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  1. 東京都議会 1997-03-19
    1997-03-19 平成9年財政委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時四十二分開議 ◯矢部委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。  初めに、昨日の委員会において理事会にご一任をいただきました意見書に関する理事会の協議結果につきまして、ご報告申し上げます。  本件は緊急を要するものであるため、議会運営委員会で早急に取り扱いを協議するよう、議長あての手続をとることといたしました。ご了承をお願いいたします。  なお、本件に関する本日の議会運営委員会での決定は、まず第一に、本会議を三月二十一日に開き、お手元配布消費税関連意見書二件を議題とする。第二に、二兆円減税の継続に関する意見書については、財政委員会で再度の協議を行うというものでございました。ご了承をお願い申し上げます。      ───────────── ◯矢部委員長 本日は、収用委員会事務局財務局の順序で、平成九年度予算の調査及び付託議案の審査を昨日の委員会と同様、質疑終了まで行います。よろしくお願い申し上げます。  これより収用委員会事務局関係に入ります。  平成九年度予算の調査を行います。  第一号議案平成九年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。  本案については既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。  発言を願います。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  以上で収用委員会事務局関係を終わります。      ━━━━━━━━━━ ◯矢部委員長 これより財務局関係に入ります。
     平成九年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。  第一号議案平成九年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、議会局財務局所管分及び都債、並びに第十四号議案、第十五号議案、第四十一号議案から第四十三号議案まで、第百八号議案及び第百九号議案を一括して議題といたします。  本案についてはいずれも既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。  発言を願います。 ◯藤田委員 予算特別委員会に出ておりませんので、昨年の予算特別委員会西念財務局長一定やりとりをしているその宿題が今度の予算編成に当たってどういうふうに扱われてきたのかという観点に絞って、何点かお聞きいたします。  まず、私は、他会計からの貸し付けというのは事実上の借金ではないかという点を取り上げて、いわゆる隠れ借金、こういう観点から昨年お聞きしたわけです。とりわけ羽田沖会計を取り上げて、羽田沖会計設立目的は達成したと、だから、だらだらと償還終了を待たないで会計を早期に閉じて、残りの事業起債償還一般会計が受け継いで整理をするということであれば一千四百億円を財源として担保できるではないかと、これを財政事情が厳しい折、一般会計に使ったらどうだというふうに提案したわけですけれども、当時、西念財務局長は、羽田沖埋立事業会計利益剰余金を早期に一般会計に繰り入れることは、都財政立て直しを図っていく上で有効な方策の一つである。今後、羽田沖埋立地処分に係る経緯を踏まえつつ、関係局と十分に調整を図り、早急に具体的な検討を行ってまいりますと、こういう答弁をしているわけなのですが、この検討の経緯、それから今年度の予算編成、特に財政健全化計画ということで大号令をかけているわけですから、それを成案し各局にその実施を迫っていく過程の中で、私が提案した問題については、どういう取り扱いなり、どういう推移をたどったのか、この点についてまず伺っておきます。 ◯木内主計部長 羽田沖については、副委員長のご提案が昨年あったわけでございますけれども、港湾局との間で一定やりとりをしてまいりました。