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  1. 東京都議会 1997-03-19
    1997-03-19 平成9年総務委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時二十九分開議 ◯甲斐委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。  本日は、選挙管理委員会事務局関係の予算の調査並びに政策報道室関係の予算の調査及び、過日聴取いたしました報告事項に対する質疑を行います。  これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。  予算の調査を行います。  第一号議案、平成九年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。  本案については、既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯木村次長 去る二月十九日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。  お手元に配布してございます総務委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。  資料の一ページは、自治省主催投票環境向上方策に関する調査研究会について、また、二ページには、都議会議員選挙及び衆議院議員選挙の投票における棄権理由の推移について記載してございます。  それでは、一ページをお開きいただきたいと存じます。この表は、本年一月に自治省に設置されました投票環境向上方策に関する調査研究会について記載したものでございます。  この研究会は、近年の国政及び地方選挙における投票率の著しい低下傾向に対して、選挙の管理執行の立場から、有権者ができるだけ投票しやすい環境を整えるための投票環境向上方策について、実務者レベル調査研究することを目的として設置されたものでございます。  この研究会では、2の調査項目欄に記載してありますように、投票時間の延長や投票日の設定及び利用しやすい不在者投票のあり方などについて調査研究することとなっております。これまで三回の調査研究を重ねてまいりましたが、具体的な方策を示すまでには至っておりません。  なお、自治省では、この研究結果を、平成十年に執行される参議院議員選挙に一定の成果を反映させたいとしております。  都といたしましても、この研究会のメンバーでもございますので、積極的に意見交換を行い、有権者が投票しやすい環境づくりに努力してまいりたいと考えております。  次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。このグラフは、各選挙後に東京都選挙管理委員会で実施しております世論調査の結果に基づき、都議会議員選挙及び衆議院議員選挙の投票における棄権理由の推移を、それぞれの選挙の直近の三選挙について、仕事や用事、適当な候補者がいない、病気だったなどの六つの理由に分類して表示したものでございます。  それでは、1の都議会議員選挙の平成五年の欄をごらんいただきたいと存じます。棄権の理由で最も多かったのが、仕事、用事などで時間がなかった、これが四九・四%でございまして、以下、適当な候補者がいなかった、病気だったの順になっております。  次に、2の平成八年の衆議院議員選挙をごらんいただきたいと存じます。この選挙では、自分一人が投票しなくても選挙や暮らしに影響がないが最も多く、四三・一%となっており、以下、仕事、用事で時間がなかった、適当な候補者がいなかったの順となっております。
     なお、棄権理由の回答は複数回答になっておりますので、それぞれの理由の数値の計は一〇〇%を超えております。あらかじめご承知おきいただきたいと存じます。  以上、甚だ簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。 ◯甲斐委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めて、本案に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯三浦委員 東京都の選挙管理委員会も入っての自治省主催調査研究会が開かれているわけですけれども、過去に三回会議をやって、まだ結論が出ていないというお話がありました。まず、いつまでに結論を出そうとしているのか、そして、今現在結論が出ていないというのは、何に対してどういう結論が出ていないのか、それをちょっと説明してください。 ◯木村次長 二つのご質問にお答えします。  自治省の考えでは、この四月ぐらいまでに一定の成果を上げたいということで、これから回を重ねていきたいということでございます。  それから、二点目でございますが、どんな項目が結論に至っていないかというお尋ねでございますけれども、例えば時間の延長というところがございますと、これまでは、一時間あるいは二時間、三時間とそれぞれ延長した場合の投票率の向上についての効果などを検討しているわけでございますが、その時間延長と投票率向上というのが、どれぐらい因果関係があるだろうか、そんなことも議論になったわけでございまして、まだ一定の結論が出ていないという例が一つございます。  それから、例えば投票日の設定でございますが、これにつきましても、平日あるいは土曜投票──新潟県の長岡市でございますが、平成八年度に市長選で土曜日の投票を実施したわけでございますが、その例を検討いたしました。結果的には、二・一七ポイントアップということでございました。全体の投票率では四六・八六%という効果があったのでございますが、この効果について、実際にあったのか、いや小さいというような議論もありまして、結論に至っていないというようなこともございます。 ◯三浦委員 IIの棄権理由の推移という表の中にありますように、いわゆる最近の投票率の低下というのは、先日の日曜日に行われた千葉県の県知事選挙が三〇%を割っている、他の地方における選挙も戦後最低の投票率だということを、最近あちらこちらで聞いているわけです。  この衆議院議員選挙で、昨年の十月に行われた五六・五四%というのも、ここに出ておりますように、回を追って低下をしている。中央政局がこれだけ混乱をしているというか、低迷をしていると、国民の政治離れ、選挙離れというのは、私どもにもよく理解できるところであるわけですけれども、かといって、選管も含めて、当然それを放置しておくわけにいかない。選挙管理委員会も、東京都選管、そしてまた各自治体の選挙管理委員会推進委員皆さん方、一生懸命にやっている姿は見えるのでございますけれども、しかし成果としてそれに結びついていないということが、結果的な数字からもそれがいえてしまうわけで、努力が無になっているということも、極論すればいえるのかなとも思うのです。  だから、何が必要なのかということからいけば、今調査研究会でやっていただいていることを、現実に即した形で改正をしていただくことがまず必要だろうと思うのですけれども、そもそも選挙権というのは、戦後この選挙権が国民にひとしく与えられて、それを実行するということで現在にまで至っているわけですが、その与えられたというのが、与えたという感覚と同じように──どうも選挙法は、国民に選挙権を与えてやったんだという感覚が、どうも思えてならない。したがって、いわゆるそれを執行する側の論理に立った各内容、そういう気がしてならないわけです。  そこで、今回取り上げたいのが、不在者投票についてでございます。  この理由にありますように、都議会議員選挙も、仕事、用事等で時間がなかったというのが最も多くなっているわけで、この元年なんかは、約六〇%近い人たちがそういうことで行けなかった理由を示しているわけです。そうすると、この不在者投票についてどういう取り組み方を選挙管理委員会としてやっているのか。一番救済できるのが、この内容からいけば、仕事、用事で行けなかった、時間がなかったという人たちであろうと思うわけですが、そこで、その選挙時に不在者投票制度についてどういうように周知徹底を図ろうとしてやっているのか、また、もっと積極的に不在者投票を呼びかけて、効率的にその制度運用を図って、投票率の向上に向けて努力するというようなことが必要だろうと思うのですけれども、どういう内容でやっておられるのか、改めて説明をしていただきたいと思います。 ◯木村次長 東京都の選挙管理委員会におきましては、選挙時における啓発というのが、選挙期日、投票日の周知と投票総参加のキャンペーンが中心でございました。不在者投票制度の周知がこれまで比較的少なかったということもございます。  不在者投票周知方法でございますけれども、都選管や区市町村の選管では、選挙時に広報紙を利用してお知らせをしております。それからまた、入場整理券でございますけれども、投票所の案内に加えまして、その裏面を利用して、不在者投票の期間等をご案内するように努めているわけでございまして、区市町村全体では、ほぼ九割ぐらいのところで実施しているところでございます。  ちなみに、ちょっと細かくて恐縮でございますけれども、不在者投票の周知度というのも、私どもで選挙後に調査をしてございます。その中で、平成元年に施行されました都議会と参議院選挙でございますが、このときに、五・二%の人がこの不在者投票制度を知らないと答えておりました。昨年執行されました衆議院議員の選挙におきましては、この制度を知らないと答えた人は三・四%に減少しております。不在者投票制度の周知度が進んできているとは思っておりますけれども、ただいまご指摘のように、まだ十分とはいえません。今後とも、各種の広報媒体を利用して、なお一層周知方について努力してまいりたいと存じます。 ◯三浦委員 今もお話がありましたように、いわゆる周知徹底させる方法の中で、余り力点を置いていなかったのが、この不在者投票を促進させる運動といいましょうか、また、それを働きかけていくということが答弁の中にあったわけですけれども、私は、その制度を知らなかったか云々ということが問題ではなくて、その制度を知っていながらも行けなかったという方々に対する呼びかけをいかに図るかということだと思うのです。  ですから、これからの呼びかけの運動の中には、ぜひこの不在者投票をやってほしい、行けない方は不在者投票をやってほしい、どこそこへ行けば不在者投票できると。そしてまた、調査研究会の中では、後でまた質問いたしますけれども、この不在者投票についてのやり方等の検討は十分にやってもらいたいと思うのです。  そこで、次に、これが今、私の地元の選管から仕入れてきたやつなんですが、(実物を示す)ご存じのように、これが不在者投票の外封筒、これが中封筒。行くと、これに自分で書いた投票用紙を入れて、自分で封をして、選管に預けるという形になるわけですが、これに至る前に、ここで見ると、宣誓書というのがあるのです。宣誓書となっているのです。コンピューターの中へ入れる、プログラムをするときに使うようなカードの大きさですが、ここには宣誓書兼請求書ということから始まって、不在者投票に行った方々がよくいわれているといった方がいいのかなと思いますが、非常に不快な思いをする。なぜなのか。いまだに、ここには、不在期間は何月何日から何月何日までですか、請求理由は丸で囲んでください、仕事、旅行、病気、住所移転、大きくはこの四つがあって、勤務、出張、商用、会議、研修、選挙事務もろもろいっぱいあったり、旅行等については、冠婚葬祭、旅行、帰省、看病、その他、病気等については、出産、身体障害等々ありまして、行く先はどこなのか、または転出先はどこなのか、ここまで、受付の方が不在者投票に来た方に聞いて記入をしないと、投票用紙をもらえないというシステムに今なっているわけです。  ですから、行った方が、その係の人のいい方や、また話をする雰囲気やら等々によって、プライバシーの問題なんだから、私はそんなところまで問われる必要はないじゃないかということで、問題が始まるわけですよね。そこまでなぜやらなければいけないのかということもあるわけですが、都選管として、どういうようにそれを指導しているのだろうか。また、区市町村に対してどういうことをやっているのか、また実態をどう把握しているのかということについて、ちょっと説明してください。 ◯木村次長 ただいまご指摘のような事例については、区市町村、また私も直接電話等で苦情を受けたことがございます。ただいまの三浦先生のお話の、例えば旅行のところに丸印をつけて、行き先など記載漏れがあったというようなときに、いろいろ不愉快な思いをされたということでございますけれども、現行の中では、口頭説明が必要となっているわけでございます。  ちなみに、平成五年の四月でございますが、石川県珠洲市の市長選挙がございました。その中で、不在者投票について、昨年の五月に最高裁の判決がございました。ただ単に旅行中あるいは私事、用務等による旅行中と記載されているにとどまり、どのような用務あるいは用務のために旅行しなければならないかについて記入されていなかったものでございました。最高裁の判決では、この場合、その旅行が、儀礼等の理由から社会通念上必要な用務のための旅行であるとか、あるいは当日以外に日程を変更することが著しく困難であるなどの事情が認められる場合について、初めて不在者投票の事由に該当するものと解されるということでございました。こうした事情について、口頭の説明を求めることなく投票用紙等を交付したことは違法であるという判決がおりたわけでございます。したがって、選挙無効とされて再選挙になったという事例もございます。  私ども、今三浦先生もおっしゃいましたように、プライバシーに関する今日の認識に配慮しまして、今先生にお持ちいただきました、法規上ぎりぎりの線まで譲った形で、有権者の利便を配慮して、従来の請求書兼宣誓書を一本化して、カード化したわけでございます。平成五年の都議選から、この問診型のカード化にしたものでございまして、できるだけ配慮したつもりでございますけれども、ただいまのような事情もございますので、何とぞご了承賜りたいと思います。  なお、本年は七月に都議会選挙が施行されます。この機会に、不在者投票のPRと同時に、区市町村選管に対しましても、法律の規定の正しい適用と、選挙人の投票意欲を阻害することがないよう、法とプライバシーへの十分な配慮をするよう、なお一層指導してまいりたいと思っております。 ◯三浦委員 今判例の結果がお話がありましたけれども、その結果というのは、今こうしなければならないという法体系になっているからこそだめだというような話になったわけですけれども、冒頭に申し上げましたように、選挙権をお上が与えるという感覚、それが戦後ずっと何も変わっていないわけですよ。したがって、調査研究会の中では、現在時点に立って、いわゆる基本的な人権を守るということ、またそういう立場からいって、どこまでを法律でもって定めておかなければいけないのか、ここからここまでは自由裁量として、問診なら問診の中で聞いても聞かなくてもいいということも含めて、ぜひ私は強調してもらいたいと思うのです。  この中で、一つだけいいますけれども、職業欄というのがあるのです。職業まで書かなきゃいけないのか。職業選択の自由もあり、自分の職業を他人に明かさなければならないというようなところまで、なぜ選挙権を行使する際に縛らなければいけないのか。やはりこれは大変大きな問題だろうと思うのです。ましてや、自分の行動を明らかにしなければ投票用紙を渡さないなんていうのは、これはあってはならないことではないだろうかと思いますので、その点については、ぜひ調査研究会の中でお話をしていただきたいなと思うのです。  次に、私の方からも、この委員会に意見書として出させていただいているのですが、船員の投票権を行使する件なんです。  現在、全国で約十万人の船員の方々がいらっしゃる。このほかに、海上自衛隊とか、その他もろもろの方々もいらっしゃるわけですけれども、選挙の告示前に出港してしまうケースというのはよくあるわけで、今の法律、法体系からいきますと、いわゆる選挙公示ないしは告示されてからでないと投票できないということにもなっているわけで、その機会が十分に保障されているとはいえない。海外在留の人たちに対する検討もなされてき始めているわけなんですけれども、そこで、現在の船員の不在者投票の仕組み、一般の不在者投票制度との違いというのはどこにあるのか。また、その船員の公民権行使の要求ということについては、基本的な人権の問題でもあるわけで、乗船中にいつでもどこでも投票できるという洋上投票制度については、この船員の人たちが国に対しても要請しているわけです。ですから、今回のこの調査研究会の中でも、地方自治体という立場でも、東京都に所属しているというか、登録している、船員登録といいますか、あれは保険の関係からそうなのか、知りませんけれども、余り多くはないようですけれども、その実現をどういうようにやっていったらいいのかということについて、今の現状をちょっと説明してください。 ◯木村次長 まず一点目の、いわゆる船員の不在者投票について、概要をちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  一般の有権者の不在者投票に加えまして、船員の不在者投票というのは三つございます。  まず一点目が、指定港における不在者投票。この指定港といいますのは、自治省令で定めてございまして、全国で約四百二十の区市町村がございます。東京都の場合は、港区、中央区、大田区、これが指定港の選管でございます。  それから、二点目でございますが、船舶内における不在者投票、これにつきましては、総トン数が二十トン、漁船の場合ですと三十トン以上、この場合について、一定のルールで不在者投票ができるということでございます。  それから、三点目でございますが、ただいまもお話がありましたけれども、指定船舶における不在者投票ということでございますが、これについては選挙に制限がございまして、衆議院、参議院の国政選挙のみということでございます。この指定船舶といいますのは、遠洋区域を航海する船ということでございまして、細かくは自治省令で定められているところでございます。  また、後段の、いわゆるいつでもどこでも洋上投票ということでございますけれども、現行の中で、先生もご指摘がございましたけれども、現在の船員の場合ですと、一年とか一年半かかっているというような実態もございまして、実態として投票ができない事例というのがあると思います。しかしながら、現在の投票で、いわゆる洋上投票につきましては、電子機器の急速な進歩や今日の技術水準のもとでは、例えば無線やファクス等を使用した投票ならば可能ではないかというようなこともございますけれども、現行の法体系にのっとっている投票諸原則のうち、例えば投票の秘密の保障でございますが、これが確保されるか否か一つをとりましても、ただいま先生もご指摘がありましたように、法改正が必要となるわけでございます。  したがいまして、私どもとしても、船員の方々の投票を可能とする方策を考えて、現在の不在者投票制度の問題につきまして、もろもろの解決策を研究するとともに、都道府県連合会を通じまして、その実現方について国に働きかけてまいりたいと存じます。 ◯三浦委員 ある船というか、最近建造される船なんかには、いわゆる秘密保持をできるファクス等の設置義務があるやにも聞いておりますし、資料によれば、船長がすべての権限を船上生活の場合持つわけで、船長が選挙管理人といいますか、何という名前ですか、忘れましたけれども、そういう立場でやるという定めもあるということでもあります。  ですから、それをその法律で決めてある以上、また、そういう機器が、今の技術からいけば、発達した電子機器類があるわけですね。そういう意味では、いつからいつまで海上にいるんだということがわかっている場合、またそれが正確に登録をされ、認可されているというか、そういうことであるならば、そういう告示、公示された場合、船内で船長が管理人になった投票というものを秘密裏に実施するということも可能なわけですから、今の答弁にありましたように、これまた約十万人からの船員の皆さん方が選挙権を行使できるように、ぜひ強調して、法改正に取り組んでもらいたいというふうに思います。  あと、この不在者投票についての調査研究、第三回目の検討会でやったということになっておりますが、不在者投票制度については、今現在何をどうしようとしているのか。さらに、投票日の設定についても、先ほど説明があったように、議題に上がっているというように聞いているわけです。