資金を投入することで借入金を圧縮すれば、利払いを含めたトータルの建設費を抑制して家賃を大幅に引き下げることができるんじゃありませんか。そうなれば、自動的に税金による家賃補助も大幅に圧縮できるということは明らかだと思うんです。さらに、公設を中心にすれば、三十年など期限を切らずに住宅で活用できますし、資産として、都民の財産として残るわけですから、このような取り組みの方が効果的で、しかも都民の税金を有効に使うということになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 都民住宅でございますけれども、先ほども申しましたように、都の直接施行する形の都民住宅については、基本的には都として収束の方向ということで方向を打ち出してございますけれども、民間が施行するものについては、例えば申しますと、九年度予算で、その規模三千七百戸を予定していたものを、民間施行型、いわゆる民活型については、それを四千戸に拡大するということで施策の方向を改めたということであろうかというふうに思っております。  先ほど来、いろいろのご提言がございましたけれども、そうした民間の建設に対しても、東京都として必要な建設費に対する一定の支援あるいは利子補給等々の制度を設けて、入居者の負担額、家賃負担の軽減を図ってきたところでございまして、今後も、引き続きそうした方向で民間の建設の誘導の促進を図っていきたいと考えております。 ◯渡辺委員 私は、民間に対しての支援という、この問題を真っ向から否定するものではありませんけれども、しかし、そういう民間依存で、しかも民間を優先するという、こういうことだけに限ってそれをやろうとすれば、やはり同じ結果にならざるを得ないという問題はあるわけですよね。ですから、そういうものを支援するという傍ら、やはり公設で建てて、今申し上げたような提案の中身で検討していただければ、これは違った意味で、やはり大きな──しかも収入でいえば、下の層の方々への住宅供給というのが可能だし、また、そうすべきだというように私は思います。高い家賃が、市場家賃制度を改めれば、私は十分引き下げることができると。都の財政負担も、そういう意味では撤退しなくても、供給の仕組みを変えれば随分減らすことができるわけですから、そういう方向で研究をして、さらに住宅供給に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  次に、住宅供給公社の一般賃貸住宅の問題でお伺いしますが、これも市場家賃制度を機械的に導入したために、さまざまな矛盾が噴き出しているわけです。本来公社の一般賃貸住宅は、公営住宅対象層より上の所得層ですね、つまり所得分位でいうと三三%から六〇%の間の中所得者層を対象とした住宅。ところが、家賃の算定根拠に地代を算入する市場家賃型に変わり、三年ごとの値上げが導入されてから、家賃はウナギ登りに高額化しました。新築住宅では二十万円を超えるものまで生まれ、都議会でも、我が党だけでなく各会派が取り上げましたが、東大和市の桜が丘団地など、新築住宅で大量の空き家が発生するという事態が相次ぎました。これは住民の取り組みもあり、一部家賃の引き下げが実現していますが、わざわざ高家賃にすることで空き家をつくって、都民の貴重な財産が利用されないということでいいかといえば、そうではありません。これは本来の都市の勤労者、中所得者の住宅という本来の目的からかけ離れたものといわざるを得ないのであります。  お聞きしますが、行政改革の目標が、都民サービスの向上にあるというのならば、このような高家賃の仕組みそのものを見直すことが出発だというふうに私は思いますけれども、いかがなものでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 住宅供給公社のあり方等に係ることでございますけれども、公社につきましては、現在、公社がみずから賃貸住宅を建設し、管理し、かつまた都営住宅の管理を受託しているわけでございますが、そしてさらに、都民住宅の建設、公社施行型の都民住宅の建設といった事業を行っているわけでございますけれども、先ほど申した都民住宅が抱える問題も含めて、さまざまな課題を抱えているのが住宅供給公社の状況でございますので、住宅局及び公社において、今後のあり方について検討しているというふうに私どもは聞いております。その具体的な中身について、どういうことであるかということまでは了知していないところでございます。 ◯渡辺委員 財政健全化計画実施案では、将来の建てかえ需要がふえるとして、その対策を掲げていますけれども、都民が見直してほしいのは、高過ぎる家賃なんですね。都民にとって一番肝心な家賃の問題は、検討されなかったんでしょうか。この財政健全化計画実施案のいわゆる代表的見直しの中に入っているわけで、その点、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。 ◯木内財務局主計部長 平成九年の夏に出しました財政健全化計画の実施案では、住宅供給公社に関連したこととして、次のように申しております。一般賃貸住宅の建てかえ需要への対応を初め、公営住宅の整備管理業務との関連を含めて、住宅供給公社の役割と今後のあり方について検討を行うというふうに記載しているところでございまして、公社住宅の家賃水準については言及がないところでございます。  そうした意味では、この財政健全化計画実施案との関連において、どうしたものが──家賃水準について直接云々ではなかろうかと思いますけれども、それぞれ所管局、公社においても自己の業務として、家賃水準のあり方も含めて、さまざまなみずからの抱える課題について検討するのは、組織として当然のことであろうというふうに考えております。ただ、私どもとして、そうしたことを申すべき立場にはないので、先ほどはあえて申すことを避けさせていただきました。 ◯渡辺委員 今後、建てかえ需要が増大することから都の負担が膨大なものになるといって、都の懐ぐあいだけを心配して対策はいろいろ立てましたけれども、都民の懐ぐあいは、何の検討も対策もないというふうにいわざるを得ないような感じですね。こうした一般賃貸の入居者は、サラリーマン世帯の子育て世帯であったり、最近では高齢世帯がふえています。高家賃が払えない、家賃に家計のほとんどが消えてしまうなど、本当に実態は深刻なんです。今お話がありましたから、あえて質問はしませんが、なぜ、高家賃という、この家賃制度そのものを見直そうとしないのか。ここに、見直しをするという立場に立って本当に見直しをしてこそ、やはり私は都民のいろいろな要望にこたえ得る道だというふうに思うんです。それがやられなかったという点では、本当にいかぬなというふうに思いますね。  そこでお聞きしますけれども、公社ですけれども、これは今赤字なんですか。どういうことになっているんでしょうか。 ◯今村総務局総務部長 昨年度実施いたしました経営評価におきまして、平成四年度から八年度まででございますが、経営実績の評価を行ったところでございますが、それによりますと、公社の財務状況は過去五年間とも収支が均衡した状況でございます。 ◯渡辺委員 公社が赤字で困っているのかというと、全然違うんですよね。実は毎年のように大幅な黒字なんです。ただし、会計上黒字にはなっていませんが、収支を見ると、今のご答弁にあるように収支均衡となっているんです。それだけ見ると、修繕費だとか経費の不足があれば値上げが必要だという説明も、そんなものかなと思われてしまうのですけれども、実はここにからくりというか問題があるんだというふうに思うんです。  黒字の、余ったお金は引当金で処理されております。引当金は会計処理上は費用ですから、剰余金はみんな引当金に充てることで見かけ上収支均衡、もうけはないという仕組みなんですが、では、公社に今幾らの引当金があるかといえば、総額で六百億円ですよ。最近都民住宅などの収入もありますが、引当金の多くは、もともと一般賃貸分なんですね。しかも、修繕引当金や貸倒引当金など法定引当金以外に任意の引当金が、経営改善引当金ということで七十億円、社屋整備引当金は六十五億円など、巨額に積まれております。  数年前に我が党が評議員会で取り上げる前までは、何と十六種類もの引当金がありました。さすがにこれは指摘を受けて整理されましたが、それでも十二種類まだあります。任意引当金だけで三百億円を超える額になっております。しかも退職引当金に至っては、七百人近くの職員全員がある日やめるという想定で、約百億円もの積み立てがされているわけです。民間企業では、会計上、退職引当金はどこまで認められているんでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 今いろいろお話がありましたけれども、ある種の前提として、公社家賃について非常に高家賃であるというお話を前提にしているかと思うんですけれども、なるほどいわれるように、高層の最近のものには高いものもあろうかと思いますけれども、今手元の資料だけで申し上げさせていただくと、公社の一般賃貸住宅の平均家賃は、去年の実績では四万八千円程度でございます。もちろん高いのは二十万というのもございましょうけれども、そうした状況にあるということを前提にお話をさせていただきたいと思います。  そして、今お話のあった…… ◯渡辺委員 質問した問題だけで結構だから。 ◯木内財務局主計部長 引当金の話がございましたけれども、引当金につきましては、私どもこういうふうに理解しているんです。住宅供給公社にとらわれず、法人企業における企業会計原則の考え方にのっとって、企業経営の安定性、将来に対しての、いわば将来の費用に備えた必要なものを引き当てておくということは、法人として、公社もその一つであるわけですけれども、その健全な経営を維持していくことは、入居者も含めて法人としてなすべき役割といいますか、行っていかなければいけないことだろうというふうに思っております。  そんな意味で、住宅供給公社も適切な引当金の計上措置を行っているものと考えております。 ◯渡辺委員 先ほど、主計部長が公社の家賃の平均が四万八千円だというふうに答えられましたけれども、それは、要するに公社の住宅が建て始まった、その古い古い本当に二十年、三十年も前の住宅そのものを全部込みで考えれば、そういうことになるのは当たり前のことですよ。それは全部、二DKという本当に狭くて古くてというのが今の対象で、建てかえなきゃならないということになっているわけでしょう。だけど最近の、今建てられている住宅ということになったら、先ほどもいいましたけれども、四万八千円とか十万円で入れる、そういう住宅はありますかといったら、ないですよ、そんなのは。どんなに計算したって、その地域の関係で、近傍同種の家賃そのものを取るんですから。そんな話じゃないんです。それはそういうことです。  今の引当金の話ですけれども、税法上は、一定率以上の引当金は課税対象になっているというふうに思うんです。私、この数字は定かじゃないんですけれども、たしか五〇%ぐらいだと思いますよ。つまり、一定以上の分が利益の累積と考えられているのではありませんか。公営企業の場合はもっと厳しくて、前の年と当年度の退職者数の差を基準に引き当てたり、取り崩したりしているんです。また、今、引当金は特定目的があればよいとお答えになったというふうに理解しますが、これもやはりおかしい。目的がつけば何でもいいということじゃないんじゃないかと思うんです。  さきに述べたように、数年前に当委員会の委員でもある西田議員が、公社評議員会で、引当金問題をただしたことがありますけれども、その後、OA引当金など十六あった引当金が、先ほどもいいましたように十二に統合された。とりわけ任意引当金が、私は、今十二あると申し上げましたけれども、こんなに必要があるかどうかという点でも、これは十分検討する必要があると思います。  私は、家賃が高過ぎて巨額の黒字が生まれているんだから、十分家賃は引き下げられる、こういうふうに思っています。また、我が党はそういうことでこれまでも要求してまいりました。引当金は、その利益隠しなんです。当然、必要のない引当金は取り崩せばよいわけで、その場合は他に流用するなどということではなくて、家賃を引き下げるために使えばよいと、私たちはこういっているわけなんです。  修繕引当金など、法定引当金もため込んでおけばよいというものでは決してありません。三年ごとの値上げの際の理由は、修繕費の不足額が主な根拠ということになっている。ところが、実際には値上げ分を大幅に上回る修繕引当金が既に積み立てられているわけであります。前回、九四年値上げのときの、値上げの根拠とされた修繕費の不足額が約三十四億円でしたけれども、この年の引当金残高は五十一億円、その後、値上げでふえ続けて、昨年度には何と百八十億円にも修繕引当金が積み立てられている。  この三年間に、修繕費が不足するどころか逆に百五十億円も上がってしまった。これはみんな入居者から吸い上げたものばかりですよ。何でこんなことになるのか。これは初めに指摘しましたように、現在の家賃の仕組みが市場家賃を目標にしている。そこまで家賃を際限なく引き上げるという仕組み、民間家賃と同じやり方ということで、地代や建築コストまで家賃の算定基準に組み込まれているからであります。これは本当にとんでもないことです。  公社の一般住宅の場合には、古い住宅もあり、こうした住宅では土地代も建築費もとっくに償却が終わっているんですから、その分のコストはかからないんです。ところが、あるべき家賃では、これを家賃に組み入れるために、とりわけ地代や建設コストの高い東京では家賃がはね上がる、当たり前ですね。ところが、家賃で集めても実際には使う必要のないお金ですから、たまってしまう。そこで、引当金で隠し込んでおくという、全く変な話なんです。  行政改革のいわゆる効率化とか採算性とかの追及という、この立場からいうならば、これだけ大もうけしているんですから、家賃が高過ぎて空き家だらけなどというむだをやめて、家賃を引き下げる方向で進めるべきじゃないか、また、考え方もそういうことで転換するべきじゃないかというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 引当金については、経営の健全性という観点から、将来に見込まれる費用を法人として留保しているというふうに私どもは考えておりまして、これを目的外に充てるということはどうなんだろうかと考えているところでございます。 ◯渡辺委員 そういいますけれども、公社は、今年度は三年ごとの見直しに当たるとして値上げを準備していたんですね。ところが、予算議会の直後に予定されていた評議員会には、さすがに提案ができなかった。それは一つは、予算議会に提案された公共料金の値上げが否決されてしまったということがあると思います。同時に、この不況の中で、大幅黒字なのに値上げできるような状況ではないということもあったんだというふうに思います。私は、公社自身この矛盾に困っているんだと思うんですね。  全体として上げなきゃならない、足並みそろえて上げなきゃならない、しかし上げればどうなるか、そういう点で、黒字があるわけだから上げられない、こういう矛盾に突き当たっているというふうに思うんです。しかし、公社だけで決められない。それは都の方針が、都市経営論が掲げた公営と民間の家賃の格差がなくなれば、今後公営住宅の建設の必要性がなくなるという考え方を受け入れているからであります。  ここは重大なんです。九〇年の住宅政策懇談会、いわゆる住政懇では公共住宅の役割を民間市場の補完として位置づけ、家賃についても、公共住宅の共通のルールとして公正な市場家賃をベースにすることを求めております。現在の都の住宅行政の流れは、まさに都営住宅も公社一般賃貸住宅も都民住宅も、すべてこの方向に向かって進んでいるんです。  公営住宅にも、応能応益的家賃制度によって市場家賃制度が導入されました。すべての公共住宅の家賃の基本が市場家賃をベースとされているわけであります。