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  1. 東京都議会 1996-02-06
    1996-02-06 平成8年文教委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時七分開議 ◯工藤委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。  本日は、教育庁関係の報告事項に関する質疑を行います。  これより教育庁関係に入ります。  過日の委員会で聴取いたしました「新しく生まれ変わる都立高校-都立高校白書-」の報告について質疑を行います。  本件に対し、ご質問のある方は発言を願います。 ◯黒須委員 まず、この白書についてですけれども、この白書は、おつくりになられたのが初めてだそうですね。全国でも初めてというふうにお聞きをしましたけれども、都立高校の現状と問題点、それから今後どうあるべきかということを非常にわかりやすく書かれているという、私は高い評価をしたいと思います。特に新しいタイプの高校であるとか、あるいはまた、コース制定時制高校の現状等について、非常に問題点を明らかにしておりますし、中でも「Q&A」とか、「ホッとタイム」というのがありましたね。これらも非常に私は親しみやすく読ましていただきました。特に定時制で学ぶ生徒さんの体験談ですね。それから、あるいはまた、校長先生の回想録なんかが出てますけれども、これらを読ましていただくと、校長先生によって学校がやはり変わるということが、だれでも同じじゃないんだなということがわかりますし、実は非常に参考になりました。  ただ、個人的な希望といいますか、欲をいわしていただくならば、定時制の課題の中で、定時制の役割が変化しているというような云々ありましたね。そういう中で全定併置校の見直しというような点について、これについてもう一歩踏み込んでいただきたかったなと、こういうふうに実は思っております。これを読ましていただいても、全日制と定時制のあり方というのが、今設立当初よりも完全に役割が違ってきていると思うのですね。そういう点で、この時期に、いうならば統廃合とか適正配置というのが、今、一つの大きな問題点、課題になりつつあるわけですから、こういうときに全定併置の見直しというものについてももう一歩踏み込んでいただきたかったな、こういう感じが実は個人的にはいたしております。しかし、非常によくできていたというふうに思います。この問題については、私も非常に関心を持っていますので、また後刻別の機会に取り上げさせていただきたいと思っておりますが、きょうは、都立高校中途退学について絞って、私の提案も含めてお伺いをしたいと思います。  中学校卒業者の約九六%が高校へ進学しているという状況の中で、いわば準義務教育化しているわけでありますけれども、都立高校へ入学してくる生徒の目的意識、学習意欲や学力、進路希望等が極めて多様化しておりますことはご承知のとおりでありまして、これに伴って授業についていけない生徒や授業が成り立たない学校もあるというふうに書かれております。また、いじめや問題行動中途退学など、さまざまな問題が生じていると都立高校白書でも述べられているわけであります。特に中途退学に関しては、全日制高校における平成六年度の中途退学の状況は、五千五百四十二人という数字が出ております。中退率は過去最高の三・三%に達したとの調査結果が出されているわけであります。この中退率は全国でも最高水準ということでもあり、しかも上昇傾向にあるということで、これは都立高校が抱える大変大きな重要な問題であるというふうに考えております。そこで中途退学問題に関連をして何点かお伺いをいたします。  その理由について、ここに述べられているとおり、進路を変更したいからというのが四四%、あるいは学校生活、学業不適応というのが二五%、学業不振一八%が挙げられておりますけれども、都立高校、すなわち東京において、中途退学率がなぜ高いのか、その理由についてお伺いをいたします。また、私立高校の中退率はどのようになっているのか、これもおわかりになりましたらお伺いします。  それから参考までにお尋ねしたいんですけれども、東京が非常に高いということですけれども、他府県で高いところはどんなところがあるのか。それからまた、低いというところはどういうところがあるのか。それから中途退学の多い学校と少ない学校というのは都立の高校でもあるようですけれども、大きな差があると書いてありますけれども、その理由ですね、その理由がわかったら教えていただきたい。 ◯買手屋指導部長 中途退学の背景は大変多様でございます。幾つか考えられるわけでございますが、その一つには、生徒の入学動機目的意識があいまいであり、また、ある意味では不本意入学ということで、そのことによりまして、どうしても勉学に集中できず、中退に至ると、このようなことがあるとともに、学校がそのことに十分対応できているかどうか、対応できてない部分もあるということが大きな原因になっていると思います。  ご指摘の特に東京でどうして多いのかということでございますが、いろいろ考えられますが、後ほど全国の数値も申し上げますが、一つは東京のような大都市の地域性というものも考えられると思います。東京は、大変専修学校やまたは進学、あるいは就職の機会の、受け皿と申しましょうか、そういうものが大変多いというようなことも挙げられます。また、都立高校の場合、生徒が全日制から全日制へ転学がなかなかできないという、これも一つの原因ではあると思います。  他府県の状況でございますが、平成五年度文部省で全国の中退者の数値を発表しております。六年度はまだでございますが、ただ、この数値は国公立全部含んだ数値でございまして、公立学校だけではございません。それによりますと、特に中退率の多い都道府県でございますが、例えば二・三%以上をとってみますと、東京の二・五%、大阪の二・三%、岡山の二・四%、高知の二・六%、沖縄の三・三%などがございます。  また、中途退学率の低い県でございますが、例えば一・四%以下をとってみますと、岩手県、秋田県、福島県、福井県、滋賀県、鳥取県、島根県などでございます。  それから、もう一つのお尋ねでございますが、東京にもいろいろな学校によって、かなり中退率の差があるんではないかと、このことでございます。副委員長、ご指摘のとおりでございます。一般的には、普通科に比べて専門学科の方が中退率が多くなっているという実態、それから全日制に比べて定時制の方が多くなっているという実態がございます。その背景をいろいろ調べてみますと、やはり入学の動機の不明確さ、あるいは基礎学力等の不十分な生徒がより多く入学している、在学している高等学校においては、どうしても中退率が多くなってきていると、こういう実態がございます。  一つ、私学の方の中退率でございます。東京の平成六年度の私立高校の中退率は一・六%でございます。 ◯黒須委員 中学校を卒業して高校へ進学する際に、当然学校を選択しなくちゃならないわけですけれども、そのほか、一たん高校に進学をして、そしてその後、何らかの事情で他の学校を選択して移る、転学の場合もあるわけですね。都立全日制高校には、私立高校からの転学が多いというふうにお聞きをしているわけなんですけれども、その都立全日制高校への転学の状況、転学者数と転学の理由についてお答えいただきたい。 ◯加島学務部長 現在、都立高校の転学による募集は、欠員となっている学校のみで実施しているところでございますので、それほど広い間口があるわけではございませんが、平成六年度一年間の私立高校から都立全日制高校への転学状況でございますが、受験者は六百三十四人、そのうち、転入学をした者は二百一名でございます。  転学の理由でございますけれども、転入学した生徒に直接調査をしているわけではございませんので、教育委員会には就学相談所がございまして、そこの相談事由でお答えしたいと考えますが、私立高校からの転学希望者で最も多いのは、その学校の校則とか、あるいは校風が合わないというものが理由としては最も大きくありまして、次いで転勤やあるいは転居、成績不振、こうしたものが順位となっております。
    ◯黒須委員 先ほど指導部長のご答弁の中に、全日制から全日制への転校ができないというのが理由の一つとして挙げられていましたけれども、全日制間の転学というのは全くないんですか。多少はあるんですか。あるいはまた、その理由についてちょっとお聞かせください。 ◯加島学務部長 現在、都立高校の全日制課程間での転学は、入学後に転居等により通学が極めて困難な場合を除いては認めておりません。これは志望して入学した学校で、腰を据えて学業をおさめ、卒業していくのが望ましいというような考え方によっているものでございます。このようなことから、平成六年度に都立の全日制課程間で転学した生徒は十四名でございます。 ◯黒須委員 そうしますと、全日制間で転学した生徒というのは十四名しかいないということですね。原則として全日制間の転校は認めていない、特別な理由がある場合を除いてということですけれども、私立高校から都立への全日制高校への応募は認めているけれども、全日制高校間では原則として認めてないということ、これは私立高校生に比べて不公平感を感じさせるんじゃないか、生じさせるんじゃないか、こういうふうに思うんですよよね。この点についていかがですか。これは率直な私の感想なんですけどね。  また、都立高校中途退学者の中に、学業を続けたいと思っていたけれども、全日制間で転学の制度がないということで中途退学をしてしまった生徒というのが何人ぐらいいるのか、そういう統計が出ていれば、お答えいただきたいと思います。 ◯加島学務部長 転入学の実態といたしましては、都立の中退者が私学に転入学することはかなり難しいというふうに聞いております。そういう意味で、私学生徒に比べて都立生徒は転学のチャンスが少ないのではないか、このように感じております。 ◯買手屋指導部長 もし全日制間の移動が可能ならば退学しないで済んだと、こういう数がどのくらいかということでございますが、そのことに関する調査は行っておりませんので、私ども数値は押さえてございません。  ただ、平成六年度、全日制の高校を一度中退して、再びまた高等学校専修学校の学校に戻ってきたと、そういう生徒の数は千四百八十四人でございまして、中途退学者全体の二六・八%、すなわち約四分の一はまた学校に戻ってきている。こういう生徒の中に、もし全日制高校間での転学制度が一般に認められていれば退学しないで済んだという生徒が含まれているんではないかと、こう考えております。 ◯黒須委員 なかなか追跡調査というのが難しい部分もあるだろうから、確かに明確になってない点があるんでしょうけれども、都立から私学への転学というのは難しいということですよね、受け入れられないと。私立からは都立へは、一定の枠内だけれども転学ができる。しかし、都立校の全日制間では転学ができない。何かこれは納得いかないんですよね。特に準義務教育化しているわけですから、やはり入ってみて、高校へ入ってみたけれども、どうも自分の考えていたのと違うというようなことで、やはりもっと違うところで、自分の合ったところでやりたいという、勉強したいという生徒さんもかなりおられるんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、結局ほかに中退の道しかないからというので、やむを得ず中退をしているという生徒さんもかなりあるんじゃないか。  そんなことを考えますと、実施の方法等によっては──学校内でいろいろな問題というのは、当然解決しなきゃならない問題、検討しなきゃならない課題というのはあるわけですけれども、中退を防止をしたり、それからまた、生徒の希望や意欲というものをかなえるためにも、全日制高校間の転学というものを認める方向で実施すべきじゃないかというふうに私は提案をしたいんですけれどね、その点について見解をお伺いしたいと思います。 ◯加島学務部長 ご提案につきましてですが、この問題につきましては、第十四期中央教育審議会答申の中でも、中途退学防止の一方策として、学校、学科間の移動をもっと認めるべきであるというふうなことがございます。そのように答申が出ております。  また、教育庁におきましても、入学者選抜検討委員会を設けまして、検討した結果、都立高校の全日制課程間の転学を認めたらどうか、それが適当ではないかという結論が出ております。今後、生徒の希望等に弾力的に対応するとともに、中途退学防止の観点から、早期に実施できるように、その具体的な実施方法等について十分検討してまいりたいと考えております。 ◯黒須委員 私も、この第十四期中央教育審議会の答申ですね、これは読ましていただいて、まさにこういう時代なんじゃないかなというような、フレキシブルといいますか、非常に時代に対応できるような前向きな対応というものをいろいろ考えていかなきゃいけない時代じゃないか、そういうふうに私自身も実は感じました。  そこで、無条件に希望を受け入れるというわけにはいかないと思うんですよね、やはりこれはね。ただ、これを実施した場合、欠員校だけというのではやはり十分じゃないと思うんですよ。ですから、それぞれ都立高校全体で各校ともに枠をつくってそういう体制というものをつくっていく必要があるんじゃないか。現在の受け入れというのは、制限があるけれども、欠員校だけですよね。そうじゃなくして、そういう最初から何人かは別にしても、検討の余地はあろうかと思いますけれども、一定の枠を設置すべきだというふうに、そんなふうにも考えているんですけど、その点いかがですか。 ◯加島学務部長 ご提案の趣旨、そのような方向で検討してまいりたいと考えております。 ◯黒須委員 それから、いろいろな理由で一たん中退した生徒が、やはりもう一回勉強したい、あるいはまた、例えば経済的な理由とか、いろんな理由でまた復学をしたいというような、復学をして学業を再び続けたいと思った場合でも、現在の制度では改めて学力検査を受けなきゃいけないわけですよね。こうした負担というものを解消して、一定の年数といいますか──今大体十八歳までですものね、ですから、それをオーバーに二十五歳も三十歳もというと、これはちょっと違和感が大きくなると思うのですけれども、一定の年数とか期間というようなものを、まあ二、三年以内とか、例えばですよ、そういう枠というものを設ける必要があるかもしれませんけれども、復学の意欲というものを積極的に受けとめるような処置を講ずる必要があるんじゃないか、私はそんなふうに考えるんですけど、この点について見解をお伺いさせていただきたいと思います。 ◯加島学務部長 再入学の場合に学力検査がやはり一つの壁になるということはあろうかというふうに考えておりますので、今後、生涯学習の観点からもこの点については改善を図る必要があるというふうに考えられます。今後、実施に向けて、選考方法等につきまして、さらに検討を深めてまいりたいと考えております。 ◯黒須委員 大変ありがとうございました。非常に前向きな答弁をいただきましたので、ぜひ今後実施に向けて早急に努力をしていただきたいというふうに思います。  最後に、教育長にちょっとお尋ねしたいんですけれども、全国でも初めてという立派な白書ができました。これは今後の大きな指針になるというふうに思うんですけど、この初めてつくられた白書についての感想を、教育長、ちょっとお聞かせください。 ◯市川教育長 感想をというお話でございますが、まだ、いろいろな方面からご批判もいただいておりますし、それからお褒めの言葉も黒須副委員長から初めにちょうだいいたしましたが、ぜひ都立高校の実態を知っていただきたいということでは、職員にもかなり無理をさせましたので、そういう意味でも一つのものができ上がったなという感想を持っております。 ◯藤井委員 私からは、二点お伺いをしたいと思います。まず最初には、震災対策について、二点目は、特色ある高校教育についてであります。  まず最初に、この白書については、今、局長述べられましたが、私も読ましていただきまして、まず一つは、大変読みやすい文章であり、また、図、あるいはいろんな表等を入れながら、大変わかりやすい白書であるということを実感いたしまして、関係者の皆さんのご苦労に対して、まず敬意を表したいと思います。  最初に、震災対策についてお伺いいたしますが、白書の八五ページに出ておりますけれども、都立高校は大震災に耐えられるかどうかということで、いろいろと述べられております。なおかつ、都立高校耐震診断の結果等も出ておるわけですが、ご存じのとおり、昨年の阪神・淡路大震災を経験をいたしまして、そのときにやはり地域住民の方たちが避難する緊急避難先として、学校、小学校、中学校等の施設が大変機能をしたということを経験をしたわけでございますが、まず都立高校についてですけれども、東京都の震災予防条例指定重要建築物ということでこの都立高校が位置づけられております。その建築基準法に定められました強度の一・二五倍で設計されているというふうに白書に述べられておりますけれども、それでは、都立高校は一般的にですけれども、震度幾つまでの地震が来ても大丈夫なのかということについてお伺いをいたします。 ◯渡辺施設部長 都立高校の建物は震度幾つまで耐えられるかと、こういうお話だと思いますが、地震時の揺れ方は、それぞれの学校のある土地の地盤の状況とか、学校の構造、あるいはまた、震源地までの距離などによって大きく異なってくることから、都立高校は、この震度まで大丈夫であると、こう明示することはいささか困難でございます。しかし、現在の建築基準法における耐震基準は、大地震に対しては、人命の安全を第一として建築物の崩壊を防止することを目標として設定されております。先ほどお話ございましたように、都立高校はさらにこの構造耐力に一・二五倍を設計して、一般の建築物より安全に建築しているところでございます。  なお、さきの阪神・淡路大震災でも現在の耐震基準により建築された建物は被害が少なかったと、こう報告されているところでございます。 ◯藤井委員 今、お話がありましたように、昨年の阪神大震災では、昭和五十六年改正になりました新耐震基準で設計された建物にはほとんど倒壊がなかったということであるそうですけれども、この白書によりますと、右下の表に出ておりますけれども、都立高校全部で二百十五校のうち、新しい耐震基準で建築した学校、それが七十六校、それから旧の基準で建築されたけれども現在の基準をクリアした学校、これが百三十五校とかいってましたね。その他、改築や補強が必要な学校が五十校というふうに出ております。これらの改築や補強が必要な五十校について、教育庁として平成八年度の予算はどうなっているのか、また、これらの高校の改築、補強の計画について、お伺いをしたいと思います。 ◯渡辺施設部長 白書に記載してございます改築、補強を要する五十校についてでございますけれども、平成八年度の予算案では、改築三校、補強二校、次に補強を予定しての補強設計でございますけれども、この七校が計上されているところでございます。  また、校舎等の耐震性の確保に向けて、必要な改築、補強を計画的に行うため、二十五校の耐力度調査経費、十四校の補強調査経費も計上されているところでございます。  今後の計画でございますが、平成九年度に総合三カ年計画に基づきまして、改築三校、補強七校を計画しているところでございます。それ以降につきましては、さらに中長期的な計画を策定いたしまして対応していくよう考えております。 ◯藤井委員 さらにこの表を見ますと、まだ調査していない学校が三十校もあります。まあ、どういう理由かですけれども、やはりまだこういった未調査の学校が三十もあるということについて、早急に耐震診断調査等を行うべきというふうに考えるわけですが、同じく平成八年度予算では、この未調査の学校について、予算はどのように盛り込んでいるのか、また、今後の計画についてお伺いをいたします。 ◯渡辺施設部長 都立学校校舎耐震診断についてでございますけれども、この耐震診断につきましては、東京都の震災予防条例第二十二条を根拠に策定されております第五次東京都震災予防計画に基づきまして、東京都の公共建築物は、都市計画局が実施するようになっております。そこである程度数の限界がございますけれども、都教育委員会といたしましては、この未調査の三十校について、早急に取り組むよう、都市計画局に対して現在も要請しているところでございます。 ◯藤井委員 ぜひひとつ積極的にまたお願いしたいと思います。  次に、先ほど申しましたように、都立高校が地震等の災害があったときに一時避難所の地域の拠点になっているのかどうか。小中学校はたしかなっていると思いますけれども、もしなっていなければ、どうしてそれが一時避難所になってないのかについて、お伺いしたいと思います。  また、同じく都立高校の中に、非常用の備蓄品等の整備状況、どのように整備されているのかについて、お伺いをしたいと思います。 ◯齋藤総務部長 都立学校が災害時における避難所の拠点になっているかというお尋ねでございます。避難所の指定は、区市町村長が行うことになっておりますため、現在、都立学校避難所指定状況につきまして、実態を把握するための調査を行っているところでございます。阪神・淡路大震災を契機として、今後も区市町村長から避難所指定の要請があるものというふうに考えております。都教育委員会といたしましては、これらの要請に対して、積極的に協力する考えでございまして、校長に対してもこの旨、指導しているところでございます。  それから、非常用備蓄品等の整備についてのお尋ねでございますが、都立学校児童生徒等の安全確保のための食糧等の備蓄につきましては、これは都教育委員会が整備をする。また、避難してきた住民の方々のための食糧等の備蓄の整備につきましては、基本的には区市町村がこれを整備すると、そのような役割分担を明確にしております。したがいまして、都教育委員会では、都立高校の生徒が災害時に帰宅が困難な場合に備えて、食糧、毛布等を平成八年度から順次備蓄していく予定でございます。  また、盲・聾・養護学校につきましては、食糧の備蓄は計画的に行ってきているところでございまして、毛布について、平成八年度に備蓄をしてまいります。 ◯藤井委員 今後、積極的に区市町村に協力するということで、前向きなご答弁をいただいたわけですが、もし東京に震災が来たときに、地域の住民の方たちは、小学校だろうが、中学校だろうが、高校だろうが、やはり地域にあるものであれば、そこに避難せざるを得ないわけでございますので、小学校、中学校は避難所になっているけれども、高校はまだですということでは、これは都としての対応が問われると思いますので、区市町村から要請があればということではなくて、逆に東京都の方から積極的に区市町村に働きかけていくべきではないかということを申しまして、この問題について終わりたいと思います。  次に、特色ある高校教育についてでございますが、同じく白書の三〇ページに述べられております。個性化、特色化ということで教育庁としてもいろいろとご努力をされているということについては評価をしたいと思いますが、まず第一点目に、平成八年度都立高校入試選抜に関して、志望予定の調査とか、あるいは推薦に基づく選抜結果の報道を見ますと、普通科の競争倍率が減少している。これに対しまして、専門学科の倍率が上がっているということがありました。特に東京都では、最初の総合学科であります晴海総合高校、これは今回の結果によると、全日制の志望率が二・一四倍、それから推薦入試の応募が三・九五倍ということで、大変生徒の人気が高いということが載っておりました。また、単位制の飛鳥高校推薦入試の応募も三・五八倍と、大変競争率が高かったわけですけれども、その原因はどのように分析しているのか、お伺いをしたいと思います。 ◯加島学務部長 晴海総合高校飛鳥高校は、ともに既設校を再編、あるいは統合いたしまして、新たに設置する学校でございまして、ともに単位制をとっているところが特徴でございます。単位制のもとにおきましては、生徒が自己の興味、関心、進路希望等に応じまして、履修する科目を主体的に選択できる点、これが特色でございますが、こうした点に魅力ある学校として評価されたものというふうに考えております。 ◯藤井委員 晴海総合高校に続きまして、第二総合学科の高校としまして、大田区の羽田高校と羽田工業高校の統合が計画されているわけですが、現在の検討状況、及び今後の建設スケジュールについて、お伺いをいたします。 ◯加島学務部長 第二の総合学科高校につきましては、基本計画検討委員会を平成七年三月に設置いたしまして、基本計画の検討を進めておりまして、近々報告をまとめる予定でございます。  建設につきましては、平成八年度から九年度にかけて設計を行いまして、平成九年度の後半に校舎建設に着手したいと考えております。 ◯藤井委員 今報告ありましたように、新たに計画されております第二総合学科の高校の特色というのは何ですかということを聞きます。また、どのような点に教育活動の重点を置こうとされているのか、お伺いいたします。 ◯加島学務部長 第二の総合学科高校は、羽田高校と羽田工業高校を統合する形で設置いたしますので、この母体校の教育実践を踏まえまして、美術系あるいは工業系等の系列の設置を検討するとともに、また、二つの学校を統合することによりまして、都立高校としては恵まれた敷地を有することになりますので、この敷地を活用いたしまして、スポーツ系列の設置を検討しているところでございます。 ◯藤井委員 今後も生徒一人一人の能力とか、適性とか、進路、こういったものに応じた教育を充実することが重要であると考えます。また、それとともに、これから迎えます高齢社会、こういったものを担う人材を育成することも急務なわけでございますので、東京都は、生徒の多様なニーズ、あるいは社会の変化に柔軟に対応するための新しいタイプの高校として、今まで国際高校とか、新宿山吹高校、そして今述べましたように、晴海総合高校飛鳥高校など、特色ある都立高校を推進したいということは大変評価できるわけですが、ただ一点、先ほどの高齢社会を担う人たちを育成していく意味においても、これからは福祉に関する専門学科、いわゆる福祉学科というものを設置して、これを進めていくべきだというふうに考えるわけですが、これについて所見をお伺いしたいと思います。 ◯加島学務部長 現在、都立高校には、大泉学園高校に福祉コース、また、平成八年度からは野津田高校に看護福祉コースが設置されるわけでございますが、これからもますます進みます高齢化社会に対応して、福祉に関する教育を高等学校においても積極的に行っていく必要があるというふうに考えております。福祉に関する専門学科については、今後、都立高校の個性化、特色化を進める中で、総合学科における系列やコースの設置なども含めまして、総合的に検討してまいりたいと考えております。 ◯藤井委員 ぜひこういった学科の設置について、ご努力をお願いしたいと思います。  最後に二点、教育長にお伺いをしたいと思います。  最初の都立高校の改修、改築に当たって、先ほど申しましたように、地域の防災拠点としての役割を緊急に担っていくべきというふうに考えますけれども、まず、教育長の所見をお伺いをいたします。 ◯市川教育長 藤井理事のお話のように、さきの阪神・淡路大震災でも明らかになったことでございますけれども、災害時には、それが小学校であるとか、中学校であるとか、高等学校であるとかということにかかわらず、避難所として機能することが求められるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、高等学校を初めとして、都立学校の改築、改修に取り組みます際には、学校の防災機能の充実を図ってまいりたいと、このように考えております。 ◯藤井委員 最後ですけれども、今後、いじめ等の問題も出ておりますけれども、やはり児童とか生徒が人間としての豊かな心、あるいはまた、高齢者や障害者に対する優しい心、こういった心を育てていくことが教育の大事な核であると私は考えています。そのために小学校や中学校、あるいはまた高校の教育において、福祉施設との交流、あるいはまた授業カリキュラムの中にボランティア活動を盛り込んでいくというような形で、児童生徒に福祉に対する教育というものを小さいころから実施していくことが大事だというふうに考えますけれども、教育長のご所見をお伺いして終わります。 ◯市川教育長 お話しのように、福祉施設との交流でございますとか、ボランティア活動などの福祉教育につきましては、小中高等学校におきまして、例えば養護学校の児童生徒や地域の高齢者との交流などの内容でもって取り上げて指導しているところでございます。  特に高等学校におきましては、現代社会でございますとか、家庭等の教科で取り上げまして、特別活動につきましても、地域の老人ホームへの訪問など、ボランティア活動を通しまして、福祉にかかわります実践的な教育を指導しておるところでございます。お話しのように、各学校において、そういった人間性豊かな児童生徒の育成を目指しまして、福祉教育の推進に今後とも努めてまいりたいと、そのように考えております。 ◯村松委員 私の方から、まず、都立高校白書を作成した目的についてお伺いいたします。 ◯加島学務部長 現在、都立高校の現状を見てみますと、長期にわたって生徒の減少化が一つ見られると、また、生徒が極めて多様化してきている、こういうような現状がございまして、これが都立高校の課題だというふうに考えているわけでございますが、そうした課題を都民の皆様方にお示しして、都立高校の現状をご理解いただきたい。そしてまた、都立高校にご協力をいただきたい、このようなことから、まず、都立高校の現状と課題について、明らかにしたものでございます。今後、この都立高校の白書、これに基づいて、都立高校の改革について、都民の皆様方にいろいろな率直なご意見もいただきまして、私どもとしては、都立高校の改革を進めていきたいというふうに思っております。そういう意味では、都立高校白書都立高校改革のスタート、あるいは第一歩であるというふうに考えているところでございます。 ◯村松委員 都民に都立高校について一緒に考えてほしい、そういう目的だと受けとめたいと思うんですが、都立高校の現状や問題点を明らかにしながら、都民の声を今後の都立高校の改革に生かすことは今大変大切なことだと思います。そのために白書は、高校教育をめぐる現状を正確に映し出して、結論先にありきではなく、関係者や都民の率直な声を今後の都立高校の改革に生かしていくことが大切だと私は思います。  今、父母や学校関係者からは、生徒減少期の今こそ、いじめや不登校をなくし、どの子にも行き届いた教育を進めるチャンスだ、三十人学級の実現や、受験競争をなくすために高校希望者全員入学を実現してほしい、そういう声が寄せられております。しかし、白書にはこうした要望は反映しておらず、都立高校過剰時代がやってくる、そういうセンセーショナルな打ち出しが、生徒の数が減少しているから統廃合は避けられない、生徒が多様化しているから、新しいタイプの高校の推進と、極めて短絡的に結論づけている感があります。今日、高校と教育が抱える問題を深く掘り下げて分析し、子供や父母、教育関係者の声を生かして、あるべき高校のあり方を真剣に検討すべきだと思います。  そこで、この白書の二ページですけれども、高校生の多様化や個性化が進んだとして、中途退学や不登校など、学校生活に順応、適応できない生徒の増加傾向が見られることを、都立高校が対応を求められる緊急かつ重要な課題として挙げております。  そして、四二ページ、ここで挙げられているのは、生徒の多様化とその問題として、学力の面で、学習のおくれがちな場合や学習の習熟度の差が大きい場合もある。また、進路の面でも、将来の目標を見出せなかったり、目標に対して自信を失ったりするなど、さまざまな悩みを抱えている生徒もいる。さらに問題行動中途退学に至る生徒が少なからずおり、大きな課題になっている、そういっております。また、教科によっては、中学校の学力も備えていない生徒もかなりいるのが実情です、こういうふうに書かれているわけなんですが、こういった問題は確かに深刻な問題であり、克服しなければならない、そういう課題だと思うわけですけれども、この原因をつくったのは何なんだろう。この原因に対して、都の教育長はどういうふうにお考えですか、お聞かせください。 ◯市川教育長 現在、お話しのように、中学生の約九六%が高等学校に進学しております。そういった中で、お話しのように、学力でございますとか、あるいは進路希望、生活習慣、価値観等が極めて多様な生徒が在学しているという事実がございます。それで、その多様化は質的にも量的にも拡大していると考えております。  一方、現在の高校では、このような多様な生徒の一人一人の学習要求と申しますか、そういった事柄に必ずしも十分にこたえ切れていないという面もあるんじゃないかなというふうに考えております。例えば中途退学の多いのも、こういったことが一つの原因ではないかなというふうに考えております。 ◯村松委員 私が教育長にお聞きしたかったのは、こういった状況をつくり出した原因がどこにあったのか、そこを聞きたかったんですよ。今の現状はここの白書に書かれておりますから、この原因がどこだったのかということだと思うんですね。学習のおくれとか、学力の差については、生徒の責任では決してない、そのことはやはり認めていただきたいと思うんですね。むしろ勉強がわかるようになりたいと子供たちは思っているんです。私は、これまで中途退学が多かった学校の先生とそれから生徒のお話を伺いました。先生方のきめ細かな指導によって生きる力を身につけた生徒は、先生は、私が休んでも休んでも見離さないで、細かく指導してくれた、一人の人間として扱ってくれた、この学校で学べて本当によかった、こういうふうにいっているんですね。  また、別の学校の先生は、学習への自信や意欲がなかったり、遅刻、欠席が大変多かったり、さまざまな問題行動を引き起こしたりする生徒も、初めからそうであったわけではない、むしろ勉強がわかるようになりたいという気持ちはだれよりも強かった、強いんだ、そういうふうにおっしゃっておりました。  本来、子供というのは知りたがり屋、また、やりたがり屋、そういうものだと思うんです。そういう子供が多いと思うんですね。小学校に入学するときに子供たちの目というのはぎらぎら輝いている。そういうふうに意欲を持って学校へ来るのに、それが子供たちの発達を無視した超詰め込み教育の中で、一年生から漢字は幾つ、算数はここまで、そういう学習指導要領の中で詰め込みが行われている。詰め込みの代表的なのは算数で、それまで六年生で習っていたミリリットル、これが二年生で習わなきゃならない。また、中学一年生で習っていた最大公約数とか、最小公倍数、それが今五年生で習わなきゃならない。こういう状況に置かれて、もう子供たちは本当に疲れ切っちゃっている。で、先生待ってよ、わからないよ、そういうふうに子供たちが発信をしているのに、先生も、子供たちがわからないというのがわかってても次へ進まなきゃならない、そういう状況に追い込んできた。特に学習指導要領というのは、週六日制を前提にしてつくっている。ところが、今、月二日の週五日制が実施されている。そういう中で、もう先生も子供たちも忙しくて、子供たちのいじめとか、不登校の原因とか、登校拒否、そのことについて丁寧にかかわっていられない、ここまで子供たちを追い込んだのは、やはり学習指導要領だと思うんですね。私は、こういう学習指導要領を見直す必要がある。中途退学や不登校を解決していくのには、背景にあるこういう問題を真剣に検討すべきだ、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◯買手屋指導部長 教育は個人の可能性の伸長を目指すものでありまして、個人をどう伸ばしていくかということになるわけでございますが、ややもすると、今までその方法が画一的、あるいは硬直的であったことによりまして、生徒がなかなか一人一人ついていけないと、こういうような面も確かにございます。できるだけその生徒の個性といいますか、持っている能力、進路希望等に沿った教育をやっていくということを基本に据えていかなければならないと考えております。学習指導要領の点、多々指摘されておりますが、現在、新たな二十一世紀の教育へ向けての学習指導要領も含めて、どうしたらいいかということを中央教育審議会等で議論も始まっております。五日制との連動も議論になっていると伺っております。そういうわけで、今後の教育のあり方は、単に学習指導要領をどうするかということだけではなくて、総体的に考えていかなければならないと、そう考えております。 ◯村松委員 教育が画一的だ、そういうふうにおっしゃっていましたけれども、この画一的な教育を押しつけてきたのが学習指導要領なんですね。で、子供たちも先生たちも追い込んできたと、で、この学習指導要領を見直してほしいという、そういう自治体が全国でもう五百近く意見書を出しておりますし、この東京においても、二十の自治体から意見書が上がっていると思うんですね。ここをきちんと見て、高校白書にしてもやっていかなきゃいけないと思うんです。高校、都立高校は、その裏には、やはり中学校、小学校の問題と大きくかかわってくる、そういう大事な問題であるというふうに思います。  教育庁が高校白書でこたえなければならない緊急かつ重要な課題としている高校生の多様化なるものや、背景にこの多様化の対象とされている学校では、授業はもちろん放課後の生徒指導などに先生方は身を粉にして頑張っているんですね。高校の先生方は、中学校までに勉強につまずいていた子供たちも、一人一人丁寧に声をかければ、学習意欲もわき、勉強もできるようになる。そこの子供さんの声ですが、先生、私偉いよ、授業をちゃんと聞けるようになったよ。高校へ行って、いっているんですね。授業を抜け出してカップヌードルを食べなくなったよ、そういうふうにも変わってきているんです。子供たちが、本当に学校へ行って初めて、授業ってこんなに楽しいものなんだ、生きる力を身につけるってこういうことなんだということが、先生方の献身的な努力で変わってきている、そういうところを見なきゃいけないと思うんです。  そういう中で、東京都では、中途退学対応ということで、不登校を解決するために対応がやられていると思うんですが、一学級を三十人以下にするなど、学級規模を抜本的に縮小することこそ今求められている。丁寧に丁寧に教えて子供たちが本当にわかるようにするには、一クラスの数を三十人以下にすることが今求められているし、勉強がわかるようになりたい、生徒たちのそういう声にこたえて真剣に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯加島学務部長 都立高校の学級定員の問題でございますが、東京都教育委員会といたしましては、平成六年度の入学生から、都立高校において学級定員を四十人としたところでございまして、八年度に全学年にわたって四十人学級が完成するわけでございます。国の方は、現在、第五次改善計画を立てておりまして、十年度に四十人学級を完成すると、こういうことでございますので、国よりも二年早く四十人学級が達成できると、こういうことでございます。  学級定員の問題は、国におきまして、標準法におきまして、高等学校の学級定員を定めている標準がございますので、そして、その標準に基づいて、標準の四十人が地方交付税の算定基準となって財政と連動しているわけでございます。そういうことがございますので、私どもといたしましては、この学級定員につきましては、国の動向、あるいは他府県の動向などを見ながら、今後検討してまいりたい、このように考えているところでございます。 ◯村松委員 人のせいにしないでください。東京都がやる気になればできるような問題なんです、これは。現に四十人学級、全国に先駆けて二年早くやっているといってるんですから、やる気になればできるんですよ。この子供たちの現状をきちんと見て、今何が必要なのか、お母さんたちが何を一番求めているかということになれば、どの子にも行き届いた教育をと、そういうことだと思うんですね。本当にこの都立高校白書を見れば、学力に差があるとか、ついていけないとか、問題があるとかと、そういうのをみんな指摘していますけど、その指摘は、子供たちが悪いかのように書かれている。これを多くの皆さんは怒ってますよ。こういうふうにしてきたのは一体だれなんだ、そういうふうにいってます。そういう中で、現在、中途退学対応として教員が加配されているようですけれども、具体的に東京都ではどういうふうにされているんでしょうか。 ◯買手屋指導部長 まず、中途退学全体への対応でございますが、まあ、何よりも魅力ある学校をつくるということが総体的なものでございますが、具体的には幾つかのことをやっております。例えば生徒の実態に応じた弾力的な教育課程を編成する、その中で、特に進級規定等を柔軟にいたしまして、今までは一単位でも落としてしまえばもう進級できないと、こういうようなことをやっていますが、その辺はかなり弾力的に学校で考えるようになりつつあると、これは私はそう考えております。