その中で、その不在者投票の考え方を推し進めていけば、投票日だけが投票ではなくて、いわゆる選挙運動期間中はすべて不在者投票できるわけですから、逆にいえば、いつでも投票日なんだということにも理解が拡大できるわけです。それが制度として位置づけられ、施行上、実施上そういうことが、投票所が、通常の選挙日と同じように設置されないまでも、ある限定されたところに設定してあれば、すべてが投票日だというような理解もできないわけではないわけです。そういうことについてもぜひ論議をしていただく必要があるのだろうと思います。いってみればオール投票日であるという考え方を、この中で検討できないんだろうかということについてどうでしょうか。 ◯木村次長 まず、一点目の不在者投票制度の利用拡大でございますけれども、研究会のメンバー全員が、この不在者投票制度を何とかしていきたいという共通認識はございます。その中でも、不在者投票の事由の撤廃を含めた規制緩和でございますが、そういうこととか、あるいは不在者投票場所の複数の設置でございますとか、そういったことを、やはり法体系そのものを考えていかなきゃいけないだろうというような認識でございます。  したがって、私どもの方もただいまいろいろと細かく、職業の欄もございましたけれども、そういった事由そのものも撤廃をすべきだろうと。同様の要望が区市町村からも来ておりますので、私どもの方も、できるだけそういう形で積極的な発言をさせていただきたいと思っております。  それから、後段部分でございますけれども、確かに今おっしゃるように、投票日の設定については、現在日曜日でございますけれども、いわゆる毎日が、選挙運動期間であれば可能ということは理論的には可能なわけでございます。例えば、具体的な投票率の向上策として考える場合については、ある程度の数字の上で確認できるような経験値が必要なわけでございます。しかし、現在のところでは、その段階で十分なものが存在しない。また、人的な面あるいは財政面、施設面等についても解決しなければならない問題が存在することは、私が申し上げるまでもございませんけれども、いずれにしても、不在者投票制度そのものをもう一回見直していこうという姿勢でやっております。 ◯三浦委員 終わりにいたしますけれども、都選管としても参加をされて、非常に重要な投票制度の見直しといいましょうか、それがされているわけで、私ども選挙をやる立場からいっても、本当に半分の人が行ってくれない、六割の人が行ってくれない、なぜなんだろうかと。これだけ一生懸命訴えているんだけれども、しかし、それを振り向いてくれないというような形にもなるのかもしれませんけれども、一%でも二%でも向上させるということが、私たちの責任であると同時に、重大な選挙管理委員会としての責任でもあるわけです。  局長にお伺いしますけれども、局長、全国にもいろんな意味で影響のある東京都選挙管理委員会だろうと思うのですね。東京都選管として、どういうことについて、その改正を強く要請をしていくのか、最後にお聞きして、おしまいにしたいと思います。 ◯海老江選挙管理委員会事務局長 近年の投票率の低下傾向につきましては、選挙に携わる者として厳しく受けとめているところでございます。ただいまいろいろご指摘のございました問題について、特に不在者投票制度の拡充につきましては、有権者、すなわち国民の参政権の確保という面からも極めて重要だと思います。また、それに引き続いて、選挙制度全体を見直すということも今後大きな課題だろうというふうに思います。そのことが結局投票率の向上に向かっていくのではないかというふうに考えております。  ただいま次長からもいろいろご答弁申し上げましたけれども、国においてもう既に研究会を設置しまして、技術面を中心に、今現在検討しているところでございます。特に不在者投票の拡充については、現在の法体系では投票に行くのがまず原則である、それにどうしても都合の悪い方は不在者、そういう補充的な意味を持ってはおりますけれども、しかしながら、いろんな制度の内容等について検討されておりまして、積極的な検討をやって、私どももそれに働きかけてまいりたいというふうに考えております。  なお、選挙制度全体の問題についてでございますが、都の選管も一昨年の八月、ちょうど参議院選挙の投票が終わった後でございますけれども、投票率向上のための調査研究会を私どもで設置するための準備を進めておりました。昨年、衆議院選挙が秋にございましたので、その設立は延ばしておりますけれども、五回ぐらいの準備会議を現在開いております。そして、本年四月には、この調査会を設置しまして、ここで学識経験者だとか、あるいは各界の意見を参考にいたしまして、選挙啓発の見直しあるいは創意工夫、それから、明るい選挙推進委員制度がございますけれども、これらの拡充、さらには、未来の有権者であります小中学生、高校生などを対象として、学校教育の中に働きかける、あるいはコミュニティの再生などを図って、広範囲の分野にわたって投票率向上のための研究を進めたいというふうに考えております。  その結果が投票率の向上になるように、私ども努力してまいりたい。その意味で、国及び都自身としても、投票率向上あるいは参政権の拡充について検討してまいりたいというふうに考えております。 ◯甲斐委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯甲斐委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。      ━━━━━━━━━━ ◯甲斐委員長 これより政策報道室関係に入ります。  予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。  第一号議案、平成九年度東京都一般会計予算中、歳出、政策報道室所管分及び報告事項、生活都市東京構想についてを一括して議題といたします。  本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。  発言を願います。 ◯大木田委員 最初に質問をさせていただきます。  ただいま政治の大きな焦点となっているのは、一つは情報公開、それから行政改革、また規制緩和、地方分権ということになりますけれども、この具体的な点について伺ってまいりたいと思います。  まず情報公開でございますけれども、国の情報公開制について、国の方もその制定に向けて動きをしておりますけれども、現在どのような状況になっているか、まず伺います。 ◯井波都民の声部長 国の情報公開につきましては、行政改革委員会に行政情報公開部会が設置されました。平成七年の三月でございます。以来、計五十七回にわたって検討会議が開かれまして、平成八年十一月一日に情報公開法要綱案という形でまとめまして、行政改革委員会に報告をされております。  これを受けまして、行政改革委員会は、昨年の十二月十六日に内閣総理大臣に意見具申を行ったところでございます。そして、総務庁に情報公開法制定準備室を開設しまして、現在検討準備に入っているところでございます。この法律案につきましては、行政改革プログラムにより、平成九年度中に国会に提出をされると聞いております。 ◯大木田委員 最近さまざまな問題が提起されておりまして、都の情報公開の条例が非常に生ぬるいのではないか、都政を知る立場から、もっと積極的に都民の皆さんに情報公開をすべきであるというような声が非常に高まっておりますけれども、今お話がありました国の情報公開法要綱案と今の都の条例を比較してみますと、どんな点が挙げられるのか、伺います。 ◯井波都民の声部長 国の情報公開法要綱案と都の公文書開示条例との比較でございますが、主な違いを申し上げますと、第一には、都における公文書の定義では、紙としての文書及びフィルム、ビデオテープ、録音テープを対象にしておりまして、電子情報を含めておりません。国におきましては、電子情報を含めることとしております。  第二点目に、都におきましては、実施機関から公安委員会、警視庁を除外をしておりますが、国におきましては、国会、裁判所を除くすべての行政機関を対象としておりまして、国家公安委員会、警察庁も含めております。  第三点目に、東京都におきましては、個人情報に該当する情報としての職員の情報について特に規定を置いておりません。国におきましては、公務員情報について特別の規定を設けておりまして、公務員の職の遂行にかかわる情報に含まれる当該公務員の職に関する情報については開示すべきものとしております。また、中央省庁の課長相当職以上については氏名まで開示をする、そのようにしております。  第四番目には、東京都は、大量請求があった場合の取り扱いについて条例上定めを置いておりませんが、国は、著しく大量な開示請求の処理について規定を設けておりまして、六十日以内にすべての決定を行うことが事務の遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある、そういうときには、相当部分を開示決定をして、残りの部分については、相当の期間内に決定すれば足りる、こういうふうにしております。  以上のような点が主な相違点だと思っております。 ◯大木田委員 つい最近、高裁の判決で、食糧費に関する一つの判断も出たわけでございますけれども、この開示基準等については検討しているということでございますが、私は、現在の都の条例改正は──国の方も進んでおりますけれども、今まで、住宅基本条例にしても、あるいは環境アセスにしても、さまざまな分野で都が始めて国が進めてくるというような形をとって、都が国を動かしてきた。非常に先駆的な行政の立場に立って推進をしてきたわけでございますので、私は、各道府県も今、さまざまな情報公開等については、それぞれ検討しながら進めていると思いますけれども、都もいち早くこの条例改正に取り組んで、より都民の知る権利というものを保障すべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。 ◯井波都民の声部長 条例改正についてということでございますが、まず国の情報公開法要綱案におきまして、地方公共団体に対しての規定を一項目設けております。ここで、地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、情報公開に関し必要な施策を策定し及びこれを実施するように努めなければならない、そういう規定を置いておりますので、東京都としましても、法と条例の調整を図る必要があると思います。  また、もう一点、今、大木田理事からご指摘がありましたように、東京都は国の情報公開法に先立ちまして制定をしてきておりまして、もう既に条例施行後十二年を経過をしております。この間、社会経済情勢も大きく変化してきておりますので、このことに的確に対応する必要もあるというふうに考えております。  このような課題が現在ございますので、東京都における情報公開制度のあり方、これについては条例改正を視野に入れて検討する必要があるというふうに考えております。 ◯大木田委員 できるだけ早く条例改正に踏み切っていただきたいということで、そうした内容を早く発表していただきたいということを要望しておきます。  次に、地方分権に関連して伺いますけれども、私は、国は、外交、防衛あるいはマクロ経済、こういう観点のものをやって、あとは可能な限りというか、地方に権利、権限を移譲すべきであるという立場に立っております。特に、防災都市づくりの観点や学校の空き教室の地域開放というような、さまざまな地域の皆さんからの要望が今非常に多く出ております。そういうことを推進するためには、地方分権ということが非常に大事になってきますし、財源の移譲等もそれに伴ってくるわけでございます。  現在、国の地方分権検討委員会で、地方分権についてさまざま検討され、今いろんな報告も出ておりますけれども、現在の検討状況はどうなっているか、その点を伺います。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 ご案内のとおり、平成七年七月に地方分権推進法が施行と同時に、国の地方分権推進委員会が設置をされました。昨年三月には、その中間報告において、機関委任事務制度そのものの廃止を決断すべきという考え方が示されてございますし、さらに、昨年十二月には正式な第一次勧告が行われ、その中で二点ほど大きな点がございます。機関委任事務制度の廃止を明確に打ち出したことと、その事務の廃止後の新しい区分として自治事務と法定受託事務に再区分すること、さらには、国のさまざまな関与を、通達行政等ではなくて法令に根拠を持つ、そういったルール化をすることが盛り込まれたわけでございます。  現在は、当初、親委員会の下に、行政関係検討グループと補助金・税財源検討グループの二つのチームで作業をしていたわけでございますが、本年一月、一次勧告を受けた形で、二次勧告に向けて、地方行政体制検討グループが発足されてございますし、それぞれ三チームで精力的に検討が進められているというふうに聞いております。  今後は、残された課題である補助金、税財源、必置規制、地方事務官、地方行政体制等について、本年六月を目途に二次勧告が行われる予定というふうに聞いてございます。 ◯大木田委員 今のように、着実に推進といいますか、検討されておりますけれども、まだまだ我々の立場からすると、もっと積極的な国への働きかけもそうなんですけれども、積極的に地方分権を推進していただきたいというふうに国に対しても私は思っているわけですが、政府の地方分権推進計画の策定への今後のスケジュール、現在決まっている状況はどうなっているのか、伺います。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 政府の分権推進計画のスケジュールでございますが、国の分権推進委員会の一次勧告、二次勧告を受けた後、政府としての分権推進計画の策定が義務づけられておるわけですが、平成十年の通常国会終了前までに作成するという意向が示されてございます。さらに、その後につきましては、必要な法令改正作業が順次行われることと考えております。 ◯大木田委員 国の地方分権推進委員会で、地方行政体制等検討グループをつくって、今後検討していくということになっておりますけれども、その具体的なテーマは今どうなっていますか。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 地方行政体制検討グループの検討作業の項目でございますが、大きく三点ほどございます。  一つは、行政の公正の確保と透明性の向上。具体的には、この中身としては、情報公開条例、行政手続条例の制定促進、あるいは外部監査制度の導入、こういったものが例示として挙がってございます。そのほかに、住民参加、行政改革、広域行政などのいわゆる地方行政体制というのが一点目でございます。二点目は必置規制、三点目に地方出先機関等の項目が挙げられてございます。 ◯大木田委員 都とのかかわりでございますけれども、地方行政体制等検討グループの今のような検討がされておりますけれども、都はこれに対してどう取り組んでいくのかということと、今後さらに地方分権については、全国三千三百の自治体の先駆に東京都があるわけでございますので、さらに積極的にこれを推進していくべきであるということで伺いたいと思います。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 地方行政体制検討グループの検討に対する都の取り組みでございますが、現在、都では、都から区市町村への分権のあり方検討委員会というので、学識経験者を中心に検討いただいているところでございますが、その中で、第二次勧告に向けた形で、都と区市町村の新たな税財政制度のあり方につけ加えまして、今後、地方行政体制全体についても検討いただく予定でございます。国の第二次勧告前に、ぜひ都としての答申内容をいただけるようにお願いしているところでございまして、これを踏まえて、地方分権推進委員会等に都としての考え方を強く反映させていきたいというふうに考えております。 ◯大木田委員 次に、最近常に指摘されている高コストの体質、それから、規制緩和に関連して伺いますけれども、私もいろいろと調べてみましたら、公共事業の発注の高コスト体質、これが非常に大きな問題になっております。特に国際化が進んでいる中にあって、今、大競争の時代というような中で、日本はこれだけボーダーレスの時代に入りまして、この体質では国際的に対応できないのではないか、こういうことが指摘されております。さまざまな国際価格というものがありますし、日本の体質もそういう状況に打ちかっていけるような体質改善をしていかないと、まさに今経済がこういうような状況の中で、日本売りが進んでいくというような形が、深刻な日本の危機にも結びついてくるのではないかという懸念もあるわけでございます。  そういう中で、生活都市東京構想では、東京の産業をめぐる高コスト体質や、経済の自由な活動を妨げる規制について取り組んでおりますけれども、このことについて、この中で取り組んでいる内容と──もっと積極的にこの問題については取り組んでいかないと、これだけ貴重な税を預かる立場の我々としては、また、国際価格等踏まえて取り組んでいくべきだと思いますけれども、この構想の中ではこの点はどうなっているか、今後の取り組みについて伺います。 ◯青山計画部長 生活都市東京構想の中におきましては、日本において必要な規制緩和がなかなか進展していないことや、そのためもございまして高コスト構造が改善されていないということを、現在日本の経済活力が低迷している理由の一つとして挙げております。その上で、東京の産業活性化のためにも整えていくべきものとして、四つの前提条件を挙げてございますが、その四つの条件の中で、情報通信、物流、オフィスなどのコスト引き下げを図り企業が活動しやすくすること及び規制緩和を推進し、自由で活発な経済活動を確保していくことを位置づけております。 ◯大木田委員 ぜひその点については積極的に推進をしていただきたい。  それから、この高コスト体質を是正していくためには、抜本的な規制緩和がないと、これは推進ができないわけでございますけれども、緩和すべき規制として、政府や経済界においては、どのようなものが今課題になっているのか、伺います。 ◯青山計画部長 緩和すべき規制として、一般に課題となっているものといたしましては、まず金融の面では外国為替管理制度の緩和など、それから運輸の分野では、航空、鉄道、バス、タクシーなどの需給調整や運賃規制の緩和、廃止など、それから通信の分野では、NTTのあり方やKDDの国内参入など、またエネルギーの分野では、電力供給部門の競争導入など、それから、輸入に関してでございますけれども、輸入数量の割り当てとか、輸入検査手続などについての規制緩和など、立地の面では、工業等制限法の緩和などが一般的に挙げることができると考えております。 ◯大木田委員 今、橋本さんは六つの改革ということをぶち上げておりますけれども、火だるまになってやるということで、だるま状態で手も足も出ないというような形で、今決まっているのは金融の外為ですね。これだけが決まっているというような形で、あとは全く言葉だけが先行しているというような状況にあるわけでございますけれども、都として、各種の規制緩和、これは緩和と撤廃がありますけれども、現在の状況の中で、積極的に、都としてはどういうふうに取り組んでいくのかということについて伺います。 ◯青山計画部長 各種の規制のうちで、工業等制限法のように、製造業の新規創業を規制しまして、産業集積の維持活性化の妨げとなっているものがございます。また、航空、鉄道などの需給調整や運賃規制のように、人の動きとか物流の面におきまして、いわゆる高コストをもたらしているような規制がございます。こういった規制につきましては、自由で活発な産業活動を確保していくという目的のために、緩和もしくは廃止していくことが必要であると都としても考えております。  したがいまして、生活都市東京構想におきましては、金融、運輸、通信、エネルギー、輸入、立地などの各分野における規制緩和につきまして、国に対して積極的な要望活動を展開することとしております。今後、この構想に基づいて、二十一世紀に向けた東京のリーディング産業群を振興して、東京の産業全体を活性化していくという観点から、国の規制緩和推進の動きに合わせまして、お話の中にありました各経済団体とか区市町村などとも連携して、この問題に都として対応してまいります。 ◯大木田委員 最後に意見を申し述べて終わりにしますけれども、現在の東京の活性化ということは大変重要なことでございまして、この規制緩和だけではないわけでございますけれども、今日までこれだけ集積した東京の持つ活力を、今再び大きく発展させる意味においても、経済活動においては、私は、原則自由、規制は例外とすべきだということをもって、もっと民間のいろんな新しい産業に対しても、さまざまな分野で配慮しながらいかないとだめであると。  それからもう一つは、これからは、暮らしの選択、生活者の選択、消費者の選択、こういう目線といいますか、そういう立場からもう一回見直して、どういう規制を緩和すべきなのか、どうしていけばもっと暮らしの立場から、消費者の立場から、生活者の立場から、それを発展をさせて、活力を生み出していくことができるのか。