しかしながら、その中では、今次の例えば臨海開発の見直し等々のこともあり綱引きを行ってきたわけでございますけれども、現段階ではその綱引き一定休戦状態といいますか、そんなことにあるのが経緯であり、かつ、現状であろうというふうに私は認識しております。 ◯藤田委員 予算編成の過程で全然検討しなかったと。臨海の方はあれだけ大サービスをやっちゃったのだから、そのお金を一般会計から持ち出すわけにいかないので、いうところの他会計から持ってきて、やりましたね。そういうことで忙しくて足元に火がついたので、せっかくの提案だったけれども、それを検討する環境にも状況にもなかったということですか。 ◯木内主計部長 私どもの方の強い意思があったわけでございますけれども、いまだ現段階においては、先生からご指摘いただきましたように臨海会計の姿といいますか、厳しい状況にあることも事実の中にあって、一定やりとりをする中にあって、当方の強い意思がありながらも、残念ながらそれが達成し得ていないという状況であろうというふうに思っております。そうした意味では、引き続きこの問題を私どもの宿題にしていかなければいけないというふうに理解しております。 ◯藤田委員 西念局長木内主計部長のように専門家ではありませんけれども、私なりに、予算編成にかかわる他会計も含めて都の財政の現状がわからないわけではありませんから、今の主計部長答弁をとりあえず受けとめておきます。  そこで、その際に、八年度の都債発行高は八千四十九億円で、起債依存度は一一・七%で五十三年以来だと、いわゆる美濃部都政最終年度の五十三年よりは多少いいけれども、しかし、それにやや近いということが都財政危機的状況説明にあわせて強調されたのです。その際に私は、そうはいうけれども、羽田沖会計市場会計から一千百億円を借りている、これを入れたら実質一三・三%で、美濃部都政末期起債依存度を実は超えているのではないかという指摘をしたことを思い起こしながらなのですけれども、九年度予算借金に依存する体質から脱却する予算だと、こういっているのです。確かに、投資的経費を削減することで都債発行額を前年度より二千五百九十九億円圧縮している。そのことをどう評価するかは各会派のスタンスによって違うでしょうけれども、それはそれで、借金に依存する体質から脱却する予算だと明言したことを土台にして考えればそれなりの努力だと思うのですけれども、本当に借金依存から脱却できたのか。こういう点を私は、隠れ借金ということで、昨年の予算特別委員会で、ほかの会計からの借り入れまで入れれば一三・三%、起債依存度美濃部都政末期以上ではないかと、こういうところに結びつけて、きょうはあれこれいおうとは思いませんけれども、しかし、財務局説明だけではちょっと不透明な部分があるので、その点を逐次お尋ねしていきます。  そこで、確認の意味で伺いますけれども、一般会計都債残高は九年度末にどの程度見込まれるのか、その額の一般財源に対する割合、これを伺っておきます。 ◯木内主計部長 九年度末における一般会計都債残高見込みは六兆二百五十九億円でございます。また、分母を一般財源といたしますと、その六兆の残高は、一三七・八%でございます。 ◯藤田委員 これは主計部長に申し上げるのはあるいは釈迦に説法かもしれませんけれども、六兆二百五十九億円というのは予算一年分に相当します。しかも、その一般財源、つまり大まかにいえば、都税収入の一・四倍にも相当する残高が見込まれているということであろうと思うのです。私は、ここで、質問にも、一般財源との割合幾らかということをお尋ねして、一般財源との割合を問題にしたのは、これらの都債の返済は、いうまでもないのですけれども、税収でやらなければならないということを押さえておきたいと思うのです。  そこをきちっと押さえた上で伺いますけれども、毎年、一般会計下水道事業会計に対して支出している繰出金の九年度予算額及びその内訳をご説明願います。 ◯木内主計部長 下水道会計に支出している繰出金の総額は、九年度予算で一千八百九十四億円でございます。そのうち、二つに分かれておりまして、一つは区部公共下水道に対する補助金出資金でございまして、補助金が一千七百五十五億円、出資金が六十四億円でございます。二つ目は多摩の流域下水道建設に対する部分でございまして、補助金が六十九億円、出資金が六億円となってございます。 ◯藤田委員 区部と流域を合わせれば一千八百九十四億円、これは大変な持ち出しです。