そのほか、指導体制の改善の部分によりますと、少人数学級等で今何校か行っていますけれども、そこでは幾つかの学校で中退者が減ってきていると、こういう実態はございます。 ◯村松委員 加配することによって成果もあると思うんです。この加配したことによる効果、これをどのように具体的に把握しているか、お聞かせください。 ◯買手屋指導部長 五年度と比較いたしまして、加配している学校に対します中途退学率の減少がどのくらいあるかということに関する、その数は把握してございます。 ◯村松委員 その成果、効果、それを具体的にちょっとお願いします。 ◯買手屋指導部長 最も前年度六年度と比べまして、七年度の、これはある中途の期間の集計でございますが、中退者数が十二人減ったという学校と十人減ったという学校、そのほかは十人以内でございますが、数校減った学校がございます。 ◯村松委員 中途退学が多い学校に一人先生を入れることによってクラスの数がふえると、そのことによって、今のご答弁ですと、十二人、前年度から比べて退学者が減っている、そういうことですね。これはやはり大きな問題だと思うのです。大きな成果だというふうに私思うのです。私も聞いたんですけれども、中途退学対応として、クラスに一人加配したことによって、それまで一クラス四十五人とか、三十八人とか三十九人だったところが、一クラス二十七人にしたと、そのことによってもうんとよくできた、成果が上がったという話を聞いたんですよ。  具体的にどういうふうになるかというと、子供たちがどこでつまずいているのかというのがわかるというんですね。小学校四年生の算数からこの子はわからないと、その子に丁寧に教えることによって退学を免れたと、そういう話を私聞いたんです。やはりこれは東京都としては、もっとこういうのを進める必要があるというふうに思うんですが、で、先ほどのお話ですと、十二人とか十人というふうに聞いて、私の方はパーセントで伺ったんですが、前年度が二五%で、今年度は退学率は一〇%台で終わるだろうという、そういう予想だったということで、やはりこれは大事だ。このことを見ても一クラスの数が少なければ、本当に子供たちが退学をしないで、展望を持って学校にいられる、豊かな教育を受けることができる、それもいえると思うんです。  こういったことこそ、今多くの学校に広げる必要があると思うわけです。すべての高校で三十人学級を実現することは、生徒減少期の今だからこそ何の障害もないはずです。さきの委員会の答弁でも、この委員会の答弁でも、高校をあと三校ふやせば実現できる、そういうことでした。今こそ三十人学級を実現すべきだと考えますが、見解を伺います。 ◯加島学務部長 学級定員につきましては、先ほどお答え申し上げたとおり、今後の検討課題であるというふうに考えておるところでございます。 ◯村松委員 地域のお母さんたちは、来年高校を卒業する生徒よりもことし中学校を卒業する生徒の方が少ないと、これを単純に考えれば、みんな入れるんだと、そういうふうに期待を持っているんですね。ああ、子供たちがあの受験競争の苦しい思いをしないで済むんだ、そういうふうに思ってるんですよ、期待してるんですよ。今、本当に都民が期待しているのは、いじめのない楽しい学校であり、一人一人わかる授業だと思うわけです。そのためには、子供たちを苦しめている高校の受験競争をやめ、どの生徒も希望する学校、希望する生徒は全員入りたい高校に入れるようにする必要があると思います。生徒が減少した今こそやるべきだ、そのことを私は重ねてお願いしたいと思います。  それから二十一世紀に向けてのこの都立高校のあり方を考えるときに、三十人学級や、希望する子供がだれでも高校に入れるような、そういった展望も示せないでいる、そのことをやはり厳しく指摘をして、この高校白書に基づいて、もっと都民やあるいは学校の先生たち、関係者、そういう人たちの声を聞いて、そして、授業を進めていっていただきたい。そのことを希望いたしまして、私の質問を終わりにいたします。 ◯藤田委員 少しページを追って質問させていただきたいと思います。今、目的についてはお話がございましたけれども、この白書を読みますと、現状と課題を中心に述べられているわけですけれども、一部は方策についてもあるわけですけど、じゃどうするんだという部分がなかなか出てないような気がするんですけれども、今後具体的にどんなふうに進めていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。 ◯加島学務部長 現在、都立高校長期構想懇談会を設置しているところでございますので、今後、具体的な方策につきましては、この都立高校長期構想懇談会の答申をいただいた上で、長期計画を策定いたしまして、改革を推進してまいりたいというふうに考えております。 ◯藤田委員 三二ページでございますけれども、いわゆる国際化に対応していくためにはどんなことを行っていますかというのがあります。ここで外国人英語教育指導員、あるいは英語指導助手を配置していますというふうになっておりますけれども、たまたま私のところも高校生がおり、そして、都立高校に通っておりますから、事情聴取をしようと思えばおかげさまで周りに幾らでも事欠かないというような状況にあるわけですけれども、集中したときで一カ月に一度ぐらいだったということで、非常に楽しみにはしていたんだけれども、このような状態で、本当にそれがきっかけで、自分からみずからさらに英語を勉強して習得していこうというような子供もいたかと思うんですけれども、なかなかそういうのが続かないような状況で、一番したのが一年生から二年生にかけてでしょうか、もう今の状況ではそんなのは全然ないようでございますけれども、このようなことで、いわゆる国際化に対応できるのかなというのがありますけれども、今の教員の配置の状況と各学校でどのように活用されているのかを伺いたいと思います。 ◯買手屋指導部長 東京都教育委員会では、昭和六十三年度から各全日制課程及び定時制課程、すべての高等学校に外国人英語教育指導員等を配置しているところでございます。平成七年度におきましては、二百五十六人の外国人英語等教育指導員を配置し、国際理解教育の一層の推進と、外国語教育の活性化を図っているところでございます。ネイティブスピーカーでございますので、英語のことはもちろんのこと、やはり外国人が教えるということで、いろいろ国際理解教育にも役立っているようでございます。  各学校におきましての活用状況でございますが、各学校では原則として、英語I、これは教科名でございますが、それからオーラルコミュニケーションという教科もございますが、その科目にこの指導員を導入しております。したがいまして、生徒は、これはどの学年になるかは特に決めていないわけでございますが、少なくとも一年間にわたって、週一時間、外国人の指導員によるコミュニケーションを重視した授業を受けていると、こういう現状でございます。 ◯藤田委員 今おっしゃったみたいに、いわゆるネイティブなところ、その方がどこからいらしているかというのはみんなすごく興味を持って話を聞くそうなんですね。カナダ人だとかといえば、カナダの状況がどうだというようなことを大変楽しみにしているというふうに聞いておりますし、それから、今度新しい制度で長く商社で表に出てらした方なんかを高校の教員にというような制度もあるようですので、ぜひともこの辺は大いに活用していただきたいというふうに思います。  それから三五ページですけれども、パソコンを一学級分の生徒用に設置をいたしておりますというふうに聞いておりますけれども、これも三年で一度やったかなとかという、そんな程度の話で、小中学校でも同じなんですけれども、なかなかその学校が特に指定校になったり、あるいは先生方で非常に興味をお持ちになって、ぜひともといって一生懸命やっていらっしゃるところは非常に活用なさっているんですけど、カバーかぶって、ほこりをかぶっているというような状況もあるというふうに聞いておりますけれども、ここではどのような対応がなされているのか、そして、その高校の先生方の手当はどのようになっているのかをお尋ねしたいと思います。 ◯買手屋指導部長 ハードの面はすべての高等学校に入れておりますが、それを指導する先生の問題がたしか頭が痛い問題であることは確かでございます。都立高校全教員のうち、いわゆるパソコンを操作可能、これはパソコンを、ワープロ打ったり、アプリケーションソフトを使ったりする、そういうことができるという先生が約六〇%、六割でございまして、そのうち、さらにパソコンを生徒たちに指導できるという教員は全教員の約三六%と、四割弱の教員だという現状がございます。そういう現状の中で、実際には各学校では教科指導、これは数学とか理科とか、専門学科では、商業とか工業で多く利用されているわけでございますが、それから特別活動等のクラブ活動、それから校務処理、あるいは公開科学講座で活用されております。  私どもこの授業でより一層活用できるように、今情報教育を推進する上での指導的な役割を果たす教員につきましての計画的な養成を進めているところでございます。平成六年度末までに盲・聾・養護を含めまして、都立学校の教員九百四十二人が専門的な研修を受けていると、こういうことでございます。今後ともさらにこの研修を充実するとともに、私ども情報教育実践の手引という啓発資料をつくっておりますので、それらを配布し、より活用できるように努力していきたいと、こう考えております。 ◯藤田委員 実際に例えば歴史を学んでいく、古いことを順に学んでいく、あるいは理科でもそういうきちっと今まであることを学んでいくのは重要なことですけれども、やはり今リアルタイムにやっていく、社会と一緒に勉強していくというところは非常に大切な部分だと思います。これがある意味では動機づけになってという、今は子供たちですから、即対応はできるんだと思いますけれども、ぜひその辺もしっかりと対応していただきたいと思います。  それから、三六ページですけれども、多様な選択科目の設置についてというのがあります。設置の状況と生徒の履修の状況をお伺いしたいわけなんですが、これはあるところの校長先生がお話しなさったんですけれども、大変個性化ということでいろいろな学科を予定はする。しかし、大学受験ということがその先に控えていて、結局自分もここをやりたいなと思うけれども、これは大学受験に必要ないからというんで、やはりそこに必要な部分だけをピックアップするような、そういう子供たちがやはり多いということで、実際に学校側が意図したことがなかなか伝わらないというようなことがあるというふうに伺っております。  それからまた、学習指導要領の中では、卒業に必要な単位は八十単位以上というふうに決められていると思いますけれども、その辺も各学校によって大分違うように聞いておりますけれども、いかがでしょうか。 ◯買手屋指導部長 まず、自由選択科目の設置の現状でございますが、第一学年から自由選択科目を入れている学校は、これは六・七%と大変少のうございますが、二学年になりますと、一三・五%、第三学年になりますと、約七〇%の学校で自由選択科目を入れておりまして、その科目数は二千六百九十七科目、一校当たりにいたしますと、十三科目の自由選択科目を置いているということでございます。高学年になるほど設置科目数が増加しておりまして、興味、関心に応じてその選択科目を選択できるようになっているわけでございます。特色ある教科、科目といたしましては、例えば時事英語とか、日本文学講読とか、情報数学、食物、保育、生活園芸なども特色あるものとして挙げられております。  次に、学習指導要領では、八十単位以上を履修修得した場合には卒業を認めてもいいということになっておりますが、これは八十以上で各学校で決めることになっておりますが、以前は九十単位以上を修得しないと卒業できないと、こういう規定になっていた学校がありましたけれども、だんだんその単位数が減ってきているということで、私どもの調査では、平成六年五月の調査でやや古いんでございますが、八十五単位以下で卒業できる学校は全日制で九四%、専門学科で三六%、それから定時制では九六%、定時制の専門学科では八五%と、全体といたしましても八三%の学校が八十五単位以下で卒業できるような規定になってきている。私どもも今後も文部省の定める最低限度の八十単位を修得すれば卒業できるような規定をつくるように今学校を指導しているところでございます。 ◯藤田委員 次に、三九ページです。特色ある学校づくりというのがありますけれども、特色ある教育活動を行っている学校数というものの中に、人権尊重教育、男女平等教育、それから一番下に性教育とありますけれども、私は、これが特徴となるのかなというのをすごく残念に思うというか、これはもう当たり前で、どこの学校もしっかりとやっていなくちゃいけないことであって、都庁全部が挙げて男女平等施策をやっているわけですよね。人間尊重の教育を改めていわなくちゃいけないほど、今尊重されてないのかなとか、あるいは今問題になっております青少年健全育成条例の中でも、六十三年の答申の中で性教育をしっかりやっていこうというようなことも全部入っていたと思うんですけれども、この特色ある教育という学校ではなくて、普通の学校はどんなふうになっているのかを教えていただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 ここにあります人権尊重教育、男女平等教育、性教育等に関します教育課題、これはすべての学校で日常的に行うということは全く藤田理事のご指摘のとおりでございます。教育委員会でもこのような教育課題を真剣に受けとめまして、各学校がこれらの課題に対しまして、積極的に取り組むように指導しているわけでございます。  具体的な進め方の問題でございますが、私ども、これらの教育活動につきまして、研究指定校を設けまして、そこでやはり指導内容、方法、いろいろあります。また、先進的な研究も取り入れなければなりません。そういうような研究活動を研究的に実践していただいて、各学校にその結果を配布して、そして各学校の全体でこういう課題について真剣に取り組んでもらおうと、こういう方法をとっております。そういう意味で、推進校、あるいは特に特色のある活動ということでいろいろな試みをしていただいていると、こういうことでございます。 ◯藤田委員 性教育のマニュアルがある、それから男女平等についてもそういうものがある、それを推進校でいろいろな方法で検討してもらう、そしてそれぞれの学校でもそのことについては十分わかっている。だけども、そこが本当にどのような方法で教えられ、そして生徒たちにどのように理解され、それがきちっと社会的な中で認められるような行動ができるかどうかというところがやはりなければ、教えたというふうにはいえないんじゃないかと思うんですよね。