しかも入居収入基準が、これまで収入分位の三三%、つまり下から三分の一の世帯まで資格が認められていたのに、法律の改悪によって、これが二五%に引き下げられ、四分の一の世帯しか資格がなくなってしまい、低所得者でも都営住宅に入れなくなってしまったというのが今の実態である。  都のこの方向は、実は、子育て最中で教育費など支出が多く、収入は中くらいはあっても高い家賃は負担できないというファミリー世帯のための住宅はもうつくりませんというのと同じなんですね。高い家賃を払えない人は、どうぞ東京から出ていってくださいといっているのと同じじゃないかというふうに私は思うのです。  成長世代といわれる若年世帯が、安心して住み続けられる住宅を求めて、埼玉や千葉、神奈川へと流出していくんです。私は、財政健全化計画で打ち出された、都営、公社一般賃貸、あるいは都民住宅の建設からの撤退路線は、財政難を好機とした自治体の公共住宅からの撤退、民間依存への住宅政策の転換であるといわざるを得ないのであります。  私は、前のこの委員会でも申し上げましたが、民間活力の活用といっても、何でも機械的に当てはめればいいというものではないはずです。住宅の場合も、施策の目的はやはり住民福祉なんですから、民間のノウハウに大いに学ぶことも必要ではありますが、全部が全部効率的にいくわけではありませんし、行き届いたサービス、行政だから可能な、都民が行政だからこそ期待するサービス、これに積極的にこたえることが今大事なのではないでしょうか。  行政改革の本当の目的は、都民福祉、都民サービスの向上です。民間活力の活用というのは手段であって、それ自体が目的ではないはずであります。その立場から住宅行政に当たっていただきたいと思うわけであります。  次に、都立病院の経営について伺いたいと思います。  都立病院事業は、七九年の公営企業等財政再建委員会の答申で、経営努力の推進、利用者負担の適正化、一般会計負担の明確化という基本方針が打ち出され、その後、徹底した都民サービスの低下に直結した合理化が進められてきました。さらに、八七年には総務局行政監察室による考査が行われましたが、ここでは、さきの財政再建委員会の経営改善方針による取り組みでは限界があり、新たな視点からの抜本的な経営建て直しが緊急の課題となっているとして、競争原理に基づく業務委託化の推進や病床の効率的運用、すなわち稼働率、利用率の向上などが求められたところであります。  以後、都立病産院運営基本指針がつくられ、それに沿って経営改善計画がつくられ、今日に至っているわけです。  そもそも都立病院は、公的病院として、緊急対応や高度医療を初め、小児医療、がん、心臓病、難病等、一般医療機関では対応しがたい不採算医療を提供することとしております。また、地域に開かれた医療機関としても都民の要望は高いものがあるわけであります。このような公立病院である都立病院の経営に行政監察室の考査の考え方が適用されることが、利用者である都民や患者さんたちにとってどうなのか、サービスの向上として歓迎されているのかどうか、これが問われるものだと思います。  ここに、平成八年度における目標管理についてという方針文書がありますが、これは先ほど述べました経営改善計画に基づいて毎年度出されるものですが、この中の平成八年度経営改善の重点課題という項目では、患者の平均在院日数、いわゆる入院日数ですね、在院日数の短縮、高い病床利用率──これはベッドの利用率ですね──の維持と定着、土日、連休減少防止などが掲げられ、収益を最大の目標とする効率性と経済性が色濃く打ち出されております。  我が党も、自治体が住民サービスの向上を図る際に効率性を考慮することは当然であると考えております。しかし、効率性や経済性が自己目的化されて、結果的に都民にしわ寄せが行われていないのかどうか。都民の生命と健康にかかわる問題だけに、こうした問題は重大な問題です。  そこで、きょうは幾つかの問題に絞って伺いますが、これまでもベッドの効率的活用、いわゆる病床利用率の定着ということで、都立病院に入院したが、早く出ろといわれて、酸素吸入器をつけたまま、ほかの民間病院に移されたなどの冷たいやり方が問題にされたということもありました。本日は、この病床利用率が強調される中で、問題となっている土日、連休の減少防止についてお伺いしたい。  土日、連休の減少の防止というのは、一体どういうことなんでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 都立病院の運営につきまして全く了知をいたしておりませんので、お答えすることができないわけでございますけれども、一般的に、退院というのは、医療の必要性といいますか、病状が改善したことに伴って、都立病院において入院していく必要がないということで退院が進むわけでございますので、その場合には、さまざまなことを考えて、なるべく土日は家族とということもあろうかと思いますので、金曜日に退院するケースが多いから、その結果として土曜とか日曜の入院率が低いということになるのではないかというふうに思われるんですけれども、間違っていたら──ちょっとわからないので、で、月曜日に入るということになるんだろうと思います。  あるいは、長期入院している方々についていえば、家族との触れ合いというようなことも考えて、土日は、一時おうちに帰るというんですか、そんなこともケースとしてあるのかなと。そんなさまざまな要因から、休日のベッドの利用率というのが、平日に比すれば相対的に低くなっているかというふうに考えます。 ◯渡辺委員 これを財務局主計部長が答えるという点では、私はいささか(「所管でやったらいい」と呼ぶ者あり)所管でというんじゃないんだ。(「質問する場が違うんだよ」と呼ぶ者あり)そんなことはないよ。ここは行政改革問題をやっているんだ。それで、この問題については、行政考査、こういうものをやったんだから、総務局が答えるのは当たり前じゃないですか。それをなぜ答えないの。(「事前にしっかり打ち合わせやってよ」と呼ぶ者あり)ちゃんと話は通してあるんだ。それをこういうことで答えないで、知らぬ、存ぜぬで済まされるような状況ではないと、私は一言いっておきたいと思いますよ。  今の主計部長の答えがそういうことなんですけれども、要するに、土日や連休には、一般医療が休みますから、患者の入院がないわけですよ。ですから、土日や連休の前に患者さんが退院すると、空きベッドができてしまう。空きベッドができると、収益が落ちる。これでは困るということで、そういうふうにならないように対策をとれというのが、この土日、連休の減少の防止ということなんです。いいですか、土日、連休の減少の防止ということなんですよ。  私もいろいろと調べてみましたし、話もいろいろと聞いてみました。現状が回復して、退院できるような場合でも、土日の病床利用率を高めるために、月曜日までいてもらいたいんだそうですよ。病院はいつもは、まだいたいんだ、もう少し残してくださいという患者さんがいるけれども、そういうときには、希望しても、ベッドの余裕がないからといって退院をしてくださいということで、例えば紹介病院に転送したり、あるいは連携している病院に転送したりということで協力していただいていると。そういうことをやっていながら、土日や連休になると、今度は逆に、退院されるともうけがなくなるんだからといって、退院を希望してもなかなか出してもらえないという状況もあると。これでは、患者さんの意思など無関係に進められているというふうにいったって仕方がないんじゃないですか。  こんなことになるのは、東京都が病院に対して収益を最優先にするということを迫っているからではありませんか。総務局長、どうですか。 ◯木宮総務局長 十年前の行政考査についてのお尋ねでございます。  どういう行政考査の指摘があったかは、私、存じませんが、金曜日の病床利用率の云々という話につきましては、問題は、入院をする患者がいるにもかかわらず、その患者を月曜日まで、例えばですけれども、とめおいて入院できないようにしているという実態があるならば問題でございますけれども、そうでなければ、病床を患者の状況に応じて利用していただくことはいささかも問題ないというふうに思います。 ◯渡辺委員 先ほど説明した内容以上に私、説明しませんけれども、そういう実態があるんだということを理解してくださいよね。私はすべてがそうだと決めつけているわけではありませんよ。決めつけているわけじゃないけれども、そういうことがやはり重点課題として掲げられて、それが取り組まれているということも一つ念頭に入れて、しかも、かなりの人がそういう状況に置かれたということでのいろいろな話が寄せられているということだから私は問題にしたんですから、そういうことを素直に受け入れて、認めていただきたいと思います。  都立病院は自治体病院として、例えば救急など来られれば、何としても受け入れなきゃならないということに努力する、そのために医師や看護婦さんなど病院関係者は大変な努力をされているんです。もともとそうして頑張っているところに、収益最優先で、効率だけが求められるということになったら、どうなるのか。  そこでもう一つ伺いますが、都立病院の緊急用のベッドはどれくらい用意されているんですか。これもちゃんと話を通してあるんですから。 ◯木内財務局主計部長 都立病院は、高度医療を提供するということで都民の期待が高うございまして、全体として都内の病床に占めるウエートは五%程度でございますけれども、その五%のシェアの中で都民の期待にこたえていく、非常にニーズの高いものがありますから、そうしたニーズにこたえ得るような、さまざまな入院期間であったり病床利用率であったりすることも経営の目標に掲げる、そして、そのことによって経営改善を図る、そのことが、都立病院の経営の安定化ということで都民に還元させていくということの基本だろうというふうに考えております。  そんな意味をベースにしながら都立病院が運営されているということと私は理解しているところでございまして、そんな意味で、なるべく緊急の場合についても入院に対応できるよう、ベッドの空き状況ということは病院としては常に把握しているところでございまして、さらにまた、都立病院で必ずしも対応できないときには医療連携ということを都立病院は行っておりますので、近隣の病院との間において提携し、入院を要するような救急患者に適切に対応しているものと考えております。 ◯渡辺委員 私も、いわゆる入院日数を短縮する、あるいはベッドの利用率を高めるということについては全く異議がないんです。それに問題を呈して、やめなさいといっているんじゃないんですからね。そういう点で再度理解をしてもらうために申し述べておきたいと思います。  もう一つお伺いしますけれども、今五%というお話がありました。しかし、私、直接聞いてみたんです、都立病院の救急用のベッドというのはどれくらい用意されているんですかと。そうしたら、一科一床というんですね。一科一床ですから、病院ということになると何科もありますから、五%くらいになるかもしれませんけれども、一科一床だということになりますと、外科でいえば外科で一つしか緊急用のベッドが確保されてないんですね。  一一九番、いわゆる救急隊が都立病院に搬送する患者さんの一日当たりの人数、これわかりますか──こちらでいいます。(「厚生委員会でやればいいよ、かわいそうだよ」と呼ぶ者あり)いや、かわいそうじゃないんだ。これは大事な問題なんだ。だから、そちらに提起してあるんだ。こういう数字を聞きますから、一応確認しておいてくださいよということでお願いしてあるわけだけれども、だれが答弁するかわからないような状態でしょう。数字だから、私がいいますけれども、これは一一九番から、いわゆる救急隊が都立病院だけに運んだ患者さん、年間二万九千二百三十二名。一日当たりにすると大体八十人程度です。救急指定の都立病院が十一ですから、単純に割り返すと、一病院当たり一日七人、こういう計算になる。  中でも、外科や内科などには集中すると思うのです。ところが、用意されているベッドは一科一床ということですから、大変だ。だから救急患者が、救急用ベッドが確保できずに、廊下で点滴を受けたり、あるいは外科の患者さんが他の科に入院させられるなどということが起きてくるんです。他科入院というやつですね。こういうものが出てくる。  医療制度の改悪の中で、民間病院の救急返上が続いている。そういう点では都立病院の役割はこれまで以上に大きくなってきているはずです。しかし、今いったように、一科一床という緊急用ベッドで対応できるんですかということです。全く対応できない。だから、今いったような廊下だとか他科入院をしなくてはならない、こういう事態が生まれているんです。  広尾、あるいは大塚病院の資料を見させてもらいましたけれども、病床利用率、つまりベッドの利用率ですね、これは平均で九七%、平日では九九%を超している。ほぼ満杯ですね。何でこんなことになるのかといえば、やはり効率性、採算性が最優先されるために、普段は空きベッドとならざるを得ない緊急用のベッドがふやされないで行われるということだから、そういうことになってしまうということだと思うのです。  私は、行政監察室の考査は、結果的に、人の生命にかかわるこんな大事なことが後回しにされるような方向を求めているんだと思います。自治体が運営する不採算部門を受け持つのは当然の役割であり、そういう使命を負わされている都立病院に、効率性や採算性だけを、その役割を棚上げしてしまうまで、しかも民間病院と同じような経営方法までとらせようとするのは、本来の行政改革から大きくかけ離れた姿勢だといわざるを得ないのであります。  もう一つ、民間活力の活用ということで、最近導入された正規看護助手というのがありますね。正規看護助手──正規といったらおかしいですけれども、導入された看護助手です。この問題について、ちょっと申し述べておきたいと思います。  都立病院では、人員削減ということで、看護婦をふやすかわりに民間に委託して、派遣労働者として看護助手を受け入れています。この看護助手の仕事は、ベッドシーツやまくらのカバーの取りかえなど、限られているんですね。シーツを取りかえるときには、看護助手の人は病室の外で待っていて、看護婦さんが患者さんを他のベッドに移してから、ベッドを廊下に一たん出すと。そして、ベッドが出されてから、そのシーツやカバーを取りかえる。取りかえたら、今度また看護婦さんがそれを中に入れる。こんな面倒なやり方をなぜやらなければいけないのか。実態としては、この看護助手が正規の看護婦さんを使っているという感じでしょう。看護助手に正規の看護婦がつかなければならないという、そうい余りにもおかしな現象というものが生まれてきているということです。民間に委託した方が、同じ仕事量で安く上がる、効率がいい、都民サービスの向上につながるんだと、こういうことだけで進められたのでは、本当に患者さんはいい迷惑だということを、はっきりとここで申し述べておきたいと思います。  そんなことだから、行革そのものが都民いじめとしてしか思い浮かばなくなる、効率性の視点から見ても、都民サービスの視点から見ても、行政改革というよりも、これこそ本当に見直しをしなければならないというふうに私は思いますけれども、いかがなものでしょうか。 ◯今村総務局総務部長 行政考査の目的につきまして少々誤解があったようなので、申し述べさせていただきますが、本来、行政考査の目的は、行財政の公正、効率的な執行を確保するとともに、その運営の積極的な改善に資することを目的としたものでございまして、都民要望や社会経済環境が著しく変化しておりまして、事務事業の執行方法や執行体制も、これらの変化に柔軟に対応する必要があるのは当然でございます。  さらに、大変厳しい財政状況の中で、都民の要望に的確にこたえていくためには、病院といえども、最少の経費で最大の効果が得られるよう、事務事業全般にわたって常に自己点検を行っていく必要があるのは自明の理でございます。病床利用率につきましても、こういう観点から行政考査をやらせていただくということと理解しております。 ◯渡辺委員 私も、在院日数の短縮化とか、あるいはベッドの効率的な利用という点では、いささかも問題にしているわけじゃないんです。