     今、かなりいろんな分野が、今まで考えてきた発想を転換をしながら、そうした生活者、消費者という視点を大きく大事にして、それぞれの企業がもう一回新たな再構築を目指しておりますけれども、そうしたことを考えた場合、この規制緩和については今後とも力を入れて、情報公開、行政改革、地方分権、規制緩和、この四つが今大きな焦点になっていると思いますので、ぜひとも政策報道室においても、こうした点を中心にしながら、さらに東京の発展のために力を発揮して頑張っていただきたい。  以上でございます。 ◯寺山委員 まず初めに、生活都市東京構想についてお伺いをしたいと思います。  生活都市東京構想が策定されるについては、「とうきょうプラン '95」という、青島知事が就任をされてからおつくりになった三カ年のプランがありました。今回の生活都市東京構想を議論する前に、その「とうきょうプラン '95」の総括というものをまずはした上で、どのような形で反省なり効果の分析が行われて、それがいかに生活都市東京構想に結びついてきたのかという点をきちんと整理をしておかなければならないというふうに思います。  一昨年策定をされました「とうきょうプラン '95」は、先ほどから申し上げましたとおり、平成七年度から九年度までの三カ年についての都政運営のまず指針であり、総合計画であり、事業実施計画という性格を持ち合わせていました。今回の生活都市東京構想を策定するに当たって、「とうきょうプラン '95」をまずはどのように総合評価をしたのか、お伺いします。 ◯青山計画部長 一昨年、青島知事が就任した後、都政運営の基本方針を早急に都民と職員にも示す必要がございました。そこで、緊急的に対応すべき事業を中心に、当面三カ年における都政運営の方向を明らかにするために「とうきょうプラン '95」を策定いたしました。  その内容の意義でございますけれども、第一点として、基本理念として生活者の視点の重視を掲げるとともに、暮らしやすい東京、わかりやすい都政を基本目標とした点にございます。  第二には、重点課題として二点ございまして、第一点は高齢社会への備え、それから第二点として震災対策の推進を定めた点に意義がございます。  また、意義の第三点でございますが、このような考え方に基づいて、都政の全般にわたって三年間の事業計画を示した点、以上に意義がございます。  しかしながら、時代状況のさらなる変化に対応して、生活都市東京の実現を図っていくために、都市政策をより長期的、総合的な視点から見直して都政の転換を図ることについては、問題点を提起するにとどまった面もあろうかと考えております。 ◯寺山委員 今お話をいただきましたとおり、「とうきょうプラン '95」では、高齢社会への備えを万全にしていきましょうということ、そして震災対策の推進をきちんと行っていきましょうという二点を強調しまして、それをいわばプランの柱に置いてきたわけです。  この「とうきょうプラン '95」では、計画事業数が二百五十二事業あって、そのうちの新規事業が六十五、そして一部新規が四十九の事業があります。まだ平成八年度で、完全に事業が、予算が執行されていない状況ではありますが、現在において、これまでの新規事業、それから一部新規事業の実施状況がどのようになっているのか、お答えください。 ◯青山計画部長 「とうきょうプラン '95」に掲げました事業につきましては、計画の初年度でございます平成七年度以降、計画に沿って、平成八年度、九年度に順次必要な予算を計上しまして、その推進に当たっているわけでございます。特に、ご指摘のございました新規事業とした六十五事業のうちの六十三事業につきましては、この三カ年に必要な予算を計上して、事業の実施に当たっております。  それから、新規事業としたもののうち二件、都立看護専門学校の整備につきましては、予定していた用地の取得が困難なために、予算計上を見送っております。もう一点、信号施設のデザイン化につきましては、この事業実施のための前提となる他の事業の進捗状況などにかんがみまして、予算計上を平成十年度以降に先送りしております。  それから、一部新規事業とした四十九の事業でございますが、これにつきましては、三カ年ですべての事項について予算を計上して、事業の実施に当たっているところでございます。  現在、お話の中にもございましたように、平成八年度事業は執行している段階でございまして、八年度末での全体の事業量の達成状況はいまだ把握できておりませんが、例えば、新規事業としましては、六十五事業のうちの四十一事業については、「とうきょうプラン '95」で想定した将来目標が、事業量の面でも確実に達成できるものと考えております。  「とうきょうプラン '95」の策定当時と比べまして、財政状況が一段と厳しくなっております。また一方、地価の下落による用地費の減少効果などもございます。今後とも、これらを合わせて、事業の執行方法を工夫することにより、生活都市東京の創造に努めてまいりたいと考えております。 ◯寺山委員 今、新規事業六十五事業のうち四十一事業については、将来目標が確実に達成できる見込みであるということで、約六割の新規事業については、その将来性が明るいということなんですが、三カ年の計画で、あと平成九年度一年を残して、新しい構想を今回発表されたわけです。私が考えますに、普通でしたら平成九年度で構想をまとめて、そして新しい '95のプランにかわるものを平成十年度、あるいは平成九年度の後半でもいいのですけれども、発表するというのが普通ではないかと思うのですが、計画期限を一年残して新たな計画を策定した理由はどこにあるのか、お聞かせください。 ◯青山計画部長 「とうきょうプラン '95」におきましては、平成七年度から九年度までの三カ年に緊急的に対応すべき事業を中心に都政運営の方向を明らかにしたものです。生活都市東京構想は、この「とうきょうプラン '95」を踏まえて、さらに一歩進めて、長期的な視点から、東京に住み働き憩う都民などの意思を広く反映しまして、生活重視の発想に基づく政策構想を都民の前に明らかにしていく必要があるため策定したものでございます。 ◯寺山委員 今回の新しい生活都市東京構想では、取り組むべき課題については具体的な達成目標を明確にしている点、これについては非常に評価をするものではありますが、財政的な裏づけをきちんと持った実施計画の策定については一体どのようにお考えになっているのでしょうか。今後の策定のスケジュールあるいはその策定時期についてお伺いをします。 ◯青山計画部長 今回の生活都市東京構想では、大規模なビッグプロジェクトを企画することよりも、むしろ世の中や都政の仕組みを成熟社会に合ったものに変えていくことに力点を置いて策定したものでございます。したがいまして、財政的な裏づけももちろん必要でございますが、同時に、今までとは違ったやり方で、従来にとらわれない発想で見直しを行って、新しい仕組みをつくっていくことが必要であると考えております。  この構想の考え方に基づきまして、この構想を策定する作業と並行して、各局の個別分野の実施計画の策定が進んでおります。今後、これらの分野別の計画の総合的な調整を図りながら、この基本構想を実施するための総合的な計画の形や内容、スケジュール、策定時期などについて検討していきたいと考えております。 ◯寺山委員 今回のあのプランの中で具体的な達成目標を明示しているというのは、例えば、特別養護老人ホームに入所することがおできにならないお年寄りの方々の解消というものを西暦二〇〇〇年というふうな形で設定をしていたりとか、さまざまな分野にあるわけですけれども、今回この構想を本当に絵にかいたもちにしないためには、きちんとした財政的な裏づけが必要だろうと思います。今議会でも、財政改革、それから行政改革、さまざま、この生活都市東京構想にも影響を及ぼすような議論が行われていますけれども、それをきちんと整理した上で、早急な財政的な裏づけを持ったスケジュールの策定というものを行っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  続きまして、この生活都市東京構想の中で、あるいは「とうきょうプラン '95」の中でも、震災対策というものがやはり都の政策のこれからの柱になっているわけですけれども、私も、さきの予算特別委員会の総括質疑で、震災後の都民生活の速やかな再建を図るための今後の対応について、重要であるという視点から質問をさせていただきました。これに対して、現在、関係局から成る生活復興プロジェクトチームを設置して検討を進めているとのご答弁をいただいております。  そこで、当然そのPTで検討していることとは思いますが、私は、震災後の心のいやしの施策についてお聞きをしたいというふうに思います。  阪神・淡路の大震災から三年目に入って、都市基盤などの外見上の復興は進んでいるようには見えますけれども、例えば、震災で肉親を亡くした方、あるいは肉親を失って一人でお暮らしになっているようなお年寄りの方々などの精神面の傷、これがいえずに苦しみ続けている方がたくさんいらっしゃいます。それによって、アルコール依存症、あるいは孤独死といったような、そういう本当に社会的に深刻な問題なども、さまざま浮き彫りになってきました。  昨年の十月に神戸市で、阪神大震災後の心のいやしというものをテーマにして、アメリカの専門家らを招いた国際シンポジウムが開かれました。その中で、ハーバード大学の教授が、親と死別した影響は直後より二年後の方が大きい、十年間のフォローが必要で、支援も重要であるといった報告もされているわけです。  先月兵庫県が発表した、被災世帯住民健康調査の結果を見てみますと、仮設住宅の二五%が臨床的にPTSD、これは心的外傷後ストレス障害というものですけれども、その可能性があるということで、被災者のメンタルケア対策が、震災三年目において、大変大きな重要課題として浮かび上がっていることを改めて認識させました。  私は、心のケアというふうな問題は、外見では非常に見えにくいものですけれども、ともすると忘れられてしまうような危惧を覚えています。しかし、心のケアこそ、むしろ長期的にしっかりと取り組んでいかなければならない、そういう重要な課題だと思いますが、ご見解をお伺いいたします。 ◯鈴木特命担当部長 ただいまお話がございましたように、一昨年の阪神・淡路の大震災、この被害の中で、特に肉親を亡くされたり、あるいはまた住む家を失ったり、あるいは職場をなくしたり、そういったショックのために心に大変深い傷を受けまして、そのためにいまだに立ち直れずに苦しんでおられる、そういう被災者が大変に多いということはお話のとおりでございます。  私ども聞いております範囲でも、例えば、子供さんがいまだに夜中になるとうなされるとか、あるいは、お年寄りの方がちょっとした物音にも非常に過敏に反応するようになっている。あるいは、これも先生の方からお話がございましたけれども、特に中年のひとり暮らしの男性などが、生きる気力を失って、酒なりあるいはギャンブルにのめり込む、こういったようなケースも大変多いように聞いているわけでございますが、こうした方々の心のケアの問題、これをどのように対応していくかということは大変重要な課題であると私ども認識をいたしております。  したがいまして、震災後の生活再建を考えるに当たりましては、住宅の復興なりあるいは雇用の確保、こういった経済的な分野ばかりではなくて、こうした心のケアという問題につきましても十分に検討する必要がある、このように考えております。 ◯寺山委員 昨年十月、神戸で、阪神大震災で親を亡くした子供たちの心のいやしのシンポジウムがあったのですが、私も震災後、現地に行って、そういう子供たちとお会いして、作文を書いてもらったり、あるいは一緒に遊んだりということをしました。その中で、ある子が、今の自分の気持ちを映し出す一枚の絵をかきました。それはどういう絵かというと、にじがかかれているのですけれども、黒いにじをかいたのです。それから一体何が読み取れるのか、これは医療的な、きちんとした専門家の判断を受けなければなりませんけれども、やはり外見上は震災で親を亡くしたということを見せないにしても、心の中にそういった黒いにじがかかっているということ、そのことをやっぱり私たちは考えなければならないだろうと思います。  人にはやはり自分をいやす力というのがありますけれども、先ほどから申し上げておりますこのPTSDには、周囲が本当に温かい思いやりをきちんと示してあげなければ、傷ついた心はいやされないと思います。人をいやすというのは、私は最後は人の力によるものだろうというふうに考えます。医療面からの対応も必要なんですけれども、ボランティアの支援も、重要なこれからの行政の課題になっていると思います。ぜひこのことも念頭に入れて、前向きなご検討を今後していただけるようお願いを申し上げます。  続きまして、地方分権の質問に移りたいと思います。  先ほど大木田先生の方からも、地方分権推進委員会の第一次勧告のお話もありましたが、その第一次勧告について東京都が一体どのような評価をしているのかということについて、お伺いをしたいと思います。  第一次勧告が昨年の暮れ、国の地方分権推進委員会から出されましたが、そこでは、最大の目玉として機関委任事務の廃止が掲げられています。私は、廃止の明確化は、明治以来の中央集権システムの中心部に風穴をあけるものですから、画期的なものであったと考えます。この制度を廃止するということは、国と自治体との関係を、上下主従関係から対等平等な関係に転換させることを意味しています。ですから、この機関委任事務の廃止というものは、その意義においては非常にはかり知れないものがあると思います。  しかし、一定の評価はできますけれども、中間報告の内容からも大幅に後退した点が多々あります。それは、事前協議あるいは是正措置などで、かなり国の関与が逆に認められているという点です。  勧告が出された後、知事がコメントを出されておりますけれども、勧告の意義と限界ということについてどのようにお考えになっているのか、まずお伺いをします。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 第一次勧告は、機関委任事務制度の廃止を明確に打ち出したことなど、国と地方自治体を対等、協力の関係に移行させるための具体的提起として高く評価できるものであり、その意義は大きいというふうに考えてございます。  しかし一方で、法定受託事務の範囲が中間報告よりも拡大されていること、自治事務についても国との合意を義務づける事前協議が多くなっていることなど、中間報告よりも後退している部分もあること、三点目としては、分権のかぎを握る補助金、税財源あるいは法定受託事務と自治事務の振り分けの一部の部分が、本年六月に予定されている第二次勧告に先送りされているという点については、大変残念であるといわざるを得ないというふうに考えてございます。 ◯寺山委員 機関委任事務が廃止されて、地方公共団体の事務の考え方として、二つありますね。自治事務と法定受託事務という新たな概念がここで打ち出されたわけです。また、国の関与の根拠は法令とする新たなルールをつくるなど、これは、中央と地方の、先ほどもいいましたけれども、上下主従関係による硬直的な行政システムを改めていくチャンスも生まれました。  しかし、この自治事務、法定受託事務のいずれにも、事前協議あるいは合意、是正措置の要求や指示などの新たな国の関与の仕組みが整備されることとなっています。とりわけ、自治事務のように、地方公共団体が独自の判断で実施できる事務についても国の関与が残っているのは、私は大変大きな問題ではないかというふうに考えます。国が一たん関与を始めれば、許可もあるいは事前協議も同じで、運用次第では、現行の制度よりも国の関与を生じかねないというふうな危惧を、私は率直にいって持ちますけれども、どのようなご見解をお持ちですか。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 自治事務につきましても、合意を義務づける事前協議が設けられ、中間報告よりも後退した点は事実でございますし、運用いかんでは国の関与が強まることも、ご指摘のように懸念されるわけでございます。  ただし、国の関与の一般原則として、法定主義の原則、一般法主義の原則、公正・透明の原則が設けられ、手続面で自治体側に有利な整備がされてございます。また、国と地方自治体の紛争処理の仕組みとして第三者機関が設置された点は、一歩前進だというふうに考えてございます。いずれにいたしましても、今後運用面をしっかり見守っていく必要があるというふうに考えてございます。 ◯寺山委員 自治事務についてでありますけれども、自治事務にかかわる国の関与として何点かありますが、まず一つ目には、技術的助言・勧告、報告聴取、そして二つ目には、事前協議と合意、三つ目には、是正措置、指示までというふうな、この三つの形になっています。  国との合意を義務づける事前協議は、一応例外とはされてはいますけれども、建設ですとか、あるいは農林水産関係を中心に多数に上っていることもまた事実です。また、指示は緊急時の措置ということになっていますけれども、中間報告においては、自治事務には指示が認められていません。これは明らかに後退だというふうに思います。国の関与が拡大していて、実際に指示できるとされる事例が、農林水産、建設、通産関係を中心に、これまた非常に多数に上っている現実もあります。とりわけ、自治事務について緊急の必要がある場合には国が直接事務処理をすることができるとあります。そもそも分権の原則からしても、こういうことは問題であるというふうに考えますが、どのようにお考えですか。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 第一次勧告には、「自治事務として地方公共団体が処理する事項に関し、その性質上特に必要があるものについて、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には、国は、法律の定めるところにより、直接事務を処理することができるものとする。」という規定が書かれてございます。ここでいう、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合とは何かということは、余りつまびらかになってございませんけれども、極めて例外的な事例、例えば自然災害あるいは伝染病予防、こういったものが想定されているのではないかと思われます。いずれにいたしましても、こうしたケースは限定される必要があるというふうに考えてございます。 ◯寺山委員 これからの分権社会の原則からいきますと、法定受託事務は、その分類の可否というものはともかくとして、その事務は、本来は国の行政機関が直接執行すべき事務だというふうに思います。国民の利便性あるいは事務処理の効率性の観点から、地方公共団体が受託して行う事務とされていて、ある程度の国の関与はいたし方がないとしても、自治事務にまで事前協議は必要ではないんじゃないかというふうに思います。また、本来地方公共団体の固有の権利である条例制定権、ここまで、法律というものならばともかくとして、法令という形で政令で縛りをかけるというものも私は問題だと思いますが、いかがお考えでしょうか。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 まず一点目の、自治事務についての国との合意を義務づける事前協議が多くなっていることにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、大変残念なことであるというふうに考えてございます。こうした事前協議は、運用上極力限定されていく必要があると考えてございます。  二点目の、条例制定権に対する政令による制限についてでございますが、現在では、法律に規定を置く場合にも、ごく大綱的な規定を置くだけで、実質的内容は政令や省令で定め、地域の実情に応じた条例の制定が妨げられていることも事実でございます。