東京都議会 1997-03-21
1997-03-21 平成9年都市・環境委員会 本文
午後一時五十一分開議
◯今井委員長 ただいまから都市・
環境委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
さきに理事会にご一任いただきました意見書、決議のうち、
環境影響評価制度の法制化に関する意見書及び
デポジット制度の導入に関する意見書について、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
朗読は省略いたします。
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環境影響評価制度の法制化に関する意見書(案)
本年二月十日、
中央環境審議会から「今後の
環境影響評価制度の在り方について」とする制度の法制化を前提とした答申があり、現在、政府は、この答申に基づき法案策定の
具体的作業に着手し、開会中の第百四十回通常国会に上程の運びと伝えられている。
環境影響評価制度については、東京都においても、制度の一層の充実に向けて検討を進めているところであり、我が国の
環境行政の前進のためにも、一日も早い法制化が待たれるところである。
今回の
中央環境審議会の答申では、国と
地方公共団体との関係について、国の制度の
対象事業は、国の手続と
地方公共団体の手続の重複を避けるため、国の制度による手続のみを適用することが適当であると述べている。
しかし、都においては、これまで東京都
環境影響評価条例に基づき、国の
環境影響評価実施要綱の
対象事業についても、本条例の手続を実施してきたところである。
法制化に伴い、法律の
対象事業について、都条例の手続が適用できなくなると、
住民参加手続や
第三者機関である審議会による調査・審議など、より充実した条例の手続を実施することができなくなり、都の
環境行政の後退につながることが懸念されるところである。
よって、
東京都議会は、政府に対し、
環境影響評価制度の法制化に当たり、次の事項に十分配慮するよう強く要請する。
一 既に
地方公共団体が条例等に基づき運用している制度については、その手続きが実質的に担保されるような措置を講ずること。
二
地方公共団体の
環境行政の後退につながることのないよう、また地方分権の時代における
地方自治行政の前進に寄与する内容となるようにすること。
以上、
地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
平成九年三月日
東京都議会議長 熊本 哲之
内閣総理大臣┐
自治大臣 │あて
環境庁長官 ┘
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デポジット制度の導入に関する意見書(案)
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の本年四月からの施行を前に、全国の自治体で様々な取組がなされている。
一般廃棄物の
最終処分場の残余年数は、全国で平均八・一年、首都圏では五年と極めて厳しい状況にあり、ごみの減量化は、正に緊急にして最も重要な課題である。特に、
容器包装廃棄物の一般ごみに占める割合は、重量で約二五%であるが、容積では六〇%を超え、
容器包装廃棄物の
リサイクルは、
最終処分場の延命を図る意味からも有力な方法である。
四月から義務づけられるガラス瓶と
ペットボトルに加えて、同法が完全施行となる平成十二年四月からは、その他の
プラスチックや紙の
包装容器についても再商品化が義務づけられる。
これらを契機に、生産・流通・消費・再利用のすべての段階を抜本的に見直し、ごみの減量化・資源化のメカニズムを
社会経済システムの中に組み込んでいるような社会、いわゆる
資源循環型社会の構築を目指して、できる限りの施策を講じていく必要がある。そして、このことは、
国民一人ひとりの協力が得られてこそ、真の意味での実現を可能にすることができるのである。
こうした国民の協力を促進する方策の一つとして、
デポジット制度がある。この制度は、国民に分かりやすい制度であること、高い回収率や
リターナブル容器への誘導が期待できるなどの利点があり、また、
事業者自己回収を促進する上でも有効な手法である。しかし、地域を限定した導入は、
デポジットの対象製品であるか否かを識別する必要が生じる等の課題がある。
よって、
東京都議会は、政府に対し、
容器包装廃棄物の再利用・再
資源化システムを実現するとともに、事業者による自己回収のため、全国的な
デポジット制度の導入等について積極的に検討し、早期に制度化を図るよう強く要請する。
以上、
地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
平成九年三月日
東京都議会議長 熊本 哲之
内閣総理大臣┐
大蔵大臣 │
厚生大臣 │
農林水産大臣│あて
通商産業大臣│
自治大臣 │
環境庁長官 ┘
─────────────
◯今井委員長 本件につきましては、
議長あて提出の手続をとらせていただきます。なお、調整がつかなかった意見書、決議につきましては、その旨、議長に報告をすることになりました。ご了承願います。
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◯今井委員長 次に、今後の
委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせをいたしましたので、ご了承願います。
本日は、平成九年度予算の調査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより平成九年度予算の調査を行います。
第一号議案、平成九年度東京都
一般会計予算中、歳出、
繰越明許費、
債務負担行為、都市・
環境委員会所管分及び第十三号議案を一括して議題といたします。
本案については、既に質疑を終了いたしております。
これより意見の開陳を行います。
順次発言を願います。
◯高野委員 私は、
都議会自由民主党を代表いたしまして、当委員会に付託された平成九年度
予算関係議案についての意見の開陳を行います。
初めに、
各局共通事項について申し上げます。
都財政は、歳入の中心である