     これは生徒たちは、逆さまにいうと、はい、わかりました──日本語同士で授業やっているわけですから、わかったというのは当たり前だよ、英語でやってんじゃないよ、授業は。試験ができたかできないかによってわかったかわからないかを判定するって、子供たちはいわれるんですよ。だからそれは、逆さまにいえば、やはりこれらは、先生方が教えたことがきちっと生徒たちに身についていなければ、教えたうちには私は入らないんじゃないかと思うんですね。  だから、そういう意味では、その推進校から、どのようにそれぞれの学校、そして子供たちにきっちりと伝わっていっているかというところがやはり抜け落ちては困るなというふうに思います。  それから、四三ページです。  生徒指導が大変だというのがありますけれども、いわゆる「喫煙や飲酒、暴力、窃盗に加え、一部の学校には、薬物乱用、性非行などの問題行動もあります。」というふうにありますけれども、私も大変これは危惧をしておりまして、薬物乱用というところでも、今実際に、ダルクという民間のリハビリテーションをやっている、薬物から脱しようという人たちの集まりがあるんですけれども、そういうものが公的な部分でないものですから、みんなそういう人たちはダルクに行きなさいと周りの人たちもいうんですけれども、なかなかNPOでやっているような形なので経営が難しいというようなところもあるんですけれども、その人たちは、思っているように、薬物といっても、いわゆる麻薬がたくさん入ってきているよ、非常に危惧しているよというのを、今一生懸命おっしゃっているわけです。  だから、私たちの目には案外、シンナーでとかと、そんな程度にしか考えてないようなものも、ある意味では、軽いというか、片方では手軽に入れられるものとしては、それこそかぜ薬だって、商品名いってはあれですけれども、ブロンみたいなものはもう、それを二、三本飲んでしまえば、それだけで薬物のあれで作用があるわけですから、そういうのは簡単に手に入るというようなところからすると、本当に非常にいろんな意味で危惧をしていることなんですけれども、この実際面、どんなふうに認識をして、そしてどういう手当てをしていこうとしていらっしゃるのか、お伺いをいたします。 ◯緒方体育部長 生徒の生活指導に関した問題でございますけれども、これはごく一部の生徒についてでございますが、喫煙、飲酒、あるいは薬物乱用、性非行等、問題行動がございまして、このことは、前途ある高校生にとって極めて残念な状況であるというふうに考えております。また最近、生徒の帰宅後の生活行動が多様化しておりまして、問題行動が学校から見えにくくなっていることも、一つの課題となっておるわけでございます。  各学校におきましては、生徒の生活実態把握に努めまして、問題を持つ生徒に対しては、家庭や関係諸機関と連携を図りながら、過ちを繰り返すことがないよう、適切に指導していくことが大切であるというふうに考えております。  また、問題行動への対応だけじゃなく、性教育や喫煙、飲酒、薬物乱用防止等の教育を通じまして、もう少し自分自身を大切にする気持ちや、自分の健康に対する問題意識を高めていくことが重要であるというふうに考えております。  都教育委員会では、生活指導主任による生活指導研究協議会を定期的に開催したり、事例研究や情報交換等を行いながら、生活指導の充実に努めておるところでございます。また、平成六年度には、飲酒、薬物乱用防止に関する指導資料の作成をいたしております。今年度は、「性教育の手引」の改定を行うなど、学校におけるこれらの教育の推進を図っているところでございます。  今後とも、これらの施策の一層の充実を図りながら、生徒の健全育成に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◯藤田委員 ちょっと言葉じりをとらえるようですけれども、一部の生徒が喫煙なんていうのは、ちょっと認識がどうでしょうかとは思いますけれども、これは、二十になったらやめるわというような子供たちが多いようですから、大変これもあわせてあれですけれども……。  それから、地域にやはり精神科のお医者さんとか、それから薬剤師とかということで、麻薬撲滅などに大変、地域の中でいろんな指導をやっていらっしゃる方がいらっしゃいますので、ぜひ高校側もそういう方をお呼びになって、実際のところでお話できる方をぜひ活用していただきたいなというふうに思います。  それから、八〇ページです。  バランスのよい教員の配置が必要というふうに述べられているわけです。実際には、前のときにもいわれましたが、新規採用が非常に少ないというところで、この部分をどんなふうに解決策を考えていらっしゃるかを教えていただきたいと思います。 ◯横川人事部長 大幅な生徒数の減少によりまして、ご指摘のように教員数を削減せざるを得ない状況でございます。また、教員の削減数以上に退職者が確保できません。多数の過員を抱えている状況でございまして、新規採用教員の採用が困難な状況になっていることは事実でございます。その結果、年齢構成や新規採用の教科科目等など、バランスが大きく崩れているわけでございます。  私どもとしては、ベテラン教員とフレッシュマンの教員とがお互いに切磋琢磨しまして高校教育をやっていきたい、そういうように考えておりまして、今後とも積極的に定数改善に努めるとともに、例えば、現職教員の活用策や勧奨退職の促進策など、新規採用教員の確保策を今後も検討してまいりたい、そういうふうに考えております。 ◯藤田委員 それに加えて、先生方が指導をなさるのが、いわゆる指導要領にのっとってマニュアルの分だけを教えるといいますか、その中にいわゆる話として、一般教養があるのかないのか、大変いいにくいことなんですけれども、やはりちょっとその辺がもう少し、なんていうんでしょうね、全体のバランスがとれた人たちが子供たちを教えるというようにならないかなというのが、非常に感じているところなんです。  というのは、質問をしても、その中から出たら一切だめというような状況とか、それから、現状とその教科とのかかわりというようなのを聞いても、それは全く答えがないとか、そういうようなことからすると、これが可能かどうかわかりませんけれども、ある意味では、新規採用三十歳ぐらいがいいのかなんて思ったりもしたりするんですけれども、いろんなところで経験積んできてからでも、もう一回、やはり私は教師がやりたいというような、私の仲間にもおりましたけれども、そういうふうに考えてできることがあればと思いまして、そのことはいかがでしょうか。 ◯横川人事部長 現行の教員採用選考は、採用年度三十五歳以下を対象に実施しているところでございます。現在の高等学校の教員の年齢構成は、大体三十歳から四十四歳ぐらいが主力でございまして、平成八年度の高校の採用状況を見ましても、既卒者が七割を占めている、そういうような状態で、平均年齢も二十七歳、そういうふうなことになっております。年齢構成のアンバランスの是正につながっていないことは、ご指摘のとおりの事実でございます。  また、大学卒業後そのまま、あるいは講師の経験を踏まえまして教員になる方が多いので、いわゆる学校以外の社会体験を積まないというようなことで、ご指摘の状況もあるかとも思いますが、今後は、校内研修や研修体系の改善が必要かと、そういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、ご指摘の件につきましては、一つの提案と受けとめさせていただきますが、一方には新規学卒者の就職の問題もございますので、今後、長期構想の懇談会等の意見も踏まえながら検討していきたい、そういうふうに考えております。 ◯藤田委員 八一ページですが、学校施設・設備というところで、町を歩いていると昔の木造校舎に比べると物すごい立派な校舎が、というのが書いてありますけれども、私も本当に、一昔前とは比べものにならないほどすばらしいというのは、ある意味では外観でしか見なかったりするんですけれども、そんなところが多いように思いますけれども、これが、その計画時期が、いわゆるバブル期だったから立派なものが構想されて立派なものができたというんじゃ、今、都財政が非常に逼迫している中で、次に計画しようかというところは非常に不公平だなというような感じがありますけれども、どんな基準といいますか、お考えで建てていらっしゃるのかを教えていただきたいと思います。 ◯渡辺施設部長 都立高校白書の八一ページに表現されております、立派な校舎という意味について最初に説明させていただきたいんですが、このことは、いわゆる華美にということではなくて、従来、特に急増期などに建築された建物は、極めて画一的かつ固定的で、ややもすると温かみにも欠ける無機質的な校舎であったわけですが、それに対しまして、個性的、機能的で、かつ多目的で、ゆとりと温かみがあり、地域との調和のとれた施設設備づくりが必要になっているという、こういう認識を述べたところでございます。  このことはまた、学校の個性化、特色化や、教育内容の高度化、多様化、あるいは地域の生涯学習への貢献などの今後の高校教育の課題のみならず、今日のいじめや中途退学などの問題に施設面からもアプローチしていこうという、こういう考え方、要するに新しい発想に基づいてこれからの校舎の建築は考えていく必要がある、こういう考え方でございます。  特に、最近の校舎の改築はこうした考え方に基づいて実施してきたわけでございますが、今後の校舎につきましても、これから適正規模あるいは適正配置の中で学校数の減が見込まれることはあっても、これまでと同じような考え方で、より一層親しみやすい校舎、またそれにかかる必要な経費はきちっと積み上げまして、改築に当たっていきたい、このように考えているところでございます。 ◯藤田委員 私も一昨年の委員会の中で、センチュリー計画といいますか、建設省から出ている、いわゆる外側は百年もたすのをつくろうよ、中は幾ら改装してもいいんだけれども、環境に優しいということで、そういう廃材を出すのを少なくしよう、そんな構想が建設省の方で出ているようですので、そんな提案もさせていただきましたけれども、ぜひそんなところも含めてお願いをしたいと思います。  それから一〇〇ページのところですけれども、生徒減少期を教育条件の好機ととらえているというふうに述べられていますけれども、何をどんなふうに改善していきたいのか、いくのかというところをお願いしたいと思います。 ◯加島学務部長 生徒減少に伴いまして生じてまいります施設の余裕、あるいは現職教員の活用によりまして、教育諸条件の改善を進め、都立高校の質の向上を図っていきたいと考えているわけでございますが、この問題につきましては、先般設置いたしました都立高校長期構想懇談会に、教職員の配置、施設設備など、教育諸条件の整備について諮問したところでございますので、同懇談会で十分審議していただきたいと考えているところでございます。 ◯藤田委員 例えば、今四十人学級なわけですけれども、三年生になると、先ほどお話がありましたように、それぞれ選択になりますから、大分人数的には少ない学級が多くて、二十五人であるとか三十人であるとかというふうになっているわけですね。  子供たちに聞いてみますと、四十人でも二十人でも二十五人でも変わらないというんですよ。どういう状況なのと聞いたら、先生が一方的にしゃべる授業だったら別に変わんないよというわけです。  だから、授業をどういう内容にしていくのかというところがしっかりとらえられないと、学級定員数というのは、私も少ない方がいいと思っている一人ですけれども、でも、少なくして、どういう授業をしていくのかというところをやはりしっかりととらえていただきたいというふうに思うんですね。  社会科なんかだったら、今の問題についてディベートなり何なり、討論していくというようなことまで含めたら、やはりそれは四十人じゃ多いですよ。二十人から三十人の中でやっていくというのが、我々のこういういろんな活動にしてもそうですけれども、やはりそういう授業内容を踏まえてその辺はしっかりと、懇談会の中でも多分提案をされると思いますけれども、やっていってほしいと思います。  それから、同じ一〇〇ページのところですけれども、適正な就学計画の策定というふうに述べられているわけですけれども、この適正というのは何が適正かをちょっとお伺いいたします。 ◯加島学務部長 現在、公私の間で高校就学計画をつくっているわけでございますが、その就学計画は、都民に生徒の受け入れを約束しているものでございますので、その達成に最大限の努力をしなければならないというふうに考えております。これまで、都立私立を合わせた全体の受け入れ状況は、計画を達成できないで今日まで来ているわけでございます。  