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  1. 東京都議会 1995-09-27
    1995-09-27 平成7年_予算特別委員会(第3号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後二時五十一分開議 ◯田中委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  初めに、理事者の欠席等について申し上げます。  人事委員会事務局長大日方勇二君から、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨、及び任用公平部長齊藤千代治君がその代理として出席したい旨の申し出がありました。ご了承願います。  これより付託議案の審査を行います。  第百九十九号議案、平成七年度東京都一般会計補正予算(第二号)及び第二百二十七号議案、平成七年度東京都一般会計補正予算(第三号)を一括して議題といたします。  この際、部局別質疑について申し上げます。  去る九月二十二日に議長を通じ常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元に配布のとおり報告がありました。ご了承願います。  これより締めくくり総括質疑を行います。 ◯山崎(孝)委員 この際、締めくくり質疑に先立ち、動議を提出いたします。  知事は、これまでの旧二信組及びコスモ信用組合にかかわる質疑の中で、知事の公約に関する答弁が不明確であるので、今後の効率的な委員会運営のためにも、委員会を代表して、委員長より知事に対して質問されるよう望みます。 ◯田中委員長 ただいま山崎理事から、知事の公約について、委員長より知事に質問することの動議が提出されました。  ただいまより山崎委員の動議について、起立により採決いたします。  お諮りいたします。  本動議に賛成の方はご起立願います。    〔賛成者起立〕 ◯田中委員長 起立多数と認めます。よって、山崎委員の動議は可決されました。  ただいまのご決定に基づき、私より委員会を代表して青島知事に質問させていただきます。  九月二十二日の本委員会において、知事の選挙公約とコスモ信用組合、旧二信用組合への対応の関係について多くの質疑が行われましたが、知事の考えが明らかになるような答弁がなされていないことは、まことに残念であります。この際、本委員会を代表して、私から幾つかの点について質問をさせていただきます。  まず、選挙に際しての公約と、今回のコスモ信用組合の経営破綻に伴う都の対応との関係について、知事の考えを明らかにしていただきたいと思います。
    ◯青島知事 まず、質疑におきましての私の答弁が明確でなかったということで、委員長まで煩わせるという結果になりましたことを、大変恐縮に思っておりまして、ただいまより、なるべく皆さんにご理解いただけますように、明確にお答え申し上げるつもりでおります。  公約を作成した当時、旧二信組の問題につきまして、私は、都議会での議論も含め、マスコミ報道によって知り得る立場でございました。旧二信組は、刑事事件にまで発展した極めて例外的なものと考えておりました。その後、半年の間に、コスモ信用組合木津信用組合の経営破綻によって取りつけ騒ぎが起き、さらに、兵庫銀行も経営破綻を来すなど、信用不安が現実のものとなり、これを回避するとともに、預金者を保護しなければならないという状況が全国的にも差し迫ったものとなってまいりまして、こうした状況の変化の中で、私は、信用組合の経営破綻に際しましては、預金者を保護することにより、信用不安を回避し、都民や中小企業等への影響を最小限にとどめることが必要であることを強く認識し、緊急避難的な措置をとることが都民福祉に責任を有する知事の責務であると考え、今回、コスモ信用組合についてご提案申し上げたものでございます。 ◯田中委員長 次に、旧東京協和、旧安全の二つの信用組合問題について、知事は、今後どう対応しようと考えているのか、お考えを明らかにしていただきたいと思います。 ◯青島知事 旧二信組の今後の対応につきまして、先ほど申し上げた考え方に基づき、諸事情を総合的に判断した上で、都議会でのご意向を最大限尊重して、適切に対処してまいりたいと考えております。 ◯田中委員長 それでは、最後になりますが、これまでのご答弁は、公約の撤回と受けとめてよいのか、知事の明確なお考えをお伺いいたします。 ◯青島知事 先ほどご答弁申し上げたとおり、この六カ月の間の金融システムをめぐる状況の変化などを踏まえて判断したものでありますが、結果としてそのように受けとめられてもやむを得ないものと考えております。 ◯田中委員長 わかりました。知事は、公約を撤回したものとはっきりと認識をさせていただきます。そのように各委員もご了解をいただきたいと思います。  以上で私の質疑は終わらせていただきます。      ───────────── ◯田中委員長 これより締めくくり総括質疑を行います。  お手元配布の順序表により、順次発言を許します。  立石晴康委員の発言を許します。 ◯立石委員 きょうは、平成七年九月二十七日でございます。金融制度調査会の中間報告が既に出されているのではないかと思いますが、まずこのことについてご答弁を求めます。 ◯高村労働経済局長 大蔵省におきます金融制度調査会でございますが、本日の午後二時からこの会議が開かれておるというふうに承っております。私どもの得た情報では、会議終了後に中間報告といったものが出されるやに伺っております。したがって、現時点では、出されたかどうかについては未確認でございます。 ◯立石委員 ただいま当委員会の委員長から、当委員会を代表する形で、公約撤回を意味する質疑があり、知事から答弁がありました。その際に、都議会での意向を最大限尊重して、適切に対処してまいりたいとのご答弁がありました。去る都市博中止に伴う都議会の百対二十三の議決を思い起こしまして、ご意向を最大限尊重する──都市博に関しては、ご意向を最大限尊重しなかったわけでありますが、今度は大丈夫かなと申しては失礼でありますが、確認をさせていただきたい。 ◯青島知事 ただいまの答弁は、私の真情から誠実にお答えしたものであるとご了解いただきたいと思います。 ◯立石委員 締めくくり総括質疑の今議会の最大の焦点であるコスモ信用組合の問題については、これまで各委員、あるいは代表質問、所管委員会等で質疑が行われました。その際、熱心に数多くの点が指摘されたところであります。  一方、都民が最も疑問に思っている、二百億円をだれのために、何のために負担するのかということについて、果たして納得のいく回答が示されたかどうか、私は甚だ疑問だと思っています。都営住宅なら、一戸当たり六千万と計算して、おおむね三百二十戸程度、高等学校や病院の建設もできる規模の貴重な都民の税金をコスモの破綻処理の資金援助としてつぎ込むには、都民を納得させる十分な理由がなければならないのは当然のことであります。その理由を改めて知事にお尋ねし、コスモ信用組合問題に対する結論を導き出すのが、締めくくり総括の私の役目だと思っております。知事も明確に、かつ明瞭にお考えをお示しいただきたいと思います。  そこで、私は、コスモ信用組合問題に対して、単に一信用組合の破綻処理という問題にとどまらず、コミュニティバンクとしての信用組合を経営のよりどころとする中小企業者零細企業者、さらに、勤労者の生活を守るという観点から対応すべき問題だと思いますが、この点についての知事の所見をまずお伺いいたします。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  今回の措置について、コスモ信用組合そのものや経営者を救済するものではなく、ご指摘のとおり、あくまでも、預金者を保護することにより、信用不安を回避するとともに、都内信用組合を利用している中小企業、さらに、勤労者の生活への影響を最小限にとどめ、都民福祉を守るという観点から対応したものでございまして、コスモ信用組合について、七月三十一日に見られた、いわゆる取りつけ騒ぎが都内の他の信用組合に波及し、連鎖的に破綻を来した場合に、信用組合が本来担っている中小企業や勤労者への円滑な資金供給を阻害されるということが、今回の措置をとった大きな原因でございます。 ◯立石委員 信用組合は、申し上げるまでもなく、地域のコミュニティバンクとして、中小零細企業者はもちろん、勤労者の給与の振り込み、年金の支払いなど、地域の生活と深くかかわっています。経営破綻がさらに広がることになれば、預金者のみならず、中小零細企業の資金繰りを危機に陥れ、地場産業の崩壊という事態を引き起こしかねません。都民生活にも直接、間接に影響を及ぼすことになります。知事は、こうした信用組合の役割をどう認識しているのか、改めてお伺いいたします。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  信用組合は、中小企業を主体とした協同組織による組合員相互扶助を目的とした中小企業の専門金融機関でありまして、これまで、都市銀行などが融資をしにくい中小企業への資金供給の上で大きな役割を果たしてまいりました。近年の金融自由化の中で、他業態の金融機関に対抗していく一つの方法として、預金、貸し出しの量的拡大を求める傾向が見受けられました。しかし、多くの信用組合は、量的拡大に走ることなく、地域の中小企業や勤労者のニーズをくみ上げ、きめ細かな金融サービスに努めてまいっておると考えております。 ◯立石委員 多くの信用組合は、量的拡大に走ることなく、地域の中小企業や勤労者のニーズをくみ上げ、きめ細かな金融サービスに努めているとの知事のご答弁でございますが、果たして昨今の状況は、それぞれ所管委員会、当予算特別委員会においても、いろいろるるこのことにつきまして質疑が行われました。  現実問題として、果たして本当にそうだろうか、量的拡大に走ることがなかったかどうか、他の信用組合においてこのことは確認できるだろうか、改めて局長にご質問したいと思います。 ◯高村労働経済局長 量的拡大に走った組合の有無についてのお尋ねでございますが、今回、経営破綻をいたしましたコスモ信用組合は、この業容拡大を目指し、そして普銀転換を目指すといった経営方針をとったという意味で、ご指摘のように経営拡大に走った典型例でございまして、結果としてこのような状況になったわけであります。現在、残る五十信組に同様な傾向をとっているものがあるかとのご質問かと存じますけれども、現在私どもが把握している限りにおいては、コスモ信用組合のごとき極端な経営拡大方針をとり続けている組合はないというふうに考えております。 ◯立石委員 まあ、こだわるわけではありませんけれども、普銀転換という言葉が出ましたが、普銀転換というのは、私、知識ありませんが、どういう預金量を超すと普銀転換になるのか、普銀転換への要件といいますか、一般的に、都民にわかりやすく、大きいとか小さいとかということじゃなくて、どのくらいから普銀転換的傾向があるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。 ◯高村労働経済局長 現在、いわゆる金融機関、さまざまございますけれども、その業態として、いわゆる信用組合、さらには信用金庫、第二地方銀行、地方銀行、そして都市銀行、こういうランクづけになっているようでございます。そして、それぞれの業態に一体どの状況になればいくのかという点について明確な基準があるわけではございません。ただ、従来、コスモ信用組合がこの普銀転換を呼号いたしました時点におきましては、おおむね預金量を一兆円を超えると、その資格があるというような一つの目安があったようでございまして、これを目指しての業容拡大が行われたというふうに聞いております。 ◯立石委員 わかりました。それはそれとして、今回の旧二信組、コスモ信組の破綻をめぐる問題で大事なことは、一面において、景気対策の一環として対応していかなければならないと思っております。  地域金融機関が破綻し、消滅することになれば、停滞する景気にさらに悪影響を及ぼすことになり、都民生活にも大変大きな圧迫を加えることになります。こうした景気や都民生活への影響を防ぐために今回の二百億円が使われるということであれば、あるいは都民の皆さんも納得していただけるかもしれませんが、いかがでしょうか。 ◯高村労働経済局長 コスモ信用組合経営破綻処理としてペイオフを実施する場合、預金保険制度による預金者救済にかなりの期間を要し、さらに、同制度の対象外とされます一千万円を超える預金者の経済的損失は、生活者としての都民、事業経営者としての中小企業主にとっては重大なものでございます。これによって困窮する預金者は、コスモ信用組合の場合、十万人を超えるものと想定をしたところでございます。  また、このペイオフの実施によりまして、その影響が都内金融機関へ波及をし、連鎖倒産をするといったことも予想されたわけでございます。その場合には、被害をこうむる都民の数は予測をできないものであろうということでございます。  このことは、お話のように、都民生活に多大な影響を与えるとともに、停滞する景気にさらに悪影響を及ぼす、こういう状況になると考えたところでございます。 ◯立石委員 十万人を超えるものと推定されるということでございますが、これは大変な影響があるわけでありまして、業務の一部停止という状況に今なっているおるわけですけれども、このことで都民の皆さんから都にいろいろな相談があるかと思います。これまでも聞かれましたけれども、相談カードといいますか、相談所を設置しておられたようでございますが、それぞれの事例がお手元にありましたら、この際ちょっと具体的にお聞きしておきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 お話のように、業務の一部停止命令をかけましたのが七月三十一日でございました。私ども東京都は、翌日の八月一日から都庁内に相談窓口を設けて、都民の方々からのこの問題に関するご相談を受けたところでございます。初日は多大な相談者が都庁に参りました。以降、日を追って相談者数は減少はいたしましたけれども、その後も引き続き電話等による相談件数というのは、今、数千件というレベルになっていようかと存じます。  その相談の内容でございますけれども、圧倒的に多いのは、やはり自分の預金がどうなるのか、この心配、これに対して、果たして本当に都は預金を守ってくれるのかという相談内容が最も多かったわけでございます。そのほかには、今度は中小企業主の方々から、現在コスモ信用組合との間に当座預金等の取引口座を持っている、これが動かなくなれば、事業を実施する場合の資金繰りが直ちに停止をする状況になって非常に困っている、他の信用組合等の紹介をしてほしいとか、そういったさまざまな企業の経営に関するご相談、最近では、むしろそちらの方の相談が多いというのが傾向でございます。 ◯立石委員 私も、この信用組合の破綻で、近所の人からもいろんな心配、相談事がありました。貯金の性質上、まさにとらの子と思われる大切な預金もたくさんありますし、地域に金融機関、都市銀行と申しますか、こういうのがたまたまなくて、地域の信用組合に預金をしておった、当該信用組合にも預金をしておったと。そういう心配事が本当に枚挙にいとまがないわけでございまして、中小企業あるいは零細企業者というばかりでなくて、先ほどから申し上げておりますように、年金の受取口だとか年金生活者の方々にとっても、本当に地域の大切な金融機関として心配なことだと思います。  そこで、今回の旧二信組、コスモ信組の問題が起こる以前にも、経営危機に陥った信用組合は少なくなかったのではないかと思われますが、こうした信用組合に対して、都はこれまでどのような対策をとってきたのか、資金援助の有無あるいは他の自治体の例をも含めてお聞きしたいと思います。 ◯高村労働経済局長 都はこれまでに、信用組合が経営難に陥った場合に、合併によりその経営の再建を図るべく、合併支援基金の活用によって対応をしてまいったところでございます。同基金は、都と業界が共同して設立をいたしました基金でございまして、合併時における合併される組合の不良債権の償却などに充てられるものでございます。昭和六十二年度から平成六年度までに、八つの組合に対して支援を行ってきたところでございます。  また、他の道府県の例によりますれば、大阪府、岐阜県、神奈川県等におきましては、預金保険機構の資金援助方式による処理スキームに際しまして財政支出を行っているという例がございます。 ◯立石委員 昭和六十二年度から平成六年度までに八信用組合に対する支援を行ってきたということでございますが、恐れ入りますが、お手元にありましたらば、支援の内容を少し詳しくご説明いただきたいと思いますし、不良債権の償却の方法ももう少し具体的にご答弁いただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 現時点におきます、この合併支援基金は、基金ベースで百八十億円になっております。この果実をもって、それぞれの支援に充てておるわけでございますけれども、先ほどの八組合に対する支援の合計は、現在までに五十九億一千六百万余円というのが支援の実態でございます。 ◯立石委員 ちょっと今、答弁いただけなかったのですが、合併される信用組合の不良債権の償却も含めて、八組合の支援に五十九億余の資金が支援されたということでございますか。 ◯高村労働経済局長 お話にございましたように、この支援の対象は、不良債権の償却が主でございます。  支援総額が五十九億余でございますが、実際の欠損に充てる部分、欠損額そのものは、この対象では五十六億三千八百万余円でございました。 ◯立石委員 よくわからないのですが、百八十億円の積み立てがあって、果実を使って──元金というのか基金というのか、それに食い込むことはないわけですか。五十九億が果実なんですか。 ◯高村労働経済局長 この支援は、基金の生み出す果実によって行っておりますので、基金の元金を使うということはございません。 ◯立石委員 そんなに果実というのは大きいものなんでしょうか。百八十億あって五十九億余……。 ◯高村労働経済局長 この基金は、昭和六十二年度から順次積み上がってきて、現時点で百八十億になっておるわけでございます。この間に、その基金から順次生じました果実が、先ほど申し上げた額になっているということでございます。 ◯立石委員 今のご答弁で大体わかったのですが、六十二年から基金を積み出した、始めたということでございますが、六十二年に何か特別な意味でもあったのでしょうか。  バブル経済が始まり出したような雰囲気もなきにしもあらずですが、もっと前からは全然考えられなかったのかどうか。 ◯高村労働経済局長 この基金は、実は業界が当初自主的に始めたものでございました。昭和六十年に、業界は二十億を業界のみで集めたわけでございます。それから、六十二年から都もまたこの支援に、基金の積み立てに加わったということでございまして、六十二年には都が三十億、業界が三十億。以下、平成元年も同じ三十億でございましたが、平成五年には五億、五億、こういう形で順次今まで積み上がったものが、都の拠出したものが合計で八十五億、そして業界の拠出が九十五億、合わせて百八十億でございます。  そして、おっしゃるように、この六十年の時点から、こうしたいわゆる不良債権を持った組合の合併等の策が、これらの果実が生み出す金額によって支援をするという形で合併が進められてきた。これが八つの組合の例でございます。 ◯立石委員 六十年から六十二年ごろに、ある意味では、こういう基金を必要とする、東京都における公的資金の支出の始まりだったのでしょうか。 ◯高村労働経済局長 信用組合における不良債権処理、それが当時の考え方をもってすれば、不良債権を抱えた組合と健全な組合との間のいわば縁組、合併によって、より力の強いところがこれを抱き込んでいく、こういった方法がとられたわけでございます。  そういう意味では、お話のように、果実ベースではございますけれども、公的な資金をもって、信用組合の経営支援が行われたというのが、六十二年から東京都の場合は当てはまるわけでございます。 ◯立石委員 恐れ入りますが、昭和六十年から六十二年ごろの経済的な、社会的な状況を思い起こしたいと思いますが、一体どんな時代だったのか、お答えいただけますでしょうか。 ◯高村労働経済局長 今、手元にお尋ねの件に関する詳細な資料を持ち合わせませんので、ごく概略で申し上げさせていただきます。  昭和六十二年当時というのは、いわばバブルの景気が一番伸びている時点でございました。しかしながら、信用組合業界という単位で見ますれば、それ以前の昭和五十年当時におけるオイルショックというようなさまざまな景気の象徴がございまして、それぞれの時点で、これらの信用組合の経営といった問題について問題を起こす事例というものが相続いてきたというのがこの八件の事例であり、そして、バブルの崩壊によって最も大きな形であらわれたのが前回の二信組であり、今回のコスモである、このように認識をしているところでございます。 ◯立石委員 こだわるわけではありませんが、思い起こしますと、ちょうどそのころから、従来考えられないような地価の異常の始まりがあったように記憶いたしますが、都市計画局長になるのか住宅局長になるのか、地価の流れ、きょうに至るまでの地価の推移、よくいろいろ報道にはされておりますが、改めて聞いてもよろしいですか。突然で悪いんですが。 ◯西念財務局長 国土利用計画法に基づきまして、昭和五十年度以来実施している東京都の基準地の価格についての推移をご説明申し上げます。  全用途で東京都の全地域を見てみますと、昭和五十八年度を一〇〇にし、平成七年度は一四六・一の推移を示してございます。この間の各年度の上昇率を申し上げますと、都の全域で全用途でございますが、昭和五十九年度が四・二%の増、六十年度が六・一、六十一年度が二二・六、六十二年度は実に八五・七、六十三年度が七・九、平成元年度でマイナスに転じてございます。マイナス二・五、平成二年度は一・九のプラス、三年度はまたマイナスになりまして、マイナス一・九、四年度がマイナス一四・一、五年度がマイナス一八・六、平成六年度がマイナス一二・七、七年度マイナス九・六、これが都の全域の全用途でございます。このうち──商業区域だけで申し上げますか。 ◯立石委員 お願いします。 ◯西念財務局長 商業地だけで、都の全域でいきますと、同じく昭和五十八年度を一〇〇にしますと、平成七年度は一二五・二でございます。この間の伸び率だけを申し上げますと、五十九年度以降、七・六、一一・六、三四・四、昭和六十二年度は七九・〇、六十三年度四・三、平成元年度、マイナスに転じまして、マイナス〇・二、平成二年度はプラス二・一、三年度以降はマイナスでございます。一・二のマイナス、一四・一のマイナス、マイナス二三・五、マイナス二一・九、そして平成七年度が一九・六のマイナス、このような推移を示してございます。 ◯立石委員 いわば、このことからも明らかなように、ちょうど地価が異常な高騰を始めて、下がりに下がるという曲線が、西念財務局長のご答弁からも類推できるわけです。そうしますと、大体この辺から、東京都が、また都信協が、将来に危険を感じていろいろな手を打ってきたわけでありますけれども、この時点で、果たしてきょうの金融破綻の厳しい現況を──地価は都心では既に五分の一にもなっているというようなことをいわれたりいたしております。そういう厳しい経済予測を、この時代に労働経済局ご担当の皆様の中でも、かなり話題になっていたのではないか。あるいは、いい過ぎかもしれませんが、一斉に右に左に振れる国民性もあって、このときにちょっと待てと、将来を予測した方が都の中でおられたかどうか。知事は大変な時代を読まれるお方と聞いておりますし、機を見るに敏、悪い意味ではなくて、いい意味でいっております。時代を読むトレンド、テンデンシーというか、この当時、五十八年、六十年、六十二年の時代に、参議院議員として国政を担われておられた知事さんが、どんな時代を予見されたのだろうか、質問させていただきます。 ◯青島知事 今、問題になっております、急速に土地に対する信頼が高まったと申しますか、土地の値上がりが急速に進展しました折に、このままどこまで続くのだろうなという不安は、どなたもお考えになったと同じように私も考えておりました。私の親しい友人の中に、不動産の売買を営んでいる人間がおりまして、かなり一時期、今話題になっております時期に、大変羽ぶりがよくて、大変な好景気に車は取りかえるは、うちは建て直すはというようなことで、いい羽ぶりで営業を続けておられました。そのとき私がその方に申しましたのは、伊豆であれ、那須であれ、北海道まで、土地投機というものが蔓延するという格好で、どなたもが、今土地を買えば先々もうかるというような浮かれた状態になって、別荘地などを買いあさるという状況が続いた折に、その友人に申し上げたことがございます。日本じゅうの人間が、今土地を買いあさっている。その方々が実際にその土地に別荘を建てたりするということは、現実の問題としては全く無理である。いつかこれは破綻するか、あるいは、そういう事態は間違いだ、夢だという時期が必ず来るに違いないから、おまえも今浮かれて商売しているけれども──親しい友人でしたからそう申しましたが──必ずいつかこれは破綻をするときがあるかもしれないから、そのことは気をつけていた方がいいぞという忠告をしたことは覚えております。しかし、ここまで急速に冷え込んで、しかもそれがネックになりまして、今日のような金融不安を生むようなことになろうとは、私も明確に想像することはできませんでしたことをお許しいただきたいと思います。 ◯立石委員 さすがは先見性のある知事のご答弁だなと、一部思いながら、しかしこの時代には、勇気を持って、きょうを予見するというのはなかなか一般的には難しかったのではないか。私も、顧みれば、当時衛生労働経済委員会の委員をしておって、こんなばかな話が続くわけはない、景気の下降線をたどるのを、単に統計のみによって知り得ていたとするならば、都民の大切な生命、財産を担当する当局としてはえらいことになるのではないか、単に統計のみに頼らず、今知事さんが答えられたような、皮膚感覚と申しますか、まちの空気を、この巨大な東京都政が察知する仕組みが必要ではないか、そう質問したことがございます。  