しかし、効率性とか経済性、こういうものが余りにも強調され、そしてそれが追求されるために、今私が幾つかの例を出しましたけれども、実際にはこういう事例が生まれているんです。幾ら経済性を追求するからといっても、あるいは幾ら財政的な事情が今大変だからといったって、事は人の生命と健康にかかわる問題ですよ。それを無視して、経済性や効率性だけを追求するなどというのはとんでもない話だ、私はそう思います。  現在、都立病院の経営というのは、財政再建委員会や行政考査の方向で、全面的にはまだ実施されているというわけではないですね。その方針すべてを実施しているという内容ではない。公立病院としての使命や責務を求める都民や、あるいはまた病院関係者、そういう方々の努力によって、この都立病院という役割を果たさなければならないという点で、少なくない施策が守られている。しかし、本日取り上げた一、二の例のようなやり方が、効率的運営や採算性の重視などのもとで拡大されるようなことが行われるとしたら、これは自治体病院としての役割を果たせなくなるといわざるを得ません。国の相次ぐ医療改悪のもとで、都民の生命と健康を支える公立病院に今必要なことは、自治体の本来のあり方に立つことであり、都がそのための惜しみない支援を行うことは、決して行政改革の趣旨に反するものではないし、むしろそういう方向で浪費やむだをなくして、都民サービスの向上を図ることこそが、私たち都民が願っている行政改革というものではないか、このことを厳しく指摘しておきたいと思います。  この間、この委員会において、都民にとっての行政改革とは何なのか、自治体本来の立場に立った行財政運営とはどうあるべきかを取り上げて考えてまいりました。各会派の委員の皆さんも、それぞれの立場、角度から、こういった問題を取り上げてこられたと思います。このことを通じて、都が進めてきた行政改革大綱と、それに基づく財政健全化計画の路線が、本来あるべき自治体のあり方から外れ、とにかく都民サービスの切り捨てや縮小に傾いていることも明らかになったというふうにも思います。  私は最後に、本来の行政改革とは一体どのようにあるべきかについて、この機会に率直に議会として検討すべきであることを考えたいというふうに思います。  以上をもって、きょうの私の質問を終わります。 ◯内田委員長 この際、議事の都合により、暫時休憩をいたします。    午後三時三十三分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時五十五分開議 ◯内田委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯石川委員 それでは、幾つか質問させていただきたいと思います。  まず、昨年の夏にこの委員会が発足された当時は、どちらかといえば、都財政の厳しい状況の中での財政再建、あるいは行政改革という道筋で進んできたんだろうと思います。当然、その中には都区制度改革や地方分権の流れも視野には入っていただろうとは思いますけれども、昨年の十月に地方分権推進委員会の第四次勧告が出され、また、危ぶまれておりました都区改正の、自治法の一部改正につきましても、関係者のご努力によって、四月三十日に参議院で成立をするということで、まさにこの地方分権の流れが急転、そして来週中には、国の地方分権推進計画が閣議決定されるという状況下を見てまいりますと、これからの都の行政改革は、まさにこれらの二つのテーマと並行して、同時に進めていかなければならない時期を迎えたんだろうと思いますし、また、そのことによって大変な作業も要するというふうになってきたと思います。  このことは、昭和十八年に東京府と東京市が合併をして、今日まで東京都の自治は特殊な自治、いわゆる本来区市町村が持つべく事務と広域事務をあわせ持ってきた、この体制が抜本的に変わる時期を迎えた、本来の府県行政に立ち入る時期を迎えたといわざるを得ないと思います。したがいまして、今回の行政改革は、まさに都制度そのものを変革する改革になるのではなかろうか、こんな視点から、私は幾つか質問をさせていただきたいと思います。  そこで、まず、ことしの四月三十日に、都区制度の前提であります地方自治法の一部が改正をされたわけでありますけれども、今回の制度改革でどのような事務が都から区へ移管されるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
    ◯鈴木総務局行政部長 今回の都区制度改革によりまして、東京都から特別区の方に移管をされる予定になっております事務は、数にして三十余りでございます。その主なものといたしまして、まず一般廃棄物の収集、運搬、処分等の清掃事業、これが一番中心となる大きなものであることはご案内のとおりでございますが、そのほか主なものといたしまして、例えば区立の小中学校で使用する教科書の選定、あるいは区立学校の教育課程の編成、区立学校に勤務する教員の異動承認等についての内申を行うといったような教育に関する事務、あるいはまたホルムアルデヒド、トリクロロエチレンといったような有害物質を含有する家庭用品の規制に関する事務、さらに、良好な市街地を形成するために、建築物の容積率、高さ制限あるいは外壁後退といったような特例を適用するための、いわゆる特例街区の制度でございますとか、あるいは屋外配管を通じまして、複数の建築物に熱を供給する地域冷暖房施設、こういったものに関する都市計画決定、こういうような事務が主な移管予定の事務の内容でございます。 ◯石川委員 今、予定している事務事業としては三十余りあると。これらはどういうふうに今後なっていくんですかとお尋ねしますと、実はこれから検討なんですと、必ずこういうふうに答えが返ってくるわけでありますが、いずれにいたしましても、この夏までには、これまでの行政改革の、いわゆる組織の再編の中では、八月までには素案を出すということで取り組んできたわけで、既に三十の事業が区に移管されるということは明確になったわけでありますから、詳細はこれからではありましょうが、これによって東京都の組織は、また、事務処理の合理化によって、執行体制、人員はどのぐらい変わってくるのかという試算はされていますか。 ◯鈴木総務局行政部長 先ほど申し上げました三十の事務事業でございますが、これは先ほど申し上げましたように、平成十二年の四月に移管をするということで、現在、それに要する具体的な経費でございますとか、いろいろな関係の対象人員等も含めまして、どういう形で、いかにスムーズに移管をさせていくかということを事務的にまだ検討している段階でございまして、具体的に、それに伴います都の組織がどういう形になっていくかということにつきましては、今後もう少し検討したいというふうに思っております。 ◯石川委員 何回お尋ねしても、実はそういうお答えが返ってくるわけですよね。しかし、この夏に組織の再編の素案を出すということですから、それでは、仮に清掃事業一つに絞りまして、いろいろこれから詰めなきゃならない問題はあるんでしょうが、十二年の四月一日に、今都が描いている移行が行われたとしたら、都の清掃局の組織はどのように変化するのでしょうか。 ◯鈴木総務局行政部長 基本的に、現在都の清掃局で行っております収集、運搬、処理、処分といった業務は、原則として特別区の方に移管をされるということになりますので、いわば都道府県という立場での、広域的な立場での清掃に関する業務は一部残るかと思いますけれども、それを除きましては、原則として区の方に移管をされるということで、清掃局の現在の組織というのは、簡単にいえば、大部分はなくなるということになろうかと思います。 ◯石川委員 都区制度の改革によって、東京都の一つの局が、セクションがなくなる、こういうことは予想はされているわけでありますけれども、今後こうした取り組みを展開しながら、都の組織再編の素案の中に、より具体的に明示されるように要望しておきたいと思うんです。  というのは、これほど行革が叫ばれ、都区制度が現実のものになり、地方分権が、いわゆる視野に入れなければならない段階から、実施を目指して作業を進めなければならない段階に来たにもかかわらず、いまだに都庁全体から、この辺での職員の熱意が伝わってこないんですよ。いまだにその具体論が明らかにされてこないというところに、取り組みに対する都の姿勢がいまいち弱いのではなかろうか、こんなふうにいわざるを得ないのであります。  この問題の続きとして、次は都区制度の改革に伴いまして、今度は事務の方から、移管される事務にかかわる経費の財源の問題でございますけれども、これはどのように措置されるようになりますか。 ◯鈴木総務局行政部長 移管事務に伴います財源措置、経費の問題でございますけれども、今回の制度改革に伴いまして、都から特別区に対しまして入湯税、ゴルフ場利用税交付金、航空機燃料譲与税、この三税等を移譲するということにいたしております。さらに、清掃事業等、今回新たに移管をされます事務事業につきまして、その所要経費を算定した上で、新しい都区間における財源配分割合に反映をさせていくということにいたしております。 ◯石川委員 それでは、新しい都区間における財源配分は、どのような考えで検討していくのでしょうか。 ◯鈴木総務局行政部長 新しい都区制度のもとにおける都区間の財源配分、具体的には都区の財政調整制度における財源配分が中心になろうかと思いますけれども、ご案内のとおり、現行の都区財政調整制度につきましては、特別区側のみの需要額を算定いたしまして、調整での配分割合を決定する、こういう方式をとっているわけでございます。  これに対しまして、今後の新しい都区財政調整制度におきます調整税の都区の配分割合につきましては、都区の双方の決算額を基本にいたしまして、それぞれが行っておりました大都市事務の需要額を積み上げいたしまして、そこで生じる財源不足額の割合によって配分割合を定める、こういう基本的な考え方は、既に平成六年に都区の間で合意をされているところでございます。  したがいまして、現在、都が実施をいたしております大都市事務につきまして、個々の事業の性格なり、あるいは他の大都市における状況、また、そういう事業の歴史的沿革、そういったことについて精査を行っているところでございまして、今後、それらの結果を踏まえた上で都区間で具体的に協議をしてまとめていく、こういうことで、今、具体的に事務的な準備なり検討を実施している段階でございます。 ◯石川委員 それでは、いつまでに新しい都区間の調整における配分割合をお決めになるお考えですか。 ◯鈴木総務局行政部長 新しい都区制度でございますけれども、ご案内のように、平成十二年の四月に実施をされるということでございますので、平成十二年の第一回定例議会には、その新しい形での財政調整条例の改正案、あるいはそれに関連します予算案等をご提案申し上げまして、ご審議をいただく必要があるわけでございます。そこからいたしまして、それに間に合うように手続を進めるという必要があるわけでございます。  今後、そうしたスケジュールを前提といたしまして、都区間の協議というのをさらに精力的に進めてまいりまして、できるだけ早い時期に都区間で配分割合についても合意をしてまいりたい、このように考えております。 ◯石川委員 都区移管制度の問題で最も大きな課題といえば、新しい都区間の財源調整のあり方だというふうに思います。大変難しい作業でありましょうし、また、私の出身地であります練馬区のような東京周辺区では、都区財政調整制度における交付金は収入の大きな割合を占めておりまして、これなくしては区財政が立ち行かない状況であります。平成十二年の都区制度改革後においても、このような状況には変わりありません。特別区の行財政運営に支障がないよう、新しい都区間の財政調整にかかわる都区の協議を進めていただくよう強く要望して、次の質問に移ります。  地方分権行政改革の流れについてお伺いいたします。  都は現在、行政改革に取り組んでおりますが、それと並行して、地方分権改革についても、国の地方分権推進委員会の勧告や、それに基づく地方分権推進計画にのっとり、東京都地方分権推進計画の策定などの取り組みを行っています。  地方分権については、都議会においては地方分権推進特別委員会が当委員会とは別に設置され、活発な論議が行われておりますので、分権改革の中身については、そちらに譲ることとし、ここでは行政改革地方分権との関係に絞って、幾つかお伺いをいたします。  地方分権改革が実施されますと、機関委任事務制度の廃止などに伴い、現在、東京都が執行している事務が国の直接執行となったり、勧告に従って区市町村に移譲される事務もあり、その部分については、当然、都の執行する事務は減少することになります。また、国の地方に対する関与が縮減されたり、廃止される事務があり、それに伴って都の事務処理の合理化を図ることも可能となるものであります。  そこでまず、確認しておきますが、地方分権をめぐる国や東京都の今までの動きと、最近の動向はどうなっているのか、お示ししていただきたいと思います。 ◯中島政策報道室地方分権担当部長 まず、国の動きについてでございますけれども、地方分権推進委員会の一次から四次までの勧告を受けまして、政府は来週中にも地方分権推進計画を閣議決定すると報道されているところでございます。この計画では、地方自治法を初めとする関係法律改正を来年の通常国会に提出するというふうに報道されているところでございます。  このような国の動きを受けまして、都としましては、政府の分権推進計画の内容を踏まえながら、七月下旬を目途に、都における地方分権推進の基本方向を示す東京都地方分権推進計画大綱を策定する予定で、現在、鋭意作業を進めているところでございます。その後、この大綱に沿って、国の法令改正などと合わせながら、都としての地方分権推進計画を策定していく予定でございます。  また、これらの作業とは別に、国の地方分権推進委員会は、ことしの夏を目途に、国から地方への事務権限移譲を中心とした第五次勧告を取りまとめるべく検討を進めているというところでございます。 ◯石川委員 そのようなスケジュールで、今後、機関委任事務のうち約六割が自治事務となるということでありますが、これらの中には、都独自の判断で事務の執行方法を見直し、合理化を図ることができるものがあるはずであります。  その一方で、都は、平成十年度中に行政改革大綱の見直しを行うとしています。分権改革が、都庁の役割を見直すなど広範に都政を変えていくものであれば、それはまさに行政改革そのものではありませんか。現行の行政改革大綱でも、区市町村への分権を掲げ、事務移管に取り組んでいます。  分権の推進大綱もこの夏に出されるとのことでありますが、行政改革との関係はどのようになっていくのでしょうか。 ◯幸田総務局行政改革推進担当部長 ご質問でございますが、自治と分権の確立は、副委員長お話しのとおり、現行大綱でも大きな柱の一つとして位置づけているところでございまして、行政改革を進めるに当たりましては、地方分権の動きを的確に反映していくことが重要であると認識をいたしております。  したがいまして、行政改革大綱の見直しに当たりましては、地方分権推進計画大綱の趣旨も取り入れて、八月中にその見直し方針を策定してまいります。 ◯石川委員 そこで、行政改革は総務局、地方分権政策報道室で担当しておりますよね。しかし、この両者は、たった今答弁があったように極めて密接な関係にあり、その連携にいささかのそごがあっても、あすのよりよい都政を築く上で大きな障害となるおそれがあるのではないかと、私は危惧しているところであります。  もちろん、関係があるから同一局で、あるいは同一部でと短絡的発想を持つものではありませんが、昨今の縦割り組織の弊害が指摘される中で、不安を覚えるのは私だけではないだろうと思っています。二つの大改革が連携のとれたものとなるよう、速やかにその所管のあり方を検討していただきたいと思います。  次に、現在進められている地方分権改革は、それこそ明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革といわれるほどの大改革とされています。したがって、分権改革を進めていくためには、国、地方を通じて膨大な作業を行っていく必要があるといわれております。  