そういうことから、適正な就学計画とは、計画進学率や公私の受け入れ分担などについて、今後さらに公私の協議を深めまして、高校に学ぶ意欲と熱意のある生徒を一人でも多く受け入れることができるような計画を策定し、その実現に努めていくことというふうに考えているところでございます。 ◯藤田委員 都立の場合には、昨年の状況ですと、一〇七%でしょうかね、計画よりも一〇七%になっている。私学が八八%であった。その差が結局、先ほども出てましたけれども、もう昨年よりずっと少なくなったんだから、みんな入れるようになるんじゃないかと、だれでも普通思いますよね。ただもちろん、私学が人数減らしていくという状況がありますので、その辺を勘案してもあれですけれども、何とかやはりきちっと、こうして計画をされたことを達成できるような方向をしっかりとしていかないと、いつまでたってもそこが、私のところはああいう生徒はとりたくありませんのでとりませんでしたで済まされる問題ではないと思うんですね。  やはりそこはきちっと、ある意味では都民に約束した数字ですから、そこのところもクリアができるような努力をしていただきたいと思いますし、現状はこういうことなんだというのも、ある意味では公表をしていただければというふうに思っています。  それから最後に、先ほど一番最初に、具体的にどういうことなんだということで白書のその後ということでお聞きいたしましたけれども、長期計画を策定しというところがありました。やはりさっきの性教育のところでもお話ししましたけれども、ある意味では、例えば進行管理計画といいますか、どれだけきちっと問題がというか、クリアできたかという進行管理計画を立てるようなことも考えて、いじめも不登校もそれから中途退学も、こういうことを実施しているけど実際にはなくなりませんでは、やはりいろんな施策が本当にいいのかどうかというふうに思ってしまいますので、ぜひともその進行管理計画の考え方を入れてやっていただきたいと思うのと、それから、先般長期構想懇談会にはご提案した中身を考えていただきまして、都民の方の公募ということで、また新しい意見もたくさん出てくるかと思いますので、ぜひ前向きに、そして、教育こそ私は分権ではないかというふうに思っていますので、その辺も、例えばスウェーデンで行われたフリーコミューンなんかも考えてみても、親たちもしっかりと学校の中に入っていこうよというような考え方もありますので、ぜひ都民の要望にこたえるような懇談会の結果を出していただきたいと思います。 ◯植木委員 先ほど来の論議を通じて、今の高校教育の現状がどうなっているのか、その深刻な状況等、いろんな角度からいわれていますけれども、その原因は何なのか、そして子供の成長の視点からとらえていくことの重要性、私もその点が非常に重要だと思うんですが、私は、そういうことを前提にいたしまして、この白書と、それから教育委員会の進めようとしている方向性、それから進め方、こういう点についてお聞きしたいというふうに思います。  まず最初に、先ほどもありましたけれども、白書の位置づけと、それから、改善検討協議会というものが昨年の私の十一月の質問の中でも出ましたけども、その協議会と、それから今回の長期構想懇談会、それらの関係についてはどのように考えておられるんでしょうか。 ◯加島学務部長 白書でございますが、都民に都立高校のありのままの姿をお示しして、都立高校が抱えている課題についてご理解をいただき、さらに都立高校の改革についてご意見とご協力を得るために発行した、こうしたものが白書の目的でございます。  そして次に、都立高校改善検討協議会でございますが、これは教育庁内部の検討機関でございますが、長期構想懇談会の発足を控えまして、教育庁内部で、生徒減少期における都立高校のあり方について論点を整理、検討しているものでございます。二月半ばには検討経過を内部資料としてまとめる予定でございます。  長期構想懇談会は、教育委員会の諮問機関として四点にわたって諮問をして、現在、審議をいただいているところでございます。 ◯植木委員 今、三つの関係が述べられたんですが、いずれにしても、都教育委員会の指導のもとでそれぞれが役割分担されてきているというふうに思うんですが、一つは、昨年の十一月の段階で私が聞いたらば、改善検討協議会は十二月中に結論を出すんだ、こういうご説明がありましたが、今日の時点でまだ出ていない。生徒減少期における学校のあり方について検討しているんだ、こういうことですが、これは、白書や、ほかでもいっておりますけれども、規模の適正配置等のいわゆる統廃合についての具体的な施策の方向性というものについて整理、検討しているというふうに伺っているんですが、その検討結果、具体的な方針というものが出されるのですか、その辺どうなんでしょうか。 ◯加島学務部長 この検討会は、教育庁の内部におきまして、長期構想懇談会を設置するに当たりまして、その準備として検討を行っているものでございまして、これは教育庁の方針として外部に発表するとか、そうした性格のものではございません。 ◯植木委員 先ほどから内部内部といっていますけども、同じ教育委員会のもとで出されておるわけですし、明確に先ほどいわなかったけれども、統廃合についてのあり方の整理をする、こういうふうに私は聞いているんですけれど、この点の確認を含めて質問したんですが、それはどうなんでしょうか。 ◯加島学務部長 私どもといたしましては、都立高校の課題に対して重点となるポイントが三つあるというふうに考えております。一つは、都立高校を個性化、特色化していくこと、二つ目は、教育諸条件の整備に関すること、そしてまた三つ目が、都立高校の規模及び配置の適正化ということでございます。  したがいまして、この三つのポイントにつきまして、この検討会の中で検討をしているところでございます。 ◯植木委員 三つについてというお話がありましたけれども、十二月中に出す予定だったのが、どうしてなのかわかりませんけども、二月、現在に至ってもまだ出ていないわけでありますが、出ていないにもかかわらず、この懇談会設置に当たっての内部検討だと。非常によくわからない関係になっている。  三つの方向だけは、懇談会に諮問した内容とほぼ一致すると思うんですが、改めて、懇談会にどういう内容を諮問したのか、その点についてお聞きしたいと思います。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 都教委が長期構想懇談会に対して行った諮問内容についてのご質問ですけれども、私どもといたしましては、都立高校に学ぶ生徒の学習意欲、あるいは進路希望等の多様化、こういったものの一層の進展と、それから長期的な生徒数の減少が今後も見込まれるという、この二つの現状を踏まえまして、来るべき二十一世紀に向けて、都立高校の課題の解決を目指すとともに、高校教育に対する都民の期待にこたえて、都立高校の改革を図るための長期構想を策定する必要がある、このように考えております。  策定に当たりまして、将来の都立高校のあるべき姿について、創意ある意見をちょうだいするために、四つほど、一つは都立高校の個性化、特色化に関すること、二つ目は教職員の配置、施設設備など教育諸条件の整備に関すること、それから三番目が都立高校の規模及び配置の適正化に関すること、四つ目が、そのほか、以上に関連します都立高校の改革に関すること、この四点について諮問したものでございます。 ◯植木委員 先ほどの内部で検討している方向性と諮問の中身がほぼ一致して出されているということですが、いずれにしても生徒減少期にというのを、一つのポイントといいますか、キーワード的にいろいろ書いている。  白書の方では、じゃその点がどうなっているかということで、この白書の二ページに非常にはっきりと書いてあるんですね。「この十三年後の『約六万七千人』をもとに、現在の都立高校の学級定員(四〇名)などの『現在の基準』を単純にあてはめて推計してみると、何と四〇校を超える都立高校が余る計算になります。『都立高校過剰時代』の意味がここにあります。」、これは表題に「過剰時代がやってくる!」と書いてある。  その後に、「この数値は『現在の基準による単純推計』の結果ですので、この数値をめぐってはいろいろと議論のあるところです。しかし、いずれにしろ、都立高校の適正な再配置が必要不可欠な課題となってきていることは間違いない事実です。」「『この冷厳な事実』を、都民の皆様とともにどう考えていくのか──私どもに課せられた緊急かつ重大な課題です。」と。  つまり、過剰時代がやってくる、四十名学級を当てはめると四十校余る、こういうことで、その後もいろいろ出ているけれども、いずれにしても、適正な再配置、統廃合、これが必要だという結論がつけられております。  これは、全部共通してやはり結論が先にありきなんですよね。だから、論議するのはどういうことかというと、どういう統廃合を進めていくかという論議の範囲内にずっと押し詰められて前提条件が明確になっている。議論のあるところはと書いてあるけれども、実際そうじゃない、なっている。これは非常に私は問題だと思うんですよね。ですから、今のところの、そういうことでずっと押しとめていって、懇談会に、論議の中身はこうだよというふうに周りが迫っていっているわけですね。  改めてその点で、十一月二十一日の委員会では、まだこの白書自体、私もらってなかった。新聞報道、朝日新聞の報道によると、とにかく将来都立高校の四分の一が空き家になってしまうよという報道を見て、びっくりして質問したわけなんで、改めて白書をいただいた上で正式にちょっとお聞きしたいと思うんですが、学級定員を四十人、これを単純に当てはめた場合、これはここに出ているわけですが、一応当てはめた場合と、それから三十五人、三十人の学級で検討した場合、高校数がどうなるか。極めて白書が単純にいってますから、私も単純にお聞きします。 ◯加島学務部長 この白書の試算と申しますか、これには一定の前提がございますが、同じような前提で計算した場合にどうなるか。学級定員を四十人、それから三十五人、三十人で変えてみたらどんなふうな学校数になるか、そういうシミュレーションでございますけれども、三十五人学級で計算した場合には百八十一校が必要である、二十八校が余るということでございます。三十人学級で計算した場合は二百十二校で、三校の増が必要である、こういう計算になります。 ◯植木委員 そうしますと、ここに、いろいろ議論があるがというのは、そういうシミュレーションをいろいろやっていけば、ほかの結論が出るよということだと思うんですよね。  そうしますと、その点で重ねて聞きたいんですが、今回、四十人学級をシミュレーションでセンセーショナルに発表したということですが、これから都立高校のあり方を考えていくということになっているわけですが、この論議の前提というのは、四十人学級を前提、つまり固定化するんではないんでしょうね。その辺はどうでしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 先ほどの諮問事項の中にもございましたけれども、二番目に教育諸条件の整備ということを懇談会に諮問してございます。生徒一人一人に応じた多様な教育や、都立高校の個性化、特殊化を進める上で必要な教職員や施設設備などの教育諸条件の整備についてのご検討をお願いしたものでございます。  その中で、学級編制につきましても、学校の実態に応じて、必要な場合に弾力的な学級編制を行うなどについて、懇談会の場で協議、検討されるものというふうに考えております。 ◯植木委員 つまり、四十人学級を前提にしないで、懇談会でよく論議する、こういうことですよね。これは大前提。そうすると、各論の教育条件、今の話の中に教育条件の問題とかありましたけれども、それぞれにわたって、全部がやはり前提条件にはしないわけですね、四十人学級というのは。論議の上、結果としてどうなるかということですね。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 私がただいまご説明申し上げましたのは、今後、都立高校の二十一世紀のあり方について、構想懇談会で検討されているということで、その構想懇談会の中でのお話を申し上げた次第でございます。  先ほど、四十人学級の学級編制基準のお話につきましては、学務部長もご答弁申し上げましたけれども、国ですとか、あるいは他団体の動向、こういったものを見きわめながら、教育庁としては、そういう中で、今の懇談会の検討状況なんかも十分お聞きしながら、今後検討してみるべき課題だというふうに思っております。 ◯植木委員 懇談会の検討なんかも参考にするといういい方をした。懇談会は非常に軽視されている感じですね。まあ、軽視されているんなら、それだけ大きな都民的な論議が必要なんでしょうけれども、そうすると、いずれにしても、四十人学級は前提でない、あるいは国の動向、それから懇談会での論議、そういうものを踏まえていく。  そうなると、これはちょっと表現がおかしいんですよね。先ほどシミュレーションでちょっと三十人学級とか出してもらいましたけれども、いろいろあると書いてあるけれども、過剰時代という表現が適切でないんですよ、これ。場合によっては過剰でなくなる場合だってあるのであってね。だから、何かこれはもう先に結論が出ている。先ほどの統廃合、今度は過剰時代、非常に押しつけがましい表現がまず最初に来ているんですよ。  そういう意味では、この過剰時代がやってくるとか四十校余るだなんて、僕はこういうのは不適切ですから削除すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。 ◯加島学務部長 白書におきましては、長期にわたる生徒減少がある、その生徒減少が現在の都立高校にどういう問題をもたらすかという点から書いているわけでございまして、その中でわかりやすく示すために、生徒減少の中で現在の基準で計算すれば四十校程度が余ることになる、そうした問題提起を正直に行ったものだということでございます。おっしゃるように、基準を変えれば、いろいろなシミュレーションはございます。 ◯植木委員 そうすると、過剰時代という結論はおかしいんじゃないですか。いろいろ論議すれば別の計算もあるといっているわけですから、過剰時代というのはおかしいんじゃないですか。 ◯加島学務部長 現在の基準は、法律で定められた基準でございますから、これを前提に計算するというのは普通の考え方であろうというふうに考えております。 ◯植木委員 都の独自にできる内容というのはあるんですよ。先ほどもありましたけれどね。それはいいわけなんですよ。とにかく一斉に各社、先ほど朝日新聞の例挙げましたけれども、四分の一が空き家になるという、こういう表現。いよいよ統廃合。読売新聞の社会部の記者からも、こういうのが新聞に載ってましたよ。単純な試算をもとにした統廃合方針だけでは関係者の不安をあおるだけ、深刻な現状がどこから来ているのか、もっと十分に分析した上で現実的な意見を示すことが大事だと指摘されているわけです。安易な再編よりも改革の地盤づくりをと、こういう読売新聞。これも一つの意見でしょうけれども、そういうふうにとられざるを得ない内容で発表されているんですよ。  ですから、やはり結論まずありきで、結論まずありきで押しつけたやり方というのは、やはりいろんな問題が出てくるんですよ。先ほどの質問の中にもありましたけれども、深刻な状況をもっと分析して、東京都自身の政策がこれまでもよかったのかどうかとか、それから文部省の学習指導要領についての意見書が上がっているけれど、どうなんだろうとか、学校現場の先生たちがどういうことで悩んでいるのか、子供たちの悩みは何なのか、そういうことをよく分析することが必要なんですよね。  結論だけ押しつけるというやり方が、一貫して都教育庁の指導のもとでとられている。統廃合、ずうっと、四十人学級、ずうっと、過剰時代、こういうやり方。これはこれだけに限ったことじゃないんですよ。  例えば定時制高校の問題もそうですよね。定時制高校のときも、あの統廃合の問題出されたときに、想定だという前提はありましたけれども、定数と現員との関係で二千八百数十名が統廃合の対象になる、こういう想定をしている。お母さん方びっくりする。子供たちもね。OBの人たちもびっくりして、本当に大々的な署名が東京都にも来ましたよね。我々も要請受けた。前にも論議があった。  そういう、センセーショナルにまずぼんと結論だけ出して、それで、これで論議しろみたいな、こういう上からの、何ていうんですかね、上意下達というんですかね、こういうやり方が一貫してるんですよ。定時制の問題もそうだ。それから京橋高校と京橋商業の統廃合の問題でも、最初は学校の先生なんかも入って検討の場もあった。いつの間にかそれがなくなってしまったとかね。  東京都の我々の予算のときには、総合選択制として予算では提起されてきたのが、いつの間にか、全く性質の違う、文部省が進めている総合学科制の学校として提起される。我々驚きですよね。とにかく結論だけぼんと持ってくる、やり方がね。  今度も同じようにやられるのかという印象を僕はまず第一に受けたんです。過剰時代がやってくるというのは、開いた最初ですよ、これ。そうじゃなくて、論議の結果としてなるほどそうだということと、おまえたちこういうことなんだぞ、こういうことは違うんですよ、全く。  だから、先ほど、四十人学級は前提にしないというのを念のために聞いたのは、本当に論議を尽くして、その結果としてどういう結論が出るか、こういうことで都民的な論議が僕は必要だと思うんです。  とにかく教育というのは最も民主主義というのが大事ですからね。その民主主義を大事にしなければならない教育庁が、そういう非民主的な上意下達をやるということ自体を、僕はもうちょっとただす必要があると思うんです。  それから、僕は、都立高校の改革の方向という点では、よく分析してという前提はありますけれども、高校生の成長だとか発達とか、そういう観点を貫くということが非常に重要だ、こういうふうに思って、教育的な観点ですよね、その辺はいかがでしょうか。 ◯買手屋指導部長 高校の個性化、特色化を進めていくときに、やはり生徒の側から見た観点ということ、これは非常に重要なことであると思います。生徒にとって、当てがいぶちではない、生徒自身が自己実現を図ることができるように、生徒の学習要求に応じた選択の幅の拡大が図れるようになる、これがポイントだと思います。  そのためには、学校は、器の個性化だけではなく、やはり個々の生徒から見ましても、可能な限り個性を生かせるような学びの場にする、こういうことが基本的に重要──今後、高等学校の改革を進めていく場合に、やはりこの視点は十分必要ではないか、こう考えております。 ◯植木委員 この視点というふうに狭くするというのもちょっとなんだと思うんですけれど、いずれにいたしましても、やはり、子供たちが何に悩んでいて、そのつっかかっていることは何なのか、そういう丁寧な教育ができるということをつくり上げていくことだと思うんですよね。  でも、僕は、今の白書の前提というか、先ほど統廃合という問題もいろいろ出てきたけど、本当にそうだろうか、そういうことが教育庁貫かれているだろうかと、ちょっと疑問に思うんですよ。  一番いい例は、いろいろそういう実例は先ほども出しましたけれども、二十一世紀行財政懇談会報告でもこの統廃合の問題が位置づけられているわけなんですね。僕は、そういうところから来ているような気がしてならないんですが、二十一世紀行財政懇談会では、都立高校についてはそこの点はどういうふうに考えているでしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 いわゆる二十一世紀への行政改革という二十一世紀懇の答申での都立高校の位置づけのお尋ねでございます。  二十一世紀を展望する新たな都の行財政のあり方を考える懇談会が平成七年十一月に行いました答申におきましては、都立高校については、スポーツ施設の地域団体に対する開放の一層の推進と、文化施設の開放の検討の提言、入学金徴収の検討の提言とともに、個性化、特色化の推進や教育条件の改善とあわせ、その必要数を検討し、統合するなど、規模、配置の適正化を図っていくことが望まれる、こう提言されております。  この答申は、高齢化、少子化、国際化などの時代の変化に対応して、都政が限られた財源や人的資源の中で積極的に施策を展開するために答申されたものでございます。その中で、少子化の進行という状況に対応して、行政改革の観点から提言されたものとして受けとめております。 ◯植木委員 つまり、鈴木都政のときからずっと二十一世紀の行政改革の検討が進められる中で、やはり統廃合という問題がきちっと、先ほどの規模、配置の適正化ということで結論づけているように、そういう財政面だとかそういうのがやはり先に立って、教育的観点から見てどうだったのか、どういう学校が必要か、その結果としてこういう絵柄だよということじゃないんですよね。これも一つのその特徴の例だと思うんですよね。  そういう意味で僕は、都立高校のあり方については、何よりも幅広い都民的な論議が必要だと思うんです。先ほど、懇談会というのは参考にといっていたと思うんですけど、僕は懇談会に狭くしなくてもいいと思うんです、本当に都民的にやるならね。  そういう意味で、私、中野が出身の区なんですけど、中野区では教育委員が準公選でしばらくやられました。そういう中でつくりあげてきたものとして、地域に教育委員さんが出ていって懇談をするわけですよね。それは、学校の先生とやる場合もある、PTAのお母さんとやる場合もあるし、一般の都民とやる場合もある。そういう中で、本当に幅広い都民的な論議が培われるということは、僕は非常に大事だと思うんです。もちろんその意見が全部取り入れられるかどうかというのは、それは別の問題として、そういう場を提供するということは僕は必要だと思うんですよね。  そういう意味で、各地域ごとに、教職員、父母、高校生、あるいは、それこそ進路指導担当なんかの悩みなんかもちゃんと受けとめる、そういうことでの教育懇談会、こういうものをやったらどうかと思うんですけど、いかがでしょうか。 ◯加島学務部長 この都立高校の改革を進めるに当たって、幅広い都民の意見を聞いたらどうかという、そういう観点からのお尋ねだというふうに思っておりますが、私どもといたしましては、東京都が広域団体であるということを踏まえましてお答えしたいと存じますが、都立高校白書を発行したのも、都民の皆様方に都立高校の現状についてご理解あるいはご協力いただきたいという趣旨から発行しておりますし、また、今回の都立高校の改革を推進する上で懇談会を設置いたしましたけれども、その懇談会も、各界から幅広く入っていただく、あるいは公募の委員も入っていただく、そしてこの懇談会をオープンにしていくというようなことで、幅広い議論を期待しているところでございます。  さらに、私どもといたしましては、一般都民の方々のご意見がどんなものにあるのかということをお聞きする必要があると思っておりますので、世論調査も実施に移したところでございます。 ◯植木委員 僕は積み上げが必要だと思うんですよね。大体、東京都の内部検討だって、従来でいえば一年間一つの課題にかかっているわけでしょう。今回、半年ぐらいで短期間に仕上げようというんで、僕は去年そのことについて指摘をしましたけども、半年から一年、都の内部検討だってかかっている。都民的論議やるのに、やはりそういう積み上げが必要だ。誤解によるものもあるでしょうし、あるいは積極的な意見もどんどん出てくるでしょう。そういう積み上げが必要だ、そういう意味で、地域の懇談会が必要だ。  ある意味では、僕は、一年じゃなくて、東京の高校ですから、本当に都民の納得いくような、あるいは全国からも、すばらしい高校教育をやっている、こういうふうに見られるように、十分教育庁として練り上げて、論議を積み重ねていく、そういうことが大事だと思うんですよ。だから、短期間である必要はないと思うんですが、いかがでしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 長期構想懇談会の検討が一年ぐらいで短過ぎるじゃないかというお尋ねでございますけれども、私ども、その間に十分会議を設定して、議論を重ねていただきたいというふうに考えております。おおむね月二回ぐらいのペースで二十回程度の議論が重ねられるというふうに考えておりますので、その中で十分ご討議いただけるのではないか、こう考えております。 ◯植木委員 僕は、地域的なそういう積み上げも含めて考えていく、そういう必要があるというふうに思うんです。
     それで、懇談会、懇談会というふうにこだわりますから、懇談会に当たっても、僕は、公聴会とかシンポジウムとかそういうものを積極的に催して、そして、文字どおり懇談会が深みのある、そういう論議が積み重ねられるようにする必要があると思うんですけれども、どうですか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 懇談会におきます公聴会などの実施についてのお尋ねでございますが、本懇談会には、広く都民や学校関係者などの声をお聞きするため、区と市の教育委員会の代表者あるいはPTAの代表者、校長会の代表者、職員団体の代表者などのほか、公募に応じました都民の中から四人の方に参加していただいております。学識経験者とともに、これら各界からの委員が協議、検討することによりまして、都民や教育関係者の声が広く反映されるものと、私どもとしては考えております。  ただいまの、公聴会などの審議方式を懇談会がどうとるか、要らないかというようなことにつきましては、今後、懇談会の中において協議、検討されるものというふうに考えております。 ◯植木委員 ぜひ懇談会の方々にもそういう意見があるということをお知らせ願いたいと思います。  この間から東京都全体としても臨海部の懇談会なんかも開かれていますけれども、あそこの懇談会だって、傍聴者もたくさん来てますけれども、独自の調査をしたり、それから意見聴取したり、いろんな角度からやってるんですよね。だから、公募の人が入るのは今では、開かれた都政と青島知事がいっているぐらいですから、私は当然のことだと思う。さらに、もっと深みのある都民的な論議をする上で、そういうものをぜひやる必要があると思うんです。場合によっては、いじめの問題の専門家の意見も聞くとか、そういういろんな教育の分野というのは、専門的に研究なさっている方たくさんおられるわけですから、そういう意見をどんどん取り入れる、切磋琢磨するということが、私は大事だというふうに思うんですね。  それから、そうはいっても、父母、それから高校生自身、それから教職員、それからやはり、これから高校に進学しようという生徒や進路指導の担当者、こういう本当に、第一線といういい方はおかしいけれども、一番公教育の中で、みずから悩み、苦しみ、そして経験をつくり出し、何とかしようと思っている人たち、そういうところに、懇談会の人もそうですけれども、教育委員会もどんどん足を運んで意見を聞いてくる、こういうことが必要だと思いますけど、どうでしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 多くの高校のあり方に関する方々から直接ご意見を聴取した方がよろしいんじゃないか、こういうご質問でございますけれども、私どもとしては、先ほどの、広域自治体ということで都立高校が二百数校東京都全体の中にあるという状況の中で、やはり私どもとして、現実にとり得る方法というものを考えていかなくてはいけないんではないか、こういうふうに考えてございます。  