それはそれといたしまして、この時代に既に、ある意味では気づかれておられたわけですから、この都信協への資金援助として毎年積み立てている資金を、今回の救済に充てることはできないのだろうか。つまり、公的資金を破綻した信用組合に貸与するのではなくて、贈与するのではなくて、融資するのではなくて、地域の信用組合、コミュニティバンクを、いわばよくある生活協同組合的な発想で成長させるという意味の、私学助成とはちょっと違いますけれども、大きくいえばそういう問題も、ある意味では同じような発想でできるのではないだろうかな、そんなようなことで、この資金を転用というんでしょうか、有効利用するということはいかがなものかということで、お尋ねいたします。 ◯高村労働経済局長 先ほども申し上げましたように、この基金は、現在、基金額で百八十億でございます。そして、今まで申し上げましたように、既に、いわゆるこの基金が生み出す果実につきましてはすべて使い切っており、また今後においても、今後の支援として予定をされておるところでございますので、果実から今回のコスモ問題に対応するということは、事実上不可能でございます。  しかして、基金本体の百八十億をそれに投じ得るかという問題でございますけれども、現時点で考え得る限り、先ほど申し上げましたように、この基金の元は東京都と業界の、半々といっても業界の方が若干多いわけですけれども、こういった合意に基づいてでき上がっている基金でございますので、これを今回のコスモ問題処理に使うのはかなり困難がある。さらにいえば、今までの支援のいわゆる規模が、今回のコスモという最大の信用組合の破綻に伴う処理としては、規模的にいってもかなり無理があるというふうに考えております。 ◯立石委員 この信用組合の経営危機に対して、指導監督の責任を問われることを恐れて、安易な公費負担で責任の所在をうやむやにしてきた、その場しのぎの自治体の対応が──文章を書いたんですが、ちょっと厳しいいい方になりました。その場しのぎとはいいません。今ご答弁いただいた中でも、大変な苦労をいただきながらやってきたということはよくわかりますが、国と自治体の明確な破綻処理のルールづくりがおくれてきた、その要因の一つという指摘もある意味ではできると思います。つまり、気づいたころに、きょうを予見して、破綻処理のルールづくりが都政の中で議論がなかったのかどうか。なかったとすれば不思議な感じがするんですが、この点について、知事のお考えはどうでしょうか。 ◯青島知事 先見の明を持った方が、そのころ、そういう明確な推理を証明できて、しかもそれがどなたにもご理解いただけるような明快なものであれば、あるいはそういうことも成り立ったかもしれないとは考えますが、一般論で申しまして、信用組合の破綻処理につきましては、信用組合を破産させ、いわゆるペイオフを実施することが原則でございますが、金融機関の情報開示がなされていないことなどを勘案いたしますと、今こうした方法はとれない、預金保険機構からの資金援助方式による破綻処理を行わざるを得ない、こういう状態でございます。今となってはです。  しかし、こうした処理方法のもとでの自治体の役割とか、費用負担等のあり方などにつきましては、現状ではルール化されておりません。したがいまして、金融システム全体に責任を負う国が、自治体の意向を踏まえまして、破綻処理のルール化を確立するように、法制度の整備について確立してもらうことが正しいことだと考えまして、その意味において、その方向で検討するように国に要望をいたしているところでございます。 ◯立石委員 経営破綻という金融機関の病気を治すには、人間と同じように早期発見、早期治療が肝心といわれています。この早期発見、早期治療の体制の不備が、今回の問題解決を困難にしたもう一つの要因と考えられます。都は、コスモのダミー会社を使った自己競落を正当と認定したり、また、コスモの不良債権比率が危険ラインを大きく超えていることを早くから気づきながら、何ら指導することなく放置してきたとの報道もあります。さらに、都の担当者が二年程度で交代するため、継続的な指導ができないとも聞きますが、都のこれまでの監視指導体制のあり方を局長はどう認識しておられるのか、お聞きいたします。 ◯高村労働経済局長 東京都といたしましては、機関委任事務としての指導監督権限に基づきまして、必要な指導を行い、信用組合が経営破綻といった事態に至らないように努めていたところでございます。  しかしながら、現実に信用組合の指導を行っていく上で、財務内容に応じて、業務改善命令、さらには理事の解任、解散命令といった強権を発動できる背景となる強力な指導ができるような客観的な指導基準が確立、明示されていない。このために、実はそうした強権を発動することが非常に困難であったというのが今までの状況でございます。  このために、私どもは、指導監督の実効性が上がるように、経営実態の状況に応じた適切な指導基準を策定するなど、法制面におきます整備が図られますように、国に対して要望したところでございます。  また、私どもの内部の体制といたしまして、今ご指摘がございましたように、職員のいわば人事のルールによって、なかなか練達したといいますか、熟練した──この問題に対応できないといったご指摘も、私どもとしては十分理解できるところであります。現在の通常の人事のルールから、こうした極めて専門的な分野における人事のあり方については、例えば専門職制度の導入といった点も、これから十分検討しなければならないと考えておりますし、また、民間における金融業務に練達の、いわばOBを活用する、こういった面でも、今後十分な体制づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。    〔発言する者あり〕 ◯立石委員 今、委員の中からもいろいろいわれておりますけれども、どうもやっぱりここら辺は都民に納得しがたい点なんですね。長いこと監督してきたのだから──指導監督ということは大変なことです。自分も経験がありますが、役所から手紙が来る、昨今は都会議員として手紙が来るわけでありますが、普通の場合であれば、飲食店であれば、保健所から手紙が来るということであれば、これは何か間違ったことがあったんだろうかと、善良な飲食店経営者でも、言葉は悪いですけれども、びくっとしたりする。そういう状況であるのでありますから、いわんやまして人様の大切な預金を扱う信用組合が、皆様の指導監督というものは、ここでご答弁ありましたように、客観的指導基準云々ということもありますが、実際には大変大きな権限をお持ちになってやられたことだというふうに思います。それともやっぱり、大蔵省に対して少し遠慮というのか、びびっているというのか、いいにくいのか、大変失礼ないい方になるかもしれませんが、何か遠慮しているのか、そんな気がしないでもありません。客観的指導基準が確立、明示されていない部分があって、これを国に要望するというが、現実にはきょうまでの段階で、こういう兆候が見えた段階で、現実にはあれこれいろいろやりとりしたことだと思います。やりとりの経過、わかりましたらば、お答えいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 今お話がございました、信用組合に対する指導監督について、国に対して都が十分物が申せなかったのかどうかという質問が第一点であろうかと存じます。  私どもは、国が主務官庁、主務大臣としての権限を保留している面、こういった点については十分大蔵省との間でご相談も申し上げます。また、ある面では、専門的な機関としての大蔵省から指導を仰ぐこともございます。しかしながら、日常の業務を遂行する中で、大蔵省に遠慮して十分なことがいえないといったような状況は、東京都においては私はなかったというふうに思っております。  それから、十分な権限があってやれるではないか、こういうお話であります。  もちろん私どもは、日常の検査業務の中では、それぞれの分野での検査をし、その指導改善を求めてまいります。しかしながら、これが例えば経営指標がこの点になったならば、例えば債務超過がどのくらいになったらば、すぐに業務停止をかけるということの客観性が、妥当性があるというような基準がございませんと、例えば、ある一年度において債務超過になったら即かけるか、いや、二年度以降においてこれは十分回復可能のものである、通常経営者はそう主張し、みずからの企業の存続を強く望むものであります。具体的に、我々も極めて遺憾でございますけれども、現にその信用組合の営業が可能な流動性資金を持ち、店舗が開いていられるその期間に強権発動して、店舗を閉めさせるといったことは、実行がかなり困難である。私どももかなりもどかしい思いはございますけれども、今回の事態もまたそうした経過の中で迎えたものでございます。指導監督不十分という点については、私ども十分その責任を感じ、またおわびも申し上げますけれども、今の国の認識におきましても、やはり早期にこの手を打つということについて不十分である、こういった議論が、やはり金融制度調査会等においても大きな声になっているということは、そうした現実を国においても直視し始めた、こういうふうに理解をしているところであります。 ◯立石委員 ここの点が実は大変大事なところです。やはり二年交代とはいえ、専門家の皆さんですから、かなり読めるわけでございまして、そこら辺が少し──その指導監督責任というものがこんなになるまで、これはどうなっているのだという声は強いですよ。  ですから、二年程度の交代ということでは不十分なんでしょうかね。二年程度の交代と報道されているわけですけれども、この辺の人事の面における専門家の育成、あるいは国、民間の専門家の応援をいただく、こういう点についてはいかがですか。 ◯高村労働経済局長 今ご指摘がございますように、金融業務というのは、一般の私どもが行っております行政の事務の中では、かなりその内容に精通するには時間がかかる、そういった業務であろうかと私も考えております。  例えば、私ども行政に当たる者は、通常、予算というシステムで頭の中が整理をされておりますけれども、これが商業簿記といったものを理解するには、やはり相当な時間がかかるというのが現実でございます。そういう意味で、今、先生ご指摘の、二年程度で交代するのでは十分な仕事ができないのではないかということは、私どももそういう現状は十分に感じているところであります。  しかし、この問題について、専門的な職員養成ということの必要は、私ども十分、今後も取り組まなければならない問題と考えておりますけれども、都の人事の一般のルールとしては、実はかつて指導監督をする側と民間との癒着、つまり汚職等が起きた場合に、そういったなれ合いといいますか、長くなれ親しんだことによって起こる弊害等もございまして、指導監督をする職員は余り長期にわたらせないといった、一つの面からの人事の制度をつくった面もございます。  そういう中で、先ほど私が申し上げましたように、専門職制度といった一つの新しい方向を、この事務の中に今後導入することを検討してまいりたい、このように申し上げたいと存じます。  また、いわゆる民間の金融機関の業務経験の長い、そして現在、都の仕事を手伝ってもいい、こういう方があれば、私どもは今後そうした方々をどのような形で活用するかという点についても、実は幾つかのハードルはございますけれども、真剣に取り組んでまいりたい、このように考えております。 ◯立石委員 国と都の指導監督権限のあいまいさというものがある。信用組合に対する指導監督は、国の機関委任事務として都道府県の役割となっていますが、機関委任事務が破綻処理の前提としているペイオフや、大口預金者の利子分の放棄の要請といった問題が、実際問題として自治体で可能なのかどうか。また、コスモのように組合員以外からの預金が九割を占めるという、銀行類似の信用組合の取り扱いを含めて、国と自治体の役割分担について、改めて知事に率直なお考えをお伺いいたします。 ◯青島知事 ただいまのご質問は、三つのことにわたると思います。  まず、ペイオフをしたらどうかというペイオフの問題でございますが、信用組合破綻の処理につきましては、信用組合を破産させ、つまりペイオフを実行するということでございますが、これは原則でありまして、預金者が金融機関を自由に選択するための情報開示も十分でない、そういう前提がありますし、不良債権問題で信用不安を起こしやすいという現状から考えますと、こうした劇的な方法をとるということは大変に困難で、いろいろ問題が起こる可能性があるということでございます。  それからもう一つの問題は、大口預金者の利子分を放棄を願ったらどうだということでございますが、大口預金者の金利につきましては、金利はすなわち金融機関と預金者との約定で定めるものでありますが、今回の処理スキームの作成に当たりましては、公的資金を導入する前提の一つとして、金利の引き下げについて預金者に要請をしているという状態だということでございます。  それからもう一つ、員外預金が九割を占めるというような銀行類似の信用組合の取り扱いと、国と自治体との役割分担はどうなのかというご質問も重ねてございましたが、協同組織の地域金融機関としての実態を有していない、そういう実態をはるかに超えた信用組合につきましては、知事が指導監督する信用組合の範囲を超えておるわけでございますから、こうした信用組合につきましては、他業態への転換を含めまして、大蔵省の指導監督のもとに移行するようにというふうに国に要請するのが筋道か、かように考えている次第でございます。 ◯立石委員 今の答弁の中で、信用組合については、いわゆる普銀といいますか、預金量が大変大きくなって、他業態への転換を求められるような信用組合が東京都で五十組合ある中で、今、当局がこれは他業態へ転換をした方がいいと考えておられる信用組合は、既にあるいは質疑の中であったかもしれませんが、ありましたら、恐縮でございますが、もう一度ご答弁いただきたい。 ◯高村労働経済局長 コスモ信用組合が現在のような形で事実上消滅いたしました現時点では、残る五十の信用組合の中には、今ご指摘のような内容を持った信用組合はございません。 ◯立石委員 そうしますと、残った五十信用組合のうちで最大の預金量を持つ信用組合、名前はあえていわなくてもいいですが、幾らくらいの預金量を持っておられますでしょうか。
    ◯高村労働経済局長 現時点における預金量でとりました場合に、最も預金量が多い信用組合は、三千六十億円というのが現時点では最大の預金量を持っております。 ◯立石委員 三千六十億でしたか、三千億前後の山といいますか、そういう部類、範疇に入る信用組合というのは、五十のうちどのくらいあるのでしょうか。 ◯高村労働経済局長 そういう意味で規模の大きい順から申し上げれば──失礼をいたしました。三千五百七十というのが最高でございまして、次が三千六十でございます。それ以下になりますと、二千八百七十、二千六百四十、そして二千三百、こういうような形で順次小さくなってきておりまして、地域組合におきましては、最も預金量の少ないものが百億、地域の業態はそのような形でございます。  また、業域組合の場合は、大体五百億くらいがトップでございまして、最も少ないものが九十億、職域組合におきましては、最高が二千三百十億、最も小さい規模でございますと二十四億、このような形でございます。 ◯立石委員 信用組合、信用金庫という業態に分けて考えますと、自分の経験する範囲でも、信用金庫も、大蔵省の管轄になるわけでしょうけれども、結構小さいところもありますね。百億とか、そのレベルも聞いたことがあります。  そうすると、ここで議論してもしようがないのですが、この点も要望しておきたいのです。余り大きいところは、こういう事故があるときに大変なことになるわけですから、僕がいうのはおかしいですけれども、都の当局として、これは大き過ぎると、ここで答えにくいのかもしれませんが、余り大き過ぎるのも──他業態へ転換を求めていないようなお話が今あったけれども、場合によれば求めていくということも必要ではないかな、こんなような気もいたします。我々がいうのは余計なことかもしれませんが、この辺についてはどんなふうに考えておられますか。 ◯高村労働経済局長 金融機関としての信用組合のあり方という点については、やはりさまざまな面がございます。  例えば、一つの経営体として見た場合に、体質も強化をしていかなければならない、こういう角度から見た場合には、規模の利益というものもございますので、必ずしも規模が大きいからこれはいかぬのだということにはなりません。また、たとえ預金量の規模が大きくても、信用組合本来が持ついわゆる協同組織として、地域に密着した、きちんとした営業をしているならば、これはむしろ規模の大きいことによって受けるスケールメリットというものが大きくプラスになる面もあろうかと存じます。  また、小さいからいいかといえば、やはり余りに規模が小さければ、先ほど申し上げたスケールメリットが少ないという点で、地域密着型という機能は果たし得たとしても、組合員の利益にかなうかどうか、いろいろな角度から見なければならないと存じます。  ただ、私どもは、かつては大きいことがいいことだという一つの風潮の中で、信用組合に対する対策というのは、合併が唯一の対策であったかのような時代を経てはおりますけれども、現時点では必ずしもそういったことではなくて、信用組合本来の立場を堅持して、きちっとした経営をとっていただく、ここに今後の我々の指導といいますか、信用組合に対する基本的な姿勢をとり、そういった方向で指導をしてまいりたいというふうに考えております。 ◯立石委員 大分時間がなくなってきましたので少し急ぎますが、先ほどお尋ねしましたように、本日夕方のようでございますが、金融制度調査会の中間答申が出る予定でございます。この改革案は自治体の意向を反映したものになっているのかどうか、もう間もなくわかることですが、ちょっと見通しを。 ◯高村労働経済局長 今までのこの調査会における論議の内容、それからまさに焦眉の急となっております、連続して発生をしております経営破綻、こういった問題をめぐっての地方自治体の苦悩を、この調査会においても十分酌み取っていただいているものというふうに私どもは確信を持っておりまして、間もなく出ます報告書も、私どもが先般大蔵大臣に要望したものと、恐らく軌を一にするところが多いかというふうに期待をしておるところでございます。 ◯立石委員 信用組合を含む金融システムの安定は、当然、国が主体的に責任を負うべきではありますが、地方分権が大きな課題となっている中で、都独自の指導監督権限の強化を図るとともに、都民の納得できる破綻処理のルールをつくることが必要であることはいうまでもありません。この点につきまして、いかがでしょうか。 ◯高村労働経済局長 信用組合の指導監督に当たりましては、その実効をあらしめるためにも、経営実態の状況に応じた客観的な指導基準を策定することが必要と考えております。  また、経営破綻した信用組合の処理は、金融システム全体の安定に責任を負う国の主導的役割のもとに、制度化された破綻処理システムに従って行われるべきであり、これに伴う公的資金の負担は、国が中心となって措置すべきものでございます。  都といたしましては、こうしたことが実現できる法制度の整備を早急に確立するよう、国に対して要望しているところであり、今後とも働きかけてまいります。 ◯立石委員 金融機関の経営破綻については、金利自由化の中で、預金者がリスクを負うことも避けられない問題です。しかし、これはディスクロージャー、企業情報の公開の徹底が前提とならなければなりません。大蔵省は九三年度決算から、長期信用銀行、都市銀行、信託銀行に対しては情報の開示を義務づけていますが、地方銀行、協同組織金融機関などに対しては、依然として不十分なままの状態となっています。  早期警戒システムとしての情報開示の法整備をどう国に働きかけ、また金融機関に対する指導の経過の開示など、都自身の情報公開をどう推進するか、お考えをお聞きいたします。 ◯高村労働経済局長 自己資本の充実度、支払い能力などをもとにいたしまして、経営状況についての客観的な判断基準を作成し、経営実態の状況に応じた適切な指導が行えるよう、法制度の整備を国に対して要望しているところであります。  こうした客観的な判断基準による指導監督を行うことによりまして、信用組合の経営実態及び都の指導監督の経過が、都民及び都議会に明らかにされるように努力をしてまいります。 ◯立石委員 強固な金融システムの構築に向けて、信用組合の集約、再編も課題とされております。その場合も、地域に根差した信用組合業界の意向を十分尊重することが大前提となるのは当然でありますが、信用組合の大同合併といった構想があるのかどうか、お聞きいたします。 ◯高村労働経済局長 先ほども申し上げましたけれども、信用組合というものが、本来、地域の需要といいますか、そういうものに的確に対応し、そして組合員相互扶助といった形で、地域に役立つ形の金融機関としてこれから進めることが最も大切なことであろうというふうに考えておるところであります。  また、その一面、経営体としての経営体質の強化ということも極めて重要でございます。そうした面からいえば、場合によっては、合併という形によって体質強化を図ることも、また一つの方策ではあろうと存じております。  しかしながら、現時点で、私どもはいわゆる大同合併という形で、都内の信組を例えば幾つかのブロックに分けて大同合併をするとか、都内の全域を一信組に合併するとかといった報道が一部なされたようでございますけれども、こういった構想を現在都が持っているということはございません。 ◯立石委員 次に、最近における金融自由化の流れについて、幾つか質問させていただきたいと思います。  金融自由化は、歴史的に眺めると、我が国の国際収支における輸出入の出超傾向が続いた昭和五十年代以降、その貿易黒字の相手方である欧米諸国によって、社会経済構造の閉鎖性が指摘される中で、金融市場の対外的開放と自由競争の確保が、我が国の経済全体にとって極めて重要であるとの認識のもとに進められてきたわけであります。  こうした日本の金融自由化の流れについて、知事はどのような所見をお持ちであるか、お伺いさせていただきます。 ◯青島知事 お答えいたします。  金融自由化は、二つの国際化、いわゆる経済の国際化と国債の大量発行という金融経済環境の変化を契機として行われたものと考えておりまして、これは金利の自由化や業務の自由化を通じまして、個人や企業の選択の範囲を拡大する半面、金融機関の抗争を激化させるという半面もございます。そのように認識をいたしております。 ◯立石委員 いうまでもなく、金融自由化は、金融市場における競争性を高め、金利の自由化、金融商品の多様化などにより、預金者等の利益にも資するという意味においては、もちろん進めるべき方向ではありますが、その前提として、金融市場やそれを構成する金融機関において、激しい競争に耐えるだけの心構えはもとより、体力のある経営体制の確立や、経営内容の充実などを図ることが当然必要不可欠であります。  しかしながら、最近の金融自由化への動きは、金融市場における強者である都市銀行などの強い要望もあってか、非常に拙速に進められた結果、もともと体力のない第二地銀などの弱小銀行や、地域金融機関である信用金庫、信用組合にとっては、大変過酷なものとなっていたように思います。  この点について、知事はどのようにお考えになっておられるか、お伺いいたします。 ◯青島知事 金融自由化の進展で、金利面での競争や新商品の開発、金融サービスの競争などが極めて激しくなりまして、金融機関の収益はおのずと圧迫されるということになります。  こうなりますと、金融機関の経営力、収益力などの総合力の違いが歴然としてまいりまして、お話のように第二地銀とか、あるいは信用金庫、信用組合にとりましては大変状況は苦しいものになってくるというふうに考えております。 ◯立石委員 金融自由化の流れの中で、都内の信用組合は、都市銀行などを相手に激しい競争を強いられてきたことも、先ほど来事実であります。このことは、今回の破綻劇を考える際、極めて重要なポイントであります。都は、もともと体力の小さい信用組合が、弱肉強食の市場経済にあって、いかに厳しい試練を与えられていたのか、十分にご存じのことと思います。都の労働経済局は、金融自由化の流れの中で、都内の信用組合がどれほど厳しい状況にさらされているかを知りながら、これまで、合併支援基金など後ろ向きの対策しか講じられてこなかったわけだと私は考えております。  そこで、今後、信用組合が、この厳しい競争の中で生き残り、さらに地域に根差したコミュニティバンクとして地域社会に貢献する存在になっていくためにも、信用組合の活性化のための施策を講じることが必要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ◯青島知事 まさにお話しのように、地域に根差したコミュニティバンクとして、信用組合が地域社会に貢献していくためには、信用組合の活性化、おっしゃるとおりでございまして、いいかえますと、経営体質の強化を図るということが重要であると考えております。このためには、通常の指導監督の力点をこの点に置くとともに、信用組合の自主努力を支援する施策につきまして、今後とも十分に検討していかなければならない、かように考えております。 ◯立石委員 巷間「マンモス」などの高金利商品に走った預金者こそ、自己責任の原則に従って、みずからが責任を全うすべきであるとの意見もあるようであります。しかしながら、これまでの護送船団方式により、大蔵省と銀行が預金者に植えつけた、銀行は絶対につぶれないという銀行安全神話、金融安全神話をこそ非難すべきであり、たまたまコスモ信用組合が近くにあったから貯金した、退職金などの貴重なとらの子を、将来の生活のために大きく育てたいといったささやかな望みを持った市井の預金者をまで、高金利につられたやつは、あるいは、残念だったね、お気の毒にといって切り捨ててしまって、果たしていいのでしょうか。  人は、とかく対岸の火事について無関心だと思います。今回のコスモ信用組合の破綻も、やはり対岸の火事なのでしょうか。このことについて、知事は率直にどんなお気持ちか、お伺いいたします。 ◯青島知事 今回のコスモ信用組合の破綻が対岸の火事であるのかというご指摘でございますが、現実にペイオフが実施できない理由として挙げておりますのが、金融機関の経営情報の開示が不十分であるため、預金者の責任において、金融機関の自由な選択が必ずしも行えないということや、金融機関が多額の不良債権を抱え込んでいる状況の中で、金融機関を破綻させることにより、信用不安が起こされやすいことなど考え合わせますと、対岸の火事といえない面が十分にあると考えております。 ◯立石委員 木津信用組合、兵庫銀行と同じような金融危機が広がる中で、今回の信用組合の破綻処理に対する都の対応の成り行きについては、全国の自治体が注目しています。さらに、日本の金融システムに不安感を強める世界各国の目も注がれています。こうした中で、冒頭に申し上げた中小零細企業、勤労者の生活を守るという観点に立った、知事の問題解決に対する決意を改めてお聞きして、質問を終わります。 ◯青島知事 今回のコスモ信用組合の破綻処理に際しまして、これは、戦後初めて金融機関における大がかりな取りつけ騒ぎが生ずるという、まさに危機的な状況の中でございます。都民や中小企業への影響を最小限にとどめるという都民福祉の視点から、財政的支援を実施しなければならないという立場に立ち至ったこともご勘案いただきまして、都民の代表者である都議会の皆さんのご理解を得られますように、最大限の努力を尽くしてまいる所存でおりますので、ぜひご理解のほどを重ねてお願い申し上げる次第でございます。 ◯田中委員長 立石晴康委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯田中委員長 中山秀雄委員の発言を許します。 ◯中山(秀)委員 先ほどの知事発言を聞いておりまして、私はまことに残念であります。私は、青年時代、青春時代、あのクレージーキャッツの「おとなの漫画」だとか、あるいは「シャボン玉ホリデー」だとか、知事のつくったテレビを見てまいりまして、そういう意味では大変親しみと夢を持っておりまして、先ほどの発言で、何かその夢も壊れたような気もいたしますし、私は、知事に夢を持っていた都民も、その夢は壊れたのではないかと、そんな気がするわけであります。  知事の発言は大分揺れたわけでありますけれども、私が見ておりましても、知事の、公約を守る、それから公約を破る、その基準が本当によくわからないわけであります。どういう基準で公約を守っているのか、どういう基準で公約を破っているのか。例えば二信組のときは、議会は三百億を否決をいたしました。で、財政調整基金に入れたわけであります。知事も、この三百億については防災に使いたい、こういうようにいっていたわけでありますけれども、公約を撤回したわけであります。ところが、都市博では、百対二十三の議決の、議会の意思を無視して公約を守った。一体、公約を守る、破る、その基準を知事はどう考えているのですか。 ◯青島知事 公約を撤回したと認めていいのかというお話で、そういうご質問に対しては、そう見られてもいたし方がないと感じておりますという形で申し上げましたけれども、私がそういう心境に立ち至りましたのは、まず、二信組の問題につきましては、私の知り得ることは、議会でのご論議あるいはマスコミの情報でございました。そして、あの二信組の問題は、刑事責任なども含む極めて例外的なことであるという認識を当時持っておりました。しかし、六カ月という月日がたちまして、現実の問題として、信用組合に取りつけ騒ぎが起こるというような社会情勢の大きな変化があったと私は認めております。ですから、この変化──状況が変わったわけですから、前の認識に固執するよりも、新たな対応を模索することもあってしかるべきではないかという考えに至りまして、そのような考えを持ったわけでございまして、ご理解を賜りたいと思います。 ◯中山(秀)委員 知事のそういう経過発言は、私も承知しているわけであります。公約というのはそんなに軽々しいものなのか。私たちも議員でありますから、公約の重さというのは身にしみてわかっております。  そこで、私、思い起こすのは、世界都市博覧会を知事が中止したときのあの声明文なのでありますけれども、フロンティア本部長にはまことに恐縮なのですが、その声明文、今持っていますか。恐縮ですけれども、二つ目の段落の真ん中辺あたり、「そして」からをちょっと読んでくれますか。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 「そして、『都市博は撤回』という公約を守ることが、都民に対する私の政治的責任として優先されるべきであり、公約を守ることの意味を改めて世に問うことこそ、今、必要なことであるとの結論に至りました。公約を翻すことは、現状を改革したいという都民の私に託した期待を裏切ることとなり、都民の政治不信を決定的なものとし、ひいては民主主義の危機につながるのではないかとの危惧を抱いております。」──もっと読むんですか。 ◯中山(秀)委員 フロンティア本部長には大変に皮肉で、気の毒で申しわけないのですけれども、私もこの声明文を読んでおりまして、なるほど、都市博を中止されたことは私も承服しかねる問題でありますけれども、公約の重みということから考えれば、ある意味ではこういうこともいえるなという思いだし、そのことが、やはり都民を裏切らないことになるのではないか。ここにありますように「公約を翻すことは、現状を改革したいという都民の私に託した期待を裏切ることになり、都民の政治不信を決定的なものとし、ひいては民主主義の危機につながるのではないかとの危惧を抱いております。」、ここまで知事はいっているわけですね。ここまで公約のことをいっておきながら、そんな簡単に二信組についての公約を撤回する、私はちょっと納得がいかないのですが、その点どうですか。 ◯青島知事 ご納得いただけないのは、私は大変残念でございますが、先ほども申し述べましたとおり、状況が変わったから、対応の仕方も、前の考えに固執することなく、新たな模索を行ってもよろしいのではないかという実情に立ったと、こう申し上げているわけでございます。 ◯中山(秀)委員 今の説明でも、私は何となく納得しがたい感じでありますけれども、ちょっと角度を変えて聞きたいと思うのです。高村局長は、さきの労経委員会で、知事を説得してでも、来年の第一回定例会に二信組三百億円の提案をしたい、こういうふうにいったわけですけれども、このとおりの形で知事を説得したのですか。 ◯高村労働経済局長 私は、信用組合に対する指導監督という、直接的なこれを担当する部局の責任者といたしまして、三月以来現時点まで、既に稼働といいますか、二信組に関するスキームは既に稼働しているわけでございますから、この時点で、都が負担すべきものとされていた部分については、都の負担のないままに進行しておる、こういう状況があるという前提に立ちまして、私どもといたしましては、来年の三月の時点で──一年経過をすれば、その時点で決算期を迎えるわけであります。その時点で、都が支援を予定していた部分についての赤字が明確になる。これは、指導監督の任にある労働経済局長といたしましては放置することができないというのが、私の職責であります。  そうした意味において、こうした実態をどうするのかということについては、労働経済局として、一定のこれに対する処理のあり方を模索をし、それについて、この時点において、例えば事業局が予算の要求をし、知事の査定を得て議会にご提案申し上げると同じシステムでございますけれども、事業局から知事にそういった状況をお話し申し上げ、知事のご裁断があれば、改めて議会にご提案を申し上げる、こういうことが必要であろうというふうに申し上げたところであります。 ◯中山(秀)委員 そうしますと、第一回定例会に提出をするということでありますけれども、公定歩合が〇・五%という状況で、三百億円をどういう扱いにするつもりなのですか。融資なのか、あるいは贈与なのか、また、都民への負担はどうなるのか、この点はいかがですか。 ◯高村労働経済局長 二信組の処理につきましては、知事も重ねて、もろもろの状況を総合的に判断し、都議会のご意思を尊重して適切に処理をしてまいるというふうに述べられているところであります。知事の指揮下にある私ども事業局といたしましては、改めてこの問題処理に当たるといたしましても、前回と状況も、いわゆる経済状況でございますが、金融の情勢も大きく変わっております。また、今後、金融問題についてのさまざまな状況も出てまいるでありましょう。そうした事態を、まさに知事のいわれる、もろもろの状況を総合的に判断した上で、その時点で最も適切と考えられる案を知事にご説明を申し上げます。 ◯中山(秀)委員 今、即答はできないということでありますけれども、あえていわせていただければ、この三百億円の贈与、そして二百億のコスモ信組への負担、そしてまたあの融資、そしてまた世界都市博覧会の補償経費としての三百五十億、これを合わせますと、八百五十億の血税を使うことになるわけであります。しかも、これは、都民の、納税者に理解を得た上での税金の支出ではないということを、大変に都民からの批判を浴びるところではないかというふうにご指摘をしておきたいと思います。  そこで、議会との関係についてでありますけれども、知事は常々、議会と執行機関は車の両輪である、こういうようにいっておるわけでありますけれども、このコスモの審議に当たって、大変に私自身も驚いたことでありますが、定例会の前の新聞だったかと思いますけれども、ある職員が──都の幹部でありますが、否決した議会が責任を持つべきだ、こういう発言が目についたわけです。私はこれは信じたくないわけでありますけれども、知事が、議会との信頼関係というものを大事にしているという足元で、こういう発言があるということ、その点どういうふうに知事は考えられますか。 ◯青島知事 私は、議会と執行機関との関係につきましては、都民に選ばれた代表である都議会議員の皆様方と、さまざまな課題につきまして真摯に議論を重ねて、都政における車の両輪として、相携えて都民のために工夫を重ねてまいりたい、そう心から念じておるわけでございまして、そういう発言があったことは私も耳にしておりませんが、甚だ不謹慎なことであるというふうに感じております。 ◯中山(秀)委員 今回のこのコスモの審議の過程の中で、二信組のときは大蔵主導で、非常に密室だった。こういうことから、コスモについては、都が主導でオープンにやる、こういうふうに聞いていたわけでございますけれども、私どもが見ていまして、大変に不透明な感じがしてならないわけであります。七月三十一日ですか、業務停止命令を出した。八月の二十八日に救済スキームを発表した。この間、全く議会に対しての説明がなされていない。私ども、新聞報道でしか経過を知らなかったわけでありまして、そういう中で、一体都は、この間どういう役割を果たしたのか、また、大蔵省はどういう取り組みをしたのか、この点について改めてお聞かせ願いたいと思うのです。 ◯高村労働経済局長 コスモ信用組合処理スキームにつきましては、大蔵省及び日本銀行に協力要請をし、関係金融機関等関係者とも協議をし、進めてまいりました。その中で、大蔵省は、回収不能債権処理のための資金援助の交渉を、都は、受け皿金融機関及び回収可能債権の処理機関の決定、さらには経営責任の追及、こういった分野を担当するということになったのでございます。  このうち、都が受け持ちました受け皿金融機関につきましては、預金者保護に万全を期するために、都市銀行及び信用組合にまず要請を行いましたが、受諾困難とのことで、最終的には東京共同銀行となったところでございます。  また、回収可能債権の処理機関につきましては、社団法人東京都信用組合協会にお願いをすることといたしました。  さらに経営責任につきましては、泰道前理事長に私財提供を求め、前理事長は、約六億円程度の私財提供を申し出ております。  なお、コスモ信用組合の関係会社であるエスエス製薬とは、交渉中でございます。 ◯中山(秀)委員 受け皿につきましては、当初、東京共同銀行は避けたいと、そういうことをいっていたわけでありますけれども、どういう理由で東京共同銀行になったか、その点はいかがですか。 ◯高村労働経済局長 私どもは、今回の処理スキームをつくるに当たって、最も重要視すべきものが預金者の保護にあるということでございました。そうした観点から見るならば、受け皿金融機関は都市銀行が最も適切なものという認識を持ったところでございます。  そうした考えに基づきまして、都市銀行二行と、受け皿銀行になるよう再三にわたって交渉を行ったところでございます。しかしながら、結果的には、従来のこうした金融機関の譲渡を受けるに当たっては、いわゆるメーンバンクの責任といった金融界の慣行がございました。これら二行は、みずからがコスモ信用組合のメーンバンクではないということが大きな一つの理由であり、さらに法制面から見ますれば、営業の全部譲渡を受けるに当たりましては、銀行において、株主総会の特別決議が必要であるという見解に立ち、この特別決議を行うためには、多くの時間と労力を費やさざるを得ないということのために、この極めて緊急を要する要請に対しては、その一点でも到底受諾ができない、こういうご回答を受けましたので、都市銀行は断念せざるを得なかったというのが実態でございます。 ◯中山(秀)委員 地価の下落が続いているわけでありまして、不良債権化はさらに進むことが予想されるわけであります。都市銀行は、それを知っていて断ったんじゃないでしょうかね。そうなりますと、この二百億円の支援資金だけでは足りなくなるという状況も生まれてくるのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。 ◯高村労働経済局長 債権回収機関に譲渡される回収可能な債権は、千八百四十二億円でございまして、これを、約三割の回収ロスを見込んで、千三百億で譲渡されるものであります。  また、今後の地価の動向は、債権回収にも影響を及ぼすものと考えておりますが、今後十年をかけて回収をしてまいりますので、千三百億円の回収は可能であると考えております。 ◯中山(秀)委員 次に、公的資金の導入についてお伺いをいたします。  税金を使うことについては、私は、国民や都民のコンセンサスがまだ得られていないと思っております。  また、国の方針も、金融制度調査会が今論議をしているという段階で、きょうにも中間答申が出るのではないかということを、先ほども質問がございました。しかし、例えば先日、自民党の総裁選が行われたわけでありますけれども、新しく総裁になられた橋本龍太郎先生でありますが、橋本先生が立候補する際に、記者会見を行っております。その際に、テーマは、住専、住宅金融専門会社問題だったわけでありますけれども、その中で、公的資金、つまり、税金を注ぎ込んで不良債権対策をする前に、金融機関が出資して、不良債権を回収する組合か保証機構をつくるべきだ、こういうふうにいっているわけでありまして、公的資金の導入に対して疑問符を投げかけているわけでありますけれども、私も、橋本さんの、金融政策が変われば、国も変わってくるのではないか、こんな気がしているわけでありまして、この橋本発言をどう評価をされますか。 ◯高村労働経済局長 現在、金融機関が抱えております約四十兆円にも上る大量の不良債権は、景気回復に大きな足かせとなっておりまして、不良債権の根本的な解決を図らなければ、我が国経済の安定的成長が図れないというふうに認識をいたしております。  不良債権の処理につきましては、基本的には金融機関みずからがその償却に努めるべきものと考えます。  お話しの点につきましては、今後のあり方として、私も全く同意見でございます。 ◯中山(秀)委員 そういう意味では、まだ国が公的資金を導入するということをはっきり決めたわけではないわけでありまして、何も東京都がお先棒を担いで、そういった国の政策の突破口を開くことは私はないのではないか、こういう気がいたしております。  今回のこの二百億円の支出につきまして、私、都のやり方といいますか、進め方というのは、非常に仮説に基づいて無理やり理由づけしているのではないか、こういう感じがいたしております。  例えばペイオフを実施した場合ということを挙げまして、この仮説の上に立って理由づけをしているわけでありますけれども、特に局長が総括質疑の中で、ペイオフは現時点では問題があって困難だと、こういうふうに発言をしているわけでありまして、これはちょっと矛盾をするのではないかという感じがしますけれども、その点はいかがですか。 ◯高村労働経済局長 この七月中旬の時点で、大蔵省とコスモ信用組合の資金繰りについての協議を行いましたけれども、その際に大蔵省は、現在の法体系のもとでは、信用組合の指導監督は機関委任事務としての知事の事務となっており、信用組合の破綻への対応策も都道府県が考えるべきである、こういう考え方を述べられたのであります。したがって、都独力でコスモ信用組合の破綻に対処するのであれば、最悪の場合、ペイオフということにならざるを得ないというのがこの時点での都の判断でございました。  しかし、預金者が金融機関を自由に選択することの情報開示がなされていないことや、不良債権問題で信用不安を起こしやすいこの現状を考えますと、この方法をとることは困難な状況にございます。このため、最終的には関係者間で預金保険機構の資金援助方式によることで合意がなされたところでございます。  その処理スキームの中で、都の負担は、ペイオフが行われた場合に、都民生活や中小企業への影響を最小限にとどめ、さらに他の信用組合の連鎖倒産を回避するという、いわゆるペイオフコストを限度として算出したものでございます。  さらに、スキームにおいてペイオフを援用するのは矛盾ではないかとのお尋ねでございますけれども、このスキームにおいてペイオフコストを援用しているのは、実は都の支援策だけではございません。このスキームの中で最大を占める預金保険機構の千百億円の資金贈与も、実はペイオフがなされたときに預金保険機構が負担すべきものを想定した金額でございます。次に大きな内容を占めます関係金融機関の債権放棄六百三十億も、実は現在の関係金融機関がコスモ信用組合に貸し付けている債権が、ペイオフが行われたときにいわゆる配当される部分がおおむね四割である、したがって六割は戻ってこないという、その想定でできておるものでございます。  したがって、ペイオフコストをスキームに取り入れることは、いささかも矛盾するものではないのでございます。 ◯中山(秀)委員 いずれにしても仮説に基づいているわけでありまして、常々仮定の話はなかなかしない東京都のお役人さんが、こうやって仮説に基づいて理由づけをするということも、私はちょっと都民の納得が得られないんじゃないかと、こういう気がいたします。  そこで、我が党の大木田質問の中でも、困窮者十万人とか、あるいは都民福祉の観点からとか、こういう言葉が入っているわけでありますけれども、何かまさに窮民政策というような、貧しい人を救うんだと、こういう感じがするわけでありますけれども、これもまた我が党の石井質問の中でも明らかなように、「マンモス」という高金利の商品に群がった高額預金者や、あるいは都外の預金者が五分の一もいる、こういう人を救済することが本当の都民福祉になるのかどうか。これは、石井さんの質問の中でも答弁をいただいておりますけれども、私はこの点もおかしいんじゃないかと。  さらに、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、一千万円以上の高額預金者の金利カットをお願いしていると。この点についても、法的根拠はないんでしょうし、果たしてどれだけの効果があるのかどうか。その点の効果についてはどういうふうに考えていますか。 ◯高村労働経済局長 まず、ペイオフをした場合、どれほどの都民に影響が出るかとの点でございますけれども、私どもは、コスモ信用組合の預金口数が十一万五千という実態から見まして、これが破産、ペイオフという事態になれば、名寄せをしなければ正確な数字は出ませんけれども、十万人を超える人が影響をこうむる、こういうふうに考えたところでございます。  さらに、これらの金融不安が広がって連鎖倒産をする場合には、その直接的な影響をこうむる都民、さらには事業主である中小企業の経営主がどれほどの数になるか、これはなかなか予測ができないというふうに考えたところでございます。  それから、都外の預金者がいて果たして都民福祉といえるかとのご質問でございますけれども、ご指摘のように、コスモ信用組合の預金者の中に都外の地域の方がおられることは事実であります。しかしながら、救済を制度的に行う場合に、都民であり、あるいは都外であるからあなたはだめだと、こういう形を制度としてとることは極めて困難であります。例えば、都が補助金を多く出しております私学助成において、都外からの子弟が入学した場合、これに差をつけた入学金あるいは授業料を徴収しないのとそれは同じ理由かと存じます。  さらに、高額預金者の金利カットに関する点でございます。現在、この金利というのは、ご指摘にもございましたように、法的には預金者とこれを受けた金融機関との間の民間の契約でございまして、これは第三者である行政が間に割って入って、これを強制的に法的に切り下げるということは不可能でございます。  したがいまして、私どもは、少なくともペイオフされたときに救済の対象となる──一千万以上の預金をお持ちの方については、今回の公的資金までを導入して預金者の救済に当たるという対象であるあなた方の方から、ひとつ一定の時期、つまりスキームが発動され、東京共同銀行に移行される時点で「マンモス」の金利を辞退してほしいというお願いを知事名で申し上げ、さらには今後とも、これの預金者に対する理解を得るために、私どもはコスモ信用組合に対して指導をしてまいるという考えであります。 ◯中山(秀)委員 それにしても、都外の預金者を救済すること、これはやっぱり都民の納税者としては、私は納得が得がたいのではないか、こういうふうに思います。  そこで、私どももこの十万人の困窮者を、これはどうでもいいなんていう気持ちはないわけであります。しかし、今この都内の中小企業者、どんな深刻な状況に陥っているかということであります。私も、地元の中小企業者の方々とはしょっちゅう話をしますが、親企業からいろいろと圧力を受けて、一円とか二円の採算のところで懸命になって働いている。ですから、税金を納めるのも必死の思いで出している。そういう人たちの思いを考えたときに、私にもそのおやじさんがいっておりましたけれども、あなたはこの税金から二百億を支出することを賛成しないでしょうね、とてもとてもそんな勘定は我々は許されませんよ、こういうふうにもいっておりました。  私は、それこそが都民の皮膚感覚からくる発言ではないかというふうにも思いますし、そういう意味で、ちなみにちょっと聞いておきたいんですが、最近の都内の中小企業の倒産件数、それから失業者数、どのようになっていますか。 ◯高村労働経済局長 最近の都内の倒産件数でございますが、株式会社商工リサーチの調査によりますと、平成七年八月では二百二十二件でございました。前年同月比では一四・六%減でございます。  なお、平成六年には三千百八十三件ございました。