都税収入が、平成九年度税制改正による減収額が六百九十七億円と大幅なものとなった結果、
地方消費税や徴税努力を除いた
通常ベースでは、対前年度一・七%の伸びにとどまっております。
このように、
都税収入は実態的にはまだまだ回復しておらず、今後も大きな伸びを期待できない中で、
財源不足額は平成八年度の約二千六百億円から約三千五百億円へと大幅に増大し、都財政は極めて深刻な事態に直面しております。
こうした極めて厳しい
財政環境の中で、平成九年度予算においては、特別な財源対策として財調基金の取り崩しなど基金を活用する一方で、さらに減債基金の一部
計上見送りや、
果実活用型基金の運用金の
償還繰り延べなどを行っております。
こうして、平成九年度の予算はようやく編成することができましたが、平成十年度には四千三百億円を上回る
財源不足が見込まれているなど、都の財政運営はまさに予断を許さない状況となっております。
青島知事は、この九年度予算を都政の新たな展開に向けた
基礎づくりの予算と位置づけたとしております。確かに、
投資的経費を大幅に削減する中にあっても、高齢社会問題や
震災対策など、都政の重要課題に財源を重点的かつ効率的に配分した努力については、認めるものであります。しかし、
財源不足の解消や今後の都の施策のあり方など、その内容を見るならば、今後に多くの課題を先送りしただけともいえます。
今後、都は、財政の健全化を図っていくため、
健全化計画実施案の策定に向けて、施策の見直しなど全力を挙げて取り組んでいくことが必要であります。
なお、こうした極めて厳しい
財政環境の中でようやく編成したこの九年度予算案の執行に当たっては、各局とも一層効率的な事業の運営に努めるとともに、予算化された事業については、都民の期待に適切にこたえるべく、さらに工夫と努力を重ねながら執行されるよう強く要望するものであります。
次に、各局関係について申し上げます。
まず、
都市計画局関係について申し上げます。
一、
防災都市東京を早期に実現するため、阪神・
淡路大震災の教訓等を踏まえ、
木造住宅密集市街地等における防災性の向上、建築物の耐震性の強化を重点的に推進し、災害に強い
市街地整備を積極的に展開されたい。
また、
都市型水害に対処するため、総合的な治水対策の一環として、河川や下水道の整備とあわせ、
公共施設や民間施設の敷地を利用した雨水貯留・浸透施設の設置の推進に努められたい。
二、都心部を中心とした業務機能の過度の集中によって生じるさまざまな障害を是正するためには、
都市機能の適切なバランスの確保、とりわけ、職と住の
バランス、都市開発と
都市基盤整備のバランス、地域間の
バランスの確保が必要となっている。こうした均衡のとれた
都市づくりを進めるため、都心居住の推進を含む
区部中心部の整備や、副都心、多摩の心の育成整備に一層努められたい。
三、交通渋滞や通勤混雑を緩和することにより、
都市交通の利便性、快適性を高め、また、均衡のとれた
都市づくりを形成するため、周辺の環境にも配慮しながら、道路や
公共交通網の整備を推進されたい。
四、緑のマスタープランの改定や良好な都市景観の形成等に努められたい。
また、
都民生活に不可欠な水資源の確保を一層促進されたい。
次に、
環境保全局関係について申し上げます。
一、
地球環境保全に向けた
東京アクションプランについては、環境と都市化の調和した
持続的発展が可能な東京をつくるために、都民、事業者、行政が取り組むべき具体的な行動が明らかになるものとされたい。
二、
地球温暖化対策として、都民に対する
省エネ意識の普及啓発、
クリーンエネルギーの開発推進を図られたい。また、
フロン対策や都内の企業による
国際環境技術協力の支援に取り組まれたい。
三、新たに
環境基準が設定される有害物質の測定、規制について的確に対応するとともに、
法規制対象以外の
有害化学物質についても早急に実態把握に着手されたい。
四、保全緑地の公有化などの施策を積極的に推進するとともに、公有化した自然地の有効な活用策を展開されたい。
五、東京都
水環境保全計画については、水質改善はもとより、水量や湧水の保全、地下水の浄化、水循環の回復、多様な水生生物の確保など、総合的な施策の推進に対応し得る計画とされたい。
六、
公害防止資金融資制度については、引き続き、金利低減や融資対象についての見直しを進めるとともに、制度の内容の周知徹底を図り、利用の拡大に努められたい。
次に、
清掃局関係について申し上げます。
初めに、ごみの減量化、資源化のための施策として、一、ごみの発生量を抑制するため、資源化できるごみは極力資源化し、都民、事業者、行政が一体となって、
ごみ減量化行動計画を積極的に推進されたい。
二、
資源循環型社会を形成していくために、二十一世紀を見据えた
廃棄物行政のあるべき姿の構築に積極的に取り組まれたい。
三、
東京ルールIの実施に際しては、
都民生活への影響に十分配慮し、
モデル事業の施策結果などを踏まえ、都民の理解と協力を得て取り組まれたい。
四、
東京ルールIIIについては、事業者の理解と協力を得て、さらに多くの
販売事業者の参加や、不参加を表明している容器・
内容物メーカーの参加の実現に向けて粘り強く取り組まれたい。
五、
事業系ごみ全面有料化については、公平、公正さを確保するとともに、さらに協力度を上げるように努力されたい。
また、歳入の使途については、
ごみ減量、
リサイクル施策をより一層拡充し、
資源循環型社会を実現するため適切に活用されたい。
六、
廃プラスチック及び焼却灰の減容化及び再利用技術について調査研究を推進されたい。
次に、ごみの安定的な
全量中間処理体制の確保のための施策として、七、ごみを安定的に
全量中間処理をしていくため、
清掃工場等の新設、建てかえを推進されたい。
八、既設工場の
機能維持回復と安定焼却の推進を図られたい。
次に、ごみの
安定処理対策として、九、収集、輸送の安定化のため、
不燃ごみ中継基地の建設整備を推進されたい。
十、ごみの安定処分のため、現処分場の有効活用を図りながら、新
海面処分場の整備を推進されたい。
次に、
産業廃棄物処理対策として、十一、適切な公共関与のあり方に沿って、
産業廃棄物の
中間処理対策を推進されたい。
次に、市町村の
廃棄物処理対策については、十二、市町村における
廃棄物処理施設の整備や、
ごみ減量化促進事業に対する補助の充実を図られたい。