そこで伺いますが、分権改革を進めていくに当たって、東京都が行わなければならない事務作業にはどのようなものがありますか。 ◯中島政策報道室地方分権担当部長 分権改革に伴う事務作業の主なものとしましては、まず、機関委任事務制度の廃止に伴う地方自治法を初めとする五百本以上の法令改正が必要だといわれております。都としましては、これに対応して、都の条例、規則の制定、改廃を初めとした所要の措置が必要になってきます。また、機関委任事務制度が廃止されることに伴い、現在徴収している手数料につきまして、原則として都の条例で制定する必要が生じてきます。  次に、国と区市町村役割分担の見直しや必置規制の見直しなどに対応した事務の見直し、さらに区市町村に事務を移譲するものにつきましては、事務引き継ぎ等に係る調整などが行われなければならないということでございます。  いずれにしましても、都の分権推進計画策定後は、一気にこれらの具体的な作業を進めていく必要があると考えているところでございます。 ◯石川委員 ただいま説明のあったものだけでも、確かに膨大な事務作業量が今後早急に行われなければならないと推測されるわけであります。  そこで、このような膨大な事務作業を限られた期間内に着実に進めていくために、執行体制の強化が必要だと考えますが、その取り組みはいかがでしょうか。 ◯中島政策報道室地方分権担当部長 都では、このような事務を着実に進めていくために、分権改革に対する取り組み体制の強化を図ったところでございまして、本年二月に、知事を本部長とする分権改革推進本部を発足させたところでございます。また、労働経済局や衛生局といった機関委任事務を多数所管する局に対して、各局ごとに推進本部を設置することを要請して、取り組み体制の強化を図ったところでございます。  今後、国における法令改正等の進捗に合わせて、各事務ごとに条例、規則の制定、改廃の必要性の有無の検討や手数料の条例化の検討など、先ほど答弁したような事務作業を進めていく必要がございます。作業量がどの程度になるかにつきましては、国における法令改正等の具体的な内容が明らかになっていない現時点では不明でございますけれども、比較的短期間に相当量の作業を行わなければならないというふうに想定しているところでございます。  このため、関係局に対して、国の動向の把握に努め、検討作業にできるだけ早く着手するなど、取り組み体制を強化し、遺漏なきを要請しているところでございます。 ◯石川委員 いずれにいたしましても、分権への具体的作業、それに伴う都の組織の新たな効率的な体制づくりに遺漏なきよう努めていただきたいことを要望しておきます。  この問題の最後に、分権改革後の都の役割について伺いたいと思います。  分権改革が行われれば、当然、東京都の役割も、分権時代にふさわしい新たなものに脱皮していかなければならないと考えます。住民に身近な事務は住民に身近な区市町村が実施し、国がこれまでの行政のあり方を大きく変えなければ、間に挟まった都道府県の役割は不明確なものになってしまうおそれがあるからであります。  現に最近、再び道州制論や連邦制論が盛んになるとともに、中には、全国の自治体を三百程度の大きな市に再編し、都道府県を廃止すべきとの議論もあります。しかし、私は、二層制の地方自治制度は、分権改革後も必要であるという立場であります。むしろ道府県と区市町村が相まって、全体として地方自治を充実していくことが、今こそ重要であると考えます。  分権改革後の都の新しい役割とは、どのようなものであるべきなのか、そして、区市町村との役割分担はどのようにすべきなのか、最後に室長にお伺いいたします。 ◯佐々木政策報道室長 分権改革後の東京都の役割でございます。  私、この問題は、二つの方向から考えるべきだろうと思っています。事務的には、分権の流れの中で東京がどうあるかということ、もう一つは、二十一世紀に向けて、首都としての東京が、分権が済んだ後も、なおどういう役割を持つべきだろうか、こんなことを考えるべきだろうというふうに思っております。  今ご質問の、今回進めております分権に伴う東京都の役割について申しますと、国が、基本的に国家として存立にかかわる事務とか、全国的な規模あるいは全国的な視点で行う施策を行うというふうになっておりますし、市町村は逆に、都道府県が行うものを除いて、基本的には身近な行政は全部やるんだ、こんなふうな整理をされております。そういう中で都道府県の役割というのは、広域にわたるものであるとか、処理を効果的、効率的に行うための一般の市町村を超える規模あるいは能力が必要とされるもの、それから市町村に対する連絡調整、こんなものがあるだろうというふうに思っております。  今回、市町村優先というのがかなり前面に出されておりますので、その中で、やはり統一的な処理とか連絡調整の事務というのは、比較的ウエートが下がっている、こんなふうに私どもは思っております。  それから、広域的にわたるもの、例えば広域的な交通体系の整備であるとか、都内全域にわたる環境問題であるとか、さらには市町村を超える規模での、例を挙げますと、流域下水道であるとか、高度医療のような高度、専門性のあるものだとか、こういう広域性のものは、私どもがきちっと受けていかなくちゃいけないだろうと思います。  そして、もう一つの流れとして、私どもは、東京は引き続き首都であるべきだ、こういうふうに思っておりますから、その立場からしますと、今後、二十一世紀における世界、アジアあるいは日本の中での東京の位置づけというのは、国が身軽になればなるほど、いろんな面でまた変わってくる部分もあるだろう、こんなふうに思っております。  いずれにいたしましても、今後、東京都の地方分権推進計画を策定していく中で、分権時代にふさわしい東京都と区市町村役割分担というものを具体的によく検討していきたい、こんなふうに思っております。 ◯石川委員 分権の流れ、それも大事であります。しかし、より効率よい東京の体制をつくり上げることも必要でございますので、そうした立場で取り組んでいただきたいと思います。  最後の質問ですが、行政改革の大きな柱である組織再編について、何点かお伺いをしたいと思います。  効果的な施策展開を行うためには、内容もさることながら、その実施タイミングも極めて大きな要素であります。行政改革が都政の緊急の課題であるならば、組織再編には、一日でも早く実現に向けて取り組んでいかなければなりません。手順や手続は大事でありますが、タイミングを逸してしまっては、幾らすばらしい組織改正案だったとしても、効果が半減してしまいます。バブル崩壊の景気低迷に対する景気刺激策として、六十兆円を超える公共投資が行われてきましたが、内外からの評判は、小出しであり、後手後手であるといわれております。今回の組織再編とは単純に結びつかないかもしれませんが、時期を逸せず大胆に実施することが、都庁の信頼を回復する上でも、財政を健全化する上でも大変重要なことだと考えます。  ところで、さきの第一回定例会でも触れたところでありますが、財政健全化については、中長期的に、一層の財政構造改革と高コスト構造の是正が必要であると指摘してまいりました。また、財源不足については、安易に都民に転嫁するのではなく、行政改革の一層の推進によるスリムな都政への転換により捻出すべきであるとの観点から、使用料等の値上げにも反対してきたところであります。  そこでまず、組織再編は都庁のスリム化を念頭に置いていると考えていいですね。 ◯山本総務局組織担当部長 むだのない都政運営は行政改革の目指すところでもあり、スリムな執行体制を確立することは極めて重要なことと認識しております。組織を構造的あるいは機能的な面から見直しを行い、一層の簡素効率化に努めることは、組織再編の前提と考えております。 ◯石川委員 今、組織を再編し、都庁をスリム化するとの明快な答弁をいただきました。これは、いわば都庁を小さな政府にするということだと思うのであります。しかし、組織をスリム化することは、俗に組織防衛という言葉があるように、大変難しいと思います。組織には、それぞれ存立の理由があるからであります。  そこで、予算でいうシーリングの考え方を取り入れて、あらかじめ組織の数を明示して取り組むという方法をとることも考えられます。国の動向の是非は別といたしましても、一府十二省庁とする明確な数値目標を定めました。こうした国の省庁再編における数値目標を、今回の組織再編にも当てはめ、局数を明示するという考えはありますか。 ◯山本総務局組織担当部長 組織再編につきましては、国を含めさまざまな考え方がございますが、今回の組織再編は、社会経済状況の変化に的確に対応し、事業のあり方や執行方法を見直す観点から検討をしているものでございまして、局の数をあらかじめ念頭に置いた組織再編を考えているわけではございません。具体的には、都が真に果たすべき責任範囲の確立、組織の能力を最大限発揮できる体制の確立、明確な責任と権限のもとに事業成果が明らかとなる組織の編成を目標といたしております。今後とも、効果的、効率的な事業執行を確保することによって、都民サービスの一層の向上に資するよう組織再編に取り組んでまいります。 ◯石川委員 伺いますと、いわゆる進め方として、総務局が各局にいろいろな考え方を投げる、それに対する各局の答えを精査すると。こういうやり方でありますと、今申し上げましたように、スリム化するといっても、本能的に組織防衛に各局は走るわけですよね。したがって、やはり担当局なり、あるいは推進本部なりが目標を定めて、それに向かって何ができるのかというやり方も検討すべきではないか、私はこのように思います。あわせて、組織をスリム化すれば、当然のこととして人員も削減されると考えますが、この点はいかがですか。 ◯大関総務局理事 まず、職員定数や組織を考えるに当たりましては、事務事業がどうなっていくか、これが前提になろうかと思っております。事務事業を考えるに当たりましては、時代の変化を踏まえまして、行政が行うべき仕事の質、それから量、こういったものを見積もりまして、その上で仕事を管理執行する、例えば職員の数であるとか、こういうスパンを考慮しながら、どの程度の組織が、一番都民にとって最適な行政サービスを効率的に行えるのか、こういった仕組みづくりをするということが必要ではないか、このように考えるわけでございます。  したがいまして、今後、事務事業の見直しや、区市町村あるいは民間との役割分担のあり方が検討される中で、ご指摘のように、組織のスリム化が進めば、これに伴って職員数となる定数の見直しが入ってくる、このように考えております。 ◯石川委員 また、小さな政府にするということでありますけれども、都民サービスの質の低下を招かないという二つの課題を同時に解決するためには、現在の都庁の仕事をアウトソーシングしていかなければなりません。この点に関して、我が党は従来より、官民の役割分担を明確にして、民間でできるものは民間に任せるべきだとして、また、清掃作業の委託化など具体例を挙げて指摘してきたところであります。また、民営化や民間委託化は、新たな雇用の場を創出しているわけで、失業率が近年にない急上昇をしている現在、こうした観点も踏まえて実施していくべきだと考えます。  そこで、改めて確認しますが、組織再編に当たっては、民間に任せられるものは徹底して任せるべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 効果的に事業を実施するためには、最適な事業主体を選択することが重要でございまして、組織再編の基本的な考え方におきましても、民営化を推進し、民間でできるものは民間の事業とするといたしております。民間活動の活発化や成熟化、規制緩和などの社会状況の変化を踏まえつつ、民間委託を含む広い意味での民営化を進めてまいります。 ◯石川委員 そこで、具体的に伺いますが、さきに示されました行政改革の取り組みの中でも、この民営化、また民間委託に幅広い意味で取り組んでいくというご答弁もありました。具体的に、今どういう作業を進めておられるんでしょうか。  例えば、考えられる交通局の都営交通なりバス事業については、民間にするのかしないのか、今検討されているんでしょうか。また、公営企業あるいは公営特別会計等々で行われている事業で、民間でやれるもの、それは今、俎上に上がってどういう検討をされているのか、具体的にお示ししてください。 ◯山本総務局組織担当部長 現在、委託を含む民営化につきましては、行政改革大綱に基づいて進めているところでございまして、今後、新たに進める委託等を含む民営化につきましては、新たに制定されます行政改革大綱等で検討されることとなります。 ◯石川委員 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、総務局に伺いますと、すべて原局に投げるんだそうですね、やり方として。交通局に民営化するのかしないのか検討しろといったって、これはなかなか答えは返ってきませんよ。皆さん、ここに集まっている三局のトップマネジメントが、どうするんだ、どういう方向を目指すんだという、ある一定の指針を出して、それに基づいてどうなんだと、返事を持ってこいというなら話は進むんでしょうけれども、今のやり方は、要するに課題はあり、進め方はあっても、その手順、方法については原局任せ──原局から現行どおりにしてくれといわれれば、またそのとおりになってしまうのか、あるいは、そこで初めてトップマネジメントが発揮されて、そうじゃないんだと、都庁全体の視点で結論が出てくるのか、その辺の手順といいましょうか、順番というんでしょうか、結論を出すまでの考え方について教えてください。 ◯浪越総務局理事 民営化等についての、今回の組織再編についての検討の方法あるいは状況等でのご質問だろうと思っております。  私ども、現在、各局との間でいろいろ問題点を提起し、局の意見を踏まえながら、我々としても全庁的な立場で種々検討し、一定の結論を出し、今後、行政改革大綱の見直しの中で明らかにしてまいりたいと考えております。 ◯石川委員 既に当委員会が設置されて、はや一年たとうとしているわけですよね。この問題だけじゃないんですよ、監理団体も実は同じなんですよね。我が党が繰り返し主張してまいりましたこの監理団体の統廃合については、昨年から実施した経営評価を踏まえ、団体の一割を超える十団体を削減することとしました。これは一定の評価をします。しかし、混迷を続ける日本経済の状況を考えれば、都の財政好転はイバラの道でありましょう。そうした中で、都は監理団体に対してさまざまな業務委託をしています。事業の効率化のために委託しているのであれば、委託先の監理団体についても、なお一層の経費削減に向けた取り組みが必要であります。こうした取り組みを強化するためにも、全庁的な立場で、監理団体の人員や予算といった分野も含めた指導監督をするセクションが必要だと考えますが、このような具体的な組織の整備は、組織再編素案の中に盛り込まれますか。 ◯山本総務局組織担当部長 組織再編素案は、さきにお示しいたしました組織再編基本的考え方に基づき、都の事務の分掌を再編整理したものと考えております。ご指摘の、監理団体の指導監督のような横断的課題に対応する組織につきましては、組織再編素案を取りまとめる中で検討してまいります。 ◯石川委員 最後に、政策立案機能の強化についてお伺いします。  組織再編の基本的考えの中でも、権限の配分を、チェック・アンド・バランス重視から戦略性、機動性重視へと転換し、トップマネジメントとしての政策形成機能の強化を図るとされていますが、そこには私の申しました考え方も含まれていると理解しています。ところで、トップマネジメント機能を強化するその一方で、基本的な考え方では、同時に局の政策立案部門も強化するとしています。これについては、若干理解できないところがあります。別に局の政策立案部門の強化が悪いとは思いませんが、トップマネジメントとしての政策立案機能と局の政策立案部門を両方強化すると、今までどおりチェック・アンド・バランス重視になるのではないかと思います。