なお、
棄権理由の回答は
複数回答になっておりますので、それぞれの理由の数値の計は一〇〇%を超えております。あらかじめご承知おきいただきたいと存じます。
以上、甚だ簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。
何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。
◯甲斐委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
◯三浦委員 東京都の
選挙管理委員会も入っての
自治省主催の
調査研究会が開かれているわけですけれども、過去に三回会議をやって、まだ結論が出ていないというお話がありました。まず、いつまでに結論を出そうとしているのか、そして、今現在結論が出ていないというのは、何に対してどういう結論が出ていないのか、それをちょっと説明してください。
◯木村次長 二つのご質問にお答えします。
自治省の考えでは、この四月ぐらいまでに一定の成果を上げたいということで、これから回を重ねていきたいということでございます。
それから、二点目でございますが、どんな項目が結論に至っていないかというお尋ねでございますけれども、例えば時間の延長というところがございますと、これまでは、一時間あるいは二時間、三時間とそれぞれ延長した場合の投票率の向上についての効果などを検討しているわけでございますが、その時間延長と
投票率向上というのが、どれぐらい
因果関係があるだろうか、そんなことも議論になったわけでございまして、まだ一定の結論が出ていないという例が一つございます。
それから、例えば投票日の設定でございますが、これにつきましても、平日あるいは土曜投票──新潟県の長岡市でございますが、平成八年度に市長選で土曜日の投票を実施したわけでございますが、その例を検討いたしました。結果的には、二・一七ポイントアップということでございました。全体の投票率では四六・八六%という効果があったのでございますが、この効果について、実際にあったのか、いや小さいというような議論もありまして、結論に至っていないというようなこともございます。
◯三浦委員 IIの
棄権理由の推移という表の中にありますように、いわゆる最近の投票率の低下というのは、先日の日曜日に行われた千葉県の
県知事選挙が三〇%を割っている、他の地方における選挙も戦後最低の投票率だということを、最近あちらこちらで聞いているわけです。
この
衆議院議員選挙で、昨年の十月に行われた五六・五四%というのも、ここに出ておりますように、回を追って低下をしている。
中央政局がこれだけ混乱をしているというか、低迷をしていると、国民の政治離れ、
選挙離れというのは、私どもにもよく理解できるところであるわけですけれども、かといって、選管も含めて、当然それを放置しておくわけにいかない。
選挙管理委員会も、東京都選管、そしてまた各自治体の
選挙管理委員会、
推進委員の
皆さん方、一生懸命にやっている姿は見えるのでございますけれども、しかし成果としてそれに結びついていないということが、結果的な数字からもそれがいえてしまうわけで、努力が無になっているということも、極論すればいえるのかなとも思うのです。
だから、何が必要なのかということからいけば、今
調査研究会でやっていただいていることを、現実に即した形で改正をしていただくことがまず必要だろうと思うのですけれども、そもそも選挙権というのは、戦後この選挙権が国民にひとしく与えられて、それを実行するということで現在にまで至っているわけですが、その与えられたというのが、与えたという感覚と同じように──どうも選挙法は、国民に選挙権を与えてやったんだという感覚が、どうも思えてならない。したがって、いわゆるそれを執行する側の論理に立った各内容、そういう気がしてならないわけです。
そこで、今回取り上げたいのが、
不在者投票についてでございます。
この理由にありますように、
都議会議員選挙も、仕事、用事等で時間がなかったというのが最も多くなっているわけで、この元年なんかは、約六〇%近い人たちがそういうことで行けなかった理由を示しているわけです。そうすると、この
不在者投票についてどういう取り組み方を
選挙管理委員会としてやっているのか。一番救済できるのが、この内容からいけば、仕事、用事で行けなかった、時間がなかったという人たちであろうと思うわけですが、そこで、その選挙時に
不在者投票制度についてどういうように
周知徹底を図ろうとしてやっているのか、また、もっと積極的に
不在者投票を呼びかけて、効率的にその
制度運用を図って、投票率の向上に向けて努力するというようなことが必要だろうと思うのですけれども、どういう内容でやっておられるのか、改めて説明をしていただきたいと思います。
◯木村次長 東京都の
選挙管理委員会におきましては、選挙時における啓発というのが、
選挙期日、投票日の周知と投票総参加のキャンペーンが中心でございました。
不在者投票制度の周知がこれまで比較的少なかったということもございます。
不在者投票の
周知方法でございますけれども、都選管や
区市町村の選管では、選挙時に広報紙を利用してお知らせをしております。それからまた、
入場整理券でございますけれども、投票所の案内に加えまして、その裏面を利用して、
不在者投票の期間等をご案内するように努めているわけでございまして、
区市町村全体では、ほぼ九割ぐらいのところで実施しているところでございます。
ちなみに、ちょっと細かくて恐縮でございますけれども、
不在者投票の周知度というのも、私どもで選挙後に調査をしてございます。その中で、
平成元年に施行されました都議会と
参議院選挙でございますが、このときに、五・二%の人がこの
不在者投票制度を知らないと答えておりました。昨年執行されました
衆議院議員の選挙におきましては、この制度を知らないと答えた人は三・四%に減少しております。
不在者投票制度の周知度が進んできているとは思っておりますけれども、ただいまご指摘のように、まだ十分とはいえません。今後とも、各種の
広報媒体を利用して、なお一層周知方について努力してまいりたいと存じます。
◯三浦委員 今もお話がありましたように、いわゆる
周知徹底させる方法の中で、余り力点を置いていなかったのが、この
不在者投票を促進させる運動といいましょうか、また、それを働きかけていくということが答弁の中にあったわけですけれども、私は、その制度を知らなかったか云々ということが問題ではなくて、その制度を知っていながらも行けなかったという方々に対する呼びかけをいかに図るかということだと思うのです。
ですから、これからの呼びかけの運動の中には、ぜひこの
不在者投票をやってほしい、行けない方は
不在者投票をやってほしい、どこそこへ行けば
不在者投票できると。そしてまた、
調査研究会の中では、後でまた質問いたしますけれども、この
不在者投票についての
やり方等の検討は十分にやってもらいたいと思うのです。
そこで、次に、これが今、私の地元の選管から仕入れてきたやつなんですが、(実物を示す)ご存じのように、これが
不在者投票の外封筒、これが中封筒。行くと、これに自分で書いた
投票用紙を入れて、自分で封をして、選管に預けるという形になるわけですが、これに至る前に、ここで見ると、宣誓書というのがあるのです。宣誓書となっているのです。コンピューターの中へ入れる、プログラムをするときに使うようなカードの大きさですが、ここには宣誓書兼請求書ということから始まって、
不在者投票に行った方々がよくいわれているといった方がいいのかなと思いますが、非常に不快な思いをする。なぜなのか。いまだに、ここには、
不在期間は何月何日から何月何日までですか、
請求理由は丸で囲んでください、仕事、旅行、病気、
住所移転、大きくはこの四つがあって、勤務、出張、商用、会議、研修、
選挙事務、
もろもろいっぱいあったり、旅行等については、冠婚葬祭、旅行、帰省、看病、その他、病気等については、出産、
身体障害等々ありまして、行く先はどこなのか、または転出先はどこなのか、ここまで、受付の方が
不在者投票に来た方に聞いて記入をしないと、
投票用紙をもらえないというシステムに今なっているわけです。
ですから、行った方が、その係の人のいい方や、また話をする雰囲気やら等々によって、
プライバシーの問題なんだから、私はそんなところまで問われる必要はないじゃないかということで、問題が始まるわけですよね。そこまでなぜやらなければいけないのかということもあるわけですが、都選管として、どういうようにそれを指導しているのだろうか。また、
区市町村に対してどういうことをやっているのか、また実態をどう把握しているのかということについて、ちょっと説明してください。
◯木村次長 ただいまご指摘のような事例については、
区市町村、また私も直接電話等で苦情を受けたことがございます。ただいまの
三浦先生のお話の、例えば旅行のところに丸印をつけて、行き先など
記載漏れがあったというようなときに、いろいろ不愉快な思いをされたということでございますけれども、現行の中では、
口頭説明が必要となっているわけでございます。