最後に、
震災対策について、十三、
清掃工場等の清掃施設について、耐震性などを十分調査し、震災時においてもその機能が確保できるよう対策を講じられたい。
以上をもちまして意見の開陳を終わります。
◯大沢委員 私は、
都議会公明を代表して、本委員会に付託されました平成九年度
予算関係議案について意見の開陳を行います。
現在の都財政は、非常事態ともいうべき財政困難な状況に直面しており、歳出と
都税収入のギャップは依然として大きく開き、これを埋めるべき財政の対応能力は、各基金を初め起債の発行についても限界に達しており、この事態は、まさに昭和五十四年度の
財政再建団体の転落寸前の状態となっています。
その上、今後の
都税収入に多くの期待ができない中、高齢化の進展に伴う
福祉関係経費や、近年の都債の大量発行に伴う公債費の増、さらには社会資本の
維持更新費の増など、財政崩壊は確実に増すことが見込まれています。このような状況を考えると、
財政立て直しは緊急に取り組むべき重要課題でありますが、今こそ国に対し、権限と財源がセットされた地方分権を強力に推進するとともに、都における一層の
行政改革を断行しなければ、あすの都政はないと痛感するものであります。
財政健全化のためには、財政の基本に立ち返り、現在の
都税収入に見合う歳出全体を抑制することが必要であることから、外郭団体を含め、時代のニーズにそぐわない定数の削減や施策の
抜本的見直しなど都政のリストラに取り組むべきであり、また、既存の事業を見直すなど、より一層の効果的な都政運営に努めるべきであります。本年度予算化された事業については、都民の期待に適切にこたえるため、さらなる工夫と努力を傾け、都民の安全と
都民生活向上のため、重点的に施策の充実を強く要望するものであります。
次に、各局について申し上げます。
まず最初に、
都市計画局について申し上げます。
一、大地震から都民の生命、財産を守るため、
防災都市づくり整備計画に基づき、重点地区において重層的、集中的に実施する各事業の進捗を図るため、都の
実施事業の種地として用いる用地の先行取得を行うこと。
また、震災時の延焼防止と避難の安全を図るため、区の実施する
都市防災不燃化促進事業に対する補助、及び
防災生活圏を形成するため、
防災施設整備など
防災まちづくり事業を実施する区に対し助成措置を充実すること。
一、
都市機能の更新を図りつつ、職住近接型の良質な
市街地住宅の供給を推進する
住宅市街地総合整備事業の促進を図るとともに、
土地区画整理事業、市街地再
開発事業、
地区計画等の各種事業を活用し、良好な市街地の形成に努めること。
一、道路交通の渋滞を解消するため、
首都高速道路の整備を促進すること。また、大震災を想定し、高速道路の安全対策を緊急に行うこと。特に、
手抜き工事が行われないよう監督すること。
一、鉄道網の整備について、1)、通勤ラッシュの解消を図るため、
地下高速鉄道の建設促進を図ること。
2)、北陸新幹線鉄道の
整備促進を図ること。
3)、常磐新線及び
区部北東部の交通不便を解消するため、日暮里・舎人線の促進を図ること。
4)、多摩都市モノレールの早期開業に努めるとともに、次期事業化すべき路線の
早期事業化に努めること。
5)、区部周辺部における環状方向の
公共交通機関のあり方については、実現に向けての調査結果を踏まえ、その導入について早期に具体化を図ること。
6)、軽量で小型、低騒音、低振動で、しかも低廉なコストで導入できるLRTなど、新しい
公共交通システムの導入について検討を進めること。
次に、
環境保全局について申し上げます。
一、
総合環境アセスメントを制度化するに当たっては、「中間のまとめ」に対する各方面からの意見を十分検討し、その成果を反映させること。
一、
地球環境の保全が急務であることから、都は自治体のリーダーとして、オゾン層の破壊、
地球温暖化対策及び酸性雨などの
具体的施策の推進に積極的に取り組むこと。特に
酸性雨対策については、
アジア大陸の
発生源諸国を含む
環境管理対策に取り組むこと。
一、深刻化するオゾン層を破壊するフロンの処理については、現在のフロンの回収、再利用の拡大を図るため、都の施設はもとより、民間による業者への指導も積極的に行うこと。
一、
二酸化窒素の
環境基準の達成は都政の重要な課題であることから、東京都
自動車排出窒素酸化物総量削減計画を着実に実施するとともに、
自動車交通量抑制のための取り組みの強化を図ること。
一、低公害車の普及促進は
窒素酸化物削減対策の重要な柱であることから、日進月歩で開発が進んだ低公害車を選択し、より一層の普及を積極的に進めること。
次に、
清掃局関係について申し上げます。
一、
資源循環型社会を構築するため、資源の回収、再製品化並びに販売という一連の
リサイクルシステムを早急に確立すること。
一、
事業系ごみの有料化の実施に当たっては、現場で混乱が生じないよう、シールの販売店の確保に配慮するとともに、その使途については、ごみの減量・資源化などに適切に使用すること。
一、
容器包装リサイクル法の精神を徹底した
東京ルールを、
回収コストも考慮しながら推進すること。特に
ペットボトルの
回収システムについては、現在不参加を表明している容器・
内容物メーカーと十分協議し、システムへの参加を実現すること。
一、資源再利用のための
リサイクルルートの確保に努めるとともに、
資源回収業界の支援を図ること。
一、ごみの資源化や減量化を図るため、新処理技術の開発に努めること。
一、可燃ごみを安定的に焼却するため、
清掃工場の新設及び建てかえを促進すること。
一、
清掃工場の新設については、地元住民の協力を得るとともに、地域住民のニーズを生かすための還元施設を整備すること。
一、
清掃工場における
ダイオキシンなどの
公害防止対策を強化するとともに、国の規制基準のない
産業廃棄物に伴う
ダイオキシンの
基準づくりを国に要望し、都としても
環境管理を行うこと。
一、ごみの
分別収集体制の整備を進めるとともに、
環境保全対策及び輸送効率の向上を図るため、中継基地の拡充を図ること。
一、
清掃事業の区移管に向けて、
地方自治法の改正に積極的に取り組むこと。
一、
海面埋立処分場については、現処分場の延命を図るとともに、
長期的展望に立ち、新
海面処分場の整備に努めること。
一、廃冷蔵庫からのフロンガスの回収を引き続き実施すること。
一、