今の都民の都立高校に対するニーズを反映したり、今後の都立高校の改革の検討に役立てていくために、現在、実は都立高校に対する都民意識調査、これを実施しております。そういった中で、そのようなご意見等を把握してまいりたい、こういうふうに考えております。 ◯植木委員 いずれにしても、先ほど来お話ししていますよね、上意下達、とにかくこういう方向でやれというやり方が、今まで、定時制高校においても、それぞれの学校の統廃合においても、結論がどうかというのはいろいろ論議はあっても、まずやり方自身が非常に民主的でなかった。今度は都教委変わったなといわれるような運営をして、そして都民的な意見がどんどん吸い上げられるような、そういうやり方をすべきだということなんですよ。  それと、最初にもいいましたように、前提ありきでどんどん進めるというやり方、これもやはりやめるべきだ。過剰時代なんていうのは、ましてやそんなの振りかざして、過剰時代だから、おまえたちこうやらなければだめだぞと、こういうふうに受けとめられるようなものは、やはり思い切って削除する。紙張ればいいんですから、できますから。そういうことでやっていく。  それから、先ほど来いろんな提案が出てますよ。三十人学級というのもその一つでしょうし、全員入学という問題もそうでしょうし、いろんな各論についてはまだまだたくさんあると思う。我々は各論についても、今後もいろんな場で提起をしていきたいと思いますけれども、大前提として、都教委の姿勢、進め方、そういう問題について、やはり姿勢を正していただきたいということを重ねて申し上げまして、終わりにしたいと思います。 ◯岩附委員 私は手短に質問させていただきたいと思います。  都立高校の現状と課題をこのような形でわかりやすくまとめられたということは、そして大変読みやすいものに仕上がっていますし、タイムリーでもあるし、私は評価したいと思います。  それから、まずこの白書の巻頭で市川教育長は、都立高校の活性化を図り、一層、個性と人間味にあふれた教育を行うことができるよう、この刊行を通して都民の率直なご意見を賜るとともに、これからの都立高校に対する一層のご理解、ご協力を念願する次第、と述べていらっしゃいます。  私も、都立高校が都民の支持を受けて、二十一世紀に向けてその役割を的確に果たしていくには、都民の率直な意見に十分に耳を傾け、都民の信頼を受けることが大切だと考えています。  そこで伺いますが、白書には、意見聴取用の郵便はがきが、最後目立たないところなんですけど、組み込まれておりますけれど、現時点でどのくらい郵送され、またその意見はどのような内容でしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 白書の巻末に都民の方々から意見を聴取するはがき、これが今どのぐらい返送されているかというご質問でございます。  現在、白書を読んだ方からの意見、感想は、現時点で十三名の方から寄せられております。その主な内容でございますけれども、白書に対する、これは初めて出して有意義なことというような評価や、都立高校改革への期待などが六件、それから白書に対する批判などが四件、それから現在の都立高校に対する評価、これは、いいという意味でございますけれども、それが一件、そのほかが二件、このような状況になってございます。 ◯岩附委員 昨年の十二月に発行されたばかりですから、まだ数少ないのはしようがないと思いますし、後ろについているという見つけにくい形もあるかと思うんですけど、これから日を追ってこういうはがきが返ってくることを期待したいと思います。  そして、このはがきで寄せられたそういう意見を、都教委としてどのように受けとめて活用していくのでしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 このご意見の活用方法ということでございますが、寄せられたご意見等につきましては、都立高校に対する都民の期待や関心のあらわれと、こういうふうに受けとめております。都民から寄せられた率直な意見として、今後の都立高校改革の検討に当たりまして参考意見の一つとして活用してまいりたい、かように考えております。 ◯岩附委員 都民の声には、このはがきや新聞の投書のように、顕在的な、目につきやすい意見が一方にあります。しかし、都民の多くは必ずしも顕在している意見と同じ傾向のものと同じとはいい切れないと思います。  今後、都民の声に十分耳を傾けるという考えを貫くのでしたら、こうしたサイレントマジョリティというような多数の意向を大切にする必要がありますが、その辺はいかがお考えでしょうか。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 サイレントマジョリティの声に耳を傾けるべきではないかというご質問でございます。  都立高校の改革の検討に当たっては、広く都民の声を聞く必要があるというふうに考えております。その場合に、必ずしも顕在化している方々だけの意見でなく、いわゆるサイレントマジョリティの意向を把握することも大変重要なことであるというふうに考えております。 ◯岩附委員 アメリカでは、教育に関しても世論調査などを行うことが多いということは、ニュースとかよく目にするところなんですけれども、先ほどのお答えの中で、都民の意識調査を実施しているというところがありましたけども、都においてもそうしたことを行って、真の意味での多数派の意見を聞いて、高校改革を進めていくべきと考えますが、最後にご見解を伺って終わります。 ◯阿部都立高校改革推進担当部長 先ほど植木委員のご質問にもございましたけれども、現在アンケート調査を、都立高校に対する都民意識調査を実施中でございます。  この調査は、十九歳から六十歳までの都民二千五百人を対象といたしまして、都立高校の現状についての評価ですとか、都立高校に今後期待すること、あるいは生涯学習社会における都立高校の役割、生徒減少期における都立高校のあり方等について調査しております。  こういったアンケートを通じまして、広く都民の声をお聞きし、懇談会における検討の資料として活用してまいりたい、こういうふうに考えております。 ◯上島委員 質問の予定をしていませんでしたので、ざっと今までのそれぞれの意見、発言を聞いて、私の教育に対する考えを、ある程度今度の懇談会に生かしていただければなという思いから二、三点申し上げたいと思います。  戦前の教育というのは、僕はちょうど高校、谷間の時期、三年生が旧制中学──奥山先生の場合、旧制中学出身だと思いますが、非常に懐かしいんですよ。非常に懐かしい。旧制中学は、ご存じのように、鹿児島県なら鹿児島一中、二中、大島中学と、こういうランクがありまして、全県から優秀なところを一番、二番と、こう受けて、東京なら今のどこですかな、東京はよく知らないけれども、府立一中だとかあったんでしょう、いろいろ。日比谷高校ですか。ああいうふうな形で、非常に勉強しないとそういうところは行けなかった。  戦後教育のよさは私は否定しません。画一的に教育を平均化しようというやり方は、これは戦後の日本の教育改革で一番大変な基礎をなしたということは、これは評価はします。ところが、戦後五十年の今を顧みて、一体教育とはどうか。百年の計に値する重要な問題ですから、私は、教育と経済というもの、あるいは世界観というものを見ながらやはり進めるべきだと思うんです。  先ほど、教育と分権という話が出ましたけど、教育ほど、分権に徹しやすいし、また分権を生かす場所は教育だと思うんですね。そういう意味で、私は、東京都の今度の教育改革、非常にいいものをつくって、素直にそのまま書いたと思って、評価する半面、これじゃいけないよというところがあると思うんですよ。それに対して、皆さんの意見も含めて、一体教育をどうするか。  私は、今までの高等教育というか、中等教育ですね、高等学校は。中等教育というのは、アメリカの場合には、一番上の水準で合わしているんです。それでみんなを引っ張っていく。日本の場合は、一番下で合わして、一足す一は知らない人はいないけど、とにかく分数もわからない高校生を一生懸命先生が教えるというんだから、人数もふやせ云々という話も出てくるだろう。こっちは義務教育じゃありませんけど。そういうことで、全部平均化して教育をしようというから、ここまでいくと、日本の教育というのは、世界の経済におくれをとるんじゃないですか。教育問題、僕はもっと特徴を生かした方がいいと思うんですよ。  例えば、日本の経済、これから支えていくのは、情報化時代といわれていますけれども、世界のマイクロソフトの一流メーカーがありますよね、マッキンなんとかというやつ。あの社長だって、三十代で、大学なんか出てませんよね。それから、今、日本の経済、七〇%の輸出産業は、漫画とアニメだといわれている。そのアニメをやっている連中というのは、高校中退とか、あるいは出ないとか、どっちかというとロークラス。そういう人がいいのをどんどん発明している。日本産業を育てている。  文部省の教育が一体そういうのを育てられるかなというと、やっていることないんですよね。まあ基礎は必要かもしれないけど。そういうことも含めて、私は、これからの日本経済と、十年、二十年先の教育はどうあるべきかというのをしっかり踏まえた教育制度に導入していくべきだと。  先ほど、小中学校の科目数、数学なんかが非常に高度化されてなんていう話が出ましたけれども、そのとおりです。あれは、高度成長時代の教育改革のときにつくった単位数なんですね。確かに文部省はその時代に沿っているかもしれませんが、これからはもう、私は、大量生産、大量消費時代は終わったと思う。これからは、大量品種、そして少量生産、こういう多様化した時代に入ってくる。だから、さっきいったように、高等学校も、総合的高校でなくて、個性やあるいは能力を生かしたこういうあれを導入するというのは、僕は非常に今感激しているんですよ。どうしても、そういう多様化した科目を取り入れて、素質を伸ばす教育、こういうのをまず期待をしているというのが一つです。個性個性を伸ばす、特色ある学校をつくる。  それにはもちろん、中央の学習指導の影響もあると思いますけど、検討もされていると思うんです、戦後教育、戦後五十年、けじめのときに。学校の定数問題が、確かにいわれたとおり、私もそう考えます。あるいは一方では、私立高校が非常に少なくなる。私立高校を倒産させても、これは困る。一時期は、私立学校に東京都の定数をある程度配分しながら、お互いに生きてきたという、いわゆる持ちつ持たれつの関係も配慮しなければならない。それもわかりますが、いずれにしても、私立高校の定数減あるいは都立の定数減、これに四十人どうしても詰め込むんだという論理もなかなか難しいけど、僕は、さっきもいいましたように、定数も、人数じゃないです、内容だと思うんです。定数は関係ない、高校は。中学校までですよ、定数に関係あるのは。教育というのは。私は高校はもう必要ないんじゃないか、定数は何でもいいと。何しろ特色をどう生かし、個性をどうやって引き伸ばせるかという教育に向かっていくべきじゃないかと思うんです。  そこで、第二点目は、昔の思い出じゃないけど、都立高校に八校ぐらい、東京都内全体からだれでも受験できるような、そういった学校をつくったらどうですか。それは、私立のいわゆる桐朋だとか海城だとか、あるいは麻布の受験校に負けないぐらいの人員と、やはり時間外授業もあるでしょう、徹底した受験校なら受験校を目指す学校をつくって、そういうぐらい特色あった都立高校にしてもらいたいね。今、東大に行く人、こっちに書いてありますけど、実際は、我々が都立高校から、税金使って国立の東大行くったって、そこに行くのはほとんど私立ですよ。それで、平均の東大生を調べたら、昔は苦学してやっと東大に入った人がいたけれども、今、私立で、金も中堅以上じゃないと東大へ行けません。それだけ塾にかけないと入れない。そういうのが、何のために都立高校があるのかと世間に問われる第一問になっているんですよ。僕は、ある程度競争社会を導入させる、こういう意味で、八校ぐらいは、ひとつ自由に、どこからでも優秀なやつが入ってきて、それは麻布やどこかに負けないような、私立の受験校に負けないような都立高校をひとつつくったらどうでしょうか。それとあわせて、教育の機会均等を図るために、全部そうせいとはいわないけれども、落ちこぼれも含めて、また救う学校ありということも必要だと思う。  もう一つは、三点目は単位制度。単位制度はひとつこれはちょっと考えた方がいいんじゃないですか、単位でやるというやり方。それから、私立がやっている偏差値、あの偏差値なんていうのは、人格を全くだめにするような感じを受けるんで、あれこそ個性をなくしますよ。ああいう偏差値をやめていただくということ。  そういうのを含めてやはり検討していただいて、一つ思い切った教育改革に取り組んでいただきたい。せっかくここまでやろうとしているんですから、以上三点を主に申し上げて、終わります。 ◯工藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。  本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯工藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。  以上で教育庁関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後三時四十四分散会...