ちなみに、平成五年の四月でございますが、石川県珠洲市の
市長選挙がございました。その中で、
不在者投票について、昨年の五月に最高裁の判決がございました。ただ単に旅行中あるいは私事、用務等による旅行中と記載されているにとどまり、どのような用務あるいは用務のために旅行しなければならないかについて記入されていなかったものでございました。最高裁の判決では、この場合、その旅行が、儀礼等の理由から
社会通念上必要な用務のための旅行であるとか、あるいは当日以外に日程を変更することが著しく困難であるなどの事情が認められる場合について、初めて
不在者投票の事由に該当するものと解されるということでございました。こうした事情について、口頭の説明を求めることなく
投票用紙等を交付したことは違法であるという判決がおりたわけでございます。したがって、選挙無効とされて再選挙になったという事例もございます。
私ども、今
三浦先生もおっしゃいましたように、
プライバシーに関する今日の認識に配慮しまして、今先生にお持ちいただきました、法規上ぎりぎりの線まで譲った形で、有権者の利便を配慮して、従来の請求書兼宣誓書を一本化して、
カード化したわけでございます。平成五年の都議選から、この問診型の
カード化にしたものでございまして、できるだけ配慮したつもりでございますけれども、ただいまのような事情もございますので、何とぞご了承賜りたいと思います。
なお、本年は七月に
都議会選挙が施行されます。この機会に、
不在者投票のPRと同時に、
区市町村選管に対しましても、法律の規定の正しい適用と、選挙人の
投票意欲を阻害することがないよう、法と
プライバシーへの十分な配慮をするよう、なお一層指導してまいりたいと思っております。
◯三浦委員 今判例の結果がお話がありましたけれども、その結果というのは、今こうしなければならないという法体系になっているからこそだめだというような話になったわけですけれども、冒頭に申し上げましたように、選挙権をお上が与えるという感覚、それが戦後ずっと何も変わっていないわけですよ。したがって、
調査研究会の中では、現在時点に立って、いわゆる基本的な人権を守るということ、またそういう立場からいって、どこまでを法律でもって定めておかなければいけないのか、ここからここまでは自由裁量として、問診なら問診の中で聞いても聞かなくてもいいということも含めて、ぜひ私は強調してもらいたいと思うのです。
この中で、一つだけいいますけれども、職業欄というのがあるのです。職業まで書かなきゃいけないのか。
職業選択の自由もあり、自分の職業を他人に明かさなければならないというようなところまで、なぜ選挙権を行使する際に縛らなければいけないのか。やはりこれは大変大きな問題だろうと思うのです。ましてや、自分の行動を明らかにしなければ
投票用紙を渡さないなんていうのは、これはあってはならないことではないだろうかと思いますので、その点については、ぜひ
調査研究会の中でお話をしていただきたいなと思うのです。
次に、私の方からも、この委員会に意見書として出させていただいているのですが、船員の投票権を行使する件なんです。
現在、全国で約十万人の船員の方々がいらっしゃる。このほかに、
海上自衛隊とか、その他
もろもろの方々もいらっしゃるわけですけれども、選挙の告示前に出港してしまうケースというのはよくあるわけで、今の法律、法体系からいきますと、いわゆる
選挙公示ないしは告示されてからでないと投票できないということにもなっているわけで、その機会が十分に保障されているとはいえない。海外在留の人たちに対する検討もなされてき始めているわけなんですけれども、そこで、現在の船員の
不在者投票の仕組み、一般の
不在者投票制度との違いというのはどこにあるのか。また、その船員の
公民権行使の要求ということについては、基本的な人権の問題でもあるわけで、乗船中にいつでもどこでも投票できるという
洋上投票制度については、この船員の人たちが国に対しても要請しているわけです。ですから、今回のこの
調査研究会の中でも、地方自治体という立場でも、東京都に所属しているというか、登録している、船員登録といいますか、あれは保険の関係からそうなのか、知りませんけれども、余り多くはないようですけれども、その実現をどういうようにやっていったらいいのかということについて、今の現状をちょっと説明してください。
◯木村次長 まず一点目の、いわゆる船員の
不在者投票について、概要をちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
一般の有権者の
不在者投票に加えまして、船員の
不在者投票というのは三つございます。
まず一点目が、指定港における
不在者投票。この指定港といいますのは、
自治省令で定めてございまして、全国で約四百二十の
区市町村がございます。東京都の場合は、港区、中央区、大田区、これが指定港の選管でございます。
それから、二点目でございますが、船舶内における
不在者投票、これにつきましては、総トン数が二十トン、漁船の場合ですと三十トン以上、この場合について、一定のルールで
不在者投票ができるということでございます。
それから、三点目でございますが、ただいまもお話がありましたけれども、
指定船舶における
不在者投票ということでございますが、これについては選挙に制限がございまして、衆議院、参議院の
国政選挙のみということでございます。この
指定船舶といいますのは、遠洋区域を航海する船ということでございまして、細かくは
自治省令で定められているところでございます。
また、後段の、いわゆるいつでもどこでも
洋上投票ということでございますけれども、現行の中で、先生もご指摘がございましたけれども、現在の船員の場合ですと、一年とか一年半かかっているというような実態もございまして、実態として投票ができない事例というのがあると思います。しかしながら、現在の投票で、いわゆる
洋上投票につきましては、
電子機器の急速な進歩や今日の技術水準のもとでは、例えば無線や
ファクス等を使用した投票ならば可能ではないかというようなこともございますけれども、現行の法体系にのっとっている投票諸原則のうち、例えば投票の秘密の保障でございますが、これが確保されるか否か一つをとりましても、ただいま先生もご指摘がありましたように、法改正が必要となるわけでございます。
したがいまして、私どもとしても、船員の方々の投票を可能とする方策を考えて、現在の
不在者投票制度の問題につきまして、
もろもろの解決策を研究するとともに、
都道府県連合会を通じまして、その実現方について国に働きかけてまいりたいと存じます。
◯三浦委員 ある船というか、最近建造される船なんかには、いわゆる
秘密保持をできる
ファクス等の設置義務があるやにも聞いておりますし、資料によれば、船長がすべての権限を船上生活の場合持つわけで、船長が
選挙管理人といいますか、何という名前ですか、忘れましたけれども、そういう立場でやるという定めもあるということでもあります。
ですから、それをその法律で決めてある以上、また、そういう機器が、今の技術からいけば、発達した
電子機器類があるわけですね。そういう意味では、いつからいつまで海上にいるんだということがわかっている場合、またそれが正確に登録をされ、認可されているというか、そういうことであるならば、そういう告示、公示された場合、船内で船長が管理人になった投票というものを秘密裏に実施するということも可能なわけですから、今の答弁にありましたように、これまた約十万人からの船員の
皆さん方が選挙権を行使できるように、ぜひ強調して、法改正に取り組んでもらいたいというふうに思います。
あと、この
不在者投票についての
調査研究、第三回目の検討会でやったということになっておりますが、
不在者投票制度については、今現在何をどうしようとしているのか。さらに、投票日の設定についても、
先ほど説明があったように、議題に上がっているというように聞いているわけです。その中で、その
不在者投票の考え方を推し進めていけば、投票日だけが投票ではなくて、いわゆる
選挙運動期間中はすべて
不在者投票できるわけですから、逆にいえば、いつでも投票日なんだということにも理解が拡大できるわけです。それが制度として位置づけられ、施行上、実施上そういうことが、投票所が、通常の選挙日と同じように設置されないまでも、ある限定されたところに設定してあれば、すべてが投票日だというような理解もできないわけではないわけです。そういうことについてもぜひ論議をしていただく必要があるのだろうと思います。いってみればオール投票日であるという考え方を、この中で検討できないんだろうかということについてどうでしょうか。
◯木村次長 まず、一点目の
不在者投票制度の利用拡大でございますけれども、研究会の
メンバー全員が、この
不在者投票制度を何とかしていきたいという共通認識はございます。その中でも、
不在者投票の事由の撤廃を含めた規制緩和でございますが、そういうこととか、あるいは
不在者投票場所の複数の設置でございますとか、そういったことを、やはり
法体系そのものを考えていかなきゃいけないだろうというような認識でございます。