産業廃棄物については、
排出者負担の原則にのっとり、廃棄物の適正処理や
排出管理等について施策の強化を図ること。
また、多量の
建設廃棄物を排出する
公共事業の発注者である都は、
産業廃棄物の問題解決に積極的に取り組むこと。
一、
リサイクル事業の展開の中で集荷された古紙があふれ、
リサイクル事業が進展せず、
リサイクル事業そのものがピンチを迎えている。当面する対策と、
中長期的対策としての新たな需要拡大を早急に確立すること。
以上をもって意見開陳を終わります。
◯坂口委員 私は、民主・
リベラル連合都議会議員団を代表して、当委員会に付託された平成九年度予算にかかわる議案について意見の開陳を行います。
初めに、予算一般及び共通事項について申し上げます。
平成九年度東京都
一般会計予算の規模は六兆六千五百五十億円で、前年度当初予算に比べ、二千百億円、三・一%減、一般歳出では三千四百八十四億円、六・一%の減となっています。
投資的経費の削減、
起債依存度の低下に取り組む一方で、
都民生活に直結する福祉と保健の分野は七千億円弱、二・六%増を確保し、予算に占める割合も初めて一〇%を超えた点については、評価したいと思います。しかし、削減できたのは
投資的経費だけであり、
マイナスシーリングをかけたはずの
経常的経費は給付金の対象者増などにのみ込まれてしまい、全体では全く減っていないのが実態です。
都政改革は、これからが本番です。
東京都は、昨年三月の
行政改革大綱によって二十一世紀への
行政改革の道筋を示し、昨年十一月の
財政健全化計画によって、
都財政再建の方策を定めました。私は、本意見開陳に当たって、都政に絞って、これらの大綱、計画に何点か補足しておきたいと思います。
まず第一点は、行政の
事務事業の効果を評価する仕組みについてです。
東京都はこれまでも、施策の
効果的展開や都民の利便性の向上などを課題とした施策の見直しを行ってきました。しかし、私はさらに、定量的にははかり切れない行政の
事務事業の特性を理解しつつも、行政と民間の役割分担のあり方を踏まえつつ、目的、実施状況、結果を総合的に判断し、その上で充実、縮小、廃止などを決めるという
事務事業の効果を評価する仕組みが必要と考えます。
第二は、
予算編成手法の見直しです。
これまでのように、各部課段階から予算を縦に積み立て、一たん定められた予算の完全執行に固執していては、都財政の構造を変えることはできません。局部課の垣根を越えた課題別の総合予算の編成や、各局がみずからの権限と責任で施策を見直し、不要な施策を取りやめた結果浮いた財源を必要な施策に充当できるような予算編成と結果に対する
評価制度を整備すべきです。
第三は、使用料、手数料の原価を初めとした
行政コストの公開です。
行政コストを公開し、都民の皆さんの意見を聞きながら適切な負担を定めていくという作業は、都民の皆さんに、みずからが支払う手数料、使用料を初めとした負担の役割を伝えるとともに、行政の側にも
コスト意識を持たせることになります。これは同時に、都民と行政の間の緊張感と双方の意識改革を促し、まさにむだのない都政に貢献することになると考えます。
以上の三点は、これからの
都政改革に貢献する重要な手法であると思います。都側の真摯な検討を要請します。
次に、各局にかかわる事項について述べます。
まず、
都市計画局にかかわる事項について申し上げます。
一、
都市防災対策を強化するため、
応急危険度判定員の育成、公共・
民間建築物の耐震診断、落下物等の危険防止、避難場所、避難道路の見直し、
オープンスペースの整備、
防災生活圏、
都市防災不燃化促進事業などを積極的に進めること。
一、非常時にも活用できる
多目的広場の確保のために、都の施策の推進はもちろん、
区市町村の広場の総合的な把握や、
区市町村の広場確保の支援策などの施策を総合的に進め、絶対的な
オープンスペースの確保に努めること。
一、都市の
成長管理政策を導入し、都市のキャパシティーに配慮した業務機能の抑制、誘導を図るとともに、居住地域の確保、保全を図り、職と住の
バランスのとれた
都市づくりを進めること。
一、
都市計画への市民の主体的な参加を促進するため、
まちづくり協議会の設置促進、専門家の派遣等による支援などを実施するとともに、
都市計画に関する情報を積極的に公開すること。また、
まちづくり市民団体等への助成などについて検討すること。
一、
地区計画事業を促進するために、
区市町村に対する補助のうち、
地区計画策定調査費補助及び
地区施設整備、
土地買収等の費用に対する補助の拡充を行うこと。
一、
鉄道連続立体交差事業においては、
工事完成部分から運行開始できるよう万全の措置を講ずること。
一、横田基地及び
多摩サービス補助施設の返還を国に対して求めるとともに、
周辺自治体がこうむる騒音等の被害に対する諸施策や財政援助について、国に対して積極的に要請すること。また、
多摩サービス補助施設については、周辺の開発に対して自然保全が図られるよう対策を講じること。
一、
秋留台地域や
稲城地域等市街化調整区域にかかわる開発については、貴重な動植物などや自然保護に十分配慮するとともに、地域住民に計画の内容や進行状況などを公開し、合意形成を図ること。
一、調布基地跡地周辺の道路整備に対する関係自治体からのさまざまな要望について、的確に対処すること。また、跡地周辺へのアクセスとして、東八道路への東西方向の地下鉄の延伸について検討すること。
一、駐車場
整備促進事業を進めるために、駐車場整備計画策定調査や駐車場用地取得に対する補助制度の拡充や、公共駐車場、多目的駐車場の整備、共同荷さばき施設の設置などについて検討すること。
一、京葉線旅客化延伸の二期工事分の早期実現、JR中央線の複々線、連続立体交差化を推進すること。
また、多摩都市モノレールの構想路線や区部周辺部、多摩東部地域における新交通システムやLRT等の早期導入に努めること。
一、首都圏第三空港のあり方についての検討を進めるとともに、羽田空港への主要国際路線の導入を検討すること。
一、すべての人の移動の自由を確保する観点から、すべての人が円滑に移動できるような
公共交通機関の整備など、総合的な交通政策を検討すること。
一、不特定多数の人が利用する公共的建築物の、高齢者や障害者に対応した施設整備の促進を図ること。