トップマネジメント機能としての政策立案部門の強化と局の政策立案部門の強化とは、そもそも両立するものでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 トップマネジメントとしての政策立案部門の役割は、都の重要施策の企画及び総合調整、基本的な構想、総合的な長期計画の策定等でございます。局の政策立案部門の役割は、局の事務事業にかかわる企画立案や計画の策定等でございます。両部門は、相互に補完の関係にございまして、ともにその機能を強化することによりまして、都政全体としての政策形成機能が強化されるものと考えております。 ◯石川委員 次に、組織再編にはいろいろな課題がありますが、従来から縦割り組織の弊害について議論があり、都政の課題を横断的に解決する組織編成が必要であると思います。我が党は、さきの総合経済対策に関する提言において、都における防災対策事業は、ソフト面でいえば、震災復興計画を担当する政策報道室、震災予防計画を担当する総務局、都市防災づくり推進計画を担当する都市計画局に分かれており、また、ハード面では住宅局や建設局等が実施しているなど、各局がばらばらに行っており、ハード、ソフトを含めた都市防災づくりを進める総合調整機能が弱体化しているとしてきました。そしてまた、各局が進める防災対策全体を総合調整する体制をつくるべきと主張いたしました。災害対策は、予防応急対策、災害復興といった一連の行政施策を統一的に執行する中にあって、ソフト、ハードの両面から総合的に取り組む必要があります。都民一人一人にとって、その一連の流れが、それぞれの局や部といった役所組織の壁によってずたずたに分散されたのでは、真の災害対策とはなりません。  そこで、最後に総務局長に伺いますが、組織再編を果断に実施するためには、上に立つ者の強力なリーダーシップが不可欠であろうと思います。総務局長の決意のほどをお聞かせ願いまして、質問を終わります。 ◯木宮総務局長 組織問題を初め各方面の問題について、いろいろとご質問いただきました。二十一世紀を前にして、今、いろんなところでいろんな改革に取り組まれているのはご承知のとおりでございます。行政におきましても、法律に規定されたとおりに行政を執行する画一的な行政から、住民ニーズに対応して、それぞれに、自治体等で創意工夫を凝らす行政を展開するという多様化の時代も迎えております。また、そういう側面もある一方で、規制緩和、そして今回成立いたしました都区制度初め地方分権推進計画、こういうような動きもございます。  こうした中で、都庁も今、大きな時代のうねりの中で、改めてといいますか、その果たす役割について問われてきているものというふうに思っております。私ども、この組織再編は、こうした状況の中で、来るべき二十一世紀を視野に入れたあすの都政を見据え、将来の世代のためにもなし遂げねばならない大きな課題であるというふうに思っております。私は、この行政改革、そして組織再編の責任者としてその責任を全うするべく、職員の先頭に立って精いっぱい頑張りたいというふうに思っております。 ◯石井委員 今日の都政の課題に対して、都庁総体としてどう調整しながら都民の要望にこたえていくかという立場から、お尋ねをしたいと思います。  間もなく東京都の総合経済対策が出ると思いますが、国の財革法と景気対策、この論議の中でも、限られた財源をより有効に使いながらいかに景気浮揚をしていくか、財革法を変えなきゃいけないというようなことで、いろいろと人、物、金がない中で、いかに効率的に今日の課題にこたえていくか、非常に大きな議論を呼んでいるところであります。間もなく、来週の初めにでも景気対策、総合経済対策が出ますけれども、今日までの八年、九年、起債を五千億に抑えてきた、そういう枠がある中で、いかにこの景気対策にこたえるか、財務当局を初め各局の皆さんも大変苦心されていると思います。  したがって、そうした問題と執行体制、執行体制をよりよくすることによって今日の課題にこたえることができるんじゃないか、こんな視点からお尋ねしたいと思います。  まず初めに、私たち公明としても、総合経済対策に対して、去る五月七日、青島知事に対してさまざまな提言をしてきたところでございますが、間もなく発表になる経済対策の方向性というのですか、細かいことは出せないでしょうけれども、方向性について、どのような方向でまとめられたのか、わかる範囲の中でまずお尋ねをしたいと思います。 ◯木内財務局主計部長 東京都として、現在、総合経済対策の方針につきまして取りまとめの作業を行っているわけでございますけれども、その中においての考え方としては、都民の生活を守っていく、あるいは中小企業の経営の安定化を図っていく、そんな観点といいますか、目的に沿いまして、東京都のあらゆる機能をフルに、最大限発揮する中で、財政健全化の基本的な方針といいますか、堅持する中で実効性のある方向性を打ち出していければということで、知事からもお話を申し上げているところでございます。  私どもといたしまして、全庁を挙げまして、そうした雇用対策あるいは中小企業の経営の安定化、さらには東京の経済の活性化に資するような方策につき、一定の方向性、先ほど申したような考え方に基づいて方針を取りまとめていきたいというふうに考えております。 ◯石井委員 もう少し具体的にお伺いしたいと思うんですが、中小企業対策として、金融機関の貸し渋りの問題が非常に深刻な問題でありますから、国が十三兆円を投入しても一向に貸し渋りが解消されない、聞くところによると、金融機関は国から支援を受けながらサラ金等に金を横流ししているというようなことも聞いているわけであります。私たち公明としては、貸し渋る金融機関に対して断固たる措置をとれ、このような方針を出しましたし、また、中小企業の金融対策、さらには雇用対策、公共事業については戦後最大の前倒しということもいいましたし、また、同じ公共事業をやるならば、介護保険制度導入をにらんだ福祉基盤整備、また、先ほど石川副委員長から話がありましたように、今日の緊急課題である防災都市づくり事業の前倒し、さらに環境ホルモンを初めとする環境対策、このような総合経済対策を図ることによって、ハード、ソフトの面から景気浮揚を図るべきだ、このように知事に提案し、知事も私たちの考えとほぼ同じであるというような意味のコメントもあったわけですが、大体そんな流れになるのでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 先ほど申しましたように、東京都として経済対策の方針を定めていくに当たりましては、先生おっしゃったような中小企業における貸し渋り、金融面での対策、あるいは失業率が三・九、有効求人倍率が〇・五四ないしは五八でしたか、そうした雇用状況を踏まえたような雇用対策、さらには公共事業についての前倒しといったようなことをベースにして、さまざまな東京都としての機能を発揮する中で、方向を定めるべく現在鋭意検討を進めているところでございます。 ◯石井委員 財務局長にお尋ねしたいんですけれども、国の経済対策によりますと、公共事業八一・四%の前倒しということを国は出しております。都としても、もう既に過去にもやったことがあるわけですが、これを超える程度の、国の八一・四%を超える規模になりますでしょうか。 ◯西念財務局長 過日発表されました国の公共事業の前倒しの執行率は、八一・四%でございます。これに基づきまして、自治省の財政局長からの内簡によりますと、八一%を超えてほしい、こういう要請文がございます。したがいまして、少なくともこれらの数字を上回る率で、東京都としては過去最大の数値で設定していきたい、このように考えております。 ◯石井委員 昨日、衆議院の緊急経済対策特別委員会での、国の総合経済対策の実施に伴う財政改革の改正案が衆議院の本会議で可決され、参議院に送付されたわけであります。補正予算の規模は十六兆六千億、その中で、地方が行うべき、地方の単独事業一兆五千億となっているわけですが、問題はこの一兆五千億ですね。一般の県の場合は交付税で措置されますし、起債は裏負担がありますけれども、東京都のように大都市は単独でやらざるを得ない。聞くところによると、大阪、神奈川は、国からどんな要請を受けても単独事業はやりませんと、こんなふうにいっているわけですが、東京都の場合は受けられる状況にありますか。 ◯木内財務局主計部長 今次の国の経済対策、十六兆六千五百億といわれておりますけれども、その中に、先生お話があった地方単独事業の一兆五千億円が位置づけられているところでございますけれども、東京都の財政状況は非常に厳しい状況にありまして、今後も都債の元利償還等々の、公債費等も含めてさまざまな圧力があることは、この間るる申し上げてきたとおりでございます。そういう状況の中、都税収入の伸びも期待できないというのが、私どもに与えられた条件であろうというふうに考えているところでございます。  そういう中で、地方単独事業についてですけれども、これはいわば財源としては起債ということになる、仕組み的には国が考えていることはそうでございまして、また、この償還については地方交付税でもって措置するということが、また国がいっているところでございます。東京都は地方交付税の不交付団体ということでお話がございましたけれども、そうした中にあっては、東京都としては実質的な財源措置といいますか、そういうものはゼロでございまして、したがって東京都として、いわゆる地方単独に実施することは困難な状況にあろうというふうに考えております。 ◯石井委員 大阪、神奈川、大都市、今、東京も困難であるというお話がありました。ということは、国の経済対策は、特に地方の単独事業はできないということになるのかなと考えられるわけであります。自治省あたりでも、余り大都市に無理強いはできないというような考え方を持っているようであります。しかしながら、実際、これは三定あたりの論議になるかもしれませんが、国の方から、いずれかなり強いプレッシャーがかかってくるのではないかと思います。そのような際に、前回にも申し上げましたけれども、防災なり、または福祉基盤整備とか、どうしても単独事業をやれと、また、国としてもそのさまざまな財政措置をするというような要請があった場合には、こちらとしても、防災に絡むような道路整備とか、必要なものはする必要があるわけでありますから、国のいいなりになるんじゃなくて、国と取引をして、東京の緊急課題整備のために対応することも必要ではないかなと思いますが、いかがですか。 ◯木内財務局主計部長 東京都総合経済対策本部、四月二十四日に第一回を催したわけでございますけれども、その席においては、知事の方から、例えば少子高齢社会への備えといったような、生活都市東京を実現する上での必要な施策を実施していく、そうしたことを通じて、東京の経済の活性化に資するような方法を工夫するようにという指示をいただいたところでございます。  現在検討を進めておりますところの経済対策の方針の策定に当たりましては、こうした観点に立って、お話のようなことも参考にさせていただきながら、検討をさらに進めていきたいというふうに考えております。
    ◯石井委員 これは政策報道だと思いますけれども、そうした公共事業を実施する場合には、国の補助制度の改善または創設、そのようなことが非常に必要になると思いますが、今回の経済対策としても、そうした国への要望、当然やっていかれるんでしょうね。 ◯大矢政策報道室政策調整部長 来週策定予定の東京都の総合経済対策方針を確実に進めていくために、先生おっしゃるような制度に伴いますいろいろな、東京都としては何点かございます。したがいまして、その総合経済対策を着実に進めていくために必要な事項につきましては、緊急の制度要望を国に行う予定で検討しております。 ◯石井委員 最後に、今日まで、国もかれこれ六十兆円の公共事業を初めとする景気対策をやっているわけですが、一向に効果が上がってこない。しかしながら、これを座視するわけにいかないのであります。都としても、今回この総合経済対策を実施するわけですが、問題は、体制をつくればそれでいいということじゃないですね。その総合経済対策を関連各局が総合調整しながら、また、それをその都度その都度きちんと評価をしながら、いかに景気浮揚につなげていくかということが大事だと思うんです。この推進体制が大事だと思うんです。  今回の総合経済対策に関係する各局は、どのような局なんでしょうか。 ◯西念財務局長 今回の経済対策は、経済本部が設置されたときに、知事の方から全局を挙げて取り組んでほしいという形になってございますので、ほとんど全局が関与している、このようにご理解いただきたいと思います。 ◯石井委員 そうすると、その全局が、この総合経済対策をどう推進しようと考えておりますか。 ◯西念財務局長 当然に、来週早々に発表されます対策については、その後何らかの点で進行管理が必要であり、チェックが必要であろうというふうに考えてございます。先ほど先生からご質問がありました、例えば公共事業の前倒し等につきましては、毎月あるいは一・四半期ごとに実績を把握することにより進行管理をする等、何らかの形で経済本部の名のもとにチェックをしていくといいますか、進行管理をしていきたい、このように思っております。 ◯石井委員 最後に政策報道室長に、総合調整機能という面でお尋ねしたいんですが、前回の委員会でも、私は防災問題についてもそれぞれ全体の総合調整機能が大事だということを申し上げました。先ほど石川副委員長もそのことをいっておりましたが、三重県あたりではマトリックスといっているんですけれども、それぞれの縦割りの事業をくし刺しにして、総合調整機能を発揮しながら、限られた予算を縦割りの壁を乗り越えて、そしてより有効に住民のために使っていこう、こういうことですよね。  防災もそうだし、また、循環型社会というなら環境問題もそういうジャンルに入るし、また、東京都のOA化を進めるのでも、これは現にそれぞれマトリックス的な手法でやっているわけですが、この景気対策についても、今財務局長からも話がありましたけれども、これだけの体制を組むわけですから、やはり全庁が英知を結集して、今日の最大の課題である経済対策、景気対策に対してこたえていくためには、やはりそれぞれの縦割りの壁を乗り越えていくことが大事だと思う。これは、ぜひともその推進体制をつくり、一つ一つの進行管理をきちんとやりながらやるべきじゃないかと思いますけれども、最後にお尋ねします。 ◯佐々木政策報道室長 先ほど来、財務サイドでお答え申し上げているように、非常に厳しい財政状況の中で、しかし都民の期待にどうこたえていくかということでございます。したがって、今あるものをいかに効率的に、最大限効果のあるような形にせにゃいかぬということで、おっしゃるとおり、総合調整機能をきちっと果たしていくということが大変重要かというふうに私どもも認識しております。  したがいまして、一定の方針を打ち出した後、先ほど財務局長が申しましたとおり、予算の執行の中で適切な進行管理をやるわけですけれども、その中には必ずしも予算に伴わないものも数多くございますので、私ども、財務局と連携を密にいたしまして、全局をにらんだような総合調整機能がきちっと果たせるように努力していきたい、このように思っております。 ◯中山委員 今、佐々木室長より、トップマネジメントの最大限の機能を挙げてやっていこうという意気込みが聞かれたわけでございますけれども、まさに今ぐらい時代が変わっていることはありませんで、昨年の今ごろはちょうど、九兆円の負担増から景気がどうなるかという先行きを見ていろいろな動きがあったと思うんですが、財革法が成立していくと。で、この秋にはもう財革法を改正しなきゃどうしようもないような状況になってきた。九月ごろですね、予測だと。都庁のトップマネジメントの予測だと、若干ではあるが上り調子のようなことをいっていたし、それからずっと来て、年を越えてみたら、このような状況になってきて、ついに総合経済対策と、こういうことになったわけですね。  国の方も全く一緒ですよね。全く同じような形で、十六兆円に踏み切ったということですけれども、私どもも「都政新報」なんか見ますと、この中で青山さん、いろいろお話をされていましたね。こちらで一生懸命経済対策を考えていくと。