今回の一次勧告では、自治事務について条例の制定が制限されるのは、法律またはこれに基づく政令の明示的な規定、またはそれらの趣旨、目的などによるというふうにされてございます。したがって、現実の立法に当たっては、政令によって条例制定権が不当に制限されることがないようにすべきである。具体的には、自治体がそれぞれの地域特性に対応できるように、基本的な内容は条例で定められるよう、法令により直接条例に委任する方向を広く採用すべきであるというふうに考えてございます。 ◯寺山委員 地方六団体の意見書では、国の事務を、国はナショナルミニマムの維持、達成にかかわる基本的事項を担うものであるということを徹底することが必要としています。国の事務の厳密化を求めていって、それと同時に、地方公共団体はそれ以外の国内の行政にかかわるすべての事務を担当する。国の関与を最小限にとどめていって、しかも個別関与の原則廃止をきちんと示して、関与は法律によって一般関与にのみとどめています。また、必置規制の取り扱い、こういったものなど、分権の推進に当たっては数々の有意義な提案をしているというふうに私は考えます。地方六団体の意見書が、この第一次勧告を取りまとめるに当たってどのように反映されているというふうにお考えなのか、お伺いします。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 地方六団体の意見書の関係でございますが、今回の国の第一次勧告において機関委任事務の廃止が明確に打ち出されたことは、地方六団体の意見書、これも──果たした一つの成果だろうというふうに考えております。また、地方六団体の意見書の考え方が、第二十四次地方制度調査会答申あるいは分権に関する内閣の大綱方針、それから平成七年の地方分権推進法に生かされてきたのは事実でございます。  しかしながら、お話しのように、地方六団体の意見書の最大の目玉であった、国は本来の十六項目の事務に特化すべきである、あとの内政関係は地方に任せるべきである、こういった点が一次勧告では採用されていないのは大変残念であるというふうに思っております。 ◯寺山委員 先ほどの三浦先生の質問でありましたけれども、選挙権というものが、今の選挙制度においては、上から与えられたようなものというふうなご意見がありましたが、今回の地方分権の取り組みについても、あくまでも何か中央の主導でずっと進んでいるような気がします。本当にこれは遺憾なことだろうと思います。  この勧告によりますと、国と地方公共団体との間に今後紛争が生じた場合には、第三者機関の設置というものが示されています。私は、第三者機関は、国の過度の関与を監視するものとして設置されるべきであり、分権を実効性のあるものとするためには、国と地方公共団体の双方から独立性、自主性、そして中立性を保った機関が設置されるべきだというふうに考えます。都のまとめた「分権すべき権限と財源」の中でも、人事院に類した強力な機関で、かつ法定受託事務の拡大防止あるいは国の関与のチェック機能を有するべきだとしてはいます。しかし、勧告に示されているものを見ると、その設置は事案ごとにされている。いわばアドホック委員会、かつ紛争処理に特化されています。これでは、現行の自治紛争調停委員制度というものがありますが、それと実質的には変わらないのじゃないかという気がします。  都は、地方六団体などと共同して、都が提案する方向での第三者機関の設置を、国や地方分権推進委員会に積極的に求めていくべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 第三者機関にどのような権威を持たせるべきかについてはさまざまな意見がございますが、東京都が昨年四月に発表した報告書「分権すべき権限と財源」の中で提案した、人事院に類した強力な権限を付与された第三者機関が基本的には望ましいというふうに考えてございます。分権の時代にふさわしい第三者機関とするため、今後、地方六団体との連携を初め、いろんな機会を通じて対応してまいりたいというふうに考えてございます。 ◯寺山委員 現行のこの機関委任事務制度のもとにあっても、代執行制度というのがありますが、これはとかく問題が多いものです。代執行というのは、地方公共団体の、いわば自治権に対する制約であるというふうな考え方もあります。もし行う場合でも、国の乱用を招かないような厳密な規定が必要と考えます。  勧告によれば、法定受託事務における代執行の可能性が示されています。法定受託事務における代執行、これは現行の機関委任事務制度の下のそれよりももっと悪くなっているのではないかというふうな議論があるというのも伺います。勧告を見る限りでは、特に必要がある場合に、一定の要件及び手続のもとにとあるだけで、代執行の行われる状況が全く明確ではありません。代執行は、行う場合には、裁判所の勝訴判決を経て初めてそれが行い得ると明確に規定するように、国や地方分権推進委員会にこれについても働きかけていく必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 代執行を行う場合には、現行制度から後退することなく、裁判所の勝訴判決を経て初めて行い得るというふうにすべきであるという点につきましては、東京都の先ほどの報告書「分権すべき権限と財源」の中でも明らかにしたところでございます。ご指摘のとおりでございます。この点も含め、国等へ働きかけていきたいというふうに考えてございます。 ◯寺山委員 第一次勧告を見る限りにおいては、今ご質問いたしましたとおり、残された課題はまだまだ多いといえます。先ほどもいいましたけれども、本当にこのままで進んでいくと、骨抜きの地方分権にしかならないというように危惧をしています。  先日の本会議の代表質問でも幹事長がお伺いしましたけれども、住民自治というものに対するかかわり方もそうですし、また都道府県から区市町村へのさらなる分権、さらに財源問題も依然全く不透明のままといわざるを得ません。これは、今までの分権論議が、いわば国を身軽にしていくという国家身軽論的な観点から論じられていて、新しい国家像、新しい国を変えていくというような模索、すなわち、地域からの新しい日本を創造するというような視点が全く欠落しているからではないかというふうに思います。  都は地方六団体の中心です。みずからも都道府県から区市町村への分権についての検討、また国などに対しても、自治、立法権の拡充、あるいは政府・自治体調整会議など、自治をはぐくんでいく地方分権の視点から数々の有益な提案を行い、これまで分権論議に一石を投じてきたというような経緯はあります。しかし、残念ながら、この第一次勧告を見る限りでは、都はもちろんのこと、地方六団体の問題提起が前向きに受けとめられているとはいいがたいのです。  今後、地方自治の確立、発展の観点から、第二次勧告以降に向けて、それこそ地方六団体、そして全国の地方自治体とともに力を合わせて、関係諸方面に対する一層の働きかけが必要であるというふうに考えますが、ご決意をお伺いしたいと思います。 ◯佐々木政策報道室長 ただいまの寺山理事、あるいは先ほどの大木田理事からも、地方分権をさらに推進すべし、こういう立場から大変力強いご質問、激励をいただきましてありがとうございました。  これは大変失礼かもしれませんけれども、寺山理事がお生まれになる前から私都庁におりまして、当時入ったときには、研修の中で地方自治の意義を大変教えられました。戦前の地方自治制度に比べて、戦後の憲法に基づくこの地方自治制度というのがいかにすばらしいものであるか、こういうような形で教えられたわけでございます。  しかしながら、戦後五十年以上たちまして、今この時点で、日本全体があらゆる意味でひずみといいますか、制度的疲労というような言葉でいわれていますが、そういう状態を起こしておりまして、国民の生活がこれからどうなるのかという、そういう意味では大変不透明感、不安感が漂っているという状況にございます。まさしく今、経済も行政も政治も問われている、こういう中で、改めて国と地方の関係が本当にいかにあるべきなのか。これはおっしゃるとおり、新しい日本をつくっていくという観点、あるいは将来の国民のためにも、ここでもってきちっとした制度改革をやらなければ、これからの日本というのはよくならないんだ、こういう認識がなければいけない、こんなふうに思っております。  そういう意味から、いわれたとおり、今ある中央集権構造というものをどうやって分権に変えていくか。上下主従の関係から、いわゆる対等協力の関係、あるいは画一の状況から多様な選択がいろいろできる、そういう仕組みをどうつくっていくか。これは今問われている大変重要な問題だというふうに私ども思っております。  そういう意味で、これまでも国の地方分権推進委員会等に、全国の先頭に立って私どもいろいろ発言をしてきたつもりでございますが、間もなく六月ごろには二次の勧告が出、その後に、平成十年の通常国会が終わるまでには推進計画を出すというようなスケジュールも既に示されております。  しかしながら、そのスケジュールに向けて、今、中央省庁というのは、大変大きな抵抗を示しております。もう一度分権推進委員会が示した答申を引き戻そう、こんな動きも大変強うございます。したがいまして、我々としては、ことしあるいは来年ということが、この自治を推進する上では正念場であるという認識を深く持っております。そういう立場で、なお先生方にもいろいろお力をいただきながら、この問題については強力に進めていかなくちゃいけない、こんなふうに思っております。  お話にございましたとおり、区市町村との関係につきましては、都から区市町村への分権のあり方検討委員会の中で、この二次勧告に向けて都としてはどう考えるのかというようなことも今検討しております。そして、今後のこの問題についての世論喚起、これについても引き続き、私どもはさらに一層の広報の強化、あるいはシンポジウムを通じて世論喚起を図っていきたい。同時に、仲間である地方六団体、七都県市首脳会議、そういういろんな仲間と連携をとりながら、いろいろ調整し、相図って国にも強く働きかけていきたい、こんなふうに思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。 ◯寺山委員 私の生まれる前から、戦後できた地方自治の現場でお仕事をなさって、そして今室長は、まさしくこの二十一世紀に向けて、地方自治制度において大転換点ともいえる時点で、責任あるお仕事の職についていらっしゃるわけです。これは、東京だけではなくて、全国の地方自治体のまさしくリーダーとしても、ぜひ今後とも一層国に対しては、厳しく勇気ある態度で臨んでいただきたいと思います。  今、地方分権のお話をして、これから最後に、首都機能移転問題について少しお伺いをしようと思うのですが、今のこの地方分権推進の第一次勧告を見ても、この首都機能移転問題は表裏一体で密接にかかわっている問題ですので、首都機能移転問題が今のままのスケジュールで本当に進んでいっていいものかどうかということになると、またこれは非常に危惧を持つわけです。  そもそも東京の一極集中というものに起因しているわけですけれども、これは東京問題というふうなことだけでとらえるのではなくて、ほかの都道府県の抱える個々の問題、あるいは全国的な広がりを持った問題としてとらえる必要があると思います。長期的な人口推計と経済については、都においては、先ほどご質問しました生活都市東京構想に示してあるとおりですが、東京以外の道府県の全国の動向を一体どのように見ていらっしゃるのか、まずはお伺いします。 ◯石原基本構想担当部長 長期的な人口と経済につきましての全国の動向をどのように見ているかというお尋ねでございます。  全国の人口につきましては、本年一月に、厚生省の国立社会保障人口問題研究所が、日本の将来人口を高位、中位、低位の三つのケースに分けて示しております。その中位推計によりますと、総人口は今後増加を続けまして、平成十九年、西暦二〇〇七年でございますが、一億二千七百七十八万人でピークに達し、その後減少に転じまして、平成六十二年、西暦でいいますと二〇五〇年でございますが、一億五十万人となるというふうに予測しております。高位推計によりますと、総人口は平成二十三年に一億二千九百五十六万人でピークに達しまして、以後減少いたしまして、西暦二〇五〇年には一億一千九十六万人となるというふうにしております。また、低位推計では、平成十六年に一億二千七百五万人とやや早くピークに達しまして、以後減少してまいりまして、二〇五〇年には九千二百三十一万人となるというふうに予想しております。  生活都市東京構想では、全国の人口について独自の想定は行っておりませんが、この高位、中位、低位の全国推計の範囲内で推移するものと考えております。  また、経済についてでございますが、生活都市東京構想では、全国の実質経済成長率につきまして、十年間の構想期間の前半に当たります平成八年度から十二年度までの五年間につきまして、東京の成長率を1/4%全国は上回るというふうに予測しておりまして、2 1/2%程度というふうに予想しております。また、後半の五年間になります平成十三年度から十七年度までにつきましては、東京の成長率と同じ2 3/4%程度になるというふうに全国を予想しております。 ◯寺山委員 今、人口と経済について、将来の大まかなトレンドを示していただいたわけですけれども、ほかの都道府県も都と同じような推移を示していくだろうということです。しかし、残念ながら、長期の大まかなトレンドだけでは、将来の東京と他の道府県との人口の、あるいは経済のバランスというものが読み取りにくいので、さらにお聞きをいたしますけれども、九五年の国勢調査の結果において、人口五千人未満の町村が全国に一体幾らありますか。 ◯石原基本構想担当部長 一九九五年の国勢調査によりますと、五千人未満の町村の数といいますのは六百七十七町村あるというふうになっております。 ◯寺山委員 六百七十七町村、これは全町村の二六%を占める数です。この地方の周辺部の過疎化、これはまさしく深刻に進行していく一途をたどっているというふうな結果になっています。ある意味では、中核都市ですとか、地方の中枢都市というものは、ある程度大都市周辺の人口のドーナツ化現象とかいうことでふえてはきていますが、取り残されている地方の周辺部の地域がどんどん拡大をしてきているというような傾向にあります。  先ほど、長期的な経済で、計画の八年度から十二年度は、東京の成長を地方の成長が1/4%上回っていると。ところが、後半の年度に関しては東京の成長率と同じ程度になってしまうということが、先ほどの資料からうかがえますけれども、私、昨今の地域経済動向を調べてみましたが、おおむねいわれているのは、昨今は穏やかながら回復の動きを続けているというような形での表現が非常に多いのです。  九一年からの不況期において、地方というのは比較的大都市に比べてバブルの反動が小さかったといわれています。ですから、そういった地方圏においては、大都市に比べて経済の落ち込みが小幅でした。逆にいうと、このことを照らして考えると、今後向かっていく地方経済というのは、経済成長が頭打ちになっていくというようなことがうかがわれます。必要なことは、今後も地方の経済の活性化をきちんと行っていかなければならない。ますます地方都市が衰退していくというようなトレンドが出てくるというふうに思います。  実は一九六〇年代、私が生まれたのが一九六七年ですが、一九六〇年代から過疎と過密という問題が社会現象になってきました。この時代は、三ちゃん農業というふうな言葉がはやった時代です。そして一九七〇年代になりますと、少し、地方の時代ということがいわれてきて、JターンとかあるいはIターンというふうな、地方に帰ってくる、一回都会に行ってから戻ってくるというのが流行語になったそうです。そして八〇年代になって、大都市の集中、そして格差がどんどんと広がっていて、そして九〇年代の今日の現状に至っているというような社会の流れがあります。  神奈川県の長洲知事ですとか、あるいは大分県の知事ですとか、あるいは熊本県の知事ですとか、そういう方々を象徴的に、地方の時代というふうな言葉がいわれて久しいのはご承知のとおりだと思います。それでは、このような状況に対して、国や各自治体が地域振興政策、いわば地方政策というものを、一体どのような取り組みを行ってきたのか、そしてその実績が一体どういうふうなものであったかということを、ここで問い直す必要があるというふうに思います。  簡単に申し上げますと、一九八三年には高度技術工業集積地域開発促進法、いわゆるテクノポリス法というのが法制化されて、これは全国で二十六カ所が承認されました。一九八七年にはリゾート法、総合保養地域整備法が制定されて三十九地域が承認、そしてその後すぐに第四次の全国総合開発計画、四全総がこのときに閣議決定をされています。そして、この四全総というものにのっとって、四全総の国土開発のイメージに沿った地方分散政策、その法制化としては、一九八八年、多極分散型国土形成促進法あるいは頭脳立地法というものがどんどんと制定されていくわけです。ということは、四全総の前までは比較的地方自治体が地方で行ってきたそういう政策を、四全総の中で国のナショナル政策として組み込んでいって、国がいわばそういう大きな地方政策をどんどん取り入れていった。そういう転換期がこの四全総の時代でした。自治体では、一村一品運動というのがあったり、不交付団体であるところを取り除いては各一億円補助金を交付する、ふるさと創生事業というのも行われました。  ところが、それらの事業を見ていますけれども、今日の都道府県間におけるさまざまな経済統計をとってみると、人、物、金、情報の四つの領域での東京への一極集中というのは、残念ながら改善されていないというふうに考えます。むしろ、先ほどいいましたけれども、地方の周辺部においては、より東京との格差が拡大される傾向にあるということがいえます。ということは、私は、これは四全総というものを中心にして行ってきた国の地方政策、地域経済政策が失敗であった、これは国策の失敗であったということがいえるのじゃないかと思うのです。  また、この四全総のセールスポイントは何かといいますと、東京一極集中化に対するイメージ、それに対して、先ほどからいっています多極分散型国土というものを提示しています。そして、その分散された各地域を結ぶ交流ネットワーク構想を示して、それを実行していくという形になっています。  全国においては、関西圏ですとか名古屋圏、それだけの大都市圏だけではなくて、地方において地方中枢、中核都市を中心とする広域的な圏域を育成して、相互のネットワーク化を図るということが施策の中心になっています。これは、各域圏、地方においては、中枢と周辺構造、先ほどもいいました、過疎地域とそして地方の中心の都市という、中枢と周辺構造を、もともとこの四全総というのは想定されているということがいえると思います。これは、いわば東京対全国の地方自治体という形では、多極分散を目指している形にはなっていますけれども、各地域内の形で見れば、東京一極集中に類似した集中構造を、逆に各地方でつくり出すというような政策であるというふうにいうことができると思います。  炭鉱がどんどんと閉鎖されています。あるいは第一次産業がウエートの中心の農山漁村などの過疎化、そういったものがどんどん深刻になっていくという現状があります。私は、これは、農山村ですとかそういうふうなところの切り捨て政策といっても過言ではないと思います。そこで、リゾート開発などによる地域振興の期待というものが、バブルの崩壊で完全に捨て去られました。いわば今日は、国のそういった地方政策が打つ手がないというような状況といっても過言ではないと思います。とすれば、これは各地方自治体の中での取り組み、それが一層必要になってくるだろうというふうに思います。  そこで、この首都機能移転の問題、そういった問題が各地域の格差を広げるというような問題の観点からいうと、こういった首都機能移転の問題において、全国知事会、地方六団体で、これまできちんとした論議がされてきているのかどうか、それをお伺いします。 ◯小栗広域連絡担当部長 都道府県間の連絡提携を主な目的といたします全国知事会など地方六団体では、首都機能移転問題については論議されていません。 ◯寺山委員 それはどういう理由で、今までそういう論議が行われていないのですか。 ◯小栗広域連絡担当部長 全国知事会の取り組みは、全国的な諸問題を中心に、全国の知事の総意をもって決定するという仕組みになっております。特定地域固有の問題や地域間における利害の対立する問題は、それぞれの関係する地域で対応することが慣例となっております。首都機能移転問題には、地域によってさまざまな意見がありますので、知事会の議題にはなりにくいものと考えております。 ◯寺山委員 首都機能をある地域に移した場合の経済効果、移転された地域の経済効果というのはある程度読み込めるのかもしれませんけれども、首都機能がある地域に行った場合に、全国の地方自治体に一体どういう経済効果、あるいは先ほどいいました地域振興効果があるのかということ、これはまだ疑問が残されている点が多々あるというふうに思います。  そこで、今、全国知事会は、利害が対立する問題においては、それは議論すべき場所ではないというふうにいいますけれども、逆に、現在首都機能を擁している都、ここと国あるいはそのほかの道府県の間での対立という形ではなくて、やはりほかの自治体ときちんと連携をする取り組みを積極的に進めていくべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。 ◯小栗広域連絡担当部長 東京都は、東京圏の抱える広域的な課題につきましては、七都県市首脳会議を中心にしまして、関係自治体と連携して積極的に取り組んでおるところでございます。七都県市首脳会議では、首都機能移転問題につきまして、地方分権、規制緩和を優先し、展都と分権の推進によって首都圏を再編整備することが現実的な対応策であるという共通の認識に基づきまして、連携して取り組んでおります。  具体的には、国会等移転調査会報告の時期や国会等の移転に関する法律の改正の時期など、節目ごとに首都機能移転問題に関する意見表明やアピールを行い、また、この問題を住民とともに考えるためのシンポジウムを開催しております。このような機会をとらえて、積極的に取り組んでまいりたいと思います。 ◯寺山委員 先ほどからの話は、基本的には、今日の四全総というものを中心にする、要するに国の地方を活性化するための施策の失敗、そしてもう手詰まりになっているので、これは東京を解体するということでしか、今複雑に絡み合った首都機能移転の問題は解決しないだろうと。そして、それを契機にすれば、地方の活性化も進むのではないかという形で進められているように私は感じていて、そしてそれは非常に違うのじゃないかという気がしています。国は国で、もっともっと地方活性化政策をきちんとやっていかなければなりませんし、各自治体においても、いかに自分自身の地域を活性化するというふうな形の議論をもっともっとしていかなければなりません。