     また、失業の状況についてでございますが、本年の七月時点では全国で失業率が三・二%、これは大体前月と横ばいでございます。失業者数は二百二万人、前年同月と比べますと十四万人の増となっております。 ◯中山(秀)委員 いずれにしても、中小企業の倒産件数も、月にしますと毎月二百件以上ある、あるいは失業者も大変な高水準にある、これが都民生活の実態であります。そういう意味では、私はこの審議をするに当たって、もっともっと都民の意見を聞いた上でやるべきではないかという感じがいたします。初めに二百億ありきと、そういう感じがしてならないわけであります。  そこでお伺いいたしますけれども、知事は常々、開かれた都政ということをいっておられます。そういう中で、ファクス通信、あるいはパソコンを使った知事への提言をおやりになっている。そういう中で、このコスモ信用組合に対するご意見等が来ていると思うんですね。どういう意見が来ているのか、聞かせていただきたい。 ◯青島知事 ご指摘のとおり、私は、直接都民の声を聞くことが大変大事なことと考えましてそのような手段をとっているわけでございますが、ファクスなどによる知事への提言のうち、信用組合問題に関する意見につきましては、九月二十日現在で全体の一・六%の二十五件でございます。  意見の一例を挙げますと、都の財政支出に賛成の意見では、金融問題を一日も早く解決し、経済の活性化を図るためにも、都も的確に対処すべきであるということでございまして、また支出反対の意見では、公的資金を出すのは原則的に反対である、その他では、高金利で預けた者の利息まで保証するのはおかしいという意見などもございました。  これらの意見も参考にさせていただいているところでございます。 ◯中山(秀)委員 余り参考になっていないんですよね。この二十五件、少ない数かもしれませんが、私は都民の意見が集約されているというふうに思っております。  そこで、この二十五件の内訳──今、知事は賛成の方からもいっていましたけれども、反対は何件なのか、賛成は幾つなのか、その点はいかがですか。 ◯篠木情報連絡室長 ただいま申し上げました二十五件の内訳でございますが、都の財政支出に積極的に賛成の方のご意見は二件、消極的な意見を寄せられたのが十七件、その他の意見が六件となっているところでございます。 ◯中山(秀)委員 二十五件のうち、反対が十七件、賛成が二件、その他六件、こういう内訳ですよね。私も聞かせていただきました、その意見の内容を。そのうち、その他の意見の六件も、これは反対なんですね、よく中身を聞いてみますと。資産内容がひどいものに対して、なぜ金融機関としての監督機能が働かなかったのか、救済だけではすべてが解決しない、高金利で預けた者に利息まで保証するのはおかしい、明確に反対という言葉は使ってないんですけれども、この六件も間違いなく私は反対だと思います。  したがって、二十五件のうち、賛成といわれるのは二件しかないわけですね。都民の大多数はやはり反対なわけですよ。わずかな数かもしれないですけどね、これは集約をされていると思うんです。  知事は、この今の数字、どういうふうにお感じになりますか。 ◯青島知事 都民の声として深刻に受けとめております。 ◯中山(秀)委員 私、こういうときだからこそ、知事が開かれた都政ということを標榜したわけでありますから──タウンミーティングというのは鈴木知事の時代の、意見を聞く会だそうでありまして、今は、知事と都政を語る会ですか、こういうふうになっているんですね。  やはりこういう重要な問題は、こういう語る会を開いて都民の意見を直接聞く、それが私は青島知事の当選をしてきた姿勢ではないかと思うんですね。何かセットをされた語る会で話を聞いて、それで事足りるということでは私はいけないと思うんですよ。やはりこれだけの問題ですから、このことについて、都政を語る会でコスモ信組の問題について聞く、そういう気持ちはございませんか。 ◯青島知事 まさにおっしゃるとおりでございまして、一人でも多くの都民の方の声を率直に都政に反映できるように、都議会の皆さんと共同で推し進めていくべきだという認識のもとに、「知事と都政を語るつどい」という場を設けまして、一般公募の方を最優先という形で参加いただきまして、何の制約も設けずに皆さんの声を率直に伺うように、努めて努力をしているところでございます。  しかし、信用組合問題につきましては、現在議会でご審議をいただいているところでございますので、その審議結果を尊重するという立場から、今すぐにそのことを行うのはいささか問題があるのかなと、かように考えております。 ◯中山(秀)委員 いささかも私は、問題はないと思います。知事の当選してきた経過とか、やはりもっともっと都民の皮膚感覚に触れて判断を下されることが、私は知事らしい判断だと思います。  そういう意味では、おやりになりたくないような感じでありますけれども、私は、ぜひ、これからでも遅くないわけですから、そういう機会を設けて都民の意見を聞いた上で判断を下すと、こういう立場に立っていただきたいということを要望いたしておきます。  今回の信用組合の救済の問題につきましては、大変に今までの論議を見ていますと、大蔵省の責任も非常に重いわけでありますが、所管の官庁であります自治省が、破綻処理に税金を使うことについてはどういう見解なのか、お伺いします。 ◯高村労働経済局長 平成七年二月二十二日の衆議院予算委員会におきます自治大臣の発言は、このようになっております。あらかじめ、地方公共団体の個々の支出について自治省が指導する立場にはないわけでございまして、今回の件につきましては、東京都が公益的に判断されたことであろうと認識をしております、これが自治省の見解でございます。 ◯中山(秀)委員 この十年間を見ても、幾つかの自治体で救済資金を支出をしているわけであります。自治体の財政が切迫する中で、東京都が公的資金の支出を決定するということは、他の自治体への影響も私は大変に大きいと思うわけでありますけれども、その点についてどう考えているのかということと、やはり自治省の、こうした十年間の自治体の公的資金の投入ということを容認してきたというか、放置してきたというか、この自治省の責任も私は重いというふうに考えます。その点について、東京都はどういうように考えているのか、その点もお伺いします。 ◯高村労働経済局長 これまでに多くの自治体が信用組合の経営破綻を処理するために公的資金を支出しておりますが、これは、預金者を保護することにより信用不安を回避し、地域住民の生活や中小企業経営への影響を最小限度にとどめるという、それぞれの自治体の政策的判断に基づく施策として実施された、このように認識をしております。 ◯中山(秀)委員 私どもは、今回のこのコスモ信組に対する公的資金の支出については、法的根拠もあいまいである、また、先ほど申し上げましたとおり、都民の理解も得られない、そういう視点からも強く反対をしていくことを改めて表明をしておきたいと思います。  そういう中でもう一点だけ、かなり今回のことで指導監督体制ということが問題視をされているわけでありますけれども、実際に実務を行っていてどういう限界を感じられているか、実際の実務をやっていて、指導監督の限界ですね、どのようなことを感じるのか。また、そうしたことを今後どういう改善をしていこうという考えなのか。その二点をお伺いします。 ◯高村労働経済局長 現実に信用組合の指導を行っていく上で、財務内容に応じて業務改善命令を出し、それに従わない場合には理事の解任とか解散命令、こういう命令を発動していくというのが現在の法の筋道でございます。  しかしながら、今お話ございましたように、実際にはそれがどうなのかということでありますけれども、私どもも、例えば債務が超過状況にある、つまり、これではやっていかれないのじゃないかということを指導で把握いたしましても、そのことをもって、どのレベルに達したらば解散命令を出せるのか、どの時点で理事の解任といった伝家の宝刀が抜けるのか、これをなかなか実際問題としては実施ができないという現状にあるわけでございまして、経営破綻という、まさに文字どおり店頭において支払う金がない、こういう事態が今回のような破綻劇になるわけでございます。  そういう意味で、私どもは、今後そういった、早期に問題を発見はいたしますが、それの命令発動ができるような、この場合はこうだという形の客観的な基準がきちっと出されている、こういう制度化が私どもとしては最も必要であろうというふうに考えております。  大変いいわけがましくなりますけれども、私どもとしては、このような状況にあったといたしましても、信用組合の指導監督の任にある者といたしまして、今後は信用組合の健全な経営が図れるように指導監督に最大限努めてまいります。 ◯中山(秀)委員 都市博の問題についてお伺いします。  都市博の中止は、東京の経済に大変に深刻な影響をもたらしているわけでありまして、特に中小企業にとりましては、まさしくこの不況下で仕事がなくなっている、非常に深刻な問題を呈しているわけであります。我が党にもたくさんの意見が寄せられておりますが、そこでまずこの補償につきましては、中小企業の現状を考えたとき、できるだけ早く補償金が末端まで行き渡るような努力をすべきと考えるわけであります。  そこで、まず今後の補償事務のスケジュールはどのようになっておりますか。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 損害の補償につきましては、現在、補償基準に基づき関係者が積算している状況にありまして、財団法人東京フロンティア協会への請求につきましては、早ければ今月末あたりかなというふうに見込んでおります。  補償の請求を受理いたしました後、協会における審査、また、都の損害の補償に関する委員会の議を経まして補償金を支払うことになるわけでございますが、支払いの時期につきましては、請求の内容によりまして当然異なってまいりますが、請求受理後、およそ一カ月から一カ月半ほどになるものと考えております。 ◯中山(秀)委員 今回の補償につきましては、逸失利益が対象にならないということ、これは非常に残念なことでありまして、仕事が来るぞ、時間をあけといてくれないか、こういうような形でいわれた方々もたくさんあるわけであります。そういう方々が補償の対象にならない。難しい問題でありますけど、非常に残念な気がいたします。  そこで、元請、下請、孫請、こうした間で結ばれている契約の解除に伴って、商慣行では、発注者は違約金を支払うことになっておりますけど、この違約金につきましては補償対象にはなるんですか。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 先般策定いたしました補償基準の第十一条におきまして、都市博中止が直接の原因となりまして、補償請求者が法律上の義務として第三者、すなわち下請などに支払うこととなりました経費につきましては、商慣行及び具体的状況に照らし相当と認められる範囲で、補償の対象とすることができる旨規定しております。  したがいまして、お話のような違約金の支払いが商慣行及び具体的状況に照らして相当と認められる限度内であるといたしますならば、法律上の義務として第三者に支払うことになった経費として、補償の対象になり得るものというふうに考えております。 ◯中山(秀)委員 本部長にもう一点だけお伺いします。  そうしますと、例えば口頭や黙示の契約、いわゆる先行準備作業も補償の対象になったわけでありますけど、この点についても、違約金が補償の対象になりますか。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 お話のように、口頭や黙示の契約、あるいは先行準備作業におきましても、その合意の内容が明らかである場合、あるいは先行準備作業として補償の請求者または下請負業者の判断で行うことが相当と認められる場合にありましては、都市博の中止が直接の原因となって発生する違約金でありますと、先ほども申し上げましたが、商慣行及び具体的状況に照らして相当と認められる範囲内で、補償の対象にできるものと考えております。 ◯中山(秀)委員 本部長、大変にありがとうございました。また、先ほどつらい答弁をさせまして、失礼いたしました。ありがとうございました。  都市博の中止は、今後もまた、臨海開発にはさまざまな形で影響を及ぼしていくというふうに私も考えております。先日も大西委員の方からも話が出ておりますけど、臨海副都心の隣接地での地価の下落がひどいわけですね。この要因はどこにあると考えますか。 ◯西念財務局長 去る九月二十日に公表させていただきました平成七年の東京都基準地調査によりますと、臨海副都心の隣接地の地価は、年間で三〇%を超える高い下落率でございます。  この下落の要因を詳細に分析することにつきましては難しい面もございますが、考えられることとしましては、いわゆるバブル期には、都心区域に比較し、同地域はややおくれて地価の高騰を見せております。そして、地価の下降局面を見てみますと、いわゆるダウン状況のときには、長引く景気の低迷等の影響も受け、臨海に隣接する地域につきましては、都心区域に比較し、おくれて今回のような大幅な下落、このように思われます。また、世界都市博覧会の中止等による先行きに対する心理的影響も無視できない、このように考えられます。 ◯中山(秀)委員 私は、都市博の中止が今後の臨海開発に連動して影響してくる、そういう意味では、都市博の中止ということが非常にこれからの臨海に大きな影響をもたらすだろう、このように思います。  そこで、最後になりますけど、台風十二号の被害についてお伺いをしておきたいと思います。  戦後最大のこの台風十二号で、島しょに非常に大きな被害が生じたわけでございます。まず、まとめて申し上げます。被害状況と都としての活動態勢。  それから二点目には、都は、復旧対策を今後どのように考えていくのか。あるいは、財政力が非常に弱い島しょ地域でございますので、都としてどのような支援を講ずるのか。  それから三点目でございますが、知事も八丈島に最近行かれたわけでございます。そういう意味で、この被害を契機に、さらに災害対策を講ずるべきと考えます。  以上、まとめて三点、お願いをいたします。 ◯渡辺総務局長 今回の台風十二号による島しょ地域における被害状況でございますが、港湾、漁港関係では防波堤のずれ、船揚げ場の損傷、また道路関係では、御蔵島都道の斜面崩壊、農林水産業関係ではビニールハウスの破損、土砂崩れによる林道埋没などであります。  さらに、人的被害といたしましては、軽傷者が一名と軽微でありましたが、家屋の全、半壊が十五棟など、多くの被害が発生いたしました。  その被害総額でございますが、五十億円を超える見込みでございますが、詳細については現在調査中でございます。  また、活動態勢につきましては、台風の接近に合わせ、港湾局、建設局、警視庁、東京消防庁などの各局におきまして必要な活動態勢を整え、応急対策活動に備えました。  なお、総務局におきましては、それぞれの支庁では非常配備態勢を、災害対策部におきましては情報連絡体制を整え、被害状況の収集等に当たったところでございます。  次に、今回の台風十二号によります被害に対する復旧対策でございますが、国庫補助事業でございます港湾、道路等の公共土木施設災害復旧事業、また、林道や魚の養魚場などの農林水産業施設災害復旧事業につきましては、その事業採択に向けまして国と協議中でございます。また、住民の生活にできるだけ支障が生じないよう、各町村との連絡を密にいたしまして、関係各局を挙げて復旧に努めてまいります。  また、町村の事業につきましては、国に対し特別交付税による措置を要望いたしますとともに、都の市町村振興交付金及び調整交付金を活用いたしまして、きめ細かな財政支援を行ってまいりたいと考えております。 ◯青島知事 台風と島しょの関係でございますが、今回の十二号台風は戦後最大の規模だというふうに報道されておりまして、本土への上陸は免れましたものの、島しょ地域と通過地にありましたところには相当の被害が出たということは、先ほど局長が答弁したとおりでございます。今後の災害復旧に、今、全力を挙げているところでございます。  現在、風水害対策はもとより、島しょにおきましては津波対策とか火山噴火等、島しょ特有の災害対策を積極的に進める必要があるということから、その充実と強化にますます励んでまいらなきゃならない、かように覚悟をいたしている次第でございます。 ◯田中委員長 中山秀雄委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯田中委員長 続きまして、山崎泰委員の発言を許します。 ◯山崎(泰)委員 コスモ信用組合の問題に関しまして、基本的に知事のご姿勢をお尋ね申し上げたいと思います。  まず、私どもはこれまでどういったような主張を申し上げてきたかということでございますが、ただやみくもに、私どもは今回のケースに関しまして、否決、反対といっているわけだけでもありません。私たちは、先般、石井委員の質疑の中にございましたが、やはり都民の理解を得られるため、公的資金導入をしていくということに関しては、知事、幾つかの大前提があるだろうと思うんですね。  一つは、経営者責任の明確化ということであろうと思います。これはまさに大前提であり、第二点目は、いわゆるハイリスク・ハイリターンの部分の、今回は高額預金者まで保護しなければならない、預金者完全保護の修正ということが、仮に今できないとしても、将来的にできるのかどうかといったようなことの修正の問題。  三点目は、将来に向けて信用組合のディスクロージャーをどうしていくのか、また、少なくとも都議会に対する情報の提供といいますか、知事がよくいわれるように、車の両輪であれば、それなりに、本当にどういった形でこれから取り組んでいくのか。  四番目、都と国の破綻処理並びに財政支出に関するルールづくり、役割分担の問題。  五番目、大蔵省並びに東京都のけじめの問題。  六番目として、これも大事なことですが、いわゆる東京都という自治体を預かる知事の基本認識がきちっとしているということが、一番大事だろうと思うんです。  まず第一点に、今六点ほど挙げましたが、私どもはこれが大前提の条件だと申し上げているわけでございまして、今の段階でこの実態、何がどのようにクリアをされているのか、知事のご答弁をいただきます。 ◯青島知事 まず、責任の所在を明らかにするということはもちろんのことでございますが、それと、重ねて質問がございましたので前後するかもしれませんが、議会との関係でございますが、どういう対応をしようとしているかということをつぶさに議会の皆さん方にご理解をいただいて、ご賛同を得ながら、ご相談の上で事を進めることが絶対に必要だと考えております。  今回の経過につきましても、庁内の幹部職員に、皆さん方各党の幹部の方にご連絡を申し上げるように督励をいたしておりましたし、それから国への対応につきましては、国が責任を持ってしかるべきだという部分につきましては、十分に検討していただくように要望をしてまいりましたし、それからハイリスク・ハイリターンの方々に対しましては、もし今回のスキームができて、そのようなことで処理をいただくというようなことにつきましては、ご希望になりましたハイ金利はご遠慮いただくと、これは法律的な根拠はございませんが、そのようにさせていただくようにご了解いただくということを要望申し上げております。  そこまでは了解をしておりましたが、その後二点につきましては、恐縮でございますが、再度ご質問いただきまして、お答え申し上げたいと思います。 ◯山崎(泰)委員 後ほど一点一点お伺いいたしますので、あとは後ほどいたします。  先ほど冒頭で田中委員長のご質問にお答えになられて、知事は、公約撤回ととられてもやむを得ないということをおっしゃられたわけですが、再三申し上げているように、私どもは、幾つかの条件を乗り越えるということは、これからの東京都にとっても大事だろう、残る五十の信用組合にとっても大事だろう、こうこれまで主張申し上げているわけでございまして、それと公約撤回の問題というのは、確かに関係がないとはいいませんけど、知事のご答弁を聞いてますと、何か公約撤回をしたととられた、それさえ了承すれば、今申し上げたような幾つかのハードルというのはすべて乗り越えてしまうんだろうか、そんなふうにも聞こえてなりません。知事のご答弁をお願いします。 ◯青島知事 そのことを切り札にして難を逃れようとしているというようなお言葉と私は受け取りましたが、必ずしもそのように考えておるわけではございませんで、私が公約として掲げました当時は、二信組の問題につきましては、刑事上の責任も負うほどの実に希有な、まれなことだという認識がありまして、それほど金融不安についての切迫した雰囲気は、議会のご議論の中からも、マスコミの風潮の中からも得られませんでした。  そういう事情の中で、そういう公約を掲げたわけでございまして、それから半年の月日がたちまして、複数の信用組合について、現実の問題として取りつけ騒ぎが起こるというような、非常に切迫した金融不安というものがはんらんをしている状況になりまして、事態の相違が明確であると。ですから、かつてのことと違って事態が変わったんだから、違った対応を模索することも考えなければならないんではなかろうかということで、さきに考えたことに固執をするよりも、新たな対策を立てるべきだという認識に立ったわけでございます。 ◯山崎(泰)委員 私、全くそのことに関しては納得をしかねるというふうに強く思います。  九月十二日、今回の本会議の初日の知事の所信表明の中でこうおっしゃられてるのは、もう何度もいわれてるところですが、経営破綻した信用組合の処理は、金融システム全体の安定に責任を負う国の指導的な役割のもとに、ルール化された破綻処理システムに従って行われるべきもの、また、公的資金の負担は国が中心となって措置すべきものと考えます、といっておきながら、このコスモの問題に入ってくると、急に百八十度方向が変わっていってしまう。傍聴の皆さん、マスコミの皆さん、多くの皆さんいらっしゃいますが、知事がきちっとこういうような認識で、国へも、大蔵大臣まで要望書を上げてるというのであれば、百八十度転換しなくて、きちっとそのとおり筋を通せばいいだろう、そのように強く思うんです。  ですから、先般もお話がありましたが、これは国に責任を転嫁するという問題じゃなくて、きちっと詰めなきゃいけない、対症療法ではだめだということを私たちは申し上げているわけで、国もこのことを急がなきゃいけないんですよ、知事。そうした場合には、あえて国がこの問題に関して大なたを振るっていくという速度を早めさせるためにも──今の状況じゃ、いつまでに法整備ができるのか、多分、知事にはご答弁いただけないと思うんです。  ですから、あえて国・大蔵省の金融政策上の誤りをきちっとただして、それを方向修正のためにも早めなきゃいけない。都道府県の議論も詰まってない。だから、あえて今回は、東京都は場当たり的な支出をするべきではない、こう何度も申し上げているわけで、じゃ、その分はどうするのか。たまたまですけど、日銀の特融という仕組みもある。そのことを逆に日銀にお願いをすることの方が、私は、知事のこの所信表明の筋とも一貫していると思いますし、先般申し上げましたが、護送船団方式を無理して維持するために、何とか東京都が出す道はないかということを探ることの方が、多くの皆さんが聞いてても、もちろん私ども聞いてても、非常に矛盾を感じるんですが、知事、この点いかがですか。 ◯青島知事 再度私申し上げているとおり、金融関係の破綻につきましては、最終的には国全体の金融に責任を持つ大蔵省・国が責任を持つべきだ、だからそのようにしていただきたいというような要望も申し上げているわけでございます。  しかしながら、コスモにつきまして緊急避難的にということを再々申し上げておりますが、あの時点では現実に取りつけ騒ぎということが起こったわけでございますから、もしそのような状態を放置すれば、他の金融機関にさまざまな悪影響を及ぼすことは明白でございまして、そのために今ここで手を打たなかったら、もう対処のしようがなくなるという緊急的な事態でございましたので、あのような業務一部停止命令というようなことの手段をとらざるを得ないというような状況の中で行ったわけでございまして、そのことも十分ご理解をいただきたいとお願いする次第でございます。 ◯山崎(泰)委員 その後が理解できないから、私ども聞いているわけでございまして、後ほどもう少し詰めさせていただきたいと思います。  これまでの発言を聞いていますと、本会議の代表質問では、旧二信組とコスモは、都の財政支出の目的と実行の前提条件を満たしているという意味で同じだ、私の公約は当時の状況について認識に不十分な点があったと率直に認めたい、こういわれています。二十二日の予特では、公約を撤回したつもりはない、仮に支出するようなことになったとしても、公約には違反しない。そして、きょう、先ほどは、公約撤回ととられてもやむを得ない、こういうような発言をるるされておられるわけでございますが、先ほどもちょっと質問がありましたが、やはり延長線にありますのは、二信組の問題があろうと思います。先ほど、局長が説得をするという話がありましたが、やはり近い将来、遠い将来かわかりませんが、局長に説得されて、二信組に財政支出をする予算案を再提出されるおつもりがあるんですか、知事。 ◯青島知事 労働経済局長の発言は、信用組合に関する事務を所管している局長として、熱意のあらわれであるというふうに考えておりますし、私は知事といたしまして、旧二信用組合の今後の対応につきましては、諸事情を総合的に判断した上で、都議会でのご意向を最大限尊重して、適切に処理をしてまいりたいと考えております。 ◯山崎(泰)委員 そしたら、仮に、今の段階では、公約撤回と受けとめられてもやむを得ないというようなことでしたが、正式に二信組の問題まで議案として再提出されたこと、もしくは将来あり得るかもしれない、その時点が来たとしたら、そのことをもって、正式に知事は公約撤回だったというふうに受けとめてもいいんでしょうか。 ◯青島知事 私の理解が行き届かないせいか、今のご発言で的確なお答えが、あるいはお答えにならないかもしれませんが、それは議会とのお話し合いと申しますか、議会の意向を最大限尊重して、適切に処理していかなきゃならないという気持ちに変わりはないわけでございます。 ◯山崎(泰)委員 了解できないんで──公約でいったいわないということを余り話をしたくありませんが、都民は、知事を選ぶときに何を選択の基準にしているかというと、いうまでもなく公約だろうと思うんですね。そのときに、じゃ、都民は公約以外に何を一体信じればいいんだろうか。こういういい方は失礼かもしれませんが、青島さんから公約を取ったら、この百七十万人という期待されていた皆さんは、ほんとにどうなんだろうか。その期待をされたことに関して、私は非常にそのことに関しては、知事のこれからの問題もありますので、よくよくご認識をいただきたいというふうに強く思います。  先ほど来のお話の中で、状況が変わった、状況が変わったというふうに何度もお話をされます。私は思うんですが、状況が変わったんじゃなくて、知事がその段階で知っていたか知っていなかったか、その知事の認識がただ変わっただけで、状況は変わってない、こんなふうに強く思うんです。そのときに、仮に、状況が変わることを将来読み切れなかったといったようなことに関する政治家としての責任といいますか、そういったようなものは、ただ単に客観状況が動いたからという一言で済まされてしまうんだろうか。知事、いかがですか。 ◯青島知事 正直申し上げまして、私の予測の能力がなかったということかもしれませんが、とりあえずあの時点では、実際に幾つかの信用組合が取りつけ騒ぎを起こすというような切迫した実情にあるというふうには考えておりませんでした。(「マスコミだってわかってないよ」と呼ぶ者あり)そういう状況であったというふうに考えております。 ◯山崎(泰)委員 味方が随分いるみたいですからあれですが、一つ、コスモと二信組の違いということに対してなんですが、先ほどもお話の中にありましたが、東京共同銀行に依頼をする前に、今回、富士銀行と第一勧業銀行を含めて、大手都銀に引き受けてもらうことをお願いをしにいったということですが、これは少し考えてみますと、本当はやはり知事の公約と整合性をとるために、コスモ信用組合と、いわゆる旧二信組の解決に対する処理方法を、何とかここで差別化したかったんじゃないか。そうすることによって、青島知事の当初の公約と今回の財政支出との矛盾、問題点を、何とかそこでクリアできるんじゃないかというふうに、今回の東京共同銀行に行き着くまでの経緯を見ますと、私自身はそんなふうにも思うんですが、その点に関してはいかがですか。 ◯高村労働経済局長 まず一般原則として、事案を処理するに当たって、私ども都の職員は、知事の方針を最大限尊重して事に当たるのは当然のことであります。その観点からいえば、今回の処理に当たって、知事の公約というのは、私どもの仕事をする上での当然大きな指標であります。  したがって、今回のコスモ処理に当たって、私どもが最大の目標といたしましたのは、預金者を保護するんだと、預金者を保護するということを徹底させるということにあったわけであります。その観点からいえば、受け皿金融機関といたしましては、預金の保護について、一番信頼感のある大手の都銀であり、それがだめであれば、次に、地域に密着し利便性の高い信用組合が分割をして引き受けてくれることであり、これも不可能であれば、万策尽きたものとして、現在の段階である東京共同銀行に行くのもやむを得ない、こういう選択をせざるを得なかったものであります。 ◯山崎(泰)委員 東京共同銀行の件に関しては、まあ、わかりました。  それで、緊急避難、緊急避難的措置というふうに、これまで何度も何度も使われているわけでありますが、確かに経営破綻までしたことに関して、知事もしくは当局の皆さんの責任とはもちろん申しません。しかしながら、やはり本当に今回が緊急避難的措置であるならば、前回も、二信組のときも、緊急避難的措置といったようなことを聞きました。今回があくまでも例外で、本当にやはり最後に近い緊急避難的措置とあるならば、少なくとも知事のご答弁の中で、東京都としてとる最後の緊急避難的な措置、もしくは、そうしたいというような、もう少し突っ込んだ言及といいますか、答弁としては私どもはいただきたい、こういうふうに思いますが、先般私が一般質問した中では、そこまでは触れられておりませんでした。先ほどは、もうこれ以上ないんじゃないか、何かそんなような話もありました。その点含めて、知事、いかがですか。 ◯青島知事 再々申し上げておりますが、コスモ信用組合が破綻を招きつつある状況にあるという報告を、私どもは、三十一日に緊急避難命令として業務一部停止命令を出します前に報告を受けておりました。この先どうなるのかなということで、緊密な連絡をとりながら話し合いを続けておりまして、今ならまだ少しずつでも私財を投じてでも対応できる状態だ、いや、そうでなくなったというような日々の経緯につきまして、それこそ額を集めて相談をしていたわけでございますが、もう少し自己能力に基づいて耐え切れるのではなかろうかという期待も私ども持っておりましたし、そのような目で見ておりましたが、とうとうその極限に参りまして、ここでもし一部業務停止命令をかけなければ、預金者が店頭に殺到するであろう、店頭においてもし取りつけが大騒ぎというような事態になれば、これはもう取り返しのつかないことになるのではなかろうか、これはいたし方がない、裁断をお願いを申し上げますというふうに局長から私に最終的な通告がございまして、私もその事情をよく聞きました。そして、今とれる最大最高の手だてはこれしかないと。ということは、預金者を保護し、金融秩序を維持するための我々の考え得る最高の手段であるという認識のもとに、あのような行為に出たわけでございまして、その点につきましては、ご理解をいただきたいと思います。 ◯山崎(泰)委員 もう一度お尋ねをします。今回はあくまでも例外的で、最後の緊急避難的措置、もしくはそうしたいというふうに知事はいっていただけますか。 ◯青島知事 先々のことは私の予測の外かもしれませんが、このようなことが二度と起こることのないように心から願っておりますし、こんな手だてで対決しなければならないというようなことのないように、今後は十分に監督指導の面でも強化をいたしまして、あるいは精査をいたしまして、こういう事態に対面しなきゃならないようなことは避けたいというふうには考えております。