しかし、同時に、きょうの日経なんかでも、財務局は新たな財源措置に対して厳しい姿勢をとっておる、こういうふうに書いてあるんですね。そうすると、どうも室長と財務局長の間柄が思わしくないようになってくるんじゃないか、こんなふうに思うのですが、室長と局長、思惑を一言ずつ、経済対策について話をしてください。 ◯佐々木政策報道室長 政策部門を担当するセクションと予算を編成するセクションとは、絶えずいろいろな思惑の中で仕事をやっておりまして、時には摩擦もあるというような状況は、これは内々の話ですが、ございます。しかしながら、現下の大きなフレームあるいは都財政の状況、流れ、この辺の大枠での認識というのは、私ども、財務と政策報道とはいささかも違っていないというふうに思っております。  そういう中で、今回経済対策をやっていこう、こういうことでございますが、今日の深刻な不況下で、国とは違って、有効な経済政策といいますか、景気対策手法を持っているわけではないんですが、さはさりながら、自治体東京として、都民生活を守り、なおかつ地域の経済を活性化するということのために、これだけの組織だったら何かできるだろう、みんなで知恵を出し合い、汗を絞り合ってやっていけば、それ相応のことが何かできるのじゃなかろうか、こういうことで始めた仕事でございます。  したがいまして、来週早々にはそういうものも出したいと思いますが、できるだけ都民の方々の苦しいところに手が届くような、そんな内容をぜひやっていきたい。こういう思いは、これは直接財務局長に聞いたわけではございませんが、思惑としては全く同じだろうと、こんなふうに思っております。 ◯西念財務局長 今回、来週早々発表する経済対策の基本的スタンスの一つとして知事から命ぜられたのは、現在の財政健全化の基本方針を引き続き堅持する中で、そうはいいながらも、都のあらゆる機能、すべての部局の力を最大限に活用して実効ある対策を組め、こういう前提がございます。  したがいまして、政策報道室の方の計画部門と予算部門の財務局の方との間で、そごが出てくるようなことはないというふうに思っております。うまくやっていきます。(笑声) ◯中山委員 私たちは、もとより緊縮財政の方がかえってこわいよ、ある程度景気対策もしっかりやっていかなきゃいけないということを再三いってきたわけですが、今佐々木室長のように、知恵と全能力を絞り出してもいい対策を考えると。あえていうならば、国の政策は余り知恵がない、そういうふうに聞こえるんですが、十六兆円が、従来型の公共事業のばらまきであるとか、または特別減税みたく、将来の税制改革が見えないような減税の仕方では大変問題がある、私自身はそう思うわけです。  行政改革というこの委員会ですから、やはり効率的に、行革をやりながら、しかも経済対策をやっていくという、一見矛盾したり、なかなか難しい問題かもしれないけれども、それを乗り越えなきゃいけない。それが知恵を絞ってという言葉だと思うのですが、どうも通信情報部門とか福祉部門とか、さっきの防災部門とか、または住宅政策とか、こういうところに国の政策が向いていないような気がするんです。どっちかといえば、今までの族議員である農林族や建設族の方にどうもいっちゃっているというようなことがあるんです。  そういう面でも、国の政策が間違った方向にいきますと、またおかしな事業だけ東京都が押しつけられるという可能性もあるわけです。同じ押しつけられても、福祉部門であるとか住宅部門であるとか、本当に経済効率の上がっていくようなものであれば、ある意味ではいいのかもしれないけれども、どうも今までの国のやり方だと、間違った方向へ来たというのが私は大変心配なんですが、その知恵を絞ってというのは、一切財源対策はしないという意味なんですか。知恵と体で奉仕するといったって、やはり最終的には予算が必要なのではないかと思うのですが、八二%の上半期の前倒しをやった場合に、後半は当然息切れしますね。大変な息切れがすると思いますよ。その場合、補正予算というのは、どうなんでしょうかね。私はその辺心配なんですが、全然財源対策──まあ財政出動はしないといっても、上半期にあんなに前倒しされたら、後半、もうばてばてですよ。それこそ今度は企業関係者がおかしくなってきちゃう、こんなふうに思うのですが、その辺いかがですか。 ◯西念財務局長 国の十六兆六千五百億円を内容的に見てみますと、特別減税の四兆円を初め、従来型の社会資本整備に大きく傾斜することなく、環境に負荷の少ない経済社会の実現だとか、情報通信の高度化、科学技術振興等、従来型の社会資本整備からは幾らかシフトがえがなされている、このように思ってございます。  私どもは、国のこの補正予算を受けて、都の地域に配分されるもの等につきましては、国庫が確保できるわけでございますので、第三回定例会以降の真水論の課題にしたい、このように思っております。  しかしながら、すべてが十分の十の補助ではございませんので、そのときには、文字どおり知事のいう何らかの悪知恵といいますか、知恵を出してこなければいけない、このように感じております。 ◯中山委員 そうすると、いろいろ補正予算、財政出動もあり得るということだと思うのですね。基本的にはそういうふうに考えていいわけですね。  今いったような、例えば東京都と区でも、昔、例えば特養老人ホームの土地を買うのであれば、東京都はその一件については元利償還金は全部財調で面倒見ますよとか、一つ一つのことでやってきましたよね。同じようなことが、国が、さっきいった新規事業、新しい社会資本整備であれば出すというような、今確信を持って話をされたような気がするんですが、その辺はどうなんですか。新しい社会資本整備、例えば情報通信に関するもの、福祉に関するもの、環境を整備するもの、ダイオキシン対策、いろいろなものがありますね。今、知恵を絞ってというのは、その辺、新しい事業は国が補助金を出すとか、そういうふうに確信があるんですか。 ◯西念財務局長 ちょっと先ほどの答弁で舌足らずのところがございましたが、石井先生からご指摘があったときに主計部長がお答え申し上げておりますように、今回十六兆六千五百億のうち、一兆五千億の地方単独を含んでいるわけですね。これについては、交付団体については、以後起債で措置した後、元利償還が基準財政需要額で補てんされるというようなことがあるんですが、不交付団体の東京都にとっては何の影響も出てこないというようなことから、単独事業については非常に難しい、いや、とてもできるような状況にないということを再度ご説明させてほしいと思います。  それと、新しい社会資本整備については、今先生からいみじくもご指摘いただいたような点に、国からうちの方への配分が期待できるとか、そういう面があるならば積極的に対応していかなければいけない、このように考えております。 ◯中山委員 今まで東京都は区に財調でいろいろやっていましたよね。特養の場合もそうだったし、シルバーピアもそうだったし、その場合は元利償還金については財調で見るよとか、ありましたね。そういうのと同じようなことが、可能性があるということですよね、今の話の中では。可能性は全然ないわけじゃないんですよね。 ◯西念財務局長 従来型の社会資本整備の公共事業の推進については、いろいろ慎重に検討しなければいけない面もあるわけでございますが、従来型の社会資本の整備といいましても、例えば道路、あるいはアクセスのうち連続立体交差事業、これらについてはしかるべき国家補助が来るわけでございますので、その国庫補助の裏を何とか知恵を出しながらも、積極的に受けていかざるを得ないんじゃないか、また、受けていくことが必要ではないか、このように申し上げたわけでございまして、それ以外にも、科学、情報産業、情報技術といいますか、こういう面の新しい形での社会資本整備についても、国からしかるべき国庫がついた配分が期待できるならば、その裏の財源を心配して、東京都としても第三回定例会以降の真水論の課題の柱になるのではないか、このように申し上げたわけでございます。 ◯中山委員 ある程度はわかりました。要するに、国が例えば三分の二出すよといった場合には、東京都が三分の一出す可能性があるとか、そういうようなことですか。ちょっとはっきりしておいてもらいたいんですが、国が出す、全額出すわけじゃないけれども、国がここまで出すんだから、じゃ、東京都も財政出動をしよう、このくらいの意気込みがあるということですか。 ◯西念財務局長 全くご指摘のとおりでございます。しかるべき国庫がつくものについては、国庫が確保できるわけですから、その裏の財源を何とか工夫しなければいけない、それが知事がいう知恵であろう、このように思っております。  しかしながら、今、補正予算が内容がつまびらかでもございませんし、都への配分状況もまだはっきりしていないわけでございますので、各局が各省とやり合いをしていく中で、しかるべき東京都の社会資本整備として、より必要性のあるものについては真剣に考えていく、このように申し上げたわけでございます。 ◯中山委員 財務局長がああいうふうに、景気対策というものについては、国が出すのならば出そうという、かなり積極的な、前向きなご意見だったんですが、佐々木室長、政策部門の中で、知恵を絞ってというのは、今のことだけなんですか。もっとほかに知恵を絞って出てくることがあるんですか。 ◯佐々木政策報道室長 今回景気対策の中で挙げたメニューの中には、例えば、大変失業が今ふえている中で、従来のように、例えば、ちんたらちんたら失業対策の相談をしているということではなくて、それこそ持てるスタッフを重点的に、あるいは集中的にそこに投入して、一気にその人たちの期待にこたえられるようなことがないかとか、いろいろやり方の工夫もあるだろうというふうに私ども思っておりまして、単に予算上の話だけではなくて、執行上の問題なんかでも、いろいろ知恵がないかということでそれぞれ知恵を出し合っている、そんな状況でございます。 ◯西念財務局長 どうも先生の発言に誘導されまして、公共事業、社会資本整備の方のことばかりに知恵というような形で誤解を受けると──ちょっと誤解になるのでございまして、知事のいう知恵は、何も公共事業、社会資本整備だけじゃなくて、例えば今最も大きな課題は貸し渋りでございます。貸し渋り対策について、預託原資等の真水がなくても保障枠がとれるようなことをみんなで考えたらどうか、これが文字どおり知恵で、それで何千億オーダーの保障枠が確保できるならば、これにまさる知恵はない、このように思っております。 ◯中山委員 きょうの日経にも、一兆五千億円を一兆六千億円の貸出枠、目標額の積み増しをするというようなことが出ておりまして、きょうのNHKの昼のニュースでも、かなり東京都が経済対策をやるということが表に出てきているわけです。  ちょっと私、心配なのは、行政改革との絡みなんですが──知事さんが選挙やるかやらないか、わからないですよ、だけれども、知事が単純に選挙やるということで、都民に対して、これはもう一番いいアピールですよね、景気対策をばんばんやるんだというようなことで。大切な行政改革という視点も、同時にいつも念頭に置いていただかないと困るんで、単純に、きょうのNHKなんか聞いていると、かなり景気対策を大きくやるような、例えば一千億円ってぽんと出ても、実際問題としては、預託をするとか、そういう原資を入れるとか、実際は六十億とか、そういう金額になるんでしょうね。実際、一千億だ何だ、景気対策だってぽんぽん出てきているんですが、そういうものが先行して、どうもそっちの方向に流れていっちゃうというのが私ども心配なんです。  佐々木室長、何回も申しわけないんですが、これは総務局長にもお話を聞きたいんですが、この経済対策と今後考えている組織素案と、矛盾しないで同時進行でいけるんですか。行政改革はびしっとやるんだ、しかも景気対策をやるんだと。この二つの問題は非常に難しい問題ですが、どういうふうに進行していくんでしょうか。 ◯佐々木政策報道室長 現在、知恵を出し合ってやろうとしている景気対策というのは、あくまでも当面の、非常に事態が悪くなっているこの景気の状況に対して、東京都で何とかできないか、こういうことでございますから、永遠にずっとこの景気対策を続けていくというふうなことではないと私ども思っております。少なくとも、先ほど財務局長のお話ございましたとおり、三定以降の、真水の中でまた変わってくる性格だろうというふうには思っております。  したがいまして、それと、もう少し長期的なスパンで物を考える、いわゆる組織の問題とは、少し趣が異なるのじゃないかというふうに私ども思っております。 ◯木宮総務局長 財政再建と景気対策、それらに関連して行政改革のお尋ねでございます。  これは全く私見でございますけれども、財政再建といいますか、健全化と総合経済対策、これは長いレンジで考えれば同じ目的を持っているものではないか。ただ、財政健全化はかなり長いレンジ、総合経済対策は当面の課題というふうなことではないのかなと私は認識をしております。  ひるがえって行政改革についてでございますけれども、行政改革もかなり長いレンジ、二十一世紀をにらんで考えていくテーマでございまして、そういうことでいけば、財政健全化と軌を一にして、いわば住民の行政ニーズに対応する能力をどういうふうに行政としてつけるかということだろうと思っております。  そういう意味では、財政健全化行政改革、これはともに行政改革大綱のいわば大きな柱でございまして、両々相まって、今申し上げました住民の行政ニーズへの行政としての対応能力をつける、強化するものだというふうに認識しております。 ◯中山委員 そういう面でトップマネジメントの機能というのは、機動性があるということで、このように時代がどんどん変わっているということは、やはり実行力もしっかり伴ってもらわないと、ぱっと決断がおくれると、一カ月、二カ月おくれても取り返しのつかないことになるというような状況だと思うのです。そういう面で、総務局にありますね、職員研修所の研究所だとか、こういうようなシンクタンク──今一番大事なのは、時代に即反応できるようなシンクタンクが必要なんですが、今みたいな時期にこそ、トップマネジメント、例えば、選挙だと選対、主計、それから政策機能と一緒になったトップマネジメントであるとか、三局が二局になればいいというような問題じゃなくて、すぐに都民の要求にこたえられる、反応できるというか、そういう面では、シンクタンクというか、本当の意味での研究というか、今どこかやっているんですか。それとも、いつも局長さんたちが集まって決めているんですか。二カ月、三カ月の経済どうなっているんだとか、そういうことでやっているんですか。どっちなんですか。  私は、この間からトップマネジメントの機能をいっているんだけれども、研究所が総務局にありますよね、こういうのは、シンクタンクとしては機能しているんですか。 ◯木宮総務局長 総務局の職員研修所にあります調査研究室というのは、今お話しのようなシンクタンクといっていいのかどうかというふうに思いますけれども、これは、その年度その年度で、庁内でかなり政策的なテーマの依頼を受けて、その所管の局と共同しながら、一定の研究といいますか、そういうことをやっているのが主たる活動でございまして、日々動く経済の状況に対して、調査研究室がそこへ一定の方向性をつけた調査報告を出すというような活動にはなってございません。  ただ、これは後で政策報道室長からお話があろうかと思いますけれども、政策報道室の中では調査部というのがありまして、そこではそれに近い活動といいますか、日々情報収集を含めてやっているというふうに思います。 ◯中山委員 そういう面で、もっと一緒にやった方がいいんじゃないか。総務局の方にそれがあって、政策報道室の方にまた同じようなものがあってやっている。だから、私は、この三局は二局になって──必ずしも人減らしでそんなことをしろといっているんじゃないですよ、機能を高めるために、政策報道室がちゃんと機能していなければ困る。私は、トップマネジメントとして、今みたいな形がいいのかどうか、大変心配なわけです。