一、雑用水の利用促進のために誘導施策を講じるとともに、指導指針の改定、要綱の策定などについて検討すること。また、水に関する総合的な施策の展開のため、
水環境保全計画、水循環計画などのプランを策定すること。
次に、
環境保全局にかかわる事項について申し上げます。
一、
環境管理・監査システムの導入を検討するとともに、
区市町村の環境基本計画策定を支援すること。
一、
総合環境アセスメントは、都民の意見を十分反映させるとともに、広域・計画アセスなど対象範囲を拡大するとともに、代替案を検討できる仕組みとすること。
一、国際協力を推進するため、海外環境協力事業専門家登録制度を充実すること。
一、環境学習の推進を図るため、環境学習センターを充実させること。また、都民が自主的に進める学習活動、大気汚染調査、酸性雨調査など環境保全のための活動への助成、支援を行うこと。
一、
地球環境問題に積極的に取り組み、自治体としての公共投資基準、エネルギー計画、環境負荷低減の自主管理指針など、環境保全行動基準などを作成すること。同時に、これらの基準に基づいた全庁的な取り組み体制を整備充実すること。
一、省エネルギー対策を進めるために、地域冷暖房を推進するとともに、未利用エネルギーや新エネルギーの利用拡大に努めること。また、エネルギービジョンを策定すること。
一、水環境の保全をより一層推進するため、総合的な
水環境保全計画を策定すること。
一、緑地保全策の推進を図るため、保全地域の指定にかかわる総合計画の策定や保全緑地の公有化の促進、
区市町村保全樹林公有化資金の貸し付けなどを積極的に行うこと。
一、
地球環境保全の観点からも、古紙の有効利用等を促進し、地球の緑の保全に努めること。
一、窒素酸化物
環境基準の前倒し達成に向け、自動車交通量の抑制策、低公害車の普及促進、物流システムの改善などの施策を積極的に進めること。
また、
環境基準達成が困難と予想される場合、
環境基準達成のため、都独自の単体規制、乗り入れ規制、事業別総量規制などの
具体的施策を講じること。
一、浮遊粒子状物質、大気
有害化学物質対策の推進を図ること。
一、河川の清流化、湧水、地下水の保全、復活、雨水の地下涵養を充実強化し、生活排水対策重点地域を拡充すること。また、地下水の保全対策として、汚染井戸の浄化対策を早急に図ること。
一、鉄道や航空機その他の騒音、振動対策を強化すること。
最後に、
清掃局関係にかかわる事項について申し上げます。
一、鉄道や航空機その他の騒音、振動対策を強化すること。
最後に、清掃局にかかわる事項について申し上げます。
一、資源循環型の
都市づくりを目指し、関係局と連携し、
ごみ減量化行動計画など、その施策のより一層の推進を図ること。
一、
ペットボトル等の
包装容器の事業者による自己回収の促進に向けて、規程の整備、回収ボックス設置場所等の工夫、デボジット制度の導入に向けた検討を行うこと。
一、
リサイクルルートの確立に当たっては、東京都と関連事業者、関係区、市民団体等とのきめ細かな連携を図ること。
一、古紙の
リサイクルを促進するため、事業者向けの再生品利用ガイドラインを策定するとともに、都民、消費者に対する普及、啓発、PR活動を強化すること。また、製紙メーカーや印刷、出版等の大口ユーザーに需要拡大を働きかけるとともに、海外輸出の可能性を含め、需要拡大の環境整備に努めること。
一、製品アセスメントの指導体制を確立し、適正処理困難物の指定を積極的に行うこと。
一、事業者の排出責任を明確にし、大規模事業者の減量目標、報告、ストックヤード設置などの義務を積極的に履行する体制整備を図ること。
一、
リサイクルを推進するため、地域
リサイクルセンターの整備を推進すること。
一、共同ストックヤードの
整備促進など再利用団体、資源回収業者への積極的な援助を行うこと。
一、マニフェスト制度の徹底など、
産業廃棄物の排出管理に対する指導強化を図ること。また、公共関与の適正なあり方を検討すること。
一、
清掃工場建設に当たっては、周辺住民や自治体など関係者との合意を図るとともに、ストックヤードや灰溶融施設、資源化プラントの併設などを考慮すること。
一、溶融スラグの有効利用により、
海面処分場や日の出の谷戸沢等への負荷の軽減に積極的に取り組むこと。
一、多摩地域の清掃施設整備に適切な支援を行うこと。
最終処分場問題については、関係住民の理解と合意形成に努力するよう指導すること。
一、水銀、
ダイオキシンなどの有害物質対策については、環境防止設備の拡充強化を図ること。
一、清掃研究所の充実を図り、民間の研究機関や企業、大学研究機関等の連携により、資源循環のためのトータルシステム確立について積極的に対応すること。
以上をもちまして民主・リベラル連合都議団を代表しての意見開陳を終わります。
◯たぞえ委員 日本共産党都議団を代表して、九七年度
予算関係議案について意見の開陳を行います。
今、長引く不況のもとで、都民の暮らし、営業が脅かされています。その上、消費税率引き上げや医療保険の大改悪で、年間九兆円という大増税が押しつけられようとしています。こうした国の悪政から都民の暮らしを守る防波堤の役割を持つべき都政が、浪費とむだを温存し、そのツケを都民に押しつけるという、国と全く同じ構図の悪政を続けることは容認できません。
予算案で計上されている七つの副都心、五つの多摩の心の整備は、政府、財界が進めてきた東京改造路線そのものであり、東京一極集中を一層激化するものです。今、求められているのは、大規模開発を抜本的に見直し、都民が安心して住み続けられる都市東京を実現するために、住民参加のまちづくりを進めることです。
また、公害をなくし、東京の自然保護を進める施策を急ぐことも求められています。
ごみ問題でも、燃やして埋めるという従来型ごみ行政を転換し、発生抑制、
リサイクル・再資源化を徹底して進め、減量の弊害となっている
事業系ごみ全面有料化は直ちに中止すべきです。
以下、各局について意見を述べます。
まず、
都市計画局関係について申し上げます。
一、臨海開発の見直しは、開発目標から抜本的な検討を行い、新たな副都心づくりをやめて、都民の憩いの場として転換をすること。
一、都心、副都心、多摩の心、地区中心による大規模開発、超高層ビルの建設を規制すること。汐留地区、北新宿地区、立川北口、八王子北口の再
開発事業などの大規模開発、再
開発事業は全面的に再検討すること。