    ◯山崎(泰)委員 もしそういったことに知事の言及がされ、担保されるならば、ある程度東京都として──都民の皆さんも、いつ起きるか、いつ起きるかと、また起きるのじゃないかと、そういう不安があると思うのです。もしそういったような形で、知事が、最後であるとか、そういったことに関して言及をできるならば、ある程度議会の中の意見構成もまた変わってくるかもしれない。もしそういったような前提があったら、知事、どうですか。 ◯青島知事 私は、そういう事態が来ないことをひたすら願っているわけでございます。 ◯山崎(泰)委員 何度やっても一緒ですので、やめます。  それから、そもそも東京都だからこういう議論になると思うんですね、東京都だから、これだけの財政規模を抱えているから。他の道府県、特に大阪はあのようにきっぱりと財政支出はしないといっておりますし、朝日新聞でも、財政支出には明確に反対というふうに答えられている知事さんが十五おられます。思うと答えているのは、東京都と、既に財政負担をした神奈川県と二県だけというような状況があります。  ですから、これは一東京都に限らず、やはり全国にも波及し得る問題だろう。確かに、多少ほかの道府県から比べれば、東京都の方が金があるかもしれませんが、そのことをもって、本当に先に、議論が煮詰まっていないうちに決めてしまっていいものだろうか、すごくそれは強く思います。  この間、局長のご答弁の中で、少なくとも都内信組の分野での信用不安を回避することは都としても手をかしたい、この気持ちはよくわかります。しかしながら、今申し上げましたとおり、幾ら緊急避難といえども、これは決して一地域とか、一都道府県のレベルの問題では済まされない、広く金融機関全体を巻き込む大きな問題であろうというふうに思います。  もしこのまま突っ走ってしまうと、こういうことが起きる可能性があると思いますよ。都内信用組合に監督責任がある東京都が財政支出をしたのだから、他の道府県も当然そういうふうになっていいのじゃないか。国が監督する金融機関が経営破綻したら、今度は国が税金使うのかと。住専処理に公的資金の導入もされるのかと。そういうようなことを含めて、そんなような議論になりかねないだろう。まさに今回その前哨戦だろうと思います。  今申し上げたことも含めて、今、東京都の置かれていること、それから、これが全国にも波及するであろうということ、そのことを含めて、知事、いかがお考えになりますか。 ◯青島知事 おっしゃられるように、私どものとりました結論が、他の自治体並びに金融機関に影響を及ぼすであろうということは、結果としてあり得ると思います。しかし、私どもとしては、あれ以外にとるべき手段がなかったということだけは正直申し上げておりますので、そのことだけはご理解をいただきたいと思います。 ◯山崎(泰)委員 前へおいでいただいたので、局長に一点お尋ねします。  先日の例の、ペイオフの可能性が高い、協議が調わないかもしれないというご発言についてなんですが、私たちは、何とかペイオフは迂回して、中間的な選択肢も含めて、何かそんな選択肢がないだろうか、こんなようなことを幾つか提案をし、考えている中で、あの発言の真意が果たしてどこにあるのかわかりませんが、私どもは、あのときに、協議が調わない可能性が高いというようなご答弁ではなくて、日銀による預金支払いのための特別融資の継続を強く国に働きかけていくとか、例えばそういう答弁だったら、まだ私どもはわかります。  ここに今、労働経済局さんでつくられた、今回のスキームが不調に終わった場合、また否決をされた場合、継続された場合、このシナリオの図が私の手元にもあります。これには、直ちに都支出分の転嫁、もしくは継続支出に関して大蔵省、日本銀行との協議に入るというふうに書いていますが、もし仮に今回の議会で皆さん方の思うようなといいますか、財政支出のことに関して否定的な答えが出た場合、日銀と大蔵省とはどういう姿勢で協議に入るおつもりですか。 ◯高村労働経済局長 私の方から結論的なことを先に申し上げたために、誤解を受けたようであります。私どもは、当然自分みずからの職責といたしまして、仮に議会の議決が今回、否決あるいは継続になった場合、私どもは、この今回提案したと全く同じ理由で、都民の経済的な困窮を救うための、いわゆる広い意味での都民福祉のために、私どもの職責として全力を挙げて、国、日銀、関係機関と、成立するまで協議をすることは当然の覚悟であり、またやることは当然であります。お約束申し上げます。  しかしながら、私の方で結論的に申し上げた、不調に終わる可能性が高いと申し上げているのは、この問題の当初から、国側と協議に入った段階から、かつて二信組問題で、都は支出するといいながら、議会の否決に遭って出せなくなった、そのこと一点からいって、国も、また関係の金融機関も、都が出すということの確実な保証を取りつける、そのことが初めてテーブルにのる条件であるというところからスタートをしております。そういう意味で、今回再び都が支出できなくなったという事態が生じたならば、都が出すということを信頼した関係者は恐らく腰が引けるであろう、この思いがあるわけであります。  技術的には、さらに今お話がございましたように、日銀特融が継続できるか切れるか、いろいろな問題がございますけれども、基本的に不調に終わる可能性が高いと申し上げているのは、その都の姿勢に対する、都の信頼に対する、都側がもしアウトと、支出できないということになったときの関係者の思い、また、それを前提としての今までの行動であったことに思いをいたしますと、私としては、なかなか協議成立は困難である、こういう意図で申し上げたつもりであります。 ◯山崎(泰)委員 否決をされた場合でも、日銀の特融が継続をされるように、強く積極的に国、大蔵省、日銀に働きかけていくということでいいのですか。 ◯高村労働経済局長 理論的には、否決をされた場合に、日銀特融を継続させるということはあり得ないわけであります。日銀特融というのは、資金を融資するということでありまして、現在の処理スキームにおけるいわゆる不良債権、つまり回収不能の分、端的にいえばロス分であります、赤字分であります、これを埋めるという作用は特融はできないわけであります。 ◯山崎(泰)委員 私が申し上げているのは、いわゆるその発言が、先般もそうでしたけれども、非常に逆に都民の皆さんの不安をあおるというようなことを非常に強く感じるわけでありますから、その一点をお伺いし、本当はもう少し違うご答弁がいただけるだろうというふうに思っていたわけですが、今の段階でも、そういうご答弁しかなされないということですので、そのことに関しては承りました。  もう一つ、次に、先ほど第一点目に幾つか申し上げた中での一つなんですが、経営責任の明確化ということであります。これはもちろん泰道三八さんもそうですが、いわゆる泰道三八さんをめぐるコスモグループといいますか、そういったようなことに関しても少しお尋ね申し上げたいと思います。  あくまでも公的資金の導入というのは、仮に万が一入れるとしても限定的であるべきだろうと思います。ということは、とことんまで自助努力をする、もしくはさせる、また、経営責任を明確にした上で、どうしても不足する資金に絞らなければ、これは納税者、都民の皆さんの税負担を伴うわけですから、なかなか納得できるものではないだろうと思います。安易な公的支出はするべきではない。今、現状でいいますと、先般来の予特の質問でも出ていましたが、まだまだぼろぼろ出てきている状況だろうと思います。泰道氏の自己申告だけに──局長は自己申告といわれます──自己申告だけに頼り過ぎているのじゃないか、何でもっと丸裸にできないんだ、こんなふうに強く思うんです。また、確かに法的な責任はないかもしれませんが、いわゆる泰道さんの一族、もっと道義的な責任、それを延長させて、そうすれば、もう少し都の負担、減る余地もあるかもしれない。全くそういうこともなしに、最初から二百億がさもありきみたいな形で先に一人歩きしているということに関しては、強く疑問を感じてなりません。  そこでお伺いしますが、エスエス製薬に関して都がお願いをしている分、負担を要請している分の支援額は果たして決まったのか、詰まってきたのか。また、その協議の要請の今の進捗はどうなんだろうか、その点は、局長、いかがですか。 ◯高村労働経済局長 まず泰道氏自身、あるいはそのグループ企業、あるいは泰道氏の一族といわれる方々に対する責任論でありますけれども、私どもとしては全力を挙げてやっておるつもりであります。  そこで、エスエス製薬との間の交渉の現段階であります。私どもは、コスモグループ企業の中で、いわゆる資金的な面で最も強い力を持っている企業がエスエス製薬、こういう判断をいたしまして、エスエス製薬株式会社の泰道直方社長と、これらの点について交渉をいたしたところであります。  で、私どもの主張は、エスエス製薬が現在コスモに預金してある額、あるいは出資してあるもの、さらにはコスモが所有をしているエスエスの株式、こういったものについて十分な私財提供を願いたい、こういう話をしておるところであります。  現在、私どもは、この議会の議決を待って、スキームが発動される、この時点を待って交渉をするということで、現在、交渉は途絶えておりますけれども、私どもの主張はすべてエスエス側に伝えてあります。引き続きの交渉は今後のことにいたします。 ◯山崎(泰)委員 今のお話の続きですが、いわゆるエスエス製薬がコスモ信用組合に預けている出資金、これは十億ですね。このことに関しては、株式会社でいえば、株主有限責任の原則なわけですから、これは没収だと、これは当然。私聞くところによりますと、エスエス製薬がコスモに預けている預金の部分は二十九億。間違いありませんね。あと逆にコスモ信用組合が有するエスエス製薬の株の今の段階の評価額は約七十億。六百十五円で計算すると六十八億ちょっとですが、七十億ですね。先ほどのが二十九億。それからあと、コスモ信組が有するいわゆるエスエス関連企業に関する、上場していないかもしれません、株式もあろうと思うのです。さっきの二つだけを足しても、これ百億になるわけですよね。こういったのをとにかく取れるだけ取って、これが経営責任の明確化のそもそも大前提だと思うのです。その、今少なくともエスエス製薬にお願いをしている都の立場からすると、その話がきちっと詰まってからでも決して遅くはないといいますか、それでも遅いというのかもしれませんが、少なくともエスエスに関してはきちっと詰めるべきだと思いますが、今の預金の部分と株式の部分に関して、今の進捗はどうですか。 ◯高村労働経済局長 今、何点かにわたってのお話がございました。百億に上るというようなお話でありますけれども、実は、エスエスの株式そのものは、これは資産としても当然に組み入れられているものでありまして、問題は、あえて申し上げれば、エスエス側の支援があるとすれば、現在の株価よりもどれだけ上乗せした価格で引き取るか。この上乗せした部分は、まさにエスエスの支援額ということになろうと思っております。私どもはそういう認識で、いわゆる時価であるのか、どういう形態で引き取るのか、この話はいたしておりますけれども、まず、一番大どころを占める株については、これは資産として当然コスモの中にあると、今のコスモの資産の中にあるということでひとつご理解いただきたい。  次に、では、そのエスエスのこういった支援、それだけのものを先にきちんと固めてからやれと、こういうお話でございます。しかし、このスキーム上では、エスエス製薬を含めた経営者責任から生ずる額そのものは、全体の穴埋め、二千三百五十億の中に組み入れられておりまして、これがふえれば最終的には──最終的な足らず前は、日銀の二百億のいわゆる融資に基づく果実ということになっておりますが、仮にエスエスその他からの部分が大きくなれば日銀の分が少なくなる、こういう形で今のスキームは成立をしているということをご理解いただきたいと思います。 ◯山崎(泰)委員 だから、なおのこと、スキームが発動する前に、この経営責任の明確化をやったらどうだというふうにお尋ねしているわけです。いかがですか。 ◯高村労働経済局長 額を明確化するということだけが、責任を明確化するものではないと考えております。 ◯山崎(泰)委員 何を明確にし、何を詰めていくことが、責任を明確化するのですか。 ◯高村労働経済局長 私どもは、経営責任者であった泰道前理事長の責任がいかがなものであるか、次に、その泰道氏との関連において、グループ企業あるいは親族企業というような形でコスモ信用組合の経営に深くかかわっていた、そのかかわり方についての責任があるということをまず明確にするということが、私どもの責任の明確化の第一歩でございまして、そのことが明確になれば、この議会でご承認を得るまでの間に、額を幾らという形で固めなければ議会にご提案できないという問題ではないのではないか。私どもは、例えば株式の引き取りというような問題については、一体いつ、どの時点でどうするのが最も一番有利かという判断もしなければなりませんし、そういった面からいって、先に額の確定ありきではないだろうというふうに認識をしていたと、こういうことでございます。 ◯山崎(泰)委員 そのタイムリミットの問題とか──もちろん知事と局長が、このコスモの経営破綻を知った時期は違うと思いますが、それからもはや数カ月たっているということ等々を含めて、やはりこの問題に関しては、少なくとも早急に処理をしないと、なかなか都民の理解というのは得られる問題ではないと強く思いますし、また、泰道三八さんがまず中心であるとするならば、これはこれからの捜査に待たなければいけませんが、もし万が一、刑法上の特別背任というようなことが起きてきた場合に、中小企業等協同組合法があるわけです。そのことによって、その段階でコスモがあれば損害賠償請求、また、東京共同銀行に営業が譲渡されているのであれば、当然東京共同銀行から損害賠償請求になろうと思いますが、そういったようなことはすべて、今のお話でいいますと、今回スキームとは関係がないというか、スキームが発動された後送りになってしまうというのは、私は正直いってなかなか納得されないことだろうと、説明だろうと思います。  また、それとあわせて、いわゆる経営倫理ということです。いわゆるモラルハザードですね。経営が苦しくなると金利を上げる。ペイオフがないから、預金者もわかっていて預ける。大口預ける。高額取る。高金利分もカットされない。本当に今回コスモでこういうことが終わるのかどうか。そういった意味で、私は、今回コスモに関しては、徹底して厳しく経営者責任等を追及をしていくということが、最低限今回の財政支出ということを考える大前提だろうというふうに申し上げているわけであります。  次に、信用組合のディスクロージャーに関してなんですが、先ほど知事のご答弁の中にありました。知事は、議会に対する情報公開もできることなら進めていきたい、議会との車の両輪──私ども、今回のコスモの事態は、やはり情報を隠ぺいするというか、抱え込むというか、都が抱え込んでいて、議会にも情報を開かない、都民の皆さんにもお伝えしない。では、東京都責任持てるんですか、いや、やっぱり都民の皆さんの理解、税負担を求めなきゃいけない、もうこういうことが限界だろうと思うんですよね。だから、このこともきちっと詰めなきゃいけない、そんなふうに強く思います。  私たちは、ただ切るのじゃなくて、これからのことを一緒に考えましょうと、こう申し上げているわけでございまして、一つ例えば員外預金比率、ちょっとお尋ねしたいと思います。  今、私の手元にある資料で申し上げますと、員外預金比率、これ、地域の信用組合が三十五ある中で、員外預金比率が八〇%以上が一組合、五〇%以上六〇%未満が一、四〇以上五〇未満が三、二〇%以上三〇%未満が十五、二〇%未満が六というふうになっていますが、これ、八〇%以上のところはコスモ信用組合で間違いありませんね。 ◯高村労働経済局長 八〇%を超えているものは、コスモ信用組合のみでございます。 ◯山崎(泰)委員 それでは、先ほど、なるべく情報は開いていきたいというご答弁がありましたので、お尋ねしますが、この五〇%以上六〇%未満の一組合はどこですか。 ◯高村労働経済局長 個別の組合名を申し上げることは差し控えさせていただきます。    〔「マスコミで出ているよ」と呼ぶ者あり〕 ◯山崎(泰)委員 出ていませんよ。もし、員外預金の比率が高いところが難しいとあれば、では、きちっとやっているところを探しましょうよ。こういう健全な信用組合まで万が一影響が波及しちゃいけない。局長、そう思いますね。ですから、二〇%以下、きちっとおさめているところの信用組合は一体幾つあるのか、また、そういったところに関して公表はできるのか、いかがですか。 ◯高村労働経済局長 員外預金比率が二〇%以下の組合は、現在、二十組合でございます。二十組合の固有名詞を申し上げることは差し控えさせていただきます。 ◯山崎(泰)委員 一体、いつになったら、都知事もやりますといっていただいている情報公開とか、議会に対する情報提示とか──議会には検査権と調査権があるんですよ。そういったものに関して、では、いつになったらできるんだ。大蔵大臣がいうように五年も待つのか。五年も待てるんですか、そのたびに税負担を要求して。どういったような形でやっていくのか。いかがですか。 ◯高村労働経済局長 議会に調査権、検査権があることは、私どもも、十分承知をいたしております。しかしながら、信用組合の経営状況等について固有名詞を申し上げるということは、今までの経験からいえば、そのことがその信用組合の経営破綻を導く一つの引き金になりかねないといった、今までの経験則から申し上げれば、私どもとしてはこれを申し上げるわけにはまいらないのでございます。 ◯山崎(泰)委員 私は、何もここで出せ出せと──もちろんいっています。いっていますが、一部の信用組合が──私、一般質問で申し上げました──自主的に出していけるような仕組みを早くつくらなきゃいけない。それであるならば、高いところじゃなくて、低いところの皆さんが自主的に、健全にやっていますから、残る何十組合の皆さん、一緒にやりましょうというような形で、自主的なディスクロージャーに進むんじゃないか、そういった意味で質問を申し上げているわけであります。  見識ある局長でしょうから、十分おわかりいただけるというふうに思いますが、基本的に、知事、議会に対して、情報がオープンに示され、また、そうしたことで議会と知事と一緒に決めていくということが、知事の掲げられる民主主義であり、開かれた都政の第一歩だろうというふうに思います。  先ほどもちょっといいましたが、大蔵省は五年でディスクロージャーができる環境を整えるといっています。そのことまですべて大蔵省に任せてしまうのか、それとも知事なりに、いわゆる自己責任の原則といったようなことを実現していくためにもどういう決意を持って臨んでいかれるのか、都民の負担をこれ以上求めないために、その決意のほどをお聞かせ願います。 ◯青島知事 ディスクロージャーの実施は、経営の健全性を図る上からも大変重要なことでございまして、そのためにも、金融機関が自主的に取り組むことが基本であると考えますし、そういう環境を醸成していくということは、おっしゃるとおり大事なことであると思います。  それから、ディスクロージャーの進め方につきましては、全組合が定められた事項につきまして一斉に取り組む方法、それから、もう一つは、各組合の経営状況に合わせ、段階的に取り組む方法とございますが、都としては、今後とも社団法人東京都信用組合協会を通じまして、都内信用組合のディスクロージャーの推進に努めるように努力を重ねてまいりたい、かように思っております。 ◯山崎(泰)委員 資料要求もいたしましたが、私の手元にありますこれ、長崎県民信用組合、これは員外預金の比率も、また、あわせて支払い準備率までも、情報開示しているんですね。あわせて、飛騨信用組合、ここもそうです。全国の中にはあるんですよ。そういうようなことを含めて、いつまでも囲っているんじゃなくて、いつか何らかの形で開いていかなきゃいけない、そう思いますが、いかがですか。 ◯高村労働経済局長 今おっしゃいますように、既にそういったディスクロージャーを実施している信用組合があるということは私どもも承知をいたしておりますし、先ほど知事からもご答弁申し上げましたように、今後、都内の信用組合のディスクロージャーを進める上に当たって、やはりそういった個別方式もまた一つの方法としてある。これはひとつ都信協と十分ご相談を申し上げ、全体がうまくそういう形で進められるということであれば、一日も早くこういう方向に持っていきたいというふうに考えております。 ◯田中委員長 山崎泰委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、四十分間休憩いたします。    午後六時十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後六時五十六分開議 ◯田中委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  藤田十四三委員の発言を許します。 ◯藤田(十)委員 今回の支援スキームが最善なものであるかどうかということの最大のポイントは、財政支出の額を決定する根拠となっているペイオフコストが適切かどうかということにかかっていると私は思うんです。そこで、三十一分の質問時間ですので、まず、この点に限定して幾つかお尋ねいたします。  最初に、この議論の前提になった二百億円のペイオフコストの根拠、資料にもありますけれども、改めて三種類の施策の内容と所要経費、お答えいただきます。 ◯高村労働経済局長 破綻したコスモ信用組合を破産、清算させ、ペイオフが行われた場合に、地域住民の日常生活や中小企業の経営の安定を図るために必要とされる経費、これをペイオフコストとして算出したものでございます。  その内訳でございますが、まず、この場合、直接的に困った状況というのは、一千万円の保険金が支払われるまでの間行われるつなぎ融資の利子補給のための経費、これが約四十一億円。同じく直接的な経費として、一千万円を超える預金が切り捨てられた中小企業に対する運転資金の融資の利子補給のための経費、これを百十七億円と算定いたしました。この二者に比べれば若干間接的ではありますが、他の都内信用組合が、預金の解約、支払いの急増などによって必要となる支払い準備に対する融資の利子補給のための経費約四十四億円。これらの経費の合計額が二百二億円でございまして、今回の支援限度額を二百億円としたものでございます。 ◯藤田(十)委員 今回のこの二百億円のペイオフコストという考え方は、いつ、だれがつくったんですか。 ◯高村労働経済局長 七月中旬の時点で、大蔵省とコスモ信用組合の資金繰りについて協議を行いました。その場での大蔵省の対応は、現在の法体系では、信用組合の指導監督は機関委任事務としての知事の事務となっており、信用組合の破綻への対応策も都道府県が考えるべきであるとのことでありました。  したがって、都が独力でコスモ信用組合の破綻に対処するということになれば、これは最悪の場合、ペイオフということにならざるを得ないというのが私どもの判断でございました。このために、都としては、ペイオフが行われました場合に、都民生活や中小企業への影響を最小限にとどめ、さらに他の信用組合の連鎖倒産を回避するという観点から、必要な経費を算出したものでございます。 ◯藤田(十)委員 ペイオフコストという考え方は、いつ、だれがつくったんですかと、特定して聞いているんです。ただ、まあ、いいでしょう、三十一分ですから。  そうすると、七月中旬というお話は、大蔵省にいった、それは前例もあるから東京都でやってくれ、東京都でやれということであれば、ペイオフしかありませんということのやりとりをやった、幕が上がった時期じゃないですか。