政策をつくるような部門と、都庁を管理する管理局みたいなものと、この二つでやっていった方がいいんじゃないかという気がするんですが、佐々木室長、同じようなことで、政策を立案するシンクタンク、まさに室長の頭脳となる人たちは、日夜そういう研究をしているわけですか。 ◯佐々木政策報道室長 シンクタンクでございますけれども、いわゆるシンクタンクというのは、一定の課題といいますか、そういう課題が決まった後、それをどう内容を詰めていくかというようなシンクタンクがあります。今先生のおっしゃっているシンクタンクというのは、むしろその時々の時代の風をどううまくキャッチし、あるいは民の苦しみをうまくキャッチしながら、即それを理論的に裏づけできるか、こんな体制だろうというふうに私は伺ったんでございますけれども、そういう意味では、先ほど総務局長が答弁されました研修所にあるシンクタンクも、いわゆる研究機関でございまして、むしろ政策報道であるとか財務サイドであるとか、こういうところのものが、トップの指示に基づいて、それをすぐ理論化するといいますか、こんなような形で、先生のおっしゃるシンクタンク機能を果たしているんじゃなかろうかというふうに私ども思っております。  もう一つ、調査部というのが私どもにございます。調査部も、正直にいいますと、タイミングの上では、どうしても研究の部分がございますので、ちょっとおくれぎみというのはございます。したがって、むしろその辺は、私ども調整機能の中で、いろいろおしりをたたいたりなんかしながら、タイムリーな形で知恵が、理論が出せるようなことをやっていく、(「役所言葉じゃなくて、わかりやすい言葉だ」と呼ぶ者あり)こんなような仕組みになっております。 ◯中山委員 今、役所言葉じゃなくて、本当にわかりやすいと、不規則発言がありましたけれども、まさにそうだと、よくわかりました。ただ、私、「サンデープロジェクト」などをよく見ていて、例えば山崎拓政調会長に、リチャード・クーを雇ってもらったらどうかとか、いろいろな提案がありましたよ。民間のシンクタンクをつけて、もっと経済というものを明るく、前向きな姿勢でやったらいいんじゃないかというような話が出ていて、山崎拓さんも同じような、そうかなんて話をしていて、やはりこの経済の先行きというのは非常に不透明でもあるし、しっかりした研究をしていかないと間違っちゃうと思うんです。  ですから、今いった長期的なものと短期的なものとにしっかり分けて、長期的なものに短期的なものが変に入っていっちゃって、わけのわからない方に行っちゃうと大変なことだと思うんです。やはり最終的には行政改革をして、都民のニーズに合わせられるような、しっかりした組織をつくっていくということが私は基本だと思うんです。それができないで、今度緊縮財政から一気に景気対策に移って、そういう形が崩れていっちゃうというようなことが大変心配だと思うんです。  先ほどから、もう一つ出ていたのは、国と東京都の関係なんですが、内藤尚さんが「朝まで生テレビ」に出ていまして、私らの気持ちを代弁してもらって、東京都が細々と行って、地方がどんどん太ってくるというようなことをいってくれましたよ。まさに今回、PFIですか、東京都はそのPFIでやっていけと。どんどん民間の活力を利用して、うまくやっていけと。地方は公共事業でやっていかないとだめだと。だから、地方交付税は、東京都でうんと集めて、地方へばらまいていくというようなことが基本的に行われているわけですが、そういう面でも、国との関係については、先ほど石井先生も同じようなことを皆さんにいっていましたけれども、私は全く同じ気持ちで、国と取引しても、持ってこれるものは持ってこないと、もう財源がないわけでしょう。さっきいった知恵というのは、何でもいいですよ、悪知恵でも何でも。とにかく国からお金を持ってくるくらいの気持ちをしっかり持っていただいて、やはり相当強い気持ちでやっていただきたい、それが一つです。  もう一つ、もう時間が来たので、私は時間を守る方なので、これで終わりにしますが、大切なことは、知事さんがいろいろな発言をしていますけれども、ちょっと注意してもらいたいんですよ。消費税が上がったから景気が悪くなったといっているんですよ。その割には、消費税転嫁したんですよ、たんたんとやったんだ。おかしいじゃないですか。それから、昔の物品税みたいなことで、百万とか二百万買う人には税金をつけたらいいんじゃないかと。つまり、知事さんの考えている将来の地方税とかそういうものは、何だ、付加価値税とか、そういうものなのかなと思っちゃいますよ。いわゆる間接税ですよね。だから、あんなことを簡単にいったり、それから景気対策でも、不用意に、財源をばんばん出しますよと、選挙前だから、大盤振る舞いしちゃうような発言をすると、知事さんの選挙によって行革ができなくなる、挫折するということがあり得るわけですから、よく知事さんにもその辺をいっておいていただいて、行革も大事なんだ、これが基本でこの委員会があるわけですから、その中で景気対策、本当に知恵を絞ってやっていただきたい、これは私の要望でございます。  以上でございます。 ◯山崎(泰)委員 今の話を聞いていますと、確かに難しい問題がいろいろあろうかと思いますが、少し行革の話に戻して話をしたいと思います。  実は、この特別委員会じゃないんですが、先週、私の所属している常任委員会であります財政委員会で視察がございまして、財務局の幹部の方も同行していただきましたので、既にお話が入っているかと思いますが、四国というのは一体何をやっているのか、私も正直いって余りよくわからなかったんですが、橋本総理の弟さんであります橋本大二郎さんが知事をやられている高知県で、どんな行革をやっているのか、財政健全化をどういうふうに進めているのかというような話を、直接お目にかかって聞いてきました。  その中で、私自身が印象に残っていますのは、これは高知ですから、県ですが、県職員の給与のワタリをいち早く廃止をしたり、異動補償の廃止、それから、これはことしの予特でも話が出ていたと思いますけれども、国家公務員への報償費の廃止、特勤手当の、これは最終的にはまだ実現できていないということですが、基本的には見直しの方向性を出して、かなり細かく精査をして、特勤手当もそのような方向になっているという話も聞きました。それから、先ほど外郭団体の話がございましたが、県のOBの外郭団体への天下りを自粛しようじゃないかという明確な方向性も出していたところです。  私自身も、従前からこの委員会で何度となく申しましたが、東京都の行革、では一体何をやっているのかと、何が目玉なのかといったときに、確かに今までの答弁を聞いていても、何点かにわたって十二分に検討して、時間をかけていただいているのはよくわかりますが、では、これをもって東京都の行革だというのがなかなか見えないということは、都民にとっても、東京都の行革論議を非常に見えにくくしている、期待倒れに──本当に期待していいものだろうか、それとも、その期待に合うものが出てこないのではないだろうか、こういうような気持ちにさせてしまう一つの要因であろうということを強く感じました。  先ほどリーダーシップという話がありましたが、もちろん局長、それから室長さんにそれぞれリーダーシップを持っていただくのも大事だと思いますが、やはりそれを統括しておりますのは知事ですから、知事がこれだけ大きな組織を動かすわけですから、積み上げる部分も大事でしょうけれども、ある程度方向を示さなければいけないときというのは、十二分に来ているんだろう、私はこんなふうに思います。  大きな話を申し上げた後で、ちょっと申しわけないんですが、その中で、各論を何点かお尋ねしたいんです。  私は以前、この委員会、もしかすると予特だったかもしれませんが、取り上げさせていただきましたが、やはり改革をする以上は、職員の意識改革というのはかなり必要だろうと。そういう意味で、管理職のみならず一般職員も合わさった形での、都庁全体の意識変革というのが必要だろうということを常々思っています。特に勤勉手当の問題に関しても、管理職に関しましては従来の成績率導入の幅を二倍ぐらいに広げた、これは評価をしますが、ただ、一般職員を管理する立場の管理職だけが、自分たちに対して厳しいハードルを課して、そうじゃない一般職の皆さんには、まあまあ後からついてくればいいから、これでは、都庁一体となって危機感を持った改革とはなかなか呼べないだろうというふうに私は思うんです。  以前質問をしましたときに、一般職員への勤勉手当の成績率導入のことに関して、私は少なくとも早期に導入すべきだということを申しましたら、それは引き続き平成十年度の協議事項になっているから、ちょっと待ってくれと、こういう話でありましたが、この検討の経緯といいますか、今の状況はどうなっているんでしょうか。 ◯藤堂総務局勤労部長 一般職員の勤勉手当への成績率の導入についてのお尋ねでございますが、ただいまご質問にございましたように、現在労使で協議中でございまして、ことしの一月二十一日の平成九年度のベア確定時に、労使間で、今後労使による検討の場を設置して、これまでの経過を踏まえて検討するという扱いになってございます。  これを受けまして、ことしの三月二十四日でございますが、労使の検討の場を設置し、現在までに三回ほど検討を行っているところでございます。今後、鋭意検討しながら、できるだけ早く導入できるよう、私どもとしては検討してまいりたいと考えているところでございます。 ◯山崎(泰)委員 今、鋭意ということと、できるだけ早くというお話がありましたが、十年度は逃しちゃったわけですから、そうすると今度は十一年度ということになろうかと思いますが、総務局サイドとすると、基本的にはそういう方向で考えているということの了解でいいんでしょうか。 ◯藤堂総務局勤労部長 この項目につきましては、職員団体とは協議ということでございます。私どもとしては、ただいま申し上げましたように、できるだけ早期にということでございますので、東京都側としては、今年度のベア交渉の中で一定の結論を得たいというふうに考えているところでございます。 ◯山崎(泰)委員 確かに相手のあることですから、一方的にはいえないかと思いますが、今、後段で、総務局としては、早期に、来年からでもということだと思いますので、そういう意味で、全体となった、そういう意識づくりのためにこういうものも大事だと思うので、私自身はお願いしたいというふうに思います。  それで、例えばそういうような形での労使の協議をしていただくというのは、いろいろな意味でなかなか難しい問題が錯綜していると思うんです。そういった点で、これも四国高知の話になりますが、なるべくそういった意思を形成していく、協議をしていく過程を、折に触れ、オープンにする場があってもいいんじゃないか、視察に行った先の高知県ではこういうふうなことをやっていました。ですから、今の労使交渉だけという話ではありませんが、時として局サイドも、また、知事が何かの形で交渉していくときも、そういった政策の決定過程というのは、交渉の過程を時にオープンにして、また、都民なり住民なり納税者にその意見のやりとりというか、そういうようなものを広い意味で判断してもらって、聞いてもらってというようなこともこれからは必要だろう、考えてもいいのではないかと、私自身は個人的には思うんですが、そこら辺はどうでしょうか。 ◯藤堂総務局勤労部長 労使協議の経過の公開の問題でございますが、ご承知のように、職員の勤務条件につきましては、条例等に規定されてオープンにされてございますし、それから、給与の内容については、毎年一回公表しておるところでございます。  これらを具体的に決定してまいります勤務条件の交渉についてでございますが、これにつきましては、都と職員団体等が使用者と労働者という立場から交渉しているところでございます。その性格からいたしまして、その交渉の場だとか、やりとりというものは、これは公開になじまないというふうに考えてございますが、ご承知のとおり、団体交渉の結果等についてはプレスにオープンしてございますし、議会にもご報告しているところでございます。  また、その下のレベルで小委員会交渉というのがございまして、これは私どもの部長級で、事務的なり、項目の少ないものについて検討していくところでありますが、これについては、基本的に交渉が終わりましたら、都庁内でございますが、すぐ各組織に全部流しているということでございまして、積極的にオープンということではございませんが、特段、公開にしないという扱いはしてございません。 ◯山崎(泰)委員 確かにその事柄の性格上、できるものとできないものがあるのは当然だと思いますが、できない理由を聞くのはたやすいことですが、既に東京以外の他の道府県の中では、そういう性質を持っている事柄すらもオープンにしていこうかという、少なくともいい出している知事がいるということだけは、十二分に承知をしておいていただきたいというふうに思います。  それで、途中の形成過程のオープンという今の話なんですが、五月二日の日経新聞の記事なんですが、政策形成過程に関して、都が自主的に公表するというような中で、最終的には情報公開の総合的推進に関する要綱を制定していきたい、これは今の話とは若干趣旨が違うかもしれませんが、従前のように閉鎖的という形ではなくて、都民にも、ある程度、答えが出る前に、途中の過程から公表をしてというようなことを自主公表と書いてあったものですから、目にとまったんですが、これはどういう趣旨でこういうことを手がけられて──もうちょっと詳しい内容、どういうことを公表していくのか、そこら辺のことを教えていただけますか。 ◯大矢政策報道室政策調整部長 新聞で「政策形成過程 都が自主公表」、先生がおっしゃるのはこれだと思いますが、今、情報公開に関しましては、情報公開に関する懇談会を設けまして、現在、十一年かたっている文書の公開条例関係の改正のための諮問をして、検討をいただいているところでございます。  情報公開につきましては、開かれた都政という大きなテーマの中で、いろいろな面で進めておりまして、最近は特にアカウンタビリティーという、説明責任が求められるわけですが、情報公開の総合的推進ということで、これは平成八年三月策定の東京都の行政改革大綱により制定され決定された中にも記載をしてございまして、都民が都政に関する情報を迅速かつ容易に得られるよう、法令等に定めのない情報公表あるいは情報提供についての基準などを定めることが必要だ、こういうふうにいっております。それを受けましていろいろ検討してまいりまして、現在、鋭意策定中でございますが、この七月からも、その総合的な情報公開の要綱を制定しましてやっていきたいと。  中身でございますが、公表情報といたしましては、長期計画とか、その他重要な基本計画等の審議会の中間答申でありますとか、あるいは重要な政策決定でありますとか、そういうものをできるだけ中間段階で発表して、インターネット等の情報機器等も使いながら都民に明らかにしていこうというものでございます。 ◯山崎(泰)委員 大体、趣旨はわかりました。  その情報公開の先にあるものなんですが、私どもも、財政委員会で高知へ行く前に、いろいろと向こうのことも調べました。そのときに、たまたまでしたが、今の話に関連して、高知では知事の交際費を自由閲覧方式で原則として全面公開をするというような話があったものですから、その話も含めて、いろいろと先方ともやりとりをしてきました。  先方の知事の話を聞いていますと、落としどころは、情報公開によって住民参加型の行政を実現していきたいと。いってみれば当たり前のことかもしれませんが、その先鞭としてどのカードを使っていくかということで、情報公開を使っているんだろうなと、私自身は思ったわけです。  これは明確な発言はありませんでしたが、ただ、一方でその裏には、情報を公開して、政策を決定する過程そのものも──さっき、なぜ労使の話をわざわざ出したかというと、労使の交渉過程も、いろんな難しい問題も、住民にオープンにしていくことによって、住民に判断していってもらう。それが実は行政改革への最短距離だというような含みをもって、この情報公開というカードを使っているのではなかろうかというふうに、私はかなり強く思いました。  そういった意味で、これから行革を進めていく上で、その担当部局は三局でしょうけれども、そのうちの一番の所管は総務局になるんだろうと思います。