一、東京外郭環状道路、都市高速道路王子線、中央環状新宿線などの高速道路、自動車専用道路の建設を凍結し、住民参加による全面的再検討を行うこと。王子線、新宿線関連街路建設を中止するとともに、建設促進のための
首都高速道路公団への出資、貸し付けを取りやめること。高規格道路建設、核都市広域幹線道路、東京中央縦貫道路計画の調査を行わないこと。ゼネコン疑惑まみれの東京湾横断道路建設株式会社への出資を撤回すること。
一、幅員三十六メートルに広げる府中所沢線、調布保谷線などの道路拡幅計画を撤回をすること。
一、住民追い出し、環境破壊の環状二号線の立体道路とそれに伴う大規模再開発を中止すること。
一、オフィス床面積の総量規制、高容積率の商業地域での指定容積率の引き下げなど、大企業の東京集中を規制する実効ある対策を講ずること。
一、圏央道の
都市計画を廃止すること。
一、圏央道と直結し、住環境の破壊をもたらす八王子南道路、新滝山街道、北西部幹線道路の建設計画を撤回すること。
一、大企業主導による開発を追認した秋留台総合開発マスタープランを撤回し、緑と自然の保全、住環境の改善など、住民の意思を反映させた計画に抜本的に見直すこと。
一、市町村の公共用地取得に対する財源措置を拡充すること。
一、首都圏の第三の国際空港計画の検討は行わないこと。
一、多摩地域での
公共交通網を整備し、LRTなどシステムの検討、導入を行うこと。
次に、
環境保全局について申し上げます。
一、環境基本条例を実効性のあるものとするため、環境保全の基準に経済活動を調和させる原則、汚染原因者負担の原則、環境破壊未然防止の原則、住民参加と情報公開の原則、国際協力の原則などを明確にしたものに改正すること。
一、環境基本計画の策定に当たっては、都独自の
環境基準を定め、それを達成するための計画内容とすること。
一、ディーゼル車の排出ガス規制の強化など、自動車排出ガスの単体規制の強化を国に強く求めること。また、NOx の少ない車種への代替を図ること。さらに、ディーゼル車製造・販売社に課徴金をかけ、代替車開発を促すこと。
一、電気自動車などの低公害車を都バス、清掃車、庁有車などに大幅に導入すること。低公害車キャンペーンとして、電気自動車などを都庁循環バスに導入すること。
一、ディーゼル車の都内一定地域への乗り入れ禁止を初め、自動車交通量の総量規制の実効ある対策を国に要求すること。
一、公害防止の観点から、道路構造の基準、標準を改正するよう国に要請すること。都としても、歩道、植樹帯、環境施設帯、防音施設などについて、より改善すること。
一、研究を進めてきた低濃度脱硝装置を、住民要求に基づいて設置すること。
一、一般大気環境測定局、自動車排出ガス測定局を増設すること。設置のおくれている多摩地区への自動車排出ガス測定局の増設を急ぐとともに、当面、移動測定の強化など測定体制を強めること。すべての測定局で浮遊粒子状物質について測定すること。
一、
環境影響評価条例の抜本的改善のために、新たにつくる環境配慮制度を実効性のあるものにすること。
制度の対象は、都が実施主体の計画はもちろん、国や民間が主体のものも含めること。
また、環境配慮書を作成するときは、複数の代替案の提出を義務化すること。
さらに、環境配慮書を検討する
第三者機関は、住民参加で独立性を堅持させ、計画の変更や見直しを指示できる権限を持たせること。
一、東京における自然の保護と回復に関する条例による保全地域の指定を促進し、公有化を進めること。そのために、保全地域指定協力奨励金制度を創設すること。
一、自然の保護と回復に関する条例による保全地域内での開発行為の規制基準を緩和しないこと。また、国、都、公共団体であっても、開発行為は協議ではなく許可制とすること。開発対象地の分割、申請人の変更などの規制網抜けを許さないこと。
一、オオタカ、トウキョウサンショウウオなどの希少動物を保護し、生息環境を破壊しないこと。
一、野鳥、野性動物などの保護を行い、農作物被害に対する助成と実効ある対策を講ずること。
次に、
清掃局関係について申し上げます。
一、企業責任による製造、流通、販売の各段階におけるごみの発生抑制の法制化を国に働きかけること。
一、家庭系ごみの有料化は行わないこと。
一、
リサイクル・再資源化の弊害となる
事業系ごみの全面有料化を中止すること。減免制度は継続すること。
一、
事業系ごみの多種分別収集のための無料の分別袋や商店街へのコンポストセンター設置など、中小零細業者への
リサイクル・再資源化のための支援を強化すること。
一、資源回収業者の営業を支えるため、固定資産税、
都市計画税、軽油引取税等の優遇措置を講ずること。大規模なストックヤード、分別場所の確保、提供を行うこと。
一、工場計画は、
ごみ減量の取り組みを強める中で抜本的に見直すこと。
一、再資源化のための
リサイクル施設を建設し、資源循環型のごみ対策に本格的に取り組むこと。
一、資源ごみ回収のためのストックヤードを各区に確保するとともに、資源の分別工場、コンポスト工場など建設し、
リサイクルセンターとして整備すること。
一、
清掃工場から発生する
ダイオキシン対策を強化し、排出調査を緊急に拡充し、その結果を広く都民に公表すること。また、窒素酸化物、CO2 、化学物質などの対策もさらに充実させること。
一、
ごみ減量を口実にした清掃車や人員の削減を行わないこと。
一、市町村での減量、
リサイクル・再資源化のための施設整備に対する補助制度を新設するとともに、減量化促進対策事業を大幅に拡充すること。
一、日の出、新海面など大規模
最終処分場方式を見直し、各自治体が責任を持った小規模処分場方式に転換すること。
以上で終わります。
◯菊地委員 私は、都議会新進・刷新クラブを代表して、本委員会に付託された平成九年度
予算関係議案について意見開陳を行います。
まず初めに、
各局共通事項について申し上げます。
九年度予算案では、我が会派の主張に沿って、他に類を見ない大胆な
マイナスシーリングを各局の予算要求段階から取り入れるなど、積極的に健全化方策を実施したことにより、四千四百五十億円もの財源を確保したことについては一定の評価をいたします。しかし、財政構造の転換という命題に照らしてみるならば、その中身は必ずしも満足できるものとはなっておりません。
都債の発行は、
投資的経費の財源と裏腹の関係にあり、
投資的経費の削減により、都債の発行も減少するものと考えているからであります。