したがって、私どもの方もただいまいろいろと細かく、職業の欄もございましたけれども、そういった
事由そのものも撤廃をすべきだろうと。同様の要望が
区市町村からも来ておりますので、私どもの方も、できるだけそういう形で積極的な発言をさせていただきたいと思っております。
それから、後段部分でございますけれども、確かに今おっしゃるように、投票日の設定については、現在日曜日でございますけれども、いわゆる毎日が、
選挙運動期間であれば可能ということは理論的には可能なわけでございます。例えば、具体的な投票率の向上策として考える場合については、ある程度の数字の上で確認できるような経験値が必要なわけでございます。しかし、現在のところでは、その段階で十分なものが存在しない。また、人的な面あるいは財政面、
施設面等についても解決しなければならない問題が存在することは、私が申し上げるまでもございませんけれども、いずれにしても、
不在者投票制度そのものをもう一回見直していこうという姿勢でやっております。
◯三浦委員 終わりにいたしますけれども、都選管としても参加をされて、非常に重要な
投票制度の見直しといいましょうか、それがされているわけで、私
ども選挙をやる立場からいっても、本当に半分の人が行ってくれない、六割の人が行ってくれない、なぜなんだろうかと。これだけ一生懸命訴えているんだけれども、しかし、それを振り向いてくれないというような形にもなるのかもしれませんけれども、一%でも二%でも向上させるということが、私たちの責任であると同時に、重大な
選挙管理委員会としての責任でもあるわけです。
局長にお伺いしますけれども、局長、全国にもいろんな意味で影響のある東京都
選挙管理委員会だろうと思うのですね。東京都選管として、どういうことについて、その改正を強く要請をしていくのか、最後にお聞きして、おしまいにしたいと思います。
◯海老江選挙管理委員会事務局長 近年の投票率の
低下傾向につきましては、選挙に携わる者として厳しく受けとめているところでございます。ただいまいろいろご指摘のございました問題について、特に
不在者投票制度の拡充につきましては、有権者、すなわち国民の参政権の確保という面からも極めて重要だと思います。また、それに引き続いて、選挙制度全体を見直すということも今後大きな課題だろうというふうに思います。そのことが結局投票率の向上に向かっていくのではないかというふうに考えております。
ただいま次長からもいろいろご答弁申し上げましたけれども、国においてもう既に研究会を設置しまして、技術面を中心に、今現在検討しているところでございます。特に
不在者投票の拡充については、現在の法体系では投票に行くのがまず原則である、それにどうしても都合の悪い方は不在者、そういう補充的な意味を持ってはおりますけれども、しかしながら、いろんな制度の内容等について検討されておりまして、積極的な検討をやって、私どももそれに働きかけてまいりたいというふうに考えております。
なお、選挙制度全体の問題についてでございますが、都の選管も一昨年の八月、ちょうど
参議院選挙の投票が終わった後でございますけれども、
投票率向上のための
調査研究会を私どもで設置するための準備を進めておりました。昨年、衆議院選挙が秋にございましたので、その設立は延ばしておりますけれども、五回ぐらいの準備会議を現在開いております。そして、本年四月には、この調査会を設置しまして、ここで学識経験者だとか、あるいは各界の意見を参考にいたしまして、選挙啓発の見直しあるいは創意工夫、それから、明るい選挙
推進委員制度がございますけれども、これらの拡充、さらには、未来の有権者であります小中学生、高校生などを対象として、学校教育の中に働きかける、あるいはコミュニティの再生などを図って、広範囲の分野にわたって
投票率向上のための研究を進めたいというふうに考えております。
その結果が投票率の向上になるように、私ども努力してまいりたい。その意味で、国及び都自身としても、
投票率向上あるいは参政権の拡充について検討してまいりたいというふうに考えております。
◯甲斐委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯甲斐委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で
選挙管理委員会事務局関係を終わります。
━━━━━━━━━━
◯甲斐委員長 これより
政策報道室関係に入ります。
予算の調査及び
報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成九年度東京都
一般会計予算中、歳出、政策報道室所管分及び
報告事項、生活都市東京構想についてを一括して議題といたします。
本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
◯大木田委員 最初に質問をさせていただきます。
ただいま政治の大きな焦点となっているのは、一つは情報公開、それから行政改革、また規制緩和、地方分権ということになりますけれども、この具体的な点について伺ってまいりたいと思います。
まず情報公開でございますけれども、国の情報公開制について、国の方もその制定に向けて動きをしておりますけれども、現在どのような状況になっているか、まず伺います。
◯井波都民の声部長 国の情報公開につきましては、行政改革委員会に行政情報公開部会が設置されました。平成七年の三月でございます。以来、計五十七回にわたって検討会議が開かれまして、平成八年十一月一日に情報公開法要綱案という形でまとめまして、行政改革委員会に報告をされております。
これを受けまして、行政改革委員会は、昨年の十二月十六日に内閣総理大臣に意見具申を行ったところでございます。そして、総務庁に情報公開法制定準備室を開設しまして、現在検討準備に入っているところでございます。この法律案につきましては、行政改革プログラムにより、平成九年度中に国会に提出をされると聞いております。
◯大木田委員 最近さまざまな問題が提起されておりまして、都の情報公開の条例が非常に生ぬるいのではないか、都政を知る立場から、もっと積極的に都民の皆さんに情報公開をすべきであるというような声が非常に高まっておりますけれども、今お話がありました国の情報公開法要綱案と今の都の条例を比較してみますと、どんな点が挙げられるのか、伺います。
◯井波都民の声部長 国の情報公開法要綱案と都の公文書開示条例との比較でございますが、主な違いを申し上げますと、第一には、都における公文書の定義では、紙としての文書及びフィルム、ビデオテープ、録音テープを対象にしておりまして、電子情報を含めておりません。国におきましては、電子情報を含めることとしております。
第二点目に、都におきましては、実施機関から公安委員会、警視庁を除外をしておりますが、国におきましては、国会、裁判所を除くすべての行政機関を対象としておりまして、国家公安委員会、警察庁も含めております。
第三点目に、東京都におきましては、個人情報に該当する情報としての職員の情報について特に規定を置いておりません。国におきましては、公務員情報について特別の規定を設けておりまして、公務員の職の遂行にかかわる情報に含まれる当該公務員の職に関する情報については開示すべきものとしております。また、中央省庁の課長相当職以上については氏名まで開示をする、そのようにしております。
第四番目には、東京都は、大量請求があった場合の取り扱いについて条例上定めを置いておりませんが、国は、著しく大量な開示請求の処理について規定を設けておりまして、六十日以内にすべての決定を行うことが事務の遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある、そういうときには、相当部分を開示決定をして、残りの部分については、相当の期間内に決定すれば足りる、こういうふうにしております。
以上のような点が主な相違点だと思っております。
◯大木田委員 つい最近、高裁の判決で、食糧費に関する一つの判断も出たわけでございますけれども、この開示基準等については検討しているということでございますが、私は、現在の都の条例改正は──国の方も進んでおりますけれども、今まで、住宅基本条例にしても、あるいは環境アセスにしても、さまざまな分野で都が始めて国が進めてくるというような形をとって、都が国を動かしてきた。非常に先駆的な行政の立場に立って推進をしてきたわけでございますので、私は、各道府県も今、さまざまな情報公開等については、それぞれ検討しながら進めていると思いますけれども、都もいち早くこの条例改正に取り組んで、より都民の知る権利というものを保障すべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
◯井波都民の声部長 条例改正についてということでございますが、まず国の情報公開法要綱案におきまして、地方公共団体に対しての規定を一項目設けております。ここで、地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、情報公開に関し必要な施策を策定し及びこれを実施するように努めなければならない、そういう規定を置いておりますので、東京都としましても、法と条例の調整を図る必要があると思います。