     そこで、この首都機能移転問題は、当然全国的な重要課題であるというふうに考えますが、全国レベルでの議論を巻き起こすのに、東京都はどのようにすればいいというふうにお考えなのか、最後にお聞きします。 ◯本多地方分権・首都調査担当部長 各種世論調査、これは国土庁あるいはマスコミ等の世論調査でございますが、移転に賛成する方の多くが、私どもからいわせていただければ、実証的には効果の少ない一極集中の是正に期待をして移転に賛成をしているという結果が出てございます。こうした状況を踏まえ、少しでも多くの都民や国民に首都機能移転の問題点を知っていただくことが何より大事であろうと。先生ご指摘のように、地域の活性化のためには──私どもの調査の中でも、移転先地だけが潤うという結果がデータ的に出ておりますし、むしろ分権、規制緩和を徹底した方が地域の活性化に役立つのだと主張もさせていただいております。そういった点を十分PRする必要があるだろう。具体的には、全国レベルの新聞やテレビを活用するなど、PR活動に一層力を入れていきたいというふうに考えてございます。 ◯甲斐委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。    午後三時二十三分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時三十分開議 ◯甲斐委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯秋田委員 私は、昨年の十一月十九日の事務事業の概要の質疑に続いて、米軍基地の対策のその後について簡単に質問させていただきたいと思います。  政策報道室に昨年七月に専任の体制がつくられて約八カ月になりますけれども、この間にどんな活動をされてきたのかであります。この前の質問に対しては、早速庁内に基地対策連絡調整会議をつくって大いに活動するんだというような意気込みを感じさせられましたが、これまでどのような取り組みをなされてきたのか、そこら辺のことを聞かせてください。 ◯福田政策調整部長 基地対策の庁内調整を行うための基地対策連絡調整会議を昨年八月に設置したわけですが、これは、多摩島しょ振興推進本部の特別部会として設置いたしました。そして、この調整会議のもとに幹事会、さらに幹事会のもとに、個別の課題に対応するために三つの分科会を設けました。そして、基地対策についてその連絡調整を現在行っているわけでございます。  これまでの会議の主な議題といたしまして、昨年の八月に、東京都の基地の現状についてその確認を行うとともに、建設局がただいま進めています多摩サービス補助施設の一部土地の返還についての進捗状況の報告を受けて、それを検討してまいりました。  それから次に、昨年の十月でございますが、渉外関係主要都道県知事連絡協議会の要望や、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会の要望事項及びその後の活動等について検討してまいりました。  それから、同じく昨年の十二月でございますが、この三分科会の一つでございます横田基地航空燃料漏出対策分科会では、十二月の横田基地内での漏出事故に関する米軍からの説明を受けるとともに、現場を視察してまいりました。  このように、この連絡調整会議では、基地対策に関する各局の関連事業等の調整を行ってまいりました。  今後とも、この場を活用して基地対策について取り組んでまいる考えでございます。 ◯秋田委員 この前質問のときに、昨年の十一月十一日には、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会がつくられて、共同して要請する事項や今後の課題とすべき事項などを検討するんだということをお聞きしましたけれども、その後、この横田基地対策について、連絡協議会では具体的にどのような取り組みをされてこられたんでしょうか。 ◯福田政策調整部長 横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会の取り組み状況でございますが、昨年の十一月二十五日に、横田基地における正月三が日の飛行停止についての要請を、国、それから米軍に行ってまいりました。  それから次に、本年一月三十一日に、横田基地における米空母艦載機の飛行訓練の中止要請を行いました。  それから、本年の二月十七日と十八日に、横田基地に関する初めての総合的な要請を、副知事を先頭にいたしまして各市町の助役等によって、国の関係省庁、それから在日米軍に対して行いました。  さらには、二月の二十七日に、劣化ウラン弾誤使用事故に関する要請を、同じく関係省庁、それから在日米軍に対して行ってまいりました。  そのほか、この連絡協議会におきまして、横田基地の対策に関する円滑な情報交換に努めているところでございます。 ◯秋田委員 そうした行動は、従来も、都市計画局にあった多摩開発企画室でしたか、あそこを通していろいろな要望を東京都はやっていましたよね。それと今回のこの連絡協議会がやったことと、具体的にその内容においてどう違っているのか、どこがどう前進しているんだと。せっかくつくったこの連絡協議会だからこそ、ここが前進しているんですよというようなところを、わかるようにご説明していただきたいんですが。 ◯福田政策調整部長 本年二月の要望が、これまでの要望と比べてどのような前進があったかというお尋ねですが、まず要望の方法といたしまして、第一に、都が横田基地の所在する五市一町と共同で要請を実施したことが挙げられると思います。  第二に、これまでは各局が個別に実施してきた要望事項に新たな事項を加えて、横田基地に関する要望を取りまとめたということです。例えば米空母艦載機の飛行訓練の全面的な中止、騒音対策の推進に関する事項を初めとして、航空機燃料漏出事故への適切な対応、それから自治体への適切な情報提供、基地交付金等の充実、このような広範な基地問題について総合的な要請をしたのは初めてでございます。  それから、内容的な面で申しますと、第一に、騒音防止対策に関して、昭和三十九年、それから平成五年の日米合同委員会の合意事項であります、横田飛行場における航空機騒音の軽減措置を厳守することを盛り込んでおります。  第二に、米空母艦載機の飛行訓練を全面的に中止し、将来においても行わないこと、それから、消音装置の早期整備、ヘリコプター等による低空飛行の禁止及び飛行コースの拡大を行わないことなど、具体的な内容を挙げて騒音防止の推進の要望を行いました。  第三に、自治体への適切な情報提供についても、NLP訓練の当日の実施予定や実際の実施内容、日米合同委員会での合意事項等に関する情報など具体的に例示して要望したことなどが挙げられます。  これらの点が従来の要望より前進したものと考えております。 ◯秋田委員 平成五年の日米合同委員会の合意事項が守られない、だからこそ、遵守せよというようなことが、今度新たに前進したところだというふうに聞くんですね。これは、周辺の住民がNLP等大変な被害で夜も眠れないというような状況から、裁判を十六年間やって、そして最高裁で勝利判決が出たわけですね。  その最高裁判決というのは、米軍の飛行状態というのは違法であると、よって国はこの住民に与えている被害に対して賠償をすべきであるという判決だったわけなんです。これが出て初めて日米合同委員会でこのことが協議をされて、夜十時から朝六時までは騒音を発してはなりませんよということが合意をされたんですね。それが守られないから、東京都としても、今度の連絡協議会としても遵守してくださいと申し入れをやらざるを得ない、こういうことになったんだと思うんです。  ところが、そういう状態は今でもまだ続いているわけです。平常時であるにもかかわらず十時以降も飛行が行われたり、朝六時からもうすぐ飛行機が飛び立つことができるように、その前にエンジンを温めておくといって、エンジンをかけて吹かすというようなことが行われているわけなんです。だからこそ、周辺自治体からも、東京都と一緒になってこういうことをやらなきゃならぬということになったんだろうというふうに思うんですね。  こういうような状態にあるわけですけれども、この連絡協議会としては今後このようなことに対してどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思うんです。 ◯中島理事 今お話しの連絡協議会の事務局を所管しておりますので、私からご答弁を申し上げたいと思います。  連絡協議会では、昨年十一月に、今後検討していくべき主要事項ということで三点について合意しております。一点目が日米地位協定について、二点目が、基地を抱える自治体の財政支援、特に国の補助金、交付金の充実について、三点目が騒音対策の強化についてでございまして、これらの事項につきましては、協議会として今後引き続き検討していく予定でございます。  そのうち、都としましては、騒音対策の強化の検討の中で、関係市町の協力を得ながら、基地の早朝の時間帯の騒音測定を新たに実施する、こういう提案をしていきたいというふうに考えております。  また、連絡協議会としましては、既に四回にわたり要望活動を行っておりますけれども、今後とも引き続き粘り強く、国の関係機関あるいは在日米軍に対しまして必要な要請を行ってまいります。 ◯秋田委員 騒音対策の強化、特に早朝の測定をやることは非常に重要なことだというふうに思うんです。ぜひやっていただきたいと思いますが、私は代表質問で──米軍横田基地で最高裁が、先ほど申し上げた、横田基地周辺での米軍機の飛行状態は住民に被害を与える違法なものということで判決を下したわけです。しかし、同時にその判決が、夜間飛行の差しとめは米軍の行為であって国の支配が及ばないので、国に請求すること自体失当だ、当たらないんだといって、差しとめは却下をしたわけなんです。これをよいことにして、米軍は、今申し上げたように違法飛行をいまだに続けている。  こういう状態だから、たまりかねた住民は、それなら、日本政府に求めることができないのだったらアメリカ政府を相手にと、日米両政府を相手に今、新横田公害訴訟が、一次、二次を合わせて約六千人が原告になって、日本の裁判史上最大の規模だといわれているんですけれども、新たな訴訟に訴えたんです。  その訴訟団が知事に対していろいろ要望書を出しておられるわけなんです。例えば、既に関係する八市一町の首長さんは、この訴訟団に、内容については触れることはできないでしょうけれども、メッセージなどを送って、お互いに住民の生活を、あるいは健康を守るために協力し合おうというような意味合いのものを寄せているわけなんですが、知事はまだそういう立場も明らかにしていない。そして、この民事訴訟は、アメリカが応じるか応じないかということで、成り立つか成り立たないかというのが今争いになっているわけだから、住民のことを考えるならば、知事も当然アメリカ政府に対して、この裁判に応じてくださいと要請してもいいではないかというふうに質問したわけです。  これに対して、知事は、米空母艦載機の飛行訓練の全面中止を求めてきたというような答弁を、お述べになったわけです。しかし、訴訟については、民事訴訟でもあり、都としてはその推移を見守っていきたいというふうにいわれたんですね。ただ円満に解決することを心から期待している、こういうふうに答えられたんですけれども、円満解決どころか、東京地裁の八王子支部は、アメリカ政府は日本の裁判に従うことを拒否してきた、こういうことから、去る十四日に、一九二八年、昭和三年の大審院の判例をそのまま適用して、アメリカが応じないといっているのだから仕方がないじゃないかといって、訴状も送らずに、アメリカ政府に関する訴訟のその部分は却下をしてしまった。審議もしないで却下をしてしまった。  こういうことになって、これでは──最高裁が、日本の政府にアメリカのやっていることを求めるのは失当です、当たらないですよといわれて、賠償は払われたけれども、飛行を差しとめることもできなかった。それならばといって立ち上がったのに、米軍の違法行為は絶対差しとめられない、だれにもそのことを要求することさえできない、だれを訴えたらいいのかということが、新聞などでも大きく報道されたところなんですね。  憲法三十二条には、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」こういうふうに明記をされているんです。ところが、この裁判を受ける権利がこれでは守られないということになってしまうではないか、どこに訴えたらいいんだ、だれが守ってくれるんだということになっているのが今日の状態だと思うんです。  住民は、安保条約をなくせとか、基地をなくせとか、こういうことをいっているのではないんですね。つまり、アメリカの指揮権をどうこうしようとか、そういうことをいっているのではないんです。ただ静かな眠れる夜を返してほしいと要求しているだけなんです。それなのに、知事答弁は、住民訴訟だから見守るというだけのものだったんです。  しかし、知事には、住民の安全、健康、福祉を守ることが地方自治法で義務づけられているはずなんです。住民が騒音被害をなくす一つの方法として訴えた訴訟を、行政として、その中身に入ることはできないかもしれないけれども、でき得る限りのことをやるのが当然ではないかというふうに私は思って、質問をしたわけなんです。  当委員会のこの場で、知事にかわって政策報道室長が答えることはできないでしょうけれども、どうすれば、やり場のないところに追い込まれた住民を支援することができるのか、行政としてどんなことができるのか、そういうことを検討し、研究もし、今訴訟団が求めているこの要望にこたえることができるのではないかというふうに思うんですね。  住民がみずからの生活と健康を守る立場から立ち上がっているこの行動を、私はこの間の代表質問で、要望している健康影響調査などを実施してもらたいということをいいましたけれども、それはその気がないというような答弁でありました。こればかりではありませんが、訴訟団が東京都に期待を寄せているこれらについて、どうしたらこたえられるかということをぜひ政策報道室でも研究、検討していただいて、これならできるということを知事に進言をしていただきたいというようなことを申し上げて、これ以上聞いても、知事じゃないんですから答えられないでしょうから、私の方から要望しておきたいというふうに思います。 ◯池田委員 私は初めに、会議費等の情報公開について高裁の判決が出ましたので、そのことについてちょっと先に確認をさせていただきたいと思います。  総務局等五局の会議費に関する文書の非開示取り消し訴訟というのが、都は結果的には高裁で敗訴するということになってしまったわけなんですけれども、高裁は、現行の都の情報公開制度の何を問題にしたのかをまず伺いたいと思います。 ◯井波都民の声部長 この東京高等裁判所の裁判で最も問題となりましたのは、東京都公文書の開示等に関する条例で非開示を原則としております個人情報のとらえ方についてでございます。  都は条例で、人によってさまざまなとらえ方があるプライバシーを最大限に保護するため、個人に関する情報で、個人が識別し得る情報の一切を非開示とすることを原則としております。高等裁判所の判決では、国と地方公共団体の担当職員が公務の遂行として出席した会議等に関する情報は、私事に関する情報ではなく、公務員の私人としてのプライバシー保護に対する配慮が必要でないから、条例で定める非開示事項である個人情報には当たらないという判断をしたということでございます。 ◯池田委員 この高裁の判決を受けて、知事も記者会見をされて、できるだけ開示をしたいというふうにおっしゃったわけなんですが、平成七年度以前の会議費に関する文書の開示基準はこれから定めなければならないと思いますけれども、基準を策定する際にどのようなことが問題になるのでしょうか。 ◯井波都民の声部長 平成七年度以前の会議につきましては、会議に出席した相手方が、その情報が公開されるということについては承知していないので、そのことをどう踏まえるかということが、開示基準の策定に当たって最も重要な課題となると考えております。  高裁判決では、国と地方公共団体の担当職員が公務の遂行として出席した会議等に関する情報は開示すべきとされていますので、このことを踏まえまして開示基準を策定することになりますが、例えば相手方が私人の場合はどうするのか、非常勤の公務員はどうするのか、こういった問題がございますので、このことを中心に現在検討を進めているところでございます。 ◯池田委員 結局、相手方の情報をどこまで開示するかということがポイントになるわけなんですけれども、都民に十分に知らせていく、都政の現状を理解できるようにしていくという意味では、そういう趣旨にきちんと沿った開示基準というものの策定をしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。 ◯井波都民の声部長 都政が都民に開かれたものとして、また都政を円滑に進めていくために、どのようなことについて、どのような方々と協議しているのか、相手方のプライバシーの保護などを十分に踏まえながら、できるだけ明らかにし得るような開示基準を四月上旬には策定しまして、都民のご理解を得るようにしたいと考えております。 ◯池田委員 先ほど、国の情報公開法などの内容も東京都よりもっと進んでいるということもありますので、ぜひ都民の要望にこたえる形をご検討いただきたいと思います。  次に、生活都市東京構想についてお伺いをしたいと思います。  まず、私は、これに先立ちます生活都市東京を考える会報告ですか、これが非常にユニークだったというふうに思っているわけなんです。なぜユニークだと私が思ったかといいますと、報告に当たってという冒頭の、この考える会からのメッセージがありまして、それはある意味ではこの種の懇談会といいますか、そういうものとしては非常に自主的というか、自立しているような気がするんですね。  