財源対策としては、義務的経費を含む
経常的経費の徹底した見直しが必要であります。この際、義務的経費は削れないという既成概念を捨て、ここに抜本的なメスを入れていかなければなりません。そのためには、制度の根本までさかのぼった施策の見直しと、従来からのいわゆる増分要求主義での予算作成手法の改革が必要であり、それには知事の強力なリーダーシップによる上からの改革が不可欠であります。
本年度予算の編成に当たっては、各局とも都財政の現状を十分認識し、財政再建に厳しい態度で対処されましたが、今後の執行に当たっては、一層の創意工夫を図り、都財政改善に努められることを改めて強く要望するものであります。
我が会派としても、都民福祉の向上を目指し、都政の改革に全力を傾注することを表明し、次に各局関係について申し上げます。
初めに、
都市計画局関係について申し上げます。
一、防災
都市づくりを推進するため、諸施策の種地となる用地の先行取得を積極的に行われたい。
一、大震火災の延焼防止と避難の安全を確保するため、
都市防災不燃化促進事業及び
防災生活圏促進事業のより一層の効果的促進を図られたい。
一、区部周辺部、多摩東部地域における新交通システムLRTや地下鉄等の導入について、事業の具体化について検討されたい。
一、臨海副都心への交通アクセスを強化するとともに、広域的な交通ネットワークを形成する東京臨海高速鉄道臨海副都心線の第二期事業、東京テレポート-大崎間を促進されたい。
一、多摩地域における南北方向の公共交通を充実するため、多摩都市モノレールの早期開業を図るとともに、次期整備路線の
早期事業化及び構想路線の具体化に向けての調査検討を進められたい。
一、東京の交通混雑の緩和のため、東京都交通局及び帝都高速度交通営団が建設する
地下高速鉄道の
整備促進を図られたい。
一、市街化区域内農地の無秩序な開発を防止するため、
土地区画整理事業などの手法を積極的に活用し、計画的なまちづくりを推進されたい。
一、既成市街地における
都市機能の更新及び居住環境の改善のため、市街地再
開発事業及び
住宅市街地総合整備事業を積極的に推進されたい。あわせて、助成制度の充実を図られたい。
一、都民に安定したおいしい水を供給するため、水資源開発の促進を図るとともに、関係各県と連携し、水資源対策に万全を期されたい。また、水の有効利用の観点から雑用水の有効利用の具体化を検討されたい。
次に、
環境保全局関係について申し上げます。
一、東京都環境基本計画の推進に当たっては、全庁を挙げて進行管理に努めるとともに、財源を効率的に投入し、計画内容の着実な達成に万全を期されたい。
一、事業者に対し、
環境管理・監査システムの導入、
有害化学物質対策への取り組み等について働きかけるとともに、支援策を講じられたい。
一、地球
環境保全対策として、
地球環境保全に向けたアクションプランの策定、地球温暖化防止・省エネ対策、
フロン対策等の積極的な推進に努められたい。
一、東京の緑を保全することは、
都民生活に憩いと潤いをもたらし、自然と調和した都市環境を形成する上で必要不可欠であるので、都民や関係
区市町村と相互理解と連携のもと、保全地域の指定や保存樹林地公有化の支援を一層推進されたい。
一、深刻化する東京湾の赤潮発生への対策として、流入する窒素、燐の削減に都として主導的な役割を発揮するとともに、引き続き合併処理浄化槽や雨水浸透ますの設置を促進されたい。
一、公害防止資金の助成制度は、中小企業者にとって必要なものであるので、社会経済情勢の変化を踏まえ、積極的に制度の拡充を図られたい。
次に、
清掃局関係について申し上げます。
一、
清掃事業の特別区への移管を積極的に進められたい。
一、
資源循環型社会の形成のため、生産、流通、消費の各段階において、ごみの排出を抑制するとともに、
東京ルールの推進により、可能な限りの資源化・
リサイクル施策を推進されたい。
一、資源回収業者の育成を図るとともに、再生品の需要拡大に積極的に取り組まれたい。
一、
清掃工場の建設、建てかえを推進し、ごみの安定的な
全量中間処理体制を確保されたい。
一、ごみの中間処理に当たっては、焼却一辺倒ではなく、ごみの固形燃料化やガス化溶融などの多様な中間処理のため、技術開発、実用化に積極的に取り組まれたい。
一、現埋立処分場の有効活用を図るとともに、新埋立処分場の建設整備を促進されたい。
一、廃冷蔵庫から冷媒フロンガスの回収を促進されたい。
一、公共関与のあり方に基づき、産業
廃棄物処理施設の整備を図られたい。
最後に、市町村が行う
廃棄物処理施設整備及び
ごみ減量化促進対策事業に対する援助を拡充されたい。
以上をもって都議会新進・刷新クラブの意見開陳を終わります。
◯加藤委員 付託されました議案に対して、東京市民21として意見の開陳を行います。
まず、
各局共通事項について申し上げます。
バブル期の放漫な都政運営とその後の景気の低迷によって、東京都の財政は深刻な影響を受け、二年続いて前年度当初予算に比べてマイナスの予算編成となっています。特に新年度は前年度比二千百億円、三・一%減と、減少幅は大きくなっています。
都は、厳しい財政状況の中において、都民の生活を守り、中小零細企業の経営の安定を確保するために、都の行政運営を抜本的に見直していくことが求められています。
二月に発表された生活都市東京構想では、最大の特徴を、右肩上がりの時代が終わり、成熟社会を迎える時代における都市政策のあり方を示したこととしております。しかし、成熟社会における都市政策を具体的に推進していくために、都は組織見直しを十分に行っているのかといえば、問題といわざるを得ません。
現状は、旧来の都政運営と都の組織によって、厳しい財政状況や前例、慣例に縛られる硬直した都政がつくり出されており、新たな都民需要に臨機応変に対処できないものと考えられます。
都の組織を抜本的に見直すことが課題です。
行政改革大綱で示した内容で、特に組織のあり方にかかわる点については、空文化することなく遂行することが、まず最低限の課題といえます。このことなくして、生活都市東京構想の実現は不可能であると申し上げておきます。
都は、昨年策定した
財政健全化計画に基づいて編成した来年度予算において、経常経費などの見直しによって四千四百五十億円の財源を確保するとともに、
投資的経費や都債発行額を抑制するなど、都の財政体質を改善していこうという姿勢については、私どもは高く評価をいたします。