また、もう一点、今、大木田理事からご指摘がありましたように、東京都は国の情報公開法に先立ちまして制定をしてきておりまして、もう既に条例施行後十二年を経過をしております。この間、社会経済情勢も大きく変化してきておりますので、このことに的確に対応する必要もあるというふうに考えております。
このような課題が現在ございますので、東京都における情報公開制度のあり方、これについては条例改正を視野に入れて検討する必要があるというふうに考えております。
◯大木田委員 できるだけ早く条例改正に踏み切っていただきたいということで、そうした内容を早く発表していただきたいということを要望しておきます。
次に、地方分権に関連して伺いますけれども、私は、国は、外交、防衛あるいはマクロ経済、こういう観点のものをやって、あとは可能な限りというか、地方に権利、権限を移譲すべきであるという立場に立っております。特に、防災都市づくりの観点や学校の空き教室の地域開放というような、さまざまな地域の皆さんからの要望が今非常に多く出ております。そういうことを推進するためには、地方分権ということが非常に大事になってきますし、財源の移譲等もそれに伴ってくるわけでございます。
現在、国の地方分権検討委員会で、地方分権についてさまざま検討され、今いろんな報告も出ておりますけれども、現在の検討状況はどうなっているか、その点を伺います。
◯本多地方分権・首都調査担当部長 ご案内のとおり、平成七年七月に地方分権推進法が施行と同時に、国の地方分権
推進委員会が設置をされました。昨年三月には、その中間報告において、機関委任事務制度そのものの廃止を決断すべきという考え方が示されてございますし、さらに、昨年十二月には正式な第一次勧告が行われ、その中で二点ほど大きな点がございます。機関委任事務制度の廃止を明確に打ち出したことと、その事務の廃止後の新しい区分として自治事務と法定受託事務に再区分すること、さらには、国のさまざまな関与を、通達行政等ではなくて法令に根拠を持つ、そういったルール化をすることが盛り込まれたわけでございます。
現在は、当初、親委員会の下に、行政関係検討グループと補助金・税財源検討グループの二つのチームで作業をしていたわけでございますが、本年一月、一次勧告を受けた形で、二次勧告に向けて、地方行政体制検討グループが発足されてございますし、それぞれ三チームで精力的に検討が進められているというふうに聞いております。
今後は、残された課題である補助金、税財源、必置規制、地方事務官、地方行政体制等について、本年六月を目途に二次勧告が行われる予定というふうに聞いてございます。
◯大木田委員 今のように、着実に推進といいますか、検討されておりますけれども、まだまだ我々の立場からすると、もっと積極的な国への働きかけもそうなんですけれども、積極的に地方分権を推進していただきたいというふうに国に対しても私は思っているわけですが、政府の地方分権推進計画の策定への今後のスケジュール、現在決まっている状況はどうなっているのか、伺います。
◯本多地方分権・首都調査担当部長 政府の分権推進計画のスケジュールでございますが、国の分権
推進委員会の一次勧告、二次勧告を受けた後、政府としての分権推進計画の策定が義務づけられておるわけですが、平成十年の通常国会終了前までに作成するという意向が示されてございます。さらに、その後につきましては、必要な法令改正作業が順次行われることと考えております。
◯大木田委員 国の地方分権
推進委員会で、地方行政体制等検討グループをつくって、今後検討していくということになっておりますけれども、その具体的なテーマは今どうなっていますか。
◯本多地方分権・首都調査担当部長 地方行政体制検討グループの検討作業の項目でございますが、大きく三点ほどございます。
一つは、行政の公正の確保と透明性の向上。具体的には、この中身としては、情報公開条例、行政手続条例の制定促進、あるいは外部監査制度の導入、こういったものが例示として挙がってございます。そのほかに、住民参加、行政改革、広域行政などのいわゆる地方行政体制というのが一点目でございます。二点目は必置規制、三点目に地方出先機関等の項目が挙げられてございます。
◯大木田委員 都とのかかわりでございますけれども、地方行政体制等検討グループの今のような検討がされておりますけれども、都はこれに対してどう取り組んでいくのかということと、今後さらに地方分権については、全国三千三百の自治体の先駆に東京都があるわけでございますので、さらに積極的にこれを推進していくべきであるということで伺いたいと思います。
◯本多地方分権・首都調査担当部長 地方行政体制検討グループの検討に対する都の取り組みでございますが、現在、都では、都から
区市町村への分権のあり方検討委員会というので、学識経験者を中心に検討いただいているところでございますが、その中で、第二次勧告に向けた形で、都と
区市町村の新たな税財政制度のあり方につけ加えまして、今後、地方行政体制全体についても検討いただく予定でございます。国の第二次勧告前に、ぜひ都としての答申内容をいただけるようにお願いしているところでございまして、これを踏まえて、地方分権
推進委員会等に都としての考え方を強く反映させていきたいというふうに考えております。
◯大木田委員 次に、最近常に指摘されている高コストの体質、それから、規制緩和に関連して伺いますけれども、私もいろいろと調べてみましたら、公共事業の発注の高コスト体質、これが非常に大きな問題になっております。特に国際化が進んでいる中にあって、今、大競争の時代というような中で、日本はこれだけボーダーレスの時代に入りまして、この体質では国際的に対応できないのではないか、こういうことが指摘されております。さまざまな国際価格というものがありますし、日本の体質もそういう状況に打ちかっていけるような体質改善をしていかないと、まさに今経済がこういうような状況の中で、日本売りが進んでいくというような形が、深刻な日本の危機にも結びついてくるのではないかという懸念もあるわけでございます。
そういう中で、生活都市東京構想では、東京の産業をめぐる高コスト体質や、経済の自由な活動を妨げる規制について取り組んでおりますけれども、このことについて、この中で取り組んでいる内容と──もっと積極的にこの問題については取り組んでいかないと、これだけ貴重な税を預かる立場の我々としては、また、国際価格等踏まえて取り組んでいくべきだと思いますけれども、この構想の中ではこの点はどうなっているか、今後の取り組みについて伺います。
◯青山計画部長 生活都市東京構想の中におきましては、日本において必要な規制緩和がなかなか進展していないことや、そのためもございまして高コスト構造が改善されていないということを、現在日本の経済活力が低迷している理由の一つとして挙げております。その上で、東京の産業活性化のためにも整えていくべきものとして、四つの前提条件を挙げてございますが、その四つの条件の中で、情報通信、物流、オフィスなどのコスト引き下げを図り企業が活動しやすくすること及び規制緩和を推進し、自由で活発な経済活動を確保していくことを位置づけております。
◯大木田委員 ぜひその点については積極的に推進をしていただきたい。
それから、この高コスト体質を是正していくためには、抜本的な規制緩和がないと、これは推進ができないわけでございますけれども、緩和すべき規制として、政府や経済界においては、どのようなものが今課題になっているのか、伺います。
◯青山計画部長 緩和すべき規制として、一般に課題となっているものといたしましては、まず金融の面では外国為替管理制度の緩和など、それから運輸の分野では、航空、鉄道、バス、タクシーなどの需給調整や運賃規制の緩和、廃止など、それから通信の分野では、NTTのあり方やKDDの国内参入など、またエネルギーの分野では、電力供給部門の競争導入など、それから、輸入に関してでございますけれども、輸入数量の割り当てとか、輸入検査手続などについての規制緩和など、立地の面では、工業等制限法の緩和などが一般的に挙げることができると考えております。
◯大木田委員 今、橋本さんは六つの改革ということをぶち上げておりますけれども、火だるまになってやるということで、だるま状態で手も足も出ないというような形で、今決まっているのは金融の外為ですね。これだけが決まっているというような形で、あとは全く言葉だけが先行しているというような状況にあるわけでございますけれども、都として、各種の規制緩和、これは緩和と撤廃がありますけれども、現在の状況の中で、積極的に、都としてはどういうふうに取り組んでいくのかということについて伺います。
◯青山計画部長 各種の規制のうちで、工業等制限法のように、製造業の新規創業を規制しまして、産業集積の維持活性化の妨げとなっているものがございます。また、航空、鉄道などの需給調整や運賃規制のように、人の動きとか物流の面におきまして、いわゆる高コストをもたらしているような規制がございます。こういった規制につきましては、自由で活発な産業活動を確保していくという目的のために、緩和もしくは廃止していくことが必要であると都としても考えております。