そこで、そのうち区部下水道に対する補助金出資金は、今の答弁ですと、全体で一千八百九十四億円のうち区部補助金が一千七百五十五億円、出資金が六十四億円ですから、一千八百九十四億円のほとんどを区部下水道に対する補助金出資金が占めている、こういうことになるのですけれども、その内容。 ◯木内主計部長 区部公共下水道につきましては、基本的には合流式をとっておりますので、イニシアルコストあるいはランニングコストについて、雨水分については基本的には一般会計、それから汚水分については料金収入を充てることとされておりますけれども、そうした考え方ルールに沿った形で支出しております経費は、幾つか申し上げますと、雨水処理経費については八百六億円となってございまして、これは維持管理経費の二二%分、あるいは減価償却などの六〇%を中心としたものでございます。二つ目企業債利子支払い資金が九百十四億円でございまして、これは企業債利子の六〇%などでございます。三つ目企業債元金償還金で、これも元金償還金の六〇%でございまして、起債償還ルール平成四年四月からいわゆる満期一括償還方式になったことに伴って現段階ではまだ少のうございまして、その元金償還金が三十七億円でございます。それから四つ目として、料金の特別措置などに伴うものが六十一億円で、これらが補助金出資金を足した一千八百十八億円の内訳でございます。 ◯藤田委員 つまり、わかりやすくいうと、下水道借金をして建設した下水道施設のうち、建設費の六割、それから維持管理費の二二%は、雨が降った分が下水管に流れ込んでいるが、これは料金収入で賄うのは不公平だから一般会計負担してやるということでしょう、それでいいのですか。そうすると、その一千八百億円の財源は税金で払っていると、そういう意味ですね。 ◯木内主計部長 負担ルールは、先生お話しのとおり、資本費については六〇%、維持管理費については二二%が一般会計負担というのがルールでございます。かつまた、税というのもご指摘のとおりでございます。 ◯藤田委員 いろいろな説明があったわけですけれども、私は冒頭に、つまり、一般財源に対する割合ということから、都債であれ何であれ返済が税収で行われているからだという、この共通項をベースにしてお尋ねしているわけです。  今の答弁で、一千八百億円を税金で出すということを確認した上で聞きますけれども、下水道事業会計区部公共下水道建設のためにした借金残高、これは九年度末で幾らですか。 ◯木内主計部長 公共下水道起債残高は二兆九千十六億円でございます。 ◯藤田委員 二兆九千十六億円ですから、借金残高見込み額は約三兆円ですね。それにさっきの答弁を当てはめますと、その六割は雨水分、その返済は税収で行うということですから、三兆円の六割、一兆八千億円が一般会計実質的借金というふうにカウントしなければいけないのじゃないですか。僕の指摘が間違いでしょうか。 ◯木内主計部長 現行の負担ルール考え方からは、先生がいわれる数字については一般会計で措置を必要とするということが、ルール的にそうなっております。したがいまして、ご指摘のとおりでございます。 ◯藤田委員 普通会計の九年度末の都債残高、これはどのくらい見込んでいますか。 ◯木内主計部長 先ほどの一般会計残高六兆円を含めました普通会計の九年度末の残高は、七兆八千二十七億円でございます。 ◯藤田委員 実質的な借金残高約七兆八千億円の普通会計都債残高に、今あなたはルールからしたらそのとおりだといったのだから、僕が指摘をした一兆八千億円を加えた九兆六千億円は、一般会計だけで都債残高の一・六倍、実に都税収入の二年分を上回る額に上るわけです。  だから、冒頭の指摘に戻りますけれども、ルールごとに分けたり、会計処理上の約束事予算編成上の約束事で分ければ六兆二百五十九億円、一般財源比率一三七・八%というふうにいうが、しかし実際には、七兆八千億円の普通会計都債残高に一兆八千億円を加えた九兆六千億円、これは一般会計だけで都債残高の一・六倍、都税収入の二年分を上回る額、これが都民が税金で負担しなければならない借金だということになりませんか。──なるのじゃないですか。 ◯木内主計部長 普通会計都債、先ほどお答えした七兆八千億円と区部公共下水道のうちの雨水にかかわる分、今お話しの約一兆八千億円についての元利償還については都税収入などの一般財源をもって賄っていくということになっておりまして、そういう意味ではご指摘のとおりでございます。 ◯藤田委員 私の質問の前提で恐縮ですけれども、昨年の予算特別委員会でのやりとりを引用させていただいたのですが、他会計からの借り入れということを私は問題にしました。これは隠れ借金だからやめるべきだというニュアンスで指摘をしたのですけれども、これを受けとめて九年度予算では他会計からの借り入れをやめた。この限りでは前進と見るべきか後退と見るべきかはいろいろありましょうけれども、まあいったとおりのことをなされたと、こういうふうに思うのです。しかし、今の質疑でも明らかなように、ある意味では、より本質的な都民の税金で賄わなければならない都債というのは九兆六千億円もあるのです。だから、一般会計ではないからといって事業の中身について関心を持たないで見過ごしてしまうということはいささか問題がある、私はそう思うのです。  例えば、一般会計負担が一兆八千億円にも上る下水道は、区部一〇〇%概成を達成したにもかかわらず、九年度予算では二千二百億円の建設事業費を計上しているのです。この二千二百億円の建設事業費に充当される都債償還費が将来の一般会計の新たな負担になるわけですから、幾ら一般会計起債を減らしても下水道が借入金を減らさなければどうにもならない。私は別に下水道のことを目のかたきにしているわけではありませんけれども、下水道料金消費税転嫁を含めて財政体質あれこれ論議をされている昨今でありますから、なおさらのこと、区部普及率一〇〇%概成を達成した今後は料金収入も大きく伸びることは期待できないのであって、その辺を考慮すれば、下水道建設事業ノーチェックで進めていいということにはならない。これについても厳しい財政状況の中にあって十分な吟味と財源効率的投入が必要だと、こういうふうにいわざるを得ないのです。  これ以上申し上げますと公営企業委員会の分野に入ってしまうのでいろいろなことは申し上げませんけれども、つまり、財務当局が、財政健全化財政立て直しということをいう場合に、私は、前回の財政委員会財政健全化計画というのは内弁慶財政健全化計画ではないかと、外郭団体は手をつけないじゃないか、第三セクターは手をつけないじゃないか、市町村に対するかかわりだってへっぴり腰ではないか、制度の根幹に戻ってやる問題だって来年越しではないかと。お金を持っている財務局と人事を握っている総務局が一緒になってやれば、各局が都庁という器の中ではひとたまりもない、そこのところできゅっきゅ、きゅっきゅ押し込んで、それであとは、そんなことをいったって予算をつけませんよ、そんなことをいったって人手はつけませんよ、これでやりなさいと、だから、あとはもう局の中の労使関係で片づけてくださいということにウエートを置いて、前段指摘したようなことについては翌年度回しというのは内弁慶財政計画だということをいったのですよ。  私は別に交通局の肩を持つわけではありませんが、十二号線の環状部放射部、それから目黒延伸、大変な人手が要るのですよ、四百人を超える。ところが、これは八千二百八十六の予算の中で何とかおさめましょうということで、交通局だけは企業努力をしたなんという逆の評価もあるようですけれども、財務局の顔色をうかがって、とてもこれ以上のことをいったら、まあ言葉は悪いですけれども殺されちゃいますよなんていうようなことを本音で交通局の当事者は語っているぐらいなのです。だから、私は、それはそれでいいですけれども、この間の財政委員会での論議で一応やりとりは終えたわけですから。つまり、予算編成をする場合に、とかく一般会計ばかりに目がいって他の会計のことはおそろかになってしまいがちだと、それでは都全体のあるべき姿を失ってしまう。したがって、全会計を見通して是か非かを判断するという尺度はあっていい、こう思うのです。  そこで、都財政を預かっている西念財務局長に伺いますけれども、都財政健全化に立ち向かうに当たっては、一般会計に限らず都民負担への影響という観点から、全会計を見通した幅広い検討に取り組む必要がある。これは、財政健全化計画内弁慶財政健全化計画ではないかということでお聞きをしたことと私の認識は、そこは問題意識は一緒なのです。そういう気持ちで伺っていますけれども、最後に財務局長のご見解を伺います。 ◯西念財務局長 都の財政運営当たりましては、ご指摘いただきましたように、一般会計だけにとどまることなく、すべての会計を視野に入れ適切な対応をしていくべきものと、このように考えております。