また、福祉、保健にかかわる経費を充実強化する姿勢で重点配分した政策的姿勢も是とするところでございます。今後とも、都の財政基盤を強化するため、自主財源の確保や地方分権を実体のあるものとするための財源を国から移譲させることなど、積極的に取り組む必要があります。
しかし、水道メーター談合によって、四十二億五千万円にも及ぶ被害を都民に与えていたことや、返還したものの、不適正な会議費として八億円余りが支出されていたことなど、ずさんな公金支出の実態が明らかになりました。これらのことから、都に自浄能力があるのかとの、都民の都政に対するぬぐいがたい不信が起きております。都民に対する、より明確な説明責任を東京都自身に課すと都知事は表明をしておりますけれども、この間の都の対応は、説明責任を回避する姿ばかりが目立ちました。都民の都に対する信頼を回復するために、来年度予算の執行に当たっては、不正を指摘されることのないよう厳正な執行を要望しておきます。
市民が参画し、構想、計画、事業実施に至るまで協力を求め、民間自主事業への支援を強めることも、新年度の課題とすべきであります。すべての局にわたる情報開示、提供が円滑に行われるよう、この際強く求めておきます。
次に、各局について申し上げます。
まず、
都市計画局についてです。
一、高齢者や障害者の自立と積極的社会参加を促すため、まちづくりにおけるバリアフリー化を強力に推進すること。
一、防災
都市づくり推進計画の着実な前進を図ること。特に木造密集地域の改善に当たっては、地域の高齢化、権利のふくそう化など十分な配慮の上行うこと。
一、公共建築物の耐震診断結果を公表するとともに、そこで働く人、利用する人の安全確保のために計画的整備に努めること。
一、
公共交通機関の走行環境を整備し、マイカー利用の削減に努めること。
一、多摩都市モノレール整備事業の促進を行うこと。
一、
都市計画の策定に当たっては、周辺住民との合意形成を図ること。
一、都市景観形成事業の実施に当たっては、有効に活用されるよう指導を行うこと。
一、地下水の保全を促す各戸貯留浸透施設に対する助成を図ること。
一、横田基地及び多摩サービスセンター補助施設の返還を求めること。
一、基地周辺の生活環境の整備を促進し、日米地位協定の見直しに基地周辺協議会の意向を反映すること。
一、河川改修に当たっては、自然環境に配慮するとともに、計画的に事業を行い、
都市型水害による流域住民の不安をなくすこと。
次に、
環境保全局について申し上げます。
国の
環境影響評価制度の法制化に際しては、
地方公共団体の
環境行政の後退にならぬよう強く国に求めること。
一、事業の構想段階からのアセスに取り組み、代替案の比較検討を行うこと。
一、
総合環境アセスメントを条例制定すること。
一、都民、事業者の環境に配慮した自主的取り組みを支援、援助すること。
一、
地球環境計画の見直しに当たっては、具体的取り組みを都民参加で計画すること。
一、残された緑の公有地化を図ること。
一、発災時には、緑による延焼防止帯となるよう、ボリュームある緑地を配置すること。
一、自動車排ガスによる大気汚染の改善のため、思い切った交通量規制策に取り組むこと。低公害車の普及促進を図ること。
一、水循環を考慮に入れて、水源自立型都市東京を目指すこと。
一、超コンパクト型合成洗剤の成分である陰イオン界面活性剤について調査研究を進めること。
次に、清掃局に関して申し上げます。
一、ごみの減量、資源化技術の研究開発を進めること。
一、最終処分地の安全性、周辺環境への負荷について調査研究を行うこと。データの公開を行うこと。
一、
産業廃棄物の減量、資源化等の事業者責任を明確化し、処分に当たっては都内処分率を高めること。
一、都発注の公共工事から発生する
産業廃棄物については、局ごとの目標数値を設定するなどして、徹底した減量、
リサイクルに努めること。また、この推進体制を全庁的につくること。
一、
事業系ごみの全面有料化の実態と効果を都民に公表すること。
一、
清掃工場におけるエネルギー回収に努めること。
一、ごみの発生抑制、資源化、
リサイクルを進めること。
一、二十三区への事業移管を見据えた自区内処理の徹底を図ること。
一、工場建設に際しては、周辺住民の合意形成を図り、非焼却型施設の建設を推進すること。
一、中間処理施設、ごみ積みかえ中継基地等周辺の環境保持に努めるとともに、職員、住民の健康調査を行うこと。
一、最終処分地の延命を全庁挙げて取り組むこと。
一、再生品利用の拡大、需要喚起に努めること。
一、統一規格、
リターナブル容器の利用への助成制度を新設すること。
一、
デポジット制度の導入について検討を進めること。
以上で発言を終わります。
◯今井委員長 以上で予算に対する意見の開陳は終わりました。
なお、ただいま開陳されました意見につきましては、調査報告書として取りまとめた上、議長に提出いたします。ご了承願います。
以上で平成九年度予算の調査を終わります。
━━━━━━━━━━
◯今井委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯今井委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
━━━━━━━━━━
◯今井委員長 この際、所管局を代表して、木宮
都市計画局長より発言を求められておりますので、これを許します。
◯木宮
都市計画局長
環境保全局、清掃局、
都市計画局の三局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。
今定例会にご提案させていただきました付託議案等につきましては、慎重かつ熱心なご審査をいただきまして、まことにありがとうございました。
ご審査の過程で賜りました貴重なご意見、ご提案につきましては、十分に尊重させていただきまして、今後の
事務事業の執行に万全を期してまいりたいと存じます。
今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、甚だ簡単でございますが、お礼のごあいさつとさせていただきます。
まことにありがとうございました。
◯今井委員長 発言は終わりました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時四十九分散会...