したがいまして、生活都市東京構想におきましては、金融、運輸、通信、エネルギー、輸入、立地などの各分野における規制緩和につきまして、国に対して積極的な要望活動を展開することとしております。今後、この構想に基づいて、二十一世紀に向けた東京のリーディング産業群を振興して、東京の産業全体を活性化していくという観点から、国の規制緩和推進の動きに合わせまして、お話の中にありました各経済団体とか
区市町村などとも連携して、この問題に都として対応してまいります。
◯大木田委員 最後に意見を申し述べて終わりにしますけれども、現在の東京の活性化ということは大変重要なことでございまして、この規制緩和だけではないわけでございますけれども、今日までこれだけ集積した東京の持つ活力を、今再び大きく発展させる意味においても、経済活動においては、私は、原則自由、規制は例外とすべきだということをもって、もっと民間のいろんな新しい産業に対しても、さまざまな分野で配慮しながらいかないとだめであると。
それからもう一つは、これからは、暮らしの選択、生活者の選択、消費者の選択、こういう目線といいますか、そういう立場からもう一回見直して、どういう規制を緩和すべきなのか、どうしていけばもっと暮らしの立場から、消費者の立場から、生活者の立場から、それを発展をさせて、活力を生み出していくことができるのか。
そこで、この首都機能移転問題は、当然全国的な重要課題であるというふうに考えますが、全国レベルでの議論を巻き起こすのに、東京都はどのようにすればいいというふうにお考えなのか、最後にお聞きします。
◯本多地方分権・首都調査担当部長 各種
世論調査、これは国土庁あるいはマスコミ等の
世論調査でございますが、移転に賛成する方の多くが、私どもからいわせていただければ、実証的には効果の少ない一極集中の是正に期待をして移転に賛成をしているという結果が出てございます。こうした状況を踏まえ、少しでも多くの都民や国民に首都機能移転の問題点を知っていただくことが何より大事であろうと。先生ご指摘のように、地域の活性化のためには──私どもの調査の中でも、移転先地だけが潤うという結果がデータ的に出ておりますし、むしろ分権、規制緩和を徹底した方が地域の活性化に役立つのだと主張もさせていただいております。そういった点を十分PRする必要があるだろう。具体的には、全国レベルの新聞やテレビを活用するなど、PR活動に一層力を入れていきたいというふうに考えてございます。
◯甲斐委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後三時二十三分休憩
━━━━━━━━━━
午後三時三十分開議
◯甲斐委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
◯秋田委員 私は、昨年の十一月十九日の事務事業の概要の質疑に続いて、米軍基地の対策のその後について簡単に質問させていただきたいと思います。
政策報道室に昨年七月に専任の体制がつくられて約八カ月になりますけれども、この間にどんな活動をされてきたのかであります。この前の質問に対しては、早速庁内に基地対策連絡調整会議をつくって大いに活動するんだというような意気込みを感じさせられましたが、これまでどのような取り組みをなされてきたのか、そこら辺のことを聞かせてください。
◯福田政策調整部長 基地対策の庁内調整を行うための基地対策連絡調整会議を昨年八月に設置したわけですが、これは、多摩島しょ振興推進本部の特別部会として設置いたしました。そして、この調整会議のもとに幹事会、さらに幹事会のもとに、個別の課題に対応するために三つの分科会を設けました。そして、基地対策についてその連絡調整を現在行っているわけでございます。
これまでの会議の主な議題といたしまして、昨年の八月に、東京都の基地の現状についてその確認を行うとともに、建設局がただいま進めています多摩サービス補助施設の一部土地の返還についての進捗状況の報告を受けて、それを検討してまいりました。
それから次に、昨年の十月でございますが、渉外関係主要都道県知事連絡協議会の要望や、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会の要望事項及びその後の活動等について検討してまいりました。
それから、同じく昨年の十二月でございますが、この三分科会の一つでございます横田基地航空燃料漏出対策分科会では、十二月の横田基地内での漏出事故に関する米軍からの説明を受けるとともに、現場を視察してまいりました。
このように、この連絡調整会議では、基地対策に関する各局の関連事業等の調整を行ってまいりました。
今後とも、この場を活用して基地対策について取り組んでまいる考えでございます。
◯秋田委員 この前質問のときに、昨年の十一月十一日には、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会がつくられて、共同して要請する事項や今後の課題とすべき事項などを検討するんだということをお聞きしましたけれども、その後、この横田基地対策について、連絡協議会では具体的にどのような取り組みをされてこられたんでしょうか。
◯福田政策調整部長 横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会の取り組み状況でございますが、昨年の十一月二十五日に、横田基地における正月三が日の飛行停止についての要請を、国、それから米軍に行ってまいりました。
それから次に、本年一月三十一日に、横田基地における米空母艦載機の飛行訓練の中止要請を行いました。
それから、本年の二月十七日と十八日に、横田基地に関する初めての総合的な要請を、副知事を先頭にいたしまして各市町の助役等によって、国の関係省庁、それから在日米軍に対して行いました。
さらには、二月の二十七日に、劣化ウラン弾誤使用事故に関する要請を、同じく関係省庁、それから在日米軍に対して行ってまいりました。
そのほか、この連絡協議会におきまして、横田基地の対策に関する円滑な情報交換に努めているところでございます。
◯秋田委員 そうした行動は、従来も、都市計画局にあった多摩開発企画室でしたか、あそこを通していろいろな要望を東京都はやっていましたよね。それと今回のこの連絡協議会がやったことと、具体的にその内容においてどう違っているのか、どこがどう前進しているんだと。せっかくつくったこの連絡協議会だからこそ、ここが前進しているんですよというようなところを、わかるようにご説明していただきたいんですが。
◯福田政策調整部長 本年二月の要望が、これまでの要望と比べてどのような前進があったかというお尋ねですが、まず要望の方法といたしまして、第一に、都が横田基地の所在する五市一町と共同で要請を実施したことが挙げられると思います。
第二に、これまでは各局が個別に実施してきた要望事項に新たな事項を加えて、横田基地に関する要望を取りまとめたということです。例えば米空母艦載機の飛行訓練の全面的な中止、騒音対策の推進に関する事項を初めとして、航空機燃料漏出事故への適切な対応、それから自治体への適切な情報提供、基地交付金等の充実、このような広範な基地問題について総合的な要請をしたのは初めてでございます。
それから、内容的な面で申しますと、第一に、騒音防止対策に関して、昭和三十九年、それから平成五年の日米合同委員会の合意事項であります、横田飛行場における航空機騒音の軽減措置を厳守することを盛り込んでおります。
第二に、米空母艦載機の飛行訓練を全面的に中止し、将来においても行わないこと、それから、消音装置の早期整備、ヘリコプター等による低空飛行の禁止及び飛行コースの拡大を行わないことなど、具体的な内容を挙げて騒音防止の推進の要望を行いました。
第三に、自治体への適切な情報提供についても、NLP訓練の当日の実施予定や実際の実施内容、日米合同委員会での合意事項等に関する情報など具体的に例示して要望したことなどが挙げられます。
これらの点が従来の要望より前進したものと考えております。
◯秋田委員 平成五年の日米合同委員会の合意事項が守られない、だからこそ、遵守せよというようなことが、今度新たに前進したところだというふうに聞くんですね。これは、周辺の住民がNLP等大変な被害で夜も眠れないというような状況から、裁判を十六年間やって、そして最高裁で勝利判決が出たわけですね。
その最高裁判決というのは、米軍の飛行状態というのは違法であると、よって国はこの住民に与えている被害に対して賠償をすべきであるという判決だったわけなんです。これが出て初めて日米合同委員会でこのことが協議をされて、夜十時から朝六時までは騒音を発してはなりませんよということが合意をされたんですね。それが守られないから、東京都としても、今度の連絡協議会としても遵守してくださいと申し入れをやらざるを得ない、こういうことになったんだと思うんです。