極めて厳しい財政状況にございますので、各会計それぞれの事業が将来にわたり都民負担にどのような影響を与えるのかを十分に幅広く検討しなければいけないと、このように思います。ご指摘いただいたことにつきましては、以後心して、財政運営に当たらせていただきます。 ◯渡辺委員 二点ばかりお伺いいたします。  今、都財政は深刻な状況に直面していると、こういうふうにいわれているわけですけれども、なぜこのような状況になったのか。それは、これまで大規模開発を積極的に、しかも大きな借金までしてバブル崩壊後も推進してきた、こういうところに最大の理由があるのだろうというふうに思います。  そこでお伺いいたしますが、バブル崩壊後の九一年度末と九七年度末のそれぞれにおける一般会計都債残高及び都民一人当たりの額を示していただきたいと思うのです。 ◯木内主計部長 一九九一年、平成三年度末における一般会計都債残高は一兆六千九百四十一億円、都民一人当たりに置き直しますと約十四万三千円でございました。それに対しまして九七年度末、すなわち平成九年度末にあっては、先ほど申しましたとおり六兆二百五十九億円が一般会計都債残高で、これを一人当たりに直しますと約五十一万一千円でございます。 ◯渡辺委員 この六年間で額にして四兆三千億円ふえる、三・六倍に拡大しているということになります。これは、九二年度以降も毎年八千億円から一兆円というような膨大な都債発行を行ってきた当然の結果だというふうにも思います。大変な都民負担になっているわけですが、この残高をどうにかして減少させていかなくてはならない。  そこでお伺いいたしますが、財政健全化計画によれば今後の都債発行額を当面五千億円程度に抑制することにしているわけですけれども、仮に、九八年度以降も五千億円を発行し続けた場合、今後の都債残高はどのように推移していくかということについてお尋ねしたいのです。 ◯木内主計部長 五千億円のオーダーで都債発行した場合については、既に発行したものについては償還年次表がございますので、それに今の五千億円をオンしていく形になりますと、平成十年度にあっては約六兆四千六百億円で、五年後の平成十四年度にあっては八兆円の大台に乗りまして、約八兆四百億円でございます。 ◯渡辺委員 このままでいくとすれば、九七年度末の約六兆円が、五年後の二〇〇二年度末には八兆円の大台に乗ってしまうということになるわけです。九一年度末残高に比べれば、実に約五倍ということになります。この二〇〇二年度末の都債残高の場合、これは都民一人当たりにすると大体幾らぐらいになるのでしょうか。 ◯木内主計部長 人口数が変わらないという前提に基づいて先ほどの八兆四百億円を割り返しますと、一人当たりは約六十八万三千円でございます。 ◯渡辺委員 六十八万、約七十万円ということで、九一年度末に比べて額にして五十四万円ふえる、これは五倍になるわけです。現在に比べても二十万円近くもふえることになるわけであります。それでは、その九一年度末、九七年度末、そして二〇〇〇年度末、それぞれの都債残高一般財源に対する割合ですけれども、これはどういう状況になるのか、お尋ねしたいのです。 ◯木内主計部長 都債残高一般財源に対する比率は、一九九一年、平成三年度にありましては、元年から三年あたりがボトムの水準でございましたので、平成三年度は三四・二%でございました。また、平成九年度については、五千四百五十億の発行を考慮しますと、その数字は一三七・八%と予測されております。先生お話しのような前提に立って、各年度五千億の都債を引き続き発行し、分母である一般財源伸び率が国の計画名目成長率三・五%と同率で伸びるという前提に立てば、二〇〇二年、平成十四年度にはその比率が一五〇%程度になるものと推計することができます。 ◯渡辺委員 九一年度末では一般財源の三分の一にすぎなかったものが、九七年度では約一・四倍、二〇〇二年度では一・五倍ということになるわけですね。  この場合、二〇〇二年度ということでお聞きしたいのですが、償還費、いわゆる利子ですけれども、利子負担というのはこの時点で幾らになるのか、お伺いしたいと思うのです。 ◯木内主計部長 利子率等の率をどういうふうに想定するかによって数字は異なろうかと思いますけれども、七年度末の決算時点における都債一般会計債平均利率が四・五%でございましたので、仮に今後の利率が四・五%で推移すると仮定いたしまして二〇〇二年、平成十四年度の利子償還額を推計いたしますと、約三千四百億円でございます。 ◯渡辺委員 三千四百億円というのは本当に膨大な数字ですよね。ことしの償還額というか元利ですが、この償還そのもの公債費は三千四百億円ちょっとだと思うのですが、利子だけでそれに匹敵するようなものになってしまうということで、非常に大きな額になると思います。  都は、この財政健全化計画によって、起債制限団体への転落を回避するために都債発行額を当面五千億円程度に抑制すると、こういうことでしているわけですが、それでも五年後の二〇〇二年度末には都債残高は八兆円、都民一人当たりにして七十万円、一般財源に対する割合も一五三%へと、都財政バブル前と比べて全く違った様子というか姿になってしまっているわけです。今日と比べても、今でさえ大変なのに、都債残高を減らすべきところが、減らすどころかさらに増大していくということになる。この膨大な負担が将来世代に確実にのしかかっていくことは明らかでありますし、それは本当に重大なことだというふうにも思います。  これは、バブル崩壊後の平成四年度以降、毎年八千億円から一兆円もの都債発行し続けて、そして、都民ニーズとかけ離れた大規模開発を行ってきた結果にほかならないというふうに私は思うわけであります。こういう事態を回避するためには、大規模開発を単に削減して先送りということではなくして、この計画を抜本から見直すことがどうしても必要なのではないかということをあえて私たちは一貫して主張してきたわけですけれども、そういう方向でこれからのかじ取りをやっていただきたいと思うわけであります。  それから、もう一つについて、これも簡単にお伺いいたします。今回の予算案について、投資的経費財政健全化計画に基づき一律に大幅な削減を行ったと、こういうふうにいわれているわけです。そこで伺いますけれども、臨海関連経費の九七年度と九六年度の予算額と増減率を示していただきたいというふうに思います。 ◯木内主計部長 臨海副都心の開発関係経費につきましては、平成九年度が四百十九億円でございます。それに対して八年度が四百九十二億円でございましたので、七十三億円の減、率にいたしまして一四・八%の減となっております。 ◯渡辺委員 投資的経費は全体で二二・八%の削減と、こういうふうにいわれているわけですが、臨海関係では今のお話のように一四・八%しか減らされていない。しかも、臨海開発のための臨海副都心開発事業会計というのは一〇・五%ということで、むしろ増になっているという状況です。全体の関係からいえば、臨海というのはそういう点でもやはり聖域になっているのかなと、こういうふうにいわざるを得ないと思うのです。  もう一つお伺いしますが、首都高速道路公団への出資金と貸付金の合計金額ですけれども、これは九七年度、九六年度の対比で予算額と増減額はどれくらいになっているのでしょうか。 ◯木内主計部長 首都高速道路公団については、出資金が九年度で百七十二億円、貸付金が百三億円でございますので、足して二百七十五億円でございます。それに対して八年度は四百八億円でございましたので、百三十三億円の減となっております。 ◯渡辺委員 百三十三億円の減ということなのですけれども、私たちはもっともっと首都高そのものについては大胆にメスを入れた方がいいと、こういうことで要望してきておるわけですけれども、この百三十三億円の減少した理由、それと、事業計画そのものを見直したのかどうかということもあわせてお聞かせいただきたいと思います。 ◯木内主計部長 首都高の事業につきましては計画に沿って進めるべきものというふうに考えているところでございますけれども、九年度については、用地買収がなかなか難しいところなどがありまして施行が進まないことが予測されているわけでございます。そうした意味において事業のペースダウンを図ったものでございまして、その結果、九年度の予算が減になったというふうに聞いております。これら事業については東京都の都市づくりにとって当然に必要な事業というふうに私ども理解しておりますので、引き続き計画的に整備を進めていくものというふうに考えているところでございます。 ◯渡辺委員 この首都高速道路にしても、先ほどもちょっといいましたけれども、表面上は百三十三億円減らしたという形をとっていますけれども、しかし、それは本当に事業そのものを根本から見直して減らしていくということではないわけで、そういう点でやはり問題があるというふうに思うのです。実際には事業計画を先送りというか先に延ばしたということにすぎない。