だから、私の質問に答えるとしたら、ずっと後になりますというふうにいえばいいんです。  そこで、このペイオフコストの算定の基礎となる、例えば一千万以下の預金者の融資対象額が約二千億というふうに出しているわけですけれども、この融資対象預金額はいつの時点で決めたんですか。 ◯高村労働経済局長 都がコスモ信用組合に対して繰り上げの検査を実施いたしました。その五月十七日が検査基準日でございまして、この時点で、コスモ信用組合の預金総額四千三百十七億円のうち、一千万以下の預金が二千四億円ございましたので、これを積算の根拠といたしました。 ◯藤田(十)委員 五月十七日の検査基準日時だとおっしゃいましたね。ところが、しばしば労経局が説明しておりますように、七月三十一日一日だけで七百三十億円、預金が流失しているんですから、全体としては、預金全体が落ちているということは想像にかたくないわけなんです。万一、ペイオフを行ったとしても、預金金額は相当減少している、こういう考え方からすれば、それ以前の預金額を基礎値として説明するというのはおかしいんじゃないですか。 ◯高村労働経済局長 お話のように、信用組合の債権債務額というのは、日々これ変動するものでございます。ただ、今回の処理スキームの作成に当たりましては、詳細な分析がなされている、この検査基準日の数値を前提として関係者の間で合意がなされたものでございます。その点のご理解を賜りたいと存じます。 ◯藤田(十)委員 これは異な答弁を伺うんですけれども、労経局は、解約した四千六十七人、金額は約七百三十一億円という総枠で、一千万以下、二千四百人、全体の五九%、払い戻し額百二十三億、全体の一六・九%、ここまで出しているわけです。したがって、五月十七日の検査基準日時点での預金額ということでなければ──この場合は二千四億円で四十一億円、ペイオフコストで出しているわけなんですが、仮に七月三十一日一日だけの流失分を計算すれば、この分は千八百億円になる。四十一億円というのはもっと圧縮でき得たはずだと、素人ですが、私は思うんです。  ただ、これは、これから以後の我が会派の結論と短絡的に結びつけて気を回してもらっちゃ困るんですが、私が重視しているペイオフコストの再検討と見直しができ得る余地があるというふうに指摘をしておきます。  それから、いま一つ、この中で合点がいかないのは、都内信用組合に対して支払い準備強化対策としての融資に必要な経費四十四億円、これが含まれているんです。これは第一義的に東京都が負担するものじゃないと思うんです。それこそこの間の論議の中で各会派を通じて強調されましたように、都と国の経費負担の役割分担論の中では、まさしく日銀や大蔵等国が中心となって行うべき性格のものであるというふうに思うがゆえに、なぜこうしたものまで、ペイオフが行われた場合に都が行う施策として導入されたんですか。 ◯高村労働経済局長 金融機関の経営破綻に伴います他の金融機関の連鎖倒産を防止するための支払い準備対策融資、この経費につきましては、お話のように、金融システム全体の安定に責任を負う国が措置すべきものと考えております。しかし、その破綻処理につきましてのルール化がいまだ確立されていない現時点で、コスモ信用組合にペイオフが実行されたときに、都内信用組合の連鎖倒産を回避するためには、都が都民福祉の観点から措置せざるを得ないと考えたものでございます。 ◯藤田(十)委員 今の答弁を反すうしますと、金融システム全体の安定に責任を負う国が措置すべきものと考えますとあなたは答弁された。したがって、労経局は、第一義的に国が措置すべきものだという認識なんですね。ただ、理由として、ルール化が今できていないから、都が措置せざるを得ないんじゃないかということで横出しにして、そこを包み込んだということなんですよ。これは、私は、先ほど申し上げましたように、我が会派の出すべき結論と短絡的に結びつけて想像してもらっちゃ困るが、そんなものは国に負担してもらえばいいじゃないですか。やりとりの中で、それは無理のない要求だと僕は思うんですよ。ですから、この点も再検討の余地ありというふうに指摘をしておきます。  それでは、少し角度を変えますけれども、七月二十九日にコスモが自主再建困難というふうに報道されて、預金の大量流失が起こって、七月三十一日に青島知事が、あなたは急遽、武村大蔵大臣と会談し、コスモの一部業務停止をかけることを説明し、その日の夜七時にコスモの業務一部停止命令を発表した。その直後の知事の記者会見の要旨が新聞に載っているんです。その際、あなたは、百五十億から二百億程度、こういったんですね。この記者会見の発言での百五十億から二百億程度という根拠は何だったんですか。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  都は、今回のコスモ信用組合の破綻の処理については、ペイオフは実施できない状況の中で、預金者を保護することにより、信用不安を回避し、都民や中小企業等への影響を最小限にとどめるという公共性の判断のもとに考慮したものでございます、ということは再三申し上げております。このためには、ペイオフコストを根拠とすることが必要と考えました。  具体的には、個人預金者の生活の安定や中小企業の経営安定を図るという観点から、つなぎ融資の費用といたしまして、この利子補給費を百五十八億円、また、他の信用組合への波及によって生ずる預金の解約、支払い急増に対応する準備金対策で約四十四億円と考え、記者会見の席上、百五十億から二百億円が必要だろうという報告を受けておりましたから、そのように申し上げた、こういうことでございます。 ◯藤田(十)委員 労経局がかんで含めるように説明されたから、百五十億から二百億、こういう経過はわかりました。そうすると、この時点で、都がキャリングコストの二百億円を支出するということは決まっていなかったということですね。 ◯高村労働経済局長 七月三十一日に知事が大蔵大臣と会談いたしまして、コスモ信用組合に対し業務の一部停止を命令するとともに、その後の預金者の保護と信用不安を回避し、都民や中小企業者への影響を最小限にとどめるという観点から、東京都と大蔵省は、処理案の策定に対してお互いに協力していくことを合意したわけでございます。この時点での都の財政支援額は、先ほど申し上げましたとおり、ペイオフコストといたしまして、百五十億円から二百億円を想定しておりました。最終的にキャリングコストとして二百億円を支出することを決めましたのは、処理スキームの合意を得た八月二十八日の時点でございます。 ◯藤田(十)委員 ですから、青島知事が発言をされた、深夜の記者会見でのキャリングコスト二百億を出すということは、決まっていなかったんですよ。私は、あなたの答弁にあった八月二十八日ということにあえてこだわりませんが、ずっと後なんですね。そうしたら、おかしいじゃないですか。新聞報道を前提にするんですけれども、にもかかわらず、八月一日の朝刊では、預金保険機構が一千百億資金援助、都銀が七百億債権放棄、都が二百億円の財政支援とはっきり書いているんですよ。だから、本当のところ、百五十億円か二百億円かというのは、だれがどういう根拠で決めたんですか。深夜でどういう葛藤があったんですか。 ◯高村労働経済局長 先ほど申し上げましたように、七月三十一日の時点では、ペイオフコストという考え方の整理をした、こういうことでございますので、この時点でいわゆるキャリングコスト二百億、こういう考え方は固まっておらなかったということでございます。 ◯藤田(十)委員 三十一分という質問時間の壁がありまして、詰め切れないんですが、つまり、私がいいたいのは、都は最初、百五十億円程度の財政支援しか考えていなかった。しかし、大蔵や日銀との協議の中で、まあ、いろいろなやりとりがあり、こういう表現が適切かどうかわかりませんが、説得をされて、結局、二百億円出さざるを得なくなった。ですから、先ほど私が合点がいかないニュアンスでお聞きをし、お聞きをし続けているのは、ペイオフコストという、私にいわせれば妙な理屈というものを持ち出して、実は、この間のすき間を埋める、極端ないい方ですけれども、帳じり合わせをしたというふうに響くんですよ。どうですか。 ◯高村労働経済局長 先生のお話とは実は逆でございまして、私どもは、ペイオフコストが先にあり、そのペイオフコストの限度においてキャリングコストがどう設定されるかという方法を探ってまいって、結論を得たのが八月二十八日でございます。また、その間に大蔵省、日銀等からの圧力といいますか、そういったものを私どもは受けたというふうには考えておらないわけでございます。 ◯藤田(十)委員 それは私の質問に対する反論にならぬですよ、そういういい方をしても。ペイオフコストが先にありきで、その後、キャリングコストを含めて、価格といいますか、数字を積み上げていったとしても、初めに百五十億から二百億ありきで、そこから、ペイオフその他の理屈をずっと積み上げていって、帳じりを合わせちゃったということに対する説明にならないじゃないですか。私は、そういうふうに今もって、どうもすっきりしないということだけ指摘しておきます。  そこで、ペイオフコストの理屈は、あくまでも都の財政支出の額の根拠ということですね、一貫した答弁は。それでは、お聞きしますけれども、前回、二信組のスキームでは、都が三百億円の融資を行って、その果実百八十億円で破綻処理を支援するということだった。今回とはスキームは違うんですけれども、二信組の場合、ペイオフコストはどの程度の額になりますか。 ◯高村労働経済局長 旧二信用組合に関しまして、コスモ信用組合と同様の考え方で算出をいたしますと、まず、一千万円の保険金が支払われるまでのつなぎ融資の利子補給、この経費は約十一億円になります。次に、一千万円を超える預金が切り捨てられた中小企業に対する運転資金の融資の利子補給のための経費は約六十六億円になります。三番目の、他の信用組合に対する、支払い準備に対する融資の利子補給のための経費は、これは四十四億円で変わりません。したがって、同様の計算をいたしますと、合計では百二十一億円程度となろうかと思います。 ◯藤田(十)委員 では、なぜ二信組の場合、ペイオフコストという理屈を持ち出さずに、コスモの場合のみ財政支出の額の根拠として使われたんですか。 ◯高村労働経済局長 二信組の場合は、過去の信用組合の経営破綻に際しての自治体の支援額の例からいたしまして、不良債権の一割程度を目安として大蔵省から要請されたものでございます。今回のコスモ信用組合の場合は、先ほど来申し上げている最悪の場合に、都民福祉の立場から都が支出しなければならない金額としてのペイオフコストを上限として支援することとしたと、考え方の相違がございます。 ◯藤田(十)委員 ですから、質問時間がない中で大づかみでいえば、二信組の場合は回収不能債権額の一〇%、この算術を用いている。コスモの場合はペイオフコストという理屈を持ち出した。これは場当たりなんですね。こういういい方はごめんなさいよ。だから、したがって、ほかの質問もありますけれども、はしょってくくっちゃいますが、どうもペイオフコストの理屈というのは、この二信組のときと違って、都が主体となってスキームを決めたというけれども、実のところ、大蔵や日銀の圧力に屈して、二百億円ということになって、二百億円がまさに先にありきで、ペイオフコストとか、キャリングコストとか、いろいろ理屈をつけて正当化したんじゃないか、こういいたくなるんです。  冒頭に戻りますけれども、都が金融秩序の維持や預金者保護という観点から財政支援を行うということを、広義な意味で福祉という理屈まで持ち出して説明するとすれば、やはりその額が都民の負担を最小限にするように十分検討されなきゃならぬし、原案死守という気持ちはわかりますけれども、もう一遍十分検討して、確固たる姿勢で国や他の機関と協議に当たれば、もっと少ない額で済むはずだという私の気持ちも酌んでください。これは指摘しておきます。  そこで、二つだけ、あと十分ですから、知事に伺います。  この質問は、私の主観です。ですから、どなたにも押しつけようと思いませんし、私の発言は私自身が責任を持つ。予算特別委員会という公的な場所での発言ですから、毀誉褒貶を含めて批判も甘んじて受けるという前提で伺います。  公約問題が出ました。整合性の問題について、あなたは詰められたと思う。しかし、これは私の思いですが、公約の整合性ということからいえば、私自身は同じ重みを感じなきゃいかぬのですよ。なぜなら、二信組の三百億のときに、私は、図らずも鈴木与党の副委員長だったものだから、三百億円どうしても通そうと思って躍起になった。公明の石井さんの顔色を見たら、怒っているものだから、取りつく島がないものだから、自民党と相談していろいろやった。しかし、数が足りないから、これはもうあきらめた。それで共同提案になったんですよ。いいですか。そのとり方はいろいろであっても、共同提案にくみしたその経過に深くかかわったという立場からすれば、仮に私がコスモ信組についてオーケーということになれば、第一回定例会のときにおける共同提案を成立させたおまえさんの政治行動は何であったのかということは問われるんですよ。  ですから、私は、公約問題を真ん中に挟んで、整合性ということをいうならば、あなたにも重みはあるだろうが、ほかの人には押しつけません。私自身も、同様とはいわぬが、同じ重みをくぐり抜けていかなきゃならぬという思いがあるんです。  その思いを込めて申し上げますけれども、今の段階では、原案に触れてとやかくいえぬでしょうが、これから以後、道理ある提案についてはちゃんとしんしゃくし、検討し、そして、さまざま練り直すという気持ちはございますか。
    ◯青島知事 お立場についてはよく理解をいたしますし、皆さん方のお立場それぞれのお考えがあるのは当然でございますが、私にもそれなりの考えがあることをお認めいただきたいと思います。  その意味で申しますと、整合性のある結論を得られますように皆さん方と真摯にお話し合いをするということについては、私はいささかもちゅうちょするものではございません。ですから、どなたもご納得いただけるような結論を導くために精力的にお話し合いを進めていくということにつきましては、いささかもちゅうちょせず、機会あるごとにひざ詰めでお話し合いを続けていく覚悟でございます。  今回の公約とコスモの問題についての、もしご言及でございましたら、公約を作成した当時、旧二信組の問題につきましては、私は、都議会での議論も含め、マスコミ報道によって知り得る立場でしたが、旧二信組は刑事事件にまで発展した極めて例外的なものであるというふうに認識をいたしておりました。  その後、半年の間、コスモ信用組合木津信用組合の経営破綻によって取りつけ騒ぎが現実に起こり、さらに兵庫銀行も経営破綻を来すなど、信用不安が現実のものとなりまして、これを回避するとともに、預金者を保護しなければならないという状況が全国的に差し迫ったものとなってきた、こういう状況の変化の中で、私は、信用組合の経営破綻に際しては、預金者を保護することにより信用不安を回避し、都民や中小企業等への影響を最小限にとどめることが必要であることを強く認識し、緊急避難的な措置をとることが都民福祉に責任を有する知事の責務であると考えて、コスモ信用組合についてご提案を申し上げている次第でございます。 ◯藤田(十)委員 知事、時間を勘定しながら聞いているんだから、あなたは僕のいい分を多少聞いてくれますかといったんだから、多少考えますとかなんとかということで、一分ぐらいで答えてくれればいいんですよ。  最後、公約に関するかなり重大な発言が、きょう委員長の質問で飛び出しました。私も、失礼ながら、あなたは少しふらふらし過ぎたと思うんです。だから、マスコミの取材で、東京丸の船長さんが大波小波で揺られたんじゃ、救いのかいを差し出すすべもない。多少文学的に評価したんですけれども……。しかし、あなたの公約問題に対するコメントを、私は、これも私の主観ですけれども、こういう心で聞きました。これは、激変する状況変化の中で、公約ないしは今までの主張を変えざるを得なかったつらさや厳しさを経験した者でなければわからぬ心境なんです。  図らずも村山内閣ができました。ご当人も思っていなかったでしょうし、我々も思っていなかった。あれよあれよというふうに思っているときに、ぱっと新聞を見たら、基本政策の変更だ。今まで反安保、自衛隊は憲法違反、日の丸、君が代もどうかなんていうふうにいってきたことは、百八十度転換せざるを得なかったんですよ。変節者といわれましたよ。公約違反だといわれましたよ。  時間がないですから、余り長々としゃべりませんけれども、ある会合で、私は、しかし、それでも政権を守るということが我々の責務だというふうに思っていたから、社会党の事情で政権がちょっとぐらぐらし始めたときに、政局の安定こそが我々社会党の責任だ、こういって演説して歩きましたよ。一緒だった鯨岡副議長は、いい話を聞いた、社会党の都議会議員の中には骨のある人がいるもんだなんて褒めていただいた。それはありがたい気持ちですけれども、骨があるどころか、連立政権擁護というとげがのどに刺さって、こっちは体の中に風が吹いていたんです。しかし、そういうつらさを耐え抜いた。今も耐え抜いている。私は、あなたを褒めようとも思わぬし、あなたに同情しようとも思わぬが、しかし、そういうみずからの原体験であなたの公約問題については受けとめた。  そこで、願わくば、氷河時代を迎えつつあるといっても過言ではない、都議会とあなたの関係の雪解けになればいいがなという主体的願望を込めながら、しかし、私などは大した力がないから、こんなことをいったらおこがましいが、青島知事、あなたに対して少し胸襟を開こうじゃないですかという気持ちを添えながら、この私の質問を、公約問題に関する青島知事に対する、私のささやかな一茎の花にしたい、こう思っています。今まであなたはやられっ放しなんだから、いいたいこともいえなかったんだろうから、あと二分残した。いいたいことがあり、存念があったら、聞かせてください。 ◯青島知事 今後、今までのいきさつとか、状況の変化とかにとらわれずに、胸襟を開いて率直に語り合おうではなかろうかというご提案を受けましたことにつきましては、率直に申し上げまして、ありがたくお受けするとはっきり申し上げます。  いつでも私は、胸襟を開いて、率直に語り合うことがなければならないと思いますし、私が二定に掲げました「オネスティー イズ ザ ベスト ポリシー」、率直であることが最高の政策であるということを申し上げました気持ちは、いまだに少しも変わっておりませんので、私が公約問題につきまして二転三転したというご批判もありましたが、その中での私なりの苦労もご推察いただけたものというふうに考えておりますし、今のお言葉も教訓として踏まえまして、今後は、都議会の皆さん方のお一人お一人と、でき得る限り胸襟を開いて、率直にお話し合いを進めながら、ご理解をたまえるように努力を重ねてまいりたい、かように決意を申し上げまして、お答えといたします。 ◯藤田(十)委員 ちょうど時間となりました。終わります。(拍手) ◯田中委員長 藤田十四三委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯田中委員長 西田ミヨ子委員の発言を許します。 ◯西田委員 最初に、知事の基本姿勢の問題といたしまして、臨海副都心開発の見直しについて、知事ご自身の見解を伺いたいと思います。  二十二日の本委員会で、知事は、臨海の見直しについて、かつてのように、あそこにオフィスビル用の箱物を並べ立てても、それは先の見える話にならない、その辺から改革を進めていかなきゃならないと答弁されました。それがどういうお考えによるものか、知事に改めてお聞きしたいと思います。 ◯青島知事 かつてあの臨海副都心に寄せました皆様方の、あるいはかつての都の考え方といたしましては、都心にも近い重要な土地でございまして、あの土地を副都心として多心型の東京をつくるための拠点とするというような考え方から、あそこにさまざまなものを建てて都民の利用に供しようというお考えで発想されたことは承知をいたしておりますし、そのためにさまざまな建物を建てていくことをお考えになったんでしょうが、その後、経済事情の変化が大きく波となりまして押し寄せてまいりまして、オフィス需要の事情などの変化、それから、さまざまな経済事情の変化がございまして、当初の計画のとおりに進めていっても、先に明るい見通しが持てないというような事情になり、そのために、開発のあり方につきましては、多くの方々の知恵を結集して、考え直していかなければならないのではなかろうかというふうにお考えが変わられたのがそのコンセンサスだと思います。  私もその意味で、何とか都民の夢のある開発の仕方はないものだろうか、どなたからも了解を得られ、求められる、喜ばれるような案はないものだろうかと考えまして、私個人の考え方には限度もございますので、臨海副都心開発懇談会という懇談会を設けまして、各界の方々にお集まりいただきまして、そこで開かれたご議論の中から皆様方の願いを結集していただいて、どなたからもご了解いただけるような案を現実のものにするために努力を重ねていくべきだ、さように考えて、ただ箱物だけつくっていったのでは、その需要に合わないだろうということから、そのように申し上げました。 ◯西田委員 よくわかりました。  知事は、月曜日に発売されました週刊誌のインタビューでも今のようなことをいわれているわけで、経済事情がすっかり変わっているのに箱物をどんどんつくったり、都市博をやって臨海の開発を続けようとしていたのが鈴木都政の問題だと指摘されていました。臨海の今の開発目標は、六年も前のバブル最盛期に、当時のオフィス不足や地価高騰を背景に決められたものであります。今の知事のご答弁でも、そのようにお考えだということがわかりましたけれども、そうだとするならば、オフィス過剰や地価下落など、前提となる事情がすっかり変わってしまったわけですから、まず、この開発目標から当然検討し直さなければならないと考えるわけですけれども、知事、いかがでしょうか。 ◯青島知事 それはもちろんそのようにも考えられますが、今までに一兆円を超える資本を投下して、基礎都市の構造につきまして金をつぎ込んできて、基礎事業を確立してきているわけでございますし、今、建っているビルもございますし、今、あそこにあるものを全部ご破算にして、初めから考え直さなきゃいけないというようなことであれば、今まで投下した資本がむだになるということも考えられますし、今までありますものを十分に活用しながら、夢のある創造を、建設していくのが一番むだが少なく、都民のためにもなることであるというふうな考え方から、今まである基礎的なものをとりあえず踏まえ、活用しながら、それを二倍にも三倍にも生かせる方法はないものであろうかということもご勘案いただきたいということを、臨海開発懇談会に提言をしているところでございます。 ◯西田委員 もちろん、今、投下したものを生かさなければならない。私たちも同じ考えであります。ただ、しかし、そうだからといって、この開発目標のままどんどん進めていったら、さらに巨大な投資をしなければならないことも明らかなわけですね。ですから、選挙中に「都政新報」が知事候補への政策アンケートを行いまして、選挙後に知事の了解を得て、全文が四月十四日付に掲載されたのがあるわけですけれども、この臨海開発の見直しの中身についてという問いに、知事はこう答えておられるわけです。  計画の根本的見直しが必要です。東京都政の根本的問題点は、一極集中によって限界を超えた過密都市になってしまったことです。時間がないから飛ばしますけれども、私は、これ以上新たな副都心計画を進めることで際限のない都市の膨張を招き、その結果、また新たな問題を発生させるようなことを黙認できません。また、阪神大震災の惨状を見ても、臨海副都心開発を現状のような形で進めることはできません。したがって、今後の開発は、これまでのような商業ベースの企業中心の開発から、都民の憩いの場となり得るような福祉、文教ベースの開発に改めたい。このように知事はおっしゃっておられるわけですけれども、知事の、今、ご答弁になりました、考えられている見直しの方向というのは、今もこういう方向だと考えてよろしいでしょうか。 ◯青島知事 そういう考え方も含めまして臨海開発懇談会の皆さん方にご検討いただいているわけでございますから、皆さん方のご意見の集約を得まして、さらに検討を進めさせていただきたいと思っております。 ◯西田委員 懇談会の発足に前後いたしまして、一斉に各新聞の社説に臨海開発のことが取り上げられています。知事も当然お読みになっておられることだと思いますが、朝日新聞では、副都心の看板を外すことから始めたらどうか、毎日は、東京の海辺を都民の手に、東京新聞も、バブル時代の発想を徹底的に洗い直してほしい、こういうふうに都民の世論を反映してだと思いますけれども、共通して根本からの見直しを求めているわけであります。  知事が選挙中に「都政新報」に回答された考え方というのは、こうした世論と、それから、今、お話になったその考え方というのは、こういう世論と全く一致しているというふうに私は思いますけれども、知事はこうした社説をどう受けとめられているか、お伺いしたいと思います。 ◯青島知事 臨海開発懇談会のメンバーのお一人お一人も、さまざまな情報を取捨選択なさり、そのことも重々ご承知の上で、ご自分の見解を懇談会の中でご発表になり、さまざまなご意見の中から集約された形が出てくるのを私は期待しているわけでございます。 ◯西田委員 知事ご自身の見解、社説について知事はどうお考えなのかというふうに私はお聞きしておりますので、恐縮ですが、もう一回お願いしたいと思います。 ◯青島知事 ただいませっかく懇談会のメンバーの方々にご努力を傾注していただいているところでございますので、私の発言が非常に大きな影響を持つことは、私自身がよく承知をしているところでございまして、懇談会の皆さん方のご意見の集約の妨げになるようなことのないよう差し控えさせていただきたいと思います。 ◯西田委員 私は、やっぱり知事ご自身のお考えをはっきり述べていただきたいというふうに思うんですね。  都民の期待は、知事が公約された臨海副都心開発の徹底的見直しなんだと思うんですよ。だからこそ、懇談会、懇談会とおっしゃいましたけれど、第一回の懇談会でも、これまでの開発目標を踏まえて見直したいという諮問の趣旨に、のっけから異論が出されたわけですね。