片や情報公開といえば政策報道室ですが、行革の担当局の総務局として、行革をこれから進めていく上での情報公開、それから、途中の過程で情報を開いていくということに対する位置づけというか、あり方というか、手法論でもいいですけれども、そこのことに関してどう考えられますか。 ◯幸田総務局行政改革推進担当部長 ただいまのご質問でございますけれども、これまでも行政改革の推進の状況につきましては、毎年、中間と年度末に、その年度にとり行われました行政改革大綱に基づく行政改革事項をすべてつまびらかに公表してきたところでございます。  この行政改革の推進状況につきましては、いわばこのお目付役と申しましょうか、都民の代表者等から成る会を設けまして、そこでのご助言も賜っているところでございます。  また、昨年から実施をいたしておりますが、インターネット、あるいは都立の図書館にもこの行政改革の実施状況を備えつけまして、都民の皆様にもご利用いただけるように対処しているところでございます。また、当然のことながら、都庁内にございます都民情報ルームの中にも、それを置いているところでございます。  これは一方では、ご案内のように、都民のための行政改革を考える会ということで設置をし、毎回、そこでの委員の方々からのご意見等々も皆様方に自由にお聞きいただけるように、公開という形で進めてまいりました。  今後とも、行政改革の推進状況につきましては、議会からのいろいろなご提案、ご指摘もございますので、より皆さんにわかりやすい形で、適宜適切な公開、公表を進めてまいりたいと存じます。 ◯山崎(泰)委員 ぜひとも、その方向でお願いしたいと思います。  先ほど成績率のことを申し上げたのは、私は、公務員の仕事というのはなかなか難しい性質だと。ですから、先ほどどなたかから質問があったかもしれませんが、単に経済効率というか、営業成績だけでははかれない、そういう性質だということはもちろん認識していますが、ただ、もともとはそういう性質だからということから始まってしまうと、どうしても、それはぬるま湯につかってしまう。そんなような意識を私自身は持っているものですから、先ほど成績率導入の話、今は情報公開の話をいたしたところです。  きょうは、若干、幅広いというか総括的なことでもありますので、事務の改善というか、業務の改善について、平素ちょっと気になっていることがありますものですから、そのことについても一、二、お尋ねしたいと思います。  実は、私は家業が印刷ですので、非常に質問しにくいことでもあるんですが、こういう特別委員会などで、事前に資料をよくいただきます。事務所へ速達で送ってくるのもあれば、控室に置いておいていただくのもあれば、この前に置いておいていただくのもある。十二分に配慮していただいた上での見落としがないようにということだと思いますが、私、個人的には、同種同様の印刷物を何度もつくって何部も持ってきてもらえるのであれば、その分を、別の刷り物でもいいし、別の経費にでもいいですし、一度で済むものは一度で済ませていただいて、もっと別な形で有効に使ってもらいたいなというふうに、折に触れ思っていました。  例えば、前もちょっといいましたけれども、水道局と下水道局が別々にパンフレットをつくっている。実際に出す方は、それは当然両方じゃないと困る、局が違うからという話でしょうけれども、ただ、手にとる都民の側からすると、これは両方一緒の方が、もしかすると逆に便利かもしれませんし、まさにそれが、後ほどお話をしますが、これから組織を再編していく上で、受け取る側というか、都民にわかりやすい形はどうあるべきなのか、政策別というか課題別というか、事業別の予算編成とか組織編成、プロジェクトにつながっていくことだろうというふうに思います。  例えば印刷物に関しても、部数をわんさかつくって、こういうふうに置いておく手法を少し改善して、よく議会図書館からいろいろ私も資料をもらいますけれども、ああいうような形を、必要な情報だけを、必要な部分だけを都民の皆さんに、例えばこの冊子をもらいたいとか、その必要な部数をいってもらう。いわゆるインデックス形式かもしれませんが、必要なものを必要な部数、また、それを必要な人にだけに配るというようなものを──もちろん「都議会だより」というようなものは、そういうようなことにはなじまないかもしれませんが、ある程度、各局等々で出されている共通の分野に限定されているようなものに関しては、印刷経費をかけてどうせつくるなら、そういうこともこれから考えられていいのではなかろうかというふうに、私自身は個人的に思っています。  それからあとは、国会の方の衆議院でも、構内情報通信網というんですか、いわゆるLANを始めたということですが、私ども一人一人の議員というわけにはなかなかいかないかもしれませんけれども、あの莫大な印刷物が本庁と私ども議会局をいつも行ったり来たり、それにはだれかが持って来なきゃいけないということの作業をいつも重ねて見ている中で、できれば議会内の各会派の政調会と、各局の総務部門か、どこの部門になるかわかりませんけれども、そういう各局ごとに情報のやりとりが効率的に行えるような、都庁内のLANのようなネットワーク化も考えていいんじゃないかというふうに私自身は思うんです。そういったことも含めた業務改善を、この機に、行革をするのであれば進めていってもらいたい。  今、二点ほど具体例を申し上げましたが、すぐにでも検討できるようなものに関しては、すぐにでも検討して行ってもらいたいというふうに思っていますが、そこら辺のことに関してはどうでしょうか。 ◯今村総務局総務部長 議員各位への資料送付につきましては、この委員会におきましても、和田委員から、以前厳しいご指摘を受けております。  送付につきましては、議会局側のいろいろなご意見もおありだと思いますので、議会事務局当局とも相談しながら、今後決めさせていただきたいと思っております。  ご指摘のように、情報は、これまで文書で保存するのが中心でございました。このため、情報の検索や利用が大変難しい状況でございました。しかし、ご指摘のように、最近、情報技術の進展により、パソコンネットワークの電子掲示板や電子メールの機能を使って、情報の活用を今まで以上に行えるようになってきているのは、ご承知のことと存じます。
     都におきましても、今後、都庁LANを活用いたしましてパソコンネットワークを段階的に整備していき、ネットワークにもつながるパソコンの台数が増加していけば、現行の各種事務の手引なども索引化をしまして、電子掲示板の機能を活用することができるかと思います。  情報を電子化することによって検索も効率的になりまして、職員の情報の共有化も、ご指摘のように図ることができると考えております。また、事務連絡などの通知も電子メールで行えるようになりまして、この結果といたしまして、紙などの減少によるコストの面からの省資源につながっていくということも認識しております。  速やかにというつもりではございますけれども、職員も高齢化しておりまして、パソコンに習熟していない職員もおりますし、機械だけ入れればいいということでもございませんので、研修期間等を考慮に入れながら、速やかに検討してまいりたいと思います。 ◯山崎(泰)委員 確かに、なれない部分もあろうかと思いますが、ぜひともそれは速やかにやっていただきたいと思います。  今、大企業へ行くと、みんなそうですよね。大企業で最近思うのは、静か。電話が鳴らない。なぜ電話が鳴らないかというと、大体、各自一台ぐらいパソコンがあるわけですよね。それを見なかったとか、電話がかかってこなかったなんていう理由は、なかなか通用しない。管理職の皆さんが、部長席とかそういう席に置いて一生懸命やっていますよね。そういうことも含めて、能力のある方が多い都庁でしょうから、ぜひとも進めていただきたいと思います。  最後に、二、三、組織再編のことについてお尋ねをしたいと思います。  組織再編素案を八月中に策定という、知事からも明確な答弁が以前ありました。八月中ですから、今五月で、あと三カ月あるかないかですので、いよいよこれから詰めの段階に入られると思いますので、あえてここで三点ばかり、質問かたがた指摘をしたいと思います。  その組織再編と、一つは官民の役割分担見直しとの絡み、もう一つは定数削減との絡み、もう一つは事業評価システムの導入との絡みの三点をお尋ねします。  一つは、先ほどもちょっと質問に出ていましたが、官民の役割分担の見直しとの関連です。組織の再編が先か、官民の役割分担の見直しが先か、当然こういう話はあるわけです。本来であれば、官民の役割分担の見直しということで、先ほどお話もありました民営化がどこまでできるか、全局に関してやった上で、今回の組織再編素案に関しては、ここまで絞り切ったものが出せる、この局は無理だ、この部署は無理だという形で出すのかなというふうに話を聞いておりましたら、これまでの議論の流れでいいますと、どうもそうではない。八月中の再編素案は、そういうような形ではないと。違ったら、いっていただきたい。そういうニュアンスで受けました。  であるならば、一方で、本来的に全部俎上にのせてやるべきである官民の役割分担の見直しというのは、組織再編素案が八月に出た段階で、どれだけそこに官民の役割分担見直しの視点が入っているのか。また、その後、官民の役割分担の見直しというものをどういうような形で検討して詰めていくのか。既に今、その見直し論はやっていると思いますけれども、まず、その関係をスケジュール的なものを含めて教えていただきたいんです。 ◯山本総務局組織担当部長 まず、官民の役割分担なんですが、これの基本的な考え方といたしまして、行政として直接実施する必要性が失われ、または減少している業務、あるいは行政サービスとしての存在意義を失う、または存在意義が減少している業務、行政として必要な業務であるけれども、当該業務を行政みずからが行う必要性に乏しく、民間に委託した方が効率的である事務事業、こういったものは、基本的には民に任せるべきというのが考え方の基本でございます。  今後の役割分担の進め方についてでございますけれども、本年の一月に発表いたしました組織再編の基本的な考え方がございますが、それを土台にいたしまして、本委員会を初めとする各方面のご意見をお聞きしながら、行政改革の見直しを進める中で取り組んでいくというのが考え方でございます。  それで、組織再編素案との関係でございますが、組織再編素案は都の事務の分掌を再編整理したものとして考えておりますので、素案発表後も引き続いて官民の役割分担にかかわる検討を続けて、それを組織の方に反映させていく、こういう形になろうかと思います。 ◯山崎(泰)委員 以前も指摘をしましたが、今回は組織再編素案、その事務分掌がどうとか答弁がありましたけれども、結論的にいうと、その段階では抜本的な官民の役割分担の見直しという検討の経緯は入っていないということですよね、今のご答弁を解釈すると。  そうすると、その後に、官民の役割分担の見直しということをもし本格的にやるのであるならば、それは来年の夏を目途にという表現でしたか、実施の時期に関して、それは間に合うんですか。その辺は一体どうなんですか。そこは、はっきりしておいてもらいたいと思うんですよね。 ◯山本総務局組織担当部長 官民の役割分担につきましては、これは組織の再編と行政改革大綱と密接な関連がございまして、基本的には、行政改革大綱の中で官民の役割分担が明らかになったものを組織の再編の中に反映をさせていくということでございますので、今後、行政改革大綱の見直しの中でいろいろ検討がされ、それが明らかになったものが組織再編の中に具体的に生かされる、こういうことになろうかと思います。 ◯山崎(泰)委員 じゃ、そうすると、組織再編素案が出てくるまでには、それがまだ入っていないわけですから、そういった意味でいうと、その後、議論の中で官民の役割分担を見直して、もし仮にかなり踏み込むものがあるとすれば、それは最終的に上がってくる案と大きく違ってくるというか、大きく修正される余地がまだ十分残っているようなものが、組織再編素案が八月に我々に示されるときに出てくるという意味ですか。 ◯山本総務局組織担当部長 組織再編素案は、組織再編に関する一つの考え方、平たくいえば、たたき台として考えておりますので、今後の行政改革が進む過程で、組織再編をともにいろいろと作業を進めていくわけでございますけれども、常に緊密な連携をとりながら、お互いにそごのないようにそれらを進めていくということでございます。 ◯山崎(泰)委員 組織再編そのものに私はこだわっているわけではなくて、組織再編をしていくのであるならば、そういった仕組みをつくって変えていくのであれば、やっぱりこの時期に幾つかの視点をきちっとそこに入れておかなきゃいけない。その一つが官民役割分担の見直しであり、以前も指摘しましたから、きょうは重複を避けますが、定数削減、どこまでスリムにしていくのか、それもすべてかかわってくる問題なわけですよね。そこにぜひとも、もう一つ定数削減とあわせて、この視点も入れていただきたいと思いますのは、十分入っていると思いますが、事業評価システムの導入ということです。それぞれ事業を評価していかなければいけない。ただ、これは、局と局でまたがったり、事業が違ったりすると、数値化を含めて求めていくのがなかなか難しいだろうというふうに思いますが、私は、素案の時期でも実施の時期でも、どちらでもいいですが、きちっとした形、難しい事業評価ができ得るような再編にしていかなければいけないんであろうと思います。  いろいろな道府県を見て、また総務局の皆さんから聞いてみると、片や三重県は、積み上げ式で各事業ごとにやるような仕組みをとっていると。片や北海道あたりへ行くと、事業評価を専管するセクションを設けて、そこで全庁的な評価をしている。東京都も規模が大きいですから、できる部分とできない部分とありますが、そこら辺の部分に関しては、今回の素案の作成の中で、視点としては当然入っているんだろうと思いますが、どうなんでしょうか。 ◯山本総務局組織担当部長 組織再編に取り組む前提として、事業成果については現在以上に明示する工夫をしていく、こういうことが執行体制の課題の一つとしてあるということは認識をいたしております。事業評価システムにつきましては、その内容がまだ検討中のことでございまして、定かではございませんけれども、その考え方は、事業成果の明示と同様のものというふうに考えております。したがいまして、組織の再編に当たりましては、そのようなシステムも視野に入れまして取り組んでまいりたい、このように考えております。  また、もう一つ、その担当組織についてのお尋ねでございますけれども、組織のあり方については、システム内容を検討する中で、今後の検討課題としてまいります。 ◯山崎(泰)委員 最後に意見だけ申し上げますが、八月に向けて、これから詰めていく時期だと思いましたので、あえてこのことを申し上げました。どの程度の素案かよくわかりませんが、そういう中で、やっぱり仕組みを変えていくには、そこに幾つかの仕組みを入れていかなければいけないという意味で、従前の議論の中で私も気になっている官民の問題と、そのことで定数がどう動いていくのかということと、それから事業評価、これは非常に難しい部分だと思いますが、私は個人的には、かなり大きい組織ですけれども、事業評価はある程度やっぱり、積み上げじゃなくて、先ほど総務局がそれぞれ原局に聞いても改革はできないでしょうという話はありましたけれども、組織の大小は別として、専管をするぐらいの組織がないと、なかなかこの改革は難しいんではなかろうか、事業評価ということはなかなか一歩踏み込めないんではなかろうかということを危惧として持っているものですから、あえてこの時期に申し上げました。ぜひとも素案に向けて、そのような視点も入れたものを素案にしていただきたいというふうに思います。 ◯内田委員長 ほかに発言がなければ、以上をもちまして報告事項に対する質疑を終了いたします。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後六時十分散会...