「青島知事へ」とか「都民のみなさんへ」とか「区市町村のみなさんへ」とか「都職員のみなさんへ」「国の関係省庁に対して」とかいうことで、それぞれが生活都市をつくるに当たる構成員としてこういったことに取り組んでほしい、こういう姿勢で臨んでほしいということを、こういう報告書の冒頭に盛り込まれたということが、私は非常に画期的だったというふうに感じておりまして、そういう意味では、それを具体的な長期構想にまとめられたということで、その発想がどのように生かされているかということを、きょうはある意味ではお伺いしたいわけなんです。  それで、その部分はどこに盛り込まれたかといいますと、結局、都民との協働と連携というふうになっていると思いますが、そこのところで盛り込まれている内容について、私はある程度評価をしたいというふうに思っています。次の三カ年計画で、この構想実現に向けて、それをどのようにルール化していくかということが今後のポイントだと思います。  そして、都政の改革とか施策の見直しが、今それに沿って行われようとしているわけなんですけれども、協働とか連携とかいうことがうたわれてはおりますが、都政の中だけでの検討というふうに見えていまして、結果を都民に知らせるというような形に終わってしまうのではないかということをちょっと危惧するわけなんです。それで、これからは政策を策定する段階、それを検討する段階から都民の声が反映できるような仕組みが必要だというふうに思いまして、協働と連携を強調しているこの生活都市東京構想では、このことをどのように考えていらっしゃるか、基本的なことを伺いたいと思います。 ◯石原基本構想担当部長 生活都市東京構想では、開かれた都政を推進するために、情報提供の推進や都民とのコミュニケーションの充実に努め、また、都民が都政の政策形成過程に参画できる機会を拡充するということを図るというふうにしております。このため、例えば、新たな懇談会などの発足や委員の改選の機会をとらえまして公募性を拡大していくとか、あるいは、まちづくりの早い段階から地元住民との協議会を設置していくなどの方策を掲げております。  なお、今回のこの構想を策定するに当たりまして、先ほどお話しいただきましたように、生活都市東京を考える会に公募の都民の方の参加もいただきました。また、会議資料につきましても公開をいたしました。そのほか、インターネットなども使いまして、情報提供、交流というものに努めたりもいたしました。そういったことで、今回の基本構想の策定に当たりましては、広く都民の意見の反映に努めるということにも十分意を用いたつもりでございます。 ◯池田委員 政策の段階、長期構想をつくるに当たってもそのようなことをされたわけなんですけれども、都民の意思を政策に具体的に反映させるというときには、やはりそれがどういう事業なのか、そして都民の意思に沿ったものなのかということをわかりやすく都民に知らせて、それを評価できるようにする必要があると思うわけです。  例えば、今まで実施してきた事業が事業目的を達成したかどうかとか、達成しない場合にはどこが問題だったのかとか、そういったことが知らされる必要がありますし、立案、実施する事業が、内容、手続とも都民の意思を十分に反映しているものになっているかどうかということが評価できるように、事業アセスとか計画アセスという言葉もありますけれども、その評価をする仕組みというものが必要だと思います。そして、今回、税制などについても議論があるところですけれども、こういう税金の使われ方についても同じように評価が可能なようにすべきだというふうに思うわけです。  生活都市東京構想では、こういう仕組みのことをどのように考えていらっしゃるのか。そしてまた、今後実施計画をつくっていかれるわけなんですけれども、こういう仕組みを取り入れて事業を計画化すべきというふうに考えるんですけれども、今後のことについてもお考えをお示しください。 ◯石原基本構想担当部長 事務事業の執行状況につきましては、庁内におきましても、主要事業の進行管理というものを行っておりますし、また基本的には議会でご審議をいただいております。  生活都市東京構想では、これに加えまして、開かれた都政をなお一層推進するために、都民とのコミュニケーションをさらに充実して、生活者としての都民の意見の反映に努めるということにしております。また、政策策定過程などへの都民の参画を通じて、事業の立案や実施に当たりまして都民との情報の共有化を図って、合意形成に努めていくということにしております。  今後、生活都市東京構想の具体化を図る何らかの計画を策定するとした場合には、都民との意思疎通の仕組みづくりというものを工夫していきたいというふうに考えております。 ◯池田委員 例えば、この長期構想は十年間のことを構想しているわけですから、言葉で参加を促しますとかいうことだけではなく、やはり一つの仕組みがそこにつくられるということが大事だと思いますので、ぜひきちっとした形でお取り組みいただきたいと思います。  それから、協働とか連携といったときには、市民の発議というものがすごく大事になってくると思うのです。現在、政策提案の方法として、地方自治法に定められております直接請求という方法があるわけなんですけれども、これは有権者の五十分の一の署名が必要とか、それは生年月日まで書かなきゃいけないとか、また一定の期間内に署名を集めなきゃいけないとか、選管のチェックが必要とか、いろいろ手続的に大変面倒な、ある意味では厳重なといいますか、そういうことになっているわけなんですね。そういう意味では、もっと臨機応変に、都民が提案したいということが──取りかかるのに用意も必要ですし、なかなか手軽に使える方法ではないというふうに思うわけです。そういう意味では、もっと住民意思を反映しやすいということを考えたときに、こういった直接請求の制度なども簡素化すべきだというふうに考えているんですけれども、これについてはどのようなご意見でしょうか。 ◯立花参事 現行の直接請求制度でございますが、議会制民主主義を補完するという目的のもとに住民が直接参政する制度でございます。地方自治制度の上から大きな意義を持っているものと承知しております。  しかしながら、この制度につきましては、さきの第二十四次地方制度調査会でも、手続が繁雑であり住民が活用しにくいのではないか、このような意見も出されているところでございます。必要署名数や署名収集手続の簡素化につきまして、同調査会では引き続き検討するということとされたわけでございます。都といたしましては、地方制度調査会での見直しの議論を見守っていくとしております。  また、当面は、公聴会、あるいは世論調査とか、知事への提言制度等の各種公聴制度、懇談会等への住民参加、こうしたものを積極的に活用いたしますとともに、都議会のご意見等をいただきながら、住民意思をより反映しやすい行政運営に努めていくよう考えております。 ◯池田委員 直接請求は今ある制度なわけなんですけれども、これも、今の繁雑さと同時に、市民発議で条例提案をしても、知事が受けとめて議会に提案する、決定は議会の議決によるということになりますので、間接民主制であるわけなんですね。提案そのものは直接的なんですけれども、決定に関してそうなってしまうという、住民の意思反映という意味では、まだまだ間接的なところがあるのではないかと思うのです。  そういう意味では、アメリカなどで、イニシアチブとかレファレンダムという制度がありまして、もうご存じのことだとは思うのですけれども、住民提案を選挙のシステムにのせて、そして住民が直接投票で決める、そこで成立した制度については行政施策に位置づくというような方法もあるわけです。  これは、法制度等の問題で、日本でそれと同じものをつくっていくというのはなかなか難しいと思いますけれども、住民投票制度というのはもっともっと検討されていいと思うんです。これは民主主義の根幹にかかわる制度ですけれども、やはり直接民主制を高めるという意味では重要なもので、私は、生活都市東京構想を具体化する場合に、こういう住民投票制度というものをイメージとしては盛り込んでいく必要があると思いますが、それについてはいかがでしょうか。 ◯立花参事 生活都市東京の具体化に当たりましては、都民とのコミュニケーションを充実いたしまして、政策形成等に住民意思を一層反映させることが大事であると存じます。その意味で、これまで行ってきましたさまざまな住民参加の取り組みをさらに充実するとともに、先ほどご指摘がございました住民投票制度等新たな住民参加の制度につきましても、その問題点も含めまして十分検討していくことが重要と考えております。  住民投票制度につきましては、将来的には、政策形成等におきまして住民意思を反映させる一つの方策になり得るのではないかと考えておりますが、この制度には、議会や長の本来の機能、責任との関係、投票に付すべき対象事項など議論すべき多くの問題がございます。議会や地方制度調査会の議論等も踏まえまして、今後とも検討に努めていく考えでございます。 ◯池田委員 ぜひ積極的に実現というか、そういう新しい生活都市といったときのパートナーとしての都民が、もっともっと参加できるような仕組みというものについて工夫をしていただきたいと思います。  次に、私は、生活にとっても、それから東京の産業というものにとっても、水が十分に足りるかどうかということが非常に重要なことだと思うのですが、そのことを考えたときに、今回の生活都市東京構想の中に水循環マスタープランというものが打ち出されました。前回も質問をさせていただいたのですが、ちょっと時間の関係もありまして不十分な質問で終わっておりますので、改めてまたここで伺わせていただきたいと思います。  前回の質問では、マスタープランの体系のイメージを二つの柱でご説明していただいたんですけれども、このイメージをもう少し明快にさせていきたいと思います。前回説明があった自然界における水循環の保全、再生、それから都市的な水循環の創出、改善、それぞれの内容をもう少し詳しくご説明いただきたいと思います。 ◯青山計画部長 今回の生活都市東京構想における水循環施策の体系でございますけれども、まず二つの柱のうちの一つ目の柱、自然界における水循環の保全、再生では、まず流域での対策といたしまして、例えば農地や森林の保全、雨水貯留、浸透施設の整備などを挙げております。また、河川とか海洋における対策としまして、自然の浄化機能を高める施策、具体的に申しますと、コンクリート護岸ばかりにしないで、土手とか浅瀬をつくっていくような多自然型工法の採用とか、あるいは河川浄化施設の整備などを挙げております。  もう一つの柱、都市的な水循環の創出、改善の中では、市街地における対策としまして、例えば、安全かつ安定的な上水の供給や個別循環、地区循環、広域循環の推進、それから雨水利用の推進などを示しております。それから、この分野での河川での対策としまして、下水の高度処理水の利用による清流の復活や農業用水の活用などを挙げております。  さらに、この二つの柱、すなわち、自然界の水循環と都市的な水循環の中間に位置するものとして、水源を確保するための水源開発や地下水の涵養などがございます。  以上につきましては、このように生活都市東京構想では示しましたけれども、さらに水循環マスタープランを策定する過程で内容を詰めていきたいと考えております。 ◯池田委員 これまでの各局の個別施策というのも当然あるわけなんですけれども、それを水循環という視点で見たときには、相互に関連しているはずのものが各局にばらばらに置かれていたりということで、そういう視点がまだまだ不十分だというふうに思うんです。  それで、地下水実態調査というものが行われまして、その中で東京の水収支というのが大ざっぱにつかまえられているわけなんですが、それを私なりにちょっと見てみましたところ、六十一年、六十二年のデータなのでちょっと古いんですが、東京に雨が五百三十一万トン降っているんですけれども、そのうちのたった百二十三万トンしか地下に涵養されないということで、大半どころか、ほとんど八〇%ぐらいはどこかに流れていってしまっているわけです。そして、わずかに涵養されたもののうち、地下水として利用されているものは、そのうちのまた半分ぐらいにしかなっていないということで、本当に水がせっかく東京というところに降りながら、どこかにというか、海や川に消えていってしまっているわけですね。  それからまた河川水ということを考えますと、東京が使っている水、これはダムから来ている水ですけれども、それが大体一日五百万トンぐらいかと思いますが、それは使った後は今度はまた下水として流されてしまっているということで、本当に水が足りないという状況を考えると、何てむだをしているんだろうと。これが、おっしゃるとおりの水循環マスタープランの必要性というところに結果としてはなるわけなんです。  ですから、私が申し上げたいのは、特に雨水、地下水、河川水という自然の水循環の回復ということと同時に、下水の高度処理水とか雨水を活用した都市内の水循環の創出が重要なのではないかという根拠を申し上げたわけなんです。  それで、これらの課題に全庁的に取り組む必要があるわけなんですけれども、やはり縦割りでなかなか進まない面があるということだと思います。この自然の水循環、それから都市内の水循環における具体的な事例を示してマスタープランをつくっていくということ、先ほど、策定の過程でさらに内容を詰めていくということでしたので、そういう検討を促さなければならないと思うんです。  それで、このばらばらだった水政策というものを総合化する必要があると思うんですけれども、水全体に対する分析というのが、これによりましてもデータが非常に古い。そして、例えば都市の水の涵養先である、裸地というんですか、涵養する土地のデータなどは、昭和五十四年とか、非常に古いということがあるんですけれども、そういう意味では、降った雨がどれだけ地下に浸透して、どれだけ河川に流入し、どれだけ水が使えるかというような総合的な収支計算が不十分、今の時点でいえばまだまだきちんと新しいものがないのではないかと思います。最近のデータをぜひこれから調査をし、基礎データとしてつくっていく必要があると思いますが、この点は調査をし、つくるということについて進めていただけるのでしょうか。 ◯青山計画部長 水循環に関する施策につきましては、これまでも各局が相互に連携を図る努力をしながら取り組んではまいりました。例えば都市計画局におきましては、都市計画局が中心となりまして、建設局ですとか下水道局など関係局と、それから関係の区市町村にも参加していただきまして、東京都総合治水対策協議会というものを組織しておりまして、総合治水対策の推進を図っております。また、総合治水の一環としまして、都道の透水性舗装とか、雨水の浸透ますの設置なども促進してまいりました。ただ、さらにこれらの連携を強めていく必要性については、私どもも問題意識を持っております。  ご指摘のデータは、平成四年度策定の地下水の実態調査の報告書であると思います。この調査は、ご指摘のとおり、東京都に降った水がどれだけ蒸気として発散して、それからどれだけ地下水として浸透して、それをどう使っていったかということについてのいわゆる水の収支計算をしたものでして、考え方としては、水の循環という考え方で政策を立案するための一つの貴重なデータであるというふうに私どもも考えます。  このデータは、そういった意味で、その傾向が年度ごとに大きく変化するものでもないということから、毎年の調査は行っておりませんが、とはいえ、このときの調査から年数も経過しておりますので、今回新たに水環境保全計画、これは、従来、地下水の保全ガイドラインと水辺環境保全計画というものがあったわけですが、これを統合しまして、水環境保全計画というものを新たに九年度に策定することになっておりますので、この中で水収支の調査も行い、その成果を、この基本構想でいっております水循環のマスタープランに反映させていきたいと考えております。 ◯池田委員 本当にそのとおりで、地下水の涵養というのは、水道局とか環境保全局などの個別の局では本当にできないわけなんです。結局、地下水というのは自然の中でもそうですし、また水を使うという意味でも、水循環のかなめに位置するのではないかと私は思っているわけなんです。それで、このことこそ、マスタープランをつくるためには必要な部分というふうに思いますので、そのことについてどのように対応していくのかをもう一度伺いたいと思います。 ◯青山計画部長 地下水の涵養につきましては、今私が手元に持っておる資料だけでも、七つの局がそれぞれの施策を実施しております。  例えば都市計画局におきましては、地域の雨水浸透機能を拡大するために、民間の建築敷地内における雨水貯留とか浸透施設への助成を行っております。同様に、労働経済局、それから水道局では、それぞれ水源涵養林の育成を行っております。また環境保全局では、これは区市町村の事業でございますが、区市町村が樹林地を公有化するという事業を行う場合に、区市町村に対する助成を行っております。また保全緑地の指定も地下水の涵養に効果があろうかと思います。あと、住宅局、多摩都市整備本部、下水道局などでは、それぞれが施設を整備する際に浸透ますを設置するなどして地下水の涵養に努めております。それから、建設局では、道路舗装、あるいは公園等で透水性の舗装に努めているところでございます。
     こういった形で、それぞれの局で地下水の涵養対策は進めているところでございますが、しかも、従来からこれらについては、先ほど申し上げました総合治水対策協議会とか、あるいは東京都環境会議などにおきましても連絡調整が図られてきたところですけれども、今回この基本構想におきまして水循環マスタープランを策定する。この水循環マスタープランの作成に関係各局が共同して取り組むということになりますので、その議論や作業の過程を通じて、各局の一層の連携を図ってまいりたいと考えております。 ◯池田委員 やはり生活というそのもの自体が、総合的な施策を必要としているものだとも思いますし、また、この生活都市東京構想というそのものが、今までの個別政策型というものより、もっと総合的な東京のイメージをつくっていくための政策を必要としているというふうに私は理解しております。  そういうことも含めまして、都市計画的な観点からもまたこういったことに取り組んでいかなければならないというふうにも思うんですけれども、ちょっとご説明もありましたが、都は、要綱に基づいて個別の建物などにも循環利用を促進するということをやっていらっしゃいます。ですけれども、地域、地区とかいう範囲でいえば、下水道局が排水を利用して、それが雑用水として使われるというような水循環があったりする、もっと広域なというところについては、まだちょっと見えないような気もするんですけれども、こんなふうな全体プランというものが今はないと思うんですね。そのために、個別循環を指導してつくらせても、数年後に地区循環ができると、そことの連携が最初から計算されていないので、なかなか難しかったりするということがあったりすると思います。それで、そこに後から参入してくる民間にも指導がしにくいとかいったことも今後起こるかもしれないというふうに考えたときに、広域循環施設整備というのは、時間がかかるということもありまして、それらを時間を追って全体像をイメージしていれば、今は暫定的にこのようにする、あるいは先行的にここの部分を進めるというようなことが計画できるわけですから、むだもない。そしてまた、水循環の計画としてそれが非常に推進しやすいということになると思います。  そういう意味で、全体計画があれば、将来、個別から地区あるいは広域というふうに円滑に移行できるというふうに設計上も考えられると思いますので、そういう意味での開発スケジュールが調整できたりするということも可能かと思います。ですから、全体計画をつくってみせた上で個別循環や地区循環を促していくというように、相互に関連させながら、全体の水循環の体系的な推進というものが今後必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯青山計画部長 ご指摘のとおり、都市計画上や建築上の水循環には三通りございます。一つの建築物の中で発生する排水を同一の建物の中で再生利用する個別循環と、一定の区域の中の複数の建築物が相互に再生水を利用する地区循環と、それからもう一つ、性格が違いまして、下水処理場からの再生処理水を雑用水として供給する広域循環と三通りございまして、ご指摘のとおり、広域循環につきましては、下水処理場からの大規模な配水工事を必要とするということから、大変長期間を要するわけでございます。  その場合に、個々の開発が先行して行われる場合には、広域循環の計画が将来計画としてあったとしても、これは長期間を要しますので、個別循環や地区循環の導入をご指導申し上げるということになろうかと思います。