ところが、そういう状態は今でもまだ続いているわけです。平常時であるにもかかわらず十時以降も飛行が行われたり、朝六時からもうすぐ飛行機が飛び立つことができるように、その前にエンジンを温めておくといって、エンジンをかけて吹かすというようなことが行われているわけなんです。だからこそ、周辺自治体からも、東京都と一緒になってこういうことをやらなきゃならぬということになったんだろうというふうに思うんですね。
こういうような状態にあるわけですけれども、この連絡協議会としては今後このようなことに対してどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思うんです。
◯中島理事 今お話しの連絡協議会の事務局を所管しておりますので、私からご答弁を申し上げたいと思います。
連絡協議会では、昨年十一月に、今後検討していくべき主要事項ということで三点について合意しております。一点目が日米地位協定について、二点目が、基地を抱える自治体の財政支援、特に国の補助金、交付金の充実について、三点目が騒音対策の強化についてでございまして、これらの事項につきましては、協議会として今後引き続き検討していく予定でございます。
そのうち、都としましては、騒音対策の強化の検討の中で、関係市町の協力を得ながら、基地の早朝の時間帯の騒音測定を新たに実施する、こういう提案をしていきたいというふうに考えております。
また、連絡協議会としましては、既に四回にわたり要望活動を行っておりますけれども、今後とも引き続き粘り強く、国の関係機関あるいは在日米軍に対しまして必要な要請を行ってまいります。
◯秋田委員 騒音対策の強化、特に早朝の測定をやることは非常に重要なことだというふうに思うんです。ぜひやっていただきたいと思いますが、私は代表質問で──米軍横田基地で最高裁が、先ほど申し上げた、横田基地周辺での米軍機の飛行状態は住民に被害を与える違法なものということで判決を下したわけです。しかし、同時にその判決が、夜間飛行の差しとめは米軍の行為であって国の支配が及ばないので、国に請求すること自体失当だ、当たらないんだといって、差しとめは却下をしたわけなんです。これをよいことにして、米軍は、今申し上げたように違法飛行をいまだに続けている。
こういう状態だから、たまりかねた住民は、それなら、日本政府に求めることができないのだったらアメリカ政府を相手にと、日米両政府を相手に今、新横田公害訴訟が、一次、二次を合わせて約六千人が原告になって、日本の裁判史上最大の規模だといわれているんですけれども、新たな訴訟に訴えたんです。
その訴訟団が知事に対していろいろ要望書を出しておられるわけなんです。例えば、既に関係する八市一町の首長さんは、この訴訟団に、内容については触れることはできないでしょうけれども、メッセージなどを送って、お互いに住民の生活を、あるいは健康を守るために協力し合おうというような意味合いのものを寄せているわけなんですが、知事はまだそういう立場も明らかにしていない。そして、この民事訴訟は、アメリカが応じるか応じないかということで、成り立つか成り立たないかというのが今争いになっているわけだから、住民のことを考えるならば、知事も当然アメリカ政府に対して、この裁判に応じてくださいと要請してもいいではないかというふうに質問したわけです。
これに対して、知事は、米空母艦載機の飛行訓練の全面中止を求めてきたというような答弁を、お述べになったわけです。しかし、訴訟については、民事訴訟でもあり、都としてはその推移を見守っていきたいというふうにいわれたんですね。ただ円満に解決することを心から期待している、こういうふうに答えられたんですけれども、円満解決どころか、東京地裁の八王子支部は、アメリカ政府は日本の裁判に従うことを拒否してきた、こういうことから、去る十四日に、一九二八年、昭和三年の大審院の判例をそのまま適用して、アメリカが応じないといっているのだから仕方がないじゃないかといって、訴状も送らずに、アメリカ政府に関する訴訟のその部分は却下をしてしまった。審議もしないで却下をしてしまった。
こういうことになって、これでは──最高裁が、日本の政府にアメリカのやっていることを求めるのは失当です、当たらないですよといわれて、賠償は払われたけれども、飛行を差しとめることもできなかった。それならばといって立ち上がったのに、米軍の違法行為は絶対差しとめられない、だれにもそのことを要求することさえできない、だれを訴えたらいいのかということが、新聞などでも大きく報道されたところなんですね。
憲法三十二条には、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」こういうふうに明記をされているんです。ところが、この裁判を受ける権利がこれでは守られないということになってしまうではないか、どこに訴えたらいいんだ、だれが守ってくれるんだということになっているのが今日の状態だと思うんです。
住民は、安保条約をなくせとか、基地をなくせとか、こういうことをいっているのではないんですね。つまり、アメリカの指揮権をどうこうしようとか、そういうことをいっているのではないんです。ただ静かな眠れる夜を返してほしいと要求しているだけなんです。それなのに、知事答弁は、住民訴訟だから見守るというだけのものだったんです。
しかし、知事には、住民の安全、健康、福祉を守ることが地方自治法で義務づけられているはずなんです。住民が騒音被害をなくす一つの方法として訴えた訴訟を、行政として、その中身に入ることはできないかもしれないけれども、でき得る限りのことをやるのが当然ではないかというふうに私は思って、質問をしたわけなんです。
当委員会のこの場で、知事にかわって政策報道室長が答えることはできないでしょうけれども、どうすれば、やり場のないところに追い込まれた住民を支援することができるのか、行政としてどんなことができるのか、そういうことを検討し、研究もし、今訴訟団が求めているこの要望にこたえることができるのではないかというふうに思うんですね。
住民がみずからの生活と健康を守る立場から立ち上がっているこの行動を、私はこの間の代表質問で、要望している健康影響調査などを実施してもらたいということをいいましたけれども、それはその気がないというような答弁でありました。こればかりではありませんが、訴訟団が東京都に期待を寄せているこれらについて、どうしたらこたえられるかということをぜひ政策報道室でも研究、検討していただいて、これならできるということを知事に進言をしていただきたいというようなことを申し上げて、これ以上聞いても、知事じゃないんですから答えられないでしょうから、私の方から要望しておきたいというふうに思います。
◯池田委員 私は初めに、会議費等の情報公開について高裁の判決が出ましたので、そのことについてちょっと先に確認をさせていただきたいと思います。
総務局等五局の会議費に関する文書の非開示取り消し訴訟というのが、都は結果的には高裁で敗訴するということになってしまったわけなんですけれども、高裁は、現行の都の情報公開制度の何を問題にしたのかをまず伺いたいと思います。
◯井波都民の声部長 この東京高等裁判所の裁判で最も問題となりましたのは、東京都公文書の開示等に関する条例で非開示を原則としております個人情報のとらえ方についてでございます。
都は条例で、人によってさまざまなとらえ方がある
プライバシーを最大限に保護するため、個人に関する情報で、個人が識別し得る情報の一切を非開示とすることを原則としております。高等裁判所の判決では、国と地方公共団体の担当職員が公務の遂行として出席した会議等に関する情報は、私事に関する情報ではなく、公務員の私人としての
プライバシー保護に対する配慮が必要でないから、条例で定める非開示事項である個人情報には当たらないという判断をしたということでございます。
◯池田委員 この高裁の判決を受けて、知事も記者会見をされて、できるだけ開示をしたいというふうにおっしゃったわけなんですが、平成七年度以前の会議費に関する文書の開示基準はこれから定めなければならないと思いますけれども、基準を策定する際にどのようなことが問題になるのでしょうか。
◯井波都民の声部長 平成七年度以前の会議につきましては、会議に出席した相手方が、その情報が公開されるということについては承知していないので、そのことをどう踏まえるかということが、開示基準の策定に当たって最も重要な課題となると考えております。
高裁判決では、国と地方公共団体の担当職員が公務の遂行として出席した会議等に関する情報は開示すべきとされていますので、このことを踏まえまして開示基準を策定することになりますが、例えば相手方が私人の場合はどうするのか、非常勤の公務員はどうするのか、こういった問題がございますので、このことを中心に現在検討を進めているところでございます。
◯池田委員 結局、相手方の情報をどこまで開示するかということがポイントになるわけなんですけれども、都民に十分に知らせていく、都政の現状を理解できるようにしていくという意味では、そういう趣旨にきちんと沿った開示基準というものの策定をしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