委員からの、諮問事項が気になる、開発目標についても見直しをしていく姿勢が重要ではないか、こういう発言に対して、知事はその場で、お話はごもっとも、諮問文にとらわれず、幅広いお考えで臨んでいただくのはむしろ望ましいことと答えられたんですよ。ところが、知事は本会議で、あの発言の真意を問われまして、今までの開発目標を踏まえという諮問の趣旨を十分ご理解いただいた上で、自由な発想で活発に議論を行ってほしい、こういう旨をいったのだということで答弁されているんですよね。  私は、知事の真意はどこにあるのかなというふうに思うわけですけれども、この本会議の答弁ですと、都は、開発目標を見直すつもりはないけれども、議論だけ、論議だけは自由にどうぞ、こういうふうにいっているのではないかというふうにとれちゃうわけですね。もしそうだとしたら、私は、委員の先生方に対して大変失礼な話じゃないかというふうに受け取ったわけなんですが、いかがでしょうか。 ◯青島知事 委員の皆さん方、懇談会のメンバーの皆さん方は、既にさまざまな事情をご存じなので、当然、今までに投下された金額等についても十分にご承知おきのことだと思いますし、それに、これから話を始めようというときに制約を設けるというのはかえって失礼でございますし、自由な立場でご発言いただきたいと申し上げましたのは真意でございまして、しかも、皆さん方はそのことを既にご存じの上でご検討いただけるのであろうというふうに考えておりました。 ◯西田委員 もちろん、そういうことは前提であったにしても、知事が今いわれたようなまちをつくるということになれば、やっぱり開発目標そのものを変えなければ、そういう話にならないと思うんですね。  いずれにいたしましても、懇談会で知事が幅広い議論を希望されたことに、その後、三人もの委員の方が、自由に発言していいということで安心した、知事が諮問の文言にとらわれないで自由に考えてほしいといわれてほっとした、全面的に見直しをするというお話がありましたので安心した、こういうふうに相次いで発言されているわけですね。今のご答弁ですと、どうも財政のことがまずあってとなるわけなんですが、私は、もっと幅広い立場で、こうした委員の先生方のお気持ちを踏まえてやられる必要があるんじゃないかというふうに思います。  懇談会に自由な議論を希望されて、既に開発目標を含めた見直しをという意見が出ているわけですから、当然、都としても開発目標から検討しておくのが当たり前のことじゃないかというふうに思うんですが、もう一回、この点で知事のご答弁をいただきたいと思います。 ◯青島知事 まず、あの土地という大前提もあるわけで、どういうふうにいろいろ考えようと、その基礎になる前提というものはあるわけでございますから、あそこからはみ出してということではなくて、あれを土台にお考えいただくという、もともと制約はあるわけでございます。  その制約の上に立って、自由なさまざまな発想をお願いしたいということでございますので、中には当委員会、あるいは本会議場でもありましたが、総合保税地域に指定して、自由貿易の、あるいは香港型の都市に向けて開発したらどうだろうというようなご意見もございましたし、私は、自由な発想をお持ちの懇談会のメンバーの方々にその節も申し上げたんですが、でき得る限り、奇想天外と思われるようなことでも結構でございますから、発想の翼を広げて、さまざまな角度から検討していただきたい、このようなことを申し上げておりまして、私のところにも、世界で一番でかいジェットコースターを暫時つくってみたらどうかとか、さまざまな奇想天外なお話も出ておりまして、そういうものもいつか現実のものになる時代も来るかもしれませんし、それが発端になって新たな考え方も生まれるのかもしれないという気持ちがありまして、自由なご発想を求めたわけでございます。 ◯西田委員 そういうふうに知事が自由な発想で奇想天外なというか、そういうことで十分にご論議いただきたいということになりますと、この懇談会で、私は十分な時間をかけなければいけないんだろうというふうに思うんですね。これまで臨海副都心開発が短期間に都民に知らされないままに強引に進められて、今日の大きな破綻を招いたんですよね。そういう点でも、前都政の最大の失政だというふうに私は思っているわけです。  今、初めて臨海副都心開発で懇談会がつくられました。都民の前での見直しが始まったばかりです。そういうときに、本会議の答弁で、わずか二カ月後に土地利用計画、開発スケジュール、土地処分方式、開発者負担など、すべての大枠が決まってしまう基本方向を全部出してくれだの、その直後に都の方針も決めてしまうだの、これじゃ、また都民が知らないうちに進められてしまうという同じ失敗を繰り返すことになりかねない、こういう問題があるわけであります。  私は、今必要なことは、都民の憩いの場とする方向へ転換するために、開発目標から見直すこと、また、見直しの議論は十分な期間を保証して、都民の前に開発の現状を広く明らかにし、解決の方向を全都民に問いかける世論調査など、民意も集約して懇談会にも反映する、こうしたことこそ、今、知事がなすべきことではないかと思いますが、このことについて、時間がありませんので、簡単にご答弁いただきたいと思います。 ◯青島知事 さまざまなお考えを結集していただいて、早急に皆さんの納得のいくような方法で結論をお出しいただくことをひたすら待ち望んでいる次第でございます。 ◯西田委員 本当に百年の計をつくるのに、焦りは禁物だと思うんですね。それが今日の破綻をもたらした原因ですから、やはり十分に時間をかけて、全都民的な議論で開発を見直していく、このことを強く要望しておきたいと思います。  それでは、コスモ信用組合問題も、知事の公約にかかわる重大問題であります。したがって、この問題も知事自身にお伺いするものであります。  知事は、先ほど二信組問題での公約について、撤回ととられてもやむを得ないと驚くべき発言をされました。とんでもないことだと思いますが、知事は、信用組合の破綻処理のための財政支出という公約違反について、金融秩序維持と預金者保護を理由に挙げ、都民の理解は得られると発言されました。これは都民から見れば、到底納得できないものであることは明らかです。信用秩序の維持という問題についていえば、都が金を出さなければ、これを維持できないということでは全くありません。実際に二信組の破綻処理のための三百億円の支出が拒否されているにもかかわらず、このことによる金融不安はどこにも波及していません。  ことし五月に起きた能代信用金庫の取りつけでも、同じ市内の他の金融機関に全く波及していませんし、コスモ信用組合の場合も、テレビで報道された中ノ郷信用組合の調査でも明らかなように、全く異常は起きなかったのであります。  このことを指摘した一昨日の衛生労働経済委員会で、労働経済局は、コスモ信用組合の場合は、都が処理スキームの核になって金を出して、後ろ支えをしたからだと、金融不安の起きなかった理由を説明されました。しかし、これが強弁であることは、その後、大阪府が何のスキームも財政支出の用意もなく、木津信用組合に都と同じ業務停止命令をかけたときに、他の金融機関にだれも殺到しなかったことを見れば明らかであります。預金者保護という問題も、今回のやり方を合理化するものとは到底なり得ません。  金融破綻の処理で最も大事なことは、巨額の不良債権の実態と責任を究明し、大銀行を初めとする金融機関の責任で解決を図ることだと思います。実際、もともとこれまで金融機関の破綻に際しては、金融機構が護送船団を組んでこの処理に当たり、預金者にまで負担を押しつけてこなかったではありませんか。しかも、今回のコスモ信用組合についても、銀行は、バブルに乗って無謀な不動産投機や関連会社への投資に走り、乱脈きわまりない経営を続けていたコスモ信用組合に対して、それを百も承知で莫大な融資を続けてきました。そして、いよいよ危険だとなると、数百億円の資金を回収して経営破綻に拍車をかけたわけであります。  今回の処理に当たりましても、大銀行は当然その責任を全面的に果たすべきであります。大銀行は、バブル期に莫大な内部留保をため込んで、バブル崩壊後も庶民泣かせの異常な低金利政策のもとで巨額の利益を得ており、責任を果たす力は十分にあると考えます。  知事、ぬれ手にアワのぼろもうけをむさぼった大銀行を中心とした金融機関にこそ責任をとらせることが、問題の正しい解決の道だと考えますが、どうでしょうか。 ◯青島知事 金融不安の解消、金融秩序の維持ということは、これはもう全国的な規模のものでございますから、本来なら国が十分主導的に責任を持って対処するべきものだということから、国がそのようにしてくれという要望も私どもは出しております。ただ、申し上げますのは、取りつけが起こらなかったじゃないかというお話でございますが、起こらなかったのがまさに幸いでございますが、あの時点でコスモ信用組合に取りつけ騒ぎが起きますれば、店頭で支払いができない、信用組合にあります、金庫にあります金が底をついて、もう払い戻しはできませんよという状態になったところに、大勢の預金者が返せ、戻せといって殺到をなさる。その情景がテレビ、ラジオを通じ、あるいは新聞を通じて発表というような状態になれば、他の金融機関に全く影響がないということは、私は考えられませんでしたし、そうなったら一大事で、収拾がつかなくなるのではなかろうかと。今、委員ご発言のように、方々に複数の同じような状態のところが起こっても、それはなかったじゃないかとおっしゃいましたけれども、なかったのは私は大変幸せだと思っております。  しかし、緊急避難的な措置と再三申し上げておりますのは、あのときにそういう──初動捜査のおくれで混乱を起こすということがございます。まさにあのときこそ、初動の態勢に万全を期したことだと私どもは確信をしているわけでございます。 ◯西田委員 東京都がお金を出さなくとも大丈夫だったというのは、ほかでも証明されているではないかということを私は申し上げたわけであります。  預金者の保護を優先することは当然であります。しかし、その場合も、緊急に預金保険制度の保険料率を引き上げるなど、この機会に制度の拡充や強化を図ることこそ重要だということであります。  政治家を初め投機的な大口預金者はともかく、一千万円までの預金者だけでなく、例えば三千万円の退職金を預金している人などにも払い戻しをする、こういう方向に国や都が挙げて努力をすべきであります。知事は安易に税金をつぎ込むのではなく、そのために都民的、国民的世論を巻き起こしていくべきではないか、このことを強く主張しておきたいと思います。  さて知事は、旧二信組問題の公約について、二信組を救済する理解だったことを挙げ、認識に欠けるところがあったと答弁されました。しかし、この問題は、初めから、乱脈経営破綻の処理に公的資金を出すかどうかという問題だったのであります。  知事自身、公報で、この事態の救済に都民の税金から三百億円もの融資を行うことなどもってのほかと述べられています。この文言でいえば、二信組の救済というものでないことは明白であります。都民が、旧二信組の破綻処理に融資を行わないという公約だととるのが当たり前ではないでしょうか。時間がありませんので、短くお答えください。 ◯青島知事 ただいまは、コスモ信用組合の破綻の処理につきまして提案を申し上げているわけでございまして、二信用組合につきましては、議会のご議論の行方あるいは諸々の事情を勘案いたしまして慎重に対処してまいりたいと再三申し上げているところでございます。 ◯西田委員 二信組の問題について私はお聞きをしたわけですが、時間がありませんので次へ行きますけれども、どのように説明をなさろうとも、都民は、破綻処理に支出を行わないという判断を下したのであります。知事は、都民に行った公約に責任を持つべきだと思うんですね。  知事の、預金者保護、金融秩序の維持のためならやむを得ないという発言も、私は納得できません。  そもそも、二信組問題での鈴木前知事の第一回定例会での提案は、二つの信用組合を救済するというものではなく、預金者保護と信用秩序の維持を図る観点から措置を講じたものというものだったわけであります。  これが、都民の反対の声が高まる中で、議会でも通らなかったのです。議会でも、その後の都知事選挙でも、公的資金の投入は否定されたんですよね。  それにもかかわらず、今回知事が、二信組問題での公約と矛盾する今回の予算案を提案されたために、結局知事は公約の撤回にまで行き着いてしまったのではないでしょうか。  知事、今の圧倒的多数の都民のこの問題についての声をご存じでしょうか。最近の読売新聞に寄せられました声ですが、せっかく都民ばかりか国民の期待を担い選挙公約を守ってきたのだ、安易に期待を裏切ることはやめてほしい、こういう読者の声は、私は、都民の共通する気持ちを代弁するものだと思います。  また、私たち日本共産党都議団が、昨日、新宿駅西口で、コスモ信用組合の破綻処理に二百億円を支出することについて、都民に賛否を問う都民投票を行いました。投票しながら、青島さんは公約を破ってほしくない、都民と青島さんの信頼関係はご破算になってしまいますとか、私は公約を見て青島さんに投票をした、公約をぜひ守ってほしい、こういう声が寄せられました。投票用紙にも、安易過ぎる、都民を裏切らないで、初心に戻ってください、こういうたくさんのメッセージが書かれてありました。  知事、私は、この都民の声をどう受けとめるのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◯青島知事 私たちが緊急避難的に、これ以上ほかの手はないというふうに結論に達して行いました行為につきまして、皆さん方からなかなかご理解が得られないというのは、私も大変残念であります。  しかし、実情をよく説明して、あのときにそういう格好で緊急避難的に一部業務停止をかけなければ大変な混乱を招いたであろう、混乱を防ぐためにはそうせざるを得なかったということと、そういうことで金融秩序の維持と預金者の保護をしていかなかったら、ますますこれは増大していったんだ、あのときはそういうふうにするしかなかったということを、繰り返し皆さん方にご理解がいただけるように努めていかなければならない、やがてはご理解がいただけるものというふうに私は確信をいたしております。 ◯西田委員 私は今、都民の声をどう受けとめるのかとお聞きしたわけですが、知事のおっしゃりようは、自分の認識が違っていたと。そうすると、自分を選んでくれた都民の認識も間違っていたんじゃないか、ちゃんと話せば理解してくれるんじゃないか。これは大変な、ちょっと問題なんじゃないかというふうに思うんですね。私は、本当にこれは都民の声を無視しているんじゃないかとしか思いようがありません。  だから、雑誌の「AERA」で、公約ははがれるものなどとやゆされることになっているんではないでしょうか。こんな公約違反がまかり通ったら、私は選挙の意味がなくなってしまう、このように思わざるを得ません。  重ねて申し上げますけれども、都民は今も乱脈破綻の処理に公金を支出することに明確に反対であることは、先日放映されました「どうする!金融破たん都議会幹事長にきく」の番組で紹介されたアンケートでも明確であります。  アンケートの質問は、東京都はコスモ信用組合問題に二百億円等の責任をとるべきと思いますかというものでしたが、行うべきが一五%であるのに対して、行うべきでないが六四%と四倍以上の多数でした。これは五百人の無作為抽出の方に全部当たった結果だそうであります。  私たちが昨日行いました都民投票でも、たった一時間で驚くべきことに二百八人もの人が投票に応じてくださったんですよね。そのうちの百九十三票の九三%が反対で、賛成はわずか十票、五%にすぎませんでした。  知事は、この都民の声を受けて、コスモ信用組合への補正予算を私は撤回すべきではないか、このように考えますが、一言で結構です、お答えください。するかしないかだけ。 ◯青島知事 都民の皆さん方のご意向を踏まえることは、私の趣旨でございまして、今そういう数字で、私の行為に批判的でおいでになる方々のお考えも尊重いたしますが、やがて私の行為につきましてはご理解いただけるようになるんではなかろうかというふうに考えております。 ◯西田委員 大体、知事が都市博中止の判断をされたとき、知事は記者会見で、公約を守る意味について、先ほども紹介がありましたが、公約を翻すことは、現状を改革したいという都民の私に託した期待を裏切ることになり、都民の政治不信を決定的なものとし、ひいては民主主義の危機につながるのではないかと危惧を抱いております、こう述べられています。  知事、私は、今回の態度は、知事に託された期待を裏切ることになり、政治不信を決定的なものとし、民主主義の危機を招くことになりはしないかと思うんですけれども、どうでしょうか。 ◯青島知事 私があのときの公約に掲げましたのは、二信用組合は刑事事件にまつわるような例外的な事件であるというふうな認識をしておりまして、信用不安というようなものは我が国にはなかなか起こりにくいのが現状だという認識のもとに、そういっていたわけですが、それから半年の月日が流れまして、複数の信用組合に取りつけ騒ぎが起こるというような、それが現実のものとなるような、前提の変化があるわけですから、前提条件が変わったんで、前の考えに固執することなく、新たな対応の仕方を模索することも当然ではなかろうかと、かように申し上げているわけであって、やがてこのことは皆さん方にもご理解いただけるものと確信をしております、そう申し上げているわけでございます。 ◯西田委員 知事、私は、都民に対してちょっとやっぱり考え方が違うんじゃないかというふうに思うんですね。状況が変わったといわれますけれども、状況が変わっていないことは、これまでの議論で明らかであります。あなた自身が態度を百八十度変えただけではないのでしょうか。  昨日の朝日新聞は、全国の知事を対象にアンケートの結果として、十五府県が、地方自治体が処理費用を財政支出することに反対を表明したことを報じています。しかも、財政支出をするべきと答えたのは、わずかに東京都と神奈川県の二つだけです。  都が財政支出を行うことは、全国の地方自治体の先鞭をつけることになることは、これを見ても明らかではありませんか。  知事、これからでもおそくはありません。乱脈経営で破綻した信用組合の処理スキームと(「時間だ」と呼ぶ者あり)補正予算案を撤回すべきであるということを…… ◯田中委員長 簡潔に願います。 ◯西田委員 改めて強調して質問を終わります。    〔発言する者あり〕 ◯田中委員長 西田ミヨ子委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯田中委員長 望月昭広委員の発言を許します。    〔発言する者あり〕 ◯田中委員長 ご静粛に願います。 ◯望月委員 信組問題に絞って私は質問させていただきます。  総括質疑で申し上げましたが、私は、金融秩序に対する不安材料を根本的に取り除かない限り、この問題の抜本解決はないというふうに考えております。  そこで、まずお伺いいたしますが、旧二信組にかかわる処理スキームにおいて、出金をされていない都の出資部分については、現在どのように対処をされているのか。  またあわせて、その結果どのような影響が出ておるか、そして、このまま出金をされない状態が長期にわたった場合、どのようになるのか、ご説明をいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 まず、旧二信組にかかわる出資の部分に対する問題であります。  これは、都の負担部分を除く他の支援が、このスキームにおいてはすべて実行されまして、本年三月二十日から東京共同銀行から不良債権を買い取りまして、現在、その処理に取り組み始めているところであります。  事業開始以来まだ日も浅いために、これに要する費用は、日本長期信用銀行、全国信用協同組合連合会及び都内信用組合からの支援金と債権の回収金で充てられております。  現在の状況でございますけれども、まだ三月の事業開始後以来、日も浅いということもございまして、運営に特段の支障は現時点では出ておりませんけれども、資金繰りそのものに相当の影響が出るということは、当然、日々重なっておるわけでございます。  これが長期にわたりまして運用益が入らないということになりますれば、年度の決算では赤字が確実に生ずるということで、これがさらに今度、年を越えますと、累積赤字と、こういう状況が生ずるということは、今後予測されるところでございます。
    ◯望月委員 わかりました。  ところで、現在審議をされておりますコスモ信組については、業務の一部停止命令が出されているわけですけれども、それにより、コスモと取引関係にある中小零細企業に現在どんな影響が出ておるか、お答えできましょうか。 ◯高村労働経済局長 現在、コスモ信用組合に対しまして業務の一部停止を命じているところでございますが、これによって、コスモ信用組合と取引関係にございます中小零細企業には、まず、融資を受けられなくなったということで資金繰りに極めて大きな影響が生じております。  また、他から借り入れるというような手段をとりますと、今度は借り入れコストが増加をするということで、これがその中小企業の経営を圧迫している、こういう状況が出ております。  また、当座取引の口座を開かなければならないという問題が出てまいりますので、他の金融機関に開設をするということになりますと、やはり今までのそういった順位と申しますか、そういうものが確保できないということで、これまた企業活動に困難を生じさせております。  いずれにいたしましても、今までコスモ信用組合との間で継続して行われてきました金融取引の道が閉ざされるといった状況が生ずるということによって、中小企業は大変大きな影響を現在受けているところでございます。 ◯望月委員 現在、いわゆる決済システムがとまっておるという状況でございます。大変な状況だろうと思います。  今おっしゃったような対応策はどのようになっておりましょうか、お答えいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 これは、業務停止命令をかけた時点から、私どもはこういった事態が生ずることを当然に予想をいたしておりました。  で、命令の次の日の八月一日から相談窓口を開くと同時に、他の信用組合に対して、コスモ信用組合からの引き継ぎと申しますか、そういったものを受け入れると。それで、コスモ信用組合の定期性の預金等を担保といたしまして特別融資をこれらの信用組合にお願いをしている、こういうことでしのいでいるところでございます。 ◯望月委員 今、日々、きょうもあしたも、しのいでいかなければいけないという大変な状況はわかりました。ぜひ労経局にも頑張っていただきたいというふうに思っております。  いずれにしても、これまで交わされてきた議論は、対症療法をいかにするかの議論でございます。特に、今回のコスモ信組破綻に関しましては、都が合同検査の実施を国に要請したにもかかわらず、機関委任事務ということだけで応じなかった国の姿勢に納得しがたいものがありますが、これからでも遅くはないのですから、こうした場合の役割分担について一定のルールを定めるよう国に強く働きかけるべきだと思います。  そうした強い姿勢を示し、実現させることが、今議会に提案された信組問題にかかわる補正予算案への合意を形成させるための大きな要件の一つだと思うのですが、いかがでございましょうか。 ◯高村労働経済局長 既に、破綻処理システムについてのルールを確立すること、費用負担については国が中心になって行うこと、信用組合の経営実態に応じた適切な指導基準を策定すること、この三点について法制度の整備を図るよう、国に要望を行ったところでございます。  今後とも、都議会での議論や、局内に設置をしております信用組合問題研究会の検討結果、さらには、国の金融制度調査会の動向、これは本日、中間報告が出たようでございますが、私どもの要望がほぼ盛り込まれております。より具体的な対応策につきまして、国に対して強く要望をしてまいりたいと考えております。 ◯望月委員 今、局長が、中間報告が出たようでございますというんですが、実はまだ訂正事項があって、あしたに延びるようでございます。  もう一つ、重要なコンセプトとして、金融秩序の再構築を果たすだけでなく、根本原因となっている景気回復への抜本策を実行することだと思うのでございます。  先日の総括質疑で、そのための方策としては、すべての信用組合のガンとなっている不良債権を取り除くための私案を提言させていただいたわけでございますが、時間の関係もあり確認できなかったこと、基本的な部分について、知事のご理解をいただけたんだろうなというふうに思っておりますが、知事、いかがでございましょうか。 ◯青島知事 せんだってのご指摘は、土地が動かなくなっているから対応が難しいし、土地が動かなくなっているから金融も動かないので、土地を何とか上手に活用する方法さえ手だてがつけば、土地が動きさえすれば、これが何とかなるであろうというご提案のように思いますし、その件に関するご質問だと思います。  土地を買い上げ、それを債券として融通をつけるようにするというアイデアでございますが、それも、私も調べてみますと、都が土地を取得するに当たっては、その使途方法とか、それを明確にするとか、いろいろクリアしなければならない幾つかの障害があるようでございますが、確かにおっしゃるように、今、宙に浮いております、あるいは塩漬けになっております土地が、たとえ債券という形であれ、それが活用され、動く、基本の型に改めて動き出すようなことがあれば、それは大きな意味合いを占めることになるだろうとは思いますが、幾つか越えなきゃならないこともありますし、その証券となりましたものをどう処理するか、どこに押しつけるかということですね、その問題もいろいろ難しいことが生じてくるでしょうし、またもう一つは、今が底値なのか、まだ下がるのか、上がるのかということに対する懸念もありましょうし、なかなか一朝一夕にはこれは実現は難しいなと思っておりますが、大変なご提案だと思いますので、引き続き検討を続けてまいりたいとは思っております。 ◯望月委員 知事がそこまで勉強をしていただいたというのは、大変ありがたいなというふうに思っております。後ほど、専門であります財務局長にもお伺いをしたいなというふうに思っております。  先日、村山総理が、金融機関の不良債権処理へ公的資金の導入という方針を明らかにされました。