この場合であっても、地区循環とか、広域循環の整備計画が事前に示されていれば、建築主は、この個別循環の工事をする場合に、将来的に個別循環から地区循環とか広域循環に切りかえていくということを想定した計画を立てることができるわけでございます。そうなれば、より効率的、体系的に水循環を進めることができると考えております。  したがいまして、この水循環マスタープランの中には、こういった地区循環とか広域循環の整備計画をできるだけ具体的に明らかにしていきたいというふうに考えております。それからまた、この水循環マスタープランにおける地区循環や広域循環についての整備計画ですが、一定期間ごとにこの部分は見直すとかいうことも考えまして、時間的な経過に適切に対応できるものにしていきたいと考えております。 ◯池田委員 もし水循環が本当に十分に進んでいきますと、水のむだな環境への放出といいますか、そういう──環境に戻ればむだがないのか──とにかくダムの建設などは、もしかしたら一つぐらい要らないのかというようなことも私は思うわけなんです。  この概要版によりますと、何だか目標みたいな数字がありまして、「生活を守る」というところに、水を繰り返し大事に使う都市になりますということで、広域循環利用量というのが一日二十五メートルプールの八杯分とか、それを十七年には一日六十九杯分とかいうふうになっているのですが、一つの目標を持ってこの循環を仕上げていくというのは必要なことだと思います。  今、目標値を全体の循環の中で出してくださいというのは、まだマスタープランができていないので無理かと思いますけれども、そういう目標を持ってやるということは大事だと思います。そのことは意見として申し上げるんですが、私は、この水循環の施策が進むことによって、ダム建設が見直しというようなこともあり得るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◯青山計画部長 ご指摘の水循環のうちの三つのスタイルがあるわけでございますが、そのうち広域循環の利用量をわかりやすく表現しますと、現在のところ、二十五メートルプール一日八杯分が十年後には一日六十九杯分を目標とするということでございます。これは、先ほど申し上げました水循環の方式の三つのスタイルのうちの下水処理場の再生処理水を利用する部分でございます。この部分と個別循環、地区循環、全部を合わせた分で、現在、東京の水使用量の約一%程度にしかすぎないわけでございます。しかも、都の水源量というのは、現在一日当たり六百二万立方メートル確保してございますけれども、この六百二万のうち、不安定水源というものが実に一日当たり百十九万立方メートルを占めているわけでございます。この部分は、水源施設等が未完成なために、河川の流況等が悪化した場合に真っ先に取水制限を受けるものでございます。このために、都の場合は、近年の場合も過去三年連続で渇水が起きたということでございます。  したがいまして、節水とか水循環に積極的に取り組んでまいりますけれども、直ちに、この水循環だけでダムの建設をやめていいということにはならないというふうに考えております。といいますのは、ダムの水源開発には相当の年月を必要とします。長期的な取り組みが不可欠でございます。  それから一方、世帯規模が縮小して世帯数が増加してきている。それから、生活様式が変化している。多摩地域の都市化の進展等による事務所需要の増加、あるいは近隣県とか全国とか海外からの来訪者についても無視できません。こういった水需要の増加要因も、人口は減少していくとしても考慮する必要がございます。したがいまして、都民に安定した給水を確保していくためには、第四次フルプランで計画したダムなどの水源開発は進めていく必要があると考えております。  ただし、もちろん永久にダムをつくり続けるということではなくて、水循環を推進していくという考え方で、循環型社会の形成を今回の構想の重点課題に位置づけたところでございます。また、こういったことを都民に訴えていくという意味から、二十五メートルプールの例をこのパンフレットの中にも取り上げたという次第でございますので、ご理解を願いたいと思います。 ◯池田委員 人口減少とか、前回申し上げたりもしたんですが、このことは永遠のテーマかと思いますが、とにかく水をむだにしないと同時に、環境と共生していく、そういった持続可能な都市というものができない限り、東京というのは先が不安になるという意味で、ぜひこのことは永遠のテーマとして議論をしていきたいと思います。  次に、このことを進めていきますと、結果的に、水循環という視点から、現行の法制度のようなものも点検してみる必要があるというふうに思います。都市内の水循環の普及のためには、民間の協力も得やすくしなくちゃいけないということだと思います。例えば、都市計画上の開発のときに、こういった水循環を促進するインセンティブをつけていくというようなことだとか、効率的な行政指導だとか、そういったことが考えられるわけなんですけれども、例えば、まちづくりの制度を活用するということがあるのではないかと思います。  今まで、総合設計、特定街区、再開発地区計画とかいうような都市計画的な手法では、開発を促進するために、容積率のボーナスとかそういった形で誘導してきたと思うんですけれども、そういう水循環の施設設置をそういった手法の中に義務づけるとか、それから、その容積率算定のときの緩和項目の一つにするとか──私は、緩和というのはこれからは余り必要ではないというふうな立場をとるわけなんですけれども、その場合には、容積率だけではなくて、雨水涵養施設の面積とか、そういったものを固定資産税のようなものから減免するとか、そういうまちづくり制度の中でもいろいろ考えられるのではないかと思うんです。  ただ、法制度を整備することについては、現在、地域冷暖房というのが都市計画の位置づけがあって、それに基づいた計画の中でいろいろ建物を誘致しながらやっていくわけなんですけれども、その周辺の地権者とか開発事業者の協力も得やすくなるような仕組みになっているわけです。それで、今ちょっと先に申し上げてしまったんですけれども、税制とか容積率緩和とかのインセンティブも与えやすいというような、そういった法の整備の仕方、こういうものも、水循環マスタープランが実際促進できるようなものにしていくためには、検討されなければならないのではないかと思います。  こうした仕組みをつくることが、循環型社会をつくっていく上には非常に大切なことになって、国との関係とか、技術的、財政的な困難を乗り越えてやらなければいけないという意味では、国への要望も、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。  そして、こうした取り組みを環境保全局とか都市計画局が個別に行っていたのでは、十分に成果が上がらないということがありますので、国への要望という点でいえば、それだけではありませんけれども、とにかく全庁的な取り組みが必要だというふうに考えますので、この点についてはいかがでしょうか。 ◯青山計画部長 戦前から、東京都では、水の確保が都政の最重要課題とされてきたわけですが、今回のこの基本構想では、これからの成熟社会にあっては、水の循環を最大限大切にするということによって水問題に対処していく、そういう時代であると考えているわけでございます。  これは、この基本構想以前から、例えば水の循環利用を進めるために、東京都は、昭和五十九年になりますけれども、雑用水利用に係る指導指針というものを定めております。この中で、都市計画局は、都市計画法とか建築基準法に基づく事務を通じまして雑用水利用の実施を指導しております。同様に、衛生局も、それから水道局も下水道局も、それぞれの所管する法に基づく事務を通じまして、民間施設ですとかあるいは公共施設等に雑用水を利用するよう指導、お願いを行ってきております。  それから、この雑用水の指導指針の中で、平成五年に改正を行いまして、それまで雑用水とされてきた工業用水ですとか、再生水に加えまして、雨水も雑用水の一つに位置づけるなど、雨水利用の促進を図ってきたところでございます。  ただいまご指摘があったように、地域冷暖房施設につきましては、都市計画法による都市施設の一つとして法的に位置づけられているのに、水の循環についてはそういった規制がなく、こういった指導指針等で行われているというのが現状でございます。地域冷暖房施設が、法による施設に位置づけられるということで、まちづくりの中で実績を上げてきているという現状から見ても、水につきましても、広域循環等の法的な制度の整備を図ることがこれからの検討課題であるというふうに考えております。  今後、水循環の一層の普及を図るために、まちづくりとの連携とか、それから、そのための新たな仕組みづくりを進めていく必要があると考えております。同時に、ご指摘のあった新しい法的な制度の構築に当たっては、これは国に対しても必要な要望等は行っていきたいと考えております。  今後、水循環マスタープランを策定するという議論と作業の中で、全庁的に、政策報道室も参加して、関係局と積極的にこの問題に取り組んでいきたいと考えております。 ◯池田委員 これは質問ではないんですけれども、例えば地下水などは、今のところ民法では個人の水というんですか、土地を持っている人の水、土地を持っている人に所属するというような形になっておりますし、水循環ということを考えたときには、そういった基本的な水の位置づけのようなものも含めて、これから整備されなければならないことなどあると思います。これはある意味では非常に大きな考え方の転換というふうに私は思っておりますので、ぜひ鋭意お進めいただきたいということを要望して、終わりたいと思います。 ◯三浦委員 この生活都市東京構想という基本構想について、基本的なところをちょっと何点かお伺いをしたいのですが、先ほど寺山さんが、首都機能移転の件についてすばらしい議論を展開されましたけれども、その首都機能移転を東京の中に置きかえた場合に、今まで、マイタウン東京構想の中における都市づくり、まちづくりの具体的なもの、副都心構想、心をつくる等々のことについて進めてきたわけですね。それを今度は生活都市東京ということに置きかえたわけですけれども、基本的には、これを見る限り、従来進めてきた都市計画と違いはないのではないだろうか。生活都市、生活者とは、というようなことをいろいろと説明をし解説をされております。支え、守る、豊かにするということも書かれておりますが、都市計画、都市づくり、まちづくりという観点からいけば、それがどのような形で変わったのか、変わらないのか。では、変わったとすれば何が変わったのかということをまずご説明いただきたいと思うんです。  そのことが、すなわち東京の中におけるいわゆる多極分散型の都市づくり、都市計画であったはずでございますから、それが今後、生活都市という形になった場合に、変わったのか変わらないのか、それを継続しているのかということは、大変基本的な問題でもございますので、まず最初にお伺いをしたいと思います。 ◯青山計画部長 今回のこの基本構想におきましては、重点課題として、過密解消、混雑緩和、職住近接の都市政策の展開というのを位置づけております。この考え方と申しますのは、放射型の道路、鉄道を中心とした都市構造を環状型に転換していくことによって、人々の利便性、あるいは都市としての効率性、特に混雑を緩和していく、あるいは働く人々にとって職住近接を図っていくという考え方でございます。これが一点。  それから、これはなかんずく一点集中型の都市構造を多心型にしていく。多心型同士の環状方向のネットワークを重視していくということでございます。したがいまして、この政策からすると、都心において都心居住を図っていくこと、それから多摩における業務機能の誘導を図っていくということが重点となります。  したがいまして、長期的な観点からすると、従来の考え方の延長線上に位置しながら、なお成熟社会に合わせて、こういった過密解消、混雑緩和、職住近接の都市政策の展開という考え方を前面に出したというのが、今回の基本構想の都市政策の特徴であろうかと存じます。 ◯三浦委員 私も、この生活都市東京構想を見せていただきまして、そういうように感じます。ならば、そういうまちづくりをするということは、東京都が──都民がといった方がいいかもしれませんね。東京都民が東京でどのような形で生活をし、仕事をするのかということになってくるわけで、生活者──生活者という言葉が、わかるようでわらかない部分も多々あるわけでございまして、生活者のレベルでというようなことが、いかにもわかりやすいような言葉ではあるんですけれども、わかりにくいところがたくさんあるということをまずお考えいただきながら、これからの事業を進めていただきたいというふうに思うんです。  今お話がありましたように、東京づくりの基本は変わっていないということを前提にして、私のふるさとの多摩の問題について重点的にお伺いをしたいと思っております。  従来、東京を十三のブロック、八つのゾーンに区切っていたものを、今度は七つのエリアにということで、多摩地域は三つのエリアにということで分けました。この三つのエリアに分けてどう変わるんだろうか、どういうように今までの政策と違いが出てくるんだろうかということをまずお聞かせいただきたいと思います。 ◯石原基本構想担当部長 今回の七つのエリアに分けた考え方でございますが、従来、都内を十三のブロック、八つのゾーンということで分けておりました。しかしながら、これにつきましては、この地域区分には幾つか問題点がございまして、ブロックという点は、行政区域がはっきりしているので具体的な目標を示しやすいという点がございますけれども、区分が細か過ぎるのではないかという点がございました。また、八つのゾーンにつきましては、特性はわかりやすいけれども、行政区域単位の区分ではないということで、具体的な区市町村が取り組むという場合に目標が設定しにくいという面がございましたので、この二つの十三のブロック、八つのゾーンというのを七つのエリアというふうにいたしました。  多摩につきましては、多摩を三つのエリアに分けました。多摩につきまして、地形あるいは自然条件、土地利用の状況などを調査いたしまして、多摩東部エリアといたしまして十八市、多摩南部エリアといたしまして五市、多摩西部エリアといたしまして四市三町一村ということで、この三つに分けまして、それぞれの地域特性に応じて目標などを定めたところでございます。 ◯三浦委員 それはわかるんだけど、それがどういうふうに違うんだということを聞いているんです。もう一回いおうか。  今ご説明があったことは、私はこれを見ればわかるんで、それをお聞きしているんじゃないんですよ。その分けたことによって、今までの十三ブロック、八つのゾーンと進めてきたことと、今度例えば多摩の地域で三つのエリアに分けたことによって、今まで進めてきたことがどう変化するんですか。何か変わるんですか。  すなわち、今話がありましたように、今までの分け方だとわかりにくいとか、目標を立てにくいとかいう言葉があったけど、本当ですか。わかりにくかったんですか。私は決してそうは思わない。なぜこういうように変えたのか。変えるからには、また新たな具体的な目標なり何なりがあるだろうというふうに思うんで、そこを聞いているわけです。 ◯青山計画部長 多摩地域につきまして三つに分けているわけでございますけれども、これは、東京都全体を七つに分けたわけでございまして、すべてを東京都全体という形で考えていかないで、やはり地域に注目するという考え方が一つはございます。  その場合に、都内には六十三区市町村がございますし、それから、今回多摩地域を三つに分けたとしても、その三つに分けたか、六つに分けているかということによって特性が変わってくるわけではございませんで、むしろ多摩地域に対して、内容的、実質的にこの構想がどう考えているかということが問題になろうかと思います。  そういった意味で申し上げますと、まず多摩地域全体について申し上げますと、区部に比べて全般的に都市基盤整備がおくれぎみであり、業務などの諸機能の集積も不十分であることは否めないと考えております。そして、特に南北方向の幹線道路ですとか、都市高速道路の整備がおくれていて道路網が十分に形成されていないために、交通渋滞の原因ともなっている、そういった問題意識を、この構想はこの地域に対しては考えております。 ◯三浦委員 いわれるとおり変わらないんですよ。ですから、変わらないならば、この新たな基本構想の中で何を打ち出しているのかということがどうもわかりにくいんです。要するに、説明、解説を変えただけではないだろうかというところが多々見受けられるわけです。  そこで、さらに一歩突っ込みますと、従来からいわれているように、多摩の自立都市、自立できる多摩ということを今回も使っておられます。自立できる多摩というのはどういうことをいっているのか、改めて聞かせてください。 ◯青山計画部長 まず基本的には、多摩自立都市圏の形成というのは、豊かな自然との調和を図りつつ、産業、文化が息づく多摩自立都市圏の形成というふうに考えております。そして具体的には、先ほども申し上げましたが、業務機能の誘導ということが重要な要素になろうかと思います。  そのためには、具体的には、今回の構想で申し上げますと、生活心の育成など身近な生活圏を重視したまちづくりや、業務、商業、文化等の諸機能の集積、多摩の心の育成、それから道路、公共交通、下水道など都市基盤整備、さらには地域産業の振興などの課題に重点的に取り組んでいくこととしております。 ◯三浦委員 今お話があったように、いわゆる東京の中の分散、他県から多摩に持ってきて産業を起こすという発想は今のところないわけでね、要するに、新たに発生させるための産業育成、経済の活性化、いっているのは多摩の中でですよ。そしてまた、それに伴う業務機能の誘導というのは、やはり都心部の方から、都内の方から多摩に誘導するという意味をいっておられるんだろうというふうに思うんですね。  その新たに持ってくる、また新たに機能を充実させていかなければならないという発想は結構なんですが、これまた歴史的にずっと考えてみますと、多摩東京移管百周年ということでTAMAらいふ21というのを数年前に実施をいたしました。あのときに多摩地域の各市町村は、さまざまな角度から東京都と共同で分析をし、今後のあるべき多摩についてということを検討いたしましたけれども、今までの都政のさまざまな育成、誘導等の発想は、多摩の中心はやはり多摩の心立川、ということは立川を中心にしてということで進めてまいりました。  今回の三つのエリアに分けた一番西側の地域が立川でございます。そして、多摩東部エリアは十何市でしたか、あるわけですけれども、どちらかというと、立川からまたさらに以西、立川を含めた以西といった方がいいかもしれませんね、そこへ、多摩の自立をさせるための産業育成、誘導、多摩の開発等々について取り組んできた。そこに加えて、多摩の心というのは、立川を含めて五つあるということで進めてきたわけです。  ところが、今度の多摩東部エリアというのは、立川を除けば、いわゆる心もなければ副都心もない、核もないということでわかるように、二十三区に隣接するいわゆる関係市、強いていえば六市は、既に都市化が進んでいるということで位置づけられているのではないかと思うんです。  ところが、先ほど来説明があったように、その中においても、南北の問題というのは長い間の課題でございます。それから都市計画道路の整備率を見ましても、この地域は非常に悪いところです。悪いといういい方をすれば悪くなるんですけれども、逆にいえば、都市化が進んできてしまっているところに都市計画道路を整備することの困難性を如実に示しているのが、この道路整備率の数字であるかもしれないんです。しかし、かといって、南北交通の問題を解決しなければならないというのは、多摩東部において非常に大きな課題であることには違いないわけです。  したがって、この多摩東部について、この抱える問題というのは大変に大きいわけなんですけれども、この生活都市東京の中では、この多摩東部の振興についてどういうように位置づけておられるのかをちょっとお伺いいたしたいと思います。 ◯青山計画部長 この多摩東部の地域と申しますのは、区部に隣接していまして、比較的に早くから市街化が進んだ地域でございます。多摩地域の中でも、利便性は最も高く、文化活動も盛んでございます。定住意識も高い地域といわれております。それから、多摩川流域を中心として、一方で先端技術産業の集積が見られますし、それに関連した中小工場等の立地もかなりございます。それから、商業面でも活気のある地域となっております。  