◯井波都民の声部長 都政が都民に開かれたものとして、また都政を円滑に進めていくために、どのようなことについて、どのような方々と協議しているのか、相手方の
プライバシーの保護などを十分に踏まえながら、できるだけ明らかにし得るような開示基準を四月上旬には策定しまして、都民のご理解を得るようにしたいと考えております。
◯池田委員 先ほど、国の情報公開法などの内容も東京都よりもっと進んでいるということもありますので、ぜひ都民の要望にこたえる形をご検討いただきたいと思います。
次に、生活都市東京構想についてお伺いをしたいと思います。
まず、私は、これに先立ちます生活都市東京を考える会報告ですか、これが非常にユニークだったというふうに思っているわけなんです。なぜユニークだと私が思ったかといいますと、報告に当たってという冒頭の、この考える会からのメッセージがありまして、それはある意味ではこの種の懇談会といいますか、そういうものとしては非常に自主的というか、自立しているような気がするんですね。
「青島知事へ」とか「都民のみなさんへ」とか「
区市町村のみなさんへ」とか「都職員のみなさんへ」「国の関係省庁に対して」とかいうことで、それぞれが生活都市をつくるに当たる構成員としてこういったことに取り組んでほしい、こういう姿勢で臨んでほしいということを、こういう報告書の冒頭に盛り込まれたということが、私は非常に画期的だったというふうに感じておりまして、そういう意味では、それを具体的な長期構想にまとめられたということで、その発想がどのように生かされているかということを、きょうはある意味ではお伺いしたいわけなんです。
それで、その部分はどこに盛り込まれたかといいますと、結局、都民との協働と連携というふうになっていると思いますが、そこのところで盛り込まれている内容について、私はある程度評価をしたいというふうに思っています。次の三カ年計画で、この構想実現に向けて、それをどのようにルール化していくかということが今後のポイントだと思います。
そして、都政の改革とか施策の見直しが、今それに沿って行われようとしているわけなんですけれども、協働とか連携とかいうことがうたわれてはおりますが、都政の中だけでの検討というふうに見えていまして、結果を都民に知らせるというような形に終わってしまうのではないかということをちょっと危惧するわけなんです。それで、これからは政策を策定する段階、それを検討する段階から都民の声が反映できるような仕組みが必要だというふうに思いまして、協働と連携を強調しているこの生活都市東京構想では、このことをどのように考えていらっしゃるか、基本的なことを伺いたいと思います。
◯石原基本構想担当部長 生活都市東京構想では、開かれた都政を推進するために、情報提供の推進や都民とのコミュニケーションの充実に努め、また、都民が都政の政策形成過程に参画できる機会を拡充するということを図るというふうにしております。このため、例えば、新たな懇談会などの発足や委員の改選の機会をとらえまして公募性を拡大していくとか、あるいは、まちづくりの早い段階から地元住民との協議会を設置していくなどの方策を掲げております。
なお、今回のこの構想を策定するに当たりまして、先ほどお話しいただきましたように、生活都市東京を考える会に公募の都民の方の参加もいただきました。また、会議資料につきましても公開をいたしました。そのほか、インターネットなども使いまして、情報提供、交流というものに努めたりもいたしました。そういったことで、今回の基本構想の策定に当たりましては、広く都民の意見の反映に努めるということにも十分意を用いたつもりでございます。
◯池田委員 政策の段階、長期構想をつくるに当たってもそのようなことをされたわけなんですけれども、都民の意思を政策に具体的に反映させるというときには、やはりそれがどういう事業なのか、そして都民の意思に沿ったものなのかということをわかりやすく都民に知らせて、それを評価できるようにする必要があると思うわけです。
例えば、今まで実施してきた事業が事業目的を達成したかどうかとか、達成しない場合にはどこが問題だったのかとか、そういったことが知らされる必要がありますし、立案、実施する事業が、内容、手続とも都民の意思を十分に反映しているものになっているかどうかということが評価できるように、事業アセスとか計画アセスという言葉もありますけれども、その評価をする仕組みというものが必要だと思います。そして、今回、税制などについても議論があるところですけれども、こういう税金の使われ方についても同じように評価が可能なようにすべきだというふうに思うわけです。
生活都市東京構想では、こういう仕組みのことをどのように考えていらっしゃるのか。そしてまた、今後実施計画をつくっていかれるわけなんですけれども、こういう仕組みを取り入れて事業を計画化すべきというふうに考えるんですけれども、今後のことについてもお考えをお示しください。
◯石原基本構想担当部長 事務事業の執行状況につきましては、庁内におきましても、主要事業の進行管理というものを行っておりますし、また基本的には議会でご審議をいただいております。
生活都市東京構想では、これに加えまして、開かれた都政をなお一層推進するために、都民とのコミュニケーションをさらに充実して、生活者としての都民の意見の反映に努めるということにしております。また、政策策定過程などへの都民の参画を通じて、事業の立案や実施に当たりまして都民との情報の共有化を図って、合意形成に努めていくということにしております。
今後、生活都市東京構想の具体化を図る何らかの計画を策定するとした場合には、都民との意思疎通の仕組みづくりというものを工夫していきたいというふうに考えております。
◯池田委員 例えば、この長期構想は十年間のことを構想しているわけですから、言葉で参加を促しますとかいうことだけではなく、やはり一つの仕組みがそこにつくられるということが大事だと思いますので、ぜひきちっとした形でお取り組みいただきたいと思います。
それから、協働とか連携といったときには、市民の発議というものがすごく大事になってくると思うのです。現在、政策提案の方法として、地方自治法に定められております直接請求という方法があるわけなんですけれども、これは有権者の五十分の一の署名が必要とか、それは生年月日まで書かなきゃいけないとか、また一定の期間内に署名を集めなきゃいけないとか、選管のチェックが必要とか、いろいろ手続的に大変面倒な、ある意味では厳重なといいますか、そういうことになっているわけなんですね。そういう意味では、もっと臨機応変に、都民が提案したいということが──取りかかるのに用意も必要ですし、なかなか手軽に使える方法ではないというふうに思うわけです。そういう意味では、もっと住民意思を反映しやすいということを考えたときに、こういった直接請求の制度なども簡素化すべきだというふうに考えているんですけれども、これについてはどのようなご意見でしょうか。
◯立花参事 現行の直接請求制度でございますが、議会制民主主義を補完するという目的のもとに住民が直接参政する制度でございます。地方自治制度の上から大きな意義を持っているものと承知しております。
しかしながら、この制度につきましては、さきの第二十四次地方制度調査会でも、手続が繁雑であり住民が活用しにくいのではないか、このような意見も出されているところでございます。必要署名数や署名収集手続の簡素化につきまして、同調査会では引き続き検討するということとされたわけでございます。都といたしましては、地方制度調査会での見直しの議論を見守っていくとしております。
また、当面は、公聴会、あるいは
世論調査とか、知事への提言制度等の各種公聴制度、懇談会等への住民参加、こうしたものを積極的に活用いたしますとともに、都議会のご意見等をいただきながら、住民意思をより反映しやすい行政運営に努めていくよう考えております。
◯池田委員 直接請求は今ある制度なわけなんですけれども、これも、今の繁雑さと同時に、市民発議で条例提案をしても、知事が受けとめて議会に提案する、決定は議会の議決によるということになりますので、間接民主制であるわけなんですね。提案そのものは直接的なんですけれども、決定に関してそうなってしまうという、住民の意思反映という意味では、まだまだ間接的なところがあるのではないかと思うのです。
そういう意味では、アメリカなどで、イニシアチブとかレファレンダムという制度がありまして、もうご存じのことだとは思うのですけれども、住民提案を選挙のシステムにのせて、そして住民が直接投票で決める、そこで成立した制度については行政施策に位置づくというような方法もあるわけです。
これは、法制度等の問題で、日本でそれと同じものをつくっていくというのはなかなか難しいと思いますけれども、住民
投票制度というのはもっともっと検討されていいと思うんです。これは民主主義の根幹にかかわる制度ですけれども、やはり直接民主制を高めるという意味では重要なもので、私は、生活都市東京構想を具体化する場合に、こういう住民
投票制度というものをイメージとしては盛り込んでいく必要があると思いますが、それについてはいかがでしょうか。