しかも計画は着々と進められている。  都市計画局や建設局の事業計画、これは完全に国の公共事業、いわゆる国の事業計画にしっかりと組み込まれているところに私は最大の問題があるというふうに思うのです。ですから、国の方がどちらかというと公共事業を年々拡大する、しかも、その公共事業を拡大することとあわせて単独事業をどんどん地方自治体に押しつけるということ。これは私は予算特別委員会でも指摘だけはさせてもらいましたけれども、そういう国の事業計画の中にしっかり組み込まれているという、ここのところをやはり問題にしないとだめだというふうに思うのです。ですから、そういう点では、これは全庁を挙げてということになると思いますが、特に予算担当、財政担当の財務局としては、そこのところもにらみながら、ひとつしっかりこの見直しを、国にも物をいうということで、その立場に立っていただきたいというふうに思うわけです。  その一方で、生活関連の道路については──これは生活道路ですよ──前年度に比べて百九十一億円、二七%減らされているのです。こういう生活関連の事業というのは、事業全体のものというのではなくて、箇所づけの問題が非常に多いということもありますから、そういう点では、一たん削られてしまうと、これがいつ今度復活するのかわからないというような状況になってしまうことも一つの特徴なのです。今回の投資的経費の削減といっても、結局は投資的経費の一律削減ということにしたために、身近な、生活に密着した部分の生活関連施策が減らされてしまっているというところに、やはり、私は最大の問題があるというふうに思うわけです。ちなみにいいますと、都営住宅しかり、高校建設あるいは交通安全施設、それから中小河川整備、これは都民の生活に関連した部分ですけれども、まあいわせてもらえば、こういうところに大胆にメスが入ってしまっているということだと思うのです。  そこで、もう一つお伺いしますが、今後、財務当局としては、九八年度予算に向けて財政健全化計画に基づき制度の根本にまでさかのぼった見直しを確実に実施すると、こういっているわけですけれども、これによって経常的経費を幾らぐらい削減しようとしているのか、また、どのようにして削減を行っていくつもりなのか、お聞かせいただきたい。 ◯木内主計部長 財政健全化計画では、平成十年度において財源不足の状況を解消するということを目標の一つに掲げているところでございます。そのため、計画において、平成十年度において、合わせて四千三百六十億円の財源の確保を図ることといたしております。  具体的には、その内訳を健全化計画に沿って申し上げますと、大きく三つに分かれておりまして、一つとしては、内部努力でございまして、職員定数の削減などによって百三十億円の確保を図ること、二つとしては、歳入確保の面でございまして、徴税努力四百億円、あるいは受益者負担の適正化九十億円等を合わせて四百九十億円を目標に掲げてございます。三つとして、施策の見直しということで、行革六十四項目の具体化で四十億円、投資的経費の削減で二千八百億円のほか、経常的経費の見直し、区市町村財政支援の見直し、財政支出監理団体支出の適正化、そして、先生からお話のあった制度の根本までさかのぼった施策の見直し、これらを合わせて九百億円の財源を確保することといたしております。  これら施策の抜本的見直しについては、今日における都民ニーズにこたえて新たな施策を展開する上で必要な強固な財政基盤の確保を図っていくということを目的にしているわけでございまして、いたずらに歳出の財源といいますか、捻出、あるいは切るということを目的にしていないことは当然のことでございます。また、その実施に当たりましては、都のすべての事業を俎上にのせまして、その原点に立ち返って総点検を行っていかなければならないのではないかというふうに考えております。 ◯渡辺委員 今いろいろ出されましたが、施策の見直しで四十億円、そしてまた経常経費の削減ということで九百億円、その他いろいろあるわけですけれども、いずれにしても、これだけとってみても一千億近いということになります。これを削るというわけだから、都民としては大変なことになるというふうに覚悟しなければならないですね。健全化計画で名指しした私学助成、それから老人医療費助成、シルバーパス、あるいは都営住宅等々がありますが、これらについては、美濃部革新都政の時代につくり出して、そして、鈴木知事もいろいろ話題に上らせたけれどもなかなか削ることのできなかった内容であるというふうにもいわれてきたものであります。