したがいまして、生活都市東京構想では、この多摩東部地域の振興につきましては、特にその中での東側のエリアにつきまして、現存している自然、あるいは文化、そして良好な居住環境の維持向上等を行いながらも、地域の経済活力を向上していくために、地域内に立地する産業や人材の集積を大切にした産業振興を図っていくとしております。  それから、都市基盤につきましては、南北方向の道路の整備や多摩川中流部の架橋を重点的に進めるとともに、道路混雑の解消と、それからまちづくりの面では、鉄道に分断されない一体的なまちづくりという意味も含めまして、JR中央線の三鷹-立川間などの連続立体交差化事業を推進していくこととしております。 ◯三浦委員 この多摩東部、二十三区に隣接している市、例えば武蔵野、三鷹、府中、調布、小金井等々、狛江も含めて考えてもいいかもしれません。この地域などは、都市化が進んできている戦後の歴史的な発展の地域としては、戦前、戦中、戦後を通じて、各事業所、特に商業、工業の非常に集中しているところでございます。ところが、都市化が進んでくると、ご多分に漏れず、そこで仕事ができなくなって、多摩西部に、または多摩西部から通り越して他県にということで流出をしている傾向もいまだに続いているのは、全都的な傾向と全く同じなんです。  そこで、この構想を見ますと、この多摩東部エリアの中で、私は、ある意味では随分第三者的な書き方しか書いてないなと思うのは、三一五ページの多摩東部のところから始まりまして、南部、それから西部、この三つにエリアに共通しているのは、この施策の例として書いてある産業と雇用の中にまず最初に挙げてあるのが、みんな同じ言葉なんです。工業集積地域の活性化支援事業の推進と空き工場の活用と書いてある。空き工場の活用というのは全部共通しているんですよ。それぐらいに、流出をしながらも、しかし、集中している傾向というのは、多摩地域においても全く同じなんですね。ですから、工業集積地域の活性化支援事業というのは当然進めていかなければならないわけなんですけれども、そういう意味で、非常に大切なところだと。その物流の点、それから人の流れということからいきますと、そこで南北の問題が出てくるわけです。  そこで、今申し上げました多摩東部の六市等が検討して、将来にわたってこうすべきだというさまざまなことを出しているんですが、生活都市東京構想の中では、この多摩東部地域の公共交通についてはどのように位置づけているんでしょうか。 ◯青山計画部長 多摩東部地域の公共交通につきまして、生活都市東京構想では、高齢社会などに対応した公共交通システムについて検討していくとともに、放射方向に加えて、環状方向や、多摩地域における南北方向の路線を重視した新線の計画に取り組んでいくこととしております。  具体的に、多摩東部地域について、多摩センター-是政区間を多摩都市モノレールの検討路線と位置づけるとともに、JR中央線の三鷹-立川間、それから京王線の笹塚-調布間、小田急線の東北沢-和泉多摩川間の複々線化、それからJR武蔵野南線の府中本町-川崎方面の旅客化を整備していく路線として位置づけております。 ◯三浦委員 今お話しになった中でも、やっぱり東西という意味での整備といいますか、それが多いんですよね。そこで、南北の道路、いわゆる五路線といわれています。立川までの間、立川からちょっと先まであるんじゃないですかね。五路線といわれていますが、この道路の整備の必要性はますます高くなってきているんですが、新しい公共交通というのが、この中でLRTということで使われております。  先般の本会議の質疑の中にも、二十三区の中の環状七号線、環状八号線に新たな公共交通をという質疑が出ておりましたけれども、残念ながら、多摩地域の新しい公共交通についての質疑がございませんでした。しかし、この多摩東部における公共交通、特に新たな公共交通として見直しというか、注目をされているLRTについてお伺いするんですけれども、このLRTについては、来年度予算化された調査費等々もあるわけですが、どういう状況になっているんでしょうか。 ◯青山計画部長 現在都議会にご提案申し上げております平成九年度予算の中で、都市計画局におきましては、LRT等新しい交通システム検討調査として八百万円の予算を提案しております。  この調査内容でございますけれども、二十一世紀、高齢社会、環境重視社会における交通特性を把握すること、それから、従来の地域交通における問題点を整理すること、簡易で軽便な新しい公共交通を検討すること、LRT、軽快電車の必要性を検討すること、先行事例におけるLRTシステムの現状と問題点を整理すること、それから、LRT導入可能地域を検討することなどを調査として実施する予定としております。  なお、この九年度調査が行われれば、その結果を踏まえまして、十年度にも引き続き調査を実施して、導入モデル地区の選定を行うことを予定しております。 ◯三浦委員 導入路線の検討というお話が今最後にありましたけれども、先ほどから申し上げておりますように、産業、人口、それこそ物流等々を含めて、現在でも密集しているこの多摩東部の中を南北路線として走っているのは調布保谷線。調布保谷線は、今東京都が、整備をしようとして地元説明会等々に入っているわけですけれども、この路線は今のお話の対象としてなりますか。 ◯青山計画部長 新たな交通システムの導入モデル地区につきましては、交通不便地域を解消し、それから需要の見通しを立てる、それから導入空間ですとか、あるいは車庫用地の確保の可能性ですとか、地元のご希望、ご要望状況などを勘案して、総合的に選定していくということになろうかと思います。  多摩東部地域におきましては、現在、調布保谷線道路は一部の区間で整備が進んでおります。この調布保谷線道路の特徴を見てみますと、幅員三十六メートルという広幅員への拡幅が計画されておりまして、そういう意味では、導入空間としては公共交通の導入の可能性がございます。  それから、先ほど来先生のご指摘があったように、また生活都市東京構想でも述べているように、多摩における南北方向の交通基盤を強化するという目的のために、早期の整備が期待されております。  それから、これは一般的に公共交通の導入による効果でございますが、周辺地域の交通利便性の向上、それから、自動車交通量を結果として抑制するということで、沿道環境により一層の配慮が可能かどうかというふうな観点から、この調布保谷線道路につきましては、所管の都市計画局では、例えばということで、調布保谷線を軸とする路線を候補として含めることはできるのではないかとしております。 ◯三浦委員 関係市の市長を中心とした、いわゆる調整会議といったらおかしいかもしれないけれども、このことについての話し合いも既に始めているやに聞いてもおりますし、ぜひ地元との調整をしながら検討をしていただきたいなと思っております。  それから、先ほどから申し上げておりますように、産業集積は既に歴史的にもしているこの地域にあって、平成二年から平成五年までのわずか三年間で三百社、全体の約七%もの企業、製造業が転出をしたというような経過もあります。そこで、この六市の皆さん方、特に商工会、商工会議所等の製造業の皆さん方がさまざま検討されまして、昨年、多摩東部広域産業振興センター建設に向けた要望をまとめられました。  そこで、私ども都議会のこの関係六市の皆さん方が超党派で、関係四局に先般要望書を提出いたしました。それがこれです。各局の皆さん方に出しました。これは、多摩東部広域産業振興センター(仮称)の設置に関する要望として、その骨子は、技術支援、ネットワーク情報、それから事業創出、育成の拠点となる産業振興センターの設置をしてほしいと。その設置場所については、現在、調布基地跡地に武蔵野の森スタジアムを中心とした各種施設の整備計画を進めているわけですけれども、その留保地にぜひつくってほしいと。これは、本当に深刻な状況にある中小企業製造業の皆様方が、何とかこれを多摩の自立できる産業として何か考えなければいけない、せっぱ詰まったところに来ているわけです。そういう中から、こういう要請、要望をいたしました。  私どももそれを受けて、今東京都が計画をされていて、しかし、具体的な計画としてはちょっと先送りになったような、多摩地域におけるいわゆる中小企業産業振興センター、これが立川、昭島等を中心としてやる。ところが、ご案内のとおり、こんなに東西が長い。南北はわずか四十キロぐらいしかないんですけれども、こんなに幅の広いところを、中小企業のおやじさんが、何か技術支援を受けるためにということで、何十キロも走っていかなきゃならないようなところへ出かけて、相談をしてどうのこうのという話にはなかなかならないわけですよ。  そういうところから、多摩東部の方のこの現状を踏まえた上でやってほしい、考えてほしいというように要望書を出しているわけですけれども、そのことについてのご認識があるのか。そしてまた、これをどういうように、この多摩東部の産業の問題として解決していこうとしているのか、お伺いをしたいと思うんです。 ◯青山計画部長 まず、お話の中にございました多摩地域中小企業振興センターについてでございますが、これは区部二カ所、多摩一カ所ということで計画をいたしましたものでございまして、多摩地域の産業振興を図る上で重要な拠点となるものでございます。基本構想に先立ちます「とうきょうプラン '95」におきまして、総合相談、経営や技術力の向上支援、情報提供、交流活動の支援などを行う多摩地域の中小企業振興センターの設置を計画しまして、それは今回の生活都市東京構想にも位置づけているところでございます。  実施に当たっております労働経済局としましては、現在、多摩東部地域を含めた多摩全域を対象とした多摩地域の中小企業振興センターの設置を、立川基地跡地を候補地として検討しているところでございまして、計画の平成十四年度開設に向けて取り組んでいるところでございます。私どもといたしましても、これをまず実現することが先決ではないかというふうに考えております。  それから、お話の中にありました多摩六市の要望、あるいは特にこの地域における産業振興策につきましては、別途新しい考え方で、地域ニーズや特性を踏まえて、地元とも十分に相談をしながら、私どもも所管の労働経済局とも十分協議しながら対応していきたいと考えております。  現実に、例えば三鷹の場合にも、自動車あるいは無線関係、府中の場合にも電機関係あるいは食品関係、武蔵野でも電機関係あるいは先端技術等、多摩東部のさらに東側のこの六市を中心とする地域には、先生ご指摘の要望書の中にもございますように、戦前からの航空機産業等の流れを受け継ぎまして、金属ですとか、電機ですとか、精密機械ですとか、あるいは、近年特にハイテク型の企業や情報関連のベンチャー企業などの先端企業の立地が進んでいく可能性を持っているところでございます。ここに集積している、人ですとか、情報ですとか、歴史的な蓄積ですとか、そういったものを生かしながらこの地域の産業振興を図っていく方向で、所管の労働経済局とも十分協議してまいりたいと考えております。 ◯三浦委員 立川を中心にした多摩の自立都市圏域をつくるということについての政策は基本的に継承し、今後もそれを発展させていきたいということを認識しながら、多摩のそれぞれの地域における特性が歴史的にあるということを十分に踏まえつつ、今の多摩東部の問題については、今まではどちらかというと忘れられがちなというか、置いておいてもいいんだという地域になりがちのところであったということを指摘もしていいのではないかというふうに思うんです。  そこで、立川に一カ所つくる予定として中小企業振興センター、私、それはそれで進めるべきだと思っているんです。これは全体の問題ですからね。しかし、現在、またこれから先のことを考えてみましても、その多摩東部については、現状から考えてみても、今後もますます流出傾向が続くとするならば、大変深刻な状況を迎えざるを得ない。そこで、そういう振興を目的としたような中小企業センターの分室的なものを──先ほどいいましたような要望書の中でいっているのは、そういうことなんですよね。立川に計画しているものをこっちに設置すべきだということではなくて、分室的なものを設置して、出先機関として、それぞれ身近な問題について日常的なことを含めて、また技術的なことを含めて指導できるセンターをつくる必要があるのではないだろうかということをいっているわけなんです。  私は、労働経済局もそういう点については異論のないところだろうと思いますので、最後に、そのことと、特に多摩東部の六市の産業振興のために中小企業振興センターなるものを、仮称として、また分室としてという位置づけがされてもいいと思うんですけれども、それら、多摩自立都市圏域の形成に役立てていくための都の施策は、この生活都市東京構想の中に位置づけられてしかるべきものであろうと思うし、その点については一層重要な話ではないだろうかというふうに思いますので、最後にそれに対する考え方をお伺いして、終わりにしたいと思います。 ◯青山計画部長 多摩東部の東側の地域につきましては、ご指摘のとおり、集積している中小企業につきまして、宅地化の進展に伴って大手中堅企業の流出が相次いで、産業集積の崩壊が懸念されているという状況になっております。また、武蔵野市、三鷹市の一部は工業等制限法が適用になっております。  しかし、ここでは、大規模工場を支える中小企業、特に高度専門技術を持った中小企業の産業集積がこの地域の産業の特徴でございますので、この集積を生かして、技術の向上や企業間ネットワークの形成などを支援して、リーディング産業群としての育成を図ってまいりたいと考えております。  それから、これは六市の経済団体及び六市の関係の課長さんたちで構成されている研究会だと思いますが、この要望書を私どもも読ませていただきましたけれども、こういった熱意を生かして、生活都市東京の産業振興策全体の立場からも、労働経済局ともよく協議をしながら、この地域の産業振興策を図ってまいりたいと考えております。 ◯曽根委員 私からは、生活都市東京構想について、今の段階では最小限の意見を申し上げておきたいと思います。  この構想全体を見ますと、百項目の重点事業が並んでいますが、ここの中には、特別養護老人ホームの整備や二十四時間介護など大変必要とされているものもある一方で、臨海副都心開発のように都民に莫大な借金を負わせるものも入っている。しかも、重大な問題は、十年間の総事業費はどれも示されていないことから、この百事業を全部取り組むと、都の財政がパンクをするか、あるいは、ここに載っていないほかの福祉施策などが切り捨てられていくおそれがある。そういう点で、大変総花的ではありますが、私たちは危険性をはらんだプランだという印象を持っております。  この構想に載っております三つの分野、生活を守る施策、生活を支える施策、生活を豊かにする施策と銘打っていますけれども、それぞれについて一言だけいっておきたいと思うんです。  最初に、生活を守る分野ですが、この分野は、福祉や防災、交通安全、環境、ごみの減量、リサイクルなど、暮らしに直結している分野ですから、この構想の中でも都民要望の強い事業が多いことは事実ですが、福祉医療についていいますと、今の都の事業のやり方では、ここに掲げられた十年後の目標が看板倒れになりかねないという問題があります。  例えば、老人保健施設は現在用地費補助がありませんので、地価が高いために整備が進んでおりません。また、ヘルパーの増員についても、私たちは、公的な常勤ヘルパーを中心にふやさないと、二十四時間介護に公的な責任を持ち切れなくなるというふうに考えております。こういう点では、それぞれ事業の中身の充実を伴わないと、目標達成が難しいという問題があります。  もう一つは、新しい事業をやるかわりに、ここで指摘されているように、老人医療費の助成やシルバーパス制度などを根本から見直すということによって切り捨てられたのでは、これは本末転倒であって、福祉の新しい財源は、浪費的な投資的経費などを削って生み出すべきであると考えております。  それから、福祉機器総合センターなどのように、財団に委託する形の民間お任せの方向は大変危険であって、企業の協力を得る場合には、議会や利用者代表のチェック体制が欠かせないというふうに考えます。  それから、環境問題について、この構想の中に、公害問題で、かつての産業公害が今は都市生活型公害が中心であって、都民が被害者にも加害者にもなり得るかのように書かれていますが、実態は、この生活型公害といわれるものの大半は、産業公害の形が変わっただけではないかと思います。  例えば大気汚染問題では、やはり汚染物質を多く排出するディーゼル車などを売り込んでいる自動車メーカーの責任、それからごみ問題では、処理、処分が困難な包装容器を使っているメーカーなどの責任、こういうものをこの構想の中でもっと明確にしていかなければならないだろうというふうに考えます。  それから、二つの目の柱である、生活を支える施策の分野ですが、ここは、産業振興、それから都市計画などについて書かれていますが、生活を支えるというタイトルとは全く相入れない事業が大変目立っているのが特徴で、特に臨海副都心開発は、先ほど申し上げたように、大企業に都市基盤をつくってやり、赤字は三兆五千億円もの都民負担で埋めるという開発ですから、事業を凍結して都民の犠牲を抑え、憩いの場に切りかえるべきだというのが私たちの意見です。  そのほかの新宿その他の副都心開発も、すべて業務・商業が中心です。一極集中を都心三区から十区以上に膨張させて、かつては地上げや地価暴騰の引き金になったものですし、バブルがはじけた後は、開発が赤字になると自治体がかぶるという仕組みも共通しております。本来ならば、こういう開発のあり方を見直すべきときでありますが、この構想では、今度は多摩地域で、立川や八王子などの多摩の心とか業務核都市構想などの中で同様の開発を進めるという、こういう計画は余りに反省がないのではないかと思います。  しかも、この開発地域と都心を結ぶ幅三十六メートル以上の幹線道路網をつくる計画が出されており、全部合わせると十兆円以上かかるのではないかといわれていますが、こういう道路が町を分断し、また多摩の貴重な緑を破壊する、こういう問題を伴っているだけに、大型道路の建設よりも環境に優しい公共交通体系、例えば、先ほど話も出ましたが、LRTなどの新しい路面電車の導入空間をもっと工夫して考えていくべきではないかというふうに思います。  産業振興については、この中で新しく情報通信や環境産業などに力点が置かれていますが、生活を支えるというならば、我が党がかつてから求めてきて、やっと具体化してまいりました工業集積地の活性化支援、それから地域の商店街の空き店舗対策、こういう事業に一日も早く東京全体で本格的に取り組むべきだと考えます。  最後に、生活を豊かにする施策の分野ですが、ここは、住宅や保育、教育、文化、スポーツ、市民活動など多彩なテーマが集まっています。
     まず、住宅分野について申し上げますと、都営住宅の建設というのが重点事業に挙がっていますが、その実態は、新規建設を来年は三分の二に減らし、それと入居収入基準も引き下げるわけで、一般世帯は大変申し込みにくい制度になってしまいます。それと、最近国も公団住宅はもうつくらないといい出していますので、住宅建設から公共がどんどん撤退して、民間企業に建設を任せていく路線を突き進もうとしている動きです。  しかし、東京の一般庶民にとっては、自分が支払える住宅費でゆとりを持った広さの住宅を探せば、民間住宅で都内に探すのは極めて困難です。年金収入で住み続けたくても家賃の割り引きはありません。生活を豊かに送れる住宅という点でいうならば、やはり都営住宅など公営住宅、公共住宅の建設をふやすように見直して、住宅難の解決に当たるべきだと考えます。  最後に、子供たちの教育の問題。豊かな教育という点では、今こそ一学級の生徒数を四十人の基準から三十人以下の基準に大幅に改善をする、そして欧米並みに近づけるチャンスです。それがまた、教師の目が行き届き、不登校やいじめをなくす第一歩でもあります。この構想は、個性重視の教育とか、いろいろ書いてありますけれども、子供の数が減ったから先生の数も減らして安上がりで済まそうという今の教育行政を変えるものになっていないというのが最大の問題であることを指摘しておきたいと思います。  また、この構想が具体化をされ、事業化をされる段階で、私たちも本格的な論議を行っていくことを申し上げて、意見表明を終わります。 ◯甲斐委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯甲斐委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  以上で政策報道室関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後五時二十三分散会...