◯立花参事 生活都市東京の具体化に当たりましては、都民とのコミュニケーションを充実いたしまして、政策形成等に住民意思を一層反映させることが大事であると存じます。その意味で、これまで行ってきましたさまざまな住民参加の取り組みをさらに充実するとともに、先ほどご指摘がございました住民
投票制度等新たな住民参加の制度につきましても、その問題点も含めまして十分検討していくことが重要と考えております。
住民
投票制度につきましては、将来的には、政策形成等におきまして住民意思を反映させる一つの方策になり得るのではないかと考えておりますが、この制度には、議会や長の本来の機能、責任との関係、投票に付すべき対象事項など議論すべき多くの問題がございます。議会や地方制度調査会の議論等も踏まえまして、今後とも検討に努めていく考えでございます。
◯池田委員 ぜひ積極的に実現というか、そういう新しい生活都市といったときのパートナーとしての都民が、もっともっと参加できるような仕組みというものについて工夫をしていただきたいと思います。
次に、私は、生活にとっても、それから東京の産業というものにとっても、水が十分に足りるかどうかということが非常に重要なことだと思うのですが、そのことを考えたときに、今回の生活都市東京構想の中に水循環マスタープランというものが打ち出されました。前回も質問をさせていただいたのですが、ちょっと時間の関係もありまして不十分な質問で終わっておりますので、改めてまたここで伺わせていただきたいと思います。
前回の質問では、マスタープランの体系のイメージを二つの柱でご説明していただいたんですけれども、このイメージをもう少し明快にさせていきたいと思います。前回説明があった自然界における水循環の保全、再生、それから都市的な水循環の創出、改善、それぞれの内容をもう少し詳しくご説明いただきたいと思います。
◯青山計画部長 今回の生活都市東京構想における水循環施策の体系でございますけれども、まず二つの柱のうちの一つ目の柱、自然界における水循環の保全、再生では、まず流域での対策といたしまして、例えば農地や森林の保全、雨水貯留、浸透施設の整備などを挙げております。また、河川とか海洋における対策としまして、自然の浄化機能を高める施策、具体的に申しますと、コンクリート護岸ばかりにしないで、土手とか浅瀬をつくっていくような多自然型工法の採用とか、あるいは河川浄化施設の整備などを挙げております。
もう一つの柱、都市的な水循環の創出、改善の中では、市街地における対策としまして、例えば、安全かつ安定的な上水の供給や個別循環、地区循環、広域循環の推進、それから雨水利用の推進などを示しております。それから、この分野での河川での対策としまして、下水の高度処理水の利用による清流の復活や農業用水の活用などを挙げております。
さらに、この二つの柱、すなわち、自然界の水循環と都市的な水循環の中間に位置するものとして、水源を確保するための水源開発や地下水の涵養などがございます。
以上につきましては、このように生活都市東京構想では示しましたけれども、さらに水循環マスタープランを策定する過程で内容を詰めていきたいと考えております。
◯池田委員 これまでの各局の個別施策というのも当然あるわけなんですけれども、それを水循環という視点で見たときには、相互に関連しているはずのものが各局にばらばらに置かれていたりということで、そういう視点がまだまだ不十分だというふうに思うんです。
それで、地下水実態調査というものが行われまして、その中で東京の水収支というのが大ざっぱにつかまえられているわけなんですが、それを私なりにちょっと見てみましたところ、六十一年、六十二年のデータなのでちょっと古いんですが、東京に雨が五百三十一万トン降っているんですけれども、そのうちのたった百二十三万トンしか地下に涵養されないということで、大半どころか、ほとんど八〇%ぐらいはどこかに流れていってしまっているわけです。そして、わずかに涵養されたもののうち、地下水として利用されているものは、そのうちのまた半分ぐらいにしかなっていないということで、本当に水がせっかく東京というところに降りながら、どこかにというか、海や川に消えていってしまっているわけですね。
それからまた河川水ということを考えますと、東京が使っている水、これはダムから来ている水ですけれども、それが大体一日五百万トンぐらいかと思いますが、それは使った後は今度はまた下水として流されてしまっているということで、本当に水が足りないという状況を考えると、何てむだをしているんだろうと。これが、おっしゃるとおりの水循環マスタープランの必要性というところに結果としてはなるわけなんです。
ですから、私が申し上げたいのは、特に雨水、地下水、河川水という自然の水循環の回復ということと同時に、下水の高度処理水とか雨水を活用した都市内の水循環の創出が重要なのではないかという根拠を申し上げたわけなんです。
それで、これらの課題に全庁的に取り組む必要があるわけなんですけれども、やはり縦割りでなかなか進まない面があるということだと思います。この自然の水循環、それから都市内の水循環における具体的な事例を示してマスタープランをつくっていくということ、先ほど、策定の過程でさらに内容を詰めていくということでしたので、そういう検討を促さなければならないと思うんです。
それで、このばらばらだった水政策というものを総合化する必要があると思うんですけれども、水全体に対する分析というのが、これによりましてもデータが非常に古い。そして、例えば都市の水の涵養先である、裸地というんですか、涵養する土地のデータなどは、昭和五十四年とか、非常に古いということがあるんですけれども、そういう意味では、降った雨がどれだけ地下に浸透して、どれだけ河川に流入し、どれだけ水が使えるかというような総合的な収支計算が不十分、今の時点でいえばまだまだきちんと新しいものがないのではないかと思います。最近のデータをぜひこれから調査をし、基礎データとしてつくっていく必要があると思いますが、この点は調査をし、つくるということについて進めていただけるのでしょうか。
◯青山計画部長 水循環に関する施策につきましては、これまでも各局が相互に連携を図る努力をしながら取り組んではまいりました。例えば都市計画局におきましては、都市計画局が中心となりまして、建設局ですとか下水道局など関係局と、それから関係の
区市町村にも参加していただきまして、東京都総合治水対策協議会というものを組織しておりまして、総合治水対策の推進を図っております。また、総合治水の一環としまして、都道の透水性舗装とか、雨水の浸透ますの設置なども促進してまいりました。ただ、さらにこれらの連携を強めていく必要性については、私どもも問題意識を持っております。
ご指摘のデータは、平成四年度策定の地下水の実態調査の報告書であると思います。この調査は、ご指摘のとおり、東京都に降った水がどれだけ蒸気として発散して、それからどれだけ地下水として浸透して、それをどう使っていったかということについてのいわゆる水の収支計算をしたものでして、考え方としては、水の循環という考え方で政策を立案するための一つの貴重なデータであるというふうに私どもも考えます。
このデータは、そういった意味で、その傾向が年度ごとに大きく変化するものでもないということから、毎年の調査は行っておりませんが、とはいえ、このときの調査から年数も経過しておりますので、今回新たに水環境保全計画、これは、従来、地下水の保全ガイドラインと水辺環境保全計画というものがあったわけですが、これを統合しまして、水環境保全計画というものを新たに九年度に策定することになっておりますので、この中で水収支の調査も行い、その成果を、この基本構想でいっております水循環のマスタープランに反映させていきたいと考えております。
◯池田委員 本当にそのとおりで、地下水の涵養というのは、水道局とか環境保全局などの個別の局では本当にできないわけなんです。結局、地下水というのは自然の中でもそうですし、また水を使うという意味でも、水循環のかなめに位置するのではないかと私は思っているわけなんです。それで、このことこそ、マスタープランをつくるためには必要な部分というふうに思いますので、そのことについてどのように対応していくのかをもう一度伺いたいと思います。
◯青山計画部長 地下水の涵養につきましては、今私が手元に持っておる資料だけでも、七つの局がそれぞれの施策を実施しております。
例えば都市計画局におきましては、地域の雨水浸透機能を拡大するために、民間の建築敷地内における雨水貯留とか浸透施設への助成を行っております。同様に、労働経済局、それから水道局では、それぞれ水源涵養林の育成を行っております。また環境保全局では、これは
区市町村の事業でございますが、
区市町村が樹林地を公有化するという事業を行う場合に、
区市町村に対する助成を行っております。また保全緑地の指定も地下水の涵養に効果があろうかと思います。あと、住宅局、多摩都市整備本部、下水道局などでは、それぞれが施設を整備する際に浸透ますを設置するなどして地下水の涵養に努めております。それから、建設局では、道路舗装、あるいは公園等で透水性の舗装に努めているところでございます。