これは全国的に見ても先進的な施策、全国の自治体に誇れる施策ということがいえると思うのです。こういうものを今度は本格的に切り崩そうということでは、都民に対する重大な挑戦というふうに私たちは受けとめざるを得ないということです。しかも、これだけではないわけです、全面的な事業の見直しと、今もお話があったように一千億円近いものを何らかの形で削り取るということになるわけですから。どういうふうに削り取るかはまだ具体的にされていないという問題もありますでしょうから、わかりませんけれども、いずれにしても、そういうことで大変なことである。  私は一つだけ、これは前にも話をしたかもしれませんが、再度出しておきたいと思うのです。老人医療費の助成という問題について、これは現時点で三百五十億弱ですが、この老人医療費の助成そのものを制度にさかのぼってまで見直すと。どういうふうに見直しをするかはわかりませんが、いずれにしても、その見直しの理由に、年金制度は充実したと、こういうふうになっているわけです。それでは、この年金の状況が本当に大きく変わって充実したのかということなのですけれども、国民年金でいわせてもらいますと、これは二年くらい前の資料ですけれども、受給者が九百八十万人ぐらいいるのです、そのうちの六割強になると思いますけれども、その方々が月々受けておられる年金というのは四万円以下と、こういうふうにいわれていると思うのです。  今、国会に老人医療費の改正案が出されておりますが、ちなみに申し上げますと、例えば一カ月入院すると、今度、入院料が一日千円に変わるわけです。それともう一つ、入院給食費は七百六十円です。ですから、この二つだけで一カ月入院しますと五万二千八百円かかる。そのほかに薬代も値上がりするわ、あるいは初診料じゃないですけれども通院費ということでこれも値上がりするわということで、かなりの負担増になる。しかも付き添い制度が廃止されているという状況の中では、まさに深刻そのものなのですね。  こういうような医療費の無料化というのは、そういうお年寄り、あるいはまた年金生活者からしてみると、まさに生活そのものに密着している、しかも低所得者のお年寄りにとってはもう命綱にもなっているということがいえるわけです。それを全面的な見直しをして、これを廃止するのか削減するのか、どうするのかということは明らかではありませんけれども、こういうものが奪い取られてしまうことになったら本当に大変だと、もう医者にも行かれないような状況にまでなってしまうということは、いろいろなお年寄りから寄せられている内容ですよ。  ですから、そういうようなことをぜひひとつ財務当局では考えていただいて、身近な都民の施策を削るということではなくて──私たちは一貫して主張しておりますけれども、そして、一番最初にも申し上げましたけれども、これまでの深刻な都財政をつくり出した原因というものは、やはり一つの大きな問題ということでいえば、大企業のための大規模開発というところにその根源があると。したがって、この大規模開発そのものに大胆にメスを入れて、ここで財源をいかにしてどれだけ捻出するか、最大限努力する必要があるというふうに思うのです。  私どもは、そのほかにもいろいろありますが、きょうはここでいいませんけれども、そういうことでそこにメスを入れながら、しかもまた、ほかのいろいろな、例えば大企業にもそれなりの適正な負担をしていただくというようなこととか、あるいは本当にむだもあるわけですから、そういうむだは徹底して洗い出して省くということは大いに結構なことで、やらなければいけない問題です。そういうものを総合的にやっていけば、都民の身近なものを削らなくても、充実するということをしながら、しかも財政再建というものはできるのだというふうに私は思うのです。そういうことで、ひとつ、財務当局としてはこれからの都財政の運営に当たっていただきたい。こういう最後に強い要望をして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ◯矢部委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  以上で財務局関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後二時四十二分散会...