知事も、まず基本姿勢として、その決断をこれからすべきではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。 ◯青島知事 村山首相が、不良債権処理問題について、公的資金の導入に前向きの姿勢を示したということにつきましては、新聞報道を拝見しまして承知をいたしております。  金融機関の不良債権処理につきましては、基本的にはそれはみずからの自助努力によって行うべきものであると考えますが、しかしながら、大量の不良債権の存在が、おっしゃられるように景気回復の足かせになっていることなどを踏まえますと、国民的合意が得られれば、一定の条件のもとで公的資金の導入も必要な場合があるのではないかというふうに考えるところでございます。 ◯望月委員 ほかに、より効果的な、効果の期待ができる案があれば、私の案にこだわらないのでありますけれども、何かほかに具体的に、すきっとするような方法がなかなか、皆さん頭脳を寄せ集めても生まれてこない、そこに今、本議会の苦労があるのではないかなと思います。  再度、しつこいようで申しわけありませんが、私の提案を実行するとすれば、いろいろクリアしなければいけない、いろんなハードルがあろうかと思います。この間も時間がなくて申し上げられなかったんですが、まず、高村局長から、そのハードルの辺をお伺いできればというふうに思うんですが、いかがですか。 ◯高村労働経済局長 旧二信用組合及びコスモ信用組合に見られますように、大量の不良債権の存在が信用組合の経営の安定を著しく損なっている、こういう現状を考えますと、信用組合の経営の健全化を確保することを責務としております私、労働経済局長といたしましては、先生のご提案が、この不良債権問題を解決する有力な方法であると考えます。  しかし、市場における債券の流通性の確保や、今後地価の下落が想定される中での土地の買い取り価格の設定の問題など、解決すべき課題はまだあるかというふうに考えております。 ◯望月委員 今いろいろハードルのこと、おっしゃられました。地価の下落というのも、どこまででとめるかということが一つのポイントになるのかなというふうに思っております。  これだけの経済規模を持った我が東京都が、そういった斬新な、また大なたを振った政策を打ち出した、そこで何とか土地がいわゆる下げどまらないかなというふうに期待を一縷持ってはお話をしているわけであります。  財務局長、お伺いいたしますが、せんだってお伺いをしまして、勉強されるということでお答えをいただきましたけれども、私の提案を財務局としての立場でお考えいただいて、どうクリアしなきゃいけない問題が現実にあるのか、お答えをいただければと思いますが。 ◯西念財務局長 勉強するというふうにお約束したんですが、日時がまだたっておりませんで……。  前回の先生のご提言は、いわゆる都内の信用組合が保有している不良債権である土地をいかに処理していくかという、これに対する提言でございまして、私どもは、不良債権問題を解決する上で不動産の証券化というようなことの先生のご提言については、確かに有力な方法の一つである、このようには考えております。  しかしながら、これを実際に実行に移すに当たっては、たくさんの課題があるのではないか。  現行制度において、まず起債でございますが、利用計画の基本的内容が定まっている土地の取得についてのみ、初めて借金ができるわけでございまして、先生のご提言でいくならば、信用組合から取得する土地を都として将来どのように活用していくかということが課題になってくるわけでございまして、あわせて、先生この前のお話では、たしか七千億から八千億というような数字をご明示なさっておりました。そのような膨大な額に上ると見込まれるものを起債で買うならば、将来の元利償還の財源がどうなっていくのかということ。それから、債券を市場に出すというふうなお話でございましたので、市場における債券の流通性は果たして確保できるのか。それと、今、労働経済局長の方からもご指摘がございましたように、地価の下落がまだ想定される中で、土地の買い取り価格そのものをどうするのか。たくさんの解決すべき課題がある、このように踏まえております。 ◯望月委員 今お話をいただきまして、勉強をしていただいて、本当にありがとうございます。  起債を財源として公共用地を先行取得する場合には、あわせていろんな条件があろうかと思いますけれども、その辺について、財務局長、いかがでございますか。 ◯西念財務局長 公共用地の先行取得に際し、その財源として起債の活用でございますが、一つは、先ほど申し上げましたように、整備する施設の目的、規模等整備計画の基本的内容がまず定まっていなければいけないということ、あわせて、先行取得といいましても、原則として、用地の取得から十年以内に確実に事業の用に供されるということがある程度明確になっていなければいけない、このような制約要件があります。 ◯望月委員 よくわかりました。とにかくいろいろ目的をきちっと決めて、それで起債を起こして償還をしていくという、そういうことはよくわかるんですが、そこは優秀なる東京都の理事者側の皆さんの知恵で、何とかこのハードルを越えて、そしていわゆる根本的な解決に向けて努力をしていただきたいなというふうに、あわせて思うわけでございます。  そういうわけで、実現に向けてぜひ早急に、四定そして来年の一定に向けて、私も一生懸命勉強していきたいというふうに思いますが、財務局長の見解を伺いたいと思います。 ◯西念財務局長 九月二十日に国の方から経済対策が公表されまして、十四兆二千二百億円というふうにいわれてございます。中でも、土地の有効利用の促進が大きな柱になってございます。公共用地の取得拡大、民間都市開発推進機構、民都といわれてございますが、そこへの無利子融資などの方策が施策の中で示されました。先生ご提言のように、金融機関の所有する不良債権の整理なくして景気回復は図れない、このような指摘があることも確かでございます。  ご提言いただきました不動産の証券化、これについては、先ほどご答弁申し上げましたように、不良債権整理の有力な一つであるというふうな認識には立ってございます。しかしながら、この問題については、都内の信用組合が抱える不良債権のうちの土地を、先生のご提言の、公社が確保すればいいという──都のみならず、やはり全国的な見地から解決されるべき課題、こういうものもあるのじゃないか。このようなことからいうならば、都独自で解決するには少し課題が多過ぎるのではないか、このように考えてございます。  今後、これらに対する国の動向等も十分見きわめながら、都として検討してまいりたい、このように思います。先生おっしゃるように、四定、一定でのお約束については、なかなか難しいのじゃないか、このように思います。 ◯望月委員 我々、東京都の話をするときに、先進七カ国、サミット国と同等の予算と力があるというような説明をよくするのでありますが、それだけの東京都でございますので、法律や制度があるからだめだというのではなくて、そんなことではやっぱり前進はしないと思いますので、実情に合わない制度や条例などを変えていくという、議会としての努力も必要ではないかなというふうに思います。  国との関係でいかに多くのハードルがあろうとも、それがいかに高いハードルであろうとも、都民とともにある都政として、全力を挙げて、都議会挙げて取り組む姿勢があれば、都民の理解を得られないわけはないというふうに思っております。唯々諾々と国の方針に従って、対症療法にのみ腐心していたのでは、将来、より大きな負担を都民にかけるのではないかなというふうに思っております。旧二信組やコスモ信組の処理という当面の問題さえクリアすればよいということではないというふうに思っております。長期的展望のもとに、どう結論を導き出すのか、そのことが知事にとっても、また議会にとっても、今最も重要なことだと考えております。  このことを強く申し上げまして、私の締めくくり総括質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ◯田中委員長 望月昭広委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯田中委員長 藤田愛子委員の発言を許します。 ◯藤田(愛)委員 私たちは、今回のコスモ問題につきましては、そのものの是非を論議すべきであって、二信組問題を絡めるべきではないと考えてきました。二信組問題は仕切り直して論議すべきであると考えていたわけです。これは知事が本会議の冒頭に表明された認識であると理解していますし、かつ補正予算三号を提案する趣旨であると理解しておりますし、これまでの本会議、予特及び委員会での答弁だと思っておりました。  しかし、先ほど、知事の二信組問題にかかわる公約についての発言がありましたけれども、議会側が修正案などとして提案するなら別ですけれども、提案者の知事発言として、これが事実であるとすれば、コスモ問題は二信組問題と絡むことであり、提案理由及び内容の変更であって、重大な発言と理解しなければならないと思います。  そこで、知事に伺いますけれども、さきの発言は、明白な公約の撤回なのか、完全に二信組処理スキームに支出を決めたのかどうか、いかがでしょうか。 ◯青島知事 お答えいたします。  今回の提案は、コスモ信用組合に関連する補正予算でありますが、旧二信用組合の今後の対応につきましては、これまで申し上げたとおり、諸事情を総合的に判断した上で、都議会でのご意向を最大限尊重して適切に対処していきたい、かように考えております。 ◯藤田(愛)委員 さて、先日、二十五日、衛生労働経済委員会の質疑で、局長の発言につきましては、これまでの知事の所信表明や知事答弁と異なる伝えられ方をされておりますけれども、発言の真意を再度お尋ねしたいと思います。 ◯高村労働経済局長 都が信用組合の破綻処理に財政支出をする目的は、預金者を保護することにより、信用秩序を維持し、金融システムの安定を図ることが、都民や中小企業への影響を最小限にとどめるために必要であるという、都としての政策判断に基づくものでございます。この点については、コスモ信用組合も旧東京協和、旧安全信用組合においても同様であると認識をいたしております。  私の二十五日の常任委員会での発言は、信用組合の指導監督を直接担当する労働経済局長としての職責上、都議会等のご理解を得られた上で、その対応の必要性があるとの結論に至れば、年度内に必要な措置をしたいということから申し上げたものでございます。  この問題につきましては、今回のコスモ信用組合の経過も踏まえ、今後、もろもろの事情を総合的に判断した上で、都議会のご意向を最大限尊重して適切に処理してまいるという方針の中において、労働経済局として対応してまいりたいと考えております。 ◯藤田(愛)委員 局長は知事の補助機関であると思いますけれども、この問題、知事とすり合わせた結論でございますでしょうか。 ◯高村労働経済局長 信用組合の破綻処理は、預金者を保護するということによって信用秩序を維持し、金融システムの安定を図ることが、都民や中小企業への影響を最小限にとどめるという、都民の福祉のための政策判断に基づくものであり、この点については、コスモ信用組合も二信組も共通のものと認識をいたしております。  このことから、二信組の処理について、事案を担当する労働経済局の立場として強い願望を持っているということでございます。この点につきましては、知事のご理解も得られるものと考えているところでございます。 ◯藤田(愛)委員 さて、知事に伺いますけれども、所信表明に「諸事情を総合的に勘案し」とありますけれども、さきの都議会での修正理由、地検特捜部と警視庁に告発されて、その責任の所在について厳正に捜査が行われようとしているとき、我々もその推移を慎重に見守り、という見解があるわけですけれども、その認識が含まれておりますでしょうか。 ◯青島知事 二信用組合問題につきましては、今のお話のそれも含めまして、諸事情を総合的に判断した上で、都議会のご意向を最大限尊重して適切に対処してまいりたい、こういうことでございます。 ◯藤田(愛)委員 捜査状況の推移を踏まえた判断をするというふうに理解を、今の答弁でしたいと思いますが、もう一点、諸事情の中には、処理スキームの経理状況は判断に含まれておりますでしょうか。 ◯青島知事 経理状況の問題につきましても、総合的に勘案する際の一つの要件であると考えております。これらの経理上の問題も含めまして、先ほど申しましたように、適切に処理してまいりたいと考えております。 ◯藤田(愛)委員 つまり、二信組解決には精査が必要だということだと思うんです。いずれにしても、二信組の問題は、コスモ問題を処理して、改めて白紙から議論することが必要であるというふうに私は思っています。コスモ問題と同質の一側面があるということで、処理についてすぐさま結論を出すことができないというふうに私は思います。  さて、公的資金の導入をめぐって伺いますけれども、これまで信用組合に対して公的資金が、先ほども出ておりましたけれども東京都信用組合支援基金機構に、東京都拠出金として無利子貸付で八十五億円が出されてきているわけですけれども、その実際の目的と根拠は何でしょうか。 ◯高村労働経済局長 都内信用組合の合併を支援するために、東京都信用組合協会の中に東京都信用組合支援基金機構が設置をされております。同基金は、現在、都内信用組合業界の拠出金九十五億円、東京都拠出金八十五億円の合計百八十億円で構成されまして、その運用益を信用組合対策に使用しているところでございます。  これまで、同基金を通じまして八信用組合に対し支援をしてまいりましたが、そのうち、合併組合の欠損金支援で六組合、合併経費を支援することで二組合でございます。 ◯藤田(愛)委員 支援の内実は、合併に伴う不良債権の処理に使われてきたというふうに思いますけれども、これは機関委任事務にかかわる経費なんでしょうか、あるいは信組の非営利性や公益性に基づくものでしょうか。 ◯高村労働経済局長 東京都信用組合支援基金機構への都の拠出金は、信用組合の指導監督の機関委任事務に係る義務的な経費ではなく、都内信用組合の経営体質の改善に資する合併推進事業の一環として実施をしているものでございます。 ◯藤田(愛)委員 もう一つ。 ◯高村労働経済局長 失礼いたしました。  信組の公益性に基づくものであるかどうかという点でございます。  ご指摘のように、信用組合は組合員の相互扶助を目的とする協同組織による金融機関でございまして、中小企業や生活者のための地域に根差した金融機関としての強い公益性を有していることから、その健全な育成を図ることを目的に必要な支援を行っているものでございます。 ◯藤田(愛)委員 一般私企業とは違う組織の性格からくる公益性、そして金融機関としての他事業体への波及力という点を含めた公益性だと思うんです。  しかし、公的資金を投入するわけですから、当然、行政、市民、そして議会が口出しする権利を持っているわけです。また、そうしなければならないわけですけれども、その内実は、例えば都民あるいは議会にどのように明らかにされてきておりますでしょうか。 ◯高村労働経済局長 基金に対します都の拠出金につきましては、その都度、予算案に計上し、予算審議の過程で十分説明を申し上げてきたところでございます。 ◯藤田(愛)委員 さきの答弁にありますように、支援機構への東京都の支出は、実際、合併に伴って不良債権の処理であったわけですけれども、基金につながるような問題として議論されてこなかったのが現状ではないかと思います。公的資金の投入だったわけですから、ディスクロージャーの推進という意味で問題があったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◯高村労働経済局長 ご指摘のように、東京都信用組合支援基金機構には、都の公的資金が導入されておりますことから、その使われ方や効果等につきましては、都民に積極的に情報開示を行っていく必要があると考えております。 ◯藤田(愛)委員 ディスクロージャーについては、国の制度改正などが不可欠であると思いますけれども、東京都として、それ以前、国が法改正する前、主体的な姿勢として独自の施策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。 ◯高村労働経済局長 本年五月の金融制度調査会ディスクロージャー作業部会の報告におきましても、協同組織金融機関についても、平成八年三月期より、その実態に即した資産の健全性に関する情報の開示が行われるようにする必要がある、との指摘がなされておりまして、国におきましても、かかる方向で検討がされていくものと思われます。  現在、東京都信用組合協会におきましても、自主的に、ディスクロージャーの範囲、方法、スケジュール等につきまして鋭意検討を行っておりまして、都といたしましても、業界が自発的にその実態に即して積極的にディスクロージャーを実施するよう、今後とも強く指導してまいります。 ◯藤田(愛)委員 もう一つ、都が独自にやらなくてはいけないのではないかと思うことで、大型化については、コミュニティバンクとしての機能にとって必ずしもよいとは私は考えていないわけです。しかしながら、信組の中で業態転換すべきものについては国の所管として、真にコミュニティバンクにふさわしいものについては東京都の所管とするよう、国と東京都の役割分担を明白にすべきであると思いますけれども、都の独自政策は何かありますでしょうか。 ◯高村労働経済局長 ご意見にございましたように、大型合併推進が、必ずしもそれのみが策ではないという点につきましては、私も同感でございます。一時期、大きいことがいいことであるといった風潮の中で、信用組合に対する指導が合併に偏っていた部分があることは、ご指摘のとおりでございます。  現在、営業区域が他県に及んだり、員外預金規制に著しく違反するなど、協同組織の地域金融機関としての実態を有していない信用組合については、知事が指導監督する信用組合の範疇を超えたものというふうに考えております。したがって、こうした信用組合につきましては、他業態への転換を含め、大蔵省の指導監督下に移行するよう、国に対して要望してまいります。  都といたしましては、今後とも、地域ニーズに即した資金の受け入れ、提供を行うほか、情報提供、相談事業などを行えるような、真のコミュニティバンクとしてふさわしい信用組合を育成すべく努力してまいります。 ◯藤田(愛)委員 次に、地域の資金循環、すなわち資金の流れという点からしますれば、金融の同質化の中で、実は、市民の資金や零細の資金も、流れとしていえば、地域や地方の資金は、地域としての東京ではなくて、中央としての東京に集まって、海外投資や大企業の投資の背景として存在してきたといえると思います。逆にいえば、地域のコミュニティのために流れることは減少してきたのです。  私たちは、地域の市民の資金が地域に流れることこそ構想したいと思っています。そして、そのことこそが東京がローカルとしてよみがえるということだというふうに考えています。  また、信用組合は、東京都の手数料などについては貢献しているわけです。基金などの運用でいえば大手の金融機関が主体であり、つまるところ、地域の市民の税金は中央としての東京に集まるけれども、地域には還流していないということになるわけです。  自治省の通達で、安定安全を第一として、中小企業対策などは歳出予算でということでありますけれども、地域の資金循環という点で考えると、東京都への協力度ということを地域社会への貢献度と広げて、歳出予算だけでなく、東京都の資金を、地域コミュニティバンクとしての信組に流れをシフトしていった方がいいのではないかということで、ぜひとも長いスパンで検討することを要望しておきたいと思います。  さて、今後のまちづくりや地域づくりという視点、すなわち信用組合の将来像に触れてまいりたいと思いますが、まず、青島都政になってから、東京都は市民を行政のパートナーと位置づけているわけですが、どのような将来像においてこれをとらえていらっしゃいますでしょうか。 ◯佐々木企画審議室長 お答えいたします。  本会議での知事の発言にもございましたように、生活者としての都民を、単なる行政のサービスの受け手にとどまらず、積極的に都政に対して提言し、みずからも問題解決に取り組む者というふうにとらえております。現在策定中の総合三カ年計画におきまして、豊かでゆとりある生活都市東京を実現していくためには、そのような自発的な都民が、行政と連携して、まちづくりや地域福祉に積極的に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。 ◯藤田(愛)委員 今の室長のご答弁にありますけれども、市民が単なるサービスの受け手ではなくて、問題解決の主体であるという点について評価をしたいと思いますし、賛成をしたいと思います。これは今までには位置づけされなかった点であると思います。  さらに、イギリスにグラウンドワーク運動と呼ばれる運動があるわけですけれども、これは企業と市民と行政が連携するということで、市民みずから、口出しだけではなくて汗を出すということでありますし、行政と企業などの連携が支援するということになってくると思うわけです。  こうした汗をかく市民の運動は、遠い世界や外国のことではなくて、私たちの地域の中でも、介護サービス需要の増大の中で、互いに助け合う仕組みづくりのために、市民がボランティア活動や非営利的事業を展開しているわけです。東京都はこれらの取り組みをどのように認識されていますでしょうか。 ◯奥福祉局長 地域で、介護など多様な福祉サービスに的確に対応し、地域福祉を推進していくためには、行政サービスの一層の充実はもとより、市民や民間団体などにより自発的に取り組まれている家事援助サービスや食事サービスなどの福祉活動が、これまでにも増して重要であると考えております。 ◯藤田(愛)委員 今のご答弁にありましたように、市民の事業は、実際の地域の公益的な需要に対応して、しかも自立的に活動しているわけです。これらのグループでは、地域の公益性すなわち運動的要素と事業を統一しているところが特徴でありますし、さきの、サービスの単なる受け手ではなくてみずからも問題解決の主体であるということが実践されているわけですし、現実のパワーでもあります。こうした人々にとっては、開業資金や投資について資金的な問題というのは、公益的であればあるほど問題であるわけです。
     そこで、前回にも触れましたが、市民バンクは実際どのような事業について融資しているのか、労働経済局はどのような援助を行うつもりなのかを伺いたいと思います。 ◯高村労働経済局長 都内のある信用組合では、女性グループによる無添加のパンの製造販売、介護用品の製造販売、リサイクルショップ、働く女性のためのベビーシッター等、環境、福祉、女性の社会進出等の事業に対して融資をいたしております。  都の信用組合業界といたしましても、女性や障害者等の起業化について積極的に支援するため、市民バンクを同協会の事業として開始することになりました。  都といたしましても、コミュニティバンクとしての信用組合の事業として有益なものと考えており、その支援につきましては前向きに検討してまいります。 ◯藤田(愛)委員 前回触れてきましたけれども、こうしてコミュニティ事業を行う必要がある人々に対して、資金供給の道は今まで閉ざされてきたわけですけれども、ようやく風穴があいてきたというふうに思います。こうした需要にこそこたえるのが、コミュニティバンクとしての役割ではないかと思うわけです。少なくともさきのグラウンドワークのようなシステムとか、行政、企業、市民の自立した連携を行政は紡いでいくべきであり、また、信組の一つの役割で例えれば、市民の事業のリスク管理という側面なども浮き彫りになるのではないかというふうに思います。  最後に、知事に伺いますけれども、これからは、これまでの行政の発想を展開して、行政、市民事業、そしてさまざまなNPOの連携が、まちづくりや地域づくりに寄与すると考えますけれども、そのような自立的な連携に信用組合を位置づけていくことこそが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯青島知事 お答えいたします。  金融自由化の中で、信用組合が本来の役割を果たしていくためには、経営効率化の向上を図るなど経営体質を強化し、地域ニーズに即した資金の受け入れ、提供を行うほか、情報提供、相談指導などが行えるようなコミュニティバンクとなることが必要であると考えております。  このような観点からいたしますと、地域の中でまちづくりに貢献しているボランティアグループ等の非営利団体、おっしゃられるところのNPOでございましょうが、これらと密接な話し合いの機会を持ちまして、みずからもまちづくりに寄与していくという姿勢を持つことが望ましいものと考えておりますし、都としても信用組合のこうした取り組みが積極的に行われるように指導に努めてまいりたい、かように考えております。 ◯藤田(愛)委員 ありがとうございました。(拍手) ◯田中委員長 藤田愛子委員の発言は終わりました。  以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。  お諮りいたします。  第百九十九号議案及び第二百二十七号議案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯田中委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。  この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。    午後八時四十五分休憩      ━━━━━━━━━━    午後十一時四十五分開議 ◯田中委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、本日の委員会はこの程度とし、明二十八日午後一時に委員会を招集いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯田中委員長 ご異議なしと認め、さよう決定いたします。  委員の皆様に申し上げます。  明二十八日午後一時、委員会を招集いたします。  なお、ただいまご着席の方々には改めてご通知いたしませんから、さようご了承願います。  以上で本日の委員会を閉会いたします。    午後十一時四十六分散会...